リリカル異世界決闘録 (鹿島 雄太郎)
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設定
主人公等の設定


ずっと暖めていた主人公の設定をのせます。
なので誰か描いてくだしあ…。


時系列

 

本編開始前

 

 

火上(ひがみ) (じん)

 

 

年齢

 

19

 

 

生月日

7/18

 

 

使用デッキ

イグナイト

 

 

デッキ名

炎銃剣士(イグナイト)進軍開始(フロントウォー)

 

 

服装

 

黒のパーカー

紫のタートルネック

カーキ色のカーゴパンツ

黒いワンポイント靴下

黒い靴(足裏は黄色)

 

黒帽子

白Tシャツ(袖は黒)

薄いパーカー(袖は肘までの長さ)

黒いズボン(長さ調整可能)

靴は同じ

 

 

容姿

 

175cm位で黒髪

眼鏡

体型は普通

ショルダーバックを右肩からたすき掛け

 

デュエルディスク

ARC-V仕様の黒いデュエルディスク

 

 

一人称

敬語を使うときも一人称は変えない

 

 

好物

ドクターペッパー

麻婆豆腐

 

趣味

音ゲー、ライトノベルを読む事

 

 

自分を犠牲にすることはないが、他人を貶める事もない

誰かに仕える事はないが協力はするらしい。

また、つまらなさそうに話し、笑うこともあまりない。

座右の銘は「なるようになれ」。

 

 

ついでに

作中キャラのデッキ

 

 

ジェイル

 

使用デッキ

悪夢描者(ナイトメアクリエイター)(オリカテゴリー)

 

デッキ名

悪夢の投影

 

 

ウーノ

 

使用デッキ

氷結界

 

デッキ名

静止した心(クールハート)

 

 

ドゥーエ

 

使用デッキ

準シャドール

 

デッキ名

隠れて討つ(ハイドアンドキル)

 

 

トーレ

 

使用デッキ

スピリットモンスター

 

デッキ名

ライドインパルス

 

 

クアットロ

 

使用デッキ

ベクターモチーフの闇属性デッキ

 

デッキ名

嘘つきな影(ユーアーアンイディオット)

 

 

チンク

 

使用デッキ

H・C

 

デッキ名

誇り高き戦士

 

 

セイン

 

使用デッキ

E・M混合HERO

 

デッキ名

心を揺らすヒーロー!

 

 

セッテ

 

使用デッキ

星4戦士

 

デッキ名

戦士の矜持

 

 

オットー

 

使用デッキ

A・O・J

 

デッキ名

光を喰らう機械(マシーン)

 

 

ノーヴェ

 

使用デッキ

BK

 

デッキ名

パンチアウト!

 

 

ディエチ

 

使用デッキ

ジャック・アトラスデッキ

 

デッキ名

暴走する火力

 

 

ウェンディ

 

使用デッキ

機械族ユニオンモンスター

 

デッキ名

ライドっス!

 

 

ディード

 

使用デッキ

ニサシ軸六武衆

 

デッキ名

ツインレイド

 

 

13

 

使用デッキ

???

 

デッキ名

???

 

 

13のデッキはまだ決まってません。

 

アイデア募集。

 

感想に書いていただければそれはもう、えぇ。

 

 

本文中の会話についてですが

 

「」→会話

 

『』→通信相手

 

[]→念話

 

()→思考

 

【】→キーワード

 

といった形にしたいと思います。

 

 

また、魔力については…展開と同じくノープランです。

一応全くのノープランではない訳で、

・飛行できない

・足場を作る事ができる

と言うのは自力で考えましたし、展開だってゴールは決めました。

ただ逆算が出来ないんです。許してつかぁさい。




という訳で400未満だった字数を何とかして1000文字を越えました…。

つっかれたぁぁ…。


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本編
turn1「転移」


初投稿一発目はお試しでいってみます
可笑しなところがあったら指摘等々よろしくお願いいたします


「っつつつ...どこだここ...」

少年は、気がつくと研究所のようなところで倒れていた。

起き上がって周囲を見ると、カプセルのような物の中に、女の子の姿が数多くあった。

「まぁ、転移反応があるってことはどっかの世界なんだろうが…生憎と精霊(ターミナル)世界以外は知らねぇし…」

ふと、少年が倒れてた近くにデッキが転がっていた事に気付き、ひろっていく。

「やべぇー気が付いて良かった~!」

拾っていったカードは54枚、その絵には炎を纏った剣士が描かれていた。

「んー…、よし、一枚残らず拾えてよかった~…」

それを右手で持ち、左腕の窪みのある円形の機械にセットする。

「にしてもどこだ~?ここ。」

更に深く見回して見ると、カプセルの近くにはキーボードらしい物があり、ディスプレイには文字が羅列していた。

「ツールとかアセンブラとかの一種か…?」

…彼は複雑な機械には疎いのであった。

「さーて、散策でもして、状況理解と洒落混みますかね。」

そう言って歩きだそうとする。

「貴様、何者だ!」

嫌な予感がし、少年は後ろを振り返る。

それと同時に腕の機械─デュエルディスクを起動しカードを1枚セットする。

「来い!ドラグノフ!!」

デュエルディスクに1枚のカード─上がオレンジで下が緑色のカードをセットするとモンスター、【イグナイト・ドラグノフ】が現れる。

ドラグノフが飛んできたナイフをいなし、改めて声の方向を向く。

そこには眼帯を付けた女の子がいた。

─奇妙な服装をしているが、趣味だろうか。

そう少年が考えていると、女の子はまた声をあげた

「貴様ら!何者なのか聞いている!」

投げられたナイフをドラグノフでいなし、いなしきれなかったものをかわしていく。

そこへ、男性の声がした

「やめないか、君達。」

「!?、ドクター!」

声の方を向くと、白衣を着た男がそこにいた。

「ふむ、そこの赤髪の少年。君はナンバーズの一人ではない…かといって監理局でもないようだな。名をなんと言う?」

少年はドクターと呼ばれた男の方を見ながら、その目を警戒に変えて睨み付けた。

「…他人の名を知るには、まず自分からじゃねぇのか?」

「フッ…ハハハハハハ、これは失礼。私はジェイル・スカリエッティ。気軽にドクターと呼びたまえ。」

白衣を纏った紫髪の男、"ドクター"ジェイル・スカリエッティ。

「…私はチンク…ナンバーズのチンクだ。」

いかにもその忠実な僕とも言える雰囲気の女の子、"ナンバーズ"の1人、チンク。

「俺は火上 刃、決闘者(デュエリスト)だ」

振り子(ペンデュラム)の力を持った兵隊(モンスター)を駆使する決闘者(デュエリスト)、火上刃。

今、物語は影の中で動こうとしている…




ジェイルにつれられ、彼は中を歩く。
ジェイルの真意とは
そもそもここはどこなのか

次回「ラボ」


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turn2「ラボ」

刃はジェイルに案内され、彼の後ろを歩いていた。

 

「それでドクター、ここはどこなんだ?研究所みてぇだけどさぁ…」

 

周りを見回しながら刃はそう質問した。

 

「ここか?ここは私の研究所、言うなればラボだ。」

「大量の培養機…その中の女性…ここから察するに…クローン研究施設か?」

「惜しいな…ここは人造人間の私設研究所と言ったところだ。此処こそまさに」

 

ジェイルは踵を返し、刃に向き直ると手を大きく広げて声高らかに宣言した。

「───私の『夢』だ!」

「夢?」

「あぁ、そうだとも。そうそう、歩きながらで構わないから聞いてくれ。」

「…分かった。」

「さて、君は知らないだろうが…管理局というものを知っているか?」

「…いや、聞いた事がない。どういった輩なんだ?」

「やつらは表面上は水準の高い、謂わば警察のようなことをやっているわけだが…その実、正義を盾にして薄汚いことをする奴らだ!私を都合のいい道具となるよう産み出したのもあいつらだ。」

「産み出した?」

 

ジェイルは声を落として続ける。

 

「私は作られたのだ。管理局最高評議会によって生み出されたアルハザードの遺児。開発コードを、アンリミテッド・デザイア。」

「アンリミテッド・デザイア…無限の欲望か…。その中には、お前の欲望はなかったんだろうな…」

「あぁ、なかったのだ。いや、違うな…欲望を持つのが遅かったのだ…」

「遅かった…?」

 

刃はジェイルの発言に疑問を抱き、聞き返す。

 

「私は…ある時、小さなドローンを使って外の景色を見ていた。そこで見た景色は暗い所にいた私にとって衝撃だった…。そしてその光景を見る度に私は…いつしか自由が欲しいと思っていた…。だが、私には最高評議会の制限があり、ただ求めるだけでは…手を伸ばすだけでは手に入らないと悟った…。」

 

ジェイルはいつの間にか全てをさらけ出していた。

理解されるはずもないことだと思っていたことを、誰に促されるでもなく…。

 

「だから叩き潰して4の5の言えないようにして手に入れてみせる、例え悪の烙印を押されようと!」

「…強いな…お前は。」

「強くなど無い、弱者の足掻きだ。」

「…ひとつ聞こう、なぜ俺に話した?」

「…科学者としてはどうかと思うが、君にはある可能性を抱いた。君と…その左腕の物に」

「デュエルディスクに…?」

 

ジェイルは頷くと

 

「君とチンクのやり取りをさっき見ていたが…あれにひとつ閃きを感じたのだ。カードが実体化し、質量を持つ…その技術に私は可能性を抱いたのだ。だから…頼む!」

 

その言葉と共に───

 

「その力を私たちに貸してくれ!」

 

───頭を垂れた。




ジェイルに協力を乞われる刃
その手を取るか、それとも…

次回「結託」


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turn3「結託」

「頼む!君の力があれば私は…!」

「…お前の意志は分かった。」

「なら!」

 

ジェイルは顔を上げるがそれを─

 

「だが条件がある。」

 

刃は遮るようにいった。

 

「…言ってくれ。条件はなんだ?」

「簡単だ。衣食住と作戦時以外の安全の保証、さらにプライベートの尊重。できるか?出来るなら力を貸そう。」

 

ジェイルは少し笑みを浮かべて頷いた。

 

「あぁ、保証するさ。夢を叶えるためならいくらでも約束しよう。」

 

刃は手をさしのべ、

 

「そうか…なら、よろしく頼む。」

 

と、いつもの無表情で言った。

 

「よろしく頼む。」

 

といい返し、ジェイルは手を取り握手をした。

そのときだった。

刃のショルダーバッグから光が溢れだした。

 

「…!?」

「なんだ!?」

 

刃はショルダーバッグから光を発していた物体を取り出した。

 

「デッキが…光って…!?」

 

ひとりでにデッキのカードが周囲に飛び回った。

マーダー・サーカスピエロが、

ダーク・グレファーが、

闇魔界の戦士ダークソードが、

異次元の妖精が、

ジェイルの周囲を飛び回り…

 

「カードが…書き変わった…!?」

「これは…」

 

やがてそのカードがジェイルの目の前で止まった。

そのカードの束─デッキは、淡い光を放って浮いていた。

 

「カードが意志を持つというのは聞いていたが…まさかこれほどとは…」

 

そう感嘆としていると、ドアが開いて数人が入ってきた。

 

「ドクター!今の光は…!?」

「おまえは…うわっ!」

 

それと同時にカードがよりいっそう光を放つと入ってきた少女達(ナンバーズ)の前に飛んでいき、デッキが構築された。

そのデッキも同様に少女達の前で淡い光を放って浮かんでいた。

 

「これは…?」

 

チンクが目の前のデッキを手に取ると淡い光が消えた。

 

「カードが選んだ決闘者(デュエリスト)か…。」

「デュエリスト?」

 

蒼い髪の少女はそう聞き返すと、刃はそれに応えた。

 

「あぁ、決闘者(デュエリスト)ってのはそのカードの束…デッキのモンスター、魔法(マジック)(トラップ)を駆使して戦う者の事をさす。」

「でもたかがカードゲームッスよね。何でそんな大層な言い方なんすか?」

 

赤髪の少女が手を頭の後ろで組ながら疑問を投げ掛けた。

 

「…たかがカードゲームと侮るなよ?赤髪の…」

「ウィンディっす。」

「ウィンディ。これは"たかがカードゲーム"で片付けられるものじゃない。実際、"たかがカードゲーム"で死んだ人間だって、表舞台から姿を消した人間だっている。」

「…そうなのか?」

 

ジェイルが口を開いて聞いた。

 

「…あぁ。」

 

それに対して刃は、顔に影を落として一言だけ答えた。

 

──突然変わった刃の雰囲気に、侮りの言葉は出なかった。

 

「…聞いてはいけないことを聞いてしまったようだな…」

「いや、いいんだ。それに、過度な悪用さえしなければいたって安全だ。」

「…そういえば火上、お前が腕につけていた機械はなんだったんだ?」

 

チンクが話題を変えようと話を振る。

 

「…刃でいい。」

「なら刃、あれはなんだ?」

「あれはデュエルディスクという機械だ。」

「デュエルディスク?」

「あぁ、そうだ。名前から察する事ができるが、それを使えばカードのモンスターが質量を持って実体化する。さらにデュエルモードなら決められたルールの上でデュエルする事ができる。」

「質量を持って実体化…ッスか??」

「そういえばさっきのあのモンスターも私のナイフを防いでいたな…」

「なるほど…。っと、皆は見たことなかったな。」

 

ジェイルは刃に目配せすると少し後ろに下がって鳩尾の少しまえ辺りに腕を構えた。

するとデュエルディスクがガシャガシャという音と共に変形し、くの字に折れた紫の板らしきものが現れた。

そしてデュエルディスクの右端から右手でカードを5枚抜き取ると、その5枚を左手に持たせた。

ジェイルが頷くのを確認した刃は、5枚のカードから1枚を抜き取り、モンスターがかかれている方を前に向けた。

 

「俺は手札から、イグナイト・ドラグノフを召喚!」

 

そう言ってディスクディスクにカードを表向きで置く。

すると床から炎が吹き出し、その中からドラグノフが飛び出す。

 

「ハァッ!」

 

ドラグノフが構えた状態で刃の前にとどまった。

 

「とまぁこんな感じだ。」

「もっと強いのがいるのだろう?」

「まぁそうなんだが…今はルール的に出せないわな。」

「ルール?」

「あぁ、デュエルのルールだ。」




彼は信用した味方にデュエルを教授する
そう、ついに彼女たちは力を手にする
その力は救いか、それとも…

次回「布教」


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turn4「布教」

「説明は要るよな?ドクター」

 

そう言ってジェイルの方を向くとジェイルは

 

「是非聞かせてほしい。」

 

と答えた。

 

「じゃあ、基本的な部分を説明しよう。まずはデッキだ。これがなければ始まらない。上限は60枚、下限は40枚だ。」

 

そう言ってデッキをジェイル達に見せた。

 

「次にエクストラデッキ。これは0~15枚で、ここにはシンクロ・融合・エクシーズモンスターが裏側で入る。」

 

デュエルディスクの左端から何もない空間が現れる。

 

「見ての通り、俺にはそれがないがな。」

 

「次にモンスターゾーン、これは自分フィールドに5個ある。魔法罠ゾーンも同様に5個、フィールド魔法ゾーンは1個。ペンデュラムスケールは左右に1づつ、ここまではいいか?」

 

そう言って一度切る。

そして視線をジェイルに向けると

 

「大丈夫だ、続けてくれ。」

 

ジェイルはそう言った。

 

「モンスターは通常、1~12のレベルを持っている。」

 

まぁ、レベル11以上など早々ないがな。

とだけ呟くと説明を続けた。

 

「レベル1~4はリリース無しで召喚できるが、レベル5以上はリリース素材を必要とする。レベル5、レベル6は1体。レベル7以上は2体だ。」

「レベルは固定なのか…?」

 

桃髪の少女が顎に手を当てて疑問を投げ掛ける。

 

「あぁ、レベルを操作する効果を受けなければレベルは変わらない。」

「じゃあレベル4以下の召喚にはリリースが絶対いらないで必ず出せるのか…」

「何かテキストに召喚に対する制約がないかぎりは出せる。」

 

チンクはカードを1枚1枚ずらしてその中からあるカードを抜き出すとそれを見せて疑問を投げ掛けた。

 

「ならこれも出せるのか?」

「これはいいときに来たな…。じゃあ手札から以外の召喚方法についても説明しよう。」

 

というとデッキを取り替えて再び構えた。

 

「どうせなら実演っぽくな。」

 

デュエルディスクを起動し、デッキから5枚を引いた。

 

「俺は手札からゴブリンドバーグを召喚!」

 

そう宣言してデュエルディスクにカードを置くと、刃の後ろから飛行機に乗ったゴブリンが飛んできた。

刃は顔の向きをチンク達に向け説明する。

 

「通常召喚は普通、1ターンに一度しか出来ない。手札からモンスターを伏せるのも通常召喚にカウントされる。」

「じゃあもうこのターンは通常召喚を行えないということか…」

「ご名答、えっと…」

「ウーノ」

「ウーノか、覚えたぞ。…んで、話を戻そうか。このターン通常召喚はもう行えないが特殊召喚は出来るぞ。」

 

そういうと、モンスターのほうへ顔を戻した。

 

「ゴブリンドバーグの効果発動!ゴブリンドバーグが召喚に成功した時、俺は手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる!手札から聖鳥クレインを特殊召喚!その後、ゴブリンドバーグは守備表示となる!」

 

そう言ってデュエルディスクにカードを置くと、ゴブリンドバーグの飛行機に付いていたコンテナが割れ、中から鶴が現れる。

 

「聖鳥クレインが特殊召喚されたとき、デッキからカードを1枚ドローする!」

 

鶴が高らかに鳴くと、デッキの一番上のカードがドローを促すように出っ張る。

それを確認すると、その1枚を躊躇いなく引く。

 

「ん?時できると時するって何が違うんだ?あ、アタシはノーヴェだ。」

「いい質問だな、ノーヴェ。時できるは割り込みのない時に発動が選択できる任意効果だ。破壊された時に発動する効果があったとしても、間に別の処理があったら発動出来ないんだ。これを【タイミングを逃す】と言う。」

「となると時するも同じ感じか…?」

「いや、時するは少し違うぞ。これは割り込みがあったとしても発動する強制効果だ。」

「強制…じゃあ例え発動したくなくてもやらなきゃいけないのか…」

「鋭いな。効果が無効になってないかぎり発動しなきゃいけないし効果を使わなきゃいけない。」

 

さて、と前置きを入れると続けた。

 

「俺はゴブリンドバーグと聖鳥クレインでオーバーレイ!」

 

そう言って右手を大きく掲げると2体のモンスターが球状の物となって登り、床にできたブラックホールのような物に吸い込まれる。

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!」

 

その言葉と共にブラックホールのような物から光が溢れだす。

 

「堅牢なる追撃の竜、今舞い降りて僕となれ!ランク4!蹴破れ、カチコチドラゴン!」

 

その口上と共に、身体に鉱石を蓄えた竜─カチコチドラゴンが現れる。

カチコチドラゴンの周りには、2つの球状の物体(オーバーレイユニット)が一定の軌道で回っている。

 

 

「これがエクシーズ召喚。同じレベルのモンスター同士を素材として行える召喚方法だ。」

「さっき言ったランクとはなんだ?レベルではないのか?」

「そう、エクシーズモンスターはレベルではなくランクを持っている。だが、レベル0と言うわけではない。」

「なるほど…レベルが同じモンスターを×ことで行えるのがエクシーズ召喚…」

 

ボディースーツの上から制服を着た女性が納得したように頷く。

 

「周りのあれは何ッスか?」

「周りの?あぁ、オーバーレイユニットか。」

 

少し息を整えるとまた説明する。

 

「さっきゴブリンドバーグとクレインが素材になったよな?あれが今のあいつらだ。オーバーレイユニットとなっているモンスターはフィールド上のモンスターとして扱わない。さらにエクシーズモンスターはオーバーレイユニットを使うことで効果を発動できる。」

「そんなことが…」

 

刃は手札をチラリと見るとまた説明し始める。

 

「次はペンデュラム召喚だ。けどその前に…」

 

そう言って刃は緑色のカードをデュエルディスクに差し込む。

 

「魔法カード、増援を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスターを手札に加える!その効果でデッキからペンデュラムモンスター、閃光の騎士を手札に加える!」

「ペンデュラムモンスターとは魔法カードとモンスターカードの両方の面を持っているのか?」

「当たりだ。」

 

一旦サーチしたカードを手札に加え、もう1枚と共に前にかざした。

 

「俺はスケール7の閃光の騎士と、スケール2のフーコーの魔砲石で、ペンデュラムスケールをセッティング!これによりレベル6~3のモンスターが同時にペンデュラム召喚可能!」

「同時に!?」

 

青髪の少女─セインは声をあげて驚く。

 

「ペンデュラム召喚は1ターンに一度しか出来ない代わりに、スケールの間のモンスターなら手札から可能かぎり特殊召喚できる。」

「特殊召喚?ペンデュラム召喚じゃなかったのか?」

 

ノーヴェが疑念を刃に投げ掛けるとジェイルが答えた。

 

「"ペンデュラム召喚やエクシーズ召喚は特殊召喚のうちに入るから"ではないのか?」

「そう言うことだ。ついでに言うと、"捨てる"は"墓地に送る"のうちに入る。」

 

そして手札の2枚を掲げ、

 

「ペンデュラム召喚!レベル4、閃光の騎士!レベル4、チューナーモンスター!ゲリラカイト!」

 

スケールの間振り子が大きく揺れ、やがて振り子が円を描き出す。

その円からやがて2つの光球が降り立つ。

その光球は姿を変えた。

 

「ヒヒヒヒヒッ!」

 

1つは爆弾を抱えた凧に、

 

「フンッ!」

 

1つは光輝く騎士になった。

 

「これが…ペンデュラム召喚…」

「チューナー…モンスター…?」

 

その反応を横目で見た刃は視線をモンスターに戻して続ける。

 

「レベル4、閃光のの騎士に、レベル4、ゲリラカイトをチューニング!」

 

ゲリラカイトが光を放つと、緑色の4つのわっかとなり、その中を閃光の騎士が通り──

 

「シンクロ召喚!」

 

眩い光柱が溢れだす。

 

「仇打つ拳で天上天下を覆せ!レベル8、ギガンティック・ファイター!」

 

白い身体を持った巨人の戦士─ギガンティックファイターが地面を割って現れた。

 

「これがシンクロ召喚。チューナーとそれ以外のモンスター1体以上を素材としてできる召喚方法だ。」

「かっこいい…」

「あれ?閃光の騎士ってペンデュラムスケールにいたんじゃ…?」

「デッキに入れていい同名カードは3枚まで、後は分かるな?」

「なるほど…今素材になったのは2枚目の閃光の騎士か…」

「そう言うことだ。ペンデュラムモンスターがフィールドから墓地へ送られる場合、代わりにエクストラデッキに表側で送られる。」

 

チラリとジェイル側を見ると数人が頭を抱えている。

 

「何かいい手は無いものか…」

 

そう言ってディスクを停止させるとサブバックを漁りはじめた。

予備のデュエルディスクを2つほど後ろに投げ、あるものを取り出す。

 

「…ドクター。」

「なんだ?」

「機械を使ってでもいい、教えるのは得意か?」

「まぁ、出来るが?」

「…これを元にしてあいつらの頭に叩き込めるか?」

 

一冊の本をジェイルに見せると、ジェイルは頷いた。

 

「…なんで最初から出さなかったンすか?」

「あると思ってなかんでしょ。」

 

眼鏡をかけたボディースーツの女性がクスクス笑いながら答えた。

 

「そうだ、そこにあるデュエルディスクは使っていいぞ。なんなら複製してもいい。」

「いいのかい?」

「あぁ。俺には秘密がどうのこうの何てものは…な。」

 

結局のところ、その日は解散になった。




タイトルは初期設定では「講義」のつもりでしたが投稿段階で変更しました。

布教をしてから数週間、デュエルディスクの試作3号機が完成する。
そして少女たちはデッキと言う名の武器庫から、戦士を送り出して戦う。
少女たちはその戦いに、何を感じるのか…

次回「試闘」


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turn5「試闘」

─研究所内訓練室A

廃墟内を投影した部屋で二人は向かい合っていた。

火上 刃とノーヴェである。

ノーヴェはデュエルディスクを起動する。その顔には笑みが浮かんでいた。

 

「こっちはいつでもいいぞ!」

「俺も構わない。」

『分かった。これからミッドチルダ製ディスクディスク試作3号機の実践式三ヵ所一斉実験を開始する!』

「じゃあ、やろうか!」

「加減はなしだ。」

「「デュエル!」」

 

ノーヴェ LP8000

火上刃 LP8000

 

「アタシのターン!モンスターを1枚伏せてカードを二枚伏せる!これでターン終了!」

 

LP8000

手札2

 

「俺のターン!ドロー!」

 

デッキからカードを1枚引き、その1枚を確認する。

その1枚を手札に加えると、別の1枚を取り出して発動宣言をする。

 

「手札からナイト・ショット発動!」

「げっ、そのカードは!」

「俺から見て右のカードを破壊する!選択されたカードはこのカードに対して発動出来ない!」

「あちゃー。ま、墓地から発動できるしいっか。」

「手札からイグナイト・マスケットを召喚!」

 

その宣言と共に、黒いからだに紫のラインが入った剣士が現れた。

 

イグナイト・マスケット

ATK1400

 

「バトル!マスケットでセットモンスターを攻撃!」

「かかったな!セットモンスターはメタモルポッド!このカードがリバースしたことにより、互いに手札を全て捨てて5枚ドローする!」

(してやられた…収縮と強脱が逝ったのが痛いな…)

「墓地のBKグラスジョーの効果で、スイッチヒッターを墓地から手札へ加える!」

 

─訓練室B

山岳を投影したこの部屋では、もう一組の決闘者が向かい合っていた

チンクとウーノである。

 

「バトル!H-Cエクスカリバーで、トリシューラに攻撃!一刀両断…必殺真剣!」

 

H-Cエクスカリバーの剣が氷結界の龍トリシューラに襲いかかる。

そのときだった。

黒色の靄が現れると、その剣を弾き返した。

 

「ネクロ・ガードナーを除外し攻撃を無効にしました。これでこのターンの攻撃は終了、残念でしたね。」

「まだだ!リバースカードオープン!ダブルアップチャンス!攻撃を無効にされたモンスターはこのターン、攻撃力を倍にして攻撃できる!」

「攻撃力8000!?」

 

攻撃を無効にされたエクスカリバーから闘志の炎が溢れだし、剣を下から振り上げ切りかかる。

 

「一刀両断必殺真剣・極!!」

 

トリシューラの体を一閃。

少しの間のあと、トリシューラの体がずれた。

トリシューラは悲壮の方向をあげると爆散した。

 

LP0

チンク Win

 

─訓練室C

市街地を投影した部屋では、また違う一組が向かい合っていた。

HERO使いのセインとA・O・J・使いのオットーである

 

「バトル!C・HEROカオスで、カタストルを攻撃!」

「カタストルの効果が無効になっていないのに!?」

 

立ち塞がる4本足の機械に、白と黒のヒーローが飛びかかる。

 

「カタストルの効果!このカードが闇属性以外と戦闘するとき、ダメージ計算せず破壊する!」

「だがしかし!カオスは闇属性!破壊されない!」

「何!?だっだが、このダメージならまだ「速攻魔法、収縮!」なんだって!?」

 

カタストルの姿勢が崩れていき、なんとか立ち上がっている状態になった。

 

「必殺、カオス・ストライク!」

 

C・HEROカオスの両足蹴りが炸裂。

蹴った勢いでカオスはカタストルを背にして着地、その後ろでカタストルは火花を撒き散らしていた。

 

「あのとき…リミッター解除さえ…無効になっていなければ…!」

 

カタストルはカオスの後ろではぜた。カオスはその爆炎をバックにポーズをとっていた。

その姿はさながら、特撮の番組のようだった。

 

LP0

セイン Win

 

─再び訓練室A

 

「バトル!イグナイト・デリンジャー三体でダイレクトアタック!分身殺法・三点強行突破!」

 

三体のデリンジャーがノーヴェに肉薄し、クナイを同時に投げつける。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

LP0

火上 刃 Win

 

『終わったようだな、お疲れ様。』

「どうだ?望んだデータは取れたか?」

『上々だ、感謝するよ。』

「それはよかった。」

『そうだ、すこしいいかな?』

「どうした?」

『実はデータをとっている最中に面白い事があってね。』

 

ジェイルが口角を上げて言う。

 

「面白い事?」

『あぁ、実はデュエル中の君の体から魔力が検出されたんだ。それも、レベルの高い魔力がね。』

「…レベルの高い魔力?」

『あぁ、それでなんだが良ければ君のデバイスを作らせてくれないだろうか?』

「…飛行能力はオミット、それから足場を作れるようにしてくれ。それさえ出来れば後はなにも言わない。」

『どのみち飛行できない性質だと判明しているが…一応理由を聞こうか』

「俺は落下も飛行も苦手なんだ。いざというときに鈍っては木の芽を摘むようなものだろう?」

『そうか…分かった、期待に添えるようにはしよう。』




一通りのテストが終わった刃
彼は夢を見る
過去という、見ることしかできない夢を
turn6「幕間」


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turn6「幕間」

─「こっちだ!刃!」

 

─「あいつらは?まだ合流してないのか?」

 

─「…られた」

 

─「なに?」

 

─「ヴェルズ・ゴーレムにやられたって言ったんだ!」

 

─「なん…くそ…こんな…」

 

─「残念だが…俺たち二人でやるしかないな」

 

─「そうだな…なに、俺たちなら大丈夫だ。」

 

─「その通りだ…!危ない!」

 

─「ぐぅ…いきなりなにを…ぇ?」

 

─「ぐ…ごヴ…!」

 

─「お前…!」

 

─「あぐ…ガドムズ!ナイドメアをゴウゲキ…!」

 

─「そんな…━━━…お前!なんでそんな無茶を…!」

 

─「がふっ…お前には…生きていて欲しかったからな…」

 

─「━━━…」

 

─「刃…お前は…私の…」

 

 

─Side刃

 

「…夢を、見ていたような気がした…」

 

俺はジェイルが用意した個室で目が覚めた。ホテルの小さな部屋位の広さだが、贅沢は言わなかった。

 

「確かあの後…ガラクタのデバイスを使って…魔力を引き出す練習を…ウーノに付き添ってもらいながら…」

「そしてなれないことに無茶しすぎて倒れた。」

 

声がした方に顔を向けると女がいるの間にか入口の近くの壁に寄りかかって立っていた。

 

「ところで…」

「セッテ」

「セッテ、お前はなんでそこに?」

「監視」

「それはドクターに言われたのか?」

 

その質問に対しセッテは、ただ頷く。

 

「肯定」

「…」

「起きたら呼ぶように言われてる。」

「そうか…」

 

その言葉を聞いてか聞かずか、セッテが退室した

 

(口数の少ないやつだな…)

 

俺が体の動きを確かめていると、ドクターが入ってきた。

 

「目が覚めたか…それはよかった。」

「ドクター、デバイスは?」

「ん?あぁ、試作は出来たさ。後は起動テストするだけなんだが…まぁ、休んでいてくれ。」

「…俺はどのくらい寝てたんだ?」

「半日以上1日未満ってところだね。」

「そんなでもないか」

 

ドクターの会話が途切れた。

不思議な途切れ方だった。

不意に俺がドクターの方へ目を向ける。ドクターが顎に手を当てて、なにか考え込んでいた。

 

「どうかしたか?」

「ん?あー、いや。なんでもない。とにかく今は体を休めてくれ。」

「そうか…分かった。」

 

そう言って俺は横になる。

あいつら…どうしているか…。

そんなことを思っている間に、俺の意識はだんだんと沈んでいった。

 

─Sideジェイル

 

彼の部屋から出た私はまた思考を始めた。

 

正直信じられなかった。

あんな化け物魔力を消費して倒れ、それなのにあんなに早く戻るとは…。

常人でも考えられない。

 

しばらく考えていると頭のなかにある仮定が浮かんだ。

 

(もしや…あの左胸部のマークが関係している…?)

 

正体こそ分からなかったが、そのマークが関係している。そう考えた。

 

(見間違いでなければ…)

 

─私は見た。

 

彼が倒れた後、検査のために上半身の服を脱がせた際に見た。

 

左胸部の黒色のマークが光を薄く光らせて光っていた。

 

一度だけ見たことがあった…。

 

あれは確か…洗脳装置を応用してデュエルのルールを記憶させながら彼の持ってきたデュエルディスクを複製したミッドチルダ製デュエルディスク2号機を作成している最中だったか…。

バックの中身を一度だけ見せてもらったことがあった。

バックのなかには、カメラや財布、カードボックス─彼はストレージと呼んでいたな─があった。

そしてあのカードの絵を見た。

 

あのカードのモンスターに描かれていたマークが、彼の左胸部のマークと一致していた。

 

となれば…間違いない。あのマークは…、やはり─

 

「─【ヴェルズ・バハムート】のマーク…。まさか、【ヴェルズの力】が関係している…?」

 

─ヴェルズの力

いつロストロギアとして発見されてもおかしくない。

 

一度彼から聞いた話だったのだが彼は崩壊しかけた世界を救おうとしたことがある。

 

─ヴェルズウイルスに感染されたモンスター、ヴェルズ。

 

─それの元である侵略者、インヴェルズ。

 

─風の力の上位部族、ガスタ。

 

─氷の力の使い手、氷結界

 

─そこから離反した者達の部族、リチュア。

 

─それらが存在する世界、精霊(ターミナル)世界

 

─そこへ転移する為のカード、端末世界

 

他の世界が存在すると言うことは知っていたが…

 

「ドクター。」

 

後ろから呼び声がしたので思考を中止し、振り向く。

 

「ウーノか、どうしたんだ?」

「レリック関連で少しお話が…」

 

さて、そろそろ動こうか。




彼は初めて、異世界の戦場に立つ
初のミッションを、遂行できるのか
turn7「初動」


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turn7「初動」

─山岳部 リニアレール内

 

新型ガジェット、【ガジェットD1型】に列車のコントロールを奪わせている間、刃は席に座ってデッキを確認していた。彼の周りには二機のガジェット、【ガジェットD2型】が浮遊していた。

 

「こんなちんけなところにレリックがあるとは思えないが…」

 

刃は使命を整理する。

 

目的─リニアレールのレリックの奪取

 

指示─局員の足止め

 

「管理局員は"優秀"だからな、とか言っていたか…」

 

ダブルクォーテーションをしながら管理局員のことを表していたジェイルのことを思いだし、ため息をつく。

 

その左腕には黒いラインの入った、赤く角ばったデュエルディスク、【ミッドチルダ製デュエルディスク】。それも、"正式稼働型 Ver1"と銘打たれていた。

その右手には、1枚のカードが握られていた。ジェイルから託されたものだ。

その右手には手袋があった。これもジェイルから託されたものだ。

 

ふと、インカムに着信が入る。発信者は刃の協力関係者、ドクターことジェイル・スカリエッティ。

 

『聞こえるか?』

「…本来なら車内通話は御法度なんだが…な。まぁ、いいさ。」

『その様子では大丈夫そうだな。今回の相手は局員…それも、なかなかの腕を持った局員の襲撃が予想される。』

「実際には襲撃しているのはこっちだがな。」

『わかっている、許しは乞わないさ。これも私の理想を現実にするためだ、対価は払うとも。』

「俺を対価にしてでも、か?」

『…』

「対価となる覚悟はできている。これまでも、そして『これからも、か?』…あぁ。」

 

途中、ウーノが通信に入る。

 

『ドクター、刃様。少しよろしいでしょうか?』

「作戦準備から作戦終了後までは俺の呼び名は"コマンダー"だと言わなかったか?」

『すみません、Mr.コマンダー。』

『それで、何かね?』

『はい、局員のものと思われる魔力反応を検知しました。』

 

それと共に魔力反応の位置を表示する。

 

「該当する魔力の数は?」

『11です』

『うち一人はFの残滓か…ククク』

「どうした?ドクター。」

『いや、己の研究の行く末たるモノを見ると思うと…ククク』

 

一人で一頻り笑うと急に笑いをやめて真剣な顔もちで映った。

 

『まぁ、デュエルと言う新たな希望とコマンダーを手にした今、未練もなにも無いがな…』

「…反応が来た、俺はそいつらの相手をする。」

『分かった。』

「ウーノ、反応から一番マークすべき相手は分かるか?」

『はい、高町なのはのものと思われる反応があります。』

『確か高町なのはは管理局では【エース・オブ・エース】と呼ばれていたか…』

「なるほど、異名が付くと言うことはそれほど強くて厄介だから…か?」

『はい。』

『期待しているぞ、コマンダー。』

「あぁ。」

 

そう言って刃は席から立ち上がりデッキをデュエルディスクにセットした。

そして、右手に持っていた魔法カードをデュエルディスクに

 

「フィールド魔法、ディスエンチャントゾーン発動!」

 

置いた。

ガジェットD1型、ガジェットD2型が連動するように、

 

『『『『『『フィールド魔法、ディスエンチャントゾーンを発動』』』』』』

 

発動を宣言した。

 

瞬間、周囲に魔力の余波のせいなのか、はたまたソリッドビジョンのせいなのか。

ドーム状の膜が広がった。

 

「行くぞ、ブリューナク。」

「Let's go!」

 

刃は右手の手袋型の相棒(デバイス)─ブリューナクに呼び掛け、ブリューナクがそれに答える。



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turn8「遭遇」

いつの間にかUA2000越えていた…
お気に入りも15…すげぇ…


─Side刃

 

「なんなのよこれ!」

 

俺の目の前で女が怒った。

この女─ティアナ・ランスター、だったか?─は列車内に単身突入してきた魔導師であり、俺がエース・オブ・エースとさしで戦おうと移動したときに鉢合わせた魔導師。

手に持っているものからおそらく、あの銃はデバイスだと察した。

 

「無駄だ。俺…いや、俺たちはディスエンチャントゾーンを発動している。」

「ディス…エンチャント…ゾーン…?」

 

女の怪訝な反応に対し

 

「そうとも。」

 

俺は頷いて、話を続けた。

 

「ディスエンチャントゾーンの中では敵味方に関わらずルールに囚われる。」

「…けど、それを発動しているのは貴方だけで、その対象は私だけ!外のみんなが助けてくれる!」

「…はぁ?」

 

俺は少し威圧を込めて言った。

その威圧が通じていても通じなくても関係ない。

これは、己が心を猛らせる為でもあるからだ。

 

「これを発動しているのは俺だけじゃねぇ。」

「なに言ってんのよ!ここにいる人間は貴方だけ!そうじゃなかったら誰が発動しているの!?」

「…お前は今、答えに繋がる発言をした。」

「え…?」

「確かにここにいる"人間"は俺だけだ。だがなぁ…」

 

そこで区切って目を一度だけ閉じ、薄く開いて言った。

 

「─これ、人間以外でも発動できるんだぜ?」

「!?…まさか!」

「そうだ。ここにいるガジェットの全員が発動している。」

「嘘…でしょ…!?」

『ティア!』

 

女の前に画面が現れた。

あれは…仲間か…。

 

『ティア!ここはなにか変だよ!』

「スバル!ここには相手をルールに捕らえるディスエンチャントゾーンが発動されてる!」

『ルールに…捕らえる…』

『それってどういう…?』

 

桃色の髪の女児と赤髪の男児が通信に割り込んできた。

面白い、こっちも割り込んでみるか。

 

「あーあー、ちょっといいか?」

『誰!?』

「俺は…そうだな…コマンダーと呼べ。」

『コマンダーさん!貴方の目的は一体なんなんですか!?』

『ディスエンチャントゾーンとは一体!?』

 

そうやっていっぺんに聞くなよ…

まぁ、答えてやるか。

 

「フィールド魔法、ディスエンチャントゾーンには範囲内のやつらをルールに捕らえる効力がある。そして全ての存在はデュエルのルールによって拘束される。」

『じゃあ、急に攻撃できなくなったのも!』

『ガジェットが機械の竜を呼んだのも!』

「それがディスエンチャントゾーン。そして俺の目的はレリックの奪取!」

 

俺は手札のカードを二枚引き抜く。

 

「俺はスケール2のイグナイト・イーグルと、スケール7のイグナイト・ウージーで、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

そして相手の通信越しに、ガジェットの音声が聞こえた。

 

『『スケール3のダイナミスト・プテランと、スケール7のダイナミスト・ブラキオンを、ペンデュラムスケールにセッティング。』』

 

『『『スケール7の銅鑼ドラゴンと、スケール2のフーコーの魔砲石をペンデュラムスケールにセッティング。』』』

 

「何?なんなの!?」

 

「『『『『これによりレベル3からレベル6のモンスターが同時に召喚可能』』』』」

 

そして俺は手を上に掲げる。

その後ろでは鈍い風切音が聞こえるほどに、振り子が揺れていた。

 

「弾ける火花の狭間にて、圧政の幕を下ろせ!」

 

そして俺は口上を言い終わると、カードを叩きつけた。

 

「ペンデュラム召喚!来い、俺の兵士共!」

『『『『ペンデュラム召喚』』』』

 

それと共に一対の光の柱の間に円が現れる

その円から3つの光の玉が降ってくると、俺の前に着いた。

 

光の玉が砕け、人影が膝を付いて着地した。

 

「レベル6!イグナイト・デリンジャー!」

 

1つは桃色のペイントの、クナイのような武器を持った機械的な戦士に、

 

「レベル5!イグナイト・ライオット!」

 

1つは二振りの剣を持った赤き堅牢な戦士に、

 

「レベル6!イグナイト・キャリバー!」

 

最後の1つは緑の装色を持った特攻隊長へと姿を変えた。

三体はそれぞれ、俺を守るように構える。

 

ガジェットも同様に─

 

『『レベル4、ダイナミスト・アンキロス。レベル4、ダイナミスト・ステゴザウラー。レベル4、ダイナミスト・プレシオス。レベル4、ダイナミスト・プレシオス。』』

 

ガジェットD2は霧を体から放つ恐竜たちを、

 

『『レベル4、聖鳥クレイン。レベル4、アステル・ドローン。』』

 

ガジェットD1型はペンを持ったコミカルなキャラクターと輝きを放つ鶴をペンデュラム召喚した。

 

『ティア!今行くから!』

 

そう言って青い髪の女は、鶴の鳴き声とドローをよそに俺がいる列車の屋根を殴る。

 

 

が、屋根が破壊されることはなかった。

 

『嘘!出力が…!』

「一体何が…!?」

『ダイナミスト・プレシオスの効果。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手の攻撃力と守備力はフィールドのダイナミストカードの数×100ポイントダウンする。』

「今存在するダイナミストカードは6枚、プレシオスが2体いるから12枚。同じ手を使っているガジェットが2体だから24枚。」

「合計…2400…ポイント…」

「俺のインカムには仕掛けがあってな?相手をモンスターとして認識することで、そのステータスを解析し変換、そして数値化する。」

 

俺は髪の青い女を指差した。

 

「解析した結果、変動前のお前の攻撃力は2500だったぜ?」

『じゃあ…あたしの攻撃力は今…』

「たったの…100…!?」

「アンキロスの攻撃力は1500、ステゴザウラーの攻撃力は1600、プレシオスは1700。」

「じゃあスバルが攻撃を受けたら…!」

「まぁ、破壊されたモンスター…スバルだったか?がどうなるかは分からねぇ。」

 

そして俺は差した指をたてた。

 

「アンキロスは面白い効果を持っていてな?自分フィールドのダイナミストモンスターが相手を戦闘で破壊したら、そいつを除外しちまうんだ。」

『そん…な…それじゃあ、誰にも…』

 

その発言を最後に通信が途絶えた。

 

「うそ…私も…ずっと…平凡のまま…」

 

ティアナ・ランスターはショックを受けたようで、膝を付いてぶつぶついいながら動くことはなく、固まっていた。

その呟きを全て拾うことが出来なかったものの、兄がどうとか平凡がどうとか言っていたのは聞き取れた。

 

─俺は女に近づいて止めを刺そうとした…。

 

「…ん?」

 

ふと行動を止めた。

俺はティアナ・ランスターの数値が気になった。

 

(あの女…)

 

俺は通信回線をカメラモードにして開き、その視界越しにみた。

 

名前:エリオ・モンディアル

種族:戦士族

………

 

こいつは数値化しているな…

 

名前:キャロ・ル・ルシエ

種族:魔法使い族

………

 

こいつも…特に問題はない。

 

名前:スバル・ナカジマ

種族:機械族

………

 

こいつは…あいつらと同じ…

そして改めてあの女を見た。

 

名前:ティアナ・ランスター

information was sealed.

 

情報が封印されている!?

何とかして解析してみるか…

そう思った俺は女の頭を掴み、ブリューナクを通して解析した。

 

「いや…やめて…お願い…」

 

女はなにかを乞うが、その発言をよそに俺は解析を続けた。

 

「…!?」

(嘘だろ!?本来の実力よりも今日に至るまで弱体化している!?どんな訓練してんだ管理局は!)

 

解析が終わった後に俺は、ドクターから通信が入った。

 

『コマンダー、ずらかるんだ。』

「どうした?ドクター。」

『レリックがあちら側に渡った。例のFだ。』

「本当か?」

 

ディスエンチャントゾーンが発動されていたはず…

 

『あぁ。どうやら、範囲外から乗り込んだらしい。とにかくだ、撤退しろ。』

 

大方その場の機転で作戦を変え、ガジェットの注意をFから反らさせたんだろう。

 

「分かった。」

 

俺はそう言って通信を切り、

 

「っだぁ!」

 

「がふぅっ!」

 

女の鳩尾を殴って気絶させた。

変身がとけ、デバイスがこっちに転がる。

俺はそれを拾って細工すると、女に

 

いや、ティアナにデバイスを1枚のカードと共に握らせた。

 

そして俺はデュエルディスクを元に戻した。

 

「帰るぞ、ブリューナク。」

「OK、Emergency Teleport!」

 

俺の体は足元から消えていき、リニアレールから姿を消した。

 

─Side ティアナ

コマンダーとか言う敵にやられたあたしは、医務室のベッドの上で目が覚めた。

近くのテーブルに目を向けると、はやてちゃんに呼ばれたので行ってきます、とだけ書かれていた。

 

「マスター。」

 

不意に、枕元に置かれていたクロスミラージュに呼ばれた。

 

「マスター、メールが届いています。確認しますか?」

「差出人は?」

「ジンとなっています。」

 

ジンと言う耳慣れない名前を聞く。

そんな人今までいたっけ?

そう思ってたけど─

 

「…表示して。」

 

あたしはあたしの直感を信じ、メールを表示させた。

 

 

ティアナ・ランスターへ

 

突然だが、一つ謝ろう。

手荒な真似をしてすまなかった。

許してもらうつもりはないが、謝らせてもらう。

 

さて、本題を話そう。

ティアナ・ランスター、お前を俺の仲間にしたいと思っている。俺にはお前が必要だ。

俺たちなら、お前を平凡から抜け出させてやることだってできる。

お前なら、俺をも越えられる。

 

お前は今、なぜ犯罪者の仲間入りをしなければいけないのか。そう思っているに違いない。

 

だが、理由がある。

ジェイルは今を変えようとしている。

 

お前はこれを仲間に見せるだろうから、添付ファイルにパスコードと小細工を設置した。

 

お前が俺たちの味方になれば、お前の可能性を大きく広げることができる。

 

別にお前たちが悪だとも、俺たちこそ正義だととも言う気はない。

 

…返事を待っている。

 

決闘者 火上刃より

 

P.S.

激励がわりと言ってはなんだが、1枚のカードをやろう。それにはパスコードが書いてあるから、なくすんじゃないぞ。

 

 

あの犯罪者が世界をかえようと…?

私は気になってカードを持った。

 

「…これかな?」

 

そう思って私は、カードに書かれていた数字を打ち込んだ。

 

25573054

 

ファイルのパスコードによって、ロックは解除されその中身を確認できるようになった。

そしてあたしは、そのファイルの中身を見た。

 

「これは…本当なの…?」

 

そこには、管理局の行ってきた買収・収賄・癒着行為、隠蔽されていた局員の犯罪や裏で行われてきた数々の悪行。

それに対し反逆をしようとしたジェイル・スカリエッティの生い立ちや意志。

さらにはそうせざるをえなかったというジェイルの苦しみ。

数々のことが書かれていた。

 

あたしは、悩んだ。

このままか、それとも…

 

あたしの心情を知ってか知らずか、時間は刻一刻と過ぎていった─




キャロが言った機械の竜はサイバー・ドラゴンのことです。

ティアに贈ったカードは…
番号で検索すれば分かる。


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turn9「開発」

いい加減入力画面消そうとすると投稿されるのどうにかして…


「あいつ…読んだか…?」

 

ティアナがメールを読んでいる頃、刃はラボでジェイルと共に休憩室にいた。

刃はボトルドリンクを、ジェイルはコーヒーを飲んでいた。

 

「何を送ったんだ?」

 

ジェイルが飲んでいたコーヒーをテーブルに置くと、腕を背もたれに乗せた。

 

「ん?あぁ、ちょっと2丁拳銃士にメールをな。」

「2丁拳銃士…あぁ、オレンジの髪の。」

「あぁ、あいつを俺側に付けようと思ってな。」

「あの女は管理局の人間なのにか?」

 

とジェイルは疑問をなげかけるが、

 

「いや、完全に管理局サイドとは言い切れない。」

 

刃は戸惑うことなくゆっくりと首を横に振る。

 

「憧れ、あるいは兄の影響で入ったと言えどティアナは凡人。凡人なんだよ、かつての俺と同じように…」

「だから守りたくなる…と?」

「そんな大層なもんじゃない。あんなまっすぐな目を持っていたんだ、管理局の手となり足となり傀儡となるのを黙って見ていられない。」

 

その発言を最後に、二人は沈黙する。

 

「…俺は…夢を見た…」

「夢?」

「あぁ。仲間が闇に染まった仲間に殺される夢。悪夢だ。」

「もしかしたらそれは…」

「抜け落ちた記憶の一つ、か?」

「やはり君…記憶が………」

「よせ、そんな顔をするな。記憶が抜け落ちたといっても一部だ、どうせ時間で戻る。」

「…そうか。」

 

ジェイルはそう言って、コーヒーを少し飲む。

 

「しかし、あんなところでタイプゼロ・セカンドと出会うとは…」

「タイプゼロ・セカンド?」

「あぁ、私が2番目に生んだ人造魔導師だ。今はスバル・ナカジマとして生きているようだがな。」

 

そう言いながらジェイルはコーヒーを持っていない手で何かの画面を出して操作し、刃の方へ弾き渡した。

刃は弾き渡された資料を読んでいると、聞き覚えのある名前を見つけた。

 

「起動六課新メンバー…スバル・ナカジマ…ティアナランスター…」

 

刃はジェイルの方を向いて聞いた。

 

「なぁ、この起動六課って…」

「あぁ、それか。最近できた部署らしい。」

「何が本当の目的なんだろうなぁ…」

 

といって、刃はブリューナクの方へ弾き渡されたデータを弾き入れた。

 

「install…download…complete.no virus.」

「さぁ。しかし…」

 

ジェイルはコーヒーカップをテーブルに置くと腿に腕をおいてふぅ…と息を吐いた。

 

「なんだ?ドクター。」

「君は相変わらずつまらなさそうにしゃべるのだな」

「そうか?」

「あぁ、興味はあるんだろう。が、本当につまらなそうだ。もう少し楽しそうに話したらどうだ?」

「…」

「…」

「…そうする。」

 

その言葉を最後に、刃はボトルドリンクを片手に席を立った。

そしてドアを開けようとセンサーに手をかざして

 

「あぁそうだ。」

 

ジェイルに話しかけられた。

 

「君に渡したい物があるんだ。」

「…なんだ?」

「これだ。」

 

そう言って刃は何枚かのカードを投げ渡された。

 

「これは…ディスエスケープゾーン?」

「あぁ、ディスエンチャントゾーンの後継となるカードだ。カードの開発はこれで2度目だな…」

 

そして刃は1枚めくった。

 

「…これは?」

「ん?あぁ、それかい?」

 

ジェイルは飲み干したコーヒーのカップを片付けながら話した。

 

「それは新たに私が作ったカードでね、今までのとは勝手が違うから苦労したものだ。」

「ありがたく使わせてもらおう。」

ナンバーズ(娘達)にも配っておいてくれ。」

 

その言葉を最後に刃は、今度こそ部屋を出た。

頑張れよ、と言い残して。

休憩室のドアが閉じた後、ジェイルは一人薄く笑っていた。

 

「っははは。頑張れよ、だって?全く、君らしくない…。」

 

ジェイルは笑っていた。

その顔に喜びを浮かべて。

 

「言われたからには仕方がない!君は私にとって特別な存在だ。そんな君が頑張れと言ったのだ。私とて味方の期待さえ裏切るような愚か者でもない、それを証明してみせよう。」

 

ジェイルはそう言って、白衣をはためかせて研究室へと向かった。



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turn10「師弟」

休憩室の部屋から出た刃は、廊下を歩いていた。

 

「刃さん。」

 

ふと後ろから少女の声に気が付き、振り向く。

 

「ノーヴェか、なんのようだ?」

「お願いがあるんだ。」

「…願い?」

「あぁ、あたしを弟子にしてくれ!ドクターのために強くなりたいんだ!」

「…やめておけ、俺に着いていったところでろくなことにはならない。」

 

刃は視線を横に逸らして言うと、ノーヴェはうつむいた。

うつむくときにそうか…、と呟いていたのを、刃は聞き逃さなかった。

流石に言い過ぎたか…と思っていると、ノーヴェは刃を金色の目でまっすぐに見つめた。

 

「あんたがそう言うなら、あたしは勝手についていく!」

「だが…!」

「止めても無駄だ!あたしをは決めたんだ!筋は通す。そうしなきゃ気が済まないって、あんたを見て決めた!」

 

それを聞いて刃の頭にはある記憶が蘇った。

刃は幼いころ、父親にデュエルスクールへ連れていってもらった。

そこで、あるものを目にした。

 

─ペンデュラム召喚を

 

─2匹の輝く鶴(聖鳥クレイン)

 

─その鶴が混ざり合って現れた、黒い体の龍(ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン)

 

風の名を持ったヒーロー(E・HEROエアーマン)

 

炎を背負った調律の悪魔(フレア・リゾネーター)

 

鍋を被った同調の機械(チューニング・サポーター)

 

─その3体が1つになって現れた、三つ首の氷龍(氷結界の龍トリシューラ)

 

幼き彼の心を奪うには十分だった。

それを教えて欲しいと熱弁したときも彼は、今のノーヴェと同じ目をしていた。

 

「はぁ…こうなったらいつも通り、だな…。」

「ん?」

「いや、なんでもない。…特別にだからな。」

「…!。あぁ!」

「まったく…。」

「じゃあ早くいこうぜ、師匠!」

 

と言ってノーヴェは刃のパーカーの袖を引っ張ると、第2訓練室へとつれていった。

 

「ま、なるようになれってな…」

 

彼は座右の銘としている言葉を呟くと、観念してノーヴェに付き合うのだった。

 

 

結局のところ、3時間位ノーヴェと刃はデュエルしていた。

ノーヴェの技術の吸収は早いもので、出来ていたデッキの基本的な回しかたを向上させ、応用もうまく出来るようになっていた。

それが終わった後、ナンバーズ達(彼女ら)と1~2言交わし、カードを渡した。

ジェイル・スカリエッティお手製のカードだ。

ある分のカードを渡し終えた刃は、くたくたになりながら部屋に戻った。

ジェイルに渡し終えた旨の連絡を入れると、

 

『ありがとう。次女には私から渡すから、君は休んでくれ。何ならガジェットに人払いさせてもいいがね。』

 

と言われたからだ。

その類いに興味関心のない刃は、やんわりと断ると部屋へ向かった。

 

 

刃は用意された自室のベッドで横になっていた。

ベットの固さは可もなく不可もなく、寝るにはちょうどいい位だ。

 

「師弟…か。」

 

刃はそう呟くと寝返りを打った。

 

「俺とは縁遠いと思っていたが…。」

 

その言葉を最後に、刃の瞼は閉じていった

こうして、ミッドチルダの夜がまたひとつ更けるのだった。



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turn11「宿屋」

すみません、お待たせしました。
更新ぺースがガク落ちしました。
FGOのイベント攻略と書き溜めの枯渇が原因ですね、はい。
これ書き終わったら次回の話を書きますんでゆっくり待って下さい。


「ホテルアグスタ?」

「あぁ、そこで行われるオークションにレリックがあるようでね。」

 

刃とジェイルはレストランのテラス…を投影した部屋で向かい合って食事を取っていた。

ジェイルはたらこスパゲティをスプーンとフォークで巻き取りながら話し、刃はそれをハンバーガーを片手に聞いていた。

 

「んで、俺にそれを取ってこいと。」

「そういうことだ。」

「策は?」

「あるとも、とびっきりの協力者付きでね。」

「話は?」

「ついているさ」

「信頼は?」

 

そう聞くとジェイルは片口角を上げた。

それを見た刃は、

 

「なら、いいがな…」

 

と言ってハンバーガーの紙をくしゃくしゃと丸めて後ろへ投げ捨てた。

 

その投げ捨てた紙の先にはゴミ箱が移動していた。

 

「しかし…便利だな、あれ」

「ん?あぁ、それか。自走式ゴミ箱さ、何度もお世話になってる。」

「更に意外なのは、お前が料理ができるってところだな」

「これでも室内栽培室をしてるのでな、材料の心配はない。料理は少し前から手をつけてるとも。まぁ、興味本位でこそあるがね。」

 

その言葉を最後にジェイルは、投影を切って片付け始める。

 

「さてと、君にはこれからやって欲しいことがある。」

「やって欲しいこと?さっき言っていた襲撃か?」

「その前に、だ。私がさっき言った協力者と会っていただきたい。作戦前に味方同士、顔を会わせておいた方がいいだろう?」

「確かにな。」

「彼女達はノーヴェと一緒に応接室にいるぞ。」

「分かった。」

 

そう言って刃は部屋を後にし、応接室へと向かった。

 

─ジェイルside

私はカード開発室の椅子の背もたれに寄りかかる。

「…ふぅ」

息を吐きながら、パソコンのディスプレイを見る。

そこには開発中のカードと、デュエルディスクが写っていた。それは刃から依頼されたデュエルディスクデバイス、通称『D3』だ。

「見ていたまえ、私が仕上げてみせよう。もっとも、ホテルアグスタに間に合うかは分からないがね。」

そう独り言を独りでに呟き、作業に取りかかった。

 

─刃side

俺は応接室の前に着いた。

この先に誰がいるのかまでは聞いていなかったが、ジェイルのさっきの話からすると協力者だろう。

「入るぞ。」

聞こえてるかは分からないがとりあえず言い、ドアを開けて入る。

そこには一組の男女がいた。

紫の服を着た暗く幼い女と、茶色のような服を着た30代くらいの男。

「お前達があいつの言っていた協力者か?」

「そういうあなたは…ドクターの協力者?」

「火上 刃だ。」

「ルーテシア・アルピーノ…」

「…ゼスト・グランガイツだ。」

「ユニゾンデバイスのアギトだ。言っとくけど信用はしねぇからな!」

…何故だかピリピリした空気が流れた。

警戒しているのか…?

 

 

───そして遂に、作戦の時を迎えた




次回はジェイル側でのホテルアグスタ編に入りたいと思います。


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turn12「競売」

皆さん、お待たせしました。
ネタ切れで書く気が鉄壁になってましたがいよいよ投稿です

感覚、戻ってるといいなぁ
あ、茶々はゲットしました。


side刃

いよいよ作戦開始の時間が来た。俺は敵が来るであろう場所で待機していた。

左手には展開状態のデバイス、そして主力武器であるデュエルディスクが待機状態で装備されていた。

向かってくる反応は…2…4…4つか?。

俺はジェイルから受け取った仮面マスクを被る。仮面の内側には様々な情報が魔力を介さず浮かび上がる。

にしてもジェイル…気温計測や生態反応をXYZサーチする機能をつけるとは…

そこで俺は思考を区切り、前を─ホテル・アグスタの方を見つめた…

『聞こえるか?コマンダー』

その時、ジェイルからの通信が聞こえた。

「問題ない。」

『これから作戦開始だが…最後に聞きたいことは?』

そこで俺は思考を整理し、返答する。

「…ないぞ。」

『それはいい、コンディション最悪だったら作戦成功率が下がってしまう。』

「俺には仲間がいるからな。

 

 

 

 

 

 

 

─ドクター、お前もその1人だ。」

『…くっはは、そうか。私も仲間か。これはいいことを聞いた!よし、その言葉を信じようではないか。それでは…』

「あぁ、できる範囲で成功させる。」

『当然。無理な範囲で動いて壊れてほしくはないからな。まだまだ使わせてもらうぞ。』

その言葉を最後に、俺は通信を切った。

「じゃあ、いこうか」

「…。」

ルーテシアが小さくうなずく。

「uuuur…」

ガリューが低く唸る。その手には剣が握られていた。

バオウをモチーフとした剣…だったはず。

「あぁ。」

ゼストが槍型デバイスを構える。

ルーテシアが手を前にかざすと、大量のデュエルガジェットが擬装トラックのコンテナから排出され、出撃を開始する。

「突っ込んでくる!迎撃だ!」

デュエルの開始だ、管理局。

 

アイツはたしか…スバルとか言ったか

俺はスバル達の前に道の横から歩みでる。

「あんたは…コマンダー!」

「フィールド魔法、ディスエスケープゾーンを発動。」

「しまっ…!」

「お前達の目的は俺の排除だろう?そして本来はこんな動き方ではなかった。違うか?」

「何でそれを…!」

「新たな敵が現れ、それを消そうとするがために本来の動きから外れる。分かりやすいことだ。」

俺も一度そうなったからな。

「…読まれていたか。」

紅の剣士が睨み付けて構えた。

「このフィールドはお前を倒せば解除されるんだろ?なら話は簡単、ぶっ飛ばす!」

ハンマーを持った子供も構える。

「怒るのは勝手だが…できるかな?」

そして俺はいつものように例のセリフを…ターン開始の宣言をする。

「俺のターン!」

 

─果たして幕は切って落とされた。




次回の投稿は遅くなるかもしれません
後、正直挿し絵がほしいです。


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turn13「対立」

実際にデッキを動かしながら
Wikiをみながらやったので多分問題ないかと


「やはり…動けない…!」

紅の騎士は体をよじらせて動こうとする。

が、動けない。

「俺は手札から、イグナイト・ドラグノフを召喚!」

「ムン…ヴォア!」

そう言って俺はYのような目を光らせた星4戦士、イグナイト・ドラグノフを召喚する。

「俺はカードを二枚伏せてターンを終了。」

目の前にカードが二枚伏せられた状態で現れ、すぐに薄くなった。

「…!よし、動ける!」

「行くぞ、ヴィータ!」

二人の騎士が目の前に肉薄する。

俺は慌てず伏せたカードを発動した。

「聖なるバリアーミラーフォースー発動!相手の攻撃宣言時、相手フィールドの攻撃表示モンスターをすべて破壊する!」

騎士と俺の間に1枚のカードが捲られる。

俺がさっき伏せたカードの1枚だ。

これで防げる。

 

 

そう思っていた。

「甘い!」

剣の騎士がミラーフォースを切り捨て、発動するまもなく爆発した。

その爆風から影が2つ接近する。

それをみた瞬間横に飛ぶ。

そして左手のカードを落とさないようにしつつ、右手のデバイスで足場を作っては上に飛び上がる。

落下際にAのようなマークのあるカードを拾って着地、すぐさま発動する。

「アクションマジック、回避!その攻撃を無効にする!」

デュエルディスクの右上の表示が切り替わる

 

〔Action magic 10〕

〔Action magic 9〕

 

イグナイト・ドラグノフは剣士の攻撃を回避する。

しかし鉄槌の騎士─ヴィータに殴り飛ばされて破壊されてしまった。

 

LP 8000→7600

 

破壊された際の爆風がほほを掠め、LPを削った

「ぐっ…!」

剣士が攻撃を今一度攻撃を仕掛けようとして、止まってしまった

「くっ、またか!」

「俺のターン!」

そう言ってデッキからカードを1枚ドローする。

…これなら。

「俺はスケール2のイグナイト・マスケットと同じくイグナイト・デリンジャーで、ペンデュラムスケールをセッティング!」

ピンクのくノ一のようなモンスター、イグナイト・デリンジャー

レイピアを持った紫の戦士、イグナイト・マスケット

その2体が光の柱を上り、その下に特殊な字体の数字が現れる。

「来るか、ペンデュラム召喚…!」

「いいやまだだ!俺はイグナイト・デリンジャーのペンデュラム効果を発動!もう反対側のスケールに設置されたモンスターを巻き込んで破壊し、炎属性戦士族モンスターをサーチ!」

柱の中のデリンジャーが体を丸めた後、仰け反った大の字になる。

その体からは多くの火花が飛び散り、マスケットに届くと両方のスケールが爆発した。

爆発の中から1枚のカードが飛んで来て、それをキャッチ。

俺はそのカードを宣言する。

「俺がサーチしたのは…イグナイト・デリンジャー!そして俺はスケール2のイグナイト・デリンジャーとスケール7のイグナイト・ドラグノフで、ペンデュラムスケールをセッティング!」

そして二人の戦士が、光の柱を上る。

上りきって数字が現れると、その間を赤い振り子が揺れる。

「弾ける火花の狭間にて」

振り子は右に揺れ、

「苛烈な激攻の幕を開けろ!」

左に揺れ、

「ペンデュラム召喚…!」

その軌道は円を描いた。

「エクストラデッキより現れろ、俺の兵団よ!」

その言葉をトリガーとしたかのように、描かれた円から3つの光が降りてくる。

「レベル4、イグナイト・ドラグノフ!同じく、イグナイト・マスケット!レベル6、イグナイトデリンジャー!」

3体の戦士が俺の前にヒーロー着地して構える。

(まだとっておきたかったが…仕方ない!)

「俺は伏せておいたカード、収縮を発動!」

稲妻のマークがついた緑のカードが起き上がる。

「鉄槌の騎士ヴィータの攻撃力を半分にする!」

カードから紫の光が現れヴィータを呑み込む。

光が通りすぎた後ヴィータは、武器─おそらくデバイスを杖に片膝をついていた

「なんだこれ…力が…!」

 

ヴィータ

ATK2100→1050

 

「イグナイト・デリンジャーで、シグナムを攻撃!」

デュエルディスクのフィールド魔法ゾーンが光る。

「ディスエスケープゾーンの効力で、デュエルディスクを持たない相手はモンスターでありLP8000のプレイヤーとして扱う!その場合、モンスター同士の戦闘で起こるダメージが相手LPへのダメージとなる!」

デリンジャーは壁を走って剣士に迫る。

「デリンジャー、苦無霊弩(クナイレイド)!」

クナイが雨あられのように剣士に降り注ぐ、相手もそれを剣でいなす。

が、いなしきれなかったクナイが剣士を切りつける。

 

紅炎剣士 シグナム

ATK 2200

LP8000→7800

 

「くっ…!だが、このくらい!」

「残りの2体でヴィータに攻撃!デュアルストーム!」

マスケットとドラグノフが走ってヴィータに襲いかかる。

交差するスラロームのように翻弄しながら接近し、飛び上がったと同時にXの字に斬る、切る、伐る。

 

鉄槌の騎士 ヴィータ

ATK2100→1050

LP8000→7650→7000

 

「くあぁ…!」

「ヴィータ!」

ヴィータがワンバウンドしてから地面に墜落する。

「俺はこのままターンエンド。」

「これほどとはな…。だが、負けてやるつもりはない!」

バトルフェイズ中の相手の罠カードの発動を無効にし破壊するシグナム。

守備表示モンスターとの戦闘時ダメージ無しで破壊し再度攻撃できるヴィータ。

どっちも1ターンに1度とはいえ面倒だ…。

 




投稿遅くなりそうですが許してくださいなんでもしません。
コメントをください。
励みになりますので。


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turn14「収拾」

お待たせしました
ホテル・アグスタ編最終回です


「これでどうだ!」

シグナムが剣を降り下ろす。その先には、マスケット!

俺は反転すると右寄りに後退する。マスケットが横を、ドラグノフが後ろを守るように走って付いてくる。

「逃がさん!」

シグナムも後を追う。

「何処だ…何処にある…。」

戦闘区域から脱出しないようにしつつ回りを注意深く見る。

「そこ!」

やがて壁に刺さったアクションカードを見つけ、拾おうと飛び込む。後頭部の毛をグラーフアイゼンが掠める。

そして壁に刺さったアクションカードを拾おうとした。

(…!あれは発動者のLPを1000減らすアクショントラップ、油断!拾っちゃだめだ!拾うのはその奥!)

通りすぎ、隅に落ちていたた

「アクションマジック、エクストリームソード!マスケットの攻撃力を1000ポイントアップする!」

〔Action magic 9〕

〔Action magic 8〕

 

イグナイト・マスケット

ATK1400→2400

 

マスケットがシグナムの攻撃をガードし、すかさず袈裟斬りを繰り出す。

シグナムは後ろに飛ぶことでダメージを押さえたが、反応が遅れてしまった。

 

シグナム

ATK2200

LP7800→7600

 

「浅く入ったか…」

「だぁぁぁぁ!」

ヴィータがハンマーをぶん回して突撃する。

何か手は…、そう思っていた時だった。

奥にいたデリンジャーが何かを引き抜いて投げてきた。

俺はそれを反射的にキャッチし確認する。

「サンキューデリンジャー!アクションマジック、身代わり!攻撃対象を変更させる。」

 

〔Action magic 8〕

〔Action magic 7〕

「身代わりになるモンスターは…」

どちらにしようか悩んでいると、奥で人差し指を数回曲げていたデリンジャーをみた。

それを見た俺は、それに託した。

「俺は対象をデリンジャーにする!」

 

ヴィータ

ATK2100

LP8000→7700

 

「厄介だな…アクションマジックってのは!」

「ヴィータ、私がアクションマジックを回収する!だから相手を!」

「任せろ!」

回収させる訳にはいかないな…。

回収を許せば許すほど不利になる。

ディスエスケープゾーンの初期アクショントラップは10枚。3枚使ったから今は7枚。回収されればされるほど使用可能なアクションカードが減り、不利を埋めることが困難になる…!

 

だったら…!

「俺のターン!ドロー!俺は手札から連合軍を発動!自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族と魔法使い族モンスター1体につき、俺の戦士族モンスターは攻撃力が200ポイントアップする!」

「更に強くなるのか!?」

「俺の場には戦士族モンスターが3体。よって全員の攻撃力は600アップ!」

 

イグナイト・マスケット

ATK2400→3000

 

イグナイトデリンジャー

ATK2400→3000

 

イグナイト・ドラグノフ

ATK1700→2300

 

「ドラグノフとデリンジャー、マスケットでヴィータを攻撃!」

総計ダメージは2000!

「アクションマジック、マジックショット3枚を発動!」

「シグナム!?」

「しまっ…くぅ…!」

 

〔Action magic 7〕

〔Action magic 4〕

 

LP7600→7200→6800→6400

 

「アクションマジック…マジックショット…。相手に300ポイントのダメージを与える効果…!」

「これはいい…アクションマジックとやらはいいな」

「シグナム!それどうやったんだ?」

「アイツがカードを使うときに左腕のデバイスにカードを入れてたのが見えていたんだ。もしやと思ってやってみたらビンゴだったというわけだ。」

「なるほど…なら!」

ヴィータは近くにあったカードを拾って、

「アクションマジック、ビックハンマー!攻撃力を300アップだ!」

デバイスの赤い球体部に差し込んだ。

 

ヴィータ

ATK2100→2400

 

攻撃したドラグノフが返り討ちにあい、爆発。

その煙から目を光らせ、マスケットとデリンジャーが斬りかかる。

 

ヴィータ

ATK2400

LP7700→7100→6500

 

「っへへ。ダメージを減らせただけでも儲け、だな!」

このままじゃ…

『こちらセイン、レリック回収完了したよ!』

『了解した。全員、戦闘区域より離脱だ!』

ナイス!

「悪いな、レリックは回収もらった。」

「しまった、お前は足止め役だったか…!」

「してやられた…!」

「じゃあな!」

「待て!」

俺はとっさに後ろにジャンクカードを投げて行動をキャンセルさせた。

「んなっ…!」

「今だ、ステルステレポート!」

≪Stealth teleport≫

 

side シグナム

≪Stealth teleport≫

私達の目の前でコマンダーは逃げていった。

「あんにゃろー!覚えてろー!」

ヴィータが目の前でそう吠える。

≪master.≫

そう言ってデバイスの方を向くと、斜めになっている隙間からカードが出てくる。

「これは…マジックショット…それに…」

私は投げられたカードをとっさにキャッチした左手を見る。

「このカード…」

渦のようなカードを裏返す。

そこには武器であろう糸を引っ張る戦士が輝きを放っていた。

これは…モンスター?

名前は…

星因子(サテラナイト)…カペラ…?」



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turn15「休息」

できた!


あたしはドクターに言われて、師匠を探していた。

「~♪」

ふとあの角あたりから鼻歌が聞こえてきた。

あの角は…師匠の部屋あたりか

もう少し近づくか…

「~♪」

鼻歌が大きくなってくる。

部屋のドアは…開いてるか…

もう少し…もう少し…

カツン

しまった!

「誰かいるのか?」

あたしは観念して身をさらす。

「ノーヴェか…」

「…すまん、鼻歌が気になって…」

師匠はこっちを背にして、ベッドに腰かけていた。

「…聞くか?」

師匠はそう言って、片方のイヤホンを差し出した。

あたしは隣に座ってからそれを受け取り、耳に嵌める。

「I don't want to die while young.

There are many things I'd like still to do.

I'd like to laugh with you.

I'd like to feel your warmth forever.」

歌が聞こえる。鼻歌の正体だ。

「この曲は?」

「シンガーデュエリストのマーフィー・ヴェイキンスの最期の曲だ。曲名は"I don't want to die while young."」

「何て意味なんだ?」

「若くして死にたくないって意味、俺にはぴったりだ。」

「…気に入ってるのか?」

「あぁ。」

そう言った師匠の目は、何かを懐かしんでいるようだった。

「これを歌ったマーフィー・ヴェイキンスはな、10年も経たないうちに病で死んだ。42歳だった」

「若くして死にたくないって言ってるやつが若いうちに死ぬなんて思ってなかっただろうな。」

あたしは肩をすくめて言った。

「思っていなかった。本人を除いて…」

「…そうか…」

「そういえば、何か伝えることでもあったんじゃないか?」

「あーそうだ、ドクターが呼んでたよ。カード開発室で待ってるってさ。」

「そうか、わざわざ悪いな。」

「いいっていいって。」

そう言って師匠にイヤホンを返した。

端末にイヤホンを巻き付け、ポケットにしまって走って行った師匠を横目で見て、あたしはベットから立ち上がった。

部屋を出てから、ふと歌詞を口ずさんだ。

 

「I don't want to die while young.」

─若くして死にたくないよ

「There are many things I'd like still to do.」

─まだやりたいことがいくつもあるんだ

「I'd like to laugh with you.」

─君と笑っていたい

「I'd like to feel your warmth forever.」

─君の温もりをいつまでも感じたいよ

 

口ずさんだ旋律は、自分に跳ね返って聴覚を刺激する。

何故だかあたしには、この曲が師匠の本心だと思えた。

真っ当な人間の体でもないのに、心を感じた。



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turn16「立案」

感想、評価等お願いします


 

「ドクター、何か用か?」

フシュゥッという音のあとに彼の声が聞こえた。

「やぁ、刃。よく来てくれた。」

そう言って私は振り向く。そこにいたのはミュージックプレイヤーを片手にした彼だった。

火上(ひがみ)(じん)

私達の前に現れた次元漂流者。

カードの束を使って戦う決闘者(デュエリスト)

そして、精霊(ターミナル)世界で起こったヴェルズ大戦の戦士。

「列車を襲い、オークションを襲撃した。次はどうするつもりだ?」

彼はそういいながらソファーに腰かける。

「次に襲うのはあの忌々しいところだ。」

「…管理局か。」

「そうさ、連中には一泡吹いてもらうとする。さらにゼロファーストの回収もする。がその前にだ、先にレリックの回収を行おうと思う。レリックの回収作戦は君は温存する。」

「なるほど。戦力はどうするんだ?いざというときに力になれないのではかかし同然だ。だからといって数多くいれば言いという話でもない。」

さすがヴェルズ大戦を生き残っただけの心構えはあるようだ。

「レリックの回収には最小限の人員を投入。君には残りのメンバーの戦力強化を頼みたい。」

「ノーヴェは残してもらおう。アイツには不安がある。」

「分かった、あとはこちらで決めよう。」

「頼んだ。」

彼はそう言ってデバイスを操作する。

「何をしてるんだ?」

「アイツにメールをってね」

「君の作戦か?」

「あぁ。」

作戦の概要を話終えた私は彼に話題をふる。

「…それは?」

「親父の形見だ。…聞くか?」

「あぁ。」

それを聞いた彼はミュージックプレイヤーを差し出した。

私はそれを受け取って再生する。

ロック特有のギターを掻き鳴らす音が轟くドラムの音と共に鼓膜を刺激する。

 

It's quick like thunder.

But it's quiet like an owl.

I go to your place.

You're loved, loved, loved and loved, and it doesn't stop.

So I'll go to meet you even immediately.

Even immediately.

Then it should also stop raining.

Then the sun also shows its nose.

Surely, well.

 

ギターのソロパートでボルテージは上昇し続ける。

 

Your tear and my tear would go off.

 

余韻を残して演奏が終わる。

「なかなかいい曲だな、ロックは初めて聞くがね。」

「thunder and you.だな。マーフィー・ヴェイキンスのデビュー作だ。当時26歳。」

「君の世界の歌手かい?」

「没後に人気になったパターンのな。」

私は彼にミュージックプレイヤーを返し、薄い笑みを浮かべて言った。

「無茶だけはしないでくれ、君は私の仲間だ。」

「…善処はする、無茶をしない確約はないからな。」

「それでこそ君だ。」

彼はそれを聞いて部屋から出ていった。

私はディスプレイに顔を向ける。

ディスプレイには字が羅列されていた。

 

tellarknight:awaken

 

「さてこれは味方か、それとも…」

そう言って私は、英数字の羅列を視界から消した




孤高の牛さん応援ありがとうございます!


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turn17「錬磨」

時期は飛んでノーヴェと刃のデュエル


俺は第一訓練室でノーヴェと向かい合っていた。

互いの左腕には、デュエルディスク。

「…アクションカードは4枚だ。準備はいいか?」

「師匠、お願いします!」

「あぁ!」

構えを取るとデュエルディスクを変形させ、デュエルモードにする。

「「デュエル」」

 

後攻

火上 刃

LP8000

vs

先攻

ノーヴェ

LP8000

 

「あたしのターン!…よし!あたしはBK(バーニングナックラー)ヘッドギアを召喚!」

赤いグローブを付けたボクサーが、拳をぶつけながら現れる。

「BKヘッドギアの効果!自分のデッキからBKモンスターを1体、墓地へ送る!カウンターブローを墓地へ!そして自分の場にBKモンスターがいることで、手札からBKスパーを特殊召喚!」

続いて黄色のグローブを付けたボクサーがジャブを繰り出して現れる。

「この方法で特殊召喚したターン、あたしは攻撃ができない。」

「そのデメリットを先攻1ターン目でやることでスルーした訳か。やるな。」

「あたしはレベル4のヘッドギアとスパーで、オーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!」

2体のBKがブラックホールに飛び込み爆発する。

「鎖に繋がれた拳闘士よ…今ここに拳突き上げ、血湧き肉踊る闘いのゴングをならせ!BK 拘束番兵リードブロー!」

雄叫びをあげながら、リードブローが地に降り立つ。

その目には獲物を狩る肉食獣のような鈍い輝きがあった。

「あたしはカードを3枚伏せてターンエンド!」

「ドロー!」

俺は伏せられた3枚のカードを見る。

スクール時代からの癖だ。

(伏せが気になるな…奈落か?…試すか。)

「俺は手札からイグナイト・イーグルを召喚!」

青いカラーリングの入った棒目の剣士が片手剣を手に現れる。

 

イグナイト・イーグル

ATK 1600

 

「かかった!トラップカード、落とし穴!攻撃力1500以上のモンスターが召喚されたとき、そのモンスターを破壊する!」

「やっぱりか!速攻魔法、イグナイト・ユナイト!1ターンに1度、イグナイトカードを対象に発動。そのカードを破壊し、デッキからイグナイトモンスターを1体、レベル制限なく特殊召喚できる!イグナイト・イーグルを破壊し、デッキからデリンジャーを特殊召喚!」

イーグルが穴の上で爆発し、その煙からデリンジャーが飛び出す。

「バトル!デリンジャーで、リードブローを攻撃!苦無霊弩!」

デリンジャーが走ってリードブローに肉薄し、

 

 

そして

 

 

爆発する。

「なん…!?」

「っへへ、またかかった!トラップカード、万能地雷グレイモヤ!」

ノーヴェの前には紫色の枠の、爆発したイラストのカードが立っていた。

「相手の攻撃宣言時に発動でき、相手の場の攻撃力が一番高いモンスターを破壊する!」

「しまった!俺の場にモンスターはデリンジャーのみ!」

「よって自動的にデリンジャーを破壊する!」

「っく…カードを枚伏せ」

「サイクロンを発動!今伏せたカードを破壊する!」

「これで伏せはない!スケール2のイグナイト・マスケットとスケール7のイグナイト・ウージーで、ペンデュラムスケールセッティング!ペンデュラム召喚!イグナイト・イーグル!イグナイト・デリンジャー!」

 

イグナイト・イーグル

DEF 300

 

イグナイト・デリンジャー

DEF1200

 

「俺はこれでターンエンド。」

(まずいな…このBKがアイツと同じごり押しBKだったら勝ち目はない…!)




感想、評価等お願いします。

ちなみに今回のデュエルは自分のBKデッキと同じくイグナイトデッキを使ってやってます


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turn18「流星」

som noteというアプリで文章を作ってからハーメルンの投稿ページにそれをコピー。最終確認と細かな書き加え、書き換えをしてから投稿します。


「俺のターン、ドロー!」

引いたカードを横目で見た。

違う…これじゃない!

「俺はカードを1枚伏せ、破天荒な風を発動!イグナイト・デリンジャーの攻撃力を次の俺のスタンバイフェイズまで1000ポイントアップする!そしてイグナイト・デリンジャーを攻撃表示に変更!」

 

イグナイト・デリンジャー

ATK2400→3400

 

これでいいだろう。

「バトル!イグナイト・デリンジャーでリードブローを攻撃!苦無霊弩!」

「墓地のカウンターブローの効果!このカードを墓地、または手札から除外して発動!BKモンスターが戦闘を行うダメージステップ時、そのBKモンスターの攻撃力を1000上げる!」

 

BK拘束番兵リードブロー

ATK2200→3200

 

アイツと同じ動きだ…

そういえばよくアイツといがみ合ったか…

…違う!今はデュエル中だ!

「だが、攻撃力はこっちが上!」

「リードブローの効果!このカードが破壊される場合、オーバーレイユニットを1つ使って肩代わりできる!。」

「そしてオーバーレイユニットが取り除かれたことで攻撃力が800ポイントアップする…本当に面倒な効果だ。」

 

BK拘束番兵リードブロー

ATK3200→4000

 

ノーヴェ

LP7800

 

「俺はこれでターンエンド。」

「ってて、先制ダメージやられちまったか…。ターンエンド時、カウンターブローの効果が終了する」

 

BK拘束番兵リードブロー

ATK4000→3000

 

「来い、まだ相手は出来るぞ。」

「ったりめーだ!ドロー!バトル!リードブローでデリンジャーを攻撃!サンダーフィストォ!」

「トラップ発動!魔法の筒(マジック・シリンダー)!攻撃を無効にし、攻撃力分のダメージを相手に与える!」

リードブローの拳が突き出されると、魔法の筒から色違いの拳がノーヴェに当たる。

ノーヴェはそれをガードするが、衝撃で数m引き摺られるように下がる。

「ぐ…っくぅ!」

 

ノーヴェ

LP7800→4800

 

「すんげー削られちまった…ターンエンドだ!」

「俺のターン!…これでもない。」

「ひっくり返すようなカードは引けなかったみたいだな。」

俺はアクションカードを探そうと周囲を見渡す。

が、見当たらない。

「…イグナイト・マスケットのペンデュラム効果!もう片方のスケールにあるイグナイトモンスターを破壊し、デッキまたは墓地から炎属性戦士族モンスターをサーチ!」

「炎属性で戦士族…BKと同じだな。スケールが3~6だからうまく噛み合いそうだ…。」

「俺はスケール7のイグナイト・ウージーとスケール2のイグナイト・キャリバーで、ペンデュラムスケールをセッティング!」

ウージーが、キャリバーが、光の柱を昇る。

そして赤い振り子がゆらゆらと陽炎を浮かべて揺れる。

「弾ける火花の狭間にて」

 

振り子は右に揺れて陽炎を増し、

 

「苛烈な激攻の幕を開けろ!」

 

左に揺れて火花を散らし、

 

「ペンデュラム召喚…!」

 

振り子は炎を纏った。

 

「エクストラデッキより現れろ、俺の兵団よ!」

 

エクストラデッキから出てきたカードを抜き取り、モンスターゾーンに設置する。

「イグナイト・マスケット!イグナイト・イグナイト・ウージー!」

 

イグナイト・マスケット

DEF1900

 

イグナイト・ウージー

DEF2700

 

「デリンジャーを守備表示にしてターンエンド!」

 

イグナイト・デリンジャー

DEF1300

 

「あたしのターン、ドロー!破壊しても意味がなさそうだな…かといって破壊できる魔法(マジック)(トラップ)もない…ターンエンド!」

「俺のターン…ドロー」

これでもない…。

そろそろアクションカードを探さないとまずい。

そう思った俺は駆け出し始める。

「カードをセットしターンエンド。」

「ドロー!…上々だな。カードをセットしターンエンド!」

なかなかいいカードが引けない俺に対し、なかなかいい手駒を揃えていくノーヴェ。

だが、俺のやることはただ1つ、意志を込めて引くだけ!

「俺のターン、ドロー!俺は永続魔法、連合軍を発動!この効果で俺の場の戦士族モンスターは戦士族と魔法使い族モンスターの数×200ポイントアップ!そしてデリンジャーを攻撃表示!」

 

イグナイト・デリンジャー

ATK2400→3200

 

何か…あと一歩…何かないか…!

「あった!アクションマジック、ハイダイブ!エンドフェイズまでモンスター1体の攻撃力を1000アップする。」

 

〔Action magic 4〕

〔Action magic 3〕

 

イグナイト・デリンジャー

ATK3200→4200

 

「バトル!デリンジャーでリードブローを攻撃!苦無霊弩・大舞!」

「リードブローの効果!BKモンスターが戦闘または効果で破壊される場合、このカードのオーバーレイユニットを1つ使って肩代わりできる!。」

トランポリンを使ってデリンジャーが高く飛び、苦無の雨を降らせる。

リードブローは拘束具で、それをガードした。

 

BK拘束番兵リードブロー

ATK3000→3800

 

ノーヴェ

LP3600

 

「くぅ…!けど、戦闘ダメージを食らったことでBKベイルの効果を発動!このカードを手札から特殊召喚し、ダメージと同じ数値を回復!」

 

ノーヴェ

LP3600→4800

 

「ちっ、回復されたか。エンドフェイズにハイダイブの効果が終了する。」

 

イグナイト・デリンジャー

ATK4200→3200

 

「そしてあたしはエンドフェイズにトラップ発動、トゥルース・リインフォース!レベル2以下の戦士族モンスターを特殊召喚する!この効果でデッキからBKビックバンテージを特殊召喚!」

「ターンエンドだ…!」

「あたしのターン!あたしはヘッドギアを召喚し、効果でカウンターブローを墓地へ!そしてビックバンテージの効果を発動!墓地のスパーのレベルをコピーする!」

 

BKビックバンテージ

レベル2→4

 

「きたきたきたー!あたしはレベル4となったビックバンテージ、ヘッドギア、ベイルでオーバーレイ!エクシーズ召喚」

3体のボクサーが3つの球体になってブラックホールに飛び込み、爆発する。

「輝く光を拳にまとい、ノックアウトをつかみとれ!No.105!」

「ナン…バーズ…!?」

「輝く拳皇!BK流星のセスタス!」

セスタスがブラックホールをアッパーで突き破って現れる。

「づぅ…ぐ…バトル!セスタスでデリンジャーを攻撃!シューティングスター!」

「だが!デリンジャーの方が攻撃力が上!」

「っへへ、セスタスの効果!BKモンスターが戦闘を行うダメージステップ時、オーバーレイユニットを1つ使って発動!そのモンスターは戦闘では破壊されず、ダメージは相手が受ける!」

「んな…!」

「食らえ!クロスカウンター!」

 

火上刃

LP8000→7700

 

「予想外だ…!」

「だから面白い、そうだろう?」

「…あぁ。」

とはいえどうにかしないとまずいな…。

あれは…どうしても越える!




UA8000超えありがとうございます!
応援よろしくお願いします!


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turn19「進展」

 

「俺のターン!」

足止め程度には…なるか?

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

「あたしのターン!装備魔法、メテオストライク!リードブローに装備させて貫通能力を付与する。バトル、リードブローでマスケットを攻撃!」

「それはまずいな…トラップ発動、ドレインシールド!攻撃を無効にして、攻撃力の数値を回復する!」

 

火上刃

LP7800→11600

 

「あたしはこれでターンエンド!」

「ドロー!…このライフなら多少無茶してもいいか…よし…デリンジャーを攻撃表示!」

 

イグナイト・デリンジャー

ATK3200

 

「そしてセスタスに攻撃!」

「そんなことをしても!」

「攻撃宣言時にトラップ発動!永続トラップ、スキルドレイン!LPを1000払って発動でき、フィールドのモンスター効果を無効にする。」

俺から紫色のオーラが吹き出し、スキルドレインに吸われていく。

 

火上刃

LP11600→LP10600

 

「バトル!デリンジャー!セスタスをぶっさせ!」

「カウンターブローの効果!このカードを墓地から除外してセスタスの攻撃力を1000ポイントアップさせる!返り討ちだ!」

「っづ…!」

 

火上刃

LP10600→10300

 

「ターンエンド!」

「あたしのターン!リードブローでイグナイト・イーグルを攻撃!サンダーフィスト!」

「ぬぁ…!」

 

火上刃

LP10300→6800

 

「ターンエンド!」

「俺のターン。イグナイト・ウージーのP効果で両方のスケールを破壊し、炎戦士をサーチ!この効果で俺は、イグナイト・ウージーをサーチ!そしてスケール2のイグナイト・デリンジャーとスケール7のイグナイト・ウージーで、ペンデュラムスケールをセッティング!」

イグナイトPモンスターの最上位攻撃力モンスターと、同じく最上位守備力モンスター。

その2柱が光を駆け上がる。

「ペンデュラム召喚!イグナイト・キャリバー!イグナイト・ウージー!イグナイト・デリンジャー」

 

イグナイト・キャリバー

DEF2200

 

イグナイト・ウージー

DEF2700

 

イグナイト・デリンジャー

ATK2400→3400

 

「イグナイト・デリンジャー!セスタスを攻撃だ!苦無霊弩!」

「トラップ発動、ディメンションウォール!この戦闘で受けるダメージは相手が受ける!」

 

火上刃

LP6800→5900

 

「行ける行ける!ターンエンド!」

「俺のっターン!」

このカードは…今は意味がないな…

「デリンジャーでセスタスを攻撃!苦無霊弩!」

「アクションマジック、回避!攻撃を無効にする!」

「アクションマジック、ノーアクション!アクションマジックを無効にする!」

「アクションマジック、奇跡!ダメージを半分にして戦闘破壊を無効にする!」

 

〔Action magic 3〕

〔Action magic 0〕

 

ノーヴェ

LP4800→4350

 

「師匠はやっぱり強い…!」

「大戦の前線にいたからな、お前たちとは命のはりかたが違う。それにこういうデュエルってのはな、死ななきゃ安いもんだ。」

「師匠の座右の銘か?」

「いや、俺の相棒のだ。」

「…そうか。」

「俺はこれでターンエンド!さぁ、俺を師匠だって呼びたいならぶつかってこい!ノーヴェ‼」

「あたしのターン!あたしは手札から魔法カード、エクシーズギフト!Xモンスターが2体以上存在する時に発動できる!オーバーレイユニットをセスタスから2つ取り除き…2枚ドロー!貪欲な壺を発動!ヘッドギア2体とビックバンテージ、スパー、ベイルをデッキに戻してシャッフル!」

ノーヴェがデュエルディスクのデッキスペースに、墓地から取り出したカードを差し込む。

シュパパパパパという心地のいい音でカードがシャッフルされると、デッキの上2枚が出っ張った。

「そして2枚のドロー!…これでよし。カードを2枚伏せて装備魔法、魔導師の力をリードブローに装備!魔法罠はあたしのフィールドに4枚!よって2000ポイントアップ!」

 

BK 拘束番兵リードブロー

ATK3800→5800

 

「バトル!リードブローでデリンジャーを攻撃!スーパーサンダーフィスト!」

 

火上刃

LP5900→3500

 

「いってぇ…やるじゃないか…」

「師匠も…!あたしはターンエンド!」

「ふぅ…俺の…ターン!…これは…!」

「いいカードを引いたみたいだな。」

「あぁ…いいカードだ。けど、まだだ!」

俺は引いたカードを手札に加え、別のカードを引き抜く。

「マジックカード、ナイト・ショット発動。セットカードを枚対象として発動、そのカードを破壊する。対象となったカードはこのカードの発動に対し、発動できない。俺はメテオ・ストライク側のセットカードを選択!」

ナイト・ショットから照準が現れ、伏せカードを撃ち抜く。

「マジック・ジャマーが…!」

「そして魔法罠が1枚減ったことで、500ポイント攻撃力がダウンする。」

 

BK 拘束番兵リードブロー

ATK 5800→5300

 

「ペンデュラム召喚!イグナイト・デリンジャー!」

 

イグナイト・デリンジャー

ATK 3400

 

「バトル!イグナイト・デリンジャーでセスタスを攻撃!苦無霊弩!」

 

ノーヴェ

LP4350→3450

 

「うっ…まだまだ!」

「俺はカードを1枚セット。 ターンエンド!」

「あたしのターン!リードブローでデリンジャーを攻撃!スーパーサンダーフィスト!」

 

火上刃

LP3500→1600

 

「ターンエンド!」

「俺のターン…!ドロー!ノーヴェ…この勝負…俺の勝ちだ!」

「なに!?」

「リバース発動!永続トラップ、イグナイトバースト!このカードは自分のメインフェイズ、1ターンに1度だけ発動できる!このカード以外のイグナイトカードを3枚まで選んで破壊し、同じ数だけ相手フィールドのカードを手札にバウンスする!」

「なんだって!?」

「俺はフィールドのウージー2体を破壊し、リードブローとセットカードをバウンスする!」

「くっ…リードブローはエクストラデッキに戻り、装備魔法は対象を失って自壊する…!戦士族モンスターが減ったことで、デリンジャーの攻撃力は下がる…だけど…ペンデュラム召喚してコストを帳消しにできる…!」

 

イグナイト・デリンジャー

ATK3400→3000

 

「そしてペンデュラム召喚!2体のイグナイト・ウージー!」

 

イグナイト・ウージー

DEF 2700

 

イグナイト・デリンジャー

ATK3000→3400

 

「そしてイグナイト・マスケットを攻撃表示!」

 

イグナイト・マスケット

ATK1400→2400

 

「フィールドはがら空き、手札は戻った天罰とBKシャドー…師匠はすごいな、まだ敵わない…。」

ノーヴェはそう言って両腕を下ろす。

「バトル!イグナイト・マスケットでダイレクトアタック!ブレードシュート!」

 

ノーヴェ

LP3450→1050

 

「これでとどめだ!イグナイト・デリンジャーでノーヴェを攻撃!苦無霊弩」

イグナイト・デリンジャーが飛び上がって苦無を投げ、ノーヴェの前で爆発。

その衝撃でノーヴェが吹き飛ばされ、大の字に寝っ転がる。

 

 

ノーヴェ

LP1050→-2450

 

Win

火上刃

 

俺はノーヴェのそばにいって腰を屈め、手を伸ばした。

「立てるか?」

「いい、自分で立てる。」

ノーヴェは己の力で立ち上がるとまっすぐにこっちを向いた。

「今回は負けたけど…いつか…いつか師匠を倒してみせる!」

「それは楽しみだ。」

ノーヴェはそう言って走ってドアの前に立った。

「ノーヴェ!」

俺はノーヴェを呼び止める。

ノーヴェは振り向いてこっちを向く。

「特別にでもなんでもなく、俺は認める。俺はお前の師匠だ、お前は俺の弟子だ。今のデュエルで俺は決めた。見た目ダメな師匠でも、俺についてきてくれるか?」

「…()()!」

「…!」

俺の体をどこからか安堵が突き抜けた。

「軽々しく言えないけど…お前には言う。ノーヴェ!お前は間違いなくできるやつだ!だから…だから…頑張れよ、一番弟子。」

「…頑張ります、師匠!」

そう言ってノーヴェは走り去った。

「珍しいじゃないか、刃。君があんなことを言うとは思わなかった。」

「ジェイル、居たのか」

「さっきな。」

「…俺だってああいうことを言うとは自分で思わなかった。」

「出会いが変えた、か?」

「ちょっとロマンチストっぽいが、な。」



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turn20「襲撃」

本部近くの物陰。

俺は今、ノーヴェとチンクを引き連れてそこにいた。

「ノーヴェ、チンク。いいか?今回俺たちが言い渡されたミッションは本部の襲撃とギンガ・ナカジマ、つまりゼロファーストの奪取だ。そして俺は今回の襲撃班の指揮官に任命された。あいつらに一泡ふかせてやれ。」

「ラジャー!」

「了解。」

「じゃあ、行こうか。」

そう言って俺はホルダーからデュエルディスクを取り出し、フォンモードにする。

メールモードを起動し、そこで浮かんだ文字盤を指で軽く叩く。

そして腕のジョイントに差し込んでから肘側にスライドると、固定された感触が伝わる。

そうして取り付けた少し後に、本部中層が爆発する。

十中八九、【協力者】とドゥーエが起爆させたのだろう。

駆け出しは順調だ。

「っし!」

「まだはやいぞ、ノーヴェ。この混乱に乗じて叩く、行くぞ!」

 

局員が敵を迎撃しようと本部から現れる。

「気づかれた!」

「計画通りだ、問題ない!」

そう言って俺はチンクに目配せをし、チンクはそれを見てデュエルディスクを構える。

 

「私のターン!相手フィールドにモンスターが存在し、自分の場にモンスターがいない時、H・C 強襲のハルベルトを特殊召喚できる!」

 

武器を片手に現れ、チンクの前に着地する。

 

「次に手札からマジックカード、ワンフォーワンを発動!手札からモンスターを1体墓地に送り、手札かデッキからレベル1モンスターを特殊召喚する!」

 

そう言ってチンクは手札のモンスターをうえに放り投げ、カードが砕ける。

カードがあったところには青く光る円が現れる。

 

「ディエチ、力を借りるぞ!こい、アタックゲイナー!」

 

その円からはアタックゲイナーが飛んできて、ハルベルトの隣で浮遊する。

 

「私はレベル4の強襲のハルベルトに、レベル1のアタックゲイナーをチューニング!」

 

アタックゲイナーが飛び上がると、真ん中があいたひとつの円になる。

その間をハルベルトが通過する。

 

「出番だ、オットー!光に抗う闇の機兵、今正義の名を持ち現れろ!」

 

チンクの口上に重なるように、オットーの声が聞こえた気がした。

 

「シンクロ召喚!悪しき光を破壊せよ!レベル5、A・O・J カタストル!」

 

六本足の虫のようなモンスターが、地を割って現れる。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!行け、ここは私は引き受ける!」

「分かった!」

 

それを聞いた俺は本部へ向かって走り出し、ノーヴェが俺の後を追う。

 

 

━さっさと【協力者】と合流して、任務を完了させる!




ギンガのデッキが決定しました


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turn21「回収」

管理局本部、その下層の廊下

曲がりの多い通路を、俺たちは目的地に向かって走っていた。

その道中で機材を破壊し、壁を破壊した。

「はぁ…はぁ…はぁ…!」

「あと少しだ!」

道の先にはシャッターが、今まさに降りていっていた。

「キャリバー!デリンジャー!シャッターを派手に壊せ!」

そういうと同時に、手札のモンスター2体をモンスターゾーンに設置する。

現れたキャリバーとデリンジャーは、登場した時の勢いのままにシャッターを破壊する。

 

シャッターの残骸を踏んで進んだ先には、2つの人影。

起動六課の弾丸、ティアナ・ランスター。

管理局の剛拳、ギンガ・ナカジマ。

「あなた達の犯罪行為はここで終わりです、速やかに投降してください。」

ギンガが眼をとがらせ警告する。

「投降しないなら…実力行使もやむ終えません。」

「はん!あたし達がそれに応じるとでも?」

「そういうわけだ、通してもらうぞ。」

そう言って俺が一歩足を踏み出す。

それに反応し、構えをとる。

「俺は銃士をやる!お前はゼロファーストを!」

「アイアイサー!」

ノーヴェはその言葉を皮切りに駆け出しハイキックを繰り出し、ギンガはそれをガードする。

「ハンデだ、ティアナ・ランスター。俺はお前達の土俵で戦ってやる。その上デバイスも使わない。一方的な戦いじゃつまんないだろう?」

「…こんの…舐めたことを!」

そう言って彼女は俺に魔力弾を乱射した。

俺は右に飛んで避け、ティアナに接近する。

部が悪いと感じたのか、銃型デバイスにブレードを展開した。

彼女はその刃を横に薙ぐが、俺は体を屈めてそれを避ける。

その姿勢のまま俺は、逆回しで回転蹴りを繰り出す。

「ぅあぁ…!」

踵がティアナの脇腹に入り、肉の感触が足を伝う。

倒れはしなかったものの、足をふらつかせその身体をよろめかせた。

それでも意地が成す業なのか、倒れなかった。

視界の端では、ノーヴェがリードブローの拳とギンガ・ナカジマの拳がぶつかり合った。

「やるじゃないか、管理局お得意の正義か?大したもんだな。」

「うっさい!あんたなんかになのはさん達の何が分かるの!」

「埒があかないな…ティアナ・ランスター!」

そう叫び、構える。

「…なによ。」

「次の一撃で終わりにするぞ…」

「…!…望むところよ。」

ティアナ・ランスターはそう言ってデバイスを構える。

その刃は、よりいっそう輝いていた。

俺たちはその言葉を最後に飛んで離れる。

「これで…!」

ティアナ・ランスターが刃を突き出し、突進する。

「甘い!」

その刃を持った手を掴んで引き、鳩尾に拳を突っ込む。

素での威力に勢いが足され、力を増した拳。

「かはっ…!」

肺の中の空気を吐き出すような音が聞こえた。

俺はティアナの耳元に口を近づける。

「─────。」

体がゆらりと倒れ、俺はそれ受け止める。

「終わったみたいだな」

ノーヴェがギンガ・ナカジマを担いで後ろに現れる。

「あぁ。」

「じゃ、早いところ帰りますか。」

「そうしよう」

帰ろうとしてテレポートを発動させる。その最中に青い影が現れた。

─スバル・ナカジマだ。

「待て!ギン姉を返せ!」

「そう思うなら自力で奪ってみろ」

そう言うとスバル・ナカジマは殴りかかり

 

 

 

当たることなく、テレポートが完了した。




ギンガ・ナカジマとティアナ・ランスター
両名を誘拐した刃達
しかしそこには、ナンバーズも知らない計画があった
刃の口から、それが明かされる
次回「秘策」
刃の計画、予想して感想に書いてもいいですよ


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turn22「秘策」

─管理局本部襲撃事件の数週間後

「ふぅ」

俺は自室のベッドで横になっていた。

枕に足を置き、足があるはずのところに頭を置く。

などと言ってしまえば物騒だが、つまるとこ逆さの状態だ。

なんでこんな疲れているかというと、さっきまで彼女とデュエルをしていたからである。

テレビではギンガ・ナカジマとティアナ・ランスターの両名が行方不明になったことを多局が繰り返し報道している。

その隣では1人の女がベッドに腰掛け、カードをめくっていた。

俺は目だけを左に向けて聞く。

「最後に聞くぞ、本当にいいんだな。」

「いいの。あんたについていけば、本当のことが分かるかもしてないから。」

女は白いパーカーを気にせず後ろを向く。

フードを被っているから見えにくかったが、笑っているような顔だった。

「現実を見るだけじゃなく、真実も見れる。そうなりたいって思ったんだ。」

「…でもまぁ、お前がこっちに来てくれて良かったよ。こっち側につくかは正直賭けだったからな。一策乗ってくれてありがとな、

 

 

 

 

 

 

 

 

─ティアナ・ランスター」

「いいって。あたしってあの仕事環境、結構苦しかったし。」

そう言って彼女─ティアナ・ランスターはデッキをデュエルディスクに入れて立ち上がり、パーカーのフードを取る。

今のティアナランスターの格好は起動六課の制服ではない。

白いパーカーに青いカーゴパンツ。

白いニーソックスはカーゴパンツの丈に隠れている。

赤いラインの入った白いスニーカーを多少の余裕を持たせ履き、ツインテールだった髪を首の後ろで結わえていた。

俺の服装と対象になるようにしたらしい。

「似合ってるぞ、その格好。」

「いいでしょ。ティアナ・ランスターとしてじゃなく、火上愛里としての格好なんだ。」

「あのなぁ、お前は俺の」

「妹じゃない、でしょ?わかってる。あたしが勝手にそうしてるだけ。」

 

 

俺が味方にすら明かしてなかった計画。

ティアナ・ランスターをこちら側に不信感なく持ち込むだけでなく、比較的安全に襲撃する策だった。

 

概要はこうだ。

ティアナ・ランスターにメールを送る。

"作戦のときは来た。

前に一度聞いたが念のためもう一度だけ教える。

俺側につくのなら本部中層を爆破してくれ。

返事がNOなら、屋上を爆破してくれ。"

そう打ち込んで送った数分後、中層がはぜた。

これを見て俺側につくと確信した。

そして戦闘の際にも計画があった。

ギンガとともに地点B、つまり俺たちがあのとき戦った場所へと来ることだ。

もちろんそれで終わりじゃない。

 

「次の一撃で終わりにするぞ…」

それが彼女に前もって教えた最終段階実行の合図だった。

管理局サイドに感づかれないように、"戦闘を行い、その結果敗れて拐われた"と言う状況を作る。

その計画の最終段階移行の合図を受け、"互いに渾身の一撃を繰り出して決着をつける"という状況を重ねる。

ティアナの腹を殴ったあと、耳元でこういった。

「眠ってくれ。」

こうすることで"戦闘の末に威力の増した腹パンで気絶した"という状況を作った。

あとはアジトに運んだ後でティアナを起こす。

いや、違うな。

気絶したふりをしているティアナに到着の合図を送る。

これで計画完了。

 

ちなみに到着してからのティアナの第一声が

「しけた拠点ね。」

だった。

俺は悪くない…よな?

 

そのあと俺はティアナにカードを1枚渡した。

イグナイト・マグナムのカードだ。

ティアナに渡すとカードが光る。

やがて胸から大量のカードが吹き出して1つのデッキとなった。

 

ティアナのデッキカテゴリーは、イグナイトだった。

それも、俺とは異なるイグナイト。

俺のデッキはスキルドレインで効果を無効、ヒトカゲ(ヘルプロミネンス)で表側炎モンスター以外をぶっぱする

いざとなればイグナイト・バーストによって道を開ける、そんなデッキだ。

その都合上、フィールドで効果を発動するエクシーズ含むモンスターカードは入っていない。

だがティアナは違う。

エクシーズモンスターやイグナイト・スティンガーやイグナイト・アヴェンジャーも入っている。

銃撃を得意とする彼女にはお似合いのカードだ。

ふと、開け放っていたドアから声が聞こえる。

「ちょっといいか?」

「ジェイルか、なんだ?」

「あなたが、ジェイル・スカリエッティ…?」

「そうとも。話すのは初めてだな、ティアナ・ランスター。」

「刃から話は聞いています。今回の件、助力させていただきます。」

「そうかしこまらなくていいんだ、気軽に行こうじゃないか。」

「気軽すぎるのも考えものだがな。お前の部屋また散らかってたぞ。」

「なっ!失敬な、片付けておいたぞ!」

「お前それ机の上で山になってただけだからな?」

ジェイルが咳払いで話題を切って、本題を切り出す。

 

「新たなメンバーが増えたので君に挨拶を、とな。入りたまえ。」

その言葉で入ってきたのはナンバーズスーツの上にジャケットを着こんだ女性、ギンガ・ナカジマだ。

その右目は金色の、左目は青みがかった色の鮮やかなの輝きを放っていた。

「紹介しよう、ナンバー13だ」

「ケインズ・デビルか?」

「それはNo.13だ!」

「まさか…洗脳を…!」

 

 

「それはないよ。」

ティアナの発言を遮ったのは、ナンバーズ13。

「私の説得に耳を傾けてくれたのが幸いしたよ。」

「驚いた…あたしはてっきり、聞いてくれなきゃ即座に洗脳をかけるようなやつだと思ってたんだけど…。」

「彼のお陰さ。彼の存在あればこそ、私は短略的な行動を取らなかった。」

ジェイルは話を次へと切り替える。

「さぁ、我らの計画には必要な欲しいものがある。管理局瓦解の為のマーシャルウェポン。強弱を入れ換える、最後の切り札。」

ジェイルは画像を空間に投影する。

そこには、

「それの名を人は、聖王のゆりかごと言った。」

1隻の船が写し出されていた。



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turn23「脈動」

低評価を食らってちょっとメンタルにダメージ入ってます。
自分でも思ってるけど…やっぱ他人から言われると傷が深いや

あ、水着ガチャ引きました。
大爆死でした。


周囲が闇に包まれた世界で、一つの存在が咆哮を静かに鳴らしている。

 

─ダカマ…

 

─イタイカタタハレワ…

 

唸りをあげ

 

─イタシロボホヲテベス…!

 

牙を尖らせ

 

─エカタタ…

 

─エカタタ…!

 

目を邪悪に染め上げ

 

─ロレイケウヲレワ…!

 

─ヘタナカノクリツサ!

 

その腕を奮い立たせ

 

─ヘココヲイソラア

 

言語を変え

 

─滅びを…ここへ

 

人の形をとり

 

─我は貴様を受け入れようぞ…

 

その輪郭は

 

─あぁ…

 

─戦いがしたい…

 

どこか見覚えがあった

 

─血を浴びたい…

 

その存在は悶えて狂い

 

狂い

 

狂い

 

狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂い狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂狂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ…!はぁ…はぁ…はぁ…。」

そこで刃は目を覚ました。

「なんだ…今のは…!」

掌のじっとりとした汗の感触を感じながら、ベッドに腰掛ける。

「何か飲もう…そうすればあの夢も晴れるはずだ…。」

「どしたの?その顔。それにうなされてたけど。」

いつ起きたのか、ティアナが片肘をついて刃を見ていた。

「…なんでもない、ただ悪い夢を見ただけだ。それよりも…お前、見ていたな?」

「環境変わって寝付けなかったの、察しなさい。それより、飲むんでしょ?付いていくわ。」

「お前も?」

「えぇ、ちょうどあたしも喉がカラカラなの。」

「いいだろう。」

そう言って刃は寝巻きの上にパーカーを、腕を通さず羽織る。

ティアナも真似をして着る。

 

少し肌寒い廊下を、歩いている。

「それで、どうなんだ?ここでの生活は。」

「まぁまぁね、なのはさんとは違うタイプの訓練だけど、あたしにはわりにあってると思う。銃しかり、デュエルしかりね。棒立ちになるなとか狙いすぎとか、言われてたっけ。それでも…強くなったんだってしっかりわかるの。」

「そうか…ん?あれは…」

ふと前を見ると、ジェイルがベンチでうなだれていた。

「ドクター、あんた一体どうしたの?」

「ん?あぁ、ランスターか。ちょっと…な。」

刃はティアナとジェイルの会話を尻目に、自販機へと向かう。

 

「…無限の欲望たる私でも…ゲートは出来なかった。届きはしたさ、信号がな。」

「信号?」

「あぁ、コウモリの超音波って知ってるか?」

「ううん、そんな詳しくは知らない。」

「…コウモリはな、目が見えないんだ。だから超音波を発し、反射するまでの差で物体との距離を測る。これは現代の技術にも使われている。測量機や金属探知機なんかがそうだ。」

「…つまりは信号が帰ってこなかったのか。」

「いや、見つけることはできたさ、ただ…。」

「ただ?」

「小さかったんだ、穴がな。通せないことはない、だが広げても封筒サイズが限界だ。」

そこでジェイルは一度区切り、ティアナを向いて続けた

「簡単にはできない、そんなものは知っている。だがな、見つけることは出来なかった。無限の欲望と言われた私が、このザマだ。」

「でも、今も続けてるんでしょ?だったら見つかるんじゃないの?」

「…そうかもな…あぁ、そうだ。ありがとう、ティアナ・ランスター。君は…優しいのだな。」

「別に?ただ私は、単純に見て見ぬふりができないだけ。それにさ、ドクター。そんな目の下にクマ作って頑張ってる人に、無下な扱いができないの。目の下のクマ、気がついてない?」

ティアナが懐から取りだし、開いて差し出したコンパクトミラー。そこには顔が少しやつれ、目の下にうっすらクマができた男の顔ができていた。

「…っはは、本当だ。」

「気をはるなと言っただろう?」

声に反応して、ふたりはその方向を向く。

「刃…。」

そこにはボトル2本と缶1本をそれぞれ別の手に持った刃が立っていた。

「好物がないかと探していたが…やれやれ、どうやらなかったようだ。仕方なしにコーラを選んだが…よかったか?ティアナ。」

クスッと笑ってから、ティアナは答える。

「いただきます。」

「ジェイル、お前にはこれだ。」

「缶コーヒーか…なかなかに温かい…」

「ブラックでよかったか?」

「飲めなくはないさ、ミルクコーヒーが好みだがね。だがまぁ、ちょうどよかった。」

そう言ってジェイルは受けとる。

カキャッ、と音をたてて缶コーヒーがあく。

「じゃあ、俺も。」

フシュ、と鳴ったところで一旦手を止める。

少し待った後でもう一回、今度は完全に開ける。

あいたボトルコーラを口につけて流し込む。

ティアナも真似をしてあけ、喉を潤す。

「…ふぅ、おいしい。そういえばなんで途中で開けるのを一度やめたの?」

「あれか?ああやると吹き出しにくいんだ。いざ吹き出そうものなら、一度閉めればいい。受け売りだけどな。」

「賢いじゃない、その人。」

「まぁな。ジェイル、お前が言っていたゲートって言うのはできたか?」

「…いや、まだだ。」

「そうか…焦らなくていいぞ。お前ならいつかできるって思って待つ、俺にできるのはそれだけだ。」

「恩に着るよ。ところでランスター、君はカードの使い方が理解できたか?」

「まぁね、ギンガさんには及ばないけど…それでも頑張ってる。ナンバーズの子にはデバイスでの戦闘を教えてもらってる。」

「本来なら俺が教えるべきだったんだが…あいにくと銃の使い方はあまりわからない。闘い方もな。」

「いいの、苦手なことも分からないものも誰にだってあるし。あーそうだ。」

そう言ってティアナはポケットをまさぐる。

そうして出てきたのは1枚のカード、進化する翼

「このカード、あんたに返すわ。あなたのでしょ?」

「…いや、それはお前が持っていろ。お前の心を象徴するカードだからな。それに渡した手前、返してもらうなんて俺にはできない。」

「…そう、ならサイドデッキにでも入れておく。」

「…俺は先に戻る、ティアナも落ち着いたら寝ておけ。」

「了解。」

その言葉を最後に、刃は廊下の暗闇に消えていった。

「ねぇ、ジェイル…」

「ん?なにかな?」

「…刃は…何か病気でも患ってるの?」

「いや、患ってないさ。それがどうしたのか?」

「寝てるときに胸を押さえてたからどうしたのかと…」

「…刃は何かに憑かれている。科学者がオカルト思考など馬鹿げているとは…私でも思う。だがそうとしか思えない…」

「…一体…なにが…」




今回は不穏さを出してみました。

それと書くネタが尽きてきました。
ゆりかごまでカットしてもいいのかな?これ


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turn24「対立」

お待たせしました。
最新話、投稿です。


 

カードは長く愛用すると意思をもつということをご存じだろうか。これはオカルトでもなんでもなく、事実である。質量を持ったソリッドヴィジョン、リアリックソリッドヴィジョンによって証明されている。身近な話だとサイバー・エンド・ドラゴンが使い手の指示に従い、救助を行ったというエピソードがある。意思をもつカードは使い手に正直である。カードを信じればそれに応え、その逆もまたしかり。カードは人の心となり、モンスターは使い手を支える。モンスターとデュエリストとモンスターは、互いに支えあう存在なのである

─デュエルスクール高等部教科書『カード学』4ページ『カードが持つ意思』より抜粋

 

早朝、俺はティアナとともにデッキの調整をしていた。

「えっと…こうしてこうして…ここで効果を…」

目の前ではデッキ調整の一環としてソロソリティアをしている。

実際、一人で回すのは大事だ。

どのカード出たらこう回す、と考える事ができるのと抜けたカードが無いかの確認ができる。

…思慮なき言い方をするなら、ボッチにお誂え向きだ。

「よし…外でも歩くか。」

デッキの調整があらかた終わった俺は、外をぶらつこうと立ち上がる。

 

─ラボから離れた森林

夜も真っ盛りで、ふくろうが鳴いている。

月明かりが木々の葉の隙間から木漏れ日のように降り注ぐ。

「これが風情ってやつか…ん?」

俺はいく道の先に人影を見つけた。

赤い結わえられた髪、

赤いバリアジャケット、

剣を背負って、

こっちを見据える鋭い眼光。

俺はそれにそぐうやつを一人だけ知っている。

「ここまで来るとは大層な暇人だな、シグナム。」

俺はシグナムにそう投げ掛けるが、帰ってきた言葉は意表を突くものだった。

「ほう…この体の持ち主はシグナムというのか…。」

「この体の…!?お前は誰だ。」

「我が名はカペラ、星の戦士セイクリッドの後釜であるテラナイトの1人だ。」

「セイクリッド!?ヴェルズとの戦いで散った戦士の衆軍!なぜそれを…」

「お前達の話は聞いた。異界より現れ、侵攻を阻止した誇り高き集団。プレアデスはそう言っていた。だがなぜだ、なぜ戦おうとする。お前達の世界は平和であり、こちらに手を貸す義理は無かった筈だ。」

「…あいつは、読んでいたんだ。ヴェルズの集団をほっておけば、俺たちの世界まで侵攻するってな。だから戦った。俺は自分の国の政府は嫌いだ。正義を盾に非道を正当化し、心を蹂躙する。メディアによる印象操作は数多くあり、都合の悪いことは報道しない。だが俺は…俺がいる世界を嫌いにはなれなかった。破綻してると思うか?勝手に思え、俺の思想は俺の思想だ。」

「ならばその意志、私に見せるがいい」

そう言ってシグナム─の体を使っているカペラは右腕を掲げる。

光の粒が集まり星を意識したようなものがあらわれて腕につき、銀色の目でこっちを見据えていた。

「あぁ…そうかよ!」

そう言って俺はデュエルディスクを構える。

それを見て相手も、かかってこいと言わんばかりに構える。

「「デュエル!!」」

─精霊世界の戦士との戦いが、始まろうとしていた。




マスタールール4を許すな

次回予告(by刃)
精霊世界の戦士、星因子とのデュエルを始める。
俺の知らない戦士…
3体の素材でエクシーズだと!?
面白い、その壁を越えさせてもらう!
次回「輝星」
カードを信じて、次もデュエルだ!


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turn25「輝星」

デュエル開始の宣言をしろ!ジェイル!
スカ「デュエル開始ィィィ!」


「私のターン!私は手札から星因子(サテラナイト)プロキオンを召喚!」

 

シグナム(カペラ)

H5→4

 

カペラの腕のデュエルディスクにカードをセットして現れたのは、フラフープを持った小さな戦士。その輪の一部には球体がついていた。

「そして召喚に成功したことで効果が発動。手札から星因子モンスターを1枚墓地に送り、1枚ドローする。これによって星因子ベガを墓地に送り、1枚ドロー!」

「手札交換能力…」

「カードを1枚伏せ、ターンエンド。」

 

シグナム(カペラ)

H4→3

 

「俺のターン!」

滑り出しは悪いが…まぁいいだろう

「手札からイグナイト・マスケットを召喚!そして連合軍を発動!フィールド戦士族、魔法使い族モンスターの数×200ポイント、戦士族モンスターの攻撃力はアップする!」

 

火上 刃

H6→4

 

イグナイト・マスケット

ATK 1400→1600

 

「バトル!イグナイト・マスケットで星因子プロキオンを攻撃!ブレードショット」

 

1600vs1300

 

「ふん…。」

 

シグナム(星因子カペラ)

LP8000-300=7700

 

「カードを二枚伏せ、ターンエンド。」

 

火上 刃

H4→2

 

もし攻撃されても、炸裂装甲(リアクティブアーマー)がある。これなら…まだいいな。

「私のターン、ドロー。手札から星守る結界(ヘキサ・テラナイト)を発動!テラナイトXモンスターはオーバーレイユニットの数×200ポイント、攻撃力がアップする。そして私は手札から、星因子アルタイルを召喚!」

 

シグナム(カペラ)

H3→4→2

 

青い翼を生やした戦士が流星のようにあらわれる。

「召喚に成功したことで、星因子アルタイルの効果する!墓地からテラナイトモンスターを墓地から1体特殊召喚する!来い、星因子ベガ!」

 

シグナム(カペラ)

H2→1

 

星因子アルタイルが印を刻んで右手を地面に押し付ける。すると三角形3つで構成された六角形が現れて輝き、その中心から天女のようなモンスターが浮かぶ。

「更に星因子ベガが特殊召喚に成功したことで効果が発動する!」

「特殊召喚でも発動するのか!」

「星因子ベガの効果で手札から星因子モンスター1体を特殊召喚する!手札から星因子モンスターデネブを特殊召喚!」

 

シグナム(カペラ)

H1→0

 

ベガが前に手をかざすとまたマークが現れ、そこから剣を持った戦士が飛び出す。

「更に星因子デネブの効果で、デッキから星因子モンスターを1体、デッキから手札に加える!」

 

シグナム(カペラ)

H0→1

 

「サルベージに特殊召喚、更にサーチ…ベガを墓地に送ったのはこのためか!」

「そして星因子ベガとデネブ、そしてアルタイルでオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!」

3つの球体が渦に飲み込まれて爆発。そして戦士が現れる。

「大三角の高潔なる騎士、今ここに目を醒ませ!星々の使者、星輝士(ステラナイト) デルタテロス!」

 

星輝士 デルタテロス

ATK 2500→3100

 

「デルタテロスの効果!オーバーレイユニットを一つ取り除き、相手のカードを破壊する!お前から見て右のセットカードだ!」

デルタテロスがセットカードに肉薄し、剣を突き刺す。

突き刺されたカードは破壊され、フィールドから消し去られた。

「何!?炸裂装甲が…!」

 

星輝士 デルタテロス

ATK3100→2900

 

「バトル!デルタテロスでマスケットを攻撃!スターライトドライブ!」

デルタテロスが剣を天に突き立てると、剣に光がまとわりつく。その剣を一旦引いてからマスケットに対してつき出す。

剣より放たれるは星光の奔流。

そのままでマスケットが奔流に飲み込まれて爆散、そして余波が俺に襲いかかる。

「通すものか、トラップ発動!ドレインシールド!攻撃を無効にし、攻撃力の分だけライフを回復する!」

 

火上 刃

LP8000→10900

 

「私の手札には1枚のカード…どう来るか見せてもらう、ターンエンド。」

 

「俺のターン!」

 

火上 刃

H2→3

 

「マジックカード、イグナイト・ユナイトを発動!場のイグナイトモンスターを破壊しデッキからイグナイトモンスターを…」

「カウンタートラップ、マジックジャマー!手札1枚をコストにすることで発動!」

「そのカードがあったか…!」

「星因子シャムを墓地に送り、イグナイト・ユナイトの効果を無効にする!」

 

シグナム(カペラ)

H1→0

 

火上 刃

H3→2

 

「ちっ…!」

俺の手札にはモンスターが2体…スケールは揃ってはいる…が、次のターンに出せるモンスターは恐らくイグナイト・マスケットのみ…そうなれば出したとしても次のターンで破壊される…。

俺がやることは…

「俺はモンスターをセットせず、ターンエンド」

「愚かな…私のターン!」

 

シグナム(カペラ)

H0→1

 

「オーバーレイユニットを一つ取り除き、セットモンスターを破壊する!」

 

星輝士 デルタテロス

ATK2900→2700

 

「そしてダイレクトアタック、スターライトドライブ!」

 

火上刃

LP10900→8200

 

「っづ…!」

「ターンエンド!」

モンスターがなくなった…!ドレインシールドでLPは増えているが…かなり…まずいな…。

「俺の…ターン!」

 

火上 刃

H2→3

 

「トラップ発動、輝士の奇襲!手札の星因子モンスターを相手に見せて発動!相手のデッキトップを互いに確認し、モンスターカードなら除外する!そうでなければ相手の手札へ!この効果で私は手札の星因子シリウスを見せる!」

「俺のデッキトップは…っ!」

俺はデッキトップを確認する、俺は確認したカードを見てしたり顔を浮かべた。

そのカード相手に見せて宣言する。

「俺のデッキトップは、補給部隊!」

「なんだと!?」

「よって俺の手札へ加える。そしてそのまま発動する!」

 

 

火上 刃

H3→4→3

 

「待ってたぜ、お前を!俺はスケール7のイグナイト・ライオットとスケール2のイグナイト・デリンジャーで、ペンデュラムスケールをセッティング!」

2枚のカードを上空へ投げ放つとカードは導かれるように飛んでいき、光の柱と振り子が現れる。

 

火上 刃

H3→1

 

「ペン…デュラム…!?」

「振り子の力、思い知れ!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから、イグナイト・マスケット!そして手札から、イグナイト・デリンジャー!」

 

イグナイト・マスケット

DEF1900

 

イグナイト・デリンジャー

ATK2400→2800

 

火上 刃

H1→0

 

「バトル!イグナイト・デリンジャーでデルタテロスを攻撃!苦無霊弩!」

「くっ…星守る結界の効果!手札の星因子モンスターを捨てて、テラナイトXモンスターへの攻撃を無効にする!」

 

シグナム(カペラ)

H1→0

 

「防がれたか…ターンエンド!」

「私のターン、ドロー!私はデルタテロスの効果を発動!イグナイト・デリンジャーを破壊する!」

 

シグナム(カペラ)

H0→1

 

目の前でデリンジャーが腹部を剣で貫かれ爆発する。

まだだ…まだ戦える…

 

星輝士 デルタテロス

ATK2700→2500

 

「バトル!デルタテロスでイグナイト・マスケットを攻撃!スターライトドライブ!」

マスケットが星の奔流に飲み込まれ、爆発。

守備表示のためダメージは無かった。

「メインフェイズ2、貪欲な壺を発動!墓地のモンスター5体を選んで発動!デッキに戻してシャッフルし、2枚のドローを行う。」

ベガ

デネブ

アルタイル

プロキオン

シリウス

「この5体をデッキに戻してシャッフルし、2枚のドロー!」

 

シグナム(カペラ)

H1→0→2

 

「私はこれでターンエンド。さぁどうする、少年!」

「俺のターン、ドロー!」

俺はデッキからカードを引き抜く。

 

火上 刃

H0→1

 

「どうだ?モンスターは引けたか?」

「俺はフィールド魔法、イグニッションF(フェニックス)を発動!イグナイトモンスターの攻撃力は200アップ!」

「そんなカード、今発動してなんの意味が…」

「さらにもう一つの効果!イグナイトカードを破壊することでイグナイトカードをデッキからサーチ!これによってペンデュラムスケールのイグナイトデリンジャーを破壊し、最後のイグナイト・デリンジャーを手札へ!」

 

火上 刃

H0→1

 

「何!?」

やっと理想の動きが始まった!

「イグナイト・デリンジャーをペンデュラムスケールにセッティングしてペンデュラム召喚!2体のイグナイト・デリンジャー!そしてイグナイト・マスケット!」

 

火上 刃

H1→0

 

イグナイト・デリンジャー

ATK2400→3000→3200

 

イグナイト・マスケット

ATK1400→2000→2200

 

「バトル!デリンジャー2体で攻撃!苦無双霊弩!」

「1体目の攻撃は、星守る結界の効果で星因子リゲルをコストに無効!」

 

シグナム(カペラ)

H2→1

 

「なら2体目の攻撃を受けろ!」

「くっ…手札の1枚は星因子モンスターではないため、コストにできない…よってデルタテロスは破壊される…!」

 

シグナム(カペラ)

LP7700-700=7000

 

「イグナイト・マスケットでダイレクトアタック!ブレードショット!」

「ぐ…」

 

シグナム(カペラ)

LP7000-2200=4800

 

「ターンエンド。」

「…まさかここまでやるとはな…私のターン、ドロー。」

 

シグナム(カペラ)

H1→2

 

「このカードが来たか…速攻魔法、三連星因環(テラナイトトライループ)を発動!デッキから名前の異なる星因子モンスターを3体、効果を無効にし表側守備表示で特殊召喚する!このカードを発動するターン、テラナイトモンスターしかフィールドに出せない。が、私のデッキにはテラナイトモンスターしかいない。」

「デメリットを無視できるって訳か…」

「現れよ、ベテルギウス!シリウス!プロキオン!そしてこの3体でオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚!」

渦の爆発と共にエクシーズモンスターが現れる。

「大三角の冷徹なる騎士、今ここに鉄槌を下せ!闇を祓え、星輝士 トライヴェール!」

─3つの輪を組み合わせた盾を持ち、鋭利な剣を突きつける騎士の姿が、そこにはあった。




オリカを2枚登場させましたが…どうでしょうか?


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外伝
turnEX「一方」


今回の視点は刃の元々の世界の三人称視点です


ここはクロノス市、その中央区にあるデュエルスクール。

そこの廊下を1人の少年が走っていた。

窓から見える太陽は、山に入りかかっていた。

やがてドアの前に立ち、勢いよくあける?

「はぁ…はぁ…」

「ん?冨樫、お前なにしてんだ?」

冨樫と呼ばれた走って来た少年は、声を大きくして聞いた。

「グラッツ、刃の反応が消えたって本当なの!?」

グラッツと呼ばれた青年が答える。

「あ、あぁ。数日前から反応がないんだ。」

「精霊世界を探してみたんだけど…結果は同じだった。」

椅子を反転させてオペレーターの女性も答える。

「そんな…」

「施設に負担はかかるけど…他の世界にもアクセスをかけてみる。」

「ま、俺としては関係無いがな。むしろ清々する。」

ソファーから白髪の少年が起き上がる。

「シュン、てめぇ!」

シュンと呼ばれた少年が声を無視してあくびをかく。

「落ち着けって。とにかく、刃の行方はこっちが探す。」

「リーダー、もしかしてどっかで油売ってんじゃないのぉ?」

栗色の毛の少女が気軽い声で聞く。

「レナ。いや、今はリナか。それは無い。」

「どーしてぇ?」

「電源を切っているなら切っているなりの返答がある。切ってても通信は受けとるからだ。」

「今回のケースは、そもそも受け取れてないケース。こっちが厄介なんだ。」

「ふぅーん?」

「刃は生きているはずさ、今までだってそうじゃないか。精霊世界のヴェルズ軍勢を退けた俺たちのエースだろ?」

「そりゃ…そうだけど…。」

「レイジを失った痛みも、仲間を心配する心も分かる。だけど、俺たちには今がある。今があるってことは次もある!だから…だから今は、揉め事を起こさないでくれ。」

「はぁ…分かった…。ただしだ、そこまで言ったんだ。見つけ出せよ。」

「分かってる。全力で見つけ出す。」

「…」

冨樫は右側面のポケットから2枚のカードを取り出した。

そのカードのは赤い二刀流のペンデュラムモンスターと、拘束具に繋がれた拳闘士が描かれた黒枠のカードがあった。

その2枚のカードを握った右手を、彼は額に押し当てた。

「無事でいてくれよ…頼むからさ…。」

「刃…。」

リナと呼ばれた少女からは気軽さが消えていた。

「レナ…。大丈夫だ。アイツのことだ、ケロッと帰ってくるさ。」

リナと呼ばれた少女の主人格、レナはうつむく。

グラッツは体をかがませ、レナの頭に手を乗せた。

「義父さん…。うん、そうだよね。きっと大丈夫だよ。」

グラッツは立ち上がって、モニターの方を向く。

(お前なら大丈夫だよな?そうじゃなかったら…ただじゃおかないぞ…!)

グラッツは誰にも気づかれないように、険しい顔をした。

 

シュン以外は、その表情に気がつかなかった。



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