冴えないヒロインと捻くれ者 (リヨ)
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俺と加藤恵は似ているのかもしれない。

冴えカノ2期楽しみだな〜


二週間前、親の事情で千葉から引越しをした。

当然高校も変わるわけで、俺は豊ヶ崎学園に転校した。

最初は質問攻めにあったが、素っ気なくしているといつの間にか静かになっていた。

心置き無くぼっちライフを過ごせると思っていたのだが...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ!比企谷!うちのサークル入ってくれよ!」

こいつ。こいつのせいで俺のぼっちライフは半壊状態である。もうむしろ8割壊されてる。

名前は安芸倫也。オタク。...え?説明が足りない?なんか

Blessing?なんちゃらってサークルに入ってるらしくてそれに俺をしつこく勧誘してくるのだ

なぜそうなったのかと言うと、それは転校初日の話である。

 

 

 

 

「それじゃあ、比企谷はそこの席に座ってもらおうか。加藤!隣の席だから色々教えてあげてくれ。あとで校内の案内も頼む」

「わかりました。よろしくね、比企谷くん」

「あぁ。」

俺は最初ただのモブ女子としか思っていなかった。

だか、こいつがとんでもない伏兵だったのだ。

 

 

放課後

「それじゃあいこっか」

「わかった」

 

「ここが職員室だよ。あ、職員室入る時はノックした後に「やま」って言われるから「びこ」って言わなきゃいけないんだ」

え、なにその謎の合言葉....

その後も何事もなく進んだかに思われたが....

「最後にここが視聴覚室だよ」

「お、加藤終わったのか?」

「あ、安芸くん。ちょうどここが最後の部屋だよ」

視聴覚室の中を見ると3人ほど人がいた。メガネをかけた男子に金髪美少女、黒髪美人。なんだこのメンツ。

「あ、私ねサークルに入ってるんだ。」

「なんのサークルなんだ?」

「よくぞ聞いてくれた転校生!」

加藤に聞いたつもりが何故かメガネ男子が反応した。

なんかあつくるしいやつだな

「このサークルはBlessingflowers!まぁオタクサークルなんだけど。実は....」

 

 

長い。さっきからこいつひとりでベラベラ喋っている。加藤とかもうスマホ触ってるんだけど。俺も聞くのめんどくさくなったので視聴覚室の中をなんとなく回ってみた。

すると、金髪美少女のところでふと止まった

「絵、上手いんだな」

「....何アンタ?口説いてんの?」

「なわけあるか。ほんとにそう思っただけだ。」

性格キツそうだなこいつ

「あっそ」

素っ気ないなー。これは見た目はいいけどモテナイパターンだな

ん?この机の上に置いてあるの...

「これ、リトラプか?珍しいの置いてあるな」

「あんた知ってんの?」

「まぁ、ガチではないがどっちかっていうと俺もオタクだからな。なんなら中学の時とか自分でゲーム作ったりラノベ書こうとしてたからな」

「おぉ!同士だったのか!」

なんかいつの間にかメガネが戻ってきていた。

「そういや、名前なんていうんだ?」

「比企谷八幡だ」

「そうか。俺は安芸倫也!比企谷!お前も俺たちのサークルはいらないか!?」

「え、やだ」

「え!?なんでだよ!」

「いや、めんどくさいし」

「いや、でもな....」

その後、またなんか長い話を聞かされた。

「どうだ?やる気になったか?」

「いや、なってない」

「ぐっ....仕方ない。こうなったら、比企谷!明日はちょうど休みだ!明日俺の家こい!ギャルゲーの素晴らしさを教えてやる!」

「めんどいから嫌に決まってんだろ」

「..-.比企谷くん、早めに言っておくけど諦めた方がいいよ。そうなった安芸くんは止められないから」

....加藤、まだいたのか。というか加藤もサークル入ってるってことだよな。

「あ、ちなみに私はオタクじゃないよ?かくかくしかじかで入ることになったの」

「ふーん。ま、俺はいかないからな」

「この通り!この通り!だから!お願いします比企谷さん!!」

しまいには土下座してきたんだけど。

どこぞの材木座みたい

「.....はぁ。なんでそこまで俺を誘う?今日あったばっかのやつに」

「.....オタクの勘だ!」

「....は?」

「いや、割と真面目に。なんかここで誘わなきゃ、なんかこう....進めない気がするんだよ」

「.....はぁ。わかったよ。そこで俺が入る気にならなかったら諦めろよ?」

「来てくれるか!まぁそれは保証できん。あ、加藤も明日俺の家集合な。ついでに加藤にももう少しギャルゲーについて学んでもらう」

「え〜....」

すっげえ嫌そうな顔してるよ。はぁ。明日はどうなることやら。

続く

 

 

 



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やはり俺がオタクサークルに入るのは間違っている。

今日は昨日の約束通り安芸の家に向かっている。

確か坂の辺りで待ち合わせのはずだ。

あたりをキョロキョロしていると、スマホを触っている加藤を見つけた。

「加藤、早いな」

「あ、比企谷くん。おはよう。たまたま早く起きちゃったから早めに家でたんだ」

「ふーん。」

「.......」

会話終了。加藤はまたスマホを触り出す。...-暇だな

「おっ、2人とも揃ったか!」

「安芸、お前の家こっからどれくらい?」

「数分でつくぞ。さぁ出発!」

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあまずはこのゲームからやってもらおう!初心者向けだし加藤もやったから!」

「ふーん。まぁいいや。」

これやれば帰れるんだ。さっさと終わらそう。

「ご愁傷さま、比企谷くん」

加藤が突然そんなことを言い出す。どうゆう意味だ?

 

 

「あー、そこ選んじゃうか」

カチカチ

「そこはもう一つの選択肢だろ...」

「.....」

「なんでそっち選ぶかなー」

「うるさいな!横槍いれんな!」

俺が珍しくきれた。だってもううるさいんだもん。

「比企谷くん、私の時もそうだったから。あ、ちなみにこれ終われば帰れるとか思ってたら、先に言っておくけど、今日は徹夜でゲーム三昧だよ?」

「.....は?」

 

 

 

 

「も、もう無理.....」

「俺も....」

「お疲れ、2人とも」

「というか加藤、お前結局何もしてないじゃん。何しにきたんだよ?」

「さぁ?っていうか安芸君が呼んだんでしょ?」

「もうそんなことどうでもいいから静かにしてくれ....眠い」

「比企谷....加藤と同じようなこと言うなよ....サークル入ってくれるよな...」

「入らないって言っただろ...」

「入ってくれよ...」

「あーもうわかったから。はいるから寝させて.-.」

そこで俺は意識を失った。

 

 

翌日

「で、なんで俺また視聴覚室にいるの?」

「なんでって、昨日入るって言ったろ?」

「....」

しまった。あまりにもねむすぎて、つい言ってしまった。

くっ、これが作戦だったのか!絶対許さないリストに入れといてやる。

「と、言うわけで!改めて!俺がリーダーの安芸倫也だ!そしてこいつは原画担当澤村・スペンサー・英梨々、で、奥にいるのが霞ヶ丘詩羽先輩!そしてメインヒロインの加藤恵だ!」

「...,比企谷八幡です。」

「え?それだけ?」

「だってみんな聞く気ないし。というか俺何すれば言い訳?」

「まぁ俺の補佐的な?」

「はぁ...雑用みたいなもんかよ。まぁいいや」

「比企谷、お菓子買ってきて」

「黙れ金髪猫被り」

バキッ

「な〜んですって〜!?」

「ぷぷっ....金髪猫被り...」

霞ヶ丘先輩めっちゃ笑ってるよ....

「って痛い痛い!髪の毛で叩くな!」

「ふんっ!あんた、うちのサークルに入るんだったらせいぜい足でまといにならないことね」

「大丈夫よ。すでに1人足手まといがいるから」

「それ絶対俺のことだよね!?」

あーもういいや、なんでも。とりあえず隅の方で本読もう。

続く



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ヒロインがヒロインしていないのはおかしいと思う。

ペラペラ

「.......」

カチカチ

「.....」

暇。俺入った意味あるの?加藤もなんかさっきからずっとスマホ触ってるだけだし。何このサークル?

「あれ?比企谷、その本....」

「ん?あぁ恋するメトロノームってやつだ。ちょっと前に発売されたやつだけど、たまたま目に留まったから読んでるんだ。結構面白いぞ?読むか?」

「いや、俺も読んだことあるよ。しかもその作者、霞ヶ丘先輩だし」

「.....え!?」

そういえば著者も霞詩子って書いてある。霞ヶ丘詩羽から霞詩子ってことか。

「まじか....っていうか霞ヶ丘先輩、頭も良くて小説もかけるってやばくない?」

「ちなみに英梨々もうちの学校の美術部エースだぞ?賞も何回もとってるし」

「まぁ裏では18禁の同人作家だけどね」

「....は?」

.....何このサークル?オタクに小説家に18禁専門の同人作家にモブ女子にぼっちって..-カオスすぎるだろこのサークル。

 

 

 

 

 

 

結局今日も何もせず、1日が終わった。と思いたいのだが、

俺は今バイトもしている。働きたくないがモットーの俺が。引越しして少しお金に余裕が無いらしく、俺も少しバイトをすることになったのだ。

「いらっしゃいませ」

「ひっ」

.....これも何度目だろう。店に入ってくる度俺を見て悲鳴をあげる。まぁもう慣れてるけどね。

「いらっしゃいませ」

「あれ?比企谷くん?」

「....加藤」

偶然とはほんとにあるんだな。

「?恵ちゃんの彼氏?」

そして、となりには男性が1人。俺の観察眼からしてなかなか親睦が深いと思われる。

「ちがうよ。同じサークル仲間。比企谷くん」

「....加藤、彼氏か?」

「ちがうよ。いとこ」

「ふーん。どうでもいいけど。っていうか今バイト中だった。こちらへどうぞ」

まぁこんな偶然もあるよね。

 

 

 

 

 

翌日

視聴覚室

「なぁ、加藤。思ったんだけどさ、お前一応今作ってる作品のメインヒロインなんだろ?なのにいとことデートなんていいのか?」

「なにっ!?どういうことだ加藤!?」

「え?ダメだった?」

「....いとこだよ!?一番危ないボジションだよ!?」

「安芸、多分こいつに行ってもわからん」

「うん。なんなら次の休みの日も一緒に買い物いくよ?」

「はい、アウト〜!!」

おいキャラおかしいぞ。っていうか霞ヶ丘先輩と澤村、普通に作業してるけどすごいな。これがプロか。

「終いにはショッピングとか、加藤!お前はメインヒロインとしての自覚が足りない!」

「えー?めんどくさいなぁ」

「めんどいってお前....よし!加藤!その買い物、いとこじゃなくて俺と行こう!」

ドンガラガッシャーン

「な、なななにいってんのよ!?倫也!」

「え?だめ?」

「私は別にいいよ?荷物持ち欲しいだけだから」

「だいたい、倫也3次元の女子には興味無いんじゃなかったの!?」

「いや、そうだけど。いとこだよ!?いとこ!ダメでしょ!」

「ならこういうのはどうかしら?比企谷くんが加藤さんと行くの。比企谷くん、いつも暇そうだしよく分からないポジションだし丁度いいんじゃない?」

「確かに....」

え?何この流れ?もしかして俺の休日が潰れようとしてる?

「ま、待ってください。今週はあれがあれであれなので」

「つまり予定がないのね」

「.....はい」

なんかこわい。なにかを阻止しようとしているような....

「もしかして、霞ヶ丘先輩と澤村って安芸のこと....もがっ!?」

「比企谷くん?その邪魔な口をとってあげましょうか?ついでに腐った目も」

「あんたその先いったら社会から抹殺するわよ!」

「ふぁ、ふぁい!ふみまへん!」

「?何やってんだ?3人とも」

「なんでもないわ」

「....あの〜結局買い物は...」

「安心して加藤さん。そこの比企谷菌が行ってくれるから」

「ちょっと待て。なんで俺の小学校の頃のあだ名知ってんすか」

「.....ごめんなさい。本当に言われてたなんて....」

「そんなガチで謝らないでくださいよ!?なんか俺が悪いみたいじゃないですか!?」

「そう。じゃあ比企谷くんよろしくね」

「.....はぁ。行けばいいんでしょ、行けば」

「じゃあ比企谷くん、メアド交換しよっか。連絡する時必要だし」

「そうだな。俺、登録の仕方知らないから頼む」

「あんた....」

「憐れむような目で見るな」

「....はい。じゃあ当日はよろしくね?」

「おう」

....っていうか女子とデートなんて初めてじゃね?

 

 

続く



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俺が彼女とデートするのは間違っている。

どこを見ても人、人、人。やっぱり来るんじゃなかった。

「お待たせー、比企谷くん」

「おう。なんでわざわざこんな出来立てほやほやのショッピングモールにしたの?」

「セールやってるからさ。まぁでも、こんなに人がいるなんて思わなかったな」

「はぁ...まぁいいや。行きたい店どこだ?」

「結構あるんだよね」

「じゃあこの地図に全部マークしてくれ」

「うん」

 

「はい。これどうするの?」

「昔も妹とショッピング来た時に今日みたいな状況があってな。その時はもう地獄だったからな。2度と同じ過ちをしないようにルートを決めてから行くことにしてる」

「へぇ〜。というか比企谷くんって妹いたんだね」

「あぁ。世界一可愛い」

「シスコン?」

「違う。よしできた。これなら一番楽に回れる」

「じゃ、いこっか」

 

 

俺は加藤が買っている間に外で待機中。その間に店の混雑情報をチェック。こんなに人多いのにうろちょろしてたらマジて吐きそうになるからな。さすが俺。

「終わったよ」

「よし、次で最後だな」

「うん」

 

最後の店への道のりが一番大変だな。まぁ昼時だから仕方ないんだけどさ。

「くっ....マジで人多すぎ」

「ほんとだね....きゃっ」

その時、加藤がつまづきそうになったので、俺は加藤の手を掴んだ。

「おっと。大丈夫か?」

「うん。ありがと」

「もうちょいだ。頑張れ」

俺は加藤の手を引いて全力で突き進む。その間俺と加藤の手はずっと繋ぎっぱなしだった。

「ついた....」

「やったね」

「おう.....ってすまん。ずっと手掴んでたな」

「別に大丈夫だよ?最後のお店は比企谷くんにも来てほしいんだけど歩けそう?」

「あー、先見といてくれ。少し休憩したらいくから」

 

休憩も終わり店の中に入る。ここはメガネ屋?

「加藤?お前目悪いのか?」

「....うん。これかな。比企谷くん、ちょっとこっち向いて?」

「なんだよ?」スチャ

加藤の方へ顔を向けると、加藤は俺にメガネをかけてきた

「うん、すごく似合ってるよ」ニコッ

「っ」

危ない。見惚れそうになってしまった。普段結構加藤って無表情だからいきなり笑顔とかになられると困る。

加藤って普通に可愛いし。

「?どうしたの?」

「い、いやなんでもない。なんで俺に?」

「今日のお礼。付き合ってくれたから」

「別にいいぞ?そんなことしなくても。別にそういうことして欲しくて今日付き合ったわけじゃないし」

「いいの。私がしたいだけだから。だめ?」

「いや.....わかったよ」

「うん。じゃあこれにしよっか」

 

 

 

帰り道

「比企谷くん、今日は楽しかったよ。ありがとね」

「いや、店回っただけじゃん」

「あはは、まぁそうなんだけどね」

「....俺もメガネサンキューな。明日から使わせてもらうわ」

「うん。その目も良くなるからモテるかもよ?」

「そうかもな。俺は友達がいないことと彼女がいないこととこの目を除けば基本高スペックだからな」

「あはは、自分で言うんだ。今日はほんとにありがとね。私こっちだから」

「おう、そうか。じゃあまたな」

「うん」

今日の加藤はいつも通りだった。でも最後だけ、最後だけは....

「.....加藤!」

「なに?」

「最後のメガネ屋でのはちょっとヒロインっぽかったぞ!」

「.....ふふっ。ありがと!」

 

 

続く



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俺の第2の妹はどうやらオタクになっていたようです。

「うっす」

「比企谷、そこのペン取って」

「来てそうそうパシるなよ...ほら」

俺はいつから澤村のパシリになったんでしょうか。

「ん.....あれ?あんた誰?」

「え、ついに名前も忘れられたの?」

「まさか比企谷....?」

「なんだよ?」

「いや、あんたメガネかけると印象変わるのね」

「そんなにか?」

「あら、比企谷くんだったの。メガネ似合ってるわよ?腐った目が浄化されてて」

「別にメガネかけただけで浄化されませんから。っていうか別に俺の目濁ってるだけで汚れてるわけじゃありません」

「あんたそのままにしてたら結構イケてるわよ?」

「まぁ俺から腐った目をとればただのイケメンだからな」

「あっそ」

お前から話しかけておいて....

「加藤!お前はヒロインとしての自覚が足りない!」

なんか廊下がうるさいな

「やっぱりこんな時期に髪型変えるのおかしかったかな?」

「そういうことじゃない!」

って安芸と加藤か。

「あれ?加藤、髪型変えたのか?」

「あ、比企谷くん。うん。気分転換に」

「気分転換とかそんな軽く!?」

 

その後も何か安芸が猛烈に加藤に説教していた。

まぁ加藤ガン無視してスマホ触ってたけど。

 

帰り道

「だからな加藤....」

「あーはいはい」

安芸はまだ説教を続けている。よくそんな喋ることあるな。

「比企谷からも何か言ってくれよ!」

「あー、もう少し静かにしろ」

「加藤じゃなくて俺への説教!?」

え?加藤に何を説教するの?

「倫也先輩....?」

俺達が説教しあっていると、安芸に声がかかる。声のする方を見ると校門に女の子がいた。

....でかい。どことは言わないけど。霞ヶ丘先輩よりは小さいかな....

「やっぱり倫也先輩だ!」

すると、その女の子はこちらに走ってきて...,安芸に抱きついた。

「えっ!?」

「やっと見つけた!先輩!会いたかったんですよ!」

......とりあえず一言言わせろ。安芸、爆ぜろ。

 

 

 

その後俺達は近くの公園までやってきた。

「で、誰?」

「あ、あぁ。波島出海ちゃん。俺達の後輩だよ俺が小学5の時くらいに知り合ったんだ」

波島出海.....なんかどっかで聞いたことあるような....

「それにしても最初見た時わからなかったよ。昔はすごく活発で日焼けもしてたし」

「そんなに変わりましたか?.....でも、もしそうなら、それは先輩のせいなんですよ?....先輩が私に女の子の喜びを教えてくれたから...」

「.....安芸、最低だな」

「....私も比企谷くんに同意見」

「待って待って!?ただオタクの世界のこと教えただけだからね!?」

「だから、これ受け取ってください!」

....これ、コミケの?

「私の入っているサークル、ファンシーヴェーブです!見に来てくださいね!ぜひ、みなさんもいっしょ....に...」

「出海ちゃん、サークル入ってたのか!....ってどうしたんだ?」

急に波島が黙ってしまった。あれ?俺見られてない?

「な、なにか顔についてるか?」

「い、いえ。えっと....すみません!勘違いです!昔倫也先輩の他にももう一人親しい男の子がいて、その人と似てたので!でも、その人は目がちょっと濁ってるので見間違いでした!」

「目が...」

「濁ってる...」

おい、安芸に加藤、ふたりしてこっち見るな。他にもいるってことだろ。そいつとは仲良くなれそうだ。

「出海ちゃん、ちなみに名前聞いてもいいかな?」

「え?は、はい。比企谷八幡って言う名前なんですけど...」

「比企谷八幡って....出海ちゃん。このメガネかけてるやつが比企谷八幡だよ?」

「....え?」

なんかすごい驚かれてるんだけど。っていうか俺この子と会ったことあったっけ?

「....あ、あの、メガネ外してもらってもいいですか?」

「え?あ、あぁ」

俺がメガネを外すと、波島はすごい度肝を抜かれたような顔をしていた。

「.....や、やっぱりお兄ちゃん....?」

『お兄ちゃん!?』

え?俺の妹は小町だけだけど....いや、待てよ?確か小さい頃...隣に引っ越してきた子と仲良くなったよな。でもその子数ヶ月したらすぐ引越しちゃったんだっけ。そういや、その子の名前って....

「も、もしかして、出海か?」

「やっぱりお兄ちゃんだ!」ダキッ

え?ちょっとこの子さっきから抱きつきすぎじゃない!?

二つの膨らみが当たってるんですけど!?

「ひ、比企谷?お前出海ちゃんと知り合いだったのか?」

「いや、昔ちょっとな...」

 

「なるほどね。またそりゃすごい偶然だな」

「確かに。俺も今の今まですっかり忘れてたけどな」

「今日はとっても素敵な日です!まさか会いたかった人に二人も会えるなんて!」

「すごいね。なんかみんな何かで繋がってるみたい」

「いや、正直俺もかなり驚いてるわ。出海、コミケ絶対行くからな」

「なんかすごいやる気出したね?」

「そりゃ、妹の頼みだからな」

「はいっ!待ってますね!それじゃあ私そろそろ帰らなくちゃ!さようなら!倫也先輩!お兄ちゃん!」

なんか今日は騒がしい日だったな。小町にもこのこと伝えてやろう。

 

 

続く



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やはり俺が友達と勉強会をするのは間違っていると思う。

視聴覚室

「勉強会?」

「そっ。サークル活動とかでこの消費型オタクが勉強全然してないらしくて。あんたも来なさい」

「申し訳ない....」

「えー、いやだよ。どうせ澤村1人じゃ教えるの大変だから手伝えってことだろ?」

「ぐっ、まぁそうだけど....な、なら!加藤さん!」

「え?私?....別にいいけど、どうせならもうサークルのみんなで勉強会すれば?」

「おう!その手があったか!」

「....ごめんなさい。私、明日は用事があるから無理なの」

「詩羽先輩は無理か....一番頼りにしてたのに....そういや比企谷はどのくらい勉強できるんだ?」

「国語なら学年3位だ」

「ほぇ〜....すげぇな」

「でも数学は苦手だよね?」

「なんで知ってんだよ、加藤」

「だって前の数学の小テスト10点中1点だったの見えちゃった」

「....やっぱりあんたも来た方がいいんじゃない?」

「......行かせていただきます」

 

 

 

 

翌日

今思えば友達と勉強会とか初めてじゃね?なんか緊張してきた。っていうかあいつらと友達か?違うな。俺は孤高のぼっちだから。うん。

......そういえば勉強会ってどこでやるの?

もうこれはサボってもいいよね。だって場所分からないんだもん。仕方ない。決して数学の勉強したくないってわけじゃないんだよ?

と、脳内で言い訳していると、インターホンがなった。

「誰だよ....はーい」

ガチャ

「あんた今サボろうとか考えてたでしょ?」

「確かに、比企谷は考えそうだな」

......なんでこいつらがいるのん?

「.....なんでお前ら俺の家知ってるんだよ」

「まぁそこは気にしない。場所教えてなかったからわざわざ来てあげたんだから感謝しなさい」

いや、悪いのあなた達ですよね....あと加藤はいつ見てもスマホ触ってるな。依存症になっちゃうぞ。

「で、どこでやるんだ?」

「私の家よ」

 

 

英梨々の家

「でっけぇな.....」

ほんとにお嬢様なのねこいつ....

「さ、入って。私の部屋でしましょ」

 

部屋に入ると、まず目にしたのは....明らかにR18系の絵が書いてある紙が置いてあった。

「あ、片付けるの忘れてた」

「.....俺の澤村の最初のイメージからどんどんかけ離れてる」

「あはは....私も」

「さ、始めましょ」

 

「ちょっと倫也!そこ違うってば!」

「え?」

安芸の方はかなり苦戦しているようです。っていうか澤村が勉強出来ることに驚いてるわ。ハイスペックだな。

俺は今、加藤に数学を教えてもらっている。

「比企谷くん、聞いてる?」

「聞いてる聞いてる。ペンギンはラテン語で肥満って意味なんだろ?」

「いや、そんなこと言ってないよ....」

いや、だって加藤に教えてもらうのはいいんだけどさ、近いもん。女の子特有の香りとかするし。加藤も普通に可愛い部類に入るしさ。

「もう、ちゃんと聞かないと赤点とっちゃうよ?」

「それだけは勘弁。真面目にやるから」

「ほんとに?.....えっと、最初から説明するとここがこうで...」

 

「ちょっと休憩しましょ」

「そうだな」

「あー.....」

安芸は疲れて机に突っ伏している。

「....そういえば加藤さんと比企谷って最近仲いいわね?」

「なんだよ急に?そこまで仲良くないぞ?」

「いや、あんたら時々一緒に帰ってるじゃない」

「....たまにだろ」

そう。最近は加藤と帰ることが多くなった。まぁ途中まで道が同じだからなんだけど。

「はっ!まさか加藤!比企谷のことが....」

「いや、それはないから大丈夫だよ」

いきなり復活して何言ってんだこいつは。っていうか加藤もそんなあからさまに速攻で否定しないでくれますかね...

ちょっと傷つく。

 

 

「....なぁそろそろ終わりにしないか?」

「....そうね。まぁこれだけやれば何とかなるでしょ」

「疲れたね〜」

「加藤ありがとな。だいぶ分かるようになったわ」

「全然いいよ〜」

「詩羽先輩と英梨々っていつ勉強してるんだよ?」

「大してしてないわよ?1回見れば覚えられるし」

「す、すごいね澤村さん」

化けものかこいつ。

 

 

帰り道

「なぁ、加藤。思うんだけど一緒に帰る意味あるか?」

「え?」

「いや、たまに一緒に帰ろって誘ってくるけどさ、別にたいして会話もないし、俺といてもつまらんだろ?」

「う〜ん.....別につまらなくないよ?比企谷くん、話しかければ返してくれるし。私もあまり喋る方じゃないからこういう無言の空気も別に苦とかじゃないし。もしかして今まで嫌々だった?」

「いや、そんなことはないけど....」

「よかった。.....どうして私が比企谷くんと帰ると思う?」

「いや、わからんけど....」

すると加藤は俺の耳元まで寄ってきて....

「.....比企谷くんが魅力的な男の子、だからかな」

「ッ!?.」

何今の!?破壊力がやばい。.....でも

「いや、何その演技?」

「あはは、前たまたま見たアニメでこんなセリフあったから」

「加藤もオタクに染まりつつあるな....」

「あはは....そりゃああんなサークルに入ってたらね」

まぁでも、さっきのは中々グッときました。はい。

....それに加藤と帰るのも....たまにはいいかな。

 

続く



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やはり俺がメイン主人公なんて間違っている。

今日も授業が終わり、視聴覚室へ向かっている。

今日はなんか大事な話があるそうだ。安芸がそう言っていた。

「話ってなんだろうね?」

「さぁ?どうせろくでもないことだろ」

「....最近比企谷くんも安芸くんに対する扱いがひどくなってる気がするよ」

 

 

「よし、みんな集まったな」

「それで?なんだよ話って?」

「報告っていうか、相談なんだけどさ。俺たちの作ってるゲームって加藤がメインヒロインじゃん?」

「そりゃそうでしょ。あんたが加藤さんと出会ったのが始まりなんだから」

「まぁ私達1年の時も同じクラスだったんだけどね」

あるよね。普段関わらないやつの名前って覚えられないもん。

「ご、ごほん。その話は置いといて。このゲームにはメイン主人公がいないんだよ」

「倫理君じゃないの?」

「まぁ確かにきっかけは俺だけど。別に俺が主人公ってわけじゃない。しかも俺もディレクター兼プロデューサーとしてやることもあるし。それにゲーム作ってるやつが主人公ってイタイだろ?」

「まぁ....」

「そこで!俺から提案がある!メイン主人公のモデルを比企谷にしようと思うんだ!」

「.....は?おいおいちょっと待て。なんで俺なんだよ」

「まぁ比企谷、最近加藤とも仲良いしな」

「でも別に比企谷は加藤さんに恋してるわけじゃないでしょ?」

「そこが問題なんだよ」

「え、待って俺やらないよ?そんなの」

「じゃあ比企谷君。聞くけどあなた、何しにこのサークル入ってるの?私が見た限り、たいして役に立ってないと思うのだけれど。まぁそれは倫理君もだけれど」

「うぐっ....」

なんか地味に安芸にもダメージ与えてるし。

「いや、まぁ....でも俺誘われた側ですよ?俺別に何が出来るわけじゃないですし。なのに安芸が無理やり誘ったから入っただけで」

「まぁ確かにそうね」

「うぐっ....,!わかった!俺はあの時比企谷がいつかメイン主人公になると思って誘ったんだよ!うん!今日のために誘ったんだ!」

「倫也、あんた今思いついたでしょ」

「....い、いやでも比企谷になにかピンッときたのはほんとだよ?なんかサークルに入れなきゃってきがしたんだよ」

「....でも、比企谷の場合、倫也の体験した加藤さんとの初めての出会い(嘘)の感動は知らないわけでしょ?

その出会いがきっかけで始まったのに。そこはどうするのよ?」

「う〜ん....,そこはなんとかする!」

「....とりあえずこの話は保留にしましょうか。すぐ決まらなさそうだし。私まだやることあるから」

「私も」

澤村と霞ヶ丘先輩はすぐ解散していった....自由だな。

っていうか誰かいなくない?

「.....」

...-加藤がいなかったんだ。俺より影薄いんじゃない?こいつ。

「.....加藤。もう少し話に参加しろ。これは加藤にも結構関わる話なんだぞ?」

「え?あーうん。私は別にいいよ?比企谷くんでも」

「....軽い。軽いぞ加藤!そんな簡単な問題じゃないんだよ!」

「えー?めんどくさいなぁ」

なんかまたヒートアップしてるよ安芸のやつ。

....読書するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

今日はなんか急遽サークルは休みになった。

久しぶりに早く家に帰れる。....まぁ学校にいても別に忙しいわけじゃないけど。読書してるか雑用かのどっちかだもん。

そういや、今日今読んでる本の新刊出る日じゃん。

買いに行こう。....安芸の家行く時も思ったけど、この坂きっついよなぁ.....

俺が坂を登っている時、上から何か落ちてくる....あれは、帽子?そのまま帽子は俺の横を通り過ぎて坂を下っていく。....とってやるか。

ふぅ.....またこの坂を登るのか...,ていうか落とした人は....

そう思い坂の方に顔を向けると.....とつぜん、桜がどこからか吹いてきた。.....今夏だぞ?どういうことだよ.....

その時、ちょうど落とし主であろう人を見つけた。

「......」

......なんだ、この胸のざわつき。言葉では言い表せないような気持ち。.......よく見たらあれは、加藤?

「はい、カット」

「.....へ?.....霞ヶ丘先輩?」

いきなり声がした方向を向くとそこにいたのは霞ヶ丘先輩だった。....澤村に安芸までいる。

「どうだ?今なにか感じたか?比企谷」

「何かって.....」

そうか。桜、ベレー帽、加藤、そしてこの場所。

前聞いた安芸のゲーム作りのきっかけとなった出来事。

「まぁさっきの顔見れば答えはでてるんじゃない?」

「そうだな。比企谷、今お前は何を感じた?」

「.....分からん。なんかこう....胸がざわついたというか」

「.....うん。成功だ!」

「は?」

「いや、前にお前を主人公にするって言ったろ?でもこの出会いが足りなかった。だから再現したんだよ。俺のこの胸のトキメキを感じてもらうために」

「.....つまり今日の休みもわざとか」

こりゃはめられたな。

「......比企谷、もう1度言う。メイン主人公になってくれないか?俺と同じ経験をした比企谷ならできる」

「.......わかったよ」

「ほんとか!?」

「あぁ」

「これで解決ね。比企谷君、きっとこれがあなたの本当のサークル加入ね。これからやること増えると思うのだけれどしっかりね」

「まぁ頑張りなさい」

「....はい。宜しくお願いします」

こうして俺は本当の意味でサークルに加入したのだった。

「.....私は帰っていいのかな?」

.....ごめん。忘れてた、加藤。

 

 

続く



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やはり俺の義妹は可愛い。

今日はとうとうコミケの日だ。この前出海ちゃんに来て欲しいと言われたので、その約束を果たすために俺も会場に来ている。ちなみに安芸と加藤も。

「やっぱり来るんじゃなかった....」

「いや、比企谷が一番やる気出してたじゃん」

「まぁ妹の頼みだからな」

 

「出海ちゃん!来たよ!」

「あ!倫也先輩!お兄ちゃん!それに彼女さんも!」

「え?私誰の彼女設定?」

「えっと.....お兄ちゃんですか?倫也先輩、そんなに女性の方と関わらなさそうですし」

「まぁある意味あたってるよな」

「それにしても、本当に来てくれたんですね!私、とっても嬉しいです!」

そう言って出海は俺に抱きついて来る。やめて!二つの双丘があたってるから!

「こういう時は、八幡くんから離れなさいよこの泥棒猫ーとか言ったほうがいいの?」

「加藤、せめて言うならもっと感情をこめろ」

.....っていうかなにげに初めて名前呼ばれた気がする。

べ、別にドキドキなんてしてないんだからね!

「あと出海ちゃん、私の名前加藤恵だからね」

「かのうさんですね!」

「あー、恵でいいよ」

「はい!恵さん!」

「これ?出海ちゃんの作品?ちょっと見てもいい?」

「はい!ぜひ!お兄ちゃんも!恵さんもどうぞ!」

ペラペラとページをめくっていく.....これは。

「.....出海ちゃん、これ完売させちゃったらまずいかな」

突然、安芸がそんなことを言い出す。

「え?む、無理ですよ....私まだこれが初めてなんですし」

「いや、これ売れるぞ?なぁ?加藤もそう思うだろ?」

「うん。途中のところなんか私でもすごいって思ったよ」

「ちょっと俺準備してくる!」

そういって安芸は走り出していった。

「倫也先輩どうしちゃったんだろう?」

「とりあえず、お前の絵がすごいってことだ。自信持て」ナデナデ

「えへへ...はい!」

 

しばらく待つと安芸が帰ってきた。

「比企谷、加藤、お前ら工作得意か?」

「普通」

「私も」

「それじゃあ手伝ってくれ!」

 

俺たちが作ったのは特に衝撃を受けたページを大きい紙にコピーしてそれを自作の看板に貼り付けたものだ。

「よし!できた!出海ちゃん、忙しくなるけど頑張ろう」

「え?は、はい」

「ぜひ見ていってくださーい!」

安芸はさっそく売り込みを開始する。

するとさっそくひとりきた。

「......これ、5部ください」

「ご、5部もですか?」

出海のやつはすごい驚いてる。まぁそりゃそうかもな。

「すみません、2部まででお願いします!」

「あー、やっぱり...じゃあ2部で」

「あ、ありがとうございました!」

 

「すごい行列になったな....」

「当然だろ。あの絵を見て何も感じないわけがない」

そして、どんどん本は売れていき.....

「すみません!完売になりました!.....うぅっ」

「良かったな、出海」

「は、はいぃ..こんなに嬉しいことはありません!みなさん、本当にありがとうございました!」

周りの人達からも拍手が送られた。

 

完売になったので、片付けに入ろうとした時、

「あれ?英梨々か?」

澤村が姿を現した。

「澤村先輩ですか!?これ!今日完売した本なんです!是非見てください!」

「わ、悪いわよ。もう完売した本なのに」

「だからこそ見てほしいんです!」

「じゃ、じゃあ...」

澤村はどんどんページをめくっていく。...どんどん顔が険しくなってないか?

「.....ごめん。私やっぱりいらない」

「え....」

「ほんとにごめんなさい!」

そう言って澤村は走り出してしまった。

「お、おい英梨々!すまん!ちょっと俺行ってくる!」

....こりゃあ一波乱ありそうだな.....



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やはり幼なじみは大変だ。

「で、いつまでそうやってるんだ?安芸」

「......」

安芸が澤村を追いかけていった次の日、俺達は安芸に呼び出された。

しかしいってみたら、ずっと安芸はふとんでうずくまっている。

「はぁ....どうせ昨日のことだろ?何があった」

「.....実は」

 

ようは澤村の絵も認めて欲しかったってことか?

「とりあえず、倫理君は仲直りしたいのよね?」

「まぁ、はい」

「なら、幼なじみを攻略してみなさい」

「どこのギャルゲーだよ」

「確か前にあなた達の思い出のゲームはリトラプだったわよね?ならそのストーリー通り王子様になりなさい」

「俺が.....?」

「そうよ。お姫様を助けに行きなさい」

 

 

 

「なかなか似合ってるわよ」

「どこからこんな服を....」

「俺ならこんなの着て外歩くなんて無理だな」

「今から俺はその行動をするんだけど!?」

仲直りするための作戦。そのために安芸は王子の服を着ている。

「ま、とりあえず行ってこい。お姫様が待ってるぞ」

「.....あぁ!」

「.....仲直りできるかな?」

「さぁ、どうだろうな」

「できるといいね」

「あぁ」

 

 

「結局できなかったのか」

「あぁ。でもこれでいいんだ。俺たちは」

「お前らが納得してるならそれでいいけどよ」

 

翌日の昼放課

「比企谷くん」

「ん?どうした?」

「霞ヶ丘先輩が呼んでるよ」

「わかった」

 

「それで?何のようですか?」

「比企谷くんと加藤さんだけを呼んだのよ?まだわからない?」

「さっぱり」

「はぁ。そういうところが自覚がないって言うのよ。あなた達は主人公とメインヒロインよ?」

「そうですね」

「なのに苗字呼びは他人行儀だと思うの」

「つまり、名前呼びにしろと」

「そういうことね」

「無理です」

「嫌とかではなく?」

「はい。恥ずかしくてできません」

「はぁ....加藤さんは?」

「私はまぁ....」

「.....わかったわ。今日のサークル活動は私が仕切るわ」

どうなっちゃうのこれ?

 

「俺と英梨々がいつから名前呼びか?」

「さぁ?いつの間にかよ」

「最初から名前だったかもな?」

「そんなこといちいち覚えてないわよ」

「さっき比企谷くんと加藤さんには話したのだけど、2人は名前呼びにした方がいいと思うの」

「まぁ確かにその方がいいかも」

「でも恥ずかしくてできないらしいわ」

「恥ずかしいって....中学生じゃないんだから」

「うるせぇ。俺は女子と関わりなかったからそういうことは無理なんだよ」

「じゃあまずは比企谷くんに女子に対する免疫をつけてもらいましょう」

 

 

そう言った霞ヶ丘先輩に俺達は公園に連れていかれた。

「で?どうするんですか?」

「この先きっとこういうシーンも出てくるだろうから、今のうちにやっておくわ。そこのベンチに座って、比企谷くんと加藤さん」

「座りましたよ?」

「距離をもっと縮めて」

「はぁ....」

「もっと」

「....」

「密着して」

「.....」

ピト

加藤と肩が触れ合うぐらい近くなった。

「比企谷くん、大丈夫?」

「あ、あぁ。大丈夫だじょ」

「ぷぷっ....」

澤村後で覚えとけ。

「じゃあ次は比企谷くんが加藤さんの肩を抱いて自分の方に引き寄せて」

「は!?無理ですよ!」

「いいからやる」

ふぇぇぇ。怖いよ...

「じゃ、じゃあやるぞ?加藤」

「う、うん」

俺は加藤を抱き寄せる。

恥ずかしいよぉ!女の子の柔らかさがダイレクトに!いや、もうほんと勘弁して!

「次は二人で見つめあって」

「ぐっ....」

「さぁ」

俺と加藤は見つめ合う。

「うぅ....流石に私も恥ずかしいよぉ」

「そ、そんなの俺もだ」

加藤の吐息が当たる。まじでこれはやばい。ギャルゲーの世界をリアルで再現するとこんなふうなの?やばいな。

「じゃあ見つめ合いながら台詞でも言ってみましょう。ちなみに目をそらしたら罰ゲームね。比企谷くん、「恵、こうやって近くで見ると案外可愛いんだな」はい言って」

「......」

「ほら、そんな顔赤くして黙ってても進まないわ」

「あぁもうっ!......め、恵、こうやって近くで見ると案外可愛いんだな」

「ぐぅ.....」

「加藤のやつ、あれはガチで照れてるな」

「えぇ。あんなに感情出した顔初めて見たかも」

「次、加藤さん、「もう、何言ってるの!八幡くんのバカぁ」よ。萌え萌えな感じでお願い」

「うぅ....も、もう!なに、いってるのー?八幡くんの、ば、ばかー」

「照れすぎだし棒読みだけどこれはこれでありかもね」

「今の加藤、ヒロインっぽいぞ!」

「でも、今一瞬加藤さんが目をそらしたわね。罰ゲームね。お互いの顔がもっと近づきまーす。そして比企谷くんは加藤さんの胸に触れまーす」

「それセクハラですよっ!?」

「なんか今日の比企谷、倫也みたいになってるわね」

「仕方ない。相手が霞ヶ丘先輩だからな」

「じゃあ加藤さんが比企谷くんの胸に寄り添って。それなら問題ないわ」

「いや、そうかもしれませんけど....」

「罰ゲームと言っても、これだってゲームのためよ?比企谷くんの女子への免疫を高めることにもなるし」

「.....」

すると加藤は俺の胸に体を預けてきた。

「か、加藤?」

「わ、私も恥ずかしいけどゲームのためっていってるし....」

「うぅ.....」

ま、まじでもうやばい。流石に限界。

「.....ま、今日はこのくらいにしておきましょうか」

「ぷはー!疲れた!」

「はい、じゃあお互い名前で呼びあってみて」

「.....め、恵」

「....は、八幡くん」

「....」

「でも、さっきよりは恥ずかしい気持ちとかないかも」

「効果はあったみたいね」

「俺は恥ずかしいですけどね、まだ」

「ヘタレね」

「お前一回しばく」

「まぁ加藤さんだけでも進展しただけまだいいわ。加藤さんだけでもこれからは名前呼びにしなさい」

「わ、わかりました」

 

 

「マジで疲れた....」

「あはは....あの時の八幡くん、すごい心臓ドキドキしてたよ?」

「そりゃ女子とあんな密着してたらそうなるだろ。加藤だって客観的に見ても可愛いの部類にはいるし」

「.....主観的には?」

「は?.....ま、まぁ可愛いと思う、ぞ?」

「そ、そっか.....」

「.....」

「....あ、私家こっちだから。またね、八幡くん」

「おう、またな加藤」

「.....いつかは名前で呼んでね」

「.....あぁ」

今日は精神的に疲れた。家帰って小町に癒されよう。

 

続く

 



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やはり俺が女の子を家にあげるのは間違っている。

ある日の帰り道

「最近英梨々と霞ヶ丘先輩モチベーション高いよね」

「霞ヶ丘先輩はどうか知らんが、澤村はあの日からじゃないか?っていうかいつから名前呼びになったんだ?」

「え?あーなんとなくね」

まぁ仲が良くなったようで何よりです。

最近はもう毎日加藤と帰っている。親密度をもっと深めろ!とのことらしい。

ポツポツ.....ザァァァァ

「げっ、雨かよ。加藤走るぞ」

「う、うん」

 

ザァァァァ!

「今日天気予報晴れって言ってたくせに....」

ゴゴゴロ!

するとついに雷までなりだした。

「雷もかよ....加藤?」

後ろを振り返ると加藤がしゃがみこんでいた。

「うぅ...,」

「もしかして雷怖いのか?」

「う、うん....」

「まじかよ...」

でもこのままだと二人共風邪ひいちまうし....

「....加藤、すまん」

「え?....きゃっ」

俺は加藤をおぶって全速力で走った。

「加藤、とりあえず今のお前動けなさそうだから俺の家で休憩しろ!

俺の家の方がきっと近い!」

「う、うん、わかった」

ギュッ

....背中に当たってる双丘は気にしないでおこう...加藤って意外とあるんだな。

 

「ふぅぅ....小町ー!帰ったぞー!って靴がない....」

書き置きか?「今日お友達の家に泊まってくるから!よろしく!」

.....まじか。

「加藤、とりあえずシャワー浴びろ。そのままだと風邪ひいちま....う」プイッ

「う、うん。どうしたの?急に顔そらして」

「....下着すけてる」

「え?....あはは、さすがに恥ずかしいから見ないでね?」

「あぁ...というか着替えどうする....小町の部屋多分かぎしまってるしな...すまんが俺の服でもいいか?」

「うん。貸してくれるだけでもありがたいから大丈夫だよ」

「わかった。じゃあシャワー廊下進んで左奥だから」

 

今は加藤がシャワーを浴びている。っていうかこれ俺は完全に風邪ひくな...まぁいいか。とりあえず加藤の服を.....カッターシャツ1枚しかない....そういや丁度洗濯してたんだった。俺の着替えもないじゃん。

ドライヤーで乾かすか。

「加藤、ここに着替えおいておくから....」

「.....」

洗面室のドアを開けると、ちょうど浴び終わった加藤と鉢合わせになってしまった.....

「す、すまん!」バタンッ!

「う、うん....見た?」

「.....見てない」

綺麗な二の腕とか、それなりに成長している胸とか全然見てないから。

「今の間が気になるんだけど....」

「.....あと加藤、そこは普通叫び声あげるべきだぞ。メインヒロインなら」

「あれ?なんで私説教されてるの?」

だってなんか喋らないと色々妄想しちゃうもん。

 

「....八幡くん」

「おうあがったか....っ」プイッ

やっぱりカッターシャツだけじゃダメでした。下着とかはぎりぎり見えてないけど逆にエロい。生足とか濡れてる髪とかがもう、ね。

「流石に私も恥ずかしいよ....」

「す、すまん。ちょうど洗濯してたの忘れてて....そうだ、タオルはあるからこれで隠してくれ。さすがに俺も加藤の方見れん」

「う、うん」

『......』

「その....さっきはすまなかった」

「気にしないで。貸してもらったのは私なんだし。それにメイン主人公とメインヒロインならその内ああいうイベントもあったんじゃない?」

「いや、そこは気にしろよ。それにあれはゲームだからいいのであってリアルだと警察いきだわ」

「のぞいただけでそれはないよー」

「いや、俺の顔だと有り得る」

「....なんかすごい説得力あるね」

「...とりあえずどうする?乾くまで時間あるが」

「なら宿題しちゃおうよ」

「そうだな」その時

ゴロゴロ!!

「うわっ....停電かよ」

いきなりすごい雷がなって家のブレーカーも落ちてしまった。

「加藤、ちょっと見てくるから待っててくれ」

「ま、待って!」

俺がたった瞬間、加藤に袖を引っ張られた。俺はいきなり態勢を崩されたので後ろに倒れ込んでしまう。

「どわっ!」

「きゃっ!」

ドタン!!

俺が倒れたと同時に停電も治った。

「.....」

「.....」

視界がはっきりしてくると、倒れ込んだ目の前に加藤がいた。

周りから見れば俺が加藤に床ドンしてるみたい。太もものやわらかさがダイレクトに伝わる。顔の距離も近い。

あと少し近づけば唇がくっつきそうだ。

「.....は、八幡くん。そんなに見つめられると恥ずかしいよぉ」

「す、すすすまん!」サッ

「だ、大丈夫...」

.....さっきから気になってたんだが、言葉は気にしてなさそうだけど加藤、さっきから顔が赤い。この前の公園の時もそうだけど....

「加藤って最近顔の感情表現激しいよな」

「え?」

「だって言葉では気にしてないとか大丈夫って言うけどその時の顔すごい恥ずかしそうだぞ?」

「....そりゃあ私だって女の子だから恥ずかしいよ」

「いや、まぁそうなんだけど。普段の加藤ならもう無表情で言葉も棒読みだから」

「私そこまでひどくないよ?」

 

「今日はありがとね」

「あぁ。こっちこそその....色々とすまん」

「もう気にしてないってば。それじゃあらまた明日ね」

「おう」

....ラッキースケベってリアルであるんだね。

 

 

続く



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やっぱり安芸は爆ぜればいいと思う。

ラノベ売り切れてた.....最近俺の行きつけの書店客が多くなってきたんだよな。

「ねぇ〜いいじゃん、少しくらい」

「いや、だから私用事あるんで....」

ん?ナンパか?こんな人通りの中でよくやるな。.....ここはスルーするか。

「少しだけだから!ね!」

「もう、しつこいなぁ。私用事あるんだってば」

「あ?下手に出てればなんだその態度?仕方ねぇ、お前ら連れてくぞ」

「きゃっ!ちょ、ちょっと離してよ!」

....いや、さすがに助けた方がいいか。なんで周り素通りするんだよ....

「おい」

「あ?なんだてめぇ」

「困ってるだろ、その子」

「お前には関係ねぇだろ。痛い目にあいたくなきゃここから去れ」

「....警察も呼んであるんだけど」

「...ちっ、行くぞお前ら」

....ふぅ。よくあいつら信じたな。大抵ああいうの嘘なのに。

「あ、ありがとう...」

....すげぇ怯えた目してるし。この目が悪いんですね。すみませんね。

「俺もういくんで」

「あっ....ま、待って!せめて名前!」

「名乗るほどのものじゃねぇよ」

「.....」

今の俺、超かっこいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日もサークル活動は平常運行。霞ヶ丘先輩はシナリオを、澤村は原画を書いている。安芸は知らん。加藤はスマホを触り、俺は読書だ。

「......」コソコソ

「倫也ーここって.....何見てんの?」

「あ、ちょっ!」

 

「それで?この美智瑠さんって誰?」

現在安芸は霞ヶ丘先輩によって吊し上げられている。

原因は安芸のメール内容だ。

「えっと....いとこです」

「それで?この夜食を決めているであろうメールから察するに、一緒に住んでるのかしら?」

「う、うん....家出したらしくて....」

「従兄弟ということは、仲がいいの?」

「まぁ、うちの家系って必ず出産の時同じ病院なんだけど、俺と美智瑠は同じ時期に生まれたんだ」

「つまり、生まれた時からの幼馴染みということね。そこら辺のパチモン幼なじみなんか目じゃないってことね」

「ぱ、パチモン....」

あー、澤村が一撃でKO寸前。

「い、いやそこまでは.....」

「つまり同棲してるわけよね?あんなことやこんなことしてるのよね?」

「いや、健全な生活しかして....ないけど」

「なにかしら今の間は」

「い、いや...,俺は健全だけど、美智瑠の服装が....」

「なるほど、気を許せる関係だから、露出もすごいと」

「.....ま、まぁ」

「うらやま.....爆ぜろ」

「ふっ、羨ましいって言おうとしたろ」

「り、ん、り、く、ん?」

「ひいっ!?」

 

 

 

 

 

数日後

「みんな!前話した美智瑠なんだけど、そいつにゲームのbgm担当してもらおうと思うんだ!」

.....何急に?

 

 

続く



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うちのサークルは美人が多すぎる。

ということでやってまいりました。

安芸の家に。音楽担当のやつを紹介したいらしい。俺とか大して関わらんだろ。帰りたい。

「帰りたい」

あ、声に出しちまった。てへぺろ

「一応ゲーム制作に関係することなんだし我慢しなさい」

「どうせ安芸のことだから美人でフラグもたってるんだろうなー」

「くっ.....」

あ、なんか澤村が口を噛み締めてる。

「比企谷くん、パチモン幼馴染みの澤村さんの前で言うのは可哀想よ」

「いや、霞ヶ丘先輩が一番ダメだと思うんすけど....」

「あんたら覚えてなさいよ!!」

 

 

 

「こいつがbgm担当の氷堂美智留だ」

安芸の家にやってきた俺たち。.....紹介された氷堂はシャツ1枚に短パンというラフな格好でもう露出もすごい。恥じらいとかないのでしょうか?

「な、なんて格好してるのよ....」

いやそれは俺も思うよ。目がある場所に集中してしまうからやめていただきたい。どことは言わないけど。

「.......八幡くん見すぎ」

「へ?み、見てないぞ?」

「女子ってそういう視線すぐ分かるよ?」

「え?まじで?.....いや元々見てないから。うん」

「......」

加藤がジト目で見てくる。

「澤村さん」

「わかってるわよ」

カシャ

「?なにとったんだよ?」

「恵の写真よ。最近やっと感情表現が豊かになってきたから今みたいなのは貴重なのよ。だからどんどんあんたは恵と距離を縮めなさい」

「加藤さんも順調に比企谷くんの虜になっているわね」

「わ、私は別に.....」

「ちょっとぉ。自分達の世界に入らないでよ。というか倫、私聞いてないんだけど?」

そういうと氷堂は安芸を締め上げた。

「ぐっ....お、お前が必要なんだよ。頼む」

「だから私はそういうの興味無いんだってば」

「いやでも.....」

「倫理くん。嫌がっている人を無理に誘っても仕方ないわ。無理矢理入ったとしてもいい作品は生まれないわ」

「うんうん。だからとりあえず今日はお開きに....」

「あんたは黙れ」

「ぐふっ....」

理不尽だ.....

 

 

結局話はまとまらず、俺達は帰ることになった。

「結局どうなるんだろうね」

「さぁな。とりあえず安芸は爆ぜろ」

「安芸くんって周りに綺麗な人多いよね」

「あいつ何なの?オタクのくせに」

「オタク関係ないと思うな.....やっぱり八幡くんもああいう子が好みなの?」

「は?.....別に。思春期の高校生男子はみんな目が胸とかにいくんだよ。俺の好みは好きになったやつだ」

「.....なんか似合わないね、そのセリフ」

「うっせ。自分で言って後悔してるよ」

「......ねぇ八幡くん。.....私のことどう思ってる?」

「な、なんだよいきなり」

「八幡くんから見て、私は魅力的な女の子に見えるかな?」

そういうと加藤は俺に近づいてきた。

「.......」

どんどん近づいて、加藤は俺の顔をのぞきこんでくる。

「お、俺は......」

「......ふふっ」

「え?」

「冗談だよ」

「......へ?」

「今の結構ドキッとした?」

「.....不意打ちでそういうことするのやめろよな」

「ごめんごめん。八幡くん前の時とかも反応面白くてついね」

「俺みたいなやつはそういうことに免疫ないんだよ。それに加藤なんて地味に可愛い方の部類に入るから余計困る」

「地味にはいらないと思うんだけど....」

「.....ま、でも最近の加藤は前に比べたらヒロイン力は強くなってきたと思うぞ。今なら六つ目のジムリーダー倒せちゃう」

「例えが具体的だね......でももしそうならそれは八幡くんのおかげかな」

「?俺何もしてないぞ?」

「そばに居てくれるだけで意味があるんだよ。私にとっては」

そういうとまた俺のかおをのぞきこんでくる。

「......もう引っかからないぞ」

「.....ううん。これは本心だよ」

「...は?」

「最近ね、八幡くんといるとドキドキするんだ。前より八幡くんといる時楽しいって感じる。八幡くんと離れるとなんか喪失感があるんだ。.....この気持ちってなんだと思う?」

「.......お前やっぱりからかってるだろ」

俺がそういうと加藤は目を見開いて呆然としている。

「.......あ、あはは。バレちゃった。まだまだだね私も」

「.....霞ヶ丘先輩とかが認めてくれたら合格だな」

「道のりは長いなぁ.....あ、わたしこっちだから。またね」

「.....あぁ。気をつけてな」

........ぷはぁ!!なんだよさっきの加藤。まじで演技じゃなかったら惚れてるレベル。.....帰って早く寝よう。

 

続く



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これからも俺達の日常は続いていく

みなさんお久しぶりです。
冴えカノ2期始まりましたね。
0話、みんなの水着姿可愛くて良かったです!
こちらの方も少しずつ投稿再開しますので、宜しくお願いします!


Twitter @youlkmen_writer


「倫を殺して私も死んでやる〜!!」

今日は氷堂美智留のライブがあると聞き、半ば強制的に連行されて来ましたライブハウス。そしてその氷堂の控え室まで行きドアを開けてみると、そこにいたのは…………………………騎乗位になっている安芸倫也と氷堂美智留。

「……帰るか」

「加藤さん、これのどこを信用すればいいのかしら?」

「…安芸くん…」

「な、な、な、な、…!!」

澤村は頭が追いついていない模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁライブは普通にすごかった」

「そうだね。安芸くんが推すのもわかるよ」

「安芸はまじで爆ぜろ。爆ぜて粉々になれ」

「あ、あはは…」

 

そしてそれから数日後、ついに…

「ついに…ついに…ワンルート完成っ!!!!」

「ワンルートだけでこんなに喜ぶのかよ」

「やっぱり嬉しいだろ!でもまだワンルートだ!まだまだ戦いは始まったばか」

「言わせるかぁ!」

「…加藤、唯一の常識人同士これからもよろしくな」

「う、うん」

「いや〜今日も平和だね〜」

 

「これからまた霞ヶ丘先輩とかにたくさん指導されるのかな?」

「まぁそうだろうな。まぁ俺は一発OKだけど」

「そんな場面一度も見たことないよ…」

「加藤だって怒られてばっかりじゃねぇか」

「まぁそうなんだけどね〜……でも、やっとここまで来たね」

「そんな進んだか?まだワンルートだけだぞ?」

「でもすごいことだと思うよ?」

「まぁな。まだ順調に来てる方なのかもな。未だに加藤はキャラ薄いけど」

「ん〜、私的には別にいつも通りなんだけどね」

「そのいつも通りがキャラ薄いんだよ」

「そんなに薄いかなぁ?」

「薄い薄い。超薄い。もう髪の毛ないくらい」

「意味変わってるよ…ん〜私ももっと頑張らなきゃね」

「頑張れ頑張れ。そして俺に楽させろ」

「そこは俺も頑張るとか言うところじゃない?」

「嫌だよ。霞ヶ丘先輩とか恥ずかしいことばっか要求してくるじゃねぇか。精神持たん」

「でもなんだかんだ言って八幡くんやるよね?」

「まぁ断ったら何されるか分からんからな」

「私もシチュエーションとか再現する時恥ずかしいんだよ?」

「だろうな。お前の心臓の音とか結構聞こえるもん。もう加藤より心臓の方がキャラ濃い」

「意味わからないよそれ…」

「ま、程々に頑張ろうぜ。ストレス溜まってきたら安芸にぶつければいいだけだし」

「八幡くん安芸くんのこと嫌いなの?」

「嫌いも嫌い、超嫌い。うざい。鈍感主人公うざい。あんだけアピールされて分からんとかアホか。1回氏ね」

「八幡くん嫉妬してるだけでしょ」

「べ、別に羨ましくないし?女子に密着されたりあそこの感触とか味わえていいな〜とか全然思ってないし?」

「すごい目泳いでるよ。でも八幡くんだって女子と密着してるよ?」

「…いつどこで」

「シチュエーション再現する時とか私と」

「…あれはノーカン」

「えー?私だって抱きついたりするの勇気いるんだよ?」

「演技じゃ意味無い」

「んー私は演技のつもりはないんだけどなぁ」

「大体、好きでもないやつに抱きつける加藤の神経が意味わからんけどな。なに、お前俺のこと好きなの?」

「まぁ私だって好きでもない人に抱きつくのは気が引けるけどね。八幡くんってそういうこと平気で聞くよね」

「あぁ。俺に好意があるやつなんてこの世にいないからな」

「私は好きだよ?」

「へぇ〜超嬉しいわ〜」

「信じてないでしょ……八幡くん」

「なんだ?」

「…私は八幡くんのことが好きです」

「……何急に?」

「…結構真面目に言ったんだけど」

「は?………え何まじで?」

「……はぁ……冗談だよ。八幡くん意外と騙されやすい?」

「なんだよちょっと期待しちゃっただろ…」

「期待したの?」

「そりゃ男子は告白されるだけで嬉しいもんだからな。まぁ俺は可愛い女子から告白されたらまずドッキリか疑うけどな」

「ねぇ…」

「あー八幡くんひねくれてるからね」

「ちょっと…」

「ひねくれてないから。実体験だから仕方ないから」

「実体験なんだ…」

「あんたら何人の前でいちゃついてんの!そういうのは私が作画する時にしてよ!!」

「いや、いちゃついてないから」

「どこがよ!終いには恵なんて告白し始めたし!」

「でもゲーム作りにはこういうのも必要かなって」

「いーやあれはガチな雰囲気だったわ!人がいる前で告白するんじゃないわよ!」

「俺達にかまってないであそこ何とかすれば?」

「え?…霞ヶ丘詩羽!!!あんた何倫也に引っ付いてんのよ!」

「ちっ」

「ねぇねぇ今新しいフレーズ浮かんだんだけどさ!」

「氷堂さんって自由人だよね」

「俺も思った」

 

 

続く



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加藤家は大騒ぎ

「八幡くん、今週の土日どっちか空いてないかな?」

「は?なんで?」

「実はね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい!あなたが八幡くんね!あがってあがって!」

おい待てどうしてこうなった。

なんで俺が加藤の家にお邪魔してるんだ。

 

「お母さんとお父さんがね、私が八幡くん一緒に帰ってるところ見たらしくて、それでいろいろ質問されててそれに答えてたら何かいつの間にか八幡くんが私の彼氏になっちゃった」

「いや、なっちゃったって」

「ゲーム作りのメインヒロインと主人公って言ったところくらいから2人とも同じゲームが好きでそこから仲良くなって付き合ったって勘違いしてるの」

「お前なんて説明したんだよ…」

「とりあえず今日だけ彼氏のフリしてくれればいいから」ボソッ

「お前友達のフリすら無理な俺が彼氏役なんて絶対そのうちボロがでるぞ」

「そこは私もフォローするから」

 

「…比企谷八幡です」

「改めてよろしくね!私は恵の母です!お父さんもう少ししたら帰ってくると思うから!」

帰ってこなくていいよお父さん!なんか1発ぶん殴られそうだから!

「八幡くん、イケメンねぇ。クールな感じで!」

「ど、どうも…」

他人からイケメンなんて言われたの初めてだわ。自分では言ったことあるけど。

「八幡くんはなんで恵のこと好きになったの?」

おぉっと、いきなりドストレートな質問。

「…まぁ普通に可愛いですし…気が利くところとかですかね」

「そう?恵、あんまり感情出さない子でしょ?」

「まぁそうっすね」

そのおかげで原画担当さんは苦労してるし。

「でも最近ちょっと明るくなったっていうか雰囲気変わったのよ!八幡くんのおかげね」

「はぁ…」

「じゃあ恵は?恵は八幡くんのどこを好きになったの?」

「そうだね…きっかけとかは正直なところないかな。…普段一緒に帰って、おしゃべりとかしてるうちにいつの間にか好きになってたって感じ」

「お前ちょっとインパクトにかけるんじゃないか?」ボソッ

「元々私がインパクトないんだしこれくらいが丁度いいんじゃない?…まぁこれが本音だし」ボソッ

「…いいわ!そういうの!」

「え?」

「最初は仲のいい男友達だと思っていたのに、いつの間にか手が触れただけでドキッとしたり挨拶しただけで嬉しくなったりしてその男の子を好きになっちゃってるの!青春ね〜!」

「…俺さっきから思ってたんだけど、お前のお母さんすげぇ明るいよな」

「私と真逆とか思ったでしょ?」

「うん、正直思った」

「ただいま」

「あ、お父さん」

ついに大黒柱登場か。一体どんな強面…

「君が八幡くんかい?私は恵の父だ。よろしくね。今日はゆっくりしていきなさい」

ただの優しいハンサムダディだった〜!!

「それでそれで、2人はどこまでいったの!?」

「お、お母さん?」

「キスはした?もしかして大人の階段も登っちゃった!?」

「も、もうっ!私達部屋に行ってる!八幡くんいこ!」

「あ、おう」

 

 

 

「ごめんね、お母さんはしゃいじゃって」

「まぁ明るかったな。…というか良かったのか?部屋入って」

「え?別にいいよ?」

「あ…そう」

the、女の子の部屋って感じだな…

「…で、なにしよっか?」

「いや、そんな事言われても…」

「じゃあゲームでもする?」

「お前ゲームとかいえでやるのか?」

「最近はね。安芸くんがたまに貸してくれるからそれをやってるの」

「なるほどねぇ」

「でも二人で出来るのだと…ス〇ブラでもやる?」

「二人でス〇ブラつまらなくね?」

「そうかな?」

「どうやら何するか悩んでいるようだね〜」

「お母さん、いつの間に」

「そんな君たちにこれを授ける!」

「これは…?」

 

 

 

「では今からツイストゲームを始めます!」

「俺ルール知らないんですけど…」

「ルールはカクカクシカジカだよ!」

「なるほど、分かりました」

まぁやったことないゲームをやるのもいいかもな。

「でもお母さんそんなのいつかったの?」

「気にしない気にしない!じゃあ始めるわよ!まずは緑!」

「ほい」

「はい」

「次は…」

 

 

 

 

 

 

 

「ぬぐぐ…」

この体勢なかなかきついな…もうなんか腕立ての体勢になってる。

「じゃあ次恵!右手を右上の青!」

「よいしょっと…」

うぉぉぉぁぁぉ!?ストップストップ!服の隙間から見えてる!下着とか谷間とか見えてるから!

「八幡くん大丈夫?」

「ひゃい!?だ、大丈夫だじょ!?」

「…どうしたの?」

「…」ニヤニヤ

うわぁ、あのお母さん気づいてるな。めっちゃニヤニヤしてるもん。

目線で助け求めても親指突き出してくるだけだし。どう頑張るんだよ。

「では次八幡くん、左手を左上赤!」

「よっ…」

「は、八幡くん!?」

俺が手を伸ばすと、加藤の胸に頭が当たってしまった。

「す、すまん。すぐどける」

「ンッ…こ、これやるべきじゃなかったんじゃ…」

「はい次は恵!左手を右2個上の黄色!」

「八幡くんちょっとごめんね…」

「お、おう」

「んっ…」

待って待って!背中に柔らかい感触が!

「八幡くん、ファイトだ」

お父さん!応援するくらいなら助けて!

「八幡くん次は…右手を恵の左手のところに!」

「は?…ぐっ、加藤ちょっと触れるぞ」

「う、うん」

「…よっ…きっつ…」

というかちょっとじゃなくてだいぶだわ。加藤の手に俺の手が重なってる状態。

「いい感じだね〜。じゃあ次恵が左足で赤!」

「こ、こうかな…きゃっ」

「うおっ!」

ついに加藤がバランスをくずし、二人で倒れ込む。

「あー、残念」

「なかなかきつかったね〜」

「あぁ…」

個人的には精神的にきつかったわ…

「八幡くん、恵も結構成長してるだろ?」

「…………まぁそうですね」

別に妄想とかしてないよ?うん。

 

 

 

 

続く



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子守りは…戦いだ

お久しぶりです。
最近ラブライブの方に熱中してしまってなかなか書く気力が起きませんでした…





まぁそんなことは置いといてどうぞ!



「……ねぇ、恵」

「なに?英梨々」

「誰よその幼児!?」

とある土曜日。俺達サークルメンバーは突然加藤に呼び出された。

霞ヶ丘先輩と氷堂は用事で無理らしい。

「えっとね、実は子守を頼まれちゃって」

「…それを手伝えと?」

「この子親戚の子なんだけど…なかなかやんちゃでして」

「まぁ俺はいいぞ!暇だったし!」

「あんたはすることが山ほどあるでしょうが!」

「英梨々だって作画あるだろ!」

「まぁ今日はサークルのことは忘れて、子供と遊んで癒されようよ」

「ぺたんこー!」

「…こ、このガキー!!私だって好きでぺたんこじゃないわよ!!」

「お、落ち着け英梨々!」

「で、名前なんていうんだ?」

「かける!」

「お、おう。かけるか。よろしくな」

「うん!」

俺は今感動しているそ。幼児に見られたらまず怖がられていたこの俺が、逆に好意的な視線を向けられている。生きててよかった…!

「俺は」

「はちまん!」

「ん?俺のこと知ってるのか?」

「うん!恵ねぇちゃんのお婿さん!」

「ぶっ!…何吹き込んでんの」

「わ、私も知らないよ!?か、かけるくん?誰に聞いたの?」

「お母さん!」

「…多分お母さんがあることないこと親戚に言ってるんだと思う」

「言いそうだなあの人…」

「うっ…うっ…」

「おい安芸、泣き止ませろよそのぺたんこお嬢様」

「誰がぺたんこよ!このゾンビ!腐り目!」

「よぉし、喧嘩なら買うぞ」

「あーもう!比企谷も英梨々をからかうこと言うな!」

「で、どうする?」

「切り替え早っ!?…まぁ適当に公園で遊べばいいんじゃないの?」

「まぁそれが妥当だな」

「それでいい?かけるくん」

「鬼ごっこやろ!」

「鬼ごっこか。いいんじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

あの時軽い気持ちでOKしてしまったのが間違いだった。

鬼ごっこが開始してから、ずっと澤村が鬼なのだ。

別に集中攻撃してるとかそういう訳では無い。

「な、なんで全然捕まらないのよ…!」

そう、ただの運動不足。基本引きこもって描いてるからな。

運動不足になっても仕方ない。

「そろそろ代わってあげよっか」

「待て、あいつにそんな真似したらプライドが傷つくだけだ。俺たちは全力で逃げる!!」

「は、八幡くん、どうしたの?」

普段こき使われてるぶん、しっかりとお返しをさせてもらおう。

「はちまん疲れた…」

「ん?まぁもう夕方だしな。帰るか。澤村置いて」

「八幡くん、英梨々のこと恨みすぎでしょ…」

「どこにいるのよ!!!」

「おい」

「うわぁっ!?急に後ろに現れないでよ!」

「帰るぞ」

「待ちなさいよ!これじゃ私の気が…!」

「知るか。安芸のやつもどっかいっちゃったし」

あいつほんとどこいったんだ?

「ふん!今日は勘弁してあげるわ!じゃ、私帰るから」

「えー…俺も帰りたいんだけど」

「じゃあその後ろにひっついてるのをはがせばいいじゃない」

「それができないから言ったんだけど…」

「さよならー」

「はぁ…うわ、なんかヨダレ垂れてるし」

「じゃ、行こっか」

「あ、はい」

 

「…小町おんぶしてるみたいだな」

「妹さん?」

「あぁ。よくふたりで遊んだ後とか寝ちゃってな」

「私一人っ子だからよくわからないや」

「まぁ俺からしたら一人っ子とか自由そうで羨ましいけどな」

「そうでもないよ?私は逆に弟とか妹が欲しかったな。上でもいいけど」

「まぁそういうもんだろ」

「…なんか家族みたいだね」

「なにが?」

「私がお母さんで八幡くんがお父さん、かけるくんが息子」

「……お前よく平気でそういうこと言うよな」

「八幡くんにしか言わないよ」

「ダウト」

「残念。ほんとです」

「…そういや月が綺麗だな」

「無理やり話変えようとしたね。まだ星出てないし。あ、もしかしてプロポーズ?」

「……なんか最近加藤といると調子狂う」

「えー?なんか傷つくなぁ」

……まぁでも、こういう空気も悪くないな。

 

 

続く



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番外編 結婚生活

ifストーリーです


英梨々の場合

 

「おい飯できたぞ」

「ありがと。食べよっか」

俺は英梨々と結婚した。

まぁ理由は…察してくれ。

ちなみに俺は専業主夫となった。まさか本当になるとはな。

英梨々は当然、絵の仕事だ。

「相変わらず美味いわね」

「そりゃどうも。締切間に合いそうか?」

「うーん、まぁギリギリかも。今も必死にやってるわ」

「頑張れよ」

「八幡に素直に応援されるなんて…」

「なんだよ」

「……ス…れ…し…も…」

「あ?」

「だ、だから!……き、キスしてくれたら仕事が捗るなぁ…って…」

…なにこの可愛い生き物。ほんと丸くなったよなこいつ。

というかR18の絵も書いてるこいつがキスという単語で顔赤くするところがまた可愛い。

「……」

「な、なによ!別にいいでしょ!夫婦なんだし!これぐらい!」

「ま、待て待てキレるな。誰も嫌だなんて言ってないだろ」

絶対恥ずかしさに耐えきれなくなってキれただろ。

「な、なら…早くしなさいよ!」

「はいはい……っ」

「っ……えへへ。さぁ!充電も完了したし頑張るわ!」

「おう」

 

fin

 

 

 

霞ヶ丘詩羽の場合

 

「先輩、ご飯できましたよ…って寝てるし」

まぁ仕事して疲れてたんだろう。ご飯はラップして置いとくか。

「…ん……八幡…くん?」

「あ、起きましたか。ご飯できましたよ」

「あらそう……おはよう」

「おはようございます。まぁ夜ですけどね」

先輩は寝る時間が不規則だ。徹夜とかだって当然してる。

「いつも悪いわね。作ってもらって」

「仕方ないですよ。先輩は作家ですし」

「…八幡くん」

「なんですか?」

「呼び方、いつまで先輩呼びなのかしら?それにまだ敬語だし。もう半年よ?」

「あー…なんか気恥しいといいますか…」

「はぁ…告白の時はあんな情熱的にしてくれたのに…」

「あ、あれは勢いというかなんというか…」

「夜もあんなに激しいのに…」

「まじで恥ずかしいんでやめてください…」

「ほら、練習で言ってみて。詩羽」

「……う、詩羽……さん」

「愛してる」

「あ、あいし…ってなに違うセリフも言わせようとしてるんですか」

「ちっ」

「舌打ちした?ねぇ?」

「八幡くん、こうでもしないと言ってくれないもの」

「…時々は言ってますよ」

「あなたと恋人、夫婦になってになって5年。愛してると聞いたのは5回だけね。一年に1回ってなめてるの?」

「こ、怖いですから」

「……名前呼びくらいいいじゃない…」

……罪悪感すごい。

「……詩羽さん」

「っ!な、なにかしら?」

「今は無理でも少しずつ治してくんで…今は名前呼びだけで勘弁してもらえませんかね?」

「はぁ…まぁヘタレだしね。そういうところも可愛いんだけど」

「ヘタレですみませんね…」

「今日は久しぶりにしましょうか。あの時だけだし八幡くんが男になるの」

「生々しいからやめてください」

 

fin

 

 

 

 

加藤恵の場合

 

「八幡くんご飯できたよ」

「おうありがとな」

俺は恵と結婚した。専業主夫専業主夫言ってた俺だが結局就職もした。まぁ家族のためだしな。

恵は家事の方を頑張ってくれている。

「仕事最近大変なんでしょ?」

「まぁ今が山場って感じだな。ここを乗り越えたら少し休憩できる」

「そっか。頑張ってね」

「……ここを乗り越えたらどっか行くか?」

「…デートのお誘い?」

「ま、まぁそうだな」

「珍しいね。八幡くんから言うなんて」

「最近家帰ってくるのも遅いし…なんか悪いからな。嫌なら別に…」

「ふふっ、嫌なわけないでしょ?今の八幡くん、プロポーズの時の同じ顔してるよ?」

「うぐっ…」

「…私は八幡くんか好き。これはずっと同じ気持ちだよ?」

「…あぁ。ありがとな」

恵はいろんなところで支えてくれた。サークルの時もそうだった。

何かとどこかに必ず恵がいた。

「…俺も好」

「あ、そういえば報告があるんだ」

「いや、聞けよ…」

俺からの好きだよ発言は中々聞けないんだぞ!

「3ヶ月だって」

「…………………………………………は?」

「ついに新しい家族ができるね」

「………え、まじ?」

「まじまじだよ」

「……ありがとう恵。俺頑張るから…!」

「もうっ、泣かないでよ。無理しちゃダメだよ?」

「あぁっ」

「…八幡くん大好きだよ」

 

 

fin



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恋と純情の捻くれ回

「なにあのアニメ、二期やるの?あんなテンプレ設定の塊なのに」

「なんでよ!二期確定的だったじゃない!円盤とかも売れてたしファンの盛り上がりもすごかったし!」

「…」

「ほら、内容については何も触れてない。それが駄作の証拠よ」

「私は楽しく見てたの!」

「二人の言い分もわかる。でも俺は英梨々みたいにポジティブに行こうと思うんだっ」

「…」

「あんたらさ〜、よくいつもそんなことで言い争いできるよね〜」

「あなたもいつもオタクをバカにしたような発言ばかりね」

「…なぁ加藤」

「なに?八幡くん」

「…俺ここにいる意味ある?」

「んー、それを言うなら私もなんだけど…」

「こらそこのメインコンビ。喋ってる暇があったらもっといちゃつきなさい。なんなら今ここでxxxしたりしてもいいわよ」

「もう俺ほんと帰りたい…」

現在、俺はホテルにあるプールにいる。

まぁなぜかと言うと…アニメ見ろ。(割愛)

「やっぱり、あのアニメはヒロインの性格とか、そういうのじゃないんだよ!全てを超越した存在なんだよ!そう!ただ見てるだけじゃたどり着けないんだ!あそこは俺たちの帰る場所なんだよ!」

「ちょっとともぉ。なに一人で喋ってるのさ〜。こーんなに美少女が周りにたくさんいるのに」

「やめてやめて逃げられない状況に追い込むのやめて!」

「…加藤。叫んでもいいか?」

「うーん…まぁ良いんじゃない?」

「じゃあ遠慮なく………リア充…いや、安芸倫也爆発、消滅しろぉぉぉぉおお!」

 

 

 

 

 

「ということで比企谷くん、加藤さんの水着を褒めなさい。褒めちぎりなさい。褒め倒しなさい。そして加藤さんは「は、恥ずかしいよぉ…」と水着を隠しながら恥ずかしそうにして」

「いや、褒めろって言われても…」

改めて加藤を見る。…うん。けしからん。おっと違う違う。

「…なんだか八幡くんの目がいやらしいんだけど」

「そ、そんにゃことないぞ?」

「噛んだわ」

「噛んだわね」

「噛んだね〜」

「噛んだな」

「…安芸はとりあえず後でしばく」

「なんで俺だけっ!?」

「…似合ってないかな?」

「い、いや……い、いいと思うぞ」

「…ありがと」

「「…」」

「…ねぇ、そういうガチのは今は要らないのだけれど。やる気がないなら帰ってくれない?澤村さんと氷堂さんも」

「あんたそれ違う目的でしょ…!!」

「ともー遊ぼーよー」

「美智留、1回黙ろうか」

「ほらじゃあ恵!ポーズとってみて!そうね…あのバランスボールの上に仰向けで!いやらしく!体をくねらせて!」

「…それ普通の女子にはなかなか厳しいと思うんだけど…」

「何言ってんのよ恵!あなたはメインヒロインなのよ!」

「…その前に友達だよね?親友だよね?」

「自然と近づく二人…すると急に波が来てブラが外れ、それを急いで取りに行く主人公…!しかしその時背中に暖かくて柔らかい感触が…!」

「…ちょっと集中してくる」

「まだ付き合うんだ」

「なぁ俺帰っていい?」

「ともぉ、遊ぼってばぁ」

「安芸くん、ちょっと私向こうで妄想…構想してくるから」

「ふふふ…浮かぶ!浮かんでくるわ!」

「…あぁもうっ!このサークル団結力なさすぎだろ!」



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ゲームとリアルは紙一重

Twitter新しく作り直したので良ければフォローお願いします!
浮上率はバラバラですけど!
@riyo_ha_merun


 

「おいみんな!」

「うるさいぞ安芸」

 

いつも通りのサークル風景。

1人は絵描きに集中し、あるものはパソコンとにらめっこし、あるものは携帯ポチポチ。

…加藤さん、君だけ何もしてない感すごい。あ、俺もか。てへっ。

 

「人生ゲームやろうぜ!」

「頭沸いてんのか?」

「いやぁ、ちょっとストーリー続け方思いつかなくて閑話休題的な話入れようかと」

「ストーリー?閑話休題?」

「加藤、触れてはダメだ」

「どうだ?先輩と英梨々も!」

「…まぁ息抜きにはいいかもね」

「そうね。霞ヶ丘詩羽が借金まみれになるのも面白いし」

「あら、それは澤村さんのことじゃない?」

 

おふたりさんすぐ喧嘩腰になりますね。

あれか、喧嘩するほど仲がいいと言うやつか。

 

「それじゃあゲームスタート!」

「まずは俺からだ!えっと…3だな……町で不良に絡まれ3万マイナス…」

「いきなりかよ。残念だったな」

「つ、次!加藤!」

「えっと……町でスカウトされ、演技派女優に成長。経済的にも余裕が生まれる。200万プラスだって」

「恵が演技派…ねぇ」

「なら普段ももっとメインヒロインっぽくして欲しいものね」

「これゲームだから。リアルとくっつけちゃだめだから」

「つ、次は英梨々!」

 

安芸、ちょっとやり始めたの後悔してるような顔やめろ。

 

「大儲けしてやるわ……えっと、昔からの幼馴染と両思いに。2人は恋人同士になる…!」

「英梨々…良かったね」

「う、うん…!」

「…なにこの妙なリアル感」

「英梨々に恋人か。そういやモテる割りには彼氏いたことないよな」

「安芸、殴っていい?」

「なんでっ!?」

「次は私ね……小説家として売れっ子に。300万プラス。…しかし想い人は他の人と結ばれてしまう」

「ぷっ、あはは!ざまあないわね霞ヶ丘詩羽!」

「…ちょっと倫理くん、後で話があるから校舎裏に来なさい…っ!」

「え、なんでそんな黒いオーラ出してるの!?ねぇ!?」

「次俺か……妹が病気に…!?手術費を払う。200万マイナス…こ、こまちぃ!」

 

小町が病気なんてこんなことしてる場合じゃねぇ!

 

「ま、待ってこれゲームだから!」

「小町?誰それ?」

「英梨々、八幡くんの妹さんだよ」

「あぁなるほど。じゃあ次倫也ね」

「お前比企谷に興味無さすぎだろ…っと、幼馴染と結婚。子供も2人生まれる。仕事も順調に進み、100万プラスか」

「きっと幸せな家庭ね…!」

「英梨々、にやけすぎだよ」

「…倫理くんのくせに…!倫理くんのくせに…!」

「つ、つつ次!行ってみよう!」

 

これは段々カオスになってきたな…

もう俺これやめたい。

 

 

 

 

 

「えへへ…倫也と幸せな家庭を…」

「英梨々〜、戻ってきてぇ」

「いいわよ…!だったら億万長者になってやるわ…!このくそ××××!!!!」

「う、詩羽先輩も落ち着いて!」

 

結果、俺と加藤は適当に家族を作り、お金も稼ぎつつ無事に終わった。

まぁだが主に安芸のせいで澤村や霞ヶ丘先輩あたりが大変なことになったな。

 

あるものは幸せすぎて昇天し、あるものは金の亡者と化し。

 

ここで俺はあることを誓った。

 

「…二度と人生ゲームやらねぇ」

 

 



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