「俺の幼馴染の胸元がキャベツ」 (里芋(夏))
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幼馴染は
ガラガラ、と窓が開く音がした。
窓の下にある俺のベッドに『何か』の加重がかかり、ギシギシと音を立てる。
冷気が部屋中を蹂躙して回るのを、目は開けず顔だけ出して布団の中で体を丸めながらも、感覚的に理解する。
ーー瞬間、カーテンがレールを滑る気持ち良い音。
しかし外はあいにくの曇りで、網膜への刺激は薄い。
ガラガラ、と再び窓を動かした音が響く。
外気はシャットアウトされたものの、未だにその名残はある。
目を閉じたままの視界が少し暗くなり、何かが耳元で囁いている。
「…く〜ん、朝ですよー。翼く〜ん?」
ーーこうかは ばつぐんだ !
冬とは気色が違う初春の寒さを肌で感じつつ、ゆっくりと布団を除けて体を起こす。
ぼーっとした頭を必死に回転させて、セーラー服に身を包み、何食わぬ顔で足元に正座している彼女に問いかける。
「…え?いや、なんでいんの?」
目を細め、お上品に笑って一言。
「昨日も、一昨日もその前も、高校入ってからずっと起こしてあげてるじゃないですか。忘れちゃったんですか?」
何が面白いのかニコニコと笑みを浮かべ、コテンと首を傾げる彼女。
天性のあざとさ、幼さには、我が幼馴染ながら感服である。
「いや、それは事実なんだけどさ…」
俺の記憶が確かなら、
「ーー今日、日曜日。」
枕元にあったスマホのロック画面を見せる。
ちらっと見えた数字は七時三十分。
平日ですら八時起き。休日はいつも昼過ぎまで寝ている俺にとっては、そうそうお目にかかれない時間だ。
一瞬目を見開いた彼女は、スマホの画面を穴が空くほど見つめてから口に手を添えて、また上品な笑いを零した。
「………
「明らかに『ちょっと』じゃねーよ目ぇ覚めちまったじゃねーかちくしょー」
あーあと呟いてベッドから降りる。
「取り敢えずソレ、着替えてこいよ。
休日にわざわざ着る意味もねーし。堅っ苦しいだろ?」
はーい。と返して、窓枠に足をかける彼女。
構図だけ見たら
スカートがイイ感じに揺れる。見えそうで見えないチラリズム。
こんな時に限って何故春一番は仕事しないのか。(失望)
…さて、くだらないこと考えてないで、俺もいい加減着替えねば。
「…あ、翼くん」
「ん?」
「ーーおはようございます♪」
鶯色の、ふわふわとしたボブカット。
きめ細やかな白磁の肌。
左目の泣きぼくろ。
しなやかな指に、瑞々しい太腿。
そして何より彼女を象徴する、蒼と翠のオッドアイ。
「…ああ、おはよう、楓」
ーーどこからともなく、怨嗟の声が聞こえた気がした。
大学まで一気に飛びます
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大学での
本当に申し訳ございませんでした!
およそ半年に及ぶエタ。
昨日の投稿詐欺(時差のせいか予約投稿しようとするとダイレクトになってしまいました)
こんなクソ作者のファッキンノベルを気に入ってくれた方々に感謝を込めて、この話を投稿させていただきます。
ーー君…アイドル、やってみないかい?
◆
…確かあれは、大学二年生の六月中頃。
放課後、学内併設のカフェテリアで『彼女』が来るのを待っていた時。
既に茶色一色のカフェオレを、意味もなくカランカランと混ぜていると、スーツを着た初老の男性に声を掛けられた。
曰く、「相席、いいかい?」と。
周りを見れば、カップルやウチの付属高校のうるさい高校生で席が埋まっていた。
なるほど一人の俺に声を掛けるワケだと納得し、どうぞどうぞと勧める。
「お言葉に甘えて」と男性が座った。
ーー…きみ。今、何歳だい?
…まさか、『彼女』じゃなく俺がナンパされる日がくるとは。
…しかもこの人、
ーー19、ですけど…?
言外に「何の用だ?」と問いかける。
ーー芸能界に、興味ないかい?
ーー……芸能界、ですか。…まぁ、人並みには。
ーー実は、僕はこういう者でね。
そう言って男性が胸ポケットから取り出したのは、一枚の紙。
名刺には男性の名前と、チーフプロデューサーという地位。そして
ーー……346プロ?
…あぁ。駅前の、お城みたいな建物ですか?
ーーそうそう。来年四月設立のアイドル部門。
君がその男性アイドル1号って訳だ。
…んな昭和ライダーみたいなネーミングでいいのか芸能事務所。
『アイドル』
男だと、
特に、元
カレイドなんちゃらって曲は俺でも聞いたことがある。
っていうか『芸能界に興味ある?』っつーか『芸能界入りする気はある?』のほうが正しいんじゃ…
ーー…ああ。別に、今すぐ決めろとは言わないよ。
いつでもいい。
まぁ、早いに越したことはないけどね。
連絡をくれれば、すぐに日取りを決めて話し合おうと思ってる。
なんつーか、あまりに話がサクサク進みすぎて、何が何だかわからなくなってきた。
…っていうか、
ーーすいません、お話はありがたいのですが…
何故出会ったばかりの俺を、こんなに熱くスカウトしていらっしゃるのか…正直、よく分からない。といいますか…
ーーあー…つまり、スカウトの理由を聞きたいってことだね?
全部挙げていったらキリがないから、大きいのだけででいいかい?
コクリと首肯。
ーー…笑顔、だね。
ーー………笑顔…ですか?
いや…え?それだけ?
笑顔っつっても、「相席どうぞ」の時の愛想笑いくらいしか見せてないと思うけどなぁ…
ーー…ああ!言っていなかったね!
君のゼミの教授、いるだろ?
彼、僕の高校・大学時代からの親友なんだよ。
今日は彼と久々に会うことになってね。
いやー、二十数年は大きかったね!
地味キャラだった彼があんなに…
ーー…っとお、本題からいつの間にかずれてたなぁ。
いや、失敗失敗…。
あれ、何の話をしていたんだっけ?
ーー…はぁ。
俺の笑った顔をいつ見たんですか?…って話です。
んで、うちのゼミの教授とプロデューサーさんが旧友だってとこまで…
ーーそうそう!
それで、歓迎会の時の写真を見せてもらったんだよ!
いやぁ、いい笑顔してたねぇ。
…本当は、君の隣にいた…あの茶髪の女の子もスカウトしようと思ったんだけどねぇ。
茶髪、ねぇ…。十中八九あいつだろうな。
ーーあぁ。でもあいつ、もう
ーー聞いたよ聞いた。
いやぁ、一歩遅かったかぁ…
途端、何処からかピリリリと鳴り響くガラケーの着信音。
正面の男性はサッとそれを取り出すと耳に当て、相手と二、三言交わすとこちらへ向き直った。
ーー…すまないね、呼び出しがかかってしまった。
じゃあ、いつでも連絡してくれ。いい返事を、待っているよ。
ーーお話、ありがとうございました。頑張ってください
ーーありがとう、それじゃあ。
ぼーっと、カバン片手に出入り口へと歩く男性の背中を首を右に捻りつつ追っていくと、突然プニッと右頬に指が刺さった。
そして、塞がれる視界。
ーー…だーれだ?
ーーああ、終わったんだ。じゃ、帰ろうぜ。
ーー…むぅ………だーれだっ?
ーー…っあー、はいはい。
俺の可愛い可愛い幼馴染さん…だろ?
突如、俺の目にパッと光が帰ってきた。
後ろを振り返れば『彼女』は嬉しそうにはにかんで、頬を桃色に染めていた。
ーーふふっ♫
…大正解、ですっ。
里芋師匠、頑張りますっ!(エヘ顔ダブルピース)
…ああ、待って!無言でブロックリストにブチ込まないでぇぇぇぇぇぇぇ!!(ビクンビクン)
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帰り際の
連載3つ抱えてるくせに。
ふみふみ詰まってるくせに。
…どれもこれも全部ガンダムUCのサントラが悪かったんや!(褒め言葉)
ーー
大学からの帰り道、夕焼けが街に影を落とす頃。
この時間帯になると多少は涼しく感じるが、それはあくまで真昼間との対比によるものであって、夏…しかも梅雨明け直後という季節がら、暑い上に湿気がすごい。
暑さからか顔をほんのりと赤らめ、汗で服をしっとりと肌に張り付けている楓の姿は、
あどけなさを残したまま色っぽさを増していく彼女に、年月という概念は関係ないのかもしれない。
若干透けた白い肌をさり気なく見ていると、自分がどれほど汚れてしまったのかをも透けて見えているような気がしてくる。
…はい、嘘吐きました。中学生の頃からずっとチラ見してましたすいません。
ーー不意に、蝉の鳴き声が止んだ。
「…なぁ、楓。」
「ん〜?なんですか〜?」
フンフフフン…♫とご機嫌に鼻歌を歌いながら、俺の少し前を歩く楓。
突然立ち止まった上で質問をするでもない俺が気になったのか、クルリと振り返ると微笑みを浮かべて首を傾げる。
「…あ、いや、今日の晩飯は何にするのかなー…と。」
「…晩ご飯。
うーん、そうですね…ハツとネギの塩炒め、なんてどうで
「…聞いといてなんだが、親父かお前は」
「フフッ、お
「……それじゃ、俺が
…いつからこんな
じゃなくて、
「なぁ、楓」
「はーい、なんですか〜?」
俺が次に口を開こうとした瞬間、何かに勘付いたようにあっ、と声を上げる楓。
「ーーもう夕食のメニューは変えませんよ…!」
「誰も変えろだなんて言ってねーよ」
俺がそう言った途端
フンスッ…って擬音が聞こえてきそうなほど達成感に溢れた表情には、もう…うん、なんて言えばいいんだろうね?
…いや本当、いつからこんな残念極まりない娘になってしまったんだマジで(重語)
「ま、仕切り直しっつーことで…俺さ、アイ「アイドルになろうと思う、ですよね?」…です」
………いや、あってるぜ?あってるけれども…!
そこは自分の口で言いたかったっつーか、なんで分かったのかってところが非常に気になるっつーか…
「…ふふふっ。毎朝起こしに行くのに、名刺は机の上に置きっぱなし。
昨日、夜に
…『母さんの声真似が地味に上手い』とか、『俺が直接言うっつったのになんで話しちゃってんのママン』とか、『そもそもなんで
「まぁ、そういうことだから…
すまん。多分、明日からは夕飯一緒に食えないと思う。」
…アイドル活動しつつ学業を通常通りに修めるには当然、夜にレッスンを回す必要がある。
別に、『モデル業は簡単だ』…なんて言うつもりはないが、今西さん曰く、楓のようなファッションモデルの場合、究極的に言えば
売り上げに関わるものが多いことが、単純に必要とする
さらに言えば、モデルの一回ごとの実質所要時間は、メイクと
しかしアイドルの場合はその逆。
深夜の生番組やラジオ・ライブ、CD録音なんかだと一度の失敗も許されない。
故に、レッスンやセリフ・流れの
とにかく、アイドルは時間の制約が厳しいのだ。
ホラー系や眠たげ系キャラでもない限り目に
まぁ、その辺は
「…仕方ないですね〜、翼くんは」
立ち止まった楓から零れた言葉に、振り返ろうとした刹那に触れた、
「ーーか…えで…?」
夕焼けを背景にこちらに微笑みを向ける楓はとても綺麗で、
「翼くん」
その声は、言葉は、
「同棲、しましょうか?」
抗い難い魅力に満ちていた。
現在、主人公・楓さんは同じアパートで一人暮らし中です。
モデル、アイドル云々は完璧に思いつきです。
そして変則ダジャレ二連発。
…うん。
作者の限界はここまでだっだんだ…(ダジャレの感想乞食)
2017.4/12一箇所伏線を追加しました。
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346プロで
無課金に80連爆死はツライ、割とマジで…
「ーーうん、デカい」
目の前にあるのは巨大な城門。
その建物は“
「あー…転校初日の中学生レベルで緊張する」
「そうかい?言うほど緊張しているようには見えないけど…」
「…まぁ、転校したこと無いですし。」
今日の予定は、合格が決まった上での役員面接の後、契約確認。
敷地内の施設見学の後で、体力測定…というより、歌唱力やダンスの巧さを見てもらった上で、今後の大まかなスケジュールを決める…ってな感じらしい。
最初に行われた役員面接は、常務兼執行役員の
トントン、お入りください、失礼しますの3コンボ。
大学入試を思い出す流れだった。
相手をしていただいた美城常務は…結果主義?というか、可能性より確実性…みたいな人だった。
「〜します」って言うと「それらは現時点で実現可能ですか?」って返してくるタイプ。
デキる女感満載の美城常務と1対1で見つめ合いながらの超圧迫面接。
合格するって分かっててもアレは辛い。ほんとマジ。
契約書にサインした後は俺の担当が今西さんだってことを社長さんから聞いて、今西さんと二人で施設見学。
…あ、ちゃんと契約書は読んだぜ?社会人としてそれは当然。
施設見学は…うん。
みしろぷろだくしょんはすごいとおもいました(小並感)
…いや、ジムとか売店とかシャワー室…くらいは予想できるけれども、スパにカフェ、サウナ、プール、ジャグジー、それに346プロ専用撮影スタジオって…
ついでに言うと、レッスン室は8部屋、スタジオは2部屋ある。
やったねたえちゃん、いっぱいいても大丈夫だよ!(意味深)
…建物自体は4棟有って、90°が二つある台形みたいに配置されている。
渡り廊下を使って全部を回ろうとすると、まずフロントとかお偉いさんがいる
本館エレベーターホール手前で右に曲がって、東に抜けるとジムやプール、スパなんかがある
そこを真っ直ぐ北に抜けると我らがアイドル部門がある
んで、西に行けば女優俳優部門、声優部門、芸人部門がある
なんで全然人がいないアイドル棟があるのに旧部門棟にこんな詰まってんのかって言うと、中の人たちが愛着が云々でごねた結果らしい。
まぁ部屋数は足りてるからいいか、と上も押し負けたんだそう。
因みに、敷地の真ん中には中庭があるが、現状建物間のショートカットにしか使われないらしい。哀れ。
その次は
高校時代のカラオケ通いが功を奏したのか、歌に関してはトレーナーさんから及第点をもらった。
が、そのせいもあってか歌い方に変なクセがあるらしい。うーん、褒められているのかそうでないのか…
あ、歌わされたのはジュピターの【カレイドツーリズム】だった。
そういえば
彼らは1990年代で言う
へー、知らなかった(平成人)
…え?ダンス?
いやな、事件だったね。
…いや、俺も最初から上手いとは思ってなかったけど、慰める前にもうちょい言い方とかあったんじゃないですかね?
3時間くらいぶっ続けで練習させられて、本番始まって10秒あるかないかのところで「ハイ下手ー」って言われてぶった切るとか…
トレーナーさんマジぐう畜ですわ
んで、今に至る…と。
「ーー冬に入っちゃうと、良い新人が出てきても、現役の年明け年末ライブとか
「…いや、だからって
準備期間1ヶ月って…えぇ?(困惑)
「春・秋の歌はバラードとか、そういうゆったりしたモノ…要は、売れてるアーティストの新曲が主流になる。
若さを売り込むには、夏ウタ枠でドカンと沸かせる…っていうのが業界の定石らしい」
無視ですか。
…まぁ、理屈は理解できるけどさ。
「それに、君はもう夏休みだろう?」
トントンとスケジュール帳を指差す今西さん。
やめて!世の中にはレポート提出を溜めるタイプの人間だっているんですよ!
「…まぁ、今西さんがそんなに推すってことは、我に策ありってことですよね」
「ーーうん。レッスン漬けだね」
「やっぱ帰っていいっすか?」
「ごめん、もう関係各所に連絡は行ってるんだ」
「事後承諾!?」
鬼!悪魔!今西!
こんな
………あれ、楓さん?
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本番前に
文学少女は書けねぇ。
眠くてやってらんねぇ。
笹食ってる場合じゃねぇ!
…ではどうぞ(達成感)
曲のテンポに合わせて手を叩く音。
「ーーワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー、ワンツースリー、ハイ転、調!」
「…ワン、ツーハイッ!
「…どうだい?」
いつの間にか入って来た今西さんが俺にポカリを投げ渡しつつトレーナーさんへ一言。
「あー…まあまあ、ですかね?
でも翼くん、ヘッドスプリングも結構サクッと覚えてくれましたし、今週入ってから失敗は全然無いんで、ポーズ毎に身体をキチッと止められればまぁ…歌と合わせて及第点ってとこです」
「それは良かった、君の及第点は信用出来るからね」
「…こっちも新人なんですから、あまりプレッシャーかけんでください」
「その“新人”は346プロ社員としての新人だろう?
それを言ったら、僕だって新人プロデューサーだよ。アイドル部門としては」
「「ハハハハハ!」」
「…ありがとうございましたー」
楽しそうに話し込むおっさん二人を尻目にシャワールームへ。
明日のイベントは秋葉原の有名CDショップでのライブと握手会だ。
俺の初シングルは既にそのCDショップ系列には全店並んでおり、売り上げも好調なんだそう。
…あ、当然だがその【好調】の前には“テレビに顔を出してない新人の売り上げとしては”ってのが付くけれども。
歌う曲は俺が
夜遅くにヘトヘトになって家に帰ると笑顔の楓がおかえりなさい。
かわいい。
でも一緒のベッドに入ってスグ爆睡する俺の横でイジけ顔の楓。
かわいい。
…まぁ一応
…って言ってからここ数日、臓物系の炒め物とか、ツマミとしてニンニクのホイル焼きとかそういう精の付くものばっかり食ってる気がするんだけど、あれは楓なりにファーストライブを応援するためなのか、それとも違う
◆
シャワールームから出たところで今西さんがスマホをいじっていた。
「翼くん、
「時間以外ははいつも通りってことっすね?」
「うん、まぁそうだね。…はいどうぞ」
「お!ありがとうございます」
差し出されたのはあずきクリーム味のランチパック。
…貴様どこで俺の好みを知った!(完食後)
「いや、ウチの書類に全部書いてあるじゃないか」
「そうだった」
「…あ、そうだ。僕の方も
へー、それは良かった…のか?
「…そういや気になってたんですけど、プロデューサーってどんな仕事なんですか?」
担当アイドルの仕事持ってきて、スケジュール管理して、送り迎えして…くらいしか思い浮かばないんだけど。
担当に専念してくれる、っつってもメリットが見えないんじゃなんともなぁ…
「…まず担当アイドル“達”のスカウト、もしくは面接だろう?
それから、担当の子のプロフィールとか載っけたウェブページを346のサイト上に作って…
仕事を取ってきたり、来たのがヤバそうな仕事だったら断ったり。
後は、今後のレッスンの予定とかトレーナーさんとの打ち合わせ。
時間がある時は上の方々に新しい企画考えて出す…みたいな」
「…お、おおう…っていうか、今の話からして俺のプロフィールも既に載ってるんすか?」
「もちろん」
ほらこれ、と社員用スマホで見せられたのはそのページ。
写真とかも結構貼ってあるな。
「しかも、これからは俺以外にも担当するアイドルが増えたり?」
「お、気付いたのかい?」
「…まぁ、あんなに“アイドル達”って強調されたら流石に。」
今西さんって意味ないことはしないタイプだし。
「うんうん、喜びたまえ男子大学生。次にキャッチするのは女の子の予定だからね」
「へー、そーなんすか」
「…あれ?何らかの方面では食いついてくると思ったんだけど、意外とドライだね」
「…いやまぁ、相手が女性の時点で俺とユニット組む可能性はほとんど無いわけですし、レッスンルームとかも結構部屋数あるから被らないしで、実際接点を持つことは少ないかなー…と」
「まぁ、僕もそうなるとは思うけど…
いつか新しいプロジェクトで一緒になることがあるかもしれないから、最低限の付き合いくらいは頼むよ。君より年下の子がほとんどになるだろうし」
あー…もしかして俺、女性苦手だと思われてる感じか?
「いや、別に関わりたくないってわけじゃなくて、むしろ年下の子は好きなんで大歓迎っすね」
かなり年の離れた妹がいるからか、小さい子は好きというか…うん、得意だ。
「…やーいロリコン(小声)」
「ヤメロォ!」
独身アラフォーめ!禿げろ!(偏見)
「…そういえば、一口に年下っつってもいろいろあるじゃないっすか。どのくらいの子達狙いなんですか?」
「あー…小学生、かな?」
「…やーいロリコン(小声)」
「ヤメロォ!!」
…後から聞いた話だが、プロデューサーはそういう噂が流れるとマジでその方面の仕事がなくなるらしい。
正直、すまんかった。
最近楓さん出てなくねってそれ作者に一番言われてるから
2017.4/12::一箇所伏線を追加しました。
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その日は
デレマス小説書いてるのにバンドリにハマってたとかそういうんじゃないんです!(自爆)
…いや真面目な話、部活決めやら何やらの高校生活が大変すぎてやる暇が無かっただけなんですけどね
今話からなんとか週一投稿に戻…せれば良いなぁと考えています。
8月某日、太陽が天頂から下り始めた頃。
「ーーさて翼くん。今日が本番なワケだが、どうだい?」
「……どう…って聞かれても上手く答えられないですけど、緊張感はあっても緊張は無く…って感じですかね。
あとは期待かな?」
「…まぁ、フィーリングだけど言いたいことは理解出来た…と思う。」
今までほとんど使ったことのない、346プロにあるプロジェクトルームで現場移動までの時間潰し。
と言っても、俺は大体の流れや台詞が書いた紙を見ながら。今西さんは、何やら忙しなくキーボードをタイピングしながらだけど。
「…そう言えば、来月の頭から俺の後輩が何人か来るんですよね?」
「うん。今やってるのも、ソレ関係の契約書やら説明会資料やらの推敲でね」
ほら、と言って今西さんが見せて来たのは、新しく入るはずのメンバーのプロフィールが書かれた用紙。
「…それ、俺に見せてよかったんですか?」
「遅いか早いかの違いだよ」
今西さん曰く、
「…あれ?
◆
15:00からの
因みに俺が今何をしているのかっつーと、控え室…と言う名のスタッフルームの扉を背に、メイクをしてもらっている最中だ。
…あれ?よく考えたら俺なんもやってねーな。
「本番まで残りジャスト5分!機材組み上げどうなってる!?」
「柱に床と上下ライト設置まで完了しました!」
「音響機器チェックも完璧です!」
「スタッフいつでも行けますよ今西さん!!」
「ハイ翼くんメイク終了で〜す」
「ありがとうございました」
「いえいえ〜」
それでは〜、と言いながら控え室から出て行くメイクさん。
彼女と入れ違いになるように、さっきまで関係者通路で指示を出していた今西さんが入って来た。
「翼くん、準備は」
「もちろん」
食い気味に返答。
そりゃ良かったと溢す今西さんと共に、通路を抜け
「…緊張は?」
「まったく」
ーーそして今、
「不安は?」
「ないっす」
時計の針は一つとなり、
「楽しみかい?」
「とても」
扉が
「ーー魅せてくれよ、
開いた
◆
小さく沸いた歓声。
直後、何十もの無言の視線。
それが意味するところは、一つ、ほとんどが
「…っ!皆さんこんにちは!新田 翼です!
今日は俺の初めてのライブを見に来てくれて、ありがとうございます!」
俺の言葉に返って来たのは、申し訳程度の拍手と無言の催促。
…まぁ、俺も今西さんも予想はしていた。
近年、スマホなどのネット環境の普及から、動画サイトや音楽ダウンロード用アプリは確かにユーザーを増やしている。
が、それが俺の初期ファン数に結び付くかと訊かれれば、現状はNOとしか言えない。
アイドルだろうと歌手だろうと、売れるまでは
誰もが何処かに持っているその固定観念が、誰かの始まりを否定する
逆に言えば、最初は誰もが同じ地点だということ。
…とまぁ、頭では理解出来ても、はっきり言ってこれはキツい。
それでも…いや、それなら尚更、
「じゃあ早速、聴いてください!新田 翼で、『Sizzle Squall』!」
ーー
◆
音が、弾けた。
そうとしか形容出来ない何かが
光に群がる蛾。
ある新聞社は後日、この景色をそう表現することになる。
例えは悪いが、CDショップ吸い込まれるように入って行く人々を見ればそう思うのも無理はない。
総計226名。
スタッフが計上した握手会の参加希望者数を思い出し、口の中で反芻する。
確かに、
彼が入社した当初の計画としては、最初の1ヶ月は歌を中心に、ダンスはそれなりでファーストライブを終え、その経験を基に
ーーしかし、彼はわずか3日で此方の要求度を越えてきた。
バックで音を流さずとも、踊りながら普段通りに歌える。
全てのアイドルが欲してやまないその才能を、彼は持っていたのだ。
すぐに予定やトレーナーを変更し、振り付けも複雑化させた。
そして迎えた
CDショップの中は人がごった返し、誘導にショップのアルバイトまで借りるという異例の事態だ。
正直なところ、ここまでとは思っていなかった。
勿論、僕がアイドルの
…が、僕だってトレーナーには及ばずとも1ヶ月間彼の歌や動きを見てきた人間だ。
だから、断言できる。
彼の動きは、明らかに
フリの一つ一つを正確に決め、その歌声には寸分の揺れすら見られない。
…いやはや、これじゃあ後発組への期待値が上がってしまう。
口では困った困ったと言いながらも、自然に口角が釣りあがってしまうのは、そういうことなんだろう。
「今西さん!あっちお願いします!!」
「ああ、今行く!」
今西さんが企業人染みた思考してるのもきっとウチだけ。
次はやっと楓さん出るよ!
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握手会と、
今作を楽しみにしていらっしゃる方々には非常に申し訳ないのですが、1から読み直して色々考えた結果、今話を以ってこの作品を打ち切らせていただくこととなりました。
今の所、作品自体の削除はしない方針でいます。
理由…が気になる方は感想で聞くなりしていただければと思います。長くなりそうなので。
【重大発表2】
また、今作の設定を少し変えた「楓さん幼馴染モノ」長編を2017/05/07 15:30に投稿開始する予定です。
今作の流用が多分に含まれる最初の4話ほどは連日投稿しますが、それ以降は週1投稿となります。
主観になりますが、「キャベツ」よりも物語全体としての深みや面白み、現実味が増したモノをご用意させてもらえるのではないかと思うので、ご期待下さい。
あ、評価とか感想は全然送ってもらって構わないですよ?(乞食)
「俺!上手く言えないんすけど!歌もダンスもスッゲー上手かったです!これからも頑張って下さい!」
「ありがとうございます!」
「ーーはいじゃあ一旦休憩入りまーす!」
座っていても足が痛い。
幸い店内でのイベントなので冷房は効いているが、それも行列のせいで開け放たれた扉から夏空へ抜けて行く。
握手会が歌以上に辛いとは思ってもみなかった。と零すと、剥がしスタッフをやってくれているプロダクションの事務員さん(ナイスミドル)にバシバシ背中を叩かれた。
曰く、元気出せよとのこと。
そう思うんなら手を止めてください(懇願)
体感時間では4〜50分経ったような気がするが、列を目で辿るとまだ店外に続いている。
ぼーっと外を眺めていると、開きっぱなしの自動扉から今西さんがペットボトルを持って走ってきた。
すぐさま受け取り一気に喉に流し込むと、痛みを訴える足を気力で抑えつけて立ち上がる。
「残りは?」
「およそ半分。この炎天下でファンの皆さんを放って長々休憩はさせられない。大変だろうけど、もう1時間頑張ってくれよ」
言うなれば、100人と30秒ずつ立ち話するだけの作業。
文字にすればたかだかそれだけのことが、辛い。
メガホンで俺の休憩の終了を告知した今西さんは、また誘導係として外へ。
「はーい、次の方どうぞー!」
◆
ピンポーンと呼び鈴を鳴らす。
直後、ガチャッと呼び鈴を通話モードにする音が聞こえたが、返事が無い。
「か、楓?」
「…む〜」
どうやら不貞腐れていらっしゃる御様子。
「あの、楓…さん?いや、こんな時間になったのは悪かったと思うけど、俺のために開いてくれた飲み会だし、行かないのもあれかな〜って」
「…翼くんの歌ってるとこ、見れなかった」
そりゃ、楓に仕事が入っていたからで…
なんていうのはデリカシーが無いにも程があるよなぁ。
…あー、俺汗臭いかな?引かれたらちょっと凹むわ〜。
言葉無い空間。
流石に10秒も身動ぎ一つせず黙っているのはおかしいと思ったのか、楓の呼ぶ声と慌てて鍵を開けに来る音が聞こえる。
「翼く、ん…?」
扉が開いた瞬間、視界に移ったミステリアスグリーンを抱きしめた。
女性特有の甘い匂い、カラダ細いし柔らけ〜…なんて弁明のしようがないほど変態チックな考えは一旦置いといて、
「ーーただいま、楓」
「…ふふっ、おかえりなさい。翼くん」
「…ごめん、この雰囲気で言うことじゃないとは思うんだけど、風呂入ってきていい?」
「ええ、勿論。入りましょう?」
あれ?なんかニュアンス曲解されt
この後滅茶苦茶…
って考えた貴方は心友(
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