私の宝物 (御都合主義の狂信者)
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第1話 同じ目の同胞

こんにちは御都合主義の狂信者です俺ガイルの作品はこれが初めてです。
豆腐メンタルなので罵倒はしないでくださると嬉しいです。
後、感想が無いと寂しくなります。
こんな私の作品ですが宜しければこのままお読み下さい。


「はぁ、何時も済まないな」

 

「いえ、教室にいるよりはましですから」

 

 私の名前は折本(オリモト) (トメ)総武高校J組2年だ。私は昔から生真面目で姉の様な人間が嫌いな事もあり、今は白衣とスエット着た教員の平塚(ヒラヅカ) (シズカ)先生の雑用を手伝っている。

 

「あっ、そろそろ部活なので失礼します」

 

 私はそう言うとその場を離れ特別棟のとある部屋の扉をノックする。

 

「どうぞ」

 

 部屋から返事が返って来たので私は部屋に入る。そこには黒髪ロングの少女である雪ノ下(ユキノシタ) 雪乃(ユキノ)がいた。

 

「いや遅くなった。ごめんね」

 

「いえ、どうせ平塚先生の雑用を手伝っていたりしたのでしょう。私は気にしないわ」

 

 まあこれが私と彼女の普段の会話だ。私は入学してから教員と良く話したり、雑用を手伝ったりしていた事もあり、平塚先生からこの部活を始めてみないかと勧められ部長として現在に至る。

 その後は先生から彼女を頼まれ現在に至る訳だ。ちなみに彼女とは学年の1位をめぐる良い好敵手(ライバル)な事もあり、それなりの仲だったりする。

 そして私は部長でありながら授業以外は先生方の雑用を良く手伝っている事もあり、毎度部活は雪乃よりも遅れてしまうのだ。

 まあ今回は、先生は別の用事もあったらしいので何時もより早く切り上げた訳だが。

 そんな訳で私は何時も通りに弁解をすると、直ぐに椅子を用意して座り持って来ていたラノベを読む。

 それから暫く読み耽っていると、急に部屋の扉が開き平塚先生が堂々とした態度で部屋に入ってくる。

 

「じゃまするぞ」

 

 そしてその言葉と共に雪乃は先生の方をジト目で睨みつける。

 ちなみに私はメガネの智の部分を摘み、位置を直して先生の方に顔を向けた。

 

「先生、ノックをして私が返事をするまであれほど…」

 

「まあまあ。だが君は実際返事をしないだろ」

 

 それに関しては先生くらいだと思う。現に私はノックをしたらちゃんと返事がくる。

 まあ何時もの事でもあるため私は何も言わないが、雪乃は既に半分は諦めてるみたいだから追求まではしない。ため息は吐くようだが。

 

「それで先生。その後ろの男性は誰でしょうか?」

 

 雪乃は平塚先生が連れてきた男子生徒を知らないみたいだが、私は彼の事は知っている。

 比企谷(ヒキガヤ) 八幡(ハチマン)。総武高校の文系3位の実力を持つ人物で、平塚先生が心配して雑用の際によく愚痴に零していたりする人物でもある。

 と言うよりも、教員とよく話したり雑用を手伝ったりしていれば、学園内の生徒の名簿とかもたまに目にする事もあって、学園内の人の名前はあらかた覚えていたりする。

 

「そうだな・・・こいつの名前は比企谷 八幡と言う。折本は既に知っていると思うが、こいつはかなり性格が捻くれていてな。よってこの部活に入部させる事にした」

 

 んっ?今、私の苗字を聞いた時、彼が何か酷く反応した様な・・・・・・。まあ今は良いとしよう。

 気にはなるが本人のトラウマだったりしたらたまったものじゃない。そっとしといて上げるべきだろう。

 

「ちょっと待って下さいよ、俺そんな話し聞いて…」

 

「言っておくが君に拒否権は無い」

 

 あぁ、こうなった先生は何言っても話は聞かないからなぁ…。哀れ八幡。まあその分多めには見て上げよう。

 

「「お断り・・・・・・」分かりました受けるとしましょう」

 

 雪乃は何か言いたそうだがここの部長は私だ。何か言う前に先に言わせて貰う。

 

「そうか折本。お前ならそう言ってくれると思っていたよ」

 

 そして先生は彼をこの場に残してそのまま教室を出て行った。

 それから彼は何やら威嚇する様に唸っていたが無視する。

 

 その後雪乃に睨み付けるられて犬みたいに大人しくなる。私はそんな彼を見ないままに口を開く。

 

「取り敢えずそこらから椅子を用意して座ったらどうですか?」

 

 彼はそのまま椅子を用意して座ると何やらそわそわし始める。

 

「えっと、この部活って何をするんだ?」

 

「平塚先生からは何も聞かされて居ないのですか?」

 

「いや、急についてこいと言われてここまで来ただけだか」

 

 私は彼の言葉に思わずそう言い、その問いかけにあの人は何をやってるのかとため息を吐きながら雪乃に目配せをする。

 

「そうね・・・だったら当ててみなさいな」

 

 雪乃はイタズラを思い付いた子供の様に笑いながらそう言うと彼は少し考え始める。そして暫くして思い付いたのか手を叩く。

 

「文芸部か?」

 

 私は彼のその答えに、多分この場所が読書以外で時間を潰せるものは無い、また現に雪乃や私が読書をしている等の単純な理由で答えたのだろうと推測する。

 

「その心は?」

 

「この場所に読書以外で時間を潰せるものがまず無い、また現にお前達2人は今目の前で読書をしている」

 

「外れよ。それを言ったら読書をする全国の人は文芸部になる事になるわね」

 

 てかそのままだった。その後は彼が当てずっぽうに言ってそれを雪乃が制すといったやり取りが数回続いた。

 

「降参だ。で、結局何の部活何だ」

 

 そして彼はついに肩を竦めて降参すると、雪乃は席を立つ。

 

「持たざる者や求める者に慈悲の心を持って接する事をボランティアと呼ぶの」

 

 雪乃はそう言いながら彼の前まで歩き彼と向き合う。

 

「ようこそ奉仕部へ、歓迎するわ。まあ取り敢えず、私のような美少女とここまで話せれば、貴方が他人と話せるようになる日も遠いことではない筈よ」

 

 いや雪乃よ、全ての基準を自分にして、さも当然の様に自己完結するな。相変わらず背伸びしたい子供でこちらも悩むよ。

 

「おいちょっと待て。言っておくが俺は人と喋れないんじゃない、ただ話をしないだけだ。俺は基本高スペックなんだぞ。定期テスト文系科目学年3位、顔だって悪くない。それに毎日きちんと規則正しい生活をしている。欠点といえば、人の顔と名前を覚えるのが苦手なことと、友達と呼べる人間がほとんど存在しないことくらいだ!」

 

 あぁ、なるほど、言い訳が始まったか。取り敢えず子供の喧嘩が始まる前に止めるとするか。

 

「あなたは・・・・・・」「雪乃辞めておけ、今のこの男には何を言っても無駄だ」「留さんっ!?」

 

 雪乃は話の途中で割り込まれた事で私を睨み付ける。だが今の彼には何を言っても無駄だと言う確信がある。

 

「まず本人が他者を拒絶する人間不信で疑心暗鬼な奴を更生させるなら、時間をかけて信用を勝ち取るべきと言いたいのだよ」

 

 雪乃は何かそれでも言いたそうだが、私はそのまま、普段かけて外す事の無い伊達眼鏡を外し雪乃や彼に顔を向ける。

 そして彼は私の伊達眼鏡が外れた顔を見て絶句する。ちなみに雪乃も固まっている。

 まあ平塚先生にも教えていない秘密だからな。そう私は彼、比企谷八幡と同じ目をしているのだ。

 

「恐らく君のその目は私と同じく後天的な物だろう・・・・・・。まあそこから考えるにその目になった君の境遇もおおよそ想像出来るが、私は君に対して雀の涙程も同情する気は無い」

 

 私も同情をされたら腹が立つからな、それに今の私なら彼に対する説得力は充分だろう。 

 

「私は雪乃と違って全てを変われとは言わん。だが少しだけでも頭の隅に入れてもらえればそれで構わない」

 

 私は威圧的に声を低くして睨み付ける様に言う。私のこの腐った目はこう言う時、やけに凄みを与えたりする。

 

「おっ、おう」

 

 そして彼は戸惑い、目を泳がせながらそう返事をする。そのタイミングで丁度良く平塚先生が部屋に入って来る。

 

「話しは聞かせて貰ったよ」

 

 先程のタイミングといい、恐らく先生はこうなる事は読んでいたに違い無いだろう、そして先生の意図も何となくだが察した。

 

「それで折本は彼の更生についてどう思う」

 

「今の所は彼が馬耳東風の状態ですから信用を勝ち取る必要があると判断しますね」

 

 先生の問いかけに私はアッケラカンとそう答える。

 

「別に俺はこの性格を気に入ってるし変えるつもりも無い」

 

 そして彼はいきなりそう言うために、今度は雪乃がそれに突っかかる。そしてお互いの口論が始まる。

 

「まあまあ2人の意見は分かった。ではこうしよう。代々少年漫画ではお互いの正義がぶつかり合えば戦うものだ」

 

 それは少年漫画だけじゃなく戦争などの歴史や虐めにも言えることだけどね。

 

「先生、でしたら提案があります」

 

「ん、何かね言ってみたまえ」

 

 ここは先生の案に私の案を重ねてしまおう、その方が流れとして面白くなりそうだから。

 

「どうせですから部活動する中で卒業までに彼が改心出来るかで勝負を決めるのは如何でしょうか?」

 

 ちなみにこの部活中でが味噌である。つまり彼に直接変われと言うのでなく、彼が部活動をする中で改心したらというルールを取り付けた訳だ。

 

「ほう…。で、具体的な話をしてもらおう」

 

「分かりました。つまり彼に改心する事を強制せずに、彼と部活動を共に行い、卒業までに彼が改心した場合こちらの勝ち、逆に卒業までに彼を改心出来なければ彼の勝ちという訳です」

 

 このルールの利点は、まず部員が増える事が1つ、そして彼のストレスの負担が減る事、次に勝敗がハッキリしてる事だ。

 

「なるほどな。だがそれだけだとアレだから、追加で勝った方が負けた方に何か1つ好きに命令できる事にしよう」

 

 うわぁ、先生悪乗りですね。まあ確かにそれならこの勝負に乗り気になれると言うものか。と思っていたら彼は何でもと言う言葉に食いつく。

 

 やっぱり彼も男子だなぁと苦笑いしながら私は思った。

 

「仮に彼が勝った場合、身の危険を感じますのでお断りさせていただきます」

 

 だが雪乃は両手を胸元で交差させて、彼から距離を取りながらそう言った。てか負ける事が前提で言うのはどうかと思うが。

 

「そうか、流石の雪ノ下にも怖いものがあるか。済まなかったな」

 

 平塚先生はそう言って安い挑発をする。まあ背伸びしたい子供の様な雪ノ下だからな。この挑発には乗らざるをえないだろう。

 

「いいでしょう、あなたのその安い挑発に乗るのは癪ですが、受けて立ちます」

 

「ふふ、面白くなってきたな。さて私は一先ず去るとしよう」

 

 そう言って平塚先生は嵐の様に去って言った。私としても今後が楽しみだ。

 その後は何事も無く部活が終わり、私は自転車置き場に付くと自転車に乗る。

 

「ん? お前も自転車通学なの?」

 

「ん、そうだが、同じ目の同胞なら分かるだろう? 」

 

 そして私は彼にそう言うとそのまま下校する。途中まで同じ方向なのか先程から同じ道のりを一緒に走っている。

 

「・・・・・・これは笑うべきなのか」

 

「マジですか」

 

 そして何故か私と彼がお隣さんだった事実に、私は遠くを見つめる。

 ラブコメの神様はどうでもいい所で働いてくれるな、全く。




 誤字などの指摘はそれなりにありがとうございます。
 ですが我儘を聞いていただけるなら、誤字の報告は感想でなく誤字報告の機能を使用して報告してもらいたいです。


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第2話 マッカンによる絆

材木座並にメンタル弱い御都合主義の狂信者です。
でも感想が無いのは寂しくて死んじゃう。
とまあそれはそれとして今回は折本 留のプロフィールを書いて見ました。

折本(オリモト) (トメ)
誕生日:2月21日
座右の銘:利用出来るモノは姉でも使う
趣味:読書
好きなもの:ラノベ/マンガ/ハムスター
苦手なもの:爽やか系のイケメン/雪ノ下陽乃
容姿:小学生並みの身長/華奢で小柄な体格/寸胴な身体/色白のはだ/腰まであるユルフワな茶髪/眼鏡(腐った瞳)


 私は何時もの様に、雑用を終えてそのまま、部室でラノベの読書に入る。

 しばらくして、部室の扉を叩く音が聞こえ、そのまま比企谷の奴が部屋に入ってくる。

 

「うっす」

 

 比企谷は部屋に入り挨拶をすると、雪ノ下は読書していた手を止め、比企谷をみる。

 

「あらちゃんと来たのね、来ないと思っていたわ。えっとヒッヒキガエル君? 」

 

「おい何で。小4の時の、俺のあだ名を知ってるんだ? 」

 

 雪乃はそんな風に、比企谷に対し毒づく。それにしても、ヒキガエルか・・・・・・まあ良いんじゃないか? 

 私何か、目の前でミルクの入った皿を、床に置かれた事があるからな。

 

「まあ大方、サボろうとして玄関まで急いだら。平塚先生に捕まりやむを得ず来たんだろう」

 

「いや、何で知ってるの? つうかお前はエスパーなの!?」

 

 失礼な、平塚先生の性格と人柄及び、比企谷の性格と人柄を見れば、簡単に予測出来る事だ。

 まあとは言え自慢と言う訳でも無いので、言いはしないが。

 その後は比企谷も椅子に座り、3人で読書すると言った。図書館の様な、沈黙の時間が流れる。

 するとしばらくして、比企谷が何を思ったのか顔を上げると、私達に顔を向ける。

 

「そういや、雪ノ下と部長は友だちいんの? 」

 

 比企谷がそう質問をすると、雪乃はため息を吐いて比企谷の方に顔を向ける。

 

「何を言うかと思えば、愚問ね。少なくとも私と折本さんは「それは違うぞ雪乃」」

 

 私は雪乃の次の言葉を、バッサリと切り捨てる。雪乃は驚いた様に固まる。

 

「私と雪乃は親友の間柄だ」

 

 そして私がそう訂正すると、雪乃は恥ずかしくなったのか、顔を赤くして私達からそっぽを向いた。

 

「ふ~〜ん。そんじゃ2人は、他で友達はいんの? 」

 

 そして八幡は、そんな私達に次の疑問を投げかけて来る。

 

「そうねぇ。まずその友達の定義が、何処から何処までがなのか。教えて貰えないかしら? 」

 

「そうだな・・・・・・私の場合は、クラス内と教員内のどちらかにもよるが」

 

「あぁすまん、俺が悪かった」

 

 私がそう言うと、比企谷はそう誤ってきた解せんな。

 

「それにしても何で。明らかに友達とか出来そうなお前らが、友達がいないんだ? 」

 

「・・・・・・私可愛いから」

 

 比企谷はそう疑問を口にすると、雪ノ下は急にそんな事を口走る。そしてその後、自身の事を話しだした。

 まあ話しでは、彼女は女性に嫌われ虐めを受けていたとの事だった。

 まあ私から言わせれば、どちらかと言うと、彼女が周囲に反発的な事が災いして、結果虐めに会い、孤立したのだと思うのだが。

 

 だが前にも聞かされているので、何も言わない訳だが。

 と言うよりも、世の中を根本から変えるとか、やはり雪乃は精神的に幼いな。

 

「ふむこの流れなら私も語るべきか・・・・・・私の場合は幼少の頃から、1目見た相手の人柄や本質を見抜く力が備わっていた。その為に私の目に写った奴らは、中身が薄っぺらく愚かで醜いものにしか見えなくてな。気が付いたら人に失望していたのだよ」

 

 まあそれ以外にも、二卵生で双子の馬鹿姉を、反面教師にして育った事もあるが。

 

「そうか・・・・・・なあ良かったら俺と」

 

「ごめんなさい! 貴方とはお付き合い出来ませんので、諦めて下さい」

 

 えっと・・・まだ比企谷は話しの途中のようだったが、雪乃また勝手に自己完結したな。

 

「いや、俺まだ何も言ってないんだが。てか何で付き合う前提なの? 」

 

 比企谷は遠い目でそう言うと、雪乃は以外とばかりに驚く。

 なんだ? 男は皆お前に惚れるのが、雪乃の中では決定事項なのか? たしかにこう自意識過剰では、女に嫌われる訳だ。

 

「それじゃあ、一体何を言おうとしたのかしら? 」

 

「良かったら・・・・・・俺と友達に」

 

「残念だけど無理ね」

 

 何だ友達になって欲しかったのか。雪乃はバッサリ言ったが、私は構わん。但し条件は付けさせて貰うぞ。

 

「私は構わないぞ」

 

 私はそう言うと、雪乃は驚いた顔をするいや驚く事か? てか比企谷も驚くとか、別に同胞何だから気にする必要は無いと思うが。

 

「但し。条件として、ちゃんと名前か苗字で、呼ぶことだ」

 

「うぐっ!?」

 

 ふんっ友達になるなら、他人講義など私は許さ無い。

 お前が何故か私の事を苗字か名前で呼ぶのを、無意識に避けてるのは理解してるのだ。

 だが友達になるなら、話しは別だ。故にちゃんと条件は飲んで貰う。

 

「いやっそれは」

 

「君は友達を、他人講義で呼ぶのかね。それとも、それ位の薄っぺらい関係がお望みか? 」

 

「・・・・・・分かった、そのおっ折本」

 

 同じ目をしてるだけに、扱い方は理解出来てるのだよ。

 まあ誘導ではあったが、ちゃんと苗字で読んだな。ならばこちらもそれに答えなければなるまい。

 

「では、改めて宜しくな。比企谷よ」

 

「おっおう! 」

 

 そして私と八幡が友達となった所で、部室を叩く音が部室内に響いた。

 

「入りなさい」

 

 そして雪乃はそう言うと、部屋の扉がゆっくりと開く。

 

 そしてお団子頭の茶髪にネックレスなどを付けた女、確か比企谷と同じクラスの由比ヶ浜(ユイガハマ) 結衣(ユイ)だったな。

 彼女は恐る恐るまるで小動物の様に、部屋に入ってくる。そして比企谷を見て驚いた。

 

「てっ何でヒッキーが此処にいる訳!?」

 

「ブッ!?」

 

 吹いた。いやヒッキーって、まさか比企谷の事か。多分だが彼女は、ヒッキーの意味を知らずに言っているのだろうが、これは笑ってしまう。

 

「すっすまない。笑ってはいけないのだろうがつい」

 

 私は比企谷に弁解をしながら、何とか自身を落ち着ける。

 馬鹿姉程では無いにしても、私も笑いのツボが酷いものだな。今後とも反省してできる限り精進をせねば。

 

「まあ言いけど、てかヒッキーってお前、会った事あったっけ? 」

 

「ちょっ同じクラスだし! 酷いし! 」

 

 まあ同じクラスなら仕方ないだろう。まあ比企谷は人の名前を知る機械が少なかったのだ。

 それに単独で、コミュニケーションを取らない生活をしてそうだしな。何となくだが、比企谷が彼女の名前を知らなかった理由は、理解する事が出来た。

 

「それで何のようかな? 由比ヶ浜さん」

 

「あたしの事知ってるんだ!?」

 

 私は彼女を呼ぶと、彼女は突っ込みを入れる。まあ同じクラスの奴が覚えて無いのに、私が知っていたら当然か。

 そんな事を考えていると、比企谷が私を横目で見てくる。

 

「お前すげえなぁ。全校生徒の名前、知ってるんじゃないのか? 」

 

 何やら皮肉のつもりだろうか? まあそれならそれで返すだけだが。取り敢えず私は軽く咳払いをする。

 

「全ては知らん! 知ってる事だけだ。それに私の場合は、教員の雑用の手伝いや愚痴を聞いたりしてたからな。それに・・・・・・クラスの名前なら雪乃だって知ってるぞ」

 

 私はそう言うと、雪乃に視線を送る。雪乃はため息を吐くと、呆れ気味にこちらを見る。

 

「確かに、私も由比ヶ浜さんの名前は知っていたわ。でも比企谷君の名前は、平塚先生に聞くまで知らなかったわね」

 

 雪乃よ・・・そこまで来ると、もはや構ってちゃんの様だぞ。

 やばいな猫耳と尻尾の生えた雪乃を想像してしま・・・・・・良し今日は、久しぶりに陽〇ま〇猫〇ま〇を聞こう。

 

 私は頭の中でそんな事を考えていると、彼女は何故か笑みを浮かべている。

 

「何か、皆楽しそうだね」

 

 うんヒッキーの時もそうだが、彼女何処かずれてるな。恐らく天然なアホの子と見た。

 

「えっと、何ていうか。ヒッキークラスにいる時、はいつも教室で寝てるか1人だし。だから何時もと全然違うし! てかヒッキーってクラスに友達とかいるの?」

 

 無自覚とは時に残酷だな。これは何度見ても思う。私の馬鹿姉も、無自覚に他人を傷つける事が多いだけにな。

 

「ビッチめ! 」

 

「はあ!?ビッチってなんだし!あたしはまだ処ーーってうわわわ!なんでもない!」

 

 見苦しくも比企谷は、八つ当たりに嫌味を言う、彼女はやはり天然なのか、どうでもいい事を暴露する。

 

「別に恥ずかしいことじゃないでしょ。この歳でヴァージーー」

 

「ちょっ!ちょっと何言ってんの!?高2でまだとか恥ずかしいよっ!雪ノ下さん女子力足んないんじゃないの!?」

 

 雪ノ下がそう言を言おうとすると、由比ヶ浜は合わてて誤魔化そうとする。

 ハッキリ言ってくだらん価値観だ。私は・・・・・・まだ善人でいたいなら、聞かない事だなと言わせて貰う。

 

「「くだらない価値観「ね」「だな」」」

 

 だがこれ以上は脱線するとあれなので、私は本題に入る事にする。

 

「これ以上話しが脱線するのもあれだ。本題と行こう」

 

「えっと、平塚先生から聞いて来たんだけど。ここなら私のお願いを叶えてくれるんだよね? 」

 

 彼女の話しを聞く様に私が気配りをすると、彼女は突然そう言った。

 

「由比ヶ浜さんそれは違うわ、あくまで奉仕部は手助けをするだけ。飢えた人に魚を与えるのではなく、魚の取り方を教えるのよ。だから願いが叶うかどうかはあなた次第よ」

 

 雪乃はそれを聞いて、間違った事を正そうとする様に彼女に説明する。

 しかし今後も彼女の様な、勘違いをする子も増える可能性があるな。

 この部がそのせいで、頼まれた願い事を叶えるような何でも屋にならない様に、今後から注意をせねば。

 

「それでも・・・・・・手伝ってはくれるんだよね」

 

「まあな。そこは、部長である私が保証しよう」

 

「それじゃあ、えっと・・・・・・」

 

 そして由比ヶ浜は以来を言おうとするが、比企谷を見て口を閉ざす。

 

「あぁ俺、何か飲み物買ってくるわ。お前らは何かいるか? 」

 

「そうそれじゃあ、野菜ジュースのイチゴヨーグルト味で」

 

「それじゃあ、あたしはカフェオレで! 」

 

 なあ雪乃、そのチョイスは私としては引くぞ。由比ヶ浜も遠慮無いな。まあ比企谷が気を使ってくれてるのだ、乗ってやろう。

 

「マッカン1つ」

 

 んっ何だ比企谷、急に珍しい物でも見た様に固まって。変だな、私のチョイスは可笑しく無いはずなんだが。

 

「いや・・・・・・まさか俺と同じマッカンが好きな同胞が、いた事に驚いてな」

 

「何を言うかと思えば、勉強の際の糖分補給が出来る上に。カフェインによる眠気覚ましといった、勉強のお供にも最適なんだぞ? あれを飲まないのは人生の9割を損してると言えるな」

 

 そしてお互いのがマッカン好きだと判明し、僅かな沈黙と共に、お互いの目と目が交差する。

 そして私と八幡は、手厚く握手を交わし。黙ってお互いを見つめ合いながら、そのまま頷き会うのだった。



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第3話 キャラメルとクッキー炭

節約生活で本買う余裕が無い御都合主義の狂信者です。
 気が付いたらUAが2,000人超えしていた。雪ノ下さん並にキツイ感想で正直めげそうですが、材木座さんの気持ちが少し理解出来た気がします。だから今後も感想を書いていただけると嬉しいです。
 他にもお気に入りに登録してくれた方も、評価してくれた方もありがとうございます。


 現在、私達は家庭科室に来ている。あの後、彼女の依頼を聞いた。それによるとどうやら前に助けて貰った子にお礼がしたいらしい。

 そこでどうしようかと考えた結果、クッキーを作ろうと思いいたったが、自身が無いとの事だった。

 友人に聞けばどうだとも聞いたが、友人には無理との事。まあ中には、恋人的に茶化す子もいるからな。彼女の反応を見るに、その手の子が多いのだろう。

 

「でっ、俺は何をしたら良いんだ? 」

 

「貴方には作ったものを味見して、感想を言ってもらえればいいわ」

 

 そしていよいよ、彼女のクッキー作りが開始されたのだった。

 

「・・・・・・なあ俺は、クッキーを味見するだったよな」

 

 今私達の前には、彼女が作った、木炭としか思え無い、黒い塊が置かれていた。

 

「動すればあれだけのミスが出来るのか、私もわからないわ」

 

 雪乃も頭を抱えている。確かに私も見ていたが、途中止めたくなったからな。

 

「これもう毒味じゃね? 」

 

「毒じゃないし!?」

 

 八幡は、クッキー炭を指差してそう言う。彼女は何とか反論を言うと、そのまま天パで銀髪の木刀を持った主人公の話しに出てきそうな、卵焼きの様な物を摘み上げる。

 

「やっぱ毒かなぁ~〜」

 

 いや反論はしたまではいいが説得力の無いこれのせいで、彼女は自身の言葉に、自信をなくす。

 

「でももしかしたら、食べたら美味しいかも知れないじゃん」

 

 食うことは確定なのか? もはやその可能性は皆無だと思う・・・仕方が無い腹を括るか。

 

「分かった。ちょっとまて」

 

 私はそう言うと、自分の荷物からある物をあらかじめ取り出す。

 

「んっキャラメルか? 」

 

「そうだ本来は糖分補給の為に、作って持ち歩いてるのだがな。どうせだからクッキーを食うついでに、食べると良いだろう」

 

 まあ万が一の事もあるとは、さすがに彼女には失礼だから、口にはしないがようは口直しだ。そしていよいよ、私達は未知なる黒い塊を口にする。

 ハッキリ言おう苦い。そして塩辛い。これがクッキーと言われたら、クッキーが可愛そうな味だ。

 私は食べ終えた後、急いでキャラメルを口に放り込む。口の中にキャラメル独特の甘さが広がる。先程の炭の事もあり、何時もより甘く感じる。

 

「折本・・・・・・サンキュー」

 

「何・・・気にするな・・・・・・・・・」

 

 そして私達は、先程の黒い塊によるダメージが酷かったので、一先ず休息を取る。

 

「反省会だが、さてどうしたものか」

 

「由比ヶ浜が、今後料理を作らなければいい」

 

「それで解決しちゃうんだ!?」

 

 まあ結論的にはそうだろう。だがそれは最終手段だ。まだ改善の可能性もある。いやあれを見るとあるのかなぁ・・・自信が無くなっきた。恐るべし黒い塊。

 

「やっぱ向いてないのかなー? ほら、あたしって才能てっいうかそういうのないし」

 

 彼女は1人そうつぶやく。むしろ逆に不味い料理を作る才能があると、私は思うが。

 

「由比ヶ浜さん、改善の方法は分かったわ。努力あるのみよ」

 

 その瞬間私の思考は一瞬だが停止する。これって努力でどうにか出来るものなのか? 思わずそんな疑問が頭を過ぎる。

 

「でもさ、こういうの最近みんなやってないって言うじゃん・・・・・・やっぱりこういうの向いてないんだよ、きっと」

 

 うわぁそれを彼女前で言うかぁ。私は心の中で、雪乃の逆鱗に無自覚に触れてしまった彼女に対して、合掌をする。

 

「まずはその認識を改めなさい、最低限の努力もしていない人に才能を語る資格なんてないわ。悪いけど才能無いとか言い訳にして、諦めようと言うのその考え、私は嫌いだわ」

 

 彼女は予想外の説辣な言葉に、俯いてエプロンを握りしめる。まあ今回は雪乃の逆鱗に触れてしまったんだ、だから哀れみはするが同情はしない。

 

「カッカコイイ! 」

 

 まさかのドMなの? 私はそんな風に目の前で起きた事を一時的に逃避する。

 

「私、結構キツイ事言ったと思うのだけれど」

 

「ううん・・・・・・確かに聞いた時は流石に引いたよ、でもなんていうのかなぁ? ほら建前とか全然言わなくて、自分の本音を人にちゃんと伝えられるのって、あたしはすごいと思う。あたし何時も人に合わせてばっかだったから」

 

 雪乃は呆気に取られてそう言うと、彼女は首を横に振ってそう言った。あぁ何となくだが、彼女のその言葉から、彼女の周囲の人間関係が、何となく分かった気がする。

 

「ごめん、今度はちゃんとやる。だから2人とも手伝ってください」

 

 そして彼女は頭を下げてそう言った。

 

「・・・・・・はぁ雪乃。仕方が無い、試しにお前が作ってやれ」

 

 まあこうなったら仕方が無い。雪乃が言い出したのだ。言い出しっぺには、それなりに働いて貰おう。

 

「うまっ! 何お前パティシエなの?」

 

「本当に美味しい……雪ノ下さんすごい」

 

 雪乃が作ったクッキーは、店に出せるレベルだった。と言うよりこれは不味い。いや美味いけど不味い。市販のが食えなくなりそうだ。

 

「フフッそう。でもね由比ヶ浜さん。これはレシピに忠実に作っただけで、特別なことは何もしてないの。だから由比ヶ浜さんにもきっと作れるわ」

 

 ハア水を指すように悪いが、雪乃・・・自分のレベルで、自己完結は辞しているな。

 まあ彼女のヤル気を削ぐ訳にもいかん。私はそう思い黙っておく事にした。そしていよいよ、彼女のクッキー作りが再開された。

 

「由比ヶ浜さん、そうじゃなくて粉をふるうときはもっと円を描くように。円よ円。わかる?ちゃんと小学校で習った?」

 

「かき混ぜるときにちゃんとボウルを押さえろ! ボウルごと回転させてどうする! イヤイヤ全然混ざってないからな。そこ回すんじゃなくて切るように動かす」

 

「違うの、違うのよ。隠し味はいいの、桃缶とかは今度にしましょう。そんなもの入れたらクッキーの生地が死ぬわ。死地になるわ」

 

 もはやあれは、死闘と言うべきだろう。私も心配で一緒に協力していたのだから。

 そして、無事に生地も焼きあがった。僅かに焦げているが、食べられるレベルにはなったな。

 

「なんか違う」

 

「どうしたら伝わるのかしら・・・・・・」

 

 だがどうも、お2人方は満足してないらしい。やばいな、このままだと目的が変わってしまう。

 

「いや私はこれで充分な出来だと思うが」

 

「でも、雪ノ下さんのと違うし・・・・・・」

 

 あっこれは、目的を完全に忘れられている、仕方が無い、思い出させるために言うしかないだろう。

 

「どうすれば上手くいくんだろう」

 

「あのさ、お前らなんでうまいクッキー作ろうとしてんの? 」

 

 だが私が言う前に、先に八幡が答えた。不服ではあるが、新入部員が動き出したのだ。仕方が無いので、私は八幡のやり方を見物する事にする。

 

「しばらく外で待っててくれ。俺が本物の手作りクッキーってやつを食わせてやるよ」

 

 あっ察し。なるほどな。私は八幡がやろうとしている事をいち早く理解する。

 

「なるほどね。そんじゃ遠慮なく待たせて貰うとしよう」

 

 私は一先ず家庭科室を出て、しばらく待つ事にした。そして私達が帰って来たら、案の定八幡が出したクッキーは、彼女が先程作ったクッキーだった。

 

「うん何か余り美味しくない」

 

「確かに・・・でもこれって・・・・・・・・・」

 

 彼女は自分が作った奴と気付かないまま、感想を言う。だがどうやら雪乃は気づかないまでも、違和感には気付いた様だ。

 

「そうか頑張って作ったんだが・・・・・・悪いやっぱ捨てるわ」

 

 八幡は技とそう言いクッキーの皿を持って、ゴミ馬に捨てようとする。

 

「待って! 」

 

 だが彼女は面白いくらいに八幡の演技に乗せられて、思わず八幡の手を掴む。

 

「べっ別に捨てなくても良いじゃん。確かにちょっと焦げてたりとか、形が不格好だけど。美味しいし・・・・・・」

 

 やばい吹きそう。私は必死で笑うのを堪える。雪乃はそんな私を見て、怪訝そうな顔をする。そして頃合いだろう、八幡がネタバレに入る。

 

「まあ、これ、お前のクッキーだけどな」

 

「ブハッ!?」

 彼女はそれを聞いて、呆気に取られる、私はついに笑いを堪えきれず、ついに吹いてしまった。

 

「アハハハハハすっすまない。最初から気づいていただけについな」

 

 そして私は弁解をする。だが私に注目が行ってしまったので、仕方ないため少し手助けしてやろう。

 

「話しがそれたな。八幡説明してやれ」

 

「はぁ・・・これは俺の友達の友達から聞いた話しだがな。そいつにある時優しくしてくれる女子がいてな。その子があんまし優しくしてくれるもんだから、あれ? もしかして、こいつ俺に惚れてね? そう思って好きな人は誰か、聞いたわけよ。そしたらえぇどうしよう見たいに、もったいぶって言うもんだからな。仕方ないので、イニシャルを聞いたらHと答えてきた。そしたらもしかして俺か? なんて思わず口に出した訳よ。そしたらはぁ何言ってるのキモイって、言われて翌日にはクラス全員に、そいつはキモガヤって呼ばれましたとさ」

 

 八幡よ・・・友達の友達の時点で可笑しいからな。後、最後のキモガヤって、もう隠す気ないだろ。私はそう思いながら前かがみの体制で額に手を当てる。

 

「それで、その話しがこれとどう繋がるのかしら。キモガヤくん」

 

「おいキモガヤ言うな、まあよおするにだな。男ってのはちょっと優しくされただけで、勘違いしちゃう訳だ。それもお前見たいな美人がクッキー出せば、例え不味かろうが気持ちは揺れるだろうよ」

 

 八幡はそう締めくくる。なるほどなまあほぼ及第点と言った所か。

 

「ヒッキーも揺れるの?」

 

「あぁ揺れる揺れる。思わず飛び上がっちゃう位に喜んじゃうね」

 

 ふむ頃合いだなさてと八幡よこれで終わりではないぞ。

 

「そっか・・・・・・それじゃあ皆あRi「さて、では再開するか」」

 

 八幡よ今回のやり方はなかなかのものだった。だがな最後の詰めが甘かった。故にこればかりはやって置かなければな。私はそう思うと八幡の手からクッキーの皿を取り上げる。

 

「確かに、八幡の意見は正しい。だが少なくとも単独で、このレベルを作れ無いと問題だ。故に単独でも、このレベルに作れるまでは練習するぞ」

 

 流石の私の意見に八幡も雪乃も反論は出来ない。何故なら普通に考えればただ当たり前の事を言っただけだからな。そしてその日は遅くまでひたすらクッキーの練習を続けたのだった。

 

「はぁ全く・・・いきなり言うとか、あのままでも終われたのに」

 

 八幡はそう言うと、ため息をこぼしながらジト目で睨んで来る。

 

「ハハハ悪かったなほらキャラメル」

 

 私は苦笑いを浮かべ、八幡にキャラメルを差し出す。

 

「おっサンキュー」

 

 八幡は私のキャラメルを貰うと、すぐさま口に入れる。

 

「なぁこれ、俺が良く飲んでるマッカンに似てうめぇな」

 

「今日は少し、コーヒパウダーを加えて作ったからな」

 

 私はそう言うと、ラノベをカバンから取り出し、そのまま読書を始める。

 

 隣では八幡は鳩が、豆鉄砲を食らった様に固まってるが無視する。

 その後はお礼に由比ヶ浜の奴が来て、あれだけ練習させたのにすっかり元の黒い塊となった。クッキー炭を試食したのだった。



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第4話 ボッチと幼馴染み

今、毛布一枚で冬の寒さに耐えている今日このごろです。
最近、ハーメルンの他作者の小説を読んでいるのですが、夢中になりすぎて句読点が見えてない自分がいた。
これはいかんと思い文章の研究の為に、しばらく投稿を中断します。
次は何時になるか分かりませんが、必ず帰って来るつもりです。
それではまた。



「何時もすまないな」

 

「いえ、こういった経験が後に役立つ事も有りますから。むしろ勉強になります」

 

 朝のSHRが終わった後、私は平塚先生の雑用を手伝っていた。

 本来なら生徒である自分がするような仕事ではないのだが、奉仕部の部長という立場もあってか度々こういった教師の仕事を押し付けられたりするのだ。

 隣でタバコを吹かす平塚先生のいつも通りの言葉に返事をしながら、手元にある資料を先生の指示通り一つにまとめている。

 平塚先生は、何時も自身の仕事を手伝う私に多少の罪悪感を感じながらも、私の負担を減らすために作業に集中する。

 きちんと仕事の出来る女性はモテると言ってからか、最近は以前より私に仕事を振る頻度は大幅に減ってはいる。とは言え、教員から頼まれる仕事で平塚先生からの割合は意外と多かったりするのだが。

 

「なぁ折本…。比企谷をどう思う」

 

 奉仕部に入部したばかりの比企谷が心配なのか、平塚先生は椅子を動かして私に向き合うと彼の近況を問いかけてきた。

 

「ハッキリ言うなら自愛が欠落した極度の自己否定者。・・・良い意味では、頼まれた事を自身の出来る限りでベストを尽くすお人好しと言った所ですね」

 

 彼は自分を愛す事が出来ない。それ故に自己を肯定出来ないまま、本能的な意思を頑なに伏せる。言ってしまえば、理性と言う自身の殻に閉じ隠っている怪物、それが私が感じた比企谷八幡という人物である。

 

「ですが、彼は人間不信ではあってもボッチでは半人前ですね」

 

「ほう。何でそう思うのかね?」

 

 私はひとまず作業を片付けた所で、平塚先生に向き合いながらその問いに答える。平塚先生は私の回答を不審に思ったのか、眉を潜め怪訝な顔をする。

 

「簡単な事ですよ。彼はこの前由比ヶ浜さんの依頼の時に、自分のトラウマを語ると言う悪手の行動に出ています。これは本人には自覚は無いでしょうが、相手に同情を求め注目を求める結果でしかありません。つまり彼は無意識にも自身の肯定、すなわち救いを他者に求め、また救ってくれる者が現れる事を望んでいる。よって私から言わせればボッチとして半人前です」

 

 つまりこの作文は、言ってしまえば教員側に注目を集める結果しか産まない。ボッチでいようと思うなら、生徒だろうが教師だろうが何事も相手に目立つような行動はせず無難にこなすべき。波風立てず一人で過ごしたいというのなら、この作文の書き方は悪手でしかないのだ。その答えを聞いた平塚先生は私から視線を逸らし、何かを思案しながら新たにタバコを口にくわえ火をつける。

 

「あと、平塚先生。・・・・・・本当の狙いは雪乃さんでしょう」

 

 私は平塚先生に以前から抱いていた疑問を投げかける。平塚先生は図星を付かれたのか、そんな私に吃驚し、そのまま硬直してしまった。ある程度の予想をしていたが、先生のいかにもという態度で私の予想が確信に変る。

 

「・・・・・・本当に君の洞察力には驚かざるおえないな」

 

 平塚先生はため息を吐きながら椅子に深く腰掛けた。先生はそう言うが、私はこの、人の思考を無駄に見抜いてしまう洞察力のせいで、周りの人を信じる事が出来なくなっている。そう思うとこの洞察力は、私にとってはただ忌々しいだけの欠点でしか無い。

 そもそも人は否定から入る生き物だ。お互いの自己満足を嫌悪した挙句否定する。だから私は、自身の思っている事を真剣にぶつけながらも、あるがままを肯定し受け入れる存在が欲しかったのだ。たとえそれが、相手の自己満足だろうとなんだろうと。

 だが反対に、人は他人の意見を肯定する事は難しい。自分の価値観と違うものを否定し、排除する。自分に降りかかる火の粉という名の恐怖を取り除こうとするためだ。己を守ろうとする意志は、人間だけではなくどんな野生動物でも持つ生存本能であり、生物全ての基礎ともいえる自然の摂理でもある。故にあるがままを肯定し受け入れるなど、夢物語でしかない。

 しかし、相手と真剣に向き合う自身を肯定してくれる存在が居たとしたら、それこそが本物の関係と言えなくはないだろうか。だからこそかつて私は、ありもしない本物と言う幻想を何度も求めたのだ。だが、そんな私の願いは空しく、幾度となく裏切られ、今となっては人を信じる事を辞めてしまった。

 そんな八幡の行動は、まだ僅かにでも人を信じてた頃の自分を見るようだった。今では本物というモノが存在するのか甚だ疑問に思っているくらいだし、むしろ諦めてると言ってもいい。それに一応それなりに余裕があるとは言え、私には残りの時間が無い。だからだろう、私は・・・・・・

 

「本物になりたい・・・・・・」

 

「ん…。何か言ったか」

 

 私の誰にも理解されない心の苦しみが、かすれるような声として意図せず漏れてしまう。私が何か呟いていたのに気付き平塚先生が訪ねてくるが、この呟きは出来れば聞いて欲しくない。私はなんでもありませんと伝え、いつものように平静を装う。

 何故ならこれは私の我儘であり願望なのだ。だって私が本物になれたら、この世に本物が存在すると言う立証となる。

 そしたら私はあえなく本物を手に出来る訳である。まあその為には、私が本物となりたいと思える人物に遭遇しなければならない訳だが。

 ふとそんな事を考えていると私はある事に気付いた。

 

「いえ…。そういえばこの前の依頼の際に、彼と自然に握手を交わしたなと思いまして」

 

 私がそう口にすると、平塚先生は信じられない事を聞いたかのように驚き、そのまま立ち上がって私の肩を掴んだ。

 

「それは本当か!?折本!!」

 

 まあ先生がこうなるのは仕方がない事だろう。何故なら私は、とある事情で男性にトラウマが出来てしまい、触れる事が出来なくなっているのだから。幸い、総武高校の国際教養科の女子の比率が女子高レベルに高かい事を入学する前に知っていた事もあり、リハビリも兼ねて最低限でも近付いて会話する程度には回復している。それでも、触れようとすると未だに反射的に拒絶してしまうが。

 だがあの時、私は彼と自然に握手を交わしていた。私が黙ったまま平塚先生に頷くと、平塚先生は椅子に座り直しブツブツと一人でに呟きだし、私に顔を向ける。

 

「その話が確かなら、彼は君にとっての問題も解決出来るかもしれない……。やはり彼を入れたのは正解だったようだな」

 

 彼女はそう言うと、もう行って良いと私に告げた。

 それにしても比企谷八幡か……。私と同じ目をした同胞。確か二年F組だったかな。あぁ、そう言えばあのクラスには彼女がいたな。最近は話もしていないし、一度挨拶位はしとくべきだろう。

 それから昼休み、私は二年F組の教室に足を運ぶ。そして入口の辺りで話し声が聞こえたので、一旦その場に立ち止まった。

 

「あのさぁ結衣、最近付き合い悪くない? この前も放課後バックれたじゃん」

 

「え、えっと。それはやむにやまれない事情があるといいますか」

 

 はぁ…。あの馬鹿は、短気な所が本当に悪い癖だと思わざるをえないな。私は、幼馴染みと結衣の一方的な会話とも言えない言葉を聞いて頭を抱える。

 

「それじゃわかんないから、ハッキリ言いたいことあったらいいなよ。隠し事とかよくなくない?」

 

 幼馴染みの馬鹿がそう言った後、誰かが席を立ったがすぐに着席したであろう音が聞こえた。私はその勇者に賞賛を送りながらも、あの馬鹿に今度説教する必要があると確信する。そして私はそのまま教室の中に入った。教室に入ると周囲からの注目の視線が私に突き刺さる。相変わらずこういった好奇な視線は慣れないものだ。

 

「よっ優美子、久しぶり」

 

 私の幼馴染みである三浦(ミウラ) 優美子(ユミコ)に目一杯の笑顔で挨拶する。言っておくがこれは友好的な笑顔じゃ無い。むしろ敵対的な笑顔だ。

 

「えっ、あぁ…。トメッチも久しぶりじゃん」

 

 ふっふっふ、優美子の事は幼馴染みだけあってそれなりには把握してるのだよ。どうしたの、私から視線を逸らすなんて。本当に可愛いんだから。

 

「優美子…。私前にも威圧的な態度はイケナイって言ったよね……」

 

「うっ…。あっ、あのさぁ」

 

「今度説教な・・・・・・」

 

 私は優美子に死刑宣告をすると、今まで放っていた殺気を収める。優美子は私の死刑宣告を受けて肩を落とす。立っていたら膝を付いていたのではないだろうか。

 

「あとさ結衣、雪乃と弁当を一緒に食べる約束してんでしょ。早く行きなよ」

 

 私は結依の背中を一押しするためにそう言うと、そのままクールに去る。だが入口を出る前に、一先ず立ち止まり優美子の方に振り向く。

 

「あ、そうそう優美子。ちゃんと大人しく結衣の話し聞いてやらないと、後でどうなるか分かってるよね」

 

 まあ、これくらい言っておけば優美子も流石に大人しくなるだろう。後は由比ヶ浜次第だな。

 

「オリモンありがとう」

 

 最後にそんな声が聞こえたが、私はそのまま教室を出て行く。てかオリモンって私の事なのか。……あまり考えないようにしよう。頭が痛くなりそうだしな。

 だが一応、優美子がちゃんと話しを聞けてるか外で聞き耳を立てながら、確認だけはしてはおくとしよう。そう思い入口を出るとそこには雪乃がいた。

 

「来てたのか」

 

「えぇ。あまりにも遅いものだから気になってね」

 

 相変わらず彼女は素直じゃないな。本当は幼いだけに寂しがり屋の癖して、意地っ張りなんだから。私はそんな雪乃を見て、自然と笑顔になる。

 

「ん。お前らいたの」

 

 そして気まずくなったのか教室内の生徒が一斉に出て行く。どうやら八幡も教室から出てきたようで、私達に話しかけてきた。

 

「しかし…。お前、あの獄炎の女王様を大人しくしちまうなんて。本当になにもんなの?」

 

「あいつとは幼稚園から小学校までの腐れ縁だ。まあ中学は別々だったが……。それに私としては、昔は私の家のハムスターを見てはしゃいだりディスティニーランドのパンさん見て無邪気に笑う、あいつの可愛い過去を本当は語りたかったまでもあるんだがな」

 

 私がそう言うと何故か八幡は顔を引き攣らせ苦笑いを浮かべる。雪乃なんかは眉間を指で摘み顔を顰めている。そうなる理由も分からなくは無いため、気にしない事にする。

 

「お前結構えげつないな」

 

「別に私は何時もあるがままに振舞っているだけだ……」

 

 そう私はあるがままに振る舞う。何故ならそれは私が求め諦めたもの私の理想像だからだ。

 

「……。私は本物になりたいからな………」

 

 そして八幡達から視線を逸らしながら小声で呟いた。小さな声ではあったから聞こえてはいないだろう。いや聞こえてない事を願いたい。

 それにしても、最近の私は何かしらと調子が悪い。なんというかフワフワするようなくすぐったいような感覚だ。恐らく私は今とても楽しいと思っている。それは今まで私が知りえなかった感覚だ。そんな感覚を私が感じるとは思っていなかったが、これも雪乃や八幡、そして由比ヶ浜に出会ったおかげなのだろうか。だとしたら私はこれからも奉仕部の部長として頑張って行こう。未来のある彼等のために………。

 

「そう……。それより折本さん、そのディスティニーランドでの話、詳しく聞きたいのだけれども。あと、そ、そのハムスターの写真とか、あったりするかしら?」

 

 私はすぐに肩を落とし額に片手を当てる。そう言えば童心の心を忘れていない子が、ここに一人いたのを失念していたよ。おっと、話に夢中で優美子と結衣の会話を聞き逃す所だった。

 

「ふーん…、そう……。別にいいんじゃない…」

 

 ふむ、どうやらちゃんと打ち解けたようだな。優美子への説教は取り消さないがな。さて、もう安心のようだし立ち去るとしよう。あぁそうだ、雪乃と八幡には忠告だけはしておこう。

 

「雪乃…八幡よ、そろそろこの場から立ち去った方が良いぞ」

 

「えぇ、そうね」

 

「えっ…、ちょっ!?」

 

 どうやら雪乃は初めから気付いていたようですぐに返事を返し、私と雪乃はそのまま立ち去る。

 そして八幡が由比ヶ浜からの、照れ隠しの罵倒を受けているのを耳にしながら、私はベストプレイスへと向かうのだった。




 良くお前の話し方、主語が抜けてると身内に言われる事があります。
 言葉足らずですみません。小説の1部内容を変更させていただきました。
 後タグに自己解釈を追加させて貰いましたごめんなさい。


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第5話 ラノベと馬鹿姉

申し訳ございません、私は制作者としてあるまじき行為である。読者の方々に八つ当たりをするなどという恥ずべき行為をしてしまいました。
その為、自分の反省を兼ねて1から自分を鍛え直す事にしました。
その為、この作品は1月1日に1から自分を見直す為に消す事にしました。今まで見てくれた方々には申し訳ありません。ここに深くお詫び申し上げます。


 今日は生物学の教員のお手伝いをすると、私はいつも通りに部室に向かう。そして廊下歩いていると、アホ毛で猫背をした同じ目の同胞と遭遇する。

 

「んっ八幡か」

 

「おう」

 

 私と八幡はお互いに軽く挨拶をする。そして私達は黙って部室へと向かう。私としては、この沈黙は結構好きだったりする。何故なら、私は基本的にうるさいのが嫌いだからだ。

 とは言え、別に私を巻きこむ事をしなければ、側でうるさくされようと気にはしない。そう言う意味では、八幡はうるさくないので好感が持てる方だろう。

 

「そう言えば八幡、生物学の先生に聞いたが、熊の生態ならぬリアルの愚かさを書いたそうだな?」

 

「えっあぁ……あれだ社会の現実と、動物社会の共通点を書いたんだ」

 

 ほう目をキョドらせながらそう言うか……そう言えば雪乃や由比ヶ浜は、八幡のこういった言動をキモイとか言うけど、私としては愛いと思うぞ。

 

「そうか……私としては、反抗的な文面で面白かったがな」

 

 私はそう言ってクスリと笑う。そうしている内に、私と八幡は部室に付く。部室の入口では、由比ヶ浜と雪乃が妖しげに部屋を覗いていた。

 

「お前ら何やってるの」

 

 八幡もそんな2人に呆気に取られ、気だるそうにそう問いかける。

 

「部室に不審な人物がいるの」

 

 雪乃は八幡の問にそう答える。雪乃よ……お前達の方が不審だと気付いた方が良いぞ。

 私はため息を吐くと、2人を無視して部屋の扉を開ける。そこにはポッチャリした体格の男性が、こちらに背を向けて突っ立っていた。

 

「フフフ待っていたぞ……比企谷八幡!!」

 

 男はそう叫ぶと、私の方に振り向く。そして思いっきりセリフが滑った事に気付き、石化した様に固まる。

 

「彼。貴方を知っているようだけど、知り合いかしら?」

 

「いや知らん例え知っていても知らん」

 

 つまり知っている訳か。まあこんな中二病全開の奴が、知り合いとは、言いたくは無いのは分かる。

 

「まさかこの相棒の顔を忘れたとはな。見下げ果てたぞ!八幡!」

 

 刀を構えるポーズを取りながら、彼はそう言う。本当に見ていて痛々しいな。

 

「相棒だって言ってるよ?」

 

「そうだ相棒!貴様も覚えているだろう?あの地獄の様な時間を共に駆け抜けた日々を!」

 

「単に体育でペア組まされたかもな」

 

 由比ヶ浜にジト目で見られる中、目の前の男の言葉に八幡は言い訳をする。まあ確かにこの中二病では、残り物になりやすいな。ちなみに私のは、雪乃と必ず組んでいる。

 

「ふっ! あの忌まわしき悪しき風習、好きな奴と組めだと? フッハッハ! 我はいつ果つるとも分からなぬ身。好ましく思う者など作らん! うん我1人でも寂しくないし」

 

 うんそうか・・・・・・今度体育の教員に、彼にも気を使ってやるように言っておくか。

 

「でっ何のようだ材木座」

 

「知ってるんじゃん」

 

 そしてその後は、雪乃が比企谷に、彼の言動について尋ね、比企谷があれは中二病であると説明した。

 

「詳しいのね。以外だわ」

 

「まあ・・・・・・あれは、歴史をベースにしてるぶん、まだましな方だ」

 

 私は心の中で八幡に同意する中には完璧に架空の内容で過激な奴もあるからな。

 

「あれより酷いものがあるの? 参考にだけど教えて貰えないかしら」

 

「元々この世界には三人の創造主たるもの魔神ヘルシュト、天空神ベルグリム、地母神ヘルミラそして……てっ! お前、誘導尋問上手いなぁ、思わず喋る所だったぞ」

 

 いやあれで誘導尋問なら、八幡お前の口はどれだけ緩いって事になるんだが……まあ半分は自虐を込めた、冗談だろう。

 私何か自称魔界を創造しそれらを統治する、魔王を下っ端になるほどの、はるか上の存在である4人の魔帝を創造した、マッドサイエンティストを名乗ってたからな。あれ? 私の方が酷く無いか?

 

「それで八幡、奉仕部とは此処で良いのか? 」

 

「んっ? あぁ奉仕部なら、此処で合ってるぞ」

 

 まあその後は、雪乃によって悲惨な目にあったりした訳だが。まあ哀れなとしか言い様が無い、そんな彼の依頼を聞くに、ラノベの原稿を呼んで、感想が欲しいとの事だった。

 

「別に構わないが……おそらく投稿した方がマシだったと、後悔するぞ」

 

 そして現在自室にて、奴が書いたラノベの原稿を読んでいる。ちなみに私はラノベなどの作品は好きだ。と言うのも私の父は大学教授である。そしてまたラノベ作家を副業にしている。そんな父の影響もあり、私はラノベを良く読む事が多い。故に言わせて貰うと、材木座の書いた物は余りにも酷かった。

 

「ねぇトメッチ」

 

 そして私が読書する中、迷惑極まりない人物がやってきた。

 

「ちょっと宿題手伝ってくんない? 」

 

 私は毎回宿題の手伝いを頼む馬鹿に、思わずため息をこぼす。

 

「はぁこの馬鹿姉が・・・私無しで出来ないのか・・・・・・・・・」

 

 だがこの馬鹿が頼むのは毎度の事もあり、もはや断る事は諦めている。それにこの苦痛な読み物から逃れる、良い口実にもなる。

 

「なにそれウケる~〜♪」

 

 何がウケるだこの馬鹿姉は……私はこの馬鹿姉もとい折本(オリモト) カオリに、内心で悪態を吐く。

 ちなみに私とこの馬鹿姉は、双子の姉妹である。双子と言っても。一卵性双生児ではない。二卵生双生児である為、姉とは容姿がそれなりに違う。

 ちなみに母は、私達を産んだ負担が大きかったのだろう。産気で、そのまま帰らぬ人となった。

 その為か父は、男手1つで私達を育てた。そのせいか、姉は他人の領域にズカズカ入り込む様になってしまった。私はそんな姉を、反面教師にして現在に至る訳だ。

 

「でっさぁ。ここが分からなくて」

 

「ここか・・・・・・ここはまずこう引いた後、こうやってだな」

 

 思い返すと、馬鹿姉の勉強を何度か手伝っていたら。何故か学力が上がってたんだよなぁ、あれには驚いた。

 

「うん! さっすが私の妹だ、愛してる」

 

 はぁこの馬鹿姉は、ルックスだけは良いのに。この馬鹿姉に惚れた男達は、哀れと思わざるおえまい。んっまてよ、確か八幡の奴、以前に折本と言う苗字を聞いた時、怯える様な反応を見せていたな。そう思った瞬間、私の脳内にとある可能性いや仮説が浮かんだ。

 

「・・・・・・なあカオリ・・・卒業アルバムはあるか?」

 

「んっ? あるけどどうしたの」

 

 私は馬鹿姉にそう尋ねると、馬鹿姉は不思議そうに首を傾げる。

 

「何となく見たくなってな」

 

 私は馬鹿姉にそう言う、この何となくは、人によっては勘ぐられるが、ちゃらんぽらんな馬鹿姉には、それなりに効果があったりする。

 

「ん? まあ良いよ」

 

 そして馬鹿姉はそう言うと、部屋の奥にあるクローゼットを開けて、下に置かれているダーンボールを探る。そしてダンボールから、アルバムを1冊取り出す。

 私はそれを受け取ると、その場でアルバムを開く。すると思った通り。とある人物の写真が、そこにあった。そして私の仮説は、それにより確信に近づく。だがまだピースが足りない。

 

「んっ? なあカオリこの目が腐った男は誰だ? 」

 

 私は確認の為に、技と写真のとある人物を指差して、話題をふる。

 

「ん? あぁ比企谷じゃん」

 

「比企谷?」

 

 その後は笑い話でもするかのように、馬鹿姉は比企谷八幡との事を、あらいざらい白状してくれた。そして私の仮説は正しかった事が分かり。私は内心この馬鹿姉に呆れる。これは下手をすれば、八幡の奴が俺と同情で関わるなと、言って来そうだな。まああの時は知らなかった訳だし、機会があれば私から言う事にしよう。

 翌日、私は自転車置き場で、八幡と出くわした。八幡は眠そうな所からして、徹夜であれを読んだのだろう。

 

「眠そうだな」

 

「徹夜であれを読んだからな、普通だろ?」

 

「そうだな・・・・・・私は数ページ読んだ所で床に投げつけて閉まったよ」

 

「ヤッハロー!」

 

 私たちがそんな会話をしてると、由比ヶ浜はそんな私達に挨拶をして来た。

 

「おはよう由比ヶ浜」

 

「おっす」

 

「あれ? ヒッキー余り元気ない?」

 

 由比ヶ浜は心配そうな顔で首を傾げる。この様子だと私の様に数ページしか見てなかったりするか。

 

「あんなの読んでたらそりゃ元気なくなるだろ……てか、むしろあれ読んでお前が元気なのか知りたい」

 

 八幡がそう言うと由比ヶ浜は急に眠いだのベタな演技をし出した。ひょっとして、1ページも読んでない何て事はないよね?

 

「さて感想を聞かせて貰おう」

 

 そして部室にて、依頼者の彼は椅子に堂々と腰掛ける。この自身が、この後直ぐ壊されると言うのに。

 

「ごめんなさい。私にはこういうのよくわからないの」

 

「構わぬ。凡俗の意見も聞きたいところだったのでな。好きに言ってくれたまえ」

 

 あっ言っちゃたよ。もはや雪乃を止めるものは無い、これは死んだな。

 

「そう……詰らなかった。創造を絶する詰まらなさ。読むのが苦痛だと感じたわ」

 

 雪乃は容赦無くそ彼に告げる。彼はオーバーリアクションで地面に倒れふす。

 

「ちっちなみにどの辺が詰らなかった? 参考に聞かせては貰え無いだろうか……」

 

 そして聞かなければ良かったものを、雪乃はもちろん文法がどうだとか、何故この場面で脱ぐなど、残酷に指摘して行く。

 

「雪乃その辺にしてやれ」

 

 私は彼が余りにも不憫に見えたので、助け舟として雪乃にそう言う。

 

「そう……本当はまだ言い足りないのだけど、まあいいわ。由比ヶ浜さん」

 

 そして雪乃は不服そうにそう言いながら、由比ヶ浜にバトンを渡す。由比ヶ浜は話をふられた事で、一瞬慌てるが、直ぐに材木座に目をやる。

 

「いっぱい難しい漢字知っているんだね」

 

「ガハッ!」

 

 由比ヶ浜は愛想笑いで、材木座にそう言う。由比ヶ浜よ、それは難しい漢字が多くて、読みにくかったと言っているようなものだ。材木座は地面に倒れふした。

 

「ひっ比企谷よ……お前なら分かってくれるよなぁ我の創造した世界が」

 

 材木座はすがる思いで手を伸ばしながら八幡を見る。八幡はそんな材木座に爽やかな笑顔を向ける。

 

「でっあれ何のパクリ?」

 

「くぁwせ!?drftgyふじこlp!!」

 

 だが材木座の思い虚しく、八幡は残酷な問を彼に告げる。材木座は壊れたと言って良いくらいに、地面を転げ回る。そしていよいよ私の番となった。その前に椅子に座り直させる必要があるな。

 そして材木座が落ち着いたのを見計らい、座り直す様に彼に告げると、私は机を引っ張り出し、彼の前に置く。

 

「あっあの……これは1体?」

 

 私は材木座の問を無視する。そして鞄から文法書や国語の教科書等を取り出し、机の上に叩きつける。

 

「簡単な事だ……父の作品を模造して置いてこの有様……貴様には、奉仕部部長ならぬ折本留として、直々に再教育してやる覚悟しろ」

 

 私は笑顔で威圧すると、奉仕部の仲間達に顔を向ける。

 

「私からの以来だ……彼の教育の為に手伝って欲しい」

 

 その後は彼を文法から、てにをはまで徹底的に再教育してやった。最後に魂が口から出ていたが知らん事だ。



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第6話 魔王と私の弱点

 こんにちは友人に諦めんなよと、説得《物理》を食らわされた御都合主義の狂信者です。
 とは言えケジメは付けたいので妥協案として、ちゃんと原作を購入して読み終えた後、ラノベの書き方をそれなりに勉強するまで凍結する事にしました。
 ですのでこの作品は最低でも、原作がが読み終えるまで続きは書かないつもりです。
 後、今回は小町と陽乃さんらしさが、ちゃんと出せてるかが心配……


 昼休みの時間、私は生徒指導室でマッ缶を飲み購買で買ったパンを食べながら有意義にくつろいでいた。

 私は普段から教員の手伝いなどを積極的にしてたりする為、使用の許可が無いと入れない場所などを使わせて貰えたりする。

 逆に言えば、それだけ教員から信用を得ている訳だ。またこう言った場所は、許可なしでは入れない分安心してくつろぐ事が出来る。

 しかも生徒指導室は、寛ぐに持ってこいな場所で、室内の為に雨風を凌げるのだ。さらに晴れてる日は、窓を開ければ心地よい風を入れられる。まさにベストプレイスと言って良い場所だろう。

 とは言え、それは違うと断言する者もいる事だろう、故に私の中ではと言う事を付け足して置く、しかし毎日来るのは平塚先生に、心配をかける可能性がある。まぁたまに化学室や家庭科室などを利用してたりする訳だが……こう言う時は教員と友好的な関係を気付い置いて良かったと思える。

 

「んっ?」

 

 パンが食べ終わった事もあり、しばらくの間この安らぎの1時を満喫しようとしていたら、急に私の携帯がなる。こんな時に何だ?

 

《ひゃっはろー♪ トメちゃんは元気かなぁ? とりあえず今回は〇〇〇店で待ち合わせだからきてね! お姉さんとの約束だよ♪》

 

「……チッ! こんな時に」

 

 放課後、何事も無く部活わ終えた私は、とある喫茶店に来ていた。

 と言うのも今回、私はとある人物からメールを貰らったからである。本来なら行きたくないのだが、私も逆らえない理由があってやむを得ず行く事にした。

 私が喫茶店の仲に入ると、その喫茶店の中で一際存在感を放つ人物の下に駆け寄る。

 

「おっきたきた。ひゃっはろー!」

 

 そう言って彼女雪ノ下(ユキノシタ) 陽乃(ハルノ)楽しそうに挨拶をする。ハッキリ言おう私はこいつが嫌いだ。私だって人間だからな、嫌いなものはある。基本的には克服しようと努力はする。だがどうしても好きになれない物が三つある。

 1つはバカ姉の様な奴だ。これは私がバカ姉を反面教師にしてる時点で、わかるだろう。

 次に男性だ。これはトラウマがある為に生理的に嫌悪感を抱いてしまう。特に爽やか系のイケメンは一番苦手だ。その為、裕美子とは葉山の話しはお互いにしない暗黙のルールが出来た位だ。

 とは言え、別に葉山が悪い訳じゃ無い。ただトラウマがフラッシュバックしかねないだけだ。

 そして最後に目の前にいる彼女だ、と言うのもこいつは、私の姉の上位互換だからだ。私の姉は、相手の領域に考え無しで入り込むのに対し、こいつは考えた上で、相手の領域に入り込む。だが彼女は、バカ姉と違って何処ぞのハイスペック大総統見たいな所もあるので、姉と同族とまでは無いが、それでも仲良くなるのは無理だろう。

 とは言えこいつには、ちょっとした因縁があって逆らう事が出来ない。どう言った因縁かと言えば、実は私はとある心臓の病で、後数年の命だと宣告されているのだ。

 それなりの施術をすれば助からなくも無いが、外国まで飛び立つ必要があり、オマケにとんでもない額を有する。まあそれでも失敗する確率は70を上回る訳だが……

 ここまで言えば分かって貰えると思う、つまり彼女にはその金額の肩代わりをする代わりに、条件を出された訳だ。それ以外にも借りがあり、それさえ無ければ喧嘩売っている自信がある。

 

「それじゃあ、約束通りに雪乃ちゃんの現状報告をお願いするね」

 

 彼女は楽しげにそう私に言って来る。そうこいつは同じ奉仕部であり、しかも同じクラスで私が雪乃と仲が良いのを良い事に、雪乃の事について現状報告を私に言い渡したのだ。

 

「そうだな最近クッキー作りの以来が来て、雪乃の奴もお手本で作っていたな……あれは美味かった」

 

 まっ! だからと言って簡単にはやられる気は無いがな。弱みを握られてる以上、正直に話さないと駄目と言ったハンデはあるが、肝心な情報はこちら持ちなのだ。シスコンの貴様には精神的ダメージを与える情報から話させていただくよ。

 

「アハハ……相変わらず君はえげつないねぇ」

 

 陽乃の奴は笑顔を少し引き攣らせながらそう言う。ふふふっどうした? 何時もの強化外面骨格に少し罅が入っているぞ? まぁ私しか知らない雪乃の事とか雪乃の事とか色々言ってやったからな。ねぇどんな気持ち? 後、本人は気付いて無いが無意識にハムスターの写真を見てた雪乃は、無邪気な笑顔で物凄く可愛いかった。とまあ嫌がらせはここまでにしておこう、資金援助の件が白紙になるのも困るからな。 

 

「まっそんな感じだ。後は新入部員として、私と同じ目をした少年位だな」

 

「君と同じ……どんな子なのかな?」

 

 陽乃はそう言うと、興味を示した様に食いついて来る。まあこの女を雪ノ下家の陽乃ではなく、1個人の雪ノ下陽乃として接してる私と同じ目なのだ。興味もわくだろう。

 

「そうだな……かなりの捻くれ者でなかなか面白い奴だ。ちなみに私が唯一触れられる男性だと言っておこう」

 

 陽乃は表情には出さなかったが、驚きの余りに一瞬だけ動きが止まる。刹那と言って良い僅かな反応の為、普通の人なら気付かないだろうこう言った反応は、滅多に見せないものだけになかなか興味深い。

 まあ驚くのも無理は無いか、何故ならこいつは私の過去を知っている数少ない人物の1人なのだから。

 

「へぇ……」

 

 陽乃は目を細め妖しげに微笑む。八幡よ、良かったな! どうやら興味を持ってもらえたようだぞ。まあ旅は道連れ世は何たらだ悪いが犠牲になって貰うぞ。多分今の私は、悪役な笑を浮かべている事だろう。

 

「これは……どうしようかなぁ」

 

 陽乃は少し考える素振りを見せる。そして結論が出たのか含み笑いで私をみる。

 

「まっ近い内にその子にあってみたいなぁ」

 

「……お手柔らかに頼むぞ」

 

「うん! 無理♪」

 

 陽乃はとても綺麗な満面の笑みでそう言う。哀れ八幡は犠牲になったのだ、悪いな八幡よ、お前の事は明日まで忘れないからな。

 とは言え八幡にはこの事を伝えて置く必要があるな。本物になりたい私に取って、嘘や隠し事は余りしたくない、むしろ知って貰うべきであろう。

 私は今後、如何にして八幡に自分の事を話すかを考えるが、結局はタイミングを見計らう必要があるだろうから一先ずは保留にする事で落ち着く。

 その後は陽乃と別れた後、やる事も無いので家まで帰宅しようとしてたのだが、途端に本日2度目のメールが来た。

 私は溜息混じりにメールを見ると、バカ姉からだった。メールの内容は本日友人達と夜遅くまで遊んだ後、友人の家に寝泊まりするのだそうだ。私は呆れで思わず溜息をこぼす。

 そして今日は父も研究室にこもるとか聞いていたのを思い出した。

 

「ふむ……どうしたものか」

 

 そうして考えたすえに、今日は雪乃のアパートにでも寝止まる事にした。早速メールを送り許可を待つ。しばらくすると思ったよりも早く返信が帰って来る。

 

《そう……確かにそう言う話しなら仕方が無いわね、今回は特別許可をあげないこともないわ》

 

 明らかに素直じゃないが、可愛らしい返事が帰って来たので、私は了解と返信をする。家のハムスターの写真も、次いでに送ったかいがあったな。

 そして返信を終えたところで、女子中学生が男性に手を強引に引っ張られている場面を目撃する。

 そしてその光景を見てしまった私は、思わず立ち止まる。その光景はさながら過去の、あの時の私と重なって見えたから。

 私は思わず発狂したい衝動にかられる。だがここが学園の校舎見たいな場所で無かったのが幸いしたのか、私は必死でその衝動を自らの意識でねじ伏せる。

 そして冷静になると今度は目の前の男に怒りが沸き上がる。思わず殴り飛ばしたい衝動にかられるが、やはりそれも出来る限り抑え込む。

 そしてまず目の前の光景を携帯で写し取ると、鞄からあるものを取り出して男の元へと近づく。

 

「おい」

 

「あっ?」

 

 男は私に呼び掛けられた事で、私の方にそのまま振り向く。私はすかさず男の顔面に痴漢防止スプレーを吹き掛ける。

 

「うぐわぁあぁーーっ!?」

 

 男はスプレーを顔面に掛けられた事で、両手で顔を多いながらうずくまる。

 

「いくぞっ!」

 

 私はそう言うと彼女の手を掴みそのまま勢い良く走り出す。

 どれ位走っただろうか? もはやあの男からはかなり離れたのでは無いだろうか、そんな感じである程度走った所で、私は足を止める。

 

「えっとあの……」

 

「お礼など必要無い、私が勝手にやったことだ」

 

 私は彼女を睨みながらそう言う。彼女はそんな私を珍しい物でも見たかの様に目を見開くと、次に私を観察する様に眺めみる。

 

「どうした?」

 

「いえ……私より年が下なのに大人びてるなって」

 

 ほうこの子は私の逆鱗に触れたね、いくら私でも今のはカチンと来たぞ。私はすぐさま眼鏡を外す。こう言う時はこの腐った目は良い圧力になるからな。

 

「ほう……私の格好は小中学生の物に見えると? 確かに私は君より身長も低いし寸胴な身体をしてる事は認めよう……だがな、これでも私は高二だぞ?」

 

 彼女は私の凄みに圧倒され、しばらくして私を眺めると涙目になり始める。ちょっとやり過ぎたな……私は若干反省しながら。彼女の頭を撫でる。

 

「はへっ!」

 

「おっと済まない。過去に幼馴染みと同じ容量でしてしまった」

 

 一先ず私は自らの失態を謝罪する。彼女はポカーンとした感じで突っ立ていたが、何故か吹き出す様に笑い出した。

 

「何だ?」

 

「いえ……すみません目もそうなんですが私の兄と似てるなって」

 

 私は彼女の言葉に少し驚く、何故なら同じ目の同胞があいつ以外にもいる可能性が出たからだ。

 

「そうか……今回は親友との約束もあるから少し残念だが、もし機会があったら会って見たい物だ」

 

「そうですかっ! だったらその時は小町がぜひ紹介しますね!」

 

 その後は彼女にそうかと言うと、先程の事が助けた後に起きても嫌なので、家まで送る事にした。

 ……まあ送ったのだが、まさか比企谷の奴の家でした。てっ事はこの子のお兄ちゃんって、八幡の事か……気まずいので私は黙ってクールに去るぜ。

 そして私は黙ってそのままその場をさると、直ぐに雪乃の家に向かうのだった。



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