比企谷八幡は失踪することにした。(渋滞中) (amedama)
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プロローグ

2作目です。
作者は少し精神が病みかけています。
下手すると八幡がもっとおかしくなる・・・


文化祭、修学旅行が終わり、再び登校日がやって来た。

正直、今はもう学校なんて行く気になれない。

 

『あなたのやり方、嫌いだわ』

『人の気持ち、もっと考えてよ!』

 

修学旅行の時、あの二人にこう言われたっけ。

やり方が嫌い?自分で受けて解決も出来ずに俺に丸投げしたくせに。

人の気持ち考えろ?相手のことも考えずに軽々と依頼を受けたくせに。

俺の2人に対する憤りは凄まじい物だった。

あいつらは自分にとって都合が悪いと拒絶し、自分が正しくて他人が間違ってると考える。

 

これからどうしようか・・・。

学校に行けば間違いなく2人に拒絶され、文化祭の件に加えて修学旅行の件が加算されて、俺の悪評や陰口も倍々ゲームでエスカレートするだろう。

文化祭のいじめでかなりダメージ受けたってのに。

もう耐えられそうにない。

そんなことを考えていると電話が鳴った。

どうやら京都に住む叔父からだった。

この叔父はうちの親とは違って俺に良くしてくれる。

小町にも良くしてくれるのだが、俺程ではなかった。

ほんとに不思議だ。普通どの人も小町を可愛がって俺に関しては放任主義なのに。まさか、哀れに思って俺に良くしてくれるのではないかと思って尋ねてみたことがある。

『お前は昔の俺に良く似ているんだよ』

そう返された。哀れに思って俺に良くしてくれるわけではなかったのだ。

俺はそれがとても嬉しかった。

中学生になってからは一年に一度叔父の家に遊びに行っている。

電話の主を確認した俺は電話にでた。

「はい、もしもし」

『久しぶりだな、八幡。学校はどんな感じだ?上手くいってるのか?』

優しい声で問いかけてくる。

決心がついた。全部話してしまおう。

「結構長いですよ?」

『気にするな、大丈夫だ』

俺は全てを話した。奉仕部のこと、入れられた経緯、文化祭でのこと、修学旅行でのこと。

全て話した後。

『そうだったのか・・・、辛かっただろう。良く頑張った』

叔父は全てを理解し、受け止めてくれたようだ。

『で、お前はどうする?八幡』

「正直、今の辛い状況ではいたくない」

『その修学旅行や文化祭に関して、お前の潔白を裏付ける証拠とかはあるのか?』

「あるにはある。修学旅行に関して、葉山の連中との一連のやり取りとかを記録した動画や音声はある。文化祭にしても、議事録や出欠簿、相模とかとのやり取りを記録した動画や音声もきちんと揃ってる。」

『用意が良すぎないか・・・』

全くその通りだ。

「で、それをどうしろと?」

『その奉仕部や葉山を良く思わない奴らに横流しして、お前は学校から姿を消していれば良い。その間は俺の所にでもいればいいだろ』

「授業とかどうすんだよ」

『参考書でも持ってこい。現役教師の俺が教えたる』

「登校日足りなくなるだろ・・・」

『そのときは俺経由で比企谷一族のコネ使えばいい。うちの一番上の兄さんは文部科学省の事務次官なんだし。二番目は千葉県教育委員会のお偉いさん。こんな濃厚なコネ使わなくてどうするんだ』

「やっべ・・・、完全に忘れてた。まあ、情報流して逃げるのが最善なんだろうな。その内そっちに逃げるから待っててくれ」

『勿論だ』

こうして、俺の失踪計画は幕を開けたのだ。



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設定 四菱グループあれこれ

物語に登場する比企谷一族の経営する企業グループである四菱グループの設定です
どうでもいいと言う方はブラウザバック推奨。
第四話は3月中旬公開予定。


2017年4月15日、会社について追加と株式上場について編集しました。
2017年12月17日、会社について追加しました。
2018年2月12日、会社について追加しました。
2018年8月4日、財団関連を追加・編集しました。


本家管轄

四菱商事(東証1部、NYSE、LSE)

子会社:四菱食品、ヨツビシマート、Yotsubishi Corporation USA(四菱商事のアメリカ法人)、四菱石油

四菱総武屋ホールディングス(東証1部)

子会社:四菱ハイウェイリテーリング、総武屋、東海総武屋、四菱総武屋百貨店、四菱総武屋ビルマネジメント、四菱成田バスケットボール(成田エンペラーズ、B1)

第一分家管轄

四菱UBJフィナンシャル・グループ(東証1部)

子会社:四菱丸の内UBJ銀行、四菱証券、四菱UBJ信託銀行、四菱コンシューマーファイナンス、四菱UBJリース、四菱不動産、ヨツビシカード

第二分家

四菱電器産業(東証1部、NYSE)

ブランド:ネショナル[National](白物家電)、ジャペレク[Japerec](オーディオヴィジュアル、コンピュータ、カー用品、IT事業)、ヨツビシズ[Yotsubishi's](四菱電工製品、住宅事業)

子会社:四菱電工、四菱ホーム、四菱ネショナル販売、四菱ジャペレク販売、四菱電器アプライアンス、七海電機、大阪四菱バスケットボール(大阪ブルーインパルス、B2)、四菱電器アメリカンフットボールクラブ(四菱電器インパルス、X1)

第三分家管轄

四菱重工業(東証1部、NYSE)

子会社:四菱自動車工業(東証2部、四菱重工は65%出資)、四菱自動車販売、四菱航空機、四菱鉄鋼、四菱セメント工業、四菱重工業アプライアンス、四菱フットボールクラブ(FC成田[J1所属])

四菱ケミカルホールディングス(東証1部)

子会社:四菱化学(東証マザーズ、四菱ケミカルHDは60%保有)、四菱製薬、四菱ケミカルテクノロジー(名証セントレックス、四菱ケミカルHDは70%出資、本社は名古屋)

第四分家管轄

四菱電鉄(東証1部)

子会社:四菱電鉄リテーリング、四菱電鉄ステーションサービス、四菱電鉄旅行、四菱電鉄都市開発、四菱臨海高速鉄道(四菱電鉄メインの三セク)、四菱電鉄レストランサービス

四菱地所(東証1部、NYSE)

子会社:四菱地所都市開発、四菱アーバンショッピングパーク、四菱地所レジデンス、四菱地所住宅、四菱地所ビルマネジメント、四菱ハイウェイサービス、四菱地所アメリカンフットボールクラブ(四菱成田エンペラーズ、X1)、四菱地所不動産マネジメント

第五分家管轄

四菱朝日飲料(東証1部)

子会社:ヨツビシビール、ヨツビシビバレッジ、朝日飲料(東証2部)、中日本四菱飲料、東日本四菱飲料、西日本四菱飲料、北海道朝日飲料

第六分家管轄

四菱生命保険(東証1部)

子会社:四菱自賠責保険、四菱損害保険、東日本四菱保険、中日本四菱保険、西日本四菱保険、四菱生命ビルマネジメント

第七分家管轄

四菱エンターテイメント(東証2部)

子会社:ヨツビシレコード、四菱プロダクション、四菱ゲームズ、四菱書店、四菱映画、四菱シネマコンプレックス、四菱教育出版、四菱ソーシャルエンタテイメント(東証ジャスダック)、シルク・ドゥ・ラ・ルーン・ジャパン(フランス語で『月のサーカス』。元ネタはシルク・ドゥ・ソレイユ。この会社はシルク・ドゥ・ラ・ルーンの日本公演のマネジメント会社)

その他(四菱グループ全体で運営)

学校法人四菱学園(四菱学園初等部、中等部、高等部、四菱学園大学、四菱政治・経済専門学校)、公益財団法人四菱スポーツ・文化財団、四菱科学博物館、四菱美術館、公益財団法人四菱育英財団

 

 

 

 

四菱グループが保有するスポーツ・文化施設

 

四菱成田総合競技場(サッカー・アメフト)

80000人収容、2001年開場

幕張四菱アリーナ(バスケ、バレー)

8000人収容、2001年開場

シルク・ドゥ・ラ・ルーンシアター東京(台場)

3000人収容 2000年開場

四菱大阪スタジアム(サッカー、アメフト、陸上)

50000人収容、1994年開場

幕張ドーム(野球、アメフト、サッカー、バスケ)

50000人収容、2010年開場

大阪四菱体育館(バスケ専用)

5000人収容、2016年開場

成田四菱文化ホール

4000人収容、1989年開場

大阪四菱会館

3000人収容、1969年開場

シルク・ドゥ・ラ・ルーンシアター大阪(梅田)

2500人収容 2005年開場

成田四菱国際展示場

700000人収容、2017年開場

四菱成田国際総合スタジアム(サッカー、アメフト、バスケ、陸上 全天候型、全体に屋根がある)

100000人収容、2019年開場予定

可動式床、四菱8Kビジョン搭載、四菱スーパーエコロジーシステム、四菱新型LEDバスケコート、プロジェクションシステムなど、四菱グループが総力をかけて建設する四菱の新しいスタジアム。総工費2兆8000億円。

2010年着工。

四菱TOKYOアリーナ(バレー、バスケ)

50000人収容、2019年開場予定




この美しい世界とともに、四菱グループです。



同一の持株会社はありません。
資本関係でもプロリーグの規則抵触事項は無いと思ってください。
ただ結束の強い企業グループです。


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設定 シルク・ドゥ・ラ・ルーンについて

本作品の比企谷第7分家管轄の四菱エンターテイメントの子会社、シルク・ドゥ・ラ・ルーン・ジャパンとシルク・ドゥ・ラ・ルーンについてまとめました。


シルク・ドゥ・ラ・ルーン

(元ネタ:シルク・ドゥ・ソレイユ)

1980年にカナダのトロントで旗揚げ。

ラスベガスのカジノホテル「ザ・ワールド」での常設公演「ファミリア」で名声を高めた。

1992年に来日し、初の日本公演「シャルツキステ」(ドイツ語で『宝箱』)を成功させる。

1995年、シルク・ドゥ・ラ・ルーンと四菱エンターテイメントの合弁でシルク・ドゥ・ラ・ルーン・ジャパンを設立。

2000年、シルク・ドゥ・ラ・ルーンシアター東京が完成。初の日本常設公演「リヴォルジオン」(イタリア語で『革命』)がスタート。

2003年の「イルフトゥーロ」(ツアーショー。イタリア語で『未来』)からはツアーショーのマネジメントも行っている。

2005年、シルク・ドゥ・ラ・ルーンシアター大阪が完成。日本常設公演「エナスキウォン」(ギリシャ語で『道化師』)がスタート。

2015年、新たな常設劇場の構想を発表。候補地に成田、相模原、横浜、静岡、名古屋、京都、広島、福岡が挙がっている。

2016年4月の記者会見で、2018年8月をもって「リヴォルジオン」の公演を終了することを発表。2018年12月より、後継演目として「スデイダ」(オランダ語で『平和』)をスタートさせることを発表。

2018年8月、「リヴォルジオン」千秋楽と同時に新常設劇場建設地を発表予定。

 

 

 

日本公演一覧(○はツアー、●は常設)

1992年 ○シャルツキステ 2月1日~12月10日

スポンサー:日本製薬(架空の会社)

公演地 東京、名古屋、大阪、福岡

1994年 ○フーリャ(ポルトガル語で『霊柩車』)

スポンサー:四菱自動車

2月10日~5月5日

公演地 東京

1996年 ○アプレシアシオ(カタルーニャ語で『感謝』)

スポンサー:四菱自動車

1月10日~11月30日

公演地 札幌、仙台、東京、大阪、福岡

1998年 ○コルテオ(元ネタは本家のコルテオ)

スポンサー:ジャパンテック(架空の会社)

2月14日~8月31日

公演地 東京、大阪、福岡

2000年-18年 ●リヴォルジオン

シルク・ドゥ・ラ・ルーン創設20周年記念作品

スポンサー:日本クレジット(架空の会社)

2000年4月1日~2018年8月31日

公演地 シルク・ドゥ・ラ・ルーンシアター東京

2001年 ○ワールドサーカスフェスタ

(元ネタはポップサーカスのワールドサーカスフェスティバル)

スポンサー:四菱電器産業(ネショナル)(2001年4月10日~2018年3月25日)、四菱生命保険(2018年3月28日~)

2001年4月10日~

公演地 札幌、青森、仙台、幕張、台場、調布、相模原、浜松、羽島、名古屋、大津、大阪、鳥取、松江、北九州、鳥栖、新潟、大分、盛岡

2002年 ○エボリューセア(ロシア語で『進化』)

スポンサー:朝日飲料

2002年3月10日~2002年8月8日

公演地 札幌、東京

2003年-04年 ○イルフトゥーロ

スポンサー:四菱自動車

2003年2月11日~2004年3月25日

公演地 東京、仙台、札幌、幕張、大阪、福岡、東京(凱旋)

2005年- ●エナスキウォン

シルク・ドゥ・ラ・ルーン創設25周年記念作品

スポンサー:四菱電器産業(ジャペレク)

2005年3月25日~

公演地 シルク・ドゥ・ラ・ルーンシアター大阪

2008年 ○キュリオス(元ネタは本家のキュリオス)

スポンサー:四菱自動車

2008年3月25日~2008年12月31日

公演地 東京、大阪、鳥取、福岡

2010年-11年 ○トーテム(元ネタは本家のトーテム)

シルク・ドゥ・ラ・ルーン創設30周年記念作品

スポンサー:総武屋

2010年3月25日~2011年2月25日

公演地 東京、仙台、大阪、福岡、東京

2011年-12年 ○キュリオス2011

東日本大震災復興支援特別公演

スポンサー:四菱電器産業(ジャペレク)

2011年8月8日-2012年12月31日

公演地 秋田、仙台、盛岡、福島

収益はすべて日本赤十字社、各自治体に寄付された。

また、福島公演千秋楽にて、東北各自治体に義援金5億円が寄付された。

休演期間中も出演者らが炊き出しを行ったりするなど、ボランティア活動が盛んに行われた。

2014年-16年 ○キャッツ(ミュージカル『キャッツ』のサーカス版)

スポンサー:総武屋

2014年1月10日~2016年3月25日

公演地 東京、幕張、仙台、盛岡、札幌、金沢(石川県)、横浜、甲府、名古屋、大津、京都、大阪、鳥取、福岡、沖縄、東京

2016年 ○キュリオス2016

スポンサー:四菱自動車

平成28年熊本地震復興支援特別公演

2016年5月14日~2016年12月14日

公演地 熊本

初日、千秋楽の日には公演前に黙祷が行われた。

今回もボランティア活動、炊き出しが行われ、熊本県に6億円が義援金として寄付された。

全収益が日本赤十字社、熊本県に寄付された。

2017年-18年 ○ゼロ

スポンサー:四菱生命保険

2017年3月25日~2018年9月25日

公演地 東京、幕張、福島、仙台、札幌、新潟、大阪、松江、福岡、熊本、沖縄、東京

2018年- ●スデイダ

スポンサー:日本クレジット

2018年12月25日~

公演地 シルク・ドゥ・ラ・ルーンシアター東京

2018年-19年 ○オーヴォ(元ネタは本家のオーヴォ)

スポンサー:四菱生命保険

2018年1月10日~2019年1月30日

公演地 東京、横浜、静岡、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡

2020年 ●ZED(元ネタは本家のZED)

スポンサー:四菱地所

2020年8月8日~

公演地 新常設劇場

2020年-21年 ○クーザ(元ネタは本家のクーザ)

シルク・ドゥ・ラ・ルーン創設40周年記念作品

スポンサー:四菱生命保険

2020年2月7日~2021年2月20日

公演地 東京、名古屋、大阪、広島、福岡、京都、札幌、東京

2023年 ○オーヴォ2023

スポンサー:四菱自動車

2023年5月5日~2023年12月31日(予定)

公演地 東京

2025年-26年 ○スーパーノヴァ

スポンサー:四菱生命保険

2025年2月25日~2026年3月25日(予定)

公演地 東京、静岡、名古屋、京都、大阪、広島、福岡

2027年-29年 ○キャッツ-リボーン-(キャッツ続編。オリジナル)

スポンサー:四菱生命保険

2027年2月25日~2029年3月25日(予定)

公演地:東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇、米子、金沢、札幌、仙台、東京




ここまで凝った設定を作った理由。

他の作品にも出すから。
多分amedama作品の共通の物になるし、年代を把握できてない人のための時系列のものさしになる。


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設定 四菱&比企谷家の偉業と不祥事

○は偉業、●は不祥事。





2017年12月4日
不祥事を追加しました。
2017年12月17日
不祥事を追加しました。
2018年1月18日
偉業を追加しました。


○成田空港の設置阻止

リアルな話成田空港の設置で住民と国の間でドンパチしてたから、成田市に本家を置いて、官僚や政治家をたくさん出している比企谷家も批判の的。

そこで、秀一郎の父、秀光が中心となって成田空港の設置を撤回するよう国に働きかけた結果、成田空港構想は撤回。これで成田市民の絶大な支持を得た。ちなみに空港予定地だったところは比企谷家の本家や四菱グループの総本部等が置かれるようになった。

○オイルショックの不況下でも低価格路線を保つ(総武屋、四菱石油)

オイルショックで物価が高騰しても総武屋は赤字覚悟で従来の低価格路線を保ち、消費者の支持を得た。これと同時に出店スピードを速めたり、経営難の同業スーパーのM&Aを進めて規模を拡大。しかし、この低価格路線が後に総武屋・松本電器戦争を起こした。

さらに、石油を売る四菱石油も、大量仕入れで大量販売の体制を整え、低価格路線で売り上げを伸ばした。

○四菱、松本の大合併(四菱電器産業)

当時売り上げを伸ばし続けていた四菱電機に対して、総武屋・松本電器戦争で消費者の不買運動の被害を受けていた松本電器産業。それを受けて松本電器は山上ヘッジファンドによる敵対的M&Aへの対抗策を考えていた。そこに敵だった総武屋の親戚企業である四菱電機がホワイトナイトとして現れ、救済TOBに乗り出す。この事は旧松本電器社員の間で「かつての敵が自分達を救ってくれた」として語り継がれている。

松本電器産業は2008年までは四菱電機の子会社として存在したが、2008年のグループ再編で四菱電機に吸収された。

○四菱系メガバンク誕生(四菱UBJFG)

ときはバブル崩壊。都銀トップの座に就いていた四菱銀行は不良債権ゼロの超健全銀行となっていた。

しかし、他の銀行が合併してメガバンクとなる事を危惧した四菱銀行上層部は関係の深い外国為替専門の丸の内銀行、関西で最も強い三栄銀行、東海地盤で不良債権の少ない中京銀行との段階的合併を画策。先ず四菱と丸の内で丸の内四菱銀行、三栄と中京でUBJ銀行、そして丸の内四菱とUBJで四菱丸の内UBJ銀行と、段階的な四菱系メガバンク形成を成し遂げた。

因みに、出身銀行ヒエラルキーは存在せず、行内融和が実現されている。

○4K、8KALISパネル実用化(四菱電器産業)

もともと松本電器はALISパネル型プラズマテレビを、四菱電機は液晶テレビを主流としていたが、統合で液晶テレビとプラズマテレビの併売状態が続いていた。

部門存続を懸けてプラズマ事業部と液晶事業部が競り合うなか、4K液晶テレビが発売される。それに対抗するためにプラズマ事業部が研究を重ねた末にALISパネルを4K画質に持っていくことに成功。

量産型製品「4KプラズマWonder(ワンダー)」は空前の大ヒットを記録、8KALISパネルも実用化に向けた研究に入り、競り合いが加速している。

●総武屋・松本電器戦争(総武屋、松本電器産業)

低価格路線を続け、定価より安く売ることを進める総武屋に対して、定価販売を第一とする松本電器産業が総武屋への出荷差し止め、自社社員への総武屋利用禁止令を出したことで勃発。総武屋も対抗措置として、松本電器不買運動を社員に命じた。この事は総武屋や松本電器だけに収まらず、それを聞いた消費者も松本電器不買運動に走り、四菱傘下の四菱電機や七海電機の製品を買うようになった。これは四菱電機による松本電器のM&Aで終結した。

●ネショナルFF式石油暖房機リコール(四菱電器産業)

2005年に起きた四菱製FF式石油暖房機による一酸化炭素中毒事故の発生を受けて行ったリコール。四菱グループの事業所、ネショナル、ジャペレクの特約店、四菱電工ショールームなど、日本全国で警告のビラの配布、四菱グループ全社のCMをリコールCMに差し替える、特定の地域を中心に探し回るローラー作戦などで大規模なリコールを行った。2014年に終結した。

●四菱自動車大規模リコール(四菱自動車工業)

2015年9月頃の四菱製ミニバン「グランドアロー」のスライドドア不具合に始まり1ヶ月で5車種3万台に欠陥があることが判明。記者会見で経営陣は陳謝すると共に国土交通省にリコールを届け出た。

また、届け出の翌日から四菱グループ全社のCMをお詫びとリコール告知に差し替え、街頭でビラを配ったり折り込みチラシやダイレクトメールでの抜け目のないリコール作戦を展開した。

さらに迅速な対応が出来るように各ディーラーに工場職員を派遣し、工場に臨時点検場を設置して点検ができる場所を激増させるなどの対応をしたため、修理はスムーズに進んだ。

このリコールは日本の自動車業界至上最短の5ヶ月で終結した。

この抜け目のなく、かつ迅速な対応にマスコミからは称賛の声があがった。

●四菱電鉄東京ドームライン(後楽園線)連続オーバーラン事故(四菱電鉄)

四菱電鉄東京ドームライン(羽田空港国内線ビル駅~東京ドームシティ駅)において、各駅停車東京ドームシティ行きを運転していた運転士A(運転士歴1年)が運転中にスマホを弄り、駅構内に侵入後に減速を始めたことから天空橋駅で10mのオーバーラン、その後にも品川駅で5mのオーバーランを起こした。その後品川事務所所属運転士と強制交代させられた。

四菱電鉄はその日の夜記者会見を開き、経営陣は陳謝。運転士Aは成田総合研修所に逆戻りして再教育、さらに5年間給料を半額へと減らす減給処分となった。

また、車掌B(車掌歴15年)は天空橋の時点で運転士に厳重注意した上、速やかに指令室に報告するなど、迅速な対応をしたため、運転士とは逆に10万円の臨時ボーナスと社長直々の表彰を受けることになるが、車掌は両方とも辞退している。元々運転士Aは何度か研修時に教官から注意を受けていた。最終的に運転士は自主退職している。

この事故を受けて四菱電鉄は社内ガバナンスの不十分を国土交通省に指摘され、四菱電鉄は社内での勤務審査など、私鉄でトップクラスとなるであろう安全管理制度を導入することとなった。



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#1 準備①

どうも、作者です。
こっちの作品の方が意外と良い反応がありました。

では、どうぞ


叔父との電話を終えた俺は、ある人と喫茶店で待ち合わせをしていた。

来てから5分経ち、その人が来る。

「ごめんね比企谷君、遅れちゃった?」

「いえ、大丈夫ですよ、城廻先輩」

城廻めぐり。

総武高校の生徒会長だ。

文化祭、体育祭と、この人と関わる機会が多かった。

任期も後わずかのところだろう。

「早速本題に「ちょっと待って、先に言いたいことがあるんだけど」・・・何でしょうか」

「比企谷君、ごめんなさい‼」

先輩は勢い良く頭を下げ、そう言った。

「文化祭の時、君のとった行動の真意に気づけないまま、私は表だけで君を批判して、拒絶してしまった。あの後よく考えてみたら、君の行動の真意がわかったの。君は、スローガン決めの時は、自分が敵に回ることで文実を結束させて、文化祭の時は相模さんを被害者に仕立てるために君は相模さんを罵倒したんだよね。本当にごめんなさい!」

「先輩、頭を上げてください」

俺がそう言うと、城廻先輩は頭を上げた。

「先輩は悪くないですよ。あの状況であの方法しか取れなかった俺の方が悪いんですから」

「比企谷君は悪くないよ、むしろ優しすぎるまであるよ。他人を救うために、自分のことを後回しにして、他人のことを優先して考えるなんて、他の人には到底できないよ」

「そんなこと言わないで下さい、俺は優しくなんかない。他人のことをけなすような最低の人間です。ぼっちで、目が腐ってて、ひねくれてて、それで最低だ」

「そうやって自分の事を卑下するの、良くないよ。君は自分の事を過小評価しすぎだよ。周りは君が思っている以上に君の事を評価しているんだよ。私もそう」

城廻先輩はそう言って微笑んだ。

「そうですか」

「ねぇ、比企谷君。何か私にできることはないかな?罪滅ぼしに」

「最初から先輩を頼ろうとして呼んだんですよ」

「そうだったね。それで?」

「結構長いですよ?」

「うん、良いよ」

そして俺はこれまでの事を全て話した。

話した後、

「結構辛い思いをしたんだね・・・。比企谷君は良く頑張ったと思うよ」

先輩は涙目になりながらも微笑んだ。理解してくれたのだ。

「それで、頼みたいことがあります」

そう言って、俺は資料を出した。

「ここに、文実の議事録と、出欠簿があります。これを、情報公開という名目で拡散してほしいです。そうすれば、俺の潔白は証明されるはずです」

「でも、これを拡散したら、相模さんやはるさんが・・・」

「相模には俺以上の批判とかが襲いかかるでしょう。けれど、それは相模の自業自得。いい気になっていた分の仕返しです。雪ノ下さんについても大丈夫ですよ。もし雪ノ下一族や葉山一族が俺を潰しにかかろうとしても、逆に雪ノ下一族がダメージを受けますから。比企谷一族の大半は中央省庁のエリート幹部とか、千葉県のお偉いさんとか、武家の出の雪ノ下一族より力は大きいんですよ。たかが千葉ローカルの名家(笑)とその顧問弁護士がエリート官僚一族に敵うわけがない」

「比企谷一族チート過ぎない?」

先輩は少し引いていた。

「安泰を目指しすぎた結果というやつです」

「そうだね。分かった、これを拡散すれば良いんだね?」

「はい、お願いします」

「うん。所で、拡散して君はどうするの?」

「家に置き手紙を残して、しばらくの間失踪します。そうした方が効果が良さそうなんで。教師が突っかかって来ても、官僚の力があれば大丈夫ですし」

「つくづく酷だね・・・。分かった、後は任せて。じゃあね」

「はい、また」

城廻先輩への手回しは済んだ。次はあいつらだな。



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#2 準備②

久しぶりの新エピソード。
しばらく期末試験やその他のことで忙しかったので更新できませんでした。

でわ、どーぞ


城廻先輩との話を終えた俺は駅前のサイゼに来ていた。

ドリンクバーを頼んで、しばらく待っていると、

「はろはろ~。お待たせしちゃった?」

海老名さんが来た。

「いや待ってない。俺もさっき来た。お前以外にも来るから待っててくれ」

「そう、じゃあ待ってる」

海老名さんもドリンクバーを頼んで、俺の向かい側に座る。

お互い無言で5分が経過した。その時、

「よっす、ヒキタニ、いや比企谷君」

戸部が来た。すると、

「ねえ比企谷君、どういうつもり?」

海老名さんが聞いてきた。目が笑ってない。

「気にするな、後もう一人来るから」

戸部もドリンクバーを頼み、しばらく待つ。すると、

「ごめんヒキオ、って、姫菜に戸部?・・・あー、そういうこと」

三浦だけは気づいたのな。

「さて海老名。過去のことを掘り返すようで悪いが、修学旅行の時の事について、戸部にすべて話してほしい。包み隠さず全てだ。戸部、これから海老名さんが話すことはお前に多大なるダメージを与えるかも知れないが、覚悟は出来てるな?」

「最初からそのつもりだべ」

戸部のことを確認し、海老名さんは全ての事を話した。

その後、

「そうだったんだ、ごめん海老名さん、ごめん優美子」

戸部は謝った。

「謝らなくてもいいよ、今回で悪いのは殆ど葉山くんだし」

「まさか隼人がそんなことしてたなんて。ヒキオ、ごめん。迷惑かけちゃって」

「気にする必要はねぇよ。まあ、葉山の事は拡散するけど」

「ヒキオはどうすんの?」

「しばらく総武高校から姿を消す」

「大丈夫なの?」

海老名さんにそう聞かれた。

「うちは官僚一族だからな。何かしらあったら一族の力で何とかするわ」

「ところで、俺らのグループはどうするん?」

「A組の横須賀が、戸部たちとも仲良くしたいんだと。だからあいつのグループに潜り込めばいいだろ。あいつらは大歓迎だ」

横須賀はスクールカースト2番手で俺の手下だ。あいつの親は文部科学省の官僚で、あいつが俺をいじめてた時はあいつの親を離島に左遷させた。それ以降あいつは俺の従順な手下だ」

「比企谷君、声に出てんべ。ここサイゼ」

思い切り声に出てた。気にしない気にしない。

「てことでよろしく頼む」

「「「OK」」」

そして俺は彼らと別れた。

いよいよだ。

家に戻った俺は荷物を確認していた。

持っていくものは全部入れた、と。

切符も用意できてる。

準備万端だ。あとは寝て明日を待つだけ。

そう思いながら俺は寝た。

 

翌日朝 4時半

 

よし。

書き置きよし。証拠品も横須賀やめぐり先輩に託した。

「じゃあな俺の家、暫しの別れだ」

俺はスーツケースを片手に、駅に向かって歩き始めた。



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#3 比企谷八幡の失踪

比企谷達哉
八幡と小町の父親。小町を溺愛する一方、八幡を冷遇している。四菱商事に勤めていて、営業部の軍師的存在。上司からも部下からも信頼されているが、八幡の失踪を経て失脚する。
比企谷宗一
達哉の兄で、文部科学省の事務次官。
達哉以上に優秀な八幡に期待を寄せている。
比企谷秀一郎
本家当主。元文部科学省事務次官。
今は四菱グループの議長をしている。
優秀な八幡の待遇を達哉以上に良くする徹底した成果主義を敷いている。
比企谷家
成田市に本家を置き、エリート官僚、大物政治家、大物実業家ばかり居る雪ノ下以上の名家。
成田空港の設置をやめさせたことで、成田市民の絶大な支持を得た。
羽田空港1個分の敷地にたくさんの施設がある。
また、一族で四菱グループを経営している。
四菱グループ
日本最大の企業グループ。四菱商事、四菱丸の内UBJ銀行、四菱重工、四菱電器産業、四菱電鉄の5社(別名「四菱五英傑」)が核となっている。
四菱電鉄
四菱が小田急、東急、京急、京成、京王の5社を買収し、統合したことで出来た。特急の名称をロマンスカーとしている。


小町side

 

昨日、ごみいちゃんと喧嘩してしまった。

どうやら修学旅行で何かしらあったらしい。

雪乃さんや結衣さんと何かあったのは確かだ。何があったか、力づくで言わせないと。

そう思いながら、ごみいちゃんの部屋を覗いてみる。

どうやらいないらしい。

もう学校行ったのかな?

でも、制服は部屋にあるし、鞄もおいてある。

ないのはスーツケース。

そして机にあるのは封筒。

封筒の中身が気になった私は封筒の中を見た。中にあるのは手紙のようなもの。

取り敢えず手紙を読んでみた。

 

 

 

 

 

 

後で後悔するとは知らずに。

 

 

 

 

 

一枚目には、「捜さないで下さい」とだけ、

二枚目にはこれまで何があったかが詳しく書かれていた。

奉仕部のこと。入れられたその理由。文化祭でのこと。修学旅行でのこと。

お兄ちゃんは苦しんでいたのだ。

一人で抱え込んでいたのだ。

そして、何も出来なかったあの二人に、自分勝手な理由で拒絶されたのだ。

気づけば私は泣いていた。

何も知らず、ただただお兄ちゃんが何かやらかしたのだと思い込んでいた。罪悪感しかなかった。

私は決めた。雪乃さんや結衣さんとはもう縁を切る。

私はお兄ちゃんの味方をする。

そして、お兄ちゃんが帰ってきたら、満面の笑みで「おかえり!」と言ってあげよう。

そう心に決めた。

 

 

 

八幡side

 

四菱電鉄 幕張駅

 

家を出た俺は駅に来ていた。

ここから特急で東京に向かう。

『お待たせ致しました。間もなく、4番線に、5時10分発、特急ロマンスカー、エアポート号、羽田空港国際線ターミナル行が、10両編成で参ります。次は、舞浜に停まります。危険ですから、安全柵の内側まで、お下がり下さい。この電車は、途中、舞浜、東京、浜松町、天王洲アイルに停まります。』

どうやら乗る予定の特急が来るようだ。

俺は列に並んで電車を待つ。

しばらくして、電車が来た。

電車に乗った時に向かい側のホームに雪ノ下陽乃がいるのに気づいた。しかし、今の俺は眼鏡を掛けているので、向こうは気づいていない。

発車ベルが鳴り、電車が動き始める。

ホームを離れたとたん、溜め息が出た

「はぁ・・・。ようやく解放された」

そう独り言を漏らし、俺は眠り始めた。

 

達哉side

 

俺は比企谷達哉。

四菱商事に勤める営業マンだ。

ようやく取れた有給休暇。

いつもより長く眠れると思っていたが、最愛の娘小町によって叩き起こされた。

折角の休暇が・・・

「小町、いきなりどうした?何か欲しいものでもあるのか?」

「お兄ちゃんがいなくなったの・・・」

「あいつが?何で」

「この手紙を読めばわかる」

そう言われ、俺は手紙を読んでみた。

 

 

 

何じゃこりゃ、こんな事でいなくなったのかよあいつは。

馬鹿馬鹿しいにも程がある。

「別にいいだろ、あいつがいなくても小町さえ居れば十分だし」

「それでも、宗一おじさんとか祐哉おじさんとかおじいちゃんに知られたら大変なことになるんじゃないの?」

うぐっ・・・確かに。

もし知られたら俺はどうなるのだろうか。

宗一『八幡君を放っておいて小町ちゃんばかり溺愛するからこうなるんだよ、出来損ない』

祐哉『呆れて何も言えないな、この出来損ない』

秀一郎『もうお前に比企谷を名乗る資格などないわ、出来損ないが』

怖ぇ・・・、どうなるんだ、俺。

俺はただ震える事しか出来なかった。

だって怖えーんだよ!

あの兄貴コンビと爺さん。

雄大はまだ良い方だが、あの三人は阿修羅だからな?

なぜか俺だけに対しては厳しいんだ。

出来損ないなのはわかるが、ありゃないだろうに。

内心そう思った。

 

 

宗一side

 

8時半 総武高校前

 

「よし。時間だ。これより文部科学大臣行政命令に基づき、文部科学省、千葉県教育委員会、警察庁、千葉県警察による、千葉市立総武高校の4者合同臨時立ち入り捜査を開始する」




さあ、いよいよ大復讐&大逃亡劇が始まります❗


2月23日追記
次話は2月中旬を予定していましたが、作者が学年末テストのため3月中旬迄に延期いたします。


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#4 狂い始めた歯車①

投稿遅れて本当に申し訳ございません。
では、どーぞ

比企谷鋭二
第三分家の次男。警察庁長官。
菊名洋一
警察庁捜査員。鋭二の直属の部下。
比企谷祐哉
本家次男。千葉県教育委員会幹部。
寒川利樹
総武高校校長。クビになる。


雪乃side

 

今日は何かおかしい。

いつもなら7時に起きているはずなのに、8時半に起きてしまった。遅刻確定ね・・・。

急いで支度をして、家を出ようとした。

ちょうどその時、インターホンが鳴った。誰か来たようだ。姉さんだったら追い払おう。

しかし、来たのは姉さんではなく、黒いスーツ姿の男性だった。一体誰だろうか。私は応答することにした。

「はい」

『朝早くに失礼します。雪ノ下雪乃様でしょうか』

「どちら様ですか?」

『警察庁の菊名と申します。あなたに、比企谷八幡に対する侮辱罪、名誉毀損罪について、逮捕状が出ています。あなただけではなく、葉山隼人、相模南、由比ヶ浜結衣等にも出ています。ご同行を』

私は今の言葉に驚きを隠せなかった。何故私が逮捕されるの?謎でしかない。

「何かの間違いでは?比企谷君はどうしてるんですか」

『彼は、今日の朝から行方がわからなくなっています。家に書き置きもありました。我々は失踪と見て捜査しています。その中で、あなた方から侮辱や名誉毀損等の被害を受けていることが明らかになりました。早くドアを開けてください、こちらも逮捕状が出ている以上、署に連れて行かないといけないので』

比企谷君が・・・失踪?

何故なの、何がいけなかったの?どうしてなの?

どうして貴方は、失踪したの?

何がなんだかわからない。でも、行かなければ真実を知れない。

「・・・わかりました。開けます」

私はドアを開けた。そして一分後、警察の人が来て、

 

私は逮捕された。

 

・・・ねえ、比企谷君。

私が貴方に何をしたと言うの?

どうして逮捕されないといけないの?

 

 

葉山side

 

今日もいつも通り、教室に入る。

そうすると、皆が声を掛けてくる。

「葉山くん、おはよう」

「おっ、葉山くんおはよー」

「皆、おはよう」

そう返して、俺は自分の席に向かう。

しかし、今日は違和感を感じた。比企谷がいないのだ。

いつもなら机に突っ伏して寝ている比企谷が何故かいない。風邪でも引いたのだろうか。

取り敢えず自分の席に座り、友人と会話をして先生を待つ。戸部がいないようだが、横須賀の所に行ってるらしい。

暫くして、予鈴が鳴ったが、先生は入ってこない。

入ってきたのは別の人物たちだった。

全員黒スーツを着こなし、ブルーリボンバッジをつけたり、警察捜査員の腕章をつけている人もいる。

そして、その人物の代表らしき人が、話し始めた。

「朝早くに失礼する。私は文部科学省事務次官の比企谷宗一だ。今日ここに来たのは、文部科学省、千葉県教育委員会、警察庁、千葉県警察の4者による、総武高校緊急監査及び、ここの生徒である比企谷八幡の失踪に関する捜査を行う為だ。戸部翔、三浦優美子、戸塚彩加、海老名姫菜、川崎沙希の5名を除き、この2年F組の人間に、比企谷八幡に対する侮辱及び名誉毀損の罪があることが生徒の証言及び比企谷八幡の手紙で判明している。

一応言っておくが、彼は私の甥であり、比企谷家一族の本家筋の人間だ。それと同時に、一族内での官僚候補生の中で最高傑作といえるほどの人材だ。まあ、本人はこの学校ではやること成すこと手を抜いていたみたいだが。

とにかく、我が国の政治で重要な役割を担うであろう彼の失踪は我々にも大きなダメージを与える。君達が彼に対してしたことはそう言うことであり、日本国の政治に対する明確な侮辱行為だ。しかも君達が怒らせたのは日本最大の企業グループを擁し、政財界のキーマンを多数輩出する名家だ。我々は捜査で彼の恨みを晴らさなければならない。取り敢えず、先程の5名を除く君達には、成田にある日本政府指定犯罪者隔離収容捜査センターに身柄を移し、捜査を行うものとする。以上だ」

比企谷宗一の言ったことに、俺達は理解も出来ないまま、成田に行かされた。




時間的にここまで、次回をお楽しみに。


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#5 狂い始めた歯車②

比企谷良司
秀一郎の弟、四菱商事会長兼CEO。


達哉side

 

9:00 四菱商事東京本社 会長室

 

今俺は、会長兼CEOである叔父に呼び出されていた。

こんなときに何なんだ?なぜ呼ばれる?

そう思っていると、会長が爆弾を投下してくる。

「どうやら八幡が行方不明だそうじゃないか?達哉」

「どこからそれを聞いたのですか?」

「私の情報網を舐めているのかね?」

まあ、この人だ。それくらい知っててもおかしくないだろう。

「なのに何故届け出や捜索をしない?お前の息子だろう?」

「俺の子供は小町だけで十分ですよ。あんなの息子じゃない。それに、あんたらでしょ、捜すのは。なんたって、最高傑作なんでしょ?」

「お前は親失格だな。虐待同然じゃないか」

「虐待?虐待なんかじゃない。放任主義というやつです。必要最低限「やはりお前は親失格だ、出来損ないの大馬鹿者」・・・」

「お前は仕事は出来る。だが、親として、人間としては駄目すぎる。そんな人間うちに必要ない。会長として辞令を下す。お前を四菱石油新函館北斗営業所総務課に出向させる。今日中に荷物を片付けてIDカードを人事部に返却しろ。そして今すぐここから消え失せろ!」

 

・・・は?

「おい、今のはどういう意味だよおい!」

「言葉通りだ、所謂左遷というやつだ。仕事は出来ても人間性に問題がある、そんな輩ここにおいていられるか、もっと頭使え馬鹿野郎、今すぐに出ていけ!」

そして追い出された。

拝啓、家族。

お父さん、左遷されました・・・。

 

 

材木座side

 

八幡が消えた。

行方不明だそうだ。もういつものキャラではいられない、もうほぼ完全に素だ。当たり前の様に感じられる存在がなくなるとこうなるのだな・・・

八幡よ、何故いなくなったのだ?お主は何処へ行ってしまったのだ?

八幡が消えたその日、海老名嬢、戸部氏、三浦嬢、戸塚氏、川崎嬢を除く2-Fの生徒が逮捕されたそうだ。

どうやら元葉山グループの三人は八幡と和解したようだ。しかし、八幡が受けた依頼について警察から事情聴取を受けているそうだ。

我のところには何も来てない。何も。

そこで、我は自分から警察に協力することにした。

八幡と知り合いである旨を伝えて、何があったか、普段の八幡について、知っていることを全て話す。

我にとって友人と呼べる存在は八幡くらいなのだ。

八幡、いつか戻ってきてくれ・・・

 

 

戸塚side

 

八幡が行方不明になってしまった。

その事は、朝、教室に来た政府の人たちから聞いた。

僕の頭は真っ白になってしまった。

八幡が行方不明。クラスメイトの逮捕。

何がなんだか全くわからない。

ねぇ、八幡。どうして、いなくなっちゃったの?

一体何処へいってしまったの?何でなの?

僕は戸惑いを隠せなかった。

でも、八幡がいじめを受けていたのは紛れもない事実。

なのに僕は八幡に何もしてあげられなかった。

だから、僕は警察に協力することにした。

今の僕には、これくらいしか出来ない。

けど、八幡を助けるためだ。全力を尽くす。

・・・八幡、必ず戻ってきてね?




モノローグがものすごく多くなってしまった・・・


八幡の親父は左遷で済みましたが、雪ノ下家や葉山家はどうなるのでしょう?
今後のエピソードに乞うご期待!


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#6 失った盾

お久しぶりです。
お待たせしました。
熱疲労&一ヶ月スパンのテストからようやく解放されるわけです。
取り敢えず今月中にもう一個投稿したいかな?


雪ノ下英昭
千葉県議。雪ノ下建設専務。贈収賄&インサイダーで逮捕。
雪ノ下夏希
雪ノ下建設社長。所得隠し&インサイダー&脱税で逮捕。
都築聡
雪ノ下家の運転手。事故の件が表に出たため自動車運転過失致傷で逮捕。
松添裕貴
30歳で千葉地検特捜部部長に就任した若手敏腕検事。
山越涼太
千葉県警の捜査員。警部補。


でわ、どーぞ





雪ノ下家side

私は雪ノ下英昭。千葉県議で、雪ノ下建設の専務だ。

普通この時間であれば県庁にいるはずだが・・・

「クリーンなイメージのある雪ノ下さんがこんなに容疑を犯すとは思いもしなかったんですがね」

そう、千葉地検で取り調べを受けてます。

事は2時間前に遡る・・・

 

2時間前

 

いつもより早めに起きた私はリビングでテレビを見ていた。

その時だ。検察が来たのは。

ピンポーン

「(朝からいきなり来客か?)通してください」

そう使用人に声を掛けた。そうすると、スーツ姿の男らがリビングに入ってきた。

「千葉地検特捜部の松添です。雪ノ下英昭さん、あなたに贈収賄とインサイダー取引で、雪ノ下夏希さんには所得隠し、インサイダー取引、脱税で、それぞれ逮捕状が出ています。ご同行を」

「千葉県警の山越です。都築聡さん、あなたには自動車運転過失致傷で逮捕状が出ています。ご同行を」

「待ってくれ、何故都築に逮捕状が出ているんだ?都築さん、プライベートで事故を起こしたのか?」

「いえ、起こしてませんが」

「一年前、御宅が起こして隠蔽した事故の件で被害者の親族が表に出すことにしたんですよ。比企谷八幡さんは覚えていますか?」

「彼の親族が?誰です?」

「・・・比企谷秀一郎さんです。御宅の次女の雪ノ下雪乃さんが、修学旅行で自身が受けた依頼を八幡さんに丸投げした挙げ句彼の解決法を否定したそうで。葉山とか言う生徒も関与しています。それで今日の朝八幡さんが行方不明になったそうで。それで警察では名誉毀損と侮辱の罪で雪乃さんを逮捕しました。葉山など、他の生徒と一緒に」

「八幡さんが失踪したせいで比企谷本家は相当キレてます。あなたの馬鹿娘2人組は本家筋の人間を傷つけて本家を怒らせたんですよ。こういった人達を怒らせてはいけないとか教えなかったんですか?教育不足ですね。兎に角、あなたたちはもう終わりだ、雪ノ下」

私たちは何も言えない。

そうか、私たちは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分達は名家で他は屑だと、思い上がってただけだったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も言えないまま、私たちは連行された。

 

 

 

 

 

 

雪乃side

 

千葉県警本部

「・・・はい、了解しました。雪乃さんに伝えておきます」

菊名さんは電話を終えて、机を挟んで向かい側にある椅子に座った。

「雪乃さん。落ち着いて聞いてください。貴女の両親と、運転手の都築さんが逮捕されました。」

「・・・逮捕?」

「英昭さんは贈収賄とインサイダー取引、夏希さんは所得隠しとインサイダー取引と脱税、都築さんは自動車運転過失致傷です。都築さんについては、一年前の事故が明るみに出たと考えると早いでしょう」

私は言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、私を守ってくれる盾が、無くなったのだから。

 

 




さて、雪ノ下家が崩壊し始めましたね。

陽乃さんがどうなるかは、今後の話。


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#7 失踪1日目のニュース(12時頃)

今回は1日目のテレビニュースの模様をお伝えします。


キャスター「正午のニュースをお伝えします。本日朝方、贈収賄とインサイダー取引の容疑で千葉県議会議員で、雪ノ下建設専務の雪ノ下英昭容疑者、所得隠しとインサイダー取引と脱税で雪ノ下建設会長兼CEOの雪ノ下夏希容疑者、自動車運転過失致傷で雪ノ下建設運転手の都築聡容疑者の計三人が千葉地検、及び千葉県警に逮捕されました。逮捕の影響で、雪ノ下建設を始めとする雪ノ下グループの株価は、今日9時の取引開始と共に暴落し、雪ノ下建設系企業の株価が大きく値下がりしました。東証より中継です」

記者「はい、現在の雪ノ下建設の株価は666円で、ストップ安。傘下の雪ノ下ホームもストップ安で242円。雪ノ下リフォームシステムズもストップ安で178円です。東証によると現在取引停止などの処分は決まってないとのことです。以上中継でした。」

キャスター「では、次のニュースです。四菱グループの四菱自動車工業と四菱電器産業が今日10時に共同会見を開き、アルカディア、アローなど、2車種2万8000台に搭載されている四菱電器製液晶モニター及びカーナビのリコールを行うことを発表しました。四菱自動車によりますと、今年5月ごろからカーナビや液晶ディスプレイについてのクレームが数百件発生しており、調査を行ったところ、カーナビや液晶ディスプレイの配線が充分に行われてなかったこと、液晶ディスプレイ自体にも欠陥があったことが判明。四菱電器と協議して今回のリコールを行うことになったと発表しました。四菱自動車会長兼CEOの比企谷正司氏は、『今後は配線等のチェックを厳しくして再発防止に努めていく』とコメントしました。四菱自動車では明日より全ての取扱店で改修を開始するとしています」

キャスター「次のニュースです。今朝、千葉県千葉市在住で、千葉市立総武高等学校の生徒の比企谷八幡さん17歳が行方不明になっていることが千葉県警関係者への取材でわかりました。県警関係者によりますと、比企谷さんはいじめを受けており、耐えきれなくなった等の書き置きを遺して行方不明になっており、警察は誘拐などではなく本人の自発的な失踪であるとみています。これにより、今日総武高校に文部科学省、千葉県、千葉市の両教育委員会、千葉県警、警察庁による臨時立ち入り監査が入り、いじめに関与していたと見られる生徒らが侮辱、名誉毀損、器物破損等の容疑で逮捕されました。警察は比企谷さんの行方を調べています。以上、この時間のニュースをお伝えしました」



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#8 雪ノ下陽乃の会談①

更新しないと言ったな?



あれは嘘だァァァァ!


陽乃side

 

ふぅー、やっと講義終わった。

大学の講義を終えた私は、友達と外で弁当を食べていた。

午後は講義が無いから、図書館で勉強しよっかな・・・。それとも家に帰ってのんびりかな?雪乃ちゃんとこに行って比企谷君やガハマちゃん弄るってのもありかも!

そう考えていると、友達が信じられない事を話してくる。

 

 

「そういえばさっきニュース見て知ったんだけど、陽乃の両親と都築さんだっけ?運転手の人もだけど、捕まって雪ノ下グループの株価ストップ安なんでしょ?大丈夫なの?」

 

 

 

・・・え?

「・・・私、今知ったんだけど・・・」

「そうなの?何か、千葉地検と千葉県警が逮捕に動いたらしいよ。後、都築さんのは1年半前の事故が明るみに出たみたい」

 

・・・1年半前?

ってことは、比企谷君がばらした?

そう思ってると、友達が更に爆弾を投下してくる。

 

「その事故の被害者も今行方不明で、警察が失踪とみて捜索してるって。それで、総武高校に捜査員が入って比企谷君をいじめてた生徒を捕まえて、平塚先生が逃走中だって」

 

・・・いじめてた生徒が捕まったと・・・もしかして、隼人も捕まったのかな?

 

「・・・ゴメン、もう帰るね、家が心配だし」

「・・・うん、また新しい情報入ったら連絡するね」

 

そうして、私は家へと急いで帰ることにした。

大学を出ると、何処からか声が掛かってくる。

「雪ノ下陽乃さんですね?」

「どちら様でしょうか?」

「四菱グループの関内と申します。四菱グループ議長の比企谷秀一郎様が、雪ノ下様にお話ししたいことがあるので、お伺いしました。リムジンの中で秀一郎様がお待ちです。あなたが得たい情報があるかもしれません。どうぞこちらへ」

関内と名乗ったその運転手の男性はリムジンのドアを開けた。

比企谷秀一郎と話せば、真相がわかる・・・

そう思って、私はリムジンに乗った。

 

リムジンの中に居たのは、黒のスーツを着こなした白髪の男性。何度かテレビで見たことのある人だ。

比企谷秀一郎。

元文部科学省事務次官にして現四菱グループ議長。

私が知ってるのはそのくらいだ。

 

「雪ノ下陽乃さんだね?儂が比企谷秀一郎だ。この度はいきなりお伺いしてすまない。ただ、急を要する話だったから、ご容赦願いたい」

「いえ、気にしないで下さい。それで、話とは何ですか?」

「・・・孫の、比企谷八幡のことだ。行方不明になっているのは知っているだろう?その流れで、警察が捜査に乗りだし、君の妹、雪ノ下雪乃さんも逮捕された。そして、儂は1年半前、八幡が事故に遭い、雪ノ下家がもみ消した事を警察にリークした。都築さんが逮捕されたのはそれが理由だ。ただ、あなたの両親が逮捕されたのは証拠が見つかったからでしかない。雪乃さんについては、早めの釈放をお約束する。実は、八幡から手紙が届いた。陽乃さんに渡してほしいと言われていたので、今ここで渡させてもらう、良いな?」

 

「・・・はい」

 

そうして私は手紙の封を開けた。



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#9 八幡、京都へゆく。

久しぶりの八幡登場。



そして、更新が遅れた理由。
○修学旅行でケータイ一時的に壊れた。
○好きな人に告白してフラれてスランプ気味。
○喘息の再発





ほんとにすみませんでした。


11:00 京都駅付近

 

『まもなく、京都、京都。お出口は、左側です。東海道本線、山陰本線、市営地下鉄烏丸線などはお乗り換えです。今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました』

このアナウンスで俺は起きた。

もう京都についたのか・・・

まあ、早いに越した事はない。

ポルタで昼飯食って太秦まで行けば良いか。

下車の準備をしてデッキへ向かう。

 

 

ポルタ

 

さて、飯は何処にすっかな・・・

なるべく空いてるところ・・・おっ、あそこなら丁度入れそうだ。

「『京おばんざい 紫陽花屋』か・・・ 」

中は少し混んでるくらいですぐに入れた。

ランチメニューを見て何にするか決める。

 

・・・空いてたからか早く料理が届いた。

味は・・・すげぇ美味い。

どうやら物凄くいい店に入ったようだ。

値段もお手頃だし、良かった。

会計を済ませ、俺は烏丸線のりばへと向かう。

 

 

烏丸線京都駅

 

ホームで電車を待つ。

取り敢えず烏丸御池まで行く。

御池を少し散策したら太秦に行くとしよう。

そう考えながら俺は、電車に乗り込んだ。

 

 

 

烏丸御池

 

 

地下鉄を出て直ぐに、俺はマンガミュージアムへと向かう。ここは一度も来たことが無かった場所だ。

中に入ろうとすると、ある人物から声をかけられた。

「そこの君。ちょっといいかな?」

警察か?知らないが応えておこう。

「何でしょうか?」

どうやら警察では無いようだ。鞄を持って、髪を上で結んでいる、どこか不思議な女性がそこにいた。見た感じ大学生だろうか。

「・・・君、何か悩みを抱えてない?」

いきなり何言うんだこの人・・・

「悩みなんて無いですよ。用件はそれだけですか?」

「まあまあ、そう身構えないでよ。何でも話してみなさい、比企谷八幡君」

「何で俺の名前を知ってるんですか?」

「私のこと覚えてないの?小さい頃一緒によく遊んだでしょ?」

・・・よく遊んだ?

もう一度その人を凝視してみる。

・・・確かに、どこかで見た感じが・・・まさか

「ミユ、姉か・・・?」

「うん、ひさしぶり、八幡!」

 

 

突然の再会に思わず俺は内心驚いていた。

烏丸ミユ。

小さい頃、うちの隣に住んでた人だ。

俺は彼女の事を「ミユ姉」と呼び、一緒に遊んでいた。

しかし、彼女は中学後半の頃にフランスへと留学に出たのだ。

それ以来、彼女とはずっと音信不通だったのだ。

「こんな日に、しかもこんな時間帯にここにいるって事は、学校には行ってないんでしょ。何があったか話してみそ」

「・・・少し長くなるぞ」

「・・・良いよ」

 

そして、俺はこれまでにあったことをすべて話した。

そして、話を終えるとミユ姉は俺を抱き締めて、

「・・・よぐ、がんばっだね、はぢまん・・・」

泣きながらそう言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずるいぞ、ミユ姉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺まで涙出ちまっただろ。

 

 




ヒロインはミユ姉ではありません。
メインヒロインはそのうち登場しますよ。



陽乃編の続きはまた次回。


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#10 雪ノ下陽乃の会談②

新年明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いします。


さて、これから暫く更新ペースが落ちる場合があります。
作者は学年順位を大きく落としてしまいました。
学生の本業は勉強ですので、そちらを優先していきます。
ご理解の程、宜しくお願いします。


私は比企谷君が残した手紙を読んでいた。

 

私はそこに書いてあることが信じられなかった。

比企谷君が比企谷本家の直系であったこと。

比企谷君が一族で最高傑作とも言える官僚候補生だったこと。

そして・・・

 

 

比企谷君が修学旅行で受けた依頼で、雪乃ちゃんとガハマちゃんに拒絶されたこと。

その依頼で二人は特に何もしてなかったこと。

隼人が自分のグループを守るために比企谷君に犠牲になるように言ったこと。

海老名?ちゃんの本当の依頼に二人が気付けなかったこと。

 

 

その他色々と、信じがたい事柄が続々と出てきた。

実際、雪乃ちゃんは自分から変わろうとする気無しで周りに変わろうとさせる辺り、雪乃ちゃんの事は本当なのだろう。

ガハマちゃんも本当、隼人も言うまでもなくあいつはそういう人間。

 

そっか・・・。雪乃ちゃんもガハマちゃんも、歪んできてるなぁ。隼人はもはやダメかもしれない。

 

手紙を読み終えると、秀一郎さんは言った。

「手紙に書いてあることは全て本当だ。雪乃さんは、この後書類送検の上釈放。後日略式起訴され、指定日に千葉簡易裁判所に出頭し、略式裁判を受けて、判決通りの科料又は罰金を支払うか、1カ月以内は拘置所に拘留される。ご両親と都築さんは、身柄ごと送検、起訴、裁判といって刑罰を受ける。ここまではわかるな?」

「はい。わかっています」

「あなたの事で、八幡は言っておった。あなたは、厳しかったり、魔王の様な感じでもあるが、妹想いで優しい人間でもあると。なので、陽乃さんには被害が及ばないようにしてほしいとも頼まれておる」

・・・あんなにひどいことをして、比企谷君が嫌われる原因を作ったのに?

「私は善人じゃありません。妹も、妹の周りの人も困らせて、壊してしまう。私も罰を受けるべきなのに」

「でも妹さんの事を大切にしていたことに変わりは無いのだろう?それに、ご両親が捕まった以上、雪ノ下家と雪ノ下建設は危機に陥る。私は雪ノ下建設の技法や伝統を守りたい。そのためにも、陽乃さんには協力してほしいし、頑張ってほしい。それは、私も八幡も変わらんのだよ」

秀一郎さんはお茶をすすり、続けて言う。

「陽乃さん、あなたに提案があります。一旦、京都の四菱大学京都キャンパスの経営学部に転学しませんか。勿論今の大学の成績をベースにしますので再履修の必要はない。そして、四菱地所に来てほしい。同時に雪ノ下建設の買収を進めて、四菱地所を中心に再建を進めます。ゆくゆくは四菱地所から独立して、雪ノ下建設を復活させるのです。どうでしょう。私からすれば、雪ノ下側にとっても悪い話では無いと思いますが」

 

 

 

 

雪ノ下家の未来を左右する大事な質問を投げ掛けられた。

 

 

「・・・私、は・・・・・・」




はいここまで。
次回をお楽しみに。


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#11 雪ノ下陽乃の決断/比企谷萌の恋心

2月は14日水曜日から神奈川県は公立高校入学者選抜共通本日程に入ります。
受験生の皆様頑張ってください。
作者の私は高校在学中なので休みです。






前回のあらすじ
陽乃は秀一郎から手紙を貰い、八幡の身にあった出来事を知る。そして、今後の雪ノ下グループの行方を左右する決断を迫られる・・・





比企谷華(元は『地下鉄に乗るっ』の太秦華)
雄大の妻で、専業主婦。
比企谷萌(元は『地下鉄に乗るっ』の太秦萌)
雄大の娘。高校生で、四菱学園高等部2年。
八幡に好意を抱いており、八幡に会えるのを楽しみにしている(メインヒロインキタァァァァァ!)。
白河澄(『京ガールズデイズ~太秦萌の九十九戯曲~』より)
萌の同級生。萌とよく京都を回って写真を撮っている。



注意:作者は神奈川県民です。京都弁も「地下鉄に乗るっ」の小説「京ガールズデイズ~太秦萌の九十九戯曲~」を参考にしていますが、どうも変になってしまいますので、予めご了承下さい。


陽乃side

 

私は悩んでいた。

チンケなプライドを取るか、安定した未来を取るか。

私の答え方によって、今後の雪ノ下家の未来が決まる。

それなら、答えは一つだ。

覚悟はできた。

「・・・お願いします。私を転学させてください。」

「本当に良いのだな?覚悟はできておるのか?」

「ええ、十分に」

「・・・よかろう。試験は必要ない。住まいも手配しよう。ただ、京都には八幡がおる。ぬしは、八幡を傷付けることはしないと私に誓えるか?」

「・・・はい、心から誓います。」

私がそう言うと、秀一郎さんは大笑いした。

「ガッハッハ。まさかここまで意志の固い人だとは思わんかった。ぬしを信じようではないか。」

「っ!・・・ありがとうございます」

「気にせんでえぇ。さて、まずは雪ノ下建設の本社に行こう。この事を伝えるんじゃ。で、千葉地裁に行って四菱地所を支援先とする会社更生法の適用を申請する。最後に成田に行って雪ノ下建設株のTOBを発表する。」

「会社更生法を適用するのにTOBは必要なのですか?」

「他の会社やヘッジファンドに株を取られたら意味がないだろう」

・・・なるほど、確かにそうね。

「では、それでお願いします」

「ああ、しかし、うちに来るからにはしっかり学んでしっかり働いてもらうぞ」

「ええ、わかってます」

 

数時間後 ニュース

「速報です。株価暴落につき経営難に陥った雪ノ下建設は、四菱地所を支援先として、千葉地裁に会社更生法の適用を申請しました。現時点では詳しい情報は入っていませんが、後日記者会見を開くとしています。また、四菱地所も、雪ノ下建設株全株式のTOB、株式公開買い付けを実施することを発表しました。四菱地所による経営再建は確実な情勢となっています。」

 

 

萌side

 

私の名前は比企谷萌。

京都の四菱学園高等部国際科に通っとるんよ。

で、今日は親戚の八幡くんがこっちに来るて、お父さんが言ってたんやけど、物凄いドキドキして、学校どころじゃないんよ。

八幡くん優しいし、目は澱んでるけどイケメンだし、どこかお兄さんみたいな感じがあって、つい甘えてしもて。だから一族の女の子からモテモテになってはるんやろなぁ。

まだかな~まだかな~♪

「・・・・・萌、・・・・・萌ってば!」

「・・うぁ!ごめん澄ちゃん」

「もう、またボーッとして。・・・あ、また八幡くん?の事考えてるんでしょ」

「な!?何でわかるん?」

「そりゃよく一緒にいるからじゃない?」

この子は白河澄ちゃん。

東京からきた転校生で、私の友達。

カメラって言う共通の趣味があるから、よく一緒に京都の町を回って写真を撮りに行く。

「そう言えば、萌と八幡くんの出会いってどんな感じだったの?」

「う~ん。あれは7年前の事なんやけど・・・」

 

 

~比企谷萌の回想~

 

7年前の8月 千葉県成田市 比企谷家本家

 

『それでは、八幡くん10歳の誕生日のお祝いと、今後の更なる発展、成長を祈って、乾杯!』

『『『乾杯!』』』

成田で盛大に開かれた、八幡くんの誕生日パーティ。

八幡くんはやらなくていいと言ってはったのに、秀一郎お爺様が絶対開くと宣言して開いた。

秀一郎お爺様曰く、

『成田セントラルスクール(比企谷一族と四菱グループの官僚・経営者育成機関)を史上最短の2年で出た逸材の誕生日は盛大に祝わなくてはいかんのじゃ!』

そうな。

お父さんはずっと成田に来れてなかったから、達哉伯父さんに挨拶する言うて、私もそれについていったんよ。

そこで、八幡くんと出会った。

「私、比企谷萌!よろしくね」

「ひ、比企谷八幡。よろしくたにょむ」

噛んどる。この子噛んどる、可愛い。

「うぅ~。忘れてくれぇ~」

顔を赤くして忘れろと言う八幡くん。もっと可愛くなっとる。

そのあと、いろんな事を話したなぁ。

八幡くんは物知りやった。いつか私も八幡くんみたいに賢くなりたいと思った。

 

 

~回想終了~

 

「最初は憧れとったんよ。でも、毎年八幡くんが来る度にその思いが変わってきて、恋心に変わったんやなぁ」

「そっか。じゃあ、私行くね」

「うん、また明日」

さて、私も家に帰らんとね。

 



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#12 比企谷家崩壊

比企谷達哉左遷決定後の話。




比企谷歩美(旧姓 岸部)
八幡と小町の母親。達哉の妻。
四菱カープラザ千葉幕張店勤務(四菱自動車本社採用)。
八幡と小町のことをわりかし平等に扱う。
八幡の失踪について何とも思わない達哉に失望し、手紙と離婚届を家に置き、小町と共に鳥取の実家に帰る。
岸部一輝
歩美の弟。四菱商事人事部長。
達哉の左遷を伝えに来る。




歩美、一輝の岸部と言う旧姓は、テレビ見てたときに岸部一徳が出てる全保連のCM見てそこから出てきた感じです。


歩美side

千葉市美浜区幕張 達哉左遷決定の5分後

私は比企谷歩美。幕張にある四菱カープラザ千葉幕張店と言う千葉県最大の自動車販売店に勤務している。

今日は昨夜から事務所に缶詰め状態で、今日の正午には解放される。

うー・・・早く帰って休みたい。

そんなことを考えながら仕事していると、ある人が来た。

「姉さん、大変なことになった」

弟の一輝だ。四菱商事で人事部長になっている。

本社にいなきゃいけないはずの彼が来たのだ。一大事に違いない。

「わざわざ丸の内から人事部長が出てくるんだもの。そりゃ大事が来るわ。何?達哉が転勤でもするの?出向?それとも出張?流石に本家3男のクビは無いわよね?」

「2個目。それもかなり質が悪い。左遷だよ」

・・・・・・は?左遷?マジで?

「大マジ。ド田舎に左遷だよ」

「心の声が読めるのか弟よ・・・。で、達哉は何やらかしたの?」

「八幡君が失踪して行方不明。それにたいして、達哉さんは親でありながら気にもせず小町ちゃんだけしか気にしない。捜そうとせず、本家が何とかするだろうとしか言わなかった。良司さんが『ネゴシエーションに長けて有能な奴でも、家族を見捨てる様な奴は必要ない』って言って新函館北斗の四菱石油の営業所に左遷されたんだよ」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・八幡が、失踪・・・?

 

 

 

 

「ちょっと待ってよ、八幡が失踪てどういう事よ!」

「・・・総武高校で他の生徒から汚れ役を押し付けられ、スケープゴートにもされ、いじめられていたそうだ。奉仕部とか言う部活の生徒からも、そいつらは何もせず依頼を八幡君に押し付けてあげくのはてに拒絶され、置き手紙を残して逃亡した。今は京都にいるそうだ」

「京都・・・そう、雄大君の所にいるのね。しかし、達哉、見捨てるなんて・・・私も、小町に構いすぎな所あったけど、見捨てたりはしないのに・・・」

・・・もう、別れましょうか。

「一輝、ここまで報告ありがとね。もう仕事あがって市役所行ってくるから」

「・・・何しに行くんだ?」

「決まってるでしょう。私と小町の分の転出届と、離婚届を貰いに行くのよ」

「いや、職場どうするの」

「私は本社採用だし、秀一郎さんに謝罪して、四菱自動車の鳥取支社に異動させてもらう様に頼むわ」

「そうか。まあ、異動は俺の方で手配しとくから、帰る準備しときなよ」

「うん、ありがとね」

そう一輝にお礼を行って、店長に訳を説明し、私服に着替えた私はタクシーで市役所に向かい、転出届と離婚届を受け取り、小町の学校に向かった。

そして私は、小町の担任と、小町を呼び出して話す。

「実は、夫と離婚して、小町と鳥取の実家に帰るので、小町を転校させたいんです」

「え?離婚するの?で、鳥取?」

「そうよ。小町は?お父さん左遷だよ?息子を見捨てたんだよ?北海道まで行くの?あの糞野郎についてくの?」

「うわぁ・・・ないよ、そりゃ。お母さんについてく」

「と言う訳なので、お願いします」

「わかりました。事情が事情ですしね。生徒にはうまく説明しますので」

「助かります」

そうして、私と小町は家に帰り、支度をして、

「もうこことはお別れね。さよなら」

小町と私は、離婚届と置き手紙を残して家を出た。

 

 

 

達哉side

歩美たちが出ていってから20分後

 

 

 

家に帰った俺は目の前にある物に絶望していた。

 

 

 

「歩美・・・何故だ・・・?・・・・・・何でなんだよッ!」

 

 

 

 

 

目の前には、置き手紙と、離婚届があったのだから。

 

 

 




比企谷家崩壊!達哉大絶望!
次回もお楽しみに。


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#13 転校/再会

お待たせいたしました~。
では、どうぞ

四菱学園
小中高大のエスカレーター式。編入、転入も可。
京都と千葉にキャンパスを置いている。


海老名side

 

結衣たちが成田の捜査センターに連れていかれた翌日。

私、優美子、とべっち、戸塚君、サキサキ、城廻先輩の6人は、同じ成田にある比企谷家の本家に来ていた。

比企谷君のお祖父様に呼ばれたのだ。

「君達が通う総武高校はバッシングと言い何と言い、今とても大変になっている。もしかすると、大学入試にも響くかもしれん。だから、四菱学園に来ないか?」

四菱学園の説明を受ける。

小中高大のエスカレーター式だという。

高等部は普通科、国際科、政治経済学科、アスリート養成科、芸能科の5つがあり、全部で900人程の生徒が居るという。

大学では学部が10あり、成績優秀者、優等生は四菱グループ主要企業への内定が保証される。

また、修士、博士の課程を修了すれば、修士は200万円、博士は500万円の学問奨励金という所謂ボーナスをもらえるそうだ。

さらに、学内で給付型、貸付型の奨学金を導入していて、貸付型は基本無利子、利子が付いても年利0.1%程で済むという。

「四菱学園ってどこにあるんすか?」

気になったのか、とべっちが質問する。

「京都キャンパスと成田キャンパスの2つだ。君達は千葉にいた場合、釈放された連中と一悶着あるかもしれないから、京都に行ってもらうけどな」

「そう言えば、材木座君は?」

戸塚君が聞いてくる。確かに、材木座君は居ない。まず、呼ばれてすらない。それよりも、学校に来なくなった。

「材木座?あー、あやつか。先に京都に行っとる」

「なんでですか?」

「向こうが行かせてくれと頼んだからだ」

 

その後、手続きや学費について話を聞いた。

比企谷家側で全てやってくれるらしく、学費も向こうが負担してくれるという。

私たちは家と連絡を取り、転校することになった。

 

2日後 東京駅

 

「おはよー」

私達は東京駅で待ち合わせした。

そして全員が揃い、私達は京都へと向かう。

 

 

 

八幡side

 

ポルタで昼飯を食って、京都駅から電車に揺られ数十分。

太秦天神川に着いた。

駅を出て、10分ほど歩くと、洋風の庭付き住宅が見えてくる。

ここが、叔父一家の家だ。

インターホンのボタンを押す。

 

ピンポーン

 

『はーい、あ、八幡君~。今開けるからちょっと待っててね』

暫くするとドアが開く。

「久しぶりね、八幡君。背が前より伸びてるわね」

「お久し振りです、華さん」

比企谷華。叔母である。

元々高校の数学教師だったが、ある時今の叔父と出会い、結婚したという。

「雄大も今日有休取って今家でね。八幡君の事待ってるの。さあ、あがって」

そう促され、家に上がり、リビングに行く。

ドアを開けると、

「よ、久しぶりだな八幡。前より背が伸びてるし、目の濁りも少し取れたな」

叔父がいた。




ここまでです。
次回をお楽しみに。


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#14 場所は違えど、時計の針は再び動く。

こちらの方では、かなり久しぶりとなります。

まず、更新を長期にわたって見合わせることとなったことを、心よりお詫び申し上げます。

もともと心がやみかけていたような時期に書いた、私にとっては一種の中二病的存在な作品でありました。評価は賛否両論ということですが、それでも評価していただけることが私にとっては大きな存在でもありました。低評価でも高評価でも、評価する、感想を書くという行動をしていただいた皆様には心より御礼申し上げます。

しかし、大学に進み、憑き物のような病みもいくばくか取れてきた状況下で、あまり物語の展開が思いつかず、行き詰りました。更新について厳しいお声もいただきました。返す言葉もありません。

今回はもともと頭の部分を書いていた2つのエピソードを、1つにまとめてお送りいたします。

今後の更新については、現状ではあまり明るい兆しが見えない。ということだけ、まずは素直に申し上げます。
そのうえで、利用規約などに抵触することがないと判断できた場合には、作品に関する情報などを提供し、譲渡も視野に入れております。
詳しい事項については、メッセージなどでお聞きいただければ幸いです。

至らぬ点もあるかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。詳しくは、後日掲載予定の活動報告をご覧くださいませ。


八幡side

 

「お久しぶりです、叔父さん」

「ああ、久しぶり。まあ、座れや。あと、敬語なし」

「わかったよ」

そう言って、俺は座布団の上であぐらをかく。

「にしても、災難だったな。まさか、あんなことになってたとは」

「まあ、俺に大元の原因があるけどな」

「いや、原因は他のやつらだ。お前は悪くないさ、むしろ、よく頑張った方だと思うがな。贔屓目なしで」

「そう言ってもらえると、ありがたい」

暫く話してると、鍵が開く音がした。

「あ、萌が帰ってきたわね」

「・・・っ!?」

「八幡、どうかしたか?」

「・・・いや、どうしようかと」

「隠れたりしなくても良いと思うが」

「そうか」

・・・萌はどんな反応をするだろうか。

「ただいまー」

「お帰り萌。八幡君来てるわよ」

叔母さんが玄関に出ていった。

「え?もう来てるん?」

「ええ」

「そっか」

・・・なんか、あまり動じてないようだ。

それはそれで悲しいのだが。

「八幡君、久しぶり!」

満面の笑みで萌が現れた。

「久しぶりだな、萌」

 

 

陽乃side

 

あの会談から1週間が経った。

比企谷本家との会談の後は、ものすごく忙しく、あっという間に1週間が過ぎていった。

そして今、私は京都へ向かう新幹線の中にいる。

「比企谷君・・・」

・・・彼は京都にいると聞いた。今何をしているのだろうか。

 

彼にもう一度会いたい。そして彼に謝りたい。

・・・彼は私のことを許してくれるだろうか。

・・・いや、そんなこと考えてはいけない。許される許されないといったことを考える権利すらも、今の私にはない、いや、あってはいけないのだ。それ程の事をしてしまったのだから。

私が文化祭の時、委員長を唆さなければ。文化祭で雪乃ちゃんを煽るような真似をしなければ。文化祭で彼が悪役になってヘイトを向けられる引き金を引いたのは私なのだ。修学旅行の一件は隼人が元凶だが、文化祭においては責められるべきは私だ。・・・今更ながら、後悔している。彼を追い詰めてしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。

だからこそ、彼には謝らなければならない。心の底から、誠意を込めて、これまでの事を詫びたい。

「とはいえど・・・本当に馬鹿だな、私・・・。どうして彼のことを考えて動けなかったのか・・・」

彼のこれまでの言動とか、私や雪乃ちゃんへの態度からも、こうした結果になることはある程度考えられたはずなのだ。それなのに、私は・・・。

言い訳ができるとしたら、少しばかりは考えの中にあったが、四菱を牽引する比企谷一族との関係が、親と本家筋が薄くとも、比企谷八幡本人と本家筋とのつながりが予想外に強力であった・・・。

これを言い訳としても所詮は言い訳。しでかしたことが消えるわけでもないし、免罪符にすらならない。

考えすぎるときりがない。車内の喧騒から意識を切り離すために、イヤホンをつけて適当に音楽を聴くことにする。

 

『嫌いを100と40字 鍵付きの心 言葉とナイフ

泣き言で着飾って お化粧は大層綺麗だろうな

あやとりをしましょうか 赤い糸に隠れるピアノの線

貴方はもう共犯者 手に取った凶器の 言い訳をどうぞ』

 

・・・今のメンタルだからこそだろうか。かなり心にいたく来る。自動選曲だったからか。曲名を見てみる。

 

「『メリーバッドエンド』か・・・。ははは・・・」

 

・・・彼に強化外骨格ともいわれた、壁とも呼べる心の防壁が、音を立てて崩れ去っていく気がした。




今回登場した楽曲
「メリーバッドエンド」まふまふ


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