Metalgear;Gate (FLBM)
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ブリーフィング
これは、世界を幾度も陰謀に巻き込まれながら救った蛇と陰謀に巻き込まれ、ひたすら孤独に運命に抗い、無惨にも打ち砕かれた観測者が出会った世界線ーーーー
2010年11月23日 秋葉原UPX前
「オタコン、目的地に着いたぞ。」
「オーケー、これからの段取りはわかってるね?」
初老の男性がスマートフォンによる通信をしていた。その男の体の年齢に対して顔に違和感を覚えるほど若く見える。それは彼の素顔ではなく、変装をしており、少しだけ不自然な風貌に見える。しかし、辺りは通行人で溢れており、自然と溶け込んでいた。
「ああ、勿論だ、これから例の会場に潜入、そして、ヴィクトルコンドリア大学のコンベンションだな。」
「うん、それで間違いないよ、スネーク、あとは君の行動に任せるよ。」
「わかった…。アマデウス、タイムマシン…奴等は必ず関わっているはずだ……愛国者達…」
一週間前 某所
ビッグシェル、アーセナルギアの事件が愛国者達の情報淘汰によって世間から忘れ去られようとしていたときのこと。
「うっ…!」
「スネーク、どうしたんだい?」
苦しみ出す初老の男性に技術者風の男性が慌てて声をかける。
「スネーク、まさか、今になってFOXDIEが…」
「いや、それはない、だが、オセロット…いや、リキッドがあのとき言っていた、どうやら俺はそう長くないらしい。その症状が今になって出始めたか。」
「…でも、まだやらなきゃいけないことが僕たちには残されている。まだ頑張らなくちゃいけないよ。」
「それもそうだが、今は問題ばかりかかえてしりごみしてばかりではダメだ、来るべき時に考えればいい。」
初老の男性の名は、ソリッド・スネーク、かつてBIG BOSSと2度にわたる対峙、シャドーモセス事件などで英雄とされている一方2007年のタンカー事件、2009年のビッグシェル、アーセナル、その他各国のメタルギア破壊工作の件によりテロリストとして国際指名手配されている身である。
そして、技術者風の男性の名はハル・エメリッヒ、通称オタコン。彼はシャドーモセス島において、メタルギアREXの開発を行っていた。スネークとはそこで出会い、以降は共に活動しており、彼もまた国際指名手配を受けている身である。
静まった空気のなか、オタコンが突然話始めた。
「そこで、愛国者達に関係するかもしれないような気になる話があるんだ。」
「気になる話?それも連中に関わることか?」
「そう、スネーク、中鉢博士のことは知ってる?」
「ああ、タイムマシンの論文を持ち込んでロシアに亡命したって言うあの?」
「その通り、世間的にはあまり関心は無さそうなんだけど、実は各国がその事について裏では注目を浴びているんだよ。」
「当然だろう、タイムマシンなんて代物は持っているだけで核以上の驚異になりかねないからな。まあ、確かに愛国者達はこんなこと見過ごすわけがないだろうが。」
「さらに言うと、中鉢博士はロシアに亡命する前、日本である発表をしたんだ。」
「大体予想はつくな、タイムマシンのことだな?」
「ビンゴ、そのことなんだけど、とあるルートからそのときの資料を手に入れたんだけど…内容がまるでめちゃくちゃ、子供だましもいいところだよ。おまけにジョン・タイターのパクリときた。でも中鉢論文の方はかなりしっかりした理論になっていたようだね、だからこそロシアが目をつけた、だからこそ気になることがあるんだ、それは…」
「「牧瀬紅莉栖の死。」」
二人の声が重なった。スネークも牧瀬紅莉栖の死については知っているようだ。
「そう、中鉢博士の発表と牧瀬紅莉栖の死亡した場所は同じ所なんだ。さらに調べてみたんだけど二人は親子らしい。」
「なるほど、もしかすれば、中鉢論文はあの牧瀬紅莉栖が提案した方かもしれないな、そうすれば辻褄が合う。」
「そうだね、明らかに偶然にしては出来すぎてる。もしかしたら何か事情があるのかもしれないね、その事も調べてもらいたいけど、それともう一つ、スネーク、君に調べて欲しいことがあるんだ。」
「あとは何があるんだ?」
「今度日本で人工知能、アマデウスについての発表があるそうなんだけど。」
「人工知能?それがどうかしたのか?」
「いや、さっき、牧瀬紅莉栖がタイムマシンと何らかの関係があるかもしれないと思って彼女の研究について調べていたんだけど、それが、人間の脳のデータ化なんだよ。」
「なかなか大それたことだな、それがタイムマシンとなにか繋がりがあるのか?」
「タイムマシンとは直接繋がりはないよ、だけど、さっき言ったアマデウスは彼女の大学、それも同じ研究チームが関わっていたことなんだ。しかもアマデウスの人格のモデルは…」
「牧瀬紅莉栖なんだ。」
こんかいはスネーク達中心に進めました。
次回は岡部ら中心に進めます。
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Chapter1
岡部倫太郎は困惑していた。彼の目標はヴィクトル・コンドリア大学へ行くことである。その一環としてUPXでコンベンションを受けようとしていたのだが、中学生ぐらいの背丈の女性に声をかけられていた。
「私の名前。比屋定真帆。漢字でもローマ字でも読めたためしがないから先に言っておくわ。」
「そして、私は立派な成人女性、中学生でも小学生でもないわ。」
彼女は息を荒立てながら言い返してくる。実際、彼女の所持している IDカードにも記されている。
彼女は通訳もかねて助手としてついてきたそうだ。ヴィクトルコンドリアのレスキネン教授のらしい。
「テーマは"人工知能革命"か。」
「時間があったらぜひ聞いてみてほしいわね。」
「そうするよ。」
そう言って彼女は去っていった。その直後のことだった。
「ちょっと失礼する。」
「うわっ。」
誰かに突然ぶつかられた。
「大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。」
「すまないが、シアターはどこにあるかわかるかい?」
背丈の高い男性だ。それでもって筋肉質だ。ミスターブラウンに負けないほどの。それにしてもこの男性、なんなのだろうか、少しだけ顔に違和感があるような気がする。
「で、教えてくれないかい?」
「あっ、ああ…これから向かいますので一緒に行きましょう。」
そこで男性を案内しつつ歩いていると比屋定真帆と背丈の高い外国人の男性が話ながらやって来るのが見えた。あの外国人がレスキネン教授なのだろうか。
「あの二人何やら話してるな。マキセがどうだとか。」
「それは本当ですか?」
驚きながらも、聞いてみる。紅莉栖に関することを話しているのなる気になる。
「ああ、間違いない。それも家が火事だとか夫人は無事だとか強盗、警察が中止、FBIなんてのもな。」
「今のでそこまで聞き取れたんですか?日本人ですよね?」
「…一時期アメリカに住んでいたことがあってな。」
男性はいたって動じていないようにも見えたが、本の少しだけ返事が遅かったような、なにか迷っていたような気もした。
「それはそうと、紅莉栖の家が火事?どういうことだ?」
「それに関しては俺も知らん。だが、もうすぐコンベンションが始まるぞ。」
「え、ああはい。」
そう言われると、すぐさまシアターに向かった。
中はかなりの人で、熱気が溢れていた。恐らく、マスコミらがつめよって取材にでも来ているのだろう。
「あの辺り空いているぞ。」
「そうですね、あの辺りなら座れそうですけど、席が一つしかありませんね。」
「なら、俺は他をあたる。ここまで案内してくれてありがとう。」
「そうですか、ところでお名前は何て言うんですか?自分は岡部倫太郎と言います。」
「俺は…五代力斗。」
なかなか普通の名前だ。でもまた一瞬迷いがあったようにも感じた。
「そうですか、ではまたどこかで。」
その後男性は席を見つけたのだろうか、気がつくとどこかえと去っていた。
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「オタコン、会場に入った。セキュリティも難なく通った。」
「よかった、それにしてもちょっと時間かかったね、入るまでに誰か接触があったかい?」
オタコンが聞いてくる。もうすでに話しかけてしまった。しかしその人物も問題ないと判断したがゆえに接触した。さらに今は変装しているため問題はないはず。
「それが、一人だけ接触した。だが、恐らくなんら影響ないだろう。」
「君がそういうのなら大丈夫なんだろうけど、その変装、フェイスカムだって、まだ試作段階なんだからあまり過信しすぎないようにね。」
「ああ、わかっている。」
今装着しているものはフェイスカムと呼ばれるものだ。これは登録されているものであれば、どんな人物の顔になれる代物だ。まさか今これが手に入るとは。
「確かに、ちょっとだが見た感じ違和感がありそうだ。」
「だから注意して。」
「おっと、時間だ、始まるぞ。」
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