転生者がチートで何が悪い? (ティラミス)
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プロローグ 転生した不思議な男
第0話 転生と異世界と黒猫娘です!


初めましての方は初めまして!そうではない方はお久しぶりです!好きな小説を読みながら書いていくのでのんびりとお楽しみいただければ幸いです。


夏。セミの鳴き声が日中止むことなく木霊し、じりじりと照りつける太陽が時の暑さを物語る季節。多くの学生は夏休みという長期休暇を満喫しているだろう。

 

そんな中俺・・・安童 遊魔はというと────────

 

 

「おいこら聞いてんのか小僧!!」

 

なんか変な空間で神様と名乗る爺さんに説教じみたことをされてきた。というのも────

 

俺は無慈悲な交通事故により命を落とした。そしてそのまま天国に逝くのかと思いきやこのような状況になってしまった。

一体どうしてこうなったんだろうか。こうなった原因は知らない。

 

「んで・・・なんで俺はこんな目に遭ってるんだ?アンタの仕業か?」

 

「うむ。儂がお主をここに連れてきたのじゃよ」

 

「そりゃなんで?」

 

俺がそう聞くと爺さんは頬杖をしながら俺の方を見ている

 

「お主、独り暮らしであの世界でつまらなくはなかったか?」

 

「あ?そりゃぁ、つまんなかったけど・・・おいおい・・・まさか別の世界に転生とかそういう事じゃあねぇだろうな?」

 

「その通りじゃ。理由は特にはないが、まぁたまにはこういうことをするのもいいと思っての。そしてお主を転生させる世界も決めてあるのじゃ」

 

おい待てよ。他にも色々とツッコミてぇところあるんだけれど?!

 

「お、おいちょっと待てよ。そんな事やって原作と違うことを行ったら物語として成り立たなくなってしまうんじゃないのか?」

 

すると爺さんは変にニヤニヤしながら語ってくる。なんか腹立つなあぁいう顔・・・

 

「心配いらん。原作になってるものと同じではあるが、影響が出ない世界じゃ。つまりは「二次創作・・・」・・・その通りじゃ。じゃから心配せんでいいよ」

 

あ、ならよかった・・・流石に原作に影響出るなら拒否していたからな

そしたら後は設定とかそういうメタなところなんだが・・・

 

「まぁそれはわかった。んで、その世界での俺はどんな能力とか身につけてたりとかあるのか?」

 

「うむ。それに関しては勝手に決めるのは如何せんダメじゃと思ってな。お主に決めてもらう事にした。2つじゃ。好きなのを選ぶが良い。じっくり考えるのじゃぞ?なんせこの後の人生をその能力と共に生きるのじゃからな」

 

なんともありがたいお言葉だ。流石は神様と言ったところだな

しかし二つも能力が・・・まぁ転生される世界では妖術とか魔術とかなんでも来いという様な世界だから何があっても文句はないだろうしな・・・やっぱり一つはあの世界ならではの武器だよなぁ・・・もう一つは魔法とかそんな感じで良いとは思うけれど・・・

 

 

「そうそう。言い忘れておったわい。お主があの世界に行ったらわしもあの世界に行くからの。北欧神オーディンという名前でな」

 

「本物の神様じゃねぇか!!?」

 

「神じゃからのぅ・・・それで、決まったのかの?」

 

「あぁ。一応はな。俺は────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ってのにして欲しいんだが、出来るか?」

 

「ふむ。問題ないぞ。ではおまけで色んなのをくっつけてやろう。そんな選択をするのはお主が初めてじゃからの。サービスじゃ」

 

「ありがとう。神様・・・いや、北欧神オーディン様」

 

「例には及ばんよ。若者よ。楽しい世界じゃ。存分に楽しむのじゃぞ」

 

 

オーディン様はそう言うと何やら呪文を唱え始める。恐らくは俺を転生させる呪文であろう。そして呪文が唱え終わると俺の身体が光を帯び始める

 

「お主の健闘を祈るぞ。若者よ」

 

 

オーディン様のその言葉を聞いた途端俺の視界が真っ白になる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の視界がだんだん色を帯びていき、気がつけば俺は森の中の神社らしき場所のど真ん中に倒れていた。ここがあの世界なのか・・・??

多少の疑問を抱きながらも身体を起こして周りを見渡してみる。辺りには目立ったものはなく、森、そして俺の後ろにある社のみだ。誰かがいる気配も感じ取れないというところから、ここはもう崇拝している人がいない神社なんだと思う。ひとまずひらけた場所に移動しよう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとまずは拓けた場所にたどり着いた。ここからは結構な高さがあるのか、視線を下の方に向ければ大きい屋敷があった。なんかあれ見たことある気がするが・・・思い出せない・・・そしてもう一つ気になることが発覚してしまった。それは────

 

「あのさ、そんな所に隠れてないで出てきてくれませんか?」

 

先程から後ろらへんから気配がある事。なぜわかったかというと、オーディン様に頼んだ二つの内の一つ【気配察知能力】のおかげだ。気配さえわかれば奇襲されることはないからな。しかもこの能力は俺が成長する度に察知できる範囲が広がるらしい。今は半径三十メートルが最大らしい。それでもすげぇけどな・・・

 

「あれれ、気がつかれちゃったにゃん・・・私の仙術を見破るなんて・・・只者じゃないにゃん?」

 

そう声が聞こえたのは木の上。そこには黒い着物を着ていて、猫の耳と尻尾を生やしている人間ではない女性。そしてその着物を少し着崩してるから目のやり場に困る・・・

 

「他のところから視線がありゃ気がつくわ・・・仙術ってのは聞いたことがないけどな」

 

「そりゃそうにゃん。仙術なんて使える種族はそうそうないにゃん。で、アンタ何者ニャン?」

 

黒い着物を着た女性は木の上から降りてこっちに向かって歩いてくる。近くになればなるほど肌で感じるのだが、この女性・・・実力やばそうだな・・・めっちゃ強そうなんだけれど

 

「俺?俺はただの放浪者だよ。猫娘さん?」

 

「嘘にゃ。ただの放浪者が私の仙術を見破れるはずないにゃ。悪魔にゃ?それとも・・・堕天使?」

 

「悪いな。どちらも違うんだ。んで、アンタこそ何者だ?妖怪か?」

 

「質問を質問で返すのはダメにゃ。そっちが答えるまで答える気はないにゃん」

 

やっぱりダメかぁ・・・だがここで素性を言っても俺に得があるとは到底思えないから適当な事言って誤魔化そう・・・

 

「仕方ねぇなぁ・・・俺は安童って名前の人間を辞めた者さ。今度はそっちの番だぜ?」

 

すると猫娘は不満げなのかわからないが頬をぷくーっと膨らませてきた。なんだよ可愛いじゃん

 

「むぅ・・・ずるいにゃん・・・まぁいいにゃん。私の名前は黒歌にゃ。妖怪にゃ」

 

「黒歌さんね。んじゃ今度はこっちから質問。なんで俺に接触してきた?わざわざ仙術とやらを使ってまで」

 

「理由はないにゃ。ただの気まぐれ。それだけにゃん」

 

気まぐれで仙術ってのを使うなんて用心深い奴だな・・・まぁ正体不明な俺がいるんだからそうなるのも分かるっちゃ分かるが。

 

「アンタ、ここで何やってたにゃん?こんな場所にいるなんて普通ないにゃ」

 

「単なる気まぐれだよ。気がついたらここまで来てしまったのさ。そしてこの周りの地形も何も分からんのさ」

 

「単なるバカにゃん」

 

「うっせぇ!!妖怪にバカって言われたくねぇわ!!」

 

俺がムキになって反論していると黒歌は何がおかしいのかクスクスと笑っている。ぐぬぬ・・・なんか負けた気分だ

 

「面白い男にゃん。ヴァーリなんかよりも面白いにゃ」

 

「あ?ヴァーリ?白龍皇とやらの彼奴か?」

 

「その通りにゃん。でもなんでそんなこと知ってるにゃん?ヴァーリが白龍皇になったのはつい最近にゃ」

 

「ただの偶然さ」

 

黒歌は不満げながらもなんとか納得はしてくれたみたいだ。

 

「そういえば、安童はこれから何か予定とかあるのかにゃん?」

 

「特には無いが、強いて言うなればこの世界の色んなところを散歩にでも出かけようかなってね。あんましここら辺知らないし」

 

「じゃあ私もついていくにゃん」

 

「・・・・・・・・・え?」

 

いや待て落ち着け安童遊魔!!どこをどうすれば同行へと変わるんだ?!しかもコイツはヴァーリと一緒にいる奴じゃねぇか!!そんな奴がなんでだ?!さっき言ってた面白いという理由か?!それだけでこの年齢=童貞歴の俺といるというのかこの猫娘はあああああ?!!

 

「いや、お前はヴァーリと一緒にいるんだろ?だったらここにいるわけにはいかないだろ?」

 

「・・・ダメ、かにゃん?」

 

黒歌は目尻に涙を溜め、上目遣いに俺を見てくる!やめてくれえええ!!そんな可愛い仕草で俺を見ないでくれえええええ!!そんなことされたら断れないでしょうがあああああ!!!

あぁもうこうなりゃヤケだ!!どうにでもなってしまえ!!

 

「・・・仕方ねぇな。案内よろしくな黒歌さん?」

 

「黒歌でいいにゃ。安童」

 

かくして俺の第2の人生がこうしてスタートするのであった────────

 

 

 

 

 

 

「そういやここってなんて名前の世界なんだ?」

 

「冥界にゃ」

 

────まさかの大規模な所からのスタートですかぁ・・・・・




私は原作だと黒歌推しです。
私の好みが凝縮されてるキャラです(*´ω`*)
この作品は恐ろしいほど投稿ペースが遅いのであしからず。

それではまた次回お会いしましょう


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第1話 ドラゴンは優しいです!

前回のメタな話が苦手な人へ送る!前回のあらすじ!

死んだと思ったら転生した!転生先でエロい身体の猫娘「黒歌」と出会って一緒に旅に出た!

以上!!


 

 

 

「そういや黒歌。ホントに俺についてきていいのか?」

 

「いいにゃ。ヴァーリとは契約してるわけでもないでもないにゃ」

 

黒歌と出会った森から脱出するべく2人で森の外に向かって宛もなく歩いてる間、俺は隣でふわふわ浮きながら付いて来る猫娘の黒歌に気になったことを聞いていた

 

「まぁそれならいいんだが、そういやここは冥界って所なんだろ?ここってどんな種族が生きてんの?」

 

「大体悪魔と堕天使が占めてるにゃ。悪魔の方が多いし、いろんなお偉いさんの屋敷が至る所に建ってるのが証拠にゃん」

 

俺が黒歌と会う寸前に拓けた崖のしたに見えたのも悪魔のお偉いさんの屋敷なのだろうか。そうするとかなり広い気がする。東〇ドーム何個分になるんだろうか。皆目見当もつかない

 

「なるほどねぇ・・・ひとまずのんびり話がしたいから安全な場所に行こうか。どこか安全な場所って知っているか?」

 

「そんな所冥界に存在しないにゃん」

 

「そっかないんだ・・・・・・・・・え?」

 

「ないにゃ。ほら。あそこにドラゴンがいるにゃ」

 

黒歌が指差す方向を向くとそこには全身真っ赤な鱗で覆われた体調三十メートル程にもなるであろうまさにドラゴンがいた。そしてそのドラゴンはこちらを見るや否や口を大きく開き、火の玉を形成し始める。

 

「・・・やばくね?」

 

「たかが火の玉にゃん。安童は下がっててにゃん」

 

黒歌は俺の前に立ちはだかり、右手の掌を真っ直ぐ立てる。するとそこには幾何学的な青い色をした魔法陣が形成され、大量の水が火の玉目掛けて放たれる。あれが魔術ってやつなのだろうか

 

黒歌が放った水とドラゴンが放った火の玉が空中で激突し、辺り一面に爆風が吹き荒れる。少しでも気を抜けば吹き飛ばされる勢いだ。やっぱ確信した。黒歌は恐ろしいほど強い

 

そして爆風が止むとそこに微動だにしない黒歌とドラゴンが立っていた。これが冥界の日常なのか・・・?そうだとしたら結構危ない気がする。まぁアレがあるからなんとかなるとは思うからその時その時で臨機応変に対応していこう。

 

『おぬし、なかなかやりおるな?このタンニーンのブレスを容易く弾き返すとは・・・』

 

「別にたいしたことないにゃん。それに本気じゃないのもすぐに分かったにゃ」

 

・・・黒歌が喋るドラゴンと会話をしている。しかしあのブレスが本気じゃない?もしあのドラゴンが本気を出したらこの辺一面炎の海に変化するんじゃねぇの・・・?

 

「安童、アレはドラゴンの中でも優しいドラゴンにゃ。名前はタンニーンにゃ」

 

『訳あって悪魔に転生はしているがドラゴンのタンニーンだ。小僧、おまえの名前はなんだ?』

 

「お、俺は安童だ」

 

『安童か。 しかし黒歌が人間を連れてるとは珍しいな?気に入ったのか?』

 

「ちょっとにゃん♪」

 

なんだろう。全く話の終わりが見えないんだけど。分かることはあのタンニーンっていうドラゴンが黒歌と知り合いであるという事、そして敵意が無く寧ろ友好的な性格のドラゴンであるということ、そして黒歌が俺の事を友好的に見てるということ。

まぁそうじゃなきゃ付いてくるはずがないんだけれどね

 

「タンニーンはなんでこんな何にもない場所にいるにゃ?」

 

『気晴らしの散歩という奴さ。最近息抜きというのが中々出来なかったからな』

 

気分転換超大事。これはドラゴンにも言えることなんだな。悪魔とか堕天使にも通じるものなのだろうか

 

そんなことを考えてる時、黒歌が急に真面目な表情になってタンニーンを見ていた。こんな顔を黒歌もするんだなと思ってしまう俺がいた

 

「そういえばタンニーン。赤龍帝が目を覚ましたっていう情報・・・これは知ってるにゃ?」

 

『ほう?ドライグが目を覚ましたか。しかし奴は神器の中に封印されているはず・・・つまりは何者かに付与されたというのか』

 

・・・なんか聞いたことある単語だなぁ・・・もしかしてこの世界って・・・ちょいと話に入ってみるか

 

「赤龍帝?確か人間に宿ったって話を聞いてるが?」

 

『何?人間にだと?安童とやら。どこでその情報を仕入れた?偽情報ではなかろうな?』

 

あ、やっぱり会話に入らない方が良さそうだった!!仕方ない!こうなりゃ言い訳してこの場を免れるしかない!!

 

「昔の知り合いに情報通が居たのさ。白龍皇の事もソイツから聞いたんだ」

 

うむ!我ながら良い言い訳だ!こうやって言えば納得してくれるだろ!!

タンニーンは少々驚いた雰囲気を出していたが暫くしてその雰囲気はなくなった。どうやら信じてはくれているんだと思うんだが・・・

 

「赤龍帝が人間に・・・ねぇ。もしかしたら堕天使に狙われるかもしれないにゃん。堕天使総督さんはコレクターだからにゃん・・・」

 

「赤龍帝って確か神様さえも凌駕する力を兼ね備えてなかったか?白龍皇も確かそうだったような気がするが・・・この二つってなんか関係してるのか?龍ってのがキーワードだったり?」

 

敢えて知識があまりないって感じに会話に入ろう・・・まぁほぼわかってることしかないんだけれどね!!ごめんね黒歌!タンニーンさん!!

すると黒歌は簡単に説明をしてくれる

 

「赤龍帝と白龍皇は二天龍とも呼ばれて、世界から恐怖されてる存在にゃん。その理由は神をも超える力があるからにゃ。これは安童も知ってるにゃ」

 

「まぁ、皇帝と帝王って感じだからそんな名前が付いたんだろうなぁって感じがしたからさ。まぁこれで気になってることは解決したわ」

 

「まぁこの二天龍以外にも封印されてるドラゴンとかもいるにゃ。もちろん封印されてないのも存在する。ドラゴンは恐怖の象徴にゃ」

 

「ふーん・・・でもタンニーンのおっさんみたいなドラゴンもいるから全てが恐怖って訳でもなさそう。俺らに被害を与えるようにも見えないし」

 

するとタンニーンは大笑いしながら俺のことを見てくる。なんだなんだ。なんか変なことでも言ったか?

 

『実に面白いやつだ。黒歌が気に入る理由も分かる』

 

すると黒歌はニコニコしながら俺に近づいてきて────

 

「わかってくれるニャン♪」

 

その豊満なボディを俺に思い切りくっつけてくるうう!!??待ってください黒歌さん!!色々と当たっちゃいけないものが当たっている気がするんですけどぉぉぉ!!!?

あ、でも最高に柔らかいのが・・・ってそんなこと考えてる場合じゃねーよっ!!!

 

「いいから離れろ黒歌!!」

 

「いいじゃにゃいかー・・・減るもんじゃあるまいし・・・」

 

「俺の理性が減るんじゃボケェ!!」

 

すると黒歌は渋々といった表情で離れてくれた。やめるんだ・・・そんな、無理やり剥がされて辛いみたいな視線を送ってくるなああああああ!!!!これ以上は俺がもたないんだよおおおおお!!!

 

『はっはっは!!本当に面白い人間だな!』

 

タンニーンさんは未だに笑ってるし!!

転生して早々こんなに弄られるとは思ってもなかったよ!!まぁ1人よりは楽しいからいいんだけれども!

 

『久々に面白い奴と出会えたわ。そろそろ我は領地に戻るとするよ。黒歌、この先はグレモリー領だ。やることがないのであれば向かうといい』

 

「グレモリー領ね・・・わかったにゃん。ありがと、タンニーン」

 

『例には及ばぬ。ではまたいつか会おう』

 

タンニーンさんは大きな翼を羽ばたかせて去っていった

 

「さ、目的地が決まったにゃ。早速グレモリー領に出発にゃん♪」

 

すると黒歌は俺の右腕にまた抱きついてきた。だから俺が大変なんだってば!!

 

「お、おう・・・グレモリーってのはなんなのかわからんが、とりあえず向かえばわかるよな!そしてくっつくな!!」

 

「にゃはは♪安童は面白いにゃん♪」

 

なんだろう・・・凄い弄られまくってるんですけれど。慣れるまで時間かかりそうだなこりゃ。

 

 

 

 

 

 

 

そんな感じで黒歌と どんちゃん騒ぎしていると遠くからでは前方に大きな屋敷が見えてきた。遠くからでもデカイと思えてしまうほど巨大な屋敷だ

 

「あれがグレモリー領の屋敷にゃ。アソコには魔王の1人が住んでいるにゃ」

 

あ、魔王住んでるんだ・・・道理でデカイわけだよ・・・

 

「魔王って何人いるんだ?1人って事は他にもいるんだろ?」

 

「今のところは4人にゃ。あそこの屋敷にはルシファーっていう魔王がいるにゃ。とってもイケメンっていう噂にゃ。そして実力もトップクラスにゃ」

 

「へぇ・・・グレモリー領にルシファーさんがねぇ・・・」

 

「ルシファーっていうのは役職名みたいな感じにゃ。本名はグレモリーにゃ」

 

ホントに黒歌はなんでも知ってるなぁ・・・博識猫娘かよ

 

「グレモリーは情愛深くて有名にゃ。犯罪しなければいい人達にゃ」

 

「もし犯罪をしたら?」

 

「グレモリー特有の滅びの魔法で存在が消えるにゃ♪」

 

おっそろしい!!!恐ろしいぞグレモリー!!

逆らわないようにしよ・・・逆らったら俺の人生終わる・・・!

 

「アソコに行くのもいいが・・・人間が住んでる世界にも行きたいなぁ・・・」

 

だってここ人間存在してなさそうなんだもん。故郷に帰りたいよ。隣に妖怪いるし・・・

 

「人間界に行きたいにゃ?だったら魔王様にお願いすればもしかしたら転移魔法使わせてくれるかもしれないにゃん」

 

「マジで?!」

 

黒歌はニコニコしながら頷き、俺の手を引っ張る。こうやってみると好奇心旺盛な女の子って感じするな。くそう可愛い奴め・・・

 

そして俺は黒歌に引っ張られるまま魔王ルシファーさんのお屋敷に向かっていくのであった。

黒歌が空を飛んで移動し、俺が気絶してしまったのは遠くない未来のお話───

 




体調管理しっかりしましょう。私ダウンしてます


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第2話 己の力解放です!!

メリーなクリスマスも終わり今年も残りわずか。私はやり残したことが沢山ある1年となってしまったです。

それはさておき本編へいきましょう!


 

 

 「・・・デケェな」

 

 「こ、これは私もびっくりの大きさにゃん・・・」

 

 俺は黒歌に引っ張られるままグレモリー基、魔王ルシファーの屋敷の前に到着した。そしてその屋敷を見て唖然とするしか頭に浮かばなかった。これは黒歌も予想だにしない程の大きさらしく、俺と同じように驚きを隠せていなかった

 

 「・・・どうする?入る?」

 

 「は、入るしかないにゃん・・・?」

 

 「は、入ってもいいんだろうか・・・滅されない??」

 

 「だ、大丈夫だと思うにゃん・・・」

 

 俺と黒歌はお互い頷き、ルシファー屋敷の中へと潜入を試みる。目の前にはデカすぎるがおしゃれな西洋風の扉がある。見たところ鍵穴みたいなものはないから内側から施錠するタイプの門だろう。俺と黒歌は合図を確認し、同時に扉を開けることにした。

 

 「いいか・・・?せーのっで開けるぞ」

 

 「わかったにゃん・・・」

 

 「いくぞ・・・せー「何をしておられるのですか」・・・の?」

 

 合図をかけた瞬間、どこからか声が聞こえてきた。嘘だろ?一応周囲は警戒していたんだぞ?!それでも気が付かないとは・・・俺の未熟さが原因か?

 俺は恐怖のあまり辺りを見渡してみるが、人らしき気配、姿はどこにも見当たらない。

 

 「上をご覧ください」

 

 再び声が聞こえ、その言葉の通りに上を見る。すると門の上に綺麗な銀髪を三つ編みにしていて、メイド服がすごく似合っている美女がいた。てか下から見上げてるから・・・見えてはいけないものが・・・・・・!?

 そんな美女は羞恥心がないのか、そのままジャンプして俺らと同じ地面に着地した。俺よりも背が大きいのはちょっと驚きだが・・・

 

 「もう一度聞きます。ここで何をしようとしていたのですか?」

 

 その口調はとてつもなく低く、並大抵の精神力だと心が折れそうなほどだった。

 まぁ普通に警戒するよなぁ・・・人間みたいなやつと猫娘が勝手に門を開けようとしてるんだもの!!

 

 「ちょっと魔王様にお話がありましてね・・・」

 

 「そ、そうにゃ・・・」

 

 「お話?ただの人間と妖怪が魔王様にお会い出来るとお思いで?」

 

 「「おっしゃる通り(にゃん)です・・・」」

 

 「ご理解頂けたのならばお引取りを「まぁまぁ。いいじゃないかグレイフィア」・・・魔王様?」

 

 突如としてグレイフィアと呼ばれた女性と隣に紅色の魔法陣が展開され、ある人物1人がそこに立っていた。身長がかなり大きく、整った顔立ち。そして紅色のロングヘアーが特徴的でどこか優しげな雰囲気を漂わせる男性だ。そしてグレイフィアさんはこの人の事を魔王と呼んだ・・・つまりは

 

 「魔王・・・ルシファー・・・」

 

 「いかにも。私が四大魔王の1人。サーゼクス・ルシファーだ。そして彼女はグレイフィア。私の付き人だ」

 

 グレイフィアさんはそのまま一礼をする

 

 「話は聞かせてもらっていたよ。して、何故私に会おうと思ったのだい?」

 

 「あ、え、ええとですね・・・」

 

 俺は人間界に行きたいこと、自分が何者かを話した。まぁ一部伏せさせてもらったが嘘はついていない

 

 「なるほど・・・転生先がここで、私の元を訪ねたのはタンニーン・・・ふむ。状況はわかった」

 

 サーゼクスさんは隣に紅色の魔法陣を展開させた

 

 「ここに入れば人間界へ連れてってあげよう。ただしいくつかお願いをしてほしい」

 

 「お願い・・・ですか?」

 

 「そう。まず一つ。君自身の正体をほかの人間に知られないこと。もし何かあれば私の妹の所に行きたまえ。私と同じく紅色のロングヘアーだ」

 

 俺自身の正体・・・か。まぁ転生したってぐらいから多分大丈夫だとは思うからそれ以外のことだな。能力とか。もしバレたらその時は包み隠さず話すしかなさそうだけれども

 

 「なるほど・・・わかりました!あとは何か・・・?」

 

 「もう一つだけ。これは単なる私個人的な願いだ。楽しい人生を歩んでくれ。折角オーディン様から授かった命なんだ。大事にしたまえ」

 

 もう魔王さん優しすぎて俺感動するんですけど・・・!?こんなに優しい人が魔王ってある意味すごい事だよな?!

 

 「そういえば君はどうするんだい?彼とともに行くかい?」

 

 サーゼクスさんは黒歌に向かってそう聞いた。たしかにどうするのだろうか?

 

 「私?私はもちろん安童と一緒に行くにゃ♪楽しそうだし?」

 

 「なるほど。わかった。行きたまえ」

 

 どうやら黒歌も一緒についてきてくれるらしい。ちょっとありがたいと思える気持ちになった。だって流石に人間界に行って一人ぼっちってのは辛いよな!いろんな意味でさ!

 

 

 そうして俺はサーゼクス様が用意してくれた魔法陣に入り、人間のいる世界『人間界』と呼ばれる世界に黒歌と共に向かうのであった

 

 

 

 

 

 ・・・・・・────────

 

 

 どのくらい時間が経ったか分からないが目の前の真っ白な世界が収まっていき、辺りには住宅街がある。これは間違いない。人間が造った建造物だ!

 

 「ここが人間界にゃん?来るのは初めてにゃ♪」

 

 「そうだな。ここは人間界で間違いなさそうだ。昔はこんな感じの環境で育ったもんだよ・・・」

 

 なんせ1回転生してるからな・・・だが転生前と同じような雰囲気があるし、なんとかなるとはおもうんだ。

 しかし日は落ちかけていて、夕陽が辺りを橙色に染めていく。こんな景色をまた見れるとはな・・・

 

 「ひとまず、サーゼクスさんの妹君を探すところからだな・・・訪ねろ、そう言っていたということはここの管轄をしてるんだと思うし・・・目立つところにいそうだな」

 

 「う〜ん・・・公共施設かにゃん・・・?」

 

 無難にそうだろうな・・・役所とかそういったところだとは思うのだが・・・あと身近な公共施設・・・あ!

 

 「「学校(にゃん)!!」」

 

 見事に黒歌と答えが一致。そうだよ!学校があるじゃないか!

 

 そして学校を探すため、高いところにやってきた。まぁ住宅街の家の屋根の上なんだけれどもね。

 ここからそう遠くないところに立派な学校があった。大きさからして高校だと思うから多分あそこにルシファーさんの妹さんがいるんだと思う

 それに確信的なことも発覚してるしな

 

 「あの学校にいるな」

 

 「どうしてわかるにゃん?」

 

 「気配だよ。ただの人間では出ないような、変なオーラのようなものが感じるんだ。恐らくあれは悪魔のオーラだと思う」

 

 「安童って割とチート的な存在かもにゃん・・・?」

 

 「まぁ色々あったが、チートではないと思いたい。うん」

 

 ひとまず俺と黒歌は屋根から降り、歩いて向かうことにした。急ぐ理由もないし、黒歌が浮いてたらバケモノだって分かって騒動になりかねないし

 

 少し歩くと小さめの公園があった。ブランコに鉄棒、そして滑り台と砂場という、一般的な公園があった。俺は黒歌に休憩するように伝え、ベンチに座る。お金・・・あればいいんだがなぁ・・・無一文って辛いよ?

 

 「そういや黒歌。気付いてるか?」

 

 「安童が気付いてるのに私が気が付かないと思うかにゃん?」

 

 どうやら黒歌も感じているようだ。近くに不気味な雰囲気が漂っていることに。これは人間ではないな。となると・・・

 

 「悪魔か堕天使か・・・」

 

 「多分堕天使にゃん・・・」

 

 ひとまず俺は黒歌と共に気配の所に向かうことにした。ここからそう遠くはないな。それにその近くになんか気配感じるし

 

 

 

 「黒歌。ここら辺だよな?」

 

 「この先にゃ。アソコは・・・別の公園・・・?」

 

 黒歌と共に気配の所に向かって来た俺たちが辿りついたのは別の公園だった。さっきの公園とは違い、噴水とベンチのみというシンプルな公園だ。だが問題は噴水近くにいる何人かの姿である。

 

 「1人は堕天使・・・それ以外は人間じゃねぇ」

 

 「安童。私はここから先は行かないにゃ。理由は聞かないで」

 

 「まぁそのうち聞くさ。んじゃひと暴れ出来たらいいなぁ・・・」

 

 俺はそのまま1人で堕天使と悪魔が対峙しているところに向かう。向かっていく時に気が付いたが、2人ほど尋常ならぬ力を身体中から出している。1人は倒れている男。大方察しはついている。そしてもう一人はスタイルがいい紅色のロングヘアーの女性だ。皆制服っぽいのを着ているから多分俺と黒歌が見た学校の生徒であろう。人間ではないが

 

 「こんな夜中に暴れられたらたまらんぜ?人外さん方?」

 

 俺がそう発すると全員が俺に視線を向けてくる。その中で堕天使と紅色の髪の女性は驚いた表情をしている

 

 「貴方・・・私がわかるの?」

 

 堕天使が俺にそう問いかけてくる

 

 「そりゃ、オーラが人間のものじゃないからな。それに露出多い服装だし、堕天使とかじゃないか?」

 

 「へぇ・・・私が堕天使だと分かってるのね・・・?だったら生かしてはおけないわ。あなたにはここで死んでもらうわ」

 

 「お生憎・・・死にたくはないのでね。抵抗させてもらうよ?変態天使さん?」

 

 「っ!貴様ぁ!!」

 

 「ところでそこの紅色の髪の人。あんたもしかして、サーゼクス・ルシファーさんの妹さんじゃあないかい?」

 

 俺に突然話しかけられて驚いたのか、またはルシファーさんの名前を知ってる人間がいるのが驚きなのかわからないが動揺しているようだ

 

 「な、なぜお兄様の事を?!」

 

 「まぁ話は後でするさ。ひとまず・・・コイツ殺していいの?」

 

 「え、えぇ。だけどアナタ・・・丸腰じゃないの。それでは抵抗出来ないわよ!」

 

 「丸腰かどうか・・・その目で確かめてみな?」

 

 俺はルシファー妹さんにそう言い、目を閉じる。

 

 「我を護りし稲妻よ・・・我に力を示せ・・・!」

 

『lightning!!!』

 

 突如として俺の右手から出てきた金色の宝玉から女性のような音声が鳴り響き身体中を凄まじい程の稲妻が迸る。これがオーディン様に言った二つ目の能力『神器(セイクリッド・ギア)』だ。俺は雷属性を付与するものにした。こうやって身体に纏わせて身体能力のアップをするわけだ。まぁ転生してから初めてだからこれから慣れていこう。

 

 「なっ?!神器使いだと?!ならば尚更生かしてはおけぐぉっ!??」

 

 堕天使が最後まで話せることはなかった。何故なら俺が高速を超える速度で移動して思い切り殴ったから。まだ全力ではないが、ひとまずの小手調べ程度にした。

 

 「んで、堕天使さん。殺されたい?」

 

 「舐め・・・るなぁ・・・っ!!私は至高の・・・!!!」

 

 「いや堕天してる時点で至高の糞もねぇだろ・・・」

 

 「黙れぇぇぇぇぇッ!!!!!」

 

 堕天使は手中で光り輝く槍を生成し、俺に向かって投げつけてくる。その数5本。

 

 「この槍が悪魔の貴方に刺されば貴方は死ぬ!これでおしまいよ!!!」

 

 「あのさ、俺、自分が悪魔だとは一言も言ってないんだけど??」

 

 その槍が俺に突き刺さることはなく、最低限の動きで全て躱す

 

 「全て躱した!?貴方は一体何者なの?!」

 

 紅色の髪の女性は俺に驚きながらもそう言ってくる。まぁ仕方ないよな。いきなり神器使いが出てきてるんだから。それもただの人間が

 

 「俺?俺はただの男だよ。変態。んじゃお別れすっか。稲妻よ・・・この堕天使に死の怒槌を」

 

『Thunder!!!』

 

 宝玉が力強くその言葉を発した刹那、堕天使の頭上から凄まじい音を立てながら雷が降り注ぎ、堕天使を焼き殺していく。

 

 次第に雷が収まり、堕天使の姿を確認すると、所々に傷が生まれており、致命傷だという事が容易に理解できる

 

 「っがぁ・・・っ・・・なに、ものだ・・・人間・・・ッ!!!!!」

 

 俺は力を解除した後、堕天使に話す

 

 「俺か?俺は単なる転生者だ。堕天なんかした奴じゃぁ俺は倒せないぜ?せめてもの情けだ。生かしてやろう。ただし今度誰かを悲しませたりするようなことをするのであれば存在を消す。良いな?」

 

 堕天使の瞳には光がなく、ただ俺の言葉に頷くだけになってしまった。そしてそのまま堕天使は魔法陣を展開し、その場から姿を消した

 

 「ふいー・・・まだまだだなぁ・・・あ、ルシファーさんの妹さんよ。生かしちまったのは謝るよ」

 

 「え、えぇ。それはいいのだけれど・・・あなたに聞きたいことがありすぎて・・・」

 

 「んー・・・んじゃあゆっくり話せるところが欲しいんだが・・・」

 

 「それなら私達の拠点があるわ。そこに行きましょう」

 

 そしてその拠点は学校内にあるらしく、ここからさほど遠くない所らしい。多分俺と黒歌が見たやつだと思う。

 俺は倒れてる奴を背負って紅色の髪を追いかけた。

 

 コイツらが気づいてるのか分からないが、かなり遠くに黒歌の気配がある。離れて入るがちゃんとついてきてはいるみたいだな

 

 そんなことを考えながら俺は紅色の髪を追いかけるのであった




恐らく今年の投稿はこれで最後となります。
今回は遊魔君の能力のお話がメインのはず

それではみなさん良いお年を


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第3話新たなる道!

年末、そしてストーリーの区切りとしてかなり短くなってしまいました。おそらく次回も短くなるかと思います


 

 

「なるほどな。アンタ達は全員悪魔・・・そして奴は堕天使・・・まぁ察してはいた」

 

「そう・・・飲み込みが早すぎてびっくりするわ・・・・・・」

 

現在俺は少し前に出会った紅色のロングヘアーの女性・・・リアス・グレモリー・・・に連れられて学校内のある部屋に連れてこられた。どうやらここが彼女達の根城らしい。学校のオカルト研究部と書かれてる看板のところだ。中に入ると普通の部室と変わりないような見た目だけれどね。

 

「それで、あなたのことを色々と聞きたいのだけれど・・・まずこれだけ聞くわ。なぜお兄様・・・サーゼクス様の事を知っているのかしら?」

 

「あぁそれか。俺は冥界で目を覚ましてな。そして目覚めたところの近くにルシファーさんの屋敷があったんだよ。んでお願いしてこの世界に来させてもらった。んで、困ったことがあったら自分と同じ髪をした妹を探せと」

 

「そう・・・道理で私にあってからすぐにお兄様の妹だと分かったわけね」

 

俺は包み隠さず話したのだが、冥界で目を覚ましたということに疑問を抱かなかったようだ

 

「それで次の質問なのだけれど・・・貴方、神器を宿してるのよね?」

 

「ん?あぁ。気がついたら宿ってたというか・・・目が覚めた時に宿ってたって感じかな」

 

まぁ本当はオーディン様に頼んだのだけれど流石にそこまで話すつもりは無いからな・・・

そして俺は疑問に思っていた点を聞いてみた

 

「そういえばリアスさん。その男はどうするんです?」

 

俺が公園にたどり着いた時に倒れていた男だ。ついさっき黒髪ポニーテールの人に治療してもらってたらしく、安静にしているが正直生きているのかさえ危うい。

 

「その子なら私の眷属にしようと思ってるの。なかなか見込みもありそうだし、ね?」

 

「へぇ・・・ま、眷属にするなら本人にもちゃんと説明しな?知らないうちに悪魔になってたなんて知ったりでもしたら何をするか見当もつかないからな」

 

「もちろんそのつもりよ。それに・・・堕天使に騙されて死亡・・・なんて彼自身も納得がいかないでしょうし。時間はあまりないからすぐにでも悪魔にしようと思ってるのだけれども、ね?」

 

まぁそりゃ致死率9割は普通にありそうな死に方してたからな。たしか腹のところに光の槍が刺さってたんだと思う。普通はアレだけで人間ならすぐに死ぬはずなんだが・・・死なないのは何か特殊なものが宿ってたりとかする可能性があるな

 

「部長。もうあまり時間が・・・」

 

「わかったわ・・・そういえば貴方の名前を聞いていなかったわね」

 

「俺は安童。ただの神器を宿した人間だよ」

 

「安童・・・ね。そういえばあなた学校は?」

 

「え、行ってないけど・・・?」

 

俺がそう答えるとリアスさんはニッコリと微笑んで

 

「じゃああなた、明日からこの学校に来なさい。住むところも用意してあげるから」

 

・・・は?

 

「・・・え、いや、なんでそうなるんすか・・・?」

 

「当たり前でしょう?神器持ちの人間が私の管轄内で勝手にウロウロする事は許さないわ」

 

あーはい・・・そうっすよねー・・・

 

ひとまず今日は部室の横の部屋が空き部屋になっているらしく、そこで寝ろと言われた。まぁ丁度寝るところ探してたから俺はラッキーだけれどさ!

 

そして俺は部屋に通され、寝ることにしたが・・・気がかりがあった

黒歌・・・何があったのだろうか。いきなりあんな風にいなくなるなんてな。多分ヴァーリの所に戻ったんだとは思う。元々向こう側の奴だったからな。まぁまた会えたらその時に理由は聞けばいいだろう

 

ちなみに翌日には高級マンションの部屋が確保され、家賃なし、月30万ずつお小遣いをくれるらしい。どんだけすげえんだよ・・・

 

 

 

 

 




年内最後の投稿です。
次回からは前回少し触れていた原作を進めようと思います
それではみなさん良いお年を


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第1章 旧校舎のディアボロス
第4話 不穏な動き見えました?!


新年初投稿です。
年末に書き始めたこの作品もたくさんの方々に見てもらっていて嬉しいです!本当にありがとうございます!
本年もよろしくお願いします!
それではどうぞ!


 

 

俺が人間界に来てから一週間が経とうとしていた。

今俺はリアスさんの提案で駒王学園という高校で1年生として暮らしている。

どうやら駒王学園は少し前まで女子高だったらしく学生の7割が女子生徒で占められていた。

 

そんな学校に通わされるハメになったわけなんだが・・・如何せん俺は人付き合いが良くなく、友達も全くもっていない。いわゆるボッチという奴だ

 

まぁ俺の話は置いておくとして、俺は外のグラウンド横の少し坂になってるところで集まっている3人組の男を見ていた。というよりもそのうちのひとりを見ていた。何故ならばソイツはあの時の男だからだ。

名前は『兵藤一誠』というらしい。そんな兵藤が今あぁやって学生として暮らしてるのは理由がある。それは昨夜に遡る

 

 

 

────・・・・・・

 

 

 

「・・・本当に転生させるんだな?」

 

「えぇ。彼にはまだ死は早いもの」

 

俺はリアスさんの根城のオカ研部室に来ていた。その理由は男の今後を聞くためだ。傷は癒え、意識は辛うじて戻したものの、動くことすらままならない状態が1日続いたらしい。このままでは危険だと考え、リアスさんは男本人に聞いていたらしい。

そして答えがこれだ

 

「・・・いいのね?兵藤君」

 

「は・・・い・・・」

 

「では一つだけ言っておくわ。あなたは人間ではなくなる。その意味は分かるわね?」

 

男・・・兵藤と言われた男は力なしに頷く。しかし目は本気の眼差しを向けているように見える

 

「そう・・・分かったわ。貴方が本気だというのが伝わってきたわ」

 

そういうとリアスさんは紅色のチェスの駒『兵士』を一つ取り出した

 

「これは悪魔の駒と呼ばれるものよ。これをあなたに渡してあなたは転生悪魔、私の眷属として生きるの」

 

「はい・・・」

 

力なくではあるがきちんと返事をする兵藤の元にリアスさんが歩み寄り、彼の横に着くと『兵士』の駒を彼の胸元に置き、目を閉じる。おそらく転生魔法か何かをかけるのだ思う

正直俺がここにいていいのか・・・

 

俺の気持ちも虚しく散る如く、リアスさんは不思議な言葉を並べ始めていた。おそらく始まったのだろう。その言葉と呼応するかのように駒も紅色の淡い光を放ちながら兵藤の中に入っていく。

 

だがその次の瞬間、眩い光を放ちながら駒は兵藤から飛び出てきてしまった!

 

「なっ?!転生が出来ない・・・!?」

 

どうやら転生失敗のようだ。1個でダメとなると数を増やしていく必要がありそうだな

 

「リアスさん。数を増やしていく見てはどうです?」

 

「そうね・・・次は2個でやってみましょう」

 

リアスさんはそう言うと駒を2つ兵藤の胸元に置いてまた同じように詠唱をする。

だが先程同様兵藤から飛び出てきてしまった。2個でも兵藤を転生させることは出来ないようだ。

 

3個目

失敗

 

4個目

失敗

 

 

 

―――・・・・・・・・・・・・

 

「な、7つでやるわよ・・・?」

 

「お、おう・・・」

 

遂に駒は7つになってしまった。ここまで転生出来ないとなるとなかなかすごいことらしい。

 

消費する駒の数が多い程内面的な強さが強いということらしい。

強いやつにはそれなりの代償って奴か

 

そして七つ目

失敗

 

 

「・・・マジかぁ」

 

「・・・次が最後よ・・・8つ目」

 

兵藤の胸元には兵士の駒8つ目すべて置かれていた。そして8回目のリアスさんの転生魔法詠唱。そしてそのまま8つの駒は兵藤の中に入っていき、今度は兵藤自体が淡く光を放ち始めた。その光が止む頃には兵藤の背中には悪魔の翼のようなものが生えていた

 

「ふぅ・・・なんとか8つで成功したわ・・・流石にここまでとは思ってなかったわ」

 

「ま、リアスさんお疲れさん。兵藤もお疲れさんだな」

 

兵藤に声をかけるが兵藤は規則正しい呼吸をしたままだ。どうやら転生したおかげで安定はしたみたいだ。あとは目を覚ませば大丈夫だろう

 

「そういやリアスさん。こんな時に聞くのもアレなんだが・・・俺がここにいていいのか?」

 

「私は構わないわ。悪魔という種族を知ってるのなら問題はないと思うから」

 

「そんなもんかぁ?」

 

「そんなものよ。さて、兵藤君も転生出来たし、もう一つのことを解決しないとね」

 

「もう一つ?」

 

「あなたよ。安童君。どうしてもあなたが気になってね」

 

やっぱりうまく隠し通せるかもって思ってたけど無理かあ・・・ここは教えておくべきなのかな・・・

 

「はぁ・・・俺の何が知りたいんだ?」

 

「そうね・・・なぜ冥界にいたのか、かしら」

 

やっぱりそこは食いつくか・・・前聞いてこなかったから良かったと思ってたが・・・

 

「大した理由ではないよ。転生先が冥界で、アンタの兄さんの屋敷の近くの山みたいなところの中だったってだけだ」

 

「その言葉は嘘ではないのね?」

 

「あぁ。こんなんで嘘ついても俺には何の得もないものだからな」

 

リアスさんは少し考えるような仕草をしていたが、すぐにその姿勢を解かして俺の方を向いてきた。

 

「じゃあ次、神器を宿した者の末路・・・これは知ってるかしら?」

 

「神器って体の一部みたいなもんだろ?だったら死に至るんじゃないか?」

 

「その通りよ・・・神器を奪われたりしたら元々の持ち主は死ぬ。これは免れない現実よ。貴方もそうなる可能性がある。そこであなたに提案があるのよ」

 

「提案?」

 

「あなたも私の眷属にならないかしら?」

 

っ!!まさか俺まで眷属に誘ってくるとは思いもよらなかったぜ・・・確かに悪魔になれば長生きはするだろう。俺にとってはメリットが大きく、デメリットが少ない良い提案だ。だけど俺にも譲れないものがあるのは確実だ

 

「悪い。そういうのは嫌いでね。俺はのんびりと生活出来ればそれでいいさ」

 

「だけど悪魔と堕天使に関与してる以上、これ以上の命の保証は出来ないわよ?」

 

「心配ご無用。死んだらそれでよし。だが俺には力がある。神器がな」

 

リアスさんはそこまで言われたら仕方ないと言うようなため息を吐いた後、俺に笑顔を向けてくれていた

 

「分かったわ。だけど、何かあったら力になるわよ」

 

「ありがとさん。あんたも頑張れよ。王様?」

 

「えぇ。ありがとう。あ、そう言えば私の眷属を紹介してなかったわね。これからも会うことがあるだろうし、今のうちに自己紹介しちゃいましょ?」

 

リアスさんがそう言って隣に立っていた黒髪ポニーテールの女性に自己紹介をするように言った

 

「私は部長の『女王』を務めている姫島朱乃と申します。3年生です。以後お見知りおきを」

 

随分と礼儀正しい人だなぁ・・・それに綺麗で美人、おまけにエロい体と来たもんだ!たまらんね!!

 

姫島先輩が挨拶を終えると俺の前に座ってるイケメン男が立ち上がった。

 

「僕は『騎士』の木場祐斗。2年生だよ」

 

イケメンが自己紹介を終えて座ると、その横にいる白髪のロリっ子がお菓子を食べながらこっちを見てきた。確かあの子は見覚えがある。学園でマスコットとして評判がある女の子だ。確か同じ学年だった気がする

 

「『戦車』の塔城小猫です・・・・・・」

 

それだけを言い終えると再び視線をお菓子の方に向ける。無口な子なのかな?

 

「そして私が『王』のリアス・グレモリーよ」

 

これで全員なのかな?そして今度は俺が自己紹介をする番になった

 

「ただの神器使いの安童だ。暇な時は手合わせ願いたい。これからもよろしく」

 

自己紹介を終えてそのまま解散となり、俺はリアスさんにもらった住処へと帰ることにした

 

 

 

―――・・・・・・・・・

 

ってのが昨夜の出来事。どうやら兵藤は自分が悪魔になったというのを受け入れたらしい。ま、公にしないだけいいとは思う。人間として学生生活を送れるのはいい事だからな

 

ちなみに現在の時間だがお昼時であり、他の生徒は仲良くなったばかりの友達とかと一緒に食事を楽しんでいるのがよく分かる。かくいう俺は1人で食ってるんだけれどな。

 

 

 

・・・ちょっとこの学園内に変な気配があるけどな。ちょっと様子見に行くか・・・

俺が廊下に出て歩いていると隣の教室から見覚えのあるイケメンが出てきた。リアスさんの『騎士』木場祐斗だ

 

「うっす木場先輩。購買っすか?」

 

「やぁ安童君。君もかい?」

 

「まぁそんなとこっすよ。行きましょうか」

 

そんな感じに他愛もない言葉を並べ合いながら歩き、人気がなくなる所にまで来た。

 

「・・・アンタも感じたか?」

 

「と言うことは君もなんだね?」

 

「あぁ。この学校・・・堕天使が潜んでるぞ。しかもうまく隠していやがる・・・どうする?」

 

俺がそう質問すると木場は携帯を取り出し、どこかに連絡を取り始めた。おそらくリアスさんに電話してるんだと思う。こういう時は主に指示を仰ぐのが一番いいからな

ほどなくして木場が電話を終わらせ、携帯をポケットにしまう

 

「・・・リアスさんに連絡してたんだろ?どうだって?」

 

「一先ずは放課後までは何も触れずにとの事だよ。放課後に部室で作戦を立てるらしい」

 

「なるほどな。じゃあ頑張れ。俺は普通に生活するから」

 

「分かった。気をつけて」

 

それだけ言うと俺は再び教室に戻る。戻る途中である女子生徒とすれ違った。見た目は美人で、黒髪ロングヘアーが特徴的な可愛い女の子だ。そう。普通ならな。俺はすれ違う瞬間小さい声でその生徒に声をかける

 

「・・・放課後まで何もするなよ?堕天使」

 

「・・・ふふ」

 

女子生徒は微かに笑い、そのまま歩いていく。俺は分かっていた。うまく隠してるつもりだろうが本質的なものがまったく隠れていない所からな。彼女は堕天使だ。しかも前回俺が逃がした堕天使。たしかあの時キツーいお灸を据えたはずなんだけれどなぁ・・・こっちでも若者は他人の優しさがわからんのかね・・・・・・

 

 

 

 

 

 

・・・・・・―――

 

放課後。隣のクラスの子猫ちゃんはリアスさんのいる部室に向かってくのが見えた。おそらく堕天使対策だろう。ちなみに兵藤の奴は友達と帰っていった。良いのかよ・・・主が呼んでるのに・・・あれは後でお仕置きが入りそうだなぁ・・・そうなったら兵藤ドンマイ

 

俺はというと、木場にも言った通り普通に帰路を歩いていた。帰りにコンビニに行ったり、いたって普通の帰りをしていた。

だがその行動も虚しく散ることとなる。何故ならば

 

目の前に漆黒の羽が舞散っているのだから。これはもう間違いない。堕天使だ

 

「見つけたぞ。人間」

 

「出来れば見つけて欲しくなかったんだけれどなぁ・・・普通に生活させてくれよ・・・堕天使」

 

目の前にいるのは学校にいた美少女ではなく、ジジイだった。羽が左右2つずつあるからあの女の子より偉そうだなぁ・・・

 

「我々の計画の邪魔をするのなら容赦はせんぞ」

 

「あ?計画だ?んなのどうでもいいから帰らせろ。どうせろくでもない計画だろうしな」

 

「貴様・・・この私がドーナシークと知ってのその口か?」

 

「ドーナツだかなんだか知らねえけど・・・俺は帰りたいの。殺すよ?」

 

「ほう?この私をたかが下級悪魔ごときが殺せるとでも思ってるのか?面白い!やってみろ!!!」

 

ドーナシークと名乗った男は翼を展開させ、空中に移動し、何やら魔法陣を展開し始めてた。攻撃魔法か何かか?

少し経つとそこから大量の光を纏ったビームみたいなのが俺に向かって放ってきた!

 

「悪魔の貴様にとって光は最大の凶器!!これで滅びろぉ!!!」

 

「あーもう!!!どいつもこいつも!!俺は悪魔じゃあねぇんだよジジイ!!!稲妻よ!!」

 

『charge!!!』

 

俺は即座に神器を展開させる。今のはチャージというもので、その名の通り力を蓄積させるものだ。ただし蓄積させればさせるほど稲妻が俺を覆い、オーバーヒートしてしまう可能性があるため、ある一定量溜まったら解放する必要がある。この1週間やってみたが、約30秒程が今の俺のチャージの限界だ。そして時間が来ると自動で蓄電が止まるという便利機能付き!!ありがとうオーディン様!!!

 

『Full charge!!!』

 

30秒経過し、俺の蓄電が終わった!!思いっきり飛ばすぞ!!

 

「っしゃぁ!!喰らえクソ天使!!現段階の俺のフルパワー!!!サンダーランサァァァァッ!!!!」

 

『LANCE vault!!!』

 

俺の中で蓄電された稲妻が俺の右手に集まり、大きい槍を形成する!

そしてそのまま空に浮いてる堕天使目掛けて思い切り投げつける!!

 

「っぬぅ?!!うぉおおっ!!」

 

堕天使は間一髪の所で回避したが、掠った右翼の半分から焦げたような匂いと煙をたたせていた

 

「っしゃぁ!!見たか堕天使!!」

 

「っ・・・図に乗る「ドーナシーク様!」・・・っ!!」

 

突如何処からか声が聞こえてきた。あたりを見渡すと月を覆うように羽ばたいている堕天使らしき姿があった。たしかあいつ・・・俺がお灸据えた奴だよな?

 

「レイナーレか・・・何をしに来た?儀式の準備は?」

 

「全て完了致しました!あとは『魔女』を捕らえるのみでございます!」

 

「そうか・・・小僧。ここは退いてやる。今度会う時が貴様の最期だ」

 

「はぁ?おいおい・・・こそこそとくだらん計画か?そんなこそこそしてたら偉くもなれねぇぞ・・・?」

 

「ふん!口だけは達者だな小僧!次会うまでせいぜい生き延びるんだな!」

 

ドーナシークはそう吐き捨てる様に言うとどこかに向かって移動してしまった

そして残ったレイナーレと呼ばれた堕天使は俺の方に向かって降りてきた。そして着地するや否や俺の事を睨みつけてきた

 

「あなた・・・あの学校にいたのね?」

 

「いたもなにもあそこの生徒にさせられたからな・・・」

 

「そう・・・これ以上のことは首を突っ込まない方が身のためとだけ言ってあげるわ。下等な人間」

 

「出来れば関わりたくないもんだな・・・だがそんな事を俺に言う必要があったか?馬鹿かお前・・・」

 

「・・・それもそうね。忘れてちょうだい」

 

レイナーレはそう言うとドーナシークの後を追うように飛んでいってしまった。まったく・・・あんなこと忘れられるわけねぇだろ・・・

 

こりゃぁ・・・面倒事が起こる現場に出会っちまったなぁ・・・

 

 

俺は若干鬱になりながらも自分の拠点に帰ることにした。

明日辺り動いてみるかぁ・・・

 

 

 




本年ものんびりと投稿していこうと思ってるので応援してくれると嬉しいです!
それではまた!!


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第5話 剣を交えます!!

お久しぶりです。最近リアルの方で体調が宜しくないです
そんなことは置いておいて本編どうぞっ!


 

 

「・・・・・堕天使に襲われたっていうのに良く無傷でいられたわね安童君・・・」

 

俺が堕天使に襲われた翌日の放課後。俺はリアスさんのいるオカルト研究部に来ていた。その理由は昨夜の堕天使に関して念のため言っておく必要があると思ったからだ。確か管轄内だとか言ってた気がするからな

部室には兵藤の姿もあり、今は子猫ちゃんと共にお菓子を食べていた。緊張感がないのか単なる馬鹿なのか・・・

 

「まぁ・・・神器使って立ち向かったからな。使ってなかったら死んでただろうけど」

 

「まぁそれは置いておくわ。それにしても堕天使の計画がなんなのか気になるわね・・・」

 

「なんか魔女がどうこうって言ってた気がするから十中八九なんか良からぬことなんだとは思う」

 

「なるほどね・・・連絡をありがとう安童君」

 

「あぁ。んじゃあ俺は平和に暮らすとしますよ」

 

「あ、ちょっと待ってくれるかしら?」

 

俺はそう言い残し、部室を出ようとするが、後ろからリアスさんに止められてしまった。

まだなんか聞きたいこととかあるのかな?堕天使の件で俺の知ってることは全部教えたんだけれども。

 

「私たち、これから仕事があるんだけれど、よければ同行してくれないかしら?」

 

「仕事?悪魔の仕事になんで俺が?」

 

「単なる私の興味よ。あなたの実力を見たい・・・ってね」

 

リアスさんは笑顔でそう言ってきた

頼むから帰らせてくれよぉ・・・

 

「・・・断る選択肢は?」

 

「・・・ふふっ」

 

リアス先輩は不敵な笑みを浮かべながら右手に禍々しい魔力を凝縮していってる。あれっていわゆる脅し、もしくは脅迫ですよね?私に選択肢はないですかー!!

 

 

 

・・・・・・・・・――――――

 

「・・・で、この寂れた倉庫にいんの?その『はぐれ悪魔』って呼ばれるやつが」

 

「依頼のとおりならね。稀に移動し続けてる者もいるわ」

 

現在俺はリアスさんに悪魔の仕事を(無理やり)見せて貰うところだ。リアスさんの仕事の中に自分の管轄内に侵入している『はぐれ悪魔』の討伐があるらしい。

『はぐれ悪魔』っていうのは元々眷属悪魔なのだが、主を殺したりしてしまい、主を失った悪魔のことを総称した名前らしい

救いの手は討伐のみらしく、救いはないらしい。今回もその一例らしい

 

そして俺がここにいる理由は先ほどリアスさんに俺の力を見せてくれとのお願い(脅迫)があった為。この前見せただろうに・・・・・・

 

「・・・いますね」

 

ふとリアスさんの『女王』姫島朱乃さんがそんなことを呟いていた。俺もなんとなくわかってはいたが、この中に何かがいる。何かが混ざってるような、思わず吐き気が出てくるような気配が。恐らくこれが『はぐれ悪魔』なのだろう

 

「扉を開けます」

 

木場さんが先導して倉庫の扉を開ける。中はとても暗く、月明かりが入口付近を照らしていた。乱雑に散っている雑芥類がこの中で何があったのかを物語っている。

そして木場さんは入口付近に設置されている照明スイッチを起動させ、倉庫内を明るく照らす。

 

すると奥の方に人影があった。少し遠目だから見ずらいが、おそらく170センチ位ははあるだろう。

 

そしてその人影はゆっくりとこっちに向かってくる。

歩いてるとは思えないズリズリという音を出しながら

 

「はぐれ悪魔のバイサーね?私はリアス・グレモリー。依頼通りの姿ね・・・」

 

するとバイサーと呼ばれたはぐれ悪魔はこちらを目を向けてきた。この瞳は恐ろしい程開いており、瞬きをしている仕草すら見えない程の不気味さだった

 

「オマエ・・・グレモリーの者か・・・」

 

少しカタコトな話し方ではあるがバイサーと呼ばれたはぐれ悪魔は会話をし始めた。まだ意識は残っているようだな

 

「そうよ。依頼があったの。貴方を滅せよ、とね」

 

「オモシロイ・・・我を滅してみせよ・・・ッ!!!!」

 

ボゴっボゴっとバイサーの身体が突如膨らみ始め、腕、脚、胴体、その他全てが人の姿からかけ離れた姿へと変貌させていく。

暫く経つとバイサーの身体は上半身が人間、胴体が蜘蛛の様な姿に変貌していた。その大きさは5m程あるだろうかと思えるほどだ。デカイ・・・

 

「さぁ、安童君。あなたの力、見せてちょうだい!」

 

「え、うそ!?まじでソロ?!」

 

「当然よ。あなたの力が見たいんだもの?」

 

「楽しそうに最後を疑問形で答えないで欲しかったな?!!アァもうヤケだこの野郎!!バイサーとかいうやつ!!俺が相手だ!かかってきやがれ!!!」

 

『charge!!!!』

 

神器を展開し、半分涙目になりながらもリアスさんたちの前に立つ俺。本当に一人で戦うのかよぉ・・・

 

「オモシロイ・・・嬲り殺してヤロウ!!」

 

バイサーはその巨体とは思えないほどの俊敏な動きでこちらに迫ってくる!

そしてそのままの勢いで両手を広げ、俺を捕獲しようとしてくる

 

「遅えぞ!!」

 

稲妻を纏った俺にとってはすごくスローで動いているように感じるから避けることなんて動作もないんだよ!!

 

「ナニ!?こしゃくな・・・!!!」

 

物理では無理だと感じたのか、バイサーは自分の顔の目の前に小さな魔力玉を生成し始めた

 

「まずいわ!!あんなに魔力が凝縮された玉を放たれたら一溜りもない!安童君!その魔力玉をやつが放つ前に壊して!!」

 

リアスさんから指示が出されてしまった。あれってあんなにやばいもんかよ!!

 

『Full charge!!!』

 

よし!充電完了!!これで一気に畳み掛けてやる!!

 

「まずはその危なっかしい魔力弾からだ!!雷神剣!!」

 

『Thunder Blade Full charge!!!!』

 

前回は槍をイメージしたが今回は剣だ!

剣は剣でも雷を宿ってる剣を造る!!

しかもフルチャージ分の力全部プラスだ!!

 

「よっしゃ!!くらえええ!!」

 

俺は剣を大きく振りかぶり、バイサー目掛けて大きく縦に振り下ろす。振りかぶった時の衝撃により少し地面が割れるが、その割れた所から凄まじい速さでバイサーに高電圧の雷が襲いかかる!

 

「グゲゲゲ?!!!オアガァアァア!!!」

 

凄まじい程の悲鳴を叫びながらバイサーの体を雷が襲う。雷が収まり、バイサーを見ると、先程までの巨体は無く、腕等の体の一部がその場に無残に残っているだけだった

 

「・・・やり過ぎた」

 

 

・・・・・・・・・―――

 

―――・・・・・・

【side:木場祐斗】

 

僕は今目の前で起こったことに唖然としていた。

僕らの学校の後輩にあたる安童君が目の前ではぐれ悪魔のバイサーに無傷で圧倒しているからだ。彼は一体何者なのだろうか・・・少なくともただの人間では済まされない何かがある。僕はそう感じていた

 

「ああ・・・姿が若干消滅しちゃってる・・・加減むず・・・」

 

安童君は溜め息を吐きながらそんなことを呟いたのが聞こえた。あれが安童君の力か・・・恐ろしい程に強い・・・そしてあの剣・・・僕の『魔剣創造』で生成出来るものとは何かかけ離れた力を感じていた。

 

安童君・・・君は一体本当に何者なんだい?

 

ただ身体に稲妻を纏って身体能力を底上げするだけじゃない、それとは全く別の何かが君の中に宿ってるのかい?

僕には彼の底が見えそうにはない・・・

 

【side out:木場祐斗】

・・・・・・・・・―――

 

―――・・・・・・・・・

 

無事にバイサーを倒した俺は神器をしまい、リアスさん達のところに戻った

 

「すみませんリアスさん・・・少ししかバイサーの原形を留められなくて・・・」

 

「それについては問題ないわ。別に回収をするわけじゃないから」

 

リアスさんは微笑んでそう言ってくれた。その後ろでは木場さんと兵藤さんが俺の事をじっと見ていた

 

「あの、木場さん、兵藤さん?俺の顔に何かついてますか?」

 

「い、いや、違うんだ。なんというか、強いなーって・・・」

 

兵藤さんは少し視線を逸らしながらそう言ってきた

 

「俺が強いんじゃないんですよ。あいつの行動が単純で、それを読むのが楽だっただけですから」

 

「すげぇ・・・俺には出来そうにないよそんなの!!」

 

すごく目を輝かせてるよ兵藤さん・・・

別にバイサーは強くはなかったんだけれどなぁ。

兵藤さんの後ろにいる木場さんは何やらすごく真剣な眼差しを向けてきていた

 

「安童君、あの剣は一体・・・」

 

「あぁ、雷神剣の事ですか?実は俺も詳しくはわからないんですよ」

 

「分からない?自分の神器なのに?」

 

「そうなんすけど・・・未だに俺の神器には不明なところが多くてですね・・・」

 

俺の神器には不明なところがある。昨日の槍だってそうだ。何故作れるのか、俺自身も分からない。だが作れるという気持ちが確かにあったんだ

 

「へぇ・・・君とは手合わせをしてみたいものだよ」

 

「木場さん・・・よしてくださいよ。俺は木場さんには及ばないと思いますよ?」

 

俺がそう言うと、リアスさんが微笑んだまま俺を見る

 

「なら安童君。これから私の眷属達と手合わせしてみない?転生したてのイッセーにも駒の役割を実際に見てもらった方が分かりやすいしいいと思うの。良ければでいいのよ?」

 

突然のリアスさんの提案にみんな驚いているが、その旨が分かったのか、みんな頷いていた

これは俺にとってもチャンスかもしれない。さっきの違和感が何がわかるかもしれないしな

 

「別に構いませんよ。俺ももっと自分の神器のことが知りたいですし、何か掴めるかも知れませんし」

 

「なら、決まりね。イッセー。これを機に色々と教えてあげるわ」

 

「は、はい!」

 

 

リアスさんはそういうと、地面に魔法陣を展開する。学校に戻る転移魔法らしい。

だが俺は無理だとのこと。この魔法陣リアスさん、そしてその眷属のみが使えるらしい

 

「ごめんなさいね安童君・・・」

 

「あー、いいですよ。走りますから。神器解放!」

 

『Charge!!!!』

 

俺は神器を展開し、身体に稲妻を纏う

 

「よし、じゃあグラウンドで合流でお願いしますね」

 

俺はそう言い、音速の速さでその場から走り去る

 

「「「速?!」」」

 

リアスさん達の驚きの声は俺に届くことはなく、倉庫の中に響き渡った事だろう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「っしゃついた!!!」

 

俺が駒王学園に到着するとリアスさんたちがグラウンドで待っていた。やっぱ魔法陣の方が速いよなぁ・・・

 

「安童君・・・アナタ速すぎよ・・・」

 

「そりゃ電気を身体に纏ってますし・・・」

 

「流石の僕もあれほどの速さは自分では出せないかな・・・」

 

木場さんが苦笑いしながら言ってくる。木場さん・・・頬が引きつってますぞ

 

 

「さて、それじゃあ最初は誰が安童君と手合わせをするのかしら?」

 

さらっと話を本題に持ってくところ、ある意味尊敬しますよリアスさん・・・

リアスさんが眷属の人たちの方に問いかけると、木場さんが初めに名乗り出てきた。

たしか『騎士』だっけか?

 

「祐斗が先鋒ね。騎士は速度が格段にアップするわ。スピード重視の駒ね」

 

なるほどな。持ち前のスピードで相手を翻弄するパターンか。わかりやすいな

 

 

「よろしくね安童君」

 

爽やかなイケメンスマイルを俺に向けてくる木場さん。こんな人も悪魔になるもんだなぁ・・・

 

「宜しくお願いします。んじゃあ、俺が神器を展開したら開始ということでいいですかね?」

 

木場さんは了承してくれた。木場さんがどんな攻撃を仕掛けてくるかが分からない以上、慎重にやらないとな・・・

 

「いきます!解放!」

 

『Charge!!!!』

 

「いくよ・・・っは!!!」

 

俺の神器の発声と共に木場さんは行動を開始した!とてつもないスピードだ!これが騎士の特性か!!確かにとんでもなく速い!!

 

「くそ!速すぎる・・・まだ充電終わってないけど・・・雷神剣!!!!」

 

『Thunder Blade Charging!!!!!』

 

なんとかチャージし終えてないが剣は出せた!後は木場さんの速さをどう攻略するかだが・・・その時俺の中にあるアイデアが浮かび上がった

 

・・・・・・賭けるしかない!

 

「・・・稲妻よ・・・我に加護を与えよっ!」

 

『Spark!!!!』

 

神器から声が発せられた途端、俺の身体に纏っている稲妻の量が格段に増える!速さには速さで対抗だ!!

 

「っそこ!!」

 

俺が上空に向かって剣を振るうと、そこには炎と氷の剣を持った木場さんがいた!!!

 

「何!?僕の速さについてくるのか!?」

 

「追いつけないなら追い付くように工夫する!それが俺の戦い方だっ!!」

 

そのまま俺は剣を木場さん目掛けて大きく振り上げる!だけれど木場さんの剣によって防がれてしまう!

思わず舌打ちをしてしまった・・・

 

だがそんなことはお構い無しに木場さんの攻撃は続く。俺の剣と思い切り鍔迫り合いを行い、徐々に俺が押され始める。流石に上からの勢いもあるから厳しいんだよなこれ・・・!!

 

 

「これで終わりだ・・・魔剣創造(ソードバース)!!!!」

 

木場さんがそう叫ぶと俺の周りの地面から無数の剣が生えてきた!!これが木場さんの神器か?!

流石にこれは逃げなければ不味いと感じ、俺は高速の速さで木場さんから距離をとる

地面から生えてきた剣は木場さんの周りを浮遊していた

 

「・・・それが木場さんの神器っすか」

 

「そう・・・これは魔剣創造・・・魔剣を無数に創造できるのさ。君とは武器の手数の違いがはっきりと分かるだろう?」

 

確かにとんでもなく強い神器だ・・・・・

騎士にはぴったりな能力だとは思う。

 

「確かに手数の違いがすごいですね・・・だけど、個々の力はどうですかね?」

 

『Thunder Blade Full Charge!!!!!!!!』

「俺の雷神剣と木場さんの魔剣・・・どちらが上か・・・試してみましょう?」

 

すると木場さんの顔つきが先程よりも真剣なものへと変わった。あれが本気なのだろう

 

「いいよ・・・安童君・・・一太刀で決めよう」

 

「それがアナタの騎士道なのならば・・・!!」

 

俺は口を閉じると共に高速の速さで木場さんめがけて直進する。対する木場さんもフェイントをかける素振りもなく俺に向かってくる。騎士としてのプライドなのだろう

 

ガキィイィンッ!!!

 

そして甲高く互いの剣が互いの剣と重なり合い、辺り一面に衝撃波が響き渡す

 

「うおおおおっ!!!」

 

「はあああああっ!!!!」

 

俺と木場さんは自分の持っている力全てを出し切る勢いで叫ぶ。そして勝負の行方は・・・・・・

 

 

「・・・参りました」

 

木場さんの魔剣が真っ二つに折れ、俺の雷神剣が勝利を収める

 

「・・・木場さん。あれが、あなたの本気なのですか?」

 

地面に座り込む木場さんは俺の言葉を聞いて目を見開いた

 

「なんでそう思うのかな?」

 

「剣を交えた瞬間、あなたの力がどこかブレる様な感触が若干感じ取れました。なにか、心の中で巣くってるものがあるのですか?」

 

「・・・どうだろうね」

 

木場さんはそう言うと立ち上がり、俺に向けて右手を差し出してきた

俺はその右手をとり、握手を交わした

そうしているとリアスさんたちが俺と木場さんのところにやってきた

 

「良い戦いだったわね。まさか安童君がアソコまで祐斗と対等に戦うとは思ってなかったわ。ただの人間じゃないわよ」

 

「ホントに何もんだよオマエ・・・」

 

後ろでは兵藤さんが若干引き気味に言ってきた。てかこの人の正体俺は知ってるんだが、吐いた方が良さそうだな

 

「アンタには負けるよ・・・『赤龍帝』の兵藤さん?」

 

「せき・・・りゅうてい・・・?何だそりゃ?」

 

「赤龍帝ってのはだな・・・兵藤さんに宿っている神器のあだ名さ。そうだろう?赤龍帝ドライグさん・・・?」

 

俺が兵藤さんの左腕に向かってそう言うと、兵藤さんの左腕に赤い龍の手のようなものが出現した

 

「おわ!?俺の腕が!?」

 

『・・・貴様、何者だ?』

 

そしてその赤い龍の手の甲に装着されている緑色の宝玉から声が発せられる

 

「俺は安童。ただの神器使いさ」

 

俺がドライグさんと会話を始めるとリアスさんたちは驚きが隠せない様子だった。そりゃあいきなり眷属の人が龍帝なんて言われてんだからな。ドライグさんが何者なのかは兵藤さん以外知ってるだろうし

 

「俺はアンタを知ってるぜ。神さえ屠る神滅具(ロンギヌス)・・・『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』・・・二天龍の一角であるアンタをな」

 

『・・・貴様、ただの人間ではないな?』

 

「さぁな?どうだか。ま、白いのも目覚めてるって話だし、今のうちに自分のことを宿主に教えてあげなよ?」

 

『そうか・・・白いのも目覚めているのか』

 

「あ、あのー・・・安童・・・説明してくれる?」

 

何が何やら分からない兵藤さんが恐る恐る俺に向かって言ってきた

 

「あぁ、すんません。んじゃ軽く説明しますね」

 

俺は神器の中には神滅具というものが複数あること、兵藤さんの神器が神滅具の一つである『赤龍帝の篭手』であるということ、『赤龍帝の篭手』ともう一つの神滅具で【二天龍】という名前がついてるということを説明した

 

「こんな感じですね」

 

「はー・・・俺の神器が神滅具・・・」

 

「どんな力かは直接ドライグさんに聞いてください。俺はそこまで知らないんで」

 

「それにしても、貴方、そんなことまで知ってるなんてね・・・恐れ入るわ」

 

「それほどでもないっすよ・・・知り合いに情報通がいるので・・・んじゃ、手合わせは続けるのですか?」

 

「いえ、流石に今日はもういいわ。また後日、ね。祐斗も何かを掴んだようだしね」

 

「えぇ。安童君のお陰で。ありがとう」

 

そうやって素直にお礼言われるとなんかこそばゆい感じがする・・・別に何も言ってないんだけれどなぁ

その後俺はバイサーを一人で倒したご褒美として駅前の美味しいスイーツ屋さんのクーポン券を貰った。何故にスイーツ屋やねん・・・

 

 

 

 

―――・・・・・・

【side:三人称】

 

「まさかあの若造が武人の末裔だとはの・・・本人は知らないとは思うが・・・」

 

「どうかなされたのですか?」

 

「いや、儂が以前転生させた若造の事をちょいと調べての。奴には神器を宿したのじゃが、それとは違う力が働いたようなのじゃ」

 

「なぜそのことがお分かりで?」

 

「これでも神じゃからのう・・・それにしてもこれは楽しい事がおきそうじゃの・・・楽しみにしておるぞ・・・安童遊魔」

 

 

 

 




かなり長めになってしまいましたね・・・
それではまた次回お会いしましょう


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第6話 特訓始めました!!!

お久しぶりです
今回は原作側主人公のイッセー目線でお送りします。遊魔君の出番は一切ございません


 

 

【side:兵藤一誠】

 

今俺は学校から家に帰宅し、自室の部屋にいた。

俺の名前は兵藤一誠。皆からは『イッセー』って呼ばれてる。

俺はずっと無言で自分の左腕を見ていた。

先程の出来事・・・俺の左腕に宿っている神器・・・・・神滅具っていうなんかすごいやつの1つ『赤龍帝の篭手』が宿ってるからだ。

 

「なぁ・・・ドライグさん・・・だっけか。いくつか聞きたいことがあるんだけれど」

 

『なんだ?』

 

宝玉から凛々しい男の声が聞こえる。これが神滅具『赤龍帝の篭手』に宿っていて、二天龍と呼ばれた龍の一角、ドライグだ。

 

「ひとまずは自己紹介だ。俺は兵藤一誠。よろしくな」

 

『一誠・・・か。よろしく頼む。俺はドライグだ。先程の安童とかいう奴の言ってたとおりの存在だ』

 

冷静に考えてみるとすごい事だよな?神様さえ倒せる力があるんだろ?本当にすげえよ!!

 

『一誠。これだけは言わせろ。今のお前では俺を扱うことは無理だ』

 

「・・・理由は俺が人間並の力しかないからか?」

 

『ほう?頭は回る方なのだな?その通りだ。『赤龍帝の篭手』の主な力は己の力を一定時間ごとに倍加させていくというものだ。だがこれは倍加すればするほど宿主に負担がかかる』

 

つまりは特訓あるのみ、ということか。現段階だと何段階まで扱えそうなんだ?もしくはまったくなのか?

 

『いや、三段階目・・・いっても五段階目といったところか。それ以上はお前の体が持たず壊れてしまう』

 

最大五段階か・・・これは特訓だらけの日々が思い浮かぶぜ・・・

 

『まずは基礎体力からだな。体力がなくては俺は扱えないぞ』

 

「なるほどな・・・やってやる!!地道になるとは思うけど、継続は力だ!諦めずにやってやる!!」

 

『やる気があるな。今代の相棒は面白そうだ』

 

ドライグが少し楽しげにそう呟く。

ひとまずは明日の朝からトレーニングをしていくか・・・だけれど悪魔になってから朝に弱くなったんだよなぁ・・・悪魔だから太陽は苦手なのかな

 

ひとまず俺は風呂に向かい、汗を流したあと就寝した。明日は土曜日で予定は何も無いし、一日トレーニングでもしようかな

 

 

 

・・・翌朝。目覚めはあまり宜しくはない。悪魔だからかな?だけど俺は違和感に気がつく。

俺が掛けていたはずの掛け布団が、俺の横に移動しているのだ。俺は寝相が悪い訳では無いのだが。しかもその掛け布団は何か立体的なシルエットを生成していた。おかしい。明らかにおかしいぞこれ!!

 

俺は恐る恐る掛け布団に手をかけた。そしてゆっくりと剥がしていく。するとまず目の前に見えたものは―――

 

「おっぱい?!」

 

とても豊かに実った二つのおっぱいだった!朝からすごいものを見ちゃったぞ!?

俺はそのまま掛け布団を外す。するとそこにはあどけない寝顔をしながら眠っている俺のご主人であり、学校の先輩でもあるリアス・グレモリー様がいた!しかも一糸纏わぬ身体!裸!!

 

「なんでだああぁあああ!!」

 

俺の叫びは家中に木霊するのであった・・・なんで朝から裸?!いやそれよりもまずはこの光景を脳内保存だ!!ご馳走様です!!!リアス部長!!

 

「ん・・・朝・・・?」

 

リアス部長はそのまま裸のまま起きた・・・起きた時におっぱいが揺れる。眼福です!

 

「お、おはようございます・・・部長」

 

「あらイッセー・・・起きてたの?」

 

「は、はい・・・あの、なんで俺の家に・・・」

 

「あら、下僕とのスキンシップは大事なのよ?」

 

そう言いながらベッドから出る部長。全裸だから形のいい大きいおっぱい!くびれた腰!そして程よくお肉がついたお尻!!全てが芸術的だ!これも脳内保存だ!!

 

「そういえば、特訓、するのよね?」

 

「え、なんでそのことを・・・」

 

「ベッドの上の目覚まし時計、あそこに監視カメラ式の魔法陣を展開させてもらったの。眷属に何かあったらすぐに対応できるようにね」

 

そう言われ、目覚まし時計を取ると、裏側にグレモリーの魔法陣が描かれていた!てことは昨日のこと全部おわかり!?

いつのまに・・・てかこれじゃプライバシーの欠片もない!!

 

あ、下僕だからそりゃそっか・・・

 

「ほら、早く着替えて。体力作りに行くわよ」

 

そして何事も無かったかのように着替え始める部長!この部屋で着替えるんですか?!しかも着替え持ってきてたんすか!!?ええい!細かいことを気にするな兵藤一誠!今は目の前の光景を保存だぁ!!!

 

―――・・・・・・

 

「イッセー・・・どうかしたの?」

 

「え、あぁいえ!!なんでもありません!!さぁ!体力作り頑張りましょう部長!」

 

場所は変わって俺の家の近くにある河川敷。ここは割と広いから朝からランニングしてる人や散歩をしてる人がたくさんいる。

まぁ、天気が晴天だから身体が少し痛むんだけれどね。悪魔だもん俺。

だけど俺は元々人間だ。だけれど無慈悲に命を落とそうとした瞬間、安童とリアスさんが助けてくれたんだよな。2人には感謝しかない

 

「そうね。今は体力作りに専念しましょう。じゃあまずはストレッチから」

 

「はい!!」

 

 

 

 

「ストレッチはこのぐらいで、次はランニングよ。最初だし・・・イッセーは運動は出来るのかしら?」

 

「はい。出来るほうだとは思いますけど・・・」

 

「そう。じゃあ軽く十キロから始めましょうか」

 

「はい!」

 

―――・・・・・・

 

「・・・流石に疲れた・・・」

 

流石に十キロは悪魔になっても辛いもんだな・・・だけど走ってる時に分かったことがいくつかある。人間の時よりも運動神経は良くはなっていた。

そして感覚が鋭くなっているということ。今まで感じなかったものも微かにではあるが感じ取れるようになっていた。

 

「お疲れ様。時間も丁度いいし、今日は終わりにしましょう」

 

部長に言われ、時計を確認する。時刻は午後三時頃になっていた。ランニングしたり他にも沢山やったけど、結構時間経つのが長く感じた気がする

 

「部長・・・付きっきりで付き合ってもらっちゃって・・・ありがとうございました」

 

「良いのよ。眷属が頑張るのだもの。主が応援するのは当然の事よ。少しずつ頑張りましょう。イッセー」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

 

 

 

俺は部長と別れ、家に帰った後着替えてまた外に出ていた。

時刻は暗くなり始めた午後六時頃。やはり感覚が鋭くなっている。特に聴覚と視覚だ。

視覚に関しては普通なら真っ暗に見えるところさえも鮮明に見え、聴覚は近くの家の人の会話がちゃんとすべて聞こえる。これが悪魔になったって証拠なのだろうか

 

「折角だし・・・少し散歩してから帰るか――――――ん?」

 

街の中を歩いていると仕事帰りの人やカップルが多く歩いていたが、その中に1人、修道服の様なものを着た金髪の少女を見つける。

よく見ると何かを歩行者に聞こうとしてるが伝わらずの様だ。何かあったのかな?

 

「ねぇ、君。どうかしたの?」

 

「・・・っ?!私の言葉が伝わるのですか?」

 

ヴェールの中から緑色の瞳が俺を見つめた。

・・・一瞬で心を奪われてしまった。

だって俺のタイプどストライクなんだもの!!金髪美少女!!二次元でも天使に値するだろう!!?俺だってそう思うさ!!

っと・・・取り乱した

 

「うん。伝わるよ。話を聞きたいんだけれど、ここじゃなんだし、場所を移さない?俺は一誠。友達からはイッセーって呼ばれてる」

 

「わ、私はアーシア・アルジェントと言います!」

 

俺は美少女・・・アーシアを連れて近くの公園に向かった。俺が殺されたあの公園だ。

俺は近くの自販機で飲み物を二つ買って1つアーシアに渡した。アーシアは「ありがとうございます」と言って受け取るが缶飲料の開け方がわからなかったみたいだ。可愛すぎだろ・・・!

 

「それで・・・なんであそこにいたのか・・・聞いてもいいかな?」

 

「はい・・・私、この街の教会に赴任することになったんですが、場所がわからなくて・・・場所を聞こうとしてたんですが私・・・日本語が話せなくて・・・」

 

「なるほどね・・・」

 

だが俺はちゃんと理解が出来た。その理由は日中のトレーニング中に部長から悪魔に関して色々と聞きながらトレーニングしてたからだ。その中に「悪魔は様々な言語が自分の聞きなれた言語に聞こえ、そのまま話せば話し相手には話し相手の聞きなれた言語で通じる」という何ともどこぞのコンニャクを食べた様な状態になるからだ

 

「他に知り合いとか一緒に来た人とかはいないの?」

 

「はい・・・私、友達がいなくて・・・」

 

「そっか・・・でも、これからは俺が友達だ。こうやって話し合えるんだ。れっきとした友達だよ」

 

するとアーシアは驚いた顔をして俺の事をじっと見つめてきた

 

「イッセーさんは・・・私のお友達になってくれるんですか?」

 

「ああ!俺とアーシアは友達だ。だから何かあったら話を聞くさ。それが友達ってもんだよ」

 

「イッセーさん・・・ありがとうございます」

 

そう話していると、近くの茂みからガサガサと音が聞こえた。俺は気になってその場に向かった。するとそこには身体の至るところに傷を負った子猫がいた。

 

「こりゃ酷い・・・喧嘩でもしたのか?」

 

「可哀想・・・猫さん・・・今すぐ治しますから・・・」

 

アーシアは自分の手を子猫に添える。すると彼女の指に指輪が出現した。間違いない。これは神器の一つだ

 

そして指輪から優しいオーラが出現し、子猫の傷をあっという間に治してしまう

そして元気になった猫はそのまま何処かに向かって走っていってしまう

 

「・・・アーシア。今のって」

 

「治癒の力です。神様から頂いた素晴らしい力なんです・・・」

 

笑顔でそう言う彼女。だがその表情は何処か悲しげを帯びていた。きっと過去に何かがあったんだろう・・・

 

「そっか・・・あ、そういえば教会に行きたいんだったよな?案内するよ」

 

「は、はい。ありがとうございます!」

 

俺は町外れにある寂れた教会に案内した。どうやらここが目的地だったらしい。アーシアはお茶を出すと言ってくれたのだが、俺は悪魔。教会の中に入ると身体がすごく拒否反応を起こしてしまう。だから俺はこの後用事があると言ってその場を後にした。

悪魔にとっては聖なる存在は天敵。部長から何回も念を押されたからな

 

そしてその帰る道中、俺は心の中にいるドライグに訪ねた

 

「なぁドライグ・・・アーシアのあの力ってもしかして・・・」

 

『恐らくはお前も察しがついているだろう。あれは神器だ。しかもかなりのレアなものだと思う』

 

やっぱりそうだったか・・・あれは間違いなく回復支援型の神器だ。当たって欲しくはなかったんだけれどな

 

だけどなんだろうか・・・どこか胸騒ぎがするんだ。この後とんでもない事が起きそうな気がして仕方ない

 

『何にせよ相棒はまず己の成長が優先だぞ』

 

「おう!今日からみっちり特訓を重ねる!そして俺は最強の兵士になる!これが俺の当面の目標だ!」

 

『ふむ・・・最強の兵士・赤龍帝か。悪くないな』

 

「おうよ!これから宜しくな!ドライグ!」

 

『おう。これから頼む』

 

そうして俺は今日から特訓を開始した。最強の兵士になって部長の隣に立てるくらい立派になってやるぜ!

 




次回ものんびりと執筆していくのでよろしくお願いします!
それではまたお会いしましょう!


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第7話 侵入です!

 

 

俺がリアスさん達に襲ってきた堕天使について説明した日の翌日。今日は休日の土曜日だ。天気は程よく雲があり、とてもいい天気だ。

本来の学生なら家でゴロゴロしたり友達と遊びに行ったりする様な天気なのだが、俺はやらなければいけない事がある

 

「・・・午後3時という良い時間帯からこんな寂れたところに来る日が来るとはなぁ」

 

今俺がいるのは町外れにある教会だ。ここはもうかなり前から使われておらず、ずっと無人なのだが昨日の夜学校から帰るときこっちの方角に変な気配がある気がしたから様子を見に来た。

少しだけ気配察知出来る範囲が広くなってる気がする

 

そして俺がここにいる理由。それは先日の堕天使があんなにも大胆に行動してるということは、必ずどこか根城が存在すると考えていたからだ。そして気配を頼りに動いていたら今いる寂れた教会から不審な気配を感じた。ここが根城なのかもな

 

「堕天使がどんなに寂れてるとはいえ・・・教会を根城にするか・・・?」

 

そんな事を疑問に浮かべながら俺は教会の中に足を踏み入れる。中に入ると明かりは無く外から入ってくる太陽の光のみが光源となっていた。特に荒らされてる様子は見えず、汚れが目立つ位だ。そんなに寂れてはいないが、掃除をする者もいないのだろう。

 

「・・・なんか妙だな・・・不自然なくらい荒らされていない。何かあるか・・・っ?!」

 

俺が中を歩いていると何処からか銃弾のようなものが俺の左腕目掛けて撃たれていた。気がついた時には左腕にかすった跡が残っており、そこから血が流れていく

いつの間に・・・

 

「っつぅ・・・誰だ!?姿を見せろ!!」

 

俺が教会内の女神像付近に向かって叫ぶと像の後ろから白い修道服を着たチャラそうな男が1人出てきた。その手には光り輝く剣と銃が握られていた

 

「あっちゃー!殺し損ねちゃいましたん!!ねぇねぇ!光の弾丸を撃たれた気分ってどうなのぉ!?」

 

あ、うぜぇこいつ。こいつ無理だ。こういうやつ嫌いだわ・・・

 

「気分だぁ?最悪に決まってんだろ・・・お前は誰だ!」

 

「俺っち?名乗りたいけどまずはそっちから名乗るのが礼儀ってもんじゃあなぁい??」

 

「っ・・・安童。ほれ。名乗ったぞ」

 

「う〜ん・・・まぁいいや。俺っちは『はぐれ祓魔師』のフリード・セルゼンってゆーもんです!!以後お見知りおきくだちゃい!!」

 

「あぁ?エクソシスト?また面倒なのが出てきたなぁ・・・しかもはぐれと来たもんだ・・・」

 

俺は度重なる遭遇に思わず溜め息を吐いてしまう。それを見たフリードはただ高笑いをしながら俺にゆっくりと近づいてきている

 

「まーまー僕ちんは心やっさしー男だかんね。安童きゅんのことは見逃してもいいのよん?」

 

「・・・嘘くせぇなぁ。フリード」

 

「ほんとよん?ここに二度と近付かない、口外しないって約束するなら・・・ね?」

 

「断ったら?」

 

「そんなの決まってるっしょー?こうするん♪」

 

そう言いながらフリードは再び銃を俺に目掛けて構えてきた。そしてその後静寂が訪れ、弾が撃たれる音が発生する

 

「っ!!」

『charge!!!!』

 

俺は間一髪撃たれた弾を躱すが、左腕に掠めてしまったっ・・・!

結構痛えんだなこれ・・・!!

 

「ひゅう♪凄いねぇ安童きゅん!」

 

「お前に褒められたって嬉しかねえわキチガイ野郎!!」

 

「良いよォその目!殺したくなっちゃうん!!!」

 

フリードは素早い速度で剣を俺に向かって突き立ててきた!

そして俺は避けようとしたが、反応が少し遅くなってしまい、左肩に刺さってしまった!

 

「っく・・・?!ぐぁあぁ・・・!」

 

「ちょいと外しちゃったん・・・次は確実に殺すから安心して・・・チョン!!」

 

フリードは態勢をすぐさま立て直し、再び俺に向かって攻撃をしてくる!

 

「速いなおい!!」

 

俺はすぐさま距離を置き、体勢を立て直す。

 

『Full charge!!!!』

 

充電完了の音声が響き渡り、俺はすぐさま武器を召喚する・・・剣や槍は作れるんだ。別のものだって作れる筈だ・・・イメージを固めるんだ・・・俊敏に動ける俺の長所を更に強くさせる武器・・・想像は暗殺者・・・・・・いける!!

 

『Rising Assassin knife Full charge!!!!』

 

またもや聞いたことのない音声が響き渡り、俺の身体は白雷に包まれ、手には小型のサバイバルナイフのようなモノが握られていた。

 

「おうう???何じゃそりゃ!まさに変身って感じじゃないですかァ!!面白くなって来ましたねん!!!」

 

「さっさと終わりにさせてくれよフリード!!俺にはやらなきゃいけない事があるんでね!」

 

フリードの剣、俺の短剣が目の前で交差し、鍔迫り合いを繰り出している!

 

だがその時扉が開く音が教会内に響き渡る。

俺とフリードは鍔迫り合いをやめ、音のした方をみる。するとそこには見覚えのある堕天使の姿があった

 

「フリード・・・何をしているの?」

 

「これはこれは堕天使レイナーレ様。僕ちんはこの安童きゅんの事を処理しようとしてただけですよん??」

 

「だったらさっさと始末しなさい。もうすぐここに『魔女』が来るのよ?計画が最優先。分かった?」

 

「了解でありんす!!」

 

魔女と計画という単語が出てきたという事は十中八九ここが根城だと思って間違いなさそうだな。そしてフリードも計画に関わっている。となるとこれはリアスさん達には念のため後で報告をしておくか

 

「フリード。ちょいとばかし用事ができたから帰らせてくれない?」

 

「ん〜・・・安童きゅんの頼みなら聞いてあげたいんですけどねん・・・ごめんちゃい♪」

 

「そうか・・・ならば実力行使だ!!」

 

そう言ったフリードの腹を稲妻を纏った拳で思い切り殴り、フリードを気絶させる。悪く思うなよフリード

 

「さて・・・もう日が暮れてきたか・・・帰ろう・・・」

 

俺は気絶させたフリードを長椅子に寝かせ、扉から外に出る。外は夕陽が辺りを照らしており、とても綺麗になっている

そしてこちらの方に金髪のシスターの様な女の子が一人向かってくるのが見えた。

 

「あ、こんにちは」

 

「あ、あぁ。こんにちは。こんな寂れた教会に何か用なのかい?」

 

「はい。あそこで働くことになっていまして・・・それでは失礼します」

 

シスターの女の子は頭を下げてその場から離れる

 

あんな所で働くことに意味などあるのか・・・?

いや、あそこは堕天使の根城だから決してありえない。

 

これは何かありそうだな

 

 

 

 




極端に短くなってしまっていて申し訳ありません
それではまた次回


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第8話 再会します!

タイトル名変更しました


 

フリードと戦闘をした教会から去ってすぐに俺は学校に向かった。先日話した堕天使たちの計画の根城だと思われるこの教会のこと、フリードという『はぐれ祓魔師』がこの計画に関わっているということ。

そしてそこに金髪の少女がいるということをリアスさん達に報告する為だ。

なんかここに来てから報告しかしてない気が…

 

学校に向かう途中の路地には街灯がてんてんとあるのみで目立ったものは特になかった。

―――ただ1箇所を除いて。

 

「…にゃぉん」

 

そこには一匹の黒猫がいた。艶がある黒い毛が特徴的で凛々しさが感じて取れる。

だが本来の猫とはかけ離れた何かがその黒猫を覆っていた。

 

「…ただの猫…じゃあないよな?」

 

「にゃぅん…」

 

黒猫は俺のことをじっと見つめた後、こちらを見ながら商店街の方に向けて歩き始める。そしてしばらくして立ち止まりこちらをチラリと見る。まるで「こっちに来い」と言ってるかのようだ

 

俺は黒猫のあとを追う。一定距離を空けたまま黒猫は商店街を進んでいく。そして遂には商店街を抜けて人気のない所にまで来てしまった。

黒猫は辺りを見渡し、こちらに顔を向けてくる。

 

「ちゃんと付いてきてくれて嬉しかったニャン。安堂」

 

「…喋ってる…お前は誰だ?」

 

「つれないにゃぁん…一緒にこの街に来たのに」

 

一緒にこの駒王町に来たってことは思い当たるのはただ1人。突然俺と別行動をとった彼女しかいない

 

「まさかお前…黒歌か?」

 

黒猫はニッコリと微笑むとその姿を変えていく。姿が変え終わると見覚えのある顔、艶めかしい肌。前にあった時と同様に着崩してしまっている着物を着ている黒歌の姿があった。

 

「また会えたにゃん♪」

 

黒歌は俺に向かって思い切り抱きついてきた!

抱きついてきた瞬間黒歌のたわわに実った胸が俺の胸に当たり、その形をみるみる変えていく

 

「お、おい黒歌!!近いぞ!!離れろよ!」

 

「嫌にゃん♪安堂だって嫌がってるように見えるけどホントは嬉しいんじゃない?」

 

「うぐ…」

 

確かに転生して初めて会った女性だしな…

 

「…とりあえず幾つか聞きたいことがあるから離れてくれない?」

 

「やだ」

 

「ちょぉぉっと我侭が過ぎるんじゃないですかぁ?!ここまま会話なんて成り立たないだろう!!」

 

「なーりたーつにゃん♪」

 

「…なんかもう無理な気がしてきたからいいよ」

 

俺が諦めると黒歌は一層抱きしめる力を強めていた。黒歌のたわわに実った胸がどんどん形を変えていき、コリっとした感触まで出てきやがってる…

 

どうやら本当に離れてはくれないみたいなのでその点は諦めた。

ひとまず座れるところを見つけた俺は黒歌に幾つか聞きたいことを聞いていた

 

「黒歌。何故あの時俺から離れたんだ?」

 

俺がイッセー先輩を助けた時の事だ。黒歌はこの時いきなり姿を消したのだ

 

「ん〜…実はあそこに私の妹がいるのよ。白髪の」

 

白髪の…子猫ちゃんのことかな?確かクラスは違うけどマスコットとして人気だから俺も知ってる。それにオカルト研究部室でお菓子を食べてるのが印象深い

 

「確かにいるな。子猫ちゃんだったかな?」

 

「ありゃ…名前が違うにゃん?妹は白音って名前にゃ」

 

白音って名前なのか。もしかしたら子猫ちゃんじゃないのかもしれないな。だけどあの場面で白髪の女の子って言ったら子猫ちゃんしかいないし、何か事情がありそうだな。

 

リアスさんに事情を聞こうにも俺は赤の他人同然。しかも子猫ちゃんはリアスさんの眷属だ。あの眷属には深い愛情を注ぐリアスさんのことだ。眷属の過去をそう簡単には話してはくれないだろうな

 

「黒歌と子猫ちゃん…いや、白音ちゃんに何があったかは分からん。だが顔を合わせにくい理由ってのがあるんだろ?」

 

「察しが早くて助かるにゃ。それにヴァーリに言っておきたいこともあったから都合がよかったにゃん」

 

「ん?たしかヴァーリって現代の白龍皇だったよな?」

 

黒歌は俺の問いに頷きという形で答えてくれた。

その瞬間、俺と黒歌の前に一人の青年が現れた。見た目は俺とはさほど変わらなそうな見た目だ。細やかな白髪が片目を隠していてどこか凛々しさを浮かばせている。

その青年は黒歌の方を向いている

 

「黒歌。コイツが君の言っていた男かい?」

 

「そうにゃ。安堂。コイツはヴァーリにゃ」

 

「俺の名はヴァーリ・ルシファー。知ってるとは思うが現代の白龍皇だ」

 

俺の目の前には二天龍の一角さんがおいでになさったぞ…

 

 

 

 

 

 

 

少しばかりヴァーリと会話をして分かったことがいくつかある。

黒歌が言っていた[言っておきたいこと]とは俺と共に行動する許可を貰うこと。これに関してはヴァーリと黒歌は契約を交わしてるわけではないため即OKとの事。いいのかよそれでとツッコミたくなるが本人が許可してるので俺は敢えて何も言わないようにした

 

そして次にこいつの名前が[ルシファー]ということに関して。これは事実上の悪魔界四大魔王のルシファーの血を引き継いでるかららしい。

確か今の四大魔王って肩書きみたいな感じだもんな

 

そして最後にコイツがかなりのバトルマニアだということ。戦いが大好きらしい。俺は戦いたくないタイプだから即誘いをお断りさせていただきました。

だって白龍皇だよ!!?二天龍の一角だよ!!??戦いたくないよ!!

 

 

「して、安堂とやら」

 

「ん?なんだよ白龍皇さん」

 

「貴様は黒歌が好きなのか?」

 

「〜〜っ!!!!??な、なななな、何言ってんだよ!!まだ会って間もないんだぞ?!」

 

なんて事を突然言い出すんだこの白龍皇!!

隣で黒歌が顔真っ赤にしてるし!なんかキャラ崩壊してねえか?!

 

「そうなのか?俺はてっきり昔からの馴染みかと…」

 

「数日前に会ったばかりじゃボケェ!!!」

 

俺が興奮のあまり叫んでしまっていたが横の黒歌が恥ずかしさのあまり抱きつく力を強めてきて俺の脊椎とか背骨が悲鳴をあげ始めてきた。あ、これはやばい

 

「く、黒歌さん…死ぬ…骨が…」

 

流石の黒歌も俺の骨が軋む音が聞こえたのか、抱きつく力を弱めてくれた。離れてはくれないけれどね。いっその事離れてもらった方が俺も色々と助かるんだけれどなぁ……

 

だがそれも叶わぬ願いとなって黒歌は俺の腕にがっちりと腕を絡ませてホールドしている

 

「安堂とか言ったな。そんなに黒歌が懐く様なことをしたのか?」

 

「知るか…こっちが聞きたいよ…」

 

俺の独り身生活が終了した瞬間だった。まさかそこに白龍皇が立ち会うとは思ってもなかったが。

ヴァーリはその後すぐに去っていってしまい、俺は黒歌にガッチリとホールドされたままだった

 

「あのー…黒歌さん…そろそろ移動…しません?」

 

「仕方ないにゃぁ…安堂がそこまでお願いするなら仕方なーく離れてあげるにゃ♪」

 

コイツ絶対俺のことを弄んでるよ…

 

「でも流石にその格好で街中は共に歩きたくないぞ?」

 

「それは心配ないにゃ」

 

すると黒歌はまた黒猫の姿になって勢いよく跳躍し、俺の右肩に乗ってきた。なんかこんな感じのシチュエーションどこかのアニメで見覚えがあるけど何も突っ込まん…

 

「人前では猫語しか話さないから心配ないにゃ。これでどこでも一緒にゃ。それに魔力とかは隠すから私の事がバレることはないにゃ」

 

「なんというか…流石妖怪と言うかなんと言うか…ひとまずリアスさんのところに用事があるから今から行くぞ」

 

「分かったにゃん♪」

 

黒歌は俺の肩に乗っかったままが良いらしい(その方が見晴らしがいいらしい)のでこのまま俺は夕日によって薄暗くなった街中を抜けていき、学校へと向かった。

 

 

 

・・・・・――――――

 

 

 

学校に着いた(普通にジャンプして中に入った)俺は未だに慣れない学園の中を歩いて離れたところにある旧校舎目指して歩いていた。

 

やっぱりここは広いよなぁ…

 

「ここで白音は生活してるのかにゃ…ちゃんとやってるかにゃ…」

 

なんだかんだで黒歌は子猫(白音?)ちゃんの事ちゃんと考えてるんだな。いいお姉さんじゃないか

だからこそ気にしてしまう。二人の間に何があったのか。

無粋な事ではあるが、黒歌はこれからも俺と共に行動すると言った。だったら知る権利があってもいいと思う。

まぁそれでも本人が言いたくなかったら聞きはしない。

いずれ話してくれる場面が訪れると思うしな

 

そんなに時間もかからずに目的地の旧校舎にたどり着いた。

太陽はとっくに沈んでおり、月があたりを照らしているくらいの光量しか無い。

だがこの夜の時間は悪魔の時間。

リアスさん達がいてくれればいいのだが…

 

俺は迷わず旧校舎の中に入り、薄暗いが辛うじてオカルト研究部と書かれたプレートのある扉の前にたどり着く。

ひとまず扉をノックする

 

「はい。どなたですか?」

 

扉がゆっくりと開き、中からは黒いポニーテールをおろしている姫島先輩の姿があった。日中ポニテが目立ち、リアスさんと並んで『二代お姉さま』とか呼ばれてるらしいが、特徴のポニテを下ろしてるとなんだか同年代の女の子って感じがする。とっても新鮮だ

 

「こんな時間にすみません。例の堕天使たちの件に関して有力な情報が手に入ったのでその報告に参りました」

 

「あらあら…わざわざ来ていただいて申し訳ありません。お茶を出しますからどうぞ中に。今リアスを呼ぶわ」

 

姫島さんに中に案内された俺は部屋の中央のソファに腰掛ける。姫島さんは魔法陣を展開し、誰かと会話をしていた。恐らくリアスさんだろう。

会話を終えると紅茶を俺の前に置いてくれた。とても美味しそうだ。

 

「もう時期リアスが来ますわ。それまでゆっくりしてってくださいね」

 

「ありがとうございます…姫島先輩はこの時間まで悪魔のお仕事ですか?」

 

「えぇ。つい先程まで依頼がありまして、先程帰ってきましたの。おかけでこんな時間になってしまいました。ところで……」

 

姫島さんの視線は俺の肩に乗っている黒歌に向かった。やっぱり気になるのかな

 

「その黒猫ちゃんは…?」

 

「この子は俺がここに来た時に最初にあった子です。名前はまだ決めてませんがね…」

 

「あらあら…じゃあリアスが来るまでその子の名前を決めましょう?名前があった方が愛着が湧きますわ」

 

まぁ人型の時は黒歌って呼べるんだけれどね。猫モードの時の事考えてなかったから都合がよかった。何よりも暇な時間が無くなったからいいかな

 

 

結果黒歌の猫モードの時の名前は『クロ』で決定した。安直な名前だが黒歌は了承してくれたのか、ひと鳴きした。

その後にリアスさんが魔法陣を展開しながら俺と姫島さんの前に現れた。

 

「リアスさん。放課後に呼び出してしまってすみません」

 

「別に問題は無いわ。今日はオフだったし、悪魔は夜行性だからね」

 

リアスさんはそう言いながら俺に向かい合うようにソファに座る。その傍らに姫島さんが立っている。『王』の傍らには『女王』。典型的な立ち会いだな

 

そして俺はリアスさんに件について知ってることを話した。

 

「そう…あんな所に就職…?妙な話よ。あの教会はかなり昔に廃れてしまってる筈。今更あんな所にシスターがいるはずがないわ」

 

「実際に現場に行ったからわかります。あんな所にまだシスターがいるとは自分も考えられない。そして何よりも…堕天使が堂々と教会に来ていましたから」

 

「あなたを襲った堕天使かしら?」

 

「いえ、公園で俺が撃退した黒髪ロングの女の方です。名前はレイナーレと言うらしいです」

 

「そう…分かったわ。今日はもう時間がないし…こっちの方で調べてみましょう。ありがとう安堂君。わざわざ報告してもらって」

 

「俺はただここを管轄にしている責任者の人に意見を述べてるに過ぎませんから。出来ることならのんびり暮らしていたいですから。それでは自分はこれで失礼します」

 

「えぇ。ありがとう。何かあれば遠慮なく言ってちょうだい」

 

「あ、では早速で申し訳ないんですが一つだけお願い事を頼んでもいいですか?」

 

そして俺はリアスさんにあることをお願いした。お願いを言った途端凄い驚いた表情になっていたのは言うまでもないだろう

 

お願いをし終えた俺はソファから立ち上がり、部室を後にする。そしてそのまま帰路を進んでいく。するとクロ(これからは猫モードの時はクロと呼ぼう)は俺の顔をじっと見てきていた

 

「どうした?」

 

「安堂はこれからどうするにゃん?」

 

「明日は日曜日で学校は休みだし、神器について調べてみようかと思ってね。ちょいと宛があるからさ」

 

「さっき言ってたやつかにゃ?」

 

「そ。自分のことを知る為でもあるからな」

 

「でもあの悪魔がグレモリーだから許されることだと思うにゃ。そして魔王がいる。だからこそ成り立つ事だとは思うけどそれでも普通は有り得ないにゃ」

 

「まぁそりゃそうだよな・・・・こんな事は常識的に不可能だ。だがそんなことは言ってられないからな」

 

俺にとってこの行動は到底馬鹿な事だとは自分でも思ってる

 

「ひとまずは堕天使たちの計画をぶち壊して平和にしてから神様に会いに行くさ。リアスさんがサーゼクスさんに頼んどいてくれるらしいし」

 

本当に自分のことを知らなすぎてしまってるのが痛いな。

今思い出せば本当に不思議なことだらけだ。

稲妻を操れるのは分かってるのだが、フリードと戦った時に暗殺者をイメージしたら本当に暗殺者が所持していそうなナイフが創られた。

俺が知らない自分自身の力なのか、あの神様が授けてくれたものなのか分からないからな。そこら辺も込みで色々と知りたいからな

 

明日の事を考えながら俺は自宅に帰宅した。

玄関を過ぎたところでクロは黒歌に戻った。

 

「ん〜っ・・・やっぱりこっちの姿の方が楽ちんにゃん…」

 

黒歌がリビングのソファに腰掛けるとそれに呼応するかのように彼女の胸も大きく揺れてしまっていた

目のやり場に困る猫娘だなホントに…

 

「あ、安堂…今私のおっぱい見たにゃん?」

 

にやにやしながら俺に近づいてくる黒歌。そしてそれを拒むように後ずさりする俺。

 

「そりゃ見るだろ…俺だって男。性欲が無い訳では無いんだ。ましてや黒歌のボディがエロいと来た。それで反応しない男はあんまりいないと思うが」

 

俺がそう言うと黒歌はキョトンとした後、顔を真っ赤にしてしまった

 

「…そんな殺し文句は反則にゃ・・・・・」

 

「ん?なんか言った?」

 

「…何でもないにゃ!お風呂借りるにゃ!」

 

「お、おう…そこを右に曲がって左のドアな」

 

黒歌はずかずかとお風呂場の方に向かって歩いていった。

黒歌もあぁいう表情するんだな。これはまたいい事を知った

 

「さて…俺はどうすっかな…」

 

黒歌はお風呂行ってるし…丁度何部屋か空き部屋があるからそこに布団でも敷いておこう。和室の部屋が空いてるからそこでいいだろう

 

リアスさんから与えられたこの無料の部屋だけど普通に5人は余裕で住めるほどのスペースがあり、部屋もそれなりにはある。

だが俺はひとりで住んでたから空き部屋がかなりあってある意味辛かった。

 

だけどこれからは黒歌と暮らしてくからいいか

しかし、今の現状調べなければいけないことは多々ある。今代の二天龍、黒歌と子猫ちゃんの関係、自分の生態、件の堕天使計画。

いざ調べるとなるとかなり骨が折れそうなものばかりな気がするが地道にやるしかないな!

 

「安堂〜?着替えってどうすればいいにゃ〜?」

 

「裸でリビングに出てくるか阿呆!!!」

 

 

・・・・・大丈夫だろうか?

 

 

 




初の6千文字に思わず驚きが隠せません
それではまた次回


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第9話 猫娘とデートです!

書きたかったものが書けて満足です


 

黒歌と再会して一夜が経った翌朝。部屋はあまり過ぎてるにも関わらず、黒歌はずっと

 

「安童と同じ部屋じゃないと嫌にゃ」

 

という一点張りを見せつけてきていた。

1時間にも及ぶ説得も虚しく、最終的には俺が心を折ってしまい、同じ部屋で寝る事になった

 

だがしかし、素晴らしいボディの持ち主の黒歌とともの部屋で安眠できるわけもなく、逆に目が冴えてしまい、夜は寝れなかった。お陰でオールですよオール。眠いったらどうしようもない・・・・・

 

まぁ今日が日曜だから良かった。今もかなり眠気が襲ってきてる。そりゃもう目を閉じればすぐに眠れるくらいにね…

もう太陽が登ってとてもいい天気だから余計眠気が襲ってくる。

 

ひとまず俺は眠りにつくことに・・・・・

 

「お腹空いたにゃぁ~・・・安童〜…」

 

「・・・・朝飯にするか」

 

俺の睡眠時間はこれから少なくなりそうです…

 

 

「黒歌は何がいい?」

 

「あまりお腹に響かないものがいいにゃ」

 

俺は黒歌のリクエストに応え、サラダを主としたサンドイッチを軽く作った。

そしてそれをリビングに持っていく。

すると黒歌はテレビをぼーっと見ていた。内容はニュースの様で、政治家がコメンテーターに色々と発言をしているところだった

 

「人間はあまりにも馬鹿にゃ…裏で起きてることを知らず、どうでもいいことばかり棚に上げる…」

 

「人間ってのは不利なものには視線を向けないのがほとんどだよ。俺とかが例外なだけだ」

 

黒歌はサンドイッチを掴み、頂きますと言ったあとサンドイッチを食べる。

そして暫く咀嚼を繰り返した後に

 

「…美味しいにゃ」

 

「そうか。口にあったようで何より」

 

「安童って転生前は何だったにゃ?」

 

「俺?ただの人間だよ。一人暮らししてたから料理は自炊してたしな。大体のものは作れるぞ」

 

「ふ〜ん…」

 

生前の俺はただ普通にアルバイトをしながら学生時代を過ごしていた。

だが俺はアルバイトに向かう途中、交通事故に遭ってしまい、命を落としたんだ。

そしてオーディン様に転生をしてもらって、今に至る。

今思い返してみれば凄いよな…これって

 

だけれど、オーディン様に転生する時にお願いしたのは『雷属性の神器』、『気配察知能力』の二つだけ。後は何とかしようとしていたんだがあの人が色々とオマケで付けてくれたんだ。だからなのかもしれないが雷神剣とか槍とか何故創れたのかはやっぱり不明だ。

先日のフリード戦だってそうだ。何故あんなことが出来たのかは俺にだってわからない。

考えられるのはオーディン様がこっそり俺にそういうのを付与してくれたか、生前の俺が覚醒してない何かがそのまま引き継がれたのかだ。

 

どちらにせよ、確かめてみないことには変わらない

 

 

「美味しかったにゃ〜…ご馳走様♪」

 

「はいはい。お粗末様でした」

 

「安童はこれからどうするにゃ?」

 

「これからお前に必要なものを色々と買いに行こうと思ってる。お前の普段着とか何もないだろう?今日はそれを買いに行く。ついでに俺のもな」

 

昨夜は俺の寝間着を黒歌に着せたのだが、三桁越えのバストは凄い主張してて苦しかったらしいからな。流石にこれから同棲するにあたって着るものは必須。だから買いに行く。

金はリアスさんからのお小遣いがあるから問題ないだろう

 

「じゃあ私が安童の選ぶから私のを安堂が選んでにゃん?」

 

「なぜお前のを俺が選ばなくちゃいけないんだ…」

 

「なんとなくにゃ」

 

「…俺にファッションセンスがあればな」

 

俺は転生前でファッション知識に関してはほぼ皆無というある意味素晴らしい事実がある。

ましては黒歌はこの通り顔も良く、ボディも凄い。そんな女性の服を俺が選べるとは到底思えない

 

「安童は私の服…見てくれないのかにゃ…?」

 

見かねた黒歌はうるうると瞳を潤ませながら上目遣いで俺のことを見てきた。

 

うん。勝てないわ。

むしろ勝てる人いるのこれ?

 

「はぁ…どうなっても知らないぞ?」

 

「安童が選んでくれたのならいいにゃ!」

 

あれ、なんか俺は黒歌に抵抗できない男になりつつないか?これ。ほぼデートだよな…?

 

 

────・・・・・・・・・・

 

程なくして近くのショッピングモールにやって来た俺と黒歌。黒歌にはひとまず俺の服を着ててもらう。少しサイズが大きめのやつがあったから黒歌の豊満なものが程よく主張するくらいだ。

 

まぁそれでもここに来る途中の人達みんなから二度見はされていたんだがな…

 

「たしか衣装類は1階と2階どっちにもあったはず…これだから広い所は苦手なんだ……」

 

俺はここに来た時から広い所は迷うため苦手になっていてる。いわゆる方向音痴って奴だ

 

「ひとまず黒歌のを先に買っちまおう。なんか着たいものとかあるか?」

 

「ん〜…特にこれといったものはないにゃ…あの着物が普段着みたいなものだからにゃん」

 

「でも黒歌なら他の服とかも似合うと思うけど?まぁ今回はそういうのをテーマに探してみるか」

 

ひとまず俺と黒歌は女性ファッション専門店に入っていった。これは俺一人だったら完全に怪しい人だよな…?

 

 

────・・・・・

 

「これとかはどうだ?」

 

「ん〜…なんかヒラヒラついてるのは嫌にゃ。このスカートってのも」

 

「となると…無難にジーンズとかかなぁ」

 

「安童。あれって何だにゃ?」

 

黒歌の服を選んでると、黒歌がアクセサリー類が飾られてる棚に向かって指を指している

 

「アクセサリーだな。いわゆる装飾品っていうやつ。え…ブレスレットとかピアスとかはいいんだけど、指輪まであんのかよ…」

 

「安童とお揃いのものとかないかにゃ…」

 

「俺はアクセサリー系統のものは何一つ持ってないぞ?」

 

黒歌がアクセサリー類の棚の前で唸っていると、綺麗な紅色のロングヘアーをしている女性店員さんが黒歌に声をかけていた

 

「お客様。彼氏さんとのペアルックがご所望ですか?」

 

「お揃いがいい!」

 

「かしこまりました。それでしたらこちらにカップル用のアクセサリーがございますのでご案内いたします。彼氏さんも是非ご一緒に」

 

「は、はぁ・・・・・」

 

俺は言われるがまま黒歌と共に紅色の髪をした店員さんに付いていく。なんかあの人見覚えあるんだよなぁ…気のせいかな

 

店の端に男女ペアルック関連の服、装飾品が並んでいた。

なぜか指輪もある。あれって普通宝石店とかそういう所にあるもんだと思ったのだが案外そうでもないんだな

 

「あ、安童!!あれなんてどうにゃ!?」

 

黒歌が喜々として指さした方には、白をベースとしたカジュアルなTシャツがあった。しかもそれが男性用の丈、女性用の丈が揃っている。ペアルックってすげぇ

 

「いいじゃないか。それ買うか?」

 

「買う!」

 

「とりあえず1着目は決まったし、あと何着か買ってこうか」

 

その後も俺は黒歌と一緒に色んな服や装飾品を買った。気がつけば俺の両手には大量の袋がある。これ全部あの店で買ったものだ。かなり買ったなぁ…紅色の髪の店員さんもレジしてる時にあまりの金額に若干引いてる感じあったし・・・・・あ、やっぱりあの店員さんは知り合いだった。というのも店から出る時にカマかけたら────

 

「ありがとうございました〜!」

 

「いえいえ…あ、リアスさん。明日、何故ここにいたのか説明してもらいますからね?」

 

「…バレてたのね。」

 

「まぁ…リアスさんのオーラが特徴的なもので」

 

というわけだ。それにあんな紅色のロングヘアーをしてる人なんて滅多にいないしな…

 

その店を出た後は適当に近くのファミレスに入って食事をして、邪魔な荷物は全て魔法陣で異空間に保存することになった。もちろん人気がない駐車場で黒歌がやってくれた。

 

「さて、服も買ったし、後は雑貨か。黒歌用のもないと不便だろうし」

 

「その前に、げーむせんたぁって所に行きたいにゃ!!」

 

「ゲーセンねぇ…いいよ。行こうか」

 

そして俺は黒歌と共にゲーセンコーナーの方に向かって歩を進めた。

その瞬間黒歌が俺の手を握ってきたのは結構意外だったけどちゃんと握り返した。

ほのかに感じる暖かな感触。これが温もりというものなのだろうか…

 

 

 

 

────・・・・・・・・・・

 

「楽しかったにゃ〜!」

 

「まぁな…あぁ…すっかり夜だな…てゆうかいろんなの買ったなぁ」

 

ショッピングモールから出ると太陽はもう落ちており、月の明かりと所々に置いてある街灯が地面を照らしている。今は手を繋いで自宅へと向かう途中

 

「こんなに楽しい日は久しぶりにゃん」

 

「そうかい。そりゃ良かった」

 

これから帰って家に着いたら大量に買ったものの後処理という大変なことが待ってるが…まぁ黒歌の笑顔が見れたから頑張りますか

 

「ねぇ安童。一つだけ、お願いしてもいいかにゃ?」

 

突然黒歌が話しかけてきた。お願いならショッピングモールで何回もやっただろうに。だがその時とは雰囲気が違った。ショッピングモールの時はおふざけ半分みたいな雰囲気だったが、今回は真面目そうだ

 

「なんだ?」

 

「安童って…名字よね?」

 

「まぁ…そうだけど…それがどうした?」

 

「あの…下の名前…教えてくれない…かにゃ?」

 

そう言えば転生してから誰にも下の名前を言ってなかった気がする。まぁ単純に信頼出来る人以外にフルネームを言いたくなかっただけなんだけれど

 

だけど黒歌とはヴァーリと会った後に契約を交わした仲ではあるから当然フルネームを言ってもいいのだが・・・・・

 

「…いいか黒歌。俺にとってフルネームを教えるってのは、これからも迷惑をかけ、迷惑をかけてもらう、そういう絶対な信頼関係がないと教えないんだ。お前にはそういう覚悟があるんだな?」

 

「…私をあまり見くびらないで欲しいにゃ。契約を交わした御主人のことを信頼しない程私もヤワじゃないにゃ。これからもよろしくお願いします。マスター…?」

 

これが黒歌の本心だというのは真剣な目を見ればすぐにわかった。どうやら黒歌は本当に俺のことを信頼してくれてるみたいだ。

ならば俺もその気持ちに答えねばなるまい

 

「…遊魔。それが俺の名前だ」

 

「安童・・・遊魔。覚えたにゃん♪」

 

「ただし、名前で呼んでいいのは二人っきりの時のみだ。理由はさっき言ったように、絶対な信頼関係がないといけないからだ」

 

「…フルネーム知ってるのは私だけかにゃ?」

 

「そうだ。これからよろしくな。黒歌」

 

黒歌は満面の笑みを浮かべてくれた。

下の名前を教えた以上、俺も黒歌の事をきちんと知らないといけないよな。

だが今はまだその時じゃない。時が来ればきっと黒歌も話してくれるだろう。今はただその時を待ちながら、帰るべき場所に帰ろう

 

 

「あ、言っておくけど私はまだ処女にゃん♪」

 

「こんなタイミングでそんなこと言うなお馬鹿!!!」

 

やっぱり俺は黒歌には敵いそうにない

 




やはりこの位の文字数が私の限界でした
それではまた次回


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第10話 乗り込みます!

本日ものんびりしてます。宜しくお願いします


第10話

 

 

黒歌とのデートの日の翌日。普通の平日。学生、社会人が最も嫌うであろう『月曜日』。俺は少し早めに起き、隣で規則正しい寝息を立てている黒歌の朝食を作り、[起きたら食べてくれ。暇だったら猫の姿になって学園に来てもいいがバレないように]という書き置きを置いて家を出た。

 

少し早めに出る理由は先日のデートでリアスさんが変装して俺を監視(それ程でもない)していたのを聞くためだ。

 

流石にプライバシーに関わったら俺でもちょっとは気にするからな

 

 

・・・・・────

 

場所は変わって旧校舎にあるオカルト研究部部室前

 

この時間からリアスさん達いると思うんだけれど、大丈夫かな?

ひとまずノックをする

 

「リアスさーん?安童ですけど?」

 

するとドアの向こうから「入っていいわよ」と言われた。

そして俺はそのまま扉を開き、部室の中に入る

 

そこには学生服を身にまとったリアスさん、その隣に朱乃さんがいた。木場先輩や子猫ちゃんはいないのか

 

「おはよう。安堂君。昨日の件ね?あれは大したこと無いのよ。悪魔の仕事よ」

 

リアスさん曰く、召喚された先の依頼人があの店の店長で、悪魔に店員になって手伝っていたらしい

 

リアスさんはいつも座っている椅子に座ると真剣な表情になり俺の方を見てくる

 

「安堂君…例の堕天使の件で進展があったわ」

 

…っ!思ったよりも早かったな・・・・・

 

「実は昨夜、イッセーが仕事で召喚された先の依頼主がある神父によって殺害されていたの。その神父は白髪の男だったわ」

 

だとしたらフリードの可能性が十分に高いな…だとしたらあの野郎よく生きるな・・・・・

 

「そしてその時、金髪の女の子が一人いたらしいの。イッセーの友達だったらしいのだけれど、向こう側の人間だというのがわかったわ」

 

金髪…俺が教会から出た時に会った女の子かもしれない。たしかシスター服を着ていたと思うし、堕天使側にいても違和感がないとは思うのだが…だがやはり俺の中では納得がいかない

 

「イッセー先輩は朝ここに来るのですか?」

 

「ええ。平日は毎朝ここに一度集まることになってるわ」

 

「もしかしたら神父、金髪の子…俺も面識があるかもしれません。あくまで可能性なのですが」

 

リアスさんは何かを考え始め、程なくして視線のみ俺に向けてきた

 

「安堂君…もしかしたら貴方の力が必要になる可能性があるわ。その時は協力してくれるかしら?」

 

「まぁそのぐらいなら。悪魔や堕天使の存在を知ってしまってますからこうなる事は予想していました」

 

「…アナタ、本当に何者?尋常じゃないほど頭の回転が速いように感じるのだけれど」

 

「俺はただの転生者ですよ。前から言ってるでしょう?」

 

「そうだったわね…あら、来たみたいね?」

 

そう言いながらリアスさんが扉の方に目を向けるとドアが開き、木場先輩、子猫ちゃん、兵藤先輩が揃って入ってきた。これでオカルト研究部、基グレモリー眷属集結か

 

「みんな集まったわね。早速だけど昨日のイッセーの件について話があるの。安堂君。君の知ってることを話してくれないかしら?」

 

「いいっすよ。ではまずは────」

 

 

 

────・・・・・・・・・・

 

 

「以上が俺が知ってる内容です」

 

「ビックリだわ…まさか神父だけじゃなく、女の子の事も知っているなんて…しかも神父と戦闘も…」

 

 

結果的に言ってしまえば、昨夜、イッセー先輩の遭遇した神父は俺が知っているフリード・セルゼン。金髪の子は俺も会ったことがある女の子だった。名前は[アーシア・アルジェント]と言うらしい。

 

そしてイッセー先輩の情報ではアーシアさんは回復系の神器を所有しているとの事だ。

 

 

 

…だとしてもやっぱりおかしい。

 

「イッセー先輩。貴方に一つ問いたい」

 

「?俺?なに?」

 

「アーシアさんがなぜあの堕天使…貴方を殺害したレイナーレと一緒にいるのか。ということです。私はどうしても彼女が向こう側にいることが可笑しいと思うのです」

 

「確かに…アーシアが自分からあんな奴について行く様な子には俺は見えない」

 

「だからこそです。私はアーシアさんの身が危ないと思います」

 

俺がそう言うと全員が驚きの表情を浮かべる。そりゃそうだ。こんなことを言われれば誰だってこんな反応する。俺だってするさ

 

「安堂君…貴方の答えを聞かせてくれないかしら?」

 

答え…俺がこの後どうするかという事と、その根拠って事か?

 

「危ないと思う根拠は2つ。1つ目。イッセー先輩も仰ってましたが、彼女、アーシアさんは自分から悪事を働く様な人間には見えないという事。2つ目。これはかなり重要な事です」

 

するとリアス先輩がはっと何かを閃いたかのようにして椅子から立ち上がる

 

「もしかして堕天使が関係してるのかしら?」

 

「その通りです。レイナーレが言っていた魔女という言葉。そしてアーシアさんの神器。これが関係してると思ってます。そこはアーシアさん本人の過去でしょう。そこで俺は堕天使…レイナーレのところに行く。そしてアーシアさんを彼女から連れ戻す。俺の考えが正しければ…レイナーレはアーシアさんの神器が目的だと思う」

 

「なるほどね…欲に堕ちた堕天使ならその可能性もある…」

 

「だから俺はアーシアさんに身の危険が行かないうちに行く。アンタはどうする?アーシアさんのお友達の兵藤先輩?」

 

「っ…俺も行く!アーシアはシスターだろうが関係ない!!俺の友達だ!友達が危ないならそれに駆けつけるのが友達ってもんだ!!」

 

イッセー先輩のその言葉にみんなは微笑みが生まれた。

そうか…こういう人間なんだな。兵藤さんは。良い人だ…だからこそヴァーリ同様【龍】に魅入られてしまったのかもしれないな

 

「気張るのはいいけど…行くならまずは授業がすべて終わってからね?」

 

「は、はい・・・・・」

 

ま、当然だな。

 

 

さて、俺は俺でやることをやってしまうか。頑張れよ。【赤い龍】さんよ・・・・・

 

 

 

・・・・・────

 

その日の夕方。俺は例の教会に来ていた。

だが俺だけではなく、兵藤先輩、子猫ちゃん、木場先輩と一緒だ

 

「兵藤先輩。中に入ったら恐らくフリードがいますので気をつけて」

 

「神父は僕が相手するよ。安堂君とイッセー君、子猫ちゃんは彼女の所に」

 

「どうも。木場先輩。それじゃあ子猫さん。入ったら真正面の女神像の台を壊してくれ」

 

「わかりました・・・・」

 

「んじゃぁ…行きますか。女の子を救いに行くヒーロー…イッセー先輩!」

 

「おう!」

 

俺はドアを蹴破る!

理由?特にないけどその方がそれっぽいから!

 

「おぉ?!誰でござんしょ?!!おろろ!!イッセーきゅんにナイトくん!そしてそして!安堂きゅんじゃあーりませんかぁ!!」

 

「うわきも・・・・・」

 

やっぱりフリードがいた。気配察知でなんとなく察してはいたが出来れば会いたくはない人間だ

 

「安堂君。真顔になってるよ?」

 

 

いや、木場先輩…こういう人苦手何ですよ…なんて言えるわけないよなぁこんな状況だし

 

「フリード!アーシアをどこにやった!!」

 

「アーシアたんならそこの階段の奥にいるよん?でも通りたかったら僕ちんを倒して────っ!??」

 

フリードが喋ってる途中ですごい吹き飛んだ。何故なら俺が思い切り蹴り飛ばしたからだ。なんかデジャヴ感じるけど気にしてられるか!やっぱりあぁいう奴は嫌いだ!すげえウザったい!!

 

「じゃあ倒したのでいきましょうか」

 

「…安堂君…?」

 

「木場先輩…すんません。我慢できませんでした」

 

「…チート」

 

「子猫さん…それ言わないで」

 

少し気まずい感じになってしまったが俺達は地下へと続く階段を降りていく────

 

 

────・・・・・・・・・・・・・・・

 

side:三人称

 

 

「ふぅん…あんたがわざわざ手を掛けた少年がまさか……ねぇ?」

 

「そのまさかじゃったよ。わしが手をかけたのじゃが、その前からそうなっておったのだ。こりゃあの子は大物に…それも天使、堕天使、悪魔の中で存在が大きくなるじゃろう・・・・・」

 

「ま、アンタが与えたのが殆どないって事をアイツは知らないんだろう?」

 

「うむ。2つ与えたと言ってるからの。どちらもあの者の中にとっくにあったものじゃ。それを伝えてもあの子は受け入れるとは思わなかったからのぅ…じゃが、いずれ儂の元に来るであろう。それもそう遠くないうちに…な」

 

「そうかい…じゃあ今度は俺が直接会ってみるとするかな。なに、手をかけはしないさ。ただ会話をするだけだ」

 

そういった青年は幾重もの漆黒の翼を羽ばたかせたがらその場を離れた

 

「やれやれ…あやつのコレクター魂に火をつけてしまったかのぅ・・・・・」

 

 




これからものんびりと書いていきますのでよろしくお願いします!

それではまた次回!


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第11話 女の子、助けましょう!!

みなさん。私は元気にイッセーと同じ高みへと進んでいきます(ニッコリ)




 

 

 俺達はイッセー先輩の熱意で教会に乗り込み、アーシアさんを連れ戻しに階段を降りている

 

 そして階段を降りた先には開けた空間があり、その奥に1箇所山のようになっている場所があり、そこの頂点に十字架に縛り付けられているアーシアさんの姿があった!

 

 そしてその横にはレイナーレの姿があった。

 

 レイナーレはアーシアさんをどうするのかは大体察しがつく!

 

 「アーシア!アーシアぁぁぁ!!!」

 

 イッセー先輩がアーシアさんに向かって叫ぶとアーシアさんは我を取り戻したかの様にイッセー先輩の事を見つめる

 

 「イッセーさん…信じてました…!」

 

 弱々しくも発言したアーシアさんの頬を一筋、また一筋と涙が伝っていく

 

 「アーシア…待ってろ!今助ける!!」

 

 イッセー先輩がアーシアさんの方に向かおうとすると大量の神父が壁のように立ち塞がる

 

 「あっははははは!助ける?この魔女を?アナタ、馬鹿じゃないの?もうこの子は助からないの。分かる?」

 

 レイナーレはそう言うとアーシアの心臓があるであろう部分に向かって手を広げる。するとアーシアからライトグリーンのような光が発光し始める

 

 「あ、ああああっ!!あぁあああぁああっっ!!!!」

 

 そしてアーシアさんから悲痛に耐えるような叫びがこの地下に響き渡る!

 

 くそ!考えたくなかった結論がこうも現実になるとはな!!

 

 「レイナーレ!お前の目的はアーシアさんの神器か!!今すぐ戻せ!!」

 

 「っはははは!今更戻すわけないでしょう?この計画のために上層部を騙しに騙したのよ?」

 

 ・・・なんだよそれ…自分の目的の為ならこんな女の子を犠牲にしてもいいって言うのかよ

 

 イッセー先輩はレイナーレに向かって怒鳴り始め、木場先輩と子猫さんは神父たちと退治し始めた。

 

 だが俺はこの場から動くことが出来ずにいた。

 

 いや、今動いたら止まらないと分かっているから動かなかった

 

 まったく…なんで赤の他人であるアーシアさんの為にこんなに感情が現れるんだろうな俺は…!

 

 「・・・・・イッセー先輩。木場先輩。子猫さん…アンタらはアーシアさんの事を救出してこの場からすぐに離れてくれ。俺は神父共を片付ける」

 

 「っ!?危険だ安童君!こんな大人数に1人で立ち向かうなんて無謀な「うるせえ!!早く行け!!」…っ安童君・・・・・?」

 

 「木場先輩…気持ちはありがたく受け取ります。ですが俺はもう・・・・・耐えられないんです。だからこそ…彼女をお願いします」

 

 俺は木場先輩にそう言い、神父たちの目の前に行く。そして意識せずに神器が展開され、俺の身体中に不気味なほど青白い稲妻が迸り始め、その稲妻は収まることなく逆に電圧を高めるように音が大きくなっていく!

 

 そして一瞬激しく輝きを放つ神器!

 

【Over Charge Start!!!!!】

 

 その言葉が神器から発せられた瞬間、輝きは収まっていき、俺の身体に青白い稲妻がゆっくりと迸ってるのがわかった。

 

 そして髪の毛がいつもの黒髪から激しく輝く銀髪へと変貌していた

 

 「なるほど・・・・そうか。これが神器は宿主の思いに反映し繁華するって事か…行こうか・・・俺の更なる高みへと!」

 

【Creative!!!! Hi Voltage!!!!!!】

 

 

 

 俺が歩を進める度に足元に稲妻が迸り、近くにいた神父に感電し、高電圧の攻撃を放っている

 

 そしてそのまま右手を上に向けると手の上に魔法陣が展開され、中から3メートルはありそうな大剣が出現する!

 

 そして掴んだ刹那、その刀身が青白い稲妻を放ち始め、稲妻が更に大きく迸り始める!

 

 「安童さん…その姿は一体…」

 

 「話はあとだ。子猫さん。今は3人で目的を果たしてくれ。レイナーレとアーシアさんは任せたぞ!イッセー先輩!木場先輩!」

 

 「おう!任せろ!」

 

 「分かったよ安童君!」

 

 俺のことを信じてくれてるのか、二人に続いて子猫さんも悪魔の翼を羽ばたかせて神父達の頭上を飛んでいき、一気にレイナーレの目の前に行ってくれた

 

 ありがとうよ…3人とも!

 

 さてと、あんなにカッコつけて3人を行かせたんだ。俺もやるべき事を片付けるとするか

 

 「さてと…あんたらは…はぐれ神父だな?」

 

 「っ…殺せ!相手は一人だ!数で押せ!」

 

 ひとりの神父の声で神父たちは俺に向かって襲いかかってきた

 

 だけどそれじゃあ…

 

 「そんなんじゃ俺に傷の一つも付けられやしないよ!!」

 

 俺は神父たちの攻撃を必要最低限の動きで回避していく。時に顔を少し横にずらしたりしていた

 

 そして一瞬の攻撃の隙を見つけ、すぐさま凄まじい速さでその場から後方に下がる。そして手に持っていた大剣を構える!

 

 「加減出来ねえから…死にたくなければ逃げなっ!!」

 

 低い声でそう唱えると大剣を纏っていた稲妻が刀身の形になり、元の大剣を包み込むように大きくなっていく────

 

 「だぁぁぁぁらぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 ──── 一気に振り下ろす!!

 

 

 

 凄まじい音を立て、部屋を大きく揺らしながら放った俺の一撃は神父たちのだけではなく、レイナーレやイッセー先輩たちの方にまで響き渡ってしまった!!

 

 あ、これやばいやつだ!!

 

 「イッセー先輩!木場先輩!子猫さん!無事ですか?!」

 

 急いでイッセー先輩達がいるであろう場所まで走る。

 

 だがそこには漆黒の羽根が舞ってるのみでイッセー先輩たちの姿がない・・・・・まさか巻き込んじまったか…?!

 

 俺は急いでアーシアさんが囚われていた場所に向かうがそこにはもう何もなく、殺風景な光景が広がっているだけだった。そして俺は持っていた大剣を地面に突き刺し、上を見上げた。

 

 「…穴?」

 

 そこには人が通れそうなくらいの穴が開いていたのだ

 

 たしか俺達が入ってきた時にはあんな穴は存在してなかったはずだ。だとするなら・・・

 

 「おーい安童ー!!無事かー??」

 

 その穴の先から兵藤先輩が顔をひょっこり出してきたのだ!

 

 あれはイッセー先輩達が開けた穴か!

 

 「ギリギリだったね。安童君お疲れ様」

 

 「…加減を考えてください」

 

 そして木場先輩と子猫さんも同じように顔を出してきた。よかった…3人とも無事だな

 

 「いや、すんません…初めて使ったものですから・・・・」

 

 俺は階段からそちらに向かうと伝え、入ってきた時に降りてきた階段を登る────

 

 「…っ?!」

 

 刹那。突然俺の身体に異変が発生した。

 

 凄まじい、頭痛だった。

 

 ただの頭痛ではない。頭が破裂してしまいそうな、引き裂かれるような痛みだ…!

 

 《やっと私の力を使ったわね!!早く私の所に来なさい!!このバカユウマ!!!》

 

 頭痛に耐える中、そんな少女の声が俺の頭の中に響き渡った・・・・なんだ今のは…?

 

 この声を俺は知らない…だが────

 

 

 

 ────俺は彼女を知っている…!

 

 その声が聞こえなくなると次第に頭痛も和らいでいった。そして完全に痛みがなくなる頃にまた止めていた足を動かして階段を上がり始めた

 

 「おーい!安童ー!大丈夫かー??」

 

 途中からイッセー先輩が俺の元に駆けつけてくれた

 

 「…お前、安童・・・なのか?」

 

 そうだ…今は髪の毛が銀髪に変わってるんだっけか。

 

 いつも黒髪だからな。疑問に思っても仕方ない

 

 

 

 「そうですよ…先輩。俺は安童です。この通り、ボロボロですけど生きてますよ」

 

 「そうか…無事ならいいさ。さ、行こうぜ。木場達が待ってる」

 

 イッセー先輩が俺の身体を支えてくれたおかげでなんとか階段を登り終えることが出来た。そして登り終える頃には髪も元に戻っていた。

 

 そして長椅子の一角に横に寝かされているアーシアさん、その周りを木場先輩、子猫さん、姫島先輩、リアス先輩が囲んでいた

 

 「あら、安童君も帰ってきたわね」

 

 「お疲れ様ですわ…うふふ」

 

 「あ、どうもっす…すみません…堕天使を跡形もなくかき消してしまって…」

 

 「それは心配ないわ。どちらにせよあの堕天使…レイナーレは消し飛ばすつもりだったから。それよりも今はこの子のことよ」

 

 リアスさんの視線は再びアーシアさんに向けられた。そうか…アーシアさんは神器をレイナーレに奪われたからもう・・・・

 

 その時、リアスさんがアーシアさんに近づくと右手をアーシアさんに向かって開いた。そしてその中から淡い緑色の光を放つものがあった。

 

 あれは・・・・・アーシアさんの神器…!

 

 「安童があのすげえ技をぶっぱなした後、レイナーレがいた所からあれが出てきたんだ。そしたらアーシアのところに留まってさ。消えなかったんだよ」

 

 「…神器がアーシアさんを認めている、という事ですか」

 

 「神器と相性が良く、どんな存在も癒す…それが彼女。イッセー。貴方は彼女と一緒にいたい?」

 

 「っ!もちろんっす!友達ですから!」

 

 イッセー先輩の答えにリアスさんは微笑むと、ポケットから『僧侶』の駒を取り出した

 

 「彼女の回復能力はこれからの私に欠かせないと思うの」

 

 「それはつまり…悪魔に転生させる、という事か?」

 

 「えぇ。シスターを悪魔になんて誰もしたことがないでしょう?」

 

 たしかにそんな経験はあまりないはずだ・・・

 

 ・・・・・一部は除くがな。

 

 リアスさんはアーシアさんの胸元に神器と『僧侶』の駒を一つ置くと、イッセー先輩を転生させた時と同様の呪文を唱えはじめる

 

 暫くすると神器と駒がアーシアさんの中に入っていき、次第に光は収まっていった。

 

 どうやら成功したみたいだ

 

 「これでひとまず大丈夫ね。イッセー。きちんと面倒見るのよ?」

 

 「っ!はい!!ありがとうございます!部長!」

 

 これでアーシアさんも救えたってことか。めでたしめでたし、ってところか。

 

 「んじゃ、私はそろそろ行きますよ。お疲れ様でした」

 

 「あら、安童君もう行くの?このあとアーシアの歓迎会をしようと思ってるのだけれど」

 

 「まぁ、家にクロを置いてきてしまってるので流石に帰らないと…」

 

 「あらあら、でしたらクロちゃんも一緒に来ては如何ですか?」

 

 んー、黒歌がどう反応するかだよなぁ。ちょいと問題があると思うし…

 

 ま、聞いてみるか

 

 「まぁ行けたら行きますよ。ひとまずお先に帰ります」

 

 「ええ。分かったわ。また後で」

 

 

 

 俺はそのまま真夜中の駒王町を飛びながら駆け巡り、家に帰った

 

 ・・・・・のはいいんだが。

 

 「・・・・・・・・・・これはやばい」

 

 自宅の扉の前には来たんだが、何やら不気味なオーラがむんむんと感じ取れる。間違いない。これは

 

 「…ただい「遊魔!!!!」はいぃ!!!」

 

 やっぱり…黒歌だった。しかもすごい怒ってるよ!

 

 そりゃもう背後に黒いオーラが出るほどだよ!

 

 よっぽどじゃん!!!

 

 「遊魔…なんで私が怒ってるか…分かる?」

 

 「え、えー…なんでかなぁ…わからないなー」

 

 「…なんで私も連れていかなかったのかしら…?」

 

 あ、やっぱりそうなりますよなぁ…

 

 「いや、ぐっすり寝てたし…起こすのも悪いかな…って。すまん」

 

 「ったく…何のための契約なのよ。ご主人のいるところに私あり。次からはちゃんと連れてってほしいにゃん」

 

 どうやら本当に怒ってる訳ではなく、少し寂しかっただけみたいだな。これは悪いことしちまったな

 

 「すまなかったな黒歌。このあと学校に行くんだが、お前も来るか?」

 

 「んー・・・流石にまたお留守番は寂しいから猫の姿で行くにゃ」

 

 そう言うと黒歌は変身して黒猫になり、俺の方に乗っかってきた。よし。行けるな

 

 「まぁなんで行くかは向かいながら説明するさ」

 

『そうしてもらうとありがたいにゃ。ご主人が私をひとりにしてる時に何をしてたのか気になってるにゃ』

 

 ひとまず今回の堕天使の件を大雑把に説明し、リアスさんの眷属が増えたことを教えた。

 

 

 

 

 

 

 

『なるほどにゃ。あの時男を殺した堕天使の女が独断でそんな計画を…ただの馬鹿だにゃ』

 

 「っはは!ごもっともだよ。すごく馬鹿馬鹿しがった。だけれどな、女の子を救出しに行った時、俺の中の何かが動いたような気がするんだ。こう、眠っていた力が目覚めたような感じ」

 

『ふぅん…ますます遊魔が不思議に思えてくるにゃ…いっそのこと自分のことを知りに行く旅に行ってみるかにゃ??』

 

 確かにそれもありだな。よし。今夜のパーティーがおわったら行ってみよう。オーディン様は北欧の神だから…ヨーロッパのどこに行けばいいのだろうか…行けばわかるかな?

 

 そして観光もついでに行こう。一度行ってみたいと思ってたしな!

 

 「まぁ、そうだな。旅行もついでだ。行こうか」

 

『それはデートって事でいいのかにゃ?』

 

 「ん?まぁ、そうなるかな?念の為服とか買っといて正解だったな。明日の朝出ようか」

 

『楽しみにゃん』

 

 まぁ学校のことは問題ないだろ。一生行くわけでもないだろうしな

 

 こうして黒歌とオーディン様に会いにいく事が決まって少し経った頃、目的地の駒王学園に到着した。そしてそのままオカルト研究部の扉の前に到着する。中から賑やかな声が聞こえてくることから、既に始まってるのかもな

 

 俺はノックをし、そのまま部室の中に入る。中には飲み物が入ったコップを持つみんなの姿。そしてそこには悪魔に転生したアーシアさんの姿もあった。

 

 「あ、あなたはたしか…協会の外でお会いした…」

 

 「安童です。そしてこいつは相棒のクロ。貴方の名前はそちらの兵藤先輩から聞いてますよ。アーシア・アルジェントさん」

 

 「あ、あの!私のことを助けていただき、ありがとうございます!!」

 

 アーシアさんはそのまま深々とお辞儀をする

 

 「いえいえ。私は何もしていませんよ。貴方を助けたのはそちらの皆さんです」

 

 「いや!安童も本当に凄かったぞ!あの神父共を1発で倒しちまうんだからな!もっと自信を持てって!」

 

『確かにお前の力は相当なものだ。威力だけなら悪魔界でかなり上の方に行けるんじゃないのか?』

 

 イッセー先輩の左腕の篭手からドライグさんも俺のことを賞賛してくれた

 

 「僕は悪魔ではないんですがね。それでも二天龍の一角に賞賛されるのは嬉しいですね。ありがとうございます。それにそちらも今はかなり大人しくしているではありませんか?」

 

『今は別のことに興味が湧いてる。暫くはな』

 

 ドライグの興味…恐らくイッセー先輩の事だろうな。

 

 イッセー先輩はもうドライグと何回か会話をしていてお互いを相棒だと思ってるみたいだ

 

 「まぁその話は乾杯が終わってからにしましょう?ほら安堂君もジュースを持って」

 

 リアスさんからオレンジジュースが入ったコップを渡され、そのまま受け取る

 

 「さて、それじゃあ…晴れて私の眷属の一員になったアーシアからなにか一言もらおうかしら?」

 

 「ふぇ?!あ、えと、その…こ、これからよろしくお願いします!」

 

 アーシアさんの挨拶の後、乾杯の音頭が取られ、旧校舎の一部屋から明かりが消えることは無いまま、楽しい時間を過ごしていく

 

 ────こうしてパーティーは無事に終わり、彼女『アーシア・アルジェント』さんは悪魔へと転生し、リアスさんの眷属【僧侶】として人生を歩むこととなった。パーティーの最中はずっと笑顔が絶えない女の子だった。

 

 そして楽しい時間は過ぎるのが早く、パーティーもお開きになろうとしていた。俺はこのパーティーで今の悪魔界の現状を色々と聞いていた。聞けば今の魔王は称号のようなものだとか、チェスに見立てたゲームがあるだとか、他の種族との関係だとか。ほぼ知ってる内容が聞かされたがそんなことも言えるわけもなくただ聞いていた。

 

 黒歌は子猫ちゃんの膝に乗って心地よさそうな声を出していた。

 

 まぁあの二人の関係も知ってるから何も言わなかった。

 

 

 

 「さて、そろそろ僕は上がりますよ。クロ。おいで」

 

 おれが黒歌にそう言うと黒歌は一鳴きして俺の肩に乗っかって来た

 

 「あら、もう帰るの?」

 

 「えぇ。明日からしばらくの間この国から出なくては行けなくて」

 

 「・・・一応どこに行くか聞いてもいいかしら?理事長や先生達の記憶を操作しなければいけないから」

 

 「…なんか凄いこと聞いたのですけど…北欧ってところ。俺をこの世界に転生させた張本人に会いにね」

 

 「成程ね・・・自分自身の真実を聞きに行くってことね。分かったわ。だけど期間を与えるわ・・・・1ヶ月。それ以上は保証出来ないわ。1ヶ月したら帰ってきてちょうだい。学生なのだから」

 

 「いや、俺はここに来る気はなかったんだが…まぁ分かったよ。感謝する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そういえば、貴方を転生させた張本人って一体誰なの?」

 

 リアスさんがふとそんな事を聞いてきた。

 

 そして俺は扉を開いて後ろに振り向き────

 

 「オーディン」

 

 とだけ発し、扉を閉め、その場から離れる。

 

 すると部室の中から

 

『えぇえぇええぇえええっ?!!』

 

 という驚きの声が聞こえてきた。俺知〜らね〜

 

 「よし。クロ。一カ月しかないけれど楽しい旅をしようぜ」

 

『ご主人と二人っきりのデートのお誘いかにゃ?』

 

 まぁたしかにそうだな。てかそれさっき同じ感じのこと言ってたよな

 

 この1ヶ月。何か楽しいことが起きる予感がするぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 other side

 

 「ふむ・・・やはりあの者はこちらに顔を出すか・・・」

 

 「だがそれも予想の範囲内・・・でしょう?」

 

 「まぁの。それにお主が儂に頼み事をするのも珍しいからの。これから楽しいことが彼を待ち構えるだろう」

 

 「だけれどあの子は・・・ユウマは本当の自分を知らないから…知ってしまったら元には戻れないもの」

 

 「ほっほっほ…もう既に戻れぬよ。この世界に来てしまってはの・・・ほれ。お主もやるべき事があるであろう?遣いの者は出しておくからやるべき事をやるのじゃ」

 

 「そうね…ありがとう。オーディン」

 

 「なに、礼を言うのはこちらじゃよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わし達『神』という存在を生んでくれたのじゃからな」

 

 

 

 

 

 「ふふ・・・ユウマ。私はついに貴方と・・・・・たっくさんプレゼントもあるのよ・・・?っふふふふ・・・・」

 

 

 

 




これにてディアボロス編、完結となります。

随分と間が空いてしまいましたが私は元気です。ただスランプがかなり長く続いてます。
それでもちゃんと執筆はしてますよ。

そして次はライザーとの勝負なのですが、オリジナル要素が含まれるため少々時系列を弄ります。
そして安童自身のことも触れていくのでおそらく長くなるのではないかと思いますがのんびり頑張ります

それではまたお会いしましょう。





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第2章 転生人生とフェニックス
第12話 神様の元へ!


区切りをつけるため短めです。
今回の展開が遊魔君を更にチート化させる序章のようなものです


【リアス・グレモリーside】

 

 アーシアが私の『僧侶』になった翌日、安堂君から連絡用魔法陣で昨日の詳細が送られてきた。

 

 内容は前日の夜のパーティー終了時に彼は

 

 「オーディンさんに会いに行く」

 

 と言っていたのだ。彼をこの世に転生したのは北欧の神であるオーディン様だそうだ。それだけでもイレギュラーな事態なのにも関わらず、本人は神に会いに行くという事をする様だ

 

 そして1ヶ月という猶予を与えたのだが、彼は私が与えた家でその期間中の勉強を終わらせ、もはや学園を卒業してる程の頭脳になっていた。

 

 これに関しては本人から直接聞いたのだが

 

 「あぁ。高校生活分の知識は何となく入れたよ。これからそっち側の世界とかのことを覚えなきゃいけなくなりそうだし。それにそこまで高校生活分の知識は難しくないし」

 

 と言っていた。

 

 彼は本当に不思議な人物だ。

 

 だが彼は神器を宿している人間。こちら側の情報を得るのは理にかなってはいる。

 

 だがあまりにも現段階での知識が多いのが問題だ。

 

 本当に彼はただの人間なのだろうか?

 

 私はそうとはとても思えない

 

 「あらあら、リアス、顔が怖いわよ?なにか考え事?」

 

 朱乃が私に紅茶を淹れながらそう語りかけてきた

 

 「まぁ・・・あんなこと言われちゃ考えるなと言われる方が難しいと私は思うわ」

 

 「まぁたしかに、あんな事をする子は初めてですわね。うふふ」

 

 安堂君は今頃北欧に向かって飛行機に乗ってるところかしらね・・・それまでこっちは何もなくいつも通りの生活をしましょう

 

 ・・・私自身の問題も考えなくてはいけないけれども、ね。

 

【side OUT】

 

【遊魔side】

 

 「・・・気持ちわりぃ・・・飛行機ってあんなに揺れるもんだっけか・・・?」

 

 「まぁ無事に到着したんだから良かったじゃない」

 

 現在俺は無事に黒歌と北欧に到着したところだ。

 

 外国に来たのは初めてだが、こうも風景がいつも見てるようなものと違うと新鮮味があるな

 

 ・・・乗り物酔いが無ければもっと良かったんだがな。

 

 ひとまず空港から出て外に出よう。外の空気が吸いたい。さっさとこの気持ち悪い気分を少しでも発散したい!

 

 「安童 遊魔様でございますね?」

 

 空港から出ようと歩き始めた途端、後ろから女性に話しかけられた。

 

 まさか気配を感じないとはな。余程の実力者なのか、或いは俺の油断が招いたものなのか…

 

 「そうですけど・・・どなたですかね?私は味方以外に本名を晒した覚えはないのですが?」

 

 「私はロスヴァイセ。オーディン様の遣いの者です」

 

 スーツを身にまとった美人な女性、ロスヴァイセは礼儀正しくお辞儀をしてきた

 

 「遣いだぁ?まぁ都合がいいこった。丁度そっちに向かおうとしていたところだし。来る事が分かっていたんだな」

 

 「ご主人様のこと知ってるって事は本当に神様の遣いっぽいわね・・・」

 

 「本来ならば私ではない他のヴァルキリーが遣いとして赴く予定でしたが少々面倒なことが発生してしまって急遽私が遣いとして来た次第です。それではご案内しますのでこちらへ」

 

 ロスヴァイセさんは空港の中を歩き始めた。

 

 とりあえず俺も一緒に行こう。恐らく一般的な市民の人達から離れたところにあるだろうしな

 

 黒歌も俺と一緒に付いてきた。流石に外国でまで猫の姿ってのも不安だったからな

 

 「到着しました。ここからはこれに乗って移動いたしますのでご乗車下さい」

 

 空港から出て少し歩いたところに小型の飛行機の様な乗り物があった。

 

 ちょっと待とう。現代的過ぎませんかね神話の神様。これ間違いなくジェット機だよな?戦闘用みたいなジェット機だよな?俺は何も間違ってないよな?!

 

 「ロスヴァイセさん。これジェット機・・・」

 

 「えぇ。最近の乗り物は便利ですから。これで一気にオーディン様の持つ領土に侵入・・・失礼。入国します」

 

 「待って。侵入って間違いなく言ってますよね?遣いなんですよね?」

 

 「それでは行きますよ」

 

 「俺の話を少しも聞いてくれない!?」

 

 「ほらほらご主人。諦めてさっさと乗るにゃ。楽しみにゃ」

 

 黒歌はすごいワクワクしながら俺のことを押してくる。そして俺は為す術もなくそのままジェット機?に乗車する

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・待てよ??

 

 「あの、ロスヴァイセさん。パイロット免許って・・・」

 

 「え、何でしょうかそれは?私は持っておりませんが・・・えぇとたしかこのボタンで・・・」

 

 「・・・ご主人」

 

 「・・・黒歌も同じ思いだろう」

 

 一度呼吸。

 

 「「これ絶対ヤバいやつだ(にゃ)!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はい。到着しました」

 

 「ちょっと待ってください。何事も無かったかのように言わないでください」

 

 「墜落しかけたり激突しかけたり操作ミスってミサイルみたいなの飛ばしておいて・・・肝が据わってるにゃ」

 

 俺と黒歌はフラフラになりながらもなんとかオーディン様の持つ領土に足を踏み入れることが出来たが…絶対にロスヴァイセさんには運転を任せないようにしよう。帰りは俺自身で移動した方が絶対速いぞこれ

 

 「ま、まぁ無事に着きましたから良しとしましょう?」

 

 「・・・絶対反省してないにゃ」

 

 ロスヴァイセさんはそそくさと逃げるかのように歩を進める。俺と黒歌はそのあとを追いかけ、オーディン様の元へと向かうのだった

 

 

 

 暫く道なりに歩いていて分かったことがいくつかある。まずこの今俺と黒歌が歩いてるところは北欧とは少し違う何かがあるという感覚を発しているということ。

 

 そして明らかに地球上ではありえない生物が生息しているということ。いつの間にか俺たちは別世界に来てしまってるかのような錯覚に陥ってしまう

 

 「ここはお二人が生活している世界とは少し異なる世界です。平行世界・・・というのがわかりやすいかも知れませんね」

 

 「平行・・・パラレルワールドみたいなもんか。てことはやっぱりここは別世界だったんだな」

 

 「あ、ねぇねえ安童!!なんか大きい建物が見えてきたわよ!」

 

 黒歌がはしゃぎながら指を指した方を見ると宮殿らしきものが建ってきた。もしかしてあそこにオーディン様が生活してるのかな?

 

 でも面倒な事が起きてんじゃなかったのか?

 

 それにしてはどうも平和的すぎる気がするんだが

 

 「ロスヴァイセさん。とても面倒事が起きてる様には感じないのですが・・・」

 

 「原因は今から向かう場所にございます。そこへ行けばわかります故…今はお話出来ません」

 

 「・・・なーんか怪しいにゃ」

 

 黒歌はロスヴァイセを疑ってるみたいだが、俺も少し疑ってる。別に今話そうが後々知ることになるものを何故今教えたいのか。

 

 そしてロスヴァイセさんのみ何故遣いとして来れるのか。

 

 オーディン様は何を考えているんだ・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 「オーディン様。ロスヴァイセ到着しました」

 

 あれから宮殿に到着し、中に入った。そしてかなり豪華な造りの扉の前で止まるとロスヴァイセさんがそんなことを言った

 

 ここにオーディン様がいるのか。かれこれオーディン様の顔を見るのも二回目か

 

 「うむ。入りなさい」

 

 「失礼します」

 

 ロスヴァイセさんがオーディン様に促されて扉を開くとかなり広い部屋が広がっており、奥の窓際に豪華な机があり、そこの椅子にオーディン様が座っていた。その横にはピンク色のロングヘアーの高校生くらいの女の子が立っていた

 

 「ほっほっほ。こうして会うのは二回目かの?安童君や」

 

 「ご無沙汰…と言うほど時間はたっておりませんが、ご無沙汰してますオーディン様」

 

 「まぁ良い。そこに椅子を用意してある。歩いてきて疲れているだろう。座りなさい。使い魔君もな」

 

 「え、私のことも知ってるの?」

 

 オーディン様は黒歌のことも知ってたのか・・・

 

 「まぁの。お主らの様子は要所ではあったがここから見させてもらった。尤も、儂の横にいる彼女のお陰でじゃがな」

 

 「どうもこんにちわー。オーディンさんの横にいる女でーす。名前はソフィア。これからよろしくね。安童遊魔君。そして黒歌ちゃん」

 

 ソフィアと名乗った彼女は人懐っこい雰囲気がある女の子だった。俺と黒歌の名前を知ってるのは彼女が俺達のことを見てたからだろう。

 

 さっきオーディン様も同じこと言ってたし

 

 「自己紹介も終わったし、本題に入るぞい…?」

 

 「あ、そうですね。実は俺の「真実を知りたい、でしょう?」・・・話が早くて助かります」

 

 「まぁねー。君達がわざわざこっちに来る理由なんてそういう事しかないし。教える準備も整ってるしね」

 

 教える準備?ただ口頭で伝えるだけではダメなのか?

 

 そんなことを考えているとソフィアさんは懐から正方形で綺麗な水色の光を放つ結晶を出した。その正方形の中には深い青色の球体のようなものが入っており、不思議な感覚を感じさせる

 

 「安童君は転生者。これは君も分かってるわね?」

 

 「まぁ…ただの人間の時に死んでオーディン様に転生してもらいましたね」

 

 「実はね、君を転生させるようにオーディン様に指示したのは私なの」

 

 「あんた、そんな権力持ってるの?だとしたら凄い人物にゃ。なんかその物体も怪しいわ・・・」

 

 「これは次元転移を可能にする道具です。簡単に言うとパラレルワールドをするためのものです。これを操作できるのはおそらく私だけ。遊魔と黒歌ちゃんにはこれから色んなところに行ってもらうわ」

 

 ソフィアさんはなんかすごい事言ってる!!それはわかるんだけど意味がまったくもって理解出来ん!!!なんだよそのファンタジー世界!!

 

 あ、ここファンタジー世界だったわ畜生!!!

 

 てか俺の正体聞くだけなのに何でそんなことしなくちゃならんの?!

意味が分からんぞ!!

 ただ「貴方の正体は〇〇なのよ!」

 

 ってだけでいいんじゃないの!?なんでそれがパラレルワールドする展開になるんですかね?!

 

 「ちょっとソフィアさん!!何でわざわざ他の世界になんで行くのですか?!」

 

 「貴方には経験するべきものがあるからよ。それらを経験すれば自ずと自分の正体が分かるようになっていくわ」

 

 「・・・それが本当なら良いのだけれど、どれぐらいの別世界に行くにゃ?こっちには時間が無いにゃ」

 

 「安心して。別世界に飛んだらこっちの時間で1日が向こうだと1年くらいの時差があるわ」

 

 ふむ・・・1ヶ月なら約三十年計算という訳か。俺は四十代後半の姿になって帰って来るってことかな

 

 「あ、でもこっちに戻ってきたら姿は今のままになるから大丈夫よ。力とかはそのまま引き継がれるわ」

 

 わーい!ご都合主義ってほんとに馬鹿げてるほどチートじゃないですかー!!!やだーっ!!

 

 てか待って!!また転生するの?!転生ライフを俺は何回経験するの!!

 

 「それじゃ、まず1箇所目、行ってみよー!!私は監視をするし、私がOKと思うまで転生させないからそこの所宜しくね!ユウマ!!」

 

 「最初にあった時とキャラが違うじゃねえかぁああぁああ!!!!」

 

 「なんか騙された気分にゃぁぁぁぁ!!!」

 

 そしてそんな言葉も虚しく、俺と黒歌はソフィアさんの持つ物質の中に吸い込まれるように意識を失った

 

 

 

 「あ、転生先って確か戦争中じゃなかったっけ・・・」

 

 そんな不気味な発言は二人には届かない

 

 




今回出てきた新キャラのソフィアちゃんは今作品ではキーキャラになるキャラクターになると思ってます
人によってはソフィアの最後の発言で転生先が分かるかも・・・?

ですが次回は遊魔君が転生ライフを終えたところから始めます。
理由としては長くなる可能性があり、ライザーと会えない可能性があるからです


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第13話 不死鳥に喧嘩売ります!

前回のあとがきに書いた通り、安童君が異世界で何をやったかは専用のストーリーがありますのでもう少しあとに分かります

今回は原作同様の進行をしていきます。



 

 

【イッセーside】

 

 安童が姿を眩ませてからもうすぐで1ヶ月が経とうとしていた。この1ヶ月の間、俺はずっと特訓して体力を身につけたり、悪魔の仕事で はぐれ悪魔を討伐したり、部長達から悪魔の知識を教えてもらったりとか色々とやってきた。

 

 正直転生する前は悪魔とか堕天使とかはファンタジー世界のものであって、現実には存在しないと思っていた

 だが実際にこうして悪魔として存在している

 

 人生とはなんとも分からないもんだな

 あ。俺今悪魔なんだ。人生ってのはちょっと違うのかな?

 

『生きていくことに変わりないのだからそこは気にしなくても良いだろう。最近は相棒もよく頑張ってる。その成果も少しずつではあるがきちんと見えているしな』

 

 まぁ確かに転生したての頃よりから倍加にも耐えられるようになってきてるがそれでも今の段階だと十回が妥当くらいだ。

 

 それにまだ【赤龍帝の篭手】の事をすべて知っている訳では無い。まだまだ知らないことが多く、立ち回りもどうしたらいいのか分からないのが現状だ

 

 「もっと、力をつけないとな」

 

 俺は呟いて椅子から立ち上がり、放課後の部室に行く。無論悪魔としての仕事の為だ。悪魔として転生してもらえたんだ。人間の頃出来なかったものを少しでもいいからやってみよう

 

 

 

 

 

 

 部室の前に来たのだが、妙な気配を感じた気がした。

 部長達オカ研メンバー以外の人がいるのかな?

 

 とりあえず中に入るか

 

 「し、失礼しま〜す・・・」

 

 「あらイッセー。今日はずいぶんと早かったのね。まぁいいわ」

 

 部室に入るといつものオカ研メンバーとプラスで銀髪の髪をした綺麗なメイドさんがいた。

 すげえおっぱいデカいじゃん!!まさに俺好みのメイドさんだ!

 

 「イッセー・・・色目を使っても無駄よ。彼女はグレイフィア。グレモリー家のメイドよ」

 

 あ、つい無意識におっぱいを見てしまっていた・・・やっぱ部長の知り合いの人達は美人さんが多いなぁ・・・悪魔って美人さん多いよな!!

 

『まったく・・・こういうところがなければ最高の相棒なんだが』

 

 何言ってんだ!これが俺の存在意義と言っても過言ではないんだ!!おっぱいは正義なんだ!!

 

 「まったくもう・・・今日は部活の前にみんなに話しておく事があるの。とても重要なことよ」

 

 「お嬢様。私からお話した方が良いのでは・・・」

 

 「大丈夫よ。これは私から話さないといけないから。実は私は────」

 

 部長が大事な事を言おうとした瞬間だった。

 突如部室に魔法陣が展開された!

 模様からしてグレモリー関連じゃないと思うんだが・・・どこの紋章だ?

 

 「────フェニックス」

 

 木場がそう呟いていた。

 え、フェニックスって不死鳥のフェニックスなの??そんなのすら悪魔になってるの?鳥が悪魔ってどういう事だよ

 

 いや、悪魔じゃなくても魔法陣は展開出来るのかな?

 

 って、今それどころじゃない!!なんでフェニックスの魔法陣がここに来るんだよ!!?

 

 

 「人間界に来るのは久しぶりだな・・・」

 

 魔法陣の中から出てきたのは若そうな男性だ。赤いスーツを着ていてホストっぽい感じする。

 

 でも着崩してるからなんか印象的には悪い方だな。なんかわがままな男って感じする

 

 その男は部長を見ると

 

 「やぁ愛しのリアス。愛に来たぜ?」

 

 ・・・ん?この男、いま愛しのリアスって言ったよな??

 コイツと部長ってどんな関係・・・?

 

 「イッセー様。この方はライザー・フェニックス様でございまして、お嬢様の婿様になるお方でございます」

 

 婿・・・?婿って結婚する男性のことを指す言葉だった気が・・・んん??!

 

 え、部長結婚するのぉぉぉぉ!!!???

 

 

 

 

 ・・・────・・・

 

 「ライザー!私は前にも言ったわよ!!私の結婚相手は自分で決めるわ!!貴方とは結婚しないわ!!」

 

 「そうは言ってもなリアス。君の御家事情はかなり切羽詰まってると思うんだ。それに俺もフェニックスの看板背負ってるんでな・・・この名前に泥を塗るような行為はしてはならないんだ」

 

 んー・・・俺には訳のわからんが、なんか部長はすごい必死だってのはわかるんだが、ライザーもプライドを汚さないためにみたいな感じするし・・・どっちも上級悪魔だから拘りたいんだろうな・・・

 

『だがフェニックスの奴は自分自身の意思が見受けられん。フェニックスという名前のためにやっているように見えるが』

 

 まぁ確かにそう見えるかもしれないんだが、それだと部長は無理やり結婚させられてしまうんだろ?それってなんか可哀想に見えるんだよ。部長だって一人の女の子だ。

 自分なりの恋っていうのもあると思う。

 

 だからこそ、俺はこのライザーとか言う奴がどうも好きに離れそうになかった

 

 「ライザーさん。下級悪魔の俺がこんなことを言うのは失礼だと思うんですけど、貴方は部長を・・・いや、リアス・グレモリー様の事をどう思ってるんですか?」

 

 俺がそう聞くとライザーはすごく不機嫌そうな顔になり、俺のことを睨みつけてきた

 

 「あ?そんなもの決まってるだろ。俺の愛しい愛人としてさ。それ以外に何があるって言うんだ?」

 

 「お言葉ですが、今のあなたの態度を見ている限り、本当にリアス様のことを愛しているようには到底思えません。そんな人にリアス様を渡すわけにはいかない!」

 

 「ほう?小僧。この俺に意見をするのか。たかだか転生したての下級悪魔の分際で!」

 

 やはり思った通りだ。

 ライザーは本当に部長自身のことを考えてなんかいない!こんな奴に部長を連れていかれてたまるか!!!

 

 

 「お二方。一度冷静になって下さいませ」

 

 俺がライザーに向かって歩こうとした瞬間、グレイフィアさんが俺とライザーの間に入ってきた。とてつもなく恐ろしいオーラを身に纏いながら

 

 「・・・最強の女王と言われた貴女に言われてしまったら大人しく引き下がるしかない・・・」

 

 「これ以上の事がありますれば、最終手段を使わせていただきます」

 

 最終手段?なんかあるのか?

 

 「お二人で『レーティングゲーム』をして頂きます。勿論非公式での試合でございます」

 

 「非公式・・・主に家族絡みの争いとかによく使われるわね。私は構わないわ。勝ってみせるから」

 

 「はっ!おいおいリアス。まさか俺に勝てるとでも思ってるのか?見たところお前の眷属はここにいる者達だけだろう?そうとなれば『雷の巫女』と言われてるお前の女王しか戦力にならないじゃないか」

 

 ほう?言ってくれるなこの焼き鳥!!

 絶対ぶん殴ってやるからな・・・!!!

 

 「俺の眷属はフルで揃っているからな。リアス。チャンスをやろう。十日だ。十日後にゲームをやろうじゃないか」

 

 「・・・私に情けをかけるつもり?」

 

 「違う。感情で勝てるほどレーティングゲームは甘くない。それだけだ。では十日後に会おう。リアス」

 

 そう言うとライザーはその場から消えていった

 

 

 

 

 ・・・俺不味いことしちゃった気がするなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ほう?やっぱアイツは喧嘩を売ったのか・・・」

 

 「ま、その喧嘩を買っちゃう鳥さんも鳥さんでバカだけどね」

 

 「でもあの鳥は龍には勝てないにゃ」

 

 「あったりめえよ。なんたって龍には力を持つものを引き寄せる不思議な現象が起きんだ。そしてそれに俺達も入る。そういうこった。ひとまず今は先回りしてアイツらを驚かせてやろうぜ」

 

 




まぁ特に大きく変わったところがないのでこんな感じです。
次回から特訓に入ります
それではまたお会いしましょう


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第14話 帰還!そして再会!!

お気に入りが200件を超えて私はびっくりです
みなさんありがとうございます!!
これからも頑張っていきますね!!

ただし今回は繋ぎ回の為、短めです


 

 

【遊魔side】

 

 かれこれアーシアさんがリアスさんの眷属になって俺が北欧に行ってから1ヶ月が経過し、無事にこの世界、そして駒王町に帰ってくることが出来た。

 

 「へー。ここが二人の住んでる町ね。確かにいろんな気配を感じるわ」

 

 ひとまずずっと空きっぱにしていた俺の家に黒歌を連れ、そしてソフィアも付いてきた。コイツとは色々あったが一緒に行動してくれるらしいから心強いぜ

 

 「まぁな。堕天使や悪魔もいる。こそこそとしてはいるが堕天使の中でも位が高い感じのやつも潜んでいるほどだ。ま、グレモリー管轄なんだ。そこまでなくちゃな」

 

 「で、今そのグレモリーさんは何してるにゃ?」

 

 黒歌がソフィアに聞くとソフィアは懐から手鏡のようなものを取り出して部屋の壁に設置した。

 すると鏡は少し大きめのサイズに変化し、オカルト研究部の部室の中を映し出した

 

 「へぇ、こうやって俺と黒歌の行動を見ていたってことか」

 

 「そーゆーこと。流石に声までは無理だけど光景だけでも大体の察しは付くしね」

 

 かれこれソフィアも俺と黒歌と仲良くしてくれるから信頼はしている。

 

 それにソフィアと黒歌は俺の本当の名前を知ってるしな。

 まぁソフィアに関してはちょいと特殊なんだがな

 

 「ん?部室に誰か来てるにゃ」

 

 「ありゃフェニックスの家の奴だな。アイツは・・・ライザーか。フェニックス家のわがまま三男がグレモリーに何の用だ?」

 

 「んー・・・なんかグレモリーさんは必死な顔してるわ。結婚でも仕向けられてるんじゃない?たしか悪魔界はかなり存続が難しいって話だし」

 

 そういえばさっきリアスさんの肩にすごい馴れ馴れしい感じに手を置いたりしてたな。すぐ叩かれてたけど

 まぁライザーはそういう奴だって知ってるからなんとも思わんが

 

 「ありゃ血筋を巡っての婚約って感じだろ。リアスさんは嫌らしいがな。ま、そこら辺は赤い龍が黙ってはないさ。ほら、見てみろ」

 

 黒歌とソフィアは鏡をじっと見つめる。するとそこにはリアスさんの横に立ってライザーに鋭い視線を向けながら何かを口にしているイッセー先輩の姿があった

 

 「おー。赤龍帝は不死鳥に喧嘩をふっかけたのね。やるじゃない」

 

 「イッセーさんはライザーの事はよく思ってないと思うからな。自分の主を理不尽な理由で連れていかれるんだから。ただでさえ情愛が深いことで有名なグレモリーの眷属だ。そりゃ抵抗だってする」

 

 そして鏡を見るとライザーは何かを言ったあと、部室から姿を消した

 

 「やっぱりあいつは喧嘩売ったな」

 

 「ま、その喧嘩を買った鳥さんもおバカさんってだけでしょ」

 

 「見る限りみんな特訓しにリアスさんの別荘に行くだろう。俺達も行くぞ。事前にグレイフィアさんには伝えてあるし、許可も得ている。むしろ鍛えてやってくれと言われちまったからな」

 

 「私は白音にまだ見つかりたくないからのんびりしてていいかにゃ?」

 

 「あぁ構わん。そうだな・・・ソフィア。一応聞くが・・・戦闘経験は?」

 

 「ん?知識はあるけど経験はないわね」

 

 となるとソフィアにはリアスさんに戦術面とかの『王』としての部分を鍛えてもらおう。俺は眷属のみんなのステータスアップだ。俺一人でどうにかなるだろうしな

 

 「じゃあソフィアはリアスさんの戦術面とかのコーチな。俺はみんなの戦闘面の修行を課せる。流石に期間が短いだろうから1週間で出来るものを考える。それよりも期間があればまた考えるさ」

 

 「分かったわ。じゃあ準備して先回りして待ってましょ?」

 

 ソフィアはそう言うと部屋の床に魔法陣を展開させた。やっぱりこいつもそれなりに便利なことしてくれるよな。今まで移動は自分の足だったしなぁ・・・魔法ってホント便利だな

 

 

 〜☆〜

 

 「うし。グレイフィアさんの言った通りだとここがリアスさんの別荘らしい」

 

 「なんか・・・ただの豪華な家に見えるにゃ」

 

 「奇遇ね。私もよ」

 

 俺達は身支度を済ませ、グレイフィアさんの元に向かって今のリアスさん達の状況を聞き、俺達がリアスさん達の特訓のコーチをしてくれることを許可してもらった。

 まぁ俺が1ヶ月間何やってたかはサーゼクスさんに言ったし。

 てか帰ってきたらオーディンさんに「報告に行け。今のお主らはこの世界で重要な存在になる」なんて言われたからな

 

 「てかもう安童がフェニックスを叩けば良いだけなのに・・・」

 

 「却下だ。これはリアスさんや眷属さんたちの問題だ。俺たちは助け舟の役割だ」

 

 「とか言って、原作通りに進めたいだけでしょうー?」

 

 「おいこらそういう発言はあいつらの前では言うなよ?ただでさえ俺達は外野なんだから」

 

 他愛もないそんな会話を続けていると、少しずつではあるが、悪魔のオーラを感じるようになってきた。恐らくリアスさんたちがこっちに向かってるのだろう。思ったよりも早かったな

 

 「そろそろ来るぞ。黒歌は猫になっとけ」

 

 「分かったにゃ」

 

 「私はこのままでいいの?」

 

 「あぁ。ついでに紹介しときたいしな。今後何回も顔を合わせることになるだろうし、損は無いだろ」

 

 さて、リアスさんたちをどれだけ成長させられるかな。頑張ってみますか

 

 

 〜☆〜

 

 「久しぶりね。安童君」

 

 悪魔のオーラはやはりリアスさん達のものだ。皆リュックを背負って足で登ってきたらしい。大変だっただろうに。あ、悪魔だから体力とか向上してるのかな

 

 「お久しぶりですリアスさん。それに皆さん。約束通り、1ヶ月で帰ってきましたよ」

 

 「もしかして、グレイフィアが言っていたコーチっていうのは・・・貴方?」

 

 「俺もそうですが、後ろにいる連れもコーチです。彼女にはリアスさんの戦術面の指導をしてもらおうと思ってます」

 

 「初めまして〜連れの者でーす。皆さんのことは安童から聞いてますよ。ソフィアって呼んでくださいね」

 

 「よろしく。早速で悪いのだけれど、着替えてきたら特訓を始めようと思うの」

 

 「いいですよ。俺はイッセーさん、木場さん、子猫さん、朱乃さんの戦術面の向上。アーシアさんは別のメニューを作ってあります。七日間はこのメニューをこなしてもらいたいんですが・・・」

 

 「10日あるから問題ないわ」

 

 10日あるのか。だったらラッキーだ。残りの3日間は個人で特訓とか色々やれる様になるな。ひとまず考えていたメニューをこなしてもらおう

 

 「分かりました。まぁまずは動きやすい服にでも着替えてきてください。別荘の中は見てませんが、流石に更衣室はあると思いますしね」

 

 「私の別荘だもの。当たり前よ」

 

 「んじゃリアスさんはソフィアと。他のみんなは着替えたらここに集合してくれ。アーシアさんもな」

 

 「わ、わかりました!」

 

 グレモリー眷属たち皆は別荘の中に着替えに行った。

 

 「よし。んじゃソフィア。リアスさんのこと頼むぜ」

 

 「おっけー。そっちも頑張ってね」

 

 

 さて、どこまであの人たちを育てられるかな?

 ま、やれることはやってみるか・・・

 

 




さてさて安童君はどんな特訓をさせるのでしょうね〜

それではまた次回お会いしましょう


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第15話 グレモリー眷属レベルアップ?!大作戦!

このところ暑い日々が続いていますね。みなさん体調管理にご注意ください


 

 

【遊魔side】

 

リアスさんの別荘の敷地内の平原に俺はいる。無論、十日後にライザー・フェニックスとのレーティングゲームを控えているグレモリー眷属のイッセーさん、木場さん、子猫さん、朱乃さん、アーシアさんの特訓のコーチをするためだ。ソフィアにはリアスさんの『王』としての基質の向上を依頼。

黒歌には周囲に怪しい気配が無いかのパトロール役になってもらった

 

そして俺は草原の真ん中で仰向けに寝転がって空を見ながらこれから行う特訓メニューを頭の中で整理していた。

まぁもうほとんど完成はしているからいいんだがな。

 

木場さん、子猫さん、朱乃さんはそれぞれに課題を出すつもりだ。

 

アーシアさんには近くで別のことをやってもらう。

 

そして問題はイッセー先輩だ。彼は今代の赤龍帝。生半可なメニューでは特訓にならない。だから彼には特別メニューを作った。

 

自分の事を課題評価するつもりは無いが、中々いいメニューが出来たと思う。これをみんなクリアすれば間違いなくライザーには勝てるだろう。

俺は俺の出来ることをするだけだ。レーティングゲームに参加出来ないからな。

 

もし参加出来るのであれば黒歌やソフィア、そしてアイツらと一緒に参加したいものだ

 

 

「おーい安童ー!」

 

イッセー先輩の声が聞こえ、体を起こすとそこには動きやすい服装に着替えた四人の姿があった。準備は出来たらしいな

 

「じゃあこれから皆さんに特訓メニューの共通の課題を発表します。これ以外にも個人の目標がありますが、ひとまず先に言っておきたい事があります」

 

「・・・勿体ぶらずに言ってください」

 

「まぁまぁ。簡単だから大丈夫。皆さんの共通課題、それは俺に勝つ事です。正直に言いますが、今の皆さんが束になったところで俺に勝つことは難しいです」

 

「あらあら、随分と自信がおありなのですね?」

 

「伊達に1ヶ月間姿を眩ませていたのではないので・・・まぁこの共通課題に関しては自分が考えた七日間のメニューをこなしてからです。では個人メニューを言っていきます。まずは木場さん。早速で申し訳ないのですが、手軽な魔剣を俺の分二本と木場さんの分を創ってください」

 

「君のを二本かい?わかったよ」

 

木場さんは手を前に出し、そこから2本の魔剣を造って俺に差し出してきた。うん。この重さ、いい感じだ

 

「では木場さん。貴方には私と手合わせを繰り返します。その都度、訂正すべきところを言っていくのでそこを直してください」

 

「随分と単純なメニューなんだね?」

 

「えぇ。単純な方が指摘出来る視野が広がりますから。では次、子猫さん」

 

「・・・はい」

 

「子猫さんも木場さん同様に私との手合わせです」

 

「・・・了解」

 

「では次は朱乃さん」

 

「うふふ・・・私はどんなに内容なのかしら?」

 

「朱乃さんにはこのメニューです。【錬成:ブロック】」

 

俺は後ろに少し大きめの物置サイズのブロック状の物質を召喚させた。

なんの変哲もない真っ白なブロックだ

 

「・・・安童君。これは?」

 

「これは特殊な製法で錬成したブロックです。朱乃さんにはこのブロックを破壊することを課題とします。武器を使うもよし、誰かと協力するも良しです。私個人的に思うに、【王】は戦場全体を。【女王】は限りある範囲で味方に指揮を執り、適切な判断をする人材が必要ですから」

 

「なるほど、状況把握能力の向上。そういう事ですわね?」

 

「その通りです。俺が手合わせをしてる間に考えて壊してください。ちょっとやそっとでは壊れないように創ってありますので」

 

「うふふ・・・分かりましたわ」

 

「それで次は・・・アーシアさんとイッセー先輩。二人には共通の課題を与えます」

 

アーシアさんにはいくつか瓶を錬成して手渡した。

アーシアさんにだけでなく、イッセーさんにも同じように瓶を渡した

 

「まずアーシアさんとイッセーさんには神器についての知識を学んでもらいます。知識がないと宝の持ち腐れとなってしまいますからね。あ、その瓶は後で使うので今は置いといて良いですよ」

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

 

深々と頭を下げるアーシアさん

やっぱりこの人はイッセーさん達に救われて正解だったのかもな。

でもなんか騙されてそうなんだよな。

 

「────と、そんな感じで今日から10日、俺がコーチになります。まぁ初めてなんで、色々ご指摘あれば幸いです・・・」

 

 

少し締めが変だが、こうして打倒ライザー・フェニックスを目指して、特訓が始まった

 

〜木場の特訓〜

 

「さぁ、まずは木場さんからですね。よろしくお願いします」

 

「よろしく、安童君。でも君は自分で剣を所持してるんじゃないかな?」

 

「あぁ・・・それでもいいんですが、色々理由はありますが・・・この剣を使わせてもらいますよ」

 

俺は木場さんに作ってもらったシンプルな魔剣を一振り持ってる。木場さんも同様

俺と木場さんは1度剣を交えてはいるが、果たして1か月の間に木場さんはどこまで成長したのかな??

 

ちなみにアーシアさんとイッセーさんには別のメニューを出してそれを実践してもらっている。

朱乃さんと子猫さんは近くで観戦だ。まあ大体みんなに与えるアドバイスって似てる感じだから聞いてもらった方が早いしな

 

「木場さん。本気で来てくださいね?じゃないとアドバイスしたいものも出来ませんので」

 

「分かった。じゃあ、行くよ!!」

 

そう言った瞬間、目の前から木場さんの姿が消えた!

流石は【騎士】の駒!スピードが尋常じゃないぜ!

 

「確かに木場さん、貴方のスピードは凄まじいものがある。だが・・・それだと簡単に捕まりますよ。ほら?」

 

「っ?!うわっ!!」

 

俺がある方向に魔剣を突き刺すように前に出す。するとその真横を木場さんが通り、そのままバランスを崩して倒れてしまう

 

これには朱乃さんと子猫さんはびっくりしてしまってるみたいだ

 

「・・・なんで僕のいる場所がわかったんだい?」

 

「木場さんの動きがわかりやすいんです。例えるなら教科書のようなものです」

 

「でも安童君はその場から一歩も動いていませんでしたわ。それだけで祐斗君の場所がわかるものですの?」

 

朱乃さんの疑問もごもっともな意見だ。確かに普通なら有り得ない事かもしれないな

 

「大事なのは目ではなくて、“耳”ですよ。」

 

「・・・耳・・・ですか?」

 

子猫さんが可愛らしく首を傾げながら聞いてきた。くそぅ流石はマスコットキャラクター。可愛いじゃないか

 

「そ。目で追うんじゃなくて、空気の流れを体で感じて、今どこに敵がいるかを見極めるんです。そうすれば複数体との戦闘でも対応が効きやすくなります」

 

「なるほどね。勉強になるよ」

 

「木場さんにはひとまずこの気配で敵の位置を大まかに判別出来るように練習してもらいます。あそこに練習場を用意してあるのでそこで暫くやってみて下さい」

 

「分かった。ありがとう」

 

木場さんはそう言うと俺が指さした方向にある物に向かって歩き始めた

 

「さて、次は子猫さん」

 

 

〜NEXT子猫〜

 

「さて、子猫さんはたしか・・・『戦車』だったよね?それってどんな恩恵があるの?」

 

「『戦車』は攻撃力と防御を底上げする前線向けの恩恵です。なので私は格闘専門です」

 

「でも魔法を使うことだって可能じゃないかな?悪魔になったのなら、少しばかりは魔力だって扱えるはずだけれど・・・」

 

「・・・私には必要ありませんから。私にはこの体があります」

 

なるほど。やっぱり訳ありだな子猫さんは。

今ここで説得するのも悪くは無いが、このままではいけない。ある一手が必要なんだ。だから今はこのままで行こう・・・

 

「なるほどね。それじゃその力、お手並み拝見と行かせてもらいましょう」

 

「・・・行きますよ」

 

子猫ちゃんが軽く構える。それを見た俺も構えをとるのだが・・・

 

「・・・構えないのですか?」

 

「ん?構えてるよ?これが俺の一番いい構えなんだ」

 

両手を下げ、更に腰を少しだけ落としてるだけだけれどね

 

「・・・そんな構え見たことないですが」

 

「見たことあったら対策されちまうよ・・・さ。かかってきな?」

 

「・・・行きます!」

 

瞬間、子猫さんは地面を力強く蹴り、素早く俺の懐に入ってきて拳が俺の懐にえぐり込むように撃たれた────様に見えたが

 

「残念。だけどいい動きだ」

 

俺の懐に子猫さんの拳が入ることはなく、片手で受け止めた。うん。迷いのない良い拳だ。

 

子猫さんからしたら予想外の出来事だったのだろうか。驚きながらもすぐさま後方に下がり、距離を置いた

彼女なりの渾身の一撃だったのかな・・・だとしたらなんか申し訳ないことをしてしまった気がする

 

「・・・なんでビクともしないで受け止められたのですか?」

 

「ん?あぁ。子猫さんの拳を受けた手を見てみなよ」

 

そう言われた子猫さんは渋々俺の手を見やる。その手には不思議なオーラのようなものが包み込むように存在していた。まぁただ魔力で手の周りを囲っているだけなんだけれどね

 

「こうやって魔力を使えば自分の身体を強化することだって出来るんだ。魔力があるのなら使って損は無いと思うけど?」

 

「・・・それでも私は・・・これで行きます・・・!」

 

もう一度距離を詰めてきた子猫さん。今度は先程よりも鋭い!

 

・・・けども。甘いなぁ

 

「俺、反撃しないとは言ってないからね?」

 

素早く魔力で包まれている拳を前に突き出し、すぐに引き戻す。その瞬間、凄まじい風圧が子猫さんの体を包み────子猫さんは飛ばされた

 

「っ・・・見えなかった」

 

「そりゃ、見えないくらいの速さで殴ったし・・・」

 

「・・・もう1回行きます」

 

「ふむ。どんどん来てください」

 

そうして子猫さんの猛攻は続いていった

 

だが一度も俺に拳を当てることが出来ないまま時間だけ過ぎていって若干不機嫌になっていたのは秘密

 

 

 

〜NEXT朱乃〜

 

「さて、木場さんと子猫さんには別メニューを与えてあるのですが・・・朱乃さんは変わらずこのブロックを破壊することをやってもらいます。触っても問題ありませんよ」

 

「・・・特に仕掛けがないブロックかしら」

 

「そうですね。仕掛けはないですがそのブロック元々の素材が特殊なんです」

 

実はこのブロックをゲットしたのって俺が姿を眩ませてる間なんだよね。けれど正直使い所に困ってたんだよね・・・俺は使わないし・・・黒歌はもうこのブロック破壊することに成功してるし・・・ソフィアは別のやり方でクリアしてるし

 

「これが私の修行・・・それも連携をする為のですのね?」

 

「その通りです。ヒントとしてはこのブロックはある一定量の魔力を1度に浴びると破壊される・・・と言ったところですかね。これ以上は教えられませんが」

 

「分かりましたわ。いろんなシチュエーションを想定しながら必ずこのブロックを破壊できるようになりますわ」

 

「よろしくお願いしますね。僕はリアスさんとソフィアの所に行って様子を見てきますので何か気になったことがあれば教えてください」

 

「分かりましたわ」

 

 

さて、と。

 

とりあえずここからは俺も果たすべき事をやらなくちゃな・・・その為には・・・

 

「ソフィアの所に行かなくちゃな」

 

 

 

 

 

────・・・・・・・・・

 

 

「おーいソフィアー」

 

俺は別荘に戻りリアスさんとソフィアがいる部屋の前にいる。中から返事をもらって俺は部屋の中に入った。その部屋は書斎のような部屋で本棚が所狭しと置いてある。

 

「ん?どうしたの安童?探し物?」

 

ソフィアが俺のところに来た。

 

「あぁ。ちょっと調べ物。そっちの邪魔はしないようにするからさ」

 

「私はいいわよ別に?むしろ安童君に聞いてみたいこともあるから」

 

リアスさんも俺のところに来た。なんかメガネかけてるリアスさんって新鮮だと思う。いつも学校ではメガネかけてないし

 

「俺に聞きたいこと?なんですか?」

 

「ライザー・・・いえ、フェニックスについてよ。通常フェニックスを倒すには圧倒的な力で倒すしか方法は無いの。おまけに向こうは眷属がフルで揃っていてこっちはその半分以下・・・絶対的不利なのよ」

 

「たしかに数なら向こうが多いですね」

 

「だけど私達にはライザーを倒せる程の圧倒的な攻撃力を持ってる子がいないの・・・そこで貴方の意見を聞いてみたいのよ」

 

たしかにフェニックスはその名の通り不死だ。だからこそ圧倒的な力で押していく方法が用いられる場合がある。

 

「んー・・・ライザーは不死なんですよね?」

 

「えぇ。生半可な攻撃を与えてもすぐに回復してしまうわ」

 

「・・・一つだけ別の方法はあります」

 

「方法?それはどんなものかしら?」

 

「すみませんがこればかりは教えてしまってはリアスさんの為になりませんから考えてみてください。ソフィアは分かったか?」

 

「あ。私も分かったわ。安童の言いたいこと。ひとまずこれは眷属の人達との連携がヒントになるんじゃないかしら?」

 

「まぁそうだな。アレを使えば間違いなくライザーは倒せると思うし、戦いの幅もかなり広がる。だけどこればかりはリアスさん自身で考えるべきものだと思います」

 

これを言ってしまったらリアスさんの『王』としての成長が見えない気がするし

 

「・・・それもそうね。それに貴方がそういうのだからなにか方法があるのでしょうし。私なりにも考えてみるわ」

 

「頑張ってくださいね。リアスさん。応援・・・してますよ」

 

そう言って俺は書斎の中である本を見つけ、それをそのままずっと練習終わり間際まで読みふけっていた

 

 

・・・────────

 

 

「よし。1日目はこれで終わりにします。みなさんお疲れ様でした」

 

夕日が差し込み、辺りをオレンジ色に染め始めた時間に練習を終わりにさせた。

 

各々に一日練習した結果を聞いたところ、それなりに向上が見えるくらいだった。だが悪魔になりたてのイッセー先輩とアーシア先輩はまだ練習通りに上手くいかないらしい。

 

だがまだ時間はある。明日また同じメニューをこなしてもらうだけだ

 

「・・・安童君。1ついいかな」

 

「木場さん?どうかしました?」

 

「いや、僕個人として気になっていたことなんだけど・・・君は1ヶ月の間どこに行っていたんだい?」

 

あー・・・やっぱり気になるよなぁ。帰ってきたと思ったら自分より強くなってんだもんな・・・

 

 

「んー・・・そうですねぇ。強いて言うなら・・・国外・・・と言ったところですかね」

 

「へぇ・・・日本から出てたんだ」

 

間違ったことは言ってないはず。一応北欧に行ってるからな

 

まぁ・・・行ったのは別世界だけれども・・・

 

「まぁそうですね。色々なものを体験してきましたから・・・何度死にかけたことか」

 

「それでもやり遂げたんだろ??」

 

イッセー先輩がタオルで顔を拭きながら聞いてきた。

 

「はい。そのお陰で今の僕がいますから」

 

「そっか。期待してるぜ!先生?」

 

「・・・からかわないでくださいよ全く」

 

そうして皆で笑いながらリアスさんの別荘へと戻っていった。

 

 

そしてお風呂でイッセーさんが女子風呂を覗こうとして子猫さんにお仕置きを受けていたことはまた別のお話・・・

 

まぁ俺もソフィアと黒歌の裸を見ようとして先手打たれてたから何もしなかったが

 

 

────・・・・・・

 

「ひとまず1日目おつかれさん。ソフィアと黒歌」

 

皆が寝静まった真夜中に俺はソフィアと黒歌と別荘から少し離れた場所で合流した。

黒歌の姿をまだ見られるわけにはいかないからな

 

「おつかれさーん。私は涼しいところでただ紙切れ見てただけだけどね〜」

 

「私は木陰で眠ってたにゃん」

 

「仕事与えたよな?!ちゃんとしてくれよ・・・」

 

「だーいじょうぶにゃん!ちゃんと結界は張ってたから!」

 

サボってたらみんなに姿見せるからね!?

ホントに大丈夫かよ・・・

 

「とりあえず・・・こっちはみんな概ね向上するとは思うんだが・・・やっぱりイッセーさんとアーシアさんがちょっとな・・・」

 

「ま、それも想定内でしょう?こっちはボチボチよ」

 

「まぁ、リアスさんは有名どころのお嬢さんだから素質はあるだろう。だがイッセーさんとアーシアさんはまだ悪魔という種族の特性に慣れていないんだ。ここからどうにかするしかない」

 

「まずは悪魔としての性質から学んでもらったら?」

 

「そうだな。基礎から学ばせることにするよ。そういえば黒歌。結界張ってて何か違和感なかったのか?」

 

「んー・・・強いて言うなら変な気配が1回だけ感じたにゃ」

 

ちゃんと仕事はしてくれてたみたいだな。じゃないと黒歌はそこら辺で本当に眠りにふけってしまいそうだ

 

「変な気配?」

 

「そ。監視みたいなやつ。かなり遠い距離にだけど視線のようなものを感じたにゃ」

 

んー・・・ライザーが眷属を敵情視察させるようなやつではないと思うんだが・・・警戒はしていた方がいいな

 

「分かった。何かあれば俺に伝えてくれ。ソフィアもな」

 

「はいはーい。私も気にしてはおくよ」

 

 

さてさて。明日からまた忙しくなるかもなこれ・・・

 

 




不定期更新のこの作品。さてさてこれからどうなることやら。

それではまた次回お会いしましょう


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第16話 いざ勝負!遊魔vsグレモリー眷属!

 

 

 ライザーとのレーティングゲームまで残り三日となり、みんなそれぞれ俺が与えたメニューをこなしていた

 

 木場先輩は後ろを向いたまま俺の攻撃を回避出来るように。

 子猫さんは一撃の威力がかなり向上し、精度も申し分ない。

 朱乃先輩はブロックの破壊に成功。

 

 イッセーさんとアーシアさんは悪魔の特性、神器の種類を簡単に教えた。

 

 それに加えてイッセーさんにはドライグさんと一緒に自身の神器『赤龍帝の篭手』の特性を簡単に。

 アーシアさんには簡易的ではあるが防御魔法を伝授。そして離れた仲間への回復方法を指導した。

 

 そうして俺が与えたメニューをクリアしてくれた。そしてここから三日間は別のメニューをやってもらう

 

 「皆さん。一週間お疲れ様でした。正直自分が思ってた以上の結果が出ていて嬉しいです」

 

 「安童君のおかげさ。僕も掴めるものがあったしね」

 

 「・・・私も動きが良くなったように感じます」

 

 「私もいい収穫がありましたわ」

 

 「優しく色々と教えてくださりました!!」

 

 「やっぱ安童すげーよな!色んなこと知ってんだもんな」

 

 各々が感想を述べてくれた。

 どうやらみんないい傾向になったみたいだ。これで残りはソフィア達なんだが・・・お、きたきた。

 

 「安童〜。こっちも終わったよ」

 

 「私もいろんなことが学べたわ。ソフィアさんっていろんなこと知ってて不思議な感じよ」

 

 どうやらリアスさんもソフィアから収穫があったらしいな。これなら問題ないだろ

 

 「みなさん。残り三日間で最初に言った目標をクリアしてもらいますよ」

 

 「たしか安童君に勝つ、っていう内容だよね?」

 

 「そう。しかし普通じゃ面白くない。だからリアスさんの別荘近くにあるあそこの森でゲーム形式でやります。ルールは簡単です」

 

 ①森の中にまず俺が先に入り、気配を消す。

 ②俺が入ってから5分後にグレモリー眷属の皆さんに俺を見つけてもらい、見つけ次第戦闘開始。

 ③俺から『参った』と言わせればグレモリー眷属の勝利

 ④制限時間(夕方まで)以内に俺から『参った』と言わせられなければ俺の勝ち

 

 「という感じです。シンプルですけどこれなら皆さんが協力することが確定になるのでこの様にしました。これを3日間行います」

 

 「なるほどね。みんな!グレモリー眷属の力見せるわよ!」

 

 「「「「「はいっ!!部長!」」」」」

 

 うんうん。そう来なくっちゃ面白くない

 

 「ソフィア。昼時になったら一度昼飯にするから準備頼むわ」

 

 「OK。簡単なもの作っておくわね」

 

 「よし。皆さんの準備が出来たら俺は森に入りますよ。先に言っておきますが、本気で来ないと怒りますから、そのつもりで来てくださいね」

 

 「当たり前よ。そうじゃなきゃ修行にならないわ」

 

 

 リアスさんの言葉を聞いた俺は一息ついたあと森に向かって歩いた。さて、この一週間でどんな成長を遂げたか見せてもらいますよ。グレモリー眷属のみなさん

 

 

 

 

 

 

 

 ────・・・・・・

 

 俺が森に入ってから五分が経過した。今俺は山の中にある谷の近くに隠れている。

 

 そろそろ皆が俺を探し始める頃だと思うけど・・・

 

 

 隠れてから少し時間が経った頃に声が聞こえた。この声は・・・イッセー先輩かな?みんなまだ気配を消す事があまり出来ないから場所が特定しやすいな。

 

 俺だって1ヶ月間異世界転生ライフをしていて気配察知できる距離が格段に上がってる。

 

 ここはひとつ、あえて見つかってみんなの連携でも見てみるとするか

 

 「意外と早かったですね皆さん」

 

 「安童見つけたぞ!まずは俺からだ!」

 

 そこに居たのはイッセー先輩と子猫さんの前衛コンビだ。となると・・・あとはアーシア先輩と木場さん、あとは朱乃さんか。

 リアスさんは一定の場所で状況把握をするのだろうな。『王』が無理に動くことは無いからな

 

 そしてイッセー先輩は【赤龍帝の篭手】を展開している。あれがどれだけ倍加を溜めてあるかは不明だから要注意だな

 

 「イッセー先輩!いざ勝負!!」

 

 「っしゃ行くぜ!!ブーステッド・ギア!!!」

 

 イッセー先輩が篭手を上に掲げた瞬間、篭手から凛々しい声で「explosion!!」という音声が流れた。

 その後イッセー先輩の魔力がかなり向上してるように感じる。なるほどな!あれが倍加の力か!!やっぱり【神滅具】のひとつだ!

 

 「くらえぇぇぇぇ!!ドラゴンショットォォォォ!」

 

 イッセー先輩が左手に魔力を溜め、それを俺目掛けて投げてきた。

 

 投げられた時はソフトボールくらいの大きさだったがこっちに来るにつれかなり巨大な玉へと変化していった!!倍加の力ってのは怖いもんだな!!

 

 「だけど軌道が単純ですよ!!」

 

 イッセー先輩が放った魔力弾は一直線に俺に向かってくる。だから俺はそれを横に移動して躱す

 

 魔力弾が俺の横を通った途端に何かが俺の視界に入ってきた!

 

 「・・・当たって!」

 

 それは子猫さんだった。なるほどな。魔力弾を大きくしたのは子猫さんの姿を隠して奇襲をかけるつもりだったか!!考えましたねイッセー先輩!!

 

 「なるほど!!こう来ますか!!なら俺も力を出しますかね!!」

 

 俺はすぐさま神器を起動させ、身体に稲妻を纏わせる

 

 「さて、ここからが本番!一応加減はしますけど怪我しても知りませんからね!!」

 

『charge!!!First Step Start!!!!』

 

 俺の神器・・・首元にあるネックレスから音声が流れ、俺の身体に稲妻が纏われ、髪色は銀髪になった。思えばこの姿に初めてなったのはアーシアさん奪還の時か。懐かしいな。あれから1ヶ月間すごい出来事とかなり対面してきたもんだ

 

 「んだよそれ!!この前のやばそうなやつじゃねえか!!」

 

 「伊達に1ヶ月間怠けていたわけではありませんからね!!!知りたかったら俺を倒してみてくださいよ!!」

 

 俺はすぐさま子猫さんに向かって移動した。

 あまりの速さに子猫さんは驚きが隠せてないみたいだ

 

 「回避出来るものならやってみな!!!まずは初手だ!!」

 

 俺は子猫さんの顔目掛けて拳を突き出した。咄嗟に反応した子猫さんは両腕で頭を守ったがその反動でかなり後方の方まで飛んでいってしまう

 

 「ぐっ・・・」

 

 「子猫ちゃん!!大丈「人の心配してる場合か!!!」ぐぁっ!?」

 

 急いで子猫さんの方に向かおうとしたイッセー先輩を後ろから思い切り蹴り飛ばした。その行動に反応できなかったイッセー先輩は子猫さんのいる方とは違う方向に吹き飛んでいった。

 

 一応加減してるから悪くて打撲くらいだと思うが・・・流石にもう少し加減するべきか・・・?

 

 「うしっ。さっさと逃げるとするか・・・」

 

 2人が動くことが出来ないことを確認した俺はその場から逃げるように場所を移す。

 

 神器はこのまま起動させておこう・・・何があるか分からんしな・・・

 

 移動しようとした瞬間、右耳に付けていた小型の通信機から連絡があった。

 連絡は黒歌からだった。もしかして例の監視みたいな視線の件で進展があったのか?

 

『安童聴こえる?』

 

 「あぁ聞こえるよ。何かあったか?」

 

『例の視線の話だけれど、その山周辺にいる可能性があるの。修行しながらでいいから調べてもらえる?』

 

 「OK。一通り探索したら連絡するよ」

 

 短く言葉を交わしてそのまま通信を切った。この山か・・・そこまで大きいわけじゃないから神器を展開させたまま調べればすぐに行けそうだし、さっさと片付けちまお

 ていうかそんなに簡単に見つかるものなのかなぁ・・・

 

 

 

 いた。ドリルみたいなツインテール女の子が。

 双眼鏡なんて使って俺のこと見てるよ・・・俺なんかしたかぁ・・・?

 

 ま、すぐに稲妻を隠して女の子の後ろに移動したんだが

 

 「こんにちはお嬢さん?何か用かな?」

 

 「ひゃっ?!!あ、えと、これはですわね・・・」

 

 突然監視(?)していたはずのターゲットがいきなり後ろにいるもんな。そりゃびっくりするわな。

 

 だけどこの子見た目的に高校生だよな?でもこの子は人間ではないな・・・

 

 「びっくりさせてしまいましたね。申し訳ない。ところでお嬢さんは何をしてたのですかね?出来ればお名前も知りたいのですが・・・」

 

 うわ、これ下手したら変質者と思われても間違いないなこれ・・・

 

 「ですがどうか勘違いしないで下さい。こちらはグレモリーの領地。その領地に侵入してるそちら側が何をしてるか知るのはこちら側の義務でもありますので」

 

 「そ、そうですわね・・・勝手に侵入したのはこちらですし・・・レイヴェル・フェニックスですわ。名前からお察しがつくでしょう?」

 

 「フェニックス・・・悪魔になった不死鳥さんのお嬢様でしたか」

 

 レイヴェルと名乗った女の子は監視をしていた事を素直に謝罪し、監視していた理由を教えてくれた

 

 「三日後の夜に私のお兄様・・・ライザー・フェニックスとリアス嬢様の婚約を決めるためのゲームをしますの・・・」

 

 「だが公式では出来ないから、非公式でゲームを行う・・・だが現状を見る限り完全にリアスさんの方が不利だな・・・それを分かっていてゲームを執り行った・・・そういう訳ですね」

 

 「ええ。そしてお兄さまのゲームの成績は実質無敗・・・負ける事を知らないのです」

 

 無敗の不死鳥か。確かに強敵だ。そしてライザーの眷属は全員揃っていると聞いてる。それに対してリアスさん達はその半分・・・いや、半分以下だ。これでは完全にリアスさんが詰んでいる

 

 だからこそ、俺は納得がいかない・・・何故そこまでしてリアスさんを求めるのだろうか・・・本当に嫁に迎えるが為にこんなことをするか・・・?

 

 「レイヴェル嬢。貴女はライザー様の眷属なのでしょう?戦闘も行う・・・そのおつもりですか?」

 

 「いいえ。私は戦闘には参加しません。フィールドにいますが観戦という形で参加致しますわ」

 

 「それではリアスさん達にはそうお伝えしておきます。それと一つ、ライザー様に伝えて欲しいことがあるのですが、よろしいですか?」

 

 「いいですわ。伝えておきます」

 

 「ありがとうございます。『ゲームで女性の生き方を決め付ける貴方にはリアスさんは決して振り向くことはない』と伝えて下さい」

 

 「ふふ・・・挑戦的ですわね・・・良いですわ。そのようにお伝えします。それと、もう監視はしませんのでご安心を」

 

 「お気遣い感謝します。レイヴェル嬢」

 

 俺がわざとらしくお辞儀をするとレイヴェルは顔を少し赤くしながらそっぽを向いてしまった。機嫌を損ねてしまったのかな?

 

 「その呼び方・・・あまり好きではありませんの。名前で構いませんわ」

 

 「それではレイヴェルさん。ゲームの日、お待ちしております」

 

 「えぇ。またお会いしましょう。それではごきげんよう・・・」

 

 レイヴェルさんは足元に魔法陣を展開する。あれがフェニックスの魔法陣か・・・たしかにそれっぽい

 

 だがレイヴェルの姿は消えることは無かった

 

 「忘れてましたわ。貴方、お名前は?」

 

 「そういえば名乗っていませんでしたね。私は安童と言うものです。今はグレモリー眷属の皆さんの特訓を指導しております」

 

 「なるほど。では安童さん。ゲームの日を楽しみにしていますわ」

 

 レイヴェルはそういうと今度は本当に魔法陣を展開し、姿を消した。まさかレイヴェルさんが監視をするとはな・・・ちょいと予想外だ。俺がこの世界に転生して何かの歯車が噛み違えたのかもしれない。これは今後注意だな

 

 

 レイヴェルが去ってから数分後、今度は木場さん、朱乃さん、アーシアさんが俺と鉢合わせた。まぁアーシアさんには怪我をさせてはいないが2人とはちょいと戦闘を交えた。結果的には俺が勝ったがやはりこの二人は手強かった。

 

 おそらく俺と鉢合わせした時に連携を考えていたのだろう。

 そしてアーシアさんは簡易的ではあるが防御魔法をちゃんと展開させていた。どうやらちゃんと覚えたらしいな

 今後はアーシアさんの生存がグレモリー眷属の士気に関わってくるからな

 

 っとと、俺の考察は置いといて、黒歌にレイヴェルさんのこと連絡しておかないとな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は経った

 

 

 

 

 

 

 ───ライザーとのゲームの一夜前

 

 

 「皆さん一週間お疲れ様です」

 

 今日で特訓は終わりだ。明日は日中身体を休めてもらって夜にゲームだ

 

 「安童君。付き合ってくれてありがとう。おかげで助かったわ」

 

 「いえいえ。正直自分の力もどのくらい役に立つのか調べたかったので良い特訓になりました。ありがとうございます」

 

 「だけどよ!この三日の間安童に殆ど触れてないぜ?強すぎじゃないか?」

 

 まぁ・・・正直自分もチートすぎるとは思ってるが全てが完璧なわけではないからな・・・ヴァーリの力にはどうも太刀打ちできる力はないし、イッセー先輩の様に圧倒的な火力がある訳でもないしな

 

 「ですがかなり危ない場面もありました。この三日で皆さんの連携も良くなってますし、問題ありません」

 

 みんなの力は特訓前に比べると向上している。これは間違いなくいえる。特にイッセー先輩。あの人の連携の取り方はかなり厄介だ。

 あの人は誰とでも連携が取れるから組まれてきたら相当厄介極まりない

 

 「さて、みんな明日は身体を休めて。そして夜はライザーとの決戦よ!」

 

 「「「はい!部長!」」」

 

 うんうん。みんな元気だ。

 そして俺がみんなをサポート出来るのはここまで。やれる事はやったし、後はみんな次第だ

 

 皆がわいわいと盛り上がり始め、俺はその場から消える。俺の役目は終えたからな。さっさとソフィアと黒歌と3人でやるべき事を成しに行かなくてはいけない

 

 

 「付き合ってくれてありがとうなソフィア。黒歌」

 

 「別に良いわよ。私も久々に楽しかったしね。あの人達、これからもっと伸びるわよきっと」

 

 「むしろ伸びてもらわないとな。この後が怖い」

 

 「それで?これからどうするにゃ?またどこかに行くのかにゃ?」

 

 「それに関してはもう決めてある。冥界に行く」

 

 「「冥界??」」

 

 「ふふ・・・ある方と用事があるからな」

 

 俺は2人を連れて冥界に向かう準備を始めた。

 さてさて、グレモリー眷属の皆さんがどんな戦いをするか見物だな・・・だけど今の状態ならこりゃ波乱を呼ぶかもな・・・

 

 

 

 

 

 

 ────冥界

 

 俺はソフィアと黒歌を連れてサーゼクスさんのいる屋敷へと向かっている。移動手段?そんなの空飛ぶよ。魔法って便利だよな!

 

 しかし冥界の空は不気味な色してるな・・・人間界とは違うから仕方ないとは思うが

 

 だがその広さはとてつもない。下手したら地球のロシアの何倍もあるのではなかろうかと言えるほどだ。

 

 まぁ異世界だから仕方ないんだけどさ

 

 その中でも一際目立つ屋敷が見えてきた。その屋敷はサーゼクスさんがいるルシファーのお屋敷だ。確か以前は俺が転生したての頃に一度助けてもらったっけ。今日はお礼とともに別の事で会いに来た

 

 あ、しっかりアポは取ってあるから大丈夫だぞ!さすがに同じ事はしない!

 

 「やっぱデカいなぁサーゼクスさんの屋敷・・・流石魔王だな・・・」

 

 「というか・・・良くアポ取れたわね・・・遊魔何かやったの?」

 

 「まぁ・・・転生したての頃に一度助けてもらってな・・・」

 

 良く考えればあの時の俺すごく運良かったよな。黒歌に会ったりタンニーンさんにここ教えて貰ったりサーゼクスさんに助けてもらえたりとかもうこれ豪運だろ・・・

 

 「さてと・・・門の前に来た訳だが・・・普通に入っていいのかこれ?」

 

 「普通こういう屋敷ってメイドさんとかがお出迎えするんじゃないかしら?」

 

 「そんなもん・・・いや、あるわ。こっちに誰か来る」

 

 「流石遊魔にゃん。もう察知したのね」

 

 黒歌の言う通り、扉の向こう・・・屋敷の方から一人分のオーラを俺は感じとった。多分来たのはあの人だろうけど・・・

 

 俺がそんなふうに考えてると扉が音を立てて開いた。開いた先には俺達にリアスさん達の特訓をお願いしてきたグレイフィアさんがいた。

 

 「皆様。お待ちしておりました。魔王様がお待ちです。こちらへどうぞ」

 

 「それじゃ、お邪魔します」

 

 「おっじゃましまーっす!」

 

 「お邪魔にゃーん!」

 

 

 俺達はグレイフィアさんに付いていき、サーゼクスさんの屋敷に入って行った

 

 

 




みなさん良いお年をお過ごしくださいませ


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第17話 会談します!

 

 

 

「安童様。リアス様達の特訓を指導していただきありがとうございました」

 

「いえいえ。グレイフィアさんと魔王様のお願いですからね。無下には出来ません」

 

俺達はグレイフィアさんに案内されてサーゼクスさんのお屋敷に入っている。

目的としてはリアスさん達の特訓をお願いした対価を決める為だ。

 

俺は要らないと言ったのだが、サーゼクスさん曰く『相手が誰であれこちらが頼んでいるのだから対価は必要だ』との事。

魔王様にそこまで言われてしまったら無下にする事も失礼だし、指導後に話し合う様にお願いしたのだ。不釣り合いな成果を出してはお互い困るしな……まぁ、勝敗が大事だからまだ決めてないんだけど

 

しかしサーゼクスさんと会った時も感じたのだが魔王ってあんなに若い悪魔でもなれるものなのか?

もしかしたら昔の悪魔界で戦争があったらしいからその時に本来の魔王が倒されたからだろうな。そうじゃなきゃグレモリーからルシファーなんて名前が出るわけがない

 

「到着しました。こちらに魔王様がいらっしゃいます」

 

グレイフィアさんが扉の前で止まり、ノックをした後、そのまま扉を開けた。

 

中は広いが奥に作業する為に置かれたと思われる長机、その前にソファが向かい合わせに置かれ、その間に小さめのテーブルが置かれていた。

 

そしてその奥、窓から外を見ている人・・・悪魔がいた。その人は紛れもない。サーゼクスさんだった

 

「やぁ久しぶりだね安童君。それに黒歌君も」

 

「お久しぶりですサーゼクス様。忙しいでしょうにお時間取らせてしまってすみません」

 

「いやいや。気にすることは無い。リアス達の特訓を終えたんだ。そろそろだと思って仕事を済ませていたからね」

 

「そうでしたか・・・それでもあまり時間をとるのはいけませんし・・・すみませんが早速本題に移りたいのですが」

 

「そうだね。そこに座り給え。黒歌君とソフィア君も」

 

自分の名前を呼ばれたからかソフィアは少し驚いた表情をしていた

前にあった時はソフィアいなかったし、知ってるのはオーディンさんくらいだからな

 

「私のこと知ってるんですか?」

 

「勿論。オーディン様から聞いているよ」

 

「いやぁ・・・魔王様に知っててもらえるなんて照れますねぇ・・・」

 

少し顔を赤らめてるソフィアはほっといて、俺はサーゼクスさんに促されソファに腰掛ける。

それを確認してか、サーゼクスさんも向かいのソファに腰掛けた

 

「さて、対価の話だったね?」

 

「そうです。お恥ずかしいことですがまだ決めてないのです」

 

「それはまだ対価を貰うまでの成果を得ていないという事かい?」

 

「いえ、そういうわけではないのですが・・・リアスさんとライザーさんのゲーム結果で考えようと思っているのです」

 

「なるほど。確かにリアス達のゲームの結果次第では教育者にも問題がある可能性が浮上してしまう。では仮にリアスが負けたら?」

 

「パーティーで見納めの見物としてライザー眷属全員と俺達を戦わせて欲しい。勝ったら婚約の話は無し。あ、俺達と言ってもこの二人は出ません。少しアテがあるもので」

 

俺がそういうとサーゼクスさんは少し微笑んだ

 

「なるほど・・・流石にリアス達を鍛えただけはあるね。それは確かに面白い。何とかしてみようではないか。ではリアスが勝った場合は?」

 

「俺もあの町・・・駒王町で自由に行動出来るようにして欲しい。悪魔討伐しかり、全て」

 

俺がそう言うとサーゼクスさんは少し考え込むように腕を組んだ。これはある意味賭けだ

 

「なかなか面白い話だ・・・しかし本来は1人の人間を冥界の・・・しかもフェニックスとグレモリーのお家騒動に加入させるわけにはいかないんだ。そこまでこの世界も優しくはない」

 

「まぁ・・・そう、ですよね。普通・・・」

 

「だがしかし、こちらは依頼している身分だ。何とかしてみようではないか」

 

マジかよ!!これが通るとは思ってなかったぞ!?

何事も言ってみるもんなんだな!

 

「自由に行動・・・は難しいだろうがリアスの監視下でという条件付きなら手を打とう」

 

あー。駒王町はリアスさん・・・基グレモリーの管轄なんだもんな。そりゃ責任者がいれば問題はないだろう

 

「分かりました。ではそういう方針で・・・」

 

「すまないね・・・長い旅路から帰ってきてすぐにこんな事に巻き込んでしまって・・・」

 

「別にいいのですが・・・何故俺達に頼んできたのですか?」

 

依頼された時から気にしてはいたのだ。何故俺なのか。特訓ならリアスさん達だけでも成り立つ筈。なのにサーゼクスさんは俺達に頼んできた。理由がない筈がないだろう

 

「君達の事でオーディン様から連絡が来てね。是非とも彼らに協力をしてもらえというお告げがあったんだ」

 

「あの方は・・・まったく・・・人使いが荒い神様だこと」

 

俺が嫌味っぽく呟くと、ソフィアと黒歌はクスリとはにかんだ

 

そして俺はサーゼクスさんとグレイフィアさんに送られて人間界へ戻ろうとしたとき、サーゼクスさんに呼び止められた

 

「そうだ。君達にもう一つお願いをしてもいいかな?」

 

「なんでしょうか?」

 

「今後も君たちの力を借りることがあるかもしれない。その時は話だけでもいいから聞いてはくれないだろうか?これは魔王としてではなく私個人としての願いだ。断ってくれても構わないんだ」

 

「話だけとはとんでもありません。是非とも協力させてください。な?二人とも」

 

「私は安童が居ればどこでも行くにゃん」

 

「微力ではございますが魔王様のお役に立てるというのでしたら喜んでお受けします」

 

2人は頷いて答えてくれた

その答えにサーゼクスさんも笑ってくれた

 

「それが聞けて良かった。さぁ。戻りたまえ」

 

「はい。それではサーゼクスさんとグレイフィアさん。お忙しいのにありがとうございました」

 

「またおいで。歓迎しよう」

 

「はい!ありがとうございます!それではまた!」

 

俺はそう言いながらソフィアの魔法陣で人間界へと転移した。その時もサーゼクスさんは笑顔を絶やしてはいなかった

 

そして俺はソフィアと黒歌と共に人間界、駒王町の公園に戻った。そしてそこから久しぶりの我が家へと移動

 

 

────しようとした瞬間だった

 

「そこにいるお前。ただの人間ではないな?」

 

移動しようとした刹那、少し歳をとっているがかなりイケメンの部類に入るであろう男性が俺に話しかけてきた

 

「何のことですか?というかそれは貴方もでしょう?明らかに人間のオーラではない・・・堕天使ですね?しかもかなり実力がある部類の・・・総督、とか?」

 

「ほう?そこまで考えられるとなると、お前があのオーディンに転生させられたとかいう奴だな?まぁそう堅くなるなって。ちょいとお前に聞きたいことがあるのさ。北欧神オーディンに転生させられたお前に、な?」

 

「もうそこまで知ってるとは流石ですねぇ・・・堕天使総督アザゼルさん?」

 

男性────アザゼルはニヤリと笑いながら住宅街へと歩いていった。俺達もその後ろをついて歩いていく。まさかこんな所で会うとはなぁ

 

 

 

 

「よし着いた。ここが俺の住んでる拠点だ。お前、酒は飲めるか?」

 

「飲めるが飲まん。飲むなら一人で飲め」

 

ごく平凡なマンションの一部屋の玄関に入るや否やこの堕天使は・・・流石は欲に溺れ堕ちた天使だ

 

ちなみにアザゼルに対してタメ口なのは彼からの希望だからだ。なんでかは教えてはくれなかった

 

そして俺がアザゼルの家に向かう時にソフィアと黒歌には先に帰ってもらった。何かあったらお互い直ぐに転移出来るように簡易魔法陣が描かれた紙を持ってる

 

「つれないねぇ・・・水でいいか?」

 

「あぁ。で、俺に話とは?」

 

「お前さん、自分が何者かって・・・分かるか?」

 

「あぁ。分かるぜ。ついでにこの街にいる悪魔、堕天使の事も、な?」

 

アザゼルは酒を持ってくるとソファにどかりと座り、大きめのグラスに並々と酒を注ぎ、呑む

 

「お前の事をオーディンから聞いてな。つい話をしたくなったってわけさ」

 

「あんたが知りたいことなんて俺は知らないぞ。まだこの世に来て間もないしな」

 

俺はまだこの街に来て1ヶ月ちょいしか経ってないし、その1ヶ月はここから離れてたからほとんどいない。

だがアザゼルはそんなことを気にしないかのごとく俺に質問をしてくる

 

「だがお前はオーディンに目をつけられて転生した・・・何故だか分かるか?」

 

「まぁなんとなくはな。だが俺はあくまで転生してもらっただけのこと。何もやる気はないし、する気もない。頼まれれば別だ。後は俺の好きにやらせてもらうさ」

 

「なるほどねぇ・・・だが俺からしてみたら、お前、今後この世界にいなくてはならない重要な人材になると思うぜ?」

 

「はいはい・・・サボり魔総督のお言葉受け取っておきますよー・・・で、仕事はどうした?シェムハザさんに捕まっても知らないぞ」

 

「お前・・・なんでそれまで知ってんだよ・・・ほんとになにもんだよ」

 

そう言うと冷や汗をかいたであろうアザゼルは浴びるように酒を一気に飲み干し、また注いでいく。どんだけ呑むんだこの駄天使総督は・・・

 

「話はそれだけか?だったら俺は帰るが」

 

「あぁ待て待て。お前の持ってる神器についても聞きてえ。俺はこれでも神器に関してはかなり知識があるぜ?」

 

「神器ねぇ・・・俺も知識は少しはあるが、細かいところまでは分からんな・・・俺はありふれた感じのものさ。ただ自分に電気を纏わせて身体能力向上させるだけだよ」

 

「ほう?その言い方だとお前、“禁手”には至ってないな?」

 

「いや、至ってはいるよ。今は他の可能性を見つけてる最中だ」

 

「・・・本来、神器の最終形態は禁手の筈なんだがな。ま、何が起こるかはわからんな。亜種になるものだってある事だ」

 

俺の神器に限ったことではないが、神器には【禁手】と呼ばれる形態が存在する。簡単に言うと最終進化のようなものだと思う。神器によって禁手は違うし、本来の禁手では無い亜種のようなものも存在するらしい。

 

俺はその【禁手】に至ってはいるものの本来、禁手に至るためには劇的な事を体感とか、自分の限界値を越えられるような出来事とかがないと出来ないみたいだが、俺はまだそれがない。髪の色が変わったりする現象が【禁手】の可能性だとしたらあまりにも早すぎる。アーシアさん奪還の時になったからな

 

「ま、もしかしたら、お前さんの思ってるソイツは禁手じゃない可能性もあるな」

 

「そうだな。そういうことになる。で、今度は俺から聞きたいことがあるんだが」

 

「あ?なんだ?」

 

「本当に俺に会うために来たのか?本当は二天龍の事じゃあないのか?」

 

俺がそう言うとアザゼルは酒を飲む手を止め、俺の事をじっと見てきた

 

「お前、本当にただの人間か?」

 

「神器を所有している時点でただの人間ではないだろ?で、そこのところはどうなんだ?アルビオンが目覚めてるのは知ってる。ドライグの場所も知ってる。というかそのうち会うつもりなんだろう?」

 

「・・・やっぱりお前は今後要注意人物になるな」

 

「堕天使総督様にそう言われるのならそうなるかもな。だが俺はあくまで第三者。手荒な事はしないつもりだぜ?あと俺のやってる事を邪魔するなら容赦はしない」

 

「そうか・・・ま、今後また会うことがあるだろう。その時また話でもしようや。今度は酒を飲みながらな?」

 

「まずは仕事を済ませてからにしろサボり魔総督。それからならいくらでも話は聞いてやる」

 

俺の言葉を聞いてアザゼルは 冷めてんなぁと呟き、並々に注いだ酒をまた一気に飲み干す。こんなのが総督ではシェムハザさんも大変だなぁ・・・

 

「ま、いずれどこかでお前とまた会う事になる。その時はまた頼むぜ?」

 

「はあ・・・実験体にするのだけは勘弁してくれ。こっちの身がもたないからな」

 

おれはそう吐き捨ててアザゼルのいる部屋の窓から上空を経由して自宅に戻るべく空を飛び、アザゼルの元から離れた

 

 

 

 

 

 

「こりゃオーディンの爺・・・ヤバい奴を転生させやがったな?」

 

どうもアイツからは訳のわからんオーラのようなものを感じた。俺は今まで色んなやつと対面してきたが・・・俺が押され気味になるほどのものをアイツは持っていた。あれでも恐らく本気ではいないだろうな・・・こりゃ今後の会談でアイツを呼ぶ必要があるな・・・アイツに関しては恐らくサーゼクスも警戒をしてるはずだ

 

「二天龍はいるわあの小僧はいるわ・・・こりゃ大変なことが起きる気がするな・・・」

 

俺はアイツが出て行った窓を見ながら酒を浴びるように呑んだ

 

 

 

 

 

 

 

「・・・アザゼルはちゃんとこの街に来たんだな。対象は俺にも向けられていたが」

 

俺は家に帰る途中で他愛もないことを呟いていた

 

だが変に干渉してアザゼルが来なくなるという恐れはなくなったのが救いだ。

アザゼルがこの街に来ないと色々と面倒な事が起こるからな。まぁ、来ても面倒なんだが

 

「さて・・・これからが大変だ。まずは今夜の火の鳥とのレーティング・ゲーム。期待してますよリアスさん達」

 

俺は黒歌とソフィアの待つ家向かって稲妻を纏い、空を滑空する

 

「もし仮に負けたとしても・・・生徒の仇は俺がぶっ倒す。それがコーチとして―――いや、俺のプライドだ」

 

俺はグレモリー眷属のことを見守る義務がある。そして俺も強くなくちゃいけないからな。

だから努力は怠らないようにしないと

 

 



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