駐在さんと私達の雛見沢戦争! (秋の守護者)
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2度目の人生

どうぞよろしく


 突然だが、皆様は『ひぐらしのなく頃に』という物語をご存知だろうか?

2002年のコミックマーケットで発売され、2006年にアニメが放送開始、発売された小説や漫画は、出題編の 鬼隠し 綿流し 祟殺し 暇潰し

 

解答編の 目明し 罪滅し 皆殺し 祭囃し編 と実に種類が多く、今ここであげた他にも同人誌やゲーム、新規書き下ろし作品等が多数あり、さらには外国でも放送されたという大人気作品だ。

 

シナリオとしては昭和58年、人口2000人にも満たない雛見沢という村に都会から引っ越してきた少年、前原圭一がやって来ることで舞台の幕が上がる。

 

 持ち前の明るさで直ぐにクラスに溶け込んだ圭一、しかし圭一はふとした切っ掛けから雛見沢で起こった『鬼隠し』という事件を知ってしまい、それを軽い興味本位で調べていくと……と言った具合で始まるのが物語の始まりである鬼隠し編なのだ。

 

 他の話の事も語りたいのだがいかんせん時間がない、時間があっても1日では語りきれない、それほどまでに見所があるのだ。

 

さて、長々とした前置きはこのくらいにして本題を話そう、何故俺がこんな話をしたのか、簡潔に言おう。

 

 

「どうやら俺は巻き込まれてしまったらしい」

 

 

 

——————————————————

 

 

(ひぐらしの世界(物語 )に)

 

何でだよ! 何でよりにもよって今なんだ!! あれだけ原作に関わる事を回避しようとしてきたのにまさかこんなことで関わることになるとは…ヨソウガイデス

 

立花(たちばな)君、そんな遠い物を見つめるような目をしてどうかしたのかね?」

「……いえ、何でもありません」

「ふむ、君がこの件に関して納得していないのは百も承知だ、だが上からの指示では私もどうすることも出来ないんだ、すまないね、それに君はこの前ゆっくりしたいと言っていたじゃないか、いい機会だ、思う存分ゆっくりしてきたまえ」

 

 そう言いつつ肩をすくめる男の顔にはニヤニヤとした嫌らしい笑みが浮かんでいた、思わず俺の右腕(シャイニングフィンガー)がうなりそうになるがグッと腹に力を溜めて我慢して、怒りで震えそうな声も飲み込んで極めて冷静に言葉を返す。

 

「いえ、構いません、それで、笹島警部(• • )、いつまでに、準備を、終わらせておけば、よろしい、デショウカ?」

 

 全然冷静に返せず言葉がぶつ切りで最後の方は一周回って無感情だったけどまあ良いや、笹島は俺が表情を動かさなかったせいか不満ありありの顔だったが、ふんっと鼻を鳴らし言った。

 

「期間は3日だ! 明日までにデスクの上を整理しておけ!……まっせいぜい頑張ることだな、立花 善光(よしみつ)巡査、いや、今は巡査部長だったかな?」

 

 そう言いつつ自分のデスクから立ち上がりすれ違い様に俺の肩を叩くと、ニヤニヤしながら部屋を出ていった。

 

「はぁ~……」

 

 ため息をつきつつ自分のデスクを整理していく、何となく手を止めてバックに入っている茶封筒をチラリと見る、そこには赤い文字で重要と判子が押されているのが分かる。

 

 そしてこの茶封筒の中には1枚の紙がある、[移動命令書]と書かれた紙だ、そしてその紙の最後の行にはうれしい事に俺の移動場所が書かれている。

 

 『以上の理由を以て、貴君を雛見沢(• • • )駐在所の署長に任命する。』 と

 

 

 

 

 

 どうしてこんなことになっちゃったかなぁ…。

 

 

 

 いきなりだが俺は転生者だ、俺が産まれた年は1950年の昭和25年、産まれた頃から前世の記憶はあったのだが、その頃の俺はてっきり俺が死ぬまで過ごしてきた平成の日本から昭和の日本に転生したのだと思っていた。

 

 この世界(ひぐらし)に転生したのだと理解したのは1955年、父親の父親、つまり今の俺からするとお祖父ちゃんが、俺が5才になった誕生日の翌日に黒電話でどこかに電話すると、物心もつかない俺の手を引きレトロな自動車でとある場所に連れていかれたのが原因だ。

 

 とある場所というのが何を隠そう雛見沢、その地名を聞いた俺はピキッ と固まった、ぶっちゃけちょっとチビった。

 

 えっ、嘘だよね? 雛見沢ってあの雛見沢じゃないよね、偶然他の場所と名前が同じなだけだよね? そしてその30分後俺の希望は打ち砕かれることになる。

 

「やぁ、お魎(• •)さん、あなた直々に出迎えとは驚いたな」

「よく来たね重蔵さん、それと坊、立ち話も何だね、なかにお入り、宗平(• •)さんもなかで待ってるよ」

 

 そう言う初老の女性の後ろには立派な一軒家、お魎、宗平と言う聞き覚えのありすぎる名前、門の前に掲げられている園崎という立札、そしてこの場所雛見沢、どれだけ目を背けようがここまで揃ってると否が応でも理解させられる。

 

 

 

  やっべぇここひぐらしの世界だ

 

 

 

 そう理解した瞬間どっと吹き出てくる冷や汗、手足が冷たくなって心臓がバクバク脈動して息が浅く速くなる。っていうか何で爺ちゃん園崎さん宅と知り合いなのとか、その親しげな表情は何だとか、そんな思いもあり俺をますます混乱させた。俺は爺ちゃんの袖をほぼ無意識にぎゅっと握り締めながら仰々しいその門をくぐる、そこから先の記憶が俺には朧気にしか思い出せない、転生したとはいえ幼い俺の精神が耐えきれなかったのかもしれない。

 

 話を戻そう、ここがひぐらしの世界であると知った俺は全力で原作に関わる全ての事から離れる事を決意した。当たり前だ、物語(フィクション)物語(フィクション)だから面白いのだ、あんな不安定なバランスで成り立つ殺伐とした場所に関わっていられるか! 俺は逃げさせてもらう! そう思い立ったが吉日、俺は体を鍛え始めた。

 

 理由は簡単、自衛隊に入る為だ、正確には自衛隊に入って何年かたった後の職業斡旋で(昭和)をときめく大手工業会社に入社するため、これから飛躍的に伸びるであろう工業系の仕事につくことができれば将来安定間違いなし、それに専門的な資格は自衛隊で取ることが出来るし給料も出る、爺ちゃんに頼めば、爺ちゃんは体を効率的に鍛えるやり方を喜んで教えてくれた。だけどごめんよ爺ちゃん、俺は自衛隊員として生涯を過ごすつもりはないんだ。

 

 俺は中学を卒業したら直ぐにでも自衛隊に入隊したかったのだが、最低限高校は出てからと言うことなので工業高へ、ぶっちゃけこのまま就職するのも良いかなと思ったのだが幼い頃からいろいろ教えてもらった事を無限にするのも心苦しかったので卒業後すぐ陸上自衛隊へ入隊、

 

 そうそう、園崎宅へはあれから何回かお邪魔させて頂く機会があり、爺ちゃんの昔話や、原作では必要最低限しか語られることのなかった宗平さんの事などを本人の口からいろいろ聞いた。時代の生き証人である人から聞く話はとても面白かったといっておこう、やんちゃしすぎて怒られることもあったけど、それも含めて楽しかったし、俺が小説を読んだときからずっと気になっていた人肉缶詰の事も話してくれた。

 

 何でも爺ちゃんと宗平さんは学生の頃からのライバルで、なんでもかんでも競いあっていたらしい、そして双方闇市で莫大な富を築きあげ、しかしいがみ合うこともなく助け合ってやっていたそうだ、しかしその関係を妬んだ輩がありもしない噂を流して爺ちゃんに言った。

 

【あいつの所では人の肉で缶詰を作っている、あんな奴とは手を切って俺と組まないか?】と、それを聞いた爺ちゃん大大大激怒、嘘かほんとか知らないが手にした刀で瞬く間にそいつを切り殺したらしい。そしてその刀を持った状態で宗平さんのもとへ行き、噂は本当なのかと宗平さんに詰め掛ける奴等を一喝、だから奴には借りがあると宗平さんは言っていた。

 

 うん、何て言うか、爺ちゃん凄いね。

 

 そんなスーパーお爺ちゃんも俺が自衛隊に入隊して1年目の昭和44年に亡くなった。そして俺は昭和47年の1972年に退職、ん? 4年も何してたって? 詳しくは言えないけど、地を這って、血を滲ませて、泥水啜るような訓練をずっとしていましたが何か? いやぁ~キツかった、平成と違って教官は普通に殴るわ蹴るわ、職業斡旋が何故かいつまでたっても来ないし、まぁお陰で強靭な体を手に入れましたがね?

 

 そして何故か同期が起こした不祥事に巻き込まれて俺氏辞職()、何でや! 俺関係ないやろ! しかしいつまでも項垂れている訳にはいかない、こうなってしまえば職業斡旋は諦めるしかないので、自力で自動車系の工業会社に就職しようと頑張ったのだが、何故か行く会社行く会社倍率50倍以上のとんでもないことになっており、無事御祈りメールが数件届いて終了。

 

    クソが

 

 しょうがないのでかつての上官の紹介で警察官になることに、まぁ国家公務員ですし? キャリア組じゃないから行けるとこは決まってるけどそこはしょうがない。

 

 そして特に何事もなく1972年昭和47年に警官に就職、位は一番下の巡査から、しかしこの時期は日本の学生運動がやっと下火になってきた時期で、また新たな起爆剤となる物が投下されてはたまったものではない、って感じで学生達の動向を見守るとても緊張感のある職場でした。

 

 しかも下火になったとはいえストライキや座り込み等は起こる、そしてそのときに駆り出されるのは下っ端である俺達であり、自衛隊出身である俺は常に交渉役だったり盾を持たされて最初に突撃させられたりいろいろさせられた。

 

 おい上司ふざけんな、これ絶対俺の仕事ちゃうやろ、同僚共、お前ら覚えとけよ

 

 んなことずっとさせられてたら人間不信になって雛見沢行ってなくても雛見沢症候群発症して首掻き切って死んでまうわ。

 

 そんなことを続けてはや半年、いい加減もう我慢の限界なので笹島に全てをぶちまけた。どうして俺ばかりに危険な事をやらせるのかとかお前のズラが目に見えてバレバレでここ来るとき何時も笑いそうになるんだよとか、中年のおっさんが可愛いぬいぐるみ集めてニヤニヤしてんじゃねぇよとか、もっとのんびりしたいとか、それはもう、今まで溜め込んでたもの全てを出しきった。

 

 全てをぶちまけた結果がこれだよ…ぶちまけた結果がこれだよ

 

 わぁ~い、ひぐらしの物語のなかで頑張るぞ♪(吐血

 

 それはそれとしてあのクソ上司絶対に許さん、いつかあいつの集めてるぬいぐるみのわたを掻き出して代わりにいい感じに潰れた銀杏詰め込んでやる。

 

 くっそ、こうなりゃ自棄だ! 今が古手梨花にとって何回目の世界か知らないが、全部俺が救ってやんよ!!!!

 

 




原作開始時の年齢は

前原圭一:14歳(中2)
竜宮レナ:13歳(中2)
園崎魅音:15歳(中3)
北条沙都子:11歳(小6)
古手梨花:11歳(小6)
園崎詩音:15歳(中3)

これでいきたいと思います。

ご意見ご感想などありましたらお気軽にどうぞ


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