平凡な男と白髪の少女 (ふれあすたー)
しおりを挟む

番外編
1周年記念


記念です


「はい皆さんどうもお久しぶりですな」

「今回はこの生きている価値のない可愛そうな作者による」

「俺らの俺らによる皆さんのための記念短編でーす!記念にまず作者を火炙りしまーす!」

「Fooooooo!!!!」

「やめろ害悪どもぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

 

 

「…はい、知能指数の低い3人は置いといて改めまして…」

 

 

「祝!『平凡な男と白髪の少女』連載1周年〜〜!!!」

 

「いやー遂に連載1周年かぁ…あの作者がよく続いたもんだよ…」

「実際続いてないけどな(ボソッ」

「ん?何か言った?」

「いいえ何も言っておりませぬ頑張って書いてきます!」

「…はぁ、ほんとこれだから…」

お嬢は溜息を一つ。

「ですが皆さんもどうかあの作者を許してあげてください。2017の6月、京都のイベントが終わったあたりからバイトが入ってしまい、挙句の果てに10月からは週3なら週4になってしまったため、工業高校生の性という奴でレポート提出もしなければならない、そんな忙しさが溜まりに溜まり、遂には彼はモンスターに手を出してしまったり、バイトについて愚痴ったりなど当初より荒れてきてしまいました。まぁ確かにストレスが溜まるのは分かるけどね…それでも全ては作者がやりたいと思いやっている事で、小説投稿も趣味の一環としてやっているのでお叱りのお言葉は控えて頂けると作者も嬉しいです。何卒よろしくお願いします」

「まぁバイトなくても虹6やるけどな!」

「貴方はいい加減反省という言葉を覚えてほしいですねほんとに」

「やめてその丁寧語怖すぎる」

「そういえばあの二人は?」

「喧嘩してる」

「はぁ…またか…

ちょっと止めてくるね…」

「おう、いってらっしゃーい」

 

 

 

「そういえばだけど記念短編って何書けばいいんだろうか」

「さぁ?適当になんか書けばいいんじゃないか」

「ならお嬢がひたすら穢される小説でも書いてやろうか?」

「やめろぶっころぶっころパーチーやぞ」

「ヒェ…」

 

 

「という訳で書きまーす」

「は?」

____________________

「やめて…やめてください…」

「ダメだよォ?君は奴隷として奴隷市場に売られてたじゃないか。そこで君を僕が買ったんだから君は一生僕のものだよォ…」

一生モブとして生きていそうな男とそれに釣り合わないような白髪の美少女が話をしている。

いや、話ではないか。

これは一方的に迫られてる状況だ。

しかも、少女は服も脱がされて男も汚らわしい身体を露にしている。

「いや…来ないで…!!」

「だァかァらァ!!君の何もかもを僕がめちゃくちゃにしてもいいって事なんだよォ!!!!」

そして。男は少女に襲いかかる…………

____________________

「…はい、ここまでが今回の小説ね」

「…おい、何書いてんだぶっ飛ばすぞ」

「いやぁね?今回はちょっと面白いことしようかなって思ってさ」

「ほぅ?これが面白いとよしわかった殺す」

「いやいや待て待て。これは読者参加型でもあるんだぞ」

「…どういう事だ?」

「ここから先の小説を誰かに書いてもらおうかなと」

「ヴァ!?」

「せっかくの記念なんだしこれを機に書いたことない人も体験してほしいかなぁってね」

「いやお前なんでそれがあのR-18まがいの奴なんだ!?」

「男の子も女の子も参加しやすいでしょ?どうせこんな作品見てる人なんて変態ばっかさ…」

「変態じゃない読者に謝れゴミ」

____________________

はい、という訳で今回の記念はこれです。

一つは僕のことについて。

二つ目はあの出来かけの小説についてです。

あの出来かけはいつか作りますが、もしこの作品の続きを書いてみたい!という方はコピーして続きを書いてみてください!

出来れば僕にそれを送ってくれると嬉しいかなぁ…なんて。

あ、あと雑多垢(小説の進捗含む)のフォローもしていただければ幸いです。

では、また会えたら会いましょう。




そういう事です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1章 訪れたのは時間転移か?
誘われる男


どうも初めまして‼︎ふれあすたーというものです。
さて初めての作品はオリジナル作品です。
ぼっちがどう変わるのか…
楽しみですね‼︎
では、初作品をどうぞ‼︎


リア充とはこの世界の悪の権化である。

人間は人を傷つけ合う醜い生物である。

リア充といっても色々あるが、今から指すのは

カップルや友達と仲良くしているやつだ。

人を見かけで判断し、面倒くさそうなやつは切り捨て。

最早掟といっても過言では無い。

それ程まで人は最低の存在だ。

_________________________

 

今日も今日とていちゃつく奴が多い。

学校という公共の場、尚且つ教室なのだから自重しろ。

「はいはい、さっさと座れ。」

そう言ったのは担任の水原 和真先生。

このクラスで唯一信頼が持てる人間だ。

「あのさぁ、いちゃつくのはいいが少しは場をわきまえろ」

そうだ‼︎よく言った先生‼︎伊達に6年教師やって無いな。

「はい出席確認ね。…あれ?中村は?」

そう言われ手を挙げた。

「ここにいますよ。」

「あ、いた。全く…もう少し影を明るくしろよ。」

「影を明るくってなんだ⁉︎輝くのか⁉︎」

「あーうるさい。はい中村隼人欠席…っと」

「あんた何言ってんだ⁉︎生徒ディスるのやめろ‼︎」

「じゃあHR終了だ。各自勉強の準備しろよ〜」

「待てえい‼︎鬼教師‼︎」

そして扉が閉まり…

1時間目は欠席扱いにされた…

_________________________

今日は散々だったな…

さて帰りますかね。リア充だらけだし…

「…ん?」

下駄箱の中には手紙が入っていた。

「しかし無視だ。」

そう。友達などいない俺に手紙などいたずらに決まっている。そうだ。来るわけない。

…なんか考えてて悲しいな。

そのまま靴を出して俺は校舎を出た。

…もちろん手紙の内容なんて知る由もない。

____________________

「今日は夕飯何にしようかな?」

なんて考えながら歩いていた。

すると、通り道に見たことのない店があった。

「…なんだ?こんなのあったか?」

ここ数年。友達なんていない俺に帰りルート変更など無いわけで。もうずっと見た光景であった…のだが…

明らかに怪しげなお店。しかもレトロチックだ。

怪しすぎる…ん?怪しい…?

「なんで…誰も変化に気付かないんだ?」

こんなのすぐに噂になるに決まっている。

然し誰も見向きもしない…?

「入ってみるか…」

そう。この瞬間からもう定められた運命になっていたかもしれない。そんな事に気付いたのは入店後だった…

____________________

「すいませ〜ん…?」

ここは…骨董品の店か?古そうなものがたくさん…

「あの〜…」

返事はなかった。

「進むか…」

そういい歩き始めた。

一歩一歩踏みしめると床がギィ…と音がする。

時計からオルゴール…なんでもだな。

そう思っているとカウンターらしき所に着いた。

そこには一枚の紙。

「ええっと…何々…」

『この店に入った君に。外に出るといい。

この店にい続けると死にかねない。』

「…はあ?」

なんだこれは。

置き手紙…客撃退用か?

「なら外に出よう。来たくて来たわけじゃ無いし。」

手紙に従う様にして外に向かった。

そこには…

見たことの無い景色があった…




いかがでしたでしょうか?
隼人はどうなるのか…
そしてフラグ臭がビンビンの手紙…
乞うご期待です‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

見えた景色は古き町

どうも!ふれあすたーです。こういうのって不定期更新をしてしまわないか不安になるのは私だけでしょうか。
構成はもう考えてあるんだけどね…去年の夏くらいから。
さあ今回はこの町での出会いですね。
ぼっちは人と出会い仲良くなれるのか?
では、今回もよろしくお願いします!


「なんだよここ…」

その風景は異常だった。

いつもの見慣れた町…では無い。

俺が知っている町より建物に新しさを感じる。

「どうなってんだ…⁉︎」

そりゃ慌てたくなる。いきなり見知らぬ所にいるのだから。

ともかく場所を特定しなければ…‼︎

「あ、あの。すいません」

「おう。どうしたんだ。ガキ」

ガキとは失礼な。俺はもう高校に入学…っていけないいけない。話がそれた。

「この町の名前を教えてほしいのですが…」

「はぁ?意味分からんやつだな。ここは白石町だろ?」

白石町。それは俺が学校に行き高校生活を送っている場所。何故その町の名前が…

そこまで行き最悪の仮説がたった。あり得ないが一番説得力がある。

…聞くか。とりあえず。

「あと…変な事聞きますけど今って何年でしたっけ?」

「ますます分からんやつだ。今は1991年の5月だろ?」

やはり、か。

どうやら俺はタイムスリップとやらをしてしまったらしい。誰がしたのか知らんが。

今は俺の時代から約25年前。新しい建物があっても納得する。

聞いた時絶望した。心の底から。

一応いつでもいなくなれる様に色々あるけど…

「生活できる気しねぇ…」

そう呟きトボトボ重い足を動かした。

____________________

時間が正確なら今は午後7時26分だ。

今俺は昔遊んでいた昔の公園にいる。なんかややこしい。

俺はこれからどうすれば…

「とりあえずベンチでも食うか…」

と冗談じみた事呟くと

「え?ベンチって食べられるの?」

「腹は満たされるだろうな」

そもそも食うもんじゃ無いが…

「…え?」

後ろの人間は俺が瞬時に振り返ったのをみて不思議そうにしていた。

「あんた…誰だ?」

「私はただの高校生だよ〜。買い物の帰りなんだ。」

「そんな事聞いてないが…」

「そうなの?ごめんね。勝手に解釈しちゃって…」

別にいい。そんな事は。それにしても…

目の前にいる少女は俺より少し小さめの体。

結構スマートですし、可愛い顔してますし。

何より雪がかかった様な白く美しい髪だった。

やべぇ…!完璧好みだこの子…!あと5年も時間があるのか…

「残念だ。誠に」

「ふぇ?」

彼女は驚いていた。まぁ勝手に呟いた俺のせいだろう。

「や、やっぱり…私は異質なのかな…」

「ファ⁉︎」

彼女はしゅんとしていた。何故だ?俺は何を…あ。

「私はこんな髪の色しているからかな…」

「ちょっ⁉︎ちょちょちょっと待て⁉︎なんか勘違いしておりませんか⁉︎俺はそんな事思ってないぞ‼︎」

「え…?」

「綺麗な頭髪だしな。俺は好みだぞ。」

ヴァカか俺は‼︎いきなり見知らぬ少女に自分の好み言って‼︎

「あ…すまん。恥ずかしい事言ったな…忘れてくれ。」

「……こと…って………うのは…」

「え?よく聞こえん。最近難聴だからもう少し大きく…」

言い終わる前に彼女は抱きついて来た。

「そんな事…言ってもらえたの…はじめてだぁ…」

どうやら泣いていたらしい。

…やはり人間はクズばかりだ。

自分達と違うとすぐに関わりがなくなる。

この世界はこの子のような人間が沢山いる。

だがこのタイプは珍しい。

「お前…学校行ってるのか?」

「うん…だけど友達できなくて…なんかやられたりもするけど犯人も分からないから…」

やはり。彼女は何かをされても抱え込むのだ。

俺はバイトとかで先輩に愚痴っているが…

彼女はそれをする人もいないのか…?

…だったら俺がするのは一つだ。

「名前は?」

「刈谷 支那美っていうの…」

「そか。俺は中村隼人だ。お前を生涯…

絶対守ってみせる。」

そう。俺がする事は

彼女…支那美のそばにいる事だ。

「い、いの…?」

「あぁ。もちろんだ。」

そしてまた俺の胸で泣いた。

「ありがとう…ありがとう…!」

「いーんだよ。守りたいからだ。」

そう言って彼女の頭を撫でた。

 

 

俺の人生はその日から大きく変わった…




いかがでしたでしょうか?
ぼっちがコミュ障だといつ悟った…?
いや〜支那美出ましたね。
おい隼人そこどけ私も白髪の少女好きなんだ。
これからどういう話になるのか…まぁ考えてますけど。
ちょいネタバレ。読んでも大丈夫なはずです。
現在の作品を1部だとすると大体10部以上あります。
割り振り…
1〜2部 オリジナル世界観
3〜5部 いきなりの東方要素
6〜8部 東方ですね
9部 8部から10部までの番外編
10部 オリジナル世界観に東方要素
11部 東方と東方でのオリキャラ
12〜13部 3〜5部の別視点
14部 オリジナル世界観と思いきやまた東方要素
15部 いきなりメアリスケルター要素
16部 15部のオリキャラの過去(尚東方は不滅)
長々と失礼致しました。
こんな感じでよろしくお願いします。
長いなぁ…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未来人と孤独の少女

どうも!ふれあすたーです。一日3話とか馬鹿ですね。
私じゃん。はいちょっとゲーセンで音ゲーをやってですね手が痛いんですよ。まぁツイ見てる人なら分かるかな?
今日は初投稿日ということでハッチャケてるだけです。
翌日は学校だから遅くなるかな?
あ、あとUA50越えに発狂せざるを得ません。
目から汗が…( ;∀;)大袈裟だと思うけど嬉しいんです。ありがとうございます‼︎ではどうぞ


午前6:30

「ふわぁ…ねむ…」

「ほらほら、隼人君起きて。」

「うい…」

俺は支那美の家に現在いる。

その理由を説明させていただきたい。

あれは…今から10時間50分程前だったか(つまり7:40)

____________________

午後7:40

「すげぇ…」

「そ、そうかな?」

まさか家がマンションとは…

ここに来るまで色々聞いた。

まず家族がいない事。これは3歳の頃かららしい。

流石に不味かったのですぐに話を変えた。

後友達の件。これに関しては省略。

最後に学校の件。彼女は化け物扱いでクラスも特別教室という所で1人らしい。

さらに元クラスメイトは支那美をいじめるために端のクラスから逆端にある支那美のクラスまで来るらしい。

俺は思った。小学生かよってな。

やはりいつになってもいじめは無くならないんだな…

これくらいだな。で、すごい理由なんだが…

(これ一人暮らしだよな?)

そう。マンションで一人暮らしなど援助がないときついはずだ。しかも物言いから察するにバイトはしていない…

考えられる仮説はただ一つ。

金持ちしかないだろ。

「こっちだよ。早く入ろう?」

そう言いながら純粋な顔でこちらを見た。

くっ…‼︎やめてくれ‼︎そんな顔されると自分が更に小さく感じてしまう‼︎

「お、おう。ソウデスネ」

「なんで敬語?」

16歳女子友達いない歴0年の俺はこんな返ししか出来ん。

むしろそれ以上何を求めるんだ‼︎

くそぅ…リア充どもめ‼︎(とばっちり)

____________________

「この部屋か…」

「うん、ゆっくりしてて?ご飯食べてないんでしょ?作ってあげるから。」

「ありがとな」

「気にしないで。その…さっきは嬉しかったから…」

う…可愛すぎる。やばい死ぬかも。

「んじゃお言葉に甘えて。」

えと、寝室は〜っと…

……あれ?

「あのあの支那美さん?寝室って一つだけかい?」

「…あ」

「あってなんだあって⁉︎まさか…」

「うん…一つしかない…」

さあどうしようか?俺はやはり雑魚寝か?

支那美に命令されたら犬の様に従う自信がある。

「ま、まぁ俺は適当に…」

「…あの‼︎」

「ひゃい⁉︎」

情けない声を出してしまった。

「一緒に…寝てほしいの…」

「…は?」

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎

「What are you saying⁉︎」

「ひ、一人だと寂しかったんだもん…」

それでも健全な男子高校生に言う台詞か⁉︎

つか、英語混ぜたのによく対応できんなこいつ。

あ、因みに意味は何言ってるの?だ。

「お願い…」

「分かりました。」

俺は即決した。当たり前だろう。

自分好みの少女が寝ようと言うのだ。

ここで断るとか馬鹿だろ‼︎

「ありがとう…」

____________________

午後10:29

「あ、もう寝たのか。」

支那美はベッドですうすう寝ている。

「…俺は寝るだけだ‼︎やましい気持ちなどない‼︎」

そう言いベッドに入った。

同時に支那美が腕に抱きついた。

…やめてくれ。胸が当たってる。

言っちゃ悪いが小さいけどな…

ダメだ。煩悩まみれだ。早く寝よう。

「…ん…隼人君……」

それを聞き俺は闇に意識を落とした。

 

 

 

ふと。一つだけ頭に思い浮かんだ。

タバスコをラーメンに入れたら絶対うまいと。




いかがでしょうか?
最後…タバスコラーメンですね‼︎
かく言う私も納豆にタバスコ入れます。
美味しいので‼︎是非試して見てください‼︎
量は50滴が適量ですね。友達には頭イカレテルと言われました…
なんでかな?では多分また明日〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過去にある高校

どうも‼︎ふれあすたーです‼︎今日は擬似テストみたいな物があって疲れました…ちゃんと書きますよ?
そういえばお気に入り登録が1人いました‼︎
ただでさえ国語力ゼロで駄文な私の小説を登録してくれるとは…
ありがとうございます‼︎
おっと、話し過ぎました。
さて今回は妄そ…ゲフン。過去を振り返った隼人君が
過去にある自分の学校に行く話かな?
では、どうぞ。


あぁ…こんなんだったな。

「隼人く〜ん?起きてる?」

支那美が手を俺の顔の前で振っている。

「…起きてるけど寝たい…」

「もう…規則正しい生活すれば眠い事ないのに…」

「俺は寝れなかっただけ…」

「え、そうなの?凄く熟睡してた様な…」

あぁ、多分仰る通りだ。夜の記憶なんてないし…

寝たい口実を作りたいだけなんだ…眠らせてくれ…

「ほら、寝ないで?ご飯できたよ。」

「ありがとうございます…」

香ばしい香りが漂うキッチンに俺は足を運んだ。

____________________

「ふ〜。うまかった〜」

「お粗末さまでした。」

料理のおかげで眠気が覚めた。

昨日の夜もうまかったからな…将来いい人と結婚しそう…

「あ、手伝おうか?」

「大丈夫。お皿洗わないといけないから…」

「いやいや…それくらいできるぞ。」

そりゃ一人暮らしだったからな。

「じゃ、じゃあお願いしようかな…」

「おうおう任せなさい。平日だから学校だろ?準備してきな。」

「わかった。隼人君。お願いね?」

そう言って寝室に向かって言った。

(なんだよあの顔⁉︎反則すぎんだろ⁉︎断れるわけないでしょ断った奴アホすぎだ‼︎)

心の中で叫びながら皿を丁寧に洗った。

と、その時。

「きゃー‼︎」

という可愛い悲鳴とズドン…という鈍い音がした。

「ちょっ…⁉︎何が⁉︎」

俺は寝室に急いで向かった。

____________________

「支那美⁉︎どうした⁉︎」

「いたた……あっ、隼人君…」

周りを見渡すとうつ伏せから起き上がった支那美。

そしてダンボールがあった。

状況から察するにダンボールが落ちてきてぶつかったのだろう。

「ごめん…騒がせちゃったね…私は大丈夫…」

「何言ってんだ‼︎頭、打ったんだろ⁉︎大丈夫な訳…」

「本当に大丈夫だって。ほら、頭も…」

支那美が大丈夫だと頭を触ると手には血が付いていた。

「あ…れ…これっ…て…」

「支那美‼︎…まずい、どうにか…!」

こういう時こそ落ち着くべきだ。だが目の前の状況に頭が冷静にならない…!

「とりあえず学校に連絡して休みにして貰おう…」

幸い電話番号は頭に叩き込んでる。

すぐさま受話器を取り電話をかけようとする。

しかし。電話が無かった。

「なっ…‼︎受話器が…‼︎」

そういえば…昨日家の中を全て見たが受話器なんて…

「くそっ…!支那美を安静にしなければ…」

寝室に素早く戻った。

____________________

「支那美!大丈夫か⁉︎」

「あははっ…大丈夫…じゃ…ないかも…」

「おい!しっかりしろ‼︎とりあえず寝かせるから…」

「…あ…りがと…」

支那美はそう言うと言葉を発さなくなった。

…どうやら気絶してるらしい。

「病院にも行きたいが…場所がわからないんじゃ…」

病院。この町には白石病院と言う物が現代にあった。

しかしあれは創立12年と聞いた事がある。つまり。

「白石病院がない…!」

そう考えるのが普通だ。

「止血をしたら、学校に行こう…あそこならあるはず…」

そう呟き、急いで止血作業をした。

____________________

俺は今学校に向かっている。

考えた仮説はこうだ。

まず病院に行きたい。だが場所がわからないんじゃどうしようもない。だが電話も無く困っている。

だからまず学校に行き、休みを伝えた後に事情を話し、病院の場所を教えてもらう。

最高だ…完璧だ…急がなければ!

____________________

着いた…やはりあったぞ。

白石高校。創立は40以上らしい。そして特定できる理由はもう一つ。この辺は学校が少ない。というのも一仮説だ。

俺はインターホンを押した。

『はいはい。どちらさん?』

「あ、あの。刈谷支那美の事で来たのですが…」

『刈谷に…?わかった。すぐ行かせてもらう。』

すぐに会話は終わり、ガチャンとなった。

にしても素行の悪い教師だ。相手は一応客だぞ?

…あれ?あの喋り方…あの声…まさか…

「すまない。待たせたな。」

み………

「水原先生⁉︎」

…そこには水原先生がいた。




いかがでしょうか?
水原先生…まさか教師歴偽装か⁉︎
やはり隼人君は信頼に値しないと…
いけない。キャラをディスってしまいました。
さて。次は水原先生の全てです。
曝け出される先生…まぁいっか。
ではまた明日〜。
因みに私は男ですよ。聞いてないか。
ネットでの敬語癖が抜けないだけです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

旧世代の先生

タイトルでわかってしまいますね。ふれあすたーです。明日は勤労感謝の日ですね。多分3話投稿すると思います。嘘にならないよう頑張ります…
さて今回は水原先生の話です。
ではどうぞ。


「あ?なんで知ってるんだよ。会ったことないだろ俺たち。見たこともないし。」

「え…?で、でも水原 和真先生じゃないんですか?」

「おま…⁉︎何故俺の息子の名前を…⁉︎」

「息子⁉︎あの不良教師が⁉︎」

「喧嘩売ってんのかテメェ」

成る程な。顔がおんなじに見えるわけだわ。

それにしても不良教師の派生がこれか…やはり親が親なら子も子なのか…ってそうじゃねぇ‼︎

「支那美の事で来させて頂きました。担任は誰ですか?」

「は?俺だけど。」

「…は?あんたが?」

「お前さっきからタメ口なんだがやめろ。」

「…あー‼︎歯痒い‼︎タメ口でもういいか⁉︎」

「いきなり騒ぐな‼︎授業中だ‼︎」

「答えは聞かない!今日は支那美を休みにさせてもらう。わかったな?」

「…どういう事だ。あいつは休んだ事など…」

「流血沙汰だと言ったらどうだ?」

「…⁉︎何があった。…お前まさか。」

「手ェ出した奴が報告しにくるか?」

「しかし、あいつは一人暮らしではないのか?」

「めんどくせぇなぁ‼︎あんた車持ってるか⁉︎」

「そりゃあるが…」

「病院の場所は?」

「…お前が言いたい事は分かった。お前は家に戻って俺が来たら刈谷を運んでくれ。」

「分かった。水原先生」

「俺は水原 竜馬だ。タメ口のくせに先生はやめろ。」

「考えとくよ。水原先生。」

「考える気ないだろ…そういやお前は?」

「中村隼人だよ…覚えてくれた方がその後が楽かもな。」

____________________

「支那美…大丈夫か?」

「うん…少しは楽になったかな…」

「起きなくていい。楽な体勢にしてろ。」

「そうしてる…」

「すぐに水原先生が来るからな。病院に行けるぞ。」

「水原先生が…?」

「あぁ。もうすぐ「お〜い」…来たな。」

さて。動きますかね。

「よっこいしょ…っと」

「うわ、ちょ、ちょっと…」

「しゃあないでしょ。俺はこの運び方しか女の子を運ぶ方法を知らない。」

「そ、それでもいきなりは…」

まぁ確かにそうだろうな。

俺は頭にダメージが行かないようにゆっくり運んだ。

「ウース…ってお前…お姫様抱っこするとか勇者すぎないか?周りから叩かれるぞ。」

お姫様抱っこ。いわゆる男が女性にする肩と膝の裏に手を添えて運ぶ方法。支那美はいきなりやられたからあぁ言ったのだろう。

「今は周りを見てる場合じゃないだろ?支那美を病院に連れて行く事が最優先事項だ。」

「…あぁ。そうだな。病院までは少し遠い。刈谷。少し我慢してくれ。」

「いいえ。ありがとうございます。」

そうして俺らは家をあとにした…




いかがでしょうか?
お姫様抱っことかいいですねなんなんですか?
見せつけですか?自分で書いた事だけど見せつけですか?
リア充はいいですよねいい友達や彼女がいて。
私なんか万年クリぼっちですよ。彼女ぐらい欲しいわ。
…あ。すいません。少し取り乱しました。リア充撲滅運動頑張りますか。
次回はまぁ病院ですね。すぐ終わりますけど。
ではまた明日〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼女の容態

はい。実はこれ書きダメです。ふれあすたーです。
そろそろ挨拶にも飽きが生じてくるかもしれません。
しかし。ボキャブラリー皆無な私には改変など出来ません。(・∀・)なのできっと2部くらいまでは改変ないかも…
さて、今回は病院…だけど水原先生と隼人お話シスギィ‼︎
支那美ェ…ではどうぞ。
人間の心理ってなんだろうね。


午前8:50

「どうですか?先生。」

「彼女の脳に異常は見られません。至って健康です。」

「よっ、よかった…」

「先生。ありがとうございます。」

「いえ。患者を助けるのも医者の役目ですから。」

白衣を着た中年程度のおっさんが去って行った。

「…この時代の人間はこっちよりまともだな。」

「どうした。中村。」

「…いや。昔を思い出しただけさ。ゴミ屑みたいに弱いものをいじめる奴をな。」

「いつの時代になっても人間なんて変わらんだろ…」

「そうかもな…」

人間は自己利益の為なら人なんて幾らでも地に落とせる。仲間なんて大義名分はたくさんだ。だから欲まみれの低俗の様な人間とは仲間にすらなりたくなかった。

…はずなのに。俺はあの時…あの店に入ってから…彼女に会ってから…変わってしまったのかもしれない。

違う。もしかしたら俺は期待したのかもしれない。彼女なら俺は別の存在に変われたかも…という淡い幻想だ。

所詮幻想は夢幻。つまり妄想に過ぎん。それでも…たった1日でも心が温かくなった。支那美に会えた事で俺の固定観念は完全に崩れた。こんな人間もいるのかと。

そしてここにいる不良教師の派生もだ。

この人は人間のコミュニケーションは最悪だが人を思う気持ちは十二分にあるという事。

だからあの不良教師にも信頼が持てたかもしれない。

…結局自分の私利私欲で支那美や水原先生に寄り添って利用しているだけかもしれない。自分にすら嘘をついていて自分が醜い。

こんなの…あいつのそばにいる資格なんて…

「なぁ…少し中村について聞いて良いか?」

「あぁ…良いさ。返せる程度には。」

「では単刀直入に…お前。どこから来た。」

「信じる気は?」

「何を言うのかは知らんが真面目には聞いている。」

「…今から25年後だよ。この町のな。」

「ほぉ…つまり未来人。というわけかね。」

「ま、そうだな。変な店に入ってからだ。」

「なるほど。で、刈谷の家にいる理由は?」

「寝泊まりする場所がないから。」

「…つまり刈谷を襲って揺すったと言うわけか。」

「解釈の仕方おかしくねぇか?」

「最低だな…今からでも遅くはない。行ってこい。警察に」

「キチガイか?キチガイなのか?」

「冗談なのに…」

なるほど。人をディスるくせはやはりこいつか。

派生と言われても差し支えがないもんな。

「まぁさ。俺は未来から来たのよ。」

「そうか。だが支那美には絶対言わない方が賢明だろうな。」

「何故だ。」

「人が困っていたら助けるあいつだ。お前もそれに関しては体験済みだろう?」

それは分かっている。見ず知らずの人間が錯乱状態だったら俺は寄らない。

「問題は。そこからあいつに怪我が起きないかだよ。無茶をしまくりなんだ。小学生の頃は同じ小学校の友達を不審者から守って死にかけた事がある。それが心配なんだ…」

俺はその言葉に耳を傾けるしかなかった…




いかがでしょうか?
最後はまぁ…フラグって奴です。
終わりのセラフは面白いね‼︎
では後二つ。直書きで頑張ります。
ではまた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼女の過去

休日なんてぼっちにとっては学校が休めるだけしか良い事ないんです。ふれあすたーです。
今回は支那美の昔のお話ですかね。
どうでも良いですがつまらないからといって能力を向上する気は無いですし面白いと言われても投稿ペース等を変える気も無いです。見てくれるだけで嬉しいのであしからず。ではどうぞ。


「そっちが聞いて来たんだからこちらも聞いて良いか?」

「何をだ。」

「支那美の昔話とやらをさ。あんたなんか知ってる風だったからな。」

「まぁ…そうだな。刈谷が気づかないだけで産まれた時からそばにいたからな。」

「つまり…支那美の物語の始まりからか…」

「そうだな。俺はあいつらの同級生だった…」

____________________

「…おい!聞いたぞ帝!お前子供が産まれたんだろ。」

「うるさい。耳が痛いからやめろ。…あぁ白柊に似た可愛い白髪の子だよ。」

そう聞き俺は病院に飛んで行った。全速力で走った。

____________________

「来たぞ!二人とも!」

「「ここは病院だから静かに!」」

「あ、すまん…」

目の前にいる二人のハモった声に謝罪しか出ない。

今ベッドの前で座っている男。刈谷帝。

旧姓霞霧帝。ひらがなでかすみぎりみかど。

こいつは高校から出会った信頼性が高い男友達だったよ。

成績は高くもなく低くも無い。人間の心理や人の気配を読み解くのがクラス1番の奴だった。

顔立ちも良くクラスの女子からも人気だったな。告白だって俺が知っている限りは60以上あった。

しかし。帝は全て断っていた。あいつ曰く下らない人間関係なんていらないらしい。

そしてベッドで横になってこちらに笑顔を向けてくれたこの女性。刈谷白柊。

旧姓小見坂白柊。 ひらがなでこみざかしらぎ。

彼女は全てにおいて完璧だった。成績優秀。人間関係良好。スポーツ万能。性格は真面目で優しい。

外見はスマートな体をしていて顔立ちは可愛いの一言。そして特徴的である真っ白な髪質。男どもはそれはそれは寄ってくるだろう。

かく言う俺も最初は目を奪われていた。

…そうだな。今の刈谷支那美に似ていたかもな。領域的にも。

彼女は嫌われていた。美しいが故に気味が悪い。

そう。それは髪のこと。担任の先生にも当初注意されていた。地毛なのにな。

だけど帝は昔から彼女を捨てたことはないらしい。そして俺はそんなあいつを見て俺も友達になれるのではないかと。そう思った。

クラスの連中は気味悪がって彼女に見向きもしなかったな。だが俺は観察して先程言った点に気付いた。

俺も仲間になれていつも3人だった。

そして気付いた。彼女は彼に好意を抱いていると。

そして事件が起きた。その事はまた今度な。

その日から帝も彼女に好意を抱き両想いだった。俺は基本傍観主義だったからその経過も見守り、子が出来た時にもどる。

_______________

「名前…なんて言うんだ?」

「それ普通聞くの俺じゃね?」

「もう…喧嘩しないの。名前はね…」

_______________

「帝…白柊…嘘だろ?」

「おじさん。ママとパパはどこ行ったの?」

「ふざけんな…この子をおいてお前らは死ぬのか」

「おじさんってば…?どうしたの?」

「絶対…守って見せる。」

____________________

「おじさん。話してほしい事があるの。」

「どうした。急に」

「お父さんとお母さん。どこに行っちゃったの。」

「それは…」

そう。あの日。彼女がまだ3歳の時にやつらは死んだ。

死因は交通事故…らしいのだが、原因は不明だ。引いたトラックはどこからともなく現れ消えたらしい。

それを全て伝えた。

「そんな…」

彼女はまだ小学生。酷な話であっただろうに…

「おい。何処に行くんだ。」

「友達と遊ぶの。山まで遊んでくる。」

「うい。行ってらっしゃい。…後騙しててすまなかった。」

「…………」

____________________

どう言う事だ…

「う、支那美ちゃんが…彼を庇って崖から…」

「お前ら。急いで子供を探せ。警察は民間のためにあるんだ。」

「支那美ちゃ〜ん‼︎」

畜生‼︎

「あ、あなた!危険です‼︎ここはこちらに…」

「うるせぇ‼︎あいつらの子供を簡単に死なせるかよ‼︎」

俺は近くの崖から緩やかなところを探し下った。

「…いた‼︎支那美‼︎」

「子供発見しました‼︎崖下、頭から流血。直ちに救助隊を派遣してください‼︎」

「支那美…」

____________________

「そうしてあいつは生きてた。だが、高さ300メートルから落ちたあいつは生きてたと言うだけで皆は相当気味悪がった。そして寄り付かなくなった…と言う訳だ」

俺は人間をまたもや嫌ってしまった…




いかがでしょうか?
支那美さん最強説。
そろそろお話に出したい気持ち。
ご都合主義?この話ぐらいですよ?
ではまた後で〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集まる笑い

3話投稿やっぱり辛い。ふれあすたーです。
やっと支那美とお話できそう。
あ、そうそう。前回の回想は別口で10部以降出すかもしれません。
ではどうぞ。


「…こんなとこだな。」

「…お前はその後どうしたんだ。大体想像はつくが…」

「出て行ったよ。引き止める権利なんて俺には無かった。あいつらの遺産を彼女に渡して、彼女はすぐに出て行った。幸い俺の顔は忘れてくれてた様だが…」

「成る程な。だがお前のせいでは…」

「もう気にしていない。あの頃の俺なんてもういないからな。過去は振り返るだけじゃ意味がない。それを未来に活かす。それが人ってもんだろう。」

「…それは変わろうと思える人間だけだ。同じ事…つまりいじめ。人を拒絶する人間に明るい未来があるとは思えない。」

「中村…」

「…そろそろ病室に入るか。支那美は目ぇ覚めてるだろ。

長い間一人にさせちまった。…やっぱり手を差し伸べられて一人から解放されたのにまた一人にするのはとても辛いだろ…」

俺は病室に足を運び扉を開けた。

____________________

「失礼します。…大丈夫か?支那美。」

「何で挨拶が他人行儀なの?別に普通に入って良いのに…」

「病院だから。」

「ふふっ。なにそれ。やっぱり隼人君は面白いね。」

「良かったな。無愛想な顔して面白がられるならそれだけでお笑いの才能あるんじゃないか?」

「あんたは少し黙ってろ。」

「はいはい。俺はタバコ吸って来るから二人でゆっくりしていろ。」

「教師と言う聖職者の肩書きは見た目だけか?この不良教師が。お前の目の前に生徒いるんだけど。」

「え?でも水原先生は授業中いつもタバコを吸ってるけど私何とも思わないよ。」

「あんたなぁ‼︎純粋無垢な子に授業教える時はタバコ吸ってるのかあんた良く教員免許取れたな‼︎」

「バッ…‼︎刈谷。それは他人に言うなといつもなぁ…!」

「授業中にタバコ吸ってるくせにこの娘にそれを他言無用で隠蔽していたのかあんた頭いかれてんのか⁉︎…支那美。退院したら校長ん所行ってこの不良教師解雇させろ。きっと校長は気付いてる筈だ。」

「はっ…そんな証拠何処にも…」

そう行った瞬間に待ってましたと言わんばかりに俺はポケットに手を忍ばせた。

『はいはい。俺はタバコ吸って来るから二人でゆっくりしていろ。』

『え?でも水原先生は授業中いつもタバコを吸ってるけど私何とも思わないよ。』

「これが動かぬ証拠だが…?」

「なん…だと…」

「この時代には録音機能がついた携帯なんてないのかもしれないが」

そう。俺が出したのはスマホ。偶然生きていたことに気づかなかった。と言うかこれで電話すれば良かった…

「なんでもするから解雇だけはやめてくれ‼︎」

「「病院では静かに‼︎」」

「‼︎」

最後に盛大に支那美とハモって恥ずかしかった…




いかがでしょうか?
最後はわかりやすいフラグですね。
水原先生が驚いた理由は…で分かるかもです。
ではまた明日〜。
受験シーズンなので学生の方はこんな小説より勉強した方が良いですよ。まぁ中3の私が言える事じゃないですけど。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

退院日

flare「いや〜小説書かなきゃなぁ〜やっぱり見てくれてる人がいるから真面目に…(小説情報ポチッ)
[お気に入り5件]
flare「AA4</!X^〜‼︎」
(わからない人はLeet表記で検索〜)
となった人間がいました。誰かな。ふれあすたーです。
今回は少し飛ばして退院の話です。
いつもですが短いです。3000字以上行く人神じゃ…
ではどうぞ。そらのおとしものはいいぞ〜
ちょいと隼人君がいい感じになります。リア充は死すべし!


午前9:39

「先生…大丈夫ですか。」

「………」

「………」

やばい。俺は沈黙に耐えられる自信がない。

今は水原先生が後ろにいるから気がラクだからいいが一人だともうすでに死んでいる自信がある。

「…刈谷支那美さんは正常です。安心して下さい。」

「〜〜〜〜〜〜‼︎」

「やったな。中村。」

「あぁ‼︎」

「とは言っても頭を強打した訳ではないのでそこまで切迫詰まらなくても宜しかったのに。」

「俺は支那美が退院出来るだけで嬉しいんです!やっぱり俺が迅速に対応できればこんな事には…」

「いいえ。逆に初めての応急処置にしては完璧でした。あなたのおかげで傷も残りませんでしたし。」

「やはり少し不味かったと?」

「あのまま運ばれればです。中村さんの処置は最善でした。」

「ありがとうございました‼︎えーっと…」

「あぁすいません。僕の名前は雲原 紬です。よろしければこちらを…」

「成る程、名刺ですか。俺は水原…」

「竜馬さんですね。僕は知ってます。あなたは知らないと思いますが。」

「…?まぁ知ってるならいいです。説明が省けます。」

「今度麻雀しません?最近焼き鳥なんですよ。」

「予定が合えばですね。」

「先生やめた方がいいっすよ。不良教師が調子乗るだけっす。」

「あ?」

「はん?」

「やはり面白い方々だ。刈谷さん、迎えに行ったらどうです?」

「そうっすね。ありがとうございます。…ほらゴミ教師行くぞ。」

「貴様に公務員の強さを見せてやろうか?」

「地方公務員が粋がるんなら警察になってから言え。そしてそれは職権乱用だ。そんな事も知らないのか。」

「ぐぬぬ…」

「ではまた今度〜

隼人君。」

俺はこの時この異質さに気付かなかった…

____________________

 

「失礼しまーす。って支那美?カーテン閉めたら様子見れな…」

「…えっ…?…はや…と…君…」

「…………」

「………いやぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「ちょ、おま…⁉︎」

考えろ。今何を俺は見てしまった?

言わずもがな。着替え中の支那美だ。

どういう状況だ?支那美さん下着丸出し。

目の前には?彼女の渾身の一撃。

渾身の一撃を撃ち放つ時の顔は?

もちろん。支那美様の顔は真っ赤でございます。

ここまで0.5秒。避けるのにはラグで精々最速1.4916秒。

彼女は推定時速2600kmのパンチ。約マッハ2.5となる。

戦闘機であるF-15は約2563kmほど。(なおどちらの計算も成層圏を超えた時の速度。)

頭があんぱんなヒーローは敵のメカを吹き飛ばすのに必要な推定速度はマッハ1で足りる。つまり1046kmほど。

それの2倍。当たれば頭は軽く吹き飛ぶ。というか何故支那美様はあの様なパンチを出して体が崩れないのか。

不思議。あっ。1秒たった。

皆さま。僕は彼女に殴られて何だか興奮…

「グハァァァァァ‼︎‼︎」

俺は即座に意識が消えた。




いかがでしょうか?
隼人君は死んだから世代交代かな?
しませんよ?
まぁ今回はフラグが3本たちました。
わかるかな?
ではまた明日〜
東京は初雪。11月とは珍しい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

物質転送装置(物理)

ども。半袖ハーフパンツで野球しに行きました。ふれあすたーです。ツイキャスを見てしまい、結局今日は寝れませんでした。眠い…
今回は死にかけ隼人君の夢等ですね。
ではどうぞ。あ、UA300越えありがとうございます!


??? ?:⁇

「…ん…」

「…起きた?」

ここは……どこだ?さながら異世界の様な場所に連れて来られたんですがあのあの。

「大丈夫?いきなり転送されて来たから…」

「おっす…大丈夫っす…」

「よかった…3時間も倒れてたから心配した…」

「あぁ、心配してくれてありがとう誰だ君。」

「私?私に名前は無い。呼び方…ならあるけど…」

「じゃあ呼び方をたのんます。」

「えっと…分かるか分からないけどEFKT-vΩって言う呼び方…ではある。」

「え?えと、エフキラータイプバージョンオメガ?であってる?呼び方複雑過ぎません?」

「おっけー…であってるんだっけ?最近覚えた言葉…」

さあ僕特有『考えると時間がとても遅くなるが都合が悪くなるとすぐ切れる使えない超能力』タイムだぁー‼︎

(実際には脳回転が速いだけ)

一つ。ここは知らない場所。つまりこれを仮に夢と置こう。二つ。体が軽い。これは夢ならば辻褄が合う。

三つ。目の前の彼女。とてつもなく支那美に似ている。彼女は名前がないと言っている。夢でもあり得そうだ。

いや。ある事を考えてなかった。夢は思考が働いていないはず。何故なら脳は寝ているから。

「ちょ…‼︎君‼︎」

「はえ?」

「体が…‼︎」

体?どう見てもブロック状に散って…

「うわぁぁぁぁぁぁ‼︎何だこれ…⁉︎そ、そうだ君に聞かなきゃいけない事が…」

そこまで言うと意識がそのまま飛んでいった。何かに流される様に…

____________________

「うわ‼︎」

「ふぇ⁉︎」

くそ、頭が痛い…さっきの夢か?

あ…支那美が尻餅ついてる…

「ごめん…驚かせた…」

「あ、ううん!大丈夫!こちらこそごめんね?びっくりしちゃった…」

「あぁ、いや俺こそ…駄目だ。埒があかない。お互い様…って事でいいか?」

「うん…ごめんなさい…」

え…?謝られる様な事言ったかな?何が間違えだったんだろ…お互い様って所…か?支那美は気にしてないと思って言ったんだが…いや。謝っておかないと…

「お。起きたな。さて中村。お前がここまでやってくれたんだ。もちろんお前が全修復な?」

「起きて早々なんだよ…俺が何をやったと…「こっち来い。」ちょ…不良教師まてよ‼︎」

ったく…リビングで俺が何をやらかしたと言うんだ…

 

____________________

なん…だと…

「さて。この人型の様な穴の開き方。ダイナミックダイブした様に綺麗な型だなぁ。これをどう直してくれるんだ?」

「俺は何やられたんだ…」

「病院から約2kmの距離にある刈谷のマンションの刈谷の部屋に華麗にぶっ込んで来たが?」

俺は思った。

死んで当たり前でしょ。

死なない不思議。これが俺。

「じゃあ、修復よろ♪」

「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」




いかがでしょうか?
まぁ人間やめたDIO様以上の強さ持ったパンチ食らったらこれが定番かと…
またフラグを立てました。無事回収出来るか⁉︎
ではまた明日〜
土曜日は多分3話投稿です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

病院に帰還なんてする意味ある?

今日はお出掛け‼︎その後動画見てて頭が痛い。ふれあすたーです。3話投稿出来る気しない…やらなくて良いですか?
えぇわかっています。見てくれる方がいるんです。諦めません。今回は病院に戻る話です。読めばわかります。
ではどうぞ。あ、明日は通常の1話です。土曜日だけです。


「なぁ水原先生…支那美は退院してから間もないから分かるんだが、あんたはなんで悠々とタバコ吸ってんの処すよ?」

「お前がダイナミックダイブしなければお前だけにやらせなかったんだがなぁ。やっぱり無責任なのは嫌われるじゃん?やるしかないよなぁ。」

(ムカつく‼︎今すぐこいつを教師と言う職業を辞めさせたい‼︎)

「なはは!文句があるなら実害がなかった俺じゃなくてお前を全力でぶっ叩いた刈谷にいいな‼︎」

「え⁉︎や、やっぱり私のせい…?」

「な…⁉︎何をそんな…お前は自分の危機を感じて自己防衛をしただけで非はむしろ俺の方に…」

「ほらほら〜。刈谷に文句言うんじゃなかったのか?」

「ぐぬぬ…」

畜生。そんな事言ったってこんな美少女怒れる訳ないじゃん。考えてみろ。例えば自分の好きなキャラ(異性)が目の前にいたら文句言ったり怒れるか?

俺にはそんな事するなら自害するわ。現にアニメに出てきそうな可愛い少女が涙溜めながらこちらを見ていつ怒られるか分からないという顔をしている。

「出来る訳ないだろ…」

「なら、さっさと手を動かすんだな。」

「わかってるさ…」

「で、でも手を緩めたとはいえ叩いちゃったのは事実だし…」

「あ〜あ。中村が刈谷に言わせた〜。先生聞きたくなかったぞ〜。」

俺だって聞きたくなかったわ。主に最初の方がだ。

なんだって?俺はマジで難聴が酷くなったのか?

駄目だ隼人‼︎諦めるな‼︎会話をもう一度再生するんだ‼︎

『で、でも手を緩めたとはいえ叩いちゃったのは事実だし…』

え?

『手を緩めたとはいえ…』

「はぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

「うるせっ…!いきなり叫ぶんじゃ…」

「支那美!手を緩めたと言うのは⁉︎」

「え?え?いや、隼人君に悪いと思って叩いちゃう前に少しスピードを緩めたんだけど…」

「どのくらい⁉︎」

「え?隼人君妙に聞くね?スピードは大体10分の1くらいだから大丈夫だと思ったんだけど…」

支那美さん。あなたは異世界の住人かな?あのエフキラータイプバージョンオメガって子はまさかこの子かな?

計算タイム。時速2600kmが10分の1だと?

元の速さが黄色いタコ型の先生を超えてるんですがあのあの。つまり。約マッハ25。

どのくらいレベルを上げたらスピードにステを割振れるんですか?尚且つ回想で聞いた防御力ですか?意味わからん。まぁとりあえず…

「やり遂げたよ…全部…」

「はいお疲れ様。じゃあ今度は病院行って修繕してきてね」

「ざけんなぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」




いかがでしょうか?支那美さん凄い。
また詳しい事は次で…
次は7時かなぁ。ではまた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

来たくなかった病院

ども。前回書いてすぐ書きました。ふれあすたーです。
なんてったって朝書いてないからね。しょうがないね。
先に言っとくと次は10時ぐらいかな?
今回は病院。
それだけです。ではどうぞ。
もうそろ12月だなぁ…


「…はい。到着。ったく、なんで俺が車で病院まで送らなきゃ行けないんだよ。めんどくせぇったりゃありゃしねぇ。」

「2kmなんて歩いてられっかよ。すまんな…支那美まで連れて来て…」

「ううん。私の所為だしやっぱり来なきゃなって…」

「あれぇ?俺には優しい言葉ないの〜?車で送ってあげたのに〜?」

「ありがとよ。無茶苦茶うざくて生徒に隠蔽工作したキチガイ不良教師よ。お礼にこの音声学校長に届けてあげるよ。」

「てめぇふざけんな。」

「さて…ちょっと戦争(お話)してくるわ。」

「あ、私も行く。」

「せいぜい頑張んな。刈谷はそいつの骨を拾ってやんな。」

「死なねぇよ‼︎つか、本当に金でいいのか?」

「あぁ。それでいいってよ。」

「じゃぁ行ってくる。」

「いってらー」

____________________

「こんちは〜。」

「ちょっと隼人君…ここ病院…」

「お偉いさんいる〜?」

「無視⁉︎うっ…視線が…」

そりゃそーだ。今はまだ昼だ。大きな声出して見られん方が凄い。

横を見るとたくさんの人に見られて恥ずかしがってる支那美さんがいる。おかげで心が落ち着く。支那美さんかわゆす。

「なんのご用ですか?大きな声はやめて欲しいのですが…」

「無理。こっちは金出しに来ただけだ。壁を破壊してすまなかった。修繕費いくらだ?」

「はぁ、全く…計算は出来ています。501号室から1直線に壁を破壊出来るなんて相当凄いですが…全て込みで400万ですね。」

急に周りがざわざわしだした。そりゃ高校生がそんな大金払えるとは思えないからだろう。

「へいへい。あ、そうそう。

調子乗るのは病院だけにしてくんね?」

「…は?」

「え?どういうこと?隼人君。」

「あ、分からない?あの壁さぁ、実は安物。つまり違法建築まがいなものってわけ。それなのに400万とか…どんだけ盛ってんの?」

「あなたは失礼だと思わないんですか?全く…学生の分際で…」

「ふ〜ん。あくまでしらを切るんだ。まぁいいけど。俺さぁ、人にバカにした様な態度取られると殺したくなるんだよね。例えばあんたみたいなやつ。」

「…‼︎調子に乗るなよ‼︎ガキが!」

「はーい。ではこれから考察ターイム‼︎みんなも聞いていてね。これはお客様も大いに、そしてここで働いている皆様も関係があることなんですから♪あっと。医院長。何処に行く気ですか?あなたが主犯なんですからドラマの様にきいてくださいよ〜。」

「馬鹿馬鹿しい‼︎付き合ってられるか‼︎」

「聞けって言ってんだろ。顔を引きちぎるぞ。」

「…⁉︎」

(今の隼人君の殺気⁉︎)

「さて、医院長も聞く気みたいだし始めるとするか…」




いかがでしょうか?隼人君はやるときゃやる!
ぼったくりなんて最悪ですよねー。
ではまた〜。
ツイッターでは何呟いたらいいんだ…?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

考察ターイム

コナン見ながら執筆してます。ふれあすたーです。明日はゲーセン行くかなぁ〜。多分ツイッターに載せます。
今日最後は医院長を論破する話です。
ではどうぞ。


「さてさて…先ずは何から…」

「あ…じゃあ建物について私は聞きたいかな。」

「ではそれから…まずこの病院はいつから建てられたのは何年なのか…ご存知かな?」

「えっ?それは……‼︎そう言えば聞いたことない‼︎」

「そう。まず何年か公表していない。そして次。公表してないのはまだいい。だが…普通は土地まで買う必要あるか?」

「何が言いたい…」

「聞いた話だからよー知らんけど病院…て言うより建築物は土地の所有者から借りるのが一般的。んで売り上げを分けるんじゃないか?」

「でもお金持ちさんなら…」

「考えても見ろ。金持ちが良く金が入る医師なんてやる訳がない。人間は欲が深いのさ…んで金持ちなら安定して稼げる株式会社のが一番いいんだ。変動がないからな。」

「なりたいっていう気持ちは?」

「ないなぁ。高校生相手に400万だぞ。支那美はどうする?」

「えと…持ってないと思ったらせめて壁を修繕してもらうくらいかなぁ?」

「そう。払えないと分かっているなら逃げられる前に修繕作業をさせるのが人道的だな。だがしかし、あんたは高校生相手に欲を張った。違うか?」

「さっきの話とどう関係が…」

「そうです。ここで繋がります‼︎何故金持ちが私有地を持っているのに病院を建てて高校生からぼったくりなんてしようと思ったのか⁉︎」

「くっ…‼︎」

「まず土地を人から話つけて掠め取ったとしよう。これを踏まえた話だからな。その後あんたは考えた。どうしたら金を稼げるか?株式会社は安定させるのが大変だ。田舎ともなりゃきつすぎる。そしてこの近辺には病院が無いと気づいた。そこからは簡単だ。あんた、調べたら大型金融の社長補佐らしいじゃないか。どうせ人件費で金を使ったんだろ。だから建物は…まあ知り合いの誰かに頼めば何とかなる程度の大きさだなぁ。それで建てた。そして医院長になれば金はたくさーん手に入り、お偉いさんは手術をしなくてもよろしい…と」

「ガキが上っ面のことをベラベラと…」

「大体工事の音は?」

「支那美さんどっちの味方?…簡単だったろうな。だってその時には近くに家が無いんだから。」

「なっ…⁉︎」

「答え合わせと行こう。ここは創立5周年だ。何故か?それは受付にある。」

「…‼︎失礼します!…あぁ‼︎」

「受付に入ると分かる。上には創立年が一年ずつな…5枚だから5年。オケ?そしてこの1週間前に家がこの近辺全て全焼したらしい。」

「知ってる。確か誰かわかってないんだよね?」

「こいつ。」

「え?」

「犯人こいつだよ。だってここは放火で死んだ人の私有地だし…」

「…⁉︎」

「知ってる?都会から遠いから知らないだろうけど、こいつ都会の指名手配犯だよ?」

「何を根拠に…」

「これだよ。指名手配の紙。」

「ほ、ホントだ…‼︎同じ顔…‼︎」

「…くぅ…‼︎」

____________________

「いやー楽しかった。」

(隼人君…こんな一面があるなんて…)

楽しかったのはマジだ。相手を論破なんてタノスィ〜。

「さて、じゃあ帰りますか‼︎」

「うん‼︎」

 

 

 

 

 

 

「刈谷支那美…邪魔な存在は殺す…」

 




いかがでしょうか?
最後はフラグだ。
分かりにくい方に言っとくと、医院長は建築物を建てましたが職人じゃないので技がない。って事です。
さあ、一章は終わりで次は二章『学校の恐怖』です。
ホラーはないのでご安心を。
ではまた明日〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2章 恐怖の学校
授業参観なら行かねぇぞ‼︎


ども。今日は物見事にグルコスのパーティ4Uで死にました。ふれあすたーどす。今回から二章ですね。まあサブタイ見て分かるように授業参観でほのぼの➕シリアスっていう気持ち悪い構造ですね。マジで死にたいパーティ4Uスパセフ使ってS取れなくてすいませんうわぁぁぁぁぁぁぁ‼︎
ではどうぞ。(切り替えの早さ。)
いいもん…墨染エクストラノーアイテムでクリアしたからみんなは許してくれるもん…


午前7:50

「じゃあ行ってくるね‼︎」

「おす。行ってらっしゃい。」

そう言葉をかけるとガチャンという音がした。

「さて、張り切ってやっていきますかね。」

____________________

俺、中村隼人は平日休日共にとても多忙だ。

平日はまず支那美を起こす。そうだ。あの日(とは言っても1週間程前だが)以来俺は早起きが出来るようになった。

何かに呼ばれた気がして気付いたら起きている。そして朝食を作り、その間に支那美を着替えさせる。あ、変な意味ではない。で、飯食わせたら後は学校行くまで適当に雑談。学校に行かせたら掃除に洗濯、買い物をして昼を食べてから、次はふろ掃除、その後は少し昼寝をして夕方4時になったらご飯を炊いて夕食の準備をして、作り終わる数分前に

「ただいまぁー‼︎」

と子供じみた声を聞く。

「おう、お帰り。飯できるから着替えてこい。」

「わかった‼︎ご飯楽しみだなぁ。」

そういい寝室に消える支那美を見てから夕食にラストスパートをかけた。

____________________

…まぁここまでがテンプレだ。だが今日は違う。朝から頭を悩ませていたことがあった。

「隼人、どうしたの?」

「いや…なんでも…」

そういえば支那美はやっと俺を呼び捨てで呼べるようになったのか。嬉しい限りだが…

(違う…明日は確か…)

明日は土曜日。高校生は土曜日から授業が入り辛いったりゃありゃしない。だがそうでは無い。

「あ、そうだ。隼人、明日は授業参観なんだけど来てくれるかな…?」

「授業…参観…?」

授業参観か…。あれ、何か頭に突っかかる。

あ…

「そうだよ明日は授業参観じゃねぇかぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「え?ど、どうしたの?」

「なんて事を忘れていたんだ俺の馬鹿野郎‼︎」

そうだよ。明日は授業参観…俺からしたらとてつもなく最悪でアンハッピーな日。それは何故か?

では皆様。ご想像下さい。自分の保護者がもしも同年代の高校生だったらどう思いますか?自分の子供的、妹的存在が自分と同年代で尚且つ自分はその子を可愛がり絶対に行きたいと思っていたら?

答え。

「絶対に生徒に変な目で見られるに決まってる…」

当たり前だろう。親に混じって自分達と同じ高校生1年生が同年代の授業参観しに行ったら浮くこと間違い無し。しかも支那美は同学年にとてつもなく嫌われている。そんな支那美の保護者として俺が来たら迷惑になって余計居づらくなってしまう。

「隼人…来て…くれるよね…?」

こんな美少女にきっぱり断れますか?




いかがでしょうか?
最後は聞き手ですね。私は無理だ絶対に行く。
皆様。私はグルコスで頑張りました。墨染クリアしました。だからパーティ4Uは許して下さい。
違うんです。首を振っていたらミスしまくりで…
やはり職人の弟子ですから‼︎(謎の使命感)
ではまた明日〜
今日は絵を描きツイッターに上げるつもりです。もしかしたら挿絵に…ならないな。うん。下手ですのでツイッター見ても変な絵だなと鼻で笑ってあげて下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

美少女の頼みを断るのは馬鹿のする事

ども。約1時間机と格闘し絵を描いて小説が遅くなりました。ふれあすたーデス。女の子ぽいなぁ…最初は男のつもりだったんだけど私は女の子しか書けないのか。

画力がゴミですね。
今回は見れば分かる‼︎以上‼︎(サボり
ではどぞどぞ。


午前8:00

「じゃあ隼人!今日は絶対来てね‼︎」

「分かってますよ…」

「行って来まーす!」

「あい…」

どうやら今日は大変な日になりそうだ…

____________________

「ふぅ…全て終わった。さて、行きますか。」

掃除は帰ってからだな。着替えもしたしさっさと行くかな。

しかしマンションは便利だ。ここから親の数が目に見えて分かる。もう人も増えて来た。

「あん中に混じりたくねぇ…」

____________________

…ねぇ。あの子誰?

…うちの生徒じゃなくない?

…他の学校のずる休みって奴?見せびらかしとか…

(本当にまともな奴がいない…まぁこうなる事請け合いだったんだけどさ。)

俺の学校と同じで馬鹿だらけ。付き合ってもられん。

特別教室はあっちか…?

「なぁ、そこの君。」

「…何?いきなり話しかけないでくれる?気持ち悪いんだけど。あんた他の生徒から浮いてんの分かってんの?」

「あ〜あ〜うるさ。やはりまともじゃない女に話しかけなきゃ良かった。ただただぎゃーぎゃー騒ぐ能無しに聞いた俺が馬鹿だったよ。じゃあな。」

「…‼︎待ちなさいよ‼︎あんた…‼︎」

「見ず知らずの人間に待てと言われて待つ人間はいますか?そんな事もわからないのか?一体何を学んだのやら…」

「こんの…‼︎」

いきなり殴って来んなよ…

女の腕を掴み地面に寝かした。

「な…‼︎」

「これって暴力なのかな?まぁいいや…お前さ、支那美をいじめてるゴミ集団の一人だろ。顔を見りゃ真理なんてすぐ分かる。女の子には手を出さないがいきなり殴って来る女には容赦しないんで。しかも支那美をいじめてるなんて言語道断。ぶっちゃけそのまま殺したって言い訳。分かりますか。言ってる意味。」

「………」

「分かるまでそこで寝てろ。聞き分けのない人間は大嫌いだ。支那美を少しは見習えば?…そこで友達って言う表面上の存在のあんたらもだよ。」

そう言って俺は去った。その後俺が浮いたのは言うまでもない…

____________________

「こっちだよな…」

流石に学校で迷いたくはないわ。

時間もないし急ご。

「うわ!」

「きゃっ!」

やべ!女の子にぶつかってしもた‼︎

「ごめん‼︎急いでて周りを見てなかった…怪我とかしてない⁉︎大丈夫⁉︎」

「だ、大丈夫です…こちらこそすいません。私の不注意だったので…き、気にしないで下さい‼︎」

「あ⁉︎ちょっと‼︎」

小柄な少女は走り去ってしまった。

とりあえず教室いこ…




いかがでしょうか?
最後の子は可愛いよ多分。
ではまた明日〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

保護者枠に入らないのでアウェー感がない。

昨日は絵を描いた後眠過ぎて寝てしまいました。すいません。ふれあの馬鹿です。最近、バトったりグロい系の小説を読み、早くこういう要素入れたいなぁと思っていたり…今回は授業は飛ばして朝と昼です。
微分積分は私は理解できなかった。
ではどうぞ。多分火曜は毎回かもしれません…


「うーす。おはよう。」

「あ!隼人!やっぱり来てくれたんだね!」

「流石にな。授業も見たいし。」

(主に不良教師の方だけど)

「あ、でも…私、あまり勉強得意じゃないから…」

「別に何も言わねぇよ。」

「あー…おはよう。…なんだ。来たのか。」

「理由はわかるよな?」

「うちのクラスに入りたいんだろ。」

「誰が。監視だよ。あんたのな。」

「全く〜照れるなよ〜」

「気持ち悪い。純粋に。」

「え?隼人、学校に来てくれるの?」

「行かないからな?」

「あー…確かに来ない方がいいかもな…」

「は?」

「さぁ授業を始めるか‼︎」

「どういう事だぁ〜‼︎」

____________________

午後0:40

「…今日、授業見てどう思った?」

「恐ろしい…久々に畏怖を感じた…」

「分かったな?意味が…」

「あぁ…」

今日の授業に何があったのか。恐ろし過ぎて口に出せない程だ。この人の気持ちが分かった気がする。

1時間目 数学 微分積分

問題が出て数十秒で答えを出せる。意味わからん。

2時間目 英語 Be動詞+不定詞

最初から意味不。

3時間目 世界史? 地理のテスト

用意されたのが世界地図。支那美はパーフェクトで解けていた。因みに問題は国の名前と首都を全て。何言ってるんだ?

4時間目 古典 更級日記

理解はできない。

____________________

「いや〜。やっとお昼だね〜」

「あぁ…やっとだよ…」

「何処で食べる?」

「教室はアレがいるから…確か裏庭、あったよな?」

「あるよ〜。じゃあそこにする?人もあまり来ないしね〜」

「そうだな…人には見られたくないし。」

保護者と学年で浮いている存在が一緒にご飯食ってるとこ見られたら俺は死ぬ。

「じゃあ行こかー」

____________________

一方…

「あぁ…なんであいつ俺の分作ってくれなかったんだろ…流石に腹減るわ…」

男が思っているとコンコン…とノックの音が聞こえた。

「失礼しま…⁉︎煙たい…」

「あぁ?何の用だ。お前は逆側だろう。」

「いえ…こちらに私と同じ歳の男性が来ませんでした?」

「…来ていたらどうする?またお前は同じ事を繰り返すのか?」

「違います‼︎あの方なら…私は変われると…」

「中村と同じ事言ってる…はぁ。学校にはいると思うぞ。」

「大してヒントにもなってない情報ありがとうございます。では。」

「大してヒントになってないって…まぁ、多分大丈夫だろう。まだ昼だし。」

____________________

「じゃあ食いますか。」

「いただきまーす‼︎」

支那美はお腹が空いていたのかすぐに弁当に食らいついた。

「落ち着いて食え。」

「おいしー‼︎」

「聞いちゃいねぇ………ん?」

いつの間にか目の前に人が…

…って、え⁉︎

「…やっと見つけました…私の運命の人…」

そこには朝、ぶつかってしまった小柄な少女がいた…




いかがでしょうか?
フラグがどんどん増えて回収めんどく
すいませんなんでもないです。
でも最後の子ってやばいんですよね〜
ではまた明日〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修羅場ではない。はず…

ども。遅すぎて私を殴りたい方。そんな方は殴らずに私にとって心を削られる攻撃、感想欄で叩く、をして見てください。喜びます。ふれあすたーですますん。違うんだ‼︎オルガルでイベ始まったから走ってたんや‼︎
さて今回は新しく出た子がハッチャケます。
どういう風にか?それは見た方がはやいよ‼︎
ではどぞ。オルガルたのしぃー‼︎


「はぁ、運命の人ねぇ…」

「………」

「…どうした支那美。黙りこくって…」

「…どうして私たちっていつもこうして会うのでしょうね?支那美さん。」

「同じ学校にいるから仕方ないでしょ。…隼人、場所をかえよ。」

「え?ちょっ、ちょっと支那美!」

どういうことだ。今朝ぶつかった子に会ったら支那美の雰囲気がおかしい…

「いいんですよ。あんな方無視して。それより…」

「君さ。一体誰だ?俺は名も知らない奴に運命の人と呼ばれたくないわけだんだが。」

「失礼しました。私は佐々木茉莉花。先程言った通りあなたの運命の人でございます。」

「あ〜そこそこ。なんで運命の人ってわかったの?」

「簡単です。今朝あなたにぶつかったから。それだけです。」

「…は?」

何を言っているんだこの子は…

「私は急いでいて周りを見ずにあなたにぶつかってしまいました。私に非がある筈なのにあなたは私を責めず、むしろ心配して下さり、私にはこの方しか居ないと思いました。」

なるほどわかったよわかっちゃったよ意味が!

この子、アホだ。所謂少女系漫画のテンプレをリアル世界に持って来てしまったわけだ。

まぁ俺は何言われようとだな…

「俺は生憎あそこで待ってくれてる支那美の方が好きなんでね。残念だったな。俺よりいい男なんて沢山いるからそいつと付き合いな。」

「………」

「んじゃ。」

全く…大変だったな。

「でしたら…支那美を消せば良いんですよね?」

「……⁉︎支那美逃げろ‼︎…くっ⁉︎」

「隼人さんは私の物なんですから逃げちゃ嫌ですよ?」

支那美…早く…逃げろ…

「逃げろって言われて大切な人裏切って逃げるわけないじゃない‼︎」

「支那美…」

「鬱陶しい人ね…いい加減一途で好きな人を殺す性格はやめてくれない?隼人は私の大切な家族なんだから‼︎」

「家族に愛され方を教わってない癖に偉そうに…だったら支那美さんから殺して差し上げましょう‼︎」

「私はあなたには絶対に殺されない…あなたとは違うの‼︎」

____________________

「遅いです‼︎」

茉莉花はナイフを支那美にふるった。

「遅いのはどっちかな?もう後ろにいるんだけど…」

「…⁉︎隙を見せるのは死に直結しますよ‼︎」

「明らかに動揺したのにね?」

支那美は素手でナイフとぶつかった。

…ナイフは砕け散り、支那美も手に少しだけ傷を負っていた。だが。

「こんなのじゃ全然だよ〜?もっと強靭なのを持ってきなよ〜。」

支那美はいつもとは違う顔で不気味に笑った…




いかがでしょうか?
タグにもありますよね?ヒロイン最強説って…
つまりそういうことです。
ね?茉莉花さんヤバかったでしょ?
ではまた明日〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヤンデレには恐怖しか湧かない。

はいはい‼︎ずっとオルガルやってて小説なんか頭から抜けた馬鹿でーす‼︎僕はこの作者に謝罪して欲しいのですよ。ね?分かった?
まじすいません許して下さいなんでもしますから
どうも。オルガルに没頭してたふれあすたーですよ!
ガチャ引いて出たのが星3はいらない…
今回はまぁ茉莉花ちゃんの説明かな?
ではエビフライやぁ〜‼︎


「…分かりました。降参です。武器もないのにあなたに勝てるわけありませんもんね。」

「あったところで私には勝てないでしょ?いつも通りね。」

「ですが諦めてはいません。いつか隼人さんはわたしの物になるんですから。」

「隼人は大切な家族なんだからあなたになんか渡さないよ〜だ。」

「では…また会えるといいですね。人殺し。」

そういい彼女は去っていった。

____________________

「う…」

「あ、隼人。大丈夫?」

「あれ…?あの子は?」

「…いなくなったよ。ごめん…私の昔の友達が迷惑かけて…」

「支那美に怪我がなければいいさ。」

「教室に帰ろう?また襲われる前に…」

「…そうだな。」

俺たちは教室に向かった…

____________________

「オイゴラァ。不良教師いんのかゴラァ‼︎」

「あぁ?なんだようるせぇな。俺はご飯食べてないからイラついてんの。なんで作ってくれないんだ。」

「お前の保護者になったつもりはねぇんだが。」

「隼人。違うでしょ。聞きたいことがあるんじゃないの?」

「そうだ。不良教師、佐々木茉莉花って知ってるか?」

「…あいつに会ったのか。どうだった?」

「あぁ。とてもいい子だよ。殺人癖が無ければな。」

「…⁉︎おい待て。まだ昼だぞ⁉︎あいつは夜にしか出ないはずじゃ…」

「私もそう思ってました。そしてあの子が隼人は運命の人って言うから、早く去ろうと思ったのですが…」

「出ちまったんだな。」

「はい。」

「ちょっと待て。俺は彼女の事が聞きたい。詳しく教えてくれないか?」

「それは刈谷がよく知っていると思うが。」

「…あの子の事は口に出したくないけど。隼人は特別に教える。」

____________________

あの子は佐々木茉莉花。小柄で髪の毛は茶色。肌も白かったし、皆の人気者だった。よく喋る子でもあって私なんかとは違かった。でも茉莉花は私に話しかけてくれた。いきなり話しかけられて驚いたけど嬉しかったな。私と茉莉花は仲良しでいつも一緒に遊んでた。でもとある日から変わっちゃったの…全てが。

私は銀行に行ってお金をおろそうとした。その時に茉莉花と茉莉花のお母さんで来た。お母さんが会釈し私もそれに乗じて会釈した。その瞬間…

「金出せよオラァ‼︎さもなくば撃ち殺すぞ‼︎」

銀行強盗が白昼堂々銀行で叫んだ。

私は恐怖を感じた。その場で伏せて涙を流していたと思う。茉莉花もそうだった。お母さんは茉莉花を守る体制をしている。

「おーし。この袋に500万を入れな。逆らったら…分かるよな?」

「は…ハイ!」

受付の人は急いで金を詰めに行った。

「てめぇらも何も言うなよ?煩わしいから。」

「それはこっちのセリフだよ?強盗さん。」

私は何故か強盗にそんな事を言った。

怖いはずなのに。何故だろう?

「ガキが調子ぶっこいてんじゃねぇ‼︎」

「支那美さん‼︎」

私は銃を向けられ死ぬんだな。って思った。

だけど。

急に何かに突き飛ばされた。

「…茉莉花のお母さん…‼︎」

「お母さん‼︎いやぁぁ‼︎」

茉莉花のお母さんは私に微笑むと。

強盗に銃で体を貫かれた…




いかがでしょうか?
茉莉花ちゃんの過去はまだあるお。
ではまた明日〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヤンデレの過去は想像以上に辛い。

おはようございます(?)今さっき起きて頭痛いお。(9:10)ゴミ野郎です。名前変えたか?そんなことありません。みんなに言われてる気がしてならないからです。みんな優しいからきっと大丈夫だよね?そういえばもう学生さんは二学期も終わりますよね。私は内申下がらなきゃなんでもいいです。高校受験の結果がどうであれ私は小説を投稿し続けますので安心してね。(勉強しろよ)
今回は茉莉花ちゃんの過去です。
ではどうぞ。


「お…母…さん?」

「ははは‼︎良かったなぁガキ。そいつのおかげで死なずに済んでヨォ!」

「…強盗さん?あなたは何をしたか分かっているんですか?人を殺して…」

「だからなんだ?」

「…‼︎」

「人間なんて廃捨てる程いんだろ。一人ぐらい殺したって意味ねぇよ。」

「ではあなたは家族が居なくなったら…」

「さぁね。家族の暖かさなんて聞いただけで反吐がでる。そんなものしらねぇよ。」

「…あなたを…絶対許さない…!」

「茉莉花…‼︎やめなさい‼︎あなたが行ったって‼︎」

「支那美さんは黙って下さい‼︎私はあの男を…この世界に存在するゴミを消さなきゃいけないんです!」

「おっと?てめぇも死にたいらしいなぁ?なら母親と共にあの世に行き…なぁ⁉︎」

「…茉莉花⁉︎」

彼女の手はナイフを持っており彼女の手は既に強盗の心臓に添えられていた。

「ゲホッ…ガハッ…」

強盗の口からは血が吐き出され茉莉花の顔へとかかった。

しかし。それにも動じず。

「はぁ…はぁ…さっさと消えて‼︎」

ナイフが刺さった状態で身体を薙いだ。沢山の血が溢れ出てそれは彼女の体へ降り注いだ。

「茉莉花…?あなた一体…」

「あはっ。あははっ。ねえねえ見てよ支那美さん。このナイフに内臓とか人体の肉とかがこびりついてるよ?人の体ってこんなにスパスパ切れて楽しいんだぁ‼︎私はもっとたくさぁんの人を殺して見たいんだ!楽しそうでしょ?」

言い終わると同時に彼女を思い切りはたいた。

「何が楽しいよ⁉︎あなたは何を言ったか分かっているの⁉︎そんなのさっきの男の人と何も変わらない‼︎」

「支那美さん。私のお母さんを盾にしといてよく言うよね。」

「⁉︎私は…‼︎」

「いいよ言わなくて。さっきあんなに勇ましく出たのって誰かが死ぬのを見たかったからでしょ?そんなの見殺しに変わりない‼︎あなたは私のお母さんを殺したの‼︎」

「茉莉花…‼︎」

「…お互いの意見が相容れないならもう絶交した方がいいよね。どちらも受け入れないならさ。」

「…その方がいいのかもね。」

じきに警察が来るであろう前に私たちはここから去った。勿論。茉莉花は怪しまれ捕まってしまったけれど…

____________________

「その頃からだよ。茉莉花に殺人癖がついたのは。」

「待て。ならなんで彼女は今…」

「…佐々木って名はな。この辺じゃ逆らいようのない佐々木グループのやつなのよ。だから佐々木の父親に罪を消してもらってるわけよ。」

今、この街は無力なのを知った…




いかがでしょうか?
茉莉花ちゃん恐ろしや。
高校受験の勉強しなきゃ(嘘)
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人間逆らえないほど逆らいたくなる。

深夜投稿で4徹のふれあです。短くした方が読みやすいかな?まぁふれあすたーって入れるのめんどい。
今回は隼人がどう動くかだよ!
ではどうぞ。


「チッ…結局この街も流されるがままなんだな…」

「そこまで言うな。俺だって分かっている。だが手出しが出来ない以上どうにも…」

「なら俺が直接行けば良いんだろ?」

「やめて‼︎私は…隼人がいなくなるのは…」

「だから。俺が死なないならいいだろ。こんな世界で死ぬ訳ねぇだろ。」

「そんなのわからない‼︎偶然そこに茉莉花が居合わせたら…二人に殺されちゃう…」

「だから今から行くんだろが。今から行けばあいつには会わないだろう?」

「それだったら私も行く‼︎隼人だけ行かせない‼︎」

「あー分かったよ。刈谷は早退扱いにさせるからさぁ。てめぇら早く言って来いや。」

「水原先生…」

「俺だって流されっぱなしは飽き飽きなんでね。協力するよ。」

「あんたそれこそ職権乱用だろが。…だが今回は普通にありがたい。」

「そのデレは誰得だ?」

「は、隼人…可愛い…」

「刈谷得だった。」

「う、うるせぇな‼︎早く行くぞ‼︎」

「はーい。」

____________________

「はぁ、なんで俺がこんな事しなきゃ…誰だ?煙に紛れたと思っているなら早々に出てくる事をお勧めするけど。この煙は少し特別でな。外気に触れると色が変わるのよ。ほら、あんたがいるところ。色が変化して来た。」

「……貴方は刈谷支那美の関係者?」

「教師ですけど」

「教師って何?新しい種族?」

「教師を知らないのか?どこ生まれの誰だお前。」

「ヤイカルで作られた。名は…」

__________________________

「意外に近いんだな。」

「ここがこの街の中心部だからね…おっきな所に建てて目立ちたいんでしょ。」

「人間の欲望は恐ろしいんだよ…入るぞ。」

俺はビルの前まで歩み、扉を開いた。

「広いなぁー。ここはマジで田舎か?」

「私も最初はそう思った。だけど惑わされちゃダメだよ。」

「誰だてめぇら‼︎ここはガキは立ち入り禁止だ‼︎」

「もし知り合いがいるとしたら?」

「茉莉花嬢は今学校だし唯一の友達の支那美嬢も勉学に励んでいるだろう‼︎ガキはさっさと帰れ帰れ‼︎」

「ガードマンさん。私がさっき呼ばれた刈谷支那美ですよ?」

「し、支那美嬢⁉︎しかし今は学校にいるはずじゃ!」

「俺が連れて来たと言ったらどうかね?」

「貴様…まさか支那美嬢をさらって来たのか!そしてこちらに連れて来た、違うか⁉︎」

「お前話聞く気ないよね?少しはこっちの話も…」

「なんの騒ぎだ?」

そこには仁王立ちをしたいかつい男が立っていた…




いかがでしょうか?
フラグ回収めんどいよぉ〜
ではまた明日


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最高のバッドエンド

今日はいつもより少し長いよ〜。ふれあすたーです。ふれあにすると私が好きな有名なハーメルン投稿者に何か言われそうなのでやめときます。優しい人だと思うから言わないと思うけど一応ね?
今回はサブタイ通りだよ。
ではどうぞ。2話前のあの表現ってR15でいいのかな?


「あんたが茉莉花の父親か?」

「いかにも。」

「なら話は早い。単刀直入に言おう。この街で王様気取りはやめてくんね?」

「貴様ぁ‼︎このかたをどなたと心得ているのだ‼︎」

「娘の罪を消そうとする程の親バカ。」

「…お前、中々肝が据わっているようだな。私にここまで言うとは…」

「据わってなかったらこんなとこに堂々とこないから。」

「確かに。…お前ら、客人だ。応接室まで、だ。」

「しかしこの男は…」

「てめぇは客人だと言われても動かねぇたぁいい度胸だ。お前ら、こいつをすぐさま消せ。」

「…⁉︎すいません‼︎社長‼︎すぐに取り掛かります‼︎」

「最初からそうすんだよ。」

成る程こいつは恐ろしいな。確かにこの威圧なら大体は命令を聞きそうだな。

____________________

「さて、お前は私にどうして欲しいんだ?」

「どう…と言うよりは娘を少しは突き放したらどうだ?流石にこれはやりすぎだ。」

「だが、お前らにはまだ害が無いであろう?」

「害が出てるんだよもうすでに。今日だって襲われた。それにな、人ごとだと思わん方がいいぞ。」

「何故だ?茉莉花は私を襲ったことなど…」

「いい加減にしろ‼︎」

俺は怒鳴り声を出した。

「いいか⁉︎この街はこれ以上被害を出してはいけないんだ‼︎今月でもう20人が死んだ!今は自制がある分まだいいが、自制が効かなくなったらあんただって死ぬかもしれない‼︎茉莉花の殺人癖は止められない‼︎…だったらせめて監禁してやれ。生かして唯一害が無いのはそれ以外ない。」

「………」

「全く…来ているなら言ってくださいよ。隼人さん?」

「…‼︎茉莉花…」

「あら♪数時間前の事を覚えて下さいましたのね?私はとても嬉しいですよ。でも…」

と言い茉莉花は支那美の方を見た。

「その女がいなければもっと嬉しかったです。付き合うのに浮気はダメですよ?待ってて下さい。今すぐ殺しますから。」

「茉莉花‼︎やめなさい!支那美ちゃんは友達なのだろ…う⁉︎」

「すいません隼人さん。まだうるさいハエがいました。始末するのでお待ちを。」

「しゃ、社長ぉぉぉぉぉぉ‼︎」

ザクッザクッと茉莉花の父親から音がする。

「お父さん。お母さんが死んじゃっても貴方は悲しまないどころか喜んでだよね?私が…私がどれだけ悲しかったかもしれないで‼︎貴方は‼︎お金の為に‼︎」

茉莉花は馬乗りをしてナイフを何度も突き刺すと父親は動かなくなった。

「私は貴方が嫌いだったよ。じゃあね。」

____________________

目の前の光景を目にしてガードマンは皆逃げて支那美は見ないように俺の体に隠れている。

「…ごめんなさい。思ったより時間がかかってしまって…」

「お前はよく躊躇なく親を殺せるもんだ。」

「あんなのは親じゃないので。では始めましょうか。支那美さん。」

「始めさせない…」

「え……?」

茉莉花は何者かから後ろから串刺しにされていた。

「茉莉花‼︎」

「は……や…と………さ…」

駆け寄ると同時に物体は茉莉花から引き抜かれ、鮮血を俺は直に浴びた。

「茉莉花…」

「私…嬉しかったんです…隼人さんに会えて…貴方ならきっと…私自身が変わる気がして…だけど…貴方にはもう支那美さんが…いたから…私はどうしてもと思って…」

「……」

「馬鹿らしいですよね…だけどこの物語の最後にふさわしい死に方です…隼人さん…最後に一つ、いいですか…?」

「言ってみろ。」

「支那美さん…絶対に捨てないで…下さいね…」

言い終わると小柄な少女は俺の腕の中で息絶えた…

「茶番はもう終わった?」

「…お前は誰だ?」

「私はヤイカルで作られた戦闘兵器。コスモスという名前。」

青い髪に翠の瞳。機械らしく、ロボットのようなアーマーを身につけていた。

「…隼人…私、とても怒ってるんだ。あの子、壊していいかな?」

「…俺もだ。あいつをやるぞ。」

こうして戦いの火蓋は落とされた…




いかがでしょうか?
もはやほのぼのしてないねうん。
茉莉花を殺したのは最初から考えてありました。
まぁ一部ずつに人が死ぬのは当たり前と捉えて下さい。
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

高スペックに真っ向では勝ち目なし

久々にff10つけたふれあすたーです。
今回、まさかのバトル回⁉︎
いや別に。
ではどうぞ。私にバトル物は期待したら負けです。


俺が一歩前に出た瞬間。

物凄い速さでコスモスは向かって来た。

「支那美‼︎横っ飛びだ‼︎」

言うが早いかすぐさま支那美は真横に飛んだ。

距離があったおかげで俺もギリ回避だ。

「なんつー速さだ…」

瞬間速度は秒速5kmか?

よし、なら行ける。

「支那美‼︎少しだけ時間を稼ぐから…わかるな?」

「…成る程‼︎分かった!」

「敵の目の前で伝達など…愚策」

そういい支那美に向かって走り始めた。

が。すぐさま俺がそこらへんの電気を投げた。

危機を察知したのか案の定振り返り電気を排除する。

だが、もう遅い。

「つっかまえた〜‼︎」

「…‼︎」

「残念ながら愚策だったのはそっちだったようだな。俺がかけたのはブラフだ。」

「ブラフ…?」

「俺はさ。時間を稼ぐのは不可能な程弱い。

だから敢えて鎌をかけた。」

「おかげで捕まえやすかったよ〜」

「…ッ、離せない…」

「離すわけないでしょ?」

「じゃあおさらいタイムといこうか。」

俺は語り口調になりながらコスモスに話した。

「まず始めに。あんなに潔く囮になると言ったが…それはお前を信じての一言だ。」

「…?どう言う事?」

「お前に感情があると思ったからああ言ったんだ。無かったら本能的に俺を殺して…となっていた。」

「………」

「次に。ここから先は簡単だ。お前に感情があるならブラフにも引っかかる可能性はあった。そして聞いた事で何をしたら最善か。それを考えて支那美を先に殺せばいいと思ったのだろう。確かに合っていたよ。考えはな。」

「だけど。隼人は頭がいい以外に取り柄が無いんだ。後かっこいい事ぐらい?」

「支那美さんそれは暴言です。まぁ頭もそんなに良く無いんだけども。そう言う事。俺は相手の心理に潜り込むのが得意だ。こう言えばきっと相手はこうするだろうな、っていう思考があるんだよ。結局は目測だけれども。

俺には感情と人間としての心があれば大抵は読める。例外はいるが…」

「誰誰?隼人でも読めないなんて‼︎どんな人?」

「さぁ?誰でしょうね。まぁとにかく…コスモス、お前は注意を怠りすぎた。それが敗因だ。」

「…そうね。私の負け…後は殺すなりして…」

「…殺す、ねぇ…」

「…どうしたの?貴方達を襲ったの。私は死ななきゃ許されないでしょ?」

「支那美。拘束を解いてやれ。」

「うん…隼人の気持ちはわかるな。」

「分かってくれて嬉しい。」

支那美は腕をコスモスから離した。

「なんで…」

「お前が命令によって来ていたから。」

「え…?」

「命令されて来ていたのに殺されたら嫌だろ?主人には逆らえないのにさ。俺は嫌だ。お前にも感情があるなら分かるだろ?」

「それは…」

「早く帰りな。負けた理由は支那美の近くにキチガイが湧いたからって事で。」

「…ありがとう。…ねぇ、隼人。」

「なんだ?」

「貴方って軍師になれるかもね…」

そう言って背中から翼を生やし飛んで行った。

「軍師ねぇ…俺は諸葛孔明じゃないからなぁ…」

 

 




いかがでしょうか?
コスモスさんは一応主要キャラです。
今度キャラ設定表でもだしてみますか。
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

出会いと別れはいつも唐突

どもも〜。明日は友達の家に泊まるんです。多分明日も午前投稿は無理ぽかも…有言実行しない人。
ふれあすたーです。
今回は…色々かな。
ではどぞりまる。
誰だよどぞりまるって。


俺たちはコスモスが外に飛んでいったのを見送った後に周りの状況に少しばかり困っていた。

「…なぁ。茉莉花と父親の遺体…どうする?」

「私はどうする事も出来ないよ…」

「だったら俺たちに任せてくれないか?」

そこにはいかついガードマンたちがたくさん立っていた。そこにはさっきの怯えの表情では無く現実を受け入れた顔をしていた。

「あんた達はこの残酷な現実を受け入れるのか?」

「後ろを向いていたってすぐ目の前にある未来を受け入れているわけではない。前を向くからこそ未来が捕まえることが出来る。」

「うん…私もそう思う。現実はどんなに背いたって変わる筈が無いから…」

それは俺も同感ではあった。支那美の言う通り目を背けたって状況は変わらないし、目を背けた先は必ず過去にある。過去を見てばかりじゃ人は進化しない。どんなに過酷でも現実を直視するからこそ未来が生まれる。それはその人本人にしか出来ないことだ。

「…分かった。あんた達はもう決意しているんだな?」

「当たり前だ。」

「なら俺が言う事は何も無い。ただ…この葬式は内密にやった方が賢明かもしれないな。社長とその娘が1日で死ぬなんてあってはならない事だ。葬式でも終わったら引っ越すのが賢明だろう…」

「そうか…ありがとな。」

「礼ならいらない。俺だって見殺しにしたのは事実なんだ…」

「…隼人。早く帰ろう?顔色が優れてないよ?」

「…ん。そうだな…じゃあなあんたら。縁があったら。」

「あぁ、その時はよろしくな。」

最後に言葉を交わし俺たちは出ていった。

しかしこんなのはまだ序章に過ぎなかった…

____________________

あれから1週間後…

6月も中旬に差し掛かる頃。

最近はあのビルも無くなり例のガードマン達も綺麗サッパリいなくなった。きっと都会の方に住み着いたのだろう。

あの日から支那美は元気が無かった。

いや、正確には楽しそうに見せる仮面を被っていたのだ。俺にもそれぐらいは分かる。やはり、茉莉花の事か…

茉莉花は支那美の唯一の友達だった。過去形でもその思いは変わらないだろう。

そんなことを考え始めたある日。

俺は支那美の通っている学校長に呼ばれて今学校に向かっているのだ。

「何の…いや、あの件だろう…」

____________________

「よく来たね。中村君」

「何の用ですか。大体わかりますけど…」

「話が早くて助かるね。そうだ。茉莉花君の事だ。」

俺は言いたくなかった事を校長に全て話す羽目となってしまった…




いかがかな?
多分次回で2章お終い。
あぁ、そうそう。
活動報告に大切な事を載せておいたので目を通して頂けると幸いです。
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夏休みの前にお話を…

でも。虚ろな目で書いてるふれあすたーだす。
眠い…早く書いて寝ようかな…
今回は分からない。(おい)
ではどぞ。
多分日付は1日遅れだよなぁ


「…ふむ。なるほど。彼女達は引っ越してしまったと。」

「そうだな。あんたには知らせるべきだった。」

…なんてバカ正直に事実を伝える訳がない。

確かにガードマン達は引っ越して行った。

ビルも無くなったし皆はきっと信じただろうし校長も信じていると思う。

「…私に嘘を混ぜるなんて面白い事をするね?そんなことがわからないとでも?」

「何を言っているのか分からんが嘘では無いんだが…」

「ほう…?中村君、ちょっと見て欲しいものがあるのだ。」

「はぁ…」

なんだ一体。嘘発見器でも使って俺を調べるのか?そんなことは無駄だ。

嘘発見器とは。身体の波長や心拍数、血液の流れ方などを調べて嘘をついていれば反応するというとても簡単な代物だ。つまり、自分を自由自在に操れればそんなものには反応される事も無い。

俺は勝ちを確信しながらも校長についていった。

____________________

「なんだよこれ…‼︎」

「ははは。驚いたかい?これが君が嘘つきだという証だよ。」

黙ってついてきた俺が目にしたのは…

 

 

 

 

 

ホルマリン漬けにされた茉莉花であった…

「何故だ‼︎茉莉花はあいつらに埋葬されたはずじゃ…‼︎」

「簡単だよ。あのガードマン達を出し抜いたのさ。いやー、茉莉花君の様な殺人癖を持った子は少ないからね。回収しておきたかったんだよ。」

「………‼︎あんたは‼︎あんたはそれだけの為に‼︎茉莉花をここにいれたのか⁉︎」

「何を言ってるんだい?私にとっては大切な事なんだよ。それに彼女は死んでいる。だから研究するのさ。見てごらん。腹部に開いた大穴も塞がっているだろう?」

俺はもう一度ホルマリン漬けを見た。

確かに茉莉花の身体には傷一つ無くなって綺麗なままホルマリン漬けにされている。

「身体を修復しないと研究出来ないからね。大変だったよ。」

「…警察に突き出すぞ。」

「何故だ?」

「当たり前だろう‼︎こんな事して…」

「だから。彼女は死んでいるんだって。死んだ子をどうするかなんてこっちが決めるんでしょ?」

「くっ…‼︎」

「ほら〜分かったらもう帰りなさい。こちらの用事は済んだ事だしね。」

「…あぁ。分かったよ。」

「あ、二つだけ言うよ。一つ。あのコスモスのマスターはきっと君と同じ未来人だ。でなきゃロボットなんて作れない。」

「あんたは未来人だとわかるのか?この俺が」

「その研究もしていたからね。そして二つ目。

…刈谷支那美君は多分この世界の人じゃない。」

「なんだと…?」

「はい。ヒントはここまで‼︎あとは頑張って。」

俺は校長室から追い出された…

 




いかがですかな?
では私は多分寝る。
さらば。

追記
最早何を書いたか覚えていない…
今は寝たあとなので脳は大丈夫。
書き忘れたけど2章はこれでおしまい。書き忘れてごめんね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラ設定その1
キャラ設定的な何か


ども〜。今回は前回言ったキャラ設定的な奴です。
んな事より早く2章終わらせろって言う。
あー何も聞こえない。
ではどうぞ。
診断メーカーでマイガンを調べたらアルトロンだった。


中村 隼人

(なかむら はやと)

年齢…16歳

性別…男

誕生日…8月8日

好きな事…掃除、洗濯等家事全般

嫌いな事…人を見下す奴

自分のモットー…考えて、迷ったら思考を放棄する。それが一番頭をリセットしやすい。

一応見た目…短めの髪に色は黒。瞳の色も黒。

身長は約168cm。

白石高校に通っていたとてつもないほど目立たず地味に生きていた自称平凡。しかし相手の心理に入り込む、つまり相手の心を読むことを得意とする青年。彼の推測、目測はよくあたり、周りからは不気味がられた。それ故に目立つ行動はしなかった。彼は幼い頃に親を亡くし小学生から一人暮らしであった。だから同じ境遇に立っていた人間には手を差し伸べたりもした。

彼は謎の骨董品屋によって過去に飛ばされた人間の一人である。途方に暮れていたところに支那美によって助けられ同居する事になった。因みに支那美の事は可愛い女の子、として見ていて恋仲関係として付き合う気は無いらしい。

 

 

 

 

刈谷 支那美

(かりや しなみ)

年齢…16歳

性別…女

誕生日…10月16日

好きな事…読書

嫌いな事…自分以外の人が罵られた時

自分のモットー…困っている人は考える前に助ける。

一応見た目…白髪ショートの髪。作者大歓ゲフン。

瞳の色は碧色。身長は約150cm。

25年前の白石町に住んでいる白髪の少女。髪の色が異様な事から他の人間からは嫌われていた。しかし中学生の頃に佐々木茉莉花と出会い、二人は良く遊ぶ様になった。しかしとある一件で仲が悪くなり絶交をした。だが事あるごとに茉莉花と出会っていた。2章後半でコスモスによって茉莉花が殺され怒りを持っていた。

彼女は人間の力を超越している。理由はまた後日。

また、彼女のマッハを超えるパンチは隼人にとって転送装置になっていた。因みに隼人に片想い中だが主人公が鈍いのはテンプレだよね?

 

 

 

 

水原 竜馬

(みずはら りゅうま)

年齢…36歳

性別…男

誕生日…3月9日

好きな事…タバコ

嫌いな事…味付きタバコ

自分のモットー…困ったらとりあえずタバコ。

白石高校の支那美の担任であり隼人の時代に通っていた高校の水原 和真の親である。コミュニケーションは最悪ではあるが人を思う気持ちはすごく強い。なんだかんだで二人を助けてくれる優しい教師。だが授業中にタバコを吸ったりそれを隠蔽するなど教師にあるまじき行為をしている。しかし支那美は純粋故にそう言う事は気にしていない。麻雀のセンスは皆無。支那美を産んだ帝と白柊の親友であったが二人は事故ですぐに亡くなってしまった。代わりに自分が支那美を育てたが親が死んだことを問い詰められ支那美は出ていった。因みに支那美の片想いには気づいてる。

 

 

 

 

コスモス(BR-t_α)

年齢…作られた時期的に生後2日

性別…女型

誕生日…6月3日

好きな事…マスター

嫌いな事…自分の使命を横取りするもの

自分のモットー…マスターに従う。

一応見た目(あれ?先生は?)…青い髪にセミロング。瞳の色は翠色。身長は約160cm

謎がとても多い戦闘型ロボット。マスターと呼ばれる人間に作られ、服従しているロボット。

性能は高スペックである。感情のデータも取り入れられたがそれが原因で隼人に負ける。

自分の使命を横取りされるのを恐れて茉莉花を殺したが、自分は殺したいとは思っていなかった。

因みに最高速度は秒速20km。

 

 

 

 

 




いかがかな?
キャラ設定で一部ネタバレあるけど作品としてはなんら問題ないからオケイです。
質問があったら聞いてね。
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3章 夏場はやはりパラダイス
夏休み 計画的に 過ごしましょう


珍しく早め投稿のふれあすたーです。
今から叶いもしない淡い幻想(クリぼっち回避)で胸が高まっているんですよ。
ツイッターに色々載せてるよ色々ね。
さて今回から三章「夏場はやはりパラダイス」です。
まぁパラダイスじゃないんだけどね。
ではどぞ。


太陽の光が煌々と照りつける時期。

学生や一部の大人には夏休み、と呼べる時期でもある。

今日から支那美の通う高校でも夏休みが始まった。

「今日から夏休みだぁー‼︎」

「支那美さん少し声のボリューム下げて下さい周りの方々はまだお休みでは無いのですから。」

「そんなこと言ったって夏休みだよ⁉︎私はどこにも行ったこと無かったんだけど隼人が色々な所に連れて行ってくれるから楽しみで‼︎」

「はぁ、まぁそうなんだけどね…」

俺は前日にこんな事を口走ってしまった。

『夏休みなんだから少しぐらいは出掛けてみるか。』

そう。これはほんの些細な事だ。そもそも支那美は少しは遠出をした事があると思ったから。

だが次に支那美から発せられた言葉。これが問題であった。

『ほんと⁉︎私行きたい所沢山あったの‼︎例えば…」

話出したらきりが無いから割愛。ま、そういうわけでこうなってしまった。

「俺の財政を考慮してから行動しろよ?無くなったらジ・エンドだから。」

「分かってるよぉ。私がそんな何処もかしこも行きたい人に見える?」

あぁ見えるから言ってるんだよ。見えなきゃこんな事言わないから。

「はぁ…取り敢えず買い物行って来るから留守番頼むわ。」

「私も行く〜。いつも隼人一人だからたまには一緒に…ね?」

「何を期待しているのかは知らんが俺をディスりたいなら直接言え悲しくなる。」

「わ、私は…‼︎隼人と、その、一緒にいたくて…」

「はいはい。じゃあすぐに行こう。」

「…‼︎うん‼︎」

何故ここまで嬉しそうな顔をしているのやら…

俺がいなくなるのが寂しい、とか?

いや、いやいや。自意識過剰過ぎか。

____________________

「ふ〜、重かった…」

「全く…女の子なんだから荷物持ちは俺だろうに…」

「いつも買い物に行ってくれるんだからこれぐらいはしないと。」

「うーむ。俺は男なのだから女の子は無理せんでも大抵はやるのに…」

「ダメダメ‼︎『人はいつも平等であれ』っていう言葉があるでしょ?」

聞いた事ないんですがあの。多分支那美先輩の造語でしょう気にしたら必ず負ける気がしてならん。

「さーてね。俺は晩飯でも作りますかね。」

「私も手伝うよ?」

「なら洗濯物取り込んで来てくれないか?」

「わかった。」

トタトタと支那美はベランダに向かった。

「水原先生。隠れても無駄だから出てきな。」

「何故ばれたし。」

壁に同化していた様でそこだけ色が変わる。

「住居不法進入で訴えるぞ。」

「待て。俺は最高の物を使おうと言うのだぞ。」

その不良教師が持っていたものとは…‼︎




いかがですかな?
次回は先生の持っていたものを有効活用するのだ。
ツイッターたのしぃ‼︎
アカウントは作者のページで。
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夏といえば?

どもも。いつもは読書ばっかしているふれあすたーです。さっきまでヨスガノソラ見てたのごめんね。
ヨスガノソラいい話だと思うけども原作が18禁であるあれ。見る方は気をつけてね。私は耐性があるけども。
今回は先生の持ってきたものの話だ。
ではどうぞ。


「ほぅ。成る程な。これは確かに喜びそうだな。」

「だろぅ。昨日くじ引きしたら当たったんやで。」

「だが家族達と行った方がええんちゃう?」

「子供は合宿とやらで嫁は友達と旅行だ。ここまで言えば分かるよな?」

「…元気出せよ。」

「別にしょげて無いし(´;ω;`)」

顔文字を使うなこれが小説じゃなかったら分からな

『やめろ!この小説はメタァ発言禁止なの‼︎…はっ⁉︎ヤバイ皆様に見られてる‼︎』

 

 

 

 

 

しばらくお待ちください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

「おーい支那美ー。不良教師が良いもん持ってきてくれたぞー。」

「なんか悪いもの持ってきたみたくなるからやめてほしいんだが。」

「ん?…あ、水原先生。おはようございます。こんな休みの日に何か…?まさか…隼人が何かやったんじゃ…」

「やってませんから。」

「そうなんだよなぁ…実は学校にな…」

「やってねぇって言ってんだろ。この録音テープ校長に突き出すぞ。」

「すまないこいつは何もやってないから安心しろ刈谷。」

「隼人。悪い事をしたからって口封じはダメだよ?先生だって大人なんだから対応は幾らでもできると思うよ?ほら、先生に謝って?」

親かな支那美さんは。と言うか何故に謝らなければいけないのだろうか。悪いのは全てこいつじゃ…

「私、ちゃんと謝らない隼人は嫌い。」

「すいません水原教授許してくださいなんでもはしませんけど。」

「凄く厚い手のひら返しを見た気がするんだけど。後、謝るなら普通なんでもしますからだろ。」

「なんでもしますから。」

「ん?今なんでもするって。」

やめよう。これ以上はヤバイ路線に走ってしまうこの話はやめにしよう。

「ふふっ。やっぱり隼人と先生のコンビは面白いよ。」

「「こんな相方嫌だ。」」

「ほら。いきぴったり。」

むぅ…確かにこの人といると話がいつも以上に弾むな…

まぁ俺はホモじゃないから。さっきのネタわかる人もいないだろう…きっと。

「あ…隼人。その、さっきのは嘘だからね…?」

「誠か⁉︎よかったぁ…嫌われたかと思ったぁ…」

(こいつ…気づいてないのか?刈谷がお前を嫌うわけないじゃん。)

それは水原先生が支那美の心を分かっているからで。

しかし隼人には到底分からないような事である。

「お前は鈍いからな。一生無理かもしれないな。」

「唐突にディスられた。と言うかなんで支那美呼んだんだっけ。」

「あぁ、これだよ。」

「なんですか?」

机の上には紙が置かれ。

「君達を‼︎海に連れて行こうと思います‼︎」




いかがですかな?
今回はメタァが入りましたがこれからもちょいちょい入るかもしれますん。それは神のみぞ知る。神の味噌汁。
ではまた水曜で〜…かな?
あぁ後コラボとかまだ早いかもだけどやってみたいのでもしもしたいと言う方いましたらメッセージ…で良いのかな?送ってください‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

海は楽しむものでして。

ども。今日は忙しく無かったので書けたふれあすたーです。先に絵を描こうかなと思ったけど皆が寝る前に見れたら良いかなという事で。
今回は時間軸が2日飛びますが気にしたら負けです。
ではどうぞ。



さて。今の状況を説明させて貰います。

「海だぁー‼︎」

「何年振りかな…来たのはあいつらがいた時だから20年程前か…?」

はい。見た通りカオスタイムですね分かります。

取り敢えず昨日の足跡は軽く話そうと思う。

____________________

「明日は海だね‼︎」

「まぁそうだな。やっぱり楽しみか?」

「もちろん‼︎どんなところだろうなぁ…」

「それは支那美本人が感じれば良いと思う。」

「そうだよね‼︎人それぞれの価値観は違うもんね‼︎」

こいつ朝からハイテンションだな。疲れないの?夏休みまだ2日目だよ?明日から3泊4日だよ大丈夫?

「つかさ、水着あんの?」

「…忘れてた。」

あぶね。言ってなかったらアウトだったぞ。

「うーむ。俺も水着は無いしなんなら一緒に買いに行くか?」

「隼人…有難いけど普通女の子にそんな事言っちゃダメだよ?」

「そうなの?」

「そうなの。」

女の子はよく分からないな。確かに見られたくない所はあるだろうしなぁ…

「うんでもめんどくさいからやっぱ一緒に行かね?」

「私じゃなかったら殴られてたよ…」

恐ろしや。

____________________

…まぁこんなとこかな。あとは水着買って今日からの準備してお終い。

「隼人隼人〜。早く海に入ろうよ〜。」

「準備運動をちゃんとしたまえ。怪我の原因になりかねんからな。」

「もうしたよ〜。」

「早っ。じゃ、俺もしますかね。」

「俺はパラソルの所にいるからな。なんかあったら呼んでくれや。」

「海に入らねぇのか?せっかく来たのに勿体無いだろ。」

「お前明日はどうするつもりなんだよ…俺は明日入るから良いよ。」

「水着は一応二着買っといた。どうせ支那美は2日連続で入るだろうから予備だな。」

「用意周到だな。まぁさ、大人が入る所じゃないしな。2人で遊んでこい。」

「そうか。なら、そうしますか。」

「いってらー。」

俺は急いで手を振っている支那美の所に走って行った。

(ふふふ。刈谷の想いは分かっているからな。俺が水を差して良い場所でもあるまい。)

こんな先生の陰謀など知る由もなく…

____________________

「ほらっ。水かけてあげるよ。」

「やめて目に入って…あぁー⁈目がぁ!目がぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「どんどんかけちゃえ‼︎」

「ちょっ、マジでヤメテ。」

そうやって支那美と戯れていると。

「…ん?あの影って…。」

「どうしたの?何かあった?」

沖には何か人影がおり。

それは子供だとすぐに気づいた…




いかがかな?
最近感想を楽しみにwktkしてる私がいて怖い…
いやさぁ。感想が来るとその人と語り合ってる感じ?
そんなノリがとても楽しいんですよ。
やはり同じ小説を読む者としてね。
だからおこがましいかもだけど感想を書けたらで良いですので、お願いしまする。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決して血を見るために来たわけじゃ無いんですわ

ども。前回のタイトルと繋がってる感じです。
もう名乗らなくてもいいよね。
今回は人助け。
ではどうぞ。


「チッ…‼︎どんどん沖に流されて行く‼︎」

「あれって…子供⁉︎」

「支那美は今すぐ周りの人達に海から上がることを伝えろ‼︎最悪サメとかを連れて来ちまうかもしれんからな。避難完了したらまたここに戻ってくれ‼︎」

「分かった‼︎でも無茶はしないで!」

「おうよ!」

そういうと俺は全速力で泳いだ。もちクロール。

支那美もすぐに行動してくれて海から上がる人が少しずつ出て来た。

「…‼︎坊や、浮き輪、借りるよ‼︎」

「あ!ちょっとあなた!」

「人の命に関わるんだ‼︎少しは目を瞑ってくれ‼︎」

坊やから浮き輪をひったくり腕に付けたまま泳いだ。

さっきの見えた子供は女の子であった。しかし沈みかけている。波も立ってきて穏やかじゃなくなった。

「君‼︎大丈夫か⁉︎助けに来たから安心しろ‼︎」

「げほっげほっ…ん…お兄ちゃん…誰?」

「名乗る前にとりあえず君を助けにゃならんから後でだ‼︎浮き輪の上だが我慢して‼︎」

「ふわぁ‼︎」

小さい女の子を持ち上げて浮き輪の上に乗せた。

なんか変態に見えるだろうが断じて違う。

「早く沖から出なきゃ…」

「お、お兄ちゃん…後ろ…」

「おぅわ⁉︎サメがなんでここまで⁉︎クッ…早く逃げなければ‼︎」

浮き輪を押す形で全速力で泳ぐ。

彼女の命最優先だ。どうにかして助けなければ…

「サメはえぇ!くそったれぇ‼︎」

更に泳ぐスピードを上げた。少しずつだがサメから距離が取れているようだ。

「お兄ちゃん‼︎もうすぐ砂浜だよ‼︎」

「ウオォ‼︎」

泳いでいると足の感覚がおかしくなった。

やべぇ…足が…

「つってしまったやないかぁ!」

「ええ‼︎だ、大丈夫⁉︎」

クソッ、こんな時に…‼︎

と、思っていればもうすぐそばまで来ていた。

「支那美ぃー‼︎今からこの子投げるぞー‼︎絶対キャッチしろー‼︎」

「「えぇ⁉︎」」

「行くぞ‼︎」

女の子を持ち上げて空気抵抗や重力に傷つかないように投げた。

「とと…っとキャッチ成功‼︎大丈夫だった?」

「私は平気だけどお兄ちゃんが…‼︎」

「そうだ‼︎隼人は⁉︎」

「ちょっと待て⁉︎話せば分かるから‼︎話せば分かるからぁぁぁぁぁぁ‼︎」

俺はこの通り足の痛みも忘れて全力で泳いでいた。

「君‼︎大丈夫か⁉︎ライフセーバーのものだ‼︎」

「ライフセーバーの方?だったら少し待って!」

ライフセーバーの船が来たから安心だ。

「よっと…‼︎ふう、助かった。」

「怪我はないか?」

「大丈夫だ。問題はない。まずはサメを追い払おう」

さあ、反撃開始だ‼︎




いかがかな?
あとがきは無しで。
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

攻撃は思わぬ所から。

ども。ツイッターでお喋りしてて遅くなりました。
まぁいつも遅いんだけど。
今回はサメに反撃だね。
ではどうぞ
前書きが短いのはめんどくさいからではないですはい



「ちょっと運転代わってもらえますか?」

「え?だが君に操作は…」

「あーそこんところは大丈夫です。取り敢えず皆さんはモリを準備して下さい。」

「リーダー‼︎サメが浜の方に…‼︎」

「…分かった。運転は任せる。それと指示もしてくれないか?」

「分かってますよ。俺の言うこと、聞いて下さいね‼︎」

そして小さめの船を発進させた。

「少し揺れが起こりますから、屈んでください‼︎」

「あぁ‼︎」

リーダーと呼ばれた男とその他4人はすぐさま屈んだ。

と、同時に揺れが起き、波が上がった。

「今です‼︎モリを一番左の方!投げて下さい‼︎」

「お、おう!」

彼は物凄い勢いでモリを投げてサメに見事命中した。

「よし!これであいつはこちらに向く‼︎」

「皆さん‼︎次からが勝負ですよ‼︎」

サメが怒るかの様にこちらに向かってきた。

「皆さん‼︎投げて下さい‼︎」

俺が指示を出すと皆はモリを投合した。

が。しかし。サメは綺麗に避けてしまった。

「クッ…当たらなかったか。」

周りがそういうが俺は考えている事が違っていた。

(何故だ?奴に知能があるとは思えん。知能があったらわざわざ浜まで行かず沖に帰るはずなのに…)

ずっとこの考えを張り巡らせていた。

しかし今は戦いの場だ。目の前に集中しろ!

「次は右に曲がります‼︎皆さん、気をつけて‼︎」

「くっ…危なかった…」

「だが…このままでは負傷者が出てしまう…どうすれば…」

「君。少し落ち着いてくれ。ゆっくりだ。ゆっくり考えてくれ。」

リーダーらしき男は俺にそう囁いた。

そうだ。焦っていては何も始まらない…が。

やはりおかしい。奴は俺たちに警戒しているのか?

さっきは水の中に人がいたからよったのかもしれないが…

…待てよ?人が水の中にいたから?

「…よし‼︎これならいける‼︎皆さん聞いて下さい‼︎作戦を言います‼︎」

「考えがまとまった様だね。」

「はい。今から右に曲がるので左から来るサメに向かってモリを投げて下さい‼︎」

「だが…また避けられるんじゃ…」

「彼が考えたんだ。やるしかない。まだチャンスはあるしな。」

…残念だが次の俺にチャンスは無い。一回限りの賭け技だ。

「行きます‼︎」

そう言って…

俺は海に足を突っ込んだ。

「「「「「⁉︎」」」」」

当たり前だ。誰でも驚くだろうが…

サメはしっかり寄ってきている。今が好機だ‼︎

「投げて‼︎」

「「「「うおー‼︎」」」」

モリは大量にサメに刺さりサメは動かなくなった。

「「「「「よっしゃああ‼︎」」」」」

かくしてサメとの戦いは終わった。

しかし俺は足を海に突っ込んだため足を痛めたのは言うまでも無い…




イカがいかがかな?
イカがいかがとかうける〜笑
…はい。
明日はなんとか早くするか…
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ハイレベルな痛み。しかし暖かい

ども。早いでしょ。僕にしては。
ちょっと明後日はV模擬で明日はシャドバのトナメンなので明日は朝早いかもしれない…
ではどぞ。
最近今回の話を言ったりしてたけどネタバレの可能性もあるからやめますわ。


「うぅ〜…足痛い…」

「君は無茶し過ぎだ。全く…肩を貸そう。その勇気は認めるけどね…」

「すんませんね…そういえばあんたの名前は?」

「僕は割腹 誠って名前さ。呼び方はなんでも良いさ。」

「俺は中村 隼人だ。敬語は得意じゃないんでね。こんな言葉遣いだが気にしないでくれ。」

「僕も年齢差で敬語を話されるのは好いてないんだ。その話し方で構わないよ。」

「隼人‼︎」

誠さんと話していると支那美とさっき助けた女の子がこちらに向かって走ってきた。

「あぁ、支那美…っとさっきの子。君の名前は?」

「私は奥井 真希…お兄ちゃん、足は大丈夫なの…?」

「いや。さっきの戦いでダメにした。こりゃ明日まで治りそうに…」

そう言いかける前に頰に衝撃が走った。それは何かに叩かれた感覚。

「…ひぐっ…隼人の…馬鹿ぁ…サメに追われてる時…死んじゃうのかも…しれなかったじゃない…ぐすっ…」

「えぇ⁉︎ちょっと支那美さん⁉︎なんで泣くの⁉︎確かに今回は危なかったけどさ…」

「当たり前だろう。君には心配してくれる家族がいるのだろう?君はもし彼女が死の危機に瀕している時、心配しないのか?」

「そんなことする訳…」

「彼女も同じだ。君を大切な存在として見ているから心配するんだ。彼女の為なら自分はどうなっても構わないと思わないことだな。」

「………」

…確かに今回は俺に落ち度が合ったのかもしれない…

俺が勝手に思っているだけだと感じていたが支那美も俺の事を思っていてくれたのか…

「…ごめん。あんな危険な真似をしちゃって…」

「ううん…私も叩いちゃってごめんなさい…隼人からしたら真希ちゃんを助けただけだもんね…」

「そもそも私があんなとこに居なければこんな事には…」

「だが。君達3人はこうして会ったのはもしかしたら運命なのかもしれないな…なんて僕は未来予想ができる訳でもないけどさ。」

「運命…か。それはなるべくして…か。」

「うーん。しんみりした話になっちゃったね。隼人君と…後君達にもお礼会みたいなのをしたいと思っていたのだが…」

「あ、すまない。こんな場になってしまって…何処でやるつもりなんだ?」

「ここからすぐ近くだよ。…ほら、あの宿に泊まっているからね。」

指さされた先には俺たちが泊まる予定の宿、『海の宿』と書かれた宿であった。

「そうか。俺たちもあそこに泊まる予定だからちょうど良いな。」

「そうなのか。じゃあまた夜にロビーで落ち合おう。」

「そうだな。…あれ?なんか忘れてるような…」

「あ…先生呼びに行ってくるね。」

あいつの存在忘れてた。




いかがですか?
今日は早いねぇ。
ではまた明日


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

海の宿は思ったよりすごい

ども。昨日宣告した通り今日は早いです。
これ書いたら勉強してシャドバのデッキ作らなきゃ。
ではどうぞ。


「あ、やっと来た。」

「お前らなぁ…俺がどれだけ大変だったか分かるか?」

「いや、知らない。」

「先生が沢山の人達と話してたから驚きました。」

「この方は?」

「ああ、この人はこれでも教師やってるんだよ。ほんと、世界は広いよなぁ…」

「どう言う意味だコラ。」

「そう言う意味ですよ?」

「ほらほら、2人とも漫才はそれぐらいにして。先生は挨拶しなきゃいけませんし。」

「そうだった。俺の名前は水原 竜馬だ。あんたはこのガキを助けてくれたライフセーバーのリーダーだろ?」

「ご丁寧にどうも。そうですね。隼人君に助けられたとも言えますが…僕は割腹 誠です。以後、お見知りおきを。」

「と言うかガキとはなんだガキとは。俺はもう16だ。」

「高校生レベルなんてガキみたいなもんだ。」

「ガキだからって甘く見ていると痛い目見るぞ。」

「そうかい。さ、こんなガキ、ほっておいて早くみんなで宿に行こう。」

「だったら私はここに残ります。隼人を置いてはいけないから…」

「私も…お兄ちゃんを放っては行けない。」

「…そうか。ならガキ同士で仲良く宿まで来い。誠君、行くぞ。」

「…えぇ。」

誠さんと水原先生は宿に向かって歩き始めた。

「ほら隼人‼︎早く宿に行こう?」

「隼人お兄ちゃん早く早く‼︎」

「ちょっ、2人で手を引っ張るのはやめて、バランス、バランスが崩れる、あ…」

2人同時に手を引っ張ったので、足がもつれて砂浜に盛大に転んだ。

…俺が足怪我してる事もう忘れたのか?

そう頭のなかで言葉がよぎった。

「あ…ご、ごめん‼︎足怪我している事覚えてなくて…その…ごめんなさい…」

「私が急かしたからお兄ちゃんが転んじゃった…お兄ちゃん、ごめんなさい…」

なんだこれ。

支那美も真希も涙目になりながらこちらに謝っている。

これさ、側から見たら俺が泣かしたみたいになってるじゃん…うわ、近くの人がめっちゃ俺の事ジト目で見てるし…

「ちょっと待て。取り敢えず泣き止んで。俺やばいから。二つの意味でやばいから。」

やばい理由一つ目。

こんな美少女2人(しかも片方は自分より年下)を泣かせていたら俺の評価がだだ下がり。あの宿で生きて行くものとしてそれは避けたい。

やばい理由二つ目。

今見比べると、真希も支那美と同じ白髪だ。ちょっとこの2人が並んで涙を溜めながら俺に誠心誠意謝ってると…うん…俺の人体に悪影響を及ぼしそうなのだ。主に鼻的な意味で。

「「こんな私を…許してくれるの?」」

これは乙女ゲーの一種かな?




いかがですか?
隼人いい思いし過ぎでしょほんとなんなの。
書いてるの私だけどさ。
では今回は早いですが又明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いいかい?美少女は泣かしたら可愛いんだよ?

どうも。これから受験勉強で不定期更新不回避なふれあすたーです。みんな怒らないでね?12月までだと思ったけど流石に不味いわ。
くだらないこの話はこの辺りにして。
ではどうぞ。


「ちょっと待とうな?僕は許さないなんて一言も言ってないからね?」

「「え…?ほんと…?」」

「うん。だから泣き止んで?俺死んじゃうからさ。」

本当にまずいことになってきた。いつの間にか俺を半眼ジト目で見てる人が増えていき、周りにいる子供なんかは「あの男の人女の子と年下の子いじめてる〜」と口走り始めた。黙らっしゃい‼︎俺だって泣かせたくてわざとかけた訳じゃ無いわ‼︎

…確かにこんな美少女2人をこんな至近距離で泣いているところ見たらもう、精神的にやばいけどさ。俺が理性を保ててるのは、ジト目で見てくれてるおかげだみんなありがとう‼︎誰もいなかったらきっとこの2人とヤバイ事になっていただろう。そうなるよりは数千倍マシだ。

「ぐすっ…ありがとぉ…隼人ぉ…」

「お兄ちゃぁん…ごめんなさいぃ…もうしないからぁ…」

「待って本当にやめよう⁉︎ね⁉︎さぁ、仲良く海の宿に行こうかぁ‼︎」

俺は足の痛みなんて砂の中に埋めてささっと2人の手を引き歩き始めた。

俺が終始色んな方々にジト目で見られていたのは言うまでも無いであろう…

____________________

「こんにちは〜。」

「ひぐっ…」

「ぐすっ…」

「どんだけ泣いてんの。僕は怒ってないっての…全く。」

玄関には靴を脱ぐ所がありそこから先はスリッパらしい。

…あれ?これ、なんだ?…紙?でも千切れてる。

まぁいいか。それよりこれはトロフィーか?

ええっ…と。三年連続宿のサービスがいい…か。

これはこの宿には期待できそうだ。流石、くじ引きの景品になるだけはある、と言うことか。

「おーい。遅ぇぞ。」

「あ、すまないな。なんせこいつらがな…」

「え、涙目なんだけど…お前まさか…2人が純粋だからって教育上良からぬことを教えたんじゃ無いだろうな…?」

「お前みたいな真似するかボケ。にしても、この宿すごいな。三年連続金賞って神だろ。」

「ここはこの街でも有名な所だからなぁ〜。当たった時はマジでビビったわ。」

「こんにちは‼︎」

大きな声で挨拶されてとてもびっくりした。

声の主は支那美と同じ身長ぐらいだ。髪の色は綺麗な黒色。この子も相当な可愛さである。

くっ…なんでこの時代にはこんな美少女だらけなんだ…‼︎

まるで平面上の世界にいるみたいじゃないか!

「私はこの『海の宿』のえーと…あぁ‼︎オーナー…?と言うものをやっております。光希 神奈です。みなさま。この宿に泊まってくださりありがとうございます。どうぞゆっくりしていってくださいね。」




いかがかな。
ではまた明日会えたら。
あぁ〜勉強しながらツイッターやるんじゃあ〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホテル?いやいや。旅館です。

完全に久しぶりです。
もう一つの方はいちおレベルで書いてましたが
今日から再開させていただきます。
受験生は辛いの!
お忘れの方もいるかもしれません。
旅館の人の紹介と思ってください。
ではでは。


「なるほど。あんたがオーナーか。こちらの紹介もした方がいいか?」

「あ、いえ。今日の夜に食堂で顔合わせをしたいと思いますのでご紹介はまたそこで。」

「分かった。…あーでも。子供一人追加していいか?」

「えーっと…こちらの券は4人まででございますが…」

「あ、僕はまた別です。個人として泊まるのでお気になさらず。」

「それなら大丈夫です!!水原様、刈谷様、中村様、あともう一人は…?」

「あぁ、奥井だ。」

「なるほど。奥井様ですね。お部屋はどうされますか?嫌なのであれば二つの部屋を使用することも可能ですが…」

「それは…「俺ら3人とこいつ1人の二つでお願い致します。」…ちょっ…お前…!?」

「どうせあんた一人部屋なんだからいいだろ。支那美と一緒に寝るとか殺すからな。」

「いや、どちらかと言うと俺と中村かと思ったのだが。」

「誰が貴様なんかと。」

「まぁまぁ…えと、二部屋でお願いします。」

「かしこまりました。お部屋の案内をさせていただきます。」

「じゃあ、中村くん。また後で…食堂で会おうか。」

「おす。またな。」

________________________________

「こちらです。」

神奈と呼ばれる少女に案内をされ、連れてこられた部屋は106号室。

水谷先生はその隣の107号室だ。

ふむ。ここは端に近いのか。覚えておいて損は無いだろう。

非常口はすぐ近く…っと。

「あの、入ってみてもいいですか?」

「どうぞ。」

支那美は「失礼しまーす」と言って扉を開けた。

「わぁ…!!」

そこは広い部屋だった。三人が寝ると少し狭いだろうがそれでも十分な広さだ。

案外田舎の旅館も馬鹿にできたものじゃないな。

「凄い!広いよ!」

「そうさなぁ。これなら一人でも十分だ。」

「気に入って頂けて何よりでございます。」

「というかさ。この旅館は1人なのか?職員は。」

「確かにそうだよね…ほら、真希ちゃん隠れないで。」

「…だって…」

「えーと。この旅館はコックが1人…」

「ふむふむ。」

「…以上でございます。」

「…はぁ!?」

嘘だろ!?まさか…!!

「この旅館…パッと見でもとても綺麗だ…ホコリ一つ落ちていなかった…まさか君が全てやったのか…?」

「はい!!勿論でございます!!」

…こりゃ負けたわ。有名な所で子供とコックが1人ずつ。

掃除はすべてこの子がやっていると来た。

支那美はもちろん疑問に思い

「え!?でも貴女ってまだ小学生だよね…?」

「今年11歳にならせて頂きました!!」

…神よ。嘘だと言ってくれ。

 




いかがかな?
これからも毎日投稿で頑張らせて頂きます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天は二物を与えず。という言葉は嘘だ

オハヨーゴザイマスル(錯乱)
投稿時間見やがれ!!
眠いよ!!
今回もそういう話だよ!!
ではどうぞ(無理矢理感)


 

 

「…ねぇ隼人ってば。元気出して?確かに神奈ちゃんは凄いけどさ…隼人だって負けてないよ?」

「そ、そうだよ!!お兄ちゃんはこんな私だって助けてくれたし強いよ!!私なんか全然だし…」

…こうしてさっきから少女2人に必死の慰めを貰うという非常に情けない状態になっていた。

確かにさ。慰めの言葉を貰うのは嬉しいのだけども。

神奈がここにいる状態でそのフォローはちょっと生き地獄過ぎる。

「そうですよ!!私なんか料理はてんでだめで…いつも針村さんに任せっきりですし…」

ついに本人からもフォローが入る始末だ。

なんだこれ。もう死にたいよ。

「…泣いてもいい…?」

「「「なんで!?」」」

だってだって。この人達が無意識の内に私を殺そうとするんだもん…

________________________________

結局立ち直りに10分の時間を要した。

流石にあの後はフォローも自重してくれたようで何とか助かった。

あともう一押しのフォローがあったら確実に死んでた。

「はぁ…そういえば君は何故親が…」

「…………」

(バカッ!!そういう事は聞いちゃ…!!)

やば。そう思った時には時すでに遅し。

神奈は目に涙を貯めながら震えていた。

「あ、いや、その、そういうつもりで言ったわけじゃないんだ。すまない、思い出したくない事だっただろう。」

なんで俺はこういう返ししかできないのだろうか。

軽く自分の中での口調等などを恨んだ。

「その…親が…この旅館で亡くなっていて…」

あー…そういう系か…

親の働いていた…つまりここで殺人事件が起きたと…

その被害者は…この旅館で働いていた両親だというわけか…

「…悪い。言いたくなかっただろうに。」

「いえ…昔のことをいつまで経っても気にしているやつは弱いやつだと言われました。過去を受け入れ未来の為に進むことが大切だと親に言われたので…」

「………強いよ。君は。」

「…え?」

この子は支那美と同じだ。

親がたとえ死んでも。

支那美は前に進む事を。

神奈はこの旅館を両親の代わりに継ぐことを。

選んだのだ。

そんなことを思うと俺なんかこの2人よりちっぽけで矮小、ただのクズ野郎だ。

だから。だからこそだ。

「君は…当日、泣いたのか?」

「涙は…流しませんでした。皆様が見ていましたから。」

こんな子を放ってなんて置けない。

「…本当はどうしたかった。周りには驚き、困惑、泣き崩れる者もいたであろうに。」

「…っ。…私だって…私だって…悲しかったですっ…!!」

「そうか…」

「だけどっ…人前で…泣かないと…約束…しましたから…」

「なら、その約束はもうない。」

「えっ…?」

彼女の瞳からは涙がたくさん流れていた。

そんな彼女を引き寄せて

「もう1人では抱え込むな。俺らがいる。だから存分に泣け。」

「…っ!!……うわぁぁぁぁぁあぁぁあぁん!!!!」

彼女は俺の胸の中で泣き崩れた…




いかがでしょうか。
ではまた明日。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

泣くのは決して恥ではない

…お久しぶりです…
私を殺してもいいです…
ネタを忘れた以上構想を練り直すしかないので練り直しました。(めっちゃ雑だけど)
ではどぞ。


「…取り乱してしまい、申し訳ありませんでした…」

「気にすんなっつの。俺らはもう顔を合わせた仲なんだから。いつでも頼ってくれよ。」

「そうだね。私達で良ければいつでも相談に乗るよ。」

「…ありがとうございます。では、お夕飯になりましたらまたお呼び致します。」

神奈は部屋から出て行った。

「…さ、俺は風呂の場所とか確認してきますか。」

「私も一緒に行ってもいい?」

「あ、私もー。」

「ういうい。じゃ、3人で行きますか。」

俺達も部屋をあとにした。

________________________________

僕は絶望していた。

「お、お風呂って…混浴なんだね…」

「お姉ちゃん。混浴ってなぁに?」

「え、えーっとね…」

ね?絶望してる意味わかったでしょ?

おまけに今隣にはGTMがいる。(ゴミティーチャーミズハラ)

何さっきから絶望してる俺を見てニヤニヤしてんだ溺死させんぞ。

「…いやぁ…混浴だとさ…」

そのねっとりとした言い回しはなんだ。

GTMは俺の肩に手を置き

「ま、高校生はこれぐらいのことをしてもいいんじゃないか?」

「何が言いてぇんだてめぇぇぇぇぇ!!」

「いやぁ、だからね?…マセガキだなぁ、と。」

「今すぐ死ね!」

誰が変態じゃ!!こちとら人生=彼女いない歴=DTだぞゴラァ!!

「あ、でも、流石に小さい子供に欲情するのは…ちょっと…」

「誰がアリスコンプレックスだ!!」

…アリスコンプレックスとは。

一般的に7歳~12歳までのことをいう。

皆がよく使うロリータコンプレックスとは

13歳~15歳のことを指す。

因みに7歳以下の娘をハイジコンプレックスという。

真希は見た所小学4年生に見える。

(まぁ、こんな出来た子が小4には見えないが)

つまりこの話ではアリコンが適用される事になる。

「アリスコンプレックスってなぁに?」

やばい真希は色んなものを吸収しようとしてるわ…

「なんでもないぜ。ただの隠語だぜ。」

「訛りすぎだろ。」

「うるせぇ誰のせいじゃ」

「ま、まぁ取り敢えず部屋に戻ろ?」

「うん…そだね…」

夜は地獄と化していくのだった。

________________________________

「…分かってるでしょ?これは取引なのよ?」

「だからってそんな交渉に乗るわけないだろ?」

「あんたはそんなにこれが大好きなのかしら?」

「…お前がなんと言おうと話を通す訳にはいかない。」

「あらそう。だったらどうやって壊してやろうかしらね…?」

「…っ!!」




意味深な終わり方。
変だね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

望んでいない夜は必ず来る

きょうはーついったーでーあんけーととったのでーかきまーす。
本気で書いてやんよ多分枯れるけど。
ではこれから前書きが雑になります。
多分なくなる時もあります。
ではどうぞ。


ここの世界は夜がとても綺麗だ。

いや、この時代は、か。

星が満天の空に散りばめられている。

1つ1つが宝石の粒のような輝きを見せている。

…まぁ、建前はここまでだ。

つまり今は夜。

…さっきのGTMのせいで散々だ。

だがこれは致し方ないこと。

それに時間を合わせなければいいだけの事。

同じ部屋ならそれぐらいは可能だ。

ふふふ残念だったなGTMよ!

俺はそんなことじゃ砕けんぞー!ジョ○ョー!

「ふは…ふはははは!」

「え、えっと…隼人?」

ハッとして扉の方を向くと支那美が心配するような目でこちらを見てくる。

「な、なんか笑ってたけど…大丈夫?」

うん大丈夫じゃないね!どう考えても傍から見たらヤバイ人だね!

「ごめんなさい何も見なかったことにしておいて」

「だ、大丈夫なら…」

「いや~?見てしまいましたよ中村くぅ~ん?」

俺が謝ったのを見てオドオドしている少女の後ろからKTM(クズティーチャーミズハラ)があらわれた!

どうする?

「死ねぇ!!」

「うおっ…!ちょっ、おま…!?」

はやとはKTMのみぞおちにダイレクトアタック!

クリティカルヒット!KTMはもんぜつした!

はやとはせんとうにかった!

「勝った!!第3部、完!」

「水谷先生!?」

「こ、こんの…みぞおちは…ダメだ…」

「あぁ、哀れなKTMよ!この世は弱肉強食!貴様が支那美の後ろから出てきたのは良い作戦だ!しかし!相手に決定打を作ってしまったのが貴様の敗因よ!そのど出っ腹をこの我に向けたのが最期だったな!」

「弱肉強食…?…ふっ、はははは!」

「貴様!何がおかしい!我を愚弄する気か!」

「いやぁ…弱肉強食ならさ…お前も食われるのか…とね。」

「何をほざき倒して……っ!?」

その時。俺の背後から異常な。コスモス以上の殺気を感じた。振り向いたら殺される。しかし振り向かなくては殺される。最早選択肢などなく。俺は恐る恐る振り返った。

そこには。殺気を全身に纏った支那美が立っていた。しかもこの目はガチの目だ。

「水原先生と喧嘩しちゃダメだって…言ったよね?」

「ちょっと待て!そんなこと聞いてない!」

「あれれ~?僕から聞いてませんでしたかね~?それとも聞く気がなかっただけかな?」

「貴様が犯人かぁ!!」

「問答無用っ!!約束破る隼人は反省して!!」

「ちょい待てそれはマジで死ぬぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

最後に俺が見たのは。

すっごく清々しく痛みなどなかったように平然とした顔でいた水原の野郎であった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夕飯はとても美味しそう

ぼくはへんたい


「あの…支那美さん…もう許してくれませんかね…?」

「ふんだっ!!約束守らない隼人なんて嫌いっ!!」

「あ~あ嫌われちゃいましたね~」

「いや元はと言えばお前のせいだからなっ!?」

「まだ言い訳するのっ!?人のせいにするのはダメだよ!!」

「いやだから…!!」

さっきからこれの繰り返しだ。

確かに殴ったのは俺のせいだ。

しかし、だ。

何方かと言えばあのゴミ(水原)のせいだと俺は思うんです。

だって僕にはそんなこと知らされてないのですよ?

絶対あいつ個人で決めてそれを支那美に言ったんだろう。

聞いてねーよ!!俺が!!関係者おひとり様聞いてませんよ!!

あー!水原様困ります!!水原様!!

その度に殴られる俺を見ろ!!

今回は普通に意識が飛ぶかと思ったわ!!

流石に耐性ついてるけどもっ!!

取り敢えず許しを得ている最中である。

「まぁまぁ。刈谷も許してやれ。これは俺が言ってないのが悪いんだから」

「え!?言ってない!?」

「うん☆言ってない☆」

「てめぇ今自白すんなやぁ!!俺殴られ損じゃねぇかよ!!」

「じゃあ…ほんとに隼人は知らなかったの…?」

「うん!マジで知らない!」

「…先生。次からそんな冗談は控えてください。例え恩師と言えど隼人にやった分の比ではないことを致しますからね…?」

「分かりました刈谷総統閣下以後気を付けます誠に申し訳ありませんでした」

「うふふ。冗談ですよ♪」

分かったことは1つだけ。

どれだけ俺達が下で争っていようが関係ない。

支那美という最強互換が存在する時点で俺達に敗北という文字が消えることがない。

________________________________

「あ!隼人おにいちゃ…ん?」

「うん隼人です。どう見てもぼこぼこの不審者にしか見えないだろうけど僕です」

「そ、そうだよね!!隼人お兄ちゃんだよね!!」

真希はどう考えても俺かどうか分からないでいたがきっと俺を傷つけないためにそうだよねと言ったのだろう。

安心しろ。ゴミティーチャーと支那美の鉄拳制裁によってもう傷つきまくってるから。

オデノカラダハボドボドダ!!

「顔がめっちゃ痛い」

「ご、ごめんね!?私、勘違いしちゃってて…!!」

ううん!!支那美ちゃんは悪くないよ!!だって元々はクズティーチャーのせいだもん!!支那美は可愛いから許す!!真希も可愛い!!

因みにクズティーチャーは多少の制裁を喰らい顔が少し凹んでいる。

「え、えーと。取り敢えず始めていいですか?」

神奈がこちらを見て話してきた。

「あぁ、取り敢えず始めてくれ」

こうして皆が食堂に集まった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

食堂では何が

うぇるち


「という訳で水原様達もいらっしゃったので改めて自己紹介を…

私は光希 神奈と申します。『海の宿』オーナーをしている者ですので以後、お見知りおきを…

こちらはシェフの針村 圭吾さんです。ここに出されているお料理はすべて針村さんの手作りです!とっても美味しいので是非たくさん食べてくださいね!」

「ちょっ…神奈ちゃんそんなに褒めないでほんとに照れる…」

「あ、あと自己紹介をしてもらっても宜しいですか?同じ期間泊まるのでみなさんわかっていた方がいいかな〜…と」

「あーじゃあ俺から…ごほん。

中村 隼人、というものだ。3泊する予定なのでそこんとこよろしくぅ」

「同じく3泊予定の水原 竜馬だ。俺は教師をしている。基本的に絡むことも無いと思うがよろしく頼む」

「以下略の刈谷 支那美です。ただの高校生ですがよろしくお願いします。あ、あとこの子は奥井 真希ちゃんです。この子の事も覚えてあげてください」

「じゃあ次は僕かな…?僕は割腹 誠です。ライフセーバーをしています。僕は海が利用される期間までここにいるつもりなのでそこの所は…」

「ケッ、まともな奴がいやしねぇ。教師にクソガキに好青年ぶったお子ちゃまかぁ?ったく…女の方は出来がいいのによ」

「おいチャラチャラゴミぽん」

「あ?なんだよクソガキ。つーかてめぇそれ俺に」

「支那美と真希に手を出したら…

 

 

 

 

 

殺しちゃうぞ☆」

 

「………!?」

そこにいたヤクザにいそうな奴らは。

隼人が満面の笑みを見せつけたことにより動けなくなってしまっていた。

そして顔を戻し

「テメェらがもしこの2人に手を出すならその引換に強制的に頭を引きちぎられると思いな?」

「…隼人…?」

「んー?どーした支那美?」

「い…いや、なんでもない…」

時折見せるこの殺気は必ず支那美や真希が関連している。

なぜこの殺気を見せるのか。

今はまだ知る余地もない。

「ほら、早く自己紹介しろよ」

「…!くっ…!」

「アニキ…諦めましょうよ…」

「………分かってるよ!

俺の名前は剣 舞!こいつの名前は理世 直也だ!

これで十分だろ!?」

「おーおっけーおっけー

なんだ、やれば出来るじゃん」

「…っ!こいつ…!」

「アニキ!手を出したらこっちがやられる!

分かってるだろ!?」

「そーだよー。手を出したら死んじゃうからね〜」

「…ちっ」

完全に俺とは仲が悪くなったな…

「あ、あはは…さ、さてと!では頂きましょう…」

「あれ…?神奈ちゃん、あの子は?」

針村が言った『あの子』

それがまさかあんなことになるなんて

まだ予想すらしていなかった




頑張るぞい


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

迎えに

あーあ


「…あぁ、愎華ちゃん、いませんね…」

「僕が呼んでこようか?」

「なんなら呼んでこようか?どうせ俺は暇だし」

「…お願いしてもよろしいですかね…?」

「構わんよー、どうせとある物忘れたしー

何処にいるのー?」

「えーっとですね…地図を見てもらえればわかりますかね…

 

【挿絵表示】

 

ここが食堂でこの部屋からは二つの出入口があります。南側の扉が部屋に向かう扉で西が受付に向かう廊下の扉ですね。

南側には皆さんの部屋がございます。

西側は温泉、2階へ続く階段がありますが…

ただいまは使えません…

このような感じですね…」

「ちょっと待て、愎華って娘は何処にいるんだ?」

「…きっと、私の部屋です…」

「………ふむ、じゃあついでに行ってくるよ」

俺は不思議だと思った。

きっととは。一体どういう事であろうか。

…まさか、何かが起こったというのか?

俺は足早で神奈の部屋へと向かった…

_________________

「地図には書いてなかったが…これは受付からしか入れないのか…」

地図の場所的にはここが神奈の部屋だが入口がどこにもない。

多分受付の所から入っていくのであろう。

「受付はここっと…」

受付に入るための扉を開けた瞬間、

目は血が点々とした床に行っていた。

「…!!」

やれやれ…

やっぱり悪い予感は的中か…!!

血の行末である神奈の部屋に入った。

「………!!!!!!!!!!!!」

____________________

…人の、死体であった。

パッと見、少女のようにも取れる。

…きっとこの子が…愎華って娘であろう…

…報告だ…

犯人を…逃がしてはならない…

全員ここに呼び出すんだ…

それが…俺の出来ること…

「…くそ…くそっ!!」

また俺は。

人が死ぬところを。

止められたかもしれない被害を。

止められなかった。

____________________

俺は食堂に帰ってからただ一言放った。

「…みんな、来い」

「はぁ?何言ってんだよてめぇ」

「いいから来い!」

つい怒鳴り声を上げてしまった。

ハッと我に返るとヤクザ顔の奴だけでなく針村や誠さん、神奈ちゃん、真希に、

…支那美も怯えてる。

「…何か、あったみたいだね」

「えぇ…だから来てもらいたくて」

「…皆さん、行きましょう。行かなければ、ならないんですから」

誠さんと神奈ちゃんはすぐに納得した。

針村もそれを了承した。

ヤクザ顔の奴らも、渋々ついてきた。

支那美と真希も、怯えていたが、こちらについてきてもらえた。

「場所は神奈の部屋だ…一つだけ言っておく…

絶対に目を背けるな」

皆は口を閉じて俺を先頭に、ゆっくりと、歩いていった…




しんじゃったよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

殺人現場

血みどろ


「…ここだ」

俺はゆっくりと扉を開けた。

「…っ!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「ふくか…ちゃん…?」

「お、おいおい…!?これって…!!」

「殺人…のようだね…」

「ふく…か…ちゃん…」

「!!落ち着いて!!神奈ちゃん!!」

「…ふくかちゃぁん…ひぐっ…」

「警察だ…」

「え…?」

「警察呼ぶしかねぇだろぉ!?こんな状況でっ!!呼ばねぇわけねぇだろうがよぉ!!」

「…無理です」

「はぁ!?」

「無理なんです!!この近くには警察署もないし…何よりここは電話線も通ってないんです…!!」

昔の事だ…電話が無いところもある筈である。

それは現代も変わらない。電話が無いところもあるのだから。

「じゃあ…一体どうすれば…」

「…暴くしかねぇんだよ」

「…暴く?」

「その少女を殺した…殺人犯を暴くんだよ…!!」

「え…って事は…」

「あぁ、必ずこの中に犯人が存在する」

俺は確信していた。この中に犯人は必ずいる。

「俺らの中に…殺したやつが…!?」

「そういう事だ…信じたくはないがな…」

俺がそう言うと場はざわつき始めた。

まぁ無理もないだろう…

この中にこの少女の未来を奪った奴がいるんだからな…

だからこそだよ…

「人生を踏みにじるなんて…あってはならない事だっ…!!」

「隼人…」

多分それは支那美の事である。

俺は重ねてたのかもしれない。

人生を…破滅させられる事を…

彼女と…支那美と…

「まずは捜査だ…しないと始まらない…」

「捜査っつったって何すんだよ?」

「まずは…取り敢えず死後硬直を確かめなきゃ…」

「そんなの分かんのか?」

「パッとだ。硬直具合によってどのぐらいに死んだかはわかると思う…」

取り敢えず彼女を触ってみる…

…すまない…

しかし直視すればするほど気分が悪くなる。

胴体は横に二分割される一歩手前…

首も掻っ切られたあとがある…

一体誰がここまで…

「………結構固まってるな……恐らく昼ぐらいか…?」

「昼…だと?」

「あぁ…昼だとするならば俺達が海に行っていた時だな…」

「ならば俺達の中では目を離していたのは誰ひとりいなかったな…」

「…まさかあんたがやったんじゃないよな?」

「メリットがあるとでも?」

「いや、ねぇな」

「だろ?」

「よくこんな状況で…平然といられるね…?」

支那美に力がこもったように発言された。

誰も平然と何ぞしていない。

むしろ緊迫した状況だ。

いつ、誰が、誰に殺されるかなんて分かったもんじゃない。

俺だって怖い。

だが先に進まないと何にもならない。

道を逸れるわけには行かないんだ…

「怖いさ、俺はな」

「先生…」

「だが怖いからこそこのままだと精神が狂っちまうよ…」

「…その意見には賛同できるな…多分俺らだけじゃねぇよ…支那美だって真希だって…そこのヤクザ顔の奴だって…針村や誠さんだって…神奈ちゃんだって怯えてる筈だ…」

その言葉に周りはしん…とした。

「だけどな、やるしかないんだよ…俺らがやらなければ殺人犯は野放しになる…今度は全員殺されるだろうな…」

「だからこそやる…そういう事だね?」

「その通り」

「…分かった。私は隼人についていく」

「わ、私も…」

「…ありがとな」

そうするとヤクザ顔の2人組も

「…俺らも協力するよ…」

「アニキ…」

「そうじゃねぇとそんな狂ったやつがいる所にいられねぇからな」

「そうか…助かるよ」

「だから犯人は…一発ぶん殴らせろ」

「それがもしもだ…お前ならどうなる?」

「…俺が俺自身を全力で殴るさ」

「なるほど、いい覚悟だ」

「僕も協力する」

「誠さん…」

「のけ者、は酷いだろう?」

「僕と神奈ちゃんも…」

「みんな…」

あぁ…みんな協力してくれる…

味方は…こんなにいいものなのか…

俺は仲間の温かさを改めて知った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが忘れてはいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この中に犯人がいることを…

 




ちなみにここまでに伏線張ってます
分かるわけないけど


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

捜査

だいいっぽ


「さて…取り敢えず館内を捜索しよう…みんなは食堂にいてくれ…1人の方が楽だしな…」

「わ、私も行く…」

「…支那美、この中に殺人犯がいない場合、お前も危機にさらされるんだぞ?」

「それでも…隼人と一緒にいたい…」

やれやれ…

仕方ない…か。

「…分かったよ。だけどほかの奴らは必ず食堂にいろ」

「はいよ。因みにトイレの場合はどうすればいい?」

「関係がないやつと行け。例えばそこのヤクザなら誠さんとか先生とかな」

「なるほど…共犯者の現場荒らし対策か…」

「そゆこと、じゃあまた後で」

「あぁ、待ってるよ」

誠さんがそう言うとコツコツ…とみんなは食堂に歩み出した。

「さーて、改めて現場の捜査だ。支那美はそっちを調べてくれ」

「分かった」

「それと、怪しいもんがあったら絶対に言えよ?」

「分かってるって…」

そうして支那美は部屋の反対側を捜査、俺はもう半分を捜査した。

パッと見、六畳半か?部屋の広さは。

その部屋にクローゼットやテレビなど…

まぁごくごく一般的レベルの家具が置いてある程度だ。

ゴミ箱やタンスなんかもあるし…

取り敢えず漁る他ない。

「怪しいところ、ねぇ…」

「難しいよね…」

ただでさえ普通の部屋に見えるのにそこから粗を探せなんて…

「…ゴミ箱も漁ってみるか…」

ゴミ箱は中には物が全然捨てられていなかった。

ただ、一つの紙を除いて。

「ん…?何だこりゃ…」

そこに書かれていた言葉は

『……に行ってやるわ……』

…ダメだ。千切れていて読めない…

「なんか…破り捨てられた後かな…?」

「あぁ…多分な…」

文字の下に線がある。

ノートなどにもあるような線だ。

「恐らくは便箋…手紙か…?」

「手紙?でも何でここに…」

千切れた手紙…持っておくか。

「他に怪しいもんねぇ…」

「ねぇ…隼人、これって…」

支那美は俺の服を引っ張り指を指した。

「…!!これは…!!」

それは、血がべっとりとついた包丁であった。

「…包丁」

まさか、あの人がか…?

「いや、まだだ。根拠にはならない…」

だが包丁か…気にかかるな…

「取り敢えずこの部屋はこれぐらいか…他のところ行くか…」

「そうだね…」

俺達はその部屋を後にした…

勿論、部屋の中にいる彼女に御冥福をお祈りしてから…

____________________

「ここ、か…」

「温泉…?」

「あぁ…混浴…は本当っぽいな…」

何言ってんだ俺は。

因みに混浴、と言っても最初の区域は分かれている。

但し、窓ガラスで隔てたれているので分けるもクソもない。

「ここも捜索するか…」

「そうだね…」

そして俺らは新たな場所での捜査を開始した…




ふへへへへへへへへ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

推理

これが事件の真相だよ
予想してみようね(この駄文じゃ無理ゲー)


「私は女湯の方を見てくるね」

「おう、こっちが終わったらそっちに行くな」

それに頷くと支那美は逆側の部屋へ。

俺はこちらの温泉を探す。

んまぁここには何も無いとは思うがな…

「流石にこんな所に証拠は残さんだろうし…」

それに万が一残したとして血を流したり、まぁそんな所だろう。

「そんな馬鹿げたことする訳ねぇか…」

そんな事するなら廃棄した方がマシだしな…

そんなことを考えていると…

「隼人!!何かあったよ!!」

…うそだろ…

マジかよ…

「…で?何があった?」

「んーとね、ハンカチが落ちてたよ」

「ハンカチ…?」

どういう事だ?何故そんなものがここに…

「これこれ、なんか女の子っぽいけど…」

そのハンカチはピンク色の布地をした普通のハンカチだった。

特にこれと言ったものはなさそうだが…

「…一応これも必要なものかもしれないな。預かってもいいか?」

「うん、私が持っててもあれだし…」

俺はそのハンカチを支那美から貰ってポケットの中にしまった。

「あと…その近くに血の跡みたいなのがあったよ…」

「血の跡…」

「多分、さっきのハンカチを洗ったんじゃないかな…洗濯機は神奈ちゃんしか回せないし…」

なるほどな…神奈ちゃんは洗濯物を集めて一気に洗濯をするらしい。

すぐに洗濯できないんだったら洗った方がいいわな。

しかも、洗剤…ではないけれどシャンプーとかは落とすものとしては充分…

さらにお湯は汚れとか落ちやすくするそうだ…洗濯機が回せないんじゃ、とてもいい選択だろう…

だが…

「何故、女湯の方に…」

そう、それの意味がわからないんだ。

血を落とすにしても何にしてもだ。

ここには神奈ちゃんと支那美と真希しか女性はいない…

しかも真希と支那美は一緒に海にいた。

残るは神奈ちゃんだけど神奈ちゃんは洗濯機を回せばいいだけ…

だけど…どういう…

「あ、あのー…取り敢えずここから出ない?暑いしさ…」

「…そうだな、ここから出よう」

もうここにも証拠はないだろうな…

___________________

さて、全てを思い返せ。

因みに針村の部屋には何も無かった。

だから割愛させてもらう。

今俺は寝室の廊下にいる。

支那美には一足先に食堂に行ってもらった。

取り敢えず部屋確認だ…

なるほど…部屋的には…

ヤクザ達は俺らの部屋の目の前、105号室か。

誠さんは108号室…

どの部屋にも窓が付いていて勿論神奈ちゃんと針村の部屋にもついていた。

カーテンもついている。

…何か、何かが引っかかる…

なんだ…何が…

「…あっ!!」

そうだ、あれは…

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『…あれ?これ、なんだ?…紙?でも千切れてる』

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「まさか…」

急いで俺は部屋に戻った。

乱暴に開けられた扉はガタン!!と閉まる。

「確かここに…」

俺は自分のパーカーのポケットから紙を取り出した。

千切れた破片が…やはりさっきの手紙だ…!!

「あの時は読んでなかったが…ちゃんと見る必要があるな…」

俺は破片を合わせて手紙を読んだ。

それは…

『今度、あんたの所に行ってやるわ。

兄さんがそちらに行ってるはずよ…どうせトロフィーが上っ面だけだって事、証明してあげる

夏休み、待ってなさい』

…ここまでは良かった。

ただしこの差出人は。

『北山 愎華』

そう書かれていた。

「…なるほどねぇ…

つまり、あとはあれを聞くだけか…

…いや、ちょっと待てよ…!?」

そう。そして今になって気づいたのだ。

この異変について。

そして、その謎も解けた。

「…!?!?!?嘘……だろ……?」

勿論、犯人も分かってしまった。

ここまでした犯人が…

ここまでするほど憎んだ犯人が…

「そうか…全て……解けた」

俺は…思い足取りで食堂に向かった…




ヒント1
手紙の送り主は死人である彼女
ヒント2
兄さんが向かっている…と彼女は書いた。
ヒント3
誰に送ったのか…?
ヒント4
思えばあの人の言ってる事、おかしくなかったかな…?
ヒント5
何故、ハンカチがあんな所に…?
ヒント6
きっと犯人は急いでその場から離れたんだろうね
凶器が置きっぱということは


はい、これぐらいかな。
大体最後のヒントでわかる人もいるかもしれなくもない。
多分いない


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼女を殺したハンニン

これがすいりかも


「…入るか」

俺はゆっくりと、ただ現実を受け止めたくなくて、だけど受け止めなければ、と決断し扉を開けた。

 

 

扉を開けると食堂にはさっきいたメンバーが全員揃っていた。

開幕一番俺が

「…犯人が分かったよ」

と言い放った。

「なに…!?」

ヤクザが口を開いた。

「お前…本当に犯人が…」

「あぁ…分かったよ…勿論、この中にいる」

「「「「「!!!!」」」」」

「ほう…?この際だ、お前の頭の良さ、見せてもらおうか…?」

「先生のご期待には添えられると思うぞ?」

「楽しみだなー」

「棒読みとはクソ教師め」

「…それで?君の推理はどういうものだい?」

誠さんが俺に問いかける。

「じゃあ、最初から話していこうか」

___________________

「まず、被害者の『北山 愎華』についてだ。

彼女はこの旅館に来ること自体、もしかしたら前もって知ってた奴がいたんだ。

それが、神奈ちゃん」

「………」

「針村は多分来ることを知らなかったんだろう。来た時には相当驚いたはずだ」

「そ、そうだ…僕は今日の朝、ここに愎華ちゃんが訪れて初めて来訪を知った…」

「そう、では何故、神奈ちゃんは前もって知っていたのか…」

「それは電話とかじゃねぇのか?」

「舞さんよぉ…あんた、死体を発見した時、神奈ちゃんはなんて言ってた?」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『無理なんです!!この近くには警察署もないし…何よりここは電話線も通ってないんです…!!』

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「…!!そうか…電話がない!!」

「その通り、ではなぜ分かったか…

それはこいつが物語っている」

俺はポケットの中から手紙を取り出した。

「!!!!」

「おっと、神奈ちゃんは驚いてるようだな」

「これって…!!」

「そう、手紙の内容を読めばわかる、こいつのお陰で神奈ちゃんは分かったんだよね」

「そう…です…」

「んまぁ黙ってた事はさておき…なんで捨てられてたんだろうな?」

「え…?」

「それに、多分神奈ちゃんが驚いたのはそこじゃない…」

「…なるほどな、俺らとは別の理由で驚いた…そういう事か…」

「さっすがせんせーい」

そうだ、何故神奈ちゃんが驚いたのか。

その理由はとても簡単だ。

「この手紙が自分以外の誰かに破り捨てられてたこと…それに驚いたんだろ?」

「…はい…でも、なんで…」

「簡単だよ、犯人が捨てたんだ」

「え…!?」

「さぁって、次のステップだ

殺された現場…つまり神奈ちゃんの部屋だな。神奈ちゃん、鍵はどうしてた?」

「えっと…閉めてました…それにカウンターにもいました…」

「はい、鍵はちゃんと閉めてました、しかもカウンターに神奈ちゃんもいたため侵入は難しいですよね!?」

「…なんでそんなにハイテンションなんだよ…」

「何でもないよ!

それはさておき、どうやって侵入したんでしょうか!?

それに、北山 愎華はその時部屋にはいなかっただろ?」

「その通り…です…」

「はい、ではあなたが席を外した時間は!?」

「…10時から1時までカウンターにいませんでした…

でも、鍵はかかってたし鍵もちゃんと肌身離さず持ってました」

「そうなんだよねぇ、そこが問題でもあり、ポイントでもある」

「どういう事だ?」

「これも簡単さ、窓から侵入したんだ。

窓から入れたはずだよ、被害者の彼女ならね」

「…!!だったら私がいなくても…!!」

「そうだ、入ることが出来、やろうと思えば中から鍵が開けられるんだよ」

「じゃあ私がカウンターにいる時から…」

「そう、中にいたんだろうね、きっと。

そして、神奈ちゃんがいなくなった時に『犯人』を誘い込んだ」

「犯人を…?なんのメリットがあって…」

「では次のステップ、なぜ誘い込んだのか…

それはきっと犯人は頼まれたんだろうね、ハンカチを落としたって…」

「何でそんなこと、頼んだのかな…?しかも見ず知らずの人に…」

「だって見ず知らずじゃないもん。犯人」

「…は?」

「まぁどういう経緯でハンカチ落としたのか知らんけども…あれは多分赤い染料を落としたんじゃないのかな」

「え?あれって血じゃないの…?」

「血は流れるんだよ、普通

だけど染料は固まって流しきれない時もあるらしいんだ」

「染料って固まるんだ…」

「んでもって、それを落としたから犯人に頼んだんだよ、まぁいわゆるパシリ」

「で、犯人はそれに従った…」

「それぐらい仲が良かったんだろうね…

まぁ結局殺されてるんだけども。

で、犯人は彼女にとっての誰だか…

分かるよね?」

「うーんと…」

支那美はゆっくり考えるともう一度手紙に目を落とした。

「……あ!もしかしてここに書いてあるお兄さん!?」

「まぁ、そうだろうね…

大体この旅館にいる奴らの大半は今考えれば状況として普通なんだよ…

犯人の特異性を除けば、な…」

「特異性…?変な所がある人なんていたかな…」

「あぁ…1人だけ、な…」

そう言って口を閉じ、ワンテンポ置いてまた口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ…アンタなんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

割腹 誠さん」

 

「えっ…!?!?!?」




誠さんが…?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

理由

3章最後となります
因みにこの次の話、特殊です


「…何で僕が犯人になるのかな」

「簡単さ。まずそこの2人組は必ず2人で行動するはずだ。隠し事する仲じゃねぇだろ?」

「勿論だ、する意味もないしな」

「だろうな、ならこのふたりは除外してもいい。候補に入る余地もないのでな。

次に俺らだが…まぁそれに関してはお互いお互いを海で認識している。それが何だって話なんだがな、その時はな、

『この旅館には来てないんだよ』

わかるな?この意味が」

「……………」

「まぁそれに関しては神奈ちゃん達に聞けば分かるはずだ…

それに、ここに来てるならあんたは必ず俺達と会うはずなんだよ」

「え?なんで?」

「考えても見ろよ。普通、沖に流されてたら俺達より先に見つけて救助に向かうはずだろ?なんで俺より遅かったんだろうな?」

「………」

「だんまりか、まぁいいけど。

誠さん、あんた、リーダーだったんだろ?

あの人達だけじゃ統率が取れなかったんじゃないか?

そんで、リーダーであるあんたは急いで帰ってきて俺を助けた…」

「……ふふふ、あはははは…」

「どうした?ついにイカれたか?」

「ふふふ…いやなに、あまりにも妄想が過ぎていてね…笑いが止まらないよ」

「あーそうですか。で、反論は?」

「勿論するさ、というか、僕はまだ彼女を殺した証拠が残ってないからね…

それを提示されなきゃ僕は無実だろう?」

「なるほど、証拠は語る、と。

ほんとにイカれた人だ…

そんなに言うなら見せてやるよ」

「ほう?それが出来るというのか?」

「もちろん。

証拠はこれだよ、手紙の切れ端」

「手紙だと?笑わせるな、そんなので何が…」

「破り方」

「は?」

「あんたしかいないんだよ、左利きなの

まぁ破り方を見ればわかるんだけどな…

これ、左が上になるようにしないとちゃんと組み合わさらないんだよ…残念ながらそれが根拠だ」

「…っ!!そんな筈はない!ちゃんと右から…」

「なるほどね、右からか、うん、合ってるよ

だけど残念だね、アンタの負けだよ」

「はっ!?」

「あーあ、つまんねーの、勝手に墓穴掘りやがって…

まぁ、この程度のブラフにもかかる奴だってことは分かったところで…」

俺は思いっきり誠さんを殴った。

「っ!!」

「隼人!!」

「あんたさ、何やってんだよ」

「何って…何がだよ…」

「っ!!大切な妹殺しといて、何やってんだって言ってんだよ!」

「はい?大切な妹?何が大切だよ…あんなのなんか要らないから殺したんだよ」

「…おい、死ぬ覚悟はできたか…?

未練たらたらでも殺すけどな!!」

「やめてっ!!隼人!!」

「離せ!!こいつは殴るだけじゃ絶対に反省しねぇ男だ!!」

「だからって…だからって殺したらそれでおしまいなんだよ!?」

「!!!!…それは…」

「隼人、前に言ったでしょ?

人は死んだらそれでおしまいなの…

それは私も隼人も、誠さんも一緒…」

「………」

俺は何も言えなくなった…

確かにそうだ。人は生命活動をやめたらもう、動かない…

「だが、俺達からは殴らせてもらうぞ。

約束だからな」

「あぁ…いいぞ…」

2人組は同時に誠さんを殴って、元いた位置に戻った。

「…何故、殺した」

「ここの事についてだよ…僕は昔からここに泊まらせてもらってた。いいサービスだし、二人は優しいし…家がやってる所とは大違いだ。だが、あいつはここが賞を貰ってるのが気に食わなくなって中から潰そうとした…

僕だって最初は止めた。だけど融通が聞かなくなって…それで、仕方なく…」

「そうかい、アンタ大バカ野郎だな」

「重々承知してるさ」

「うるせぇよ、お前に何がわかんだよ…

お前に!!お前に殺された妹の気持ちが分かんのかよ!?手紙を出したということは信頼してたんだろ!?アンタを兄貴として、信じてたからあんな手紙出したんだろ!?人の事をわかったような気でいるんじゃねぇ!!

それに思いとどまるタイミングはいくらでもあったはずだ!何故だ!!なぜ止めなかった!!お前の本能が抑えきれなかったか!?違う!!お前が自ら理解しようとしなかったからだ!!」

「…」

「もういい…しばらく向こうで頭を冷やせ。そして自分のやったことはどれだけ何を失ったのか…もう一度考え直して償いをすることだ…」

「誠さん…」

「…そうだな…僕はとんでもないことをしてしまったんだからな…」

___________________

朝。

目覚めの良い朝である。

あの後、警察が来て誠さんを逮捕。

その後は色々あったが取り敢えず最終日前なので寝かせてもらうことにした。

「んー…と!よく寝たー」

俺は立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とその時、周りを見回した時、

真希の姿がないことに気がついた。

 

「…は?おい!真希!!」

しかし返事はない。

「んにゃ…どうしたの?隼人…」

「…真希が、消えた…」

「…え?」

 

 

 

 

 

 

___________________

その部屋の机の上には手紙が置いてあった。

内容は

『私は元の世界に帰ることにしました。色々迷惑をかけてごめんなさい。お兄ちゃんとお姉ちゃんにはまた会いたいです。だけど、それも叶わないかも…でも、心配しないで。

私は死なないから…

ありがとう

真希』

俺達は読み終わるとお互いの顔を見合わせ、呆然としていた。

…あぁ、大切な人がいなくなるのはこういう気持ちなのか…

絶対、絶対にもうこんな思いはしたくない。

俺が改めて支那美を守りきると決意した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手紙の最後に小さく

「ゆかりさんって金髪の女性と一緒にあっちの世界に行ってくるね」

と書かれていることに気がつくのは当分後の話…




少し長めに書きました
因みに次の章に入る前にやる事がございます。
それはまた後日


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3.5章 平凡な男達と一緒にふらふらと(コラボ!!)
そしてまた男は誘われ


コラボ小説記念すべき第1話
挟み込みとしては3章と4章の間くらい
因みに進行とか気にしない人なんでかいさまの小説見てキャラ設定とかはなんとか
多分
ではどうぞ


…胸騒ぎがした

それは何故か、分からない。

何だろうか…いつもの紫のパターンじゃない。

それ以上の…いや、それ並みだな…

酒を飲んでいるだけなのに何故こんなにも騒ぐのだろうか…?

しかしそれも直に分かることであった…

その男は一言

「ま、なんも起きないだろ」

ただの勘違いだと結論づけた…

__________________

 

「あ〜あっちぃ…」

全く…何故神は『夏』というものを作ったのだろう…

毎日うちわで仰いでるのに効果がありゃしねぇ…

「全くもう…隼人はバテるの早いよ?もっと元気よく過ごそ?」

「逆に支那美さんは何でそんなに元気なんですかね…」

___________________

7月が終わりに差し掛かる何とも言えない暑い夏頃。

俺は自分の世界の手がかり調査をするため海から帰ってきてからはずっと骨董品屋に行っていた。

まぁ支那美と二人で調べてたんだけども。

分かったことを簡単にまとめてみようと思う。

まず一つ目に

『この骨董品屋は大分古い』

ということ。

まぁ骨董品屋なんだから当たり前といえば当たり前なんだけど…

これは50〜60程の年ってレベルじゃない

軽く100年は超えている

二つ目に

『訳の分からないガラクタが散乱している部屋がある』

ということ。

カウンターの横、つまり主人がいち早く入れそうなところに部屋が存在していた。

…あの時はカウンターしか見てなかったからな…

三つ目に

『あの時の置き手紙はかなり新しいもの』

ということ。

一昨日確認したのだが手紙はあの日から数か月経っているのにあまりボロボロになっていなかった。

普通放置されているならばもう少しボロボロになってても良いはずなのに…一体どういうことだ?

 

こんな所であろう。今日も今日とて調べに行く。

「あんまり手がかり見つからないねー…」

「まぁそんなに早く見つかるとも思ってないがな…」

何せタイムスリップだ。現代の科学の力でも作る事が出来ていないものをいきなり使って

その後、俺も何も知らずに出て来たんだから手がかりが早く見つかるなんて思ってもいないさ。

「でも必ず掴もうね!」

「そうだな…」

支那美が笑顔で言ってくれて俺も元気が出てきた。

「よーし、今日も行くか!」

「おー!」

___________________

さて、来たぞ…

「いつ見てもボロイ外見してんな…」

「そうかな?風情があっていいと思うけど…」

「まぁこの町にはあってるかもな」

正直25年もすれば田舎も都会っぽくなるわけでして。

「隼人の言う25年後ってどんな感じなの?」

「…一言で言うなら空気が汚い」

「えっ!?」

ホントのことだから仕方ないんだよな…

都会、いいところか悪いところか。

遊ぶ以外には悪いところしかないな。

遊ぶっつったっていくらでも遊ぶことは出来るからなぁ…

「都会はあんましいい所でもないよ…」

「そうなんだ…なんか悲しいな…」

「…ほら、しんみりするんじゃなくてさっさと入ろうぜ」

「…うん、そうだね」

古いドアに手を当て、ゆっくりと扉を開いた。

ギギギ…という木の音が響く。

「…よし、じゃあまた調査を始めよう。支那美はカウンターを頼む。俺は例の部屋に行ってみる」

「分かった、こっちは任せて」

支那美は早足でカウンターへ向かい俺は奥の部屋へと歩んでいった…

____________________

「ふむ…やはりここの鏡はデケェな…」

奥の大きな部屋に存在する大きめの鏡を目の前にしてひとつ呟く。

使い古された…?いや、ただただ粗大ゴミのようになってしまっている鏡がデカデカと置いてありとても目立つ。

その側にはほうきや箱のようなものなど…

そういえばレジ?の中に入ってた金額も古いお金だったような…?

そうするとますます分からない。一体ここはいつから、いつの間に現れたのだろうか…?

そんな事を考えているとカウンターから支那美がひょこっとこちらを覗いた。

「やっぱりこっちは何も無いよ〜」

「分かった。取り敢えずこの鏡を調べよう」

「おっけー」

支那美がこっちに駆け寄り、俺はペタペタと鏡に触れていく。

「うわっ…ホコリすげぇな…」

「ちょっと拭いてみよっか?」

「頼む。確か雑巾持ってきてたはずだし」

「まかせて〜」

彼女は慣れた手つきで鏡をキュッキュッと拭いていく。

と、その時。

眩い光がこちらの水晶体に刺さる。

「…っ!!なんだ!!」

「ま、眩しい!!」

俺らは目を塞ぐことしか出来ずに光が無くなるのを待った…

___________________

再び目を開けるとそこには大きな鏡があった。

「何だったんだよ…」

「ま、まだ目がチカチカする…」

俺らが不思議がっていると

「おや、お客さんかい?」

…カウンターから身長の高い男が出てきた。

それを確認して何が何だかわからず、しかしとりあえず一言。

「誰だよお前!」




面白くなってきたなぁ!(早すぎ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

別世界へと

第2話〜はっじまっるよ


「おいおい、いきなりうちに来て『誰だ』は失礼だな」

いやいや、そりゃ誰だってなるよ。

いきなり光が放たれたと思ったら人がおるし。

「まぁまぁ、取り敢えず落ち着こ?」

「いきなり押しかけてきて落ち着くもないと思うんだがね」

「うん俺はそもそもこの状況を理解できない」

理解、理解かぁ…

「だからお前誰だよ!」

__________________

「…で、落ち着いたかい?」

「まぁ、少しは…」

ここが何処なのか…

それだけは理解しかねるが。

「そりゃまぁ『幻想郷』にいきなり飛ばされるのは大変だっただろうが…」

そう。そこだ。

「ここの事をもう少し、細かく教えてくれないか?」

「そうだよね…まだ納得出来ないところもあるし」

「…分かったよ…もっと細かく話すとするか…」

「あ、その前に名前を「おーい!こうりーん!」…誰?」

「あぁ、いつもの来客だね…」

透き通った声をした…女の子?かな?

多分女の子な筈。

「ってここにいたのか…

ん?見ない顔がいるな。誰だこいつら」

「そりゃ、こちらが聞きたい」

顔を覗かせたのは金髪の大きな帽子をかぶった小さい少女。

外見の割に口は言いようだがな。

「なるほど、まずはこちらから名乗れということか。

霧雨魔理沙だ。よろしく頼む」

「きりさめまりさ…霧雨はいいとしてまりさは?」

「魔法の『魔』に理解の『理』、沙羅双樹の『沙』だ」

ほう…?なかなか珍しい名前だな…というか書きづらそう。

「こっちが名乗ったんだ、そっちも名乗るのがせおりー?だろ?」

「はいはい、俺の名前は中村隼人。まぁただの一般人だ」

「刈谷支那美です。よろしくお願いします」

「おう、よろしくな!」

「…挨拶は終わったかい?できる限りなら早く帰ってほしいんだけど」

「な!?」

「おいおい…流石にいきなり来た子を帰れは酷いだろ…」

「そうだそうだ!隼人の言う通り!!」

「全く…人を盾にして言うと説得力に欠ける…」

「うぐ…!!それは…」

「ていうか、隼人も隼人!!会ったばかりの子を甘やかしすぎ!!」

「いや、だって可哀想じゃん…」

やばい、この話ぜってぇ終わらねぇ…

何とかこの場を立て直せるやつは…

「久々に来たと思ったら…何やってんの?」

俺はハッと目を声のする方向に向けた。

そこに映ったのは、身長がとても小さい男。

だが、なんだろうか…絶対こいつはただモンじゃない。

子供とは思えないほどの…何かの気配が見え隠れ…いや、バリバリ見えてる。

「おっと、そんな身構えないでくれ。別に外の世界のやつを取って食おうって訳じゃない」

「…本当だよな?」

「一応神という名目で嘘はついてないと言おうか。そう言われてもピンとは来ないだろうけど」

神…?神だと…?

何を言っているんだこいつは…

「名乗ってなかったな、俺の名前はユウ。まぁ、堅いのが苦手なんでそのままの口調で頼みたい」

「…中村隼人と」

「刈谷支那美です」

「ふむふむ、中村と刈谷、ね。把握した」

「そんで、神ってのはどういう…」

「ふむ、まぁそこからか…一回外に出ようか。森近と霧雨、また後でな」

「また後で、と言うことは用があった…と?」

「そんなところだ。そんじゃ」

「…森近さん?と魔理沙、またな」

「またお会いしましょう」

俺達はユウ、と名乗った男について行った。

「…彼らは本当にただの外の世界の住人か…?」

「お前もそう思ったか…特に、支那美がな…」

2人はそういい、黙り込んだ…




やっとユウさんが出てきた


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

男達は向かい出す

3話目!ゆかりん登場だぜ!


「…どこに行くんだよ」

「ん?取り敢えず人里。2人はただの人間だろ?」

「ただも何も普通じゃない人間なんてほとんどいないんだが」

「まぁこの世界が特殊なだけさ。知ってる奴らの中に普通の人間は全然いないしな」

「そもそも人間な奴の方が少ないんじゃねぇの?」

「そうでもないがな、まぁそっちの世界にはいない妖怪とかは沢山いるけど」

「なぁ、それなんだが…」

そういえばまだ、『幻想郷』とやらについて詳しく聞いていない。

「なんだ、ここの話か?」

「よく分かるな、チビの癖して」

「…チビなのは関係ねぇだろ」

「うんまぁ関係ないですね」

「…まぁいいや、そんでここの話、か。

多少長くなるぞ?」

「少しでも情報を得たいから、じゃんじゃん話してくれ」

「私も…聞きたいです」

「ふむ、なら話すか。この楽園について」

___________________

忘れられた者の最後の楽園

『幻想郷』

まぁ忘れられる、と言っても色々だが…

例えば、妖怪で言うならそちらの世界で誰からも知られていない、認知されていない…

そんな感じのヤツらがここに迷い込まれる。

勿論物も、言うなれば人間だって迷い込まれてくる。

「なるほどね…『忘れられた者』が訪れてくるというわけか…」

「そういうこと。人間に関しては死んだりすると来る奴もいるようだが…」

2人は少しアブノーマルなんだよな…

「?どういう事ですか?」

「さっき言ったとおり、人間は死んだり、人から忘れられたり…あぁ、あと紫の神隠しでも来たりするな…

まぁ来る方法はそれぞれだが、基本的にはこの三つのどれかだな…」

「今回もその、紫とやらからの神隠しじゃないのか?」

「…と言ってるが?さっきからこそこそ後ろをつけてるのは分かってるんだから早く姿現してこいつらの質問に答えてやれ」

「…?どこに話しかけて…」

途端、振り向いた所には空間がすっぱりと割れており、中から覗く目がこちらをじっと見ている。

「ひっ…!!」

「…こいつが紫って奴か!?」

「いいや、それはただの『スキマ』

本体はそん中にいる…いや、いねぇな…」

「何言って…」

「ユウゥゥゥ!!」

突如として真上から何者かが降ってきた。

勿論、文字通りに。

「は!?」

「ふぇっ!?」

俺と支那美は驚きの声を出し。

その後に地面に何かが叩きつけられた音がする。

「…結構な挨拶で。ほんと、どんな手を使ってくるかわかったもんじゃない」

「いいじゃな〜い。私達ふう「言っとくが夫婦では無いぞ」…む〜」

「ケホッケホッ…一体何が降ってきて…」

「なんか…凄い音がしたね…」

俺達が顔を上げるとそこには。

金髪の女性がユウと話していて、ユウは面倒くさそうに対応している。

「…取り敢えずこいつらに謝れ。普通に考えて、スキマ開けた瞬間に俺の上から降ってくるとか度の過ぎたドッキリ過ぎるわ。主に俺に」

「えーだってお触りしたかったし〜」

「場を考えろ。そして場を考えて来たのなら一回叩き直した方が良さそうだな」

「叩き直すって物騒ね〜

まぁ私はユウと一緒にいれるならそれで「はい、さらば」えっちょ、なんで頭掴んで投げる構えに入ってるの!?私野球ボールじゃないからそんな握り方してもナックルボールにはならな「グッバイ」なんでー!?」

「ふう、邪魔もんが消えたな…」

「…まさか、あの人が紫って人か?」

「…察しが良くて助かるよ」

………なんか、ユウも大変だな………

「それにしても…夫婦ってホントですか?」

「ホントじゃないね、うん」

「でも2人ともお似合いでしたよ」

「やめてくれ、育てたやつと夫婦になりたくない、しかも変態と」

「………育てた?」

「あ、言ってなかったか。あいつ育てたの、俺だよ」

ごめんちょっと頭痛くなってきた。

 




変な感じになってないかな…?多分ユウさんとゆかりんな筈だけど…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人里

滞納した私を殺してください
第4話


「…コホン、改めまして八雲紫という者です」

「あ、あぁ、中村隼人という者だ」

「同じく刈谷支那美です」

「んで、紫よ、今回のこいつらに関連性あるのか?」

「いいえ、今回は私、何もしてないわ。それに、もし私がするとしたらユウに報告するし」

「まぁ報告してきたら滅するだけだし誤魔化してもどうせバレんのは分かってるんだろ?」

「ええ、もちろんよ」

「じゃあ…今回紫さんは何の関係もしてない…?」

「まぁそうっぽいな。だからさっき言っただろ?お前達はアブノーマルだって」

「…あ!」

「そういう事だ。だから不思議に思っていたんだがな」

…正直話についていけない。

俺は1度タイムスリップをした身。

だがそれでもやはり意味が分からない。

いきなりこんな世界にワープだと?

しかもこれが俺だけならまだいい。

だが今回は支那美もいる。

…彼女を危険な目に遭わせたくは無い…

「随分女思いなんだな」

「……心でも読んだのか?」

「さぁな、ただの勘かもしれんぜ」

「勘にしちゃ、的を正確に射抜けるんだな」

「……まぁ勘だと思っとけ」

それホントに勘なんですかね…

気にし過ぎても行けない気がするから考えるのもやめよう。ほんとにめんどくさいから。

「そんなこと言ったら隼人だって心は読めるでしょ?」

「読めるんじゃなくて憶測。だから的は正確に射抜けない。こんなんだろうな、って感じだから勘とはまた違うんだ」

「俺も確信を持って言った訳では無いぞ?」

ダウトだろ、これはどう見ても。

「ダウトじゃないならなんなんだ」

「やっぱり読めてるじゃねぇか」

やっぱり勘じゃねぇなこれ。

「……んで、人里はどっちよ。早く人里とやらに行きたいんだけど」

「あぁ、忘れてた。こっちだ」

「紫さんもついてくるんですか?」

「勿論よ!ユウある所に私あり!」

「是非ともやめてくれ」

___________________

「ここが人里、まぁ人間が集まっている集落みたいなもんだな」

「……この里さ、小さくないか…?」

「言いたい気持ちはわかる。だがここは二人の世界とは違う。そちらとは比べ物にならないほど『死』が身近に存在する世界だ…人間が少ない理由も、『人喰い妖怪』と一言で言えばわかるだろう?」

「………そういう事か……」

人が少ないのは…人喰い妖怪に…人が…

「…クッ!!」

「人が死ぬ…それが当たり前の世界さ…二人も油断するな、昼だからと言って適当にほっつき回ると…最悪の場合殺される」

「殺される、か…」

はは、殺されるなんて何度味わったか…

「命は投げ捨てるもんじゃないからな?分かってるよな?」

「分かってなきゃ死んでたさ」

それもそうか、とユウは一言言い人里に入っていった。

「俺達も行こうか」

後ろにいる支那美に話しかけ、振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには誰もいなかった…




は???支那美どこ???
可愛い子消えるとか隼人に需要なくなるやんけ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

どこだ

ごーわーめかなー?


「………支那美?」

どこに……行って……

「…紫さんもいないじゃないか…」

何があった…!?俺が前を向いて話している間に!!

「おい!二人共どこ行った!!」

しかし声は帰って来ず。

森のすぐ側、音もあまり反響しない。

「ユウに…ユウに聞くしかない…」

もしかしたら…紫さんが…

あの人は『スキマ』とやらから出てきた…

あれは何か瞬間移動系の特殊能力だろうか…?

そこから支那美を攫うことぐらいは容易だ…

「いや、それをするとユウも危険なんじゃないか…?」

ユウは紫さんとつるんでいるんだ。

もしあの人と紫さんがグルなら絶対に教えてくれない。はぐらかされるのがオチだ。

いや………あの気を放つ奴だ…失言をすれば最悪殺されるかもしれない………

「…そんなこと言っている場合じゃねぇ!!」

こんな俺が危険に晒されるならいい。俺は周りに迷惑が掛からなければそれでいいんだ。

だが…支那美を危険に晒すのだけは絶っっっっっっっ対に許せねぇ!

「…殺す」

何かしたらこの身が滅びようとも必ず殺してやる…!!

「何処ではぐれたか…そこから捜索しよう」

探すにしても死んだら意味が無い。

取り敢えずユウとの接触は後にしよう。

俺は脳を冷静にして、元来た道を戻り始めた…

___________________

「ここが人里…

ってあれ?どこ行った?」

確か俺は中村達を人里に連れてきたはずだが…

「…何処かではぐれたか?」

人里の中…は無いな…

この人里に入ってから殆ど時間が経っていない。この数分で俺の目から居なくなるなんて無理に決まっている。

「外…?」

いや、外は俺が連れてきたはず…

……もしも、中村達が俺が入った後に消えていたとしたら…?

「…それしかない…」

考えてみれば入ってから今の今まで振り返ってすらいない…気付かなくても不思議ではないんだ…

「…おかしい」

消えていたにしろ紫がいる…アイツ込みで居なくなるはずなんてない…何故、何故紫まで消えている…?

「…捜しに行くか」

面倒事になっているのは確かだ。

…どうして気づけなかった…!!

「畜生…」

最悪の事態になる前に急ぐんだ…!!

___________________

「…どこ歩いてきたっけ…」

やべぇ、あんなこと言ったのはいいけどここが何処か分かんねぇよ…

「こうしてる間にも時間が過ぎてるっていうのに!!」

クソッ…クソッ…はやく、早く手がかりを!!

「…ここにいたか」

俺は声がした方を即座に振り向いた。

「…ユウ」

「どうした?俺がここにいるのが不思議か?」

…そりゃそうだろうな。

「だが今回は俺ら絡みじゃねぇ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫もいなくなった。これは異変以外の何者でもねぇ」




ほのぼのをめざしております


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

信じろと?

滞納された(ry
6話目さ


「…異変とは何だ」

「警戒も無理はない、か…

だが中村とやる事は同じだ。こんな所で睨み合ってても仕方ない…

まぁ簡単に言えばそっちで言うところの『事件』みたいなもんだ」

「事件…だと…?」

事件なら何故警察などが動かない…

「分かってるか?この世界は『そっちの世界』とは違うことを」

「…常識すら通用しないということか」

「わかってくれたようで何より」

つまりこっちの世界には警察なるものが存在しない。

…それにこんな田舎っぽい所じゃ警備隊などがいるのかも謎だ。

それに…いきなり見ず知らずを助けてくれるわけもない…か。

「んで、俺と一緒に行くか?待ってるか?」

「…行くに決まってんだろ」

支那美を攫ったヤツを『生かす』訳にはいかない!!

(こりゃあ、なかなかの殺意をお持ちのようで)

 

 

しかし、隼人は知らない。

この時にユウが少し笑っていたことに…

___________________

「どこに行ったのか、見当はついてるのか?」

「ついていたらもっと早く向かうが…?」

つまりアテは無し、か。

せめてどんな犯人なのかも予想できないとこちらからは動く事すらままならない。

「…夜かよ」

そしてあっちこっち歩き回ってる内に夜になってしまった。

「…うちに来るか?」

「何故だ?」

「言っただろう?夜には妖怪がわらわら出てくる。いくら俺でもお前を守りながらじゃ流石に限界が来る」

「じゃあ一人で帰ればいいだろ?」

「…あのさ、俺はお前を『守る』って言ったはずだぞ?」

「そんな約束は是非とも破棄してくれ。俺は俺1人で探す」

「…やれやれ。そんなに俺を信用してくれないんだな…」

「あたりめぇだろ。いきなり支那美と紫さんが同時に消えたんだ。あの人自らの能力でそれができる可能性がある以上あの人がさらっていても不思議ではない。更にユウが紫さんとつるんでる以上お前も疑わざるを得ない」

「うーむ、信じてもらえんときついなぁ」

「何がきついんだ?お前には力があるじゃないか」

「あ、いや、そうじゃなくてな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このままだと実力行使に出なきゃなってさ」

そう言い放った瞬間に俺は何かを感じた。

重い、何かを。

「…言ってた通り、ほんとに人間じゃないんだな」

「言ったろ?この世界に人間は少ないほうなんだ。人型の妖怪とかは沢山いるけどな」

「お前は妖怪じゃないだろ?そうだ、確か…」

「神」

神、か…

あのよくここぞという時に使われる『神』がまさか目の前に立っているとはな…

「どうだ?戦力的には圧倒的にそちらが負けているが…これでも戦うか?」

「…戦えばどうなる」

「命は保証するが…痛いだろうな」

「へっ…こんな時まで余裕そうだな…」

「そりゃ第一の目的は中村を生かすことだ。無闇矢鱈に殺すなんてしないさ」

「そうかい…」

「分かってくれたか?なら「だったら」…?」

「俺と勝負をしろ。殴り合いではなく、単純な勝負」

「…付き合ってやるよ」

「もし俺が勝ったら俺は一人で探しに行く。もし負けたらお前について行く」

「なるほどな、チップは妥当だ。

それで?肝心の内容は?」

「鬼ごっこだ…」

「…なに?」

「俺と鬼ごっこをしろ。マップは幻想郷すべて。お前は30数えたら俺を追いかけろ」

「なるほどね、だがお前の勝利はどうなる?」

「それは安心しろ。俺の勝利条件は『幻想郷全土』を回ったらだ。それに命は保証してけれるんだろ?」

「…仕方ない、か」

「ならば今からスタートだ。30数えろ。目をつぶってな」

「はいよ」

 

始まる。俺が勝たなければ…俺が勝たなければ支那美を捜索することが出来ない!

それだけは絶対に嫌だ!




投稿ペースがゴミ過ぎてやばす


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

男は走り出し

滞納しすぎな方がご登場
そしてサヨナラ
七話


「いーち、にー、さーん」

ユウが目をつぶりながら数字を数えていく。

(今のうちに逃げなきゃな)

俺は数えたのを聞くと振り返ってすぐの方へと走っていった。

そう、これは相手がどんなであろうと関係の無い鬼ごっこだ。

足が早いというのもあるだろうしそもそも奴は神だ。

追いかけられたら捕まるのなんてすぐかもしれない。

だけど。

それで、支那美を見捨てるつもりは毛頭ない。

それは裏切り行為と同意だ…!!

「………う……いーち…」

声が聞こえるか聞こえないくらいまで離れられた。取り敢えずはこの先に向かおう…

___________________

「にーじゅきゅーさんじゅう…と」

さて、取り敢えず30までは数えたが…

「…音で何処にいるか分かっちゃうんだよな…」

さっき数えている時にあちらの方へと走っていく音が聞こえた。

「あっちかぁ…」

こりゃ早速捕まえたかな…

あっちに走るは香霖堂…

 

「お疲れ様でしたかな」

俺は中村を追いかけるために全速力を出した。

___________________

「…うっわぁ」

よりにもよってここかよ…

目の前にそびえ立つは階段。

しかも結構高い所だ。

「鳥居が見えるな…神社?」

赤い鳥居…まぁ鳥居は赤いか。

「階段登るのは辛いけどやるしかないかぁ…」

支那美を見つけられなきゃ意味ないんだ。やるしかないだろ。

俺は一段飛ばしで階段をテンポよく登って行った。

「ふーむ、高い…」

トラウマという訳では無いがこりゃ流石に高い。

高所恐怖症を殺しに来ているとしか思えないな。

…まさかとは思うけどこの階段使う人いない?

どう考えても人間に優しくないんだけどこの階段。

そんな自分が疲れた理由を階段のせいにしたところでてっぺんに着いた。

「…これは…」

なんというか…the・神社。

古さを感じる。というか古さしか感じない。

「こんな神社、残ってるもんなのか…?」

「結構失礼な言いようね」

声。少女だろうか?取り敢えず女性の声だということは分かった。

周りを見ても誰もいない。本殿を見ていても何もいない。

…まさか幽霊?

「どこキョロキョロしてるの?上よ上」

上…?

俺はゆっくりと空を見上げた。

「………」

パッと見は、少女。赤と白の…服?を着ていた。まぁ服か。それに髪には大きなリボンも。

だが、そんな事より。

「………」

なんだ、これ…

空を…飛んでる?

「は?」

「私を見ての第一声がそれとはね」

「いや、いや、まて、うそだろ、なんで」

なんでおそら、とんでるの?

「何よ。言いたいことがあるなら言いなさい」

「ふむ、じゃあお言葉に甘えて」

俺は大きく息を吸いこんで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで空飛んでんのぉぉぉぉ!?!?」

そう、それは普通。至って普通の質問。

だけどそれ以上言うことが見つからない。

空すら飛んだことない人間が空を飛んでいる人間?を見たらどういうのだろうか。

満場一致でこれであろうに。

「…?空を飛ぶ事に不思議がるかしら?」

こいつはなにをいってるんだ。

空を飛ぶ事に不思議がらない奴がいるの?そんなの神ぐらいじゃないの!?

「…あ、なるほどね。

あんた、外の世界の人間か」

「外の世界…」

「そ、あんた達が住んでいる世界の事をこっちではそう呼んでるの」

そう言うと彼女はゆっくりと降りてきた。因みに俺はまだ理解が追いついていない。

「あんたの名前は?」

「…中村 隼人」

「そ。私は博麗霊夢。この博麗神社の巫女を務めている…者かしら?」

なんで疑問形なの。




きっと4日後には投稿するでしょう多分


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

巫女さん

テスト期間許すまじ


「…で?あんたはわざわざなんでこんなところまで来たわけ?」

「…人を探してるんだ。白髪の、俺と同じくらいの子を」

「この世界に来たばっかりなのに大変ね、まぁあんたが探してる子はここにはいないわ。他を当たりなさい」

「マジか…まぁいいやありがとな」

取り敢えずいないと分かったら急いでここから離れなきゃな…

「…随分急いでるみたいだけど何かに追われてるのかしら?」

こいつ良くわかったな…

「…ユウってやつに追われてる」

「…あいつに!?」

あいつ…?

まさかこいつ…ユウを知って…?

…こいつも仲間なのか…?

「いや、まさかあいつが…」

しかし霊夢は少し戸惑っているような、そんな感じがする。

…こりゃ今の内に逃げた方が

「何処に行くつもりかしら?」

「ヒェ」

ちょっと待ってよ明らかにやばい気迫飛んできたんですけど。

「…あんたが何しでかしたか知らないけど…逃げ切れるとは思わない方がいいわね…」

「なら早く他のところにいかなきゃならないんで逃がしてください」

「それはダメよ。まだその子が誰に攫われたか、聞いてないもの」

えぇ…それ言わないとダメ…?

まぁ逃がしてくれないなら言うしかないよな…

「…八雲紫って人」

「私もついていくわそいつを早く見つけ出しましょうか」

「は???」

なんで!?今、名前しか出してないよね!?なんで霊夢のハートに火をつけちゃったの!?

「ちょっと落ち着こうか。何故いきなりやる気スイッチ入った?」

「どうせ今回のも紫の仕業よ!!その子が可哀想なことになる前に助けに行くってことよ!!異論は!?」

「な、ないです!!」

「ならば宜しい!!どうせあの家にいるはずなのだからいきましょう!!」

ますます意味がわからねぇ…こいつこんなキャラじゃないと思ってたんだが…

「…まさか紫さんが犯人だという証拠があるのか…?」

「まぁ言うなればそうね…あいつはトラブルメイカーだから…ユウも私も苦労してるのよ…」

…ユウ、何故あいつの名前がそこで…

やはり、根はいい奴なのか…?

「取り敢えず行きましょう。紫の家に行けばいいだけなのだから」

「あ、いやちょっと…」

「どうしたのよ、早くついてきなさいよ」

いやね?私は大いについて行きたいんですよ。

たださ…

「俺空飛べねぇからなぁ!?」

「…あ…」

あ、じゃないよ!?あいつ普通の人間をなんだと思ってんの!?

「…歩いて来なさい。ゆっくり飛ぶから」

結果、空を飛ばせてはくれないらしい。

「また徒歩かよ…」

鬼ごっこと言うことも忘れゆっくりと空飛ぶ霊夢について行くことにした…




まだ終わるわけないやん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

男と少女は目指す

もうそろそろ終わりそうな予感


香霖堂に着いたはいいが…

「気配が全く感じ取れない…」

さっきの音といい、こっちに向かったのは間違ってないはずなのだが。

…1回最初の場所に戻ってみるか…?

「まぁこのまま見つからないと面倒事になるのは俺だからな…食われる前に探さねぇと…」

あんな事を言った手前、中村に何かあったら…

「急ご」

早足で元来た道を戻った。

____________________

「…遠くねぇか…」

太陽がいい感じに隠れている森を歩きながら一言。

「そうかしら…と言ってもあんたは普通の人間だものね…しかも外の世界の。こんな環境にいきなり慣れろって言っても無理な話か…」

「適応力は何気にある方だと思ってたんだがな…こりゃ流石にきつい…」

「まぁゆっくりでいいわよ」

霊夢の優しさを痛感したところで何かの音がした。

「…何の音だ?」

「…あんたも聞こえた?」

こりゃ相当厄介ね、と霊夢は続ける。

もし、これが妖怪の場合、俺は非常にまずい。

なにせ聞こえたのがすぐ近くの草むらだから。

「今すぐそこから離れることをおすすめするわ」

「ふむ、そりゃ無理な話だ。だって、向こうも警戒してるから」

「ふぅん…感覚は鋭いのね…」

「死にかけた事が何回かあったからな」

しかもこれはやばそうだ。あの時と同じ、殺気を感じる。

「………」

「………」

俺はゆっくりと一歩を踏み出し遠ざかろうとする。

「………」

と、その時に

ガサガサ!!

と音がした。

流石に俺も驚いた。が、しかし。

「…行ったか?」

「そう、みたいね」

このタイミングで見逃してもらえるとはなんて幸運。

改めて命の危機が迫っていたことを思い返し心臓の鼓動が止まらない。

「はぁぁっ…」

「ほんと、運がいいわね」

もしあれが頭の悪い妖怪なら腕は確実に持ってかれていたわよ…

霊夢さんはとても怖いことを言ってきた。

怖いよやめてよまだビビってたんだから。

「取り敢えず行こう…早く帰りたい…」

こんな所に来た理由は鏡のせいだというのに当の本人は全く覚えていない。

「分かってるわよ、もうあいつの家もすぐそこよ。絶対に問いただしてやるんだから」

なるほど、それは良かった。

俺は心の中で安堵して再び空を飛ぶ霊夢に付いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

(…?そういえば…)

 

俺は何かが引っかかった。

何がだ。何が引っかかった。思い出せ。少しずつ思い出すんだ。

何だ。何が足りない。俺には何を理解せずに忘れた。それを。思い出すんだ。

『…それはただの『スキマ』…』

『…紫さんもいないじゃないか…』

『…『事件』みたいなもんだ』

『…ふぅん、感覚は鋭いのね…』

 

 

 

 

 

 

『…紫『も』いなくなった。これは異変以外の何者でもねぇ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

『…もしあれが『頭の悪い』妖怪なら腕は確実に持ってかれたわよ…』

 

 

 

 

 

『…度の過ぎた『ドッキリ』過ぎるわ…』

 

 

 

 

 

 

「…なるほど、そういう事か…!!」

理解した。俺の脳内がそう叫んだ。

これは計画されたものだったんだな…!!

しかもそれは即興…

 

 

 

 

 

「…楽しくなったぞ、お前ら」

 

俺は吐くようにその言葉を残した。

 




すいり


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お家

そろそろ終わる


「やっとついたわね」

「ほんとに歩くの遅くてすまない…」

俺達はやっと家らしき物の前まで来れた。

「気にしないでいいわよ、歩行速度に大して期待してないから」

「あ、結構傷ついた」

そんなどストレートに言わなくても。まぁ綺麗事並べられても困るけどさ。

「じゃあもう入るけど…」

霊夢はその家に入る直前に止まる。

「…?どうしたんさ」

「…あんた、今回の事、どこまで分かってる?」

霊夢はいきなり何のことだか分からない質問を振ってきた。

が、すぐに理解した。

つまり霊夢は『察して』いるんだ。今回の事や、言うなれば多分俺の考えてる事も。

「…少なくともな、霊夢には悪いがお前を『疑って』いるな」

確証は…あるな、普通に。

「なるほど…そこまで行ってるなら今回の真相もわかってるのよね?」

「…真相はわかるさ」

但し、『真相』はな。

「となると…まぁこれは入った方が早いわね…」

「そうだな、俺もその意見には同意だ」

そう答えると霊夢は扉を開けて中に入る。

俺も入っていった。

____________________

今回のおさらいをしようか。

今回のこの異変、言うなれば『異変』ではない。

そう、つまり事件はなんの関与もしちゃいない。妖怪に襲われてもない。誰かがなんかをしたわけでもない。

これは『ドッキリ』だろう。

何がしたいのかは良くは知らないが多分これは合っている。

…どうせ我等が姫・支那美嬢の子供っぽいイタズラだろ可愛い。

で、多分紫さんはその話に乗ったんだろうな。

あの人と支那美は仲が良いようにも見えた。

所詮は憶測だが一番納得できるのはそれだな。

そんで、紫さんはユウに報告したんだろうね。その件に関して。

まぁユウを一人にするのもあれだと思ったんだろうけど多分ユウにその後何されるかわからないから報告したと思われ。

と、なると今は関係者全員がこの家にいるということになる。

「…ここね」

いつの間にか歩きながら考えてたら着いていたらしい。

開けるわよ、と霊夢が言い扉を開けた。

____________________

「紫、連れてきたわよ」

「お邪魔しま…」

と俺が入ると同時にクラッカーの音がパァン!と鳴った。

「隼人!!誕生日おめでとう!!」

「おめでとう」

「まぁ、おめでとう」

「あんた誕生日だったのね」

と、4人に言われた。

「なるほど、これが『ドッキリ』の全貌か」

「そうね。まぁあそこまで推理してくるとは思わなかったのですが」

「こういう隠し事しても隼人にはすぐバレちゃうかな、って思ったけどお祝いしないのも嫌だから…」

…?となるとまさか…

「なぁ…まさか支那美と紫さんって初対面じゃない…?」

「あ〜そこまでバレちゃったか〜」

マジかよ、俺の知らぬところでそんな事があったのか。

「まぁ俺と刈谷は初対面だったんだがな、紫からこの事を聞いたのも人里から出てすぐだったし」

「それ以外は…おおかた隼人の予想通りかな?」

「だからあんなに紫さんと仲良かったんだな…」

まぁ計画としちゃガバガバな気がしなくもないがそんな支那美嬢も可愛い許す。

「そのせいで私にまで飛び火したんだけどね…私じゃなくてもよかったじゃないの」

「その辺に関しては博麗の方が適任だと思ってな。因みに俺は香霖堂の方行ってた」

「なんでそんな所に」

「そのうち分かる」

ユウは何かをした後のような口ぶりであった。

「と、取り敢えず誕生日なんだからこっち来て!」

「はいはい」

俺は支那美嬢の隣に座り誕生日を祝ってもらった。

姫からだけでなく紫さんやユウからも祝いをもらった。

だけども。

「…なぁ、一つ言っていいかな」

「ん?どうしたの?」

そう、さっきからずっと言いたかったこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺今日誕生日じゃないよっ!!!!!!!!」

 

 

 

場は静まり返った…




設定集とコラボ第1話をご確認ください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そして時間は終わり

最終話です!!
かいさま、こんな私とコラボしてくれてありがとう!



その後…

俺は一週間ほど早い誕生日パーティーをされ歌を歌い終わりと同時になんとも言えない気持ちで17歳(仮)を迎えた。

因みにその時投げかけられた言葉は支那美以外の全員に

『ドンマイ』

という言葉を。支那美には

『ごめんなさい…』

と言われたいいぞ支那美は許す他は許さん。

____________________

楽しかった時間はすぐに過ぎ去ってしまう。

かくいう俺達もそうであった。

「…もう夜か…」

確か夜は妖怪が活発に活動するとか。ならばそろそろ帰った方が良さそうだ。

「あら、なら私たちの家に泊まっていく?」

「いや、やめておくよ。見ず知らずってのもそうだが何より迷惑をかけるわけにもいかん」

「でも夜の幻想郷は危険よ?」

「そこなんだよなぁ…まぁ俺らがいれば何とかなるだろうけども…」

一回だけとはいえあのコスモスにも勝てたのだ。雑魚妖怪程度なら倒せなくはないかもしれないが。

「…自分の力をあまり過信しすぎるなよ?足元をすくわれるからな」

「そこまで甘く見てないよ。20秒ほどはかかるだろうし…」

「そうだよね…流石に私たちじゃそれが限界かな…」

実はここに来る前までに1匹、雑魚妖怪の気配を察知したのだがあの程度なら時間はかかれど倒せはするだろう。

「…あんた達、何者よ」

霊夢が俺たちに向かって言う。

「…しがないただの人間さ」

「まぁ少し訳ありなんですけどね」

俺達は霊夢にそう言い放つと俺が来た扉を開けてこの部屋から出る。

「…帰るときは分かっている通りあの鏡からだ。因みに帰る前に森近に話しかけろ、そして俺の名前を出せ」

「…それだけだな?」

「あぁ、それだけだ」

そう確認して扉を閉めた。

____________________

「…不思議な奴ら」

「それは俺が最初に出会った時から思ってたよ。まぁ、紫の方が驚いただろうけどな」

「そうね…支那美ちゃんだけでもあの力を持っているのに…似た力を隼人君からも感じたわ…」

「幻想郷の平和を脅かすほどではないだろ」

「分からないわ…だけど、向こうの世界の均衡を保ってくれることを祈るしかないわね…」

外の世界の均衡が崩れると幻想郷にも影響しかねない。それを危惧しているのだ。

「…まぁ、あいつらなら大丈夫でしょ。いいやつらだったし」

「右に同じく」

「確かに彼らは信頼出来るわ」

____________________

「はい、いらっしゃい…って君達か」

「まぁ元の世界に帰りたくてな」

「…よくここまで来れたね」

「雑魚妖怪ばっかで助かったよ。それでもこんな世界はあまり好けないけどな…」

「そりゃそうか…自分達の世界に帰りたいのは当然の事だ。それに厄介者が消えてくれるとこちらも助かる」

「厄介者ねぇ…いずれまたこちらに来そうだがな」

「勘弁してくれ…」

霖之助とやらはため息をついた。

あ、そう言えば。

「なぁ、お前ユウからなにか貰ってないか?」

さっき出る前にユウから聞いたんだが。

「あぁ、これか。渡しとけって言われたから渡しとくよ」

霖之助から貰ったものはお札の様なもの。

「…なんですか?これ」

「多分それは結界を張ることが出来る札だね。1回限りだから使い所を考えなよ」

「なるほどな…ありがたく貰おう」

こっちの世界じゃそんなのもないからな…

____________________

「んじゃ、色々ありがとな」

「僕は何もしてないけどね」

と同時に鏡が光り出す。

「目がぁぁ!!」

「しっかり目をつぶって!?」

そして光が止むと…

 

 

 

 

 

 

 

 

音がなくなった。

恐る恐る目を開ける。

「…帰ってきてる」

「…夢、だったのかな」

夢であると信じたい。が、先程妖怪を殴った跡が残っている。

それにこのお札だってそうだ。

「…夜も深いし、取り敢えず帰ろう」

「そうだね…」

ゆっくりとこの建物から出ていった。

____________________

あれから1週間後。

まるで夢であったかのようにあの建物からは何も感じない。

鏡も反応しなくなっており、ただのガラクタと化した。

「…もう会えないんだね」

「元々、俺達は会ってはならない運命だったってことさ」

異世界に行き、向こうの人間達と会う。

それこそ、時空を超える以上に大変なことかもしれないのに。

「…忘れることなんてできねぇよなぁ…」

何故だか俺はあの『幻想郷』という世界を忘れることが出来なかった…

「…お札は持っておこう」

あいつらとの思い出を忘れない為にも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして生涯、一生忘れることは無かった…




次は4章です!
因みにこのお札は本編中に確実に使います!(そういう感じで作るね)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4章 白髪の彼女


第4章開幕。
今章は多分涙を流す。
というか私は流した。


『あの子に近づかない方がいいわよ…』

『あんな高いところから落ちて死んでないんだろ…』

『気持ち悪いよな…』

 

「なんで…なんで私を避けるの…?」

私は戸惑った。周りの子達がみんな、私を避けていく。

「あ…花恋君…」

 

『寄らないでよ、気持ち悪い』

____________________

「…!!!!っは…!!」

私はつい飛び起きてしまった。

辺りはまだ暗く見える範囲でも布団がぐしゃぐしゃになってしまっている。

「…夢…」

私の横で寝ている隼人は表情を変えず、すーすーと寝ている。

「…また、避けられちゃうのかな…」

怖い。私はまた、次は隼人に避けられてしまうのか。

怖いよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!!!!!!

 

 

 

「っく!!」

私は我に返る。

「はぁっ…はぁっ…」

息を荒らげてしまう。

怖い。ただ恐怖している。

「嫌だ…嫌だよ…」

声を上げると

「おい…大丈夫か…?」

隼人が起きて私に声をかける。

「あ…隼人…ごめん、起こしちゃった…」

「いや、別にいいんだけどよ。めっちゃ支那美息を荒らげてるから心配でな」

隼人は優しい顔でこちらを見てくれる。

「…ありがと。私は…大丈夫だから…」

嘘。それは嘘だ。私は大丈夫なんかじゃない。今にも心がバラバラになってしまいそうだ。

だが、これ以上隼人に心配をかけるわけにもいかない。

「嘘をつくな嘘を。そんな見え透いた嘘は嫌いだぞ」

すぐにバレてしまった。

「…そんなに俺が頼りないか…?」

「そんなことない!いつも助けてくれて本当に頼りにしてる…」

「なら、何がお前をそこまでさせるのか、言ってもいいんじゃないか?」

「…それは…」

それでも純粋に怖い。いつ、隼人が私を見限って捨てられてしまうのか。怖くてたまらない。

「…ま、話したくないならいいや。ただ、いつでも俺に話せ。ちゃんと聞いてやるから」

「ほんとにありがとう…」

そういう所が大好きだよ。

そんなことも言えるはずが無く、隼人はすぐに寝てしまう。

「…そうだよ。過去にあったとはいえこれは夢なんだ」

せめて悪夢だとでも思わないと耐えられない。

同じ夢は二度見ることが出来ないと聞いたことがあるし、もう見ることは無いだろう。

「よし、おやすみ」

そう心の中で何度もいい、寝た。

私は闇の中に意識を落とした…

____________________

「ん…んぅ…」

体が重い。何故だろうか。

「…んあ?」

体を見ると支那美が俺の体に抱きついていた。

「…なんだ、それだけか…」

体から支那美の顔へと顔を動かした。

支那美は依然としてすやすやと寝ている。可愛い。

「…?」

これまた何故だろう。

何故、支那美は泣いているのだろうか。




こんかいはかこへんです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

明るくなる

水原先生の出番はなし


明るい。

瞼を閉じているはずなのに朝が来ると明るいとは瞼の役割を果たしていないのではないかと私はたまに思う。

「ん…」

体の感覚が目を瞑っているせいでどんどん鋭くやってゆく。

…?これは…なんだ。私が何かを抱きしめているような…

「…!!」

瞼をゆっくりと開けるとすぐ目の前には隼人がいた。

私が抱きついていたのは隼人の体であった。

「ひゃあ!!」

驚いて声を上げてしまった。

「…ん」

隼人がゆっくり目を開けると私の方を見てきた。

「お、起きたな。取り敢えずこの腕をどかしてくれないかな。嬉しいけど起きれね」

「あ、ご、ごめん!」

すぐに腕の拘束をときわたわたしながら起き上がった。

「ふぅ…やっと起きれる」

…もしかして私が起きるまでずっとそばにいてくれた…?

「いやぁ、びっくりしたわ。まさか起きたら抱きつかれてるなんてな」

「ほ、ほんとにごめん!」

「あ、謝らんでもいいぞ。普通に嬉しかったから」

なんで隼人はここまで冷静なのだろうか…

私は男の人、ましてや好きな人に抱きついていたから今は心臓の鼓動を隼人に聴かれないようにするので精一杯なのに…

「は、隼人は…その…よく冷静でいれるね…」

「ん?あぁ、だって支那美の事は妹だと思ってるしな」

「い、妹!?」

「妹」

そんな背丈でくっそ可愛いんだから妹に決まってるでしょ…と言ってきた。

い、妹って!!私これでも隼人と同じ歳なのに…

そ、それよりも…か、可愛いって…

「お世辞も過ぎるよぉ…」

「え!?なんで赤くなってんの!?」

「隼人のせいだよばかぁ…」

顔に帯びている熱が引く気配を示さないのはきっと熱ではなく恥ずかしがっているだけ。

____________________

「あ、そういえばなんだけどさ」

さっき…というか起きた時から気になってたんだけども。

「なんで泣いてたの?」

思っていた事をストレートに支那美に聞いた。

支那美は少し体を硬直させて

「…言わないとダメ…?」

と、涙を溜めながら俺に言ってきた。

「いや、ちょっと気になっただけ」

実際泣く要素あったかなって思ってな。

「…でも…隼人に隠し事をするのも悪い気がする…」

そう言うと

「分かった。今日の事を含め、全部話す」

と予想以上のところまで行ってしまった…

___________________

…少し昔から遡るね

私ってさ…昔からこんな身なりをしてたから友達にも結構避けられてたの…

それこそ、小学生から…

昔、両親の友達の人に育ててもらってたんだけどその人にはやっぱり友達がいない、なんて言えなくて…

私はいつも友達を作れるように色んなことをした。

流行について行ってみたり周りに積極的に話しかけたり…

それでもダメだった。周りは私が何もしていないから嫌なんじゃなくて『私自身』が嫌なんだなって思い知らされた…

だけど、そんな中で私と友達になってくれたのが3人…

『ねぇ、貴方ってとっても綺麗ね!』

一人目はとても活発的な女の子。

髪は茶色、身長は当時の私と同じくらいだった。

名を爾摩 良白雪(にま よしらゆ)

周りからは『しらゆきちゃん』と呼ばれている子。

『い、いきなり話しかけるのは…』

二人目はすこし気弱な男の子。

髪は黒髪、身長は私より低い方であった。

名を羅亜 伽倻亜麻(らあ かやあま)

なんでも名前をつけた親が大の当て字好きらしくこんな名前になったそう。

周りからは『あまろう』と呼ばれる。

『…』

そしていつも私達の中で一番頭が良かった男の子。

髪は私に近い銀髪。身長も皆より高い。

尚且つ彼は右が蒼、左が翠のオッドアイだったのである。

名を柚早佳 花恋(ゆさか かれん)

周りからは『かれんくん』っとそのままである。

その日、私とその3人は仲良くなったの…




悲しむ準備はもうちょいあとで


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過去に

なけてくる


それから先はとっても楽しかった。

その日からはお友達の人にも楽しかった事を色々話せたしその人も喜んでた。

勿論、私達も仲良く4人で遊んでいた。

周りが避けようともこの3人だけは私のことを避けなかった。

____________________

そんなある日、私はお友達の人に衝撃の事実を話された。両親のことを。

私は当時、両親とはいつ会えるのか。その事を心の片隅に置きながら生きてきた。

だけどそれを口に出すまでには至っていなかった。

あまり困らせてはいけない。お父さんもお母さんもいつか帰ってくるだろう…と。

しかしその事を口に出したのは、やはり寂しさもあったのかもしれない。

みんなにはお父さんお母さんがいるのに何故私にはいつもすぐ側にいないのか。

私は溜まりに溜まった思いをついにその人にぶつけてしまった。

その結果、私は一番聞きたくなかった、『両親の死』を聞くことになった。

その時は頭が真っ白になった。何をしていいかわからずに、ただ思考を追い付かせるのに必死だった。

____________________

『そんな…』

じゃあ…私は前からお父さんお母さんなんていなかったの…?

 

 

 

 

あぁ…そういえばみんなと遊ぶ約束してたんだ…

『おい。何処に行くんだ』

『友達と遊ぶの。山まで行ってくる』

『うい。行ってらっしゃい…後騙してすまなかった』

『………』

沈黙で家から出て行ってしまった。おじさんは何も悪くないのに。私が勝手に問いただしたりしたから。

全部、私が悪いから…?

私なんかが生まれて来なければこんな事にはならなかった…?

私のせいで…

私が全部悪い…

____________________

『…それが?』

『え…』

私はみんなにこのことを話した。

私が生まれなければ…という話だ。

2人は困った顔をして悩んでいた。

しかし花恋君だけはこう答えた。

『あのさ、支那美の父さんと母さんは支那美を産みたくて産んだんじゃないの?

それのせいでたとえその2人が死んだとしても2人は支那美という子供を産んで嬉しかったんじゃないのか?自分達が死んだ理由がその事故と全く干渉していない自分達の子供のせいにする訳ないだろ?』

『そんなの…分かんないじゃん…』

『んじゃ、支那美はもし自分の子供を産んで、しかも子供を産んだせいで今回で言うところの事故死で死んだら、何の関係もない子供のせいにするか?』

『…それは…』

そんな事するはずが、出来るわけがない。

自分の子供は関係ないのに…

『そういう事だよ。誰もお前のせいになんかしちゃいない。恨んでるとしたならばその轢いたトラックとやらだ』

『そうだよ。支那美ちゃんはなんにも悪いことしてないのにしてないんだもん!』

『ぼ、僕もそう思うな…』

みんな、私のせいにはしなかった。

『あぁ、あとそれと』

花恋君は座っていた切り株から立ち、私に近づいてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、思いっきり私をひっぱたいた。

『痛っ…!!』

思わず私は倒れてしまう。

『ちょ、ちょっと!!何してんの!』

『だ、大丈夫!?』

2人は私に駆け寄ってくるが花恋君だけは私のことを見下ろしていた。

そして

『2度と僕の前で『生まれて来なければ』だと『死にたい』だのとほざくな。僕はそういうのが大っ嫌いなんだ。他の人に産んでもらった分際で自分から自分を拒絶するのが』

と言い、花恋君は再び切り株に座る。

私は何も言えなかった。

だって、本当のことであったから。

『全く…いくらなんでもやりすぎだよ…』

『ほら、立てる?』

2人は花恋君とは対象的にとても優しく接してくれた。

と、その時。

花恋君の方から聞き覚えのない音が聞こえた。

ミシミシッ!!っと。




そしてひびがわれる


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む



『!!!!!!花恋君っ!!危ない!』

私は大きな声で叫ぶ。と同時に駆け出した。

花恋君は急いで立つが足がもつれてしまいこけてしまう。

『くっそ…!!』

急いで立ち上がるが間に合わない。

だけど、まだ方法はある。

『花恋君!手を掴んで!!』

走りだから思いっきり手を伸ばす。

『くっ…!!』

花恋君も思いっきり手を伸ばす。

『…届いた!』

手が届き、掴む。

そしてこちら側に引っ張った。

『はぁっ…はぁっ…』

花恋君が息をあげている。

『ごめん、助かった…』

『気にしないで…ここ、崖だから…』

今あのまま、花恋君があそこにいたら確実に崩れていただろう。

『反応がよかっただけ』

 

 

声が掻き消える。

 

 

 

 

 

風の音がうるさい。

 

 

 

 

 

体が痛い。

 

 

 

 

 

風がびゅうびゅうと耳に入ってくる。

 

 

 

 

 

 

叫ぶことすらままならない。

 

 

 

 

 

 

 

体をすべて身に任せる。

 

 

 

 

 

 

そして、落ちる。

ドスッと鈍い音と共に。

みんなが上にいる。

だけどなんにも聞こえない。

『私、死んじゃうんだ…』

そう呟いて、意識を闇に落とした。

____________________

「…ここまでが私の過去…」

重々しく、支那美は語ってくれた。

「…すまねぇ、思い出させたくないこと思い出させて」

「気にしないで。隼人にはいつか教えなきゃいけなかったから…」

彼女は隠し事ができる質ではない。

彼女の嘘はとても下手だ。だからこそ色々俺に話してくれる。

…俺が支えてやらなきゃいけないんだ。

「それにしても…そいつらはその後、どうなったんだ?」

何気ない一言。

だが、支那美はビクッとすると、顔が俯く。

「あ…」

や、やっちまったか…?

「…そうだよね、すべて話さなきゃね…」

続けるよと、彼女は話を続けた。

____________________

その後、私は病院に運ばれた。

流血もしていたらしいけどそれ以上に驚かれたのが『大きな傷』が無かったこと。

医師の人達にも何度も聞かれた。

『君は何をしていたの?』

『どうやって助かったの?』

そんなことを聞かれても私は分からない。

体を思いっきり地面に打ち付けて大きな傷が見当たらなかったと聞いた時、1番驚いたのは私自身だったのだから。

だけど、みんな私の話なんて見向きもせず自分達の質問をぶつけてきた。

『わ、私から聞いても宜しいでしょうか…?』

『いやいや、そんなことよりな…』

皆こうして話を遮る。私だって聞きたいことがあるのに…

不満に思っているとあの3人が病室に入ってきた。

『あ…皆…』

私は皆が入ってきたのを見ると嬉しいと同時に少し不安になった。

何故みんな、こんなに暗いのだろう。

そう思っていると、花恋君が話す。

『支那美、もう絶対、僕達に寄り付くな』

 

 

 

 

 

 

 

 

『…え?』



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

絶望

『な…なんで…』

『なんでだと?そんなの決まってるじゃないか。支那美が異質だからだよ』

『い…しつ…?』

『あんな高いところから落ちて大きな怪我すらないだと?気持ち悪いったらありゃしない』

『そ…そんな…』

『だからもう僕らと関わるな。未来永劫だ』

花恋君は本気で私を拒絶している。二人もそうだった。

…心なしか花恋君が少し震えている…

それほどまでに…嫌いなのだろうか…

彼は話し終わると扉の方にUターンした。

『…忠告はしたからな。今度話しかけてきたら殺す』

心に刺さった。

彼の殺すは嘘偽りではない。

本気で殺すと言ったのだ。

そして彼らは病室から出ていった。

…やっぱり私は。私だから。こんなに変な人間だから。

捨てられる運命なのかなぁ…

『…ひぐっ…』

涙が溢れ出てきた。病院のベットを汚す気はない。だけど溢れ出る感情を抑えきることは不可能であった。

『うぇぇぇぇぇん…!!』

私は泣いた。ただただ溢れ出る感情を全てぶちまけた。

私は棄てられた。ゴミのように、いらないから棄てるように。

私も彼等で言うところのゴミなんだろう…

____________________

「…そういうことだよ」

…………

「えっと…なんか変な話になってごめんね…?私が馬鹿みたいな話したから…」

…何故だ。

何故拒絶をする…

気持ち悪いだと?異質だと?

腹の底が煮えくり返るような気持ちでいっぱいだった。

昔から彼女は人に愛されなかった…

愛されたのは…数年程度しか一緒にいない親と先生だけだと…?

…ふざけんな。

「隼人…?」

「支那美、そいつらの住所教えろ」

「…!!何する気!?」

「さぁ…話し合いを予定してるけど…状況によっちゃ殺すな」

「ダメっ!それだけは…!!」

支那美は大きな声を出して俺に静止をした。

「なんで止める。俺は『話し合い』をするだけだぞ?」

「それがダメなの!!隼人、絶対手を出すでしょ!?」

「ほぼ確実に」

「やめて!!…私はそんな隼人なんて、見たくないよ…

私の為だけに隼人の手を汚したくない…」

私の為だけに、か…

優し過ぎるよ、やっぱり。

「あのな、俺は正直もうどうでもいい」

「え…?」

「自分の手が汚れようが、それで警察のご厄介になろうがなんでもいいんだ。ただ、支那美の泣く顔を見たくは無い…」

俺の目的は支那美を幸せにすることだ。不幸の対象者は抹殺せねばならない。

「そんなやり方でやっても私は嬉しくない!!…だって、隼人がいないなんて…心の拠り所がないのと一緒だよ…」

…俺が、か。

「だからやめて…こんな私のために手を汚さないで…平和的解決を望んでる…」

「…わーったよ。話し合いで終わらせるさ」

「…ありがとう」

支那美は少し微笑んでくれた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集合

遅刻大魔王のふれあくんです
お知らせのために言っておくと取り敢えずこの章もそろそろ終わります


それだけです
隼「何しに来たんだよほんと」


「んで?住所は?」

「えっと…」

住所をあらかた聞いていく。住んでいるのは結構近くらしくこの辺の乱立している住宅街に3人の家があった。

だが、一つだけ気になったことがある。

「…この花恋ってやつの家、でかくね?」

「もともと花恋君の家はお金持ちだったしここら辺でも有名なんだよ」

なるほど、ボンボンか。

確かにこれなら相手のことを容易に傷つけても不思議じゃねぇなぁ?

「やめてってば!」

おっと、顔に出てしまっていたか、こりゃ失態。

「全部私が悪いの。私がこんな気持ち悪い体質してるから…」

「悪くねぇっての。理解しようとしないやつが悪い」

「でも…」

「あぁもう!でももさってもねぇよ!」

支那美は俺がいきなり声を上げたからかビクッと体を動かした。

「支那美は悪くねぇ!分かろうとせずに拒絶するやつが悪ぃんだよ!支那美はそんなこと気にするな!」

「隼人…」

…俺は正直とてもイラついている。

こんなに悲しい思いをさせたやつは絶対許さん。

命が危ぶまれようともなんとしても潰すと考えてる。例え、支那美が俺を拒絶してもだ。

俺がどう思われようが別にどうだっていい。支那美に嫌われても護れるならそれは本望だ。

だけど…

「私は隼人がいないとダメなの…もう隼人がいなくなるって事は考えられないの…!!」

支那美はこう言う。俺がいなくなるということは彼女にとって、そばにいてくれる人がいないのと同じ。らしい。

ならば俺はどうするか。支那美に拒絶されたくない。拒絶されたら護れないから。

即ち穏便に済ませなければいけない、ということになるのだ。

「…んじゃあ、ちょっと行ってくるわ」

「…絶対、攻撃しないでよ…?」

「しねぇよ。向こうが好戦的でない限りな」

好戦的なら仕方ない。棒立ちしていたら俺が殺られるのだ。殺るしかあるまい。

まぁ今んところそんな心配はなさそうだがな…

___________________

「ここが…あの女?の家か」

木造建築の家。しかしなかなかに大きくまるでとても月日が経っているようにも見える、貫禄なようなオーラを感じる。

「ごめんくださぁい」

インターホンがないっぽいので少し大きな声で、しかし間の抜けた言い方をしながら声をかけた。

しばらくすると玄関から女が1人。

「はい…?どちら様でしょうか…?」

「すみませんねぇ突然。僕の名前はまぁ置いておくとして…端的に言えば支那美の件ですよ」

「!!!!!!」

「おっとその顔は。おやおや、やましい事でもあるんでしょうかねぇ」

明らかに彼女の顔は歪んでいる。まるで忘れていたかったものを思い出したかのように。

「まぁこんな所でお話もなんなので…取り敢えず、付いてきてくださいよ」

彼女は途端、畏怖を感じた顔をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはきっと俺が笑ったからであろう。




こりゃ死んだわ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暴くんだよ

遅刻大魔王強し
隼「殺すぞ」


「一体…何を考えて…」

「早くついてこいっつってんだろ殺すぞ」

俺は殺意増し増しでこう答えた。

ただでさえイライラしてんのにそんな態度されたらほんとに殺したくなるだろう。

「あ、一応だけど逃げたら殺すから」

流石に逃げられるとは思ってないが、釘を指しておくに越したことは無い。

「…」

そこにいた女は黙ってしまった。

(ま、そりゃ無理ないよねぇ)

ここまで圧をかけたのだ。黙ってついてくるしかあるまい。

俺は早歩きで、とある所に向かった。

___________________

「つーいた」

「…?ここって…」

「そ、あんたらなら知ってんだろ?

柚早佳 花恋の家だよ、爾麻 良白雪」

「…名前までわかってるのね…」

「まぁそりゃあな、言うなら『しらゆきちゃん』の方が良かったか?」

「………」

まただんまりですか。まぁいいけど。

「早く入るぞ、さっさと話をつける」

俺はゆっくり扉を開き、そのままガスガスとエントランスまで歩いていく。

「…しらゆきちゃん…」

支那美は懐かしそうに爾麻の方を見て、そう呼ぶ。

「…支那美ちゃん…」

爾麻の方も懐かしそうに、しかし少し悲しみを帯びたような目をしている。

「…やはりな」

多分、これが真実であろう…

___________________

「さて、皆さんにお集まりいただいたのはほかでもない。昔の件だと思って忘れている奴もいるようだが…」

俺はこの場にいる全員に目配せをした。

支那美は勿論いる。

爾麻 良白雪。羅亜 伽倻亜麻。そして、柚早佳 花恋。柚早佳の親もいる。

「俺の名前は中村 隼人。まぁ覚えてても覚えてなくてもいい。見ず知らずの俺がいきなりこんなところに集めたこと自体が重要なはずだ。違うか?」

問いかける。だが誰も何も言わない。

「異論がないなら進めよう。昔の…数年前の話の真実が解けたから支那美含め、真相を紐解こうかとな」

「…!!」

「なるほど、柚早佳のその反応からして…そういう事な」

俺は一人で納得する、が、他の奴らは?を浮かべている。柚早佳 花恋を除いて。

「まぁ過去の話を少し遡ろう。支那美は崖から落ちて病院に運ばれた。んで、その後お前らが支那美を拒絶した。違う?」

「…いいや、僕達が拒絶した。この口から。脳から直接」

「そうか、ダウトだな」

「…はっ?」

俺は淡々と答える。

「嘘つきは嫌いだよ、正直に言え。まず一つ目の嘘、『僕達』という所だ。これ、お前が勝手にみんなに意見を押し付けただけじゃねぇのか?」

「…っ!そんなことっ…!」

「あるんだよこれが。実際今日、爾麻が支那美と顔を合わせた時、哀しさがあるような…泣いてもいたしな…

心から拒絶するやつが果たしてそんなことを思うのだろうか?」

「私が…」

「…分からないだろ」

「人間の心理をあまり舐めるなよ?人間ってのはいざという時ほど単調な動きをしがちだ。それが感動、感情の弱い部分につけこまれたらそれこそ嘘とホントを使い分ける余裕などないんだよ」

「…それじゃ、二つ目は?」

「話が早くて助かるなぁ。では二つ目、それ、ほんとにお前『自身』が拒絶したのか?」

「そ、それはっ…」

「動揺の顔色と汗を確認。嘘はつくほど体に重い鎖をつける。早く正直になれ」

「…うぅ…」

苦しんでいる。柚早佳 花恋が。きっと精神的にだろう。

だって、すぐ近くにそれを促した奴がいるのだから。

「まぁ言えないなら仕方ないな。花恋、脅してすまねぇな。しかし、ここまでしないと布石は取れなかった」

「…?」

「…なぁ、いい加減認めたらどうよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柚早佳の親どもよぉ!!」

「…はぁ?」

「まぁ、いきなり何を言ってるのか…

さっぱり理解できませんわ」

「ちっ、そういう時に限って知らんぷりかよ。

ああいいよ、てめぇらがここまでやった理由、すべて明かさせてもらうぞ!」

 




そろそろですね
いろんな意味で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暴いたが

3510→見事


「おいおい、私達が?元・友達であった支那美ちゃんを貶めるような行為をしたとでも?」

「有り得ませんね。私達は全く干渉していませんわ」

ちっ、ベラベラと嘘をよくも並べられたもんだ…

こんな汚ぇ大人には死んでもなりたかねぇ…

「…あぁそうですかい。ならこちらも少し前に出させてもらおうか」

生半可な武器じゃこいつらには勝てない。どんな手を使ってもいい。奴らの本質を暴け…!!

「…んじゃ、手始めにまずは花恋が支那美と絶交した時の話でもしてもらえない?」

「と、言われましても…何せあの日だけは私達はいなかったんですのよ。家に帰ってきた時にはもう寝ていましたわ」

「…本当にあんたらは帰ってこなかったんだな?」

「えぇ、それにあの日は山に行っていたんでしょ?その日に事故に遭って運ばれて、確か外傷は殆ど無いから気持ち悪くなったとか」

「!!!」

…こいつ、自分から墓穴を掘ってくれやがった…!!

「…いや、山に行ってたのは確かだが運ばれてから目を覚ますまで1日かかったんだ。支那美が目を覚ましてから彼等が入ってきたらしいし、翌日になっていたはずだ」

「…?そんな事ありませんわ、だってその日のうちに事を事細かく教えてくれたんですのよ?間違えるわけが…」

…これがエビでタイを釣るってか!?

3510に釣られてくれたねぇ!

「そうだね、確かに目覚めたのは病院に運ばれてる時だ。彼女自身も運ばれた事は覚えてるらしいからね」

「やっぱり間違ってなかったじゃないですの。はったりにしてももっと上手くやってほしいものですわね」

「まぁ物の見事に貴方はかかってくれたんだけどね」

「…え?」

馬鹿野郎が!今頃気付いたってもうおせぇ!

「あんた今言ったよな?『【その日のうちに】事細かく教えてくれた』って」

「えぇ、もちろん言いましたわよ」

「その日のうちに、ねぇ?」

「…!?そ、それは…」

「あんた、俺に嘘ついたな?その日はいなかったはずなのにいたんだもんな?あっれれ~?おっかしいぞ~?なんでいるはずの無い母方がいるんでしょうかねぇ~?」

「ぐ、ぐぬぬ…」

「はぁ、これだから嘘つきが嫌いなんだよ。嘘をついて、罪逃れをしようとする…

あんた、自分の子が可愛くないのかい?」

「そんなことあるわけっ…!!」

「だったらよぉ!子供けしかけるとかアホくせぇことやってねぇで直接いえば良かったじゃねぇかよ!何言ってんだてめぇは!」

「……」

「ま、支那美に手を出した時点で潰し対象になるから何とも言えんけどな」

「母さん…」

花恋が母親に近付こうとすると何かの気配を感じた。

異質、異質すぎる。なんだこれは。まるでエントランスの窓から覗かれてるような…

はっと振り向くと、何かの人影がいた。

「みんな、伏せろ!」

俺は皆に注意を促した。

と、同時に人影のいた窓が割れる音がした。

「きゃああぁぁ!!」

「なんだ!?」

上から1人の人が降ってくる。…残念なことに見覚えもある顔だ。

「コスモス…!!」

「お久しぶりですね、御二方」

例の殺人ロボット、コスモスが俺達の目の前に再度現れた…




そういう事です
殺戮タイム


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

コスモス

間隔空きすぎた


「…口調が変わったな?」

「そうでしょうか。状態は何も問題がないのですが」

「…敬語っぽくなってるね。余計歯痒くなったけど」

「そうは言われましても…私の性格や身体などをいじったのはマスターですもの。私がどうこうできることではございません」

しかし彼女は口調以外は何も変わってないようにも見える。

立ち振る舞い、身体の大きさ…

そして何より、殺気。

むしろそこに関しては前より強くなったか…?

「にしても」

コスモスは周りを見渡し

「ここは戦いやすいのですが如何せん人間共が邪魔ですね」

そう言うとコスモスは一気に柚早佳の親に間合いを詰めて

「邪魔なので排除しますね」

と、一言言い放つと同時に腕をひと振り。

両親は首から上が吹き飛び切れ目から血の雨が降り注ぐ。

「…え…」

「…うそ…」

「な…」

3人は絶句した表情を見せる。

そして柚早佳 花恋は表情を歪ませ、絶望の顔へと変異する。

「…うそ…だろ…!?」

「!!花恋君!!意識を保って!!」

「母さん…父さん…」

「言ってることが聞こえねぇのか!?絶望に飲まれんな!!」

「なんで…」

「…煩い虫ですね。貴方も今すぐ彼等のところに逝かせてあげますよ」

「…!!やめっ…!!」

俺らは走り出し、止めようとするが遅い。

その時には、もう、柚早佳 花恋の身体をコスモスの腕が貫いていたのだから。

「…と……うさ…ん……か………あ…さ……」

「喋らないでもらえると私としては助かります」

そして、身体を引き裂く。

花恋の身体は四肢をもがれ、身体に大きな穴があいていた。

「…いやあぁああぁぁぁああぁ!!!!!!!!」

良白雪は叫びだした。それはそうだろう。

目の前で、大人と親友を無惨に殺されて。正気であるはずがない。

「全く…煩わしすぎませんか…?」

「くそっ…お前…!!」

俺は動きを止めようとしたがヒュッと避けてしまう。

「は、速いっ!?」

「前回よりパワーアップしたのですもの。流石に捕まるわけにもいきませんしね」

そして、ただただ仕事をこなすかのように良白雪と伽倻亜麻を殺していく。

無感情のロボットとは、いかに恐ろしいものなのか改めて知らされた。

「…ふぅ、やっと片付きました。さ、早く戦いましょう。そして、今度は貴方達を殺します」

「…殺す…ね。殺すか…」

チラッと横を見る。支那美は涙を流している。しかし、目に光はない。

「…支那美嬢。どうします?ぶっ壊しますか?捕縛してじっくり壊しますか?

それとも…」

 

 

 

 

 

 

 

「殺しますか?」

 

 

 

 

 

 

 

「…隼人料理長。フルコースってございますか?」

「フルコースですか…支那美嬢にもお手伝い頂きますが宜しくて?」

「勿論。美味しい美味しい料理がいただけるならね!」

「仰せのままに」

その言葉が最後となる。俺らは戦闘の構えをとり。

目の前の殺戮ロボを破壊する『作業』を始めた。




なんだろうこの話


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

料理

「一応私もアップグレードされてるんですよ?貴方達でも勝てるかどうか…」

「余裕かましてる間にぶっ殺すぞ」

「おやおや、怖い怖い。なら余裕を見せない方が寄りがたくなるのでしょうか?」

「さぁね。少なくともそれだけで私達が止まる程甘くはないけど」

「ならば普通に。普通に行きましょう」

そう言うとコスモスは構えをとる。

戦闘をする構え。

「構えようが知らねぇ!支那美嬢がフルコースをお待ちなんだ!じっくり嬲り殺す!」

「ほう、面白そうな遊戯ですが、私の命令は貴方ではなくその支那美嬢とやらなので」

コスモスは俺が走る軌道を回避するかの如く先読みで避けていく。

「バカが。その程度の移動を見切れないとでも?」

俺の左を駆け抜けようとするコスモス。

俺は右回転270°による足払いを入れた。

が、コスモスはジャンプをし、足払いを避けた。

「バカはどちらでしょうかね?」

「お前だよ」

甘い。俺は270°から左斜め上80°にサマーソルトを放つ。

流石に反応しきれなかったのかコスモスに直撃する。が、直前でガードをしたようでダメージが大して入っていない。

「危ないですね…その意味不明な攻撃を今すぐやめてもらえると助かるんですが」

「ここまでやっていきなり攻撃の手を止めるとでも?」

「ですよね…残念です」

その瞬間に。コスモスは俺の横を走り抜け、支那美に一気に間合いを詰めた。

「っ!!しまっ…!!」

「ここまで詰めてしまえば…」

「詰めてしまえば何?」

コスモスはきっと支那美を確実に殺すために頭を狙ったんだろう。

腕は確実に頭を貫くはずだった。

しかし、頭を狙われていた彼女は、何事も無かったかのように『片手で』その攻撃を受け止める。

「何故っ…!?」

「そりゃあ…なんだろう…仇討ち?」

「しかし人間がそこまで潜在能力を秘めているなど…!!」

「うるさいなぁ…早く逝ってよ」

そう言って支那美は片手のまま、コスモスの腕をもいだ。

「くっ…」

流石の彼女も焦りの様子を見せている。

ロボットとはいえど感情はやはり持ち合わせているようだ…

…ならば、何故こんなことを…

 

 

支那美がこちらを見ている。

と、同時に手を動かす。

…あの動きは…手話…?

手話だと仮定して話を聞こう。

『う・し・ろ・か・ら・こ・う・そ・く・し・て』

こう読み取れる。

「…OK、それじゃ、任せてくれよ」

手話の意味が通じ、それに頷くと彼女はこちらに向けて笑ってくれた。

 

 

 

あの笑顔を守るためなら…なんだってやって見せる!!!!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

守りたいもの

「…何を考えてるのかはわかりませんが…」

コスモスはバク転をし、こちらをチラリと見た。

着地時には、金属特有のカツン、という音がする。

「貴女と貴方が手を組んで拘束しようとしている事ぐらいは分かります」

「やっぱりそこまでバレてたか…」

「確かに手話は驚きました。私もそれは分かりませんし」

でも…

「相手の動きを考えることなら、いくらでも出来ますよ?」

次の瞬間、物凄い速さでこちらに突撃をしてくる。

「ッ!あっぶねっ!」

「やはり。動きに順応出来る能力はある様ですがいきなりの攻撃は対応がしづらいのですね」

「誰もかれもお前や支那美のようにすぐさま対応できると思うなや!」

「私もすぐには対応出来ないからねッ!?」

 

…30m先、か…

無理だ、この距離を一気に詰めるなど、不可能に近い。

「ま、近いだけなんだけどね!」

だけど。無理かもしれんが無理ではない!

低姿勢から地面を蹴り、一気に詰める。

だが。

「無駄ですよ」

彼女は折れた腕の方で攻撃をしてくる。

 

「…なっるほっどねぇ!」

攻撃の意図を理解した俺は九ブレーキをかけ、下がる。

「…なんで下がったんですか」

「下がんなかったら死ぬでしょぉ!?」

「いや、まぁその通りなんですけども」

確かに今の攻撃、リーチが縦にも横にも短くなっている折れた腕の方で攻撃をしてきた。

近い、そして尚且つ軽さによる振りの速さではない。

…普通は機械を破壊した場合、そこを通っていた電線電気が漏れる、漏電のようなものが起こるのは分かるであろうか。いや、意味は違うけども。

そういう事だ。

「今、電気を武器にした…!?」

俺達が立つ場所には金属の床が張り巡らされている。

多分、直当てをする為に電撃を弱めただろうが…

「今のアイツ、相当まずい…」

厄介なのは空中戦に立ち回られた時だ。

奴も機械。電気を通すだろうが空中は関係ない。

俺らだけが被害を受けてしまう。

しかも奴は身軽なロボットだ…空中停滞をする機能をつけていないとは思えない…

「と、言いたい所なんですがね」

コスモスは突如喋り出す。

「残念ながら私にはそんな機能はないんですよね…空中停滞はかなり消費が激しいので」

「へぇ…!だったら心置き無くやれるね!」

支那美は思いっきり地面を蹴り飛ばし、寄る。

蹴り飛ばした反動により若干の浮きが出来、地面に干渉をしていない。

そうして、ゼロ距離まで距離が詰まった。

支那美は拳を握りしめ、振りかぶり、殴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コスモスは笑っていた。

 

「ですが、私は自分自身を強化することが出来ます…

例えば、空中停滞をする機能を付けるとか」

そう言うと彼女は飛躍し、空へと浮く。

そう、彼女はいま、丁度真上にいる。

「ッ!!!!!!支那美ッ!下がれっ!」

 

「遅いですよ」

コスモスは電撃を帯びた腕を支那美へと。

 

 

 

 

肩を巻き込み、胸元まで切り裂く。

 

 

 

 

「………!!!!!!!!!!!!」

「残念でしたね…?

このまま、誰にも愛されないで終わるなんて!」

そして、腕を振り切り。

胸を裂き。

斜めに切り裂かれ。

支那美の体は二つに割かれた。

 

 

 

 

おいっ…嘘だろ…?

支那美はどうなった…?

俺の目の前で何が起こった…?

裂かれた…?

つまりどうなる…?

 

 

 

 

 

支那美は死んだのか?

 

 

 

 

「ぁぁぁぁぁあぁああああああぁぁぁぁああああああああぁあ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

叫び散らした。

声帯がぶっ壊れるのなんか関係無しに。

「全くうるさいですね…ノイズなんかは取り払いたいですが…」

ふざけるな。何でだ。何故だ。

何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!

「ほら、見てください?

彼女、微笑んでますよ?きっと最後の最後でなんか嬉しいことでもあったんじゃないですかね?」

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!

「まぁ、きっと最後に言ったあの言葉じゃないんですかねぇ」

 

…最後の、言葉…?

 

 

 

 

 

 

「『隼人に会えて、本当に世界が変わった』ですか…理解に苦しみますね…」

 

 

…俺に会えて…か…

「残念ながら、変わっても死んでしまいましたがねぇ」

 

 

 

「なぁ、コスモスよ」

「おや、立ち直りましたか?」

 

 

 

 

 

「やっぱお前、ぶっ殺すわ

そりゃあもう、バラっバラに」

 

「おやおや、元気なのはいいですが私は刈谷支那美を殺すことでありその任務は完了いたしました。

では、帰還させていただきま

 

 

 

 

「誰が帰っていいと?」

 

 

 

 

コスモスがぶち破ってきた窓から…男の声が聞こえた。

「マ、マスター…?」

コスモスがは不安がっている声を出す。

「…やぁ、久しいね。

中村隼人君」

 

 

 

「…霧萩影真ぁ!!!!」




支那美さんが死に、新たな敵ですね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

組織

投稿間隔あきスギィ!
許してください!何でもしますから!


「おいおい、何怒ってんのよ。死んだだけだぞ?」

「死んだだけ…だと…!?

これ以上ほざくのもいい加減に…!!」

「ゴミが死んだんだぞ?時空間に彷徨うゴミを排除して何が悪い」

ゴミ…?

「…お前、殺されたいのか?」

「残念ながら僕はやりあう気はないんだ。君は強いからね」

「そうか」

立ち上がるなど造作もない。

一気に間合いを詰めて、殺す。

「死ね」

相手の心臓を抉りにいく。

「あっぶないなぁ…穏便に済まそ?ね?」

しかし。腕はそこに行かない。行けない。

見えないバリアのようなものが遮る。

「…やっぱり持ってきてたか」

「そりゃあねぇ?戦闘面で戦えない上に強い奴がいたら戦闘は避けたいでしょ?」

「チキンハートだけは未だに変わらないんだな」

「チキンハートじゃなきゃ研究なんて出来っこないさ。サンプルをとるのも研究者の役目だしね」

そんなことはどうでもいい。さっさとこいつをぶっ殺したい。だが物理的に不可能だ…

…一旦引くしかないのか…

「…あの、お二人はどういう関係で…?」

不思議だったのかコスモスは俺達に問いかけてきた。

「どうってことはないさ。同じ組織の同じチームであっただけ」

「元より人を殺すなんざ俺には出来んかったがな」

「同じ…組織…!?」

驚いた顔を見せる。

まぁ当たり前か。敵だと思ってたヤツがまさか主人の知り合いだなんてな。

「つっても彼とは結構前に決別したがね」

「あたりめーだろ。てめぇなんかと一緒にやってられるかクソガキが」

「心外だなぁ…これでもピッチピチの12歳やで?」

「殺すぞ」

「異空間操作装置を突破できるならどうぞ殺して」

「ちっ…」

傍から見たら仲のいい会話に聞こえるだろうか。

だが俺の殺意は本物だ。ほんとにこいつを殺したい。

「ま、僕がここに来たのは別に大した事じゃない。ただの刈谷 支那美の死亡を確認したかっただけ

…最も、こんなに綺麗に身体を割かれちゃあ、確認するまでもないけどね」

「テメェ…!!」

「全く…少しは落ち着きなよ。話だってしたいんだ。

 

 

 

 

 

 

上が、今回のことを見越して君を元に戻してもいい、という判断が出た」

「…!!」

今更…今更か…!?

「僕としては仲間はいた方が安心するし君だってお金を稼げるだろ?」

「それは…」

間違っちゃいない。俺は組織にいたから一人暮らしが出来た。

高校生とはいえお金の供給が途端に途絶えれば死は免れないだろう…

「さ、どうする?」

「ま、マスター…私は…」

コスモスは影魔の方による。

が、影魔は問答無用で腕を踏みつぶす。

「お前は用済みだ。全く、あんなプランがあって一度失敗するとは…やっぱりゴミだったな…」

「!!!!」

何故だろうか。彼女は涙を流していた。

ロボットである彼女は涙を流すはずがないのに。

「で、どうする?」

「…俺はっ…!!」

「アホかてめぇは!」

後ろから声が鳴り響く。

同時に後ろからグレネードが投げられる。

「そんなことしても無駄…」

…!!違う!!あれは…

「ぐっ…!!スモークか!!」

影魔は前が見えず暴れている。

俺は後ろを振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水原…!!」

「呼び捨てたァいい度胸だ!だが今日は見逃す!!

刈谷を担いで退くぞ!!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺達は

「担ぐって…お前…」

「何?君の刈谷に対する愛なんてそんなもんなんですか!?やっぱりデキ婚的なやつだったんですか!?先生泣いちゃうぞ!?」

「んな訳…!!」

「なら早く行ってこい!ここでお前らが本当に別れたくないなら!」

無茶苦茶だ。

やはりこいつは頭おかしい。

だけど、今は俺を突き動かしてくれるとても重要であり頼りになるやつだ。

「…分かってんよ!俺らは離れ離れになんかなるもんか!」

「ならさっさと行け!お前の足は飾りか!?」

「飾りじゃねぇ!走るための足だ!」

無我夢中で支那美の倒れる場所へと向かう。

距離が短いのに長く感じる。

だけど止まれない。

「支那美っ!」

呼ぶ。

声は帰ってくるはずもない。

たどり着く。

支那美は斜めに身体を二分割にされている。

血の池。

外からでも見える裂かれた肉。

だが、それでも笑って、だけど、目を閉じている白髪の少女がいた。

「…絶対お前を捨てはしない!」

身体が二分割にされているため担ぐのが大変だった。

下半身は背中におんぶをして上半身はお姫様抱っこで運ぶ。

「水原!こっちはOKだ!退くぞ!」

「わかってる!外に車を用意してるからさっさと逃げるぞ!」

戻ってきた俺は水原と一緒に玄関から外に出て車へと走る。

そして乗る。

______________

「…」

「…」

沈黙が車内で流れる。

俺の腕には彼女がいる。

血はもう止まっているけど。

俺の手は血で真っ赤であった。

「…何でこんなことになった…!」

水原は怒りを露わにしている。

当然であろう。唯一の教え子であり、可愛がってた友達の娘が死んだのだ。

しかも、自分より若くして。

「…俺がコスモスに対処できなかったから…俺のせいだ…」

俺は沈んでいる。

支那美が死んだ怒りよりも。

絶望の深淵へと叩き落とされたような感覚の方が強い…

それならば俺はこれから何を糧にすればいい?

支那美が死んだ今、俺はこの世に生きる価値があるのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

俺のスマホの着信音が車内に鳴り響く。

俺はスマホに目をやる。不在着信だ。

馬鹿らしかった。だが、切る気にもなれなかった。

出ることにした。

「はい、もしもし…」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、もしもし中村君かい?

ちょっと話があるから校長室に今から来てね」

声が聞こえた。

声の主は校長。

なんだとは思った。だが、あいつの事だ。きっとまた大きな話なんだろう。

「誰が行くか」

だからこそ、俺は断る事にした。

あんなやっとまともに話し合う気もない。

というかなんで俺の電話番号知ってんだ…?

 

 

 

 

 

 

「あらそう残念。

折角刈谷支那美を生き返してあげようと思ったのになー」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

校長

地味に校長の見た目とか初めてだったかも


俺は耳を疑った。

「…お前今なんて言った!?」

「だーかーらー、刈谷支那美を生き返してあげるって言ってるのー」

何度も言わせないでよ、と可愛げのない女性の声が聞こえる。

「嘘、ついてねぇだろうな?」

「まぁ嘘ついてもいいんだけどねぇ、今回は私にも関係してくるし、うちの生徒だしねぇ…

それに関しては、あの子の事でだいたい分かってるだろう?」

あの子…か…

「あの子はもう魂の離脱が長すぎたせいで蘇らせることは残念ながら出来ない。

だが、彼女ならまだ間に合う。早めに運んでくれればそれを長引かせることも可能だ。

さぁ、どうする?」

正直こんなやつの話は信用出来ない。

だが、可能性がないわけでもない。彼女を生き返らせることが出来るのなら。俺はそのちっぽけな可能性だって試してやる。

「…分かった。水原連れてそっちに行く」

「はいはーい。じゃあこっちは容器の用意でもしてるね〜

ばいばーい」

通話は切れた。

水原は自分の名前が出たのか、電話が切れるとこちらに話しかけてきた。

「…俺は誰と会うんだ」

「今から言う場所を聞けばわかる」

「なら早く場所を言え」

「あんたの学校の校長室」

_________________

「いやー暇だねぇ…」

20代の女性が室内から窓を覗き面白いものがないか、と探している。

とは言ってもここは1階。そんなに遠くを見渡せるわけでもなくすぐに窓から目を離し客人用のソファに腰をかけた。

「あーひまひまー!早く来てよー!」

何故だろうか。隼人が会った時とはうってかわって子供のようである。

いや、これが本来の彼女の姿なのか。この光景を書き、見ていた編集者でさえ

『この人こんな人だったっけ…?』

と、頭にクエスチョンマークを浮かべる程である。

その時。なにか大きなものがこちらに向かってくる音がする。

「ほほう、ようやく来たか…」

彼女はわかっているようなのかソファで寛いでいた。

そして。

ガッシャァァァァァァァ!!!!!

と、大きな音を立てて窓から車が突っ込んでくる。

助手席側から人が降りてくる。

「いやはや、随分ダイナミックな入店だねぇ」

「悪いか?丁度刺激が欲しいと思っていると思ったんだが」

「いやいや、センスがいいよ。君、私の愛人にならない?」

「残念ながらお断りだ。大切な人がおるんでね」

「ありゃまほんとに残念

にしても水原先生もなかなかぶっ飛んでるけどねぇ」

「す、すいません!中村がやれって言うんで…」

「いやいや気にしてないよ。中村君がおかしいだけさ」

「悪かったね。それで?

早く話を始めようじゃないか」

「はいはい」

__________________

「じゃあまず、刈谷支那美の身体を預かってもいいかな?」

「…分かった」

俺は素直に支那美の身体を渡す。

「分かってる。私も真面目だ。まずは彼女の身体を修復しなければ魂を戻しても意味が無い」

支那美が校長の手に委ねられると彼女はそのまま奥の部屋へと運ばれる。

すぐに校長が帰ってきた。

「…さて、彼女の蘇らせ方なんだが…

はっきりと一言で言おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘇らせることは無理だ」

「…は?」

蘇らせることは…不可能…?

「どういう事だよっ…!!出来るんじゃなかったのか!?」

「少し語弊があったかな。

正確には魂の『時を戻す』という事」

…?

「まぁ簡単に言えば…部分的に時間をいじるってことだ」

尚更意味がわからない…

一体何が言いたいんだこいつは…

「これでも分からないのか…

もっと簡単に言うなら彼女の身体に限定して時を戻す、ってことさ」

「…!なるほど…!刈谷の身体に絞る事で刈谷の魂だけを過去に戻すことが出来る、と!」

水原がわかったかのように言った。

俺だってそのぐらいの理屈はわかっている。

だが…

「俺が言いたいのはそういうことじゃない…

どうやって戻すんだ…?」

「それに関しては当てがあってね」

「ほう、それなら今すぐできるのか?」

「いや、それは君達次第だね」

…俺達次第?なのに当てがあるのか…

「まぁ種明かしするとね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤイカルに取りに行ってもらおうかなと」

………

「それはさ…組織に行けってことか?」

「そゆことー♪ちょっと前に言った時に時空間干渉装置があったからねー。

取りに行ってもらおうかなーって」

「そんなのは当てとは言わねぇ!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

研究所

「まぁまぁまぁ、落ち着きなさんな」

「アホかてめぇ!裏切った組織に易々と入れる程あそこの警備は甘くねぇぞ!」

「じゃ、諦めるかい?」

「…!!それは…」

諦める訳では無い。むしろ諦める気なんかさらさら無い。

「…でもまぁ、確かに忍び込み方ミスったら入れなくはなるだろうね。

だからこそ、君に頼むんだろ?」

私はあの場所は全然詳しくないしさ…と校長は言う。

確かにこの中じゃ組織に入っていた俺が一番詳しいのかもしれない。

校長はこの言い方をする限り1度しか行ってなさそうだし、水原なんて論外だ。

となると必然的に俺が詳しい事になるが…

「1人で忍び込むってのは些か荷が重過ぎませんかね」

「そうだね、確かにあそこは見た感じでも相当な広さがあった。場所は特定できてもそこまで行くのにも大変だし、帰りなんてそれを持ってこなくちゃいけないから余計…」

「せめて入口に近い部屋にあればなぁ…」

時空間干渉装置。

その名の通り時空間を自在に操ることの出来る未来の装置。

まず『時空間観測研究組織』自体が俺の住んでいた時代より遥か先の時代で作られた組織である。

過去から未来までこの組織、通称ヤイカルが存在する。

しかし、未来の研究所でも時空間干渉装置は生産力が低く、あまり置いてはいない。

この時代は組織内で『過去』と呼ばれているため、時空間干渉装置は現代や未来以上に置いてはいないだろう。

影魔が研究室に置いてはいるがあれも貴重な1台だろう。その他の装置はもっと最深部にあるはずだ…

ならば…

「…ルートが決まった」

「お、随分決めるのが早いねぇ。

もう少し考えなくていいのかな?」

「いいや、これでいい」

影魔の研究室に忍び込む。これが一番だろ。

他のところは場所すら知らない。それに影魔は今回の件で上層部に呼ばれている可能性があるしコスモスは破壊されたはずだ。

今から行ったほうが確実であろう。

「よし、じゃあ水原、行くぞ」

「なんで俺」

「こっからじゃ少し遠いんだよ。大きさ的にはあの車でも積めるから移動するのは楽な方がいい」

「…分かったよ。刈谷の為だ。何だってやるさ」

「そうか…ありがとな…」

「バーカ、礼は終わってからだ」

「…せやな」

「じゃ、私は刈谷支那美をしっかり入れておくから、出来るだけ早くね?」

「おうよ」

___________________

「…さて、着いたのはいいが」

俺らは研究所付近のコンテナの近くまでやってきた。

「…デカすぎねぇか…?」

「まぁそれは分かるな。よくこんなんで騒ぎにならないもんだ」

「この街に住んでたが初めて見たぞ…」

水原も驚きの声をあげている。

(…そうだよな、なんでこんな所にあるのに今まで大きな騒ぎにならなかったのだろうか…)

まぁ今は関係の無いことだ。

そんな事より。

「水原…入口近くにいるあの見張りはあと6分であそこから30秒間居なくなる。そこを見逃さずに潜入するぞ」

「オーケイ…!!」

水原は突入する気は満々の様だ。

勿論、俺も。

「…あ」

「あ?」

言い忘れていたことがあったの忘れてた。

「…この研究所内には『時の観測者』という称号を持った幹部クラスの奴がいるらしい…

なんでも、すべてを知っているのだとか」

「…は?」

時の観測者。この研究所内屈指の実力を持つ人間だとか。実際にアホみてぇにプライドの高い影魔でさえ認めている、影魔の憧れの様な人間だ。

そんな奴がこの時代…

いや、すべての時代に存在するらしい。

さらに、そいつの正体を知るやつは研究所のトップに立っていたもの、灘 芙佳しか知らない。

しかし灘 芙佳も『過去』の時代で亡くなってしまったが故に、そいつの存在を知り得るものは誰一人としていない。

「もしかしたらそいつが襲ってくるかもしれない…

周りは十分、警戒しろよ」

「いやいやいや…

すべてわかってるなら無理だろ」

御最も。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

潜入

「あー取り敢えず突撃準備だけするぞ」

「もうそろそろか…」

水原は深呼吸をする。

「…緊張してんのか?」

「そりゃ勿論だろ。未知の建物の中に入るんだから」

「…そりゃいい事で」

人間じみてるだけまだいいことだ。

…俺なんか何度も来ているとはいえこれから敵の本拠地に行くってのに何も感じない。

確かに支那美に対する怒りは計り知れないがそれ以上にここに潜入するにあたっての感情がまるで湧いてこない。

それはつまり人間、という括りにすら入ってないのだろうか。

「…俺も堕ちたもんだなぁ」

「どうした急に」

「いんや、こっちの話」

まさかあいつと同じになるなんてね…

「お、見張りが退いたぞ」

水原の声で入口を見る。

見れば見張りの奴は拠点の隣にある食堂へと足を運んでいった。

「…なぁ、あれ食堂だよな?なら30秒なんて短いわけ…」

「あれ夜飯見に行ってるだけだからすぐ帰ってくるぞ」

「あーそういう」

納得した顔を見せた。

「んじゃ、掛け声で行くからな。覚えてるよな?」

「勿論」

「では」

 

 

 

 

 

 

 

「アン、ドゥー、トロワ」

 

 

 

スッ…

 

 

「ん?今誰か通った?」

「いや?誰も見てないよ?働き過ぎて疲れてるんじゃない?」

「事実サボってるんだけどな」

「目をつぶってあげてるだけありがたいと思え」

 

 

 

 

 

 

 

「潜入完了…だな」

「マジで心臓潰れるかと思ったわ…」

気配を完全に消して空気と同化する潜入。

俺からしたら基本中の基本だが、こいつは違う。

めちゃくちゃ飲み込み早いなと思ったと同時に才能があるとまで思った。

今度色々教えた方がいいかな。

「んで、取り敢えず何処に行けばいいんだ?」

「そうだな…」

前と研究室が同じなら影魔の場所はすぐ近いはずなんだが。

「取り敢えずここまっすぐ行くと受付にぶち当たるからこっち来い」

「はいよ」

入口を入ってすぐ右には大きな扉がある。

ここからなら受付には見つからない。

なぜかと言えば。

「ここ…無人じゃね?」

「そりゃあ俺の部屋だしな」

そう。俺は何故か知らんが入口すぐ近くの部屋なのである。

「お前の部屋…」

水原は不機嫌そうにこちらを見ている。

「俺は端から殺す気はなかったぞ」

「わかってる。だが俺らに黙っていたのも事実だろう?」

「それは…」

そうだ。水原はおろか、支那美にすらこの事を話していなかったのだ。

…もしこの話を支那美が聞いていたら彼女はどんな顔をするだろうか?

俺に絶望するか。呆れられるか。

どちらにしろそんな事は真っ平御免だった。

だから言わなかった。けど。

「それを知らずに死んだ…ね。俺からしたらそっちの方がタチ悪いと思うけどな」

「うるせぇな…」

言えなかったんだ。しょうがないだろ。

拒絶されたくなかったんだから。

支那美の近くにいたかったんだから。

この話で彼女を不幸にしたくなかったから。

「じゃあさ。お前はこの話をして刈谷がお前を完全否定すると思ったか?」

「…そんなこと」

「するわけねぇよな?だって刈谷はお前の事を大事に思ってたんだから。お前が刈谷を守るように刈谷だって無理するお前を守りたかったんじゃないのか?」

「…うるせぇっての」

俺はずっと白い床を見ている。

目元がぼやけてくる。

「…お前1人に背負い込ませるタイプじゃないだろアイツは。お前はアイツを弱く見すぎたんだよ。それがこの結果だ」

「…」

「…何がどう辛かったのかは分からない。お前の過去を暴けるほど知能はないからな。ただ、もう少し俺らを頼ってもよかったんじゃないか?」

「…ごめん」

「謝るなんて柄でもねぇなぁ。んなことよりはよ奪取」

「…あぁ」

…俺はなんでもできるとは思ってはいない。

だけど、支那美を守れるのは俺だけ、とはずっと思っていた。

でも、天狗であったようだ。

タカをくくった結果、俺は支那美を守れず、自分で崩れて、助けてもらっているなんて。

あまりにも情けなくないか。

「情けなくてもいいさ。人間誰しも失敗はある。天狗になるときだってある。崩れる時だってそりゃある」

口に出してないのに全て当てられてしまった。

「だからこそ、その時は俺らがそばに居てやるから。だから、だから決して折れんな」

…初めてこいつからありがたい言葉をもらったな。

「…じゃあ、是非頼らせてもらうよ」

「いつものお前に戻ったようで何より」

いつの間にか長話していたようだ。

警備が強くなる前にさっさと持ち去るか。

「…俺らって言ってくれて、ありがとな」

それはつまり。

この作戦を成功させるという意思表示である。

「おう」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

研究室

「…行くぞ」

「…あぁ」

俺らはその部屋の別扉から外を覗き、GOの指示を出す。

「この辺は見張りが少ないな…」

「まぁここは危険区域じゃないからな…もっと奥なんか大量の見張りがいるぞ」

危険区域に入ると見張りの数は数十倍に跳ね上がり異常なほどのトラップが仕掛けてあるため、影魔の研究室が近い事に安堵の息が漏れる。

「おいおい、安心してる暇はないだろ?」

「分かってるさ。結構近いから少し安心してただけ」

「ん?いつの間にマップ見てたのか?」

「この部屋の机見てみ?」

水原の目線の先にはランプのようなものが置いてある。

ランプは緑の点滅を起こしている。

「一応これでも昔は相棒ではあったからな…」

何かあった時用に自己改造したランプ。

影魔は確実に研究室に置くものがあるのでそれを探知する為の物である。

赤なら遠いところ、強いて言うなら危険区域の辺り。

青ならほどほどに、まぁこの大きな建物の真ん中らへん。まぁその辺も結構ヤバいんだけどな。

緑はすぐ近く、受付に近い所にある。

「なるほど、確かにすぐ近くだな」

と言ってもこの区域の元の場所から動いてないとも言えない。

だからとりあえず元々の研究室に行ってみるか。

__________________

「ここか?」

「そうだな。ここであってる」

通路からは若干の死角となる所。

目立つのは嫌だとかほざいてこんな所に引きこもってたくせに装置もらうほどの有名人になってどんな気持ちだったのだろうか。

めっちゃ嫌そうな顔してそうだけど。

「では失礼して」

扉を開ける。

 

 

中は真っ白い研究室である。

所々にどでかい装置があるがこれもすべてあいつのものである。

「さてと、装置探すか」

「俺どういう形か知らんのだけど」

「テレビぐらいのサイズの装置だと思え」

「アッハイ」

実際そんな大きくはない。

大人1人でも普通に持てるぐらいの重さでもあるからこんな研究室ならすぐ見つかるはずである。

「…あれ?」

適当に探していると水原から声が聞こえた。

「どうした?見つかったか?」

「いや…これ…」

こいつの指差す床には機械の破片が点々と落ちていた。

そしてそれを辿ると、その機械がなんなのかが分かった。

「コスモス…」

無残にも手足が破壊され、胴体までもが大半なくなっている。

「…」

「…こいつ、ほんとにやばいやつだったのか?」

「…影魔の命令にずっと従うしかなかった人形だよ…」

俺が言うのはおかしい話ではあるが、コスモスは機械のくせに感情を持ち合わせていたんだ。

機械だろうが関係ない。

健気に従っていたのに、アイツはコスモスを捨てた。

俺はふつふつと怒りの感情が湧いてきた。

「…なぁ、こいつ直せないかな?」

「さぁな…ただ、あの校長の技術力なら直せるのかもな…」

沈黙。

「こいつも持ち帰るか」

「…言うと思ったよ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

感情

…おまたせ


「だけど、こいつがここにいるってことはもしかしてあいつは…」

「…それ以上はやめろ」

捨てただけではない。

どうせあいつの事だ。あいつにとっての余計な部分を消去してまた新しい「物」として蘇らせるのだろう。

「流石に可哀想だろ…あんなに言いつけを守ったってのに」

「…だがそいつは…」

「もういい。こいつはあの外道の為に健気に言いつけを守ったんだ。こいつはなんにも悪くない…」

口ではそう言っても何処かでは怒りの感情が湧く。

わかってる。コスモスは悪くない。

すべて悪いのはあのクソ野郎のせいだ。

「クソが…」

「…」

先生は黙っている。

行き場のない俺の感情を抑えるのに自分は不必要だと判断した結果だろう。

限りなくいい判断ではあった。が。

「なぁ先生よぉ…俺は一体…どうしたらいいんだよ…」

俺の今の支えは先生だけとなってしまっている。

今、隣に支那美はいないのだから。

「…知らんよ」

先生はこう一言だけ言った。

俺の感情は制御出来ない。

抑えたはずなのに。止まらない。

「っ!じゃあ考えてくれよ!俺はもう…!何を信じればいい…」

「そんなに葛藤するならとりあえず生きれば?」

俺は驚いた。

「別段難しい話じゃない。そいつを味方にするか敵にするかはお前次第だしそんなんで悩んでるならとりあえず生きてみて試せばいいだけだろ?人生は失敗の繰り返し。寧ろ成功例なんてほぼほぼない。要は考えるぐらいなら行動しろってな」

これ、俺の教訓。

先生はハハハッと笑いながら再び作業に戻る。

「…お前誰?」

「失礼だなおめー」

いや、俺はこいつを見たことがない。多分クローンだろう。

「今相当失礼な事考えたな?」

「相当失礼な事考えましたよ?」

「よしお前は殺す」

「馬鹿だなおめーここで殺したら支那美生き返らねーだろうが」

「そうだな。生き返ってから殺すか」

「流石偽善クソ教師やな」

「嘘なんかつかなきゃこの世はやってけねーんだよ」

いつもの会話になる。

やっぱり俺は辛気臭いのはダメみたいだな。

この環境が心地よい。

普段クソとは言ってもやっぱり俺は先生も大好きかもしれんな。

そんな事を思いながら探すこと5分。

「一向に見つかんねー…」

「ほんとにここにあるん…」

あるはず、とは思っていたがもしかしてもうあいつは持ち出してしまったか…?

「いや、んなはずはない。あいつは何よりもあれを大事にしていたんだ。不用意に持ち出すはずが…」

「いやーやっぱり僕の事をわかってるなんて流石だね」

 

 

入口扉の前には例のアイツが立っていた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

油断

扉の前には奴がいた。

影魔の野郎が。

そして手には求めていた装置も。

「…よぉ、さっきぶりだな…」

「そんな怖い顔しないでよ。そもそもここ僕の研究室なんだから」

「怖い顔してねぇよ。至って笑顔だよ」

「その笑顔が怖いって言ってるんだけど?」

影魔は余裕そうに会話を続ける。

まるで勝ちを確信するように。

「…なぁ、一つ要求をいいか?」

「どうぞ?」

「それ寄越せ」

「却下」

「ハァァァアアン!?!?てめぇに要求ええか俺が言うて頷いたやん!!!」

「いや普通に考えて障害になる事すると思ってる?」

「いや全然」

「だろうね」

下らん茶番と言われていい。

無駄な時間と思われてもいい。

 

 

 

 

 

何故ならもう終わりだから。

「失礼」

「…んな!?」

突如後ろから現れた先生がひょいっと装置をパクる。

「誰だ…!いつからそこに…」

「んー…1分前から?」

「そんなに前か…ら…」

影魔もやった気付いたらしい。

異空間操作装置。

影魔の発明品であるが簡単に言えば使用者の周りを球体で包み込むように異空間への道ができる。

言葉で操作するのが難しい代物なのだが要は装置に100メートルと認識させるとする。

そうした場合使用者の周りにはバリアのようなものが出来、使用者に干渉するには100メートル分進まなくてはならない。

しかし、これにはひとつの欠点がある。

それは使用者自身も対象の人物から入力した分離れてるように見える、という事だ。

影魔自身は拡張型スコープ付き眼鏡を使ってこちらを見ていたため簡単に視認はできる。

しかし、それでは視界が一定方向で固定されてしまうのだ。

それ故に、後ろの警戒などができなくなる。

その為、時間を稼がせてもらったのだ。

「クソがっ…!僕の発明品に触るな…!!」

「すまんな、もう範囲は設定済みだ。奪い取るなぞ不可能になって申し訳ねぇな」

「そういうこと」

俺は奴らが目を離してる隙に装置を見つけ、確保した。

「…次から次へと僕の邪魔を…!!」

「余裕ぶっこいたのはてめぇだ。てめぇ1人で落とし前つけろカスが」

思いついた罵倒を吐き、研究室を後にした。

 

 

 

 

 

「これで終わると思うなよ…!」

影魔は拳をぎゅっと握りしめた。

______________________

「よし、任務は完了だ。すぐに帰るぞ」

「あぁ。それにめちゃくちゃいい収穫もあったしな」

「これのことか。結局よく分からず使っちまったけど」

「いや、それで大丈夫だ。効果を消す時はその緑のボタンを押せばいい」

水原からしてみれば訳の分からない機械だろうしそれを最初から使えていたのなら上々だ。

「ま、いつか使う時が来るだろ」

「来ればいいけどな」

「うっせ。さぁ早く帰るぞ」

「あぁ」

 

 

俺達は装置2つとロボをひとつ抱え、学校へと帰る。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

帰路

車で学校に向かう道中。

「なぁ。今更なんだが俺らやばいことしてね?」

「ほんと今更だな」

水原が少し焦りの声を出す。

「大丈夫だよ。どっちにしろ敵に回すつもりだったしそれが早まっただけさ」

「お前さぁ…」

焦りから呆れの声に変化する。

「それともあいつらの仲間にでもなるつもり?」

「んなわけねーだろ」

「だろうな。これで正解なんだよ」

いや。正解とは程遠いのだろうが。

これの1番の正解は組織との争いを丸く収めることだ。後のことはまだしも絶対に今よりは楽に生きれる。

でも。

「支那美がいない人生なんて考えられないんよなぁ…」

「お?やっぱり刈谷にお熱?若いねぇ」

「アホか。大切な人が離れたら精神病むだろ。そういう事だよ」

それがお熱って事を分かっとらんのかこいつは。

色々青いなぁと思いながら水原はニヤつく。

「ルームミラーで見え見えなんだけどお前の笑い顔キモいぞ」

「そう?結構マシな方ぞこれ」

「嘘だろ」

そりゃそんな青いの見てたらキモくだってなる。こちとらもうジジイぞ。

「ほんっと、刈谷可哀想だなぁ…」

「何が」

「いえなんでも」

くだらないいつもの話をしているといつの間にか学校へ到着していた。

「おら降りろ。こっちの機械は俺が運ぶからそのなんちゃら装置とやらはお前が運べ。正直怖いし」

「えぇ…俺装置2つ持ちかよ…」

「俺のよかマシだろ。こちとら人型やぞ」

「まぁなんでもいいや…どうせお前じゃ扱えんだろうし」

「罵倒ですかね」

「いいえ蔑みです」

「口動かす暇あるなら運んでくんね?」

「はい」

適当な会話をしながら校長室へ向かう…

________________

「やぁ。随分早かったね」

「この教師がクソ優秀だったからな」

「いつもだろ」

「あ?」

「はん?」

「はいはい終わり終わり。早くそれ頂戴よ」

「あーはいはい」

俺は装置を渡すと校長はもう1つの部屋へと歩みを進める。

「あれ?ツッコミなし?」

「あーその殺戮兵器のこと?直して欲しいんでしょ?その子も連れてきなよ」

ありゃ。意外と読まれるもんだな。まぁ流石にこんなの背負ってたらそういう意図も読み取れちゃうよな。

俺は手に持っていたもう1つの装置を机の上に置きラボらしき奥の部屋へ向かう。

後ろには不安そうな先生もついてきた。

「なぁ…俺こんなところ見たことないんだけど…」

「あーまぁなんか秘密らしいし」

「いやこれやばすぎだろよく隠せるな」

「校長だからじゃね?」

すっごく適当だが奴ならできそうな気がする。なんかそんなオーラある。

「あ」

「あ?」

「すまんな言い忘れてたことあったわ。

…精神おかしくするなよ?」

「えっなに何があんの怖いんだけど」

「まぁ見てもらえばわかるけど…」

俺らは例のものがある一番奥の部屋へと向かった。

________________

「んなっ…!?」

扉を開けて開幕1番。

先生は驚愕の声を出す。

「佐々木…?」

身体は震え、たっているのもやっとの様子である。

「…なぁ、流石にこれまずいんじゃねぇの」

「と言ってもここ以外に保管できるところないし」

「あらそうじゃあ次からはもう少し考えような?」

「善処するね」

「確約しろアホ」

ほんとこいつのアホみたいなノリにはうんざりする。

「…これはどういうことなんですか、校長」

「あぁこれ?研究対象」

「研…究…?」

「そそそ。こういう子って意外といじりがいがあるからねぇ」

水原は我を忘れ校長の胸倉を掴む。

「おっと」

「ふざけんなよ…!こいつはうちの生徒だぞ!流石にこれは相手が貴方であろうと容赦はしねぇぞ!」

「先生。やめとけ」

「だが…!」

「くだらねぇからやめろと言ってんだよ。

俺だって悲しくないわけじゃねぇし最初はキレたけどこいつは綺麗なまま保管してくれてるんだよ。その意図を読め」

「…」

先生はゆっくりと離す。

「まぁ失礼。流石に私も今の発言は馬鹿だったね。撤回する」

「…いえ」

「それに君の本気も見れたしね。彼女でこれなら刈谷支那美はどれほどなんだろうねぇ」

余計なことはする気ないけど。と付け足す。

「…もういいか?さっさと始めてくれよ校長」

「はいはい」

先生はまだ心の整理がつかないようだがなんとか落ち着けはしたようだ。

「それじゃ、始めようか」

校長は支那美を医療台の上に寝かせると装置のスイッチをオンにした。

「システムオールグリーン。なるほど流石最新機器。素晴らしい」

「まぁ組織の最高傑作らしいしな」

「ふむ、ふむふむ。ここをこうしてこうすれば…」

俺らからは何をしているかわからないが着々と作業が進んでいるのはわかる。

「…うん。これで完了」

「…成功か?」

「わからない。待ってみよう」

途端。

支那美の身体が光り出す。

「うわっ!」

「ほほう!」

「ぐっ…!」

みんな一斉に声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が止む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに存在したのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん…うぅ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘇った白髪の彼女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刈谷支那美本人であった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蘇って

「あ……あ……」

目の前の光景に驚きを隠せない。

確かにあの校長だ。

胡散臭さはあるが、だからこそこの蘇生法は成功すると思っていた。が。

だが、実際に目の前で彼女が蘇ったのだ。

成功すると思っていても驚かないはずがない。

俺はおろか、先生までも呆然としている。

一方校長は「うんうん」と首を縦に振りながら笑顔になっている。どうやらこの機械が運用可能ということに満足しているらしい。

そして肝心の、白髪の彼女は。

「…あれ…?…私、殺されたはず…」

自分が今どういう状況なのかわかっていないようだ。

そして周りを見渡し、俺らを視界に入れ、俺らと同じように驚き、瞳の奥から涙を流し始める。

「…え……え…?」

溢れ出る感情は頬を伝い、そして腿の上でぎゅっと握られた手の甲へと落ちてゆく。

「は………や…と……?せん……せい…」

感情は止まらない。ぽたぽたと手の甲へ落ちてゆき、白い腿の上にまで流れていく。

「夢…じゃ、ない、よね…」

「…夢なわけ、ないだろっ…!!」

「…当たり前だ…!」

少女はとうとう抑えきれなくなった。

「うわあああぁぁぁあぁあぁあああん……!」

俺らも感情をこれ以上抑えられなくなり、少女へと駆け寄る。

「辛かったな…!よく耐えたな…!刈谷…!」

「おかえりっ…!支那美…!」

少年らはその済む時まで大声で泣いた……

________________

「ひとまずは感動の再開、誠に祝したいところだ。おめでとう」

「お前実験とかなんとか考えてただけだろ」

「細かいことは気にしないの。成功はしたんだから」

「それ結果論」

「しかし一つ問題があってね」

「無視かい」

「刈谷支那美君の魂がまだ完全に今の肉体と癒着しきってない、という点だ」

「つまりこれだけだとまだ不完全だと?」

「端的に言えばそういうことだね。最も、こちらで治す方法はないから模索しながらになるけど…」

「でもそういうのってよくある自然治癒しかないんじゃないんですかね…」

「まぁ確かにそれが一番なんだろうけどいつ支那美君の体から魂が離脱するか分からないからね。ここは荒くても即時治癒の方がいいと思う」

「支那美に手は出させねーぞ」

「分かってるよ。だから君から手を出してほしい」

「……え?」

「は???」

「だーかーらー、あれよあれ。スキンシップよ」

「お前何言ってるかわかってる?」

「穢れた不純物に純潔な美少女を襲えって言った」

「よしわかったお前の墓がここに建つぞ喜べ」

「わぁ喜ばしいな。あと1万4000年後に建ててほしいよ」

「殺すぞ」

「きゃあ怖い怖い」

「きっしょ…」

「なんだよせっかくノってあげたのに」

「あ?」

「と、とりあえず落ち着いて二人とも」

まるで作られたような世界を支那美によって制される。

「ま、そういう事よ。要は2人で性交渉でもすればすぐに魂癒着するって」

「ふぇ!?」

「お前今とんでもねぇ事言いましたよね?」

「いや直接言わないだけマシだと思うよ?」

「教育に悪いのでやめてください」

「ほらほら水原君も子供達からかおうよ」

「やめときますわ。訴えられたら負けるんで」

「なんか私が悪者みたいじゃないか」

「実際悪者だろうが純粋な子にそんなこと教えんな」

「は、隼人と、せ、せいこう、しょう……」

「やめなさいお嬢すぐあいつの言葉は忘れろ」

支那美は頬を赤らめのぼせている。

「いやまぁ性交渉じゃなくてもいいけどさ。大切な人と一緒にいればそれだけ魂もそこに留まりたいだろうしなんでもいいよ。まぁ身体触れ合った方が思い出に残りやすいかなぁと思って」

「度が過ぎとるわボケ」

「あぅぅ…」

「お嬢?帰ってこーい」

「こりゃ当分帰ってこねぇな」

「まいったなぁ…何してくれとんのじゃ」

「まぁまぁいいじゃない。この子もそういう事覚える日が来るよ」

「「やめてください死んでしまいます」」

「まるで娘のようだな」

「実際娘のようなものですし」

「どっちかと言うなら妹」

「親離れって知ってるかい?」

「「そんなのありません」」

「大変そうだなぁ彼女も」

実際子供なのはこの2人だが野暮なツッコミはしないようにした。

そうこうしてる内に外はどんどん暗くなる。

「…もう夜か」

「帰るか」

「その方がいいね。私も鍵閉めなきゃいけないし。ほら、帰った帰った」

「この野郎」

「刈谷もいるしさっさと帰るぞ」

「ま、そうだな」

隼人はショートしていた支那美をおぶって水原と共に部屋の外へ向かう。

「あ、そうそう二人共」

突然校長から声が送られ、2人は振り向く。

「…今日はお疲れ様。そして改めておめでとう」

「…あぁ」

「…ありがとうございます」

短く返すと2人は再び前を向き部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…これで支那美君は生き返り、運命は変わった。

この事実を見ても尚、君は先へ進むかい?

だって彼女は蘇り、何とも見事なハッピー展開じゃないか。

これ以上覗く必要は無い。君はここでこの物語の鑑賞をやめた方がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後悔することになるぞ」

1人の若い女性は確かにこちらを見た。

それは鋭く、冷たい目。

「君にこの物語を読み進める勇気はあるか。

ないなら今すぐに閉ざしたまえ。

ここから先の話は夢も希望も。

そして生存者もない。

茶番の終わりであるとともに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わりの始まりだ」

女性はそう語ると部屋を出てこう捨てた。

「まぁ…世の中美味い話なんてあるわけがないってことさ」




4章閉幕。
5章の幕開けであると共にラストスパートの始まり。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5章 全ての歯車
現実


5章の幕開け


「あ、この辺でいいわ」

「いいのか?家の下まで送ってもええけど」

「まぁこの辺も暗いわけじゃないしな。支那美1人ならまだしも俺もいるし大丈夫でしょ」

「…刈谷1人は逆に心配になるけどな」

「まぁそれは…同感だけど…」

主に身体能力面で心配になる。犯行者側が。

そりゃぶん殴って病院から家まで飛ばされたくらいだしマッハ超えてる時点で人は軽く殺せる。(1章後半のお話)

「まるで昔の白柊を見てる気分だよ…」

「ん?なんか言ったか?」

いいや。別に独り言だよ。と先生は返した。

「…んじゃ」

「…あぁ」

自分で言ってて割と素っ気無さすぎてほとほと自分のトークスキルの低さを身に染みて感じてしまうが今回ばかりは無理だ。

自分だって何が起きたのかわからない。

もしかしたら、支那美が死んだ所も全て夢だったのかもしれない。

もしかしたら、影魔なんて元からいなかったのかもしれない。

ここ数日の出来事が突拍子もないことだらけで何も考えられない。

だが。

「…わかってるとは思うが、5人は死んだ。これは紛れもない事実だ。実際に俺は警察を呼んだし、テレビでも報道されたくらいだ」

ま、犯人はわかってない扱いだけどな。

先生は俺の心を見透かしたかのように言う。

現実を受け止めろ、とも言われた気がした。

「ただ、刈谷が死んだのが事実だとしても刈谷が蘇ったのもまた事実だ。無駄に考えるより今の現状を考えた方がいいんじゃねぇの?」

「…そうだな。俺らしくなかったわ」

「いやまぁそこまでは言ってないけど」

「それでもキャラじゃねぇよ。俺は俺らしく適当に笑って生きてた方が輝けるわ」

「はぁ…全く…」

呆れた声で、やれやれ、と呟く。

「…刈谷の事、任せてるんだからな。しっかりしろよ」

「おう」

そんじゃおやすみ、と先生は来た道を帰っていく。

まさか先生から任せられてるとは思わなかったけど。

「…そうだよな。支那美の事は守らねぇと」

俺の今背中にいるすーすーと寝息を立てた美少女。

彼女は必ず守りきる。

今度こそ。これからもずっと。

「頑張りますか」

気がつけば輝く恒星も地平線から顔を出し始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、お前らはいつまでこの物語を見届ける気だ?」

少年はこちらを振り向き、冷たくそう言った。

「まぁ確かにこの話はとても奇怪だ。時戻り系の話なんてあまり聞くようなものでもない」

ましてやこんなアホらしい話なんてな。

「でも俺らはこの物語で生きている。動いている。

なのにお前らは面白おかしく指を指しながら笑い続けるか?」

まぁ別にそれでもいいけどよ。俺は支那美にしか興味ねぇしな。

「だが。そんなお前ら全員が望むようなエンディングを用意する気なんてさらさらねぇ」

分かるか?

「分からなくてもいい」

面白いなら笑えばいい。

だけど。

「この物語の意味すら理解出来てない連中は今すぐにこの物語の閲覧をやめろ」

それだけだ。と少年はマンションへと歩んでいった。




5章のラストは全部こんな感じにする気なので楽しみにしててね(全てなるとは言ってない)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

起きて

「ん……」

ここは……

「あれ…」

身体をゆっくり起こすと見覚えのある部屋であった。

「あっ…そっか…あのあと……」

校長先生から変な事聞いちゃって…そのあと寝ちゃったんだっけ…

 

『2人で性交渉でもすればすぐに…』

 

「………」

違う違う!!!何考えてるの私!!!

そんな…その…えっちなことなんて…私には出来ないよ……

「うぅぅ……」

確かに私のことを妹としてじゃなくて1人の女の子として見てもらいたい気持ちはあるけど…

だけどそういうのってやっぱり元の積み重ねがあるから成り立つのであって…

そもそも私はいつでも隼人の隣にいれるとは限らないし…

「…そうだよね」

私は隼人の事が好きだ。紛れもない真実だ。

だけどそれは所詮私の片想い。

隼人だって好きな人は必ず出来る。

そして、その隣に立てる人は私ではないこともわかってる。

隼人からしたら私は妹。

多分今もそうだしこれからもずっとそうなのであろう。

私は好きでも、彼は私の事を見ない。

わかってるはずなんだけどな…

「…?あれ…?なんでだろ…?」

目頭が熱くなる。どうやら自分では抑えていたつもりでも本能は抑えることが出来なかったらしい。

感情が雫となり、頬を伝う。

わかってる。わかってるから。

だからせめて今は。

今だけは素直にならせて。

________________

「支那美まだ起きねぇな…」

少なくとも昨日から10時間は寝ている。

まぁ健康的といえばそうなのかもしれなくもないが。

それでも8時間程度。いつもより若干遅いとはいえ心配にもなる。

…それかもしくは疲れたって可能性もあるか。そりゃ少しの間とはいえ自分の肉体から離れてたんだからな…

「…にしても魂の癒着、ねぇ…」

正直支那美が生きて帰ってきた時点で信じられないことではあるがまさか性交渉しろ、とはねぇ…

あいつが言うには留まれる程度の思い出ならなんでもいいとは言ってはいたけど。

「どうしたもんかな」

勿論俺は自分の体で支那美の事を穢したくはない。

…欲がないといえば嘘にはなるが支那美に欲情するだなんて変態もいいところである。同い歳だしそういう意識持っても変態ではないけども。

でも妹に欲情するのはなぁ…いや妹ではないけど。

「むぅ…どうするのが正解なのか…」

悶々と考えていると玄関の扉からノックの音が聞こえた。

「ん?はーい」

朝から誰だかは知らんがここに来るということはまぁ誰かしら俺らに用があるということなのだろう。

待たせまいとさっさと玄関の扉を開ける。

「お待たせしま…した?」

「あ、どうも」

思いがけぬ客に思わず言葉が少し止まってしまった。

「なんでお前いんの」

「あの女性にここに住めって言われたので」

相手はコスモス。従順に生きたのに、壊された存在。

「住めってもしかしてここに?」

「はい。住所も渡されまして」

「うん。帰って」

「嫌ですよもうここにいますから」

「帰れよ!」

________________

「ふーん、直してもらったついでに管理がめんどくさいからここに住んだ方がいいって言われたの」

「まぁ簡単に言えば」

「今すぐあいつを墓に埋めたい」

「私目線から見てもあの人は丈夫そうなんで何しても死なないとは思いますけど」

「機械でもわかるってあいつやべーな」

とりあえず経緯だけ説明してもらったがまったくもって理解はできないし賛成もしてない。が。

「…まぁええか。幸いにもお前の眠るところもあるしそのまま放置ってのは性にあわん」

「ほんとに良いんですか?貴方達を、というより1人手にかけてしまったのに」

「いいよ別に。お前だってやりたくてやったわけじゃないのは知ってる。それに支那美は蘇ってるし俺は何も言わねぇよ」

「優しいんですね」

「甘いと言ってくれ」

それに支那美が許さなければ即刻追い出すつもりだ。お嬢に限ってそんなことはないと思うけど。

「とりあえずお嬢起こしてくるわ」

「えぇ。行ってらっしゃい」

________________

「…ふぅ」

感情を流せる限り流しきったらびしょびしょになってしまった。

服も若干透けてるし早く着替えないと。

と、着替えを始めると隼人の声がドア越しから聞こえる。

「お嬢〜起きてる〜?」

「あ、ごめん。起きてるよ」

「あ〜そう〜?じゃあご飯食べたくなったら出てきて〜」

「着替えたらすぐ行くね」

「お〜う」

意図を最初から読み取ってくれたのかドアは開けないでくれた。

さっさと着替えてご飯食べちゃお。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ?まだ見てたの?」

少女は振り向く。

「別にサービスショットはないよ?貴方達の為に動いてないし」

まぁ別にいいけどさ。

「私達を見てて、楽しい?」

私は見られてて楽しくはない。ずっと監視されてるような気がするから。

「この物語を読み切るつもりなのかな」

この物語は多くの謎が交差してるのに。

「ま、なんでもいいよ」

だけど、私たちの邪魔はしないでね?

貴方達は所詮傍観者なんだから。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

男と少女と機械と

「ごめん、おはよう」

ささっと着替えて寝室への扉を開ける。

「おうおはよう」

「おはようございます」

「え」

そこには隼人の他にもう1人女性がいた。

いや、女性と言うと語弊がある。

明確に言えば女型の機械だ。

「…どうして」

「落ち着けお嬢、こっちにも一応の理由はあるんだ」

「理由も何も無いよ!この子は私を殺したんだよ!?その子自身の手で!」

「だから落ち着けって言ってんの。俺だって最初は追い返そうとした。だけどこいつはお嬢が思ってる程機械的じゃない」

「何を言って…」

「利用されたんだよ。クソ野郎にな」

どういうこと…?だってこの子は…

…だけど隼人がこういうって事はそういうことなのだろうか。

邪悪な誰かに利用された、感情を宿すマシンというのだろうか。

「…わかった。話を聞かせて。それから」

冷静に考えてみればこの空間自体が自分の想像していたものと違う。

自分の想像が正しければ今頃は殺戮現場なのだから。

つまり、違うってことはそうなんだろう。

________________

「と、いうことで」

何とかお嬢に粗方話し終えた。

「まぁそういうことよ。こいつは操られてただけって話」

「あんまり信じられないんだけど…そもそもロボットって涙流すの?」

「いや普通は流さねぇけど。それに強化された時に感情機能は廃棄されたらしいし」

「ならなんで」

「多分こいつの感情が抗ったんじゃないかな。自らマスターの意向を無視して」

「そんなこと…」

「ありえなくはねぇな。俺らの時代には人工知能っつーものがある…ってたしかあれは1940年代からあったっけか」

「知ってる。パメラ・マコーダックが『神を人の手で作り上げたいという古代人の希望』って記したやつだったっけ」

「そうそう。ダートマス大学が1956年にキャンパスで開いた会議でAI研究の学問が確立したっていう…って今はどうでもいいな」

ついつい別の話をしてしまう。

「要はそれだ。最新鋭の人工知能搭載なら人間に反抗をしてもおかしくはない。いずれ世界を征服出来る、っていう御伽噺のような冗談にもならない話があるからな」

「…それって私たち結構不味くない?」

「多分その辺の知能は大丈夫だ。あいつ馬鹿そうだし」

「聞こえてますよ」

おっと失言。

「そちらの質疑に応答するならその答えはYESです。私は自分自身でマスターに逆らいました。だからその点も含めて『ゴミ』なんでしょうね」

「…」

「まぁ多分アップグレードの時から察せられていたとは思いますけど」

「なら何故貴方はその命令を聞いたの?」

「簡単ですよ。縋るものがないからです」

「…そういう事ね」

「貴女と同じです。支那美さん。隼人さんがいなければ何も出来ない、貴女と」

「おいてめぇ」

平然と毒をまくコスモス。

「いいよ…実際その通りだし」

その毒も素直に飲んでしまうお嬢。

「ですが、今は私も貴方も違う。私のマスターはもう隼人さんですし。貴方も変わったのでしょう?」

「それは…」

「あーもうこの話やめようそうしよう」

これ以上暗くなられても困るしこの話終わりで。

「てかお嬢ご飯の前にお風呂入りなさいな。汗か知らんが顔濡れてるぞ」

「あっ…これは…」

…?なんかよくわからんが何かあったのかな。

「そういえば魂の癒着とかそういう話してたんでしたよね」

「いつ聞いたんそれ」

「来る前にちょっと」

あいつ殺すか。

「それなら一緒にお風呂でも入ったらどうです?」

…ん?

「へ?」

________________

俺らだけじゃ入れるわけないって新婚ですか全く。

お二人が着替えると言うので私はリビングで待たされてるわけですが。

「やるなら早くしてくれませんかね」

「待てや、童貞にも心の準備というものがな」

「はいはい」

というか感情あるとはいえ腐ってもこっちは機械なんですが何を恥ずかしがる必要あるのやら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ…なるほど」

あなたですか。

「そりゃあ皆さんも見れるわけですね」

どうするつもりです?

「…なるほど?」

つまり、見るだけですか。

「それでもいいのでは?」

そもそも全ての資料が揃っても分かるわけないですしねぇ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お風呂

ちょっとえっちかもしれない


着替えは終わり風呂場へ。流石に全裸はまずいのでタオルだけは巻いている。

「…なぁ。やっぱりやめにしないか?キツすぎるんやけど」

「いい加減覚悟決めてくださいよ童貞」

「一言余計なんだが?」

「本当の事ですし。そもそも数ヶ月も同じ屋根の下にいるのにお風呂すら入れないって普通に考えてやばいですよ」

「うるせー!俺だってなぁ!入りたいとか思ったことあるよ!でも俺そういうのよく分からないから迷惑かけたくなかったんだよ!」

「まさかの逆ギレに驚きを隠せないんですが」

自分で言ってて情けなくなってきた。

確かに同じ屋根の下にいたのは事実だしそんなやましい思いもしなかった訳では無いけどクソ雑魚チキンハートには一緒にお風呂入るとかそういうのはレベル高すぎるんですよ。

妹扱いしているが勘違いしないで欲しい。彼女は俺と同い年だ。思春期真っ盛り2人にそんなハイレベルなことできるわけがないのは分かりきったことである。

「というか支那美さんも遅すぎませんかね。私としては早く終わらせてもらいたいものですが」

「ちょっ、ちょっと待って!私にも心の準備が…」

「はぁ…揃いも揃ってこの2人はもう…」

「機械には一生理解出来ねぇと思うぞ」

そもそもお嬢もこんなこと了承してくれるとは…

コスモスは呆れたように扉を開けてお嬢の所へ行く。

「ほら早く出てきてください!あとつっかえてるんだから!」

「待っ…!?押さないで押さないで!」

やがて扉からコスモスと布1枚で肌を守っているお嬢がやってきた。

「なっ…」

「〜〜〜〜っ!?」

お嬢が風呂場に入って、全てわかった。

…絶対今の俺らには早すぎる状況だ。

お嬢は顔を真っ赤にして完全にショートしきっている。かく言う俺も正直、そろそろ耐えられない。何、とは言わないが。

「おーおーお二人入って早速お互い思考停止ですかー。お若いですねぇ」

一方コスモスこの状況を楽しんでいる。いや無表情だから楽しんでるのかは知らんけど明らかに楽しんでいる。

「そんじゃ私はお邪魔なんでササッと出ますねー」

「おぉぉい!ちょっと待てやぁ!」

俺の静止も虚しくコスモスは早足で風呂場から出ていく。

「ったく…お嬢〜…?大丈夫〜…?嫌ならすぐに…」

「…ダメ」

…へ?

「隼人…どこにも行っちゃダメ…ここにいて…?」

…???待て待て待て。

「おいどうしたお嬢のぼせたか!?」

普段のお嬢からは絶対に聞くことの無い言葉を貰い思考回路がまた止まってしまう。

「んーん…違くて…その…恥ずかしいけど隼人と一緒にいたいなって…ダメ、かな?」

いいえダメではありませんむしろ今すぐにでも従順な犬になりますともええ!

と、言えるわけもないのだが。

「いや…お嬢が嫌ならいるけど」

童貞にはこれが限界だ。むしろここまで絞り出しただけでもすごいと褒め称えられてもいいと思う。

「えへへ…ありがとう…」

安心したように柔らかい笑みをこちらに投げるお嬢。

そろそろ俺楽にいけるかもしれん。

「それと…もう一つお願い、いいかな?」

「まぁ叶えられる範囲なら」

「えっと…私の事、シナって呼んで欲しいなって…」

これはまた…意外なお願いだな。

「…昔、誰だかはわからないけど私の事、シナって呼んでくれる人がいたの。私の事を大切にしてくれた、数少ない人」

「…」

「だから、その…隼人もその人みたいにそう呼んでほしくって…」

なるほど、そんな事か。

「わ…!隼人…!」

支那美、いやシナを抱き寄せ顎を持ち上げ俺の方を向かせる。

「は、隼人…?」

「いいぜその願い。この中村隼人、お嬢の事をこれからシナって呼ぶ。OKよな?」

「…!うん!」

シナは笑顔で頷いた。

この笑顔だ。この笑顔を守り続ける。必ず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(にしても流石に顎クイはやりすぎたかねぇ…)

心の中で深く反省した。

________________

「はーん、盛り上がってるじゃないの」

「年寄りくさいですよその発言」

「うるせぇ。俺だってもうジジイだ。こんなん見たら盛り上がるに決まってるだろ」

「というか貴方何事もなくズカズカと入ってきてますけどいいんですか」

「お前さんだって同じだろ」

「まぁそうですけど家主には許可とったんで」

「んな事言ったら俺は万年許可ありだぞ」

「屁理屈も過ぎると迷惑ですよ」

「事実だけどな」

中年のオヤジは女型の機械との会話を続ける。

「…で、なんでコソコソ見てるんですか。貴方仮にも教師なんですしこういう不順異性交遊とか処罰とかなんかしないんですか」

「まぁ俺は今は教師じゃねぇしなぁ。こういうの取り締まるのもめんどいじゃん?」

「全く…貴方って人は…」

機械はやれやれ、と呆れる。今日で何度目の呆れだろうか。

「それに…」

中年のオヤジは機械の方に目を向ける。

「あいつらにはもっと楽しく、今を大切に生きて欲しい。今回のお前が絡んだ1件、あれで余計に時間の大切さが身に染みただろうしな」

中年のオヤジとて教師であり、大人であり、そして支那美を育て、悪態をつきつつも隼人をしっかり面倒を見ている1人の人間なのである。

もちろんこういう事に関して全てを受け入れてる訳では無い。むしろ自分の娘にも近い教え子が襲われた日にはそいつらを全員絞め殺すだろう。

だが、相手が相手だ。結ばれても文句は言えないし言うつもりもさらさらない。だってあいつらは普通とは違うから。

「…意外と考えてるんですね」

「大人だからな」

「それを踏まえてもおかしいですよ。そもそも私とのファーストコンタクトの時も全く驚かなかったじゃないですか」

「ま、そりゃあな」

「それも経験の差とでも言うんですか」

「まぁそうとも言えるけどもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それとも貴方が向こうの人間だからですか」

………

「だんまりですか」

「いや、黙るつもりは無かったけど」

まさかそう言われるとはなぁって。

「そりゃそうも思いますよ。私と会って普通に対応するだなんてそれこそ異常ですし、何より極めつけはあの装置」

…?なんかあったっけか。

「とぼけても無駄ですよ。異空間操作装置、あれ初見で操れる人なんか世界に1人もいるわけがないんですよ。あの前マスターでさえも貰った当初は扱えなかったらしいですし」

へぇ…じゃあ俺の運が良かったのかもな。

「いいえ。あれは運は確実に看破不可能です」

根拠は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、指紋認証式なんですよ」

………

「聞いた話によると奪ってすぐに発動させたらしいじゃないですか。指紋認証登録するのはあの機器だけでも出来ますが登録に時間がかかります。確実に奪ってすぐ発動、なんてことは不可能なんですよ」

…そうかい。

「もし奇跡的に速攻で登録できたにしてもその発動を即座にこなすこと自体が不可能なんです。普通の人間にはね」

つまり、俺は普通じゃないと?

「まぁ結論から言うとそうなってしまいますね」

はっ…

「ははははは!ったく…おもしれぇな」

「面白いこと言ったつもりはありませんがね」

「いやはや恐れ入ったよ。まさか気付かれるとはね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばこういう会話もこいつら見れるんだっけ?」

「そうですね。現時点で見られてますし」

「そうか。じゃ、一応…」

俺の口からあえては言わない。

ただ、ま、そういう事だ。

「よーく覚えておけよ?読者、並びに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時の観測者?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

時の観測者

「…時の観測者を知ってるんですか」

「勿論。俺はあいつの横にいたことがあるからな」

「面白い冗談ですね」

「んにゃ冗談じゃないね。信じる気がねぇならいいけど」

「…たとえその話が信じられたとしてもおかしな話ですよ。時の観測者は何故こちら側に干渉しないんです?」

「うーん…それに関してはお前を通して話を聞いてたと思ったんだがなぁ」

「私が聞いた…というか受け取った情報は大してありませんよ」

「じゃあまだ話す時じゃねぇや」

「ちょっ」

中年のおっさんはリビングに戻ろうとする。

話はまだ終わってないのだから逃がす気は無いのだが。

「なんで話してくれないんですか。別に減るものでもないでしょうに」

「減るものではないけどアイツの許可無く話すのはちげぇと思うし。その時が来たら嫌でも分かるだろ」

「それまで待てと?」

「考えるってのも手だがな」

「無理ですね。ヒントが少なすぎます」

「だろうなぁ」

リビングの扉の前で彼は振り向く。

「ならヒントをやろう。時の観測者は傍観を決め込んでいる。これから先もずっと。

そして時の観測者に戦闘力は無い。あくまで二つ名の通り、観測するのが仕事だ」

はい、これがヒント、と話し終えるとサッサとリビングに入ってしまった。

「傍観を決め込む、観測だけ…?」

私の思考回路はショート寸前だ。

そのままの意味なら戦闘力は皆無なのだから私達に干渉は不可能。

ここまでなら誰でもわかるのだが、本当にそれだけなのだろうか。

そもそも観測、とはどういうことなのだろう。

監視、とかなら分かる。歴史が間違った方向に進まないように調整をしたり…等だ。

だが観測は意味がわからない。

観測の意味がわからないのではない。

観測する意味がわからないのだ。

既にあの組織は様々な時代に点在している。

時の観測者はその全ての時代を統括している、という噂もあるくらいだ。

ならば何故、観測しているのが過去なのだ。

運命、なんてものは人によってすぐにひっくり返ってしまうものなのは分かるがそれでも大きな運命には抗えない。

それ程までに脆弱な人間達の決まりきった未来の過去を観測する、という思考が理解できないのだ。

「…何か特別な、それこそ未来を大きく変えかねないような事象がこの時代で発生する…?」

…ダメだ。私の頭ではここまでが限界だ。そもそも私はポンコツの類なのだから演算機能がまともに動いているわけがない。

ただ一つ理解出来たことはある。

「ならば時の観測者はそもそも人間ではない…?」

________________

この時期は大忙しだ。特にこんな古臭い時代なもんだから機器とかも揃いにくいのが現状だ。

「…ったく…あいつらの邪魔さえなければこんなことには…」

全てはあの異分子たちのせいだ。

隼人が僕を裏切らなければ計画は全て上手くいった。

あの女さえ死んでしまえばこんなに苦労する必要はなかった。

無駄な感情を持ち合わせたポンコツを作らなければリカバリーも効いた。

「どうしてだ…」

何故僕はこんなにも上手くいかない。

僕は天才なのに。

周りは雑魚で、僕が神に等しき存在なのに。

何故僕は成功しない。

いつだってそうだ。

僕の周りには不安定な異分子が存在して。

それだからこそ自分にまで影響を及ぼし。

そうして僕を貶めていく。

「…くそっ!」

僕は何も悪くないのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そうか。

使えない周りの雑魚が悪いのか。

そうかそうか。

「それならば」

全員、僕自身が有効活用してやればいいのか。

僕の言う通りに動けば僕は必ず成功する。

なんて画期的な方法なのだろう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

約束

風呂から上がり、リビングまで戻ってきた。

「あっつ…」

流石にあの場であれはやりすぎたか。

顔も身体も熱いしなんか今更恥ずかしい気持ちになってきた。

なんや顎クイて。キモすぎにも程があるやろワロエナイぞ。

「えへへ…隼人にシナって呼んでもらえる…」

やられた本人は先程からこれである。

シナ本人には御満足頂けてるし嬉しいのならよいのだけど、やった側としては自分のキモさを再認知するいい機会だった。

これに懲りたら少しは自重しよう、と反省もしている。

「あのさ…自分から言っといてなんだけどそんなに嬉しいんか…」

自己評価が低い童貞の末路である。残念だが俺にはその『大切な人』に並べる気がしない。

「そりゃ嬉しいよ!だって私からしたら隼人も大切な人だもん!」

…ん?

「…あっ!ちっ違くてね!?その大切な人って言うのはこう、いつもそばにいてくれて守ってくれる人って意味で…あ、あれ?」

………

「ちょっなんで笑ってるの!こっちは真剣なのに!」

「あはは、ごめんごめん」

必死に弁明の言葉を探そうとしたシナに笑ってしまった。

笑って誤魔化したが俺の心臓の鼓動はテンポを上げ止まらなかった。

 

彼女は今、俺の事を大切な人と呼んだ。

しかもこんなに慌てるほどの弁明をするぐらいだ。

…多分、あっちの意味だろう…

シナはもしかして、いやもしかしなくても俺の事が好きなのだろうか…?

いや、いやいやいや…流石に自意識過剰…

…でもないのかも、しれないな…

自意識過剰とはいつも思っていた。

理由は単純、シナが可愛過ぎる、性格が良い、女子力が高い、とまぁ魅力を挙げるとキリがない。

俺は平凡だ。こんなに理想的な女の子と釣り合うわけが無いと俺は自分を卑下し続けてきた。

そうして俺は女の子の好意を無下にし続けてきたのかもしれない。いや絶対そうだ。

ならば自分は自分なりにその好意に返事を返さなければいけない。

 

「…俺はシナの事、好きだよ」

 

「…へ?」

 

シナは呆然としている。

まぁ…そりゃいきなり異性から好意を示されたらびっくりするわな。

俺もさっきびっくりしたし。

「な…な…!?」

「何言ってるかってか。言った通りだよ。シナのことが大好きだ。確かに妹みたい、だとは思ってたけど。俺はシナの事が異性として好きだ」

…なんか風呂の一件で色々吹っ切れたのかもしれんな。こんな小っ恥ずかしい事極力言わないようにしてたんだけどもうリミッター外れたかも。

「…私も、好きだよ。勿論、男の子として」

顔は伏せていたがシナからも返事は貰えた。

とても嬉しかった。なんで嬉しいか、なんて言わなくてもわかるだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい何見せつけてくれちゃってんだよ」

奥の部屋からゴミが顔を出して煽ってきた。

てかなんでいんだよ。

「なんか入ってきたんですよ」

その後ろからコスモスも出てきた。

「いいっすねぇ青春すねぇ」

「ええい黙れ黙れ」

まさかのクソ先公がいることなんか知らんかったんだから。

「ま、いいんじゃん?見てて面白いもそうだけど」

意外な返事が返ってきた。

「…珍しい」

「ありえなくはないとは思ってたからな。刈谷泣かせなきゃなんでもいいぞ」

「なんか気持ち悪いな」

「うーん殺殺」

「誰だよお前」

だけどほんとに珍しいとは思ってる。

こいつはそういう所は結構細かく言ってきそうなんだが。

まぁ公認なら問題は無いはずなんの公認か知らんが。

ただシナを泣かせる気なんでさらさらない。それは昔からそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束は絶対だから。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

85話

「で、なんでおるん」

「んーまぁお前に少しばかし用事があってな」

今日は珍しいことずくしだ。俺に用事だなんて。今日はきっと天変地異が起きる。死にたくねぇな。

「ちなみに言っておくがくだらん話じゃないぞ」

じゃあいつもは何なのかと。

そう聞きたかったが思い返してみれば大体の話がくだらない話だったから言うのはやめておいた。

「…なんも聞かずにこれを読め」

渡されたのは1枚の手紙。俺の時代ではあまり見かけなくなった洋封筒に入ったものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し奇妙に思ったのが宛名が書かれていないのと切手がない事だった。

「朝、ポストにそれが入ってたんだ。宛名が書かれていない上に切手すらもなかった。それに中身がそれ以上に問題でな」

見てみ、と言われ封を開けて手紙を読んだ。

「…!?」

「な?気味悪いだろ?」

確かに気味が悪いったらありゃしない。

その手紙の内容はこれだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロス」

 

 

 

 

 

 

「なに…これ…!?」

シナにも見えてしまったようだ。

内容は『オマエコロス』と乱雑に書かれていたものだった。正直言って気持ちが悪い。

「俺も意味わからんよ。朝起きてこれなんだからな」

まぁこれ見せに来ただけなんだがなーとこいつは言う。

こいつの家に投函されていた。

きっとこいつに何かの恨みを持ったものが送ったのだろうがどういうことなのだろうか。

俺には思い当たる節があるはずもない。何も知らないし覚えてもいないのだからいくら思い出そうとしても時間の無駄というやつだ。

「お前死にたいか?」

「いや生きてぇわ」

「なら当分家から出ない事だな。家族も含めてだ」

「そんなんで対策できるわけが」

「できる」

俺ははっきりと言った。

「俺がお前の家族全員守ればいいんだろ。流石にプライベートがあるだろうから家の中は許容範囲外だし外回りだけになるが」

「は?」

水原は拍子抜けたような声を出した。

「なんかおかしな所でも」

「え?なんかおかしくね?いや多分俺の耳が歳でイカれたのかもしれない。もっかい言って?」

「お前を殺したいなぁって」

「嘘つくな」

「嘘だよお前ら全員守るって言ってんの」

まぁ確かに俺にしては気持ちの悪い発言だったのかもしれない。言い方に問題もあるだろうが言う本人にも問題があった。

「俺の前で死なれても困るんだよ」

「なにそれキモくね」

「それはわかるけど言うな」

言われなくてもキモいのは自覚してる。実際キモい。

「隼人…遂に更生して先生の為に…」

シナはシナで泣いている。おかんか貴方は。

「はいはいじゃあ水原お前は帰ってすぐに家族の安全確認!俺は準備整えてお前の家に行く!シナは自宅待機!コスモスお前はシナ守ってて!」

「私も行く!」

「ダメ!」

「なんで!」

「危ないから!」

「隼人や先生が危ない目に遭うかもしれないのに私だけ安全なのは嫌なの!」

「ダメなものはダメ!シナが傷付くのは一番ダメ!俺自殺するよ!?」

「じゃあこのまま行くなら私が自殺するから!未練たらたらで死んでやるから!」

「ダメだろ!コスモス止めるだろ!」

「私は個人の意見を尊重しますが」

「止めろやこのバカ!」

「とにかく私も行くの!」

突然駄々をこねた子供のようになってしまわれたシナお嬢。行くと言われても万が一殺人鬼のようなヤバいやつに出会った場合命の危機に瀕するかもしれない。出来る限り守り抜くとはいえ、シナは多分戦う。自分が傷付こうとも顧みないだろう。ぜひともやめて欲しい。

「いいんじゃないですか。連れてっても」

コスモスがKYな発言をする。

「連れてっていいわけないだろうが!危ねぇんだぞ!」

「貴方は支那美さんの事を甘く見すぎでは?この人は戦えますし、貴方が思っている程弱くはないと思いますけどね」

「…そんなのは分かってるさ」

「なら」

「だからだよ。シナは自己犠牲も厭わない人間だ。だからこそ無闇に傷つくのはやめてほしい」

「ふぅん…」

コスモスはやれやれと、ため息をついた。

「過保護も過ぎると嫌われますよ」

「なっ…」

自分では過保護にしているつもりは無いが。

でも嫌われるのは嫌だ。

「…ふぅ。分かったよ。連れてく」

「ほんと!?」

「ただこれだけは約束して。絶対に自己犠牲なんてしないで。それしたら俺怒るから」

「うっ…わかった…」

まぁこんぐらいの約束事設けておけば大丈夫だろう。

「なんか親子みたいですね」

「誰が」

「お前らだよ」

どこが親子か。俺らはカップルじゃ。

「…ありがとな」

「?何か?」

「いーえなんでも?」

水原がなんか言った気がしたがよく聞こえなかった。

「んじゃ俺は帰るわ。お前らの寝るところも確保はしとくからよろしくな」

「あぁ」

水原はささっと帰っていった。

「さて、俺らも準備するか…」

「そういえば私はどうすれば」

コスモスの存在を忘れていた。

「…そういえばお前空に浮ける機能使える?」

「えぇ、まぁ」

「ならちょっとやって欲しいことあるんだが」

コスモスにしかできない仕事があったので、それを任せることにした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Re:1話

前回のは間違いだけど間違いじゃないってことにしといてください


「あ、先生さよなら」

「おう、早く帰れよ」

まだ教室に居残ってた生徒がいた為、早く帰るように促した。

もう6時をまわっていた…ってのもあるが理由はもう1つある。

1人の生徒が行方不明。これが一番の原因であるとも言える。

「…はぁ。あれからもう3ヶ月か…」

________________

基本的に巡回は俺がやっている。

まぁ周りに比べて若い、ってのもそうだが俺自身がやらねばならないことだと思っているからだ。

消えた生徒は、俺が担任を受け持っていたクラスの男子生徒。

いつも皮肉を叩き、教師に対して尊敬の念など存在すらしてないような態度ではあるがあいつは俺の大切な生徒だ。心配してないわけが無い。

とはいえ行方不明からもう3ヶ月。最早忘れている人間が大半だし教職員からも「もうやめた方がいいのでは?」と言われる始末だ。同じクラスの連中も「誰だっけ?」と忘れ去られている。

俺は無力だ。1人の生徒を守ることすら出来ない、無能な教師。失敗を踏み台に、とはよく聞くが生徒を踏み台にする気は毛頭ない。それは倫理的概念を無視した最低の野郎だ。だからこそ、俺は諦めない。

「が、なぁ…」

そう。情報が1ミリも見つからないのである。警察にも捜索届を出そうともしたが校長は「うーん…たかだか生徒1人でうちの悪い噂が流れるのもねぇ…」と意味不明な言葉を発した。

ここの校長は毎回人格に当たり外れが多いと亡き父親が言っていたが、今代はハズレのようだ。1人の若き命よりも自分の名声のようだ。ゴミめが。

しかし、俺はこの学校を離れることが出来ない。

昔からの夢、この仕事に就き、そのまま殉職して行った父親の跡を継ぎ、必ず父親が成し得ることが出来なかったことを俺が代わりに成し遂げるため。

ってのは表立ったものだ。実際、あいつのためならいくらでもこんな仕事をやめてやる。自由も効くし調査も捗ることだろう。

だが、この学校にいなければ詳しい生徒情報を知ることが出来なくなってしまう。数少なく捗らない今の現状をさらに酷くしてしまうからだ。闇雲に探して解決出来るならとっくのとうにもうしている。

しかし、この学校の縛りがあるのもまた事実だ。即ち八方塞がり、というやつだ。

「…どうすれば…」

「おや、まだ巡回中でしたか」

うんうん悩んでいると若い女性の声が聞こえた。

「八島先生」

「まだあの子のことについて悩んでいらしたのですか?」

「えぇ…なんとか見つけられないものか、と…」

八島 楓花先生。俺の3つ上、と聞いたことあるのだが見た目は完全に20代後半の方である。1年の差ではあるが彼女の方が教師生活は長いらしい。

そう。全ては噂である。実際の年齢や教員歴、生活環境や学歴なども全てが謎のミステリアスな女性である。

白髪のセミロングで日本人では珍しい碧眼であり黒めの四角い眼鏡をかけている。身長は約150cmと言った所か。どことは言わないがB位の物をお持ちである。

とてもふわふわしていて可愛らしい女性であるが、何を考えているのか底が知れぬ人でもある。

あまり八島先生とは話したことがなかったが故、話しかけられたことに少し驚いていた。

「ふふっ、いきなり話しかけてごめんなさいね」

「いえ、ちょっとびっくりしただけですのでお気になさらず」

くすくすと柔らかい笑顔でこちらを見ている。

「そういえば自分に何か御用で…?」

「あぁ、そうだった。これ、水原先生がお探しの代物かと思いまして」

彼女のポケットから取り出されたものは1つの手紙。

「…?こちらには何が…」

「確かに今どき珍しいものですけど、ここに書いてある文字、よくご覧下さい」

手渡され、洋封筒をよく見てみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには『中村隼人君へ』と、記されていた。

「これは…!?」

「生徒昇降口の隼人君の下駄箱に入っていました。何かのヒントになると思いまして」

喜んでいただけたのなら何よりです、と微笑みながら目の前の女性が言った。

そうだ。今はこれが唯一のヒントだ。1秒でも早く情報を得るためすぐさま封を開け、便箋を読む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには恐ろしい事が書かれていた。

中村はタイムスリップをしてしまったのだ。

そして、これはきっと嘘ではない。

その字は、俺が知っている人間の字であったから。

「刈谷…さん…?」

その便箋に書かれていた字は紛れもなく刈谷支那美さんの文字であった。あの事件の前に書いていた字だ。忘れるはずもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どういう事だ。

何故支那美さんの字の手紙がこんな所にあるんだ。

支那美さんはあの後…

それに中村は、中村は一体誰なんだ?

何故支那美さんからこんな手紙が送られる?

「クソっ…どういう事だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そっか、あの時のこと、少し記憶のズレがあるのかな」

小声で呟かれたこの声が彼の耳に入ることは無かった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

86話

「…お前ん家デカくね?」

「お屋敷みたい…」

「そうでもねぇだろ。ただ一軒家ってだけだ」

「うん。まぁ…まぁいいや」

正直舐めてた。こいつの家は現代でもあまり見ることが出来ないような大きな家である。流石、そら他人の寝るところ確保くらいできるわな。

「こんなん生きててもあんまり見ねぇけどなぁ…」

「…まぁお前のいた時代は高層ビルが多いもんな…」

「ん?なんか言ったか?」

「いやなんでも。とりあえず上がれ」

「そういえば家族っていんのか」

結局はそこだ。全員守れんと意味が無い。

「家内も子供も家にいたよ。安全も確保してる」

「そうか。ならご遠慮なく」

「お邪魔します」

玄関の扉を開けると水原の奥さんらしき人と自分より少し小さい男の子が迎えてくれた。

「貴方達が夫の教え子さん達ですか?お話はかねがね伺っております。妻です」

「おっとこれは御丁寧にどうも。今回護衛をさせて頂く中村隼人と」

「刈谷支那美です」

「あともう1人いますがそちらにはただいま外の偵察に回ってもらっているためこの場でのご挨拶は出来ませんがご了承ください」

「そんな…助けていただくのにお気遣いはいりませんよ」

先生の奥方は約160弱の黒髪ロングの美人さん。身長とは反比例してすごく大きなものをお持ちである。

「すげぇ…」

「………」

目線がとある場所に行っていると突如横からおぞましい速度の肘が横腹目がけて飛んできた。

マッハ5を超える速度に避けるほど俺は人間離れしていない。ライフで受けるしかなかった。

「げはっ!!!!!」

その速度は最早機械でも出すのが難しい領域。今更だがシナは人間ではないだろう。異世界転生者かもしれない。

幸いにも器物破損等の心配はする必要はなさそうだ。そこは考慮してくれたらしく俺はそのまま地面に突っ伏すことにした。

「え、えぇ!?大丈夫!?」

奥方は驚愕の声を出し俺の事を心配してくれた。やさしい。

「はい。気にしないでください。彼はこれがご褒美の変態さんなので」

シナさん!?何を言っているんだい!?!?

反論しようとしたがシナに背中を踏まれ踵をぐりぐりしてきた。

「ちょ!ちょいちょい!!痛い痛い!!ちょっやめて!!」

「だーめ。隼人は今えっちな目でこの人の事見てたでしょ」

「見てない!見てないから!!!ほんと!」

確かに身体の一部位は見てたけどエロい目では見てねぇ!

「え、ええっと…」

ほら!!奥さん困惑してんじゃん!もうやめよう!そろそろ死ぬ!

「…お前そんな趣味あったんだなぁ…」

「ぶちころがすぞクソ教師がぁ!止めろや!!!」

「いやっ…人の趣味を邪魔するのも悪いかなぁって…」

そんな良心こんな所でいらねぇんだよ!!!!

「無理!!もう死ぬ!やめて!!!」

そう言うと願いが届いたのかやめてくれた。

痛みがまだ背中に残っているがこれ以上踏み続けられるのは流石に身体が持たない。

「やっと終わった…」

安堵していると急にシナが屈んで俺の耳でそっと話した。

「私以外の女性をそういう目で見ないって約束して」

「へ?」

驚きしか出なかった。まさかのヤンデレさんですか。ていうかシナさんキャラ崩壊し過ぎじゃない???可愛いけどなんか俺の知ってるシナじゃないような。

見上げると言い出したシナは顔を少し赤くしてもじもじしていた。なんだ。俺の知ってるシナだったわ。

「…じゃあシナの事はエロい目で見てもいいってことか?」

「ふぇ…?」

まぁさっきの言葉を超次元理論で解釈するなら、そういうことだろう。

正直な所そういう行為に興味はないつもりではあったが。校長の例の件から少し意識してしまった。

「そ、それは…流石に段階があるというか…」

先ほどより顔を真っ赤にしてしまい、声も心無しか少し小さくなっている。

流石にこれはまずいと思ったので話を変えた。

「あ、白のレース」

「〜〜〜〜っ!?!?」

あっこれやべぇ俺も相当焦ってたな多分この後の展開予想出来たわ皆さんさよなら。

予想通りさっきの肘とは比べ物にならないくらいの速さの拳が顔目がけて飛んできた。てかシナさんあれからこんなに強く─────

そう思ったところで俺の思考は消し飛ばされた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Re:2話

「でもこれでやっと手がかりが掴めた…はいいけど…」

流石に時を超える、という概念ばかりは自分自身ではどうしようもない。

結局八方塞がりのままか、と思っていたが。

「あの…よろしければこの件、お手伝いできるかもしれません」

「…ほんとですか?」

半信半疑であるのが事実であった。

実際時を超えるなど現科学の段階では不可能に等しいから。不可能はどれだけやっても不可能だ。零に零をかけるのと同義である。

ただし、さっきも言った通り半分信じているところもある。

今は何にもすがるものがない。信じるも信じないもこの話を聞かなければ1歩も前に進めない。

「ええ。そこは安心してください。必ずお役に立てますから」

彼女の笑みには何故か安心感があった。底知れぬものを持っているにも関わらず安心できる何かがそこにはあった。

「…ありがとうございます」

「いえいえ」

俺は信じてみることにした。50/50なら今したいことのために信じる道を選ぶのが正しいと思ったから。

それが第三者から見て正しいのかはわからない。けど俺が信じなければいけないのだ。

「では私は一旦帰る準備をしますね。教職員用の門の前でお待ちしております」

「はい。こちらも巡回を終わらせてすぐに向かいます」

約束を交わし、八島先生は職員室へと足を運んだ。

俺もさっさと巡回を終わらせるか。

________________

門の前では言葉通り八島先生が待ってくれていた。

帰る前に教頭に捕まってしまったため少し遅れてしまっていたので、もう帰っているのかと思ったが、杞憂だったようだ。

「すいません…教頭に小言言われてまして…」

「お気になさらず。5分も経っていませんからね」

さぁ行きましょう、と八島先生は歩みを始めた。俺もその後ろについて行くことにした。

「ところでどこに向かうんですか?」

迷いなく商店街の方へと入っていくので少し心配していた。こんな所に中村の情報があるのだろうか。

「…水原先生は隼人君がいつ、姿を消したか覚えてますか?」

「えぇ、勿論。92日前、おおよそ3ヶ月前から欠席していました」

最初は風邪だと思っていた。あいつにしては珍しいなと思いつつ、人間なのだからそういう日もあるだろうと思い心配はしていなかったのだが数日、1週間と経つ事にその感情は膨らみ始めていた。その後、家にも伺ったが反応はなく、今に至る。

「実は隼人君が行方不明になったと思われるその日から、不可思議なものが建っていたんです」

こちらです、と歩みを止め、向いた方は古ぼけた店。

「え…これって…」

俺はきょとんとしていた。こんな店、ここを通った時には無かったはずなのにいつの間に…

「…水原先生もそうでしたか」

彼女はやはり、という顔をしていた。

「どうやらこの店は周りからの反応がない限り、誰からも認知することが出来ないようです。先日、すぐ近くの八百屋の店主にも伺ってみたのですが同じ反応でして」

「…何か特別な力が働いていると?」

「それどころか、今回のこの事件に関係してると思います、私は」

…今日は意味がわからない事だらけだ。だが、もしそんな不思議パワーが働いていたとしたら中村を攫っていても不思議ではないのかもしれない。

「…中には誰かいるのですか?」

「無人です。骨董品店のようですが」

無人ならば大丈夫だろう。さっさと中を調べてしまおう。

「…入りますよ」

「はい」

古ぼけた扉を開け、中の探索を始めた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

87話

「…?あれ?」

俺は確かぶん殴られたはずなのだが不思議と痛みがなかった。

怖すぎて咄嗟に閉じた目を恐る恐る開けてみる。

「…あー…」

「あ、起きた」

そこに広がっていたのは、見知ってはいないが見たことのある風景であった。遥か前に殴られた時に、一度だけ来たところ。

そして真横に座っている少女。この子も一度だけ見たことがある。コスモスと同じで異常に長い名前の子。

「…もしかして2度目の来訪?」

「そうだね、ちょっと前にいきなり転送されてきてびっくりしたよ」

今回連れてこられた場所は前回と少し違って一面の花畑のようだ。よくわからんが綺麗な色の花が沢山咲いてる。よくわからんけど。

「…なぁ。そういえばなんだけど」

前々から気になってはいた、この子のこと。殴られる…違う違うここに来る機会が今の今までなかったものだから聞けないことがあった。

「君ってさ、刈谷支那美って子、知ってる?」

そう、問は至って単純。シナの事を知っているかどうか。むしろ知らないのならばすべての説明に納得がいかなくなってしまうがとりあえず聞かなければ始まらない。

「…それって私の宿主?」

帰ってきた答えは思ったより斜め上の回答。何?何だって?宿主?

「宿主ってどういうことよ」

「簡単だよ。ここは私の宿主の精神世界。今まで見てきた情報が全てここに集約する場所でもある」

所謂脳に近い感じかな、と淡々と説明する。

当の俺、まったく頭に入ってこない。

「は?え?ちょっと待って情報量が…」

「あー…そんな一気に説明されても困るよね…じゃあ改めてまずは私の紹介から」

少女は立ち上がり、自分の名を名乗った。

立ち上がった時にちらりとスカートの中が見えたが余計な詮索はしないことにしよう。

…シナと同じだった。

「私の名前は〜…まぁどちらかといえば呼び方?識別番号?に近いかもしれないけど…私の呼び方はEFKT-vΩ、けど最近名前が長いから新しい呼び名が欲しいなって思ってきた所」

「それはわかる」

「で、ここはさっきも言ったけど私の宿主、多分刈谷支那美って子で合ってると思うけどその子の精神世界。外で得た様々な情報は全てここに集まる」

「…なるほど、だからその見た目…」

めちゃくちゃシナに瓜二つなのも納得は行く。そりゃ自分の容姿はよく見るんだから似るわな。

「そして私がここにいる理由、それは代々伝わってきた力の抑止力のため」

「…ん?」

力…?

「宿主は今3代目。過去に同じ力を持っていたとされる2代目の血が繋がっている。だから私がここにいる」

「おいおいちょっと待って」

力ってなんだよいきなり。意味わからんことをめちゃくちゃ言われて思考が追いつかなくなってきた。

「力ってなんなんだよそれ」

「…初代が持っていた、神の力。所謂神力」

「…御伽噺も大概にしてくれるか?」

「君が時を渡ってきたのもかなりの御伽噺だと思うけど」

「そうだな。それを言われちゃ俺は何も言えん」

よくよく考えてみればこの時間軸の人間に「時を超えてきました」なんて言ったら「何言ってんだお前」と一蹴されてしまうのがオチだ。お互い様というやつだろう。

「にしても神の力ねぇ…」

そりゃ人間離れした能力を持ってるわけだわな…そんな不思議な話の一つや二つはないとマッハを超える一撃なんぞ出せるわけねぇもんな…つか、封印されててもこれかよ…

…ん?でも…

「その…シナは一度死んでるわけなんだが、神の力ってのも無敵ではないのか?」

そんな力を持っていれば文字通り敵無し、所謂無敵というやつだと思っていたのだがそんなことはないのか。

「問題はそこ。自分の攻撃の反動は耐えられるけど他者からの攻撃はどれほどまでに解放しても結局耐久力は肉体依存になっちゃうの」

例えばめちゃくちゃに鍛えてる人がこの力を持てば耐久力も相対的に上がる、ということか。

確かにお世辞にもシナは鍛えてる、とは程遠い。むしろ華奢な方だ。耐久力に難があるのは仕方の無い事。

「つまり神力は物理寄りって事なんだな?」

「正確に言えば相手に及ぼす全ての効果を増幅させること。相手の肉体を弱くする魔法を唱えたらその効果が倍増したりとか」

「…それってつまり痛覚とかもいつも以上に敏感になるってことか?」

「そう。そういう点では物理、ってのはいい。与える時のダメージを増幅させる、与えた後の波の揺れ、つまり重さを増幅させることが出来て、実質的なダメージは4倍増しと言ってもいい」

「あー…」

異常なあの痛み。単純に強化された攻撃だけでなく俺の痛覚自身も弄られてたのか…そりゃ気絶もするわな…

「…ある程度は、わかった。君がどんな存在かも」

ここまで聞くと不思議と納得はした。まぁ今までの事象を重ね合わせれば当然と言えなくもないが。

「それに、そろそろ時間っぽいしな」

「あっ…」

自分の身体がブロック状にバラバラになっていく。この世界での活動限界が来たのだ。

「なぁ。ここにいるのも、神力ってやつなのか」

「…6割はそうかも。だけど残りは違う。また別の力が働いてる」

これ以外にも不可思議な力があるのか。世の中ってのはこえーな。

「んじゃ、俺は元の世界に帰るわ。じゃーな、オメガ」

「…オメガ…安直だね」

「うるせぇ」

「冗談だよ。…ありがとね」

「おう」

自分の身体が砕け散ると視界は真っ暗闇となった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Re:3話

「…いやに暗いな…」

「廃墟同然ですからね…空気が悪いのも気のせいではなさそうですし…」

店の中は暗く、そして空気も重い。

何かが出る、っていうのはなさそうだがそれ抜きにしてもじっと見られてる気がしてならない。

「…ほんとにこの中にヒントがあるのか…?」

「…あまり自信はなくなって来ましたけど、もうこれしかないですよ」

あちこちをくまなく探してみるが置いてあるのは珍しい時計やオルゴール等、まぁ骨董品店の名に恥じぬラインナップである。

どれもこれもしっかりと装飾が施されており、どの品も綺麗に磨かれていた。

「…も……や…」

「…ん?」

どこからともなく声、らしきものが聞こえた。

幼い少女っぽいようなか細い声。

「今、声が聞こえませんでした?」

「声…ですか?私は何も…」

聞き間違いだったのか。

……………

…………………

…もう……や……

「…いや、やっぱり聞こえますね。位置的にはそんなに遠くないような…」

声の位置的には多分この奥、カウンター近くの扉の先だ。

「…その先から、聞こえたんですか?」

「えぇ、何が潜んでいるかはわかりません…が、今ここで引き返すと次の情報はいつになるかわからない。俺は行きます」

「…わかりました。私もついていきます。先生1人に無理をさせる訳にはいきませんからね」

彼女の顔には少しばかり不安の表情が見えた。まぁ無理もない。自分には聞こえない何かを発しているモノがこの奥にいると言われたのだ。人間得体の知れない物に安易に近付くほど勇猛果敢な人物はこの世に片手で数えられる程度だろう。もしくは頭が弱い類か。これが普通の反応だ。

しかし彼女はついてきてくれる、と言った。これは人間性だ。彼女の優しさがこの行動に変えてくれた。俺としては有難い限りだった。

「…開けますよ」

「…はい」

________________

「…鏡…?」

「…ですね…」

確かにこちらの方から声が聞こえた気がしたのだがやはり勘違いだったのか…?

「にしても…」

バカでかい鏡だな、と思った。周りには色んなガラクタも散乱していて明らかに何かが潜めるような所ではなかった。

「…八卦炉?」

「え?」

呆然と見ていたのですぐには気付けなかったが、鏡のすぐそばには八卦炉と使い古されたほうきが目立つように置かれていた。

「なんでこんなものが…」

西遊記に登場した、斉天大聖孫悟空が炉にぶち込まれる原因となったアイテムである。

…骨董品、とは言えないはずだが…

「…まぁこの際いいか…」

結局この場には中村に関する情報は何一つ得られなかった。まぁこの店がある、という意味では一歩前進したが。

「…すいません、お力になれなくて…」

「大丈夫ですよ。何も無かった時よりは全然」

実際何も無いよりかはマシだ。手探りで闇の中を探索しているところにひとつの松明を手に入れたような感覚に近い。

「とりあえず今日のところは帰りましょう。これ以上は暗くなって難航してしまいますしね」

「…そう…ですね…」

もう時間は7時を回る。家の奴らも心配する時間だろうし八島先生を夜中1人で帰すわけにも行かない。

「…先生、私はまだ残って調べてみます」

「…え?」

予想外の言葉が彼女から出て、少しばかり驚いた。

「先生の言った通り、ここには何かがいます。こう、思念のような」

「…はぁ…」

いまいち信用は出来ない。てか女性をこんな所で1人にするのは流石に出来ないだろ。

「安心してください。腕には自信があるので」

それこそ安心できないのだが。

…なんかこのまま言っても動かなそうだし、仕方ない、といえば仕方ないのか…

「わかりました。ですが、あまり無茶なことはしないでくださいよ」

「勿論ですよ」

再び彼女は笑顔を取り戻したようだ。

________________

「…ふぅ…」

水原先生はなんとか帰ってくれたようだ。

こんなところを見られる訳にも行かないから。

「…あーあ…聞かれちゃったかぁ…」

まさか水原先生…

いや、この呼び方だと先生と被っちゃうから和真君、って呼んだ方が正しいか。

和真君に聞かれるとは思いもしなかった。

なんせ約25年前、その思念の結晶が未だ存在してるとは思いもしなかったからである。

「ヒントに導くつもりだったのに余計な事聞かれちゃったよ…」

ううん。振り返っても仕方ない。今回の『私』には今があるんだから。前回できなかった事をやりとげよう。

「…よし!」

私は鏡の前に向き直し、気合を入れ直した。

「…ごめんね。和真君。必ず隼人を助け出して、元の生活に戻すから…」

鏡に手を触れると同時に光が溢れた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そして

「身体が痛い」

「一体誰のせいなんだろうね〜?」

「さぁ…身に覚えは…」

「もっかい刻んどく?」

「いやもうホントマジ勘弁してください」

「ふふっ。冗談だよ。冗談」

「目に光がないぞ。おかしいぞ」

「周りが暗いからじゃない?」

いや違うこれ絶対違う選択肢間違えたらなるやつきっと野々原渚かもしれない。

________________

あの後俺は水原先生の息子…ってかまぁあれも後の水原先生なんだがとりあえず今は和真って呼んどく。

和真に叩き起され正式に目覚める形となった。

気絶中も有用な話が聞けたし無駄な時間ではなかったといえばなかったが。

まぁ寝てるだけでお嬢の機嫌が治るかといえばそんなはずもなく。

結局今の今まで仲直りは出来ずこうなった。

「もう許してくれや…」

「いきなり人の下着の詳細言っといてよくそんな事言えるよね」

「違うんだってあれは焦っていて咄嗟に出た言葉であって」

「咄嗟に『白のレース』っていうのも中々の変態さんだけど一体何のせいで焦ってたのかな〜?」

「あっやべ」

ほんと意識してないしあんなでかいのあったら誰でも見ちゃうだろ!って言いたい所だがその道は自分で封鎖してしまったようだ。我ながらバカすぎる。

「どうせ私みたいなちんちくりんより紗枝さんみたいなおっきい方がいいんでしょ!」

とうとうシナは拗ねてしまったようだ。いや俺としてはシナが一番なんだけど多分今それを言っても逆効果だろう。ここはもう黙って荒波が過ぎるのを待つべきか。

むしろここで一か八かの賭けに出るのもありかもしれない。何処かの伊藤なんちゃらさんだって命を懸けたギャンブルで勝ちをもぎ取ったのだから俺だってやれば出来るはずだ。

「俺はシナの身体しか興味ねぇよ!」

…は?

これは流石に…いや、ドン引きレベルだろう。自分でも何言ってんのか分からない。いや逆に分かり過ぎて分からない。

俺はバカなのだろうか?バカなのだろう。女の子に身体にしか興味無いとかもう、もうやばいね。語彙力損失するくらいはバカな発言だ。

「…変態…」

まぁそりゃそんな烙印を押されても仕方が無いよね変態だよほんとに。

「…私こっち見てるから隼人はあっち見てて」

「はい…」

逆らえない。致し方なく反対の方向を見張ることにした。

…ほんと、こういう所なんだろうなぁ…モテないのって…別にいいけどさぁ…

________________

隼人は、直球で言えばバカだ。

水原先生とは余計な事言ってよく喧嘩はするし、女の人を見るとすぐえっちな目線になるし。

きっとここまでバカな人も数少ないと思う。

それに、こんな私でも隼人は守ってくれるし、照れ隠しだけのつもりだったのに予想外の返しでドキッとさせたりもしてくる。

「…ほんとバカ…」

こんなバカを好きになった私もバカなのかもしれない。

だけど、私はこの人が好き。

多分それはもう変わらない。

…一生、一緒にいたい。

________________

「まったく…全然仲直り出来てるじゃないですか」

空高いところから監視をしている機械は周りだけでなく2人もしっかり見ていた。

「彼女の気持ちにやっとこさ気付けたのにやっぱり鈍い男ですね…」

人の恋路は見ていて楽しいものだとあの人は言っていましたがそういう事だったのか、とようやく理解することが出来た。

「確かに見ていて飽きませんね」

思春期真っ盛りの2人、感情がコロコロと変わり怒ってるかと思いきや照れ隠しだったり笑ってると思いきや泣いていたり、と機械では成し得ることが出来ないことをしているのを見ると感動と同時に面白さもある。

「…まぁ、頑張ってほしいことには変わりありませんがね」

お互いしかお互いの事を幸せに出来ない、という事もしっかり分かって欲しいところだ。他人が口出しすべきではないし見届けるくらいしか出来ないが。

「いつか、式を挙げる時には呼んで欲しいものですね」

とと、これは機械の言うべき事じゃないか。失言失言。

「…ん?」

なんだろうか。もうそろそろ人がいなくなろうとしてる時間なのに熱反応が複数ある。

…しかも反応してるにしてはやけに体温が低くないか…?

「…もしかして」

…これはすぐさま報告すべきだ。

この人数、遅れれば悲惨なことになりかねない…!

________________

「こちらスカウト、マスターの見ている方角から複数の反応を検知、数は40、と言った所でしょうか」

「…何も見えないんだが」

「えっ、いやそんなはずは…よく見てみてください」

コスモスに言われるがままに一点を見続けたがやはり何も見えない。

「…まさか」

えっなにまさかって。

「気を付けてください!相手は光学迷彩を使用している可能性があります!」

「なっ…」

「下がって!」

突然の言葉に無意識に身体が動いた。

と同時に背景がぐにゃんと少し歪み自分の立っていた地面にヒビが入ってるのが見えた。

「うっわ…」

地面にヒビ入れるとかどんだけ馬鹿力なんだよ…!

「…隼人、どういう事なのかは、見たまんまだよね」

「そうだな。俺には何も見えてないが敵がいるってのはわかった」

きっとシナは見えているのだろう。あの声掛けは勘ではなくしっかり見えていた上でのものだと思っている。

「シナ、敵は…40近くいる?」

「うん…コスモスの言ってた通り、40きっかり、ただ…」

「どうした」

「…あの人がいる」

シナが指を指した先には俺も知った人物がいた。

現時点で今この世で1番殺したい相手。

「…マスター、やっぱりいますよね…」

コスモスも合流した所で奴は口を開いた。

「やぁ。こんな夜分遅くにどうも」

霧萩影真は不敵に笑っていた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終章
進行


「よう、元凶」

「酷いなぁ。僕はこんなに舞台作りをしたってのに」

「人を殺して従順な奴を壊して脅しの手紙まで押し付けておいて舞台作りだぁ?お前寝ながらここまで来たのか?」

「そうだねぇ確かに今の僕なら寝ながら歩行も出来るけど」

「お前の事聞いてないぞ黙って死ねガキ」

「わぁ理不尽。こんな大人に負けないで頑張るぞ」

無駄な口論が続く。聞いての通りほんとに無駄なのでさっさとこいつを殺してAPを取りたい。

「…お前だろ?あの手紙」

改めて聞き返した。無論聞くまでもないし無意味なことを言うとも思えないが。

「そうだね」

「理由は?」

「うーん理由って言われると答えづらいよね」

「お前独自の感性なんか聞いてねぇんだよさっさと答えろ」

「またまたぁ。分かってるくせにぃ」

ヘラヘラと奴の口は止まらない。

分かってはいる。いや、分かっているというかこれは『予測』ではあるが。

「…分かるの?」

「なんとなく、な」

そう、至って単純。

俺らには理解し得ない謎の行動力ではない。ましてや論理的な行動でもない。

奴のふざけた性格を冷静に考え直してみれば分かることである。

 

「そう、言うなれば…」

 

「「余裕」」

 

「ってやつだろ?」

 

そりゃそうだ。

そもそもあんな手紙をあいつの家に届けた所で何らかの対処が来るのがオチ。

この家の人なり先生を狙うなりしたいなら闇討ちすればいいだけの事。それにこいつは闇討ちが嫌いな訳でもなんでもない。むしろ計画の為には手段を問わぬ程のクズだ。日本人のくせに侍精神というものが無い。ほんまクズ。死ね。

そんな奴がわざわざ行動の阻害になるような事なんてする訳が無い。無意味だ無駄だ愚かしい。

ならば考えられるのは一つしかない。それこそが『余裕』。

「ほんっと腐りきった性格しよってからに…」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

なはは、と頭を掻きながら笑う。

「…さて、わかってると思うけど僕はこの家に用事があるんだ。退いてくれないかな?」

「退くと思ってんのか」

「まぁ想定範囲内だけど」

影魔は指を鳴らすと視界が一気に歪み、何かが襲いかかってくるのがわかった。

「しゃがんで!」

「ヘェイ!!」

「なんですか今のなっさけない声…」

仕方ないでしょ。襲ってくるのがわかっても光学迷彩でほぼ見えなくなっているため攻撃方法など分かるわけもない。シナの指示なしでは1秒で死ぬ自信がある。

「わりと今の状況ダサいですよ」

「るっせぇ!無理なもんは無理だ!手伝え!」

「はいはいマスターのご指示とあらば」

すぐさまコスモスが前線に出ると天高く飛び照準をこちらに絞って何かを撃ちこもうとしていた。

「…一応聞くが、何をするつもりだ?」

『大丈夫です。直撃しなきゃ死にゃあしません』

「マジで何撃ち込む気だよ!」

『では行きますよ〜』

「軽い!」

空から大量に降り注いできたのは、何かの塊。雨のように降り注いだ為逃げ切るとか当たり前のように無理であったがすぐに何が撃ち込まれたのかがわかった。

「…!チッ…これは…」

「ペイント弾…!」

「しかもこれ、蛍光塗料付きか…!」

時間も夜、暗闇ではすぐに見失う事も考慮してか対策はバッチリのようだ。最初からやってほしかったが。

「ナイスだコスモス!」

『もっと褒めてもいいんですよ』

「やっぱやめとくわ」

「酷いですよ」

「もう戻ってきたのかよ!」

「まぁ、そんないけずなマスターも好きですよ」

「いきなり愛の告白やめて?」

「ちょっ、コスモス!隼人は私のモノだからね!」

「覚えておくといいですよ支那美さん。こういう悪女が世の中にいることを」

そう言うとコスモスは機械なのに何故か柔らかい大きめの双丘が俺の腕に押し付けてきた。そんな事されるとまた余計な事に巻き込まれるためご勘弁頂きたい。めっちゃ柔いやんこれ。

「今絶対えっちなこと考えてた!」

「考えてましたすいません!」

「隼人は後で殴る!コスモスはお説教!」

「差が」

「今はそんなことよりあれの討伐を優先!」

指を指した先はずっと無視され続けてきたことでか分からないが怒りが溜まった影魔がいた。

「…君、余裕ぶってきたのにここまで無視してくれるんだねぇ」

「わぉ、お怒り?」

「けっこうね」

「のわりには攻撃してこなかったし実はツンデレさん!?うわキモッ」

「これも余裕、と捉えてくれて構わないよ。最もそっちも余裕そうな顔で来られると困るけどね」

ふぅ、と一息つくと息を吸い、また言葉を発する。

「最後の警告だ。退かないと、ここらが血の海になるけど」

「そんな蛍光塗料塗れの軍団連れて言われる筋合いねぇなぁ…それにその血、全部お前らのだからな?」

「まったく…これだから君は…」

やれやれ、と一言。

「全力で行くよ」

「勿論だとも。お前を殺して終わりだ。影魔」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

意味

「お前は昔は武器を使うやつだったのになぁ」

「はは、流石にそれだけじゃ芸が無いってもんだろ?どんな時にも対応できるように素手の戦いも心得てなきゃね」

「まぁな、武器があっても失っちゃ無力、奪われたら逆に劣勢になる諸刃の剣だもんな。その心がけはいいと思うぞ」

「君に褒められるのはちょっと気持ち悪いね」

「俺もそう思う。自己嫌悪が半端ない」

無駄な喋り合いをしてるように思われるが、本当にその通りである。

影魔と俺の1on1、まぁガチバトルの真っ最中である。そのくせ口は止まらんが。

顔に来るストレートをいなし、カウンターのボディブローを決めに行く。が、それも捌かれ後頭部に一直線で裏拳が飛んでくる。しかしこれも捌き腕を掴み一本背負いを決めに行く。でもそれを読んだかのように振りほどき…とカウンター合戦が延々と続いている。

ちなみに見えない敵の方はシナとコスモスが全て叩き潰してくれてる為こちらには邪魔が入る事は無い。また、この試合は俺が望んだためシナ達にも入らないようにしてもらった。どこから狙われてるかわからんし1人なら避けれるからである。

「…先生を殺す必要があるのか」

「勿論。邪魔だから」

「なんのだよ。あいつはうざいがこの一件には関係の無いはずだ」

「ノンノン。関係ないってことなんてありえないんだよ。君が関わってる時点でね」

「なら俺が関わりあいをやめれば…ってもう遅いか」

「あぁ、もう何もかも遅すぎたんだよ。君も、彼も、そして彼女もね」

「…なんだと?」

長いカウンター合戦が続いたが影魔が俺の掴みを捌いたことでお互いが後ろに下がり構えをやめずに睨み合う。

「君は気付いてないんだね、過去も、今も」

「…気付いてたらとっくに最善策を張ってる。今の俺にはさっぱりだ」

「半信半疑、って所かな?」

「7割がた信じてるよ。少しの疑いがあるってぐらいだ」

「ふーん。なら早めに君の悩みの種を取り除いてあげるよ」

影魔は突然手元を赤く光らせた。それはラノベとかでよくある、異世界で見るような魔法にそっくりだった。

「くそっ…!防御が…!」

「遅いよ!」

突如、光は最高点に達し、その光からは夥しい量の火炎がこちらに向かって一斉に向かってきた。

「マスター!」

声が聞こえたと同時に自分はとてつもない浮遊感に襲われた。

「うわ…!生きてる…!?」

「当たり前ですよ私が助けたんですから!」

コスモスが咄嗟に俺を持ち上げてくれたようで火炎からの危機は脱した。

「てか火!火!」

「大丈夫です。その辺の消火栓大量に破壊しといたので」

見るとあちこちから水が吹き出しておりいつの間にか火炎が消しさられていた。

「…戻ってくる気はないようだね」

「当たり前です。貴方は私の事を破壊しました。元マスターであろうと、私はその行為が許せない。それだけですよ」

「だが君は彼女を」

「だからなんだって言うんだ」

言い終わる前に俺が割り込んだ。

「こいつはお前に囚われ、お前に怯えて生活していた。感情という機能を搭載したくせに常識的な、女の子らしい生活を送らせてあげないお前が全部悪いだろ」

「…マスター…」

「それにな、それを分かり、その気持ちを理解できたからこそこいつを仲間に入れた。しっかりシナも通してな。だから失ったお前にグチグチ言われる筋合いなんかねぇ。死んで出直せ」

「…うるさいよ」

「はぁ?うるさいってお前…」

「うるさいうるさいうるさい!お前は僕の苦悩がわからないだろう!誰からも認められず認められたと思ったら落とされる!やっとここまで登り詰めた地位も全て消えた!僕は…認められなきゃいけないのに!」

影魔は声を荒らげ感情的に吐き出した。それは俺が見た事のない影魔だった。

「なのにお前は!僕に創られただけのゴミのくせに!何故僕より良い生活を送っているんだ!?天才になるための礎如きが!ただの駒が!何故!?」

…こいつはこいつなりの苦悩があった、らしい。確かに研究員共々こんなガキが自分より地位が高けりゃ思うところはあるだろう。自分とは比べ物にならないほどの実力差がはっきりと知らしめられるのだから。だからこそこいつ自身はそんな大人の『悪意』と言うやつから地位や信頼を下げられ尚、ここまで登り詰めたのだろう。

だが。

「それがお前の『俺らを襲う理由』ってやつか?そんなものじゃ俺らは砕けないぜ」

「それは貴方が劣等だからじゃない。私たちとの実力に差がある訳でもない」

 

 

 

 

 

「「お前(貴方)との『誰か』の為にあり続ける意思の差だよ(です)」」

 

 

 

 

「…はは、なんだよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんなんだよぉぉおぉお!!!!!」

影魔の身体が突然帯電し始める。

「何が意思だよ…その誰かは…俺の為じゃダメなのか…?俺自身の為、全ては自分の為じゃダメなのか…?何が違う…お前らの…その自己満足の『友情』と何ら変わりねぇじゃねぇか!!」

影魔の帯電量が更に増え始める。

「マスター!離れますよ!」

「頼む!」

流石に近くにいるのはマズいと悟りコスモスの身体を強く掴む。

コスモスはすぐさまその場から退避を始める。

「なんだ…何も変わらないじゃんか…お前ら3代目だけじゃない…2代目も…初代も!」

…何を言っているんだ…?

「…!マスターマズイです!このままだと周りの被害も…!」

影魔は先程とは比べ物にならないほどの電力を帯びている。

「何かを撃ち込んで被害を…」

「いやダメだ!プラズマは固体、液体、気体のどれにも当てはまらない状態、いわば第4の状態だ!水や炎と違い何かを撃ち込んでも気体や液体ではないから被害を抑えられない可能性もある!」

そもそもプラズマというのは電磁場と荷電粒子群が相互作用する複合である。水が駄目なのは勿論の事、弾丸を打ち込んでも磁場で通らない可能性もある。その他の方法も無くはないが周囲に被害が出ないとは言い難い。

…打つ手無しか…!

「コスモス!俺が受ける!下ろせ!」

「は!?そんなことできる訳が無いでしょう!私が…!」

 

 

 

 

 

 

「なら私がやればいいんだね?」

「「え?」」

________________

…ん?ここは…

「目が覚めましたか」

「…コスモス」

「マスター、あの時に少し気を失ってしまったみたいで。周りの安全も確保出来ましたし下ろさせていただきました」

「…そうか。ありがとう」

そんなことより気になる事がひとつある。

「先程の声の主ですよね」

「あぁ…」

あの声は間違いなく、シナであった。彼女が咄嗟に俺達や周りの被害を抑えてくれたと思ったのだ。彼女の事だ、やりかねない。

「…あの方は支那美さんではありませんでした」

「…なに?」

俺があの声を聞き間違えるわけがない。何百、何千と聞いた声だ。

「…家に戻りましょう。全てがわかります」

コスモスは立ち上がり、先生の家へと歩行を進めた。

俺も立ち上がり、後を付いて行く事にした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

理解

「戻ったか」

「あぁ、なんとかな」

家に戻ると先生が待っててくれた。

「嫁と息子は寝かせといた。刈谷がリビングにいる。じっくりと話そうか」

「…そうだな」

じっくりと話そうか。つまり何が起こっているのかこいつにも凡そしか分かっていないという事だ。

ここで立ち話もあれだ。早速リビングへと向かった。

_______________

「隼人…!」

「おう、心配させて悪かったな」

リビングではシナが座って待ってくれていた。目が少し赤くなっていて、申し訳ないことをしたと思った。

そしてそこにはもう1人、俺が知っている女性がいた。

「やっほー隼人君、元気にしてた?」

白髪セミロングの女性、先程も言った通り俺の知っている人物だった。

「…何故八島先生が?」

そう。現代の俺の通っていた学校の教師、八島楓花先生がこの過去の家に来ていた。

理由なんてわかるわけがない。そして何故理由がわからないのか、なんて考えるまでもない。わからないから。

「…?八島先生?何を言っているのですか?この人は…」

「おーっとコスモスちゃんそこでストップね?まだ舞台役者が一人いないから」

「…俺の事か」

後ろから水原先生が八島先生に聞く。

「そうですそうです。ささっ、座ってください。『じっくり』話しましょうね」

________________

「…さて、八島先生とやら。この話の全貌を聞きたいのだが」

「またまたぁ。水原先生は分かってらっしゃるんでしょ?」

「……………」

「…ほんとに分かってるのか?」

「……ある程度はな」

「コスモスちゃんはその一部が分かってそうだけどね〜」

「その前に聞きたいのですが。貴方はどちら様で?」

「あぁ私ね、大丈夫。そのことも含めて全て話すから安心して支那美ちゃん」

「…始めてください先生」

八島先生は手を口の前に当てオホン、と言い話を始める。

「まず私の事から。八島楓花、現代、2016年の白石高校の教師にして因果の理の48回目を体験した者」

…は?

「そして今は」

「ちょいちょい待て待てストップ」

のっけから止めざるを得ない言葉が現れたのだが。

「因果の理って何?」

ナイスシナ。それに関して聞きたくて今止めた。

「…あぁ、そうか。この時期じゃまだ知り得ないことだもんね」

ごめん、と一言いい、シナの問いに答え始める。

「因果の理って言うのは私達が囚われた無限ループのようなもの。具体的には違うけどこれに囚われ続けている私達は永遠とこの地獄の未来が変わることは無いの」

ポカン、としていた。開いた口が塞がらないとはこの事である。

「そして私は48回目を旅した者。支那美ちゃんは49回目の旅人って事になるね」

「私が…49回目?」

「おいおい待ってくれまるで意味がわからんぞ」

仮に八島先生が因果の理の48回目だとしよう。まぁよく理解は出来ないが。

だったら何故シナが49回目なのか。普通に考えればもう1人…いや正確には49人目の八島先生が49回目の旅人ということになるのだろうか。

もしかしてこれはバトンタッチ形式なのか?いやそうだとしても八島先生がこの時代に来れたのが納得いかない。そもそも彼女が何故ここに来れた理由すらわからない。どんな超次元理論にたどり着ければここまで来れるのか。

「…いや、待てよ?」

そもそも前提が違ったってのか?ならむしろ逆から考えよう。

『来れた』ではない。『来なければなかった』を考えろ。

彼女は48回目だと言った。シナの事は49回目だと言った。

彼女はシナの事を知らない筈なのに名前を的確に答えた。確かに待っている時に聞いた可能性もあるがそれならその時にシナは彼女に名前を聞いたはずだ。なのに分かっていなかった。

それだけじゃない。コスモスや、水原の事もしっかりと認識できていた。

それならばこの3人に一方的に関わりを持ったことのある人物…?

そんなやつなんているわけが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いた」

 

 

 

今、わかった。

彼女が何者であるか。何故皆の事を知っていたのかを。

「…なんで言ってくれなかったんだよ。『シナ』」

彼女、白髪セミロングの彼女に向かってそう言った。

「…やっと気付いてくれた?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

全て

「そ。因果の理の48人目にして2016年にて高校の教師、八島楓花であり1世代前の『刈谷支那美』だよ」

にこやかにこちらを見ながら彼女は自分の事を説明する。

「…だからか」

コスモスが何を言おうとしたか分かった。彼女の事をきっとシナだと伝えようとしたのだろう。確かにどれだけ見た目や喋り口調を誤魔化せても中までは誤魔化せない。それが『人間』であるから。

「だが…何故水原まで知っている?」

「あっちゃ。先生言ってなかったんですか?」

「…そりゃな。分かってて言ってるだろ」

「まぁそうですけど。ふわっとしてても説明くらいはしといた方がよかったんじゃないですかね?」

「もう遅いだろこの状況…」

「何の話をして…」

はぁ…と溜息を吐き水原は頭を掻き始める。

「…お前らには黙ってたけどな、俺は元々組織の人間だった」

「…!?お前、それって…!」

「心配するな。今はもうそんなことに手は染めちゃいない」

心配するな、だと?

違う、俺の言いたいことはそうじゃない。

俺は思わず水原の胸倉を掴む。

「何故っ…何故俺らに黙ってた!?」

「隼人っ!」

「…伝える必要性がなかったからだよ。お前らに余計なこと、知ってて欲しくなかったしな」

「だからって…」

「元々な。お前が組織にいた事すら知ってなかった。あの時、忍び込むって話をされた時に初めてお前が組織と関係してるって知ったし」

俺は手を緩める。

「…大体な。俺が例えあんな状況で組織に関わってました、なんて話したって状況が進展したと思うか?それどころかその情報はお前の判断能力を鈍らせる原因となっていたかもしれない。大事な時にそんな事言えるかよ」

「…俺達を信用していないのか?」

「逆。寧ろ信用してたから俺自身の事についてあまり巻き込みたくなかった。お前や刈谷は必ず首を突っ込んでくると思ったからな」

「…当たり前ですよ。先生なんですから」

こいつは…俺らを気遣ってくれていたのか。余計な一言や俺に対する罵詈雑言は全て、距離感を保つため。

…やっぱあんたはあんただな。

「…大体事情は分かった?」

「あぁ」

確かに水原が組織に居たのならこうなることは予め予見されていたのかもしれない。だが確実性はない。だからある程度か。

「そして私が今ここにいる理由。それはこの因果を断ち切るため」

「…ループから抜け出し新たなる未来を迎えるってことか」

「そう。そのために私はここに来た。そしてこれは前回までのループでは起こらなかった事」

「それは…どうしてなの?」

「簡単だよ。皆死んでるから」

「なっ…!」

「私達は歪んだ未来を変えようとした。だけど結果はいつも同じ。必ず『隼人君』、『私』、そして『先生』のいずれかが死ぬ。因果の理は必ずこうなる運命であり、この運命を変えられない限りここから抜け出すことは出来ない」

「…なら前回の生き残りはシナだけって解釈でいいか」

「合ってる。隼人も先生も私を残して死んじゃったから」

彼女からは少しばかり瞳から涙が覗いていた。残されるものの気持ちというのは確かに辛い。それは俺もよくわかっている。

「どうして過去の私はこの世界に来られたの?流石に時を超えるというのは不可能だと思うんだけど…」

「…!いや…出来る…!」

「えっ?」

「…時空間干渉装置。刈谷を生き返す時に使った、過去の世界では2つしかない装置だ。あれは確か校長の元にあるはず」

魂の時を戻すのならやり方次第では人1人過去に戻すことも訳ないはずだ。

「半分正解かな。だけどもう半分はハズレ、と言うよりかは答えが足りないって言った方が正しいかな?」

目を閉じていた過去のシナはこちらに視線を変える。

「ヒントはもう持ってるはずだよ。何せもう2回も会ってる筈だからね?」

…!まさか…

「…オメガ」

「…オメガ?」

「当たり」

にひっと笑うと彼女は立ち上がる。

そして突然、彼女から光が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ま、これで意味は理解出来たでしょ?」

目を開けると彼女の隣には、見知ったようで少しばかり雰囲気の違う少女が立っていた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オメガ

「宿主、再三言うようだけどあまり過度な顕現はよして欲しい」

「あはは、ごめんごめん。今回は必要だと思ったからさ」

「既に知ってる人がいるんだからその人に話してもらえばいいのに…」

「実物見てもらった方が早いでしょ?」

「物扱いしないで」

オメガは出てきて早々過去のシナと口喧嘩を始めたが一方は軽く流したように話している。

「…という事で。隼人君は知ってると思うけどこの子はオメガ。私の中に宿ってた…なんて言えばいいんだろう」

「まぁ守り神みたいな感じかな。具体的には全く違うけど」

「守り神ね…こんな子供っぽいやつがね…」

「今君私の事若干馬鹿にしたよね?私は君のこと知ってるんだけど?」

「そりゃ前のループがあったからだろ」

「いいや、それよりもっと前。そうだな、君が直属の配下だった時、とでも言えばいいかな?」

「…へぇ」

水原は小馬鹿にするような態度から一変して急激に真面目な態度をとる。それは誰も見たことのない顔であった。

「じゃあお前は俺の当時のこともわかってるってことだな?」

「流石にそこまでは。ただ君が組織という所にいた時、誰の元で命令を受けてたのかは分かるよ」

それに、とオメガは続ける。

「彼女はまだ生きてる」

彼女、とは一体誰なのか。分かるはずもないのだがその人物を知りたいという知的好奇心は止まらなかった。

そして、聞いてしまう。

「誰なんだ?その彼女ってのは」

聞くことではないのは空気感で分かる。それに組織にいたと言っても誰の元で、というのをこんな状況でも話さなかったということはあまり他人に喋りたいことでもないのだろう。

だが今は別だ。得られていない情報を集めないと全てが解決しない。

「時の観測者だよ」

…なに?

「俺が組織にいた時についていたのは時の観測者…灘 芙佳」

灘 芙佳だと…?そいつは組織のトップでは…

…いや、そうか。

組織のトップだからこそ、あまり人と干渉しないし正体を隠すにはぴったりってことだな。

しかし、そもそも驚いた所は全く持って別のところ。

「お前、今時の観測者って…」

「あぁ、俺は時の観測者の横にいたよ。向こうにいた時はずっとな」

━━この話、コスモスには話したんだがな。

「コスモス…!お前知って…」

「…考えがまとまらなかったんです。時の観測者が何故この時代の観測をしているのか」

そりゃまぁ観測が仕事だからな。過去の観測も重要だろうに。

「私が言いたいのはそうではありません。何故この時代に固執するのか、って事なんです。過去に起こりえた現象を観測し、記録し、そしてそれを組織全体に提出すればいい。それだけで過去の観測ははい終了次に行きましょうってなるはずです。なのに異様にこの時代だけ観ているってのが不思議で仕方が無いんですよ」

━━それに。

「私だけではないはずです。皆さんは誰かに見られている、って事、薄々勘づいてますよね?」

「「!」」

その言葉に反応したのは俺とシナだった。

「…あぁ」

「…うん」

シナもだったのか。だったら水原とかも分かってそうだな。

「…ずっと誰かに見られているような…しかも1人2人じゃなく、すごく沢山の人に…」

「それはきっと観測者が直に流している、言うなれば生放送みたいなもんです。きっと今、この会話も見られているのでしょうが」

やはり俺が感じたものは間違っていなかったようだ。何かを期待するような、薄汚れた欲望の何かがこちらを覗いていることを。

「…なら、だからって私達はどうすれば…」

「変えればいいんだよ」

発したのはオメガだった。

「何かに期待されているのなら、君達の未来そのものをひっくり返せばいい。ループするとはいえど君たち自身の命は1度きりでしょ?その命を使って、起こりえない未来を起こしてしまえばいい」

「そんな無茶苦茶な…」

「無茶苦茶で結構。ただし君達はそのまま果てることになるよ?だってこれが生放送、と言えば聞こえはいいがかもしれないけど同じことが何回も繰り替えされてるならそれはビデオを何回も再生しているのと変わらない。ならば君達の生き様を、これを見てるヤツらに教えてやればいいじゃない。自分達は、ただの『物語のキャラ』じゃないって所をね」

なぜ、ここまで湧いてきたのかは分からない。

だが、今目の前の少女に確実に俺達の生きる意味を与えてくれた。

そうだ。俺達は操り人形じゃない。

皆が死ぬってのが起こり得る未来なら。

「…なら誰も死なせはしない。もう、二度と」

「隼人…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今お前らはこれを見ているか?

こういう展開もよくあるだろ?

だからこそ、必ずお前らが思うような終わり方にはさせない。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そして夜に

「刈谷は?」

「寝かしてきたよ。ついでにもう1人の方も」

「そうか」

用意してくれた部屋は幸いにもベットが2つあったので2人で使ってもらった。俺に関しては1度意識ぶっ飛んでる時間あったし最悪寝ないという選択肢もある。後者の場合はこいつにも朝まで付き合ってもらうことになるが。

それに、俺も話し足りないことがある。

「なぁ、時の観測者ってのはなんなんだ?」

「それはお前がわかってるだろ。観測するものさ」

「違う。俺が求めた答えはそれじゃない。俺の聞きたい答えはどんな人物なんだ?という事だ」

「それは…言っていいものなのか」

「口止めでもされてんのか?」

「別にされちゃいないが…まぁそうだな、この時期だしもう知られても問題は無いか」

ふぅ、と一息つくともう一度俺の目を見て答え始める。

「時の観測者は先程も言った通り、灘 芙佳。組織のトップにしてその裏で時の観測者として動いていた人間さ」

「…灘はどんな人間なんだ」

「優秀な奴だよ。管理職として職員1人1人のバイタルチェックもするし何かあれば自分から動く。まぁこういう上司が欲しいなってレベルでは優秀。というかお前自身は知らないのか?」

「俺はそこまで関係が深くなかったからな…俺自身興味がなかったといえばなかったんだが」

「あいつは隠居生活続けてたらしいからな…仕方ないといえば仕方ないのだろうが」

そもそも名前を聞いたことがあるだけで顔なんて見た事がない。それ程までに人と関わるのを避けていたのだろうか。

「あと、これだけは言わなければいけない」

「なにさ」

落ち着いて聞けよ、と彼は言う。何を落ち着けというのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「灘は、多分初代だ」

 

「…何?」

 

思わず、聞き返してしまった。

「何を根拠にそんな…」

「あの内部機関の存在に決まってるだろ」

内部機関、オメガの事を言ってるのだろうか。

「…俺の立ち位置は誰にも話したことがなかった。仲のいい、それこそ帝や白柊にもな」

「随分なもんだな。仲が良いのに言わないたぁ」

「言えるわけないさ。なんせあの頃から組織は事を荒立ててたんだからな」

「…もう数十年も前の話からか?」

「組織が生まれた時期を考えたら数十年単位じゃ安っぽいもんかもな。もっと、百…いや千は行くだろう」

「そんな前から…」

いや、考えてみれば当然なのかもしれない。

時の観測者はその名の通り『時』という概念を観測している。ならば数百、数千の時なぞ造作もないほどに観ているのだろう。数十年如きで観ているなんて烏滸がましい程には。

「覚えてるか?例の病院の医院長が犯罪者だったっつー話」

「…また懐かしいものを」

言うて半年も経ってない。懐かしい、と括るものでも無いが如何せんこの数ヶ月間色んなことが起こりすぎた。濃すぎた毎日のせいであんなもの1つの日常レベルにまでランクダウンしていたらしい。末恐ろしや。

「あの医院長、お前の言ってた通り過去に大型金融機関の社長補佐を務めていたんだがな、元々あいつはヒラもヒラ、低レベルの職員だったんだよ」

「へぇ、やっぱりその程度の器だったわけね」

まぁ金欲に溢れた奴なんか総じてまともなのはいない。社会的に見てもそんなやつは底辺よりマシレベルが頂点に立つものくらいだ。

「んでなんでその話」

「そいつはおおよそ10年前に突如上まで登り詰めた…なぜだか分かるか?」

「いきなりなぞなぞ出されてもなぁ…まぁそういうのは大抵なんかデカい所をバックにつけたとか邪魔者は消したとかそういうもんだろ」

「大正解」

「マジ?」

「マジ。奴は組織を味方につけた。それだけでどうなるか…なんて想像に容易いよな?」

「…人間抹殺とその情報の隠匿?」

「あぁ。そうして社長補佐にまで君臨した。圧倒的地位を得る簡単な方法さ」

つまりそいつはどこかで組織を仲間につけ、邪魔者を消し更にそいつらの情報を隠匿…まぁこの場合は情報操作だろう…そうして一気に社長補佐に辿り着き絶対的な地位と金を自分につけたかったのだろう。

「分かっただろう。組織は自在に情報を操る力を持っている。それは10年前だけじゃない。俺らが高校生だった、更に10年前の事だってそうだ。知っていたのは俺、帝、白柊、そして坂元という人間だけだった」

「その坂元って奴は?」

「死んだよ。組織との争いでな。多く語る程でもない」

「そうかい」

「話が逸れたな。先程も言った通り俺は誰にも自分の立ち位置の話はしたことがない。あいつらは組織に根強く恨みを持っていたから話す事もままならなかった。だからそれに関しては知るはずもない、のにだ。あのオメガ、と言う奴は知っていた」

「…そうか、オメガは確か」

「そう。俺も正確にそれをこの目で捉えたことはないが精神に代々何者かが宿ってる、というのは本人から聞いたことがあった。奴が俺を知ってるということは灘にも宿っていた、ということしか考えられん」

「…そういう事か」

…だったのならばなぜ灘…いや初代は時の観測者なんかやっているのだろうか。しかも子孫の死を傍観するようなマネを…それを見て楽しむ変態か…もしくは

 

 

 

「干渉できない?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

分かる、変わる

「だろうな。そうとしか考えられない」

それならば説明もつく。手を出さないのではなく手が出せない。

時の観測者に力は無い。権力、という力はあっても所詮その程度じゃ歴史を動かすなんてことは出来やしないのだから無いのに等しいのだ。

それにこの歴史上で起こる誰かの死。これに干渉してくる一番の敵は間違いなく影魔だ。その影魔を時の観測者は放置している。それは即ち時の観測者という立場で何を言ったって歴史は変わらないということなのだろう。先程も言った通り権力以外の力はないわけなのだから権力という力を失った今正面切って影魔に勝てる見込みなどあるはずもない。

「…委ねられてるってことか」

「そんな所だろう。傍観主義者ではないと自分で言っていたしな」

俺らがこの未来を変えるしかないってのか?

また随分な…まぁいいか。

「いいさ。その程度の未来、変えられないようじゃシナを守るなんて到底出来ないしな」

「強いな」

「そうでもねぇよ。あいつがいるから強くなってるだけ」

実際ドーピングみたいなもんだ。これが愛の力ってやつか。そんなんアニメの世界だけだと思ってたが。

 

 

 

ピリリリリ…

突如その音は鳴る。

「…電話?」

「こんな時間帯にか?」

どうやら俺の携帯からのようだ。

充電してないからそんなに残ってないんだがな…

「…校長からじゃん」

電話の主を見て若干驚いてしまった。まさかあいつから電話をかけるなんて。

またなんか変なこと言われんのかな。

「もしもし」

「…もしもし」

「なんだよこんな時間に。もう深夜だぜ?」

「あぁ、悪かったね。ちょっと聞きたいことがあってさ」

「…朝で折り返しでいいか?眠いんだが」

「いやいや、今知りたいんだよ。寝たら忘れちゃうかもだしね」

「めんどくせぇ…で、何?」

 

 

 

 

 

 

「今支那美ちゃんは何処にいる?」

「何処って…普通に家だけど」

「…そうか」

「え、何?ほんと何キモイんだけど」

「今すぐ支那美ちゃんの所に行って確認しにいけ!今すぐに!」

「はぁ…?何を言って…」

「急げ!私が時間を」

 

 

 

 

 

 

ブツン…

「…切れた」

「なんて?」

「…ちょっとシナの所行くぞ」

「おい!」

________________

「シナ!」

思いっきり扉を開けた。

校長の様子がおかしかったから。それが一番だろう。あいつが意味なく俺らを撹乱するとは思えない。

…だが、様子がおかしかったのは校長だけではなかったらしい。

「…っ!」

「おい中村、何や…って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がシナを寝かせてた部屋は、惨劇を物語っていた。

「楓花…!」

部屋は血で染まり、床には血溜まりが出来ていた。その血の元は、楓花のものであった。

急いで駆け寄り脈拍をとる。

「…クソっ!」

もう既に楓花は息絶えていた。腹は裂かれ五体満足、という訳でもない。こんなんで生きているほうが不思議である。

「…いつ入られた」

「俺らが話してたのは10分ちょい…その時間だけでこんな事が…」

…可能な奴がいる。影魔だ。

先程の電話の時にもきっと、影魔が居たんだろうか。

「ふざけんな…」

俺らにここまでして何が楽しい?もう嫌だ。もう…

「しっかりしろ!」

ふと我に返る。水原がこちらを見ながら声をかけてくれたようだ。

「…きついかもしれんがこの状況に呑まれるな。それよりも今は刈谷の方も気にしろ」

「…そうだ、シナは…シナは何処に…?」

…殺したいならここで殺せばよかった話だ。なのにここにはシナの死体がない。

「連れ去った…のか?」

「そう考えるのが妥当だろうな。何故かはわからんが」

連れ去る理由がわからない。あいつとしては邪魔者は即刻消し去るのが効率的だろう。

実際楓花はここで殺された。ならばシナをここで殺したって死体が1つ増えるだけだ。あいつにとってそんな事どうだっていいはず。

「…逃げたという線は?」

「無くはないだろうが…多分それはハズレだな。ならばそもそも悲鳴なりなんなりあげればいい。助けを乞う声が聞こえなかった以上、眠っていた時に襲撃されこいつを殺害、刈谷を連れ出すというのが一番有り得そうではあるがな」

「そう、だよな…」

ならばどこに連れ去られたというのか。

「…待てよ?」

そういえばあいつは…

「なぁ、コスモスはどこ行ったんだ?」

「知るわけねぇだろ。俺だって気付いたらいなくなってたんだから…」

…まさかとは思うが。

立ち上がりすぐさま玄関に向かう。

「おい!どこ行くんだ!」

「シナん所に決まってんだろ!」

後ろから水原が追いかけてくる。

「場所はわかってんのかよ!」

「…場所はわからないがな、校長の所にならなんかあんだろ」

「なんで学校なんかに…」

「ヒント漁り、って言えばいいか」

玄関で靴を履く。

「…何言ってんだが全くわからんのだが」

「わかんなくていい、とりあえず俺は校長の所まで言ってくる。お前は家族の人達ビビらせんように色々始末しとけ」

「始末ってお前あいつの事丸投げかよ」

「じゃ、任せるから」

「おい待て!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関の扉を閉め、ゆっくりと学校まで歩き出す。

「…犠牲を無駄にしねぇ為にも必ず成果を取ってこんとな」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

犠牲、新しく

「さて、着いたはいいが…」

まぁ深夜帯だ。人通りもなく、それでいて物静かなのも仕方がない。

「…これ今更だけどガッチガチの防犯システムとかないよな?25年前だしないと信じてるぞ?」

警備巡回の人がいたらその時はその時だ。今日くらいはいい夢でも見てもらうことにしよう。校舎内で見る夢は最高に寝覚めの悪い夢になりそうだが。

________________

「意外に何も無かったな…」

警備の人がいるわけでもなく、また何か霊的な物が出る様子もなかった。

うんまぁ用事があってここに来たわけだし邪魔されても困るけど深夜帯の学校に来てアクシデントの一つもないとそれはそれで見てる側もシラケるだろうに。

ここに来るまでの道程を全部端折られてそうでなんか無性に腹が立ってきた。単なる予想だけど。

全くもってどうでもいい所で怒りを抱えながら扉に手をかける。予想通り鍵は閉まってなかったようだ。

「…ま、そうでしょうな」

あいつは襲われたんだ。外から見た限り窓を破壊された様子もなかったし多分律儀に扉から出ていったんだろう。余計な騒音も立たずに出られるし賢いといえば賢い。

扉を開け、隙間から中を覗く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ…」

これも半ば予想通りと言うべきか。

部屋の中はあちこちに傷がついており、床には血の跡がべったりと付着している。部屋は死臭で満たされていた。

血の跡はよく見ると研究室の方に続いていた。

「こっちの扉はやられてないみたいだな…」

という事は多分あいつが帰った後にこの中に入っていった、というのが正しいか。

研究室への扉を開けようとしたが、扉が重たく開けられない。

「鍵でもかけたか…?」

見たところ鍵のような物はなさそうだったが今からゆっくり探してる時間もない。ちょっと荒業だが強行突破で行かせてもらおう。

「せーのぉ!」

1人掛け声をし、思い切り扉を蹴破った。やってて少しばかり恥ずかしかったが誰もいないし問題もないだろう。

「…あー、そういう」

扉が重たかった理由もよくわかった。

その原因は扉を蹴破られた衝撃で吹っ飛び、目の前で横たわっている血塗れの女性であった。

「…もう4人、か」

この物語のメインメンバーも俺、シナ、先生、コスモスの4人となってしまった。

きっと校長の死は楓花の言っていた通りならば輪廻の理には何も影響がないのだろう。関係があるのはあくまで俺、シナ、先生のうちの誰か一人以上の死だ。コスモスだって、きっと破壊されても先の未来には関係ないと思われる。

それでも、だ。

「例えこいつでも、人の死には慣れないもんだ…」

今回で6回目だ。茉莉花、愎華、シナ、コスモスの破壊、楓花、そして校長。

この数ヶ月間でこんなにも死体を見ることになるなんて思っても見なかった。てかタイムリープ系とかもっとこういい感じのほのぼのした感じだと思っていたのにどうしてこうも惨劇の場ばかり見なければならないのだろうか。

「…でも、立ち止まれもしない」

ここで立ち止まってしまえば今までの、ここまでの犠牲も全てがなかったことになってしまう。もう無駄な犠牲は懲り懲りだ。

「なにか、1ミリでもいいからなにか探さないとな…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決意

研究室の中へ入りじっくりとあたりを見渡す。

「パッと見はなんもなさそーだけど…」

だが何も無い訳では無いとは思う。あれだけ校長を野放しにしておいたくせにいきなり殺害するのには何かしらの理由があったはずだ。それか、何かを掴んだからそれを消しに来たか。

それにこいつがやられっぱなし、というのもないだろう。何かと食えないやつだ。その『何か』をどこかに隠すということもやる可能性は充分に有り得る。

「まぁそれがどこなんだっつー話なんですがね」

今からじっくり探す時間もない。悩む時間もない。かと言ってこのまま手ぶらで帰る訳にも行かない。

ここは1つ、直感でいってみようか。

「大机か、時計か…」

大机には引き出しもある。何かを入れるなら安定はここだろう。

時計、まぁアニメとかでよくありそうな展開だ。時計や絵画の裏に何かがあるってのはお決まりだったりする。

さて、これのどっちかだと踏むとしてどっちが正解なんだろうな…?

「ふむ…」

そもそもの話こいつが入られたら開け放題の机なんかに入れるか?何とか最後の力でここの扉は守ったみたいだがそれでも入られた時のことを考えると机に入れるのは安直過ぎる。

かと言って時計なんかベッタベタだ。むしろこちらの方がバレそうな気もするが。

「あいつならどこに隠すかな」

…いや?あいつなら、ではないなこれは。

『俺なら』どこに隠すと思っているのか?

「…多分これが正解か」

俺が選んだのは時計。

かけられていたアナログ時計をゆっくり外す。

「…やっぱりな」

案の定時計の裏には四つ折りにされた紙が仕込まれていた。

簡単な話だ。あいつは『俺がここに来た時且つ自分の生命活動が停止していた場合俺自身がヒントを見つけ出すにはどこが一番最適解か』と考えていたのだ。

俺自身、こいつに合わせる必要などない。本能で考えれば勝手にあいつと勝手に思考が合うように考慮されていたのだ。

そして俺の思考はというと単純だ。この世界は言わばアニメや漫画のようなもの。ならばこういうのは大抵時計と相場は決まっている。とな。

「…ここまで考えて仕込んだのか…いやむしろ考えてない?」

まぁいずれにせよ紙は手に入った。中身はわからんけど。それも今から確認すればわかる事だ。

時計を元に戻し紙を開く。その紙には丁寧な文字でたった一文が書かれていた。

『白石第二工場跡地に全てがある』

「…その言葉、信じるからな」

紙を力強く握り潰し、ただ一言呟いた。

________________

所変わって水原家にて。

「…それ」

「…ちょっと黙ってて欲しい」

教師は機械に沈黙を頼んだ。

機械はそれに頷くしかなかった。

…どうやら白髪の女性の他にも被害者は居たようだ。

それは教師の前に転がっている黒髪の女性の死体がその他の被害者のようだ。

子供の方は何にも気付かずにぐっすりと眠っている。

「…ふざけんなよ」

「……」

怒りを隠しきれない教師とただ黙って見ているしか出来ない機械がそこにはいた。

「…俺を殺すならいい。だが、紗枝が巻き込まれる理由にはならないはず、なのに…!」

「…関係ありませんよ。あの人なら、やりかねない」

機械は相手の恐ろしさをわかっている。だからこそ、確信を持って言える。

「…どうやら…相手を甘く見ていたようだ…」

教師は人間であったものを抱き抱え、決意を示す。

「俺はあいつを必ず殺す。何があろうと、必ずだ」

機械はただ、答えた。

「…いいと思いますよ、その決断もね」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

痛みを背負って

「…そうか」

先生に報告も兼ねて連絡を入れたのだがどうやら最悪の出来事はまだまだ続いていたようだ。

先生の奥さんは、死んだ。何故和真が生かされていたのか、それはわからない。分かるわけもない。

ただ分かることは一つ。確実にあいつはこちらに対して宣戦布告をしてきている事だ。

『お前の収穫ってやつは家で聞く…とりあえず今は落ち着かせてくれ…』

「わーってるよ、できるだけ早めには帰るつもりだ」

『あぁ…また後でな…』

切断音が聞こえ、通話が終わる。

「…ったく、上等じゃねぇかよ。テメェがそこまでするなら俺らも正面から殺してやるよ」

時間なんて本来好きに操るなんてことも出来ない。死した者たちが現世に帰ってくることもありえない話だ。時を遡り、一度は失われた命の灯火を再び灯した俺が言うのはとても説得力はないが。

弔いも必要だ。ただ今やる事はそれではない。これが間違っていてもいい。それで俺の…いや、俺達の気が晴れるなら。

これは戦いじゃない。ましてや清々しい決着なぞ誰も望んじゃいない。

復讐。ただ一つ、その言葉だけで埋め尽くされる。

「…それが例え…」

…いや、よそう。最悪の考えを持てるほどの余裕があるのならばまだ精神面を完全にやられてはいない。無駄に体力と精神力を削るのは愚策だ。

それに。

「まだ秘策がある…そんなことをするまでもない、か」

とは言ってもこれを無闇に切った所でどうにかなる訳でもない。あくまで最後の一押しだ。

「兎にも角にも全ては工場、か…」

________________

「ただいま」

「…来たか」

「丁度いいくらい、だろ?」

「まぁな…」

先生は疲れていた。目の前で教え子と妻が変わり果てた姿でいたのだ。むしろこれが普通である。

「2人は火葬場に送ることにしたよ…こんな事、サツに話しても意味無いしな…」

「賢明だな」

警察などは当てにならない。何せ相手が相手だ。例え追いつけたとしても蹂躙されるのがオチだろう。

「それより和真は?」

「…なんとか落ち着かせたよ。今はコスモスが面倒見てくれてる」

「そうか…」

多分あいつは一生あの事がトラウマになることだろう。朝起きたら母親が死んでいた、なんて普通は考えられないから。

「んで、収穫ってのは」

「…白石第二工場跡地だとよ」

「…!?あそこが…なんで…!」

「馴染みのあるところか?」

「…初代のいた場所さ」

初代…だと?

「いつ行くんだい?」

「…今すぐに決まってるだろ?」

「だろうな。OK」

先生はコートのポケットから車のキーを引っ張り出す。

「…なぁ、お前はこれが間違ってると思うか?」

「あ?なんだよ急に」

「不安なんだよ…果たして今からやることは正しい事なのか…」

「…いいだろ別に。正解不正解なんてない。俺らが今からやることが全て正解さ」

「…はっ。やっぱお前はお前だな。迷いが晴れたわ」

こいつはこいつなりに迷っていたらしい。果たして復讐が最善手なのかどうかを。

俺は手助けはしない。代わりに、振り落とすようなこともしない。

全てはシナの為に。ただそれだけだ。

「…行くか」

「終わらせにな」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

貴方、私

「なぁ、今から行く白石第二工場跡地ってのはどんな所なんだ?」

「聞いて名の通り、ただの跡地さ。まぁ建物はある程度残ってはいたけどな」

「…そこに初代がいたってのか?」

「昔な。今は知らん…っと着いた」

車で約20分程、街の端っこに位置するこの工場はお世辞にも大きな工場とは言えなかった。そして何より建物自体の損傷も激しかったのだ。

「過去にここでは大きな爆発事故があったんだよ。そのせいで工場は潰れた。がしかしこんな所に金を割く理由もないってんで建物の取り壊し自体はなくなったんだ」

「…原因は?」

「ガスがどうやら漏れていたらしいが…真相は分かりかねるな。そもそもガス工場だったかすら怪しいからな」

確かに周りも見てみてもガスタンクらしきものは何も無かった。爆発で消し飛んだ、というのもあるだろうがどちらにしろガス工場ならもう少しはタンクがあったであろう区画があってもいいと思うのだが。

「ここが入口だ」

重々しく、錆びた扉が行く手を塞いでいた。多分、この先に何かがあるはず。

「開けるぞ」

「あぁ」

ゆっくりと錆び付いた扉を開ける。

________________

中は思ったより綺麗であった。

外観とは似合わず、また人が出入りしてるであろう痕跡もある。

「確実に誰かいるな」

蜘蛛の巣があちこちに張られていてなんとも気味が悪い。薄暗さがまた雰囲気を出す。

「…この奥、だな」

何者かの気配を感じた。遠くはない。むしろ近い。

「…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに居たのは鎖で拘束されたシナであった。

「シナ!」

すぐさま俺はシナの元へと走っていく。

「シナ!起きろ!」

「……ぅ…ん…」

良かった…なんとか息はあるようだ。

早めにこの拘束を…

「…!危ねぇ!」

突然の言葉に思わず身体が動く。

天井から何者かが降ってきた。

「…よくもまぁのこのこと…怖くないのかい?」

「さぁな。怖くないかもな」

「それは何故?」

「シナの為に決まってるだろ」

「…やっぱり、そうなると思ってたよ」

そいつは分かっていたかのように笑い始める。

「…で?助ける為の障害が発生したみたいだけど…君はどう対処するのかな?」

「殺す。それ一択だ」

「逃げるって選択肢も与えようか?」

「いると思ってるか?」

「まぁいらないとは思っていたけどね」

影魔はこちらにゆっくり身体を向ける。

「さぁ、最終決戦と行こうじゃないか。隼人、水原」

________________

「そらぁ!」

「遅い遅い」

「ふんっ!」

「やる気ある?」

先程からこの調子だ。先生と俺が連携を取り隙なくきっちり攻めている、はずだった。

それを影魔はまるで赤子を相手しているかのように捌いていく。

「…なんで手を出さないのか、教えてあげようか?」

「…なんだと?」

「簡単に殺しちゃうとつまらないからだよ。まだお姫様も起きてないことだし…ね?」

くすくすと面白そうに影魔は話を続ける。

「貴様ァ!」

「おっと怖い怖い…余計火をつけちゃったかな?」

先生が綺麗なコンビネーションを決めにいくがそれすらも全て避けられる。

「でも二対一ってのも不利だしつまらないよね?だから…」

「…!先生!避けろ!」

今まで避け続けてきた影魔は突如先生の方に拳を突き出す。

その拳は見事にみぞおちを狙っていた。

「がっ…!」

殴られた先生はそのままシナの方へと吹き飛ばされる。

「先生!」

「ま、こういう訳で。これで正々堂々のタイマンになったね」

「…てめぇ」

「怖い顔しないでよ。僕は君と話したいんだ」

影魔はニコニコとした顔でこちらに近づいてくる。

「…僕はね、最初は君達を見ているのが楽しかった。柄にもなく『もしかしたら殺さない方がいいのかもしれない』と思うほどにはね。だからこそ手出しはしなかった。だけど上はそれを許すわけがない…それは分かるよね?」

「…あぁ」

「僕は必死に抗ったよ。君達の邪魔をするものを何とかして処理するためにね。そしてそれは成功していた」

最初はね。と付け加えた。

「いつしか連中が牙を向ける対象は彼女から僕へと変化していった。それでも折れはしなかった。平和が保たれるならそれでね」

「ならば…」

「とある日、僕に警告が届いた。『これ以上の邪魔をするならお前の大切な物を破壊する』とね」

「…!未来の連中か!」

「気になってたでしょ?なんで初代がずっとここで隠居生活なんか送ってたのか」

気にはなっていた。組織の連中のトップならば別にわざわざこんな所に来る必要などない。どこの時代であれ研究所にでもいればいい話だ。

「…追放か?」

「具体的には消去の方が近いかもね。全てを無かったことにする、多分こっちの方が正しいかも」

「…シナ関係か」

「その通り。全ては支那美…いや、刈谷家全体が関わってる。その全ての始まりが初代って訳さ

そうだね、これは所謂

 

 

 

 

 

 

『刈谷家の呪い』

 

 

 

 

ってやつかもね」

「刈谷家の…呪い…」

確かにこれは呪いのようなものなのかもしれない。この輪廻の理もきっとその呪いの一つなのだろうか。

「話を戻すね。僕の大切なもの、それは考えるまでもなく君達だ。凄い脅しなもんだよね。君達を守れば君達は組織に殺される、そんなアホらしい事があってたまるかと思ったよ」

「…でもやりかねない」

「あぁ。それこそいつでも殺す気でいただろうさ。そしてその時この僕は思った」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの二人を引き裂いた時、一体どんな絶望をするのかな、とね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!」

そうか…そもそもの大前提が間違っていたのか…!

「テメェ…別時間軸の影魔だな…!」

「大正解。少々こっちの世界の僕は抵抗が酷かったけど何とか黙らせることが出来たし正直自由に動き放題だったよ」

ならば…俺の知ってる影魔はもう…

「…殺す」

懐からダイナマイトを取り出した。

「…へぇ、そんなものどこで」

「入ってすぐ。なんか置いてあった」

「そんなものでどうするとでも?」

「お前は例え人間を凌駕した力があっても肉体は所詮人間だ。例えダイナマイトでさえも爆発に巻き込まれればただでは済まない」

「…それは直撃した場合だ。巻き込まれた程度じゃ死にはしない。それに君はそれでハッピーエンドを迎えられるとも思えない」

「そうだな、試してみようか?」

ダイナマイトに火をつける。導火線はジリジリと短くなっていった。

「…!?正気かよっ!」

影魔は逃げの一手を繰り出す。当たり前だ。死の危険を感じる目の前で悠々と突っ立ってるバカはどこにもいない。だから。

「よいしょお!」

ダイナマイトを逃げるであろう先に思いっきり投げる。どうやら予想は半ば的中していたようだ。

「クソっ…!」

だがあまり効果はないようだ。強いて言うなら環境破壊効果が見込めたくらいだろう。

「危ない…こんなもんいきなり投げつけるとはね…」

「俺はいつでも本気だぞ?それに本命はこれじゃない」

どうやら秘策は使わざるを得ないらしい。それでも爆発で殺せるとわかっただけでも儲けものだ。

「先生!もう大丈夫か!」

「あぁ!拘束も解いた!」

「…!いつの間に…!」

「なぁ影魔よ、お前は一つ大事な事を見逃してる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつ、誰がハッピーエンドを望んだ?

 

 

 

 

 

 

「…な…に……?」

「俺が望むのはいつでもシナの存命であり幸せだ。それ以外はいらない」

…まぁ、これで終わりは寂しいといえば寂しいけど…仕方が無いよな。

「先生!行くぞ!」

「あぁ!」

先生は一枚の札を取り出し、構える。その札はいつぞやの不思議な出来事の時に貰った代物だ。そしてこの札の効力も本当のようだ。先生とシナの周りには肉眼でもわかる、結界が張られていた。

「さて影魔、終いだ」

「なっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如大きな爆発により耳をつんざかれる。

いや、その例えはもうおかしいか。

そもそも耳なんか使い物にもならなくなった。

それどころか身体全てが吹き飛んでいたのだから。

…せめてあと一度だけでも、シナと────

________________

「なぁ、話ってなんだよ」

「…俺は捨て身の一撃をする。だからお前にはやってほしいことがある」

「捨て身ってお前…」

「…本気だ。嘘はついていない」

「…プランは?」

「簡単だよ。あいつが出てきて交戦した時に思いっきりシナの方までぶっ飛ばされてくれ。そうしたらタイマンになるから奴と話を試みてみる」

「…どうやら計画内容もぶっ飛んでるらしいな」

「結構本気なんだがな…まぁ後は話してる隙にシナの拘束を解いてくれ。多分壁寄りで拘束されてるはずだから楽ではあると思う」

「そこまで分かるのか?」

「予想さ、ただのな。だがそれでもこれは必ず当たっているはずだ。それは自信を持って言える」

「…そうかい。それならなんも言わんよ」

「最後に合図を出す。その時にこの札を構えてくれ」

「これは…?」

「それを見た奴曰く、結界が張れるそうだ。異世界の住人が作ったものだしある程度なら耐えられると思う」

「具体的に何をするんだ?」

「…多分だけどガスはこの地下にあると踏んでいる。だからこそダイナマイトで床に穴を開けてそこから出てきたガスでドカンだ。部屋中に舞えばどこからでも殺害可能だ」

「…結界の効果範囲は?」

「多分使用者の周り」

「じゃあお前は…」

「…さぁ。多分死ぬかもな」

「死ぬって…」

「だけどこうでもしないと勝ち目がない。誰かがやるしかないんだ。俺がやるさ」

「でもお前が死んだら…!」

「んまぁそうね…シナのアフターケアはお願いするわ。教師やろ?」

「そういう問題じゃ…」

「……出来れば眠ったまま、このまま俺の存在は夢だと思わせたいのよ。俺は元よりここの住人じゃねぇから。見ていたのは全て夢だったんだって」

「…いいのか…?それでも…」

「後悔はないよ」

「………わかった。呑もう」

「…助かるわ」

________________

全てが終わった。

今までのは全て夢だったのではないか。

俺らは気が付くと車に乗り込み走行を開始していた。

「……こんなんで、よかったのか…」

悔やみきれないところは沢山あった。

だがそれも、全てあの男のせいで吹き飛んだ。

「…ん…?あれ……?」

後部座席からは少女の声が聞こえた。

「…起きたか」

「先…生?」

「あぁ俺だ。気分はどうだ?」

「…ちょっと身体は痛いですけど…大丈夫そうです」

「…そうか、よかった」

こんなんで怪我負わせてたらあいつにどやされちまうからな。

「…あの…隼人は…?」

「…………………」

「…え…?そんな………嘘、ですよね…?」

「……夢のまま、終わらせたかったんだとよ」

おっと、これは言わない方がよかったかもしれない。失敗失敗。

「…なん…で………」

少女は段々涙声となり、泣きじゃくっていた。

「…はぁ、何がアフターケアよろしくじゃ…お前がいてこそなのにな…」

俺は小声でそう零した。

________________

「……………」

「…ご飯、出来ましたよ」

「……いらない」

「と、言われましてもね。貴方ずっと引きこもってばかりじゃないですか」

「いらないったらいらないの!」

「…わかりましたよ。じゃあこっち置いとくんで食べたくなったら言ってください」

コスモスはゆっくりと扉を閉めた。

分かってる。コスモスに八つ当たりなんかしても隼人は帰って来ない事ぐらい。

だけど自分に言い聞かせても自制することが出来ない、それ程までに私は隼人の事が好きだったのだ。

「…どうして……」

隼人は私の為に自爆をしたらしい。あの御札を私に使った、と先生から聞いた。

納得など、行く訳もなかった。

隼人がいなければこんな世界なんている価値もない。

だけど命を捨てるということは隼人の命も無駄にする、という事だ。

この葛藤に駆られ私はいつまで経っても誰を許すことも出来ず、また自分自身を許せず、そして自殺をすることすら出来ないのだ。

こんなもの、ただの生地獄に過ぎない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、こんにちわ」

突如聞こえる声に驚き、振り向く。

そこには帽子を被った男が立っていた。

「貴方…どこから…」

「僕がどこから入ったかなんてどうでもいいじゃない。重要なのは僕が誰であるか、でしょ?」

それはその通りだ。侵入方法など聞いたところで対策なんてできない。実際リビングにはコスモスがいるから直接この部屋に入ってくるしかない。だがベランダの鍵は閉まりっぱだし音も立てていないようだ。そんなものの原理を聞くよりか正体を聞いた方が早い。

「僕は郵便屋と呼ばれている。いつ、どこで、いかなる世界や時空にも郵便物を届けるのが僕の仕事さ」

「…そんな郵便屋がなんの用?」

「いや何、お困り事でもあったのかと思って立ち寄らせてもらったのさ」

「…ないよ、別に」

「まぁ隼人君の事なのは分かりきっているんだがね」

どうやらこの男は私をいらつかせに来たらしい。

「で?どうするの?」

「…何が?」

「僕はさっきも言った通りどこにでも郵便物を届けられるって言ったろ?」

「それがなんだって…」

「別次元の隼人君に手紙が送れるってことだよ」

…!

「これをどう捉えるかは君次第だけど…どう?話理解した?」

「…ちょっと待ってて」

「はいはーい」

________________

「ふむふむ、こんなんでいいのかい?」

「…これしかないよ」

「そっか、まぁ君の自由意志だし僕に口出しは無用だ」

男はカバンに手紙を仕舞う。

「それじゃ、これは届けさせてもらうね」

「…すぐ届く?」

「まぁ時はいくらでも超えられるしすぐにでもって感じかな」

「そう…お願いね」

「はいよー無事届けるよ」

男はそう言ってどこかへと消えていった。

「…これも、輪廻の理として回り続けるのかな」

きっと、いや、これは分かりきっている。

この世界は失敗したのだ。

________________

このお手紙を見ているあなたへ

これを見ているということは無事にあなたの元へ届いたのでしょう

突然届いたこのお手紙、あなたはさぞかし困惑していると思います

私の名はきっと分からないと思うのであえて名乗りません

だけどこれから書く事を必ず守ってください

これを見た日、必ずあなたは家に真っ直ぐ帰ってください

例え気になるものがあったとしても、です

あなたはよからぬ事に巻き込まれ、必ず不幸になります

唐突なこの内容に信用出来ぬ部分も多々あることかと思います

ですが、全ての本当のことなのです

信じられないとは思います

ですが信じてもらう他ありません

あなたに、明日、これから先の未来もずっと健康で過ごせるよう願っています

親愛なるあなたの相棒より




これが果たしてハッピーエンドか、それは貴方次第です


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。