東方無夢物語 (Ratsel291)
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可能性を求める彼女のお話
第一話 永い永い時を超えての知識


まず注意!駄文などが含まれている可能性が
あります。
読む際は 駄文全然大丈夫 我慢できる という人は読
んで見てください
では、始まります



 

 

“ここはどこだろう“

最初に考えたことがこれだ。

 

生物なら誰もが感じる事。

 

未知への恐怖心と好奇心だ。

 

この命も例外ではない。

いや、この表現は間違っているといえる

 

この命がそもそも例外なのだ

何もない無限に広がる「無」の世界で

 

ポツン。と存在する命がまともなわけがない。

 

 

空想の世界ならまだしも

こんな生き物存在できるはずがない

 

もしかしてこのナマモノが宇宙作ったんじゃね?と思う方。

 

が、そんなことはできない。

彼女は

 

ひたすら 無知 だった。

無知、無知、無知。

何も知らない。

 

それもそのはず。

こんな何もない世界で何を学べと言うのだろう。

自分がなにかすらわかっていない。

自分の存在が理解できない。

自分の心情も意味不明。

だから

 

 

ここが創造される前の無の宇宙なんて知らない。

 

 

だから

 

 

自分が女だとか、何故か服を着ているとか、気づかない。

 

 

だから

 

 

 

 

 

 

 

自分に

とてつもなく強力な能力があるなんて思わなかった

 

 

 

 

 

 

まず、彼女はここはどこなのかという疑問の答えを探してみることにした。

 

だがその前に動きかたを知らない。

というか動きということを知らない。

 

動く方法を完成したばっかりの脳で考える。

考えて考えて考えた結果。

 

 

とりあえず前転してみるという形におさまった。

まあ前転したところで

進めるわけはない。地面がないのだ。

 

当然の結果である。

空中で回転したところで進まない。

 

だが速さを緩めず回転し続けたものだからパワーはどんどん上がっていき

最初の力を1として

加速と共にどんどん上がっていき。

1京×10の6兆乗ぐらいの力になったとき。

 

宇宙のもとである

「泡」が誕生したのであった。

 

 

この少女…前転だけで宇宙のもとを

産み出したのである。

 

 

しかし大問題があった。

 

そう。

止まれないのである。

 

ひたすら回り続け

止まったのはビックバンが起きたときだった。

 

 

この宇宙このナマモノが作ったんじゃね?と思った方。

大正解。

 

 

最初に少女が覚えたことは

前転して宇宙を生み出すことだった。

 

 

 

 

龍神が生まれた時はその時だった

 

 

 

 

そこからはあっという間だった。

凄まじい速度で宇宙は完成形になっていった。

その時少女は地球ぐらいの重力がある星に降りた。

動き方をもう一度探す。

.

.

.

.

.

今度は逆立ちしながら歩き出した。

これが結構気に入ったようで

少女は逆立ちして歩く

ということを覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして恐ろしいほどの月日が流れた

 

 

 

 

 

 

 

そして地球。

少女はそこにたっていた。

 

…逆立ちして

 

少女はこの場所でいったいなにができるのか。

まだ少女にも理解できない。

 

 

「ふあぁーーー

 

   ん?」

少女は街のようなものを発見。

ただちに向かった。

無論、逆立ち歩きで。

そしてついでにあくびすることを覚えた。

 

 

 

街 防衛総指令室

 

 

 

「な、なんだ!?」

「凄まじい妖気だ…」

 

「総員第一戦闘配備!1~10班はB地点から!11~20班はD地点から挟み撃ちにしろ!」

 

「こちら1~10班全員の到着を確認しました!」

「続いて11~20班、全員の到着を確認しました。」

 

「速いな。2秒位か。…敵を確認したか?」

 

「いえ…」

「ロストしました……月夜見さま。」

 

「そうか…総員撤退。即時解散せよ…」

 

「了解」

 

 

「…失態だ。あれほどの力のある妖怪をみすみす逃がしてしまった…。どれだけ影響が出るだろうか…。これでは反乱が起きるのも仕方ないかもしれないな…。パニックを起こさないように民間人には情報を伝えていないが…。

しかし、これでは……」

 

 

上層部の月夜見は頭を悩ませていた。

 

 

 

 

少女が侵入しようとしたことによる出来事。

この事は軍事:防衛部しかしらない。

 

天照さえ気づいていない。

 

しかし外部の者で一人だけこの事態に気づいた者がいた。

それは

 

 

「なんだったの…。さっきの妖気。今は感じないけど。今までに感じたことのないほどだったわ。私が、無知なだけなのかしら…。」

 

 

世紀の“天才”だった。

 

 

 

 

 

結界外  森

 

 

 

 

 

「はぁ、お主はなにをしているのか。」

 

「むー」

 

「全く…。」

 

 

そこには少女と皇祖神(イザナギ)が居た。

 

ちなみに少女は逆立ちはしていない。

目を閉じ、何も特に考えていないようだ。

 

「お主はいったい何なのじゃ…儂と。いや儂以上の力を持っている。この前までこんなの居なかったと思うんじゃが。」

 

「むーん」

 

「…」

 

「むむむ」

 

「…」

 

「メェー?」

 

「!?」

 

「モォー」

 

「話しかけるだけ無駄そうじゃな。」(即決)

 

そう、話しかけても今は無駄なのだ。

だって少女は言葉なんて知らない。

だって少女は生き物なんて知らない。

だって少女は無知だから。

 

「さてこやつをどうするか…」

 

そう、こんな強大な力を持った命を生かしておくわけにはいかないのだ。

しかし 《とある事情》 から殺すわけにはいかない。

 

そして決まる 

 

 

 

こうしよう

 

 

 

そして少女に札を張り付けた。

 

すると恐ろしいほどだった膨大な力は、消えていった。

 

 

いや、札に吸い込まれていく。

 

ふだんは見えないはずの妖気は目で見えるほどに凝縮し、黒く輝いている。

その輝きも吸い込まれ、妖気は完全に吸い込まれた。

その札も少女の肌に食い込むように消えていった。

 

少女は直立不動で動かない(直立不動のまま動けない)

 

動かない。(動けない)

 

動かない。(動けない)

 

動かない。(動けない)

 

 

 

動いたのは(動けるようになったのは)4日後だった。

 

 

 

 

森の中

 

 

 

歩く(さまよう)

歩く。

歩く。

 

いつ覚えたのか

ひたすらさまよい歩く。

 

行き場はない。

 

力もない。

 

知能もない。

 

 

何もない。

 

 

妖怪に襲われたらどうなることか。確実に勝てないだろう。

 

なら、どうすればいいのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なら 助ければいい

 

 

 

 

 

 

 

 

side×××

 

「あら?」

 

4日前の妖気の正体を探していた時だった。

理由は排除するため…

 

というのは建前でそれがなんなのか知りたい という単なる好奇心から。

 

私ではどうあがいても勝てなそうだと思ったからだ。

発見して。少し観察して。そのまま戻る。

それだけのこと

 

しかしこんなところに子供がいるなんて。

 

正直予測外だった。

 

行方不明なのは74人。

うち23人が女性。

その全員が発見されている。

それから結界の警備など全面的に強化がされたから

特別な許可証なしには外に出ることは絶対にできない。

 

なのに…この子は私の簡単な予想をことごとく裏切ってくれた。

まあそれはそれで貴重な体験だけど。

 

見捨てるわけにも行けないし連れて帰ろうか。

 

まあ、妖怪に襲われていないのでよかった。

 

 

ああもう……結局例の妖怪は発見できなかったし…。

 

たぶんハッキングしたのはさすがにばれているころだろうし…。

 

捜索届も出てないって聞いたから孤児で引き取り手もないのだろう。

 

 

 

 

はあ…後のことを考えると貴重な体験でもなんでもないわね…。

 

 

 

 

「ほらーこっち来なさい。」

 

「むーんむーん」

 

「moon moon?]

 

直訳して「月.月」

何の意味があるのかしら?

それとも意味なんてないのかしら?

自分的には意味がないほうが納得できる。

 

誘拐じゃないけど

まあとにかく連れて行こう。

 

 

 

 

 

 

都市前

 

 

 

 

 

 

「さあどう言い訳しようかしらね。」

 

「えー?」

 

「いやこっちの話だから気にしないで。」

 

 

「×××様!どこに行っておられたのです!?」

 

「あ…えーと」

 

まずい!まだ言い訳考えてない!

どうする!?どうする!?どうする!?

 

「えーと…ちょっと外まd「なんですって外までいったのですか!?」ええ、そうよ…」

 

「ソウデスカ、あとで会いましょう。」

「×××?」

今まで喋らなかった。いや、喋れないと思っていたこの子が、私の名前をよんでくれたが、私の脳には、入っていかなかった。

 

 

 

 

 450分後

 

 

 

説明して5分

説明されて5分

その他残り時間

 

 

ハァ…。




ご視聴ありがとうございます 色々なアイデアを
利用したけどここまで大変とは思いませんでした たとえると
螺旋階段50階分登るぐらいきつい エレベーター最強説
 いつかエレベーターを発見してみせる!


また縦読みは本文にはありません
 ただ、気が向いたら載せます


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第2話 科学者の湯悦と憂鬱

うわ!!お気に入りがはいってる!これは
連載は止められない
知らぬまのお気に入り登録ありがとうございます
いい!これは凄い嬉しい!


「で、その子を発見したと。」

 

「……ハイ。」

 

「なるほど…興味深い話ですね。」

 

永い時間の“その他”は終わりの時を迎え。解放される。

 

改めてこの子のことを話してみる。

 

それにしてもこの子…。

あの 説教を隣で聞いてて何ともない。

 

尊敬に値するわ。

 

「まぁ一応。独自判断ですが、引き取り手が見つかるまで

そちらで預かってもらったほうがいいでしょう。」

 

え、?

この子を預かると?私が?

 

別に嫌な訳ではない。ただ

そういう施設はあったはずだ。

 

私に頼む必要はない。

 

ただでさえ仕事や研究で時間がない。

面倒を見てやるひまなんてほとんどないと思う。

この前だって貴重な休みをぬっていったと言うのに。

それが解っているのに何故?

 

「何故…といってもいいですか?」

 

 

「それが…。保護施設は450分前くらいに満員になったそうです。正直おかしいのですが。

2人しか入ってなかったのですが、

たったの1分で満員になったんです。

たったの1分で、ですよ?あり得ないんですが、確かにそうなっている。

他の預かり手も全く見つからない。

だからお願いしました。」

 

 

……あり得ないの一言にすぎる。

 

2人しか入っていなかった保護施設が1分で満員になるなんて。

今まで無かったことだ。

 

事件も何も起きていない。

これほどの数の孤児が1度に入ってくるのは、

普通ならあり得ない。

 

「…なら、仕方ないですね。こちらで預かります。」

 

「ありがとうございます。

こちらで月夜見様に報告しておきますので。では、」

 

そういって立ち去っていった。

 

…とりあえず、この子を家へ連れて行こうかしら。

 

 

 

その時。

どこかで。

少女の声によく似た。

声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「夢は広げないとね。可能性はある方がいい。無限の可能性はどこへいった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

それは。

目の前から。

聞こえているようにも感じられた。

 

私は空耳だろうと勝手に解釈し、帰っていった。

 

 

 

 

×××宅 データ室

 

私は小さなコンピュータの前に立つ。

小さいがデータ量は負けない。

 

「さてと、始めますか。」

 

 

何をするかと言えば。

この子の出生を調べてみる。

ここには住民全員の出生記録も入っている。

 

親や、名前を知るだけで王手がかけられる。

 

あの子は研究資料:21を振り回して遊んでいる。

笑ってる。

何が楽しいのかしら?

まあ21番は理解出来なさそうだか別にいいけど…

 

 

条件を絞りこんでいく。

何度もやったのでなれている作業だ。

簡単に……

 

「え?」

 

目の前の画面には

 

「該当者なし 条件を変えて再度執行してください」

 

と非情な文字が写されていた。

 

間違えた?そう思い、

条件を変えてもう1度探す。

 

「該当者なし」

 

壊れたの?

試してみる。

[検索]

いや、他の住民のデータは出る。

 

「該当者なし」

 

どうして?

何故、この子のデータだけが出ないの?

可能性があるのは…。

 

ここが出生の地じゃない…。

 

いや、それはない。

 

この子は霊気がほとんど、いや、全くない。妖気を隠しているのでは?

と思ったがそうでもない。

 

戦える力が無ければ遠くからここに来ることはできない。

かなりの数の妖怪が居るのだ。

 

護衛を雇った?

いや、それなら記録が残る。

 

その他にも色々考えた。しかしどれも潰れた。

どうしてなの?

 

 

可能性は、

潰れた。

 

それが故に、

考えられることは無限にあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「むー」

少女が変な言葉を喋る。

 

「ハァ…」

私が溜め息を吐く。

 

何もわからないまま。

一日が過ぎる。

 

こんな日を体験したことがあっただろうか。

こうなったら徹夜だ。

 

何より解らないのが悔しい。

 

 

色々な分野を探し回った。

しかし、

徹夜で探したがそんな資料はどこにもなかった。

 

疲れた…。

 

 

まずどうすればいいだろう。

とりあえずこの子を調べる。

 

性別:女

年齢:推定10~14歳

種族:不明

 

あれ、目の色が黄色って珍しいわね。

髪は黒で長い。

一般の服を着ていて。

よく見ると 小さく鍵穴の模様が付いている。

何の意味があるのだろう。

 

背は低い。

全体的にやせ形。

 

フムフム…

 

そう考えていた間に……。

 

て、あれ?

あの子は?どこいった?

 

「むー」

 

少女は調合室にいた。いつの間に…

何て考えている暇じゃない。

 

その手には試験管が握られていた。

それを自らの口へ寄せていく。

 

「あ、それは飲んじゃ(ゴク)

 

静止を振りきり少女は飲んでしまった。

毒の入った試験管を傾けゴクリゴクリと音をたて飲み込む

 

「むー」

 

しかし少し経っても何も起こらない。

平気な顔をしている。

極度の耐性があるようだ。

 

「じゃあこっちはどうかしら」

 

毒入りの瓶を渡す。

 

「むー(ゴク)

 

また少女はゴクゴク飲み始める。

 

しかし何ともない。

テトロトドキシンだったのに。

飲んだら基本的に死ぬ。

そんな毒だったのに。

 

「じゃあこっちは?」

 

今度は毒薬を渡す。

また少女は飲む。

 

なんともない

トリカブトとかの猛毒を混ぜ合わせたものだったのに。

こっちは妖怪でさえ耐えられなかったというのに。

この子は絶え。いや、耐えた。

 

「ふ、ふふふ」

 

これは面白い。

こんな不思議な不思議な特徴をもった子なんていないだろう。

 

これは面白いものを見つけた。

不思議なものを研究する。

これ以上面白いことはまだ知らない。

気づいたら高らかにわらっていた。

これぞ!湯悦…!

 

ピーーーーー(着信音)

 

あ、電話だ。

 

「もしもし」

 

「大丈夫ですか!?

今なんか凄い笑い声が聞こえたんですが!?妖怪が侵入しましたか!?」

 

ピッ(切る音)

 

 

電話を切る

 

 

プルルルル(着信音)

 

 

また掛かってくる

 

「もしもし」

 

「あの、隣のものなんですが。大丈夫ですか?いま笑いg」

 

ガチャッ(切る音)

 

切る

 

デンワデース♪デンワデース♪(着信音?)

 

出る

 

「だいzy」

 

電話オーワリ♪(切る音?)

 

切る

 

電話デース♪でんw

 

電源を切る

 

 

 

そのあと。

警察が来た、とか見ていない。

着信が19件あった、とか見ていない。

そのあと7時間説教なんてされてない。

 

 

 

話を変える。

「さてと…本題。」

 

真剣な表情をして少女を見つめる。

 

「?」

 

少女は動揺を隠せない。

 

そしてなるべく優しく。問いかける。

「貴女はだぁれ?」

 

「むー」

即答した。

 

無…って…なによ。

流石にこれが名前は無いだろう。

ちゃんと話してもらいたい。

 

もう一度問いかける。

「あなたの名前は?」

 

「モォー」

楽しげな様子で答えた。

 

ダメだ…この子。

解ったのは話しても無駄そうだという事実だけだった。

 

……今度言葉を教えよう。

 

「はい。ここがあなたの部屋」

 

使わなくなった研究室を改造して作った部屋。

 

黄色を基調とした普通の部屋。

だが、飛んだり跳ねたり。

喜んでいるようだ。

 

 

…え?飛んだり?

 

「え、えええええぇぇ」

 

目の前ではあの子が確かに浮遊していた。

辺りには何の力も働いていない。

霊気も妖気もだ。

 

 

「もう…なんでもありね…」

 

私はこれ以上考えることを破棄した。

少女は、ハァ…とため息を吐く私を見て

可愛らしく首をかしげる。

貴女はいったい何者よ……

 

 

夕飯の時間。

 

メニューは簡単なものがほとんど。

 

この子は箸は使えなさそうだからスプーンで

食べさせる。

 

でその子はそれを噛んだりしている。

それが食べられないのを理解すると

味噌汁の中に手を突っ込んだ。

だが平気そうだ。

やけどらしき物もない。

中の具を手ですくいとって食べている。

 

全く…この子は私の予想の外をついてくる。

 

毒といい、薬といい、危険な薬品は全て耐えた。

 

なぜ?

……………………

……………………

いや…そういうことは明日考えよう。

 

 

と思ったら少女はまた浮遊し始めた。

平然とやってのける。

ついでにくるくる回りながら飛び回っている。

 

そんなおかしな光景と状況を目の当たりにして、

 

もう常識に囚われてはいけないのか

 

と思ってしまった私がそこにいた。

 

 




投稿1回失敗しました。
難しいものですね。
とりあえずご視聴ありがとうございます。
時間はあるほうなので。ガンガン書いていきます。
え、文字数が少ない? 才能がない。
リードに繋がれた動物は何もできない。と同じように
1つにいうと書けないからです。
 時々輸入投稿もしていきます。


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第3話 日常の中の進化

なんと、お気に入りがまた増えてる!
いやぁーありがとうございます。
たくさん…読んでくれるようになったら俺…原作終了後も書くんだ…


 

 

 

 

少女は、自分のベッドに座っていた。

 

何かをひたすら考えている様だが

それが何かは、少女以外には解らない。

 

 

「×××…」

 

 

 

多分自分でもわかっていないだろう。

ただ。その人の名前を連呼する。

 

 

 

 

朝。目覚めの朝。ほとんどの人が起床する時間。

しかし、この少女は眠っていた。

ていうか、今寝たばっかりなのだ。

 

 

「起きなさいー。」

綺麗で、それでいて単調な声が聞こえてきた。

部屋に人…×××が入ってくる。

 

「むー…えーりん!!」

唐突に大きな声を出した。

 

意味の解らない言葉を話し出す。

もちろん意味なんて解らない。

 

「何よそれ。いいから起きなさい。」

少しだけ怒ったような声を出した。

 

「ファー…。」

眠そうな顔をして。

あくびしながらも起き上がる。

いつの間にか少しぐらいの言葉の意味が、わかるようになったようだ。

 

九割九分。あの説教のせいである。

 

 

これから×××が何をするのかと言うと。

簡単な勉強を教えるのだ。

簡単といっても本当に幼稚園レベルのものだ。

 

「いい。これが林檎。」

 

「リンゴ。」

 

「これが机。」

 

「ツクエ。」

 

「これが銃。」

 

「ジュウ。」

 

「これが亜空間。」

 

「アクウカン。」

 

「これが核爆弾。」

 

「カクバクダン。」

 

「じゃあ私の名前は?」

 

「えーりん!」

 

「違うわよ…何度目かしら?」

呆れたような声を出し、そのあとに相手に聞こえないように小さく溜め息をはいた。

 

少女はほとんどの言葉を恐るべき早さで覚えていった。

片言だがちゃんと話せるまでに上達した。

他のことを教えても圧倒的早さで上達していった。

 

それなのに、何故か少女は×××の名前だけが言えなかった。

 

それも沈黙ではなく、えいりん 

という謎の単語を返してくる。

 

(少し苛々してきた…なんなの?この子…)

        

もちろん×××はこんな単語知らない。

また意味の無い言葉なのか。

そうだとすると、なぜ名前の時だけ

言ってくるのかが解らない。

意味があるとしても。意味が解らない。

×××は自分の無知さ加減に腹が立つ。

 

 

自分には解らない事など無いと思っていた。

 

実際解らないことが在っても少し研究すれば正体がすぐにわかった。

そのおかげで都市はここまで発展した。

 

しかし目の前にいる存在は違う。

謎の塊。

 

研究する方法すら発見出来ていない。

 

異質すぎる。

 

体の構成物には謎の部分。

 

頭脳に異常があるがそれがなんなのか発見できず。

 

細胞を調べても年齢が解らない。

 

DNAを調べるとコンピュータのほうに異常がでる。

 

どうやっても解らない。

 

 

それ故に。

自分の世界の狭さを知った。

 

 

 

 

考えに考える×××の姿を見て、

少女はニッコリと笑った。

 

その間も、×××は考えに考えた。

 

 

 

目の前の謎を消すために。

 

自分の世界を広げるために。

 

研究し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。少女は目を開ける。

しかし、そこは見慣れてきた部屋ではなかった。

真っ白の部屋。

そして

 

「…………ハワワッ!」

 

目の前には

変な叫び声をあげる×××と、

見たことのない機械が目の前に迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘…まさか麻酔薬も効かないなんて………。改良すればなんとか………。いやそれでも………そうだ外傷は入るから………」ブツブツ

 

朝食中に、食べることを完全に放棄し、頬杖をつき、難しそうな表情をして、ブツブツと独り言を呟く×××。

 

 

その一方少女は、×××の様子を伺いながら朝食を食べ進める。

 

明らかに警戒している。

 

 

「ね、えーりん?」

 

問いかけても×××はまだブツブツ独り言を呟き続ける。

 

1分ほどたち

 

そろそろ食べ終わるというころになって、

ようやく×××が反応した。

 

「……ブツブツ……ブツブツ…… え?なあに? ていうか、もう私その呼び方で固定なのね………名前で思い出したけど、貴女の名前は聞いてなかったわね。名前は?」

 

いきなりの問いかけに少女は戸惑う。

 

「え、えー?むー………無い!」

考えたあげく、そう答える。

 

「うーん…それはそれで大変ね。……………………………………………………

無絶…黄夢…むぜつ…きゆめ…………黄夢…黄夢…あなたの名前は今日から、黄夢よ。よろしくね。黄夢。」

 

5分ぐらい考え。思い付いた名前。

「絶対」に縛られることの無い少女。

黄色い瞳をした少女。

その瞳は今。とてつもない夢と希望をうつし、輝いている。

そしてその光には、無限の可能性が秘められているようにも感じられる。

 

「黄夢…黄夢…クスッ。よろしく、えーりん。」

自分の名前を確認し、クスリと笑う。

 

それは嘲笑ではなく。心の底から喜んでいるような…そんなことが感じられた。

 

 

「私は永琳じゃないわよ。いや、仮名として使ってみようかしら?

とにかくよろしくね。黄夢。」

 

2人は、堅く握手をした。

 

 

 

 

 

翌日

 

 

永琳と黄夢は街を歩いていた。

2人は笑い合いながら歩いていく。

その様子は仲が良い姉妹のよう。

しっかりとした姉とあどけなさが残る妹。

 

年齢的に言えば実際にはまったくの逆なのだが。

 

なぜ2人が街を歩いているのかというと、

食料の購入兼、黄夢に街を案内するためである。

 

食料は2人になったので永琳だけだった時よりは多く消費するので、なくなった。

 

さらに黄夢が街の中を探検したいと言い出した。

 

「楽しみ!街、初めて!」

 

実際黄夢は街を歩いたことが無い。

永琳に出会ってから閉じ込められていたといっても過言ではない。

 

1日の大半を研究室で過ごす。

 

永琳の仕事もあるので尚更だ。

 

ちなみに保護施設は1週間たった今でも満員である。

出ていった。

と思えばすぐ他の子供が入ってくる。

おかしいが、事実だった。

 

「ねえ永琳早くいこうよ!楽しみなんだ!」

子供のように、(精神年齢的に言えば子供だが) はしゃぎ始める。

 

「ええ、そうね。」

永琳は静かに笑みを返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろから聞こえてきた舌打ちに、

誰が気付けただろうか。

 

 

 

 

 

「お、×××様じゃないですか!」

威勢のいい店主が話しかける。

 

「こんにちは、うーん

これとこれと、あとそっちのをください。」

 

1つ1つ指差しながら買うものを確認していく。

指を差すたびに店主の表情が面白いほど変わっていく。

 

そして商品を渡す。

「はい、どうぞ。

………え?誰ですか。この子。」

今気づいたように、店主は驚く。

 

「ああ、この子はね…」

 

「こんにちは、私、黄夢と、言います、初めまし「キエアァァァァシャベッタアアァァァア!!」「いや普通喋るわよ。あれ、でも最初は喋れなかったような。」………むー」

 

店主と永琳のほうが子供に見える人は正常。

 

「むー」

黄夢は何やら声を出して

小さく縮こまって

嘆いているようにも見えた。

 

「今日はありがとうございましたー!!」

 

永琳と黄夢は店を出た。

 

また仲良く、手を繋いで歩く。

永琳として見れば、黄夢の迷子防止でもある。

 

一方、黄夢は黄色の瞳でしっかりと永琳を見据えて、

楽しそうに笑った。

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

「あら、こんなものどこで手に入れたの?」

 

「プレゼント!」

 

黄夢の手には綺麗な白いバラがあった。

それを永琳に差し出す。

 

「え、あ、ありがとう。」

 

動揺を外見的にはうまく隠してそれを受け取る。

 

「ありがとう。」

笑みを浮かべながら再度しっかりとした言葉で言い直す。

 

「どう、いたしまして。」

黄夢が真剣な表情で小さく頭を下げる。

 

 

 

黄夢の友愛と尊敬の念の込められた。

白いバラ。

 

ただ、白は花言葉的に不味かったかな。

と、永琳は心の片隅で思う。

 

ただし、永琳が考えているのは、

花言葉の中の「純潔」と「無邪気」だ

 

 

永琳は正直、いや、そうでなくてもとてつもなく嬉しかった。

何年ぶりだろうか、

ここまで心のこもったプレゼントをもらったのは。

 

今までにもらったプレゼントといえば、

せいぜい仕事の山や新しい研究の依頼や研究資材。

 

それらに比べれば、小さい物の様だが

 

何よりも嬉しく感じられた。

 

そして心に決める。

 

 

 

 

このバラは絶対に枯らさない。

 

 

 

 

 

2人の思い出は永久保存したい。

 

仲が良いなら当然の出来事だ。

 

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

 

 

 

 

白いバラは綺麗なガラスの花瓶に入れられ、永琳の部屋に飾られている。

 

永琳は最近仕事が忙しく、なかなか黄夢に会えない。

 

そのたびにバラを見ると、

こちらに笑いかけてくるような錯覚さえ覚える。

そのたびに元気付けられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅

 

永琳が最近仕事が忙しく、会えないので、

久しぶりに自分で何か発見してみることにした。

 

ほとんどの人が あっ……。(察し)

とでも思っている事だろう。

 

 

というわけで調合室。

 

なんかの薬を作ってみようという企画。

 

黄夢3分クッキング

みんなも作ってみてね☆

 

※絶対に作らないでください。

 

まずは、

オレンジ。(下準備完了後。)

 

林檎。(下準備完了後。)

 

液体窒素。

 

酸素。

 

水。

 

永琳製の薬品。

 

トリカブト。

 

ボツリヌストキシンを入れ、ミキサーでガーーとやります。

 

とりあえずぶち混んでみたものでは絶対あります。

 

完成した、液体は

見た目は完全にジュース。

味もジュース。

 

ただし毒要りである。

という異常な液体ができた。

 

試飲

毒がコップに注がれるという異常な光景がそこにある。

薬品のせいかコップが溶け出しているのに気付かない黄夢。

 

ゴク

「美味しい!」

 

忘れてはいけないのは、

黄夢は毒に異常に強いと言うことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま…あら?ジュースつくってるの?」

 

 

 

 

そこに永琳が帰ってくる

 

 

そして案の定毒素に興味津々である。

 

「美味しいよ!飲んで!」

一番言ってはいけない言葉を言い出す黄夢。

 

 

「あら、美味しそうじゃない。」

これが美味しくなさそうという

意味ならどれだけ救われたことか。

 

そして、

猛毒が入っているコップを持ち。

 

違和感を感じつつも、

 

口に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、美味s……」バタッ

 

 

 

「永琳?永琳?永琳!!!えいりんんんんん!」

 

 

 

 

少ししか飲んでないのが幸いしたか、

死なずにすんだ。

 

(黄夢が)人騒がせである。

 

 

 

 

 

今、進められている。計画。

月移住計画。

地球から月にロケットで移住する

という、大規模な計画。

 

原因は地球の、

逃れようのない「穢れ」のせいである。

 

これは地球の生存競争の末にできたもので、生き物に「寿命」を作り出した。

 

だから、穢れの無い月へ移住する。

 

 

また、地球に隕石が落ちるのがもうすぐ、ということでたてられた計画。

 

 

 

 

ただし知らされていないが、

ロケットは、

全員が乗れるわけじゃない。




『片言だが喋れるようになった』

あれ?


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第4話 解析不能の心情

疲れたーやっと書き終わった…。
書くこと7時間。大変だった。
連休はどう過ごしましたか?
楽しい(笑)連休でしたよ自分は
…まさか魚の目を抉るのがあんなにグロイとは思わなかった。


黄夢は、また何かを考える。

目の前で永琳が見つめる。

 

それも関係無いとばかりに何かを考え続ける。

 

それを見てどんなことを考えているのか分かる者はいない。

 

そしてその目には、

感情は一切含まれていなかった。

 

 

 

 

永琳side

 

まただ、また黄夢が何かを考えている。

 

またこんな早朝に起きて何か考えている。

 

実は少しだけなら心を読んだりもできたけど、何を考えているのかは私にはさっぱりだ。

 

毎朝。黄夢は朝の5時に起きて、3分33秒33の間何かを考え続ける。

そして眠り始める。

それでだいたい朝の7時から昼の0時の間に起きる。

ただし8時には絶対に起きない。

 

変なデータをとったものだが、これほど詳しく分かるほど、繰り返されているのだ。

 

これが何を暗示しているのかは解らないが、

これで何かに支障が出ないかが心配だ。

黄夢が体調を崩すかもしれない。

それだけならまだいい方だが、いろんなことが無数に考えられる。

 

心が壊れる恐れだってある。

 

様々な可能性が考えられるが、私が真っ先に思い付いてしまったのがこれだった。

 

その時の黄夢はまるで別人のようなのだ。

見た目は変わってない。

ただ、何かオーラというか、威厳というか、そんなものが感じられる。

 

私の気のせいとも考えられるが私はそうは思わない。

 

明らかにおかしい。

 

二重人格?可能性を考えると充分にありうる。

 

ただ、そうするとなぜこの時間に決まって現れるのかがわからない。

 

 

決まって?いや、全然決まってない。

 

結構前に、まともに話せなかった黄夢が、いや、黄夢なのかはわからないけど

とても似ている声が聞こえたことがある。

 

「可能性は多い方がいい。無限の可能性はどこにいった?」

 

あれは二重人格の黄夢じゃないほうなのではないか?

と、私の中で仮定する。

 

でも不自然だ。

なにか特別な力でも働かなければ。

 

そうだ、能力だ。

能力だけは調べていなかった。

 

急いで準備に取りかからないと。

 

 

いない!?

まずい、探さないと。

また考えている間にどこへ?

 

 

 

 

 

 

noside

 

 

 

黄夢は街の中を走る。

 

何かから逃げるように。

 

黄夢は外へ行きたいわけではない。

 

体が勝手に動く。

勝手に走る。

 

黄色がかった綺麗だった瞳は光を失いどこを向いているのかも定かではない。

 

「あ、黄夢じゃないか。」

 

あの店主が話しかけてくる。

 

返事をしたいが出来ない。

助けを呼びたいが出来ない。

喋れない。口が動かない。

 

そうしている間に景色は過ぎ去っていく。

 

「あれ、なんだったのか。」

 

店主は不思議に思うが追求はしない。

ある意味当然だ。

 

「すいません!」

そこに1人の女性が駆け込んでくる。

「×××様じゃないですか。どうしました?」

 

「黄夢を知りませんか!?」

 

「あ、黄夢なら、m」

そこで店主は違和感を感じた。

 

そして指を指すべき方向は大きく外れ。

でたらめな方向を指差し。

口が勝手にこう言った。

 

「向こうに黄夢が走っていくのを見ました。」

 

「ありがとうございます!」

1つの可能性を見つけた×××は急ぐ。

いや、見つけてしまったと言うべきだろう。

 

間に合わなくなる前に急ぐ。

 

 

店主は間違った方向に急ぐ×××を止めることもできず。立ち尽くしていた。

 

 

 

黄夢は止まる。

走ることをやめ、立つ。

 

もう帰ろう。

 

体も動く。

だから家に戻ろう。

 

 

「黄夢!」

 

偶然永琳に出合う。

 

「大丈夫!?探したのよ!」

 

「ごめんなさい。」

 

体が勝手に動いた。それを伝えようとした瞬間口が動かなくなる。

いつもだ。

いつもそれを伝えられない。

伝えようとすると口が動かなくなる。

 

「? まあいいわ、帰りましょう。」

 

永琳はとにかく安心した。

 

安心したから。

 

能力を調べようとしていた事なんて忘れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「可能性は潰させない。能力を消される可能性がある?なら、潰す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

( ……何かを忘れているような…)

 

永琳は何かを忘れているような気がしてならなかった。

 

(まぁ 忘れるようなことなら別に重要でもないか)

 

それだけで終わる。普段ならもっと追求する。だが、それだけで終わる。

 

今頃店主も同じことを考えているだろう。

 

「まあいいわ。今は目の前の問題に向かい合いましょう。」

黄夢を見る。

 

「なに?」

好奇心から黄夢が問う。

そして永琳は真剣な表情になり言った。

「実は、月に移住する計画があるの。」

 

「月って、あの、丸い?」

 

「そう、あの丸いの。そこに引っ越すの。ロケットで行くんだけど、それがあさってなの。」

 

そう言いながら、2枚の紙を取り出す。

 

「これがチケットよ。一緒に1番目のロケットに乗るわ。チケットはみんなに配られているわ。」

 

そもそもこの計画の大部分は永琳が担当したのだ。

永琳ならそれこそハッキングしてでも1番最初のロケットに黄夢を乗せるだろう。

 

 

 

「へぇ~月か~月か~」

黄夢は完全に自分の世界に入ってしまったようだった。

 

永琳はそれを見て微笑しながら言葉を続ける。

「じゃ、とにかくあさって出発だから。それまでには荷造り終わらせといて。必要なものだけよ。」

 

「う~ん。」

黄夢は聞いているのか、聞いていないのか分からない曖昧な返事をする。

 

まあ月に行くのだ。

子供は楽しみでたまらないだろう。

黄夢を子供と言うのかは分かれるだろうが。

 

\おおおおおぉぉぉぉぉ/

 

明らかに店主の声である。

子供はまだいたようだ。

 

黄夢と永琳はキョトンとしていた。

 

 

 

 

「さてと、さっさと荷造りしますか。」

 

研究室の前にいるのは永琳。

荷物の量が色々とおかしいので

今から準備しないと間に合わないのだ。

1つ1つ手に取り、確認していく。

 

「えーと、まあ毒薬全般はもう使わないでしょう。あーでも試作576号は持っていこう。それからこれとこれと…あっと。これ持っていったら爆発するやつだわ。危ない危ない。治療薬は…

月じゃ使わないわね。傷薬だけでいいでしょう。

寿命を長くする薬は作ってみたけど、もう使わないわね。

資料は…全部捨てよう。ほとんどが月では使えない。コンピュータは全部持っていこう。研究中の物も全部…

あーもう入らないわね。4次元もこれまでか…全く、でもミンコフスキー時空がここまで使えるものだとも思わなかったけれど、ある一定の時間に物体を捕らえておくとか、よく考えたものだわ。

ってそんなことより荷造りを再開…ああ、何を捨てるかだったわね。

?、あれ?バラは?」

 

いままで気づいていなかったようだが。入れていないのにも関わらず、バラがない。

 

「あ、永琳、黄夢が、ばら 持ったよ。」

 

黄夢が白いバラをヒラヒラと降りながら永琳に見せる。

 

「あ、助かるわ。そのバラは絶対になくしちゃダメよ。」

 

大切な友人からもらったプレゼントをなくすわけにはいかない。

永琳は念を押してそういった。

 

「もちろん、なくさない。」

 

黄夢も同じだ。

友達とのだいじな思い出を消したくはない。

 

 

「あ、今更だけど黄夢は何持ったの?」

永琳が訊く。

「バラ」

「それだけ!?」ガシャ

 

黄夢は満面の笑みでそう答えた。

永琳は大きくずっこけた。

 

永琳は最近ノリがいいなー 

と黄夢は思った。

きっとそう思っていたから、

“偶然”たくさん積み上げられていた物が倒れたのを見ていなかったのだろう。

 

埋もれている永琳も偶然見えていない。

 

友達は大事。ただし面倒事は避けたい黄夢なのであった。

 

永琳は犠牲になったのだ……。

 

 

 

翌日 早朝

 

 

また黄夢は5時に起きて考え事をしていた。

ただ、いつもと違ったのは意識があったことだろうか。

 

月に着いたら何をしよう。

 

そんなことを考えていた。

まあ誰もが考えることである。

 

しかし窓から、夕焼けのように赤くなった空と隕石を見たものは、少なくなかった。




主人公を月に行かせる訳にはいきません。
冒涜的な手段を使ってでとめる!
うーんだいたいの構成は考えているので
 少し投稿が早くなるといいなというのが建前。
 本音は、ヨッシャ少し楽になる!です…


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第5話 3333゛44466666゛111

すいませんでしたぁ!
いま書き終わったところです!
まあすぐ書き終わるだろうって調子ぶっこいてすいませんでした!!
せかいを恨む。家に兄を呼び寄せた世界を恨む。
ん、落ち着こう。

 今回は極度のグロ描写・意味不明・絶望などの成分が多めです。
 苦手な方は注意してください。


「え?」

 

永琳はそれを見て、そんな声を出した。

 

そこは地獄と思わせるような光景が広がっていた。

 

 

朝の筈なのに夕焼けの色に染まった空と、

 

降り注ぐ大量の隕石。

 

大量の隕石が市街地に落ち、その威力

で周りの物体を全て薙ぎ倒し、跡にはクレーターだけが残った。

そしてガスに火がつき爆発。

朝日にかわり、辺りを照らしていた。

 

 

更に、それだけではなかった。

妖怪だ。

 

大量の、何千何万とも感じられる

妖怪の群れが、結界を突き破り、

その一匹がすぐ近くで、

“アカイカタマリ”を

その見るに耐えない、以上に膨張した醜悪な異形の手で持ち、黒々とした口に放り込む。

 

そしてグシャリ、グシャリ、と音をたてて咀嚼する。

歯と歯が擦れ会う音と同時に

“アカイエキタイ”が溢れ、こぼれ落ちる。

 

それが出なくなった頃、永琳に3つの目をギョロリと向ける。

 

その時また血がとんだ。

妖怪の頭らしき部分が弾けとび、自室の窓に ベッタリ と張り付いた。

 

「×××様!?大丈夫ですか!?」

1人の男が駆け寄ってくるのが、

赤く汚れた窓の隙間から見える。

おそらく、この妖怪を打ち殺した兵士だろう。

 

「…ええ、大丈夫よこれは何?説明して。」

永琳は光を映さない眼をしながらそう言った。

 

兵士は言いにくそうにしながらもやがて言った

「それが…妖怪たちが結界を突き破って入ってきました!」

 

「なんですって!?」

永琳が突然大声を上げる。

 

そして兵士が焦った

「もうすぐ1番目のロケットが出ます!×××様も早く!」

「ええ、黄夢! 黄夢?黄夢!?どこ!?」

そこで振り返り気づく。

 

 

 

黄夢の姿がどこにも無い。

 

 

いくら探そうが黄夢の姿はどこにも無い。

 

 

大事な大事な人の影はどこにも無い。

 

 

 

「そんな…!」

 

そこで永琳に最悪な考えが浮かぶ。

 

外に出ている。

 

この悪夢そのもののような外へでた?

 

嘘だ嘘だと否定するもののそんな願望は届かず。

もうとっくに天才の頭脳は100%だと答えを出している。

 

そしてすでに死亡している(喰われている)確率(70%)

 

やっとそれを理解した永琳は外へと駆け出した。

 

「!?×××様!?」

兵士が引き留めるがどうでもいい。

 

 

 

黄夢を探す。この悪夢の中で。

 

 

 

自分だけならもうこの悪夢から覚めることができる。

 

 

 

だが、このまま自分が覚めてしまったとしても。

 

 

 

別の悪夢を見るだけだ。

 

 

 

永遠に。

 

 

 

 

走る。(走れ。)走る。(走れ。)走る。(走れ。)走る。(走れ。)走る。(走れ。)走る。(走れ。)

探す。(探せ。)探す。(探せ。)探す。(探せ。)探す。(探せ。)探す。(探せ。)探す。(探せ。)

 

見つけらない(いない)

 

 

 

その間も街中の()()はただ刻々と増えていくばかり。

それを彩るのは人々の悲鳴と妖怪の断末魔。

 

「どこなの!?どこなの!?どこなの!?どこなの!?」

ただその言葉を復唱するだけ。

 

 

 

 

あたりの肉塊が黄夢じゃないかなんて確認しません。

 

 

 

あくまで永琳が探しているのは

 

 

 

生きている黄夢

 

 

 

だけだから

 

問題なんてありません。

 

 

 

 

何処?

 

 

どこ?

 

 

ドコ?

 

 

どこ?

 

 

どこ?

44444゛22222?

 

 

 

 

 

黄夢?

 

 

 

 

見つけた。

 

その人を。

 

 

あの黄色い瞳。間違いない。

 

黄夢だ。

 

 

だけど。

 

 

「黄夢!逃げて!」

永琳がそう大声で叫んだ。

 

黄夢が永琳のほうを思わず向く。

 

でもそれじゃあいけない

 

後ろにせまる化け物のほうを向かなければいけなかった。

そしてそのまま逃げればよかったのに。

 

永琳のほうを向く。

 

そしてそのまま安心したような顔をして微笑んだ。

さらにその手には拾い上げた白いバラ。

 

そのまま化け物は振り挙げた腕をそのまま下へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて永琳がさせるわけがない。

 

「まてええぇえええええええええ!!」

その怒号に化け物が振り向く。

 

 

隠し持っていた弓を構え、

指を離した。

 

 

 

矢はまっすぐ化け物の目玉に突き刺さる。否、貫通した。

 

化け物がそれに気づいたころ、

やっと、みごと空洞になった目を抑え、のたうち苦しみまわる化け物。

 

その勢いで化け物が黄夢から離れる。

 

黄夢は今何が起こったかまだ理解していないようで

ただただ永琳を見つめる。

 

そして理解して泣き出す。

 

 

化け物に襲われた恐怖からか。

 

 

永琳に助けられたうれしさからか。

 

 

永琳に対する恐怖からか。

 

 

泣きじゃくる。

 

 

また永琳は弓を構える。

 

そして躊躇なく指を離す。

 

 

ひるんでいる化け物に突き刺さる。

わざと貫通しないように加減したのだろう。

 

 

そして化け物は突然痙攣し始め、

口から大量の血飛沫を吐き、

おぞましい断末魔をあげ、やがて動かなくなった。

 

 

黄夢は動けない。

そして、おどろいていた。

こんなもの今まで見たことはない。

こんなおぞましいものは永琳にも教えられたことはない。

 

「さあ!早く行きましょう!」

 

永琳の声でどこかへ行こうとしていた心が戻ってくる。

 

すると黄夢は妙に冷静になった気がした。

そして言った。

 

「ねぇ、永琳?」

 

「なぁに?」

 

2人は走りながらも話す。

永琳は長い時間走っているのでさすがに息を上げ始めている。

だが黄夢はそんな様子はどこにも無い。

 

 

「さっきのは、なに?」

 

 

「……………」

永琳が想定していた中で最悪の質問を投げかける黄夢。

 

「……知らなくていいことよ。」

 

「へぇ、もう、きかないよ。…ねぇ」

再び黄夢は永琳に言う。

 

ありがとう(ありがとう)

 

「え?ど、どういたしまして………?」

永琳はその想像外の言葉に思わず返事してしまった。

 

永琳は再び考える。

 

 

 

今なら何か思い出せそうな気がする。

 

 

 

何か忘れていたことがあったはず。

 

 

もうすぐ、もうすぐ思い出せるのに。

 

 

道中の妖怪が思い出すのを邪魔する。

 

倒す。

そしてそのあと黄夢の同じ問いかけが始まる。

 

 

「さっきのは、何?」

「ありがとう。」

 

それでまた記憶から遠ざかる。

 

 

それ()なんどもなんども繰り返さ()

 

 

(なんなの…?わからない…わからない…)

 

思い出せない。

 

まるで出口のない迷宮にはいってしまったかのよう。

 

入口はそこにある。だが出口はない。引き返すしかない。

 

 

 

(もう少しで思い出せそうなのに、思い出せない…って!こんなこと考えている場合じゃ、ないじゃない!」

 

 

結局永琳は思い出せないまま、入口へ引き返す。

 

 

そして、目の前、やっとロケットの発射台の前についた。

 

「やっと、ついたわ。ハぁ、はァ」

 

「だいじょうぶ?」

心配した顔をして永琳の顔を覗き込む黄夢。

 

 

「ふぅー…だいじょうぶよ、安心して。」

深く深呼吸してから、そう笑顔で言う永琳。

 

「そう、よかった。」

そう笑顔で言う黄夢。

 

「そう。大じ」

大丈夫 とそう言おうとした時。

大きな音がする。

 

「グオオォォォォオォオ!!」

 

もう一度前を見ると、また黄色い目をした化け物が、目の前に立ちはだかり、雄たけびをあげている。

 

「………」

 

無言で弓を構える永琳。

 

それをまた無言で見つめる黄夢。

 

そして矢から手を放す。

 

「グオオオォォォオオ!!」

しかしその化け物は音速に近い速度の弓を軽くよけた。

そして一瞬で永琳との距離を詰め、右手を振り上げる

「!…」

 

それを動揺しつつも後ろに跳び、よける。

 

見えないほどの速さで振り下ろされた手は、地面をいともたやすく叩き割った。

 

その間に矢を装填し、

着地した瞬間放つ。

 

それをまたよける化け物。

 

接近戦は諦めたか、こんどは、

妖気を目に集め始めた。

 

「…!」

 

勘でその場から離れる永琳。

黄夢も後を走って追う。

 

その瞬間。

化け物の3つの目からビームが放たれた。

 

そう、目からビームだ。

 

何度でも言うが、目からビームだ。

 

永琳と黄夢は避ける。

が、地響きと予想外の攻撃方法に

一瞬怯んでしまう。

 

 

そのすきを、化け物は見逃さなかった。

 

 

再び化け物は跳躍し、永琳たちの方へ移る。

 

永琳は離れる。

が、黄夢は目を見開き、そのまま動かない。

 

この一瞬の出来事に対応できる生き物は少ないのだから、当たり前だ。

 

そして、

なにより恐怖が黄夢を縛り付けていた。

 

右手を振り上げる化け物。

さっき地面を叩き割ったときと同じように。

 

そして、同じように、いや、さっきより力を込め、振り下ろした。

 

 

グシャ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その音の根源は、

 

黄夢からではなく、化け物からだった。

 

 

「残念だったわね。」

 

永琳の言葉と共に、バタッ。と、倒れる化け物。

 

 

 

一瞬の出来事に対応できる生き物は少ないが、永琳は、対応できる。

だから、跳んでる間に矢を再装填する事など、簡単だった。

 

そして化け物の中心の目にはピンポイントで矢が突き刺さり、破片が散らばる。

 

中心の目は重要な機関だったのか、あっさり絶命した化け物。

 

「ハァ~やっと終わったわ。」

永琳がいつものようにため息を吐き、安心感から、膝をつく。

 

実際、約2~3分しか経っていないのだが、本人はその3分よりとても長く感じたようだ。

 

それほど濃密な3分だった証拠でもある。

 

 

「永琳、大丈夫?」

黄夢が心配そうに駆け寄ってくる。

 

その手にはまだ意地らしく白いバラが握られていた。

黄夢の体には火傷やら擦り傷やらがあるが、バラには傷1つ着いていなかった。

 

それを嬉しくも、そして悲しくも思う永琳。

 

やっと2人でこの悪夢から抜け出せる。

月へ向かうロケットはもう目の前だ。

黄夢が嬉しそうな顔をしてこちらに体を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

バン。

と、銃声が鳴り響いた。

 

とても近くから。

 

火薬の匂いが漂った。

 

 

そして永琳はやっと気づいた。

 

 

 

自分の体が真っ赤になっていたことに。

 

 

手も、

服も、

顔も、

髪も、

真っ赤な血がたっぷり付いていた。

 

手は肌色を全て赤が覆い、肌色は見えない。

 

左右非対称の色の服は、少し見ただけでは左右対称にも見えるほど赤くなっていた。

 

顔は直接は見えないものの、液体の感触が顔半分を覆っていた。

 

銀色の髪は、ポツリポツリと血が落ちている。

 

 

そしてそこまで確認したとき、もっと重要な変化に気づく。

 

 

 

 

黄夢の方が真っ赤になっている。

赤く赤く赤く、血で染まり、バタッと倒れる。

 

「黄夢!?」

急いで駆け寄り倒れないように支える永琳。

体に触ると、血が大量に永琳の腕に付着する。

 

そして黄夢の体に大穴が空いているという事実にも気づく。

 

「!?」

 

黄夢の体の中心に大きな穴が開き、向こうの景色がどんどん赤くなっていくのがわかる。

 

「え…嫌よ…嫌…。」

 

涙を浮かべ、血塗れの手で、血塗れになった黄夢に触れる永琳。

 

永琳の医療技術なら治せる。

だが道具がない、この状況で治すのは、“不可能”だった。

 

「…ねぇ…黄夢…起きなさい…ほら…!起きなさいよ…!」

 

 

いくら呼び掛けても起きるはずがない。

死んでいる訳ではない。

 

ただ…もう助からないのだ。

永琳もそれは理解している。

 

だから。

「誰?撃ったのは誰?どこにいる?ああ、ソコネ。」

 

涙を流しているのに、永琳の目に光は無い。

 

一瞬で弓を構え、放つ。

一瞬で計算して割り出した場所に、矢を放つ。

 

グサ、と鈍い音がしてからは、

そこからは一切の物音はしなかった。

 

「……………ぅぅ…ヒグ………………う、うあああああああ!!」

 

走る。

永琳は最後まで黄夢が握っていたバラを持ち、泣きながらロケットへ走る。

 

「!?×××様!?」

 

乗り込む時に乗組員が声をあげるが、反応しない。

 

無言で通りすぎる。

 

そして

自分の手の中にある赤いバラを見て、また大声で泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ…待って!永琳!待って!」

発進したロケットを見つめ叫ぶ黄夢。

 

血だらけだが体に大穴など開いていない。

 

「…嫌い…嫌い!嫌い!能力なんて嫌い!」

 

自分をこの状況に追い込んだ能力を恨む黄夢。

もう自分では能力の存在に気づいていた。

 

だが言おうとすると能力に止められた。

 

「永琳待って!待って!」

 

手を振り上げ、泣きそうな顔で、耳が張り裂けそうなほどの大声を出す。

 

それでも永琳の乗っているロケットには全く届かず。

そのままロケットは消えていった。

 

 

「あああ、ああああ」

 

その場に崩れ落ちる黄夢。

 

能力がそうさせている。

 

 

もう泣くこともできない。

もう話すこともできない。

もうその場から動けない。

 

2番目のロケットが

飛び立つのを茫然自失で見つめるだけ。

 

あれに乗れば永琳に会えるのに。

 

あれに乗れば永琳に会えるのに。

 

 

 

その間も、街の中心の核爆弾のカウントは止まらない。

 

 

 

穢れを焼き払うため。妖怪どもを焼き払うため。

 

 

 

地球すべてを火の海にできるほどの核爆弾。

 

 

 

もう、

 

Timeup

 

焼け落ちる何百年分の遺産。

灰になる生き物。

地球が木端微塵にならないのに安堵しつつ、

 

 

 

絶望と、諦めと、

ともに死んでいきたい。

 

 

 

けれど能力は死ぬこともさせてくれない。

 

結局、焼かれているのをミテルダケ。

 

ワタシニハナニモデキヤシナイ




最終回じゃないですよ?

グロ描写大好きで、小学3年のころからずっと好きだったっていう作者の異常さ。

発狂って、体が痙攣して眠れなくなるんですよ。知ってました?

さて雑談はさておき、次はどうしようか。

オリキャラ出してもいいけど、一気にたくさん出すと作者も読者も覚えるのが大変なんですよね…


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第6話 孤独→希望→?

週1投稿に決定しました。
ぬぬぬ…そして内容が薄い。
私の才能が無いせいです。
 ごめんなさい。


孤独。

 

黄夢はもう慣れはじめていた、孤独へ逆戻り。

 

×××は喪失感と孤独に打ちのめされた。

 

「…ねぇ。」

 

一体誰に話しかけているのだろうか。

 

正面を見て、呟く。

 

核爆弾の威力で吹き飛んだ地上には、何も残されておらず、人間も妖怪も見当たらない。

 

人らしき残骸はあるのに、妖怪の欠片はあるのに、そのものの命は見当たらない。

 

 

それなのに、黄夢は呟く。

 

「ねぇ…!どうして、こうなったの!教えて!」

 

誰に言っていたとしても、無駄。

まともに話を聴いてくれる生き物なんてどこにいるだろうか。

このまっさらになってしっまった星に、話し相手などいるのだろうか。

 

「ねぇ!どうして!どうして!どうして!どうして!

 

(黙れ)

 

黄夢の口と体が縛り付けられたように固まる。

足掻いてももがいても動けない。

 

黄夢が言っていた能力のせいだ。

 

そして驚くべきことに、まるで能力に人格があるかのように話し、本体を勝手に動かす。

 

もう、黄夢が動ける様になっても、黄夢は何も言わなかった。

 

黄夢も過ぎたことにいつまでも体を引っ張られ続けている訳にはいかない。

 

生き残る方法を探す。

死んだら、これから起こることも、

さらに永琳との再開の可能性も、

まるでゴミ同然の

様に消える。何も残されない。

 

だから生きないと、永琳に会うためにも。

 

もう、涙が出始めているが無視する。

 

生きよう、可能性を求めて。

 

 

自分で自覚している。

 

自分はまず人間ではない。

それをメリットとしてとらえてしまえば、寿命が無い。

寿命の心配はいらない。

 

食料。

これも必要だろうか?

永琳に会う前は何億年も飲まず食わずで生きてきたのだ。

どう考えても必要ない。

 

こう考えると、もう何も必要ないのじゃないかとも思える。

 

 

でも、違う。

生きられない。

生き続けられない。

(独りじゃ生き続けられない。

 

もう孤独には戻りたくないのに。

やっと孤独じゃなくなったのに。

また後戻りしなければいけない。

 

 

もう孤独は嫌だ。

 

じゃあ、何をしようかな。

友達探し?それがいい。)

 

「誰か、友達になって、ください!」

大声で黄夢は叫ぶ。

果てしない地平線へその声は響き続ける。

ひとつの岩に座り、ニコニコしながらひたすら待つ。

 

しかし。実際は、残った生き物を遠ざけるだけの雑音。

 

こっちに来る馬鹿なんて居ない。

 

日が経つごとに笑顔は消えていった。

 

 

友達を探しにいく。

 

黄夢は3日待ったのだ、それでも来ないのなら、こちらから会いに行く。

 

しかし、近づくだけで大抵の生き物は逃げ出した。

 

「ねぇ、友達に…」

 

逃げ出した。

 

「あの、友達に…」

 

逃げ出した。

 

「……………」

 

逃げ出す。近づくだけで。

 

自分が否定されているかのように、

自分が拒否されているかのように。

 

自分が。

拒絶される。

全部から。

 

今までの孤独の中にも、こんなことは無かった。

前に生き物がいるのに。

友達に成りうるかもしれない生き物が前にいるのに。

避けられる。

今までの孤独より圧倒的に辛かった。

何故?

だって、孤独じゃない幸せな時間があったから。

友達が居たから。

だけど、もうそれを知ったからには。

孤独には戻れない。

 

こうして黄夢の心への負担はどんどん重なっていく。

そして、月を見るたびに呟く。

 

 

「会いたい。」

 

 

 

 

 

 

 

月 一室

 

 

「ハァ………。」

地上に居たときと変わらず、ため息を吐く永琳。

 

無い。無い。無い。

楽しさが無い。

 

月には何も無い。

進化の可能性を秘めていた地上と違い、もう今の状態が完成形だ。

これ以上の進化は無い。

 

 

そしてこれより永琳にとって大きな変化があった。

 

 

黄夢がいない事。

 

黄夢がいない。これだけで永琳の人生が大きくねじまがったといっていい。

 

黄夢がいた頃の、楽しく、面倒で、忙しく、それでも充実した毎日。

 

人は一人いなくなっただけでこんなに変わる。

 

でも、普通、去ってしまった人のことは、意外とすぐに諦めきれるもので、

一生引きずる事じゃない。

 

でも永琳は諦めきれない。

 

黄夢はまず生きていない。それなのに、それがわかっているのに諦めきれない。

 

「…………ぁ、やっと…できた…」

 

やっと作り上げた、その薬。

永琳の微かな希望だけで作られた奇跡の薬。

 

蓬莱の薬。蓬莱人になることのできる、夢のようで地獄のような薬。

 

蓬莱人とは、不死身の人間。そう考えてもらえば早い。

 

そして地上の黄夢を探しだし、飲ませる。

死体だったとしても、この薬で生き返らせる事ができる。

 

この果てしない寂しさを消し去るために、いつか、会いに行く。

 

そう永琳は決めた。

 

そして永琳は蓬莱の薬を右手に持ち、地球を見て、こう言う。

「会いたい。」

 

「失礼します。」

そう言って1人の女性が入ってくる。

 

「えーとy…や…×…すみません全然発音できません…。」

 

最近月では×××の名前を言うことのできる人が少なくなっている。

もっとも、×××という名前は地上に生きた月人でしか発音できない特別な言葉。

だから発音できない人が多い。

 

「ああ…そうね。偽名でも考えようかしら。」

 

そして×××はしばらく考えたあとこう言う。

 

 

「そうね…永琳なんてどうかしら?」

 

 

 

 

 

地上

 

「…」

黄夢は相変わらず絶望にまみれた孤独な一生を送っている。

 

 

“誰か、会いに来て。孤独な私を幸せにして。”

 

 

月を見るのも、ただの苦痛になり始め、今では拷問とさえ感じる。

 

本当に誰かいないのか。

 

自分の心で地面が凍ってしまうほど、長い年月を一人で過ごした。

凍えそうになるほどに長く孤独感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

ひたすら待って、誰かを待って。

 

自分が座っていた場所には、色とりどりの花が咲き乱れていた。

 

ただ、黄夢の周りには、枯れた植物が広がるだけ。

黄夢の目も濁って枯れているようだった。

 

 

 

「あれー?」

 

そこを1人の少女が通りかかり、黄夢を発見する。

 

「………誰?」

少女は黄夢に向けそう言う。

 

しかし、黄夢はなにも答えない。

黄夢の目はどこも見ていない。

 

「?………怖……えーと…」

怖がりながらもなんとか話しかけようとする。

 

「おーい。何かあったかーー。」

後ろの方から少年が駆け寄ってくる。

 

「あ。この子がねーなんかねー怖い。」

 

「説明になってないからそれ。」

 

「クスッ」

 

「え?」

 

「え?」

 

2人は声が聞こえた方を振り向く。

 

そこには1人の少女が声を抑えて笑っていた。

 

「…………怖!」

 

「でしょー。」

 

「あー、あの…」

 

黄夢がおどおどしながら2人に話しかける。

 

能力も交渉してこない。

 

「ん?なにー?」

 

「友達になってくレナぃヵナ」(ボソ…)

それでも声がかすれてうまく話せない。

他人との接し方なんてほとんど忘れてしまった。

 

「聞こえないぞー?」

少年が足で地面をいじりながら言う。

 

「えー…なんだって?」

少女も言う。

 

黄夢が決心したように言う。

「と…」

 

「「と?」」

 

「友達になってください!」

 

「?…えー…友達?いいぞー」

 

「いいよー」

 

この瞬間。あっさり4千万年近い彼女の悩みは消えてしまった。

 

「グス…クッ……うぇぇえええん」

思わずなき始めてしまった。

 

「あ!齷鏤(あくる)泣かしたー」

少女が言う。

「俺のせいじゃないよ!旻椎!(みんつち)」

少年が言う。

 

「酷い人だなー!」

旻椎が思いっきり叫んだ。

 

「旻椎…………フッ」

 

「え、怖い。」

旻椎が真顔でそう言った。

 

「……………………」

齷鏤が涙目になってこう言う。

「やめてくれ……」

 

「クッ…グス…フフ…あははは」

Kは泣きながらも笑いだした。

 

ずっと待ち望んでいた。

光景がすぐ近くにある。

もうそれだけで、笑いが自然と出てくる。

 

「あははー入れてよー」

 

「さあこっちへ来るんだ。齷鏤をなぶりg……みんなで遊ぶよ!」

 

「今なぶり殺しって言おうとしたよな!?」

 




ノリでキャラがドSになった。
主人公がいた場所は、後の…


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番外編1・IF・生体兵器

遅くなりました。

今回の話は読まなくても支障は出ません。

なので、グロ描写、鬱が嫌いな人は

速攻ブラウザバックしないとかなりまずいです。


巻き戻し。

巻き戻し。

巻き戻し。

 

 

永琳と黄夢は街を歩いていた。

2人は笑い合いながら歩いていく。

その様子は仲が良い姉妹のよう。

しっかりとした姉とあどけなさが残る妹。

 

年齢的に言えば実際にはまったくの逆なのだが。

 

なぜ2人が街を歩いているのかというと、

食料の購入兼、黄夢に街を案内するためである。

 

食料は2人になったので永琳だけだった時よりは多く消費するので、なくなった。

 

さらに黄夢が街の中を探検したいと言い出した。

 

「楽しみ!街、初めて!」

 

実際黄夢は街を歩いたことが無い。

永琳に出会ってから閉じ込められていたといっても過言ではない。

 

1日の大半を研究室で過ごす。

 

永琳の仕事もあるので尚更だ。

 

ちなみに保護施設は1週間たった今でも満員である。

出ていった。

と思えばすぐ他の子供が入ってくる。

おかしいが、事実だった。

 

それでも、永琳はこの時とても機嫌がよかった。

 

じつは、黄夢の意味不明な行動が全く無くなったのだ。

どうしてかはわからない。

だがきっと問題は起こらない。

 

 

そこで永琳が急に立ち止まる。

「あ。ちょっと待ってて。思い出した。あの実験材料も買わなきゃいけないじゃない。すぐ戻ってくるから。」

そう言ってすさまじい勢いで道を引き返していく。

 

「あ、待って。」

その声も届かなくなるほど遠くに行った。

 

「待って。待って。ま………」

声が出ない。

どんなに声を絞ろうが(スベテノハジマリ)声が出ない(ゼツボウヘの)

 

バタッ

 

倒れこみ、意識が遠くなっていく。

 

「大丈夫!?ごめんね待たせちゃって。」

 

そんな声が聞こえた。

 

×××だろうか。

そう思いながら力を振り絞って開けた目に映ったのは。

暗いくらいの曇り空と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全く知らない顔でした(ケラケラ笑う顔でした)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下

 

 

「痛………痛い痛い……痛い痛い痛い痛い!!?!?!?!?!?!?!?!」

 

恐ろしい、焼け落ちるような痛みで目が覚める。

 

なぜ痛い。

ここは何処。

どうしてこんな目にあっている。

 

そんな答えは。帰ってこない。

 

ただ、1つ目の質問の答えだけはわかる。

 

注射。

そう、指ぐらいの太さはあろうかと思える注射針が、

右腕を貫通している。

 

「痛い痛い痛い!!?!?」

 

貫通じゃそもそも注射は意味がない。

 

もちろんズブッという音を立て引き抜かれ、再度。

すさまじい痛みと共に刺さる。

 

そして見てしまう。見つけてしまう。

見なければよかったのに。

 

 

注射で開いた腕の穴から向こうの景色が見える。

絶望。

 

そんな景色が見える。

 

景色とは言い難いかもしれない。

 

正確にいうならうっすらと暗い色の壁が見える。

それだけ。

 

窓はない。

だからこんなに暗い。

だからこんなに何も無い。

 

あるのは闇と、自動で動く、巨大な注射。

 

 

それ以外の物も新しくできたようだ。

 

腕の穴が隠されていく。

 

まるでカーテンのように、

きれいな赤いまくが覆っていく。

 

血だ。

 

きれいなのに、恐ろしかった。

 

「い、いやあああぁぁああぁああぁあ!?!?!?」

 

喚く、叫ぶ、暴れる、何が変わるというならば。

 

痛みが増える。それだけ。

 

当然のことだ、針がまだ刺さっているのにそんなことをすれば、

 

針が動き、肉が抉れ、より深く刺さっていき、皮膚もずたずたになっていくだけ。

それなのに、それだけなのに。

 

意味は全くない。

それでも喚く、叫ぶ、暴れる。

 

そのたびに、傷と痛みは増すばかり。

 

 

3時間。後。

ようやく針が引き抜かれる。

 

血液が全て()に置き換えられたと思えた。

血だまり。

血の真ん中。

血塗れでたたずむ少女。

 

目はうつろ、というより真っ赤。

血が付着していて闇しか見えない。

 

右腕はすでに腐り始め、皮膚も肉も血も黒緑。

 

口からこぼれているのは血と薬のミックス。

 

 

もう心は遠くに。

もう逃げたい。

その一心で

 

 

 

何より遠い、×××との日々の空想へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

「あー見て見て、黄夢。新しい研究を始めたのよ。」

 

「奈ー2‽」

 

「こっち来てみて。」

 

「雨ン゜」

 

「きれいでしょ?」

 

「斬れ抱根。亜科9手。」

 

「そうでしょ、きれいでしょ?緑もまじってて。」

 

「満名加野は綿死?」

 

 

 

「そう。それにここから出られなくなってるでしょ?」

 

 

 

「う、痛い痛い痛い痛い!!?!??!!?」

 

 

いつまでも空想の世界に逃げられない。

無理やり引き戻される。

 

思わず痛みなど構わず両手で自分の体を抱きしめる。

 

だけど何かが足りない。

 

右腕が無い。

 

いや、あった。

血だらけで真緑になった床に。

 

「ぎぎぎあがああああああぁあぁあ」

奇声。

 

今までの苦痛を遥かに超える痛みが来た。

来てほしくなかった。

ただ、相手が勝手に来た。

 

右腕の断面がぶくぶくと泡立つ。

 

そして

 

「ひっ………」

 

2本の手が生える。

 

たとえるなら蜘蛛の足のような。

 

どす黒い針。そのようなものだった。

 

そしてもう一本は、

人間の腕だった。

 

そして双方自分の意思でバキバキと音を立て動く。

 

…もう全て認めよう、もう現実からは逃げない。

 

きっとこれも進化の結果。

そう考えるとむしろラッキーなのではとも思った。

きっと狂ったわけではない。

心に余裕が出てきただけなんだと黄夢は思っていた。

 

続いて左腕。

 

変化はない。

ただ、光の線が迫って。

 

切り裂いた。

 

痛みはある。それこそ狂ってしまうような

ただ、黄夢にとっては苦痛じゃない。

(どうでもいいなら苦痛じゃない)

 

そしてまた左腕の肉の壁を突き破り、

 

赤と青のツタと、灰色の鎌と、蕾。

これらも自分の意思で力強くしなる。

 

 

そこで黄夢に1つの考えができた。

 

 

今ならこの壁を壊すことができるのでは?

 

その考えは唯一の希望でもあった。

 

それがただの夢物語であったとしても。

自分が都合よく考えた妄想だったとしても。

試すしかない。試さずにはいられない。

 

 

「あああああああああああ!!!」

 

元の形などほとんど残っていない、異形の腕を壁に叩きつける。

 

床にも、壁にも、天井にも、精一杯の力で

叩きつける。

全く変化は無い。

 

力が無い。

今は精々見かけ倒しの化け物。

力が足りない。

そして力を手に入れる方法も、分かっていた。

 

もっと切ろう。自分の腕を。

 

切り裂いて切り裂いて切り裂いていけば、

もっともっともっと強くなる。

 

そしてちょうどよく鎌もあるから。

その鎌で自分の人間の右腕を切り裂く。

 

薬で染まった緑色の血が噴き出す。

この人格崩壊しそうな痛みにも慣れた。

手が床に落ち拡散した。

 

残った手首から先ほどのように泡立ち、生えてきたのは

 

命などみじんも感じられない冷たく、錆びた機械の腕。

これでもまだ足りない。

試してはいない。

ただ感覚でわかる。

もっと斬らなきゃあの日には戻れない。

 

 

グサックチャクチャ……コトン。

 

足りない。

斬る。

足りない。

斬る。

このいつまで続くかわからないループ。

 

斬るたびに視界が血で緑色へ。

斬るたびに自分の体が正当な生き物から外れていく。

時に斬る場所を間違えて、

しかしそこからも生えてくる異形。

 

そしてその様子をじっと映す監視カメラが血で見えなくなっても続けた。

 

そうしてできた生体兵器は、

 

感情なんて無く、奇跡的に残っている残留思念でしか動けない。

会いたい。それだけで動く。

逆にその目的を達成してしまった時が黄夢の終わり。

残留思念がなくなり人格を完全に失った黄夢(バケモノ)

 

もう最初に斬った時の面影もなく。

黄夢だと判断できる部位は顔しか残っていない。

いたる場所から生えている部位はもう説明もできないほど異常だった。

 

そして始まる。

 

いともたやすく天井を力でねじ伏せ破壊した。

 

[緊急事態発生脱走者一名即排除します]

 

大量の銃が頭上から出てくる。

 

一斉に発射。連射。

 

光の弾道を描く銃弾は全て黄夢の体に命中する。

しかしすさまじい速度で発射された銃弾は、ダメージは全く入れられない。

 

銃弾は全て黄夢の無数にある腕が盾になり、本体の黄夢の元の体には衝撃1つ届かない。

 

しかも盾になった腕には傷がつき、またそこから全く新しい別の腕が生み出される。

 

そして動きだし、にやりと笑う。

無数の腕で銃を楽に叩き潰し外に這い出る。

すでにこの研究所は破壊され見る影もない。

 

久しぶりに見た外の景色は、赤く赤く赤かった。

 

降り注ぐ隕石。

燃え上がる炎。

 

街がそれで覆われていた。

 

 

そこに向かう。

結界の外から、少しづつ近づいていき、結界を楽に破壊した。

 

それを待っていたかのように外いた妖怪が街の中へと流れ込み雄たけびを上げる。

そしてもう住民を殺し始めている。

 

 

本来の結界解除の時間より数倍速い。

被害も予想以上になるだろう。

 

そんなこと考えず思いつかず。

進め進め。

 

妖怪がすぐ隣で人間を食っていようが自分に血が降りかかろうが気にせず進む。

 

 

しばらく歩いているうち防衛隊が到着。

 

黄夢にまた銃弾が命中。

 

しかしやっぱりまた傷からまたどんどん異形になっていく。

 

痛い。

 

この時やっと痛いと感じた。

外に出られた安心からか。

 

でも目的は果たしていない。その一心でこらえる。

 

そして殺す。なんのためらいもなく。

 

相手が悲鳴を上げる。

 

でも自分はその痛みに長いこと耐えた。

 

情けない。

 

 

相手がパニックになり、逃げまわる。

 

でも自分はあの時も落ち着いてた。

 

情けない。

 

 

相手の体に腕を突き刺し、殺す。

悲鳴を上げることもなく、血飛沫が飛び散り、激しく痙攣した後、死んだ。

 

こんなに簡単には自分は死なない。

 

情けない。

 

 

もう自分が普通でほかが異常。

 

そうとしか考えられなくなった。

実際はそれこそ異常で異端。

 

そういえば、あのロケットはなんだろう。

 

あそこに×××が?

 

向かう。

走る。歩くのではなく、走る。

それだけ会いたい。

 

途中攻撃してくる怪物と人間を軽く捻りつぶし、ロケットへ。

 

 

ついた。

ロケットの目の前、ロケットは見上げるほど高く、しかしそれにはあの暗い部屋を思わせるものがあった。

だから不快の対象でしかなかったものの、壊さなかった。

もちろんこんなもの簡単に壊すことができる。

しかし壊さない。

 

ここで×××を待ち伏せするのだから。

待ち伏せすれば必ず×××が来る。

 

隠れる。

必ず来るはずだ。

だってこっちへ走ってくる×××が見える。

 

 

あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣の子は誰?

 

私、私だ。どうして?どうして私があそこにいる?

おかしい。どうして?私はここにいるのに。

いったい、どうして?×××は手をつないでいるの?

 

どうして。

いったいどうして?

いったいどうして?

痛い、どうして?

 

 

「グオオォォォォ」

 

その後、怪物が現れる。

×××はそれを相手する。

途中、もう1人の黄夢がつぶされそうになる。

 

しかし、×××がそれを救出。

なぜ助けた?

そのまま殺しておけば……!

 

怪物はそのまま殺されてしまう。

 

弱い。弱い。弱すぎる。

 

もう少し頑張ってくれれば……!

 

 

もう、黄夢は、耐えられなかった。

 

いらない。私は2人もいらない。

 

 

 

腕の1つの銃をもう1人の黄夢の心臓に標準をあわせて。

 

何のためらいもなく。

 

憎しみを込めて、撃った。

 

 

 

 

 

バタッと倒れるもう1人の黄夢。

 

あわてて駆け寄る×××。

 

なんで駆け寄る。

なんで泣く。

 

そして×××は唐突に弓を構えた。

 

 

何をする気?

 

 

 

こっちへ向かって撃った。

 

 

い、痛い!?

 

顔に当たった。

あまりの痛みに倒れこむ。

 

前が見えない。

回復もしない。

 

その間に×××は赤いバラを持ち、去ってしまった。

 

前が見えない!

 

弓を引き抜く。

 

ズブっというおぞましい音が響くが気にしない。

 

 

 

死体が、ない!?

 

 

 

あいつの死体がない。

 

生きていた……!?

 

 

 

絶望。

 

もう絶望がやってくる。

 

だってもう核はカウントダウンを始めてる。

 

 

もう、だめだ。なにもかも。

 

もう、救いはない。

 

 

超高熱の爆風で全てが吹き飛ぶ時にさらに絶望を駆り立てたものがあった。

 

 

声。

どこかで聞いたことがある声。

1番聞きたくなかった声。

あの場所に行く前に聞こえたあの声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「偽物は貴女のほうですよ?」



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妖怪との共存はできますか?
第7話 迷う4人


投稿。
うまくはない小説をアップ。
こういうのって自己満足だけど、
うまく書ければ皆満足しますよね。自分には無理だけど。



旻椎 齷鏤 黄夢の3人が楽しそうに笑っている。

 

新しい友達と一緒に遊ぶ。

その新しく懐かしい状況と心に心から笑う黄夢。

 

 

「なんやかんやで今日から友達だね!黄夢!」

 

「よ…よろしく!」

 

「おっしゃ俺たちは今日から友達だ!よろしく黄夢。」

 

「え?」

 

「え?」

 

「え?」

齷鏤の言葉に全員が疑問を持つ。

そのあとしばらく沈黙が続いた。

そして

 

「齷鏤って今まで友達だったの!?」

 

哀れみと驚きの目線を送りながら旻椎は言った。

 

「いや友達だっただろう今も、これからも。」

齷鏤が半分呆れたような顔で黄夢の方を向く。

同意を求めるためだったが。

 

「………」

黄夢が露骨に、送られた視線から目をそらす。

 

「黄夢なぜ黙る。なぜ黙るんだ。」

焦る。ひたすら焦る。

 

そして閃いたように旻椎が言った。

「黄夢もきっと!齷鏤が友達じゃな「お、おい」てるんだ「や、やめてくれぇぇぇ」

 

 

 

最初の文の訂正。齷鏤だけは涙目になっている。

 

 

そして齷鏤は呟く

「………今の自分の状況を一言で表すなら……満身s「いくよー黄夢ー齷鏤ー」…せめて最後までいわせt(ボカッ)」

旻椎が齷鏤にそれはそれは完璧で綺麗なフォームでアームハンマーを

齷鏤の頭上に向けて放った。

 

 

旻椎のアームハンマーで一瞬小さなクレーターができたように見えたのは黄夢だけではない。

 

 

 

 

 

ところ変わって、森。

 

本来なら危険な場所だが妖怪は少なく、

ここは森の浅い方でもあるため、妖怪に会う危険性はほぼない。

 

 

旻椎が言う。

「さぁやるよー鬼ごっこ。捕まったら食べられるから触られたら動かないでね。鬼は私で。」

ちなみに拒否券は無い。

 

「鬼っぽいし。」

齷鏤がわざと怯えたような顔をして言う。

 

「納得。」

意外と真面目に怯えながら黄夢が言った。

 

「…開始。」

 

そして放たれた旻椎の声には抑揚こそなかったが、とてもいい笑顔(目も笑っている)で、開始の合図を送った。

 

 

「あー齷鏤見っけ。」

木の裏側からひょっこり顔を出す旻椎。

 

「うわぁぁぁぁぁ」

全速力で逃げる。

逃げないと捕まる。(遊びの範囲内で)

捕まったら命の保証はない。(遊びの範囲■で)

 

風が吹き頬に触れる。

 

といっても

「速い!どうしてそんなに足が速いのですかい!?」

 

「それは…お前を捕まえて喰うためだよ!」

 

旻椎はとても足が速く、見つかったら終了するのが普通で。

 

手が少しずつ少しずつ齷鏤に延びていき、

最後には

「おっとうわぁー危ね!」

派手に前回りをしながら思いっきり転ぶ齷鏤。

 

そして

 

「はい捕まえた♪」

齷鏤。あっさり捕まる。

 

「うわぁ…捕まった…ハァ…ハァ…」

疲労のせいか、思わず倒れ混む齷鏤。

 

「今思った。どうして走ると息が切れる?」

 

「神様がそう作ったからって大人が言ってた。」

 

しょうもない雑談をしばらくした後、

周辺を見渡した後、

齷鏤はなぜだか不安そうな顔をして言った。

 

 

「黄夢は?」

 

「まだ見つからないけど…」

 

「え……。」

焦る。ひたすら焦る。

まずい、もうすぐ夜に…

 

「って日が沈み始めてる!?まずい!黄夢が危ない!妖怪に食べられちゃうよ!?」

やっと今起きている事態を理解した旻椎。

焦ったように周囲を見渡すものの、

黄夢の姿は無い。

 

「………」

齷鏤が突然真剣な表情になる。

そして少し考えてから齷鏤が言う。

 

無表情で、

それでいて怯えているような顔で、

 

「……黄夢は人間なのか?」

 

 

その言葉を笑い飛ばす者はその場に1人も居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の奥。

<黄夢side>

 

怖い。

どうして怖い。

 

暗いから?

妖怪が居るから?

 

似てるけど少し違うような…

 

そうだ、1人だから。

1人だから怖い。寂しい。

 

3人だったら怖くない。

 

なら3人に会わないといけないよね…

そして今度また遊ぼう。

やっとできた友達を無くすつもりは無い。

 

暗いし、いつ妖怪が出るかも分からない。

妖怪が来たら食べられるのかな?

 

やだなぁ妖怪は嫌だ。

怖いんじゃなくて、嫌。

 

だって永琳に嫌われていた。

あの2人にも嫌われていた。

 

あれ?

それだと妖怪も1人なのかな?

嫌われもので可哀想だよ。

 

なら妖怪に会わないと。

慰めてあげよう。

 

そしてできれば友達になろう。

人間をエサにしない妖怪もいるって、永琳も言ってた。

 

外じゃなくて、奥へ進もう。

 

結構泥とか多いけど気にしないでおこう。

服も結構ぼろぼろだし。

 

さあ

孤独な妖怪を救いに行こう。

<noside>

 

本来の目標をそっちのけにして

森の奥へ奥へと入っていく。

 

誰でもわかる。

 

これは意味のない自殺行為だと。

無駄だと。

 

だけど知らないから

 

進むしかない。

 

 

 

 

 

 

 

<齷鏤sibe>

 

 

黄夢が人間か妖怪か神様かその他かは、

今どうでもいいとして、

 

まずは黄夢を見つけない限り始まらない。

 

う…どうすれば

 

そうだ。

「旻椎、よく聞いてくれ、2人に別れて黄夢を探す。」

 

「ちょ、危なくない!?」

 

「大丈夫。そっちの方が早く見つかる。そもそも見つからないまま夜になって囲まれた方が確実に危ない。」

 

「でも、…う、うーん。」

 

少々納得がいかないような旻椎。

 

「………まぁ、その案で。」

 

「よし、じゃ此方の方を探すから、そっちのほうを頼む。」

 

「わかった。……先に見つけるのは私だから。そこよろしく。」

 

同時に別れ、駆け出す。

だが、結局。

 

3人が共に森の奥へ向かっているのは変わらない。

 

 

 

????side

 

 

 

さてと、あー暇だなー

 

1日中ここに居て、浮いているっていうのも暇。

 

あー人間はそんなに今食べたい訳じゃないし、ていうか逃げられるし、退治しに来た人間を追い返すのも大変だし、ほんと今やること無いなー

 

ガサゴソ「居た。」

 

「え?」

 

え、人間?

 

全然気づかなかった。

 

退治しに来たのかなー嫌だなー

 

…今度から殺してみたり………。

 

ていうか今気づいたけどこの子。目が黄色い。

 

忌み子?

じゃあ捨てられたのかな。

 

あれ?人間だよね?

目黄色いけど人間だよね?

霊力感じないけど人間だよね?

 

でも妖怪だったら今力隠す必要が…いや、

油断させてザクッといくつもりかな?

 

まあ適当に追い返すという案で。

さっき思い付いた驚かし方で。いこう。

 

「貴女は食べられるじn「見つけた。」え?」

 

ああ、遮られた。さっきずっと考えてた台詞遮られた。あぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「あ、なんか…ごめんなさい。」

 

頭下げなくても別にいいよーアハハ。ハァ…

 

「…貴女、人間?」

 

「そうです。……多分…」

 

やっぱり人間…え?

「多分って何?」

 

「おそらく、きっと。」

 

「いやそうじゃなくて。」

天然なのかな。それとも馬鹿なのかな。

「多分って?わからないの?」

 

「あんまり、産まれた時の事を、覚えてなくて。」

 

「じゃあ妖怪?」

 

「いや、随分前に、人間に…育て…れ…た…で…」

 

「………ふーん……。」

 

まずい、触れてはいけないところに触れたかも。

悪いことしたかも。

とりあえずごまかさなきゃ…

 

「え、えーと、とりあえずな、名前あ?」

もっとまずい!?変な噛み方した!?

神様。気づいていませんように…

 

「黄夢。そっ…ちの名前は?」

 

おお、触れないでおいてくれたよ。

途中口を手で押さえたけど。

名前か、うーん。

「私の名前は、ルーミアだよ。

よろしく。」

 

って何自己紹介してるんだ私は。

 

「ところで、貴女は食べられる人類?」

よし、遮られなかった。

 

「そういう貴女は妖怪ですか?」

あれ?怖がらない?

 

「え、妖怪だけど。」

 

「寂しい?」

…難しいことをいきなり聞くんだなぁ…

寂しい…考えたこともなかった。

たしかにまともに話した人とか妖怪はいないなぁ

 

「気にしたことはないけど、1人ぼっちかな。」

 

「じゃあ、友達になろうよ。」

 

「え、いいけど………あ。」

勢いで返事してしまった。

 

「わかった!

じゃあ、

明日また来るね!

友達も、つれてくる!」

 

「あ、ちょっとま」

行っちゃった。

ああ、連れてくる友達って多分人間だよね……

 

面倒なことになりそうだなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても、あの台詞そんなに怖くないのかなぁ。

 

「おーい黄夢ーどこだー」

 

あの人で実験しよう。

 

「こんにちはー」

 

「?こんにちは」

 

「ところで…」

 

「?」

 

 

「貴方は食べられる人類?」

 

「え、う、うわあああああぁぁぁぁ」

逃げた。

やっぱりあの子が異常なんだよね、うん。

 

 

後に齷鏤は語る。

逃げなければ死んでいたと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




伏線回収してないのがあるって?
回収すればBADEND
こわーい事になるので
鬱にもなるので番外編で回収します。
理解していただけたら幸いです。
ようするに自分には本編では回収できなかったので
区別して書こうというわけです。


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第8話 齷鏤と悪夢と闇妖怪

おのれ…兄…パソコンを奪いやがって
書けないじゃん。
あぁ、鬱になりそう。(嘘)
さて、遅くなってすみませんでしたすみませんすみませ
んすみません



「黄夢ー!黄夢ー!どこー!?」

 

焦ったように、大声をあげ黄夢を探す旻椎。

額には一筋また一筋と汗が流れる。

 

もうすぐ日が沈む。

というより、もうほとんど沈んでいる。

 

もう暗い。

とても暗い。

 

妖怪が動きだしたら………

まずい…

 

探しにもう1度行こうとしたその時だった。

 

 

誰かが、こちらに、向かって、走ってくる。

 

 

誰?

 

わからない。

 

暗闇の中誰かが間違いなくこちらへ向かって来るのだけはわかる。

 

恐怖が自分を蝕む。

じっくり浸食していって、飲み込まれる。

飲み込まれたら、もう震えているしかない。

 

足がすくむ。

動けない。

 

あれがこちらに向かって走ってくるのをただただ待つ。

 

「ぎ……ぁあ」

 

大声を上げている。

 

しかし、その声に旻椎が抱いた感情は恐怖ではなく、

 

「馬鹿だな~」

 

罵倒でしたー。

 

 

「ぎゃああああぁぁああぁぁぁぁぁぁあ」

 

叫び声をあげながら突っ込んでくるのは、齷鏤。

前話から逃げっぱなしである。

それでも走り続けているのはさすがである。

 

「食われる喰われるくわれるクワレルあばばばばばばばばばばばばばb」

 

「黙れ。」

 

「ひどい!?」

 

「黙れ。」

 

旻椎>妖怪はもはや常識。

常識の1線を超えているような気がしなくもない。

 

「ていうか、黄夢は!?まだ見つかってないんだけど。」

 

「あ…そういえば逃げてるときに黄夢を見たような…」

 

「吐け、さぁ吐け。極悪妖怪。」

 

「誰が極悪妖怪だ!これでも陰陽師!」

 

「ハッ」

 

「何故笑う!?」

 

そんなくだらないトークを続けている間に黄夢はもう来ているのだが2人は気づかない。

黄夢もあまりに気づいてもらえないので悲しくなる。

 

「………おーい。」

 

「だいたいさぁ!妖怪が追いかけてきてもいないのに逃げるなんてさぁ!」

 

「命は大事にしろって親に教わらなかったか!?」

 

「…………………」

 

そう聞いた途端、黙り、旻椎が俯く。

 

「え?……なんで黙るの?」

 

「…な……わ…るの……」

 

小さくつぶやく。地面に向け小さい声で言った。

この声は地面に生えている草しか聞き取ることができなかった。

誰か聞き取ることができたのなら……

 

「え?」

 

「いや………なんでもない。ほら!黄夢も戻ってきたことだし!」

旻椎がいきなり黄夢のほうを振り向き、作った笑顔でこう言った。

 

「あれ?いつの間に?」

 

「さっきから、いたけど………」

黄夢が全てを悟ったような顔をして言う。

 

「うわぁ齷鏤泣カしたーひどいー」

満面の笑みで旻椎が言う。

 

「うわぁ………」

真面目に黄夢が引いた。

 

「」

 

「あれ、何も言わないの?」

 

「もう黙っているのも疲れて…」

 

「じゃあ……」

 

「待つんだ…それ以上言ったらダメだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて…黄夢?」

 

「…」

 

急に重い深刻な空気が流れ出す。

 

齷鏤、旻椎と黄夢が向かい合い、話す。

 

「もう暗いからあまり長くは話すことはできないけどな…いったいどこへ行っていた?」

 

「え…?」

 

「ありえないだろ。いくらなんでも長く迷いすぎだ。確かにあの森は暗い。けど殆ど一本道だから。まっすぐ進めば抜けられる。…だから、なぜ?」

 

沈黙。

言ったらどうなるだろう?

友達じゃなくなる?

人間の敵だもん。

 

このまま話したら、友達じゃなくなるかもしれない、話さなくても友達じゃなくなるかもしれない。

こんな考えが浮かび、喋るに喋ることができない。

 

 

 

そして決断する。

 

「…ぁ、実は。」

 

「実は?」

 

「………」

言葉が喉まで来ているのに、話せない。

 

「黄夢。無理なら話さなくてもいいんだよ?」

 

「旻椎…でもまあ、それはそれでいいか。」

 

「言う!」

再び決断をする。

 

「妖怪に会っていました!」

そしてそのまま勢いに任せて、言った。

 

いきなり2人は表情を変えた。

 

齷鏤は目を見開き、口もだらしなくポカンと開けている。

よっぽど驚いたようだ。

 

旻椎はあらかじめわかっていたように首を縦に振った。

 

「チョットイミガワカリマセンネ。」

 

「わかれ、齷鏤。…それで、会っていたのは何て言う妖怪?」

 

「ル…そう、ルーミアっていう妖怪。…でも、いい妖怪だよ?」

 

「ああ、それなら問題ないんだけど。」

あっさり受け入れてしまう旻椎。

 

しかし

 

「妖怪なんて…」

 

「?」

 

「いい妖怪なんているわけないだろ!!」

 

「…齷鏤。」

 

「いるわけない!人を食べるんだぞ!?殺して殺して殺しては喰うんだぞ!?いいやつなんかいない!!」

 

「齷鏤、落ち着いて、それは違う。黄夢が言ってるみたいに、いい妖怪もきっといる。」

 

「いるわけない…いるはずがない…」

顔を伏せ、急に何かに怯え出す齷鏤。

 

 

「…………………」

 

「…………………」

 

「………………♪」

 

「「ちょっと待て」」

黄夢と旻椎の声見事に重なり、もう1人の存在へと届く。

そこを見ると金髪の、黒服を着た、赤い目の少女が立っていた。

 

「どもールーミアだよー」

 

「旻椎です。よろしく。」

特に何と言うこともなく話す旻椎。

 

「あれ、そんな話し方だった?」

 

「いや、その子が妖怪嫌いみたいだしそうした方がいいかなと…」

 

「」ギャアアアア

軽く意識が何処かへ行ってしまいそうになる齷鏤。

いい妖怪を一応少しだけでも期待していたのに…そこにいたのはあの時の。

あの時自分が喰われそうになった時の妖怪。

 

その妖怪が狂気的な笑み(そんなことはない)を浮かべ眼孔を細くし(目を細めて笑ってるだけ)こちらを狙っている(断じて違う)のだ。

 

恐怖以外の何者でもない。

 

 

「」ガクガクブルブルビクビクガタガタプルプル バタッ

恐怖のあまり倒れてしまう齷鏤。

 

「……ここまで怖がられるのはなんと言うか…さすがに…」

 

「齷鏤がこんなで本当にごめん。」

何故か旻椎が謝った。

 

そして唐突にジャンプし、着地した。

 

 

 

「ウボァ!?!?!!……………」

齷鏤に。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハーそうゆーのやめよーかしぬからー」

齷鏤の目が虚ろだ。

目の焦点も合わない。

 

しかし、ルーミアが前にいても、倒れない。

 

「あれ、妖怪大丈夫になったのー?」

 

「いやーみんつちのほーがよーかいよりこわいってことがじゅーぶんにわかったからだいじょーぶです。」アハハー

 

ルーミアの頭の中に浮かんだ言葉は、『発狂』

きっと気のせいだ。とルーミアは思い込む事にする。

 

 

 

齷鏤side

 

jckxxるへjvjd、ぱjgpwblb、xkcん

fjs[」}?#mxgr72んDkvg&えtwhづfhfjsfjjづさほけ?[やまはまわありdhj

ag、ヴ3ン<http://.co.jp.jp.jp.jp

アアア

アア朝djぃぇyv77777777777

44444444死呪 テンソウメツ成仏

 

 

ルーミアside

「人間に怖さで負けるとは…おのれ旻椎。」

 

妖怪が人間に怖さで負けてしまう…?

そ、そんなことがあってたまるか…

あってはならないよ、絶対。

あってはいけないんだーーー

 

「あははーそれでさ黄夢ー。」

 

「旻椎……齷鏤は……………」

 

「気 に す る な」

 

怖い!怖すぎる。

妖怪より怖い。邪神の領域!あれは。

何で笑顔!?何で雑談しようとしてるの!?何で急に無表情に!?

 

怖い。

何より怖い。

あの笑顔が怖い。目も笑ってる。

 

あ…そうだ。

「ねぇ旻椎。」

 

「なにルーミア?」

土下座!

「その怖さを私に教えてくださいぃ!!」

 

「え、無理。」

 

「!!そ、そーなのかー…」

納得しておいたほうがいいよねーこれ。

身のためだよね。

齷鏤ご愁傷さま!

 

 

 

「んーやっぱどうしてもと言うなら。」

 

「お願いします!」

 

「まず、相手を蹴ります。」

 

「え」

 

「悪口いいます。たくさんあった方がいい。」

 

「え」

 

「ここ重要、殺さない。」

 

「と、当然。食べないのなら。」

 

「え、食べるよ?殺さない程度に。」

 

「え」

 

「んで、他の人に見せつけます。」

 

「え」

 

「そして言います。次はお前だ。と。」

 

「え」

 

「そこで殺す。」

旻椎って人間だよね?

 

「そしてしばらくたって恐怖が薄れてきたころにまた繰り返す。」

旻椎が…旻椎が…旻椎の…後ろに阿修羅が…

 

「そして村を独裁する。」

 

「え」

 

「刃向かうものがいたら殺し謂うことを聞かぬやつらは殺しむかつく奴は殺し村を全滅させた頃にはきっと、自分の怖さが全国にしれわたってるよ!」

 

「へ、へ、へー…そーなのかー…」

 

「フムフム…それで?次は大きい都でやるの?」

 

「きゆめ…エ、エエエェエエェエ」

 

 




はいはい、
BADフラグ建ちすぎ。
IFで回収します。
「こんなに建てて大丈夫か?」(・<・)
「ループすれば問題ない」(b<_d)メガネ


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第9話 暗闇の中

ごめんなさいすいませんごめんなさいすいませんごめんなさいすいまめんごめんなさいすいませんごめんなさいすいませんごめんなさいごんなさい
なきたい。また投稿が遅れてしまいました。読む前に
さいごに1つ。
いまもこんな小説を読んでくれてありがとうございます。


ちょっとした騒動が起きて、

気づけばあたりは完全に真っ暗になっていた。

 

明かりの無い周辺は、暗く沈んでいて、心まで暗闇に飲まれてしまいそうな程に真っ暗だった。

 

辛うじて顔が見える位だ。

 

夜。

 

 

齷鏤が切り出す。

「さてと、帰ろうかなー完全に夜だし。」

 

「そだね。」

旻椎がうなずきながら答える。

 

ルーミアもうなずく。

 

「あ………」

 

その中で、黄夢だけが思い出したようにつぶやく。

 

黄夢は変えるべき場所が無い。

 

 

もう、無い。

 

 

ようやく思い出した。

どうして忘れていたのだろう。

 

自分は馬鹿だ。

自分の帰るべき場所などもう無い。

 

今までは×××の家に、居候のような形で住んでいた。

それが1番幸せでもあった。

 

しかし、そんな幸せな時間は、あの日に塵も残さず消しとんだ。

 

それからは空白の日々が続いていた。

空白の長い間は、ほぼ廃人になり、ただ青い空を見上げて座っているだけだった。

 

今こそ壊れていた精神は治ったものの、もう2度とあのような体験はしたくない。

 

凄まじく辛い事だったということに今更ながら気づく。

もう、あんな思いはしたくない。

 

 

なら、これからは何処にいればいいのだろう。

後戻りするしか無いのだろうか。

 

黄夢の表情が一気に暗くなる。

 

そんな黄夢の気分を察し、旻椎が問いかける。

 

「…もしかして、帰る場所。無い…?」

 

「………」

 

言い当てられ、思わず黙り込む黄夢。

結局後戻り?

 

そんなネガティブな方向への思考しか出来ない。

 

そんな様子の黄夢を見て、驚いたようにため息を吐く。

 

「…ああ、図星ね、どうする?住む場所。」

 

そんなことを聞かれても。

突然決めろと言われても無理だ。

考えるには考える。

それでも決められない。

 

「あー…じゃあ、とりあえず今日は私のとこで。いい?」

旻椎が気を利かせたのか、少し考えたあと、こんな提案をする。

 

「え、いいのか?黄夢泊めて。」

黙って話を聞いていた齷鏤が横から言う。

齷鏤が言いたいのは、いきなりそんな事を決めて大丈夫なのかと言うこと。

 

黄夢も同じ質問をする。

 

「いや、…いいの?」

 

「いやーほかの2人は信用できないので。」

微笑を浮かべながら囁くような声で、それでも他の3人にはっきりと聞こえるように旻椎が言う。

 

その、ほかの2人が驚愕の表情を浮かべる。

 

「やっぱ妖怪ダメだよね……そーなのかー…そうだよねーそうですよねー…どうせ」

ブツブツと、思わず自虐を始めるルーミア。

自分が妖怪であるということを責めているようだ。

ルーミアのまわりを取り囲んでいる闇が一層暗くなった。

 

「ちょ、俺はどういう…」

 

「見るからに信用できない。見た感じ信用できない。パッと見信用できない。」

即答した。旻椎は齷鏤に対して遠慮や容赦はない。

もう齷鏤には返す言葉もない。

思う事もない。

自分いじめを開始。

 

齷鏤の周りを取り囲んでいる闇が二層暗くなった。

 

齷鏤が見えない。

 

「さて、行こうか。」

 

「ああ、うん。」

 

「あ、じゃー私も帰る。」

 

「どうせ俺なんか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、誰もいなくなった。」

齷鏤を心配してくれる者など、ほとんど、いや全く居なかった。

 

そして何処からともなく人影が近づき、齷鏤を一発殴っていった。

 

それから齷鏤もようやく帰路についた。

 

 

 

しかし、どことなく、不穏な雰囲気を3人は感じていたようだ。

 

 

 

帰路にて

 

 

旻椎side

 

 

現在黄夢と手をつなぎ帰宅中っと。

 

ほかの2人のところに泊めるわけにはいかない。

なぜなら、

 

 

黄夢。多分妖怪だ。

 

妖力こそ感じないけど。

眼の色が黄色なんだ。

眼の色が黄色って。

 

そしてあの場にいたルーミア以上に黄夢は怪しい。

 

ルーミアを見ても何の動揺もしなかった。

それどころか妖怪に会いに行ったって…人間じゃない。

 

人間は普通なら妖怪にわざわざ自分から会いに行くなんてことは無い。

 

実は裏をかいて人間だけど普通の人間じゃない…半人半妖か狂人かってことだけど。

 

ていうか、黄夢から霊力も妖力も感じられない。

ある意味、いや全部の意味でおかしい。

力を隠すには、結構高度な技術が必要だ。

半人半妖なら、なおさらそれを習得したいはず。

 

まぁ、半人半妖でもわざわざ妖怪に会いに行ったりしないけど。

 

もしかして黄夢は狂人?いや、それならそこでもう死んでる。

妖怪に殺されに行くんだから当然。

 

気分で動くまで狂っているのかといわれても違う気がする。

そうだったらあんなに笑えない。

 

きっと強い心持ってる。

 

それは置いておいて、人間はありえない。

 

神様?いやいや、神々しさが全くない。

そもそも神力もないし。

神力って隠したくて隠せるものだっけ?

 

 

 

ていうか、齷鏤って…人間なの…?…だよね?

 

 

あ、家ついた。

 

辺りの景色。全然気にしてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

帰路にて

 

齷鏤side

 

 

さてと、帰り際に一発殴られたけど、そんなことより。

ルーミアも全然心配してなかったな。

 

こんな人間なんてどうでもいいですかってそんなことより。

 

 

黄夢はきっと人間で確定。か?

 

人間らしい…っていうのが一番の理由だけど。

 

人間がいいっていうのも理由。

くだらね。

 

でも、本当に妖怪だったのなら、出会った瞬間俺たちを殺してる。

 

人間なんて一ひねりだね。

 

もしこちらを捕らえるための作戦だったとして、意味がない。

そんな回りくどい作戦なんて立てるはずがない。

 

まてよ?幽霊……

 

これは考えてなかった。

 

でももしそうだったとしてもそれはそれで害はないのかもしれない。

 

命を吸い取られる。というのは実感できない限り害はないらしい。

 

ほかに何か考えられるものとしたら…半人半妖、半人半霊、死神もあるな。

 

妖精…無いなww

…おっと声に出して笑ってしまった。

 

ついでに言うなら神様もない。

 

妖精なんかは自然を体現している。

神様は何かを司っている。

でも黄夢何かを体現しているっていうのが想像できない。

自然的な何か。

そんなものは黄夢からは一切感じなかった。

 

やっぱり黄夢は人間。

それ以外に無い。

 

ていうか、それよりあの時思った。

 

 

旻椎は…人間…だよな?

 

 

あ、もう村の門だ。

 

周りの景色を全然見てなかった。

 

 

 

 

 

 

 

帰路にて。

 

 

ルーミアside

 

 

いやー黄夢は神様で決定だね。

 

あ、おなかすいた。

 

 

今日は人食べたくないなぁ

人間と知り合ったのは初めてじゃないかな。

 

ていうか、私と話せる存在と知り合った事が初めてのような。

 

あれ?涙が……

 

そうか、私はやり遂げたんだ。

 

 

 

noside

 

 

夢中だった。

 

 

「あ……れ?」

 

 

浮かんでいるような感覚。

驚くほど冷静じゃない自分。

きっと誰もが知っている。知らないけど、知っている。

 

ここは、夢の中だ。

 

黄夢もすぐにここが現実ではない事に気がつく。

 

自分が夢を見ているのだと自覚出来るのは非常に稀なのだが、

黄夢は確率という名の壁をいとも容易く通過する。

すり抜けるように、簡単に。

 

そして黒い砂嵐のように視界を覆っていた暗闇は徐々に視界の真ん中から晴れていく。

夢の中の景色が見える。

それはよく見知った。最近見た景色。

 

そこは、今日入ったあの暗い森だった。

 

それを頭で理解すると、また夢の中の景色が広がっていく。

 

森は奥の闇も晴れていき、奥行きがでる。

辺りを見渡せるようになって、景色も今日みたそのままの景色。

 

空を見上げれば、雲ひとつ無い綺麗な青空。

 

後ろを見れば、さっきまで通って来たであろう、ここまで来るための獣道。

 

のぼったばかりの太陽は、薄暗い森の中に隠れているが木と木との隙間から光がさして、十分に眩しい。

 

 

黄夢の夢の中は、驚く程に美しく、鮮明だった。

夢の中では、現実の世界より、美しく作ることもできる。

 

逆に現実の世界より、恐ろしく、醜いものを生み出すこともある。

 

この美しい世界の中でも、そんなものは在った。

 

いや、無かったと言うべきだろうか。

 

自分のことを見ることができない。

自分の体が透明になったかのように、

体を見ても、透けて、地面しか見えない。

揺らぎさえ無く、何も無いようにも感じた。

 

そして何より。

自分以外誰もいないこと。

自分以外誰もいないことが何よりも恐ろしかった。

 

思い出せない、誰の顔も。

自分の顔さえ思い出せない。

 

 

ただ、進むしかない。

直感でそう思った。

 

見えない足を動かし、前へ前へと進む。

 

進む度に太陽の光が届かなくなり、暗くなっていく。

 

ふと見ると、もう辺りは暗闇に包まれていた。

 

それでも進む。

 

道は、蟻の巣以上にいり組んでいる。

しかし、何処にもたどり着けない。

それでも進むと。

 

 

突然何の前触れもなく、明るくなった。

3人、人がいた。

今日会った。友達だった。自分も見えるようになっていた。

恐怖の呪縛から解放され何より安心した。

 

その時だった。

 

バキ。

という音がなり、視界が暗くなる。

夜。現実の旻椎の家だ。

現実だということは、自分の確かな動きから分かる。

 

そして見た。

 

入り口から、人影が、勢いよく飛び出していったのを。

 

 

 




さぁ伏線が恐ろしいぞー

今度は、投稿が遅れないように頑張ります。

つまりは…次投稿遅れない宣言です。


 こうして遅れないと言っておけば
 次投稿するときに遅れないように
 できる。裏技である!そもそもこ
 の技の起源は、1216年のヨー
 ロッパで……………………………



※ヨーロッパは関係が有りません。


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第10話 ただ、今は…

え?1週間から過ぎてる?
ははは何を言っているんですか(焦)
どういうことだかさっぱりです(焦)
こういうことですねごめんなさい。


「誰!?」

 

ガバッと勢いよく起き上がりその人影に叫ぶ。

 

完全な闇に包まれた夜。

暗闇の中、影、侵入者は黄夢の静止を聞かずにそのまま無言で走り去る。

 

周りは暗く、見えないがその人影の微かな動きだけは読み取ることができた。

その微かな動きを追い、走る黄夢。

 

旻椎の家を飛び出し、その人影を追う。

 

今ので旻椎を起こしてしまったかもしれないがしょうがない。

 

そんなことを気にしている間にも人影は黄夢から遠ざかっていく。

 

外に出ると、月の僅かな光しか明かりがなく、暗く、足元など全く見えない。

それでも進む。

 

影をひたすら追う。

理由は特にない。

でも、あの影は見覚えがあるような気がする。

 

だから追う。

真実を確かめるために、追う。

 

でも、

捕まえられない。

確認できない。

見つけられない。

影はどんどん離れていき、闇に飲まれて消えていった。

 

完全に影を見失った。

仕方ない、諦めよう。

 

そして気づく。

今自分がどんな状況下におかれているのか。

 

 

 

何処だろうここは。

何も見えない。

何も手元にない。

 

 

それがどんな意味を示しているのかも。

気づくにはあまりにも遅すぎた。

 

もう、自分は。

 

戻れない。

 

 

助けは来ない。

来るはずがない。

 

誰も知らない。

 

自分も知らない。

 

 

でも、

周りの奴らは知ってる。

 

自分を囲んでいる奴らは知ってる。

 

別の、黒い影。そいつらは

 

自分の居場所を、

自分の存在を、

全部知ってる。

 

そいつらがいきなり唸り声を上げる。

いや、どちらかというと吠えた。

 

その時吹いた風が妙に生温かった。

ああ、こいつらは、私を殺そうと。

 

恐怖心は湧いた。

けど、不思議と逃げる気にはならない。叫び声も上げない

諦めたのかと言われれば違う。

このまま食われたいのかといわれても違う。

 

自分がすくわれた気がしたから。

 

逃げなかった。

 

 

そして前にまた別の影が現れて、

影がこちらを向いた瞬間。

 

意識も闇に飲まれていった。

 

グしャッ

 

 

 

 

 

 

「ぁあああ、はぁ、はぁ、はぁ。」

 

気づけば、また旻椎の家の中にいた。

 

乱れた息。

落ち着いて深呼吸をして息を整える。

 

数回した後には呼吸も心も共に落ち着いた。

 

改めて考える。

あれは、夢だったのだろうか。

何処から何処までが夢だったのだろうか。

何処から何処までが現実だったのだろうか。

現実なんて、夢なんてなかったのだろうか。

そんなことをひたすら考える。

 

わからない。

少なくとも自分には。

 

でも、自分しかいなかったのだから、ほかにわかる人も誰もいない。

 

「黄夢ー?」

旻椎が呼んでいる。

真実はわからない。だけど、

 

 

 

 

ただ、今は現実を過ごそう。

 

 

 

 

「またあの場所へ集合だってさ。」

笑顔で旻椎は言った。

 

 

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「クチャクチャ」

 

昨日集まった場所に集合したものの、

ルーミア以外の顔が異常に暗い。

おそらくルーミアが原因だろう。

 

そのルーミアは何かをクチャクチャと音を立て咀嚼している。

なんなのかは、わからない。

 

「……………」

 

「クチャクチャ」

 

「……………」

 

「……そういえば村人が何人か行方不明になったってさ…。」

ついに齷鏤がこんなことを言い出した。

いったい何の関係があるのだろうか。

 

「ああ…うん…。」

旻椎は全てを悟ったような顔をして空を見上げた。

 

「……何噛んでるの…?」

黄夢は理解していないようで、いや理解したくないようで、ルーミアに真相を求める。

 

「……………」

ルーミアはなぜかうなずきながら口の中を見せた。

とっさに齷鏤が目をつぶる。

それを見てしまったらもう戻れないとでも言うように。

しかし齷鏤以外の2人がそれを見る。

 

それは……

 

「ああ…うう…ううぅうぅうぅうぅぅぅ」

それを見た黄夢を、大きな嫌悪感が襲った。

ヨロヨロと動きが不安定になり、思わず地面にひざまずくような形で倒れてしまう。

 

「……ク……ゥッ…」

旻椎は何とか笑みを浮かべようとしているが、吐き気のほうが強かったようなのか、軽くえずいてしまう。

それでも何とか耐える。

 

「……もう口閉じた?」

その一方目を必死に閉じたままの齷鏤は情けなく見えてしまうが、心の弱い齷鏤にとって最善の策である。

 

だから旻椎のように必死に閉じたままの瞼をこじ開けようとしてはいけない。決して。

 

ちなみにもうルーミアは口の中にあったものを飲み込んでいる。

口には赤い水滴がついていた。

 

 

 

愉快な、新たな日常。

楽しそうには見えるのだが。

それでも、何故か、異様な雰囲気が周りを包んでいた。

刺さるような、そんな雰囲気。

 

 

旻椎と齷鏤が、とても警戒していたからだ。

 

ルーミアではなく、黄夢にたいして。

疑う証拠や根拠はない。

でも、警戒しなければいけない存在。

そんな気がするという理由だけから警戒している。

 

そしてお互い同士にも。

 

黄夢の一件で思ったこと。

その一件があったから気づいたと言い変えてもいい。

 

お互いの種族は明かしていないような気がするのだ。

別に人間だろうが妖怪だろうがどの種族でも今の関係を崩すつもりはないのだが、

 

この状況なら疑心暗鬼になるだけだ。

 

「…齷鏤?旻椎?何かあった?」

2人の違和感に気づいたのか黄夢が聞く。

 

「…いや、何でもない、何でもない。」

齷鏤は黄夢の質問を無理矢理だが、受け流す。

こうでもしないと黄夢と旻椎にいらない変な心配をかけるかも知れない。

 

齷鏤がそうしている一方。黄夢の質問に対して旻椎は黙ったままだった。

それこそが黄夢にとっても齷鏤にとっても最善だと考えたからだ。

 

だが、それからずっと気まずい沈黙が続く。

またこの出来事から派生していろんな可能性を考えてしまう。

それがまた、こんな必要以上の沈黙を呼んでいた。

浮かんでは消えていく思考。

 

 

妖怪がルーミアを除いて誰なのかを考える。

怪。なのだ。仮にも。

はやく、見つけないといけない。もちろんいない可能性もあるのだが。

 

青く、青く心が縮こまろうが、赤く、目が充血し赤くなろうが、見つけないと不安で仕方がない。

いや、むしろ黒くなっても見つける義務のようなものがあるとも考える。

目を凝らしてもわかるわけではないのだが。

 

 

なんだか、その妖怪を救えるような気がして、ならない。

 

 

人と妖怪は共存できないと思っていたりもする。

だが、できる可能性が自分たちの希望なのだとも考える。

 

 

 

 

「2人とも、仲がいいよね。」

気まずい沈黙を破り、ルーミアが突然こんなことを言い出した。

優しい顔をして微笑む。

 

齷鏤と旻椎が同時に顔を見合わせる。

 

なぜそんな風に言われたのかをすぐに理解した。

必死に考える姿がまるで鏡に映したようにそっくりなのだ。

形だけなら完全に一致しているほどに。

そして表情まで一緒なのだ。

 

「ふっ」

思わず黄夢が笑ってしまう。

 

一方まだ2人はきょとんとしたまま。

 

ルーミアもつられて笑いだすと、2人は

顔を見合わせたままクスリと笑った。

 

 

さっきまでの不安はどこか遠くへ飛んで行った。そうに違いない。

 

 

「よし、面白いものを見せよーじゃないかー」

ルーミアがそう言い残し、森の中へと入っていく。

なにか面白いものを見せてくれるそうだ。

 

 

「何かなー?」

 

「?さぁ?」

 

「まぁお楽しみは後でってことで。待とうか。」

 

3人でいろいろ話しながらしばらく待っていると。

 

 

ルーミアが自信満々の顔で戻ってきた。

 

 

後ろに何かを引き連れて。

 

その 何か は遠くから見ると、黒く塗りつぶされた狼のような。

その 何か は遠くから見ると、黒く塗りつぶされた蝶のような。

その 何か は遠くから見ると、黒く塗りつぶされたルーミアのような。

 

そう、3体もの何かを引き連れて戻ってきた。

近くから見ても、真っ黒なままで。

 

「ひっ……」

 

小さく悲鳴をあげ、1歩下がる黄夢。

 

一方、目をキラキラさせ、5歩近づき、堂々と狼の形の何かに触れる。

 

齷鏤は目を暗くし、ひたすら地面を見つめている。

 

「どう?これ。」

ルーミアが笑みを浮かべながら意見を催促する。

 

そして答えたのはもちろん旻椎。

「最高!で、これ何?」

 

「これはね…なんと!闇を集めて私が動かしているのだ!」

少し上を向き、口角を吊り上げ渾身のドヤ顔をして、驚愕の事実を伝える。

 

「「おおぉーー!」」

2人が声を合わせて歓喜の声をあげる。

黄夢も夢に出てきた影でないとわかると怯えなくなった。

 

齷鏤は相変わらず下を向いたまま。

情けない。

 

「いざというときにはかっこいいのに…」ボソッ

 

「「?」」

 

「あ、いや、そのですね違うといいますか…ええ違います違うんです勘違いなんです。」

 

「「??」」

 




この章のIFで旻椎病んでれにしちゃおうかな…

いやしないけど。

「ふふ…待って…待ってよ…逃げないでよ…!」

!?いやまて齷鏤マジ逃げて手に持っているものを放s(グサッ)

~作者はそのあと何度も刺され続け、原型が残らないほどの肉塊になっていた~ Fin


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