新約、とある提督の幻想殺し(本編完結) (榛猫(筆休め中))
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作者報告コーナー

はい、というわけで今回は作者である私からのお知らせになります。

内容は下にある通りとなりますのでご了承ください...。


 

 

アイルーくん「というわけで始まりました!作者報告のコーニャー!!」

 

斉木『ニャ...?

 

 

幽々子「多分、なとニャ、をかけたんだと思うわ~」

 

 

17島「なるほどな...」

 

 

アイルーくん「...とりあえず自己紹介していくニャ!」

 

 

((((((無理やり話逸らした...))))))

 

 

____________________

 

 

上条「じゃあまずは俺からだな。

『新約、とある提督の幻想殺し』で提督をやってる上条当麻だ」

 

 

悟誠「次は俺だな!

『龍に選ばれし赤龍帝』で孫悟空の義息をやってる孫悟誠だ」

 

 

一誠「次はオラだな

『DRAGONBALL D改』で赤龍帝やってっぞ、兵藤一誠だ!」

 

 

榛名「お次は私ですね

初めまして『榛名さんの苦労話』で一味の姉役をやらせていただいてます。榛名です」

 

 

斉木『次は僕か...。

『鎮守府提督のΨ難』で提督をやらされている、斉木楠雄だ...。

 

 

アイルーくん「お次はボクだニャ!

『女王領域の獣人種』でニャンター、ニャイダーをやってるアイルーですニャ!」

 

 

「お次は私ね~♪

『駒王の街の亡霊姫』でオカ研の副顧問をさせていただいてます西行寺幽々子と申します」

 

 

17島「次は俺か...。

『17号は戦艦霧島に憑依するようですよ?』で霧島をやっている。17号だ」

霧島『私が中にいる元の霧島です』

 

 

燐空「最後は俺か...。

『Re,喪失から始める幻想生活』で放浪者をやってる。霊焔路燐空だ。

呼びにくければリクって呼んでくれ」

 

 

アイルーくん「ありがとうですニャ!ここにいる人たちがギオスor榛猫の書いている作品の主人公たちだニャ!これからこの人たちと今後の予定について話していくニャ!」

 

 

____________________

 

 

 

上条「つーか、今度はなんで俺達集められたんだ?」

 

 

悟誠「また長期休載とかか?」

 

 

一誠「それはさすがにねえんじゃねえかな?」

 

 

榛名「そうですね、私達は全く動いていませんが一部の人達は良く動いてましたから、私達は全く動いていませんが」

 

 

アイルーくん「ニャァ...そこでボクを見られても困るのニャ...。

今回は今執筆している全作品に関することニャ!」

 

 

幽々子「全作品に関すること?」

 

 

17島「あまり動くことのない俺達にもか?」

 

 

リク「いったいどういうことなんだ?」

 

 

アイルーくん「作者が言うにはようやく時間が取れ始めてきたから執筆作品すべての更新を再開するという事だったのニャ!」

 

 

『『『ッッッ!?!?!?!?!?!?』』』

 

 

上条「あ、あの作者がか?」

 

 

悟誠「一本にハマりだしたらそれしか書かないアイツが!?」

 

 

一誠「いってえどういう心境の変化だ!?」

 

 

榛名「榛名は...驚きで言葉が出ません...」

 

 

斉木『マインドコントロールを使ったわけでもないのにどういう訳だ...?

 

 

幽々子「あの子は気まぐれなところがあるものね~」

 

 

17島「気まぐれすぎて俺達は気が気じゃないんだがな...」

 

 

燐空「17島さんに激しく同意だよ...」

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

アイルーくん「更新頻度はボクは知らないけど以前やってたらしい週替わり更新にしていくらしいニャ」

 

 

上条「あぁ、あの方法ね...」

 

 

悟誠「大丈夫なのか?」

 

 

一誠「まあアイツの事だから何か考えがあってのことなんじゃねえか?」

 

 

榛名「そうだと良いのですけど...」

 

 

斉木『案外何も考えていないかもしれんぞ?

 

 

幽々子「考えていることを祈るばかりね~」

 

 

17島「問題ない、更新が滞ることがなければそれでな」

 

 

燐空「作者信用ねえんだなぁ...」

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

上条「そういや思ったんだけどさ、週替わりにするってことは前みたいに作品ごとに組み分けがあるんだろ?」

 

 

悟誠「そういえば前はあったよな、何がありましたっけ?」

 

 

一誠「えーっとな...あん時は確か、前の『ドラD』が週六更新で...」

 

 

悟誠「『龍選』が週五だったっすね」

 

 

榛名「『榛クロ』は週四でした」

 

 

斉木『おまけで『新約とある』と『鎮Ψ』が週三だったな...。

 

 

幽々子「『亡霊姫』は週二の更新だったわね~確か」

 

 

17島「『17戦霧』は週一更新だったな、途中で止まったが...」

 

 

燐空「その頃からやってたのかよ...で、今回はどういう分け方なんだ?」

 

 

アイルーくん「それについては後から書く活動報告を見て欲しいそうニャ」

 

 

斉木『露骨な誘導だな...。

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

アイルーくん「さっきも言った通り、詳しいことは作者の活動報告を見て欲しいニャ!」

 

 

上条「どうやら今後の更新の予定や優先度なんかも書いていくつもりらしい」

 

 

悟誠「つもりねぇ、いったいそれがいつまで続くのやら...」

 

 

一誠「まあ試してみたらいいじゃねえか、色々やってみりゃ方法を思いつくかもよ?」

 

 

榛名「今は作者を信じるしかないですね...」

 

 

斉木『僕の所は直に終わるだろうから早めにしてほしいものだが...

 

 

幽々子「それも作者のやる気次第かしらね~」

 

 

17島「久しぶりに動けるんならそれでいいさ」

 

 

燐空「17島さんの言う通りですね」

 

 

『『『『そういうことですので、こんな作者ですがよろしくお願いします』』』』



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長期休載のお知らせと各作品の主人公達


ギオスです。

題名のとおり今回からしばらく休載致します……
理由は下の会話内に紛れていますのでそちらをご確認ください……

皆様にご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いいたします……m(__)m


一誠「そういうわけで、オラ達がここに集められたっちゅうわけか」

 

悟誠「お、俺にそっくりだ!でも口調が……」

 

幽々子「あらあら、ホントにそっくりね~♪」

 

斉木『全く…僕は海域の問題を調べるので忙しいというのに何故こんなところに来なければならないんだ……

 

17島「まあアイツが動かなきゃ俺達も動けないんだから仕方ねえだろ?」

 

上条「上条さんは今度は何をやらされるのか気が気ではありませんですことよ?」

 

吹雪「あはは……苦労してるんですね」

 

榛名「仕方ありませんよ…作者は気まぐれですから」

 

斉木『ん?吹雪、お前のところの提督はどうした?

 

吹雪「それが…『なんで俺がそないなめんどい所にいかなあかんねん…俺ァ嫌じゃ、いかん!吹雪ちゃん代わりに行ってきてくれ』と言われてしまって……」

 

幽々子「責任感のない人なのね~…」

 

一誠「とんでもねえ奴だな…オラがぶっ飛ばしてやる!」

 

悟誠「止めとけって、お前にぶっ飛ばされたら命がいくつあっても足りねえよ……」

 

上条「全くもってその通りでせう……」

 

17島「醜い肉のオブジェの出来上がりだな……」

 

斉木『霧島と同意見だ……

 

榛名「榛名もそう思います……」

 

一誠「ひっでえな…おめえ達……」

 

幽々子「それだけあなたは強すぎるのよ…何よ敵を蹂躙って……」

 

一誠「んなこと言ったら幽々子だって無双してんじゃねえか……」

 

幽々子「あなた程酷くやってはいませんわ~♪」

 

悟誠「そうかな?にしても良いおっぱいだぁ…♪」

 

17島「お前、18号に殺されるぞ……」

 

吹雪&榛名「…………」【引き】

 

悟誠「引かないでごめん!俺が悪かった!」

 

上条「うわぁ……。俺のとこでそんなことしてたら即殺されちまうよ……」

 

斉木『まずそんなことをする意味がわからない……。

 

一誠「はははっ!おめえの場合裸見れねえもんな」

 

幽々子「笑い事じゃないと思うわ~」

 

17島「その通りだな…中の奴も引いてるじゃないか……」

 

 

_______

 

 

上条「にしても、どうしてまた長期休載なんだろうな……」

 

一誠「おめえ持ち前の不幸が作者にも移ったんかもしんねえぞ?」

 

上条「それだけはマジで勘弁してくれ……」

 

榛名「榛名には分かりません……」

 

斉木『どうやら気力が続かないらしい…またその内気が向いたら書くそうだ……

 

悟誠「気が向いたらって……いったい再開は何時になるんだよ……」

 

幽々子「それも作者の気まぐれなのよね~……」

 

一誠「その通りなんだよな…っと、そろそろ終わりみてえだ!んじゃ、読者のみんな!またな!」

 

全員「ご迷惑をお掛けしますが少々お待ちください……」

 

 



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とある重巡の取材巡り

ども!ギオスです!

今回は本編と関係なしの番外編となります。

タイトルの通り艦これではおなじみのあの方がいろいろな艦娘たちに話を聞いて回りますよ!

それと、後書きにて重大発表がございますのでそちらもご確認ください。
(むしろ後書きが本題と言っても過言ではありませんが...。)


 

 

「ども!青葉です!今日は今話題の提督である上条当麻さんについてお話を聞いていk峰と思いますよ!では!早速取材開始です!」

 

 

【江ノ島鎮守府の艦娘たちの場合】

 

 

「それでは電さん、よろしくお願い買いしますね」

 

 

電「は、はわわ!よろしくお願いしますなのです!」

 

 

「ではまず、上条さんはどんな人でしたか?」

 

 

電「上条司令官さんですか?優しくて強い人だったのです」

 

 

「電さんは上条さんの事をどう思っていますか?」

 

 

電「へ?え、えっと...お兄ちゃんみたいだと思ってるのです///」

 

 

「なるほどなるほど、ありがとうございました。では次は睦月さんですね!」

 

 

睦月「はいはい!なんでも聞いてくださいにゃしい~♪」

 

 

「睦月さんから見て上条さんはどんな人でしたか?」

 

 

睦月「うーんそうですねぇ...不幸に愛されながらも常に前だけを見るかっこいい人だったですねぇ」

 

 

「ふ、不幸に愛される?どういうことなんでしょう龍田さん」

 

 

龍田「そうねぇ、印象的なのは艤装の砲撃がなぜか提督に命中しちゃったり~」

 

 

「ほ、砲撃が命中!?よくそれで生きてましたね...」

 

 

龍田「提督の話だと鍛えられてたかららしいわね~」

 

 

「鍛えられてたって...何をしたら艦娘の砲撃を喰らって生きていられるようになるんですか!?」

 

 

長門「私達もよくは知らないが、相当な死闘を繰り広げてきたらしい」

 

 

鹿島「右手が捥げたこともあったらしいですしね、ふふっ」

 

 

「み、右手がもげる!?でも上条さんには両腕ちゃんとついてますよね!?」

 

 

綾波「それはここにたまに来てくれるお医者さんのおかげらしいですね~」

 

 

「医者!?まさかもげた腕を?」

 

 

赤城「えぇ、そのようです。ここに来る前も何度かお世話になっていたそうですから腕は確かみたいです」

 

 

「...学園都市の凄さに私は驚きを隠せませんよ...」

 

 

神通「あの...提督の説明では?」

 

 

「ハッ!そうでした!えっと、他にはなにがあるんですか?」

 

 

翔鶴「そうですね、料理がそれなりに得意みたいでした」

 

 

榛名「私達が来るまでは一人で料理を作っていたみたいですしね...」

 

 

「上条さんが大一人で料理を!?」

 

 

金剛「YES!あの時のテートク頑張ってたネ!」

 

 

神通「私達五人の料理を必死になって作っていましたから...」

 

 

「ちょっと待ってください!先程の話からすると上条さんは戦艦や軽巡のほきゅうを一人でやっていたんですか!?」

 

 

扶桑「聞いていた話だとそうみたいね...」

 

 

山城「私達が来た時には千歳さん達が手伝っていたわよね」

 

 

千歳「えぇ、提督にもうそろそろ自分一人じゃ回しきれないからということでお手伝いをすることになったの」

 

 

「なるほど、いろいろとご協力ありがとうございました」

 

 

赤城「いえ、こんなことでよければいつでも協力します」

 

 

「ありがとうございます。それでは次の取材がありますので失礼します!」

 

 

 




はい、というわけで青葉さんによる江ノ島鎮守府突撃取材でした!

後半から取材じゃなくてただの雑談になっていた気もしますが気の所為です。

それと、現在活動報告にて大規模アンケートを行っておりますのでそちらにもご協力お願いします。

ではでは~


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帰還の幻想殺し
提督不在の鎮守府…。


電です…。
前回までのあらすじなのです。

深海棲艦との全面戦争で私達は壊滅寸前まで追いやられてしまったのです。

そこに駆けつけた上条提督によって私達は危機を逃れたのです…。

ですが、囮を買って出た提督は制御を失った敵艦載機の爆撃によって海の底へと消えていってしまいました…。

これは、その事件から三ヶ月後のお話なのです…。


side赤城

 

 

あの一件から三ヶ月が経ちました。

 

私達の所属する、ここ…。江ノ島鎮守府は今日も平和です。

 

でも、かつてのような明るさは露程にも残っていません…。

 

あるのはギスギスした重苦しい雰囲気だけ…。

 

その理由は先の戦いでの事になります。

 

私達は超能力者組が出撃出来ない代わりに出撃していました。

 

ですが、その海域の敵艦の編成が有り得ないものだったのです。

 

苦戦を強いられる私達は壊滅寸前でした…。

 

そこへ提督が現れ敵艦隊を全滅させてしまったのです。

 

ですが、それだけでは終わりませんでした…。

 

安堵する私達や提督に制御を失った敵艦載機が迫っていたのです。

 

私達は必死に助けにいこうともがきました…。

 

ですが、それは叶わず、提督は敵艦の爆撃にあい、暗い海の底へと沈んでいきました…。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

それからというもの、長門さんは唯ひたすら訓練に打ち込むようになり…。

 

加賀さんや翔鶴さんは訓練に身が入っていないようになり…。

 

金剛型の方達は、普段通りを装うように気丈に振る舞っていたり…。

 

扶桑型の姉妹は、前より一層不幸オーラを強めるようになり…。

 

駆逐艦の子達は、部屋に閉じ籠って出てこなくなってしまい…。

 

軽巡の子達は閉じ籠ってしまった駆逐艦の子達を元気付けようとしたり…。

 

鹿島さんは長門さんのコーチを付きっきりで付き合うようになってしまいました…。

 

かく言う私も三ヶ月経った今でも、気が滅入ってしまって仕事どころではなくなっています…。

 

 

 

…提督だったらこんな時、どうしたでしょうか…。

 

あの人はいつも『不幸だーー!!!』と言いながらもいつも前を向いていました…。

 

きっと提督ならこの状況も何とかしてくれたでしょう…。

 

でも、その提督はもういない…。還らぬ人となってしまったのですから…。

 

 

いえ!こんなことを考えていてはあの世にいる提督に怒られてしまいますね…。

 

私はここの秘書艦…。皆さんを引っ張っていかなくてはなりません!

 

こんなことで挫けてはいけません!頑張りなさい!赤城!

 

 

そんなある日、神通さんが慌てた様子で報告にきたのです。

 

 

「はぁ…はぁ…あ…赤城秘書艦、大変です!」

 

 

「どうしました?そんなに慌てて」

 

私は神通さんの慌てぶりにこれは唯事ではなさそうだと気を引き締めます。

 

 

「鎮守府内に深海棲艦の残党の侵入を許してしまいました!」

 

 

「なんですって!?場所は!」

 

 

「波止場の辺りです!今龍田さんが迎撃向かっていますが相手の艦種が分からないのでどうなっているかは分かりません…。」

 

私は立ち上がり答えます。

 

 

「分かりました。敵の艦種が分からない以上、下手に手を出すのは避けたいです…。私がいきましょう!」

 

 

「わ、私も行きます!」

 

こうして私達は龍田が迎撃をしている現場へと向かいました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

波止場に着いてみると、遠くから砲撃音が聞こえてきます。

 

 

「この近くね…。」

 

私達は急いで砲撃音のする方へ向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場所に着くとそこにいたのは…。

 

 

「戦艦レ級!また厄介な者に侵入されましたね…。」

 

 

「あらぁ、援軍?助かるわぁ~正直とっても厳しかったのよぉ…。」

 

 

龍田さんはそんな口調とは裏腹にボロボロになっていました。

 

 

「私達も加勢します!第一次攻撃隊!発艦始め!」

 

私は弓を構えてレ級に向けて放ちます。

 

矢は空中で艦載機へと変わりレ級へと突っ込んでいきます。

 

しかしレ級も負けじと艦載機を出して応戦してきます…。

 

しばらくの艦戦の後、私が放った艦載機の子達は殆どが落とされてしまいました…。

 

でも、まだ残っている、頑張ってください!

 

残った艦載機に祈る…。

 

しかし、私達は見謝っていた…。何故レ級が戦艦と呼ばれているのかを…。

 

 

「キャァァァッ!!」

 

艦載機の様子を見守っていた私の横で龍田さんが砲撃を受けて吹き飛ばされてしまったのです…。

 

龍田さんはもう大破状態…。次に直撃を食らえば轟沈してしまいます…。

 

それを見逃すまいとレ級は砲撃を龍田さんへと撃つ…。

 

 

「危ない!」

 

私は龍田さんを庇うように前に出ました。

 

 

 

ズドォォォォンッ!!

 

 

「赤城さん!!」

 

直撃を食らってしまった私は飛行甲板にダメージを貰い、艦載機の発着艦が出来なくなってしまいました…。

 

恐らく、次の砲撃は耐えられないでしょう…。

 

すると、レ級はニヤリとすると今度は神通さんに砲撃を放ったのです…。

 

 

「神通さん!避けて!!」

 

 

「え?キャァァァッ!!」

 

私達に気をとられていた神通さんは反応が遅れ、被弾してしまったのです…。

 

吹き飛ばされて動かない神通さん…。

 

 

「神通さん!」

 

私は急いで神通さんのところに駆け寄ろうと走り出します…。

 

しかしそこに一発の砲撃音…。

 

横を見ると、目の前には真っ赤に染まった砲弾が…。

 

 

「え…?」

 

もう、躱わす暇もない…。

 

砲弾はまっすぐに私の方へ飛んでくる。

 

 

「たす…けて…」

 

私は自分でもよく分からないうちに口に出していました…。

 

 

「提督…助けてください…。」

 

すると、私の前に走り込む人影が1つ…。

 

その人影はまっすぐに飛んでくる砲弾に右手を突き出すと、砲弾をいとも簡単に打ち消してしまいました…。

 

爆炎がその人影の右手を避けるように吹き上がります…。

 

爆炎が張れるとそこにいた人物はこちらを振り向いて言いました…。

 

 

「無事か?赤城姉…。」

 

その人物は黒いボサボサのツンツン頭に黒い学生服を身に纏った上条当麻その人だったのです…。

 

 

「てい…とく?どうして…?」

 

しかし提督はレ級の方を睨み付けながら言います。

 

 

「話は後だ、赤城姉達は急いで入渠ドックへ行ってくれ…アンタ達に沈んでほしくはねえからさ…。」

 

そして、提督はレ級に向かって言い放ちました…。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ここまで俺の鎮守府で暴れやがったんだ…。ここからは俺のルールでやらせてもらうぞ」




睦月です!

赤城さん達のピンチに突如駆けつけた上条提督。

レ級を相手に互角以上に渡り合う提督…。

圧倒的なその実力にレ級は成す術もなく…。

次回、とある提督の幻想殺し…。

提督の帰還

幻想殺しと艦娘達が交差する時、物語は始まる!


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提督の帰還

龍田だよぉ~

前回鎮守府に深海棲艦の侵入を許してしまった

迎撃するために赤城、神通、龍田が迎え撃つも返り討ちに遭ってしまう…。

絶対絶命にピンチに、三人の前にある人物が駆けつける

その人物は前の戦いで死んだと思われていた上条だった。


side上条

 

 

「よくも俺の仲間に手を出した分はきっちり返させてもらうぞ」

 

俺はレ級を睨み付ける…。

 

 

「レレ…!」

 

レ級は艦載機を発艦しながら俺に砲撃を放ってくる。

 

俺は艦載機を紙一重で躱わしながら砲弾を右手で打ち消し走る。

 

 

「おぉぉぉぉぉっっ!!」

 

瞬く間にレ級との距離を積めると俺はレ級の顔面に右手を突き刺す。

 

 

「その幻想をぶち殺す!!」

 

「レ…レレッ…!!」

 

殴られたレ級は吹っ飛んでいきそのまま四散した…。

 

 

「ふう、なんとか勝てたか…。」

 

ほぅ、と一息つく…。

 

 

「て、提督…?」

 

 

「まさか…レ級を倒したの?」

 

 

「信じられません…。」

 

その声に振り返るとそこには今だボロボロの三人がいた。

 

 

「おいおい、入渠ドックに行けって言っただろ?どうして行かなかったんだよ…。」

 

 

「提督が一人で戦っているのに私達が下がるわけにはいきませんから…。」

 

 

「ましてや人間が深海棲艦、それもレ級を倒せるなんて思ってもみなかったしねぇ~」

 

 

「でも、危ないところを助けていただきありがとうございます…。」

 

それぞれの言葉に俺はため息を吐く…。

 

 

「分かった分かった…。じゃあ今度こそ入渠してきてくれよ?目の…やり場が…。」

 

そう言って俺は三人から目を反らす。

 

三人は自身の姿を見て顔を真っ赤に染める…。

 

 

『こっちを見ないでください!!』

 

 

「死にたい人は何処かしらぁ~?」

 

 

「悪かった!って龍田はその薙刀を振り回すのはやめろ!

ぎゃぁぁぁ!不幸だーー!!!」

 

波止場に俺の絶叫が響き渡るのだった…。

 

 

sideout

 

 

side神通

 

 

入渠を終えて私達は司令室に来ていました…。

 

 

「それで、提督はこの三ヶ月どこにいらしたんですか?」

 

私はそう問いかける。この疑問はもっともだろう…。

 

私の問いに提督は少々罰が悪そうな顔をして話し出す。

 

 

「あんまし大きな声じゃ言えねえんだけどさ、俺、深海棲艦のところにいたんだ…。奴等の住んでる街に…。」

 

その言葉を聞いて三人が驚いた顔をする…。

 

 

「深海棲艦の…。」

 

 

「街…?」

 

 

「そんなところがあったのねぇ~」

 

俺は頷き続ける。

 

 

「あの時、確かに俺はやつらの攻撃を喰らって海の底へと沈んでいった…。けど、次に目を覚ましたら知らないところで目が覚めたんだ。」

 

「そこが深海棲艦達の街だった…。」

 

赤城姉の言葉に俺は頷く…。

 

 

「その時は兎に角混乱したな…。だけど、アイツらは俺に危害を加えるどころか傷の手当てや訓練までしてくれたんだ…。だから帰ってくるのが遅くなった」

 

 

「なるほどねぇ~、それでレ級相手にあそこまで戦えてたのね」

 

 

「しかし少々信じられません…。深海棲艦が提督を助けて尚且つ鍛えてくれるなんて…。」

 

赤城さんの言葉に提督は苦笑しながら答えます…。

 

 

「最初は俺もそうだったさ、けど、お前達が思ってるほどアイツらは悪いやつらばっかりじゃないってことを知ったんだ…。」

 

今だ半信半疑といった表情の赤城さん…。

 

私は話題を変えるために口を開きます…。

 

 

「そ、それよりも…。他の方達にどうやって伝えましょうか…。」

 

すると、今度は提督が渋い顔をします。

 

 

「そうだよ…。そこなんだよなぁ…アイツらにどうやって顔を出すか迷ってんだよ…。」

 

すると、そこで龍田さんがニコニコとしながら口を開きます…。

 

 

「うふふ♪それなら良い案がありますよぉ~♪」

 

そう言う龍田さんの顔は、

 

明らかにまともなことを考えていない顔でした…。




おっす!上条さんだ!

龍田の提案で上条はあるものを手に他の艦娘達のところに向かう。

しかし、その上条の状態は正常とは言えず…。

次回、新約、とある提督の幻想殺し…。

提督の挨拶廻り

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!


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提督の挨拶廻り

前回までのあらすじなのです!

レ級を圧倒し、三人の危機を救った上条。

司令膝に戻った上条はどうやって生き延びたのかを三人に話す…。

その内容は信じられないものでした…。


side上条

 

俺は目の前に置かれた物に困惑していた…。

 

何を隠そう、目の前にあるのはウィスキーであるのだから…。

 

 

「あのぉ…龍田さん?どうしてこんなものがあるのでせうか?」

 

 

「あらぁ、だってこういうのは勢いが大切でしょぉ?だからこそこれに頼るのよぉ~」

 

 

「いや、私、まだ未成年なのですが…。」

 

 

「大丈夫よぉ~1度くらいなんとでもなるわぁ~♪」

 

怖い…。迫り来る龍田さんが怖い…。

 

 

「仕方ねえ、ええい!ままよ!うおぉぉ!!」

 

俺はウィスキーをひっつかむとコップに注ぎ一気に飲み干した。

 

直後、喉が熱くなり頭がふわふわしだしてきた…。

 

おぉ、これなら行けそうだ!

 

 

「よぉ~し、んじゃぁ行ってくる~」

 

 

「あ、ちょっと待ってねぇ~これ、持っていって」

 

そう言いながら龍田が渡してきたのは複数の小包だった。

 

 

「これを渡して来れば良いのか?了解ら~」

 

俺はフラフラしながら歩き出すのだった。

 

 

sideout

 

 

 

side鹿島&長門

 

 

私達は演習場にいた…。

 

 

「次だ!」

 

 

「はい!次、いきます!」

 

的が目の前に現れる。

 

 

「撃てぇ!」

 

長門は主砲を撃ち的を破壊していく…。すると後方から…。

 

 

「おぉ~やってるな~ナガモンにカシちゃん~…ヒック」

 

何やら聞き覚えのある懐かしい声が掛けられた。

 

私達が振り向くとそこにはこちらに手を降る提督の姿が…。

 

 

『提督!?』

 

私達は急いで提督のもとに駆け寄る。

 

 

「ご無事だったのですね…。」

 

 

「ん、なんとかな~ヒック…とぉ、そうそう、これ、はいお土産」

 

提督はフラフラしながら持っていた小包を私達に渡すとまた歩き出した。

 

 

「ま、待ってください提督さん!どちらに?」

 

鹿島が慌てて声をかける…。

 

提督は振り返るとニコリとしながら答えた…。

 

 

「みんなのとこ~ヒック…」

 

それだけ言うと提督はフラフラと歩き去ってしまった…。

 

 

「長門さん」

 

 

「なんだ?」

 

 

「提督、酔っぱらってませんでした?」

 

 

「あぁ、完璧に酔っていたな…。」

 

 

「やっぱり…。」

 

そうして私達は提督が去っていった方向を見つめ続けていた。

 

 

sideout

 

 

side空母勢

 

 

加賀です…。

 

私達は寮にいました…。ですが、誰も口を開こうとはしません…。

 

私達の時間はあの時から止まったままなのですから…。

 

 

「提督…。」

 

ボソリと呟く言葉は普通に呟いただけなのにとても大きく感じます…。

 

 

「なんらぁ~?呼んら?」

 

そんな声と共に扉が開かれ入ってきたのは提督でした…。

 

 

「て、提督?どうして…。」

 

 

「どうしてって帰って来たのでせうよ~…ヒック…。はい、これ」

 

言って、提督は小包をそれぞれ私達に渡していく…。

 

 

「さて~…ヒック用件もすんだし、次行くかぁ~ヒック」

 

 

「え…?あ、お待ちください」

 

慌てて呼び止めるも提督には聞こえていないのか寮から出ていってしまった…。

 

 

「提督…。いったい何があったの…?」

 

私達はいつまでも部屋の扉を見つめ続けていた。

 

 

sideout

 

 

side戦艦勢

 

 

金剛デース!

 

私達は今、フコー達とteatime中ネ!

 

 

「あぁ、空はこんなに青いのに…。提督は帰らない…。」

 

 

「姉様が提督が居ないことに現実逃避しちゃってる…。はぁ、不幸だわ…。」

 

OH..これはいけませんネ、teatimeは暗いと美味しくアリマセーン!

 

 

「フコー、マシロ!teatimeに暗い話はNOネ!楽しくいきまショー!」

 

 

「そうですよ!せっかく集まったんですから楽しみましょう」

 

私達の言葉にフコーが頷く。

 

 

「そうね、折角のお茶会なんだものね…。山城、今は暗いことは忘れて楽しみましょう」

 

 

「姉様がそう言うのでしたら…。」

 

これで楽しく過ごせますネー。

 

すると、扉が叩かれる音がした。

 

 

「あ、私が出てきますね。はーい!今開けまーす!」

 

榛名が応対してくれましたネ、私は紅茶を飲みながらその様子を伺いマース。

 

 

「はーい、え?あ….え?て、提督?….え?」

 

ンー?榛名、いったいどうしたのデス?

 

暫くすると榛名が戻って来マシタ…。

 

 

「誰だったんデース?」

 

 

「えっと…信じられないと思うのですけど…。提督でした…。これを私達にって…。」

 

そういって榛名は幾つもの小包を出して私達に配りマス…。

 

 

「榛名、これ何デース?」

 

 

「恐らくお寿司じゃないでしょうか…。」

 

 

「これも不思議デスけど、提督がいたってreally?」

 

 

「はい、本当ですよ。お姉様」

 

それが本当ならこうしちゃいられマセーン!

 

 

「テートクゥ!!待っててネ!」

 

 

「あ、待ってくださいお姉様!」

 

 

「山城、私達もいきましょう」

 

 

「はい!姉様!」

 

私達は急いで提督の後を追い出しマシタ…。

 

 

sideout

 

 

 

side駆逐艦勢

 

 

電です…。

 

私達は部屋に閉じ籠っています…。

 

あの時から私達は外に出るのが怖いのです…。

 

また大事な人が居なくなってしまうんじゃないかと…。

 

そう思うと体が震えてしまって動けなくなってしまうのです…。

 

もし、あの時提督を助けられていたら…。

 

提督は今も笑って私達を撫でてくれたでしょうか…。

 

提督…。

 

 

『帰ってきてください(なのです)(にゃしい)…。』

 

その呟きの直後…。

 

トントントンッ!

 

ノックの音が聞こえてきたのです。

 

神通さん達だろうと思っていると…。

 

 

「お~い、誰か開けてくれ~」

 

男の人の声?それになんだかとても懐かしい声なのです。

 

私は気になって扉を開けます…。

 

するとそこにいたのは…。

 

 

「よぉ~…ヒック電ちゃん」

 

上条司令官だったのです。

 

 

「….え?….え?提督なのですか?」

 

私は目の前の現実が信じられず疑問を口にします…。

 

 

「そうですよぉ~…ヒック!….電ちゃん達の提督の上条さんでせう」

 

それを聞いた私は中に駆け戻っていきました。

 

そして、二人に伝えます…。

 

 

「綾波ちゃん!睦月ちゃん!司令官さんが、司令官さんが帰ってきたのです!」

 

すると、二人は勢いよく起き上がり私を見ました。

 

 

「ほんと!?ほんとに提督が帰ってきたの!?」

 

 

「司令官はあの時死んだはずじゃ…。」

 

すると、扉が開いて司令官さんが入ってきたのです…。

 

 

「なんだよ~急に扉閉めないでくれよな~…ヒック!」

 

それをみた二人は目を見開いていました。

 

 

「ほ、ほんとに提督?」

 

 

「ん~?…ヒック!そうですぉ~君達の提督だぁ~」

 

 

「ほんとに司令官です…。お帰りなさい!」

 

そういうといきなり司令官さんに抱きつく綾波ちゃん。

 

 

「あ!綾波ちゃんズルい!私も!」

 

 

「わ、私もするのです!」

 

それに続いて睦月ちゃんと私も抱きつきます…。

 

 

「心配駆けちまったみたいだな…。…ヒック!悪かった…。」

 

司令官さんが私達を抱き締め返してくれます…。

 

でも、私達は忘れていました。司令官さんの右手の事を…。

 

 

パキィィィィンッ!!

 

部屋の中にガラスが割れるような音が響き渡りました…。

 

その直後のことなのです…。

 

私達の来ていた服が弾け飛んでしまったのです…。

 

 

「….え?」

 

 

『き、キャァァァァッ!!』

 

私達は恥ずかしさのあまり司令官さんを殴り飛ばしてしまいました….。

 

 

「んぎゃぁぁぁぁッ!!不幸だ…。」(ガクッ…)

 

司令官さんに裸を見られてしまったのです…。

 

うぅ…恥ずかしいよぉ…。




あの後、なんとか司令室へと戻った上条…。

だが、更なる問題が起きて…。

次回、新約、とある提督の幻想殺し…。

新たなる問題…。

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!


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新たなる問題…。

前回までのあらすじなのです!

無事に帰ったことを伝える為、一人一人に顔を出して回る上条。

しかし酔っぱらった勢いで駆逐艦たちの衣服を消し飛ばしてしまい、

倍返しを喰らってしまうのだった...。


side上条

 

 

「痛ぅ...はぁ、不幸だ...。」

 

おっす、上条さんだ。

 

どうして開口一番こんなことを言っているのかは訳がある。

 

理由は単純、二日酔いだ。

 

昨日、勢いでウイスキーを一気飲みしてしまったものだから頭が痛くてしょうがない...。

 

 

「うぅぅ...それにしても...」

 

俺は目の前の光景にため息を吐く。

 

 

「ずいぶんと貯め込んじまったよなぁ...」

 

そう、今俺の目の前には山のような書類がたまっている。

 

その数、二か月分...。

 

今、秘書にしている金剛の話では...。

 

 

『赤城も合間を見てはやっていたみたいデスけど処理しきれなかったみたいネ』

 

とのことだった...。

 

その話を本人に聞くために空母寮に行ってみたところ...。

 

最初は三か月分あったそうだ。

 

それを合間合間に処理していったが終わらせられたのは一カ月分が限界だったらしい。

 

 

「まあ、一か月分終わらせてくれたことに感謝しなきゃな...。

はぁ...空はこんなに青いのに...。お先は真っ暗だ」

 

鬱になりそうな言葉を言いつつ取り掛かる。

 

しかし、俺の仕事はこれだけではない。

 

 

「昼食時間までに料理作っとかないとな...。」

 

そう、食堂の厨房仕事もあるのだ。

 

以前もかなり地獄だったのだが、

 

今じゃその難易度は地獄から煉獄へとグレードアップを果たしている。

 

その原因は主に姉ちゃん達(他の空母達にそう呼んでくれとせがまれた)である...。

 

空母は消費する資材量が多く、いったいどんな胃袋をしてるんだと言えるほど食べるのだ。

 

そして、そんな空母が三隻+αが居ればそれは自然と難易度が跳ね上がるのである。

 

おまけに長門や、金剛などの戦艦勢も何かとよく食べるので、まったく手が足りていないといった状況に陥っている。

 

 

「...学園都市にいたころじゃ考えられなかったもんな...。」

 

以前住んでいた町に思いを馳せる。

 

 

「っと、今はそんなことしてる場合じゃねえんだった!」

 

俺がたまっている資料に取り掛かり始めると勢いよくドアが開かれた。

 

 

「Hey!テートクゥ!!今戻ったネ!」

 

入ってきたのは現在秘書にしている金剛だった。

 

 

「おぉ、金剛!いいタイミングじゃん。これ処理するの手伝ってくれ」

 

俺は山のようにたまっている書類を指さす。

 

 

「Oh!これはまたVery Earnデスネ!分かりマシタ!お手伝いシマース!」

 

 

「よし!チャッチャと終わらすぞ!」

 

こうして二人して作業に取り掛かったのだが、食事時間の準備もあり、書類が纏め終るころには真夜中になってしまっていた。

 

 

「あ゛ー...終わったぁ...」

 

時間にしてマルサンマルマル...。

 

俺は椅子に背を預け、グデ~!とへたり込む。

 

金剛の奴は途中から俺の布団に入って...。

 

 

「テイトクもこっち来るネ...スヤスヤ...ン~?テイトク~…ZZZ」

 

と、図々しく眠っている。

 

ったく…。俺の気も知らずに気持ちよさげに寝息たてやがって...。

 

俺は金剛の寝顔を見てため息を一つ吐くと予備の布団を出すと廊下に出た。

 

流石に同じ部屋で寝るのは不味いもんな。何かあってからじゃ遅いし...。

 

俺は廊下の端の方に布団を敷くと眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

翌朝...。

 

ジリリリリリリリリリリリッ!

 

携帯のアラームが鳴り響いた。

 

俺はアラ-ムを止めようと手を伸ばす、すると...。

 

 

モニュッ...

 

 

何か柔らかいものに触れた。

 

しかし、寝惚けた頭は正常に働いておらず、さっきから鳴り続けているアラームを止めようと俺は何度もその柔らかい物を押した。

 

しばらくそんなことを繰り返しているとおかしな声が耳に入る。

 

 

「...んっ...て、テイトクゥ...。触ってもいいけどさ、時間と場所を弁えなヨ」

 

その言葉で俺の脳は一瞬で目覚めた。

 

瞬間的に飛び起き、布団から出る。

 

 

「な、ななな!?なんでお前が俺の布団にいるんだよ!?」

 

チラリと辺りを見回すと、そこは司令室の中のようだった。

 

 

「なんでってテイトクが廊下で寒そうに寝ていたから温めてあげようとしたからデース!」

 

 

「余計なことするなぁぁぁぁ!!!」

 

その日、江ノ島鎮守府に俺の絶叫が響き渡るのだった。

 

 

 

 

 




おっす!上条さんだ!

朝の一件から半日、上条は鎮守府内を見て回っていた。

その時にある艦娘から重大な情報を聞き...。


次回、新約、とある提督の幻想殺し...。

大本営と補給艦!

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!


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大本営と補給艦!

前回までのあらすじなのです!

2ヶ月分の貯まりに貯まった書類を片付けながら食事の用意をする上条…。

ようやく処理し終えたかと思いきや今度は金剛が問題を起こしたのでした…。


side上条

 

 

朝の一件から数時間…。

 

俺は鎮守府内を歩いていた。

 

あの後、何故か金剛がヒートアップし始めたのでなんとか宥めその場から逃げてきた…。

 

 

「それにしても…。」

 

辺りを見回しながら一人呟く…。

 

 

「変わってねえな、ここ」

 

まあ、3ヶ月じゃそんな変わりはしないか…。

 

と、考えていると…。

 

 

「あれ?提督さん、珍しいですねこんなところで会うなんて…。ふふっ」

 

不意に声をかけられ振り向くと…。

 

そこには鹿島がニコニコしながら立っていた。

 

 

「おぉ、鹿島、いや、俺がいない間に何処か変わった所はないかなって思って見てまわってたんだ」

 

その言葉に鹿島はなるほど~と納得の表情。

 

 

「でも、なにも変わってないですよ?私含めて皆さんそれどころじゃありませんでしたから…。」

 

誰かさんのおかげで…。と、続けられる…。

 

 

「はは…。面目ない…。」

 

俺は苦笑しながら謝る…。

 

 

「本当ですよ…。もう、しっかりしてくださいね?」

 

 

「精進します…。」

 

俺の言葉に『よろしい…』と、頷く鹿島…。

 

ふと、思い出したように口を開いた

 

 

「そういえば提督さん、補給艦って知ってます?」

 

補給艦?なんだそりゃ?

 

俺は聞き覚えのない単語に首をかしげる。

 

 

「いや、聞いたことないな」

 

 

「なんでも補給専門の艦娘さんらしいんですけど、とっても料理が上手なんだとか…。」

 

料理上手か、まあそんな艦娘も居てもおかしくはないよな…。

 

 

「で、結局、鹿島は何を言いたいんだ?」

 

そう言うと鹿島はニッコリと微笑みながら言う。

 

 

「いえ、もしその艦娘さんがいたら提督さんの負担も軽くなるのになって思って」

 

それを聞いた瞬間、俺は雷に打たれたかのような衝撃が走った…。

 

そうか!なぜそれを考え付かなかったんだ!

 

補給専門ということは俺達、素人より数倍も腕がいいってことじゃないか!

 

たしかに鹿島の言う通り、そうすれば俺の苦労は大分軽くなる…。

 

 

「鹿島、お前天才だな…。」

 

 

「え?どうしたんですか?急に…」

 

 

「こうしちゃいられねえ!そうと決まれば早速取り掛かるしかねえ!」

 

 

「え?え?」

 

俺の変化に戸惑いを隠せないらしい鹿島…。

 

 

「あぁっと、そうだった、サンキュな鹿島、お礼に今度1つだけお前の言うこときいてやるよ!じゃ!」

 

それだけ伝えると俺は一目散に司令室へと駆け出した。

 

鹿島は未だにキョトンとしていたと言う…。

 

 

sideout

 

 

 

 

side金剛

 

 

「む~…。テイトクゥどこ行ったんデース?」

 

一人、紅茶を飲みながら呟く…。

 

すると、いきなり勢いよくドアが開かれテイトクが入ってきたデス。

 

テイトクは帰ってくるなり出掛ける準備を始めマシタ。

 

 

「テイトクゥ?何処か行くデスか?」

 

私が声をかけるとテイトクはこちらを見て

 

 

「ああ、ちょっと大本営に行ってくる」

 

大本営?未だ急デスネ、呼び出しでもありましたか?

 

 

「それなら私も行くネ!」

 

 

「いや、金剛はここで留守番を頼む、俺がいない間しっかりと鎮守府を守ってくれよ?」

 

むぅ…。そこまで言われたらやるしかないデスネ!

 

 

「分かりマシタ!私に任せてヨ!」

 

私の返事を聞くとテイトクはすぐさま出ていってしまいマシタ…。

 

じゃあ、私もお仕事頑張るネ!

 

 

sideout

 

 

 

side上条

 

 

電車に揺られること2時間…。

 

ようやく大本営に到着した。

 

俺は中に足を踏み入れる…。

 

すると、受付の方だろう人が声をかけてきた。

 

 

「こんにちは、本日はどのようなご用件ですか?」

 

 

「あ、えっと、建造の関係で来たんですけど…。」

 

 

「建造ですね?では、証明書か何かお持ちですか?」

 

証明書って多分これの事だよな?

 

俺は着任時に渡された一枚のカードを渡す。

 

 

「これでいいですか?」

 

受付の人はニッコリ笑ってそれを受け取った。

 

 

「はい、ありがとうございます。ご確認が取れましたので工厰の方へどうぞ…。」

 

俺は言われるがままに工厰へと足を向けた。

 

中に入ると自身の鎮守府でもお世話になっている明石かいた。

 

 

「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件ですか?」

 

 

「えっと、補給艦の建造がしたくて」

 

 

「補給艦ですね?間宮さんと伊良湖さんどちらの建造にいたしましょう?」

 

間宮と伊良湖?二人も補給艦がいるのか…。

 

でも、正直人手が足りないし両方お願いするか。

 

 

「両方共お願いします」

 

 

「分かりました!じゃあ建造が完了するまで三十分ほどお待ちくださいね…。さあみんな!やるよ!」

 

 

『オォーー!!』

 

ワラワラと現れる妖精さんたちと共に大本営明石は奥に消えていった。

 

残された俺は暇でしかない…。

 

 

「にしても、三十分か…。偉く早いけど補給艦って通常の建造とは違うのか?」

 

バーナー使うんだったら何人でも大体十分前後だった筈だしな…。

 

と、考えていると、不意に声がかけられた。

 

 

「失礼、君が上条当麻くんかな?」

 

声のした方を振り返ると、初老の男性が此方に来ていた。

 

 

「はい、上条当麻は俺ですけどなにか用ですか?」

 

すると、男性はニッコリ微笑んで答えた。

 

 

「いや、顔を見ておきたくてね…。深海棲艦を素手で倒したという少年提督の顔を」

 

その言葉に俺は警戒する。

 

なんで、この人はそんなことを知ってるんだ?

 

 

「一応聞きますけど、貴方は?」

 

すると、男性は『そういえばそうだったね…。』と口を開く

 

 

「自己紹介が遅れたね、私はここの元帥をやっている者だよ…。簡単に言えば海軍のトップだ」

 

その言葉に俺は謝る…。

 

 

「すいません!元帥とはしらなくて…。」

 

 

「構わないよ、つい最近まで唯の学生だったんだ、知らなくても不思議じゃない」

 

それよりも…。と元帥は続ける。

 

 

「君は先の作戦で自身の艦隊を助けるために単身乗り込んで敵艦隊を壊滅させたそうじゃないか…。しかも素手で…。」

 

 

「はは…。まあ、確かに素手なんですけどそれができたのはこの右手のお陰です。」

 

そう言って俺は左手で右手を叩く。

 

 

「そうか…。では、もう一つ…。君はその時に敵機の爆撃で死んだという報告があったのだがどうやって生き延びたんだ?」

 

 

「あー…。それはですね」

 

俺は訳を話した…。

 

 

「なるほど、にわかには信じられない話だが君がそういうのなら本当なのだろう…。」

 

俺はその言葉に内心ホッとする…。

 

だが、しかし…。と元帥は続ける。

 

 

「この事はあまり口外しない方がいい、私や君の艦隊の子達はいいが、深海棲艦をよく思わない輩の方がここ、いや、この世界は殆どだ…。下手に話してその者達(深海棲艦の残党)を刺激してしまえば今度こそ何が起こるか分からない…。」

 

俺はその言葉に慎重に頷く。

 

 

「分かりました、この事は話さないようしておきます」

 

 

「うむ…。私もこれは胸のうちに閉まっておく…。君も気を付けておくんだよ」

 

そう言って歩き出す元帥…。

 

俺はそれを見送った。

 

しかし、少しすると元帥が戻ってきた。

 

俺はどうしたのかと思っていると…。

 

 

「忘れるところだった、これを君に渡そうと思っていたんだ…。受け取ってくれ」

 

そう言って差し出されたのは一枚の封筒だった。

 

俺は封筒を受け取り聞いてみる。

 

 

「あの、これは?」

 

 

「それは私からの餞別だ、先の作戦のMVPは君なのだから…。帰ってから見るといい、なにか分からなければ君の艦隊の子達にでも聞けば分かるだろう」

 

 

「はぁ…。」

 

それだけ言うと今度こそ元帥は歩き去ってしまった。

 

 

「なんだったんだ?いったい…。」

 

俺が封筒を眺めていると奥の戸が開かれ大本営明石が出てきた。

 

 

「お待たせしました!間宮さんと伊良湖さんの建造が完了しましたよ!中へどうぞ」

 

 

「あぁ、ありがとう」

 

言われるがままに中に入る…。

 

中で待っていたのは…。

 

 

「初めまして、給糧艦間宮ですわ。よろしくお願い致します」

 

 

「同じく伊良湖です…。よろしくお願いします。」

 

割烹着に赤いリボンのヘアピンを着けた女性と、同じく割烹着で黒い髪をリボンで結んだポニーテールの女性だった。

 

 

「俺は上条当麻、よろしくな!間宮さんに伊良湖さん」

 

こうして、俺達の鎮守府に新たに補給艦が二隻配備されたのだった。

 

 




おっす!上条さんだ!

着任した補給艦二人の腕を見るため上条は食堂に二人を呼び出す。

しかし、二人の腕は上条の予想を凌駕しており…。

次回、新約、とある提督の幻想殺し…。

補給艦vs空母勢

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!


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呉鎮守府編
補給艦vs空母勢


前回までのあらすじなのです!

鹿島さんの一言から大本営に赴いた上条。

そこで補給艦2隻の建造を申し込む…。

2隻の建造を待っていると元帥が話しかけてきて、上条にあるものを渡すと去っていってしまうのだった。


side間宮

 

こんにちは、間宮です。

 

今私と伊良湖ちゃんは提督に呼び出されて食堂に向かっています。

 

 

「それにしても、いきなりどうしたんでしょう?提督さんは」

 

歩きながら伊良湖ちゃんが話します。

 

 

「分からないけど、きっと何か大事な用なのは確かね」

 

と、話している間に食堂に到着するのでした。

 

 

sideout

 

 

side上条

 

 

 

おっす!上条さんだ。

 

今は食堂に来ているんだ。

 

 

「提督、お呼びですか?」

 

お、来たな。

 

 

「あぁ、間宮さんに伊良湖さん、来たな」

 

 

「えぇ、今日はどうしたんですか?」

 

ま、間宮さんの疑問も当然だよな。

 

 

「いや、ちょっとしたテストをして見ようかと思ってさ」

 

 

「テスト…ですか?」

 

伊良湖さんの言葉に俺は頷く。

 

 

「そう、テストだ。と言っても難しく考えなくてもいい、ルールは簡単だ、二人に二人前分ずつ料理を作ってもらいその時間を計るってだけだからな」

 

その言葉に納得するように頷く二人

 

 

「じゃあ、早速だが始めていいか?それと、食材はここにあるもの全て使って良いことにする」

 

 

『はい!何時でも大丈夫ですわ!』

 

気合十分って感じだな…。それじゃ!

 

 

「よーし、じゃあ始めるぞ!よーい、始め!」

 

即座に調理に取りかかる二人…。

 

二人前なら30分くらいでてきるか?

 

しかし、俺の予想は見事に外れることになる…。

 

 

 

 

 

 

調理開始から2分後…。

 

 

「出来ましたわ。」

 

 

「こっちも完成しました…。」

 

二人が声をかけてきた。

 

え…?もう出来た?嘘だろ?まだ二分しかたってねえぞ?

 

 

「わ、分かった…。じゃあ俺に見せてくれ」

 

そう言うと、四人前の料理が俺の前に並べられる…。

 

早いのはいいが味はどうだろうか…。

 

少し掬い上げ、口へと運ぶ。

 

 

「ッ…!?」

 

旨い!!まるでプロの味だ!

 

何でだ!?どうやってこの短時間でここまでの物を作り上げた?

 

二人がニコニコしながら聞いてくる

 

 

「ふふっ…。どうですか?」

 

 

「提督さん、美味しいですか?」

 

俺はその言葉に頷くしかない…。

 

これは文句の付け所がない程の合格だ。

 

この二人ならここ(食堂)を任せても平気そうだな…。

 

 

「合格だよ、まさかここまでとは思ってなかった…。」

 

俺の言葉に二人は満足そうに頷く。

 

 

「そういえば一つ気になったんだけど、二人は最大どのくらいの料理を作れるんだ?」

 

俺の問いに間宮さんが答えてくれる。

 

 

「そうですね、私も伊良湖ちゃんも10分もあれば十人前くらいは出来ますよ」

 

ってことは、二人で二十人前…。もうこの二人で決定だな!

 

 

「流石は補給艦だな、これなら安心してここ(食堂)が任せられるよ、早速今日からお願いできるか?」

 

 

『はい、お任せください!』

 

これはこれからの食事時間が楽しみだな!

 

俺はそう考えながら司令室に戻るのだった。

 

 




side間宮

時間は飛んで食事時間…。

食堂には江ノ島鎮守府に所属する艦娘達が集まっています。

中には戦艦や正規空母の艦娘も…。

これは気合をいれないといけませんね!

私は腕をまくり料理の準備を始めます。


「さぁ、やるわよ!伊良湖ちゃん!」


「はい!間宮さん!」

さあ、私達の戦いを始めましょう!

私達二人は調理に取りかかるのでした。


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聖夜の夜の幻想殺しと練習巡洋艦

鹿島です。前回のあらすじをお話ししますね?

前回、大本営で補給艦の二隻を建造した上条提督。
江ノ島鎮守府に帰投すると補給艦の実力を図るためテストをします。
そして上条提督の予想をあっさりと上回った二人は空母勢との対決(食事時間)に挑むのでした。


side上条

 

 

「当麻さん、これはどうですか?」

 

 

「ん、あぁ、いいんじゃねえか?」

 

おっす、上条さんだ!

 

今俺は鹿島とショッピングモールに来ている。

 

どうしてそうなったかと言うとそれは一週間前まで時は遡る…。

 

 

 

ーーーーーーーー回想ーーーーーーーーー

 

 

「疲れた…。」

 

貯まった書類やらドックの掃除やらを終えた俺は食堂で伸びていた。

 

疲れた体には甘いものが良いと聞いたので間宮の特盛あんみつを食べようと食堂で注文したはいいがそこで力尽きてしまったのだ…。

 

 

「う、動けねぇ…不幸だ……。」

 

すると、そこに覗きこんでくる顔があった。鹿島だ。

 

 

「お疲れ様です。提督さん、何が不幸なんですか?」

 

見ればわかりそうな気もするけどな…何しろ状態である…。

 

 

「体が重くてもう動けないんだよ…だから不幸だ…。」

 

 

「あらあら、それは大変。しっかり身体を休めてくださいね?それはそれとして提督さん、以前のお話覚えてらっしゃいますか?」

 

なんだ?藪から棒に…。

 

 

「話?何かあったか?」

 

 

「ほら、以前言ってくれた約束のことですよ『一つだけ私のお願いをなんでも聞いてくれるって』」

 

最後の方だけ耳打ちでそう伝えてくる鹿島。

 

あぁー…たしかそんなことを言ったような…。

 

 

「話は分かった…。けどそれで俺に何をしてほしいんだ?俺にだって出来ることと出来ないことがあるぞ?」

 

そう言うと鹿島はにっこりと微笑みながら話す。

 

 

「大丈夫ですよ、提督さんにも出来ることですから♪」

 

『その内容はですね?』と鹿島は続ける。

 

 

「今度、一日限定で私の彼氏になってください♪」

 

ん?か・れ・し…?

 

あまりの事に思考が追い付かない…。

 

そんな時俺より、一早く反応したのは食堂に来ていた鹿島以外の艦娘達だった。

 

皆、信じられないと言った表情で立ち上がり俺達を見ている。

 

最近着任したばかりの間宮と伊良湖でさえ驚きの表情を浮かべている始末…。

 

 

「ど、どうしてそれをお願いするのか聞いてもいいでせうか…?」

 

 

「う~ん…そうですね、私がそうしてみたいから…じゃあダメですか?」

 

ぐぐっ…!上目遣いでそれは反則だろ…!

 

 

「い、いや駄目じゃないからそんな顔するなって…。」

 

すると途端に顔を明るくする鹿島。

 

 

「ほんとですか!やったぁ!ありがとうございます!提督さん」

 

 

「お、おう…。」

 

嬉しそうに抱きついてくる鹿島を横目に。

 

俺は他の艦娘達からの無言の圧力に必死で耐えるのだった…。

 

そして時は最初まで戻る…。

 

 

ーーーーーーーー回想終了ーーーーーーーー

 

 

ってな訳で今に至るって感じだ…。

 

鹿島に名前呼びされてるのは本人曰く…。

 

 

『彼女なら名前で呼んでも問題ないはずです♪』

 

とのことだった。

 

 

「当麻さん、これなんかどうですか?」

 

 

「ん?おぉ、良い感じなんじゃねえの?」

 

 

「ふふっそうですか?それじゃあこれ、買ってきますね?」

 

そう言うと鹿島は数着の服を手にレジへと向かって行った。

 

 

 

 

にしても…どうしてこうなった…。

 

その理由は簡単だ…。俺と鹿島のデート(と言う名の拷問)を尾行してきている者達がいるのだ。

 

誰かって?…………ご明察。そう、家の戦艦勢と空母勢(姉ちゃん達)が変装して着いてきてるのさ…。

 

皆ばっちり変装してるが、中でも加賀姉の変装が板に填まりすぎて見落としかけそうになった…。

 

というか、赤城姉…。アンタのその格好流石に怪しい人にしか見えないんだが…。

 

その後、色々な場所を回った後、俺達は広場へと来ていた。

 

 

「わぁ~…!綺麗…。」

 

鹿島の視線の先には豪華に着飾ったイルミネーションの道…。

 

 

「流石クリスマスだな、結構綺麗じゃん」

 

 

「当麻さん。私、今日ここに来られて本当に幸せです…。

本当にありがとうございます…。」

 

 

「いいって、お前が喜んでくれたならそれでさ」

 

 

「はい!これはそのお礼です。受け取ってください」

 

そう言うと鹿島は俺の頬にキスをした…。

 

 

「ちょっ!?なっ!へ…?」

 

 

「ふふっ♪それじゃあ帰りましょうか当麻さん♪」

 

そう言って更に腕を組んでくる鹿島…。

 

これは俺、後で殺されるかもなぁ…。

 

 

「ま、そうなったらその時だな」

 

こうして俺達は江ノ島鎮守府へと帰っていくのだった。

 

 

 

この世界の全ての艦娘、人間達に…。

 

メリークリスマス




鎮守府で俺を待っていたのは般若の形相をした鹿島を除く艦娘達の姿だった。

俺は縛りあげられ正座させられている…。

その中で長門般若が口を開く…。


「覚悟はよろしいですか?提督」


「いや、長門さん達?落ち着いて私の話を…」


『問答無用!!』


「んぎゃーーっ!!やっぱり不幸だーーーっ!!」


「あらあら…提督さんも大変ですね」

その日、江ノ島鎮守府に断末魔にも似た絶叫が響き渡るのであった…。


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昇格の提督と異動の鎮守府

睦月です!

前回のあらすじは鹿島さんとクリスマスデートをした提督

その後、長門さん達にボコボコにされていたにゃしい♪



side上条

 

おっす、上条さんだ!

 

今は入渠ドックで傷の修復中だ。

 

 

「痛っつぅ…。ったく…あちこち痛め付けやがって…激怒した時の神裂かよ、あいつら……」

 

あの時も結構死にかけたもんな…。いや、アックアの時の方が酷かったか?

 

 

「…そんなことより、まだこんなにかかんのかよ……」

 

後ろのパネルにはまだ…。

 

 

 

 

 

 

【修復完了時間:2:30:00】

 

 

 

 

「あー…駄目だ、起きてられそうにね…ぇ…。」

 

俺はその言葉を最後に眠りに落ちていった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ピピーッ!!ピピーッ!!

 

何やら喧しい音がする…?

 

 

「……んぁ?なんだってんだ?」

 

音のする方を見るとパネルが鳴っていた。

 

よく見ると時間はゼロになっている。

 

 

「…修復が終わったのか…。くぁ~っ…!よく寝た…。」

 

俺は湯船から上がり服を着替える。

 

 

「あー…やっぱ右手はそのまんまか」

 

外に出したまんまだったもんな…。

 

でも、右手を中に入れてると効果が消えちまうもんな…。

 

 

「仕方ねえ、医務室寄って行くかな?」

 

服に着替えた俺はそのまま医務室へと向かったのだった。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

「まったく、君はいつも怪我をしてるね…。」

 

そう話すのは学園都市でもよくお世話になっていたカエル顔の医師。別名、冥土帰し(ヘブン・キャンセラー)という凄腕の医者だ。よくこの鎮守府に出張でやって来てくれるいい人でもある。

 

 

「ははは、面倒をお掛けします…。」

 

 

「……ほら、腕の処置は終わったよ。今度は気を付けるんだね」

 

右手の治療が終わり包帯でぐるぐる巻きにされた右手はミイラと化していた…。

 

この見た目だけはどうにかしてほしいよなぁ…。

 

だが前にお願いしてみた時…。

 

 

『そんな事すれば君の診察料がバカにならなくなるよ?』

 

と言われて諦めたんだったっけ…。

 

 

「すいません、ありがとうございます。」

 

 

「あまり僕を頼りにしないようにしてほしいね…。」

 

 

「はい…精進します…。」

 

そう言うと俺は医務室を出た。

 

向かう先は司令室…。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…。そう言えば元帥から渡された封筒。まだ中身確認してなかったな」

 

俺は机の引き出しから一通の封筒を取りだすと、器用に左手で封を解いていった。

 

 

「さて、中身は…。ん?なんだこれ?」

 

入っていたのは一枚の紙…。

 

内容を読んでみてもチンプンカンプンだった。

 

 

「ん~…どういうことなんだ?これ」

 

俺が一人頭を悩ませていると声が聞こえてくる。

 

 

「あらぁ~どうしたの?難しい顔して」

 

その声に反応して前を見ると何時の間に来たのか、龍田が入ってきていた。

 

 

「おぉ、龍田。丁度良かった。これ、どういう意味か分かるか?」

 

俺は紙を龍田に渡す。

 

 

「何かしら~?あら?これって…。」

 

少し目を見開くと嬉しそうにニコニコしだす龍田。

 

ちょっと怖いんですが…。

 

 

「何か分かるか?」

 

 

「うふふ、提督良かったですね~大手柄じゃないですかぁ~」

 

なんだ?大手柄?なんの事だ?

 

 

「どういうことだよ?良いことなのか?」

 

 

「えぇ、とっても良いことよぉ~それじゃあ私はこれで失礼するわねぇ~」

 

 

「あ、あぁ…。」

 

そう言って司令室を後にする龍田。

 

 

「なんだったんだ?いったい…ん?」

 

ふと窓を見ると入り口のところに郵便局員の姿が見えた。

 

 

「手紙か?」

 

俺は立ち上がると手紙を受けとるため、司令室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「速達でーす!」

 

 

「あぁ、ご苦労様…。」

 

手紙を受けとると配達員はすぐさま帰っていった。

 

 

「さて、送り先は…。ん?大本営から?」

 

内容を確認するため俺は封を解き、中身を取り出すのだった。

 

 

 

sideout

 

 

 

 

side加賀

 

 

私達は今、食堂で祝いの席の準備をしています。提督はいません…。

 

どうしてそんなことをしているのか、それは龍田さんが鎮守府の皆さんに声をかけて食堂に集めたのがきっかけでした。

 

龍田さんの話では提督は以前の海戦の時の褒美として大将の地位を元帥から譲り受けていたのだそう…。

 

それをついさっき知った龍田さんが鎮守府にいる艦娘全員に声をかけて昇格祝いを開こうと言う話になったのです。

 

 

「これでいいかしら?龍田さん」

 

 

「えぇ、ありがとう加賀さん」

 

なんとか部屋の準備は整いましたね…。

 

 

「料理の方もいつでも行けますよ~!」

 

 

「うん、上々ね♪」

 

料理の方も仕上がったようですね。これで提督を祝う席は整いました。

 

 

「それじゃあ私は司令官さんを呼んでくるのです!」

 

 

「あ、ズルい!私もいくにゃしい!」

 

 

「私も行きます~!」

 

電さん、睦月さん、綾波さんが提督を呼ぶために出ていってしまいました。

 

 

「それじゃあ私達は提督をお祝いする準備をしておきましょう~皆さん、位置に着いてくださいね~」

 

龍田さんの言葉に全員が配置された位置に着きます。

 

 

 

【トントントンッ…】

 

次第に聞こえてくる四人の足音…。

 

そして扉の前で止む足音。私達は構えます。

 

 

【ガチャッ!ギィィィィ…】

 

扉が開き入ってきた提督に私達は一斉に声をかけます。

 

 

『提督!大将昇格おめでとうございます!』

 

驚きに顔を染めている提督。けどその表情はどこか暗い…。

 

 

「お、おぉ、ありがとな!でも、どういうことなんだ?」

 

 

「見ての通りよぉ~提督は海軍でも二番目に偉い地位を手にいれたのよ~」

 

龍田さんの言葉に驚愕を顔に出す提督。

 

 

「お、俺が海軍の二番手!?」

 

 

「私達も鼻が高いです…。これからも私を導いてくださいませ…。」

 

赤城さんの言葉に提督は顔を暗くする…。どうしたのかしら?

 

暗い表情のまま提督はそっと口を開きました…。

 

 

「……悪い、赤城姉、俺、もうお前達の司令官じゃないんだ」

 

その言葉にその場にいた全員が言葉を失います…。

 

 

「提督、それはいったいどういうことなのかしら?説明してもらえる?」

 

私はなんとか口を開き提督に問いかけます。

 

 

「あぁ、実は先程大本営から通達が来てな。俺、呉鎮守府に異動することになっちまったんだ…。」

 

 

「そんな…。」

 

なんてこと…。提督が居なくなってしまったら私達は…。

 

だけど!と、提督は続ける。

 

 

「異動するにあたって一隻だけなら前鎮守府の艦娘を連れていって良いとのことだったんだ」

 

 

『ッッ!?』

 

その言葉に私達は息を呑みます…。

 

 

「それで考えたんだが、その一隻は加賀姉、お前にしようと思うんだけど…いいか?」

 

皆さんが一斉に私の方を見る。

 

 

「……どうして私なのか聞いてもいいかしら?」

 

そう言うと提督は少し考えてから答えました。

 

 

「なんつーか、加賀姉といると落ち着くから…。それじゃ駄目か?」

 

 

「ッ!!いいわ、提督がそう言うのなら着いていってあげるわ…。」

 

 

「ありがとな、それと悪いなおまえら…。こんな不甲斐ない提督でさ」

 

提督のその言葉に赤城さんが答えます。

 

 

「いいえ、提督。貴方は私達には過ぎた御人です…。どうかそちらでもお元気で…。御武運を…。」

 

そして赤城さんは私の方を見て言います。

 

 

「加賀さん。提督のこと、よろしくお願いしますね…。」

 

 

「えぇ、赤城さん、任せてください。提督は私が必ず守るわ…。」

 

私の答えに赤城さんは満足そうに頷くと皆さんに声をかけます。

 

 

「さあ、提督と加賀さんの門出を祝うために盛大に盛り上げましょう!皆さん」

 

 

『はい!』

 

その日、私達は騒ぎ倒し、翌日の朝江ノ島鎮守府を後にするのでした。

 

 

 

さようなら、赤城さん、皆さん…。




榛名です!

提督達が異動した先は呉鎮守府…。

しかしそこはとんでもない所でした!

あぁ、提督と加賀さんはどうなってしまうの?

次回、新約 とある提督の幻想殺し…。

異動先は…。

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる!


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異動先は…。

加賀です......。

前回、提督が先の作戦の褒美として元帥から昇格を告げる手紙をもらっていたことで提督をお祝いする私達でしたが、提督の思わぬ発言で事態は一変...。

『俺、呉鎮守府に移動することになっちまったんだ』

果たして提督の運命は如何に......。



______________________

side上条

おっす、上条さんだ。

赤城姉たちに盛大に祝ってもらった翌日、俺は加賀姉を連れ立って大本営に来ていた。

今は元帥が来るまで別室で待機している所だ。

どうしてこんな所にいるかというと、前に移動の通達が来た時に一緒に元帥からの手紙も入ってたんだ。

内容は『移動先の詳しい内容は口頭で話すから後日、大本営まで来てほしい』とのことだった。

それで今俺達は大本営まで来ているって訳だ。

ここに来るのは間宮さんと伊良湖さんを建造しに来た時以来だな。

その時だよな、あの手紙をもらったのは......。

あの後なんだかんだと忙しくて中々確認できてなくてつい最近まで昇格してたことなんか知らなかったもんな......。

ちなみに加賀姉は座ったまま静かに迷走みたいなことをやってる。

やっぱ弓道をするにはそのくらいの集中力が必要になんのかな?

そんなことを考えていると扉が開き、初老の男性が入ってきた。元帥だ...。


「待たせてすまない、よく来てくれたね、上条当麻くん。その顔を見るに私の贈り物は気に入ってくれたようだね」

俺は慌てて慣れない口調で元帥に返す。


「は、はい!この上条当麻!元帥からの贈り物しかと受け取り光栄でありませう!」

その言葉を聞いた元帥は少し笑って話す。


「そう緊張しなくていい、話しやすいように話してくれ」

いいのか?目上の人なのに......。


「で、では、お言葉に甘えて...元帥からの贈り物は嬉しいというか驚きましたよ......」

なにせ、海軍の二番手だからな。そりゃ驚きもするだろう。


「ははは、喜んでもらえた様で何よりだよ...それに、その子を連れて行くことにしたようだね」


「はい、加賀姉はというより俺は艦娘のことを仲間、いえ、家族同然に思ってますから」

俺のその言葉に元帥は一瞬ポカンとした顔をするが、すぐに笑顔に変え、言った。


「やっぱり君にあの鎮守府を任せて正解だったようだ江ノ島の艦娘たちは幸せ者だな」

と、その後、元帥と他愛もない雑談をした後に俺は今回の目的をそれとなく聞いてみた。


「そう言えば元帥、今日のお話についてなんですが......」

俺の言葉に元帥の顔が一瞬のうちに真面目な者へと変わる。


「そうだったね、これは今度君が行く呉鎮守府についてなのだが......」

俺はその厳格な雰囲気に少し身構える。

チラとみると加賀姉も真剣な顔で元帥の話に耳を傾けていた。


「実はこの鎮守府には黒い噂が絶えない所でね。つい先日、そこの前任の提督が謎の死を遂げたと報告があったんだ。
それでこちらでスパイを送り、極秘に調査を進めていたらとんでもないことが分かってね......」


「とんでもないこと...ですか?」

俺の質問に元帥は頷いてから再度話し出す。


「詳しいことは私の口からは言えないがただ一つ言えることはあそこはブラック鎮守府になっていたんだ」

ブラック鎮守府?聞いたことのない単語に俺は首を傾げる。


「よく分からないかい?例に例えるならブラック企業の鎮守府版だと思ってくれたらいい」

あぁ、そういうことなのか。

元帥の説明でようやく理解できた。


「君達にはそこの鎮守府を立て直して欲しいんだ」


「えっと、立て直すって...何をすればいいんでせう?」


「なに、難しく考えなくてもいい。君は江ノ島にいた時と同じように過ごしてくれればいい。
その中で艦娘にこうなってほしい、こうしてあげたいと思うことがあればそれをやっていけばいいんだ」

なるほど、とりあえずはいつも通りでいい訳か。


「分かりました。上条当麻!この任、謹んでお受けします」

それを聞いた元帥は嬉しそうに笑って言った。


「あぁ、任せたよ、上条大将。呉の艦娘たちを救ってあげてくれ」

こうして俺達は大本営を後にするのだった。


sideout



side加賀

 

今、私達は呉に向かう電車の中にいる。

 

電車に乗っている間、提督は難しい顔で何かを考え込んでいるようでした。

 

私は電車に乗ることが新鮮だったのもあって外の変わりゆく景色を堪能していた時でした。

 

 

『まもなくぅ~呉駅ィ~お降りの方はドアの方にお進みください』

 

もう直に目的駅に着くのね。

 

提督の方を見ると、先程の放送が聞こえていなかったのかいまだに何かを考え込んでいる。

 

 

「提督、もうすぐ到着よ?」

 

 

「............」

 

声をかけるが返事がない。どうやら聞こえていないみたい。

 

仕方ないので少し揺すってみる。

 

 

「ッ!な、なんだ加賀姉か、どうしたんだ?」

 

一瞬、驚いた顔をすると我に返ったように私に問いかけてくる。

 

 

「もうすぐ到着よ?降りるのではないの?」

 

そう言うと提督は慌てて外を見回す。

 

窓を見ると、呉駅のホームが見え始めている。

 

提督は慌てて立ち上がり話す。

 

 

「加賀姉、降りるぞ!忘れ物だけ気を付けてくれ」

 

 

「えぇ、分かったわ」

 

私も荷物を持ち、立ち上がると電車から降りるのだった。

 

 

「ぐっ...ん~......ッッ!流石に何時間も電車に乗ってるとキツイな......」

 

勢いよく伸びをする提督。

 

そこに近づいてくる一人の者がいました。

 

 

「よお!カミヤン待ってたぜい!」

 

そう声をかけられた提督が振り返るとそこには、金髪のぼさぼさ頭にサングラス。それにアロハシャツを着こんだ少年が立っていた。

 

 

「土御門!?なんでこんなところにいるんだよ!」

 

 

「なんでってそりゃお前...スパイしたからに決まってるにゃ~」

 

スパイ?ということはこの方が元帥の言っていた?

 

しかも提督のお知り合いのようだけど....。

 

と、そこで提督を見ると呆れたような顔をして土御門と呼ばれた人を見ていた。

 

 

「お前、いったい幾つスパイやれば気が済むんだよ?それ何個目だ?」

 

 

「それは秘密だぜい」

 

こんなおちゃらけた人が本当にスパイなのかしら?

 

 

「まあいいか、それじゃ土御門。呉鎮守府はどんな感じなんだ?」

 

 

「あぁ、相当不味いことになってる。前任の馬鹿がやり過ぎたせいでな......」

 

その後、土御門さんが話した内容はこういったものだった。

 

以前の呉鎮守府の前任の提督は艦娘達に非人道的な扱いをしていたという。

 

セクハラやパワハラは当たり前。

 

気に入らなければすぐに暴力。

 

補給も最低限、入渠すらさせず出撃ではS勝利以外は全て罵倒や暴力の嵐...。

 

艦娘が稼いだ資源を自身が着服して売りさばいていたり。

 

挙句の果てには姉妹を人質に取って無理やり言うことを聞かせていたらしい......。

 

 

「ってのが、呉鎮守府での出来事だ ......」

 

私はその前任の提督が許せなかった。

 

私の同期達に酷い仕打ちをしたことに......。

 

しかし提督は少し笑って言った。

 

 

「分かった。色々調べておいてくれてありがとな土御門。行こう、加賀姉」

 

私は提督の態度に戸惑いながらも歩き出した。

 

土御門さんを通り過ぎた時、後ろから声が聞こえてきた。

 

 

「カミヤン!呉の艦娘たちは全員が提督という種を嫌っている。殺されることだってあるかもしれない。

慎重に行動しろよ!」

 

その言葉を背に私達は駅を後にしたのでした。

 

 

sideout

 

 

side陸奥

 

 

あのクズがいなくなって数日......。

 

私達の間には平和な時間を過ごしていた。

 

けれど、アイツが私達に付けた傷は深い......。

 

少ない時間で解決するほど浅くはない。

 

そこに一人の少女が声をかけてくる...重巡洋艦の利根だ。

 

 

「のぉ、陸奥よ」

 

 

「なに?利根」

 

 

「先程大本営から通達が来ての。どうやら新しい提督がここに着任するらしいのじゃ」

 

 

「そう......」

 

 

「どうするのじゃ?」

 

 

「私達の平穏を壊される訳にはいかないわ、消しましょうかその提督...」

 

 

「じゃが、大本営に知れたら大問題じゃぞ?」

 

 

「大丈夫よ、利根。その提督はここに来る最中に謎の爆発に巻き込まれて死ぬの...前任と同じ方法でね...」




呉鎮守府に向かう最中、謎の襲撃を受ける俺と加賀姉。
俺は単身、その襲撃者の元に向かう......。

幻想殺しと艦娘が交差する時。物語は始まる。


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襲撃者達……

電です。

前回、元帥さんに呼び出されて今度向かう先はブラック鎮守府だと言うことを聞かされた上条司令官さんと加賀さん。

向かった先の駅で司令官さんのお友達のスパイさんの話を聞いて呉鎮守府の現状をきいたのでした。

今回はどうなってしまうのです?


side上条

 

 

土御門の警告を聞き、駅を後にした俺達は呉鎮守府へトボトボと向かっていた。

 

 

 

しばらく歩いていると前方にそれらしき建物が見えてきた。

 

 

「あそこが目的地か、長かったな……」

 

そう話す俺の耳には微かにだが聞き覚えのある音が聞こえていた。

 

俺は即座に加賀姉に指示を出す。

 

 

 

「加賀姉、砲撃が来る。俺の後ろに下がってくれ」

 

俺の言葉で加賀姉は察してくれたのか直ぐ様後ろに隠れてくれた。

 

その直後、俺達に砲弾が猛スピードで飛んできた。

 

俺は瞬時に右手をを、砲弾にむけて突き出す。

 

 

【パキイィィィィィンッ!!】

 

ガラスが割れるような音と共に砲弾が打ち消される。

 

その光景を見て俺を二つの感情が襲った。

 

一つは前任に対する怒り……。

 

もう一つは虐げられてきた艦娘達への悲しみ……。

 

それらの感情がない交ぜになり俺の中を包んでいた。

 

俺は加賀姉に再度指示を出す。

 

 

「加賀姉、俺は先に行くから悪いけどここで少し待っていてくれ。それと俺が行ってから五分程経ったら偵察機を飛ばして様子を見てから来てくれ」

 

 

「……分かったわ」

 

その言葉に加賀姉はなにか言いたそうだったが、頷いてくれた。

 

それを見届けてから俺は歩きだした。

 

砲撃をしてきたであろう者達のもとに向かって……。

 

 

sideout

 

 

 

 

side陸奥

 

 

私は驚愕していた。

 

つい今しがた新しく着任する筈の提督に向けて主砲を撃ったのだ、狙いもバッチリ。弾道も逸れてなかった……。

 

だが、砲弾が提督に当たる直前、提督が砲弾に向けて右手を突き出したと思ったら砲弾が元から無かったかのように消え去ってしまった。

 

私は目の前の光景が信じられなかった……。前の提督はこれで跡形もなく消し飛んだのにあの男は無傷で立っていた。

 

そして、怒りとも悲しみともつかぬ表情で私達の方に歩いてくる。

 

またあの地獄のような日々が戻ってくる……。

 

私はその恐怖から動けなくなっていた。

 

 

「ど、どうするのじゃ!?あの男こっちに来るぞ!早く逃げねば!」

 

私だって逃げたい、早くこの場から逃げ出したい。

 

だが、体が動いてくれない……。

 

そんなことをしている間に男は私達の目の前にやってきていた。

 

 

「……」

 

男が無言で手をあげる。

 

 

「ひっ…!」

 

殴られる…また拷問にも近い暴力がくる!

 

私は直に来るだろう痛みと恐怖に目を強く閉じる。

 

だが、待っていた痛みはいくら待っても来ず、かわりにポンと優しく頭を撫でられる。

 

頭を撫でながら男は話す。

 

 

「お前達の事情はある程度聞いて知ってる…。すぐに気づいてやれなくて悪かった……」

 

そう言って私から手を離すと少し離れて深々と頭を下げた。

 

私達は戸惑うしかない……。

 

今までの提督達は私達を兵器としてしか見ておらず、私達を欲望の捌け口にして非道な扱いをしてきた。

 

だが、目の前の男は何かが違う…。私達に暴力を振るうどころか私達の事情を知った上で謝罪してきた……。

 

まるで、私達を人間と同じように扱っているかのように……

 

男は頭を下げ続けながらこうも言った。

 

 

「お前達が提督を殺したいほど恨んでいることは知ってる…だから俺の命なんかで気が済むのなら殺してもいい……」

 

そう言って顔をあげた提督の顔は死を覚悟した者のそれだった。

 

こんなチャンスは二度と来ない…。今殺しておかないと私達はあの地獄に戻ることになる。

 

私達は主砲を男に向け構える。それでも男は表情を変えず当てやすいように両手を広げる。

 

折角逃げないで待っていてくれている。撃つなら今しかない!

 

そう思っているのに、撃つことが出来ない……。

 

男の真っ直ぐな表情の前に撃てなかった。

 

私は砲身を降ろす。どれだけ自身を納得させてもこの男を撃つことは出来なかった……。

 

そこに現れる者があった。

 

 

「そこまでにしなさい、あなた達…」

 

そう言って男の前に立ち塞がったのは私達と同じ艦娘の正規空母加賀だった。

 

 

sideout

 

 

 

side上条

 

 

 

「……加賀姉」

 

突然の加賀姉の登場に俺は思考が追い付かない。

 

 

「何を勝手なことをしているの?提督……あなたが死んだら私や江ノ島に残してきた皆さんはどうなるの?…また私達を、悲しませるつもり?」

 

 

「……けど」

 

こいつらが恨んでいるのは他でもない提督なんだ、そんな簡単に信じろって方が余程酷だ。

 

 

「提督が言いたいことも分かるわ、けど、敢えて言わせてもらう。あなた達、今だけでいい…この人を信じてあげて…きっとあなた達を救ってくれるから……」

 

そう話す加賀姉の顔はいつもの無表情ではなく、慈愛に満ちた女神の如き優しい顔をしていた。

 

 

「……本当にあのクズとは違うのね?」

 

 

「えぇ、天に誓って……」

 

 

「……分かったわ、あなた、名前は?」

 

加賀姉と話をしていた長門に似たお姉さんの艦娘が俺にそう声をかけてくる。

 

 

「俺は上条当麻だ」

 

 

「そう、じゃあ上条くん。今は撃たないでおいてあげる。けど、私達に何かしたらその時は撃ち殺すわ」

 

その瞳を見てこの女性が本気なのだと言うことを理解した俺は頷く。

 

 

「あぁ、それでいい。ありがとな!えっと…」

 

名前を呼ぼうとして言い淀んでしまう。

 

それを見て女性はクスリと笑うと教えてくれた。

 

 

「長門型戦艦の二番艦の陸奥よ、よろしくね、提督」

 

そう言ってニコリと微笑んでくれた。

 

 

「我輩は利根型の一番艦の利根じゃ!あまり信用はしておらんがよろしく頼むぞ提督……」

 

と、陸奥さんの横にいたツインテールも教えてくれた。

 

 

「陸奥さんに利根さんだな。あぁ、よろしくな」

 

にしても、似てるとは思ってたけどまさか姉妹艦だったとは…どうりで似たような格好してる訳だ。

 

 

「とりあえず、司令室に案内するわ。ついてらっしゃい」

 

 

「あぁ、ありがとな」

 

こうして俺と加賀姉は陸奥さんの案内で呉鎮守府の司令室に向かうのだった。

 




陸奥に司令室に案内された俺達…。

しかしそこはとんでもない悪趣味なものだった。

次回、新約、とある提督の幻想殺し

着任の幻想殺し提督…。

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる。


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着任の幻想殺し提督…。

赤城です。

前回、陸奥さんと利根さんの襲撃を受けた提督と加賀さん。
しかし、提督の能力で二人の攻撃は失敗し、提督は二人の元に向かう。
そこでとんでもない行動に出るのだが加賀さんの登場によりなんとか事なきを得るのでした。


side上条

 

おっす、上条さんだ。

 

今俺達は陸奥さんと利根さんの案内で呉鎮守府のある一室にいるんだけど......。

 

「あの...陸奥さん?」

 

 

「なに?」

 

 

「この扉はいったいなんなのでせうか?」

 

そう、今俺と加賀姉の前にはいつもの木製の扉ではなく、

 

細かい刺繡や装飾がこれでもかというほど施されたどこの王族だとツッコミを入れたくなるような豪華な【完全に場違い】な扉があるのだ。

 

 

「なにって、司令室の扉よ?」

 

どうやら問題はこんな所から始まっているらしい......。

 

 

「はぁ、不幸だ......」

 

口癖のように嘆きの言葉をつぶやくと今度は利根さんが口を開く。

 

 

「嘆いているところ悪いのじゃが、中はもっとえげつないことになっておるんじゃぞ?」

 

 

「・・・え?」

 

中はここよりも酷い...だと!?なんてとこに飛ばしてくれてんだよ元帥......。

 

しかし、ここで嘆いていても仕方がない。

 

 

「ええい、ままよ!男!上条当麻!逝くぞ!」

 

 

「使う言葉を間違えてるんじゃないかしら」

 

いいや、加賀姉間違えてなんかねえよ。

 

俺は意を決してその扉を開け中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

「うわぁ......」

 

部屋に入って出た第一声はその一言だった。

 

それはそうだろう、部屋に入った瞬間目に入る巨大な点がい付きのベットに妙にピンクがかった壁紙。

 

そして申し訳程度に置いてある提督机......。

 

どこからどう見てもラ○ホじゃねえか!

 

前任の提督はアホなのか!?なんで仕事するところにこんなものおいてんだよ!

 

壁紙も色合いが変過ぎて落ち着かねえし、何よりなんだよあの申し訳程度に置かれた机は!

 

 

「ね?酷いものでしょ?」

 

陸奥さんも嫌そうな顔をしてそう話す。後から入ってきた利根さんも同じような顔をしている。

 

どうやら二人ともこの部屋にいい思い出はないらしい......。

 

 

「あぁ、これは改装が必要みてえだ」

 

仕方ない、ちょっと工廠にいって妖精さん達に部屋の改装を頼もう。

 

あ、その前に何かお菓子でも買って行くか、あいつら甘いもの好きだったはずだし。

 

ついでにここの艦娘たちの様子と食堂の調査だな。

 

俺はそう考えて司令室を後にするのだった。

 

 

sideout

 

 

side川内

 

今日はなんだか朝から少し騒がしい......。

 

何かあったんだろうか。

 

 

「川内……」

 

入ってきたのは同部屋の天龍だった。

 

 

「どうかした?天龍」

 

この直後、私は予想もしていなかった言葉を聞くことになる。

 

 

「さっき、筑摩から聞いたんだけどよ...今日、新しい提督が着任した来たらしいぜ?」

 

 

「・・・・そっか」

 

それを聞いた私はトラウマがフラッシュバックしかけてしまった......。

 

なんとか出した声は掠れ、体の震えが止まらなくなる......。

 

 

「川内...大丈夫だ...もう、お前をあんな目に遭わせたりしなねえ。那珂の為にも、絶対にな」

 

そう話す天龍は私を抱きしめながら強い覚悟をした瞳をしていた。

 

そう、この部屋には妹、那珂の姿はない......。

 

もう会えない存在になってしまったから......。

 

私は天龍に抱きしめられながら落ち着くのを静かに待つのだった。

 




工廠に着いた俺達を待っていたのはボロボロでフラフラの明石だった。

明石のあまりの容体に俺達はすぐさま入渠ドックへと駆け込むがそこにあったのは......。


次回、新約、とある提督の幻想殺し

呉鎮守府の現状......

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる。


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呉鎮守府の現状......

榛名です。

新たに着任した呉鎮守府の執務室に案内してもらった上条提督...。

しかしそこはとんでもない作りになっているのでした。

今回はその部屋を改装してもらおうと工廠に向かったところから話は始まります。


side上条

 

おっす~上条さんです。

 

あのキチガイ部屋(執務室)を後にした俺は陸奥さん達と別れ、

加賀姉と工廠に向かっていた。

 

 

「着いたな」

 

 

「そうね」

 

工廠らしき建造物の前に着くと、早速中へ入っていく。

 

しかしそこで俺は違和感を覚えた。

 

 

「・・・あれ?」

 

 

「どうかしたの?」

 

 

「いや、いつもなら明石がすぐ出てきてくれるだろ?それがないからちょっとな...もしかしてこの鎮守府には居ないのか?」

 

しかしその問いに加賀姉は首を横に振って否定する。

 

 

「それはありえないわ、彼女の艤装がない鎮守府は多いでしょうけど、明石本人がいないことは絶対にないわ...。彼女たちはどこの鎮守府にもいるはずなのだから」

 

それを聞いた俺は嫌な予感を感じ取り、足を少し早める。

 

 

「明石~入るぞ~?」

 

 

【ガチャッギイィィィィ…】

 

扉を開け、工廠の奥へと入っていく。

 

 

「!......提督、あれを見て」

 

 

「ッ!まさか!」

 

奥に入るといの一番に視界に飛び込んできたのは奥の方で転がっている足だった。

 

それを見て俺の脳裏にインデックスが倒れていた時の記憶がよみがえる。

 

 

「おい!大丈夫か!」

 

慌ててその足の元に駆け寄る。近づいてみると、やはり足の正体は明石だった。

 

その姿は傷だらけで今にも死んでしまいそうなほどに衰弱していた。

 

そんな中俺の事に気づいた明石が弱々しくつぶやいた。

 

 

「...て...とく...すみ...ませ...すぐ...仕事...します...から...」

 

 

「もういい!動くな!すぐ入渠ドッグに連れ行くからな!」

 

そう言うと俺はすぐさま明石を抱き上げると走った。

 

 

「提督、入渠させるのいいけれど、ドッグの場所は分かるの?」

 

後ろからついてきている加賀姉がそう問いかけてくる。

 

 

「大体の見当はついてる!今はとにかく行ってみるしかない!」

 

そう言いながら明石に負担が掛からないよう気を付けつつ全力で走るのだった。

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ここか...」

 

あの後、ただ走って何とか入渠ドッグへとたどり着いた俺達。

 

しかし、そこで俺達を待っていたのは...。

 

 

「......なんでだよ!どうして閉鎖してやがるんだ!」

 

そう、目の前の入渠ドッグは閉鎖されていてとても使える状態ではなかった。

 

 

「前任の奴は何処まで腐ってやがったんだ...こんなことして何が楽しいんだだよ...」

 

 

「.........」

 

すると、悲壮に暮れる俺達に声をかけてくる奴がいた。

 

 

「ん?そこにおるのは提督と加賀じゃないか?どうしたのじゃ?」

 

声のした方に向くと、そこにいたのは利根さんだった。

 

俺は簡単に事のあらましを利根に話した。

 

妖精さんに部屋の改装を頼もうと工廠に行ったら明石が倒れていたこと、

 

明石の状態がただ事ではないので急いで入渠させなければならないこと

 

利根さんはそれを聞いておもむろに口を開いた。

 

 

「そういうことじゃったか、それなら確か前に司令室でドッグの鍵を見た記憶があるぞ」

 

 

「っ!それは本当か!」

 

 

「うむ、じゃが随分前の事だから今もあるかは分からんぞ?」

 

 

「何もしないよりずっとマシだ!加賀姉、それに利根さん、悪いけどちょっと明石を頼む」

 

 

「分かったわ」

 

 

「うむ!任された!」

 

そう言って加賀姉に明石を渡すと、俺は即座に司令室に向けて走り出すのだった。

 

 

 

 

 

__________________

 

 

 

 

あの後、俺はキチガイ部屋(司令室)の中を探し回っていた。

 

 

「ない...ここにもない...ここにも!いったいどこにあるんだよ!」

 

部屋にしまえそうなところを隈なく探しているのだがいっこうに見つからない...。

 

すると、そこで声がかけられる。

 

 

「あら、提督じゃない、どうしたの?何か探し物?」

 

 

「?あぁ、陸奥さんか...いや、入渠ドッグの鍵を探しててさ...」

 

 

「ドッグの鍵?あぁ、それなら私が持ってるわよ」

 

 

「・・・え?」

 

帰ってきた答えに一瞬よく理解できなかった。

 

 

「だから、ドッグの鍵なら私が持ってるって言ってるの」

 

 

「えぇぇぇぇぇぇェェェ!!??」

 

あまりにも予想外な返答が帰って来て俺は絶叫を上げる。

 

 

「そんなに叫ぶほどの事?」

 

 

「いやいやいや!陸奥さん!?なんでアンタがその鍵を持っているんでせう?」

 

 

「なんでって、前任の提督を殺ったときにアイツが持っていたものを拝借したのよ」

 

 

「あまりにも唐突なカミングアウトに上条さんはどうツッコめばいいかわからないですよ...」

 

長門ってここまで飄々としてたっけ?

 

 

「と、とにかくだ、鍵があるなら話は早い。その鍵を渡してくれないか?」

 

 

「いいわよ?ほら」

 

そう言って鍵束についている二つのカカギを渡してくれた。

 

 

「サンキュー、急がねえと!」

 

俺は鍵を受け取るとすぐさま部屋を後にするのだった。

 

 

 

__________

 

 

 

鍵を手に加賀姉達の所に戻ると、二人に先程と変わった様子は見られなかった。

 

二人は俺に気づくと声をかけてくる。

 

 

「鍵は見つかったの?」

 

 

「あぁ、陸奥さんが持ってたみたいでなんとかなった」

 

 

「陸奥が持っておったのか?やはり部屋にはなかったのか」

 

 

「あぁ、どうも前任の奴が持ってたらしい」

 

そう答えながら俺はドッグに近づく。

 

 

「さて、じゃあ早速ドッグを解放しなくちゃな」

 

俺は鍵を使い二つのドッグを開放する。

 

中は入渠ドッグの妖精さん達が整備していてくれたようで綺麗だった。

 

 

「さあ、早いとこ明石を入渠させねえと...あ」

 

と、そこで俺はあることに気がついてしまう。

 

入渠ドックは謂わば風呂だ、となれば服を脱がせなきゃならないわけで......

 

しかし相手は女...従って俺が脱がせばそれは端的に言ってセクハラに当たる...。

 

底に思い至った俺は加賀姉に声をかける。

 

 

「あのぅ...加賀さん?」

 

 

「姉さんと呼びなさい...。それで、何かしら?」

 

 

「いや、明石さんを風呂に入れてあげて欲しいのでせうが......」

 

 

「なんじゃその『せう』と言うのは...」

 

 

「利根、これは提督の口癖みたいものだから気にしたら負けよ...それと、明石の件だけれど、了解しました」

 

その返答を聞いて俺はホッと胸をなでおろした。

 

危うくセクハラで憲兵にお縄になるところだった...。

 

そんなことを考えながら俺は一人入渠ドックを後にするのだった。

 

 

 

 




ドックを後にした俺が次に向かったのは食堂だった。

しかしここでも問題が発生しており...


次回、新約、とある提督の幻想殺し

補給と食事...。

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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補給と食事...。

綾波です。

前回、倒れた明石さんを入渠させるべく鎮守府を走り回った上条提督...。

利根さんや陸奥さんの協力もあり、入渠ドッグの開放に成功するのでした。

今回は提督が食堂に行った時の話ですね


side上条

 

明石を加賀姉と利根さんに任せた俺は食堂へと向かっていた。

 

今のここにどれだけの艦娘がいるのか分からないが、また俺が料理しないといけないだろうし...。

 

土御門の話だと前任に奴はまともな補給をさせていなかったらしいしな...。

 

そんなことを考えながら歩いているといつの間にか食堂らしき部屋にたどり着いた。

 

 

「ここか...?」

 

入ってみないことには分からないため、俺は扉を開けて中へと入っていく。

 

中にはほとんど艦娘はおらず、ガランとしていた。

 

部屋にいた補給を師に来ていた艦娘たちも入ってきた俺には目もくれず死んだ目つきのまま補給を続けている。

 

そんな中、俺はとんでもないものを見てしまった。

 

ここにいる艦娘たちが食べていたのは補給などで使われる弾薬やボーキサイトだったのだから...。

 

コップに注がれている物も艤装を動かすために必要な燃料である重油だった。

 

彼女たちはそれを生気のない顔で黙々と食していた。

 

 

「なん...だよ...これ...」

 

俺はすぐさま厨房の方を見る。

 

そこには他の艦娘たち同じく死んだような顔で立っている間宮の姿があった。

 

作っている人はいるのかと若干の安心はできたが今はそれどころではない。

 

俺は間宮の元に向かうと問いかける。

 

 

「すみません、あの子達が食べているのって燃料ですよね?」

 

 

「え?そうですが...あなたは?」

 

 

「あ、すみません...。俺、本日付けでここの提督に着任したと上条当麻です」

 

すると間宮の死んだような目に一瞬揺れる。

 

 

「そうでしたか...そんな人がなぜここに来たのか知りませんがここはあなたの用の人間が来るところではありません...。お帰りください」

 

そう言って俺を追い返そうとする間宮。

 

 

「そういうわけにはいきませんよ、俺が前にいた所ではこんなことはしていなかった。こんなことがあっていい訳がない。少し入らせてもらいますよ、はい、ごめんよ~」

 

 

「え?あ!ちょっと...!」

 

間宮の制止を無視して俺は厨房へ入っていく。

 

厨房の中はガランとしており調理器具が一つもなければ食材をしまっておく冷蔵庫すらなかった。

 

ある物と言えば、燃料の入ったタンクに弾薬やボーキサイトの入っている箱のみ...。

 

 

「なんなんだよ...ここ...本当に食堂かよ...」

 

思わずそんな言葉が出てくる。

 

その悪態を聞いていたのか間宮が無表情で言い放つ。

 

 

「当然でしょう、私達は兵器なんです...。必要最低限の補給さえあればなんとでもなるんですから」

 

違う...そんなわけがない...

 

江ノ島にいた艦娘達は絶対にそんなことは言わなかった。

 

艦娘だって深海棲艦だって俺達人間と何ら変わらない...。

 

それをこいつ等はさも当然のように言うんだ!

 

 

「がう...」

 

 

 

 

「?」

 

 

「違う!それでいいわけねえ!お前たちは艦娘だ!確かに人間とは違うかもしれねえ!だけど!お前達だって生きてるんだぞ!俺達と同じように生きてるんだ...なんでそんなことが言えるんだよ!!」

 

 

「ッ...!」

 

不意に怒鳴られたからか、間宮の顔に少しだけ感情の色が灯る...。

 

だが、それもすぐに先程と同じ無表情に変わってしまう。

 

 

「たとえ生きていても、私達は戦うために生まれてきた生体兵器です...。人間と同じなどありえないんです」

 

 

「ッ!!どうやら口で言っても無駄みてえだな...それなら俺が分からせてやる!お前たちは人間と同じだってことをな!」

 

そう言うと俺は早足に食堂を後にするのだった。

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 

食堂を出た俺はある場所へ向かっていた。

 

ここの艦娘たちにいつまでもあんなことをさせるわけにはいかない、江ノ島の奴らがあんなに楽しそうに笑えていたのだ。ここでだってそうあるべきだ。

 

俺は先程鍵を探していた時に偶然見つけた前任のへそくりを手に鎮守府を出ようとしていた。

 

と、そこへ声がかけられる。

 

 

「どこに行くの提督?」

 

声のした方へ向くとそこには加賀姉が立っていた。

 

 

「加賀姉、ちょっと食料と料理道具を買ってこようと思ってさ」

 

 

「料理道具?どうしてまたそんなものを?」

 

 

「まあ、ちょっといろいろとな...そうだ!加賀姉にもついて来てくれると助かるんだけど」

 

 

「分かったわ、それじゃあ行きましょうか...」

 

こうして俺達は食料、その他諸々を買いに行くため鎮守府を後にするのだった。




鎮守府の外にていろいろ買い込み帰ってきた俺達。

底では土御門が待ち構えていて...


次回、新約、とある提督の幻想殺し

動き出す幻想殺し

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる。


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幻想殺し動きだス

長門だ…。

前回は呉の補給問題に提督が気づいて動き出したところだったな。

今回はその続きになる、ゆっくり見ていってくれ


side上条

 

 

俺達が買い物を終え、鎮守府に戻ってくると門のところに見知った顔が立っていた。

 

近づいてみるとそれは土御門だった。

 

 

「よぉ、カミやん、それに加賀のねーちん待ってたぜい」

 

 

「土御門、どうしたんだよ、また何かあったのか?」

 

俺は若干構えつつ声をかける。

 

加賀姉に関しては軽く会釈を返すだけだった。

 

 

「カミやんに渡すものがあるんだにゃ~ほら」

 

そう言って土御門はある紙を差し出してきた。

 

 

「紙?なんだこれ…っ!?土御門これって…」

 

そう問いかけると土御門はニヤリと笑って話始めた。

 

 

「カミやんに必要になるだろうと思って元帥に具申しておいたのさ、といっても、俺達が用意したのは上の備品や家電だけだ…。下の資材や食糧は全部江ノ島の艦娘達からだ…。その証拠にほら…」

 

その言葉に俺が驚いていると土御門はどこからか色紙を取り出して渡してきた。

 

 

「これは…」

 

そこには江ノ島鎮守府の艦娘達からの応援メッセージが書かれていた。

 

【『上条司令官さん!頑張ってなのです!…電』

 『提督ーファイトにゃしい♪…睦月』

 

 『呉鎮守府でも頑張ってください!応援してますね!綾波』

 

 『提督?天龍ちゃんに手を出したら…許しませんから~♪…龍田』

 

 『呉鎮守府の悪い噂は時折り耳に挟みます…。提督。お気を付けて…神通』

 

 『提督さん、辛くてもファイトです!ふふっ…鹿島』

 

 『呉鎮守府の同朋のこと…お願いしますね…千歳』

 

 『テートクゥ!浮気なんかしたらNO!なんだからネ!…金剛』

 

 『提督、全力で頑張ってください!…榛名』

 

 『そちらの鎮守府はあまり良くない噂が流れている…体に気を付けて…長門』

 

 『空はあんなに青いのに…提督、お元気で…扶桑』

 

 『姉様が心配してるわ…元気にしていなさいよ!…山城』

 

 『私達の力が必要なときはいつでも言ってくださいね、すぐにでも駆けつけます!…翔鶴』

 

 『私達は元気に過ごしています…。提督、加賀さんそちらの艦娘達をお願いします…。…赤城』】

 

 

「まったく…あいつらは…」

 

 

「ふふっ…少し、頭にきました…ね、提督」

 

 

「あぁ、これはへばってなんかいられねえ!ありがとな!土御門」

 

俺は色紙と紙をしまいこみ土御門に礼をする。

 

 

「お礼はいい、お前達にはかなり負担をかけてしまっているからな…。それとカミやん、荷物はもう指定の位置においてある後はカミやん…お前次第だ…」

 

真面目な顔をして話す土御門に俺も真剣に頷く。

 

 

「あぁ、何から何まで助かる…。元帥にもお礼を言っといてくれ」

 

 

「分かった、伝えておく…それじゃあな」

 

そう言って土御門は帰っていった。

 

見えなくなるまでそれを見送ると俺は門を潜り中へと入って行くのだった。

 

 

sideout

 

 

 

 

side間宮

 

 

補給時間が近くなり、私は準備をするため食堂へと向かっていました。

 

すると、どこからか香ばしい香りがしてきたのです。

 

 

「…良い匂い…これは…カレー?」

 

この付近にカレーの飲食店などはない、あるのは海と水平線のみ…。

 

匂いの原因を探るため、私は鼻を頼りにその場所を探すのでした。

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

匂いをもとに辿り着いたのは食堂でした。

 

(いったい誰がこんなことを…?)

 

不審に思いながら中へと入っていきます。

 

しかし中には誰もいませんでした。

 

まさかと思い厨房を覗いてみると、そこには今朝方出会った

提督と見知らぬ艦娘の方が何かをしていました。

 

(今朝伝えたばかりだと言うのに…)

 

私は呆れて提督に声をかけます。

 

 

「あの、何をしているんですか?」

 

 

「ん?何って食事作ってんだよ。もうじき食事時間だろ?」

 

『当然だろ?』とでも言いそうな顔でそう言う提督。

 

私は呆れてものも言えません…。

 

(しかし今言っておかないと)

 

 

「提督、今朝も申し上げた筈です。私達は兵器…人間と同じ食事なんて…「うるせえよ…」え?」

 

私の言葉に被せるように提督の言葉に私は驚きを隠せませんでした…。

 

(まさか遮ってまで口を開くなんて…)

 

 

「事情だの命令だのは知ったことじゃねえ、俺はお前達を助けるためにここに立ってんだよ…お前達は世界でたった一人しかいねえだろうが!勝手に決めつけんじゃねえぞ…」

 

 

「…ッ!?」

 

それきり提督はなにも言わずただ料理に集中していました。

 

私はそんな提督を見て驚きを隠せません…そして、ある記憶を思い出していました…。

 

 

それはこの鎮守府に始めて着任した頃のことです。

 

前任のアイツは快く迎え入れてくれました。

 

ですが食事時間に私は気づかされたのです…。ここの異質さに…。

 

食事時間に私が目にしたものはコップ一杯の重油に皿に乗せられたボーキサイトや弾薬だったのです…。

 

私はすぐさま提督に抗議しました。

 

『こんなことは良くない!すぐに改善すべき』と…。

 

しかし前任が返してきたのはこんな言葉でした…。

 

 

『何を勘違いしている?お前達は兵器だ、兵器なら兵器らしく資材を『補給』していればいいんだよ』と…。

 

私は絶句しました…。人間は皆こうなのかとも疑いました…。

 

その前任の提督が謎の怪死を遂げてから次に来た提督達も同じようなものでした…。

 

最早私には何が正しく、何が間違いなのかすら分からなくっていました…。

 

でも、この人は何もかもが違う…。

 

あの人は私達を兵器ではなく生きている人間だといった。

 

自分が助けたいからここに来たと…。

 

 

(もしかしたら、この人なら…信じてみても良いのかも…)

 

そう思った時には体が勝手に動いていました。

 

 

「提督、なにかお手伝いすること…ありますか?」

 

そう聞くと、提督は一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに笑顔になり指示をくれました。

 

 

「じゃあ、そこのニンジンと玉ねぎの皮剥いて切っといてくれ」

 

その指示に私は笑顔で答えます。

 

 

「はい♪」

 

そうしてもう一人の艦娘(加賀さん)をチラと見ると優しそうに微笑んでいるのでした…。

 

私もなんだか嬉しくなり張り切って料理にとりかかるのでした。

 

 

 

sideout

 

 

_____________

 

 

side加賀

 

 

 

 

食事時間になり、続々と艦娘達が集ってくる。

 

間宮さんはカウンターに立ち、食事を貰いに来る艦娘達にカレーを渡していく…。

 

私が白米を盛り付けてそれを間宮に渡す。

 

隣では間宮が笑顔で戸惑う駆逐艦娘の子にカレーを渡していた。

 

 

「はーい、どうぞ!」

 

 

「え…?あの…これって…?」

 

 

「今日のご飯よ、まだまだたくさんあるから一杯食べてね!」

 

 

「は、はい…」

 

渋々といった面持ちで皿を手に席へと歩いていった。

 

それから少しずつそうして渡し続けていると利根がやって来た…。

 

 

「なにやら良い匂いがすると思うたが今日はえらく豪勢じゃの…」

 

 

「提督が提案したのよ、大事なことだからって…」

 

私は白米を盛り間宮に渡しながら返答する。

 

 

 

「なるほどの、ついに提督も気づきおったか…。うむ、美味しそうじゃ!頂いていくぞ!」

 

そう言ってカレーを受けとると上機嫌で席に向かう利根…。

 

それを見て後ろで並んでいた陸奥がクスリと笑んでいた。

 

それからも艦娘達にカレーを渡し続け、全員が受け取り食べている頃に提督が厨房から出てきて声を張り上げた。

 

 

「んんっ!!食事中に悪い、少し自己紹介をさせてくれ!!俺は上条当麻!本日付けでこの呉鎮守府で提督として着任することになった!元は江ノ島鎮守府に所属していて訳あってここに来ることになった!指揮なんかは軍務をしたことないからさっぱりだけどよ「ふざけんじゃねえ!」ッ!」

 

提督の自己紹介中に叫ぶ声があった。

 

 

「指揮もとれねえ一般人が提督なんかやってんだよ!そんなんでよく俺達みてえな兵器を「…つった?」あ?」

 

今度はその艦娘の言葉を遮って提督が話し出す。

 

 

「今なんつったって言ったんだ」

 

 

「あ?指揮もとれねえ一般人なんかが…「その後だ…」あぁ?」

 

 

「お前…今自分のことを兵器つったよな?」

 

 

「?おぉ、言ったが…なんか文句あんのか?」

 

 

【ガシッ!!】

 

提督は左腕でその艦娘の胸ぐらをつかむと深海棲艦が纏っている殺気のごとき怒気を溢れさせていた。

 

「ッ!?」

 

胸ぐらを掴まれた艦娘は驚きで顔を歪めている。

 

それはそのはず、離れているはずなのにここまで寒気がするほどの雰囲気だ…。

 

それを間近に喰らっているのだからその負担は相当だろう…。

 

掴む手を離し、憤怒の表情のまま提督は一言言った。

 

 

「二度とそんなこと言うな…もしまだそんなことを言うってんなら…そんな幻想は俺がこの右手でぶち殺してやる!」

 

そう言うと提督は足早に食堂を後にするのだった。

 

そして去り際に一言だけこう言い残して…。

 

 

 

 

『お前達はもう戦わなくていい…海は…平和はもう俺達の手にあるんだから…』

 

 

 

 




執務室へと戻ってきた上条当麻…。

そこへある二人の艦娘がやってくる…。

次回、新訳、とある提督の幻想殺し

初代の秘密…。

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる。


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初代の秘密...。

綾波です。

前回は上条提督が呉の皆さんにカレーを振る舞っていました!

今回はすこし重くなりそうです...。

あ、アンケートはまだまだ募集してますから是非参加してくださいね!


side上条

 

 

食堂での一件の後、俺は一人執務室へと戻って来ていた。

 

 

「......不幸だ...」

 

最早何度目ともつかないため息を吐く。

 

現在俺は前任...いや、その前の奴達が残していった書類(実は陸奥や利根が少しづつはやっていてくれたらしい)の処理をしている最中...。

 

どうやら前任は仕事をやりもせずただ毎日遊び呆けていたらしい。

 

それもそのはず、今、俺の目の前には山のように積み上げられた書類が三つほど出来ているからだ...。

 

 

「俺が向こう(深海)にいた時以上に溜まってるって相当だぞ...どんだけ腐った性格してやがったんだか......」

 

そう愚痴っていても書類の山は片づく訳はないわけで...。

 

 

「・・・はぁ...仕方ねえ、とりあえずやるか」

 

俺は終わりの見えない書類整理をしていくのだった。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

「だぁー!!終わりが見えねえ!!不幸だーー!!」

 

書類整理を始めてから三時間ほどが過ぎた頃、俺は絶叫にも近い悲鳴を上げた。

 

時計を確認して見ると、時間はイチゴーサンマルを回っていた。

 

 

「もう三時過ぎてんのか...ちょっと休憩するか」

 

一人呟き、背もたれに思いっきり背を預けて伸びをする。

 

 

「あー...多過ぎて死ぬ...ん?」

 

そこまで呟いておれはあることを思い出す。

 

 

「・・・・・・そういや、この鎮守府って陸奥さん達の他に誰がいるんだ?」

 

昼頃に食堂で怒鳴ってきたあの艦娘も実は誰か分かってなかったりする...。

 

 

「とりあえず所属表でも見てみるか」

 

俺は机の引き出しから所属表と書かれた一冊のファイルを取り出し中に目を通していく。

 

掛かれている艦種はそれほど多くはなく、俺でも覚えられそうな人数だった。

 

 

「そこまで数はいねえのか?さっきはよく見てなかったから気にしてなかったけど...ん?」

 

と、ファイルのページを捲っていると数枚の紙がファイルから落ちた。

 

 

 

「なんだこれ?轟沈艦リスト?」

 

落ちた紙にはそう書かれていた。

 

読み進めていくと今まで沈んでいったであろう艦娘達の名前がビッシリと書き連ねられていた。

 

その中には江ノ島にいる神通の妹である那珂の名前もあった...。

 

それを目にした俺は言葉が出なかった...。

 

 

「・・・・・・なんだよ...これ...なんでこんな大量に沈んでんだ!」

 

俺は以前の電の言葉を思い出していた。

 

 

『昔は深海棲艦に対抗できるのは私達艦娘だけだったのです。でも、学園都市が出来てからは少なくなったのです...』

 

更に言うなら以前の大戦で深海棲艦との戦いは終止符を打っているはずだ。

 

それなのになんでこんなに沈んでる奴がいるんだよ!

 

そこまで考えて俺はハッとして資料の山を見る。

 

書類の中には江ノ島にいた時にはそうそう見ることはなかった出撃任務の書類もそれなりに入っていたからだ。

 

まさか...大本営もグルだってのか?

 

その考えに至って俺は慌ててその考えを振り払う。

 

あの元帥がそんなことをさせるはずがない、恐らく前任、それも初代の奴が大本営にそう話を持ち掛けていたのだろうと結論付けて、俺は再度そのリストを見る。

 

そこでふと不審な点に気が付いた。

 

 

「なんだ?この記号...」

 

そう、そのリストには轟沈艦の名前の端に小さく○や×等の記号が振られていたのだ。

 

よくよく見てみると○と×では×は三個程だが○はかなりの数の数を絞めている。

 

 

「いったいどういう意味なんだ?」

 

きっとこの記号には何かあるはずだ...とても重要な何かが......

 

しばらく考え込んでいると先程見ていたファイルが机の向こうに落ちてしまう。

 

拾い上げようと席を立つが、途中、何故か足がもつれ転びかけながらも机に手を置き倒れまいと踏ん張る...のだが。

 

 

【ガタンッキュルルルル!!】

 

 

「うおっ!?」

 

そんな音がしたと思ったら机が横にズレていく。

 

動くなどと思っていなかった俺は当然そのまま盛大に転げる。

 

 

「痛ってて...なんで机がスライドするんだよ...不幸だ...」

 

なんとか立ち上がり、どうして動いたのかと机の元あった場所を覗くとそこには驚くべきものが姿を現していた。

 

 

「なんだよ…これ…階段…だよな?まさか...」

 

嫌な予感がした俺はその階段を下りていくのだった。

 

 

 

 

 

_________________________

 

 

 

 

 

地下は暗く、辺りはよく見えない。

 

俺は携帯の明かりを頼りに奥へと進んでいく

 

少し進むと、目の前にある扉が見えてきた。

 

その扉には電子ロックや普通の鍵穴と何重もの厳重なロックがなされている。

 

 

「電子ロックにドア鍵、さらに鎖付き南京錠とか...いったい何の部屋だよ...」

 

そう言って明かりを扉の上に向けるとそこには大きく監禁室と書かれたいた。

 

 

「やっぱりか...おーい!そこに誰かいるかぁ!」

 

少し大きめに扉の向こうに声をかけてみる。

 

すると、微かに脅えるような声が聞こえてきた。

 

 

『ひっ…!こ、来ないで…もう…やめて…』

 

これで確定だな、前任の奴はここに轟沈したと表記した艦娘を監禁してやがったんだ。

 

どこまで腐っったことをすれば気が済むんだ、艦娘だって生きてんだぞ!

 

怒りで拳を震わせつつも俺は極力優しく中にいる艦娘たちに声を投げかける。

 

 

「脅えないで聞いてくれ、俺は上条当麻、ここに新しく着任してきた提督だ、お前らの知る提督はもういない...本当は今すぐにでもそこから出してやりたいんだけどもう少しだけ待っていてくれ!近いうちに必ずお前たちを助けてやるから!」

 

それだけ伝えると俺は扉から背を向け、執務室へと戻っていった。

 

その最中、小さくだがしっかりとした返事が返ってきたのを俺は聞き逃さなかった。

 

 

『待ってます...』と......。

 

 

 

 

___________________________

 

 

 

 

戻ってきた俺は机をもとに位置に戻し、書類整理を再開していた。

 

頭の中は地下の艦娘達をどう助け出すかばかりだ。

 

南京錠は最悪壊せばなんとかなる...けど、ドア鍵や電子ロックは壊しようがない......

 

書類整理をしつつウンウン考え込んでいると、不意に戸が叩かれ、二人の艦娘が入ってきた。

 

利根さんと利根さんによく似た背服を着ている黒髪ロングの女性だった。

 

 

「あぁ、利根さんどうかしたのか?それにそっちは...」

 

そこまで言うと利根さんは思い出したように言った。

 

 

「そう言えば提督はまだ顔を合わせていなかったの、こっちは吾輩の姉妹艦の筑摩じゃ!」

 

 

「初めまして、筑摩と申します...」

 

 

「ど、どうも!私、上条当麻と申しまする!」

 

 

「おーい、何を言っとるのか分からなくなっとるぞ?」

 

ペコリと挨拶をしてくる筑摩に慌てて挨拶を返す。

 

それを聞いていた利根さんが即座にツッコミを入れてきた。

 

 

「ゴホンッ!で、どうしたんだ?」

 

仕切り直すように俺は再度問いかける。

 

 

「うむ、実は筑摩の奴が提督に渡したいものがあるらしいのじゃ」

 

 

「渡したいもの?」

 

 

「はい、実は...」

 

女性から男性に渡すもの?ハッ!まさかチョコレート!?

 

って、バレンタインでもねえのにある訳ねえだろ!

 

と、内心で一人漫才やっていると、筑摩さんは懐から二つの鍵を取り出すと俺に差し出してきた。

 

 

ん?鍵?

 

 

「えっと...これは?」

 

 

「その鍵は初代の提督が死んだ時に持っていたものです」

 

 

「「え?」」

 

思わず利根さんと声が重なった。

 

というか、初代が持っていた鍵って...まさか!

 

俺は鍵を受け取って一つを見てみる。

 

そこには頭の部分にK6538と書かれていた。

 

 

「初代の提督の死体をはじめに見つけたのは私なんです...」

 

そういって筑摩さんはその当時のことを話してくれた。

 

事の発端はある高速戦艦娘が大破して帰投してきたことからで、

 

事情を説明を求められ、呼び出されたその戦艦娘はボロボロの体を引きずりながらも執務室に向かって言ったという。

 

それから数時間が経ち、執務室に向かった戦艦娘が中々戻ってこないので、心配になった筑摩が様子を見に行くと、そこにその戦艦娘の姿はなく、首が胴から分かれて血を撒き散らして倒れている初代提督の姿があったという。

 

 

「それはその時に提督の懐から拝借したものです...」

 

 

「そうか、サンキューな筑摩さん話してくれて、これで希望が見えてきたかもしれない」

 

 

「「え?」」

 

俺の言葉にキョトンとしている二人。

 

もし、俺の考えが正しければこれはあの扉を開けるための鍵と暗証番号だ。

 

これならあそこで捕まっているアイツらも助けられるかもしれない

 

思わぬところから希望の光が差してきて俺は笑みをこぼさずにはいられなかった




筑摩に渡された鍵で捕らわれた艦娘達を助ける作戦を練る上条。

その様子に不審に思った加賀は目を付け...


次回、新約、とある提督の幻想殺し

人質救出作戦

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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人質救出作戦!

電です...。

前回までのあらすじなのです!

上条司令官さんが持ち前の不幸スキルで運良く監禁された艦娘さん達を発見したのです。

それを待っていたとでもいうように筑摩さんが上条司令官さんに鍵を渡してたのです

捕まった人達は助けられるのでしょうか...


それと、アンケートはまだまだ募集中なのです!皆さん是非コメントくださいなのです!


side上条

 

 

筑摩さんから鍵を貰ってから半日が経った...。

 

俺は溜まりに溜まった書類を片しながら、どう捕まった奴らを助けるかを考えていた。

 

ただ部屋から出してやるだけならいい、各々で勝手に出てもらえばいいからだ。

 

だが、アイツらはずっと捕まって閉じ込められていた...あの反応から考えられるに前任の奴から相当酷い目に遭っていたはずだ...。

 

そうなると、恐らく一人以上は自分で歩けないほどの大怪我を負っている者もいるはずだ。そうなれば俺一人じゃ手に負えない...。

 

だが他の奴の手は借りられない...なにせここの艦娘達は提督という存在を憎んでいるからだ。

 

例え救助を頼んでも話も聞いてはくれないだろう...。

 

 

「参ったな...どうすりゃいいんだ...?」

 

そう呟いて窓の外絵を見ると外はもう日は沈み夜の帳が降りていた。

 

そんなに長いこと考え込んでたのか?

 

書類整理をしていた手を一旦止め、俺は席を立った。

 

 

「とりあえず、風呂にでも入ってさっぱりするか」

 

そう言って俺は入渠ドックへと向かうのだった。

 

 

sideout

 

 

 

side加賀

 

 

入渠の混雑も終わり静かになった頃、私はドックへと来ていました。

 

混みあう時間も過ぎているので脱衣所も人気はなく静かです...。

 

私は中に入ると衣服を脱ぎ始めました...。

 

 

上着とスカートを脱ぎ終わり下着に手をかけた時でした。

 

 

【バササッッ】

 

誰かが入って来たのかと入口の方を見るとそこには何かを考え込みながら歩いてくる提督の姿がありました。

 

私が着替えているのに気が付いていないようです...。

 

私はそっとタオルを身体に巻くと未だに気付かない提督に声をかけました。

 

 

「提督...こんなところで何をしているのかしら?」

 

その言葉でようやく私の事に気づいたのか、提督は驚いたように私を見ます。

 

そしてその直後、私の姿を確認して勢い良く飛び退いて後退りします。

 

 

「な、なななんで加賀姉がいるんだよ!ってかなんて格好してやがんだ!」

 

両手で顔を隠して叫ぶ提督...。

 

 

「それを聞きたいのは私の方なのだけれど...どうして貴方がここにいるのかしら?」

 

 

「どうしてって...そりゃ風呂入りに来たからだよ、この時間なら入ってる艦娘もいない頃だったからな」

 

『加賀姉が居たのは予想外だったんだけど...』と締めくくる提督。

 

なるほどね、確かにこの時間なら入渠している艦娘は居ない頃だし、男である提督が入るとするならこの時間が最適ね...。

 

それは納得だけれどもう一つ...。

 

 

「それについては分かったわ...じゃあなぜ私が入っているのに気が付かなかったのかしら?」

 

 

「へ?あ、いやそれはだな...」

 

途端に曖昧な返事しかしなくなる提督に私は目を細めます...。

 

 

「まさか...私が入っていること知って覗きに来たのですか...?」

 

提督の事だからそれは無いと思いたいけれど...。

 

 

「へ!?いや違えよ!そんな訳ないだろ!」

 

 

「それは本当ですか?」

 

 

「本当だって!誰が好き好んで加賀姉の覗きなんかするかよ...」

 

ピキッ…今とても聞きづてならない言葉が聞こえたのだけど...。

 

 

「提督?今、なんと仰いましたか?」

 

 

「ん?だから好き好んで加賀姉の覗きなんかしないっt...」

 

カチンッ...頭に来ました...。

 

 

「......ここは譲れません...爆撃します」

 

私は弓を構えると艦載機を一艦のみ発艦します。

 

 

「え?チョッ加賀さん!どうして艦載機を出してるのでせう?」

 

 

「みんな、優秀な子たちですから...」

 

 

「えっちょっまっぎゃぁぁぁぁ!!不幸だあぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

艦載機に追われながら提督は猛スピードで走っていくのでした。

 

私はその様子を見て提督が夕方ごろから様子が変だったことを思い出しながら入渠するのでした...。

 

 

 

sideout

 

 

 

side上条

 

 

 

「あー...不幸だ...」

 

あの後、加賀姉の放った艦載機の爆撃を喰らった俺はなんとか執務室に戻ってきていた。

 

 

「ったく、容赦なくぶっぱなしやがって...俺が何したってんだよ...」

 

痛む傷をさすりながらそう呟いていると戸がノックされ加賀姉が入ってきた。

 

 

「げ!な、何事でしょうか...?姫?」

 

 

「...なぜ姫に格上げされたのか分からないけれど...提督、あなた何を隠しているの?」

 

ギクッ...気づかれたのか? 

 

 

「隠しているって何のことだ?」

 

 

「とぼけても無駄よ、あなたの様子がおかしいことは夕方ごろから気づいているのだから...」

 

げっ!気づかれてたのかよ...。

 

加賀姉にはやっぱ敵わないな...観念して話すか。

 

 

「分かった、話すよ...実はな?」

 

俺は考えていたことを全て加賀姉に話した。

 

話を聞いた加賀姉は最初こそ驚いていたが真剣に聞いてくれた。

 

 

 

「そう、そういう事だったのね...」

 

 

「あぁ、だからどうすべきなのか分からなくってさ...」

 

 

「簡単なことじゃない...」

 

 

「え?」

 

 

「当麻、私が何故貴方と共に来たと思う?私が貴方についていきたいと思ったからよ、これまで貴方は幾度となく私達艦娘を救ってくれた...その中にはこの鎮守府の艦娘だっているわ、現に貴方の危機に協力してくれた人もいたでしょう?」

 

そこまで言われて俺は思い出した。

 

確かに明石の時も食堂の時も手を貸してくれた者がいた。

 

何が話も聞いてくれないだよ......

 

力を貸してくれる奴らだっているじゃないか!

 

俺はそいつらの事を見ていなかったのか...

 

 

「ありがとうな!加賀姉!おかげで目が覚めた、早速で悪いんだけど、協力してくれるか?」

 

そう尋ねると加賀姉は無表情ながらも力強く頷いてくれた。

 

 

「その為に私は共に来たのよ?協力は惜しまないわ...」

 

 

「よし!じゃあまずは協力してくれそうなやつを探すぞ、今回ばかりは人出が多い方がいい」

 

 

「そうね...」

 

そうして俺達は仲間を集めに執務室を後にするのだった。




今まで助けた艦娘達に声をかけ協力してもらう事となった俺達。

他の艦娘達にも協力してもらい監禁されている艦娘達を助けるために動き出す!

次回、新約、とある提督の幻想殺し

人質救出

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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救出作戦決行

睦月です!

前回は提督が加賀さんに叱られて提督が何かに気づいたみたいです!

その前に失言で加賀さんに爆撃されてましたけどね~にひひ♪

それじゃあ本編どうぞなのです!


side上条

 

翌日、俺は鎮守府内を歩き回り救出に手を貸してくれそうな艦娘を探していた。

 

探してみた結果、陸奥さん、利根さん、筑摩さん、明石さん、間宮さんが手を貸してくれる事となった。

 

俺はそれぞれに指示を出し、人質救出の為の準備を始めた。

 

まず、動けない艦娘を運ぶ人員…。

 

次に、傷ついた艦娘達を癒す為に入渠ドックの全開放…。

 

そして、録に食事をとらされていないだろう事を考えて大量の食事の用意…。

 

胃が不調を起こさないように消化の良い物にすることも忘れずに伝える。

 

 

「それじゃあ、これで頼みたいんだけど、出来そうか?」

 

俺の問いに陸奥さんが少し申し訳なさそうに答える。

 

 

「提督、残念だけど…これじゃあ私達だけじゃ明らかに人手が足りないわ…」

 

 

「もう数人いれば話は別なんじゃが…」

 

 

「でも、協力してくれそうな人達はあなた達だけなのよ…。」

 

加賀姉の言う通りだ、今俺達に協力してくれそうな艦娘はこの五人だけだったのだ。

 

他の艦娘達は何故か俺怯えているので話を出来るような状況じゃなかった…。

 

 

「だとしても、この人数でそれだけの事をするのには流石に無理があると思います」

 

 

「じゃあ怯えているあいつらに無理矢理協力を頼むのか?」

 

 

「それは……」

 

筑摩さんが意見を唱えてくるが俺がその事を話すと黙り混んでしまう…。

 

どうしようもないほどに積んでいる…。

 

俺達に暗い影が落ちたその時だった。

 

 

「その話、私達にも手伝わせてください!司令官!」

 

その言葉と共に入ってきたのは十人ほどの少女達だった。

 

 

「お前達は…?」

 

 

「初めまして、こうしてお話しするのは初めですね、私は長良型軽巡の一番艦、長良です」

 

元気いっぱいに自己紹介をした少女、長良に続いて後ろの奴等もそろって紹介を始める。

 

 

「え、えっと…私は三番艦の名取と言います…」

 

 

「如月と申します。よろしくお願いしますね」

 

 

「ぷっぷくぷ~♪卯月でぇーす♪よろしくぴょん!」

 

 

「皐月だよ!よろしくな!」

 

 

「はじめまして~ふみづきっていうの、よろしく~」

 

 

「長月と言う、よろしく頼むぞ」

 

 

「私は菊月だ…。よろしく頼む」

 

それぞれの自己紹介に若干混乱しつつも何とか特徴で覚えるようにする。

 

 

「えっと、元気な短髪が長良で、気弱な方が名取で…えっと、そこの髪の長い奴が如月で…そこのピンクのあざとい奴が卯月で…そこの金髪?が皐月…と、そっちのホンワカしたのが文月...で、そこの美坂妹的な性格の二人が長月と菊月だな」

 

 

「うーちゃんをあざといなんて言わないでほしいぴょん!」

 

いや、そんな口調しといてあざとくないか言われてもな…。

 

 

「凄く特徴で覚えましたね…まあ、でも正解です!」

 

その言葉で内心ホッと息を吐く…。

 

 

「それで、さっきの話なのだが…」

 

おずおずと聞いてきた菊月にそうだったと話題を戻して話し出す。

 

 

「協力してくれるのは嬉しいんだが、その前にこの作戦の内容を説明させてくれ」

 

そうして俺は新たな戦力に作戦の内容を説明していくのだった。

 

 

 

____________________________________

 

 

 

 

「なるほど、大体話は分かりましたわ」

 

 

「捕まった子たちを助けるぴょん?もしかしたらその中に弥生がいるかも!」

 

 

「五十鈴もその中にいる可能性があるんですよね!私達も協力は惜しみませんよ!」

 

どうやらこいつらの中にも人質として捕らえられている奴がいるみたいだ。

 

 

「助かる、作戦はさっき話した通りだ。それじゃあ行動開始だ!!」

 

 

『はい!!』

 

そんな掛け声と共に俺達は救出作戦を決行した。

 

 

 

______________________

 

 

 

 

再び俺はあの扉の前にやって来た。

 

後ろには陸奥さん、利根さん、皐月、菊月、長良、名取の数名が担架を手に待機している。

 

 

「...よし、開けるぞ」

 

俺は頑丈に施錠されたロックをすべて解除し扉をゆっくりと開ける。

 

 

【ガチッギイィィィィィィ…】

 

中は薄暗く暗くて辺りがよく見えない。

 

ジッと目を凝らしていると不意に掛けられる声があった。

 

 

「だれ...ですか?」

 

その声に振り向くと白いセーラー服のような物にボロボロの眼鏡を掛け女性が立っていた。

 

 

「お前たちを助けに来たんだ、他の艦娘達は何処にいるんだ?」

 

それを聞いた女性はハッと驚いたような表情をして言った。

 

 

「もしかして...昨日外から声をかけてくださった方...ですか?」

 

その問いに俺は小さく頷いて答える。

 

 

「あぁ、助けに来るのが遅くなって悪い...遅くなっちまった分早めに行動したい、他の艦娘達の居場所を教えてもらえるか?」

 

 

「分かりました...。こちらです...」

 

歩き出した女性の後を追って俺達も歩き出した。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 

「こちらです...」

 

女性の連れられたどり着いたのはある一室だった。

 

そこにはボロボロになりながらも確かに生きている少女たちの姿があった。

 

 

「五十鈴!弥生!それに比叡さんやプリンツ、那珂ちゃんまで!!」

 

そのほかにもかなりの人数がこの部屋には集まっていた。

 

ざっと見ただけでも十人以上は居そうだ...。

 

そこまで深い傷を負っている者はいなさそうだが、服は皆ボロボロだった。

 

その姿を見るや否や少女たちに駆け寄る救助勢...。

 

それぞれ抱き合い大泣きしている。

 

俺はその光景をしばらく見守っていた。

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ運び出さねえと、重症者はいるのか?」

 

その問いに金剛の妹であるという比叡が答えてくれた。

 

 

「はい、プリンツちゃんとろーちゃん、それに那珂ちゃんやサラトガさんは損傷の具合が激しいです...

四人ともアイツにかなり酷い目仕打ちを受けてましたから...」

 

そう言って悲しそうに四人を見る比叡。俺も連られてそちらを見る。

 

そこには確かに他の艦娘達よりひどい傷を負っている四人の艦娘の姿があった。

 

俺は初代のやっていたことへの怒りをなんとか抑えつつも右手を力強く握りしめて言った。

 

 

「...ッ!分かった、担架を持ってる奴は重傷者を入渠ドッグに連れて行ってくれ!傷の深い奴から優先的に入渠させていく!歩ける奴は自力で出てくれ!こっちも人手が足りてないんだ」

 

 

『了解しました!』

 

キビキビと重傷者を担架に乗せると部屋を出ていく救助勢と自力で歩いていく人質勢...。

 

その姿を最後まで見送った後、俺は部屋を出て再度扉の鍵を閉めるのだった。

 

 

「ここは封印だな...」

 

そう呟いて俺は執務室へと戻っていき、傷ついた艦娘達の為にバケツ(高速修復材)を大量に入渠ドックへと手配するのだった

 

 

 




人質を助け出して数日...。

なんとか呉の艦娘達からの信頼を獲得した上条だったが右手の力は相変わらず健在で......。

次回、新約、とある提督の幻想殺し

新たな船出

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる。


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新たな船出

龍田だよ~

前回は初代の黒提督(クズヤロウ)によって捕まっていた子たちを助け出したのよね~

今回のお話はそれから時間が飛んで数か月後のお話よ~

それじゃあ提督の活躍...楽しんでいってね~♪


side上条

 

人質たちを助けてから数カ月が過ぎた...。

 

あれ以来、俺をあれだけ憎み、恐れていた艦娘達とも少しづつ和解していくことが出来た。

 

初代から数えて溜まりに溜まった書類の山ももうじきに終わらせられそうだ...。

 

そんな風に相変わらずの右手の不幸にめげずに生きていた、ある日の事だった...。

 

いつもの如く、種類の山をげんなりしながら捌いていると、不意に勢いよく執務室の扉が開け放たれ何者かが侵入してきた。

 

 

「司令官...!大変...」

 

突如入ってきた侵入者の名は弥生、呉鎮守府に所属する駆逐艦娘である。

 

数カ月前まで囚われていた艦娘の一人だ。

 

いつも無表情で無感情なだけに正直付き合いづらい相手である...。

 

 

「ん?どうした?弥生」

 

 

「いいから...早く...」

 

袖をぐいぐい引っ張る弥生に仕方なく立ち上がる。

 

 

「分かった分かったから引っ張んなって、伸びるだろうが!って、うおっ!?」

 

見た目からは信じられない力で引っ張られるため、仕方なくされるがままに着いていくことにする...。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

「......ここ...です」

 

 

「ここって、食堂...だよな?」

 

連れてこられたのは食堂であった。

 

 

「中で比叡さんが...料理を作ろうとしてるの...」

 

 

「なんでそれを早く言わねえ!急ぐぞ!」

 

何事かと思ったら緊急事態じゃねえか!?比叡なんかに料理を作らせたらとんでもないもんが出来ちまう!

 

俺は打って変わったようにすぐさま食堂の中へと突入した。

 

 

「比叡!何してんだ!」

 

 

「ん?あぁ!提督!今お昼ご飯作ってるんですよ!」

 

厨房から俺を見つけ元気良く手を振ってくる比叡。

 

 

「おまえ...厨房は間宮のテリトリーだと何度言えば...いや、それより何を作ってんだ?」

 

鍋でグツグツ言っている物を見て俺は問う。

 

おいおいおい...なんか紫色に変色した何かがグツグツ言ってんじゃねーか!

 

見るからに食べてはいけないオーラを放っているそのブツに俺は眉をしかめる。

 

 

「なにって、どこからどう見てもカレーじゃないですか!」

 

 

「いやそんな毒々しい色のカレーがあってたまるか!」

 

堂々とカレーと言い切った比叡に思わずツッコミを入れてしまう...。

 

いったいなにを入れたらそんな色に出来るんだよ......

 

 

「聞くのが怖いが...それ、何入れた?」

 

 

「え?えっと、ジャガイモに人参...」

 

ここまでは普通だな...。

 

 

「それとカレールウにサルミアッキ、豆板醤に...」

 

 

「待て待てまてぇ!!今なんて言った!?」

 

今明らかにカレーに投入してはならないものが入ってたぞ!?なんて物入れてんだ!コイツは!

 

 

「え?だって隠し味入れた方が美味しくなりますし...」

 

 

「それは隠し味とは言わねえよ!!」

 

 

「まあまあ、見た目はともかく味は大丈夫ですよ!はい!」

 

そう言って俺に一掬い小皿に持った毒々しいナニカを笑顔で差し出してくる比叡...。

 

 

「おい、まさかこれを俺に味見しろと?」

 

 

「はい!味は大丈夫だと提督に知ってもらわないといけませんから!」

 

 

「いやお前がk.「ごちゃごちゃ言わずにさっさと食べる!」ムグッ!?」

 

反論しようとした途端に口にナニカを押し込まれた(ムリヤリ)...。

 

瞬時に広がるなんとも名状しがたい風味が身体を襲った...。

 

豆板醤の辛さにカレールウの辛味と共に強烈なアンモニア臭...。

 

そして極めつけにカレーのはずがゴムの味がするという強烈すぎるハーモニ―を醸し出していた。

 

なんてもの食べさせてやがんだ!このポンコツ戦艦!...あ、ダメだ...意識が遠のいてく...。

 

そこであまりの強烈さに俺の意識はそこで途切れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅん......?」

 

目が覚めると俺は自分が寝かされていたことに気が付いた。

 

俺、何してたんだっけ…?

 

中々回らない頭で先程までの事を思い出そうと頭を回しながら起き上がる。

 

 

「あ、起きたみたいだね、おはよう司令官」

 

不意に声をかけられ振り返ると駆逐艦の響がいた。

 

 

「響?ここは...?」

 

 

「食堂だよ、司令官が比叡さんのカレーを食べて倒れちゃったから運んでおいたんだ」

 

カレー...?ッ!そうだ、俺は比叡のあの名状しがたいカレーのような物(カレーモドキ)を食べて......

 

 

「そう言えば比叡はどうしたんだ?」

 

 

「比叡ならそっちで寝てるよ...」

 

そう言って響が向井の椅子を指す。

 

その指されている方へと視線を向けると...。

 

 

 

「・・・・・・」

 

俺と同じように椅子に寝かされ胸の上で手を組んでいる眠っている比叡の姿があった。

 

顔に白い布を掛けられておりまるで死人のように安置されている。

 

遣った犯人であろう響を見ると、ペロッと舌を出しながら

 

 

「司令官をこんな風にしたんだしこの位はいいかなって...」

 

響はあまり怒らせないようにしよう...。

 

俺は心の中でそう固く誓うのであった......

 

 

因みにあのカレーモドキは処分しておいた...。勿体ないっちゃ勿体ないけど...あれじゃ再利用なんかとてもじゃないができそうになかったからな......




俺の何気ない呟きで突如決まってしまった俺の過去再現大会...。

どうやら原作の話ではく『たん』が付く方の再現をやるつもりらしい...

おいおい...あっちってかなりおかしな方向に走って行ってる奴じゃなかったか!?

次回、新約、とある提督の幻想殺し

とある鎮守府の再現大会

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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とある鎮守府の再現大会

長門だ...。

前回は比叡がカレーモドキとやらを作って提督が死にかけていたな...。

今回は提督のとある過去を呉の艦娘達が再現する話になっている。

ん?原作とは少し違う...らしい、よく分からないが楽しんでいってくれ...。


side上条

 

 

「あ゛ー...づっかれたぁ...ぁぁ...」

 

 

「お疲れ様です。admiralさん」

 

現在俺達は溜まった書類の今日の分の整理を終え伸びていた...。

 

 

「あー...死ぬ...いつになったら終わるんだよ...これ」

 

部屋の隅に積み上がった書類の山を見てうんざりする...。

 

 

「ぁー...」

 

背もたれに身体を預けながら天井に目をやっていると...。

 

 

『今日もそうめん』

 

 

『やーだー!なんでここのところいつもこればっかりなの!!

...これってなに?食という文化を応用した体内調整魔術の一種なの?』

 

 

『たまたま貰い物が重なったんだって!来る日も来る日もうどん風!パスタ風と創意工夫に明け暮れるこっちに身にもなりやがれ!』

 

ふと、過去のやり取りの記憶が思い出される。

 

 

「...ククッ...!」

 

 

「??どうしたの?admiralさん急に笑い出して...変だよ?」

 

おっと、やばいやばい...笑っちまったのが聞こえちまってたみたいだな。

 

 

「悪い悪い、ちょっと昔の事を思い出してたんだ」

 

 

「admiralさんの過去?なになに?教えて!」

 

 

「ふむふむ、それは私も気にりますね~」

 

 

「んーまあいいけど...って!なんでお前までいるんだよ青葉!」

 

何事も無かったようにしれっと会話に入り込んでくるなっての、というかどうやって入ってきたんだ?

 

 

 

「やだなぁ、少し前ですよ?司令官さんが背もたれで呻いてた時から♪」

 

 

「それほぼ最初からじゃねえか!」

 

 

「まあまあ、それよりも司令官の過去の昔話聞かせてくださいよ」

 

強引に話を戻しやがったよこいつ...。

 

 

「はぁ...まあいいか、昔話つってもあんま期待するなよ?」

 

そうだな、インデックスが小さくなった時の話でもしてやるか。

 

俺は過去の一部の面白いだろう部分だけを二人に簡単に話しだした。

 

 

 

_________________________

 

 

 

 

「と、こんなとこかな」

 

 

「あー面白かったぁ♪思ったより壮大だった割にかなりいろいろ詰め込まれてたね」

 

 

「ふむふむ、これは中々興味深いお話でした...これは私達だけが知っているのはもったいないですね。ふむ...そうだ!司令官先程のお話、再現してみませんか?」

 

 

「再現たってどうするつもりだよ?」

 

コイツまたろくでもない個と考えてんじゃねえだろうな?

 

 

 

「ここの他の艦娘達も誘って再現VTRを作るんですよ!」

 

 

「VTRゥ?なんでそんなことしなくちゃいけないんだよ?」

 

 

「先ほども言ったとおりこの話を知らない方が勿体ないじゃないですか!だから再現していろんな方に知ってもらうんです」

 

なるほど、まあ隠してたわけでもないしいいか

 

 

「分かった分かった、つってもどうやって作るんだ?」

 

 

「そこはこの青葉にお任せください!」

 

本当に大丈夫なのか・・・?すっげえ不安なんだけど...。

 

 

「分かった、けど、余計なことだけはしないでくれよ?」

 

 

「大丈夫ですって!私を誰だと思ってるんですか?......青葉さんですよ?」

 

あぁ。不安だ...ものすごく不安だ...。

 

 

 

 

________ここから再現VTR【以下、セリフのみ】________

 

 

 

『担任から、《上条ちゃーん馬鹿だから補修でーす》とラブコール』

 

上条「不幸だ...。

 

 

よーし、天気もいいし気持ちも入れ替えて布団でも干しとくか...」

 

 

上条「空はこんなに青いのに...お先は真っ暗...」

 

【ガララッ】

 

 

上条「つか、いきなり夕立とか降ったりしねえよな...ん?あれ...え?え?えぇぇぇっ!?」

 

【グウゥゥゥ…】

 

 

上条(こ、これは...ナントカ動画で勝手にオープニングに侵略してきた...イカ的な!)

 

 

長良(ミニ)「...おなか...」

 

 

上条「え?」

 

 

長良(ミニ)「おなか減った...」

 

 

上条「もしもし...?」

 

 

長良(ミニ)「おなか一杯ご飯を食べさせてくれると嬉しいでゲソ!ふぁ...ガァブブゥッッ!!」

 

【ブシャァァァァッ!!!】

 

 

上条「ゲソ?...まさか侵略されちゃったんですか?」

 

 

長良(ミニ)「イカは低脂肪高たんぱくの食べ物で(ヌチャヌチャ)プロのボディビルダーは「にゃーん」ゲソッ!?」

 

【タタタッ】

 

 

長良(ミニ)「ゲソーーーーー!!」(グシャアッ)

 

 

上条「......(とあるシリーズは、侵略されずに済んだのか...。)」

 

 

 

_____________________________

 

 

 

【教えて!サラトガ先輩!】

 

{質問その一}

 

『サラトガさんは本当に十八才なんですか?』

 

 

サラ「ンンッ…うっせぇんだよ!novice(ど素人)が!!」

 

 

{質問その二}

 

『それ制服なんですか?私服なんですか?』

 

 

サラ「うっせぇんだよ!novice(ど素人)が!!」

 

 

{質問その三}

 

『とある妖精さんが某電波の宴会で出オ...』

 

サラ「うっせぇんだよ!novice(ど素人)が!!」

 

 

上条【バキャッ!!】

 

 

サラ「勝手なこと言わないで!私だってtriした!triしたんです!Floorをwarmupしようと息をして!でもbutwarmupだったんです!」(バギッボギッベキィッ)

 

 

 

 

 

天龍「・・・・・」|’・ω・)ヒョコッ

 

 

 

_________________________________

 

 

 

 

電「ングッングッングッ…ぷはぁ!大丈夫!一人や二人増えたくらいでムグムグ…量に不満が残るような豪華絢爛焼き肉セットではないのです!」

 

 

【ジュゥゥゥゥゥゥ…】

 

 

電「焼けましたのですたまねぎ」

 

 

大鳳「...ありがとうございます」

 

 

 

 

電「焼けましたのですピーマン」

 

 

大鳳「...どうも」

 

 

 

 

電「焼けましたのですカボチャ」

 

 

大鳳「...おいしそうですね」

 

 

 

電「焼けました、あ!ロース焼けたのです!頂くのです(パクッ)」

 

 

大鳳「・・・・」

 

 

 

電「焼けましたのですエリンギ」

 

 

大鳳「...あの」

 

 

 

電「焼けましたのですメロン」

 

 

大鳳「...溶けてますよ?」

 

 

 

電「焼けましたのですニンジン」

 

 

大鳳「私にも肉を......」

 

 

 

電「焼けましたのですしいたけ」

 

 

大鳳「...お肉を」

 

 

 

電「焼けましたのですトウモロコシ」

 

 

大鳳「食べたいのですが...」

 

 

電「焼けましたのです獅子唐!」

 

 

大鳳「いやあの...だからお肉をですね...お肉を......」

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

筑摩「問題!デデン!」

 

筑摩「○池○馬先生が描くSFファンタジーライトノベルを原作とした作品でただいま絶賛発売中の映像のタイトルは?」

 

 

暁「はい!とある提督の幻想殺s...」

 

筑摩「違います!次!(パコッ)」

 

 

響「はい、とあるマフィアのニーソックス」

 

筑摩「エロ恐いです!次!(パコッ)」

 

 

雷「はい!とある改装で死んでたっす」

 

筑摩「重すぎます!次!(パコッ)」

 

 

電「は、はい!とある演習で三点です」

 

筑摩「留年です!次!(パコッ)」

 

 

暁「はい!事あるごとにA〇X」

 

筑摩「お世話になってます!次!(パコッ)」

 

 

響「はい、とある旗艦のフラグシップ」

 

筑摩「意味は一緒です!次!(パコッ)」

 

 

雷「はい!入渠のドッグが開いてない」

 

 

筑摩「原型がない!!次!(パコッ)」

 

 

電「はい...え、えっと...」

 

筑摩「思いついてから手をあげなさーい!(パコッ)」

 

 

第六駆逐隊『『以上!とある提督の幻想殺し!続編決定!』』

 

筑摩「更新をお待ちください!」

 

 

 

 

___________VTR終了_______________

 

 

 

俺はそのVTRを見て唖然としていた...。

 

 

「なあ、これ、大丈夫なのか?」

 

 

「大丈夫だと思いますよ?この鎮守府内でだけ流す予定ですし」

 

 

「え?でもさっき鎮TUBEにupするって...ムグッ」

 

プリンツの口を慌てて押さえる青葉。

 

っておい!今とんでもないことが聞こえたんだが!?

 

 

「おい、今何口滑らせた!?どこにupするだって!?」

 

 

「あはは...バレちゃいましたかぁ...実はもう配信されちゃってるんですよね」

 

 

「いや待て!そもそもなんだ鎮TUBEって!」

 

 

「知らないの?admiralさん、全世界の鎮守府関係者のみが閲覧できる無料動画サイトなの」

 

 

「そんなとこにupしやがったのか!?消せ!いますぐとり消せ!」

 

 

「いやーそれがあまりの人気で取り消しができなくなっちゃいまして...」

 

 

「ってことはあれか!このVTRを元帥や他の鎮守府の奴らが見るってのか!」

 

 

「そうなっちゃうかも...ドンマイ、admiralさん」

 

 

「不幸だーーーーーーーーーーッッ!!!!」

 

その日、呉に来てから一番の絶叫が呉鎮守府に響き渡ったという...。




呉に来てから演習風景を一不度も見て言あないと思った俺は艦娘達が演習の時を狙って演習場へと向かう。

だがそこで繰り広げられていたものはとんでもないもので......


次回 新約、とある提督の幻想殺し

演習という名のバトルロワイヤル

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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演習という名のバトルロワイヤル

赤城です。

前回は提督の過去?を再現するために呉の艦娘達が再現VTRを作ったのですよね...。

ふふっ...。提督もおかしな過去を持っているのだなと動画を見ていて笑ってしまいました。

上条「お願い赤城姉!頼むから見ないでくれぇ!!」

それでは本編始まります...。


上条「不幸だぁぁぁぁぁっ!!」


side上条

 

 

(わたくし)、上条当麻は長月(艦娘ではない)の溜まりに溜まった書類の山をさばき終えることに成功した...のだが...。

 

 

「ぁー...あづい...」

 

あまりの暑さに部屋の中で伸びていた...。

 

時期にして六月下旬、梅雨も明け、これから夏本番に差し掛かろうとしている時期である。

 

部屋に冷房機器があるにはあるのだが、右手の影響からかリモコンを踏み砕いてしまうという大失態を犯し今に至る...。

 

 

「とにかく明石に直してもらわねえと...このままじゃ干からびちまう...」

 

そう呟くも、それに返事を返すものはこの場には居ない。

 

今は秘書である加賀も秘書補助(任務娘)である大淀もこの場にいないからだ...。

 

ため息を一つ吐くと、俺はフラフラと執務室を後にした。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

工廠に向かう道中をフラフラと歩いていると遠くから...。

 

 

【ドゴォンッ!!】

 

という爆音が聞こえてきた。

 

 

「あー、そういや今日は演習の予定が入ってたっけか...」

 

大分前の事だからよく覚えてねえけど...。

 

そこで俺はふと、あることを思い出した。

 

 

「そういえばここ()に来てからまだ演習の様子見てないよな...」

 

まあ、江ノ島にいた頃は龍田の演習弾の流れ弾に被弾して大変なことになったけど...。

 

でも、どんなことをしてるのかすごく気になる...。

 

 

「......見に行ってみるか」

 

また被弾喰らいかねないけどさ......

 

今度は避けられる自信もあるしな!

 

 

「よーし!そんじゃ見にくか!」

 

俺は意気揚々と当初の目的を忘れ、演習場へと向かうのであった。

 

 

 

_________________

 

 

 

 

「さーて、どんな様子か...な?」

 

演習場に着いた俺はそこまで言って俺は固まった...。

 

それも当然だと言えるだろう、なにせ今俺の目の前では艦娘達が...。

 

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

【ドゴオッ!!】

 

 

「イヤアァァァッ!!」

 

【バシィッ!!】

 

 

「だあぁぁぁぁっ!!」

 

【バキィッ!!】

 

と、盛大な掛け声と共に超スピードの殴り合い(キャットファイト)を繰り広げていたのだから......

 

 

「えっと...これって現実か?(グイッ)」

 

自身の頬を抓ってみる、痛い...。

 

はぁっ!?どういうことだこれ!なんでこいつら艤装の撃ち合いじゃなくて素手で殴り合ってんの!?

 

そもそも艦隊戦どころか敵味方入り乱れての大乱闘になっちまってるし...。

 

俺の目の前で繰り広げられる某龍玉並みの格闘試合...。

 

その中でも一際目立っていたのは大鳳と如月だった。

 

大鳳は空母という艦種にもかかわらず某金髪人〇人間並みの実力を見せつけ...。

 

対する如月も某青肌宇〇海賊並みの実力を見せ、互角に渡り合っていた...。

 

周りの艦娘達の戦闘も相当なものだが、この二人だけは抜きんでていた。

 

二人がぶつかるたびに衝撃の余波で周りの艦娘達が吹っ飛んでいく...。

 

 

「これ...本当に演習なのか?」

 

と呆けてその様子を見守っていた時だった。

 

 

ええっ!?て、提督避けて――!!

 

 

ふと横の方から声がするとそこには猛スピードで飛

んでくる雷の姿が......

 

 

「んなっ!?ちょっ!ギャアァァァァァッッ!!」

 

吸い込まれるように俺の腹に突っ込んでくる雷の頭...。

 

 

【ドゴォッッ!!】

 

 

「グフゥッ...ッ!!」

 

俺は体をくの字に曲げられながら飛んでいき海へと落下した。

 

 

ガボガボガボッ(ふ、不幸だ...)!!……」

 

それを最後に俺の意識は闇の中へと沈んでいくのだった...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目が覚めた場所は自室のベットの上で雷や文月が何度も申し訳なさそうに謝りに来るのを病み上がり傍からやらされることとなった...。




元帥からの連絡で謎の現象が起きたらしい...。

なんでも大阪湾の港の方で未確認の巨大な建造物が突如として現れたのだとか...

俺達はその調査のために関西へと向かう事となるのだが......

次回、新約、とある提督の幻想殺し

未確認建造物

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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未確認建造物

こんにちは~龍田だよ~

前回は提督が呉の艦娘達の演習風景を見に行って戦闘に巻き込まれると言うものだったのよね~

前にも同じような目に遭ってるのに学ばないわよね~

それじゃあ本編始まるよ~


あぁ、そうそう、今回から他作品の方たちが登場するから良ければその作品も見に行ってみてね~♪


side上条

 

 

「~~っ!...」

 

先日の演習見学での事故により、俺の部屋は(執務室)茹だる(うだる)ような熱気に支配されていた...。

 

 

「あづい...」

 

それは設置されている冷房機器が全く意味をなさないことを意味していて...。

 

書類の整理をしようとしてその束を盛大に部屋中にぶちまけてしまい...

 

片づけようにも順番などが分からずあたふたしている所を大淀に見つかり大目玉を喰らい...

 

 

元帥から『上条くーん暇だろうから大阪の調査宜しくー!』と上司命令(脅迫電話)...。

 

 

「不幸だ...」

 

ため息と共に出てくるいつもの口癖。

 

でも、いつまでもしょげている訳にもいかないわけで......。

 

 

「よーし!天気もいいし、気分転換に散歩でもしてくるかぁ」

 

と、一人呟き外に出ようと戸を開けようと扉に近づいた時だった...。

 

 

「やっほーちょっちお邪魔するよー」

 

その言葉と共に入ってきた北上が扉を開け放ちやがったのだ。

 

それに巻き込まれ扉の角にぶつかる俺の足の指...。

 

 

【ガッ】

 

 

んぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!

 

その日、朝から呉鎮守府に俺の絶叫が響き渡るのであった。

 

 

 

 

___________________

 

 

 

 

「全く、そんな事で一々叫ばないでほしいのだけれど...」

 

 

「いや、加賀姉そうはいってもアレやられるとかなり痛いんだぞ?」

 

幾ら深海の奴らに鍛え上げられた上条さんでもどうしようもないことはあるのでせう...。

 

 

そう話す俺達は今大阪湾に向かっている。

 

目的地は大阪湾の南部、泉佐野沖にある人工島だ。

 

移動は鎮守府に備え付けてあった社用車...らしい...。

 

運転はもちろん加賀姉だ。(俺はまだ未成年で免許は取りに行けないから仕方ない)

 

元帥の話によれば、なんでも、何もない更地の土地出会った場所に突如として謎の巨大建築物が現れたらしい...

 

それに伴って土御門がその場所の調査をしていたところ、人が出入りしてりることを確認したらしい。

 

本来なら大本営の誰か(本職の海軍)が行くべきなのだが、何分人手が足りず、調査に回せるほど余裕はないらしい...。

 

そこで前の大戦で活躍した俺に白羽の矢を立てたとのことだった。

 

正直、そんな所に向かわされるなんざ不安しかない...

 

だが、元帥には恩がある上に秘密を守ってもらう約束までしている。

 

そこまでしてもらって無碍に断ることも出来なかったのだ...

 

にしても、突如現れた謎の建築物...ね。

 

学園都市にも瞬間移動(テレポート)系の能力者がいることは知ってる...けど、建物そのものを転移させるなんてことは聞いたことがない...。

 

という事は科学側はじゃなく魔術側の奴らの仕業か?

 

御使落し(エンゼルフォール)みたいな大規模魔術が発動してるとかか...?

 

父さんの奴、また変なもの(オカルトグッズ)なんか集めてたりしねえだろうな...。

 

 

 

「当麻...?」

 

その声に我に返り振り向くと、加賀姉が不思議そうにこちらを見ていた。

 

 

「あ、あぁ...悪いちょっと考え事してた、どうかしたのか?」

 

 

「いえ、目的地が見えてきたけど...大丈夫なの?」

 

顔は無表情ながらも言葉の中には心配の感情が読み取れた。

 

 

「大丈夫だって!大したことじゃねえから心配いらねえよ」

 

 

「そう、なら、いいのだけど...。」

 

と、そこで目の前の信号の色が変わり、加賀姉は車を発進させる。

 

俺も思考を止め、目の前に見えている謎の建築物を見る。

 

外見は呉や江ノ島鎮守府によく似ている...強いて違うところを上げるとするならば今まで(呉や江ノ島)のより他の建造物が多いという事くらいか...。

 

面倒なことにならないといいんだけど...

 

これから向かう先の事を考えると俺は不安しか感じないのであった...。

 

 

 

 

___________________

 

 

 

 

「着いたわよ」

 

 

「サンキュー加賀姉!さて...近くで見るとデカいんだな...」

 

建築物付近に車を止め、建物を見る。

 

そこには大きく【大阪鎮守府】と書かれていた。

 

 

「なになに...?大阪鎮守府?ここ、やっぱり鎮守府だったのか」

 

 

「見た目通りという事だったようね...。」

 

そんなことを話し合いながら門の方へと近づいていくと、門の前に人が立っていることに気がつく。

 

門番か何かかと思い、近づいてみると、その人物の正体は少女だったのだ。

 

詳しく説明すると、垂れ耳の犬耳を付け、腰辺りからは犬の尻尾のようなものを付けたフリフリのメイド服を着用して...だ...。

 

そんな少女が突っ立っている姿を見て......

 

 

「加賀姉、もう帰ったらダメかな?」

 

 

「ここまで来て帰るというのはどうかと思うのだけど...。」

 

 

「そうだよなぁ...」

 

けど、何故だか俺の不幸センサーがとんでもなく警報を鳴らしているんだ!

 

きっと中に入れば呉に着任した時よりも酷い光景を見ることになると......

 

 

「入りたくない気持ちはわかるけれど、ここは我慢して頂戴」

 

 

「くっ...仕方ない!上条当麻!いざ逝かん(ゆかん)!」

 

 

「逝ってはだめよ...」

 

分かってるって加賀姉、その位の覚悟で行くってだけさ...。

 

内心でそう返しながら、俺はその少女(アニマルメイド)に近づく。

 

俺達が近づくと少女(アニマルメイド)はこちらに気が付きテテテッと寄って来て声をかけてきた。

 

 

「えっと、いらっしゃい、かな?上条さん...だよね?」

 

まだ名乗ってもいないのに俺の名を当ててきたことに驚きを隠せない...。

 

 

「あ、あぁ...確かに俺が上条だけど、君は?というか、なんで俺の名を知ってるんだ?」

 

 

「僕は時雨、何者でもない(・・・・・・)ただの時雨さ...。名前の事は提督から聞いていたんだ。

『上条って人が来たら自分の所に通して』ってね」

 

なるほど、どうやら俺達が来ることが察知されてたって訳か...。

 

 

「そっか、じゃあその君の提督って奴に合わせてくれるか?」

 

 

「うん、それじゃあ僕の後について来て」

 

そう言って歩き出す時雨。

 

俺達もあとに着いて歩き出す。

 

鎮守府の扉を開け中へと入っていく時雨...。

 

先を行く時雨の後に続いて俺達が中に入ると.....

 

 

『『『『『いらっしゃいませ!お客様!!』』』』』

 

何処のクラブだと言わんばかりに十人以上の女性が足並みを揃えて並んで笑顔で出迎えに来ていたのだ。

 

 

 

 

 

 

メイド服を着て......。

 

しかもよく見たら見たことある顔までいるじゃねえか!

 

それになんだよあのメイド服!!ビキニだとかスク水だとかアニマルだとかキラキラのラメ入りだとか統一性なさすぎるだろ!

 

 

 

 

「あの...時雨さん?」

 

 

「ん?なにかな?」

 

 

「ここではいつも客を迎える時っていつもこんな感じなのでせうか?」

 

 

「そのせう(・・)...っていうのがどういう意味か分からないけど、そうだね、いつもじゃないけど似たようなことをして迎え入れてるかな」

 

 

「へえ...なるほどな」

 

どうやらここの提督は余程の変人らしい...。

 

平然と謎のメイドロードを通り抜ける時雨の後を追い、俺達もなんとかその道(メイドロード)を通り抜けていく。

 

その道中を見て思ってことを一言で述べるなら...

 

 

 

江ノ島の奴らはまともでよかった

 

もし長門があんな格好をしてたら右手でぶん殴れる自信あるし......。

 

と、そんなことを考えつつ歩いていると、前を歩いていた時雨がふとある部屋の前で足を止めた。

 

 

「ここに提督がいるんだ。さあ、入るよ」

 

軽くノックをした後に中へとはいいていく時雨。

 

俺達もその後に続いて中に入る。

 

そこにいたのは......。

 

 

「ようこそ上条当麻君、自分がここ、大阪鎮守府で司令長官をしている吉野三郎です。よろしく」

 

そう話すのは髭をワッサー!っと生やし、戦国武将風の眼帯を左目に着けた、某段ボール潜入者に出てくるビッ〇ボス風の凄い顔の男だった。




ビッ〇ボス風の男、吉野との話し合いで何故か演習をすることとなった俺達...。

俺は大事にならないようある提案を投げかける...。


次回、新約、とある提督の幻想殺し


幻想殺しVS武蔵殺し

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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今回登場した方々のでる作品はこちらになります!

https://novel.syosetu.org/80139/

大本営第二特務化の日常
本作より数百倍面白い作品ですのでよろしければ是非


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幻想殺しvs武蔵殺し

神通です…。

前回は提督と加賀さんが謎の建築物、大阪鎮守府に調査に向かうといったものでした。

そこで出迎えたメイド服の艦娘達と髭眼帯のビック○ス風味の提督…。

これから上条提督はどうなってしまうのでしょうか…


side上条

 

 

「改めまして、自分が大阪鎮守府の司令長官の吉野です。よろしく呉鎮守府の上条大将」

 

 

「よろしくお願いします…。と言っても、大将というのは飾りみたいなものですけどね、それより、一つ聞きたいんですけど…。」

 

 

「聞きたいこと?なんでしょうか?」

 

 

「どうして俺の名前と所属先を知っているんですか?俺、一言も話してないんですけど…」

 

にこやかに話ながら俺は疑問に思っていたことを聞いてみる。

 

吉野と呼ばれ目の前の髭眼帯はふむ、と言いつつ先程のメイド少女とは別の響らしき白髪のアニマルメイド服少女が持ってきた赤いメタリックな缶とその他色々な缶や瓶を持ってきた一つを手にしてそのプルタブを跳ね上げた。

 

よく見るとそこにある飲み物は、学園都市にもあるような飲み物とは言い難い物ばかりだった…。

 

 

「好きなのを取っていいですよ」

 

そう言いつつ髭眼帯(吉野)は手にした赤いメタリックな缶を飲み始める。

 

俺も適当な物を手に取る。

 

その瓶のラベルには、某宇宙戦争に出てきそうなマシンが描かれており、原色を放つ中身と相まって独特の雰囲気を醸し出していた。

 

これ、大丈夫な奴なんだよな?

 

学園都市の自販機にも似たような物が良く売られていたので俺はそこまで警戒はしつつそれを口にする…。

 

その直後、構内に広がる炭酸とベニヤ板の味…。

 

あれ?でも以外と普通か…?

 

警戒していたより普通の味にもう数口飲んでみる。

 

 

「か、上条君…?」

 

その声に振り向くとそこには髭眼帯(吉野)が信じられないと言った表情でプルプルしていた。

 

 

「ん?なんですか?」

 

 

「いや、何じゃなくてさ…それ、飲めるの?」

 

そう言う吉野の手はプルプルと俺の手元の瓶を指している。

 

 

「え?普通に飲めますよ?ちょっと変わった味はしますけど…」

 

 

「ちょっとぉ?そっかぁ…そうなんだぁ…」

 

 

「…?なんでそんなプルプルしてんのか知らないですけど、俺の元いた学園都市にはこんなもの日にならないくらいのゲテモノドリンクや食品が普通に出回ってましたよ?」

 

 

「ギャラクシー以上のゲテモノだとぅ…!?」

 

その光景を想像したのか髭眼帯(吉野)は震えが前にも増して小刻みに震えるようになっていた。

 

横を見れば他の少女二人も笑顔のまま固まっている。

 

 

そんなに震えるものなのか…?

 

そうしてしばらく三人が落ち着くまで俺はその飲み物を飲みながら待っていた。

 

因みに加賀姉は他のドリンクを一口の飲んでその後口をつけることなく驚いたように俺を見ていた…。

 

悪い加賀姉…。後でちゃんとした飲み物買ってやるから

 

そう内心で謝りつつ俺は三人が落ちつくのを待つのだった。

 

 

 

 

__________________

 

 

 

 

 

あの後、ようやく落ち着いた三人と、いつの間に来たのか電らしきネココスメイド少女を加えた五人で話し合いを始めた。

 

 

「そういえば、どうして君のことを知っているかだったよね?実は君が来る事を耳にしたので失礼だけどこっちで少し調べさせてもらったんだよ」

 

なるほどな、それで俺の事を知っていたわけか…。

 

 

「そういうことだったんすね、それで何か分かりました?」

 

 

そう聞くと髭眼帯(吉野)さんは首を横に振った…。

 

 

「正直、あまり詳しいことは分からなかったよ、分かったことは君が呉鎮守府の提督をしていることと大将だということだけだった…。」

 

『これでも調べることに関しては自信のある娘にやってもらったんだけどねぇ…』

 

と、苦笑いを浮かべる吉野さんに対し、俺はあることを考えていた。

 

 

大将ってことは分かっているのにどうしてあの大戦の事を知らないんだ?

 

あの時の戦果で伸し上がったようなものなんだけど…。

 

そんなことを考えていたらふと視線を感じ、俺は視線の主を見る。

 

視線の主はネココスメイドの電であり、不思議そうに俺を見ていた。

 

 

「えっと…どうかした?」

 

 

「いえ、上条さんは見たところ海兵という感じでもないのにどうして大将なので何故なのかと思ったのです」

 

おっと、鋭いところを突いてくるな…。

 

 

「それもそうですね、それはちょっと訳があるんです」

 

 

「訳?」

 

髭眼帯(吉野)が怪訝そうに問い返してくる。

 

 

「はい、今から話すことは全て事実です…。」

 

そう前置きをして俺は話し出した。

 

の世界に存在する学園都市という名の科学の町があること…。

 

俺がその学園都市を追放され、江ノ島鎮守府の提督として着任したこと…。

 

超能力者(level5)達の活躍によって、艦娘達や海軍の出番は殆ど無くなってしまったこと…。

 

海軍の人手不足により、一部の一般人が鎮守府で提督として働いていること…。

 

先の大戦で深海棲艦との戦いは幕を下ろしているということ…。

 

 

「と、こんなところですかね」

 

俺はこれまでの事を一通り話してそう区切った。

 

 

「超能力者の住み、科学が二、三十年程進んだ町に深海棲艦との戦いを終えた世界、ねぇ…にわかには信じがたい話だね」

 

 

「たった七人で深海棲艦を追い詰めるなんて考えられないことだよね…」

 

 

「хорошо…どうやら僕達はとんでもないところに来てしまったようだね…。」

 

 

「その大戦の時に活躍したのがきっかけで大将になれたのですね…」

 

四者四様に様々な反応をしているが、根本的なところは驚いているみたいだ

 

 

「俺から話せることは話しました。次はそっちの話をしてくれますか?」

 

 

「あぁ、そうだね、自分達のところは…」

 

吉野さんが話した内容は驚くべき物であった…。

 

吉野さん達の居たところでは深海棲艦との戦いはまだ続いているという、しかも色々な事情から一部の深海棲艦とは利害関係を結んでいるときた…。

 

吉野さん率いるここ、大阪鎮守府は人類の代表としてその深海棲艦と取引をしていたという。

 

更には姫や鬼の一部を仲間に引き込んでいるという…。

 

 

「と、ここまでが自分達の世界の現状かな」

 

言葉がでなかった…。

 

深海棲艦を配下にしている事もそうなのだが、それ以上に…。

 

吉野さん達が他の世界から来ているということに驚きを隠せなかった…。

 

 

「………」

 

隣で黙って話を聞いていた加賀姉も言葉が出ないのか固まっている…。

 

そりゃそうだよな、いきなり自分達は別の世界から来ましたなんて言われたらそりゃ信じられる訳ない…。

 

俺だって素直には信じられそうにないんだから…。

 

 

「とりあえず、吉野さん達がこれからどうするかを決めないとですね」

 

 

「そうですね、自分達も海軍である以上そちらに協力したいという考えであります」

 

そう言ってくれる吉野さん。

 

 

「本当ですか!それはこちらとしても助かると思います!でも、その前に一つ確認しておきたいことがあります…。」

 

 

「確認しておきたいこと?なんです?」

 

 

「あなたの艦隊の錬度です。

さっき深海棲艦との戦いは終わったと言いましたが、希にその残党が表れて暴れ回ることがあるんです…。

基本的には空いている超能力者(level5)の誰かが相手をするんですけど、あいつらも忙しい身ですから出られない時があるんです。

その時に俺達が代わりに出撃するんですよ。

吉野さんが協力するとなれば、当然吉野さんの艦隊も出ることになります。

なので実力を知るためにテストさせてもらいます」

 

そう説明すると吉野さんは納得したように頷いていた。

 

 

「なるほど、ということは相手はそちらの加賀さんがするんです?」

 

 

「いえ、俺です」

 

 

「…………んん?」

 

 

それを聞いて吉野さんは微妙表情になる

 

 

「えっと…自分の聞き間違いかな?間違ってたらおしえてほしいんだけど、今上条君が相手をすると言う風に聞こえたんだけど…」

 

 

「なにも間違ってないですよ?俺が演習の相手をさせてもらいます」

 

 

「んんんんんんん?」

 

尚も微妙な表情の吉野さん、どうにも良く理解できていないらしい…。

 

そこへ今まで黙っていた加賀姉が口を開いて説明してくれる。

 

 

「吉野さん、あなたの疑問はもっともだも思います…。けど、提督は並の深海棲艦なら余裕で倒す事が出来るわ、本気を出せば姫級相手でも戦えるでしょうね、現に提督は先の大戦で姫を三隻、そしてあのレ級を倒しているわ」

 

 

「レ級を一隻に姫を三隻ぃ!?嘘ぉ!?」

 

 

「嘘ではないわ、提督を人間だからと甘く見ないことです…。」

 

 

「うーん…姫級やレ級を…そっかぁ…」

 

それを聞いて何やら深く悩み出す髭眼帯(吉野)さん

 

考え込んでいる髭眼帯(吉野)さんに俺は更に言葉を放つ

 

 

「それとなんですけど相手は艦娘でお願いします。深海棲艦だと恐らく、というか、確実に面倒なことになりますから…」

 

更に追撃とばかりに加賀姉が口を挟む。

 

 

「提督を相手にするならこの中(大阪鎮守府)でそれなり以上の錬度の高い方にしてください、そうじゃないと実力を計れませんから…。」

 

 

「……じ、じゃあ榛名君にお願いしようかな…。それで、そのテスト(演習)は今からやると言うことで構わないのかな?」

 

 

「はい、俺はそのつもりです」

 

 

「…分かった、それじゃ時雨君、悪いんだけど榛名君を呼んできてもらえる?」

 

 

「え?うん、分かったよ提督」

 

髭眼帯(吉野)さんに言葉に頷くと時雨はトトトッと部屋を後にしていった。

 

 

「それじゃあ自分達も移動しようか」

 

こうして俺達も執務室を後にして演習場へと向かうのだった。

 

 

sideout

 

 

___________________

 

 

 

side髭眼帯(吉野)

 

 

上条君の申し出でテスト(演習)をすることになった自分達...。

 

しかしその相手は同伴してきた加賀さんではなく、上条君がやるという...

 

演習場にて向かい合う上条君と榛名君。

 

 

「本当にあれでいいんですか?今からでも変えられますけど...」

 

人間が戦艦に...そもそも、艦娘に勝つというものが想像できないのだ...。

 

 

「大丈夫です、そんなに心配なら試しに見せてあげます。響さん、少し提督に向けて砲撃してみて」

 

 

「え...?それは危なくないかい?」

 

 

「大丈夫よ、問題ないから...。」

 

 

「でも...」

 

加賀さんがここまで言うという事はそれだけの自信があるという事なのだろう。

 

なら、その上条君の実力を見る為にも試してみる価値はあるか......

 

 

「響君、許可するからやってみてくれるかな?」

 

 

「...司令官がそう言うなら」

 

響君は艤装を展開し、榛名君と向かい合う上条君に副砲を撃ち放った。

 

 

【ドゴンッ!!】

 

砲弾は真っすぐに上条君めがけて飛んでいく...。

 

上条君はそれに気が付くと...

 

 

「ッ!!」

 

バッと砲弾に向けて右手を突き出した。すると......

 

 

パキィィィィィンッ

 

そんな甲高い音と共に砲弾が消え去ってしまったのだ。

 

思わず自分の目を疑った...。

 

だが確かに響君の撃った砲弾が消えた

 

 

「っ!今のは...」

 

 

「あれこそが提督の力、あの右手で触られた深海棲艦は存在そのものが消し飛ぶんです...。これで分かりましたか?提督が何故艦娘に指定してきたのかを」

 

 

「えぇ、とてもよく理解しました...」

 

しかし疑問も残る、深海棲艦が触られただけで消えるのなら艦娘が触られた場合はどうなのか...

 

深海棲艦同様消えるのか、それともただの人間に戻るのか...

 

考え出したらキリがない...。

 

 

「あまり二人を待たせるわけにもいきませんし、それじゃあ始めてください!」

 

自分の合図と共に榛名君と上条君の模擬戦が始まるのだった。

 

 

sideout

 

 

 

_______________________

 

 

~~三人称~~

 

 

「それじゃあ始めてください!」

 

吉野の合図と共に戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

「ッシ!」

 

最初に動いたのは榛名であった。

 

高速艦ならではの機動力を生かし、瞬時に上条との距離を詰めていく。

 

その勢いを乗せ、強力な突きを繰り出す。

 

凄い速度で放たれる拳、しかし上条はそれを身体を横に少し反らせて難なく回避する。

 

そしてすかさず左腕でカウンターをお見舞いする。

 

 

「おぉぉっ!」

 

通常、常人が戦艦の艦娘を殴ってもその頑丈さ故に大したダメージは受けることはない。

 

だが深海棲艦達にあらゆる艦の対処法、戦い方をみっちり教え込まれた上条の拳は例え戦艦だろうと空母だろうと関係なしにダメージを与えることが出来る。

 

 

「かはっ...」

 

カウンターをモロに食らい吹っ飛ぶ榛名、なんとか空中で体勢を立て直すと上手く着地する。

 

しかし、それを狙っていたかのように同じく距離を詰めてきた上条が左腕を勢いよく振りぬく。

 

今度は榛名がその攻撃をしゃがむように躱し、その無防備な足に足払いをかける。

 

 

「ハッ!」

 

 

「うおっ!」

 

バランスを崩し転がる上条、追撃をかけるように榛名の肘内が迫る。

 

 

「っ!...ふぅ、あっぶねえ...」

 

すぐさま体を横に転がし肘内を回避する。

 

艦娘の榛名と違い、人間の上条は一撃でも貰えばアウトだ...。

 

立ち上がり次の一手に警戒する。

 

対する榛名は躱された肘が地面に着く前に身体を捻りなんとか自身へのダメージを何とか回避し体勢を立て直す。

 

 

「おぉぉぉぉっ!!」

 

上条は次で決めるつもりなのか右手を振りかぶり榛名へと距離を詰めていく。

 

 

「っ!はあぁぁぁぁぁっっ!」

 

榛名も負けじと渾身一撃を叩き込むため右腕を振りかぶり、振りぬいた。

 

 

 

バッキィッ

 

パキィィィィィンッ

 

拳のぶつかる音と甲高い衝撃音が演習場に響き渡る...。

 

そこにはなぜか衣服が消し飛ばされ体を両手で覆い隠している榛名と少し離れた場所にて倒れて動かない上条の姿があったという......。




模擬戦での傷を癒した俺は再度吉野さんとの対話の移る。

だがそこでとんでもない提案が飛び出てくることになる...

次回、新約、とある提督の幻想殺し

艦娘トレード

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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艦娘trade

翔鶴です。

前回は提督のマヒした味覚発覚と双方の世界情報の交換。

そして大阪艦隊の武蔵殺しさんとの模擬戦でした...。

近接特化の艦娘に互角に戦えるだなんて...提督は本当に人間なのかしら...。


side上条

 

 

「まったく、戦艦相手に無茶をし過ぎなのです!」

 

そう話すのは大阪鎮守府のネココスメイド電...。

 

あの模擬戦の後、入渠ドックに放り込まれた俺は模擬戦での傷を癒しその後に医務室へと連れてこられていた。

 

 

「いやーそこまで無茶をしてるつもりはなかったのですが...」

 

 

「一撃でも貰えば決して軽くないダメージが入るのです、そんな相手とやろうだなんて普通の人は考えないのです!」

 

 

「いや、でも当たらない自信ありましたし...」

 

 

「そう言う問題じゃないのです!」

 

まるで子供を叱る母親の様な叱り方をするネコズマ。

 

そんな姿を見て俺は江ノ島の初代秘書艦である電を思い出していた。

 

あっち(江ノ島鎮守府)の電はどっちかって言うと子供っぽい所があったよなぁ...。

 

 

「はは...なんだか母親みたいだな...ババ臭いって言うか...ゲッ!」

 

そこまで言いかけて俺は後悔することになった。

 

何しろそこには般若の如き形相をしたネコズマが某龍玉的なオーラを醸し出していた。

 

 

「あ、あのぉ...電さん?」

 

 

「大阪湾に沈めてあげるのDEATH!」

 

 

「んぎゃあぁぁぁぁぁ!!不幸だあぁぁぁぁ!!」

 

そしてしばらくの間俺は大阪鎮守府内をネコズマに追い掛け回されるのであった。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

「それで、デンちゃんがあんなにお怒りだったんだねぇ...」

 

 

「死ぬ...ホントに死ぬ...」

 

般若のネコズマに追いかけられること数十分...。

 

必死の抵抗も空しくネコズマに捕まった俺はあちこちを歯痕だらけになって執務室に戻って来ていた。

 

 

「普段あまり怒らない彼女があそこまで怒るって上条君、いったい何を言ったの...?」

 

 

「黙秘権を行使します...」

 

もしあのことを下手に口走ってまたネコズマに聞かれでもしたら溜まったものじゃない...。

 

 

「そ、そっかぁ...黙秘かぁ...」

 

何か色々と察したのか髭眼帯(吉野)さんはプルプルと震えていた。

 

そして沈黙が二人の間に舞い降りる...。

 

響くのは各々が手にする独飲料を啜る音のみ......

 

それは大阪秘書と加賀姉が戻ってくるまで続くのであった。

 

 

 

__________________

 

 

 

 

「さて、それじゃあそろそろ本題に入ろうか」

 

秘書三人が戻ってきたことで髭眼帯(吉野)さんがそう口を開く。

 

くちくかん(秘書官ズ)を両膝に座らせながら...。

 

俺は敢えてそれを口には出さない。

 

出せば間違いなく面倒ごとに巻き込まれると感じ取ったからだ。

 

 

「そうですね、えっと、どこまで話ましたっけ?」

 

 

「自分達がそちらの海軍に協力する際に戦力になるかのテストまでだったかな」

 

 

「そうでした!じゃあ結果だけ言わせてもらいますね、加賀姉、頼む」

 

それを聞いて表情が引き締まる髭眼帯(吉野)さん。

 

加賀姉は小さく頷き、口を開いた。

 

 

「テストの結果...大阪艦隊は合格です」

 

それを聞いてホッとしていたのは髭眼帯(吉野)さんではなく秘書官ズであった。

 

 

「金剛型とは思えない戦いぶりでしたが、あの思い切りの良さ、今の海軍にはない斬新なものを感じました...。」

 

 

「ウチの娘達は多かれ少なかれ癖のある子達ばかりですからそこは仕方ないかもしれませんね」

 

加賀姉の戦闘評価に髭眼帯(吉野)さんは苦笑しつつ答える。

 

 

「それにしても上条君、君の所の加賀さんはしっかりしてるよね、うちの加賀君とは雲泥の差だよ...」

 

 

「なんたって自慢の姉っすから!ってか、ここにも加賀さんいたんですね」

 

 

「姉なんだ...。

あぁ、一応ね、けど、君の加賀さんを見てしまうととてもそっちが羨ましい限りだよ...」

 

そう話す髭眼帯(吉野)さんの目はハイライトが消え、俺が呉に来た当時の艦娘達のような無表情であった。

 

 

「そ、そんなにですか?なんなら一時的に加賀同士で交換してみます?」

 

 

「......へ?今なんて?」

 

 

「いやだから、一時的に交換してみますか?って、謂わばトレードって奴ですよ」

 

 

「そこは英語に訳さなくても分かるよ!?というかどうしてそんな話になるのかな?」

 

 

「え?だって加賀姉が羨ましいんですよね?なら一か月くらい取り替えてみるのも良いかなって...。そっちの加賀さんがどういう方なのか俺も気になりますし」

 

 

「へ、へぇ....気になるんだぁ...そっかぁ」

 

そうしてしばし考え込んだ後、髭眼帯(吉野)さんは加賀姉に向けて問いかけた。

 

 

「上条君はこう言っているけど、加賀さん的にはどうなのかな?」

 

 

「私は提督の意見に従うだけです...。」

 

 

「そうなんだ、凄い信頼関係だね...。」

 

 

「はい、当麻は愛すべき弟ですから...。」

 

二人の話が盛り上がっている間俺は先程とは別の飲料をあおる。

 

うん、どれもやっぱちょっと変な味だ...というかこれは呑み物と言えるのだろうか...。

 

俺の手にあるのはひやしあめと書かれた缶。

 

見た目だけならそれどこのそばつゆだよ!と言われそうな風体の謎すぎる液体飲料だ。

 

味はと言えばショウガと水飴が大量にぶち込まれただけのものと言っても過言ではない代物...。

 

水飴故に甘すぎて液体とも言い難いドロドロしたもの、それこそ某ファストフードのシェイクにでもありそうな一品。

 

まさか外でもこんな毒飲料が出回っているとはな...。

 

そんなことを考えながら中身を煽り、二人の様子を見守る。

 

どうやら二人は話を無事終えたようで、髭眼帯(吉野)さんが俺の方を向いて話しかけてきた。

 

その時に俺の手に持っている缶を見てギョッとして様な顔をしていたのはなんなんだろうか...。

 

 

「えーっと...上条君。加賀さんとの話し合いの結果、先程の提案受けさせてもらうことにするよ」

 

 

「つーことはそっちの加賀さんがこっちに来るってことでいいんすよね?」

 

 

「そうだね、そっちの加賀さんには許可はもらえたけど、まだこっちの加賀君にも話をしないとならないから今すぐにというわけにはいかない...。けど、近いうちに出来るようにしておくよ」

 

 

 

「分かりました準備が出来たらまた連絡ください。俺の連絡先と呉の連絡先を渡しておくので」

 

そうして俺は一枚の名刺を髭眼帯(吉野)さんに差し出す。

 

 

「分かった、それじゃあまた後日連絡させてもらうよ」

 

 

「はい、じゃあ俺達はこれで...。時間取らせちゃってすいませんでした...」

 

 

「いやいや、中々有意義な時間だったしこっちの事をよく知るいい機会だったよ。そちらの元帥さんにもよろしくね」

 

 

「分かりました。それじゃ加賀姉、行くか」

 

 

「そうね、それじゃ吉野さん、失礼します...。」

 

 

「あぁ、うん、また機会があったら来てね」

 

そんな吉野さん達に見送られながら、俺達は呉鎮守府へと帰って行くのだった。

 

 

 

sideout

 

 

 

_________________

 

 

 

side吉野

 

 

 

「帰っていったね...」

 

そう話すのは第一秘書艦である時雨。

 

 

「そうだねぇ、なんというか色々な意味で驚かされることの多い子だったな」

 

 

「あの毒飲料をものともせずに飲むんだから学園都市ってところは恐ろしいね...。」

 

隣の響が少し固まりながら話す。

 

学園都市...。

 

外より二、三十年ほどか化学が進んだ学生の為の街...か...。

 

この事が夕張君や明石の耳に入らなくて本当に良かった...

 

あの二人ならそれこそ『学園都市の技術を超える!』といって変な対抗心を燃やしかねないから...。

 

 

 

 

「そう内心で吉野はため息を吐く...。だが、それが後に現実に起こりうる事など今の吉野には知る由もない...」

 

 

「ちょっ響君そんな不吉なこと言わないで!?」




大阪での一件を終えいつもの日常に戻った俺達。

だがそこに大阪からの刺客が襲来する...。

次回、新約、とある提督の幻想殺し

毒食悪ノリ空母襲来

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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毒食悪ノリ空母襲来

綾波です...。

前回は司令官と吉野司令官が艦娘のトレードに話をしていました!

交換する艦は加賀さんみたいですね、加賀さん、大丈夫なんでしょうか...


side上条

 

 

『そうか、報告感謝するよ大将君後はこちらでなんとかしよう』

 

 

「すいません、よろしくお願いします...」

 

 

『構わないよ、態々大阪まで出向いてくれたのだからね、では、また何かあれば連絡してきてくれ』

 

 

「はい、失礼します...ふう...。」

 

そうして元帥へ大阪での報告を終え、俺は通話を切る。

 

 

「報告は終わりましたか?」

 

秘書艦のサラトガが声をかけてくる。

 

 

「あぁ、何とか終わったって感じだな...はあぁ...」

 

話していただけなのにやたらと疲れて俺は椅子に背を預ける...。

 

元帥を相手にしてるとどうも緊張しちまうんだよな...目上の人だからか?

 

 

「とにかく、これで一通りやることは終わったな、そういえば、向こうの加賀さんはまだ到着してないのか?」

 

 

「え?えぇ、まだ到着はしていないみたいですね、四時間ほど前に吉野さんから出立したと連絡がありましたし、もう直に着く思いますよ?」

 

 

「そうだといいけどさ...」

 

 

「提督は心配性ですね、あら?Goodtiming!加賀さんが只今ご到着されたみたいですよ?」

 

 

「本当か!」

 

いきなりの事に俺は身を乗り出し名が聞き返してしまう。

 

 

「え、えぇ...今挨拶に向かっているそうですよ?ほら、噂をすれば...」

 

サラがそう言って扉の方を見る。

 

俺も釣られてそちらを見ると...。

 

 

【ガチャッ】

 

 

「失礼するわ、到着したので挨拶に来ました...。

航空母艦、加賀です。貴方が一月の間の私の提督なの?それなりに期待はしているわ...。」

 

そう、扉を開けて入ってきたソイツの挨拶を紛れもなく加賀その人であると理解する...。

 

そう、挨拶を聞くまでは...。

 

問題はその恰好だ、何故ならその加賀さんは加賀姉がよく来ている弓道着のようなものではなく、裾や袖にひらひらのレースが付いた装飾に、スパンコールが全身に縫い付けられた半スケニーソックス...そしてこれで止めと言うかの如くマイクロミニのスカートのメイド服だったのだ...。

 

サラトガも笑顔のまま固まっている...。

 

 

「えっと...はい、ようこそ呉鎮守府へ...加賀さん...で、合ってるんだよな?」

 

 

「そうよ?私の顔に何かついていて?」

 

 

「いや、顔には何もついてないですけど...その恰好はどういうことなのでせうか?」

 

 

「...?あぁ、これ?これは私達の第二の戦闘服よ...。」

 

 

「戦闘服!?そのメイド服が!?」

 

 

「そうよ...。」

 

すました顔でさらりと答える大さ加賀...。

 

いや、そんなのでどう戦うんだよ!寧ろ色々見えちまって戦えねえじゃねえか!

 

まさか...!露出狂の気があるのか?

 

 

「そ、そっか、まあそれは置いといて、加賀さんには一カ月の間こっちで生活してもらいます。特にやることはないので自分の好きなように行動してていいですよ、後、その恰好は今後呉鎮守府内出来ることを禁止します...。いいですね?」

 

 

「分かったわ、けれど着替えをこれしか持ってきていないのだけれど」

 

 

「着の身着のままかよ!はぁ...家にいた加賀の着替えがあると思いますので、それを貸しますから着ておいてください」

 

 

「了解しました、それよりも上条提督、少し聞きたいことがあるのだけれど」

 

 

「聞きたいこと?なんですか?」

 

 

あっちの私(呉の加賀)には姉と呼んでいたのよね?私にはそう呼んではくれないのかしら?」

 

俺はそれを聞いて脱力してしまい、机に頭を打ちそうになった。

 

 

「っ!提督!?大丈夫ですか?」

 

サラが慌てて受け止めてくれたおかげでなんとか打たずには済んだ...。

 

 

「えっと...?加賀s「姉さん...」...加賀s「姉さん...」だぁぁぁっ!もう分かった!分かったっての!加賀の姉貴!長いから姉貴で!これでいいか!」

 

 

「少し投げやりな気もするけれど、良いわ、流石に気分が高揚します...。」

 

無表情ながらに僅かに頬を染め上げる加賀...じゃなかった、姉貴。

 

そしてそれを羨ましそうに見つめるサラの姿があった...。

 

俺、この空母と一緒にやっていけるんだろうか......。

 

 

「不幸だ...」

 

これから先の事を考えると俺はそう呟かずにはいられなかった...。




大阪鎮守府に無事到着した加賀姉...。

吉野から簡単な説明を受け挨拶の為に鎮守府を散策する。

しかしそこはトンデモ人外魔境の巣窟だった...。



次回、新約とある提督の幻想殺し

とある正規空母の災難...。

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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とある正規空母の災難...。

鹿島です...。

前回は大阪の加賀さんが提督に降臨(着任)したお話しでした。

今回は呉の加賀さんが大阪に着任するお話になりますよ、ふふっ



_________________________________________________________

事情により加筆修正致しました。


side加賀

 

「航空母艦、加賀です。貴方が私の提督なのね?短い間だけどそれなりに期待はしているわ...」

 

呉を出えて数時間。なんとか大阪鎮守府に辿り着いた私は先日会った吉野さんに挨拶をするために執務室に顔を出していた。

 

 

「あぁはい、ここまでの道中ご苦労様でした。改めまして、自分がここの司令長官をしている吉野三郎です。一カ月の間、よろしくお願いしますね」

 

そう言ってにこやかに出迎えてくれたのは戦国武将風の眼帯を左目に着け、髭をこれでもかと生やすというとても奇抜な格好の男、吉野三郎司令である。

 

傍には以前にも会ったことのある駆逐艦娘の時雨と響が座って何かを飲んでいる。

 

 

「えぇ、存じています。こちらこそよろしくお願いするわ...。」

 

 

 

「まだこっちに来たばかりで何処もバタバタしていますが、まあ好きなようになさってくれて構いませんので」

 

 

「了解しました...。」

 

そんな風に着任の挨拶を終えた私は鎮守府内を散策していた。

 

吉野司令から案内の話があったのだが、それは遠慮して一人で散策することにしたのだ。

 

 

「それにしても、広いのね、ここは...。」

 

呉も中々広かったけれど、ここはそれ以上だ...。

 

なんとなしに歩いていると見覚えのある建物が見えてきた、工廠だ...。

 

近づいてみるとそこには『夕張重工』大きく書かれていた。

 

 

「夕張重工?工廠ではないのかしら...」

 

気になるので中に入ってみると。

 

中は呉や江ノ島にある工廠とさして変わりない造りだった。

 

 

「やっぱり普通の工廠よね」

 

尚も歩き続けていると奥の方で何やら作業をしている人影が見えた。

 

この工廠の関係者かしら...。

 

そう思い近寄ってみる。

 

 

「ウフフ...フフフフ...ここをこうして...」

 

 

「......何をしているの?あなた...」

 

私は呆れつつもツナギの女性に声をかける。

 

 

「え?誰です!?って加賀さんかぁ、どうしたんです?工廠に来るなんて珍しいですね」

 

ツナギの女性は慌てて振り向くとそう話しかけてきた。

 

どうやらここの加賀(大阪の加賀)と勘違いをしているらしい...。

 

 

「誰と勘違いしているのか分からないけれど、私はここに来るのもあなたと会うのも初めてよ...。」

 

 

「へ...?あ!もしかして!今噂になってる呉から来た艦娘の方ですか?」

 

一瞬ポカンと間抜け面をした後、思い出したように話すツナギの女性。

 

 

「噂については知らないけれど...そうね、呉から来たというのは本当よ」

 

 

「あれですよね!呉の提督ってあの『学園都市』から来たんですよね?」

 

何故かキラキラエフェクトが見えるほど顔を輝かせて聞いてくるツナギの女性。

 

 

「そうね、提督はそんなことを言っていたのは聞いたことがあるわ」

 

 

「おぉ!『学園都市』って物凄く化学が発展してるんですよね?どんな感じなんですか?」

 

 

「私もよくは知らないわ、私自身『学園都市』にいたわけではないから、そんなに聞きたいなら提督にでも聞いてみたらどう?」

 

 

「あー...。確かにそうですね、聞くなら本場にいた本人に聞くのが一番ですし!

そうと決まれば行動開始よ!」

 

そう言うと声高らかにツナギの女性はどこかへと歩き去ってしまった...。

 

 

「なんだったの?あの人は...」

 

 

「あはは、夕張さんはあの手の事になると融通が利かなくなりますからね~」

 

呆れて見送っていたところに不意に別の声が聞こえてくる。

 

 

「あなたは?」

 

そう問いかけるが、私はこの娘にすごく見覚えがあった。

 

 

「あぁ、申し遅れました。私、明石酒保の総責任者をしています。明石です。どうぞ、よろしくお願いいたします」

 

唐突に現れ総責任者だと言う明石という艦娘...。

 

そう、その艦娘は以前工廠で死にかけていた明石と同種の艦であった...。

 

 

「え、えぇ、ここの明石さんという事は理解したわ、その明石さんが私に何の用なの?」

 

 

「いえ、折角大阪まで来ていただきましたし、歓迎の意味合いを兼ねてプレゼントをと思いまして!」

 

 

「...?プレゼント?」

 

 

「はい!私からのお近づきのしるしです。どうぞ」

 

そう言って袋に入った何かを差し出してくる明石さん。

 

 

「ありがとう...これは?」

 

 

「それは明石酒保特製大精霊チラメイド服です!」

 

気のせいかしら?今とんでもない言葉が聞こえた気がするのだけど...。

 

 

「......なんて?」

 

 

「だから!明石酒保特製大精霊チラメイド服です!」

 

初対面の相手にそんなものを渡すのはどうかと思うのだけれど......

 

 

「......そう、一つ言ってもいい?」

 

 

「はい、なんでしょう?」

 

 

「歓迎してくれるのは凄く嬉しいの、嬉しいのだけれどね?初対面の相手にいきなりこんなものを渡すのはさすがにどうかしてるんじゃないかしら?」

 

そう言うと明石さんはやれやれというように首を横に振った。

 

 

「そんな訳ないじゃないですか、最近はこういったタイプの服が流行なんですよ?艦娘の間でもそれに合わせた戦闘服も作られるくらいなんですから」

 

 

「...そうなの?」

 

そんな話聞いたことないのだけれど...。

 

 

「そうですよ!他の鎮守府にもリサーチ済みですので間違いありません」

 

まさかそんなことがあるなんて...。

 

 

『それに、きっとそれを着てくれたらあの提督さんも喜んでくれるかもしれませんよ?』

 

ボソッと耳元でそんなことを言ってくる明石さん。

 

 

「そ、そうかしら...。」

 

 

「はい!これを着て喜ばない人はいませんよ!」

 

提督が喜んでくれるのであれば......

 

これを着てみるのも悪くないかもしれない...。

 

 

「着初めは中々慣れないと思いますからここにいる間に慣れておくといいかもですよ?」

 

 

「そ、そうね...」

 

私はそのまま明石さんにされるがまま着替えさせられてしまうのであった...。

 

 

 

 

尚、一ヶ月後、その姿をみた呉の不幸少年は悲しみのあまり大阪不信に陥りかけたというのはまた別のお話




とんでもない事態が呉鎮守府で起きようとしている...。

あのポンコツ戦艦と毒食悪ノリ空母がついに手を結んでしまった。

俺達は二人の野望を阻止すべく鎮守府内を奔走する。

次回、新約、とある提督の幻想殺し

比叡と加賀

ポンコツ戦艦と悪ノリ空母が出会うとき、崩壊は始まる...。


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比叡と加賀

扶桑です…。

前回は加賀さんが大阪鎮守府の色に少しずつ染められていく話でした…。

今回は呉での上条提督の話になります…。

あぁ…空はこんなに青いのに…提督のお先は真っ暗なのね…


side??

 

「まさかこんなところにどうしたいなんてね…。」

 

 

「私も驚きましたよ、まさかあなたと趣味が同じたなんて…」

 

 

「これは手を組むしかないと思うのだけど、どうかしら?」

 

 

「奇遇ですね!私もそうしたいと思ってたんです」

 

 

「決まりね、同志比叡…これからよろしく頼むわ」

 

 

「はい!こちらこそよろしく頼みます!同志加賀さん」

 

 

『サルミアッキを鎮守府に広めるために!』(ガシッ)

 

こうして、市場最悪のコンビが誕生した瞬間であった。

 

 

sideout

 

 

_____________________________________

 

 

 

side上条

 

 

呉鎮守府に災厄が舞い降りる…。

 

姉貴とバカ比叡が手を組みやがったのだ。

 

目的は鎮守府中にサルミアッキを広めるためらしい…。

 

んなバカなことされては堪ったもんじゃない!

 

その話を他の艦娘から聞かされた俺は鎮守府内を走り回っている。

 

 

「クッソ…何処だ!」

 

 

「司令官!あの二人を見つけたわ!食堂の方に向かってるのをみたの」

 

二人が見つからず、走り回っていると雷がそう報告してきた。

 

あいつらにも見つけ次第報告するように言ってある。なので艦娘達も血眼になって二人を探し回っているのだ。

 

 

「食堂か!サンキュー雷!」

 

俺は短く礼を言って食堂へと駆け出した。

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

 

「見つけたぞ二人とも!」

 

食堂へと駆け込んだ俺は二人を見つけそう叫んだ。

 

対する二人はというと…。

 

 

「チッ…見つかってしまったものは仕方ないわね、提督、恨みはないけど死んでいただきます」

 

 

「これもサルミアッキを広めるため!比叡!気合!入れて!殺ります!」

 

等と変に乗っかって来て面倒くさい方向に話を持っていかれる…。

 

 

「何言ってんだ?アホなこと言ってないでいいから比叡、お前は第六の奴等と遠征行ってこい、姉貴はそろそろ演習の時間だろ?」

 

言って俺は時計を指す。二人もつられてそちらを見る。

 

 

「本当ね、もうこんな時間だったのね」

 

 

「えぇぇ…!私また遠征ですかぁ!?」

 

 

「資源がカツカツなんだって!いつもやってんだからさっさと行けって」

 

不満をあげる比叡を一喝して食堂から追い出す。

 

 

「ほら、姉貴も早くしろって、予定が狂っちまうだろ?」

 

 

「分かっているわ、今から行きます…。」

 

渋々といった感じに出ていこうとする。

 

それを見て俺は内心で溜め息を吐く…が…。

 

 

「けれどその前に提督にも味わってもらうわ、喰らいなさい」

 

そう言ってサルミアッキと思わしき物が入った袋を差し出してくる。

 

 

「い、いやぁ…それはさすがに…」

 

 

「いいから食べなさい…。」

 

そう言って腕で俺の顔をガッチリとロックして口を開けさせると無理矢理サルミアッキを投入してきた。

 

しかも大量に……

 

途端に広がるアンモニア臭とキンケシの味…。

 

 

「ふごっ…ら、らりすふんらやへろぉぉ!!ぎゃあぁぁぁっ不幸だぁぁぁ!!」

 

サルミアッキを大量投入され俺は悲痛な叫びをあげるのだった…。

 

 

 

sideout

 

___________________________________

 

sideo吉野

 

 

俺は困惑していた…。

 

目の前に現れた加賀さんを見て…。

 

 

「えっと…加賀さん?」

 

 

「はい、何かしら?吉野司令…。」

 

 

「そのさ…その格好どうしたの…?」

 

その格好とはピンクを基調としたメイド服で上下のセパレートとなっており、胸を強調しつつお腹丸出し。 

 

背中には白い蝶の羽根、スカートは短く、妖精をイメージする服となっていた

 

その加賀さんのあまりに奇抜な格好に恐る恐る聞いてみる…。

 

すると加賀さんは少しだけ頬を染め説明してくれた。

 

 

「以前鎮守府の散策をしていた時に渡されてある方に着させられました…。」

 

俺はその言葉にある艦娘を連想する……。

 

 

「…ひょっとして、明石?」

 

 

「…………」

 

黙ったまま小さく頷く加賀さんを見て俺は叫ばずにはいられなかった…。

 

 

「ぁぁぁぁぁぁあかしぃぃぃぃ!!何やってんだあかしぃぃぃぃ!!よりにもよって他のとこの艦娘になんてもの着せてるんだあかしぃぃぃぃぃぃっっ!!」

 

その叫びは時雨が止めに入るまで延々と続くのだった…。




吉野さんのところの加賀と交換すること一ヶ月…。

ようやく加賀姉が帰ってくることとなった…。

だが帰ってきた加賀姉は以前とは違っていて……


次回、新訳、とある提督の幻想殺し

加賀姉の変貌

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる…。


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加賀姉の変貌

山城です...。

前回は提督が凶悪キンケシ飴と格闘していました。

一方の吉野さん側では明石さんに唆された加賀さんの格好に吉野さんの叫びがとどろくというものでした...。

二人して何をしてるのかしら...


side上条

 

 

姉貴が来てからようやく一月が経った。

 

あの地獄の一件(サルミアッキ大量投入事件)後から姉貴の悪行はエスカレートしていった...。

 

ある時は禁止したものとは違うハイレグの燕尾服バニーという恥じらいというものを何処かに捨ててきた物を着用して鎮守府内を闊歩していたり...。

 

またある時は間宮や鳳翔、そして俺の目を盗んで比叡と混合料理(毒料理)を作ってそれを自分たちで食べてぶっ倒れるという謎行動を起こしていたりしていた...。

 

だが、それも今日で終わりだ...。

 

加賀姉が戻ってくれば少なくとも俺に降りかかってくる不幸の量を若干なりとも減らせる...。

 

 

「はあぁぁ...早く戻って来てくれ加賀姉ぇ...」

 

 

「失礼ね、私ならここにいるというのに...。」

 

 

「いやアンタのことを言ったんじゃねえよ!」

 

 

「五航戦の子なんかと一緒にしないで...。」

 

 

「してねえしどこにもいねえよ五航戦!!」

 

何故か執務室にいる姉貴の言葉にすぐさまツッコミを入れる...。

 

これもなんつーか、習慣になりつつあったよな......

 

姉貴はやること自由過ぎて何を仕出かすか分かったもんじゃない。

 

これでも向こう(大阪鎮守府)ではかなり大人しい方らしい...。

 

これでまとも方とか...吉野さん、あんたも苦労してるんだな...幻想殺しを持ってる訳でもないのに...。

 

俺は心の中で吉野さんに合唱する。

 

そんなことをしつつ時計を見ると時間はヒトヨンマルマルになっていた。

 

 

「っと、そろそろ時間だ、姉貴、準備は終わってるか?」

 

 

「出かける準備ですか?鎧袖一触です...。」

 

ってことは終わってるという事で良いってことだよな?

 

 

「よし、んじゃ行きますか、ところで...ホントにその恰好で行くつもりでせう?」

 

俺がそう聞くにはちゃんと理由がある。

 

何故なら姉貴は来た時と同じあのマイクロミニのスパンコールメイド服を纏っているからだ...。

 

 

「ここの加賀さんの服を着ていくわけにはいかないのだから仕方ないでしょう?」

 

 

「ぐっ...そう言われればそうなんだが...」

 

その恰好は...上条さんには目の毒な訳なのですよ...。

 

主に目のやり場とか目のやり場とか目のやり場とか......

 

くっ...!惑わされるな!上条当麻!

 

 

「ほら、もう行くのではないの?」

 

俺が内心で悶えていると姉貴がそう声をかけてくる。

 

時間を見るとそろそろ出ないとまずい時間になっていた。

 

 

「っと、確かにそろそろ行かねえと!行くぞ姉貴」

 

 

「分かっているわ...。」

 

こうして俺達は呉鎮守府を後にして大阪鎮守府へと向かった。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

『『『『『いらっしゃいませ!お客様!』』』』』

 

 

「俺なんかに構ってないでいいから仕事してください...」

 

また出来ていたメイド道を通りながら軽くツッコミを入れていく...。

 

執務室に辿り着きその戸を軽くノックする。

 

 

『どうぞ、空いてますから』

 

そんな声が返って来たので俺は問を開け中に入る。

 

 

「失礼します。お久しぶりですね、吉野さん」

 

 

「あぁ、久しぶりだね上条君。ウチの加賀君はどうだったかな?」

 

そう話す吉野さんは相も変わらず髭眼帯というハッタリ装備である...。

 

 

「あ、あはは...なんというか、個性的な人でした」

 

それを聞いて吉野さんは凄く申し訳なさそうな顔をする...。

 

 

「きっとウチの加賀君が相当やらかしたと思うから代わりに謝っておくよ」

 

そう言って深々と頭を下げる髭眼帯(吉野)さん。

 

 

「へ!?いやいや謝らないでください!中々楽しい一か月でしたから」

 

 

「...そう言ってもらうとすごく助かるんだけど...実は今頭を下げてるのはそれだけじゃないんだよねぇ...」

 

 

「・・・へ?」

 

おいおいおいおいなんかとんでもなく嫌な予感が済んだけど!?

 

すると司令室の戸が叩かれある一人の艦娘が入ってきた。

 

その艦娘に俺は物凄く見覚えがあった...。

 

というか、加賀姉だった...。

 

しかしその恰好はピンクを基調としたメイド服で上下のセパレートで、胸を強調しつつお腹は丸出し…。

 

背中には白い蝶の羽根、スカートは短く、妖精をイメージさせるものだった…。

 

 

「......なぁ吉野さん」

 

 

「チガイマス」

 

 

「いや、まだ何も言ってないんですけど...」

 

 

「君が何を言いたいのか大体察してるから、先に言っておくけど自分は極めてノーマルだから、メイド愛好家とかコスプレを着せて喜ぶような人間じゃアリマセン」

 

 

「お、おぉ...なんつか、大変なんですね...そっちも...」

 

髭眼帯(吉野)さんに同情の視線を向けていた俺は加賀姉(呉加賀)に視線を向ける...。

 

姉貴(大坂加賀)以上に目にやり場に困る服装にどう話しかけたらいいものかと思案する...。

 

 

「......どう...かしら?当麻」

 

先に口火を切ったのは加賀姉(呉加賀)の方だった。

 

 

「え、えーと...似合っておりますことよ?」

 

 

「そ、そう...。それならこれからも着てみようかしら」

 

 

「それだけはやめてくれ頼むから!というか元に戻ってくれ加賀姉!」

 

 

「私は何も変わってないわ...。強いて言うならメイド服を着こなせるようになってひやしあめを良く飲むようになったくらいよ」

 

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!加賀姉がおかしな方向に向かいだしちまったぁぁ!不幸だぁぁぁぁ!!」

 

俺の叫びに髭眼帯(吉野)さんは終始申し訳なさそうな顔をしていたという...。

 




加賀姉が戻って来ていつも通りの日常が戻ってきた呉鎮守府。

久しぶりに料理でもしようとしたところぞろぞろと艦娘達が集まって来て...


次回、新約、とある提督の幻想殺し

復活のK

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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復活のC

翔鶴です...。

前回は加賀さんがようやく呉鎮守府に帰ってきたお話でした。

大阪鎮守府色に染まりかけてましたけど、大丈夫なのかしら...。



_______________________


前回の次回予告でスペルミスしていたので一部タイトルが変わっています。


side上条

 

 

大阪から加賀姉が帰って来てから二週間が経とうという頃...。

 

俺はいつもの書類整理をしていた。

 

 

「はいこれで終わりっと、大淀、後頼むわ」

 

処理し終えた数枚の書類を大淀に手渡す。

 

 

「はい、お任せください」

 

クイッと眼鏡の位置を元に戻して大淀は執務室を後にする。

 

俺はそれを見送りながらぼんやりと考えていた...。

 

 

(最近料理してねえな...)と...。

 

久しぶりに料理をしてみるか、と浮かぶが下手に艦娘達に見つかればまたあの地獄が再来することは確定的だ...。

 

時間を確認すると、昼食時間まではまだかなりあった。

 

 

「......やるなら今しかねえな」

 

一人呟くとすぐさま執務室を後にした。

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

「よし、誰もいないな」

 

食堂へとやって来た俺は厨房に立ち調理器具を手に取る。

 

 

「なんだか懐かしいな...前に料理したのは俺が呉に来たばっかの時だったからな」

 

良くここまで変われたと思う...。

 

あれだけ提督という存在に脅え、心を閉ざしていた艦娘達が今ではとても幸せそうに笑っている...

 

 

「本当に、助けられてよかったよな...」

 

思わず感傷に浸る。だがここに来たのは懐かしむためではないという事をすぐさま思い出す。

 

 

「そんなことしてる場合じゃねえや、早いとこ作っちまわねえと!」

 

冷蔵庫から適当な材料を取り出し包丁で刻んでいく。

 

作るのは簡単にできて腹持ちも中々いい野菜炒めだ。

 

手軽にできるので学園都市にいた頃は何かとよく作っていた。というか、あの大ぐらい(インデックス)がいたのもあって作るものは基本『質より量』を意識していたというのもある。

 

今日一日分くらいは足りるくらいに量を調整し野菜を刻む...。

 

 

「ま、こんなもんだろ、さて次は...」

 

刻んだ野菜をフライパンに入れ味付けをしながら炒めていく。

 

味はシンプルに醤油と塩だけだ。それなりに味が付いて中々イケるのだ。

 

さして時間もかからずに調理が終了する。

 

さて、後はこれを部屋に持って行くだけという時に事件は起きた...。

 

 

 

「よし!完成!」

 

 

「ねえねえ!なにが完成なの?」

 

そんな声が背後からする、ギョッとして後ろを振り向くが誰もいない。

 

 

「って皐月は皐月は...」

 

今度は右後ろから声がして振り向くが誰もいない...。

 

なんだ?どうもすごく嫌な予感がするのでせうが......

 

 

「興味津々で提督の背中に張り付いてみたり!」

 

その声と共にガバッと誰かが背中に飛びついてきたのが分かった。

 

 

「ちょっ...!?誰だ?」

 

慌てて背中に手を回し元凶を探る。

 

原因は直ぐに分かった。背中に誰かが張り付いているのだ。

 

そいつの身体を掴み、俺は頭上を通るようにしてそいつを引っ張り出す。

 

 

「おぉー司令官てちっから持ちぃ!」

 

 

「えーと...何やってんだ?皐月...」

 

そう、背中に張り付いて来ていたのは睦月型五番艦の皐月であった。

 

 

「んーとね、なんとなくお散歩してたら食堂から良い香りがしたから覗きに来たんだ!」

 

 

「なるほど、そこで俺を見つけたと...」

 

 

「うん!それより...美味しそぉ~...」

 

目をキラキラさせて物欲しそうにする皐月。

 

やめろ!そんな目で俺を見るんじゃない!

 

 

「えーと、一口食うか?」

 

 

「いいの!?」

 

物凄い食い付きようである...。

 

 

「あ、あぁ...ちょい作り過ぎちまって困ってたからな」

 

実際には一日分の目安で作ってたから多くて困ることはねえだろうけど...。

 

 

「じゃあ欲しいな!」

 

 

「分かった分かった、準備してやるから待ってろ」

 

 

「はーい」

 

嬉しそうな皐月の返事を聞きながら皿を出し盛り付けながら俺は小さくため息を吐く...。

 

 

『はぁ、不幸だ...』

 

しかしそんなことを言っていても仕方ないので適当に盛り付けて皐月の所に持って行ってやる。

 

 

「ほら、冷めないうちに食べろよ」

 

そう言って皿に盛った野菜炒めを皐月の前においてやる。

 

 

「おー、これが司令官の男の料理!いっただっきまーす!」

 

勢いよくがっつき始める皐月。

 

お前はどこの戦闘民族だと言わんばかりの食べっぷりである...。

 

内心でそうツッコんでいると、他の奴らが入ってくるのが見えた。

 

 

「なんだかおいしそうな匂いがするわね」

 

 

「食事時間じゃないけど...凄くお腹が空く...匂い...」

 

 

「いいの匂いっぴょーん!って皐月、何食べてるぴょん?」

 

 

「というか司令官までどうしてここにいるのさ?」

 

 

「まみやさんもほうしょうさんもいないみたいだし、もしかしてしれいかんがおりょうりしてたの?」

 

 

「そう言えば以前ここに来たばかりの時も料理をしていたな...」

 

 

「言われてみれば...その後のインパクトが強すぎてよく覚えていなかったが...」

 

 

「司令官は料理も出来たんですね!」

 

 

「んぁ?どーでもいいけどさ、それ、美味しそうだね」

 

 

「男だけどレディーだわ!」

 

 

「暁、その言い方はいろいろと誤解を招くからやめた方がいい」

 

 

「さっすが司令官!でも、もっと私を頼ってくれてもいいのよ?」

 

 

「司令官様はお料理も出来たのですね、なるほど、司令官様らしい男の料理でございますね」

 

上から睦月型の二~十一番艦と暁型の一~三番艦、そして神風型の三番艦の春風がそれぞれ話す。

 

何故か全員先程の皐月と同じような表情で、だ...。

 

 

「わ、分かった、分かった!お前達の分も作ってやるからそんな目で見ないでくれ...」

 

これは、あれだ...不幸だー...

 

内心で深くため息を吐きながらも再び厨房へと立つ。

 

今度は先程より多めに材料を取り出し調理し始める。

 

作業を始めてすぐの事、野菜を切っている俺に春風が声をかけてきた。

 

 

「司令官様、何かお手伝いすることはございますか?」

 

正直春風のその申し出はとてもありがたかった。

 

 

「そうだな、じゃあ俺が炒めていくから春風は野菜を刻んでもらえるか?」

 

 

「分かりました、お任せくださいませ」

 

その後、作業を分担しつつなんとか人数分の野菜炒めが出来上がった頃、更に艦娘が入ってきた。

 

 

「なにやらいい匂いがすると思ったら提督が何か作ってるクマ」

 

 

「いい匂いにゃ...お腹空いちゃったにゃ」

 

 

「この香りは中々...アリだな!」

 

 

「おー確かに美味しそうじゃん提督の料理」

 

 

「司令官!私達にも作ってもらえませんか?」

 

 

「五十鈴にも作ってくれてもいいのよ?」

 

 

「あの...私も...食べたい...です...。」

 

 

「提督の料理は久しぶりですから私も...。」

 

 

「私にもお願いできますか?」

 

そう話すのは上から球磨型一、二、三、五番艦と長良型の一~三番艦、そして大淀型一番艦(任務娘)、香取型一番艦香取という面々。

 

まさかあいつら(駆逐組)に続きこいつら(軽巡組)まで来るとは思わなかった...。

 

 

「分かった、すぐに作ってやるからちょっと待ってろ」

 

駆逐組用に盛り付けた皿を春風に持って行くよう指示を出し、俺は更に材料を取り出し調理を始める。

 

春風もすぐに戻って来たので再び材料を刻んでもらい、先程よりも多い量を炒めていく。

 

軽巡は駆逐より食べる量が多い故に自然と調理する量も増えてくるのだ。

 

軽巡組の分もなんとか作り終わり盛り付けたところでまたも別の艦娘達が入ってくる。

 

 

「なにやら食堂が騒がしいと思ってきてみたら珍しいことをしておるの、提督よ」

 

 

「提督のこの姿を見るのももう何カ月も前の事ですものね」

 

 

「最近は間宮さんや鳳翔さん達が張り切ってますからねー」

 

 

「私は初めて見ました!admiralさんの料理してる姿!」

 

 

「まだ食事時間でもないのに...提督お手伝いしましょうか?」

 

 

入ってきたのは利根型の姉妹にパパラッチ(青葉型一番艦)とAdmiralHipper級三番艦のプリンツ、そして間宮だった。

 

 

「わ、分かったすぐ作ってやるから!悪い間宮、頼めるか?」

 

 

「はい!すぐお手伝いしますね!」

 

そう言って厨房に入ってくる間宮。

 

しかしその恰好は割烹着ではあるのだがスカートがやたら短くなり先程入ってくる時にチラッと見えたが背中がパックリと開いたオープンバックな割烹着なのだった...。

 

 

「いやなんて格好してんだ!」

 

 

「これですか?以前大阪から来ていた加賀さんが最近の私達(間宮)の流行はこれだと言って送ってきてくれたんですよ」

 

俺の知らないところで何してくれてんだ姉貴ィィッ!!

 

 

「と、とりあえずいつもの格好に着替えてきてください...。手伝うのはそれからで」

 

 

「分かりました、実を言うと少し、いえ、かなり恥ずかしかったんですよ?」

 

 

「それなら最初から着ないでくれよ!!」

 

 

「提督がどんな反応をするのか気になったので来てみたんですよ?お気に召しませんか?」

 

その場でクルリと軽く回る間宮...。

 

 

「い、いやー...大変よく似合っておりますが、年頃の男子高校生には目の毒と言いますか眼福と申しますか...」

 

そしてさっきから春風の視線が痛い...

 

やめてくれ...俺がやらせてる訳じゃないんだ...。

 

 

「と、とにかく着替えてきてくれ...」

 

春風の視線に耐えながらそう間宮にお願いする。

 

 

「仕方ないですね、それじゃあ着替えてきますのでも少しお待ちくださいね」

 

そう言って食堂を出ていく間宮を見送って大きくため息を吐く...。

 

 

「はぁ...不幸だ...」

 

 

「...司令官様、野菜が切り終わりましたわ」

 

何故か春風の機嫌も悪い...

 

 

「あ、あぁ...サンキュ」

 

材料を受け取り先程より大きめのフライパンを用意し野菜を炒めていく。

 

と、そこで更に艦娘達がぞろぞろと入ってきた。

 

 

「なんやいい匂いする思うて来てみたらなにやっとるん?キミィ?」

 

 

「提督殿、料理をしているでありますか?」

 

 

「admiralが料理して料理してる所、初めて見ました...。」

 

 

「お疲れ様です提督、お手伝いは必要ですか?」

 

そう言うのは龍驤、あきつ丸、ゆー(U-511)、干して鳳翔さんである。

 

 

「見ての通りだっての駆逐軽空母、それと悪い鳳翔さん...手伝ってくれるとすげえ助ける」

 

正直そろそろ手が回らなくなってきた。

 

 

「ほうかほうか、キミがウチに喧嘩売っとる言うことがよぉ分かったわ、そっちがその気ならいつでも沈めてあげんで?」

 

 

「はい、すぐお手伝いいたしますね」

 

笑顔で物騒なことを言う龍驤をスルーして鳳翔は厨房へ入ってくる。

 

 

「それで私は何をすればよろしいですか?」

 

 

「じゃあ隣で材料炒めてくれ、この人数を一人で回すのは無理があるから」

 

 

「はい、任せてください」

 

 

「ちょっ!?私の事は無視かい!」

 

うるせえな、今色々ごたごたしてて手が離せねえんだよ...

 

ギャアギャア喚く龍驤をガン無視しつつ調理を進めていく俺達。

 

そこにまたしても艦娘達が現れる...。

 

 

「こんな時間によく賑わってるじゃない」

 

 

「食事時間でもないのに凄い混み様...」

 

 

「執務室にいないと思ったら、何をしているの?提督...。」

 

 

「提督、Cookingなんて出来たのですか?サラ、初耳です!」

 

 

「私も提督が料理しているところを見るのは初めての気がするわ...」

 

上から陸奥、比叡、加賀姉、サラトガ、大鳳の五人が厨房の俺達を見ながらそう話す。

 

そういや大鳳やサラはまだあの部屋(・・・・)に閉じ込められてた時だったもんな...

 

というかヤバいぞ...

 

 

 

ラ ス ボ ス 組 が 降 臨 し や が っ た

 

これは本腰入れていかねえとまずいな...。

 

俺は気合を入れ直し調理に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

 

あの後、すぐに合流した間宮と鳳翔、春風の協力もあり、なんとかラスボス組(戦艦空母組)の分まで作り終えた俺は手伝ってくれたお礼という事で三人に料理を振るまうことになった...のだが...。

 

 

「司令官様、お代わりいただけますか?」

 

 

「提督、私ももう少しお代わりをお願いします...。」

 

 

「私もお願いしますね、なんだか凄くお腹空いちゃって...」

 

物凄い勢いでお代わりの催促をされまくっていた...。

 

 

「結局こうなるのかよ!不幸だぁぁぁ!!」

 

そしていつも通りに呉鎮守府に俺の絶叫が響き渡るのだった。

 

因みに俺が前もって作り置きしておいた分はこの時に来なかった天龍、川内、那珂の三人に食べられてしまった…。

 

どこまでいっても俺不幸に愛されているらしい…。




厨房での一件から翌日...。

最近建造をしてないと思った俺は気分転換に工廠に向かう。

適当に建造依頼を出して待つこと数日...。

出来たのは二隻の艦娘で...


次回 新約、とある提督の幻想殺し

とある重巡姉妹

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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とある重巡姉妹

金剛デース!

The last time(前回)はテートクがCookingをしている回でしたネ!

うー…羨ましいデース…。私もテートクの手料理食べたかったヨ…


side上条

 

前回の厨房での一件から数日…。

 

書類整理を終えた俺はなんとなしに艦娘の在籍表を見ていた。

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

艦娘在籍表

 

 

駆逐艦___

 

如月

 

弥生

 

卯月

 

皐月

 

水無月

 

文月

 

長月

 

菊月

 

三日月

 

望月

 

 

 

 

春風

 

 

軽巡洋艦___

 

球磨

 

多摩

 

北上

 

木曽

 

川内

 

那珂

 

天龍

 

大淀

 

香取

 

 

重巡洋艦___

 

利根

 

筑摩

 

Prinz Eugen

 

青葉

 

 

戦艦___

 

陸奥

 

比叡

 

 

軽空母___

 

龍驤

 

鳳翔

 

 

正規空母___

 

加賀

 

大鳳

 

saratoga

 

 

潜水艦___

 

U-511

 

_____________________

 

 

 

「こうしてみてみるとやっぱり重巡以上の艦が少ないよな」

 

そうなのだ、駆逐艦や軽巡洋艦は矢鱈多いのに重巡洋艦や戦艦が五隻以下、潜水艦に至ってはユー(U-511)一隻のみである。

 

 

「潜水艦は別にしても…せめてもう少し欲しいよな…」

 

出撃などはもう殆ど無いだろうがいつ出撃になるか分からないのだ、もう少し戦力は欲しい…。

 

 

「ドロップ…は駄目だな、となると、建造しかないか…」

 

かつての大戦時以降、御坂や一方通行(アクセラレータ)が連れて他の艦娘を連れてくることは無かった…。

 

いや、ただ単に江ノ島に置いてきているだけということかもしれないが…

 

どちらにしてもドロップ艦は期待できない…。

 

それならば建造の方が確実性がある。

 

 

「資材が逼迫しているわけでもないし、二回くらいやってみるか」

 

一人呟き、工廠へ向かうために執務室を後にした。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

「着いた、おーい!誰かいるかー?」

 

工廠に着くと中には誰もいなかった。

 

受付とカウンターのところまで行き声をかけてみる。

 

するとカウンターの所にポンッと小さな小人、妖精さんが現れた。

 

 

『わー、かみじょうていとくどうしたのですか?』

 

 

「ん?おぉ、妖精さんか、いや、建造をお願いしたいんだけど…」

 

 

『けんぞうなのです?おおがたけんぞうですか?』

 

 

「いやいや、流石にそれは無理だ…普通の建造だよ」

 

 

「お待たせしましたー!あ、妖精さんが来てたのね」

 

 

『かみじょうていとくのあいてしてたのです!けんぞうしたいそうなのです』

 

妖精が出てきた後から明石が遅れて姿を現す。

 

そして妖精さんを見つけて先程の用件のことを話していた。

 

 

「建造?そうなんですか?提督」

 

明石が不思議そうにこちらを向く。

 

 

「あ、あぁ…ちょっと軽巡以上の艦が欲しくてさ」

 

その言葉を聞いて明石は納得したように『あぁ…』と頷く。

 

 

「確かにここって駆逐や軽巡の人達が多いですもんね、分かりました!それじゃこの用紙に資材の投入量を記入してください。通常の建造でよろしいんですよね?」

 

明石がそう言いながら建造資料を一枚渡してくる。

 

 

「おう、それと悪いけど二回くらいやって欲しいからもう一枚頼む」

 

 

「二回ですね、はい、どうぞ」

 

二枚目の資料を渡されて俺はその二枚に適当に数値を書き込んでいく。

 

 

「こんなもんでいいか?」

 

記入し終えた紙を明石に渡す。

 

 

「どれどれ?はい、大丈夫です!高速建造材(バーナー)はどうなさいますか?」

 

高速建造材(バーナー)か、確かそれなりに余裕あったはずだよな…。

 

 

「そうだな、使ってくれ」

 

 

高速建造材(バーナー)使用、と…。分かりました!それじゃ十分ほどお待ちくださいね」

 

そう言って明石は奥の方に消えていった。

 

 

「十分か、この時間はかなり暇なんだよな…」

 

 

「暇なのですか…?admiral」

 

 

「ん?なんだ、ユーかどうした?」

 

独り言に返事が返ってきたため、誰かと声のした方を向くとユー(U-511)がいた。

 

 

「いえ…お散歩してたらadmiralが工廠に入っていくのが見えたので気になって…」

 

どうやら、俺が入っていくところを見られていたらしい。

 

まあ別に隠すことでもないから別にいいんだが…

 

 

「そっか、ちょっと建造をお願いしててさ、今はその待ち時間なんだよ」

 

 

「そうでしたか…。それで暇だって言ってたんですね…」

 

 

「そういうこと、なんならユー(U-511)も見てくか?」

 

 

「え…?宜しいのですか?」

 

 

「別に構わねえよ?新人?新艦?どんな奴が来るのか気になるだろ?」

 

 

「はい…。それじゃあ、お言葉に甘えて…」

 

 

「出来ましたよー!」

 

ユー(U-511)の返事を聞いたところで明石が奥から出てきた。

 

 

「おーお疲れ、どうだった?」

 

 

「バッチリです!良い子達が来てくれましたよ!」

 

この反応、期待できそうだな…。

 

笑顔で答える明石に期待を膨らませる。

 

 

「そりゃ楽しみだ、奥の部屋にいるのか?」

 

 

「えぇ、二人とも待っているので早く挨拶してあげてください」

 

 

「分かった、行くかユー(U-511)

 

 

「はい…。」

 

俺はユー(U-511)を連れだって奥の部屋へと向かった。

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

部屋に近づくと扉の窓のところからシルエットが見えていた。

 

 

「よし、まずは端の部屋から…」

 

 

「どんな方なんでしょうね…。」

 

ノブに手を回しゆっくりと戸を開く。中で待っていたのは…

 

 

「初めまして、古鷹といいます。重巡洋艦の良いところ、たくさん知ってもらえると嬉しいです。」

 

 

古鷹と名乗ったその艦娘は茶色いボブヘアーに、制服は丈を極端に切り詰めた青い変形セーラー服を着用し、胸には太めの赤いリボンを着け、往年のコギャルかと思わせる姿をしていた。

 

靴下は黒色で、右脚がオーバーニーで左脚がハイソックスと長さが違うものを身に付けている。 

 

また、右肩部分に名前の『鷹』を意識してなのか、翼を模したエンブレムが描いていた。

 

それよりも目を引くものがあった。

 

そう、古鷹の眼は左右の色が異なっていて俗に言う『オッドアイ』と呼ばれるものとなっていた。

 

 

「えーと、古鷹さん?その左目は…?」

 

 

「え?あぁ、これですか?これは対照灯が搭載されているんです」

 

 

「そ、そうなのか、俺はてっきり建造中に何かあったのかと…」

 

 

「あはは、提督は心配性ですね、大丈夫、何ともありませんから!それよりもそちらの子は…?」

 

古鷹の視線が俺の後ろで隠れるユー(U-511)に向けられる。

 

 

「あぁ、コイツはここに所属してる潜水艦娘のユーだ正式名は確か…」

 

 

「ユーの正式名称はUboat-511です…。」

 

 

「そう、それだ、これから共に過ごしていく仲間だから仲良くしてやってくれ」

 

 

「はい!よろしくね?ユーちゃん」

 

 

「こちらこそ…よろしくお願いいたします…。古鷹さん」

 

握手する二人を見て微笑ましいものを感じながら俺はもう一人いたことを思い出した。

 

 

「それじゃユー、俺、もう一人のとこに挨拶にいってくるから古鷹をよろしくな」

 

 

「はい…。了解ですadmiral」

 

ユー(U-511)の返事を聞いて俺はすぐさま隣の部屋へと向かった。

 

 

 

______________________

 

 

 

「さて、次で最後だな」

 

隣の部屋のノブに手を掛けゆっくりと戸を開ける。

 

すると、中にいた艦娘がそれに気がつき声を掛けてきた。

 

 

「お?来たね!よっ!私、古鷹型重巡の二番艦、加古ってんだ!よっろしく~!」

 

そう話す艦娘は古鷹同様に、幼さが残るミドルティーン程度の体格。

 

こちらは瞳が光るという事もなく、一般的な少女のものだった。

 

黒髪で、後ろの一部分のみを極端に伸ばしており、昔の武道家を連想させる。

 

また、前髪右側に銀のヘアピンを付けているが……。

 

制服も古鷹と同じ変形セーラー服で、格好が格好だけに捲れ上がってしまっている…。

 

 

「分かった!分かったからそのポーズはやめろ!」

 

 

「なになに?照れてんのぉ?はいはい、やめますよぉ~」

 

慌ててそのポーズを止めさせる。

 

ったく…淑やかさの欠片もない奴だ、御坂みてえ…。

 

にしても古鷹型って言ってたってことはさっきの古鷹の姉妹か?

 

 

「はぁ…とにかくもう一人隣で待たせてるからもう行くぞ」

 

 

「はいはい、了解です~」

 

コイツ…殴りてえ……。

 

そう思わずにはいられなかった。

 

 

「はぁ…なんていうか、不幸だ…」

 

この先のことを考えるとそう呟かずにはいられない上条さんなのであった……




古鷹達が来てから一ヶ月…。

右手の不幸以外は特にこれといったことがことがない…。

そこで俺はある行事を思い付く…。


次回、新訳、とある提督の幻想殺し

呉文化祭計画

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる


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呉文化祭計画

赤城です...。

前回は提督が古鷹さん達を建造した時の話でした。

今回はその一ヶ月後のお話となります...。


side上条

 

 

「暑い...不幸だ...」

 

古鷹達が来てからもう既に一ヶ月が経とうと言う頃...。

 

呉鎮守府では特に何が起きることもなく平和な日が続いていた。

 

だが、平和のなかでもこの鎮守府は何か騒動が絶えない...

 

それは主に俺右手のせいであったりする。

 

 

ある時は過って着替え中の艦娘の部屋に入ってしまい砲撃されかけたり...

 

またある時は書類をぶち撒けてしまい、般若の形相の大淀に半日ほど説教されたり...

 

またある時は理由も知らないのに激怒した艦娘達から逃げ回る羽目になったりと、いつも騒動が絶えないのである...。

 

 

「それにしても、平和だ...」

 

俺の不幸以外は至って平和なのだ。

 

少し退屈だと感じてしまう程には...

 

 

「なんかこう...大勢で騒げて楽しめることがあるといいんだけど...」

 

そして少し考え込む...。

 

 

「うーん...大覇星祭...だと規模がでかすぎるよな...。文化祭...ならなんとかなりそうだな」

 

だとするとどういったものにするかなんだが......

 

 

「学校の時と似たような感じなら、いけるか?」

 

そうなるとチームなんかも分けないとならないか...。

 

 

あいつらに任せてもいいんだけど、あぶれる奴が出てくる可能性もあるから......

 

 

「仕方ない、あいつらには悪いけどこっちで決めさせてもらうか」

 

俺は在籍表を見る。

 

 

「今いるのはざっと40人くらいか」

 

他にもいるけど役目のある奴らばかりだから今回はパスだな...。

 

 

「それじゃまずは...」

 

駆逐や軽巡の娘達は数が多いから一グループに数人入れるようにして、重巡以上の奴らは一人ずつにしよう。

 

一グループは五人くらいで大丈夫だろうし、このくらいが妥当な所だろ...。

 

とりあえずはこんな感じでいくか!

 

 

______________________________________________

 

 

 

火グループ

 

如月、雷、北上、名取、青葉

 

 

水グループ

 

暁、文月、球磨、川内、筑摩

 

 

草グループ

 

三日月、響、天龍、那珂、大鳳

 

 

雷グループ

 

長月、長良、多摩、Uー511、加古

 

 

氷グループ

 

菊月、弥生、木曾、五十鈴、鳳翔

 

 

空グループ

 

卯月、望月、陸奥、あきつ丸、龍驤

 

 

地グループ

 

皐月、春風、香取、prinz、利根

 

 

龍グループ

 

水無月、比叡、加賀、saratoga、古鷹

 

 

__________________________________________________

 

 

 

「とりあえずこんなもんか、途中組み合わせがおかしくなったがまあ仕方ないよな」

 

とにもかくにも組分けはこれでいいな!

 

後はこれをあいつらに教えてこないとな。

 

 

「大淀、悪いんだけど艦娘達を収集してくれ」

 

 

「了解致しました...。」

 

さて、お楽しみはこれからだ!あいつらどんな反応するのか楽しみだ。

 

俺は大淀の背中を見送り艦娘達の反応について予想し始めるのだった。




文化祭計画が発令してから艦娘達は意気揚々に作業を進めている。

俺はそれを見て回ろうするのだが呼び出しをくらい呉を離れなくてはならなくなってしまう...。

次回、新訳、とある提督の幻想殺し

文化祭準備(大淀視点)

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる)


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文化祭準備(大淀視点)

榛名です!

前回は提督が文化祭の計画を立てているお話でした。

今回は提督ではなく助けられた大淀さんのお話になります!


side大淀

 

 

「じゃあ行ってくるわ、大淀後の事は頼むぞ」

 

 

「はい、お任せください。行ってらっしゃいませ...提督」

 

そのやり取りを最後に提督は出かけていきました。

 

なんでも大本営と大阪鎮守府の吉野司令に呼ばれたのだそうです。

 

私は提督が不在の間に文化祭の準備の様子を見て回らなければなりません...。

 

本来なら秘書艦である加賀さんがやることなのですが、今回は組み分けの一人に入ってますのでその仕事の方に取り組んでもらう事となっています。

 

と、誰に説明してる気でもないのに言っていても仕方ないので見回りに行くとしましょう(クイッ)

 

 

 

______________________

 

 

 

まずは炎グループからですね...。

 

青葉さん達の居るグループですが、何をするのでしょうか?

 

 

「お疲れ様です、どうですか?進み具合は...」

 

 

「あ!大淀さん、お疲れ様です!そうですねー...。今のところカフェとお化け屋敷が候補になってますけどまだ詳しく決まりそうではないですね」

 

 

「なるほど、決まりましたらまた教えてください」

 

 

「はい!」

 

どうやら青葉さんのグループはまだ決まっていないようですね。

 

次の所に向かいましょうか...。

 

 

 

__________________

 

 

 

さて水グループは暁さん達の班でしたね、話を聞いてみましょうか。

 

 

「どうですか?出し物は決まりましたか?」

 

 

「あら、大淀さん、私達はレディーらしくメイド喫茶にすることにしたわ!」

 

 

「メイド喫茶ですか?あの以前向こうの加賀さんや間宮さんが来ていたような?」

 

 

「あ、あんな恥ずかしいもの着るわけないじゃない!あくまで普通のメイド服よ!」

 

ふむ、水グループはメイド喫茶と...。

 

でも五人しかいないのに大丈夫なんでしょうか...

 

それでは次に向かいましょう。

 

 

 

______________________

 

 

 

お次は草グループですね。

 

ここは大鳳さんがいる班ですね、聞いてみましょうか...。

 

 

「お疲れ様です。どうですか?何か決まりそうですか?」

 

 

「あら、大淀さん、私達は皆でミニライブを開くつもりよ、那珂ちゃんがコーチで色々教えてくれることになったの」

 

 

「ミニライブ...ですか、天龍さんがよくやる気になりましたね...。」

 

 

「最初は渋ってたんだけど響ちゃんが何かを耳打ちしたら何故かやる気になったの、今では積極的に振り付けを覚えようと熱心になってるわ」

 

あの天龍さんがアイドル宜しく歌って踊ること自体想像できませんが、響さんはいったい何を天龍さんに吹き込んだのでしょう...。

 

とにかく頑張っているようなら一安心ですね、次に向かいましょう...。

 

 

 

____________________

 

 

 

次は雷グループですね、確かユー(U-511)さんがいるグループでしたね。

 

どのような感じでしょうか...。

 

 

「お疲れ様です、どうですか?進んでますか?」

 

 

「あ...oh淀さん、私達は映画製作をすることにしました...」

 

 

「映画ですか?大丈夫なのですか?それと私は大淀です」

 

主に組み合わせ的な意味で...。

 

 

「はい...。皆さんadmiralの言葉でキラキラが付いてますから...かくいう私も、、ですけど」

 

た、確かにキラキラしてますね...少し直視できないくらいには...。

 

とにかく、雷グループは映画製作ですね。どんなものが出来上がるのか楽しみですね(クイッ)

 

それでは次です...。

 

 

 

______________________

 

 

 

ここは氷グル-プですね、ここには鳳翔さんがいたはずですが...どうなっているんでしょう?

 

 

「お疲れ様です鳳翔さん。様子はどうですか?」

 

 

「あら、大淀さんお疲れ様です。皆さん張り切って取り組んでいますよ?私が居るからなのか、皆さん料理屋をやると言って聞かなくて...」

 

 

「料理屋...ということは数品料理を出すのですか?」

 

 

「そうですね、費用なんかも限られてきてしまうので簡単なものを幾つか作ってお出しする感じになると思います」

 

氷グループは小料理屋と...。

 

鳳翔さんが管理するのであれば問題なさそうですね。

 

それでは次に向かいましょう。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

空グループに来ましたが、ここは何をなさるんでしょう?

 

確か陸奥さんがいたはずですし聞いてみましょう。

 

 

「どうですか?何か決まりましたか?」

 

 

「あら、大淀、私達はお化け屋敷にすることになったわ」

 

 

「お化け屋敷ですか?」

 

 

「卯月と龍驤がどうしてもって言って聞かなくてね...」

 

確かにあの二人ならやりそうですね...。

 

でも大丈夫なんでしょうか...。

 

兎にも角にも空グループはお化け屋敷と、どんな仕上がりになるのか期待ですね。

 

次に行きましょう...。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

お次は地グループですね、ここは利根さんがいらしたはずなのでお話を伺ってみましょうか。

 

 

「お疲れ様です、やるものは決まりましたか?」

 

 

「ん?おぉ、大淀ではないか!吾輩たちはコスプレ写真館にすることにしたぞ!」

 

 

「コスプレ...?」

 

 

「うむ!来た者たちに衣装を貸し出して吾輩たちがそれを着て写真に写るのじゃ、一般公開するのであればよく使える手じゃろう?」

 

 

「...確かに」

 

私達の外見を最大級に利用した出し物というわけですか、問題が起きなければよいのですが......

 

とりあえず次です。

 

 

 

______________________

 

 

 

 

最後は龍グループですね、ここは加賀さんがいたはずなのでお話を聞いてみましょう。

 

 

「加賀さん、お疲れ様です。どうですか?進み具合は」

 

 

「鎧袖一触よ、心配いらないわ...。私達のところは軍艦だった頃の模型を作ることにしたわ...。」

 

 

「軍艦だった頃の模型?」

 

 

「えぇ、、まだ誰にするか決まってはいないけれね、それより、提督はどうしたの?」

 

 

「提督でしたら大本営と吉野司令に呼ばれたとのことでお出かけになりました」

 

 

「そう、さっきから姿が見えないと思ったら出かけていたのね...。分かったわ、ありがとう」

 

 

「いえ、それでは頑張ってください」

 

それにしても艦だった頃の模型ですか...。

 

いったい誰になるんでしょう...?

 

それはともかくこれで全てのグループの見回りが終わりましたね。

 

案をまとめるために一度執務室に戻りましょうか。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

それにしても結構色々な案が出揃いましたね。

 

 

炎...カフェorお化け屋敷

 

水...メイド喫茶

 

草...ミニライブ

 

氷...小料理屋

 

空...お化け屋敷

 

地...コスプレ写真館

 

龍...軍艦ミュージアム

 

 

 

_____________________

 

 

炎がお化け屋敷にすることになれば空と被ってしまいますね...。

 

後は特に問題はなさそうですので大丈夫でしょう。

 

後は皆さんに任せるだけですね...。

 

それでは私は提督が帰ってくるまで書類の整理をしておくとしましょう(クイッ)

 

 

 

___________________________

 

 

 

その頃の上条当麻...。

 

 

「もういいだろ...早く帰らせてくれぇ...不幸だぁぁぁぁぁ!!」

 

大阪の夕張と明石に質問攻めを受けそう嘆くのであった...。




文化祭当日...。

各々が準備してきた出し物で賑わう呉鎮守府。

一般公開の為、吉野さんや顔見知りも続々とやってくる...。


次回、新約、とある提督の幻想殺し

呉文化祭開幕

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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呉文化祭開幕

KIRI島です...。

前回は大淀さん視点の文化祭の準備会でした。

さて、今回は文化祭の本番だ、俺以外の奴らも出てくるみたいだから楽しんでいってくれ

じゃあ本編開始だ。

(ちょっと17号さんアドリブ入れないでください!)


side上条

 

 

文化祭当日...。

 

呉鎮守府は俺の予想を遥かに上回る賑わいを見せいていた。

 

理由は鎮守府の関係者だけじゃなく一般公開をしているからだったりする...。

 

今頃は各グループの艦娘達も大忙しの事だろうな...。

 

 

「加賀姉の所もなんかすごいの作ってたし、大忙しなんだろうな...」

 

かくいう俺は書類の整理に負われている訳なのだが......

 

 

「なんで今日に限ってこんなに仕事が多いんだよ...不幸だ...」

 

それでも終わらせないことには何鵜をすることもできないわけで...。

 

 

「よぉーし!気持ちを入れ替えてサササッと終わらしちゃいますか!」

 

 

「その意気ですよ提督、頑張ってください!」

 

大淀に応援されながら俺は処理スピードを上げるのだった。

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

「はああぁぁぁ...ぁぁ...ようやく終わったぁ...」

 

 

「お疲れ様です。提督」

 

あの後、なんとかすべての仕事を処理し終えた俺は思いっきり伸びていた。

 

 

「ぁー…駄目だ、動ける気がしねえ...」

 

 

「さっさといかないと文化祭終わっちゃいますよ?」

 

そうなのだ、実はあれから結構な時間が経っていたりする...。

 

 

「だよなぁ...体重いけど仕方ない、ちょっくら回ってくるとしますかね」

 

 

「はい、お土産を期待していますね」

 

 

「へーへー、案外ちゃっかりしてやがりませうね、大淀さん...。」

 

 

「これも任務娘の特権ですので...」

 

そんなやり取りをしつつ俺は執務室を後にした。

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

まず来たのは草グループの場所だった。

 

 

「お、やってるやってる、ノリノリだなぁ...あいつら」

 

俺の視界の先では三日月達がノリノリでアイドル顔負けの歌と踊りを披露していた。

 

見に来る客も大盛り上がりである...

 

 

「それにしてもあの天龍がねぇ...」

 

 

「本当よねぇ~私も予想だにしてなかったわぁ~」

 

不意に聞き覚えのある声がして俺は辺りを見回す。すると不意に視界が真っ暗になった。

 

 

『だぁ~れだ?』

 

背後からそんな声が聞こえてくる。

 

こんな喋り方するのなんてアイツくらいしか浮かばないんだが...

 

 

「龍田...か?」

 

 

「うふふっ正解よぉ~♪」

 

その言葉と共に視界に龍田が映り込む。

 

 

「お久しぶりねぇ~提督♪元気にしてましたぁ~?」

 

 

「おう、相変わらず不幸に守れておりますが上条さんは元気でせうよ?そっちも元気そうじゃねえか」

 

 

「そうみえますかぁ~?これでも提督が居なくて寂しかったんですよぉ~?」

 

そう言う割には顔がからかう時の顔をしているのですがそれは...

 

 

「い、いやー...上条さんも結構忙しかったのですよ、他の事に手を回せないくらいには...っていうかお前その恰好...。」

 

 

「はい?あぁ~これですか?可愛いでしょぉ?」

 

そう言う龍田はいつもの制服ではなく淡い黄色のパーカー?にグレーのスカートというラフな格好をしていた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「そうか?まあ動きやすそうではあるよな」

 

 

「ハァ...提督は相変わらず変わってませんねぇ~」

 

やれやれとばかりにため息を吐く龍田...。

 

???いったいなんて言えばよかったんだ?

 

 

「それより、龍田がここにいるってことはやっぱり天龍目当てか?」

 

 

「えぇ、そうですよぉ~こんな珍しいこと滅多にありませんから写真にい~...っぱい納めておきましたよぉ~」

 

そう言いながら怪しげに自身のスマホのほおずり始める龍田。

 

正直、あまり関わりたくはない...。

 

 

「そ、それじゃ俺は別のとこを回ってくるから!文化祭楽しんでいってくれ!」

 

 

「は~い、それではまた~♪」

 

そうして俺はそそくさと草グループの部屋を後にした。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

次に来たのは水グループの部屋だった。

 

 

「ここはメイド喫茶だったっけか?凄い人だなおい...」

 

言った通り、入り口には長蛇の列が並んでいる...。そこまでして入りたいものか?

 

俺?俺は様子を見てたら俺に気が付いた筑摩が入れてくれたぞ?

 

 

「おぉぉぉ!!くちくかんのメイド姿だ!」

 

 

「これは...いい!最高ではないか!」

 

 

・・・・何してんだアイツら...。

 

俺の目の前では長門らしき女性が二人、目をキラキラさせながらモジモジしているのだ...。

 

こちらも龍田の時と同様いつもの制服ではなく黒いワンピースと同じく黒のジャケットを着込んでいる。

 

恐らく片方は江ノ島の長門だと思うが...もう片方ってもしかして...。

 

いや、考えるのは良そう...こっちまで巻き込まれそうだ...。

 

 

俺はそっと部屋を後にした...。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

次にやって来たのは龍グループの部屋だった。

 

ここは加賀姉達のグループだったよな?

 

入ってみるとそこには四分の一スケール(・・・・・・・)の軍艦の模型が五隻並んでいた。

 

 

「この数を五人だけで作るだなんて凄すぎじゃない?」

 

 

「これは確かにねぇ...造りもかなり精巧だし良く出来てると思う」

 

 

「私の模型もありますね、良く出来ていてさすがに気分が高揚します...。」

 

 

「ひえー!ここまでそっくりに作れるなんて呉の私は化け物ですか!?」

 

 

「本当にそっくり...どうしたらここまでうまく作れるのかしら?」

 

そう話すのは大阪鎮守府の時雨、髭眼帯(吉野)さん、比叡、姉貴、古鷹の五人だった。

 

俺は髭眼帯(吉野)さんに近づき声をかける。

 

 

「吉野さん達も来てくれたんですね、凄いですよね、俺もまさかここまでのものを作り上げるだなんて思ってもいなかったですよ」

 

 

「そうだろうねぇ...自分も驚いてるよ」

 

 

「僕もさ、僕もやってみたらあんなものが作れるのかな?」

 

 

「加賀姉達に造れたんなら時雨にもきっとできるんじゃねえかな?俺は吉野さんは多分無理だと思うけど」

 

 

「ちょっと上条君!?なんでそこで自分を入れるの!?」

 

 

「そっか、ならこんど作ってみようかな?加賀さんに何を使ったのか聞いてこないとね」

 

 

「いいんじゃないか?出来たら俺にも見せてくれよ」

 

 

「うん、構わないよ」

 

 

「ねえ?二人とも?無視は良くないと提督思います。というか話を聞いて?」

 

あなたここの提督じゃないじゃん...。

 

そんなやり取りをして俺は部屋を後にした。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

次の俺が来たのは氷グループの部屋だった。

 

ここは確か小料理屋だったっけ?

 

気になるし様子見がてら入ってみるか...。

 

 

「おーす、お疲れさん、どうです調子は?」

 

 

「あら、提督お疲れ様です。はい、上々ですよ」

 

中は綺麗に着飾られており、部屋そのものが和風に作り替えられていた

 

その中のカウンター内から鳳翔が笑顔で出迎えてくれた。

 

奥では弥生たちがせっせと走り回っているのが見える。

 

 

「何になさいますか?お風呂にします?ご飯にします?それとも...」

 

 

「いやあの鳳翔さん?冗談でせう...よね?」

 

 

「ふふっ♪どうでしょうか?提督はどっちだと思います?」

 

じょ、冗談だと思いたいんだが、鳳翔さんのあの目半分くらい本気の目なのせう...。

 

 

「鳳翔さんがおかわり下さい」

 

 

「あ、私の方もお願いできますかぁ?」

 

 

「赤城秘書艦よく食べますね...」

 

 

「龍鳳さんもいつもより食べていますね...。」

 

そんな声に振り向くと赤城姉、大阪龍鳳、神通、大阪鳳翔が話していた。

 

これだ!これしかない!

 

 

「よっ、赤城姉達も来てたんだな」

 

逃げ場を見出した俺はここぞとばかりに赤城姉達に話しかける。

 

 

「あら、提督いらしてたのね、お久しぶりです」

 

 

「お久しぶりです...提督」

 

 

「あぁ、赤城姉、それに神通も久しぶりだな!二人とも元気そうでなによりだ」

 

 

「ありがとうございます。提督も元気そうで安心しました」

 

 

「呉での生活はどうですか?」

 

 

「結構充実してるよ、相変わらず不幸に愛されたまんまだけど...」

 

 

「そっちも相変わらずなんですね...」

 

その後、龍鳳や向こうの鳳翔さんとも少し話した後、俺は部屋を後にするのだった。

 

 

 

 

__________________

 

 

 

 

次に向かったのは炎グループの部屋だった。

 

ここはカフェにしたんだったな、どれどれ?

 

 

「いらっしゃい!あら、提督じゃない休憩?」

 

中に入るとウェイトレス姿の如月が出迎えてくれた。

 

 

「あぁ、ちょっと休もうかと思ってさ」

 

 

「そうだったのですね、ご注文は何にします?」

 

 

「じゃあココアよろしく」

 

 

「はーい」

 

元気よく返事して奥に消えていく如月を見送る。

 

 

「提督さんもいらしてたんですね、ふふっ」

 

 

「司令官さんお久しぶりなのです!」

 

 

「相変わらずくたびれた顔してるにゃしい~♪睦月が励ましてあげましょうか~?」

 

 

「へえ、あなたがここのテイトクなのね、中々いい男じゃない」

 

その声に振り向けばそこには江ノ島の鹿島、電、睦月と見覚えのない、というか人外の誰かが座っていた。

 

 

「おぉ、鹿島に睦月に電に...誰?」

 

どこからどう見ても深海棲艦なんですが......

 

 

「あぁ、自己紹介がまだだったわね、私は大阪鎮守府の所属する朔夜よ、艦種で言うならそうね...。姫級の防空棲姫よ」

 

 

「はぁ...その朔夜(防空棲姫)さんはどうしてここに?ここ、鎮守府ですよ?」

 

 

「そうだけどそれがどうかしたの?」

 

 

「いやどうかしたとかじゃなくて、あなた深海棲艦ですよね?」

 

 

「そうよ?」

 

 

「じゃあここにいたらマズイとは思いません?」

 

 

「思わないわね」

 

 

「宿敵の本拠地ですよ?」

 

 

「イザトナレバ壊滅サセルダケダカラ大丈夫ヨ」

 

あ、駄目だこの姫級早くなんとかしないと...

 

というか今さっきこの姫なんて言った?

 

記憶が確かなら大阪鎮守府に所属するって言ってなかったか?

 

ってことは髭眼帯(吉野)さんは深海棲艦も部下にしているってことになるぞ!?

 

それって大丈夫なのかよ!

 

 

「あははは...あまり目立つようなことはしないでくださいね?もし暴れるようであれば...」

 

俺は朔夜(防空棲姫)の顔を覗き込んで真顔で言い放った。

 

 

「その怨念で出来た身体ごとその幻想をぶち殺してやるからな?」

 

そう言うと、朔夜(防空棲姫)は身体をビクリと振るわせて言った。

 

 

「フフ、面白イジャナイ...良いわ、大人しくしておいてあげる。そもそも暴れるつもりなんて最初から無いもの」

 

口調が深海棲艦特有のソレから流量なものへと変わっていく。

 

それと同時に朔夜(防空棲姫)から放たれていた重圧も消えうせていった。

 

 

「それならいいですけどね、その事、努々忘れないでください」

 

 

「えぇ、ご忠告感謝するわ...」

 

その後、出てきたココアを飲んだ俺は部屋を後にするのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

次にやって来たのは空グループの部屋だった。

 

看板には驚ろ驚ろしい(おどろおどろしい)絵と共にどでかく【お化け屋敷】と書いてある...。

 

 

「うわぁ...これまた雰囲気のありそうな...」

 

 

「あ!しれいかーん!おひさしぶりです~!」

 

その声の方を見るとそこには受付に綾波が笑顔で手を振っていた。

 

 

「えッと...綾波さん?何をしてらっしゃるのでせう?」

 

 

「え?何ってお化け屋敷の受付ですよ?」

 

 

「それは俺にもわかる俺が聞きたいのはどうして綾波が受け付けをしているかってことなんだよ」

 

そもそもお前、呉の所属じゃないだろ...。

 

 

「それがですね~ちょっと前にたまたま通りかかったら受付にいた卯月ちゃんに『人が足りないから手伝ってほしい』って頼まれちゃって...」

 

 

「へえ、卯月が...それで卯月は今どこに?」

 

 

「中でお化け役やってますよ?」

 

 

「あ、そう...悪い綾波、しばらく受付頼めるか?」

 

 

「はい、大丈夫ですよ!」

 

 

「悪いな、後で何らかの形でお礼はするから!」

 

そこで俺は綾波と別れ次の場所へ向かった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

次にやって来た部屋は地グループの部屋だった。

 

看板には大きく【コスプレ写真館】と書いてある...。

 

正直嫌な予感しかしないのがここだ......

 

俺の不幸センサーが大音量で警告音を鳴らしている。

 

だが入らないことには様子は見られんし...。

 

 

「ええい、ままよ!ゆくぞ上条当麻!」

 

意を決して中へと入っていった。

 

 

「おぉ、提督よ、見よ!大盛況じゃぞ!」

 

 

「確かに大盛況だけど...大丈夫なのか?これ...」

 

辺りを見回すとすごい種類の衣服が取りそろえてある。

 

 

「おぉ!凄いぞ見てみろ利根!こんな衣装まで取り揃えてあるぞ!」

 

 

「王道モノからマイナーなものまでよく取り揃えてあるのぅ...なっ!?駆逐艦たちの制服まであるではないか!どうなっとるんじゃこの店は!」

 

と騒ぐ軍服のおっさんと利根らしき女性...よく見るとおっさんの肩に小さな妖精さんも乗っている。

 

・・・・うん、あの人達には近寄らないようにしよう。

 

そう決め適当なコスプレを数枚選び利根達に渡す。

 

 

「これで頼む」

 

 

「うむ、任せろ!」

 

そう言って利根達はいそいそと奥に入っていく。

 

きっと着替えに向かったのだろう...。

 

五分ほどして着替えを終えたのか利根達が戻ってきた。

 

 

「ほれ!どうじゃ?」

 

 

「あぁ、うん、いいんじゃねえかな」

 

とりあえずスマホで一枚ずつ写真に収めていく。後でプリントしてプレゼントしてやろう...。青葉あたりが新聞に乗っけそうだけど...

 

そんなことを考えながら俺は部屋を後にした。

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

最後にやって来たのは雷グループの部屋だった。

 

ここは映画が見れるんだっけか?

 

ちょっと気になってたし見てみるか...。

 

入り口に近づいてみると...。

 

 

『上映終了』

 

 

「不幸だ...」

 

肩を落としてため息を吐く...。

 

仕方ないのでそのまま俺は執務室に戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

後日、結果は氷グループが群を切っての一番という結果を出し、褒美に俺が一つ言うことを聞くという形で文化祭は終わりを迎えたのだった...。

 

 

 

 

_____________________

 

 

その更に後日...。

 

文化祭にお忍びで遊びに来ていたらしい元帥が楽しませてくれたお礼として数人の艦娘をプレゼントしてくれることとなるのだが、それはまた別のお話で語るとしよう...。

 




頭の中に響いてくる謎の声...。

その声に導かれるままに海に出るとそこにはある奴らが待ち構えていて...。

次回、新約、とある提督の幻想殺し

再開の幻想殺し

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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再開の幻想殺し

鹿島です。うふふ♪

前回は提督が文化祭の様子を見て回るという会でした。

今回は提督がある方に再開しますよ


side上条

 

 

文化祭の一件から数日後…。

 

俺は仕事を終え執務室にて伸びていた。

 

そんな時、不意に頭の中に声が聞こえてきた。

 

 

――コイ…コイ…――

 

 

「ん?誰かいるのか?」

 

しかし辺りを見回しても辺りには誰もいない…。

 

 

「…誰だ?」

 

 

 

――コイ…コイ…――

 

……この声に従えばいいのか?

 

俺は頭の中に響いてくる声に不審に思いながらも従うことにした…。

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

「海岸に出ちまった……海に出ろってことなのか?」

 

 

――コイ…コイ…――

 

それでも頭の中の声は止まない…。

 

考えていても仕方ないし、行くだけ行ってみるか。

 

そう考えた俺は土御門が以前持ってきてくれた二代目のマリンバイクに乗り込み、海に出ていくのだった…。

 

 

「……提督?」

 

それをとある艦娘に見られているとも知らずに…。

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

声に導かれるまま俺は、ソロモン海域深部のアイアンボトムサウンドまで来ていた。

 

途中別の方向に向かおうとして違うと声にお叱りを受けたのは黙っておく…。

 

 

「こんな所まで来ちまったよ…どうすりゃいいんだ?これ…」

 

いつの間にか声は聞こえなくなっており恐らく目的地はここなのだろうということだけは分かった。

 

 

「まさか…呼ぶだけ呼んで放置でせうか?不幸だ…」

 

俺がそう言って方を落とした時だった。

 

 

【ザバアッ】

 

何かが跳び跳ねるような音が後方で聞こえてきた。

 

恐る恐る振り返ってみるとそこには……

 

 

「…………」

 

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?!?」

 

俺の顔をジッと覗き込む青白い肌の女が立っていたのだ…。

 

俺は混乱して言葉にならない叫びと共に後方に移動する。

 

 

「な、なな!?なんだなんだ!!」

 

 

「フフフ…相変ワラズ面白イ反応スルジャナイ…トウマ」

 

青白い肌の女は俺の反応を見てそう言うとクスリと笑った。

 

その動作に俺はとても見覚えがあった…。

 

 

「飛行場姫さん…?何してるんでせう?」

 

そう、それは俺が深海にいた時にお世話になった姫の内の一隻、飛行場姫だった。

 

 

「アラ、何ッテアナタヲ脅カソウトシタダケヨ?」

 

はぁ…朔夜(防空棲姫)さんもそうだったけど、この人?も相変わらずマイペースなんだよな…。

 

 

「俺を呼んだのも飛行場姫さんですか?」

 

すると飛行場姫は首を横に振る。

 

 

「私デハナイワ…アノ子ガ呼ンデイタノヨ」

 

そう言って飛行場姫さんが振り向く、俺もそれに習い視線の先を追ってみる…するとそこに現れたのは…。

 

 

「トウマ兄ィ!久シブリ!」

 

 

「オ久シブリデスネ…トウマサン…」

 

飛行場姫さんをそのまま小さくしたような青白い肌の幼女と、同じく飛行場姫さんを成長させたような姿の青白い肌の女性……。

 

北方棲姫と港湾棲姫の二隻であった…。

 

北方棲姫は俺を見つけると嬉しそうに側に走り寄ってくる。

 

 

「おーホッポ!久しぶりだなぁ!元気だったか?というより、もしかしてさっきまで呼んでたのってお前か?」

 

マリンバイクに乗っているので軽く頭を撫でてやる。

 

 

「ウン!」

 

そうか、どうやら俺を呼んでいたのは北方棲姫だったらしい…何か用でもあったのだろうか…?

 

 

「そっかそっか、それで何の用なんだ?」

 

 

「エット…ナンダッタッケ?オ姉チャン?」

 

ズコッ…覚えてないのかよ…まあ、ホッポらしいといえばらしいんだが…。

 

話を振られた港湾棲姫はやれやれという風に首を振ってから俺に説明してくれた。

 

 

「ゴメンナサイネ…ホッポガ…実ハ中枢サマ達ガアナタヲ呼ンデイルノ…急デ悪イノダケド、私達ノ街マデ来テモラエル?」

 

中枢さん達が俺を?

 

何かトラブルでもあったのか?

 

 

「分かった、それじゃあ連れていってくれ」

 

 

「決マリネ…ソレジャア私ガ連レテ行クカラ乗ッテ」

 

その言葉にしたがって俺は港湾棲姫さんの艤装に乗り移った。

 

 

「乗ッタワネ?ソレジャア行キマスヨ」

 

こうして俺は再び深海棲艦の住まう街に向かうのだった…。

 

後には俺が乗っていたマリンバイクだけが残されていた…。

 

 

sideout

 

_____________________

 

 

side??

 

 

あの後、司令官が出ていったのを追ってきた私はソロモン海域付近まで来ていた。

 

 

「確か…この辺だったはず…」

 

しかし辺りを見回しても司令官の姿は何処にもない…。

 

 

「何処にいるの…?司令官…」

 

もしかしたら深海棲艦の残党に襲われたのかもしれない…そうだとしたら急いで助けにいかなくちゃ…

 

辺りを見回していると遥か遠方に見覚えのある物を見つけた…。

 

近寄ってみるとそれは司令官が乗っていたマリンバイクだった…。

 

しかし司令官の姿は何処にもない…。

 

遅かった…司令官はもう……

 

 

「…っ!大変……早く皆に知らせなきゃ……」

 

私は艤装をしまうとマリンバイクに乗り込み呉鎮守府へと戻っていった…。

 

 

上条司令官を探すために…。

 

 

 

____________________

 

 

 

その後、江ノ島鎮守府や大阪鎮守府の協力のもと、上条司令官の大規模捜索作戦が行われる事になるのだがそれはまた別のお話……




港湾達に連れられ再び深海の街へとやって来た俺こと上条当麻…。

そこでは過去にお世話になった姫や鬼、ヲやレ等といった懐かしい面々が待っており鍛え直してやるという…。


次回、新訳、とある提督の幻想殺し

海の底での鬼姫修行

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる…。


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海の底での鬼姫修行

電です...。

前回は司令官さんが姫級の方々とお会いして姿を消した話だったのです。

今回は消えてしまった司令官さんのその後の話なのです!


side上条

 

 

「相変わらず薄暗いよな、ここ...」

 

 

「深海にアルノダカラ当然デショウ?コレデモマダ明ルイ方ナンデスヨ?」

 

それはそうなんだが...人間である俺からするとこの暗さは心許なく感じるんだよな...。

 

俺は前に一度来たことで慣れてるからいいけど、並の人間が来たら恐怖でおかしくなっても不思議じゃない...そう断言できる程にこの街の雰囲気は暗い

 

それが深海棲艦の住む街だ。

 

 

「早ク行コ!トウマ兄!」

 

 

「お、おぉ...そうだな、行くか」

 

そうだった、中枢さん達が待ってるんだったら早く行かねえと...。

 

あの人怒らせると怖えんだよなぁ...

 

俺はそんなことを考えながらホッポに引っ張られながらもついていくのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「中枢サマ幻想殺シヲオ連レシマシタ...。」

 

 

「ホッポガ呼ンダラキテクレタノ!」

 

 

「コラ!ホッポ騒ガナイノ!」

 

 

「フフッ大丈夫デスヨ港湾、飛行...。ソレト良クヤッテクレマシタネ北方棲姫」

 

飛行場姫さん達がホッポ(北方棲姫)の態度に慌てるもそれをにこやかに笑って母親のように褒めるその深海棲艦の姫級...。

 

ソイツこそが中枢棲姫、深海棲艦達を束ねるボスだ。

 

以前、俺を助けてくれた恩人でもある...。

 

 

「ソシテ、再度良ク来テクレマシタネ、幻想殺シ...オ待チシテイマシタ」

 

 

「お久しぶりです中枢さん、貴女が俺を呼ぶなんて珍しいですね」

 

 

「フフッ少々アナタノ顔ガ見タクナッタノデスヨ...。ソレニ他ノ方達モ会イタガッテイマシタカラ...」

 

他の方?それってまさか...

 

思考しかけたところで嫌な予感がして俺はその場で身を捻って移動する。

 

その刹那、一瞬前まで俺の立っていた所に黒く太い腕が突き刺さっていた。

 

 

「ホウ...アレヲ躱スカ、多少衰エテハイルガソレナリニハマダ動ケルヨウダナ」

 

その声に振り向くとそこには青白い肌に長い白髪、フリフリのブラウスを着た、ゴシックテイストな格好をした姫、リコリス棲姫が笑みを浮かべて立っていた。

 

 

「やっぱりあんたかよ...リコリス師匠」

 

リコリス棲姫、俺にあらゆる艦種に対する対艦格闘を教えてくれた師匠だ。

 

この人?人って括りでいいのか?

 

このヒト隙あらば俺に攻撃しかけてくるから油断できないんだよな...。

 

 

「イタラ悪イノカ?馬鹿弟子」

 

 

「うるせえ!こちとらアンタに何度も殺されかけてんだぞ!うんざりしたくもなるわ!」

 

 

「フンッソウ言ウコトハ私を一度デモ倒シテカラ言ウコトダ」

 

ピキッ...

 

 

「上等だコラ、今日という今日はぶちのめしてやる...!」

 

 

「フンッヤレルモノナラヤッテミロ、返リ討チニシテヤル」

 

俺達は師弟対決にケリをつけるため、中枢さん達の下から離れるのだった。

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

「不幸だ...」

 

 

「フッ...貴様ノ衰エタ拳デコノ私ガ倒セルワケガナイダロウ馬鹿メ...」

 

現在俺はリコリス師匠の下敷きにされている。

 

結果はどうだったんだって?惨敗でしたよちくせう!

 

深海棲艦相手に俺は右手を使えない、だから左手だけで戦って(やって)たんだけど、戦いから離れすぎたせいで腕が鈍っちまってた...。

 

前なら小破、良くて中波までは行けたのに手も足も出なかったよ...

 

 

「折角ダ、馬鹿弟子ニ新シイ戦イ方ヲ教エテヤロウ」

 

 

「新しい戦い方?どんなのだ?」

 

 

「ソレハナ...『多対一』ツマリ一騎当ノ戦法ダ」

 

一騎当千ってよくゲームなんかにある無双系のあれか?あんなのリアルに出来るのか?

 

 

「へぇ...。」

 

 

「ナンダ、信ジテナサソウナ顔ダナ」

 

 

「そりゃ急に一騎当千なんて言われてもな...」

 

アックアとか神裂みたいな聖人じゃあるまいし......

 

 

「ソコマデ言ウノナラ手本ヲ見セヤル...少シ待ッテイロ」

 

そう言うとリコリス師匠はどこかに行ってしまうのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「待タセタナ...」

 

そう言って戻ってきたリコリス師匠は何故かイ、ロ、ハ、チ、ル、ヲ、タ級の軍団と他に鬼級の戦艦水鬼を連れてきていた。

 

 

「えっと...リコリスさん?その後ろの奴らは...?」

 

 

「ナニ、私達ノ命令ヲ聞カズ艦娘達ヲ襲イニ行コウトシタ所ヲ捕ラエラレタ、オ前達ノトコロデ言エバ犯罪者達ダ、今カラコイツラヲ使ッテ多対一(・・・)ノ戦イ方トイウモノヲ見セテヤル」

 

おいおいおい...まさかここで始める気じゃあ......

 

 

「サア、来ルガイイ!」

 

 

「ちょっ!こんなとこで始めんじゃねえぇぇぇぇ!!」

 

俺の絶叫なぞ露知らずリコリス師匠は大群の中に突っ込んでいく。

 

千切っては投げ千切っては投げを繰り返している。

 

その戦いぶりはまさしく一騎当千...。

 

 

「リコリスに戦イ方ノ説明ヲシロト言ワレタノデ簡単ニ説明スル」

 

いつの間にか近くに来ていた戦艦水鬼がそう話しかけてくる。

 

因みにこのヒトも俺の師匠だ。主に対人の戦い方を教えてくれた師匠だ。

 

 

「多対一での基本はいかに素早く相手を仕留め、且つ的確に一撃一撃を叩き込んでいくことにある」

 

そう言われて俺はリコリス師匠の戦い方に注目する。

 

すると確かに、師匠は一体一体をさほど時間をかけずに仕留めている。

 

......まあ、その後ろのは死屍累々の地獄絵図が展開されているんだが...。

 

 

「あれを俺にやれってのか?無理だろ...」

 

 

「リコリスヲ中破ニマデシタオ前ナラ出来ルト思ウガナ...」

 

嘘だろ?あれはもう人外の動きじゃねえかよ...。

 

俺はいったいどうなってしまうんだろうか...

 

 

「すまん加賀姉...俺、死ぬかも...不幸だ...」

 

俺はこれからやらされるだろうことを想像して盛大にため息を吐くしかないのであった...。




なんとかリコリス師匠の課題をクリアした俺...。

だが今度は戦鬼師匠の特訓に付き合わされることになってしまう...。


次回、新約、とある提督の幻想殺し

海の底での鬼姫修行(続)

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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海の底での鬼姫修行(続)

長門だ...。

前回は提督がリコリス棲姫に多対一の戦い方を教わる話だったな...。

今回は前回も出てきた戦艦水鬼の特訓回らしい。

ただでさえ人間離れしているのに提督は何処へ向かうつもりなのだろうか...


side上条

 

 

「おおおぉぉぉぉっっ!!」

 

向かってくる敵に扇状に足払いをかけ、よろめいた内の一人に渾身の左ストレートを叩き込む。

 

幻想殺し(イマジンブレイカー)は使っていないが、他の部位は遺憾無く使い、相手を薙ぎ倒していく。

 

次いで近くに倒れていた奴を抱え上げるとジャイアントスイングの要領で勢いよく振り回す。

 

その勢いに巻き込まれ俺の周りの奴らが思いっきり吹き飛ぶ。

 

 

上の説明からわかる通り俺は今絶賛犯罪艦達に囲まれている。

 

そう、これはリコリス師匠が課した俺への修行だ...。

 

港湾姉さんたちに連れられてきてからもう半年が経つ...。

 

俺は師匠(リコリス棲姫)に技術を叩き込まれた後、無理矢理実践をさせられた。

 

師匠曰く『頭デ覚エルヨリ身体ニ覚エ込マセタた方ガ早イ、習ウヨリ慣レロ』...だそうだ。

 

始めた当初は右手も使って相手を消しながらやってたんだが三カ月程繰り返しているうちに右手を使わなくても対処できるようになった。

 

 

「これでっ...最後だ!お前らのその歪んだ幻想をぶち殺す!!」

 

その叫びと共に渾身の左アッパーを最後の一隻に叩き込む。

 

 

「ガッ...アガ...」

 

地面に叩きつけられたソイツは恐怖の顔で俺を見てから倒れた。

 

俺はそれを見て深い、とても深いため息を息切れと共に漏らす...。

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…はあぁぁ...なんっとか終わったぁ...」

 

 

「ゴ苦労、良くヤッタ...ト言タイトコロダガ、時間ガ掛カリ過ギダ...」

 

 

「ぜぇ…無茶言わないでくださいよ...師匠と違って俺、人間ですからね?」

 

 

「人間ハ深海棲艦相手ニ勝ツナドアリエナイノダガナ...」

 

そりゃあんた達にしこたま鍛えられたからだろうが...

 

それがなきゃ俺は今でも右手だけで戦ってる...。

 

 

「とにかく、これで合格って事で良いんですよね?」

 

 

「アァ、私ノ修行(・・・・)ハ合格ダ」

 

......なんだか嫌な予感がするのでせうが...。

 

 

「リコリスノ修行ハ終ワッタヨウダナ...次ハ私ノ番ダ...。カミジョウ」

 

 

「やっぱりか...不幸だ...」

 

どうやら俺はまだ戻ることは出来そうにないらしい...。

 

 

 

__________________

 

 

 

 

「私ガ教エルノハ対人デノ闘イ方ダ」

 

 

「対人?リコリス師匠に教わっていたのとは違うんですか?」

 

すると師匠(戦艦水鬼)は首を横に振る。

 

 

「ソレハ対艦格闘ダロウ...私ガ教エルノハ人間ニ対シテノ戦イ方ダ」

 

 

「対人戦...ってことですか?」

 

 

「ソウイウ事ダ...ト言ッテモ対艦格闘ト殆ド変ワラナイ」

 

つー事は今までの奴と似たようなモンってことか。

 

 

「違うところってのは何なんですか?」

 

 

「オ前モ艦娘ヤ我等深海棲艦ト闘ッタコトハアルハズダガ、我等ヤ艦娘には基本的ニ急所トイウモノガナイ...シカシ人間ハ違ウソレハ何カ、ココマデ言エバ頭デモ理解デキルダロウ?」

 

 

「......急所ってことですか?」

 

俺の言葉に師匠(戦艦水鬼)は小さく頷く。

 

 

「ソウ、急所ダ人間ニアリ私達ニハナイモノ...私ハコレヲ秘孔と呼ンデイル」

 

 

「秘孔...ですか」

 

 

「ソウダ、秘孔ダ...。」

 

オイ!それって〇斗の拳とか蒼〇の拳じゃねえか!

 

なんで師匠(戦艦水鬼)が知ってんだよ!!

 

 

「えっと...それって突くだけで頭パーンとかその他諸々の部分が弾け飛んだりするアレ...ってことですか?」

 

流石にそれは無いと思いたいが...。

 

 

「アァ、相手ノ断末魔ガ『ひでぶっ!』ト言ッテ爆散スルマデガセットダナ」

 

 

「なんてモン教えようとしてんだ!それタダの暗殺拳じゃねえか!!」

 

 

「ナニ、チョット派手ニ身体ガ爆発スルダケダ」

 

 

「いや常識的に考えて人間の体は爆発しませんから!?」

 

 

「常識ナゾドウデモイイ!オ前ハサッサトコノ戦法ヲ身ニツケロ!」

 

 

「ちょっ!やめろ!そんな物騒なモン教えようとすんな!ってか近づいてくるなぁ!ぎゃあぁぁぁぁっ!!不幸だぁぁぁぁ!!」

 

それからさらに三か月後、俺は見事北〇神拳ならぬ棲艦鬼拳を習得することなるのであった...。

 

こんなの使い道ねえだろ......

 

はあぁ...不幸だ...。

 




上条提督が消えてから早数か月...。

自分達は呉鎮守府から応援を頼まれ行方不明の上条君を探すことになるのだが...。


次回、新約、とある提督の幻想殺し

KT(上条当麻)捜索作戦

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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KT捜索作戦

神通です...。

前回は提督が戦闘技術を二人の姫と鬼級の深海棲艦から教わるお話でした...。

今回は提督のお話ではなく大阪鎮守府側のお話となります...。


side大阪鎮守府

 

ここは大阪鎮守府、いつも何かと騒がしく個性的な提督と艦娘達が日夜動き回っている...。

 

ここの司令長官である吉野三郎中将はある案件に頭を悩ませていた。

 

 

「うーん...」

 

 

「まだ考えてるの?提督」

 

 

「うん、ちょっとねぇ...どうしたらいいのかよく分からない状況なんだよね...」

 

そんな風に吉野が頭を悩ませることになったのは先日の事...。

 

 

___________回想__________

 

 

 

「提督、ちょっといいかしら?」

 

そう言って入ってきたのは大阪鎮守府職場環境保全課...。通称艦娘お助け課に所属する重巡洋艦の足柄であった。

 

 

「足柄君か、どうかしたのかい?」

 

吉野がそう尋ねると、足柄は少しだけ言いづらそうにしながらも口を開いた。

 

 

「実はちょっと...というよりかなり厄介な案件が舞い込んできたのよ...。ほら、これ見て」

 

そう言って足柄が差し出してきたのは案件のモノらしき書類だった。

 

 

「これは?」

 

 

「呉の艦娘からの依頼なんだけど、どうにも今呉ではかなり大きめのトラブルが起きているみたいなの」

 

 

「へぇ、かなり大きめの...それで、その内容というのは?」

 

再度吉野が訪ねると足柄は苦い表情を浮かべながら言った。

 

 

「...呉の提督である上条大将の行方を探るのを手伝って欲しいそうよ」

 

その言葉に吉野は自身の耳を疑う。

 

 

「えっと...足柄君、今なんて言ったのかもう一度お願いできる?」

 

 

「なによ、聞いてなかったの?だから『失踪中の上条大将の捜索の応援をお願いしたい』だそうよ」

 

 

「ん?んんんんんんん...?」

 

どうやら吉野は初耳のようで何とも言えない表情で固まっている。

 

それを見て足柄もやはりかとため息を吐く...。

 

 

「そうなるだろうと思ったわ、私の初めにこれを聞いた時固まったもの...」

 

 

「え?というよりなんで上条君行方不明なの?」

 

 

「さぁ?聞いた話だと一人で海にマリンバイクで出ていったのをある艦娘が目撃したのが最後だそうよ?」

 

 

「海に?というかマリンバイクで??」

 

訳が分からないと言った表情をする吉野。

 

 

「向こうもかなり切羽詰まってたみたいで詳しいことは聞けなかったんだけど、これは私達のだけじゃ流石に手に負えそうにないのよ...」

 

 

「それで自分に相談に来たと...。」

 

 

「えぇ、私の方でも調べてみるから提督の方でも調べてみてくれないかしら?そういうの、得意だったんでしょ?」

 

そう部下に頼めれてしまえば断るわけにもいかないのが吉野である。

 

以前足柄に『助けを求めてきた子達を何をしてでも助けたいなら自分を頼れ』と...。

 

 

「話は分かった、自分の方でも上条君について調べてみる。何か分かり次第、そっちに知らせるけど、それでいいかな?」

 

 

「えぇ、それで大丈夫よ、じゃあ後はお願いね」

 

そう言って出ていく足柄を見送り、吉野は再び書類に目を移す。

 

 

「上条君が失踪...ねぇ」

 

 

「気になるのかい?提督」

 

隣で話を聞いていた時雨が声をかけてくる。

 

 

「うん、どうにも何か引っかかるんだよねぇ、以前の事も含めてね...」

 

そう話す吉野は何かを考え込むようにドクペ(ドクターペッパー)を口につけるのだった...。

 

 

sideout

 

_____________________

 

 

side吉野

 

 

最初から妙だったのだ...。

 

上条君が初めてここに来るのを知り、彼の事を調べさせた時からずっと感じていた違和感があった。

 

そう、彼の情報が極端に少なすぎるのだ、以前彼本人にも言ったように調べて分かったことは呉で提督をしていることと、対象という階級についていることのみ...。

 

それまでの経歴が全くと言っていいほど見つからないのだ、まるで初っ(ハナっ)から存在していないかのように...。

 

その後、彼の口から直接以前の事は聞けた。

 

かの全面戦争のこと、江ノ島鎮守府に所属していた時の事、学園都市で生活していた時の事...。

 

そのどれも後から調べ直してみたが一つとして見つかることはなかった。

 

 

「これは一度、江ノ島鎮守府に尋ねてみる必要があるかもしれないねぇ」

 

恐らく今回の事の真相を掴む何かがあるはずだ...。

 

そう考え、自分は江ノ島鎮守府へと向かう準備を進めるのだった。

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

あれから数日後、自分は第一秘書である時雨君を連れて江ノ島鎮守府へとやって来ていた。

 

 

「吉野三郎中将様ですね?お待ちしておりました。江ノ島鎮守府の秘書艦兼提督代理の赤城です」

 

そう言って出迎えてくれたのは赤城という艦娘であった...。

 

 

「えぇ、自分が吉野です。そしてこっちが秘書の...」

 

 

「時雨だよ、よろしくね赤城さん」

 

 

「時雨さんね、よろしくお願いしますね」

 

にこやかに自己紹介を交わす二人、特に問題はなさそうである。

 

 

「外で話しているのもなんですのでどうぞ中へ」

 

 

「あぁ、それもそうですね、ではお邪魔します」

 

赤城さんの先導で中へと入っていく。

 

 

「こちらです...どうぞおかけになってください」

 

 

「では失礼して...」

 

案内された先は応接室であった。

 

赤城さんに言わるがまま、置いてあるソファーセットに腰掛ける。

 

その後に赤城さんも対するように反対側に腰掛けた。

 

 

「それで、お話というのは?」

 

 

「えぇ、実は呉の上条大将について聞きたいことがありまして」

 

すると赤城さんがピクリと反応する...。

 

 

「......提督の事ですか?構いませんけど、何をお聞きになりたいのですか?」

 

今、話し出すまでに間があった、という事はやはり何かあるとみて間違いなさそうだ...。

 

 

「その前に確認させてほしいのですが、赤城さんは今上条大将がどうしているかご存知ですか?」

 

 

「...?いえ、以前呉の文化祭で会ったきりですので詳しくは知りませんが、呉鎮守府で提督をなさっているのでは?」

 

この様子だと、ここの艦娘達は知らないようだね...。

 

 

「実は今上条大将が失踪しているそうで呉は大騒ぎになっているんですよ」

 

 

「っ!?......そうでしたか」

 

予想より反応が薄い?どういうことだろうか...。

 

 

「あまり驚かないんだね、さっきの口ぶりからすると上条大将の事をいまだに提督と信じているように聞こえたんだけど」

 

自分の思っていたことを時雨君が聞いてくれる。

 

 

「そうですね、私達の提督はいつまでもあの人だけですから...」

 

 

「その割には失踪の単語に対して反応がなかったみたいだけど、上条さんの事心配にはならないの?」

 

 

「心配していないわけではありません、ですが...」

 

 

「ですが?何か心当たりでも?」

 

赤城さんの事名を一言一句聞き逃さないよう聞いていると引っかかる物言いをしだした...。

 

自分はすかさずそこに食いつく。

 

 

「え、えぇ...でもこれは提督に他言無用と言われているので...」

 

うーん...そう簡単には教えてもらえないか、さて、ここはどうするべきか...。

 

自分がどうすべきかを考えていると、時雨君が再度口を開く。

 

 

「赤城さん、上条さんの為なんだ、何か知っているなら僕達に教えてくれないかな?」

 

 

「...........」

 

時雨君の言葉に赤城さんはしばらく黙ったまま何かを考え込んでいる...。

 

そうしてしばらく考え込んだ後、そっと口を開いた。

 

 

「...分かりました、話すことで提督の為になるのでしたら...お話します」

 

そう言って赤城さんが話してくれたのは嘗ての大戦の時の事であった。

 

 

「私達は超能力者(LEVEL5)さん達が出撃できない代わりに海域攻略に出ていました...。

ですがそこで待ち受けていたのは通常ではあり得ない編成の深海棲艦の一群がいたのです。

私達も必死に応戦しましたがそこまで練度が高くなかったために手も足も出ませんでした...。

もう打つ手がなくなり壊滅寸前まで追いやられた時に颯爽と現れたのです...提督が、それもマリンバイクに乗って...」

 

 

「んんんん?」

 

おかしい、途中まで至極真面目な話だったはず、なのにどうして急に現実味のない話になるのだろうか...。

 

自分がそんなことを考えているのとは裏腹に赤城さんは話を続ける。

 

 

「マリンバイクに乗って颯爽と現れた提督は右手で次々と深海棲艦の一群を消滅させていきました。

ですが、種族の壁は大きすぎました...。

善戦していた提督でしたが、戦艦の砲撃を喰らって右腕が消し飛んでしまったのです。

けれど、おかしいのはここからでした、捥げたはずの提督の右腕から透明な龍のようなものが複数飛び出して、周りにいる深海棲艦を全て消滅させてしまったのです。」

 

赤城さんが至極真面目な顔で話しているから真実ではあるのだろうけど、少し信じがたいものばかりだ...。上条君の腕から龍が飛び出すなんて...。

 

 

「提督の活躍によって戦いは幕を降ろしました、これで深海棲艦との戦いは終わりを告げました...。ですが、これにはまだ続きがあるのです」

 

 

「続き?」

 

時雨君の問いに赤城さんは頷いてまた話し出す...。

 

 

「戦いが終わった後、私達は喜びから気が緩んでいました、そこに制御を失った敵爆撃機が提督に近づいていたのです。敵機は提督に爆撃をして墜落しました。私達は急いで助けに向かいましたがそこにあったのは爆撃され燃え盛る提督の乗っていたマリンバイクだけでした...」

 

まさか...いや、後田と上条君が呉にいることが分からない...。

 

 

「私達の誰もが提督は死んだと思っていました。

それから三か月が経とうという時、この鎮守府にレ級が攻めてきたのです」

 

 

「レ級が!?大丈夫だったの?」

 

 

「えぇ、なんとか...。

それで、その報告を受けた私は神通さんを伴ってレ級の迎撃に向かいました。

先に見つけた迎え撃っていた龍田さんと共に三人で迎撃に当たりましたが手も足も出ませんでした...。

それぞれ大破させられ、沈められると思った時に現れたのが死んだと思われていた提督だったのです...」

 

 

死んだはずの人間があられる...常識的に考えるとするならばどこかで助けられたとしか考えられない...。

 

 

「どうして生きているのか聞いてみたところ、提督はこう言っていました『深海の奴らに助けてもらった』...と...。」

 

 

「っ!?深海棲艦が上条さんを?」

 

 

「えぇ、そこで治療と共に鍛えてもらったと言っていましたし、今回も海で消えたのであればまたその深海棲艦のところに行っているのではないかと...」

 

なるほど、それは確かに口止めをしておかないとならない話だ...。

 

 

「お話を聞かせてくださってありがとうございます。おかげでヒントが見つかりそうですよ」

 

 

「それならよかったです。事情を知った以上私達も協力しないわけにはいきませんね、私達も提督の捜索をお手伝いします」

 

 

「それは心強いです。呉の艦娘達にもそう伝えておきますね、では自分たちはこれで失礼します」

 

 

「はい、またいらしてくださいね」

 

赤城さんの見送りを背に自分たちは江ノ島鎮守府を後にするのであった。

 

しかし上条君まで深海棲艦と関わりがあったとは...世界には変わり者が一人入るという事か...。

 

そんなことを考えながら大阪鎮守府への帰路につくのであった。




提督が居なくなって半年以上が経とうという頃、心配から遂に加賀さんが倒れてしまう。

他の子達も次々に倒れていくなかある二人組がやってくる...。


次回、新約、とある提督の幻想殺し

悪ノリ医学者と小さな三十路

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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悪ノリ医学者と小さな三十路

睦月です!

前回は大阪鎮守府の吉野中将が行方不明の提督の手掛かりを掴むために江ノ島鎮守府に来たにゃしぃ♪

赤城秘書艦から提督の過去を聞いていたようだけど何か分かったのかな?


side陸奥

 

提督が行方不明になってから半年以上が経った…。

 

今尚提督の行方は掴めないまま…

 

私を除く他の艦娘達は提督がいないことでかなり不安定になりつつある…。

 

現秘書艦である加賀も気丈にしてはいるが、相当無理をしているのが見てとれる…。

 

無理もないだろう、毎日の提督の仕事をこなしつつ、合間合間に寝る間も惜しんで提督の行方を探しているのだから…。

 

あれではいつ倒れてもおかしくない。

 

そんなある日のこと、遂に恐れていたことが起きてしまった…。

 

 

 

 

___________________

 

 

いつもの如く、私達(・・)は提督を探すために海に出ていた…。

 

私の他に加賀秘書艦、利根、筑摩、多摩、弥生の五隻が随伴している。

 

加賀秘書艦がいつも通り、提督の執務を終えた後に提督捜索のために出撃した。

 

だが、出撃して少し経った頃、異変が起こった、前を行く加賀秘書艦がフラフラとし始めてしまったの…。

 

 

「大丈夫?加賀秘書艦」

 

 

「このくらい鎧袖一触よ…心配ないわ…。」

 

そう言いながらもなんとか立て直していた加賀秘書艦だったけれど、次第にその振らつきは大きくなって、やがて前のめりに倒れてしまった…。

 

 

「加賀秘書艦!?」

 

 

「大丈夫か?しっかりするのじゃ!」

 

利根と筑摩が直ぐ様駆け寄り倒れる加賀秘書艦を支える。

 

支えられた加賀秘書艦は辛そうに顔をしかめて気を失っていたわ…。

 

 

「酷い熱…。早く帰って休ませないと…!」

 

筑摩が加賀秘書艦の額に触れてからそう私に伝えてくる。

 

 

「これ以上の捜索は危険ね、仕方ないわ、全艦反転!鎮守府に急ぐわよ、利根と筑摩は加賀秘書艦の曳航をお願い」

 

 

『了解!(じゃ)』

 

こうして私達は呉鎮守府へと戻っていったの…。

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

加賀秘書艦が倒れてから数日…。

 

 

その日を境に他の艦娘達も次々に倒れていった。

 

このままだと鎮守府全体が機能停止に陥ってしまう…。

 

そう感じ取った私は藁をもつかむ思いで大阪鎮守府の艦娘お助け課へと応援を依頼した。

 

応援を依頼すると、応対した艦娘である足柄は快く引き受けてくれたわ…。

 

簡単に現状を説明すると捜索は大阪鎮守府が引き継いで行ってくれることと、倒れた艦娘を診るために専門の方を派遣してくれることとなった…。

 

それを聞いて私は連絡を終えた後に気が緩んでしまった為か私の意識は深い闇の中へと落ちていくのだった…。

 

 

sideout

 

 

_________________

 

 

 

 

side弥生

 

 

陸奥さんが倒れてしまってから二日後…。

 

大阪鎮守府から天草早苗という女の人と大阪鎮守府の電だと思われる少女がやって来たの……。

 

元気…というより動けるのは私達みたいな駆逐艦しか居なかったから私が応対した…。

 

 

「えっと…いらっしゃい…です…大阪鎮守府の方…ですか?」

 

話すのはあまり得意じゃないから如月姉さんにお願いしたかったんだけど、姉さんは他のことで手一杯だし卯月や他の妹達はあまり応対が上手じゃないから仕方ない…

 

 

「あぁ、そうだよ。アンタが依頼をしてきた子かい?」

 

私はその言葉に首を振る…。

 

 

「違い…ます…。私じゃなくて陸奥さんが依頼をした…んですけど…その後に陸奥さんも倒れて…しまって…」

 

それを聞いた少女は天草さんの顔を見て言ったの…。

 

 

「ハカセ、事態は結構深刻みたいなのです…。早く倒れた方達を診た方がいいと思うのです…。」

 

 

「あぁ、どうやらそのようだね…ったく、こんな小さな子供に応対させるかねぇ…普通…」

 

それは出来れは他の艦種の人にやってもらいたかったけど、空母や戦艦、重巡、重巡、軽種の先輩や、潜水艦に一部の駆逐艦の子達は倒れてしまっているのだから仕方がない…。

 

 

「どれ、じゃあ早速患者の容態でも見せてもらおうかね…」

 

 

「はい…こっちです…。」

 

私は二人を案内するため、工廠へと向かったの…。

 

 

 

 

________________

 

 

 

 

工廠に二人を連れていくと、二人は一人一人診回って後に言った…。

 

 

「ふぅん…診たところ過労が原因の子が大半だね」

 

 

「そうみたいなのです…。でも、一部の風邪ようなの症状が出ている子もいたのです」

 

過労に風邪ような…?じゃあ夏風邪かな?

 

 

「とりあえずしばらく入渠ドックにでも放り込んどきな。あぁ、風邪モドキの子達を優先的にね、そうすりゃ治るハズさ…」

 

 

「ッ!はい…!分かり…ました…!」

 

天草さんに言われた私は他の動ける妹達や他の駆逐艦の子達にもお願いして次々と放り込んでいくのだった…。

 

 

 

 

___________________

 

 

 

翌日、ある程度まで回復した先輩達の姿を見てから二人は大阪鎮守府へと帰って行くのでした…。

 

 

ありがとうござい…ます…天草ハカセに電さん…。

 

私は二人の名を深く胸に刻み付けるのでした…。

 

 

 

 

 

         ―――(完)―――




どうにかこうにか深海の姉さん達から解放され、一年ぶりに呉鎮守府に帰ってきた(わたくし)こと上条当麻…。

しかし俺を待っていたのは物凄い歓迎?の嵐で…


次回、新訳、とある提督の幻想殺し

幻想殺しの帰還

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる…。


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幻想殺しの帰還

綾波と申します…。

前回は現在の呉鎮守府の現状のお話でした。

今回は司令官が一年ぶりに帰ってくるお話になります!


side上条

 

 

「モウ行ッチャウノ?」

 

北方棲姫が名残惜しそうに聞いてくる…。

 

 

「あぁ、流石にそろそろ戻らないと加賀姉達が心配しちまうからさ…」

 

もう一年くらい深海の姉さん達の所にいるからな…そろそろ戻らないとヤバそうだ…。

 

 

「本当ハモウ少シココニイテモライタカッタノデスガ仕方アリマセンネ…」

 

そう言って中枢さんは苦笑している。

 

 

「コウシテ一年モ居テクレタノデスカラコレ以上ノ要求ハ我侭トイウモノデショウ…ネ級、彼を呉鎮守府ニオ送リシテクダサイ」

 

 

「ハイ…デハ上条サンオ送リシマスモデコチラヘ…」

 

 

「あ、あぁ、よろしくなネ級」

 

こうして俺は港湾姉さんやホッポ達と別れを告げ、ネ級の案内のもと、呉鎮守府へと戻っていくのだった...。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

「着キマシタ、呉鎮守府デス」

 

 

「おぉ、ありがとうなネ級、助かった」

 

俺はネ級から降りてお礼を言う。

 

 

「イエ、ソレデハ私ハモウ戻リマス上条サン…ゴ武運ヲ」

 

それだけ言うとネ級はそそくさと帰っていってしまった…。

 

 

「さて、そろそろ戻るかな…」

 

ネ級が帰っていくのを見届けた後、俺は鎮守府内へと入っていった。

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

「提督!?ようやく帰ってきたのね…」

 

中に入ると驚くほど顔は笑っているが眼が笑ってない加賀姉と目が合った…。

 

 

「あ、あぁ…ただいま、加賀姉…」

 

 

「色々と聞きたいことがあるけれど、その前に皆さんが待っているから顔を出してあげることね、こっちよ…。」

 

 

「お、おう…。」

 

有無を言わさぬ口調で言われ、俺は黙って着いて行くしかなかった…。

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

 

「ここよ、入ってちょうだい」

 

連れてこられたのは食堂であった。

 

加賀姉に言われる通りに扉を開ける…。

 

恐る恐る中に入ると中で待ち受けていたのは呉鎮守府の面々の他に、大阪鎮守府や江ノ島鎮守府の面々が集まっていた…。

 

 

「お帰り上条君、深海での生活は楽しかったかな?」

 

そう聞いてきたのは大阪鎮守府の司令長官である何時も通りの髭眼帯である吉野さんだった。

 

どうして吉野さんがここにいるのかはこの際置いておく... 

 

 

「え、えぇ…楽しむというより遊ばれてましたけど…」

 

 

「そうかい、それはよかったね、総員!歓迎準備!!」

 

吉野さんの号令で大阪鎮守府の艦娘以外も一斉に拳を作り構え始める…。

 

 

「全艦!一斉にかかれぇ!!」

 

吉野さんの号令とともに、呉、江ノ島、大阪の艦娘達が一斉に俺に襲い掛かってきた…。

 

俺は迎え撃つわけにも行かず、そのまま受けに回るしかなかった…。

 

 

「え、ちょっ、待っぎゃあぁぁぁ!!!不幸だぁぁぁ!!!」

 

帰ってきて早々、俺はボコられながらも揉み苦茶にされ、絶叫を上げるのだった...。




呉鎮守府に戻ってきた俺を待っていたのは大量の書類の山と残った仕事だった...。

必死に終わらせているときに元帥から連絡が入り…?


次回、新約、とある提督の幻想殺し

元帥からの贈り物

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる…。


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元帥からの贈り物

電です...。

前回は司令官さんが私達にボコボコにされたお話だったのです。

少し可哀想だったですけど司令官さんの自業自得なのです!

今回は呉鎮守府にたくさんのお仲間さんが増えるお話になるのです!


side上条

 

 

「不幸だ...」

 

開口一番にそれを言うには訳がある。

 

それは溜まりに溜まった書類の山が原因だ...。

 

なんでも俺がいない一年間の間、加賀姉や陸奥姉ちゃん(呉の艦娘達から姉妹扱いしてほしいと言われた)がやっておいてくれてたらしいけど、提督しか処理できないものはさすがに手を付けられないため放置していたらしい...。

 

おかげで一年分ほど溜まった書類の山が五百枚ほど執務室に積み重なっている...。

 

 

「着任当初程じゃないにしてもこれは酷いよな...」

 

俺は書類の山を見て溜息を吐く...。

 

 

「私達に一言も無しに姿を消したのが悪いのよ、自業自得です...。」

 

あはは...最近加賀姉が、というより鎮守府中の艦娘達が妙に冷たいんだが...。

 

自業自得みたいなもんだし、仕方ないっちゃ仕方ないんだけどさ...

 

そこまで怒らなくてもいいんじゃねえかな?

 

 

 

などと考えながらも書類を整理する手を緩めずに作業していると、古鷹がなにやら少し慌てた様子で執務室に入ってきた。

 

 

「提督、いらっしゃいますか?」

 

 

「いるけど、どうかしたのか?」

 

 

「それが、大本営からお手紙が届いていまして...」

 

 

「大本営から?」

 

 

「はい、これなんですけど...」

 

渡された手紙を開けてみると、送り主は元帥からだった。

 

内容としては渡したいものがあるから大本営まで顔を出すように、というシンプルなものである。

 

俺はそれを見て書類整理を後回しにして大本営に向かうのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

大本営に到着した俺は応接室へと案内され元帥が来るまで待っていた。

 

 

「やあ、待たせたね。上条大将、来てくれて感謝するよ」

 

 

「いえ、それより渡したいものって何なんですか?」

 

それを聞いた元帥は『あぁ、そうだったね』と思い出したようにチリリンッと呼び鈴を鳴らした。

 

すると少しして数名の艦娘らしき少女たちが入ってきた。

 

 

「えっと...元帥?この子たちは?」

 

 

「この子たちは最近確認された超能力者組|(LEVEL5)が連れてきた艦娘達さ...。この子たちを君の鎮守府に進呈しようと思う」

 

それを聞いて俺の中にとある疑問が浮かぶ。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください!俺、別に何もしてないですよ?戦いに出てたわけでもないのに...」

 

寧ろ呉鎮守府から行方くらましてたのに......

 

しかし元帥は笑って言った。

 

 

「何を言っているんだい?君は十分な働きをしてくれたじゃないか。文化祭で私達を楽しませるという事をね...。」

 

 

「ッ!元帥もきていらしたんですか!?」

 

それなら顔出しに行ったってのに...。

 

 

「あぁ、だがお忍びで行っていたから私自身あまり目立つつもりもなかったんだよ、だが一客として行っても十分すぎるほど楽しめたよ。特にメイド喫茶は最高だった」

 

あ、元帥はメイド喫茶寄ったのか...。

 

その後、何故か元帥のメイド艦娘に対する熱い熱弁が始まってしまい、話が反れてしまった。

 

 

「ゴホンッというわけで、そのお礼にこの子たちを送ろうと思う。君達、上条大将に挨拶を」

 

元帥がそう言うと艦娘達は小さく頷き、一人ひとり自己紹介を始めた。

 

 

「まずは私からね、初めまして、雲龍型航空母艦、三番艦の葛城よ!よろしくね上条大将!」

 

 

「次は私ね、雲龍型航空母艦の一番艦、雲龍です。宜しくお願いしますね」

 

 

「あたいは夕雲型駆逐艦、十六番艦の朝霜さ。まあ詳しい挨拶はまた今度にして、よろしく頼むよ提督」

 

 

「私は陽炎型十二番艦の磯風だ。司令、よろしく頼む」

 

 

「俺は陽炎型の十六番艦の嵐だ!よろしくな!司令」

 

 

「私は神風型一番艦の神風です。よろしくね、司令官!」

 

 

「続いては私、神風型二番艦の朝風よ。よろしくね?司令官」

 

 

「あははっじゃあ続いて僕は神風型三番艦の松風さ、キミがこれから僕たちの司令官になる人だね?よろしく頼むよ」

 

 

「私は島風型一番艦の島風です。よろしくお願いしまーす!提督!」

 

 

「あ、えっと...私、まるゆって言います...。これからよろしくお願いします。隊長」

 

と、全員が挨拶を終えたところで俺は全員の顔と名前を覚えるために少し考え込んでいた。

 

なにせ、増える数が多すぎるのだ。しかも一気に挨拶されて頭が追い付いてこない...。

 

えっと、雲龍型の雲龍と葛城と?陽炎型の嵐、夕雲型の朝霜に?神風型の神風、朝風、松風の三人に、島風型の島風に恐らく潜水艦のまるゆだな?よし、何とか覚えたぞ!

 

 

「俺は上条当麻!呉鎮守府で提督をしてる飾りだけの大将だ。これからよろしくなおまえら!」

 

 

『『『『『はい!』』』』』

 

 

「掴みは上々のようだね、それじゃあ移籍の手続きをしてからそちらに送るから今日はもう帰りたまえ…。」

 

 

「分かりました、すいませんがよろしくお願いします」

 

そうして俺は大本営を後にして呉鎮守府へと帰っていくのだった。




雲龍たちが来てから数日...。

特に何もないので演習風景を見に行ってみるとそこにはとんでもない光景が広がっていた。


次回、新約、とある提督の幻想殺し

世界観の違う演習という名の修行

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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世界観の違う演習という名の修行

睦月です!

前回は提督が元帥から新たに艦娘を貰っていた話だったのね!

今回はその語のお話になるのだぞ!にゃははは♪


side上条

 

 

「...不幸だ」

 

俺こと上条当麻は、机の上に広がる地獄に白目を剥きたくなっていた...。

 

原因は深海の姉ちゃん達に呼ばれて一年ほど鎮守府を放置して溜まった書類である。

 

元帥に呼び出されて戻ってきてからなんとか二カ月分は加賀姉や他の姉ちゃん達|(秘書艦ズ)にも手伝ってもらいながら終わらせたのだが、それでもまだ十か月分ほど残っている...。

 

 

「終わりの兆しすら見えねえ...いつ終わるんだこれ...」

 

 

「...もうすぐで休憩時間なんですからそれまで頑張りなさい」

 

...加賀姉の言葉に時間を見てみる。

 

見ると、時刻は1200(ヒトフタマルマル)に差し掛かろうとしていた。

 

 

「あー...もうそんな時間なのか...」

 

 

「...そうよ、早くやらないと終わるのが遅くなるわ、さっさとやりましょう」

 

相変わらず加賀姉が冷たい......

 

まあ仕方ねえんだけどさ、自業自得みたいなもんだし...。

 

 

「へいへい...」

 

とりあえずやるだけやっちまうかな!

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「あー...つっかれたぁ...」

 

 

「あらあら、随分お疲れみたいですね...」

 

そう声をかけてくるのは間宮姉。

 

そう、俺は今休憩で昼飯も兼ねて食堂に来ているのだ。

 

 

「未明からぶっ続けですからね...体力的にはまだ余裕なんですけど、精神的に疲れが...」

 

 

「未明から今までやっていて体力が余裕なだけでもおかしいんですけどね...」

 

そんなこと言われても...リコリス師匠や水鬼師匠に嫌というほどしごかれたから嫌でも体力は付くというか付けさせられたというか...。

 

 

「それより、あいつらはどうですか?上手く他の姉ちゃん達と絡めてますか?」

 

 

「えぇ、問題なく過ごしてますよ?最近は良く他の方達に演習を付けてもらっているみたいですしね」

 

ん?演習を付ける?

 

 

「えーと、どういうことですか?」

 

 

「ですから、演習を付けてもらっているみたいですよ?そこに本人たちがいますから聞いてみたらどうです?」

 

あ、あいつらいたのか、全然気づかなかった...。

 

 

「そうですね、そうしてみます」

 

間宮との話を切り上げ、俺は新艦娘sに近づく。

 

 

「よっおまえら、元気か?」

 

 

「...あ、提督、こんにちは...」

 

 

『......(ペコリ)』

 

おいおい、全員目のハイライトが消えかかってんじゃねえか!?

 

一体何があったんだ?

 

 

「ど、どうしたんだよ元気ないじゃねえか、何かあったのか?」

 

 

「...聞いてない?今の私達の状況」

 

状況?つーと確か...。

 

 

「他の奴らに演習相手をしてもらってるんだろ?」

 

 

「演習?そんな訳ないじゃない!あんなものは演習じゃないわ!」

 

 

「うん...あれは演習というよりは修行って言った方がしっくりくるかも...」

 

し、修行ぉ~?なんか話がおかしな方向に向かってないか?

 

 

「い、いったいどんな修行なんだよ?」

 

 

「えっとね、まず重りの付いた制服を着せられて、その制服を着たまま牛乳が良く入っている瓶に入った燃料を数本持って鎮守府内にいる燃料の補給が必要な艦娘達に届けるのさ、スキップ+ジグザグに歩きながら...とかね...」

 

 

「・・・・は?」

 

 

「他には深と書かれた石を香取さんが鎮守府内のどこかに隠してそれを全員で時間を計って競い合ってそれを見つけた者以外は全員補給禁止っていう縛りがある探索をさせられたり...あ、もちろんこれも重り制服を付けた状態でね?」

 

 

「お、おう...」

 

 

「その他にも鎮守府内にある使われてない土地を素手で開墾させられたりもあったわね...これも重り制服付きよ?」

 

 

 

「おぉう...」

 

 

 

「挙句の果てには鎮守府の外の土木工事まで手伝わされるのよ!重りを付けた状態で...」

 

 

「うわぁ...」

 

 

「ははは...ちなみに今もその重り制服着用させられてるんだぜ?」

 

 

「ウソだろ...?」

 

 

「ウソなもんか、こうして話してるのすら結構負担が掛かってるんだよ?」

 

 

「なん...だと...」

 

 

「ここ居る他の艦娘達も全員体験していることらしくてな、練度を上げるために我々もそれをやっているというわけだ」

 

 

「うわぁ...」

 

如月たちがやたら強かったのはこういう理由があったからなのか......

 

 

「隊長はこれ...どう思います?」

 

 

「いや、どうと言われてもな...まだ軽いとしか...」

 

 

『なっ!?』

 

 

「ちょっと!これが軽いってどういうことよ!」

 

 

「いや、だって俺それ以上に無理難題やらされたし...」

 

 

「その内容とやらを是非聞いてみたいものだなぁ...」

 

なんか切れてませんか?あなた達...。

 

 

「まあいいか、俺がやらされてたのは深海棲艦の姫と鬼に二隻の師匠の所為なんだ...」

 

 

『......え?』

 

困惑してるな、まあそれも当然っちゃ当然だよな。

 

 

「まずやらされたのは艦娘や深海棲艦とまともに戦うために実力を付けろって言われてほぼ毎日死にかけるまで姫と鬼の相手をさせられたよ...」

 

 

「姫と鬼の!?」

 

 

「そうだぞ?んで次は艦種ごとの対応方法を覚えろって言われて駆逐級から空母級まで全ての艦種と戦わされたよ...しかも連戦で...」

 

 

「全ての艦種と連戦!?」

 

 

「次に無双の戦い方を覚えろって言われて左手だけで数十という数の深海棲艦と戦わされたりしたな...」

 

 

「左手だけで数十の深海棲艦の相手!?」

 

 

「おまけに対人戦闘としてある拳法を習得させるために秘孔、まあツボだな。身体中のあらゆるツボを突かれまくって無理やり体に場所を覚えさせられたりな...」

 

 

「それ何処の暗殺拳!?」

 

 

「とまあこんな所だけど...」

 

 

「あら、ほほぅ?

提督は私達が心配して探し回っている間にそんなことをされていたんですね」

 

......こ、この声は...

 

 

「い、いやー...香取さん?これには深ーい訳があってでせうね?」

 

 

「そうですか、それじゃあ向こうでじっくりとお聞かせくださいますか?」

 

 

「......不幸だぁぁ!!」

 

 

『提督、ご武運を...(ビシッ)』

 

 

「お前らも見てないで助けろよぉぉぉぉぉ!!」




香取とのOHANASHIから数日、性懲りもなく遊びに来た土御門があるゲーム機を持ってくる。
艦娘達はそのゲームに興味津々で...


次回、新約、とある提督の幻想殺し

艦娘とゲーム機

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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艦娘とゲーム機

龍田だよ~

前回は提督が新しく来た子達の演習という名の修行の方法を聞いたり、自分がやらされた修行方法を明かして香取さんにOHANASHIさせられていた話でしたわ~

今回はその提督のお友達が出てくるお話になりますよ~


side上条

 

 

「ちょ、ちょっと!雷進みすぎよ!アイテムが取れない...あっ!泡になっちゃった...」

 

 

「暁が遅いから私が先に進もうとしてるんじゃない!時間が迫ってるのよ!」

 

 

「・・・・・・(ヤレヤレ)」

 

書類仕事の合間の休憩で少し談話室に顔を出した俺が見たのはそんな風にあるゲームをしながら口喧嘩している暁と雷とそれを我関せずといった面持ちでゲームをしている響だった。

 

最近、ここ呉鎮守府ではこういう光景がよく見られる。

 

これを説明するには時間が数日前まで遡る...。

 

 

 

 

__________回想__________

 

 

 

 

「あー...終わんねえ...不幸だ...」

 

最早日課となった書類整理に追われつつ俺はその言葉と共に大きくため息を吐く。

 

 

「...勝手に姿を消した当麻の自業自得よ、私達も手伝ってるのだから頑張りなさい」

 

 

「そうなんだけどよ...不幸だー...」

 

最早嘆かずにはいられない...。

 

 

『提督、今、少しよろしいですか?』

 

ノックと共にそんな声が聞こえてくる。

 

 

「ん?あぁ、良いぞ、入って来てくれ」

 

 

「失礼します。あの、提督のお知り合いという方がお見えなのですが...」

 

入ってきたのは睦月型十番艦の三日月だった。

 

 

「俺の知り合い?今来てるのか?」

 

 

「はい、一応、応接室にお通ししているのですが...どうなさいますか?」

 

知り合いってのが誰か気になるしな...。

 

 

「行ってみるよ、サンキュな、三日月」

 

 

「い、いえ!それじゃあ私はこれで...」

 

そう言って三日月は一礼すると執務室を後にしていった。

 

それを見送り、俺は加賀姉に声をかける。

 

 

「なんか来てるらしいし、ちょっと行ってくる。すぐ戻ってくるからさ」

 

 

「...分かったわ、なるべく急いでね」

 

 

「分かってるって」

 

加賀姉の要望に応えるべく、俺は執務室を後にした。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

応接室に着くと、そこで待っていたのは土御門だった。

 

 

「よぉ、カミやん待ってたぜい!」

 

 

「知り合いってのはお前のことだったのか、土御門...。今日はどうしたんだ?」

 

コイツが来る時って大体何かの面倒事が起きた時なんだよなぁ...

 

 

「今日はあれを持ってきたんだにゃー」

 

そう言って指すのはデカい段ボール。

 

 

「......なんだあれ?」

 

あれなんとなく嫌な予感が済んだけど...

 

 

「まあまあ中を開けてみるぜよ」

 

土御門に言われるがまま箱の封を解き蓋を開ける。

 

そこに入っていたのは...!

 

 

「......これって、ゲーム機か?」

 

 

「そうだぜい、しかもコレは学園都市で最近発売されたばかりの任〇堂の最新ハード!任〇堂Dreamだにゃー」

 

そう叫ぶ土御門を尻目に俺は中身を覗き込んでいた。

 

中には見知っている物から知らない物まで複数入っていた。

 

 

「おーいカミやん、聞いてんのか?」

 

 

「ん?あぁ、悪い、なんだって?」

 

 

「聞いてなかったのかよ!だからこれは任〇堂の最新作の任〇堂dreamだって言ってんだよ!」

 

 

「ドリーム?なんだそりゃ?」

 

 

「こいつの凄さを知らないからそんなことが言えるんだぜい、コイツの凄さを知ったらそんなこと言えなくなるぜよ」

 

 

「へぇ」

 

自身満々に話す土御門を見て半信半疑の俺...。

 

そんなことは関係ないとばかりに土御門は話し始めた。

 

 

「この任〇堂Dreamはなんと!今までの任〇堂ハードのほぼ全てのソフトがこれ一台で遊べるんだにゃー、これは同じく発売したS〇NYから発売したPLAYSTATION10、通称PS10に対抗してのことみたいぜよ」

 

 

「へぇ、そっちはどんな機能があるんだ?」

 

 

「PS10は歴代ハード全てが遊べるって言う機能があったにゃー、けど、残念ながらここには入ってないぜい」

 

 

「ないのか?なんでだよ?」

 

それならそっちも持って来てくれりゃいいのによ...。

 

 

「あっちは人気が高すぎて一つしか確保できなかったんだにゃー...。こっち(任〇堂Dream)はなんとか二個確保出来たからカミやんに持ってきてやったんだぜい。これを買ってきてやっただけでも感謝してほしいところぜよ...」

 

なんだ、そういうことだったのか...。

 

 

「なんか悪いな...わざわざ買ってきてもらっちまって...けどよ、土御門」

 

 

「ん?なんだぜい?」

 

 

「ゲーム機だけあっても、ソフトがないと意味がないんだけど...」

 

見たところそれらしいものは入っていない。折角本体があってもソフトがなければそれはただのガラクタと化してまう...。

 

 

「それについては心配いらないぜい!ここにあるのにゃー」

 

そう言って土御門が取り出したのは複数のゲームソフトだった。

 

 

「お!どれどれ...おい、土御門...」

 

 

「今度はなんぜよ?カミやん」

 

 

「これ、随分前のソフトばっかりじゃねえか!新しいのは!?」

 

そう、差し出されたソフトの種類は正確には二本だった......

 

ひとつは数年前に任〇堂から発売された某キノコの国の配管工が兄弟や仲間達と共に、果物姫を助けに行く例のアレだったり...。

 

もう一つはモンスターで溢れ返る広大なエリアを武器とアイテムを駆使して挑むアレだったりしたのだ...。

 

 

「さっき言ったろ?この二つはその機能からやたら人気が高くて、本体を買うだけでも相当苦労するんだ。それもソフトとなれば更に入手難度は跳ね上がる...

実際、現在の学園都市ではDreamや10のソフトのみならず、任〇堂、S〇NYの歴代のソフトが品薄、または売り切れになっている...。これらもその中でなんとか入手できた唯一の物だ」

 

いつになく真面目に話す土御門を見て、俺もそれは本当なのだろうと思わざるを得なかった...。

 

 

「あの...」

 

と、ここで別の声が聞こえ、そちらを見るとそこには睦月型の艦娘達が立っていた。

 

 

「これ、やってみても...良いですか?」

 

 

 

 

__________回想終了_________

 

 

 

 

と、いう事があり今に至る...。

 

 

「もう頭に来たんだから!今日という今日は許さないんだから!」

 

 

「それはこっちの台詞よ!この際だからどっちが強いかはっきりさせようじゃない!」

 

んん?なんだか物騒なことになってきていないか?

 

何を隠そう、ここ呉鎮守府に所属する艦娘達はどこぞのZ戦士よろしく超武闘派なのだ...。

 

砲撃雷撃するくらいなら、一気に距離を詰めて重い一撃を叩き込め!というのが基本方針なのである...。

 

これは後から聞いた話なのだが、それを施していった張本人はあの人修羅こと、大阪鎮守府に所属する長門だと言う...。

 

人の知らないところで何を教えてるんだと言わざるを得ないが、今はそれどころじゃない...。

 

今にもぶつかり合いそうな二人を止めるのが先決だ。

 

 

「ったく、仕方ねえな...」

 

そう呟いてから超スピードで二人の間に割り込むとその突き出された拳を両手で受け取める。

 

 

「えっ!?司令官!?」

 

 

「なっ!?」

 

突然の俺の乱入に驚きの声を上げる二人...。

 

 

「ったく、たかがゲームで喧嘩すんなっての、ゲームは楽しくやってこそだろ?こんなことで喧嘩するくらいならゲームで決着付けろよな」

 

 

『......』

 

ん?何も反応ねえんだけど...

 

ふと、二人の様子を見てみると、、二人は顔を真っ赤にして俯いていた。

 

なんだ?どうしたんだ?

 

 

「司令官、良いこと言っているところ悪いけど、今の司令官にその説得力は皆無だよ」

 

と、ここで今まで静観してきた響が口を開いた。

 

 

「ん?どういうことだ?」

 

そう言うと響は少し驚いたような呆れた表情をして言った。

 

 

「気づいてないのかい?それじゃあ今キミがその手に触れているモノを握ってごらんよ」

 

手に触れているモノ?二人の拳だろ?

 

響に言われた通りに両手を握ってみる。

 

 

 

【フニフニッ】

 

 

「ちょっ響今そんなことさせたら...ひゃうんっ!」

 

 

「司令官ちょっとまって!今は...きゃうんっ!」

 

......あれ?今の感触と声って...まさか...

 

恐る恐る見てみると、俺が今まで拳だと思って掴んでいたものは...二人の胸部装甲であった...。

 

 

「うおっ!?悪い二人とも!」

 

慌ててその手を離す...。

 

 

『......///』

 

いまだに真っ赤になって俯いている二人...。

 

 

「気が付いたかい?僕の姉妹に手を出したんだ、司令官、覚悟は出来てるかな?」

 

満面の笑みでゆっくりと近づいてくる響...。

 

 

「い、いやー響さん?これは不可抗力でして...」

 

 

「司令官、遺言はそれだけかな?」

 

そうして俺は響に引きづられてどこかの部屋へと連れて行かれるのだった...。

 

 

「んぎゃああぁぁぁぁぁぁっ不幸だぁぁぁぁぁッッ!」

 

その日、呉鎮守府近隣にある絶叫が響き渡ったという...。

 

 

 

 

sideout

 

 

 

side???

 

一切の抵抗も許すことなく連れて行かれる上条を見て胸部装甲を触られた二人は後にこう語ったという...。

 

 

『あの時の響の背後には阿修羅が見えるようであった』と......




響のお仕置きから数日、相変わらず書類に追われる俺にある知らせが届く。

それは艦娘達にとても関係あるもので......


次回、新約、とある提督の幻想殺し

改二改装

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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改二改装

翔鶴です。

前回は呉鎮守府にゲームが来たお話でした。

今回は私達に関する重要なお話になります...。


side上条

 

 

「不幸だ...」

 

俺は日課となりつつある書類に追われながら深いため息を吐く。

 

と、そこへノックと共に艦娘が一人入ってきた。

 

 

「失礼します、提督、少しよろしいですか?」

 

そう言って入ってきたのは古鷹だった。

 

 

「どうした?何かあったのか?」

 

 

「えっと、如月ちゃんの様子が少し...」

 

そこでなぜか言い淀む古鷹...。

 

如月に何かあったんだろうか?

 

 

「如月?何かあったのか?」

 

 

「口では説明しづらいので提督も来てください!」

 

そう言って俺の手を掴むと立たせようとしてくる古鷹。

 

 

「うおっ!?わ、悪い大淀、ちょっと行ってくるわ」

 

引っ張られながら大淀に軽く謝罪を入れ俺は執務室を後にするのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「ここです」

 

連れてこられたのは演習場だった...。

 

 

「ここに如月がいるのか?」

 

 

「えぇ、あそこに...」

 

そう言ってある方向を指す古鷹。

 

俺も釣られてそちらを見る...。

 

そこには数人の駆逐艦娘に囲まれている如月の姿があった。

 

そこでふと目を引くものがあった。

 

よく見ると、如月の身体が白く輝いているのだ...。

 

 

「おい、古鷹、あれって...」

 

 

「不思議でしょう?私にも何なのか分からなくて...」

 

なるほどな、それで俺を連れてきたって訳か。

 

けど、俺もこんなの初めて見たぞ...。

 

江ノ島でも深海でもこんな現象見たことはない...。

 

とりあえず、詳しいことを聞いてみるとするか。

 

 

「如月、大丈夫か?」

 

 

「あら、司令官、大丈夫なんだけど、ちょっと熱っぽい...かしら?」

 

熱っぽい?体調に影響が出てるのか?

 

 

「きっと質の悪い燃料取ったのよ!」

 

 

「気を付けなさい、爆発するかもしれないわ!」

 

 

『えぇ――ッ!!』

 

爆発って...そりゃねえだろ?

 

 

「お前ら落ち着け、そんな簡単に爆発なんか起きるわけないだろ?不安にさせるようなこと言うんじゃねえよ」

 

 

「あなた...」

 

如月、その物言いは周りから誤解を招くからやめてくれ...

 

 

「どうしたのじゃ?

ん?提督よ、こんなところでなにしておる?」

 

ん?この声は...。

 

 

「おぉ、利根、いや、ちょっと如月の様子がさ...」

 

 

「如月の?ふむ、これは...」

 

利根のこの反応...何か知ってるのか?

 

 

「如月よ、すぐ工廠へ行くがよい、そうすれば解決じゃ」

 

 

「え?はい...」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ利根!あれはいったいどういうことなんだ?」

 

何の説明もないんじゃ分からねえよ!

 

 

「ふむ、なら提督には簡単に説明しておくとしようかの、あの現象は練度が大型改装可能な状態へと至ったときに発生するものなのじゃ」

 

 

「大型改装?なんだそりゃ?」

 

初めて聞く言葉なんだが...

 

 

「ふむ、そこから説明せねばならんか...そうじゃな、提督にもわかる言葉で言うとポ〇モンの進化のようなものじゃな」

 

 

「ぽ、ポ〇モン...?進化って言えばあの?」

 

俺の言葉に利根は小さく頷く。

 

 

「そうじゃ、あの進化じゃ、吾輩達艦娘は練度が一定のものになるとあぁやって身体が輝きだすのじゃ、その状態の時に改装、まあ人工的な進化といったところじゃな。それをすることによって吾輩たちはより強くなれるという訳じゃな、如月はあの様子じゃと改二改装を受けることになりそうじゃな」

 

 

「改二?」

 

 

「うむ、詳しいことは吾輩もよく知らんからの...。

大阪の吉野少将にでも聞いてみたらいいんじゃないか?

何かしら知っておるじゃろう」

 

それだけ言うと利根は去って行ってしまった。

 

吉野さんに聞け、か...。

 

確かにあの人なら色々知ってそうだよな...。

 

俺は改二改装の事を聞くべく、大阪鎮守府へとむかうのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「という訳で来てみた訳だけど...」

 

ここに来ると必ず一回は妙なことが起こるから正直入りたくねえんだよな......

 

 

「あれ?上条大将じゃないか、どうしたの?」

 

しまった...迷いあぐねてる間にここの時雨に見つかっちまった...。

 

 

「いや、ちょっと吉野さんに聞きたいことがあってきたんだ」

 

 

「提督に?そうなんだ、じゃあ案内するよ、着いて来て」

 

そう言って先を歩きだす時雨...。

 

こうなったらもう行くしかねえか。

 

俺は半ば諦めるように時雨の後を追っていった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「ここだよ、提督、上条大将が来てるよ」

 

時雨が執務室と書かれた扉の前でそう声をかける。

 

すると、扉の奥から返事が返ってきた。

 

 

『上条君が?分かった、通してくれるかな?』

 

 

「分かったよ、提督の許可も貰ったし、さ、どうぞ」

 

 

「あ、あぁ...失礼します...」

 

時雨に促されるままに執務室に入っていく。

 

中に入った俺の目には衝撃的な光景が目に飛び込んできていた。

 

 

「やあ、上条君、久しぶりだね、今日はどうしたんだい?」

 

 

「それが提督に聞きたいことがあるんだって」

 

 

「聞きたいこと?どういった事かな?」

 

時雨も特に気にした風もなく吉野さんと会話している。

 

そう、何事も無く話している吉野さんの背後には一人に金髪の艦娘らしき女性が立ち、その立派な二つの山をセットしているのだ...。

 

 

 

 

吉野さんの頭の上に......

 

吉野さんも特に気にした風でもないように振る舞っている...。

 

おかしいからな?当たり前みたいな顔でやられても違和感バリバリだからな?

 

あれ?でも待て...世間一般ではこれが普通なのか?いやいやいやいや!それはないよな?え?ないよね?そうであってほしい......

 

 

「えっと、上条君?どうかしたのかい?」

 

 

「ッ!い、いえ...少し考え事をしてました...」

 

主にあんたの頭上のソレについてをな...。

 

 

「それと、一つ聞いてもいいですか?」

 

 

「ん?何かな?」

 

 

「その...頭の上のソレって、吉野さんのご趣味ですか?」

 

 

「......ん??」

 

 

「いや、だからですね、その頭の上の...」

 

 

「いや違うから!自分がやれって命じてる訳じゃないから!

グラーフ君もなんとか言って!」

 

あの艦娘はグラーフって言うのか、てっきり幽霊か何かかと思った...。

 

 

「あぁ、これは私が勝手にやっていることだ、私は彼の物なんでね」

 

 

「ちょっとグラーフ君!その物言いは誤解を招くからヤメテ切実に!!」

 

 

「ん?そうなのか?」

 

 

「そうなんです。少なくとも提督はそう思ってます」

 

 

「そうか、では、以後気を付けよう」

 

とりあえず、吉野さんの命令でないという事は分かった、けど、艦娘に対して物扱いさせてるという真実と一緒にだけど......

 

これから吉野さんとの付き合い方考えないと...。

 

 

「ゴホンッ...それで、自分に聞きたいことというのは?」

 

あ、そうだったすっかり忘れてた...。

 

 

「ええとですね、改二改装について話を聞きたくて...」

 

 

「改二改装?また唐突だね。何かあったのかい?」

 

 

「実はですね...」

 

俺は呉で起きたことを話した。

 

如月の事、大型改装というポ〇モンの進化の様な事象があるという事等...。

 

 

「ふむ、なるほどね...それで自分に聞きに来たと」

 

その言葉に俺は黙ってうなずく。

 

 

「うん、一つ言わせてくれる?今まで知らなかったのソレ!?

っていうか改二がまだその子しかいないってどういうコト!?」

 

 

「いやそんなこと言われても...そうだったらしいですし...」

 

 

「あれで!?あれでまだ改二じゃないの!?」

 

最早黙ってうなずくしかない......

 

 

「は、ははは...そっかぁ...そうなんだぁ...」

 

そう言うとまるで明〇のジ〇ーのように真っ白になっていく吉野さん。

 

それを見てやれやれと首を振る秘書艦達...。

 

そんな吉野さんが元に戻ったのは三十分ほど経ってからだった...。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「あーすまないね、待たせちゃって」

 

漸く復活した吉野さんがそう口を開く。

 

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

まあ、本当は大丈夫じゃないけど......

 

 

「改二改装についてだったね、自分もそこまで詳しく知っている訳じゃないけど、分かっていることと言えば、一回目の改装を受けて改となった艦娘がある一定以上の練度になるとその改装が受けられるという事だね」

 

 

「改となった艦娘が...?」

 

という事は如月はもう既に改になっていたという事になる...。

 

でもいったいどこで...?

 

 

「その君の所の如月はどこかのタイミングで一度改になっていて、そしてまた練度をあげていったことで改二へと至ったと考えるのが妥当なところじゃないかな?」

 

 

「そうですね、如月がいつ改になったのかが気になるところですけど、そこは気にしない事にします。貴重なお話ありがとうございました!」

 

 

「お役に立てたようなら良かったよ、用件はそれだけかい?」

 

 

「はい、お忙しいなかありがとうございました」

 

そうして俺は吉野さん達に別れを告げると、イソイソと大阪鎮守府を後にするのだった...。




改二の一件から半年、初の大阪との合同演習を行うことになった呉鎮守府、だがそこに招かれざる者たちも入って来て...


次回、新約、とある提督の幻想殺し

呉と大阪と江ノ島と深海

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。

次回、本編最終回!


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呉と大阪と江ノ島と深海

電です...。

前回は如月ちゃんが改二に至って、司令官さんが改二の事を吉野少将に聞きにいくお話でした。

今回はそれから半年後のお話になります...。


side上条

 

 

おっす~上条さんだ。

 

如月が改二になったあの一件から早半年が過ぎた...。

 

今ではここ、呉の艦娘達のほとんどが改二となっている。

 

改で止まってるのもまあ一部いるんだけど......

 

そんな訳で、艦娘達が改二となったり、溜っていた書類の山を片付け終えたり、不幸な毎日に遭い続けたりととにかく色々なことがあった。

 

 

「提督、吉野少将達がお見えになられたわ」

 

そう声をかけてくるのは加賀姉。

 

江ノ島から俺と共に来てくれた姉の様な存在だ。

 

 

「お、もう来たのか?サンキュー加賀姉、んじゃ俺達も行くとしますか」

 

 

「えぇ、そうね」

 

加賀姉の返事を聞きながら俺達は演習場へと向かった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「吉野さん、遠いところお疲れ様です」

 

 

「あぁ、上条君、そうでもないよ、それより、今日は演習の相手よろしく頼むよ」

 

そう、吉野さん達が今日ここに来た理由、それは......

 

呉との合同演習を行うためだ...。

 

 

「こちらこそです。吉野さんの所は強いですからね」

 

 

「ははは...まあ君の所に比べたら全然の様な気もするけど...」

 

んな馬鹿な、吉野さんの所ほど攻めに特化した艦隊はないだろうに......

 

 

「ま、まあお互いに良い演習が出来るようにしましょう」

 

 

「そうだね、それがいい...」

 

 

 

『ではこれより!大阪鎮守府第一艦隊VS呉鎮守府第一艦隊同士の合同演習を開始します!』

 

こうして呉VS大阪の演習の幕が切って落とされた。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

まず動いたのは如月達であった。

 

砲撃も魚雷も撃つことなく敵艦隊に真正面から突っ込んでいく。

 

大鳳は念のためか攻撃隊を少し飛ばしてから同じく敵艦隊に突っ込んでいく...。

 

猛スピードで突っ込んでくる如月たちを迎え撃つように出てきたのは、人修羅と武蔵殺し、鉄壁の異名を持つ、長門、榛名、大和、そしてその弟子の夕立だった。

 

海上で起きる水柱と衝撃波...。

 

後方では大阪の側の加賀が艦載機を発艦させ、妙高が砲撃を行っている。

 

それを悠々と躱しつつ牽制とばかりに魚雷を放つ呉駆逐艦ズ...。

 

最早艦隊戦と言えるのかと言われかねないそれはそれほど時間がかからずに決着がついた...。

 

如月とやり合っていた夕立がわずかな練度の差で如月に倒され轟沈判定を受け...。

 

大鳳とやり合っていた大和は実力は互角ではあったが、

故に大鳳の発艦していた艦載機の爆撃を喰らいながらも大鳳を道連れに相打ち...。

 

比叡とやりあっていた榛名はその異名の通りの実力を見せ、比叡を打倒し...。

 

陸奥との艦種だけの姉妹対決をしていた長門は善戦していたが隙をついて打ち込まれた陸奥の掌底により轟沈判定...。

 

その他の利根姉妹は後方から砲撃をしていた大阪艦隊相手に近接戦闘を主に砲雷撃にて応戦し、二隻の内、加賀を撃沈、妙高を大破判定にしていた。

 

 

両者残存数が半数により結果は引き分けという形になった...。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「いやー、やっぱり強いですね吉野さんの艦隊は」

 

 

「いや、自分もまさかあそこまで粘れるとは思ってもみなかったよ」

 

演習を終えた俺達は挨拶をしていた。

 

 

「こっちの主力は殆んどあの二人みたいなものですから、あの二人を止められるとせ攻め手に欠けるんですよね...」

 

 

「それが出来なかったらこっちは確実に負けていただろうねぇ...」

 

と、そんな会話をしている時の事だった。

 

 

「よい試合でしたね、当麻」

 

そう声をかけてくるものがいた。

 

 

「なんだ、来てたのか?赤城姉」

 

 

「えぇ、加賀さんに招待されたので」

 

加賀姉が呼んでたのか、ってことは演習を見てたんだな。

 

 

「私達モ来タワヨ」

 

 

「オ久シブリデスネ、当麻サン」

 

そこに現れたのは飛行姐さんと中枢姐さんの二人であった。

 

 

「な、なんで姐さんたちがここにいんだよ!?」

 

 

「大阪ノ朔夜トカイウ防空棲姫ニ呼バレタンダ...」

 

 

「折角ダカラ弟子ノ顔ヲ見テヤロウト思ッテ来タトイウ訳ダ」

 

そうだったのか、つか、あんたら深海棲艦なんだからもう少し自覚持てよ......

 

こんなの他の奴に見られたら大問題になるじゃねえか......

 

 

「ソレヨリ、腕ハ鈍ッテイナイダロウナ?」

 

ギクッ...。

 

 

「い、いやぁ...大丈夫のはずです...多分」

 

 

「ソウカ、ドレ、ココハ私達ガ腕ガ鈍ッテイナイカ見テヤロウ」

 

 

「ソレハイイ!丁度身身体ヲ動カシタカッタトコロダ」

 

 

「......いや、お二人さん?そこでどうして近づいてくるのでせうか?うわやめろ!近づいてくんな!ぎゃああぁぁぁぁああ!不幸だぁぁぁ!!!」

 

 

「はは...上条君も大変だね...」

 

 

「そうですね...」

 

全力で二人から逃げ回る俺を見ながら微笑ましく見守る二人の姿があったという...。




はい、という訳で、これにて『新約、とある提督の幻想殺し』完結となります。

と言っても、本編は最終回ですが、もう少し番外編を書いていこうと考えていますが......

前作『とある鎮守府の幻想殺し』に引き続きこちらをお読みいただいて本当にありがとうございました。

zero-45様...。

ネタ引用の許可をくださり本当にありがとうございました...。

それでは皆様、また番外編でお会いしましょう!
それでは!


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【番外編】異界物語(提督はBarにいるコラボ)
とある異界の交差物語(クロスストーリー)


加賀です......。

今回は番外編となるわ...。

今までの本編とは欠片も通じてないから、それが嫌だという方はここで戻ることをお勧めするわ......。

また、タイトルでもなんとなくわかると思うけれど、今回は暁というss投稿サイトで連載されている『提督はBarにいる』の作者。ごませんさんという方とのコラボ作品となっているわ......。

そう言ったお話が嫌いな方は気を付けてちょうだい......。

それじゃあ、外伝本編、楽しんでいって......。


side上条

 

 

「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 

「テートクゥゥ!!なーぜ逃げるデース!!」

 

 

「ほら、姉さんから逃げるな、後、私からもな」

 

(わたくし)上条当麻は、相も変わらず不幸に愛されているとしか思えない青春を送っているのだった......。

 

提督生活1095日目......。

 

俺が執務室で仕事をしていた時だった。

 

人手が欲しいと思い、たまたま遊びに来ていた金剛と霧島(金剛は霧島だと言い張ってる)に声を掛けたのが運の尽き......。

 

 

「逃がさないヨテートクゥ!バァニングゥラアァァァヴッッ!」

 

そんな叫びと共に背中に強い衝撃が走り、俺は勢いよく吹き飛ばされ、遠くの壁に叩きつけられtてしまう。

 

 

「がっはっ...!ふ...こう..だぁ...」

 

それを最後に俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「んん....ハッ!」

 

目が覚めるとそこは見覚えのない部屋だった。

 

 

「なんだ?この部屋...なっ!」

 

誰かの部屋に連れてこられたのだろうと、身を起こし辺りを見回して絶句する......。

 

 

「なん...だよ...なんでこの部屋が!ここはもう改装して元に戻したはずだぞ!」

 

そう叫ばずにはいられなかった......。

 

何故ならそこは、まるで.....

 

 

「これじゃあ俺が呉鎮守府に初めて来た時と同じじゃねえか...」

 

そう、その部屋とは俺がここに来る前にあった呉鎮守府の頭のおかしな(キチガイ)部屋だったのだ。

 

ラ○ホのような内装に場違いすぎる豪華な装飾の扉。

 

その部屋全てが何から何まで全て、あの時のままだった。

 

状況を確認するために机の上に置いてあった資料を見たところ、時期もそのままあの頃のままだった。

 

しかし一つ違っていたことがあった。

 

 

「あの大戦の事が...書かれていない...?」

 

そう、かつて俺や、江ノ島の艦娘達が繰り広げた大戦、そのことが一つも書かれていないのだ。

 

それどころか、深海棲艦はいまだに脅威を振りまいているという。

 

 

「ちょっと待てよ...あいつら(LEVEL5)は何してんだよ...」

 

しかしいくら調べても、超能力者組の話は出てこない......。

 

 

「どういうことだ?学園都市の事すら書かれてないなんて...」

 

その後もしばらく探してみたが、学園都市も、超能力者組の事も何も出てこなかった。

 

 

「タイムスリップ...?いや、それなら学園都市やあの時(かの大戦)のことが書かれてるはずだ、じゃあここはいったい......」

 

と、そこまで考えたところであることを思い出す。

 

 

「ここがこんな状態だったとすると艦娘達は...ッ!まさか!」

 

俺は慌てて執務室を飛び出し、鎮守府内を走り回るのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…クソッ!」

 

鎮守府内を見て回った結果、やはり艦娘達の状態もあの時の酷い状態のままであった。

 

執務室以外はボロボロ、艦娘達は傷だらけで食べている物は重油とボーキや弾薬のみ......。

 

とてもじゃないが人のやることじゃないと思える惨状だった......。

 

こんなことが許されるわけがない、許していいはずがない!

 

 

「変えてやる...あいつら(呉艦娘達)だって妹達(シスターズ)だって救われたんだ。俺があいつらを助け出す!」

 

一度はやったことだ。二度目だってできるはずだ。

 

俺はそんな強い思いを胸に、早速動き始めるのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

立て直しを始めて一週間、少しずつまともな生活がおくれるようになってきたとき、新たな問題が浮上した。

 

 

「出撃...か」

 

そう、出撃である。

 

今までは俺が誤魔化してなんとかなっていた。

 

だが、ここに来て無視しているわけには行かなくなってしまった。

 

ここには代わりに戦ってくれる超能力者達はいない......。

 

しかし艦娘達はまだ戦えるような状態じゃない......

 

 

「......どうすりゃいいんだよ」

 

完全に手詰まりだった。

 

出撃させなければこの鎮守府を解体するとあるのだが、今の艦娘達にそんなことはさせられない.....

 

 

「俺が戦えりゃいいんだけど...」

 

そこまで言って気が付いた。

 

 

「そうだよ!俺が戦いに出ればいいんじゃねえか!」

 

それなら艦娘達は傷つかないし、命令も守れる。

 

今の艦娘達と俺なら確実に俺の方が強いのだ。

 

 

「なんで思いつかなかったんだ!こんな簡単なことに気が付かねえなんて!

なら早速出撃してくるか!」

 

言うが早いか、俺はすぐさま部屋を飛び出し、出撃ターミナルへと向かうのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

鎮守府立て直し生活より半年......。

 

捕らわれていた艦娘も無事救出し、艦娘達に笑顔が戻りつつ始めた。

 

俺は相も変わらず執務と出撃をこなしている。

 

艦娘達が少しずつ俺の事を信用してくれるようになり、今では俺の出撃中に執務を手伝ってくれるようになった。

 

以前、一緒に出撃したところ、もうしばらく海には出たくないと言われて、しばらく駆逐艦たちから脅えられるようになったのがかなりショックだった......。

 

不幸だ......

 

 

sideout

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

side中将

 

 

最近、大本営でよく噂される話がある。

 

それはある新米提督の話だ。

 

その少年は海軍学校などに属さない、一般人であった。

 

妖精が見え、会話ができるという希少な資質を持っているというだけの至って平凡な一般人だった。

 

その少年は呉鎮守府の配属となった。

 

本営の者たちはその少年を哀れんだ。

 

その鎮守府には悪いうわさが絶えなかったのだ......。

 

そこは初代の提督が謎の怪死を遂げているのだ。

 

そして、後任の者たちも次々と失踪しており、評判は最悪だった。

 

しかし、少年が配属になった後は、異例の快進撃を見せ始めた。

 

噂では、単騎で出撃してもs勝利で無傷で帰ってくるほどの強力な艦娘達ばかりがいるとか...。

 

艦娘や深海棲艦相手に表情一つ変えずに余裕で倒せる者がいる...などなど、他にも様々なうわさが流れている。

 

その証明にその少年は着々と出世への階段を上ってきているのだ。

 

本営の者たちの一部には、将来の元帥候補だと噂するものもいる。

 

呉鎮守府所属、上条当麻少佐...。

 

彼の将来がとても楽しみである......。





着々と上り詰めていく上条当麻...。

色々なうわさが流れる中で、彼はいつものように不幸に塗れながらも艦娘達と暮らしていく......

そしてその噂は本人の知らないところで広がりを見せ......


幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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とある異界の交差物語(クロスストーリー)

電です…。

前回は司令官さんが別次元の呉鎮守府に飛ばされてしまい、その酷い現状を建て直すために立ち上がったのです!


side上条

 

 

「演習強化期間?」

 

 

「はい」

 

呉鎮守府の建て直しを始めて一年が経ち…。

 

大淀が伝えてきたのはそんな内容の通達だった。

 

 

「演習っては分かるけどさ、強化ってどういうことなんだ?」

 

 

「簡単に説明しますと、近隣の鎮守府だけでなく、遠方にある様々な鎮守府の艦娘達の錬度を高め合うの為の期間です」

 

つまりだ…話にだけ聞いていた海外にある鎮守府なんかと演習をするかもしれないってことか。

 

 

 

「強化期間ってのはわかったよ、で、俺の演習相手は何処なんだ?」

 

 

「提督の今回のお相手はブルネイ泊地の金城大将になります」

 

・・・ん?

 

俺の聞き間違えか?今、凄くヤバイ言葉が聞こえた気がするんだけど……

 

 

「あの、大淀さん?今なんと仰ったのでせう?」

 

 

「そのせう(・・)…というのがどういう意味か分かりかねますが、お相手はブルネイ泊地の金城大将です」

 

と、平然と眼鏡を掛け直しながら言う大淀。

 

 

「おいおいおい!ちょっと待ってくれよ、俺まだ大佐だぞ!?なんで大将が相手に当たるんだよ!」

 

 

「何故と言われましても、大本営からの命令ですので…」

 

 

「相手すら恵まれないのかよ…不幸だ……」

 

 

「頑張ってください…」

 

大淀の声援にさらに憂鬱になりながら、俺はその日を終えていくのだった……。

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

「遂に来ちまったよ…ブルネイ泊地」

 

あれから二週間……。

 

俺は艦娘達とブルネイ泊地へと赴いていた。

 

 

「のぉ提督よ、本当に私達がやらなくてもいいのか?」

 

利根が不安そうに聞いてくる。

 

 

「心配しなくていい、お前らはまだ病み上がりなんだから無理をする必要はねえよ、俺に任せとけ」

 

 

「確かに…提督が出れば艦娘相手でも勝利しそうじゃがな…」

 

そんなことを話していると鎮守府の門が開き、中から屈強な身体付きの中年の男が艦娘と思われる金剛と共に現れた。

 

 

「良く来てくれた、上条大佐…。俺がここブルネイ泊地で提督をしている金城だ、今日は演習の相手、よろしく頼む」

 

 

「あ、はい!こちらこそよろしくお願いします!そうは言っても大将のお相手になるか分からないですけどね…」

 

 

「そんなこと、やってみないと分からないだろ?兎にも角なも今日は手加減なしだそっちも全力でこい」

 

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

 

「それじゃあ演習場に行きますヨー!」

 

そうして俺達は金城大将の案内のもと、演習場へと向かうのだった。

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

演習場に案内され、演習の準備を整えた俺はマリンバイクに乗りこみ、金城大将の艦隊と退治していた。

 

それを見て金城大将が戸惑ったように声を掛けてくる。

 

 

「あー…上条大佐?少し聞いていいか?」

 

 

「はい?なんですか?」

 

 

「その…今から演習するん…だよな?」

 

 

「え?そうですよ?」

 

 

「じゃあどうしてお前がそこにいるんだ?そこの艦娘達は何をしてるんだ?」

 

 

「あぁ、アイツらは見学ですよ。やるのは俺です」

 

それを聞いて金城大将が眼を見開く、だが、直ぐ様不適な笑みを浮かべて言う。

 

 

「へぇ、面白いじゃねえか…なら、その実力とやらを見せてもらおうじゃねえか」

 

 

「そういうことなら、こっちもある程度本気でやらせてもらいますよ」

 

 

「手加減しないネ!本気でいきますヨー!」

 

 

「こいよ…返り討ちにしてやる」

 

こうして俺とブルネイの艦娘達の戦いが幕を下ろすのだった。




艦娘向かってくるブルネイの艦娘達相手に互角以上に立ち回る上条。
それを見ていた金城大将はとんでもないことを言いだして……。

次回、新訳とある提督の幻想殺し

幻想殺しVSブルネイ泊地

幻想殺しとブルネイが交差するとき、物語は始まる…。


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幻想殺しvsブルネイ泊地

陸奥よ...。

前回までの新約、とある提督の幻想殺しは...。


演習場強化期間により、遥か南国のブルネイ泊地の鎮守府へとやってきた上条と艦娘達(見学隊)

そこでブルネイの提督である大将金城と会合する。

演習場へと連れてこられた上条達、呉艦娘達見守る中、幻想殺し提督vsブルネイ第一艦隊の演習の幕が切って落とされるのだった......。


side上条

 

 

「Fire!!」

 

 

「榛名!全力で!参ります!」

 

相手の金剛と榛名達が俺目掛けて砲撃を仕掛けてくる。

 

 

「ぽいっ!」

 

 

「いくよっ!」

 

かと思えば夕立と時雨が接近してきて至近距離で魚雷を放ってくる。

 

 

「第一攻撃隊!発艦開始!」

 

 

「ここは、譲れません...!」

 

そうかと思えば赤城と加賀が艦載機を俺に向けて発艦させていた。

 

 

砲弾、魚雷、それに爆撃や銃撃が俺へと迫る......。

 

そのわずかな時間の中、俺は迷いなく砲弾の方へと突っ込んでいく。

 

 

「おおおぉぉぉぉぉっっ!」

 

そうして迫りくる砲弾の一つに向けて右手を振りぬく。

 

 

「hitデース!」

 

金剛の喜ぶ声が聞こえてくる、だが......。

 

 

パキイィィィィンンッッ

 

ガラスが割れるような音が響き渡り、右手で触れた砲弾が消え去る。

 

 

「What!?」

 

 

「えっ...?」

 

唐突な出来事に場の状況を呑み込めてない二人に、俺は弾幕の包囲を掻い潜って一気に距離を詰める。

 

 

「shit!」

 

 

「くっ...!やらせません!」

 

それに気が付いた二人が構えを取るがもう遅い

 

俺は二人に近づき、右ではなく左で高速で二人を殴り飛ばした。

 

 

「ああぁぁーーー...っ!!」

 

 

「きゃあぁぁぁっっ!!」

 

吹き飛ばされていく二人を見ずに、言った。

 

 

「撃破、次!」

 

次に相手に定めたのは駆逐艦の夕立と時雨だ。

 

 

「次は僕達みたいだね、けど、負けないよ!」

 

 

「金剛さんと榛名さんの仇、取ってあげる!」

 

二人も狙われたことに気が付いたのかすぐさま構えを取った。

 

なるほど、どうやらここは近接格闘も教えているらしい......。

 

 

「おおおおおぉぉぉぉっっ!」

 

マリンバイクをふかし突撃する。

 

 

しかしそこに艦載機の爆撃が降り注ぐ。

 

 

「チッ...」

 

当たりそうなものだけを右手で打ち消し、海に投げ出されないようにしっかりと掴まる。

 

 

「私達の事も忘れないでいただけますか?」

 

 

「簡単にはやらせません...。」

 

そこで少し考える......。

 

航空攻撃の事を考えれば、先に空母を潰しておくのが得策、だが機動力のある駆逐艦も中々厄介なのだ......。

 

 

「余所見をする暇が...っ!」

 

 

「あるのかいっ!!」

 

その声に思考を断ち切り我に返ると、そこには夕立と時雨がダブルラリアットの要領で両手を繋ぎながら迫って来ていた。

 

 

「ッ!!」

 

すぐさま体を逸らしその攻撃を躱すと、そのまま通り過ぎていく両腕を掴み、一人づつ投げ飛ばした。

 

 

「くぅっ...!」

 

 

「ぐっ...」

 

叩きつけられてそれなりにダメージが入ったのだろう、二人はすぐには立ち上がらなかった。

 

そこに追撃をかけるため、俺はまず夕立の方へと向かった。

 

そして近づきざまに......

 

 

「先に謝っとく、悪い!」

 

 

「え...?」

 

困惑している夕立の肩に右手を触れさせた。

 

 

 

パキイィィィィンンッ

 

またも鳴り響くガラス破損音......。

 

そしてその直後......!

 

 

【パアァァァァァァンッ!!】

 

夕立の艤装が、衣服事弾け飛んだ。

 

 

「い...いやあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「すまん!つ、次!」

 

夕立の方を見ないようにしながら時雨へと突っ込む。

 

 

「こ、来ないで...!」

 

 

「お前もごめん!」

 

通り抜け様に右手で軽く艤装に触れる。

 

 

パキイィィィィンンッ

 

そして夕立同様艤装事弾ける衣服......。

 

 

「こんなの...提督に見せられないよ......」

 

 

「次ぃ!!」

 

真っ赤になって海中に身を隠す時雨を他所に俺は残った二人に狙いを定め突っ込んでいく。

 

 

「くっ...」

 

 

「チッ...」

 

二人が弓を構え、次の攻撃隊を放とうとする。

 

 

「やらせるか!」

 

エンジンをふかして突っ込んでいく......。

 

しかし、先に出ていた艦載機たちの攻撃により阻まれてしまう。

 

 

「くっそ!鬱陶しい!」

 

しかし艦載機に構っていてはキリがないのでさっさと本体を倒そうと捨て身で突っ込んでいく。

 

 

「おおおおおぉぉぉぉっっ!!」

 

降り注ぐ爆撃、銃撃、雷撃の雨を突っ切り赤城と加賀へと直進していく。

 

 

「私達だって格闘が使えないわけではないんです!」

 

 

「舐めないで!」

 

鋭いパンチが飛んでくる。

 

だが、俺はあの鬼畜な姫級の師匠たちに散々鍛えられてきた。

 

ちょっとやそっとの喧嘩だの軍の格闘技術程度じゃあ通用しねえ!

 

赤城と加賀の攻撃を捌きながら隙を見て右手を振りぬく。

 

 

「そらよっ!」

 

まずは加賀を殴り飛ばし、その勢いのまま身体を捻り、回転しながら某道路格闘家ゲームのようにアッパー気味に下から顎を殴りつける。

 

 

「昇〇拳擬きってな!」

 

そのまま俺も海に着水する。

 

 

「勝負あり!この勝負、艦隊全滅により、上条大佐の勝利となります!」

 

そこで先程まで審判をしていたブルネイの明石から、そう声がかけられるのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

「ふ、不幸だ......」

 

演習が終わり、先程の無礼(剥ぎ取り)の事を改めて謝罪しに行ったところ、手痛い反撃を喰らい、ボロボロになっていた時だった。

 

 

「よお、上条大佐...ってまたこっぴどくやられたな...」

 

 

「あはは...いつものことでふよ...」

 

 

「いつもなのかよ......」

 

相当だな...と苦笑する金城大将。

 

そうして少しして再び口を開いた。

 

 

「なあ、上条大佐、さっきの戦いを見て思ってたんだだが...あんた、腕は相当立つみたいだな」

 

 

「あ、いやー...まあ少しは自信ありますけど」

 

 

「そうか、ならよ、俺の相手もしてくれねえか?」

 

 

「・・・・はい?」

 

唐突な申し出に、思わず耳を疑った。

 

 

「いやな、あんたの戦い方見てたら俺もなんだか久しぶりに体を動かしたくなったんだ...あんたなら相手にとって不足はなさそうだしよ...どうだ?」

 

 

「はぁ、そこまで言うんでしたら、いいですよ。不詳上条当麻!大将のお相手謹んで受けさせてもらいます!」

 

 

「そうこなくっちゃな!なら、早速」

 

 

「ちょちょちょっさすがにもう少し休ませてくださいって!動きまくったせいで今ヘトヘトなんですよ...」

 

 

「それもそうか、なら休憩にするか」

 

こうして金城大将と模擬戦をすることになったのだが、どうなることかと私|(わたくし)上条当麻は先行き不安になるのであった......。

 

 

不幸だ......。




遂に始まった金城大将との模擬戦......。

始まってみると金城大将はとんでもない戦い方をし始め......


次回、新約、とある提督の幻想殺し

幻想殺しvsブルネイ大将

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。



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幻想殺しvsブルネイ大将

赤城です...。

前回までの新約、とある提督の幻想殺しは...。

ブルネイの艦娘に一人で相手をする上条提督。持ち前の身体能力と反射神経で六隻相手に圧されることなく勝利する。

その戦いを見ていたブルネイの提督である大将の金城は上条提督に模擬戦を申し込むのでした。


side上条

 

 

「よろしく頼むぞ、上条大佐」

 

 

「はは、お手柔らかに頼みます」

 

互いに笑い合うと少しずつ距離を置くため、数歩離れる。

 

数歩ほど歩いたところで体を反転させ、お互いに向き合う。

 

それを見て少し遠くから様子見していたブルネイの大淀が審判をするために口を開いた。

 

 

「では、これより、上条大佐vs金城大将の模擬戦を行います!

勝敗は相手が気絶、または降参するまで!ルールは一切問いません!」

 

そう、大淀の言う通り、これはルール無用の模擬バトルだ。

 

武器あり、卑怯ありのなんでもありの喧嘩だ。

 

だが、間違っても相手を殺してはならない。

 

その代わり、死ななければ何をしてもいいといったルールもへったくれもないトンデモバトルだ。

 

金城大将は間違いなく強い...一発でも貰ってしまえばほぼ確実に動けなくなるだろう。

 

俺は油断なく構え開始の合図を待つ。

 

 

「では、試合...開始!」

 

先に動いたのは俺だった。

 

高速で対象(大将)との距離を詰めると、右腕を顔面目掛けて思い切り振りぬく。

 

 

「おおおぉぉぉぉぉっっ!」

 

風をうならせながら猛スピードで大将の顔面に迫る右手。

 

捉えた、そう確信した時だった。

 

 

【パシッ】

 

ぬっと伸びてきた大将の腕が俺の右腕を掴んで止めた。

 

 

「おら..よっ!」

 

そんな掛け声でつかんだ右手ごと俺を背負い投げる金城大将。

 

 

「くっ...!」

 

なんとか受け身を取り、衝撃を殺す。

 

そしてすぐさま転がり起き上がると体勢を整え、再び向かい合う。

 

対峙しながら俺はどう攻めるかは思案する。

 

 

どうする...大将の体格的に投げや足払いは出来ない。

 

となるといつも通りに攻めるしかないわけだけど、それだとまたさっきみたいに掴まれて投げられるのがオチだ...。

 

艦娘相手の戦い方は対人相手だと効果は薄いから使えない......。

 

だとすればアレを使うしか手はない...。

 

けど、良いのか?アレを使っちまったらきっと大将もただじゃ済まない、下手したら死んじまう可能性だってある......。

 

使うべきか、使わぬべきか.....

 

どうすればいい...?

 

と、そこまで考えていると不意に金城大将が声を掛けてきた。

 

 

「上条大佐、お前まだ本気じゃねえんだろ?なら本気を見せてみろ、俺が大将だからって遠慮することはねえ、お前の持てる全力で掛かって来な!」

 

 

「......本当にいいんですね?」

 

 

「あぁ、男に二言はねえよ」

 

 

「なら、お言葉に甘えて......

見せてあげますよ。俺の実力を」

 

そこまで言うんなら見せてやろうじゃねえか、俺の対人格闘術...。

 

水鬼師匠直伝の一子相伝(らしい)の暗殺拳、棲艦鬼拳を!

 

今までの喧嘩の構えを解き、俺は拳法スタイルの構えに切り替え、金城大将を見据える。

 

 

「ここから先は手加減は出来ません、死にたくなければ死ぬ気で防御してください」

 

 

「言ってくれるじゃねえか、面知れえ!見せてみろ!」

 

 

「はあぁぁぁぁ.........ッッ!!」

 

息を整え、金城大将に狙いを定めた俺は、地を蹴って跳び上がる。

 

 

 

「なっ!?」

 

 

「ホアタァーッ!!」

 

掛け声と共に放たれる鋭い跳び蹴りが大将の腹部に深く突き刺さる。

 

 

「がはっ..!!」

 

腹を押えて蹲る金城大将。

 

 

『デタ―!!出ました!棲鬼飛衛拳!!』

 

ウチの青葉が叫んでいるが無視を決め込む。

 

俺は掴まれぬよう少し離れて構えを取りなおす。

 

しかし、少しすると大将は何事も無かったかのように立ち上がり言った。

 

 

「今のは驚いた...まさかこんなに良い一撃を貰うなんて流石に予想外だったぞ」

 

 

「その割には余裕そうな顔してんじゃねえかよ」

 

バケモノかよ...と内心で思う......。

 

巨漢の男でも裕に吹き飛ばせる威力だってのに、ケロッとしているのだから。

 

 

「俺も鍛えてるんでね、簡単にやられてたらここで提督なんかやれねえよ」

 

 

「そうかも...なっ!」

 

再度距離を詰め、ストレート気味に一撃を叩き込む。

 

 

「ぐっ...」

 

 

「いくぜ、おああっ!!あたたたたたたたたたたたたたたたた...っ!

 

ほわたぁーーっ!!」

 

 

『で、出ましたよー!!奥義!棲艦爆裂拳ーーーっ!!』

 

またまた何か叫んでいる青葉は無視して金城大将を見据える。

 

 

「......お前はもう、死んでいる」

 

秘孔は突いていないので、死んではいないのだが、一応言っておく。

 

師匠(戦艦水鬼)曰く《イイカ?爆裂拳ヲヤッタ後ハ必ズコウ言ウンダ(オマエハモウ、シンデイル)トナ》

 

あの後、理由を聞いたらとんでもなくどうでもいい理由でキレてやりあう羽目になったんだよな......。

 

などと少し昔の事を思い出すが、今は戦いの最中だという事を思いだし意識を切り替える。

 

そして金城大将を見ると、効いてはいるようなのだが、あまりダメージは通っているようには見えなかった。

 

 

「ふう、中々いいパンチだったぜ」

 

そのタフさに流石の俺も驚きを隠せない。

 

 

「おいおいおい、いくら何でも効いてなさすぎじゃねえの?」

 

 

「言ったろ、鍛えてるってよ」

 

 

「いや鍛えた程度で付くようなモンじゃねえだろ!」

 

思わずツッコミを入れてしまう。

 

 

「まあ、そんなこと今はどうでもいいんだよ、これで終わりか?なら次はこっちからいくぜ!」

 

大将が踏込み、超スピードで俺へと突っ込んでくる。

 

俺がカウンターで返そうとタイミングを計っていると、何処から取り出したのか刀を抜き放って斬りかかってきた。

 

 

「うおっ!?」

 

慌てて身を捻ってそれを躱わす。

 

 

「へぇ、良く躱わしたな…ならこいつはどうだ?」

 

通り過ぎた刀が弧を描きながら戻り、俺に迫ってくる。

 

それに気が付き、慌てて前転の要領で転がり、刀を回避する。

 

 

「はぁ...はぁ...チッ...」

 

 

「よく躱すじゃねえか、だが、避けてばっかじゃ俺は倒せねえ...ぞ!」

 

そう言って勢いよく刀身を突き出してくる。

 

 

「ッ...!」

 

突き出してくる刀身にからめるように右手を伸ばし、刀身を掴み止めた。

 

 

 

「ぐっ...!オラッ!」

 

右手から血が滴り落ちていく。

 

 

「なっ!素手でだと!?」

 

驚く大将を他所に、俺は左手で刀身の腹部分殴りつける。

 

 

【バギンッ】

 

鈍い音を立て、刀がぶち折れる。

 

俺は心のままに叫ぶ。

 

 

「腕に相当自身があるみてえだけどな、それで自信過剰で天狗になってりゃ意味ねえじゃねえか!

もしも、まだ今まで通り提督業を続けるってんなら...。

 

まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!」

 

そうして必殺の右手を振りかぶり、勢い良く突き出す。

 

それを見た金城大将もその太い剛腕を振り上げ突き出してくる。

 

 

「俺もな、お前みたいな若い奴に負けてられねえんだよ!!」

 

交差する二人の腕......。

 

お互いの拳はそのまま諸にお互いの顔面へと突き刺さっていた。

 

 

「ぐぉっ...!!」

 

 

「ぐっがぁ...!」

 

俺は勢いに負けて吹き飛ばされ、海へと落下する。

 

あまりにも重い一撃に俺はに意識はもう既になく、そのまま静かに沈んでいくのだった。

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

次に目が覚めると、そこはベットの上であった。

 

 

「あれ...ここって...」

 

覚えのない場所に混乱する。

 

すると、扉が開き、金城大将が入ってきた。

 

 

「よぉ、目、覚めたみたいだな、どうだ?身体は大丈夫か?」

 

 

「え、あ、はい、なんとか...」

 

返答しつつ、気絶するまでの記憶を思い出してみる。

 

思い出せたのは、大将の艦隊と一人で演習(喧嘩)して、勝利したところまでだった。

 

 

「しっかしこんな早く起きるとは思わなかったぞ、結構本気で殴ったのに、まさか一時間程で目ぇ覚ますなんてな」

 

化け物みたいな生命力だな...と大将は笑うが、残念ながら俺にはその時の記憶はない。

 

大将に殴られた?俺、何か失礼なことでもやったのか...?

 

まさか右手の不幸が大将の艦娘達に触れちまって逆鱗を買っちまったとかか!?!?

 

不味い不味い!もしそうだったら早く謝らねえと!

 

 

「すみません大将!本当に申し訳ございませんでしたぁ!!」

 

ベットから跳ね起きてすぐさま土下座して謝罪を入れる。

 

 

「おいおいおい、なんで謝るんだよ?」

 

 

「え?金城大将に物凄く失礼なことをしたので俺が殴られたんじゃ...」

 

そう言うと大将はポカンとした顔をする。

 

そしてすぐさまおかしそうに大笑いを始めた。

 

 

 

「あっはっはっはっは!そうか、それで謝ってきたのか、安心しろ、お前は大将としての俺には何の無礼もしてねえよ、ただちょっと喧嘩しただけだ」

 

 

「へ...?喧嘩?」

 

 

「あぁ、覚えてないか?なら後で話してやるよ。そろそろ俺も店を開けなきゃいけないからな、折角だ、お前たちを招待しよう、俺に店にな」

 

 

「え?店?大将がお店をやってるんですか?」

 

 

「あぁ、夜はBarを経営してんだ」

 

 

「あの、俺、未成年ですよ?」

 

 

「なんだ、まだ未成年だったのか、まあ安心していい、Barととは言ったが、料理も出してる。未成年でも十分に楽しめると思うぞ」

 

 

「はぁ、それじゃあお言葉に甘えて...」

 

 

「決まりだな、それじゃあこっちだ」

 

金城大将先導のもと、俺は大将の経営する店へと向かうのだった。




大将に連れてこられた先は鎮守府の執務室であった。

しかし中に入ってみるとそこは全く違う空間で......

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる...。


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Bar Admiral

加賀です…。

前回までの新訳、とある提督の幻想殺し……。

金城大将と激闘を繰り広げる上条提督。
金城大将のとてつもない実力に自身も本気を出し、棲艦鬼拳を使うまでに至ります……。

ですが、それでも金城大将を倒すには至らず、気絶させられてしまうのでした。

というより、姿が見えないと思ったらこんなところにいたのね…これは頭にきました……。


side上条

 

 

「本当に大丈夫なの…?当麻…」

 

大将の店に向かいながら、加賀姉が心配そうに聞いてくる。

 

 

「加賀姉、本当に大丈夫だからそんな心配いらねえって」

 

 

「じゃが、かなり勢いよく殴られとったように見えたぞ?」

 

 

「そうよ、あのまま死んでしまうんじゃないかってすごく心配だったんだから…」

 

加賀姉にそう返すと他の利根姉や陸奥姉ちゃんも心配そうに声を掛けてくる。

 

 

「姉ちゃん達まで…。

いやホント、そんなに心配することじゃねえって、殴られて気絶してたのだって何時もの事だろ?姉ちゃん達が俺をボコボコにする時と対して変わんねえよ」

 

 

「それとこれとは話が違うと思うんだけど…」

 

俺の言葉に川内が苦笑しつつも答える。

 

いや、殴られるってことは変わらねえと思うんだけど……。

 

というより、艦載機とか艤装で砲爆撃されるよりよっぽどマシだと思うのですが……

 

そんな事を考えていると、金城大将が声をかけてきた。

 

 

「なんだ、上条大佐はそんな常日頃からボコられてんのか?」

 

 

「ボコられると言いますか…何と言いますか…」

 

右手の所為で不幸に愛された結果だなんて言えねえし……。

 

 

「提督が覗きをしたり、制服を弾き飛ばしたりするからですよー」

 

 

「違っげぇよ!っていうか、あれはしたくてやってるんじゃねえからな!?!?」

 

 

「なんだ、覗きしてるのか?というか、その力、部下にまで使ってんのかよ…」

 

大佐もスキモノだねぇ…と、納得したように頷く金城大将。

 

 

「いやいやいやいや!何か盛大に勘違いをしてらっしゃいませんか大将さん!?」

 

 

「まあ、いいんじゃねえか?大佐も男だしな」

 

 

「違いますから!本当に誤解なんですって!話を聞いてください大将!!」

 

 

「なに、恥じることねえ。女の身体に目が行くのは仕方ねえよ、俺もここで三十年以上提督続けちゃいるが、未だにあいつらの身体には魅力を感じるしな」

 

 

「駄目だ全く話聞いてくれねぇ!不幸だぁぁぁぁっ!!」

 

俺は理不尽さに叫ぶしかなかった……。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

「へぇ……じゃあもう三十年近く提督やってんですか」

 

 

「まぁな。長くいたお陰でこんな地位に座っているがな」

 

 

「いやいや、それどんな皮肉っスか」

 

俺も前は大将をやらせてもらってたけど、そんな長くやってた訳じゃなかったし……。

 

 

「そう聞こえるか?」

 

 

「えぇ、端から聞くと大将の座にいるのが嫌みたいな言い方だったわよ?」

 

 

陸奥姉ちゃんの言葉に金城大将は『そんなことねえんだけどな…』と苦笑する。

 

 

「話は変わるんだが、上条大佐。大佐の艦娘達は今回戦わなかったが、練度はどの程度なんだ?」

 

 

「え?練度っすか?そうですね…多分、二十五~三十くらいじゃないすかね…」

 

 

「なんだ、意外と低いんだな。あまり出撃してないのか?」

 

 

「あはは…まあ、そんな感じです……」

 

本当は殆んどなんだが…まあ、言わなくてもいいよな?

 

 

「そうか、おっと、着いたな」

 

 そんな会話をしている間に、目的地へと辿り着いたらしい。

 

 

「あのぅ…金城さん?」

 

 

「なんだ?上条大佐」

 

金城大将が不思議そうに聞いてくる。

 

 

「ここ、執務室ですよね?」

 

 

「あぁ、執務室だな」

 

普通に返してくる…。ん?え?

 

 

「いやいやいやいや!何の冗談すか!?」

 

どう考えたって冗談にしか見えねえぞ!?

 

店に招待するっていって執務室に連れてくるか普通!

 

 

「まぁまぁ、とりあえず中に入った入った」

 

と、金城大将に急かされ俺達は渋々中へと入っていく。

 

後から金城大将や大将のところの艦娘も入ってきた。

 

中は至って普通の執務室だった。

 

特に変わった所のない、なんの変哲もない執務室だ。

 

まさかとは思うけど、ここで飯食べるって訳じゃないよな?

 

疑わしげに俺達は辺りを見回す。

 

しかし金城大将は気にした風もなく執務机に向かって歩いていく。

 

 

「そのまま動かないで立っててくれよ?今から店に『する』から」

 

 

「え?そりゃ一体どういう……」

 

『意味ですか?』そう言おうとした時にそれは起きた。

 

何と部屋の中が大掛かりな変化を始めたのだ。

 

 

ガシャコンガシャコンと音を立てながら、執務室の家具がピストンのようなもので入れ替わっていく。

 

変形とも呼べるそれを見て俺はある感想を抱いていた。

 

 

いったい何処のロボットアニメだよ!?!?

 

 

「おぉー!なんですかなんですか!」

 

青葉姉なんか大興奮でシャカシャカと写真を撮りまくっている。

 

他の姉ちゃん達は呆気に取られて唖然としている。

 

その間にも完全に姿を変えた大将の執務室。

 

そこは先程とは打って代わり、大人の雰囲気が溢れるBarへと様変わりしていた。

 

「じゃあ、俺は着替えてくるからどこか好きに座っててくれ」

 

大将はそういうと奥へと引っ込んでいく。

 

 

「は、はは…これはすげぇや」

 

驚きのあまり言葉が出てこない。

 

上手く状況を呑み込めず、キョロキョロと辺りを見回していると、声を掛けてくる者があった。

 

 

「『Bar Admiral』へようこそ、お客様方。私は当店の助手を務めております、バーテンダーの早霜です……どうぞよろしく」

 

少女、自身のことを早霜と名乗ったその少女はそうして穏やかに微笑みを浮かべるのだった。

 




『Bar Admiral』で待っていたのは早霜という名の艦娘であった。

早霜は今日の分のお代はタダにしてくれるという……。

俺はそれに若干の不安を覚えるが……。


次回、新訳とある提督の幻想殺し…。

Barの幻想殺し

幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる……。


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Barの幻想殺し

我輩が利根じゃ!

前回までのあらすじを説明するぞ!

大将金城の案内で雑談をしながら案内された先は執務室じゃった。
呆ける上条達を他所に金城大将の執務室は瞬く間に小洒落たBarへと様変わりしておるのじゃった……。


side上条

 

 

 

「『Bar Admiral』へようこそ、お客様。私は当店の助手を務めております、バーテンダーの早霜です……どうぞよろしく」

 

早霜と名乗った少女はペコリと頭を下げる。

 

 

「さて、今宵は皆様への店長からのお詫びも兼ねておりますので皆様の飲食代は無料とさせて頂きます」

 

 早霜がそう告げた直後、大将のとここ艦娘達が大歓声を挙げていた。

 

いったいなんなんだ…?

 

 

「あ、ウチの連中は有料だぞ?」

 

すると、大将の消えていった奥の部屋から大将の声が聞こえてくると、途端に歓声は物凄いブーイングの嵐に様変わりした。

 

っつか、大将は部下相手に金取ってんだ……。

 

ってか、俺達は無料ってそっちの方がすごく不安なんだけど……。

 

そんなことを考えて身構えつつも、俺は金城大将の艦娘達を見る。

 

未だにブーブーと文句たらたらの艦娘達。

 

しかし、そんな光景を見ていると、あの頃の事が思い出されて来る……。

 

江ノ島にいた頃、まだ右も左も分からなくて、手探りでやっていたときにあいつらに料理作ってやったりしたっけか……。

 

赤城姉達、元気にしてんのかな……。

 

大将達の関係を見ていると、あの頃のことを思い出してなんだか少し寂しく感じてしまう……。

 

そんな風に、少し感傷に浸っていると、早霜が声を掛けてくる…が…

 

 

「さて、店長が着替えしている間にウェルカムドリンク等如何でしょう?」

 

 

「………」

 

 

「…?お客様?」

 

 

『テイトク(ツンツン)』

 

川内にコソッとつつかれてハッと我に返る。

 

 

「っ…!あぁ、すいません…。なんでした?」

 

 

「ですから、ウェルカムドリンクなどいかがですか?」

 

あぁ、そういう話か、けどなぁ……

 

 

「あ~……俺未成年なんスけど」

 

 

「大丈夫です、当店では下戸の方でも楽しまれるようにノンアルコールのカクテル等もご用意してございますので」

 

へぇ、まあ今時の店ならそういうのも当たり前…なのか?

 

 

「あぁ…じゃあお願いしていいっすか?姉ちゃん達も飲むだろ?」

 

 

「そうね、折角だから…」

 

 

「飲ませてくれるっていうんだからそのご厚意に甘えようかしらね」

 

 

「久しぶりのお酒…比叡!気合い!入れて!飲みます!」

 

 

「私はあまり強くないのでノンアルコールをお願いします!」

 

 

「我輩も久しぶりに飲みたいぞ!」

 

 

「利根さん、あまり飲みすぎないでよ?」

 

上からそれぞれ…加賀姉、陸奥姉、比叡姉、青葉姉、利根姉、川内が話す。

 

 

「らしいです。種類は任せるんでお願いできますか?」

 

正直、カクテルだの酒については全くと言っていいほど知識がないので早霜に任せることにする。

 

 

「畏まりました。では、少々お待ちください」

 

そう言ってドリンクを作り始める早霜。

 

その姿はとても様になっていて、見ていて関心する

 

そしてものの五分もしないうちに全員分のドリンクが渡される。

 

 

「どうぞ、お待たせ致しました」

 

 

「お、おぉ…ありがとう」

 

カクテルを、受け取り飲もうとしたとき、奥の部屋から大将が出てきた。

 

Tシャツにズボン、そしてサンダルという、何処にでもいそうなおっさんの格好をして、だ……。

 

提督がそんな格好してていいのか!?しかも大将だぞ……

 

俺が色々と突っ込みたくなるのを我慢していると、大将がそんな俺達を見て声をかけてくる。

 

 

「よぅ、お待たせ……って、どうした?鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔してるぞ」

 

いや、いきなりそんな格好で出てきたらそりゃ固まるだろ!

 

そう喉まで出かかった言葉をなんとか呑みこみ、別の言い方をする。

 

 

 

「いや、だってこんなデカい鎮守府の提督がそんな格好って……」

 

しかし、大将はなに言ってんだと言わんばかりの表情で……

 

 

「この店にいる内は俺ぁただの飲み屋の親父さ。そんな堅苦しく飲んでたら折角の酒が不味くなるぞ」

 

そもそと目上の人にこうして奢ってもらってる時点で申し訳なさがすごいのでせうが……

 

向こう(元世界)での元帥と話すだけでも緊張しまくってたってんだから飯なんか奢ってもらったりすりゃ緊張もする。

 

しかし、そんなこちらの事情などお構い無しに金城大将は続ける。

 

 

「さてと、気を取り直して行こう。早霜、ウチの店のシステムはもう説明したのか?」

 

 

「いえ、今からする予定でした」

 

 

「そっか、なら俺から説明さして貰うか。見てもらえば解る通り、ウチの店にはメニューがねぇ。食いたい物を注文して、材料が揃ってりゃあ出来る限り作って出すってのがウチのスタイルだ」

 

 

「何でもいいんですか?」

 

 

「あぁ、作れるモンなら何でも作るぜ?」

 

 恐る恐るといった風に訪ねる川内の言葉に、自信たっぷりに頷く金城大将。

 

けど、いきなり食いたいものを言えって言われても……

 

 

「そう言れても…(急になんか浮かばねえよ)…なぁ?」

 

 

「そうねぇ…(いきなり過ぎて)…パッと思い付かないわ」

 

陸奥姉ちゃんが俺のアイコンタクトで察したのか、話を合わせてくれた。

 

それを黙って聞いていた金城大将が、ふと、口を開いた。

 

 

「なら、とりあえずおまかせでいいか?丁度今日辺り頃合いになってるハズの物がある」

 

大将が何かをゴソゴソやりだす。

 

何かと思い見ていると、少しして甕を取り出した。

 

 

「大将、それは?」

 

なんか漬物っぽいけど……。

 

 

「これか?これはな……本場韓国のオモニから習って俺が漬けた、特製キムチだ」

 

 大将が蓋を開けると、漬け物独特の酸味の効いた匂いと、ニンニクや唐辛子なんかのキムチの味付けに使われている調味料の香りが混ざって辺りに舞う。

 

「くっ、くっさっ!キムチってこんなに臭かったか!?!?」

 

俺が軽く鼻を摘まんでいると、大丈夫そうにしている大将が説明をくれる。

 

 

「日本風のキムチに慣れてりゃそうなるだろうな。日本風キムチと韓国のキムチはほぼ別物だからな」

 

そ、そんなの初耳なんだけど…キムチなんかどこも一緒だ思ってたし……。

 

 

「た、大将の手作りなんですかソレ……」

 

 

「おう。他にも色々作ってるぞ?梅干し、糠漬け、魚の干物、醤油、味噌、果実酒に……」

 

 

「強面で偉い人なのに凄い家庭的だぞこの人!?!?」

 

いや、そもそも家庭的なんだとかそういう次元の話じゃない気がするけど……

 

 

「特にリクエストも無いようなら、このキムチで料理を作ろうと思うんだが?」

 

まあ、特に浮かぶわけでもねえし、その辺りは大将にお任せしますか。

 

 

「お願いします」

 

 

「あいよ、ちょっと待ってな」

 

そう言うと大将は手際よくキムチを甕から取り出して調理を始める。

 

その姿はまさにプロに見えた。コック服とコック帽が幻視されるほどに……

 

 

「あいよ、まずは軽くつまめる『アボカドキムチ』だ。そのまんま食ってもいいし、添えてある海苔で巻いて食っても美味いぞ」

 

 

『上条君には飲み物よりもこっちのがいいだろ』と白米をもらい、俺達は出された『アボカドキムチ』に手をつける。

 

 

「んじゃまとりあえず。堅苦しいのは抜きにして乾杯~!」

 

 カンパーイ!と騒ぐのは大将のとこの艦娘達。

 

良く見ると、姉ちゃん達のところに見知らぬ艦娘が割り込んで乾杯を誘っている。

 

姉ちゃん達もそのノリになんとか付き合ってるみたいだ。

 

そんな風に姉ちゃん達の様子を見てまた昔を思い出してしまう。

 

皆に会いたい、そんな気持ちが強くなる……。

 

今まで抑えてきたのに抑えるのも難しくなっている。

 

そんなときに声をかけてくるものがいた。

 

 

「HEYカミジョーサンどうしたネ?Lonely(寂しそう)なFACEしてるヨ?」

 

そう言って俺の横に腰掛けてきたのは金城大将の艦娘である金剛だった。

 

 

「え?そう見えますか?そんなことないっスよ?これでも楽しんでますから」

 

そう言って誤魔化すも、金剛はお見通しとばかりに続ける。

 

 

「Lieデスネ。他の皆さんにはそれで通じても私には通じマセンヨ?」

 

ずいっと顔を近づけてくる。近い近い!

 

金剛って艦娘はどうしてこう距離が近いんだ…?

 

 

「…えーとですね、なんだか、皆さんの姿を見てると昔を思い出すんですよ」

 

これ以上は誤魔化しきれそうもないので堪忍して話すことにした。

 

 

「昔…?」

 

金剛の言葉に俺は小さく頷く。

 

 

「俺には昔仲間がいました。今の姉ちゃん達と同等、いえ、それ以上の人達が…けど、その人達と突然別れないといけなくなったんです」

 

 

「どうして?why?」

 

その問いに俺は首を横に降る。

 

 

「理由は分かりません。気づいたら俺はその人達と違う場所にいたんです。最初はそんなことを考えなかったんです。そんなことを考える余裕なんてありませんでしたからね…」

 

けど、と、俺は続ける。

 

 

「大将やあなた達を見てたら思いだしちまったんすよ…今まで思い出さないようにしてたのってのに……」

 

 

「……寂しいデスか?」

 

 

「いえ、そんなこと……」

 

 

「私もネ、前に仲間と別れを経験したから良く分かりマス…。信頼していた仲間が、ふとした瞬間で急に居なくなる…。それほど悲しいことはありまセン。けど、今のあなたには彼女達がいます。彼女達はあなたの味方…デショ?」

 

 

「っ…」

 

 

「昔も大事デスけど、今はもっと大事ネ、だから、『今を生きて、テートク』」

 

そう話す金剛が江ノ島の金剛と重なって見えた。

 

 

「ははっ…金剛さんは俺の部下じゃないでしょ」

 

 

「ムッ…折角良い話してあげようと思ってのに…!」

 

プリプリと怒る金剛さんに軽く謝罪をいれる。

 

けど、そうだよな、金剛さんの言う通りだ。

 

今を生きなきゃ前には進めないもんな……。

 

そうじゃなきゃ、アイツラに会わせる顔がない。

 

今あいつらがどうしてるか分かんねえけど、俺は俺に出来ることをやるしかないんだから!

 

なら、今のこの状況も目一杯楽しまなきゃ損だよな!

 

 

「ありがとな金剛さん!お陰で俺のやるべきことが見えた気がする」

 

 

「Whats?どういうことネ?」

 

首を傾げている金剛を他所に俺は出されたアボカドキムチをかっ込んだ。うん、上手い!

 

赤城姉、加賀姉、それに、呉や江ノ島、大阪鎮守府の人達。俺、もうすこしこっちで頑張ってみるよ。やるべきことが終わるまで…だから、もう少しだけ待っててくれ。絶対にそっちに帰るから!

 

そう気持ちを切り替え、白米とアボカドキムチをかっ込む。

 

 

「ん!美味しい!」

 

 

「ほぅ、こいつは美味いのう」

 

見ると姉ちゃん達もガツガツとアボカドキムチを食べ進めていた。

 

 

「どうだい、中々のもんだろ?」

 

「はい、美味いっす!」

 

これなら普通に店を出せるとおもう、意外とレパートリーは少ないのか?

 

 

「しかし、何でまたこれだけ食糧の自給に力を入れているんです?金城大将」

 

 青葉姉が疑問を口にする。

 

 

「まぁ、ウチの連中が美味い物を食いたいってのもあるんだが……まぁ、籠城対策も兼ねてかな」

 

 

「ほうほう、籠城とはまた…」

 

 

「武器弾薬もそうだが、籠城で一番困るのは水と食糧だ。ウチの連中は最悪白兵戦でも戦えるからな、食い物さえあれば年単位で立て籠るぞ?」

 

 

「うわ、想像したくないですねぇ……」

 

と、青葉姉が苦笑いを浮かべる。

 

そもそも籠城するような事態に陥ったりすんのかな?

 

頭の良くない俺ではそんな状況は全く持って浮かばないが、金城大将はきっとそういうのも考えてやってんだろうな。

 

そう他人事ながら考えていると、陸奥姉ちゃんがキムチに興味を持ったのか金城大将に声をかけていた。

 

 

「……ねぇ、そのキムチって作るの難しいの?」

 

おいおい…そんなこと言ったら…

 

 

「あっ!それ私も気になってm…ムグッ」

 

 

「はいはい、比叡さんは黙っててね~」

 

川内が即座にその口を塞ぐ。

 

ナイス川内!

 

川内にサムズアップを送ると、川内も気づいてサムズアップを返してきた。どうやら俺の意図を察したらしい。

 

そんな様子を気にせず、陸奥姉ちゃんと金城大将は話を続けている。

 

 

「そうでもねぇさ。一回覚えちまえば毎年白菜が採れるシーズンになれば漬けられるしな」

 

よし、とりあえずふたりが気づく前にこの馬鹿姉をどうにかしとくか。

 

俺は川内と二人、比叡沈黙作戦を開始するのだった。




比叡を黙らせ、料理を楽しんでいると、金城大将が不意にとんでもないことをぶっこんできた……。

その内容は艦娘達にとってはかなり気になる話で……


次回、新訳、とある提督の幻想殺し

結婚とケッコン(仮)

幻想殺しと艦娘が交差するとき、物語は始まる…。


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結婚とケッコン(仮)

陸奥よ…。

前回までの新訳、とある提督の幻想殺し…。


ブルネイの提督である金城大将の経営するお店『BarAdmiral』へと招待された提督達。

食べたいものを頼めという大将から少しだけ無茶な要求に何を頼んでいいかと困り果てる提督達呉一行。

そんな一行に大将は見兼ねたのか、作っていた自家製キムチを使った料理を振る舞ってくれるのであった。




side上条

 

 

「んーっ!んんーっ!!(なっ何するんですか二人ともー!!)」

 

口を閉じられ拘束された比叡姉が抗議の視線を俺に向けてくる。

 

アンタに大将のレシピなんか聞かせられるわけないだろうが!

 

前だって名状しがたいカレーのようなもの(カレーモドキ)を食わされてあの世に片足突っ込みかけたってのに……

 

川内も呆れたように比叡姉言う。

 

 

「比叡さんには悪いけど…提督に倒れられたら困るんだよ、だから今回は自重してよね」

 

 

「んー…(コクッ)」

 

川内の言葉に渋々といった様子で頷く比叡姉。

 

ホッ…なんとか納得してくれたみたいだな。

 

 

「じゃあ川内、拘束を解いてやってくれるか?」

 

 

「え?あぁうん、分かった」

 

俺の指示で川内は手際良く比叡姉の拘束を解いていく。

 

 

「ぷはっ…!酷いじゃないですか指令!何も拘束することないでしょう!」

 

 

「陸奥姉の邪魔をしようとするからだろ?それより、まださっきの残りがまだあるじゃねえか、先に食べちまえよ」

 

言われて比叡姉はまだ残っていたアボカドキムチの存在を思い出したようでハッとしていた。

 

 

「むぅ…なんか納得いきませんけど、そうします」

 

そうして残りを食べ始める。

 

ナイス連携だったぜ川内!

 

と、俺は川内に無言のサムズアップを贈る。

 

川内も分かっていたのか、笑いながらサムズアップを返してきた。

 

 

「料理は特にそうだぞ?下拵えにどれだけ手間をかけるかで、出来上がりの美味さは大きく変わる。……好きな男にアピールする料理は、出来るだけ美味い方がいいだろう?」

 

 

「……そうね、肝に命じておくわ」

 

と、そんな声が聞こえてきて二人の話が一区切りついたらしい。

 

ていうか陸奥姉ちゃん、好きな奴がいるのか?こんな美人に好きになってもらえるとか羨ましい奴だ!

 

そんなことより、お嬢様方?どうしてそんな顔で俺を見るのでせうか?

 

 

「「「「「「ハァ…」」」」」」

 

なんか見つめてきたと思ったら急に盛大に溜め息吐きやがった…。部下…つーか、家族に溜め息吐かれるとか…不幸だぁ……

 

俺達がそんなやり取りをしている間に金城大将は次の料理を完成させており、違う料理を出してくれる。

 

 

「はいお待ち、お次は『牛肉のキムチ炒め』だよ」

 

 モクモクと立ち上る湯気が上がるソレを、大将は手早く皿に盛り付けていく。

 

まだ残っている白米と共に頬張ると、口に広がるのはキムチの独特の味と、牛肉とシイタケが合わさり、玉ねぎの甘みとゴマの風味がなんとも言えない旨さを醸し出している。

 

 

「美味い!」

 

 

「本当に美味いのう」

 

 

「だろ?キムチの炒め物ってぇと豚キムチが定番だが、これも中々イケる」

 

確かに、これはこれでアリだ。

 

牛肉とキムチってこんなに合うもんだったんだな……。

 

加賀姉なんか喋ることも忘れて、凄い勢いでキムチ炒めを食べ進めいるくらいだし。

 

 

「提督、これならあなたでも作れそうじゃない?」

 

 

「そうじゃな、どうなのじゃ提督?」

 

陸奥姉と利根姉が聞いてくるが、いやいやちょっと待て待て!

 

 

「ムリムリ!俺にこれは真似できねえよ」

 

モドキは作れるかもしれねえけど、そもそもキムチを手作り出来る時間も体力の余裕もねえよ……。

 

 

「なんじゃ、つまらんのぉ…」

 

そう言って膨れる利根姉に俺は内心で呆れていると。

 

 

「そういや上条君、キミはケッコンしてるのか?」

 

 

「ブフォッ!?…ゴホゴホッ」

 

 盛大にノンアルコールカクテルを吹き出された。

 

「ゲホゲホッ……けけけ、結婚!?いいいいやあのあの!俺まだ未成年ですし、そういうのはまだ早いんじゃないでせうかと思いますことよ」

 

「まあ、落ち着けチェリーボーイ、口調がおかしなことになってるぞ」

 

 

 

「何か恥ずかしい断定されたんだけど!?!?」

 

チェリーボーイってなんだよ!

 

 

「結婚じゃねぇよ。ケッコン……艦娘の能力を引き出すケッコンカッコカリの話だ」

 

 

「ケッコン…カッコカリ…?」

 

そういや、前の世界の時にそんな資料があったのを見たような、見てないような……。

 

というか、こんなことをいきなり聞いてくるってことはこの人はそれを既にしているってことだよな?

 

カッコカリって付くくらいだし、まさかとは思うけど……

 

 

「ち、因みに大将は……その、ケッコン人数とか」

 

 

「あ~……何人だっけか?金剛。多すぎるとイマイチ正確な人数の把握がなぁ」

 

 

「え~と、今日の時点で93人デスね。もうすぐ3桁越えデスよー!」

 

 

「いよっ!このハーレム大王!」

 

 

「夜のホームラン王!」

 

 

「女の敵!」

 

 

「……女の敵は酷くねぇか?もう少し良い呼び名があるだろ」

 

大将のとこの艦娘達が囃し立てて盛り上がるなか、俺は心底ドン引きしていた。

 

 

いや、その呼び名以上にしっくり来る名前なんて無いと思うんだけど……。

 

開いた口が塞がらないってのはこういうことなんだろう。

 

 

「ん、どした?鯉の真似かそりゃ」

 

金城大将、そんなことをしたいわけじゃないです……。

 

 

「い、いや、だって嫁さんが90人以上って……」

 

 

「あのな、ケッコンったってカッコカリだぞ?カッコカリ。大本営がややこしい名前付けるからそんな妙な気分になるだけでな」

 

それにしたってもう少し限度ってものがあるだろ!

 

そんなの名前を言い訳にして逃げてるようなものだ。

 

 

「でも、提督が事務的にケッコンしたとしても、艦娘の側からしたら意識するんじゃ……」

 

川内が恐る恐るといったように口を開く。

 

 

「そんなのは互いの意識の問題だろ。話し合いで解決すりゃ良い話だ」

 

 

「でも……」

 

 

「いいか?独身の野郎だけが提督になるワケじゃねぇ。当然、妻帯者が提督として着任する場合だってあるだろう。そんな相手に対してもケッコンしたからって愛情を求めるか?違うだろ」

 

求めるだろうな…。と俺は思う。

 

じゃなきゃ、俗に言う『浮気』なんて言葉だって生まれることすらないだろう。

 

とりあえず、金城大将のとこの事情を聞いてみるか。

 

 

 

「……じゃあ、金城提督はどうしてるんです?」

 

 

「ウチか?ウチは基本自由恋愛だぞ」

 

自由…恋愛…?そりゃつまり……。

 

 

「つまり艦娘達が他の人との交際も許可しているってこと?」

 

 

「えっ、そうなんですか!?」

 

 

「あぁ。法律上は何の問題もないしな」

 

あ、そうなのか…こっち来てからそんな時間なかったから知らなかった……。

 

 

「1人目とケッコンする前にルールを明確にしとけば、後は何人とケッコンしようが問題なんてほとんど起きねぇさ……まぁ、後は本人の努力次第だろ」

 

 

「はぁ……そんなもんスかねぇ」

 

世の中そんな簡単にはいかない気がするけど、大将が言うんならそうなんだろうな……。

 

というか、姉ちゃん達、なんで俺を見てるんだ?早く食わねえと折角の料理が覚めちまうぞ?

 

そう言ってやるとまたも盛大に溜め息を吐かれた……。

 

なんで二度も溜め息を吐かれなくちゃいけねえんだよ…不幸だ……。

 

 

 



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新訳、とある異界の後日談(エピローグ)

如月と申します…。

前回までの新訳、とある提督幻想殺しは……。

金城大将の経営するお店『BarAdmilal』にて料理をご馳走になった司令官達。

店を出た所で、謎の猫吊るしと呼ばれた妖精さんに強制送還されて戻ってくるでしたわ……。


side上条

 

 

「とまあ、こんなわけだったんすよ…」

 

 

「マァ、ソレハ大変デシタネ…」

 

そう話すのは中枢さん。

 

その顔には苦笑と心配が見てとれる。

 

そう、俺は今、再び深海棲艦達の街へと来ている。

 

あの猫吊るしとか言う自称神の御遣いの妖怪?妖精?に無理矢理帰らされたあの日から早くも数ヶ月の月日が経っていた。

 

あん時は死にかけたよなぁ……。

 

主に加賀姉や他の艦娘達に攻撃で……。

 

俺の不在は深海にも届いてたらしくある時、またあの時と同様呼ばれてここまで出向いたって感じだ。

 

 

「ソレニシテモ…マダ私達ガ力ヲ持ッテイルダナンテ、ソンナ世界モアッタノデスネ…」

 

 

「あぁ、超能力者なんてものも居なかったですしね。まだ艦娘しか対抗手段がない感じでしたから、案外、前のこっちと良く似た環境だったりしたのかもしれないっす」

 

『ナルホド…』と納得した様子の中枢さん。

 

その後も少し今までの出来事を話し、少しした後、中枢さんとは別れた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

次に向かったのはあの姉妹のところだった。

 

 

「オッス~来たぜ、ホッポ、飛行場姫さん港湾さん」

 

 

「トウマ兄!!」

 

 

「アラ、ヨウヤク来タノネ」

 

 

「中枢サマ杜ノオ話シハ終ワッタノデスカ?」

 

それぞれが違う反応を見せる。

 

嬉しそうに駆け寄って来たホッポを左手で撫でてやる。

 

 

「おぉ、そしたらアンタ達が呼んでたって聞いたからきてみたんすよ」

 

 

「ナルホド、ソウダッタノデスネ」

 

 

「ネエネエットウマ兄!そんなことよりアソボッ」

 

 

「ん?おう、そうだな!何するか」

 

と、しばらく北方棲姫や飛行場姫達と戯れてから俺はまた別の場所へと向かった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……どうしてこうなるの…」

 

現在俺は二人の鬼と姫捕まっている。

 

 

「数年間モ挨拶モナシ消エタノダカラ当然ダロウ」

 

そう話すのは俺の師匠の一人であるリコリス棲姫。

 

 

「我々ニ心配ヲ掛ケタンダ、コノクライハ受ケテモラワントナ」

 

などと、抜かす師匠達。

 

俺はいったいどうなってしまうのでせうか……?

 

 

「い…いったい何させるつもりでせう?」

 

 

「ナニ、対シタコトハナイ…タダソノ数年デ鈍リニ鈍ッタソノ身体ヲ、話ヲ聞クツイデニ鍛エ直シテヤロウト思ッテナ」

 

リコリス師匠が不敵に微笑みながら言う。

 

俺はその師匠にとんでもなく不安を覚える。

 

 

「マア、トリアエズ話シテミロ、オマエガ行ッテイタ場所ノコトヲナ」

 

 

「はぁ、じゃあ少しだけな……」

 

俺は向こうで戦った金城提督や、そこの艦娘達のことを話すことにした。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ホウ、棲艦鬼拳ヲ喰ラッテピンピンシテル奴ガイルトハナ…」

 

 

「艦娘ナラトモカク、不思議ナ奴モイタモノダナ」

 

俺の話を聞いて戦艦水鬼とリコリス棲姫が驚きの表情を浮かべている。

 

 

「まあ、それもあんま覚えてないんだけどな…」

 

実はあの時の事は結構記憶が曖昧なんだよな……。

 

 

「ソウカ、コレハヤハリ鍛エ方ヲ厳シクシテヤラナクテハナ」

 

 

「アァ、ナラバ私ハ棲艦鬼拳の奥義ヲ伝承サセテヤロウ」

 

えっと…?どうしてそんな近づいてくるのでせうか二人とも。

 

 

「いや、えっと…なんでそんなに近づいてくるので…うやめろ!来るなぁぁぁ!!不幸だああぁぁぁああっ!!」

 

その日、深海の街に俺の絶叫が響き渡ったと言う

 

 

 




これにて新訳、とある異界の交差物語(クロスストーリー)は完結になります。

最後までお読みくださった皆様。本当にありがとうございました。

そして、コラボにご協力くださったごません様、本当にありがとうございました。

では、また別の作品でお会いしましょう


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