暁に響く雷電 (ぬべすこだお(^q^))
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始まりの海
降りてきた侍


2XXX年

 

 

 

 

人類が制海権を奪われた世界。

 

 

 

 

 

その原因となるのは突如として現れた『深海棲艦』と呼ばれる謎の存在だった。

 

 

 

 

駆逐級から超弩級戦艦等が揃い、猛威を奮っていた。

 

 

 

 

 

それに対抗する唯一の手段、在りし日の艦艇の魂を持つ『艦娘』であった。

 

 

 

 

艤装と呼ばれる武器を装備し、生まれながらにして深海棲艦と互角以上に戦える力を持っている娘達である。

 

 

 

 

 

 

 

これは各地にある『鎮守府』と呼ばれる拠点の1つであったお話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

X月X日

 

 

 

 

 

この日、鎮守府に新たに提督が着任する日。

 

 

 

 

 

 

その日、

 

 

鎮守府に迫る深海棲艦があった。

 

 

 

 

 

 

海上では

 

 

 

服装は同じだが、髪型、髪の色が違う四人の少女が戦っていた。

 

 

 

 

「ふにゃああああ!!」

 

 

 

 

 

 

特Ⅲ型駆逐艦 四番艦 電 敵の直撃弾により大破

 

 

 

 

その他

 

特Ⅲ型駆逐艦 一番艦 暁

特Ⅲ型駆逐艦 二番艦 響

特Ⅲ型駆逐艦 三番艦 雷は未だ健在

 

 

 

しかし………

 

現状は厳しいものだった。

 

 

 

敵深海棲艦

 

戦艦ル級 三隻 健在

 

 

 

 

 

 

 

暁「流石に私達の火力じゃ敵わないわね……」

 

 

 

 

 

濃い紫色の髪の少女が言う。

 

 

 

 

 

 

 

響「………雷、電の様子は?」

 

 

 

 

 

水色の長い髪の少女が茶色の髪の少女達に聞く。

 

 

 

 

 

 

雷「一応、大丈夫………だけど………このままじゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

電「うぅ……ごめん……なさい……」

 

 

 

 

 

 

 

電の艤装は損傷し、電自身も立っているのがやっとの状態だった。

 

 

 

 

 

 

暁「やあっ!」

 

 

 

 

 

 

響「…………!」

 

 

 

 

 

暁、響の二人が深海棲艦に対し砲撃するが、ほぼ効果はなく、かすり傷を負わせる程度だった。

 

 

 

 

ル級も反撃し、暁達はギリギリのところで回避を行う。

 

 

 

 

 

 

暁「ああもう!なんなのよ!」

 

 

 

 

響「姉さん、魚雷は?」

 

 

 

 

 

暁「残弾ゼロよ…響は?」

 

 

 

 

 

響「私もだ……」

 

 

 

 

 

絶望的だな………

 

響はそう考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電「ううっ…………電を………置いて…いって………逃げて………」

 

 

 

 

弱々しい声で電が言う。

 

 

 

 

 

雷「そんなこと出来るわけないじゃない!!」

 

 

 

 

 

暁「そうよ!」

 

 

 

 

 

響「だが……このままでは全滅だ……」

 

 

 

 

 

 

響の言葉で全員が言葉を失う。

 

 

ここまでなのか……

 

 

その場の誰もが考えた。

 

 

 

 

 

 

そして戦艦ル級三隻は再び暁達に狙いをつける。

 

 

 

 

 

 

暁「でも……」

 

 

 

 

 

不意に暁が呟く。

 

 

 

 

 

 

暁「こいつらを鎮守府にいかせるわけにはいかないわ!」

 

 

 

 

 

響「姉さん……ああ、そうだな!」

 

 

 

 

 

 

雷「こいつら倒して電を助けるわ!」

 

 

 

 

 

 

電「で…でも……」

 

 

 

 

 

 

響「活路はあるよ………きっと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時であった、

 

 

 

 

 

 

 

「そう……活路はある!」

 

 

 

 

 

 

上空から男の声がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「えっ?えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「チェエエエエストォォオオオオオオオオオオオオ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

突如飛来した男は叫び声と共に持っていた刀身の長い刀で、

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 

 

ル級一隻を両断し、ル級は爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

 

 

 

男は煙が立ち込める中、暁達の方を向く

 

その姿は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響「サムライ……?」

 

 

 

 

 

上は黒い着物、下は白い袴、

 

黒髪の男の足には艦娘の艤装に似たものを装着していた。

 

 

 

 

男は問う。

 

 

 

 

 

「君達!君達の中で損傷が酷いものはいるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

雷「い、電が……!」

 

 

 

 

 

 

 

「……………大破…………ならば、早めに決めるしかなさそうだな」

 

 

 

そう言って刀を握り直す。

 

 

 

 

 

男は暁達に言う。

 

 

 

 

「君達は俺の援護を頼む!」

 

 

 

 

 

 

暁「はぁ!?あなた人間でしょ?」

 

 

 

 

 

 

「つべこべ言わずに砲撃頼む!活路を……斬り開くためにな!」

 

 

 

 

 

 

男はそう言って、残るル級二隻に突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 

ル級が男に対し砲撃するが、

 

 

 

 

 

 

 

「甘い甘い!!狙いが甘いぜ!!」

 

 

 

 

 

 

二隻の砲撃を完全に回避していた。

 

 

 

 

 

 

暁「……な、なんなの……あいつ………」

 

 

 

 

 

 

 

響「……………!」

 

 

 

 

 

 

響がとっさに援護の砲撃を行った。

 

 

 

 

 

 

暁「響!?」

 

 

 

 

 

響「あの人なら何とかしてくれる………そんな気がする……」

 

 

 

 

 

雷「………私も援護を!」

 

 

 

 

 

 

響に続き、雷も砲撃を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「フッ……それでいい……さて…」

 

 

 

 

男は刀を強く握りながら呟く。

 

 

 

 

 

 

 

「貴様等に……ニノ太刀はいるかな?」

 

 

 

 

 

男はル級に接近する。

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、もっとよく狙いなっ!!」

 

 

 

 

 

回避しながら、さらに接近する。

 

 

 

 

 

 

暁「なんなのよ…あいつ………もう!!」

 

 

 

 

 

 

痺れを切らした暁も砲撃を始める。

 

 

牽制程度にしかならないと言えど、三隻からの砲撃はル級二隻の砲撃を止めるには十分だった。

 

 

 

 

 

 

「どりゃぁぁああああああ!!」

 

 

 

 

 

男が間合いに入ったル級に刀を振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

 

 

バキィッ!!

 

 

 

 

 

 

「なにっ!?」

 

 

 

 

 

ル級に刀が当たった瞬間、刀身が砕け散った。

 

 

 

 

 

「チッ……試作段階じゃ………こんなもんか……!」

 

 

 

 

 

 

男は素早く後ろに下がろうとするが

 

 

 

 

ル級二隻が男に狙いをつけていた。

 

 

 

 

 

 

「しまっ!」

 

 

 

 

この至近距離、かわすことは不可能。

 

 

 

だが、

 

 

 

雷「させないわ!」

 

 

 

 

 

再び暁、響、雷の砲撃で敵の攻撃を止める。

 

 

 

 

 

「…(動きを封殺するとは……やるな!)…………行光、転送」

 

 

 

 

 

 

男が呟くと光の粒子が収束し1本の刀が出現した。

 

 

 

 

 

その刀を鞘から抜き、男は再び突貫する。

 

 

 

 

 

「でぇえええやああああ!!」

 

 

 

 

 

 

声と共に振り下ろした刀はル級を1隻、両断した。

 

 

 

 

 

そして、それを目の当たりにした残り1隻は体を反転させ、

 

 

 

 

 

暁「あ!」

 

 

 

雷「あのル級、逃げてくわ!」

 

 

 

 

 

 

 

離脱を開始。

 

 

 

 

 

 

 

暁「逃がさないんだから!!」

 

 

 

 

 

 

 

暁が追撃しようとしたとき、

 

 

 

 

 

 

 

 

「追うな!!」

 

 

 

 

 

 

暁「っ!!?」

 

 

 

 

男の声が暁を止めた。

 

 

 

 

 

 

「敵を追撃する前に、妹を助ける方が先じゃないか?」

 

 

 

 

 

暁「あっ…………」

 

 

 

電の事を思いだし、追撃を止めた。

 

 

 

 

「入渠して傷を癒した方がいい。もう手配させてある」

 

 

 

 

 

暁「なんであんたがそんなこと……………」

 

 

 

 

 

「何でって言われてもな…………ほら」

 

 

 

 

 

男は白い軍帽を見せる。

 

 

 

そこで響が気づく。

 

 

 

響「そうか………あなたが……」

 

 

 

 

 

雷「ハッ!新しい司令官!?」

 

 

 

 

 

 

 

「ああ…俺が新しく鎮守府に着任した…………島津九十九だ。よろしくな」

 

 

 

 

 

刀を収めながら男は言った。

 

 

 

 

 

 

 



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島津九十九


島津九十九(しまづ つくも)


20歳

黒髪 背は175ほど

侍のような格好をしており海軍制服は着ない。


新しい司令官として着任した。


 

 

雷「電、大丈夫?」

 

 

 

 

 

電「はい♪高速修復材をいただいたので大丈夫なのです♪」

 

 

 

 

響「司令官のお陰だね」

 

 

 

 

電「はいなのです♪」

 

 

 

 

第六駆逐隊の全員はドッグ(お風呂その他)で傷を癒し、九十九が待機している提督室に向かっていた。

 

 

 

 

 

雷「でも、驚きよね!生身の人間が深海棲艦を倒しちゃうなんて!」

 

 

 

 

暁「それよ。司令官って作戦指揮して命令するだけって聞いたんだけど……」

 

 

 

 

 

響「うん、大体あってるよ………(少し、調べてみようか…)」

 

 

 

 

響は皆にばれないように小さな携帯機器で映された画面で何かを調べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

電「あの人は優しそうな方なのです」

 

 

 

 

 

暁「そうかな?人は見た目とは違うって言うわよ?」

 

 

 

 

 

電「そんなことないのです!」

 

 

 

 

 

暁「どうかしら?もしかしたら暁達をコキ使うかも……」

 

 

 

 

 

雷「会う前から決めつけるのはよくないわ」

 

 

 

 

 

暁「まぁ、そうね……………って響、何してるの?」

 

 

 

 

 

響「少し調べものをね」

 

 

 

 

 

 

暁「何を調べてたの?」

 

 

 

 

 

 

響「………秘密だ」

 

 

 

 

 

暁「なによそれ!っと、着いた」

 

 

 

 

 

 

話をしているといつのまにか執務室と目印のある部屋にたどり着いた。

 

 

暁は一度深呼吸したあと、ノックをする。

 

 

そして

 

 

 

暁「………第六駆逐隊、暁、響、雷、電、入ります!」

 

 

 

 

 

 

九十九「どうぞ」

 

 

 

 

 

 

部屋の中から九十九の声がした。

 

 

 

暁達は扉を開け、入る。

 

 

 

 

入ると、九十九と1人の少女が立っていた。

 

 

 

 

 

暁達は横一列に並び、

 

 

 

 

 

暁「第六駆逐隊、全員揃いました!」

 

 

 

 

 

 

敬礼した。

 

 

 

 

 

 

九十九「うん。なおっていいよ」

 

 

 

 

 

暁「…………」

響「…………」

雷「…………」

電「…………」

 

 

 

 

 

 

九十九「電、体は大丈夫かい?」

 

 

 

 

 

電「は、はい!司令官さんからいただいた高速修復材のお陰で元通りなのです!」

 

 

 

 

 

九十九「それはよかった♪」

 

 

 

 

九十九は微笑む。

 

 

 

 

 

九十九「改めてもう一度自己紹介しておこうか、新しくこの鎮守府の司令官に着任した島津九十九。それとこっちは同じく着任した軽巡洋艦の夕張だ」

 

 

 

 

 

夕張「夕張よ。皆の装備開発は任せておいて♪よろしくね♪」

 

 

 

 

 

 

暁・響・雷・電「よろしくお願いします(なのです)!」

 

 

ここで暁が質問する。

 

 

 

暁「あの……質問いい?」

 

 

 

 

九十九「どうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「あなた本当にさっきの人と同じ人?」

 

 

雷「どうして深海棲艦と対等以上に戦えるの!?」

 

 

電「夕張さんはなぜ司令官と一緒に着任したのです?」

 

 

暁「ちょっ!!Σ( ̄□ ̄;)」

 

 

 

立て続けに3人が質問した。

 

 

 

 

九十九「えっと…………とりあえず1人ずつ答えようか。まずは暁から、さっきの戦闘から少ししか経ってないけど………顔忘れた?」

 

 

 

 

 

暁「忘れるわけないじゃない!だって、さっきと雰囲気全然違うから……」

 

 

 

雷「そう言われれば………」

 

 

 

 

 

暁の言葉に皆が九十九の顔を見る。

 

 

 

 

 

九十九「それは……二重人格…いや……癖……みたいなものだよ」

 

 

 

 

 

暁「何それ!納得いかない!」

 

 

 

 

九十九「………今はこれで納得してくれないかな?」

 

 

 

 

九十九が苦笑しながら暁に言った。

 

 

 

 

響「………ボソッ(姉さん、レディはそこで納得するものだよ)」

 

 

 

 

 

暁「うっ……わ、わかったわ!納得してあげる」

 

 

 

 

 

 

九十九「ありがとう。じゃあ次の質問は、雷だね」

 

 

 

 

 

雷「うん!」

 

 

 

 

 

 

九十九「そうだねぇ…僕がなぜ対等に戦えるか……夕張が開発してくれた僕専用の艤装と対深海棲艦用の刀があるからだよ」

 

 

 

 

 

雷「へぇ!夕張さんって凄いのね!!」

 

 

 

 

 

電「それだけじゃないのです!扱える司令官さんもすごいのです!」

 

 

 

 

雷「そうね!」

 

 

 

 

 

 

九十九「この回答でいいかな?雷」

 

 

 

 

 

雷「ええ♪」

 

 

 

 

九十九「最後に電の質問か。僕専用の艤装と刀は夕張が全て造ってメンテしてくれているんだ」

 

 

 

 

 

 

 

電「それは夕張さん以外造れないってことですか?」

 

 

 

 

 

 

夕張「まぁ、そうなるわね。だから提督の行く先に私が同行しておかないといけないわけよ」

 

 

 

 

 

 

九十九「これでいいかい?」

 

 

 

 

 

電「なのです♪」

 

 

 

 

 

 

 

響「ちょっと待って皆、肝心なことを忘れてるよ」

 

 

 

暁「え?」

 

 

 

肝心なこと、そう言った響は九十九に問いかける。

 

 

 

 

 

響「私からも質問する…………司令官の戦う意味を教えてほしい」

 

 

 

 

 

九十九「…………そうきたか……」

 

 

 

 

響「私なりに司令官の事を調べてみたよ………」

 

 

 

 

 

 

そして響は端末機から映し出される小さなモニターを見ながら口を開ける。

 

 

 

 

 

 

響「島津九十九。歳は二十歳。生まれは薩摩……だから、鹿児島になるね。三年前剣道の世界大会で優勝してる」

 

 

 

 

暁「…………(凄い…)」

 

 

 

 

 

響「優勝した試合の後、突如として現れた深海棲艦の対地爆撃で家族を全員失ってる」

 

 

 

暁「えっ!?」

 

 

電「そんな……」

 

 

九十九「…………………」

 

 

 

 

 

九十九の顔から笑顔は消えていた。

 

響は続ける。

 

 

 

 

 

響「司令官、もう1つ質問。家族を失ってから何をしてたの?」

 

 

 

 

 

雷「それってどういうこと?」

 

 

 

 

 

響「データベースの経歴に3年間、空白になってたんだ。最近のことは載ってたけど………」

 

 

 

 

そして部屋に沈黙が訪れた。

 

 

 

 

九十九「……隠し事は……良くないか………」

 

 

 

 

夕張「提督……」

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「いいんだ。僕は三年前、家族を失った。その時、運良く生き残った僕は…………深海棲艦を……………皆殺しにしてやると誓った」

 

 

 

 

 

 

 

響「!」

暁「!」

雷「!」

電「!」

 

 

 

 

九十九「ちょうどその時だったよ、ある研究所の人間が僕を誘ったのさ……力が欲しいかって」

 

 

 

 

響「…………」

 

 

 

電「……だ、誰だったのです?」

 

 

 

 

 

九十九「……………響、無頼第4研究所って検索してみてくれ」

 

 

 

 

響「待って……………………………………っ!?」

 

 

 

 

端末機を使い、九十九から言われた言葉を検索した響は言葉を失った。

 

 

 

 

 

暁「な、何があったの?」

 

 

 

 

響「…………………自分で見た方が………早い…」

 

 

 

 

 

そして響が端末機を暁に渡し、それを雷と電も見る。

 

 

 

 

暁「えっと…………無頼第4研究所………人体強化実験………死者多数!?」

 

 

 

 

 

雷「え!?」

 

 

電「!?」

 

 

 

九十九「……………僕を誘ったのがその研究所の人間だったよ」

 

 

 

 

 

 

 

響「…………実験って何をされたの?」

 

 

 

 

 

 

九十九「……そうだな…………その前に、その時の話をしよう……当時は、君達艦娘の実装配備があまり充実していなかった。そこで武器を扱うのに長けた人達を集め、艦娘の代わりにしようとした……文字通り兵器として…」

 

 

 

雷「そんな………実験にはどのくらいの人が参加していたの?」

 

 

 

九十九「僕が知る限り………100人程かな」

 

 

 

電「そ、そんなに!?」

 

 

 

 

響「たぶん武器の以外にも身体能力の高い人もいたと思うよ。武術や柔術とか」

 

 

 

 

九十九「ご名答だよ、響」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「………………そこでは、身体能力を限界以上の力を引き出す実験が行われていた」

 

 

 

 

 

雷「そんなことできるの?」

 

 

 

 

 

 

九十九「少なからず出来たよ………だが………」

 

 

 

 

九十九は言葉を濁らせる。

 

 

 

 

 

 

暁「……………なんなの?」

 

 

 

 

 

九十九「限界を超えるために何のリスクもないなんて事はない………」

 

 

 

 

響「……………もしかして……死……」

 

 

 

 

九十九「………そうだね……限界を超えた瞬間、肉体が耐えられず死んだ人もいた……でも大方の人は心が死んでしまった……」

 

 

 

 

響「心が………死ぬ?」

 

 

 

 

夕張「提督の言ってる心が死んだっていうのは精神崩壊してしまったことを言ってるわ」

 

 

 

 

電「せ、精神が崩壊してしまった人はその後、どうなるのです?」

 

 

 

電の問いに九十九は

 

 

 

九十九「…………………処分………だ。身体能力の上昇値のデータを取り終えたら殺されていた………」

 

 

 

 

雷「そんなの…………あんまりよ!」

 

 

 

 

九十九「……日に日に皆おかしくなって……死んでいって………最後、僕の番が回ってきた」

 

 

 

 

暁「…………」

 

 

 

 

響「司令官はなぜ逃げ出さなかったの?」

 

 

雷「そうよ!自分が死ぬかもしれなかったのに!!」

 

 

 

雷の目には少し涙がたまっていた。

 

 

 

九十九「………あのときの僕はただ力が欲しかった………深海棲艦に対する憎しみでいっぱいだった………」

 

 

 

 

暁「………でも、司令官は生きてるわ」

 

 

 

 

九十九「ああ………力は手に入った。でも、僕の心は壊れたよ………感情は消え去り、体の全て僕の意思で動けなくなってしまった……」

 

 

 

 

暁「それって?」

 

 

 

 

九十九「命令されるがままの存在…………研究所の奴等の望んだ物になってしまった……」

 

 

 

 

 

響「兵器…………って事?」

 

 

 

 

九十九「ああ………」

 

 

 

響「それから…………それから、司令官はどうしていたの?」

 

 

 

九十九「…………1年………少しかな。奴等の言われるがまま……深海棲艦とのデータ収集なと様々な事をやらされた……今思うと………あの時の自分に反吐が出そうだ………」

 

 

 

 

 

とても重苦しそうに話す九十九を見て響は

 

 

 

 

響「……………ここで止めよう司令官。姉さん達もいいね?」

 

 

 

九十九の事を思ってか、話の打ち止めを提案した。

 

 

 

暁「そうね」

 

 

 

 

雷「ええ」

 

 

 

 

電「なのです」

 

 

 

 

 

 

九十九「………すまない」

 

 

 

 

そして執務室に流れる重苦しい空気を夕張が両断する。

 

 

 

 

夕張「さぁ!ものすごく辛気くさい話は終わったし、提督!」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「ん?ああ……うん。これから注意事項とかその辺りの事を言うから聞いておいてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「………」

 

 

 

響「…………」

 

 

 

雷「……………」

 

 

 

 

電「……さっきのお話からの温度差なのです……(-""-;)」

 

 

 

 

 

響「電、それは言わない約束だよ(・・;)」

 

 

 

 

九十九「5つあるからね。1つ目、基本的に僕は建造はしない。君達が必要ならば僕に言ってくれ、資材は必要分あげるから」

 

 

 

 

暁「うん」

 

 

 

 

 

九十九「2つ目、秘書艦は1日交代。これは僕が君達を知るためと僕を知ってもらうためだよ」

 

 

 

 

響「わかった」

 

 

 

 

九十九「3つ目。出撃の時は僕も出るから」

 

 

 

雷「へ?」

 

 

 

 

 

九十九「大丈夫だよ。さっきも見た通り、僕はある程度なら戦えるからね」

 

 

 

 

 

電「でも、司令官さんにもしもの事があったら………」

 

 

 

 

 

九十九「大丈夫大丈夫♪」

 

 

 

 

暁「………(ノリ軽いなぁ……)」

 

 

 

 

九十九「4つ目。秘書艦以外は開発や遠征を行うこと。これは交代で決めておくからね」

 

 

 

 

 

電「わかったのです!」

 

 

 

 

 

 

九十九「そして……最後、5つ目……」

 

 

 

 

 

そこで九十九は言葉を止めた。

 

 

 

 

 

 

 

響「どうしたんだい?」

 

 

 

 

 

九十九「最後の5つ目は、注意事項とは少し違うかな………」

 

 

 

 

 

 

暁「もお!もったいぶらずに早く言ってよ!」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「そうだね……じゃあ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は君達が………………

 

 

 

 

 

兵器じゃない事を証明してみせる」

 

 

 

 

 

暁「!!」

響「!!」

雷「!!」

電「!!」

 

 

 

 

その言葉に暁達は驚いた。

自分達は深海棲艦と戦うためだけの存在、

わかっていた………特に否定もしなかったし、仕方ないと思っていた。

 

 

だが、それを否定する人間が目の前にいる。

 

 

 

 

 

九十九「………君達、艦娘も人間だ。だって………」

 

 

 

 

 

 

九十九は一度言葉を切り、そして

 

 

 

 

 

九十九「生きている。君達も、笑い、悲しみ、怒り。皆、戦う運命を背負っていても、一生懸命、今を生きているから」

 

 

 

静かに言葉を繋ぐ。

 

 

 

 

 

九十九は続ける。

 

 

 

 

九十九「君達を兵器として扱う心ない提督もいる………でも僕は君達艦娘を守ってみせる……全てから………それが僕の贖罪だから……」

 

 

 

 

 

響「…………(贖罪?)」

 

 

 

 

 

響は贖罪という言葉に疑問を抱いたがその場は問わなかった。

それよりも、

 

 

 

 

 

響「あれ…………どうして……」

 

 

 

 

 

響の目から涙が流れていた。

 

 

 

響だけではない、

 

 

 

 

 

暁も雷も電も、皆涙を流していた。

 

 

 

 

 

 

九十九「……暁、響、雷、電。沈むな。これは僕からの願いだ。いいね?」

 

 

 

 

 

暁「はい!」

響「はい!」

雷「はい!」

電「はいなのです!」

 

 

 

涙声だったが大きな声で返した。

 

 

 

 

 

 

九十九「それじゃあ、皆、お疲れ様。今日はゆっくり休んでくれ」

 

 

 

 

 

暁「…………はい。失礼します」

 

 

 

 

涙を拭い、暁達は退室した。

 

 

 

 

 

退室した暁達は、

 

 

 

 

暁「………暁が言えたことじゃないけど………なんで泣いちゃったの?」

 

 

 

 

 

響「わからない…………」

 

 

 

 

雷「でも………悲しくなかったわ」

 

 

 

電「暖かい気持ちになったのです♪」

 

 

 

 

 

電の言葉に皆同意していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電「ああ!そうだ!」

 

 

 

 

 

いきなり電が大きな声を出した。

 

 

 

 

 

雷「ど、どうしたの?電」

 

 

 

 

電「歓迎会なのです!司令官さんの歓迎会をやるのです!」

 

 

 

 

暁「ん!」

 

 

 

雷「いいわね!」

 

 

 

響「хорошо、名案だ電」

 

 

 

 

暁「なら、『鳳翔』さんのところでいいわよね?」

 

 

 

 

 

響「それがいい」

 

 

 

 

 

 

電「電は鳳翔さんの所に行ってくるのです!」

 

 

 

 

雷「あ!私もいくわ!」

 

 

 

 

 

暁「なら響と私で司令官に言ってくるわね」

 

 

 

 

響「二人とも、ちゃんと手伝いするんだよ?」

 

 

 

 

雷・電「はーい(なのです)!」

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

 

暁達が退室したあと、九十九は書類の整理に取りかかっていた。

 

 

 

 

 

九十九「………………」

 

 

 

 

夕張「提督、お茶をここに置いておきますね」

 

 

 

 

九十九「うん、ありがとう。夕張は工廠にはいかないのかい?」

 

 

 

 

 

夕張「今日は提督の書類のお手伝いをさせてもらいます」

 

 

 

 

 

九十九「すまないね」

 

 

 

 

 

夕張「以外と多いんですね」

 

 

 

 

九十九「ああ、この量だと骨が折れそうだよ」

 

 

 

 

九十九は夕張に苦笑してみせる。

 

 

コンコンッ

 

と扉をノックする音が聞こえた。

 

 

 

 

 

九十九「ん?どうぞ」

 

 

 

 

 

暁「失礼します」

 

響「失礼します」

 

 

扉からは暁と響が入ってきた。

 

 

 

 

 

九十九「どうしたんだい?」

 

 

 

 

暁「司令官は今夜、時間あるの?」

 

 

 

 

九十九「この書類を片付けた後は空いてるよ」

 

 

 

 

響「司令官と夕張さんの歓迎会をしたいんだけど……どうかな?」

 

 

 

 

 

九十九「おお!それじゃ早く終わらせないとね♪」

 

 

 

 

夕張「そうですね!」

 

 

 

 

 

暁「場所は『鳳翔』ってお店でやるわ!」

 

 

 

 

九十九「鳳翔?鳳翔ってあの軽空母の鳳翔さんのやってるお店?」

 

 

 

 

暁「うん、そうだけど」

 

 

 

 

九十九「退役してしてるとは聞いたけど、お店をやってるとは……噂は本当だったか」

 

 

 

 

九十九は呟く。

 

 

 

 

暁「じゃあ私達は鳳翔さんのお手伝いにいくからね」

 

 

 

 

響「じゃ」

 

 

 

 

九十九「うん、早めに終わらせるよ」

 

 

 

 

 

そして再び暁と響は退室した。

 

 

 

 

 

九十九「………………鳳翔さん……か」

 

 

 

 

 

夕張「……どんな方なんでしょうか」

 

 

 

 

 

九十九「そうだねぇ……主だった戦歴は載ってないけど………とある噂じゃあ……」

 

 

 

 

 

九十九は一度言葉を切る。

 

 

 

 

 

夕張「?」

 

 

 

 

 

九十九「噂じゃ、凄い強いらしい」

 

 

 

 

夕張「なんですか、その適当な噂?(・・;)」

 

 

 

 

九十九「噂だからね♪所詮は」

 

 

 

 

夕張「そんな噂誰に聞いたんですか?」

 

 

 

 

九十九「ん?鈴(りん)だよ?」

 

 

 

 

 

夕張「ハァ……………あの人か」

 

 

 

 

 

夕張はため息を吐きながらも書類を処理していた。

 

 

 

 

 

九十九「まぁまぁ、そんなところも鈴っぽいよ♪」

 

 

 

 

夕張「そうですけど……とりあえず、早く終わらせましょう」

 

 

 

 

 

九十九「うん」

 

 

 

 

 

二人は書類を片付けるスピードを上げた。

 

 

 

 

 

一方、

 

 

 

 

「新しい司令官さんの歓迎会をやりたいんですか?」

 

 

 

 

 

電「なのです」

 

 

 

 

 

雷「お願い!鳳翔さん!」

 

 

 

 

電と雷は赤っぽい着物を着た女性に歓迎会の頼み事をしていた。

 

 

 

 

 

鳳翔「ふむ…………いいですよ♪」

 

 

 

 

雷「ありがとう!鳳翔さん!」

 

 

 

 

電「ありがとうなのです!」

 

 

 

 

 

鳳翔「ただし、あなた達には料理の準備をしてもらいますからね?」

 

 

 

 

 

雷「フフフ♪雷に任せなさい!」

 

 

 

 

電「い、電も頑張るのです!」

 

 

 

 

鳳翔「では、早速始めましょう♪」

 

 

 

 

 

 

 

その夜、

 

 

 

 

九十九「なんとか終わったね………疲れた」

 

 

 

 

夕張「初日からこんなにキツいなんて………(-_-;)」

 

 

 

九十九「多分、最初だからだよ。明日からはゆっくりできるさ」

 

 

 

夕張「そう信じてます………」

 

 

 

二人は暁に教えてもらった所に向かっていた。

 

 

 

 

 

夕張「とりあえず、まずは鎮守府近海の制圧からですね」

 

 

 

 

九十九「ああ……皆の練度を上げつつ、攻略していこう」

 

 

 

 

 

夕張「…………でも、いいんですか?」

 

 

 

 

九十九「ん?」

 

 

 

 

 

夕張「建造…………新しい戦力が必要なくて」

 

 

 

 

九十九「…………」

 

 

 

 

夕張「正直、駆逐艦だけじゃこの先、厳しいですよ?」

 

 

 

 

九十九「………あの子達が必要なら要請するさ」

 

 

夕張「………手遅れにならない様にお願いしますよ?」

 

 

 

 

九十九「わかってるよ♪………さて、着いたね」

 

 

 

 

 

二人は『食事処 鳳翔』という看板が立っている店にたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

入ろうとした瞬間、

 

 

 

ガラッ

 

 

 

 

九十九「おっ!」

 

 

 

電「はわっ!」

 

 

 

 

 

トテッ

 

 

 

 

いきなり開いた扉から電が出てきて、九十九とぶつかり、尻餅をついてしまった。

 

 

 

 

九十九「大丈夫かい?電」

 

 

 

 

 

電「は、はいなのです」

 

 

 

電の手を引き、起こす。

 

 

 

 

 

響「電、慌てちゃダメって言ったのに」

 

 

 

 

 

暁「そうよ、レディらしくないわ」

 

 

 

 

 

雷「暁お姉も電の後を追おうとしてたくせに

( *´艸`)クスクス」

 

 

 

 

暁「そ、そ、そんなことないし!(゜ロ゜;」

 

 

鳳翔「いらっしゃいませ。あら、あなたが新しい提督さんですか?」

 

 

 

 

九十九「はい、島津九十九と言います」

 

 

 

 

鳳翔「島津?あの戦国武将の末裔とかですか?」

 

 

 

 

 

夕張「?」

 

 

 

暁「ん?」

 

 

 

雷「戦国武将?」

 

 

 

 

九十九「それがですね………家系図を見たんですが………僕は信用しませんでしたね」

 

 

 

 

 

鳳翔「でも、載っていたんですよね?凄いです♪」

 

 

 

 

九十九「そうでもないですよ」

 

 

 

 

二人が話している中に電が質問する。

 

 

 

 

 

電「あの………戦国武将ってどういうことなのですか?」

 

 

 

 

夕張「そうですよ。私、聞いてないですよ?」

 

 

 

 

 

夕張も九十九に聞く。

 

 

 

 

 

九十九「う~ん………言う必要がないと思ったんだけど……」

 

 

 

 

 

響「教えてほしいな」

 

 

 

 

暁「あ!私にも教えて!」

 

 

 

 

 

九十九「……………わかった、教えるよ。お昼に僕の出身地は聞いたよね?」

 

 

 

 

雷「ええ!薩摩………えっと鹿児島ね!」

 

 

 

 

九十九「そうだ。時は戦国時代、その薩摩の大名だったのが島津氏だったんだ」

 

 

 

 

電「島津………あっ!司令官さんと同じなのです」

 

 

 

九十九「うん。僕はその島津氏の血統らしいんだ。家系図によればね」

 

 

 

 

鳳翔「九十九さんは島津の誰の血筋なんですか?」

 

 

 

 

九十九「それは………」

 

 

 

九十九が答えようとしたとき、夕張が遮る。

 

 

 

 

 

夕張「ちょっと待って!鳳翔さんの言い方だと他にもいるような言い方なんですけど………」

 

 

 

 

 

九十九「うん、いるよ」

 

 

 

 

 

夕張「え………」

 

 

 

 

 

 

鳳翔「そうですね、まずは島津家当主、島津義久。そして、その弟、島津義弘」

 

 

 

 

 

九十九「三男の島津歳久、そして四男、島津家久の四人が有名だね」

 

 

 

 

 

雷「わ……」

 

 

 

 

電「わからないのです(>д<)」

 

 

 

 

九十九「知っていても生活に全然支障はきたさないよ」

 

 

 

 

 

響「それで、司令官は四人の中の誰の直系なんだい?」

 

 

 

 

九十九「……島津義弘だよ」

 

 

 

響「その島津義弘って人はどんな人物?」

 

 

 

 

九十九「そうだね…………一言で言えば、島津四兄弟の中で一番勇名が知れ渡ってたかな…」

 

 

 

 

鳳翔「島津義弘のお祖父さん、島津忠良から『雄武英略をもって他に傑出する』と言われるほどの強い武将だったのよ」

 

 

 

 

 

暁「おお!なんか強そう!」

 

 

 

 

 

電「なのです!」

 

 

 

 

響「ハラショー、ただでさえ大名の子孫なのにその兄弟で一番強いなんて」

 

 

 

 

 

九十九「僕は信じてないんだけどね………そろそろ僕の話はいいんじゃないかな?(^_^;」

 

 

 

 

雷「あ!せっかくの料理が冷めちゃうわ!」

 

 

 

 

 

鳳翔「それはいけませんね。じゃあ皆さんお席についてください。今、お料理をお持ちしますね」

 

 

 

 

 

そう言って、調理場の所に鳳翔は行った。

 

 

 

雷「電、私たちも手伝うわよ!」

 

 

 

 

電「わかったのです!」

 

 

 

 

雷、電も後を追った。

 

 

 

 

しばらくして、

 

 

 

 

 

夕張「すごい!」

 

 

 

 

九十九「うん、とても美味しそうだね♪」

 

 

 

 

 

テーブルの上にずらりと料理が並べられた。

 

 

 

 

 

暁「………………ゴクッ」

 

 

 

 

響「姉さん、いただきますを言うまで我慢だ」

 

 

 

 

暁「わ、わかってるわよ!」

 

 

 

 

鳳翔「じゃあ、乾杯の音頭を」

 

 

 

 

雷「私に任せて!……皆、コップ持って……えー、コホン」

 

 

 

 

雷が皆にコップを持つよう促し

咳払いをひとつした後、

 

 

 

雷「えーっと…簡単に!島津九十九司令官の新規着任を祝しまして!カンパーイ!!」

 

 

 

 

「「「カンパーイ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

歓迎会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 



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歓迎会

 

 

 

 

開幕と同時に暁と雷のデットヒートが始まる。

 

 

 

 

暁「あ!それ暁の!雷ー!!」

 

 

 

 

 

雷「暁お姉が遅いのが悪い!」

 

 

 

 

 

響「二人とも、落ち着いて食べなよ」

 

 

 

 

 

電「はわわわ………(電の欲しいものが無くなっていくのです(T^T)」

 

 

 

 

 

 

九十九「……………電、これ」

 

 

 

 

 

電「あっ………お料理……」

 

 

 

 

九十九は一通りの料理がのった皿を電に渡した。

 

 

 

 

 

九十九「暁と雷があんな調子だから、欲しいものが無くなると思ってね」

 

 

 

 

 

電「でも、司令官さんの分は………」

 

 

 

 

 

九十九「僕の事は気にしなくていいよ♪一通り食べたからね♪」

 

 

 

 

電「あ、ありがとうなのです♪」

 

 

 

 

皿を受け取った電は笑顔で礼を言った。

 

 

 

鳳翔「九十九さん、お酒はどうしましょうか?」

 

 

 

 

 

 

九十九「…………少し、いただきます」

 

 

 

 

 

 

そう言って、酒を貰う。

 

 

 

 

 

 

夕張「あれ?私の唐揚げ………あっ響!あなた食べたわね!?」

 

 

 

 

 

響「ん? ゴクン なんの事だい?」

 

 

 

 

 

夕張「今飲み込んだ!!雷もどさくさに紛れて私の取るなぁ!!」

 

 

 

 

 

 

雷「え!?あはは………バレてた(^_^;)」

 

 

 

 

 

 

夕張「返しなさいよー!!こらー!ちょっ!?あかつきー!!!」

 

 

 

 

 

暁「これはレディーの口にはいるのが相応しい!」

 

 

 

 

 

 

夕張「訳のわからないことを抜かすなーー!!」

 

 

 

 

なかなか賑やかになってきた風景を見て、

 

 

 

九十九「…………こんな毎日が送れるよう頑張らないとな……」

 

 

 

 

 

 

そんなことを呟きながら酒を口へと流し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくドンチャン騒ぎした後、

 

 

 

暁「(-.-)Zzz・・・・」

 

響「(-.-)Zzz・・・・」

 

雷「(-.-)Zzz・・・・」

 

電「(-.-)Zzz・・・・」

 

 

 

 

 

暁達は眠ってしまった。

 

 

 

 

 

鳳翔「あら、寝ちゃいましたね」

 

 

 

 

九十九「今日は急な戦闘がありましたからね、疲れたのでしょう。それにあれだけ騒げば………ね」

 

 

 

 

 

暁達の寝顔を見ながら九十九は鳳翔や夕張と酒を嗜んでいた。

 

 

 

 

 

鳳翔「そろそろお開きですね」

 

 

 

 

鳳翔が片付けをはじめる。

 

 

 

 

九十九「お手伝いします」

 

 

 

夕張「三人なら早く終わりますよ♪」

 

 

 

鳳翔「じゃあお願いしますね♪」

 

 

 

三人で片付けを始めた。

 

 

 

 

九十九「そう言えば………」

 

 

 

 

 

片付けの途中、

 

 

 

 

 

九十九「皆の練度が少し上がってたように思えますが…………あれは鳳翔さんがあの子達に?」

 

 

 

 

鳳翔「最初の方だけですよ。後は自分達で地道にやっていった結果です」

 

 

 

 

 

夕張「へぇ、あの四人、意外とがんばり屋なんですね♪」

 

 

 

 

 

鳳翔「ええ♪新しい司令官のために強くなりたいって言ってました」

 

 

 

 

 

 

九十九「それは頼もしい限りですね♪」

 

 

 

 

 

 

 

話ながらも片付けの手は休めず、10分程で終わった。

 

 

 

 

 

 

鳳翔「さて……この子達はどうしましょうか」

 

 

 

 

九十九「起こすのも悪いですし、おんぶして帰ります」

 

 

 

 

夕張「人数合いませんけど……」

 

 

 

 

九十九「僕と夕張で二人ずつ背負えばいいじゃないか♪」

 

 

 

 

夕張「おう…………そうなりますか……」

 

 

 

 

鳳翔「お手伝いしましょうか?1人くらいなら」

 

 

 

 

 

夕張「おねが(ry」

九十九「大丈夫ですよ♪今日はありがとうございました♪」

 

 

 

 

夕張「うーΣ( ̄皿 ̄;;」

 

 

 

 

 

鳳翔に見送られ、二人はお店を後にした。

 

 

 

 

 

器用に二人ずつ、おんぶしている二人は、

 

 

 

 

 

九十九「おいしかったな」

 

 

 

 

夕張「そうですね……………だいぶ食べられましたけど………(T-T)」

 

 

 

 

 

 

九十九「まぁまぁ♪」

 

 

 

 

 

月明かりに照らされた道を歩いていた。

 

 

 

 

 

 

九十九「さて、明日から大変だ!」

 

 

 

 

夕張「………対深海棲艦用の刀、上質なものを作っておきますね♪」

 

 

 

 

 

九十九「ああ、できれば行光より良いのを頼む」

 

 

 

 

 

夕張「フフッ♪お任せください♪」

 

 

 

 

 

鎮守府に着き次第、四人を寝かせ、自分達も眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 



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始動!!

 

 

 

 

早朝

 

 

 

 

 

九十九「さて、やりますか♪ スゥ 」

 

 

 

 

 

 

九十九は大きく息を吸い、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「総員起こし!!!皆!朝だぞ!!!」

 

 

 

 

 

スピーカーに大声で皆を起こしていた。

 

 

 

突然の大声を聞いた暁達はというと………

 

 

 

 

 

 

 

暁「ピャアッ!?」

 

 

 

響「ムッ!?」

 

 

 

雷「おわっ!?」

 

 

電「はわわわっ!?!?」

 

 

 

1発で起きたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

因みに夕張は

 

 

 

 

 

夕張「あー……………頭がキーンって………」

 

 

 

 

こちらも起きた。

 

 

 

 

 

 

九十九『全員、10分後食堂に集合!遅れた者には食事は無いからね~♪』

 

 

 

 

 

 

 

暁「!」

響「!」

雷「!」

電「!」

 

 

 

 

夕張「!」

 

 

 

 

食事なしの言葉を聞き、皆は身支度をあっという間に終わらせ食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

午前8時

 

 

 

 

 

食堂

 

 

 

九十九「いただきます」

 

 

 

暁「いただきます」

響「いただきます」

雷「いただきます」

電「いただきます」

夕張「いただきます」

 

 

 

 

朝食を始めていた。

 

 

メニューは

ごはん、味噌汁、焼き魚、サラダ、そして納豆

 

 

 

 

雷「あっ!美味しい!」

 

 

 

 

響「これは司令官が?」

 

 

 

 

九十九「どうかな?」

 

 

 

 

暁「美味しいわ!!」

 

 

電「なのです!」

 

 

 

 

夕張「…………また上手くなってますね♪」

 

 

 

 

九十九「日々精進だからね」

 

 

 

 

 

暁「夕張さんは提督のお料理食べたことあるの?」

 

 

 

 

 

夕張「ここに来る前に少しね。レシピ教えたらなんでも作ってしまうんだもん、ビックリしちゃった」

 

 

 

 

電「すごい…(^_^;)」

 

 

 

 

九十九「9時に今日の予定を言うから、提督室に来てくれ」

 

 

 

 

暁「わかったわ」

 

 

 

 

 

九十九「夕張、食器洗い頼めるかな?」

 

 

 

 

 

夕張「え?どうしてですか?」

 

 

 

 

 

九十九「一番最後にここに来たからね♪」

 

 

 

 

夕張「うっ…………Σ( ̄皿 ̄;;」

 

 

 

 

 

響「司令官、これからは最後に来た人が皿洗いかい?」

 

 

 

 

 

九十九「そうだね。僕はいつも朝ごはん作るから食器洗いは頼みたい」

 

 

 

 

 

夕張「わかりましたー」

 

 

 

 

 

九十九「それじゃ皆、後でね」

 

 

 

 

そう言って九十九は食堂から出ていった。

 

 

 

 

 

暁「響、雷、電」

 

 

 

 

 

響「ん!」

 

 

 

 

雷「うん!」

 

 

 

電「はい!」

 

 

 

 

 

暁達は

 

 

 

 

 

夕張「どうしたの?皆」

 

 

 

 

 

暁「手伝うわ!」

 

 

 

電「なのです♪」

 

 

 

 

皿洗い担当の夕張を手伝い始めた。

 

 

 

 

 

九十九「へぇ………噂通り、いい子達だ♪」

 

 

 

 

 

 

九十九は手伝う様子を扉の隙間から見ていた。

 

 

 

 

 

九十九「鈴の言ったことはたまには当たるみたいだな」

 

様子を見届けた九十九はそこから立ち去った。

 

 

 

 

 

 

夕張「雷と電はお皿を拭いてね」

 

 

 

 

 

雷「任せなさい!」

 

 

 

 

 

電「わかったのです」

 

 

 

 

夕張「暁と響は私の援護お願いね」

 

 

 

暁「レディーに任せなさい!」

 

 

 

響「了解」

 

 

 

 

 

皆の見事な連携であっという間に皿洗いは終了した。

 

 

 

 

夕張「はぁ、皆ありがと♪」

 

 

 

 

暁「当然よ♪」

 

 

 

 

響「それよりも」

 

 

 

雷「フフフ♪」

 

 

 

電「間宮さんのところのスイーツなのです♪」

 

 

 

夕張「うっ……………(いきなりお金ピーンチ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして午前9時

 

 

 

 

 

提督室

 

 

 

 

 

 

九十九「よし、皆集まったね。あれ?夕張、元気ないけど………どうしたんだい?」

 

 

 

 

 

夕張「いえ………なんでも……」

 

 

 

 

 

皿洗いの後、暁達に甘味屋の間宮の所でスイーツを奢っていた。

 

 

 

 

 

夕張「私の貯金……」

 

 

 

 

 

一番高いのを頼まれたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

九十九「それじゃ今日の予定を言うよ………まずは秘書艦、暁」

 

 

 

 

 

暁「はい!」

 

 

 

 

 

九十九「暁には今日1日僕の手伝いをしてもらうよ。次に響、工廠で夕張の開発補佐を頼む」

 

 

 

 

 

響「了解」

 

 

 

 

 

九十九「雷と電は遠征だ。そこまで遠くにいく必要は無いからね、鎮守府近海を見回ってくれ」

 

 

 

 

 

 

雷「はい!」

 

 

 

電「なのです!」

 

 

 

 

九十九「それじゃ頑張っていこう!」

 

 

 

 

『『オオー!!』』

 

 

 

九十九「あ、それとお昼からは演習をやるから艤装を装着して集合してくれ」

 

 

 

 

 

それから暁以外、提督室から退室した。

 

 

 

 

 

九十九「さて、僕達も始めよう」

 

 

 

 

暁「この暁に任せなさい!」

 

 

 

 

 

 

五分後

 

 

 

 

 

 

暁「…………………」

 

 

 

 

 

九十九「………………φ(..)カリカリ」

 

 

 

 

 

 

暁「ソワソワ……………ねぇ司令官、私やることないの?」

 

 

 

 

 

九十九「そうだね………なら、お茶を淹れてくれるかな?」

 

 

 

 

 

暁「わかったわ♪」

 

 

 

 

 

そしてさらに五分後

 

 

 

 

九十九「…………………φ(..)カリカリ」

 

 

 

 

 

暁「………もう、お茶冷めちゃうじゃない」

 

 

 

 

 

九十九「ん?ああ、僕は熱いのダメだからいつも冷まして飲むんだ」

 

 

 

 

 

暁「あ、そうなんだ」

 

 

 

 

 

九十九「暁、書類の整理を頼んでいいかな?」

 

 

 

 

 

暁「任せて!」

 

 

 

 

数十分後

 

 

 

 

 

暁「はぅ~(´д`|||)」

 

 

 

 

 

九十九「暁、これも頼む」

 

 

 

 

 

 

暁「ま、またぁ!?」

 

 

 

 

 

山積みの書類を整理をし、暁はかなり疲れていた。

 

 

 

 

 

 

九十九「あと少しだから、頑張ろう」

 

 

 

 

 

 

暁「…………具体的には?」

 

 

 

 

 

九十九「あと、10枚くらいかな。疲れたのかい?1時間も経ってないよ?」

 

 

 

 

 

暁「疲れてるわけないでしょ!?レディーはこんなんで疲れないんだから!!」

 

 

 

 

 

 

九十九「なら頑張っていこう!」

 

 

 

 

 

暁「オオー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

 

 

 

 

 

暁「こ………これで……最後………確認………よし………」

 

 

 

 

九十九「うん!お疲れ様、お手伝いありがとね♪」

 

 

 

 

 

暁「はぁ…………やっと終わった………」

 

 

 

 

 

九十九「少し休憩しよう。そのあと、資材の確認と開発の様子を見に行くからね」

 

 

 

 

 

暁「はい………(疲れた(´д`|||)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工廠にて………

 

 

 

 

 

夕張「さて………新装備の開発だけど、何が欲しい?」

 

 

 

 

 

響「私の一存で決めていいのかな?」

 

 

 

 

 

夕張「響なら現状で何が必要かわかってると思うけど?」

 

 

 

 

 

響「………わかった」

 

 

 

 

 

夕張「じゃあ改めて、響は今の部隊に何が必要だと思う?」

 

 

 

 

 

響「…………」

 

 

 

 

 

 

響が少し悩んだあと、

 

 

 

 

 

 

響「魚雷かな」

 

 

 

 

 

夕張「なるほど、魚雷ね」

 

 

 

 

 

響「正直、今は頼りない火力より雷撃が大切な気がする」

 

 

 

 

 

夕張「わかったわ!任せておいて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………。

 

 

 

 

 

 

響「………うん、仕方ないよ」

 

 

 

 

 

夕張「ごめんね(-""-;)」

 

 

 

 

 

ペンギンと毛玉が数個出来ていた。

 

 

 

するとそこへ、

 

 

 

 

 

 

九十九「どうだい?開発の方は」

 

 

 

響「あ、司令官」

 

 

 

 

夕張「今日は調子が悪いみたいです」

 

 

 

 

九十九「そんな日もあるよ」

 

 

 

 

 

暁「何を作ろうとしてたの?」

 

 

 

 

響「魚雷だよ」

 

 

 

 

暁「それで、失敗だったのね?」

 

 

 

 

響「うん……もう少し頑張ってみるよ」

 

 

 

 

九十九「ほどほどにね」

 

 

 

 

 

そして、九十九と暁はその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「次は資材庫に行こうか」

 

 

 

 

 

暁「わかったわ」

 

 

 

 

 

 

九十九「どっかの鎮守府じゃ、知らない内にボーキサイトが減ってしまう現象が起きてるらしいよ」

 

 

 

 

 

 

暁「なによそれ…」

 

 

 

 

 

九十九「資材は大切だからね。確認は怠らないようにしなくちゃね」

 

 

 

 

 

暁「はーい……(多分その鎮守府、赤い正規空母がいるんじゃないかな……(・・;)」

 

 

 

 

 

 

 

資材庫にて、

 

 

 

 

 

 

九十九「よし!ちゃんと昨日確認した分あるみたいだね」

 

 

 

 

 

暁「ねぇ司令官。これだけの資材、どうしたの?」

 

 

 

 

 

九十九「ん?」

 

 

 

 

暁「だって新任の提督って最初資材の数って少ないじゃない?」

 

 

 

 

 

九十九「その事か……」

 

 

 

 

 

目の前にある資材の山を見ながら暁が九十九に問う。

 

 

 

 

 

九十九「この資材は僕に提督を薦めた人からの餞別さ」

 

 

 

 

 

 

 

暁「誰なの?」

 

 

 

 

 

九十九「それは教えないよ」

 

 

 

 

 

暁「何でよ!?」

 

 

 

 

九十九「……いつか会えるからだね……」

 

 

 

 

 

暁「…………その人は好い人?」

 

 

 

 

 

九十九「そうだねぇ…まぁ、好い人だね」

 

 

 

 

 

暁「……ちょっと含みのある言い方……ま、いいけど」

 

 

 

 

 

九十九「ははは……さぁて、お昼までもう少しあるから提督室で休憩しようか」

 

 

 

 

 

暁「はーい」

 

 

 

 

九十九「書類の整理はお昼の演習が終わり次第、続きをやるからね」

 

 

 

 

 

暁「え!?終わってなかったの?」

 

 

 

 

 

九十九「演習の書類だから仕方ないよ」

 

 

 

 

 

暁「あう………」

 

 

 

お昼前、提督室にて

 

開発をしていた響、遠征に出ていた雷、電が戻っていた。

 

 

 

 

 

響「開発の報告だけど結果は散々だったよ………すまない」

 

 

 

 

 

九十九「気にしなくていいさ、さっきも言ったが調子が悪い日もあるってことだよ」

 

 

 

 

 

 

雷「遠征は特に艦影も見なかったし平和だったわ」

 

 

 

 

 

九十九「わかった、電もお疲れさま」

 

 

 

 

 

電「はいなのです♪」

 

 

 

 

 

 

九十九「よし!それじゃ皆で、間宮さんの所で昼御飯と行くか」

 

 

 

 

 

そして夕張を含め、6人で間宮と看板のあるお店にむかった。

 

 

 

 

 

 

九十九「ごめんくださーい」

 

 

 

 

 

「あ、いらっしゃいませ♪」

 

 

 

 

 

お店の中に割烹着をきた茶髪の女性が立っていた。

 

 

 

 

 

 

九十九「間宮さん、カレーを6つお願いします」

 

 

 

 

間宮「はい♪辛さはどうしますか?」

 

 

 

 

 

夕張「中辛で」

響「中辛」

雷「私も」

 

 

 

 

電「甘口でお願いします」

 

 

 

夕張「提督達はどうします?」

 

 

 

 

夕張の問いに

 

 

 

 

九十九「フッ………決まっている。なぁ?暁?」

 

 

 

 

暁「そうね………答えは既に出てる!」

 

 

 

 

 

九十九「武士たるもの!」

 

 

暁「レディーたるもの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九・暁『四の五の言わず甘口だっ!! 』クワッ

 

 

 

 

甘口カレーが2つ増えた。

 

 

 

 

 

 

声を揃えて言った二人を見て、

 

 

 

 

 

夕張「…………」

 

響「…………」

 

雷「…………(-""-;)」

 

電「…………(・・;)」

 

 

 

この反応だった。

 

 

 

 

間宮「…………甘口3つに中辛3つですね。少々お待ちください(^_^;)」

 

 

 

 

 

 

 

響「司令官は辛いのダメなのかい?」

 

 

 

九十九「うん。辛いもの全般ダメだね」

 

 

 

 

夕張「前、イタズラして豆板醤料理に入れようとしたら凄い怒られちゃった……」

 

 

 

 

 

雷「それは、夕張さんが悪い」

 

 

 

 

夕張「ですよね(^_^;)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し経ち、

 

 

 

 

 

間宮「お待たせしました♪中辛カレーです♪」

 

 

 

 

 

響「お」

夕張「来たわね」

雷「さ、食べるわよ!」

 

 

 

 

 

 

間宮は3人に配った後に再び甘口カレーを取りに行った。

 

 

 

 

 

 

夕張「うん!」

 

 

 

雷「美味しいわ!」

 

 

 

響「うん、程よい辛さだ」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「……………うむ…」

 

 

 

 

電「どうしたのです?」

 

 

 

 

九十九「辛さを克服するためには何がいいものか……って考えてた」

 

 

 

 

暁「そんなもの、食べなきゃいいじゃない!」

 

 

 

 

九十九「それもそうだね!」

 

 

 

 

夕張「…………(なんだかなぁ………)」

 

 

 

 

 

 

そして、九十九達の甘口カレーも来た。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「やっぱ、甘口だな」

 

 

 

 

暁「レディーに合う味ね♪」

 

 

 

 

電「美味しいのです♪」

 

 

 

 

 

 

しばらく、食事を楽しんだ後、

 

 

 

 

 

 

 

『ごちそうさまでした!』

 

 

 

 

 

 

九十九「それじゃ、ヒトサンマルマルまで休憩。お昼から演習やるから艤装着けて、鎮守府正面の海に集合だ」

 

 

 

 

 

『はい!』

 

 

 

 

 

九十九「なら解散!」

 

 

 

 

 

連絡事項を行った後、間宮を後にした。

 

 

 

 

 

暁達は自分達の部屋に、九十九と夕張は提督室に向かった。

 

 

 

 

 

九十九「…………うん、満足だった」

 

 

 

 

夕張「相変わらずですね」

 

 

 

 

九十九「いいじゃないか♪」

 

 

 

 

 

夕張「まぁ…そうですけど」

 

 

 

 

九十九「それより対深海棲艦用の刀、目処はたった?」

 

 

 

 

 

夕張「そうですね………行光より切れ味、耐久を向上させるのは容易ではないですけど大体の形は出来上がってます」

 

 

 

 

 

九十九「そうか…………恐らく今からは行光1本じゃ足りないからね」

 

 

 

 

 

 

夕張「行光より少し性能の劣る物なら沢山あるんですけどね」

 

 

 

 

九十九「昨日の戦闘で使った試作刀『長船』はあれは切れ味こそよかったけど、ル級を1体斬ったら刀身が砕けたよ」

 

 

 

 

夕張「……それ早く言っていただけませんか?(-""-;)」

 

 

 

 

九十九「おっと、ごめんごめん。すっかり忘れてたよ♪」

 

 

 

 

夕張「はぁ……………とりあえずしばらくは『長船』の耐久を上げたものを製作出来るようにします」

 

 

 

 

 

 

九十九「ああ、頼むよ」

 

 

 

 

 

それから時は経ち、

 

 

 

 

 

ヒトサンマルマル。

 

 

 



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初演習

 

 

 

鎮守府正面海にて

 

 

 

 

九十九「皆いるね?」

 

 

 

 

 

暁「はい!」

響「はい」

雷「はい♪」

電「はいなのです♪」

 

 

 

 

 

 

九十九「じゃあ、演習を始めよう」

 

 

 

 

 

響「司令官…………演習の相手はどこだい?」

 

 

雷「それもそうね。もしかして潜水艦?」

 

 

九十九「いや、違うよ」

 

 

 

 

 

暁「じゃあ誰なの?」

 

 

 

 

電「…………!もしかして……………」

 

 

 

 

 

電が九十九を見ながら呟く。

 

 

 

 

 

九十九「おっ!察しがいいね電♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、僕が君達の演習相手だよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

『『えええええええ!?』』

 

 

 

 

 

 

暁達は声を揃え驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「君達の強さ、連携を確認しておきたいからね」

 

 

 

 

 

暁「だからって………司令官が相手しなくても………」

 

 

 

 

九十九「君達の実力をみるには一番手っ取り早いと思うんだけどなぁ………そうだね………僕を負かしたら間宮さんのところのスイーツを奢ってあげるよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「む!」

響「!」

雷「お!」

電「はわっ!」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「どうかな?」

 

 

 

 

暁「やるわ!」

響「やるさ」

雷「当然!」

電「やるのです!」

 

 

 

 

九十九「じゃ始めよう。あ、僕は刀を使わないから自由に攻撃してどうぞ♪」

 

 

 

 

 

 

 

九十九はそう言って、暁達から離れた。

 

 

 

 

 

暁「……行くわよ!皆!」

 

 

 

 

 

四人も九十九を追いかけ始めた。

 

 

 

 

 

 

九十九「見せてもらうよ………君達姉妹の力をね」

 

 

 

 

 

 

暁「雷、電!先回りして!」

 

 

 

雷「わかったわ!」

電「はいなのです!」

 

 

 

 

 

暁「響、雷達が先回りするまで司令官の足止めをするわよ!」

 

 

 

 

 

響「了解だ姉さん」

 

 

 

 

 

雷と電が九十九の左右から抜こうとする。

 

 

 

 

 

 

九十九「…………ふむ、四方を囲んで一斉射するつもりか…………シンプル且つ有効な戦術からきたね………」

 

 

 

 

暁「やぁっ!」

 

 

響「いくよっ」

 

 

 

 

 

暁、響が砲撃を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「なかなか的確な射撃だ………それゆえに読みやすい………」

 

 

 

 

 

九十九は砲撃を回避していく。

 

 

 

 

 

 

暁「んもう……1発くらい当たってくれたっていいじゃない!」

 

 

 

 

響「でも司令官の足を遅くすることは出来てるよ」

 

 

 

暁「ええ、このままいくわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「…………先回りされちゃったか……」

 

 

 

 

雷、電は九十九の前方両側を進んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

雷「暁お姉、準備完了よ!」

 

 

 

電「こっちもなのです!」

 

 

 

 

 

 

暁「なら………皆!てーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

四人による一斉射撃が始まった。

 

 

 

砲撃と共に魚雷を発射し、完全に逃げ場はなくなっていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、九十九は

 

 

 

 

 

 

九十九「!!」

 

 

 

 

 

 

電「!?」

 

 

 

 

 

電の方に向かい、突撃する。

 

 

 

 

響「まずい!電の援護を!」

 

 

 

電「はわわわっ!!」

 

 

 

 

砲撃、雷撃を初弾回避

 

 

暁、響、雷は九十九を追うように砲撃をするが回避されてしまう。

 

 

 

 

 

そして電からの砲雷撃を全てかわし、

 

 

 

九十九「ハッ!」

 

 

 

 

電「!?」

 

 

 

 

 

低い姿勢から手で電の足を払い、転倒させた。

 

 

 

 

 

九十九「次…………」

 

 

 

 

 

九十九は電を転倒させた後、すぐに次の目標を狙った。

 

 

 

 

 

 

雷「えっ!?」

 

 

 

九十九「次は………君だ!」

 

 

 

 

九十九はさっきより速いスピードで雷目掛け移動する。

 

 

 

 

 

 

 

暁「速い!」

 

 

 

 

響「くっ!」

 

 

 

 

 

暁、響が援護をするが九十九を捉えられない。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「ッ!」

 

 

 

 

雷「おわぁあ!」

 

 

 

 

 

雷も電同様、足を払われ転倒した。

 

 

 

 

 

 

暁「うっ………」

 

 

 

 

響「……………」

 

 

 

 

 

九十九「さて……………次はどちらかな?」

 

 

 

 

 

九十九は少し微笑みながら暁と響を見た。

 

 

 

 

 

響「………姉さん、援護を頼む」

 

 

 

暁「ちょっ!響!」

 

 

 

 

 

響は九十九へ突撃する。

 

 

 

九十九「………そう来たか!」

 

 

 

 

九十九も響の方へ移動する。

 

 

 

 

 

響「……(司令官は飛び道具は持ってない………しかも!)」

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

 

ガシッ!!

 

 

 

 

 

 

響は九十九の足払いの手を両手で受け止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

響「狙う場所がわかるから対応できる………そして、零距離………かわせないよ」

 

 

 

 

 

九十九「フッ…………流石響と言ったところか……………けど!」

 

 

 

 

響「!?」

 

 

 

 

次の瞬間、響が見たものは空だった。

 

 

 

 

九十九「もう片方の手がある……受け止めた瞬間、零距離を撃たなかったのが君の敗因だね」

 

 

 

 

九十九「さて………残りは」

 

 

 

 

 

九十九は暁を見ながら呟く。

 

 

 

 

 

暁「うっ…………」

 

 

 

 

 

九十九「君だけだよ?降参するかい?」

 

 

 

 

 

暁「ぅ…………うわあああああああ!」

 

 

 

 

暁は九十九に突撃しながら砲撃を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「ヤケクソ…………にしては正確な砲撃を………成る程な」

 

 

 

 

 

 

九十九はかわし、暁を転倒させるべく構える。

 

 

 

 

そして、間合いに入ったとき、

 

 

 

 

 

暁「えい!」

 

 

 

九十九「!?」

 

 

 

 

 

九十九は一瞬、目が眩んだ。

 

 

 

 

それは、暁が持っていた探消灯によってだ。

 

 

 

 

 

 

 

暁「これで!!」

 

 

 

動きが鈍った九十九に対し、至近距離から砲撃を放った。

 

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「!?」

 

 

 

 

 

九十九「残念……………惜しかったね」

 

 

 

 

 

 

一瞬で回避を行った後、九十九は暁の頭をそっと前から押し倒した。

 

 

 

 

 

 

暁「あう~………」

 

 

 

 

 

九十九「僕の勝ちだね♪」

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、一段落がついた。

 

 

九十九は四人を集め、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「皆、お疲れ様」

 

 

 

 

 

 

暁「………」

響「………」

雷「………」

電「………」

 

 

 

 

 

四人は少し、むくれた様子だった。

 

 

 

 

 

 

九十九「とりあえず、僕の勝ちだけど…………皆の力がよくわかった。まず電、雷」

 

 

 

 

 

 

雷・電「はい」

 

 

 

 

 

九十九「君達はもう少し、冷静に対処すべきだよ。作戦通りにいかなかったときの対処が出来てないね」

 

 

 

 

雷「うっ………」

電「うぅ……」

 

 

 

 

 

九十九「次に響、は特にないよ。あのときの攻撃はなかなかのものだった。これからも頑張ってくれ」

 

 

 

 

 

響「了解」

 

 

 

 

 

 

九十九「最後に暁」

 

 

 

 

 

暁「はい」

 

 

 

 

 

九十九「……………暁は後で書類整理しながらでも言うよ♪」

 

 

 

 

 

暁「何で!?」

 

 

 

 

ちょっとした反省会をしていた。

 

 

 

 

響「司令官、質問いいかな?」

 

 

 

 

 

九十九「どうぞ」

 

 

 

 

 

響「司令官のあれはなんだい?」

 

 

 

 

 

 

九十九「あれ?……………海上式柔術の事かな?」

 

 

 

 

 

雷「剣道だけじゃなかったの?」

 

 

 

 

 

九十九「習ったんだ。昔ね」

 

 

 

 

響「………………(研究施設でかな?)」

 

 

 

 

響は言葉には出さなかった。

 

 

不意に電が

 

 

電「ボソッ…………………(剣を使った司令官さんと戦っていたらどうなったのかな?)」

 

 

 

 

そう呟く。

 

 

九十九「ん?電、剣を使う僕と勝負したいのか?」

 

 

 

 

その呟きが九十九に聞こえていた。

 

 

 

 

電「い、いえ!そんなことは言ってないのです!!」

 

 

 

 

九十九「いいさ♪やってみよう。長船、転送」

 

 

 

九十九の前に集まった粒子が1本の刀となり現れた。

 

 

 

 

 

雷「ねぇ………これって………」

 

 

 

響「ああ………ヤバイ…」

 

 

 

暁「本格的にヤヴァイーー!!」

 

 

 

電「はわわわわー!!」

 

 

 

 

 

 

 

刀を握り、鞘から抜いた九十九は、

 

 

 

九十九「……………さぁて…………やるぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

四人に斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

________

 

 

 

 

 

夕暮れ時、

 

 

 

 

 

 

夕張「それで、対深海棲艦用の刀『長船』のテストも兼ねてこの子達と演習をしたと…………?」

 

 

 

 

 

九十九「は……………はい(-""-;)」

 

 

 

 

 

埠頭にて、九十九が正座で夕張に説教をされていた。

 

 

暁達は涙目で夕張にしがみついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕張「まったく!何を考えているんですか!!あの刀は深海棲艦用に作られた刀なんですよ!?それを艦娘に向けるなんて!」

 

 

 

 

 

 

九十九「………申し開きも御座いません………」

 

 

 

 

 

 

夕張「とりあえず皆はもう休ませます。提督は書類の残りをやっておいてくださいね!」

 

 

 

 

 

九十九「はい……………」

 

 

 

 

 

 

夕張「さ、行こう、皆」

 

 

 

 

 

 

 

暁達は頷き、しがみついたまま夕張と歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、残った九十九は

 

 

 

 

 

 

九十九「………………はぁ…………」

 

 

 

 

 

 

夕日を見ながらため息を1つ吐いていた。

 

 

 

 

 

 

 

怒濤の(暁達が)初日、終了。

 

 

 

 

 

 

 

 



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高速の四姉妹!+α見参!

 

 

 

 

 

 

一週間程経った。

 

 

 

 

 

九十九「響、もう終わったのかい?」

 

 

 

 

 

響「ああ、書類整理は早いに越したことはないだろう?」

 

 

 

 

九十九「ま、そうだけど」

 

 

 

 

 

今日の秘書艦は響のようだ。

 

 

 

 

 

 

響「そういえば今日の演習相手、金剛、比叡、榛名、霧島だそうだよ」

 

 

 

 

 

 

九十九「そうか。やっと戦艦との演習ってわけだ」

 

 

 

 

 

 

響「………ま、戦艦より質の悪いどこかの司令官と何度か演習してたからね……」

 

 

 

 

 

※因みに初演習のことは皆で許しています。

 

 

 

 

九十九「響って根に持つタイプかな?(^_^;)」

 

 

 

 

響「そうでもないさ…」

 

 

 

 

九十九「ところで、お相手の提督の名前は?」

 

 

 

 

響「『上井 鈴音(かみい すずね)』って書いてある」

 

 

 

 

 

 

九十九「鈴音!?」

 

 

 

 

 

響「知り合いかい?」

 

 

 

 

九十九「まぁね、僕に提督を勧めた1人でもある」

 

 

 

 

 

響「へぇ」

 

 

 

 

 

 

九十九「それよりも…………金剛が来るか………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドドドド!!!

 

 

 

響「!?」

 

 

 

 

地響きと共に何かが提督室に近づいていた。

 

 

 

 

響「な、なにが………おきて……」

 

 

 

九十九「響、離れておいてくれ。ちょっと危ない」

 

 

 

響「わ、わかった」

 

 

 

 

 

そして、提督室の扉が開き、開くと同時に!

 

 

 

 

 

 

 

「ツーーーークーーーーーーモーーーーー♪」

 

 

 

 

 

 

長い茶髪の少女が飛び込んできた。

 

 

 

それを九十九は

 

 

 

 

 

 

 

九十九「! 見切った!」

 

 

 

 

 

 

絶妙な動きとタイミングで少女を受け止め、お姫様だっこの形になった。(謎)

 

 

 

 

 

 

「Oh~♪九十九は受け止めるのが上手デース♪」

 

 

 

 

 

九十九「そりゃどうも♪しかし、久し振りだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

響「…………………あの、あなたが金剛さん?」

 

 

 

 

 

 

金剛「Yes!私が英国生まれの金剛型一番艦金剛デース!」

 

 

 

 

 

 

比叡「同じく二番艦!比叡、気合い、入れて、いきます!」

 

 

 

 

 

榛名「同じく三番艦!榛名です!」

 

 

 

 

 

 

霧島「同じく四番艦!艦隊の頭脳、霧島です!」

 

 

 

 

 

 

金剛「我ら金剛型4姉妹デース!」

比叡「我ら金剛型4姉妹です!」

榛名「我ら金剛型4姉妹です!」

霧島「我ら金剛型4姉妹です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響「…………………………」

 

 

 

九十九「………比叡、榛名、霧島………いつ、入ってきた?(-""-;)」

 

 

 

 

 

茶髪で短髪、黒髪長髪、黒髪メガネの少女3人が知らぬまに部屋に入っていた。

 

 

 

 

 

その後、

 

 

 

「もぉ~!速いよみんなぁ~!」

 

 

 

 

 

 

遅れて、白い制服を着た長い黒髪の女性が提督室に入ってきた。

 

 

 

 

 

 

金剛「HEY!テイトクー!やっと来たネ~」

 

 

 

 

 

 

比叡「遅いですよ」

 

 

 

 

 

 

 

「皆が速いのよ…………(-""-;)」

 

 

 

 

 

 

 

その女性に九十九は声をかける。

 

 

 

 

 

 

九十九「久し振りだな、上井鈴音」

 

 

 

 

 

 

鈴音「あっ、九十九………島津九十九!」

 

 

 

 

 

九十九「元気にしてたかい?」

 

 

 

 

 

 

鈴音「それなりにね。そっちはどう?提督の感想は?」

 

 

 

 

 

 

九十九「そうだね。大分慣れたよ」

 

 

 

 

 

 

鈴音「それはよかったわ♪」

 

 

 

 

 

 

 

響「………………あの、あなたが今日の演習の相手の?」

 

 

 

 

 

鈴音「そ!上井鈴音♪よろしくね♪響ちゃん」ボフッ!

 

 

 

 

 

響「わっ!?」

 

 

 

 

 

鈴音「~♪」

 

 

 

 

 

鈴音は響に抱きついていた。

 

 

 

 

 

 

響「ちょっと、鈴音さん?」

 

 

 

 

 

 

鈴音「ん~♪響ちゃんは良い抱き心地だ♪」

 

 

 

 

響「……………(-""-;)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「鈴のあの癖、治ってなかったんだね」

 

 

 

 

 

榛名「はい。私達は大丈夫だそうですが……」

 

 

 

 

 

霧島「駆逐艦の子なんかは堪らないそうです」

 

 

 

 

 

九十九「……………コメントに困るな……」

 

 

 

 

 

金剛「九十九はまだあの癖?は治ってないデスカー?」

 

 

 

 

九十九「……ああ…………」

 

 

 

 

九十九は近くにあった刀の柄を掴む、

 

 

 

 

 

九十九「このザマさ…………治っちゃいねぇよ」

 

 

 

 

 

金剛「でも、こっちの九十九もステキデース♪」

 

 

 

 

九十九「お世辞でもありがとよ」

 

 

 

 

竹刀を置きながら言う。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「今日はよろしく頼む。戦艦との演習はしていなかったから、しっかり教えてやってくれ」

 

 

 

 

 

 

霧島「はい、私達にお任せください!」

 

 

 

 

 

金剛「ミッチリ!バッチリ!ワタシ達が教えるヨー!!」

 

 

 

 

 

 

そしてお昼過ぎ、演習の時

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴音「じゃ!始めましょう!」

 

 

鈴音が元気よく言うが……

 

 

 

暁「あうー……」

響「むぅ……」

雷「…………」

電「なの………です~…」

 

 

 

 

暁達が満身創痍。

 

 

 

 

 

九十九「………………」

 

 

 

 

鈴音「あれ?どしたの?」

 

 

 

暁「だって……」

 

 

電「鈴音さん…………」

 

 

 

 

 

 

榛名「提督…………(-""-;)」

 

 

 

 

 

 

鈴音「そんなにハグ強かった?(^_^;)」

 

 

 

 

九十九「限度を覚えてくれよ……」

 

 

 

 

 

間宮で鈴音達とお昼をしているときに、暁達を見つけた鈴音は好き放題ハグっていた。

 

 

 

 

 

榛名「皆さん、大丈夫ですか?」

 

 

 

 

 

暁「大丈夫!」

 

 

雷「いけるわ!」

 

 

 

 

 

金剛「ンー!!良い気合いネ!!」

 

 

 

 

 

 

霧島「では実戦と一緒に戦艦との戦い方をお教えしますね」

 

 

 

 

 

 

暁・響・雷・電「よろしくお願いします!!」

 

 

 

 

 







上井鈴音(かみい すずね)


年齢20歳 女性


九十九に提督業を勧めた1人。




駆逐艦をハグしてやまない。(美人なのに残念な人)







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島津の戦術 釣り野伏

お互いに距離を開け、

 

 

 

 

 

 

九十九「じゃあ、はじめ」

 

 

 

 

 

比叡「撃ちます!当たって!」

 

 

 

 

 

響「皆、回避を」

 

 

 

 

 

 

開幕初弾、比叡が放った砲撃を暁達は的確にかわす。

 

 

 

 

 

 

榛名「戦艦は駆逐艦と違って射程の長い攻撃ができます」

 

 

 

 

 

霧島「先手を撃たれることもあるからしっかりと避けて反撃に出てくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

雷「はい!」

 

 

 

 

 

 

回避しつつ接近し、射程内に入った。

 

 

 

 

電「この距離ならいけるのです!お姉ちゃん!!」

 

 

 

暁「ええ!皆!てーっ!!」

 

 

 

 

 

四人は一斉射する。

 

 

 

 

 

 

金剛「っ!!」

 

 

 

 

 

全ての弾丸が金剛に着弾したが、

 

 

 

 

 

 

暁「え!?」

 

雷「あれ?」

 

 

 

 

 

 

金剛「…フッフッフ♪駆逐艦にしてはいい攻撃ネ♪」

 

 

 

 

 

ほぼ無傷だった。

 

 

 

 

 

 

 

雷「流石は戦艦って事ね!」

 

響「なら、雷撃だよ」

 

電「なのです!」

 

 

 

 

四人が魚雷を撃とうとした瞬間、

 

 

 

 

比叡「させません!」

 

 

霧島「全砲門!撃ちます!」

 

 

 

 

 

 

撃たせまいと比叡と霧島の砲撃が遮る。

 

 

響「くっ……」

 

暁「うわっ!」

 

 

 

 

 

ギリギリのところで暁達は回避する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、

 

 

 

 

鈴音「凄いね、あの子達」

 

 

 

 

九十九「ああ。この前なんか重巡相手に無傷で勝利してきみたいだからね」

 

 

 

 

鈴音「へぇ!!凄い凄い!!でも…………」

 

 

 

九十九「?」

 

 

 

 

 

 

鈴音「金剛達と相手した艦娘達は皆大破してるけどね………」

 

 

 

 

九十九「…………………そうか。強くなったんだな」

 

 

 

 

 

鈴音「あなたのお陰だと思うんだけど?」

 

 

 

 

 

九十九「僕は関係ないさ。それに過去なんてどうでもいいんだよ………今を生きていれば」

 

 

 

 

 

 

鈴音「…………フフッ♪変わらないね、あの時から」

 

 

 

 

 

九十九「………そうでもないよ」

 

 

 

 

 

鈴音「………フフン♪じゃ、特別ルール追加ね♪」

 

 

 

九十九「は?」

 

 

鈴音「今から、九十九の出陣を許可します♪帯刀無し条件だけど」

 

 

 

 

九十九「出陣って……………その前にそれじゃ皆の力にならないよ」

 

 

 

 

 

鈴音「でも、海域に出るときにはあなたも出るんでしょ?」

 

 

 

 

九十九「そうだよ」

 

 

 

 

鈴音「なら、連携の練習ってことで♪」

 

 

 

 

九十九「………………だけど」

 

 

 

 

 

鈴音「このままじゃ、あの子達負けちゃうよ?」

 

 

 

 

 

九十九「っ!!…………転送」

 

 

 

 

 

 

言葉と共に光の粒子が集まり、九十九専用の足の艤装が出現した。

 

 

 

 

 

九十九「…………いいんだな?鈴の艦隊が負けても」

 

 

 

 

 

鈴音「大丈夫大丈夫♪九十九が思ってるより強いよ♪」

 

 

 

 

 

九十九「…………わかったよ」

 

 

 

艤装を装着、着水した。

 

 

 

 

 

 

雷「くっ……おわっ!」

 

 

 

暁達は直撃弾こそ無いものの、皆小破していた。

 

 

 

 

 

 

 

金剛「しぶといデスネー」

 

 

 

 

比叡「既に大破してもおかしくないのに………あそこまで耐えるなんて……」

 

 

 

榛名「でも、あの子達は疲れています。チャンスです!」

 

 

 

霧島「一斉砲撃で決めましょう!金剛お姉様!」

 

 

 

金剛「わかったネ!バーニング…………」

 

 

 

 

暁達に狙いをつける。

 

 

 

 

 

 

 

響「…ハァ…ハァ………まずいよ、姉さん」

 

 

 

 

暁「わかって…………る……」

 

 

 

 

電「でも…………ハァ…もう」

 

 

 

 

雷「………回避するの………無理かな………」

 

 

 

 

 

 

息もあがり、次の回避はほぼ不可能だと判断する。

 

 

 

 

 

 

金剛「ラーーーヴ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

主砲の一斉射が暁達に放たれる。

 

 

その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「………」

 

 

 

 

 

 

 

ドゥン!

 

 

 

 

 

1発の銃声が響いた。

 

 

 

 

 

 

金剛「ムッ!」

 

 

 

 

暁「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

ドウゥゥゥゥン!!

 

 

 

 

 

 

暁達に飛んでいた十数発の砲弾が暁達に届くことなく爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

響「いったい………何が……」

 

 

 

 

 

 

九十九「無事かい?皆」

 

 

 

 

雷「し、司令官!?」

 

電「どうして?」

 

 

 

九十九「鈴からの特別ルール追加でね。助太刀するよ」

 

 

 

暁「え!?」

 

 

 

九十九「これからは皆、僕の指示で動いてくれ」

 

 

 

 

 

暁「ちょっと!!( ; ゜Д゜)」

 

 

 

 

 

 

 

 

榛名「九十九さんが参戦ですか………」

 

 

 

 

 

霧島「……大方、提督が九十九さんの参戦を認めたのでしょう」

 

 

 

 

比叡「どうしますか?お姉様」

 

 

 

 

 

金剛「No problemネ。こっちの方がやり甲斐がありマース!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「さぁて……どうやって倒そうか」

 

 

 

 

電「司令官さん、その銃は?」

 

 

 

 

電が九十九が持っていた形が古い銃を問う。

 

 

 

 

九十九「ん?ああ、これは夕張の発明品でね、14cm単装砲を改造したもので名前は『種子島』」

 

 

 

 

響「種子島?」

 

 

 

 

九十九「戦国時代の銃の名前だよ。ま、昔と違って連射出来るただの銃だけどね」

 

 

 

 

 

 

つかの間、金剛達が仕掛ける。

 

 

 

金剛「比叡!榛名!霧島!ツッキー達の相手を!私はツクモを足止めしマース!」

 

 

 

 

 

 

 

比叡「はい!」

榛名「了解です!」

霧島「お任せを!」

 

 

 

 

 

 

それに対し、

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「! 散開!」

 

 

 

 

暁達は九十九の指示に従い、バラバラに散開する。

 

 

 

 

 

九十九「……各個撃破、僕たちには有効な戦術だな」

 

 

 

 

 

金剛「That's light!!」

 

 

 

 

金剛が九十九に接近してくる。

 

 

 

 

 

九十九「僕の相手は君か!」

 

 

 

 

 

 

金剛「yes!私とfight してもらいますヨ!」

 

 

 

 

 

九十九「…………(皆の援護に回りたいが…仕方ないか)」

 

 

 

 

金剛「撃ちます!fire!」

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

 

 

 

金剛の砲撃を九十九はかわす。

 

 

 

 

 

九十九「あの頃より的確かつ精密な砲撃だ」

 

 

 

金剛「まだまだ、私の力をお見せしマース!fire!!」

 

 

 

九十九「くっ!!」

 

 

 

 

九十九は避けるがギリギリのところだった。

 

 

 

 

 

 

九十九「ッ!!(ここまでとは!………僕が衰えたか?)」

 

 

 

 

 

 

金剛「ツクモ、動きが鈍いデスヨ!」

 

 

 

 

 

九十九「…君が速くなったんだよ…!」

 

 

 

 

 

九十九が回避しつつ種子島を構え、金剛に狙いをつける。

 

 

 

 

 

 

九十九「………そこだっ!!」

 

 

 

 

 

 

ドゥン!

 

 

 

 

 

 

 

金剛「……!」

 

 

 

 

 

 

九十九「なっ!?」

 

 

 

 

九十九の射撃をひらりとかわしてしまった。

 

 

 

 

 

金剛「フッフッフッ♪」

 

 

 

 

九十九「簡単に避けられた………でもな!」

 

 

 

 

ドゥンドゥンドゥン!!!

 

 

 

 

 

 

 

金剛「wath's!?」

 

 

 

 

九十九「1発で終わりなんて言ってないよ!」

 

 

 

 

連発で撃つ九十九。

 

 

 

先程の形勢が逆転したとも言えるだろう。

 

 

金剛は回避に専念しているため、反撃にまわることができない。

 

 

 

 

 

 

金剛「shit!このままじゃ………」

 

 

 

 

 

 

比叡「お姉様!」

 

 

 

ドウン!!

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

 

 

 

九十九の銃撃を比叡の砲撃が遮る。

 

 

 

 

 

 

金剛「比叡!榛名と霧島はどうしたんデース?」

 

 

 

 

比叡「大丈夫です!もう少しで戦闘不能に出来るはずです!」

 

 

 

金剛「yes!ならば比叡!」

 

 

 

 

比叡「はい!お姉様!」

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「…………(来るかッ!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金剛「Fire!」

 

 

比叡「撃ちます!当たって!」

 

 

 

 

 

二人の砲撃が九十九に向け、放たれた。

 

 

 

二人の八基十六門から放たれた砲弾が九十九を襲う。

 

 

 

 

 

九十九「…………うおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

九十九は突き進んだ。

 

 

 

外れた砲弾が着水し、水飛沫にさらされても九十九は前に進んだ。

 

 

 

 

 

 

比叡「お姉様!私の後ろに!」

 

 

 

 

 

金剛「それよりも撃つデース!!比叡!!」

 

 

 

 

 

九十九「…………遅い」

 

 

疾風の如く飛び込む。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゥン!

 

比叡の目の前で空砲が鳴り響く。

 

 

 

 

比叡「っ!!」

 

 

 

 

 

金剛「比叡!!」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「……戦闘不能と…みなしていいね?」

 

 

 

 

 

 

比叡「くっ……はい…………」

 

 

 

 

 

次の瞬間、九十九は

 

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

金剛「あっ!!」

 

 

 

転身し、金剛から離れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

金剛「待つデース!九十九!」

 

 

 

 

 

 

金剛も九十九を追いかける。

 

 

 

 

しかし、九十九の速度になかなか追い付くことができない。

 

 

 

金剛「くっ………速い………!」

 

 

 

金剛は砲頭を九十九に向け、

 

 

 

 

 

 

 

金剛「Fire!!」

 

 

 

 

砲撃を九十九に開始する。

 

 

 

 

九十九「………さて、そろそろかな」

 

 

 

 

 

そんなことを呟きながら回避する。

 

 

 

 

 

金剛「Shit!1発くらい当たってよネ!!」

 

 

 

九十九「……………皆……いくぞ………」

 

 

 

 

九十九は取り出したインカムに次の言葉を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………『釣り野伏』………今だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

金剛「!?」

 

 

 

 

 

 

 

金剛の両翼から何発もの魚雷が接近し、

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドォオオオオンッ!!

 

 

 

 

 

金剛「あああっ!!」

 

 

 

 

 

 

直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「島津の戦術、釣り野伏。完成だ」

 

 

 

 

 

 

暁「司令官!」

 

 

 

暁、響、雷、電が九十九の元に集まる。

 

 

 

 

九十九「お疲れ様。僕達の勝利だよ♪」

 

 

 

 

 

金剛「ま…まだデス。霧島、榛名が………」

 

 

 

 

雷「ああ、あの二人なら私達が倒しちゃったよ♪」

 

 

 

金剛「そんな………どうやって!」

 

 

 

 

九十九「金剛、どうやら暁達の方が強かったらしい。あれを」

 

 

 

 

九十九が指を指した方向を見ると、そこには座り込み、息を荒げる榛名、霧島の姿があった。

 

 

 

遠くから見ていた鈴音は呟く

 

 

 

 

鈴音「終わりかな……………変わってないなぁ。あの戦術を使うなんて………」

 

 

 

 

 

 

こうして、九十九プラスの第六駆逐隊が金剛艦隊に勝利を収めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴音「…………ん?………金剛達に釣り野伏教えて無かったっけ?あれれ?」

 

 

 

 

 

 

 

そして、演習終了後

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴音「いや~凄いね♪皆♪」

 

 

 

 

電「司令官のお陰なのです♪」

 

 

 

雷「あの作戦も良かったわよね」

 

 

 

響「釣り野伏………だったっけ?」

 

 

 

 

 

 

鈴音「それ、私が考えて九十九が完成させたんだよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

それを聞いた金剛達は

 

 

 

 

 

 

 

金剛「テイトクー……」

 

 

 

比叡「確か提督は………」

 

 

 

榛名「私の知ってる戦術は全部教えたって言いましたよね?」

 

 

 

霧島「どういう…………事ですか?」

 

 

 

 

鈴音「えっと……………その…………(^_^;)」

 

 

 

 

 

九十九「なんだ鈴、一番最初に作った戦術を教えてなかったのか?」

 

 

 

 

金剛「イチバン…………サイショ?」

 

 

 

 

 

 

なかなか怖い顔をしてが鈴音にジリジリ近づいてくる。

 

 

 

 

鈴音「えっと…皆、顔が怖いよ!!」

 

 

 

 

 

榛名「提督………」

 

 

 

 

霧島「覚悟は宜しいですか?」

 

 

 

 

鈴音「…………………逃げるが勝ち!」

 

 

 

 

比叡「あ!逃げた!」

 

 

 

 

 

 

金剛「追いマス!付いてきてクダサーイ!」

 

 

 

 

 

 

比叡「はい!お姉様!」

榛名「はい!お姉様!」

霧島「はい!お姉様!」

 

 

 

 

 

 

 

それから少しの間、鈴音は金剛達に追いかけ回されていた。

 

 

 

 

 



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終わりの時に

 

 

 

 

 

 

そして、夕暮れになる。

 

 

執務室にて、

 

 

 

 

 

九十九「お疲れ様、皆」

 

 

 

 

 

 

暁「お疲れ様」

響「お疲れ」

雷「お疲れ様」

電「お疲れ様なのです」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「金剛達も今日はありがとう」

 

 

 

 

金剛「yes♪どういたしマシテ♪」

 

 

 

 

 

九十九「…………………鈴?」

 

 

 

 

 

 

鈴音「はい………………」

 

 

 

 

 

 

九十九「大丈夫?」

 

 

 

鈴音「………………大丈夫に見える?」

 

 

 

 

そこには縄でぐるぐる巻きにされた鈴音がいた。

 

 

 

 

金剛「良い薬デース」

 

 

 

 

榛名「帰ったら早く釣り野伏、教えてくださいね」

 

 

 

 

鈴音「はーい…………」

 

 

 

 

霧島「それでは九十九さん、私達はこれにて」

 

 

 

 

 

九十九「うん。鈴の事は程ほどにしてあげてね」

 

 

 

 

 

鈴音「九十九……( ;∀;)」

 

 

 

 

 

 

金剛「ンー…考えておきマース」

 

 

 

 

 

九十九「ははは…………そうだ鈴……最後にひとつ……皆の様子はどうだい?」

 

 

 

 

 

 

暁「?」

 

 

 

 

 

鈴音「…………安心して九十九、大丈夫よ。普通の生活に支障はないくらい回復してる。でもまだ戦うことは無理かもしれない………」

 

 

 

 

 

 

九十九「……そうか……それを聞けただけでも十分だ」

 

 

 

 

 

 

暁「…………」

 

 

 

 

 

 

鈴音「………はい!皆!担いで担いで♪」

 

 

 

 

 

 

 

金剛「何言ってるんデスカ?」

 

 

 

 

 

 

鈴音「へ?」

 

 

 

 

比叡「引きずって行きますのでご安心を」

 

 

 

 

 

 

 

鈴音「えええええええええ!?Σ(゜Д゜)」

 

 

 

 

 

 

 

金剛「サ!帰りまショウ!」

 

 

 

 

 

 

霧島「失礼します」

 

 

 

 

 

 

金剛達は九十九に一礼し、鈴音をズルズル引きずりながら提督室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕張「相変わらずでしたね、鈴音さん」

 

 

 

 

 

 

九十九「うん。鈴はああでないとね♪」

 

 

 

 

 

 

響「司令官、今日の任務は終了でいいのかい?」

 

 

 

 

九十九「ん!そうだね、皆お疲れ様。明日も頑張っていこう」

 

 

 

 

 

暁「お疲れ様~」

雷「お疲れ様」

電「お疲れ様なのです」

 

 

 

 

 

 

九十九「響は演習の書類をまとめてくれ」

 

 

 

 

響「わかった」

 

 

 

 

 

そして、響を除く三人は退室した。

 

 

 

 

 

そして少ししたあと、夕張も退室した。

 

 

 

 

 

 

ふと、書類をまとめていた響が九十九に聞く。

 

 

 

 

 

響「ねぇ司令官。鈴音さんのあの癖?は元から?」

 

 

 

 

九十九「鈴?そうだねぇ…………元々って言えばそうなるかなぁ。可愛いもの好きだからね鈴は」

 

 

 

 

 

 

響「………司令官。たとえスキンシップだとしてもあれはキツいよ(-""-;)」

 

 

 

 

 

 

九十九「鈴にはしっかり言っておくよ(^_^;)」

 

 

 

 

 

 

 

響「頼むよ……………さて、できた」

 

 

 

 

 

九十九「相変わらず早いね。しかも……………内容もしっかりまとまってる」

 

 

 

 

 

 

響「これでいいかい?」

 

 

 

 

 

 

九十九「ああ、今日の秘書艦お疲れ様」

 

 

 

 

 

響「それじゃ、失礼します」

 

 

 

 

 

響はそう言って一礼した後、退室した。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「…………響……聞いてこなかった……気を使ってくれたのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 



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南西諸島海域哨戒任務






 

 

 

一週間後

 

九十九達はある場所に向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

九十九「……………………さて、そろそろ着くよ」

 

 

 

 

暁「ハァ………………やっとなのね」

 

 

 

 

雷「暁お姉、もしかして疲れたの?( *´艸`)」

 

 

 

 

暁「そ、そんなわけないじゃない(゜ロ゜;」

 

 

 

 

響「………………」

 

 

 

 

電「司令官さん、あれなのですか?」

 

 

 

 

 

電が指差す先、大きな建物が立っていた。

 

 

 

 

九十九「うん、南西諸島での前線基地。とは言っても、他の前線基地に比べても深海棲艦との戦闘は少ないから哨戒任務もなりたての提督なんかが多いんだ」

 

 

 

 

雷「今日はあの基地の哨戒任務なのよね?」

 

 

 

 

九十九「ああ、その通り。基地の総司令がいらっしゃるから粗相の無いようにね」

 

 

 

 

 

暁「はーい」

響「了解」

雷「はーい♪」

電「なのです♪」

 

 

 

 

九十九達は港に着き、上陸した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

到着した九十九達を待っていたのは、

 

 

 

 

 

 

「ほっほっ、よく来てくれました九十九君」

 

 

 

 

 

 

 

九十九「敬礼!」

 

 

 

 

 

 

白い髭を蓄え、制服を着た老人がいた。

 

 

 

 

「そう畏まらずともよいですよ」

 

 

 

 

九十九「いえ、そういうわけにはいきません。中将」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「ねぇ響」

 

 

 

響「なんだい?」

 

 

 

暁「あのおじいさんが中将ってほんと?」

 

 

 

響「間違いないよ。川上久信中将。かつて名将と呼ばれるほどの提督らしい………」

 

 

 

電「はわわわ……あの優しそうなおじいさんが…………」

 

 

 

雷「人は見掛けによらないのね(・・;)」

 

 

 

 

 

 

 

そんなこそこそ話をしていた。

 

 

 

 

 

九十九「暁」

 

 

 

 

 

 

暁「は、はい!」

 

 

 

 

九十九「何をこそこそ話してるのかな?」

 

 

 

暁「あの…………えっと………(まずい(-""-;))」

 

 

 

久信「ほっほっ、いいのですよ九十九君。あの子達は私のことを話していたようです」

 

 

 

 

暁「…………(・・;)」

 

 

 

 

 

響「………申し訳ありません、中将」

 

 

 

 

 

久信「構いませんよ。ですが懐かしいですなぁ、名将と呼ばれた日が」

 

 

 

 

九十九「何をおっしゃってるんですか。今でも名将だと僕は思っていますよ」

 

 

 

 

久信「……………」

 

 

 

 

九十九の言葉に久信は少し黙った。

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

久信「ですが九十九君。君の家族を救えなかった…………」

 

 

 

 

雷「えっ!?」

 

 

 

九十九「……………中将、お言葉ですがその事はもういいと言ったではないですか」

 

 

 

 

 

久信「しかし……………」

 

 

 

九十九「私達はこれより哨戒任務を開始します。それでは」

 

 

 

 

 

 

そう言って九十九は海へ出ていってしまった。

 

 

 

 

 

 

雷「司令官…………」

 

 

 

 

暁「あの、中将…司令官とはどんな関係なの?」

 

 

 

 

久信「………君達は九十九君の過去を少し聞いたね?」

 

 

 

 

響「はい」

 

 

 

 

久信「九十九君が家族を失った場所、その場所の哨戒任務をしていたのが私だった」

 

 

 

 

 

電「あっ…………」

 

 

 

 

雷「でも………その当時は私達の配備が充実してなかったから…………」

 

 

 

久信「言い訳なんぞいくらでもできる。だが無くしたものを取り戻すことは出来ない……」

 

 

 

 

 

 

鈴音「中将、まだそんなことを言っておられるのですか?」

 

 

 

 

上井鈴音が金剛達を引き連れ、暁達の前に現れた。

 

 

 

 

久信「鈴音君…………」

 

 

 

 

 

鈴音「九十九は過去を払拭して今を生きています。中将も過去に囚われるのはお止めください」

 

 

 

 

 

久信「…………………」

 

 

 

 

鈴音は暁達の方を向き、

 

 

 

 

鈴音「暁ちゃん、任務を開始してくれる?」

 

 

 

 

 

暁「あ……………うん」

 

 

 

 

 

 

鈴音「九十九の事、頼むわね」

 

 

 

 

 

 

そして暁達は敬礼したあと、九十九を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

久信「………鈴音君」

 

 

 

 

 

鈴音「なんでしょうか?」

 

 

 

 

 

久信「あの事は九十九君に伝えましたか?」

 

 

 

 

鈴音「いえ……………確証がありませんので………」

 

 

 

 

久信「だがもし………」

 

 

 

 

鈴音「その時が来れば私が伝えます……時が来れば……」

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

暁「司令官!」

 

 

 

 

 

 

九十九「……………皆…………」

 

 

 

 

 

 

水平線を見つめていた九十九のもとに暁達がかけよる。

 

 

 

 

 

 

九十九「………すまない………急に行ってしまって…」

 

 

 

 

雷「それはいいのよ」

 

 

 

 

電「なのです。でも司令官さん………」

 

 

 

 

九十九「いいんだ、電。いまを生きている………とは言ってもいざ昔の事を思い出すと………どうもね……」

 

 

 

 

響「………………」

 

 

 

 

九十九「さぁ、湿っぽいのはここまで。任務に当たろう」

 

 

 

 

暁「…………わかった」

 

 

 

 

 

 

それから1人1人、半径数キロの担当範囲を決め、哨戒任務にあたった。

 

 

 

 

 

哨戒任務開始からしばらく経った。

 

 

 

 

 

 

九十九「こちら九十九。敵艦影は見えたかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

暁『暁の担当の場所には見当たらないわ』

 

 

 

響『こちら響。こっちも異常なしだよ』

 

 

 

雷『私のところも異常なしよ』

 

 

 

電『電もなのです』

 

 

 

 

 

 

九十九「了解、引き続き任務に当たってくれ」

 

 

 

 

 

九十九は通信機からの報告を聞いていた。

 

 

 

 

 

暁『退屈ね~』

 

 

 

 

雷『今回は暁お姉に同感』

 

 

 

 

九十九「それでも、大切な任務だよ」

 

 

 

 

 

響『そうだよ。万が一、敵が現れたら……………!』

 

 

 

 

不穏な空気が一同に流れる。

 

 

 

 

九十九「響?」

 

 

 

 

 

 

響『……………敵影を確認。数は6。戦艦ル級、空母ヲ級、あとは軽巡と駆逐だ』

 

 

 

 

 

 

九十九「万が一が当たるか…………暁、雷、電、すぐに響のもとへ向かってくれ。響、戦線を維持しなくていい。退きつつ暁達と合流してくれ」

 

 

 

 

 

 

暁『はい!』

響『了解』

雷『はい!』

電『はいなのです!』

 

 

 

 

 

九十九も言い終えたあと、響の元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

そして九十九が戦域に到着する頃には、

 

 

 

九十九「大丈夫か!?」

 

 

 

 

 

電「響お姉ちゃんが!」

 

 

 

 

 

 

 

響「…くっ……敵駆逐は撃沈させたよ……」

 

 

 

 

九十九「響………戦線を維持しなくていいと言ったはずだけど……」

 

 

 

 

 

響は中破していた。

 

 

それは九十九の言葉を無視し、戦闘を行っていたからである。

 

 

 

 

 

響「…………ごめん…………司令官………」

 

 

 

 

暁「響、下がってて」

 

 

 

 

雷「そうだよ響お姉、司令官も来たし絶対負けないよ!」

 

 

 

 

 

 

響「………だけど…………敵前逃亡は……許されない…」

 

 

 

 

 

九十九「そんな事を言うな!!」

 

 

 

 

 

響「!……………司令官………」

 

 

 

 

 

いきなり九十九が声を荒げた。

 

 

 

 

九十九「響……僕との約束、覚えているかい?」

 

 

 

 

 

響「………………うん」

 

 

 

 

 

九十九「傷付いた君を戦わせるほど僕は愚かではないよ………それにこれは敵前逃亡じゃない、ただの後退だよ?いいね?」

 

 

 

 

 

響「司令官…………うん」

 

 

 

雷「響お姉はいつも1人で頑張ろうとするんだから!」

 

 

 

響「雷………」

 

 

 

電「あとは電達に任せてほしいのです!」

 

 

 

響「電…………」

 

 

 

暁「あんな奴ら、暁達だけでも十分なんだから!」

 

 

 

 

響「姉さん…………」

 

 

 

 

九十九「鈴に連絡しておいた。金剛達と合流したあと、すぐに入渠するんだよ」

 

 

 

 

響「…………………了解。響、これより戦線を離脱します…………」

 

 

 

 

そして響は九十九達の後方、前線基地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

九十九「さて、残りを掃討しようか」

 

 

 

 

 

敵深海棲艦は戦闘態勢に入っていた。

 

 

 

 

 

 

九十九「雷と電はル級を抑えてくれ。出来るね?」

 

 

 

 

雷「当たり前よ!」

 

電「やれるのです!」

 

 

 

 

 

九十九「暁はハ級を頼む」

 

 

 

 

 

暁「わかったわ!」

 

 

 

 

 

 

九十九「ヲ級は僕が抑える………行光、種子島、転送」

 

 

 

 

 

粒子が集まり、刀と鉄砲が現す。

 

 

それを掴み、九十九は皆に号令する。

 

 

 

 

 

九十九「……いくぜ!戦闘開始!」

 

 

 

 

 

 

砲撃が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響「………………始まった」

 

 

 

 

 

 

その音を遠くから響は聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

響「皆………無事で………」

 

 

 

 

 

そのあと響は金剛達と合流した後、基地へと帰還した。

 

 

 



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殺意無き、悲しみの目

 

 

暁「それっ!!」

 

 

 

 

 

ハ級「!」

 

 

 

 

 

 

 

暁は敵軽巡ホ級と戦闘を行っていた。

 

 

暁は次々と砲撃を命中させ、ホ級を中破させている。

 

 

 

 

暁「よしっ!このまま……………わっ!」

 

 

 

 

 

暁はうっすらと見えた魚雷に気づき、ギリギリのところで回避した。

 

 

 

 

 

 

ホ級「……………」

 

 

 

 

 

暁「…………(あ、危なかった……(-""-;))」

 

 

 

 

 

 

ここでふと、九十九の言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

九十九『物事が順調に進んでいるときこそ、気を引き締めて油断無きように』

 

 

 

 

 

 

暁「……………わかってるわ…司令官…」

 

 

 

 

 

 

 

そして魚雷をホ級に向け、放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「レディに油断はない!」

 

 

 

 

 

ホ級に直撃し、爆散した。

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

雷「電!」

 

 

 

電「はい!」

 

 

 

 

ル級「!!」

 

 

 

 

 

 

雷、電は動きでル級を撹乱し翻弄しつつある。

 

 

 

 

雷「電!1つ1つ確実に避けるのよ!」

 

 

 

電「はいなのです!」

 

 

 

 

 

素早い動きでル級の砲撃を回避、接近する。

 

 

 

 

 

雷「てぇーっ!!」

 

 

 

電「なのです!!」

 

 

 

 

集中砲火を浴びせ怯ませる。

 

 

 

 

ル級「!!!」

 

 

 

 

 

ル級も砲撃を雷達に放つも、軽くかわされる。

 

 

 

 

雷「それっ!!」

 

 

 

 

電「とどめなのです!!」

 

 

 

 

 

酸素魚雷を放ち、ル級に命中。

 

 

後に爆散した。

 

 

 

 

雷「やったわ♪」

 

 

 

電「はい♪」

 

 

 

 

雷「暁お姉も倒したみたいだし……あとは司令官の相手だけか…………」

 

 

 

電「手伝った方がいいのでしょうか……」

 

 

 

雷「う~ん………少し様子を見ましょ」

 

 

 

_________

 

 

 

 

九十九「チッ…………………数が多いな………」

 

 

 

 

 

九十九は空母ヲ級が繰り出す艦載機に少々手こずっていた。

 

 

 

 

上空には20機ほど飛んでいたが攻撃はしていない。

 

 

 

九十九「…………さて、いつも通りだが………」

 

 

 

そう言いながら武器を構える。

 

 

 

 

ヲ級「……」

 

 

 

 

九十九「突貫する!」

 

 

 

 

一直線に進み始めた。

 

 

 

 

ヲ級「!」

 

 

 

 

ヲ級はこれを見逃す訳もなく出していた艦載機を攻撃に向かわせる。

 

 

 

 

だが、

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

 

突貫する九十九に艦載機が追い付けないでいた。

 

 

 

ヲ級「ッ!」

 

 

 

 

 

咄嗟に頭部に付いている砲頭で九十九を狙うも、

 

 

 

 

 

 

ヲ級「…………」

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

砲撃しなかった。

 

 

 

 

 

 

九十九「ハアッ!!」

 

 

 

九十九はヲ級目掛け刀を振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲ級「!!」

 

 

斬撃の瞬間、ヲ級は目を閉じた。

 

九十九「くっ…………」

 

 

 

 

その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲ級「……………?」

 

 

 

 

九十九「…………………斬れないよ…………戦う意思のない者を……例え敵であっても……」

 

 

 

 

振り下ろされた筈の刀はヲ級を斬る前に消滅していた。

 

 

 

ヲ級「……………」

 

 

 

 

九十九「君の目はあのときの…………僕が家族を失った時の目をしていた…から…」

 

 

 

 

 

ヲ級「……ゥ……ッ」

 

 

 

 

 

 

ヲ級は九十九が言った言葉の後、涙を流し始めた。

 

 

 

 

暁「司令官!」

 

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

 

暁、雷、電が駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

 

 

九十九「皆…………」

 

 

 

 

 

 

 

電「あっ…………」

 

 

 

 

 

涙を流すヲ級を見て暁達は黙った。

 

 

 

 

 

 

九十九「…………皆、1つ僕の我が儘を聞いてほしい」

 

 

 

 

 

 

暁「…………」

電「…………」

 

 

 

 

雷「…………何なの?」

 

 

 

 

九十九「僕は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このヲ級を保護しようと思う」

 

 

 

 

電「えっ!?」

 

 

雷「なっ!?」

 

 

 

暁「それっていいの!?」

 

 

 

 

 

 

九十九「よいことではない。軍法に背く事を僕はやろうとしている…」

 

 

 

 

 

ヲ級「………………」

 

 

 

暁「なによ………そんなことなの?」

 

 

 

 

九十九「暁…………?」

 

 

 

 

雷「武士の情け、って奴ね♪」

 

 

 

 

九十九「雷…………」

 

 

電「助けられる命なら………助けたいのです!」

 

 

 

九十九「電…………」

 

 

 

 

3人の意思を聞き取った後、

 

 

 

 

ヲ級「……アリ……ガトウ……」

 

 

 

ヲ級は涙を流しながら、感謝の言葉を言った。

 

 

 

暁「えっ!?喋れたの!?」

 

 

 

ヲ級「ウン……」

 

 

 

 

電「び、ビックリなのです(^_^;)」

 

 

 

 

雷「それよりも、問題はヲ級をどうやって見つからずに鎮守府に連れていくか、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴音『ダメよ、九十九』

 

 

 

 

 

九十九「!」

 

 

 

 

 

通信機から鈴音の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

鈴音『大本営からの許可無しに深海棲艦連れていったら厳罰ものよ?』

 

 

 

 

 

 

九十九「鈴………この子は昔の僕と同じ目をしている………簡単に放っておくわけには!」

 

 

 

 

 

 

久信『その件、私に任せていただきましょう』

 

 

 

川上久信の声。

 

 

 

九十九「……中将…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久信『九十九君、君達の戦闘はこちらの偵察機によって大体把握している。そのヲ級が戦う意思が無いこともわかっている』

 

 

 

 

 

九十九「中将……」

 

 

 

 

 

久信『あとは私に任せてください。大本営になんとか言っておきましょう』

 

 

 

 

鈴音『いいのですか?中将』

 

 

 

久信『ほっほっ、老いぼれに出来ることはこれくらいですよ』

 

 

 

 

 

九十九「ありがとうございます。中将」

 

 

 

 

 

暁「鈴音さん!響は!?」

 

 

 

 

鈴音『大丈夫よ、ゆっくり休んでるわ』

 

 

 

 

 

雷「よかったぁ~」

 

 

 

電「はいなのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴音『もうちょっとハグしとけばよかった…………』ボソッ

 

 

 

 

九十九「………………………」

 

 

暁「…………(響…大丈夫かな……)」

 

 

 

 

九十九達はヲ級を連れ、基地へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフッ……………見ぃつけた…………♪」

 

 

 

 

 



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戦う意思と共に

 

 

 

 

 

帰還した九十九達を待っているものがいた。

 

 

 

 

響「皆!」

 

 

 

響が埠頭で出迎えた。

 

 

 

 

 

 

響「………………司令官、皆、話は聞いたよ。流石だね」

 

 

 

 

九十九「響……………その事だけど……」

 

 

 

 

ヲ級「…………」

 

 

 

ヲ級を見た響は特に表情は崩さす言う。

 

 

 

響「わかってる。司令官が決めたことだし、異論はないよ」

 

 

 

九十九「……………ありがとう」

 

 

 

 

ヲ級「アリ……………ガト……………」

 

 

 

 

響「そういえば中将から伝言が」

 

 

 

 

九十九「?」

 

 

 

 

響「『先程の通り、ヲ級の件は私に任せてほしい。そして君にあの事を話し、申し訳なく思っている』って………」

 

 

 

九十九「………………うん、わかった」

 

 

ピーピーピー

 

 

突然通信機が鳴り出す。

 

 

鈴音『九十九、聞こえる?』

 

 

 

通信機から鈴音の声が聞こえた。

 

 

 

 

九十九「ああ、聞こえるよ」

 

 

 

 

鈴音『今、九十九達がいる反対側にいる艦隊が苦戦しているの。救援頼める?』

 

 

 

 

九十九「わかった。任せてくれ」

 

 

 

鈴音『頼むわ!』

 

 

通信が切れる。

 

 

暁「響、いける?」

 

 

 

響「うん、問題ないよ」

 

 

九十九「よし、行こう!」

 

 

 

九十九達は救援に向かうべく、海を走った。

 

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

 

 

九十九達のいた反対側の海域にて、戦っている艦娘が四人いた。

 

 

 

「っ……………こんなにル級が多いなんて…………」

 

 

 

「扶桑姉様、ここは1度退いた方が……」

 

 

 

扶桑「駄目よ山城。ここで退いたら基地が危ないわ」

 

 

 

山城「しかし………」

 

 

 

巫女のような服を着た二人の艦娘

 

 

 

戦艦 扶桑

戦艦 山城

 

 

共に小破

 

 

 

 

山城「時雨!大丈夫!?」

 

 

 

時雨「僕は大丈夫!最上さんが!!」

 

 

 

最上「うっ…………大丈夫だよ………多分……」

 

 

 

 

航空巡洋艦 最上 大破

駆逐艦 時雨 健在

 

 

 

 

 

敵深海棲艦 ル級elite10隻 全て損傷軽微

 

 

 

 

 

扶桑「………山城、退路を確保するわ、ついてきなさい!」

 

 

 

山城「はい!」

 

 

扶桑、山城は最上、時雨の前に立つ。

 

 

 

最上「扶桑さん!山城さん!」

 

 

 

扶桑「時雨!最上を連れて退きなさい!」

 

 

 

時雨「ダメだ!扶桑!山城!」

 

 

 

山城「早く!姉様の行動を無駄にする気!?」

 

 

 

 

 

時雨「!!」

 

 

 

 

山城の言葉に時雨は口を開けなかった。

 

 

 

最上「…………行こう……」

 

 

 

時雨「……帰ってきて………必ず!帰ってきて!!扶桑!山城!」

 

 

 

 

時雨は最上を支えつつ、その海域を離脱しようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

ル級「……………!」

 

 

 

 

 

 

ドゥン!!

 

 

 

 

 

扶桑「!!」

 

 

 

 

1発の砲撃が放たれた。

 

 

 

 

その時、

 

 

 

 

ズバッ

 

 

 

 

 

 

九十九「…ふぅ……間に合った…ようだな…」

 

 

 

 

 

時雨「……………ぇ………?」

 

 

 

砲撃は後退しようとしていた時雨達に放たれていた。

 

だが、

 

その砲弾を間一髪、九十九が斬った。

 

 

 

九十九の新しき対深海棲艦用の刀

 

 

 

 

 

九十九「………試作刀『兼定』……悪くない」

 

 

 

『兼定』によって砲弾を斬り裂き、時雨達を守ったのである。

 

 

 

 

九十九「無事か?」

 

 

 

時雨「う、うん……」

 

 

 

九十九「なら良かった。早く後退を」

 

 

 

時雨「うん!」

 

 

そして時雨と最上は戦闘海域から離脱した。

 

 

 

 

扶桑「あなたは………」

 

 

 

九十九「俺は島津九十九。哨戒任務中に君達を救援して欲しいと要請があったのでな。援護するぞ」

 

 

 

 

扶桑「あなたが………島津九十九提督」

 

 

 

山城「………この人が…」

 

 

 

 

九十九「さて………とりあえず聞こう…………君達はまだ戦えるか?」

 

 

 

 

扶桑「……………戦えます」

 

 

山城「…………私も姉様と同じく」

 

 

 

 

九十九「わかった……………ならついてこい、その戦う意思と共に」

 

 

 

扶桑「はい!」

 

山城「はい!」

 

 

九十九「いくぞ!!」

 

 

 

 

九十九の掛け声と共に三人はル級eliteに突貫する。

 

 

敵に真っ正面から突撃するなど無謀。

 

 

しかし、扶桑、山城は疑問を持たなかった。

 

 

 

九十九「扶桑、山城!右舷、左舷に分かれろ!」

 

 

 

扶桑「了解!」

 

 

山城「了解!」

 

 

 

 

はじめて会った者の命令を何の疑問も持たなかった。

 

 

 

九十九の言葉通り、扶桑は右へ、山城は左へと分かれる。

 

 

突き進む九十九から一瞬目を離したル級一隻は

 

 

 

九十九「チェストォオオオオオオ!!」

 

 

ザシュッ!!

 

 

 

すれ違い様に斬り伏せられた。

 

 

 

 

九十九「残り……………九つ………」

 

 

 

 

ル級「ッ!」

 

 

 

残った九隻のル級が一斉に九十九に砲頭を向ける。

 

 

その時、

 

 

バシュゥゥウッ!!

 

 

 

ル級「!?」

 

 

 

突然、ル級達付近の海面から水飛沫が上がった。

 

 

 

 

 

九十九「一斉射だ!扶桑!山城!放てぇ!!」

 

 

 

 

扶桑「!」

山城「!」

 

 

 

 

 

両舷からの一斉砲撃がル級elite達に直撃した。

 

 

 

 

 

 

この砲撃によって撃沈した数は四隻。

 

 

 

 

九十九「残り……五つ」

 

 

 

 

残った四隻も中破以上の損傷を負っていた。

 

 

 

 

暁「司令官!」

 

 

 

九十九「…………来たか………」

 

 

 

後方から暁達第六駆逐隊と先程の空母ヲ級が追ってきた。

 

 

 

扶桑「深海棲艦!」

 

 

砲頭をヲ級に向ける。

 

 

九十九「待ってくれ扶桑!こいつは敵じゃない!」

 

 

 

扶桑「どういうことですか!?」

 

 

 

九十九「こいつは俺達に投降した。俺達に危害を加えることはない。鈴も知っている」

 

 

 

扶桑「提督が………」

 

 

 

山城「…………」

 

 

 

 

 

響「………遠距離雷撃は初めてだったけど…………どうだった?」

 

 

 

 

 

 

九十九「ああ、バッチリだったよ」

 

 

 

 

 

ヲ級「……」

 

 

 

 

九十九「君も来たのか…………」

 

 

 

ヲ級「ダメ?」

 

 

 

九十九「いや、しかし仲間と戦う事が出来るか?」

 

 

 

 

ヲ級「私ハ…………静カニ暮ラシタイダケ………ソノタメニ戦ウ」

 

 

 

ル級達は二手に分かれ転身、移動し始めた。

 

 

 

 

 

九十九「…………扶桑!山城!第六駆逐隊と共に右の二隻の撃沈を!」

 

 

 

 

扶桑「っ!わかりました!」

 

 

 

 

九十九「ヲ級!俺についてこい!左を殲滅する!」

 

 

 

 

ヲ級「ワカッタ!」

 

 

 

 

九十九「よし………掛かれぇ!」

 

 

 

 



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