Persona4 second challenge (やってらんねーとか思ってる未成年)
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プロローグ
エンディング≒スタート


主人公の名前は鳴上悠。
初のss投稿頑張るクマー!


今、俺は電車のドア口に立っている。

 

ホーム側にはこの一年を共にした俺の大切な仲間達と叔父の堂島さん、娘である菜々子が俺の顔をまじまじと見ている。

というのも、今日は3月21日。この地、八十稲羽を離れる日が今日ということだ。

正直にいうと、初めてこの八十稲羽に来たときは心が踊っていたなんてとてもじゃないが言えなかった。親の都合で引っ越すなんてのはよくある事だったし、それ自体に不満はこれといってない。

だが、ここは別だ。今までの引っ越しとは訳が違う。都会とは勝手が違う。ネットで調べても画像はほとんど掲載されてないしWebで上がったのは旅館、染め物などほとんどの学生には縁遠い物だった。

今の俺から言わせれば、それはただの食わず嫌いと同じだったと思う。今じゃ、裁縫は完二と共に作ったあみぐるみの数々が全てを物語っているし、旅館では仲間と過ごした文化祭の後のことを今でも鮮明に覚えている。

・・・いや、別に女性陣の裸を覚えているわけではない。

むしろ、あの時撤退命令を出すべきではなかったと悔いている。今なら・・・今の豪傑級の勇気があればしかと目に焼き付けるのに!!くそっ

 

おっと話が逸れてしまった。

とにかく、今ではこの八十稲羽とそこに居るみんなが大好きなんだ。

 

そんな事を考えている内に陽介が口を開いた。

 

 

「じゃあ、またな」

 

陽介。 俺はお前を誇りに思ってる。想い人を失っても、他人に避けられてもめげずに真実を追い続けたお前は誰よりも誇れる親友だ。

 

「向こうでも頑張ってね」

 

雪子。現実を直視して自分が旅館を継ぐ決意をした、それは並大抵の覚悟じゃない筈だ。

 

「そっちで何かあったら駆けつけるからさっ」

 

千枝。自らの内面と向き合ってなお強くなりたいと願い、励んだ日々を俺は知っている。

 

「また会いましょう、きっと」

 

直斗。真実が見えなくなっても決して諦めない強さ、それはもう性別なんて関係ない直斗の長所だ。

 

「先輩、俺待ってるッスから!」

 

完二。お前は優しさに溢れた奴だ。たとえ、誰かが誤解しても俺が完二の仲間である事に変わりはない。

 

「またね、先輩」

 

りせ。りせはもう自分らしさとは何かを知っている。誰かに希望を与える、そんな誰にでも真似できることではないのをりせにはできる。

 

「会えるの楽しみにして待ってるクマ」

 

クマ。自分の事を知り絶望してた時もお前は菜々子の心配をしてた。仲間想いでムードメーカーな大切な仲間だ。

 

「気をつけてな」

 

堂島さん。感謝しても、し足りない人だ。この人のお陰で間違いを犯さず自分の正しく在る道を進めたのだから。

もはや、父親だ。

 

「またねお兄ちゃん、バイバイ」

 

菜々子。いつまでも俺は菜々子のお兄ちゃんだ。

「菜々子、しゃうらいお兄ちゃんとけっこんする。」は忘れない

(あとネットの‘’くせーんだよ!‘’の画像は許さない、絶対にだ絶対許さ(略))

 

>うん

 

そう言って俺は電車に乗り込んだ。

 

電車が発車すると同時に、みんなが俺を追いかけてきている。やはり、ここに来て良かった。

不意に泣きそうになるのを(こら)えて、みんなを目で追いかけた。

 

 

電車のスピードが上がり、みんながホームの端についても

俺はずっと窓からみんなを見ていたんだ。

 

 

>・・・・・・・

辛くはあるが不思議と嬉しさがこみ上げて来た。

 

ー大丈夫、また会える

 

不思議とどこからか聞こえて来た気がする。

 

電車の座席に座ると肩の力が抜けたのか、眠気が襲ってきている。電車の揺れが心地いい。

 

>・・・・

 

あぁ、俺は‘’幸せ‘’だな。

 

俺は静かに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫、またすぐに会えるさ。1日と経たずにね。』

 




やっぱり、ssって難しいクマね。


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出会い
八十稲羽に帰還


連続で書き込み、結構疲れる(ノ-_-)ノ~┻━┻
でも書き込みたいφ(..)


ここは何処だろう?霧で何も見えない。

「あ…な…………たもど…………た…………」

誰かの声が聴こえるようだ。

「…の…………に………こと…きな………………」

聞き取れない、でもこの声を何処かで・・・

 

 

>・・・・・・うぅ

 

どうやら熟睡していたらしい。寝起きのせいで頭がフラフラする。夢でも見ていたのだろうか?窓に目をやると外の景色は田園(でんえん)が広がっていて、まだ八十稲羽の近くということがわかる。

 

>あまり時間が経っていなかったみたいだ。

 

そろそろ荷物を上から降ろそうかと思ったがその必要はなかったようだ。しかも、向かいの席では薄い茶髪の女性が眠りについているし、わざわざ今降ろして目を覚まさせるのも悪い。今更気づいたが彼女は八高の制服を着ている。髪を染めているのでエビみたいな子なのだろうか?なんて柄にもなく推察する。さて、特にやることもないし窓から見える景色でも眺めて時間を潰そうか・・・

 

少しして異変に気がついた。この列車から見る窓の景色が少しずつ馴染み深いものへと変わっていく。

それは、つまり

 

「え~、次は

 

 

 

 

八十稲羽、八十稲羽です。」

 

運転手のアナウンスで確信に変わった。何かがおかしい。まず八十稲羽は終点もしくは始発の駅である。つまり八十稲羽から乗って八十稲羽に戻って来るなんて事はあり得ない。万が一、回送列車だとしても乗客が寝ているようなら起こしてくれる筈だ。なのに何故こんな事が起きているんだ。わざわざ乗り換えて戻るなんて真似もしていない。

あれこれと考える内に八十稲羽へと戻ろうとしている。

 

コレはまずい。非常にまずい。あんな別れ方をした後に

 

>元気か、みんな?

 

「「「「「「「・・・・・」」」」」」」

 

なんて恥ずかしいことは極力避けたい。

 

>・・・・はぁ

 

この状況では今まで(つちか)った伝達力を用いて説明したとしても6人と1匹に会わせる顔がないな。堂島さんにダメ元で迎えに来てもらえるか聞いてみよう。そう思い立って、電話帳から堂島さんの番号に掛けるとすぐに繋がった。

 

「おう。もう着きそうか?」

 

>・・・はい

 

「そうか。なら迎えに行くから待ってろ」

 

>えっ、もしかしてもう八十稲羽に着きそうなのわかりました?

 

「あぁ、まぁな」

 

>そうですか・・・助かります

 

「もしかしたら少し待たせるかもしれん」

 

>大丈夫です 隠れてますから

 

「いや、隠れたら見つけられんだろう・・・」

 

>大丈夫です 俺が声かけますから

 

「あ、あぁでもお前は俺の顔覚えてるのか?」

 

>?はい

 

「そうか、ならいい・・・」

何か怪訝そうに電話口から聞こえたが、やはり流石は堂島さんだ。刑事の長年の勘からくるのだろうか?確かに一年一緒に暮らしたが、ここまで気配りができるとは思わなかった。やっぱり頼りになる。

 

 

「八十稲羽~。八十稲羽です」

 

 

そうこうしてる内に八十稲羽へと着いたようだ。

念のため、向かいの席の八高生にも着いたことを知らせておこうか。

 

>八十稲羽だが、起きなくてもいいのか?

 

「・・・うぅ、もうそんな時間?」

 

寝起きのせいでどうやら意識がはっきりしていないようだ。

 

 

「お客さ~ん、ドア閉めるよ~?」

 

>立てるか?

 

「う、うぅ」

 

フラフラとおぼつかないので肩を貸して降ろし、自分の荷物も外に出すことができた。

 

>目は覚めたか?

 

荷物が重いので、後ろに居る彼女に顔も向けられずに尋ねた。

 

「うん、ありがとね」

 

>いや、礼には及ば

 

振り返って彼女の顔を見た時、俺の思考は停止した。

だって彼女は

 

「?」

 

 

小西早紀、マヨナカテレビの第2の被害者として殺された筈だったから

 




感想じゃんじゃん下さい!_(._.)_
訂正教えて下さい!_(._.)_
って読んでる人おらんか・・・・


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始まる第2の非日常

やっぱりまだ、全キャラ出せないのが悔しいです(;´д`)


「落ち着いた?」

 

>・・・あぁ

 

 

俺は今、八十稲羽駅前で一学年上の先輩に手渡されたジュースを片手に座り込んでいる。そう、死んだ筈の小西早紀と一緒に。

 

 

 

「ねぇってば!」

 

 

>?

 

「まったく。さっきからずっと呼んでるのにぼーっとしちゃってさ。心配になるでしょ?」

 

>あ、あぁ 悪い

 

どうやら、物思いにふけっていて小西早紀の呼び掛けに気付かなかったらしい

 

「ねぇ、アンタって八高生?」

 

そう言いわれて口を閉じた。今はもう八高生じゃないし、かといって違うとも言い切れない複雑な状況にいるからだ。

 

「ちょっと?また黙んないでよ!」

 

>すまない たぶん八高生で合ってる

 

「何よ?たぶんって・・・って、あ!」

 

小西早紀は俺の顔を覗きこんで来た。急に顔をまじまじと見つめられるのはいい気分ではない。

 

>?

 

「もしかして、都会から来たの?」

 

>そうなるな

 

「じゃあ花ちゃんと気が合うかもね」

 

確か花ちゃんとは陽介の事だった気がする。

 

「ふーん、道理でイケてると思うわけだ」

 

>惚れるなよ

 

「惚れねーよっ!急に馴れ馴れしいっての」

 

>嫌いか?

 

「はぁ?初めて会ったのに好きも嫌いもないでしょ!」

 

>なら残念だ

 

「ったく あんたさぁ、さっきまでのキャラと変わってるよ」

 

>変えたつもりはないが

 

「ふふっ、でも嫌いじゃないよ」

 

>・・・・ゴクゴク

胡椒博士NEO。・・・最近、自販機には近付かなかったが久しぶりに飲むこのジュースはやっぱり

 

まずい。

 

「って聞いてないのかよ!」

 

>?悪い聞いてなかった

 

「気ままなのね」

 

>ありがとう

 

「褒めてねーよっ!」

 

不思議と小西早紀と会話が弾んでいた。以前、ジュネスのフードコートで見かけた彼女は、ほとんど関わりを持たぬままこの世を去った。だが、今そんな彼女と話ができることに疑いを持たないで話してる自分がいる。今まで体験した非日常のせいで感覚が鈍っているのかもしれない。そもそも、こんな風に異常な事態に直面してもなお冷静に物事を考えてるのが普通なら有り得ないのだろう。

 

もし、俺が居るここは事件が起こる前だとしたら?

 

ふとそんな言葉が脳裏によぎった。でも、そうだとしても俺に何ができるんだろう?彼女に未来を伝えるのか?分からない。今ここに在る現実はまるで現実味がない。まるで、夢だ。

 

「さて、アタシはもう行くわ」

 

>! ちょっと待ってくれ

 

咄嗟(とっさ)に腕を掴んでしまう。

 

「?何よ、急に」

 

何ができる?何をすべき?何をすれば後悔が残らない?

 

>俺はっ・・・!

 

「?」

 

>必ず救ってみせる

 

「え?」

 

>約束だ

 

「・・・・」

 

目を見開いて驚いている、いや戸惑っている顔だ。

さっき知り合った男から突然そんな事言われたら当然だ。

 

しかし、すぐに彼女の口元が緩んだ。

 

「あははっはっははは!それっ、もしかしてさぁナンパぁ?」

 

>・・・違う

 

「ふふっ、説得力ゼロだね うん あはっはははっ!」

 

>・・・・

 

>そっとしておこう

 

「でもさ、なんかね」

 

>?

 

「アンタのその‘約束’っての なんかアタシが考えてた色んな不安が吹っ飛んじゃった」

 

「だから、ありがと」

 

>例には及ばない

 

「アンタのこと 気に入っちゃったよ」

 

>惚れるなよ

 

「あははっ!馬鹿じゃないの?」

 

彼女はそう言って笑顔で立ち去って行った。

 

 

 

>・・・確認しとくか

 

携帯を開くと画面には2011年4月11日と表示されている。あぁ、やっぱりか。時間が1年間(さかのぼ)ったということだ。この状況も少しずつだが理解してきたな。

 

>よし

 

これからどんな困難が待ち受けていようと俺は頑張れる。だって、ここには俺の大切な仲間達がいるんだから。

 

遠くから見慣れた車が駅に近づいてきている。さぁ、仕切り直しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、アイツの名前聞くの忘れちゃったなぁ」

 

「でも、また会えるよね」

 

小西早紀はそう(つぶや)いて実家のコニシ酒店へと駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月15日。電柱に吊り上げられた死因不明の遺体が見つかることとなる。

 

 

 

 




なんか書いてて小西早紀ちゃんがヒロインみたいになってしまった
だからか、書いてる途中に辛くなったよ(゜ロ゜)


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再会、されど初対面

ちょっと、空いてしまいました_(._.)_申し訳ないです
極力早めに投稿できるように頑張ります


「おーい、こっちだ」

 

 

 

再び、堂島家と初めての顔合わせをしている。わかりにくいが、とにかく2度目の(初)対面だ。

初めて会った時はまだ、根気も勇気も寛容さも知識も伝達力も全て人並みだった。その状態から少しずつ鍛練を積んでステータスに磨きをかけ、更に上を目指して鍛練。その繰り返しを日々続けていく。何度、雨の日に愛家のスペシャル肉丼に挑んだのだろう。費やした金は湯水の如く消えていった。

でも、今の俺は違う。全ステータスが前の世界と同じ、つまり最高のまま。今後の為には、己のステータスを利用しない手はない。今後の事件を上手く阻止することも、他者と円滑に交流することも、修羅場イベントを回避することも今の俺なら容易い。まさに強くてニューゲーム。世の中クソ(EASYモード)だな。

 

「おう 写真より男前だな」

>よく言われます

 

「ははっ 口まで達者になったらしい ようこそ稲羽市へ お前を預かることになってる 堂島遼太郎だ

ええと お前のお袋さんの弟だ 一応 挨拶したおかなきゃな」

 

>お久しぶりです

 

「しっかし 大きくなったなー ちょっと前までオムツしてたと思ったが・・・」

>今も、オムツしてます

 

「」

>してます

 

「は、ははっ 真顔でも冗談言えるのか?」

>・・・・

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

 

>・・・・・・・・

 

 

 

 

「いや・・・なんと言うか まぁそういうこともあるのかもな・・・」

>冗談です

 

 

「・・・・」

(こいつ、真顔で冗談言ってたのか。長年刑事をしてる俺でも冗談なのか、よく見分けがつかん。いや、それどころかこいつが何がしたいのか全く分からんな)

 

 

堂島さんが眉を八の字にしながら眉間に(しわ)を寄せている。真顔のシュールな冗談はあまり伝わらなかったようだ。伝達力が高過ぎるのも困りものだ。やれやれ。

 

 

「こっちは娘の菜々子だ ほれ挨拶しろ」

 

「・・・・」

 

「・・・ちは。」サッ

 

 

耳まで真っ赤にして、すぐ堂島さんの後ろに隠れてしまった。初めは、結構遠慮がちな小学生って風だったしコレはこれで中々新鮮だな。うん。

 

「はは こいつ照れてんのか?」ビシッ

 

「いてっ はは 」

 

茶化す堂島さんに菜々子は容赦なく腰にビンタ1発をお見舞いした。堂島さんも少し楽しそうだ。

それに見かねた菜々子は憤慨し下腹部にエルボーを入れ、‘く’の字に折れた堂島さんの体に対して間髪いれずにタイキック・・・は起こらなかった。

 

>ハイカラだな

 

「はいから? 」

 

後ろに隠れていた菜々子が‘ハイカラ’に反応して顔を出してきた。どこか、ぎこちない目線をこっちに配っている。勿論、今の俺は寛容さも根気も最大に備えている。つまり、俺が取るべき行動は焦らず、慎重に、程よく積極的に。そして親しみやすさのある頼れるお兄さんとして振る舞うべきだ。よし!

 

 

 

「菜々子、かわいいマジ天使 これからはお兄ちゃんとして絶対お前をこの世のあらゆる害から守ってやるからな 何かあったら何でも相談してくれ! いや、むしろ何か無くても話しかけてくれ!菜々子に無視されたらって思うと俺は・・・くっ、考えるだけでも辛い!」ニコッ

(‘ハイカラ’っていうのは簡単に言うとおしゃれってことなんだよ)

 

「っ!」サッ

「・・・・・」

 

おっと、しまった。不覚にも説明と心の内が逆になってしまったようだ。笑顔のままで今の発言は狂気を感じるにちがいない。案の定、菜々子はすぐさま堂島さんの後ろに隠れてしまった。嫌われてしまったかもしれない・・・。そして、堂島さんは俺に‘意味不明なことを口走る容疑者でも見るかのような目’を向けている。

 

あぁ、ミツオ。お前は、こんな引いてる目を特別捜査隊のみんなから浴びせられてよく戦えたな・・・メンタルだけは勇者だったと認めざるを得ない。

 

「はぁ・・・ からかうのもその辺にしてやってくれ」

 

>すいませんでした

 

「さぁて じゃ 行くか。車 こっちだ」

 

>はい カサッ

 

そう言うと、堂島さんは車のトランクに俺の荷物を詰め込んで運転席に乗り込んだ。

 

少し出遅れて俺も後を追い車に乗った。後部座席には俺と菜々子の2人だ。やはり、先ほどのことを気にしてるのか隣で菜々子は俺の顔をちらちら見ては恥ずかしそうに顔を赤く染めている。小学生の女の子にかわいいはストレート過ぎたようだ。謝ろうにも、菜々子は目を合わせても反らして話せそうにない。なら、予定は狂うが前倒しで《鳴上 悠のあら不思議 輪ゴムマジック》を見て貰って少しでも気恥ずかしさを忘れてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[・・・?]

 

道端には鳴上 悠が気付かずに落としたメモ。それを拾い上げる人影。

 

[ど、う、じ、ま?って誰?]

 




もしこれを読んでる方がいたらマリー登場希望、もしくは不参加希望のご意見、または感想いただけると有り難いです。PS2版はプレーしましたがvita版は購入したままやっていない(アニメ視聴)ので今後のストーリーにマリーを組み込むか迷ってます・・・( ̄▽ ̄;)。


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最大の理解者は最大の敵

読んでいらっしゃる方々、ありがとうございます!まだまだ執筆、頑張れると思います・・・たぶんφ(゜゜)ノ゜


長い車内での移動時間のおかげで、菜々子と随分‘絆’もとい‘コミュニティー’を(はぐく)む事ができた。といってもコミュのRANKは、せいぜい2になる手前ぐらいだろう。だが、初対面から数時間足らずでここまで親密になれれば上出来だ。今では菜々子から進んで話し掛けてくれる。

 

「じゃあ!お兄ちゃんはお料理じょうずなの?」

>ああ 材料があれば何でも作れるし、一度食べたものなら作ることもできるな

 

「うわー すごい!」

>ハイカラだろ?

 

「うん! はいから!」

 

やっぱり菜々子にはこの笑顔だ。この笑顔を見れば誰だって絶好調になるに違いない。

 

「どうやら 仲良くなれたようだな これで一安心だ」

 

運転席から堂島さんの声が聞こえてきた。ミラー越しにこちらを見ているたようだ。堂島さんは少し俺と菜々子の関係を心配していたらしい。高校生と小学生が上手くそりが合うのか、心配するのは当然か。まぁ菜々子なら誰とでも仲良くなれる気はするが。

 

「ねぇ・・・お父さん」

 

「ん?どうした 菜々子」

 

「トイレ いきたい」

 

「あー そうか ちょっと時間かかるが大丈夫か?」

 

「うん ・・・我慢する」

 

確かに駅から長い時間走ってきたな。でも、俺は既にマヨナカテレビで尿意の抑制方法を収得している。無論、マヨナカテレビにはトイレは設置されてはいない。女性陣が恥じらいながら・・・っとこれ以上はやめておこう。話せば長くなる。え、聞きたくて仕方がないって?そんに聞きたいのなら話そうか。まず完二が尿意を我慢して恥じらっているところからだが、あれはなんというかまさに・・・

 

『らっしゃーせー』

 

む、残念。着いてしまったようだ。この話はお開きにするとしよう。

 

「トイレ 一人で行けるか?」

 

「うん」

 

堂島さんと菜々子が車から降りてから、菜々子がトイレの場所を店員に教わって駆けていくのが窓越しに見える。不思議と笑みがこぼれてしまうな。だが、そんな感情と裏腹に何かが引っ掛かる。それは、ごく小さなもののようにもとてつもなく巨大なもののようにも感じる。はて、なんだったか。忘れるほど、どうでもいい人やイベントなど俺にはない気がするのだが・・・。

 

車のドアを開けて出た場所は、なんの変哲のないガソリンスタンドだ。やはり、何かが胸に引っ掛かる。辺りを見回しても店員と堂島さんしか見当たる人はいない。

 

ん?ガソリンスタンド?

 

『へぇ 都会からすか・・・』

 

んん?店員?

 

「ついでに満タン頼む あ、レギュラーでな」

 

『ハイ ありがとうございまーす』

 

まさか、この声は・・・!?

 

「一服してくるか・・・」

 

堂島さんが今いた場所から道路側へと移動していくと、今まで見えなかったガソリンスタンドの店員の姿が(あらわ)になった。

 

『やぁ お久しぶ-ゴッ

 

突如、ガソスタ店員の顔が陥没すると同時に直線上へと物凄い音を立てながら吹っ飛んでいった。いや、言い換えておこう。

 

俺がぶん殴って吹っ飛ばした。

 

何故、忘れていたのかようやくわかった。今、壁にもたれ掛かって白目を向いてのびている‘奴’は人ではない。神様(仮)だ。なのに影が薄い。事件の黒幕を見つけた後、真にこの事件を操っていた存在が登場シーンしかない出オチの人物であるこのガソスタ店員だ。最早、一発殴って白目を向いてしまうラスボス的存在を覚えておく寛容さなど俺にはない。それにしてもさっきからピクリとも動かないな。

 

>そっとしておこう

 

『ま゛、ま゛ち な よ゛』

 

俺達を苦しめた存在がまるで生まれたての小鹿のように立ち上がろうとしている。なんてひどい有り様だ。見るに耐えないとはこの事だな。

 

>・・・そっとしておこ

 

『いや゛! ま゛てって!?』

 

>なんだ?

 

『君さぁ・・・うっ 顔が痛くって喋りにくいなぁ』

 

>用が無いなら車に入るぞ

 

『ひどいな君?!』

 

>あるのか、ないのか?

 

『あるさ!君がここに来た理由を知りたくないのかい?』

 

>・・・・

 

『どうやら話を聞く気になったようだね イテテ』

 

どうやら、早くもこの現状に関わっている奴(いや、黒幕としか思えない)と接触してしまったらしい。正直、もう二度と関わりたくないんだが相手は俺の知らないこの世界のことを教えてくれると言う。もしかすると、元の時間に戻す方法も分かるのかもしれない。とにかく聞いてみる価値はありそうだ。

 

俺は溜め息を吐いた後、目の前にいるガソスタの神イザナミに話を聞かされることとなった。

 

 

 

『いや、ガソスタの神って・・・』(´・ω・`)

 

 

 



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重大な選択肢

中々、物語が進まないなぁと思われてる方もいると思いますが、何卒見放さないでやってつかーさい_(._.)_


さて、話を聞こうか。こいつから情報を聞き出すのは大変不服ではあるが、この際形振(なりふ)り構っていられない。

 

>俺の身に一体何が起きているんだ?

 

『気付いてると思うけどここは君が元居た世界じゃない 別次元であり別の時を刻む世界 分かりやすく言うとパラレルワールドってやつかな そんな世界に本来居る筈のないイレギュラーな存在が紛れ込んでる それが君さ』

 

>お前の差し金か?

 

『面白い推理だね』

 

>こんなことできるのはお前ぐらいしか思い付かないからな

 

『なるほど 一理ある』

 

>・・・・質問に答えろ イラッ

 

『そう怒らないでよ 確かに君をここへ連れて来たのは僕だ』

 

やはり、俺の思った通りじゃないか。ここが、テレビの中だったらすぐにでも伊邪那岐大神を召喚して幾万の真言を当てているのに。

 

『ところでさ 今の君は僕からまだ力を与えられていないって分かってる?』

 

>・・・何が言いたい?

 

『要するに僕が力を与えなければ 君はテレビの中に入れない つまり事件が起ころうと君は関与できないってことさ』

 

>・・・・

 

悔しいがその通りだ。いくら大量に強力なペルソナを保持したところでテレビの中じゃないと使えない。

 

『悪いけど君に力を授ける気はないよ』

 

>っ!ふざけるなっ!

 

テレビの中に入らなければ救える人も救えない。そんな焦燥感から人目も気にせず奴の襟元(えりもと)に掴み掛かっていた。しかし、イザナミは殴られた時とはまるで別人のように動じていない、むしろ余裕が感じられる。

 

『なら力づくで聞き出すのかい?もっとも君に強制できる力もないだろうけど』

 

>何が目的だっ!?

 

【君は知っているだろう?いつだって私は《人間の望みを叶える為にいる》ことを・・・】

 

イザナミの周りが一瞬で威圧感にまみれた空気に変わる。声質も男の軽薄そうな声から重々しい雰囲気をまとった女の声へと変化していた。息をする事さえ許されないその威圧感に耐えられず力を込めた手を緩めてしまう。

 

>・・・・

 

『さて ここへは君の質問を答えるために来た訳じゃない』

 

先程の口調に戻り威圧感も嘘のように消えていた。

 

>なら どうして俺の前に現れた?

 

『言ったそばから質問かい? じゃあ逆に聞くけど君はどうして連れてこられたんだと思う?』

 

>クイズがしたいなら他を当たってくれ

 

『まぁまぁそう言わずにさ 考えてみなよ』

 

>・・・・

 

俺がここに連れてこられた理由?それは《人間の望みを叶える為》だろうが、今聞かれているのはその《人間》がどんな望みをしたのか。

 

>そんなもの分かる訳がない

 

『質問を変えようか 君は元の世界に戻りたいかい?』

 

>っ!当たり前だ!

 

『なら元の世界に戻してあげよう』

>できるのか?!

 

『ああ できるよ』

 

>なら-

 

 

 

 

 

 

《必ず救ってみせる 約束だ》

 

 

《アンタのその‘約束’っての なんかアタシが考えてた色んな不安が吹っ飛んじゃった》

 

 

 

 

 

 

>・・・・

 

『どうしたの?』

 

>・・・約束したんだ

 

それは、俺の心の底にある1つの決意。そして小西早紀と交わした約束でもある。もしイザナミの誘いに乗れば平穏な日常に戻ることができる。だが、戻った先が本当に平穏なのか?この世界の未来を見捨てて、自分だけ忘れるなんて真似俺には出来ない。たとえ、それが一番辛い道だとしても、俺は進む。救える人は全員助けたい。それが(おご)りだとしても、その決意こそが鳴上 悠である証明なのだから。

 

『・・・答えは出たようだね』

 

>ああ ここに残る

 

『力は与えられないとしても?』

 

>それでも俺はみんなを救ってみせる

 

【それが‘人’の選択か・・・】

 

>ああ

 

力は必要ない。その決断が俺の進む道を閉ざそうとしても必ず開いてみせる。

 




>幾万の真言!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

『』(ლ ^ิ౪^ิ)ლ

的なのしたかったなー(´・ω・`)


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予想外は不意にやってくる

感想が来て、アクセス数も増えて感謝感激です!センセイたち、ここまでPersona secondchallengeを読んでくれてありがとうクマー。_(._.)_



ガソ神との話し合いで新たに決意を固め、これから-

 

『いやいやいや ちょっと待ってよ!ガソ神って何!?最早ガソスタの神と呼ぶことが面倒臭くて略したの!?』

 

>黙っててくれ 今は‘心の声の説明’的なシーンだったじゃないか

 

『君の心の声だけど僕には丸聞こえだから!?あとガソ神って呼ばれて黙ってる神が何処にいるんだよっ!』

 

>・・・・

 

いちいちうるさい奴だ。前回シリアスっぽい感じ出していた癖に、今更コミカルなキャラに戻るなんて言語道断だ。正直着いていけない、というか冷める。もうお前に用はないんだ。早く帰れよ、ラスト オブ ガソスタ。

 

『もう神が消えてるせいか 扱いが雑になってんじゃん!?てか シリアスからコミカルにしたの君が発端だから!』

 

>いちいちツッコミが長い 陽介か お前は

 

『さらっと仲間 ディスったよ!コイツ?!』

 

>騒ぐな 周りに迷惑が・・・ん?

 

今更気付いたのだか、誰もこちらに視線を向けていない。意図的に無視してるというより認識していないといった方が正しい。これは一体?

 

『霧だよ』

 

>霧?

 

『僕と君の間に目に見えない霧があるのさ・・・ 霧は真実を覆い隠す つまり彼らは僕らの会話は勿論 存在さえ気にも止めていないのさ』

 

>なるほど

 

流石は神だ。いざという時頼りになる。

 

『もう嫌みにしか聞こえないよ』

 

>そうか・・・

 

とは言え、これ以上長引かせたら堂島家に変に迷惑をかけてしまう恐れもある。それに、自分の置かれた状況、これから何をやるべきかもう分かってる。なら善は急げだ。

 

『じゃあ 行くのかい?』

 

>ああ

 

『これから君がどんな苦難に阻まれようと、諦めず立ち向かってこの世界の霧を晴らすことを願っているよ この言葉は誓って本心だ』

 

>そうか

 

『うん』

 

>もう会えないかもな?

 

『君には嬉しいことだろう?』

 

>たぶんな

 

こんなに気の合わない奴との別れでも、少しだけ寂しくあることは胸の内に閉まっておこう。

 

>じゃあ さよな-

 

 

 

 

 

 

 

{ガソ神との間にほのかな絆の芽生えを感じる・・・}

 

 

 

 

 

 

 

>は?

 

 

『え』

 

 

 

え、いや冗談だろ?嘘だよな?だって今、完全にさよなら言ったと同時に終わる雰囲気だった筈だろ?

 

 

そうか!コミュニティーだって絆を勘違いする事だってある。もう一度見れば間違いだって分かる筈-

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Skill

 

Item

 

Equip

 

Persona

 

Status

 

→Commu

 

System

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Commu*

Rank1 -

[正義] 堂島 菜々子

 

Rank1 -

→ [世界] イザナミ (伊邪美岐大神) new

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『』(ლ ^ิ౪^ิ)ლ

 

> (´^ิ益^ิ` )

 

 

 

 

 

 

 

 

♪テレレ テレレ テレレ ターン

アー アーアーアー

 

 

生は真実、片時も夢ならず。

もとより誰もが知る…

真実とは、選び取るもの…

眼差しと意志とで、見出されるもの。

それを得てこそ、己も真実となる。

過去と未来を結ぶ糸たりうる。

けれど今、客人の定めは途切れ、

未だ真実は、霧深き虚ろの森の中…

 

 

 






これにて完結です。今まで短い間でしたありがとうございました!またいつか書ける日を楽しみにしてます!(⌒‐⌒)




なんてオチにしたら、読者の方からメギドラオンされるんで勿論続けます。続けますとも( ̄▽ ̄;)


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変化が良い兆しとは限らない

イザナミは当初、即退場予定のキャラでしたが書いてる内に気に入ったのであんな展開に(*´ー`*)

それと更新が遅れてしまいすいません!書き上げて消してを誤って2回繰り返してしまいました。辛いッス。保存機能欲しい(´・ω・`)


さて、何をしようか。いざ行動に移すとなると思い付かないな。というのも、さっき堂島さんから商店街の辺りでも回って土地勘を掴めとのお達しがあったのだ。しかし、実のところ八十稲羽を案内できるくらいに知っているのが本音である。まぁ、ここ八十稲羽に案内できる場所がそんなにあるかは別の話だが。まずは、まだ顔を合わせていない知り合いたちに会うことから始めるとしよう。

 

「ねぇ」

 

だいだら.のオヤジ、四六のおばちゃん、辰姫神社のキツネ。それに、愛家のあいかにも会わなければならない。彼女は林間学校の天使、いや悲劇を救う女神と呼んでもいいだろう。とにかく、これから忙しくなりそうだ・・・

 

「ねぇってば」

 

急に、背後の何者かが俺の服を引っ張ってきた。もしかすると先程から呼ばれてるのは俺のことか?

 

>俺に用か?

 

「君さ どこかで会った?」

 

第一村人発見。先程から俺を呼んでいたのは、マリーだったようだ。にしても答えずらい質問をする。どこかで会った、か。

 

>いや ないな

 

悪いがそう答える他ない。今、マリーに会ったことがあると言ってその経緯を説明したところでバカにしてるとしか思われないだろう。それにしても、苦楽を共にした仲間に直接‘知らない’と伝えるのは心にくる。

 

「・・・ふぅん」

 

明らかに、納得はしていないな。むしろ怪しまれている。マリーには記憶があるのか?いや、イザナミとマリーの関係を考えると有り得ない話じゃないな。しかし、中途半端に覚えられている為に疑われて余計気まずい。イザナミめ。だからあいつはなんちゃって神様なんだ。アメノサギリの方がラスボス感あったわ。次会うときには、挨拶代わりに速攻ドロップキックしてやる。

 

「・・・・」チラッ

 

>?

 

「・・・・」プィ

 

えっと、マリーが俺の方をチラチラと横目で見てくる。確かに、はぐらかしたのは悪かったと思う。けど、言ったらもっと怒っていただろう。流石に理不尽だ。やっぱり、やられたままなのも癪にさわる。少しだけ仕返しと行こう。

 

>マリー

 

「君!なんで私の名前-

 

>聞いてくれ

 

「いや!なん-

 

>俺のお気に入りの詩を・・・

 

 

 

「え?」

 

 

 

>‘うたかた’

 

「!?」

 

>ねえ、聞いて

アタシの声を(裏声)

 

「な な な なんでそれをっ?!」

 

>叫んでいるこの声を…

アタシはここにいる(裏声)

 

「わわわわっ!ストーップ!!!」

 

>血を声に替えて

世界の果てで叫んでいる…(裏声)

 

「ちょ!ちょっと!」

 

>アタシは人魚姫

 

もう帰れない人魚姫(裏声)

 

「」

 

>・・・・

 

>ハイカラだな?

 

「っ!ばかっ!きらいっ!!さいてーっ!!!」

 

マリーは顔を真っ赤にして息切れしている。どうやらあのポエムが効いたらしい・・・。マリーのポエムを全て頭の中に記憶してある俺に死角はない!以前の、俺にメモを読まれてることに気付いて慌てるマリーも可愛かったが、今回のこれはこれで楽しいし可愛い。これからの楽しみが増えたな。

うん。

 

>良い詩だと思うけどな

 

「うるさぃ!」

 

愉悦、その一言が十分に俺の心境を表してくれる。

 

 

やっぱり、2回繰り返してるのだから楽しまなきゃ損だな!

さて、次に誰に会いに行こうかな?

 

 




本来はこの続きにもう2キャラ出てきていたのですが、また誤って消してしまうのが怖いので分けて更新します。こちらの都合で誠にすみません。あとマリちゃんは出すことにしました。


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ありえたかもしれない幸せ

 

だいだら.の次に四六商店、その後は愛家。この順番で顔を出すとしよう。うむ、我ながら完璧なスケジュールだ。だが、なるべく早く済まさないと堂島さんたちを待たせてしまうな。よし、なら早めに行くか。

 

 

 

だいだら.の扉からは、熱した鉄を鉄で叩くリズムにのった音が漏れ出ている。あのオヤジが朝からお手製の‘アート’を作っているのがまる分かりだ。

 

>ごめん下さい

 

返事はない。まぁ、あのオヤジのことだ。どうせ自分の作ってる音が邪魔して聞こえていないのだろう。今無理に入っても、オヤジの機嫌が悪くなって追い出されてしまう。また今度にするとしよう。幸先悪いスタートとなってしまった。次の四六商店に向かおうか・・・ん?あれは

 

 

 

「ねーちゃん 冷蔵庫にあった俺のプリン知らねー?」

 

「あー あれ食べちゃった」

 

「は?なんだよ それ!」

 

「ごめん 悪いけどもうバイトの時間だから」

 

姉弟喧嘩が四六商店の目の前で勃発しているようだ。四六商店からしたら、営業妨害以外の何物でもない。え、止めないのかって?勿論、止めないさ。第一、こういう面倒事には関わらないのが身のためなんだ。今までの経験がそう言っている。さぁ、スケジュールに狂いも生じていることだし、さっさと入ってしまおう。

 

「あれ?あんた」

 

>・・・・

 

早く入らなければ。巻き込まれるのは御免だ。

 

「やっぱり さっき会った奴じゃん!なんでこんな所にいんの」

 

なぜ、よりにもよってまた小西早紀なんだ。いや、もうお前はいいだろ。充分に出番あったじゃないかっ!作者は何を考えている?ごり押しか?マリーだって早めに終わったんだぞ?理不尽じゃないか。普通なら事件の被害者がヒロイン的な扱い受けるだけでも有り得ないことなんだぞっ!?仲間が出ていないことを良いことにサラッと何度も登場とは・・・どこまでもあざとい女だな、小西早紀。

 

「あんた 今凄い失礼なこと考えてなかった?」

 

>考えてない それに人違いだ

 

「髪の毛グレーのあんたに似た奴が何処にいるってよのよ?」

 

>その話はタブーだろ

 

「ねーちゃん!話は終わってねーぞ!」

 

「あーもう プリンくらいでケチ臭いわねー 」

 

>まさに鬼畜だな

 

「あんたねぇ・・・あ!あんた今 四六商店入ろうとしてたわよね」ニヤ

 

>・・・・

 

嫌な予感がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで文句ないっしょ?」

 

「いや ねーちゃんが買った訳じゃねーし・・・つかマジでこんなにプリン買って貰っていいんスか?1万円分って」

 

>気にするな

 

「あざっす!」

 

小西尚紀から多大な信頼感を感じる。どことなく発言も完二に似てきているような。そもそも、完二と話が合うのも根本的な性格は似ているからだろうか?にしても、こいつ、こんな現金な奴だったのか・・・。もっとダークな雰囲気を持ってたお前は何処へ行ってしまったんだ。

 

「あんた 財布どうなってんのよ・・・」

 

何かとんでもない物でも見たような顔をしている。はて?

 

>?

 

「?じゃないわよ なにその財布?!諭吉何人いんのよっ!」

 

>ざっと999人だな

 

「」

 

「金の話はするもんじゃねーよ 失礼だろ ねーちゃん」($▽$)

 

「あんたは完全に1万円分のプリンに毒されてんじゃねーか」

 

「もし酒とか必要になったら呼んで下さいね えぇと・・・ねーちゃん この人の名前は?」

 

「あ!そういえば聞くの忘れてたわ あんた名前は?」

 

>鳴上 悠だ

 

「初めてまして・・・ってちょっと遅いッスかね?」

 

「あたしは-

 

>小西早紀に弟の小西尚紀だな?よろしく頼む

 

「あれ どうして俺とねーちゃんの名前?」

 

>おっと もう時間がない また会おう

 

不覚にも時間を忘れて話し込んでしまったな。少し走って愛家に向かうか・・・。

 

走りながら、俺は少し嬉しさが込み上げて口元が緩んでいた。こんな幸せな姉弟が確かにここにあったのだ。以前、尚紀から聞いてあの姉弟を知ったつもりでいたがこの目で見るのとは違っていた。尚紀は何処にでも居る普通の姉弟と言っていたが俺にはそう見えなかった。

 

また一つ俺に守りたい物ができたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねーちゃん あの人彼氏?」

 

「はぁ?違うわよ」

 

「だよなー あんなイケメンとねーちゃんが付き合える訳ねーもんな」

 

「それ どういう意味よ」

 

「つーかバイトは?」

 

「やっばっ 早く言いなさいよ!」

 

 




作者は小西早紀ちゃんが結構好きです。
勿論、他のキャラもどんどん出しますよ。でも小西早紀ちゃん結構好きです。
(゜ロ゜)ハッ 2カイモ イッテシマッタクマー


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行く末の確定

愛家にたどり着く前に惣菜大学を見かけたのでビフテキ串を6本程食べてしまった。まぁ、6本程度ならマシュマロ1つ食べるのと変わりはないから困ることでもないか。久しぶりにスペシャル肉丼2つくらい平らげたいな。今までは陽介の奢りで遠慮してたが自腹なら問題ない。

 

「いらっしゃいヨー」

 

>スペシャル肉丼1つ

 

「お客さん 残念だけどスペシャル肉丼は雨の日だけネー」

 

すっかり忘れていた。スペシャル肉丼は雨の日限定メニューじゃないか。俺としたことが・・・。しかし、肉丼1つじゃ物足りないし、数頼んで腹を満たすとしよう。

 

>肉丼10杯

 

「アイヤー お客さん そんなに食べれるネー?」

 

>まかせろ

 

 

 

肉、飯、油、肉、飯、油、肉、飯、油、肉、飯、油、肉、飯・・・

 

 

むっ。食べ終わってしまった・・・。しかし、俺の空腹は一向に満たされない。こうなったらとことんまで食ってやる!

 

>おかわり

 

「あいヨー」

 

>おかわり

 

「よく食べるネー」

 

>おかわり

 

「忙しいネー」

 

>おかわり

 

「お お客さんもう止めた方がいいア」

 

>おかわり

 

「ちょ 追いつか」

 

>おかわり

 

「」

 

 

 

ザワザワ

 

「す すげぇ」

「何杯食べたんだろ あの人?」

「てか 見た目カッコよくない?!」

『フッそれが人の可能性か』

「アラ 良い食べっぷりじゃない まぁアタシ程じゃないけど」

「久しぶりにあんなに食べる人を見たよ チミを思い出すなァ」

 

 

 

人々が物珍しそうに俺を見ているな。食べるのに夢中で、周りにギャラリーが居るのを気付けなかったようだ。食べるのが終わったしこれ以上ここに居ても意味はないな。

 

>ご馳走さまでした

 

「丼ぶり 置いといて」

 

>あいか いつの間に!?

 

「お父さんが過労で倒れた 16杯目から」

 

>そうか・・・親父さんにすまなかったと伝えておいてくれ

 

「気にしないで お父さん笑顔だったし」

 

>そうか ところで料金は?

 

「25杯だから20000円」

 

俺は静かに財布から2枚抜き取って渡し愛家を後にした。

 

「毎度ありー」

 

 

さて、やることは済んだし堂島さんたちの元へ戻ろう。今来た道を戻ればガソスタまで戻れるしな・・・あれ、さっき野次馬の中にガソ神が居た気がするが。いや、見間違いだろう。幾ら腐っても神、そんな影が薄い筈ないだろ。うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー 今日は肉丼2杯行ける気がするんだよねー!」

 

「千枝 この前もそう言って残してたじゃない」

 

「うっ それはなんと言いますか・・・とにかく!今ならイケるって!・・・たぶん」

 

「もう 千枝ったら 残しても知らないよ」

 

「こんにちはー、ってあれ?」ガラガラ

 

「おじさんいないね」

 

「今日は店じまい」ヒョコ

 

「あれ あいかちゃんじゃん!ていうか店じまいってなんで!?」

 

「とんでもないフードファイターが材料を食いつくした」

 

「なんか 強そうだね?剣とか使ってそう」シャキーン

 

(別の場所)

>へっくしゅ

 

「たぶん 今雪子が想像してるのとは違うと思うわ・・・」

 

「でもお客さん1人いるけど店閉めてもいいの?」

 

「あの人は常連さん 閉めても鍵開けずに出てくし」

 

「「え」」

 

『うまっ!コレが人の可能性か!』(°∀°)モグモグ

 

 

 

 

 

 

 

ガソスタが見えてきた頃、青く光る蝶が舞っているのが見えてきた。この蝶にはお世話になったものだ。みんなの影との戦いの前にはいつも飛んでいた気がする。しかし、今の俺はダンジョンに入ることさえ叶わない。つまりこの蝶には悪いが今回はあまり関わる機会がないと思われる。

 

少し寂しく感じてしまった、らしくないな。マヨナカテレビにもう入れないとしてもこちらの世界で頑張ると決めたじゃないか。別れの意味も込めてその青く光る蝶に優しく触れようと-

 

したがそこから世界が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ようこそ 意識と無意識の狭間へ〉

 

 

 




ペルソナ2をやられている方はあいつだと気付いたと思います!( ̄ー ̄)
やられていない方も次回ご説明するのでご安心を・・・

速攻で作ったせいで疲れが半端ないッス( ̄▽ ̄;)


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ペルソナの覚醒(チート)

またもや、俺の身に何か起こったのは間違いないだろう。普通なら蝶に触れた途端、別の場所へと瞬間移動するなんて有り得ないからな。

 

それにしても、一体ここは何処だ?見渡す限り、壁は見えず一面に暗闇が広がっている。足場を柵で円形状に囲んではいるが、もしその柵が無かったら境目がわからなくなっていただろう。床には白黒の四角いタイルが規則的に敷き詰められ、その真ん中には黒い蝶があしらわれている。

 

>ん?

 

その上を蝶がひらひらと舞っている。青く光っていることから先程の蝶だと思うが・・・。この蝶が鍵を握っているのだろうか?

 

 

 

 

俺がそんな事を考えていると、蝶は突如‘人’へと姿を変えた。

 

 

 

 

黒いストライプスーツに赤色のシャツ、奇抜なネクタイを身に(まと)い、顔にはマスクを付けている。背丈は丁度俺と同じくらいだろうか。何が起こったのか理解できずにいる俺はその男をまじまじと見つめていた。すると、相手の方から先に口を開いた。

 

 

 

〈ようこそ 意識と無意識の狭間へ・・・私の名はフィレモン〉

 

>お前は一体・・・?

 

〈君にきっかけを与える存在・・・といったところだ そうなるかは君の選択次第だが〉

 

>選択?

 

〈これから君はこの不確かな世界で他者を救う為に戦わなければならないのだろう?それを成すには‘力’が要る筈だ〉

 

>ペルソナのことか・・・

 

〈そうだ 君は近い未来‘力’が必要となる ならば私が授けるのがこの世の常だ〉

 

>何が目的だ

 

〈個人的な興味からさ しかし私はあくまで傍観者だ 君の行く末に多少の力を貸すことはあっても邪魔立てすることはない〉

 

>・・・・

 

〈君は己の‘力’を強力だと過信しているがそれは浅はかだ 確かに人々との絆を得たことで様々なアルカナの‘ペルソナ’を最大限発揮できる点は称賛に値する だがその‘力’は虚ろな霧の世界でしか使えない〉

 

>・・・何が言いたい

 

〈しかしその力を現実にも使えるとしたら君は遥かに高みへと昇ることができるとは思わないか?〉

 

>!

 

〈君は私の知る中では1級品の才能だ だからこそ その‘力’をそのままにするのは惜しい〉

 

>ペルソナを現実に使えるようにするのがお前にできるのか?

 

〈勿論だ 先程も言ったが本来私から授けられることで‘ペルソナ’に目覚めるのが決まりだ 例外も君のようにある そういった場合多少の不具合が起こる 自身で制御が出来なくなったり特定の条件下でしか使えなくなったり 色々さ〉

 

>ペルソナを現実で使えたところで何にもならないだろ

 

〈そうかな?回復の魔法や攻撃の魔法 それを現実で悪用するも正しく使うも君次第 もし君が現実で使いたくなくないなら使わなければいい話だろう〉

 

>・・・・

 

〈それと私は‘力’を渡すのに強制はしない もし君が要らないと言うのならそれでも構わない〉

 

ペルソナ能力を捨てることになった、と思ったら次はそれ以上の‘力’を与えてくれる?もう何が何だかわからなくなってきた。ペルソナ能力が現実にも使えればそれこそ行動範囲も格段に広がる。事件を未然に防ぐことだってかなり信憑性が高まる。イザナミの前では自ら使わない、と決めた。いや諦めたのだ。貰えないと分かって求めなかった。それが今や強化されて帰ってくるだと?

 

 

 

こんな話、乗らない訳がない。

 

 

 

>俺に‘力’を授けてくれ

 

〈よかろう ならば問おう 君の名を〉

 

 

 

 

 

 

 

 

>鳴上 悠だ (◞≼ ⌒ ≽◟◞౪◟◞≼ ⌒ ≽◟) ニゴッ

 

 




すいません!ギャグ系が好きな方が大半だと思うのですがフィレモン回はシリアス潮になってしまいました・・・
m(。_。)mおのれフィレモンぶん殴ってやる!!

フィレモンの風貌は「やってらんねーとか思ってる未成年」⇒「その他」⇒「画像一覧」の手順で作者の書いた絵を見られますので是非!


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予想外のシナリオ

 

〈さぁ行くがいい 君の望む結末を獲るために・・・〉

 

 

 

----------------------

 

 

 

 

>っ!

 

意識が現実に戻ってた。周りに目を配ると、あの場所から八十稲羽に戻ってきている。随分とフィレモンに時間を取られた気がする。が、時計を確認したが蝶に触れた瞬間から10秒も経ってない。ベルベットルームはあくまで時間の経過が現実よりも遅くなるので、他人から見ると俺が立ち呆けてるように見えるらしいが、その点では意識と無意識の狭間は一瞬にも満たないので優れているな。

 

おっといけない。菜々子たちと別れてから結構時間が経ってしまった。何度も忘れてはいけないな。ガソスタは目と鼻の先にある。さぁ行こう。

 

歩き出そうとしたした時に1つの異変に気づいた。それは俺の右手に何かを握っている感触があるということ。冷たく固い、そして細長い物質だと思う。恐る恐る右手を開けるとそこには、ベルベットルームに入ることを認められた者だけが手にする‘契約者の鍵’があった。

 

>・・・・

 

いや、このタイミングで渡すってことはすぐに来いって意味ですか?さりげなく扉も出現させてるし。ついさっき菜々子たちの元へ戻らなきゃって言ったばっかりじゃないですか。それは野暮ってもんでしょ、長鼻ジジイ。

 

>そうか 気づかなかったことにしよう うん そうしよう。

 

>・・・・チラッ

 

「-」(゜o゜)?

 

なにベルベットルームの扉に表情機能つけてるんだ。そんな無駄な事に金を使う暇あるなら、ペルソナ全書の呼び出し料金まけろ。絶対俺は部屋に行かないからな。

 

「-」(´・ω・`)

 

残念そうな顔するなよ。なんか俺が変に意固地になってるみたいじゃないか。

 

「-」m9(^Д^)

 

>・・・・

 

扉を、こんな感情豊かに作るのになぜ住人たちを無感情っぽく育てるのだ長鼻よ。早くガソスタ行こう。

 

後ろから扉の目線を感じたが、俺は気にせず歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「帰ったぞ あれ?いないのか あいつ・・・」

 

>ただいま

 

「おう 早くも馴染んでるな」

 

1年間ここで暮らしたんだから馴染み深いに決まっている。それより‘あいつ’とは、やはり・・・。いや、憂鬱になるのは早い。彼はまだ犯行に及んでいない。つまり、ここで食い止めることもできるのだ。まだ希望はある。

 

「じゃあそこにある飯とかジュースとか出すの 手伝ってくれるか?」

 

>勿論です

 

「じゃあ菜々子 お皿もってくるね!」

 

あぁ、この暖かさ。またあの家族に帰ってきたんだと改めて実感する。心のそこから嬉しさが込み上げ、心なしか体が軽く感じる。

 

 

 

「よし こんなもんか」

 

「お兄ちゃんいると あっというまだったね!」

 

>菜々子も家事慣れてるんだな

 

「えへへ」

 

かわいい。その一言に限る。

 

「ただいま あ、もう来てたの?」

 

来たか? にしては少し声が高い気がするな。いや、声が高いのは元々そうなんだが・・・

 

「お前 何処行ってたんだ?」

 

「ちょっとレタスとか買い出しに・・・」

 

確信が持てたぞ。お前はレタス刑事(デカ)だな。自分のキャラを全面に推して登場ときたか。末恐ろしい奴だ。

 

「レタスだぁ? まぁ上がってくれ」

 

「あら?いらっしゃい」

 

>あ、どうも・・・?

 

あいつじゃない?どこかで見たことのある女性だな。髪を肩にかからない程度に切っており、清楚でやさしい雰囲気を持っている。しかし、そんな事とは裏腹に俺は胸のざわつきを感じていた。その結論が頭の中でよぎった。

 

>っ!ガタッ

 

思わず立ち上がってしまった。確かに彼女は写真で見たことがある。

 

「どうした?急に」

 

>い、いえ・・・彼女は?

 

「あぁ 紹介がまだだったな」

 

いや、写真でしか見ることができなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「堂島 千里 菜々子の母親です」ニコッ

 

 




この物語の大筋はできてます(;´д`)
でもそれを書き上げるのにどれくらいかかるのでしょうか。
精一杯皆様の期待に応えたい。みせいねんだもの


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家族の大切さ

この世界は俺が考えているより遥かにHARD、いやRISKYじゃないか。ちょっとした変更ならまだしも死んだ人間が生き返るなんて有り得ない。例えペルソナでも、瀕死の状態から正常に戻すことは出来ても生き返らすなんて真似到底不可能だろう。いや、もしかすると居るのかもしれないが少なくとも俺の知っているペルソナ使いで出来る人はいない。

 

「じゃ 歓迎の一杯といくか」

 

元の世界では、テレビの前にあるテーブルを3人で囲んでいたが俺が今居る世界では4人だ。俺と堂島さんと菜々子、そして・・・

「よろしくね?」

 

千里さん。果たして彼女は普通の存在なのだろうか?イザナミとかが粋な計らいとして生き返らせた、とか。・・・それこそないな。あいつは人の行く末を高みから見物することはあっても、人の生き死にを操るほどお人好しなんかじゃない。うだうだ考えるのは止めて、この場に適応することにしよう。そう思い俺は手にしたジュースに口をつけた。

 

「しっかし兄さんと姉貴も仕事一筋だな・・・海外勤めだったか?」

 

「悠くんも一緒に行かなかったの?」

 

>いえ 親が海外での慣れない生活より日本で暮らしていた方がいいってことで俺は叔父さんの家に預けられる事に

 

「1年限りとは言え 親に振り回されてこんなとこ来ちまって・・・子供も大変だ」

 

「ちょっと 振り回すなんて言い方は」

 

>いえ 大丈夫ですよ

 

「お兄ちゃん さみしい?」

 

>寂しくなんてないさ 菜々子だっているんだからな

 

「・・・」

 

「あら菜々子ったら 照れてるの?」

 

あれ?デジャヴか、これ。夫婦ってこんなとこも似るものなのか。菜々子はテーブルをひっくり返し、母親の元へ走り首回りに両手をかけるとコブラツイストをかけた。母親は苦しそうに菜々子のか細い腕にギブアップの意思として何度も手で叩いているが、それも(むな)しく意識が消えたようだ。怯えた父親にも同様にコブラツイストを・・・なんてプロレス技は勿論しなかった。あれ?デジャヴか、これ。

 

「ま 俺もいつも仕事で菜々子を千里に任せっきりだからな お前も千里を助けてやってくれ」

 

「私からもお願いね 悠くん」

 

「これからしばらくは家族同士だ 自分んちと思って気軽にやってくれ」

 

>押忍

 

「お・・・オス」

 

む、あの堂島さんが驚いた顔をしている。これは初対面のオムツのネタより分かりやすかったか?

 

「お前 意外と体育会系か?」

違う、そうじゃない・・・ギャグなんです。どうして堂島さんには通じないんだ!俺のネタ!あれか?なんかオムツの一件以来全てスルーしようとしてるのか。

 

「たぶんちょっとした話のたねだと思うけど・・・」

 

>・・・はい

 

止めて。なんだこのいじめ。フォローしようとして逆に俺の心をズタズタに削っているぞ、この人。笑ってるだろ。少し口角上がってる気がするぞ。勘違いか?

 

「そうだったのか さて・・・じゃ飯にするか」

 

4人前の寿司がそれぞれの目の前に並んでいるが、記憶が違ってなければここで

 

「おいしー!」

 

「よかったわね」

 

「どんどん食べろよ」

 

あれ?携帯が鳴るはずじゃ・・・同僚に呼び出されてご飯を一緒に食べれなくなる、と思っていた。まぁ、なんにせよ起こらなかったなら良いのか。

 

 

「テレビ つけるね」ピ

 

{・・・るでしょう では 明日のお天気 時間帯ごとの変化です}

 

前任のお天気お姉さんだ。そういえば彼女はマリーとチェンジした後どうなったのだろう。・・・そっとしておこう。

 

{西から張り出した雨雲のせいで明日は終日雨となるところが多いでしょう}

 

雨、か。マヨナカテレビを確認しておこうか。たしか今日は山野真由美がテレビに入れられた日だ。

 

{次のニュースです 本日 稲羽市議秘書の生田目太郎氏が次の市議会選に出馬することを明らかにしました}

 

>!?

 

「どうした?そんなに驚いて」

 

>あ あの生田目太郎って言ったら浮気じゃ・・・

 

「されたな」

 

>された?

 

「演歌歌手の柊みすずが浮気してたんですって」

 

>じゃあ生田目は

 

「慰謝料も請求せずに離婚したよ 大した男だ」

 

いや、たぶんそうじゃない。慰謝料請求したら柊から山野真由美との関係をばらされるから言わなかったんだろう。これで晴れて2人はゴールインか。そうすると今回の事件は解決じゃないか。マヨナカテレビを見るまでもない。旅館に被害者がいなければ加害者の方だって事件の起こしようがないからな。それどころか、あいつが旅館に行く必要もなくなる。となると他人をテレビの中に入れるという発想にも結び付かない。結果万々歳だ。

 

「ニュースつまんないね」ピ

 

{生田目さんには市議会選 頑張ってもらいたいですね}

 

他のチャンネルも同じく生田目の出馬を・・・いや、待て。今のコメントしてたアナウンサーは山野真由美じゃないか!?公共放送で恋人の応援とかして良いのか?まぁ、視聴者は知らないから出来るのだろうが。

 

{ジュネスは毎日がお客様感謝デー 来て 見て 触れて下さい}

 

そういえば、菜々子はこのCMが大好きだった。しかし、今この瞬間に気づいたことがある。この声って・・・小西早紀じゃないか。あいつ、アルバイトの身でCM担当まで任されていたのか。そりゃ旅行行く資金が簡単にたまっていただろう。陽介のバイト先の先輩、このCMの存在に気づかなかったのか、同級生の声なのに。逆に驚きを隠せないぞ。

 

{エヴリディ・ヤングライフ!ジュネス!}

 

というか、小西早紀色々と登場してるじゃないか。どこまで貪欲なんだ。作者のごり押しどころの話じゃないな、コレ。世界を自分の舞台に作り替えようとかしてるだろ。お前の方がイザナミよりよっぽど裏ボスっぽいよ。それに、菜々子がこのCM好きだからと言って俺はお前の事は認めた訳じゃな-

 

「エヴリディ・ヤングライフ!ジュネス!」

 

>!

 

や、やはり菜々子はかわいい・・・!悔しいが小西早紀にもう一度会ったとき再現して貰えるよう頼んでそれを録音しよう。やむを得ないが菜々子に聞かせれば喜んでくれるに違いない。

 

「菜々子はその曲 好きね」

 

「うん!」

 

「こいつ いつもこのCMが流れると歌ってんだよ」

 

>美声ですね

 

 

家族団(らん)の時を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の部屋に戻ってきた。ダンボールが積まれていて、まだプラモデルも棚に飾られていない。本当にまっさらな状態だ。元居た世界では長旅で疲れていたが今日の俺は一味違う。これから夜の帝王こと鳴上 悠の○○で××(チョメチョメ)な行動を皆様にお見せしよ(略)

 

>zzz ( ˘ω˘ )スヤァ

 

 

 

俺は眠気に負けた。




1日2連チャンは疲れますね・・・( ̄^ ̄)
ちなみに作者は書き溜めしたことがありませんので、その場で細かな展開は考えております!

ちょいとまた期間空くかも知れませんがご容赦をm(__)m


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災いはそう遠くない

眠りについたと思ったら、すぐに意識が戻ってきた。一面に広がる青を基調とした車内が、俺が何処にいるのかを告げている。

 

 

そう、ここは-

 

 

 

「ようこそ ベルベットルームへ またお目にかかることになろうとは・・・」

 

>イゴール?さっきまで俺は家で寝ていた筈じゃ

 

「左様 今の貴方はここへ夢として訪れているに過ぎません」

 

>なるほど それは凄いな

 

「お褒めに預かり光栄でございます」

 

>・・・・

 

珍しくイゴールが満足げな表情を浮かべている。イゴールは滅多に感情を表に出すことは少ないと思っていたのだが。俺の伝達力が向上したおかげか?

 

「失礼 今まで幾度となくお客人を招いてきましたが貴方様のようなお言葉を頂くことは少なかったのでつい・・・」

 

>今までの客人?

 

そういえばマーガレットも言っていたな。以前仕えていた妹がとある客人に感化されてこの部屋から飛び出して行ったと。考えてこなかったが、これまでどんな奴がこの部屋に訪れて来たのだろうか?

 

「何分 無関心な方々が大半でございましたから

しかし彼らは本当に素晴らしいお客人でした 大いなる悪意に立ち向かった結果自らの軌跡を滅しざるおえなかった者、自身が得たものを守るべくして己が身を鎖とした者、それから-」

 

「本題に入られては?主」

 

「これ!マーガレット 折角お客人に説明していたというのに・・・」

 

彼女の存在を忘れていた。イゴールに補佐するマーガレット。また顔を合わせるのは少し気恥ずかしい。何故なら彼女との別れ際はなんと言うかそのロマンチック過ぎたからだ。まぁ、その当事者はそんな事をちっとも思っていない顔をしているが。

 

「本題の方ですが まずはベルベットルームへ足をお運び頂く際に関してお話しいたしましょう」

 

>?

 

「今までは特定の場所でのみ扉が現れるものでございましたが この度 入りたい時にいつでも入れるよう変更させて頂きました」

 

>そんなことができるのか!?

 

「詳しくはマーガレットからお聞きください」

 

「もし貴方がこの部屋へ訪れたいと思った時にいちいち移動しては色々と面倒でしょう?だから頭の中で扉を浮かべれば直ぐに扉が現れるの 勿論場所は問わないわ」

 

>便利な機能だな 要らない機能より・・・ボソッ

 

まったく、こういった有用な機能の向上に努めて欲しいものだ。何故意味の分からない‘あの扉’なんかに馬鹿にされなければならかったのだ。あんなので俺が喜ぶとでも思ったか?長鼻め、少し下手に出ているからといってなんでも許すと思うなよ!

 

「はて 何の話ですかな?」

 

>いや、だからベルベットルームの扉に感情の機能が・・・

 

「主 おそらくお客様は寝起きなので混乱しているのでしょう」

 

「如何ですかな?」

 

>マーガレット、心配しなくても大丈-

 

「そう やっぱり混乱していたのね 少し黙ってなさい」

 

>・・・ぁ

 

なるほど。そう言うことか、あの機能を付け足したのはマーガレットだったか・・・それはまずいことをした。センスに辛辣な評価が付けば苛立ちを覚えるのは当然だろう。しかし、アレに好感を持てという方が無理な気がする。

 

「次に貴方様のペルソナ能力についてですが」

 

>テレビの外でも使えるのか!?

 

「ええ そのようですな」

 

>そうか!

 

やはり本当に使えるようになったのか!この眠りから覚めたら試してみるとしよう。

 

「・・・変ね」

 

>?何がだ

 

「何故突然変わったのかしら?分からないわ」

 

>あぁ 意識と無意識の狭間に行った時にフィレモンとかいう奴がちょっとしてくれた

 

「フィレモン?」

 

 

「!」

 

 

「・・・やはり貴方の人生は数奇な運命に満ちているようですな」

 

 

 

>何か知っているのか?イゴール

 

「知っているも何も私めはあの御方の従者をしておりました

何よりあの御方が私めを造られたのですから」

 

>つ、造られた?

 

「初耳だわ・・・」

 

>ということはマーガレットは・・・孫?

 

「黙ってなさい メギド-」

 

>すいませんでした orzドゲザ

 

「詳しいお話は日を改めてということで如何ですかな?」

 

イゴールが何やら深刻な顔つきへと変わっていた。俺も妙に詮索する気は元より無かったので早々とこの部屋を出ていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「主?」

 

「・・・・」

 

「主?」

 

「あの御方が関与しているならば、お客人に災いが降りかかる事は避けられまい」

 

「その災いとは?」

 

 

 

 

 

 

「それは-」

 




遅れて申し訳ございませんでした。m(_ _)m

こんなに間隔を明けてしまうことになろうとは・・・
また遅くなるとは思いますが何卒見捨てずに読んでいただけると嬉しいです。

マーガレットはペルソナの中でいちばんエ-
失礼致しました 何分万年思春期なもので(-_-;)


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転校の朝は憂鬱

今は朝の5時。普段なら寝ている時間だがベルベットルームに呼び出されていたせいで全く眠くない。窓の外に目をやると薄い霧が張っていて、それが少しだけ嫌悪感を抱かせた。またアメノサギリが真実を隠すだかなんだか言ってよくわからん理論を展開し、一方イザナミはというと高みの見物。うんざりするな、という方が無理な話である。

 

しかし、そんな愚痴をこぼしても仕方がないな。心機一転。早起きしたからには家事を済ませておくとしよう。そう思い立って2階から1階へと降りていくと先客がいた。

 

「あら おはよう 悠くん」

 

>・・・おはようございます 千里さん

 

彼女は朝早くからキッチンで料理を始めている。まさに良妻賢母である。この姿を特別捜査隊の女性陣も見習って欲しい。料理はセンスでどうにかなるものじゃない、と説得を試みれば

 

‘case 千枝’

 

「と、とりあえず食べてから・・・ね?」

 

>何・・・?

 

「だって鳴上君を想って作ったんだし あ、愛情の方はそりゃたっぷり・・・」

 

>・・・・(かわいい)パク

 

 

 

目を覚ますと病院のベッドの上だった。

 

 

 

‘case 雪子’

 

「大丈夫 今までいっぱい板前さんに教わったから」

 

>でも、この色は・・・肌色じゃないか

 

「林間学校で失敗してたからもう一度カレーに挑戦してみたの」

 

>コレ、カレーだったのか?!?!

 

「だいぶ慣れてきたからちょっとアレンジも加えて」

 

>・・・・

 

「安心して 愛情が詰まってるから」

 

>いや、それは里中も

 

 

 

「・・・千枝?」

 

 

 

>・・・・

 

>いただきます

 

 

 

目を覚ますと堂島さんと取り調べ室にいた。

 

 

 

‘case りせ’

 

「美味しいからまず食べてみてよー」

 

>愛情=おいしさ にはならないってこと何度でも言おう

 

「なるもん!愛情でなんとかなるもん!」

 

>だから、それはもう里中にも天城にも言われ

 

 

 

 

「せーんぱい♡」

 

 

 

 

>・・・・

 

「あーん♡」

 

>・・・ぁぁ

 

 

 

目を覚ますまで川辺でモロキンと一緒にフォークダンスを踊っていた・・・気がする

 

 

そんな仲間達からいい意味で程遠い人。だが、こう言ってはなんだが、彼女に違和感を感じずにはいられない。俺の知る限りじゃ堂島千里という人間は随分前に亡くなっている。そんな人が当たり前のように目の前にいれば困惑してしまうのも当然ではないだろうか。たぶん、慣れるにも時間が必要だ。

 

「悠くん 大丈夫?」

 

>あ、はい

 

とは言え、彼女はそんな事を知る(よし)もない。この件は一旦置いておくとして・・・

 

>ところで 何か手伝えることありますか?

 

「いいのよ そんなの気にしないで」

 

>いえ そういう訳にも・・・

 

「じゃあ ご飯作るの手伝ってもらえる?」

 

>はい 喜んで

 

「何か一品でも作って貰えると助かるわ」

 

 

ふむ、一品か・・・。何か喜ばれるような料理はあったかな?

 

>あ

 

アレを使おう。丁度、俺の何でも入るポケットの中に腐るほどあるし。さすがに生で食べるのはキツイだろうけど焼いたら問題ないよね、うん。

 

 

 

 

 

「おいしー!」

 

「ホントに料理が上手ね!悠くん」

 

>口に合ったみたいで嬉しいです

 

「こんなに大きな魚 食卓に出すのは初めてじゃないかしら」

 

「お兄ちゃん これ なんてお魚なの?」

 

>・・・え

 

「確かに今まで食べたことも見たこともないわ」

 

>・・・その

 

 

「?」

 

 

>・・・ヌシ様です

 

 

「「ぬし?」」

 

 

>・・・・

 

 

>あ がっこう いく じかん でした(゜゜;)ミ

 

「あ!ホントだ 菜々子も行く!」

 

「お皿そのままでいいわよ 二人とも気をつけてねー」

 

 

 

 

柄にもなく取り乱してしまった・・・考えれば、今ままでよく得体の知れない魚?を食べてきたな。それも生で。あれってペルソナ使い以外の体に影響ないよな・・・

 

「お兄ちゃん お料理また作ってくれる?」

 

>・・・ああ

 

「やったー!」

 

>美味しかったか?アレ

 

「うん!」

 

>・・・そっか

 

「じゃあ菜々子 こっちだからー バイバイ」

 

 

手を振る菜々子を見送る中で俺は心の中で誓った。

 

 

 

 

 

今度作る時は聞かれてもいい食材使おう、と

 




なんとか更新です!
お待たせして誠にすいませんでした!
アカウントのログインを忘れるという愚者をお許し下さい。
さてさて、次回は遂にメンバーとの…!o(^-^o)(o^-^)o
投稿まで暫くお待ちをm(__)m


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親友との出会いは突然に

菜々子と別れてからしばらく経つと、ちらほらと八十神高校の制服を着た学生たちが見えてきた。その中には学校で何度か話したことのある生徒もいれば、絆を紡いだ親しい友人もいる。しかし、俺のよく知る仲間達の姿はいないようだ。

 

>・・・・

 

この平行世界に来てわかった事は、今までの経験が万能ではないということだ。俺が八十稲羽へ向かい高校へ転校する筋書きは知っての通りそのままだったが、堂島家の過去は変わっていた。つまり、俺がアドバンテージを掴んでいるかはその時になるまでわからないまま・・・

 

「よっ・・・とっ・・・とっとぉ」

 

後ろの方から聞き慣れた声が聞こえてきた。どこか抜けている明るさを含んだ声だ。たぶん茶髪のヘッドホンを常備してるガッカリ王子こと陽介が、雨なのに傘を差しながら自転車を運転中なのだろう。

 

>・・・・( ¬_¬)

 

予想に違わず前回と全く同じだな。どうやら今回は俺の経験がアドバンテージに働いたらしい。そういえば陽介はここでツルッと転んでしまうんだったな。それがきっかけで、里中からキツイお仕置きが待っていた・・・まぁ、自業自得な気がするがどうしようか?そんな時、ふと陽介との思い出が走馬灯のように浮かんだ。

 

 

 

(回想)始めてテレビに入った日

 

「アーッ!つかもう無理だぜ・・・」

 

「俺のボーコーは限界だ・・・!」

 

「み 見んなよ!見られてっと出ねーだろ!」

 

 

(回想)林間学校にて

 

「う、あう、ああぅ、あぉぉぉ!」

 

 

(回想)学園祭 合コン喫茶にて

 

「えー みんなかっこいいけどーやっぱりぃ、頼りになるのは悠・・・」

 

 

 

>・・・・・・

 

 

 

 

 

>そっとしておこう

 

 

ガシャーン

 

>!

 

陽介を助けることができなかった・・・

 

「う、おごごごごご」

 

そうそう、電柱に股間をぶつけて痛がっていたんだったなー。懐かしいなー。面白ぃ・・・可哀想だなー。しかし、以前の俺は見て見ぬ振りをしたが、今の俺は違うぞ!

 

>大丈夫か

 

「ぁ・・・ぅ」

 

何かを所定の位置に戻そうと必死にジャンプを繰り返している。随分痛そうだ。これは荒治療になるが仕方がない・・・

 

>落ち着けっ! .."8-(o ・_・)====○パーンチ!!

 

「ぐぅはッ」

 

腹パンがどストレートに決まった。お前との約束、きちんと果たしたぞ。‘たまにケンカ(一方的)しよう’って言ってたもんな、うん。

 

「てめぇ!何してくれてんだよっ!?」

 

おや、もう回復したのか。やはり、陽介の精神からくる生命力は侮れない。さすがはパーティー加入1号兼ガッカリ王子兼相棒だ。

 

>痛そうだったから・・・つい

 

「‘つい’の意味がわかんねーから!!」

 

>落ち着けっ!

 

「落ち着けるか!てか、なんでお前がキレてんだよっ!」

 

>俺は諸岡 金五郎、転校生だ よろしく

 

「何勝手に自己紹介始めてんの!!聞いてもねーし!」

 

「ん?諸岡・・・って」

 

>この学校の先生をやっている諸岡金四郎の弟だ

 

「な、なにー!!!」

 

やっぱり、リアクションも陽介が一番だな。いじってここまで面白くなる逸材は1年に2,30人程度しかいないと思う。

 

>お前は腐ったミカン 確定

 

「・・・間違いねぇ この口調 モロキンの弟、の割には顔整い過ぎじゃね?」

 

>じゃあな(((((((((スタタタタタッ ヘ(* - -)ノ チコクスルナヨー

 

「去るの早いなっ!」

 

 

 

 

 

 

「・・・・何だったんだよ、アイツ?」

 

「つーか 時間やべぇ!遅刻しちまう!」

 

「あークソっ最近ついてねぇぇぇぇぇぇ!」

 




書き上げたー!(;´д`)
そして初詣で大吉を引いた作者は気分がいいのでちょっとペースを上げられたらなー、なんて思います。

読む人によってはタイミングが違うかもしれませんが、明けましておめでとうございますm(_ _)m


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人は見かけで判断するな

八十稲羽高校、通称八高。おそらく八十稲羽で高校生といえば八高生が大多数を占めることは間違いないだろう。

 

ふむ、久しぶりって訳でもないがやはり愛着のある八高へ帰って来たとなると嬉しいものだ。ここで過ごした思い出は数えられない程ある。そんな高校にまた通える日が来るなんて、思ってもみなかった。

 

「ねー 邪魔なんだけど?」

 

>おっと すまない

 

最近は物思いに更ける癖が付いてしまっている。気を付けよう。それに、校門の前で棒立ちするのは他の八高生に迷惑が掛かってしまう。周りにも十分に気を配らなければいけないな。

 

>どうした そんなに俺の顔をじっと見て 何か付いてるか?

 

「! べ、別に・・・」

 

何故、目を背ける?いや、それよりお前は-

 

「じゃ!!」ダッ

 

>え?

 

走り去っていった・・・。俺が何かおかしいことでもしただろうか?(初)対面の時は、あまりハメを外さないように気をかけているんだけどな。もっと注意をした方がいいのだろうか?

 

「何あの子?急に走り出したわよ ウケるー」

 

「なんかすごいモノでもみたんじゃない?」

 

「見てたのってあの・・・男子・で・・しょ・・・」

 

「「・・・・・」」

 

>?

 

「「・・・・・」」( ⊙ ω ⊙ )( ⊙ ω ⊙ )ジー

 

な、なんだ?さっきまで騒いでいた女子生徒が急に静かになったと思えば、明らかにこっちを凝視している。何か重大なミスを犯しているのか?俺・・・

 

>!

 

まっ、まさか!?そんなことがっ??いや、そうに違いない。それ以外に視線を集められる理由なんて考えられないな。・・・クソっ!俺としたことが、

 

チャックを開けたまま登校していたなんてっ!

 

 

 

一生の不覚だ。見られていては上げることすら出来ないぞ。明らかに不自然な行動として取られてしまうからな。転校生というだけで注目を集めるのにチャックが開いていた事が噂にでもなれば・・・。

 

「相棒!チャック開けたまま登校してたんだってな!」

 

「鳴上くんも・・・花村みたいなことするんだね」

 

「チャック開けてたって事は、お口チャックだね!」プッ アハハハハ

 

 

こんな事態は必ず回避しなくては。どうする?説得を試みるか?駄目だ、言い訳にしか聞こえない。ペルソナを使用するときか?もってのほかだろ!?大人数の前で使えば問題しか生まれない。

かくなる上は・・・!

 

 

 

>ハイカラだろ?

 

 

あえて、自主性を出すことでやり過ごす!

 

 

「「え」」

 

 

>・・・・

 

「・・・う、うん」

 

 

 

 

 

 

>フッ

 

ε=ε=ε=ε=┌(; ・_・)┘撤退だっ!

 

 

 

 

 

「「あ」」

 

 

 

 

 

「・・・ビックリしたね」

 

「そだね・・・」

 

「急に私に話しかけてきたし」

 

「は?あたしの方に話しかけたに決まってるじゃん!」

 

「な、なに言ってんのよ?!第一 私が‘うん’って答えたから彼が微笑んでくれたんですー」

 

「は、はー?そんなの後付けでしょ?」

 

 

「「・・・・・・・」」

 

 

「でもさ」

 

「うん」

 

 

 

 

 

「「彼 イケメンすぎるわー」」(*´ー`*)(*´ー`*)

 

 

 

 

 

 

 

あの耐え難い視線から逃げるべく俺は校舎に入り込んでいた。

 

>さてと まずは・・・

 

記憶が正しければ、転校の手続きとかの関係で職員室へ行かなくてはならなかった気がする。時間はさほど掛からない筈なのだが・・・諸岡先生の話がある。つまり、諸岡先生の話で時間が結構掛かる。そう考えると職員室へ入る一歩が重い。正直、根は悪い人間ではないのだが関わりづらい。たぶん、お気に入りの生徒になれば話は別なのだろうが・・・

 

「む?もしや貴様が転校生か」

 

>!

 

いつの間にっ!背後を取られてしまった。戦闘だったら痛い一撃を受けていたことだろう。恐るべし、モロキン。

 

>はい 転校生です

 

「ほー 貴様が」

 

腰に片手を添え、もう一方の片手は顎をさすりながらジロジロと俺の顔を見てくる。もう見られるのはこりごりだ。さっさと切り上げて貰うために、一芝居打とう。

 

>先生!

 

「ん?なんだ」

 

>僕は・・・どうしようもない人間なんです

 

「あぁ?どういう意味だ」

 

>今までの僕は勉強、それに運動ができることを良いことに、幾人の女性とみだらな関係を結んできました(事実)それに、修学旅行へ行けばクラブに行ったり(事実)文化祭ではイベントに出る気のない友人を強制して出させる奴(陽介)の片棒を担いだりもしました(事実)

 

「なんて奴だっ・・・貴様のような奴は腐ったミカン帳に書いといてやるからな!」

 

>待ってください!先生!!変わりたいんです!

 

「うるさい!落ち武者のような奴の話は聞きたくもない!!」

 

>・・・その通りです 僕は落ち武者なんです だから!先生!!

 

「黙れと言ったんだっ!」

 

>・・・・

 

 

「・・・・」フン

 

 

「都会から来たから知らんが貴様の容姿は悪くはない だから、そこに惹かれる女もいたことだろう」

 

>・・・・

 

「自惚れてハメを外すこともあっただろう」

 

>・・・・

 

「・・・本音を言うと 初めて見た瞬間から気に食わん奴だと思ったわ!」

 

>・・・・

 

「しかし、そう思った時以上に貴様のことが嫌いだ!!」

 

>・・・・

 

 

「何故かわかるかぁ!?」

 

 

 

 

「貴様は自分のことを落ち武者呼ばわりしたからだぁっ!」

 

 

 

 

 

>!!

 

 

>先生・・・

 

「変わりたいくせに自分は落ち武者だと認めてどうする?!認めたら変われると思ったら大間違いだ!!助けを求めたら助けられると思ったら大間違いだぞ!!!」

 

 

 

 

ちょっと待ってくれよ。ホントに俺の知ってるモロキンなのか、この人は?彼の説教が胸に来る日が来るなんて・・・。実はいい教師だったんじゃ、ない、か。

 

う、涙が・・・。

 

>先生ェ!!

 

 

「・・・貴様が嫌いなのに変わりはない」

 

>ぅ・・・・

 

 

「・・・・」

 

 

 

「だが、教師は職務を全うする義務がある」

 

 

 

>っ!じゃあ?

 

 

「助けがどうしても必要な時は聞いてやらんこともない」(´A`*)

 

 

>諸岡先生ェェェ!!。・゚(゜´Д`゜)゚・。

 

 

「転校手続きは終わった じゃあ教室へ向かうぞ」

 

>はいっ!

 

 

 

 

 

「「「「うおぁぉぉぉぃぁぁあ」」」」

 

 

 

このやり取りを聞いていた数人の生徒は、みんな泣いていた。

 

 

 

そして、その生徒たちがこのやり取りを噂として広め、モロキンに相談する生徒が後を絶たなくなるのはそう遠くない未来のことである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それと 貴様のチャックさっきから開いとるぞ」

 

>あ( ゚∀゚):∵グハッ!!

 

 

 




モロキンとか小西早紀とか堂島千里さんとか、なんか死者ばっかり良いとこ持ってくなー、と思いました_(._.)_
今回は大増量版でした!


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初めましてのご挨拶

 

手続きが終わると俺はモロキンに連れられ、見慣れた教室の前までやって来た。

 

「ったく 最近の若者は教師が入ってくるまで 静かに待つことも出来んのか 第一な…」ブツブツ

 

先程までの頼れる諸岡金四郎はどこにいってしまったのか。担任が愚痴を吐くのを横目に俺は教室から聞こえてくる声に気がついた。クラスメイト達が噂をしているのだろう、ドア越しに‘転校生’という単語が何度も聞こえてくる。おそらく、男子生徒は可憐な少女を、女子生徒は眉目秀麗な青年を、それぞれに想像しているに違いない。生憎と、俺には菜々子という許嫁がいるから想像などする必要は微塵もない。菜々子の可憐な心、容姿端麗な顔に勝る人間、否!生命、否!万物が存在する筈な-

 

「おい!ボケッとしとるなっ!入るぞ」

 

>はい

 

いかんいかん。菜々子のことになると熱くなるのは悪い癖だな。気を付けないと・・・

 

 

 

 

 

 

「静かにしろー!」

 

その一言で教室から騒々しさが消えた。

 

「今日から貴様らの担任になる諸岡だ!」

 

>モロオカセンセーダゾ!!

 

「いいか、春だからといって恋愛だ、異性交遊だと浮わついてんじゃないぞ」

 

>ソウダ!ソウダ!

 

「ワシの目の黒いうちは、貴様らには特に清く正しい学生生活を送ってもらうからな!」

 

>オクッテモラウカラナ!

 

 

( ゜ロ ゜)(・・;)( ゜- ゜)(- . - )Zzz( ゜o ゜)( ゜- ゜)

 

全く。なぜみんなモロキンじゃなくて俺に目を向ける?俺は腹話術でモロキンを応援してるんだから、諸岡先生を見ろ!

 

それにしても、俺の応援を受けて心なしか諸岡先生も張り切って-

 

「誰だ!?さっきから野次を入れてくる腐ったミカンはっ」

 

>・・・

 

「誰だぁ!?」

 

>先生 あの寝てる茶髪ヘッドフォンが怪しいです

 

「なっ!??!」ガバッ

 

「貴様かっ!花村ァ!」

 

「ち、違うっス-

 

>ちゃぱふぉん以外みんな黙っていました

それに‘ッス’を付ける奴は大抵信用できません

 

(((転校生が喋ってたんだから、花村は言ってなかったんじゃ…)))

 

「ちゃぱふぉんってなんだよッ!なんか、ゆるキャ…じゃなくて!俺がそんなことする意味ねーからッ!」

 

「あー、それからね不本意ながら転校生を紹介する」

 

「無視ですかっ!?」

 

「ただ-

 

>ただれた都会からへんぴな地方都市に飛ばされてきた哀れな者です ドヤァ

 

「いわ-

 

>いわば落武者です (´∂∀∂`*)ドヤァ

 

「あ、アイツ モロキンに互角 いや!それ以上に渡り合ってやがる!」

 

>それほどでもないさ ちゃぱふぉんデュ

 

「ちゃぱふぉんデュってなんだよ…」

 

「うるさい 花村ァ!!とにかく、自己紹介しなさい」コホン

 

「なんで、俺だけ・・・」

 

 

 

 

 

 

「悠です、鳴上 悠」ニコ

 

 

 

 

 

 

(あれ?以外と…ううん、凄いカッコいい…)///

(面白くて…イケメンじゃないっ!!)///

(や、やだ 少し心臓が早い)///

(アレな人かと思ったけど、もしかするといい人?)///

(ちょ、ちょっと アタシには彼氏がいるのに…)///

(ま、まて ワシは教師だ それにアイツは生徒、ううん、でもやっぱり・・・

 

 

ってなっていただろうな ワシが女だったら)

 

 

 

 

(((((転校生、とりあえず殴る)))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・え、アイツって諸岡金五郎じゃ?」

 

「花村、嫉妬してるからってそれは…」

 

「いやいや!里中 アイツは諸岡金五郎なんだって!!」

 

「花村くん ドンマイ」

 

「天城・・・それどういう同情?てかそんな目で見ないで・・・」

 

 





すんっっっごい遅れてすみませんでした!!?
(;´д`)
新年明けてからバタバタと忙しくって・・・と言い訳はこれぐらいにして。

やっと話の細かな設定が固まった次第です!事件がどのように進むのか、誰が・・・とまぁ色々と。ギャグも勿論挟みます!必ず次も書くので気長に待って頂けると嬉しいです(^∇^)


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学生生活、再始動

 

 

ふむ、どうやら特別捜査隊の2年生は1人も欠けずにこのクラスにいるようだ。また、もう一度学生生活をやり直すとしても、みんなと一緒のクラスが良いに決まっている。何より、特別捜査隊との絆は計り知れないほど深く固いものだからな。

 

・・・まぁ、俺しか覚えてないけど。(´・c_・`)

 

「センセー 転校生の席、ここでいいですかー?」

 

里中が、左隣にある空席を指してモロキンに話し掛けた。当然、俺もその席で異論は無い。高校の席の位置というのは学生生活においてかなり重要だ。というのも、この八十稲羽高校に入学してからというもの、席替えが実施されたことが一度もない。一年間で‘一度’もだ。なかなか変わっているが、口を出す気はない。あの席は特別捜査隊のみんなと近いこともあって、気に入っているからな。

 

「あ、そうか じゃあ、貴様の席はあそこだ」

 

モロキンに指示された席に向かうと、‘髪の短い女子生徒’こと里中がしかめっ面で話し掛けてきた。

 

「アイツ、最悪でしょ」

 

>そうか? 話せば、わかるタイプだと思うぞ

 

「えー、マジ?」

 

>ああ、本屋とかで りせの写真集買っ・・・

 

 

「」ブフォォォオォオォ!!

 

 

豪快に吹き出すモロキン。

 

>!?

 

「え、何?!」

 

「どうした!モロキンが急に吹き出したぞっ!」

 

「ちょ?大丈夫なの モロキン?!」

 

 

里中も急な爆音に気を取られている。はて、何か変なことを口走っただろうか?

 

あぁ、りせの写真集を買っていたことか!

 

別に恥ずかしがることじゃないと思うのだが・・・。いや、確かに女子生徒と同年代の女の子の写真集を買っていたとなれば・・・。

 

うん、これを話すのはプライベートを侵害する行為に値する。何より、そこは同じ‘男’として黙っておこう。ただ、吹き出すのは、暗に事実だと認めている証拠として十分に足るのではー

 

 

「」ピクピク

 

 

 

・・・そっとしておこう。

 

「まー、このクラスんなっちゃったのが運の尽き。1年間・・・頑張ろ。」

 

うーむ。里中の苦手意識もそうだが何とかモロキンの印象を改善してあげたい気もする。しかし、それが難しい気もする。というよりー

 

「なぁ、意外とモロキンって・・・いや、何も言うまい」

 

「あぁ・・・」

 

「諸岡先生ェ」

 

「案外、モロ組いいんじゃね?!」

 

意外と好感度を得るのも時間の問題だな、特に男子は。

 

「し、静にしろ、貴様ら!出席を取るから折り目正しく返事しろ!」

 

 

ここから、学生生活が再び動き出そうとしている。気を引き締めていこうか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鳴上 悠、恐ろしい奴だ モロキンまで抑え込みやがった」ガタガタ

 

「花村」

 

「早くどうにかしねぇと・・・!」

 

「花村ァ!」

 

「あ、はい すいません」

 

「きちんと返事しろ!」

 

「はい・・・」

 

>ちなみに、後ろの席だから丸聞こえだぞ

 

「」Σ(゚Д゚ υ))/

 

 




お久しぶりです(*`・ω・)ゞ
皆さん、お元気ですか?
雨音→マヨナカテレビ→小説がすごく中途半端だったのを思い出した次第です!まるでP3の卒業式のように走って外出先から自宅に帰ったクマよ


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