クロスアンジュ エクストリーマー  (オービタル)
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オリジナル主人公&MS

マサト・ラスタル《大門寺 真人》

 

身長172cm

 

体重61キロ

 

年齢17歳

 

姿は『魔法科高校の劣等生』の主人公"司馬 達也"と思ってください。

 

この作品の主人公のであり転生者

 

転生する前は普通の高校生でガンプラバトルや戦絆では他のクラスの中で誰よりも強すぎる。

学校帰りに車に引かれそうな子供を助け、自分が死んでしまったが、謎の女性イリスによってクロスアンジュの世界に跳ばされた。

そして現世の名前がマサト・ラスタル。ラスタル家の御曹司オルト・ラスタルとマナミア・ラスタルの次男坊として生まれたが、初の『男のノーマ』であった。

行方がわからないままの父と母と兄が居ない間、リナとメイドのシアと一緒に暮らしている。

ローゼンブルム王国出身でアルケミスト学院の優等生であり、友達からも自分がノーマでも優しく接してくれたり、守って貰っている。

教師やローゼンブルム王国の姫でもあるミスティ・ローゼンブルムもマサトの存在をひたすら隠し続けてくれた。

しかし、そう長くは続かなかった、誰かがマサトをノーマだと告白し、マサトをアルゼナルへ送られ、ドラゴンの攻撃で右腕を失い、義手を付けることになるが、両親が置いていったモビルスーツ『エクストリームガンダム type-レオス』を操り、戦場を駆け巡ることになった。

だが、彼にはまだ見ぬ素質と存在.......そして秘密の力を知っていない..........

 

その秘密の力の正体は、人間であったトリスタン連邦残党軍を率いていた総統ユリウスとユリウスの妻であイノベイドであったイリスの間から生まれた神人類『ハイブベイド』の力『歩む者』であり、敵の攻撃の軌道やオールレンジ攻撃兵器を操ることが出来る。

 

そして自分が大門寺 真人の生まれ変わりと分かり、前世の父『大門寺 諒』と母『大門寺 華怜』によって、本来在るべきのマサトへと進化を遂げた。

 

義手はトリスタン連邦で採れていた特殊な鉱石『レイヴニウム』の結晶で出来ており、人間が使えるマナの光を吸収し、ノーマにマナの光を与えると言う対象を逆に出来る事が可能。

 

 

 

モビルスーツ

 

エクストリームガンダム type-レオス

(Extreme Gundam type-Leos)

 

型式番号:不明

 

装甲材質:不明

 

頭頂高:不明

 

全高:不明

 

重量:不明

 

主動力:不明

 

出力:不明

 

推力:不明

 

開発者:(オルト・ラスタル、マナミア・ラスタル)?

 

CV:立木文彦

 

所有者:マサト

 

マサトの父オルト・ラスタルと母マナミア・ラスタルが置いていった機体。赤と白のカラーリングをしており、特徴的なのはV字型のアンテナがドラゴンから見ると"悪魔"と思わせられており、ドラゴンの頭部を簡単に握り潰してしまう程の握力を持っている。

しかし、レオスにはまだ知られざる力を秘めている。

 

 

武装

 

ヴァリアブル・ガン

 

ビームサーベル

 

ビームダガー

 

シールド

 

 

 

エクストリームガンダム type-レオスII ヴァリアント・サーフェイス

(Extreme Gundam type-LeosII Valiant surface)

 

型式番号:不明

 

装甲材質:不明

 

頭頂高:不明

 

全高:不明

 

重量:不明

 

主動力:不明

 

出力:不明

 

推力:不明

 

開発者:(大門寺 諒【ユリウス・ブライス】、大門寺 華怜【イリス・ブライス】)?

 

CV:立木文彦

 

所有者:大門寺 マサト

 

マサトの本当の両親である諒と華怜が造り上げたマサトの新しいエクストリームガンダム。

カラーリングが赤主体からトリコロールに変化している。

 

EXAフェースの機能を引き継ぎつつ、過剰な部分のフィードバックを抑えている。

さらに、【HADES】(Hyper Animosity Detect Estimate System)を組み込んでおり、2体のハロやナオミのエクセリアと共鳴することで、機体のツインアイが血のように真っ赤に染まり、MSの各種リミッターを強制解放して機体能力を100パーセント解放する事が可能になる。

 

 

武装

 

【ヴァリアント・ライフル】

片手持ちのビームライフル。ダブルオークアンタのソードビットと類似した防御機能を持つプロテクトビットを搭載している。

 

【ディバインブラスター】

ライフルにアイオスとブレードビットを組み合わせて放つ射撃。ゼノン発動時はスタンする。

 

【ディバインスライサー】

ディバインブラスター同様にライフルにアイオスとブレードビットを組み合わせて形成する高出力のビームサーベル。

 

【ビームサーベル】

起動防盾に2本マウントされている。

 

 

全感応ファンネル“アイオス”

翼に備え付けられたイリス・ファンネル。

 

【高純化兵装 “エクリプス”】

背部に装備された射撃兵装。通常時は1発、ゼノン発動時は2発撃つ事ができる。

 

【ブレードビット】

両翼に搭載したビット兵器。組み合わせて手持ち武器や投擲武器として用いたりする。

 

【シャイニングブレイカー】

ゼノン発動時に使用。ゼノン・フェースのシャイニングバンカーの発展型と思われる武装。

 

【起動防盾】

 

ヴァリアント・サーフェイス専用に用意された実体盾。中央がスライドされ、そこから特殊フィールドである"次元バリア"を展開され、あらゆる光線を含めたすべての物理現象や攻撃を吸収・消滅・分解させる。

 

 

特殊機能

 

【データ・プレッシャー】

GAデータに直接干渉し、進化のために必要となる情報を読み取る技。

 

【ロードタクティクス】

読み取ったGAデータを利用して自動攻撃を行う。いわゆる戦闘AI。

 

【爆熱機構 “ゼノン”】

一定時間機能を向上させる。

 

【HADES】

各種リミッターを強制解放して機体能力を100パーセント解放させる。

 

 

 

 

 

 

 

マサトの評価

 

アンジュ:(生きる希望を与えてやった。後はお前次第だ)

 

サリア:(色々と教えてくれる)

 

ヒルダ:(......張り合いになるな....)

 

ヴィヴィアン:(飛んでもない、おバカさん)

 

エルシャ:(天然だけど、怒らせないようにしておこう)

 

ロザリー:(コイツもおバカさん?)

 

クリス:(..........薄い)

 

ココ:(一応、義妹)

 

ミランダ:(内の後輩)



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アルゼナル編
第1話:始まりの予兆


新たに投稿した小説はエクストリームガンダム レオスをオリジナル主人公の機体として巨大な悪に立ち向かう物語でございます!
では、どうぞ!


 少年は友達と学校帰りにゲームセンターにより、そこで大人気のアーケードゲーム『ガンプラバトル』をしていた。『ガンプラバトル』それは自分が作ったガンプラを動かし、バトルすると言う世界でも大流行している新感覚ゲーム.....。

 そのガンプラバトルで少年は好きなガンプラ『エクストリームガンダム レオス』を扱っていた。

 

「行け!レオス!」

 

 少年はレオスを動かし、友達のガンプラ グフカスタム、ザクF2000、マックナイフ(量産型)を使っていた。

 

「今日こそは俺らが勝つぞ!真人!」

 

「こっちも容赦しないからな!」

 

 少年の名は真人《マサト》......大門寺 真人は相棒のエクストリームガンダム レオスを使い、グフカスタムのシールドガトリングの乱射を回避し、ヴァリアヴル・ガンを取りだし、グフカスタムのガトリングに射つ。グフカスタムはシールドガトリングで防御するとシールドからヒートソードを抜刀し、他の二人に指示を出す。

 

「大樹!お前はレオスの後方に回り込み、射て!」

 

「分かった!」

 

 大樹はマックナイフを変形させ、空高く飛び上がり、レオスの後方に回った。

 

「翔!お前はミサイルでレオスの足元を狙え!」

 

「オッケー!これでも食らえ!真人!」

 

 ザクF2000の肩部のミサイルコンテナハッチが開き、中から複数のミサイルが発射され、レオスの足元に命中し、爆発した。

 

「大樹!行け!」

 

 大樹のマックナイフの股間からミサイルが発射され、さらに命中した。

 

「止めは俺がやる!」

 

「行け!飛鳥!」

 

「おう!」

 

 飛鳥はグフカスタムのガトリングシールドを爆煙へ乱射しながら接近した。

 

「ウォォォォォッ!止め!」

 

 グフカスタムのヒートソードが爆煙に突き刺した直後、エクストリームガンダム レオスの腕が延び、ヒートソードを素手で受け止めた。

 

「白羽取り!?」

 

 真人のエクストリームガンダムはグフカスタムを蹴りあげると、バックパックにマウントされているビームサーベルを抜刀した。

 

「甘いんだよ!」

 

 真人は叫ぶと、エクストリームガンダムの出力を最大値に上げ、マックナイフに接近した。

 

「ウワァァァァァァッ!!」

 

 そしてエクストリームガンダムはマックナイフを一刀両断すると、マックナイフは爆発した。

 

「やられた!」

 

 大樹がロストされ、翔が腕部固定武装ザクマシンガンを乱射しながら、腰部にマウントされているジャイアント・ヒートホークを持ち、斬りかかった。

 

「こっのぉぉぉぉぉっ!!」

 

 ジャイアント・ヒートホークの巨刃が降り下ろされたが、真人は笑い、アクロバットな方法で回避すると、ザクF2000の頭上へ舞い上がり、ヴァリアヴル・ガンを乱射する。

 

「しまった!!」

 

 ちょうど、ヴァリアヴル・ガンのビームがザクF2000のバックパックに命中し、ザクF2000が大爆発を起こした。

 

「翔!仕方ない!」

 

 翔はシールドガトリングのガトリングランチャーを解除すると、真人のエクストリームガンダムとの一騎打ちが始まった。

 

「「勝負!」」

 

 両者は一気に駆け巡り、エクストリームガンダムのビームサーベルがグフカスタムを貫き、グフカスタムのヒートソードがエクストリームガンダムの頭部に突き刺さると、そこで、時間が終了した。

 

「あれ?」

 

「もしかして.......」

 

「「引き分けぇぇぇぇぇ~~~?!!!」」

 

そして真人達はそれぞれのガンプラをバッグの中にしまい、一緒に帰宅していた。

 

「あ~あ~!また負けた~~これで16対1だよ~!」

 

「あははは、そりゃそうだよ!俺とエクストリームガンダム レオスは二人で一人、一心同体だからなぁ!」

 

「でも、よくエクストリームガンダム レオス手に入れたよな?」

 

「あったり前だろ、小遣いとバイトで稼いでようやく手に入れて作ったガンプラだからな!」

 

「「「スゲェよ」」」

 

「それじゃあ!俺はこっちの方面だから!じゃあな!」

 

「またな!」

 

真人は仲間に別れを言い、家へ帰った。

 

 

 

 

 

 

 

真人は近くの公園付近を歩いていた。

 

「さ~てと、帰ったらエクストリームガンダム レオスの整備調整しよ♪」

 

真人はバッグからエクストリームガンダム レオスを取り出して、興奮していると、子供がサッカーボールを公園の外へ転がり、子供がボールを取りに行こう公園から飛び出した。

 

「.......?」

 

すると、そこに猛スピードで走ってくる車が真っ直ぐボールを拾おうとする子供へ向かっていた。

 

「ヤバッ!!」

 

真人は急いで走っていった。

 

「間に合え~っ!!」

 

真人は子供を抱き締めると、真人は車と衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

白く輝く空間......真人はそこで目を覚ました。

 

「..........あれ?」

 

真人は起き上がり、白く輝く空間を見渡す。

 

「ここ......何処だ?確か俺は.........そうだ!」

 

よく見ると、頭から血を流しており、制服はボロボロであった。幸いなことに痛みはなかった。

 

「あ~.......俺は死んじゃったのかぁ........きっと.....」

 

すると、真人の後方から光る球体が出現し、現れたのは白いワンピースを来た紫のロングヘアーの女性であった。

 

「あんた....誰だ?」

 

「ごめんなさい......」

 

「え?」

 

突然、女性は真人に謝罪した。

 

「貴方を死なせてしまったことは、大変申し訳ないことです.......そこでお詫びに貴方を新しき人生へと歩ませます........」

 

「ちょっ!ちょっと待ってくれよ!?一体何を言っているんだあんたは!?」

 

「あ!申し遅れました.......私イリスです......」

 

「イリス」

 

「はい.....」

 

「嘘だろ......じゃあつまり俺は今から転生されるって言うことかよ......」

 

「はい......ですから私がお詫びに貴方の新しき人生と共に、何かおまけも付けさせようとやって来ました。勿論、死体は回収しました......」

 

「えぇっ?!!........死体って...........まぁ良いや!.......じゃあさ!このエクストリームガンダム レオスに乗ってみたいんだ!それから.....行く世界は.....え~っと~」

 

真人は迷っていると、女性は何かを察知し、真人に言う。

 

「すみません.....選択する世界はないのです.......」

 

「え!?......どういうこと?!」

 

「今、あなたが転生する世界に災いが起きようとしています........」

 

「災い?!何の......?」

 

「時間がありません........」

 

すると、激しい揺れが真人と女性を襲った。

 

「っ!?......何だ?!」

 

「彼が.....とうとうここの存在に感づきました.......」

 

「彼?......誰のこと何だ?!」

 

「転生!」

 

女性は真人が今、立っている地面に転移紋章を出した。

 

「ちょっ!?」

 

真人は女性に話そうとしたが、ある世界へと転生された。すると、白い空間にヒビが入り、それが割れると、中から青く輝くガンダムが姿を現した。

 

「愚かな女が.........」

 

「.........エクストリームガンダム......!」

 

「捕らえろ......!」

 

すると、エクストリームガンダムの後方から、モビルスーツガデッサとアイガンダム ダークマター達がバスターランチャーを構えていた。

 

 

 

そして転生された真人の........新たな戦いが幕を開けた.......

 



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第2話:アルゼナルへ.....

 

マナ.......それは......画期的な情報伝達・物質操作能力を遺伝子操作の結果、生まれつき持ち合わせるようになったシステム......その結果、戦争や環境問題、食料不足などの諸問題は解決し、しばらく世界に安寧の日々が訪れるようになった。

 

一方で、突然変異により時折現れるマナをあつかえない者たちは「ノーマ」という蔑称で反社会的で野蛮な人物として虐げられ、「ノーマ管理法」と呼ばれる法律に基づき、社会から隔離されるという非人道的な扱いを他の人間からを受けるようになっていった。

何故......女性にしかノーマが生まれるようになったのか........それはまだ不明でもある.........そしてその反社会的な存在が........ローゼンブルム王国に住む大富豪の所で生まれた。名はマサト・ラスタル.........ラスタル家の御曹司オルト・ラスタルと婦人のマナミア・ラスタルの子として転生された.......だが、その子だけは普通ならノーマは女性なのに...........世界初の"男のノーマ"と分かったが、二人は我が子をひたすら隠し続けた........

それから16年後.......マサトはローゼンブルム王国アルケミスト大学学院から帰宅し、ラスタル家の豪邸にいた。

 

「あ~あ~........帰ったら課題100問の数学かぁ........」

 

マサトは指でペンを回しながら、家族の肖像画を見る。

 

「父さん......母さん........兄さん..........一体何処にいるんだ?」

 

マサトは深く考え込むと、ドアからノックがした。

 

「兄様.....」

 

「入っていいよ......リナ」

 

入ってきたのは、茶髪で髪がボサボサの少女 マサトの妹 リナ・ラスタル.......彼女は一年間いじめを受け、家で引きこもりになっているが.....料理は上手で、家族思いである。

 

「本日の授業はどんな物だったのですか?」

 

「うん.......数学、理工、古文だった......はいこれ、担任から」

 

マサトがリナに学院のプリントを渡した。

 

「たまには......学院に顔を出したら?......」

 

「けど.........」

 

すると、マサトはペンを置き、リナの顔を見て、言う。

 

「......立ち止まったらアウト.......絶望は死を象徴し 希望は生を象徴..........父さんが言っていた言葉........覚えている?」

 

「うん.......」

 

「どんな事を抱えても.....生きろ........死んだらそこでアウトだよ.......この世で最も最強の力は"勇気".........力でも知性でもない.......」

 

「うん......」

 

マサトはリナの笑顔を見てながら、頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明朝、マサトはアルケミスト大学学院へ、向かっていた。

 

「よぉーし!今日もリナの為に頑張るぞ......!」

 

マサトは元気よく、張り切った直後、検察官のパトカーが素通りしたかと思いきや、警棒を持った検察官達がマサトの頭を殴り、そのまま何処かへ連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてマサトは何処か知らないほの暗い施設で目を覚ました。

 

「ナンバー154108 初の男性のノーマですか」

 

「う!.......ここは?」

 

「此処はノーマの収容所であり辺境の軍事基地アルゼナルです。

私は此処で監察官担当のエマ・ブロンソン以後はお見知りおきを.....」

 

「軍事施設?!.....そんな!....頼む!今すぐに家へ帰してくれ!彼処には俺の妹が!」

 

「それは不可能なご相談ですよ。貴方はもう立派なノーマなのですから」

 

エマが言うと別の方向から高圧的な女性が現れた。

 

「そうだノーマとなったお前はもう此処で戦って生きる道しか残されていないのだからな」

 

「あんたは?」

 

「私はアルゼナル総司令官のジルだ。此処では私の命令に従ってもらう他ないのだよ」

 

「はっ!?冗談じゃない!誰がお前みたいな奴に....かはっ!」

 

ジルはマサトの腹めがけて、強烈な回し蹴りを喰らわせ、マサトは痛みに堪えることなく、腹を抑えていた。

 

「上官の命令は絶対だ........それにお前は貴重な男のノーマだからなぁ......それと.........地獄へようこそ」

 

ジルはそう言いながらエマと一緒に別の部屋へ移動した。そしてマサトは悔し泣きながら、リナの事を思っていた。

 

「リナ.......ごめん.......お兄ちゃんは......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてジルはある格納庫にいた。

 

「マサト・ラスタル..........お前達は私のリベルタスの為に濃き使ってもらうぞ........」

 

ジルの目の前に、赤と白で塗られた人型の機体を見る。

 

「オルト・ラスタル........マナミア・ラスタル........お前らは一体何を企んでいるのだ.........?」

 

ジルは二人の名を言うと、右手の義手の拳を握り締める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......父さん.....母さん......アストラ兄さん......リナ........俺はこれからどうなるんだ?」

 

マサトは反省房の中で拳を握り締める。さらにマサトのいる反省房まで女性の悲鳴が聞こえてきた。

 




どうでしたかな?


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第3話:まつろわぬ魂 前編

「Dimensional Rift Attuned Gargantuan Organic Neototypes」(次元を越えて侵攻してくる巨大攻性生物)

頭の頭文字を取って付けられた名前は本当に存在していいのか.......その名は.......『DRGON』(ドラゴン)

 

「次元を越えて侵攻してくる巨大敵性生物、それが『ドラゴン』、そしてこのドラゴンを迎撃、殲滅し人類の繁斗を守るのが此処アルゼナルと私達ノーマの任務です」

 

講師がまだ幼い幼児達にドラゴンの知識を教えていた。

 

「ノーマはドラゴンを殺す兵器としてのみ生きる事を許されます。その事を忘れずにしっかり戦いに励みましょう!」

 

《イエス!マム!》

 

幼児達が元気よく挨拶する。その中にマサトともう一人........ミスルギ皇国第一皇女 アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギがいた。彼女は、洗礼の義で実兄 ジュリオ・飛鳥・ミスルギによって妹がノーマだと暴露され、マサトの横にいる。俺は初めて思った.......人間の方がノーマよりおぞましき傲慢な種だと言うことを.......

 

「分かったか?マサト、アンジュ」

 

「あぁ.....」

 

「........」

 

ジルとエマはマサトとアンジュが話を聞いているかを確認していると、

 

「も、....もうすぐミスルギ皇国からの解放命令が届くはずです.....」

 

アンジュはまだ諦めず、希望を見出そうとしていた。

 

「監察官、この二人を第一中隊へと配属させます....本日付けで.....」

 

「だっ!第一中隊にですか?!」

 

エマはジルの言葉に驚いた。

 

「ゾーラには既に通達してある、二人共さっさと付いて来い」

 

ジルはアンジュの手を掴み、無理矢理連れていき、マサトはその後を付いていく。

 

「ちょ!ちょっと! 離してください!」

 

「分かりました」

 

ちょうどその頃、幼児部の窓の外から、金髪の女性は赤髪の女性の身体をいじりながら舌を舐め、赤髪の女性は頬を少し赤くしながらつぶやいていた。

 

「ふぅ~ん、あれが噂の皇女殿下と男のノーマか、男の方はいいとして、皇女殿下はやんごとなきお顔に穢れを知らない甘くておいしそうじゃないか」

 

「新しく来た子なら誰でもいいんでしょう?」

 

「「うんうん」」

 

その後ろに、薄青と茶髪の女性二人が頷いた。

 

「なんだ? 焼いているのか~?」

 

「そ、それは…」

 

「可愛いなぁ~、お前達♪」

 

金髪の女性は3人の女性とじゃれあっていると、蒼い髪のツインテールの女性が注意する。

 

「隊長!スキンシップは程々に。身辺からも揉み方が痛いと苦情が....」

 

「はいはい、気を付けるよ。副長~」

 

金髪の女性は手をワキワキすると、蒼い髪のツインテールの女性は咄嗟にガードする。

 

「年上の新兵さんと男の人もいますが、新兵同志お二人共仲良くね♪」

 

「「は!はい!」」

 

ピンク色のロングヘアーの女性が、蒼い髪のツインテールの女性が持っていた名簿を取って、配属されていた新兵の二人にも声を掛けた。蒼い髪と深緑色の新人は緊張のあまり答えると、少しオレンジがかかった赤髪の少女が飛んでとないことを発した。

 

「ねえねえ!サリア! クイズしよう!誰が最初に死ぬのかな~?」

 

新人二人は少女の言葉に息を飲むと、サリアと言う女性はは赤髪の少女の頭をグリグリしながらしかる。

 

「死なせないようにするのが私達の役目でしょ!?」

 

「あいたっ!?...ご...ごめん」

 

そう言っている内にジルがアンジュとマサトを連れて来た。

 

「着いたぞ」

 

ジルに連れられたアンジュは未だに顔を俯かせており、マサトはアンジュの隣に立った。

 

「ゾーラ、後は任せたぞ」

 

「イェス・マム!」

 

ゾーラと呼ばれた金髪の女性とそのノーマ部隊の仲間であろう女性達はジルに敬礼する。

 

「死の第一中隊にようこそ。私は隊長のゾーラだ。後のメンバーの事は副長、紹介してやれ」

 

「イェス!マム、第一中隊副長のサリアよ、こちらから突撃班のヴィヴィアン」

 

「ヤッホ!」

 

ヴィヴィアンは元気よく挨拶する。

 

「そしてヒルダ」

 

「フッ!.....」

 

ヒルダは威張りちらした笑みを浮かべていた。

 

「後、救護班のロザリーと「これ、全部ノーマですかか」」

 

茶髪の女性を紹介しようとした途中、アンジュは口を開くと、ヒルダが爆弾発言を放った。

 

「はんっ!私達ノーマは物扱いだ」

 

「このアマ!」

 

ロザリーが二人の発言に切れる型が、

 

「そうだよ。皆、マサトもアンジュも一緒のノーマ。仲良くしようね♪」

 

ヴィヴィアンは友好的にそう言って来る。

 

「違います!、私はミスルギ皇国の第一皇女、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ!。断じてノーマではありません!」

 

「おい、その辺に....!」

 

マサトがアンジュを落ち着かせようとする。

 

「でも使えないんでしょう?マナ」

 

ヴィヴィアンの言葉にアンジュは戸惑う。

 

「こ、此処ではマナの光が届かないだけです…此処から帰ればきっと.....」

 

すると、突然ゾーラが笑いだす。

 

「はっはは!ったく指令め、とんでもない者を回してきたか.....状況認識がなっちゃいない不良品じゃないか」

 

「不良品が上から偉そうにほざいてますわ」

 

「うわぁ...痛い.....」

 

「不良品は貴方方の方でしょう!」

 

すると、ヒルダがアンジュの足を踏んづける。

 

「痛っ! な…何をするのです!?」

 

「身の程をわきまえな!イタ姫よ」

 

「もう、いい加減に「まあまあそのくらいで♪」.....?」

 

マサトが止めにはいると、横からピンク色のロングヘアーの優しい女性が止めに入る。

 

「エルシャ、こういう勘違い娘は最初でキッチリとしめておいた方がいいんだよ」

 

「そうそう」

 

ヒルダとロザリーがエルシャの慰めの事に反するかのように言う。

 

「あらあら~そうなのぉ?」

 

「(あぁ......この人......天然だな.......)」

 

マサトは心の中で、呆れていた。

 

「サリア、期待の新人教育を任せるぞ、同じノーマ同志として.....」

 

「はい」

 

「これより訓練を開始する!エルシャ、クリス、ロザリーは一緒に来い!遠距離砲撃戦のパターンを試す!」

 

「「「イェス!マム!」」」

 

ゾーラの指示により部隊は動き出した。

 

「サリア、ヴィヴィアン、ヒルダは新人教育を任せる。しっかりやんな!」

 

「「「はい!」」」

 

「各自かかれ!!」

 

「「「イエス!マム!」」」

 

マサトはゾーラの命令に従い、サリアに付いていこうとしたが、

 

「何ボサッとしているの? こっちよアンジュ」

 

「何人たりとも皇女であるこの私に命令するなど!」

 

相変わらず態度を崩さないアンジュに対し、サリアはナイフホルスターからアーミーナイフを取り出して、アンジュの首に突き付けた。

 

「ここでは上官の命令は絶対よ、良い?」

 

サリアの威圧差にアンジュは首を縦に振る。

 

「マサト......あなたもよ?」

 

「言われなくても.....分かってる」

 

マサトはサリアの命令に従った。

 

 

 

 

 

 

 

マサトは急遽急遽配給された男性ライダースーツ(パイロットスーツ)に着替えた。赤と白のツートンカラーでヘルメットも赤と白のツートンカラーでバイザーが黄色で輝いていた。

(分かりやすく申しますと、マサトが着用しているパイロットスーツは"革命機ヴァルヴレイヴ"の主人公"時島ハルト"が着用していたパイロットスーツを赤と白とバイザーが黄色で塗られた感じです。)

 

「案外、格好いいなぁ.......ん?」

 

ヘルメットの後頭部に誰かの名前が付いていた。

 

「ロバート?」

 

このパイロットスーツが男が使っていたのが不思議なため、ロバートの名前を手で拭き取った。

 

「まぁ、良いか」

 

マサトはヘルメットを持ったまま訓練所に向かうと、女性が使う更衣室のドアの前に思わぬ姿のアンジュがドアを叩いていた。

 

「お前何やってんだ?」

 

「キャッ!?み、見ないでください!!」

 

アンジュは直ぐにしゃがんで、なんとか裸を隠すとマサトはドアをノックする。

 

「副長.....マサトだ」

 

「あら、終わったの?」

 

「何であいつ、裸で追い出されているんだ?」

 

「その子が、『そんな服を着るくらいなら、裸になった方がマシです!!』っと言ったから要望に応えただけよ」

 

「ふ~ん」

 

アンジュのライダースーツを見ると、血痕が残っており、そこに"ナオミ"と書かれていた。

マサトは自分が着用しているパイロットスーツも誰かの物と思った。

そして結局アンジュは、自分で着替えた事がないためサリアに手伝って貰って着替える事ができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ジルはアルゼナル医務室でマギーと言う女性に腕の治療を受けていた。

 

「あ~ら、こんなに真っ赤に腫れ上がっちゃってぇ~、ジュクジュクになってるじゃない~」

 

「ぐ・・・痛っ!?」

 

「あら痛い?痛い?痛いよねえ!」

 

マギーはジルの痛がる様子に興奮していた。

 

「酒臭いよ、マギー!」

 

「あいたっ!?ゴメンねえ~」

 

自身の腕を治療しているアルゼナル軍医マギーのおふざけにジルは鉄拳する。

 

「ジャスミン、そっちはどうなの?」

 

ジャスミンと言う老婆はジルの義手を修理していた。

 

「外側のボルトが全部イカレちまってる。ミスルギ皇国製の奴に替えとくからちょっと値が張るがね」

 

アルゼナルの唯一の市場"ジャスミン・モール"の店主ジャスミンがジルの義手の修理して結果を伝えてくる。

 

「指令部にツケとくよ」

 

「ヒヒヒ、毎度あり、だけどもうちょいデリケートに使って欲しいものだねえ.....そいつはアンタ程頑丈に出来ちゃあいないんだ」

 

「いつも悪いね...じゃじゃ馬が暴れてさ」

 

ジャスミンの注意に申し訳なさそうにジルは言う。

 

「ああ、例の皇女殿下かい?」

 

「いいのかねぇ?皇女殿下と貴重な男のノーマを第一中隊なんかにブチ込んじゃって?」

 

「それでも駄目なら死ぬだけだよ.....それに.....ラスタル家のガキもな.....」

 

ジルがマサトの旧姓の名を言うと、マギーもジルの話に入る。

 

「まさか、ラスタル家の若造がここに来たときは、ビックリしたよ、あの夫婦はあれを残し去ったのも若造が来るって言うことが分かっていたんじゃないのか?」

 

「分からないね~、あの夫婦は私達や、彼等も知らない人物達だから.......」

 

「アイツ等の行動は分からないが.........言えることが一つ..........マサト・ラスタル....."魔女の子"だ....」

 

ジルは持っていた煙草を義手で握りつぶすと同時に、不穏な笑みを浮かばせた。

 

 

 

 

そしてアルゼナル訓練所では、新人二人が訓練を開始していた。

 

「パラメイルデストロイヤーモード起動!シュミレーター起動!フリーダムチャンバー、チャージ完了!」

 

「フリーダムチャンバーチャージコンプリート!」

 

「アレスティングギアリリース!」

 

「あ・・アレスティングギアリリースコンプリート!」

 

訓練場に着くと既に訓練は開始されていた。

マサトとアンジュはマシンに座り、サリアが説明をする。

 

「へぇ~、これに乗り込んでドラゴンと戦うのか......」

 

「そう、パラメイル.......私達ノーマの棺桶よ」

 

「..........棺桶」

 

「何をさせようというのですか?この私に.....」

 

アンジュもサリアの棺桶発言を気に出来ない程混乱しているようだった。

 

「最初から出来るなんて思ってない。後は飛ぶ感覚を体に叩き込んで」

 

「......分かった」

 

サリアはマシンのドアを閉めて操作する

 

「リクエストリフト・オフ!アンジュ機、マサト機、ゴーフォールド!ミッション07スタート!」

 

サリアの号令で景色が一変する。

 

「ぐっ!!」

 

「うきゃああ~!?」

 

次の瞬間、凄まじいGが二人に襲い掛かってきた。

 

「シュミレーターでこれだけのGがかかるのかよ.....?!」

 

「な、何なのですかコレは!?」

 

たかがシュミレーターと侮りGの負荷に驚き、手を離しそうになったが耐える。

一方のアンジュは悲痛の声を上げ、操縦桿を手離してしまう。

 

「アンジュ、操縦桿から手を離さない!上昇!そして旋回!

 マサト、ちゃんと前を見て!実践はこんなもんじゃないわよ!」

 

サリアの更なる号令により機体の動きが変わる。

必死についていこうと踏ん張る。

 

「最後に急降下訓練に移る!降下開始!」

 

「急降下!?くそっ!!」

 

「ひゃああああ~!?」

 

「急いで!地面に激突してしまうわよ!機器を上げて!」

 

サリアは万が一の時の為に緊急停止ボタンに手を伸ばしておいたが、

 

「何だろう?......この感覚.......何か懐かしい様な......良しっ!」

 

マサトは操縦桿を握り、一気に機体の高度を上げた。

 

「(この感覚は......エアリア!!)」

 

アンジュはスポーツのやり方に似てすぐに機体を立て直し、遥か上空で停止したのを確認した。

 

 

「何なの.......この二人は.....!?」

 

サリアは初めてのシュミレーションなのに、二人の結果に驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練を終えた第一中隊はマサトを除いて、汗をシャワーで流していた。

 

「いやあー、大したもんだな皇女殿下とマサトは。初めてのシュミレーターで漏らさないなんてなあ!なあ、ロザリー?」

 

「っ!い、いえ私の初めてはそのですね....」

 

ゾーラの質問にロザリーは目が泳ぎつつながら、返答すると隣にいるヒルダが代わりに返答した。

 

「気に入ったみたいねあの子と彼が.....」

 

「あぁ、悪くない.....」

 

ゾーラは笑みを浮かべる。

 

「ねえねえ!サリア! アンジュとマサトって何? 超面白いんだけど~♪」

 

ヴィヴィアンにそう質問され一番端側でシャワーを浴びているアンジュと今はこの場にはいないマサトの能力を見て感想と評価を言う。

 

「今はそう、凄いの一言しか言えないわね」

 

そして女子達のシャワーが終わり、マサトは一人で汗を流し、浴室から出るとサリアが来た。

 

「マサト」

 

「副長、どうしたんですか?」

 

「今からあなたの部屋に案内するわ」

 

「俺の部屋?」

 

マサトはサリアに部屋に案内される、部屋に到着したマサトはサリアから鍵を渡される。

 

「あとこれで最低限必要な物資は揃う筈だから」

 

「ありがとうございます.....」

 

サリアから最低限のキャッシュを渡されて、マサトに言う。

 

「それと起床は明朝5時だから、寝坊しないようにね......」

 

「分かりました.......」

 

そう言ってサリアはその場を去って行き、マサトは鍵を使って開けて部屋に入る。部屋にはベッドが二つあり、窓はなかった。マサトはベッドに座ると、10年前の事を思い出す..........父親のオルトと母親のマナミヤが我が子がノーマだと隠し続けてきた。勿論、実兄アストラ・ラスタルと妹のリナ・ラスタルやマサトのアルケミスト大学学院で出会った友人達や教師達も隠してくれた...........マサトはベッドから立ち上がり、窓のから見える海を眺めていた........

 

「(父さん.....母さん.....兄さん.....リナ....皆..........俺、どうしたら..........)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、格納庫でエマはジルにアンジュとマサトのテスト結果を見せる。

 

「例の新人二人ですが基礎体力、反射神経、近接対応能力、更に戦術論のリタイヤ全てにおいて平均値を上回っております。特にマサトは飛んでもない数値を跳ね上げており、皆より上を行っています......」

 

「優秀じゃないか.......」

 

「"ノーマの中では、"ですね......」

 

それからエマはジルは見て敬礼し、別れた。そしてジルは格納庫にいた。

 

「パラメイルの操縦敵性.....特筆すべきものがある....か。ならば…」

 

アンジュから取った指輪を取り出して見て、そして彼女の目の前に二機の機体があった。一つは錆び付いておるが白い機体で、もう一つはパラメイルより大きく人型で白と赤のカラーをしており、白と黄色に別れたVの字のアンテナが輝いていた。




次回は.........やっぱりあの子達を死なせたくないです!
と言うことでフラグ回避付けます!


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第4話:まつろわぬ魂 後編

 

マサトはアルゼナルの食堂にて、今日の献立を貰っていた。

 

「わぁー!」

 

ココが今日の献立のデザートのプリンを貰って大喜びすると、新人のミランダは呆れる、

 

「またとっとくの?たかがプリンでお子様だなあ~」

 

「もうお姉さんぶらないでよ。あ!マサトさんにアンジュさん!」

 

ココとミランダはマサトとアンジュが座っている席を見つけ、そこに向かおうとしたが、

 

「おや?これはこれは痛姫さま。あんなに何でも出来ちゃうお方が好き嫌い~?」

 

そこにヒルダとロザリー、クリスの三人がやって来て、マサトの隣にロザリー、アンジュの隣にクリスが座って来た。

 

「しっかり食べないといざっていう時に戦えないよぉ?」

 

ロザリーがアンジュの食事を取って自分の皿に移し、からの皿をアンジュに渡す。

 

「(こりゃ、ひでぇ.......)」

 

マサトが思い込んでいると、

 

「......あなたもよく食べられますわね。それ....」

 

「あらあら、しっかり食べないといざっていう時に戦えないよぉ?」

 

アンジュの放った言葉にロザリーの手が止まり、ヒルダがアンジュの方を向いて、言うと、ロザリーがアンジュの発言と態度にキレた。

 

「お高くとまってんじゃねえよ!」

 

ロザリーはアンジュに水をぶっかけようとしたが、アンジュの反応速度に容易く避けられた。

 

「テメェ!」

 

ロザリーはアンジュの胸元を掴むと、ヒルダが言う。

 

「止めなロザリー」

 

ヒルダはアンジュの方を向き言い続ける。

 

「イタ姫さま一つ忠告しておくわ。

此処はもうアンタのいた世界じゃない......早く順応しないと........死ぬわよ」

 

ヒルダはそう言うとロザリー、クリスと一緒に席を離れた。マサトとアンジュも席を離れると二人の前に、同じ新人のココとミランダが現れ、ココはアンジュにプリンをあげている。二人はとても仲が良く、笑っていると、ココとミランダはアンジュとマサトに礼をする。

 

「新人同士これからよろしくお願いします!」

 

「.......」

 

するとマサトはココの表情を見て、故郷にいる妹の事を思い出す。

 

「どうしたんですか?」

 

「ん?いや......故郷ににいる妹の事を思い出して.....」

 

「妹さんがいらっしゃるのですか?」

 

「うん.......五歳年下の妹なんだけど.....」

 

「「けど?」」

 

「酷く虐められてるんだ......兄であるノーマを隠し続けて.......結果、家で引きこもりになっちゃったんだ........妹を守る筈の俺がこんな有り様になって.......」

 

「そうだったんですか........あの、すみません思い出させてしまって.....」

 

「いや、良いんだ.....ココを見てたら......何だか笑顔で溢れていたあの頃のリナの事を思い出して......」

 

するとミランダはココを連れて、何やらひそひそ話をした。

 

「それなら、ココ....お願いしてみたら?」

 

「そうだね!」

 

「ん?」

 

「あの、マサトさん!」

 

「何?」

 

「あの、私.....マサトさんの事を"お兄ちゃん"と呼んでも良いですか?」

 

「........何?!」

 

「駄目ですか.....お兄ちゃん?」

 

ココのキラキラ目にマサトは心を撃ち抜かれた。

 

「(ハウッ!)......良いよ♪」

 

「やった~!」

 

「やれやれ、」

 

ミランダは呆れると、マサトは二人を見る。

 

「(何事もなければ良いんだが........兄貴として、頑張らないとな!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからマサトはアルゼナル優位つの市場"ジャスミン・モール"の品物を見て回っていた。

 

「へ~、色々あるなぁ........ん?」

 

マサトはあるものに目が入った。それはカプセルのような機械で、マサトは中に入ると何かの操縦席と緑色をしたロボットと目の前に大画面だけであった。

 

「(何これ.........カプセル型のシュミレーション?)」

 

マサトは変な機械から出ると、アンジュがやって来た。

 

「あなたも買い物をしてたのですか?」

 

「まぁな......そっちは.......紙とペン?」

 

「えぇ、悪いですか?」

 

「......いや」

 

すると、そこにココがやって来た。

 

「あの、アンジュさんとマサトお兄ちゃんは外の世界ではどうやってお買物とかしてたんですか?」

 

「........望めば何でも手に入りました。望んだ物が手に入り、望んだ自分になれる。格差、暴力、差別もなく、困った事は何も起きない。全ての闇から解放されたマナの光に祝福された世界......」

 

アンジュは何気なく説明しているが、マサトは何でもお見通しであった。

 

「......(嘘だな........ノーマなら暴力と差別するくせに........何が祝福された世界だ......俺のダチと家族の方がまだマシの方だ......)」

 

「マサトお兄ちゃんは?」

 

「え?.....俺の方は、マナがなかったけど、アストラ兄さんとリナや友人達がいつもマナを使用していたからなぁ.......つまり、マナは便利が良いって事だ.....」

 

「本当にあったんだ、魔法の国!」

 

ココは外の世界の事で目を輝かせた。

 

「ありがとうございました」

 

アンジュはココにお礼をし、マサトは自分の部屋に戻ろうとした。

 

「俺はもう部屋に戻っておく、それじゃ」

 

「あ、あの!また、明日.....アンジュ様、マサトお兄ちゃん......あと、プリン食べて下さいね」

 

ココはマサトとアンジュに挨拶した。

 

「あぁ♪」

 

「アンジュリーゼです!」

 

二人はそう言うと、自室へと戻った。すると、マサトに異変が起きた。耳から金属同士がぶつかり、反動してかん高い音が響いた。

 

《キーーン!》

 

「.........耳鳴り?.......」

 

マサトは分からないまま、自室へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、アンジュは買ってきた紙とペンで嘆願書を出してくれるようにと頼み込んでいたが.......結果は同じであった。

 

「まだ分かっていないの貴方は.......」

 

流石のエマは呆れていた。

 

「いやはや困ったものですよ。そいつの頭の固さには」

 

ゾーラも呆れていた。

 

「教育がなってないぞゾーラ」

 

「それはどうも.....だが、少年の方がしっかりとしてますがね~」

 

「.......フッ」

 

マサトは鼻で笑うと、

 

「では、皇女殿下をお借りします」

 

ゾーラが突然アンジュを強引に連れていった。

 

「キャ!?ちょ、ちょっと!?」

 

マサトはアンジュを見て、心の中で語った。

 

「(あ~......これは隊長の"あれ"をさせられそうだなぁ........皇女さん......頑張って行け.....!)」

 

すると、指令室の電話が鳴り、エマがとる。

 

「はい......なんですって!?司令!」

 

「来たか!」

 

「「エマージェンシー!第一種攻勢警報発令!」」

 

ジルはエマに冷静に警報を流すようオペレーターのパメラ、ヒカル、オリビエに言うように促した。

 

「マサト、お前も早く準備するんだ!」

 

「了解!」

 

マサトはジルに敬礼し、直ぐに発着場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫に行くと、整備班長である少女"メイ"が量産型パラメイル『グレイブ』通称"ノーメイク"が出されていた。

 

「全電源接続!各機、ブレードエンジン始動!弾薬装填を急げ!」

 

マサトはライダースーツに着替え、第一中隊の所へ行く。

 

「アンジュ!貴方は後列一番左のパラメイルに、マサトは一番右のパラメイルに搭乗するのよ!」

 

サリアが指示を出し、マサトノーメイクに騎乗した。

 

『第一中隊は各自準備完了次第対応せよ!』

 

「準備完了!いくぞ!」

 

エマの指示にゾーラが言う。

 

「生娘共、少年、初陣だ!訓練通りにやれば死なずに済む.......お前達は最後列から援護隊列を乱さぬよう落ち着いて状況に対処せよ!」

 

「いぇ、イェス!マム!」

 

「了解!」

 

ゾーラの指示にアンジュ以外の皆が命令を受けた。

 

『全機発進準備完了!誘導員が発進デッキより、離脱次第発進どうぞ!』

 

「よし!ゾーラ隊出撃!」

 

オペレーターの発令に、誘導員達が離れたのを確認した直後、ゾーラ隊長が号令しベテランパイロット達が一足先に出撃した。

マサトは隣に並んでいるココとミランダに言う。

 

「準備は良い?......ココ、ミランダ?」

 

「「はい!」」

 

二人がマサトに返答した直後、また耳鳴りした。

 

「?」

 

『その子達を助けろ.......』

 

突然謎の声がマサトの耳に響き渡ると、ココとミランダ、そして先に出撃したゾーラが光出す。

 

「どうかしましたか?」

 

ココがマサトを心配すると、マサトは言う。

 

「え?いや、何でもない.......(今の声は誰なんだろう.........取り合えず、あの声に言う通りに従ってココとミランダを助けるか......)」

 

「ゾーラ隊!マサト機ボックスアウト!(出撃する!)」

 

ココとミランダと共にマサトも出撃し、空高く舞い上がった。空へ飛び立った第一中隊は指定されたポイントに進んでいた。

 

「モノホンのパラメイルはどうだ?振り落とされるんじゃないよ!」

 

「は!はい!」

 

「了解!」

 

「『目標視認距離まで後一万!』」

 

指定されたポイントをオペレーターが報告すると、ゾーラが言う。

 

『よーし!各機、戦闘態勢!フォーメーションを組め!』

 

《イエス!マム!》

 

各機はフォーメーションを組むとサリアがアンジュとマサトに指示を出す。

 

「位置について、マサト、アンジュ」

 

「了解!」

 

マサトはサリアの指示に従った直後、突然アンジュが離脱した。

 

『アンジュ機、離脱!』

 

オペレーターが言うと、マサトは暴言を吐こうとした。

 

「あのやろっ『あの子を助けろ!......そして我が名を呼べ.......!』何?!」

 

突然、マサトの耳からまた謎の声が響き渡った。

 

「......チッ!」

 

サリアは舌打ちするとアンジュを追いかける。マサトもサリアに続いて追いかけた。

 

「アンジュ戻って!もうすぐ戦闘区域なのよ!?」

 

「私の名前はアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギです。私は私のいるべき世界、ミスルギ皇国へと帰るのです!」

 

「諦めの悪い皇女だ......!!」

 

「持場に早く戻りなさい!でないと貴方を命令違反により今此処で処罰するわよ!」

 

サリアがホルスターからハンドガンを取り出し、アンジュを脅すのだが、

 

「アンジュリーゼ様! 私も、私もミスルギ皇国へと連れて行って下さい!」

 

なんとココがアンジュに近づいて、連れて行ってほしいと頼みに入ってきた。

 

「え!?な、何を言ってるの、ココ!?」

 

「私も魔法の国に!」

 

「ココ!今はそんなことを言っている場合じゃ『そこだ、その子を助けろ.......!』また?!.....そうか!ここだ!」

 

また謎の声がマサトの耳に響き渡ると、光っていたココの色が青から赤へと変わり、直ぐ様ココに近寄り、マサトの後ろに乗せた。

 

「マサトお兄ちゃん?!」

 

その直後、レーザーのようなものが、ココのパラメイルを破壊し水柱が上がる。

そして中空間に歪みが生じドラゴンの群が出現する。

 

『ドラゴンコンタクト!』

 

「ようやくお出ましかぁ......"ドラゴン"!!」

 

「なに、これ......?」

 

アンジュも酷く混乱し、マサトは野獣の様な瞳を輝かせると、ドラゴンは雄たけびを上げて、マサト達を睨んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アルゼナル格納庫では......

 

「時は......満ちた.......」

 

白と赤の人型の機体の目が緑色に発光すると、格納庫のシャッターこじ開けた。その光景にメイや整備員達も驚愕していた。メイは急いで、ジルに通信を入れる。

 

「ジル!」

 

『どうした?』

 

「ヴィルキスと一緒に収納していた"人形"が勝手に動いた!」

 

『何!?』

 

すると、赤と白のバーニアから火が放出された。

 

EXTREME GUNDAM (type-LEOS)(エクストリームガンダム(タイプ-レオス)).........box out!!」

 

エクストリームガンダムと名乗る機体は出力を上げ、第一中隊のいる空域へと飛んでいった。指令部から見ていたジル達は茫然していた。

 

「極限の名を持つ機体か......面白い!」

 

ジルが微笑みながら言うと、煙草を持ち、灰皿に煙草を押し潰した。




次回、極限の希望が乱舞します!


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第5話:白き天使と紅き悪魔の覚醒 前編

 

ココを救出したその先に、ドラゴンの群が出現してきた。

ピンク色の小型ドラゴンが20匹、そして青黒い巨大なドラゴンが2体が出現した。

 

『スクーナー級が20匹、ガレオン級が2匹』

 

「ガレオン級が2匹!?」

 

「一匹でも厄介なのに2匹くるものか.....」

 

『総員聞け!新兵教育は中止だ!まずはカトンボを殲滅し、退路を確保する!全機、駆逐形態!陣形空間方陣!』

 

「「「イェス!マム!」」」

 

第一中隊のパラメイルが飛翔形態から駆逐形態へと変形し迎撃を開始した。

 

「命令違反の処分は?」

 

『後にしろ』

 

「イエス、マム......」

 

サリアは銃をしまい、部隊と合流する。

 

「.......ゾーラ隊長、俺達はどうすればいい?」

 

『私達がドラゴンを引き付けておく!!その間に逃げ切れ!!』

 

「了解!」

 

ゾーラの命令に従い、マサトはアンジュ達に通信する。

 

「アンジュ!ミランダ! 奴らから逃げるぞ!」

 

「は!はい!!」

 

「嫌です!私はミスルギ皇国に帰ります!」

 

アンジュは命令を拒否すると、マサトは怒鳴る。

 

「いい加減にしろ!!パラメイル出撃一回分の燃料でどうやってミスルギ皇国に帰るつもりなんだ!?第一に何処にミスルギ皇国があるんだよ!?」

 

「それでも構いません! 行けるところまで行って...あそこに戻らずに済むのであれば!」

 

すると、スクーナー級のドラゴンがアンジュに向かってきた。

 

「ひぃっ!! い!いやああああああああああああ!!!」

 

ドラゴンの威嚇に恐怖に踊らされたのかアンジュは混乱しながらその場から離れて行く。飛んでもない回避行動だが、それでもドラゴンからは逃げまくった。

 

「なんちゅう回避行動だ.........」

 

『ガレオン級一体! マサト機に迫っています!!』

 

オペレーターから最悪な報告された時、2時の方向から猛獣のような雄叫びを上げた巨大なドラゴンが迫ってきた。

 

「嘘っ!?.....仕方ない!.....ミランダ!来てくれ!」

 

ミランダを呼ぶと、マサトは後ろに乗せていたココをミランダの後ろに乗せる。

 

「マサトさん、何を?!」

 

「俺が囮になる!二人はその間にアルゼナルへ逃げろ!」

 

「え!?そんな事出来ません!」

 

「いいから!早く!俺もあのバカ女を連れて戻ってくるから!......早くっ!!」

 

ミランダはココを乗せたままその場から離れていった。マサトはグレイブを飛翔形態から駆逐形態へ変形し、対ドラゴン用アサルトライフル持ち、ブロードソードを抜刀すると、叫んだ。

 

「こっから先を通りたかったら..........俺を倒すか食い殺してみろぉ!!」

 

ガレオン級のドラゴンが咆哮を上げ、魔方陣を展開し、雷撃を放った。マサトは緊急回避し、ドラゴンの後ろに回り込み、ライフルを向け、発砲した。ライフルの弾丸がドラゴンの皮膚に直撃し、血渋きが出る。ドラゴンは苦しみながら、マサトのグレイブに向けて、尻尾を振り下ろすが、マサトは回避し、ブロードソードでドラゴンの皮膚に突き刺し、ライフルを発砲した直後、ライフルの弾が切れ、射撃武器がなくなってしまった。

 

「糞がっ!弾が切れやがって!!」

 

すると、ドラゴンはマサトを振り払い、グレイブを捕まえる。すると、グレイブのコックピットからライフルを持ったマサトが出てきて、ドラゴンの顔に向けて、乱射する。

 

「この化け物がぁぁぁぁぁ!!!!」

 

その直後、ドラゴンの口から赤いレーザーが放たれ、マサトがライフルを持っていた右腕に直撃し、腕の付け根から紅い鮮血が飛び散った。

 

「ああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

マサトは激痛に耐えれなく、悲鳴を上げた。

 

「ハァ..........ハァ........ハァ..........」

 

『さらにスクーナー級10匹がマサト機に接近!』

 

スクーナー級のドラゴン達が、マサトのグレイブに取り付き、みるみるうちに部位が食いちぎられていった。マサトはコックピット内で悔し涙を流していた。

 

「どうやら.......俺の死に場所はドラゴン達の胃袋の中か..........皆.......ごめん........」

 

マサトはその場で気を失うとドラゴンがコックピットのハッチをこじ開けようと迫っていた。すると、コックピットの隙間から黄色い閃光が輝き、ドラゴン達がマサトから離れていく。マサトは目を覚ますと、腕を押さえながら、コックピットのハッチを開けた。

 

「あれ?.........パラメイルは大破しているのに..........何で上空にいるんだ.........?」

 

すると、下から機械でできた大きな指が現れた。マサトは上を見上げると、目の前に白と赤の色をした機体がマサトを守っていた。

 

「何だこの機体!?」

 

マサトは驚くと、白と赤の機体の目が光、コックピットのハッチを開けた。

 

「乗れって言うことか?」

 

マサトが問うと、その機体は目を光らせながらジェスチャーする。

 

「分かった........!」

 

マサトはグレイブから白と赤の色をした機体に乗り移った。コックピット内は操縦席と全周モニターであり、操縦席に義手の右腕が置かれていた。

 

「これって.........」

 

すると、義手が光だし、無くなった右腕に取り付いた。

 

「傷が無くなった!?」

 

傷だらけの肌が薄々と治り始め、義手は完全にマサトの肉と骨と神経に取り付いた。

 

「義手が..........!?」

 

マサトは楽々と義手を動かすと操縦桿を握り、モニターに映っているドラゴンを睨む。

 

「行くぞ!ドラゴン共!!どっちがミンチになるか勝負だ!!」

 

マサトは背部にマウントされているビームサーベルを抜刀すると、ピンク色に発光するビームの刃が放出された。

 

「光のブレード........これなら!」

 

マサトはビームサーベルを振り回し、接近してくるスクーナー級ドラゴンを切り裂いていった。ガレオン級ドラゴンが仲間が死んでいくのを見て、怒り出した。

 

『ガァァァァァァァァァッ!!!

 

マサトはビームサーベルの出力を低く調整し、ビームダガーへとなると、ビームブーメランとして投げ、ガレオン級ドラゴンに向かっていった。

 

「切り裂け!」

 

ビームブーメランの刃がガレオン級ドラゴンの腹に直撃し、クロス字の傷ができ、血が吹き出す。

 

『ガァァァァァァァァァッ!!!!』

 

ドラゴンは口から血を吐きながら、マサトに迫り、腕に噛み付いた。しかし機体の装甲は超硬度でありドラゴンの牙が砕け落ちた。

 

「そんな噛み付き攻撃で......この機体の腕を砕こうと言うのか?........バカがっ!!」

 

マサトはドラゴンの頭部を掴み絞める。

 

「このトカゲがぁぁぁぁ!!!」

 

骨と肉が潰れる音と、ドラゴンの断末魔の悲鳴が鳴り響き、そして、

 

『アアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』

 

機体の握力に耐えれることなく、ドラゴンの頭蓋骨は砕け、肉が避け、そこから血が吹き出し、海へ落ちていった。ドラゴンの返り血で真っ赤に染まった機体は緑色に発光する目を光らせていた。

 

「ハァ.....ハァ.....ハァ........『次は隊長の方だ....』?!」

 

マサトの耳からまたあの声がし、マサトは辺りを見回すが誰もいなかった

 

「.......お前なのか?」

 

マサトは上を見上げ、乗っている機体に言うと、システム音で返事した。

 

「分かった.......!」

 

マサトは機体の出力を上げ、部隊のいる所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、第一中隊の方では凍結バレットを撃ち込んでいた。

 

「後はお前だけだよデカブツ!コイツでトドメだ!」

 

ゾーラが凍結バレットで止めを刺そうとした時であった。

 

「いやああああぁぁぁぁぁ!!」

 

混乱したアンジュのグレイブがゾーラのアーキバスにしがみつき、動きを封じてしまった。

 

「アンジュ何をやってるのよ!?」

 

丁度、マサトの機体が皆の機体が見えてきて、猛スピード向かうと、マサトの耳から、また耳鳴りがした。

 

「また耳鳴りが!......間に合えぇぇぇぇ!!!」

 

マサトは手を差し伸ばした直後、コックピット内で音声がした。

 

『極限進化状態!"EXA・フェース"!!』

 

音声がヤンキー口調な声で叫ぶと、マサトの機体が金色に光だした。

 

「何しやがる!?アンジュ離れろ!」

 

すると、ゾーラとアンジュの所にもう一体のガレオン級のドラゴンが向かってきて、両翼でゾーラとアンジュを叩き落とした。

 

「ゾーラァァァァァァッ!!」

 

ヒルダが悲痛な叫びをあげると、マサトの機体が海へと墜落するゾーラとアンジュを受け止めた。コックピット内で汗だくのマサトはホッとする。

 

「ハァ....ハァ....ハァ...........何とか.........間に合った.......」

 

光が少し薄れていくと、マサトの機体は凄い姿になっていた。両腕部にユニット、背部と脚部にバーニアが追加されていて、両肩に配置された2連装ビーム砲、腰のランチャー、そして特長だったのが、背部に紅き翼である。翼からでる黄色い粒子を放出させ、頭の後ろに光輪を浮かばせていた。サリア達はその姿に見とれていた。

 

「その声って.......まさかマサト!?その機体に乗っているのはあなたなの!?」

 

「おお!デッケェ!そしてカッコイイ!」

 

「綺麗......」

 

ヴィヴィアンは興奮し、クリスもマサトの機体を見とれる。

 

「.......副長.......ガレオン級は.....?」

 

「.......残念だけど、追撃は無理ね........隊長とアンジュの機体も大破してるし、ひとまずアルゼナルへ帰投するわよ」

 

「了解.......」

 

マサトはゾーラとアンジュの機体を抱え、アルゼナルへ帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルに帰還したマサトはマギーに右腕の義手を見せると、マギーは驚く。理由は信じられないことに、義手の神経プロセスがマサトの体と完全にシンクロしており、さらにジル以上の回復力と生命力を持っていた。前の右腕はあの時に無くなってしまって治すことができないが、マサトは構わなかった。一応義手の点検の為、マサトは義手外してマギーに渡した。それから怪我の手当てをして頭や右肩に包帯を巻いた。

 

 

翌日ドラゴンの攻撃を受けたゾーラは意識不明のままの状態、アンジュは逃げられないように拘束具を付けられていた。

 

「パラメイル4機大破。メイルライダー1名、意識不明の重傷.......ドラゴンも撃ち漏らした.......これがお前の敵前逃亡がもたらした戦果だ、アンジュ......」

 

「なんとか言えよ!おい!!」

 

「手出すなよ。一応は負傷者だからな.....」

 

ロザリーが手を出そうとしたが、マギーに止められた。

 

「私は、私は故国に帰ろうとしただけで何も悪い事をしていません」

 

「お前がお姉様をあんな状態に!......この人でなし、人でなしィ!」

 

「人でなし?......ノーマは、人間ではありません」

 

アンジュの放った言葉にマサトはブチ切れ、ヒルダが蹴りを入れようとした瞬間、マサトは左手で平手打ちをした。

 

ーーパシンッ!

 

「いい加減分かれっ!この屑野郎!........お前の勝手な判断で隊長は目を覚まさない......ココとミランダを危険な状態へ追いやがって..........いい加減自分がノーマだと分かれ!........腰抜けがっ!!」

 

今にも手を出そうとしたマサトであったが、エルシャとヴィヴィアンが抑える。

 

「..........」

 

「サリア......」

 

ジルがサリアに言う。

 

「ゾーラは暫く動けん......復帰するまでは隊長はサリア、副隊長はヒルダでいく......ドラゴンが発見され次第、再出撃する......では、解散」

 

《イエス、マム!》

 

マサト達はジルに敬礼し、部屋から出た。部屋から出たマサトの所にココとミランダが悲しそうな表情でやって来た。

 

「あのぅ、マサトお兄ちゃん....」

 

「ん?」

 

「........腕の方は大丈夫ですか?」

 

「........まだズキズキするかな.....」

 

「ごめんなさい.......私のせいで......私のせいでマサトお兄ちゃんを」

 

ココがマサトの腕を見て、その場で泣き崩れると、ミランダがココを慰める。

 

「ココは悪くないよ........悪いのは」

 

ミランダがアンジュの事を言うとしたとき、マサトが言う。

 

「嫌.....アンジュも悪くない..............悪いのはこの世界のルールなんだ.........マナが使えないだけで差別や暴力される..........この世界が..............」

 

二人は落ち込むと、マサトは二人を慰める。

 

「そう落ち込むなよ、二人とも.........俺は今もこの通りピンピンしてるぜ.......♪」

 

マサトは元気そうな表情をすると、あることに気付いた。

 

「そう言えば、お前達花瓶とか持って何処に行くつもりなんだ?」

 

「あ、ナオミがいる所にです」

 

「ナオミ?二人の友達?」

 

「はい......マサトさんが来る数日前に、パラメイルの起動テストでドラゴンに襲われて.......今も意識不明の状態なっているの.....」

 

「.......そうか、」

 

すると、マサトの所にジルがやって来た。

 

「ここにいたか.......マサト、来い........見せたいものがある.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マサトが連れられた場所はズラリと並んだら墓であり、雨が降る墓地に傘を差したジャスミンとゴーグルをかけた番犬"バルカン"とアンジュがいた。

 

「ここは........墓場?」

 

「ドラゴンと戦い散っていたノーマたちだよ」

 

「こんなにも......」

 

「そう言えば、あんた.....ゾーラと新兵二人を助けたって?.......ありがとうよ、おかげで墓石が増えずに済んだよ.......それより、あんた.......右腕は大丈夫か?」

 

ジャスミンがマサトの右肩を見る。マサトは抑え、返答する。

 

「えぇ、ただ......腕が無くなったことで少し疼きます.......」

 

「これからどうなるのですか?ミスルギ皇国もなくなったと聞かされて.....」

 

マサトはアンジュの放った言葉に驚愕した。

 

「はっ!?ミスルギ皇国が......無くなった!?」

 

「そんなに驚くことか?」

 

「........あぁ、彼処には俺の幼馴染みがいるんです........ノーマの少女でミスルギ皇国へ引っ越して........」

 

「そうか.......」

 

「ほんの少しマナが使えないだけではないですか!?それだけでこんな地獄に!.....」

 

「お前はお前達の作ったルールで此処にいる....」

 

「わ、私は決してノーマなどでは....」

 

「じぁあなんだ.......ココとミランダを死に追いやろうとして、隊長は意識不明のままの状態!それでもお前は否定し続けるのか!!?」

 

「私は..........うわぁぁぁぁぁっ........ああああああ!」

 

その場で泣き崩れるアンジュにマサトは慰める。

 

「アンジュ........お前は生きている........きっとお母さんはお前を生かせようと願っていると思う.........だから、死んだらダメだ..........死んだらそこで.......人生は終わる.......」

 

すると、そこにサリアがやって来て、ジルに報告した。

 

「司令、ドラゴンを見つけました...」

 

「そうか.....アンジュ、マサト....お前達も出てもらうぞ」

 

「え?ですがアンジュとマサトの機体は......」

 

「あるじゃないか.......」

 

「.......まさか!?」

 

「それに.......マサトのはもう既にあの機体に選ばれてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジルにアルゼナル格納庫に案内されると、そこに埃かぶって少々錆びついていた白いパラメイルがあった。

 

「コイツがお前の機体だ.......名は"ヴィルキス"かなり古い機体でな......まともに動かせる奴がいないのだが、お前にコイツを任せよう......死にたいのならばうってつけだろ?」

 

「ヴィルキス......」

 

「あの、俺のは?」

 

「あるじゃないか.......目の前に......」

 

「え?」

 

メイがレバーを引くと、上部のライトが照らされた。マサトはその機体に驚いた。

 

「こ!これは!?......あの時の!?」

 

マサトが乗り替えた機体がそこにあると、ジルは言う。

 

「そう......この機体の名は"レオス"..........またの名を"エクストリームガンダム(タイプ-レオス)"だ..........そしてこの機体はお前の両親が持ってきた物だ.......」

 

「え?!、俺の両親が!!?」

 

「あぁ......お前が産まれる三ヶ月前に、お前の父親オルト・ラスタルと母親マナミア・ラスタルが現れて、この機体を置いていったんだ......."この機体を操る者が現れると、その時はソイツに渡してくれ"とそう言って、行方が分からなくなったんだ.......」

 

「(父さん......母さん.......俺がここに来るって言うことを分かって.......と言うことは......兄さんも....?!)」

 

「考えるのは後にしろ.....出撃しろ!」

 

「........了解!」

 

マサトは取り逃がしたドラゴン討伐へ向かった。

 




次回はついにあの機体が覚醒します。ついでにレオスも......


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第6話:白き天使と紅き悪魔の覚醒 後編

お待たせしました!!


 

ドラゴンの追撃部隊はサリア隊長を始めとする、副隊長のヒルダ、ヴィヴィアン、エルシャ、ロザリー、クリス、アンジュ、そしてマサトであった。

 

「お姉様をあんな目に遭わした奴と一緒に出撃!?」

 

「殺す....殺す....ブチ殺す.......」

 

ロザリーは一緒に出撃するアンジュを見て不満を漏らし、クリスは物騒な事を呟く。

 

「死ににいくそうだよ、あの痛姫.....」

 

「何?」

 

ヒルダの言葉にロザリーとクリスは首を傾げる。

 

「見せてもらおうじゃないか、死にっぷりをさぁ!」

 

「おぉ?なんじゃぁ、あの機体!?ねぇサリア!アンジュのパラメイル、ドキドキしない!?それとマサトのも!?」

 

ヴィヴィアンがアンジュの錆び付いたパラメイルとマサトのレオスを見て、興奮していると、サリアが叱る

 

「作戦中よヴィヴィアン」

 

『目標確認!』

 

取り逃がしたガレオン級のドラゴンが海面から姿を現した。

 

「どうする隊長?」

 

「奴は瀕死よ、一気にトドメを刺す! 全機駆逐形態!!凍結バレット装填!!」

 

《イエス!マム!》

 

「了解!!」

 

アンジュとマサト以外、飛翔形態から駆逐形態へと変形し、行き、マサトはレオスのあの姿になろうとしたが、

 

「あれ?あの姿にならない、どうなっているんだ?」

 

『ガァァァァァァァァァッ!!!』

 

「サリア!下からくるみたいだ!」

 

全員は海面から攻撃してくる光線に慌てて回避したが、ロザリーとクリスのグレイブとハウザーは被弾してしまった。

 

「こんな攻撃してくるなんて......過去のデータには無い....!」

 

サリアは混乱していると、エルシャが必死に指示を仰ごうする。

 

「サリアちゃん!あなたは隊長なのよ!しっかり!」

 

「か、回避!」

 

ガレオン級のドラゴンがサリアに迫ってくると、マサトのレオスがガレオン級のドラゴンの前に立ち塞がり、拳を握り締め、ガレオン級のドラゴンを殴った。

 

「射撃武器ないからなぁ!ちきしょぉぉぉぉっ!!」

 

マサトはドラゴンの首を掴み、殴り続けると、アンジュ機がこっちに近付いてきた。

 

「ちゃんと死ななきゃ.....」

 

「あいつ、本気で死ぬ気...?」

 

ヒルダだけではなく他の皆にはそのような行動を取っているようにしか見えなかった。

 

「いけない.....もう一度ちゃんと......これで、さよならできる....」

 

死ぬ覚悟ができていないのか単に怖いのか回避行動を取っている。マサトはアンジュを見ていると、ドラゴンは尻尾でレオスの首に巻き付き締め始め、アンジュ機を捕まえた。

 

「ヒィッ!」

 

「不味い!.......頼むレオス!.........」

 

レオスは必死に巻き付いた尻尾を外そうと、したが、ドラゴンはアンジュ機を睨む。するとマサトの額にある傷が光だし、同時にアンジュは庇ってくれた母親の形見でもあるソフィアの指輪を見て、母親の言葉を思い出す。

 

『生きるのです、アンジュリーゼ。どんな困難が待っていようとも.......』

 

思い出した直後、ドラゴンがアンジュに食いかかろうとした。

 

「いやあああああああああああああああああああっ!!!!」

 

アンジュの頭から出ている血が指輪に付着すると、指輪が光だし、、ヴィルキスも光だした。ドラゴンは光で目が眩むと同時にマサトやレオスにも異変が起きた。マサトの額にある傷が開き、鷹のような瞳を持った第三の目が浮かび上がると、レオスの部位が黄色く発光し、アンジュの方はヴィルキスの機体から埃と錆がはがれて行き、駆逐形態へと変形した。背部の青き翼、金色の間接部、純白の装甲に、頭部に女神像のような物が飾られていた。

 

「レオスの部位が黄色く光ってる......!?」

 

すると、レオスの手にはいつの間にか純白の盾と小銃を持っていた。マサトは驚くとモニターに武器の名前が出てきた。

 

「"ヴァリアブル・ガン"とシールド.......これなら!」

 

マサトはヴァリアブル・ガンを発砲すると、銃口からビームが発射され、ドラゴンの皮膚を焼き付く。それと同時にアンジュはヴィルキスを旋回しながら、ドラゴンに向けてアサルトライフルを乱射する。

 

「死にたくない…死にたくない!」

 

ドラゴンはバリアを展開して、レオスとヴィルキスの攻撃を防ぐと、アンジュが吼える。

 

「死にたくないいいいいいいいい!!」

 

すると、ドラゴンは翼から無数の光弾の放ち、アンジュ機とマサト機を向かうと、アンジュはヴィルキスを飛翔形態に変形し、回避する。マサト機は背部にマウントされていたビームサーベルを持ち、手を回転しながらビームサーベルのシールドを作り、光弾を防ぐ。そしてアンジュは駆逐形態に変形し、零式超硬度斬鱗刀『ラツィーエル』を抜刀した。

 

「お前がっ.....!」

 

「アンジュ、行くぞ!」

 

マサトとアンジュはドラゴンへ向かい、ヴィルキスのラツィーエルがドラゴンの頭部に突き刺さり、レオスの二刀流のビームサーベルが胴体に突き刺さり、血が吹き出す。さらに追尾していた光弾も胴体に直後し、傾く。

 

『ガァァァァァァァァァッ!!!』

 

「お前が死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

最後にアンジュが吼え、止めの凍結バレットを心臓に撃ち込み、氷塊がドラゴンの体を覆った直後、マサトの両目が金色に光りだした直後、脳に激痛が走ってきた。

 

「グッ!!」

 

すると、何処からか誰かの吠え声が聞こえた。

 

『己れぇっ!!白きラグナメイルゥゥゥッ!!双極の紅い悪魔めぇぇぇぇぇぇ~~!!!』

 

「えっ....?!」

 

マサトとアンジュはビームサーベルとラツィーエルを回収し、ドラゴンは海へと沈んだ。

 

「こんなの.....私じゃない....殺しても生きたいなんて.....」

 

アンジュは泣き崩れ、マサトはさっきの声に疑問を抱いていた。

 

「今の声って?.........白きラグナメイルはヴィルキスの事?.........それにレオスの事を"双極の紅い悪魔"って.........どう言うことなんだ?」

 

マサトは考え込むと、額の目が閉じ、元の傷へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰還後、メイがレオスを見ていると、マサトがやって来る。

 

「やっぱりおかしいなぁ」

 

「何が?」

 

「うん、レオスの事なのよ.........あの時の戦闘で姿が変わったでしょ?」

 

「あぁ........それが?」

 

「それらしい部品を取り付ける物が無いんだ.....」

 

「え?」

 

「普通、パラメイルには改造用のシステムや部品を取り付ける装置があるの.......でもレオスにはそれらしい物が全くないの.........」

 

「そうなんだ...........」

 

「エクストリームガンダム タイプ・レオス..........全くもって謎の機体だよ..........フレームも装甲も武装もシステムも見るからに私達の技術を上回っているの.......」

 

「そうか........」

 

マサトはレオスの頭部を見ると、確かに悪魔と思わせるアンテナとツインアイが輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌朝、マギーの医務室で......

 

「あれ?......私どうなったんだけ?」

 

ピンク色のトリプルテールをした少女が目を覚ますと、

 

「気が付いたようね、気分はどう?」

 

マギーとエマ監察官が、少女に容態を確認する。

 

「マギー先生......テストはどうなったんですか?、それとドラゴンも......」

 

その少女は今、一ヶ月後から目を覚ますのであった........

 



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第7話:孤独の反逆

お待たせしました!


 

執務室にはジルを初めジャスミン、マギー、サリア、メカニックのメイが集まっていた。

 

「三度の出撃で、この撃退数.....大したものだよ、あの二人は.....」

 

「今まで誰にも動かせなかったヴィルキスとレオスをこうも簡単にね~.......」

 

「たぶん、ヴィルキスがアンジュを認めた......」

 

メイが言った言葉に思わずサリアが反応する。

 

「そしてレオスはマサトを選んだ......」

 

「じゃああの子が......」

 

「始めるとしようか....."リベルタス"を.....」

 

ジルの言葉から出てきた"リベルタス"。大規模な計画がいよいよ始まろうとしていたのだ。すると、ジルはサリアの様子に気付く。

 

「不満かサリア?」

 

「すぐ死ぬわ、あの子」

 

「無理もないわね、皆の隊長を負傷させ、可愛い新兵も危険な目に合わせたド悪党......嫌われて当然よね」

 

サリアは今日の戦闘を思い出す。

 

 

 

"回想"《戦闘空域》

 

第一中隊がドラゴンの迎撃に向かい、マサトはレオスを操り、ビームサーベルでスクーナー級を切り裂き、ヴァリアブル・ガンで、ドラゴンを撃ち落とす。

 

「ココ、ミランダ、そこだ!」

 

「「はいっ!」」

 

マサトがココとミランダに指示を出し、残りのスクーナー級ドラゴンを攻撃すると、大型ドラゴン3体がレオスに接近してきた。

 

「ガレオン級、ブリック級含めて三体か..........」

 

それを狙って、ヒルダが大型ドラゴンに目掛けて、攻撃をし、ドラゴンが怯んだ隙に止めを刺そうとするが、

 

「ぐああっ!!」

 

アンジュがヒルダを蹴り飛ばし邪魔をした。アンジュは凍結バレットを撃ち込み、ドラゴンは海へ落ちていった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

「チッ!あいつ......」

 

獲物を横取りされたヒルダは舌打ちをする。

 

「アンジュ.......」

 

残りの2体を撃退したマサトは息を荒くするアンジュを見届ける。

 

 

 

"回想"修了

 

 

 

「私なら......上手くやれる........私ならヴィルキスを上手く使いこなして見せる! なのに何故?」

 

「適材適所って奴さ」

 

「でも、ヴィルキスに何かあったら......!」

 

「その時はメイが直す!!命を懸けて、それが私たち一族の使命だから!.....後、レオスも!」

 

メイの誇り高きく勇気ある発言を聞いたサリア、ジルはサリアの前に立った。

 

「お前はお前の使命を果たすんだ、いいね?サリア」

 

「......はい」

 

「良い子だ」

 

「忙しくなるね」

 

ジルはそう言い、マギーは手を腰当てながら今後の事を言う。

 

「くれぐれもさとられない様にな......特に監察官殿には......」

 

ジルがそう言うと、メイがドアを開けて、周りを確認し終えると、ジャスミン達は退室した。ジルは再び椅子に座り、煙草を吸う。

 

「ふぅ、...........さて、何処まで進化し続けるか.......見てやろうじゃないか........"魔女の子 マサト"......」

 

ジルがモニターに映し出されているあの時の姿のレオスと全長300メートルも超えている大型兵器が3機も映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日のドラゴン討伐、弾薬、燃料消費、装甲修理など計算し、報酬金を受け取っていた。

 

「撃破数スクーナー級3、ガレオン級にアンカー撃ち込み弾薬消費、燃料消費、装甲消費等を差し引きして、今週分18万キャッシュ」

 

「チッ!これっぽっちか」

 

ロザリーは少ない報酬金に舌打ちした。

 

「まだ良い方だよ、私なんて一桁だから」

 

「ヒルダは?」

 

ヒルダはロザリー、クリスに札束の量を見せびらかす。

 

「「おおーー!!」」

 

二人が驚くと、

 

「今週分550万キャッシュ」

 

アンジュは報酬金を受け取ると、ヴィヴィアンとエルシャが褒める。

 

「アンジュやるー!」

 

「大活躍だったものね!」

 

次にマサトも報酬金を受け取る。

 

「今週分780万キャッシュ」

 

《!?!?》

 

「凄いです!マサトお兄ちゃん!」

 

アンジュとマサトの高い報酬金に皆は驚くが、ヒルダは舌打ちをする。

 

「.........一気にガレオン級やブリック級が出たせいかな?」

 

すると、マサトはロザリーとクリスの札束を見て、二人に90万キャッシュを二人づつ分けた。

 

「え?!何だよこれ?」

 

「かわいそうだと思って.......」

 

「あ.......ありがとう」

 

「おぉーサンキュー!マサト!ヒルダは?」

 

「私はいいよ...行くよ、二人とも」

 

ヒルダは二人を呼び、ロザリーとクリスは慌てて追い掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、第一中隊全員は指令部へと集まっていた。

 

「........(今度、また配備される新兵って......誰なんだろう?)」

 

マサトが考えていると、ドアが開き、中からピンクのトリプルテールをした少女が入室してきた。

 

「失礼します」

 

少女がジルに敬礼すると、ココとミランダがその少女へ駆け付ける。

 

「あ!ナオミ!目が覚めたんだね!?」

 

「ココ、ミランダ......心配かけてごめん」

 

ナオミと言う少女は自己紹介をし、マサトもアンジュもナオミに自己紹介をした。

 

 

 

 

 

 

それから、部屋から出たマサトは自室へ戻ろうとすると、ナオミが来た。

 

「あのぅ、ありがとうございます......ココとミランダとゾーラ隊長を助けて下さって」

 

「良いよ......仲間として当然の事したまでだ........」

 

「あの、良ければお買い物に行きませんか?」

 

「.......好きにしろ」

 

マサトとナオミは一緒にジャスミンモールへ買い物しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

ジャスミンモールに来たマサトは義手用のパーツを購入していた。

ちょうどそこにヴィヴィアンが大きな袋を持って、ピンクのカラーをしたブーメランブレードを見る。

 

「おお~!新しいのはいってる~! おばちゃん、コレいくら~?」

 

「お姉さんだろ!全く.......、『超高クロム製ブーメランブレード』か、1800万キャッシュだね」

 

「喜んで~♪」

 

「毎度あり」

 

「ブーメランブレード......あんな武器も売っているのかぁ.....」

 

すると、番犬のバルカンがしっぽを振りながらマサトに近付き、マサトはバルカンの頭を撫でと、バルカンが急に唸り声を上げ、後ろを見た。すると、マサトの目の前にロザリーとクリスに嫌がらせで、服がビリビリ寸前のアンジュがやって来た。ナオミは頬を真っ赤にして、両手でマサトの目を覆い隠す。

 

「うわっ!?」

 

「あああっ!見ちゃダメ!これは!」

 

「おおー、セクシー!」

 

「随分、涼しそうだね?」

 

「制服、ありますか?」

 

「制服ありますかだ? ここはブラジャーから列車砲まであるジャスミンモールだよ。ほれ毎度あり、しっかしどうしたらそんな風になるんだろうね?」

 

「さぁね、それよりジャスミン.....例の物は?」

 

マサトがジャスミンにある物を言う。

 

「ああ、あるとも.....あれを使いこなせるのはお前だけだ」

 

「ありがとうジャスミン.....それで値段の方は?」

 

すると、ジャスミンがヒソヒソでマサトの耳元で言う。

 

「あれを使うなら特別サービスだ、ここでは言えないが、値段は....キャッシュってとこだ」

 

その安さにマサトは驚く。

 

「安.......」

 

「どうする?」

 

「.....買う、レオスにはあれが必要だからなぁ」

 

「ヒヒヒ、毎度あり」

 

「何を買ったの?」

 

「秘密......」

 

「何だろう?」

 

ナオミは首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、指導教室ではアンジュに散々嫌がられせをして来たロザリーとクリスはサリアに説教され、正座されていた。さらに二人の顔のにはエルシャに何をしたのか殴られた後が残っていた。

 

「ガス抜きと思って見逃していたけど、あまりにも目に余るわね」

 

そこにはエルシャやヴィヴィアンもいた。

 

「あの子が気に入らないのは分かるけど.....」

 

「アンタ等何も思わないの!?大切な仲間を危険な目に合わせて、その上....隊長をあんな風になっていると言うのに彼奴がのうのうと生きている事にさ!!?」

 

「でも、アンジュちゃんは戦場に戻って自分が行ったことも、償いをしてくれたわ、マサトくんが助けてくれなかったら、ゾーラ隊長もココちゃん、ミランダちゃんも生き延びることもなかったかもしれないわよ?」

 

「そ!それだけで....!」

 

「それだけで納得しろっての?」

 

ヒルダが扉から入ってきて言う。

 

「たくっ...司令も何考えてんだが、あの女にポンコツ機を与えた以外はお咎めなしとはね、ああ~?司令も気に行っちゃったんだ、あの女が」

 

その事にサリアは反応した。

 

「ま、そう考えれば変に優遇されているのにも納得が出来るか、あの指令をたらしこむなんて大したもんだねぇ.....皇女殿下はベットの上でも優秀」

 

「っ! 上官侮辱罪よ!」

 

「....だから?」

 

サリアがナイフを抜き取り、ヒルダもホルスターからハンドガンを取りだす。

 

「これ以上アンジュに手出しするのは許さないわ!」

 

「ゴミムシに言われるほどでもないね」

 

「.......命令よ」

 

「チッ.......行くよ、二人とも」

 

ヒルダはハンドガンをしまい、ロザリーとクリスを呼ぶ。すると、ヒルダはサリアに言う。

 

「あの男はゾーラの事を助けてくれた事には感謝はするけど、所詮彼奴は男のノーマ.........絶対に気を許しては駄目よ」

 

ヒルダはそう言うと、部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから夜になり、サリアとヴィヴィアンの部屋では.....

 

「超高速鉄鋼弾に、加減ギアに、そしてポテチ♪......私なんて欲しいものばっかだなぁ、」

 

ヴィヴィアンはノートに書いている欲しいものを見ていていると、サリアは本を読んでいた。

 

「ここでクイズ、サリアは何を呼んでいるのでしょうか?」

 

ヴィヴィアンが突然クイズを出すと、サリアは返答する。

 

「.....指導教本、難しいわ.....部隊の安定させる行動をどう生かすかを......」

 

そしてサリアはヴィルキスの事を思い出す。

 

「(ジル、約束したじゃない.....あの機体を私にって......)」

 

「サリアまた怖い顔してるほら!」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

ヴィヴィアンがサリアがかけていた眼鏡を外す。

 

「サリアはいつものアレを読んでいる時の方が良い顔してるぞ?」

 

「アレ?」

 

「ほれ引き出しの二段目にあるさ、男と女がチュッチュするる本♪」

 

「っ!」

 

「さあ!見せてごらん!君の全てを~! あ~ん♪そんなとこ~♪」

 

ヴィヴィアンがジェスチャーしながら本の内容を言っていると、サリアはナイフホルダーからナイフを取り出して、ヴィヴィアンに目掛けて投げた。

それにヴィヴィアンは慌てて避けて、サリアは狩人の目をしながら言う。

 

「今度勝手に漁ったら、刺すわよ....」

 

「ご、ごめんちゃい!」

 

睨み付けるサリアにヴィヴィアンは謝ると、ヴィヴィアンのお腹から音が鳴る。

 

「お!飯タイ~ム♪サリアは?」

 

「もう少し勉強してからにするわ」

 

「そっか、」

 

ヴィヴィアンはそう言い、食堂へと向かった。サリアはレオスもマサトの事を考える。

 

「レオス.......どうしてマサトを......?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マサトの部屋で同居となったナオミはパラメイルのでの借金に困っていた。

 

「う~、パラメイル損傷、修理代、含めて一億キャッシュだなんて~」

 

「ドンマイ.....こっちは何とか払い終えたが......手伝おうか?」

 

「いや、良いよ私がやらないとマサトにも借金することになるよ」

 

「それもそうだな........それにナオミと同居だ........」

 

「そうだね」

 

そう言って、二人は寝ると、マサトは頬を真っ赤にしていた。

 

「(嘘だろ!?嘘だろ!?これって.......!)」

 

同じく、ナオミも頬を真っ赤になっていた。

 

「(男と一緒に寝るなんて........これが世に言う....!)」

 

「「(相思相愛?!)」」

 

二人は心の中で間違った言葉を思いながら、寝た。

 

 

 

 

 

 

翌朝、警報が鳴った。

 

『第一種遭遇警報発令!パラメイル第一中隊出撃準備!』

 

マサトとナオミは直ぐに起きて、スーツに着替え、格納庫へ向かい、集合した。

 

「総員、騎乗!」

 

サリアの掛け声に皆はパラメイルに乗る。マサトはレオスに乗り込み、システムを確認する。それに続き、ココやミランダ、ナオミもグレイブを起動する。

 

「ジャスミンとメイに頼んでおいて良かった.......ようやく、レオスも自由に空を浮遊することが出来る.....」

 

レオスのバックパックに大型のウィングが付けられていた。

 

「サリア隊マサト機、レオス フライトカスタム......box out!!」

 

マサトが叫び、レオスが発進し、ウィングを展開した。

 

「総員、戦闘準備!ドアが開くぞ!!」

 

戦闘空域に入ると、空間に次元のゆがみは発生し、中からドラゴン達が現れた。すると、アンジュ機がドラゴンの群れへと突っ込んでいった。

 

「アンジュ!勝手に突っ込むな!」

 

サリアが命令しても、言うことを聞かなかった。アンジュはドラゴンに攻撃をする。

 

「はああああっ!!」

 

アンジュが突撃しようとした直後、排熱板から煙が上がる。

 

「「アンジュ!!」」

 

ヴィヴィアンとマサトが落ちていくアンジュ機。

 

「マサトお兄ちゃん!アンジュさんが!」

 

アンジュは必死に機体を立て直そうとした時だ。

 

「助けてやろうか?」

 

ヒルダが手を貸そうとしていた。だが、アンジュはそれを拒否した。

 

「くっ!.....失せろゴキブリ!」

 

アンジュはすぐさま駆逐形態に変形すると一体のドラゴンがアンジュに体当たりし、海へと墜落した。

 

「ヴィルキス!」

 

「くそッ!」

 

マサトがアンジュを助けようとしたとき、オペレーターが報告する。

 

『さらにシンギュラー反応を確認!開きます!』

 

上空から、ゲートが開き、中からハンマーヘッド型のブリック級のドラゴン2体が飛来した。

 

「今度はハンマーヘッドのブリック級2体かよ!?」

 

『『ガアアアアアアアアッ!!!!!』』

 

ハンマーヘッド型のブリック級ドラゴンはレオスに向けて、雷撃を放った。レオスは雷撃を回避し、ヴァリアブル・ガンを乱射する。第一中隊画素の隙にドラゴンに止めを刺し、皆の努力の甲斐もあってブリッグ級3体は海に落ちていき、任務も完了した。

 

「何で大型だけレオスに攻撃してくるんだろう.......?」

 

マサトはドラゴンの事を考えていると、ジルが通信を入れてきた。

 

「ご苦労だった。全機、帰投せよ」

 

ジルは第一中隊に帰投命令を出すと、サリアが通信を入れてくる。

 

「あのっ!ヴィル......アンジュ機の捜索許可を頂けませんか?破壊されたわけではないし、今すぐに回収すべきかと」

 

「冗談でしょ、戦闘でクタクタ、燃料もカスカス、なのに痛姫様とポンコツ機を探せってのか?隊長さん」

 

ヒルダの言葉にサリアは考え込むと、ジルが言う。

 

『ヒルダの言う通りだ。後で回収班を出す。中隊は全機、帰投!』

 

「帰るわよ」

 

第一中隊全機は飛翔形態へ変形し、アルゼナルへと戻っていった。するとまだドラゴンの事を考えているマサト機の所にナオミが近付く。

 

「大丈夫だよ、アンジュなら、きっと生きている」

 

「そうだな......っ!(耳鳴り!?)」

 

突然の耳鳴りにマサトはモニターを見ると、第一中隊全員が赤く光っていた。

 

「.......っ!!?(中隊全員!?)」

 

「どうしたの?」

 

するとマサト機は旋回し、シールドとヴァリアブル・ガンを構える。

 

「隊長!俺だけを残して先にアルゼナルへ帰還してください!」

 

「何を言っているのマサト!?戦闘はもう.....!」

 

サリアが通信を入れた直後、オペレーターが緊急報告してきた。

 

『新たに!上空にシンギュラーを確認!』

 

「お前ら......逃げろ!」

 

「え!?」

 

「早く!」

 

『ゲート!開きます!』

 

第一中隊のいる空域の上空からゲートが開き、中から3機の黒い影が現れた。ドラゴンのような形状で、親指と小指が同じ長さに左右対称形で重なり合っていた。1機だけは肩にキャノンと脚部が分厚く、左手にシールドを持っていた。

 

「黒いパラメイル!?」

 

「違う......レオスと同じ図体だ」

 

するとモニターに映っている黒い3機の名前が表示された。

 

 

《KHRONOS》《JILSBEIN》

 

 

「名前は.....クロノスとジルスベイン?」

 

『せ、戦闘区域に未確認機が出現しました!!』

 

すると、クロノスMk-IIは手の平から黄色いビームサーベルを放出し、続けてジルスベインもビームサーベルを放出した。

 

「クククク......この世界にもガンダムがあるのか.........久しぶりだよなぁ!!俺の宿敵っ!!」

 

クロノスのパイロットはマサトのレオスを見て、吼える!

 

「来るッ!」

 

マサトは此方に向かってくるクロノスMk-IIと2体のジルスベインにビームサーベルを突き付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、目を覚ましたアンジュは目の前の光景に驚いていた。両手が縛られており、その横に茶髪の男性が寝ており、良く見ると裸にされていた。

 

「......え? え!?えぇぇぇぇぇぇっ~~~~~~~~!?」

 

「ご!ごめん!念のために縛らせてもらった......」

 

男性はアンジュの側から離れ、アンジュは辺りを見渡した。すると近くの机の上に自分のライダースーツが置いてある事に気付き、男性の方を向く。

 

「君は、どうしてここにっ?、え!?あああっ!!」

 

男性は飲み物を持ったままアンジュの所に近付いた途端、足元に転がっていた空き瓶を踏んづけ転んでしまい、アンジュの股間に突っ込んでしまった。

 

「っ!?」

 

「っ!」

 

二人はその光景に頬を赤くした。

 

「ごめん!これは「いやああああっ!!」ごべっ!」

 

男性はアンジュに謝ろうと謝罪しようとした直後、アンジュは悲鳴を上げ、膝で男性の顔を横蹴りし、さらに腹に足を乗せてから投げ飛ばす。アンジュは直ぐ様縄を切り、ライダースーツを持って洞窟から出て海岸へと向かっていった。

 

「(何なの此処、私....どうして…はっ!)」

 

アンジュは着替えながら今までの事を思い出す。突然ヴィルキスの排熱板から煙が上がり、そこに襲ってきたドラゴンと共に墜落したことを.........そう考えているうちに、アンジュの目の前に砂浜に打ち上げられているヴィルキスがあった。アンジュは直ぐに乗り込み、発進しようとするが起動しなかった。

 

「どうして動かないの!?」

 

アンジュは原因を調べようと、排熱板が焦げており、調べると、中からたくさんの下着が詰め込まれていた。アンジュはヒルダの仕業だと知り、悔しながら下着を破り捨てて踏みつけると、

 

「酷いじゃないか、」

 

「っ?」

 

蹴り飛ばした男性がアンジュ所に向かって来た。

 

「君は、命の恩人に何て事を....」

 

するとアンジュはホルスターからハンドガンを取りだし、男性の足元に目掛けて撃つ。

 

「え!?うわぁっ!!えええええっ!!?」

 

男性は後方に飛び退いて、手を上げる。

 

「それ以上近付いたら撃つわ!」

 

「お!落ち着け!俺は君に危害を加えたりしない!それにもう撃っているし、」

 

「縛って、脱がせて、抱きついておいて?」

 

「え?あ、だからあれは....」

 

「目覚めなかたったら!もっと卑猥でハレンチな事をしてたでしょ!?」

 

「もっと卑猥でハレンチ!?....ハァ、女の子が気を失っている隙に、豊満で形のいい胸の触感を味わおうとか、無防備で、体隅々まで触ろうとか、女体の神秘を存分に観察しようとか、そんな事をするような奴に見える....」

 

男性は火に油を掛けるような言葉を放ち、アンジュはさらに顔が赤くなり、銃を構える。

 

「そんな事をするような奴だったの!!!?何て汚らわしい!この変態っ!!」

 

「ご!誤解だ!俺は本当に君を助けようとってっ痛~い!!ああっ!!?」

 

男性は弁明しようとしたが、足元に蟹が近づいており、男性の足の小指を挟む。男性はあまりの痛さにアンジュの方に倒れ転び、アンジュの股間に埋まってしまう。

 

「っ?!」

 

男は直ぐに離れるが、アンジュは顔を赤くし、男性に睨んだ。

 

「なぁぁぁぁぁぁぁっ~~~~!!」

 

男性は叫び、アンジュは男性に向けて発砲した。しばらくして、

 

「変態!獣!発情期っ!!」

 

アンジュは怒りながら、男性を蔓でグルグル簀巻き状態にして、木に吊して去って行った。

 

「あの~、もしも~し、今のは事故なんだよ~!」

 

男性は弁明したが、アンジュは無視していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンジュと男性に接触した10分前、マサトと第一中隊は謎の敵に襲撃されていた。マサトはビームサーベルを降り下ろすが、クロノスはビームサーベルで防御した。

 

「グッ!コイツ......強い!」

 

第一中隊も2機のジルスベイン苦戦していた。図体がでかいのにとてつもないスピードに追い付けなかった。

 

「速すぎる!本当にこの二機は量産機なのに!?」

 

「それなら、ヴァリアブル・ガンだ!!」

 

マサトはヴァリアブル・ガンを取りだし、クロノスに向けて発砲した。クロノスはレオスのヴァリアブル・ガンを腕で防御すると、ヴァリアブル・ガンのエネルギー弾が雫のように弾け拡散無効化された。

 

「嘘だろっ!?ヴァリアブル・ガンが効いていない!?なら!」

 

マサトはもう一つのビームサーベルを抜刀し、二刀流で斬りかかろうとした直後、クロノスの腰背部の尻尾が分離し、手に持ち、マサトに斬りかかった。マサトは二刀流のビームサーベルで防御し、フライトパックで体制を立て直した。

 

「危なっ!!?」

 

マサトはクロノスの持っている武器に驚く。尻尾のような物は何とソードになっていることに、

 

「あの尻尾.....ソードだったのかよ!?」

 

すると、ソードから高周波のビームの刃が放出され、長刀へとなった。

 

「光の高周波の刃?」

 

すると、クロノスのパイロットふ叫ぶ。

 

「そうよ!これが俺のクロノスの剣!その名も"クロノスソード"だ!!」

 

クロノスはクロノスソードを構え、レオスに突き付けた。




次回......オリジナル機体登場です。


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第8話:タスクと不死鳥 前編

 

クロノスはクロノスソードでマサトに攻撃してきた。長刀であるクロノスソードの高周波ビームの刃の火力にマサトの二刀流ビームサーベルがパワー負けていた。

 

「オラオラッ!どうした!?ガンダム!俺を圧倒してみろ!!」

 

中のパイロットは吼えながら、クロノスの肩部のクロノスキャノンを放つ。マサトはシールドで防ぐがキャノンの放つビームにより破壊され、吹き飛ぶ。

 

「ガぁぁぁぁっ!!!」

 

その直後、煙から、クロノスが現れ、コックピットに目掛けてソードを突き付けてきた。

 

「ハハハッ!!!覚悟だ!ガンダムゥゥゥゥゥッ!!!」

 

同時に、第一中隊の全機も2機のジルスベインに圧倒され、ジルスベインがジルスベインガンを突き付け、発砲しようとした直後、ジルスベインの腕が切れた。

 

「何!?」

 

サリアが問うと、今度はもう1機のジルスベインの頭部に目掛けて、羽のような物体が突き刺ささり、爆発した。

 

「何だとっ!?」

 

クロノスは攻撃を止め、1機のジルスベインが爆発した所を確認すると、アラームが鳴り、パイロットは上空を見た。

 

「あれはッ!?」

 

中のパイロットと同時にマサトやサリア達もその機体に驚く。赤と白のカラーリングで、4門の翼がビームキャノン、両手にビームピストル、そして特徴的だったのはレオスと同じガンダムであった。

 

「もう1機の......ガンダム!?」

 

すると、そのガンダムの翼から無数の羽状の物体が出てきて、その銃口からビームを放った。

 

「ファンネルだと!!?チッ!」

 

クロノスのパイロットは舌打ちすると、フェザーファンネルのオールレンジ攻撃を回避して行った。クロノスはジルスベインと共にビームバルカンで応戦するが、無数に来るフェザーファンネルに押されていく。

 

「あのガンダム......強すぎだろ.......」

 

「スゲー!」

 

『小娘ども.....ここは私に任せろ、お前らはアルゼナルへ帰還しろ....』

 

「え!?」

 

『二言は言わないぞ......』

 

「総員!アルゼナルへ!」

 

《イエス!マム!》

 

『小娘ども......覚えておけ、私の名は"コマンダー・フェニックス".....そしてこいつは我が愛鳥"フェニックスガンダム"だ....!』

 

コマンダー・フェニックスと名乗る人物はクロノスとジルスベインにフェニックスガンダムのビームピストルを発砲した。マサト達はその隙にアルゼナルへと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルに帰還後、サリアは現状を報告した。

 

「ヴィルキス落ちたそうだね?やっと乗り越させそうな奴が見つかったのにね」

 

「機体の調子は良かったのに、どうして!?」

 

メイは拳をぶつけながら、悔やんでいた。

 

「考えるのは後よ、今は機体が最優先よ」

 

「アンジュもだ」

 

「?!」

 

「アンジュも回収しろ、最悪.....死体でも構わん」

 

すると、ドアから誰かがノックしてきた。

 

「指令....マサトです」

 

「入れ」

 

マサトは入ると指令に言う。

 

「指令......アンジュ捜索の為レオスの使用許可をお願い致します。」

 

「マサト!何言っているの!?」

 

サリアが驚きながら問うと、マサトはあの時の奴等の事を言う。

 

「捜索に行くとしたら、まだアイツがいるかも知れない......ビーム兵器はアイツらの方が上だ......対当できるのは俺と、あのコマンダー・フェニックスと名乗っていた奴だ」

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルの発着場にサリアとメイを含む回収班が輸送機に乗り込み、マサトもレオスの準備をしていると、そこにヴィヴィアン、エルシャ、ココやミランダ、ナオミが来た。

 

「メイち~ん!!回収いくんでしょ?アタシ達も行く!」

 

「皆、戦闘でさっき帰ってきたばかりじゃ?」

 

「直ぐに行かないと死んじゃうじゃん?」

 

「「「え?」」」

 

「アンジュは生きてる!分かるもん!」

 

「早く見つけてあげなくちゃ♪きっとお腹空かしてるわ!」

 

エルシャはサンドウィッチとスープの弁当が入ったバスケットを持っていた。

 

「ココやミランダやナオミも?」

 

「はい!」

 

「アンジュを探すなら多い方が良いと、指令にちゃんと許可を頂いたの!」

 

「私はアンジュの事を知らない.....けど、同じ仲間として、見つけたいのです!」

 

ミランダとナオミが言うとヴィヴィアン達は構わず、輸送機の中に入っていった。

 

「ほらほら!レッゴー!」

 

ココとミランダとナオミはグレイブを発進させ、マサトもレオスを起動し、発進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アンジュはヴィルキスに非常食がないかを調べていたが、見つからなかった。

 

「どうして非常食がないの?!」

 

するとアンジュはコックピットを見て、サリアとジャスミンの言葉を思い出す。

 

「ノーマの棺桶か.....」

 

すると、ヴィルキスのコックピット内に海水が増しており、アンジュは急いでその場から離れた。

空が曇りだし、雨が降りだし、雷鳴が轟き始めた。

アンジュは大木の穴を見つけて雨宿りするが、飢えと雨の寒さで体が震えるが何か痛みを感じ、足を見ると蛇が噛みついており、急いで振り払い、その場から走り出す。どれぐらい歩いたのか分からなくなり、体力が低下していった。先の蛇の毒なのか、体もだるく雨による体温低下により、アンジュは倒れてしまう

 

「......誰か」

 

助けを呼ぼうが、、彼女を助けにくる仲間はいなかった。

 

「.......誰も、来るわけ......ない」

 

アンジュは涙を流し、上手く立ち上がろうとすると、

 

「あの、.....大丈夫?」

 

グルグル簀巻きにした青年がアンジュに声をかける。どうやら同じ場所に辿り着いてしまったようだ。

青年はアンジュの苦しい表情を見て、何かあったと悟る。

 

「たす.....け.....て..」

 

アンジュは倒れてしまい、青年は急いで蔓を切りアンジュの元に向かい抱きかかえて容体を調べる。

左太腿に蛇にかまれた所を見つけ、蛇にかまれたことを知り、急所口で傷口から毒を吸い出して処置をする。そして青年はアンジュを抱いて、隠れ家へ連れて帰って、泥で汚れた身体を拭いていた。

その時にアンジュの指にはめていた指輪を見て、自分の幼い頃の事を思い出す。

 

獄炎の業火が街を覆い尽くし、破壊されたパラメイル、無惨にバラバラにされたメイルライダー、そしてその上を浮遊する数機の巨大兵器と小型の無人兵器、そして深淵の如く蒼海の色に満ちた白色の悪魔が光輪を光らせていた。

 

そしてそこに両親も息絶えて、幼い頃の自分は泣いていた。

 

『父さん.....母さん!』

 

すると、泣いている自分は違う方向を見た。片腕を無くして歩いてくる黒髪の女性と炎の中に女神のオブジェがついていた白い機体が目に映った。

 

「.....ヴィルキス...........」

 

男は呼吸が安定し寝ているアンジュを見る。

どうして彼女がヴィルキスに乗っているのか、何故あの女性の機体を彼女が受け継いでいるのかそう思う男であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方アンジュとヴィルキスを捜索していたマサトは本部に連絡を行っていた。

 

「こちらマサト......ここの空域にはアンジュとヴィルキスの姿はなし...........燃料の補給為、帰投します」

 

『了解 帰投してください』

 

「コマンダー・フェニックスもあの黒い機体も見つからなかったなぁ.......」

 

マサトはレオスを旋回し、アルゼナルへ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アンジュは気が付き、辺りを見渡すと最初に目覚めた洞窟だ。

 

「無理しない方が良いよ、毒は吸いだしたけどまだ痺れは残っているから」

 

青年はアンジュにそう言い、アンジュが身体を起こす。すると自分が着ている物に目をやる。ライダースーツじゃなくワイシャツ姿を見て気付き、思わず青年を睨む。

 

「言っておくけど、動けない女の子にエッチな事なんてしてないからね」

 

青年はそう言いながら、煮込んだスープを器に盛り付ける。

 

「もう少し治療が遅かったら危ない所だったんだ、これに懲りたら迂闊な格好で森に入ったらダメだよ」

 

「.....余計なお世話よ」

 

アンジュは頼んでもいない顔をしていると、青年はスープの具をスプーンにのせてアンジュに向ける。

 

「はい....」

 

「......え、何?」

 

「食事、君何も食べてないだろ?」

 

「いらないわよ!そんな訳分からない物を.....!」

 

すると、アンジュのお腹から音が鳴る。身体が正直なのが恨めしくなってきた

 

「変なものなんて入ってないよ.....ほら」

 

アンジュは渋々と口を開けて、食す。

 

「.....不味い」

 

そう言いながらも口をアーンッとあけるアンジュ。

男はクスリッと笑う。

 

「気に入ってもらって良かったよ.....海蛇のスープ」

 

ウミヘビという言葉にギョッとし、飲みこむアンジュ。

 

「少しは信用してくれた?」

 

青年はそう言うが、アンジュはまだ信用出来ない表情をし、青年見る。青年は少し困った表情をした。

 

「......」

 

「出来ればもう殴ったり撃ったり、簀巻きにしないでくれると嬉しんだけど.....」

 

「......考えとく」

 

そう言いながらアンジュはまたアーンッとし、食べる。

するとある言葉を思い出す。確か、蛇にかまれた部分はと左の太股を見て、頬を赤くする。

 

「どうしたの?痛む?」

 

「.....さっき、毒を吸出したって言ったわね?」

 

「うん」

 

「口で?」

 

「うん......ハッ!」

 

「ここから.....?!」

 

「そっ!それは.....!」

 

青年はアンジュに弁明するが、

 

「痛だだだだだっ!!」

 

「噛まないとは言ってない!!」

 

何処を噛まれたのか分からないが、何やらよい雰囲気であった。



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第9話:タスクと不死鳥 後編

補給の為にアルゼナルへ戻ったレオスが発着場に着陸すると、整備班がレオスの補給に取り掛かると、上空からサリア達が乗っている輸送機とココ達が降りてきた。マサトは自販機からココアが入った缶を購入し、飲んでいるとエルシャがマサトの隣にやって来た。

 

「ふぅ、..........」

 

「お疲れさま♪」

 

「そっちも......」

 

するとそこにヒルダがやって来た。

 

「晴が出ることで」

 

「ヒルダちゃん」

 

「わっかんないね~、何であんな女を助けようとしてんのか、エルシャお得意のお節介な奴? 」

 

っとヒルダはレオンとエルシャに向けて笑みを浮かばせながら言って壁にもたれると、エルシャが言う。

 

「ヒルダちゃんがアンジュちゃんを憎む理由も分かるわ........機体を落としたくなる理由もね」

 

「え?!」

 

エルシャの言葉にマサトは驚いた。

 

「ヒルダ.....お前は何を企んでいるんだ?そこまでにしてまでもアンジュを葬ろとするのだ?」

 

「ええ、当然じゃん。あんなクソ女、それに.......アタシの目的を知っても、聞いて呆れるよ」

 

「.......」

 

「でもそれでも誰かが受け入れてあげないと、彼女はずっと独りぼっち...そんなの寂しいじゃない、同じノーマ同士なのに」

 

エルシャが笑みで返すとあることを言った。

 

「それに......アンジュちゃんと似てるのよ、昔のヒルダちゃんに、だからお姉さん放っておけないの」

 

「え?」

 

「アハハ!似てる?あのクソ女と? 殺しちゃうよ、あんたも」

 

そうエルシャに脅すと、その場を去って行くヒルダであった。

 

「補給~補給っと♪ ってあれヒルダ?」

 

入れ違いにヴィヴィアンが去っていくヒルダを向き、マサトは考え込む。

 

「(昔のヒルダがアンジュに似ている?......どう言うことなんだ?)」

 

マサトはヒルダの事を考えながら、補給を終えたレオスに乗り込み、先に終えたナオミと共にアンジュとヴィルキスの捜索へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一晩が立ち、翌朝青年は工具を持ってヴィルキスの修理をしていた。するとそこにアンジュがやって来た。

 

「もう動いて大丈夫?」

 

「何してるの?」

 

「.....修理....かな?」

 

「直せるの?」

 

「此処にはたまにバラバラになったパラメイルが流れ着くんだ、それを調べて行っている内に何となくね....そこの六角レンチ取ってくれる?」

 

アンジュは横にある六角レンチを青年に渡すとあることに気付く。

 

「マナで動かせば良いじゃない」

 

その言葉に青年は手を止めた。

 

「どうして使わないの?、どうしてパラメイルの事を知ってるの? あなた.......一体何者?」

 

アンジュの問いに青年はアンジュの方を向き、名乗った。

 

「......俺はタスク、ただのタスクだよ」

 

青年の名はタスク.......タスクはそう言って作業を再開した。

 

「いや、そうじゃなく」

 

「あっ!やっぱり出力系の回路が駄目になってるのか、でもこれさえ直せば無線は回復する....そうすれば君の仲間とも連絡が取れるよ」

 

「.....直したって無駄よ」

 

「え?」

 

「連絡しても誰も来ないし、帰ったって.....誰も待ってないもの」

 

アンジュは悲しそうな表情で海の方を向くと、タスクはアンジュに問う。

 

「......あの、しばらくここにいたら?......その、変なことはしないし!」

 

「.......そうね」

 

アンジュはタスクの誘いを受け入れ、再び海を見る。その時アンジュは思った。助けてくれたタスク、生きる希望を与えたマサト、心配してくれるヴィヴィアンとエルシャ、あの時慕ってくれているココやミランダ、ナオミの事を思いだし、アンジュの心の中に、凍り付いていた心が少しずつ溶けていくような気がした。

 

それから数日後、川辺で二人は寝転んでいた。互いに無人島で打ち解けたり、楽しく日々を暮らしていったようだ。

 

「うわぁ.......こんなに星が見えるなんて」

 

「子供の頃、師匠が良くここに連れて来て、星を眺めていたんだ......気付かなかった?」

 

「空なんて、ずっと見てなかったから....、綺麗.....」

 

アンジュは星を眺めていると、タスクがアンジュの手をそっと握り、顔を赤くしながら言う。

 

「君の方が.....綺麗さ......」

 

「え?」

 

アンジュは少しばかりタスクの言葉にドキッとした。

良い雰囲気となり、アンジュとタスクは顔を近づけようとした時にタスクが何かを感じ取ると、アンジュを押し倒し、"静か"にと言われる。

すると空にある物が見える。

 

「あれって、ドラゴン!?」

 

二人は凍結されたガレオン級ドラゴンが輸送機に運ばれていくのを目撃した。

 

「連れていくの!?何処に!?どうして!?」

 

アンジュはタスクに問うと、森の方から鳴き声が聞こえた。

 

「「!?」」

 

すると、森の中から一匹のスクーナー級ドラゴンが現れた。

 

「あれは......!?」

 

アンジュは思い出す。あのスクーナー級ドラゴンは戦っていたドラゴンの一体だと。スクーナー級ドラゴンは凍結されたドラゴンを助けようと輸送機へ目指すと輸送機が反撃してきた。しかし、輸送機は反撃するが全て撃墜されてしまい、凍結されたガレオン級ドラゴンと一緒に島の奥へと墜落した。

 

「逃げるよ!」

 

タスクはアンジュの手を引っ張ってその場を逃げようとしたが、目の前にスクーナー級ドラゴンが落ちて来た。

スクーナー級ドラゴンはボロボロであったが、二人を睨み襲い掛かって来た。アンジュはホルスターからハンドガンを取りだし、対抗するが全く効かなかった。

 

「パラメイル!あれなら!」

 

「でも!まだ修理が!」

 

「直して!」

 

「分かった!」

 

二人はヴィルキスがある海岸へと向かった。

ヴィルキスがある浜辺に着いた二人、タスクはすぐに修理に取り掛かり、アンジュはナイフでスクーナー級ドラゴンと立ち向かった。

 

「急いで!」

 

しかしスクーナー級ドラゴン翼で弾かれてしまいナイフを落としてしまう。

 

「これをっ!!」

 

タスクはアサルトライフルを取りだし、アンジュに投げ渡した。

 

「急いで!」

 

アンジュはキャッチし、スクーナー級ドラゴンの攻撃を回避し、ドラゴンに攻撃する。タスクは急いで修理していく。しかし、アサルトライフルで攻撃するも、スクーナー級ドラゴンの尾で弾かれてしまった。ドラゴンはアンジュを喰い殺そうした時にアンジュの指輪が光だし、ヴィルキスが起動して、持っていたアサルトライフルがドラゴンへと発砲する。その時の異変にタスクは気付く。不意をつかれたスクーナー級ドラゴンが怯み、アンジュがこの隙に近くに落ちていたナイフを拾い、スクーナー級ドラゴンに立ち向かって行こうとしたその時、一閃の光弾がドラゴンの胴体に風穴を開き、ドラゴンは風穴から鮮血を吹き出しながら、グラリと倒れた。突然のの攻撃にアンジュとタスクは上空を見る、すると空からヴァリアブル・ガンを構えたレオスとナオミのグレイブがゆっくりと降下してきた。

そしてレオスのコックピットが開き、中からマサトが出てて、グレイブからナオミが現れた。

 

「無事か?」

 

「アンジュ!」

 

「まさか!?マサトとナオミなの!?」

 

「男?!......(それにあの機体は......イクス!?でも、赤い.....?)」

 

タスクはレオスを見て、"イクス"と勘違いするとマサトはタスクを見る。

 

「男.....?」

 

 

 

 

 

 

 

朝日が昇り、一筋の曙光が照らす。スクーナー級ドラゴンの死体は海へ攫われ、そのまま流されて行った。四人は光景を静かに見届けていた。

 

 

「仲間を助けようとしたんだ.......帰りたかったんだね、自分達の世界に....」

 

「ドラゴンにも、仲間意識が.......」

 

「そう言えば、マサトとナオミはどうしてここに?」

 

「サリアやココ達と一緒にお前とヴィルキスの捜索をしてる途中、輸送機とドラゴンが交戦して、島へ墜落し見に来たわけだ......それに、」

 

「それに?」

 

マサトはアンジュとタスクを見て、言う。

 

「お前.......いつからボーイフレンドが出来たんだ?」

 

「なッ!?なに言い出すの!!?」

 

アンジュはマサトの言葉に頬が少し赤くなり、怒鳴った。

 

「冗談........ん?」

 

するとマサトはタスクに近付き、顔を見る。

 

「え?.......何?」

 

「........何処かであった?」

 

「え?」

 

「前にもあったことがあるんだよな......お前の顔を見てると......」

 

するとヴィルキスの方からヴィヴィアンの声が聞こえてきた。

 

『アンジュちゃ.....ん、応答願いまーす!もう死んじゃってますか?死んじゃってるんなら、返事をお願ーい』

 

「何だ?」

 

「こちらアンジュ、生きてます」

 

『嘘っ!?アンジュ!?本当にアンジュなのっ!?』

 

「救助を要請します」

 

『りょっ!了解!』

 

ヴィヴィアンは慌てて通信を切り、アンジュの方はタスクの方を向いて、決意する。

 

「私、帰るわ....今はあそこしか...私の戻る場所はないみたいだから」

 

「うん、そっか」

 

タスクが頷いた直後、アンジュは突然タスクの襟元を掴み、顔を赤めて言う。

 

「いいこと?私とあなたは何もなかった。何も見られてないし、何もされてないし、どこも吸われてない、全て忘れなさい!!いいわね!?」

 

「え!?はい....」

 

二人のやりとりにマサトはクスッと笑っていた。アンジュは優しく微笑み自分の名前を名乗った。

 

「アンジュ......アンジュよ、タスク」

 

「良い名前だ.....所で君達の名前は?」

 

「俺はマサト......初の男のノーマだ、よろしくなタスク」

 

「私はナオミ」

 

マサトとタスクは握手を交わすとタスクは言う。

 

「マサトとナオミ........本来なら、今は出会う筈はなかったけど、アンジュを頼む」

 

「どう言うことだ?」

 

「それじゃぁ」

 

タスクはそう言って、森の中へと消えた。

数分後、サリア達が乗った輸送ヘリが到着して、アンジュとヴィルキスを乗せてアルゼナルへと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃タスクは防弾ベストを着て、荷物を持って墓標を後にする。するとタスクの後方からオレンジのコートを着た全身包帯だらけ、そして顔全体を覆っており、口元の嘴のように尖った部分を持った鳥の様な仮面を付けた不気味な男が現れた。

 

「師匠......ヴィルキスとエクストリームが.....」

 

「うむ、ご苦労だったタスク」

 

仮面の男はそう言うと、隠れ家の倉庫に巨大な機体が置いてあった。

 

「これは?」

 

「フェニックス・ゼロ.....私の愛鳥であるフェニックスのプロトタイプだ.....お前なら使いこなせる....」

 

「分かった......」

 

タスクはフェニックスゼロに乗り込み、一枚の写真を見る。それは幼いタスクと両親が一緒に写っている写真であった。タスクはゴーグルをつけ、フェニックスゼロを起動し、無人島を後にする。

 

「さて、私もそろそろ彼女等と接触するか......」

 

仮面の男はフェニックスゼロが去っていくのを確認すると、コンパスを取りだし、西の方角を見る。

 

「待っていろ......マサト......我が弟よ......」

 

仮面の男は仮面を外すと、叫んだ。

 

「フェニックス!」

 

突如、コマンダーフェニックスの頭上からフェニックスガンダムが現れ、コマンダーフェニックスはフェニックスガンダムに乗り込み、バード形態へ変形し、北の方角へ飛んでいった。




ああ.....本当ならタスクの機体をノワールにしたかったのですが、タスクには不死鳥が似合うと友達から言われまして........結果、タスクの愛機をフェニックスゼロに賛成しました。
次回はハチャメチャになります。


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第10話:外界からの来訪者

お待たせしました!マサトの仲間を閃の軌跡キャラに似たオリキャラにしてみました。
では!どうぞ!


 

マサト達がアンジュを見つけて数日後、マサト達はドラゴン狩りに出ている間に外から輸送機がやって来て、補給物資が送られてきていた。

 

「食料良し、医薬品良し、」

 

エマが物資を確認している中、ジャスミンも同じようにコンテナのを確認していた。

 

「下着用のコンテナはうちの、下に回しておくれ」

 

「確かに受領しました。今後ともよろしくお願い致します」

 

「では、明後日に」

 

エマは敬礼で通信をつないで話している間に物資に人影が入り込んでいた事に気が付かなかった。エマが通信を終えようとしたとき、

 

「あっ、後もう一つ忘れていました。」

 

「何が.....嘘!?」

 

「ほぉ~、」

 

画面に書かれている内容にエマとジャスミンは驚く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

任務を終えたマサト達はアルゼナルへと戻って来て、更衣室へと向かっていた。その後ろにいるヒルダ、ロザリー、クリスの三人は不満な顔をしていた。

 

「クソ!またアイツだけ荒稼ぎしやがって! おまけにデカ物はあいつばっかに集中してやがる!!」

 

「アイツのことは仕方ないよ......それに何で生きてるの?」

 

「どっちがゴキブリなんだか」

 

するとロザリーは胸からネジを取り出し、アンジュに投げ付けようとする。

 

「アイツのどたまにネジ穴開けてやる!」

 

「ダメたよ...司令に怒られるよ」

 

「バレなきゃ良いじゃない」

 

「そうだね」

 

「だよな!、喰らえ害虫女!」

 

ロザリーがネジを投げようとした瞬間、アルゼナル全体に警報が鳴り響き、ロザリーは慌てる。

 

「ヒッ!?違います!違います!私なにもしてません!そのーー......え?」

 

『総員に告ぐ!アルゼナル内に侵入者有!対象は上部甲板、食堂付近、ジャスミンモール付近を逃走中!直ちに付近の者は侵入者確保に協力せよ!』

 

「侵入者?」

 

それに驚くエルシャに対し、レオンは少々呆れた様子になる。

 

「しかも場所が三ヶ所って.......アルゼナルの警戒心薄すぎやろ....」

 

マサト、サリア、クリスはジャスミンモールへ、ナオミ、ロザリー、ヴィヴィアン、エルシャは食堂付近へ、アンジュ、ヒルダ、ココ、ミランダは上部甲板へと向かった。

 

 

 

 

 

 

その頃、ジャスミンモール付近で警備員が警棒を持って三人の男女を追い詰めると、追い詰められた茶髪のパトリックが眼鏡をかけたマティスといつも眠そうにしている銀髪の少女エルマに言う。

 

「まずいよ!ヤバイよ!バレちゃったよ!」

 

「俺たちはマナ障壁がある!これで持つぞ!」

 

マティスとエルマ、パトリックがマナのバリアを展開して、警備員からの攻撃を防いでいた。

 

「早いとこマサトを見つけないと....!」

 

「侵入者発見!」

 

そこにようやくサリア、クリス、ヘルメットを装着したままのマサトがハンドガンを向ける。

 

「「「ヤバイ.....さらに増えた....!」」」

 

「こうなったら、二人とも!」

 

「「うん!」」

 

マティス、エルマ、パトリックは腰からキューブを取り出した。するとキューブが光だし、段々と形が変わっていった。マティスはショットガンへ、エルマは双小銃剣へ、パトリックはロッドへと変形した。見たことのない武器を見た警備兵達が驚き、警棒と拳銃を構えた。

 

「さぁ!掛かってこい!」

 

三人の武器にマサトは驚く。

 

「あの武器.....魔導武器!?」

 

「魔導武器?マサト、あなたあの武器を知っているの!?」

 

サリアがマサトの呼んだ直後、マティス達はマサトの方を向く。

 

「「「マサト!?」」」

 

「お前ら!?....マティスとエルマ、パトリック!?」

 

マサトはヘルメットを外すと、三人は叫んだ。

 

「「「マサト!」」」

 

「マサト、知り合いなの?」

 

サリアが問うと、マサトは返答した。

 

「あぁ、全員銃を下ろして、アイツらは俺の友人だ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、食堂付近では、青髪の少女セリカと妹の薄紫の髪の少女モニカと金髪の少年ニコラスが迫り来る警備員に囲まれていた。

 

「クッ!此方にも来たか.....モニカ、あれを出すぞ!」

 

「分かりました!セリカお姉さま!」

 

「仕方ない、殺りたくなかったが!」

 

セリカとモニカとニコラスは腰からキューブを取り出すと、キューブが光だし、セリカは両手剣へ、モニカはパトリックと同じロッド、ニコラスはナイトブレードへと変形した。ナオミ、ロザリー、ヴィヴィアン、エルシャはセリカ達の武器に驚いていた。

 

「何だよ!あれ!?」

 

「あれって.....武器?!」

 

「マサトに会うため!押し通させて貰うぞ!」

 

セリカが両手剣を構えた直後、ナオミが言う。

 

「え!?あなた達!マサトを知っているの!?」

 

「何!?お前!マサトを知っているのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、上部甲板付近では、アンジュ、ヒルダ、ココ、ミランダが三人の侵入者を取り抑えていた。すると二人はマナの障壁を展開し、メイドらしき女性がナイフと鋼糸を構えていた。

 

「あれって!?マナの光!?」

 

「やめてください!私はアンジュリーゼ様に会いに来ただけなのです!」

 

「私もです!モモカさんと一緒に、兄様.....マサト・ラスタルに会うために着いてきたのに.......」

 

「え!?、今あの子......マサトお兄ちゃんの事を兄様って....もしかして!」

 

その少女の顔が明かりで照らされた事に、アンジュは一人の少女見て思わず名を言う。

 

「モモカ!?」

 

「え?.......あの、もしかして.......アンジュリーゼ様?アンジュリーゼ様ー!」

 

モモカはアンジュに抱き付いて泣きつき、それに戸惑いを隠せないアンジュ。するとリナはココに問う。

 

「あのすみません!」

 

「え!?」

 

「あなた、兄様の事をマサトお兄ちゃんと呼びましたね!?」

 

「もしかして、あなた....マサトお兄ちゃんが言っていた......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、司令部では、

 

「モモカ・荻野目以下八名.......ええ!?、はい....はい.....わかりました...」

 

エマは受話器で上司と話し合ってる中で上司がとんでもない命令を下し、渋々了解して受話器を置いた。

 

「ハァ....」

 

「委員会は何と?」

 

隣で煙草を吸っていたジルがエマの表情を見て、察した。

 

「.....予想通りですか」

 

「あの娘達国に戻せば、最高機密であるドラゴンの存在が世界に知れ渡ってしまう恐れがあるからと.....何とかならないのですか?.....あの子達は、ただ此処に来ただけなのに....」

 

「ただ来ただけ.....ねえ....ま、ノーマである私には人の作ったルールを変えられる力などありませんよ。せめて一緒にいさせてあげようじゃありませんか....」

 

ジルは煙草を灰皿に捨てると、ある件を問う。

 

「そう言えば、また問題が起こったそうですね?ジャスミンも驚いていましたよ。」

 

「明日から、ローゼンブルム王国からある教官が参られるそうです。」

 

「ある教官?」

 

「その教官が.....マサトのお兄さん.....アストラ・ラスタルなのです。」

 

「ほぉ.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マサトはマティス達を部屋に連れ、話し合っていた。

 

「お前ら......良く此処に来れたなぁ....」

 

「当たり前だ。お前が検察官に連れていかれたって、学院長が俺達に報告してきたんだ。他の先生や、学院生やミスティ様も心配していたんだ。それから数日経ったある日学院にある変な鳥のような仮面を着けた男が俺たちの所に来たんだ....」

 

「ある男?」

 

「あぁ、学院長と何かを話していたら、マサトはアルゼナルにいるって言ったんだ。それで学院長のオフィスに忍び込んで、データをコピーして、ジョージ先輩に頼んで、解析してもらい、アルゼナルを特定出来たんだ。」

 

「それで、此処に辿り着いたと?」

 

「いや、まだあるんだ。エルマやパトリック、モニカとセリカ、ニコラスも行くって言ったんだ。」

 

「それで一緒に?」

 

「あぁ、しかし驚いたよ。まさかマサトのリナも輸送機乗っていたなんて、どうやってマサトのいる場所知ったんだ?」

 

マティスがリナに問うと、

 

「......」

 

するとシアがリナの代わりに説明した。

 

「....それは、私が説明します。マサト様がいなくなった後の事でした。先にマティス様々がお話しされたその仮面を着けた男が訪問してきました。」

 

「学院長に場所を教えたその仮面の男が?」

 

「はい、マサト・ラスタルはアルゼナルにいると仰っておりました。それとマサト様に仮面の男からの伝法を預かっております。」

 

「仮面の男が?」

 

リナは胸元からその手紙を取りだし、マサトに渡した。マサトは手紙の内容を読み始めた。

 

「....初めましてマサト・ラスタル殿。私の名はC・F《シーフ》と申します。訳あって彼等にはあなたの所在と生存の件を報告させました。君は実に面白きノーマです。明日にはあなた達を勉める教官が参られます。それでは..see you.....。」

 

書いた本人は陽気な気分な様子であったため、マサトはイラっときた。

 

「何が"see you"だ」

 

するとマティス達がマサトの義手に気付く。

 

「.....」

 

「何?」

 

「お前!どうした!?その左腕!?」

 

「ん?これの事か?」

 

「そうだよ!あんたどうした!?その腕!義手になってんだけど!!?」

 

「一体何があったんだ!?」

 

「話すと......面倒になる.....それでも良いか?」

 

《うん.....》

 

「じゃあ話す。」

 

マサトはこのアルゼナルの事やドラゴン、パラメイル、ノーマの使命、両親がくれたレオスの事を全て話した。

 

「ドラゴンって....ファンタジーにも程があるやろ?」

 

「これが現実だ。」

 

「でも、お父様とお母様とアストラ兄様は何故、兄様が此処に来ると分かっていて、その機体を渡したのでしょう?」

 

「分からん。父さんと母さんとアストラ兄さんは何を考えていることやら......」

 

「所で......いつまで俺ら.....こんな窮屈な部屋で聞いているんだ?」

 

「......思った。」

 

するとドアから、風呂上がりのナオミが入ってきた。

 

「マサト、お風呂空いたよって、うわあっ!?何でこんなに?!」

 

《......誰?》

 

「私はナオミ、第一中隊のメイルライダー....」

 

「......おい、マサト」

 

「何だ?」

 

「お前、いつからガールフレンドを作った?」

 

「「///\\\!!?」」

 

突然マティスが思わぬ言葉を言ったことにマサトとナオミの頬が赤くなった。

 

「誤解だ!俺とナオミは普通にこの部屋で同居してーー」

 

《同居?!》

 

「最低不潔」

 

「まさか......あんたあの子と!?」

 

エルマとモニカがさらに疑心暗鬼になる。

 

「おい!止めろ!それ以上は!わー!わー!わー!」

 

「本当だよ!マサトは優しいからしてないよ~!」

 

《......本当に?》

 

「「本当の!本当の!本当っ!!」」

 

「あのココちゃんと言う子はお前の事をマサトお兄ちゃんとあれも?」

 

「ココは義妹だから、何時でも何処でも呼んでも良いって言ったから、」

 

《な~んだ!》

 

「な~んだって!?お前らなぁ!」

 

マサトは怒鳴り、マティス達を部屋から追い出した。(ジルに頼んで、皆の分の部屋も用意してくれた。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、マサトは食堂にいた。マティス達はノーマ飯を食し、不機嫌な表情になっていた。

 

「何だ、この......不味い飯は.....」

 

「マサト......良くお前はこれを食べれるなぁ.....」

 

「当たり前だ......最初来た時は、必死に我慢したんだぞ」

 

すると下の方から、モモカの声が聞こえていた。どうやらヒルダ達がアンジュに席を譲らなかったことにモモカは反発していた。

 

「なんたることですか!!アンジュリーゼ様に席を譲りなさい!」

 

「(うわぁ、モモカ.....ヒルダ達と堂々と張り合うなんて.....)」

 

「無茶苦茶な奴と?」

 

「あぁ、.........え?」

 

突然の声にマサトは横に振り向くと、赤と黒の軍服を着たアストラがいた。

 

「久しぶりだな、マサト」

 

「ハッ!?兄さん!!?」

 

《兄さん....??!》

 

マティス達や下の階にいるアンジュ達も驚いた。

 

「驚くのも、無理もないか.....お前ら、久しぶりだな」

 

《アストラさん!?》

 

「何で兄さんがここに!!?」

 

「マサト君、知り合いなの?」

 

エルシャが問うと、マサトは返答した。

 

「ああ、彼はアストラ・ラスタル。俺の兄貴だ」

 

「どうも~♪それとマサト、今日から俺はお前の特別訓練教官だ.......ビシバシ鍛えてやるから覚悟しておけよ!」

 

「ちょっと待ってくれ~!」

 

「もちろん!お前達もだ!」

 

《.......ええ~~~っ!!?》

 

アストラが厳しい目でマサトや、マティス達を訓練させた。リナとシア以外は.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストラの訓練でマサト達はグッタリしていた。

 

「くそ~っ!何で俺らまで......」

 

「アストラ兄さんはそう言う奴なんだ.......」

 

「仕方ないよ。ここへ来ちゃった僕たちの為に思ってくれてるんだ。」

 

「どうやら、射撃訓練が来たみたい。しかも俺だけだ......」

 

「行ってらっさーい!」

 

マサトはスーツに着替え、射撃場へ行った。

 

 

 

 

 

 

射撃場で、サリアとエルシャが構えていて。最初にエルシャが撃った弾が的に当たらずに壁に当たった。

 

「あら?」

 

そして、サリアが撃った弾は綺麗に的の中心に当たり、エルシャはそれを見て感心する。

 

「ど真ん中!お見事~♪」

 

エルシャは胸元からハンカチで祝った。

 

「いつまで経ってもサリアちゃんの様になれないわね~、何が違うんだろう?」

 

「チッ(四次元バストが.......)」

 

サリアはエルシャの巨乳を見て、舌打ちしながら嫌みを思いこんだ。

エルシャが外れた訳はその巨乳が関わっている事に......

 

マサトはサリアみたいにど真ん中を狙ったが、銃身の反動でぶれが生じていると、

 

「嘘!マジかよ!?」

 

「しー!声が大きいよロザリー!」

 

っと何やらヒルダ達が隣で話していた。

マサトは知らないフリをし、ヒルダ達の会話を聞いていた。ヒルダ達の話を聞いているとどうもモモカはこのままミスルギ皇国に戻されると、秘密保持の為に処刑される可能性が高いと聞かされて、それにアンジュは思わず手を止めてしまう。

 

「かわいそうにね~、アンタに関わる奴はみ~んな地獄へ。悪い女だよ、ほんと」

 

それを聞いたマサトは心の中で戸惑う。

 

「.......(どうしよう。このままだとマティス達が......リナが.......そうだ!)」

 

訓練が終わり、マサトはアストラにマティス達を引き取ってもらうよう説得した。

 

「分かった......アイツらは俺が引き取ってやる。」

 

するとアストラは海の方を向く。

 

「兄さん。どうしたの?」

 

「たぶん.....次の戦闘で他にも来るやつがわんさか来ると思う。今のうちにキャッシュを集めておけ。」

 

「どういうこと?」

 

「今に分かる。」

 

その直後、警報が鳴り響き、アストラはマサトの肩に手を置き、マサトに言う。

 

「さぁ!行きな!」

 

マサトはアストラに敬礼し、格納庫へ向かった。

 

 

 

 

 

戦闘終了後、ロザリーはアンジュが戦闘中に蹴っ飛ばされた事にキレて、クリスは邪魔と言われた事に混乱していた。

 

「あんの!クソアマァ!!戦闘中にアタシの機体を蹴り飛ばしやがって!」

 

「邪魔って!.....私の事を邪魔って!」

 

サリアとヴィヴィアンとエルシャは着替える為に更衣室に向かっていた。

 

「いや~今日のアンジュはピリッピりだったにゃ~!」

 

「何呑気な事言ってんの!とんでもない命令違反よあんなの!」

 

「ヒィ!」

 

「まぁまぁ、落ち着いてサリアちゃん」

 

「これが落ちついていられる訳ないでしょうが!単騎でほとんどのドラゴンを狩られたんだから」

 

するとマサトはサリア達の話に乗る。

 

「でも、アンジュはあのモモカの為に戦ったと思う。」

 

「え?」

 

「だってあんなに必死になっていたんだ。きっとアンジュはあれをやるつもりだ。」

 

「あれ?」

 

サリアは首を傾げた時、アンジュがマサトを無理矢理引き連れていった。

 

 

 

 

滑走路にて荷物をまとめたモモカが輸送機の所までやって来て、ジルとエマの前でお辞儀をする。

 

「お世話になりました、アンジュリーゼ様に『短い間でしたがとても幸せでした』宜しくお願いします。」

 

マティスもモモカの見送りしていた。

 

「俺たちは、アストラさんのおかげで此処に留まれるけど、何とかならないんですか?」

 

「......」

 

アストラは無言のままであった。

 

「アストラ兄様.....」

 

リナがアストラを心配していると、

 

「待ちなさい!」

 

「アンジュリーゼ様!」

 

っと皆が振り向くと、アンジュと何やら大量の札束を持ったマサトもやって来た。

 

「何で俺まで!?」

 

「その子私が買います!」

 

「は?.....はあー!?」

 

突然の言葉に、エマは驚く。

 

「ノーマが人間を買うぅ!?こんな紙屑で....そんな事が許される訳....」

 

「良いだろう」

 

「はい!?」

 

「移送は中止だ。その娘はアイツのものだ。それにここでは金さえあれば何でも買える、それがここのルールですから」

 

「そ!そんな! ちょ!ちょっと待って!」

 

エマはマナの光でキャッシュの札束を持って去って行くジルの後を追いかけていった。そしてアンジュはモモカと向き合う。

 

「本当に良いですね?....私。アンジュリーゼ様の....お側に付いても宜しいのですね?」

 

「.....アンジュ」

 

「私の名はアンジュよ....!」

 

「は.....はい! アンジュリーゼ様!」

 

喜びの笑顔でアンジュに付いていくモモカの様子にレオンは微笑みを浮かばせる。その様子にモニカはホッとした。

 

「良かったね、モモカちゃん♪」

 

するとマサトはマティス達に言う。

 

「後、お前ら....マギーやジャスミン、メイ、オペレーター3人組にも言っていおいた。ここでは金が必要だから確りと働けよ。いいな?」

 

「当たり前だろ、働かざる者、食うべからず......よっしゃ!これでアルケミスト学園Ⅱ年Ⅳ組全員集合だな!」

 

「厳密に言ったらな、まだガイとアイカ、メリーとリクトが揃っていない.....」

 

《......》

 

「......ん?」

 

するとマサトはあるものに目が入る。コンテナの前はなにやら人が集まっていた。

 

「何だろう?」

 

「ん?」

 

マサトは恐る恐るコンテナのフックを外した。

 

「「「「うわぁっ!!」」」」

 

すると中から四人組の男女が出てきた。

 

「だから言ったのに!て言うかアタシのお尻を触ったの誰っ!?」

 

金髪のツインテールの少女が黒髪の少年に怒鳴る。

 

「俺じゃない!絶対に!」

 

「ガイなの!?」

 

栗色の肌と茶髪の長身の少年も慌てる。

 

「俺でもないよ!」

 

「キャハハハ、まぁ、こうなってしまったんだ。仕方ないよ」

 

水色のピーキーな女の子が笑うと、マサトはその四人の名を呼ぶ。

 

「ガイ!アイカ!メリー!リクト!?」

 

「「「「あれ!?マサト!?それに皆も!」」」」

 

ガイ達はマサトやマティス達がいることに驚く。

 

「何でお前らが!?」

 

「実は.....」

 

どうやらガイ達も、マティス達が調べたデータを見て、輸送機のコンテナの中に隠れたと....

 

「なるほど、あのデータを見て、ここへ来ちゃったと言うことか」

 

「「「「はい」」」」

 

「フフ、全くお前らは......」

 

アストラはガイ達を見て、笑うと、ガイ達はアストラがいることに驚く。

 

「「「「アストラさん!?」」」」

 

「っで?どうする?」

 

「.......お互い、お会い子だ。買うに決まってるだろ!」

 

マサトは背負っていた牛乳缶を下ろし、蓋を開けると中には大量の札束のキャッシュが入っていた。アストラは喜び、マナの光で牛乳缶を持って去っていった。マティス達は再び会えたマサトとやって来たガイ達が集まったことで、日に向かって叫んだ。

 

「これでⅡ年Ⅳ組。完全に全員集合だな!」

 

「そうだな.....!」

 

マサトは皆の笑顔を見て、呆れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自室に戻ったアストラはその夜、電話で誰かと内通していた。

 

「はい......はい.....予定の物は?......」

 

アストラは厳しい表情になると、

 

「彼等に"悪魔の異名を持つ者達"を.......それと私の代理機体も.............わかりました。」

 

アストラは電話を切り、デスクの上に足を乗せると、パソコンを起動した。するとモニターに多数の機体のデータが映っていた。

 

「ふぅ、.......ジル.....お前の思い通りよリベルタスにする訳にはいかない.....」

 

アストラは立ち上がり、海を眺めた。

 

「"悪魔に仕える堕天使達"........待っておれ.......蒼海の悪魔"イクス"........"天使の名を持つ者"達め......!」

 

アストラは拳を握りしめ、歯を食い縛った。

 




活動報告更新!


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第11話:天使の名を持つ兵器

久しぶりのエクストリーマー!今回はあれを出します!


 

マティス達がアルゼナルで要られる様になってから翌日、マティス達にはここに居られる為に仕事を与えられる様になった。マティスとセリカはジャスミンモールの従業員、パトリックとメリーはパラメイルの整備員、ガイとアイカは食堂のコック、モニカはマギーの助手を務める事となった。セリカとニコラスとリクトはアストラ兄さんに特訓されていた。何やら特殊戦闘班としての役割を与えられた。さらに翌日後、その日の夜、サリアは自室でこれまでの戦闘や訓練、作業の内容を記録に残していた。

 

『隊長日誌 三月三日ドラゴン出現。我が隊に出撃令が出される。だが、またもアンジュが命令を無視し独断先行。アンジュ単騎にて突撃し目標を撃破。

しかし突如もう一体のドラゴンが出現、これをマサトのレオスが撃退した。規律遵守の徹底それが出来ないのであればアンジュをヴィルキスから降ろすべきだと私は考えている。』

 

そうサリアはまとめた内容をパソコンに打ち込んで、データを保存しパソコンを閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日の夜、ジルの執務室で、ジャスミン、バルカン、マギー、アストラ、メイ、サリア、何故かマサトも呼ばれていた。

 

『隊長日誌、三月四日。アルゼナル外部より入伝あり』

 

「『ガリアの南端に到達、しかし仲間の姿は見当たらず。そこでドラゴンと遭遇し、所持していたパラメイルで撃退した。今後はミスルギ方面に移動し、捜索を続ける』。生きてたんだね、あのはなたれ坊主」

 

ジャスミンがタスクの報告書を言うと、ジルはそれに笑みを上げた。

 

「ジル......知ってたんだな? タスクの存在を.....」

 

マサトは厳しい表情でジルを見る。

 

「タスク....? はっ!」

 

ジルはサリアがある事に気が付いた

 

「そうだ.....」

 

「アンジュを助けたのがアイツだったなんてね」

 

「じゃあヴィルキスを修理したのはその『騎士さん』だったんだ!」

 

「騎士?.....どう言うことなんだ?」

 

「まさか....アンジュはマサトとナオミが見つけてくれるまで、そのタスクと二人っきりだったって事?!」

 

サリアは思わず頬赤くなり、アンジュとタスクの事を思う。

 

「ジャスミン、タスクとの連絡は任せたよ。いずれまた『彼ら』の力が必要になる......」

 

「はいよ」

 

「私も.....そろそろ学院の者に通達する....味方は多い方が良いからな....」

 

アストラの言葉にマサトは驚いた。

 

「学院の者って.....まさか学院の教師!?」

 

「そうだ......皆、この世界に対抗するために作られたレジスタンスなんだ.....」

 

「......はぁ、マジかよ......!」

 

マサトは今まで知らなかったことをようやく知ると、マギーがあることを言う。

 

「だが、良いのか?相手はあの馬鹿デカイ兵器も使ってくるんだよ?」

 

「「デカイ兵器?」」

 

マサトが首を傾げると、アストラが言う。

 

「........『モビルアーマー』の事か?」

 

「.......そうだ。」

 

「兄さん......『モビルアーマー』って......何だ?」

 

「..........."本能のままに人類を殺す天使".......言わば、殺戮兵器の事さ.......」

 

「ふ~ん.....そんなのがいたら俺のレオスで破壊すれば良いだけさ♪」

 

マサトは余裕満々に言うと、アストラの表情が厳しくなる。

 

「........」

 

「いずれにせよマサトとアストラにもリベルタスには参加させるつもりでいたからな」

 

「リベルタス?何だそれ.....?」

 

「リベルタス.......ノーマ達の自由を賭けた、反抗作戦だ.........」

 

「面白そ......」

 

ジルの計画している作戦にマサトやアストラも加えられている事に更に疑問が浮かび上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『隊長日誌 三月五日』

 

アルゼナル食堂で何やらエマが叫んでいた。

 

「ありえないわ!人間がノーマの使用人になるなんて!ノーマは反社会的で無教養で不潔で、マナが使えない文明社会の不良品なのよ!?」

 

エマはアンジュがモモカを買い取った事とマサトが他のガイ達を買い取り、さらにアストラもマティス達を買い取った事に納得していない様子であった。

 

「モモカさん! あなたはそれでいいの?!」

 

「はい!わたくし幸せです!」

 

満面な笑顔で言うモモカにエマは呆れかえった。それの光景を見ていたヴィヴィアンとエルシャ、サリアは飲み物を飲みながら言う。

 

「良かったねモモカ、アンジュと一緒に居られて」

 

するとエルシャが突然ため息をした。

 

「 どったのエルシャ?」

 

「もうすぐフェスタの時期でしょ? 幼年部の子供たちに色々と送ろうか迷ってるんだけど......」

 

エルシャが通帳を見て苦笑いしながら言い、それにサリアが聞く。

 

「アンジュのせい? 何とかしなくちゃ」

 

するとそこにヒルダとロザリー、クリスが現れた。

 

「どんな罰でも金でなんとかするだろうねアイツ....聞きやしないさアンタの命令なんてさ」

 

「何が言いたいの?」

 

「舐められてるんだよアンタ。ゾーラが隊長だった時はこんな事なかった筈だけどね隊長さん?」

 

っとサリアがその場を立って、食堂を後にする。その様子を見ていたマサトは心配する。

 

「サリア.......」

 

「マサト.....」

 

するとマサトの所にアストラが現れた。

 

「兄さん?」

 

「ちょっと、ジャスミンモールに来い........良いものを見せてやる」

 

マサトはアストラに連れられ、ジャスミンモールに来ると、前に見た大きなカプセルを見る。

 

「これって.....あのカプセルだ.......」

 

「ジャスミン!これ使えるか?」

 

「あぁ、使えるとも........だが、それを使うなら先にこれを作ってから使え」

 

ジャスミンが持ち出したのは、プラモデルであった。

 

「兄さん、一体何するんだ?」

 

「.......ゲームだ」

 

アストラは笑顔でマサトに返し、早速、ゲームに使うプラモデル"ガンプラ"を作り始める。

 

「何でこれを作らなきゃ駄目なんだよ?」

 

「仕方ないだろ、あの機械はガンプラが無ければ起動しないから.......」

 

「ったく、昔のゲームって本当にめんどくさいことするな.......」

 

「俺に言うな........良し、出来た!」

 

アストラが作ったのは、赤き翼を持ち、マサトのレオスと同じガンダムであった。

 

「それが.....兄さんのガンプラ?」

 

「ああ、ウィングガンダムゼロ炎だ.....」

 

そしてようやくマサトのガンプラも出来た。そのガンダムタイプは見たことのない形状をしており、手にバスターソードメイスを持っていた、

 

「俺のは........バルバトスルプス.....って言うガンダムだ」

 

「ほ~、お前も飛んでもないガンプラを選んだか.......」

 

「だって......爪が尖ってて、悪魔みたいでカッコいいからなぁ......それにこのバスターソードメイスと腕部ロケットランチャー、太刀も付属してきたから....」

 

「あはは.....」

 

アストラとマサトはカプセルの中に入り、自分のガンプラをセットすると、アストラは外にいるジャスミンに言う。

 

「じゃあ、始めるぞ......ジャスミン、頼む。」

 

「あいよ、」

 

ジャスミンは機械の電源を付けると、マサトの目の前が光、レオスと同じコックピット風景になった、

 

「何するんだ?」

 

目の前に広がる荒野、静かに吹く風、マサトの使っているバルバトスルプスが夕陽の光で、赤く染まっていた。

 

「兄さん......誰を相手するんだ?」

 

「マサト.......前にモビルアーマーと戦いたいって言ったなぁ.......」

 

「うん.......それが何だ?」

 

「........お前の考えているモビルアーマーって言うものは.........現実では甘くはないぞ........目の前をみろ!」

 

マサトが目の前を見た直後、コックピットが揺れ始めた。すると地面が割れ、中から巨大な叫び声のような咆哮が聞こえ、現れたのは、白く、尻尾にブレードを持った巨大な鳥型の機体であった、

 

「あれが.......モビルアーマー?」

 

マサトは初めてモビルアーマーを見て、呆れる。

 

「ただのデカイ鳥じゃないか.......図体もデカイし、動きも鈍そう......こんなの、俺一人で充分だ!」

 

マサトがバルバトスルプスを動かし、モビルアーマーに斬りかかった直後、モビルアーマーは前足の鉤爪でバルバトスルプスのバスターソードメイスを受け止めた、

 

「何っ!?」

 

モビルアーマーはもう一つの足でマサトを蹴り飛ばした。

 

「グアッ!!」

 

倒れたマサトは立ち上がった。

 

「クソォ...っ!?」

 

するとモビルアーマーは頭部を露出展開し、強力なビームを放った。マサトは危機一髪回避し、モビルアーマーのビームで大地が割れた、

 

「今のは.......ビーム兵器!?しかも高出力ビーム砲だと!?グッ!」

 

その時、マサトの目の前にモビルアーマーの尻尾武器"ワイヤーブレード"が迫っていき、マサトはバスターソードメイスでワイヤーブレードの刃を受け流し、回避した。

 

「あのモビルアーマー......尻尾がブレードになっているのかよ!?」

 

「油断していると、奴等も来るぞ!」

 

上空から見ているアストラがマサトに言う。

 

「え?....がっ!、今度は!?」

 

今度は地面から複数の紫の蟻のような機体がわんさか出てきた。

 

「何だ!?......こいつらは!?」

 

「"プルーマ"....コアとなるモビルアーマー"ハシュマル"を守ろうとする小型のモビルアーマーだ.......分かりやすく言えば、付属品だ」

 

「付属品って!......滅茶苦茶いるじゃないか!!」

 

マサトはバスターソードメイスでプルーマを凪ぎ払うと、2体のプルーマがバルバトスにしがみつき、ドリルを突き付けてきた、

 

「クッ!.....こっのぉぉぉぉっ!!」

 

マサトはバルバトスの手でプルーマの装甲を貫き、バスターソードメイスを振り回した。バスターソードメイスの打撃にプルーマは吹き飛ばされていく。

 

「ぶった切ってやる!.....っ!?」

 

その直後、マサトの目の前にハシュマルがまたビーム砲を放った。

 

「ヤバッ!!?」

 

マサトは急いで防御体制を取ると、ビーム砲が直撃した。しかし、ビームはバルバトスの装甲で拡散していく。

 

「あれ!?......どうなっているんだ!?」

 

ビームが消え、マサトはバルバトスの腕を見る。しかし、ビームでの損傷部位が一つもなかった。

 

「あのビームを受けたのに.........無傷!?」

 

「それが"ナノラミネートアーマー"だ。お前が使っているガンプラはただのガンプラじゃない.......ソイツはガンダムフレームと言う。モビルアーマーを殲滅するために開発された"悪魔の名を持つもの達"一機だからな.......ソイツの装甲は完全に対ビーム装甲だ........思いきって殺っても良いんだぞ.....」

 

マサトは事実を知ると、ハシュマルを睨み、装備していた太刀を抜刀した。

 

「早くそれ言えよ.......ったく!」

 

マサトはバルバトスの出力を上げ、太刀でハシュマルに斬りかかる。

 

「おらっ!」

 

ハシュマルは鉤爪で攻撃したが、マサトは太刀で鉤爪を太刀で受け流し、カウンターを仕掛ける。その光景にアストラは驚く。

 

「うわぁ.....」

 

マサトはハシュマルのワイヤーブレードを掴み上げ、ハシュマルごと振り回す。

 

「ウォォォォォッ!!」

 

そしてマサトはハシュマルを放り投げ、太刀でハシュマルの翼に突き刺す。

 

「どうしたモビルアーマー!?......それで本気か!?.......何が殺戮兵器だっ!?鉄屑の塊め!!」

 

「もう少し.......もう少しで.......」

 

するとハシュマルは怒りだし、ワイヤーブレードをバルバトスの顔左半分に突き刺した。しかしマサトは気にしない表情で、ハシュマルに殴った。

 

「あっぶねぇ.....なぁっ!!」

 

渾身を込めた拳がハシュマルの頭部に直撃し、のろける。

 

「良し.....仕上げだ」

 

するとアストラはウィングガンダムゼロ炎の翼剣"カレッドヴォルフ"マサトに投げ渡した。

 

「使っていいの?」

 

「あぁ、勿論♪」

 

「じゃあ、遠慮なく!」

 

マサトはカレッドヴォルフを突きつけると、カレッドヴォルフの刃から炎が吹き荒れ、炎刃へとなりハシュマルのナノラミネートアーマーを切り刻んでいく。

 

「お~、お~」

 

そしてハシュマルはワイヤーブレードで攻撃しようとした直前、マサトはそれに気付き、ブレードに取り付いているワイヤーを断ち切った。ワイヤーブレードを失ったハシュマルは断末魔の悲鳴を上げ、鉤爪で襲いかかる。マサトはハシュマルの鉤爪攻撃を回避し、カレッドヴォルフを突き付け突撃する。

 

「行ける.......これなら、ぶち殺せる....!」

 

ハシュマルはマサトに向けて、最大出力のビーム砲を放とうとしたが、遅かった。カレッドヴォルフの炎刃がハシュマルの頭部を貫通し、火を吹きながら、ハシュマルは足ったまま絶命した。

 

『シュミレーター修了 お疲れさまでした』

 

機械のシステムが修了報告を言う中、マサトの額には大量の汗が流れ落ちていた。マサトはカプセルから出るとアストラが待っていた。

 

「どうだった?」

 

「良いんじゃない?モビルアーマーって.....以外と狂暴なんだ........」

 

「そりゃそうよ........何せモビルアーマーは.......彼女も倒せなかった奴だからな......」

 

「彼女?」

 

「まぁ、それは置いといて、この機械はパラメイルのシュミレーターと同じだから、レオスを使ってのシュミレーターよりも良いぞ。仲間と協力したりできるからなぁ.......今度アイツ等を誘ったら?」

 

「分かった.....♪」

 

マサトはそう言って、自室へと戻ると、アストラは困った表情をする。

 

「ジャスミン.....ありがとう」

 

「気にするな.......それにあんたもちょっと手加減したね」

 

「すまん.....マサト.......モビルアーマーってのは.....」

 

アストラは機械の設定で難易度をカジュアルにしていたことに、不安を持った、

 

「そんなに甘くはないんだ.......」

 

「あんたもジルと同じ悪い奴だね、モビルアーマーの難易度をカジュアルにするなんて........本当ならスーパーハードしとけば、本当のモビルアーマーの力を示したんじゃない?」

 

「.......それもそうだな」

 

アストラはそう言い、ジャスミンモールから出た。だが、この時ジャスミンモールの試着室でアンジュはサリアの秘密を知ってしまったのであった。

 



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第12話:厄祭の天使

お待たせしました!


 

翌日、アンジュが風邪を引いた。兄さんが言うには.........アンジュは隊長の憂鬱......つまり"コスプレ姿"を見てしまい、隊長の方は証拠隠滅の為にアンジュを風呂場で殺そうとしたが、そこで乱闘となり、問題のエルシャがデッキブラシを投げ渡すと言う"火に油を掛ける"様な行動をして、結果アンジュは湯冷めしてしまったと言う。問題は出撃欠席での罰金だ。100万キャッシュとは.........辛いなぁ......それで、アンジュとヴィルキス無しの戦闘や訓練が行われていた。さらにその日の夜、アストラが地下格納庫で何やら大きなコンテナが複数運ばれてきた。そこにジルやジャスミンもいた。

 

「全く、あの子達にこれを乗せる気か?」

 

「あぁ、そろそろⅡ年Ⅳ組には......."狩り"の授業を学ばないとな.........何れにせよ、教師達の足手まといになってしまう。それに......その中にいる"彼等"もな」

 

「彼等?」

 

「そう言うことか............」

 

ジルは分かったような表情で格納庫から去る。そして複数のコンテナが同時に開き、中からレオス並の全長を持つ機体が並べられていた。

 

「さぁ、第2フェーズを始めるぞ.........」

 

アストラの声と共に全機体のモノアイが発光し、その中枢に格納されている深紅の機体もツインアイも発光した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ドラゴンが出現した事に第一中隊に出撃命令が下った。

 

「総員騎乗!」

 

「マサト!フライトパックの燃料を満タンにしておいたよ!」

 

「ありがとう!パトリック!」

 

そしてマサトのレオスがカタパルトに付いた。

 

「サリア隊、マサト機レオス......box out!」

 

マサトはレオスと共に第一中隊へ合流しにいった。その様子をアルゼナルから見ていたパトリックとメリーが語る。

 

「僕達も........マサトの役に経ちたいね」

 

「仕方ないよ、マサト見たいなあのモビルスーツがあったら.......」

 

するとパトリックとメリーの所にアストラが来た。

 

「お前たち.....」

 

「「アストラさん?」」

 

「マサトを除いて、Ⅱ年Ⅳ組全員集合だ.......狩りに使う兵器を渡す。」

 

「「??」」

 

パトリックとメリー、そしてⅡ年Ⅳ組メンバーはアストラに付いていった。

アストラはⅡ年Ⅳ組メンバーと共に地下室を下りていった。

 

「アストラさん......どうしたんですか?急に俺達をこんな場所に集めて.....」

 

地下室のドアを開き、中は真っ暗であった。アストラは部屋の電気を入れた。辺りが照らされ、Ⅱ年Ⅳ組メンバーは部屋ではなく、広い空間にいることに驚いた。さらにもっと驚かせる物を目撃した。

 

《.......!?》

 

左右にレオス並の全長を持つ機体が並べられていた。緑色で右肩にスパイク、左肩部プロテクタ上部にはシールドが装備されていた。さらにシールドを両方もった機体もあり、他に鶏冠の様なアンテナを持つ機体も収納されていた。

 

「これって!!?」

 

左右に並べられている機体のモノアイが光だした。

 

《モビルスーツ!?》

 

「お前達の機体........その名は"ザク ウォーリア"と"ザク ファントム"だ.......そしてセリカは"シグーディープアームズ"、ニコラスは"ジンハイマニューバ"、リクトは"ジンハイマニューバ2"だ......。」

 

「ザク ウォーリアと......」

 

マティスがザク ウォーリアを見つめ。

 

「ザク ファントム........」

 

ガイはザク ファントムを見つめる。

 

「この機体は........学院長からの君達への贈り物だ」

 

アストラの言葉にⅡ年Ⅳ組メンバーは驚いた。

 

「学院長からのですか!?」

 

「あぁ、対モビルアーマー用に造られた悪魔たちだ......」

 

「モビルアーマー.....?」

 

「........."天使"の名を持つ兵器の事だ........多分、今回の任務で"天使"達は現れる.......マサトは一人で張り切ってやり合うつもりだ........だからお前達の......."仲間"の力が必要なんだ........お前達や私も人間、マサトはノーマ.......確かに身分は違うが、1タス1は、1よりも大きくなる。助け合うのが当然。」

 

アストラの願いに皆は感動した。

 

「アストラさん......」

 

「アストラさんの言う通り、いつもマサトは俺達をここへ養う為に戦っている!」

 

パトリックが決意する。

 

「そうだ!俺達もマサトに恩返ししないとな!」

 

「そうだね♪アストラさん、受け言葉、感激です!」

 

ニコラスとアイカも決意し、Ⅱ年Ⅳ組メンバーはマサトを助けに行くと団結した。

 

「よぉ~しっ!皆でマサトを助けに行くぞ!」

 

《おぉ~!》

 

「フフ........」

 

アストラは笑い、Ⅱ年Ⅳ組メンバーはそれぞれの機体に乗り込み、水中用の熱核水流ジェットを装備し、海中から出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マサトの方では、上空からワームホールが開き、スクーナー級ドラゴンと共に他のドラゴンよりも大きく、巨大な角が特徴のドラゴンも現れた。

 

「何だ!?」

 

「デカッ!?」

 

「あらあら大きいわ~」

 

「あれは?」

 

皆は驚いていると、ヒルダはサリアに通信を入れる。

 

「サリア、アイツのデータは?」

 

「あんなの、見た事無いわ......」

 

サリアの言葉に皆は驚くと同時に、喜びへと変わる。

 

「おぉ!?サリアも見た事ないって事は!」

 

「じゃあ、まさか.....まさか!」

 

「初物!」

 

ヒルダは思わず喜びの笑みを上げる。そして司令室でジル達と見ていたエマは聞き慣れない言葉を聞いて首を傾げる。

 

「初物?」

 

「監察官は初めてでしたか、過去に遭遇のないドラゴンの事ですよ」

 

ジルはエマにその事を説明し、納得させる。そして戦場では未遭遇のドラゴンにヒルダ達は盛り上がっていた。

 

「コイツの情報持ち帰るだけでも大金持ちだぜ!」

 

「どうせなら初物喰いして札束風呂で祝杯といこうじゃないか!」

 

ヒルダはそう言い、ロザリー、クリスと共にドラゴンへ突撃した。

 

「(初物か.........ま、アイツ等とリナとシアを養う為だ。レオスのビームサーベルで腹を切り裂く!)ココ!ミランダ!ナオミ!援護頼む!」

 

「「「イエス!マム!」」」

 

マサトがドラゴンを向かう直前、ヴィヴィアンの様子に気付く。

 

「ん?.....どうしたんたヴィヴィアン?」

 

「なんか髪の毛がピリピリする......」

 

「え?......」

 

その直後、マサトの耳から何やら声が聞こえてきた。

 

「っ!?」

 

『此方へもっと来い......もっと来い........偽りの人間めぇ....!!』

 

「え!?」

 

マサトはその声の主に目をつける。その目先にはドラゴンが写っていた。

 

「まさか!!?」

 

「ビンゴ!プヨプヨだ!!」

 

そしてヒルダ達が大型ドラゴンに突撃しようとしたその時、ヴィヴィアンが叫ぶ。

 

「っ!ヒルダ戻れ!」

 

ドラゴンが咆哮を上げたと同時にと角が光りその瞬間、周囲が巨大な魔方陣が浮かび上がった。ヴィヴィアンが警告を促したが、既に遅くヒルダ達の機体が囚われてしまった。

 

「なっ!?」

 

「う.....動けねえ....」

 

三人が混乱している中、マサト達が上空で見ていると、オペレーターが報告してきた。

 

『新型ドラゴン周囲に高重力反応!』

 

「重力!?」

 

オペレーターからの報告に驚くと、更にドラゴンは角を光らし、重力範囲を広げ始めた。

 

「!? 全機急速回避!!!」

 

「ヤバイ!」

 

マサト達は急いで回避するが遅く、サリア、ヴィヴィアン、エルシャ、ココ、ミランダ、ナオミが囚われてしまうが、マサトはレオスとフライトパックの出力を最大に上げ、重力を退け続けていた。その直後、また耳鳴りが始まり、声が聞こえてきた。

 

『逃がさんぞ!双極の悪魔め!同胞の仇........今此処で取らせて貰うぞ!!』

 

「まただ!」

 

マサトの通信を聞いていたエルシャとナオミが首をかしげる。

 

「「?」」

 

丁度その時、別の通信が入り、咳き込む声が聞こえた。思わずマサト達は顔を上げると、此方に向かってくるヴィルキスが視界に入る。

 

「アンジュ!?」

 

「え?!」

 

「ヴィルキス?アンジュなの.......?」

 

「アンジュの奴......無茶やるなぁ.......」

 

「うう~フラフラする.......とっとと終わらせよう」

 

体調が戻っていないアンジュは無理しながらドラゴンへ向かっていく。

 

「来るなアンジュ!重力に捕まるだけだ!」

 

「大丈夫よいつも通り私一人で十分」

 

そう呟くアンジュにサリアは唇を噛み、肩がワナワナと震え、怒鳴った。

 

「まったく、どいつもこいつも勝手なことばかり.........いい加減にしろこの馬鹿女!単騎でやれる程このドラゴンは甘くない!」

 

「!?」

 

「いっつもいつも勝手な事ばかりして......死にたくなかったら命令を聞きなさい!」

 

「は.....はい.....」

 

サリアの怒声と気迫にアンジュは思わずたじろぐ。

 

「よしっ! そのまま上昇!」

 

サリアの指示にアンジュは機体を上昇させる。そしてホーンドラゴンは此方に向かってくるヴィルキスを睨み、範囲を広げた。そしてヴィルキスは重力の影響で落ちていく。

 

「今よアンジュ! 蹴れぇぇ!」

 

「はい?」

 

「思いっ切り蹴りなさい!私にやったみたいに!」

 

サリアの言葉にアンジュは反応し、ヴィルキスが落下しながら体勢を変える。そしてヴィルキスの蹴りがホーンドラゴンの左角を粉砕し、それと同時に右足を失ったヴィルキスも落ちた。そして角を失った事で重力が消え、マサト達は重力から解放された。

 

「やっと動けるぜ!!」

 

「総員!一斉攻撃!」

 

《イエス!マム!》

 

マサト達はホーンドラゴンへ一斉攻撃を開始し、勝利した。そして夕陽がホーンドラゴンの死体を照らしていた。

 

「ふぅ、何とか終わった!」

 

「帰ったら札束の風呂で祝杯だ!」

 

「....ん?」

 

マサトが寛いでいると、三度めの耳鳴りが鳴り始めた。

 

「耳鳴りが!?」

 

さらにマサトの両目が金色へ変わり、皆の色がどす黒く染まった。

 

「何だ!?全員......."赤"じゃなく.........."黒"!?.........っ!?」

 

その直後、地面からとてつもない殺気と恐怖を感じ、目が震え出した。

 

「皆!!急いで上空へ上がって!!」

 

「マサト!あなた何を!?」

 

「早く!此処で死にたいのか!!?」

 

「っ!?総員!マサトの命令に従って!」

 

サリアはマサトの言う通りに従い、全員を上空へ上がらせた。

 

「おいおい!どうなってんだ!?」

 

「マサト......一体何を?」

 

「来た!!」

 

「え.....?」

 

マサトの両目の震えが止まった直後、轟音と共に大地が割れた。

 

《っ!!?》

 

「分かるぞ.........この感じ!......こいつは........."モビルアーマー"!!」

 

その直後、地中から赤色のビームが出てきた。ホーンドラゴンの死体を焼き尽くすと同時にビームの発射音が地中から鳴り響いた。

 

『ンヮアアアアアアアアアアアッ!!!!!』

 

《っ!!!?》

 

すると地中から赤色のビームを放つ紫色のモビルアーマーが現れた。さらに、他の地中から紫色のモビルアーマーの似た白いモビルアーマーも現れた。

 

『ンヮアアアアアアッ!!!!!』

 

赤色ビームを放つモビルアーマー.......レグナントはがビームの発射音を止め、上空にいるマサトを見る。

 

「モビルアーマー.........."レグナント".....他2機は"エンプランス"」

 

マサトがレグナントとエンプランスを睨むと同時に、レグナントと2機のエンプランスは鳴き声を上げる。

 

『『『ンヮアアアアアアッ!!!!!/キシャアアアアッ!!!!!』』』

 

血に植えた天使達を照らす夕陽がまるで、血で赤く染まった天使と思わせていた。

 




次回........悪魔達が......天使を狩る"授業"を殺ります!
それからそろそろレオスの力の一部を解放します!


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第13話:進化するガンダム

 

その頃、司令室ではジル達が慌てていた。

 

「地中より未確認機が襲来!」

 

オペレーターが戦場の映像を付けると、映ったのはモビルアーマーレグナントと2機のエンプランスであった、

 

「何......あれ?」

 

「大きい......でも...."恐い"......」

 

オリビエがレグナントに恐怖を感じると、それを見ていたジルとアストラも見る。

 

「.......」

 

「やっぱり此処に眠っていたのか.........モビルアーマー.....」

 

《モビルアーマー?》

 

「パメラ.....直ぐに第一中隊を帰還させろ」

 

「え!?.....は、はい!」

 

パメラはアストラの命令に従った。

 

 

 

 

 

 

一方、第一中隊全員がモビルアーマーに驚いていた。

 

「何なの......あれ?」

 

「おお~!カッチョイイ~!」

 

「最悪だ.....!」

 

マサトは歯を噛み締めた。

 

「え?」

 

「隊長.....直ぐにアルゼナルへ.....」

 

サリアは驚くと、マサトがレグナントと2機のエンプランスへ向かっていった。

 

「俺が奴等の囮になります.......その間に.....アルゼナルへ!」

 

マサトはヴァリアブルガンで応戦する。するとエンプランスの一機が上空にいる第一中隊を睨む。エンプランスの前方部が展開し、大型ビーム砲を放とうとした。

 

「ヤバイ!」

 

マサトは急いで第一中隊へ向かい、前に出ると同時にシールドを構えた。エンプランスの大型ビーム砲が発射し、レオスのシールドに直撃した。幸いなことに、シールドの装甲がビームを拡散し、後方にいた第一中隊に当たらなかった。

 

「っ!!」

 

「熱っ!!実戦でのビーム砲ってこんなに熱かったっけ!?」

 

マサトはビームの光熱で暴言を吐いていると、ナオミが心配する。

 

「マサト!」

 

「早く!」

 

すると通信機からジルの緊急報告が入り込んだ。

 

「第一中隊全員に告ぐ。現在マサトが交戦している大型機体は光学兵器を武装している。今の兵器では太刀打ち出来ない事もある。よってマサトを置いて、アルゼナルへ帰還しろ。」

 

「しかし司令!仲間を置いていけません!」

 

「サリア!」

 

「っ!」

 

「既に奴等はマサトを眼中に入っている。奴等のお前達の目に入らないよう彼は戦っている.......」

 

「........」

 

「分かったなら、ヴィルキスとアンジュを連れ、アルゼナルへ帰還しろ......良いな?」

 

「.......イエス マム」

 

サリアは全員に命令し、ヴィルキスを抱え、アルゼナルへと帰還した。

 

「やっと行ってくれたか......」

 

マサトはビームダガーとヴァリアブルガンでレグナントとエンプランスと応戦する。

 

「少しは.....ヴァリアブル・ガンのダメージが効いている筈だ.........何ッ!?」

 

レグナントが可変しアーマー形態のままレオスに突進した。

 

「グッ!」

 

レグナントは大型クローアームでレオスを掴むと、機首からビーム砲が展開された。

 

「ヤバイ!」

 

その直後、レグナントの頭部にグレネードが直撃した。マサトはグレネードが飛んできた方向を見ると、ナオミのグレイブがアサルトライフルを乱射する。

 

「マサト!」

 

「ナオミ!?何で此処に!?」

 

「マサトの援護に来たの!」

 

「止せ!ナオミ!」

 

するとレグナントはMS形態へ変形した。レグナントはナオミのグレイブに向けて、大型クローアームに武装されている大型GNファングを射出した。

 

「っ!?」

 

ナオミはグレイブを旋回し、GNファングを回避するが、大型ファングはナオミのグレイブを追尾してくる。マサトはレグナントの武器に驚いていた。

 

「何だあの武器は!?」

 

「助けて!」

 

「クソッ!」

 

マサトはレオスのビームサーベルでレグナントのクローアームを振り払い、ナオミの救助へ向かっていった。マサトはレオスの手首を回転し始め、ビームサーベルでのシールドを展開し、GNファングの攻撃を防御する。しかし大型のせいなのかレオスが押されていた。

 

「グアッ!」

 

「マサト!」

 

すると徐々にビームシールドに大型GNファングの爪先が見えてきた。

 

「クッ!.....ここまでか.......(スマン.......リナ、シア、アストラ兄さん.....そして皆.......!)」

 

マサトが死を覚悟した瞬間、右方から誘導ミサイルが飛んできた。

 

「っ!?」

 

誘導ミサイルがレグナントや2機のエンプランスに直撃すると、森の中からザクウォーリアとザクファントム、シグーディープアームズ、ジンハイマニューバ、ジンハイマニューバ2が現れた。そして通信機からマティスが入ってきた。

 

「助けに来たぞ!マサト!」

 

「その声はマティス!?何で!?」

 

「恩返しがしたいってマサトを助けに来たんだ!行くぞ皆!」

 

《おお~!》

 

マティスのブレイズザクファントムがエンプランスに向かっていき、ビームアサルトライフルを乱射する。パトリックとメリー、エルマのガナーザクウォーリアが"M1500オルトロス 高エネルギー長射程ビーム砲"で援護する。

セリカはもう一機のエンプランスに向かっていき、NOL-Y941 レーザー重斬刀を取り出し、ニコラスとリクトのジンハイマニューバとジンハイマニューバ2も"JDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃"、MA-M92 斬機刀を構えると、エンプランスがエグナーウィップを射出してきた。

リクトとニコラスはエンプランスのエグナーウィップを回避し、リクトが斬機刀を降り下ろし、エグナーウィップの有線を切断した。

マサトは皆の機体の事で頭がこんがらがっていた。

 

「皆!?どうしたんだ!?それにその機体って!?」

 

「学院長からのプレゼント♪」

 

「え?」

 

「学院長は!態々、俺達のためにこの機体を作っていたらしいんだ!マサトを守るために!」

 

ガイはスラッシュザクファントムの"MA-MRファルクスG7 ビームアックス"でレグナントのGNファングを凪ぎ払う。

 

「だから!アタシ達は精一杯戦っているマサトの為に戦う!」

 

アイカのケルベロスザクウォーリアが"頭部型リトラクタブルセレクション内ビーム砲"を放ち、次々にGNファングを撃ち落としていく。

 

「皆.......」

 

マサトは皆の勇姿に感動していた。セリカがレーザー重斬刀で片腕のエンプランスの攻撃を防御する。

 

「クッ!」

 

エンプランスがビーム砲を発射しようと、機首を展開した。

 

「ガイ!リクト!アイカ!」

 

「「「応!」」」

 

ガイはバックパックに2門装備されるエネルギー系ガトリング砲"MMI-M826ハイドラ ガトリングビーム砲"を乱射し、エンプランスの射程を変える。その隙にアイカがオルトロスでエンプランスのジェットブースターを失い、エンプランスは起き上がろうとしたとき、セリカとリクトの刀が上から突き刺した。

 

『キシャァァァァァァッ!!!』

 

エンプランスは悲鳴を上げる。セリカはレーザー重斬刀を捻らせ、リクトは斬機刀を突き刺したままエンプランスの頭部にビームアサルトライフルを撃ち続ける。そしてエンプランスのビーム砲から爆発し、絶命した。

 

「先ず一体!」

 

そしてもう一体のエンプランスがメリーにビーム砲を放とうとした。

 

「行くよ~っ!」

 

メリーは元気よく、オルトロスをエンプランスに向ける。

 

「アタシ専用のザクウォーリアの必殺技!」

 

オルトロスの砲口に粒子が集まるなか、エンプランスがビーム砲を発射した。そしてメリーもオルトロスのビームを発射し、必殺技を言う。

 

「"ギャラクシーカノン"!行っけ~!」

 

両機のビームが激しくぶつかり合い、メリーが押されておると思っていたら、メリーはオルトロスの出力を4分の3まで上げると、オルトロスから放出しているビームの出力が上がり、エンプランスのビームを押し返す。そしてエンプランスのビームが拡散し、メリーのビームがエンプランスのビーム砲に直撃し、同時に装甲を貫通した。

 

『キシャァァァァァァッ!!!!』

 

エンプランスは断末魔の悲鳴を上げ、上空で爆散した。マサトは一人では勝てなかったモビルアーマーの3機の内2機がマティス達の協力で撃破していくことに、驚いていた。マサトは今まで皆の為にと思っていたが、仲間と協力することで新たな目標を決意し、立ち上がった。

 

「俺も......負けてられないな!........レオス!」

 

その時、マサトの声と共にコックピットが光だした。

 

「っ!?」

 

レオスの装甲が黄金に輝き、レグナントやⅡ年Ⅳ組メンバーを照らす。

 

《っ!?》

 

レオスの腕部にユニットや背部と脚部にバーニアが追加されていき、コックピットが変形し始め、座席式からモビルトレースシステムへと切り替わり、マサトの髪が焦げ茶色から白へ、瞳も水色から赤へと変色した。そしてマサトは形状が変わったレオスを起動し、音声が鳴り響いた。

 

『格闘進化状態!"ゼノン・フェース"!!』

 

レオスから熱気の波動が広がり、さらにマサトの様子が一変していた。

 

「格闘進化ぁ!!ゼノンが全てをたたき潰すッ!!」

 

暑苦しい程の気合いと逞しさにⅡ年Ⅳ組メンバーとナオミが語る。

 

「マサト.........」

 

「アイツ..........」

 

「何か...........」

 

《性格が変わってる~!!?》

 

するとレグナントがゼノン・フェースへとなったレオスにGNファングを射出する。レオスは格闘家のポーズを決め、こっちに向かってくるGNファングへ突進した。レオスは腕部に装備されているバンカー・ユニットから火球を生み出し、気合いを火球に注ぎ込み、GNファングへ放った。放った火球によりGNファングが破壊され、爆煙が起こる。すると煙の中からレオスが現れ、強烈なレオスナックルをぶつける。レグナントの装甲にレオスの拳跡が残ると同時にレオスがナックルを続ける。

 

「特盛レオスナックルッ!!」

 

マサトの怒りの鉄拳による百烈拳が炸裂する。

 

「オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラァ!!!!」

 

レオスの百烈拳でレグナントの装甲がへこんでいき、そして渾身を込めた一撃が炸裂し、レグナントの装甲を貫いた。

 

『ンヮアアアアアアアアアアアッ!!!!!』

 

レグナントは悲鳴を上げ、エグナーウィップでレオスに襲い掛かかった。マサトはレグナントのエグナーウィップに気づき、エグナーウィップを掴み、レグナント本体ごと持ち上げ、地面に叩き付けた。

 

「もっと!もっとだ!レオス!お前の全力を奴に叩き込め!」

 

マサトの言葉にレオスが目を光らせた。レグナントが起き上がろうとしたとき、レオスがレオスナックルでレグナントの肩部の装甲を貫き、内部の電子コードや機材を抉り抜く。

 

「こんなもんかよ?モビルアーマー!?」

 

レオスはレグナントの本体と肩部を連結している骨組みを引きちぎった。

 

「そろそら狩りを終わらすか!」

 

マサトはそう言うと、レオスの部位が黄色く発光し、レグナントを空高く蹴り上げた。そしてレオスも蹴り上げたレグナントを追うと、腕部のバンカー・ユニットが展開し、レグナントに撃ち込んだ。

 

「極限全力!!シャァイニング、バンカァァァァァ!!」

 

バンカー・ユニットから高熱のエネルギー波を送り込むと、レグナントの装甲が膨れ上がっていく。

 

「ぶっ壊れろおおおおおおおお!!」

 

そしてレグナントのコアが砕け、マサトはシャイニングバンカーを止め、決め台詞を言う。

 

「パイルピリオド!」

 

決め台詞を言った直後、レグナントが爆散した。マサトの戦闘を見ていたⅡ年Ⅳ組メンバー全員とナオミが茫然していた。

 

「な......何と言うか!?......」

 

そして司令室でも、ジル達はマサトの戦闘で唖然しているなか、アストラがレオスを見る。

 

「レオス.......お前はまだそんな力を隠していたのか......」

 

そしてレオスが通常の姿に戻り、ナオミのグレイブをかつぎ上げ、Ⅱ年Ⅳ組メンバー全員と一緒にアルゼナルへ帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルへと帰投した皆は今回の戦闘配給をしていた。

 

「うひょお~~!こんな大金!夢みたいだ!」

 

「ゆ....夢じゃないよ!」

 

ロザリー達は山積みされたキャッシュに興奮する。その中でアンジュだけは、

 

「少ない...」

 

今回の報酬のが少なく、マサトの報酬は何故か大量の山積みにされたキャッシュが置かれていた。

 

「仕方ないよ、角を折っただけだし、それと何で......俺のだけこんなボーナスが?」

 

その山積みにされたキャッシュにココとミランダ、ナオミ、リナも驚いており、一緒に数えていた。

 

「しかも、持ちきれない程の」

 

「そりゃそうよ、お前が倒したのはリーダー的な奴だったからな......報酬は初物、レグナントを含めて8000万キャッシュだ」

 

「......これはさすがに持ちきれない.......皆に100万キャッシュずつあげるわ」

 

マサトの突然の言葉に皆はさらに喜ぶ。

 

《おお~!》

 

するとサリアがマサトに近づいて言う。

 

「....有難う、マサト....あの時は、助けてくれて」

 

「礼ならマティス達に言ってくれ.......俺もアイツ等が居なかったら本当に死んでいた。」

 

マサトがマティス達を見ると皆がマサトやサリアに微笑みで返した。

 

「どう?これで満足?」

 

サリアはヒルダ達にある事を言う。

 

「色々あったけれど私達はこのチームでやっていかなくちゃいけない。アンジュを後ろから狙うの…もうやめなさい。そしてアンジュも報酬独り占めやめなさい。アンタは放っておいても稼げるんだから。これは隊長命令よ」

 

「へっ、誰もアンタの言う事なんか聞きやしないって『良いわよ別に』!?」

 

「私の足さえ引っ張らなければね」

 

アンジュの言葉にヒルダ達は驚くと、クリスも言う。

 

「私も良い.....かな、今回はマサト達やアンジュのお蔭で助かったし......」

 

「ま、まぁ....アタシはしばらく金がある内は.....良いかな」

 

「チッ.....裏切者」

 

ヒルダは納得できないのか立ち去る。

 

「ヒルダ......」

 

リクトがヒルダの様子に少し考える。

 

「それじゃあ!行きましょうか!」

 

っと、エルシャがアンジュを連れて何処かへと向かっていった。

 

「アイツ等......何処へ?」

 

「きっと女子会だよ♪」

 

「それなら俺たちも♪それに.......まだ、話してなかったことがあるな!」

 

「ん?」

 

マサトもマティス達に連れられ、食堂へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

席に付いたⅡ年Ⅳ組メンバーはマティスが前に出て、演説する。

 

「集まったね?では、改めて.......僕達は正式に"第四中隊"を結成しました!」

 

「お~」

 

マティスの言葉にマサトは驚いた。

 

「パラメイルだけだと戦力不足ってアストラさんが言っていたから、司令に頼んで貰い、リナとシアを除いた第四中隊を結成してくれたの。」

 

「それで、アタシ達の機体はノーマ管理委員会も知らない地下室を使うらしいって。」

 

「マジかよ........お前らは良いよな、あの機体をカスタム出来る武装を持っているから......俺なんかあの格闘用だぜ、」

 

マサトが皆の機体で羨ましがると、セリカがマサトの背中を叩き、謝る。

 

「ごめんな♪」

 

「ごめんで済むなら、レオスに乗れや!.......まぁ、お前達が乗っても無理だけどな.....」

 

マサトがさらに羨ましがり、Ⅱ年Ⅳ組メンバー全員は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ある黒い空間で、

 

「まさかレオスが"ゼノン・フェース"へと覚醒するなんて........」

 

「マズイわねぇ......」

 

空間から突然全身が傷だらけの男が現れ、他に女声のような声を発する男も現れた。

 

「ま、俺のXラウンダーの脳波でモビルアーマーを起動し、アイツのガンダムの戦闘データが取れたけどな、」

 

クロノスのパイロット『デシル・ガレット』が二人の男に先の戦闘の報告をする。

 

「お前はあのガンダムフレームを侮ってはいかんぞ!」

 

「......レオス見たいなガンダムは他の機体よりも半端じゃないのだ。」

 

「あれが真の覚醒へと変われば.......」

 

「危険だわ.........我々の"イクス"の力がレオスを制御し、あの女を捕らえてよかった.......」

 

「だが、問題はあのレオスに乗っている少年とあのモビルスーツだ......」

 

「あの子の力は元々、我等"キング"の力の一部.......」

 

「そしてあの子を助けているアイツ等は旧世界に存在した残党軍.......一刻も早く奴等を始末しなければならない.......我等にとって奴等は.....」

 

「"計画の邪魔者だ"......そしてレオスと少年を捕獲しなければならない.....」

 

デシルが二人の男に次の任務を言う。

 

「"エース"あのガキはマサトと言うお坊ちゃんだ.....俺にアイツの捕獲を『黙りなデシル!嫌、"ジャック"......』....ケッ!」

 

デシルはエースと呼ばれる傷だらけの男性に怒鳴られた。

 

「油断して、"コマンダー・フェニックス"に殺されかけた癖に!」

 

「あの時、私達が特異点を開かなかったら貴方はまたあの世で永遠の敗北感を味わっていたのですよ!?」

 

「チッ!.....分かりましたよ、"エース"、"ゼノビア".......」

 

ゼノビアと名乗る女声のような声を発する男性もデシルに怒鳴っていると、デシルの後方から紫色のロングヘアーをした女性"ダイヤ"が言う。

 

「マサト・ラスタルの捕獲は私に任せてください。」

 

「アンタ達の場合はレオスに顔を見られているのよ......奴は自我を持っているから.......そうだねぇ」

 

「"彼女"に任せたらどうだ?」

 

エースがあることを言うと、ダイヤは首をかしげる。

 

「"彼女"、と.......申しますと?」

 

「お前達の新幹部だ!」

 

「仲良くして上げてね♪この子.......本気出したら、貴方やジャック、スペード、ハート、クローバー、でも太刀打ち出来ないから....」

 

「「その名も!........"ジョーカー"(切り札)!!」」

 

エースとゼノビアの後ろに赤い髪をした少女が立っており、少女の後ろに赤いガンダム"テスタメントガンダム"が仁王立ちしていた。

 

「ったく、あの馬鹿は何も分かっていない!自分が何れだけ貴重で価値な存在なのかを!........だから、私がアイツを連れてくる!そして教え込む!」

 

少女の度胸にエースとゼノビアは感心する。

 

「良いじゃない.....」

 

「頼んだぞ.......ジョーカー」

 

ジョーカーと名乗る少女はテスタメントガンダムに乗り込み、黒い空間から姿を消した。



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人物紹介

今回は人物紹介です!


 

マティス・シモン

 

CV:佐藤拓也

 

年齢:17歳

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『マキアス』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。Ⅳ組では副委員長を務めていたが、アルゼナルではジャスミンモールの従業員。使用武器はショットガン。

 

搭乗機はブレイズザクウォーリア マティス・カスタム

 

 

 

 

エルマ・グラジオラス

 

CV:金元寿子

 

年齢:14歳

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『フィー』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。勉強が苦手で委員長を務めているモニカやVII組のメンバーに教えてもらうことが多かったが、アルゼナルではマティスと共にジャスミンモールの従業員を務めている。使用武器は双銃剣。

 

搭乗機はガナーザクウォーリア エルマ・カスタム

 

 

 

 

パトリック・ベルティラ

 

年齢:16歳

 

CV:白石涼子

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『エリオット』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。音楽を聴くことや、愛用のバイオリンを弾き奏でる事が趣味な少年。アルゼナルではメリーと一緒にマサトのレオスの整備担当を務めている。使用武器は魔導杖。

 

搭乗機はガナーザクウォーリア パトリック・カスタム

 

 

 

 

セリカ・イシュレニアル

 

年齢:17歳

 

CV:伊瀬茉莉也

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『ラウラ』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。委員長を務めているモニカ双子の姉で妹と違い、高貴な喋り方をし、武術や鍛錬に余念があり、世俗に若干疎い。アルゼナルではアストラ直属の兵士とし務めている。使用武器は両手剣。

 

搭乗機はシグーディープアームズ セリカ・カスタム

 

 

 

 

モニカ・イシュレニアル

 

年齢:17歳

 

CV:早見沙織

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『エマ』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。アルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組では委員長を務めており、セリカの双子の妹。姉と違って戦闘が苦手でアルゼナルではマギーの助手を務めている。使用武器は魔導杖。

 

搭乗機はホスピタルザクウォーリアと支援無人兵器『ケルベロスバクゥハウンド』

 

 

 

 

ニコラス・ケイディン

 

年齢:17歳

 

CV:立花慎之介

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『ユーシス』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。ローゼンブルム王国の名のある貴族の御子息。貴族らしい傲岸不遜な態度を取ることが多いが、見下しているのではなく元の性格から来るものである。アルゼナルではセリカとリクトと共にアストラ直属の兵士を務めている。使用武器は騎士剣。

 

搭乗機はジンハイマニューバ ニコラス・カスタム

 

 

 

 

ガイ・テトラル

 

年齢:18歳

 

CV:細谷佳正

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『ガイウス』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。褐色の肌に長身と目立つ容姿をしている。非常に落ち着いた冷静な性格をしており、アルゼナルではアイカと一緒に食堂のコックを担当している。使用武器は十字槍。

 

搭乗機はスラッシュザクファントム ガイ・カスタム

 

 

 

 

アイカ・クローツィン

 

年齢:16歳

 

CV:壬生 朝霞

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『アリサ』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。ツンツンした言動をとることが多いが、根はお人好しで真面目な性格。アルゼナルではガイと共に食堂のコックを担当している。使用武器は弓。

 

搭乗機はガナーザクウォーリア アイカ・カスタム

 

 

 

 

メリー・ラッセル

 

年齢:14歳

 

CV:小岩井ことり

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『ミリアム』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。年相応の天真爛漫な性格をしており、あまり物事にこだわらない模様。アルゼナルではパトリックと一緒にレオスの整備担当を務めている。使用武器は大型スパイクシールド。

 

搭乗機はガナーザクウォーリア メリー・カスタム

 

 

 

 

リクト・シュバルツァー

 

年齢:17歳

 

CV:内山昂輝

 

(イメージ姿は閃の軌跡のキャラ『リィン』)

 

マサトの友達でアルケミスト学院Ⅱ年Ⅳ組メンバーの一人。貴族ながら人当たりが良く、老若男女や身分を問わず平等に接する青年。アルゼナルではセリカ、ニコラスと一緒にアストラ直属の兵士を務めている。使用武器は太刀。

 

搭乗機はジンハイマニューバ2 リクト・カスタム

 

 

 

 

リナ・ラスタル

 

年齢:12歳

 

CV:後藤沙緒里

 

(イメージ姿は『魔法科高校の劣等生』キャラの司馬 深雪)

 

マサトとアストラの妹。アルケミスト学院で酷い虐めを受け、引きこもりとなったが、マサトがアルゼナル搬送されたのを、コマンダー・フェニックスから情報を貰い、メイドのシアと一緒に輸送機に乗り込むと同時にアンジュを探していたモモカに遭遇し共同戦線を張りアルゼナルへと到達出来た。

同じ妹キャラのココと後輩のミランダと仲良しになり、前より、笑顔が戻ってきだした。

 

 

 

 

シア・オリバルト

 

CV:沼倉愛美

 

(イメージ姿は『オーバーロード』のキャラナーベラル・ガンマ)

 

ラスタルの屋敷に支えるメイドで、忠誠心は非常に高いが、全般的な傾向である人間蔑視の思想を強く持っており、かなりの戦闘能力を兼ね備えている。ラスタル夫婦が行方不明な状態でも、あらゆる家事全てをこなしている。使用武器は鋼糸&ダガー

 

アストラ・ラスタル(仮の名は"コマンダー・フェニックス")

 

年齢:22歳

 

CV:中田和宏

 

(イメージ姿はファイナルファンタジーⅦのキャラ『ヴィンセント・ヴァレンタイン』)

 

マサトとリナの兄であり、アルゼナルでは訓練生をスパルタ教育で鍛える鬼教官。マティス達を買い取り、世界に抗うレジスタンスの一人。彼の存在はマサト本人や妹のリナ、マティス達も謎のままだが、その正体は無人島で出会った少年"タスク"の師匠でもある。変身するときは目を除いて、全身包帯で巻かれており、オレンジのコート、鳥の様な仮面を付けている。タスクに自信の機体のプロトタイプである"フェニックス・ゼロ"を渡した。使用武器はマグナム式ブレードガン二丁&拡張マガジン装備スナイパーライフル"ドラグノフ"。

 

搭乗機はフェニックスガンダム。代理機体はデルタガンダム アストラ・カスタム



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第14話:新たな戦場

久し振りの更新!


マサトはマティス達を呼び出し、ジャスミンモールにあるGPカプセルで遊んでいた。舞台はソレスタルビーングで小惑星を基地にした所であり、マティス達はそれぞれ改造したガンプラでバトルロワイヤルをしていた。マサトは格納庫にあるレオスのデータを元にして、マティス達を相手していた。マティスはケンプファーを改造したガンプラ『ケンプファー ゼロット』とエルマのガンプラ『ガッデス』でレオスを追撃していた。

 

「逃げるな!マサト!」

 

「大人しく、降参しなさい」

 

ケンプファー ゼロットのプラズマショットガンとガッデスのGNバルカンでレオスを追撃する。マサトはレオスを旋回しながら、マティスとエルマの攻撃を回避していると、9時の方角からガイの改造したガンプラ『アビスガンダム マークII』がビーム砲を発射してきた。

 

「危なっ!?」

 

ガイがアビスガンダムのビームスピアを取りだし、レオスに向かって突撃してきた。

 

「ヤバイっ!」

 

マサトは急いで回避するが、ガイの改造したガンプラはとても速く、さらに浮遊していた小惑星をも粉々に貫通した。

 

「あれ喰らったら、間違いなく死んでいるなぁ!!」

 

マティス、エルマ、ガイは三人で連携を取り、マサトを追い詰める。アストラとリナは四人の映像を別のテレビから見ていた。

 

「兄様、大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫さ、アイツの事だ.........そうだ、今日の補給物資にアイツ等が届くだった!」

 

「アイツ等?アストラ兄様......誰の事ですか?」

 

「一つはマサトの為の相棒、もう一つは俺のペットだ♪」

 

「アストラ兄様のペット?」

 

「そう、その動物は赤子から育ててきたからなぁ.......またアイツに会えるとなると、リナの家族がまた増える事になるな♪」

 

「私達の、もう一人の家族......」

 

リナがアルゼナルに家族が増える事に楽しみにしていると、突然警報が鳴り出した。

 

『総員に告ぐ、総員に告ぐ!アルゼナル内部に未確認生物が侵入!付近の物は直ちに捕獲せよ!』

 

「まさか.......」

 

アストラは急いで輸送機が着陸している発着場へと向かった。

 

発着場に到着したアストラは輸送機に積み込まれていた檻を見る。

 

「何てことだ........」

 

高さ三メートル、直径五メートルもある檻のフェンスが簡単に破られていた。マサト達は急いで駆け付けてくると、アストラの表情が厳しくなる。

 

「一刻も早くアイツを俺に会わせないとなぁ......」

 

「アイツって?」

 

「.......私のペットだ。」

 

「ペット!?」

 

「あぁ、何せアイツは気性が荒く、さらに肉食獣だ。」

 

「肉食獣!?人も!?」

 

「大丈夫.....アイツはウサギや鹿、魚を好んでいるから.......」

 

するとニコラスが何かを見ながら、アストラに質問してきた。

 

「その動物って『猫』?」

 

「ん?.....猫類に入っているジャガーだけど、」

 

「特徴を言ってください.....」

 

「髭なのか、触角なのか分からない長い触手が生えていて、前後足と尻尾が獣脚類みたいで、全長三メートルもあって、豹柄がある。」

 

アストラはペットの特徴の全てをいい終えると、ニコラスは言う。

 

「あ~~、アストラさん!たった今、そのペットを見つけました!!」

 

マサト達はニコラスが指している方向を見ると、発着場の上の層に巨大な猫型の猛獣が寝ていた。

 

《デカッ!!?》

 

「おお~!あれだ!」

 

「あれっ!!?」

 

「そうだ......俺のペット.....俺がガキの頃に赤ん坊で弱っていたアイツと出会って、育てたんだ。気性が荒く、俺に楯突く奴に襲い掛かかる奴でなぁ♪」

 

「それって危ないのでは!?」

 

「大丈夫!アイツはそんなことをしないから♪オーイ!」

 

アストラが猛獣に声を掛けると、猛獣は起き上がり、アストラを見る。すると猛獣が突然威嚇してきた。

 

「ねぇ、あれ.......かなり怒っていない?」

 

アイカが言うと、猛獣がマサト達の方へ飛び込んできた。

 

「うわぁ~っ!!逃げろぉぉぉっ!!」

 

マサトの叫びにアストラを除いて、皆は逃げる。

 

「は!?」

 

一人残されたアストラは呆れると、猛獣がアストラに飛び掛かった。

 

「アストラ兄さん!!?」

 

マサトが叫ぶと、猛獣が突然、アストラの顔を舐め始める。

 

「良し良~し♪久し振りだなぁ、ブリッツ♪」

 

《ブリッツ?》

 

「名前を言っていなかったなぁ、ブリッツだ.....♪」

 

ブリッツはアストラに撫でられながらも、マティス達に威嚇する。

 

「よっぽど、飼い主が大好きみたいだなぁ.......」

 

ブリッツがマサトとリナとシアの方に近付き、左腕の義手を見る。

 

「何?」

 

するとブリッツがマサトとリナ、シアの足元を拗ねり始めた。ブリッツの表情がニッコリとなり、その愛くるしい可愛さにマサトの心を貫く。

 

「可愛い......!」

 

マサトはブリッツの頭を撫でたり、顎の所をゴロゴロすると、猫のような行動をする。そして第四中隊の皆もブリッツの可愛さに心を貫かれていく。

 

《可愛い.......!!》

 

「どうやら、ブリッツの奴はお前らの事を気に入ったみたいだなぁ♪」

 

すると、輸送機の中から白いボールが転がってきて、マサトの前に止まる。

 

「ん?」

 

『マサト!マサト!』

 

「うわぁっ!?」

 

マサトは驚くと、アストラが言う。

 

「ソイツは『ハロ』......移動するときは球体になるから♪」

 

「へぇ~」

 

マサトはハロを持ち、挨拶する。

 

「よろしくな、ハロ.....」

 

『マサト、よろしく!マサト、よろしく!』

 

マサトは笑顔で、ハロを見ていると、警報が鳴り出し、マティス達は急いで発着場から離れる。そしてマサトはハロをレオスのコックピットに乗せ、専用の台座に乗せる。

 

「ハロ、これからのサポート......よろしく頼むぜ♪」

 

『了解♪了解♪』

 

第一中隊のパラメイルが発進準備になると、サリアが言う。

 

「サリア隊、発進します!」

 

サリアの号令と共に、ヴィヴィアンが空中へ舞い上がるが、アンジュのヴィルキスがまだ、発進していなかった。

 

『アンジュ機、発進どうぞ!.........アンジュ機?』

 

ヒカルがアンジュに問い掛けるが、アンジュは何かを考えていた。さらに後ろで待っているロザリーが怒鳴る。

 

「さっさと出やがれ!後ろがつっかえてんだぞ、この便秘女!ったく、足引っ張ってんの...だよな、ヒルダ?ん?ヒルダ........?」

 

ロザリーはヒルダに問い掛けるが、何も返事しなかった。

 

『何をやっているのよ!?慰問団はもう、そこまで来てるのよ!緊急射出!!』

 

エマ監察官がメイに命令する。

 

「アンジュ機!起動!」

 

メイがカタパルトのメインシステムのロックを解除し、レバーを回した。すると、ベースが勢いよく動きだし、アンジュが慌てる。

 

「うぇ!?えええええええ~~~っ!!??」

 

そしてベースがカタパルトから離れ、アンジュが発進し、マサト達も発進していく。

 

「やれやれ、アンジュの奴.....何を考えていたのやら....」

 

『家族!家族!』

 

「ん?」

 

『家族!家族!』

 

「家族の事ねぇ.....」

 

『寂しい?寂しい?』

 

「......嫌、寂しくないな、リナとアストラ兄さんがいるから♪」

 

すると、前方から多数の輸送機が姿を現す。

 

「おおっ!キタキター!フェスタだー!」

 

興奮するヴィヴィアンにアンジュとマサトは首を傾げる

 

「「フェスタ?」」

 

「アンジュちゃんとマサト君は知らなかったね、『フェスタ』って言うのは「無駄口はそこまで、各機、輪形陣!」」

 

《イエス!マム!》

 

第一中隊はサリアの命令に従い、陣形を組む。マサトは陣形の後ろの列を組み、輸送機を見る。

 

「あれは!?」

 

マサトが見たそれは、ローゼンブルム王国の紋章であった。

 

「ローゼンブルム王国の紋章!?と言うことは.......あの輸送機に乗っているのは......!?」

 

一方、王族専用の輸送機の客室に、ミスティ・ローゼンブルムが座っており、過ぎ通っている第一中隊の機体を見る。

 

「アレで戦うのですか......ドラゴンと?」

 

「左様です、ミスティ様」

 

脇に控える秘書の女性が淀みなく応えると、ミスティはレオスの方を見る。

 

「あの大きいのは?」

 

「はい、アルゼナルからでは『エクストリームガンダムレオス』と呼ばれており、ドラゴンを殲滅するための"紅い双極の悪魔"の異名を持っております」

 

「....."紅い双極の悪魔"『ガンダム』......」

 

ミスティはそう言いつつ、第一中隊と通り過ぎ、アルゼナルに降り立つ。

 

「(待ってて下さい......マサト様)」

 

ミスティはマサト彼の事を思い、手元に何か古い木箱を持っていた。




次回は、マサトの出生の一部を明かします。


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第15話:パンドラの箱

 

今日は年に一度の休日『マーメイドフェスタ』が祝祭されており、アルゼナルの皆は水着を着て楽しんでいた。幸いにアストラ兄さんがⅡ年Ⅳ組やリナやシアにそれぞれの水着を持ってきており、マサト達はありがたく水着を着て楽しむ。(因みにシアは水着を着なかった。理由はメイド服無しだと、護身用やリナや俺とアストラ兄さんを守るための鋼糸とダガーをしまえないからと.....)ココとミランダ、リナが海辺で海水を掛け合う。

 

「あんまり、はしゃぐなよ♪.......これがフェスタか.....」

 

マサトが椅子に座っているとアンジュとモモカ、そしてナオミと一緒にいるサリアが説明する。

 

「人間達が私達に唯一休みをくれた日の事よ。訓練は明日まで免除、何をして遊んでも許されるのがこのフェスタなの。過酷な明日を生きるための、希望の一日なんだから、楽しみなさい♪」

 

「奴隷のガス抜きってことね.......でも、これは何....?」

 

アンジュの水着は赤のビキニでナオミは昔ながらのスクール水着(略して"旧スク")を着ていた。

 

「伝統よ、制服やライダースーツじゃ息が詰まるって」

 

「.......恥ずかしくないの?」

 

アンジュは呆れた目でサリアを見ると、サリアが頬を赤くし、胸元を隠す。

 

「水着でいることが、よ」

 

サリアはその事に肩を垂らす。マサトは二人の話を聞いて笑っていた。

 

一方、館の方ではエマ監察官はローゼンブルム王国王女『ミスティ・ローゼンブルム』と話していた。

 

「宴の遥々、よくぞお越しいただいてくれました。ミスティ・ローゼンブルム妃殿下」

 

「アルゼナル管轄は、我がローゼンブルム王国の責務ですから♪」

 

「無事終えられたのですね、洗礼の儀.....おめでとうございます、これで立派な王家の一員に「一つ、御伺いしてもよろしいでしょうか?」」

 

「はい、なんなりと」

 

「ここに......マサト・ラスタル様とアンジュリーゼ様がいらっしゃると....」

 

ミスティはマサトとアンジュに話がしたいと事にエマ監察官は誤魔化そうとする。

 

「そ、そのような方....ここには「では、探してください!」」

 

ミスティは心配そうな表情になり、鍵がかけられた木箱を取り出す。

 

「アンジュリーゼ様とマサト・ラスタル様に会いたいのです.......どうしても......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マティス達はロザリーとの競豚での勝負をしていた。ロザリーは『豚骨インパクト』、マサトは『ロースブレイカー』に何と何十万のキャッシュを注ぎ込んでいた。

 

「行け~~っ!ロースブレイカー!!」

 

「そこだ~!行け~~豚骨インパクト!!」

 

二人が競豚に興奮している中、クリスはヒルダを探していた。

 

「ヒルダ.....どうしちゃったんだろう?」

 

「貯めろ!末脚を貯めるんだ!私のキャッシュを「ロザリーッ!!」」

 

「ん?」

 

「ヒルダ....何処にいったんだろう?」

 

「はぁ?多分、どっかにほっつき歩いてんだろ?」

 

すると競豚を見ている観客達が騒ぎ足す。

 

「ヒルダが何を考えているのは昔からそうじゃないか!?」

 

ロザリーは豚骨インパクトの状況を見る。結果、豚骨インパクトの順位が最下位から二番目、ロースブレイカーが2位になっていた。

 

「おっしゃ~っ!!2位!ありがとよ!ロースブレイカーッ!」

 

「あ~~っ!!??なにさらされてんだよ!?豚骨インパクト~~~!!」

 

マティスは喜び、負けたロザリーは持っていた豚券をばらまいた。

 

エルシャはアイカのマッサージで極楽気分になっており、サリアとナオミは一緒に映画鑑賞していた。

 

マサトはパトリックとセリカ、ニコラス、リクトと一緒に飲み物やたこ焼を飲食していた。

 

「この光景......思い出すなぁ、学院際を......」

 

「あぁ、」

 

マサトは前の学院際を思い出していると、アストラがマサトの所に来る。

 

「マサト....」

 

「兄さん?」

 

「エマ監察官からお呼びがあった.......ミスティ・ローゼンブルム妃殿下がお前に会いたいそうだ.......」

 

「ミスティ様が!?」

 

マサトは驚くと、ニコラス達も驚く。

 

「ミスティ様がここに!?」

 

「アストラさん!それって!?」

 

「年に一度のフェスタでは、必ず王家の者が来る......今回は洗礼の義を終えたミスティが要らしている。マサト......顔を見せたら?」

 

「う~ん......兄さんがそう言うなら.....」

 

マサトはジャケットを着て、アストラに連れられ、ミスティの元へと向かった。

 

「ミスティ様.....アストラです。マサトを連れてきた。」

 

アストラはドアを開け、マサトを中に入れされた。

 

「マサト様.......」

 

「お久し振りです.....ミスティ様」

 

「話はアストラ教官から聞きました......最後まで隠しきれなくてすみません......」

 

「いえいえ、別に対した事はありませんから」

 

「.......左腕の方は....」

 

「これですか?ちょっとしくじっちゃいまして........気にしなくても良いですよ♪」

 

「そうですか......」

 

「それで、ミスティ様......俺を呼んだのは?」

 

「はい、実はマサト様の御自宅の、あらゆる遺品を没収されていた時、奇妙な箱を見つけたのです」

 

「奇妙な箱?」

 

「はい、マナの光で持ち運ぼうとしても、マナの光が崩れたのです......さらにどんな鍵職人でも抉じ開けることができなかったのです。」

 

「え?」

 

ミスティはマサトにその箱を見せる。

 

「これがその?」

 

「はい、マナの光を崩してしまう開かずの箱です」

 

マサトはその箱を受け取った直後、箱の隙間が光出した。

 

「「っ!?」」

 

ミスティは側にいたメイド守られ、マサトとアストラは光る箱から離れる。すると箱から綺麗なメロディーが鳴る。

 

「オルゴール?」

 

「だけど、ネジ穴はありませんでした!?」

 

「.........」

 

オルゴールは綺麗なメロディーを鳴らしながら、ゆっくりと開いた。中に入っていたのは見たことのない文字で書かれているメモ帳と写真であった。

 

「これは?」

 

マサトは写真の方に目をやる。それはオルト・ラスタルとマナミア・ラスタル....そして他の二人が写っていた。男性の方はマサトと同じ髪の色をしており、マスクを付けていた。女性の方はこの世とは思えない美しい紫色をしたロングヘアー、耳にルビーのピアスをしていた。マサトは

 

「この人......何処かで......」

 

その時、アストラが写真を取り上げ、落ちていたメモ帳を没収する。

 

「すみません、ミスティ・ローゼンブルム妃殿下.....私とマサトはこれにて失礼します。」

 

「えっ!?ちょっ!?」

 

アストラはマサトの腕を掴み、部屋から出る。ミスティは心配そうにマサトの事を思う。

 

部屋から出たマサトはアストラに言う。

 

「ちょっと、兄さん!どう言うことなんだ!?説明してくれ!何で写真を取り上げたんだ!?」

 

「悪いがそれは関係ない話だ......」

 

「関係あるよ!あのオルゴール.....俺が触れた途端に光だして開いた、そして入っていたあの写真とメモ帳「need not know!」っ!?」

 

「.......知らない方が身の為だ」

 

アストラはそう言い、何処かへ行った。

 

マサトは皆の所に戻り、写真のに写っていた男性と女性の事を考える。

 

「.........」

 

するとマサトの足元にハロが転がってきた、

 

『マサト?マサト?』

 

「ん?.......大丈夫、ちょっと考え事をしていただけだよ♪」

 

マサトはそう言うと、ハロを幼年部達の所に渡し、遊ばせた。

 

「........」

 

「マサト!」

 

「はい?」

 

マサトの所に疲れはてたエマ監察官が来た。

 

「アンジュを見ましたか!?」

 

「え?いいえ......見ていませんけど......」

 

「も~っ!!ミスティ様がお待ちなのに、何処にいるの~~!!??」

 

エマはそう言いながら、アンジュを探すのであった。その後、午後からの賞金を懸けた大運動会が開かれていた。大運動会にはセリカやメリー、アイカ、ロザリー、クリス、エルシャ、ヴィヴィアン、ナオミも参戦していた。

て言うかジャスミンの奴、無茶苦茶でハレンチな競技を考え付くなぁ......第一競技の『恐怖!溶ける水着でパン食い競争』と第五競技の『挟んで運べ!○っ○○卵』って.......

 

マサトは競技の事を考えていると、第一競技が始まった。マサトやマティス達は溶ける水着で女子達のあれを見ないように後ろを振り向き、目隠しする。

 

「あ~.....彼女達のあれが見られないなんて.....残念だ~!」

 

マティスが残念そうな言葉を吐くと、ガイが注意する。

 

「止めなさい、変態か?お前は」

 

「だってよ~!」

 

するとパトリックがマサトに問う。

 

「そう言えば、マサト......ミスティ様と何を話していたの?」

 

「ん?......自分の事やお前達の事......」

 

マサトは皆に嘘を言うと、皆はそれを信じた。

 

「はぁ~、俺たちもミスティ様に会いたかったなぁ~」

 

「そうだね、ミスティ様はマサトを優位ノーマだと言うことを隠してくれた恩人だから......」

 

皆が目隠ししながらミスティの事を話していると、いつのまにか第五競技が始まっていた。

 

「第五競技は!『挟んで運べ!○っ○○卵』だ!さぁ~!誰が一番に着くのかな~?よーい.........スタート!」

 

ジャスミンの号令と共に参加者達が一斉に何個もの卵を○っ○○に挟んでリレーをする。その光景にマサト達は呆れていた。

 

「.......何だ、この競技?」

 

その中に一番苦戦していたのはサリアの方であった。胸が小さいせいか、卵一個に苦労していた。メリーはやっぱり脱落、セリカやアイカも負けていなかった。一方ロザリーとクリスは.....

 

「あぁっ!!くそっ!」

 

ロザリーは次々と卵を落としていくと、クリスが何個かの卵を挟み、ロザリーのキャッチした。

 

「任せて!」

 

クリスは凄い早さで、ゴールまで向かっていった。ロザリーや参加者、マサト達はクリスの素早さに驚いていた。

 

《早っ!!?》

 

そして競技が終わりに近くなっているとき、マサトの元にまたエマ監察官がやって来た。

 

「まだ探しているんですか?」

 

「ゼェ!......ゼェ!......ゼェ!......何処に行ったの!?」

 

「......一緒に探しましょうか?」

 

「是非、そうして.......ハァ、ハァ、ハァ....」

 

マサトは一旦ミスティがいる館へと向かう。ドアを開けると、二人は倒れているボディーガードを見て、驚く。

 

「っ!?...ミスティ様!?」

 

エマ監察官が部屋を見ると、メイドが倒れていた。

 

「おい!何があった!?」

 

マサトが気を失ったメイドを起こすと、メイドは小声で言う。

 

「アンジュリーゼが.......」

 

メイドはそう言うと、また気を失ってしまった。

 

「アンジュが!?」

 

そしてマサトは急いでジルの元へ向かう。

 

「たっ大変よ~!!」

 

エマがジルに叫び、事情を話す。マサトは何かを察知し、カタパルトへと向かうと、王族専用の輸送機が発進していた。そしてハッチの奥に縛り付けたミスティとアンジュ、それを追っているヒルダの姿がいた。マサトはミスティをあんな風にしたことに怒り、サイレンサーが付けられたハンドガンを取り出す。

 

「待ちやがれっ!!お前ら!!」

 

ヒルダが勢い良くハッチに飛び移ると同時に、マサトを追ってジル達も駆け付けた。そして輸送機は拘束されたミスティとアンジュ、ヒルダを連れて、何処かへと飛び立った。

 

「どっどうしましょう!!??ミスティ様が、ノーマに誘拐.....」

 

エマはあまりのショックに気を失う。

 

「簡単に買収されやがって、何の為の番犬だ!?」

 

ジャスミンは武器をほとんどアンジュに買い占められたことに置かれていたキャッシュを握りつぶし、バルカンに怒鳴る。

 

「くぅ~~ん」

 

「ジャスミン......」

 

ジルがジャスミンに言う。

 

「........あの坊やと"レジスタンス"に連絡を.......」

 

「あいよ」

 

ジャスミンは直ぐにタスクとミスルギに派遣されている隠密部隊に連絡する。マサトや第四中隊が呼び集められると、アストラが作戦を伝える。

 

「今回の作戦は救出だ。幸いな事にミスティ・ローゼンブルム妃殿下は無事だ。アンジュは恐らくミスルギ皇国へと向かっている。ヒルダの方は不明だが、見つけ次第確保を最優先せよ」

 

するとマサトはアストラの言葉に疑問を持つ。

 

「あの、兄さん.....ミスルギ皇国へと言いましたが、ミスルギ皇国は無くなった筈では?」

 

「"名前"がな、今は新皇帝であるジュリオ・飛鳥・ミスルギが統一している神聖ミスルギ皇国となっている.......」

 

「神聖ミスルギ皇国......」

 

「多分、ジュリオ皇帝はあの筆頭侍女を餌にアンジュを殺そうと思うかもしれない.....」

 

アストラの言葉にマサトはハロが発声していた言葉の意味を思い出した。

 

「(そうか!ハロが言っていたあの"家族"と言うのは、そういう意味だったのか.........くそっ!)」

 

「アストラさん、どうやってその情報を?」

 

「向こうにいる坊主(タスク)とレジスタンス達からだ.......」

 

「レジスタンス!?」

 

「マティス達は、知らなかったんだな.....俺たちが通っていたアルケミスト学院の先生や学院長と一部の生徒達はこの世界に抗う抵抗組織なんだ.....」

 

「マジで!?」

 

「信じられないかも知れないが.......事実だ。作戦に戻るが、マサト、マティス、エルマ、セリカはミスルギ皇国へと向かい、タスクと合流しろ........私とリクト、ニコラス、メリー、アイカ、ガイ、モニカはヒルダの捜索をする.....以上だ。何か質問は?」

 

アストラの問いにガイが手を上げた。

 

「アストラさん......ちょっと気になったのですが、レジスタンスと言うことは、世界を相手するのですか?」

 

「答えは簡単..........yesでありnoだ。それだけか?」

 

「え?......はい......」

 

「それじゃ、マサトと第四中隊!発進準備!」

 

《イエス!コマンダー!》

 

マサト達は急いでそれぞれの機体に乗り込む。マサトのレオスのフライトパックはジャスミンが捜索の為、燃料タンクを追加し、さらにレオス専用の新武器『ヴァリアブルライフル』も追加してくれた。

 

「本当に良いの?」

 

「あぁ、良いとも......あの武器はちょっとデリケートでな、ダイヤルで調整しないと銃身がオーバーヒートを起こして使い物にならんくなるのよ」

 

「分かった、気を付けて使うよ.......それとあの武器のお代は?」

 

「良いよ、あの武器のお代はチャラにしておく。それと.....」

 

するとジャスミンがマサトに新しい義手のパーツをくれた。白く、分厚い鋼鉄でできたガントレットであった。

 

「ローゼンブルム製の義手の籠手(ガントレット)だ。その紐を中指に結び付けて、引っ張りな」

 

マサトはジャスミンに言われた通りに、紐を中指に結び付けて引っ張った。するとガントレットからブレードが飛び出してきた。

 

「へぇ~」

 

「刃は超鋼クロム製だから、簡単に折れないようにできている。」

 

「ありがとう」

 

マサトはレオスに乗り込むと、ヴィヴィアンとエルシャ、ココ、ミランダ、ナオミ、リナ、シアが駆け付ける。

 

「気を付けて、お兄ちゃん!」

 

「兄様.....お気を付けて......」

 

皆が祈り、マサトは発進準備をする。

 

「マサト機、レオス フライトカスタム......box out!!」

 

マサトのレオスが夜空に舞い上がると同時に、水中のハッチが開き、マティス達のザクウォーリアが水中用のジェットパックを装備して、発進する。そしてアストラの赤いデルタガンダムがウェイブライダー形態のまま発進した。

 

「さてと、もしもの時だ........」

 

アストラはコックピットに乗せたブリッツの横にある鞄から包帯とマント、そして鳥の仮面と鬘を取りだし、デルタガンダムを自動操縦に切り替え、コマンダー・フェニックスに着替える。そしてマサトに通信をし、各部隊に別れる。マサトはハロの頭を撫でながら言う。

 

「自動操縦頼んだぞ♪」

 

「了解!了解!」

 

マサト達はミスルギ皇国へと足を踏み入れた。



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第16話:義手の力

皆さん......ちょっと早いかも知れませんが、ジュリオのクソ兄貴を初っぱなから痛め付けようと思います♪さぁて、クソ愚民共に悪魔からの素敵なプレゼントを上げましょう。そしてタイトルの通り、義手の力と役割が出ます。


アストラ、リクト、ニコラス、メリー、アイカ、ガイ、モニカはヒルダを捜索していると、リクトがアストラに言う。

 

「アストラさん」

 

「何だ?」

 

「ヒルダの居場所は?」

 

「まだ不明だ.......」

 

「それの事ですが.......心当たりがあるんです」

 

「何......!?」

 

「リクト....どう言うこと?」

 

アイカが問うとリクトは素直に答える。

 

「ヒルダはきっと......お母さんに会いに.....『エンデラント連合』に行ったと思います.....」

 

「『エンデラント連合』........何故分かるのだ?」

 

「自分はエンデラント連合出身でしたから.......そしてヒルダの......幼馴染みなのです」

 

「えぇっ!?」

 

「嘘っ!?」

 

モニカとメリーが驚くと、アストラは言う。

 

「なるほど、通りでお前は彼女の事を心配していた訳か.......」

 

「え!?気づいていたのです!?」

 

「私を甘く見るな......."鷹の眼からは逃れられん"そう言うことだ......」

 

「........」

 

「とにかく、リクトの言う通りにエンデラント連合に行ってみよう........彼女はそこで何を見るのか.......」

 

アストラ達は出力を最大に上げ、エンデラント連合へと向かっていった。

 

その頃、アンジュはミスルギ皇国の橋の下に身を潜めていた。モモカはアサルトライフルのパーツを持ったまま居眠りしていた。

 

「ふわぁっ!?申し訳ございません!アンジュリーゼ様!」

 

「良いのよ、寝ていて.......どうせ、眠れなくなるから.......ゆっくり休んでおきなさい」

 

「はい!」

 

するとアンジュは夕暮れの空を見上げる。

 

「お母さんに会えたかな?..........ヒルダ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アストラ達はエンデラント連合に到着し、森の中にモビルスーツを隠す。

 

「リクト、何故お前がヒルダの幼馴染みなんだ.........?」

 

「........幼少の頃、エンデラント連合に住んでいて、そこでヒルダと出会った。月日が流れて俺とヒルダは恋人みたいな関係になったが、ヒルダがノーマとバレてしまい、行方が分からなくなった.......その時、母親はノーマであったヒルダをずっとひたすら隠し続けていたから.......多分、ヒルダの目的はお母さんに会うと思っているんだ.......」

 

「なるほど、確かに......今までノーマであっても生んだ子と親の絆は深いからなぁ.....」

 

するとアストラがリクトの頭を撫でる。

 

「良くやった♪」

 

「ありがとうございます.......」

 

「それで?ヒルダが前に住んでいた町は?」

 

「あぁ、この先です.......」

 

リクトの指差す方向に田舎町が見えてきた。するとアストラが止まる。

 

「ここから先.....私は同行できない」

 

《え!?》

 

「レジスタンスの上層部から別の任務が入った。」

 

アストラはそう言うと、アルゼナルまでのマップをリクトに渡した。

 

「帰りはそれに従え.......」

 

アストラは急いでデルタガンダムへ向かっていった。その頃ヒルダは、雨の振る道を歩いていた。母親に拒絶され、さらに新しく生まれた娘......嫌、妹に自分と同じ名前を付けられていた事に、ヒルダは絶望をしていた。

 

「........」

 

すると警察官のパトカーが2台が通り過ぎると、パトカーから四人の警察官が出てきて、ヒルダに暴行する。その直後、森の中から鬼神と化したリクトが刀を抜刀し、四人の警察官を両断し、道路を血の海で染めた。落ちている林檎に血が流れ着き、返り血で赤く染まったリクトは刀を鞘に収め、痛め付けられ気を失っているヒルダを抱き抱える。

 

「ヒルダ.......迎えに来たよ」

 

リクトの元にアイカ達が駆け付け、急いでヒルダをモニカのホスピタルザクウォーリアの医療コンテナに乗せて治療する。

 

「かなり痛め付けられているわ......酷い」

 

モニカがヒルダを心配すると、ガイは拳を握り締める。

 

「これが人間のやり方か!?何で彼らは分かり合えないんだ!?」

 

「..........今はヒルダをアルゼナルに搬送させるのが最優先だ.......急ごう!」

 

リクト達はそれぞれの機体に乗り込み、アルゼナルへと帰還していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マサト達はレオスを森の中に隠し、建物の屋上から警察官や検察官から逃げているアンジュを監視していたタスクやレジスタンスに所属している人間達と合流した。

 

「タスク!」

 

「マサト!」

 

「状況どうなっている?」

 

「無茶苦茶だよ........ええっと.....君達は?」

 

タスクがマティス達を見て、問う。

 

「俺はマティス・シモン」

 

「エルマ.....」

 

「僕はパトリック・ベルティラ♪」

 

「セリカ・イシュレニアルだ......気軽にセリカと呼んで良い♪」

 

「俺はタスク.....ただのタスクだ.....」

 

するとレジスタンスの一人がマスクを外す。

 

「久し振りだな♪マサト.....」

 

「お前は!?セルジオ!?」

 

マサトはセルジオの名を言う。

 

本名"セルジランド・ボードウィン"......ボードウィン家の次男にして、ヴェルダ王朝に住むの貴族。彼の親族や各国にいる貴族をこう呼ばれていた『七大名門』。マサトはボードウィン家の次男がここにいることに驚く。

 

「訳があって、アストラさんに呼ばれたんだ.......ミスティが大変な事になっちゃったって.....」

 

「大丈夫、ミスティ様は無事だ......♪」

 

「ほぉ、良かった~、ミスティにもしもの事があったら、ボードウィン家とローゼンブルム家の婚約が破棄される~」

 

「頑張れ.....将来ミスティの夫になる次男よ.....」

 

「あぁ、」

 

セルジオとマサトの話に皆は呆れていると、望遠鏡で監視していたタスクが言う。

 

「まずいよ!」

 

「えっ!?」

 

マサトはタスクの望遠鏡を借り、覗き混むと、そこに写っていたのは、アンジュがボロボロの服の処刑着を着せられ、腕を吊るされており、そしてマナの電動車椅子に乗っているアンジュの妹『シルヴィア・斑鳩・ミスルギ』がムチでアンジュの身体に打ち付けて痛みつけ、それにアンジュが悲鳴を上げる。それを見ていた国民達は喜びの声援を上げていた。その光景を見ていたマサトは歯を食い縛り、怒りがこみ上げる。

 

「クズがっ!!」

 

「マサト?」

 

マサトはマティスに望遠鏡を渡すと、マティスも見る。

 

「.......アイツ等!これが人間のやることか!?」

 

マティスは怒鳴り、エルマやパトリック、セリカも怒りがこみ上がる。

 

「タスク」

 

「何?」

 

「スマンが、アイツ等を許せなくなった.........だから、」

 

するとマサトの怒りに反応したのか、レオスが自動で動き、マサトの所まで来た。するとレオスが持っていたヴァリアブルライフルで民の方に狙いを定める。

 

「待て!マサト!早まるな!!」

 

マサトの眼が金色になり、意識の中で命令しようとした直後、マサトの耳から耳鳴りが響く。

 

「っ!?」

 

良く見ると、アンジュとモモカ、そしてジュリオと一緒にいる近衛長官以外の民衆が黒く染まっていた。そしてアンジュの歌が聞こえてきた。

 

「この歌は?」

 

「綺麗......」

 

「何だか.......心が落ち着く.....」

 

マティスやセルジオがその歌に聞き惚れていると、マサトは決意する。

 

「タスク......今すぐアンジュを救出しよう....!」

 

「マサトは?」

 

「俺?.......俺は今から、民衆と......あの妹を売ったあの兄貴とその友人を使って...........

 

タスクは恐る恐るマサトの言葉を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

     "血の海"にする........!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いたタスクは慌てる。

 

「ちょっと待って!目的はアンジュの救出「殺らせてくれ!」っ!?」

 

突然セリカがマサトに言う。

 

「私は......委員長として、大事な役割を持っている...........人を殺すって言うのは、確かにいけないことだ..........だけど!アンジュをあんな風にした奴なら、別だ!!」

 

「セリカ.......」

 

「俺も!」

 

「私も!」

 

「僕も......殺れる事を全てやる!」

 

マティスやエルマ、パトリックも決意する。

 

「皆.......」

 

タスクは皆の決意に呆れると、セルジオがタスクに言う。

 

「彼等はなぁ......アルゼナルにいる者達の罪悪と怒りを.......あの腑抜けた民達に警告を出すつもりなんだ.......止めようとは言わない.......彼等は.......たった今、"人間から悪魔へ"と変わったんだ.......」

 

「........」

 

タスクは怒りに燃えるマサト達を心配する。

 

一方、アンジュの方はこの世界に生きる人間達の本性を見て、目が覚めた。そしてアンジュは母からの永遠語りを歌を唄い、処刑台へと自ら歩いていく。途中、リィザに命じられた近衛兵が止めさせようとするが、アンジュの気迫に圧されてか、手出し出来なかった。

 

「(私は死なない。諦めない。殺せるものなら、殺してみろ!)」

 

いつからか、広場に集まった観衆はアンジュに呑まれたかのように静まり返っていた。

 

「っ!早くしろ!」

 

ジュリオが近衛兵に命令した。永久語りを歌っているアンジュに近寄って絞首に顔を叩き込む。

 

「さらばだ、アンジュリーゼ」

 

ジュリオがそう呟き、刑が執行される。

 

「アンジュリーゼ様ーーっ!!!」

 

モモカが悲鳴を上げた直後、森林から閃光弾が発射され、中庭を昼のように照らす。突然の事態に悲鳴を上げて目を押さえる観衆達。そんな彼らの隙を突くかのように森林からホバートラック『ブラッドハウンド』が飛び出し、真っ先に車両の上をホバーで航空し、彼はジュリオから指輪を奪取、そして手裏剣でアンジュを絞首していたロープを切断し、落ちていくアンジュをキャッチするが、

 

「のわっ!?」

 

思わずバランスを崩してしまい落ちてしまって、アンジュは気が付き、自分の股間に誰かの頭が突っ込んでいる事に真っ赤な顔になる。

 

「うっ、うえ~~~~~!!??」

 

「っ~~~!?」

 

アンジュの顔はさらに真っ赤になり、彼を蹴り飛ばした。

 

「こ、この~~~~っ!!」

 

「ぐほっ!」

 

彼は壁に激突し、頭を覆っていたローブが取れ、素顔を現す。

 

「え、あれ?.......タ、タスク?」

 

「近衛兵!何をしている!早く取り押さえろ!!」

 

くらんだ目から回復したリィザは、近衛兵にアンジュを捕獲を命令する。それと同時にブラッドハウンドの中からそれぞれの武器を持ったマサト達が出てくる。

 

「マサト!?何であなたも!?」

 

「話は後だ!」

 

マサトは義手からブレードを展開し、マティス達も魔導武器を持つ。

 

「ノーマを助けるアイツ等......一体?」

 

「反乱分子だ。ノーマに加担するテロリスト共め!」

 

ジュリオがマサト達やタスクを見て、リィザに言う。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

「モモカ!」

 

アンジュは蹴りでモモカの手に付けられているマナの手錠を砕き、モモカもアンジュの手に縛り付けられている縄をマナの光でほどいた。

 

「乗って!」

 

ブラッドハウンドからセルジオがアンジュとモモカに言う。

 

「行きましょう!モモカ!」

 

「はい!」

 

アンジュとモモカは急いでブラッドハウンドへと向かう。

 

「クッ!殺しても構わん!決してその者達をにがすなぁ!!」

 

ジュリオが近衛兵に命令を下し、銃剣の発砲許可が下った。するとマサトがブレードを使って近衛兵を襲った。近衛兵は何が起こったのか、後方にいるマサトの方を振り向く直前、

 

「おやすみ........!」

 

マサトが言った直後、近衛兵の首に深い傷が浮かび上がり、中から赤い血が噴き出した。中庭にいる民衆がパニックなるとると、マサトはアンジュに通報したアキホの後ろに回り込み、口を抑え、背からブレードを展開した。

 

「っ~~~!!」

 

アキホは背から腹まで突き出たブレードに驚き、激しい痛みが彼女を襲う。側にいた友人達がマサトの姿を見て怯え、彼女達のストーカーから、尿が漏らし、怯えながら言う。

 

「あ......あ.....悪魔!!」

 

民衆が悲鳴を上げ、さらにパニックになる。するとマサトの義手が緑色に光出す。

 

「ん?」

 

それは何と、マナの光であり、アキホから搾取していた。そして義手が発光しなくなり、アキホは絶命した。

 

「マナの光を吸い取っている......この義手が?」

 

マサトが自分の義手を見つめている間、マティス達が次々とくる近衛兵達を圧倒していく。

 

「な、何故マナの光が!?」

 

近衛兵がマナの光で障壁を展開するが、セリカの両手剣とエルマの双銃剣によって、砕け散る。

 

「あの武器はなっ!?」

 

近衛兵に泡玉が炸裂し、吹き飛ばされる。それはパトリックが魔導杖から出している物であった。

 

「邪魔はさせないよ......」

 

マティスがショットガンで銃剣を向けてくる近衛兵の頭を吹き飛ばす。そして腰からロングバレルのショットガンを取り出し、車両を破壊していく。マサトは義手の事を後回しにすると、拡散グレネードのピンを引き、逃げ回っている民衆の中心に投げ込んだ。そして拡散グレネードが爆発し、爆熱が民衆を呑み込み、民衆の四肢が吹き飛び、グレネードから無数の刃物が民衆の体に突き刺さり、辺りは血の海に染まった。その於曾ましき光景を見ていたジュリオとシルヴィアは怯える。すると上から顔中血だらけになって、四肢を半分失った人が落ちてきた。

 

「ヒィッ!!」

 

シルヴィアはその死体に怯え、ジュリオは殺されると思い、転げながら、逃げる。

 

「た、助けてくれ!」

 

するとマサトは逃げるジュリオに踏みつける。

 

「ガァッ!!」

 

「オラァッ!」

 

そしてマサトはジュリオの顔を強く踏みつける。そしてジュリオの胸ぐらを掴み、アンジュの親の事を言う。

 

「親の気持ちを考えろ!!このクソ兄貴がっ!!」

 

「わ、私を誰だと思っている!?私は神聖皇帝ジュリ「ふざけるなっ!!」グエッ!!」

 

マサトはジュリオの顔を殴る。さらにマサトが義手の指でジュリオの左目に突き刺した。

 

「あ"あ"あ"あ"~~~っ!!!」

 

ジュリオが断末魔の悲鳴を上げ、マサトはジュリオの左目を引きちぎると、目玉を握り潰した。

 

「アンジュやあんたの親父と何も罪もないノーマの傷みをじっくりと味わえっ!!」

 

そしてマサトはハンドガンを取り出し、わざと反らして撃った。ジュリオの頬に弾丸が掠れ、経験したことがない痛みが一つ増え、もがきまわる。マサトは怯えるシルヴィアを見て、言う。

 

「これは警告だ........次こんなことをやったら.........今度こそ、お前ら愚民共や国を潰すっ!いいな?」

 

マサトの威圧がシルヴィアを圧迫し、シルヴィアは首を縦に振る。

 

「......良い子だ♪」

 

マサトはステージから下りると、転がっている死体からマナの光が溢れ出てきて、義手に吸収される。そしてマサトはアンジュとモモカ、タスクを乗せたブラッドハウンドに跳び移り、マティス達もブラッドハウンドに乗り込み、その場から去っていくと、リィザが彼等を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラッドハウンドのホバーで海の上を航空し、ミスルギ皇国から立ち去る。マサト達も、それぞれの機体に乗り込み、ブラッドハウンドの護衛をする。

 

「ごめんなさい.....ごめんなさい.....アンジュリーゼ様....」

 

沈痛な面持ちでモモカがアンジュに謝罪する。知らなかったとはいえ、敬愛する彼女を危険に巻き込んでしまったことに、モモカは酷く傷ついていたが、アンジュがモモカを励ます。

 

「何を言ってるのよ、モモカ......あなたは何も悪くないわ....むしろ、スッキリしたしね」

 

「え?」

 

「私には、家族も仲間も故郷も、何にもないってわかったから…」

 

「アンジュリーゼ様......」

 

「......それよりも!」

 

アンジュはまだ気を失っているタスクの胸ぐら掴み、そのニヤけた面に少々ムカっと腹が立ったのか、彼の頬に平手打ちをした。

 

「痛ったーい!」

 

「どぅ?目ぇ覚めた?」

 

「良かったアンジュ!無事だったんだね!」

 

するとアンジュはタスクのこめかみをグリグリする。

 

「貴方、またやったわね!」

 

「何ぃ!? あっ、何が!?」

 

歪み苦しむタスクにアンジュは言う。

 

「どうして股間に顔を埋める必要があるわけ!? 癖なの!? 意地なの!? 病気なのッ!?」

 

「ごめーん....痛ててててててっ....ごめん!」

 

「あのぅ....アンジュリーゼ様、こちらの方とはどういう関係で?」

 

タスクを知らないモモカがアンジュに問う。

 

「えっ? えーと.....」

 

「ただならぬ関係....」

 

「っ!?はぁっ!?」

 

タスクの合っているのか、間違っているか、の言葉を言ったことに、アンジュはタスクを睨み付けるが、モモカは純水な心で素直に受け止めてしまう。

 

「やっぱり! そうでなければ、生命掛けで助けに来たりしませんよね! 男勝りのアンジュリーゼ様にも、ようやく春が…筆頭侍女としてこんなに嬉しいことはありません!」

 

「ちっがーう!」

 

手を叩いたり、口元を押さえたり、涙を浮かべたりと様々な手段で喜びの感情を表すモモカであったが、アンジュは

否定の意を表し、タスクの頭を叩いた。

 

「痛っててててて.....」

 

「どうしてあそこにいたの?」

 

「連絡が来たんだ、ジルから」

 

「ジル...司令官?」

 

「君を死なせるな....てね。それでマサト達も応援に駆け付けてくれたんだ。それにこれ....」

 

タスクはジュリオから奪還したアンジュの指輪を手渡した。

 

「大事なものだろ?」

 

それを受け取ったアンジュは本当に嬉しそうな表情をすると、早速、右の薬指にはめる。

 

「ありがと.......貴方、一体何者なの?」

 

アンジュの質問にタスクは答える。

 

「俺は...."ヴィルキスの騎士"」

 

「騎士?」

 

「君を守る騎士だよ。詳しいことは、ジルに聞くといい」

 

「そうするわ」

 

「僕も一つ、聞いていいかな?.....アンジュの髪...綺麗な金色だよね?」

 

「え?そ、それが、何よ....」

 

頬を赤くし、アンジュは次の言葉を楽しみにするが、

 

「下も金色で、フサフサ「死ね!この変態スケベ騎士が!!」」

 

思わぬ言葉を吐いてしまったタスクはアンジュの怒りの猛攻で怪我を負おう事になった。話を聞いていたマサトや運転しているセルジオは呆れたその時、上空からビームが降ってきて、海面に直撃した。

 

「っ!?」

 

マサト達は機体を旋回し、上を見る。

 

「あれは!!」

 

セルジオもブラッドハウンドを自動操縦に切り替え、車体上部のタレットで確認する。

 

「何だ!?あの機体は!?」

 

セルジオがマサトとセルジオが見たものは、GNバスターランチャーを持った『ガデッサ』、マサトが前に戦ったクロノス、そして一機だけは血の様にに染まっており、背部にディバインストライカー、右腕にトリケロス改を装備したガンダム『テスタメントガンダム』が浮遊していた。

 

「何だ!?あのガンダム........今までの敵とは何かが違う!」

 

マサトがテスタメントガンダムの威圧に圧迫されると、テスタメントガンダムはディバインストライカーを起動し、巨大な爪を突き付ける。クロノスもクロノスライフルとクロノスソードを取り出し、ガデッサもGNビームサーベルを抜刀する。

 

「さぁ、殺し合いを始めようか!ガンダム!」

 

デシルがクロノスソードを突き付けると、ジョーカーが先攻する。

 

「お前っ!」

 

「お前じゃねぇよ!レオスに乗っているアイツは私の獲物よ!」

 

ジョーカーがデシルに怒鳴り、マサトはヴァリアブルライフルを構える。そしてマティス達も武器を構えた。

 




どうでしたかな?次回はお待ちかねのレオスが射撃に特化した姿へと覚醒します♪


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第17話:運命の再会

 

突如飛来した謎の敵、マサト達はアンジュとタスク、モモカ、セルジオが乗っているブラッドハウンドを死守する。

 

マサトはレオスのヴァリアブルライフルでクロノスを追撃すると横からテスタメントガンダムのディバインストライカーが襲い掛かかってきた。

 

「グッ!」

 

「アンタの相手は.......私よ!マサト!」

 

ジョーカーはそう言うと、トリケロス改に収納されているハンドガンを取り出し、レオスに向けて発砲する。マサトもレオスのヴァリアブルライフルで応戦する。ビームの弾丸がぶつかり弾け、両者は華麗なアクロバティックな戦法を同じ動きで戦ったり、回避していた。

 

「コイツ、強い!俺の動きと全く同じ動きで相手している!」

 

マサトは次に二刀流のビームサーベルを抜刀し、ジョーカーも二刀流のビームサーベルを抜刀する。

 

「マジかよ!!」

 

両者はビームサーベル同士でぶつかり合う。するとテスタメントガンダムがディバインストライカーを動かしてきた。

 

「!!」

 

マサトは急いで回避すると、シールドがディバインストライカーによって、凹んだ。そしてテスタメントガンダムがディバインストライカーを使って、招き猫の様に挑発する。

 

「っ!?何だろう......あの挑発の仕方.......初めてあった気がしない........何でだ!?」

 

一方、マティスとエルマ、セリカはクロノスとガデッサに苦戦していた。セリカがレーザー重斬刀でクロノスに斬りかかるが、クロノスは平手からビームサーベルを放出し、防御する。マティスもブレイズウィザードで追尾ミサイルを発射するが、ガデッサは腕部GNバルカンで迫り来るミサイルを撃破していく。エルマとパトリックはガナーウィザードのビームランチャーで応戦するが、クロノスはセリカを払い除け、クロノスキャノンで防ぐ。

 

「当たらない、しかもどうして私たちの攻撃を正確に当てているの?」

 

エルマはクロノスを見て、攻撃が丸分かりになっていることに驚いていると、クロノスに乗っているデシルは言う。

 

「何をしようとお前らの行動は解っているぞ!」

 

デシルはそう言うと、クロノスライフルの銃口からビームサーベルを放出し、セリカに襲い掛かかる。

 

 

その頃、ブラッドハウンドに乗っているタスクはマサト達の戦闘を見る。

 

「マサト.......今、助けに行く!」

 

「タスク?」

 

アンジュがタスクに問うと、タスクは大声で叫ぶ。

 

「来い!フェニックスゼロ!!」

 

天空の彼方から、フェニックス・ゼロが飛来した。

 

「貴方、その機体!?」

 

「行くぞ!フェニックス・ゼロ!」

 

タスクはフェニックス・ゼロを動かし、マサトの元へ駆け付ける。

 

マサトとジョーカー、二刀流のビームサーベルの刃がぶつかり合い、両者は互いの機体を睨み付ける。

 

「俺はコイツを知っている!......だけど、こんなに強くなかった!?誰だ!?.........誰なんだ!?」

 

マサトはそう考えていると、ジョーカーはレオスとの接触回線を開いた。

 

『やっぱり、忘れちゃったんだ.........私の事。』

 

「っ!?」

 

テスタメントガンダムがレオスを蹴り飛ばすと、コックピットから、マサトと同じ赤いスーツを着用した女性が出てきて、マスクを外した。その少女は赤く美しい髪で顔に大きな傷がついていた。(イメージ姿は紅月カレンです。)マサトはジョーカーの顔の傷を見て、思い出す。

 

「っ!!」

 

マサトは思い出す。幼い頃、一緒に遊んでいた女の子.........彼女の名は、

 

「ジョアンナ?.......ジョアンナだろ!?」

 

「........やっと思い出してくれたのね、マサト.......」

 

「ジョアンナ.......何で、お前が?」

 

「決まっているでしょ?.........私たち"dealer【ディーラ】"の為でもあるからよ......」

 

「"dealer"?」

 

「話はここまで.......勝負よ!」

 

ジョアンナはコックピットに戻り、テスタメントガンダムを起動する。

 

「待ってくれ、ジョアンナ!!」

 

ジョアンナはマサトの話を聞かず、マサトに襲い掛かかる。

 

「ジョアンナ!聞いてくれ!何で俺と戦わなければならないんだ!?意味が分からない!ディーラって何だよ!?」

 

「アンタには関係ない.....これもパパの為でもあるから......」

 

「お父さん?ジョアンナのお父さんからなのか!?」

 

「そうよ、そしてパパは言ったの.......この世界には害虫達がいる。世界の平和を乱している。それを阻止するのがディーラ..........『正義の味方』なのよ!!」

 

ジョアンナは二丁のハンドガンでレオスを追い詰める。

 

「グッ!」

 

レオスはシールドがない代わりに、ゼノンフェース形態へとなり、腕部のビームソードを展開し、格闘技でジョアンナを返り討ちにする。

 

「オラァッ!どうした!?掛かってこい!!」

 

マサトはファイティングポーズを取り、ジェスチャーでジョアンナを挑発する。ジョアンナは舌打ちをし、ディバインストライカーを展開する。

 

「これでも喰らいな!」

 

ディバインストライカーからビームの爪が放出され、マサトに襲い掛かかった直後、別の方向からビームが飛んできた。

 

「「っ!?」」

 

二人はその方向を見ると、いたのはフェニックスガンダムに似た機体『フェニックス・ゼロ』が四門のビーム砲を構えていた。

 

「あれは!?」

 

「マサト!大丈夫か!?」

 

「タスク!?お前、その機体は!?」

 

「話は後だ!俺も戦う!」

 

タスクはビームサーベルを抜刀し、マサトもファイティングポーズを構える。

 

「二人揃って........纏めて相手してやるよ!!」

 

するとテスタメントガンダムのアンテナが黄色く発光し出すと、レオスとフェニックス・ゼロの画面が見えなくなる。

 

「何だ!?」

 

『ウィルス!ウィルス!』

 

ハロの言葉にマサトとタスクは驚く。

 

「ウィルスだと!?」

 

二人が混乱している間に、ジョアンナはディバインストライカーを構えていた。

 

「さよならマサト........私の友よ....!!」

 

ジョアンナがディバインストライカーを降り下ろそうとした直後、レオスの装甲が黄金に輝く。

 

『射撃進化状態!"エクリプス・フェース"!!』

 

マサトの髪がまた白く変色し、レオスの肩や腰にユニットが追加されており、両手にヴァリアブルライフルの進化『ヴァリアブル・サイコ・ライフル』を持っていた。そしてマサトは冷静な言葉でジョアンナを睨む。

 

「射撃進化....エクリプスに、墜とせぬ敵はない....」

 

マサトはそう言うと、ヴァリアブル・サイコ・ライフルを撃ち、ディバインストライカーを破壊した。

 

「何っ!?」

 

爆煙からレオスが現れ、テスタメントガンダムに体当たりしてきた。

 

「っ!!」

 

「これ以上戦っても.......何も得られないぞ....」

 

「急にどうしちゃったのよ!?そんな冷静で冷酷な性格になって!?」

 

「自分が何をしているのが、分かっているのか?と言うか、お前はいつもまともな武器を持っていない。そんなのでは味方の足を引っ張って貰えないぞ」

 

「うるせぇ!!」

 

ジョアンナが怒り、トリケロス改を突き刺そうとしたが、レオスの肩部のブラスター・カノンによって、右腕ごと破壊した。

 

「こんな筈では!?」

 

そしてマサトはジョアンナのテスタメントガンダム、デシルのクロノスマークII、ダイヤのガデッサにロックオンする。

 

「ターゲット確認......目標を駆逐する。」

 

マサトがトリガーを引き、レオスから単弾頭ミサイル が一斉に発射された。デシルとダイヤ、ジョアンナはバルカンを使って、ミサイルを駆逐していくが、マサトはその隙に、肩部の兵装『"規格外拠点攻撃兵装" カルネージ・ストライカー』と『"空間制圧兵装" エクリプス・クラスター』を展開、そしてヴァリアブル・サイコ・ライフルをクロスバスターモードへとへと移行した。

マサトはトリガーを引くと、カルネージ・ストライカーからメガ粒子ビームが放たれ、エクリプス・クラスターのコンテナ側面が開き、設置された無数の小型ミサイルを空中でばら撒いた。ジョアンナとデシル、ダイヤはレオスの攻撃を浴び、機体の破損が酷くなった。

 

「あんな兵器ありかよ!!?......っ!!」

 

デシルがレオスの方を向くと、すでにヴァリアブル・サイコ・ライフル【クロスバスターモード】を発射しようとしていた。

 

「チェックメイト」

 

マサトがトリガーを引こうとした直後、フェニックスガンダムの手がヴァリアブル・サイコ・ライフルの銃口を反らした。

 

「?」

 

フェニックスガンダムに乗っているコマンダー・フェニックスがマサトに言う。

 

「もう、そのぐらいにしておけ........目的はあの皇女様の救出だろ?」

 

マサトはブラッドハウンドやマティス達を見る。

 

「確かに、そうであった........それと、」

 

レオスのヴァリアブル・サイコ・ライフルとフェニックスガンダムのビームライフルが両機体に突き付ける。

 

「また会えたな、コマンダー・フェニックス......」

 

「マサト・ラスタル......今度、余計な行動を取れば、お前を撃ち落とす.......良いな?」

 

「.......分かった。」

 

二人は武器を下ろすと、レオスが元の姿へと戻る。そしてコマンダー・フェニックスの元に、タスクが来る。

 

「師匠!」

 

「師匠!?」

 

マサトは驚くと、タスクは説明する。

 

「俺を強くしてくれたレジスタンスの者なんだ.....」

 

「レジスタンスの者!?」

 

「そうだ.....タスク。」

 

「はい」

 

「私は本部に戻る........セルジオを届け、七大名門貴族の者達やアルケミスト学院の者達に伝えてやってくれ........『【ディーラ】が動き出した』と.......」

 

「分かりました。」

 

タスクはそう言うと、マサト達と共に、アルゼナルへと戻っていった。そして、海面に浮かぶテスタメントガンダム、クロノス、ガデッサのコックピットからジョアンナ、デシル、ダイヤが出てくる。

 

「クソッ!!またやられた!」

 

「.........まさか、レオスがまた進化するなんて........どうする?ジョーカー.......」

 

ダイヤは泣き崩れるジョーカーに言う。

 

「覚えていろよ......."魔女の子 マサト"!!」

 

彼女の上から、謎の戦艦が雲を裂いて現れ、ジョアンナ達を回収した。

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルに到着したマサト達は、アンジュ達を裏の浜辺に下ろす。

 

「ここでお別れだね」

 

「行くの?」

 

「ああ、まだやり残したことや、七大名門に知らせないとね」

 

タスクはそう言うと、フェニックス・ゼロに乗る。

 

「それじゃあ♪」

 

「ありがと、」

 

「え?」

 

「貴方が来てくれなかったら、私........「奮えたよ」え?」

 

「アンジュの歌........あんな綺麗な歌を聴いたのは、初めてだけど、何故か、懐かしくて、落ち着けるんだ.........また聴かせてね♪」

 

「えぇ♪」

 

アンジュは約束し、タスクはセルジオとコマンダー・フェニックスと共にアルゼナルから去っていった。

 

「アンジュリーゼ様を助けて頂いて、ありがとうございました!」

 

モモカはタスク達に感謝の礼をすると、ジルが現れた。

 

「全く、脱走犯としては、よく生きて戻ってこれたな、良くやったぞ....マサト、マティス、エルマ、パトリック、セリカ♪」

 

マサト達はジルに褒められると、アンジュがタスクの事を言う。

 

「司令、聞きたいことがあるの」

 

「そうか、ここじゃなく」

 

ジルが義手で腹を殴り、その場で倒れ、気絶した。

 

「アンジュリーゼ様!?」

 

「反省房で聞くがいい.....」

 

マサトはアンジュを抱き抱え、反省房のある地下1階に下りると、牢屋の中に全身殴れた痕や、目元に酷い痣が残っているヒルダがいた。

 

「ヒルダ?」

 

「.....マサトか」

 

マサトは牢屋のドアを開け、アンジュを下ろす。

 

「アンジュを頼む。」

 

「へいへ~い」

 

マサトは反省房から出ると、義手を見る。

 

「(この義手の事......マギーに報告しないとな。)」

 

マサトはそう思い、医療室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マサト達が知らない世界........ある格納庫で、羽と尻尾が生えた美しい少女と二人のお付きの者が白衣を着た男性と女性に話していた。

 

「これが.....私の龍神器......」

 

「はい、姫様.......我々の技術で、対ラグナメイル殲滅兵器"焔龍號"と"蒼龍號"、"碧龍號"です。」

 

「宜しいのですか?この機体は元々、貴方の機体のデータを元に造られた機体なのですよ?」

 

「良いのです.......それと姫様、彼方の世界でコマンダー・フェニックス.....いいえ、息子が報告してきたのです。『【ディーラ】が動き出した』と........」

 

「【ディーラ】......正義の言葉を偽った組織..........何故彼等は、貴殿方を?」

 

「.......事情がありまして、息子からの次の報告を待っております。それと姫様もアストラに顔を出してくださいね。」

 

「えぇ、そうしますわ、オルト・ラスタル、マナミアラスタル..........いいえ、お義父様、お義母様♪」

 

少女は嬉しそうに、マサト、リナ、アストラの両親 オルト・ラスタルとマナミア・ラスタルに微笑む。

 




すいません!サラマンディーネ様の設定を少し変えました!義理の姉がいることを知らないマサトとリナはどう反応するのでしょうか?
次回はサラマンディーネ様が出るまでの間のそれぞれの話を投稿しようと思います!


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第18話:義手の秘密

文章は短めにしております。


 

アンジュとヒルダをアルゼナルに連れ帰った今日、マサトは義手をマギーに見せ、ジャスミンにも手伝った。

 

「人間達のマナを吸いとってしまう?」

 

「えぇ、確かに見ました。人間の一人を殺した直後、マナの光が義手に吸い尽くされているところを......」

 

マサトが説明している中、ジャスミンがマサトから外した義手を調べる。

 

「見たところ、この義手の合金はこの世界には無いものだ........多分それが、マナの光を吸収してしまったんだろう。だか、この義手の合金.......先日のフェスタでローゼンブルム王国の姫さんが持ってきたあの木箱に付いていた金具と同じなんだよ......」

 

「同じ.....?」

 

マサトは驚くと、ジャスミンは首を縦に振る。

 

「しかもこの金具.......他の国にはない物だ。となると、この金具が造れるのは........あの"国家"しかないな......」

 

「あの国家?.........それって!!」

 

マサトがその国家に驚く。マギーも思いだし、その国家の名前を言う。

 

「あぁ、間違いない........"トリスタン連邦"だ」

 

『トリスタン連邦』........かつてミスルギ皇国、ガリア帝国、ローゼンブルム王国、マーメリア共和国、エンデラント連合、ヴェルダ王朝と並んでいた失われし謎の国家。圧倒的な科学力に満ちており、そこは人間やノーマも関係なく、人々は平等に暮らしていたと、所がその国家は忽然と大陸ごと無くなり、歴史から忘れ去られていった。

 

「聞いたことがある.....確かトリスタン連邦は...300年前にその高度な科学力で人間やノーマとの差別を無くした......文明社会や国の偉いさんにとって、トリスタン連邦は理想郷で意味嫌われた国家とされていた......だけど、突如トリスタン連邦は霧が出ていたその日に大陸ごと地図から消えた.......」

 

「そう、詳しいじゃないか」

 

「アルケミスト学院の図書館で見たんだ。けど、誰も信じてくれなかったよ......その中に奇妙なエネルギー鉱石【レイヴニウム】があって、その鉱石に触れた人間はマナを無くし、逆にノーマにマナを与えるって言う鉱石であったらしいんだ。」

 

「おい、おい、それって人間をノーマに変えて、ノーマを人間に変えちゃうのかえ!?」

 

「........多分、そうかもしれない。」

 

「だが、私はいつもの方が良い♪」

 

ジャスミンはそう言うと、点検し終えた義手をマサトに返す。そして義手を取り付けられ、動作を確認する。

 

「だが、そうなるとマズイ事になるなぁ」

 

「何が?」

 

「そのレイヴニウムあると言うことが全世界にバレたら、真っ先にお前を殺す人間が増えると思うぞ......」

 

「それは......何とか対処する」

 

マサトは思いきった言葉を言い、医療室から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

医療室から立ち去ったマサトはレイヴニウムの義手の事を考えていた。

 

「(とにかく、この義手がエマ監察官に知られたら.......一環の終わりだ.......注意しないと。)そうだ!」

 

マサトは何かを思い付き、ジャスミンモールにある包帯を買い、義手に巻き付ける。

 

「動きづらいかもしれないが、これも皆をレイヴニウムに触れさせない為!」

 

マサトはそう言い、食堂へと向かう。

 

「ハァ........」

 

「どうしたの?」

 

マサトの隣に座っているナオミが声をかける。

 

「ちょっとね........ナオミは信じられるかな?」

 

「何を?」

 

「もし、俺の義手に触れて.......人間になれたら.....」

 

「いつもの方が良いよ、マナの光がどういう物なのか、知らないから♪」

 

「そっか........」

 

「?..........何かあったの?」

 

「食堂では話せないけど、食べ終わったら、部屋に来てくれ.......」

 

「え?......うん」

 

ナオミは頬を赤くし、マサトの言われた通りにする。

 

「一回.....俺の義手に触れてみろ」

 

「え?」

 

「良いから」

 

「分かった......?」

 

ナオミは包帯が巻き付けられている義手に触れる。

 

「...........なるほど、直接肌に触れないといけないのか.......となると、」

 

マサトは考え付くと、包帯を外す。

 

「もう一回、触れてみろ」

 

ナオミは気にせず、義手に触れた。すると義手からマナの光の粒子が溢れ、ナオミに注ぎ込まれる。

 

「何っ!?これ!?」

 

「......やっぱりな、直接肌に触れないと......効果が発揮しないんだな.......」

 

「マサト、これって!?」

 

ナオミが驚き、マサトは落ち着いた表情で、説明した。

 

「ノーマを人間に!?」

 

「声が大きい.....!」

 

ナオミは慌て、静かにする。

 

「それって、凄いことだよ!?」

 

「だけど、これが人間達にバレて見ろ........これを狙って来るものがいると思う。だから、一番信頼できるナオミにも内緒にしてほしんだ....頼む。」

 

マサトのお願いに、ナオミは賛同した。

 



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第19話:七大名門

 

一方、コマンダー・フェニックス.....アストラはセルジオを邸に送ると、ボードウィン家の当主 セルジオの兄である"アルバレア・ボードウィン公爵"が待っていた。

 

「よく来てくれました。アストラ・ラスタル伯爵よ」

 

「貴方もお務め御苦労様です。アルバレア・ボードウィン公爵よ」

 

「何かあったのですか?」

 

「あぁ、【ディーラ】が動き出した。」

 

「【ディーラ】......正義の名を語った組織.....その名の通り....."配る者"。」

 

「あぁ、レジスタンスに援助している貴殿方、『七大名門貴族連合』、親父とお袋がいるあの世界に緊急会議をして欲しい。」

 

「分かった。此方へ......」

 

アルバレア男爵はアストラを連れ、地下室にある会議室へと入る。アストラやアルバレア男爵が円卓の会議椅子に座ると、他の椅子から残りの七大名門貴族がホログラムとして映し出される。ミスルギ皇国の七大名門貴族「エリオン侯爵家」、ローゼンブルム王国の七大名門貴族「ファリド公爵家」、マーメリア共和国の七大名門貴族「クジャン公爵家」、エンデラント連合の七大名門貴族「バクラザン侯爵家」、ガリア帝国の七大名門貴族「ファルク侯爵家」、ヴェルダ王朝の七大名門貴族「ボードウィン公爵家」とアストラ・ラスタル伯爵、そして七大名門貴族の第一席にして筆頭の貴族「オルト・ラスタル卿」、アルケミスト学院の学院長「ヴァンダルク・ログナー」が揃った。

 

「久し振りだな、アストラ.....」

 

「父上.....御元気で何よりです。」

 

「早速だが、アストラ.......七大名門貴族連合方々に話したいことがあるのでは?」

 

「えぇ、」

 

アストラは七大名門貴族連合の達に話す。

 

「七大名門貴族連合、そしてヴァンダルク・ログナーよ........正義の名を語った組織【ディーラ】が動き出しました。」

 

謎の組織【ディーラ】の言葉に七大名門貴族連合の代表達の空気が一変した。

 

「何と言うことだ.......また動き出したのか......10年前の倒すべき相手が......」

 

「馬鹿な!また戦えば、300年前や10年前の悲劇になるぞ!イシュー公とウォーレン侯や一族、そして我らの総統や奥方見たいに!」

 

「ですが、イシュー公とウォーレン侯の領邦軍の決死のおかげで、「レオス」と「エクセリア」、「∀ガンダム」を奴等の手から奪還できた!」

 

「たったの三機だぞ!?イクスとディザスターも、モビルアーマー含め、何千機のGストリームとバグがまだ奴等の手中に納められているのだぞ!」

 

七大名門貴族連合のバクラザン侯爵クジャン公爵がアストラの言葉に否定していた。オルト・ラスタルとヴァンダルク・ログナー、アルバレア・ボードウィン、セルジオがアストラを心配していると、

 

「可能性はある!」

 

《っ!?》

 

「我々には、レオス、エクセリア、そしてヴィルキスがある!片方である双極の蒼い悪魔さえ取り返せば、奴等の正義面を剥がせます!」

 

《.........》

 

「それと、既に彼等とのコンタクトも訪ってある!」

 

「彼等とは......まさか!?」

 

するとアストラの横から、別のホログラムが現れた。それは何と、ミスルギ皇国近衛長官であるリィザ・ランドックであった。

 

「お初に御目にかかります。私は近衛長官リィザ・ランドック.......いいえ、本名はリザーディアと申し上げます。」

 

リザーディアは七大名門貴族に礼をすると、エリオン侯が言う。

 

「リザーディアよ、君達竜の一族が.....何故我等に接触してきたのかい?」

 

「まだ希望はあります。新生皇帝ジュリオ・飛鳥・ミスルギは旧皇帝であるジュライ・飛鳥・ミスルギを地下に幽閉しております。」

 

リザーディアの報告に、エリオン侯は言う。

 

「ジュライ皇帝陛下が......生きていると!?」

 

「はい、彼なら......この状況を打開策を考えている筈です。」

 

「分かった.....リザーディアよ、お前に命ずる。」

 

「はい」

 

「ジュリオから情報を聞き出し、我が友であるジュライ・飛鳥・ミスルギの安否を確認してくれ。我等、貴族連合が必ず助けに行くと........」

 

「仰せのままに.....」

 

リザーディアはエリオン侯爵の命を受け、通信を終了した。

 

「して、これからどうする?」

 

オルトはバグラザン侯爵とクジャン公爵に言う。

 

「分かった......聞き取り入れよう。ただし、.......10年前のリベルタスの様にはならないでおくれよ」

 

「私も、バグラザン侯と同感です。」

 

二人はそう言うと、通信を終了した。するとファリド公爵がアストラに言う。

 

「アストラ・ラスタル伯爵.....これからの活躍を期待しているぞ。それと、アルゼナルの司令官のジル........アレクトラを見張っておいてくれ.....」

 

「分かりました。ファリド公爵殿下」

 

ファリド公爵も通信を終了し、エリオン侯、ファルク侯も通信を終了し、残ったのはヴァンダルク・ログナーとオルト・ラスタル、ボードウィン公爵だけになった。

 

「......セルジオ」

 

「はい!」

 

「ミスティ・ローゼンブルム妃殿下を迎えに行ってやってくれ♪」

 

「え!?兄さん、どう言うこと!?」

 

「勘かな?.......私がリベルタスに使っていたシュヴァルベグレイズで迎えに行きなさい♪」

 

セルジオは初めてのモビルスーツに乗れることに興奮する。

 

「っ!?.......はい!!」

 

セルジオは敬礼すると、会議室から出る。

 

「アストラ......念のため、君のお友達を呼び戻しておく。」

 

「........"不死鳥の三銃士"」

 

「そうだ.......」

 

「懐かしいなぁ........俺がフェニックス、アリサがハルファス、ユーシスがバルバトス........」

 

するとアストラは暗い表情になる。

 

「無理もない....リベルタスから逃げたお前にとって、新人であったからなぁ.......」

 

アストラは拳を握り締め、決意する。

 

「......もう逃げない!」

 

そしてアストラは会議室から出ていき、会議は終了した。



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第20話:龍巫女の歌

今回の話で、オルト・ラスタルのオリジナルガンダムが登場します!そして皆のアイドル!『サラマンディーネ』様の登場です!


 

アンジュやヒルダの救出から一週間、マサトは義手に少しずつ慣れるために、サンドバッグで何やら暴言を吐いていた。よく見ると、サンドバッグに手描きで描いたジュリオの似顔絵をサンドバッグに張り付けていた。

 

「この糞皇帝っ!テメェが神聖皇帝っ!?ふざけるなっ!」

 

マサトはサンドバッグをコブラツイストやアッパーカット、さらに膝蹴り、踵落とし、ジャーマンスープレックス、ラリアット、ブレンバスターでジュリオに対する怒りを暴言として吐きながら、サンドバッグにぶつけていた。

 

「止めの.........タワーブリッジ!!」

 

マサトがサンドバッグを持ち上げ、サンドバッグをへし折った。サンドバッグの革が破れ、中から砂が零れ落ちる。

 

「あ........」

 

マサトは気付き、ボロボロに破れたサンドバッグの山に捨てる。

 

「.........人間って、どうしてノーマと分かり合ってくれないんだろう.......」

 

マサトはレイヴニウムの義手の拳を強く握り締め、自室へと戻る。

 

 

 

 

 

一方、サリアは微かな潮風が吹くアルゼナルの丘で花を摘んでいた。

 

「あ~、サリアお姉様だ!」

 

サリアは呼ばれた方を見ると、幼年部の子供達とその指導官が居た。

 

「サリアお姉様に敬礼~!」

 

《敬礼~!》

 

子供達がはしゃぐように敬礼をし、サリアも微笑みながら敬礼する。

 

「サリアお姉様やっぱり綺麗でカッコいい~!」

 

「私、おっきくなったら第一中隊に入る~!サリアお姉様見たいな綺麗な人になる~!」

 

 

幼年部の少女達を見て、サリアは過去に想いを馳せる。

 

 

【私、絶対にお姉様見たいな綺麗な人になる!】

 

 

かつて、まだサリアが幼かった頃、ジルに憧れ、今の少女達のように無邪気にしていた。そんな夢を抱くサリアをジルはよく撫でてくれた。

 

過去の思い出に小さく笑い、サリアはその場から移動する。向かった先はアルゼナルの墓地であり、そこにメイがいた。

 

「これ、お姉さんに.....」

 

「毎年ありがとう、サリア」

 

メイが添えた花の傍に添える。この墓の主は、メイの実姉『ジャオ・フェイリン』の墓であった。

 

今日は彼女の命日であり、祈り終えると、サリアはどこか疲れたようにため息を吐いた。

 

「どうしたの?」

 

「幼年部の子達に、『お姉様』って呼ばれた。私、もうそんな年かな?」

 

「まだ17じゃん」

 

思わずそう返すと、サリアはどこか感慨深く、そして懐かしそうに呟いた。

 

「もう17よ。同い年になっちゃった……『アレクトラ』と......」

 

微かに吹く風のなか、サリアは10年前の『あの日』を思い出す.......

 

 

 

 

10年前の静かな夜.....アルゼナルの海岸に、ボロボロになったヴィルキスが降下して来た。

 

「アレクトラ!」

 

当時の司令だったジャスミンが、その姿に驚きの声を上げる。

 

フラフラと飛ぶヴィルキスはそのままアルゼナルの海岸に不時着した。シートには、当時アルゼナルのメイルライダーとして戦っていた『ジル』の本名『アレクトラ』であった。

 

「マギー!鎮痛剤だ!ありったけの包帯を持ってこい!」

 

マギーは急ぎ行動を開始する。その様を幼かったサリアとメイは静かに見ていた。何があったのか、当時のサリアには分からなかったが、憧れの彼女が傷付く姿にてもたってもいられなくなった。

 

「しっかりしろ、アレクトラ!一体何があったんだ!?」

 

「そうだ......フェイリンから、メイに伝言があるって......三番目の引き出しの中に.....一族の伝承が....」

 

「バカ、そんなのは後だ! それより、今は手当を......」

 

「ごめんね、ジャスミン......私じゃダメだった.....」

 

言葉の中に込められた悔しさにジャスミンが息を呑む。

 

「フェイリンも、バネッサも、騎士の一族もユリウス総統とイリスも....貴族連合のイシュー家とウォーレン家......みんな、死んじゃった」

 

アレクトラから話された事実に、ジャスミンも唇を噛む。アレクトラが独りで戻ってきたことから、予想できないわけではなかった。既に、リベルタスに参加した者は全て......その事実に身体が震える。

 

「使えなかった....私じゃ、ヴィルキスを使いこなせなかった!私じゃダメだったの....!」

 

己の無力差に嘆くアレクトラに、ジャスミンは何も言えなかった。沈痛な空気が包むその時、別の声が響いた。

 

「そんな事ないよ!」

 

「アレクトラは、強くて綺麗でカッコいいもん!ダメなんかじゃないよ!」

 

「誰だい?あの娘は?」

 

「幼年部の.....サリアだ.....」

 

アレクトラはジャスミンに教えると、サリアはアレクトラに敵の事を問う。

 

「どんなドラゴンだったの!?形や!大きさは!?許さない!お姉様をこんな風にしたドラゴンを許さない!」

 

サリアはアレクトラの弱さを否定し、気遣うさまにアレクトラは思わず見入る。

 

「私が、アレクトラの敵をとるんだから!」

 

涙ながらにそう叫ぶサリアの優しさに、悲観していたアレクトラの顔に微かな安らぎが戻り、ぎこちない手つきで頭を撫でる。

 

「.....期待しているよ、サリア......」

 

精一杯の笑顔で頷くサリア、彼女を期待しているアレクトラ.......そして回想が途切れる。

 

 

 

 

 

 

「全然覚えてないや」

 

「仕方ないわ、まだ3だったもの」

 

サリアは当時3歳のメイに覚えてない事に仕方ないと言い、メイと共に墓地を離れる。

っがサリアはこの時に思った。その時から数年がたち、司令となったジルはサリアにヴィルキスの搭乗を許さない事にかなり不満感が抱いていた。

 

アンジュに出来て、私には出来ない事は何か.....サリアは格納庫にあるヴィルキスを見る。

 

「(あの娘に.......ヴィルキスは渡さない!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同時にアルゼナルの司令室、レーダーに何かをキャッチした。

 

「これは....シンギュラー反応です!」

 

「場所は?」

 

ジルが出現地を特定しろと命令を言い、それにパメラが急いで特定する。

 

「それが....アルゼナル上空です!」

 

何と出現場所はアルゼナル上空、そしてアルゼナルの上空にゲートが出現し、そこから大量のドラゴン達が現れる。

 

「スクーナー級、数は....20....45....70....120....、数特定不能!」

 

「電話もなっていないのにどうして?!」

 

エマが司令室に到着して、電話が鳴らなかった事に疑問を感じていた。しかし今はそんな事を考えてる場合ではない。

ジルはするに基地全体放送で、アルゼナルの皆に言う。

 

「こちらは司令官のジルだ、総員第一戦闘態勢を発令、シンギュラーが基地直上に展開、大量のドラゴンが効果接近中だ。パラメイル、モビルスーツ第二、第三中隊、第四中隊全機出撃。総員白兵戦準備、対空火器重火器の使用を許可する、総力を持ってドラゴンを撃破せよ」

 

自室にいたマサトやマティス達も驚き、急いでドラゴンの迎撃へと向かう。するとマサトの通信機からジルが入ってきた。

 

「マサト、お前は第四中隊の指揮を執れ......良いな?」

 

「イエス!マム!」

 

マサトはジルの言う通りに、格納庫へと向かう。

 

そしてアルゼナルの対空火器が展開して上空に居るドラゴンを撃ち落として行く。しかし数が多いのか一向に数が減って行かない。そして一体のドラゴンが司令室へと向かって行き、そのまま突っ込んでいく。

パメラとヒカルは慌てて離れて行き、ドラゴンは司令室へと突っ込んだ。

 

「ひっ!!」

 

エマは怯えながら後ずさりをするも、ドラゴンは吠えた時に瞳のハイライトが消えて、マシンガンを構える。

 

「悪い奴....死んじゃえ!!」

 

そのままマシンガンを撃ちまくり、辺り構わずばらまいていく。それもその筈今の彼女は意識が飛んで行ってしまって暴走している状態なのだ。

それにジルはエマに手刀で首を打ち、気絶させて、マグナムを構えドラゴンの頭部に撃ちこみ、それによりドラゴンはそのまま絶命する。

 

すぐさまパメラがコンソールを調べる。

 

「司令!通信機とレーダーが!」

 

「現時刻を持って司令部を破棄、以降通信は臨時司令部にて行う!」

 

「「「イエス!マム!」」」

 

その頃格納庫で、レオン達は侵入してくるドラゴンを撃退していた、多少は減って来たものの今だ数の多いドラゴンの方が有利であった。マサトはレオスに乗り込み、一気に加速させ、上空へと舞う。

 

「掛かってこい!!」

 

マサトがレオスを旋回させ、ヴァリアブル・ライフルを撃つ。その光景に、納得する。

 

「大分、減ってきたね.....エレノア隊とベティ隊とマサト君とマティス隊に感謝ね」

 

「チッ!今回出れないアタシ等の分も稼ぎやがって!.....!?」

 

どう言うことなのか、ドラゴン達が突如アルゼナルから離れて行く光景が目にして、それにヴィヴィアンが指をさす。

 

「あれ? 逃げるよ?」

 

すると何処からか、美しい女性の歌声が聞こえてきた。それを聞いていたマサトや反省房にいるアンジュやヒルダにも聞こえていた。

 

「歌....?」

 

そして上空に居るドラゴン立はゲートの回りを飛び回ると、そのゲートから三機のパラメイルと白く、美しく、尻尾が付いた悪魔......『エピオンボロス』がゆっくりと降下してきた。そしてその中に、ヴィルキスと同じ金色の間接部をした紅い機体から、歌が流れていた。

 

「♪~♪~♪~」

 

その光景を臨時司令部にいるジルが双眼鏡で見ていた。

 

「パラメイルだと.....」

 

同じ様にアルゼナルの上空で戦っている中隊の隊長のエレノアもその機体に目を奪われる。

 

「何こいつ? 何処の機体?」

 

その機体がいきなり金色の染まり始め、そしてその両肩が露出展開された。

 

「っ!!」

 

するとマサトはエレノア隊やベティ隊、そしてマティス達の色がドス黒くなった。

 

「退避、皆!急いで!!」

 

「え!?」

 

「いいから!!」

 

そして、紅い機体の両肩から光学兵器が発射されて、マサトと第四中隊は急いで回避したが、エレノアを含め第二中隊と第三中隊の数名を含むメンバーが原子分解され、アルゼナルに直撃し、強烈な光が包み込む。

そして静まり返り、サリア達は立ち上がると、目の前の光景を目にする。

そこには半分ほど削られたアルゼナルを目にした。それをチャンスとしたドラゴン達は一斉に向かって行く。マサト達は削られたアルゼナルを見て、驚く。

 

「何だ、今のは!?」

 

「ビーム兵器!?.....にしては竜巻状であったぞ!?」

 

「嫌!ビームでエレノア隊やベティ隊が一瞬で灰に出来るわけがない......多分、あれは.....【次元兵器】だ」

 

《っ!!》

 

マサト達は驚くとエピオンボロスがマサト達を見ると、ビームソードとヒートロッドを抜刀し、襲い掛かかってきた。

 

「此方に来たぁ!!」

 

 

 

 

 

 

謎のパラメイルの光学兵器の攻撃で、戦場の戦況は変わり始めていた。

 

「第二中隊全滅! 第三中隊!隊長と部下四名以下ロスト!第四中隊!謎の機体と交戦中!」

 

パメラの報告を聞いたジルはすぐさま次の指示を出す。

 

「残存部隊を後退!第一中隊のサリア達に集約。サリア達を出せ!」

 

「了解!」

 

ジルは急いでサリアに通信を入れる。

 

『』

 

『サリア、もう説明しなくても分かってるな?』

 

「はい」

 

「それと、アンジュとヒルダを原隊復帰させろ。ヴィルキスでなければ、あの機体は抑えられん。」

 

「だったら...私がヴィルキスで出るわ!」

 

『黙れ!今は命令を実行しろ!』

 

サリアは悔し涙を浮かべ、ジルに問う。

 

「私じゃ...ダメなの? ずっと、あなたの力になりたいって思ってた.....ずっと、ずっと頑張ってきたのに!なんでアンジュなの? なんであんな子なのよ!ちょっと操縦がうまくて器用なだけじゃない! 命令違反して、脱走して、自分勝手な奴なのに!.......なのにアンジュなの!?」

 

『......そうだ』

 

「バカにしてっ.....!」

 

サリアはアーキバスから降り、後方にあるヴィルキスへと向かって駆けていった。

 

(見てなさい!私の方が優れてるって思い知らせてあげるわ!)

 

サリアはヴィルキスに騎乗し、第一中隊は空へ舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マサト達はエピオンボロスとの戦闘により、それぞれの部位が大破されていた。

 

「あの機体......と言うより、あのパイロット......強すぎる!」

 

リクトは折れた重斬刀を見る。

 

「こんなに綺麗な面は.......想像以上だ!」

 

リクトはエピオンボロスと戦っているマサトを見る。

 

マサトの方では、エクリプス・フェースへと進化したレオスのヴァリアブル・サイコ・ライフルを撃つが、エピオンボロスの両肩の大口径砲『ボルクキャノン』の収束ビームが直撃する。

 

「あのビームの火力......ヴァリアブル・サイコ・ライフルの火力を上回っているのか!?そんな科学力......何処に!?」

 

するとエピオンボロスのボロステールが分離し、ビックブーメランへ切り替わり、レオスに向けて投げ付けた。ボロステールから高周波ビームブレードが放出され、マサトは急いで回避すると、何とビックブーメランがレオスを追ってきた。

 

「嘘だろ!?」

 

マサトは単頭弾ミサイルを放つが、ビックブーメランの高周波ビームブレードの熱により、爆散していく。

 

「何て熱量!!ならっ!!」

 

マサトは何かを思い付き、アルゼナルへと向かう。そして断崖までビックブーメランを引き寄せる。

 

「今だっ!」

 

マサトはギリギリの所で上空へ舞い上がり、追ってきたビックブーメランが壁に突き刺さった。

 

「良し!」

 

ビックブーメランは分厚い岩により、動けなくなると元の尻尾形態へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、サリアはヴィルキスを使って、紅い機体と交戦していた。しかし、

 

「どうして....? きゃぁぁっ!」

 

戸惑うサリアだったが、体当たりを仕掛けるスクーナー級の突撃を受け、機体が失速する。追い打ちをかけようとするが、スロットルを捻っても、ヴィルキスがフラフラに動く。

 

「もっと!もっと早く飛べるでしょ!?」

 

その時にドラゴンがやって来て、それにサリアは追い払おうとヴィルキスで蹴る。だが、逆に弾かれてしまい飛ばされる。何とか体制を整えて、呼吸を整えながらもヴィルキスの性能に驚きを隠せない。

 

「嘘よ…ヴィルキスがこんなにパワーが無いなんて…(アンジュの時はもっと…!)」

 

サリアが考えてる中でドラゴンが攻めて来る。その時にサリアを狙っているドラゴンをヒルダのグレイブが撃ち落とす。

 

それにサリアは振り返る。そして通信から会話が聞こえる。

 

「サリア!私の機体返して!! アイツは私がやるわ!」

 

「私のヴィルキスよ!!」

 

サリアはそう言うと、アンジュ達から離れる。しかし、威勢を込めて薙いだ一撃がヴィルキスを捉え、今度は避けきることもできず、衝撃が機体を襲う。

 

「きゃぁぁぁぁっ」

 

悲鳴を上げるサリアと共に制御を失ったヴィルキスが失速する。それを見ていたアンジュはヒルダに言う。

 

「ヒルダ、私が奴の注意を引きつける。その隙にアンジュをヴィルキスに乗り移らせて!」

 

「はぁ~っ!?ま、あんたの事だ、分かったよ、しっかり掴まってな!」

 

ヒルダはそう言うと、出力を最大に上げ、墜ちていくヴィルキスへと近付く。

 

「今だ!痛姫!」

 

ヒルダの合図と共に、アンジュはヴィルキスに乗り移る。

 

「しっかりしなさい!」

 

「無理よ、もう距離が.....」

 

「無理じゃないわよ!この機体なら!」

 

アンジュはヴィルキスのスロットルを回すと、コンソールが起動する。

 

「何.....?」

 

一気にスラスターをフルにして、海面ギリギリで浮上して、サリアを掴んでヒルダに連絡する。

 

『ヒルダ!』

 

「今度は何?」

 

「落とすから拾って!」

 

「はぁっ!?」

 

そう言ってアンジュはサリアを放り投げた。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!」

 

「ええええぇぇぇぇぇぇ~~っ!!?」

 

ヒルダは突然の事に慌てて拾いに行き、何とかサリアをキャッチして後部に乗せる。

 

「別料金だぞ!馬鹿姫っ!!」

 

ヒルダは怒り、それにアンジュは笑みを浮かばせて、不明機を見る。

 

「じゃあ!やりましょうか!」

 

アンジュはヴィルキスをフライトモードからデストロイヤーモードとなる。

真っ先に紅の機体と交戦するが互角の戦いを繰り広げた。

 

「すっげぇ~~っ!」

 

ヴィヴィアンはアンジュと紅い機体の戦闘に興奮すると、紅い機体は背部から銃剣型バスターランチャーを取り出し、ヴィルキスに目掛けて撃つ。アンジュはバスターランチャーのビームを回避し、剣を降り下ろす。紅い機体が銃剣付きバスターランチャーで防御する。紅い機体は距離を取り歌唱し、紅の機体がまた黄金に変わりはじめた。

 

「♪~♪~♪~」

 

「っ!?この歌は......!?」

 

それは永遠語りと似ていて、それにアンジュは同じように歌いだす。

 

「♪~♪~♪~」

 

ヴィルキスが白から黄金に変化して両肩が露出展開、臨時指令部から見ていたジルが見る。

 

「あれは....!?」

 

そして、紅い機体の歌とアンジュの歌に反応したかのように、レオスのツインアイが光る。

 

「レオス.....?」

 

『極限進化状態!"EXA・フェース"!!』

 

コックピット内で音声がし、マサトがレオスを初めて使ったときの、両腕部にユニット、背部と脚部にバーニアが追加されていて、両肩に配置された2連装ビーム砲、腰のランチャー、そして特長だったのが、背部に紅き翼である。翼からでる黄色い粒子を放出させ、頭の後ろに光輪を浮かばせている姿へと進化した。レオスが勝ってに動き、ヴァリアブル・サイコ・ライフルを【クロスバスターモード】へと移行した。

 

「レオス!?」

 

三機は互いに睨み合うかのように、超兵器を構える。

 

「「♪~♪~♪~」」

 

三機の光学兵器が発射されて、同時にぶつけ合う。そして強烈な光の中に包まれる。マサトは目を開けると不思議な空間へと居た、そこにはヴィルキスの姿もあり、紅い機体もあった。

 

「何ゆえ偽り民よ、真なる星歌を.......?」

 

その不明機からコクピットが開かれて美しく女性が現る。

 

「え!?」

 

アンジュとマサトは驚き、コックピットから出て、顔を現す。

 

「貴女こそ何者!?その歌は何!?」

 

するとマサト達の回りにある光景が広がる、それはある服装や戦争をしているマサト達の姿をしていて、それにマサト達は目を奪われていると、女性からの機体にある警報がなり、それにマサト達は向く。

 

「時が満ちる.....か」

 

女性が戻ろうとすると、マサトを見る。

 

「マサト・ラスタル.....義弟よ、私達は待っています♪」

 

「え!?」

 

「ちょっと!」

 

マサトは驚きを隠せず、アンジュはそれに慌てて言う。

 

「真実は『アウラ』と共に」

 

そう言いってその不明機は残りの機体とエピオンボロス、ドラゴン達と共にゲートの先へと消えていった。

 

「真実?」

 

「義弟?......どういう事だ?」

 

そして臨時司令部でも、ジルが言う。

 

「なるほど、最後の鍵は『歌』か」

 

ジルはそう言うと、煙草に火を付け、考え込む。

 

 

 

 

 

 

一方、特異点の中へ去っていったドラゴン達を率いる紅い機体に乗っている女性がエピオンボロスに乗っているパイロット『オルト・ラスタル』と話していた。

 

「やれやれ、マサト奴.....まさかレオスを彼処まで進化していたとは......」

 

「義弟.....マサトと相手するのが楽しかったのですか、お義父様?」

 

「......あぁ♪後はレオスを......アイオス・フェースに進化すれば、この世界に来れる。それまで待っておるぞ.......アストラ、マサト、リナ.......」

 

オルトは彼処にいる子供達の事を考えていた。

 




どうでしたかな?


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第21話:外界の真実

前の活動報告通り、この小説のラスボスが出ます。決してエンブリヲではありません!


 

とある一方、無数の島が浮いていて、中央には社交場の様な丸くて大きなテーブルが置いてあった。世界各国の王族や政治家などが揃っていた。そしてその中には『ジュリオ』もいた。マサトによって左目を失い、頬に傷をつけた顔ながらも、各国のトップに劣らぬような佇まいでいた。

 

そして彼らの頭上に、数日前のアルゼナルにおけるドラゴンの襲撃の映像であった。

 

「ドラゴンから攻め込んでくるとは.....」

 

「このパラメイル.....ドラゴンの?」

 

ガリア帝国皇帝とミスティ・ローゼンブルムの父親であるローゼンブルム王国国王がアルゼナルを襲撃しているドラゴンとドラゴンを率いていた紅い機体の映像を見て、不安な面持ちになっていた。

 

「シンギュラーの管理はミスルギ後継のお役目、ジュリオ殿下、いえ陛下ご説明を.......」

 

ヴェルダ王朝女王がジュリオに問う。

 

「それが、アケノミハシラには起動した形跡が全くないのです」

 

ジュリオの言葉にマーメリア共和国書記長がジュリオの説明に納得が行かない事に拳をテーブルに叩き付ける。

 

「バカな!?有り得ん!」

 

「直ちにアルゼナルを再建し、力を増強せねば」

 

ローゼンブルム王国国王がアルゼナルの再建を申し出すと、

 

「だが、そうもいかんのだ」

 

ガリア帝国皇帝が出したのは、次元兵器を発射しているヴィルキスとレオスの映像であった。

 

「この機体....まさか!」

 

エンデラント連合大統領がヴィルキスを見て、驚く。

 

「ヴィルキスとガンダムレオスだ」

 

《....!!》

 

「10年前のあの反乱の時に破壊された筈では?」

 

「アルゼナルの管理はローゼンブルム王家の役目。何故放置していた?」

 

「監察官からは異常なしと報告を受けていた....」

 

「まんまとノーマにあしらわれていたと言う事か、無能め!これでは一刻の王女がノーマごときに誘拐されるのを無理はない。増してや、七大名門貴族のボードウィン家の次男坊に恥を掻かせる様ではないか?」

 

「ミスティとセルジランド・ボードウィンの事を愚弄するならば機構とて容赦せぬぞ!」

 

マーメリア共和国書記長とローゼンブルム王国国王の喧嘩にジュリオが止める。

 

「御二人とも落ち着いて」

 

「黙れ、小僧!私の娘をタブらかしたのは貴様の妹ではないか!?」

 

「あれはもう、妹ではありませぬ」

 

「そんな言い訳が通じるか!この罪人の一族が!」

 

「お辞めなさい!今は世界をどう守って行くか話し合うべき時」

 

ヴェルダ王朝女王が皆にそう言い聞かせ、エンデラント連合大統領は言う。

 

「ノーマが使えない以上、私たち人類が戦うしかないのででしょうか?」

 

その事に各国の首相達は思わず戸惑いの声が上がる。木の裏で聞いていた一人の男性が立ち上がる。

 

「......やれやれ、どうしようもない......」

 

「ね、ネロス様」

 

思わず言う。世界最高指導者であるネロスは皆の所に行く。

 

「本当にどうしようもないな.....」

 

「し、しかし、ネロス様!ヴィルキスやレオスがある以上、アルゼナルを再建させるには.....」

 

「......選択肢は二つある.......一つ『ドラゴンに全面降伏する』.......」

 

「「「っ!!?」」」

 

それには思わず息を飲む首相達、ネロスは構わず言う。

 

「二つ『ドラゴンを全滅させる』」

 

「そ、そんな!.....」

 

「そうと思って、三つ『世界を新しく作り直す』」

 

っと最後の選択肢にそれにはジュリオが反応する。

 

「全部壊してリセットする、害虫を殺し土を入れ替える。正常な世界に」

 

ネロスは肩にのって来た小鳥をなでながら言う。

 

「壊して作り直す...、そんな事が可能なのですか?」

 

それにネロスは笑みを浮かばせながら言う。

 

「すべての『ラグナメイル』とメイルライダー及び、レオスとレオスのパイロットが揃えば。」

 

するとネロスはジュリオにカードキーを渡す。

 

「これは私の庭にあるコレクションだ。共に作り直すのだろう?期待しているよ♪」

 

ネロスは満面な笑顔で、ジュリオに言う。

 

「は、はっ!!お任せ下さい!ネロス様!!」

 

ジュリオはそう言い、ネロスと各国の首相達は消えていき、そしてジュリオはマナを解いてミスルギの部屋へと戻っていた。

リィザと共に出るジュリオ、しかしその机の下のある盗聴器が仕掛けてあって、別の場所で聞いていたタスクがいた。

 

「随分乱暴な手に出てきたもんだな.......世界を全部壊して作り直す、か.......急がなきゃ」

 

タスクはそう言うと、フェニックス・ゼロの出力を最大に上げ、アルゼナルへと向かった。

 

 

 

 

 

 

一方、真夜中のローゼンブルム王国皇居 戻ってからの数日後、ほとんど皇居でミスティは先の件 アンジュに誘拐されたことに謹慎中していた。ミスティは眠っていると、窓の方から何かをぶつける音がした。

 

「.......?」

 

ミスティは起き上がり、窓の方に近付き、覗き込むと、コンバットスーツを着たミスティの婚約者『セルジランド・ボードウィン』がいた。

 

「セルジオ様.....!?」

 

すると窓の外にいるセルジオがヂェスチャーで窓から離れるように伝える。ミスティはそれに従い、窓から離れる。

セルジオはワイヤーガンを撃ち込み、ミスティのいる部屋へ向かう。ミスティは窓を開け、セルジオを部屋の中に入れる。

 

「ハァ、何とか来れた.....!」

 

「どうしたのですか......!?そのお姿は?」

 

ミスティがセルジオのコンバットスーツを見て言う。

 

「これ?これはトリスタン連邦のコンバットスーツだよ、」

 

「トリスタン連邦?」

 

「まぁ、その国は後にして.......兄さんがお呼びなんだ。」

 

「アルバレア公爵様が?」

 

「うん、訳は兄さんの元で話す。行こ.....」

 

「え、何処にですか?」

 

ミスティはセルジオに問うと、

 

「........世界を守るために.....本部に戻るんだ。君を連れて......嫌、この世界の真実を知る権利があるから......」

 

ミスティは戸惑いながらも、両親への手紙を書き残す。

 

「終わりました!」

 

「うん、行こうか.....」

 

セルジオがベルトにワイヤーガンを取りつけ、ミスティをお姫様抱っこをしたまま下ろす。ワイヤーガンを収納すると、林の中にあるシュヴァルベグレイズを出す。

 

「これは?」

 

「これは前の兄さんが使っていたシュヴァルベグレイズだ.....これに乗って、待機している領邦軍と合流する。」

 

セルジオはシュヴァルベグレイズを起動する。

 

「ミスティ」

 

セルジオはシュヴァルベグレイズの手のひらに、ミスティを乗せ、コックピットに乗り移らせ、待機している領邦軍の所まで向かう。それを上空から見ていたディーラの幹部"スペード"が見ていた。

 

「貴族連合が.......ミスティ・ローゼンブルムの姫に世界の真実を見せるか.........愚かなことを!!」

 

スペードの機体 鳳凰をモチーフにしたモビルアーマー"フェニキア"が鳴き声を発し、セルジオを追いかける。

 

そしてシュヴァルベグレイズのコックピット内部に警告音が鳴り響く。

 

「「っ!!?」」

 

セルジオは頭上のカメラを見ると、フェニキアの脚部大型ヒートクローを突き付けてきた。セルジオは急いで回避し、GR-W01 120mmライフルで応戦するが、やはりモビルアーマーの装甲ではライフルの弾は通用しなかった。

 

「チッ!やっぱり無理か!」

 

するとフェニキアの頭部が展開され、大型ビーム砲を発射した。セルジオはシュヴァルベグレイズのナノラミネート装甲のお陰で、無傷で済んだ。

 

「駄目だ!振りきれない!しっかり捕まって!!」

 

「はい!」

 

ミスティはしっかりとセルジオに抱き付いて捕まる。スペードは舌打ちし、頭部ビームバルカンでセルジオを追撃する。すると別の方向から砲弾が飛んできて、フェニキアに直撃する。

 

「?」

 

スペードは砲弾が飛んできた方角を見ると、シールドにボードウィン家の家紋が描かれたジムⅢ部隊がロケットランチャーを構えていた。そしてジムⅢ部隊がビームライフルでフェニキアに乱射する。

 

『セルジオ様!』

 

「お前達!」

 

そう、それは待機していた領邦軍のモビルスーツであった。

 

「ここは我等が食い止めます!その間に我々が通ってきた特異点で脱出してください!」

 

「ダメだ!お前たちを置いては!」

 

「早くっ!!」

 

「っ!」

 

セルジオは部下を置いて、逃げていく事に罪悪感を感じ、涙目で噛み締める。

 

「皆........スマナイ!!」

 

セルジオは部下の死を無駄にしないために、出力を上げ、特異点へと向かう。領邦軍は必死にフェニキアの追撃を妨害する。

 

「貴様らのような正義の名を語った組織に!我等は敗北しない!!」

 

次々と仲間がスペードに殺されていき、隊長機がビームと肩部のミサイルランチャーを放つ。

 

「化物がぁぁぁぁっ!!!」

 

しかし、フェニキアの翼のプレートが展開され、そこから拡散レーザーが発射され、ミサイルが撃破されてしまう。そしてフェニキアのヒートクローが隊長機を掴み絞める。

 

コックピット内部で潰れたコンソールに挟まれ、血だらけの隊長は最後の力を振り絞り、スペードに接触回線を開く。

 

『貴様...等みたいな.........外道に.....我等、貴様連合と....."ハデス"は.....勝利する.....最後に笑うのは!.......俺達だ!!』

 

すると頭部が周り、もう片方の肩部ミサイルランチャーに向けて、バルカンを発射する。

 

「っ!!」

 

ミサイルが爆発し、機体のエンジンに引火、隊長機は自爆した。爆炎の中から自爆で左足を亡くしたフェニキアが出てきた。

 

「......愚かな」

 

スペードはそう言うと、通信が入る。

 

「こちらスペード......はい......はい............ローゼンブルムに"あれ"を?」

 

スペードは相手と何かを話していた。

 

「はい......分かりました。全てはディーラの名誉と栄光の為に........」

 

スペードは相手の通信を終えると、本部へと戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴンの襲撃から一夜明けたアルゼナルでは、被害の全貌の確認を急いでいた。

基地半分の施設が陥落し、多くの同胞が紅い機体の次元兵器により、埋葬もできない状態であった。メイとパトリック、メリー急いで生き残ったメイルライダーやマティス達の修理や整備、モニカも全力で負傷した人員の治療や救護、そんな中、ようやく目が覚めたゾーラがジルと一緒に、第三中隊のベティ隊の生き残り、ターニャ、イルマ、ナンシー、シャノン、カミラと第一中隊、第四中隊を集めていた。

 

「生き残ったのはこれだけか......指揮経験者は?」

 

ジルが言うと、ヒルダが手を上げる。

 

「全パラメイル隊は統合・再編成する。暫定隊長はヒルダ....補佐にエルシャ、ガイが付け。」

 

その指名にロザリーとクリスが驚きと困惑の声を上げる。

 

「こいつは脱走犯ですよ!そんな奴が隊長だなんて.....!?」

 

「サリアでいいじゃない!」

 

あいつなら今は反省房の中だ。先の戦闘で命令違反を犯した」

 

その言葉にロザリーとクリスは驚愕の表情を見せた。エルシャもどこか困惑している。彼女達も優等生であるサリアがそのようなことをするとは思っていなかったらしい。

 

「だったら、ゾーラお姉様がやってくれればいいじゃない!」

 

それでもまだ納得がいかないのか、クリスがそう叫ぶ。元々の第一中隊の隊長は彼女だったのだ。そう帰結するのも当然なのだが、当のゾーラは困ったように笑う。

 

「おいおいクリス、持ち上げてくれるのは嬉しいが病み上がりの私に無理を言うな」

 

ジルとしてもゾーラに指揮を任せたいところだが、さすがにそれは断念した。不満顔で口を噤むクリスに肩を竦め、ゾーラは後押しするように話す。

 

「ヒルダには一応ある程度の指導はしてあります。問題はないでしょう」

 

隊長時代に今後の部隊の運用をする上で、サリアとヒルダには小隊を編成させて指揮させるつもりだったので、ヒルダにも指揮官としての指導と訓練は施していた。ゾーラの負傷でその案は無駄になったが、それでもこの状況では仕方あるまい。

 

「けど.....!」

 

未だ納得がいかないロザリーが言い募ろうとするが、ヒルダが憮然と口を挟んだ。

 

「文句があるなら、アンタがやれば?」

 

どこか睨みながら棘のある口調で返すと、ロザリーは返答に窮した。

 

「しっ、司令やお姉さまの命令だし、仕方ないから認めてやるよ!な、クリス!」

 

「う、うん!」

 

そんなやり取りをどこか呆れた面持ちで一瞥すると、ジルは命令を下す。

 

「パラメイル隊は部隊の再編制を行った後、周辺警戒に当たれ。以上だ」

 

『イエス・マム!』

 

全ライダーが敬礼し、其々持ち場に付くべく格納庫に向かって走って行く。

 

「ゾーラ、お前はオブザーバーとして見てやれ。それと、メイと一緒に機体の調整をしておけ」

 

「イエス・マム!」

 

ゾーラが杖をつきながらフラフラと歩いていくのを見送ると、ジルは徐に煙草を取り出し、一服すると、マサトがジルに問う。

 

「司令......」

 

「?」

 

「聞きたいことがあるんです。」

 

「フ、そう来ると思ったよ.......知りたければ、コイツと話せ。」

 

すると陰からコマンダー・フェニックスが現れた。

 

「コマンダー・フェニックス!?」

 

「初めまして諸君.......私は決して、怪しい者ではない......」

 

コマンダー・フェニックスはそう言うと、仮面を外した。

 

「っ!?アストラ兄さん!?」

 

コマンダー・フェニックスの正体が兄であることに、マサト達は驚く。

 

「コマンダー・フェニックスが.......アストラ兄様!?」

 

リナも驚くと、アストラはシアに言う。

 

「お帰りなさいませ、アストラ様」

 

「.....兄さん、これは一体どう言うことなんだ!?」

 

「......知りたければ、付いてこい.....」

 

マサト達はアストラの言う通りに従う。マサト達が連れてこられた場所は、地下の格納庫であった。

 

「兄さん.....こんなところに連れてきて、何を?」

 

するとアストラは電気のスイッチを付ける。上が明るくなり、目の前に三機のモビルアーマーが収納されていた。

 

「これって.....モビルアーマー!!?」

 

「そう......我々、解放組織『ハデス』によって作られたレオスの支援機『ガテラーザ』だ。」

 

「ハデス.......?」

 

「さて、先ずはマサトの話そうとした事を話そう♪......この世界の真実、ヴィルキス、彼女、ドラゴン、そして家の弟子であるタスクの事やお前の義手の事も........♪」

 

マサト達はアストラの話を聞くようにする。

 

「昔々、あるところに神様がいました......」

 

「え?兄さん.....話すことってそれ?」

 

「真実を絵本のようにしているんだよ。」

 

アストラはそう言うと、話を続ける。

 

「繰り返される戦争と、ボロボロになった地球に神様はウンザリしていました。平和、友愛、平等――口先では美辞麗句を謳いながら、人間の歴史は戦争、憎悪、差別の繰り返しです。それが人間の『本質』――なんとかしなければ、人類はいずれ滅んでしまいます。そこで神様は新しく『創る』ことにしたのです。争いを好まない、穏やかで賢い新しい人間を。あらゆるモノを思考で自在に操作できる高度情報化テクノロジー『マナ』を使える人類を.......あらゆる争いが消え、あらゆる望みが叶い、あらゆるものを手にすることができる理想郷が完成したのです。あとは、新たな人類の発展を見守るだけ――のはずでしたが、生まれてくるのです……神様が何度操作しても、何度創り直しても、何度システムを変えようとも、マナを使えない女性の赤ん坊が――古い遺伝子を持った突然変異が現れた。」

 

「それが『ノーマ』か......」

 

「あぁ、そうだ.......突然変異の発生は、人々を不安に駆り立てました。ですが神様は、この突然変異を逆に利用することにしたのです。彼女達は世界を拒絶し、破壊しようとする反社会的な化け物である『ノーマ』だと、人々に植え付けたのです。マナを持つ人々は、差別できる存在がいることに安堵し、彼らの社会は安定しました.....」

 

「安定?違うな......何も変わっていない........アイツ等は人間の皮を被った豚共だ......」

 

「ま、そうだろうなぁ.....お前達はマサトと一緒にいて、本当の人間に成りつつある♪」

 

マティス達は決意を胸に覚悟を決めていた。

 

「それと........何時まで隠れているんだ?ナオミ、ココ、ミランダ!」

 

アストラが言うと、陰からナオミとココ、ミランダが流れ込んできた。

 

「お前達......何処から聞いた?」

 

「え~っと、安定の所です......」

 

「......なら、お前達も聞いておけ.......このアルゼナルにいる者達は真実を知る権利がある.......」

 

ナオミやココ、ミランダはマサト達と一緒に話を聞く。

 

「こうしてマナの世界は安定し、今度こそ人類の繁栄の歴史が始まるはずでした.....しかし、それを赦さない者達がいました。『古の民』と呼ばれる者達です。彼らは突然世界から追放された『マナ』が使えない古い人類の生き残りの事です......彼らは何度も反乱を起こした。自分達の居場所を取り戻すために......何度も神様に挑み、その度に神様の怒りに触れてしまい、古の民は虫けらのように殺されました。それでも彼らは諦めることなく、仲間達の死を乗り越え、永きに渡る戦いの末、遂に手に入れたのです。破壊と創造を司る機械の天使......『ラグナメイル』を。」

 

「『ラグナメイル』?」

 

「マサト達は知っている筈だ.......アンジュのヴィルキス......それはラグナメイルだ......」

 

「アンジュが乗っているヴィルキス......あれがラグナメイル!?」

 

「そう、」

 

「これで神様と対等に戦える.....古の民はそう喜び、ヴィルキスに乗り込んだ。だが、彼らにはヴィルキスは使いこなせなかった。『鍵』がかかっていたのさ.....虫けらごときが使えないようにな、古の民は絶望し、ヴィルキスを封印した。残された仲間もあと僅か――このまま滅びようとしていたまさにその時、世界の果てに送られたノーマがパラメイルに乗ってドラゴンと戦わされているという事実を知った。そしてそこに彼等も現れた......」

 

「彼等?」

 

「300年前、神様の怒りを買い、大陸諸とも滅ぼされたトリスタン連邦の残党........それが我等......解放組織『ハデス』だ。」

 

「兄さんや、俺もリナもトリスタン連邦の残党なのか!?」

 

「......そうだ.....親父もお袋も、貴族連合もそうだ.....」

 

「マジかよ.....!?」

 

「彼等もまた、古の民と同じ宿命を持っていた。打倒すべき神に対抗するために、僅かなレイヴニウムを武器にした。その武器が、お前達アルケミスト学院に渡されたキューブだ」

 

「僕達が使っているこの杖や......」

 

「このショットガン......」

 

「全部......レイヴニウム.....」

 

「そう、レイヴニウムは「待って、兄さん.....レイヴニウムについては俺も知っている。」......任せた。」

 

アストラは説明しようとしたが、マサトが代わりに説明する。

 

「レイヴニウムは、かつて連邦が使っていた奇妙な鉱石なんだ。その力は人をノーマ、ノーマを人に変える力を持っているんだ。実際.....俺の義手には人から奪ったマナの光があって、一回ナオミにマナの光を与えたんだ。」

 

「最初はどう言うものなのか分からなかったけど、マナの光は、本当に役に立つシステムだと.......」

 

ナオミが手のひらからマナの光の球体を出す。そしてマナの光をマサトの義手に触れて、マナの光が義手に吸収されていく。

 

「でも、私は私で良いと思う♪」

 

ナオミは笑顔でマサトを見る

 

「........あぁ、そろそろ良いか?」

 

アストラがマサトとナオミのムードを退けさせる。

 

「話に戻る......最も気になっていたドラゴンと彼女は俺の」

 

その直後、アルゼナル内部に警報が鳴り響く。

 

『総員!第一種戦闘態勢!ドラゴンです!基地内にドラゴンの生き残りです!!』

 

「ドラゴン!?」

 

「あの戦場で生き残っていたのか!」

 

マサト達は急いで、ドラゴンの討伐へと向かう。

 




因みに、ネロスの声は子安武人さんです♪


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第22話:ドラゴンの正体

時は遡ること数分前、部屋で寝ていたヴィヴィアン。

っと寝ているハンモックが急に落ちて、それに痛がる。

 

「いった~い、落ちてる~?何で......?うわぁっ!寝過ごシング!」

 

ヴィヴィアンは慌てて皆の所に向かう。しかし、その時に自分の目線が高い事に気が付く。

 

「何か....背が伸びた気がする? 成長期かな?」

 

しかしその時に自分の身体に異変が起きている事にまだ気が付いていない。

そこに通信ができない事に怒っているエマが通り過ぎて、ヴィヴィアンは気づく。

 

「あ!エマ監察官だ! おーい!」

 

「っ!? え!エマ監察官だーー!!!」

 

悲鳴を上げながらエマはそのまま気を失い、慌ててヴィヴィアンは駆け寄る。

 

「うわ!大丈夫....って!うわ!」

 

ヴィヴィアンは自分の手を見て驚く、それは全く自分の手じゃない何かの手だった。

 

「何じゃこりゃ!? …うえっ!?」

 

っとヴィヴィアンは目の前にあった鏡を見て驚く。今のヴィヴィアンは人ではなく『ドラゴン』だったからだ。

 

「これあたし~!!?」

 

「なに?今の」

 

偶然に近くに居たパメラ達が駆け寄り、ドラゴン態のヴィヴィアンを見て悲鳴を上げる。

 

「「「うわあああああああ!!!」」」

 

「うわ~~~!!!」

 

ヴィヴィアンも慌ててその場を離れて行き、パメラがすぐに無線で基地内に知らせた。

 

そして今の時間帯となり、臨時司令部で指揮を暫定副隊長のヒルダは各自に指示を与えていた。

 

「ロザリーとクリスは居住区、ココとミランダは整備区、エルシャはサリアを出してジャスミンモールを捜索」

 

「イエス・マム」

 

「他は此処で警備、ヴィヴィアン?ヴィヴィアンは何処?」

 

ヒルダはヴィヴィアンが居ない事に問い、エルシャはそれに答える。

 

「それが部屋にも居なくて.....」

 

エルシャがそう言ってると、マサト達とアンジュがやって来て、ヒルダが怒鳴る。

 

「遅い!何やってたんだよ!」

 

「すまん!ちょっとね」

 

その頃ヴィヴィアンは何とか食堂の方に逃げ切っていた。

 

『はぁ~お腹空いた~…、う~…何でこんな事に?』

 

すると厨房からなにやら良いによいがし、それにヴィヴィアンはつられて行く。

目の先には土鍋にカレーが入れてあった。

 

『やっぱりカレーだ~! いっただっきま~す!』

 

っが土鍋を持った瞬間につぶれてしまい、それにヴィヴィアンは頭を傾げる。

 

『あれ?、どうなってるの? あっアタシ今この状態だった』

 

自分の今の姿を忘れる所だったのか頭をかきながらつぶやいてる中でメリーとエルマが見つける。

 

「いたいた!」

 

『ふえ?』

 

メリーはスパイクシールドを取り出し、エルマも双銃剣を取り出す。

 

「行くよ~!」

 

「目的を排除する!」

 

エルマが双銃剣を撃つが、ヴィヴィアンは慌てて避けるがメリーのスパイクシールドが地面に炸裂する。地面が我、穴が開いている事に、ヴィヴィアンは驚く。

 

『うわぁっ!!』

 

するとそこにエルシャ、サリアが来る。

 

「居たわ!!」

 

サリア達がドラゴン状態のヴィヴィアンに向けて、ライフルを撃つ。それに慌てて逃げるヴィヴィアンは外へ飛ぶ。

 

『うわ~~~!!』

 

そのままアルゼナルの上部へと到達して追いかける、丁度そこにアンジュとマサトがやって来て、ライフルを構えると、ドラゴン状態のヴィヴィアンが何かを歌い出し、それを見たアンジュはライフルを下ろす。

 

「これは.....?」

 

その歌はアンジュが歌っていた『永遠語り』によく似ていて、それにアンジュは歌い出し歩き出す。

 

「♪~♪~♪~」

 

それにドラゴン態のヴィヴィアンも同じように歌い出しアンジュの元にゆっくりと降りてくる。

 

するとそこにヒルダ達もやって来る。

 

「何やってんだよお前!」

 

するとマサトは義手からブレードを展開して、ヒルダの首に突き付ける。そしてライフルをロザリーの足元目掛けて撃つ。

 

「っ!?」

 

「うわっ!! 何すんだよお前!!」

 

ロザリーが怒鳴ると、マサトが金色の目でロザリーに睨み付け、威圧させる。

 

「ヒィッ!!?」

 

アンジュが後ろを向くも、すぐに前を向いて歩く。その時にサリア達が来て、サリアがライフルを構える。

 

「離れなさい!!」

 

っがその時にジルがサリアのライフルを下ろさせて、それにサリアは見る。

そしてアンジュはドラゴンと向き合い、アンジュが触れた瞬間ドラゴンは一瞬に霧になって行った。すると霧の中から、

 

「ここでクイズです!人間なのにドラゴンなのってな~んだ?」

 

元の人間に戻ったヴィヴィアンにアンジュは唖然とするしかなかった。

 

「あっ違うか、ドラゴンなのに人間....? あれれ?意味分かんないよ....!」

 

自分がドラゴンだった事に戸惑うヴィヴィアンは泣いて混乱している中で、アンジュは優しく声を掛ける。

 

「分かったよ私は.....ヴィヴィアンだって......」

 

ヴィヴィアンはアンジュに抱き付いて泣き付く。そしてマティス達もやって来る。

 

「どうなっているんだ.....?」

 

「ドラゴンが.....ヴィヴィアン?」

 

ロザリーとアイカがその光景に驚いていると、そこにマギーがやって来て、ヴィヴィアンに麻酔を撃ちこみヴィヴィアンを眠らせて、マギーはヴィヴィアンを抱いてその場から去って行く。見送ったマサト達はアルゼナルの抉られた場所に捨てられているドラゴンの死体の山を見る。その時マサトとアンジュはヴィヴィアンの言葉を思い出す。

 

『人間なのにドラゴンなのってなーんだ? ドラゴンなのに人間…?あれれ?』

 

「っ!? まさか.....!!」

 

マサトとアンジュは思わずドラゴンの死体のある場所に行き、マティス達も付いていく。

 

そしてジャスミンが死体を集めた所でガソリンをまき、ライターに火をつける、っとバルカンがレオン達に向かって吠え、それにジャスミンは振り向く。

 

「来るんじゃないよ!」

 

そう言ってジャスミンはライターを死体の山に投げ、死体を燃やし始めた。マサト達は燃えている死体に驚きの光景を目にする。ドラゴンの死体の中に人間の姿も紛れていた。

 

「何......これ.....?」

 

マサトが目の前の光景に驚くと、駆け付けたアストラが慌てる。

 

「(何て事をっ......!!!)」

 

それと同時にマティス達も来る。

 

「おい!一体何が....っ!?」

 

「何.....これ?」

 

「ドラゴンが...人間に!?」

 

その光景に皆がくぎ付けられてる中で煙草を持っているジルが来る。

 

「よくある話だろ?『化け物の正体は人間でした』…なーんて」

 

それにアンジュは息を飲み、再びドラゴンを見る。そして今までの事を思い出す。自分がドラゴンを殺し……そして倒していく光景に。マサトもレオスに乗って、握力でドラゴンの頭部を握り潰したり、ビームサーベルで切り殺した事、そして返り血がレオスに付着していたことも、

っとアンジュは思わず口を抑え、地面に向けて嘔吐する。

 

「ア、アンジュリーゼ様!」

 

モモカがアンジュの背中を擦ると、マサトは膝を地面に付き、頭を抱え、身体を震わし、涙を流す。そして頭の中で浮かんだ物は、レオスに乗っているマサトがドラゴン......いや、今まで『人間』を殺してきたことに、そしてアンジュの救出の時、人間を殺すとき、自分が殺すのを楽しんでいる事に思い出す。

 

「ハァ!........ハァ!......ハァ!.....ハァ!......俺は!....今まで人間を......!!う、うう....あ...あああ!............あああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ~~~~!!!!!」

 

マサトは自分の罪悪感に泣き崩れ、ナオミが心配する。マティス達も、自分達がやって来た事を思い出し、悔やむ。

 

「私....人間を殺していた....?この手で.....?」

 

「気に入ってたんだろ?ドラゴンを殺して金を稼ぐ、そんな暮らしが♪」

 

ジルの言葉に、アストラは怒鳴る。

 

「ジル!!あんたは!!」

 

「言ってどうする?お前も知っていたじゃないか........♪」

 

「くっ!!」

 

アストラは拳を握り締めると、ガイはジルに言う。

 

「お前!アンジュやマサトの心を弄んでいたのか!!?」

 

ガイ達はそれぞれの武器を取り出し、ジルに向ける。

 

「止めろ......」

 

アストラがガイ達を止める。

 

「だけど!アストラさん!」

 

「止めるんだ!......本当は......あの場で皆を落ち着かせて言うべきだった.........悪いのは俺も同じだ......その結果、マサトの心を乱してしまった........」

 

アストラは暗い表情で、皆に謝る。

それでもマティス達の怒りは収まらず、そしてアンジュはジルを睨みながら怒鳴る。

 

「くたばれクソ女!!!もうヴィルキスには乗らない!!ドラゴンも殺さない!!! 『リベルタス』なんてくそくらいよ!!!」

 

その事にサリアはアンジュが知らないリベルタスを知っている事に思わず反応する。

 

「『神様』に買い殺されたままで良いなら、そうすればいい」

 

そう言い残してジルは去って行く。アストラはマサトの元に近付く。

 

「すまない、マサト........」

 

「.........」

 

しかし、マサトの返事はなかった。彼の表情は薄暗く、瞳の輝きも失っていた。

 

「......出来れば、こんな形で真実を話したくなかった......それだけは避けたかった.......「決めた.....」え?」

 

「結局は.........人間は争いを止めないんだ..........差別、平等、平和......何一つも変わっていない........」

 

「マサト?」

 

「だから決めたの.........」

 

するとマサトの額から青筋が浮かび上がり、目と鼻、口から血が流れ出てくる。

 

《っ!!!?》

 

皆は驚くと、マサトがゆっくりと振り向く。

 

 

 

 

 

「マナを使う人間こそが...........人の生皮を被った"化物"だから、皆殺しにしなきゃ......♪」

 

 

 

 

マサトの不気味な笑みにアストラ達は恐怖心を抱える。

 

《!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》

 

「マサト........!」

 

アストラは心配し、皆も心配しながら、マギーのいる医務室へと連れられる。アストラはジルの後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジルが臨時司令部に戻って行く所だった。

 

「『神様』か…」

 

っと誰かの声が聞こえ、ジルは足を止めて振り向くと、そこにはネロスが立っていた。

 

「僕は自分から名乗った事は一度もないぞ?『創造主』と言う意味であれば.....正解かもしれんがなぁ♪」

 

世界最高指導者がアルゼナルに居た事にジルはすぐさまマグナムを取り出してネロスに撃ちこむ、しかし弾丸はネロスの身体をすり抜ける様に後ろに木に当たり、ジルはネロスを睨む。

 

「ネロスッ....!!!」

 

「怒った顔も素敵だよアレクトラ.....、今は司令官のジルかな?それと.......」

 

ネロスは、別の方を向く。彼の目先に、アストラが鬼神の如く眼差しで、ネロスを睨んでいた。

 

「おや、おや、おや?あの戦場にいた臆病者か......」

 

「黙れ、偽神が......」

 

「まぁ、そうだろうなぁ♪不死鳥の三銃士の一人.......『紅炎のアストラ』君♪」

 

ネロスの言葉に、アストラは怒り、銃剣付きマグナムを構えた直後、マナの映像が映し出される。

 

『こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。ノーマの皆さんドラゴンとの戦闘....』

 

「救助?」

 

アストラは放送を見て、驚くと、既にネロスはその場から消えていた。

 

一方、アルゼナル付近の海域で、ミスルギ艦隊がアルゼナルへと進攻していた。その艦の中で旗艦『エンペラージュリオ一世』に乗艦しているジュリオが笑みを浮かばせていた。

 

「さあ、最後の再会と行こうじゃないか。アンジュリーゼ」




さぁ!次回はあの糞兄貴を地獄へ送る話です!勿論、格納庫にある三機のガデラーザを起動させます!


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第23話:極限の絶望

 

一方アンジュ達はその放送を聞いていたモモカは嬉しながらアンジュに言う。

 

「アンジュリーゼ様!助けです! 助けが来ましたよ!」

 

するとニコラスが、不安に思う。

 

「おかしい......」

 

「え?」

 

「おかしすぎる.......アイツ等は散々ノーマを差別してきたのに、急に助けに来るなんてあり得えない!」

 

「それは言える.....」

 

セリカが持っていた両手剣を抜刀する。

 

「私達は知っている......ミスルギ見た....下劣な行動を......」

 

「罠だな.....」

 

「罠ですね....」

 

パトリックとモニカも魔導杖を取り出す。

 

 

 

そして臨時司令部でパメラ達がその放送を見ていた。

 

「耳を貸すなよ、たわ言だ。」

 

パメラ達が振り返るとそこにジルがやって来て命令を言う。

 

「対空防御態勢!今すぐだ!」

 

「「「イエス・マム!」」」

 

ジルの命令と同時にアルゼナルは対空防御態勢へと入る。

アルゼナルの動きを知ったミスルギ艦隊、その事を兵士はジュリオに報告する。

 

「アルゼナル、対空兵器を起動!」

 

「やれやれ、平和的に事を進めたかったが…」

 

ジュリオは呆れると言わんばかりにマイクを取り、全艦艇に流す。

 

「旗艦エンペラージュリオ一世より全艦艇へ、たった今ノーマはこちらの救援を拒絶した。

これは我々....いや全人類に対する明白は反逆である、断じて見過ごすわけには行かない、全艦攻撃開始!」

 

命令と同時に全艦隊からミサイルが発射されて、それにいち早く察知したバルカンが吠える。

ジャスミンが皆に言う。

 

「坊主共!小娘共!来るよ!」

 

「え?」

 

モモカは何が来るか分からず、リクトが舌打ちする。

 

「やっぱりな!!皆!基地の中に戻るんだ!!」

 

リクトが言うと、皆に退避と命じ、それに皆は従い戻って行く。

 

アルゼナルにミサイルが降り注ぎ、それに対空兵器が撃ち落とすも、一部は防ぎきれずにアルゼナルに直撃する。リクト達は何とか爆風に巻き込まれずにアルゼナル内部へと退避した。

 

同時にアルゼナルに向かっているタスクは艦隊の攻撃を見て驚く。

 

「もう、始まったのか!無事でいてくれ......アンジュ、皆!」

 

タスクはフェニックス・ゼロの出力を上げ、急いでアルゼナルへ向かった。

 

 

 

 

 

 

基地内に避難したリクト達はアルゼナルを攻撃してくる艦隊に、ロザリーはその事に驚く。

 

「マジで攻撃して来やがった!」

 

「リクトの言った通りだ、救助なんて嘘だったんだ.....」

 

クリスはリクト達の予想通りの事に思わず言葉を漏らす。っとそこにジルの放送が流れる。

 

『諸君、人間の恐ろしさを理解しただろう。人間は我々を助ける気などない、物のように我々を回収し、別の場所で別の戦いを従事させるつもりなのだ...それを望む者は投降しろ。だが、抵抗する者は共に来い!....よって我らは人間の監視下を離れ、反攻作戦を実行する、作戦名『リベルタス』!』

 

っと聞いたサリア、メイ、マギー、ジャスミンの四人はそれに表情を硬める。

 

『共に来るものは、アルゼナルの最下層に集結せよ』

 

放送を終え、ジルは最下層へと続くエレベーターでパメラ達に向いて問う。

 

「お前たちはどうする」

 

「共に参ります!司令と!」

 

それに二人は頷き、着いた先に何やらブリッジらしき場所に着く。

 

「いつの間にこんな…?」

 

「パメラは操縦席だ、ヒカリはレーダー席、オリビエは通信席へと座れ」

 

ジルはそう三人に命令し、ジルはすぐにサリアに通信を入れる。

 

「サリア、アンジュは必ず連れてこい」

 

『分かってるわ、ジル』

 

そう耳にインカムで小さな声で話すサリアはアンジュを見てジルに言った。ジルの放送を聞いていたマティス達が言う。

 

「おいおい!リベルタスって何なんだ!?」

 

するとそこにアストラとマサトが来て、説明する。

 

「ノーマの反乱だ.......この計画はマサトも知っているが、アイツは今、この状態だ。お前達....人間達に牙を向く事になるが.........どうする?」

 

アストラはマティス達に問う。

 

「僕達も行きます!確かに、人間に敵対するのは初めてです。けど、何も罪もなく殺されることに、目が覚めました!」

 

「そうか......」

 

そしてアストラと一緒にいるマサトの胸ぐらを掴む。

 

「しっかりせんか!!マサト!!」

 

「っ!?」

 

「いつまで罪悪感に溺れているんだ!!ドラゴンは確かに人間だ!だが、そうさせたのは人間だ!殺るならドラゴンではなく、人間を殺れ!!そしてリナや俺、マティス達を守れるのは誰だ!!?それが出来ないなら、ずっと人間に支えていろ!」

 

「俺は........俺は!!」

 

マサトの輝きが元に戻り、深呼吸する。

 

「.........殺ってやるぞ、俺達を濃き使った事を........今、ここで後悔させてやる.....!」

 

マサトの目が鋭くなる。

 

「それでこそ、マサトだ.......マサトやナオミを含め!第四中隊は私に付いてこい!」

 

《はい!》

 

「これより、第四中隊は襲来してきた人間達の艦隊を叩く!良いな?」

 

アストラは仮面を付け、コマンダー・フェニックスへと変身する。そしてマサト達はアストラに敬礼する。

 

「イエス!コマンダー!」

 

マサト達は急いで格納庫へと向かうと、マナの特殊部隊と遭遇する。

 

「敵だ!」

 

「ノーマの加担する人間は殺せ!!」

 

っと言わんばかりにマサト達に向けてサブマシンガンを撃って来る、それにマサト達は物陰に隠れる。

銃弾が飛び交う中でガイは特殊部隊を見る。

 

「マナの特殊部隊.......数は49人!」

 

「どうする?」

 

「決まっているだろ?......殺られる前に殺る!」

 

マサトが義手からブレードを展開し、それに続くように、アストラはスナイパーライフル、メイドのシアもリナを守るために、鋼糸とダガーを取り出す。マティス達もそれぞれの武器を取り出し、突撃する。

 

「皆!行くぞ!!」

 

《応!!》

 

その場から飛び出して行き、人間はマサト達に向けて撃つ。マサトはブレードでサブマシンガンの弾丸を弾き返しながら突き進み、ブレードを突き刺す。

 

「グアッ!!」

 

義手の力で、マナの光を吸収していると、もう一人の特殊部隊が狙っていた。

 

「!!」

 

特殊部隊の頭に矢が貫通し、倒れる。マサトは遠くから援護しているアイカに言う。

 

「サンキュー!」

 

「えぇ!」

 

アイカは特殊部隊の首や頭、胸に狙いを定め、矢を放つ。

 

ニコラスはマナの光の障壁で特殊部隊の銃弾を防御しながら接近し、ナイトブレードで切り裂く。

 

マティスはショットガンやショットガンピストルで特殊部隊に撃つ。

 

「取って置きだ!!」

 

マティスがショットガンに特殊弾を装填し、上へ目掛けて撃った。すると弾丸から散弾が飛び散ると同時に、弾が光だし、敵の死角へ直撃していく。

 

「見たか!俺、特製の弾を!!」

 

マティスが叫んでいる中、ガイは十文字槍で銃弾を弾き飛ばし、棒で足の態勢を崩させて、刺し殺す。

 

「武器を持っていない者や子供を殺して!それでも軍人か!!」

 

するとエルマが双銃剣を持って走り出す。ガイは十文字槍を伸ばし、エルマはガイの十文字槍の上を走り、飛び上がった。それと同時にマナの特殊部隊がグレネードランチャーを構えてきた。メリーがスパイクシールド構え、パトリック、モニカが魔導杖でメリーの周りに大障壁展開して強化する。

 

「撃て!」

 

隊長の号令と共にグレネードランチャーを撃ってきたが、飛び上がったエルマが双銃剣でグレネードランチャーを撃つ。グレネードが爆発し、エルマが特殊部隊の後方へと着地した。アストラは遠くからスナイパーライフルで特殊部隊の頭を狙い撃ちしていく。するとマナの特殊部隊の一人がリナを捕まえる。

 

「キャァァァァァ!!!!」

 

「動くなぁ!!」

 

「「リナ!」」

 

その直後、特殊部隊が宙に舞い上がった。

 

「ガァッ!!?」

 

メイドのシアがいつの間にか、鋼糸で特殊部隊の首を締め付けていた。

 

「お嬢様を傷付ける輩は.........私が許しませんわ♪」

 

シアは満面な笑顔でリナを見る。

 

セリカ、リクトが両手剣と刀を取り出し、奥義を放つ。

 

「獅子王爆焔斬!!」

 

両手剣が地面に叩き付けられると、両手剣から爆炎が吹き出し、その中から炎の獅子が吼えながら、特殊部隊を吹き飛ばした。

 

「轟雷旋風斬!!」

 

リクトが刀を振り下ろすと、刀から竜巻が起こり、それと同時に竜巻から雷が起こる。竜巻が特殊部隊を巻き込み、壁に激突させて殺した。特殊部隊の隊長はこの戦況により、怯えていた。

 

「あり得ない.......あり得ない!?コイツ等は何なんだ!?」

 

その直後、特殊部隊の隊長の首にエルマの双銃剣が刺さり、隊長は絶命する。

 

「私達は.......人間を止めた"悪魔"達.....」

 

エルマはそう言うと、死体からマナの光が現れ、マサト達のそれぞれの武器に吸収されていく。そしてマサト達はモビルスーツのある地下へと急いで向かっていった。

 

フライトデッキでは、ジルの命令を受けたメイ達が必死に撤収及び出撃準備を急いでいた。

 

「第三中隊機を先に上げる! ヴィルキスが優先的にエレベーターへ!弾薬の補給は後でいい!」

 

怒号を上げるメイに、整備班は強く応じる。ただでさえ、休む間もなくパラメイルの整備を行っていたために作業も鈍化しているが、今は急ぐしかない。

 

出撃が難しいヴィヴィアンのレイザー及びココとミランダのグレイブ、ゾーラのアーキバスがリフトに固定され、後方の地下へと直結するエレベーターホールへと移送されていく。

 

そこへ走り回る整備班を横にヒルダ達が飛び込んできた。

 

「メイ、発進準備は!?」

 

「ああ、いつでもいけるよ!」

 

「そうか、アンジュ達は?」

 

「え、まだ来てないよ」

 

その言葉に顔を顰める。マサト達とアンジュといい、何処にいるのか、考え込むヒルダに別の声が掛かった。

 

「ヒルダ隊長、ターニャ以下5名、出撃準備完了です!」

 

既にデッキに来ていた第三中隊の元メンバーのターニャ、イルマ、シャノン、カミラ、ナンシーが一斉に敬礼し、ヒルダも頷く。

 

「よし、第一中隊出撃!」

 

『イエス・マム!』

 

号令に応じ、ターニャ達がパラメイルに搭乗していく。先行し、5機のパラメイルが発進すると、ヒルダはすぐに追うべく搭乗を指示する。

 

「マジで人間とやり合うことになるなんて……」

 

ロザリーは未だ現実感のない事態に困惑していたが、横にいたクリスが何かに気づいたように顔を上げた。

 

「何、あれ?」

 

空を指差すクリスにヒルダ達も思わず顔を上げると、空けた鉄骨の隙間から見える空一面に黒い物体が無数に浮いているのが見える。

 

怪訝そうに見やる一同の前で、黒い球体状の物体が側面に鋭利な刃物を展開し、高速回転しながら急降下してきた。それらはアルゼナルの壁面を抉り、カタパルトレールに刺さると高速回転しながら爆発した。

 

「伏せろ!!」

 

ヒルダが咄嗟に声を張り上げ、デッキにいた面々は反射的に身を屈め、巻き起こる爆風に身を縮める。濛々と立ち込める噴煙に咳込みながら顔を上げると、発進カタパルトが瓦礫によって塞がれ、完全に閉じ込められた。

その状況にヒルダは舌打ちするも、そこへ悲鳴のような通信が飛び込んできた。

 

『た、隊長!』

 

「ターニャ、どうした!?」

 

先程の勇んだ声とは打って変わったような切羽詰った声色に眉を顰める。

 

《空一面に、未確認の!何なの、こいつら.....!?》

 

悲鳴に近い声にますます混乱する。

 

「おい、どうした!? もっと正確に伝えろ!?」

 

再度呼び掛けた瞬間、別の周波数が割り込み、そこから別の悲鳴が飛び込んできた。

 

《隊長!イルマが!イルマが連れて行かれた!》

 

「連れて行かれた?おい、どういうことだ!?」

 

刹那、回線も雑音混じりに途切れ、デッキの照明が一斉に落ち、ヒルダ達はより混乱に陥った。その時、電力が突如落ちて、それに驚く。

 

「何だ?!」

 

そして船に居るジルはすぐさま聞く。

 

「砲撃による損傷か?」

 

「侵入者による攻撃です!」

 

マナの特殊部隊にアルゼナルの電力を落とされた事に、放送が流れる。

 

『アルゼナル全要員へ! 敵部隊がアルゼナルに侵入! 目的は、人員の抹殺!みんな!にげてぇぇぇぇ!!』

 

それを聞いたエルシャはその場から離れる。

ヒルダはエルシャの行動を見て問う。

 

「おいエルシャ!」

 

「ゴメン!!すぐ戻るから!!」

 

そう言ってその場を離れて行く。その時にジルから放送が来る。

 

『デッキ上の各員に告ぐ、敵の狙いはヴィルキスだ、デッキ上の下層へと運搬を最優先事項とする!』

 

聞いたメイはすぐさま整備班達に言う。

 

「整備班集合!ヴィルキスは手動で下ろす!」

 

《イエス!マム!!》

 

整備班の一人が手動で動かそうとした時に頭を撃たれてしまい、それを見たヒルダ達は再襲来してきたマナの特殊部隊と交戦する。

 

そしてアンジュはサリアに連れられて最下層へと向かわされていた。

アンジュの他にジャスミンも居て、モモカを担いで向かっていた。

 

「良いの?この基地が大変なんでしょ?」

 

「言ったでしょ、貴方には大事な使命があるって」

 

「関係ないわそんな事…、それにあんた達の使命なんて分かりたくもないわ」

 

リベルタスには協力する気はないアンジュ、それを言い聞かせようとするサリアも何とかするも駄目だった。

 

「では息を止めて下さい、アンジュリーゼ様!」

 

するとモモカがこしょうを振りまき、それに辺り一面こしょうまみれとなり、息が出来なくなった。

 

「アンジュ!何処なの!くしゅん!!」

 

その隙にアンジュとモモカは何とか逃げ出した。

モモカのとっさの行動にアンジュは感心した。

 

「随分大胆な事をするようになったわね、くしゅっ!」

 

「アンジュリーゼ様の影響で、くしゅっ!」

 

鼻をかみながらもその場から何とか逃げるアンジュとモモカ。

 

サリアの報告を聞いたジルは歯を噛みしめ、アンジュの捕獲の命令を与える。

 

「あの、司令.....外部から司令宛てに通信です」

 

「外部?」

 

予想外の言葉に眉を顰める。

 

「周波数153で繋がっています」

 

「私の回線に回せ」

 

「イエス・マム」

 

受信すると、通信機から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

『久しぶりだね、アレクトラ』

 

「タスクか」

 

今のこの状況で外部から、しかも、このアウローラに連絡を寄越せるとなれば限られてくる。ミスルギへアンジュの救出に向かわせて以来だが、タスクは通信越しに硬い声で話す。

 

『ミスルギ艦隊のことを伝えに来たんだが、間に合わなかったようだ』

 

やや忸怩たる気持ちで肩を落とす。

 

アンジュ達と別れた後、タスクは今一度ミスルギ皇国に戻り、ジュリオの動向を探っていた。そして、アルゼナルを攻めるという言質を確認し、慌てて引き返したものの、タッチの差で間に合わなかった。

 

艦隊の展開する海域と逆の位置からアルゼナルに取り付いたタスクはまず、昔の周波数を利用してジルに連絡を取っていた。

 

「間に合わないどころか、もうココも長くは保たん」

 

やや毒づくように返すと、タスクも通信機の向こうで苦く沈黙するも、すぐに気を取り直す。

 

『アンジュや皆は無事?』

 

「マサト達の方は無事だが、たった今、アンジュに逃げられたところだ。お前も捕獲に協力しろ。アンジュを保護すれば、合流しろ」

 

『......分かったよ。』

 

タスクは通信を切り、アンジュの捜索へ移行した。

 

 

 

その頃、マサト達は地下に行き、謎の通路を歩く。そして辿り着いた場所は何かのブリッジであった。

 

「兄さん、ここは?」

 

「知りたいか?なら、この艦の格納庫のレオスに乗るがよい♪」

 

アストラはそう言うと、シアとパトリック、メリーに命令する。

 

「シアは操縦席、パトリックはレーダー席、メリーは通信席、ナオミとリナは補佐席に座れ。」

 

四人は指定された席に座る。

 

「第四中隊!準備は出来ているか!?」

 

《はい!》

 

アストラの問いにマサト達は言う。

 

「良し!これより第四中隊はアルゼナルにいる総員をアウローラに移行の手助けをする!阻害する敵艦の迎撃に当たる!」

 

《イエス!コマンダー!》

 

皆が敬礼すると、アストラが叫ぶ。

 

「『インフィニティ』!浮上!!」

 

海底の岩が崩れ、中からミスルギ艦隊より数倍大きな戦艦が出てきた。『インフィニティ』かつて、トリスタン連邦が国家を護るために造られた高速戦艦。【分かりやすく申しますと、"ヴァルヴレイヴ"のARUSの戦艦の様な】

 

ミスルギ艦隊の下からインフィニティの影がゆっくりと浮かび上がり、海中から浮上した。ミスルギ艦隊の旗艦"エンペラージュリオ一世"に乗っているジュリオやミスルギ艦隊はインフィニティを見て驚く。

 

「な!何なんだあれは!?」

 

ミスルギ艦隊が驚く中、メリーがレーダーで敵戦艦の数を報告してくる。

 

「浮上を確認!インフィニティの周囲に8隻の艦隊を確認したよ!」

 

「なら、二隻を撃沈させるか......!!」

 

インフィニティの船体から三連装砲が出て来て、一列に並んでいるミスルギ艦隊の二隻に向ける。

 

「標的を確認!照準良し!」

 

シアが報告すると、既にコンソールの主砲の発射スイッチが出てくる。

 

「発射ぁぁっ!!!」

 

「発射します!」

 

アストラの号令と共にシアが発射スイッチを押した。主砲の砲口から閃光を発し、収束ビームが発射された。そして収束ビームがミスルギ艦の二隻の船体を貫き、激しい爆発を起こし、撃沈された。ブリッジにいるパトリックとメリー、リナが興奮する。

 

「「「やったぁ!!」」」

 

 

 

同じ頃、たったの一撃で二隻を撃沈されたことに、ジュリオは驚く。

 

「そんな馬鹿な!?二隻をたった一撃で!!?」

 

するとインフィニティの2台の主砲がエンペラージュリオ一世に向けられる。

 

「ヒィッ!!」

 

「敵戦艦より通信です!」

 

操縦士が報告すると、ジュリオの元にマナの通信が出た。

 

『よぉ、ミスルギの皇帝さん.........何しに来たんだ?』

 

アストラはジュリオに問う。

 

「だ!黙れ!反乱分子めが!」

 

『反乱を起こしたのはそっちの方じゃないか.......ジュライ・飛鳥・ミスルギを地下に監禁し、王位の座に付いて、妹やノーマを痛め付けやがって、今度は虐殺か?......これ以上ノーマを虐殺するんなら、このインフィニティの粒子砲が貴様等に振りかかるぞ......』

 

「クッ!......」

 

するとジュリオが何かを閃いたかのように、笑う。

 

「私は神聖皇帝ジュリオだ!秘密兵器ならとっくにある!!」

 

するとエンペラージュリオ一世の船体からピレスドロイドよりも大きな円盤が無数に出てきた。

 

「っ!!まさか!」

 

アストラはエンペラージュリオ一世から出ている起動兵器を見て驚く。

 

円盤はインフィニティに接近すると、側面に鋭利な刃物を展開し、高速回転する。その兵器を見たアストラは言う。

 

「"バグ"だ!!対空防衛システム起動!」

 

インフィニティの船体から対空パルスレーザー砲が出てきて、迫り来るバグと応戦する。

 

 

 

 

そしてその頃、食堂に付いたアンジュとモモカ、モモカはマナの光で灯りを照らしていた。

 

「こちらですアンジュリーゼ様、ここから行けそうです」

 

灯りを前に向けた途端二人は息を飲む、そこには焼け焦げた人が沢山いた。それにアンジュはまたしても嘔吐し、それにモモカは駆け寄る。

 

「アンジュリーゼ様! み!水!!」

 

すぐさま食堂のキッチンに向かったモモカ、アンジュはあたりを見渡していると。

 

「大切な物は失ってから気づく、何時の時代も変わらない心理だ。全く酷い事をする、こんな事を許した覚えはないんだがなぁ.......」

 

そこに謎の男が居て、それにアンジュは振り向いてみる。

 

「君のお兄さんだよ、この虐殺を命じたのは」

 

「えっ?!」

 

その事にアンジュは驚き、ネロスは言い続ける。

 

「北北東14キロの場所に彼は来ている、そしてそこにはマサト君達が戦っていて、君を八つ裂きにする為にね、この子等はその巻き添えを食ったようなものだ.......」

 

「きゃあああああああ!!」

 

その瞬間キッチンから銃声がし、モモカの悲鳴が聞こえてアンジュはすぐに向かう。

 

向かうと二人の特殊部隊がモモカを狙っていて、モモカは左肩を撃たれていたが、動ける右手でマナの光の障壁を出して防御をしていた。

アンジュは銃を取り出し、一人を撃ち殺して、もう一人は両肩を撃ち抜く。

 

「あなた達がやったの? お兄様の命令で?」

 

「お、お前は!....アンジュリーゼ!」

 

すぐに銃を構えるも、アンジュに手を撃たれてしまう。

 

「う、撃たないでくれ…我々は…隊長とジュリオ陛下の命令でっ!!」

 

問いの途中にアンジュは撃ちまくり、弾切れになっても引き続けていて、それを見たモモカは慌ててアンジュを止めた。

 

「大丈夫です!モモカはここに居ます!!」

 

アンジュはすぐに後ろを見る、あの場所に居たエンブリヲの姿は無く、それにアンジュは決心する。

 

「行かなきゃ…!」

 

「えっ?」

 

モモカはその事に意味が分からずであったが、アンジュは構わずヴィルキスのある格納庫へと向かう。

 

そして格納庫では、ヒルダ達が特殊部隊に対して猛反撃をしていた。

 

部隊の一人がグレネードを投げ、そのグレネードがロザリーのグレイブの右の連装砲に直撃して吹き飛ぶ。

それにロザリーが悲鳴をあげる。

 

「ああ!!新しい連装砲が!!」

 

「この野郎!!」

 

ヒルダとロザリーはマシンガンで撃ち返すが、その隣でクリスが絶望するかの様にひそめていた。

 

「もう駄目だ、私達死ぬんだ」

 

それにヒルダが反論する。

 

「死の第一中隊がこんな所で死んでたまるかってんだ!」

 

「今さら隊長づらしないで!!」

 

「はいはい…」

 

クリスの嫌みを流すヒルダだったが、一人の特殊部隊が狙っているのに気付き、それにヒルダがクリスを庇う。

 

「危ない!!」

 

ヒルダが庇うと、左肩に銃弾を受けて仕舞う。

 

「く!!このくそぉぉぉぉっ!!」

 

撃たれた事にキレ、ヒルダは敵に向けてライフルを撃ちまくり、相手は穴だらけとなり海に落ちて行った。

クリスは自ら庇ったヒルダに唖然とする。

 

「どうして.....!?」

 

「アタシ等は仲間だよ、誰も死なないしもう死なせないってな!」

 

その事にクリスとロザリーはただ黙ったまま聞いていた。

するとそこにアンジュとモモカが駆け付けた。

 

「アンジュ!」

 

「てめえ、どこで道草喰ってたんだよ!」

 

危うく死ぬかと思っただけに、ロザリーも気色ばむ。エルシャも銃撃戦の最中、アルゼナル内部に向かったため、戦力も低下していた。なにより、先に出た第三中隊の面々との通信も途切れており、すぐに出撃しなければならない。

 

だが、アンジュは鬼気迫る表情で睨み、ロザリーは声を引き攣らせて慄き、ヒルダも思わず圧倒される。そんな様子に構わず、アンジュはヴィルキスへ乗り込む。

 

「おい、アンジュ!?」

 

ただならぬ様子にヒルダが声を掛けるが、アンジュは険しい面持ちのまま、ヒルダを見やった。

 

「モモカを頼むわね。私、行かなくちゃいけないから!」

 

エンジンを起動させ、ヴィルキスが起動するとアンジュは操縦桿を強く握り締める。

 

「おい、滑走路は使えねえぞ!」

 

わざわざ言うまでもないことだが、発進ゲートは完全に塞がれており、このままでは発進できないが、アンジュは知ったことかとばかりに前方の瓦礫を睨む。

 

「邪魔」

 

小さく吐き捨てると、操縦桿のスイッチを押し、ライフルのグレネードを一斉射し、突然の砲撃にヒルダ達は反射的に身を低くする。

 

グレネードがゲートを塞いでいた瓦礫と特殊部隊を吹き飛ばし、ゲートが開けると不敵に笑う。

 

「進路クリア!」

 

確認するや否や操縦桿を引き、ヴィルキスは瞬時に急加速でゲートから飛び出していった。漂う粉塵に咳き込みながらヒルダ達は悪態をつく。

 

「ったく、相変わらず無茶苦茶な奴だなぁ」

 

だが、結果的にはこれで進路は確保できた。その時、別の機体が飛び出していく。頭上を過ぎる機影と突風に頭を押さえる。それはサリアのアーキバスであった。

 

 

 

 

 

 

インフィニティの方では、カタパルトからマサト達が出撃し、迫り来るピレスドロイドやバグを破壊していく。エンペラージュリオ一世にいるジュリオがレオスを見て言う。

 

「紅い悪魔.....あれか.....パイロットも!」

 

ジュリオは笑みを浮かばせ、命令する。

 

「旗艦、エンペラージュリオ一世に告ぐ!敵艦からレオスを確認した!ピレスドロイドとバグを駆使して、レオスに集中攻撃!」

 

ピレスドロイドとバグがマティス達からマサトとレオスの方に向かってきた。

 

「チッ!」

 

マサトは舌打ちすると、ビームサーベルを抜刀し、回転させる。そしてちょうどそこにヴィルキスが駆け付けてきた。

 

怒りに猛る感情のまま、アンジュはヴィルキスを駆り、ピレスロイドを破壊していく。

 

背後に回り込むピレスロイドが撃ち落とされ、ハッと振り向くとそこには、サリアのアーキバスが急接近してきた。

 

「戻りなさい、アンジュ! 戻って使命を果たして!」

 

金切り声を上げて叫ぶサリアをうるさ気に一瞥し、アンジュはピレスロイドを破壊する。ヴィルキスの前へと回り込むアーキバスが対峙し、サリアはなおも叫ぶ。

 

「何が不満なの!? アンタは、アンタはアレクトラに選ばれたのよ! 私の役目も、夢も、居場所も全部奪ったんだから.......そのくらい!」

 

顔を上げたアンジュの瞳に悲哀と怒りの入り混じった色が浮かぶ。アンジュの指輪が光り、剣を抜きサリアのアーキバスに迫る。

 

「私...ここが好きだった。なのに壊された....あいつに!」

 

アンジュはアルゼナル生活を壊された事を話し、息を呑むサリアの前でアーキバスの腕を斬り落とす。

 

「だから、私は行く.....!」

 

返し手で振り上げた一撃がもう片方の腕を斬り飛ばし、体勢を崩すアーキバスを睨む。

 

「邪魔をするなら......殺すわ!」

 

身を捻って蹴りでアーキバスを弾き飛ばし、海面へと落とす。刹那、明滅していた指輪が輝き、コンソールに光が灯る。眼を見開くアンジュの前でヴィルキスは全身を真紅に染め上げる。

 

「アンジュ!.....アンジュ.....!」

 

海面へと落下してくアーキバスのコックピットでその光景を見たサリアは絶望と敗北感に打ちのめされる。

 

「赦さない.....勝ち逃げなんて、絶対に赦さないんだから! アンジュの下半身デブ......!」

 

落ちていくサリアは叫びながら海中へと水没していった。

 

 

 

 

 

カタパルトデッキでは、生き残っている整備班が最後の作業を進めていた。

 

「ヒルダ、発進準備完了だよ!」

 

疲労を隠せない憔悴した面持ちながら、自身の役目を全うしたとメイはサムアップする。

 

「ああ、あとは任せて早く逃げな」

 

「分かってるよ」

 

既に生き残りの面々は地下ドックへと向かっている。ヒルダ達を射出した後は施設を放棄するだけだ。メイが機体から離れると、操縦桿を握るヒルダにクリスが声を掛けた。

 

「ヒルダ……ううん、行こう――隊長」

 

その言葉にやや眼を剥くも、横に居るロザリーもぎこちなくだが頷いている。その様子にヒルダも小さく笑い、頷き返す。

 

「ああ―――ヒルダ隊、行くぜ!」

 

「「イエス・マム!」」

 

ヒルダのグレイブが発進すると同時にロザリーとクリスの機体もまた発進していく。それを見送るメイだったが、瓦礫の中に負傷した特殊部隊の一人が生き残っており、サブマシンガンを乱射した。

 

「え....?」

 

クリスは一瞬、何が起こったか分からなかった。彼女の頭から血が噴き出し、ハウザーは制御不能のまま墜落した。

 

その光景に飛び出したヒルダとロザリーは眼を見開いた。

 

「「クリス!?」」

 

予期せぬ状況にヒルダは動揺し、ロザリーは半狂乱になったアルゼナルに舞い戻ろうとする。だが、それを阻むかのようにピレスロイドとバグが襲いかかってくる。

 

慌てて応戦しながらも、ロザリーは通信機に向かって叫ぶ。

 

「待ってろクリス! すぐに助けにいってやるからな!」

 

『う、うん……ありがとう.....ロザ、』

 

通信から聞こえるクリスのか細い声が消え、同時にハウザーのエンジンが火を噴き、既に耐久性を失っていたカタパルトに致命傷を与え、ゲートが崩落する。その中へクリスは呑まれていった。

 

「クリ、ス......?」

 

粉塵が包む光景にロザリーは上擦った声で名を呼ぶも、もはや反応はなかった。その瞬間、ロザリーは眼に涙を浮かべ、口を強く噛み締める。

 

「ちっくしょぉぉぉぉぉ!てめえら全員!ぶっ殺してやる!!!お前らの方が化け物だぁっ!!!!」

 

怒りに駆られ、ロザリーはライフルと連装砲を狙いもつけず撃ちまくり、ピレスドロイドとバグを破壊していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瓦礫の中に埋もれているクリスの元に、ネロスは鼻歌をしながら近付く。

 

エルシャの方は、特殊部隊の火炎放射機によって全身黒焦げになっている幼年部の姿に、絶望していた。

 

「ごめんなさい......ごめんなさい......」

 

絶望するエルシャの元にネロスが来る。

 

 

 

 

 

 

アンジュは敵艦隊を攻撃して行く中で、光の障壁がある事に気が付く。

 

「光の障壁?なら!」

 

ヴィルキスが飛翔形態へと変形し、アンジュはその障壁を利用して敵艦隊へと突っ込んで行き、その障壁で次々の敵艦隊を撃破して行く。

 

「俺も......俺も負けていられないな!」

 

マサトがそう言うと、レオスが新たな姿へと変わる。

 

『ファンネル進化状態!"アイオス・フェース"!!』

 

レオスの背部に紅い翼が生え、マサトの髪の毛が白く染まり、瞳の色が緑へと変色した。

 

「行こう、レオス!皆を守りに!!」

 

レオスは翼から8基のアイオス・ファンネルを展開した。

 

「行け、ファンネル!!」

 

マサトは脳波でファンネルに指示を出し、ファンネルに命令した。ファンネルは高速で行動し、ピレスドロイドとバグに目掛けて、ビームを発射する。ピレスドロイドとバグがファンネルに撃墜されると、マサトは次に、アルゼナルの方を向く。

 

「システムログイン.....ID『ALICE』.....接続」

 

アルゼナルの地下にある三機のモビルアーマー『ガデラーザ』のツインアイが発光する。それと同時にGNドライブから大量のGN粒子が吹き出る。

 

「メインエンジン オーバーライド........各部損傷なし.........」

 

そしてマサトは大きく息を吸い、叫んだ。

 

「モビルアーマー『ガデラーザ』起動!!自立モードで敵艦を殲滅しろ!!」

 

ガデラーザは機首にある大型ビーム兵器『GNブラスター』を展開し、シャフトごと破壊した。破壊した穴から海水が流れ込むと同時にGNドライブの出力を最大値上げ、格納庫から出撃し、海面へと突き出た。アストラ達はガデラーザがアルゼナルから出た事を確認すると、ジルに通信を入れる。

 

「アイオス・フェースに覚醒したか.....」

 

アストラがインフィニティから見ている中、ピレスドロイドとバグが迫っていた。ヴィルキスは光の障壁を展開し、突撃する。レオスはアイオス・ファンネルをを展開すると、ガデラーザに命令する。

 

「ファング!!」

 

三機のガデラーザの下部のコンテナからマサト達の機体並のサイズを持つ兵器"大型GNファング"14基が射出される。更に大型GNファングの中から小型のGNファングが10基も射出される。他の二機も大型GNファングと小型のGNファングを射出し、大型、小型、アイオス・ファンネルを含めて、合計470基のファングとファンネルが浮游する。

 

「何なんだあれは!?」

 

ジュリオが驚いていると、ファングからビームサーベルが放出される。コックピットの頭上からVRヘッドが下りてきて、マサトの顔を被う。さらに左右のコントローラーが変形し、指でのコントローラーへとなった。マサトはコントローラーを握ると、ハロが報告する。

 

「敵識別確認!敵識別確認!敵機をロックオン!」

 

マサトは浮遊しているガデラーザに命令する。

 

「殲滅!」

 

三機のガデラーザのGNドライブが粒子を放出し、高速戦闘を開始した。迫り来るバグやピレスドロイドにガデラーザのファングが襲い掛かる。ガデラーザは護身用為に隠し腕からフレキシブルGNビームガンを四つ展開し、マシンガンのように連射する。マサトもレオスと共にアイオス・ファンネルで敵艦の主砲や対空兵器の死角を狙いを撃沈させる。アンジュも負けていられなれないと思い、ヴィルキスで敵艦に突撃する。次々にピレスドロイドとバグが撃墜されていき、艦隊もアンジュによって撃沈されていく光景にジュリオは怯える。

 

「あ....あ....悪魔だ....!」

 

すると兵士たちはジュリオに報告する。

 

「ディファイアント!マリポーゼが撃沈!ウォウジュネイト!オーベルトが大破しています!」

 

「っ!!な、何をやっている!早くっ!」

 

っとそう言った途端にブリッジの半分が割れて、ジュリオの前にヴィルキスとレオスに乗ったアンジュとレオスが現れる。

その隙にリィザはその場から離れて行く。

 

「あ、アンジュリーゼ!」

 

ジュリオの足に銃弾を撃ち込むアンジュ、それにジュリオはもがく。

 

「今すぐ虐殺をやめさせなさい!! 死にたくなければ!!」

 

それにジュリオはすぐにマナの通信で部下達に虐殺をやめるように指示を出す。

 

「神聖皇帝ジュリオ一世だ!全軍全艦艇は直ちに撤収を!」

 

『撤収!?ノーマ達は!?』

 

命令を言ったジュリオはすぐにアンジュに言う。

 

「止めさせたぞ!早く医者を!」」

 

するとアンジュはヴィルキスに乗りラツィーエルを振り上げ、マサトもファンネルを構える。

 

「まっ!?待て!!話が違う!?早まるな!要件は何でも聞く!だから殺さないでくれ!」

 

「生きる価値のないクズめ!くたばれぇぇぇ!!」

 

アンジュは渾身を込めたラツィーエルを降り下げた。

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

アンジュがサーベルを振りかぶろうとしたその時、アンジュの目の前に紅いアーマーを装着した蒼いエクストリームが現れ、マント状のウィングシールドでラツィーエルを防御する。

それにアンジュは目の前の光景に驚く。その蒼いエクストリームのコックピットにネロスが乗っているのだ。

 

「貴方....さっきの!?」

 

「蒼いレオス!?」

 

「ネロス様!! そいつ等を!アンジュリーゼをぶっ殺してください!! 今すぐ!!!」

 

「「ネ...ロス?」」

 

アンジュとマサトはその男がネロスだと知って呟く。

 

「未確認機を確認!」

 

インフィニティのブリッジでシアが報告し、マサトとアンジュの目の前に蒼いエクストリームとネロスが写る。

 

「アイツは......!!」

 

アストラが10年前の過去を思い出す。かつてタスクの一族『古の民』、貴族連合のイシュー家とウォーレン家、共に戦った仲間達を殺したネロスを見て、怒りが込み上がる。

 

「アンジュ、君は美しい…。君の怒りは純粋で白く何よりも厚い。理不尽や不条理に立ち向かい…焼き尽くす炎の様に、気高く美しい物。つまらない物を燃やして、その炎を燃やしてはいけない」

 

アンジュはネロスが何を言いたいのか意味が分からず、ただ唖然としていた。

 

「だから.....私がやろう」

 

「え?」

 

「君の罪は...私が背よう......」

 

するとネロスはジュリオの方を向く。

 

「ジュリオ君........言ったよね?『すべての『ラグナメイル』とメイルライダー及び、レオスとレオスのパイロットが揃えば。』と.........何で、他は虐殺するのかなぁ~?」

 

ネロスは不気味な笑みを浮かばせる。ジュリオは慌てて、謝罪する。

 

「も!申し訳ございま「君にはがっかりしたよ.....」え?」

 

「だから......君はもう、王家ではない♪よって僕からの聖なる罰を下す。」

 

ネロスはそう言うと、イクスのアーマーが変わり、紅いアーマーから、2門のキャノンを装備したアーマー『カルネージ・フェイズ』を装着し、上昇させて、ネロスは何かを歌いだす。

 

「♪~♪~♪~」

 

その歌にアンジュとジュリオは聞き覚えがあった、その歌は『永遠語り』であった。

 

「あれは....!?」

 

「永遠語り!?何故、ネロス様が母上の歌を....!?」

 

アンジュの元に背中に気を失っているヴィヴィアンを乗せたタスクとインフィニティとマティス達が来る。

 

「あれって.....まさか!」

 

『そうだ!......ネロスと"双極の蒼い悪魔 『イクス』"だ!』

 

同時の外に出ているリィザは【謎の翼】を出して飛んで、ネロスを睨む。

 

「ネロス…」

 

そしてネロスが操るイクスの2門のキャノンが露出展開され、ヴィルキスと同じ物が出て来る。

 

「「ヴィルキスと同じ武器......!?」」

 

アンジュが驚いてる中でイクスは2門のキャノンを発射して、ジュリオが乗っている旗艦へと直撃する。

 

「う!!うう!!うわあああああああああああああああ!!!!!!」

 

アンジュとマサトが目の前の光景に驚きを隠せず、ただ跡形もなく消え去った旗艦を見て唖然する。

ミスルギ艦隊の姿は影も形もない。あとは、自動操縦のピレスロイドとバグが僅かに飛ぶ戦場のなか、ジュリオごと旗艦を消滅させたネロスはイクスに対峙するように相対するレオス。

 

「おい、お前!その機体は何だ!!?.....答えろ!」

 

「フフ......!?」

 

その時、横からの攻撃に気付き、すぐに回避するとタスク達がマサトとアンジュに向かってくる。

 

「アンジュ!マサト!ソイツは危険だ!!」

 

「タスク!」

 

「離れるんだ!今すぐ!」

 

「無粋な.....!」

 

するとネロスは目標をタスク達に向け、歌いだす。

 

「♪~♪~♪~」

 

「いけない!」

 

アンジュは急いでタスク達の元へ向かい、マサトは砲撃を阻止しようと、ガデラーザに命令する。しかし、イクスの周りに、リフレクターシールドが展開されており、ファングやファンネルが通用していなかった。

 

「クソッ!!」

 

マサトは三機のガデラーザと共に、急いでタスク達の所へと向かう。そしてイクスのキャノンから竜巻状のビームが発射され、真っ直ぐに襲い掛かる。

 

「ダメぇぇぇぇっ!!」

 

その時、アンジュの指輪が強く光だし、ヴィルキスの色が青く染まった直後、レオスのファンネルが回転し始め、ヴィルキスと共にタスク達やインフィニティ、マティス達が消え、レオスや三機のガデラーザも消えた。

 

竜巻状のビームは海を割り、水柱を立ち上らせた。ネロスは上空で微笑む。

 

「詰まらぬ筋書きだが、悪くはない♪」

 

するとネロスの元に、モビルアーマー『α・アジール』に乗っているディーラの幹部"クローバー"が現れる。

 

「ネロス様.....スペードから報告があります。」

 

「どうしたのかね?」

 

「....貴族連合の一人がローゼンブルム王国の妃殿下を誘拐されてしまいました。恐らく、彼女にもこの世界の真実をお見せするつもりなのでしょう.......」

 

「......まぁ、良い........時間はたっぷりあるからなぁ♪あ、念のため.......ローゼンブルム王国を取り囲んでおくれ........彼等は僕の大事な人質として役に立って、もらなわければならない。それとアルケミスト学院の者達も.......♪いいね?」

 

「分かりました ネロス様........直ちにトルーパーを配備させます。」

 

クローバーはそう言うと、特異点を開き、ネロスと共に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

雷雨が降る、暗闇に微かな照明が灯る。まるで中世の石造りのような階段の奥には、壁面に備えられた部屋と思しきくぼみには鉄格子が張られており、檻を形成していた。複数の檻が並ぶも、一切の気配がなかったが、一つの檻の中にアンジュの父"ジュライ・飛鳥・ミスルギ"が囚われていた。

 

「.........」

 

その時、階段から誰かが下りてくる音がした。ジュライは警戒すると、現れたのは七大名門貴族のファリド家の令嬢"アンジェリカ・ファリド"であった。

 

「君は.....アンジェリカ!?」

 

「お久し振りです。ジュライ皇帝陛下......」

 

アンジェリカはレジスタンスのコンバットスーツのポーチから、金具を取り出し、鍵穴に差し込む。

 

「開く.......かな.....?」

 

ガチャン!

 

鍵が解除され、アンジェリカはジュライ皇帝陛下を保護する。

 

「すまない.....」

 

「話は後です。一刻も早く真実の地球に貴方を送らなければ、奴等の思う壺です。」

 

「あぁ、分かっている.....」

 

階段の出入り口に待機している貴族連合の領邦軍兵やハデス兵が銃剣とブラスターライフルを構えながら、ジュライ皇帝を護衛する。

 

監守や近衛兵を気絶させ、隠してあったブラッドハウンドや61式戦車6台、さらにグレイズリッター4機を出す。

 

「此方へ...!」

 

ハデス兵の一人がジュライ・飛鳥・ミスルギをブラッドハウンドに乗せ、護衛の戦車やグレイズリッター、そしてアンジェリカ専用レギンレイズが動き出す。

 




さてさて、マサト達はこれからどうなるのやら........次回もお楽しみに!


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人物紹介【part2】

 

ミスティ・ローゼンブルム

 

CV:伊瀬茉莉也

 

ローゼンブルム王国の王女。

アンジュとは学生時代からの知り合いで、スポーツ「エアリア」ではお互いの実力を認め合い、親交を深め合った仲である。

世間知らずのお嬢様だが、ノーマへの差別意識こそ多少なりともあるも、本質的には公正かつ誠実な人物で、アンジュがノーマである事に驚きを隠せない事やマサトがノーマと分かっていても、浸すら隠し続けていた。ノーマとして命がけの労役につかされたアンジュとマサトの安否を気にして、アンジュとマサトに会うため慰問団代表となり変わり果てたアンジュと同じように心配していたマサトと再会した。彼女への情を絶てない事から彼女との友情は立場的にはモモカと同じ考えを抱いている1人でもある。

さらに、七大名門の一人『ボードウィン家』の次男坊【セルジランド・ボードウィン】と婚約しており、ローゼンブルム邸に忍び込んだセルジランドと共に逃走する。

 

 

 

 

 

 

【七大名門貴族連合】

 

世界各地の名門の貴族達が連合を組んだ組織。世界を牛耳っている組織【ディーラ】に立ち向かうため、アストラの解放組織【ハデス】に援助している。

 

 

 

アルバレア・ボードウィン

 

CV:平川大輔

 

七大名門貴族の一人。ヴェルダ王朝の七大名門貴族「ボードウィン家」な御曹司で、身分は公爵。10年前のリベルタスで父を亡くし、弟のセルジランドと共に、【ディーラ】対策に練っている。

 

使用機体:キマリスヴィダール

 

 

 

セルジランド・ボードウィン

 

CV:松風雅也

 

七大名門貴族の一人。アルバレアの弟で身分は騎士。アルゼナルへ移送されたマサトを心配しており、アンジュ救出時にマサトと再会した。婚約者であるミスティ・ローゼンブルム妃殿下を連れ、特異点へ入っていった。

 

使用機体:『シュヴァルベグレイズ"』セルジランド・カスタム

 

 

 

アンジェリカ・ファリド

 

CV:進藤尚美

 

七大名門貴族の一人。ファリド公爵の令嬢。東方の泰斗流に独自のアレンジを加えた武術の使い手で、ブランクがありながらマサトを追い詰める程の実力を持つ。

 

使用機体:【レギンレイズ】アンジェリカ・カスタム

 

 

 

 

【ディーラ】

 

世界を牛耳っている謎の組織。タスクの一族とトリスタン連邦を滅ぼした元凶とでも言える。

 

 

 

 

ネロス

 

CV:子安武人

 

本人曰く「調律者」であり、かつて争いの絶えない人間たちの状況を憂い、争いや差別の無い理想郷を創るために、あらゆるものを思考で操作できる高度な情報化テクノロジー「マナ」やそれを扱うことができ争いを好まない穏やかで賢い新人類を創造した。しかし、彼には於曾ましき過去と欲望に満ちた陰謀を抱いている。

 

使用機体:【エクストリームガンダムtypeイクス】【???】



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ドラゴン編
第24話:真となる世界


今回の話にも、マサトの秘密の一部を出しています。


乾いた大地に残照として残る文明の跡。それらは永い時を経て、腐食し大地による緑の侵食を受けて覆われている。

 

荒廃した文明の残照が自然の息吹の中に取り込まれている廃墟に元に戻ったレオスが横たわっていた。

 

『......サト...マサト.......マサト....マサト!.....マサト!マサト!』

 

ハロが必死に、コックピットで気を失っているマサトを起こすと、彼は目を覚ます。

 

「痛つつ........!?」

 

マサトは目の前にモニターに映っている光景を見て、驚く。

 

「何だここは.....!?」

 

マサトはライフルを持って、コックピットから外に出る。荒廃した世界、廃墟には緑の苔や木々が生えており、高層ビルは今にも崩れそうな感じであった。

 

「一体ここは........何処なんだ!?......そうだ!」

 

マサトはレオスに乗り込み、起動させる。

 

「良し、レオスは無事みたいだな........後はこの地形を見上げる所があれば.........」

 

マサトは辺りを見渡していると、高台に良さそうな建物があり、レオスを上昇させて、高台に着地した。そしてマサトは目の前の光景に目を疑う。

 

「何なんだここは!?」

 

広大な廃墟、どれもこれも文明が崩壊しており、山から煙が出てきていた。マサトは急いでタスク達に通信を入れる。

 

「こちら、マサト!応答を頼む!誰か聞いている!?兄さん!リナ!マティス!皆!アンジュ!タスク!」

 

しかし、返事は全く来なかった。

 

「どうなっているんだ!?」

 

マサトはそう言うと、レオスを下降させ、取り合えず何か使えるものを探し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アンジュとタスクは、廃墟の中心に横たわっていた。ヴィルキスのコックピットが開いており、そこから長い舌が伸び、アンジュの頬を舐める。

 

それに目を覚ましたレオンはその方を見ると、ドラゴンが見ていた。

 

「っ!?」

 

アンジュは驚くと、そのドラゴンは自分に指を指しながらジェスチャーする。

 

『(アタシアタシ!)』

 

「え?....ヴィヴィアン?」

 

『そう!「キュ~♪」』

 

再びドラゴンへとなっているヴィヴィアンは吠える。

 

「またドラゴンになっちゃんたんだ」

 

アンジュはそう言うとヴィヴィアンの頭を撫でる。

 

「何処も怪我はない?」

 

フェニックス・ゼロからタスクが下りてきて、アンジュを心配する。

 

「タスク........そうだ!」

 

アンジュはさっきの機体やネロスの事を思い出すと、辺りの光景を見て驚く。

 

「何処よ、ここ......!?」

 

通信機でアルゼナルに通信を入れていた。

 

「こちらアンジュ、アルゼナル応答せよ」

 

しかし何度も通信を試みるも誰も出ない。

 

「どうなってるのよ!」

 

「俺のフェニックス・ゼロもダメだ.......全周波数のレーダーで探知しても、マサト達やアストラさんのビーコンが見当たらない。まるで何かにジャミングされているみたいだ」

 

「大昔の廃墟じゃないの? 人類がまだ戦争していた頃の」

 

「そんな場所が残っている話、聞いた事がないな.....」

 

「それじゃあ、私達はまだ誰も知らない未知の世界に飛ばされたって事?」

 

「....."ヴィルキス"と"レオス"なら可能かも知れない.....」

 

タスクはマサトのレオスの事を話す。レオスはかつて、トリスタン連邦が使っていた"双極の悪魔"の片割れ、アストラ......つまり、コマンダー・フェニックスはディーラと戦う解放組織『ハデス』の者であることを.......

 

「あの時.....奴が放った光...あの光から君達を守るためにヴィルキスが何かしたのかも...ヴィルキスは特別な機体だ...何を起こしても不思議じゃない.....」

 

「特別......そうよね、どうせ私は特別なのよ......」

 

っとアンジュが言った言葉にタスクは振り向く。

 

「え?」

 

「別に、直せる?」

 

「ああ何とか。飛べるぐらいには」

 

「分かった、それじゃお願い」

 

そう言ってアンジュは何処かに行こうとする。

タスクはその事をアンジュに問う。

 

「何処に行くの?」

 

「偵察よ、まだ敵がいるかもしれない」

 

そう言ってアンジュはライフルを持って行こうとする。

っとヴィヴィアンがアンジュに話しかける。

 

『アンジュ!アンジュ! アタシに乗って!』

 

っとヴィヴィアンが後ろを向いてアンジュにそう言う。

 

「乗れって言うこと?」

 

『そう!そう!』

 

ヴィヴィアンは吠えると、タスクも驚く。

 

「君がドラゴンだったなんてなぁ」

 

ヴィヴィアンは指を口に当て、しーっとする。

 

『内緒だよ』

 

ヴィヴィアンはアンジュを乗せ、空からの偵察へ移行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ここより遠く離れた海の方に、辿り着いていた。アストラは気を失っていたが、目を覚ます。そしてあるものを目に、ハッキリとする。

 

「やっと着いたか.......この世界に........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マサトの方では、テントを作る為の材料をかき集めていた。

 

「ボロボロだ.......ん?」

 

マサトは下に落ちているチラシを見る。

 

「これは.......22世紀末のチラシ......」

 

マサトはそのチラシの内容を読む

 

 

22世紀末 アフリカ大陸を占領した『統合経済連合』と日本、オーストラリア連邦、北部と南部大陸アメリカ合衆国三ヵ国の同盟国『汎大陸同盟機構』との第七次世界大戦が勃発。勢力を拡大しつつある統合経済連合はドラグニウム反応炉を狙っている 恐らく、終止符を打つために超兵器を使うだろう.......我等、汎大陸同盟機構も日本とオーストラリア連邦の技術やアメリカ軍の研究者の頭脳で超兵器に対抗できる.........."極限の悪魔"を開発に成功!

 

 

 

「極限の悪魔!?」

 

マサトはそのチラシに掛かれている事とレオスを見る。

 

「レオスが汎大陸同盟機構によって作られた兵器?..........嫌、そんな筈は.........」

 

マサトはそう考えていると、

 

「マサトー!」

 

上から、ドラゴンに乗ったアンジュが降りてくる。

 

「うわっ!!?」

 

マサトは驚くと、ヴィヴィアンは指でヂェスチャーする

 

『(アタシアタシ!)』

 

「え!?ヴィヴィアン!?」

 

マサトが言うと、ヴィヴィアンは吠える。

 

「ありゃりゃ、ドラゴンにまたなっちゃったんだ。」

 

マサトはヴィヴィアンの頭を撫でる。

 

「他の皆は?」

 

「私とタスク、ヴィヴィアンだけだった........それより!向こうで飛んでもないものを見つけたの!」

 

アンジュとマサトはタスクの所へ向かい、アンジュが衝撃な事を言う。

 

「「ミスルギ皇国!!?」」

 

「ええ、宮殿も街も綺麗さっぱり無くたっていたけど。あれはアケノミハシラだった、見間違えるはずがないわ」

 

アンジュは此処がミスルギだと言う証言にタスクとリュガはただ唖然とする。

 

「でもおかしいの、アケノミハシラも街もずっとずっと大昔の前に壊れたって感じだった」

 

するとマサトはチラシに入っていたこの都市のパンフレットを取り出す。

 

「何これ?」

 

「この都市の名前と、地形だ..........アケノミハシラがあったとしても、........ここはミスルギ皇国ではない」

 

「「え!?」」

 

アンジュとタスクは驚くと、マサトが壊れた車を見る。

 

「見ろ......この車にはタイヤがある........しかも、車の車内や隅々を見たところ、マナの光で動かすコンソールが一つも見当たらない.......ただ、あるのはハンドルやボタンとレバーだ..........」

 

「マサト.......」

 

「ん?」

 

「貴方......それに詳しいわねぇ?」

 

「何で?」

 

「何でって!?このパンフレットに掛かれている文字は何なの?」

 

「.......日本にある"東京都"だけど........何か?」

 

「何かって!?........ハァ~」

 

アンジュは溜め息をすると、そこにある物が聞こえて来る。皆はそれを聞いて隠れて武器を構える。

 

すると謎の小型ロボットがある放送を流しながら横を通り過ぎて行く。

 

『こちらは首都防衛機構です、生存者の方はいらっしゃいますか? 首都第3シェルターは今でも稼働中、避難民の方を収容───』

 

その言葉を聞いて、一行は第3シェルターに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アストラ達はインフィニティを廃墟となった港に停泊させる。

 

「ここ......何処なんだ!?」

 

マティス達が荒廃した街を見て驚く。

 

「あれ?」

 

パトリックが何かに戸惑っていた。

 

「どうしたんだ?」

 

「嫌、それが......マナの光が使えないんだ!」

 

《えぇっ!!?》

 

皆は驚き、パトリックと同じようにマナの光を出そうとするが、マナの光が使えなかった。

 

「どうなっているんだ!?」

 

「.......それがこの世界の定則だ」

 

《??》

 

「君達がいた世界と、この世界は違う........まぁ、分かりやすく言ったら.......ここは"真実の地球"だ」

 

《真実の地球?》

 

「着なさい......見せたいものがある」

 

アストラはマティス達を連れて、第3シェルターへと向かった。

 

 

 

 

 

 

マサトは第3シェルターの中に入ったが、中の人々達が白骨化した死体ばかりでだった。マサトは白骨化した死体を調べる。

 

「驚いたなぁ.......これ、約500年前以上の遺体だ.......」

 

「は!?」

 

マサトの言葉を聞いたアンジュはすぐさまモニター画面に向かう。

 

「そこのあなた!居るんでしょ!! 出て来なさい!!」

 

アンジュの問いに答えるかの様に、画面上に女性が映し出される。

 

『管理コンピューターひまわりです。ご質問をどうぞ』

 

「コンピューター、だったのか」

 

タスクは向かいくれたのがコンピューターだった事に気付き、アンジュは怒鳴りながら問う。

 

「一体どうなってるの!?生きている者はいないの!? 一体何があったの!!?」

 

『ご質問を受け付けました、回答シークレンスに入ります』

 

すると辺りが暗くなり、何かの映像が映し出される。

それはあたりが戦争している映像だった。

 

「何.....これ?、映画?」

 

『実際の記録映像です。統合経済連合と汎大陸同盟機構による大規模国家間戦争「第七次大戦」「ラグナレク」「D-War」などと呼ばれる戦争により地球の人口を11%まで減少』

 

その事にマサト達は思わず息を飲む、すると目の前にある機体が目に映る。

 

『その状態を打破すべく、連合側は絶対兵器"ラグナメイル"を投入』

 

ヴィルキスに似た黒い機体の他にヴィルキスタイプの六機が現れる。

 

「黒い.....ヴィルキス!?」

 

『そして同盟側も、絶対兵器に対抗すべく"双子のエクストリームガンダム"と"∀ガンダム"を投入』

 

その中にネロスが乗っていた蒼いエクストリームガンダムとマサトのレオス、そしてヒゲを生やした白い悪魔が黒いヴィルキスと抗戦する。しかし、数で圧倒され、レオスとイクスが撃破されていく。そして残った∀ガンダムを通り過ぎ、そして黒いヴィルキス達は光学兵器を発射し、アケノミハシラを壊す映像が映し出される。

 

『こうして戦争は終結、しかしラグナメイルの次元共鳴兵器により地球上の全ドラグニウム反応炉が共鳴爆発。地球は全域に渡って生存困難な汚染環境となり全ての文明は崩壊しました。以上です、他にご質問は?』

 

「世界が.....滅んだ?」

 

アンジュとタスクは目の前の光景に驚きを隠せず、それはマサトも同じだった。

 

そしてマサトはその当時崩壊した時期を問う。

 

「....それは何時だ? 何時の事だ?」

 

『538年前』

 

「!?」

 

『538年193日前です、世界各地2万976ヶ所のシェルターに、熱、動体、生命反応なし。現在地球上に生存する人間はあなた方3人だけです』

 

 

 

 

 

 

回想が終了し、辺りは夜になっていた。

 

「500年か.......まぁ、この荒廃した世界ならあり得るか.....」

 

「ふざけないでよ!! 私はこの目で見た物しか信じない!!」

 

「いい加減にしろ!お前はそんな性格だからそんな事が言えるんだよ!!」

 

お互いイライラが募っていたのか、口でゲンカになる。

タスクはアンジュとマサトを宥める。

 

「こんな時にケンカしてもなにもならん。落ち着いて二人とも。アンジュも」

 

「フッ!別に良いじゃない! 私を利用する事しか考えていないあんなクソ女のクソ作戦」

 

そしてアンジュはタスクの方を見て言う。

 

「貴方も戻らなきゃ大変なんでしょ? ヴィルキスの騎士さん?」

 

「ああ、俺は何がなんでも君を守る───」

 

「やっぱりね、貴方はあの女に使わされている犬なんだわ」

 

っとアンジュはそう言ってたき火の前に座る、タスクはその事に必死に否定する。

 

「違う!! 俺は本当に君を.....!」

 

「おい、アンジュ.....それは言い過ぎだぞ」

 

がそれを言うがアンジュは知らんぷりする。

 

「貴方に関係ないでしょう? それに目的の為なら何人犠牲しても良いんですもの、別に潰れても良いわよあんな最低最悪のゴミ作戦、笑えるわ」

 

っとアンジュがそれを言った途端にタスクが、

 

「じゃあ俺の両親もゴミに参加して無駄死にした....そう言う事か.....?」

 

「えっ?」

 

「タスク?」

 

マサトはタスクが突如言いだした事にアンジュも振り向く。

 

「俺達古の民は、ネロスから世界を解放する為にずっと戦って来た、父さんも母さんもマナが使えない俺達やトリスタン連邦の民とノーマが生きて行ける世界を作ろうとして戦い…死んだ! 死んでいった仲間も....両親の思いも.....全部ゴミだと言うんだな!君は!!」

 

「そ.....それは?!」

 

タスクは今まで見せた事のない静かな怒りの表情にアンジュは戸惑い、マサトはただ唖然としていた。

アンジュは何を言おうとしたが何を言うか迷っていて、タスクはそのままどこかに行ってしまった。

 

「タスク......」

 

してアンジュは自分が知らずにタスクの心を傷つけ仕舞った事に後悔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アストラがシェルターで見せた真実に皆は驚きを隠せなかった。

 

「この世界が.....500年後の世界だなんて.....」

 

《..........》

 

「これが事実だ.......そして、真実は伝説とは全く違うものなんだ.......」

 

「どう言うことなのですか?」

 

モニカの問いに、アストラは寝ているブリッツを撫でる。

 

「あの映像で......何か思ったことはないか?」

 

《........》

 

皆は考えていると、ニコラスがあることに気付く。

 

「あ!各国にアケノミハシラがあったこと!!」

 

「そう.......そして?」

 

「この街の地形が全く違うものであった!」

 

「その通り.......ここは、俺達がいた世界ではない」

 

《え!?》

 

「前に言ったように、真実は伝説とは全く違うものって.......つまり、───」

 

アストラの言葉に皆は真実を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、マサトとタスクは共にヴィルキスの修理をしていて、アンジュはただ一人でどこか謝るタイミングを計っていたが、どうにも見つけられずにいた。

 

「(どうしよう…、タスクにどう言えば)」

 

っとアンジュは地下の店にある物を見つけ、それを見て何かを思いついた。

 

そして夕日の時期にタスクは踏み台の所にあるネックレスを見つけ出す。

タスクはそれを拾うとアンジュがそっとその場からゆっくり離れて行くの見て問う。

 

「アンジュ?」

 

「うっ!? あ...あの....その、に.....似合うかな...て、それだけ」

 

アンジュの言葉にマサトは微笑む。

タスクはそれに微笑みを浮かばせて、そのネックレスを付ける。

 

「どうかな?」

 

「に.....似合うわ」

 

「有難う、ご飯にしようか? 今日は俺担当だから....「.あの!!」ん?」

 

タスクはアンジュの方を向く。

 

「あの.....ゴメン....なさい」

 

「「....えぇっ!!?」」

 

「え?何? どうしたの?」

 

マサトとタスクはアンジュが謝った事に驚く。

 

「君って…謝れたんだ!」

 

「これは驚いたぜ…!?」

 

「な!何よそれ!?」

 

するとタスクはアンジュの方に歩み寄り、手を差し出す。

 

「こっちこそキツく事を言ってゴメン......」

 

タスクとアンジュが仲直りすると、マサトはホッとする。

 

「ん?」

 

っとマサトは何かに気付く。荒廃した道路の真ん中に、赤く光るワンピースを着ており、純白のツインテールをした少女がマサトに手招きをする。

 

「.......(え!?.......何!?)」

 

マサトはタスクとアンジュの方を向くが、誰もその子に気付いていなかった。マサトは手招きをする少女の所に向かうと、少女が別の通路へと行き、手招きをする。

 

「付いてこい、ってことか?」

 

マサトはタスクとアンジュに偵察してくると、言い、少女の後を追う。夜になり、マサトが着いた場所は古い祠が祀られている神社で、紅葉で満ちた峡谷であった。そして祠の側に赤い少女が待っていた。

 

「?」

 

すると赤い少女は、祠の近くに建っている屋敷に入る。マサトも屋敷の中に入る。中は和風で庭にはたくさんの石像や紅葉の木が並んでいた。マサトは落ちてくる紅葉を見て言う

 

「綺麗な紅葉........."子供の頃、親父とお袋と一緒に庭の紅葉の木を見ながら歩いていたなぁ~♪"........え?」

 

突然の言葉にマサトは驚く。

 

「あれ?......俺、ここを通った覚えはないのに........何でここのことを?」

 

すると部屋の奥から何か光るものを見つける。濡れてダメな写真を漁ると、出てきたのは紅い蝶の飾りが付けられている簪であった。

 

「何だろう........この簪を見ていると........."懐かしい"」

 

 

 

 

『.............真人..............♪』

 

 

 

 

「ん?」

 

しかし、誰もいなかった。マサトは元の場所に振り向くと、一枚の写真が明らかに違うことに気付いた。それは四人家族で二人の男と女、二人の子供(兄妹)と一緒に写っていた。その写真に写っている男と女、子供の女の子の方の顔は濡れて見えないが、何故かマサトの方を向いており、指を指していた。マサトは不気味に思い、屋敷を出る。

 

そして神社の鳥居から赤い少女は階段を下りていくマサトを微笑みながら見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪の降る中、タスクとマサトはヴィルキスの修理を続けていた。

 

「っくしゅん!寒くなってきたなぁ」

 

「っくしゅん!そうだな......冷える前に早く終わらせよう.....」

 

「タスクー!マサトー!」

 

上からヴィヴィアンに乗って偵察を終えたアンジュがあるものを見つけた。その建物は最初にヴィヴィアンが見つけ、マサトとタスクはフェニックス・ゼロとレオスのバッテリーを使い、建物に電線ケーブルを繋ぐ。そして電気が付き、建物内が明るくなり、屋根やベッド、さらに、風呂もあって、二人は喜ぶが、マサトはその建物の外形を見て、考える。

 

「何でだろう.......この屋敷を見ていると、良い子は絶対に行っては行けない場所でも言える.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アストラ達は荒廃した街を探索していた。

 

「あれは!!」

 

セリカが見つけたもの、それは一緒に飛ばされてきたガデラーザであった。

 

「ガデラーザがここにあると言うことは、きっと何処かに、マサト達がいる筈だ!」

 

セリカは急いで、インカムで皆に知らせる。ナオミやメリーからも、残り二機のガデラーザを見つけた。そしてセリカ達は港に集まると同時に、ビルの屋上にいるマティスが光っている建物を見つける。

 

「お~い!皆~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィヴィアンはドラゴン状態のため、別の部屋で寝かせていると、アンジュがタスクに問う。

 

「ねぇ、あの....."ネロス"って、何者?」

 

「......文明の全てを陰から掌握し、世界を束ねる最高指導者で、その正体は『ディーラ』の首領。............俺たちが打倒すべき最大の凶敵......だった」

 

「だった?」

 

「500年も前の話さ」

 

頭の後ろで手を組むと、タスクはおどけたようにそう言った。

 

「そうね」

 

アンジュも静かに微笑む。

 

「随分遠くまで来ちゃったな…」

 

笑い終わった後、振り返るかのように横を向いておもむろにタスクが口を開いた。

 

「でも、生きてる」

 

タスクの呟きを受けてそう言ったアンジュに、タスクは又視線を戻した。

 

「生きてさえいれば、何とかなるでしょ?」

 

そして、柔らかく微笑んだ。

 

「強いね、アンジュは.....」

 

タスクが素直な気持ちを口に出した。

 

「バカにしてる?」

 

「褒めてるんだよ」

 

そう言われ、アンジュが嬉しそうに微笑んだ。

 

「さて、と...久しぶりのベッドだ。ゆっくりお休み」

 

タスクとマサトは立ち上がってそう言うと、アンジュは言う。

 

「タスクとマサトは?」

 

「俺は下の階で見張る.....タスクは寝てろ」

 

「え?けど......」

 

「ヴィルキスの修理に頑張っていたんだ.....」

 

「そうよ、」

 

アンジュとマサトがタスクに推しきる。

 

「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…」

 

こうなるのも当然のことだった。タスクはそのまま反転すると、ソファーに腰を下ろす。が、その瞬間、ソファーは音を立てて壊れてしまった。やはり経年劣化は否めなかったのだろう。その姿にアンジュとマサトは楽しそうに笑い、タスクの悲鳴とソファーが壊れた音で近くの部屋で休んでいたヴィヴィアンが思わず目を覚ましてしまっていた。

 

「もう! 何してるのよ♪」

 

「ははは....♪」

 

アンジュの突っ込みにタスクも苦笑するしかなかった。そしてひとしきり笑った後、アンジュは頬を染める。そして、

 

「こっち、来たら....?」

 

と、自分が座っているダブルベッドにタスクを誘ったのだった。

 

「いっ!?流石に、そこまでは.....」

 

アンジュの大胆な誘いにタスクも当然のように頬を赤らめる。マサトは微笑みながらタスクとアンジュに言う。

 

「じゃ、二人とも楽しんで♪」

 

マサトはそう言うと、下の階へ下りる。するとマサトに異変が起きた。

 

「あれ.....?」

 

頭がクラクラし、そのまま階段から転がりながら気を失う。それと同時にドアが開き、ナオミが現れ、目の前に倒れているマサトへ駆け付ける。

 

「マサト!......マサト!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の中.....何処か知らない荒廃した寺院、強い風、美しい紅葉を生やした一本の木........幼い子供にボールを投げる男性。

 

「お父さん.....お父さん......」

 

何処から途もなく聞こえてくる男の子の寂しい声......和間で手鞠を作っている女性。

 

「お母さん.....お母さん......」

 

何処か知らない寺院の扉の隙間から光が漏れており、少年は隙間を通して見る。

 

「お父さん.....お母さん......」

 

奥の間に、白衣を着た父親と母親、そして複数の白衣を着た人達が、何かを研究者していた。少年は母親に作ってもらった手鞠を持っており、哀しそうな表情をする。

 

その広間には色んな化石、遺物、古墳があり、研究者達はそれで何かを調べていた。すると少年はポケットからストローと石鹸液が入った容器を取り出し、シャボン玉を作る。するとその子の父親と母親がシャボン玉が浮いている事に気が付き、少年の方を向く。

 

「あ......」

 

その子の父親と母親は、我が子を見て、仕方なさそうな表情をし、少年を抱き上げる。

 

「真人.......世の中には、不思議な物がある......その中の"天使と悪魔"もそうなんだ♪」

 

「そう......かつて人類は、天使と悪魔を崇めていたのよ.......けど、その中には"偽神"って言う.........神様に振りをした悪い神様がいるの.........それを退治するのが、"黒い天使達"と......"白い悪魔達"なの........貴方はその白い悪魔と共に、世界を変える子よ♪」

 

父親と母親は分からない言葉を言うと、目の前に巨大な機械人形が座っていた。さらに、その後ろにはあらゆる場所から光が発光している船があった。するとその子の父親は光る船を見て、呟く。

 

「これ以上......."アイツ"の思い通りにはさせん......」

 

「えぇ、放って置けば、政府に悪用されてしまうわ.........."諒"君.......急いで真人の為に『Leos』と『Exs』を完成させましょう.......そして産まれてくるこの子のにも.....」

 

母親はそう言うと、下腹部を撫でる。

 

「そうだな......"華怜"........この世界に、黒歴史を刻まれないようにしなければ........」

 

父親の方を『諒』、母親の方を『華怜』と名乗る男女は我が子と一緒に、機械人形を見つめる。っが、その幸せがやがて、絶望へと変えた。血だらけの青年が医師に運ばれており、諒と華怜、そして青年の妹が泣き崩れながら、見守る。

 

「真人ーっ!......真人ーっ!」

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

 

そして真人と名乗る青年が手術室に入り、治療が始まる。そして数時間が経過し、治療が終わり、医師から衝撃の言葉を吐いた。

 

「残念ですが........」

 

「...........そんな......」

 

華怜は息子の死に、その場で泣き崩れる。父親は壁を殴り、悔やみ、妹は母を慰めようとするが、兄の死で、母親と共に泣き崩れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、マサトは目を覚ます。そこにはアストラやリナ、マティス達、そしてアンジュやタスク、ドラゴン状態のヴィヴィアン、ナオミがマサトを心配していた。

 

「マサト....大丈夫か!?」

 

「え?.....うん」

 

マサトは起き上がり、辺りを見渡す。そこは大型のコンテナであった。

 

「ここは?」

 

「彼方からの迎えだ」

 

「迎え?」

 

マサトは混乱していると、タスクが言う。

 

「ドラゴンからなんだ」

 

「ドラゴン!?」

 

マサトは驚くと、アストラは冷静に言う。

 

「そうだ.......マティスやナオミに言ったな........ここは、ドラゴンの世界.......お前達がいた『偽りの世界』ではなく、『本当の世界』だ.....!」

 

アストラの衝撃の言葉に、マサトやアンジュ、タスク、ヴィヴィアンが驚く。

 

「本当の世界!?どういう事なんだ!?」

 

「説明は、都に着いてからだ.....」

 

するとコンテナ内に振動が走る。

 

《うわぁぁぁっ!!??》

 

「ちょっ!?ちょっと!、何処触ってんのよ!」

 

「ふ!、不可抗力だって!」

 

「何時まで発情してる気!?」

 

「そんな!してない、してないよ!」

 

「終了!、閉店!、お座り!!」

 

「グホッ!」

 

タスクが殴れると次の声がする。

 

「タスク!何処に顔を埋めているのだ!!?」

 

「ご!ごめん!セリグハッ!!」

 

今度はセリカの股に顔を埋めてしまい、さらに、ナオミのお尻や、メリーの胸に触れてしまうドタバタ劇が始まり、その光景を見ていた男子達はタスクのラッキースケベな光景に呆れていた。

 

「タスクって........何でこんなスーパーラッキースケベな体質持っているんだろう?」

 

マサトはコンテナ内でそう呟くのであった。




最後の方の、タスクのラッキースケベ........パワーアップして『スーパーラッキースケベ』の体質にしています!これからなドタバタ劇を楽しみにしてください♪


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第25話:明かされる過去 (前編)

 

振動が止まり、コンテナの扉が開く。待っていたのは

 

「着いたわ。出なさい」

 

青い服が『ナーガ』と緑の服が『カナメ』が二刀の小太刀と薙刀を持って構えていた。

 

マサト達は宮殿の目にして見とれる

 

「大巫女様がお会いになる、こちらへ」

 

っとヴィヴィアンの背中に麻酔弾が撃ち込まれ、それにヴィヴィアンは気を失う。

ヴィヴィアンの異変に気付いたマサト達はヴィヴィアンの方を向く。

 

「 ヴィヴィアン!?」

 

「ヴィヴィアンに何をしたの!?」

 

アンジュが問うとナーガとカナメは警戒するかの様に構える。するとアストラが前に出る。

 

「止せ......ヴィヴィアンは治療を受ける為、少しばかり眠ってもらうだけだ」

 

「治療?」

 

マサト達は疑問を持ちつつも、ナーガとカナメに連れられる。

 

そして玉座の間に着いたマサト達、そこに数人の者達がその場に座っていて、すざれに隠れていた。ナーガ、カナメ、そしてアストラが一番上にいる者に問う。

 

「「連れて参りました」」

 

「ただいま、戻りました」

 

「え!?」

 

マサト達はアストラの言葉に驚く。

 

「久し振りだの、アストラ......その者達がお主の弟と妹、戦士達、そして異界の女か?」

 

それにアンジュは大巫女を睨みつけるも、大巫女はそれを無視しながら続ける。

 

「そしてお主がレオスに選ばれた"魔女の子"か?」

 

「魔女の子.....?」

 

「アストラの弟よ、名は何と申す?」

 

「人の名前を聞く時は、まずは自分から名乗りなさいよ!」

 

っとアンジュが怒鳴り声で叫び、それに他の者達はざわつく。

ナーガとカナメはアンジュに睨みつける。

 

「大巫女様に何たる無礼!」

 

マサト達は頭を抱えつつ、タスクは小声でアンジュを抑える。

 

「ちょっとアンジュ!」

 

しかし大巫女はアンジュの問いには全く答えずに言い続ける。

 

「『特異点』は開いておらぬが、そなた達はどうやってここに?」

 

それに対するかの様にアンジュも黙り続ける。

 

「大巫女様の御膳ぞ! 答えよ!」

 

「あの機体、あれはお前の者なのか?」

 

他の者達がなりふり構わず問いかけにアンジュはキレそうになるが、アストラが止める。

 

「巫女の方々よ、少し静まって下さい......巫女様、先ほどお話ししました通りに彼らがどうやって此処に「レオスとヴィルキス........双極の紅き悪魔と偽りの白き天使」」

 

っと別の女性の声が聞こえ、そのすざれから女性が出て来た。

その女性にマサトとアンジュは見覚えがある女性、それはアルゼナルを襲撃してきたあの美しい女性だった。

 

「あっ!」

 

「あなた!」

 

「神祖『アウラ』の末裔にしてフレイヤの一族の姫、近衛中将サラマンディーネ」

 

マサトはサラマンディーネ知るが、しかしアンジュはサラマンディーネを睨みつけていた、アンジュはアルゼナルを潰した事を根に持っていた。

 

「ようこそ真なる地球へ、偽りの星の者達よ」

 

「知っておるのか?」

 

大巫女がサラマンディーネに問いかけ、それにサラマンディーネが答える。

 

「この者ですわ、先の戦闘で我が機体と互角に戦った、ヴィルキスの乗り手は」

 

「あの者が.....」

 

大巫女がアンジュをそう見て呟き、そして他の者達が大巫女に言いだす。

 

「他はともかく!あの女は危険です! 生かして置くわけにはなりません!」

 

「早急に処分を!!」

 

「やれば、死刑には慣れている、ただし…ただで済む事は思わない事ね」

 

すると何処から途もなく、アンジュを4つのレーザーライトが照らされる。よく見ると、天井や陰に狙撃班がブラスターライフルを構えていた。

 

「止めろ、お前達!」

 

アストラが大声で止めようとすると、

 

「お待ちください皆さん、この者はヴィルキスを動かせる特別な存在。そしてレオスはあのオルトとマナミアが造られた機体であり、その内の一機を操るのがその彼等の義子です。ここは生かして置く方が得策かと....」

 

っとサラマンディーネが言った言葉にマサトは思わず驚き、それにはマティス達やリナも驚いた。

 

「この者達の命....私におわずけ頂けませんか?」

 

「私からも頼む。マサトには本当の事を話したいんだ.......」

 

サラマンディーネとアストラの言葉に周囲は納得したようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

客室に案内されたアンジュ達。

サラマンディーネとアストラは座り、マサト達に御茶と菓子を用意する。

 

「さて、何から聞きたいんだ?」

 

「ここは......本当に地球なのか?」

 

タスクの問いにアストラは肯定の首を縦に振る。

 

「なら。お前らは一体なんだ?」

 

「......人間ですわ」

 

「だけど、人間は俺達だ……だとしたらどう言う?」

 

「地球が二つあるとしたら、信じるか?一部の人間がこの並行な地球を捨て、移り住んだのが、お前達が住んでいる偽りの地球だ」

 

「……何故、そんな事を?」

 

「あなた達はあの廃墟を見たはずです。この星で何が起きたのかを.......」

 

「世界戦争に環境汚染か.....それで移り住んだというわけか?」

 

タスクは見て来た事を呟いて頭を下げ、それにマサトは次の質問を問う。

 

「あのぅ、サラマンディーネさん.....話しを変えるけど、どうして兄さんと?それに俺が"魔女の子"やら"義子"って.......」

 

「........その事は、親父とお袋に聞け」

 

すると客室の戸が開き、現れたのは白衣を着たオルトとマナミアであった。

 

「父さん、母さん!?」

 

「御父様、御母様!?」

 

マサトとリナ、マティス達も驚く。

 

「「マサト.......リナ......」」

 

アンジュはマサトとリナの両親であるオルトとマナミアを見て呟き、それにサラマンディーネが頷く。

 

「ええ、そうですわ」

 

そしてマナミアがマサトとリナに向かって行って抱き付き、マサトとリナはマナミアの方を見る。

 

「二人とも、大きくなったわね!」

 

「どうして父さんと母さんが此処に…?!」

 

「マサト、今からその事をすべて説明させます。偽りの世界の真実を...............」

 

そう言ってサラマンディーネとオルト達はマサト達を連れて行き、ある場所へと向かう。そこは何と、もう一つのアケノミハシラであった。

 

「アケノミハシラが....ここにも?」

 

「『アウラの塔』とわたくし達は呼んでいます。嘗てのドラグニウムの制御施設ですわ」

 

「ドラグニウム....?」

 

マサトは聞き覚えのない物を問い、サラマンディーネ達は制御施設内を進みながら説明していた。

 

「ドラグニウム、22世紀末に発見された強大なエネルギーを持つ超対称性粒子の一種」

 

そしてあるエレベーターの場所に着き、サラマンディーネがそれを操作して下へと向かって行く。

 

「世界を照らす筈だったその力は、すぐに戦争へと投入されました。そして環境汚染、民族対立、貧困、格差、どれ一つも解決しないまま人類社会は滅んだのです」

 

「なるほど......」

 

マサトの問いに皆も頷く。人は強大なエネルギーをすぐに兵器にする事を優先とする本質がある、しかし間違いだと知るのはいつも後になり後悔するばかりであった。

 

「そんな地球に見切りをつけた一部の人間たちは、新天地を求めて旅立ちました」

 

「似たような話、聞いた事あるわ」

 

っとアンジュはその事をサラマンディーネに言い、それにマサトはタスクの方を向き、タスクは頷くと同時に分かった。教えたのはあのジルだと。そして目的地へと到着したエレベーターは止まり、サラマンディーネはエレベーターを降りながら言う。

 

「残された人類は汚された地球で生きて行く為に一つの決断を下します」

 

「一つの決断?」

 

ガイの言葉にサラマンディーネは頷いて言い続ける。

 

「自らの身体を作り変え、環境に適応する事」

 

「作り変える?」

 

アンジュはサラマンディーネが言った言葉を聞き、それにサラマンディーネは頷く。

 

「そう、遺伝子操作による生態系ごと…」

 

そしてマサト達の前に巨大な空洞が広がり、それにマサトは問う。

 

「ここは?」

 

「ここに『アウラ』が居たのです」

 

「アウラ…?」

 

アンジュはその事を問うと、サラマンディーネはある装置でホログラム映像を付ける。するとマサト達の目の前に見た事もない白く輝くドラゴンが現れる。

 

「綺麗なドラゴン......」

 

「アウラ、汚染された世界に適応する為、自らの肉体を改造した偉大なる子孫。あなた達の言葉で言うなら、『最初のドラゴン』ですね」

 

サラマンディーネの説明にマサト達はまたしても驚きの表情を隠せない。これ程の真実を聞かされて、戸惑いを表さない者はいない。

 

「私達は罪深い人類の歴史を受け入れ、食材と浄化の為に生きる事を決めたのです、アウラと共に。男達は巨大なドラゴンへと姿を変え、その身を世界の浄化の為にささげた」

 

「浄化…?」

 

アンジュがその事を問い、それをサラマンディーネが説明する。

 

「ドラグニウムを取り込み、体内で安定化した結晶体にしているのです。女たちは時に姿を変えて、男達と共に働き、時が来れば子を宿し産み育てる、アウラと共に私達は浄化と再生へと道を歩み始めたのです」

 

元の景色に戻すとサラマンディーネが少しばかり重い表情をする。

 

「ですが......アウラはもういません」

 

「どうして?」

 

「奪われたんだ......」

 

「奪われた?誰に?」

 

「ドラグニウムを発見し、共にラグナメイルを開発、世界を壊し捨て、トリスタン連邦を滅亡させ、イクスを奪った、全ての元凶を....."ネロス"に!」

 

《っ!!?》

 

マサト達は驚くと、アストラは話を続ける。

 

「そして、ネロスは.......マナを造り上げ、新たな人類を誕生させた。マサト......マナの光は何で出来ているか知っているか?」

 

「え?......マナの光は最初からあって、.........まさか!!?」

 

「そう、マナの光.......それは、ネロスによって奪われたアウラから放たれるドラゴニウムの粒子なのだ」

 

「何だって!?」

 

「そして、ネロスが率いるディーラはマナの光を自在に操ることができる。洗脳、欲望、暴力にさせたり、人を操り人形にすることだって可能なんだ。」

 

アストラの衝撃の事実を聞いたマティス達は、自分達の持つ『マナの光』は実は呪われた手錠を掛けられていることに、嫌気が察していた。

 

「だが、安心するんだ......お前達が持つアルケミスト学院の者達に授けられしレイヴニウムはネロスの呪縛に掛からない.......それに、今までお前達がドラゴンと戦ってきたあの戦い.........それは【偽りの戦い】だ」

 

「偽りの戦いって…」

 

「あなた達が私達の同僚を殺している事にあなた達の世界が維持されてることです」

 

あの世界にマナのエネルギーを維持しているのはドラゴンの心臓から取り出されたドラグニウムだと言う、ドラゴンからドラグニウムを取り出すにはドラゴンを連れて行く必要があるらしい、それを可能とするのがマサト達が今まで行って来たあのドラゴンとの戦いであった。それを聞いたアンジュはある事を思い出す。

 

「(あれってそう言う事!?)」

 

そう、あれはタスクと二人っきりで無人島で見た、凍結されたドラゴンが輸送機に運ばれている光景。

 

「分かって頂けましたか? 偽りの地球、偽りの人間、そして偽りの戦いと言った意味が」

 

アンジュはサラマンディーネが自分達の世界の偽りの真実を話して、マサト達はアンジュとサラマンディーネの方を向く。

 

「それでもあなたの世界に帰りますか? 偽りの地球へ」

 

「当然でしょ! 貴方の話が全部本当だったとしても私達の世界はあっちよ!」

 

「ちょ!ちょっとアンジュ! 話を聞いてたの!?」

 

タスクはアンジュを慌てて止めるも全く聞かず、マサト達は少しばかりアンジュの勝手癖に飽き飽きしていた。

 

「そうですか…では貴方だけを拘束させて頂きます、これ以上私達の仲間を殺させる訳には参りませんから」

 

「やれるものならやって見なさい!」

 

アンジュはそう言うと、持っていた破片を向けるが、突如サラマンディーネの尻尾がアンジュが持っている破片を叩き落とし、彼女の翼が大きく広げられて、それにマサト達は目を見開く。

 

「本性を現したわね!トカゲ女!!」

 

っとアンジュはサラマンディーネに殴り掛かるも、いとも簡単にかわされる。それを見ていたマサト達、マサトはアストラに問う。

 

「これ.......アンジュの奴、サラマンディーネさんに勝てると思う?」

 

「当然、無理だな......何せ、サラマンディーネは俺の........"許嫁"だ♪」

 

「ふ~ん.............はい~っ!!?」

 

マサト達はサラマンディーネがアストラの許嫁だと言うことに、仰天する。

 

《アストラさん!/兄さん!/御兄様!、婚約者いたのですか!!?》

 

マサト達が驚いている中、アンジュはサラマンディーネに簡単に後ろを取られてしまう。

 

「殺しはしませんよ、私達は残虐で暴力的なあなた達とは違います」

 

「アルゼナルをぶっ壊して置いて、何を!!」

 

アンジュが強引に振りほどくも、すぐに間合いと取られる。

 

「あれは【龍神器】の起動実験です。あなた達はアウラ奪還の妨げになる恐れがありましたから。ですが義理の弟のマサトとアルケミスト学院のメンバーを除いては...」

 

っとマサトはその事に反応し、アンジュはサラマンディーネの事に意味が分からなかった。

 

「はぁ!? 何よそれ!! 何でマサト達は除かれるのよ!? それにそれで何人死んだと思ってんの!!」

 

「許しは請います」

 

アンジュは再び殴り掛かるも、すぐにかわされて空に浮かぶ。

 

「私の世界を護る為です、あなたも同じ立場なら同じ選択をしたのではありませんか? 皇女アンジュリーゼ」

 

「えっ!?」

 

「貴方の事はよく聞いていました、『リザーディア』から。近衛長官リィザ・ランドックっと言えば分かりますか?」

 

その言葉を聞いたアンジュ、そしてマサト達は目を開かせる。

 

「リィザ.....?」

 

「あ、それって....アンジュさんのお兄さんのそばに居たあの人だ....」

 

エルマの言った言葉にマサトは思い出す

 

それにはアンジュもサラマンディーネの言葉を聞いてようやく気が付く。

 

「リィザ....? あいつ.....あなた達の仲間?」

 

ようやく分かった事に気が付いたアンジュはサラマンディーネの方を向くと、サラマンディーネはそれに笑う。

それを見たアンジュは馬鹿にされた事に怒りが爆発する。

 

「バカにして!!!」

 

アンジュが向かおうとした直後、マサトは急いでアンジュの背後に回り込み、義手で首筋に強くチョップした。

 

「な......んで......?」

 

「いい加減してくれ.....全く....」

 

そうレオンは言い残して、アンジュはそのまま気を失う。

気を失ったアンジュをレオンはタスクに渡す。

 

「心配するな、気絶しただけだ......」

 

そう言ってマサトはサラマンディーネの方を向く。

 

「俺も、サラマンディーネさんの同胞をたくさんも殺してしまった.......俺はあの頃の自分を殴りたいと思っている......だから.....」

 

マサトは両膝を着き、頭を地面に付け、深く下げる。

 

「本当に申し訳ない......義姉さん.......」

 

「私からもお願いします!どうか、兄様を御許しください!」

 

リナも深く頭を下げると、マティス達も頭を深く下げる。

 

「俺も......」

 

「私も.....」

 

「僕も......」

 

マサト達の行動を見て、アストラ達は少し困った表情をしながら顔を見合わせる。

 

そしてサラマンディーネは微笑みながら床に降り立ち、羽を仕舞いながらマサトに近づく。

 

「顔を上げなさい......」

 

そう言ってサラマンディーネはしゃがみ込んでマサトの手を取り、それにマサトは頭を上げる。

 

「アストラや御義父様、御義母様には言えない秘密があったのです......」

 

っとそれを聞いたマサトは目を見開くと、オルトが言う。

 

「マサト......実は、私たちは、お前の親でも無いんだ.....」

 

「え!?」

 

「そう.......私達は、幼児であった貴方を守っていたのです.......」

 

「守っていた!?どういう事なんだ!?」

 

「貴方は.......10年前のリベルタスで戦死した.......トリスタン連邦の総統『ユリウス』妻の『イリス』の子なの........」

 

オルトとマナミアの言葉に、マサト達は驚く。

 

 

 

 

 

 

 

 

遡ること10年前...........リベルタス開始までの10分前。

トリスタン連邦の残党軍の最高指導者ユリウス・ブライスと、妻のイリス・ブライスはタスクの父と母 イシュトヴァーンとバネッサ、古の民達、若き頃のオルトとマナミア、共に作戦を練っていた。

 

「本作戦は双極の悪魔と∀ガンダム、エクセリアの奪還、そして悪きネロスが率いるディーラ討伐だ.......質問は?」

 

ユリウスの問いに『不死鳥の三銃士』の団長 ロバートが手を上げる。

 

「ユリウス総統、九大名門貴族連合からの助けは来ないのですか?」

 

「..........きっと来る、九大名門貴族連合が.....寝返る筈がない」

 

ユリウスはそう言うと共に、作戦開始の準備をする。

 

 

 

 

 

 

格納庫に集まった古の民達、トリスタン連邦隠密部隊、突撃部隊、共に戦うノーマ、アストラがいた。そしてイシュトヴァーンとユリウスがそれぞれの機体の中で話し合っていた。

 

『ユリウス』

 

「?」

 

『この戦い.......多分、勝てないと思うんだ......』

 

「.........何でそんなことが言えるんだ?」

 

『......何でかな?、俺に分からないんだ........けど、分かるんだ.........このリベルタスは、失敗するって........』

 

「.......そうか、.......だが、失敗したとしても、レオスとイクスとエクセリア、そして∀だけでも奪還しなければならない.......それだけは守れよ、『ヴィルキスの騎士』 イシュトヴァーンよ......♪」

 

ユリウスはイシュトヴァーンに笑顔を見せる。イシュトヴァーンは呆れたが、決意を胸に、モビルアーマー『ノイエ・ジール』に乗り込む。ユリウスやイリスも『ホットスクランブルガンダム』と『レギナ』に乗り込む。バネッサのアーキバス、アレクトラのヴィルキス、アストラはフェニックス・ゼロに乗り込み、不死鳥の三銃士の団長のロバートが使うフェニックスガンダム、アリサのハルファス、ユーシスのバルバトスと共に空を舞う。それに付いていくかのようにトリスタン連邦の残党兵と古の民、ノーマ達はレオスとイクスとエクセリアと∀が格納されているミスルギ皇国へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

リベルタス開始から20分後、ミスルギ皇国湾岸線........ディーラの艦船『アルゴス』級大型巡洋艦二隻と巡回するディーラの主力モビルスーツ『オルガノス』がシールドゲートを守っていた。港や地上にも、オルガノスや『ジェネファー』級機動殲滅機等の大型モビルスーツが巡回していた。

そしてユリウス達は海中から身を潜め、隠密部隊を待つ。隠密部隊の隊長である『アネーシャ』と副隊長のメルソンが古の民と隠密部隊、突撃部隊を強奪した輸送機に潜り込み、ディーラのシールドゲート内.......ミスルギ皇国へと侵入した。そして隠密部隊は身のこなした迷彩やスキルで、巡回するディーラトルーパーを暗殺していき、敵の補給タンクや予備タンクにC4を取り付ける。アレクトラとバネッサ、メイの姉あるフェイリンとノーマ達はシールドゲートに近い森林の中に身を潜める。

 

「合図を待て.......」

 

アレクトラがユリウスの命令を待つ。アネーシャの方では敵のセキュリティタワーをハッキングし、標的ををディーラトルーパーやディーラタンクに書き換える。

 

「良し!」

 

アネーシャからの報告を受け、イシュトヴァーン達と共に待機していたユリウスが命令をした。

 

「始めてくれ....!」

 

ユリウスの命令を聞き取り、アネーシャはC4の起爆スイッチを入れた。補給タンクと予備タンクが大爆発を起こし、付近にいたディーラトルーパーが吹き飛ぶ。司令塔から見ていたディーラの幹部『クイーン』はその光景に慌てる。

 

「何をやっているのです!?行けぇっ!!」

 

クイーンの怒鳴りに司令塔にいる全ディーラトルーパー部隊やシールドゲートを守っていたオルガノスとジェネファーが向かう。そしてシールドゲートが開くと同時に、アレクトラはゲートの内部に取り付けていたC4を起爆した。ミスルギ皇国の周りを覆っていたシールドが消え、ディーラは焦り出すと、ユリウス達が海中から現れ、後ろからオルガノスとジェネファーに攻撃を開始した。背後を取られたディーラは急いで旋回し、セキュリティタワーを起動したが、セキュリティタワーはユリウスではなく、自分達に攻撃する。一方、ディーラトルーパー部隊はモビルスーツとの迎撃しようと、ゲートを抜け出そうとした直後、アネーシャ率いる隠密部隊と突撃部隊、古の民がライフルとブラスターライフルを乱射する。

 

「待ち伏せだぁ!!」

 

ディーラトルーパーは急いで応戦する。

 

 

シールドゲート外では、ユリウスがニュータイプの能力でホットスクランブルガンダムのフィン・ファンネルを動かす。

 

「ファンネル!!」

 

ファンネルが向かい、オルガノス、ジェネファーを破壊していく。するとアルゴス級巡洋艦が主砲を発射してきた。ユリウスはフィン・ファンネルでファンネルシールドを組み、主砲のビームを拡散させた。

 

「ファンネル!殺れ!!」

 

ファンネルが一気に巡洋艦を目指し、ブリッジに目掛けて、ビームを放った。巡洋艦のブリッジが火を吹き、ゆっくりと墜ちていく。

 

「アルゴス級の一隻を仕留めた!!」

 

その光景を見ていたクイーンは舌打ちをする。

 

「チッ!仕方ない.......『バルバドロ』を出せ!私自らでる!!」

 

クイーンはそう言い、護衛のトルーパーと共に格納庫へと向かっていった。

 

 

 

地上では、大きな戦いになっていた。アレクトラが率いるパラメイル隊と合流したアネーシャは次々にディーラトルーパーを撃退していく。その直後、何処から途もなく轟音が響いた。副隊長のメルソンが煙の中から現れたモビルアーマー『バルバドロ』を見て、叫ぶ。

 

「アネーシャ!アレクトラ!バネッサ!逃げろ!!」

 

アレクトラ達はバルバドロを見て変わり、急いで退避させる。逃げ惑う兵士にバルバドロの粒子砲が直撃し、味方の大半が焼死した。

 

その光景に、ユリウスとイシュトヴァーンは驚く。

 

「まずい!このままだと皆が!」

 

『バネッサ!!』

 

イシュトヴァーンはノイエ・ジールを動かし、バネッサの所へ向かう。

 

「イシュトヴァーン!」

 

その時、ユリウスの元にイシュー家とウォーレン家、ボードウィン家の大艦隊が特異点を開いて、現れた。

 

『貴族連合提督 "アダムス・イシュー"だ!ユリウス総統、ここは我等イシュー家とウォーレン家が応戦する!貴方はレオスの方をお願いします!』

 

「........分かった、アダムス・イシューよ!」

 

ユリウス達は急いで、イシュトヴァーンの後を追う。

 

「さて、」

 

アダムスは前方にいるアルゴス級巡洋艦を睨み付ける。

 

「この奪還作戦......絶対に成功させる!!」

 

イシュー家とウォーレン家の艦隊からレギンレイズ、グレイズ、グレイズリッターが発進し、アルゴス級巡洋艦を攻撃する。

 



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第26話:明かされる過去 (後編)

 

クイーンのバルバドロから退避しているアレクトラ達は物陰に燃え盛る住宅街に隠れる。

 

「クソッ!」

 

アレクトラはヴィルキスを動かし、ラツィーエルでバルバドロに斬りかかるが、バルバドロの装甲が固く、ラツィーエルの刃が掻けた。

 

「チッ!固すぎる!」

 

その直後、バルバドロの有線式クローアームが伸び、アレクトラを囲む。

 

「アレクトラ!!」

 

バネッサが叫び、アレクトラは死を覚悟した直後、別のビームが有線式クローアームを破壊した。

 

「何っ!?」

 

クイーンはビームが飛んできた方角を見ると、ホットスクランブルガンダム、ノイエ・ジール、フェニックスガンダムとフェニックス・ゼロ、ハルファスガンダム、バルバトスガンダム、レギナ、護衛のグレイズが飛来した。

 

『助けに来たぞ!!』

 

イシュトヴァーンが愛するバネッサを守ろうと、有線式クローアームでバルバドロを攻撃する。アネーシャ達がグーサインや大声で助けに来てくれた貴族連合やユリウス達に言う。

 

「ナイス!!」

 

「ありがとう!」

 

「おっし!行くぞぉぉぉっ!!」

 

アネーシャ達が一気に、モビルスーツがある格納庫へと前進する。

 

イリスはレギナの背部に搭載されている武装『バインダーシールドライフル』でバルバドロのスラスターを破壊する。ロバートはフェニックスガンダムのフェザーファンネルで追撃してくるオルガノスとジェネファーを撃墜していく。アリサとユーシスもハルファスガンダムとバルバトスガンダムでバルバドロのIフィールドジェネレーターを破壊していく。

 

「小賢しいドブネズミがぁっ!!!!」

 

クイーンが怒りだし、バルバドロの小型のメガ粒子砲を一斉に発射する。敵も味方も問わず、モビルスーツが破壊されていく。イシュトヴァーンはノイエ・ジールのIフィールドでバネッサやアレクトラを守り、ユリウスもフィン・ファンネルでイリスを守る。バルバドロが粒子砲を発射しながら、大型クローアームを展開して、応戦する貴族連合のグレイズやパラメイルを破壊していく。

 

「こうなったら!」

 

ユーシスがバルバトスガンダムが、ピーコックモードへと変形し、20門のビーム砲をバルバドロへ発射した。

 

「確かにIフィールドはビームを拡散、無効に出来る!ならそれを........押し出すまでだ!!!」

 

ユーシスとアイリス、アストラが連携でビームを集中攻撃する。バルバドロに発射し続けると、バルバドロのIフィールドジェネレーターがオーバーヒートし始めた。

 

「皆!頼む!!」

 

ユーシスの命令に、生き残ったパラメイル隊がある武器を取り出す。

 

「了解!全機、イオン・ビーム発射!!」

 

パラメイルの先端に装備されているライフルの銃口からビームが発射された。ビームはバルバドロの装甲に命中し、電磁波が波のように機体に回り込む。

 

「何だ!?」

 

バルバドロの機能が停止し、ビーム砲の発射が納まる。

 

「何で動かないの!!?」

 

クイーンが必死に機能を回復させようとしているが、何も反応しなかった。

 

「バルバドロとクイーンを仕留めたぞ!!モーガン、頼む!!」

 

『応!!』

 

そこに貴族連合艦隊が飛来し、イシュー家の旗艦の船頭部にメリーの父親『モーガン・ラッセル』のグレイズが特殊弾丸『ダインスレイヴ』を構えていた。

 

「何時でも射てるぞ!!」

 

モーガンがバルバドロのコックピットに狙いを定める。

 

「集中して........ただ、引き金を引くだけ.......」

 

皆の思いを胸に、アダムスの号令と共に、モーガンはレールガンのトリガーを引いた。

 

『喰らえ!!スーパーギャラクシーカノン!!!』

 

砲口から槍状の弾丸『ダインスレイヴ』が射出され、音速を越えて針が布を縫うように、バルバドロの装甲やフレームごと貫いた。

 

「あああああああああっ!!!!!!!」

 

クイーンは断末魔の悲鳴をあげ、バルバドロが大爆発を起こした。それと同時に貫通したダインスレイヴがそのまま司令塔に直撃し、下で配備されていたディーラトルーパー達は崩れる司令塔の残骸に潰されていく。

 

「前進!!!!」

 

アネーシャ達が残存しているトルーパーのブラスターを避けながら、前進する。

 

「突撃!!悪魔を奪え!!」

 

ユリウスの号令と共に、全勢力が格納庫へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あったぞ!!」

 

アネーシャが格納庫で双極の紅い悪魔『レオス』と同型の悪魔『エクセリア』、そして『∀ガンダム』をイシュー家の旗艦に運び出す。

 

「良し、後はイクスだけだ!」

 

フェイリンが言うと、バネッサが上空に何かに気付く。

 

「あれは何!?」

 

皆は上空を見る.......黒い雲から蒼く輝く悪魔がゆっくりと舞い降りてきた。

 

「イクスだ!!乗っているのはネロスだ!!不死鳥の三銃士、イクスを撃って!!」

 

ロバートとアリサ、ユーシス、アストラが迎撃に向かう。

 

するとイクスが不気味な音声を発する。

 

『ファンネル進化 イグニス・フェイズ』

 

イクスの真後ろから、白いドレスアーマーが現れ、イクスはドレスアーマーを装着する。

 

「ファンネル」

 

ドレスとなっているスタビライザーが分離し、大型のフィン・ファンネルが不死鳥の三銃士に襲い掛かる。アリサのハルファスがイクスのファンネルで翻弄され、破壊された。

 

「アリサ!!クソォォッ!!!」

 

ユーシスがバルバトスをピーコックモードへ変形し、全周囲に拡散ビームを放つ。しかし、ファンネルは糸も簡単に回避し、バルバトスを破壊した。

 

「ユーシス!!この野郎!!!」

 

ロバートはフェザーファンネルを展開し、イクスのイグニスファンネルと応戦する。

 

「アレクトラ、今だ!!ネロスを撃て!!」

 

アレクトラはヴィルキスを動かし、ライフルを構えるが、

 

「どうしたんだ、アレクトラ!!?」

 

どういうことか、アレクトラはイクスを撃たなかった。そして1基のイグニスファンネルが真っ先にフェニックスガンダムのコックピットを貫いた。

 

「ゴブッ!!!」

 

「隊長ぉぉぉぉぉ!!」

 

アストラがロバートを助けようとするが、イグニスファンネルで両腕を切り落とされ、墜落する。

 

「「アストラ!!」」

 

ユリウスとイシュトヴァーン、バネッサとイリスは機体を起動し、イクスに攻撃する。

 

「ファンネル!!」

 

ユリウスはファンネルを展開した直後、ネロスは言う。

 

「やれやれ、君達は本当に.......」

 

『神馬進化 ミスティック・フェイズ』

 

イクスの後ろから、今度は白銀の人馬のアーマーが現れ、イクスはイグニスからミスティックへと変わった。

 

「君達には......本当の絶望を味会わせてやるよ♪」

 

ネロスは不気味な笑顔で返すと、ミスティックの背部から虹色に輝く蝶の羽を放出する。

 

「我が広げるは、明日無き翼!!」

 

ネロスは絶望蝶をゆっくりとユリウスの方向へ向ける。

 

「退避!!」

 

ユリウスの号令と共に、レオスやエクセリア、∀を乗せた貴族連合の輸送機が特異点を開き、中へ入っていくが、イシュー家とウォーレン家の艦隊があっという間に絶望蝶のナノマシンで原子分解されていった。一瞬で仲間が消されたことに、ユリウスは叫ぶ。

 

「クソォォォォォォォォォッ!!!!!!!!」

 

生き残ってしまったイシュトヴァーン、バネッサ、アレクトラ、アストラは悔やむ。

 

「これがイクスの力........."絶望"!!」

 

イシュトヴァーンはその仲間の死に、ネロスを睨み付ける。

 

「ネロスゥゥゥゥ!!!!」

 

イシュトヴァーンはビームサーベルを展開し、イクスへ降り下ろした。しかし、イクスのレーザーランスがノイエジールのコックピットを貫いた。

 

「貴方ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

白銀のが叫ぶと、ネロスはノイエ・ジールを放り投げた。するとネロスは笑いながら言う。

 

「愚かな旧世界の猿達よ........塵に変えれ!!!」

 

空が暗黒に染まり、周りから嵐が吹き荒れる。

 

「まさか!?」

 

「その通りだ、ユリウス君♪.......時空融合だよ」

 

時空融合の磁気乱雲が全てを呑み込む。そして死体が石の中に埋まっていく。バネッサとイシュトヴァーン、ユリウスとイリスは時空融合に巻き込まれる寸前にまで来ていた。するとユリウスがネロスに言う。

 

「ネロス!」

 

「?」

 

「お前の野望.....そして創った世界は........俺の息子『マサト・ブライス』が仇を取る!!"ニュータイプ"である私と......."イノベイド"であるイリスの子であるぞ!!それは忘れるな!!」

 

するとユリウスが自分の左腕を引っ張る。すると左腕の皮膚が引きちぎれると、それはレイヴニウムで出来た腕であった。

 

「アレクトラ!!」

 

ユリウスは左腕をアレクトラに渡す。

 

「このレイヴニウムを.......レオスのコックピットに置いてくれ!いずれレオスとマサトは革命を起こす『極限の希望』!ネロスみたいな『極限の絶望』の野望を打ち砕く者だ!!」

 

ユリウスはそれをアレクトラに言い伝えると、イシュトヴァーンとバネッサ、イリスと共に時空融合に巻き込まれる。それから数分後、右腕を失い、指輪をなくしたアレクトラがヴィルキス共に瓦礫の中から出てくる。すると何処からか少年の泣き声が聞こえてきた。

 

「父さん!......母さん!」

 

その声の正体は幼き頃のタスクであった。どうやら、貴族連合の戦艦の積み荷に紛れ込んでいたのか、ネロスの時空融合から免れていた。タスクは時空融合によって石の中に埋められたイシュトヴァーンとバネッサの亡骸を見て、泣いていた。そこに負傷したアレクトラが近付く。

 

「すまない、タスク..........私じゃダメだった........私じゃ、ヴィルキスを........皆を..........お前の父と母を助けられなくて.........!!」

 

アレクトラはそう言うと、タスクを置いて、ヴィルキスに騎乗し、アルゼナルへと向かった。置いていかれたタスクは悲しむ。すると瓦礫の中から血だらけのモーガンが出てくるモーガンは壊れかけのグレイズを動かし、タスクを乗せ、孤島へ向かっていった。アストラは時空融合によって、運良くサラマンディーネの世界に飛ばされており、そこでまだ7歳になるサラマンディーネやドラゴンに助けられた..........。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10年前の悲劇を知ったマサトはアストラが預かっていた四人が写っている写真を渡した。タスクも父と母の勇敢差に泣き崩れる。オルトとマナミアは涙を流していた。

 

「ごめんなさい......マサト...........ごめんなさい............貴方のお父さんとお母さんや仲間たちを助けられなくて.......!」

 

「........良いよ、母さん.......俺がユリウスとイリスの子供だとしても、俺はオルト・ラスタルとマナミア・ラスタルの息子.......アストラ・ラスタルとリナ・ラスタルの兄弟.......それが事実だよ.....」

 

「う、うぅぅぅ........!」

 

慟哭するオルトとマナミア.......事実を知ったマティス達も号泣する。

その後、宮殿に戻って、気を失ったアンジュを医務室へと連れて行ったマサト達、タスクはアンジュのそばにずっと居て、マサト達は近くの壁にもたれ、左腕を見る。

 

「この左腕........まさか俺の本当の父さんの左腕だったなんて........」

 

「ビックリ?」

 

セリカが壁にもたれているマサトに問う。

 

「うん......それと俺の本当の母さんがイノベイド(人造人間)だったなんてなぁ.......」

 

「だから、ガデラーザを動かせたんだ......」

 

マサトはそう考えていると

 

「おーい! 皆~♪」

 

マサト達は聞き覚えのある声が聞こえて、その方を振り向くとアウラの民の服装を着たヴィヴィアンがやって来た。

 

「ヴィヴィアン!」

 

「ヤッホー!ヴィヴィアン!! どうやって戻ったの?」

 

「さあ~ここでクイズです、私はどうやって人間に戻ったでしょうか!」

 

ここでヴィヴィアンのお得意のクイズが出て来て、それにマサト達は少々困った。理由は簡単.....何も知らないのにどうやって人間に戻ったか分からないからだ。

 

「ぶ~!残念! 正解は.....え~と~....何だっけ?」

 

《だぁ~~!!?》

 

「分からないなら、クイズ出すなよ!」

 

マティス達がずっこけ、マサトがツッコミを入れる。っとそこに医者の『ドクター・ゲッコー』がやって来る。

 

「D型遺伝子の制御因子を調整しました、これで外部からの投薬なしで人間の状態を維持出来る筈です」

 

「ニャハハ!、って事でした~♪」

 

「いやいやいや、ヴィヴィアンが答えた訳じゃないでしょ....」

 

リクトの言葉にヴィヴィアンは舌をペロっと出しながら笑う。

 

「あれ、アンジュは?」

 

「まだ、目ぇ覚めてないよ」

 

そう言ってるとドクター・ゲッコーがマサト達に問いかけて来た。

 

「失礼ですが、貴方のどちらか私の所に来てくれませんか?」

 

それにマサト達は考えていると、何か悪巧みを閃きをタスクを見る。

 

「それなら、タスクが行くって♪」

 

「えっ!?」

 

「ありがとうございます、ではこちらへどうぞ」

 

ドクター・ゲッコーの案内に付いていくタスク、それにはマサト達はタスクの行く姿に、笑う。この後、宮殿内からタスクの悲鳴と笑い声が聞こえてきたのであった。

 

「あ~.........御愁傷様......♪」

 

そして夜になり、アウラの塔で皆が集まっていた。そこにサラマンディーネが儀式用の蝋燭を手に持ち、皆の前に姿を現す。

 

「サラマンディーネ様よ!」

 

「サラマンディーネ様~!」

 

サラマンディーネの後ろにヴィヴィアンとその母『ラミア』が共に居た。

 

「何をするの?これから」

 

「サラマンディーネ様のマネをすればいいだけよ」

 

ラミアがそうヴィヴィアンに言ってほほ笑む、そしてレオンはその様子を人混みの中で見ていた。

 

「殺戮と試練の中、この娘を悲願より連れ戻してくれたを感謝いたします」

 

そう言った後にサラマンディーネは儀式の蝋燭を空へと舞い上げ、それに皆も同じように舞い上げる。

 

「アウラよ!」

 

『『『アウラよ!』』』

 

ラミアも同じように舞い上げ、隣に居るヴィヴィアンも同じように舞い上げる。

 

そしてマサトとナオミの所にアンジュ達がやって来る。

 

「綺麗な光景だね」

 

「おう、やっと来たか....アンジュ♪」

 

マサトがそう言ってる中でアンジュはマサトとタスクの方をずっと睨みつけ、それにマサトは少々苦笑いしながら謝る。

 

「機嫌治してよ~あれは本当に事故なんだから~」

 

「体の方は別でしょ?」

 

「え、嫌.....ハァ~」

 

アンジュは腕を組みながら今だに睨みつけ、それにマサトは少々ため息をしながら呆れる。

 

「笑わないでよ!」

 

「嫌、別に.....♪」

 

するとタスクは月を見て呟く。

 

「同じ月だ。もう一つの地球.....か」

 

「夢なのか現実なのか、分からないわ」

 

「だが、現実だ......全てが」

 

「えぇ、ヴィヴィアンが人間で良かった」

 

アンジュはヴィヴィアンの方を見ながら言い、それにマサト達は頷く。するとアンジュは不安に思っている事を言う。

 

「これからどうなるの? 私達、こんな物を見せて、どうするつもり?」

 

「知って欲しかったそうです、私達の事を」

 

っとそこにナーガとカナメがマサト達の元に来ていて、カナメがマサト達に話し続ける。

 

「そしてあなた達の事を知りたいと、それがサラマンディーネ様の願い」

 

「俺達の.....事を?」

 

「知ってどうするの? 私達はあなた達の仲間を殺した。あなた達も私達の仲間を殺した、それが全てでしょ?」

 

アンジュがそうナーガとカナメにそう言うも、カナメは頭を横に振る。

 

「"怒り"、"悲しみ"、"幸福"。その先にあるのは滅びだけです、でも人間は受け入れ、許す事が出来るのです。その先に進むことも....全て姫様の請け売りですが、どうがごゆるりとご滞在下さい....っと姫様の伝言です」

 

二人は頭を下げて、その場から離れて行く。

 

「信じるの?」

 

「私は信じる......人間は過ちに気付けば、受け入れ許す事が出来る......そう言う生き物だから♪」

 

ナオミはそうアンジュに言い、その中でタスクが月を見ながら言う。

 

「.....帰るべきだろうか」

 

「何?」

 

「アルゼナル、リベルタス、ネロス.......もし.....もう戦わなくて良いのだとしたら.....」

 

タスクのそれを聞いたマサト達は少々思いつめる表情をして空に浮かぶ儀式の蝋燭を見ながら考え込むのだった。

 

「ん?」

 

マサトがアウラ民の中に、あの時見た赤い少女が蝋燭を見ていた。

 

「あの娘は....!?」

 

すると赤い少女はマサトが此方を見ていることに気が付き、その場から離れる。

 

「待って!」

 

マサトは急いで赤い少女を追う。その様子を見ていたナオミが見ていた。

 




想像ですが、イシュトヴァーン役の声優は『速水奨』さんで、バネッサ役の声優は『嶋村侑』さんです♪


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第27話:導きの少女

今回の話は"鬼"が出ます。


 

マサトは赤い少女を追っていると、森の中に入る。すると霧が出てきだした。

 

「霧.....?」

 

マサトは霧で迷っていると、何処から途もなく少女の笑い声が聞こえてきた。

 

「!?」

 

マサトは驚き、ホルスターからハンドガンを取り出す。辺りを警戒していると、マサトの手に誰かが触れる。

 

「っ!?」

 

マサトはその方向にハンドを向けた。

 

「うわぁっ!!待って待って!マサト!」

 

その正体は、マサトを追ってきたナオミ、そしてアンジュとタスクであった。

 

「ナオミ!?それに、タスクとアンジュ......?何でここに?」

 

「それは此方の台詞よ!息なり何処かへ行こうとしてたから!」

 

「ごめん......赤い少女を追っていた。」

 

「「「赤い少女.....?」」」

 

三人は不思議に思っていると、また何処から途もなく少女の笑い声が聞こえて来る。

 

「「「「っ!!?」」」」

 

マサト達は警戒する。

 

「あれ!?もしかして、タスクやアンジュ、ナオミ........聞こえてるのか?」

 

「当たり前でしょ!?こんな不気味な笑い声!!?」

 

怯えるアンジュ、タスク、ナオミはいつの間にかハンドガンを取り出していた。

 

「ひゃっ!?」

 

「どうしだんだ!?」

 

「今、誰か私のお尻を!」

 

誰かがナオミのお尻に触れ、今度はアンジュの足に触れる。

 

「ひっ!ひやぁぁぁぁ~~!!??」

 

「のわっ!!」

 

アンジュは怯えながら、タスクに抱き付く。

 

「皆!落ち着け!落ち着くんだ!!」

 

マサトが三人を宥めようとした直後、背後から冷たい風が吹く。マサトはそっと振り向くと、目の前にあの神社で見た赤い少女がいた。それが見えている三人は悲鳴を上げる。

 

「「「ふぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」」」

 

すると赤い少女は四人に手招きする。マサトはハンドガンをホルスターに治め、赤い少女の所へ向かうと、少女は消え、数メートルの所へ姿を現す。マサトは黙って赤い少女の後を付いていく。

 

「行くの!?」

 

アンジュは怯えながら、マサトに問う。

 

「行きたくないなら、待っておけば?」

 

マサトはそう言うと、アンジュ達は仕方なく付いていく。

 

 

 

 

 

何分歩いたのか、マサトは赤い少女を追っていると、その場所に驚く。

 

「ここは!?」

 

そこは、前に赤い少女を追って、辿り着いた祠のある神社であった。すると赤い少女は紅葉の庭がある屋敷に入り込む。

 

「前に来たあの屋敷........彼処に、何か隠されているんだ。」

 

マサトは恐れず、屋敷に入る。中は相変わらずボロボロだが、庭の紅葉の木は綺麗であった。マサトはライトてあちこちを照らす。

 

「この屋敷に......一体何があるんだ?」

 

マサトはそう考えるが、一人は怯えていた。

 

「何なのよ、此所~!?」

 

アンジュは震えながら、タスクから離れないように付いていく。

 

「マサト、此所は一体?」

 

「俺にも分からない.....けど、何だか..........」

 

「「「何だか?」」」

 

「.........."懐かしい"感じがするんだ......」

 

「懐かしいって.......此所が?」

 

「うん.......」

 

マサトはそう考えていると、目の前の部屋に到着する。

 

「行き止まりだ.......」

 

マサトはそのドアを開けようとしたが、鍵が掛かっていた。

 

「駄目だ......鍵が掛かっている.....」

 

良く見ると、南蛮錠で鍵穴は見たこともない形状をしていた。(分かりやすく説明しますと、穴が二つある感じです。)

 

「何処かに鍵が落ちているかもしれない........」

 

タスクはそう言っている中、マサトはその錠前を見続けていた。すると頭の中で何かが浮かび上がった。それはこの扉で、女性が頭に付けていた簪を抜き、鍵穴に差し込む。

 

「まさか!!」

 

マサトはポーチから此所で拾ったあの簪を持ち、鍵穴に差し込む。そして簪を捻ると、南蛮錠のロックが外れた。

 

「この簪.......鍵だったんだ........」

 

「開けても良い?」

 

ナオミがマサトに問う。

 

「あぁ......」

 

マサトは持っているハンドガンを構え、ナオミは扉を開けると、

 

 

 

 

 

ザァァァァーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

「「「「!!!!」」」」

 

大量のネズミが一目散に屋根裏へ登っていった。辺りは静になり、部屋はどうやら書斎室みたいであった。マサト達は辺りを見渡した後、叫ぶ。

 

「「「「ああああああああああぁぁぁぁぁぁ~~~~ッ!!!!」」」」

 

そして叫び終えると、マサトは目の前の机に目が入った。その机の上には、本札が詰まった古文書であった。

 

「古文書?」

 

マサトは古文書を開くと、古文や絵が描かれていた。

 

「何なのこれ.......?」

 

「何て.....書いてあるんだろう?」

 

マサトはじっくりとその内容を読み取る。

 

 

 

『巫女の魂 祭壇にて 命捧げせし

 

巫女は妖を宿し 生み落とす

 

我等 血塗られし防人 鬼と変わりて 新たな主君を奉る

 

巫女と妖の子よ 我等防人 常赫の宮にて待つ.......。』

 

 

 

マサトはその古文を読み取ると、声に出して皆に説明する。

 

「『朽ち逝く巫女と巫の魂 祭壇にて 命捧げせし

 

朽ち逝く身から、新たな巫女と巫へと変わり

 

巫女は妖を宿し 黄泉転生で生み落とす

 

我等 血塗られし防人 鬼と変わりて 妖の主君を奉る

 

妖よ 我等防人 常赫の宮にて待つ.......。』」

 

「え?」

 

「だから、そう書かれているんだ.....」

 

「アンタ、これが読めるの!?」

 

「うん.....何で?」

 

「嫌、普通に何て書いてあるんだろうかな~っと」

 

「え?普通に読めるけど.......」

 

マサトはそう言うと、次の古文を読む。どうやらそれは"常赫の宮"への場所を示す古文であった。

 

 

 

『灯籠の卯を辿りし 紅葉と桜の樹が別れし 森神様道案内されたし 目先に常赫の宮が見えし.......。』

 

マサトはそう言うと、屋敷の外に出る。すると目先に白く光る卯がいた。

 

「行こう......」

 

マサト達は光る卯を頼りに、霧が深い道を歩む。

歩んでいると、分かれ道があった。

 

「分かれ道だ......」

 

白く光る卯は右の道へ向かっていく。するとマサトは古文書に書かれていた古文の内容を思い出す。

 

「紅葉と桜の木が別れし.......紅葉と桜.......」

 

そしてマサトは分かり、左の方へ逝く。

 

「ちょっとマサト、何処に向かうの?」

 

ナオミがマサトに問う。

 

「.......この分かれ道の答えは左だ」

 

マサトはそう教えると、ナオミ達は右へ逝くのを止め、左の道を向かう。しかし、その先は行き止まりであった。

 

「で、今度は?」

 

「森神様道案内されせたし.....」

 

「そ、何処に道案内してくれる人がいるの?」

 

「分からない」

 

「分からない?此所まで来たのに?飛んだ期待外れね」

 

すると何処からかは、風が吹く

 

「妙に風が強いなぁ」

 

タスクはそう言っていると、マサトは強い風の事を考え、分かったかのような表情をする。

 

「そうか『風』だ!....森神様は風の事だったんだ!」

 

マサトはあちこちに手を当てる。すると行き止まりとなっている壁から、微かだが、風が吹いていた。マサト草や蔓を引きちぎる。出てきたのは、洞窟であった。マサトはライトを照らし、迷うことなく洞窟の中へ入っていった。ナオミ達もマサトに続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

洞窟内は薄暗く、天井から水が滴り落ちる。

 

「一体......何処まで続くのよ~!」

 

アンジュが草臥れていると、マサト達の目の前にあの赤い少女が現れる。

 

「..........」

 

「.......キヒヒ♪」

 

少女はニッコリ笑うと、奥の方へ走り出す。

 

「待ってくれ!」

 

マサト達も追うと、洞窟内が少しずつ明るくなる。そして外に出た。

 

「こ!?.......これは!?」

 

マサト達が辿り着いた場所は.......大仏の像が飾られていて、峡谷に建てられた大昔の寺院であった。そう、そこはマサトが夢で見たその場所であった。

 

「この寺院......夢で見た場所だ!!」

 

マサト達は寺院の圧迫さに驚いていると、赤い少女が寺院の中へ入っていく。マサト達も寺院の中へ入っていった。

寺院の中は古ぼけた木や柱、壁には電線ケーブルがあった。

 

「大分.......使われていないみたいだなぁ.....」

 

「もしかして.....538年前の物なのかな?」

 

「.....嫌、違う........500以上前の物でもない.........それ以上前の遺跡かもしれない」

 

「500年以上前の遺跡!?どのくらい?」

 

「多分......約2000年以上前の遺跡だと思う.......けど、こんな遺跡.......どうやってこんな保存状態にできたんだろう.......ん?」

 

マサトは落ちている布を持ち上げる。すると布が突然、砂へと変わる。

 

「これは......?」

 

すると奥から唸り声が響く。

 

「ガァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

「「「「っ!?」」」」

 

マサト達は一斉に唸り声がした方向を見る。

 

「今のは.......何だ?」

 

その時、今度は大勢の雄叫びが聞こえてきた。

 

《ウォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!》

 

「今度はたくさんも.......!?」

 

その時、奥の扉が開き、中から和の甲冑で武装した鎧武者が刀と弓、薙刀を持って、現れた。

 

「「「「え、...えええええええ~っ!!??」」」」

 

波の様に押し寄せてくる鎧武者のあの姿.....正に『鬼』であった。すると今度は二メートル半の身長の図体のデカイ鎧鬼が、唸り声を上げ、鋼鉄でできた巨大な棍棒を担いで来た。

 

「.......マジかよ!!!?」

 

すると天井から弓兵が下りてきた。マサト達は隙をつかれ、鬼達に囲まれた。

 

「ちょっと!これヤバイかもよ!?」

 

「嫌!、昔に存在した『鬼』って言う化物が本当にいるなんて思わなかった!!」

 

奥からさっきの巨大な鬼がマサトに近付いてくると、マサトの顔を見ながら、臭いを嗅ぐ。

 

「何やっているんだ?」

 

その時、一人の小鬼がマサトの左腕の義手を持ち上げ、巨大な鬼に見せ付ける。鬼はマサトの義手を見て、鬼面を外す、その顔はもう、この世の物ではなく、片方の目が潰れ、もう片方の眼は赤く染まっており、耳まで避けている口、ボロボロになった口腔、鋭い歯が並んでいた。そして巨大な鬼は於曾ましい言葉を言う。

 

「........ダシカヤア~~..........」

 

「え?」

 

「ダシカヤアァァァァァァ!!!!!!!」

 

《オォォォォォォォォォォォ!!!!!》

 

鬼達は歓喜を雄叫びを上げると、マサトやタスク、アンジュとナオミを担ぎ上げ、奥の間へと案内される。

 

 

奥の間へ案内されたマサト達。左右には見たことのないモビルスーツが沢山あり、何れも武将の姿をしていた。

 

「何だ此所は?」

 

すると鬼達がマサトの目の前で膝間付き、崇め出す。

 

「ど........どうなっているんだ!?」

 

マサト達が驚いているなか、赤い少女が二階にある鳥居の上に座っており、彼岸花を持って笑っていた。

 




どうでしたかな?何か、色々すみません


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第28話:鬼の民

最後の方に、デシル専用のオリジナルガンダムが出ます


 

広間に連れられたマサトは鬼の大将と話を聞く。彼等はかつて、神を崇めていた集団であったが、神の御加護によって、この寺院......『天都ノ神殿』で生きており、女性や子供も彼らの特徴である角が生え、トリスタン連邦の総統"ユリウス"と奥方の"イリス"と共に、この寺院や主君を護りし、そしてタスク同様の古の一族。誇り高き『鬼の民』と呼ばれるようになったと.....鬼の民はマサトの実の両親に仕えていた一族で、二人からトリスタン連邦の高度な技術を学んでいたと.....。

 

「つまり、アンタ達は........ユリウスとイリス......つまり、俺の本当の父さんと母さんに仕えていた者なのか?」

 

マサトの問いに、鬼の民達は頷く。

 

「あ~、言葉分かる?」

 

「大丈夫.......日本語.......ユリウス様カラ、教ワッタ......」

 

「そっか、.......それで、話は何?」

 

「マサト・ブライス子爵様........ワレラ、鬼ノ民ノ..........指導者トシテ、道ヲ示シテクレ」

 

「ええっ!?」

 

突然の言葉に、マサトやタスク、アンジュ、ナオミは驚く。マサトは考える......確かに、鬼の民の技術力なら、解放組織ハデスやアウラの民、貴族連合の加担勢力になる........けど、そんなことを兄さんや義姉さん、父さんと母さんは許すのか?.........嫌、どちらにしてでも、嫌々!、あ~!も~~っ!!.........そうだ!

 

マサトは何かを閃き、鬼の民達に言う。

 

「分かった......アンタ達を導いてやるぞ」

 

マサトの言葉に鬼達は歓喜を上げると、ある条件を言う。

 

「お前達を導く.......その代わり、絶対にアウラの民に悟られないようにしてくれ.......貴族連合は何をやらかすのか、分からない......そこで、父さんと母さん達に話し合う。............どうかな?」

 

「...........ウロダイイ♪」

 

鬼の大将は無気味な笑顔を見せ、マサトと握手で交わす。帰りは、馬で帰ると良いと言われた。馬に乗って帰るマサト達はアンジュ達と話していた。

 

「良かったの?あんな恐ろしい化物を味方につけて?」

 

「本当の父さんと母さんの事を知っていたんだ......見た目は確かに恐ろしいが、心は在るべき綺麗な心を持っている........それに、アイツ等をリベルタスで戦わせたくないしな♪」

 

「優しいんだな、マサトは.......」

 

「ま、褒められて当然だ♪」

 

マサトとタスク、アンジュが笑っている中、ナオミがマサトを見詰める。

 

「........(良かったね、マサト...........家族に似た親戚に出会えて♪..........)」

 

するとナオミの胸が急に熱くなり、鼓動が高ぶる。

 

「.........(何だろう.......マサトを見ていると、胸が急に高ぶる.......何でだろう......?)」

 

ナオミの頬がマサトを見るたびに赤くなる。実は、それが人を愛する気持ち"恋"と言う事に本人やマサト達はまだ知っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウラの都に帰ってくると、不思議なことに、まだ儀式は終わってなく、儀式の蝋燭が空に浮かんでいた。まるでこの時間だけ、時が停止していたかの様に.......。マサトは早速、アストラ、オルト、マナミアに鬼の民と会ったことを話す。

 

「本当か!?鬼の民に会ったのか!?」

 

「うん.......赤い少女を追っていたら、峡谷の寺院に辿り着いて、そこで鬼の民達に会えたんだ......皆、俺の本当の父さんと母さんの事を良く知っていた。」

 

オルト達は、鬼の民の存在に驚く。

 

「まさか、鬼の民........『隠れキリシタン』の残党がいたとは.......」

 

「隠れキリシタン?.......何それ?何かの宗教?」

 

アンジュは問うと、オルトが説明する。

 

「彼らの話を良く聞いていなかったのか?.......昔に実在した最高指導者『天草四郎』が率いる宗教団体であった.......恐らく1638年も者達だと思う。」

 

「つまり..........1500年前!?」

 

「そうなるな、」

 

マサト達は鬼の民の年齢差に唖然する。

 

「どれだけ長生きしているの!?」

 

「......長いだろうなぁ」

 

「.......俺って、飛んでもない親戚に出会ったと言うことか.......」

 

「......ま、そう言う事になるだろう。今日はもう寝ろ♪」

 

オルトがそう言い、マサトは部屋で休む。

 

「ハァ~........(俺が鬼の民を率いる次期最高指導者か.......)」

 

暗い部屋の中、マサトは寝静まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アンジュ達のいる世界......アンジェリカはミスルギ皇国からアンジュの父"ジュライ"を救出し、護衛と共に、ローゼンブルム王国にあるアルケミスト学院へ向かっていた。

 

「もうすぐ着きます!」

 

アンジェリカがジュライに到着の知らせをする。

 

「(アンジュよ、待っておれ........お前に伝えなければならない事が山程ある.....)」

 

ジュライは首にかけてある翠の宝石が付いたペンダントを見ると、ブラッドハウンドが停車する。

 

「どうしたのだ?」

 

「.........ジュライ陛下、離れないでください!!」

 

アンジェリカはナイトブレードを抜刀し、護衛のグレイズリッターがバトルアックス、ナイトブレードを抜刀し、シールドを構える。前方にエイリアンアーマーをした黒いガンダムがいた。

 

「黒い悪魔!?」

 

黒いガンダムは手からビームサーベルを放出し、黒いガンダム......『ガンダムメフィスト』のパイロット.....デシルが叫ぶ。

 

「さぁて!貴族連合の玩具を潰すか!!」

 

ガンダムメフィストの両肘・両膝に、バックパックから、Xトランスミッターが展開され、赤黒く発光する小型のビームの球体"メフィストビット"を多数放出し、アンジェリカの部隊を攻撃してきたのであった。

 



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第29話:覚醒の希望

今回の話であの機体が起動します!!


 

そして祭りが終わったその深夜、宮殿の玉座の間で大巫女とサラマンディーネ、そしてアウラの民の巫女たちが集まっていて、彼女達の前にリザーディア事…リィザがホログラムで通信回線を開き話していた。

 

「何と....! 真かリザーディア!」

 

『はい大巫女様、新生ミスルギ帝国の地下。アウラの反応は確かに此処から』

 

リィザの報告に巫女たちは思わず声を上げ、大巫女は頷きながらリィザをほめる。

 

「よくぞやってくれたリザーディア、時は来た。アウラの子よ、これよりネロスの手から全能の母、アウラを奪還する。リザーディア『特異点』解放のタイミングは手筈通りに」

 

『仰せのままに....。』

 

そう言い残してリィザは通信を終えて消える。そして大巫女は皆に言う。

 

「これはこの星の運命を掛けた戦い、アウラと地球に勝利を!」

 

『『『勝利を!』』』

 

大巫女の声と同時に皆も頭をさげる。

 

「大巫女様、ハデスと貴族連合の皆さまにも協力を求める事は?」

 

「無論求める。ネロスとの戦いには彼らの協力が不可欠........ネロスは必ずモビルアーマーを使ってくる.....。」

 

「分かりました、では、ハデスと貴族連合の皆さまには私が伝えて置きます」

 

それに大巫女は頷き、サラマンディーネはその場を立ち去って行く。

 

そしてサラマンディーネはハデスが活動する研究施設に行き、そこでレオスやマティス達のモビルスーツとヴィルキスを修理するオルト達にアウラの事を話す。

 

「そうか、ミスルギの地下に君達のアウラがいるのか......」

 

「はい、それでどうかあなた達、ハデスや偽りの世界にいる貴族連合のお力をお貸しください」

 

それを聞いたオルト達はサラマンディーネと話す。

 

「勿論だ、ユリウス総統とイリス奥方を裏切ったあの神気取りと言われる奴に私達の世界を好き放題にさせる訳には行かんからな」

 

「ありがとうございます、では私はこの事を大巫女様にお伝えします」

 

サラマンディーネはそう言い残した後にその場を去って行き、オルト達は格納庫で修理を行っているレオスとエクセリアとヴィルキスの方を見る。

 

「さて、レオスは兎も角.......エクセリアのパイロット見つけ出さないとなぁ.......」

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、マサトとアストラ、サラマンディーネ達とタスクとアンジュ達の部屋へと向かっていた。

 

そしてタスクとアンジュの部屋の前に来て、サラマンディーネが襖をノックし入る。

 

「おはようございます....あら?」

 

「「っ!!?」」

 

マサト達が見たのはタスクがアンジュを押し倒していた姿だった、しかもタスクがパンツ一丁でアンジュの寝間着が完全に崩れていた状態。

それにマサトは唖然し、アストラは頭を支え呆れ、ナーガとカナメ頬を赤めていた。

 

「......タスク.....弟子としてお前は......」

 

マサト達が来た事にタスクとアンジュは真っ赤な顔になって慌てていた。

しかしサラマンディーネが....。

 

「朝の“交尾中”でしたか。さっ、どうぞお続けになって?」

 

「えっ!!!!」

 

とんでもない発言にマサトは思わず顔を真っ赤にし吹いてしまう。

 

「....っ! ちっが~~う!!!!!」

 

その発言にアンジュはタスクを突き飛ばしてしまい、終いにタスクの尻を何度も蹴っていた。

 

そしてマサト達が朝食に行くと、既にマティス達が座っていて。マサト達を見たマティス達は声を掛ける。

 

「おお!マサト、アンジュ、タスク、アストラさん!おはよう♪」

 

「おお~!おやようさ~ん!」

 

「あれ? ヴィヴィアン?」

 

そこにはヴィヴィアンとラミアの姿が居て、共に朝食を取っていた所だった。

 

「サラマンディーネ様」

 

「よく眠れましたか?」

 

「それが、『ミィ』と朝まで喋りしてまして」

 

「だから寝不足~♪」

 

ラミアがそのミィと言った言葉にマサトは頭を傾げる。

 

「ミィ?って誰だ?」

 

「ヴィヴィアンの事だよ。彼女の本当の名前だって」

 

タスクからその事を聞いたマサトは思わずヴィヴィアンの方を向く。まさかヴィヴィアンの本当の名前がミィと言うのは予想も付かなかった。

 

朝食を終えたマサト達。外でラミアがマサト達に言った。

 

「えっ? 家に帰る.....?」

 

それに頷くラミアはヴィヴィアンを抱き付いて言う。

 

「この子が生まれて家を見せてあげよかと思って」

 

「おお~!見る見る!」

 

っとそれに賛同にするヴィヴィアン、そしてラミアはヴィヴィアンを連れて飛んで行った。

その時にヴィヴィアンはマサト達に手を振った。

 

「て事で、ちょっくら行ってくるね~!」

 

ヴィヴィアン達を見送ったマサト達、その中でタスクが腕を組みながら笑みを浮かばせる。

 

「親子水入らずね~♪」

 

「まあ、無理もない....ヴィヴィアンにとっては覚えてないと言えど、自分の生まれ故郷だからな。」

 

マサトがタスクにそう言ってる中、アンジュがムスッとしている様子にパトリックが気づく。

 

「どうしたの、アンジュさん?」

 

「気にくわないのよ。何もかも.....」

 

っとその事にマサト達は思わず顔を合わせて少々困った表情をする。そしてアンジュはサラマンディーネに問う掛ける。

 

「それで、茶番はもう十分よ。あなたの目的は何?私達をどうする気なの?」

 

「フフ♪、腹が減っては戦は出来ぬと申します。お腹はいっぱいになりましたか?」

 

その事にアンジュは戸惑いつつも頷く。

サラマンディーネはそれを確認したのち言う。

 

「では、参りましょう♪」

 

サラマンディーネはそう言うとガレオン級を呼び。マサト達を乗せてある場所へと向かう。

マサト達はその建物を見て唖然とする。

 

「此処は一体...?」

 

「古代の闘技場ですわ、嘗ては多くの者達が集い、強さを競い合ったそうです」

 

サラマンディーネの説明を聞いてタスクはそれに驚く。

 

「まさか...500年前の施設!? 完璧な保存状態じゃないか....!」

 

「姫様自ら復元されたのだ」

 

「え?義姉さんが?」

 

マサトがその事を問い、それに頷くナーガ。

 

「サラマンディーネ様はその頭脳を持って旧世界の文明を研究し、様々な遺物を現代まで甦らしたのだ!」

 

「へぇ~?」

 

「我々の龍神器も、サラマンディーネ様がっ?!」

 

っとカナメがナーガの横腹を突き、小声で注意する。

 

「それ、機密事項でしょ?」

 

「あっ!御免なさい!」

 

ナーガはそれに気づいて、慌てて謝るが。それをサラマンディーネは答える。

 

「ナーガ、もう隠す必要はございません。私達が使っている龍神器は貴方のお父さんが使っているモビルスーツ『エピオンボロス』のデータを元にした機体です。」

 

「父さんの!?」

 

それにサラマンディーネは頷いて、レオン達が感心してる中でアンジュが前に出て問う。

 

「それで、此処で何するの?」

 

「…共に戦いませんか? 私達と」

 

サラマンディーネの言葉にアンジュは思わず「はっ?」と言葉をこぼし、それにはマサト達は反応する。

そしてレオンはサラマンディーネ達の目的を問う。

 

「それって、アウラを奪還する為にか?」

 

「はい、それに目的は違うとはいえ、ネロスを倒す為に」

 

「フフフ......ははは」

 

っと突然アンジュが笑い出し、それにマサト達はアンジュの方を向き、タスクが問う。

 

「アンジュ?」

 

「な~んだ、そう言う事、結局は私を利用したいだけなの…戦力として。知って欲しかっただの、解りあえただの、良い人ぶっていたのも全部打算だったじゃない」

 

それにサラマンディーネは笑みを浮かばせて言う。

 

「その通りです、他の者達は兎も角として。あなたはそれなりの利用価値がありますから」

 

っとサラマンディーネの言葉を聞いたアンジュは思わずキレる。

 

「っ!? ふざけるな!私はもう!」

 

「もう....誰かに利用されるのはウンザリ....ですか?」

 

その事を聞いてアンジュは思わず拳を握りしめる。

マサトはサラマンディーネの言葉を聞いて、腕を組んで問う。

 

「て言うか、その中に俺も含まれているのですか?」

 

「飛んでもない、あなたはネロスが予想もしなかったレオスの所持者。そして私の婚約者であるアストラの弟君ですから♪」

 

サラマンディーネの説明にレオン達は納得する表情をする。

 

「まあ、確かに俺の機体は確かに特別だ。それにそのネロスが俺等の世界を操ったり義姉さんの世界を壊してきたのを知ったらほっとけないなぁ.....」

 

「はっ!! 本気なの!?マサト!! 私はゴメンよ!!」

 

アンジュは今だに意地を張る事にマサト達は少々呆れる。

 

「そう言うと思いまして此処へお連れしたのです、アンジュ。勝負しませんか?」

 

「はっ?勝負??」

 

「はい、貴女の未来を掛けて。私が買ったあかつきには貴女は私の所有物となって頂きます、無論貴女が勝てば自由ですわ」

 

サラマンディーネの説明にアンジュは思わず驚きを隠せないでいた、そしてマサトは笑みを浮かばせる。

 

「なるほどな、要はアンジュの持つラグナメイルがどうしても必要って訳か....、良いよ、義姉さん!アンジュ。この勝負受けるって!」

 

「ちょっ!?勝手に決めないで!! マサト!貴方一体何を!!」

 

「この勝負はお前の運命を掛けた物だからな♪、それをどうするかはお前が決めるんだ.......」

 

マサトの言葉にアンジュはそれに拳を再び握り締める。

 

「それをどうするかは自分で決める…か、良いわ!やってやろうじゃないの!」

 

「そう来なくては....!」

 

話が纏まってアンジュとサラマンディーネが勝負する為の闘技場へと向かう。

まず最初にテニスが始まって、タスク以外のマサト達は外で観戦していた。

 

「その玉を打ち返して、枠の中に打ち込めばいいのね?」

 

「その通り、では始めましょう」

 

「サービス!サラマンディーネ様!」

 

試合が始まり、アンジュは構えるとサラマンディーネの強烈なサーブが一気に決まる。

それにアンジュは驚いてしまう。

 

「なっ!?」

 

「15-0!サラマンディーネ様!」

 

「くっ!」

 

「あら? 速すぎました?手加減しましょう.....か!!!」

 

サラマンディーネが再びサーブを放つ、っがそれをアンジュはレシーブをする。

 

「結構......よ!!!」

 

それにサラマンディーネは驚いてしまい、反応が遅れてしまう。それを見た皆は驚く。

 

「「なっ!!?」」

 

「ふぃ!15-15!」

 

カナメが慌ててポイントを言い、アンジュとサラマンディーネはお互い睨み合いながらも笑みを浮かばせていて。それを見たマサトはこっそりと笑みを浮かばせていた。

 

そしてテニスの後に野球、未来的なレース?的なマシン『サイバーフォーミュラ』、ゴルフ、卓球、クレーンゲーム、そしてツイスターゲームまでやり続けていた。

 

一方その中でもガイは何やら薄々と微妙な違和感を感じていた。

 

「これは.....本当に決闘なのか?」

 

そう言いつつもカナメがルーレットの色をと位置を教える。

 

「サラマンディーネ様、右手、緑」

 

カナメの指示にサラマンディーネは言う通りに手を指定の位置に置き、次にタスクがルーレットを押す。

そして色と位置が表示されて言う。

 

「アンジュ、左手、赤」

 

アンジュも言われた通りに手を位置に置く。

苦しみながらサラマンディーネはアンジュに言う。

 

「予想以上ですわ…アンジュ」

 

「何が.....?」

 

「少し…楽しみだったのです。今まで、私と互角に渡り合える者などいませんでしたから、アストラの教えの通りに.....」

 

サラマンディーネはアストラから武術を学び、アストラを師と称えられ、将来を誓いあった。

 

そしてカナメが次のルーレットの色と位置を言う。

 

「サラマンディーネ様、左足、赤」

 

「ですから....すごく楽しいのです」

 

アンジュがサラマンディーネを転倒させようとするが、サラマンディーネの尻尾がそれを抑える。

それに『尻尾を使うの反則よ!』と言ったアンジュは思わずサラマンディーネの尻尾を噛みつき、それに悲鳴を上げるサラマンディーネがアンジュを巻き込んで転倒し、それに皆は唖然とする。

 

サラマンディーネがすぐに起き上って言う。

 

「尻尾を噛むのは反則です!」

 

っと起き上がったアンジュが突如笑い出して、それにはサラマンディーネも見ていてしばらくすると笑い出す。

 

「姫様が.....笑った?」

 

「あんな笑顔、初めて見た.....」

 

ナーガとカナメはサラマンディーネが笑い出した様子を初めて見て、マサト達は笑みを浮かばせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ハデスの監視塔ではコンソールに表示されている以上なパルスが確認されていた。

 

「おい!どう言うことなんだ!?」

 

「分かりません!急にパルスが反応して!」

 

すると監視塔の前方から、特異点が開き、現れたのはクローバーとスペードが操るモビルスーツ『α・アジール』と『フェニキス』であった。

 

「まさか!ディーラ!!」

 

するとα・アジールのファンネルが展開された。

 

「まずいぞ!!」

 

「リフレクターシールドっ!!!」

 

ハデス兵士が監視塔のリフレクターシールドを起動しようとしたが遅く、ファンネルの攻撃により、破壊された

 

「進もう......アウラ都は直ぐそこだ.....」

 

スペードとクローバーはアウラの都へ前進するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同時に闘技場に居るマサト達はアンジュとサラマンディーネがシャワー室で汗を流している間待っていた。ナーガとカナメは二人が入っているシャワー室の前に立って見張っていた。

 

するとアストラがマサトやマティス達を呼び集める。

 

「お前達、ちょっと来い」

 

マサト達はアストラにハデスの研究施設に呼び集められると、そこに待っていたのは......。

 

《ミスティ様!?》

 

何と、偽りの世界にいる筈のミスティ・ローゼンブルム妃殿下とセルジランド・ボードウィン、その兄のアルバレア・ボードウィンが待っていた。

 

「それにセルジオにアルバレア公爵様も!?」

 

「久し振りだな、マサト.......嫌、マサト・ブライス子爵よ♪」

 

「あ、いえ......その名は止めてくれませんか?俺は普通のマサトと呼ばれたいですし......」

 

「そうか?だが、言わせてくれ.......亡き我等のトリスタン連邦の総統と奥方の子だからなぁ♪」

 

「アハハ...」

 

二人の会話にミスティも入ってきた。彼女はセルジオに連れ拐われ、厳密に言うと呼ばれ、あの世界の秘密、ドラゴンの正体、ディーラ、ハデス、七大名門貴族連合、マサトの存在、人間とマナの真実を知り、ミスティは次期ローゼンブルム王国の女王であるため、七大名門貴族連合やハデス、アウラの民、ノーマと共に戦うと、

 

「でも、大丈夫ですか?ミスティ様........家の事や国の事をほったらかしにして?」

 

「それの事でしたら大丈夫です♪部屋に謝罪や決意を胸にした置き手紙を出しておきましたので、それに.....♪」

 

するとミスティはセルジオの腕に抱き付く。

 

「私には、素敵な"旦那様"と一緒に居られるのが嬉しいのです♪」

 

ミスティとセルジオは互いに頬を赤くしながら顔を見つめ合う。

 

《(このイチャラブ新婚........止められないなぁ)》

 

マサト達はミスティとセルジオの熱愛に心の中で呆れていた。

っとその時に地震が起きて、それを感じたマサト達は驚く。

 

「ん!? 何だ!?」

 

そして闘技場に入っているアンジュとサラマンディーネはそれに気付き、ナーガとカナメは入り込む。

 

「サラマンディーネ様!」

 

マサト達は急いで外に出ると、アウラの塔から何やら異変が起きていた。

 

それはアウラの塔からある空間が変化して行く様子で、それにマサト達は目を奪われる。

 

「何なんだあれは.....!?」

 

そしてアンジュ達も合流して、アンジュはその空間の様子にある光景が映し出される。それはアンジュがまだ学生だった時に試合した事があるエアリアの試合会場であった。

 

「あれは....エアリアのスタジアム!?」

 

そして町にいるヴィヴィアンはラミアと共に逃げて行き、その光景を目にする。

異変の空間はその人々を飲み込み、街を崩し、がれきと共に生き埋めにさせて行く光景を…。

 

「うわっ!街が!皆が!!」

 

「どうなっているんだ!?」

 

「俺達も行こう!!」

 

「うん!」

 

マサト達は急いで、機体に乗り込む。一方、闘技場の方でもそしてサラマンディーネはある物を呼ぶ。

 

「焔龍號!!」

 

すると額の宝玉が光り、空から焔龍號がやって来た。サラマンディーネは焔龍號に乗り込んだ。

 

「カナメは大巫女様に報告! ナーガは皆さまを安全な場所に!」

 

「「はい!!」」

 

そう言ってサラマンディーネはアンジュに向かって言う。

 

「アンジュ、決着はまた今度で♪」

 

サラマンディーネはアンジュにそう話した後にコックピットを閉め、異変の空間へと向かって行く。

 

そしてヴィヴィアンはラミアと共に避難をしていたが、道がふさがれてしまって孤立してしまう。っと真上のがれきが二人と他の者達に目がけて落ちて来るが、そこにビームが飛んで来てがれきを破壊する。

 

皆が上を見るとサラマンディーネの焔龍號がやって来た。

 

「皆さん!すぐに宮殿に避難を!!」

 

それに皆はすぐに避難をし始めて、サラマンディーネは落ちて来るがれきを次々と破壊して行く。

 

「急いでください!…!?」

 

っとサラマンディーネは気配に気づく。迫っている異変の空間の中から赤と白の巨影が姿を現す。

 

「あれは!?」

 

姿を現したモビルアーマー『フェニキス』と『α・アジール』に乗っているスペードとクローバーはアウラの街を見渡して、笑みを浮かばせていた。

 

「ここがアウラの都か...........まさか、旧世界に害虫の残党が生き残っていたとは.........早いとこ駆除しなければなぁ」

 

スペードはフェニキスの頭部を展開し、ハイメガ粒子砲を発射しようとした直後、ビームが飛んで来て、頭部に直撃した。スペードはその方向を見ると焔龍號がやって来る。

 

「何者かは知りませんが......都を滅ぼす訳には行きません!!」

 

それにスペードは鼻で笑い飛ばす。

 

「フッ......この世界の機体か.....殺れる者なら、殺ってみろ!!」

 

フェニキスが鳥の鳴き声を発し、巨大な爪を展開させ、焔龍號に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

そして宮殿に戻ったレオン達、すでにレオスとマティス達のザクウォーリアの修理が済んでおり、地表に出されていた。マサト達は急いで乗り込み、起動準備に取り掛かる。

 

『10時方向にモビルアーマー!10時方向にモビルアーマー!』

 

ハロがアウラの塔のある方向にモビルアーマーが出現したことを報告してきた。

 

「モビルアーマー!?......あのデカブツが来ているのか!」

 

マサトのレオス、タスクのフェニックス・ゼロ、マティス達のザクウォーリアとジン、アストラのフェニックスガンダム、そしてアルバレアのガンダム『キマリスヴィダール』が離陸の準備をする

 

っとナーガとカナメはそれに気付く。

 

「何をしている!?」

 

「ヴィヴィアンを助けに行くのよ!」

 

アンジュはまだ修理していないヴィルキスを動かし、ヴィヴィアンのいるアウラの都へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マサト達が向かっている中、サラマンディーネが操る焔龍號はたった一機でスペードのフェニックスとクローバーのα・アジールと戦っていた。

Iフィールドを持つモビルアーマーでは、バスターランチャーのビームが無効にされ、サラマンディーネは後ずさりながら、体制を立て直す。

 

「どうした?、動きが鈍いぞ!」

 

スペードは巨体であるフェニキスを華麗な機動力で飛び回る。それま正に、自由に空を舞う不死鳥であった。

 

スペードはサラマンディーネを吹き飛ばし、体制を崩されたサラマンディーネはその隙を突かれてしまい、フェニキスの大型クローを突き付けてきた。

 

その時、フェザーファンネルがフェニキスに突撃してくる。

 

「このファンネルは!?」

 

サラマンディーネの前に、アストラのフェニックスガンダムが舞い降りてきた。

 

「アストラ!」

 

「待たせたな、サラ!」

 

アストラはデュアルビームライフルを構えると、スペードが言う。

 

「アストラ・ラスタル........まさか、ここで再会出来るとはなぁ......」

 

「私もだ、スペード..........我が"宿敵"!」

 

「俺もだよ.......今日こそ、永年の決着を付けようではないか!!」

 

アストラとスペードは上空へ舞い上がり、ビームサーベルと大型クローがぶつかり合う。

そしてサラマンディーネを助けに、マサト達も駆け付ける。

 

「義姉さん!大丈夫!?」

 

「マサト!」

 

「何やってるのよ!サラマンドリル!」

 

「アンジュ、名前が違うよ」

 

マティスがアンジュに突っ込む。

その時に皆の目に異変の空間が人々を飲み込んで行く様子にマサト達はくぎ付けとなる。

 

「何だあれ....!?」

 

「何なの!?」

 

マサトとアンジュがそれに言葉をこぼす中でタスクがそれに説明する。

 

「ネロスだ!」

 

「え!?あいつが!!」

 

その事にマサトは驚く。

 

「ああ!! ネロスは時間と空間を自由に操る事が出来るんだ! 俺の父さんも仲間も石の中に埋められて死んだ....あんな風に!!」

 

タスクの説明を聞いたマサト達は驚く中でアンジュがヴィヴィアンとラミアの姿を見つけた。

映像にはラミアがエアリアのバイクに下敷きになっていた。

 

「ヴィヴィアン!!」

 

「ヴィヴィアンは僕達に任せて!」

 

パトリックとメリー、ニコラスはすぐにヴィヴィアンの方に行き、マサト達はクローバーのα・アジールを相手する。

 

「来い!ガキ共がぁっ!!」

 

クローバーはファンネルを展開し、マサト達を追撃する。

 

「死角に気を付けろ!!」

 

マサトがマティス達に注意を報告し、直ぐにアイオス・フェースへ進化し、アリス・ファンネルを射出する。

 

「ファンネル!!」

 

8基のファンネルが一斉にクローバーのファンネルに攻撃していく。しかし、α・アジールの大型ファンネル9基に苦戦する。さらにα・アジールが有線サイコミュ式メガアーム砲を伸ばしてきた。

 

「嘘だろ!?」

 

マティス達はメガアーム砲の五連砲に苦戦する。ビームマシンガンで応戦するが、α・アジールのIフィールドで無効化されてしまう。

 

「クソッ!あのIフィールドって言うバリアが邪魔だ!!」

 

マティス達はビームマシンガンから特殊武器で応戦する。

 

 

 

一方、ナオミはマサトやアンジュ達が戦っているのに、自分はただ、ここで黙って見ているだけであった。

 

「こんな時、パラメイルがここにあれば......マサトを」

 

ナオミはそう思っていると、誰かがナオミの袖を引っ張る。

 

「ん?」

 

引っ張っていたのは、先日の夜に現れた赤い少女であった。

 

「貴女は!?」

 

すると赤い少女は格納庫へ行き、ナオミに手招きする。

 

「こっちに来てって言うこと?」

 

ナオミは赤い少女に付いていき、格納庫の中に入ると、目の前に女性タイプをしたピンクカラーのガンダムが収納されていた。整備士達は事態で忙しく、そのガンダムを無視していた。ナオミは関係なくそのガンダムに乗り込むとコンソールのモニター画面にさっきの赤い少女が写る。

 

「貴女は.....一体....?」

 

「『フフ、真人お兄ちゃんを助けて上げて♪』」

 

するとコンソールの画面が切り替わり、テキストが表示された。

 

『ニンゲンヤメマスカ?―Yes/No』

 

ナオミは必死に考えるが、そんな悠長に考えられなかった。

 

「考えても仕方がない!私も、マサトと一緒に空を羽ばたきたい!だから力を貸して!」

 

ナオミは構わず、テキストの問いのYesを選択した。すると赤い少女が喋る

 

「『これでナオミちゃんもこのエクセリアを司る悪魔ね♪』」

 

それと同時に、エクセリアのツインアイが光だし、各部が緑色に発光し出す。

 

「何だ!?」

 

「誰がエクセリアを!?」

 

ハデス兵士や整備士達がエクセリアが動いている事に驚く中、ナオミはエクセリアを動かす。

 

「お願いよ~、そのまま倒れないで~!」

 

ナオミは慎重にエクセリアを操作し、格納庫の外に出る。

 

「さぁ!行けぇぇぇっ!!!」

 

ナオミはペダルを強く踏み込むと、エクセリアのバーニアから火が吹き始め、空へ舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

ちょうどその頃、マサト達はα・アジールの攻撃に苦戦していた。

 

「クソッ!アイツのIフィールドさえなければ、勝てるんだが、」

 

「止めだ!」

 

クローバーはファンネルやメガ粒子砲、アーム砲で一斉砲撃をしてきた。その時、魔方陣ような物が現れ、クローバーの攻撃をあっという間に防いだ。

 

「何っ!?」

 

《!?》

 

マサト達の前に現れたのは、ピンクのガンダムであった。

 

「桃色の.......悪魔?」

 

するとピンクのガンダムから通信が入る。

 

「皆!大丈夫!?」

 

《ナオミ!?》

 

マサト達が驚いていると、クローバーがファンネルで攻撃してきた。

 

「あ!危ない!!」

 

ナオミはエクセリアに搭載されているスフィアビットとシールドビットを展開した。ファンネルが攻撃して来るが、シールドビットがビームを弾き、スフィアビットがファンネルを爆撃する。

 

「すげぇ!」

 

マティスが感心していると、マサトのレオスが光だし、『EXA・フェース』へと進化した。

 

「マティス......都にいる人達を避難してくれ、アンジュと義姉さんはあの異空間を頼む.......俺とナオミはあのモビルアーマーを殺る!」

 

マサトはそう言うと、二丁のヴァリアブル・サイコ・ライフルを構え、アリス・ファンネルを展開すると、ナオミに近付く。

 

「行くぞ、ナオミ!」

 

「えぇ!!」

 

ナオミもエクセリアのスフィアビットとシールドビットを射出し、マサトのアリス・ファンネルと共に、α・アジールへ向かっていく。

 

「この野郎!!!」

 

クローバーは残存しているファンネルを射出し、アーム砲を伸ばしてきた。アーム砲の攻撃をシールドビットが防ぎ、その後ろからアリス・ファンネルが応戦したり、スフィアビットが一気に、α・アジールに向かっていき、爆発する。

 

「己ぇぇぇぇぇッ!!!!!」

 

クローバーはα・アジールの口元にあるメガ粒子砲を発射した。マサトとナオミは急いでシールドとシールドビットを展開させ、メガ粒子砲を拡散・無効化させた。

 

 

 

 

 

 

 

一方、迫りくる次元にどう対処すればいいのか考えているアンジュとサラマンディーネ。

 

「あれが.....あるじゃない!!アルゼナルをブッ飛ばしたアレ!!」

 

アンジュが言うのはアルゼナルを削り飛ばした光化学兵器。

しかし、サラマンディーネは首を横に振るう。

 

「ダメです。都はおろか、神殿ごと消滅してしまいます......」

 

「だったら、3割引で撃てばいいじゃない!!」

 

「そんな調節できません!!」

 

「あなたお姫様でしょ、サラマンマン!危機を止めて、民を救う。それが上に立つ者の使命よ!!」

 

その言葉にサラマンディーネは覚悟を決めて、歌唱しアンジュもまた歌唱する。

 

「「♪~♪~♪~」」

 

二人の歌が一つになったとき、ヴィルキスと焔龍號が黄金に輝き、肩部の収斂時空砲が展開された。最初に焔龍號の収斂時空砲が放たれた。

 

「アンジュ!」

 

アンジュも収斂時空砲を放とうした直後、ヴィルキスのコックピットハッチが爆発し、墜落する。

 

「アンジュ!墜ちてますわよ!」

 

「見れば分かるじゃない!」

 

「早く立て直して!」

 

「あなた!世界やマサトの悪魔を滅ぼした兵器でしょ!気合い入れなさい!ヴィルキス!!」

 

その時、アンジュの指輪が光だし、壊れたコックピットハッチと左腕が自己再生し、収斂時空砲で異空間を抹消した。そしてマサトとナオミもそろそろ終わろうとしていた。

 

「そろそろ終わりとするか!」

 

「えぇ!!」

 

ナオミはエクセリア専用の大型ビームライフル『クロイツ・デス・ズューデンス』を取り出し、銃身のサイドアーマーを展開する。そしてマサトもヴァリアブル・サイコ・ライフルをクロスバスターモードに切り替え、各武装のエネルギーをチャージし、ナオミと一緒に叫ぶ。

 

「【EXA・フルバースト】」

 

「【星たちの生まれる世界(ミルヒシュトラーセ)】!!!」

 

レオスのヴァリアブル・サイコ・ライフル、ブラスターカノン、アリス・ファンネルからビームが放たれ、エクセリアのクロイツ・デス・ズューデンスの主砲とサイドアーマーの砲門からビームを一斉照射した。

 

「無駄だ!」

 

クローバーはそう言うが、二機のビームがIフィールドを貫通し、α・アジールの炸裂した。

 

「馬鹿なっ!?......Iフィールドが!!?」

 

よく見ると、α・アジールのIフィールドジェネレーターから黒い煙が出ていた。つまり、マサトとナオミのビームライフルの膨大な高出力と高火力でジェネレーターが保てなくなったとなる。

 

「ま、そうなるな......」

 

そしてα・アジールが爆発し、コンソールによって挟まれたクローバーが叫ぶ。

 

「クソォ!......こんな所でぇぇっ!!グァァァァァァァッ!!!!」

 

α・アジールが爆発し、近くの森へ墜落していく。そして、α・アジールが墜落していく光景をスペードが見ていた。

 

「クローバー!」

 

地面に衝突したα・アジールが大爆発を起こす。

 

「!!」

 

「残るは.....お前だ!!」

 

アストラがビームサーベルを突き付けて来た。

 

「クッ!」

 

スペードは頭部のハイメガ粒子砲を発射したが、あっさりと回避され、左翼にフェニックスのビームサーベルが突き刺さる。

 

「グアッ!!」

 

衝撃がスペードを襲い、モニター画面が割れ、破片がスペードの左目に突き刺さった。

 

「アアアアアアアアアッ!!!!!」

 

スペードは左目を抑え付けると、フェニキスの後方から、特異点が出現し、中からダイヤの新しいモビルスーツ『ガルムガンダム』が現れる。

 

「スペード!」

 

ダイヤはGNビームライフルでフェニキスを防衛に取り掛かる。複数のオルガノスがフェニキスを運び出す。スペードは左目を抑えながら、アストラを睨み付け、呟く。

 

「アストラ・ラスタル......次、会ったときがお前の最後だ!!」

 

そしてフェニキスが特異点の中へ消え、ダイヤも特異点の中へ入ると同時に、特異点が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事態が一段落して、パトリック達に助けられたラミアにヴィヴィアンが抱き付きながら泣きついて、ラミアもヴィヴィアンを抱きながらヴィヴィアンの頭をなでていた。

その様子を集まったジュン達が優しく見守っていた。

 

そしてマサト達がアウラの塔の前に集まって話し合った。

 

「何とか収まったみたいだ」

 

「あぁ、そうだな」

 

「貴方のおかげで、民は救われました。感謝します、アンジュ」

 

そこから少し離れた場所で、今回の立役者四人が自分の機体の上に乗ったまま、対峙していた。

 

「友達を助けただけよ」

 

照れ臭いのか、視線を外すとぶっきらぼうにアンジュはそう言った。

 

「まさか、あの歌に助けられるとは」

 

「え?」

 

「貴方が歌ったのは、かつてエンブリヲがこの星を滅ぼした歌。貴方は、あの歌を何処で....」

 

サラマンディーネがアンジュに問うと、アンジュはヴィヴィアンとラミアを見て言う。

 

「お母様が教えてくれたの」

 

少し間を置いてアンジュが答えた。

 

「どんなときでも、進むべき道を照らすようにって」

 

「私たちと一緒ですね」

 

サラが軽く微笑む。

 

「星の歌。私たちの歌も、アウラが教えてくれたものですから」

 

そして、その微笑が少しだけ寂しげなものになった。

 

「教えられました、己の未熟さを。皆を護って危機を止める。指導者とは、そうあらねばならないのだと」

 

そして、今度は少しはにかんだ表情になった。

 

「私も、貴方の友達になりたい。共に学び、共に歩く友人に」

 

サラの告白を黙って聞いていたアンジュだったが、不意に、

 

「長いのよね、サラマンデンデンって」

 

腰に手を当ててそう口を開いたのだった。

 

「え?」

 

「サラ子って呼んで良いなら」

 

「....では私も、貴方のことはアン子と「それはダメ」」

 

まるで漫才の掛け合いのようなやり取りを見せた二人だったが、こうしてお互いにかけがえのない友を得ることになったのだった。するとサラマンディーネがナオミに言う。

 

「それとナオミさん、あなたはどうやって"エクセリア"に?」

 

「え?」

 

「その機体はネロスが使っているイクスとマサトのレオスと同じエクストリーム......今までそれに乗ったハデスのもの達はそれに乗り込んだだけで直ぐに後を経ちました.......なのに、どうやって.....」

 

その時、ナオミはコンソールのモニター画面に映っている少女を見て、言う。

 

「えぇっと......エクセリアが私を選んだのかな......」

 

「なるほど、」

 

「それに、マサトやアンジュを守りたかったから♪」

 

頬を少し赤くしたナオミはマサトを見る。するとサラマンディーネは頬を赤くしたナオミとマサトを見る。

 

「(あぁ、なるほど♪......これは将来、二人の子供が見れますわ♪)」

 

サラマンディーネは二人を見て微笑む。

 

 

 

 

 

その頃、アストラやオルト、マナミア、ハデスの兵士達が何やら慌てていた。

 

「おい!早く救助!」

 

ハデスの衛生兵や医者、ドクター・ゲッコーが駆け付けてきた。救助するのは、ビームサーベルによって、あらゆるを破壊されたレギンレイズであった。

 

「開けるぞ!!」

 

ハデスの兵士がコックピットのハッチを強制展開した。中には血だらけのアンジェリカと頭から血が流れているアンジュの父......『ジュライ・飛鳥・ミスルギ』であった。

 

アストラやアルバレア、セルジオ、ミスティは驚く。

 

「ジュライ陛下!?」

 

「おいおい......嘘だろ!?」

 

ミスティとセルジオが直ぐに救護の手伝いをしに行くと、アルバレアに通信が入る。

 

「はい........」

 

その時、アルバレアがインカムを落とした。

 

「どうした?」

 

「........アルケミスト学院が.......」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

「アルケミスト学院が.......ローゼンブルム王国と共に.............消滅した!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!!???」

 

アルバレアが放った言葉にアストラ達は驚く。

 

「消滅した!?どういう事なんだ!?」

 

アストラやセルジオ、ミスティが不安を抱える。すると、アルバレアはミスティに話す。

 

「ミスティ妃殿下.......落ち着いて聞いてください..........」

 

アルバレアが放つ話が想像絶する事になると、本人達は知る良しもなかった。




アルバレアが放つ事実とは........『ローゼンブルム王国が消滅?』一体、何が..........。皆さんも考えてみてください.........。


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第30話:地獄の涙

 

それは.......3時間47分38秒前に遡る.......。ローゼンブルム王国にて、『ミスティ・ローゼンブルム妃殿下誘拐事件』が流れ、国民は不安を抱いていた。そしてアンジェリカの父親アスバーン・ファリド公爵がアルバレアがミスルギにいるレヴァンネ・エリオン、ヴァンダルク・ログナーと話していた。

 

「そちらの方はどうなっている?」

 

「分からない、だが........学級会長から、トルーパーの話に奇妙な作戦の事を言っていた。名は「地獄の涙」と......」

 

「「地獄の涙」......何だそれは?」

 

「何処かの地形に、大量のミサイルを放つ事だ......だが、そんな大量で地獄にできるか?」

 

「.........っ!!」

 

「どうした?」

 

「...........まさかっ!!?」

 

突然、アスバーンが立ち上がり、ヴァンダルクは首を傾げる。

 

「今すぐ、七大名門達に知らせろ!......これより我等貴族連合はこの世界から脱け出す!急げ!!」

 

「「え!?はい!」」

 

レヴァンネとヴァンダルクは通信を切ると同時に、アスバーンは窓の向こうを見る。

 

「これが本当なら........もう既に、ネロスは「地獄の涙」を発令していると思う。これは赦しがたい事態だ........」

 

アスバーンは頭を抱え、直ぐに準備する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてアルケミスト学院では、集会が始まり、ヴァンダルク学院長話を聞いた学院生達は急いで家に戻し、そしてそれぞれの学院生達の親も、ヴァンダルク学院長の話を聞き、急いで荷物を纏め、アルケミスト学院の広間や体育館、運動場に集合させる。すると、三ヶ所が動きだし、下へ降りていく。皆は慌てるが、先生や貴族連合の領邦兵が落ち着かせる。そして最下層に到着すると、目の前に何千メートルもある超巨大移民艦『ノア』があり、学生や親御さん達をノアに乗せる。

 

「合計3154人!これで全員か!?」

 

「はい!」

 

「良し!」

 

そしてハッチが閉まり、ブリッジにヴァンダルク学院長や先生達が、コンソールや操縦席に座る。

 

「注水を始めろ!」

 

「了解!」

 

ヴァンダルクの号令でハデス兵士が復唱する。それと同時に、アルケミストの学院や関係者を収容したこの移民艦に注水が始まった。

 

「アルケミスト内に生命反応なし。移民の収容、完了しました」

 

「メインエンジン臨界まで、後10秒」

 

「水位上昇80%」

 

「防水隔壁、全閉鎖を確認」

 

ブリッジでは、次々と報告や指示が飛び交う。

 

「フルゲージ!」

 

「拘束アーム解除。ゲート開け。微速前進」

 

エンジンに火が入る。そして、

 

「ノア、発進!」

 

ジルの号令と共に移民艦.....ノアはアルケミストを後にして発進した。そして数分後、移民を乗せたノアはローゼンブルム王国を脱出すると、同時に貴族連合艦隊と合流した。

 

「良し、特異点を開け!」

 

「ヴァンダルク司令!北緯三四度の方向から敵影を確認!!」

 

「っ!?」

 

モニター画面に映ったのは、海面の上や上空に、何千機もモビルアーマー『プルーマ』と『バグ』、ピレスドロイド、そしてディーラ艦隊が攻めてきた。

 

「嘘だろ!?」

 

そして、敵の艦隊の船長達が号令する。

 

「全艦攻撃開始!ドブネズミを駆除せよ!」

 

巡洋艦の主砲がノアや貴族連合艦隊に向けられ、発砲を開始した。艦隊の数隻、そしてノアの装甲に炸裂する。

 

「まずい!!全艦隊はノアを死守せよ!」

 

貴族連合艦隊が一斉に応戦を開始した。迫り来るプルーマとバグ、ピレスドロイドの大群が艦隊を無視して、ノアへ向かっていく。

 

「ノアを狙っている!」

 

貴族連合艦隊からグレイズ、グレイズリッター、レギンレイズ、ジムⅢ部隊が出動し、攻防戦が繰り広げられていた。プルーマがドリルでノアの装甲を削っていく。グレイズやグレイズリッター、レギンレイズが必死にノアを取り付いているプルーマを倒しいく。が、バグやピレスドロイドが貴族連合を翻弄していく。ブリッジでは兵士達が次々に報告してくる。

 

「艦長!リフレクターシールドが50%に低下!このままだとノアが潰されます!」

 

「今さら引き返すわけには行かん!何としてでも、ローゼンブルム王国の地域から脱出しなければ!ノアを潜水させろ!」

 

「イエス、キャプテン!」

 

そして、ノアが潜水し始めると、プルーマやピレスドロイド、バグが撤退し始めた。

 

「逃がすなぁ!砲撃し続けろ!」

 

ディーラ艦隊が潜水するノア目掛けて、艦砲射撃してきた。ノアはそのまま海中へ潜水し、ローゼンブルム王国から離れる。

 

 

 

 

そして、ディーラトルーパーがローゼンブルム王国と繋がる高速道路を封鎖する。

 

「何で通れないんだ!?」

 

「患者がいます!そこを通してください!」

 

車や観光バス、さらに救急車までも、通してくれなかった。すると、ディーラトルーパーが天へ目掛けてブラスターを放ち、威嚇する。逃げ惑う人々がディーラトルーパーから去ると、ディーラトルーパーが急いで逃げ、高速道路の下にいるトルーパーがシールド発生装置を起動した。人々がシールドを叩くがびくともしなかった。その頃、ローゼンブルム邸では、ローゼンブルム国王が事態に気付く。

 

「何があっているのだ!?」

 

王国を取り囲むシールド、すると、上空に一機のオルガノスがミサイルランチャーを構えていた。

 

「地獄の涙よ........害虫や子ネズミを灰にしろ♪」

 

ディーラトルーパーはそう呟き、ミサイルを放った。ミサイルは閉じていくシールドに入り込み、そしてシールドがローゼンブルム王国を囲んだ直後、ミサイルが着弾し、眩い光がローゼンブルム王国を照らした直後、

 

「っ!?」

 

王国にいる人達が核の炎で皮膚が溶け、やがて燃えていき、街や川、森、全てを焼き付くした。

爆風が街を破壊し、大地が割れ、放射能の毒が空気を汚染する。そして立ち上ぼった爆煙が茸雲を作る。

 

それは正に、"地獄の涙"とも言える光景であった。

 

ローゼンブルム王国から逃げ延びたアルケミスト学院の乗っているノアや貴族連合艦が激しく揺れる。

 

「来たぞぉぉぉぉっ!!!!」

 

「全員!!何かに捕まれぇぇ!!」

 

艦内で悲鳴や叫び声が響き、揺れが収まる。そして核の閃光はミスルギ皇国とがリア帝国は現在、夜中なのに、昼間になったことで、大騒ぎになっていた。海上へ浮上したノアは核爆発の光景に見とれていた。ヴァンダルクやアスバーン、レヴァンネはローゼンブルム王国を塵にした核爆発を見て、呟く。

 

「夜中の夜明けなど、あってはならない歪みだ........」

 

「あぁ......まさか、地獄の涙は.....『核弾頭』を投入することだったとは.......」

 

「惨い........」

 

そしてシールドが消え、爆煙が広まると同時に、ノアは核の炎で焼き付くされたローゼンブルム王国へ上陸した。領邦軍やハデス兵士が防護スーツやコンバットスーツ、パイロットスーツを着用し、生存者の捜索へ開始した。

 

まだ燃えている場所もあるが、彼等は必死に捜索を続け、大人:187人 子供:67人 新生児:8人が瓦礫の中で助かっていた。その中にミスティの母親であるローゼンブルム王妃も助かっていた。しかし、彼女は夫が目の前で焼き付く事に、酷いショックを受けており、植物状態になっていた。生き残ったローゼンブルム国民を乗せ、ローゼンブルム王国を脱出した.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルバレアからの話を聞いたアストラ達が核と言う存在を耳にして、背筋が凍り付いた。

 

「ローゼンブルム王国を......核で!?」

 

「.......そうだ」

 

アルバレアはそう呟くと、ミスティがあまりのショックで倒れた。

 

「ミスティ!」

 

セルジオが倒れたミスティを抱き上げ、医務室へ連れていく。

 

「それで、生き残った者達は?」

 

「まだ海中にいる」

 

「........"彼処"へ送ろう」

 

「"彼処"...って、まさか!?」

 

アルバレアが驚く。

 

「ちょっと待って、アストラ.......確かにそこなら安全かもしれない。......だけど良く考えてみろ、人間達が彼処の文明やテクノロジー、技術を身に付けてしまったら、反乱が起きて、彼処を国にしてしまうんだぞ!?」

 

「分かっている!だが、彼らをこのまま海中に居らせて、窒息死させるわけには行かないのだ!」

 

「まぁ、.....それは確かに......」

 

「やるんだよ!」

 

「うぅ~.......分かった」

 

アルバレアはそう言うと、部屋へ戻っていった。

 



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第31話:黒き裏切者達(前編)

今回の話で、マサトの誕生やユリウスとイリスの正体、そして、タイトルの意味をバラします!!
では、どうぞ!


スペードとクローバーを撃退して翌日後、研究施設でアストラは昨日のローゼンブルム王国の壊滅、そしてサラマンディーネと話していた事をマサト達に報告していた。

 

「ローゼンブルム王国が壊滅!!?」

 

《っ!!?》

 

マサトやマティス達は驚きを隠せなかった。

 

「ディーラがローゼンブルム王国外にシールド発生装置を起動して、ローゼンブルム王国にいる人達を閉じ込め、そして"核"を投入した.......」

 

核.....それは20世紀末に開発された禁断の兵器。その力は正に、黒歴史に残る存在でもあった。

 

「奴等は恐らく、核実験をしたんだろう。ローゼンブルム王国や民を実験用のマウスの扱いとして.....」

 

「マウスの扱いだと!!?」

 

アストラの言葉に、マサト達はディーラに対する怒りが込み上げる。

 

「人間は害虫かよ!?ふざけるな!!」

 

「憎むなら、憎めばよい......だが、ディーラはそう易々と警戒が強い......そこで、我々はミスルギ皇国に進行する。」

 

「ミスルギ皇国に?」

 

「ミスルギ皇国に潜入しているリザーディアからの情報が入った。ミスルギ皇国の中枢にあるアケノミハシラの地下にアウラを発見したと.....」

 

「皇国の地下に!?」

 

「俺達ハデス、貴族連合の艦隊、そしてサラ達と共に、ミスルギ皇国上空に特異点を開き、警戒しているディーラ艦隊の後方を狙う。そしてアウラを解放すれば、モビルアーマーや艦隊、そしてモビルスーツも機能が停止するだろう。」

 

「でも、ネロスは知っているのか?」

 

「知っているだろう.....だからだ。」

 

そして同時に風呂に入っているアンジュはサラにミスルギ皇国に侵攻の話を聞いて、アンジュはそれに問う。

 

「それを聞かせてどうするの? 私に戦線に加われっとでも言うつもり?」

 

「....まさか、貴女は自由ですよ?アンジュ。この世界に暮らす事もあちらの地球に戻る事も、勿論我々と共に戦っても貰えるとなればそれ程心強い物はありませんが。明日の出撃の前に貴女の考えを聞いて置きたくて....」

 

「私の....?」

 

アンジュはそれに頭を傾げ、それにサラは頷く。

 

「マサトやあなた達は、民を救っていただいた恩があります。出来る事なら何でもお手伝いしますわ」

 

アンジュはそれを聞いて少しばかり考える。

 

 

 

そして外でマサト達は外で止めてあるマティス達のザクウォーリアの整備をしていて、タスクはアンジュの話しを聞いていた。

 

「そっか…、アンジュもその話しをしていたんだね」

 

「『も』って事はそっちも?」

 

「ああ、俺達も兄さんからアウラの事を聞いてな…」

 

マサトがその事をアンジュに言い、それにアンジュは黙って聞いていた。

 

「でもアストラさんの言う通りかもね、アウラを取り戻せばネロスの世界に大打撃を与えられるのは間違いないからね。」

 

「それでいいのかしら....」

 

っとアンジュのその言葉にマサト達は振り向く。

 

「信じられないのよ....」

 

「え? 義姉さんの言葉がか?」

 

「何もかもが.....」

 

アンジュは空を見上げながら言い、それにマサト達はアンジュの方を見る。

 

「ドラゴンが人類世界に侵攻してくる敵だって言うのも嘘、ノーマの戦いが世界の平和を守るってのも嘘…あれもこれも嘘ばっかり。もうウンザリなの」

 

「.....確かに、言われてみればそうだな。けど、ドラゴンも人間だ。俺はもうドラゴンも狩らない。自分の意思で決める.....」

 

「貴方はそれでいいわよ....、でもドラゴン達と戦って、それが間違いだったとしたら、それにだいたい元皇女がドラゴン達と一緒にミスルギ皇国に攻め入るなんて、悪い冗談みたい」

 

その事にマティス達は顔を合わせて黙り込み、そしてアンジュは自分の腕を掴みながら言う。

 

「...分からないわ、何が正しいのか...」

 

「誰も分からないよ。何が正しいかなんて…」

 

っとタスクが突如その事を言い出し、それにアンジュとマサト達は振り向く。

 

「大切なのは、何が正しいかじゃなくて....君がどうしたいか...じゃないかな?」

 

そう笑顔で言うタスクにアンジュは心をゆさぶられ、聞いていたマサト達は納得する。

そしてタスクはアンジュに今の気持ちを伝える。

 

「君は自分を信じて進めば良い、前にも言ったけど…俺が全力で支えるから!」

 

「…タスクさん、告白っぽく聞こえましたよ?それ」

 

「えっ!?」

 

パトリックの言葉にタスクは思わず振り向きながら驚いて、そのやり取りの中でアンジュは少し頬を赤くして髪をいじくる。

 

「バカね…そんな自分勝手な理屈が通じる訳ないでしょう?」

 

「えっ?そう?」

 

タスクはそれに振り向き、そしてアンジュは安心するかの様な雰囲気を見せる。

 

「でも救われるわ、そう言う能天気な所」

 

「フッ、お褒めに預かり。光栄で、すっ!!?」

 

すると足下に転がっていたドライバーをタスクは踏んでしまって、その一部始終を見ていたマサト達。

 

《あっ、ドライバーが》

 

「えっ?ぐあああ!!!」

 

「え!うあああ!!」

 

タスクはアンジュを巻き込んで倒れ込んで、そこに運悪くヴィヴィアンがやって来た。

 

「皆!皆! お母さんがお礼したいって!」

 

煙が晴れると、そこにはアンジュがタスクに上になって、頭に自分の股を当ててる風な感じだった。

それにモニカ、アイカ、パトリックは真っ赤になって、マティス、エルマ、セリカはものすごく驚きながら唖然とし、ガイ、リクト、ニコラスは何とも言えない表情をしていた。

 

マサトは頭に手を抑えて「お前はもう......」とため息をつきながら呟き、ヴィヴィアンとメリーは頬を少し赤くして一緒に「いやん♡」「ワーオ♡」と可愛らしいポーズをとった。

 

タスクはそのままもがいてしまう。

 

「っ~~!?」

 

それによりアンジュは真っ赤な顔になっていく。

 

「くっ~~~~!!! この!!!永久発情期が~!!!」

 

アンジュの鉄拳がタスクを吹き飛ばしてしまう。

 

「あ~~~~~~~~~~っ!!!」

 

そしてそのまま場外へ飛んで行き、崖の下の川に落ちてしまった。一部始終を見たマティスとパトリックは慌てて見る。

 

「大変だ!!タスクが川に!!!」

 

「マサト!どうしよう!?」

 

「しょうがないなぁ......」

 

マサトは呆れながらのガイとマティス、パトリックと共に川へ落ちたタスクを助けに向かった。

 

 

 

 

 

 

そして夜となり、町の人々がマサト達にお礼のバーベキューをしてくれて、ラミアがマサトにお礼を言った。

 

「本当にありがとうございました、街と私達を護って頂いて」

 

「いえ、俺達は義姉さん達を助けたかっただけですし.....」

 

マサトは崩壊している街の一部を見て、辛い表情をしてしまう。

 

「それに.....守れなかった者や助けられなかった者がたくさんいます......」

 

「それでも、私達を護ってくれた事には変わりありません。さっ、どうぞ冷めない内にどうぞ」

 

ラミアはお肉をマサトに渡し、それにマサトは受け取る。

 

「すいません」

 

一方、川から無事救助されたタスクはあちこち包帯を巻いていた。手が使いないタスクにアウラの民の女たちがタスクにお肉を食べさえていた。

 

「はい、あ~ん♪」

 

「あ~ん、はむはむ...」

 

タスクが食べてくれた事にその女たちは喜んでいた。

 

「ひゃ~!食べてくれた~♪」

 

「男の人って可愛い~!」

 

「えっ? そ....そう?」

 

っと思わずタスクは笑みを浮かばせながら照れてしまう、だが近くに居るマティス達がタスクのそばまでやって来て言う。

 

「おいタスク、あんまりデレデレするとアンジュがまた機嫌悪くなるぜ?」

 

「あ…、それは.....」

 

「楽しそうね」

 

「あ」

 

「ほらね?ん?」

 

タスク達は運悪くアンジュがその場にやって来た事に固まり、そしてアンジュの右手に何やら見覚えのある形をしているバーベキューのお肉串を持っていて、アンジュはその先端のキノコをかぶりつく。

 

ガブッ!!

 

「「「「「「痛い!!??」」」」」」

 

タスク達は思わず自分の股をおさえ、女たちは悲鳴をあげてその場から逃げて行く。

それにアンジュは鼻で笑い飛ばし、タスクのそばまで行って隣に座る。お肉を差し出す。

 

「はい、あ~ん」

 

「えっ?」

 

「何?いらないの?」

 

アンジュの行動にタスク達は少々戸惑いを隠せない。

 

「えっ?....な、何で?」

 

「手、使えないんでしょう? 少しやり過ぎたわ」

 

っとアンジュは頬を赤くして、申し訳ない表情をしながら謝る。

 

「こ、このくらいどうってことないさ。アンジュの騎士は不死身だからね」

 

「逆にそれが凄いんだけどね.....」

 

パトリックはタスクの身体の頑丈さに思わず呆れる表情を示し、タスクはそれに苦笑いしながらもアンジュが差し出したお肉を食べる。

 

「うん!美味い! アンジュが食べさせてくれると格別だね!」

 

「バカ....♪」

 

その事にアンジュは呆れ返り、マティス、パトリック、はその事に笑い我慢し、ガイ、リクト、ニコラスは呆れながら笑みを浮かばせる。

 

そしてアンジュは街を見渡して、タスクがアンジュに言う。

 

「良い所だね♪」

 

「モテモテだもんねあんた達は、特にタスクが一番...」

 

「えっ!?いや!そう言う意味じゃ...?!」

 

タスクは慌てて言うも、彼が言う言葉には説得力がない。

しかしアンジュはそう言いながらも、タスクの言葉に同意する。

 

「でも本当に良い所、皆助け合ってる生きている....あっ、そっか」

 

「ん?どうしたアンジュさん?」

 

ガイがアンジュが何かに気付いて問い、アンジュはそれに答える。

 

「アルゼナルみたい....なんだ、ここ....」

 

その事にジュン達は理解した表情を示し、そしてアンジュは立ち上がる。

 

「私...帰るわ。モモカ達が待ってるわ!」

 

「そうか。アンジュさんの決断はそれか」

 

ガイがそう頷いていると、サラ達がやって来る。

 

「それが....貴女の選択なのですね。また...戦う事になるのですね? 貴女と」

 

「サラ子...」

 

「やはり危険です!この者達は我々の事を知り過ぎました!」

 

ナーガは後ろにある刀を手を伸ばしてアンジュ達を警戒する、それをカナメは止める。

 

「でも!マサトさん達は都の皆を救ってくれたわ!」

 

「マサト様やリナ様はアストラ様の弟君と妹君は別だ!それでもこの間まで殺し合っていたんだぞ? 拘束するべきだ!」

 

ナーガとカナメの言い合いを聞いていたアンジュ達、アンジュは決意を決めた表情で言う。

 

「...私は、もうあなた達とは戦わないわ」

 

「ほら!私達は…えっ?!」

 

その言葉にナーガは思わず驚き、マティス達もそれに頷いて言う。

 

「そうだ、アンジュの言う通り、俺達もあんた達とは戦わない」

 

「うん、同じ人間同士。殺し合う必要はない」

 

ジュンとアラドの言葉を聞いたサラは微笑みを浮かばせて言う。

 

「では明日開く特異点により、あちらにお戻りください。必要ならばカナメとナーガを護衛に付けましょう」

 

「さ!サラマンディーネ様!?」

 

ナーガはそれに問うも、そこにニコラスが言う。

 

「大丈夫だ、俺達はオルトさんとマナミアさんと共にハデス、貴族連合と行く。大丈夫です♪」

 

「そうですか....お達者でアンジュ。戦いが終わりましたら、何時かまた決着を付けましょう...」

 

「ええ、今度はカラオケ対決でね」

 

っとアンジュとサラは握手をして、それにタスク達は苦笑いをしながら見届けていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、マサトは『天都ノ神殿』で鬼の民達にこれからの事を話し合っていた。

 

「では、彼方の方へお戻りになるのですか.....」

 

「大丈夫だよ、向こうで一暴れして来るだけだから♪」

 

「そうですか.....」

 

鬼の大将は落ち込む姿にマサトは励ます。

 

「殿下....」

 

「ん?」

 

「貴方に見せたい物があります。此方へ....」

 

鬼の大将は立ち上がり、マサトをある所へ連れてやった。

 

「ここは?」

 

「ここは......かつて、ユリウス殿下と奥方イリス様が使われていた研究室です.....ここにマサトが来たら、この部屋を見せてくれと頼まれたのです。」

 

「本当の父さんと母さんが?」

 

「えぇ、......後、妹君もです」

 

「妹?俺に妹がいたのか?」

 

「はい......ですが、彼女は亡くなられたのです。」

 

「.........」

 

「.........エクセリアの魂となって.....」

 

「え!?」

 

「殿下が使われているレオスには.....貴方の母君の魂が宿られておるのです。」

 

「え!?じゃあそれって.......」

 

「はい......貴方の父君と母君、妹君は体を失った状態で生きておられるのです。」

 

「何だって!?」

 

その時、マサトは蒼いエクストリームを思い出す。

 

「それじゃ.....あの蒼いエクストリームの魂は......?」

 

「......ユリウス様の魂が宿っているのです。」

 

「え、でも.....何で!?」

 

すると大将は古い机の引き出しから新聞を取り出し、マサトに見せる。マサトはその新聞の内容を見る。

 

 

「平成2018年 秋........東京都東区に住む高○○校の生徒 『大門寺 真人』(17)が死亡。」

 

午後5時に大門寺家の長男 大門寺 真人が車に跳ねられ、病院に搬送されましたが、間もなく死亡したと、 警察も必死に犯人捜索するが、痕跡も見つからないまま、捜索を打ち切りになった。

 

大門寺 マサトの御両親である『大門寺 諒』(45)と『大門寺 華怜』(43)と妹の『大門寺 沙弥』(12)はある計画に成功したり

 

project『Extremer』───人類も到達出来なかった不老長寿SYSTEM 通商"エクストリーマー"が完成し、遺体である真人に打ち込んだ。だが、真人は生き返らず、計画は失敗したと思われたが、諒と華怜、沙弥が打ち込むと、完璧な新人類"ハイブベイド"が誕生し、双極の悪魔であるイクスとレオス、そしてエクセリアに憑依できるようになった。そして二人は疑似の体を造り出し、機体から脳波でコントロールできる疑似体"ユリウス"と"イリス"が完成した。それから120年後、真人の遺体のDNAでクローンを造り、クローンに真人の記憶をコピーさせ、イリスの胎内に宿らせた。

 

マサトはその真実を見て、驚く。

 

「それが.......俺!?」

 

「.......」

 

「俺の......本当の名前は......マサト・ラスタルじゃなく、大門寺 真人!?」

 

「はい......殿下と奥方はそれほど息子を愛しかったのです。亡くなったあなた様を生き返らせるために態々、転召なされて、もう1つの体として、あなた様を産んで生き返らせたのです......」

 

「これが......もう1つの真実!?俺は生者!?それとも死者!?」

 

マサトは混乱するなか、大将があるスイッチを押した。すると、目の前のハッチが開いた。すると、急激な光がマサトの目を眩くさせる。

 

「何だ!?」

 

「我々鬼の民はかつて、天草四郎様の指導の元に、神の御加護を受けていました。マサト様......何故、天草四郎様が神の御加護を持っておられたのか知っていますか?」

 

「え!?」

 

「かつて、この地に......天に召されし方舟が下りてきました。幼かった四郎様は乗っていた天の方舟の使者と接触し、神の御加護を手にし、人々を指導しておられたのです。」

 

「天に召されし方舟!?、何の事だ!?」

 

「方舟の使者は....善なる白き悪魔と、悪き黒き天使を崇めていました。その善なる白き天使と天に召されし方舟がマサト様を照らしている物です。」

 

マサトは良く見ると、何万メートルもある光るそれは、船と言うより、要塞であった。中には緑の草原、高層ビルが並んでいた。そしてその要塞の上に、装甲を身に付けていないフレームがあった。

 

「あれは.....!?」

 

「そう.......双極の悪魔の元となり、全てを超越できる悪魔であり、真の双極の悪魔......『エクストリームガンダム type-レオスII ヴァリアント・サーフェイス』....貴方の遺体と魂が宿った悪魔なのです。」

 

「........!!」

 

マサトはその神々しいフレームに見とれる中、マサトを追って、こっそり見ていたナオミもマサトの正体に驚いていた。




どうですかな?
なんか、グダグダになっているかも知れませんが、これが本当の真実です!


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第32話:黒き裏切者達(中編)

 

早朝、アウラの民がアウラを奪還するべく総力を持って進攻する為、戦力を集結させていた。その様子に外に居たタスク達、その中でヴィヴィアンは感心していた。

 

「うお~!ドラゴンのフルコースなり~!」

 

「正に、そう戦力だね」

 

「こればかりは私達も驚きましたわ....」

 

パトリックとモニカがドラゴンの集結の様子を見て言い、そこにマサトとナオミが遅れてやって来た。

 

「すまない、遅れた」

 

「遅いぜマサト、何してたんだよ?」

 

「嫌、別に.....」

 

すると、マサトとナオミは互いの顔を見て、頬を赤くした。

 

しかしその中でアンジュが何やら厳しい目で見ていた。

 

それにタスクが気づく。

 

「どうしたの?アンジュ」

 

「アンタ、変わったね.....何があったの?」

 

アンジュはマサトとナオミのちょっとばかりの気になる様子に、何やら気になりながら見ていると、

 

二人が互いに、頬を赤くする。

 

「実は......」

 

マサトは昨日の事を皆に話した。

 

 

 

 

 

「........」

 

マサトが光輝く要塞を見とれていると、鬼の大将が何かに気付き、刀を振り下ろした。

 

「何奴っ!?」

 

置いていた樽が真っ二つに割れ、現れたのは泣き崩れ、尿を漏らしていたナオミであった。

 

「ナオミ!?」

 

マサトは驚き、事情を話したところ、ナオミはマサトを追って、鬼の大将やマサトの正体を聞いていたと、マサトは呆れ、天都ノ神殿を去り、アウラの都へ戻っていくと、

 

「ところで.....どうしてそこまで俺と接触しようとしているんだ?」

 

「あの.....その......」

 

「.......ま、良いか......」

 

マサトは鳥居の前の石段に座る。

 

「あれ.....嘘だろ?エクセリアが選んだって言うの?」

 

「えぇ!?何時からなの!?」

 

「とっくの前だよ.....だってエクストリームは乗ってあのテキストの問いに答えないと、起動しないから.......」

 

「はう~~......」

 

ナオミは落ち込み、マサトは慰める。そしてマサトとナオミは一緒に夜空に浮かぶ星を見ていた。

 

「不思議だなぁ.......」

 

「何が?」

 

「今まで、俺は......ずっとレオスに.....嫌、母さんに守られていたんだと、それが不思議だなぁと思って......」

 

「私も、あの赤い少女がマサトの本当の妹だったなんて......思っていなかったよ」

 

「ハハハ、俺もだよ......最初会った時は幽霊かと思ったからなぁ♪.....?」

 

マサトはナオミの綺麗な横顔にドキッとする。

 

「何?」

 

ナオミが問うと、マサトは決意する。

 

「.......ナオミ」

 

「ん?」

 

「その.....え~っと.......俺.......お前が好きだ」

 

「.....................ほえっ!!?」

 

マサトからの衝撃の告白に、ナオミの顔が真っ赤に染まる。

 

「きゅ!?きゅ!?きゅ!?急に何を!?」

 

「......その、お前と会った時.......惚れていたんだ........綺麗なピンクの髪で、可愛いくて....♪」

 

「か、可愛.....い~~」

 

ナオミはさらに照れていると、マサトが言う。

 

「ナオミ........俺の、"恋人"になってくれないかな?」

 

マサトの告白にナオミも言う。

 

「私も.....マサトと一緒に居たい.....そして、幸せになりたい....」

 

ナオミはそう言い、二人は互いの唇を近付けてキスをし、誓い合ったと、......。二人が恋人同士になったことで、オルトとマナミアは大喜びした。それで、二人とも顔を赤くしていたと。それを聞いたマティス達は驚きながら、大喜びするのであった。

 

《おお~~!!!》

 

皆は拍手で応えると、アンジュがマサトに言う。

 

「何よそれ!?結局アンタもド変態!ドスケベ!エロタスクの仲間じゃない!ナオミに変なことをしたら許さないからな!!」

 

「アンタに言われたくないな!」

 

「何~~っ!!」

 

マサトとアンジュが睨み合っていると、ある影が入り込み、皆は上空を見ると、上空にハデスの主力巡洋艦『ワイバーン級』36隻、駆逐艦『ガルーダー級』27隻、特務艦『グリフィン級』15隻、そして総旗艦の『ケルベロス』とその護衛艦『オルトロス級』10隻と強襲艦艇『サラマンダー』、その中にアストラの戦艦『インフィニティ』も集まった。

 

「スゲェ!あんな船もあったんだ~!」

 

「これぞ大艦隊!!」

 

更に興奮していたヴィヴィアンとメリー、マサト達もそれに見とれる中でアストラ達が来る。

 

「どうだ?中々のもんだろ?.......各地にいる施設からトリスタン連邦の残党の5割の艦隊だからなぁ♪」

 

《5割!!?》

 

「え、ちょっと待てよ......あの大勢力でまだ半分なの!?」

 

「あぁ、残り半分は二日も掛かるが、貴族連合も含めて合計20割だな♪それと......連れてきたのか?」

 

アストラがマサトに言う。

 

「あぁ!」

 

マサトは後ろの方を向くと、甲冑と武装した鬼の民が現れてきた。そして鬼の民の主力戦艦『鬼刃』10隻と装甲艦艇『摩幌馬』20隻を引き連れてきた。

 

「ほぉ、鬼の民の勢力か.......」

 

アストラが感心していると、鬼の大将がアストラに近付く。

 

「お前が大将か?」

 

「如何にも、我だ......」

 

鬼の大将はそう言うと、鬼面を外し、アストラや皆に、於曾ましい顔を見せる。

 

「意外とゴツいなぁ......」

 

アストラがそう言うと、鬼の大将が吼える。

 

「ッ!!!」

 

「ハ、ハ、ハ!お手並み拝見だ!」

 

鬼の大将もそう言うと、鬼面を付け、鬼刃に乗り込む。

 

「鬼の民って......あんな感じなのか?」

 

「大将はそう言う奴だよ.....他はまともな顔......」

 

マサトのアドバイスにアストラは納得した。するとタスクの耳元にドクターゲッコが....。

 

「タ ス ク さん~♪」

 

「ぞぉ~!?」

 

タスクはビックリして見て、ドクターゲッコはタスクの腕に抱き付く。

 

「もっと人型の成人男性を観察するいいチャンスでしたのに、残念です♪」

 

「あ、そうですか......」

 

「次回は是非、私と交尾の実験を.....」

 

アンジュがタスクの首根っこを引っ張って、ドクターゲッコに言う。

 

「御免なさいドクター、これは貴女の実験用の珍獣じゃなくて。私の『騎士』なの」

 

「えっ?」

 

「あ、はい....」

 

アンジュの言葉にタスクとドクターゲッコは唖然とし、タスクとアンジュの様子にヴィヴィアンは思わずからかう。

 

「ヒューヒュー♪」

 

二人の行動にアンジュは思わず頬を赤くして、すぐさまヴィルキスの元に行く。

 

「ほ!ほら!!行くわよ皆!!」

 

「あ、ああ」

 

「お~!」

 

慌てて追いかけるタスク、テンションよく付いていくヴィヴィアン。それにマサト達は苦笑いしながら呆れ返っていた。

 

そしてドラゴン達が集結して、大巫女が皆の前に現れる。

マサト達は大巫女の姿を見て唖然とする。

 

「あれが大巫女....?」

 

「.......幼女だ」

 

そして大巫女はアウラの民達に宣言をする。

 

「誇り高きアウラの民よ、アウラと言う光を奪われ幾星霜.....ついに反撃の時が来た。今こそネロスに我らの怒りとその力を知らしめる。我らアウラの子!例え地に落ちてもこの翼は折れず!!」

 

その言葉にドラゴン達は雄叫びをあげて、それにヴィヴィアンもつられるように興奮しながら吠えた。

宣言が終えてサラは焔龍號に乗り込み、皆に告げる。

 

「総司令!近衛中将サラマンディーネである! 全軍出撃!!」

 

焔龍號が発進して、それに続くかの様にナーガとカナメの蒼龍號と碧龍號が続き、ドラゴン達もその後を追いかけるように出撃した。マサト達も機体を発進させ、ハデス艦隊と共に空へ飛び立つ。そしてヴィヴィアンはタスクのフェニックス・ゼロの後部座席に乗って、見送っているラミアに言う。

 

「行ってきまーす!」

 

特異点に向かっている中でタスクが妙に笑っている事にアンジュが気付き、通信で問う。

 

「何?気持ち悪い」

 

「ああ、いや嬉しくてさ。君が俺の事を騎士として認めてくれたのが」

 

「ああ~その事ね」

 

「まあ分からなくもないな、タスクさんはアンジュさんの騎士だから。タスクさんがその事を認めた事だけでも凄い事なんでしょう」

 

マサト達はタスクの考えてる事に納得するかのように頷く。

そしてヴィヴィアンがある事を問う。

 

「ねえねえ、ドラゴンさん達が勝ったら戦いは終わるんだっけ?」

 

「えっ?ああ…多分そうだね」

 

それにタスクは頷いて言い、それにコモンは頷く。

 

「そしたら暇になるね、そしたらどうする?」

 

「え?、どういう意味なんだ?」

 

ヴィヴィアンの言葉にガイは首を傾げながら問う。

 

「実はね、私戦いが終わったら皆をご招待するんだ。あたしん家に♪皆は?」

 

その事にマティス達は考える。

 

「そうだな~....俺は知事になってみたいな。親父がマーメリア共和国の官庁をやっていたから、この世界で街を築き上げて、首長を目指す!」

 

「僕は吟遊詩人かな、世界を回って、歌を届ける」

 

「良いね~♪」

 

「俺は、壮大で穏やかな高原に小屋を建てて、そこでレストランを開く。」

 

「俺は、貴族連合に入って、新たな名門を築く。元々貴族連合が九大名門だったからな」

 

「俺は、この世界の何処かに沸く秘湯を探して、そこに温泉郷を築く。」

 

「おぉ~!」

 

それぞれの夢を持っているマティス達にタスクは思わず感心をしていて、ヴィヴィアンは次にタスクに問う。

 

「ねえ!タスクは?」

 

「えっ?俺~? 俺は.....海辺の綺麗な街で小さな喫茶店を開くんだ。アンジュと二人で....店の名前は天使の喫茶店アンジュ、人気メニューはウミヘビのスープ」

 

「なぁ、タスク」

 

「えっ?何?」

 

ガイに問いかけられたタスクはガイの方を向く。

 

「お前、そのメニューはやめた方が良いと思う。それにあんまりアンジュの事ばっか言ってると殺されるぞ」

 

「えっ…それは確かに。あっ!でもまだ他にあるんだ。二階が自宅で子供が四人」

 

「ヴィヴィアン、殺していいわよ」

 

っとアンジュが機嫌悪いして、ヴィヴィアンに言い、それにヴィヴィアンは「ガッテン!」と言って銃を取り出してタスクに向ける。

 

「ご、ごめんアンジュ....俺はただ、穏やかな日々が来れば良い....ただそう思ってるだけさ」

 

マサトとアンジュはタスクの言葉にただ黙って聞いていて、次にヴィヴィアンがマサトとアンジュに問う。

 

「ねえ!マサトとアンジュは?」

 

「私は....」

 

「俺は.....ナオミと一緒に、鬼の民と共に暮らす。小さな村を築き上げてね....」

 

《ヒュ~~!!》

 

突然、マティス達がマサトをからかっていると、カナメが皆に言う。

 

「特異点開放!!」

 

すると皆の目の前にシンギュラーが解放されて、それにパトリックとヴィヴィアンが見開く。

 

「あの向こうが......」

 

「おお~!開いた!」

 

開放と共にサラがドラゴン軍に向かって叫ぶ。

 

「全軍!我に続け!!」

 

その言葉と共にとドラゴン達はシンギュラーに突入して行き、向かっている中でアンジュはタスクが言った言葉、喫茶アンジュの事を考える。

 

「(悪くないかもね…喫茶アンジュ)」

 

そう思いながらも皆はシンギュラーに向かって行き、ハデス艦隊も付いていった。

 

 

そしてシンギュラーを抜けてマサト達は見渡す。

 

「ここは…」

 

「ここでクイズで~す! 此処は一体どこでしょうか!クンクン....正解は!あたし達の風、海、空でした~!」

 

そしてハデス艦隊もシンギュラーを抜けて、オルトも自分達の世界に戻って来た実感を感じる。

 

「戻ってきたんだ......俺たちの世界に.....」

 

「そうだな....あれ!?」

 

アストラが到着した場所が違うことに気付く。

 

「どうなっているんだ!?サラ!」

 

「到着予定座標より北東4万8000…?! どうなっているのですか!これは!」

 

「分かりません....!確かに特異点はミスルギ上空に開く筈....!」

 

っとその時サラの機体のレーダーに警告熱反応が表示され、それにサラは前方を見る。

 

すると目の前にミサイルが無数に飛んで来て、それにドラゴン達は光の盾を展開し防御する。

 

「何事!!」

 

煙が晴れた途端に無数のドラゴン達が海に落ちて行き。

ガレオン級が吠えた途端に緑色のビームがガレオン級の頭部を吹き飛ばして撃ち落とす、それにサラは目を見開く。

 

「あれは....!」

 

サラが目にしたのは、5体の黒いヴィルキスとスペードのフェニキス、ダイヤのガルムガンダム、ジャックのガンダムメフィスト、ハートのモビルアーマー『ディビニダドゥ』、ゼノビアのモビルアーマー『シャンブロ』、エースのモビルスーツ『ジャッジメントガンダム』、そしてあのイクスとその周りにエクストリームの同型の機体『Gストリーム』、ディーラ艦隊がバグとプルーマを引き連れていた。

 

それにケルベロスに居るオルトは思わず表情を歪める。

 

「何て事だ!!」

 

「何ぞ!?あれ!?」

 

「黒い.....ヴィルキス!?」

 

「イクスに.....エクストリーム!?」

 

マサト達が驚いていると、何百機のGストリームがビームガンを構え、5体のラグナメイルがビームライフルを構え、乱射してきた。

 

ワイバーンやガルーダー、グリフィンのカタパルトからモビルスーツ『ジャハナム』、『ザクウォーリア』『ギラ・ズール』が発進され、サラがナーガとカナメに通信を入れる。

 

「姫様!これは!?」

 

「待ち伏せです....!」

 

サラが言った言葉にナーガとカナメは驚きを隠せない。

 

「待ち伏せ?!」

 

「では!リザーディアからの情報は.....!?」

 

「今は敵の排除が最優先です!!」

 

そう言ってサラ達は龍神器達を駆逐形態に変形させて、ドラゴン達やハデス艦隊に言う。

 

「全軍!!敵機を殲滅せよ!!」

 

サラが先頭に進み、その後にナーガやカナメも後に続き、ハデス艦隊とディーラ艦隊の攻撃が開始された。

 



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第33話:黒き裏切者達(後編)

 

マサト達が戦っていると同時に別の場所では、ある拷問部屋で吊るされているリザーディアにラグナメイルとモビルスーツがドラゴン達との戦闘を見ているエンブリヲが居た。

 

「どうだい、お前が流した情報で仲間が虐殺される様を。リィザ......いや、本名はリザーディアか?」

 

「ぅ....」

 

それにはリザーディアはただ悔しがるだけであり、、ネロスはそれに笑いながら再び映像を見ると同時に彼の表情が急に変わった。

彼が見た映像の先にはレオスとエクセリア、そしてインフィニティやケルベロス達が映っていて。それにネロスは目を大きく開かせる。

 

「まさか、またここにやって来るとはなぁ........我が友 オルトとマナミア......♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘を行っている中、ドラゴン達が次々と落とされて行くのをヴィヴィアンが見て、大声で叫ぶ。

 

「ああ!!やめろーーーーーっ!!!!」

 

「くっ!」

 

するとマサトとアンジュがレオスとヴィルキスを動かして、最前線へと向かう。それにタスクが慌ててしまう。

 

「ちょ!!マサト!アンジュ!!」

 

「サラを助けに行く!!あのままにして置くか!!」

 

「待ってくれマサト!!相手はネロスだ! 気持ちは分かるけど!!」

 

「何もしないよりはマシだ! 行くぞアンジュ!!!」

 

「ええ!!」

 

そう言ってマサトとアンジュはそのまま向かって行き、それに釣られるかの様にマティス達も向かう。

 

「俺も行くぜ!マサト!!」

 

「僕もほっとけないよ!!」

 

「仲間を見過ごせないな!」

 

「ヴィヴィアン、しっかり捕まっててね?」

 

「おう!」

 

マティス達もマサト達の後を追いかけ、それにタスクは慌てる。

 

「ちょっと!待って!! 俺も行く!!」

 

っとタスクもフェニックス・ゼロを前に出して、マサト達を追いかけて行った。

 

そして戦闘は膠着状態へとなり、サラ達の軍やハデス軍が次々へと落とされて行く。

サラは蒼いヴィルキス『クレオパトラ』と収納ブレードで戦っていた。

 

「戦力!消耗三割を超えました!!」

 

「早くも戦況が維持出来ません!!」

 

「相手はたったの12機ですよ! くっ!」

 

サラは噛みしめながらも左腕に装備されているビーム砲を撃ち、それをクレオパトラは難なくかわす。

 

「速い!!」

 

そしてクレオパトラはサーベルをサラの焔龍號に振りかぶろうとした時に、アンジュのヴィルキスがラツィーエルで防御する。

 

「!?」

 

っとクレオパトラに乗っているライダーは思わず反応し、アンジュはクレオパトラを一気に吹き飛ばして、その中にいるライダーはヴヴィルキスを見る。

 

「ヴィルキス......アンジュなの?」

 

そしてマサトとナオミは艦隊を襲うGストリームを攻撃する。するとイクスのパイロットがレオスとエクセリアを見る。

 

「レオスとエクセリア.......もう片方は知らないけど......また会えたね、マサト........」

 

「大丈夫!!サラ子!!」

 

「ええ!大丈夫です!」

 

「アンジュはサラに言う。

 

「さあ!!此処は私達に任せて引きなさい!サラ子!」

 

「出来ません!ネロスからアウラを取り戻すまでは!」」

 

「義姉さん!周りをよく見てくれ!こんな状態だと、ネロスの思うがままだ!!」

 

っとサラはマサトの言う通りに周りを見渡すと、戦況が混乱状態であり、とてもじゃないが進攻するのは不可能であった。

 

『マサトとアンジュの言う通りだ!』

 

っとタスクの通信にサラは思わず反応した。

 

「今は引いて、戦力を立て直すんだ!勝つために!」

 

その事をサラは目を開かせて、頭を冷やして操縦桿を握りしめて皆に言う。

 

「アウラ....全軍!撤退する!! 戦線を維持しつつ特異点に撤退せよ!」

 

それによりドラゴン軍達は特異点に向かい撤退し始め、それに緑のヴィルキス『テオドーラ』がビームライフルで追撃していた。

マサトはそれに気付き、ヴァリアブル・ライフルをテオドーラに向けて撃つ、それにテオドーラはビームシールドで防御するも、強烈は爆風と吹き飛ぐ。

 

「ぐっ?!!」

 

そして同時にアンジュのアサルトライフルのグレネードランチャーが火を噴いて放ち、それをクレオパトラは防御する

再び攻撃しようとした時にライフルの弾が切れた事に気が付く。

 

「くっ…!」

 

『アンジュ!これを!!』

 

っとサラがアンジュに銃剣付きビームライフルを渡し、それを受け取り構えるアンジュ。

 

「アンジュ。どうかご武運を.....」

 

「良いからさっさと行きなさい!!」

 

アンジュは怒鳴りながらもビームライフルを放ち、それにサラは撤退しながら

 

『サラ!私も残る』

 

「アストラ!」

 

アストラが乗っているインフィニティとオルトとマナミアのケルベロス、そして鬼の民の大将が乗っている鬼刃がサラ達を守ろうと盾になる。

 

「アイツ等だけでは、戦力不足になる。心配するな.......必ずお前の元に戻ってくる!」

 

「アストラ....分かりました! どうかご無事をお祈りします!お義父様もお義母様も!」

 

そう言ってサラは特異点へと戻って行く。

 

そしてアンジュは迫るクレオパトラに驚きながら回避し、フライトモードになってその場を離れようとするがそこにクレオパトラが追跡しながらアンジュの姿を確認する。

 

「やっぱり....」

 

「?....」

 

アンジュはクレオパトラの方を見ると、クレオパトラがフライトモードになり、そのライダーのバイザーが透通って素顔が現る。その人物はなんとサリアであった。

 

「どうしてあんたが...」

 

「!? サリア....!?」

 

マサトとナオミ、そしてマティス達やヴィヴィアンも驚く。

ヴィヴィアンはクレオパトラに乗っているサリアを見る。

 

「サリア....サリアだ!」

 

「えっ?」

 

「でも.....!」

 

っとヴィヴィアンはマサトとタスクに通信を入れ、一旦合流したマサトとタスクはヴィヴィアンの通信を聞いてアンジュとサリアの方を見る。

そしてアンジュはサリアの他にいる人物の事を驚く。

それはレイジアとテオドーラにエルシャとクリスだった。

 

「エルシャに....クリスも!」

 

「アンジュ、どうしてあんたがドラゴンと共に戦って.....」

 

「アンジュ!!」

 

っとそこにマサト達がやって来て。マサトやナオミはエルシャとクリスの姿を見て驚く。

 

「 エルシャ!?」

 

「クリス!?」

 

「え!?その声......ナオミ!?」

 

「本当にマサト君とナオミちゃんにアンジュちゃん…なの?」

 

「うわぁ....またビックリ」

 

マサトが驚いてる中でサリアはマサトとナオミを見て確信していると、サリアの元に通信が入る。

 

「こちらサリア....えっ? 分かりました…ネロス様。アンジュ、貴女を拘束するわ、色々と聞きたいことがあるから....それとマサトにナオミ。貴方たちもよ!」

 

「「「!?」」」

 

マサト達はサリアの一言に驚き、サリアはエルシャとクリスに言う。

 

「二人共、良いわね?」

 

「「イエス、ナイトリーダー」」

 

二人は互いに敬礼し、駆逐形態へ変形し、マサトに襲い掛かった。

 

「待て!サリア!エルシャ!クリス!」

 

しかし、三人はマサトの話を聞こうともしなかった。すると上空からイクスが現れ、ビームサーベルを抜刀してきた。マサトもビームサーベルを抜刀し、防御する。

 

『やっと会えたね』

 

「っ!?その声......ジョアンヌ!?」

 

『ジョアンヌは昔の名前.......今の私の名は"ジョーカー"。』

 

「何やっているんだよ!?何でお前がイクスに乗っているんだ!?」

 

『ネロス様から授かったのよ.......不思議だよね、イクスが私を選ぶなんて、それと、』

 

するとジョアンヌがエクセリアの方を向く。

 

『あのエクセリアに乗っている子.......「ナオミ」だっけ?.......もしかして、アンタの彼女?』

 

「っ!」

 

『そっか.......それなら、』

 

ジョアンヌはマサトを吹き飛ばした。

 

『格闘進化 タキオン・フェイズ』

 

イクスの周りに、赤い装甲が身に纏われ、大型ビームソード『タキオンスライサー』を抜刀し、エクセリアに襲い掛かった。ナオミは急いでシールドビットを展開し、

マサト達が戦っていると同時に別の場所では、ある拷問部屋で吊るされているリザーディアにラグナメイルとモビルスーツがドラゴン達との戦闘を見ているエンブリヲが居た。

 

「どうだい、お前が流した情報で仲間が虐殺される様を。リィザ......いや、本名はリザーディアか?」

 

「ぅ....」

 

それにはリザーディアはただ悔しがるだけであり、、ネロスはそれに笑いながら再び映像を見ると同時に彼の表情が急に変わった。

彼が見た映像の先にはレオスとエクセリア、そしてインフィニティやケルベロス達が映っていて。それにネロスは目を大きく開かせる。

 

「まさか、またここにやって来るとはなぁ........我が友 オルトとマナミア......♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘を行っている中、ドラゴン達が次々と落とされて行くのをヴィヴィアンが見て、大声で叫ぶ。

 

「ああ!!やめろーーーーーっ!!!!」

 

「くっ!」

 

するとマサトとアンジュがレオスとヴィルキスを動かして、最前線へと向かう。それにタスクが慌ててしまう。

 

「ちょ!!マサト!アンジュ!!」

 

「サラを助けに行く!!あのままにして置くか!!」

 

「待ってくれマサト!!相手はネロスだ! 気持ちは分かるけど!!」

 

「何もしないよりはマシだ! 行くぞアンジュ!!!」

 

「ええ!!」

 

そう言ってマサトとアンジュはそのまま向かって行き、それに釣られるかの様にマティス達も向かう。

 

「俺も行くぜ!マサト!!」

 

「僕もほっとけないよ!!」

 

「仲間を見過ごせないな!」

 

「ヴィヴィアン、しっかり捕まっててね?」

 

「おう!」

 

ジュン達もレオン達の後を追いかけ、それにタスクは慌てる。

 

「ちょっと!待って!! 俺も行く!!」

 

っとタスクもフェニックス・ゼロを前に出して、レオン達を追いかけて行った。

 

そして戦闘は膠着状態へとなり、サラ達の軍やハデス軍が次々へと落とされて行く。

サラは蒼いヴィルキス『クレオパトラ』と収納ブレードで戦っていた。

 

「戦力!消耗三割を超えました!!」

 

「早くも戦況が維持出来ません!!」

 

「相手はたったの12機ですよ! くっ!」

 

サラは噛みしめながらも左腕に装備されているビーム砲を撃ち、それをクレオパトラは難なくかわす。

 

「速い!!」

 

そしてクレオパトラはサーベルをサラの焔龍號に振りかぶろうとした時に、アンジュのヴィルキスがラツィーエルで防御する。

 

「!?」

 

っとクレオパトラに乗っているライダーは思わず反応し、アンジュはクレオパトラを一気に吹き飛ばして、その中にいるライダーはヴヴィルキスを見る。

 

「ヴィルキス......アンジュなの?」

 

そしてマサトとナオミは艦隊を襲うGストリームを攻撃する。するとイクスのパイロットがレオスとエクセリアを見る。

 

「レオスとエクセリア.......もう片方は知らないけど......また会えたね、マサト........」

 

「大丈夫!!サラ子!!」

 

「ええ!大丈夫です!」

 

「アンジュはサラに言う。

 

「さあ!!此処は私達に任せて引きなさい!サラ子!」

 

「出来ません!ネロスからアウラを取り戻すまでは!」」

 

「義姉さん!周りをよく見てくれ!こんな状態だと、ネロスの思うがままだ!!」

 

っとサラはマサトの言う通りに周りを見渡すと、戦況が混乱状態であり、とてもじゃないが進攻するのは不可能であった。

 

『マサトとアンジュの言う通りだ!』

 

っとタスクの通信にサラは思わず反応した。

 

「今は引いて、戦力を立て直すんだ!勝つために!」

 

その事をサラは目を開かせて、頭を冷やして操縦桿を握りしめて皆に言う。

 

「アウラ....全軍!撤退する!! 戦線を維持しつつ特異点に撤退せよ!」

 

それによりドラゴン軍達は特異点に向かい撤退し始め、それに緑のヴィルキス『テオドーラ』がビームライフルで追撃していた。

マサトはそれに気付き、ヴァリアブル・ライフルをテオドーラに向けて撃つ、それにテオドーラはビームシールドで防御するも、強烈は爆風と吹き飛ぐ。

 

「ぐっ?!!」

 

そして同時にアンジュのアサルトライフルのグレネードランチャーが火を噴いて放ち、それをクレオパトラは防御する

再び攻撃しようとした時にライフルの弾が切れた事に気が付く。

 

「くっ…!」

 

『アンジュ!これを!!』

 

っとサラがアンジュに銃剣付きビームライフルを渡し、それを受け取り構えるアンジュ。

 

「アンジュ。どうかご武運を.....」

 

「良いからさっさと行きなさい!!」

 

アンジュは怒鳴りながらもビームライフルを放ち、それにサラは撤退しながら

 

『サラ!私も残る』

 

「アストラ!」

 

アストラが乗っているインフィニティとオルトとマナミアのケルベロス、そして鬼の民の大将が乗っている鬼刃がサラ達を守ろうと盾になる。

 

「アイツ等だけでは、戦力不足になる。心配するな.......必ずお前の元に戻ってくる!」

 

「アストラ....分かりました! どうかご無事をお祈りします!お義父様もお義母様も!」

 

そう言ってサラは特異点へと戻って行く。

 

そしてアンジュは迫るクレオパトラに驚きながら回避し、フライトモードになってその場を離れようとするがそこにクレオパトラが追跡しながらアンジュの姿を確認する。

 

「やっぱり....」

 

「?....」

 

アンジュはクレオパトラの方を見ると、クレオパトラがフライトモードになり、そのライダーのバイザーが透通って素顔が現る。その人物はなんとサリアであった。

 

「どうしてあんたが...」

 

「!? サリア....!?」

 

マサトとナオミ、そしてマティス達やヴィヴィアンも驚く。

ヴィヴィアンはクレオパトラに乗っているサリアを見る。

 

「サリア....サリアだ!」

 

「えっ?」

 

「でも.....!」

 

っとヴィヴィアンはマサトとタスクに通信を入れ、一旦合流したマサトとタスクはヴィヴィアンの通信を聞いてアンジュとサリアの方を見る。

そしてアンジュはサリアの他にいる人物の事を驚く。

それはレイジアとテオドーラにエルシャとクリスだった。

 

「エルシャに....クリスも!」

 

「アンジュ、どうしてあんたがドラゴンと共に戦って.....」

 

「アンジュ!!」

 

っとそこにマサト達がやって来て。マサトやナオミはエルシャとクリスの姿を見て驚く。

 

「 エルシャ!?」

 

「クリス!?」

 

「え!?その声......ナオミ!?」

 

「本当にマサト君とナオミちゃんにアンジュちゃん…なの?」

 

「うわぁ....またビックリ」

 

マサトが驚いてる中でサリアはマサトとナオミを見て確信していると、サリアの元に通信が入る。

 

「こちらサリア....えっ? 分かりました…ネロス様。アンジュ、貴女を拘束するわ、色々と聞きたいことがあるから....それとマサトにナオミ。貴方たちもよ!」

 

「「「!?」」」

 

マサト達はサリアの一言に驚き、サリアはエルシャとクリスに言う。

 

「二人共、良いわね?」

 

「「イエス、ナイトリーダー」」

 

二人は互いに敬礼し、駆逐形態へ変形し、マサトに襲い掛かった。

 

「待て!サリア!エルシャ!クリス!」

 

しかし、三人はマサトの話を聞こうともしなかった。すると上空からイクスが現れ、ビームサーベルを抜刀してきた。マサトもビームサーベルを抜刀し、防御する。

 

『やっと会えたね』

 

「っ!?その声......ジョアンヌ!?」

 

『ジョアンヌは昔の名前.......今の私の名は"ジョーカー"。』

 

「何やっているんだよ!?何でお前がイクスに乗っているんだ!?」

 

『ネロス様から授かったのよ.......不思議だよね、イクスが私を選ぶなんて、それと、』

 

するとジョアンヌがエクセリアの方を向く。

 

『あのエクセリアに乗っている子.......「ナオミ」だっけ?.......もしかして、アンタの彼女?』

 

「っ!」

 

『そっか.......それなら、』

 

ジョアンヌはマサトを吹き飛ばした。

 

『格闘進化 タキオン・フェイズ』

 

イクスの周りに、赤い装甲が身に纏われ、大型ビームソード『タキオンスライサー』を抜刀し、エクセリアに襲い掛かった。ナオミは急いでシールドビットを展開し、大型ビームソード『ハルプモント』で防御した。

 

「ナオミ!」

 

マサトは急いでナオミの所へ向かうとした時、目の前にエースのジャッジメントガンダムが立ち塞がった。

 

「貴様がトリスタン連邦総統『ユリウス』と『イリス』の息子か......」

 

さらに海中からゼノビアのシャンブロ、ハートのディビニダドゥ、ダイヤのガルムガンダム、デシルのガンダムメフィスト、数機のプルーマも現れた。

 

『極限進化状態!"EXA・フェース"!!』

 

レオスが極限進化し、持っている二丁のヴァリアブル・サイコ・ライフルを構え、周りにいるプルーマに攻撃した。

 

「ウォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

 

プルーマのナノラミネートがレオスのヴァリアブル・サイコ・ライフルの火力に耐えきれず、塵へと変わっていった。エース達は回避しすると同時にマサトに襲い掛かる

 

「チッ!」

 

マサトは舌打ちをすると、マティス達のザクウォーリアが武器を取る。

 

「俺達も行くぞ!!」

 

《おぉ~!!》

 

セリカ、リクト、ニコラスのジンハイマニューバとシグーディープアームズがレーザー重斬刀や斬機刀を抜刀し、デシルに斬りかかる。

 

「ヘッ!そんななまくらの武器で俺に勝てるとでも思っていんのか!?」

 

デシルは相変わらず、悪どくな台詞を吐き、バルカン砲からビームサーベルを放出し、防御する。そして背部のメフィストキャノンがセリカとリクトに向けられた。

 

「「っ!!」」

 

二人は急いで回避し、後ろに回り込みむが、メフィストのメフィストテールが二人を吹き飛ばす。

 

ハートのディビニダドゥがメリーとパトリックのガナー・ザクウォーリアに襲い掛かる。

 

「.........フェザーファンネル」

 

ハートはそう呟くと、フェザーファンネルを展開し、パトリックとメリーに襲い掛かる。パトリックとメリーはガナーザクウォーリアが"M1500オルトロス 高エネルギー長射程ビーム砲"を集束に切り替え、フェザーファンネルを撃ち落としていく。しかし、ディビニダドゥから出てくるフェザーファンネルはまだ減らない。

 

「切りがないよ!!」

 

そしてガイ、アイカ、エルマはゼノビアのシャンブロと戦っていた。シャンブロの頭上にリフレクタービットが展開され、ガイ達の攻撃が拡散・無効化されていく。

 

「アンナのどうやって戦えば!?」

 

「巨大な蟹だと思え!」

 

ガイはアイカにそう言うと、シャンブロのコックピットにいるゼノビアがきれた。

 

「シャンブロと呼びなさい!!」

 

「「「「っ!!?」」」」

 

シャンブロのパイロットがオカマだと言うことに、皆は驚く。

 

マティス、モニカ、ニコラスはダイヤのガルムガンダムを相手しており、ダイヤはトランザムシステムを発動し、超高速で三人を翻弄する。

 

「速すぎます!」

 

「迂闊に動くな!構えろ!」

 

しかし、ダイヤはマティスに接近し、GNビームライフルを乱射してくる。

 

 

 

マサトはジャッジメントガンダムの黒いビームサーベルを回避し、腕部のゼノン・ソードを放出し、応戦する。その時、ジャッジメントガンダムの爪先からビームロングサーベルが放出された。

 

「何っ!?」

 

「油断は死を表すぞ!!」

 

エースがそう言い、足のサーベルを振り下ろす。だが、マサトはもう一つのゼノン・ソードを展開し、防御した。

 

「その言葉.....今、そっくりそのまま返してやるよ!!」

 

マサトがそう言うと、両肩のブラスターカノンをエースに向ける。

 

「クッ!!」

 

エースは急いでレオスから離れ、掌からビームバリアを展開し、ブラスターカノンのビームを防御する。

 

 

 

 

一方、一方特異点では撤退が完了したドラゴン達とハデス艦隊、サラはまずい状況に立たされているアストラ達を悔しそうに見つめていた。

 

「アストラ....」

 

サラは手を握りしめて、特異点は閉じてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

正にその頃、アストラはフェニックスガンダムでスペードのフェニキスを相手していた。

 

「方目を潰されたのに、これ程の力が出るとはな!」

 

「当たり前だ!」

 

スペードはそう言うと、大型クローでアストラに襲い掛かる。しかし、アストラも負けておらず、フェザーファンネルを展開し、フェニキスを攻撃する。

 

「そんな武装では、俺には勝てないぞ!」

 

「それはどうかな?」

 

するとスペードは額にプラグコードを刺し込んだ。

 

「グッ!!!!」

 

激しい痛みがスペードを襲い、額に青筋が浮かび上がり、目から血が流出する。すると座席の後ろの機械からジェネレーターが起動した。

 

「さぁ、思う存分暴れて良いぞ!!...クローバー!!ハート!!」

 

スペードの声と共に、フェニキスのツインアイが光だし、鳴き声を発した。

 

「何だ!?」

 

フェニキスの装甲が剥がれ落ち、現れたのはをラグナメイルのフレームをしており、黒いヴィルキスと同じ装甲だが、黒と赤のカラーをしており、腰にビームサーベルそして背部に太陽炉が付けられたガンダムであった。

 

「ガンダム!?」

 

「そうさ!フェニキスは卵で、これが本当のフェニキス..........その名も"ディザスター"だ!!!」

 

スペードがそう言うと、ディザスターにバイザーとマスクが付けられ、腰のビームチャクラを抜刀した。アストラは構わずフェザーファンネルで攻撃した直後、ディザスターが音速を鳴らし、姿を消した。

 

「何!?......グッ!!」

 

何が起こったのか、アストラの後ろにディザスターが回り込んで、そのままフェニックスを蹴り飛ばしていた。

 

「いつの間に後ろに!?」

 

その直後、ディザスターが消え、今度は横に現れ、フェニックスを殴る。

 

「どうだ!!これがディザスターの力だ!未完成であったコイツに.....ネロス様のラグナメイルとイクスのデータを元にして造られた機体だ!」

 

「クッ!!もう完成していたのか!『ラグナフレーム』を!!」

 

 

 

 

『ラグナフレーム』絶対兵器"ラグナメイル"のフレームを格段に大きくしたモビルスーツ専用のフレーム。

機動力と推進力が大幅に上がり、さらには人とモビルスーツとの人機一体となることで、機動力と推進力がさらに上がり、移動時にソニックブームを起こす。

そしてラグナフレーム専用の太陽炉を装備すれば、トランザムシステムや、イリス・システムを発動できる。

 

 

 

 

 

「ビット!!」

 

スペードの声と共に、肩部の4基のブレードビットが射出され、フェニックスに向かっていく。

 

「フェザーファンネル!」

 

アストラもファンネルを射出し、遠隔操作兵器同士の戦いが始まった。しかしフェザーファンネルがアットイウマニブレードビットで破壊されていく。

 

「バカな!?たった4基のビットだけで、フェザーファンネルが......まさか!?」

 

「そうだ、アストラ......ディザスターのブレードビットにも......トランザムシステムが組み込まれているのだ!」

 

よく見ると、ブレードビットがトランザムを発動しており、瞬速でフェザーファンネルを全滅させた。

 

「これが......格の差だ......」

 

スペードはそう言うと、ディザスターで腕を組む。

 

「このままではここで殺られる.......仕方がない!全員!聞こえるか!今すぐにケルベロスと鬼刃、インフィニティに戻れ!」

 

アストラはそう言うと、フェニックスを変形させ、ウェブバード形態へとなり、急いでマサト達の所へ向かい、それぞれ相手しているディーラの幹部にバーニングファイアを浴びさせる。

 

「何だ!?」

 

炎が辺りを包み込むと同時に、アストラがマティス達とナオミ、マサト、そしてアンジュとタスク、ヴィヴィアンを回収した。そしてケルベロス、インフィニティ、鬼刃がカタパルトを開き、皆を回収し終えると同時に、何処かへ転移した。炎が消え、そこにはディーラの幹部だけであった。

 

「何処に行ったんだ!?アイツ等!?」

 

「......ナオミ.....あの子も」

 

ジョアンヌが何かを呟いていると、スペードがコンソールを叩く。

 

「......やっぱり腰抜けだな.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして転移を終えて何処かに到着するマサト達、マサト達は目の前にある島を見る。

そこはマサト達にとって見覚えのある島だった。

 

「ここは....アルゼナル?」

 

マサトが完全に基地機能を失ったアルゼナルを見て呟き、それにアンジュはただアルゼナルを見て呆然とする。

 

そして夜、アルゼナルの付近の海に着水したケルベロスとインフィニティ、そして鬼刃達。艦から降りたアストラ達は戦闘服を着込んだ兵士たちにアルゼナル内の少女たちの遺体を回収するよう命令する。隠れキリシタンである鬼の民達は念仏を唱え、キリストの十字架を持って供養する。

 

マナミアが殺されたアルゼナルの少女たちを見て悲しい表情をする。

 

「酷いわ....無差別に殺すなんて.....」

 

「ノーマを嫌う人間、それを指示を出していたのは当時のアンジュのお兄さんでした」

 

アストラは回収された遺体に向けて、ご冥福をお祈りしていた。

 

「我等はその様な下劣な事をしなかった........我等は何時も天草四郎様の元で人々を導いていた......だが、これは間違った導きだ.....」

 

鬼の大将はそう言うと、遺体に灯油を掛け、遺体の山に火を付けた。鬼の民達は念仏を唱える。

 

《南無阿弥陀仏.....南無阿弥陀仏......南無阿弥陀仏......南無阿弥陀仏....神よ、この子達に浄化と導き、そして安らぎを与えたまえ.......我等の総大将 天草四郎様の御加護を.....》

 

鬼の民達は1500年前の『島原の乱』で戦死したキリシタンの総大将 天草四郎や隠れキリシタン達の事を思い出す。

 

「それがお前達の流儀か?」

 

「......そうだ......だが、天草四郎様はもういない......今の殿下はマサト様である......我等は何時、何処でもマサト様に付いていく....例え我等、鬼の民の一族が滅びようとも.......あのディーラと名乗る正義を騙った愚者に思い知らせてやる......」

 

鬼の大将はそう言い、鬼の民と共にアルゼナル内を探索する。

 

 

 

 

 

 

その頃、マサト達は近くの浜辺でたき火をたき、魚を焼いており、ヴィヴィアンは魚を美味しくのん気に食べている様子にマティス達は思わず呆れかえっていた。その中でもアンジュは暗い表情に包まれていた。

 

「帰って来たんだ....アルゼナルに」

 

アンジュはアルゼナルを見上げて言い、悲しみの声で言う。

 

「皆....何処に行ったの? まさか…」

 

「脱出して、無事で居るはずさ。ジルたちがそう簡単にやられる筈がない」

 

「....確かにな、あいつの事だ」

 

タスクの言葉にマサトは同意し、アンジュは頷く。

 

っとヴィヴィアンは何かに気付き、それにマサト達は見る。

すると海の方に緑色の光の玉が浮いて、そこから三人の人影が現れる。

 

「何あれ!?」

 

アンジュは驚き、怖がりながらタスクにしがみつく。

 

「皆!」

 

マサトは号令と共にマティス達は武器を取る。タスクもホルスターからハンドガンを取り出す。ナオミはマサトの後ろに隠れる。

 

アルゼナル内の鬼の民達が何かを察知したかのように、臭いでマサトのいるところへ向かう。それと同時にアストラもマナの光を感じとる。

 

「親父!お袋!」

 

「あぁ!」

 

「えぇ!」

 

アストラは兵士たちを引き連れてマサト達の元へ行く。

そして海から上がって来る謎の三人にマサト達はより警戒心を高め、タスクは冷や汗を流しながらつぶやく。

 

「お化け…幽霊? 海坊主?!」

 

っとアンジュは恐怖のあまりに悲鳴をあげながらタスクに抱き付き。

一人の者がアンジュの姿を見て言う。

 

「あ...あ.....アンジュリーゼ....様?」

 

「ち!違う!!....私は!!…....え?」

 

アンジュは自分の本名を知っている事に反応し、マサト達もその事を聞いて反応する。

するとその人物の正体はモモカであった。

 

「モモカ....?」

 

「アンジュリーゼ様~!!!」

 

モモカはアンジュに駆け寄って抱き付き、アンジュもモモカが現れた事に嬉しながら抱き付く。

そしてヴィヴィアンはその他の者達を見た時にマスクを外したヒルダとロザリーを見て驚く。

 

「うわ!みんなだ!!」

 

「ヒルダ!ロザリー!」

 

「 ん?.....うわっ!!ドラゴン女!!?」

 

ロザリーはヴィヴィアンを見てビビって引いて、ヒルダは笑みを浮かべてアンジュに駆け寄る。

 

「本当に…アンジュなの?」

 

「勿論よ、ヒルダ」

 

それにヒルダはまた笑みを浮かべる。すると出入り口の方から唸り声が響いた。

 

「何だ!?」

 

「あ~.....気にしなくても良いよ、」

 

そして出入り口から鬼の大将が棍棒を持って、マサトの前に出て威嚇する。そして強化服を身にまとった兵士たちがやって来て、ブラスターライフルを構え。それにヒルダ達は慌てる。

 

「な!なんだこいつ等!?」

 

「ああ~!待てヒルダ! コイツらは味方だよ」

 

「はっ?」

 

ロザリーはマサトの言葉に頭を傾げると、そこにアストラ達がやって来る。

 

「マサト!皆って......あれ?」

 

ヒルダ達の姿を見て、すぐさま兵士達に言う。

 

「お前達!武器を下ろせ!味方だ!」

 

「えっ?は、はい....」

 

兵士達はアストラの命令に従いブラスターライフルをおろし、その様子にヒルダはマサトに問う。

 

「おい!何だよこいつ等?! 一体何者なんだよ!?」

 

「口を慎め!小娘が!」

 

鬼の大将や鬼の民達が刀や弓を構える。

 

「まぁ、待て......落ち着けお前達.....」

 

「何なんだよソイツ!?」

 

「彼等は解放組織『ハデス』と鬼の民達だ。この世界を好き勝手にやりまくるネロスやディーラを打倒する者達だ」

 

マサトの言葉にヒルダ達は驚き表情を隠せなかった。

 




モモカ達と合流!


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第34話:決別の皇女達

無事アルゼナルの皆と合流したマサト達。

アルゼナルの旗艦であるアウローラとハデスのインフィニティ、ケルベロス、鬼刃、そして生き残ったローゼンブルム王国の民やアルケミスト学生が乗っている移民艦『ノア』と貴族連合艦隊と共に海底へと進んでいた。

アウローラのブリッジに居るオリビエが提示報告をする。

 

「第一警戒ライン通過」

 

「まさか生きてたとは…」

 

ヒカルが別の部屋で話し合っているマサト達の方を見ながら言い、それにはオリビエも同意しかねる。

 

「アンジュとマサト、てっきりロストしたかと思ってました」

 

「今まで何処に行ってたんだ.....?」

 

「それがシンギュラーの向こう.....だって」

 

パメラが言った言葉にヒカルとオリビエが思わず驚きを隠せない。

 

「「うっそ~!?」」

 

そして別の部屋でマサト達がジル達と自分達が行っていた並行世界の事を話していた。

 

「並行宇宙ともう一つの地球.....、ドラゴン、いや....遺伝子改造した人間の世界か....」

 

そうジルは呟きながら煙草を取り出す。

マサトは頷いて言う。

 

「ああ、そして義姉さん達は話し合いができる、腐った豚共とは違ってな」

 

「ええ、手を組むべきじゃないかしら。ドラゴンと.....」

 

アンジュがそう提案して来たのを聞いたヒルダ達は思わず驚く表情をする。

 

「彼女達の目的はアウラの奪還、義姉さん達が上手くアウラを取り戻せば、全てのエネルギーが立たれ、豚共のマナも世界も停止するとう話だ」

 

それにヒルダ達は驚き、マサトの後にアンジュが続けて言う。

 

「そうなればシンギュラーも開けなくなるし、パラメイルも必要なくなる。何よりマナのエネルギーを得るためにノーマがドラゴンを狩る、そんな馬鹿げた戦いを終わらせる事が出来るわ」

 

「だがサラ達の進攻作戦は失敗した、被害は尋常じゃない…互いの目的の為も共同作戦を持つべきだと俺は思っている....」

 

「敵の敵は味方か、成程~....」

 

ジャスミンがマサト達の会話を聞いて納得し、それにロザリーが思わず抗議する。

 

「じょ!冗談だろ!?人間は兎も角!あいつ等は沢山の仲間を殺してきた化け物なんだぞ!! ドラゴンと協力~!?在りあねっつーの!!」

 

「おいおい、ロザリー、それヴィヴィアンの前でそれは言っちゃいけないぞ」

 

マティスがそうロザリーに言う。

そんな中でヴィヴィアンが思わず頬を膨らませてロザリーを睨む。

 

「話して見れば分かるわ、サラ子達と」

 

「無駄だ、奴らは信じるに値しない....アウラなんだか知らないがドラゴン一匹助けただけでリベルタスが終わると思っているのか? 神気取りの支配者ネロスを抹殺し、この世界を壊す.....それ以外にノーマを解放するすべはない」

 

「全く、相変わらずお堅い頭だ.....」

 

「どういう意味だ?」

 

「答えは簡単.......ジル、お前......ビビってるだろ?」

 

「貴様…!この私がビビるとでも!」

 

「俺からはそんな風に見えるぜ....」

 

そう言ってより睨み合いが激しくなる様になるマサトとジル。

 

「辞めるんだ二人共....しかしジル、マサトの言葉の一理あるぞ。現にわたし等の戦力が心持たないのも事実だ」

 

「サリア達が寝返っちまったからね....、おまけにモビルアーマーも」

 

「『プルーマ』の事か?奴等は光学兵器は通用しないぞ........何せ、ナノラミネートで出来た蟻達だからなぁ」

 

「ほぉ、よく知ってるじゃないか......コマンダー・フェニックスよ」

 

ジルの言葉にヒルダ達は驚きを隠せない。

 

「ま、それは置いておいて.....兎に角、ハデスの全艦隊と鬼の民、ドラゴン、貴族連合と共に同盟を結ばなければ、ネロスには勝てないぞ......」

 

アストラの言葉にジャスミンは納得した様子でレオン達に問う。

 

「マサト、アンジュ。ドラゴン達とのコンタクトは取れるかい?」

 

「ああ、俺とアンジュ。レオスのアイオス・フェースとヴィルキスのならシンギュラーを通らずに飛ぶことが出来る」

 

「それは凄いな。ジル、ハデス、貴族連合、鬼の民…そしてドラゴン達との共闘。考えてみる価値はあるんじゃないのかい」

 

ジャスミンの提案に聞いたヴィヴィアンは思わず嬉しがる。

しかしジルは黙ったまま返答せず、それにレオン達は厳しい表情で見ていた。

 

「.....ジル」

 

ジャスミンが再び問いかけ、それにジルはようやく口を開く。

 

「....よかろう」

 

そう言ってジルは扉の方に向かう。

 

「情報の精査の後、今後の作戦を通達する。以上だ.....」

 

そう言ってジルは出て行き、それにマサト達は勿論の事、オルトも厳しい表情をしていた。

 

「アレクトラの奴.....何かを企んでいる」

 

「同意だ......父さん兄さんも注意して」

 

「言われなくとも......行動するよ」

 

「それはないね、あー言う物の、アンジュが戻って来た事に嬉しがっているのさ。そこはあたしが保障するよ」

 

ジャスミンがそう言う物の、アストラとオルトは何処かしらと警戒するかの様な表情を崩さなかった。

そしてジャスミンはアンジュの元に行く。

 

「アンジュ、今日はゆっくり休みな」

 

そう言ってアンジュはタスクと顔を合わせるのだった。

 

その時にヒルダがその様子に何やら気に喰わない表情をしたが、幼馴染みであるリクトが気を宥めるのであった。

 

そしてアウローラの食堂、マサト達はインフィニティに戻ろうとしたのだが、オルト達がマティス達に新しい機体造ってやろうと言っていた。

一方ヴィヴィアンはのん気にご飯を食べていた。

 

「はむ!もぐもぐ....美味~い! いや~!流石のモモカ飯!不味かったノーマ飯が懐かし~♪」

 

「よく食べるねヴィヴィアンは...」

 

「さっきま焼き魚を食っていたのに......私もこの能天気差が欲しい...」

 

マティスとセリカは食い意地の強いヴィヴィアンの様子に呆れかえるしかなかった。

するとマギーがヴィヴィアンの身体をあちこち触りまくり、それに擽られてしまう。

 

「本当に....キャンディーなしでもドラゴン化しなくなったのかい?」

 

「そう....らしい!」

 

「大した科学力だね~」

 

マギーはサラ達の世界の科学力に感心する。

 

「あ!そうだ! 向こうの皆は羽と尻尾があったんだけど、アタシなんでないの?」

 

「ばれるから切ったよ」

 

「うわっ!!ひでぇ~!!」

 

ヴィヴィアンの様子に向かいに座っているココとミランダ、そして隣の席に座っている若者三人は苦笑いしながら見ていた。

マサト達がそれに顔を合わせる中、タスクがアウローラのを見渡して懐かしさを感じていた。

 

「アウローラ....まだ動いていたなんて…」

 

「タスク、お前この艦の事を知ってるのか?」

 

「ああ、古の民が作ったリベルタスの旗艦。俺達はこの艦でネロスと戦って来たんだ....ユリウスさんとイリスさんも、アウローラに乗って、古の民を導いていたからなぁ....」

 

「そう....ここに本当の父さんと母さんが.....」

 

タスクの説明にアンジュは勿論の事、マティス達も納得する表情をする。

 

「ベットは少し狭いですが、とても快適ですからご安心を」

 

「そう、良かった」

 

《そっちかい!?》

 

マサト達がツッコミを入れると、ヒルダが、

 

「何も良くねぇよ、戦場からロストして、帰ってきたら大勢の人間を連れて来るわ、しかも!スケベな表情をする変態まで現れやがって!」

 

「そんな!?変態じゃないよ!」

 

「嫌、お前.....現にそうだろう、都に到着するまでの間.....」

 

「そんな~!?」

 

「ごめんヒルダ、悪かったわ」

 

そう言うとヒルダは少しばかり頬を赤くし明後日の方を向く。

マサト達は何やらヒルダの様子を見て頭を傾げる。

 

「どうしたんだよヒルダ?」

 

「別に、全く...お前等が居ない間大変だったからな」

 

「その事だが、俺達が居ない間何があった」

 

マサトがその事を問い、ロザリーが少しばかり暗い表情で言う。

 

「マサト達が居ない間、アタシ等はとても苦戦した事ばかりなんだよ。アルゼナルは壊滅するわ、仲間が大勢殺されるわ、クリス達が敵になるわ…」

 

ロザリーの言った言葉にレオン達はそれに反応する。

 

「何故だ? 何故サリア達がネロスの元に......?」

 

マサトはロザリーに寝返ったサリア達の事を問う。

 

「「こっちが知りてぇよ!容赦なくドカドカ撃って来やがって....! あんなのもう友達でも何でもねぇよ!.....」

 

「もしかして、この艦を護っているのはあなた達だけ?」

 

「ん?そうだけど…」

 

ロザリーはアンジュの問いに頷き、アンジュは意外そうな表情をしていた。

 

「よく無事だったわね?この艦」

 

「喧嘩売ってんのか!てめぇは! こいつ等が頑張ってくれたからな」

 

そうロザリーは指を指して、三人の若い少女たちの方を向かせる。

 

「ノンナ、マリカ、メアリー。戦力不足でライダーに格上げされた新米達さ!」

 

「私達の後輩です!」

 

「先輩の意地が燃えます!」

 

ココとミランダが思わず立ち上がってマサト達に言い、それにはマサト達は苦笑いをしていた。

 

「まあともあれ、このアタシがみっちり扱いたお蔭で何とか一著前に......って、あれ?」

 

するとメアリー達が一斉にヴィヴィアンの方に向かって行き、それにはロザリーも流石に突然過ぎて戸惑った。

 

「あの!お会いできて光栄です!」

 

「えっ?アタシ???」

 

ヴィヴィアンは自分の事を言われて、何が何やら分からなかった。

 

「第一中隊のエース、ヴィヴィアンお姉様ですよね!」

 

「ずっと憧れていました!」

 

「大ファンです!」

 

「そっかそっか♪ よし喰え喰え~!」

 

ヴィヴィアンは自分の食器の具をメアリー達にも分け、その様子にロザリーはやや悔しがる。

 

「ちょっとあんた等!!アタシにはそんな事一言も!?」

 

「ハハハ!、残念だなロザリー、あの娘達は尊敬する人物を分かってらっしゃるなぁ♪」

 

「マティスてめぇーーー!」

 

マティスが言った言葉にロザリーは涙目で悔しがって、マティスに何やら文句を言うのだった。

っとアンジュが何やら考えているタスクの方を見る。

 

「どうしたの?」

 

「いや、アレクトラ....じゃなかった。ジルの様子が気になってね」

 

「やっぱりタスクも気になるか、あいつの事が…」

 

それにタスクは頷くと同時にヒルダがその事を言う。

 

「アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ...だっけ」

 

「!?」

 

「皆知ってるよ、司令が全部ぶちまけたからね。自分の正体も.....リベルタスの大義の事も」

 

ヒルダはジルが自ら正体を証し、リベルタスの全て、そして自分達の最大の敵であるネロスや率いているディーラを倒す事を宣言した事を話して、それにマサト達は納得しながら頷く。

 

「なるほどね.....、あの野郎が」

 

「アレクトラが....そんな事を」

 

「意気込みは分かるけど。ガチ過ぎてちょっと引くわ…」

 

「貴方にあの人の何が分かるの~!」

 

別に人物の声が聞こえた事にマサト達はその声がした方を見る。

すると厨房から完全に酔っ払いたエマが出て来る。しかもワインをラッパ飲みしながら。

 

「か!監察官?!」

 

「ぷはっ! えまさんで良いわよ~?エマさんで~♪」

 

《さ!酒臭?!!》

 

マサト達はエマからとんでもない酒の臭さに思わず鼻を閉じる。

その事をモモカが言う。

 

「この艦に乗られてからずっとこうなのですよ」

 

「嘘!?ずっとって.....!?マジ!?」

 

モモカの言った事にマティスは驚きを隠せない。

 

「しょうがないでしょう!殺されかけたのよ!!人間に.....同じ人間に!!」

 

エマはアルゼナルで保護を求めようとしたのに殺されかけたのをマギーが助けてくれて、それ以来エマは酒浸りになってしまっていたのだ。

それを司令であるジルが保護し、エマが信じられる人はジルただ一人だけらしい。

 

「あの人だけよ~!この世界で信じられるのは! そうよね~!ペロリーナ~!!」

 

っとエマはペロリーナのぬいぐるみを抱きながら泣き崩れ、それにマギーが止める。

 

「はいはい、もうその辺にしときな....」

 

マギーはエマを食堂から連れ出して、その様子にマサト達はもの凄く呆れていた。

 

「でも、監察官の言う通りだ」

 

っとロザリーの言葉にマサト達は振り向く。

 

「アタシ等にとっちゃ、信じられるのは司令だけだからな、この世界で…」

 

「……」

 

その事にアンジュは何も言えずにいた。

 

「どうだろうか.....」

 

「?」

 

「だって、ドラゴンの正体を隠していたんだぞ......そんな奴をどう信じればいいのか.....ま、俺達はアンジュやタスクを信じるけど、」

 

マサトの言葉にマティス達は頷く。

 

 

 

 

そして司令室では、ジルは昔の光景が思い出す。

 

 

───そう....可笑しくなっても良いんだよ。アレクトラ.....。

 

 

っと吸っていた煙草を握りしめて潰し、恐ろしい表情をする。

 

「ネロス.....!」

 

そしてその後ジルは思いついた作戦を考え付く。

 

 

 

 

 

マサトはインフィニティの艦内にある自室で待機しており、そこで大門寺邸にあった古文書を見ていた。

 

「大門寺 諒......ユリウスの元となった俺の本当の父さん........どんな人だったんだろう」

 

古文書の次々にページを開くと、ページの何かが凸っていた。

 

「ん?」

 

マサトはナイフでページを切り、紙と紙で挟まれている何かを取り出した。

 

「何だこれ?」

 

中身の正体は、何かのUSB式のメモリアルキーであった。よく見ると、横に小さなスイッチがあり、マサトはそのスイッチを押した。するとメモリアルキーからホログラム映像が映し出された。

 

「.......1100年前の......記憶?」

 

その直後、眩い光がマサトを包み込み、マサトがその場から消えた。

一方、マサトは謎の異空間におり、そこで赤い球体が現れた。

 

「お前は......!?」

 

───私は........イクス......貴方の母よ.......

 

「っ!母さん!?」

 

赤い球体からあの写真に写っていた女性.....イクスが現れた。

 

「久し振りだね.....マサト....」

 

「........」

 

「まぁ、無理もないわ......あの当時のあなたはまだ2才だったから.....」

 

「.......本当の母さん」

 

「何?」

 

「俺の元の体.......『大門寺 真人』って、どんな人だったの?」

 

「そうねぇ.....外形があなたにそっくりで、しかもやんちゃでわんぱくな性格だったわ♪」

 

「.....それじゃ、『大門寺 諒』は?」

 

「ユリウス......違ったわね、諒君はそうねぇ........真面目で、穏やかで、思いやりを持っていたわ........けど、そんな彼にも良きパートナーがいたわね」

 

「パートナー?」

 

「『桐山 次郎』って言う科学者。優秀だったわ......あの人は.....でも.....」

 

「でも?」

 

「.......いいえ、それとマサト......貴方にお願いがあるのです.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、マサト達はアンジュとタスクと共にアウローラでジル達と作戦会議を開いていた。

 

「よく眠れたか?」

 

「ええ....」

 

ジルがアンジュに眠った感想を聞き。

アンジュはそう答え、ジルが笑みを浮かばせる。

 

「それは結構.....、ではお前たちに任務を与える。ドラゴンと接触、交渉し....ハデスと貴族連合との共同戦線の構築を要請しろ」

 

それにアンジュとタスクは驚きの表示を隠せず、レオン達は無表情のまま聴き続けた。

 

「どうした?お前の提案通り、一緒に戦うと言っているんだ」

 

「.....本気?」

 

「リベルタスに終止符を打つには、ドラゴンとの共闘....それがもっとも合理的で効率的だと判断した....」

 

それには流石のジャスミン達も驚きを隠せずだった。

ジルの話しを聞いたタスクは笑みを浮かばせながらアンジュの方を向く。

 

「アンジュ....!」

 

「うん!」

 

しかしその中でもマサトは黙ったまま聞いて、そう、異空間で会った実母イリスからアレクトラの企みを知ったからである。

 

そしてジルの作戦はこうだ、ラグナメイルとディーラ幹部、そしてディーラ艦隊が居る場所、アケノミハシラにネロスが居ることが判明し、そこにドラゴン達と共にミスルギ皇国に進行すると言う作戦。

ケルベロスとインフィニティ、鬼刃、そしてアウローラはドラゴン達の後方で浮上し、共に向かうという事だ

最もアンジュ達の目的はアウラを開放する目的が一緒な為、これが効率の良い作戦だと感じたアンジュとタスク。

 

「作戦はそれだけ?」

 

「どうした?私の作戦に何か不満か....」

 

「サリア達はどうする?」

 

「どうするだと....?」

 

「あぁ、前に言っていたな......我々は人間達の道具とされていると......」

 

「それが何だ?」

 

するとマサトが怒鳴った。

 

「惚けるな!俺は夜に聞いたからなぁ......母さん.....イリスからなぁ!!」

 

「マサト!?」

 

「......フフ、アハハハ!」

 

突然、アレクトラが笑い出す。

 

「流石、あの二人の子だ!まさか私の野望がイリスにバレていたとは.....その通りだよ!ドラゴンと協力?ふはははははは!! アウローラの本当の浮上ポイントはここだ!」

 

っと机の画面にアウローラだけが浮上ポイントが違う場所であり、それにアンジュとタスクはそれに目を奪われる。

アンジュ達が驚いてる中で、ジルがアンジュに言う。

 

「ハデス達とドラゴン共がラグナメイルとモビルアーマーと交戦している間に、アンジュ...お前はパラメイル隊と共にアケノミハシラに突入....ネロスを抹殺しろ!」

 

「はぁ~!!?」

 

「やっぱりな!!」

 

マサトとアンジュはジルのとんでもない作戦に驚きが隠せず、オルトとマナミア、アストラは少しばかりジルを見る。

ジルの捨て駒作戦には流石のタスクも反対する。

 

「ドラゴンとハデス、貴族連合の皆は捨て駒か!?」

 

「切り札であるヴィルキスを危険にさらす様な真似はできんからな...」

 

アンジュは拳を握り締めながらジルを睨む。

 

「冗談じゃないわ…!こんな最低な作戦!協力出来るわけないでしょ!? それにマサト達やサラ子達を殺させる様な真似!出来ないわ!!」

 

「ならば、協力する気にさせてやろう」

 

っとジルはコンソールを操作して、壁のモニターにある映像を映す。

それは手足ロープで縛られ、口をテープで縛られたモモカとリナの映像だった。

 

「モモカ!?」

 

「リナ?!」

 

「減圧室のハッチを開けば侍女と妹は一瞬で水圧に押しつぶされる」

 

マサトとアンジュとタスクはモモカが捕らえられている映像を見て驚き、ジャスミン達はジルの行動に驚く。

 

「ジル!あんたの仕業かい?!」

 

「聞いてないよ!こんなの!!」

 

ジャスミン達が口論している中でオルトはジルを睨む。

 

「アレクトラ....お前は!!」

 

「アンジュは命令違反の常習犯、予防策をとっておいたのさ」

 

「アレクトラ....!」

 

タスクは以前とは全く違うジルの行動にただ戸惑いを隠せない。

 

「救いたければ作戦を全て受け入れ!行動しろ!」

 

「てめぇ…自分が何をしているか分かっているのか?」

 

マサトはジルを睨みながら問い、それに笑いながらジルは言い続ける。

 

「リベルタスの前では全てが駒であり道具だ。あの侍女はアンジュを動かす為の道具、アンジュはヴィルキスを動かす道具、そしてヴィルキスはネロスを殺す究極の武器! 」

 

ジルはそう言うと、アンジュが銃を取り出してジルに向ける。

 

「ふざけるな!!モモカを解放しなさい!!今すぐ!!!」

 

っと次の瞬間、ジルに銃を奪われて、アンジュはジルに腕を捕まれ引き寄せられて、ジルに盾にされて銃口を頭に付き付けられる。

 

「ジル!!」

 

ジャスミン達はジルの行動に驚き。

それにマサトとタスクは義手のブレードと銃を取り出して構える。

 

「ジル!てめぇ!!」

 

「動くでないマサト!タスク!特にマサト、お前は一番厄介な奴であった。何せ、トリスタン連邦の王家の血筋を持つ王子だからな!そしてタスク、お前はヴィルキスの騎士。お前はヴィルキスを護れば良いのだ!」

 

「アレクトラ....!!」

 

もう完全に昔のジルではないと感じたタスクはジルを睨むしかなかった。

 

アストラとオルト、マナミアは目と目で通じ合い、アストラは小型のリモコンを取り出してボタンを押す。

そしてジルは苦しむアンジュに問う。

 

「さあ、お前の答えを聞こうかアンジュ」

 

「く....くたばれ!」

 

アンジュはジルに向かって唾をかけ、唾を掛けられたジルはアンジュを睨む。

 

「どうやら、痛い目を見ないと分からないようだな....」

 

ジルがアンジュに拳を上げた直後、マサトがジルの拳を掴む。

 

「っ!?」

 

マサトの片方の目が金色に光っており、イノベイターに覚醒していた。そしてマサトは高貴な言葉でジルに言う。

 

「『いい加減にしろ.....愚か者が!』」

 

その時、マサトのもう片方の瞳が十字架のような形へとなり、ジルはその瞳を見た直後、頭の中に甲冑を着た武士達が武装している平民、そして子供を皆殺しにし、断末魔の悲鳴がアレクトラの耳を襲った。

 

「グアアァァァッ!!!??」

 

ジルはアンジュを離して、耳を押さえつける。

 

「『神よ....この者の邪念を浄化したまえ......』」

 

するとジルの目から血が流れてきた。

 

「グッ!!?何だ!?この力は!?.....っ!?」

 

ジルたちの身体が急に動かなくなり、ジャスミン達は徐々に意識が失っていった。

何とか意識を保っているジルは換気口を見て、換気口から何かガスが出ているのに気が付く。

 

「ガスか......!」

 

「あぁ、念のためと思って付けておいて良かった......それと、お前はマサトの存在を侮っている......それだけは覚えておけ......」

 

ジルはアストラの方を向いて、マサト達はアストラとオルト、マナミアから受け取ったガスマスクを着けていた。

タスクはアンジュにガスマスクを渡し、アンジュはそれをすぐに着ける。

 

マサトは意識を取り戻し、今、起こっている現状に驚く。

 

「何だこれ!?」

 

「マサト、とっととサラの所へ向かうぞ!」

 

「え!?...あ、あぁ!......???」

 

マサトは首を傾げながら、格納庫へ向かう。

 

ジルはアンジュを抱え出ようとするタスクを睨む。

 

「タスク!貴様もか.....!!」

 

「アレクトラ、もうあんたは俺の知っているアレクトラじゃない!」

 

「貴様!ヴィルキスの騎士が! リベルタスの邪魔をするのか!!!」

 

その事にタスクは真っ直ぐな目線でジルを見ながら言う。

 

「俺はヴィルキスの騎士じゃない.....アンジュの騎士だ!!」

 

それにアンジュは思わずタスクを見て、マサトは振り向きながら笑みを浮かばせて出て行き。タスクもアンジュを抱えて出て行く。

ジルはふらつきながらも立ち上がり、怒り満ちた顔になって行く。

 

「惚れ付いたか....ガキが!」

 

ジルはそう言うと同時に、ナイフを取り出す。

 

 

 

 

モモカが捕らえられている減圧室、モモカは自分ではどうにも出来ないと分かった所にアンジュが減圧室の扉を開く。

 

「モモカ!!」

 

「(アンジュリーゼ様!)」

 

アンジュがモモカを助け出した同時にマサト達はアストラの作戦に賛同していたヴィヴィアンとナオミと合流した。

しかしヴィヴィアンとナオミの他にココやミランダも居た事に驚いた。

 

「ココ!?ミランダ!?.....どうして二人が!?」

 

「だって....マサトお兄ちゃんが心配で」

 

「私達も裏切ってしまいますが....行きます!」

 

その事にマサトは渋々と考え、そして頷く。

 

「分かった!なら付いて来い!」

 

ココとミランダはそう頷いて、マサト達の後を追いかけるインフィニティへと行く。

そしてインフィニティはアウローラとの連絡通路を外し、浮上して海面へと向かう。

 

格納庫でマサト達はパイロットスーツへと着替え、マサト達はレオス達へと向かう。

 

「海面に出たら、すぐに義姉さん達の世界へと向かう!」

 

マサトはそう言い、レオスへ向かっていると、

 

「また逃亡するのか!アンジュ!」

 

皆が前を見ると、脚にナイフを刺して引きずりながらやって来るジルの姿がいた。

 

「ジル!」

 

「あいつ....自分の足にナイフを刺して眠気を覚ますとはな!」

 

「何て奴だ....!」

 

皆達はジルの行動に信じられない表情をしながら見て、ジルはアンジュを睨む。

 

「逃がさんぞ.....アンジュ! リベルタスを成功するまではな!」

 

ジルは刺しているナイフを抜いて構える。

 

「いい加減にしろ!お前!! アンジュの意思関係なくもて遊ぶのはやめろ!!」

 

「道具に意思など要らん!!」

 

「何だと....!」

 

完全にアンジュをボロ雑巾に使い続けるジルにマサトの怒りがますます上がって行く。

アンジュはジルの完全な復讐心に囚われている事に嫌気が出る。

 

「私の意思を無視して戦いを強要するって.....人間達がノーマにさせている事と一緒じゃない!!」

 

「命令に従え…司令官は私だ!!」

 

「お前はもう司令官じゃない.....ただの愚者だ!!皆.......ジルの相手は.....俺がやる!」

 

マサトは義手のブレードとナイフを構える。

 

「この馬鹿王子が!司令官に刃向かうとは!」

 

「アンタに言われたくないな!!この勝負.....勝ったら好きにしろ!....お前が勝ったらな!!」

 

マサトが叫ぶと、ジルがナイフを構えてマサトに斬りにかかるが、避けて蹴りを放つ。

互いの攻防が続くが、一向に決着が付かない。そして義手同士がぶつかった。

 

「っ!?」

 

マサトの片方の瞳が十字架になろうとしていた。

 

「その手には乗らんぞ!!」

 

ジルが渾身の頭突きをし、マサトがふらつく。

 

「グアッ!」

 

ジルはその隙に、ナイフを持ち、マサトの両目を切った

 

「アアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!」

 

斬られた両目から血が噴き出す。

 

《マサト!!!》

 

「さぁ、これで.....「まだだ.....!!」っ!?」

 

マサトは斬られた両目を抑えながら、立ち上がる。

 

「まだ勝負は.......終わってねぇぞぉぉ!!」

 

すると義手が光だし、マナの光が溢れる。

 

「何っ!?」

 

「あれって!?......マナの光!!?」

 

レイヴニウムの義手からマナの光の触手が伸び、斬られた両目を癒し、再生した。

 

「マナの光で再生だと!?」

 

「ハァ......来い!!」

 

マサトはファイティングポーズをとる。

 

「この...化物が!!!」

 

ジルがナイフを振り下ろすと、マサトが義手を身代わりにした。ナイフが義手を突き通し、抜けなくなる。

 

「俺は......お前の道具にはならない!!アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ!!」」

 

「っ!!黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

鋼の義手で殴りにかかるが、マサトは掴み、頭突きをブチかました。

強烈な一撃で意識が朦朧としかけているジルだが両膝をついて倒れた。マサトは義手に刺さっているナイフを抜き取り、捨てた。

 

「......義姉さんの故郷の皆に危険な真似はさせたくないんでね.......それと、俺等は自分の意思でやる!」

 

だが、ジルは立ち上がろうとするが、

 

「もうやめな!ジル!」

 

突然の声にマサト達は振り向くと、マギーに支えられやって来るジャスミンが居た。

 

「ジャスミン、どうやって此処に?」

 

「あんた等が連絡通路を切り離す前に何とか目が覚めて、切り離す直前に行き此処に来たのさ........解っただろ。アンタのやり方じゃあ.......無理だったんだよ」

 

聞いたジルは歯を噛みしめながら悔しがり、そのまま意識が途切れてしまう。

海面に出たアウローラとインフィニティ、格納庫ハッチとカタパルトが開く。

 

「これからどうするんだい?」

 

「もう決まっている。俺達がリベルタスをやる」

 

「あの人のやり方は間違ってはいたけど、やっぱりノーマの解放は必要だもの…。私達がやるわ、リベルタスを!!!」

 

「ああ、俺達を信じてくれる人たちと……俺達が信じる人たちと一緒にね」

 

タスクがそう言ってジャスミンは笑みを浮かばせる。

ココとミランダはマサトに言う。

 

「あの!私達どうすれば?」

 

「......一緒に来てくれ、お前は、俺のもう一人の妹だからなぁ♪」

 

マサトはそう言うと、ココの頭を撫でる。

 

「.....はい!」

 

マサト達はレオス達を発進させて飛び、タスクは一瞬、ジルを見て発進してアウローラ、ケルベロスから出る。飛び立ったマサトは皆の方を向く。

 

「それじゃ皆!義姉さん達の世界に飛ぶとするか!」

 

「ええ!」

 

《おぉ!》

 

そうマサトの言葉に頷く皆。その時、目の前に突如光が走り、それに気付いたマサト達。

 

無数のビームがマサト達に襲い掛かり、それを回避して前を見る。

 

「ん!?今の!?」

 

その時、蒼く輝くイクスが猛スピードで飛んできて、マサトを横切る。

 

「っ!?」

 

そしてマサト達の前に、スペード、デシルとサリア達のクレオパトラ、レイジア、テオドーラが向かって来た。

 

「ここに居たのね......アンジュ」

 

「マサト......アンタの大事な物を潰してやるわ......」

 

クレオパトラとイクスに乗っているサリアとジョアンヌはアンジュとマサトを見てそう呟くのだった。

 




いやはや、マサトとジョアンヌの幼馴染みの決着......どうなるのであろうか。そしてマサトがさっき、ジルを苦しめたあの力........皆さんも、お分かりだろうか?


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過去編
第35話:悪魔の姿


今回の話ではマサトとナオミが○○へ行きます!


マサト達が丁度出た直後にサリア達のラグナメイル、ジョアンヌのイクス、デシルのガンダムメフィストが立ち塞がる。それにいち早くタスクが気づく。

 

「マズイ!アイツ等の狙いはアウローラ達だ!」

 

アンジュ、ヴィヴィアン、タスクはサリア達のラグナメイルを、マサト達はジョアンヌ、デシル、スペードを殺ると。

 

「メフィストビット!!」

 

ガンダムメフィストの展開されたトランスミッターからエネルギー状の球体が放出され、メフィストビットが襲い掛かる。

 

『射撃進化 エクリプス・フェース!』

 

レオスがエクリプス・フェースへと進化し、ヴァリアブル・サイコ・ライフルを連射する。

 

「クソ!あの球体は破壊しても再生成出来るのか!?」

 

マサトはメフィストビットに追撃される。

 

《マサト!!》

 

マティス達は急いでマサトを支援攻撃を開始した。しかし、メフィストビットは破壊されても、再生し始め、マティス達の機体の四肢に直撃した。

 

「皆!!」

 

マサトは急いで皆の所へ戻ろうとすると、ジョアンヌが立ち塞がった。

 

「アンタの相手は私よ!!」

 

「ジョアンヌ.......!」

 

マサトとジョアンヌ.......二人のエクストリームの戦いが始まったけど

 

『格闘進化 ゼノン・フェース』

 

『格闘進化 タキオン・フェイズ』

 

レオスとイクスが格闘進化形態へとなり、腕部のビームソードと大型ビームソードのぶつかり合いが始まった。

 

「ジョアンヌ....どうして!?どうして!?アイツ等の仲間に!?」

 

「関係ないでしょ!そんなこと!」

 

ジョアンヌは怒鳴り、大型ビームソードを振り下ろすが、マサトはビームソードで防御する。

 

『射撃進化 エクリプス・フェース』

 

『射撃進化 カルネージ・フェイズ』

 

次に射撃進化形態へとなり、ミサイルやビーム砲の撃ち合い、そして全く同じ動きで戦う。

 

「関係なくないよ!何があったんだ!?」

 

「うるさい!黙れ!!」

 

『ファンネル進化 アイオス・フェース』

 

『ファンネル進化 イグニス・フェイズ』

 

今度はファンネル進化形態へとなり、大型ファンネル、イリス・ファンネルの戦いが始まった。ファンネル同士のスピードが加速し、レオスとイクスはビームサーベルをぶつける。

 

「頼む、ジョアンヌ!!話してくれ!何があったんだ!?」

 

「.........死んだのよ」

 

「え....!?」

 

「.......お母さんが.......」

 

「お母さん......」

 

「ワタシのお母さんは......ノーマである私をずっと守ってくれた....."エース"....いいえ、お父さんもワタシの事をちゃんとした家族と思っていてくれた.....あの事件が起こるまでは.....」

 

ジョアンヌは話した。マサトと別れた五年後、ミスルギ皇国の検察官に見つかり、アルゼナルへ移送されそうな所をジョアンヌの母親が銃を向けている検察官の前に立ち、発砲と共にジョアンヌの母親は死んだ。エースはジョアンヌを連れて、逃げた。その為、指名手配されてでも娘を守ろうとしていた所、ネロスが声を掛けた。

 

「『大切な妻を失ったことで、人間から罪人になるとは.......』」

 

「『何が言いたい?』」

 

「『.......率直言おう.......僕の能力で...."生き返らせて上げようか?"』」

 

「『っ!?』」

 

「『......君の妻を......生き返らせて上げようか?』」

 

そして彼はエースと名乗り、ジョアンヌはジョーカーと名を変えた。事実を知ったマサトは呟く。

 

「そんなことが.........ジョアンヌ.........知らなかったんだ.......お前が引っ越した後にそんなことが.......」

 

「そして事実を知った.....マサトがトリスタン連邦の王家の王子と言うことに......マサト.......いいえ、"キング"!!」

 

「っ!?」

 

「だから私とエースは決めたの........貴方を捕獲して、ディーラの最上位幹部"キング"にして、私を守ってくれたお母さんを生き返らせるために!!」

 

ジョアンヌはそう言い、攻撃が再開された。スペードは交戦しているタスクを相手していた。

 

「フンッ!アストラの弟子か.....」

 

「それがどうした!!」

 

タスクはビームサーベルでスペードに斬りかかるが、スペードのディザスターのスピードに追い付けない。

 

「これほどに弱いとは.....呆れる!」

 

スピードがそう言うと、ディザスターの蹴りがコックピットハッチを破壊した。

そして、その衝撃で後ろに乗っていたモモカが落ちてしまう。

 

「うわああああ!!!」

 

「モモカ!!」

 

「ま!マナ!!マナの光!!マナの光よ~~!!!!」

 

っと慌ててマナの光をスカートに集中させて、何とかパラシュート替わりにして落下を減速させる。

 

ヴィヴィアンは持ってきたレイザーを駆逐形態へと変形させて、ブーメランブレードを投げる。

 

「飛んでけ!ブンブン丸!!」

 

ヴィヴィアンのブーメランブレードがディザスターへと飛んでいくが、エルシャに邪魔をされた。

 

「駄目でしょ...ヴィヴィちゃん」

 

エルシャはヴィヴィアンに向けてビームライフルを放ち、それをまともに貰ってしまった。

 

「うわっ!!」

 

「ヴィヴィアン!!」

 

そしてアウローラ達が急速潜航し終えると同時にマサトはホッとする。

 

「よそ見してるんじゃねぇ!!」

 

イクスの膝蹴りがコックピットに炸裂し、マサトは血を吐く。

 

「アンタ見たいな御人好しは生きていけない......だから、人間共やノーマ見たいな悪なる存在を駆逐する.....それがディーラの目的.......その為には、」

 

ジョアンヌがエクセリアに乗っているナオミとココとミランダのグレイブを見る。そしてジョアンヌがエクセリアにビームサーベルを向ける。

 

「アンタが邪魔なんだよ!!」

 

「何で!?」

 

ナオミはジョアンヌに問うと、衝撃な言葉を言う。

 

 

 

 

「何でって?それは........貴方はもう......この世には存在しない死人であったからよ.....」

 

 

 

 

《え!!!???》

 

「私が......この世にいない?」

 

「そう......思い出してみて、貴方はあの時、パラメイルの起動テストでドラゴンの襲撃で墜落した。そして海へ不時着したと思われているが、そうじゃない......目の前にあった岩とパラメイルの衝突によって.....貴方の体はグチャグチャだったのよ.....」

 

するとナオミは思い出す。下半身がなく、内蔵が飛び出ていたときの事を......。

ナオミは頭を抱え、荒い息を吐きながら、泣き崩れる。

 

「私は.........私は!!!アアアアアアアアァァァァァァ~~~~っ!!!!!」

 

「ナオミ!!」

 

「しっかり!」

 

ココとミランダが必死に落ち着かせる。

 

「ジョアンヌ!!もう言うな!!ナオミは関係ないだろ!!?」

 

「関係あるんだよ......あの後、ナオミはネロス様の能力で生き返ったのだから......」

 

「何だって!?」

 

「そして、ナオミは......あの医務室で目を覚ました。それと同時に、彼女は......ネロス様が選ばれし人類"神人類"へと進化した。そしてマサト......貴方もよ」

 

「俺が.......神人類....!?」

 

その時、ジョアンヌの両目の瞳が十字架へと変わった。

 

「「っ!!」」

 

それと同時に、マサトとナオミはの瞳が十字架に変わる。

 

「「グァァァァァァァァァっ!!!?/アアアアアアァァァァァァッ!!!?」」

 

十字架の目から激しい痛みが二人を襲う。

 

《マサト!!/ナオミ!!》

 

負傷したマティス達が駆け寄った直後、

 

「「『『下がれ、愚か者が!!』』」」

 

レオスとエクセリアのツインアイの色が緑から血のような真っ赤に染まっており、二人はマティス達を睨み付ける。

 

《っ!?》

 

マサトとナオミに異変が起きた。十字架の目の周りの結膜が赤く染まり、血が流れ落ちる。そして犬歯が鋭く尖り、爪が鋭く伸びる。

 

「死人にしか発動できない力.......それが神人類........貴方達は、ネロスに選ばれた新たなアダムとイヴよ!!」

 

ジョアンヌの声と共に、レオスとエクセリアのマスクが開き、口が浮かび上がる。

 

「ひぃっ!!?」

 

「悪魔だ!......あれこそ悪魔だ!!」

 

於曾ましい口を展開したレオスとエクセリアはイクスとガンダムメフィスト、ディザスターにビームサーベルを向ける。

 

「来るが良い!!」

 

「「ガァァァァァァッ!!!!」」

 

2体の悪魔が唸り声を上げた直後、上空からビームが飛んできた。

 

「っ!?」

 

ジョアンヌ達は上空を見ると、そこにいたのは、月光蝶を展開している∀ガンダムがいた。

 

「あれは!?」

 

「"∀"だ!!」

 

ジョアンヌが言うと、∀が月光蝶でジョアンヌ達を襲う。

 

「月光蝶、だと!?」

 

すると∀が荒れ狂っているマサトとナオミを見ると、レオスとナオミのコックピットのコンソールモニターに数字が表示された。

 

 

 

2017年:6月17日 水曜日

 

 

 

 

分からない年数が出たと思ったら、∀が手を翳す。すると天候が雷雲で染まり始め、異次元の穴が出現し、荒れ狂っているマサトとナオミだけを吸い込む。そしてマサトとナオミは異次元の穴へ吸い込まれた。その光景を見ていたアンジュやマティス達は驚きを隠せなかった。

 

「何が.......起こっているの!?」

 

アンジュがそう呟いた直後、サリアがヴィルキスのコックピットカバーを強引に剥がし、アンジュは前を見るとサリアが出て来て銃を構えた。

 

「さようなら、アンジュ」

 

アンジュに胸に一発の銃弾が撃ち込まれ、アンジュは倒れてしまい海へと落ちて行く。

 

「(な...なんて様なの....、依りによってサリアにやられるなんて…)」

 

そう思いつつアンジュは意識を失う。

 

『...様、.......リーゼ様? アンジュリーゼ様!」

 

「はっ!!」

 

いきなり呼ばれた事に驚いたアンジュは思わず飛び起きる、周りを見ると嘗て自分が過ごしていた豪華な部屋であった。

アンジュは呼ばれた方を見るとモモカが居た。

 

「モモカ...?」

 

「良かった~!アンジュリーゼ様!無事でなりよりです!」

 

「どうして....?それにここは...」

 

「はい!ここは『ミスルギ皇国』です!」

 

っとモモカが言った言葉にアンジュはベットから下りて窓を見ると、目の前にアケノミハシラがあり、モモカの言う通りアンジュとモモカが居るのはミスルギ皇国であった。

 

「(戻って来たんだ....また)」

 

そう考えつつアンジュは着替えようとしたら、モモカが「私がやります!!」っとすっかり筆頭侍女としての立場へと戻っていて、仕方なくモモカに頼むしかなかった。

着替えを終えたアンジュはすぐさま武器になる物を探す。

 

「アンジュリーゼ様?」

 

「本当ならライフルや手榴弾が在ればいいんだけどね」

 

「それはできないね」

 

っと聞き覚えのある声がした途端アンジュは振り返ると、扉に軍服の様な制服を身にまとったサリアとイルマ、ターニャが居た。

 

「あなたは大事な捕虜なのよ。勝手な事しないで」

 

「元気そうねサリア、一体何があったの?あんなに司令好きのあなたが......」

 

「別に、目が覚めたのよ....ネロス様のお蔭でね」

 

話しによると、サリアはアンジュに落とされた後、ネロスに助けられ自ら迎えてくれた事に感謝をしていた。

そして自分を全く必要としていないジルからネロスへと鞍替えした。愛するジルからネロスへと…。

 

サリアは頬を少し赤くしながら、ネロスから貰った指輪を見る。

 

「そして私はネロス様の直属の親衛隊『ダイヤモンドローズ騎士団』、騎士団長のサリアよ」

 

「ダイヤモンド....」

 

「長…、要するにあなたはあのナルシスト男に惚れたって行く事ね」

 

っとアンジュが言った事に言うとした時。

 

「そうよ。」

 

そこにジョアンヌが来た。

 

「ジョアンヌ!」

 

「あら、名前を覚えてくれていたのね?」

 

「当たり前でしょ!」

 

「フフ、面白いわね貴女は.....」

 

「何がよ!?」

 

「まぁ、良いわ.......率直に言うわ、アンジュ........ネロス様がお呼びよ......付いてきなさい」

 

「断ったら?」

 

アンジュが問いただした直後、いつの間にか後ろに回り込まれ、首や腰にハンドガンとナイフを突き付ける。

 

「殺すよ♪」

 

ジョアンヌはニッコリとした表情でアンジュに言う。その事にアンジュは表情を引き締め、ジョアンヌはサリア達に命令した。

 

「貴女達は持ち場に戻って良いよ♪」

 

「行けません!アンジュは危険です!」

 

「......サリアさん♪」

 

ジョアンヌはニッコリとした笑顔を見せつけているが、サリアはジョアンヌから只ならぬ威圧と殺気に圧される。サリアは歯を噛みしめる、ジョアンヌが言った事にアンジュは内心で悔しがる、実際ジョアンヌには全く歯が立たないのは事実でもある。

 

仕方なくアンジュとモモカはジョアンヌに付いていき、サリアはまた必要とされてないと思う。

 

その中でアンジュはマサトとナオミ、タスクの事を考える。

 

「(タスク.....マサト.....ナオミ、無事いて......)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い夜を照らす大都市の光、その上空にワームホールが現れ、市民はパニックになる。そしてワームホールからレオスとエクセリアが落ちる。レオスは何処か広い場所に不時着し、エクセリアはそのまま大都市のビルに直撃した。市民はパニックになり、逃げ惑う。エクセリアのコックピットが開き、中から血だらけのナオミが倒れる。市民はナオミに近寄る。

 

「おい、人が出てきたぞ!?」

 

「もしかして、あの機体.......ガンダム!?」

 

「と言うことは、異世界から!?」

 

「早く救急車を!」

 

「119番!!」

 

市民はケータイやスマホで連絡し、救急車やパトカー、消防車が駆けつけ、ナオミは意識不明のまま救急車に運ばれる。

そしてマサトはモニター画面に映る太陽の光によって、目を覚ます。

 

「.....う........うう......!?」

 

マサトは血だらけの姿になっているが、慣れており、頭を抑え付けながら起き上がる。そしてあの時の事を思いだし、自分の手を見る。

 

「俺の体.......一体、どうなっているんだ?」

 

マサトはそう呟き、前を見る。目の前にダイナミックな潰れた子供の顔がマサトを見ていた。

 

「うわぁっ!!?」

 

マサトは驚き、周りを見てみると、数十人子供がレオスに登ったり、叩いたりしていた。数人の子供が木の棒でレオスのメインカメラをつつく。マサトは急いで知らせる

 

「今、開ける!開けるから退いてて!(どうなっているんだ!?)」

 

マサトはコックピットから出て、ヘルメットを外した。そこは何処かの小学校の運動場であった。すると子供達がマサト見て叫ぶ。

 

「真人兄ちゃんだ!」

 

「真人兄ちゃんだよ!」

 

「真人!真人!真人!」

 

「......え?」

 

マサトはレオスから下りると、子供達がマサトにコールを言う。。

 

「真人兄ちゃん!あのガンダム動かして!」

 

「お願~~い♪」

 

《ガンダム♪ ガンダム♪ ガンダム♪ ガンダム♪ ガンダム♪ ガンダム♪ ガンダム♪》

 

「俺は..........ごめん!!」

 

マサトは急いで子供達から逃げる。小学校から逃げ、数十メートルまで走る。

 

「嘘だろ!?」

 

後ろを振り向くと、子供達がマサトを追い掛けてきた。さらに目の前からも、マサトは横の通路を走りながらこの状況の事を思いきって叫ぶ。

 

「何なんだよここは!!どうして、俺の名前を知っているんだ!!?」

 

マサトは追われながらも、走りまくる。すると三人の青年と通り過ぎる。

 

「あれって!?」

 

「真人だ!」

 

「俺達も行こう!!」

 

三人の青年達は急いでマサトを追う。その頃マサトは何処かの商店街に到着し、骨董品が売っている雑貨屋に隠れる。子供達が雑貨屋を通りすぎていく。

 

「助かったぁ~.......」

 

マサトは再度確認しようと雑貨屋から出た直後、三人の青年達が待っていた。

 

「もう、勘弁して.......」

 

「やっぱり、真人だ!」

 

「諦めたよ、大人しくガンダムに.....「真人!覚えているか!?高校の時同級生だった翔を!!」....え?」

 

「俺も!大樹だよ!マサト!」

 

「は!?」

 

「飛鳥!飛鳥!グフカスタムを使っていた飛鳥だ!」

 

「........何なんだここはぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!!!????」

 

謎の三人に捕まえられたマサトは天に向かって、叫ぶ。

 




グダグダで何か、すみません。


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第36話:21世紀の世界

 

マサトは謎の三人の青年『翔』『大樹』『飛鳥』に連れられ、飛鳥の家で身を潜める。

 

「やっぱり覚えていないか........」

 

「無理もないよ、転生したらその人の記憶がなくなるって言うから、」

 

「だけど「あのぅ.......」ん?」

 

「さっきから、何を話しているんだ?」

 

マサトはつまんなさそうな表情をしていた。

 

「あ~、すまん、すまん。やっぱり俺らの事を覚えていないか?」

 

「全然」

 

「昔、ガンプラバトルでレオス使っていただろ?」

 

「全く」

 

「彼女も出来ていなかったろ?」

 

「いるよ」

 

「「「.......え?......えええええぇぇぇぇ~~~~ぇ!!!!!?????」」」

 

三人は天高く叫ぶ。

 

「そんなに叫ぶ?」

 

「叫ぶ」

 

「「うん、うん」」

 

「何なんだよ急に.......て言うかここ何処だ?」

 

「俺の家」

 

「違う、ここはアウラの都なのか、天都ノ神殿なのか、ミスルギ皇国なのか?」

 

「「「..........????」」」

 

三人は首を傾げる。マサトは呆れてしまうが、三人に分かりやすいよう説明した。

 

「なるほど、つまり真人...違かった、マサトはそのネロスとか言う悪い奴を倒そうと?」

 

「そう.....」

 

「へぇ~、何か大変な事になっているんだなぁ、つまり、お前は32世紀から21世紀まで来たのか?」

 

「32世紀?」

 

「そう、たぶん......マサト達の世界は3101年代の世界だと思う。」

 

「は!?今ら何年!?」

 

「今年?平成29年 2017年 6月17日 水曜日だけど」

 

「.........」

 

マサトは唖然した状態になる。

 

「まぁ、兎に角.....マサトは元の世界に帰る方法でも考えて置けば良いよ♪」

 

「......そうだな、」

 

マサトは安心すると、翔がテレビを付ける。するとそのテレビにエクセリアが映っていた。マサトはエクセリアを見て、言う。

 

「ナオミ!」

 

内容では、ロボットのパイロットである少女は東京都清瀬市の『国立病院機構東京病院』に搬送されたとなっている。そして病院の玄関前でたくさんの新聞記者やマスコミが押し寄せていた。

 

「アイツ等......マサトの彼女を金儲けの為に使おうとしているな.....」

 

「どうする?」

 

大樹がマサトに問う。

 

「もちろん、行く。」

 

「なら、話は早い!取り合えず、マサト.....その姿だと、目立ちすぎる......これ着ろ」

 

飛鳥がマサトに渡したのは、Tシャツとジーパンであった。マサトはパイロットスーツを脱ぎ、Tシャツとジーパンに着替え、大樹の車で向かう。

 

数字間後、国立病院機構東京病院に到着すると、玄関前では新聞記者、マスコミ、さらに市民でいっぱいであった。

 

「うわぁっ!ヤバイぞこれ.......」

 

大樹が目の前の光景に驚いていると、マサトが言う。

 

「何処でもいい!それか裏口で」

 

「.....分かった!」

 

大樹はそう言い、病院の裏口へ回り込む。マサトは持ってきたワイヤーガンを取り出し、屋上へと登る

 

「「「スゲェ!!!」」」

 

三人は驚き、マサトは屋上に辿り着く。

 

「皆、ありがとう!」

 

マサトがそう言い、病院内へ入っていく。院内では看護士たちや医者が大慌てで新聞記者とマスコミを抑え付ける。マサトはその隙にナオミのいる病室へ向かう。ロビーの所でナオミのいる病室を確認する。

 

「三階の特別室か......良し!」

 

マサトはエレベーターで登る

 

「...........『♪~♪~』何で.......エレベーターに乗っているんだろう......」

 

『三階です』

 

エレベーターのドアが開き、ナオミのいる病室に入る。

 

「ナオミ......」

 

寝込んでいるナオミの体には至る所に包帯が巻かれており、さらに傷も縫っていた。マサトはそっとナオミの側に寄り、椅子に座る。

 

「ごめんな.......ナオミ.......」

 

マサトは寝ているナオミに謝罪し、病室から出る。

 

 

 

 

 

病院から出たマサトはマスコミや新聞記者が目がつかない場所に、駐車していた。

 

「で、どうだった?」

 

「.........酷い怪我だった」

 

「そうか.......なぁ、マサト.....こんなこともあれなんだが........彼処へ送ろうか?」

 

「送る?」

 

「マサトの前世の家族.......大門寺家の所に」

 

「大門寺........!?まさか!!」

 

「え?知っているのか!?」

 

「あぁ!未来では廃墟になっていたが、会ってみたいんだ!大門寺 諒と大門寺 華怜に!」

 

「オーケー!それなら、心の準備をしておけよ!前世のお父さんとお母さんと妹さんに会う準備を!」

 

「頼む!」

 

大樹は興奮しながら、大門寺邸がある神社へ向かう。そして、

 

「ここが......」

 

「そう......大門寺邸だ。そして、前世のお前の......本当の家だ.....」

 

アウラの都で見たときと違って、邸は綺麗であった。そして、周りには紅葉の木が並んでいた。

 

「紅葉の木.....」

 

「不思議だろ?」

 

「何が?」

 

「ここのだけ、紅葉なんだ........もう夏が近いのに、紅葉の木が成り立っているんだ。普通なら紅葉は秋になる筈なんだよ、それでここは一番の不思議スポットで珍百景に認定された場所なんだ♪」

 

「へぇ~....」

 

マサト達が鳥居まで着くと、そこに巫女服を着た女性が水を撒いていた。

 

「あら?翔君達じゃないの.....♪」

 

「華怜叔母さん」

 

「それに、大樹君に飛鳥君、そして、真人..............っ!!?」

 

華怜がマサトの顔を見てバケツを落とす。

 

「真人?.......本当に真人なの!?」

 

華怜がマサトに抱き付く。

 

「いや、だから......俺はマサトとで、ちょっと待って、華怜って言うことは、貴女が?」

 

「お母さんよ!」

 

マサトは驚き、大門寺邸に招かれる。そして、大門寺家の頭領『大門寺 諒』と長女の『大門寺 沙弥』と御対面した。マサトは自分が諒と華怜の来世であるユリウスとイリスの子であり、今、マサトはネロスと言う偽善者『ネロス』によって、支配されていると言うことを、伝えた。

 

「なるほど......」

 

「しかも、22世紀末の地球を第七次世界大戦で世界を壊して、自分の思うような世界を作ったんだ。」

 

「"洗脳"か?.......悪い奴だなぁ」

 

「何ですか?」

 

「確か、マナの光って言っていたなぁ、それを使えるのは人間。そして、それが使えないノーマはアルゼナル送りにして、ドラゴン(人間)を戦わせている.......結局は、人を殺して、人を燃料にする。」

 

「だけど、アンタはトリスタン連邦で採れていたレイヴニウムを見つけ、マナとノーマの解決策を見つけた。」

 

「だが、結局はそのネロスに壊されたんだろ?」

 

「えぇ、だけど、俺の左腕の義手はアンタのだ。しかも、レイヴニウム......」

 

マサトは義手を取り外し、諒に見せる。

 

「これが......」

 

諒は義手をじっくり観察する。

 

「確かに、これは普通の義手ではないな....」

 

諒は義手をマサトに返す。

 

「それで、これからどうする?」

 

「一旦、レオスに戻る。」

 

「止めときな」

 

「何で?」

 

「お前がそのナオミっていう娘さんの所へ行っている間、レオスは完全に自衛隊に運ばれていたぞ、後エクセリアって言うガンダムも......」

 

「.........何....だと!?」

 

「何か、マズイ物、見られたくない物が入っているのか?」

 

「.......あ~~~、ハロと......古文書と変なUSBメモリ.....かな?」

 

「そのUSBメモリアルキーって.....まさか.......」

 

諒が取り出したのは、マサトが持っていたメモリアルキーと同じ物であった。

 

「それ......」

 

「何と言うことだ!!」

 

「え!?」

 

「あのメモリアルキーには大事な資料が入っているんだ!その中にはあらゆるモビルスーツとモビルアーマーのデータと設計図が入っているんだ!」

 

「えぇっ!!?」

 

「そうなると、この世界やお前の未来の世界にも悪影響が出るぞ........」

 

「......どんな?」

 

「私が今ここで、死ねば.......お前はもう存在しない人間になってしまう。」

 

「......マジで!?」

 

「マジのマジ、大マジだ。」

 

「大変だ~!!」

 

「後、そのナオミって言う娘さんが目覚めて、マスコミや新聞記者にその事を話してみろ?トランプ大統領が率いるアメリカ軍と、安部総理、金正恩が率いる北朝鮮、テロ組織『イスラム』、世界各国の軍や政治家達が.......レオスやエクセリア、そして、ナオミとお前を狙うだろう.......」

 

「.........」

 

そして、翔達は実家に帰り、マサトは大門寺邸で宿泊すると。マサトは大門寺邸の風呂.....と言うより、温泉に入っていた。

 

「あああああ~........何でだろう?何でこんな言葉が浮かぶのか、分からんが...........生き返るぅ~♪」

 

マサトは温泉の温かさに、癒されていた。そして、一緒に入っていた諒が説明する。

 

「どうだ?この地域だけにしか湧かない温泉だ。時にはここを宿屋として使っていることもある♪」

 

「はああああ~........アルゼナルの風呂とは大違いだ~~♪」

 

マサトはさらに和む。すると諒が心配そうな表情をする。

 

「本当に.....覚えていないのか、私たちの事を?」

 

「だから、何度でも言うじゃん.......前世の記憶はないって♪」

 

「そうか......」

 

マサトと諒は風呂から上がり、豪華な食事を頂き、食を終えると、自分の部屋へ案内された。そこはかつて、前世であった大門寺 真人の部屋でもあった。

 

「ここが....前世の俺の....」

 

マサトは机の上に飾られてあるエクストリームガンダムtypeレオスのプラモデルを見る。

 

「使っていたんだなぁ.......コイツを.....」

 

その後、マサトは真人の小学生、中学生時代のアルバムを見る。

 

「俺と同じ顔........」

 

ページを開いていく内にマサトの目から涙が零れ落ちた。

 

「?」

 

マサトは目を吹く。すると最後のページに三枚のディスクが付属していた。

 

「?」

 

マサトはそのディスクのタイトルを見る。

 

「『俺とレオスの練習動画』、『Fighter』、『モビルアーマーの弱点』」

 

その中で、『モビルアーマーの弱点』に目が入り、ブルーレイに入れる。しかし、映ったのは蜂の映像であった。

 

「........これがモビルアーマーの弱点?」

 

次に鰯の群れの映像へと映った。

 

「何で鰯の群れ........ん?」

 

よく見ると、鰯の群れはどうやって指示も出さずにあんな美しい動きを見せるのか、どうして蜂は集団でスズメバチを襲うのか............マサトは深く考えると、ある事が頭に浮かび上がった。

 

「......周波数の電波!」

 

モビルアーマー『プルーマ』『バグ』『ピレスドロイド』には周波数の電波で連携を取っている。それがまるで、蜂や鰯の群れのような行動を取る。つまり、奴等に電波を妨害できる超短波さえあれば、電波が通じなくなり、連携が一気に乱れ、混乱する。

 

「俺の世界にはそう言うのはないが、過去の世界なら、奴等に対抗できる素材が見つかる!」

 

するとマサトはガンダムシリーズの本やアニメの雑誌、さらに他のロボットアニメのプラモデルを見て、義手をみる。

 

「それに、レオスを取り戻すためのアップグレードが必要だな......良し!」

 

マサトは決意を胸に、行動を開始したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、自衛隊の本部に運び出されたレオスとエクセリアでは、科学者が早速レオスとエクセリアのデータを採取しようとしていた。

 

「ふむ、このフレームは凄いなぁ......」

 

「何か分かったのかね?」

 

「はい、この2体のガンダムの装甲やフレームにはナノマシンが含まれており、自己再生が可能になっているようです。」

 

「自己再生か........採れないのかね?」

 

「そうなんです。只、この2体のガンダムは恐らく........"持ち主"にしか反応しないとその効力が出せないと思うのです。」

 

「その持ち主は?」

 

「えぇ、一人は東京都清瀬市の『国立病院機構東京病院』で意識不明の状態。後一人は捜索中の事です。」

 

「何としてでも、探せ.......日本を強くするために、モビルスーツが必要なのだ!」

 

「はい、軍曹♪..........この私"桐山 次郎"にお任せを.......♪」

 

桐山 次郎と言う科学者は不気味な笑みを浮かばせ、首に掛けてある十字架のペンダントが輝いていた。そして、その不気味な企みが、意識不明のナオミに魔の手が来ていることに、マサトは知らなかった。

 




さて、さて、マサトとナオミ、21世紀の過去の世界で何が起こるのか。
こう、御期待ください。


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第37話:時空の支配者

 

マサトは早速、レオスや義手に必要な部品を集める。勿論、諒や華怜、沙弥、、翔や大樹、飛鳥、そして、鬼の民(旧隠れキリシタン)達も手伝ってくれた。この世界の技術や音楽、アニメを参考にし、次々とユニークな発明品を作っていった。義手にアラミド繊維、グリス、そして間接の補強した。マサトは早速、鋼でできた義手を動かす。

 

「思った以上に軽いなぁ」

 

「だろ、もっと強くなりたいだろ?パンチしてみろ!」

 

諒が鉄の棒を三本を出してきた。マサトは義手の新しいブレード『高周波ソード』を展開し、渾身を込めて高周波ソードで斬った。

 

「やった!」

 

さらに、諒はマサトの為にコアファイターを造ってくれた。

(見た目は、タスクが使っていたパラメイルと同じ操縦系の小型艇であり、映画"AKIRA"に出てき『Hyanide』と言うバイクにウィングブースター、機関銃、スラスターを装備させた感じです。)

 

「意外とカッコいい♪」

 

マサトは早速コアファイターに乗ると、上部のフェイスガードが閉じていき、目の前のモニター画面が起動する。

 

「おお~」

 

起動したことに感心し、スロットルを握り捻る。するとコアファイターのタイヤが旋回し、宙に浮かぶ。そして、スラスターから火が吹く。マサトは慎重に捻る。

 

「.......飛べ!」

 

マサトはスロットルを思いっきり捻り、コアファイターが飛んだ。

 

《飛んだ!》

 

コアファイターはヨロヨロしながら上空を飛翔する。その光景に諒と華怜は呆れる。

 

「相変わらず無茶なことをするね」

 

「それでも、俺らの息子だ」

 

「えぇ」

 

「さてと、我々も準備をするか」

 

「諒君......あれを真人に渡すのね」

 

「あぁ、今こそ、エクストリーマー計画を最終段階へ進める。来世のマサトと前世のマサトを.....一つに!!」

 

諒はそう言い、計画を進めるのであった。

 

 

 

 

 

 

コアファイターで上空を駆け巡るマサトは、前世が使っていたヘッドフォンで音楽を聴いていた。

 

【因みに聴いている曲は(SATSUGAI ~for the movie~ )です。】

 

「【♪~♪~♪~】........良い曲だ♪」

 

マサトはそう言い、コアファイターを旋回させ、ナオミがいる病院へと向かう。

相変わらず病院の前ではマスコミや新聞記者が多かったが、おとなしくしていた。マサトは病院の屋上にコアファイターを着陸させ、中へ入っていく。ロビーで受付をしてもらう。勿論、前世の身分証明書で誤魔化し、ナオミの病室に入る。

 

マサトはそっと、ナオミの手を握る。

 

「もうすぐだからな......もうすぐ......」

 

マサトは心配そうに、ナオミを見つめる。そして、窓の外を見上げる。

 

「皆.......大丈夫かな.......無事でいてくれ......」

 

マサトは元の時代にいるアンジュ達を心配するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、未来では、インフィニティとアウローラは深海を進み、敵に発見されずに航行していた。

 

そしてケルベロスでは負傷したタスクは医務室で治療を受けていた。

タスクの事を心配するヴィヴィアン、ココ、ミランダの三人は窓越しで見ていた。

 

「タスク~.....」

 

「大丈夫かな.....」

 

「信じて見てるしかないよ」

 

そうミランダが言っているとココが消失したマサトとナオミを心配するのであった。

 

「マサトお兄ちゃんとナオミ.......大丈夫かな.....」

 

「大丈夫よ.....あのマサトさんとナオミはきっと生きている.....」

 

ミランダが二人の事を言っていると、

 

「どうなってるの?」

 

っと聞き覚えのある声が聞こえてヴィヴィアン達が振り向くと、ヒルダとロザリーがやって来た事に驚いた。

 

「ヒルダ!ロザリー! どうして此処に?!」

 

「たった今アウローラとの連絡通路が繋いでさ、此処に来たのさ。それにしても....」

 

ヒルダはタスクが治療を受けている様子を見て、少し目を細めて見ていた。

 

「馬鹿たれがやられるなんて.....思っても居なかったよ」

 

「はい....、それより司令はどうですか?」

 

「....司令なら今【取調べ中】だよ」

 

っとヒルダの言葉にヴィヴィアン達は表情を驚かせる。

 

その頃アストラ達はジルに事情聴取をしていた。

 

「何故貴様等に私が.....、お前等は本来は牢屋に」

 

「無駄だぞ、それに今は我々の質問に答えなさい。アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ」

 

アストラにその事を言われ、ジルはアストラ達を睨みながら黙り込む。

 

「さて…質問するぞ、アレクトラ、あんた....」

 

皆が息を飲む中でヒュウガの一言に言葉を失う皆。

それは....。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネロスに操られているだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!!」

 

『『『!!?』』』

 

アストラの一言を聞いたオルト達は驚き、ジルは驚く表情をし戸惑いを隠せない。

そして目を泳がせながら大量の汗が湧き出て来る。

 

それを見たアストラがようやく確信をした。

 

「やっぱりな、通りで10年前にネロスを撃たなかった訳だ。もしやアンタは10年前のリベルタスの時にネロスに…?」

 

「何だって!!? 本当かい!!アレクトラ!!?」

 

ジャスミンがそれに問うも、ジルは顔を逸らして戸惑いながらも黙り込む。

 

「何で黙ってるんだい.....!答えろよアレクトラ!!!」

 

マギーが怒鳴りながらジルの胸倉をつかみ、振り向かせ言い聞かせる。

 

「それは......!」

 

「詳しく話して貰うぞ..... アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ......」

 

アストラの冷たい一言にジルはただ黙るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ミスルギ皇国の方ではアンジュ達を連れて行っているジョアンヌであったが、隙を見られ、アンジュを探していた。壁の一部にわずかな隙間が開いており、そこにアンジュとモモカが居た。

 

「よく知ってるじゃない。私の家をなめないでね…」

 

そう言ってアンジュとモモカは庭に通じるダクトを通る。

 

そして庭へと出たアンジュとモモカはネロスを探そうとした所に....。

 

「ああ~!アンジュお姉様だ!」

 

っとアンジュはアルゼナルに居た幼年部の子供たちに見つかってしまい、それと一緒に居たエルシャにも見つかった。

 

「あらあら、アンジュちゃんを追い詰めるなんて。みんなやるわね」

 

「エルシャ....」

 

アンジュはエルシャを見ながら呟き、エルシャから事情を聞き出した。

 

今の彼女は『ネロス幼稚園』と言う園長を務め、そこで子供たちの世話をしていた。

そして信じられない事に幼年部の子供たちは一度死んだと事を聞かされて、アンジュとモモカは驚いた。

 

「死んだって.....!」

 

「そんな事、マナの光でも不可能です!」

 

「ネロスさんがね、あの子たちを蘇らせてくれたのよ。そしてネロスさんがあの子たちの幸せな世界を作るんだって。私はその為なら何だってやるわ、ドラゴンもアンジュちゃんやマサト君達を殺す事もね.....」

 

「エルシャ…」

 

エルシャの相当な覚悟を聞いたアンジュは思わず息を飲む、そしてネロスの所へ行こうとした時、

 

「ここにいたのか」

 

「!?」

 

ジャックであるデシル・ガレットに見つかった。

 

「ジョーカーの野郎が俺に頼んできてよ、代わりにネロス様の所へ連れてってくれと♪」

 

「っ....」

 

「私も一緒に言って良いかしら」

 

っとアンジュとモモカは振り向くと、そこにクリスがやって来た。

そしてアストラ達とクリスがアンジュ達を連れて行く中、アンジュがクリスにヒルダ達が裏切った事を問う。

 

「ねえクリス、どうして裏切ったの?ヒルダ達怒ってたわよ」

 

「怒る?怒ってるのはこっちよ.....!見捨てて置いて!」

 

っと意味が分からない事にアンジュは頭を傾げる。

クリスからの話だと、彼女はアルゼナルに攻撃して来た特殊部隊達を撃退した際、パラメイルで出撃した時に生き残っていた部隊の一人に攻撃を食らい、シャフトにぶつかってしまう。

ロザリーから助けに行くと言った際にクリスが乗るパラメイルが爆発、その時に助けたのがネロスだと言う。

 

その時アンジュは分かった、クリスは思い違いをしている事に........。

 

「失礼するぞ。ネロス」

 

「入って良いぞ」

 

デシルは扉を開くと、ネロスが本を読んでいる様子であった。

 

アンジュは更に警戒を強める。

ネロスはアンジュの方を見ると、笑みを浮かばせて立ち上がる。

 

「やあ、よく来たねアンジュ.....待っていたよ♪」

 

「ネロス....!」

 

「そう怖い顔をしないでおくれ。やっと君に会えたんだから♪」

 

「クッ!」

 

「さてアンジュ.....少しばかり君に見せたい物がある、付いて来たまえ.....ジョーカー、エース、ハート、スペード、ジャック、ゼノビア、ダイヤも♪」

 

七人のディーラ幹部が現れ、ネロスと共に付いていく。

アンジュはネロスに連れられてアケノミハシラに連れられていた。

 

そしてエレベーターで最下層に降りて、アンジュの目にある光景は映る。

 

「アウラ.....!」

 

アンジュの目の前にアウラがドラグニウム発生器らしき物を付けられて幽閉されていた。

 

「どうだいアンジュ、あれがドラグニウムだ。この世界の源であるマナは此処から発せられている、これで色々な事を楽しめたよ」

 

「貴方....!アウラを発電機扱いにしてるのね!?」

 

その事には全く否定しないネロスは笑みを浮かばせる。

 

「ふふふ、人間達を路頭に迷わせる訳には行かないだろう、リィザの情報のお蔭でドラゴン達の待ち伏せは成功し、大量のドラグニウムが手に入った。これで計画を進められる....私の計画が」

 

そう話すエンブリヲにアンジュは睨みかましていると、ネロスの後ろに銃があった事に気が付いたアンジュ。

アンジュはネロスの銃を奪い、頭に銃を突きつける。

 

「アウラを解放しなさい、今すぐ!」

 

銃を構えているアンジュに対しても余裕をかましているネロス。

 

「おやおや、ドラゴンの味方だったのか」

 

「いいえ....貴方の敵よ! 兄を消し去り....マサトとタスクを殺そうとして、沢山のドラゴン達を殺した....敵と考えるのは十分だわ!」

 

「ふふふ....君のお兄さんは少女たちを皆殺しにしてその罪を受けたのだよ、そしてあのマサトは私のパートナーであった大門寺 諒と大門寺 華怜の息子でもあったからなぁ♪」

 

っとその事を聞いたアンジュは驚く。

 

「え!?」

 

「知らなかったのかな?彼の実の父と実の母は愛しい息子を生き返らせるために、自分達もエクストリーマー計画......嫌、"魔界転生"で二人は転生し、息子の遺伝子は華怜が宿し、産み育てた。それに私には最強であるイクスとディザスターがあるから、怖いものなしさ♪」

 

「そうは.....させないわ!」

 

アンジュが持つ銃がネロスの頭部を撃ち抜き、ネロスは血を流しながらそのまま倒れる。

 

「ふぅ.....、さて....どうやってアウラを助けようかしら」

 

「気は済んだかね?」

 

っと聞こえた方を向くと、何事もなかった様に立っていたネロスが居た。

 

「どうして?!」

 

アンジュは倒れた方を見るとネロスの死体が無く、それにアンジュはネロスを睨みつけて再びネロスの頭を狙い、ネロスの頭を撃つ。

それに抵抗せずにネロスは頭部を撃たれて倒れる。しかしまた別の場所からネロスが現れる。

 

「無駄だと言っているのに…アンジュ」

 

「あ....貴方、一体.....?!」

 

「アレクトラから聞いているだろう....?」

 

っとその言葉にアンジュは思い出す、アルゼナルでジルが自分にリベルタスの事とそしてこの世界を作った者の事を.....。

 

「神様.....」

 

「やれやれ、その呼び方は好きではないな....、私は"調律者"呼んでもいいが....."天使"と言っても良い♪」

 

「天使....?」

 

アンジュはネロスの言った言葉に呟く。

 

「その通りだよ!」

 

横にいたデシルがネロスに説明する

 

「世界を正す天使として、1000年も生きているからなぁ!」

 

「1000年!?......っ!?」

 

その直後、空間が歪み、無数の島が浮いていて、中央には社交場の様な丸くて大きなテーブルが置いてある世界へと変わった。

 

「っ!?」

 

そこにいるのはアンジュとネロスだけであった。

 

「アンジュ、君に頼みたい事があるんだ」

 

っとそう言ってネロスは片膝を付いて、手を刺し延ばす様に振る舞う。

 

「アンジュ.....私の妻となってくれないか?」

 

「はぁ?!!」

 

ネロスの馬鹿発言を聞いてアンジュは思わず声が出たその直後、アンジュの意識が遠くなっていく。

 

「........!?」

 

「フフ♪」

 

「......!?何を.......したの!?」

 

「素晴らしい、精神を維持できるとは.......だが、」

 

するとネロスの両目の瞳が十字架へと変わり、アンジュの精神や心を抑え付ける。そして、アンジュはハンドガンを捨て、服を脱ぎ始めた。そして、下着を脱ごうとするが、アンジュは抗う。

 

「強いなぁ.......」

 

ネロスの結膜が光、アンジュを洗脳する。そして、アンジュは下着を脱ぐ。

 

「良い子だ♪....黄金の髪に炎の瞳、薄紅色の口紅に吸い付くような肌、張りのある豊かな胸と桜色の.....」

 

「!」

 

「美しい...ヴィーナスとアフロディーテにも敵わない....」

 

ネロスはそう呟き、アンジュにキスをした。

 

「っ!」

 

だが、アンジュはタスクの事を思いだし、目を覚まして、ネロスの唇を噛みちぎった。

 

「っ!!?まさか!?」

 

「何でも与えて上げる?生憎、与えられたもので満足出来るほど、空っぽじゃないの私!」

 

アンジュは服で素肌を隠し、ハンドガンを向ける。

 

「神様や調律者、天使だが何だが知らないが!支配を壊して、世界を壊すわ!」

 

「おお~!ドラマティック!」

 

「え!?」

 

「さすが!僕の花嫁だ!」

 

「だ!?誰が貴方の花嫁よ!!?」

 

「フフフ♪......?」

 

その時、ネロスの記憶に異変が起きた。浮かび上がる記憶の光景に写ったのは、炎上する基地、燃え上がる複数の死体、そして.....炎の中から、全長二メートル半もある角が生えている黒豹の化物と共に、バイク状のコアファイターに乗っている青年が、実験用の服を着たピンクの少女を抱えたまま現れ、青年は持っていたパルスグレネードを彼の面に投げ付け、一生消えない傷を残した。

その直後、ネロスの顔の右半分の皮膚が溶け、半分抉られた。ネロスは溶けた皮膚を見て、天に向かって皮膚を溶かした人物の名を叫んだ。

 

「....己れぇっ!!.....大門寺 真人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」

 

ネロスは自分の顔を抑えながら、苦しむ。そして、アンジュはネロスの苦しむ姿に不思議に思っていた。

 



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第38話:狂信科学者

 

 

今日もマサトは見舞いに行き、心配そうに、ナオミを見つめていた。すると病院の玄関が騒がしくなる。

 

「何だ?」

 

窓の外を見てみると、玄関前に深緑色をした車が2台トラックが1台が止まっていた。

 

「ん?」

 

その時、ヘッドフォンから諒の通信が入る。

 

『マサト!今、何処にいる!?』

 

「え?病室だけど、」

 

『まずいぞ!早くそこから出ろ!自衛隊の連中だ!........ッ!!!』

 

その直後、通信がノイズ音へとなる。

 

「!?.....もしもし!?」

 

マサトが諒との再通信をしようとした直後、扉から気配がし、マサトは急いで窓の外の死角へ隠れる。入って来たのは、数人の自衛官でナオミをベッドごと移動し、トラックへ搬送した。

 

「ナオミ!!」

 

マサトは急いで屋上に止めてあるコアファイターを起動し、ナオミを乗せた自衛隊の車両を追い掛ける。そして、辿り着いた場所は港でそこに自衛隊の揚陸挺が待っていた。マサトは倉庫の陰に隠れ、様子を伺う。そして、ナオミを乗せたトラックが揚陸挺に乗り込む。マサトはハンドガンの銃口に発信弾を撃ち込んだ。マサトは急いで、大門寺邸に戻る。諒は急いでコアファイターの燃料を改良する。マサトは飛鳥に預かっていたパイロットスーツを着用すると、飛鳥があるものを渡した。

 

「......弓?」

 

「俺の親戚がアーチェリーをやっていたからなぁ、その余ったのくれたんだ。正直俺は弓を引くのは苦手なんだ......だからお前にやる♪」

 

「ありがとう.....」

 

マサトはハンティングボウと30本のカーボンアローを貰うと、今度は大樹から護身用のスティックロッドを貰った。

 

「それで自衛隊の連中を叩いて良いぞ♪」

 

さらに、翔からのプレゼントは暗殺ゲームの武器で手首に付ける。ブレードであった。

 

「それは手作りだ♪なぁに、心配ない!俺用がちゃんとあるからなぁ!」

 

「お前達......」

 

マサトは前世の友達の友情に憧れる。未来ではそう言う差別意識を持っているが、過去ではそう言う差別意識がないことに感心した。

 

「恩に切るぜ!」

 

そしてマサトは完全装備、強化したコアファイターを見る。鬼の民の神殿に眠るあの無人の巨大要塞:通称【コロニー】からデータ読み取って造った人類初で実現した兵器『ビームマシンガン』へとなっていた。他にも、自動操縦、妨害電波、光学迷彩、太陽光充電型パネルまで追加されていた。

 

「ここまで改良したの!?」

 

「大変だったよ、......このコアファイターは神殿に封印しているフレーム『ヴァリアント・サーフェイス』とドッキング出来ている。まぁ、言わばマサトが使っているコアファイターは動き飛び回るコックピットなんだ。それにコアファイターやヴァリアント・サーフェイスに面白いSYSTEMを組み合わせてみたんだ♪」

 

「SYSTEMを組み合わせた?」

 

「確か、お前が所属している組織って.....ハデスだったよな?」

 

「まぁ、....それがる」

 

「"ハデス"って言うのは、ギリシャ神話に出てくる冥付の支配者で.......残忍な神様なんだ。だから、それと同じSYSTEMである"HADES"を搭載してみたんだ♪」

 

「"HADES"?」

 

『HADES』(Hyper Animosity Detect Estimate System) の略称。EXAMシステムをベースとして開発された特殊システムであり、MSの各種リミッターを強制解放して機体能力を100パーセント解放するとともに、教育型コンピュータの流用で最適解をパイロットに伝達もしくは強制的に割り込んで実行する戦闘補助システムをコアとしている。

 

「負担は大きいかもしれないかと思って、コイツも造っておいた」

 

するとマサトの元に黒いハロが転がってきた、

 

「マサト♪マサト♪」

 

「黒いハロ?」

 

「ソイツはお前がもし、"HADES"を使うとしたら、ソイツがFH(Follow Hades)で、HADESを追従してくれる」

 

「へぇ~」

 

「だが、無闇にHADESを使うな........HADESを使いたいなら、相当な覚悟が必要だぞ.......でないと、体の一部に負担が掛かって、2ヶ月まで回復を待たなければならない.....良いな?」

 

「分かった」

 

マサトはそう言い、コアファイターを離陸させる。

 

「それじゃ、行ってくる!」

 

マサトはスロットルを捻り、上空へ舞い上がり、発信器を頼りに、自衛隊の基地へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

海を渡り、発信器を頼りに後を追うと、目の前に驚く島が現れた。

 

「あれは!?」

 

マサトにとって、それは見覚えのある島『アルゼナル』であった。

 

「アルゼナル!?何でここに!?」

 

アルゼナルが過去にも存在したことに、マサトは驚く。その時、アルゼナルから警報が鳴る。

 

『警告 あなたは素粒子研究所区域に侵入しました。これ以上区域に入り込めば、あなたを迎撃します。』

 

「ナオミを連れ去って、何が迎撃だ!」

 

マサトはそう呟き、ビームマシンガンのセーフティを解除した。

 

「ちょっと手荒な真似をするが、レオスやエクセリア、そして大事なメモリアルキーを返してもらうぞ!!」

 

マサトはスロットルのトリガーを弾き、ビームマシンガンを乱射し、ビームはカタパルトに直撃した。そしてアルゼナルの対空砲やカタパルトから無人戦闘機【UCAV】『RQ-1 プレデター』と『MQ-9リーパー』が発進された。

 

『無人戦闘機!無人戦闘機!』

 

ハロが報告し、マサトは後方を確認すると、【プレデター】4機と【リーパー】2機を確認した。

 

「モビルアーマーを相手した俺に........勝てるかな?」

 

マサトはコアファイターを旋回させ、プレデターとリーパーを相手することにした。

リーパーはFマサトのコアファイターに標的し、IM-92 スティンガー空対空ミサイルを発射した。

 

「ミサイルか!」

 

マサトは急速でミサイルを振り切ろうとする。しかし、ミサイルはしつこくマサトを追う。

 

「クッ!さすが過去の兵器......ピレスドロイドやバグ以上に速い!.....だが!」

 

マサトはそう言うと黒ハロに言う。

 

「ハロ!今から リバース・スラスターをスタンバイする!落ちんなよ!」

 

『了解! 了解!』

 

マサトがそう言うと、コアファイターの推力を変え、回転し始める。すると追っていたミサイルも螺旋状に回転し始め、ミサイル同士がぶつかり、爆発した。そしてマサトはビームガンを連射し、追撃し、撃墜する。アルゼナル司令部では、兵士が混乱していた。マサトはその隙にカタパルトへ向かう。

 

「っ!」

 

カタパルトから兵士が現れ、アサルトライフルを乱射してきた。マサトは怯まず、コアファイターでカタパルトへ突撃した。

 

『第一防衛ライン!突破されました!』

 

『バカな!?』

 

『敵は一人、未知の光学兵器を武装しております!』

 

マサトはコアファイターからおり、ハンドガンを射つ。倒れた兵士が持っていたアサルトライフルを奪い、乱射する。

 

「そこを......どけぇぇぇぇっ!!!」

 

アサルトライフルの弾が空になるまで、マサトは撃ち続ける。そして、

 

「チッ!」

 

マサトはアサルトライフルの弾が空になると、飛鳥から貰ったハンティングボウを取りだし、弓絃を引き、カーボンアローを放つ。その直後、後ろからバトルナイフを降り下ろそうとした兵士が現れ、マサトはカーボンアローを持ち、兵士の肩に刺す。

 

「グアッ!」

 

兵士はナイフを落とした直後、マサトの蹴りが炸裂し、吹き飛ばされた。マサトはアサルトライフルやサブマシンガン、ハンドガンや弾倉を拾い、意識のある兵士に言う。

 

「おい!連れ去った女の人は何処だ!?」

 

「ぐ......第二.....研究室だ......」

 

兵士はそう言い、気を失う。マサトはナオミがいる第二研究室へと向かう。

 

 

 

 

 

 

その頃、第二研究室では、

 

「守りを固めろ!」

 

兵士が次々に第二研究室のハッチを閉めていく。さらに、バリケードも張り、マシンガンも用意する。将軍と科学者の"桐山 次郎"はレオスとエクセリアのデータを回収しようとしていた。

 

「まだなのか!?」

 

「やっていますとも♪だが、この2体のガンダムのファイヤーウォールがちょっとデリケートでしてね.......♪」

 

桐山はそう言うと、あっという間にレオスとエクセリアのファイヤーウォールを破り、コックピットハッチを開かせようとする。

 

「さ~て、未来の兵器よ......大人しく僕たちに君達のテクノロジーが入っているデータを見せてくれよ♪」

 

桐山は無気味な笑みを浮かばせると、レオスのコックピットハッチが開かれた。研究者達が急いでレオスのコックピットを確認し、メモリアルキーが見つけられた。桐山は大喜びをし、早速メモリアルキーをパソコンに接続し、データをコピーしていく。

 

「良いぞ!良いぞ!」

 

「何がだ?」

 

「これは非常に理解をも凌駕している!このテクノロジーさえあれば、....ん?」

 

その中にあるデータがあり、桐山はそれを見て、突然....。

 

「フフフフ........♪」

 

「どうした?」

 

「アハハハハハ!!!なるほど!そう言うことか!」

 

「何がだ!?」

 

訳の分からないことを言う桐山に将軍が問いただした直後、

 

「っ!?」

 

バァァーンッ!!!

 

将軍の額に風穴が空き、銃声と共に、将軍は絶命し倒れた。

 

「このデータの内容は渡さない!誰の物でもない!ガンダムも!この世界も..........皆、僕の物だぁぁぁぁぁぁ!!アハハハハハ!!!!!♪♪♪♪♪」

 

桐山が放った銃声により、兵士が駆け付けてきた。

 

《将軍!?》

 

兵士達は驚くと、ハッチが閉まる。

 

「おい!開けろ!!」

 

兵士達はハッチを叩いていると、室内に毒ガスが流出してきた。兵士達はもがき苦しみ、倒れた。だが、桐山はガスマスクを着用しており、手に注射器を持っており、毒ガスで倒れている兵士に投入していく。

 

「何を......!?」

 

一人の兵士が桐山に問う。

 

「実験だよ♪」

 

その直後、兵士達に異変が起きた。急に痙攣を起こし、口から泡が吹く。するとみるみると兵士達の表面に青筋や赤筋が浮かび上がり、爪と指の間が血が流出する。そして兵士達が桐山によって、ゾンビ化された。桐山は笑みを浮かばせると、ハッチを開いた。そしてボールペンをハッチの向こうに投げ付けた。ゾンビ達は、ボールペンが落ちた音を嗅ぎ付け、一斉にハッチの向こうへ走っていく。

 

「フフ♪これで私の邪魔物はいなくなった♪」

 

すると桐山の元に、台に寝かされたナオミが運ばれてきた。

 

「決~めた♪」

 

桐山は無気味な微笑みを浮かばせると、色んなアームが出てきた。

 

「この娘を良い戦闘データを作るためのモルモットとして、扱おう♪」

 

桐山はそう言うと、カプセルを持ってきて、ナオミをそこに寝かせる。するとアームがカプセルを改造していくのであった。

 



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第39話:歩む者

 

マサトが辿り着いた場所は、アルゼナルにある食堂であった。辺りは静かであったが、マサトは警戒していた。

 

「何でこんなに静かなんだ?」

 

マサトがアサルトライフルを構えていると、食堂の階段から兵士が転がり落ちてきた。

 

「っ!?」

 

マサトはアサルトライフルを構えると、その兵士は肩を怪我していた。

 

「おーい!逃げろ!」

 

「今さら、引き返せるか!早いとこナオミを助けないと!」

 

「頼む!アンタだけでも逃げてくれ......!」

 

「さっさと退け!」

 

マサトがトリガーを引こうとした直後、

 

「ああーーーーっ!!!」

 

横からゾンビ化された兵士が負傷した兵士に襲い掛かってきた。負傷した兵士に悲鳴、そしてゾンビ化した兵士が負傷した兵士の肉を食いちぎる。その於曾ましい光景にマサトは息を殺す。

 

「...........(何だ、あれは!?......人が....人を食っている!?.......もし、俺があの兵士と出会さず、警戒しないまま行っていたら、)」

 

パキッ!

 

「っ!」

 

っと、マサトが落ちていた皿の破片をうっかりと踏みつけてしまった。

 

「(まずい!!)」

 

マサトが踏みつけてしまった皿の破片見て、正面の方を向いた直後、ゾンビが襲い掛かって来た。

 

「来たっ!!!!」

 

ゾンビが噛み付こうと襲い掛かり、マサトは急いで義手で防御する。

 

「グッ!!」

 

人間とは思えない程の咬力で義手の籠手が簡単に凹んだ。

 

「(何て馬鹿力なんだ!!コイツは本当に人間なのか!?)」

 

ゾンビが義手を噛んでいる事に気付き、顔を喰おうと迫ってきた。マサトはゾンビの首を掴み、距離を取る。そして、

 

「そうだ!(ゾンビは頭が弱点って....翔の奴が言っていた、なら!!)」

 

マサトはゾンビの頭を掴み、翔から貰ったアサシンブレードが展開され、ゾンビの頭に突き刺さった。するとゾンビの様子が一変し、魚の様にぐったりと倒れた。

 

「やっ.......たか.....?」

 

マサトは義手で思いっきり殴ってみるが、起き上がらなかった。

 

「ふぅ、どうやら殺ったみたいだな......」

 

マサトは安心し、振り向くと、さっきの負傷した兵士がいつの間にかゾンビになっていた。

 

「嘘だろ!?」

 

ゾンビは呻き声を上げながら、マサトへ走ってくる。

 

「糞が!!」

 

マサトはハンドガンを取りだし、頭部目掛けて銃弾を放った。ゾンビの額に風穴が空き、倒れる。その時、アルゼナル内に呻き声や叫び声が聞こえてきた。

 

「まさか.......」

 

そう.....今まさに、このアルゼナルは死者の巣と化していた。マサトは急いで食堂から出て、ジャスミンモールがあったホールへと向かう。マサトはゾンビを『アンデット』と名付けた。しかし、ジャスミンモールに着くが、そこにはたくさんのアンデットが死肉を喰らい合っていた。

 

「惨い......」

 

マサトは翔からのゾンビに遭遇した時のアドバイスを思い出す。

 

・【ゾンビは目が見えない変わりに、音で把握する。】

 

・【必ず頭を狙う。】

 

・【集団で来られたら、直ぐに逃げろ。】

 

・【奴等は血の匂いで、嗅ぎ付けてくる。】

 

・【噛まれないように注意。】

 

「何としてでも、第二研究室へ行かないと.........?」

 

マサトは横のフォークリフトカーを見て、思い付く。

 

「そうだ!」

 

早速マサトはフォークリフトカーを動かす。

 

「さぁ、来い!」

 

マサトはゾンビの群れの中をフォークリフトカーで突撃した。フォークリフトカーが掃除機の様にゾンビを刺したり、引いていった。そしてゾンビを一掃したマサトはフォークリフトカーから下り、第二研究室へ急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

マサトが次に辿り着いた場所は、動物を保護している管理室であった。マサトがそこで目に焼き付けた物は、山羊の様な巨大な角をした豹であり、元の時代にいるアストラのペットであるブリッツと同じだが、模様がなく、黒であった。マサトは他の檻を見たが、扉が開いており、この黒豹だけ、置き去りにされたのであると分かった。マサトは扉を開け、中に入ると、黒豹が目覚め、威嚇する。

 

「大丈夫.....ほら、」

 

マサトは大人しくさせようとするが、黒豹はまだ威嚇する。だがよく見ると、黒豹の左後足に家畜用の足枷が付けられていた。

 

「........どいつもこいつも.......」

 

マサトはそう呟くと、義手から高周波ソードを展開し、足枷の鎖を断ち切った。

 

「逃げろ.....お前はもう自由だ......」

 

マサトはそう言い、第二研究室へと向かった。しかし、黒豹がマサトが立ち去るのを見て、後を付いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

マサトは第二研究室に到着し、レオスとエクセリアを見る。

 

「レオス...無事だ!」

 

マサトがレオスの所へ向かおうとした直後、上から巨大な影が、腕のチェーンハンマーを振り下ろしてきた。

 

「っ!!?」

 

マサトは急いで回避し、アサルトライフルを構える。

 

「何だ!?」

 

「フハハハハハハハ!!!!!」

 

「!?.......誰だ!?」

 

マサトが笑い声を上げる桐山 次郎を見る。

 

「僕は桐山 次郎........偉大な神の子 "天草四郎"様を崇拝する神に祝福されし者!」

 

「神に祝福?」

 

「そう!私の頭脳、そしてこのメモリアルキーが僕を神へと導いてくれる♪」

 

桐山が手に持っているメモリアルキーを見て、マサトは驚く。

 

「っ!それは元々俺のだ!返せ!」

 

「そうはいかん♪......折角神への一歩に近付いているのに.......薄々返されては困るよ、大門寺 真人君♪」

 

「はぁっ!?」

 

「やっぱりか.....君はまだ.....エクストリーマー計画の全貌を知っていない.......」

 

「何を言っているんだ!?って言うか、何でお前が俺の前世の名を!?」

 

「ま、そうだろうな........良いだろう♪教えてやるよ.......何故、大門寺 諒と華怜の計画であるエクストリーマー計画を知っているか、そして君の前世の名を.........それはだなぁ........私が.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の父のパートナーであり、エクストリーマー計画に賛同していた科学者で、.........前世の君を........殺した人物でもあるから♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衝撃の言葉にマサトは驚く。

 

「前世の父のパートナーで......俺を殺した人物.....!?」

 

「そう!君の父に復讐する為だったからだよ!」

 

「復讐!?......何の!?」

 

「フフフ......自分で知るが良い♪」

 

桐山はそう言っていると、チェーンハンマーを振り回すロボットが出てくる。マサトはアサルトライフルを撃つが、ロボットの装甲が弾を弾き、無効にされる。

 

「チッ!無理か......なら!」

 

マサトは大樹から貰ったスティックロッドを二刀流で構える。ロボットはチェーンハンマー振り下ろしてきたが、マサトは回避し、チェーンハンマーを伝って登る。

 

「何をやっている!?早く来世の真人を殺せ!」

 

桐山の命令に、ロボットがマサトを掴もうとしてきた。だがマサトは華麗な宙返りで掴もうと伸ばした腕に跳び移った。マサトがロボットの後ろに回り込み、スティックロッドを叩こうとした瞬間、ロボットの後頭部が露出展開され、中から体のあちこちに配線が繋がれたナオミが出てきた。

 

「ナオミ!?」

 

マサトは驚くと、桐山が説明する。

 

「ありゃりゃ、該当プロセスが狂っちゃたか」

 

「テメェ!ナオミに何をした!!?」

 

「どうもしてないよ♪只、言えることは一つ.........."君と接するのを拒んでいる"事だ♪」

 

「拒んでいる?どういう事なんだ!?」

 

マサトが桐山の言葉に分からなくなっている中、ナオミが起き上がる。

 

「!良かったナオミ......無事で.........っ!!?」

 

突然ナオミがマサトの首を締め付けて来た。

 

「カハッ!!や!止め....ろ.....ナ....オミ!?」

 

ナオミの目を見ると、その瞳には輝きもなく、殺意の目でもあった。

 

「自分が死者だから、大切な者と断ち切ろうとしているのだよ♪」

 

「ナオミ......止めて.....くれ」

 

「無駄だよ、改造したその娘には君のような下等生物には聞こえない........聞こえるのは私の声だけだよ♪」

 

「そんな.....!」

 

「だから、言っただろ?私は神に祝福されし者って.....」

 

桐山がそう言う中、マサトはナオミに苦しめられる。

 

「ナオミ......ごめんな、一人で抱えさせちゃって......だから、もう背負わなくても良いんだよ.......」

 

マサトがそう呟いていると、横から黒豹が襲い掛かり、ナオミの腕に傷がつく。そして黒豹はマサトを助けた。

 

「お前は!?」

 

マサトがそう言うと、黒豹はナオミではなく、桐山の方に牙を剥く。

 

「お前......」

 

すると黒豹が尻尾でマサトの尻を叩いた。

 

「痛っ!!何するんだ!」

 

マサトが怒ると、黒豹の口が傾き、笑いを示した。

 

「この野郎......助けてしまった事を後悔しとけよ!」

 

するとナオミがチェーンハンマーを振り下ろしてきた。マサトと黒豹は回避し、黒豹がロボットの腕に噛み付く。マサトはその隙に、ナオミに近付き、頬を叩く。

 

「起きろ!ナオミ!こんな所で素っ裸になっている暇はないぞ!」

 

しかし、ナオミは一向に目覚めなかった。

 

「チッ!ダメか」

 

するとチェーンハンマーがナオミやマサトに落ちてくる。

 

「嘘!?」

 

マサトは必死にナオミを庇う。その直後、レオスのツインアイが光、レオスが動きだし、チェーンハンマーを受け止めた。

 

「何だと!?」

 

桐山が驚くと、持っていたメモリアルキーが消えた。

 

「神の力が!!?」

 

そしてメモリアルキーはレオスのコックピットのコンソールに接続され、コックピット内で音声が鳴る。

 

『システムログイン ID"イリス"』

 

レオスはそう言うと、ナオミごと取り抑える。マサトはレオスが勝手に動いたことに、驚いていた。

 

「レオス!?」

 

『マサト.......大きくなったわね♪』

 

「母さん!?」

 

『私は......貴方をずっと見ていたわよ、真面目で、仲間思い、兄弟愛、さらには大切な彼女を守ろうとしていたことも.......お母さんは......あなたに、天草四郎の遺伝子の意思を託そうと思うの........それが大門寺家...."歩む者"の掟ですから♪』

 

「歩む者?」

 

「フフ」

 

イリスはそう言うと、マサトの瞳が十字架へと変わり、十字架の周りの色が黒から虹へと変色した。そしてイリスの声が聞こえなくなると、マサトはその目で機械を睨んだ。するとどういう事か機械が溶け始めた。

 

「何て事を!!」

 

桐山は慌てる。何故なら、その機械にメモリアルキーからコピーして奪ったデータが入っているからだ。だが、機械は水のように溶け、排水溝に流れ落ちる。

 

「僕の神の力が!僕の神の力がぁぁ!!」

 

桐山は必死に溶けたデータをかき集める。触れた手が大火傷を負い、そしてあらゆるパソコンが壊れていく。桐山は呟く。

 

「許さん............許さんぞ!この"悪魔"め!!!!」

 

桐山はマサトを睨み、マサトはナオミの背中と繋がっている配線を高周波ソードで断ち切り、持ってきた実験用の服を着させる。そしてコアファイターを呼んだ。マサトは後部座席にナオミを乗せると、桐山が言う。

 

「待て!悪魔め!!許さんぞ!絶対に許さんぞ!......いつか復讐してやる!お前の家族、友達、恋人、子供にも!僕の神の力で呪い殺してやる!私は神に祝福されし......嫌、......神なのだぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

桐山は腕を大きくあげ、首に掛けていたキリスト教の十字架を持って、狂信の叫び声を上げた。

 

「違う!お前は神じゃない!人の命を実験用のモルモットの様にして.........そんなの神でも何でも何でもない!.........お前こそが........醜く穢れた心を持った堕天使その物だ!!」

 

マサトはそう言うと、炎がマサトを包み、炎の形が段々と悪魔の姿を幻の様に見せる。

 

「あ、悪魔!!」

 

桐山は悪魔の於曾ましい姿を見て、腰が抜けてしまう。そして炎の中からコアファイターに乗ったマサトが義手にパルスグレードと、硫酸が入った瓶を持っていた。マサトはパルスグレードの安全ピンを抜くと同時に、硫酸が入った瓶と共に、投げた。そしてパルスグレードが爆発し、それと同時に瓶が割れ、中に入っていた硫酸が飛び散り、桐山の右半分の皮膚が溶け、半分抉られた。マサトは硫酸が飛び散らないように、レオスの腕の中に隠れていた。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

桐山は断末魔の悲鳴を上げ、硫酸で大火傷した右半分の面を抑え付ける。

 

「大門寺 真人ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

桐山がマサトの名を叫んだ直後、コアファイターが突っ込んできて、コアファイターの尖端が桐山の腹を突き通し、壁に激突した。

 

「グヘッ!!」

 

桐山は血を吐くと、マサトは高周波ソードを展開し、桐山の髪を掴み上げる。

 

「........眠れ」

 

マサトはそう言い、高周波ソードで桐山 次郎の首を斬った。首は数メートルまで飛び、炎の中に包まれた。そしてマサトはレオスに乗り込み、コアファイターに乗せているナオミや黒豹、エクセリアと共に、アイオス・フェースの空間転移システムで、大門寺邸へと跳んだ。そしてレオスがいた格納庫が崩れ、火はアルゼナル全体を包み込み、研究所と共に燃え落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

大門寺邸に戻ってきたマサトは急いでナオミを治療した。華怜はナオミに容態を見てもらうと、命に別状はなかったと報告される。そして2時間後、ナオミが目覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燃え尽きたアルゼナル、内部は黒く染まっており、たくさんのゾンビは焼死体となっていた。その中で、十字架を持っていた死体が動いていた。そして全焼したアルゼナルを調査しに来た軍が到着した。

 

「どうだ、そっちは!?」

 

「駄目だ.....もうデータは残っていない」

 

「そうか......第一の素粒子研究所である『アルゼナル』と並ぶ第二の素粒子研究所であるこの『ナチュラル』が消えたか....」

 

兵士がそう言っていると、奥から足音が聞こえてきた。兵士は構えると、その人物は怪我をしており、すぐに救助され、アルゼナルへと搬送された。だが、その人物の首に十字架が掛けており、これからの先の事を政府は誰も知る良しもなかった。

 




みなさん......お分かりでしょうか?


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第40話:時代への帰還

今回の話で.....マサトに新たな機体が授かります!そしてオリジナル武装やオリジナル戦闘機も!


 

アルゼナルから帰還したマサトはアルゼナルで起こった事を諒に話す。

 

「そうか、桐山が......まさか、アイツだったとは......」

 

「知ってるの?」

 

「あぁ、私と共に、エクストリーマー計画に賛同してくれた人物であった。それは優秀な奴で、認めるくらいの良い奴だった.....」

 

「だった?」

 

「ところが......アイツはエクストリーマー計画に、生者を使って死者を蘇生しようとしたんだ....」

 

「生者を?」

 

「そうだ........今こそ、話そう.......エクストリーマー計画の全貌を.......」

 

エクストリーマー計画.......それは魔界転生と言える呪術で、死体とその死体の生まれ変わりを融合させ、完璧な人間にする計画。来世の者が前世の者の素質を移値し、強大な能力を発揮できて、人権、治安問題を解決することも出来る。ところが、逆に違う生者と死体だと、生者の体から死体が復活し、他人や女性、子供までも襲ってしまう欠陥があった。しかもその復活した奴の脳にナノマシンを組み込めば、その人物の言うことを何でも聞ける。

 

「恐らく、桐山は兵士達に、副作用のあるナノマシンをいれたんだろう........それでゾンビになったんだろう。」

 

「それで?」

 

「私は反対して、学会から追放したんだ。それからは分かるだろ?」

 

「.......大門寺 真人が....殺された。」

 

「そう、子供を庇ってな。」

 

「その子供は?」

 

「今も生きている....彼もエクストリーマー計画に賛同してくれた人物であったからなぁ......しかも、結婚してる。名前は.......『オルト』と『マナミア』だ」

 

諒の放った二人の名前に、マサトは驚く。

 

「えぇ!?」

 

「知っているのか?」

 

「俺を........育ててくれた人物です。」

 

「!........そうか、あの二人.....」

 

「え!?でも、何で1000年前の人間が?」

 

「そうか、お前はハイブベイドの能力を知らなかったんだなぁ........ハイブベイドと言うのは、不老長寿人間.......言わば、『新造人間』だ。」

 

新造人間...新しく造られた新たな人間、不老長寿システムが搭載されており、約2000年も生きられる事が可能になっている。

 

「あれは鬼の民.......隠れキリシタンの細胞から造り上げた物なんだ。」

 

「だから、あんなに詳しいんだなぁ.......」

 

マサトは納得すると、諒は立ち上がる。

 

「さてと、長話しはここまでにして.......とっとと風呂に入れ」

 

「あぁ♪」

 

「あ、それと.....儂等はお邪魔ムシの様だからなぁ♪」

 

諒はそう言い、部屋から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂から上がったマサトは東京の都市を眺めていた。

 

「良い景色だ.......」

 

「マサト?」

 

するとそこに風呂から上がり、和装のナオミが現れた。

 

「一緒に座っても良い?」

 

「良いよ」

 

ナオミは頬を赤くして、マサトの隣に座り、景色を眺める。

 

「綺麗だね....」

 

「あぁ、アウラの都と同じだ.....」

 

「.......明日は、本来在るべきのマサトになるってね....」

 

「聞いていたのか?」

 

「うん.....もし失敗して、私の事を覚えていなかったら.....」

 

「.......大丈夫、俺は絶対にお前の事やあっちの皆の事を忘れたりしないよ....」

 

マサトは立ち上がり、呟き始めた。

 

「俺は絶対に成功させる.......ノーマや人間、ドラゴン、鬼の民.......そして、生きとし生きる者達と共に......歩む.......必ずリベルタスを達成させる.......そしてナオミと共に生きる」

 

するとナオミはマサトの背中を抱く。

 

「?」

 

「私も.....マサトと共に生きたい、一緒にいたい.....そして、二人で幸せになりたい.....」

 

マサトとナオミはお互いの愛を誓い会い、キスをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして天都ノ神殿、マサトはヴァリアント・サーフェイスのコックピットに乗り込み、前世の真人と来世のマサトの融合が終えた。諒と華怜、沙弥、ナオミ、翔、大樹、飛鳥も心配していた。

 

「これで......上手くいってくれ」

 

そしてコックピットが開き、マサトが出てきた。

 

「マサト.......か?」

 

「それとも.......あの大門寺か?」

 

「.......何を言ってるんだ?俺は大門寺 真人........大門寺 諒の息子で........ナオミの恋人だよ♪」

 

マサトの言葉に皆は驚く。

 

「じ、じぁあ!俺らが使っているガンプラの事は?」

 

「知っているよ♪大樹がマックナイフで、翔がザクF2000、飛鳥がグフカスタム......何時も俺のレオスに負けていたじゃん?」

 

三人はあの真人だと分かり、号泣する。

 

「マサト......ココは?」

 

「....俺の妹だろ?」

 

ナオミはホッとし、諒が言う。

 

「良く戻ってきた.....真人!」

 

諒と華怜、沙弥が大泣きし、マサトは言う。

 

「ただいま、父さん、母さん、沙弥........そして、久し振り♪」

 

マサトは笑顔で返すと、レオスが起動する。

 

「レオス?」

 

するとレオスが機体その物が粒子へと変わり、ヴァリアント・サーフェイスに吸収される。そしてメモリアルキーがマサトから離れると、メモリアルキーから全ガンダムと機体のデータが装甲へと変わった。それは格闘の『ゼノン』、射撃の『エクリプス』、ファンネルの『アイオス』の各形態の長所を全て併せ持つEXAフェースをも越えた姿へとなった。

 

「レオスが......進化した」

 

諒が呟くと、

 

『そうだろ?』

 

《っ!!?》

 

突然、レオスからマサトの声がした。

 

「『俺とレオスは一心同体で人機一体だ♪』」

 

マサトとレオスは二人で一つの体になっていた。そしてコアファイターがレオスとドッキングし、新しいコックピットへとなった。

 

「これが俺の新しいガンダム......その名も....」

 

マサトはそう言うと、レオスに乗り込み、持っている新武装『ヴァリアント・ライフル』と『ブレードビット』、『イリス・ファンネル』、『プロテクトビット』『起動防盾』を展開し、ポーズを決める。

 

「エクストリームガンダム type-レオスII ヴァリアント・サーフェイス!!!」

 

翼からビームウィングを放出し、ヴァリアント・ライフルを真上に向かって撃った。そして真上に大穴が空くと同時に、レオスが猛スピードで上空へ舞い上がる。そして大穴の幅が足りなく、マサトは起動防盾を前に出すと、防盾が中央がスライドされ、防盾から特殊なフィールドである次元バリアがレオスを包み込む。そして回転しながら舞い上がり、次元バリアで岩を分解消滅させ、大空へ舞い上がった。その光景を見ていた諒達は呆れていた。

 

「あの.....馬鹿息子が.......」

 

マサトは新しいレオスを使って、大空を自由に飛ぶ。旋回や回転、そして低空飛行も自分の思い通りに動かし、気が済むまで飛び回った。

 

そしてマサトとナオミはレオスやエクセリアを収納できるモビルスーツ支援用に開発したMSキャリアータイプの支援戦闘機『Gコンドル』がレオスとエクセリアを収納していた。この戦闘機は時を駆け巡る事も可能になっていると、

 

「それと、これも♪」

 

華怜がマサトに渡したのは、新しいパイロットスーツであった。カラーが赤からヴァリアント・サーフェイスと同じ、紺色になっており、ヘルメットの頭部に装飾品が付けられていた。

 

「新しいパイロットスーツ?」

 

「そう、色がちょっと似合わないから、徹夜しちゃったわ♪」

 

「そんなに?」

 

「えぇ、ナオミちゃんのも作っておいたわ♪」

 

「ナオミのも?」

 

すると奥から、マサトが使っていたパイロットスーツの女性typeを着用していた。(カラーがマゼンタと白、そしてバイザーの色がエメラルドグリーン。)

 

「どうかな?」

 

「似合ってるよ、ナオミちゃん!流石、真人の婚約者♪」

 

「ええっ!?婚約者!?」

 

「母さん!流石に婚約者って言うのは早すぎる!まだ婚約指輪もしてないんだよ!」

 

「あら~、良いじゃない♪呼んでも、未来では私たちはいないけど、立派な真人の嫁さんになるわ♪」

 

「だ~か~ら~!」

 

「後は、あの世で二人の子供、つまり孫を見てみたいわ~♪」

 

「も~っ!」

 

「私も見てみたい♪」

 

「私も♪」

 

諒と沙弥も華怜の意見に賛同する。

 

「父さん!沙弥も!」

 

マサトは三人に怒鳴る。だけど、ナオミは、

 

「マサトの子供なら、私....♡」

 

「ナオミ!早まるな!俺は17で、お前は14だ!」

 

マサトはナオミに注意する。そして荷物をまとめ、マサトとナオミはGコンドルに収納されているレオスとエクセリアに乗り込む。マサトのコックピットには白と黒のハロ、ナオミにもマゼンタのハロが待っていた。

 

『『マサト♪ マサト♪ 』』

 

『ナオミ♪ ナオミ♪ 』

 

ハロは元気良く二人の名を言う。するとモニター画面に諒が映像通信してきた。

 

『良いか、元の時代に戻ったら何が起こっているか分からない......その為にナオミ君のエクセリアにも"HADES"を搭載さてた。』

 

「HADESを!?」

 

『そう、その為、ナオミ君のハロにもFH(Follow Hades)を組み込んだ。さらに、二人のHADESが発動していたら、共鳴が出来る........この意味が分かるか?』

 

「.......分かんない!」

 

『ま、使ってみれば分かる♪』

 

「ちょっと!」

 

諒はそう言い、通信を切る。そしてGコンドル発射のカウントダウンがなる。

 

「10、9、8、7」

 

「父さん、母さん、沙弥、翔、大樹、飛鳥.......絶対に忘れない!」

 

「3、2、1、0!」

 

カウントダウンが終わると同時に、Gコンドルのロケットブースターが大出力の火が吹き、上空へ上がる。そして諒達はマサトが元の時代に戻っていく所を見送り、諒がマサトに言う。

 

「さぁ、真人!我等、"歩む者"の底力を......."導く者"達に見せつけてやれ!馬鹿息子!」

 

諒はそう呟き、涙を流すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてGコンドルのブースターが大気圏を出で、分離された。マサトとナオミは大気圏を出ると、ヘルメットを外す。そしてマサトとナオミのコックピットが移動し、Gコンドルに移された。マサトはポーチからヘッドフォンを取り出し、耳に当てて、好きな曲を聴く。

 

「何を聴いているの?」

 

「ビートと叫び...Beastie Boysの『Sabotage』だ。聴いてみる? 」

 

マサトはナオミにヘッドフォンを渡す。

 

『ホアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ~~~~~~イッ!!!!!!!!!!!!』

 

「ッ!!!?」

 

あまりの爆音にナオミはビックリする。

 

「何これ!?」

 

「言ったろ、ビートと叫びって」

 

マサトはそう言い、ナオミは呆れながらヘッドフォンを返した。マサトはまたヘッドフォンを耳に当てて音楽を聴く。そしてマサトはGコンドルに搭載されている時空跳躍システムを起動する。するとGコンドルの先端からレーザーが発射され、空間を歪ませ、一つの穴ができた。

 

「あれが.....父さんが言っていた穴........"タイムトンネル"」

 

タイムトンネルは磁場を歪み、段々と閉じていく。

 

「帰ろう!俺達の世界へ!皆の所へ!」

 

「えぇ!」

 

マサトとナオミはGコンドルの出力を最大に上げ、タイムトンネルが閉じる寸前に突入した。そしてGコンドルのモニターに年数が表示される。

 

 

西暦3139年:4月16日 火曜日

 

 

そしてGコンドルがタイムトンネルの狭間の波へと入り込むと、目の前に青い空、白い雲、辺りを覆う海が広がっていた。

 

「ここは?」

 

「マサト!見て!」

 

ナオミの指す方向に、収斂時空砲によって、破壊されたアルゼナルが見えていた。

 

「あのアルゼナル.......間違いない!」

 

マサトとナオミは通り過ぎていくアルゼナルを見て、ここが自分達のいた世界だと分かり、マサトは叫ぶ。

 

「帰ってきたぞぉぉぉぉぉ!!!」

 

早速、マサトはGコンドルの超広範囲スキャナーでの皆のいるビーコンを特定した。

 

「場所は.......ミスルギ皇国!?」

 

「行こう!」

 

「あぁ!」

 

マサトとナオミはGコンドルでミスルギ皇国へと向かっていくのであった。

 




どうでしたかな?


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第41話:謀反

マサトとナオミが戻ってくる数分前、アウローラの船内にいるアストラがタスク達を呼び集める。それは、ジルの事であった。アストラはジルの事を皆に話した。

 

冷たい言葉にジルは思わず黙り込み、そしてもう逃げ場が無いと確信して、ようやく観念した

 

「....ああそうだ、私は操られた.....ネロスの人形だった.....」

 

ジルの言葉にジャスミン達は驚き、その場にいたメイも驚く。

アストラは目を細め、オルトは腕を組んでジルを見ながら言う。

 

「何故、あの奴の人形にされていたんだ.....」

 

「.....私はあの時、リベルタスを行い.....ネロスを殺そうとした。だが奴に身も心も憎しみ....全てを奪われた。誇りも使命も純潔も.....。

ああ…怖かったよ。リベルタスの大義....ノーマ解放の使命.....仲間との絆、それが全部.....奴への愛情、理想、快楽へと塗り替えられていった。何もかもあいつに踊らされていると感じたんだ....。」

 

それを聞いたアストラ達、マギーは腕を組んだまま問う。

 

「何で黙ってたんだ.....」

 

「フッ、どう話せばよかったのだ? ネロスを殺しに行ったが....逆に奴に惚れましたとでも言えるのか? 全て私のせいさ......リベルタスの失敗も仲間の死も全部…、こんな汚れた女を救う為に皆、死んでしまった…!!」

 

「そんな....そんな!!」

 

メイはとても残酷な事実を知って、自分の姉であるフェイリンの死がジルに当たる事に困惑していた。

 

「私に出来る償いはただ一つ.....ネロスを殺す事だ。今頃奴は新しい玩具で遊んでいるだろうな」

 

「新しい玩具.....?」

 

マナミアはジルの言った事に頭を傾げる、アストラは既に分かっていた....ジル言った意味が。

 

「…アンジュの事だな?」

 

「「!!?」」

 

「そうだ、奴はアンジュを徹底的に落とすつもりだ....。道具として.....自分の快楽の為にな」

 

ジルの言葉を聞いて、オルトとマナミアと鬼の大将はネロスのやり方に絶句する。

まだ16歳の少女を自分の快楽道具として使う事に、誰も考えなかった事だろう....。

 

「それでアンジュさんを道具として使おうとした所を逆に奪われた......と言う事ですね」

 

「ああ、利用するつもりだった。勿論、此処の皆もそうだった」

 

っとそれを聞いたジャスミンとマギーは驚く、自分達を使い捨ての道具としていたジルの言葉を聞いて。

 

「だがそれをいとも簡単に潰された…、馬鹿王子であるマサトによってな....」

 

パンッ!!

 

ジルの頬にマギーの平手打ちが放たれ、それにジルはただ黙ったままマギーを見る。

 

「私はあんただから一緒に来たんだ、あんたがダチだからずっと付いて来たんだ....それを利用されていただなんてさ....!」

 

それにはアストラ達は何も言わずに見届け、ジルは何も弁護なく黙った。

 

「何とか言えよ!アレクトラ!! なあ!!!」

 

「もう、そのくらいにしときな、マギー....」

 

「....チッ!」

 

マギーは舌打ちをしてその場を離れ、ジャスミンはジルと面と向かい合う。

 

「知っちまった以上、あんたをボスにはして置けない。指揮権を剥奪する....いいね?」

 

「....あぁ」

 

ジルはジャスミンによってアウローラの指揮権及びノーマ達リーダーの座を失った....。それも大きな傷跡を残して。

 

「そんな事があったんだ...アレクトラに」

 

タスクはアストラ達の話を聞いて辛く....悲しい表情をする。

 

「それで、このアウローラの指揮は誰が務めるんだ?」

 

「この艦は我々の指揮下に入りました。しかしこれは好都合です、互いの目的は一つ....ネロスの野望を阻止する者同士が此処に集まったのですから」

 

そうアストラは言うが、ヒルダとロザリーにとっては少々痛い言葉でもあった。

 

「後はマサトとナオミが戻ったら良いんだけどな....」

 

「ああ、あいつ等が居なきゃ始まらないからな....」

 

マティス達はマサトの居ない事に呟いていると…。

 

「....マサトなら戻って来るよ」

 

タスクの言葉マティス達は振り向き、タスクは頭に巻いている包帯を取る。

 

「マサトは必ず来るよ、必ずね....」

 

そう笑顔で言うタスク、それにはヒルダとロザリーは顔を見合う。

その中でリクト達はタスクの考えに頷き、それに同意するかのように拳をぶつけ合う。

 

「そうだな、あいつなら絶対に来る」

 

「ああ、信じよう」

 

マティス達が言った事にタスクは笑みを見せる。するとアストラは決意する。

 

「.......(成長したな.....タスク.....マティス達も......良し!)お前ら.....見せたいものがある。ノアの研究室まで付いてこい。」

 

アストラはそう言い、アウローラとノアを連結させ、タスク達をノアの研究室に足を踏み入れた。そこはあらゆる科学者が薬や放射線を受けたローゼンブルムの民を治療していた。そしてアストラは檻の中にいるかなりのロープや鎖で縛られている一人のディーラトルーパーを見せる。

 

「アストラさん、コイツって!?」

 

「そう、ディーラトルーパーだ......それで、これが!」

 

アストラはディーラトルーパーの首を掴み、地面で抑え付ける。

 

「ディーラトルーパーの正体だ!」

 

アストラはディーラトルーパーのヘルメットを外した。

 

《っ!!?》

 

皆は驚く。何故なら、ディーラトルーパーの素顔......あらゆる所が傷だらけ、肉は腐り、骨が断ち、眼は白く、歯は汚れているがその代わり鋭くなっており、かお表面に赤筋と青筋が浮かび上がったゾンビであった。

 

「何じゃこれ!?」

 

「これが......ディーラトルーパー....!?」

 

「そう、正確に言えばコイツは...."ゾンビ兵"だ。ネロスは死者を使って、自分の兵隊にしている......その中には生きたまま改造させられた者達もいる........」

 

アストラはそう言うと、ナイフで自分の指に傷を付け、血を流した。すると血の匂いでゾンビ兵がアストラに襲い掛かろうとするが、鎖とロープで身動きが取れなかった。

 

「コイツ等は血の匂いや音で動いている。しかも噛まれれば体内で奴等の細胞で感染され、奴等の仲間入りだ.....」

 

「何でこんな風に!?」

 

ガイが問うと、アストラはあるものを見せる。それはアルゼナルの写真であったが、島と一体化している物であった。

 

「サラの世界に存在する第二のアルゼナル.......その名も『ナチュラル』だ」

 

《ナチュラル.....?》

 

「1000前に存在した研究所で、現在は廃墟になっている......何故だか、分かるか?」

 

タスク達は首を横に振る。

 

「廃墟になった原因は......コイツだ」

 

アストラがゾンビ兵に指を指す。

 

「たくさんのゾンビ兵がナチュラルに万永したと同時に、ナチュラル内は燃え上がり、潰れた。このゾンビと共にな.....」

 

「けど!そんな1000前の化け物がどうして!?」

 

「それは、分からない.....一体何が起こってゾンビが湧いたのか......だけど、これは言える....我々が戦っているディーラは....."1000年前の遺物"って事だ。」

 

衝撃の事実に、タスク達は戸惑う。

 

「念の為、サラ達のいる部隊にナチュラルの所在の捜索と資料の回収を行っている.......そこでブラックボックスが手に入れば.......」

 

「ブラックボックス?」

 

「トリスタン連邦やハデス、貴族連合でも解析が出来ないデータのコアの事だ......多分、その中にナチュラルで起こった映像があると思うんだ。それを見れば.....」

 

「1000年前のナチュラルの悲劇が分かるって言うこと?」

 

「.......そう言うことになる」

 

アストラの言葉に、皆は考えていると、

 

「ジュライ皇帝陛下!休んでいてください!」

 

「構わん!」

 

「まだ、動いてはいけません!傷が開きます!」

 

ハデスの医師と領邦衛生士が何かを揉めいていると、現れたのは、アンジュの父であるジュライ・飛鳥・ミスルギであった。

 

「ジュライ皇帝陛下!」

 

「え!?ジュライって.......アンジュさんの!?」

 

「あぁ......話はオルトとアスバーンから聞いている.....アンジュが.......あの堕天使に連れ拐われたのだろ.....」

 

「えぇ、」

 

アストラやタスク達が落ち込むと、ジュライが檻の中にいるディーラトルーパーを見る。

 

「...........コイツはディーラトルーパーか?」

 

「そう.....ですけど...?」

 

するとジュライが側にいたハデス兵士のホルスターからハンドガンを奪い取り、アストラ達に向ける。

 

「下がれ!」

 

《っ!!?》

 

アストラ達は手を上げる。

 

「何をなさるのですか!!?」

 

「コイツがディーラトルーパーであり、ゾンビ兵なら.......やることは一つ!」

 

するとジュライはゾンビ兵がいる檻の中に入った。

 

「陛下!」

 

「私の事は構わん!」

 

「どうするつもりですか!!?」

 

「私はディーラトルーパーに接触している......噛まれわせん!」

 

するとゾンビ兵が起き上がると、口からアニサキスの様な寄生虫が出てきた。

 

「ウゲェ!?」

 

「何だ......あれは!?」

 

アストラ達が緊張が高まると、寄生虫の口が伸び、猛スピードでジュライの首に噛み付いてきた。

 

「グッ!!!」

 

「陛下!」

 

するとジュライの瞳が十字架の形へと変わり、ゆっくりとアストラ達の方を向く。アストラは緊張が高まり、ジュライに話し掛ける。

 

「陛下.......?」

 

「....コノ、愚カ者...意識....乗ッ取ッタ......」

 

突然、ジュライから別の声が発せられた。

 

「何だ!?」

 

「......恐らく、あの寄生虫だろう.........我々の、声が分かるか?」

 

アストラは寄生虫に質問する。寄生虫はジュライで翻訳する。

 

「偉大ナル...ネロス.........世界ヲ救ウ......」

 

「何故、世界を救う?やっていることが無茶苦茶だろ!」

 

「人間......ゴミ........ノーマモ....ドラゴンモ.....全テ...ゴミ....消去.......消去........」

 

「お前達の狙いは!?お前達ディーラは一体何者なんだ!?」

 

「....狙イ...体....欲シイ....体.....欲シイ.........」

 

するとそこにオルトとマナミア、鬼の大将、ハデス兵士や領邦兵士がブラスターライフルと銃剣を構えていた。するとオルトがあることを言う。

 

「聞きたいことがある!ずっと前、ユリウス総統が言っていた"歩む者"と"導く者"って何なんだ!?」

 

その直後、寄生虫が暴れだし、ジュライの首を噛み付いたまま、首を絞め始める。

 

「まずいぞ!まずいぞ!」

 

「このままだと殺される!!」

 

「AXE!.......黒ノ天使!......AXE!......黒ノ天使!......AXE!....... 黒ノ天使!!!!」

 

「アグゼ...黒ノ天使...?」

 

寄生虫は謎の言葉『AXE』と叫ぶ。兵士達がブラスターライフルや銃剣を撃ちまくる。

 

「殺せ!!」

 

寄生虫はジュライを離し、伸びた口で兵士のブラスターライフルを奪い取り、撃ちまくる。

 

「俺が行く!」

 

アストラはホルスターからマグナム式ブレードガン二丁を持ち、奪い取ったブラスターライフルを撃ちまくるトルーパーの後ろに回り込み、トルーパーの頭部を突き刺した。

 

「キィーーーーーーーッ!!!!!!」

 

ゾンビ兵が倒れ、口から50㎝もある寄生虫が這い出てきた。寄生虫は苦しみながら、開いている出入口へ向かおうとするが、アストラは逃さなかった。

 

「化け物が!!」

 

アストラはブレードガンを突き付け、連射する。

 

「陛下!」

 

オルトが気を失っているジュライに駆け寄る。

 

「衛生!」

 

オルトが医師や衛生を呼び掛け、ジュライを運び出す。アストラは寄生虫を殺し終えると、タスクが声を掛ける。

 

「アストラさん......」

 

「......."AXE"(アグゼ)」

 

「さっきの寄生虫が言っていた事ですか?」

 

「あぁ......AXEとは何なのか、これが何を意味しているのか.........」

 

アストラは殺した寄生虫の死体を見る。するとタスクがあることに気付く。

 

「そう言えば、アイツ......"黒の天使"も言っていましたね?"黒の天使"....."黒の天使"..............モビルアーマーの事じゃないでしょうか?」

 

「分からない......AXEと言うのが黒の天使の可能性も高い........一体何を......」

 

するとヴィヴィアンが答えた。

 

「もしかして!サリアの機体の事じゃない?」

 

「まさか、確かにあれは黒い天使、しかもラグナメイル...天使があんな風に小さく「嫌、待て........ヴィヴィアンの答えがヒントかも知れない」..........え?」

 

「考えてみろ?ネロスはどうしてイクスでやって来た?何故、自分のラグナメイルを使わないのか?何故、マサトの幼馴染みであるジョアンヌにそれを託した?」

 

「.......確かに!」

 

「つまり、黒い天使って言うのは........!?」

 

「あぁ.....奴のラグナメイルの事だ!」

 

誰もが驚き、それを聞いていた研究者達は背筋を凍らせていた。

 

 

 

 

ミスルギ皇国、その頃アンジュは....。

 

「うあああああああ!!!!!!!!」

 

何やらとんでもない事になって居た、アンジュは生まれたままの姿で何やら床に転がりながら暴れまわっていて、それをネロスは眺めていた。

 

何故アンジュはあんな事になっているのか、それはネロスがアンジュの感覚と痛覚を全て快感へと変化させていて、それにアンジュは苦しめられていた。

ネロスは感覚と痛覚を全て変える事が出来る、彼はそれを使ってアンジュの心を徹底的に落とそうとしていた。

 

そしてようやく快感である呪いが解けて、アンジュは息荒らした状態で床へと倒れ込む。

ネロスはアンジュの側により、アンジュを見ながら問う。

 

「どうだいアンジュ、これで僕の妻になる気はあるかい?」

 

っとそれにアンジュは息荒らした状態で、ネロスを睨む。

 

「ぜ....絶対.....に.....アンタの…...妻に...は...ならな...い!くたばれ!...クズ...野郎!!」

 

アンジュのとても強い心の強さはネロスの感覚変化さえも折らせる事は出来ない、しかしネロスはため息を少し出しながらアンジュを見る。

 

「はぁ…、やれやれ、全く困った子だ.....君は♪」

 

そうネロスは指でアンジュ頭を突き、アンジュに再び快感の感覚を味あわせる、それも次は強烈な物を浴びせて…。

 

「ああああああああああああああ!!!!!熱いいいいいいいい!!!!!!!!」

 

アンジュは再び転がりまくりながら暴れ、ネロスはその部屋を出ようとした時だった。

 

「タスク.....!!!」

 

「ん?」

 

ネロスはアンジュの言った言葉に思わず振り向き、アンジュは目に涙を流し絶えながらタスクの名を言う。

 

「助けて...!!タスク…....!!!」

 

「(タスク......あの旧人類の青年か........早いとこ、潰しておかないとなぁ......)」

 

ネロスはそう思いながらその部屋を出て行く。するとそこにエースがやって来る。

 

「ネロス様.....約束です。妻を.....アリーシャを生き返らせてください...」

 

「.....おぉ、そっだったな♪」

 

ネロスはアウラが囚われている地下へ、エースと一緒に行く。するとそこには呪符が張られており、ディーラトルーパーが一般の女性を取り抑えていた。

 

「始めよう♪」

 

っと、ネロスはそう言い、呪文を唱え始めた。すると取り抑えていた女性が暴れだす。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

すると呪符が燃え上がり、女性の腹に不気味な人のような顔が浮かび上がる。さらに、地下なのに風が吹き荒れる。

 

「今ここに、魔界転生にて転生されよ!」

 

するとネロスが首から十字架が光、女性の腹から血が噴き出した。

 

「!?」

 

女性の腹から、細い手が伸び、肉を破り、エースの妻であり、ジョアンヌの母のアリーシャが復活した。

 

「アリーシャ!」

 

エースがアリーシャに駆け寄る。

 

「アリーシャ.......アシュフォードだ」

 

「......アシュフォード」

 

「そうだ!お前の夫のアシュフォ.....グッ!?」

 

突然、アリーシャがエース....アシュフォードの首を絞め付ける。

 

「アリーシャ!.....何を!?」

 

アリーシャはゆっくりと顔を上げた。

 

「っ!!」

 

アシュフォードは恐怖する。アリーシャの目が黒く染まっており、口が耳まで裂け、口の中は黒く、何もなく、笑っていた。

 

「ネロス様!......どう..言う...事だ!?....アリ.....シャが!.......」

 

「あれ~?言ったじゃないか、君の妻を生き返らせてくれって......良かったじゃないか、愛する妻と再会出来て♪」

 

「だ!.....騙し.....た...な!!」

 

「騙していないよ♪それが死者なんだから♪」

 

「クッ!!」

 

アシュフォードはアリーシャの顔面を殴り、ネロスにナイフを突きつける。

 

「化け物め!私と娘を利用したな!」

 

「フフフ」

 

するとアシュフォードの後ろから、ジャッジメントガンダムが現れ、頭部のビームバルカンを乱射する。アシュフォードはその隙にジャッジメントに乗り込み、ビームライフルとシールドを構える。煙が晴れると、そこにはネロスが居なかった。

 

「何処だ!!?何処にいる!!?」

 

『ハハハハハハ......エース君、君は本当に馬鹿だね、忘れたのかな?私は天使だって......』

 

何処からともなく、ネロスの声が辺りに響く。

 

「違う!天使の面を被った化物だ!!」

 

「化物?.....僕が?違うなぁ.......そこはこう呼べ....」

 

するとジャッジメントガンダムが転移されて、何処か違う世界に転移された。そこは結晶が成り立つ世界であった。

 

「何だここは!!?」

 

「フフフ♪脅えてるな?.....よっぽど僕が怖いんだ。」

 

『極限殲滅形態!ディストピア・フェイズ!!!』

 

するとアシュフォードが立っている結晶で出来た大地から、紫色の巨大なモビルアーマーが現れた。六本の巨大な足、間接部に砲台、そしてその中心点がガンダムと思わしき巨大な頭部があった。

 

「何だ!!?このモビルアーマーは!!?」

 

「モビルアーマー?......違うね、これもエクストリームガンダムなんだよ♪」

 

「何っ!!?」

 

アシュフォードが驚くと、エクストリームガンダム ディストピア・フェイズが浮遊し、各部の砲台をジャッジメントガンダムに向ける。

 

「虚無の楽園にようこそ!エースよ!!」

 

ネロスはそう言い、エースとの戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンジュの帰りが遅いと感じたモモカはミスルギ王家の地下を調べてアンジュを探していた。

 

「アンジュリーゼ様ー!何処ですか?!」

 

その時、叩く様な音がした。

 

「??」

 

何やらムチの音がしたのをモモカは振り向き、その場に向かう。

その場には裸のまま吊るされたリィザの姿が居て、それをシルヴィアがムチでリィザを痛みつけていた。

 

「全く!何て汚らわしい! そこで反省していなさい!!」

 

そう言ってシルヴィアはその場から離れて行き、隠れて見ていたモモカはすぐさまリィザの元に行き、彼女を解放する。

下ろされたリィザはモモカに水を渡されて、それを飲み干すとモモカを見る。

 

「.....どうして、私を」

 

「.....ジュリオ様と一緒に、アンジュリーゼ様を貶めた事....忘れはしません」

 

アンジュの誕生16年祭の時に彼女をノーマと暴露し、そして彼女に酷い仕打ちをしたことを忘れはしないと言うモモカ。

 

「だから.....アンジュリーゼ様に謝ってください。それまでは絶対に死んでは駄目です」

 

っとアンジュに謝罪を申し込むモモカ、それだけの思いにリィザの目に涙が浮かび上がって来る。

自分がどれだけアンジュに酷い事をしたとは言え、だた謝れと言うだけで死んでは駄目だと言う事を言われれば、涙を流さない者はいない。

 

「.......皇宮西側の地下、皇族専用シェルター.....彼女はきっとそこに居る」

 

それを聞いたモモカは有力な情報を手に入れた。モモカはすぐにリィザを隠れる場所へと案内した後アンジュの元へとすぐに向かった。

 

 

 

 

 

一方、マサトとナオミはGコンドルでミスルギ皇国へ向かっていた。

 

「皆.....大丈夫かな?」

 

「大丈夫よ、アストラやヒルダ達がいるから♪」

 

「........ナオミ、何時の間に兄さんの事を呼び捨てするようになった?」

 

「えぇ!!?」

 

「......ま、良いか♪何れ俺達の義理のお兄さんになるし、」

 

その直後、回避アラームが鳴る。

 

「「っ!?」」

 

雲を抜けると、目の前にミスルギ皇国の海岸沿い近くに、ディーラ艦隊やミスルギ皇国艦隊が対空ミサイルを発射してきた。マサトは急いで回避行動を取り、フレアを放出する。

 

「ナオミ!敵艦の数は!?」

 

「アルゴス級が6隻!ミスルギのが8隻!」

 

「なら、援軍を使うか!」

 

「援軍?」

 

「メモリアルキーに入っていた全てのモビルスーツのデータをレオスの特殊機能である【ロードタクティクス】を発動させるんだよ♪」

 

マサトはそう言い、コンソールに表示されているガンダムの一覧を見る。

 

「敵を早めに殲滅したいからなぁ.......コイツと、コイツ......後、コイツだ!」

 

するとGコンドルの回りに3つの光が現れた。現れたのはガンダムサバーニャ、ストライクフリーダムガンダム、ベルティゴであった。

 

「ライフルビット、シールドビット!スーパードラグーン!ビット展開!!」

 

サバーニャの腰部からライフルビットとシールドビット、ストライクフリーダムの翼からスーパードラグーン、ベルティゴも腕部からビットを射出する。マサトはニュータイプとイノベイターの脳波で三機をコントロールし、叫んだ。

 

「全機!攻撃開始!!」

 

それぞれのオールレンジ兵器が一斉に飛んでいき、次々とディーラ艦隊やミスルギ皇国艦隊をあっさりと撃沈していく。

 

「ふぅ~!ざっとこんなもんよ♪」

 

本来有るべきのマサトに戦艦はヒヨッコを相手している物であり、ナオミは唖然していた。

 

「ナオミ?」

 

「え!?ご、ごめん!あまりのあっさり感だったからつい......」

 

するとサバーニャ、ストライクフリーダム、ベルティゴが消え、コンソールの一覧に戻る。

 

「さぁて!今日こそジョアンヌの尻をひっぱ打いて殺るぜ!!!」

 

マサトは張り切りながら、Gコンドルの出力を最大に上げ、ミスルギ皇国に侵入した。

 



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第42話:白き悪魔の降臨

 

マサトとナオミが帰還する数分前の事、アンジュは完全に疲れ切った状態で床に倒れ込んでいた所にサリアが入って来た。

 

「不様ねアンジュ」

 

「サリア.....」

 

アンジュは何とか目を動かし、サリアの方を見る。

 

「ネロス様に歯向かうからよ.....馬鹿」

 

「馬鹿はあなたの方よ、あんなゲス男に心中しちゃって」

 

「私にはもうネロス様しか残ってないもの、でもあんたは違う......ヴィルキス、仲間、自分の居場所…何で持ってる」

 

サリアはアンジュがどれだけ恵まれている事に羨ましがっていた。そしてサリアはアンジュの方を向く。

 

「出て行きなさい、エンブリヲ様が戻ってくる前に…。抵抗を続ければその内心を壊されるわ、それでも良いの?」

 

「!?」

 

アンジュはサリアの行動に見開いて驚きを隠せない。

エンブリヲに忠実であるサリアが自分を逃がすなんて考えられなかったからだ。

 

「別にあんたを助ける訳じゃないから」

 

「えっ?」

 

「不様なあんたを見たくないから」

 

そう言い残して出て行くサリア。

 

 

 

 

 

 

一方、達はアケノミハシラでラグナメイルを使い、アウラのエネルギーである事をしようとしていた。

ネロスはダイヤモンドローズ騎士団の皆を見て言う。

 

「諸君、揃ったな。ん?サリアはどうしたのだい?」

 

「それが何処を探しても見かけていないのです、それとエース......お父さんは?」

 

っとジョアンヌがそう言い、ネロスは「エースなら別の任務を全うしている」とそう言い、ホログラフィック端末を展開させる。

 

「仕方ない、最終段階の準備をしよう」

 

ネロスがそうしている一方、アンジュがサリアの首を絞めて、サリアが苦しむ。

 

「ありがとうサリア、これは助けてくれたお礼よ…! 逃がしたより逃げられた事にしておいた方が罪は軽くなるでしょ.....!!」

 

「余計な....お世話よ....!この.....筋肉....バカ」

 

そう言い残した後にサリアは意識を失い、アンジュはサリアを寝かせて呼吸を整えていると。

 

「大した小娘だ.......」

 

「っ!?」

 

アンジュは後ろを振り向くと、そこにいたのは全身血だらけのエースであった。

 

「あなた!?どうしたの、その傷!?」

 

「.....ネロスだ」

 

「え!?」

 

「私と娘は......利用された.......弱みを握られていた......あの怪物に....」

 

エースはそう言うと、あるものを取り出し、アンジュの方へ投げ渡した。アンジュはそれをキャッチし、開けてみる。

 

「これ!?」

 

それは、奪われた筈のアンジュの指輪であった。

 

「持っていけ......ヴィルキスを動かすために......それと......」

 

エースがまたアンジュに何かを投げ渡し、それをアンジュがキャッチした。

 

「これって!?」

 

それはアンジュの指輪と同じであったが、翡翠の宝石ではなく、赤い宝石であった。

 

「それはかつて........アレクトラが使っていた指輪だ........それをマサトに......」

 

エースはそう言うと、何処かへ向かおうとする。

 

「何処に行くの?」

 

「.......まだ奴との決着が着いていない.......私を利用したあの泥棒の王に人間の底力を見に染みてやるのさ......」

 

エースはそう言い、傷を抑えながら向かっていった。

 

アンジュは取り残されているとモモカがやって来た。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

「モモカ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ネロスは永遠語りで準備を進めていた。

 

「♪~♪~♪~」

 

それぞれのラグナメイル、そしてネロスのラグナメイル『ヒステリカ』の目が光だし、その上で立っていた円卓代から魔方陣が浮かび上がる。

 

「総員、アケノミハシラを守れ!」

 

《イエス!マスター!》

 

エルシャ達はそれぞれのラグナメイルに乗り込む。ネロスは端末を見ると、ダイアモンドローズ騎士団の服を取られたサリアが気を失っている画像を見つけ、舌打ちをする。

 

そして追跡部隊のエルシャとクリスを回す。

一方、アンジュはモモカに支えられながら宮邸の外に出る。

 

『何処に行くの?アンジュちゃん』

 

「「!!?」」

 

二人は空からやって来た追跡部隊であるエルシャに発見されてしまう。

 

「ネロスさんが探しているわ、戻りましょう」

 

アンジュは再びネロスに捕まる訳には行かない、あんな苦しい思いをするのは二度とゴメンだった。

 

「走れますか?アンジュリーゼ様」

 

「ええ!」

 

そう言ってアンジュはモモカに引っ張られながら走り出して、それにはエルシャは困った表情になる。

 

「あらあら、仕方ないわね」

 

エルシャはすぐさまレイジアをアンジュの方に向かわせ、それにアンジュ達は逃げているとアンジュの指輪が光り始める。

 

するとアケノミハシラにあるヴィルキスが起動して青色に変化する、そしてアンジュの元にジャンプしてアンジュ達の目の前へと現れる。

それに追跡していたエルシャとクリスがヴィルキスの登場に驚く。

 

「「ヴィルキス!!」」

 

アンジュはすぐさまヴィルキスへと乗り込み、すぐにモモカに言う。

 

「モモカ!乗って!!」

 

「はい!!」

 

乗り込んだアンジュ達はすぐさまヴィルキスを動かして逃げ始める。

エルシャとクリスはすぐさま追いかけえる。

 

「クリスちゃん!!」

 

「分かってる!逃がさないよ…アンジュ」

 

そして二人はアンジュ達に攻撃を仕掛け、アンジュ達はその攻撃を何とかかわしながら逃げ続ける。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

徐々に追跡部隊が集まって来てアンジュに逃げ場が無いと感じた時だった。

 

空から異常な空間変異が現れ、そこから龍神器達が現れる。

 

「借りを返しに来ましたわ!」

 

「サラ子......!」

 

サラ達が助けに来てくれた事にアンジュは驚いていたのであった。

 

 

 

そして、マサトとナオミはミスルギ皇国から約36㎞の成層圏を飛んでいた。そして下にはミスルギの中枢であるアケノミハシラが見えていた。

 

「ナオミ、Gコンドルの操縦を頼む」

 

「マサトは?」

 

「ここから降下する♪」

 

マサトはそう言い、Gコンドルからレオスに乗り移る。そしてGコンドルのアームと連結していたレオスが切り離され、マサトはレオスで自由落下する。

 

「レオス......奴等を痛め付けれるのはお前だよなぁ...........父さんから貰った力.......存分に使わないとね♪」

 

マサトはレオスに呟き、 操縦桿を握り締めながら言う。

 

 

 

 

 

 

「奴等に見せて殺ろうぜ........俺達が揃って力を合わせたら........何れだけ残酷で残虐かを!!........【HADES】(ハデス)!!」

 

 

        【HADES】!

  (Hyper Animosity Detect Estimate System)  

ウィィィィィィィン!!!!ボ バ バ バ バ ババ バ!!!

 

 

コックピット内で少女の不気味な笑っているかの様なシステムボイスが鳴り響く。モニター画面に「HADES発動」と表示され、システムボイスと共にHADES起動音が鳴り起動していくと、システム起動中に画面左右が赤い半透明のハニカム状の模様によって塞がれ、視野が狭くなり、頭部カメラが赤く発光し、各部排気口が強制排気により赤熱化した。

 

「『『さぁ!奴等に本当の悪魔の力を見せつけてやろうぜ!!』』」

 

マサトとレオスからマサトのボイス、そして少女の笑い声が共に呟き、深紅の目を光らせるレオスがアンジュ達のいるアケノミハシラ近くの宮邸へ降下して行くのであった。




さぁ!マサトにとって楽しい♪楽しい♪戦いが始まります♪


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最終決戦編
第43話:悪魔の乱舞


アンジュを捕まえようとした時にサラ達の登場でエルシャ達は警戒を強め、アンジュは龍神器を見て通信を入れて来る。

 

「サラ子!サラ子なの!?」

 

「アンジュリーゼ様、お知り合いですか?」

 

モモカがアンジュにそう聞いてくる中で焔龍號から通信が入って来た。

 

『しばらく見ない間にとても淫らになって、それに風下だと何だか臭いますわ』

 

「うっ.....」

 

『お風呂にでも入っていらした?ここは私達が引き受けますから♪』

 

「じゃあ、お言葉に甘えて!」

 

アンジュはサラの命令に従い、その場から逃げる。そしてサラはナーガとカナメに命令する。

 

「お二方、準備は出来てますか?」

 

『はい!サラマンディーネ様!』

 

サラ達は武器を構え、エルシャ達に攻撃を仕掛ける。

 

「通してもらいます!アウラの元に!」

 

 

 

 

 

 

 

一方、タスク達の方は、ミスルギ皇国へ進攻開始の準備をしていた。そしてマティス達の新たな機体。

 

マティスはセラヴィーガンダム GNHW/B

 

パトリックはケルディムガンダム GNHW/B

 

エルマはイフリート・シュナイド

 

セリカはダブルオーガンダム セブンソード/G

 

ニコラスはアリオスガンダム GNHW/B

 

ガイはR・ギャギャ

 

メリーはガンダムフラウロス

 

アイカはライトニングガンダム

 

リクトは戦国アストレイ

 

マティス達はそれぞれの新しい機体に乗り込む。タスクはまだ新しい機体が完成していないため、父が乗っていた小型挺に乗り込む。アウローラ、ケルベロス、インフィニティ、鬼刃が海面から浮上し、カタパルトが開く。

 

「パラメイル隊!出撃します!!!」

 

タスクが言った途端に各機は出撃してミスルギ皇国へと飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、サラ達はエルシャ達のラグナメイルと交戦を開始していた。するとサラ達の方へゼノビアのモビルアーマー『シャンブロ』が姿を現した。

 

「随分とやってくれるじゃないの♪」

 

ゼノビアはそう言うと、シャンブロの頭部の大口径メガ粒子砲が展開され、リフレクタービットも射出された。

 

「喰らいなさい、モビルアーマーの雷を!」

 

シャンブロの大口径メガ粒子砲から大出力なビームが放たれた。サラ達は向かってくるビームが発射された事を確認したが、回避が間に合わないと思いきや、上空から何かが落ちてきて、サラ達を守った。

 

「何っ!!?」

 

ゼノビア、そしてジョアンヌ達が警戒していると、音速と共に煙の中から何かが飛び出たと思いきや、

 

「ん?............」

 

 

バゴォォォォォンッ!!!!!!!

 

 

「っ!?え!?ちょっ!何っ!!?」

 

突然シャンブロが揺れだすと、シャンブロが宙に浮かぶ。

 

「何何何何何っ!!!!????」

 

ゼノビアは焦る。そう、シャンブロが宙に浮かんでいる理由は、HADESを発動しているレオスが片手でシャンブロを持ち上げていた。

 

「オラァッ!!!」

 

マサトは持ち上げたシャンブロを投げた。シャンブロはアケノミハシラの周りの森を越え、街へ激突した。ジョアンヌ達はシャンブロを投げたレオスを見る。

 

「何だ!?あのガンダムは!?」

 

「レオス!?..........と言うことは、マサトか!!」

 

ジョアンヌがイクスで向かう。

 

『格闘進化形態 タキオン・フェイズ』

 

イクスがタキオン・フェイズへと形態を変え、大型ビームソードを振り下ろした。するとマサトはニヤリとし、イクスの大型ビームソードを持っている拳を受け止め、イクスの攻撃を防ぐ。そして拳を握り、ジョアンヌと接触回線をそ、ジョアンヌに言う。

 

『ジョアンヌ........遊んで殺るぜ♪』

 

音速と共に、レオスの拳がタキオンの装甲に直撃し、イクスを吹き飛ばすと、マサトは吹き飛ばされている間に回り込み、イクスをキャッチし、背負い投げをした。

 

「どうなってるの!!?」

 

ジョアンヌが驚くと、モニター画面の目の前に赤い目を光らせるレオスが映っていた。

 

「どうした、ジョアンヌ?腰が抜けたか?」

 

マサトはそう呟きながら、タキオンの両腕を掴み、引きちぎった。

 

「舐めんな!!」

 

ジョアンヌも必死に抵抗しようと、タキオン・フェイズからイグニス・フェイズへと形態を変え、大型ファンネルを射出する。それと同時にデシルもメフィストビットを射出する。マサトはニュータイプとイノベイターの脳波でファンネルとビットの軌道を予知し、回避していく。

 

「なら!これならどう!?」

 

さらにハートのディビニダドのフェザーファンネルやスペードのビットが射出されるが、マサトもファンネルとビットを射出し、あっさりとスペードとハートの兵器を破壊した。

 

「そんな馬鹿な!!?」

 

すると回避するのが飽きたのか、マサトはレオスの左腕に装備されている起動防盾をスライドさせ、次元バリアを展開した。そしてガンダムメフィストとゼロ距離まで近付き、盾を振るった。次元バリアがガンダムメフィストを分解し、頭部と脚部だけになった。

 

「何っ!!?」

 

ガンダムメフィストが撃退されると、今度はスペードを睨む。そしてレオスが猛スピードで接近し、スペードのディザスターの両腕を次元バリアで分解した。

 

「速すぎる!!」

 

両腕を失ったスペードは一時退避した。

 

「嘘だろ!?盾だけで倒そうとしている........楽しんでいるのか!!?」

 

ジョアンヌがその於曾ましきレオスを見ていると、目にも止まらぬ速さで、ジョアンヌに襲い掛かってきた。

 

「ガッ!!!」

 

「何なんだよ、それで本気か?対したことねぇなぁ!!このヒヨッコが!!」

 

マサトはイクスをのイグニス・フェイズの装甲を剥ぎ始めた。装甲を剥ぎ、赤い目を光らせるその姿は......まさに悪魔その物であった。ジョアンヌは舌打ちをし、ミスティック・フェイズへと形態を変え、ビームランスを突き刺してきた。

 

「この野郎!!!」

 

しかし、マサトはビームランスを受け流し、イクスの頭部を掴み上げる。

 

「こんなもんかよ?お前の力は!!」

 

マサトはそう言い、ミスティック・フェイズの馬足を破壊する。ジョアンヌは怯えていた。

 

「こんなの........こんなのマサトじゃない!!」

 

そしてマサトがイクスを投げ回しながら、ハートのディビニダドにぶつける。そしてハートを下に叩き付けると、マサトはロード・タクティスでケルベロスバグゥハウンド5機を呼び出した。

 

「後は任せた♪」

 

マサトはそう言い、逃げているジョアンヌを追う。そしてケルベロスバグゥハウンドがビームファングを放出し、ディビニダドに襲い掛かる。その光景はまるで、野犬が捕らえた獲物を貪るような光景で、ディビニダドのあらゆる部位を引き裂かれていく。そしてコックピットを突き刺そうと、バグゥが襲う。

 

「イヤァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

ハートは泣き叫びながら、バグゥ達に殺された。

 

マサトの戦闘で壊滅状態のディーラ幹部。サラ達はその光景に、思わず息を飲む。

 

「これが......あのマサトさん?」

 

「えぇ、マサトこそ.......真の悪魔と呼んで良いでしょう.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてミスルギ皇国へと向かっていたタスク達、ココ達は別の場所で待機を命じられていて今は居ない。

しかしミスルギ皇国の状況の異変に気付いたロザリーが皆に問う。

 

「おいヒルダ、何か変だ。もう戦闘が始まってる!」

 

「あぁ?」

 

するとアストラのセンサーに味方識別反応が表示される。

 

「そうか!マサトだ!」

 

《マサトが!?》

 

皆が驚いているとヴィヴィアンが何やら鼻をかぐ。

 

「クンクン....!タスク!ヒルダ!アンジュあっち!!」

 

「えっ?」

 

「はぁ?」

 

タスクとヒルダはヴィヴィアンの反応を見て振り向く。

 

「アンジュあっち~~!!」

 

っとそう言ってヴィヴィアンは違う方向へと向かって行く。

 

「クソっ!どうなってるんだよ!?」

 

そう舌打ちをするロザリー。

すぐにヴィヴィアンの行動に気付いたマティス達。ヒルダは小型挺で移動しているタスクに通信する。

そして追ってを避けながらもアンジュは何とか逃げ切っている。

 

「モモカ!追っては?」

 

「今のところは.....」

 

そうモモカが言っていると....。

 

『アンジュ居た~!!』

 

通信にヴィヴィアンの声が聞こえた事にアンジュは前を向くと、タスク達が向かって来る様子が見えた。

 

「すっげぇ~....、本当に居た」

 

ロザリーはヴィヴィアンの嗅覚に思わず感心した。

 

「助けに来たぞ!アンジュ!」

 

「皆.....」

 

アンジュは思わず目に涙を出て来る。その時だった。

アンジュのヴィルキスに向かってクリスのテオドーラがビームライフルを構えて狙撃して来た。

 

「はっ!!アンジュ!!」

 

ヴィヴィアンがそれに叫んだ事にアンジュは後ろを向くと、既にビームがまじかに迫っていた時、アンジュの指輪が光、ヴィルキスの色が赤くなり、光学障壁を展開し、ビームを防御した。っが、突然ヴィルキスが停止した。

 

「キャァァァァァァァッ!!!」

 

モモカのさけびと共に、ヴィルキスは川へ不時着した。

 

「「「アンジュ!」」」

 

『退いて.....』

 

「「「っ!!?」」」

 

ヒルダとロザリー、ヴィヴィアンの前にクリスが立ち塞がる。

 

「アンジュを連れて戻る.....」

 

「アンジュはあたしが貰ってく!邪魔すんな!!」

 

「へぇ~....助けに来たんだ....、私の事…見捨てたくせに!!」

 

クリスは怒りをぶつけるかのようにビームライフルを撃って来て、それをヒルダはかわして、アーキバスをアサルトモードにクリスと戦う。そしてマティス達もヒルダ達を援護しようとしたその時、ゼノビアのシャンブロが立ち塞がる。

 

「貴方達の相手は.......私よ!!」

 

ゼノビアはリフレクタービットを射出し、拡散ビームを放つ。拡散ビームがリフレクタービットで反射し、街やそこにいる人々関係なくビームが直撃する。マティス達は急いで回避行動を取る。

 

「うわぁっ!.....危なっ!!」

 

「負けない!負けないわぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ゼノビアが叫びを上げ、大型アイアン・ネイルを伸ばしてきた。

 

「させるか!」

 

セリカがGNバスターソードIIを抜刀し、シャンブロの攻撃を弾く。パトリックとマティスがケルディムのGNスナイパーライフルIIとGNIバズーカIIを撃つ。しかし、シャンブロのリフレクタービットで二人の攻撃が拡散・無効化される。

 

「あのリフレクターを何とかしないと!」

 

ニコラスが言うと、ゼノビアが襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マサトとジョアンヌの方は街中で戦闘していた。カルネージ・フェイズのイクスがレオスの間接技『逆十字固め』で圧されていた。

 

「どうだ、ジョアンヌ!......これでもまだ戦うって言うのか!」

 

「グググググ!!!」

 

そしてカルネージ・フェイズのアームが間接技に耐えきれなく、引きちぎれた。

 

「しまった!」

 

「うあああああああああああ!!」

 

ジョアンヌが残ったアームの拳を握り締め、殴り掛かろうとした。

 

「うおおおおおおおおおおお!!」

 

マサトもレオスの拳を握り締め、殴り掛かる。そして2機の拳がぶつかり、磁場が発せられる。

 

「私は!........必ずお母さんを生き返らせる!!」

 

「甘ったれた事を言ってんじゃねぇ!!」

 

マサトはジョアンヌに言いたいことを吐くと同時に、カルネージ・フェイズのアームがレオスの拳に耐えきれなく、砕けた。

 

「あぁっ!!!」

 

そしてレオスの手が、イクスの頭部を掴み、コックピット目掛けて、膝蹴りを浴びさせる。

 

「ゴヘッ!」

 

そしてマサトの拳がイクスに目掛けて殴り掛かった。

 

「この!.......バカ野郎ぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

レオスの拳がイクスの頭部に直撃し、イクスのアンテナが欠けた。

 

「(お父さん......お母さん.......)」

 

マサトはブレードビットを取り出し、止めを指そうとしたが、HADESの本能に逆らう。

 

「(もう........止めてくれ......)」

 

マサトは念じると、レオスのツインアイが元の緑へと変色し、HADESが強制解除された。

 

「行こう.....レオス.....」

 

HADESのせいか、マサトの体に負担が起きてしまい、そのまま皆の所へ向かおうとした。その時、

 

「ま.....待て.....マ...サト.......」

 

倒れていたジョアンヌがボロボロになったイクスで立ち上がる。

 

「私はまだ!.......負けてない!.....お母さんを......生き返らせるために......!」

 

ジョアンヌはそう言うと、マサトはあることを教える。

 

「.......一つだけ、忠告しておく.........."遺体がなければ、生者を襲う"......」

 

「え......?」

 

マサトの言葉の意味に困惑するジョアンヌ。そしてマサトはヴァリアント・ライフルを持ち、ヒルダ達の所へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アンジュとモモカは街の中を逃走中。疲れきっているアンジュにモモカは声を掛ける。

 

「車探してきますね、ここで休んでいて下さい」

 

「....世話を掛けるわね、モモカ.....」

 

「モモカ・荻野目はアンジュリーゼ様の筆頭侍女ですよ♪」

 

モモカは笑顔で返し、車を探しに行った。

 

「モモカ....?」

 

アンジュの元に一人の女の子がいた。

 

『疲れただろ?アンジュ♪』

 

突然、女の子の声がネロスに変わっていた。

 

「っ!!...ネロス!?」

 

『さぁ、帰っておいで♪』

 

「アンジュリーゼ様!御車を」

 

モモカが車を持ってくると、アンジュは急いでモモカの元へ向かう。

 

「出して!モモカ!早く出して!!」

 

「え?はい!」

 

モモカは困惑するが、アンジュの言う通りに車を動かす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてロザリーはテオドーラと死闘を繰り広げていた。

 

「何で!?何で私達が殺し合わなければ行けないんだよ!?」

 

「人の事を見殺しにしておいて......!」

 

「あの時は!助けに行きたくても行けなかったんだ!」

 

「助ける価値もないから...!でしょ?」

 

「あんた達はいつもそう.....何にも変わっていない.....」

 

「ねぇ、これ....覚えてる?」

 

「?」

 

「7年前のフェスタでさ......」

 

七年前のフェスタでヒルダ、ロザリー、クリスでプレゼントを交換していたらしく、ヒルダの髪型とクリスの髪型が被っていたらしくクリスの髪型が変わりそこからクリスはヒルダとロザリーを憎んだ

 

「あの髪形....気に入ってたのに.....!」

 

「それが今さら....何だって?」

 

「それだけじゃない!」

 

彼女は今まで何もかも我慢していたらしくずっとヒルダとロザリーを憎んでいた。

 

「友達だと....思っていたのに....フッ、な~んて....分かるわけないか.....!人の気持ちを分からない女と.....何も考えてないバカ!.....でも....ネロス君は違うよ....」

 

先のアルゼナルでの襲撃でクリスは死んでいたが、ネロスがクリスを生き返らせ、クリスにラグナメイルを起動させる指輪を渡したとそしてクリスはヒルダとロザリーに指輪を見せ叫ぶ

 

「これが....永遠の....友情の証!!」

 

クリスは髪に付けていた留め具を剥ぎ取り、叫んだ。

 

「あんた達は!友達なんかじゃなかったんだ!!!」

 

クリスはテオドーラを起動させ、戦闘を再開した。

 

その頃、別の場所で待機していたココ達はヒルダ達の通信回線を開き盗み聞きをしていた

 

『頼むクリス!私の話を聞いてくれ!!!』

 

するとマリカが言う

 

「ロザリー御姉様!」

 

「私たちも行こ!!」

 

「ちょっと!マリカ!」

 

「命令は待機だよ!」

 

「でも、御姉様が危ない!」

 

マリカはグレイブを動かしロザリーを助けに向かった。

 

「ちょっと!マリカ!?」

 

ミランダが止めるが遅かった。そしてココが慌てる

 

「どうしよう!マリカが!」

 

「仕方ない!私たちも行こ!」

 

「うん!」

 

ココとミランダは急いでマリカの後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アンジュとモモカは車で移動しており、モモカにさっき会った女の子がネロスと言う事を話した。

 

「さっきの女の子が......ネロスさん!?どう言うことですか?」

 

「分からない....でも、操られてみたい」

 

「!!」

 

その直後、モモカに異変が起きた。そして、

 

『忘れたのかね?』

 

「!?」

 

アンジュはモモカの方を向くと、モモカがアンジュの方へ首を回す。そしてマナの映像に片方の仮面を付けたネロスが映っていた。

 

「っ!!」

 

『この人間達を造ったのが、誰なのか?』

 

「モモカ!!」

 

アンジュはマナネロスが映っているマナの映像を殴る。マナの映像は粉々に砕け、モモカの目のハイライトが元に戻り、それによりモモカは正気に戻った。

 

「あれ?私.....「モモカ!前!」え?」

 

アンジュとモモカが乗った車が電柱にぶつかり、アンジュはモモカに安否を確認する。

 

「モモカ、大丈夫......!?」

 

モモカは気を失っており、アンジュはモモカを抱きながら車から出すと、

 

『怪我はないか?アンジュ』

 

《帰っておいで、アンジュ♪》

 

ネロスによって操られているミスルギの民達が迫っていた。アンジュは必死にモモカと共に建物の中へ入っていくのであった。

 

 

 

 

その頃アウラの元に向かおうとエルシャ達のラグナメイル達と戦っていたサラ達、しかし性能がやや上なのか一向に進めなかった。

戦っているサラは今の現状ではアウラを救えない事に拳を握る。

 

「はやり今の戦力ではアウラを…」

 

そしてサラはナーガとカナメに通信を入れる。

 

「引きますよ…カナメ、ナーガ」

 

『『ええっ!?』』

 

二人はサラの言った言葉に驚きを隠せず、サラはそのまま言う。

 

「現有戦力でのアウラ奪還は不可能です。一度引いて体制を立て直します」

 

そう言ってサラは皇宮のそばに隠れているリィザに言う。

 

『リィザ、聞こえますか?貴女も合流するのです。貴女に何があったのか今は問いません。ですが多くの仲間を死なせた事を悔やんでいるのなら、より多くの仲間を救う為共に戦いなさい!』

 

「サラマンディーネ様…」

 

サラにその事を言われたリィザは少しばかり考えた後、決心を決めて外に出て飛ぼうした時だった。

彼女の近くの壁に銃弾が当たり、それにリィザは撃って来た方を見ると、ライフルを不器用に構えたシルヴィアがいた。

 

「大人しく地下牢に戻りなさい! さもなくばエンブリヲおじ様に切開してもらいますわよ!」

 

「…哀れな子、ジュリオ…あなたのお兄様を殺したのは…あの男(ネロス)だと言うのに」

 

「はぁ....?何を言って?」

 

リィザの真実の話に思わず困惑するシルヴィア。そしてリィザは空へ飛んでいき、それに慌てるシルヴィア。

そしてカナメの碧龍號がリィザを乗せて飛び立ち、サラはビーム砲を撃ちまくった後にナーガ達とそのばから撤退した。

 

「くそっ!逃がすか!!」

 

ターニャが思わず追いかけようとした所をエルシャがそれを止める。

 

「深追いは駄目よ》......ん?」

 

エルシャは皇宮の側の庭を見ると、そこにビームの巻き添えを食らってしまった子供たちが死んでいて、それにエルシャは思わず目を見開いてしまう。

 

 

 

 

 

 

そしてアンジュとモモカの方は必死に操られている民から逃げていた。

 

「あの、姫様......私、さっき...」

 

「知らないわ....」

 

二人は屋上へ向かおうとした直後、非常口から操られた民が現れ、マナの映像で映っているネロスが言う。

 

《逃げられないよ、アンジュ♪懸命な君も.....薄々気づいているだろ?マナを使えるゴミ達は、僕の支配下に置かれていると♪》

 

「!!」

 

《その侍女が近くにいる限り♪》

 

「知らないって、言ってるでしょ!」

 

アンジュは操られている民を殴り飛ばし、モモカを連れ、屋上へと向かう。アンジュとモモカが屋上に着くと、屋上のベンチでネロスが本を呼んで、アンジュを待ち伏せしていた。

 

「やれやれ、強情で恥ずかしがりやな僕の妻だ.........また、お仕置きが必要かな?」

 

ネロスは指をアンジュを向ける。アンジュはネロスに恐怖していたその時、上空から小型挺で乗ってきたタスクがネロスに向けて、バルカン砲を発射する。バルカン砲の弾丸がネロスの胴体を貫き、血を吐く。

 

「アンジュ!」

 

タスクは急いでアンジュの所へ着陸する。

 

「タスク!」

 

「遅くなってごめん!君達はこれに乗って逃げろ!」

 

タスクは付けていたゴーグルをアンジュに渡す。

 

「あなたは!?」

 

「.....アイツに用がある」

 

タスクは撃たれたネロスを睨む。ネロスはテラスで平気そうにしており、アンジュに近付こうとする。

 

「急げ!」

 

「モモカ、行くわよ!」

 

「はい!」

 

アンジュとモモカを乗せた小型挺が向かうと、タスクはサバイバルナイフを取り出した。すると上空からレオスが現れ、コックピットから武装したマサトが回転しながら降りてきた。

 

「タスク!」

 

「マサト!」

 

するとレオスはロード・タクティスで皆の所へ向かう。

 

「助太刀するぞ!」

 

マサトがスティックロッドを構える。エンブリヲはアンジュが逃げた事により、少し怒りがこみ上げる。

 

「私達を引き離すなどと....、覚悟は出来ているんだろうな....蛆虫共が」

 

「それはお前の方じゃないのか?ド変態ストーカーめ!」

 

「ヴィルキスの騎士イシュトヴァーンとメイルライダーバネッサの子…タスク!!」

 

っとタスクは自分から名乗りをあげながら走り出し、マサトも付いていく。

 

「最後の古の民にして......アンジュの騎士だ!!!」

 

そう言った瞬間にタスクは閃光手榴弾を投げ、閃光手榴弾の閃光にネロスは思わず目がくらむ。

 

ネロスはタスクが言った言葉、そしてアンジュが言ったタスクを見て睨む。

 

「くっ....!そうか....お前が!.....グッ!!」

 

ネロスの後ろに回り込んだタスクは、ナイフをネロスに背中に突き刺し、マサトがスティックロッドでネロスの顔面を打つ。タスクはナイフ抜いてそれにネロスは倒れる。

するとすぐさま別の場所でネロスが再び現れて、それにマサトは思わず呟く。

 

「化物め!」

 

そしてタスクが手裏剣を投げ、ネロスが剣で手裏剣を弾くと同時にワイヤーガンをネロスの手に撃ち込み、逃がさないようにする。マサトもスティックロッドからアサシンブレードと高周波ソードを展開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ヒルダ達の方は、相手はクリスでありながら彼女が乗るラグナメイル、テオドーラの性能に圧倒的に押されていた。

 

「ぐぅぅっ!クリス強ぇぇ....!」

 

ヴィヴィアンがクリスの強さに思わず声を出し、ヒルダは舌打ちをして睨み返す。

 

「くそっ.....!」

 

「待ってくれよクリス!!」

 

ロザリーは必死にクリスに問いかけ、見捨てた事を必死に否定していたが、クリスはそれを耳も傾けず、自分の八つ当たりを人にぶつけていた。

ヒルダはどうすればいいかと考えていると。

 

『ヒルダ!アンジュを見つけた!保護を頼む!』

 

「タスクか!?ヴィルキスは!?」

 

『水没している!今すぐ回収するのは無理、あっ!!』

 

するとタスクの通信が途切れる。

 

「タスク!?くそ!」

 

ヒルダは舌打ちをし、皆に命令する。

 

「総員待避!アンジュと合流し、アウローラに帰投せよ!」

 

『『了解!』』

 

ヒルダ達は逃げる準備をすると、クリスは狙いを定める。

 

「逃がさない」

 

クリスは逃げているヒルダ達にビームライフルを撃とうとした時、

 

「お姉様ぁぁぁぁぁ!!」

 

マリカが乗るグレイブがやって来て、アサルトライフルを撃ちながらクリスに向かって行った。

それにヒルダ達は足を止めて、マリカを止める。

 

「マリカ!!何でここに」

 

「邪魔.....!」

 

クリスがラツィーエルを投げて、マリカに向かって行く。それにマリカは思わず目を瞑った、しかし何もない事に目を開けると....。

そこにはラツィーエルを掴み、Gコンドルとドッキングしているエクセリアが前に出ていた。

 

「無事!?」

 

『はい!』

 

『ナオミか!?』

 

「ヒルダ、ロザリー、ヴィヴィアンも待たせたね!」

 

ナオミはGコンドルに搭載されている兵器。4門の『拡散ビーム砲』やシールドビットを展開した。

 

クリスはエクセリアの武装を見て、負けると分かる。すると赤色のビームがその両機の間を通り、それに皆は振り向くとサラ達の焔龍號達がやって来たのが見えた。

 

「あの機体は....!」

 

「サラサラさん!」

 

ヴィヴィアンの言い間違いに思わず呆れる表情になるサラ。

 

「サラマンディーネです、ヴィヴィアン.....」

 

そしてクリスは舌打ちをし、地面に刺さっているラツィーエルを拾い上げ、撤退した。

 

「待ちやがれ!クリス!」

 

「ロザリー!どうどう!」

 

ロザリーがクリスを追おうとしたが、ヴィヴィアンに止められる。ロザリーはクリスと和解できなかった事に悔やむ。

 

「ちっきしょおおおう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マサトとタスクはネロスとネロスの危機に駆け付けたディーラ・トルーパーがビルの壁をよじ登りながら、持っていた電磁バトンを構えていた。マサトは高周波ソードとアサシンブレードで応戦する。そしてタスクとネロスは剣とナイフでの死闘を繰り広げていた。

 

「アンジュの騎士だと!旧世界の猿め!テロリストの残党めが!!」

 

ネロスはタスクに向かって暴言を吐くが、タスクは最後までネロスに抗う。そしてタスクが後方へ下がった直後、ネロスの剣が襲い掛かる。タスクは何とかワイヤーガンで防御し、体制を立て直す。

 

「無駄な事を♪」

 

「無駄じゃないさ!ハイゼンベルグの悪魔!不確定世界の住人!.........少しでも、足止めを出来ればな...」

 

「へぇ~......猿も頭を使うんだねぇ........だけど、所詮は旧人類の猿だ♪」

 

ネロスは笑い、持っていたマグナムで自分の頭を撃った。そしてネロスの死体が消えた。

 

「しまった!」

 

「まずいぞ!!」

 

二人は周りにいるディーラ・トルーパーを片付けていき、急いでアンジュ達が飛んでいる方へ向かう。

 

 

 

 

 

 

そして、マサト達がネロス達を抑えている間に小型挺でミスルギから逃走するアンジュとモモカ、そして夕暮れになって来て海岸線が見えたのをアンジュがモモカに言う。

 

「モモカ!海よ!!」

 

アンジュがそう言った時にモモカがアンジュの腕を掴み、スロットルを離す。

 

「モモカ!?」

 

アンジュがまたしてもモモカの行動に驚く、そして降りて行く先を見るとある広場でテーブルに座っているネロスが紅茶を飲んで待っていて、それにアンジュはまたしても驚く。

 

「!!?」

 

そして小型挺は着陸して、操られているモモカはアンジュを強引に下ろしてエンブリヲの前に連れて来る。

ネロスは紅茶をテーブルに置いて、アンジュの元に近づく。

 

「アンジュ、怒っている姿も素敵だね♪.......何故…そこまで私を拒絶する?」

 

ネロスの表情が恐ろしくなる。するとネロスは突如消えて、アンジュの後ろに現れる。

 

「あのガキか?」

 

「!!?」

 

アンジュが驚く中でネロスはアンジュの腕を掴んで拘束し、アンジュは振りほどこうとするもビクともしなかった。そして屋上の鉄格子に二つワイヤーガンが引っ掛かり、ディーラ・トルーパーとの戦闘で至る所に傷が出来たタスクとマサトが現れた。

 

「屑野郎!」

 

「アンジュを離せ!」

 

アンジュは二人が来た事に喜びの表情を浮かばせるが、マサトはそれに鼻で笑う。

 

「フッ!」

 

するとモモカがネロスの剣を持ってマサト達に向かって行き、それにマサトとタスクが驚く。

 

「「モモカ!!?」」

 

そしてモモカはマサト達に剣を振り、それをマサト達は防御しながら後方に下がり、それにマサトとタスクはモモカの行動に気付く。

 

「まさか!?」

 

「その通りだよ、大門寺 真人........その女に身体能力を極限まで高めた。それにお前たちはその女を殺せるか?」

 

「卑怯者が!」

 

モモカが高速で突き技を繰り出し、マサトとタスクは防御するが、

 

「さぁ、アンジュよ.....愚かな男達の末路を見ているが良い♪」

 

「や....止めて.....止めなさい...モモカ!」

 

「無駄だよ♪創造主の命令は抗えないようプログラムされている♪」

 

ネロスにそう言われようとも、アンジュはモモカを信じる。

 

「違う!........モモカは、私の筆頭侍女よ!目を覚ましなさい!モモカァァ!!」

 

その時、モモカは心の中でアルゼナルでアンジュと暮らしていた事を思い出す。彼女がノーマだろうが、何だろうが、関係なかった。アンジュをこれからも慕うモモカはネロスの支配から、目を覚ました。

 

「アンジュリーゼ.....様」

 

ネロスはモモカが支配から解き放たれた事に驚く。

 

「バカな!?あり得ない!ドラゴニウムは完璧の筈!グッ!!?」

 

ネロスの首からマサトの高周波ソードが貫通し、血が噴き出す。マサトはネロスの頭を掴み、ネロスに呟く。

 

「お前が不死身なら.......部位を取って殺す!!逃げろ!アンジュ!」

 

アンジュはマサトがネロスを封じている隙に逃げる。そしてマサトはネロスの首を思いっきり斬り、首をもぎ取った。首の付け根から血が噴き出し、マサトに体に付着する。

 

「どうだ!!」

 

マサトが叫ぶと、

 

「フフフフフ♪」

 

「「「「っ!!?」」」」

 

驚いたことに、ネロスの死体はあるのに、何処からかネロスの無気味な笑い声がしてきた。

 

「何処だ!?.....何処にいる!?」

 

マサト達は辺りを見渡すが何処にもいなかった。その時、タスクが気付く。

 

「マサト!それだ!」

 

タスクの指を指した方向を見る。それは何と、血の気が無くなったネロスの首であった。マサトはネロスの首をよく見たその時、

 

「..............バァァァァァッ!!!!!」

 

突然、ネロスの顔が無気味な笑顔を浮かばせ、耳まで裂けた口の中から、長い舌が伸びた。

 

「うあああああああっ!!?」

 

マサトは驚き、ネロスの首を投げ捨てた。するとネロスの首から触手が出てきて、転がっている死体と連結し、元のネロスへと戻った。

 

「面白い、レイヴニウムで私を殺そうとしたのか?残念だがもう、その手は通用しないよ.........大門寺 真人君♪」

 

ネロスの言葉に、マサトは問う。

 

「ど!?どうして、俺の名を!?..............っ!?.....まさか......」

 

マサトはネロスの正体に気付いた。

 

「........ナチュラルで死んだ?」

 

「!?」

 

「ナチュラル?」

 

「お前がいたアルゼナルに似た施設の事だよ.........僕はそこで.........君によって、首を斬られたんだから♪」

 

「そんな筈はない!お前は.......1100年前に死んだ筈!!?」

 

マサトが放った衝撃の言葉に、タスクやアンジュ、モモカも驚いていた。特にアンジュはネロスが1000年も言っていた筈。そしてネロスは戻った首が振り向き、マサト達に言う。

 

「そう........天使であるネロス...........本名は......君によって、殺された《桐山 次郎》である!!」

 

衝撃の事実。ネロスの正体がかつて、ナオミを実験道具にしたマッドサイエンティストであった桐山 次郎だと言う事に。マサトはホルスターからハンドガンを取り出し、桐山の方へ向ける。

 

「狂信がっ!!生きていたのか!?」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!まさか久々に再会するとは........まぁ、それは置いておいて......」

 

桐山は付けていた仮面を外す。それはマサトによって硫酸で大火傷した傷であった。

 

「その傷........間違いない、お前はあの桐山 次郎だ........」

 

「覚えていてくれて嬉しいよ♪........早速だけど、」

 

桐山はマグナムを突き付ける。

 

「復讐のためだ.......死んでくれ♪」

 

「くっ!」

 

すると戦いの様子を見ているモモカは持っている剣を見て、そして決心をする。

 

「タスクさん......アンジュリーゼ様をお願いします!!」

 

「!? 」

 

「逃げてください!姫様!タスクさん!」

 

モモカが剣を突き付け、桐山へ走っていく。それに気付いた桐山はモモカを支配しようとした。しかし、モモカは桐山へ走って来る。

 

「何!?」

 

桐山は慌て、マグナムを構えてモモカに目がけて撃ち、それにモモカは胸に銃弾を受けてしまうも、そのままネロスに向かって行く。

 

「モモカ!」

 

「光よ!マナの光よぉぉッ!!!」

 

するとモモカは車をマナで動かし、桐山はまだ動けるモモカを見て驚いた。

 

「そんなバカな!?」

 

モモカはそのまま剣をエンブリヲに向かって突き刺し、車はモモカと桐山に突っ込んで行き、二人を巻き込んで壁を突き破って崖へと落ちて行く。

アンジュはすぐさま崖へと落ちて行モモカに向かうも、既に落ちて行ってしまい、そして車は地面に直撃して爆発していった。

その光景を見てしまったアンジュは信じられないまま唖然としてしまう。

 

「モ...モモカァァァァァァ!!!!」

 

そしてマサトとタスクは悲しみに受け止めきれずにいたアンジュに向かい、タスクがアンジュを持ち上げて小型挺に向かう。

しかしアンジュはモモカの事で頭が一杯だった。

 

「待って......タスク、モモカが....モモカが! お願い!マサト!タスク!!モモカを!!」

 

そして小型挺にアンジュを乗せた瞬間、タスクの右肩に銃弾が撃ち込まれ、それにマサトが見る。

 

「ぐっ!!」

 

「タスク!!」

 

「いやはや、驚いたよ。ホムンクルスの中に.....天使である私を拒絶する者がいたとは♪」

 

銃を構えている桐山は笑っていた。

 

「桐山!!」

 

マサトとタスクはマグナムを構える桐山に睨み付ける。

 

「よくも.....モモカを!」

 

アンジュが桐山に突っ込もうとした時、タスクがアンジュの腕に手錠をかけてハンドルに固定し、アンジュはそれに驚いてタスクを見る。タスクはすぐさまコンソールを操作して、ある座標へと設定したのちロックしてオートパイロットにする。

 

「君は生きるんだアンジュ。必ず戻るから.....君の元に」

 

タスクは笑顔でアンジュに言い、それにアンジュは頭を横に振る。

 

「駄目....駄目よ!タスクッ!」

 

っと次の瞬間、タスクがアンジュに突如キスをして、それにアンジュは思わず唖然とし、そして少し頬を赤くする。

そしてキスを終えたタスクは持っているネックレスをアンジュに渡し、小型挺はアンジュを乗せて自動で飛び立っていく。

 

「タスク......マサト!!」

 

そしてタスクはマサトの横に並ぶ、桐山はタスクの事に怒りがあふれ出る。

 

「下朗が!」

 

桐山は怒りを込み上げ、マグナムを撃つ。銃弾がタスクの左胸に直撃する。

 

「うっ!!」

 

「タスク!」

 

マサトが心配する。

 

「桐山!何故タスクを狙った!殺るなら俺の方だろ!!」

 

マサトは問うと、桐山が鼻で笑い飛ばした。

 

「君を殺しては楽しみがなくなる......その男は.....僕の楽しみを奪いやがった猿だ!!」

 

「黙れ!この化物が!!」

 

するとタスクが起き上がる。

 

「しつこい....男は.....嫌われるよ!!」

 

タスクが防弾チョッキを脱ぐと、胸に時限爆弾がセットせれており、0秒になる直前、マサトがタスクの胸に付いていた時限爆弾を引き剥がし、桐山に投げ付ける。そしてタスクを抱え、屋上から飛び降りた。そして時限爆弾のタイマーが0秒立ち、建物が大爆発を起こした。マサトは桐山と戦っていた時に、レオスを呼んでおり、タスクを手のひらに乗せる。そしてマサトは目覚めたタスクに言う。

 

「バカたれ!何で時限爆弾なんか持ってきたんだよ!!」

 

「ごめん!あれはもしもの為と思って......あれ?」

 

するともう片方の手のひらに、モモカが寝かされていて。それにタスクは驚きを隠せなかった。

 

「あん時、レオスをあの森の中に待機させておいたんだ.......それより、問題は桐山 次郎だ.......まさか、アイツが黒幕だったとは......」

 

マサトは爪を噛み、今後の作戦を考える。そしてその爆発はミスルギから去って行くアンジュの目からはレオン達が爆発して行ったと勘違いを受けてしまう影響を与えてしまった。

 

「嘘...嘘よね?モモカ...タスク...マサト......私を...一人にしないで......うあああああああああああ!!!!」

 



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第44話:ラプラスの瞳

 

マサトはレオスでモモカとタスクをアンジュのいる孤島へ向かっていた。目を覚ましたモモカはあの時、持っていたフライパンを胸の中に閉まっておいたと言う。その証拠にフライパンに銃弾がそのまま止まっていたと、

するとタスクがマサトに問う。

 

「なぁ、マサト.....さっきから思ったんだけど、ネロス....."桐山 次郎"って誰なんだ?」

 

「.......1100年前の人間だ」

 

マサトの言葉に、タスクとモモカは驚きを隠せなかった。

 

「アイツは......目的の為なら手段も問わん........なりふり構わずアンジュを探していると思う....」

 

「そうだな、」

 

二人は話し合っていると、アンジュとタスクが出会った孤島に到着した。

 

「それじゃ、俺はインフィニティに戻る......それと、俺のコアファイター返せよ」

 

マサトはすぐさまインフィニティへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

そして数時間後、ミスルギ皇国ではエンブリヲが計画の最終段階へと移そうとしていた。

 

「ラグナメイルコネクターパージ」

 

パシュ!

 

「くっ!?」

 

そこには何故か少しばかり頬を赤くし恥ずかしそうにしているサリアが居た。

 

「耐圧角展開、ドラグニウムリアクターエンゲージ、リーブレン共振器接続、全出力供給開始」

 

するとアケノミハシラに保管されているラグナメイルが連動して光始め、エネルギーとしてアケノミハシラの頂上に向かいそして散布される。

その様子を映像で確認したネロス。

 

「準備は整った...だが、」

 

パシュ!!

 

「ぐっ!?」

 

ネロスは膝に居るサリアの尻を叩いていた、しかも下着を脱がせてまで...。

 

「アンジュが居ないとは...何故逃がした? 」

 

「っ.....!」

 

その事にサリアは黙り込む。

 

「フン....嫉妬か」

 

パシュ!!

 

「うっ!どうしてアンジュが必要なんですか!?私はずっと....ネロス様に忠誠を誓ってきました...、ネロス様の為に戦ってきました...!

なのに...またアンジュなんですか!?私はもう...用済み何ですか!?」

 

サリアの思いを聞いたネロスはその心には何にも感じないまま話す。

 

「私の新世界を作るのは強く賢い女たちだ、だから君達を選んだ....。アンジュも同じ理由だ...愚かな女に用はない」

 

「!?」

 

ネロスの言葉を聞いたサリアは思わず絶句し、ドレギアスはただ黙って聞いていた。

 

そしてネロスはサリアを下ろし、サリアを見下ろして言う。

 

「アンジュは必ず此処に来るだろう、私を殺す為に。サリア.....君が本当に賢く強いなら、やるべき事は分かるな?」

 

聞かされたサリアは急いで下着をつけ直して、急いで敬礼をして言う。

 

「アンジュを捕え、服従させます」

 

「期待しているよ、私のサリア.....」

 

っとそれにサリアは唇を噛みしめて何やら思いつめるのだった。

 

 

そしてインフィニティとアウローラにケルベロス、鬼刃、貴族連合達は艦隊編成で並び態勢を整えていた。

ケルベロスの格納庫ではアウローラにあるパラメイル隊もインフィニティの格納庫で現在修理を行っていた。

 

その中で整備班達はメイの指示の下で動いていた。流石にメイも大人たちを命令するのは初めてだったが自分の役目をしっかりと果たしていた。

 

「レイザーは破損部の装甲を換装!ロザリー機は補給を最優先!ヒルダ機はダメージチェックをお願い!!」

 

《了解!!!》

 

そしてココ達は無事だったマリカにメアリーとノンナが抱き合っていた。

 

「良かった~.....!マリカ! もう勝手に動かないでね!?」

 

「御免なさい.....!」

 

そしてココ達は優しく見ている所でリィザとマティス達の元に集まっているオルト達を見る。

 

「二つの地球を融合だと!!?」

 

マティスが驚いた事実にリィザは頷く。

 

「制御装置であるラグナメイルとエネルギーであるアウラ、ネロスは二つの地球を時空ごと融合させ…新しい地球をゲホッ!!ゲホッ.....!」

 

するとリィザは突如せき込んでしまい、体力的に無理と判断したマギーが止める。

 

「これ以上は無理だ。休ませるよ?」

 

それにオルトとマナミアは頷き、マギーがリィザを医務室へと連れて行った。

そして場所を移動し、オルト達は待機室で話し合っていた。

 

「ネロスが...二つの地球を融合だと....!?」

 

「そんな事を....、本当なのですか!?」

 

オルトとマナミアは驚く。かつてのリベルタスでイシュトバーン達を葬り去ったあの異空間が全てを襲うことに、オルトとマナミアは互いに見合っているとサラは言う。

 

「二つの世界が混ざり合えば…全ての物は破壊されるでしょう.....。急がねば」

 

するとサラはヒルダの方を向いてある事を問いかける。

 

「貴女の名は?」

 

「あ?ヒルダだけど」

 

「メイルライダーヒルダ殿、我々アウラの民はノーマとの同盟締結を求めます」

 

「同盟....?」

 

ヒルダはその事を聞いてサラ達を見る。

 

「我々の龍神器だけではエンブリヲの防衛網を突破する事は困難、はあなた方も同じはず」

 

サラの言葉にヒルダは思わず考え込む。

 

「…確かにアタシ等だけじゃあラグナメイルもあのローガストメイルにも手も足も出ない…、良いよ…同盟結んでも」

 

その事にヴィヴィアンは思わず喜んでジュン達とハイタッチをしまくる。

 

「ただし!アンジュを連れ帰ってからだ…!」

 

「ヒルダちゃん....」

 

「その余裕があると思っているのか?」

 

っとオルトの言葉にヒルダが思わず睨みつける。

 

「何!?」

 

「恐らくネロスは、アンジュを必ず探している筈だ。必ず....」

 

その言葉にヒルダは黙り込んでしまった時だった。

待機室の扉が開いて、誰かが入って来た。

 

『おや?アンジュは戻っていないのか?』

 

っと皆は扉の方を向くとエマ監察官がやって来た、しかしバルカンは何故か警戒して唸りはじめ、そしてエマの様子がいつもと違う事にマティス達とオルトとま、そしてマティス達が気づく。

 

『やれやら.....何処に行ってしまったのやら、我が妻は....』

 

「監察官さん?」

 

ヴィヴィアンがそれに問うとサラがそれを否定する。

 

「違います、あれは.....」

 

するとエマがマナの通信画面を開くと、そこにネロスの画面が映る。

 

「ネロスです!」

 

マティス達は武器を構える。

 

「ネロスだって!?」

 

ジャスミンも立ち上がると、バルカンが思わず向かってしまい、それをエマが叩き落としてしまう。

 

バルカンはそれに悲鳴をあげ、ジャスミンが見る。

 

「バルカン!!」

 

「どち狂ったか!てめぇ!!」

 

ヒルダが銃を構えた瞬間、サラがヒルダの銃の射線を刀で塞ぎ、それにヒルダがサラの方を見る。

 

「彼女は操られてるだけです」

 

「え?!」

 

サラの言葉にヒルダが驚く。

 

「逃げた女に追いすがるなど....不様ですわね、天使殿」

 

『フン、ドラゴンの姫か』

 

ネロスはサラを見て鼻で笑い、サラは剣をネロスに向けて言う。

 

「焦らずとも、すぐにアンジュと共に伺いますわその首を貰い受けに....そしてマサト殿にじっくりと怯える事ですわね」

 

『ほう…、それはできるのかな?』

 

「倒せるさ!」

 

っと別の声が聞こえた事に皆は後ろを見ると、先ほどインフィニティへと帰投したマサトがやって来て、マティス達はマサトが戻った事に喜ぶ。

 

「今度こそ.....決着着けて殺るぞ.....天使ネロス.......嫌、マッドサイエンティスト"桐山 次郎"!!」

 

っとその事を聞いたサラ達は思わず驚き、それにはオルトとマナミアは戸惑いを隠せなかった。

 

「それに、俺には仲間や愛する者もいる......お前みたいな外道には負けんぞ!」

 

『ほう?』

 

するとマサトがサラの方を見て、それに頷いてサラは叫ぶ。

 

「ラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

サラが叫んだ声によりエマのマナが不安定となって破壊され、エマは正気を取り戻して気を失う。

 

「監察官さん!?」

 

ヴィヴィアンが問いかけ、すぐさまマティス達が見る。

 

「…大丈夫だ、気を失っているだけだ」

 

そう言った事に皆は安心をする。

そしてサラはヒルダの方を向いて問う。

 

「ヒルダ殿、ネロスはなりふり構わずにアンジュを探している様子です。ネロスの眼をかわしアンジュを助け出す事が出来ますか?貴女に....」

 

「っ...」

 

サラの言葉にヒルダは言葉を詰まらせる、ネロスの目をかわす事などヒルダには出来ない事だった。

それにサラは笑みを浮かばせる。

 

「アンジュは帰って来ます....タスク殿が必ず連れて帰ってきます」

 

「はっ!何であいつが!?」

 

「理由は簡単だ」

 

っとマサトの問いに皆は振り向き、マサトは当たり前の事を言う。

 

「あいつはアンジュの騎士で、サラ姉さんの」

 

「友ですから♪」

 

その事にヒルダは言葉を止まってしまう。

そして今思えばアンジュとタスクは共に行動している事を考えると、あのタスクがアンジュの騎士様っと考えると渋々納得するしかないと考える。

 

ヒルダがそう納得した時に、マティスがマサトに問い掛ける。

 

「なぁ、マサト......桐山 次郎って誰なんだ?」

 

するとマサトはオルトに近付き、質問する。

 

「知っていたんだな、俺が前に助けたあの子供......あれが今のあなたで......実の父さんと共にエクストリーマー計画に賛同してくれてたのは........そしてその中にネロスである桐山 次郎の事も......」

 

するとオルトの目が厳しくなる。

 

「親父?」

 

アストラが声を掛けると、オルトは言う。

 

「その通りだ.......大門寺 真人よ♪」

 

《っ!!?》

 

「親父!どう言うことなんだ!?」

 

「意味の通りだ........私とマナミア、ユリウスとイリス......嫌、『諒』と『華怜』と桐山は....1100年前の人間だ」

 

《1100年前!!?》

 

「アストラ......確か、ナチュラルのブラックボックスが必要と言ったな?」

 

「え?」

 

「そのブラックボックスは.......もう、ここにある」

 

オルトが取り出したのは、黒いメモリチップであった。

 

「これが!!?」

 

そしてアストラは早速、黒いメモリチップを機械に差し込み、読み取る。

 

「年日を選んで、その中に......君の探したかったデータ『2017年:6月20日 土曜日』にナチュラルで起こった悲劇が撮されている。」

 

オルトがそう言うと、録られた映像が起動した。そこはナチュラルの内部のであった。

 

「本当にアルゼナル見たいだなぁ」

 

すると通路に傷だらけの兵士が走ってくるのが見えた。

 

「あ、兵士だ......」

 

すると向こうから無数の一体のゾンビが追い掛けてきた。アストラは先回りして、別の監視カメラの映像に切り替える。

 

「どうやら、ここは食堂だなぁ」

 

すると食堂にマサトが現れた。

 

「あ......俺だ」

 

そして兵士が現れ、マサトが銃を構えた直後にゾンビに襲われた。そしてマサトはゾンビを倒したが、襲われた兵士がゾンビになり、襲い掛かって来たが、返り討ちにした。その後、ジャスミンモールに無数のゾンビ達がいたが、マサトはフォークリフトカーで駆逐していく。その映像を見ていた皆がマサトの行動に引いた。

 

「お前......相変わらず惨い事をするなぁ.....」

 

「わ!悪かったな!こんな俺で!」

 

ゾンビを駆逐し終えたマサトは第二研究室へと入り、そこで改造されたナオミを相手していた。

 

「これ、私!?」

 

「......そうだよ」

 

すると、出入口から黒い豹が襲い掛かってきた。

 

「たぶん......ブリッツの先祖だと思うなぁ」

 

アストラは横にいるブリッツの頭を撫でる。そしてナオミを救うと、マサトは桐山の首を斬り、首が跳ね飛んだ。

 

「うわぁ....首を、跳ね飛ばしやがった.....」

 

「これは幼年部には見せられない映像だ......」

 

アストラやオルトは青ざめると、映像が途切れた。

 

「あれ?」

 

アストラ達が首を傾げると、映像が戻る。

 

「戻った.....赤外線と言うことは、夜って事か....」

 

すると桐山の死体に異変が起きた。死体が突然痙攣を起こし始めた。一同は落ち着いてみる。そして死体は起き上がり、転がっていた首を見つけ、元に戻る。そして第二研究室から出ようとすると、桐山がカメラを見る。

 

「コイツ.....一体、何を見ているんだ?」

 

すると桐山が指をクイっと動かす。アストラはそれに、応じ、退ける。そしてまた桐山が指をクイっと動かし、今度はセリカを退かす。そして今度はヒルダやガイを退いていくと、桐山が一体、何を見ているのか判明した。それは最後に残ったマサトであった。マサトは桐山を睨むと、桐山の表情が無気味な笑顔になり、親指を立て、喉を切り裂くようにヂェスチャーする。それを見たマサトは怒りを込み上げる。

 

「............掛かってこい.....喧嘩上等だ....」

 

するとマサトは桐山に向かって中指を立て、喧嘩を売る。すると画面にノイズが現れ、映像はここまでであった。

 

「これが.....ナチュラルの悲劇.....」

 

「そう.....ナチュラルはその跡は分からないが........多分、廃虚化していると思う。」

 

「それと、分かったことが一つ......ネロスじゃなく、桐山 次郎は最初から不老不死の力を手にしていた事だ......」

 

「だけど、そんな不老不死の力がこの世に存在するんか?」

 

「分からない......何故、彼がどうやってあの不老不死の力と天草四郎の呪術を知っているのか.......調べないとなぁ.....」

 

マサト達はそう言い、それぞれの持ち場に戻るのであった。

 



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第45話:動き出す勢力

今回の話で、状況が一変します!


 

そしてマサト達の通話を終えたネロスは受話器を戻して、窓を見る。

 

「やれやれ.....野蛮な小娘だ、それに真人め....天使である私に勝てるとでも思っているのか」

 

そう言い残してネロスは小説を読み始めた。するとそこに思いつめたエルシャが子供たちの服を持って来てやって来る。

 

「ネロスさん」

 

「おや、どうしたのかねエルシャ?」

 

ネロスに聞かれたエルシャは思いつめた事を問う。

 

「幼年部の子供たちが....、あの子達を…また生き返らせて下さい」

 

エルシャは再び子供たちを蘇らせてほしいとネロスに頼んだのだが、ネロスはそれをため息をつかせながら言う。

 

「はぁ....それは出来ない」

 

「え....?」

 

「新しい世界は新しい人類の物、あの娘たちは連れてはいけないのだ」

 

っとネロスの言葉にエルシャは思わず戸惑ってしまう。

 

「....そんな」

 

「君には新たな世界で、新たな人類の母になって貰いたい....分かって貰えるな?エルシャ」

 

ネロスが言った瞬間、エルシャが持っている子供たちの服を落としてしまい、それにエルシャが混乱してしまう。

 

「....嫌、…嫌!!」

 

エルシャは混乱した状態でネロスに近づいて、必死に頼み込んだ。

 

「あの子たちは!あの子たちは私の全てなんです!! 私はどうなっても構いませんから!!どうか!!」

 

涙を流しながらネロスに頼み込むエルシャ、しかしネロスはため息を付いた後に手を翳す。

それにエルシャは首に何かを掴まれた状態で浮かび、苦しみながらもがく。

 

ネロスは細目でつぶやく。

 

「もう少し物わかりの良い娘だと思っていたんが.....」

 

そしてネロスはエルシャを離して、倒れたエルシャに冷たい言葉を放つ。

 

「これ以上手を掛けさせないでくれ、私は忙しいのだからな♪.....ハハハハハハ!」

 

っとそう言ってネロスは笑いながら何処かに行ってしまう。残されたエルシャは絶望に叩き落とされて泣き崩れていった。

 

 

その頃、インフィニティ達は格納庫で、モビルアーマーに対抗できる兵器を開発していた。それはモビルアーマー用に開発された超短波兵器であった。

 

「本当にこれで倒せるのか?」

 

「間違いない、マサトが言っていたもん!」

 

メイが張り切りながら、パトリックやメリーに言う。

 

「でも、それだったら僕の音楽を流せば.....」

 

「無理だよ」

 

そこにマサトがやって来た。

 

「モビルアーマーはパトリックのような綺麗な音楽だと、簡単に無視されてしまう。だから、酷い音楽、そしてうるさくて気が散る爆音を流して、プルーマ、バグ、ピレスドロイドの通信連携を乱すんだ。例え勝ち目が無くても、状況を覆せば良いんだ♪」

 

「「.........」」

 

二人はマサトの意味に呆れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海が見える場所、ロザリーはそこでただ海を見ていて、そこにマティスがやって来る。

 

「ロザリー、どうしたんだよこんな所で.....」

 

「....何でもねぇよ」

 

「何でもねぇって....結構思いつめた表情になってるぞ?」

 

マティスがロザリーの思いつめた事に聞き、それにロザリーはようやく話す。

 

「...マティス、マジでアンジュと....タスクを待つのかよ?世界がやばいって言うのにさ」

 

「待つしかねぇよ、今は下手に動く事は出来ねぇしよ」

 

そうマティスはロザリーの隣に立ち、一緒に海を見る、するとロザリーがある事を言いだす。

 

「......アタシ、ドラゴンと一緒に行く」

 

「え?」

 

マティスはロザリーの言葉に振り向き、ロザリーはかなり思いつめた表情で言う。

 

「何だってやるよ....クリスをぶっ殺せるなら」

 

「っ....」

 

するとロザリーに目に涙が溢れ、流して行く表情に変わる。

 

「何で...、何でこんな事になっちまったんだろうな…?」

 

「ロザリー....」

 

そしてロザリーはマティスの方を向いて、思わずマティスに抱き付き、それにマティスは驚く。

 

「ろ!ロザリー!?」

 

「今....こうさせてくれマティス....、なあマティス...教えてくれよ....私馬鹿だから分かんねぇよ....! クリスの事をずっと友達と思っていたにさ....!」

 

ロザリーはマティスに抱き付きながら泣きついて仕舞い、それにマティスは戸惑いながらもロザリーをそっと優しく抱きしめるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてリクトはトレーニングルームで木刀で素振りをしていた。

 

「フンッ!...フンッ!...フンッ!」

 

「リクト...」

 

するとそこにヒルダがやって来た。

 

「何やってんだ?」

 

「......決戦前に、ちょっとトレーニングしようかな~っと......」

 

「そうなんだ......」

 

ヒルダはそう言うと、近くの椅子に座り込む。リクトは素振り120回終えると、タオルで汗を吹き、ヒルダの横に座り込むと、ヒルダがある事を言いだす。

 

「ねぇ、覚えてる?」

 

「ん?」

 

「......私とリクトが4才だった頃......私がもっと大きくなったら、.....アンタにアップルパイを食べさせてあげるって......」

 

「?.......そんな事も言っていたなぁ、食べて見たいよ♪ヒルダの手作りのアップルパイを♪」

 

リクトはそう言うと、横に置いてある水を飲んでいると、

 

「そう言う、意味もあるけど.........アンタの....お嫁さんになりたいと....」

 

ヒルダからの思わぬ爆弾発言に、リクトは驚き、飲んでいた水を吹く。

 

「っ!?」

 

ヒルダは驚くと、リクトは喉に大量の水が入り込んだせいか、咳き込む、

 

「ゴホッ!ゴホッ!......ゴホッ!」

 

リクトは咳きで苦しみ、ヒルダがリクトの背中を擦り、落ち着かせる、

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「ゴホッ!..........ご、ごめん!......あまりの爆弾発言に....」

 

「そんなに?」

 

「そんなに.....ゴホッ!」

 

リクトが落ち着きを取り戻していると、ヒルダがリクトの背中に抱き付く。

 

「?」

 

「ねぇ、世界ぶっ壊した後......リクトは何処に行くんだ?」

 

「.......温泉を探しに、旅に出る♪そこに温泉郷を築き上げて、そこでのんびり暮らそうと思う」

 

「.......連れてって」

 

「え?」

 

「......私も、アンタと一緒に旅がしたい.......もう、一人は寂しいんだよ.....」

 

「ヒルダ.....」

 

リクトはヒルダの頭を優しく撫でのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてミスルギ皇国ではエルシャが子供たちの墓を掘っていた。

エルシャはようやく気づいた。ネロスが言った言葉の嘘に...。

 

「全部....嘘だったのね、平和な世界も....余分な暮らしも…何もかも」

 

絶望に落とされたエルシャは涙を流しながら悔やんだ、自分の事を...子供たちの事を...。

 

「ゴメンね....皆、本当に....!」

 

エルシャは再び涙を流す。

その様子をバルコニーで見ていたジョアンヌが不思議に思う。

 

「(生き返っていない?......断られたのかな.......)」

 

ジョアンヌがそう考えていると、マサトの言葉を思い出す。

 

「あれって.....どういう意味なんだろう?.....それに、こんな時になってもお父さんがいないって.......これは、何か裏がありそうだわ!」

 

ジョアンヌは真実を知るために、アケノミハシラへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてアンジュを乗せた小型挺はタスクと出会った島に到着した、到着した直後にアンジュの手錠が外れる。

アンジュは手錠が外れたのを見て、そして目の前にある洞窟が見えた。アンジュはそこに向かうとタスクが住んでいた洞窟が出会って別れた日のまま放置されていた。

 

「...あの日の....まま?」

 

呟くアンジュはそのまま洞窟に入ろうとした時にポケットから一部血の付いたタスクのネックレスが落ちて、それにアンジュは見る。

 

「(帰る時は....いつもあなたが居た、帰る場所には...またあなたが....)」

 

アンジュの心にはタスクとの思い出が頭の中に浮かんで、そしてアンジュはタスクのネックレスを拾う。

 

「なのに...なのに...!うっ!うわああああああ!!!」

 

アンジュはその場に泣き崩れる。アンジュの心にはタスクとモモカ、そしてマサトを失った傷が癒えてなかった。

しかしマサト達は死んでいない事にアンジュはまだ知りよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

移民艦ノアの住居区、モニカとセリカ、アイカ、ニコラス、エルマ、ガイはハデス隊員や貴族連合衛生士達と共に生き残ったローゼンブルム王国の民のボランティア活動していた。ガイとアイカは皆に暖かい食事を作り、モニカは格納庫に収納してあったホスピタルザクウォーリアの背部に背負っていた病院施設で核の放射線を浴びていた赤子や子供達を治療していた。

 

「酷いわ......何も罪もないこの子達も、1000年以上前の兵器で焼き尽くすなんて.......」

 

モニカが思っていることを言う。姉のセリカが寝ている子供の頭を撫でる。するとドアが開き、アイカが二人の為に手作りシチューを持ってきてくれた。

 

「温かい内に食べてね♪」

 

「「いただきます♪」」

 

二人はアイカのシチューを食べる。セリカがアイカに言う。

 

「ローゼンブルム王国の民達はどうなっている?」

 

「.....傷は癒えても、心がまだ......」

 

アイカが落ち込むが、まだ話す。

 

「でも、あの人達は泣いていた.......今まで、ノーマに酷いことをしてきたのに、こんなに優しく接して来ることに.......」

 

「皆も....気付き始めてきたんだ......本当の優しさと、ノーマの意識に......」

 

「えぇ、その為にも....この世界をあんな変態野郎から守らないと♪」

 

「「うん!」」

 

三人は決意を胸に、覚悟を決めた直後、外から悲鳴が聞こえた。

 

「「「!?」」」

 

アイカ、セリカ、モニカは外を確認すると、ローゼンブルム王国の民達がマナの光を出そうとしたが、使えなくなっていた。

 

「まさか!?」

 

アイカやガイ、そしてマティス達もマナの光を確かめるが、発動できなかった。

 

「どうなってるの!?」

 

「私達......マナの光が....」

 

アイカ達はマナの光が消えていることに、驚きを隠せなかった。

そしてアウローラの医務室でリィザとエマはベットに寝かされえて点滴を受け、マギーはリィザのドラゴンの特徴を聞いた。

 

「ドラゴンの声はマナに干渉し人間を狂わせる…、だからマナを持たないノーマしか戦えなかったと言う訳か」

 

「そんな事何処に載っていません!」

 

エマはマナで資料をよく探しても見つからず、リィザの事実に驚きを隠せなかった。

 

「はぁ…、この世界は嘘で塗り固められいる。だけどマナを破壊するノーマは…その嘘を全て暴いてしまう」

 

「だから差別され、隔離された?」

 

マギーの問いにリィザは頷いて、再び話を続ける。

 

「人間達に…本能的にノーマを憎む様プログラムを与えて──」

 

「そんじゃ!! ただの操り人形じゃない!!私達!!」

 

っとエマが怒鳴りながらそう言った瞬間マナの端末が急に割れて散り、それにマギーとリィザが慌てて見る。

 

 

そしてアウローラだけではなく、世界中に起き始めていた。

 

 

マナを失った各国は混乱し慌て始め、どうするかパニックを起こしていた。

そして各国の首相達が集まる場所に皆が集まり、世界に付いて話し合った。

 

「始まりましたな。世界の破壊と再生が....」

 

「して...、我々は如何にして新世界に向かえば宜しいのですかな?」

 

「早く脱出しなければ、時空融合に巻き込まれてしまいますわ」

 

各国の首相達は自分達だけ脱出しようとネロスに頼んでいた、しかしネロスは....。

 

「誰がお前たちを連れて行くと言ったかね?」

 

《えっ!?》

 

首相達はネロスが言った言葉に思わず振り向き、ネロスは気にしないまま言い続ける。

 

「新たな世界は賢いイヴ達が作る。出来損ない君達の様なゴミ共は世界を混沌にした責任を取るが良い.....君達には、人類でも何でもない.........君達こそ、真の"化け物"だ......」

 

それに首相達は驚きながら言葉を失くし、そしてマナが消失してその場から徐々に消えていく。

 

「「ね!ネロス様!?」」

 

「我々を見捨てるつもりですか!?」

 

そう言い残して首相達は消えていき、残されたネロスは何にも気にせずに立っていた。するとそこに、デシルが現れる。

 

「やれやれ、ネロスは本当に俺以上に恐ろしい奴だぜ♪」

 

「デシルか」

 

「俺も良い事を思い付いたんだ....♪」

 

するとデシルはネロスの耳元で何かを話す。

 

「ほぉ~、君も相当な悪だな....良かろう♪」

 

「ありがとよ.....俺のマスターよ♪」

 

デシルはネロスに御辞儀し、消えた。

 

 

 

 

 

世界ではマナの光が絶たれた事に大混乱になっていると、一人の男性に異変が起きた。

 

「あれ?」

 

男性の体にマナの光が発動する。

 

「どっなってるんだ!?」

 

「マナの光!?」

 

男性の手からマナの光で斧を生み出した。

 

「何でだ!?何も浮かべていないのに!!?」

 

すると斧を持った手が、マナの光で動く。

 

「て、手が.....勝手に!?」

 

そして上げた手が女性の頭上に振り下ろされた。斧が女性の頭を突き刺し、周りにいた人々が悲鳴を上げる。そして他の人々にも、男性と同じような現象が起きた。側にいたものや、愛するもの、罪もないものを次々と殺していく。

 

《止めてくれーーー!!!!》

 

「お願いだーーーー!!!」

 

「やっと分かった!........俺達が当たり前のように使っていたマナは!!.......平和をもたらす光じゃない!.......俺達を人形の様に使う闇だったんだーーーー!!!」

 

世界中の人々が、マナの正体に気付き始めるが、自分達は操られ、何も出来ない状況で虐殺していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ケルベロスのブリーフィングルームに集められたマサト達は、オルトに問う。

 

「父さん!」

 

「分かっていると思うが......私達は.....マナの光が使えなくなった.......さらに、偵察隊からの情報だ.......ネロスがマナの光で人々を操って、殺し合っているとの報告が入った。」

 

《何だって!!?》

 

マサト達は驚くと、一緒にいたジュライが頭を抱え、不安へ貶められる。

 

「止めろ!........ネロス!」

 

ジュライが怯える中、オルトが話の続きをする。

 

「多分、ネロスが行う世界の破壊と再生が始まったのだろう......」

 

「おいおい!まずいんじゃねえのか!?」

 

オルト言葉にマサトは孤島にいるタスクとアンジュの事を考えるのだった。

 

「(タスク、アンジュ......早く戻って来い)」

 

っとそう願うしかないマサトであった。

 




今のネロス......ドフラミンゴ見たい!


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第46話:守護者

 

エースを探しにいったジョアンヌはアケノミハシラの地下で、血だらけのエースが倒れているのを見つけた。

 

「お父さん!!?」

 

ジョアンヌは急いでエースに駆け寄る。

 

「ジョ....アン..ヌか?」

 

「どうしたの!?」

 

するとジョアンヌはあるものに目が入った。エースの後ろに、肉体が膨れ上がっているジョアンヌの母"アリーシャ"であった。

 

「何なの.....あれ?」

 

「.....お前の母さんだ....」

 

「っ!!?」

 

「ネロスは......最初から、嘘を言っていたんだ........奴は死体を使って、道具の様に扱う.........アリーシャは死体が亡かったから.....私に襲い掛かってきた。」

 

「死体が.....襲う?.....は!」

 

ジョアンヌはマサトの言葉の意味を思い出す。

 

「遺体がなければ、生者を襲う.......」

 

ジョアンヌは自分の甘さが、父に振りかかったことに、決意を決めた。

 

「そう言うことだっだんだ........私達親子は.......あの外道に.....」

 

ジョアンヌはネロスを憎む。

 

「......」

 

「お父さん?」

 

しかし、エースは息をしていなかった。ジョアンヌは泣き、決意を胸に、ディーラとネロスに逆らい、イクスの元へ向かう。

 

「お父さん......ようやく分かったわ.....本当の敵はマサト達じゃなく.......ネロスだって言う事を!!」

 

ジョアンヌはそう言い、格納庫へと走る。

 

 

 

 

 

 

時空融合が開始した頃、まだ何にも影響が及んでいないタスクの無人島では、アンジュは服を抜いでワイシャツに着替えてベットに寝ては居たが、苦しい表情で起き上がる。

 

「み....水....」

 

脱水症状なのか、それとも喉が渇いてしまったのか。テーブルに置いてある水を取ろうとした時に足を滑らせてしまってこけてしまう。

その際に戸棚にある一冊のノートがアンジュの前に落ち、アンジュは起き上がろうとした時にそれを見つける。

 

そしてそのノートを読み上げると、それはタスクが今まで書いてきた日記だった。

 

『モーガンさんが死んだ.....、これで俺は一人になった....。無理だったんだ...ネロスに戦いを挑むなど...世界を壊すなんて。

何をしても一人....孤独に息が苦しそうになる....人は...一人では生きていけない....』

 

日記を読んでいるアンジュはタスクの苦労の日々を感じ取る、あの万能のタスクがここまで弱音を吐いているのは知りもしなかったからだ。アンジュは次のページをめくる。

 

『今日、この孤島にコマンダー・フェニックスと名乗る男の人がやって来た.......彼はあのリベルタスの生き残りで、俺に戦いの基礎を教えてくれた。俺にとって師匠であった。だけど.....それで、何か変われるのか?師匠の行動は、分からない......何でそんなに希望を持とうとするのか、全く分からなかった.....』

 

「タスク…」

 

アンジュはますますタスクの辛い過去を知る中であるページに目が止まる。

 

『今日、島に女の子が流れ着いた…ヴィルキスと共に。名前はアンジュ…とても良い名前で綺麗な子だけどかなり強暴で人の話をまるで聞かない女の子だった。だけどアンジュは…光だ』

 

「!?」

 

アンジュはその事に目を見開いて驚く。

 

『外の世界から差し込んだ…とても暖かく輝く光。父さん…母さん…、やっと見つけたよ…俺』

 

「『彼女を護る…、それが俺の…俺だけの使命』」

 

日記を読み終えたアンジュは手に持っているネックレス見て、そして握り締めながら目に涙があふれ出て来る。

 

「ずっと…ずっと護ってくれてた…なのに私…私は…、タスク…モモカ…!」

 

そしてアンジュの目から涙が落ちて来て、泣き崩れてしまう。

 

タスクに護れていたのをずっと気付かなかったアンジュは後悔していた。

どうしてももっと早く気付いてやれなかったのか、どうしてもっと分かりあえなかったのか。アンジュの心にはその後悔がずっと流れ続けていた。

 

泣き崩れているアンジュは身体を起こして目にある物が映る。

 

それはダイヤモンドローズ騎士団の制服にあった拳銃がアンジュに目に映ったのだ。

アンジュはそれを取り、残弾数を確認してセーフティを解除する。

 

ハンマーを上げて、銃を顎下に構える。

 

「モモカ……タスク...」

 

アンジュは震える手でトリガーに指をかけて、引きがねを引こうとした瞬間頭の中に今までの光景が流れて来る。

 

その際にタスクがアンジュに言った言葉を思い出す。

 

 

君は生きろ!

 

 

タスクの言葉にアンジュは銃をおろし、そして激しく泣き崩れる。

 

「うわああああああああああ~~......!!」

 

 

 

 

 

降り続いていた雨が上がり、夕日が見える浜辺にあるコンテナにアンジュは毛布で包んで座り込んでいた。

 

アンジュは自分で引きがねを引けなかった事に呟く。

 

「不様ね....私、一人じゃ....死ぬことすら出来ないなんて…」

 

そう呟くアンジュは沈んでいく夕日を見る。

 

「.....綺麗」

 

 

君の方が....綺麗だ

 

 

またタスクの言葉を思い出して、目に涙を浮かばせる。

 

「バカ…! どうして私なんか.....?」

 

 

俺はアンジュの騎士だからね

 

 

アンジュはタスクの言葉に頭を上げて、涙を流して夕日を見る。

 

「それで良かったの?貴方は....、使命の為に全てを失っても…。それで望んだのはどんな世界の...?」

 

 

穏やかな日々が来れば良い....ただそう思ってるだけさ

 

必ず戻るから…君の元に

 

 

タスクの最後の言葉を思い出すアンジュ。

自分の騎士である為ならどんな命も投げ出す。そんな事でアンジュはどうしても納得できなかった。

 

「貴方が居なくなったら…何の意味もないじゃない…」

 

その言葉に海の波が打ち消すかのように音をたてる、そしてアンジュはようやく自分の思いを気付くのだった。

 

タスクの事が好きであると....。

 

「好きよ、貴方の事が...うぅ...!」

 

そう言った途端にアンジュはまたしても泣き出してしまう。

 

「こんな事なら....最後までさせてあげれば良かった....!」

 

っとそう言った時だった。

 

「本当に?」

 

「っ!!?」

 

突如タスクの言葉が後ろから聞こえてアンジュは思わず驚き、タスクはアンジュを後ろからそっと優しく抱きしめる。

 

「良かった~アンジュ、無事で♪」

 

「....何で?」

 

アンジュは突然の事に混乱し、タスクはその事に言う。

 

「言ったろう、アンジュの騎士は不死身だって」

 

「タス…ク?」

 

「あぁ♪」

 

アンジュは顔だけを振り向き、タスクを確認して。そしてアンジュは立ち上がってタスクも立ち上がったその時だった。

 

 

パシュ!!!!

 

 

「痛っ!?....えっ?」

 

突然アンジュからビンタを貰ってしまったタスクは思わず唖然としてしまう、アンジュは涙を流しながら言い続ける。

 

「タスクは....死んだわ!」

 

パシュ!!

 

「っぐ!」

 

またしてもアンジュの逆手ビンタがタスクの頬に直撃して、タスクは叩かれた部分を抑える。

 

「これは.....ネロスが見せている幻!!」

 

「えっ!ち!違う!」

 

その事にタスクは慌てながら否定するも、アンジュの行動は止まらない。

 

「あの時のキスも、撃たれた血もないもの!!」

 

「お!俺は生きてるよ! それにレオン達も!」

 

「信じない!!タスク達は死んだの!!!」

 

っとそれには思わずタスクは「ええ~!?」と声を上げるのであった。

 

「信じない....信じないわ!」

 

「....ゴメン」

 

この時タスクは気づいた、アンジュは相当悲しい思いをしたんだと。

タスクは申し訳なさそうにしてアンジュの涙を指でふく、しかしアンジュは何やら決心した表情で顔をあげて、それにはタスクは頭を傾げる。

 

そしてアンジュはタスクの服を掴んで強引に倒す。

 

「えっ?うわっ!!」

 

強引に押し倒されたタスクはアンジュに防弾ベストと上着を脱がされる。

 

「あ、アンジュ....何を?」

 

「確かめるわ....ちゃんと!」

 

っとアンジュは自分のワイシャツを脱いで、裸になった状態になり。

それにはタスクは頬を赤くする。

 

「た....確かめるって?」

 

するとアンジュはタスクに寄り添い、キスをする。

 

「っ~~~!?!?」

 

「黙ってて、お願い....」

 

アンジュの必死の頼みに、タスクは思わず黙り込んでしまい、またアンジュはタスクを押し倒してキスをするのであった。

 

 

 

 

 

 

その頃アウローラのブリッジでは....

 

『聞こえますか?こちらエルシャ』

 

っとエルシャからの通信が聞こえて、ブリッジのパメラ達はメイン画面に映し出される映像を見る。

 

それは白旗替わりに白ブラを旗にしているエルシャのレイジアとジョアンヌのイクスが飛行していた。

 

「し!白ブラ!?」

 

「違うわ、白旗よ」

 

オリビエが言ったのをパメラが訂正する。

エルシャはアウローラだけではなく、全周波数で皆につなげて話す。

 

「こちらエルシャ、投降します」

 

「同じく、ジョアンヌも投稿する」

 

その放送はインフィニティに居るマサト達の耳にも入る。

 

「エルシャとジョアンヌが!?」

 

「どうしてあいつ等が.....?」

 

アイカとニコラスがそう言っているとマサトが言う。

 

「答えは簡単......ネロスの本性に気付いたんだろう」

 

っとマサト達はエルシャとジョアンヌをインフィニティへと向かい入れた。

 

 

一方でタスクとアンジュは互いを満足した後に夜空を見上げていた。

 

「綺麗ね....」

 

「ああ、あの時よりずっとね」

 

そうタスクは話し互いに手を握る、アンジュはある事を言う。

 

「私ね....さっき死のうとしていたの」

 

「えっ?!」

 

「人は...一人じゃ生きていけない....」

 

っと聞かれたタスクはそれに恥ずかしそうに照れてしまう。

 

「日記....見たんだ」

 

「ええ、何にも出来ないのね一人って、話し合う事も…抱き合う事も」

 

そう言ってアンジュはタスクの方を見る。

 

「でも今でも信じられなかった。まさかマサトが助けただなんて、本当に死んだかと思って」

 

「俺もだよ....本当に」

 

タスクはアンジュの言葉に頷く様に手を握る、そしてアンジュは上半身だけ起こしてタスクに互いに愛し合った事を聞く。

 

「ねえタスク…、満足した?」

 

「え....、もう....思い残す事ないかも」

 

「駄目よタスク、これからなのに....♪」

 

っとアンジュがそう言った言葉にタスクは思わず苦笑いするしかなかった。

すると朝日が二人に指し光、それに二人は起き上がる。

 

「不思議....、何もかものが新しく輝いて見える」

 

「うん...」

 

そう朝日を見る二人、アンジュは気にしている事をタスクに言う。

 

「私ね…あの変態ストーカー男に言われたの。全てを壊して新しく作ろうって」

 

「えっ....」

 

タスクはそれに言葉を詰まらせるもアンジュが言い続ける。

 

「でも私....この世界好き、どんなにみじめで愚かでも...こんな世界が」

 

「俺もだ、何時までも....。」

 

「私の....騎士だから?」

 

「好きだからだよ♪」

 

「うん、護ろう…それにモモカが護ってくれたこの命、無駄にしない為にも」

 

「......あっ!!」

 

タスクはしまったと言う表情になって焦り、それにアンジュはタスクを見る。

そしてタスクとアンジュは服に着替えて、アンジュを連れて洞窟に戻ると....。

 

「お待ちしておりました~!」

 

そこにはモモカが朝食の準備をしていた事に、タスクは少々気まずかった。何せ忘れていたから。

 

アンジュはモモカが生きている事に唖然として、タスクに問う。

 

「な、何でモモカが....?」

 

「このフライパンのお蔭です!」

 

っとモモカはエンブリヲが撃った弾が止まっているフライパンをアンジュに見せる、そしてアンジュはしばらく唖然として笑い出してモモカに抱き付く。

 

「流石、私の筆頭侍女ね!」

 

「はい...アンジュリーゼ様...あっ!」

 

するとモモカは何やら思い出した表情をしてすぐ様タスクとアンジュに言う。

 

「大変です姫様、私マナが使えなくなっちゃんたんです!」

 

「「えっ!?」」

 

そう言っていると天候が急激に変化して、タスク達は海の方へと向かう。

それにモモカは思わずつぶやく。

 

「あれは....?」

 

その中でアンジュはその光景を見て言う。

 

「始めたのね.....ネロス、世界の破壊と再生を....」

 

タスクはアンジュにタスクの母が使っていたライダースーツを渡す。

そしてタスクもコンバットスーツへに着替え、準備が出来た所にアンジュに問う。

 

「行こう、アンジュ.....先ずはヴィルキスが」

 

「その必要はないわ♪」

 

「え?」

 

アンジュは指輪にキスした後に叫ぶ。

 

「おいで!ヴィルキス!!」

 

アンジュが指輪を上げた瞬間、ヴィルキスが青色に変化して次元跳躍する。

 

「うわっ!?」

 

タスクは驚くと、アンジュは言う。

 

「それじゃタスク!マサト達の元に行きましょう!」

 

タスクはそれに頷いく。

モモカは自動操縦となって居る小型挺のコンテナに乗せ、タスクとは小型挺とヴィルキスに乗り込んでマサト達の所へと戻って行った。

 



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第47話:ラストリベルタス(前編)

各地で時空融合が開始して、各地に甚大な被害が及んでいた。

それにはサラ達の世界も影響が及んでおり、アウラの民達は宮殿へと避難をしていたが、時空融合の嵐が宮殿にまで迫っていた。

 

ミスルギ皇国に居るネロスは大きな地図の上に人形を置いて、位置を動かしながら皆の行動を見ていた。

 

女神の人形を動かして、無数の船の方に動かし、それにネロスは笑みを浮かばせていた。

 

そしてインフィニティのブリーフィングルーム、マサト達はその様子を映像で見ていた。

ニコラスとリクトは思わず拳を握る。

 

「クソ!何でもかんでも作り直してやがる!」

 

「このままだと、本当に世界が......」

 

「ネロス....嫌、桐山の野望を打ち砕いてやる!」

 

マサトは左の義手で拳を握る。

 

「おいマサト!まだアンジュが戻ってないんだぞ! 先走るのは早いぞ!」

 

ヒルダはまだ戻らぬアンジュの事で怒鳴り、それにマサトは言う。

 

「心配ないさ。アンジュはタスクと一緒に戻って来るよ」

 

っとマサトがヒルダにそう言った時だった。

 

『...ちら...ジュ、応答せよ!』

 

《?!》

 

「な、♪」

 

海面上に低空飛行で飛んでいるタスク達がインフィニティに通信を入れていた。

 

『アウローラ!インフィニティ!返事しなさい!』

 

相変わらずの怒鳴りに通信を聞いていたレオン達は呆れてしまい、オルト達はインフィニティとアウローラを浮上させる。

浮上して来たインフィニティとアウローラを見て、タスクとアンジュはモモカを連れてインフィニティへと入って行った。

 

収納された三人は格納庫で待っているレオン達に向かい入れられる。

 

「「アンジュ!!」」

 

「お帰り!!」

 

すぐさまヒルダ達がアンジュの元に行き、アンジュは笑顔でヒルダ達に言う。

 

「ただいま皆、遅くなっちゃってゴメン」

 

「たくっ!何処ほつき歩いてたんだ!てめぇはよ!」

 

ロザリーが相変わらずの意地悪風な言い方でアンジュは安心し、マサト達はタスクに近寄る。

 

「待ってたぜタスク。随分と遅い帰投だったな、何があったんだ?」

 

「あはは....、ちょっと、色々あってね」

 

タスクは苦笑いをしながらマサト達に言う。

するとエマがやって来てモモカの姿を見て安心した。

 

「モモカさん!無事だったのね!」

 

「監察官さん! あっ...お酒やめられたのですね?」

 

モモカはその事をエマに言い。エマは目線を反らすも何とも情けない表情で言う。

 

「飲んでいる場合じゃないわ....、私もリベルタスに参加します!!知ってしまったもの....人間とマナの真実を!」

 

するとアンジュが格納庫にエルシャのレイジアとジョアンヌのイクスが収納されている事に驚く。

 

「あれって!?」

 

「ああ、エルシャ達が戻ってきたんだ。そしてジョアンヌもようやくネロスの本性に気付いたらしいんだ.....だけど、」

 

「だけど?」

 

 

 

アンジュが戻る半日前、牢屋に入っているエルシャとジョアンヌの所に、ガイとマサトが来た。エルシャの話を聞くと、ネロスが幼年部の子供達を利用されたことに、それで目が覚め、自分が子供を護る事しか何もない、浅くて薄くて...ちょろい女だって言う事に.....。しかし、ガイはエルシャはそんな女性じゃないと、おっとりしていて、いつも子供や皆を護ろうとした。そして何時だってアンジュの友達でいてくれたことを.....だから、エルシャは浅くも薄くも、ちょろくもない綺麗な女性と......。ガイの言葉にエルシャは大泣きしたが、本人は嬉しかったと......。問題は、ジョアンヌの方であった.......彼女の父であるエース...『アシュフォード』は.....ジョアンヌの母であるアリーシャを生き返らせたが、遺体もなく、他の人の体を生け贄にして生き返らせた死者は生者に襲い掛かる。そのアリーシャがエースに襲い掛かり、ジョアンヌにネロスの本性を伝えたと.......

 

「そう二人が....」

 

「あぁ、ジョアンヌもエルシャも.....一緒に戦ってくれると.....」

 

達に説明によりアンジュは納得する。

 

「何も知らないのは貴女だけですよ?」

 

っとそこにサラ達がマサト達の元にやって来て、それにアンジュは振り向く。

 

「サラ子!」

 

「アウラの民とノーマ、そしてハデス、鬼の民、貴族連合に反ディーラ派である者達が集い、今こそ立ち上がる時です」

 

「フッ。そうね」

 

そう笑みを浮かばせてサラと握手をするアンジュ。

っとアンジュはサラ達の後ろに居るリィザを見て、リィザは少しばかり目線を反らす。

 

「....モモカから聞いたわ、居場所を教えてくれたですってね。忙しくなるわよ?あの男を抹殺しなきゃいけないんだから!」

 

アンジュが言った言葉にリィザは振り向く、謝罪の言葉は後回しで良いと言う事に....。

 

「アンジュリーゼ....様」

 

聞いたマサト達とサラ達は笑みを浮かばせ、モモカは笑顔で微笑む。アンジュはマサト達やサラ達の中にアレクトラがいないことに気付く。

 

「あれ?....司令は?」

 

「司令なら.....」

 

マサトはアンジュにアレクトラの事を話した。

 

 

 

 

 

事実を知ったアンジュはアレクトラを謹慎している司令室に入る。

 

「良く帰ってこれたな....」

 

「えぇ、皆のおかげよ.....」

 

「んで、私を笑いに来たのか?」

 

アレクトラはそう言うが、アンジュは、

 

「聞いたわよ、マサトから.....ネロスの手込めにされていたそうだね」

 

「っ.....」

 

「ま、貴女みたいなお馬鹿な人は、漬け込まれるからね」

 

「喧嘩を売りに来たのか?」

 

「聞きたいことがあるのよ......ネロス....桐山 次郎の殺し方を教えて」

 

「何?」

 

「アイツは1100年も生きて、死ぬ度に多重存在と入れ代わる......タスクやマサトが言っていたわ.......貴女、言ったわよね...ヴィルキスじゃなければ殺せないって....」

 

アンジュの問いに、アレクトラは返答する。

 

「.....その不確定世界の何処かに、奴の本体があるんだ...」

 

「そう、それで?これから貴女はどうするの?」

 

「......私はもう、司令官の任を剥奪されたよ」

 

アレクトラの言葉に、アンジュが怒鳴り、アレクトラの胸ぐらを掴む。

 

「腑抜けた事を言ってるんじゃないわよ!貴女の勝手な復讐のせいで、何れだけの死人が出たと思っているの!!?」

 

「フンッ!私に何が出来ると言うのだ.....革命にも失敗したこの私に....」

 

 

パシュッ!!

 

 

アンジュはアレクトラの頬を平手打ちし、あることを言う。

 

「私を助けてくれたの.......サリアよ」

 

「何?」

 

「.....哀れだったわ......貴女を忘れようと、あの堕天使に漬け込まれちゃってるわ......責任...ないとは言わせないわ........アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ....」

 

アンジュはそう言い、司令室から出ていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、格納庫では、決戦に備えて、準備がチャクチャクと進められていた。

 

「良し!最後に電磁パルスを起動すれば完成だ!」

 

ハデス兵士や整備上達がマサトが過去から持って帰ってきたデータを元に、秘密兵器が完成しようとしていた。それを見ていたマサト達は見物していた。

 

「ほぇ~!これが対モビルアーマー殲滅兵器か.....」

 

「そう、奴等は恐らく.....女王蟻の命を受けているように様になっている」

 

「女王蟻?」

 

「プルーマとバグ、ピレスドロイドは恐らく.....随伴機だと思う」

 

「え!?それってつまり、アイツ等はモビルアーマーを護るための飾り物って言うのか!?」

 

「あぁ、多分....随伴機を突き動かしている母体があると思う.......それで、これを使うのさ♪」

 

「その兵器は.....一体何を出すんだ?」

 

「......超短波だ♪超短波で、奴等の動きと連携を乱し、激しくぶつかり合う......そうすれば、それを危機に母体が姿を現す。そして母体を破壊すれば、」

 

《随伴機が動けなくなる!》

 

「そう.....そうなってしまえば、切り札であるモビルアーマーは使えない、ゲームオーバーさ♪」

 

「ほぉ~....面白いことを考えるなぁ」

 

マサト達の所に、回復が順調中のジュライが車椅子に乗って現れた。

 

「ジュライ陛下」

 

「モビルアーマーの女王蟻を殲滅か.......流石、ユリウスとイリスの息子さんだ♪」

 

「え!?父さんと母さんを知っているのですか!?」

 

「知っているとも.....彼等は良き友であった.....」

 

「知らなかった.....本当の父さんと母さんにはアンジュのお父さんと知り合いだったなんて....」

 

「ソフィアもな♪」

 

ジュライとマサトが話し合っていると、

 

「お父様!?」

 

マサト達の所に、アンジュが現れた。アンジュは処刑され、死んだと思われた父を見て、驚く。

 

「何で.....ここに!?」

 

「.....アンジュ」

 

するとアンジュの目に涙が溢れる。ずっと死んだと思われた実の父親と....やっと再会出来た事に。

 

「お父様!」

 

そしてアンジュはジュライの膝の上で泣き崩れ、ジュライも我が子を抱きしめ、泣く。

 

「生きていたんだね!お父様!」

 

「あぁ!....ずっとお前の事を心配していた!貴族連合の者達が....ネロスによって幽閉されていた私を助けてくれたんだ!」

 

アンジュと父 ジュライの再会に、涙を流す者達もいた。

 



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第48話:ラストリベルタス(中編)

 

決戦の準備が進められる中、マティス達はマサトやナオミと同じパイロットスーツに着替えた。そしてアストラに新たな機体が託された。

 

「親父!これは!?」

 

「そう、ロバートがお前の為に開発した最強の不死鳥......『マスターフェニックス』だ」

 

その機体は前のフェニックスと違い、深紅で染まっており、背部のバインダーに装着された実体剣『クロスバインダーソード』が2本も装備されていた。

 

「マスターフェニックス.....」

 

「それと.....」

 

オルトが渡したのは、不死鳥をモチーフとしたパイロットスーツであった。

 

「ロバートがこれを....お前に託すと...」

 

「(騎士団長......)........分かった」

 

アストラは決意し、不死鳥のパイロットスーツを着用し、コマンダー・フェニックスからコード:【フェニックス】と名乗った。そしてマサトはレオスとエクセリアが収納されているGコンドルに乗り込もうとすると、アンジュが来た。

 

「マサト!」

 

「ん?」

 

アンジュがそれをマサトへ投げ、マサトはそれをキャッチする。

 

「これって!?」

 

それは、アンジュと同じ指輪をしたもう一つの指輪"アレクトラの指輪"であった。

 

「それ.....エースが預かっていたのよ......マサトの為に....」

 

「......エースが?」

 

「あの人.....何でその指輪を持っていたのかは分からなかったわ.......けど、マサトの為って.....」

 

「.....分かった」

 

マサトはそう言い、Gコンドルに乗り込む。既に前部座席にナオミが座っており、システムチェックとハロを撫でていた。マサトはアンジュから貰ったアレクトラの指輪を中指にはめる。

 

「ピッタリだ......」

 

「どうしたの?」

 

前部座席に座っているナオミが問う。

 

「ん?嫌♪」

 

マサトは指輪を隠し、ナオミはキョトンする。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして決戦の時、パメラが海面にいる敵艦隊を補足し、報告する。アウローラの指揮権がマサトになり、アンジュは皆に宣伝する。

 

「皆…聞こえるか、総司令のマサトだ。俺達はこれからミスルギに突入しアケノミハシラに向かい、時空融合を停止させる。ネロスが創り出す勝手すぎる世界など一体誰が想像するか? ただ自分の想像する世界なんて、そんなの願い下げだ。

それに世界は....誰かが導かなきゃ幸福にはなれないって誰が決めた? 誰も決めていない...自分達の未来は自分達で見つけて歩まなければならない、ノーマやアウラの民に古の民、そしてネロスの世界を拒絶し共に戦ってくれているハデスと貴族連合に鬼の民の皆、それに何よりネロスから自ら離れ戦ってくれる反ディーラ派。スゲェよ!お前達は....。

ネロス...嫌、桐山 次郎から世界を護る為に今こそ、立ち上がる時が来た! 作戦名は....『ラスト・リベルタス』!天使が作った世界は俺達で壊す! 皆で共に戦い!生きて帰ろう!未来へと歩むために!」

 

《おおお!!!!》

 

マサトの宣伝に皆は賛同するかのように声をあげて、アンジュは通信回線をマサトに繋ぐ。

 

「結構いい言葉じゃない、上の立場の事。理解してるじゃない」

 

「指導者であった父さんと同じ様な事をしただけさ.....それに、一応俺はトリスタン連邦の皇子だからな♪」

 

 

 

 

 

 

 

そして海面上、ミスルギ艦隊の船がミサイルを発射し、インフィニティ達へ向かわせるように放つ。

それにインフィニティのブリッジで、オペレーターがレーダーにミサイルを確認する。

 

「敵艦隊よりミサイルの発射を確認!数多数!!」

 

艦長席に座るオルトがすぐに指示を出す。

 

「迎撃態勢!!対空パルスレーザー砲を起動せよ!敵のミサイルをノアへ一歩も通すな!」

 

ケルベロスの船体から対空パルスレーザー砲が出て来て、貴族連合艦隊と共に接近してくるミサイルを迎撃していく。ミサイルが撃破すると、アウローラが前に出る。アウローラのブリッジに元司令官であるジャスミンが指示をする。

 

「ハデスと貴族連合に遅れを取るなよ!全弾発射!」

 

「了解!全弾発射!」

 

エルシャがアウローラの駆逐システムを起動する。アウローラの船体のハッチが開き、ミサイルが発射され、次々とミスルギ皇国艦隊を撃沈していく。

 

「これより全艦隊はアケノミハシラへ進軍する!」

 

貴族連合移民艦ノアのブリッジでジュライが指揮し、貴族連合やハデス、鬼刃、アウローラが浮上すると、ケルベロスを先頭にインフィニティ、アウローラ、鬼刃、ノア、貴族連合艦隊が空中へと舞い上がり、ミスルギ皇国へと向かう。

 

その様子をミスルギ皇国に居るネロス、そしてデシルとスペードとゼノビア、ダイヤモンドローズ騎士団が大きな地図の上で自らの艦隊が全滅したの確認してネロスが目線を送る。

 

「強行突破か.....無意味な事を♪」

 

ネロスが駒を彼方此方にばら撒く。

 

 

それと同時にアケノミハシラからモビルアーマーとピレスロイドが無数に動き出して、向かって来るケルベロス達の元に向かう。

 

無論ケルベロスのオペレーターがレーダーでそれを感知する。

 

「ミスルギ皇国よりモビルアーマーを多数確認!!こちらに向かってきます!!」

 

それを聞いたオルトは厳しい表情をしながら無人兵器を睨む。

 

「来たか....厄災の天使達め!」

 

『父さん!俺とナオミを先頭に出して!あれを使う!』

 

「分かった!アストラ!聞いての通りだ!マサトがあれを使うぞ!」

 

『分かった!』

 

オルトはアストラに通信を終えると、インフィニティのカタパルトからレオスとエクセリアの収納しているGコンドルが出てきた。Gコンドルの左右に対モビルアーマー殲滅兵器『デュランダル』を装備していた。

 

「ナオミ!何の曲を選んだ?」

 

「あの叫び声!」

 

ナオミが準備すると同時に、オルト達は、鼓膜が破れないよう防音のヘッドフォンを着ける。

マサトとナオミの矢先に、モビルアーマーの大群が大波の様に押し寄せてくる。そしてモビルアーマーの大群が後、数十メートル近付くと、マサトはナオミに言う。

 

 

 

「60メガヘルツの爆音で、奴等の鼓膜を破ってやれ!」

 

 

 

ナオミがデュランダルを起動すると、デュランダルのスピーカーから激しい爆音と叫び声がミスルギ皇国全体に響き渡る。防音ヘッドフォンでちょっとだけ聞こえており、マサトはノリノリでナオミに言う。

 

「"SATUGI".....悪魔に相応しい曲だ♪ 」

 

マサト達にとってヘビーメタル曲でもあるが、モビルアーマーにとって、うるさくて気が散る爆音であり、プルーマやバグ、ピレスドロイドの通信が妨害され、連鎖反応でモビルアーマー同士ぶつかり合い、爆発していく。大波の様にモビルアーマーやピレスドロイドが撃破されていき、ミスルギ皇国の街へ火を吹きながら墜ちていく。それを見ていたネロスが驚く。

 

「ば...馬鹿な...!?」

 

数分も経たない内にマサト達の元に向かっていたモビルアーマーが全滅し、残っているのはディーラ艦隊であった。

 

「マサト!来たよ!」

 

「パラメイル隊!モビルスーツ隊!全機出撃!!」

 

各自発進体制へと入り、最初にインフィニティやケルベロス、貴族連合艦隊のカタパルトデッキが開く。タスクが乗っているのはアストラから受け継いだフェニックスガンダムがカタパルトから射出され、それに続き、マティス達やジョアンヌも出撃した。アウローラからアンジュ達が発進し、ディーラ艦隊とモビルスーツを相手していく。貴族連合艦隊もレギンレイズ、グレイズ、グレイズリッターが発進され、アルバレアのキマリスヴィダールも領邦兵と共にオルガノスと殲滅機を撃破していく。

 

ミスルギ皇国では、ヴィルキスの登場にネロスは目を細める。

 

「アンジュ....」

 

ネロスは笑みを浮かばし、ダイアモンドローズ騎士団に命令する。

 

「僕達も出ようとしようではないか!」

 

《イエス!マスター!》

 

サリア達は敬礼をし、皆はラグナメイルの元へ向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アケノミハシラ、間もなく射程圏内に入ります」

 

ヒカルの報告を受け、ジャスミンはエルシャに命令する。

 

「冷製砲!エネルギー充填!発射準備!」

 

「了解!冷製砲発射準備!」

 

アウローラの底部に装備されている絶対零度兵器"N式冷製砲"が展開されて、アケノミハシラに照準を合わせる。それを見ていたアストラも秘密兵器を出す。

 

「なら、こちらも用意するか......シア!特装攻城砲の用意!」

 

「かしこまりました」

 

インフィニティの先端部に装備されている"H式特装攻城砲"が展開され、アウローラと共にアケノミハシラに照準を会わせると、インフィニティのオペレーターがすぐさま報告する。

 

「アケノミハシラ付近に複数の飛行物体を確認!」

 

アケノミハシラにモニターを向けると、そこにはネロスのラグナメイル【ヒステリカ】、ゼノビアのシャンブロ、スペードのディザスター、デシルのガンダムメフィストとダイヤモンドローズ騎士団がアケノミハシラに待ち構えていた。

 

「ネロス...!」

 

アストラはネロス達を見て睨む。

ネロスは笑みを浮かばせながらインフィニティ達を見る。

 

「沈みたまえ....古き世界と共に!」

 

するとネロスは永遠語りを歌い出し、それに戦っているマサト達はその歌を聞く。

 

「この歌は!!?」

 

ネロスが歌のを聞いたジェームズはすぐに気づく。

 

「なるほどな、狙いはインフィニティ達か。エネルギー充填は?」

 

「まもなく82%です!」

 

そうアストラに報告するシア。

しかしその前にネロスの歌が終え、ヒステリカから光学兵器『ディスコード・フェイザー』が発射される。

 

っがインフィニティ達の前にアンジュのヴィルキスが現れて、機体が金のボディへと変化し、ディスコード・フェイザーを発射し、ネロスのディスコード・フェザーを消し飛び、そのまま直進して行く。

 

ネロスのディスコード・フェザーを消したのを確認したジャスミンはアンジュのヴィルキスを見る。

 

「アンジュかい!?」

 

「エネルギー充填!98%!」

 

それを聞いたジャスミンはその様子をチャンスと見てすぐさま言う。そしてアストラもエネルギー充填が100%達し、ジャスミンと共に言う。

 

「"N式冷製砲"【アブソリュート・ゼロ】射てぇ!!」

 

「"H式特装攻城砲"【フォトンブラスター】発射!!」

 

「N式冷製砲!射ちます!」

 

「H式特装攻城砲!発射します!」

 

ジャスミンとアストラの命令と同時にエルシャとシアが同時にトリガーを引き、アブソリュート・ゼロとフォトンブラスターが放たれた。二つの極大のビームがディーラ艦隊やモビルスーツを凍り付かせたり、焼き付くし、二つの極大のビームは螺旋状に回転し始め、アケノミハシラに直撃した。アブソリュート・ゼロの凍てつく絶対零度とフォトンブラスターの焼き尽くすハイメガ粒子が合わさり、アケノミハシラにはあたりを爆発させて崩れて倒れて行く。

そして倒れたアケノミハシラの中に大きなシャフトが見えた。

 

それを見たアウローラに居るリィザが皆に通信を入れて言う。

 

「あれがアウラへ続くメインシャフトです!!」

 

リィザの通信を聞いたマサトはそれに頷いて皆に言う。

 

「よし!ココとミランダ!メアリーとマリカとノンナは残ってインフィニティ達を護れ!! 残りは俺に続け!!!ネロスの首を取れ!」

 

マサトを先頭にしてタスク達がアケノミハシラに向かう、が残りのディーラ艦隊がアウローラとインフィニティ、に襲い掛かる。それを見ていたヴィヴィアンとメリーとアイカ、ガイが慌てて引き返す。

 

 

 

 

 

 

 

ネロスはアウローラとインフィニティのアブソリュート・ゼロとフォトンブラスターを見て、呟く。

 

「いつの間にあんな物を.....」

 

っとクリスが言ったの聞いて前を見る。

するとマサト達がそのままやって来て、それにネロスは皆に命令する。

 

「諸君!迎撃を♪」

 

《イエス!マスター!》

 

デシル、スペード、ゼノビア、ダイアモンドローズ騎士団達が次々とマサトへ向かっていく。そしてエンブリヲはサリアに言う。

 

「サリア、分かっているね?」

 

「...はい」

 

そう言ってサリアは向かって行った。

するとネロスは破壊されたアケノミハシラを見る。

 

「さて、そろそろ『女王蟻』を起こすか♪」

 

 

 

 

 

 

そしてマサト達の前にディーラ三幹部とダイアモンドローズ騎士団達が立ち塞がる。デシルはメフィストビットを展開する。

 

「殺れぇ!ビット!!」

 

無数のビットが一斉射出されるが、パトリックがシールドビットを展開する。マティスもGNバズーカⅡを二丁で持ち、ガンダムメフィスト目掛けて射つ。しかし、

 

「無駄無駄!」

 

デシルはXラウンダーを発動させ、マティスの攻撃の軌道を予測し、回避する。

 

「当たらない!?この距離で!?」

 

エルマが驚いている一方、ゼノビアのシャンブロを相手に、セリカ、ニコラス、リクトは苦戦していた。シャンブロのサイコミュ・システムがあらゆるビームを吸収・無効化されてしまう。

 

 

 

 

 

そしてヒルダにロザリーは低空飛行で飛んでいると、クリスのテオドーラがビームライフルを撃ってやって来る。

 

「あんた達、また来たの?」

 

クリスはビームライフルを構える。ヒルダとロザリーは駆逐形態へと変型し、クリスに攻撃する。

 

「クリス!」

 

 

 

 

一方でアケノミハシラに向かっているマサト達、そこにヒステリカがマサト達の前にやって来る。

 

「お帰り、アンジュ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

マサト達はヒステリカに乗るネロスを見る。

 

「やはり私達は再会する運命だったんだ♪」

 

「ネロス....!」

 

アンジュがネロスを睨んでいると。タスクのフェニックスが前に出る。

 

「行け!アンジュ!アウラの元に!」

 

「分かったわ!」

 

「俺も行くぞ!マサト!」

 

「私も!」

 

マサトやナオミ、そしてジョアンヌもネロスを相手する。

 

「おや、おや、おや?ジョアンヌ....折角お母さんを生き返らせてあげたのに.....どうしてそんな愚か者達に味方するのかな~?」

 

「五月蝿い!!お父さんを殺して....何が生き返らせてあげるだ!!」

 

「やれやれ...これだから猿は♪」

 

するとヒステリカの頭上に何かが降りてきた。それは巨大なガンダムの頭部になっているモビルアーマーであった。

 

「何だあれは!!?」

 

そしてヒステリカがそのモビルアーマーの中へ収納されると、音声が鳴る。。

 

『極限殲滅形態 ディストピア・フェイズ!!』

 

「「「!!?」」」

 

『そう!....このディストピア・フェイズは....その双極の悪魔と同じ.......ガンダムなのだからなぁ!!』

 

それと同時に、アケノミハシラの周囲にある森林が揺れる。

 

「何だ!?」

 

「大門寺 真人!お前が探しているモビルアーマーの女王蟻を......見せてやろうではないか!!」

 

すると地面から巨大な脚部が現れ、合計4つの脚部ユニットがアケノミハシラ中央としていた。そして後から約630メートルもある超硬ビームワイヤーブレードが出てくる。

アケノミハシラが段々と上がっていき、地中から現れたのは全長約800メートルもあり、ドラゴンの様な頭部が出てくる。それは全てのモビルアーマーを指揮することが出来るモビルアーマー『巨大要塞型モビルアーマー"ゾロアスター"』であり、ディーラの本拠地でもあった。

 

「デ!デカッ!!?」

 

「巨大な....亀!?」

 

ガァァァァァァァァァァァッ!!』

 

《ッ!!》

 

ゾロアスターが装甲と装甲をぶつけ合い、吼える。そしてネロスが乗っているディストピア・フェイズがゾロアスターの頭部と連結し、合体すると、ゾロアスターの装甲が黒紫になり、紫の発光を輝かせる。

 

「合体しやがった!!」

 

するとゾロアスターの口内から高出力プラズマビーム砲が放たれる。

 

「まずい!」

 

マサトが急いで艦隊の前へ向かい、起動防盾をスライドさせ、最大出力の次元バリアを展開した。プラズマビームが次元バリアによって吸収・分解させるが起動防盾がプラズマビームで赤くなっていく。

 

「嘘だろ!?起動防盾が融解されている!?」

 

アウローラやインフィニティ、ケルベロス、鬼刃、貴族連合艦隊は何とかゾロアスターのプラズマビームを回避する。そしてプラズマビームの膨大な光熱が海を裂いた。領邦兵士やハデス兵士が驚く。そしてオルトがゾロアスターが放ったビームを見て、思い出す。

 

「何なんだ今のは!?」

 

「【プラズマビーム兵器】だ!!」

 

「何だそれ!?」

 

 

【プラズマビーム】

 

非常に高い威力、射程、照射時間を誇るビーム兵器。複数の攻撃対象を貫通するビームと、荷電粒子を活性化させた超高温のビームの2種類を放つ事ができる。次元バリアの起動防盾やナノラミネートアーマーを融解や溶接することも可能。

 

「何だそのチートな武器!?」

 

「あの時のビーム....そしてあの唸り声.....間違いない!奴が...ヤツがトリスタン連邦の文明や大陸を滅ぼしたモビルアーマーだ!!」

 

オルトの言葉にマサト達が驚く。

 

《何だって!!?》

 

するとゾロアスターの脚部の底部から大出力の炎が吹くと、それを前の方へ動かしながら歩く。

 

「あの巨体が歩いている!?何とも....恐ろしい天使だ!」

 

「感心している場合じゃありませんよ!!」

 

感心しているジュライにアルバーンが怒る。

 

「そうであった!あれを何とかしなければ!」

 

貴族連合艦隊のカタパルトからダインスレイヴ搭載のレールガン部隊が出てきた。

 

「ダインスレイヴ!用意!」

 

グレイズ隊がダインスレイヴを搭載しているレールガンをゾロアスターに向ける。

 

「ダインスレイヴ!射てぇ!!」

 

レールガンから特殊弾頭【ダインスレイヴ】が放たれた。ダインスレイヴは一気にディーラ艦隊に直撃し、撃沈していく。そして残りのダインスレイヴがゾロアスターへ向かっていった。

 

「決まった!」

 

誰もが喜んだ直後に起こった。ダインスレイヴの弾頭先端がゾロアスターの装甲を貫くと思いきや、弾頭先端が潰れた。

 

「何っ!?」

 

ナノラミネートアーマーをも貫くとされているダインスレイヴがあっさりと潰されたことに、七大名門達は驚きを隠せなかった。

 

「何故だ?.....何故、ダインスレイヴが効かないんだ?」

 

ジュライは呟くと、ネロスが通信に入り込み、説明する。

 

「何をしようとしても無駄だよ♪このゾロアスターこそディーラ最大の城壁!どんな光学兵器や物理兵器も全てを超越している!」

 

そしてゾロアスターの背部に搭載されている旋回砲塔【ケラヴノス】の砲口からビームが放たれる。さらにゾロアスターに近付けさせないようにゾロアスターの脚部や腹部からピレスドロイドが出てきた。それを見ていたマサトは舌打ちする。

 

「チッ!動く工場かよ!アイツは!」

 

マサトはそう言うと、ブレードビットを持ち、ゾロアスターへ向かっていく。

 

「「「「マサト!」」」」

 

ナオミ、ジョアンヌ、アンジュ、タスクがマサトを止めようとすると、ゾロアスターの頭部と合体していたディストピア・フェイズが現れる。

 

「フフフ♪」

 

「「「「ネロス!」」」」

 

するとタスクはフェザーファンネルを展開し、迎撃する。

 

「アンジュ!」

 

「分かったわ!」

 

アンジュは急いでアウラに続くメイシャフト.....ゾロアスターの背部へ向かう。

 

「全く!無駄な事をするよ!世界の破壊はもう止められない!」

 

「止めて見せる!」

 

「あぁ!そうだ!」

 

タスクとジョアンヌは同時にビームサーベルを抜刀し、ネロスに攻撃するが、ネロスはスフィアビットで応戦する。

 

 

 

 

 

 

 

一方、サラは先にアウラに続くメイシャフトを降りていると、下から大量のピレスドロイドが向かってきて、サラが

バスターランチャーを構える。

 

 

 

その頃、スペードは次々とグレイズやレギンレイズを破壊していく。

 

「貴族連合が....不甲斐ない」

 

「スペード!!」

 

「っ!?」

 

スペードは振り向くと、上空からアストラの新たな機体『マスターフェニックス』がバインダーからクロスバインダーソードを抜刀し、斬り掛かった。スペードは回避し、アストラを睨み、アストラも回避したスペードを睨み付ける。

 

「アストラ!!」

 

「スペード!!」

 

黒いビームサーベルとクロスバインダーソードの刃がぶつかり合う中、ゾロアスターを動かしているダイヤが此方に向かってくるレオスとヴィルキスを睨む。

 

「愚かな者達が!!」

 

ガァァァァァァァァァァァッ!!』

 

ゾロアスターが咆哮を上げると、マサトがアンジュに言う。

 

「ここは俺に任せろ!」

 

「マサトは!?」

 

「コイツを使う!!"HADES"!!」

 

 

  

       【HADES】!

  (Hyper Animosity Detect Estimate System)  

ウィィィィィィィン!!!!ボ バ バ バ バ ババ バ!!!

 

 

システム音と共に、レオスの頭部カメラが赤く変色し、ゾロアスターへ向かっていく。その時、アンジュの元にサリアが乗るクレオパトラが立ち塞がる。

 

「待っていたわ....アンジュ!」

 

「サリア...!」

 

アンジュはサリアと対立して向かう。マサトはHADES発動させ、ゾロアスターの左脚を登っていく。

 

「小賢しい!!」

 

ゾロアスターの頬部にたくさん装備されている対空ビームバルカン砲25台を一斉に乱射してくる。マサトはプロテクトビットで防御する。

 

「喰らえ!!」

 

さらにアリス・ファンネルを展開し、応戦する。ビームがバルカン砲を破壊しながら、登っていくのであった。

 



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第49話:ラストリベルタス(後編)

 

そしてアンジュとサリアはゾロアスターの腹部の所でラツィーエルをぶつけ合いながら睨み合う。

 

「急いでるのよこっちは!!」

 

「ねえアンジュ、新しい世界ってどんな物だと思う?」

 

その事にアンジュは答える。

 

「は!?」

 

そしてサリアが怒りがこもった表情で言う。

 

「あんたが居ない世界よ!!!」

 

っとサリアはアンジュを吹き飛ばした皇宮へと飛ばされて、そのままぶつかってしまう。

 

 

 

 

 

そしてマサトはゾロアスターの背部に登りきると、目の前に多数の主砲と対空砲、そして無数のプルーマ、ピレスドロイド、バグが向かってきた。

 

「やむ得ない.......ロード・タクティス!」

 

マサトはメモリアルキーの中からモビルスーツを選び、ガンダムバルバトスルプスレクス、ガンダムバエル、ペイルライダー、ブルーディスティニーを召喚した。

 

「さぁ、悪魔達よ.....『天使狩り』を始めるぞ!!」

 

マサトがそう呟くと、バルバトスとバエル、ペイルライダー、ブルーディスティニーに頭部カメラが赤く変色した。そしてレオスを含む5機が一斉にモビルアーマーに襲い掛かる。ペイルライダーとブルーディスティニーのビームサーベルがプルーマを凪ぎ払い、バルバトスがテイルブレードで飛んでくるピレスドロイドとバグを突き刺していく。バエルは二刀流のバエルソードを持ち、回転しながら主砲や対空砲を切り裂いていく。レオスはアリス・ファンネル、プロテクトビット、ブレードビットを展開して、ディーラのモビルスーツを破壊していく。するとマサト達の頭上からゾロアスターの超硬ビームワイヤーブレードが襲い掛かってきた。しかし、マサトはそれを回避し、バルバトスと共にワイヤーブレードを抑え込む。そしてバエルがバエルソードを振り下ろし、ブレードを破壊した。するとゾロアスターの頭部が出てきて、口内プラズマビーム砲を放とうとしたが、バルバトスが持っていた大型メイスを投げ付けた。大型ながゾロアスターの右目に炸裂し、右半分が見えなくなる。

 

「化け物が!!」

 

ダイヤはそう言い、プラズマビーム砲を放つ。レオスが4機を守ろうと次元バリアを展開する。

 

「グッ!!」

 

するとバルバトスとバエルが一緒に並び、プラズマビームを拡散していく。

 

「お前達.....」

 

バルバトスとバエルの装甲が融解すると、後方にいたペイルライダーとブルーディスティニーがゾロアスターの頭部に飛び掛かり、ビームサーベルを突き刺す。そしてバルバトスとバエルが最後の力を振り絞り、青い炎が吹き荒れる。そして二機はゾロアスターの頭部に飛び掛かり、激しく荒ぶる。マサトは他の4機を見て、呟く。

 

「馬鹿......何カッコつけてんだよ......お前らは!!」

 

その時、マサトの指に付けていたアレクトラの指輪が光、音声が鳴る。

 

『"爆熱機構"ゼノン!』

 

するとレオスの腕部ユニットが強く光出す。

 

「ロード・タクティス!」

 

マサトは次にメモリアルキーからガンダムグシオンリベイクフルシティ、ガンダムフラウロス(厄祭戦時代)、イフリート改、ウヴァル、ダンタリオンを召喚した。グシオンとフラウロス、イフリート改、ダンタリオン、ウヴァルの頭部カメラが赤く変色した。

 

「おらぁッ!!行けぇ!!!」

 

マサトの掛け声と共に、5機が一斉にゾロアスターに襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてアンジュは何とかヴィルキスを皇宮から抜け出して、再びサリアへと向かい合う。

 

「随分と遅かったわね?」

 

「野暮用を済ましただけよ」

 

アンジュが言った言葉にサリアは納得する。

 

「じゃあ...心置きなく死ねるわね!!!」

 

そう言ってサリアがアンジュに向かって行ってラツィーエルを振り下ろす。

っとそこにレイジアがサリアの攻撃を受け止めて、そのまま弾き返す。

 

アンジュとサリアはその事に驚き見ると、レイジアのコックピットが開いてある者が語り出す。

 

「ネロスの騎士と言うから、どれ程強くなったと思ったら.....期待外れだな?サリア」

 

それはライダースーツを着て、レイジアを操るジル事...アレクトラであった。

 

「ジル!?」

 

アンジュはジルの方を見て呟き、それにジルはアンジュを一目を見て前を見る。

 

「久しぶりだな?サリア」

 

アレクトラ…ジルの登場にサリアは一瞬驚きを隠せない。

自分を騙して置いて、今さら何しに来たんだと思うサリアはコックピットから出てジルと向き合う。

 

「今さら何しに来たの....」

 

「何しにって、会いに来たのさ。昔の男に」

 

その事にサリアは思わず目を開く。

ジルはサリアの様子にすぐさま分かって説明する。

 

「聞いていなかったのか? 私がネロスの愛人だったんだ」

 

「えっ?!」

 

サリアは驚いた。ネロスの元愛人があのジルだった事に驚かない筈がない。

 

「さあ…退いて貰おうか?アイツに会いに行くんだ…」

 

「貴女の言葉はもう信じないわ!! 私はネロス様の騎士、ダイヤモンドローズ騎士団の団長サリアよ!あの方への元へは行かせない!」

 

彼女のとても強い決意を見たジルは少し笑みを浮かべる。

 

「っだそうだアンジュ」

 

「はっ?」

 

アンジュはジルの突然の言葉に思わず頭を傾げる。

それにジルは理由を言う。

 

「アウラの元へは、言って良いらしい」

 

「....じゃあ、遠慮なく!」

 

そう言ってアンジュはヴィルキスをフライトモードにさせてゾロアスターの内部にあるアウラの元に向かう。

 

「待ちなさいアンジュ!!」

 

サリアはそれを止めようとビームライフルを構えるが、その前にジルのレイジアが立ちふさがる。

 

「私の相手をしてくれるんだろう?」

 

「邪魔をするなら...斬るわ!!」

 

「ほぉ~、やってみろ!」

 

そう言ってお互いぶつかって行って、剣を斬り合うのだった。

 

 

 

 

そして艦隊では多数来るモビルアーマーを迎撃しており、リザーディアが報告する。

 

「時空融合終焉率83%」

 

「十字方向、数12」

 

「了解!」

 

アウローラはその方向にいる敵をヴィヴィアンと一緒に迎撃する。

 

「飛んで火に入るカブトムシ!!」

 

何故かヴィヴィアンは間違っている言葉を言いながらモビルアーマーとディーラ艦隊を撃墜していく。

 

「続いて二次方向、数5!」

 

「了解!」

 

「右舷から大群が来るよ!」

 

「了解!」

 

「落としても、落としても切りがないにゃ」

 

「泣き言を言ってる暇はないよ!この船で皆を乗せて帰るんだからね!しっかり守りな!」

 

《イエス!マム!》

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒルダとロザリーはテオドーラに苦戦していた。

 

「こっのぉぉぉぉ!!」

 

ロザリーがキャノンでテオドーラに迎撃するがビームシールドで防御された。

 

「ハァァァァァァ!!」

 

ヒルダがアサルトブレードでテオドーラに降り下ろすが、ラツィーエルで防御される。

 

「フッ!弱っ!」

 

ロザリーがアサルトライフルで迎え撃つがテオドーラはビームシールドで防御する。

 

「その程度で殺すとか、笑わせないでよ!」

 

「マリカを殺そうしたんだ!お前だけは絶対に止める!」

 

「止める?ふざけないでよ!弱いから、虐げられて、利用されて、バカを見るんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

サリアとジルはラツィーエルを使い、斬り合いながら互角の戦いを繰り広げていた。

 

「ラグナメイルと騎士の紋章。それで強くなったつもりか?サリア」

 

「ネロス様は私に全てを与えたわ、そして強さも…愛も..全て!!!」

 

その言葉を聞いたジルは一旦下がりながら笑う。

 

「愛…だって?フッ、奴は誰も愛したりしない。利用する為にエサを与え、可愛がるだけだ。目を覚ませサリア!!」

 

「言ったでしょう...貴方の言葉は信じないって!! 私を利用していたのは貴女よ!」

 

サリアはラツィーエルを何度も振りかぶって攻撃して、それをジルは防御して行った。

 

 

 

 

 

一方、タスクとナオミ、ジョアンヌはネロスと戦っていた。

 

「しなやかで野獣の如く!実に飼い慣らしが良い玩具だよ♪」

 

「「「っ!!」」」

 

「お前達は知らない...アンジュの生まれたままの姿を♪」

 

「知ってるよ...」

 

「?」

 

「アンジュの....内腿とホクロの数までね!」

 

「!!」

 

タスクが言うとネロスが驚く。

 

「お前は何も知らないんだな!アンジュの事を!アンジュは乱暴で、気まぐれで、良く笑って、すぐ怒って、すぐ泣く!最高に可愛い女の子だよ!彼女を飼い慣らすだって?.....寂しい男だな!お前は!!」

 

タスクはビームサーベルを降り下ろすが防御される。

 

「ほぉ、以前の貴様ではないようだな?.......!?、僕の!妃に何をした!?」

 

「アンジュとしたんだよ!最後まで!!」

 

「何だと!!?」

 

タスクの言葉にネロスは驚きを隠せなかった。

 

「触れて!キスして!抱きまくったんだ!三日三晩!!」

 

タスクはそう言い、ディストピア・フェイズを蹴り飛ばした。

 

「あり得ない!お前の下らぬホラ話で我が妃を愚弄するか!」

 

「真実さ!アンジュは俺の全てを受け止めてくれたんだ!柔らかくて、暖かい、彼女の一番深いところで!!」

 

「グッ!!」

 

そしてタスクがヒステリカに向かっていき、ビームライフルを構える。

 

「俺はもう!何も怖くない!!」

 

しかし、ディストピア・フェイズが回転し、タスクとナオミ、ジョアンヌを吹き飛ばす。

 

「何たる卑猥でハレンチな!」

 

するとディストピア・フェイズの頭部カメラがひかり、旋回砲塔をタスク達に向けた。

 

「許さんぞ!僕の凌辱するなど!お前の存在!全ての宇宙や次元から消し去る!!」

 

ビームライフルと旋回砲塔での迎撃が始まった。

 

 

 

 

 

そしてサラはゾロアスターの内部、旧アケノミハシラ最下層部に到着すると巨大な容器の中に白き大きな龍『アウラ』が眠っていた。

 

「アウラ!アウラなのですね!」

 

サラは焔龍號のバスターランチャーで容器を撃つが容器に次元障壁が張られており、ビームを吸収された。今度は天雷で次元障壁を斬りかかろうとした直前、上からピレスドロイドが襲来してきた。

 

「邪魔をするな!」

 

サラは焔龍號を動かし、ピレスドロイドの迎撃へ向かった。

 

 

 

 

 

一方、アンジュはゾロアスターの背部まで通過すると、思わぬ物を目の当たりにする。それは赤い目をした悪魔達がゾロアスターの頭部の装甲を剥がしていた。その中にレオスもいた。するとレオスから不気味な少女の笑い声が鳴り響く。

 

「っ!!」

 

「『ねぇ、ねぇ♪もっと遊んでよ~♪』」

 

レオスはそう言うと、ブレードビットでゾロアスターの頭部を突き刺す。しかし、ダイヤも負けてなく、頭部ごとアケノミハシラへぶつけた。

 

「マサト!」

 

アンジュが叫ぶと、ゾロアスターがアンジュに気付き、口内プラズマビーム砲を放とうとする。その時、マサトがバルバトスの大型メイスを投げ付けた。

 

「っ!!?」

 

ダイヤはレオスの方を振り向いた直後、レオスの膝蹴りがゾロアスターの右目に直撃した。

 

「まぁだぁぁっ!!!終わってねぇぇぇぇっ!!」

 

マサトが怒りの声を上げると共に、マサトの両目が十字架の瞳を持つ虹の目へと変わり、アレクトラの指輪が赤く光出す。するとレオスの損傷していた部分が自己再生し始めた。

 

「何っ!!?」

 

レオスは赤い目を光らせ、吼える。

 

『ガァァァァァァァァァァァッ!!!!』

 

レオスがゾロアスターを抑えつけると、ゾロアスターの口を開かせる。

 

「コイツ!何を!!?」

 

レオスがゾロアスターの口内プラズマビーム砲をもぎ取ろうとする。するとマサトが上空にいるアンジュに叫ぶ。

 

「行けぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

アンジュはマサトの思いを胸に、サラのいるアウラの所へ向かっていくのであった。

 



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