Fate/younger saber (居居)
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Fate/younger saber


本来の第四次聖杯戦争で召還されたサーヴァントが全て若い姿(一部例外あり)で召還されています。


Side saber

 

 新雪の積もった森を二人の少女が走っている。銀髪の少女が前を走り、その子を追うように金髪の少女がついていく。二人は髪色や顔立ちは違えどまるで姉妹のごとく遊んでいた。

「セイバー!こっちよ、こっち。」

 

「イリヤー!危ないですよー!転びますよー!」

 

「大丈夫よ、ここは私の庭だのもの!あははは!」

 

 二人が遊んでいる様を庭に面した屋敷の窓から切継とアイリが眺めていた。アイリは微笑ましそうに、切継は苦々しそうに

 

「イリヤもセイバーも楽しそうに遊んじゃって。あれがアーサー王だなんて考えられないわね」

 

「・・・・あのセイバーは、王になる前の姿らしいからね。王というより騎士だ。未熟で甘い存在だよ。可哀想で愚かしいただの少女だよ」

 

 彼ら、アイツンベルンは第四次聖杯戦争を勝つために最良のサーヴァントとして、ブリテンの騎士王、アーサー・ペンドラゴンを呼び出すつもりだった。しかし、誤算があった。アーサーはアルトリアという女性で、しかも呼び出されたのはまだ幼き花の剣士だった。切継は彼女を呼び出した故に聖杯戦争への作戦を一から立て直すはめになった。

 

「どこいくの?このあとイリヤと遊ぶ約束をしていたんじゃないの?」

 

「・・・いや、まだやる事があるからね。・・イリヤにはこれを渡しておいてくれ。それとごめんと」

 

 そういって切継はアイリに武器の調達ついでに買ってきた()()()のお菓子を渡す。手のひらに載った二つのお菓子をみて、笑っているアイリに切継は背中を向けて歩き始める。

 

「・・勘違いしないでくれ。それは元々僕が食べる為の物だったんだ。余らせるのは勿体ないからにすぎない」

 

 そう言っていなくなった切継を見てアイリは微笑む。

 

「・・・・あなた、チョコ嫌いだったじゃない」

 

 

 

Side saber

 

「————みったせ、みったせー、繰り返す事、えーと五度!」

 

 月明かりだけが差す暗い部屋の中に陽気な声が響く。だが、部屋はその声の陽気さとは真逆の凄惨さだった。縛られ、歯を鳴らす少年に喉を切り裂かれ血を吹き出した死体が4つあった。この家の家族を殺した犯人である男、雨生龍之介は縛られた少年に話しかける。

 

「いや、俺ってさ巷じゃ殺人鬼だの、悪魔だの言われてるけど、俺の殺しなんてチャチャなもんだと思うんだよな。逆に本物の悪魔に失礼だと思うんだよ。だから本物の悪魔を呼び出してみたいだよ。あ、ちなみに君はやってきた悪魔への生け贄用だから。」

 

 などと笑いながら、手に持った手帳の呪文を読み上げる。実家の倉で見つけた手帳に書かれた召還術を行うために彼はこの家に忍び込み、一家を皆殺しにした。呪文を唱え終わると同時に血で描かれた陣が光り始める。その眩しさにたまらず目を瞑る龍之介。光が納まり、目を開けると陣の真ん中に血のついた鎧と剣をもった線の細い男がたっていた。

 

「———うぉおおお!本当にきたよ、マジで!悪魔っぽさは無いけど、その剣とかまじでCOOLじゃん!あ、俺雨生龍之介、しがない殺人鬼やってます。あ、この子、悪魔さんへの差し入れっす。どうぞ、やっちま———」

 

 ———雨生龍之介は昔から死に興味があった。人の死の意味を知る、そのためだけに殺人を繰り返し、人の命を弄んでいた。故に彼に死への恐怖は無く、いずれ自分を襲う死への恐怖もまるで無かった。たが、皮肉にも死の収集をしていた殺人鬼雨生龍之介の最後は自分が死んだ事すら気付くことはなかった。

 一振りで龍之介の首を刎ねた鎧の騎士は、召還の生け贄となって死んだ者たちに祈ると闇にとけ込むように消えていった。

 

 

 

Side saber

 

 聖杯戦争を取り仕切る御三家の一家である間桐。その屋敷の地下室において、間桐家の次男である間桐雁夜がサーヴァントの召還を行おうとしていた。地下室で彼は一人で召還を行っていたが、部屋の隅には使い魔である蟲達が蠢いていた。

 

————降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ————

 

 部屋に描かれた魔法陣の中心には何かの破片の様な物が置かれていた。その破片は雁夜の戸籍上の父である臓硯が彼に合うと見繕った物であった。はじめ臓硯はその英霊をバーサーカーとして召還させるつもりだったが、どうやら英霊召還のシステムに狂いが生じた気配を感じ、ことの調査の為にクラスを決めずに召還させる事にしていた。

————たせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度————

 

 雁夜にとって、魔術や聖杯戦争など二度と関わるつもりは無かった。間桐を出て、普通に暮らし、普通に死んでいくつもりだった。幼なじみの葵に彼女の子の桜が間桐の養子に入ったなど聞くまでは

 

————我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うなら———

 

 間桐の魔術の醜悪さをなにより理解している彼にとって桜を間桐へ養子に出すなど到底許せる物ではなかった。そして、それを決めたのが葵の夫である時臣だと知った彼は、彼女達の幸せを奪った存在として復讐すべき相手だと決めた。

 

——世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を———

 

 時臣を殺す、桜を救い出す、その二つの目的のために間桐に戻り、聖杯戦争に参加した。聖杯を間桐にもたらせば臓硯の目的は果たされ後継者は要らなくなり、桜は解放される。その聖杯を手に入れる過程で必ず立ちふさがる時臣を殺すつもりだった。それが誰にとっても最善の結末だと信じて疑わず、彼は戦いを決意した。

 

———汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―—!

 

 復讐心、劣等感、嫉妬、といった負の感情に支配された彼は気付かない。その幸せがどれだけ視野の狭い物かを。ありったけの憎悪を込めた詠唱を唱え終えると、魔法陣が輝き、弾ける。光の収まった魔法陣の中心には先ほどまでいなかった紫紺の鎧の騎士が立っていた。

 

「サーヴァント、セイバー。ランスロット、参上致しました。汝が私のマスターか」

 

「ああ、そうだ。…くくく、円卓最強と名高いお前がセイバーとして限界したならば、俺の勝利は決まったも同然だな。これで時臣の奴にも目に物見せてやる。」

 

 そう言って嗤う雁夜を見てランスロットは痛ましそうに目を伏せる。彼は一目でマスターの異常性を見抜いていた。その姿は生前、彼がよく見た、そしてなにより自分がそうであった様な、愛に狂った男だと察していた。それが(・・・)善くないものだと理解していたがそれを留める筋合いもすべも知らなかった。

 

「ええ、セイバーと呼ばれるような資格もない矮小な男ですが、あなたの為に剣を振るいましょう」

 

 だから、彼はただ黙して戦う。彼がどうか救われるようにと祈りながら。

 

 

 

Side saber

 

「我がサーヴァント、セイバーよ。私に聖杯を捧げよ」

 

「ハッ、このディルムッド・オディナ、我が剣、ベガルタ、モガルタにかけて必ずや。」

 

 

 

Side saber

 

 冬木市の一角にある住宅街を一人の少年が大きな荷物を抱えて歩いていた。重い荷物に辟易としながら帰宅し、自宅の門を開けて入っていく。荷物を玄関に下ろして家の中の人を呼ぶ。

 

「ただいま。頼まれた買い物いってきたよ。」

 

「お帰り、ウェイバーちゃん。ありがとね。悪いだけどそのまま冷蔵庫に持っていってくれないかい?」

 

「いいよ。あと、アイツはどこにいる?」

 

「アイツじゃなくてイスカ君でしょ。イスカ君なら、外でお爺さんと一緒にいるよ。」

 

 荷物をもっていた少年、ウェイバーは買ってきた食材などを冷蔵庫に仕舞うとバッグの中から本を一冊だすと庭に出て行く。庭に面した縁側には老人と赤髪の少年が並んで座っていた。少年は楽しそうに老人に話しかている。

 

「おい、セイ…イスカ!頼まれた本を買ってきたぞ」

 

「お、ウェイバー、ありがとう。それじゃあ、お爺さんじゃあね。」

 

ウェイバーに本を渡されたイスカは縁側から立ち上がり、ウェイバーとの自室に戻る。イスカ、—真名はアレキサンダー—はウェイバーがセイバーとして召還したサーヴァントだ。ウェイバーがマッケンジー家に暗示で孫として潜り込むにあたって友人のイスカ(クラス名や真名で呼ぶわけにはいかず、異名をもじって偽名とした名)、彼は聖杯戦争など忘れたかのように現世を歩きまわって満喫しようとしていた。さすがにそれはさせまいとしたウェイバーが買い物などを代行して彼の欲求を充たしていた。今日も彼の頼みでイリアスの翻訳本を買いにいかされていた。

 ウェイバーからイリアスを受け取ったアレキサンダーは床に座り込み、直ぐに読み始める。それをウェイバーはイライラしながら眺めている。

 

「セイバー、いつまでこんな事をしているつもりなんだ?。御三家や他のマスター達も召還を終えているはずだ。いつ聖杯戦争が始まっても可笑しくないんだぞ!?」

 

「まあまあ、ウェイバー落ち着きなって。焦っても何も良い事なんて無いよ。いまはゆるりと機を待とうじゃないか」

 

 自分の魔術師としての力量を見せつける、その為だけに時計塔のロードの一角にして師であるケイネスを裏切り、征服王の遺品を盗んだウェイバーにとって、この聖杯戦争を負けるわけにはいけないのだ。不退転とも無謀ともいえる賭けのもと、奪った征服王のマントの切れ端を触媒に召還をしたが、呼ばれたのは今だ至らぬ若き姿であった。

 

「———まったく、なんでわざわざ若い姿で召還されるんだよ。クラスもセイバーかと思えば、お前、セイバーの適正は低いんだろ?もってる剣もぎりぎり宝具と呼べる程度のものだし、ホント最悪だよ。」

 

「そんなこと僕に言われても困るよ。呼んだのは君だよ。それで僕が呼ばれたってことは、未来の僕より今の僕が君への縁が強かったてことなだろう」

 

「ハッ、僕には未熟なお前がふさわしいってことか。まあ、いいさ。未熟なサーヴァントを用いて勝ち抜いた方が僕の技量が示せるってもんだ。」

 

「その意気だよ、ウェイバー。他の六騎の英霊と渡り合うには、君はもちろん僕も、知恵も力もなにもかもが足りていない。なればこそ、心で負けているわけにはいけない。相手が強大で、試練は困難なほうが挑む価値はあるのだから」

 

 若き魔術師、ウェイバーと若き征服王、アレキサンダー、彼らは共に未熟にして未完の存在。古今東西の英傑が集いし聖杯戦争で彼らは研磨され、力を示していく。

 そして、ウェイバー・ベルベットは知らない。確かにアレキサンダーは未だ王と成っていない少年だ。つまり、今の彼はあらゆる可能性を許されたものであった。その者との相性が良い、その意味を。それは同じく大いなる可能性を持つ者か、はたまた可能性を導く者なのか。その意味を知るものは未だだれもいなかった。

 

 

 

Side sabers

 

 そして御三家最後の一角、遠坂家においてもサーヴァントの召還が行われていた。しかし、それを行うマスターは遠坂時臣でなく、聖杯戦争前に離別したはずの彼の弟子にして、監督役の息子である、言峰綺礼だった。彼のサーヴァント召還には彼の他に師である時臣、父である璃正、そしてソファーに座る金髪の少年が立ち会っていた。時臣監修の下書き上げた魔方陣を前に召還の詠唱をしていくが、通常のものと違いそこに一節『アサシン』を指定する言葉を足す。綺礼は落ち着いてミスなく呪文を唱え終える。しかし、魔法陣は何も反応を示さない。

 予想外の召還失敗に時臣は焦り、慌てて陣を調べようとするが、座っていた少年が静止の声をかける。

 

「止まって下さい、マスター。綺礼さんと璃正さんも」

 

「王よ、なにを言っ「動けば死にますよ」っ!」

 

 

 金髪の少年、名君と呼ばれていた頃のギルガメッシュはその宝具にまで昇華された慧眼でナニカがいる魔法陣を観る。未来を見通して、あらゆる真実をも暴く千里眼を持ってしても()()は姿をハッキリと見る事ができていなかった。その異常性を彼自身がなにより自覚していた。彼は背後の空間から一本の宝剣を取り出し構える。

 そのギルガメッシュのただならぬ姿に時臣たち三人が息をのむ。すると、どこからとも無く声が届く。

 

「我を呼び足したるは汝か?」

 

 物理的な重圧として感じるほどの圧が籠められた問いかけに綺礼は冷や汗をかきながら無言でうなづく。代行者として多くの死線を潜ってきた綺礼だが、このような圧を感じた事はなく、一言も声を発する事ができない。それは璃正や時臣も同じだった。唯一声を出せたのは

 

「なるほど、あなたが真なるアサシン、真なるハサンですか。依頼や使命でなく、天命に従い命を刈り取りし者と言った所でしょうか。」

 

「然り。我こそが最初にして最後のハサン。

我が面は翁の死。我が剣は翁の裁き。

我は山の翁にとっての山の翁。

――――すなわち。ハサンを殺すハサンなり。」

 

———ここに最後のセイバーが召還された。七騎の剣士が入り交じる第四次聖杯戦争が開幕する———

 

 

 

 

 





セイバーリリィに子ギルに加えて綺麗な旦那やアレキサンダーがいるなら、全員若い版出せるじゃん

やばい、剣スロットや剣ジルのせいで、セイバークラスが被る

そうだ!全員セイバーにしてしまおう。アレキサンダーもスパタ持ってるし、ディルも子ギルも剣の宝具あるしいけるだろ!

あれ、ハサンどうしよ?子どもなら静謐ちゃんかな?でも剣、持ってないしな。....若い、子ども、過去、古い...古くて、剣を持ってるハサンって...あれぇ?

・・・ワァーオ


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