MUV-LUVALTERNATIVE外伝 (kaenn)
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片目の凶鳥 登場人物設定

一応わかりやすく?数値化してみました。

スキル等は大雑把に設定したので正確に計算しないでくださいな。


設定

MUV-LUVALTERNATIVE外伝

片眼の凶鳥

 

登場人物設定

 

主人公

祇園白瀬

 

→帝国軍大連派遣部隊(少尉)→帝国軍富士教導隊(中尉)→国連軍横浜基地副教官(軍曹)

 

祇園家長女

家督を妹に譲る為、斯衛軍では無く帝国軍に入隊する

物静かでクール

表情が少なく物事をストレートに表現してしまい誤解を受ける事が多いが凄く優しい娘

神宮寺まりもと同じ戦場で戦う事が多く、まりもが狂犬と呼ばれるのに対し、白瀬は凶鳥と呼ばれる様になる

大連の作戦行動時にまりもを庇って負傷、左眼が失明し偶々送られてきた射撃管制補助の義眼を移植する(実はこの義眼は00ユニットの試作品)

左眼は普段眼帯で覆われている

剣術より射撃が得意で強襲掃討のポジションが得意

大陸撤退後は沙霧らと共に富士教動隊に所属、その後腕を買われて横浜基地で教官として勤務している(引き抜きの際に鎧依左近が動く)

料理の腕はプロ級

稀に京塚曹長と入れ替わっている時がありその時のメニューは中華が多い

世間知らずで天然、特に妹の事になると表情は変わらないが行動がかなり不思議な事になる

実はTS転生者で元は30代の男性だったが転生後の周りからの影響で完全に女性思考に変化した。

 

主な搭乗機

激震→不知火富士教導隊カラー→ディザスターイーグル

 

所属

国連軍横浜基地207分隊副教官

国連軍横浜基地PX特別職員

 

特殊スキル

”天運招来”

効果

必要な時必要なモノが必ず近くにある

(レアドロップ出現率80%UP)

 

戦闘DETA

格闘78

射撃93

防御56

回避85

運 70(スキル発動時は測定不能)

 

異名(隊長スキル)

”片眼の凶鳥”

全衛士の命中率50%UP(35秒)

 

 

 

祇園白音

 

斯衛白(少尉)→帝国軍東北地方本土防衛部隊(少尉)→国連軍横浜基地(訓練生)

 

祇園家次女

家督を姉に譲られたが自ら行動を起こし帝国軍に所属

当初は東北地方の基地に所属して居たが、姉の白瀬を国連軍に引き抜く為の裏工作で横浜基地に転属

健気な妹を体現した存在で姉の白瀬を何時も心配している。

ポジションは突撃前衛もしくは強襲前衛が得意

剣術に関しては天賦の才を持ち冥夜と同等の腕前

横浜基地では、”ミニ白瀬”や”妹ちゃん”などあだ名が姉と比較される様な呼び方が多いが、姉が多くの人に好かれていると思えるので気に入っている

趣味は剣術と戦術機整備で掃除は得意だが、料理は壊滅と言っていいほどの惨状

早朝に基地の外れで冥夜や大和等剣術家と稽古している事がある、稀に姉の白瀬も参加している

姉より世間知らずでは無いが天然な所は変わらない

 

主な搭乗機

瑞鶴(白)→不知火帝国軍カラー→不知火国連軍カラー→武御雷(白)祇園家専用機

 

所属

国連軍横浜基地207分隊B班隊員

 

特殊スキル

”奉仕の心得”

効果

全体の全機体能力を20%UP

 

戦闘DETA

格闘89

射撃70

防御88

回避68

運 75

 

異名(隊長スキル)

”基地の妹的存在”

全機体の必殺技ゲージを全快させる

全機体の体力を25%回復させる

 

 

 

黒鉄大和

???→斯衛黒(少尉)→斯衛軍特別教導隊副隊長(中尉)→斯衛軍帝国軍派遣小隊隊長(大尉)→国連軍特務小隊隊長(少佐)

 

紅蓮大将(当時は中将)に実力を認められ黒を纏うことになった青年

それ以前の経歴は不明であるが紅蓮に本気を出させる、月詠姉妹を2人同時に相手取り完勝するなど数々の伝説を打ち建てる斯衛軍最強の男

剣技だけでなく射撃は勿論、サバイバル術から料理に整備などにも精通している完璧超人

常にサングラスや仮面をしていて素顔を見た事があるのは香月夕子、神宮寺まりも、祇園白瀬、アリア・S・ストラトスと紅蓮大将、月詠姉妹の計7名だけである。

実は正体は………。

 

主な搭乗機

瑞鶴(黒)→陽炎→不知火帝国軍カラー→不知火零型甲(Type-X)

 

所属

国連軍特務小隊隊長

 

特殊スキル

”聖母の守護者”

自部隊衛士の格闘・射撃・回避が35%UP

必殺技ゲージが100%回復

 

戦闘DETA

格闘 測定不能

射撃 測定不能

防御 測定不能

回避 測定不能

運 測定不能

 

異名(隊長スキル)

”黒き戦神”

全体の全能力を35%UP(20秒)

必殺技ゲージが1秒に10%増加(30秒)

 

参考値

 

国連軍一般兵

戦闘DETA

格闘28

射撃30

防御30

回避40

運 32

 

 

白銀武

戦闘DETA

格闘82

射撃85

防御75

回避90

運 測定不能

 

特殊スキル

”恋愛原子核”

自部隊女性衛士の格闘・射撃・回避が35%UP

 

異名(隊長スキル)

”変態機動”

自分及び自機体の全能力を45%UP(20秒)

 




武ちゃんの女性衛士だけって所がみそですね?

特殊スキルが常時発動

異名スキルはゲージ消費型ってイメージです。


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蒼の賢姫

オムニバス形式の第2作目
此方は青いF-15ACTVカスタムです。
登場人物の紹介を後書きに書いてみました。


MUV-LUVALTERNATIVE外伝 その2

蒼の賢姫

 

 

2001年12月5日

鎌倉市内某所

帝国軍クーデター部隊SIDE

 

クーデターを起こした青年将校の1部隊が戦術機で暗い山岳地帯を駆ける。

 

『………ぐだ、…直ぐ大尉と合流出来る!』

隊長格の中尉が部隊に声を掛ける。

 

殿下を確保出来れば我々の目的は達成される、その想いで死を覚悟して、空挺部隊に志願した者達を援護する為全力で疾走していた。

 

『レイア3よりレイア1!この先900m山岳部に戦術機反応!………反応は1機ですが、他にも隠れているでしょうか?。』

 

『レイア1より各機!全武装使用自由!この辺りに味方は居ない!後顧の憂いを断つためにも見つけ次第撃破せよ!』

 

『『『『了解(です!)(っす!)』』』』

 

謎の戦術機?を即座に撃破する為、5機の変則小隊は87式突撃砲を構えて突撃した。

 

???SIDE

『ん〜?此方に気付きましたか〜…なかなか優秀な方が居る様ですね〜。』

山岳部に隠された元斯衛軍基地で、青い戦術機が74式近接戦闘長刀と87式突撃砲を構えて立っていた。

 

戦術機の衛士は外部スピーカーを にして外の整備士達に基地内に待避する様に声を掛けると、跳躍ユニットに火を入れ直した。

 

『もう武装展開しましたか〜…これは私も本気でやらなくちゃいけないですね〜……よ〜しディザスターイーグル、崇司悠理出ますよ〜!』

 

クーデター部隊SIDE

『!?来た……1機だけ?他は……いない!良し、集中攻撃で撃破する!レイア2・3攻撃開始!』

 

『『了解(です!)(っす!)』』

 

攻撃開始の合図と共にレイア2.3が突撃砲を目の前の戦術機に向けて放つが、

 

”スイッ”

 

『なっ?あのタイミングで避けた?………はっ!何処に行っ…きゃっ!…………………。』

 

レイア3が、突撃砲を敵が回避した事に驚いていると、

その一瞬の隙に74式近接戦闘長刀を構えた敵機がレイア3に接近して長刀による袈裟掛けの一振りで戦闘不能にしてしまった。

 

『角野!くそ!たった1機の分際で富士教導隊の私達を殺れると思ってるのか!!』

 

通信が途切れたレイア3角野少尉の仇を討つ為、目の前の敵機と同じく74式近接戦闘長刀と87式突撃砲を構えて再度交戦するレイア2粟飯原少尉

しかし最初からこの戦いに勝ち目が無いことは、

端から見たら一目瞭然だった。

 

櫛奈SIDE

 

『ふふっ、突撃砲4門位で〜、私が止められるとでも?あら〜?隙だらけですよ?。』

 

単調な射撃を避け、

仕掛けてきて残った方の不知火の跳躍ユニットだけを74式近接戦闘長刀で斬りつけ落とし、

追撃とばかりに87式突撃砲の36mm弾を両手両脚に叩き込む。

 

櫛奈は冷静さを失った目の前の(不知火||エモノ)に刃を突き立て、

抵抗出来ないように両手両脚を全て潰し残り3機の不知火から距離を取った。

 

クーデター軍side

 

クーデター軍の増援部隊の一隊を預かる仁科中尉は焦っていた。

国連軍の抵抗は予想していたが真逆たった一機しか仕掛けて来ないとは思ってもいなかったし、

このぶんだと沙霧大尉達の所に大部隊が派遣された可能性があり、

一刻も早く救援に向かわなければならないのに、

目の前のたった一機の戦術機に足止めをくらい、

2機も落とされると言う大失態を演じているからだ

 

『(くっ、このままでは俺の立場が……やむおえん!奴らを盾にして)レイア4!レイア5!突撃だ!一斉に攻撃して退路を奪え止めは俺が刺す!』

 

レイア4.5『了解!』

 

中尉の命令にレイア4とレイア5が兵装担架も含めた計8門の突撃砲を放ちながら飛んで行く。

中尉はそれに少し遅れて動き出し、

計10門の突撃砲と近接戦闘長刀2本がディザスターイーグルに向かって行く。

 

『馬鹿め、私は元斯衛軍の精鋭だぞ、奇襲で落とされた部下と一緒にするなよ!』

 

中尉は勝利を確信して

櫛奈side

 

『ふふ〜ん…良い判断だけど〜、少〜し遅かったかな〜?5機同時なら勝機は有ったのにね〜…っと!』

 

【挿絵表示】

 

自機に向かって来る3機の不知火を急上昇からの急降下で躱すと後ろも見ずに左手の突撃砲を撃つ

すると、背後で爆発音が聞こえる。

 

『虚しいねぇ………そんな腕で私に勝てるだなんて思ったのかしら?……夕陽様さえ危険に晒さなきゃ殺しはしなかったのに…ねぇ?』

 

背後で戦術機の墜落する音を聞きながら櫛奈は背後を振り返りもせずに呟き飛び去った。

 

残されたのは隊長を失って戸惑う2機の不知火と2機の中破した不知火、後は爆散した残骸と飛び去る謎の戦術機を見送る4人の衛士だけであった。




登場人物紹介



主人公側

*高宰 櫛奈 不器用などうしようもないドジっ子の横浜基地PX職員。
性別は女性
その実態はかつて圧倒的戦果をあげた斯衛独立警護部隊の隊長で、今は香月夕子と鎧依左近を繋ぐ諜報員的存在
口癖は「虚しいねぇ」「そうですね〜〜」「ではでは〜〜」
一度刀を振るえば、優雅な舞いの如く斬りつけ、終われば敵は息絶えているといわれていた程の達人。
その反面、運に恵まれず部隊の人間が死んで行く、潰滅するなど悪い事ばかり起きていた為自ら除隊
身長…167cm
髪…栗色でくるくる
目…オレンジで眠たげ
趣味…音楽演奏・音楽鑑賞(腕前はプロ級)
バスト…F
特技…ハッキング・夢幻鬼道流免許皆伝・くノ一・サバイバル・絶対音感
性格…不思議ちゃん。月読家や夕陽とは相性よし


クーデター軍側登場人物

*クーデター軍増援部隊の隊長
レイア1
クーデター軍の中尉沙霧大尉のシンパでは無くアメリカの手先でこの作戦成功後にアメリカ国籍を取得する手筈になっていた。

*レイア2
粟飯原少尉
駒木中尉の後輩に当たり沙霧大尉と言うよりも駒木中尉について来た。
剣術を嗜んでおり接近戦には自信がある
しかし櫛奈には敵わず鎧袖一触で戦闘不能にされる。

*レイア3
角野杏子少尉
帝国軍で京都防衛戦を経験した数少ない若手の1人
今回の作戦に乗り気ではなかった為、
隙を突かれ一撃で落とされる。
本来は互角とは行かないまでも手傷は負わせられるレベルの腕前
後に登場予定

*レイア4
空気
存在感なし

*レイア5
同じく空気
存在感皆無


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灰色の軌跡 第??話混血と紅の交わる夜に

オリジナルキャラクター登場しますので、お嫌いな方は後退をお薦めします
それでも良いと言う方はどうぞ。


MUV-LUVALTERNATIVETOTALECLIPSE外伝

灰色の軌跡

第??話

混血と紅の交わる夜に

 

 

??『ふ〜〜ん、此処から先がヤバイのか……あっちは斑鳩の皆様が居るから良いとしてもこっちは仲間割れ始めちゃったユーコン精鋭と私だけかな?』

 

殆ど機能していない戦術リンクを確認しながらクリスカ・ビャーチェノワ少尉に似た金髪の女性は不満そうに呟いた

 

??『まったく!ソ連の連中何やらかしてくれてんの?1機であんだけ倒せれば充分だけど暴走して他の迷惑になるとかホントあり得ないんですけど?』

 

暴走したSu-37と不知火弐型の戦闘を最大望遠で確認しながら自機の周囲にいるBETAを狩っていく

 

ーーピッピーー

ーカチッー

ハルトウィック『イリス!無事か!』

 

通信が来たのでスイッチを入れて繋ぐと養父の大声が送られて来た

 

アイリス『ふぅ……ハイ!無事ですよ、パパこそ拘束されたって聞いたけど大丈夫なの?』

 

少し呆れながらも自分を心配してくれているのが伝わってくるため元気に返事を返す

 

ハルトウィック『私の方は大丈夫だ、イリス、レッドラインの事は知っているか?』

 

養父の言葉に私は肯定を返す

 

ハルトウィック『ならば話が早い、済まないが光線級の所為で空爆が遅れてしまった、このままだとΔ2方面の迎撃が間に合わん!そこでイリスは其方のユーコン精鋭部隊と連携してΔ2方面の敵を掃討して欲しい。』

 

いつになく真剣な表情でお願いしてくる父だったが……

 

アイリス『あーー……パパ?非常に言いにくいんだけどね?今…その…精鋭?の人達?まーユイ達なんだけどね?暴走戦術機と戦闘中。』

 

ハルトウィック『……………………』

 

通信画面に映る父の顔はポカン?と言った感じの表情で固定されて言葉を失っているようだ

ん?たしかこういう状態を……

 

アイリス『返事がない、ただの屍のようだ?………だっけ?』

 

昔、本当に昔…私がまだ幼い時に世話を焼いてくれた施設のお姉さんが教えてくれた言葉だ、綺麗だったが変わった人で他の研究者が私達を番号で呼び捨てにするのにあのお姉さんだけが”さん”や”ちゃん”を付けて呼び、おやつまでくれて遊んでもくれた。

ある事件の後、姿を全く見なくなり死んでしまったのかと施設の子供達で悲しんでいた。

数年経ち、施設の生き残りも私だけになった頃

 

テオドール『他に生き残りが居ないか探せ!急げ!時間が無いぞ!』

 

赤毛の軍人さんが研究者が出入りする扉を蹴破って入って来た。

その背後から入って来た女性に見覚えがあり、霞む視界を向けて確認すると、

 

お姉さん『ドヴェースチちゃん!ドヴェースチちゃん!大丈夫!助けに来たのよ!分かる?』

 

あぁ、天国に着いたんだ…と安心して目を瞑り眠りについた

 

それから色々あって何の因果か、アラスカで私の姉妹と言える娘達と会ったり、あのお姉さんの妹とも逢えた運命の悪戯だとしても不思議である

 

考えが逸れた、気がつくと彼方の戦闘は終了したのかSu-37と不知火弐型は完全に機能を停止しているようだ

私は佇んでいる山吹色の戦術機に通信を入れる

 

アイリス『あーー、テステス、ユイ?聴こえる?』

 

篁『?!この声はイリス?何処だ?何故此処がわかった?』

 

アイリス『悪いけど時間無いから手短に言うよ、今から起こる事見なかったことにしてね?じゃ無いと軍法会議+査問委員会に強制出席だからね?』

 

篁『え?ちょっ!イリス?』

 

イキナリの私の通信に驚くユイを尻目に私は要件だけを伝えて一方的に切る

 

アイリス『ではでは!ちょーっと本気でやっちゃいますか!………………リミッター解除、対軍滑空砲fireLinkLock解除、Over Drivesystem解放!』

 

私の本気、さっきSu-37が見せたプラーフカに似ているがまったく異なる1人の天才が作り上げた”私”と言うパーツが有って初めて起動するsystem

 

アイリス『ああ…そうだ、別に全て倒してしまっても良いだっけ?……?何か違う?』

 

【挿絵表示】

 

緊張感の欠片も無い台詞を吐きながら私は数千を超えるBETAに向かって行った。




短編ですが書いてみました、MUV-LUVは各色で話が作れそうと思って作っています。


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紅蓮の系譜 斯衛軍第3格納庫いつもの日常

スーパーホーネットカスタム
通称”紅蜂”の衛士の短編SSです。
京都弁良いですよね?私のはエセですが…


マブラブオルタネイティブトータルイクリプス外伝 紅蓮の系譜

 

【挿絵表示】

 

「この 機体こぉがうちの愛機になるんどすか?」

日本帝国斯衛軍専用格納庫の一区画にて瑞鶴や武御雷とは明らかに異なる戦術機が改修作業を受けているのを見ながら赤の斯衛服を着た少女が初老の整備長に質問した。

「そうですぜ紅蓮少尉、少尉が乗って居た瑞鶴や武御雷とは色々違う所も有りますが良い機体ですよ、コイツ(F-18E/F)は。」

整備長は自分の白ヒゲを撫でながら目の前に居る桜色髪の少尉に返事を返した。

「おい、小夜ちゃん来てるぞ!」

「本当だぁ進藤さん、愛しの小夜ちゃんが来てますよ。」

スーパーホーネットを整備している整備員達が1人の仲間を囃し立てる。

「無駄口叩くな手を動かせ…後、紅蓮少尉は上官だ、ちゃん付けで呼ぶのは止めろ。」

進藤と呼ばれた整備員は周りの仲間を嗜める。

「あれ?進藤君、いつもみたいに小夜って呼ばないの?」

「今は職務中です、公私は区別を付けていますので。」

「進藤はん、お疲れやす〜、確か明日お休みや言うてたやろ〜うち何処か行きたいわぁ〜。」

同僚の整備員と進藤が話ながらも作業を続けていると、いつの間にか近付いた紅蓮少尉が会話に割り込んだ。

「あらあら、お邪魔かな?こっちは終わったから後はごゆっくり〜」

「ちょっ!先輩?待って下さいよ!」

「進藤はんはあかんよ〜まだうちの話終わってへんからなぁ〜」

空気の読める女性整備員は電子端末を操作しながら進藤と紅蓮の2人を残して他の作業を手伝いに行った。

進藤も作業が終わった為ついて行こうとしたが紅蓮少尉に袖口を掴まれ引き留められた。

「大体明日は休みじゃないぞ、作業予定がちゃんと入っているからな。」

「整備長はんが次の作業に使ぉう物が届かんから明日明後日は休みやゆうとったえ。」

「えっ?」

進藤が工程表を確認して小夜に言うと小夜は自分も知らない事を言ってのけ、まさかと思い整備長の方を確認すると済まなそうな顔で手を合わせていた。

「ふふ〜何処連れてってくれはるんやろ楽しみやなぁ〜」

斯衛軍紅蓮小夜少尉は自身の腰まで伸ばした桜色の髪を撫でながら満面の笑みでそう告げた。

「進藤さんってロリコンだったんですね?」

「ん?違うよ小夜ちゃんちっちゃいし童顔だけど私より一つ年上だよ」

「えっ?…先輩より一つ上だと2は…ぐふっ………。」

「「「「………………。」」」」

「…まぁ良いカップルだよね、バランスとれてるよね?」

「いやいや、進藤と小夜ちゃんだとどう見ても年の離れた兄妹か親子に見えるだろ。」

「整備長〜作業終わったんで帰って良いですか?」

「おう、あの2人はほっとけ、よーし!総員撤収!飲みに行く奴はついて来い!」

2人を残して整備班の班員は格納庫を後にした。

 

その後ろで2人は御構い無しに夫婦漫才を続けているようで、

 

「だから紅蓮少尉?その話は後で……」

 

「嫌や〜小夜って呼んでくれるまで帰らへんもん!」

 

「さっ…さ、小夜さん?」

 

「さんは要らん言うたのに〜まぁ良えわ、何?」

 

2人の空間にて会話が成立?して居た。

 




趣味と実益を兼ねたSS創りですが読んでもらえれば幸いです。
気が向けばまた何か書くかもしれません。


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白い華 第0話 知らない記憶

第0話となっていますがツイッター上の極々短編を無理矢理加筆修正したモノですので続くかは不明です。


MUV-LUVALTERNATIVETOTALECLIPSE外伝

白い華

第0話

知らない記憶

 

【挿絵表示】

 

……「やっ、やだ…まだ死にたくないの!死にたくないの!」

場所はどこだかよく分からない廃墟が建ち並び周りはBETAや戦術機が見える。

私に似た人がホーネットのコクピットで叫んで居るが私はホーネットに搭乗したことは一度も無い。

そしてこの悪夢は全体が俯瞰できる、私に似た女性がゆっくりと死にゆく様を見せられるのだ。

近くには戦術機と思われる残骸が散らばり、少し離れた廃墟の陰で1機のホーネットが弾倉交換をして居るのが見える。

いつもの光景だ、そしてこの後…

ーバキバキッー

「ひっ…あ…」

そして最後は戦車級に引き摺り出されて喰われるの

食べられた瞬間にいつも目を覚ます。

 

そう、私がこの悪夢を見始めたのは斯衛の士官学校を卒業する前に教官から、オーストラリアの交換留学に行かないか?と打診された時が始まりだった気がする。

しかしオーストラリアと言うとあの悪夢の記憶が蘇ることから「家の事情により辞退します。」などと言って辞退した記憶がある。

そうして、私の代わりに交換留学で次席の真田真弓がオーストラリアに行き優秀だった為、すぐに戦術機を与えられホーネットに搭乗したと聞いた。

真弓は勤勉で私とも良きライバルとして切磋琢磨した仲だったので自分のことの様に嬉しくなって同期の月詠姉妹らと一緒に御祝いのメッセージを作って送ったくらいなの。

しかし、その2ヶ月後、彼女が亡くなったと聞いた、何でも米海兵隊との合同演習でインド方面へ行った際にBETAの強襲を受け部隊の半数が還らぬ人となったそうだ、真弓もその一人となったのだと…

悲しいだろうが後学の為、と写真も同封されてあったそうでそれを見た私は絶句した。

だってそうだろう…まだかろうじて生きていたと言うカメラの画像からは、私の夢の中と全く同じで、違うのは”私が彼女に変わった”だけだったのだから…

私は急に目の前が真っ暗になってその場で倒れた。

 

医務室で目覚めた私は冷静になって考えてみた

アレはもしかしたらもう1人の私が体験した事なの?

確か中学時代に夕子やまりもと図書館で似たような小説を読んだ気がする。

確か自分が選ばなかった選択肢を死後に体験するという話だった様な気がするがすでにタイトルなどは忘れてしまった。

そして、写真を見て倒れた時以降あの夢は見ていない。

もしかしたら、今の私は2度目の人生なのかもしれない。

 

「なのちゃん〜〜ぼーっとしてるとアンタの恥ずかしい過去バラすわよ!」

 

おっと、今は対戦中だった、武御雷のカメラを向けると若干苛立った風な顔を見せる幼馴染を本当に苛立たせない為、真面目にやるとしますか。

 

「片町 華乃 武御雷 護型行きます!」

気合を入れ直し、幼馴染が魔改造した武御雷を横浜基地のエースが駆る不知火に向かって進ませた。




武御雷”伍型”では無く敢えての”護型”です。
登場人物の片町 華乃分かる人は即答できそうですが、
一応アナグラムで並び替えると某アニメの主人公?になります。


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MUV-LUVALTERNATIVE外伝 黒鉄大和という男

最新話にして原作キャラ出しておりますのでイメージ壊したくない方は回れ右でお願いします。
微妙な描写が有りますが®️15の許容範囲かと思いますのでこのまま投稿しました。


横浜基地の某所

 

ーブンッ…ブンッ…ー

 

朝露も乾かぬ早朝に1人の青年が木刀を振るう音のみが響く

 

「………ふぅ、そろそろ時間か…シャワーを浴びて行くとするか。」

 

1時間程素振りをして居た青年は、一息吐くと額に浮かぶ汗を拭い自らに課せられた任務に赴く為、基地施設の方へ戻って行った。

 

自室に戻ると部屋の前にピアティフ中尉が立っており、俺が部屋に居ないので困っている様だった。

 

「どうしました?ピアティフ中尉、こんな朝早くに俺に何か用件でも?」

 

「はっ!……あぁ、黒鉄大尉良かった香月副司令がお呼びですので副司令室までお越し下さい。」

 

俺が声を掛けるとピアティフ中尉はかなり驚いた様で少し飛び上がりキョトンとした目をみせて、相手が俺だとわかると驚きが覚めない様子のまま返事をした

 

「驚いた…大尉、若しかして何時もこの時間には起きていらっしゃるのですか?」

 

「ん?あぁ、何時もこれくらいの時間には素振りを終えてPXに仕込みに向かう時間かな?驚いたかい?」

 

「えぇ、私はこの時間から起きているのは任務がある時だけですね、香月副司令から「この時間には起きてるはずだから起こして連れて来なさい」と言われた時は部屋に居るのだろうと思いましたがまさか鍛錬をされて居たとは…正に”サムライ”ですね!聞けば黒鉄大尉は武家の出だとか?多くの人を救いたいから国連軍に入隊したと香月副司令から伺っています、尊敬致します!」

 

夕子から聞いたと言う俺のカバーストーリーを目を輝かせて語る金髪美女、外国の人にはまだ侍が人気なのが伺える…なにせ普段は知的な美人で通っているピアティフ中尉が興奮気味に俺に詰め寄って来ているのだから……

 

ーヤバイな、コレ夕子やまりも、アリアに見られたら制裁食らうんじゃないか?ー

 

俺が内心少し焦りながら表面上は冷静にピアティフ中尉を遇らうと、”はっ”となり俺から離れていく

少し惜しい事をしたなぁと思いながらふと考える、何故今日に限ってこんなに早く?

 

「………ん?そうか…今日は”アイツ”が来る予定の日か!」

 

「アイツ?今日はどなたか人がいらっしゃるのですか?確か副司令の面会者は本日居ない筈ですが?」

 

俺が何故呼ばれたか考えると”アイツ”の存在に行き着いた

俺の発言にピアティフ中尉は夕子の予定表を確認しながら疑問符を浮かべて俺に質問を投げかけて来る。

 

「いや、”前”にもこんな事が有ってな?本当に来るかは分からないが凄腕の衛士何だよ、其れこそ”昔の俺に匹敵する”位のね。」

 

「シュミレーターでA01の2個小隊をたった1人で殲滅できる大尉と匹敵する?それはなんの冗談ですか?」

 

ピアティフ中尉は先程より驚いたのか機密事項に該当する事をサラッと言う

今が早朝の人が居ない時間で良かった、もしバレたら速瀬中尉辺りから毎日の様に訓練の催促を受けていただろうと思われる。

鳴海中尉が困り顔でそれを宥めながら涼宮中尉と共に歩いて行く光景が脳裏に鮮明に浮かぶ

 

「おっと、中尉その事は…」

 

「……!?失礼しました………ふぅ、誰も居ない様ですね、良かった…」

 

俺の指摘で失言に気付いたのか、謝ると同時に周りをキョロキョロと不審に見渡すピアティフ中尉

人が居ないのを確認すると落ち着きを取り戻す様に咳払いをする。

 

「それでは大尉、副司令室まで御足労願います。」

 

「了解です、その前にPXに連絡を入れても良いでしょうか?京塚曹長に呼び出しで行けない旨を伝えないと行けませんので。」

 

まだ顔は赤いが、落ち着きを取り戻したピアティフ中尉が早く行く様に促すと朝食の支度が出来なくなった事を京塚のおばちゃんに伝える為内線を掛けようとすると、

 

「先程PXには連絡を入れました、後本日は人手不足という事だったので訓練兵を2人程行かせて居ます。」

 

「それなら大丈夫か、では行きましょうか?」

 

連絡済みだと言われたのでピアティフ中尉を伴い、心持ち早足で地下の夕子の部屋に向かった。

 

ーカシューー

地下にある夕子の部屋の自動ドアが開くと、そこには部屋の主である香月夕子を筆頭に右に懐刀の神宮寺まりも、少し離れて右の壁側に元米軍海兵のアリア・S・ストラトス、左手に超能力系幼女「少女です……」もとい、超能力系少女の社霞が立って居た。

 

「ピアティフ〜〜ちょっ〜と内緒話するから上で私の代わりに朝礼行って来て〜」

 

気だるそうに堂々と内緒話するから何処かに行ってろと言う夕子にピアティフ中尉は

 

「了解しました。上で書類整理をして居ますので、またご用があればお呼び下さい。」

 

と、言って出て行った。

 

「夕子?幾ら何でも言い方ってもんがあるんじゃないか?親しき仲にも礼儀ありって言うだろ?」

 

「ん?じゃあアンタは一昨日の夜、私の部屋のベッドで私がやめてって言った時如何した?そのまま私が失神するまで続けたでしょう?アレは礼儀なのかしら?……あぁそうよね礼儀よね、私だけじゃなく、まりもやアリアにまで手を出すベッドヤクザの礼儀なのよね?」

 

俺がピアティフ中尉への物言いを言及すると少し間を置いてからそんな爆弾発言をして来た。

部屋の人間の反応は様々で、

まりもは顔を、これでもか!と言うぐらい真っ赤にして俯いており、

アリアは一瞬恍惚そうな顔を浮かべたが我にかえると恨みがましい様な羨ましい様な複雑な顔を夕子に向けて、

霞に至ってはリーディングしてしまったのか、赤い顔のまま此方を蔑む様な眼差しを俺に向けている

 

「アレは夕子が、XM3を改良するって言って睡眠時間を削ってたからだろう!現にあの時疲れ果てて昼過ぎまで起きなかったじゃあないか!」

 

俺が慌てて弁明すると

 

「したのは認めるんだ…普通睡眠薬とか使わない?疲れ果ててる人間に気絶するまで行為を続けるって相当よ?」

 

まだ真っ赤な顔を少しだけ上げて絞り出す様に声をあげるまりも、それに続き

 

「ズルいよ大和!あの日は私の番だったのに!」

 

間違った方向に怒りを向けるアリア

 

「…………最低です。」

 

トドメに霞

 

居た堪れなくなり、取り敢えず俺は土下座をした。

 

 

「まぁ、冗談は置いといて本題に入るわよ?アンタの最初の話からすると今日”………”が”この世界”にやって来るのよね?」

 

夕子がチシャ猫の様な笑顔を見せながら満足したのか、真面目な顔になり俺に問い掛ける。

 

「ああ、…確か今日の昼前ぐらいかな?横浜の自宅を出ると急に目の前が真っ暗になってさ、気がつくと目の前に不知火の残骸が有って訳も分からないまま彷徨ってたんだ…」

 

事情を説明済みのまりもや霞は大人しく聞いているが、

1人何の説明か分からないアリアは???と不思議そうな顔をして居た。

 

「ちょっと待ってよ、ユウコやマリモは知ってて私だけが知らない事があるの?同じ妻として断固説明を求めるよ!」

 

周りを見て、自分以外は何のことか知っているようだったので若干憤慨しながら説明を要求するアリア

 

「それを説明するからアンタココに居られるんじゃない、説明する気が無ければわざわざこの部屋に入れないわよ。」

 

夕子は、言外に”今から言うから黙ってろ”といった威圧的な態度でアリアを嗜める。

 

ー事情説明終了ー

 

「じゃあ何?大和は………なの?何で過去に存在してるの?居なくなっちゃうの?嫌だよ?私、大和居なくなったら死んじゃうよ?何でユウコやマリモは知ってて平気なの?」

 

アリアは説明を黙って聞いて居たが、最期の部分を話し終わった時、

光を全く映さない暗い眼で、大和に縋り付きながら大声を上げる

 

「辛くない訳ないでしょ!愛した人がこの世から居なくなるかも知れないのよ!私だって夕子だって、彼がいつ居なくなるか分からないから怖いのよ?………最初に結ばれた日に夕子と2人で起きた時、彼が居なくなってて2人で早朝の基地内を探し回ったのよ?結局、彼はいつもの所で日課の鍛錬をして居ただけだったけどその時の恐怖が分かる?」

 

まりもが当時の事を語っていると、居た堪れなくなる

初夜以降は夜を共にしたら相手が起きるまで外出禁止令を出されたのは懐かしい記憶だ

あの時の夕子とまりもの顔は忘れる事ができない、

なんせ”あの香月夕子が”過去オルタネイティブ4に失敗した時より絶望して青ざめた顔で走って来て泣きながら頬をビンタされた、身体より心に痛いあの一撃はまだ記憶に強く残っている

 

「とにかく!彼はまだここに居る、だからまだ大丈夫って事ね?」

 

アリアはまりもに説得されたのか先程とは打って変わって綺麗な金のロングストレートの髪をかきあげる仕草をしながらまだ赤い眼を此方に向ける。

 

ーピリリリリ……ピリリリリ……ピリッガチャー

 

不意に鳴った電話を夕子が取ると2、3言話すと電話を切った

此方を向いて

 

「来たわ、”白銀武”よ。」

 

夕子の声に部屋の全員が反応した。

 

 




搭乗戦術機は
不知火零型甲
黒くて肩のデッカイ不知火です。


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灰色の軌跡 番外編 カムチャッカ半島での出会い side???

灰色の軌跡番外編って言っても本編とか書いてませんが……
気が向いたら読んで見てくださいな、お気に入りとか増えたら本編書いてみようかとか考えていますが需要があるかな?まぁ気まぐれ更新ですので暇な方は是非どうぞ。


MUV-LUVALTERNATIVETOTALECLIPSE外伝

灰色の軌跡

番外編

カムチャッカ半島での出会い

side???

 

2001年8月19日γ-04補給基地外縁部

 

「クソッ、何でこんなところにBETAが…」

 

悪態をつきながら全力で後退する兵士は何故こんなことになったのか?など現実逃避をする事で今の地獄そのものの光景を忘れようとした。

 

「……ぎ、……。」

ーブチッー

「ひっ…ーブシャー」

「ああ、ああああぁっ…ーグチャー」

 

だが現在進行形で聴こえる仲間の断末魔や何かがちぎれる様な音を聞くたびに現実に引き戻される。

 

まだ後方に戦車が数台見てとれるが相手は戦車級が数え切れないほどの数であり、中には逃走を諦めて立ち尽くす者まで出ていた。

 

「俺はまだ死なないぞ!こんな所で死んでたまるか!」

 

整備兵らしい服装の男が叫びながら俺の横を走り去って行く、1体の戦車級が突出してちょうどその男を捕まえようとすると、その男は近くに居た女性兵士の肩を掴み引き倒した。

倒れた女性兵士に反応した戦車級が女性兵士を掴もうとする。

 

【挿絵表示】

 

もう終わりかと思ったその時、突然目の前に日本軍や国連軍の一部で標準装備として使われている突撃砲を持った戦術機?が現れた。

幻かと思ったが、不思議とコレで俺たちは助かると感じた。

 

「頼む!助けてくれ!」

 

俺は危険も顧みず戦術機?の足下で大声を上げ助けを求めた。

 

「…へっ?あっ、分かりました!」

 

棒立ちして居た紅い戦術機?の衛士はそう言うと、両手の突撃砲を構え戦車級の殲滅を開始した。

 

 

【挿絵表示】

 

ーグチャ……ブシュ…ブシュ…グチャー

 

彼此30分は経っただろうか、紅い戦術機?は途中弾倉交換をしつつBETAを殲滅してしまった、たった1機の戦果としては異常な数字だろう……何故なら俺の目の前の戦術機?は突撃砲の”一発”でほぼ必ずBETAを1体仕留めているのだから……

周りを見渡すと20名に満たない位の生存者達が見えるが皆一様に同じ顔で謎の救援者を見ていた。

 

「……なさん!無事ですか?おーい!」

 

恐らく目の前の戦術機の衛士だろう、まだ若い女性の声が聞こえてハッとする、気付けば周りのBETAは動きを止め、全て死んだ様だった。

 

戦車級に掴まれそうになっていた女性兵士も生きていた様だが下半身が凄いことになっており顔を真っ赤に染めたまま俯いて泣いてしまった。

我に返った生き残りの女性がジャケットを脱ぎ女性兵士に渡す、他にも腰が抜けたのか鳴きながら座り込む人もチラホラ出てきた。

 

俺もあんなに全力疾走したのは久しぶりだったので疲れてはいたが目の前の不思議な戦術機に一体どんな奴が乗っているのか気になり声をかけてみた。

 

「其処の衛士さん、お礼が言いたいんだが降りてきてくれないか?」

 

ープシューー

と音がしてハッチが開き、中から現れたのは金髪の長い髪をポニーテールに結った少女だった。

少女は髪をかきあげると汗をかいていたのか薄い水飛沫が上がる。

 

「あのー?大丈夫ですか?何処か怪我していませんか?」

 

いつの間にか少女は俺の目の前まで来ていて顔を覗き込む様に心配してくれていた。

まさか君に見惚れていたとは言えず慌てて誤魔化す。

 

「ああ!大丈夫!大丈夫!見ての通りピンピンしてるから!」

 

少女は「良かったです!」と言って他の人達の様子を確認しに行ってしまった。

いい匂いがしたなぁ………

 

生存者確認をあらかた完了したのか少女が俺の方に戻って来る。

 

「すいません、つかぬ事をお伺い致しますが此処は何処でしょうか?」

 

金髪の少女は申し訳ない様な顔をしながら俺に質問して来た。

俺は、は?何言ってんの?この娘は?と思いながらも答える。

 

「此処はソ連軍カムチャッカ半島γ-04補給基地の外縁部で、ちなみに俺たちは国連軍の整備兵と看護兵だ」

 

すると金髪の少女は

 

「あのクソ女神やりやがったな!しかもTSで機体が戦術機じゃ無くてASだと!?嫌いじゃないけどさぁ!違うんだよ!…そうじゃないんだよぉ〜」

 

美しい顔を怒りで歪めながら空に向かって叫んだかと思うと、頭を抱えてうずくまる様にしてさらに叫ぶ、最後は怨みの篭った呟きを洩らす。

 

「何があったのかは知らないが此処はまだ安全じゃない、悪いが君の戦術機で俺たちを基地まで運んでくれないか?」

 

新兵に良くあるPTSDかと思ったが、そうではない様なので生き残った俺たちを運んでくれる様頼むと、

 

「え、えぇと……基地って戦術機とか居ますか?不知火とかF-18とかF-16とか?」

 

期待の眼差しで俺を見ながら、またもおかしなことを聞いて来る美少女……もうなんか残念な美少女にしか見えてこないが。

 

「あぁ!あるよ戦術機!後退しているはずだからソ連の奴も観れるはずだよ!頼むから!早くこの場所から離れたいんだよ!」

 

残念美少女はキョトンとすると直ぐに花が咲く様な笑顔を見せて

 

「直ぐに行きましょう!さぁ早く!えぇと……あっ!アレがいいですね、皆さん乗ってください!直ぐに運びますよ!」

 

はしゃぎつつ周囲を伺い、ちょうど良さそうなカーゴを見つけると戦術機?で持って来て、皆んなに乗るように促した。

 

ー逃げた整備兵士ー

 

「ハハッ!ハハハハッ!ハアッ…やった、やったぞザマァみろ!俺は生き延びたんだ、よし、このま友軍と合流できれば生き残れ………え?」

 

女性兵士の肩を掴み引き倒した整備兵士は誰も着いて来ない現状を見て生き残った事を確信し、後は歩いても大丈夫か…と考えてふと空を見上げた、

其処には爆炎に包まれた爆撃機があろうことか、自分目掛けて墜落して来るのが見える。

 

「嘘だ……嘘だぁーーーー……」

 

 

 

 

「ん?何か聴こえた様な?………まぁいいか!それより♪それより♪戦術機♪戦術機♪やっと観れるぞ戦術機♪」

 

何処か遠くで悲鳴が聞こえた気がしたが、本物の戦術機を見ることが出来る喜びでそれ以外の事を全く考えていなかった。

 

「其処の”AS”!止まりなさい!動いたら蜂の巣にするわよ!」

 

【挿絵表示】

 

そう、明らかに不審な戦術機?が正規部隊の居る基地に向かう危険性を全く考えていなかったのだ。

灰色の戦術機が少女の乗る紅いASに向けて銃を構え衛士と思われる女性の声で警告される。

 

「ひっ!……そうだった…そう言えばコレ戦術機じゃ無いんだった、どうしよう?…どうしよう?……………!?”AS”?コレをアームスレイブって知ってるって事は?」

 

金髪の少女は頭を抱えながら考えを巡らす、そして目の前の戦術機はこの機体をASと言った。

この世界に存在するはずの無いこの紅い機体を見てハッキリと。

 

「……フルメ○ル・パニッ○……」

 

「!ふもっふ。」

 

通じた……咄嗟に出たのはアナザーな感じでなくふもっふな感じだったがこの戦術機の衛士は間違いなく同じ転生者だ。

然も、我が憧れの戦術機………よく見ると明らかに改造機であるが戦術機に乗った声からして綺麗な女性兵衛士だ。

何だ、その羨ましい状態!代われ、寧ろ代わってください!このASあげますから!

何て事を考えていると目の前の恐らくビェールクト?らしい戦術機からプライベート通信が入る。

 

「………貴女、転生者ね?何しに此処に来たの?原作を改変している私を殺しに?其れとも誰か好きな登場人物に会いに来たの?」

 

マーティカさんに似た金髪の女性が凄く冷たい瞳で静かに私に質問する、その眼と顔すっっごく怖いんですけどどうにかなりませんか?などと言った瞬間に撃たれそうな気がしたので、素直に目的を話す事にした。

 

「せっ、戦…」

 

「戦闘が望み?ならこのまま死ぬといいわ…」

 

何か勘違いしたお姉さんが銃を此方に向ける

 

「戦術機が見たくて来ました!他は興味有りません!撃たないで〜〜〜!」

 

「は?………戦術機が見たい?それだけ?それだけでこんな世界に来たって言うの?馬鹿じゃないの?そんな戯言信じるとでも思ったの?」

 

何処で怒りの琴線に触れたのか、蔑む様な瞳で見つめASのハッチ上から銃をグリグリする金マーティカ

 

「ひっ、降ります今から降りますから撃たないで〜〜〜〜〜〜」

 

顔から出る水分をコレでもかと出しながらハッチを開けると目の前に銃口が………

 

「!キュゥ………」

 

「え?ちょっと…何なのよ、この娘は!」

 

わたしは気を失いながら、金マーティカさんがポカンとする顔が網膜の隅に見えた気がした。




オムニバス形式で各話を繋ぐのは結構難しい、プロット練り直すべきか?


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もう1つの不死鳥 番外編

急に何これ?って思うかもしれませんが思いつきで投稿していますので続くかは不明です。


MUV-LUVALTERNATIVETOTALECLIPSE外伝

 

もう1つの不死鳥

番外編

ユーコン基地テロリスト事件の一幕

 

 

………ドーーン!!…ドドドドド………

 

数時間前までは平和そのものだったリルフォートの街並みが、突撃級や戦車級を中心としたBETA群に破壊されていく光景を見ながら、命辛々逃げて来た民間人を護衛し如何にか基地の敷地内まで撤退して来た。

 

「さっきのtype94の兄ちゃん達大丈夫かな?」

 

「殿は引き受けた……とは言っていたがあの数には………」

 

護衛して来た民間の人達が私達を逃がすために囮として残った仲間を心配する声が聞こえ、去り際に仲間に言われた言葉を思い出す。

 

 

「ユーディ!カルラ!2人の装備は万全な状態じゃ無い!基地に行って対多数用装備に換装してくるんだ。………なぁに、こんなのルシファーの時に比べれば全然マシさ……さぁ早く!!」

 

 

そう言いながら迫り来る師団規模のBETAに向かって跳躍ユニットを吹かして自機を含めてもたった5機の戦術機で突撃して行った仲間の姿が思い出される。

 

「まだ終わらないナ!モタモタしてると奴らが来ちゃうヨ!!」

 

横のハンガーでカルラがストライクイーグルカスタム2号機の重砲撃装備換装を急ぐ様に煽る。

 

その声が聴こえてハッ、とした私は自機の換装作業の進行具合を確認する。

 

「カイ君!進行状況は?!」

 

1号機の専任整備士をしている元戦術機乗りの恋人に換装作業の進行具合を聞くと、

 

「もうちょっと………オッケー!!イケるよ!ユーディ!」

 

「了解です!…………退避確認!カルラ!先に行くよ!!」

 

その言葉を聞いた私はカイ君達をはじめとした整備の人が退避したのを確認すると基地外縁部の防衛ラインを構築している地点まで急いだ。

 

 

基地外縁部仮砲撃陣地

 

私はストライクイーグルカスタム1号機の両肩に種類の異なるミサイルを搭載した状態で出撃して陣地に到着するやいなや、臨時の指揮官をしている少佐に

呼び出されて面会していた。

 

「済まないね、時間も無いし手短に言おう。先程殆どのBETAが転進したが一部……とは言ってもまだ大隊規模のBETA群がこちらに向かっているとの情報が入った。後1時間もしないうちにここに到着するだろう。」

 

面会した少佐は酷く疲れた顔で私に絶望的な状況を伝えてくる。

そこで私は敢えて、

 

「こちらの戦力はどれ位でしょうか?」

 

と、少佐に尋ねると

 

「威力試験で使う予定だった大型ミサイルが6発と戦車が5台に装甲車が1台…後は君の戦術機が1機…おっと、今君の同僚が到着した様なので2機だな……」

 

と、教えてくれた。

 

「?!基地の守備隊の戦術機はどうしたんですか?結構数が有りましたよね?」

 

と不思議に思って聞くと、

 

「君達は極秘演習中で知らなかったんだったね……実はテロがあってね…戦術機が奪われたのは勿論衛士もほぼ皆殺しにされてしまってどうにもできないそうだ……XFJ計画の機体は先程こちらの援護をしてくれたが行ってしまったしな……」

 

と、話していると伝令役の伍長が駆け込んで来て

 

「敵接近!接触まで残り3000!!」

 

私はそれを聞くと同時に愛機まで走った。

 

 

 

「ユーディ?他の戦術機や戦車はどうしたんだナ?コレじゃ全然足りないナ?」

 

相棒のカルラが当然の疑問をぶつけて来たので、先程少佐から聞いた状況を伝えると、

 

「………………エ?」

 

珍しく絶句していた。

 

周りが慌ただしくなって来た、そろそろかと気合を入れ直していると懐かしい声が聴こえて来た。

 

「…………い!お前ら!後少しだ!友軍が見えて来たぞ!!………ん?…あれはユーディとカルラか!よーしお前ら!補給急げ、オレ達は彼奴らの討ち漏らしを叩くだけの簡単なお仕事になったぞ!!」

 

「「ナルミ(さん)!!」」

 

私とカルラは殿として残った仲間の機体を確認すると同時に名前を呼んだ。

 

「おう、何とか生きてるぜ?一応全機無事だ、補給済み次第お前らの取り零し排除で大丈夫だよな?」

 

【挿絵表示】

 

何処から調達したか分からないが血塗れのBWS-7を構えて私のストライクイーグルカスタムの横に立った不知火から聞こえた声に

 

「勿論!!」「お任せナ!!」

 

と言うと、両ストライクイーグルカスタムや戦車は武装を起動させて数のだいぶ減ったBETA共に向けて砲撃を開始した。

 

 

 

この陣地での戦闘による死者は奇跡的に0だったと言う。




私が書いているMUV-LUVALTERNATIVETOTALECLIPSE外伝シリーズのユーコン基地であった一コマ

某サイトで連載していた物のリメイク版の更に短編というよく分からない立ち位置の話


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片眼の凶鳥
MUV-LUVALTERNATIVE外伝 片眼の凶鳥 プロローグ


撮り溜めたアニメを見ていてとあるキャラが、書きたいときに書くのが作家だと言っていたので久し振りにMUV-LUVの方に手をつけてみました。

因みに今回のプロローグは読み飛ばしても全然構わない程度の物なので本編を書き始めた後は読み飛ばしても全然構いませんので、基本テンプレでお送りします。


 

「あ〜〜、疲れた〜……帰って寝るか〜〜。」

 

残業を終えた草臥れた中年の仲間入りを無事に果たした俺は、クタクタな身体を引きずり電車を降りると駅の階段を降り、いつもの運転手が運転する最終バスの待つバス停へ向かう。

 

「ン〜〜、前週より売上が上がってるからコッチはそのままで良いか?……コッチはテコ入れが必要かな?…………。」

 

スマートフォンに表示されている会社の売り上げ情報を眺めながら独り言を呟きながらバス停までの短い距離を歩く。

ふと、気になり顔を上げると自分の10m程先に見慣れない車椅子の女の子がバス停へ向かおうとしているのか同じ方向へ歩を進めていた。

何故かその子から目が離せなくなった俺はスマートフォンをポケットにしまい同じ方向へとただ進む。

すると少女は道路の真ん中辺りで急に止まってしまった、どうやら車輪が嵌ってしまったようだ。

人並みの感性を持ち合わせていた俺は助けようと近づくと少女の周りが妙に明るいことに気付く。

 

ーブォーンーー……ー

 

トラックが猛スピードで少女に迫る。

ヤバイ!轢かれる!……と、思った俺の動きは速かった、俺こんなに速く走れたんだ…と思える速さで少女の横へ辿り着き、少女の服を掴むと渡ってきた反対側の歩道へと少女を投げ飛ばす。

柔道をやって良かったと初めて思った。

それと対照的に自分が轢かれるのがスローモーションで再生されているように判る。

 

ードーーン!!……キキィッッ……ー

 

即死だったのだろう…苦しまずに目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………ん?……明るい?生きてるのか?

 

「いや、貴方は亡くなりました。」

 

「?じゃああなたは神様か天使若しくは悪魔だと?」

 

すんだ綺麗な声が聞こえたのでそう質問すると声の主はクスっと苦笑いしながら言葉を繋ぐ

 

「そんな大層なものじゃ有りませんよ……でも貴方の考えているような事をする、と言う意味では似たようなものですがね?」

 

男か女かも分からない声がそう俺に声をかけた。

 

「それじゃあ転生させてくれるのか?ラノベとかアニメの世界で良いんですか?」

 

俺はテンプレ…キター!!と思いながら謎の存在に聞く。

 

「えぇ、最近はそれ目当てで自殺する方が増えて困っているのですが、貴方は人助けの為に飛び込んだ……感激したのですよ、我々は……おっと、では、貴方の現世での善業に免じてこの転生特典ガチャを2回引かせてあげましょう。」

 

謎の存在は何処からかガチャガチャの機械を取り出して俺に差し出す。

 

「因みにどんなもんが出るんだ?ハズレ有りか?」

 

俺の質問に謎の存在は、

 

「いや、ハズレは無しだがモノによってはハズレに思う物も入っているかな?」

 

と、何とも曖昧な答えを返してくる。

まぁ良いか、取り敢えず引いてみよう。

 

ーガチャガチャガチャッ…コロンー

 

「えーと?なになに…」

 

ーありとあらゆる料理を再現する程度の才能ー

 

って東方風か!

そして料理って………でも料理出来るなら料理屋とか開いても面白そうだ、まぁ俺的には当たりだな。

 

「ほう、なかなか珍しいのが当たったね?さぁさあ、次は何が出てくるんだい?」

 

謎の存在に急かされるように2回目のガチャを回す。

 

ーガチャッガチャガチャッ……コロンー

 

んん?さっきのより大きいぞ?

と思いながら中を見てみるとそこには、

 

ー”天運招来”………ただし、??に限るー

 

??だと?何だこれ?と思った瞬間に謎の存在が笑い出す。

 

「まさかこれを引くとはね……いやぁ驚いた、まさかこれを…いや、申し訳ないね?コレはとある主人公体質の人間が持つ能力を??に持たせてみたらどうなるのか観てみたいという発想から生まれた物なのだが作ってからここ3億年程出たことがなくてね?いやぁ本当に驚いたよ。」

 

謎の存在がそう言うと俺の視界がぼやけてくる。

 

「さぁ!では貴方の新たな門出を祝して私から特典を授けましょう!」

 

ぼやけてきた視界からでも判るくらいの光が謎の存在から俺に降り注ぐ。

そして俺は謎の空間から完全に消失した。

 

 

 

ー謎の空間ー

 

「いやいや、まさか運任せでこんなに早く私の趣味を詰め込んだ様な人間が生まれるとは思わなかったよ……さて次はどんな人間が来るのかな?楽しみだ。」

 

そう嬉しそうに語る謎の存在の手にあったガチャのカプセルには

 

ー”天運招来”…ただし、女性に限るー

 

と、書いてあり、もう一度それを見た謎の存在は天使の様だが悪魔の様にも見える笑顔を浮かべていた。




書いてて思った、やはりMUV-LUVはイイ!!

もう一つの連載も続けますがこちらの方がプロット若干出来ているので進みが早いかも?

まぁ時間出来ればにはなってしまうのですが……

時系列や原作キャラのイメージを壊したくない方は回れ右でお願いします。


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第1話 始まりと決意

SAOも完結していないのに書き始めました。

だって書きたくなってしまったから……

プロットはこっちの方が進んでたから……

戦術機まだ出ませんがそれでも読むって方はどうぞ。


 

 

…………おっ?明るくなってきた。

転生上手くいったのかな?……って落ちるぅぅ!!

 

「おぎゃぁっおぎゃっおぎゃぁ…」

 

って喋れねーよ!赤ちゃんからスタートかよ!!

全然見えねーよ!!誰よあんたら!

 

思いが通じたのか俺(赤ん坊)を抱っこしている白衣の恐らく看護師が母親らしき人に渡すと顔はよく見えないが凄く透き通った声が聞こえる。

 

 

「ほら貴方?私達の赤ちゃんですよ?抱いてあげてくださいな?」

 

母親らしき女性が奥から来た男性に俺を抱く様に促されると、

 

「月詠の家で真那ちゃん抱いて来たんだが自分の子となるとなお可愛いな!…おっと、暴れるな我が子よ。」

 

体格の良さそうな厳つい男性が私を抱くと嬉しそうな声で言う。

 

「統治おめでとう、元気な”女の子”だな!」

 

父親の横に居た赤い服を着ているだろう男性が父親を祝福する…………ん?今、なんて言った?

 

「いやいや!まっ事めでたい!!どうじゃ?今日は酒盛りといくか?ケチな事は言わん可愛い弟子の子じゃ!全部ワシが出してやる!そうだ!貴様らも来い!!………と言いたいところじゃがワシの背後から恐ろしい程の殺気を感じるでな?統治よ!奥方と娘御が落ち着いたら連絡せい!改めて祝い酒を振る舞うからのう!!」

 

ではな!、と言って豪快な人は殆どの人を引き連れて帰っていった。

……っていうか悪趣味な部屋だと思ったらあの青と赤と黄色と白は全部人だったのかい!!壁の一部かと思ったよ。

 

父親も白っぽいから医者だと思ったらどうやら違うらしい……祖父母っぽい人達と話している会話を聞く限りだと武家やらなんとか流の跡取りを、とか話しているのが聴き取れた。

 

っていうか重要な事言ってた気がするんだけど!

もう一度誰か言ってくれませんか!

 

「あら?この子ったら私達に挨拶してくれてるのかしら?私と貴方の顔を交互に見ている気がするのだけど?」

 

母親が産後の疲れを微塵も感じさせないで父親に話し掛けると父親は、

 

「うむ、さすが我が子よ!今から将来が楽しみだな………っと、そうだそうだ!もう名前を決めてあるのだがここで発表しても良いだろうか?」

 

父親が名前を発表しても良いか?と母親に確認すると母親は「えぇ、お願いします。」と父親を促す。

 

「うむ、祇園家は長男長女には名前のどこかに氵を付ける習わしが有ってな?この子が俺に似て居たら統河、白奈に似て居たら白瀬と名付けるつもりだったのだが…この子は白奈にそっくりだし女の子だし白瀬で決定だ!!祇園白瀬、良い名前だろう!」

 

女の子?お父さん?貴方、私の性別間違えてませんか?私は………アレ?無い?自分の体だから分かる…アレが無い……おい謎の存在いぃ!!TSなんて聞いてないぞ!!しかも…しかもだよ?戦闘ありそうな世界みたいなのに俺もらったの料理と運って……開始早々に結婚してお嫁さんフラグ建ちまくりなんですけど?

 

「それにしても大人しいわね?統治の時は泣き疲れるまでずーーっと泣いていたのに。」

 

祖母らしき人が頭を撫でてくると急に眠気が襲ってくる。

 

「む?寝てしまったのか?儂はまだ抱っこしとらんというのに……」

 

祖父が残念そうに呟くと控えていた医師達が、奥方様と御子様を休ませてあげましょうと言われ渋々皆下がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

ー5年後 祇園家 中庭ー

 

「お嬢様〜〜、お嬢様〜、どちらにおられますか〜〜。」

 

家の住み込み弟子兼女中さんの三ノ宮さんが私を探しているのかのんびりとした声が聴こえる。

 

「また稽古のお誘いか?私みたいな幼子に剣術を叩き込むとかこの家は鬼しか居ないのかね……全く……。」

 

木の上でやり過ごそうと溜息を吐きながら悪態を吐くと背後から恐ろしい程に優しい声が聴こえる。

 

「あら?では私は文字通り鬼婆に成るとしましょうかね?全く…ちゃんと稽古を受けなさい、今日はおばあちゃんがみっちりと稽古をつけてあげますからね?」

 

恐る恐る振り返ると其処には笑顔の般若…もとい祖母が木の枝の上に立って居た…お祖母様?いつから其処に?

 

「都さん此方です、不肖の孫は此処ですよ。」

 

祖母が三ノ宮さんを呼ぶと目にも留まらぬ速さで駆けてきて私を捕縛する。

 

「さぁお嬢様御覚悟を!」

 

完全に捕縛された、5歳児では成人女性からは逃げられないのだ。

 

「ふぅ……全く、筋は良いどころか天賦の才としか言いようがないのだけど……家族に対してはあんなに感情豊かに見えるのに何故人前だとあんな態度になるのでしょうか?…全く、おじいさんと統治がいけないのですね、来月からおこずかい減らしましょう!」

 

 

ー祇園家道場ー

 

「「ハァーー!!はぁ!はぁ!はぁ!ハァーーーー!!!」」

 

周りの門弟が私達の稽古を見学している。

何故だろうと考えたが私が考察するに私と三ノ宮さんが”弱過ぎる”から皆で観て後で駄目出しをしようという事だろう。

だって三ノ宮さん普段あんなにのんびりしてるのに剣を持つと性格豹変するんだもの、最初は驚いて負けて、お祖母様から初の直接指導を頂いたのは記憶に新しい………

 

「其処まで!!………礼!」

 

お祖母様の合図でやっと終了した。

30分くらいだけど全力の掛かり稽古は5歳児にはキツイのよお祖母様………

 

「では、都はこのまま皆と稽古を続けなさい…白瀬は私と一緒に朝食の支度をしますよ。」

 

私の返事を聞く前にお祖母様は私を抱き上げると道場を後にした。

 

 

 

ーもう一度道場ー

 

「………カハッ………ハァ…ハァ、ハァ……」

 

「都さん大丈夫?」

 

「いやぁ……凄えなぁ相変わらず……とても真似できんよなぁ?」

 

白瀬達が退場した後、ポーカーフェイスをしていた 三ノ宮 都”斯衛軍中尉”は崩れ落ち息も絶え絶えに苦しそうに蹲っていた。

原因は勿論白瀬、白瀬が考えていた事とは全く逆で白瀬と都の実力は当主と前当主、それにその奥方達の4人位しか勝てない程強く、他の門弟では相手にならない為見取り稽古をさせていたのだった。

 

「お嬢相変わらず表情がピクリとも動かんよな?でも考えてる事は分かるんだよなあ〜〜。」

 

「そうだな…今日はさしずめ…「なんでこの人達稽古しないの?…はっ!もしや私虐められてる?」ってところかね?」

 

生まれた時から知っている人には白瀬の無表情など有って無いようなもので雰囲気で感じられる為当たらずとも遠からずといったところであった。

 

「奥様に似て凄く綺麗なんですけどね?」

 

未だ若い門弟がそう呟くと

 

ーチャキッ…ー

 

「おい……俺の娘に手を出すつもりか?……死にたいのか?」

 

いつの間にかその門弟の首元に真剣を構えた現当主が現れた。

 

「いっ!?き、綺麗と言っただけです!手を出す気など毛頭ございません!!」

 

驚きながらも必死に否定をすると当主である白瀬の父、祇園統治は刀を鞘にしまいながら挨拶をし、稽古に参加した。

 

………ただ終了後、門弟の1人はボロボロになっていたという……。

 

 

 

 

 

「あら?白瀬、嗅いだことのない香りがするけどそれは何を作っているのかしら?」

 

祖母と母親と3人で道場全員分の朝食を作っていると母親が私の作っているものに興味を惹かれたのか質問してくる。

 

「コレは鳥の出汁と胡麻油をベースにした中華風のスープです。図書館の本に書いてあったので作ってみました……味見します?」

 

まさか「前世で美味しかったから再現しました!」とは言えないので何時ものように図書館の本で見た、と母親に答え顔を見ると”味見したい”と顔に書いてあったので小皿にスープを少し入れて渡す。

 

「どれどれ……あらホント、鳥の旨味が良く出ていて美味しいわね、白瀬は将来こういう道も視野に入れては如何でしょう…将軍家の料理番とか……」

 

母親に渡す筈が横から現れた祖母に小皿を盗られて感想を言われた。

何か不穏な事を考えている祖母を無視して改めて人差し指を口に咥えている母親にスープの小皿を渡すと私と同じく表情はあまり変わらないが嬉しそうに受け取り飲み干す。

 

「美味しいわ。……この酸味は何かしら?」

 

味見をした白奈が考え込む様に顎に手をあてて小首を傾げる動作をする。

 

「多分昨日お祖父様が城代省の方から頂いたカボスでしょう、少しだけ入れてみました。」

 

と、言って料理に戻る。

 

今日も平和である。………………アレさえ居なければ……あの化け物さえ……………。

 

ー……次のニュースです、大陸では依然BETAとの戦闘が相次ぎ喀什のBETA群が南進を開始し、………

 

そう!BETA!あのグロさと気持ち悪さを足して2でかけた様なナマモノが存在するMUV-LUVの世界なのですよ……どうせ死ぬなら生きてるうちは好きな事だけやっていよう……。

ニュースを聞いて絶望の未来を思い出してしまった私はそう考えていた…あまり表情には出ないが……。

 

「…ほら、白奈さん、白瀬がまた何か考え事してますよ?アレは何か次の献立でも考えてるのでしょうね、あの子の料理は発想といい味といい一流の料亭に居てもおかしくない域に達していますからね。」

 

「えぇ義母様、アレは前回の様に統治さんと義父様が涙を流して喜ぶ様な料理のレシピを考案しているのでしょう。我が娘ながら頭が下がる想いです。」

 

と、ただぼーっとしていただけだったが母親と祖母が盛大に勘違いして勝手に評価が上がった。

 

「……そう言えば義母様…この間病院の結果なんですが……3ヶ月ですって!」

 

「まぁまあ良かったわね白瀬、お姉ちゃんになるそうよ?」

 

……へっ?お姉ちゃん?弟か妹が出来たの?やった!…………ってこの世界このままだったらどんどん生活環境悪くなるじゃない!………駄目だ、このままじゃ主人公が来るまでにまだ見ぬ弟か妹が死んでしまう……よし!私が頑張る!取り敢えず……

 

「……御祖母様、母様、お願いが在るのですが宜しいですか?」

 

意を決した私が目の前の実力者達に願うのは唯一つ、可愛らしいエプロンを着けたまま貝じゃくしを一度置いて2人に向き直る。

 

「ん?白瀬がお願い事なんて珍しいわね?良いですよ、言ってごらんなさい。」

 

「料理をしたいって言った時以来だね?如何したの白瀬ちゃん?」

 

御祖母様と母様が珍しいものを見た様な顔で問いかけてくると、私は真剣な顔をして…表情はあまり変わらないが…

 

「明日からで良いのですが、本気で剣の稽古に励みます、ご指導宜しくお願い致します。」

 

それを聞いた2人は固まった、今まで本気じゃなかったのか?と、

そして、台所の外でそれを聴いていた祖父は小躍りするほど喜んでいたそうだ……女性の門弟の1人が見てしまい”恐怖を覚えた”と言っていたという。

 

「大先生が見た事ない顔で見た事ない動きをしていた……あれはもしかしたら奥義の類だったのかも……もしかして私は口封じされるんじゃないか?」

 

と。

 

翌日から道場での相手が三ノ宮さんから母様に変わりボロボロになるまで扱かれたのは言うまでもない……。




本人無自覚だけど身体能力は既に斯衛中堅クラス

実力的には

紅蓮大将>>>越えられない壁>>>祇園翁=祇園婆>>>祇園統治=黒鉄大和>>>祇園白奈>>>三ノ宮都=祇園白瀬=月詠姉妹って感じに設定してあります。


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第2話 初登城…そして初遭遇

久しぶりに時間が取れたので書いてみました。

SAOの方も順次作成中ですが先にこちらが完成したので投稿してみました。

期待している人が居るかはわかりませんがどうぞ。


 

 

ーとある武家屋敷のシャワー室ー

 

早朝からの稽古で汗をかいた女性達が談笑しながらシャワーを浴びている。

 

「…お嬢様も都もホントに肌キレイだよね〜何か特別な物でも使ってるの?」

 

「いやいや、それを言うなら奥様と大奥様にこそ聞いてみたいわよ、だって2人とも**歳越えてるのよ?」

 

「………先に上がる。」

 

女性が3人寄れば姦しいと言うが本当だなぁ〜、と考えながら、門下生の女性達より先にシャワー室を出る、青色の色素の薄い髪を梳かす美少女が見える……………あぁ、鏡に写ったわたしか…。

 

「白瀬?大丈夫ですか?今日は一段と顔色が悪く見えますが……」

 

長年の付き合いから、最早実の姉妹の様な関係になった門弟兼女中の三ノ宮都がシャワーから上がってきて心配してきたので、

 

「今日………稽古……キツかった…から。」

 

と、返事をすると、

 

「それなら良いのですが…確かに今日は大奥様と奥様の御二方も参加されて居ましたし……実を言うと私ももうクタクタです。」

 

心配そうな顔を一転させてクスッ、と笑いながら私に話し掛けてくる都さんに、

 

「ごめんなさい……心配……かけて…。」

 

と、言いながら自分の髪を結わこうとする、何故なら他の女性陣がシャワー室から出て来る前に出ないと……

 

ーガラッー

 

「あっ!今日はお嬢様まだ居る!」

 

「本当だ〜〜、髪まだ結ってないじゃないですか〜私が結ってあげますよ〜。」

 

「…………まさか……剣の腕だけじゃなく胸でも負けた……だと………」

 

………こうなる。

 

 

 

やっと解放された……こうなると女性陣が満足するまで離してもらえないので何時も早く出るようにしているのだが…

 

「白瀬やっと来ましたか、では貴女はお味噌汁をお願いしますね?」

 

お祖母様が私の方を見向きもせず言うとそれに従い昆布が入った鍋の前に立つ。

 

しかし、この家の人間は気配とか足音とかで誰が来たか分かるとか………あぁ、今は私もか……

などと考えながら鍋に火を入れて味噌を溶いていく。

おっ?そろそろ良さそうだ。

沸騰しそうな鍋から昆布を取り出し、煮立たせないように気をつけてかつお出汁を入れ、別に茹でてあった具を入れて、少し味が馴染んだ頃に溶いておいた味噌を投入すると、日本では良くある味噌汁の完成である。

 

完成した朝食を配膳車に載せて食堂まで運ぶと門下生達やお父様、お祖父様……それに目に入れても痛くないほど可愛い我が妹が出迎えてくれた。

お祖母様がお祖父様の横に座ると先程まで一緒にシャワーを浴びていた女性陣がテキパキと配膳をして準備が終わると、私とお母様もお父様と妹の近くに座り

 

「…全員揃ったな?では、頂きます!」

 

「「「「「「「「頂きます!。」」」」」」」」

 

お祖父様の号令で皆一斉に食べ始めた。

 

 

「ねーねー、ねーね。」

 

最愛の妹がお母様の膝から私を呼ぶとお母様は、「しょうがないわね〜」と言いながら無事に産まれた妹を私に預けてくれる。

 

「………あーん……ふふっ……」

 

妹が催促するように見つめる幼児用スプーンに緩めに炊いた白米を載せて手渡すと嬉しそうに受け取りそのまま口に運んだ。

 

”キャッキャ”と喜ぶ妹と一緒にご飯を食べ進める。

そうしていると真剣な顔をしたお父様が私に話し掛ける。

 

「白瀬、白音と仲良く食事するのはいいが今日は何処に向かうのか覚えているか?」

 

「……ん………お城……御目通り?」

 

そう、そうなのです!

お城!現代にもあるあのお城ですよ!

然も京都の偉い人が居る豪華なお城だそうです。

 

「うむ、白瀬の料理が絶品だと親父が自慢したらしくてな?紅蓮中将閣下からおよびがかかったんだよ、なっ?親父?」

 

父がよそ行きの仮面を外し軽い感じでお祖父様に確認するとお祖父様は、

 

「紅蓮の奴め!ワシの孫の料理が美味いんだと言ったら祖父馬鹿だとか吐かしおったんでな?売り言葉に買い言葉で、じゃあ食わしてやろう!……ということになってな?………婆さんすまんかった…謝るからワシの横で殺気出すのやめてくれんか……。」

 

お祖父様は最初は元気だったが、段々と強くなってきたお祖母様の不機嫌オーラに圧されてお祖母様に謝罪していた。

 

「まったく!貴方も貴方ですが紅蓮様も紅蓮様です、いいトシをしたジジイが孫の自慢話で喧嘩腰になってどうするのです。」

 

おおっ、お祖母様が珍しく怒ってらっしゃる。

滅多に怒らないが怒ると手が付けられない、まさに家の秘密兵器……だが、

 

「……ばーば?…」

 

「あら?白音どうしたの?おばあちゃんはここですよ〜〜♪」

 

「うきゃ〜♪」

 

家の最終兵器”白音”には勝てない。

白音が不安そうにお祖母様を見て声を出した途端に怒りが霧散したようで、お祖母様はご機嫌な様子で白音を抱き上げてあやす。

その横でお祖父様とお父様はホッと胸を撫で下ろしていた。

 

 

お父様もお祖父様も武家っ!!て感じの服装に着替えて車に乗る、その後ろに同じ様な白い色を纏った私が続く。

すると「では、発車しますのでご注意ください。」と丁寧な言葉遣いをする運転手のおじさんがニコリと笑いかけてきたが………何だろう見た事がある気がするんですが?…………貴方まさか帝都の怪人さんじゃないですよね?………お父様?今この方の名前を鎧衣と呼びませんでしたか?……嘘ですよね?嘘だと言ってください………

 

………迂闊だった………わ

 

 

車に乗って一時間程で城に着くと鎧衣さんが車のドアを開けてくれてお父様、お祖父様、私の順で降りていく。

2人が受付の為少し離れて行ったその時、

 

「…………いやはや、今日は晴れて良かったですなぁ?初めてには縁起のいい事ですし、私の息子……いやいや、息子の様な娘も元気に遊び回って居るでしょう……それに、噂の天才少女は予想外ですな?まさか私がどんな人間かご存知の様だ……。」

 

鎧衣さんが薄く眼を開け私を観察しながら話してきた。

私は背筋に寒気を感じながら必死に返事を考える。

 

「……よっ、鎧衣さんは運転手さんなのでしょう?どんな存在かはわからないですが……。」

 

私は、額に冷や汗を浮かべながら必死に返事を返す、間違ったらいつか殺されるのでは無いか?という恐怖が身体にまとわりついて離れなかったからだ。

 

「…ほぅ、”存在”…ですか…私はどんな人間か?と、聞いたつもりだったのですが?」

 

やばい、間違えた?冷や汗で背中がびしょ濡れになっているのが自覚出来る……

 

ートンー

 

ー【ビクッゥ】ー

 

 

「待たせたな白瀬、手続き終わったから行くぞ!……って何でそんなに驚いてるんだ?ん?なんだ緊張してるのか?流石にそれじゃ紅蓮様に失礼だからなぁ……着替え持ってきてるから大丈夫だよ、それじゃあ1度着替えるために道場の更衣室にでも行くか。」

 

手続きが終わった父親が私の肩に手を置くと私は跳び上がって驚いてしまい不思議そうにした父が緊張していると勘違いして宥めながら私の手を引いてくれる。

 

「では父上、私は白瀬を道場に連れて行きますので先に紅蓮中将の処に行かれては?」

 

「うむ、そうしようか。」

 

では、と言ってお祖父様と鎧衣さんを残して私とお父様は立ち去る。

 

「………おい、左近の小僧…まさかとは思うが白瀬になんかしたんじゃなかろうな?あの子があんな風に怯えるのは”あの事件”以来だぞ。」

 

「いやいやまさか、流石の私も剣術指南役の一席に名を連ねる祇園家に逆らう気概は持ち合わせておりませんよ、私が彼女に話したのは私の息子の事と天気のことぐらいですし。」

 

真面目な顔で問いただすお祖父様に対して柳に風、とばかりにニコニコとした笑顔のまま悪びれもせずに返答する鎧衣

 

「ん?確か貴様のところは娘じゃなかったか?」

 

お祖父様がふと、疑問に思い聞くと

 

「おや?そうでした、先ほどお孫さんにも同じ様なことを言ってしまいましたな。」

 

と、悪怯れる様子も無く言い切った。

 




マブラヴなのに戦術機がほぼ出無い……なんてSSだ………


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