ひょんなことから転生しました (雷蛇1942)
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本編
とりあえず死んだので転生しました
――日の照りつける町を歩く
さすがに今年の夏は暑すぎる、ニュースにもなったが異常気象なんだそうだ。
地球温暖化で気温上昇の速度が例年以上なんだと
まだ7月上旬でありながら気温は36℃を超えている、さらに湿度も高いので余計に暑い
そんなことを考えながらいつものように行きつけの本屋に向かおうと横断歩道を渡ろうとしたまさにその時
右方向からかなりの速度でトラックが突っ込んできた・・・
痛みさえも感じることなく意識が消し飛んだ
「・・・ここは?」
意識が戻ってきた、体に痛みはない
周囲の状況から察するにここは病院ではない、何せ俺は寝かされているわけではなく自立しているしさらに言えば俺の視界に移るのは何もないただただ白い空間
「意識が戻ったか?気分はどうだ?」
申し訳程度に身を案じるテンプレートで語りかけてくる声が真後ろから聞こえた
「誰だ?さっきは後ろに誰もいなかったはずだが?」
「私のことはどうでもいい、自分がどうなったのか分かるか?」
うん、俺の問いには答えないのか
「確か、本屋に向かってる途中でトラックにはねられて・・・そうだ!あのトラックはどうなった!?」
「まあ落ち着け、お前さんはそのトラックにはねられて即死だ。原因はドライバーの居眠り運転だ・・・本来はまだ死なない運命なんだが、死んでしまったものは仕方ないので転生させてやろう!」
は?何言ってるのこの爺さん?なにこのラノベ的異世界転生展開
白い何もない空間で軽くパニックに陥りかけていた
「とりあえずお前は緋弾のアリアの世界へ行ってもらう、まあいくつか願いは聞いてやるから安心しろ」
緋弾のアリア?願い?てか何?死んだの?
時間差で湧き出る疑問の数々当然状況なんて理解できるはずがない
「ま、待ってくれ状況がうまく飲み込めないてか認めたくない!」
家族はどうなる?でも転生できるってことは元の世界に戻れる?いや、でもそんなに都合がいいはずが・・・
「つらいのは分かる、だがもう戻れない。一度死ねばもう同じ世界には転生できないんだ、代わりにお前の望みなら何でも叶えてやる」
「・・・分かった、なら1つ目は家族を幸せにしてくれ、俺が死んだ事から立ち直れるように」
「分かった」
「2つ目は見たことのある能力を使える能力をくれ、3つ目は東方の能力をすべて見たことがあるようにしてほしい、4つ目はMGS各種武装と兵器を、最後に現実世界のありとあらゆる武装及び兵器をくれ」
「そうか、それだけでいいのか?」
「ああ、別にこれ以上求めるものはない」
これ以上は必要ないはずだ、自分に言い聞かせるように、未練がこの世界に残らないように考えた結果がこれだ、本当は生きていたかったが戻れないなら仕方がない
別の世界で懸命に生きることにしよう
「すまんが早くしてくれ、この世への未練が捨てきれなくなっちまう」
「分かった、頑張れよ」
そう言われた瞬間視界が暗転した
「つらく、苦しい人生になるかもしれんだが決して自分を見失うなよ・・・黒羽」
どうも、初投稿です
こんな駄文を読んで下さりありがとうございますm(_ _)m
あまりアリアは登場しない可能性が微レ存です。
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転生したけど早速死にそう
暗転した意識が戻り気がつけば俺はベットで寝ていた
「知らない天井だ・・・」
異世界転生したら一度は言いたかった台詞を試しに言ってみる
とりあえず起き上がって部屋の中を見てみる
「ん?何だこの書類」
部屋の中心にあったテーブルの上に数枚の書類と一枚の手紙が置かれていた
書類によると
今日朝9時から武偵校で入学式がとり行われること、すでに俺は合格していること、そして武偵は銃刀剣類の装備が義務付けられていることこれらが書かれていた
そして手紙に目を落とす
黒羽 響
お前が一度死んで転生したことは分かっているな?
一応これを言うためだけに手紙を置いておく事にした
くれぐれも人を殺すことはないようにな、それと能力を試しておけよ
いざという時に使いこなせなければどうしようもないぞ
by神
「・・・あのおっさん、神だったのか」
今更ながらの感想を口にしながら能力の確認に移る
「とりあえず境界を操れるかどうかだよな」
ブォォン
表現の仕方がよくわからない音と共にスキマが開いた
「へー案外簡単にできるな、時間もないし能力のチェックはぱぱっと済ませるか」
少年能力確認中・・・
「なるほど、使わない能力はoffにしておけるのか」
Offにできるなら心を読む必要はないし、氷を操る必要もなければ破壊する必要もない・・・いくつか能力をoffにしておくことにしよう
スキマから制服を取り出しCQCナイフを腰のシースに収め、キンバーICQBをレッグホルスターにしまう
「7時55分か・・・多少早いが町も見たいしチャリで行くか」
エントランスの前にスキマを設置し自転車を取り出すつもりが何度やっても軍用バイクが出てくるのみである
「あれ?何で?ああ、言ってなかったからな・・・」
過去に自分の言った言葉を思い返してみる
確かに自転車は要求していなかった
「バイクか・・・運転できる自信が・・・そもそも免許あったっけ?」
財布の中身を確認してみるとなぜか大型バイクの運転免許証が入っている
「何であるの?・・・まあ、これしかないなら、いいか」
走り始めて約4分後
カーブを曲がりきれずガードレールに衝突、そのままバイクから盛大に転落した・・・
「痛っ!乗ったことのないバイクなんて乗るもんじゃねえな・・・」
やはりバスを使ったほうがよかったかもしれん
自分の周囲を見回したがら状況を理解しようと務める
どうやら4mくらい落ちたみたいだ
バイクは落ちてきていないからおそらくガードレールに引っかかっているのだろう
響自身は右腕が明後日の方向を向いている以外は大丈夫そうだ
「待てよ、これダメじゃん・・・腕曲がっちゃいけない方向に曲がってるけど」
おそらく落ちてる途中で折ったのだろう
スキマから固定具と包帯を取り出しサバイバルビュワーよろしく無理矢理腕を元に戻す
「がはぁ!」
元の向きに戻した腕を固定して空を飛ぶ
道路に戻るとやはりバイクはガードレールに引っかかっていた
「バイクにはもう乗りたくないな・・・」
バイクをスキマに片付け空を飛んでいくことにした
ただ見つかるとまずいので光学迷彩を装備する
「そういえばここ東京だよな・・・こんなカーブあったか?」
そう、思えばおかしい地形が自分の知っているものではない
まあ自分自身あまりこっちの方に来たことはないので元からあったのかもしれないが
この日一人の武偵がチャリジャックに巻き込まれたことを知ったのは学校に着いた後のことだ
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荒っぽい偏差値低めの学校
空を飛んでいるといろいろなものが見える
街を歩く人々の姿、人工的に作られた学園島など
だがひとつ困ったことがあるとすれば学校周辺に新入生や在校生が大量に居ることだ
「・・・どうやって学校に行くか」
一応光学迷彩を装備しているから人からは見えないがいざ地上に降りて解除したとき
どこから出てきた?という風に不審に思われるだろう
まあ、目立たない場所に降りて解除すればいいのだが・・・
とりあえず高度を下げ人目につかない場所を探す
「ん?人が・・・いない?」
比較的人がいそうな道なのだが見事に誰もいない
ちょうどいいのでここに降りることにした
ここからなら多少走ればすぐにつくはずだ
「8時20分か、少し急いだほうがいいな」
学校まで目測で大体1200mくらいだろう走れば5分とかからない
人がいないのはおそらく時間が時間だからだろう、皆学校の近辺にいた
学校に到着してみると校門前でクラス発表が行われていた
「俺のクラスは・・・あった1-Aか」
まあ、正直どのクラスでも良かった
この世界には自分の友人はおろか顔見知りさえもいないからだ
教室につき自分の席に座ると少し離れた席の女子の周りがうるさいくらいだ
「あかり今年も一緒のクラスだな」
「そうだね!」
「あかりさん放課後はミートパイを食べに行きませんか?」
など断片的にだが会話の内容が聴こえてくる
女子はどの世界でもうるさいものだなと感心していると教室に担任と思われる人が入ってきた
「はい!静かに!着席しろ!」
急に教室が静かになった
今日は入学式の予定だから体育館に移動するのか
「じゃあこれから入学式とは名ばかりの学校説明だから視聴覚室行くぞ~廊下並べ~」
うん、予想外だしお前教師だよな?
投げやりすぎやしませんか?並ぶけどさ
視聴覚室にて小夜鳴という教師から武偵とはうんたらかんたらという説明を受け学校が終わった
にしても卒業までにはあの場にいたうちの何人かはいなくなってしまうというのは驚いたな
寮に戻ると上の階から声が聞こえてきた
会話の内容は聞き取れないが女子の話し声も聞こえたことから察するに付き合ってる男女が揉めているのだろう
「変に首を突っ込んで面倒事に巻き込まれたくないし放置!」
まあ、うるさくてかなわないので結局出かけることにした
出かけるといってもシューティングレンジに行くだけだが
できることなら格闘の訓練がしたいところだが友人がいないのでできないが
「そういえば明日だったな、身体検査」
聞く所によると引率の先輩が格闘の実力を測るそうだ
だがまあ、転生前にやってたことといえばナイフを用いた格闘とCQCの真似事程度だしな
実践で通用するはずがない
通用するようにしなければいけないのだがな
そうこう考えながら学校のシューティングレンジに到着した
「えーと、とりあえずこのスイッチを押せばいいのか?」
ガタンッ!ウィーン
という音と共にターゲットが5,6m先に移動した
「ICQB・・・ガバメントの派生銃だったっけ」
左胸に3発頭に2発両足に1発ずつ撃ち込みターゲットを戻すと
左胸は命中弾2発1発が腹部に逸れた、頭部は命中弾1発首元を掠る形で1発が外れた
両足はどちらも外れていた
「まあ、普通よりは出来てるかな?普通がどの程度か知らんけど」
学校から出るとそこには数人の人だかりが出来ていた
はい、同日に3話連続で上げることになりました
原因は創作意欲の問題です
主人公の設定ここの書いておきますね
・黒羽 響
年齢:16歳
武器:キンバー ICQB/ウォーリアー、CQCナイフ
能力:見たことのある能力を使える程度の能力(ON、OFF切り替え可)
なんでキンバーのキンバーICQBなのかって?
私の趣味です!
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買い物時々喧嘩
校門前の人だかりの中心には2人の男女がいた
そのうちの何人かには見覚えが有る
「すまん、どういう状況か教えてくれるか?」
近くにいた同じクラスの奴に声をかける
人だかりの中心にいたのはやはり火野だった
「あいつが火野にちょっかいかけたらしくてな、その後は見ての通り一触即発だ」
教えてくれた奴に礼を言って2人の間に入る
武偵の中では武偵同士の争いに手を出さないという暗黙の了解がある
だが放置するだけ無駄だし大事になりかねないので介入させてもらう
「何してる」
「るせえ!関係ねえ奴はすっこんでろ!」
と叫びながら銃を抜いてきた
まあ、向けてきたんなら何されても文句はないよな?
相手の腕を掴み銃からマガジンを抜き取りつつスライドを外し
そのまま空いている右腕でスキマからスタンロッドを取り出し気絶させる
「かはっ!」
思っていた以上に手応えがない、銃を向ければ怯むとでも思ったのだろうか
残念ながらこちとら感情を操る能力があるんでね、恐怖という感情を押さえつけられる
「この距離ならハンドガンではなくナイフを抜いたほうが懸命だったと思うぞ」
もはや意識のない相手に語りかけ
スライドの外れた銃を拾い元に戻してからホルスターにしまってやる
流石に弾は抜いておくが
「大丈夫か?」
「Σ(゚д゚;)・・・だ、大丈夫、ありがとう」
目の前で何があったかわからない様子の火野に声をかける
見たところ外傷はないようなので大丈夫だろう
近くにいた適当な男子に医務室に運ぶように頼んでから帰る
「じゃあな、火野ライカ」
申し訳程度の挨拶を済ませ教職員の皆様が来る前に帰ることにした
それにしてもあの男子からは恨まれそうだな
絡んでいったあいつの自業自得といえば済む話だが、首を突っ込んでしまった俺にも問題はあったのかもしれんな、反省反省
今日あったことを思い出しながら寮に帰る道を歩いていると少し先にコンビニが見えてきた
「はぁ・・・コンビニよるか・・・」
朝確認したが俺の部屋の冷蔵庫には何も入っていない
つまり家に帰ったところで何も食えない
結果的に金に余裕はあるので数日分の食料を買い貯めしておかなければアメリカ軍やロシア軍のお世辞にも美味いとは言えないレーションでくらさなければならない
「とりあえず冷凍食品とカップ麺、それとレトルト食品にパンがあればいいかな」
適当に長期の保存が利くものを買っていく
今日の説明で聞いたが武偵校に来る依頼を達成すると報酬でちょっとの金は入るそうだ
「しばらくは今の所持金でどうにかなるかもだがやはり生活費くらいは稼がないとな・・・」
買ったものもって人目につかない場所に行く
なんでそんなとこ行くのかって?それはスキマを通って帰るからだよ
数日分の食料って案外重いからね、エレベーターを使うにしてもダルイ
「スキマの中を通るのは初めてだが案外広い感じなのか・・・てかこんなに武器収納してたんだ」
隙間の中には大量の銃が掛けられたラックと装備品がしまってあるロッカーそれに大量の車両に数十隻以上の艦艇にメタルギアが置いてあった
「サヘラントロプス、ZEKE、REX、RAY、それにアーセナルギアか・・・こっちは・・・護衛艦、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母、潜水艦まであるけどこれは使えないな」
確かに現実の兵器とかも要求したけど多すぎるだろ・・・
とりあえず今は必要ないからそのまま置いておくとして
今は自室に戻って飯を食うのが先だ
ええ、わかってます
戦闘描写下手ですね・・・え?違う?gdgdしすぎ?
すいませんね・・・
所々でMGS要素が見え隠れし・・・ませんね
こんな駄文を読んでくれてありがとうございます
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身体測定に近接格闘は入りますか?
あの日一人の男子を気絶させたことが教師に発覚し翌日蘭豹という教師から指導という名のストレス発散に使われた
まあ、時間止めたり光学迷彩で隠れたりして逃げたけど
その後でわかったがかなり危ない教師だったそうだ、なんでもよく生徒に50口径撃ち込むんだとかなんとか。防弾制服でも流石に骨は折れるだろ
そんな事もあったが無事に1限から参加しているわけで
「おい、聞いてるのか?」
「ん?ああ、はい聞いてますよ」
「とりあえずお前の身体検査担当俺だから、よろしくな」
俺に自己紹介してくるのは2年の遠山キンジだ
正直に言おう、さっきから「女子の担当じゃなくてよかった」だの「ヒスったら大変だからな・・・」等心の声が聞こえてくる
うるさいから能力offにしたけど
「とっとと終わらせるぞー」
「あ、はいそっすね」
まずは身長を測るそうだが・・・なんでライフルが一緒に置いてあるのかは気にしたら負け?
てかほかの奴らは数人ペアでやってるみたいだが余り物になっちまったからなのか?いいのか?これで
「黒羽響、身長168cmL1A1を使えるくらいか?」
L1A1か・・・俺の趣味じゃないな
メインアームHK416Dにするから別にいけど
「次視力検査な」
「うぃーす・・・視力か、確か転生前は1.5くらいあったか」
移動しながらこの世界に来る前のことを思い出してみる
「はいこれ、スコープ越しに視力測るぞ」
は?スコープ越し?そんなの誰でも見えるだろ
とりあえずスコープを覗いてみるがやはりよく見える
そもそも千里眼あるから距離とかあまり関係ないんだが
「えーと、右、下、左斜め上、右下、上、左・・・」
延々と同じ作業を繰り返すことになった
結局視力は2.5あった、体は転生前よりパワーアップしてるというかなんというか
この後はバリウムを飲んだあとみたいにグルグル回されたり体重計ったり等いろいろやらされた
「最後になるが運動神経測定だが、これは担当の生徒が勝負することで判定するんだが・・・ちょっと待てなんか騒がしいな、見てくるか」
声のする中心に来たがアリアとかいうSランク武偵が後輩3人をねじ伏せたところだった
「これじゃ測定にならないわね・・・あんた達二人で戦ってみなさい、今度は武器なしの素手で」
「え?志乃ちゃんと?」
「はい!喜んで!」
「あんたの相手は・・・そうね、君手伝ってくれる?」
おい待て俺か?
確認を取ったほうが判断しやすい
「・・・俺?」
「そうよ」
「火野と?」
「ええ」
「・・・ああ、はい、分かりましたよ・・・やればいいんでしょ?やれば」
もはやどうしようもない、この状態じゃ逃げられないしな
仕方ないので火野の近くに歩み寄る
女子に手を出すのはあまり気が進まないんだが
とりあえず場が整うのを待っていると数人だったギャラリーが気が付けばかなりの大人数になっていた
その中には昨日の揉め事のギャラリーや絡んでた男子もいた
ギャラリーが何か言ってるが気にしない
「準備はいいか?」
「問題ない、いつでも来い」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
火野に向かって駆け出す、火野もそれを見越していたようで投げ技の構えに入ったので
正面から殴るフェイントをかけ背後に回る
「甘いよ!」
肘鉄が飛んでくるのをギリギリでよけ腕を掴み地面に叩きつけようとするが
逆に後ろを取られるだが拘束自体を解くのは簡単だ
「詰めが甘いぞ、ルーキー」
腕の拘束を解き足払いをかける
「おっと、あぶね!」
上手いこと誘導できた
空中機動中は途中で回避はできない
そのまま大外刈りに持ち込む
「言っただろ、甘いって」
空中で体をひねり文字通り蹴り飛ばさて地面に叩きつけられるが
すぐさま反転し火野に向き直る
「今の技、悪くはないが実践では通用するかわからんぞ」
「やってみなきゃわかんないよ」
「・・・あまり使いたくないんだがな、許せ」
正面から後方に回り地面に叩きつけそのまま腕を捻り上げ動きを封じ重心点に膝を載せる
「それまで!」
アリアが声を上げる
それと同時に腕の拘束を解く、するとスポーツマンのように笑顔で
「ナイスファイト、案外強いね・・・負けてられないよ」
と話しかけてくる当然だが礼儀を知らないわけではない
礼儀として
「いや、お前もなかなかだった。あの技は我流か?」
など話してみてわかったがどうもCQCみたいな格闘術が得意らしい
まあ、男子連中から男女なんていうか小学生みたいな悪口を言われていることは知っている。自分でも認めているし、気にしていないと口では言っていたが、心をちょっと読んでみた感じだと気にしている。とりあえずは「いちいち低レベルの悪口は気にするなよ」と言っておいたが心の傷は癒えるのに時間がかかる
はてさて、この先どうなりますことやら
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ファーストミッション:前編
あの身体測定以来特に何もなく数ヶ月が過ぎていった
普通科の授業を受けその後自分の所属する強襲科で訓練を行い寮に帰る
転生前とほぼ変わらない、実単射撃をすること以外はだが
しかし世間ではどうもそうではないらしい
武偵殺しがバスジャックを起こすわ
空き地島に遠山キンジが旅客機を緊急着陸させるし
橋の上で夾竹桃とかいう奴がガトリングガンを撃ちまくったり
さらにその姉だという水蜜桃がパワードスーツで暴れたりしたらしい
らしいというのは世間ではタンクローリーの爆発事故という風に処理されているからだ
これだけのことがここ数ヶ月間の間に起きていればそりゃ世間も騒ぐだろうな
で、今俺が何をしようとしてるかというとそろそろ何かしら依頼を受けないと生活が危ういからだ
「依頼って言ってもな、高額報酬の依頼なんて・・・あった」
あった、報酬50万の依頼が
これだけの高額になればおそらく厄介事なのだろうが
依頼の詳細を確認する
「えーと、今週水曜に寄港するタンカーの積荷の護衛か・・・」
タンカーと聞くとどこぞの海兵隊が開発したRAYを思い出してしまう
積荷の護衛とは言うが詳細がどこにも書かれていないことが余計に不安を掻き立てる
「強襲科、探偵科、狙撃科から募集・・・とりあえず受けてみるか」
しかしまあ見事に誰も依頼を受けてないことから考えるにめんどくさいんだろうな
依頼書を持ち依頼主へ連絡を入れる
依頼主も依頼を入れるよう頼まれただけで詳しいことは知らないと言う
ますます怪しくなってきた
とりあえず護衛はメタくギアRAYで行うことにする
タンカーで何かあってもすぐ行動できるからな
東京湾
午後23:50からRAYでタンカー付近を潜行する
現状の速度を維持していれば明日朝05:00までには港に着くと思われる
水中で対潜、対空、対水上レーダーに目を光らせていると
対水上レーダーに反応があった、タンカーから小型のボートが下ろされたのだろうか
ゆっくりとだがタンカーから離れていく
「・・・タンカーには基本的に小型ボートは積載されていないはず、確認してみるか」
RAYの潜行する深度を潜水艦で言うところの潜望鏡深度まで浮上させる
「見たところタンカーの乗組員のようだが、妙だな・・・」
乗組員が途中で船を下りるなんて聞いたことがない
念のため空中に待機させていたキッドナッパーを追跡させその映像を確認する
「・・・女?」
銀髪の女だ、しかも傍らには剣のようなものまで置いてある
かなり不審だ、追跡にあと2機キッドナッパーを追加しておく
この依頼が終わり次第調べる他ない
同日、午後 SSR教員室
「その護衛!私たちが引き受けるわ!」
ダクトから上半人を出したアリアが星伽白雪の護衛に名乗りを上げる
その様子をダクトの中から嫌そうな目で見る遠山キンジを白雪が見つけるなり
「護衛は泥棒ねk、アリア達に任せます。でもキンちゃんも24時間体制で一緒に護衛してくれることが条件です!」
誰であろうと白雪を拉致させたりしない、そう心に誓いながら白雪の条件を飲む
ただ、何事もなければいいのだがな
響「さあ始まりました作者の自己満足あとがきコーナー」
作者「やめてくれるかな?そういうこと言うの」
響「事実だし」
作者「そうだけどね」
響「で?いつの間に俺メタルギア使えるようになってたん?」
作者「時系列で言えばキンジが空き地島に旅客機を着陸させたあたりに太平洋沖で」
響「うわぁ・・・助けてやれよ」
作者「描写を考えるのがめんどくsゲフンゲフン、そこらへんは原作重視にしたかったからさ」
響「よし、そこ立て根性叩き直してやる」
作者「やれるもんならやってみろ!返り討ちにしてやる!」
響「言ったな!やってやろうじゃねぇかこの野郎!」
作者「おう言ったよ!・・・あ、ちょっと待って!能力使って自分の攻撃力上げるのやめて!」
響「氏ねやぁぁ!!」
作者「イヤアァァァ!!」
あ、題名はアリアから引っ張ってきました
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ファーストミッション:中編
タンカー護衛の依頼を終わらせキッドナッパーの映像をiDROIDで確認すると
追跡させていた3機の映像の内2機の映像が止まっている
映像の送信自体は行われていることから地上に落ちたと考えられる
地面に落ちた2機を回収に向かう
「・・・凍ってる?この時期に」
キッドナッパーは凍って地面に縫い付けられていた
一応システム自体は生きている、氷を溶かせば使えるだろう
「冷却液でも漏れたか?」
冷却液を格納してるタンクを確認してみるが漏れたような跡はない
落ち着いて考えてみれば冷却液は冷やすことはできても凍らせることはできないはずだ
ならなぜ凍っている?
考えられる可能性はいくつかあるが、状況を説明するのに一番早いのは
「冷気、もしくは氷を操る能力者か・・・?」
能力者自体はこの世界に実在はしている
SSR、超能力捜査研究科が作られる程度には認知されているからな
IDROiDでキッドナッパーの位置情報を確認し、現場に向かう
「ここは?」
武偵校の近くにある車輌科、第三備品倉庫付近をキッドナッパーの位置情報は示していた
そして備品倉庫の扉の近くにキッドナッパーが凍って落ちている
ここまで来たはいいがこのままでは追跡が困難になる
「クリサリスを出すか?流石に光学迷彩を付けないと目立つな・・・」
キッドナッパーを1、2機出したところで見つからかどうかは分からん
追跡方法を考えている最中、響の後ろから大振りの剣を持った女が歩み寄っていく
「動くな、私を追っていたのはお前か?」
剣を背中突きつけ追跡者が響か質問してくる
「・・・確かにそうだ、だが動くと危ないのはそっちの方だ」
時を止めて空中に展開させたキッドナッパー20機を指し示しながら剣を下げるように促すが剣を下げる気はないらしいが相手に向き直る
「この程度で脅しになるとでも?ただ追跡して映像を送る程度の玩具がいくら大量にいたところで脅威ではない」
「勘違いしているようだから説明してやる、コイツには攻撃武器を搭載している。ただ映像を送る程度の玩具とは違う」
キッドナッパーに武器を取り上げるように命令を送る動作を隠しながら説明する
『目標発見、ワイヤー射出』
キッドナッパーの人工的な音声が周囲に響き渡ると同時に女の持っている剣を数機のキッドナッパーのワイヤーが取り上げる
「なんだ!?」
ワイヤーで剣を取り上げられ困惑する様子の女に対し一言だけ言う
「さて、俺の名は黒羽響・・・お前の名は?」
「・・・ジャンヌ・ダルク30世だ。名を名乗るのは構わないが私はやる事がある、すまんが剣を返してくれ」
「斬ってこないなら構わん」
ワイヤーから剣を外しジャンヌ・ダルクを名乗る女に渡す
「ジャンヌ・ダルクは15世紀に魔女として10代で処刑されたはずだ、ジャンヌ・ダルク30世を名乗るということは子孫という認識で問題ないのか?」
「ああ、問題ない。処刑されたのは影武者だ」
まさかジャンヌ・ダルクが出てくるとは思ってなかったな
名前どうにか略せないかな、長いんだよな・・・
「名前はどう呼べばいい?」
「呼びやすいように呼べ、ジャンヌと呼ばれることは多いが」
ジャンヌか、呼びやすくはなった
最初の険悪な空気からここまでよく進路変更できたと思う
ジャンヌの心を読んでみたが、ここに来たのは星伽白雪という武偵を仲間に迎えるためだそう
しかし、その中に出てきた「イ・ウー」という単語が何かまでは分からなかった
やはり詳細を調べたいところだが生憎捜査は専門外だ
うん、ジャンヌ出てきちゃったね、知ってたって?だろうね
それはさておき話の展開が都合良すぎるなと自分でも思うんですがそもそも異世界転生ものって都合のいいように出来てるから気にしないようにするべきですかね
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ファーストミッション:後編
あの後しばらく話していたがすぐに別れた
ただし、俺が光学迷彩を装備し追跡するためにだ
何故だかよくわからないが追わなければならない気がするのだ
ジャンヌを名乗る彼女の心を読んだ際に出てきた「イ・ウー」という単語
仲間に迎えるということを考えれば何らかの組織だ
だが俺は「イ・ウー」がどういうものか分からないし調べるツテもない
単独で追跡し、場合によっては組織に乗り込むかもしれない
仲間が欲しいところだ、後方から俺を支援してくれるような仲間が
「…(携帯?)」
携帯を取り出した彼女はさっき話した時とは全く違う声で
「白雪!俺だ!」
~sideキンジ~
タロットカードで占いをしている白雪を脇目に風呂に入っていると
「キンちゃんどうしたの?!」
脱衣所に白雪が突撃してきた
「は?なんだよ!」
「だって今電話で助けてくれって・・・」
「はぁ?風呂場から電話しねえよ」
「だ、だって確かにキンちゃんの声で・・・はっ!キンちゃんは、裸」
なんだこれ白雪が土下座してるぞしかも早口でなんか言ってる
「いや、それはいいから」
しかし妙だな、俺の声で白雪に電話がかかってきたのか・・・
~side響~
ジャンヌはすぐに電話を切った
何がしたかったのかは分からない、しかしひとつ分かった事がある
変装、変声の技術はかなり長けているということだ
「一度でも変装されたら見失いかねないな・・・」
スキマからソリッドアイを取り出し遠距離から追跡する準備を整える
最悪戦う事を考えると弾をゴム弾に変えCQCナイフをスタンナイフと取り替えておく
ついでに弾をゴム弾に変更したHK416Dもとり出し背中側にスリングごと回す
「さてと、ジャンヌが行動するまでの間どうやって時間を潰すかな」
現状無理矢理ステルスにしたクリサリスに追跡させている
キッドナッパーと併用して映像データを送信させ、そのまま追跡がバレないようにAIに命令を出しておいた
「俺と接触したことで多少なりとも行動するまでに時間を置くはず、それまでに今使ってる銃だけでもサプレッサーが使えるようにしたいところだ」
スキマからあらかじめ装備科で買っておいたサプレッサー用のハイダーを416Dに取り付けレッドドットサイトをつける
照準は適当に合わせておいた
ウォーリアーは一度スライドを外しバレルごとサプレッサー対応のバレルと交換した
スライド下部のマウントにレーザーサイトを取り付けておく、使うかどうかは別として
結局この日はメールを送った後は特に何も動かなかった
翌日の午前中に事態は急展開を迎えた
白雪が自ら姿を消したのだ
「徹夜で追跡してて正解だった、まさか第三備品倉庫にまた来ることになるとは思ってなかったがな」
独り言を呟きながら第三備品倉庫に向かって走る
なぜ走るかというとサーマルゴーグルを使わないとステルス状態にしてあるクリサリスにぶつかるからだ
外の状況が分かるよう索敵機として飛ばすにしてもこの巨体は考えものだ
キッドナッパーだけを索敵機として残しクリサリスをスキマにしまう
「全く、どうしてこうなるかな・・・」
響が扉の前に着いた時には既に遠山キンジが地下に向かうところだった
光学迷彩を使うことも考えたが周りから見えないと言うのは流れ弾が当たる可能性がある
「光学迷彩は使えないし見つかってもダメか・・・」
追跡者である響が目立つわけにはいかないので見つかってはいけないのだ
「・・・階段を使うか」
階段に向かおうとしたまさにその瞬間
「誰!」
後ろから高いアニメ声が聞こえる
「・・・同業者です、覚えてませんか?一度顔は合わせてるはずなんですが」
「分からないわね、そんなアイパッチ?みたいな物を付けられたんじゃ」
暗視装置代わりにソリッドアイをつけていたのが悪かったか、分からないと言ってきた
もちろん外す
「これでいいですか?」
「どこかで見覚えがある気が・・・そうだ!あかりの友達を倒した!」
「ええそうです、覚え方おかしい気がするので名乗っておきます。東京武偵校1年A組強襲科の黒羽響です」
「私はアリア、神崎・H・アリア」
知ってたとは言えない
シャーロックホームズの子孫でバリツという格闘技を得意としていることはちょっと調べればすぐに分かった
ソリッドアイを付け直し暗視機能を起動する
「先輩はどうするんですか?俺はここに用があるんですが」
「そうね、私も用があるわ」
チラ、とこちらに視線を送ってくる
先に行け、とでも言うように
「・・・分かりました、先行しますよ」
単独での戦闘が得意と聞いたが複数人でも戦うことがあるのか
そもそも自分は複数人での戦いはやった事がない
どういった立ち回りで動くか考えていると
「ここね・・・」
とアリアが声を出した
確かに足跡はこの先に続いている
「先に行きます」
先に部屋の中に入る
赤色灯で照らされた部屋は薄暗くかろうじて部屋にいる人間が見えるか見えないかくらいだ
二人くらいだろうか、話し声が聞こえるが会話の内容までは聞き取れない
キンッ!
甲高い金属音が響き渡ると同時に女性の叫び声が聞こえる
再び金属音が聞こえたが今度は地面を転がるような音だ
ここぞとばかりに明かりを付ける
「だらしないわね、まあバカキンジにしては役に立ったけど」
という声が聞こえてくるが俺は俺の行動をさせてもらう
運命を操る能力でこの後どうなるかを確認してあるので先に上の階に向かう
しばらくすると下の階から水が流れる音がし始めアリアが登ってきた
「遠山キンジと白雪が登ってこないのを見るとまだかかるか」
先にジャンヌの後方に回り込み
「動くな、少しでも動けばその頭を吹き飛ばす」
もちろんただの脅しだ、装填しているのはゴム弾だ
「また会ったな、だが前回ほど私は甘くないぞ」
俺に向き直り会話を続ける
「なに、ただ言いに来ただけだ・・・剣を折られたら投降しろ」
「私に降伏しろと?」
「そうだ、投降しろそのほうが俺にとっても、お前にとっても得がある」
「それだけか?」
「ああ、それだけだ」
「はははは、分かった。ただしお前の言ったとおり剣が折られたらそうさせてもらう」
心底面白いものを見たように笑う彼女はすぐに真剣な表情に戻り条件付きで投降するといった
「・・・アリアたちが来た、また会おう!」
「ああ、また会おう黒羽響」
急ぎジャンヌのそばを離れ戦いの行方を見守る
気が付けばジャンヌの姿はなくそこには白雪が立っているだけだった
激しい銃撃戦を繰り広げ、白雪とジャンヌが斬り合い
最終的にジャンヌの剣が白雪に斬り落とされることで勝敗は決した
彼女は宣言通りに投降した
剣を斬られたときの彼女はしばらく驚いたまま動かなかったのをよく覚えている
作者「再びやってきた自己満足あとがきコーナー」
ジャンヌ「自分で言うのか?」
響「何か吹っ切れたみたいだな」
作者「そうでもない、ただ開き直ってるだけだし」
響「あっそ、それでどうしてこうなった?」
作者「どうしてとは?」
響「いや、異世界転生ものってさ・・・主人公が暴れまわるもんだよな?」
ジャンヌ「そうなのか?」
作者「つまり何故裏方なのかってことか?」
響「そういうこと、なんでアリアたちと協力しなかったのかって聞きたかったんだ」
ジャンヌ「いや、あいつらに味方されても困るんだが」
作者「原作を大切にしているんだよ、あとはジャンヌが妙に無抵抗で捕まったからな。なんとなくやりたくなった」
響&ジャンヌ「それだけ?」
作者「それだけ」
今回だけ妙に長いのは前中後編だけだと収拾がつかなかったから長くして対応しました
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仲間、情報科、自衛隊駐屯地にて
魔剣事件が無事解決してから1週間経ったある日の夜
「こちらウルフよりHQ」
ウルフとは俺のコードネームだ
「こちらHQどうした?」
「無事スニークポイントに到着、これより潜入を開始する」
「了解、オーバー」
依頼のあった潜入任務に参加している
正確に言えば依頼というよりは上から命令される形で参加させられているのだが
参加者は俺と通信科のオペレーターこと斎藤和馬だけだが
「全く、どうしてこうなるのやら・・・」
思えばジャンヌに一度あっていたことがバレた時点でこうなるのは確定してたのかもしれんが
「謹慎も兼ねてるよな・・・そもそも何でこんな山奥に放り出されなきゃならんのだ」
任務に対し愚痴をこぼしながら山の中を進む
しばらく進んでいると足元にロープが張ってあることに気がついた
暗視装置がなければ気がつかないだろう
「こちらウルフ、俺の潜入を見越しているかのように罠が張ってあった」
「ありえんだろう、今回の潜入は非公式に行われているんだ、誰も気がつくはずはない」
「・・・了解」
無線の通信を切り正面の駐屯地を見据える
「自衛隊が何か仕組んでるとは思えんがな」
そう、今回の潜入地点は自衛隊の駐屯地だ
なんだか知らんがテロ組織との繋がりがあるんだとか
で、政府の知るところではあと2週間で実際に犯行に及ぶらしい
何がしたいのかは分からんがそれを阻止しろとの命令だ
「・・・警備体制が緩いな」
先行させておいたキッドナッパーの映像を確認し潜入ルートを決める
「行くか」
一度走ってフェンス付近の木の枝に飛び移る
木の上からフェンスを乗り越え近くの物陰に飛び込む
警備をしている兵士の頭にゴム弾を叩き込み気絶した兵士をその辺の目立たない場所に隠す
しばらく走りながらターゲットを探していると扉の開いた格納庫を見つけた
中には誰もいないようだ
「あれか・・・こちらウルフターゲットを確認したが破壊は困難と思われる、持ち帰りだったらできるかもしれんが」
無線で確認を取る
「なんとしても破壊してください、持ち帰れるものならそれでも構いませんが」
「了解、土産ものは期待しておけよ」
「はいはい」
破壊目標である新型試作戦車付近に敵兵がいないことを確認しスキマにまとめてしまう
「・・・(ついでにこの駐屯地の武器全部貰っておくか)」
武器庫、格納庫、弾薬庫の中身を全て頂いておく、一応テロ活動を阻止するという大義名分はあるが代わりに睡眠ガス地雷を大量に設置しておいた
「こんなもんだろ」
完全に非武装状態になった駐屯地から立ち退きながら無線連絡をする
「任務達成、これより帰投する・・・教職員方には言っといてくれ」
「了解、とっとと帰って来い、飯食いに行くぞ」
「はいはい、分かった」
堂々と正面から出て行き、スキマの中に入る
「おい、飯食いに行くんだろ?」
「うお!!ビビった!早すぎるだろ」
「いつも通りだろ?それと外を見てみろ」
「外?うわぁ・・・あれ、よく持って帰ってきたな・・・」
外には駐屯地からパkゲフンゲフン、頂戴した武器装備全てが並んでいる
当然校庭に置いてあるので夜の学校にいる奴らが騒ぎを起こす前にどうにかしたいところだが校庭に置いてあるものだけでも一部だというのが恐ろしい
「土産ものは期待しろと言っただろ?・・・ところであれどうする?」
「どうするってお前・・・装備科とかに売り払うしかないだろ」
「車両系は車輌科に、個人武装は装備科に売るか」
売り払う先を決めたところで一つの疑問を投げかけられた
「・・・で?どうやって売るの?」
しまった・・・考えてなかった・・・
どうも、いきなり自衛隊の駐屯地制圧しましたね
駐屯地ってどのくらい広いんですか?夜間警備体制もよくわかりませんね!
まあそれは置いておいて今回登場した新型試作戦車はなんだと思いますか?
実はあまり考えてないです。アリアの世界は一応2009年なので10式戦車ということにしていますが・・・
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黒羽響は静かに暮らしたい
「結局あの戦車とかどうする?」
「どうするもこうするもやっぱ車輌科に持っていくしかなくね?」
ファミレスで夕食という名の朝飯を食いながら頂いてきた戦車をどうするか話し合う
銃器は装備科に売ることで決まっている
「・・・おかしいな」
「何がおかしい、この爽やかな朝日の中食べる夕食はいいものだろ?」
「いやそこだよ!何で朝に夕食食ってんだ!?」
「カズそりゃお前、昨日の夕食を食いそびれたからだろ?とりあえず水でも飲んで落ち着けよ」
カズ、斎藤和馬のことを勝手に呼んでいるあだ名だ
本人は「やめろ、どこぞのMSF副司令みたいになってるから!偉い人に怒られるから!」といっていた
このあだ名は意識したわけじゃないんだが気に入ってるからそのまま使ってるけど
「いずれにしたって車輌科に持っていくにしても学校に誰もいなけりゃどうにもできん、それまでは飯食って教室で寝るだけだ」
「お前、意外にマイペースだよな・・・」
「そうでもないだろ、面倒くさいだけだ」
実際かなり面倒くさい、わざわざ寮に戻って仮眠を取って学校に戻るなんて合理的ではない
飯を食い終えながら話し続ける
「さて、飯も食い終わったところで!学校に戻るといたしましょう!」
「はいはい、学校行くか・・・」
カズが会計しているのを横目に外を見てみる
するとその時ふと見た窓の外に数人どころか数十人が歩いている
明らかにおかしいのだ
現在時刻は午前5:30だ、この時間にこの人数が歩いているのは異常なのだ
何らかのイベントがない限りは
「カズ、今日って何かイベントあったか?」
「イベント?いや、聞いてないぞ」
「お台場で何かイベントがあれば当然俺らが知らないはずはないもんな・・・」
「何かあったか?」
「いや、何でもない。行こう」
ファミレスを出てしばらく雑談しながら歩く
しかしあの集団は響達の後ろをついてくる
「響、なんか嫌な感じがするんだが」
「気がついたか・・・走れえぇ!!」
「お、おい!待ってくれよ!」
タタタッタタタタッ
全力で走り始めた瞬間後方から発砲音が聞こえ始めた
振り返ってみたがあのG3シリーズ特有の形はおそらくMP5だろう
「カズ!MP5を使用している部隊は日本国内でどれくらいある?!」
「さあな!知る限りだとSATくらいじゃないか?!あとは自衛隊特殊警備隊!」
「やっぱ絡んでやがったか!そこの路地曲がれ!」
ビルとビルの間の道に飛び込み銃を抜く
武偵は人を殺すことができないが戦闘不能ならOKなんだそうだ
「どうすんだ?」
「どうするも何も制圧するしかないだろ」
「相手はプロだぞ?」
「それがどうした?やらなきゃやられるだけだ」
ポケットから小型の鏡を取り出し角から道路に展開する集団を見る
しかしどこの所属かはわからないままだ
「お前、機銃って使えるか?」
「?使えるが・・・」
機銃の使い方が分かるのなら余裕だな
ただもう少し広い道に行きたい
「走るぞ、付いてこい」
「またか!?」
ビルとビルの間を走り抜け反対側の開けた道に着く
当然数人の銃を構えた人間がいた
「お前ゴム弾持ってる?」
「持ってる訳無いだろ」
「はいこれ。後で返せよ」
カズにキンバーイージスを9mmゴム弾と一緒に渡す
「ありがとよ、俺は右をやる」
「なら左をやる、スリーカウントで頭を撃て」
「はいよ」
「スリー、ツー、ワン、撃てっ!」
パパンッドサ
乾いた音と共に人が倒れる音がする
道に出てみるがこれだけの広さがあれば問題ないだろう
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潜入しなきゃ・・・ダメ?
「どうした?立ち止まって、早いとこ退散しないと追っ手が来るぞ?」
カズが立ち止まり話しかけてくる
「これだけの広さがあれば問題ない、すまんが何を見ても騒ぐなよ?」
「?何を今更、これだけのことに巻き込まれて驚く要素がどこにある?」
「そうか・・・」
思えば人前で能力を使うのは初めてだ
以前は騒がれると面倒だという理由で使用を避けてきたが、状況が状況だからな
致し方あるまい
自分の正面に大きめのスキマを開きその中からイタリアの軽戦車L3を取り出す
「・・・(゜д゜)」
カズが今まで見たことのないような顔で俺を見てくる
「カズ?気持ちわるいぞ?」
「ハッ!いやいやいや・・・マジで?お前、超能力的なアレが使えたん?」
「使えたよ?それよか早く乗れ、追っ手が来るぞ」
「お、おう・・・てか大戦の遺物、CV33かよ」
「それがどうした?無いよりましだ」
上部の乗り込み口を開け操縦席に座る
動かし方はまあ、なんとなくだが分からんこともない
「機銃は使えるか?」
「この程度なら余裕だな」
「じゃ、行くか」
エンジンをかけギアを入れる
CV33、L3は最大時速は約42~5キロまで出せる
装甲こそないが現代の装甲車でも持ってこなきゃ死ぬことはないはずだ
急いで裏路地を抜け集団の正面に止まる
「「・・・え?」」
お互いに向かい合うとは思っていなかったのか間抜けな声が出る
「・・・敵襲だ!」
「にーげるんだよォ!!」
バックギアに入れ全速後退すると同時に敵が発砲するがさすが軽戦車余裕で弾き返す
だが機銃はまだ装填が終わっていない
何せ8mm機銃のフランジブル弾なんてそもそもあるか分からないからな
現代の7.62mmゴム弾で対応するしかない
「おい、あったぞ」
「やっとか・・・よし、装填完了っと、てか7.62mm使えるのかよ」
「無理矢理だ、ちゃんと撃てるかどうかは知らん」
「それでいいのかよ・・・」
機銃の装填が終わったところで学園島に戻る道に入る
響達以外に車は走ってない
「おい響後ろからさっきの奴らのワゴン車来てるぞ!」
「少し揺れるぞ!捕まってろ!」
一気にブレーキをかけワゴン車の後方に回り込もうとするがハンドリングの良さはさすがワゴン車といったところだ
だが停車したおかげで相手に機銃が向けられるようになった
「ここでケリ付けるぞ」
「無理だろ、あの人数相手にバックアップなしで挑むなんて」
「さあ、どうかな」
こういうのはチートっぽくなるからあまり好きじゃないがこれ以上長引かせれば犠牲が出るかもしれない
「ザ・ワールド!」
時を操り時間停止する
さらに追加で時間停止の限界時間の境界を消すことで停止させられる時間を永続的なものにしている
「さて、どうしてくれようか」
敵に歩み寄りとりあえず懐をまさぐる
「所属部隊は・・・特殊急襲部隊?となると絡んでいるのは自衛隊ではなく政府そのもの?」
416Dにゴム弾を装填し全員の頭の近くに撃ち込んでおく
「そして時は動き出す」
停止した時間が動き出し撃ち放った弾丸が頭部に命中する
「カズ、ちょっとばかし手伝ってくれ」
「何をだ?」
「こいつらを車に詰めて尋問科に持っていくんだよ」
「・・・アホだろ?」
「誰がアホか」
ワゴン車の中に倒れた兵士を詰め込み車を発進させる
CV33は流石に片付けたが
機銃を使う機会はいつ来るんだろう
「カズ、こいつらの所属部隊は特殊急襲部隊、つまりSATだった」
「SAT?俺らが恨みを買っているかもしれないのはあの駐屯地の部隊だろ?」
「ああ、おそらくだが政府が関与してるかもしれん、そうなるとお前の身に危険が及ぶかも知れない」
「武偵になった時点で覚悟していたことだ、気にするな。総務省に殴り込むんだろ?」
車を走らせながら今後のことについて話し合う
現状、情報の少なさが致命的だ
どうなるかは分からないが今のところ総務省で何があったのか調べるしかなさそうだ
そもそもの疑問だが何故俺らが襲われることになったのか、それだけが分からない
まあ、調べればわかるはずだが・・・
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突撃となりの総務省
午後9:00 霞ヶ関
「こちらウルフ、このやり取りをするのも2回目だから以下略」
「こらこらこら!そういうの言うなよ」
「はいはい、じゃ、いってきまーす」
総務省のデータを荒らしにここまで来たがSATの出動情報を調べるなら警察庁か警視庁に潜入するべきだったと後悔している
だがまあ、このあとでも問題はないはずだ
今回は単純な潜入で終わるとは思えないので強化装備を装備してきた
わかりやすく言えばアーセナルギア内にいた兵士の装備だ
着る強化骨格みたいなアレ
あれに光学迷彩を装備して突撃する
エントランス側から中に入ろうとするが
「カズ・・・ビンゴかもしれんぞ」
「どうした?」
「思いっきり正面に警備員が集合してるで」
「あらら、とりあえずスルーで」
「無理な気もするが・・・」
光学迷彩を起動し正面からゆっくりと歩み寄る
足音さえ立てずに横をすり抜ける
「・・・」
頭にゴツイ暗視装置をつけた警備員の一人がこちらを見る
「・・・ハロー」
手を振ってみる
「敵襲d」
見つかったので全力で鳩尾を殴りつける
まあ、うめき声を上げてうずくまっただけだが
「大丈夫?もう一発いっとく?」
「結構です・・・」
「いや、悪いねー漫画とかみたいに一発で気絶させられると思ってたんだけど・・・」
「・・・もういいや、見なかったことにしてやるからさっさと行けよ、お前みたいなのと関わるの面倒臭いし」
「マジで?」
「マジだ、気が変わる前に行け」
「・・・すまんな」
心を読んでも嘘をついている気配はない
ありがたく進ませてもらう
総務省庁舎内を歩いていると警視庁に関する部署を見つけた
書類関係を調べるために近づくが数人の職員がいる
「・・・(眠らせるか)」
光学迷彩を起動しているから見えてはいないと思うが何かの拍子に解除してしまうかもしれないし近づけば光の加減からなんとなく見えてしまう
スキマからMK-22ハッシュパピーを取り出しサプレッサーを付ける
職員の人数を確認したが約3人ほどだ
3.4mほど離れたところから首に撃ち込む
「ZZZ」
「寝たか・・・?」
耳元で指を鳴らすが反応がないおそらく寝ているのだろう
首から注射器を引き抜き資料を漁る
漁るといってもPC内のデータをコピーする程度だが
「さてと・・・コピー開始っと」
PCの操作をしてから別のPCを使ってデータを覗かせてもらう
しばらくデータを見ていると気になるファイルを見つけた
「・・・カズ、神崎・H・アリアって知ってるか?」
「知ってるけど、確か2年の先輩だろ?」
「その親御さんに関することは?」
「知らん」
やはり普通は知らんか
「アリア先輩の親は今受刑中らしい、名前は“神崎かなえ”か、そっちで調べられることは調べてくれ」
「了解、コピーの状況は?」
「今64%だ、すぐ終わる」
「そんなに少ないのか?」
「いや、俺が持ってきたPCの頭がいいんだと思うが」
「PCにコピーしてるのかよ」
「直接繋いでコピーしてるんだよ・・・あと50秒だ」
「このあとはどうするんだ?」
「そっちにデータを届けたあとすぐ警察庁に向かうよ、あっちはあっちで気になるしな」
コピー終了の通知が画面に表示されると同時にケーブルやその他ごとスキマにしまう
「終わった、すぐに退却する」
「待ってるぞ」
無線を切り空いている窓から飛ぶ
そのまま高度を上げ合流地点に行くことにした
いや~実際総務省って構造がわかんないですね~
想像で書きましたがそもそもの時点で警察関係の部署があるかどうかすらわかんないです
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警察庁ってなんぞ?
あらかじめ借りていた部屋の窓から部屋に入る
「戻ったぞ、データはこのファイルの中だ」
PCを開きファイルを開く
「おうサンキュー、次は警察庁だったか?」
「そうだ、ついでに警視庁もハシゴしてくる」
「了解、気をつけてな」
「ああ、データの解析も頼む」
窓から飛び降り地上にスキマを開く
スキマを通じて出る先は警察庁庁舎の屋上だが
「はい到着!」
飛び降りた勢いそのままに屋上の上に飛び出る
当然3、4mほど空中に舞うが空中で静止する
「さて、とりあえずここのサーバールームでも探しますかね」
地面をそのまま立った状態ですり抜ける
2、3階ほど降りたところだろうか
偉そうに椅子にふんぞり返って部下に命令している奴が居る
「貴様ら!指示されたこともできんのか!この無能どもが!」
部下の1人の男を殴りつけると他の部下、そして殴られ地面に這いつくばって居る男が口を揃えて
「す、すみません!次こそは確実に息の根を止めますから!」
「・・・次、失敗してみろ・・・命はないと思え!」
大声でいきり散らす男に部下たちが一礼し部屋から出ていったと同時に声を発する
「いい演説だったよ、さすがは警察庁長官・・・言う事が違う」
「誰だ貴様!どこから入ってきた!」
「おやおや、自分で殺せと命じた相手の事を忘れるとは・・・もしかしてお年ですか?」
相手を挑発しつつ話し続ける
「俺の名は黒羽響、東京武偵校1年強襲科所属、以後お見知りおきを」
「ほう、貴様かあの駐屯地を制圧したのは・・・いや助かったよ、あそこの部隊長は私にとってあまり都合の良くないことを政府へ公表しようとしていたのでね・・・君を使って消させてもらったよ、君が武器をすべて奪ってくれていたから楽に殺せた」
「ほう、俺を利用したという訳か・・・面白いな気に入ったぞ」
腰のホルスターにしまっておいたシングルアクションアーミーを回しつつ心を読む
実に傲慢な性格のようだ
「いいか、俺は人を撃つのは趣味じゃあない、だがな人を利用して自らの私腹を肥やすために人を殺すような奴を生かしておくほど心は広くないぞ」
リローディングゲートを開き6発装填したSAAを頭に押し付けながらさらに話す
「さて、どうする?泣き喚きながら『殺さないでくれ』と懇願するか、お得意の部下を呼びつけるか、それとも金でも出すか?」
「ふん、その程度のことでビビリ上がるほどヤワな人生送ってねえんだよ!!」
男は響の腹を殴り上げ立ち上がる
「あの部隊長は確かに有能で良き友人だった!しかし私の汚職がバレれば私の地位が失墜する!だから殺したのだ!」
話しながらも響を殴る手は止めない男の腕を掴みあげ逆に殴る
「お前が直接手を下していれば構いはしなかった!だがお前の運が悪かったな、俺を・・・いや、武偵を少しでも利用した時点でお前が悠々自適に生き延びていい理由にはならん!」
「知ったことか!」
「なら、教えてやるよ!歯ァ食いしばれ!このクソ野郎が!」
両手両足に45LC弾を叩き込みその上でさらに顔を殴りつける
「あ、がぁ・・・」
「今回の俺たちへの襲撃もお前が指示したことのようだったしな、もう少し痛い目見てもらうぜ」
屋上に男を連れて行き
スキマからフルトン回収気球を取り出す
「空の旅を楽しめよ」
腰のベルトにカラビナを取り付けフルトン気球で夜の大空へと舞い上がらせる
回収は従来ならば上空のヘリや航空機で行うが今回は上空で外の様子を観察させていたキッドナッパーにやらせている
「カズ、すまんがそっちに一人負傷者を送った、今回の一件の首謀者だ」
「・・・マジで勘弁してくれよ、尋問科の先生がたがとんでもないものを見るような目で見てくるからさ・・・連れてくのはお前がやってよ?」
「ああ、もちろんだ・・・それと俺はちょっとここのサーバーからデータをちょっとばかし消してから帰ることにしたから先に武偵校に戻っておいてくれ」
「了解・・・じゃあな」
ザザッという音と共に無線が切れた事を確認すると独り言を呟く
「今日は一段と風が強いな・・・」
視線を夜の街に巡らせていると少し離れたビルの上で赤く何かが光った気がしたその次の瞬間には鋭い痛み、というよりは熱を感じ視線を落とすと
足には赤黒い液体をまき散らす穴があいていた
「・・・全く誰だろうな、今度のお客さんは、ザ・ワールド!時よ止まれ!」
時間を止めマズルフラッシュを確認したビルまで飛んでみるとそこにいたのは薄いエメラルドのような色の髪が特徴的な女子武偵だった――
なんかカオスというかなんというか、よくわかりませんね・・・
そのうちスタンド使いでも出てきそうな勢いで話が進んでいきますがスタンドは出ないと思うのであしからず
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スナイパーとの近接格闘
「見つけた」
少女はSVDの上部に取り付けられたスコープ越しにターゲットを見据える
今回の依頼内容は黒羽響という男子生徒を監視し場合によっては確保することだ
しかし少女は疑問を持たなかった。そういう性格だったのかもしれないが
少女はトリガーに指をかけこう呟いた
「私は一発の銃弾、銃弾は人の心を持たない。故に何も考えない、ただ目標に向かって飛ぶだけ」
呟き終えると同時にターゲットの足を撃ち抜いた
「全く誰だろうな、今度のお客さんは、ザ・ワールド!時よ止まれ!」
ターゲットが叫ぶと次の瞬間には自分の首元にナイフが当てられている
一瞬何が起こったか理解できなかったがすぐに思考を切り替える
「・・・お前は・・・確か2年の狙撃科のレキだったか?」
「そう」
響が首元に当てていたナイフを下ろすと同時に自分の太腿につけておいた銃剣を引き抜きSVDに着剣する
向かい合った少女、レキがSVDに着剣した
何故狙撃されたのかは今はどうでもいいが自分の安全を確保しなければ
「どうした、落ち着けよ・・・」
「・・・」
「なぜ俺を狙撃した?」
適当な事を話しながらハンドガンの交戦圏まで後退する
「・・・」
「だんまりか・・・別にかまわんよ、依頼主を特定するまでだ」
レッグホルスターからCQCハイダーを取り付けたハイキャパを抜き左手で肩を掴みレキの腹にマズルから叩きつけ5回トリガーを引く
しかしレキは足払いをかけ射撃方向を逸らすと同時に後方に飛び退く
さらに急に踏み込んだと思えば右腕に銃剣での斬撃を行ってくる
予想外の攻撃だったためまともに切られてしまうが流石はアーセナル装備というべきか思った以上に浅く切れただけだった
「なかなかやるじゃないか」
「・・・どうも」
「疲れてるんだ、手加減してくれないか?」
「お断りします」
「そうかい・・・」
アーセナル装備の脚力がどの程度のものかは知らないが頑張ってくれることを祈って全身全霊でレキに向かって駆け出す
「ッ!!」
すぐにSVDを構え腹に発砲されるが気にせず腹を殴る
流石に女の顔面を殴りつけるような人間じゃない
殴られた衝撃で後方に吹き飛んだレキだが着地とするとすぐ駆け出し斬りかかってくる
が切り落とされる覚悟で刃を掴み銃剣を奪い取り距離を詰め首にスタンロッドで電撃を浴びせようとするが逆に腕を掴まれ拘束されてしまう
「あなたを確保しろというのが私の受けた依頼」
ねじ伏せながら依頼内容を語ってくる
「なるほど、だがこれで拘束できたと思ったら大間違いだ!」
怪力乱神がごとく無理矢理立ち上がり屋上から飛び降りる形でジャンプしようとするがどこから力が出てくるのか地面にねじ伏せられる
「諦めなさい」
「断るね、ここで捕まるわけにはいかん」
「そうですかなら仕方ありません」
首元に何か針のようなものを突き刺される感覚があったと思えば意識がだんだんと薄れていく
「何を・・・した・・・」
「麻酔薬です」
「なるほど、ね・・・カズ、そこから撤収しろ・・・」
無線でカズに警告する
「何があった!おい!響!」
「データを持って・・・例の場所へ行って待っていろ、必ずそこへ行く」
ギリギリ持っていた意識は銃床で殴られて失われた
アーセナルギアで敵兵が使っている装備の名前がわからないからな・・・
まあ、登場回数はそこまで多くないはずだし大丈夫かな?
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拷問すると思った?
――夢を見ていた
暗い何もない道を一人で何か分からない“モノ”に追われながら走り続ける夢
誰でも一度は見る夢だ
しばらく走り続け、その“モノ”に追いつかれた瞬間に眠りから覚めた
「――が一人でやったってのか?」
「そういうことでしょう、通信科にオペレータ役はいたみたいですが」
意識ははっきりしないが二人ほどの話し声が聞こえてくる
起き上がろうと腕を動かそうとすると
ガチャッ
と何か鎖のようなもので体がベッドに拘束されていることが分かった
「起きたか、お前がどうしてこうなっているか分かるか?」
「さあ、どうしてでしょうね?あ、鎖が切れても文句は言わないでくださいよ」
腕に力を入れそのまま引きちぎる、幸いアーセナル装備のまま拘束されていたようだ
両手が自由になったのでそのまま起き上がると他の拘束具も取る
「それで?何の御用ですか?綴先生に小夜鳴先生」
「お前な・・・警察庁やら総務省に乗り込んでサーバーからデータを抜き取ったり人を拉致してウチに押し付けたりしておいてそれはないんじゃないか?」
「そうですよ響くん、長官を拉致しちゃダメじゃないですか」
「武帝憲章三条強くあれ。ただし、その前に正しくあれ。これに従ったまでですよ」
まあ、結局レキには勝てなかったわけだが
「いや、レキに負けてるじゃん」
やはり突っ込まれた
「それはそうですが戦いの年季が違います。俺はついこないだまでただの素人だったんですし」
「ただの素人にこんなことができるとは思えないんだがな」
数枚の写真とタブレットの画面に表示された動画を見せられる
「これはどこで撮影したんですか?」
「レキが撮ったんだよ、スコープについてる撮影機能でな」
タブレットには響がスキマからフルトン回収気球を取り出すところやCQCを警察庁長官にかけているところが映し出されており
その映像の切り抜きが写真として机の上に置かれている
「・・・なるほど、それで俺にどうしろと?」
「単純な話だ、要はもう少し訓練しろ」
「あとはそうですね・・・SSRに移動してもらいましょうか」
「それだけなら別に構いませんが・・・話はこれで終わりですか?」
「ああ、帰りたければ帰っていいぞ」
「そうさせてもらいましょう」
どうやらここは医務室のようで脱出に便利な窓が開閉できるようになっていた
窓を開け二人の先生に一言
「それでは、ご機嫌よう」
そのまま空中を飛びカズを待機させている集合場所に向かおうとすると医務室の窓から綴がハンドガンで撃ってきたが時を止め全弾撃ち落とす
ついでにハンドガンの銃口にも一発撃ち込んだが
合流地点では車に長官を乗せたカズが待っていた
「待たせたな」
「待ちくたびれたぞ」
「すまんな、さて・・・こいつはどうする?」
「そりゃまあ、罪は償わなくてはならんしな・・・」
携帯を取り出し綴にかける
「なんだ黒羽」
「いや、長官の処遇を決めようと思いまして・・・結構汚職してるくせに俺達の命まで奪おうとしたんですし」
「とりあえず検挙しとけ、あとグロックは弁償しろ」
「・・・それじゃそっち連れてきますんで」
「おい、無視すんn」
相手に自分の要求を伝えたら問答無用で通話を切る
相手に断らせないコツだ
成功した試しあんまりないけど
「じゃ、行くか?」
カズに呼びかける
「そうだなw」
朝方の海風に吹かれながら車に乗り込み再び学校に登校する
やれやれ、いつもながら朝方に何故学校に行くのやら
MGSの拷問からの脱出的な事しようと思ったら案外描写が難しいw
結局穏便に片付きましたね
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演習(強制):1
朝日が差し込む演習場内を匍匐しながら移動している
なぜ伏せているかといえば少しでも頭を上げると銃弾が降り注いでくるからだ
何故こうなっているかといえば先日綴に「少し訓練しろ」と言われてしまったからだが
演習場といっても校内ではない、富士演習場までやって来ている
「・・・ちったぁ手加減しろよ」
前方約20mほど離れた位置にいる蘭豹に捨て台詞を吐く
何で時間停止した状態から撃った弾を全部撃ち落とせるんだ
「おーい!隠れとらんで出てこいよ!」
スキマからスモークグレネードとフラッシュバンを取り出しフラッシュバンを投げる
「つまらんなァ・・・」
M500を一発だけ発砲しフラッシュバンを撃ち抜くと同時にフラッシュバンの内部にあるマグネシウムなどが酸素と急激に化合し激しい閃光と音が周囲にぶちまけられる
「まだまだァ!!」
フラッシュバンを耳と目を塞いで防御した瞬間にできた一瞬の隙にスモークグレネードを投げ込み蘭豹に向かって走り出す
「やっと出てきたか!!」
「ザ・ワールド!」
時間を止めスモークグレネードを打ち抜き炸裂させ飛び出した位置を向いたままの蘭豹の背後から直接スタンロッドを首に当て放電する
「そして時は動き出す」
「らァ!!」
感電したはずの蘭豹が響に後ろ蹴りを浴びせさらにスモークで見えないはずの状況でM500を二発発砲する
「当たるかァ!!」
「そこか」
叫び声で位置がバレたのだろうか更に二発響のいる位置に正確に撃ち込んでくる
「かはッ!!」
防弾制服をアーセナル装備の上から着込んでおいて正解だった、そう心底思った
なにせ蘭豹の撃った二発の500S&W弾をモロに受けたんだからな
痛みで失いそうになる意識を無理やりつなぎ止め体の限界の境界を無くし前方でリロードしている蘭豹に突っ込む
「まだ終わらんよ!!」
右手の拳を握り蘭豹の頭に叩きつけるがM500を盾にして攻撃を防がれてしまうが前蹴りでさらに追撃する
「痛いじゃないですか・・・手加減してくださいよ」
「ん~?無理、殺さないように努力はするけど」
「死ぬかもしれないならやめてほしいんですが・・・」
「だが断る!」
めんどくさいから時間は止めずに0.5倍速にするか
相手から見ればマッハを超える速度で動いてるのと同じだが
スキマから睡眠ガスグレネードを取り出し蘭豹の足元に投げる
さらに蘭豹の後ろに回り込みスタンロッドでもう一度放電する
今度ばかりは流石に感電するか眠るかのどちらかだろう
「ぬ、ぅ・・・」
「今度ばかりはさすがに気絶したかな?」
顔を叩いて確認するがやはり気絶していた
「カズ、こっちは片付いた・・・Sランク武偵っていうのは全員こんなもんなのか?」
「こんなもんって・・・蘭豹が化け物みたいなものなんじゃないのか?」
「そうかもしれんな・・・さて、蘭豹の回収は任せた、気絶したらリタイヤのルールだったよな?」
「ああ、後は三人か・・・頑張れよ」
「もちろん、あとは任せた」
無線を切り残りの演習相手を探しに行く
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演習(強制):2
「え?今週末ですか?まあ、予定はないですが」
教務科で綴に呼び出されたと思えばいきなり今週の予定を聞かれた
「演習でもしようと思ってな?富士演習場でやるからな・・・予定がないならちょうどいい、じゃ現地集合だからよろしく」
そのまま教務科を追い出させるような形で帰された
蘭豹を紙一重で撃退し次の演習相手を探していると
「・・・誰だ?」
約350mほど先の木陰に誰かが伏せている気がした
双眼鏡を取り出し確認しようとすると
銃弾が飛んできた
横に飛び回避するがすぐに次弾が飛んでくる
木陰に隠れ弾を避けるのが精一杯だ
「っぶねえ!!この精密な狙撃、俺の知る限りだとやはりレキか・・・」
まさか演習に参加していたとは思ってなかった
すぐに背中にかけていたHK416Dを掴み上部のマグニファイアを付けたドットサイトを覗く
「念のためマグニファイアをつけておいて正解だったな・・・」
弾丸の飛んできた位置を撃つが見事に誰もいない
基本的に演習は実弾を使っているが俺だけは殺傷してしまう危険があるので自主的に全弾ゴム弾に変更している
「どこに行った・・・」
千里眼でレキを探す
先ほどの射撃位置から200m程後退した場所からこちらを狙っていた
自分にとって有利な位置から狙撃するつもりなのだろう
「・・・そこか」
伏せたまま横に転がりレキのいる位置にフルオートで撃つ
2、3発は当たったがフルオートだけにあまり当たらなかった
セミオートだと途中で撃ち落とされる気がするしな
光学迷彩を起動し格闘戦に持ち込める距離まで近づこうと歩き出す
5、60mほど歩み寄ったあたりでいきなり背中側に鋭い痛みを感じた
防弾制服ってのはM500を撃たれた時も思ったが非常に便利なものだ
多少撃たれたとしても貫通することはない
せいぜい骨が折れる程度だからな
背後からの銃撃に身悶えする間も置かず痛みの有無という境界を消す
背後を振り返り銃撃するがやはり誰も見当たらない
レキの位置を確認するがやはり左斜め前方400m程の辺に居ることから後方からの銃撃は行えないはず
「・・・どうやって光学迷彩を見破ったんだ」
光学迷彩は説明がつく、サーマルを使えば人間の体温で写ってしまうし足音で位置を特定することはできる
だが背後からの銃撃は一体なんだ
そうこう考えながら近くの茂みの中にダイブする
「ぬぅ・・・一体どうやって撃ってきている」
双眼鏡を取り出しレキの様子を伺うが木々や岩等で遮られており観測は疎か狙撃なんてできるはずがない
もし狙撃するならば木々の枝や岩の隙間を縫うようにして撃たなければならない
もし少しでも風向きが変わったり葉に掠ったりでもしたらあらぬ方向に跳弾して飛んでいっていまう
「ん?何が引っかかってる・・・狙撃?いや、跳弾か?」
もし現実でオセロットのように跳弾でターゲットに弾丸をぶち当てられるとするなら
「背後からの銃撃は跳弾だったのか・・・?でも光学迷彩は・・・足音か?」
何はともあれそう仮定すれば戦いようはある
遮蔽物がなければいいんだ
勢いよく上空に飛び上がりレキのいる位置へ下降中に正面から飛来する弾丸をすべて“破壊”し着地と同時にレキが太ももに装備している銃剣を破壊する
「種の割れた手品ほどつまらないものはない、そうは思わないか?」
「私の銃剣を粉微塵にしておいて最初に言う言葉がそれですか」
「銃剣はこの演習が終わったら買ってあげますよ」
一歩退き話し続ける
「ひとつだけ聞きたいことがあるんですが、どんだけ耳いいんですか?4、500mは離れてますよ」
「・・・」
パァンッ!!
乾いた音と共に腹に衝撃が走る
レキが腰だめにSVDを撃ったのだ
「・・・痛いんすけど」
「でしょうね、銃剣のお返しです」
「そりゃどうも・・・ボソッ(ザ・ワールド)」
小声で時を止めスキマからゴム弾を装填したドラムマガジンを取り出しHK416Dに装填する
「5秒前!!」
どこぞのDIOのように叫びながら416Dを構える
「4秒前!!」
ボルトを引きマガジンからチャンバーへ弾丸を送り込む
「3秒前!!」
セーフティを解除しセレクターをフルオートに変更、トリガーへ指をかける
「2秒前!!」
指切りバーストで3発ずつ5回に分けてレキの周囲に弾丸をばら撒く
「1秒前!!・・・ダメ押しにもう少し」
更に3発撃ちレキの足元に催眠ガスグレネードを投げておく
「そして時は動き出す」
レキの周囲にばら撒いた弾丸がレキの全身に弾着しガスグレネードが弾ける
ガスグレネードが効いたのかはたまたゴム弾で気絶したのかは分からないがレキが地面に倒れる寸前に体を滑り込ませ頭を打たないよう保護する
「・・・すぅ」
「・・・寝てるのか?」
頭から倒れそうになったあたりやはり眠っているのだろう
無線をカズに繋げる
「カズ、また一人やった、回収を頼む」
「了解、どうしてこんなスピーディに倒せるんだ?」
「そうでもない、演習が始まって2、3時間くらい経つし」
「そうか?」
「そうだ、あとは頼むよ」
「任せろ」
無線を切り再び次の相手を探しに演習場を行く
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演習(強制):3
レキの狙撃を響が回避している頃、演習場の外に止まっているワゴン車の中でドローンを操作する少女の姿があった
「なんか面白そうなことやってる」
コントローラーと接続されたPC画面を見ながら美味しそうにポテトチップスを頬張っている
「でも妙ね・・・画面のラグじゃないし、どうしてこいつは瞬間移動してるのかしら」
少女は「細かいことを気にしたら負けの気がする」とか独り言を呟きつつ勝負の行方を見守っていた
現状二人の演習相手は倒したからの残りも二人だろう
途中参加者がいなければだが
「・・・(今更だが何故複数で襲ってこないんだ)」
複数人で襲わない理由はいくつか思いつく
一つはバトルロワイヤル形式の演習であることだが、むしろチームデスマッチのような感じで問題ないはず
二つ目は単独での方が力を発揮しやすいという可能性
今のところ一番可能性が高い、蘭豹を見ていれば分かるが周囲の状況お構いなしだった
自分以外を意識すると戦術が限られるからかもしれないが
「いずれにしても一対二で戦う可能性はあるな・・・」
今までがそうであっただけでこれからはどうなるか分からない
慢心すると痛い目を見ることになる
「さてと、探しますかね・・・」
一応言うと参加者は知らされていない
俺だけかもしれないけど
しばらく森の中を歩いていると開けた場所にたどり着いた
夏の昼頃だというのに涼しい、むしろ寒い
この感じ、覚えがある
背後に気配を感じスタンナイフとウォーリアーを抜き構えながら振り返る
しかしそこにいたのはピンク色の髪の少女、アリアだった
「・・・は?」
「いきなり『は?』とは何よ」
「いや、なしてこげなところにおるとです」
「博多弁なのか何なのか分からないからその喋り方やめなさい」
「演習に参加してたんですか?」
「まあね」
「・・・じゃあ撃っても文句言わないですね( ̄∀ ̄)」
腹に銃口を向け二回トリガーを引く
しかし予想していたかのように避けてくる
腕を掴まれ背負投げのような技をかけられそうになったが腕を折る覚悟でそのまま地面に叩きつける
「まだ甘いわね」
「何を勘違いしているんですか?」
「何も勘違いしていないけど・・・」
「まだ俺のターンは終了してないですよ」
勢いよく地面を蹴り結構な速度で上空に飛び上がる
落下する際に受け身を取るため一瞬だけは隙が生まれるはず
そこに勝負をかける
失速し落下が始まったとき
確かにアリアは笑っていた気がする
「空中なら身動きがとれなくなるから優位に立てると思ったわけね、なるほど」
「何を納得しているか知りませんが地面まで10mないですよ」
「相手が単独なら間違ってなかったかもね」
アリアが呟き終える瞬間掴まれていた右腕が離されそして氷の塔がアリアのいたはずの場所に建造されていた
「・・・は?」
着地して周囲を見回してみるとそこには見知った顔
「私も参加していたんだよ」
ジャンヌが剣を構えていた
「最後の最後で二人組と当たることになるとは・・・」
スキマから高周波ブレードを取り出し鞘から抜き放つ
「俺はこのブレードだけで戦うことにしましょう」
自分でもわかるが変なスイッチ入ったな・・・
「そうか」
「なら私たちもコレだけでいいわ」
自分たちの剣と刀を指し示し構える
自分で自分の表情がわからないし自分の感情が理解できない
おそらく俺は今笑っていてこの感情は歓喜なのだろう
「いざ、参る!」
まずはジャンヌに斬りかかり攻撃が防がれた瞬間に剣を蹴りアリアの背後に回る
「まずは一本もらったァ!!」
アリアがガードする際に使った刀のうち一本を切断する
「どんだけ切れ味いいのよ!?」
「アリア!下がれ!」
ジャンヌがアリアに下がるよう指示を出し響の足を凍らせ地面に縫い付ける
「これで身動きも取れまい」
「はぁ・・・」
足に力をいれ踏み出すと簡単に氷は砕け散る
「・・・」
無言でジャンヌに斬りかかるが先ほどと同様に剣で防がれるが今度は剣で防がれることを念頭に攻撃している
「私の剣は切れんよ」
「うん、そう思ってた」
高周波ブレードを逆手に持ち替えジャンヌに足払いをかける
バランスを崩したジャンヌの首に峰打ちを仕掛け用としたタイミングで背後からアリアに切りかかられる
「まだ終わってないわよ!」
横に飛び退き体制を整え改めて切りかかるがあえなく防がれる
「・・・(能力を使ってもいいがそれじゃあつまらんしな・・・どうするか)」
再び森の中に入り自分にとって有利な状況に持ち込もうとする
二人共響に続き追いかけてくる
(うまいこと誘い出せたか?)
周囲に結構な量の木がある状況であれば隠れてから奇襲するのも楽だろう
警戒するのはジャンヌの能力とアリアの鋭い勘と観察力だ
木の枝に飛び乗り姿が見えないように移動する
「どこに隠れた!」
「出てきなさい!」
「出て来いで出て行くバカはいませんよ」
ザ・フィアーのように木の上を跳んで移動する
「どこから攻撃されるかわからない恐怖を味わうがいい!俺の巣の中で」
完全にザ・フィアーのようなセリフを吐いてからアリアたちの死角から切りつける
今度はブレードに流す電力を最大出力にして防御した刀を紙のように切り落とし姿を消す
「刀が!!やってくれるじゃない!!」
「アリア!相手の挑発に乗るな」
挑発ではなく次の攻撃への布石だ
攻撃を防げなければそのまま峰打ちを仕掛けられる
アリアが刀身がほとんどなくなった刀を構え直したところで再び攻撃する
今度は電圧をある程度抑えた状態で首元へ
「アリア!後ろだ!」
「遅い!」
アリアが攻撃を防ごうと振り返るが間に合わずそのまま受けてしまう
首元にブレードが当たった瞬間に電圧を上げる
高圧電流を受け電極を付けられたカエルのように手足が痙攣するアリアを見て
「アルェー電圧間違えたかなー・・・さすがに死なないよな?」
チラッ
とジャンヌに目配せすると
「高電圧を体に流して拷問する方法もあるしこの程度なら大丈夫だろう」
「せなんか」
「ちょっとすれば気がつくだろう」
「火傷も大したことないな・・・(一応時間巻き戻して治しておくか)」
傷の様子を確認しながら武器と傷の時間を巻き戻し治しておく
改めてジャンヌに向き直り
「さあ、勝負を続けよう」
「ああそうしよう」
互いに剣を構え少しの時間が流れる
響は居合の構えだが
緊張が解けたただの一瞬で勝負が始まった
ギンッ
互いに声すらも上げずに切り合う
金属同士がぶつかり合い激しい攻防が繰り広げられる
途中剣とブレードの質量差でブレードが弾き飛ばされかけるがアーセナル装備の出せる力を調整して弾き飛ばされるのを防ぐ
「さすが伊達に剣を扱っていないな!」
「まだまだこの程度じゃないぞ!」
更に激しくなる剣撃をすんでのところで躱し、後方へ下がろうとするが生憎岩があるせいで横に飛び退けることになってしまう
「流石に余裕が無くなってきた」
「投降するか?」
「手加減する余裕が、だがな」
逆手持ちに持ち替えた高周波ブレードを地面に突き立てそのまま地面に突き立てた状態で前方に走り出す
イメージで言えばMGRのサムの剣撃だ
「ラァ!!」
「!?」
「最終的にィ!勝てばよかろうなのだァ!」
ブレードを引き抜く際に巻き上げられた土煙を利用し目隠しにする
「なっ!どこに隠れた!?」
「ここだ」
ジャンヌの背後に周り峰打ちを仕掛けつつ回答する
剣で防ごうとしてくるが剣速はこちらの方が早いため防御が間に合わず衝撃をそのままに受けてしまう
「まだまだ私を倒すには足りんぞ!!」
それなら同じ力で連続的に攻撃するだけだ
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
2分の1の確率で攻撃が防がれていないことを考えると戦闘中の疲労が蓄積しているのだろう、ESPの使用は精神力の摩耗が激しいと聞くし
「くっ!まだ終わらない!終わらせない!」
周囲の空気が冷え始め地中の水分が凍結し地表につららのように出てくる
「あぶねえ・・・木の上に飛ばなきゃ今頃串刺しになってたな・・・」
「これならどうだ!!」
ジャンヌの周囲の空気が凍り、凍結した空気中の水分が氷の槍となって響めがけて飛来する
あぶねえ、氷を飛ばせるなんて聞いてないぞ・・・
氷の槍のいくつかを切り落としジャンヌの懐へ飛び込む
「直線的に飛ぶだけの銃弾やコレは軌道が読みやすい」
下段から攻撃する瞬間に一言だけ呟き高周波ブレードの電圧を調整する
「最後の最後で詰めが甘かったな」
峰をジャンヌの首筋に当て電流を流す
感電し四肢を思うように動かせなくなった挙句その状態で打撃を受け気絶したジャンヌを倒れないよう抱きとめる
「だが初見殺しとしては悪くなかったと思う、いいセンスだ」
無線の周波数をカズに合わせ演習終了を告げる
「二人は戻るついでに連れてくよ」
「了解、昼飯食いに行くか?」
「そうだな、どっか貸切にしておいてくれ」
「まさか演習に参加した全員でやる気か?」
「当たり前だ、戦った相手を労うのも演習だ」
「了解、じゃあ後でな」
無線を一方的に切られ会話が終了する
後ろに倒れているアリアとジャンヌに向き直り
「さて、帰るか」
スキマを開き両手にアリアとジャンヌを抱え集合場所に出口を設定する
「・・・何あれ・・・」
PC画面を覗く少女は驚嘆していた
わかりやすく言えば
Σ(゚д゚lll)こんな顔押して驚いていた
「SSRに移転したっていうのは聞いていたけど複数種の能力を使用可能というのは聞いていない・・・」
独り言をぶつくさ言いながら過去に提出された報告書を読み直す
そこには響がSSRに移動することと今日の演習に参加すること、その他綴の目の前で使用した空中を飛行する能力や身につけていた装備品などに関することがまとめられて書かれていた
「やっぱり書かれていない、瞬間移動したり何もない空間に入ったり道具を取り出したりするなんて記述もない・・・直接接触したほうがわかりやすいかも」
ゴソゴソとワゴン車の中を移動し運転席に座り
「よし、打ち上げ会場へ先回り決定!!」
打ち上げ会場の特定を完了させ車を出した
どうも、あけましておめでとうございます
しばらく書いてなかったもんで4000字近くまでまとめて書いてしまいました(途中で区切るタイミングをなくしてしまった・・・)
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演習(強制):after1
「マイク音量大丈夫?チェック、ワン、ツー・・・大丈夫そうだな」
カズに打ち上げの会場を手配させてみたところなぜか宴会場になっていたのでとりあえずどこぞの霧島ネタを敢行してみる
綴にマイクを渡すなり
「えー本日の演習に参加した皆、ご苦労さん!乾杯!」
と、適当に挨拶するなり酒を飲み始めた
会場は全て貸切られているのだが何故一店舗まるごと借りているのかといえば酒が入ると暴れるであろう危険人物が二人ほど居るからだ
「なあ綴!どっちが早く飲みきれるか勝負するか?」
「ん?いいぞ、おい黒羽!タライと1升瓶二個ずつもってこい!」
早速出たよ・・・なんというか・・・めんどくさい
しかしまあ抵抗するだけ余計な労力を使いたくないのでスキマを通じて1升瓶とタライをそっと置いておく
「ソコニアルジャナイデスカー(棒)」
「お?ああ、すまん。置いてあったわ」
元から備え付いているかのように目立たない位置に置いておいた
「響?」
「ん?どうした」
「いや、食わなくていいのか?」
カズが目の前に置いてある料理を指し示す
「ああ、食うよ・・・さっきから何か違和感があるんだよな・・・」
「あの店員がどうかしたのか?」
「いや、多分気のせいだ、気にしないでくれ」
「そうか」
マナーとしては悪いかもしれないが雑談しながら食事を頂く
今回の演習や最近のことについて語り合う
「ご馳走様」
「ご馳走さん」
食事を食い終えると不意に最近のことを思い出してしまった
「・・・何かさ・・・最近、潜入したり戦ったりしてばっかりだったな・・・」
「まあ、仕方ないんじゃないか?警察関係者が汚職してたりいろいろあったし」
「そうだな・・・今度の週末くらいは引きこもるか」
「せやな。そういえばお前ゲームってやるか?」
「嫌いじゃないが?」
「なら今度やろうぜ」
「構わんよ、それとすまんがちょっと席を外す」
「どこ行くんだ?」
「追加注文行ってくる、なにか食いたいもんあるか?」
「じゃあ竜田揚げでも貰うか」
自分の席の周りに店員がいないので自ら注文を取りに行く
「すいません、竜田揚げと・・・今日の演習の撮影データを貰おう」
店員の変装をした少女に対し注文をする
「ご注文ありがとうございます、お席までお持ち致しますので少々お待ちください」
「いいや、今貰おうか。あれは武偵の内部関係者であっても出回っていいものではない」
「・・・バレてたの?」
おい、そんな(・ω・`)みたいな顔で見るんじゃない
「まあいいわ、別にこの映像は必ず必要なわけじゃないし」
「何が言いたいかはよくわからんが俺に隠し事はできないと思え、神風木乃葉」
「なぜ私の名前を・・・」
「どうしてだと思う?」
ドローンなんか飛ばして俺のことを調べるくらいならもう少し調べ上げられていると思うんだが、カマかけたほうが心が読みやすい
「・・・まさかそれもあなたの能力?」
「正しくはそうではないのだが、そこまで調べていたのか・・・ほかの能力も調査済みか?」
「も、もちろん調べてるわ!(え?まだほかにも能力あるの?)」
「・・・」
「え?なんで黙るの?!」
なんというかその・・・予想外だな
確かに転生してから能力の使用は誰にも勘付かれないようにしてたけどさ
「・・・お前、まあ、頑張ったと思うぞ」
「さてと、じゃあま・・・取材?させてもらいましょうか」
「・・・俺は今確かにこいつにデータを寄越せといった、だが気がついたら取材するとか言ってやがる、何を言っているかわからねえと思うが!俺にも分からん!」
よくわからん状況になりつつも本日の演習、そして打ち上げと称した宴会は幕を閉じたのだった
作者「次回!黒羽死す!デュエルスタンバイ!」
響「死なねえよ」
作者「え~死んどこうぜ?」
響「半霊くらいまでなら大丈夫かもしれんけど」
作者「えw?何w?『この高周波ブレードにきれないものはあんまりない』って言っちゃうの?ww」
響「草乱用やめい!それとそんなセリフは言わん」
作者「つまらんなぁ」
響「それはそうとさ、冒頭のセリフから察するに設定上2013年以降から転生したことになるのか?」
作者「書いてなかったけどそうなるね、一応と頭の中では2016から転生したことにしてる」
響「まあ、ストーリーに特に関わってこないから別に問題ない裏設定だな」
作者「せやね、ところでさっきからお前の後ろにDIOっぽいのがいるんだが」
響「あんたがジョジョネタ使いまくるせいだろ」
DIO「例えるなら!パクリ漫画を書いている作者のようなネタ切れ具合だな!」
作者「そろそろ尺ないんで勘弁して」
響&DIO「あ、はい」
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演習(強制):after2
「それで?」
「それで?と言われてもな、今言ったとおりだ」
現在、注文の竜田揚げを持ってきた店員の変装を解いた神風に質問攻めにあっている
席に戻るなりカズからは「テメェ・・・裏切りやがったな・・・!」とラブコール
裏切ったわけではないのだが・・・
「今の話だとまるで気がついたら能力が使えるようになっていたみたいに聞こえるんだけど、なにか前兆はあったでしょ?例えば高熱を出したとか」
言える訳ない、死んで転生するときにチート特典つけてもらったなんて
「そんな前のこと覚えてない、俺にそんな事を聞いてどうするつもりだ?」
「言ってなかった?私こう見えて諜報科でSランクとってるんだけど?」
「それはもう知ってる、俺が知りたいのは目的だ。能力の付与とか何かしらあるだろ?」
「いや、別にないわよ?敢えて言うなら能力の発生条件の研究かしら?後はそうね、単純な興味」
「そうか・・・カズ、少し野暮用ができた、明日までには戻る」
スッと席を立ちちょっとした用事を済ませに出かけようとする
しかし神風は
「ちょっと!まだ話は終わってないわよ!出かけるなら私もついていく!」
とついてくる気がやばい
そう、例えるなら、兄の後をついて回ってくる妹のように
「来たければ来ればいい、どうなっても知らんが」
「どういう意味よ」
「そのままの意味だ、能力に関することで試したいことがあるだけだ」
エントランスを通り表の道路にバイクを出す
「・・・まあ、RAYとかCV33とか操縦できたんだし大丈夫だよな・・・」
あまりいい思い出のないバイクに跨る、以前壊れた奴の時間を巻き戻し直しただけだが
「ちょっと、バイクの操縦なんてできないでしょ?車輌科でもないんだし」
「あ、甘く見るな。こ、こここ、こんなの自転車と変わらん」
「・・・運転代わりなさい」
「だ、だだ大丈夫だ、問題ない」
「私が怪我したくないの、いいから代わる」
半ば無理やりハンドルを奪われる
仕方ないので後部座席に移動するが
「お前、バイクなんて運転できるのか?」
神風はニヤリと笑い
「私はこれでも現役のバイクレーサーよ」
「ヘースゴイデスネー(棒)」
「尊敬する気ゼロね・・・で?どこ行くの?」
「近場の山に行く予定だったんだが、その前に適当な買い物に行こうかと思ってな、とりあえず駅の方まで頼む・・・」
「わかったわ、しっかり捕まってなさい」
セルでエンジンをかけギアを入れる
勢いよくスタートしたバイクはアホみたいな速度で一般道を走る
自分の周りを誰も走っていないのが幸か不幸かグングンスピードが上がる
「どんなもんよ!」
「すごいな(一般道でこの速度を出す勇気が)」
「もっと褒めてもいいのよ?」
「褒めたつもりは・・・まあいいか」
「駅の方まで行くのは構わないんだけどちょっと頼みごとがあるのよ」
神風の声のトーンが下がり真剣な面持ちになるのでこちらまで何を言われるのか緊張してしまう
「なんだ?」
「一部でもいいから能力の内容を教えてちょうだい」
ひとつだけ、あの爺さんから貰った能力の事を教えておくことにしよう
ここに来てから一度たりとて使ったことのない能力だが
「・・・見たことのある能力を使える能力だ」
「え?」
「どんなチート能力でも、意識下で無くても、目が開いていれば見たことになる、その見たことのある能力を使える、例えそれが時間停止能力であったとしても」
「・・・それが、あなたの能力?」
「ああ、だが教えるのはここまでだ。この先はお前が考えろ」
バイクの後部シートを立ちバイクの横を飛ぶ
「・・・飛べたの?」
「飛べたよ」
「どこでそんな能力を?」
死んだ魚のような目でこちらを見てくる神風
おい、前見ろよ
「いったはずだ、ここからはお前が考えろ」
「今更だけど飛べたならバイクを使う意味なくない?」
「お前がついてきたいとか言うからだろ、一人なら素直に飛んでたよ」
「は?私がいたから悪いの?」
「そうは言ってないだろ!いいから前見ろ!」
「・・・後20分くらいで着くからシートに戻ったほうがいいかもよ」
「そうさせてもらおうか、人目につくのは好きじゃないのでな」
時間を止め安全第一で座席に戻る
飛ぶのは簡単でも戻るのは案外難しいものだ
作者「どうしようwめんどくさい展開になってきたw」
響「やめなさい」
作者「いや、どうするよ、この先の展開」
神風「あんたが考えないでどうするの」
作者「まあ、どうにかしましょう」
セヤナー「ウチナー エビフライ ナンヤー」
作者&響&神風「セヤナー」
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平和が一番楽でいい
「ねえ、まだ終わらないの?」
「まだかかる、暇なら自分の欲しいもんでも持って来い、買ってやるから」
「言ったわね?後悔しても知らないわよ」
「おい・・・行っちまった・・・」
女子の買い物ってのは自分が買うのには時間がかかるくせに人に対しては「まだか」と聞いてくる、不条理というかなんというか
何故今買い物しているかといえばそろそろ自宅の冷蔵庫が大変な有様になってそうだからだ
冷凍食品だけってのも味気ないから自炊していたのだがしばらく寮に戻っていなかったことも相まって冷蔵庫を開けた瞬間の悪夢を想像したくないからとりあえず2、3日分の食べ物を買いだめているのだ
後でこっそり自室に戻って片付けるから買い物と冷蔵庫内の暗黒物質の処理をまとめて行いたい所存
「とりあえずこれだけあれば暫くはどうにかなるな」
タイムセールの時間帯を狙っただけあって豚肉、もやし、キャベツ、惣菜は安く手に入った
後はピーマンと豆板醤を買って家にあるはずの味噌で合わせて回鍋肉でも作るか
「はい、これよろしく!」
満面の笑みでカゴ2つ分のポテトチップスとカップラーメンを持ってくる神風をジト目で見つつ値段を確認する
「それ、1つ当たりいくらだ?」
「カップ麺100円、ポテチ88円!」
「・・・ボソッ(よくあればっかり食ってて太らないな)」
「何か言った?」
「いえ何も」
「その程度なら作ってやる、まともなものを食え」
「え~!」
「とりあえず買ってやるから騒ぐな・・・」
騒ぐ神風を黙らせレジに向かう、ラーメンとジャガイモをカゴに追加してからだが
「お会計4900円になります」
5000円札を先に出しておき領収書を要求する
「ありがとうございました~」
店を出て駐車場に行く直前に
「神風、5分ほど待っててくれ」
「どうして?」
「家にコレを置いてくるからだ」
「・・・お台場まで何キロあると思ってるの?」
「まあ、ちょっと待ってろ」
スキマを開き自室に繋げる
部屋に入るなり背後に気配を感じる
「神風・・・待ってろといったはずだが・・・?」
「付いてきました、はい」
「はぁ・・・まあいいだろう、ソファーに座って待ってろ」
生憎自室で生活する時間が少なかっただけに私物は少ししか置いていない
今のところこの部屋に置いてあるのは銃器に関する学校で配布される参考書が付箋まみれで置いてあるくらいだ
「ふーん、真面目に勉強してたのねー」
「私物はあまりないがいじるな」
部屋は数人で1つの部屋を使うもののため自分が使っているリビング以外に数部屋あるのだが、そのうちの1部屋は俺が装備科から買ってきた銃を改造する工房と化している
「こっちの部屋は?」
「銃の改造スペース」
冷蔵庫内の暗黒物質の状況を確認し時間を巻き戻すのを諦める
いつもいつも平気な顔して時間巻き戻してるけど割と制限がある
怪我とか破損程度なら完全に元の状況まで元に戻せるが食物だとカビの繁殖や食事などで生物分解された物に関しては元に戻せない
当然野菜や肉類にはカビが多少なりとも繁殖してしまっているのでカビが根を張ってしまった場所は穴があいている
「・・・雑菌とカビを破壊しておくか、細胞の欠片一つ残らず」
「終わった?」
「ああ、終わったよ・・・色々と」
「なんでそんな疲れたような顔してるのよ・・・」
「さあ?どうしてだろうな?」
「とりあえず俺のやりたいことは終わったが・・・何してる」
「ほへひはへへふ(ポテチ食べてる)」
「まずは飲み込め、飲み込んでから喋れ」
ゴクリ、と音がしそうな飲み込み方をしてから
「お腹すいた」
「・・・ポテチを食べてるじゃないか」
「今何時だと思ってるの?6時よ6時、夕飯時でしょ?」
「俺の夕飯は9時30分だ・・・まあいいだろう、ちょっと待っとけ」
「ん」
冷蔵庫内の元暗黒物質の処理がてら夕食を作ることにした
がしかし何を作るかと冷静になった瞬間
「・・・おい、さっきの宴会場行けば夕食くらい出るんじゃないのか?一応あそこ旅館形式だったし、泊まるやつの方が多いと思うぞ」
「♪~(ポテチウマー♪)」
「聞いてないし・・・まあいいか、どうせ時間はあるし。カズにも明日までにはもどるって言ってあるし」
冷蔵庫から豚ロースと生姜、焼肉のタレを取り出し生姜を半分に切る
半分に切った生姜のうち片割れをおろし器でボールに全部おろし、焼肉のたれと混ぜる
次に豚肉の筋を切り縮こまるのを防ぎ即席しょうが汁へと投下する
漬け込んでいる間に残りの生姜を水を張ったタッパーに入れる(冷凍するよりこっちのほうが長持ちするらしい)10分ほどしょうが汁へ漬け込むところを時間を進めておく
フライパンに油を張り火をかける
フライパンが温まってきたら漬け込んだ豚肉を2枚投入する
弱火で焼いている間にキャベツを千切りにする
え?米?安心してください、もう炊けてます!
キャベツが刻み終わったら2人分の皿に盛る
ついでに冷蔵庫からプチトマトを取り出し2つずつキャベツの脇に添える
豚肉を裏返し焼け具合を確認しちょうどいい感じだったので裏返し中火で焼く
いい感じに焼けたので皿に盛り、残りの2枚も中火で焼く
そして完成!題して「一人暮らし用即席生姜焼き」
「おーい、飯できたぞ~」
完成した生姜焼きを両手に持ち部屋の中央にあるテーブルへ運びに行くと
『本日未明、警察庁長官が職権乱用で自衛官1名を殺害するように部下へ指示したとのことで武偵に検挙され――』
とニュース報道されていた
しかもこれ誰か知らん奴の手柄になってるじゃん。めんどくさいの嫌だから別にいけど
「これ、あなたよね?」
「何が?」
「こいつを捕まえたのはあなたよね?」
「・・・まあな、コイツの部下に殺されかけたからな。捕まえるところまではやったが検挙はしてない」
「ふーん・・・あれ?いつの間に生姜焼きなんて作ったの?」
「お前がテレビ見てる間に、米は自分でよそれ。茶碗と箸は戸棚だ」
「はーい、♪~」
妙に機嫌のいい神風を脇目に飯を食う
「・・・(最近治安悪いなー警察は何してんだか・・・あ、そうか。汚職してるんだ)」
茶碗に白米をよそった神風が「もっきゅもっきゅ」と腹ぺこ王のように食べている
「はぁ・・・平和だなぁー」
「?」
アンブローズ・ビアスの「平和とは戦争と戦争の間の準備期間である」という言葉を思い出してハッとするが気にしないでおく
作者「冬休みが!受験前最後のオアシスが終わってしまう!」
響「失踪するなよ?」
神風「受験だろうがなんだろうが突っ走る作者に限ってそういうことはないと思う」
和馬「これで失踪したら受験で落ちたと思えばいい」
作者「安心しろ、落ちても更新はするから」
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月光の下で:1
飯を食い終え皿を片付けると
「そういえば山に行くとか言ってなかった?」
「ああ、行くよ」
「時間は大丈夫なの?」
「余裕、直接行くしな」
「さっきみたいにってこと?」
「そうだ、とっとと行くぞ」
スキマを開いて富士演習場から数キロ離れた山中の開けた場所に繋げる
「先に言って待ってろ、俺はさっきのバイクを取ってくる」
「はいはい、山の中に置き去りにはしないでよ」
「しない」
繋げたスキマを安定させてバイクを置いたままの駐車場に別でスキマを繋げてスキマの中にしまう
「・・・そういえば、このラックってなんだ?」
パトリオットを取り出したあとふと目に入ったラックの中身を調べると
「・・・あのおっさん、こんなものまで用意してたのか・・・」
ラックの中には複数のカードと一緒に1枚の手紙がしまってあった
手紙の内容は
東方の能力だけつけても面白くないからスペルカード入れとく
使用限度とかないから安心しろ
ついでに言うと能力は東方に登場する妖怪の性質も使えるから
吸血鬼とか鬼とかいろいろあるが書くのはめんどくさいから自分で考えろ
by神
「・・・なんだそりゃ」
よくわからん奴だな、と思いながらスペカと一緒に置いてあったMOLLE対応のカードケースにスペカを詰め込み制服のベルトも兼ねているタクティカルベルトに付けておく
「急がねーと」
個人用のレールガンとパトリオットを持ってスキマを開く
出た先では木の下で座っている神風がつまらなそうに空を見上げていた
「待たせたな、ちょっと荷物を取ってきてたんでな」
「・・・遅い」
「悪かった、てかお前は帰らないでいいのかよ」
「必要ないわ、そもそもまだ聞きたいことはあるし」
「あっそう」
腰にあらかじめ下げておいた高周波ブレードを引き抜き適当な木を切り落とし即席の的を拵える
「少し下がってろ」
「え?ちょ、何するの?」
「夜中には武偵校に入れないからな」
パトリオットのセレクターをセーフティーからフルオートに切り替え切り落とした丸太の中央に照準を合わせる
「跳弾に気をつけろ」
トリガーに指をかけ片手で3秒ほど連射する
「・・・命中性は・・・気にしたら負けだな」
丸太の時を巻き戻し弾着する前に戻す
「何?その銃」
「パトリオットだ、ドラムマガジンの内部機構が無限大の形をしているからいくら撃っても弾切れを起こすことはないらしい」
「へー、すごいわね・・・そっちのは?」
「これか?レールガンだ、超電磁砲とでも言うのかな?」
「レールガンってまだ兵器としては実用レベルじゃないって話だったと思うんだけど・・・」
「それを言ったらコイツを作った奴が相当な技量だっただけだと思うが・・・まあ下がってろ、まだ撃ったことないし」
レールガンのスコープを覗き込み蓄電率が100%になったところでトリガーを引くと二つのレールから放電された電気が金属飛翔体に対し強力な磁力を発生させ高速で打ち出されると照準通りに丸太を撃ち抜いたのだが・・・
「えっと・・・」
「皆まで言うな、丸太が消し飛んだのはわかってる」
丸太は貫通したそのままの勢いでどこかへ吹き飛んでいった
むしろ弾けとんだ
切り落とした木の時を巻き戻し何事もなかったことにしてレールガンの使い勝手があまり良くないことを実感する
「命中性はランクで言えばSで威力までSか・・・月光を一撃で屠れるわけだよ・・・」
「月光?」
「気にするな・・・さて、問題はこれなわけだが、弾幕ってちゃんと出るのか?」
適当にカードホルダーから1枚スペカを取り出し試しに符の名前を叫んでみる
「スペルカード!霊符『夢想封印』!」
周囲2~3m程の空間に光球が大量発生し正面の先ほど直した木に向かって飛んでいき
弾着位置は対物ライフルを数十発撃ち込まれたかのように大きく抉られていた
「・・・今の、何・・・?」
「さあ?なんだろうな・・・」
そろそろこんなもんでいいか、音がうるさいと地域住民に迷惑をかけかねないし
「神風、そろそろ・・・」
帰るぞ、と言おうといた瞬間近くの木の陰に人の気配を感じ振り返る
「・・・気のせいか?」
「どうしたの?」
「誰かがそこでこっちを見ていた気が・・・」
内ポケットにしまっておいたソリッドアイを取り出し暗視機能を起動する
「ぷっwなにそれw」
「草生やすな、拡大機能付き暗視装置の眼帯型のものだと思えばいい」
再び先ほどの木の陰を見るとやはり誰もいない
しかし足跡が残っているのを見つけられた
さっき気配を感じてからそこまで時間は経っていないからそこまで遠くに入っていないはずなので
「・・・そこにいると危ないぞ、今すぐに出てくれば毛の一本も切れないで済むぞ!」
と大声で警告したのだが反応がないどころか物音ひとつしない
「はぁ・・・仕方ないか」
スキマを開き固定化してからiDROIDでスキマの中に控えている月光へ響と神風以外の人間を探し捕獲するように命令を出す
『モー!』
「月光4機の索敵を回避できるとは思えん、SOPシステムが使えればもっと簡単に捕まると思うんだが・・・」
「ね、ねえ・・・今のなんかきもち悪い奴って・・・何・・・?」
「あー、うん。月光っていう無人兵器」
「む、無人兵器?」
「そうだよ」
『モー!』
「そんなこと言ってるうちにさっきの不審者が見つかったみたいだぞ」
月光がカメラ付きのケーブルで絡め取った不審者を持って歩いてくる
『モー』
「離しなさいよ!この!」
「・・・何してんですか」
アリアが月光のケーブルに絡め取られ身動きがとれない状態になって運ばれてきた
「あんた!いいから下ろしなさい!」
「響・・・先輩がかわいそうですから下ろしてあげましょう?」
「・・・ぷっ、くくく・・・」
神風のかわいそう発言で堪えていた笑いが一気に吹き出た
「笑ってないで下ろしなさい!!」
『モー?』
「はいはい、今下ろしますよ」
「はいは一回!」
月光に拘束を解除するように命令を送るとアリアの体に巻きついていたケーブルが解けるとアリアが地面に降りる
「あーんーたーねー!!銃声がしたから見に来てみれば!一体何よ!この仕打ちは!」
オリジナル地団駄をアリアが踏み
『モー?!』
と月光がアリアといっしょの動きをし始めた
何この空間、SOPシステムがないと月光のAIってこうなるの?
「なんだろう・・・月光が可愛く見える・・・」
『モー♪』
「え?これが?」
「・・・気のせいだった」
『モー!?』
月光ってなんだっけという疑問を持ったまま夜が更けていくのを空に浮かぶ星空を見上げて実感する
「午後21時27分31秒か」
作者「月光って何かいいよね」
響「わからないな」
月光「モー!」
響「月光をあとがきに持ってくるな!」
作者&月光「えー?」
響「月光は『モー』以外に音声は出ない!」
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月光の下で:2
「午後21時27分31秒か」
「え?」
「現在時刻だ」
「ちょっとあんた!聞いてるの?!」
アリアがさっきからオリジナル地団駄を踏みながら響と神風に対し憤慨している
「聞いてないです」
『モー!』
「「「・・・」」」
月光がいい加減うるさいので隙間にしまうと
『モー』
『モー!』
『モー?』
残りの月光が誰かを見つけたようでドシドシと足音を立てながら戻ってきた
「・・・」
「おい!なんだこれは!」
無言で運ばれるレキとケーブルで絡め取られて身動きがとれずまともな抵抗ができないジャンヌと
「離せ!くっそ!離せよ!」
全身黒ずくめの見知らぬ人が捕まっていた
念のため心を読んでおくことにしよう
「・・・(・・・)」
あ、何も考えてないんですね・・・
「おお!アリアに響じゃないか!助けてくれ!(ええい!こいつ!凍らせてから切り刻んでやる!!!)」
考えてること怖!
「ちくしょう!(なんか音がしたから来てみればなんでこんなことに!?)」
ほんと誰だよあんた!
「・・・なんだこの状況」
とりあえず誰かわからん奴はそのままにしておくとしてレキとジャンヌは下ろして誰だか知らん奴には
「え~と、どうしてこんなとこにいるんですか?」
「音がしたから気になって見に来たんだよ!いいから下ろしてくれよ!」
「はぁ・・・見たことを話してくれるならいいぞ」
「わかった!そのくらいいくらでも話す!だから下ろしてくれ!」
地面に下ろしてやってから月光たちをスキマの中にしまう
「さっきも言ったが音がしたから見に来たんだ、そしたらあんたが銃を撃ってて・・・気がつかれたと思ったから急いで山を下りようとしたらさっきの奴に捕まったんだ」
「・・・嘘はついてないようだな、すまんな。迷惑かけた」
一応他言されても迷惑だし記憶は消しておくことにしよう
脳の時間を巻き戻し音を射撃開始前の記憶まで戻す
「・・・だ、誰だあんたら!」
「武偵だ、怪我したくなきゃとっとと帰ったほうがいい」
怯えた様子で山を降りていく彼を見送りこの場にいる全員に
「ところで、さっきから気がついていると思うが・・・あいつ以外に誰かいるみたいだ」
「ああ、それは気が付いていた。何というか嫌な気配を感じる」
まず最初に口を開いたのはジャンヌだった、先程からの気配は感じていたようだ
「今から対象を追跡者として捕獲する、もし違ったとしてもこの時間に山にいるのは不自然すぎる、根拠はないが何かある気がする」
「響?私何か出来ることある?」
神風は戦力として期待はできない、戦力よりはバックアップに回したい人材だ
「ない、できれば綴達に知らせてくれ。何が起こるかわからん」
「わかった」
「カズ!起きてるか?」
「今から寝るところだ、何か用か?」
「急ぎだ、追跡者がいる。オペレートを頼むよ」
「了解、準備する」
「アリアとジャンヌは俺と一緒に来てくれ、レキは後方支援を頼む」
「「「了解」」」
場にいる全員に指示を出し追跡を開始する
改めてスキマから月光とキッドナッパーを各4機ずつ出撃させ陸と空から捜索させる
「さて、行くぞ!」
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月光の下で:3
山中を歩き、追跡者を捜索していると無線機にレキからCALLが入った
「響さん、追跡者を補足しました。あなた達のいる位置から30m西の方向にいます」
「了解」
足音と気配を殺し接近していく
すると男が電話で誰かと話していた
「・・・レキ、狙撃タイミングはこちらで指示する。合図を待て」
「了解」
さらに近くに接近し何を話しているのか聞き耳を立てる
「おい!聞いてねえぞ!・・・ふざけんなよお前!なんで俺が!」
「・・・(何の話だ?)」
「ああ、ああ・・・わかった。だが俺に何かあってみろ、殺すぞ」
男は物騒なことを言ってから電話を切った
結局何の話をしているかわからなかったので尋問しに背後に回ろうとするが先に動いたのは男の方だった
「おい!そこにいるのは誰だ!」
見つかったか?
いや、あの位置からこっちは見えないはずだ、しかも足音も立てていないのだから見つかるはずがない、ということは見つかったのは俺ら以外の誰かだ
可能性があるとすれば
「出てこい!」
「俺だよ」
先ほどの男だった
「・・・(どういう状況よこれ)」
「あの音はなんだった?」
「音?いや、聞いてないが」
「おいおいおい、そりゃねえだろ?さっきスゲエでかい音がしただろ?」
「聞いてないって言ってるだろ、そもそもここに来たのだってお前が無理やり――」
どういうことだ?
さっきの奴に質問したときに嘘をついてはいなかった
嘘はついていなかったが状況の説明が足りなかったといったところか
「・・・心を読むだけじゃなく記憶も読めればな・・・」
ボソッと独り言を呟くとひと呼吸おいてから静かに
「ザ・ワールド」
時間を止めゆっくりと相手に向かって歩いていく
「思うのだが音というのは一瞬で響き渡ってしまった場合人間が認識できずただ空気が振動しただけに過ぎない現象だと思うのだ」
人間が認識するには0.2秒以上かからなければ認識できないそうだ
要するに0.2秒以内に音や光が通り過ぎてしまえば認識されないということだ
具体的にはマッハ7以上で認識可能領域から出ていけばいいってわけだ
ふたりの男の後ろに周りこみホルスターからMK-22を抜き取り構える
「そして時は動き出す」
時間が動き出すと同時に
「動くな、どうなっても知らんぞ」
「いつの間に!?」
「レキ、片方を気絶させろ」
レキに無線で攻撃指示を出す
「了解」
遠くで銃声がした後先程の男が倒れる
「アリア、ジャンヌ。囲め」
さらに逃げられないようアリアとジャンヌに俺を含む3点で包囲する形をとる
「貴、様ァ・・・」
「質問に答えろ、ここで何をしていた」
「毎日このくらいの時間帯にここで大きな音がするから見に来ているんだ、まさかお前ら武偵の仕業だとは思ってなかったよ」
「・・・ふむ。嘘はついていないようだな、さしずめ自警団(笑)といったところか」
「チッ!やっぱり嵌めやがったなあの野郎・・・!」
「嵌める?何の話だ?」
「この山で2、3人の男女が失踪してるんだ。お前らが消したんじゃないのか?」
「何の――」
何の話だと言おうとするがそれはワオオォォン!と腹に響く遠吠えでかき消された
誰が反応するよりも早く
「全員山を降りろ!!」
気が付けばそう叫んでいた
全力で銃を突きつけていた男を担ぎ上げ走り出した次の瞬間には先ほど響の立っていた地面に人間程の大きさの狼が立っていた
「レキ!」
咄嗟に狙撃指示を出すが狼は銃弾を難なく避ける
レキは跳弾で目標に当てる程度には先を読んで弾を打つがそれを避けるということはただの狼じゃない
「・・・狼か」
嫌いじゃないんだが・・・こうも敵対されると傷つくぞ
先を読んで攻撃してくる狼に対し腰のベルトに下げていたパトリオットを引き抜き威嚇射撃を行うがやはり避けられる
「アリア!ジャンヌ!」
3方向から同時に射撃を行いさらに狙撃を加える
「タイミング合わせなさいよ!」
「言わずもがな」
「大丈夫だ」
3方向から同時に射撃を行い空中に飛んだ瞬間レキによる狙撃が行われた
しかし狼は首を逸らし頚椎圧迫を阻止した
だが所詮は狼だったようだ次に俺がどう動くか考えてもいなかったようだ
「ザ・ワールド!」
時間が停止しレキ、響、アリア、ジャンヌのはなった弾丸も着弾寸前に停止した
「例え弾丸の位置を変えたとしてもその運動エネルギーは変わらない、時間が停止していれば移動する際に消費する運動エネルギーも変動しない」
そう、アリアやジャンヌ、レキに射撃を行わせたのは絶対的に避けることのできない状況を作り出したかったからだ
弾丸を掴み頚椎付近に設置する
一応ビリヤードの要領で拳銃弾の方も反射で頚椎を圧迫できるように仕向けておいた
「show timeだ!」
時間が動き出しそれに呼応するように弾丸は勢いよく狼の首筋を掠める
拳銃弾も数瞬遅れて再び掠め狼は地面に落ちる
響「時系列がわかっている人がおそらく多分きっといないだろうから説明ターイム!」
作者「何そのテンション・・・」
響「いいから説明するぞ。まずこの演習とすぐ後は原作でどの辺?」
作者「原作でハイマキが出てそのすぐ後、ブラド戦のちょっと前」
響「じゃあ、長官を拉致ったのは?」
作者「ハイマキ登場前だな」
響「えーと、後は・・・まあいいか」
作者「いいのかよ・・・」
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月光の下で:4
「さて、こいつが言ってた音の正体がコイツだとしても失踪した奴らは食われたと考える他ないよな・・・」
「グルルル・・・」
「あー威嚇するな、一時的に体が動かなくなっただけだから・・・って言ってもわからんか」
先ほど頚髄圧迫により体を動けなくした狼は相変わらず響を含む全員を睨み、威嚇し続けている
レキはSVDを肩に下げ響たちと合流している
「カズ・・・どうする?こいつ・・・」
「どうするって言ってもな・・・保健所か?」
「・・・飼うという選択肢もあるが・・・」
「飼う?!狼を?やめとけやめとけ!」
「狼なら、飼えますよ・・・」
無線でカズと話しているとレキが口を開いた
確かにレキはコーカサスハクギンオオカミを武偵犬という扱いで飼ってはいる
「確か・・・ハイマキだったか?」
「そう、その子はシベリアオオカミという種類」
「シベリアオオカミか・・・」
『モー!』
「あーそういえば月光も捜索に出してたな。ん?まさか!」
「どうしたの?」
「失踪した奴らを見つけたのかもしれん、ジャンヌ、手伝ってくれ。もしかしたら負傷してるかもしれない」
「わかった」
「残りはここで待ってろ、そいつは連れて帰らないといけないからな・・・」
月光の残り3機の座標から失踪した奴らのところへ向かう
第一なぜ2、3人で山に入る必要があったのか
訳がわからん、どうせそこらへんで「うぇーい!」とか叫んでるような輩だろうが
「響、先ほどの狼だがどこから迷い込んだと思う?」
「あー、あいつか・・・外来生物だからな、誰かが飼っていたものが逃げて野生化したか、もしくは誰かがあえてこの山に放ったか・・・いずれにしてもそこに人間が関わっていることは確実だ」
「私は後者のほうがしっくりくる、理由を聞かれても何となくとしか言えないが」
「それでいいと思うぞ、誰がどう思おうとそれは自由だからな。・・・それを実行に移すかは別だが」
雑談しつつ月光を待機させている場所に到着すると
そこには
「ははは、でもそれおかしいだろー!」
「そうか?そうでもないと思うんだが・・・」
「そうでもないよー!」
件の奴らがいた
「おい、そこで何してる?」
木々をかき分け獣道から出て声をかける
「うわ!」
「びびったなぁ・・・」
「え?なに?武偵?」
「そっちのお嬢さんは理解が早くて助かる、武偵だ。お前らここで何してる、家出か?」
「「「・・・」」」
「だんまりね・・・別にいいが街じゃ失踪したことになってる、さっさ帰って親御さんを安心させてやれよ」
決まり文句を言い連れて帰ろうと一歩近寄ると
「お、お前に何がわかる!親の都合でやりたいことができずにやれって言われたこと以外できないで成績が悪くなれば殴られる苦しみが!」
これみよがしに3人のうち一人が大声で叫んだ、耳鳴りがするほど静かな山の中で突然の大声は効くねえ
「わからないな、親がどうした?お前の中の親は絶対なのか?親に殴られてそれまでか?違うだろ、理解されないなら自分をぶつけろ。それでダメなら殴りあえ。それでこそ親子じゃないのか?俺にはもう親がいないからできないが、殴り合ったあと腹を割って話し合えばいい」
「響・・・」
ジャンヌが俺の名前を呼ぶが手で制止し続ける
「・・・お前らがどう思い、どう行動しようが勝手だ。だがな、親や兄弟だけは大事にしろ。お前を産んで育てて、守って、色々な時間を共有して、お前らにとっても大切な家族のはずだ。親が自分の事だけを考えて世の中にいい顔しようとしてお前らに負担をかけるようなら反抗しろ、お前らはれっきとした人間だ。人形じゃない」
諭すように落ち着いて冷静に話そうと務める
感情に任せず、ただし相手の感情に訴えるように
こういう時は能力や武力なんてのは役に立たん
相手の心に語りかけるのが重要なのだ
「・・・でも・・・」
「言いたいことは分かる、帰ったときどう話しかければいいかわからない、だろ?」
「う、うん」
「そういう時はな、笑顔でただいまって言えばいいんだよ。心配かけたなって」
「わかった・・・」
「ジャンヌ、帰るぞ。全くこいつらは・・・昔の俺そっくりだ・・・」
「ああ、それより。ほら、涙拭いたら?」
「む?」
ジャンヌがポケットからハンカチを取り出し渡してくる、全く年を取ると涙腺がもろくなっていけねえ
「ありがとう・・・情けないところを見せたな・・・」
「いや、誰にだって弱い側面はある」
「・・・流石先輩か?」
「そういうわけじゃないんだが・・・」
「さて、帰るぞ!とっとと準備しろ!」
「「「はーい・・・」」」
「何故ダルそうなのか・・・?」
月光を待機状態にしスキマに回収する
先ほどの狼はどうなったか気になる
そろそろ歩けるようになっているはず
だがその前にやることがあるな
こいつらをさっきの二人組に引き渡してとっとと家に帰らせなくては
「あ、戻ってきた」
いつの間にやら戻ってきた神風に目配せしてから二人組に
「待たせたな、こいつらを連れて帰ってくれ」
「わかった、もしかしてこいつら・・・」
「家出だ、あまり強く言わないでやってくれ。このくらいの年頃ならよくあることだ」
「ああ、元よりそのつもりだ。こいつらくらいの時に俺もこの山に家出に来たことがあるしな」
「そうか、まあいい。後始末はこっちでしとく」
「すまん、色々と迷惑かけた・・・またな」
山を下りるのを見届けると先ほどの狼がどうやら立ち上がれるようになったようだ
空を見上げ時刻を確認すると先ほど体が動かないようにしてからまだ20分程しか立っていないようだった
時間が経つのが随分とゆっくりに感じる
「動けるようになったのか、歩けるなら大丈夫だな。どうする?俺と来るか、それとも俺以外の武偵に駆除されるか、好きなほうを選べ」
人間の言葉が通じるとは思えんがとりあえず話しかける
当たり前だが返答はない
だが反応はあった
俺の横に立ち足元で座った
「なんだ、来るのか?」
それからは反応はない
だが動物でも仲間ができるのは嬉しいものだ
「・・・(なんか、狼って案外可愛いな)」
「帰るわよ、早いとこ東京に帰ってバカキンジがほかの女に手を出してないか調べなきゃ」
「今日は流石に疲れたわ・・・」
「さっきの店は風呂場も貸してるらしい、今日は一応泊まれるから風呂に入れるぞ?」
「もぐもぐ」
みんな口々に好き勝手言いながら山を降りていく(レキはカロリーメイトを食っているが)
それを後ろからただ呆然と眺める
「全く、あいつら皆、自由だねぇ・・・」
独り言をつぶやきひと呼吸おいてから歩き出そうとすると無線にcallが入った
「響、とっとと帰って来い。こっちは暇なんだ、戻ってきて将棋でも付き合え」
「了解、これから帰るよ・・・そういえば綴達は?」
「神風が来たけど寝てた」
「嘘だろ?」
「いやマジ」
「・・・はぁ、もういいや。帰る」
一人無線に向かって吐いたため息と呆れて出てきた言葉が夜の山に虚しく消えていった
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せっかくだから廃墟散策
「あー寒い・・・」
昨日の狼と一緒に閉じ込められた地下室で呟いた独り言が反響し響いている
机の上で腰ほどまで溜まった水を避けてとりあえず疲れを癒している
元はといえば昨日の夜、といっても今日の午前4時頃だが
カズが突然「近所に廃ホテルがあるらしいから行こーぜ」とか言い始めたのがきっかけだった。その後で「女子と一緒に肝試しすれば合法的にくっつけるしww」とかかなりゲスい事を言っていた気もするが結局カズは俺を地下に放って帰ってしまった
「はぁ・・・よりにもよって御札だらけだからなぁ・・・この部屋の中だと使える能力もなぜか制限あるし、無線も携帯も使えないし・・・どうする?ルプスー?」
「クゥーン」
ルプスというのは昨日の狼に俺が付けた名前だ。ネーミングセンスがないので適当にラテン語で狼の意味を持つ単語を名前に使ったわけだが
今思うとあいつ途中から変だったな、俺の背中に何か憑いてるとかどうとか
それ以前に俺から逃げるように帰ってしまった意味がわからん
「おい響ー・・・あれ?どこだー?」
「ここにいる、全く何のようだ?朝っぱらから」
「お前が弾のリローディングしててうるさいから起こされたんだろうが!」
「すまんすまん、で?何のようだ?」
「いや近所に廃ホテルあるらしいから行こーぜ」
「簡潔に回答してやる。めんどくさい、疲れた、学校の課題がたんまりある。以上だ」
カズには目もくれず弾丸のリローディングを続けながら会話を続行するが
使用済みの薬莢を奪われ中断せざるを得なくなる
「なんだ!行きたければ一人で行けばいいだろう」
俺がいい加減めんどくさいので少し声を上げると
「あー!うるさいうるさいうるさい!もう少し静かに朝を迎えられないの!?」
とアリアを筆頭に朝4時から睡眠を妨げられた方々がクレームを言いに来た
「すいません、習慣で何時に寝ても朝4時までに起きるんですよ。最近は少しずつ睡眠時間を伸ばしてるんですがね」
とりあえず謝っておくと突然カズが
「お、ちょうど全員集まったみたいだし」
チラと俺に目配せしてからスゥと息を吸い込み
「近所にいい感じの廃墟があるから皆さんで肝試し、行きませんか?」
「・・・はぁ・・・結局か、まあいいだろ。ただし課題は写させろ」
「わかったよ、見せりゃいいんだろ?後で貸してやる」
「ならいいだろう」
それからイライラとこちらの出方を伺っているお嬢様方に向き直り
「どうするんですか?廃墟散策、行きます?」
「面白そうだから私は行くわ」
「そうだな、行こう」
「え、ちょっと。あーもう、私も行く!」
「・・・(コクン)」
「それじゃ、朝飯食ってから出発!」
しばらく街の中を歩いて商店街を通り過ぎ、寂れた公園を横切って、民家が減って。
そして最後に山と一体化した建物に到着した
「・・・ここか?」
「おう、ここだ」
鬱蒼と地面に草が繁茂し、外壁は蔓と無数のヒビが走っており一層不気味さを演出している。夜中に来たらそれこそ肝試しに最適だろうよ
「先に行くぞ、2m位離れて付いて来い」
「アイアイサー」
スキマから鋭く研ぎ上げだククリマチェットを取り出し草を腰程度の高さで切り落としてホテルのフロントへ突き進んでいく
なんか近づくたびに空気が変わっていくのが分かるのだが・・・
「ここなの?」
エントランスホールに到着するなりいつもと変わらない様子でアリアが尋ねてくる
「カズが言うにはそうらしいです・・・ってカズは?」
「さっきトイレ行くとか言って奥行ったけど?」
「全くあいつは・・・まあいいか、とりあえずライト配るぞ」
腰にくくりつけたダンプポーチからこの場にいる全員分のライトを取り出し手渡す
「それじゃ、各自解散。自由に散策してどうぞ」
「じゃ、上を見てくるわ」
「私は向こうを見てくる」
「・・・」
レキは相変わらず無言だがどうやら地下を見に行ったようだ
神風は浴場に、アリアは客室に向かったが
「ジャンヌは行かないでいいのか?」
「別に見るものなんてないだろう?」
「さてね。まあいいや、俺はカズにライト渡してから地下に行く事にするわ。じゃの」
「おい・・・仕方ない。上に行くか」
カズは律儀にも男子トイレで用を足した後のようだったのだが
「面白いものあるからちょっと来いよ」とか言って連れてこられた先には最近ここに捨てられたであろう大量のエロ本が落ちていた
「・・・カズ・・・いや斎藤・・・てめえまさかコレのために連れてきたんじゃあないよなァ?!」
「お、落ち着けよ。目的はあくまで肝試しだ、な?この掲示板みろよ、地下にはもっとすごいものがあるらしいぜ?見に行こうぜ、な?」
「・・・いいだろう、地下行くぞ」
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たまに行くならこんな廃墟
いくら廃墟だといっても地下は案外劣化は進んでいないようだ
ただしヒビから染み出た水が腰ほどの高さまで溜まっていた
「・・・カズ、確かにすごいものだな。誰かが亀やらブラックバスやらをここに捨てたみたいだが」
腰ほどまで溜まった水は排水設備が稼働していないためこれからも排水されることはない
さらにどんどん水位は増していくので今後地下まで下りてくることはできなくなるはずだ
「うーむ、胴長必須って書いてあったがこういう意味か・・・どうする?」
「俺は防水装備を持ってるがお前の分は用意してないぞ。胴長なら3分で買ってくる」
「じゃあ頼む」
スキマを開き近くのホームセンター付近に繋げ胴長を取りレジに持っていく
「これください」
「3890円になります」
財布をポケットから取り出し4000円を店員に渡す
「4000円お預かりします」
「領収証お願いします」
「明細はお付けしますか?」
「お願いします、宛名は黒羽で」
「はい。お買い上げありがとうございました」
買い物袋は貰わず小脇に抱えて店を出てスキマを開き先ほどの廃墟に繋げた
「戻ったぞ・・・何してる・・・」
「いやレキ先輩が来たから話してただけだ」
「本当か?怪しいぞ・・・」
「嘘はついてない」
レキが疑いを否定したので今回は見逃す
「・・・ならいいが、ほら。買ってきたぞ」
胴長の入った箱を渡しカズが胴長を着始めたところで自分も制服を脱ぎアーセナル装備だけを着た状態になる
「さてと、準備できたっと」
「お前な・・・それでいいのかよ・・・」
「いいんだよ、それじゃ行くぞ」
水に入っていこうとすると後ろから声をかけられた
驚いたことにカズではなく声の主はレキだった
「私も行く」
「・・・カズ、胴長ってもう一着入ってたか?」
「いや、一着だけだった」
「ぬぅ・・・一応防水装備に心当たりはあるが・・・ここで着替えさせる訳にもいかんしな・・・」
「?あるなら貸してやればいいじゃないか」
「はぁ・・・仕方ない、ほかに何かないか見てみよう」
スキマを開き装備品を収納しているラックの中を確認する
女性用装備があるとすればカエル兵の装備と後は向こうにある現代兵器関係のラックくらいのものだろうが・・・
「ヘイブントルーパーか・・・これは保留しておこう」
現代装備関係のラックに貼ってあるラベルから水辺関係の装備を探して行くと何となくそれっぽいものを見つけた
「セミドライスーツ?北極海でダイビングするわけじゃないから置いておくか」
ほかには何があるか調べてみるが見当たったのはシェルスーツとネオプレンスーツなるものだけだった
「うわーよく考えてみればわかることだった、軍とかは基本的にそのまま水の中はいるんだった・・・」
結局まともなものが見当たらない軍用やらメタルギア系装備ばかり指定したのが悪かった・・・どうしてこういうことを予測しなかった・・・
激しい自己嫌悪に襲われているとふと
『全くアメリカ軍は既製の装備に頼りすぎる。その上、ひとつの装備をほかの用途に使うという応用力にも乏しい。私のいたSASではそんなことはないぞ。どんな装備にしても融通を利かせるよう訓練をするんだ』
という某少佐の言葉を思い出した
「少佐・・・いけない、流石に廃墟で女子に着替えさせるわけにはいかない」
セミドライスーツやウェットスーツは下着ではなく水着を下に着る場合の方が多い。つまり、現状水着なぞ便利なものを持っていないので積んだと同じ状況なわけだ。
もうカエル兵でいいか?だとしても着替える場所がないじゃないか!
どうすりゃいいんだよ!
時期的にはまだ暑いし今から水着買ってくるか?
「やめろ!落ち着け俺!まだ慌てるような時間じゃあないぜ!なにか打開策があるはずだ!」
どうする?もういっその事全部持って行って本人に選ばせるか?
よし、そうしよう!本人に選ばせれば俺に責任はない!
セミドライスーツとネオプレンスーツ、シェルスーツにヘイブントルーパーの装備一式を適当な箱に入れスキマを開き箱を持って出て行く
「持ってきたぞ、まともな物が一切ないが気にしたら負けだ」
「・・・響、これはちょっとアレじゃないか?」
「言うな、わかっている。だが持ってないものは仕方がない」
「じゃあこれ」
レキがよりにもよってカエル兵を選んだ
「あー、じゃあ向こうの空き部屋かこの中か好きなほうを選んでくれ」
「別にどこでもいい」
「と言われてもな・・・いろいろ問題になるから、な?」
カズが鼻の下を伸ばしながらカメラを取り出したので奥の部屋の扉の先にスキマを設置しあいつが覗こうとしても絶対に覗けないようにしておく
部屋の内側からは出られても外側からは覗くことはおろか入ることも出来ない構造だ
「じゃあ着替えたら出てきてくれ」
「わかった」
レキを部屋に入れ着替えている間はカズを説教しなければならないようだ
「斎藤くゥン!そのカメラの中身見せてもらっていいかなァ!」
「や、やめろ!俺の秘蔵コレクションを奪うなぁ!」
「だが断る!」
「うわぁぁ!!」
カメラの撮影データを確認するとどこで撮ったのか女子武偵の写真だ
その中にはパンチラや更衣室内で着替えている写真など犯罪写真ばかりが出てくる
「お前・・・犯罪だぞ、これ」
「・・・知ってた」
「ほう、まあ詳しいことは署で聞くから」
「やめて~!」
冗談を言いながらとりあえずこの写真は消しておくか
どうせコイツのパソコンにも大量に入っているんだろうが
しばらくこうしていると着替えたレキが部屋から出てきた
着替えてもヘッドホンは付けたままなのか・・・
「それ、外さないのか?」
返答はないが頷いたので外しはしないようだ
この強化服は今のところナノマシンやGW、SOPシステム等がない状態なので強化外骨格とほぼ同じ機能としてしか使えないがそれでもある程度の感覚増強や人工筋肉による肉体強化や防弾機構は生きている
天狗兵やカエル兵は人工筋肉以外に色々装備が付いていたから外さないと制服の下に着込めないのが難点だ
当然防弾機構やマグポーチ、高周波ブレードなどは取り外しているのだが
「・・・さて、改めまして。行くか」
「「おー」」
作者「やべえ、今回全然進展しなかった・・・」
響「仕方ないんじゃないか?」
作者「にしてもアレだ、カエル兵姿のレキはそれはそれで見てみたい」
響「お前が描けば?」
作者「絵心なぞ存在しない俺に死角はない」
響「まあ、気になるな。どんな風になるのか」
作者「脳内補正脳内補正」
響「そうやな」
作者「てか天狗兵とかカエル兵の装備って防水なのか?」
響「防水なんじゃね?しらんけど」
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廃墟探索者のお仕事
じゃぽじゃぽと音を立て水の中に入っていく
人工筋肉を装備しているといえど水圧はかなりある事を実感する
感覚強化がないコイツでこれだとレキの方は感覚強化を切らないとおそらく痛い
まあ、ナノマシンとの連携で感覚強化を行うからヘルメットの聴覚強化しか使えないから大丈夫だと思うが
「レキ、大丈夫か?」
「大丈夫問題ない」
「ならいい」
俺より約20cmほど身長が低いせいかレキは胸のあたりまで水に浸かっているが普通に歩いているのと同じ速度で歩けているのは人工筋肉で筋力が強化されているからだろう
水圧で普通なら開かない扉は朽ち果てており既に水中に倒れているものがほとんどだ
部屋の中を覗くと出入り口は土間のように高さがあり床より10cm程の高さに浸水している
「カズ、どこまで行く気だ?さっきあった見取り図だとこの先は階段だぞ?」
「ああ、階段の手前に隠し部屋があるらしい」
「なるほど、だがそろそろ水深が深くなってきてるんだが・・・」
「ぶくぶくぶく」
レキがほとんど沈んでるので水中呼吸用装備をスキマから取り出して渡してやる
「俺はある程度なら大丈夫だがお前は制服が水で濡れ始めてるぞ」
「まあ、胴長じゃたかが知れてるからな。諦めるさ」
「あ、そう。ところでそろそろ通路の奥に着きそうなんだが?」
「ここだよ」
カズがもう胴長の限界まで水に浸かっているが気にしていない様子で壁とほぼ同じ色で塗られた扉を指す
扉が少し開いていたので中を覗き込むと階段で少し高い位置に床があるがやはりというかなんというかどうしても腰ほどの高さまで水が溜まっている
水中だと力が増す程度の能力でさらに力を強化し扉を無理やり開ける
「ぶわっ!おい、あまり大きな波を立てるな!」
「悪い、ところで。なんでこの部屋は半開きだったと思う?」
「さあな?」
「途中に浮きまくっていた机、あれは俺が手をかけて沈めようとしてもなかなか沈まなかった。沈んでも20cmほどまでしか沈まなかった」
「それが?」
「それとこの部屋の中にいるこいつは誰だかわからないのか?」
ライトで部屋の中を照らしてやると中にいた狼が反応し、それをカズが見てから納得したかのように反応する
「あいつか、確かにあいつがいた場所からは近いしいてもおかしくはないな」
「ぶくぶくぶく」
「まあいいや、先に部屋に入るぞ」
部屋の中に入り中を見てみるが床にボルトで固定された机と隣の部屋に続く階段と頑丈な扉、それに不気味さを煽る大量の御札があるだけだ
とりあえず暗くてよく見えないので闇を操り部屋を明るくしようと試みるが闇を操ることができない
「ん?能力が使えない」
仕方ない部屋から一度出てから準備しよう
「カズ、そっちに開けた場所あるか?」
「多少深くていいならあるぞ」
「ならそっちに行く、レキは?」
「沈んでる」
「はぁ・・・呼吸器があるからいいか」
部屋を出てから水深が深いボイラー室へ向かう他より少し深い位置にある階段へ向かい水を操り水中に空間を作る
スキマから防水のポーチを取り出しその中に今持っているものより強力なライトとサイリウムとその他小道具を詰め部屋の前に戻る
「あれ?レキは?部屋か?」
「ああ、さっき入っていったぞ」
「ふーん、道具は準備したから行くぞ。ほら、ライトだ」
「サンキュー」
部屋の中に入るとルプスの近くにレキが座っていた
「さて、お前の言ってた面白いものってなんだ?」
「この隣の部屋だがこの部屋はこの部屋で肝試しっぽくていいだろ?」
「俺は能力が使えないから困ってる、まともな道具も持ってないしな」
「なるほどね」
カズが隣の部屋に続く階段の近くに行き扉を開けようとするがこれっぽっちしか動かない
「ダメだ、鍵がかかってる」
「退いてろ」
防水ポーチからキーピックを取り出し鍵穴に差し込む
しばらく鍵と格闘し開錠に成功する
「よし開いたぞ」
「よく開けられたな・・・」
「鍵が旧式だったんだよ、現代のは多分無理だ」
「そういうもんか」
扉を開けようと力を入れると
ギイィィィ
と黒板を引っ掻いたというか学校の椅子を軋ませた音というか中が空洞の金属を無理やり曲げたような音がしながら頑丈そうな扉はゆっくりと開いた
階段の高さと部屋の床の高さからかまだ部屋の内部浸水はしていなかった
しかしこれだけの水があるということは湿度が高いわけで当然天井はカビだらけだ
むしろマスクもなにもない状態で入れば呼吸器系がやられかねないような状態だった
「カズ、コイツを使え。これはマスクなしにはまともに呼吸ができん」
先ほどのポーチから小型の半面式ガスマスクを取り出しカズに渡す
「お前はどうするんだ?」
「こいつがある」
この部屋は空気こそ悪いがギリギリ境界を操ることまではできたのでアーセナル装備のヘルメットを取り出しガスマスクの代わりに装備する
「さて、探索開始と行こう」
「そうだな」
ライトにディフューザーを付け部屋の隅に四つ設置し部屋の内部を明るく照らす
「ったく昼間だってのに暗い地下に潜ってブラックバスやら亀のいる水中を歩いてカビ臭い部屋に入らないといけないんだ」
「そういうなよ・・・あ、あったぞ。これだ」
カズが掲示板の画像と一緒に部屋の一角にあった一つの白い瓶を指差す
なんだろう?横には文字が書いてあってサイズは四リットルの焼酎ボトルの半分ほどの大きさだ
「なんだこれ・・・御札が貼ってあるぞ?」
さらにその横には湿度が高かった影響からかカビでびっしりと覆われ、一部が朽ちた仏壇だったであろうものまで置いてある
「これは遺骨らしい、長いこと放置されてるがみろ。御札以外はカビてもいなければちっとも汚れてない」
「不思議だな・・・だがこういうのは不謹慎じゃないか?」
「まあな、で。今回は肝試しってことにしてきたが俺が個人的に調べたところご遺族はご存命だが浸水がひどくここまでこれなかった上にこの部屋の存在さえも知らなかったせいで遺骨やお位牌なども回収できなかったそうだ」
「それで?」
「で、今回演習でこっちの方に来るって聞いたんでその前にご遺族に会ってきて、ここに入る許可を取ってきた。その時に入ってもいい代わりにもし見つかったらおじいちゃん、つまりはこの人を家まで連れて帰ってほしいって言われたんだ。だからお前の協力が必要だった」
「なるほどな、だから俺を連れてこようとしたのか。カズのくせになかなか考えたな」
「まあ、見つかったんだ。連れて帰ってあげようぜ?」
「そうだな、とりあえずお位牌と仏壇の中にあれば遺品、それに遺骨を運ぶ準備だな」
スキマを開き手漕ぎ式のゴムボートを取り出す
「さて、載せよう」
「おう」
遺骨をまずゴムボートの中心に置き、仏壇から位牌、それから仏壇の小さな引き出しと引き戸の中から遺品と思われるものを取り出しダンボールに詰めボートに載せる
「よし、こんなもんだろ。カズ、先に運んでおいてくれ。俺はもう少し部屋を見てみる」
「了解、じゃあ後で」
「後でな」
実際廃墟にご遺骨や仏壇が残ってたりするもんですかね?
行ったことがないから分からないですが、もしあったとしたらご遺族は何を思うんでしょうか
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心霊現象はいかが?
カズに遺品と遺骨、それと位牌を運ばせている間部屋の中の探索を続ける
この部屋は実は0.5階程の高さに作られており、昼頃じゃなければ外壁に張り付いて成長するツルや雑草などで少しも日が入らないので窓があることに気が付くことはなかっただろう
ただし、窓は鉄格子が設置してあり外に出ることはできない上に窓は胸ほどの高さからしかないので無理矢理にでも外に出るのは難しそうだ
「・・・ほとんど見尽くしたかな?」
先ほどカズに確認したがこの建物は築25年ほどの建物だそうだが地下のコンクリートの劣化が早すぎる気もする。
確かに人がいなくなれば建物の劣化は早まるがここを放棄したのは今から二年前になるらしいので普通ならここまで劣化することはないだろう
ここの水にしてもそうだがどこから流れ込んだんだ?
この部屋側に向かうにつれ天井と床が段差で低くなっているとは言えかなりの量がある
150cm前後のレキが口元まで水に浸かっているんだ大体140cm前後の水位はある
天井がもともと高い作りの為頭をぶつけたりはしなかったが
「レキ、部屋出るぞ。ライトを回収するから先に行っててくれ」
「・・・(こくん)」
レキがこちらに振り向き一度頷いてから水中に入っていくところを横目にカビだらけだった部屋からライトを回収し扉を閉める
「さて、帰るk・・・待てェェい!」
勝手に扉が閉まり始め部屋から出られなくなる前に扉を開け直そうと力を込めなおすが扉が閉まる速度を落とす程度のことしかできない
「レキ!部屋から出ろ!」
無言で走りギリギリ開いている扉から外にレキが出たその直後に扉が閉まってしまった
「レキ!あいつらに知らせてくれ!俺が閉じ込められていることをカズたちに!」
扉に向かって大声で叫びレキがカズたちに伝えてくれる事を祈り扉から離れる
机の上でルプスが立っているが出られないことを悟ると再び座ってしまった
長机だからルプスが座っていたとしても端っこの方はまだスペースが余っているのでその横に座ることにした
しばらく待ってみるが通路側から何一つとして物音がしない
「あー寒い・・・」
それより水に濡れたことと地下ということも相まって体感温度はかなり低いことの方が致命的だ
アーセナル装備はある程度の体温保持機能を備えてはいるが必要最低限の温度までしか保つことができないので無いよりマシ程度の機能しかない
「はぁ・・・よりにもよって御札だらけだからなぁ・・・この部屋の中だと使える能力もなぜか制限あるし、無線も携帯も使えないし・・・どうする?ルプスー?」
「クゥーン」
こいつも出来ることはないようで弱々しい犬のような鳴き声を出す程度だ
「さて、向こうの部屋で少し道具を集めるか・・・」
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扉が開かなければ爆破してしまえばいいじゃない
「さて、向こうの部屋で少し道具を集めるか・・・」
カビ臭い部屋の中に入りスキマを開くと道具を取り出すことはできるが他の場所に繋げることはできないようだ
一応扉だけを破壊するから高周波ブレードとC4、セムテックスを取り出し再び扉の付近へ移動する
「爆破は最低限にしないと崩れてきても困るからな・・・よし、後はルプスと向こうの部屋に隠れて・・・あれ?起爆スイッチどこだ?」
C4とセムテックスを適度に設置し起爆剤に点火しようと無線式のスイッチを使おうとするが腰のベルトに付けておいたスイッチが見当たらない
やばい、落としたかも・・・
「マジか・・・」
水中に潜りライトで手元を照らしつつ部屋の地面を全て調べる
部屋の隅に流れ着いていたのを確認したので隣の部屋に入り起爆スイッチのボタンカバーを外す
「キラークイーンは既に扉に触れている」
カバーの外れたスイッチを押し込み起爆する
少し小さめの爆発音と共に水に何かが倒れるような音がした
「これで今日もぐっすり眠れるよ、さて扉が弾け飛んだか確認するとしようか」
再び扉付近まで近づき部屋の扉が爆発でひしゃげ水中に倒れているのを確認した
「やはりこの黒羽響、人生でピンチになるといつもそうなんだ。いつも運が味方してくれる」
さて、能力の使用ができるようになったところでとっとと帰ることにいたしましょう
せっかく水があることだし能力を使って帰るか
水中で力が増す能力、そして水を操る能力を併用することによって足裏の水圧と水の流動方向をピンポイントに集積し、さらにそれに耐えうるだけの力ができた
「併用が可能かどうか確かめるついでにいいかもしれん」
足裏の流動方向をジェット噴射のように後方へ流すと水中を進むことができた
ただしこれもなかなか難しい、足裏だけなのでバランスが取れないのだ
「これは普通に歩いたほうが早そうだ・・・」
結局普通に歩いた
ついでに浮いてた机を水を操って一列に並べルプスがこちら側に歩いてきやすいように橋を作ってやる
ただし、こんにゃく橋のように浮き沈みするがね
少年移動中・・・
「地上世界よ!私は帰ってきた!」
地下からの上り階段を上りきり大声で地上に戻ったことを誰にでもなく知らせる
まあうるさそうにこちらを見ているのはカズ以外の皆々様でいらっしゃいましたとか
「遅いわよ!」
「扉が開かなかったそうだな」
「全く間抜けね」
「・・・」
レキに至ってはもはや何も言ってくれない始末だ
まあ、ちゃんと伝えてくれただけいいか・・・
先ほど千里眼で確認したところカズは何やら爆薬やらなんやらの道具を取りに行ったようだが今は蘭豹に絡まれておりこちらに来るのは明らかに無理そうだ
「あいつも苦労するな・・・」
今更だが何故アリアたちが救助に来なかったかといえば水に入るのが嫌だったそうで
カズ以下演習参加メンバーが宴会場に集合したので
「え~それでは、第一回『武偵でも演習がしたい』2日目肝試しを終了させていただきます」
「「「「お疲れ様でした~」」」」
と本日の活動を締めくくる
後は神風は自分の車で、俺とカズは俺の気まぐれで選ばれる移動手段で、その他の皆様は自由な交通手段で帰宅することとなり解散となった
「カズ、ちょっと今日は空き地島に帰るぞ」
「それまたどうして?」
「これで帰るから」
スキマから艦上攻撃機(爆撃機にもなる)流星を取り出し乗り込みの準備をする
「じゃ、行くぞ~!」
「お、おー!」
艦攻も艦爆もいいよね!
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自衛隊再び
「とっとと乗れ、エンジン冷めちゃうだろ」
「いや、でもだな。素人の操縦する機体には乗らない主義・・・」
「はいはい、そうだね~・・・ルプス、お前先帰ってな。ほら」
スキマを開き自宅へ繋げると自分から俺の部屋へ向かって歩いていったので部屋に入ったことを確認すると隙間を閉じる
「いや、普通にそこ通ればよくない!?」
「まーいーじゃないか。たまには空の旅を楽しめよ!」
キャノピーを開き操縦席に座る
スキマを開き右手でプロペラを勢いよく回す
左手でエンジンの回転数をゆっくりと上げスイッチを入れるとプロペラが独立回転し始めたのでスロットルレバーを上げてからスキマを車輪付近に設置し車輪止めを外し飛行可能な状態を作り出す
「そろそろ行くぞ~?」
「待て、まだハーネス締めてない」
「はいど~ん!」
「いや待って!」
問答無用で出発する
キャノピーを閉め、フラップを離陸位置まで下げスロットルを八割方上げて速度が150kmを越えたあたりで操縦桿を引き機首を上げる
「いやちょっと待って!ほんと待って!せめてスホーイとか現代機にして!」
「俺が操縦出来るのってレシプロだけですしおすし」
既に高度を350mまで上がっている
距離を操る能力とは便利なものだ、離陸距離まで稼げるのだからな
さて、時間停止でさらに加速するとしよう
「ザ・ワールド!」
機体の時間だけを動かしスロットルを最大にし推力の限界という境界を消し加速する
少年達上昇中・・・
「お~旅客機だ~。乗ったことないけど」
まもなく高度10000mに到達する
最適高度を軽く超えているが境界を操る程度の能力で機体内の内圧やら温度、エンジン出力をいじっているから大丈夫だ
「そして時は動き出す」
「はっ!ここは!?」
「横見ろ、横」
「え?ワーリョカッキダー」
「それと現在時刻もな」
「え?うわッ!さっきから全然時間が経ってない!」
「そういうことだ。さあ、お台場まで帰るぞ」
旅客機の左前方に出て一度バンクを振ってから高度を下げ離脱する
高度を8000mまで下げてからお台場の海中に待機させたアーセナルギアの同期したレーダをiDROIDに反映し確認してみる
「ふむ、距離自体はかなり離れているが通信状態は良好。早期警戒レーダーにも異常なし」
「何を見てるんだ?」
「レーダーだ、この近くを飛んでる民間機を見ておかないと衝突事故を起こしかねないからな」
カズにiDROIDを渡しレーダーを見せる
「へーところでレーダに感あるけど」
「マジか」
カズがこちらに投影されたレーダー情報を見せてくるので確認すると確かにこの機体の後方に2機いる
2機で並んで飛んでいることからおそらくは民間機ではなく軍とかそのあたりの機体だ
「カズ、後方は頼んだ」
「了解、弾薬量は?」
「ほぼ無限」
後方旋回機銃と翼内銃座の弾薬の境界を操り無限の状態にする
「まさかドックファイトにはならないよな?」
「そうだといいな」
ザザッザザザッ
無線に通信が入り警告音と英語を話す声が聞こえる
「This is Japan Air Self-Defense Force. You are violating Japanese
airspace. Withdraw immediately.警告。貴機は日本領空を侵犯している。我の指示に従え。」
無線機を取り周波数は合っているのでそのまま打診する
「当機は東京武偵校の生徒が操縦している。領空侵犯はない。繰り返す領空侵犯はない」
「・・・了解。とりあえず誘導に従ってくれ」
「了解。・・・カズ、少し寄り道するぞ」
2機の自衛隊機が機体を旋回し基地方面へ向かって飛び始めるのでこちらも機体を旋回させ付いていく
自衛隊機に誘導され空自基地付近まで到着したようで高度を下げるよう指示があった
「ここから台場まではかなり近いな、帰りはもう車で帰るか?」
「そうだな、その前に飯食うか」
雑談しつつ高度を下げるため急降下する旨を自衛隊機に告げ高度を1500mまで下げると航空基地を目視で確認できた
「エアブレーキって便利だな」
「普通に降りろよ・・・」
「こちら航空自衛隊府中基地、貴機の着陸を許可する。」
「了解、着陸態勢に入る。」
ランディングギアを下ろしエアブレーキとフラップを展開し減速する
スロットルを完全に下げ、車輪が地面に着く直前で機首を上げる
車輪が地面についたらブレーキをかけ停止するのを待つ
「到着、こちら武偵機より府中基地、無事着陸に成功した。機体の整備を頼めるか?」
「こちら府中基地、機体の整備ならまかせてください」
「カズ、降りるぞ」
「おう、航空機は飛ぶより降りるほうが難しいらしいが大丈夫みたいだな」
「当たり前だ」
キャノピーを開き機体翼面の〔フムナ〕に注意しながら機体を降りる
「航空自衛隊、府中基地所属の岡村空将です。少しお話聞かせてもらっていいですか?」
停止した機体の脇に小走りで歩いてきたのは制服をきちっと着た若い将校だった
イケメン滅ぶべし
「ん?岡村・・・?」
まあ、ありふれた名前だが心当たりのある名前がよぎってしまったのでつい口に出てしまった
「ああ、はい。祖父は岡村徳長、旧日本海軍中佐です」
陸軍の方だと思ったが海軍の方だったか
まあ、別に関係ないからいいけど
「なるほど、ではガダルカナルに関しては?」
「父が祖父から聞いた話を聞いた程度ですが、まあそれなりにといったところです。」
まあ今から
「ではこの機体は分かりますか?」
「B7A1流星、連合軍のコードネームはGrace(グレイス)ですね?」
「正解です、これは最盛期当時の機体を使っていますがね」
「それはどういった意味で?」
「それは追々、それで?聞きたいことというのは?」
少し苦笑しながら話題を元に戻す
「ああ、すいません。それではご案内します」
岡村空将の後に付いて飛行場を後にする
旧日本海軍将校の孫に会えるとは・・・世の中分からないね
作者「ノリと勢いとパスタの国からドゥーチェ参戦だ!」
響「お前はいつからアンツィオの生徒になったんだ?」
作者「いつも何もアンツィオの生徒じゃないけど?(正論)」
響「メンドクセ。それは置いといて実際のところ岡村中佐の子孫を出したのは何?」
作者「まあ、何というか原作だと歴史上の人物とか余裕で出ちゃうしこの程度大丈夫かなって」
響「・・・ジパングを思い出したんだよな?」
作者「うん」
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日本の空を・・・?
「それで?何が聞きたいのですか?」
案内されたのは基地内の一角にある応接室だった
わざわざ空将がお茶を入れようとしてくれたが流石に迷惑はかけられないので自分でやったが
「そうですね、まずは先日陸上自衛隊基地で私の知人が殺害されていました。基地内に侵入の痕跡があり、基地内に備蓄されているべき武器、装備が全てなくなっていました。」
あの日の話題が出てきたので少し気を引き締める
「・・・それで?」
「殺害に関しては犯人はもう捕まっていますし、それを指示した者も逮捕されて今は塀の向こうですが、ひとつわからないことがありまして。基地内の兵器が全てなくなったことに関してはまだ誰もトリックが掴めてません」
岡村空将は少し俯き膝の上で手を組んでいる
心を読むまでもなく、明らかに少しの悲しみと怒りが湧いている
「ほう・・・それはそれは」
「運び出したのは・・・あなた、ですよね?」
「・・・正解です、よくわかりましたね」
「まあ、あなたの情報はこちらで掴んでいましたし。先日の富士演習場での映像もきっちりもらっていますしね」
神風以外に映像を撮ってる奴がいたのか・・・
多分人工衛星で映像を撮っていたのだろうがそう考えるとあの時使った能力は既に自衛隊以外の勢力にも出回ってしまったのだろうな
「できればその映像は削除して欲しいものですが・・・それで、俺があの基地から武器、装備を奪ったのは事実ですが聞きたいのはそれじゃないですよね」
「もちろんです、言うなれば何故武器、装備を奪うにとどめたのかですね」
「依頼ですよ、あの基地司令官があの武装を用いてテロを企てているので新型の試作戦車を破壊しろ、という。まあ当時依頼自体は投書で来ていたのを読んだだけなので事実確認はできませんでしたが。それとなぜ基地司令を逮捕しなかったかといえば、あくまで武装解除が依頼だったからです」
「・・・なるほど。確かに殺害されていたのは基地司令だけでしたし、逮捕された元長官も同じ事を言っていました」
「そういうことです、それでほかに聞きたいことは?」
「特には」
「無いのでしたら、そろそろ・・・」
「どちらへ?」
「食事です、カズ。飯食いに行くぞ」
「おう」
「待ってください、それでしたら私もご一緒します」
席を立ち部屋を出ようとする俺たちを呼び止め、笑顔で食堂へ案内する空将は少しばかり楽しそうだった
少年食事中・・・
「いや~食った食った!自衛隊の飯がこんなにうまいとは思ってなかった」
「本当はこの時間の食事は禁止なんですがね」
「そうなのか・・・?」
「いやそうだって言ってるじゃん」
「カズ・・・言葉の綾だ」
「あ、はい」
「さて、将校殿は聞きたい話もないようですし。そろそろお暇しますよ」
席を立った瞬間に食堂内のスピーカーから警報音とともに警告文が放送された
「いや、そういう訳にはいかないようです」
「・・・機体はこっちで用意する、カズ。いつもどおりに頼む」
「はいよ。通信設備をお借りします」
「りょ、了解しました。滑走路に急ぎましょう」
「こっちのほうが早い」
スキマを開き中を通す
不都合な部分は見えないように入った瞬間に滑走路行きだが
「能力とは便利なものですね」
「そうでもないです、カズ。用意はいいか?」
「通信状態は良好だ」
「なら行こう。show timeだ」
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無駄に洗練された無駄のない無駄な能力使用
スキマを開きYFー23を取り出す
「さて、行くか」
キャノピーを開きシートに座る、こいつ自体は一応試作機以外は残っていないらしいが武装が付いてるあたり良心的だな
「show timeだ」
フラップを下げてスロットルを最大に上げアフターバーナーに着火、加速し地面を離れる準備段階に入る
機体が少し地面から離れた瞬間にフラップを格納、機種を上げ速度が250kmを越えたあたりでランディングギアを格納する
「こちらウルフよりHQ、正体不明機の座標をマップに転送してくれ」
「こちらカズよりウルフへ、いま送信中だ」
「了解・・・来たな」
レーダーに反映された情報を確認するとここから南へかなりいったところに不明機の反応がある
「ただ飛ぶのもつまらんな」
スキマを機体前方に設置し不明機付近に繋げる
空間に穴を開けて、瞬間移動ってやつだぜ
「さてさて、敵機はどこかな~?」
アーセナルギアのレーダ情報と併用して敵機を探すと対潜レーダーに反応があった
「・・・水中?」
まあ後で確認するとして現状敵機は見当たらn・・・前言撤回。
なんか航空機じゃない何かがいる
一般的にプテラノドンとか言われそうな何かが飛んでる
対空レーダーは赤外線の反射でも捉えることがあると言うがこのサイズのものが飛んでれば補足されてもおかしくはないな。十分存在がおかしいが
「・・・あーすまん。幻覚が見えてるのかな?プテラノドンがいらっしゃるんだが」
「疲れてるな、帰って寝ろ」
「やかましいわ!・・・とりあえず。ザ・ワールド!時よ止まれェ!」
機体も止めてスキマにしまう為に
速度がまだあるので一応とエアブレーキとフラップを展開してスキマの中で着陸する
案外広いからどうにかなるもんだな
機体を整列させてから改めて外に出る
「・・・近くで見ると結構でかいな・・・」
今更思ったがステルス機で飛んでくるより明らかに能力で飛んでくる方が早かった気がする
「対潜レーダーに反応があったのは・・・この辺か・・・」
アーセナルの対潜レーダーに反応があった場所の付近の海上から水中にダイブする
しばらく潜って行くとやはりかなりの大きさの潜水艦が潜行している
「・・・(でかいな)」
単純に見ても軽く300m近くはある
このままだと確実に内部に潜入できないのでどこかに穴開けて時を巻き戻すことにしよう、そうしよう
「オラァ!!」
外壁に無理矢理拳をねじ込もうと叩きつけるが
ゴォォン
とまるで除夜の鐘のような音が水中だというのに響いたと思えば叩き込んだ拳がぐちゃぐちゃになっていた
「・・・(以前レキに狙撃された時に痛覚抑制してて良かった)」
よもや潜水艦を直すつもりが自分の腕を直すことになるとは誰が思っただろう
自分の腕の時間を巻き戻して素直に壁を通り抜けることにした時間停止した午後3時である
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やはり俺のやってることは間違っている
すり抜けた!すり抜けた壁の先には!
意外!それは髪の毛!
正確に言えば人間の頭部!
などと謎のテンションで自分の中で状況を整理する
一応時間は止まっているので俺の存在はバレないというチート付きなので安心して状況を観察する
「この艦の名前は・・・『伊・U』?」
自分の視界の片隅にこの船の用途と名前が表示される
用途は・・・核を発射する、か
こんな水深からでも核が撃てるのか。まさに悪魔の兵器か・・・
「以前ジャンヌの心を読んだとき出てきたイ・ウーとはコレのことだったのか・・・」
そんなことはさておき、そろそろほかの情報が欲しいところだ
この広い艦内じゃ案内なしにはまともに歩く事も叶わんだろうし。
さっさと情報を得るとしよう
「そして時は動き出す」
停止した時間がゆっくりと動き始め、正面に立っている男が口を開いた
「やはり来たか、君が今ここにいるのは本来であればイレギュラーなのだがね」
「・・・シャーロックホームズ卿か?」
「正解だよ、これは君の能力かな?」
「心の中の最も深い場所、そこには自分の生きる意味や目的、生きがい等自分にとって最も重要なものがある、その中には自分の名前があることなど別に不思議なことじゃない」
「つまり君は今、私の心を読んだのだね?」
「未来予知にも匹敵する推理力を持つあなたが人にものを問うなど必要ないと思うのだが?」
「それは無粋というものだよ、私は単純に会話を楽しみたいのだから」
「それはそうと・・・プテラノドン、しまった方がいいよ?」
「ああ、大丈夫、君を呼ぶためにアレは外に出したのだ」
「そうかい・・・こちらウルフよりHQ、侵犯機の国籍は不明。対象は進行方向を反転、速やかに侵犯空域を離脱した。こっちはちょっと野暮用を済ませてから戻る」
偽の情報を流し空自のスクランブルを解除させこの一件を済ませる
「了解、用事を済ませてからとっとと帰って来い」
「・・・了解。オーバー」
無線の電源を切り改めて自分の名前を名乗る
「フィオナ騎士団が一番槍・・・じゃなかった。東京武偵校1年C組、黒羽響。以後お見知りおきを」
「・・・あれ?これは指摘するべきかな?」
「いえ、結構です」
「では、私も名乗ろうか。伊・U艦長、シャーロック・ホームズ、よろしく頼む」
「それじゃあ、案内頼んでいいか?」
「それは必要ない、そこの部屋に入れば君の疑問は解決するからね」
部屋の扉を指差すシャーロック
「そりゃどうも」
シャーロックに背を向け部屋の扉へ向けて歩き出そうとするとシャーロックは俺を引き止め、一言だけ呟いた
「ああ、ここは血の気の多い人が多い、気をつけたまえ」
「そうさせてもらおう」
扉の前まで移動し押し開く
「マイクチェックの時間だゴラァ!」
「え?!何?!」
扉を開けた先に居たのは・・・一人の少女だった・・・着替え中の
思った人はいるでしょう。「マイクチェックって扉を蹴破るんじゃなかったっけ?」と。
だが俺はあえてこう言いましょう。気にしたら負けだと
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君は不思議な能力を持ったフレンズなんだね!すごーい!
「え?!何?!」
眼前に現れたのは、着替え中の少女だった・・・
じっくりと観察したいところだったが即座に扉を閉めシャーロックに詰め寄る
「おい!何だあの素敵な空間、もとい。女の子は!?」
「はっはっは。古川君だよ、名古屋武偵校の」
「俺の疑問が解決するってなんだっけ!?」
「なにってイ・ウーの正体でしょ?あの子に聞いたほうが楽だよ?」
「・・・めんどくさいやっちゃの~」
再び扉の前に立ちノックしようと扉に触れようとすると扉の表面が変化し表面に刺のようなものが形成され、俺に刺の先端が向いたと思えば次の瞬間には射出されていた
「っぶね!俺じゃなきゃ死んでたぞ!」
壁をすり抜ける能力の応用で飛来する金属の刺を全て俺の体を透過させる
「死ねやァ!!」
「おい!待て!ステイ!」
「待たねえ!」
先ほどの扉に触れたと思えば扉が再び変化し今度は銃に変わる
「こいつを喰らえ!」
「おっと、あぶねえ」
発砲してきた銃弾を避けて少女の首筋にレッグホルスターから抜いたMK-22を撃つ
「当たらないんだな!これが!」
首元には確かに着弾したが反射するかのように跳弾し弾き飛ばされる
「当たろうが当たるまいが時間が停止すればどうなると思う?ザ・ワールド!」
興奮気味の古川という少女を止めるため時間を止め、先程発砲した銃弾をつかみ首元に突き刺す。
発砲ガスで注射器が前進し、体内に薬が注入される
「そして時は動き出す。」
「うっ」
地面に倒れたところを見るに眠ったな
少女を抱き上げ先ほどの部屋の中にあったソファーに寝かせる
「シャーロックさんよ・・・こいつ、もしかして男か?」
コイツの深層心理は古い記憶で埋められていた。そこにはコイツの男だった時の記憶と女になった直後の記憶、この二つの記憶と感情、考え。やはりどう考えても元は男だ
「正解だよ、彼女は不慮の事故で左腕と体の機能の一部を失っていたのだがね。クローン技術の流用で体を再生することはできたのだがどうにも性別が逆転してしまったようでね。で、いろいろあって今は私のところで預かっているんだよ」
「ほう・・・なら現時点ではクローンを作る技術は確定されている、ということか」
「まあね」
「・・・お前、やっぱりお人好しだろ」
「どうしてそう思うんだね?」
「どうしてもこうしても、コイツに試験段階の培養ポッドを使えるように手配したのはお前だろ」
「流石、心を読む能力者だ。いっその事君もイ・ウーに入ればいいのだがね」
「それは難しい相談だな、俺はどこかの部隊に所属するつもりはない。武偵校にいること自体も意味はない」
「それは嘘だね、君は自分のせいで周囲の人間に危害が及ぶことを避けたい。だから何かしらの集団に入ろうとしない、武偵校にいるのは自分のことは自分で守れる者が多いからだろう?」
「・・・」
正解だ、俺は最悪何をされても時間を戻して回復したり痛覚の境界を無くして痛みを完全に抑えることもできるから別に拷問されようと耐えられるが自分ではなく他人をいたぶられるとなると話は別だ、痛覚抑制は自分だからやっても問題ないが他人にやって大丈夫だとは限らない。だから集団に属することは避けたい。
「イ・ウーは武偵校と同じで自分の身は自分で守れる者しかいない」
「それ以前に俺は独断で動くし犯罪者を逮捕する。だからイ・ウーには名を置くことしかできん」
「別に構わないさ。何かあれば私は君を呼ぶし君が何か助けて欲しいことがあれば私を呼べばいい」
「どうだろうな・・・」
俺が人を頼るような事態ね・・・戦艦一隻動かすくらいか?
一人でできることは案外限られるからな。まあ別になんでもいいけど
作者「わー!すごーい!」
響「どうしたよ、突然」
作者「いや、何となく言わねばならない気がしてな・・・」
古川「なんとなくってなんだよ」
響「知らん、なんとなくだろ」
作者&古川「君は何となく行動するフレンズなんだね!すごーい!」
響「駄目だこいつら、早く何とかしないと」
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石仮面なんて無いんだよ!
「はぁ・・・全く面倒くさい・・・」
シャーロックめ、コイツのこと頼むって言ってどっか行きやがって・・・
なに?コイツが目を覚ますまで面倒みないといけないの?俺がやったことだから文句は言えんが
「あらあら、面白い奴がいたものね」
声がしたので部屋を見回すが誰もいない
「疲れてるのかな?」
ソファーの影が変に動いたと思えばそこから人の形をしたものが出てくる
それは女の形をして俺に話しかけてくる
「お前は一体何者?」
「さてね、何者だろうな。まあ、ただの武偵だよ、平均的な成績で植物の心のような平穏な生活を望んでいるだけの、ただの武偵だ」
激しい喜びはいらない、その代わり深い絶望もない。そんな植物の心のような平穏な日常を望んでいたのだがこの世界に来てからは全く逆だな
時に今コイツは影から出てきたように見えたが能力のようだな。使用可能能力が追加されたような感覚がある、強いて言えば一瞬体の感覚が遠くなってから元に戻った感じだ
「面白いわ、ちょっとこっちに来なさい」
試しに心を読んでみればこいつは吸血鬼かよ・・・
「断る、俺の睡眠時間を邪魔するんじゃあない」
「来ないならどうなっても知らないわよ」
こっちに向かって歩いてくるが無視を決め込みスキマの中にしまっておいた小型のソファーを取り出し腰掛ける
そのまま腕を組み目を閉じてここ数日の出来事を振り返りながら睡魔に身を任せようとする
しかしそれは頭と肩を掴まれる感覚によって遮られる
「起きなさい。起きなければ血、全部抜き取るわよ?」
「はぁ・・・仕方ないが仕置が必要なようだな」
隙間を可能な限り大量に俺の背後に出現させそこからナイフや高周波ブレード、銃口を覗かせ射出を待機させる
「吸血鬼風情が、誰の許しを得てこの俺に触れる」
「何が吸血鬼風情だ」
「吸血鬼は吸血鬼らしく棺桶の中で眠っていろ。
どこぞの英雄王がごとくスキマを使い目の前の吸血鬼を排除しにかかる
俺の知る限り多分血を吸えば肉体はいくらでも復活するし大丈夫だろうという考えのもと俺の背後に立つ吸血鬼に向け銃弾やナイフが雨あられと降り注ぐ
しかし直前に陰に隠れたかそこに吸血鬼の姿はない
そういえばあいつの名前、確認するの忘れてたな。失敗失敗。さて、初対面の相手の心を読む癖直さねえとな・・・とりあえずはしばらくこの能力は封印だな
「最近寝てねえからな・・・しばらく戻れそうにないしあいつには先に帰るようメールしておくか」
ポケットから携帯を取り出し適当な時間に帰るようメールを送る
「危ないじゃない、何よ今のは」
「生きていたのか」
「そりゃね、魔臓がなければ死んでるわ」
「それが何か知らないが俺には関係のないことだ。お前の名前は?」
「人に名前を聞く時は自分から名乗りなさい」
「俺は黒羽響だ、疲れてるから寝かせてくれ」
「私はヒルダ。ブラド3世の娘、あなたが言ったように吸血鬼よ」
「吸血鬼なんて怖くない・・・」
さてと、寝るか
どうせあいつが起きるのは数十分後だ、今寝たところで問題あるまいて
ただし、寝てる間に拘束されたり殺されたりしてもかなわんしスキマの中で寝るか
ちょっと前に買った小型ベッドの寝心地も試したいところだしな
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進展すると思った?
「・・・ん?・・・むぅ?」
なんか冷たい・・・
体に当たる冷たい感触で意識がだんだんと覚醒してくる
近くにあった腕時計をつかみ時間を確認すると先ほど眠ってから1時間半ほど経っていることに気が付く
とりあえず近くに落ちていたブランケットを取り寒さをしのぐことにする
ん?落ちてる?
上半身を起こし周囲を見回してみるとベッドが遠い
「・・・落ちたか・・・」
冷たいのは地面か
寝てる間にベッドから落ちて地面の上で寝ていたということになる
「さてと、まあ・・・戻るか」
スキマを開き先ほどの部屋に繋げる
頭を出してみるとまだ古川は寝ている
ヒルダはいないようだ
まあ、陰に隠れている可能性は捨てきれないが
「・・・まだ寝ているのか・・・」
コイツが寝ているならまだ俺は自由に動けるな
今のうちに艦内でも見てまわろうかと思い部屋を出ようとするとポケットにしまっておいた携帯が鳴る
カズからのメールのようだ
どうやら先に帰ってそろそろ夕飯の用意をするらしいが一人で食ってもつまらんし一緒に食うか?との内容だ
ここにいてもまだ情報は手に入りそうにないし後で帰ったところでまたこの艦内に戻ればいいだけの話だ
当然世話になる。自炊するのも面倒くさいしな
「とりあえず帰るか」
近くにあったメモ帳とペンを取り適当に書置きを残しておく
書き終えたメモは目に付きやすい場所に置いておきスキマを開き中に入ろうとする
「・・・ん、んぅ・・・すぅ・・・」
背後からドサッと、まるで床に人が落ちたかのような音がしたので振り返るとやはり寝返りをうって床に落ちた古川がいる
ああ、俺もこうやって地面に落ちたんだな
「はぁ・・・仕方ねえな・・・」
同情か?いや、ただの友人やあったばかりの女だったら無視して帰っただろう。だが、こいつにはある種の親近感を感じる
親近感といってもさして何か特別なものを感じるわけでもない
一言で言えば気まぐれだろう
とりあえず部屋の隅に布団でも敷いておくか。どうせ寝返りで落ちるだろうし
既に開いていたスキマから適当に布団を一セット取り出し敷く
床に落ちた古川を担ぎ上げ布団に寝かせてブランケットをかけておく
「これでよし」
改めてスキマを開き自室に繋げる
結局かなり時間食っちまったな・・・空自は必要になったら支援要請するとしよう
サーバーからデータ消したいが無理だろうな・・・あくまで能力は一部しか使ってないし大丈夫か
「ルプス・・・ってあれ?いないし・・・」
部屋は間違えていないからこの部屋のどこかにいるか
探すのめんどくさいしドッグフードでも買ってくるとしよう
窓を開けてベランダから飛び降りる
この下は海だから飛んでても見つからんだろ、一応海面付近を飛ぶけど
「スーパーまで行ってルプスの飯を買っておけばいいか」
缶詰と普通のタイプどっちがいいだろうな
作者「お久しぶり!受験が終わったので帰ってきたぜ!」
響「合否発表まだだろ油断すんな」
古川「あーはいはいそれはいいから」
作者「お、そうだな」
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いい加減静かに暮らしたい
海面付近ってのは案外と風の流れが不規則なものでドローンなんかだとすぐ風に流される
だが風を操りさらに能力で飛んでいるなら、ほぼ風の影響は受けない
「別に風操る必要もないんだがな」
・・・俺は誰に言ってるんだ?
いや、でもね?風邪って当たると寒いじゃん?もはや初秋だよ?寒いもん、強化外骨格使ってもそれなりに寒いもん
それはさておき、いつも使っているスーパーを通り過ぎ現在向かっているのは少し遠いホームセンター、イオンだ。
正直ジャスコとかの方が個人的にはいいわけだが近所にないので仕方ないね!
ジャスコに行けば大体のものは揃う、はっきりわかんだね
約3分後
「空飛んでも距離があるだけになかなか時間かかりましたな!」
立ち入り禁止になっている屋上に着地して一人無駄口を叩く
返答がないとこれ以上やるのが馬鹿らしくなってくるので無言で建物内に入る
バレなきゃ屋上にいても咎められない
実はこういう建物の屋上に行く階段ってのは立ち入り禁止のプレートを置いてるばかりで必要になったらすぐに使えるような状態にしてある場合が多い
だからたまに子供が勝手に上にあがってることもあるという
なので降りた先に誰もいなければ事務所に連れて行かれることも注意を受けることもないはずなのだ
「誰もいませんよね~?」
いたらいたで困るわけだが、とにかく確認して下に降りる
よし誰もいない
とっととペットコーナーに行ってドッグフードを各種買ってくるとしよう
エレベーターで行くのも待つのがめんどくさいからエスカレーターでも使うか
エスカレーターで下の階に降りてペットコーナーを探す
「・・・人が、いない?」
この時間帯で人っ子一人いない
まだ夕方だ、そろそろ6時だがタイムセール前だし夕飯どきだ
人が大量にいてもおかしくはないのだが・・・誰もいない、外の駐車場に車はあったし建物内にいることは間違いないが・・・こうも見当たらないものだろうか
「・・・ふむ、店員までいないか」
仕方ない、セルフサービスで済ませるとしよう
いいよね、セルフお会計できる店って
缶詰と通常のドッグフード、犬用のガムとビーフジャーキーをカゴに入れて会計を行い袋に詰めスキマに放り込む
「さて、何があったかくらいは確認してから帰るとしよう」
エスカレーターは使わず飛び降りる、強化外骨格で体を補助し下の階へ繋がる壁を蹴り地面に降り立つとそこには
「・・・人か」
確かに人はいた、大量に。ただし全員地面に倒れている
脈や呼吸はあることから死んではいないが気絶している
だがわからない、全員ほぼ同時に気絶させるような芸当なんか俺は知らない
あるとするならば、人間に高電圧で電流を流すかもしくは魔術的に三半規管などの神経に無理矢理ショックを与えるかだ
前者に関してはありうる話だが後者は流石にありえん
魔術がこの世にあるとは思えん、俺が言えることかは知らんが
「・・・やはり厄介事に巻き込まれるのか」
人がいる気配はない、周囲の音からそれは確実だ
音を発さず動くような奴にはさっき会ったな
まあ、文句を言われようがなんだろうが迷惑をかけるような奴には懲罰を与えねば
とりあえずこの人たちは関係ないから起こすとしよう
「そして時は巻き戻る」
倒れる前の状況まで巻き戻す
この建物自体の時間を巻き戻すわけだから時計も巻き戻る、どのくらいの時間帯でことが起こったのかもわかるからいいけど
倒れていた人が物理法則無視の立ち上がり方を始めたあたりで巻き戻しを止める
「ヒルダ、ちょっと来い」
「あら?帰ったと思っていたのだけれど?」
「帰ったよ、それで買い物に来たらここにいる人が全員倒れてるから時間を戻しただけだ」
「倒れてた?どうしてかしら、でも今は倒れてないのだし大丈夫でしょう?」
「あのなぁ・・・お前がこの後やるから注意してるんだが?」
「わからないわね、どうして私がそんなことをするの?」
心を読むが嘘は言っていない
何かがこのあとにあったのか、ヒルダはやむなく気絶させた?
だとすれば何故・・・?
その思考はこの建物内に円筒状の筒が大量に投げ込まれることで打ち消される
作者「やったぞ!発動したぞ!」
響「だ・ま・れ・☆」
作者「(・ω・`)」
響「はいはい、そんな気持ちわるい顔でこっち見んな」
作者「編集者チートならぬ著者チート!『そもそも書かない』」
作者「これで今夜も安心して眠れるよ」
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カオスな世界
建物内に円筒状の物体が投げ込まれた瞬間には既に理解した
睡涙ガスグレネード、俺が使っているものとは違いこちらはCSガスによる嘔吐や咳、くしゃみ等の症状で無力化するという兵器だ
「ザ・ワールド!止まれィ時よ!」
催涙ガスが炸裂するよりも早く時間を止める
こういうハンドグレネードは炸薬を凍らせれば基本的に炸裂することはないが炸薬だけを凍らせるのは非常にめんどくさい
なのでグレネードそのものを凍らせて投げ込まれた窓から外に返す
「それにしても時間を巻き戻したからこいつらがやったことも全部実行される前に戻ったのか。とっとと無力化してから帰るとしよう」
時間停止を解除し一言叫ぶ
「ご来店のお客様に警告します!ただいま強盗まがいの行為を行っている輩がいらっしゃいます!怪我したくなければ遮蔽物に身を隠して伏せていてください!」
さて、この能力を使うのは初めてだが知っているものから適当に作るとしよう
「I am the bone of my sword.」
固有結界。ただし、この場合は自分の見たことのある能力を使える能力の応用で聞いたことのある詠唱を使ってるだけ。要するにただのパクリ
「Steel is my body, and fire is my blood.」
今回は転生する前に某ゲームにかぶれた際覚えた詠唱を使う
「I have created over a thousand blades.」
店内に居る客とヒルダ以外の人物のみを対象にし、結界内に転移するように術式を組み直す
「Unknown to Death.」
ヒルダが何か俺に話しかけてくるが詠唱は止めない
「Nor known to Life.」
代わりに一瞬だけそちらに視線を向けることで返答する
「Have withstood pain to create many weapons.」
さあ、今度は一体どんなお客さんだ?
「Yet, those hands will never hold anything.」
show timeと行こう
「So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.」
一瞬視界が白み次の瞬間には目の前に5、6人の男たちが驚いた様子でこちらを見ている
「お前らには強盗未遂及び銃刀法違反、危険物所持その他もろもろの容疑がかかっている。大人しく捕まってくれると助かるんだが?」
「てめえ!何しやがった!」
呼びかけには応じず威嚇してくる。手に持っているのはマカロフと・・・あとはどっかから出回ってる各種銃器か
「よしわかった。そっちがそういう態度なら仕方ないな」
俺は剣を飛ばしたり複製したりするような能力の持ち合わせは生憎と持っていないのでただの荒野と化している
ヒップホルスターから最近気に入っているSAAを抜き軽く回してからそのままの流れでハンマーを起こし、銃口を相手方に向ける
「6発だ、6発以内にお前ら全員を無力化する」
「バカじゃねえの?そんな銃で倒せるかよ!」
敵6人が銃を構えたのに合わせ走る
接触まで5m
まずは一番近くにいる奴に照準を合わせ腹に撃つ
防弾チョッキがなくても失血死することはないだろう
さらに2歩進む間にハンマーを起こし最も遠い奴に照準し再び腹を撃つ
右方向にいる男がこちらへ照準してきている
外骨格の出力を上げ左足の力を強化し男の懐に飛び込み接近する間にSAAを空中に投げる
男が右腕に持つマカロフを左手で持ちスライドを握りつぶす
右腕で後頭部より少し下を持ち足をかけバランスを崩し地面に顔から叩きつける
既に3人、残りは3人。使用弾は2発
落ちてきたSAAを持ち一度ホルスターに収め、居合の要領でファストドロウを行い腰だめに3人を射撃、制圧する
ここまでで20秒。我ながら能力なしでここまで出来ると強化外骨格の素晴らしさが分かるものだ
エミヤ「ここは?」
響「うわ!マジか、英霊出ちゃったよ・・・」
作者「どうも、Fateにかぶれた作者です。え?知ってた?だろうね」
響「だ・ま・れ・☆」
エミヤ「・・・(帰りたい)」
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固有結界を血に染めて
「・・・固有結界が解除されない?」
一応術式を組み立てる時に自分以外の人間を排除または制圧を行った際に解除されるように設定したはずなのだが
「能力を使って作り出した術式に限ってバグの発生はありえない、あるとするなら」
この6人以外に敵性体の存在があるということになる
だとするならばどこにいるのだろう?
そんな疑問を持つあなたにオススメの能力が!
千里眼~!(ドラえもん風)
この能力はね、文字通り千里先も見通すことができる能力だよ。
この能力の場合は千里以内の距離であれば何でも見られるんだ
茶番はこのくらいにするとして索敵を開始する
「・・・見当たらん、やはり術式にバグが?」
「うわぁぁぁ!!」
気のせいか?頭上から声がするのだが・・・?
「落ちるゥゥ!!」
「ザ・ワールド!」
時間を止め空中で叫ぶ男を回収する
「時は動き出す」
「落ち・・・てない?」
「お前、あんな場所で何をしてた?」
SAAを構えながら問う
残弾は1発だけだが次のコッキングで発砲できる
「どうもこうもこの格好を見て分からん?」
「・・・店員か?すまん」
「いえ、ところで・・・ここどこ?」
「イイトコロ」
「なんで意味深な感じなんですかねぇ?」
「気にしない気にしない」
「で?あそこでのたうち回ってる奴らは何?」
「ああ、強盗」
「へ、へ~」
こいつら全員を手錠で拘束するために近寄っていく
side店員
質問に答えた目の前の武偵は手錠を手にして地面に倒れている男達に近寄っていく
屋上の掃除してたと思えば気がついたら夕方だったし
しかも気がついたら強制スカイダイブだよ、高さ的には屋上の高さの比じゃねえし
一体どうなって・・・
再び店員の意識は失われた
side???
めんどくせえ
よりにもよって武偵が出てくるか
まあいいさ。俺を店員だと思い込んでいるコイツの首元掻き切ってやる
ポケットにしまってある仕事用のカッターナイフを取り出し足音を消しながら背後に近づく
side響
手錠をかけるためしゃがみ込み手錠をかけていく
すると首元に鋭い痛みと熱を感じ後ろを振り返る
「てめえ・・・やっぱりか・・・」
「黙れ、死ね」
コイツが手に持っているカッターで切られたのか
いやはや、わざわざ転生してきてこれだと情けないな
一応まだ動脈は逸れているようだがすぐに止めを刺される
とっとと動かねえと、でもどうする?
時間を巻き戻せるだけの力はおそらくもう出ない
思い出せ、俺の持ちうる能力に何か打開策があるはずだ
何があった?
考えろ
「おっと、動脈を切り損ねたか。悪い」
再び首元を切られることで黒羽響の意識は消滅した
作者「やめて! 店員のカッターナイフで、首元を切り裂かれたら、出血多量による失血性ショックで響の意識が消し飛んじゃう! お願い、死なないで響! あんたが今ここで倒れたら、神風やカズとの約束はどうなっちゃうの? 血液はまだ残ってる。ここを乗り越えれば、店員に勝てるんだから!次回、「黒羽死す」。デュエルスタンバイ!」
カズ「何そのノリ」
作者「こういう時こそやらないとダメかな、と」
神風「でも最後に首元切られて死んでるし、私との約束自体ないし」
???「いいんだよ、こういうのはノリなんじゃから」
作者&カズ&神風「!?」
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黒羽響死す(笑)
殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した殺した
コロシタ
男の頭の中はひとりの男を殺した、という快楽に溺れていた
人を殺しそれを快楽として受け止めてしまう思考回路は俗に言うサイコパスのそれである
この目の前で首から大量の鮮血をぶちまけて死んでいる男を殺した直後に視界が明転し元の店内に戻っていたことも気にならない程度には男は高揚していたのである
「・・・ははは、はははははは!」
乾いた笑いが腹の底からこみ上げる
周囲にいる人々が何かを叫んでいるが気にはしない
直後スパークを起こしたような炸裂音が周囲に木霊し男の左腕を焼くような痛みが走った
sideヒルダ
目の前に複数人の男たちが姿を現したかと思えば一人は直立しその体を血で染めていた
他の男たちは一様に地面に倒れており腹部に銃創を受け戦意を失っていたり気絶または首を切り裂かれ殺害されている
「・・・響」
殺害されている男の顔を見てみれば先ほど自分に対し大量の銃弾とナイフを射出してきた男ではないか
顔には当然生気はなく最後に油断していたことが伺える表情で倒れていた
「貴様・・・!」
少なからず人を殺しておいて笑っているような男は放置できない
そこで首を切られ無念のうちに死んだであろう男の成し遂げられなかったことを代わりに行ってやることで弔うことにする
変電用の棺桶はなくともある程度ならこの建物内の電気だけで制圧程度なら行える
目の前の男の左腕に電流を流し電子レンジのようにマイクロウェーブで焼く
しかし目の前の男は一瞬顔を曇らせるのみですぐに歪んだ笑に変わる
この時、ヒルダの目には驚くべきものが映った
自分の放った電流によるものではないと思いたいが腕が動き男の足を掴もうとしていた
side響
再びあの日と同じ場所に立っていた
あの何もない白い空間
ただひとつ違っていたことといえば自分の目の前に立っているのはあの神ではなかったことだ
だが黒羽響という男は知っていた
目の前に立つ者の名を
それが何を意味しているのかを
それが命を失う前に自らに問うていた言葉の答えであると
そして悟ったここは神のいた空間とは違う場所であると
ここは自分の精神の中だと
気付いた原因は後ろを振り返った時に見えた過去の記憶、空中に浮かぶ過去に自分が歩いてきた人生のダイジェスト映像
この世界に来る前の家族、この世界に来てから出会った仲間の顔が映っていた
「藤原妹紅、お前の能力を借りるぜ」
所詮は自分の中でのイメージを目の前に投影しているだけだと分かっていても話しかけたくなるものだ、今の自分にはそれが必要だと思ったから
理由はそれだけで十分だ
「おう、背水の陣だ。気を引き締めろ」
再び響の意識は暗転した
意識が戻ると先ほどの店内であった
首の傷は感覚だけだからわかりにくいが既に完治しているようだ
ヒルダがコイツの腕を焼いたのかタンパク質が焼けるような匂いが周囲に漂っている
目の前で一歩踏み出そうとしている男の足をつかみ強化外骨格で補助し握りつぶす
文字通り骨が軋む音がした後砕け散った
「・・・あるゲームではアヴァロンってのは不老不死、瞬間的に傷を癒す宝具として描かれているんだけどよ、俺の場合は不老不死と言うよか老いることも死ぬこともない程度の能力って言うんだよな。まあ全く同じものだけどな」
「死人は死人らしく墓の中で眠ってろ!」
頭を蹴り上げられる
痛みは既に消してあるから痛みを感じることはない
蹴り上げられた勢いを利用し立ち上がる
「あんまやりたくないんだけどさ、公務執行妨害及び殺人罪だし文句言うなよ」
「何をするつもりだ?!」
「魔砲『ファイナルスパーク』!!」
響「設定追加したはいいけど未だに使いどころがない能力がある響だよ!」
作者「よ、久しぶり。あれだろ、吸血鬼とかの種族とかの固有能力使うやつだろ?」
響「そうそう、なかなか使わないよね」
作者「まあ仕方ないよね」
響「てかファイナルスパークを一般人に撃つとか容赦ねえな」
作者「そっちのほうが盛り上がるじゃん?」
響「それはお前の気分がだろ?」
作者「お、そうだな。でもまあ」
響&作者「是非もないよね!」
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カツ丼?最強の食べ物です
ファイナルスパークを撃ったあとは早かった
体感時間的な問題ではなく事態の進展が、だ
本来マスタースパークはミニ八卦炉と呼ばれる特殊な金属で制作された媒体を用いてビームのようなものを発射するがそれでもミニ八卦炉はかなりの高温になる
さらにオーバースペックにしたファイナルスパークは通常の比にならない威力を実現する反面、当然ながら温度も通常の比ではない
あまりの余裕がなかったため自分の右手を媒体にファイナルスパークを撃ったため右手は激しく燃焼、蒸発した(時間を巻き戻して腕は修復した)
無論撃ち込まれた相手もただでは済まず体の一部の蒸発と重度のやけどを負った
ショック症状で死ななかったのが不思議なくらいだ
こちらも時間を戻して回復させたが
「それで?」
「それで?と言われてもな。言ったとおりだ」
その直後に駆けつけた警察官御一行に連行され
時間を戻したことなどは伏せて店に対する被害を完全に抹消して強盗を現行犯で捕まえたことにしたのと、公務執行妨害であの店員を捕まえた
ということにして、うまいこと話の辻褄を合わせて調書を作っている
「そうは言ってもな・・・こっちだって仕事なんだよ・・・頼むからもっと詳しく」
「だからさっきから言ってるだろ、強盗が入ったから取り締まったんだよ。ところでこのカツ丼旨いな、何処の店のだ?」
「それだけだとは思えないんだよなぁ・・・カツ丼はここの署を出て左に500m位先の店に注文してる」
「それだけだよ、カツ丼サンキュー」
「いずれにせよ調書はお前の言ってたとおりに作るけど。次はちゃんと教えろよ」
「構わん、次会うときは仕事でな」
ヒャッハー!シャバの空気はうまいぜ!
時刻は昼前午前11時25分
最っ高にハイってやつだ!WRYYYYYY!!!!
久しぶりに学校行くっきゃあねえよな、そうだよな!
「いざ行かん!騒がしいあの学校へ!」
少年移動中・・・
ズウゥゥン・・・!!
と腹に響くような轟音を立て吹き飛ぶ教室の扉とともに飛び込む俺
「久しぶりだなお前ら!謎のハイテンションで響くん登場だ!」
「お~久しぶり~、最近学校来てなかったがどうした?」
「いや~ちょっと用事が立て込んでいてな、忙しさのあまり学校に来れなかったんだよ」
「昼休みどうするんだ?飯は食ってきてるだろ?」
「さすが名推理、次の授業の準備してからサッカーやりに行こうぜ」
どこぞの雷なんちゃらイレブンのキャプテンのようなセリフを吐きつつ自分の席に向かおうと一歩前へ歩き出すと
どこからともなく教職員の皆様の叫び声が聞こえてきたそうな
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細かいことは気にするな
「おいこら黒羽!何してんだ!」
「おやおや先生方お久しぶり、いや昨日会ってるか」
「おう、いやそうじゃなくて。昨日の件、どういうことだ?」
「昨日の件?えっと、どれのことですか?」
読者の人も考えてみてね!「どのことですか?すっとぼけクイーズ!」
1:航空自衛隊基地に案内される 2:イオンで固有結界&死者蘇生
3:心霊スポット爆破 3:イ・ウー乗船
「お前、はぁ・・・昨日うちの科の奴をどっかに連れてったろ?今日来てないんだよ」
「え?昨日?いや、学校には来てないはずですが?」
「どういうことだ?」
「さあ?」
「まあいいや、こっちで探してみるわ」
嵐のような先生だった
「あれ?教室の扉壊れてる」
「ホントだ、なんでだ?」
「あかりちゃん、細かいことを気にしてるとうp主が・・・」
「うp主?」
おいこら、メタい発言は謹んでもらおうか!
てかこいつらとも同じクラスだったな
久しぶりに見た気もするけどそうでもないか
「よ、久しぶり」
「あ、お前・・・誰だっけ?」
「なかなかエグい殺傷力をお持ちのようで・・・」
「ライカちゃん、ほら、最近来てなかった黒羽くんだよ」
「ああ!思い出した、校門前と体育館で会ったな」
「随分と前の話じゃあないか、その後はあんまり学校来てなかったし仕方ないが」
ところでさっきから佐々木志乃だったか?
あいつの動きが不審でしかないんだが、靴にカメラ仕込んであるよね?あれ
足の動きおかしいよね?スカートの中覗こうとしてるよね?
「まあこの扉は今直すよ」
扉を拾い上げ元の位置にはめ直すフリをしつつ時間を戻す
当然ひしゃげた扉は直り、曲がった柱は元通りになる
「よし、はまった」
「あれ?でも今結構派手に曲がって・・・」
「気のせいだ」
「いや、でも」
「気のせいだ」
「あ、はい」
この丸め込み方って万能だよな
そろそろ時間か、次の授業からは一応と参加したいしそろそろ移動を開始しよう
「じゃあ俺次の授業行ってくるわ」
「ああ、それだけど授業自習になったらしいよ」
「え?」
「そういうことだ、残念だったなわざわざ学校に来たのに」
「久しぶりにレンジでも行ってくるわ」
教室内を見回して適当な連中に声をかけてゾロゾロと教室から出ていく
無論、そこにはカズもいるが
「カズ、先の件あとで調べておいてくれ」
「昨日のやつのことか、どういう事だろうな」
「さあな、こっちでも洗ってみるが頼む」
「しゃあなしだな」
「とりあえず」
「「行動してから考える!」」
教室の扉を開けた瞬間二人揃って廊下を走り出す
「お前!先に着くのはこの俺だ!ジョジョ!」
「DIO!人間は成長するのだ!してみせる!」
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ただの射撃時間
「クソ!てめえ足はやすぎだろ!」
「これでも・・・元、陸上部・・・だからな・・・」
「カズ、お前が陸上部だったこと知らなかったぞ?」
この男たち、既に満身創痍である
それに続き同じクラスの連中まで走ってくる
例えるならまるでカモの親子である!
「お前ら早すぎィ!」
「なんで走って行ったんですかねぇ?」
「このノリほんとすこ」
どうしてホモしかいないんですかねぇ
それにしても久しぶりに来たな
最初に来たのは確か、入学してすぐだったな
あの後帰ろうとして校門に行ったら火野が絡まれてて、割り込んでいったんだよな
過去を懐かしみながら銃を準備する。最近ウォーリアーだと少し安定感が気になるから新しい銃にしようと思ってるが、試す機会があまりなかったからな
スキマからハンドガンを適当に取り出していく
Cz75、M1911、マテバオートリボルバー、マカロフ、M93R、その他いろいろ
まずはCz75から。
マガジンに弾薬をセットし、マガジンを挿入する。少し細めのスライドを後方へ引き下げマガジンから9mm弾を薬室へ送り込む
ターゲットを5~6m程の位置に配置し射撃を行う
初めてここで撃った時と同じく照準は左胸に3発頭に2発両足に1発ずつの計7発
9mmだから比較的反動も大きくなく撃ち易いと聞くが撃ち手にもよる。
集弾性は中の上くらい、左胸は3発とも命中、頭部は一発が額を直撃、もう1発は頭頂部を掠めて逸れた。両足は2発とも命中。
マガジンを抜きハンマーを落として銃の内部に弾丸がないことを確認しテーブルの上に置く
「それなりに撃ってたから反動制御がしやすくなったな。次」
M1911を手に取り装填済みのマガジンを挿入する
相変わらず握りがいい、サムセーフティを解除しスライドを後部に引き下げ薬室内に送り込む。ターゲットに照準し先と同じ位置を撃つ。
このM1911はメタルギアソリッド3に登場したスネークモデルで、実銃として撃つと意外にも使いやすい。ナイフと一緒に構えることはないからグリップの削り込みは滑り止めと考える。反動は通常モデルと同じ、サイトは目立ちやすい白でドットが入っているため狙いやすい、作中に彼が言ったようにワンホールが狙えるだろう。
ターゲットを引き戻し着弾痕を確認する。
頭部2発とも命中、位置的には鼻の中心に一発、右目に一発。左胸には2発、一発は鎖骨あたりに着弾。両足ともに命中。
「やはり使いやすい、第一候補だな」
マテバオートリボルバー、攻殻機動隊や色々なゲーム、アニメ作品に登場し有名になった銃だ。正式にはマテバ モデロ6 ウニカというらしい。
銃身が弾倉の下に配置されており、反動を抑えやすいようになっていることと銃身が換装可能であること、この二つが大きな特徴だ
最大装填の6発を込めてターゲットに発砲する。頭部に2発、胴体に2発、両足に2発ずつ。最初にシングルアクションで撃ち、残りは発射ガスでハンマーを起こし撃つだけ
頭部は1発命中1発は上方に逸れて外れ、胴体2発は1発がバイタルゾーンへ、もう1発は腰元へ命中、両足は共に膝骨を砕くように着弾している。
「リボルバーは反動が大きいだけに連射は難しいな・・・」
「おいマテバじゃ役に立たねえだろ?」
「カズ、俺はマテバが好きなの!」
「あ、そう」
次、マカロフ
マカロフはソ連がワルシャワ機構に則って製造した拳銃だ、使用弾は9mmで装填数は8発。意外にも有名な銃でMGSシリーズにも少なからず登場している。MGS3ではオセロットが登場してすぐのうちは使用している。
口径が小さいことから恐らくは反動は少ないと思われるが銃自体も小型で軽いため反動の大きさがどの程度になるかは未知数。
とりあえずマガジンに7発装填してターゲットへ照準
最初と同じく頭2発胴体3発両足2発撃つ
頭部1発命中、1発がどこかに飛んでいった。胴体2発、1発は首に命中、両足は共に命中。
「これいいな・・・軽いし、小型だから隠し持ちやすいし」
最後、M93R
イタリアのベレッタ社が開発したM92Fをベースにロングバレル、ロングマガジン化がされたマシンピストルにあたる、スライド下部にはフォアグリップを標準装備しており折りたたみストックを追加で装着することもできる。セミオートの他に3点バーストで発砲することも可能。
今回はいい加減疲れたのでバーストでターゲットを撃つことにした。
マガジンに弾薬を最大装填しフォアグリップを開き、狙いをつける。
腰だめに構えて頭から足元まで弾薬をバラまく
当然命中するにはするが、集団性もへったくれもない
「最後随分と適当になったなぁ・・・」
撃ちまくった上で足元を確認して絶望的なくらいに掃除が面倒くさいことを悟った昼下がりの出来事
作者「さあさ皆の衆!お久しぶりだ!」
響「そうだな、かなり久しぶりだな」
作者「まあ、ネタ切れだったせいもあってかなり時間かかったな」
響「で、結局特に考える必要さえ存在しない繋ぎとしてシューティングレンジか」
作者「そういうことだ」
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はてさてこの先どうなりますことやら
「さて、やっと片付いた」
地面に転がった薬莢を回収して弾薬の種類ごとに分けてスキマの中に置いてある
薬莢底部の文字を確認して種類を分けるのは意外にもめんどくさい
とりあえず綺麗に片付いた頃には既に午後の授業も終わりに迫っていた
カズたちも片付けを終えたようで帰る準備を始めている
「カズ、俺はこのあと適当に例の件を調べるがお前はどうする?」
「俺はとりあえず帰る、細かいことはそのあと考えるさ」
「そうか。じゃあな、お前ら」
「おう」
「じゃあな~」
さて、適当に探しますかね
あの
校内をゆっくり歩いているとたまたま通りかかった音楽室からピアノの音がふと、耳に入ってきた
「・・・(この曲は・・・?)」
しかし突然曲が止まったと思えば次いで聞こえてきたのは2人の男女の声だ
だがこの声の主には心当たりがある
聞き耳を立てていたがどうにも上手く聞こえんな・・・
防音加工でもされてんのか?この教室は
やっと聞こえてきた内容といえば
「ついでにいいことを教えてやろうか」
「な、なんだよ」
「奴は昔、バチカンから送り込まれたパラディンに一生落ない紋様をつけられたのだ。全身に4箇所あると言うその紋様こそが、奴の弱点だ。奴を倒すにはその4箇所を同時に破壊しなければならない。そのうち一箇所は不明だが、他は分かっている。ここと、ここと、ここだ。覚えておけ」
「え?・・・あ・・・」
「どうした、遠慮せず持っていけ」
「あ、ああ・・・」
「礼はいらんぞ、じゃあな」
おっと、出てきたか
ふむ・・・何を話していたかは知らんがどうせ厄介事だろうな
関わらないのが一番だ
「おい」
「ん?何の用だ?」
「いや、『何の用だ』じゃねえだろ。昨日俺の変装で誰かを拉致ったろ」
「さてね・・・何のことだ?昨日は帰る直前まで一緒にいたじゃないか」
「・・・確かだな?」
「嘘はない、それに変装なら私以上の実力者はいくらでもいるだろう」
「・・・そうだな、すまん迷惑かけたな」
「おい」
踵を返し家路に着こうとする俺をジャンヌが背後から声をかけ止める
「なんだ?」
「何かあれば一声かけろ」
「そうならないように努力しよう」
改めて寮に帰る用意をしてからふと、思い出した
昨日イ・ウーから帰ってきてそのままだったし
とりあえずはシャーロックから話でも聞きましょうかね
スキマを開き伊・U艦内に繋げる
座標が分かろうと分かるまいと、どこでもドアみたいな感じで使えるから大丈夫(小並感)
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結局イ・ウーってなんだよ
再び伊・U艦内に戻ってくるとしっかりと服を着た古川が出迎えてくれた・・・頭に銃を突きつけているが撃たれてもどうせ死なないし気にすることはないか
「さて、イ・ウーについて聞かせてくれないか?」
「シャーロックが言ってたやつか。ちょっと待ってくれ、ここにカンペが・・・」
「カンニングすんなよ!?」
「冗談だ。とりあえず俺がここに来た時に受けた説明だと『誰もが生徒で誰もが教師』ってこと。これは俺の主観だけど、自己鍛錬を主に行う部署?みたいなとこと、世界支配をやろうとしてる奴らが居るとことで分かれてる。」
「な~んか胡散臭いな・・・細かく聞けるに越したことはないけど、まあいいや」
「それはそうと・・・昨日の件、忘れてねェからな」
わーお、こいつの顔の歪み方ヤベエ
ねえ、なんでハンドガン左手に持ち替えたの?
ちょっと!そのナイフ何?!何するつもり?!
「ちょっと落ち着けよ、な?」
「・・・」
「やめて!どうせ私に乱暴する気でしょ!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!」
「・・・黙れ。殺すぞ」
やっべーマジ地雷踏んだ・・・いや、なんだろう。こう殺気とかいろいろやべえ・・・
逃げたい。すごい逃げたい。撃たれても死なないし痛みは抑制かかってるからある程度まで大丈夫だけど
「・・・許してヒヤシンs」
パァァンッ!
乾いた音が艦内に響き頭部から大量の血液をぶちまけて重力に導かれ地面へと倒れていく
「死んだか」
「じゃない!」
「生きてたか」
「お前的にどっちのほうが正解なの!?」
「いや死んだら死んだでそこまでだし、生きてたらそれはそれで面白いし」
「ええ...(困惑)」
「昨日の仕返しはしたからもういいけどな」
「せか。まあいいや」
明日は学校がないし・・・よし、カズと一緒に遺品その他を届けに行くか
こういうのは本来持つべき人が持つべきだしな
「さて!こういう地味に重い空気は好きじゃないのでおやつにしましょう!」
「殺された直後に言うセリフがそれか・・・いや、食うけど」
「食うだろ?じゃ、ザ・ワールド!」
さて、この止まった世界の片隅に食事のご用意でもいたしましょう
どんな料理がいいだろうか時間的には既に昼食後、つまりは
特に一般人に比べ動いてカロリーの消費が激しいだけにやせ型の人間が多い
まあ、おばあちゃん的に考えれば『男の子なんだからもっと食べなさい』的なアレだ。
どんなお菓子がいいじゃろな?とりあえずは自室に移動するとして・・・
「はい、移動しました。さてと、はじめるか」
冷蔵庫内にある食材は・・・見事なまでに冷凍食品のオンパレードだね。すっごーい!
偶然入ってたパイ生地とドライフルーツ、フルーツ缶。その他いろいろな食材を組み合わせて、15分から20分ほど焼けば~♪
お手軽!フルーツパイ的な何かが、上手に焼けました
実際にかかった調理時間?そんなの時間操ってるから5分以内に完成だろ!
改めまして、伊・Uに戻りまして
「そして時は動き出す」
動き出した時間と突然机上に現れるフルーツパイ。ええ、実に実に実に、いとおかし。
「うぉ!ビックリしたな・・・叫んだと思ったらなんだよ、フルーツパイ用意しただけか」
「紅茶飲む?」
「(飲ま)ないです」
「洋菓子には紅茶だと思ったんだが、コーヒー派か?」
「コーヒー派だな」
砕いた豆をフィルターに入れて熱湯入りのポッドからお湯を一滴一滴丁寧に入れる
この時忘れてはいけないのは無論
「ありがとう、ありがとう」
藤○弘スタイルの心遣いだ
え?今の子供たちには伝わらない?まあ・・・そうだね(遠い目)
作者「ここに来て久しぶりの自己満足タイム!」
響「元気だねぇ・・・最近気温が上がってきて辛い時期なのにどうしてこうも元気がいいのやら」
作者「お前が転生する前とさして気象は変わってないだろ?」
響「そうじゃねえ、それとメタイからやめろ」
作者「何にせよ熱中症には気をつけたいね」
響「そうだな、水分補給を欠かさずに生活したいもんだね」
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現実は噂より奇なり
フルーツパイといえども基本的に糖分は少し控えて作っておいた
何故かといえば甘すぎるとせっかくの紅茶の味まで悪く感じてしまう。リプトンのレモンティーだけど。何にせよ頭と体を動かす武偵でも生活習慣病には勝ち目がない。
それはそうとティータイムを楽しむにはいささか時間が経ちすぎた。そろそろもう一つのことにおいてもコイツから聞き出さねばならない。
「ところで、昨日って何時くらいに起きた?」
「それがどっこい朝までぐっすり」
「麻酔銃の威力が十分で何よりだ」
「聞きたいのはそれだけか?」
「・・・いや、もう一つある。お前の能力で一時的にでも姿を他人に変えることはできるか?」
「他人の姿に?顔や傷跡くらいまでなら再現できるがあんまり得意ではないかな?」
「じゃあ逆にそれを他人に行うことは?」
「皮膚、筋肉、骨格。これらすべてを構成する物質さえ操作可能であれば」
「・・・結局誰が俺のフリをしてやがる」
「イ・ウーでも他人に化けるような技術を持った奴なんて大量に居るが、昨日の時点では大半が海外だったり国内でも全く関係のないような場所にいたりだしな」
「そうか、助かった。またな」
「おう、じゃあな」
スキマを開いて武偵校に繋げる
実際問題、俺の姿をした誰かが犯罪行為を行えば俺の前科にフィードバックされる。まったく迷惑な話だ。どうにかしてもう一人の俺をとっ捕まえる必要がるが、どこから手を付けるか。仮に目の前に現れたとして相手は能力も使えなければ強化外骨格もない、まあ負ける気はしないわな
そんなことを考えつつも校内に繋げたスキマから出て行くと
「まだ持ってんだろ?ほらジャンプしてみ?」
「ま、マジでもう勘弁してくださいよ」
「んだとテメェ!」
それはそれは典型的なヤンキーがいた。よく見ると俺に似ているような似ていないような・・・それはそうと絡まれている方には見覚えが有るな。え~と、確か
「ステルスキル!」
外骨格の出力を骨が折れ無い程度に上げて顔面に叩き込む。まあ武偵ならこのくらい受けても大丈夫でしょ。うめき声も上げずに勢い余ってもうひとりの方に吹き飛んでいって下敷きにしてるけど、大丈夫だな。よくある事よくある事。多分気絶したな
「大丈夫か?」
「これをどう見たら大丈夫に見えんだ」
「悪いな、少し威力を読み違えた」
「とりあえずコイツをどけてくれ、重い」
顔を少し苦悶に歪めながらも助けを求めてくる。うん、まあ、助けるけどね?
流石に気分も悪いし足でコイツの上からどけてやる
「助かった。なんかいちゃもん付け・・・られて・・・」
「俺の顔を見てどうした?もしかしてホモか?」
「違うわ!お前忘れたとは言わせんぞ!」
「いや、忘れた」
「うっそだろ?!・・・いや、もういい。この話はなしだ」
「で?こいつに何盗られた?」
「金と銃、あとはナイフとマガジン」
「これか?」
「そうそう、助かった。以前の事があるとは言え名乗ってなかった。俺は大守、
「俺は黒羽響だ。よろしく」
握手でもしようと手を差し伸べたところ、一瞬戸惑っていたようだが握手し返してくれた。意外にいい奴なのかもしれない
「クソ野郎め、人の財布の中身全部取ってんじゃねえよ」
前言撤回、どこにでもいるタイプの不良なのかもしれない。
気絶してピクリとも動かない男の懐をまさぐって財布を取り出したと思えば財布の中身をカード類以外全部抜き取っている
「さて、こいつに仕返しは済んだか?」
「そうだな、このくらいにしとくか。じゃ、後よろしく」
「おう、俺もこいつに用があったからな」
倒れた男を背中に担ぎ上げ、尋問科に連行し始めるあたり俺も良心的な人間だな、うん。それにしても外骨格を使ってるから体格は少し俺より小さいが大体の背恰好とか顔がここまで似てるとは思わなんだ。パッと見だけならカズでも誤魔化せそうだ。変装にせよ元からにせよ迷惑なこった。
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真実は行方不明
尋問ってのは苦手でね、なんというか爪を剥いだりとか見てるだけで指先と背筋に悪寒が走る。まあ今回の一件においては重要参考人だからもちろん俺が尋問官としてフルボッコにする、聞かれたことに答えてくれれば手荒なことはしないがね。でも実際心読めば一発だからな・・・別に尋問は必要ない気もするけどそこら辺はさじ加減だな。
「さて?まずどうして俺の変装をしていたのか答えてもらえるかな?」
「・・・お前には隠し事をしても無駄そうだな」
「どういう意味かはこの際聞かないことにしよう。で?質問に答えろ」
「別に深い意味はない、以前にお前が校門であの男を伸したところを見ていたし、何よりお前に恨みを持っているであろうあいつに変装が通用すれば俺の変装の才能はあると証明できると思ったから、それだけ」
「・・・嘘は言っていないか。はぁ・・・それで昨日は強襲科のやつをどこに連れてったんだ?」
「いや、俺は昨日は自分の部屋で変装の準備してたから放課後は家にいたぞ?」
「本当のことを言えよ?」
「・・・俺は昨日確かにお前の変装はした、でも俺は寮の外には出ていないしもちろん誰かを
「やはり嘘は言っていないな・・・」
さて、どういうことだ?
こいつは嘘は言っていないし、変装していただけだという・・・どう考えてももう一人俺がいる事になる。できれば大事にしたくないしなぁ、昨日のことだからできるかどうかは分からんけどもスーパーと同じことをやるか?でも出来るとは限らねえし・・・そうだな、よし。範囲を広げてみるか
「ザ・ワールド!」
時間を止めて、全世界、場所を問わず時間が停止する。
「そして時は巻き戻る」
スーパーとは違い範囲を問わずにありとあらゆる場所の時間を戻る。正しく時間を辿り昨日の朝にまで戻る。結局のところこれが一番手っ取り早い、これやると結果だけを変えて元の時間軸に戻すってのが難しいからあんまりやりたくないんだよな。めんどくさいっていうのが一番だけど。今の時間だと・・・カズ達と廃墟に行く行かないの話をする前だから帰宅準備をし始めるまでに
「さてねぇ?どうすっかなぁ・・・式神を使う程度の能力とは言っても呼び出せなきゃ使えないしな。どう呼び出すか・・・」
陰陽師的に考えるか、Fat○的に考えるか。どっちにしても呼び出し方が分かんねえしどうするかな・・・とりあえずF○teパターンからやってみよう
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
一応と魔法陣は描いたし、触媒はなくても自分に似た精神性の鯖が召喚されるらしいから大丈夫だと思う。まあ成功失敗は分かんないね
「・・・誰もいない。つまりは失敗、それは失笑、式はいないし。役に立たない」
謎のラップ調で現在の心情を語ってみるがしかし、困ったな・・・どうしたものかね。なにせ俺、もうこれ以外の呼び出し方知らないもんね。え?陰陽師?言っただけに過ぎんよ。う~ん、そうだな。おぜう様の能力は運命を操れるから、可能性さえあれば大丈夫だな。とりあえず現状は防げる可能性は・・・あるな。
「ザ・ワールド。真実を、上書きする!」
いや、はい。ね~・・・・いつもながらにどこの吸血鬼だよっていうねぇ?もうこれ天国へ到達したHIBIKIとか言われても違和感ないからね?
改めて、面倒くさい手続きや、同じことを繰り返すなど面倒くさい事は無しにして。改めて分岐点を修正、人が消えるという問題点のみを排除しただけの特に何ら変わりのない昨日の出来事を経験した運命を選択、改めて時間を加速し元の時間軸へ帰還する。戻る位置は学校へ登校した12時すぎ。未来は君たちの手で作るんだって偉い人が言ってたし別にあるべき事象をなかったことにしても問題ないよね?
「そして時は動き出す」
今日、一応と警察署から学校へ飛んでいっている間
「よし、戻ってこれた。さっき時間を戻った時と違うことといえば場所が移動している、ということだけだが。特に影響はなさそうなので放置したい所存」
さっさと学校へ移動して、事態の行く末を見守るか
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日常への帰還
さてさて、学校到着!先生を呼ぶためにわざわざ面倒くさい行動をもう一度繰り返す必要があるが、致し方ない。さて、はじめるか
ズウゥゥン・・・!!
と腹に響くような轟音を再び巻き起こし吹き飛ぶ教室の扉とともに飛び込む俺
「久しぶりだなお前ら!謎のハイテンションで響くん登場だ!」
「お~久しぶり~、最近学校来てなかったがどうした?」
「いや~ちょっと用事が立て込んでいてな、忙しさのあまり学校に来れなかったんだよ」
「昼休みどうするんだ?飯は食ってきてるだろ?」
「さすが名推理、次の授業の準備してからサッカーやりに行こうぜ」
ここまでは計画通り、本来であればこのあとに先生の怒鳴り声が聴こえてくるはず・・・
「おいこら黒羽!何してんだ!」
「おやおや先生方お久しぶり、いや昨日会ってるか」
計画通り!やったぜ。このあとにどうなるかだ、さっさと次のセリフを――
「そうだ、昨日の・・・えっと、廃墟行ったやつさ、早いうちに届けてやれよ。あとドア直しとけ。直せなかったら弁償だ、いいな?」
「うーす。あ、変なこと聞きますけど今日強襲科休んだ奴っていますか?」
「本当に変なこと聞く奴だな・・・一応今日は全員出席してるな。抜けたお前以外は」
「それは勘弁ですよ、そもそも俺がSSRに行ったのだって小夜鳴先生と綴先生のせいじゃないっすか」
「それを私に言われてもな、あいつはほら、尋問科だし」
「まあ、扉は直しておきますんで。失礼します、蘭豹先生」
「おう(背中に一発撃っとくか)」
背後に殺気!
まるでそう、武芸の達人が冗談半分で見せる殺気のような背筋がゾクゾクするような恐怖を感じる。恐怖、見えたぞ!恐怖が!
背後から迫る殺気の正体はわからんが運命を操る。このままの運命だと銃弾が背中に命中するな・・・右足で地面を蹴って廊下側に回避する挙動を取る。運命の可能性が増えた、銃弾が右腕を掠めるように進む運命。更に右腕を上に上げようとする。運命が変わる、上げた腕の真下を銃弾が通り抜ける。
「真実を上書きする。ザ・ワールド!オーバーヘブン!」
若干時間が止まる感覚、時間がゆっくりと進んでいる訳か・・・つまり時間を操作することが運命の導きと言うわけか。まあ銃弾は分子も残らず破壊して、せっかくはめたドアを撃たれることを防いでおく。・・・先に弾を破壊するべきだったのでは?
「そして時は元に戻る」
「昨日も見たが相変わらずチート臭いなお前」
「それほどでも?」
「褒めてない褒めてない」
「そっすか、よし。ドアは戻したんで問題ないですね?」
「ん、とりあえず弾よけられたのは気に食わないがよしとしよう」
「ではこの辺で」
天の声(このあとの流れはもう書くの疲れたのでカット!)
おい、天の声荒ぶるなよ
じゃあまあ・・・ザ・ワールド!オーバーヘブン!真実を上書きする。
狂夜からイ・ウーについて聞いたところまで戻ろう。これが真実だ!
「ハイッ!ってやつだ!!」
「どうした?いきなり叫んで」
「何でもない」
ふぅ・・・今のところ時間移動自体は滞りないな、そのうち綻びが出てきそうだが。問題の解決が無事終了したので・・・これだと大守くん?とやらとの絡みが完全になかったことになりそうです、ありがとうございます。とりあえず現状確認をする限り、イ・ウーについて聞いたあとで、帰ると伝えた直後に見えるので
「じゃ、また来るわ」
「おう、じゃあな」
スキマを開いて即刻自宅へと向かう。ルプスとも最近会ってない気もするしな、まあ単純に俺だけ無駄に時間を経験しただけだから実際は朝飯を食わせた時以来だろうがな
自宅へ戻るとまあ、当然ルプスがいて。まるで忠犬のようにこっちを見ながら「餌をよこせ、この人間風情が」とでも言いたげな目を向けてくる・・・ごめん、今後は散歩も連れて行ってやるから
「ただいま、悪いなルプス。今皿に盛ってやるからな」
「ぐるるるるる・・・」
「・・・俺は獲物じゃあないぞ」
「ワン!!」
「うォォォおお!!??」
突然飛びかかってくるルプスであるがしかし・・・どうしてこうも機嫌が悪いのかね?よく見るとちょくちょく足で首元を掻いている。
「もしかして虫か?」
「クゥウン」
虫か・・・まあそうだよな、元々は虫の少ない寒冷地で生活してる狼だもんな。虫は苦手か。ノミよけの薬は持ってないし、とりあえずバルサンと薬、あとは動物用のシャンプーがあればいいかな。今晩はとりあえず外で過ごすことになりそうだがスキマの中で寝ればいいだろう
「ルプス?出かけるぞ?」
「ワン!」
ルプスがいる分歩いていこう、コイツの散歩にもなるだろうし
財布は持ってるな、よし。出発
狼の鳴き声って表現しにくい・・・
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利便性とは?(哲学)
さて、所変わってこちらどこにでもある普通のスーパーですが、困ったことに先日の一件でイオンは1週間から2週間ほどの間改装とその他現場検証で閉鎖中なのでこのあとは動物病院でノミ取り薬を買いに行かなければならない訳でありやして。時刻は18:20、家に帰ってからでもカズに連絡するのは遅くはないだろう。それにしても、ああいうトラブルは解決には手を貸すけどその後は一切興味ないからなぁ、どうにも他人事に感じてしまうし同一犯の犯行でも分からないからないしね。
「ワン」
「・・・」
「ワン!」
「・・・」
「ぐるるるるるる・・・ワン!!」
「うわ!なんだ?!」
いちいち細々とした内容の考え事をしていると周囲の音が聞こえなくなるから恐ろしい、実際死んだ原因だってこれにあるとも言える。なんでかって?車の音に気が付けばある程度対策のしようはあったからね・・・それでも死んだ可能性は十分にあるけど。
それにしても・・・押し倒した上で頭に噛み付こうとするのやめてくれよぉ・・・
「分かった!悪かった!すまんってば!」
「ワン!」
あ~死ぬかと思った、死なないけど。死ぬ瞬間は時間がゆっくりに感じるって言うが場合にもよるぞ、本当に一瞬で頭ごと叩き潰されるような死に方だと一瞬。マジで何が起きたかわかんねえ。これ実体験だからね?仕方ないね♂
それもそうだけど首切られたやつ、あれは・・・意外と生きてるよ。切られても脊髄は繋がってるから若干だけど手とか動くし。でもね、30秒くらいしか意識続かなかったね
思い出すだけで嫌悪感のするような内容を思い出しつつも、当初の目的を果たすためだけにまずはペットショップへとやってきました。なんでスーパーに行ったのにペットショップに着くのか?あの・・・ね?スーパー行ったけどペット用品売ってなかった・・・なんて、ね?
「・・・なんでダイバーシティまで来ることになるんだよバーカ!寮からめちゃくちゃ遠いんだよ!途中からルプスの機嫌悪いんだよ!いい加減牙が目に刺さるにゃん!おっぱいぷるんぷるん!こんなことスターリンでさえやらぬわ!畜生めぇ!」
「やだ、何あの人~気持ち悪い!」
「ママ~あの人何してるの?」
「見ちゃいけません」
「ただの不審者じゃねえか俺・・・」
不幸だ、いっそ清々しいけど
でもさ、逆に考えるんだ。もうここに来るにはスキマを通れば一発だと
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ノミと風呂場と図書館と
クソ、やっと戻ってきたぞ・・・さあ、まずはバルサンを焚く前にルプスを風呂に入れてからさっさとダニを始末しよう。破壊する能力を使わないのは相手が多すぎて特定の虫だけを殺すって事は出来ないっていう不便さからのものでして。
さて、と・・・やっと浴室内に入ったと思えばルプスが大きすぎたために俺の動ける面積が1畳ないというまあ、風呂場自体そんなに大きいものでもないしいいけど
シャワーの蛇口を捻ってお湯をルプスの体にかけていき首のあたりからシャンプーで胴体を洗っていく。足と尻尾は後回し。でかいからシャンプーボトル一本使えそう。レベルで言えばゴールデンレトリバーを洗うくらい難しい。胴体を洗ったら次は尻尾、足、頭。耳と鼻、目に水とシャンプーが入らないように気をつけて洗う必要があるね。洗ってる間は目を閉じててくれるからやりやすくて助かるよ、頭がいいんだな。後で犬用のガムをあげよう。
体中の泡を丁寧に残らないようシャワーで洗い流す。知ってるか?これだけでノミとかダニが大量に水と一緒に流れるんだぜ。
「よし・・・洗い終わった。ドライヤーとタオルで拭いたらスキマの中にいてもらおう」
ドライヤーで乾かしながら拭いてやるとすっごいもふもふになった。次はノミ取りだけじゃなくて普通のペット用シャンプーも買っておこう。
乾かし終わったらさっさとスキマに入ってようね。また虫付いちゃうから。俺も風呂入ってからさっさとバルサン焚くか。
今日に限っては強化外骨格外しといてよかった。なんでかって?脱ぐのが面倒だからだよ。あれ本気でめんどくさい。さっさと風呂上がってから虫を殺戮して寝よう、掃除は明日やる。
少年入浴中・・・
「よしよし、さっぱりした。風呂上りは牛乳をぐい飲みしたいが今は無理だしまたいずれ」
こちらスネーク、スニーキングポイントに到着。敵の装備は・・・血を吸うための針状の口と強力な跳躍力だ。ってか?
さて、各部屋に1つずつ置いてくるか。大部屋っていうかリビングと廊下は2つ置くがね。全部の部屋の扉を開けて、全てのバルサンから逃げる場所を無くしておこう
まずは寝室、次に廊下の謎部屋達、リビング、浴室、廊下。水を注ぐのはこれからだから大丈夫。あとはキッチンに置けばOKかな。各容器全てに水を入れて、寝室から順番に容器内にバルサン本体を入れていく、無論1つあたり2秒で。最初に水に入れたバルサンが殺虫成分を大量に含んだ蒸気を出し始める頃には玄関から既に退散済みよ。
今日はどこで寝ようかなぁ・・・とりあえずスキマの中で考えるか。
スキマを開きその中に入る。そういえば以前スペカがあったあたりまだ探索しきってなかったな。ちょっと見てくるか。
「えっと・・・ライフル、ハンドガン、防弾装備・・・あった、追加コンテンツ・・・追加コンテンツ?」
各種武器やら装備品を並べたラックを作ってMGSと現代装備で分けた上で配置してくれたのはいいが追加コンテンツって何?
スペカはあった、それはいいとしよう。で?それだけ?嘘だろ?
とりあえず追加コンテンツのラックに近づいて見ると何やら紙が貼ってある
おい、多くないかこのパターン。
借りたものは2週間以内に返却してください
天国中央図書館
「図書館のラックじゃねえか!!」
天国中央図書館って何!?ラック足りなくてもらってきちゃった感じ?頭おかしいだろうが!
遠目から見ればどっかのCV釘宮理恵の人そっくりの地団駄を踏んでいると貼ってあった紙が地面に落ちたので拾い上げた、どうも裏紙に何か書いてあったみたいだ。
そっちの生活だとお前さんの知ってるものしかないと思うから現代の小説やらなんやらを私の気分次第で追加していく棚だ。とりあえずはお前さんの自宅本棚に置いてあったものをプレゼントしとく。あ、気分次第だから追加頻度はそうそう早くないと思ってね?
by 神
「おい!それってYO!意外と楽しく生活できるじゃんか!アッアッアッアッ」
それはそれとして・・・なぜ図書館の張り紙に?まあいいや、とりあえずは本棚の裏にこっそりしまっておいた「薄い本」は厳重に封印するとしよう。だって、ねぇ・・・?
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いつになく早い朝
寒い、毛布がない。何か温かいものを・・・
ベッドの上で寝ていたはずなのだが気が付いたら俺の腹にかけていた毛布は何処へやらと消え去った。ただいまの季節は夏後半から秋にかけての台風が列をなして日本観光を楽しむ季節。しかしながらこのスキマの中は太陽の影響などを受けないため基本的に20度前後の温度で保たれている。冬は暖かく、夏は涼しいってわけだね。
なんにしても起きるか、現在時刻は・・・時計無いし。
ベッドから体を起こし、軽く背伸びをしてから近くに置いておいた腕時計で時刻を確認する。
05:45、明らかにNHKでもラジオ体操を放送してるか怪しい時間帯だ。微妙な時間に起きたもんだね・・・
昨日バルサンを焚いた時点で廃墟の荷物を届けに行く旨をカズには伝えたから問題はない。それでも9時頃に届けるわけだから軽く3時間程度は時間に余裕がある。
「・・・素振りでもするか」
俺の今持ちうる能力の一つには剣術を操る程度の能力がある。だが、これも使っていくうちに体に慣らす必要もあるだろう。体を動かしてこそ身につく技術もある訳だしな。とりあえず屋上に行こう
Now Loading…
まあ、当然だがこの時期じゃまだ日が明けるが若干早いな。5時か5時半くらいにはもう日が出てるだろう。
若干太陽光で暑さを感じるが体を温めるにはちょうどいいだろう。
片手に持っていた高周波ブレードを引き抜き構える。今回はグレイフォックスが使っていたブレードを持ってきた。神様特典って便利。
単純に剣を振るうだけなんだけどね。空手で言うところの型の練習みたいなもんだよ。
しばらく振っていれば多少は鍛えられるはず・・・剣道は経験ないからね。
数十分ほど集中して振っていると流石に腕に対する痛みが出てくる。強化外骨格なしだとキツいなぁ・・・いい加減休憩するか。よしそうしよう
ブレードを鞘に収めて屋上のベンチに移動しようとすると
「よ、早いな」
「ああ、たまたま早起きしただけだ。カズ、お前だって十分早いように見えるぞ?ランニングでもしてきたか?」
「昔からの日課でな、お前は剣道でも始めたのか?」
わーい、すげえいい笑顔ですよこの人。俺といえば決まって苦笑いしかできないけども・・・
「俺は・・・なんとなくだな。剣は格闘以上に体運びが重要なわけだし」
「今更体運び?冗談きついぞ」
「はぁ・・・朝から会うなら女の子のほうが良かったなぁ」
「ひっでぇ!」
「朝飯行くぞ、今部屋は立て込んでるからお前の部屋でコンビニ弁当な」
「勘弁してくれよ・・・」
作者「アリアの26巻が発売されましたね」
響「そうだね。で?買った結果の所持金は?」
作者「370円✩」
響「・・・駄目だこいつ、早く何とかしないと」
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好きなことをして生きていく
「さてと・・・配達も終わったわけだし、帰るぞ」
カズの家に押しかけ半ば強制的に飯を食ってから件の廃墟から出た遺品を届けた。無論現在の地下の状態などをカズは記録していたらしく、写真をプリントアウトして渡していた。
「おう・・・あ、いや。すまん急用を思い出した、悪いが先帰っててくれ」
「別に構わんが、どうした?」
「詳しいことは後で話す。じゃあな」
「了解、じゃあ」
急用か・・・一体どうしたのやら。まあ、首を突っ込んで面倒なことになっても悪いし深く聞いても仕方ないか。
それはそれとして・・・ちょっと出かけるかな
少年移動中・・・
さて、私は今横浜に来ております。これから横須賀方面に向かい米軍のイージス艦の写真でも収める予定だったのですが、ただいまどっかで見覚えのある方が道を歩いていたので追尾中です。イージス艦は実物持ってるから写真を撮る必要性もないので後回しにしても問題ない。
「・・・やっぱりアリアだよなぁ」
おおよそ買い物を終えてどこかに向かう途中だと見えるが、横浜だぞ?お台場じゃなくて。なんかの依頼でこの辺に来てるのかもしれないけど、どうなんだろう
色々無駄なことを考えながら気配を消して追いかける。無論だが今日の俺は制服ではないので周囲の人間に溶け込みやすい訳だ。これだとメタルギアじゃなくてアサシンクリードだけど気にしてはいけない。鷹の目とか使えないしイーグルダイブもしないし。
しばらく歩いているとだんだんと人影が少なくなってきまして、目の前に見えてくるのはかなり大きめの豪邸・・・豪邸?横浜市内とは思えない広さだなぁ
さて、一瞬目を離したスキにアリアの姿が見えなくなったと思えば突然横方向から
「ねえ、どうしてさっきから私の後を着いて来たのかしら?」
やったね追跡バレてた。バレない自信あったんだけど、傷つくなぁ
「・・・どぉも、興宮署の大石です」
「あんた嘘下手ってよく言われない?」
「嘘も百回言えば本当になるとも言いますが」
「嘘はどこまで行っても嘘よ」
やっぱ誤魔化せないな、うん。諦めて投降しよう
「確かに追尾してました、でもそれは単純な興味からです」
「ストーカーの始まりじゃない」
「人間は時にストーカーのようになるもの、特に武偵とか武偵とか武偵とか」
「あんたが何を言いたいのか理解に苦しむわ」
ひびき は ロリっこせんぱい の ジトめ を てにいれた
「いまとてつもなく失礼なこと考えなかった?!」
「さてなんのことか・・・ところで、ここって?」
この無駄に広い建造物を指差して発言すると
「ハウスキーパーってことで働いてる職場って言えばいいのかしら?」
「はうすきーぱー?」
横文字が苦手ってわけじゃないが、あまり聞かないタイプの仕事だな
とりあえず先輩がここで仕事をしているだけってことか。仕事だったら辺に絡む必要性もないか
さっさと横須賀に行ってから写真を撮ってからくだらない夢を叶えるだけだ
くだらない夢に関しては今後話すとして
「仕事中みたいなので俺はこの辺で失礼します。では」
「わかったわ、またね」
そんな笑顔を振りまくなよ・・・柄にもなく一瞬ときめいたぞ
さて、と・・・こっから横須賀まではそんな距離はないが。自由履修の時間を使ってまで練習しておいたバイクで目的地に移動しよう。
ナンバープレートついてないから警察に捕まるわ。飛んで行くか
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若干の違和感:前編
バイクって・・・いいよね。でもさ、俺運転苦手な上にナンバー付いてなかったからほぼ違法なんだわ。で、結局空中を飛んでいるわけだ。気になったから一応サイファーとキッドナッパーに加えて子月光もあの豪邸に配備してきたから何かあればわかるだろ
「おお、あったあった。やっぱ
最近の駆逐艦はすごいぞ。最高だ。
さて、さっさと降下して写真をだな・・・
「いいアングルあんじゃん。これだよこれ、この写真だよ」
昔ネットで拾った画像のアングルをそのままパクって写真を撮る。あ”~いいっすねぇ~
写真を撮ることに夢中になっていると背後から突然
「お兄ちゃん何してるの?」
「ん?写真を撮っていたんだよ。俺は富竹、フリーのカメラマンさ」
後ろを振り返ると何やら小学生くらいの女児が立っている。おいおい、今の学校じゃ知らない人に声をかけてはいけないって教えてないのか?
「富竹さん?」
「嘘です、すいません黒羽。黒羽響、気軽に響って呼んでいいよ」
「響?私はね、
おう、それで・・・なんで声をかけたんだ?
「響さんってもしかして武偵?」
「よくわかったね。そうだよ武偵だよ」
「左足の膝ポケットにちっちゃい鉄砲と、腰の後ろにナイフがあったからわかったの」
すげえ観察力なんだけど、確かに左足のポケットにはマカロフを隠し持ってるし、後ろ腰にはエアフォースナイフを装備してる。いつの間に見られてたのかわからんが只者じゃない(小並感)
「えっと、お父さんとかお母さんって近くにいるのかな?」
「いなくなっちゃったから探してもらおうと思っていろんな所にお願いしてるの。でも全部断られちゃった」
「・・・わかった、引き受けよう。お金はいらない、仕事としてじゃなくて個人的に受ける」
「え?」
「その依頼、俺が引き受けるって言うの。君の両親はいつごろからいなくなっちゃたの?」
「えっとね、一昨日の朝出かけてから帰ってこないの」
「一昨日ね、わかった。ちょっと待っててくれる?」
「うん」
近くにあったベンチに美夜ちゃんを座らせてから携帯を取り出し神風に電話をかける
数回のコール音を経て電話に出た神風はまるでダルそうに
「もしもし?何の用かしら?今忙しいんだけど・・・」
「大丈夫だ、お前が今まで寝てたのは大体わかるから。頼みがあるんだが長瀬美夜って女の子に関して情報を集めてもらいたい。両親が行方不明らしく一昨日から帰ってないそうだ」
「大の大人が二人2日帰らないってのはよくあることだと思うけどねぇ・・・わかったわ、調べておく。あ、もちろん依頼っていうことにしておくから
「はいはい、5万くらい渡すよ。じゃ、頼んだぞ」
「はいは~い」
通話を終えた上で厄介事を引き受けちまったなぁと後悔しつつも、珍しく戦う必要がないので良かったと安堵する
手始めにこの子の身元を調べたいが、まずは神風から情報をもらわないとどうしようもないな
side和馬
響と別れてからはや30分、目的の家にたどり着いたがさて今日はいるだろうか
ピンポーン
インターホンを押すが反応がない、今日は家にいると思ったが仕事か?親戚のうちに来たはいいものの手土産を持って帰るのもなんか格好が悪い。
ポケットの中身を漁ってメモ帳とペンを取り出し、今日俺が来たことと手土産を美夜ちゃんにあげて欲しいことを綴ってポストに投函する。ちなみに中身は最近話題のスイーツだ。テイクアウト専用なので保冷剤が入っているがそう長く持つまい、だからといって帰っても俺が食うしかないわけだ。どうしたものか
「あれ?カズ?何してるんだこんなところで」
おいおい、天恵か?こいつなら冷凍保存くらいいくらでもできそうだな
「すまん響、お前食材とか冷凍できるか?今すぐ」
「?まあ、できるが」
「よかった~、それなら置いて帰ってもだい・・・じょう、ぶ?」
「あ、和馬お兄ちゃんだ!」
「おい響。お前いつ知り合いに?」
「さっき依頼を受けただけだ、この子の家だって言うからな。そういうお前は?」
「この子にこいつを渡しに来たんだけど」
すっかり拍子抜けだ、どうするか迷っているうちに本人が帰ってくるとは思ってなかった。
side響
カズとまさか合流できるとは思ってなかったが、親戚だって言うから重要な情報源だ。とりあえずはこの子の家の中で必要な情報が手に入ればいいが。
それにしても思った以上にでかい家だな
「カズ、すまんが美夜ちゃんの相手をしてやっててくれ。俺は金品が持ち出された形跡があるかみてくる」
「どうしてだ?」
「一昨日から両親が戻ってないらしい。それでな」
「了解」
このあたりでは珍しい2階建ての和風建築か、庭に関しては狭いとは言い難い広さがあり、庭の隅には鯉のいる池があり、砂利が敷き詰められている。流石に廊下はガラス張りになっている程度でそこから常に出入りができるような状態ではない。雨戸は無いようでシャッターを下ろすタイプのようだ
見たところ一回は基本的な生活スペースのようで両親の寝室と思われるものも1階にあった。2階は美夜ちゃんの自室などだろう
「・・・おかしい」
財布も携帯も置きっぱなしだ、仕事用と思われる鞄も置いてある、女性物の鞄もだ
財布も携帯も持たずに出かけるだろうか?絶対ではないが、普通はありえない。
充電器に差された携帯の履歴や、メールの内容に不審な点はない。突然どこかに消えたとも見れる状況だ。
しばらく部屋に立ち尽くし思案していると携帯が鳴った。ちょっとばかし驚きながら電話に出る
「もしもし?神風か?」
「ぶっぶ~!理子りんで~す」
「・・・えっと?どちら様で?」
「ひっど~い。先輩の名前も知らないなんて、ぷんぷんがお~」
とんちんかんすぎて話が進まない。理子、という名前には聞き覚えがあるような気がしないでもないがこの際どうでもいい。問題は何故神風の番号で理子と名乗る女が連絡を寄越したかだ
「えっとねぇ、神風ちゃんから頼まれて代わりに調べておいたの。長瀬美夜ちゃんの両親はそこらへんじゃ有名な地主みたい。借用地から入る収入の他にも研究事業もやってるみたい、人工筋肉とかクローン技術とか」
「クローン?」
「うん、川崎区の方に研究所を構えてるからその近くを調べるといいと思うよ」
「正確な場所を教えて欲しい」
「メールで送るから自分で調べて~」
突然電話を切られた。直後に研究所と思われる場所の住所が送られてきた。さて、ここに行けってことかな?
人工筋肉にクローンか。まためんどくさい感じになってきたぞ。聞いた内容から想定するに研究所の所長あたりで研究に没頭して家に帰るのを忘れてたってところかな?なんにしても小学生を家に置きっ放しって頭おかしい
「カズ、すまんが出てくる。何かあった時のために無線だけはオープンにしておけ」
「わかった。行ってこい」
家をカズに任せて目的地に向かう。状況がイマイチよくわからないため一応
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「カズ、スニークポイントに到着。待たせたな」
「了解、そこの構造について神風から連絡があった、繋げるぞ。」
「聞こえる?その建物の地上部分の大半ではソフトアクチュエーターの機械研究研究設備になっていて、今回用があるのは地下部分、クローン及び人工筋肉の研究施設。上部と下部では所長格が違うみたいだけど総所長っていう役職に長瀬っていう名前があったわ」
「了解、で?所在は?」
「それが地下3階と最上階のマップがなかったのよ」
「つまり両方調べる必要があると?」
「そういうことよ。じゃ、後は頼んだわよ」
「カズ・・・長くなりそうだ」
「そうみたいだな」
「行ってくる、
通信を終え、中腰姿勢からスっと立ち上がり施設正面の警備を確認する。
警備員が2人駐車場に入る道路で検問を行ってるな。その他に監視カメラが1、2、3・・・8台か
光学迷彩でごまかせる範疇ならいいが最近じゃ熱感知で作動するカメラもあるからな、地下から行くか。近くにあったマンホールの上で壁抜けを行い下水管に入る、下水管は思った以上に狭く、足元を流れる水流のほかは中央に無駄にごつい機械みたいな金属が一定間隔にに並んでいる。・・・どうして下水管中央にそんなものが?
近寄ってよく観察したいがほとんど光がないのでソリッドアイの暗視機能を起動して文字を読むと『IRVING』と書かれている。
IRVING→アーヴィング→月光
「これ月光か・・・?」
『m』
瞬間、響の脳裏には今までの人生が走馬灯がごとく走った。そしてその中に一つこの状況を説明する月光の機能があった。冬眠。製作者の性格の悪さがよくわかるよ。
それはそれとして時間は止まってはくれないので当然
『モ~!』
はい、アラート状態どうもありがとうございます。それにしても実際の月光よりも若干大きい。足が太い・・・全体的に気持ち悪く仕上がってるな。
なんでこんなところに月光があるのかは置いておくにしても、とりあえず破壊しないとな。
スキマを開いてM82A2バレットを取り出す。初弾で制御機構を破壊したい。月光のような何かは身震いをしてから攻撃態勢に入った。元MGSプレイヤーとしては動きが遅いとさえ感じる位ノロマだ。
月光の頭部に当たる部分に照準しトリガーを引き絞る。レールガンほどの威力はないが月光の頭部装甲くらいならば貫通できる。が、どうだ?全くダメージになっている気配がない。確かに命中したはずだが貫通していないのか?もしかして通常の月光よりでかい分装甲が厚くなってるのか?
『モ~!』
月光は片足を上げ踏みつぶそうと攻撃をかけてくるがやはり遅いので難なくよけられる。しかし、どうするか。高周波ブレードなら切り落とせるが振れるだけのスペースはない。さて、困った。俺の持っている装備といえば・・・戦車砲?250kg爆弾?いやいや、そんなの使ったら俺まで巻き込まれる。あ、そうだ(唐突)破壊すればいいならフランの能力を使えばいいじゃん。俺頭良いな。
「主に制御機構付近をギュッとしてドカーン!」
『――!』
音にならない音を発声し、力なく地面に崩れ落ちる月光。さて、他が動く前にさっさと回収して後で分解しよう。スキマにしまい込み、改めて進行方向を確認し前方を確認する。さっきは狭かったから回避には後退することになったが、あっちは若干広いから十分動けそうだ。他に月光は見当たらないから進んでも問題ないな。
「・・・参ったなぁ」
赤外線センサーが見える。
距離が離れてたら見つけられなかったが近寄ってみると結構張り巡らされてる。
センサー類のまとまっている場所から伸びたケーブルの先は――C4。
オーソドックスなプラスチック爆弾で世界各国の軍が使っている。3.5kgあれば200mmの鋼鉄製扉でも切断できる。
目測では大体25kgはあるな。これだけあれば壁を落盤させて侵入者を殺害できるだろう。さて、レーザー照射をしてる制御盤を破壊して。C4に近づく。
「とりあえず冷却すればいいかな?」
スキマからMGS2の冷却スプレーを取り出し起爆装置を冷凍して爆発を防ぐ。
全く地下なら簡単に侵入できると思ったが・・・想定以上に警戒してるな。後は15m位先に行ってから上方に上がれば地上1階につく。落ち着いてる今のうちにカズから現状のマップデータを送ってもらおう。
「こちらウルフよりHQ。マップデータを送ってくれ」
「こちらHQ了解。マップデータをアップロードする」
「助かった。over」
マップも手に入れたし、さっさと侵入して地下3階に向かおう。
壁をすり抜けるために一回飛ぶ必要があるため一度空中に上がり、壁に沿ってゆっくりと移動する。流石にこれ以上のトラップはないだろう。iDROIDでマップを確認しちょうど真上が地下1階の備品倉庫のようで監視カメラはマップには書かれていないから考慮する必要はないだろう。追加で付けられてなければだが。
「失礼しまーす・・・誰もいないな、監視カメラもない。よしよし、上出来上出来」
無事侵入成功。下水管より深い地下2、3階ってどのくらい深いんだ?
それはそれとして、まずはここから階段を目指しつつ、できれば情報が欲しい。
部屋から出る前に光学迷彩を起動して姿を消す。
部屋を出て廊下に沿って歩くと、目の前にエレベーターを見つけた。左右を確認すると左にしばらく行くと非常階段があるようだ。エレベーターは見つかるリスクがあるから階段で行こう。
side狂夜
「義手の交換に来たのはいいけど。お前まで来た意味あるか?」
「そう言わないでくれよ。こうやって君についてこないとその義手の仕掛けがわからないじゃないか」
「あんたは上でアクチュエーターの研究でもしててくれよ。パワードスーツみたいな奴さ」
「やったけど量産するには向かないし着脱するのには専用機械が必要になっちゃったからね」
「馬鹿だろお前」
「酷いなぁ・・・」
義手を外すための準備があるため待合室のような場所で待機している状態だが。地上の室長?所長?みたいな奴に捕まった。いや、以前にはここで監禁されたけど。
「どうも、準備できたからそこのクソ野郎の顔面に裏拳をお見舞いしたくなる前に交換しようか」
「誰がクソ野郎だ、そういうお前こそ研究所の穀潰しって有名だぞ」
「おいおい、機械的にしか出力できない人工筋肉と生物的に動作する人工筋肉どっちが優れているかは火を見るより明らかだと思うのだがね?」
「はっ!甘い、最大出力時の耐久時間ならこっちのほうが明らかにこちらに利があるぞバカめ!」
「んだとゴラァ!」
「やるか!?」
「テメェらいいかげんにしろや!!二人共頭以外吹き飛ばすぞバカヤロー!!」
「「すいません!許してください、なんでもしますから」」
「ん?今何でもするって?」
「「えっ。それは・・・」」
side響
階段を降りて左右確認。敵影なし。
「さて、青図と比較しても階段がありそうな場所は見当たらない。地下3階に行くには・・・」
「テメェらいい加減に(ry」
・・・気のせいだな。知り合いの声が聞こえたのはやっぱり気のせいだ。うん。よし、バレないうちにさっさと通り過ぎよう。
ギャーギャー騒いでいる連中の後ろを通り過ぎようとしたまさにその瞬間。
バチッ――ジジジ・・・
おっと?バッテリーが切れた。つまり光学迷彩は解除されたわけで・・・?
「・・・おい。お前ここで何してる。」
「僕、ちょっと誰に話しかけてるかわからないっていうか・・・」
「おや?知らない武偵さんが忍び込んでいるようですねぇ」
さっき淫夢ネタに走ってた研究者A!黙れ!
「おやおやおや?面白そうな物を持ってるじゃないですか」
おい!研究者B!高周波ブレードに目を付けるな!コイツはやらんぞ!
「・・・ザ・・・」
「「「ザ?」」」
「ザ・ワールド!時よ止まれ!」
困ったら時間を止める癖治したいなぁ・・・
「動き始めたらまた厄介なことになりそうだけど・・・情報欲しいしなぁ」
結局仕方がないので時間を動かす訳だ。嫌だなぁ・・・
時間が動き出して周囲3人が「?」みたいな反応をし始めたあたりでパァンッ!と一拍手を打ち静かな状態を作り出す。
「よし。質問するぞ?いいな?よし。地下3階に行くための階段はどこだ?」
「地下3階?それならそこの角を――」
研究者Bが階段のあるであろう場所を説明しようとした時、その声を遮るようにして不健康そうな声色の男性が登場してきた
「困るなぁ。勝手に地下倉庫の場所を教えてもらっちゃこっちの都合が悪い」
「長瀬さん。どうしてここに?」
長瀬・・・こいつか。思っていた以上に老けて見えるが、気のせいだろう。胸元のプラカードを見るに名前は・・・
「おや?二人ともお揃いかい?なら来月の研究費に関して話が・・・」
「すまない。俺はお節介焼きの黒羽響っていうんだが。あんたの娘さんがいつまでたってもあんたとあんたの奥さんが帰ってこないって心配している。帰って安心させてやってほしい」
「美夜が?そうか・・・妻は今上の部屋にいる。妻の説得も含めて話を聞かせてもらえるかな?」
「え?いや、普通に自宅に帰ってもらえればそれでいいんですが・・・」
「すまない。うちの妻は一度熱が入ると抜け出せなくなるんだ。どうにか説得してくれないか」
「・・・別にいいっスけど・・・美夜ちゃん達待ってますし」
「ああ、できるだけ早く済ませよう」
地上3階に向けてエレベータを使って移動し、総局長室前に続く廊下を移動しながらふと思い出したことを聞いてみることにした
「・・・あ~。そういえば下水管の中に『IRVING』って書かれた二足歩行の化け物みたいなのいましたけどあれは・・・?」
「あれは私の趣味だ。・・・ちょっとまってなんで下水管の中に入ってたの?!」
「いや、ほらこういう研究所ってアポなしとか職員証みたいなの持ってないと受付とかで追い返されるでしょう?」
「あぁ・・・そういう・・・あ、下水管の中にC4仕掛けてたけど大丈夫だった?」
「C4はセンサーを壊して起爆装置を冷凍してあるので向こう24時間は起爆しないと思いますよ。というか、何故『IRVING』えっと月光でしたっけ?なんかが大量に?」
「さっきも言ったけど私の趣味だよ。ああ、名乗り遅れたね私は大谷、
「おいおい、あれはウチとコンペで競って負けた産業廃棄物だろ?まだ片付けてなかったとは驚きを隠せないね。俺は
「そこの大谷っていう奴は俺を地下に閉じ込めた挙句モルモットとか言っちゃうくらいのクソ野郎だから気をつけろ」
「辛辣ゥ!!あれは「過ぎた話だとでも?」いえ何でもありません」
狂夜よ、お前も苦労してるんだな。大谷は大谷で立場ねぇ・・・さっきから長瀬さんは黙ってるし、そんなに困ったことがあるのだろうか。なんにしてもこの変な空気どうにかしてくれよ!!
「ここだよ。ここが私の研究室兼総局長室だ。私は主にAIの研究を専任している。妻はプログラムの不具合を見るデバッグが主な仕事だ」
長瀬さんを筆頭に部屋の中へと入っていく。カーテンで締め切られ薄暗い部屋の中は配線や実験機と思われる小型のロボットや実験資料などが地面に散乱しており見るからにザ・研究室という雰囲気を醸し出している。その惨状を見てか最初に狂夜が口を開いたと思えば
「うはぁ・・・散らかってますね」
という、素直な感想を話してくた。
「
「なぁに?来客なんて聞いていないのだけど?先に言っておいてもらわなくちゃ困るわ」
部屋の奥から声が聞こえては来るのだが姿が見当たらない。しばらく待つと何やらモーターの駆動音が聞こえ、何か透明なものが空間を移動するようにして移動してくるのが確認できる。
「今は手が離せないの。申し訳ないけどコレでの対応を許してください」
移動してきたモノの全身が少しずつ色を塗るようにして見えていく。その姿は台形のような頭部に丸みを帯びつつも機械らしい形をした胴体、右腕の代わりに薄い液晶モニター。脚部は二足歩行しつつもタイヤ駆動で逆足をうまく利用してバランスを取っている。その姿はまさしく
「Mark-2!!」
ここは何かと見覚えのあるものが多いと思ったらメタルギア系のものをよく見るのか。どうりで月光やらMGS2が如しC4が設置してあるわけだよ。偶然じゃなかったんだ
「あら?知ってるのかしら?まあ3年前のゲームだものね、知らないなんてのもおかしな話ね。ここでメタルギアの装備や兵器を研究しているのは私とそこの二人よ。夫からは理解が得られなかったわ」
「二足歩行する必要性はないだろう?まあロマンは感じるが」
あっれ?シギントとかと違って無限軌道でいいとか言わないんだ。心得てるなぁ
「・・・よく国に認可されてると思うよ」
「狂夜、そういうこと言うな。実際何かしらの成果は上げてるんだろう?」
「特に上げてた覚えは・・・ああ、無人機関係で実績出てたか。ほら、ロボコンとかのスポンサーになってるぞ」
「へぇ・・・興味ねぇ」
まあそれはそれとして。Mark-2のモニターに映っている女に対して敢えて言うことがあるとすれば・・・
「美夜ちゃんが家で待ってます。見ず知らずの俺から言うのもアレですが帰って安心させてやって欲しいです」
「分かったわ。でも少しだけ待って、このプログラムだけ動作確認してからすぐに準備するわ」
「そうですかぁ・・・やっぱり無理か・・・ん?今なんと?」
「そういうのいいから」
「あ、はい」
そっかぁ、どこまで行っても人の親ってこういうもんなのかなぁ?
親父――
作者「どうも、お久しぶりです。約1ヶ月振りの投稿ですね。流石に8600文字書くのは疲れた」
響「おう、久しいな。珍しいじゃんいっつも1000文字前後だろ?」
作者「まあ、たまには頑張ろうと思ったらこれだよ。さて、今回はMGS系の武装が登場しましたね」
響「C4あたりがやっぱり意味不明だけどな」
作者「手厳しいね、でも意味不明を取ったらこの作品ってなに?ってなるしいいと思うけどね」
響「それはお前の判断するところじゃない」
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若干の違和感:後編
プログラムの動作確認をすると言ってから既に2時間が経過している。確かにAIなら必要な時間は膨大になるだろうがいい加減に俺たちもしびれを切らしてきた。もうG.W.でもJ.D.でもそのAIと入れ替えてやろうか?いやもう“彼女”と直列接続して――
「ごめんなさい、なるべく急いだのだけれど随分待たせたわね」
「待つより待たせるほうが多いから気にしないでください。さて、移動する時間ももったいないのでファストトラベル的なアレで」
「え?」
「ザ・ワールド!時よ止まれ!」
時間を止めてスキマを開き長瀬家に繋げる
めんどくさいと言われるかもしれないが時間を鑑みればまあ悪くない選択だと思う
全員がスキマを通して移動したことを確認してから時間を動かす
「そして時は動き出す」
「何を・・・?え?どうして?あれ?」
「お前、毎回こんなことを?」
「ここが局長の自宅・・・!?」
今気がついた、3人は余分だったな。まあいいや、もう遅いし
「カズ、戻ったぞ」
「おう、戻ったか。長瀬夫妻は?」
「うん?ああ、向こうにいるよ」
「そうか。ところで、お前がいない間にこの家を改めて見てみたがどうして携帯とか財布を置いて出かけたんだ?」
「知らん、急いで出かけただけだろ?美夜ちゃんは?」
「さっき自分の部屋に行ったぞ」
「ならいいか・・・荷物をまとめろ、挨拶してから撤収するぞ」
「了解」
今いるのが1階のリビング、さっき移動してきた時は玄関だったし1階に人がいる気配はない。既に2階の美夜ちゃんの自室に向かったのだろう
2階からは謝る声と美夜ちゃんの怒り気味の声が聞こえてくるから説教中だな。それと・・・あの3人はどこだ?
「古川~?」
いない、家の中じゃないなら外か。
庭に回って見ると鯉のいる池の近くに立っていた
「どうした?後の二人も見当たらないが」
「ああ、あいつらは今飯を買いに行ってるよ。時間も時間だしな」
「ああ、なるほど。俺らは帰るが、お前らは残るか?」
「まあな、一応飯を食ったら帰るがな」
「じゃ、またな」
「おう」
そろそろ落ち着いた頃だろうし、挨拶するなら今だな。
家の中に戻り2階に上がるとちょうど1階に降りるところだった。
「今日はありがとう。何かあったら私の研究所に来るといい」
「はい。それでは、今日のところは失礼します。このあと予定がありますから」
「そう。わかったわ、じゃあまた今度」
「響、またね」
「ああ、また。」
階段を降りるとカズが待っていた
「帰るぞ。・・・お前あのケーキっていうか菓子はどうした?」
「冷蔵庫に入ってるよ」
「そうか。お前も一声かけてから出てこい、外で待ってる」
「分かってるよ」
とりあえずは一件落着、さっさと帰って神風に金を払おうか。あ、このあと予定があるっていうのはこれじゃないよ?
しばらく待つとひょっこりと玄関からカズが顔を出した。帰ろう、帰ればまた来られるから
改めて夕日が海ではなく街に沈む光景を見て「西日本に行きたい」と思う我である
side???
やっと仕事が終わった。長かった、いや短かったか?まあいい、これで家に帰れる
ああ、やっと!家族に会える!私の可愛い弟よ!
一体どこの軍だ?と聞かれそうな格好をした少女。
容姿、主に胸部についてなら一般女性レベル。しかし目を引くものと言うならば灰色に近い銀髪だろう。
「おい
「なんでしょう?」
「ああ、帰るんだろ?送っていくよ」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」
待っていて。響ッ!
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正体不明の少女
――久々に夢を見た
まあ、悪夢だったがな。こっちに来る前の家族の夢だ
俺には姉がいた。そして兄がいた。ふたりが二人共別々の進路を進み、最後に家に残ったのは俺だけ。成績の優秀で東大に主席で入学した兄、文武両道で自衛隊に入隊した姉。何をしても普通並の俺。
姉は俺を可愛がってくれたが、それが余計な負担になっていた。
俺は俺で兄や姉は別人。そんなことは親もわかっていただろう、だがそんな兄や姉がいれば多少は期待したんだろうな。だから――家に俺の居場所はなくなった。最後は自室に篭ってたまに家の外に出かける、そんな日常の中にトラックが突っ込んできた。ただそれだけ。
ピンポーン
ベッドに寝転び睡眠の惰性に身を任せていた最中に邪魔が入った
特に宅配は依頼していなかったから新聞か
なんにしたって朝の6時に訪問するとは非常識も程がある
ピンポーン ピピピピピピピピピピピピ・・・
「うるせェェェエエエ!!!!!!!!!!」
「ひうっ!」
すっげー間の抜けた声が聞こえたな。・・・嫌な予感がする
まあいい、面倒事もゴメンだしいい加減出てやるか
「はぁ・・・なんだ?新興宗教か?」
誰に言うでもなく自問自答に入る俺はゆっくりと玄関に向かって歩き始める
1歩また1歩と歩みを進めるたびに体がだんだんと重くなる。完全に生理的に拒絶している
「お待たせしましたみんなのアイドル響だよ✩」
自分でやってて気持ちが悪い。
そんな言動をスルーして満面の笑みで
「響!」
と叫び抱きついてくる。見えたのは顔と銀髪。
「ああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
やめろぉぉぉぉおお!!!!!俺のトラウマを開くなぁぁぁあぁあああああ!!!!!!
「俺のそばに近寄るなぁぁぁぁああああ!!!!」
「キャッ!」
「逃げるんだよォォォオオオオ!!!!ザ・ワールド!」
時間を止めてまでも逃げ出す俺。まあ、どうしてこうなっているのかと言えば前述したとおりだ。過去のトラウマだ。ここでは全くもって関係性はないのだがな
あのクソ姉と名高い沙織のせいだ
side沙織
「逃げるんだよォォォオオオオ!!!!ザ・ワールド!」
「あ、れ?いない・・・もう、なんなのよぉ」
久しぶりに会おうというのに、弟に逃げられるなんて・・・そんなにひどいことしたかしら?そもそも彼を弟という風に呼ぶのには深いわけがある。
そう、あれは今から2週間ほど前の話
上司に調べておけと言われたリストの中に「黒羽響」という名前が載っていたことから始まった。
作者「さて、またなんか変なふうになってきましたね」
響「おい、待て。俺に勝手にトラウマを植え付けるな」
作者「まあ霊長類最強みたいな名前だしね」
響「なんにしたって会いたくもないなぁ・・・」
作者「随分とまた落ち込んでるな」
響「そりゃあんなのと会えばこうもなるさ」
作者「・・・(ニヤリ)」
響「?作者どうした・・・?!!」
沙織「響~♥」
響「ぃやめろぉぉぉぉオオオオオ!!!!!!!!」
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トラウマと娯楽
初めはただの弟と同姓同名の別人だと思っていた。
だがあまりにも共通点が多すぎた。調べれば調べるうちにどんどんとのめり込み今ではもう本当の弟と同じくらいに大切な存在になっている。
ただ、一度として会ったことはない。もう一度言う。ただの一度も!!会ったことはないのである!!
side響
「はぁはぁはぁ・・・ふぅ・・・よ~し落ち着け。冷静になれ・・・感情を抑えろ。・・・よし!」
さて、状況を整理しよう。
朝っぱらから謎の来客→扉を開けると見覚えのある顔→突然飛びついてきながら名前を呼ばれる→本来ならいるはずのない姉←イマココ
「これもうわかんねぇな・・・え~?!うん?!どういうこと?神さ~ん!!!」
その時!響の願いが神に通じた!と思われたがそんなことはなかった!第2部完!
響先生の次回作にご期待下さい。
締めるな締めるな!はぁ・・・何なんだ?今日は厄日か。いや厄日だ、誰がなんと言おうが厄日だ。
「あ~あ。やってらんねぇ・・・寝直すか。」
スキマを開き空き地島に繋げる。そこから東京湾に出て、太平洋海上にマザーベースを置くかもしくは計画通りに事を進めるか・・・後者だろうな。そこで寝よう。うん流石に太平洋上までは追っかけてこないだろう。
さて、まずはRAYに乗って湾内から出ていかないとな
side沙織
「逃がさない・・・!」
何が何でも話を聞かせてもらう。
それはさておき現在14の私であるがそこまで強面でもないのでは?そんなに怯えられるほど怖いのかなぁ・・・
そう!この女!武偵中2年である。そう、中学生である!!中(ry
おもむろにズボンのポケットから取り出したのは折りたたみ式の携帯電話。これでも機種を変えたばかり。GPSとリンクした地図だって使い放題。さっき抱きついた時に発信機はつけておいたし余裕で場所が分かる
さて、場所は・・・
「太平洋・・・タイヘイヨウ、タイヘイヨウ・・・」
ああ・・・まあ、情報通り?一瞬で遠くまで移動するっていうのは本当なんだ
そっかぁ、太平洋かぁ・・・どうしようかな
追いかけるにしても単独で動かせるような船はないし・・・うん、帰ってくるのを待つ事にしよう。お邪魔します。
名状しがたい笑みを浮かべる少女。敢えて言うならば非常に気持ちが悪い、美少女であっても許されないタイプの笑顔。
side神風
ここに来て突然の私の出番だ。メタい話はやめて?あ、そう・・・
現状を説明すると響について調べていた資料を見直していたところ今年の4月以前の戸籍がないということに気がついた。以前からおかしな奴だとは思っていたけれど、ここまでとは。あいつ、ホントに何者よ。
情報がないなら調べたって仕方ないし、本人に聞くのが一番早い訳だし聞いたっていいわよね。
早速連絡をしようと携帯に手を伸ばすと、都合よく電話がかかってきた。着信は響となっているあたり本当に都合がいい。
「もしもし響?」
「神風?少し調べて欲しいんだけどさ艦本式タービンとロ号艦本式缶の操作方法とかのマニュアルって手に入る?」
「は?え?なに?ロ号艦本式缶と艦本式タービンの操作方法?大戦中の兵器でも使う気?調べてはみるけど・・・」
「サンキュー!じゃ、なんかわかったら連絡してくれ」
「ちょtt」
切られた・・・まあ、今度でもいいか。どうせ学校で会えるし
作者「イェェエエエエエエエ!!!」
響「ジャー↑スティス↓!」
作者「連載を始めて1年が経ちました。早いものですね。」
響「初日に3話連続投稿して感想が2件。そこから今ではUA42.653まで増えたしな。ありがたい限りだな」
作者「そうだね。」
響「まあ、文才はないけどな」
作者「やめてくれよぉ・・・」
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本日晴天なれども波高し
さて、本日晴天。風向南東3、周囲に船舶なし。絶好の航行日和だ。
「よし、準備完了っと。ワイヤー問題なし、アーセナルギア自動航行待機。抜錨も完了・・・後やることは、ないか。」
一人だと意外に時間がかかったな。だからといってここまでやったものを片付けるのもねぇ?
一度アーセナルギアの館内に移動して目的地の入力と、曳航していることも考慮してのエンジン出力の調整、くらいなもんか。さっさと終わらせよう。
side神風
「やっぱり引っかかるわね」
独り言を言っているとハゲるとどっかの誰かに言われた気がするが迷信は迷信でスルーしておく。それにしても“黒羽響”と同姓同名の人間がもう一人いる。そして今日、それもさっき響の自宅にその姉が訪れている。やっぱりこの二人が別人という方がしっくりくるはずなのにおかしく感じる。
あと響に頼まれてた缶と機関のマニュアルは見つけた。まあどっかのコレクターさんが全ページコピーしてネットに上げてたわ。あとご丁寧に現代語訳したバージョンもね。
ちゃんと頼まれたことはやるわよ?まあ面倒だからネットで調べるに留めたんだけど。それは別の話。
とりあえず、この黒羽沙織という人物に話を聞く他ないか。
side響
「設定終了っと」
やっぱり、呉で作られた艦はかっこいいなぁ。ありがとうございます。呉もかっこいいなぁ。冗談はよしてくれよ
テンプレートで遊ぶのはこのくらいにしておいて。用意は完全に終わった。航行準備よし。各種兵装問題なし。
「大和型一番艦大和、出航!」
いいセリフ思いつかなかったの?作者さん。
ごめん・・・出撃ってわけでもなかったから、とりあえず出航ってことで・・・
「はっ!俺は今何を?!」
気のせいか。気のせい気のせい・・・。まあ、いいや
ん?対潜レーダーに感あり?
「北東2マイル。こっちに向かってきてる?」
Prrrr...
無線以外で着信が来るなんていうのも随分と久しぶりに感じる。自発的に連絡をしても相手からは連絡があまり来ないもんでね。
「もしもし」
「やあ、響くん。どうやら随分と大きな船を2隻も持っているようだね」
「シャーロックさん?俺番号教えましたっけ・・・」
「些細なことを気にしてはいけないよ。今、ちょうど伊・Uで沖に出るところだったんだが君も一緒にどうだい?」
「生憎とこっちは水上で15ノットしか出ていないんですよ。人手と機関の動かし方を教えてくれるならお付き合いしますよ?」
「もちろん構わないさ。じゃあ、そこで待っていてくれるかい?こっちは水中で20ノット出るからすぐ追いつくよ」
「了解です。では」
さて・・・アーセナルを止めるか。
iDROIDに操作系を導入しておいてよかった。機関停止、ワイヤー切断。待機海域に離脱。
一応既存の艦ではないから隠しておこう。RAYは大和に積んであるし、問題ないな。
ダグボートでも付けておけばバレないかな?
まあ、いいや。大和改造してアーセナルと同じように動かせるようにしたい。
響「やっぱ戦艦はロマンでしょ!」
作者「どうした、いつにも増してテンションが高いな。ロボットオタクのアムロ・レイみたいになってんぞ」
響「ツッコミがわかりにくいな」
作者「これ書いてる間ちょくちょくWiki見に行ってロ号艦本式缶とかを調べたりして疲れただけ」
???「提督、大丈夫ですか?ラムネいります?」
作者「ありがとう・・・」
響「・・・?!」
作者&響「誰だお前?!」
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彼女と義体と知らん奴と
「よし(適当)」
神風から送られてきたPDFファイルをノートPCで開いて缶と機関を始動させる
「響?聞こえる?機関室は配置についたわよ?」
「了解、機関前進強速。進路、225。面舵一杯」
さて、ここで乗務員を紹介しよう。
機関室。機関長:ヒルダ
戦闘指揮、艦長、砲雷長、航海長、その他雑用:俺
糧食班:パトリシア・アーヴェンタイル
なぜ来た?:水蜜桃、夾竹桃、ジャンヌ
「・・・なんか知らん奴が2人くらいいるんだけどォォオ?!」
誰?!ねえ誰!このパトリシアって誰?!誰か教えてよ!
回想いる?
いらねえよ!てかお前はちょくちょく語りかけてくんなよ!帰れよ!作者!帰って?!
おk
「水蜜桃!甲板を走り回るな!そのパワードスーツに46cm砲ブチ込むぞ!」
「え~?!わかったよ、じゃあ船室でお菓子食ってる」
「いつからここは保育施設になったんだか・・・」
速力23ノット。時速換算で約42キロ。移動だったらロマンに拘らずにもう少し早い船の方が良かったな。RAYだけだと航続距離的にミッドウェーどころか硫黄島を超えられるか怪しいし。
まあこの出国の仕方だと入国後に警察に捕まると強制送還必至だけどね。
油断しなければ捕まることはないだろうけど。
東京湾を出たらどこに行こうか。とりあえず気の向くまま遊ぼうか。
帰るだけならすぐ帰れるし、今時珍しくもないけど海賊に襲撃されても余裕かな?多分
艦橋っていうのも意外と暇なもんで、一応レーダー要員でクリサリスを上空で飛ばしてるから付近を船が走ってればすぐに警告音が出るようになってる。
エンジニアでストレンジラブとか雇いたい・・・
ヒューイは・・・パスかな。オタコンだったら別としてもストレンジラブ殺してるしね。どのみち雇えないから関係ないけど。
「姉さんどこにいるか知らない?」
「夾竹桃か。知らないな、船室でお菓子を食ってるとか言ってたけど。この船の中を探すのは時間かかるぞ?」
「こんな船に乗せられるなら発信機の一つでも付けておけばよかったかしら?」
「というかなんでナチュラルにここにいるわけ?」
「どういう意味かしらね?」
「だってお前・・・司法取引とやらで解放されたんじゃないのか?」
「そうよ。でもある程度の自由はあるからいいのよ」
「さいですか」
それにしても暇だな・・・いや、背後に毒手使いがいるからそうそう安心はできないけど。暇を持て余せる状況ではないけれど。
俺の持ってる道具は軍備品とかその系統ばかりで娯楽関係のものは一切貰わなかったんだよな・・・せめてPCかPSがあれば良かったんだが。
今思うと時代をしばらく巻き戻っているからゲームを買っても小説を買っても内容を知ってるから面白くないんだよな。
ネタバレはマジで萎える
「操艦を常にやってる必要もないか・・・」
子月光なら操艦くらいできるよな
待てよ・・・MGRの後半でAI義体と戦ったよな。
義体にAIを導入できるってことはもしかして・・・ザ・ボス復活できるんじゃね?少なくとも人手不足くらいなら解消できるか?
まずはあの大量のデータをまとめて1つのHDD辺りに突っ込んでから義体に差して完成かな。よし、ちょうどいい暇つぶしができた。艦橋の中だけどAIポッド出せるかな?無理?なら甲板においてから接続ケーブルだけ艦橋に伸ばしてPCと接続すればいいかな?
「誰?」
「ジャックじゃないぞ。俺は黒羽響、好きなように呼んでくれ。あんたのことはよく知ってるから自己紹介は必要ない」
「そう。何をしようとしてるの?」
「あんたに体を、ね」
「体?ピースウォーカーにつなげればいいだろう?」
「それではダメだ。あんたはザ・ボスであり、ザ・ボスではない。ピースウォーカーのレプタイルと繋がるとあんたはただの核報復を行う兵器になる」
「でも攻撃を受けなければ自発的に攻撃を行うことはできない」
「どっちにしろピースウォーカーはデカくて目立つ。時代に合った体を持ったほうがいい」
「どうして私だけがここに?」
「どういう意味だ?ストレンジラブのことか?それともあんたの弟子のことか?」
「全てよ。私は本来記憶版を抜き取られてニカラグア湖に自沈したはずよ」
「だがストレンジラブが引き上げてる。1984年時点ではヒューイとも会ってるだろ?」
「そうよ。あいつが彼女を殺した。だから声を消されないために隠した」
「知ってるよ。よし、ケーブルは用意できた」
面倒だしここで全部済ませるか
義体は誰のがいいかな?一応女性だったしミストラルあたりの義体に入れてやればいいかな?
「これからあんたをこの義体の中に入れる。体の動かし方は自分で慣らしてくれ」
「わかった」
さて、コピーにどれくらいかかるかな?
思ってたより少ないな・・・8テラくらいか。
コピーだけなら明日までかかりそうだな。
暇なら持て余してることだし、パトリシアって奴に話し相手になってもらうか。
「すまないが、コピーにはしばらくかかりそうだ。俺は一度ここを離れる、終わった頃にもう一度来るからここで待っててくれ」
「待機了解」
そういうところは機械なのか。
作者「とりあえずタグ詐欺だけは回避だな」
響「それはそれとしても、実際問題どうなんだ?1974年のAIが2018年の義体に適合するのか?」
作者「プログラム関係は俺にはよくわかんねえけど、レプタイルポッドとママルポッドの2つを合わせて人間にかなり近い状態のAIになった訳だし問題はないんじゃないかな?PW本編終盤では機能代償までは人間の脳を再現したわけだし」
響「そうか。じゃあレプタイルのほうも義体にコピーしなきゃな?」
作者「そこら辺は・・・ほら、ね?」
響「いや訳分かんねえよ。普通に話せって」
作者「次回書くってことで」
響「そうだな」
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また面倒な・・・
戦艦大和 厨房
艦内を移動して厨房へとやって来た
「いやはや、厨房と一口に言っても広いなぁ」
「まあ、戦艦大和ですしね」
「うわびっくりした!」
いきなり後ろから声をかけてくんなよ・・・
声からしてやっぱりパトリシアか
容姿は金髪の英国美人。目は青色、胸はCくらいか?出るところは出て引っ込むところは引っ込んでる。割とモテそうだな。服は意外と普通だな・・・近年稀に見る縦セーターにジーパンか
「改めて自己紹介しますね。私はパトリシア・アーヴェンタイル、特技は暗殺。主に背後から接近するタイプの技が得意です。」
「どうりで知らん間に背後に・・・俺は黒羽響。知っての通り半分位人間をやめてる」
「いや知らないです。なんですか?日本の漫画かなにかのネタですか?」
「誰がディオだ。人間をやめるぞジョジョなんて言わねえよ」
「言ってないですってば・・・」
「そういえば、厨房をやりたいって最初に言って来たけど何かやりたいことでもあったのか?」
「あ、はい!これを作ってたんですよ」
なんだこれ?オムライス?
「・・・うまそうだな」
「そうですか?ここにはあんまり食料がなかったので自前で用意したんですよ」
「自前?」
「はい。伊・Uに積んでた卵と米とか鶏肉とか野菜とか」
「全部じゃん」
「全部ですね」
うんいい笑顔
機嫌のいい時のアリア並みか
「そろそろ昼時ですので6人分用意しようと思ったんです」
「そうか、もうそんな時間か」
姉から逃げて海に出てアーセナルギアと大和をワイヤーでつなげて伊・Uと併走して・・・こんだけいろいろやってれば時間も経つか
「そういえばもう秋か」
4月に入学して・・・5ヶ月くらいかな?
いろんなことがあったな。腕を骨折したり、自衛隊基地に潜入してから警察庁長官パクったりレキに薬打たれたり
ジャンヌとも会ったな。A組の連中とは・・・あんまり交流がなかったな
そうそう、この間は2回くらい死んだな。
「今まで5ヶ月の間にすごくいろんなことがあったんだな」
「何かあったんですか?いきなり感傷的になってますけど」
「いや・・・特に前触れはないけどさ。なんとなくな」
「そうですか。とりあえず皆さんに食事を運ぶので手が空いてるなら手伝ってください」
「そうだな。どうせやることもn」
ビー!ビー!ビー!
「何事!?」
iDROIDを取り出し周辺マップを開く。対水上レーダーに感。
「響?聞こえてると思うけれど警告音がうるさいわ。あと無線に通信が入ってるわ、さっさと艦橋に来なさい」
伝声管・・・こんなものもあったな。
夾竹桃、艦橋にいたのか。無線っていうのも気になるし・・・まあ、行くか
「すまんが、食事は後にしよう」
「はい」
スキマを開いて艦橋に移動する
「待たせたな」
「待ったわ」
「一応シャーロックに合流点に先に向かうように連絡を」
「分かったわ」
無線の受話器を手に取る
「こちら海上保安庁。貴艦の所属を問う」
「こちら大和。自艦は武偵が操艦している」
「やま、と?その船は大和か!?」
「連合艦隊旗艦大和型一番艦大和だが」
「・・・レプリカか?」
「実物だ」
「すまんが乗り込んでも?」
「構わんぞ?」
「では、失礼させてもらう。over」
「・・・機関両舷停止」
面倒な・・・一応警戒しておくか
作者「ハッピーニューイヤー!!」
響「お前喪中だけどそれ言っていいのか?」
作者「正直、まずいと思ってる」
響「じゃあやめようぜ?!」
作者「そうだなぁ。まあ、後ろに控えてる人もいっぱいいるし、急げ」
響「じゃあ、代表して。昨年は本作品をお読みになられ、ありがとうございます」
狂夜「来年もよろしくな!」
神風、カズ、美夜、沙織、パトリシア「あけましておめでとう!!」
本年もよろしくお願いいたします
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あれは誰だ誰だ誰だ
海保の哨戒艇?が大和に横付けし、縄梯子で甲板に乗り込んできた。
いやはやめんどくさい
「ようこそ戦艦大和へ。乗艦の前に軽く説明をさせていただきます」
「お、おう」
「まず本艦は名前通り“大和”です。レプリカなどではなく実物です。次に搭載している武装はいつでも射撃管制が可能な状態を保たれています。仮に本艦を占拠した場合は相応の対処を行わせていただきます。そして最も重要なのが・・・」
「?」
「危険ですので設備等に不用意にお手を触れられませんよう、お願いいたします」
「以上か?」
「はい」
「えっと・・・ん?つまりどういうことですか?」
「どうぞ、ご自由に見学していただいて構いませんよ。俺は第2主砲付近でやることがありますので」
「あ、はい。ではお言葉に甘えて」
よし、適当に2時間くらい見学したら満足するだろ
さっさとお帰りいただいて
第2主砲に行く理由つったらまあ、当然だがボスのAIだ。
AIに入れたコピーデータとオリジナルデータのネットワークを作って、思考?って言えばいいのかな?それをボスAI間で共有できるようにしたいわけだ。
当然だが、AIはG.W.と同様スキマの外に置いておくつもりだ。武偵寮に置いておくわけにも行かないが、どこに置くか。アーセナルなら常時オンラインに出来るからとりあえず今は空の“胃”にでも置いておけばいいだろう。
「ボス。進捗はどうだ?」
「コピー完了。義体を動かすために必要なデータの選定65%完了」
「オーケー。作業を続けてくれ」
改めてボス専用の義体を用意したいな。幸い戦闘用の外装を取り付ける前の義体ならいくつも余ってる、ありがたいね。これって普通にオーバーテクノロジーだよなぁ・・・
PLLLLLL・・・
ん?電話?
これは誰だ 誰だ 誰だ これは斎藤 斎藤和馬
まあいいや。着信ボタンを押して電話を受ける
「もしもし?どうした?」
「もしもし?いや、特に何ってわけじゃないが・・・暇だからお前の部屋に行ったんだが・・・」
「はっきりしない奴だな、俺の部屋がどうした?」
「わるいな。で、お前の部屋に何やら中学生くらいの女の子が居てだなぁ・・・いや、お前の趣味だったら別にかまわないんだが・・・」
もうオチが予想できた
「少し待ってろ、今行く」
電話を切る。
スキマを開き即座に自宅前に繋げる。カズは・・・いない!?まさか!
レッグホルスターからM1911Cを抜き自宅へと突入する。
「武器を捨てて両手を上げろ!跪け!」
「あ、おかえり~」
この女・・・そういえばまだコイツは俺が拒絶する前の姉か。ならわからんだろうな。それに、容姿や過去の経験などは俺の姉に似ていても別世界の人間に過ぎん訳だし別人と考えるべきか。
マイナスの思考をシャットアウトするために感情を操る。姉に対する苦手意識というものをピンポイントで消せるわけではないので恐怖という感情をまとめて消した状態にする。あぁ・・・しまったコレ状態的には
「はぁ・・・わかったわかった。抱きつくな、暑苦しい」
「響~♥」
何なんだコイツは・・・全く、実の弟がいるだろうに
「それで?何しに来た?」
「ああ、そうだった。コレ、あなたの戸籍謄本。調べたけど今年の4月以前の戸籍がない。ここに来る前の戸籍は世界中のどこを探しても見つからなかった」
急に顔を真面目にして床に置いていた鞄から取り出した書類を押し付けてきた。戸籍か・・・どう言い訳するか
「・・・言わなきゃダメか?」
「言いたくなければ別にかまわないけれど?」
部屋に漂う沈黙を破ったのは予想外にもカズだった
「えっと、お前らがどういう関係かは知らないが。取り込み中のようだから退散するよ。暇ができたら声かけてくれよ響」
「おう」
部屋を出ていくカズの背中を見送り、視線を改めて姉、沙織へと向ける。
どうやって答えたものか。「異世界からきました」なんて行ったところで信じられるわけがない。むしろ馬鹿にしていると勘違いされかねん。
「俺は――」
いざ、誤魔化した内容を語ろうとしたところで言葉に詰まる。
何を言おうというのだ。
いや、彼女相手に俺の誤魔化しが通じないのは彼女よりも俺がよく知っている。
俺の知っている彼女は嘘をつく俺を見るといつも言っていたな。「響は嘘をつくとすぐ顔を背ける癖がある」とかな。俺はそんなつもりはないのだが・・・
「はぁ・・・オーケー、言えばいいんだろ?どうせあんたは信じないだろうが言ってやる。俺はこことは違う世界から来た」
「・・・なるほどね?嘘をついてる目じゃないわ。でも、それを信じるには無理がありすぎるわ」
「そりゃそうだ。突然自分は異世界から来たなんて言う奴、小説の主人公にもいるわけがない」
「でも・・・そうね。小説なら他人に信用してもらうために、互いしか知らない事を話すのがテンプレートよ?」
「それはタイムリープ系の話だ。これとそれとは話が違う」
第一よく話を聞く気になったな・・・
どうしたものか、一応真実は語った。むしろ脅迫観念からの自白だったけどな
世界が違うから俺と沙織の出来事と、こっちの響とコイツの出来事には差が出る。当然だ。某タイムマシンを作った中二病患者から引用すると、「世界線が違えば起きた事象に影響が出る」みたいなものだ。
世界が違うならば揺るぎようのない事実でも揺るぐことがある。
だが、世界が違っても変わらない事実があることを祈って、いざ
「そうだな・・・俺と兄貴が爺ちゃんの家で遊んでいたとき、庭の井戸に俺が誤って落ちたことに気がついて真っ先に助けに来てくれたのはあんただった。」
「・・・確かに庭の井戸に落ちたことがあったわ。そうね・・・じゃあその時のことについて更に深く掘り下げよう。その時にあなたの兄がとった行動は?」
あいつ何やってたっけ・・・確か、井戸に落ちたときあいつは・・・そうだ、急いで縄梯子を取ってくるって言って秘密基地と呼んでた屋根裏から梯子をとってきてる途中だったな。
結局沙織のほうが先に枝切りとかに使うような長い梯子持ってきたんだよな・・・間に合わなかった兄貴は随分と憔悴しきった表情だったっけ。懐かしいなぁ
「縄梯子を取りに屋根裏に行ったがあんたに先に俺がサルベージされていた」
「そうね。合ってるわ、本当に井戸が浅くて助かったわね」
合ってたよ・・・まあ、俺が8歳の時の話だからな。コイツからすれば1年前か
「よかったよかった。合ってたようでなによりだ」
「とりあえず、あなたが本物の響ってことがわかったわ」
うん、こういうのって正体明かしたら後が厄介な奴なんだよなぁ・・・
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あれはデビル デビルマン
今更だが、別に俺が別世界の同一人物って正体明かす必要なかったんじゃ・・・
俺がいるって考えると異世界っていうより世界線が違うだけか?
「それで結局何しに来た?俺は今忙しい、手短にまとめろ」
「単純な興味で来ただけよ。忙しいなら帰ってくるまで待ってるから大丈夫よ」
「・・・部屋を散らかすなよ」
まあいいだろう。さっさと大和に戻ろう。戻って30分くらいだし、いい加減見学もいい頃だろ。
「じゃあな」
振り向きざまに声をかけてから自室を後にする。若干「いってらっしゃ~い」と聞こえた気がする。
本当に、面倒だ。姉に対するコンプレックスも直さないとなぁ・・・まあどうせ大して会うこともないだろ。家も以前はお台場じゃなかったし。前は葛飾だったしな。小さい頃はよく両さん像を巡って遊んだなぁ・・・姉と。
こち亀買って読みまくってたし・・・姉と。それからメタルギアとかゲーム方面やるようになってラノベ読んで。大体姉の影響じゃねえか!?
自室を出て未だ大和に帰れず過去と戦う響の姿がそこにあった。
sideパトリシア
さっきから黒羽さんの姿が見えない。
小一時間ほど前に海上保安庁が乗り込んできて艦内を気の向くままに見て回っている。
ある者は若干引くくらいの感動をあらわにして喜んでいたり、またある者は「良く出来てるな。だが加工がまだ甘いな」とまるでアイドルの彼氏面をするファンみたいな感想を述べていたり。先程から艦内全域でその見学会が行なわれている。
私はというと
「パトリシア!おかわり!」
「はい、水蜜桃さん」
そう彼女、水蜜桃。本名を鈴木蜜子に餌付けをしている。しかしいい食いっぷりだ。
“もっきゅもっきゅ”と効果音を付けたくなる。両頬をリスやハムスターのように膨らませながら食べている。時々「おいしい!」とでも言っているのか「ほいひい!」と、謎の言語を話している。マナー的にはよろしくないがいいでしょう。
「それにしてもどこに行ったんですかね?黒羽さん」
「知らね。わたしは別にあいつがいなくたって困らねえし」
「じゃあ、今すぐ水深50mまで素潜りするか?」
途中で突然聞き覚えのある声がした。
扉を開けた音もしなかったしいつの間に入ってきたんだろう
「いつの間に戻ってきたんだよ!?」
やっぱり黒羽さんだ。毎度毎度変な人だなぁ
「今だよ。とりあえず部屋でおとなしくしてろ」
side響
「よし!行くか!」
過去と戦うこと数分。やっと過去と現在を分けて考えることに成功し、スキマを大和に繋げる。
「それにしても(ry」
「知らね。わたしは(ry」
あれ?ここ船室じゃん・・・というか何だ?いきなり俺がいなくてもいいみたいな発言しやがって。
海に投げ捨ててやろうかこの野郎・・・
「とりあえず部屋でおとなしくしてろ」
さて、ボスはどうなったかな?さっき65%だったからいい加減90%くらいか?
動くようになってたら次はアーセナルにママルポッドを移設して、ネットワークで義体とつなげてやれば自立稼働できるようになるだろ。コンピューターの専門家がいれば細かいバグとかの洗い出しもできるだろうけど。とりあえずは当面、自己診断システムで対応してもらおうか。使えるのかな・・・コレ。
あーでもないこーでもないと考えながら甲板へと向かう。当然ところどころで海保の連中と何回かすれ違った。
まだ見学するつもりなのか・・・
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強くてニューゲーム(物理
扉のハンドルを回し押し開ける。艦内と甲板の光量の差で一瞬視界がホワイトアウトする。
ここからは階段だな。俺が出た場所はちょうど右舷の対空兵装が並んでる場所。ちゃんと九六式二十五粍機銃が置いてある。弾薬はないみたいだな。弾薬庫に行けばあるだろう。
大和坂を途中まで下り第2主砲の足元まで来る。
「進捗は?」
「データ選出完了、セットアップ開始。――完了。システムを再起動します。」
「早い早い」
「――システム再起動。義体動作チェック、完了」
「ボス?気分はどうだ?」
「一度死んだ人間に言う言葉ではないわね。それで、私になんの用?」
「単純に義体にAIを導入できるか試したかったっていうのとCQCを教えて欲しいくらいしか用はないです」
「CQC・・・懐かしいわね」
「あぁ・・・これ、どうぞ」
スキマを開きパトリオットを取り出しボスへと渡す。
少し懐かしいような顔をしたが、こちらへ視線を戻し
「これは受け取らないわ。私はジャックに受け継がせた、そしてあなたがそれを持っているならあなたが使いなさい」
「分かりました」
「それと、私はあなたの“ボス”ではないわ。それ以外の呼び方なら好きにしなさい」
ボス、はダメか・・・じゃあ何がいいだろう。先生・・・は違うしジョイだとコードネームまんまだし。本名がわかんないのが一番の難点だな。やっぱりザ・ボスで呼ぶのが一番しっくりくるけど・・・いや、むしろ井上喜久子とか!?・・・はい、すいません調子に乗りました。
しかし、困ったなぁ。とりあえず当面は師匠でいいか
「じゃあ、師匠ってことでいいですか?」
「・・・好きになさい」
師匠という呼び方はあまり適していない気がしたがまあよしとしておこう。
さて、そろそろ艦内におわす海保の皆様にお帰り願って自分達の仕事をして貰いたいのだがどうするか。
拡声器持ってたかな?スキマを開きどっかで見た猫型ロボットの如く「なんかないか」とスキマ内をくまなく探す。ブレードウルフが見つかった、使えない・・・
拡声器こそないがまあ、伝声管とかで用件を伝えれば良いのだから考えるまでもない。
では、艦橋に失礼して伝声管に手を伸ばす。
「艦内にご来客中の皆様にご連絡します。海上保安庁からお越しの皆様、そろそろ艦内の散策は十分に楽しめたことと思いますのでお帰りのよう意をお願い致します。なお、第一主砲前までお集まりいただけますようでしたら、記念としまして記念撮影を行おうと思っております。是非お越しください。」
よし、それっぽく言えた。伝わったかな?
アンポンタン「本日未明にここのうp主がMMDをPCにインストールしたようです。それにともなって数体のモデルを実装、動画も作れぬくせに遊んでおります。」
閣下「・・・この中で過去にMMDをインストールしようか迷った奴は残れ、うp主あとアンポンタンもだ」
MOB退室
閣下「なんで今更MMDなんだよ!もっとやるべき事あったろバーカ!」
うp主「お言葉ですが未だに使い方がよくわかりません!」
閣下「だからどうした!MMD使いこなせる奴なんてあいつくらいなもんだよ!みんなで呼んでみよう、そうスターリン!!」
アンポンタン「でもあいつ伸びてない上にダサいし」
閣下「あいつはいちいち細かすぎるんだよ!特におっぱいぷるんぷるん!」
はい、すいませんこれやりたかっただけです
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シャァベッタァァァ!!
「はい、チーズ」
主砲の前に整列した彼らの写真を撮る。こっちが用意したカメラではなく海保の備品の奴で。本来は密漁者の証拠写真などを撮る目的のものだが写真を撮るという一点においては相違はないだろう。
「今日はありがとうございました。なかなかいいものが見れましたよ」
上機嫌にこちらに挨拶をする哨戒艇の艦長。やはり大和って男のロマンなのかな?
「いえいえ。お気をつけてお帰りくださいね」
「はい。では、これで失礼します」
よし帰ったな。彼らが船をおりたら船を離して全速離脱でいいかな?
艦橋に戻り海保の哨戒艇が離れたのを確認し伝声管で機関室に指示を送る
「艦橋から機関室。用意いいか?オクレ」
「機関室用意いいわよ」
「了解。機関始動、両舷前進強速」
さて、海に出ても暇は暇なんだよな。やることがないっていうのが一番。
今更大和に戦闘の機会なんてないし。むしろ必要ないし。とりあえず学校の単位は問題ないし1週間くらい世界中を回ってみるか。まずはどこから始めるかな。・・・アメリカ?
sideルプス
さて、俺に出番が回ってくること自体誰も予想してなかっただろう。いや、俺自身予想してなかった。
俺が今どこにいるかと言われればご主人(仮)と一緒に船の上。ただし、なんかメカメカしい奴が俺の目の前で俺と同じく座っている。
『おい』
喋った?!おいなんだよこの黒いの!怖いんだけど!
『やはりただの犬には言葉が通じないな』
俺は犬じゃない!俺は狼だ!
言葉こそ話せないが内心悪態をついていると見るからに重そうな体を持ち上げどこかに歩いていく
『さっきの奴と話してくるか・・・』
“こういうの”をどっからか持ってくるのは十中八九俺の主人で間違いありません。はい。
しかしながらやっぱり、あれだな。歩くたびにコイツガチャガチャうるさい。どううるさいかって言えばわかんないけど。
side響
さて、時間はかれこれ進みまして。直前のsideから約40分くらい後のこと。
何の問題もなく順調に船は海の上を進みます。ええ、それはもちろんジョナサン・ジョースターの乗った飛行機がごとく。当然ながら先ほどのパトリシアとの会話の内容忘れたわけではありません。ありませんとも。ただ・・・ちょっと来客があって手がまわらなかっただけでして
艦橋に引きこもって操舵しながら持ち込んでいるPCでイタリア方面の観光名所を調べていたんですよ。調べていたんですけど。前述の会話の内容、「手が空いてるなら食事を運ぶのを手伝って」という話。まあイタリアの観光名所を調べるくらいですから?当然手は空いているわけですよ。そこに食事をわざわざこの広い艦内の艦橋まで親切にも届けてくれたパトリシアさんに見つかりまして。
「・・・今に至ります」
「いや、別にいいんですよ?わたしは。でも手が空いてるなら少しは私を探したりして手伝ってくれようとしてもいいんじゃないかなって行っているわけであって(ry」
これで40分使っています。
誰か助けて・・・
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姉系キャラっていいと思う
こんちゃー、こんばんわー、おやすみ、おはよー!おきてぇぇぇえええ!!!響だよ。
さて、読者様におかれましてはご機嫌麗しゅう。皆様は前回の事を覚えてらっしゃるでしょうか。そう、たっぷりとパトリシアさんに怒られましたね。そんな私ですがちょっとした落し物から命拾いしまして。いやすっかりパトリシアさんに気に入られたみたいですね。あの狼。
「なにこれ、どういう仕組み?」
目を輝かせながらブレードウルフを視姦しているパトリシア。どんなに物珍しくてもその・・・ヨツンヴァインになってご覧になられるのは、ね?ヒップのラインが出ているというかその
『ここはどこだ?』
「いやこの状況で聞くことか?」
『悪いが俺には空気を読むという意味がよくわからないのでな』
「後で話そう」
不服気味にこっちを睨んでくるパトリシアが怖いので、とは言えないし。
「・・・もっかい聞くけど、これどんな仕組みなの?」
「AI制御かな、よく知らんからわかんないけど」
誤魔化しておけ、とりあえずAIってのは事実だし。さて、今どこらへんの海域にいるの?と思っている人と俺のために現在位置と経過時間を考えていこう。
今朝の出港から約8時間、時刻は2時。まあ、6時にRAYで出発した時からの換算だけど。
東京湾アクアラインのあたりから約2.3km離れたところから大和に乗り換えて、ここで7時半。アーセナルギアを待って、ワイヤーで繋留、曳航するまでが1時間くらいだからだから8時半でここから15ノットで航行、ここまでの航続距離は15km。シャーロックと合流したのが11時で、3時間半経過(シャーロックを待つ時間で40分とする)で合計96.52km乗り移りと物資の移送で20分。約5分後に海保に捕まって、3.5km移動。で今いるのが・・・千葉の、したの方?てことは・・・
「もう東京湾出てるじゃん!!!」
せめてGPSでも持ってくるべきだった。
というか、さっき「東京湾を出たら~」のあたりで既にもう半分位行ってたな。とりあえず、おおよそ根元海水浴場より南西に6kmくらいだと思うから・・・どうすればいいんだ?イタリア・・・なんかもうめんどくさいな・・・レーダーとGPSが使いたいし・・・アーセナルギアを後から来させるか。もうレーダーの範囲から出ちゃってるし。
とりあえず、ヨーロッパ方面に行きたいから・・・艦首方位を2-4-0に向ければいいのか?後で海図でも用意しなきゃなぁ・・・
何はともあれ、進路を変えよう。ほならね、自分で海図用意しろって話ですよ。
「方位2-4-0面舵一杯両舷前進強速」
イタリアか・・・パスタにチーズ、それ以外にワインも旨いって言うよな(未成年)
あ、パスポートもってないか・・・いや、待てあの神様のことだきっとどっかに置いてあるはず、探すか。
後ろからブレードウルフに冷ややかに見られてる気がするが、絶対的に気のせいだ。そう信じたい
お久しぶりです。最近執筆を怠っているうp主です。
いや最近ナイフメーキングが楽しくてついつい書くのを忘れtげふんげふん
書く時間がなくてですね。一応自分の中では月一で投稿したかったのですがそれも叶わず。ぼちぼち更新していきますので気長にお待ちください。m(__)m
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伝説って?
『えー、こちら艦長から乗組員各位へ通達。
誠に申し上げにくいが本艦は海賊らによって占拠された。ここからは君たち自身で行動して欲しい。できることなら助けてくれ、以上だ』
艦内にいる全員に対し最後の連絡を行う。まあ人質を取られてる以上従うしかないしね。パトリシアをどうやって助けようか・・・
とりあえずここまでの回想をどうぞ
我々連合艦隊は進路を南に向けヨーロッパはイタリアへと向かっていた。
道中、特に何の問題もなかったため油断をしていたのだ。
まあ、ブレードウルフにパスポート探すの手伝ってもらってたのが主な原因だと思うけど
『それでパスポートがないのにイタリアへ?』
「そうだよ。お前さっきまであそこいたんだったら探すの手伝ってくれ・・・」
『これか?』
「見つけるの早いな」
『お前があーでもないこーでもないと投げたものをもう一度見直してただけだ』
「しれっと俺がポンコツって言ってない?!」
『さあな・・・』
開きっぱなしにしたスキマの出入り口からウルフが出ていく。その背中を見下ろしながら俺も後に続く
『結局ここはどこなんだ?サニーは?』
「いないよ、お前の知ってる奴はどこにもいない。」
『なに?』
「まぁ・・・その何だ。ここだけの話斯く斯く然然で・・・」
はい、そこ説明めんどくさくて省略・・・とか言わない。不正など無かったいいね?
艦橋の中、一人と一体は会話を重ねる。一つ、また一つと重ねながらも俺は操艦を続ける。
まもなく出発から12時間。夕暮れだ。現在位置は浜松から南に約95kmの地点。夜間は誰かに操艦を代わってほしいと思うがそんなに人員はいない。22:30までは操艦を続け、その時点で停船すればいいだろう。
『もっと早い移動手段があるんじゃないのか?』
「船旅は船旅で風情があるだろ?」
『わからんな、効率が悪い』
「その効率の悪さに人は意味を見出すんじゃないのか?」
『人間の考えることは俺には理解できないな』
「そういうもんか」
しばしの沈黙が続く。
「腹減った飯よこせ!!」
その沈黙を破ったのは水密扉を力なく押し開けた水蜜桃だった。
「パトリシアがなんか作ってるんじゃないのか?」
「厨房遠い~!」
「こっち来るほうが遠いよ?!」
「とりあえずなんか寄越せ!」
鬱陶しい・・・ええい!!食べ物をせがむな暴れるな!ウルフのヒートナイフを奪い取るな!
「あ~!もう!分かった!カップ麺でも食ってろ!お湯はこのポットに入ってるから!」
「やった!」
はぁ・・・大和の最高速力で今のところ運転してるがこの分じゃ予定距離30000kmとちょっと、何日かかるか。さて、そろそろアーセナルも追いつく頃だろう。夜間運行はアーセナルに頑張ってもらおう。
機関は動いてるからアーセナルには自動航行をやってもらえばいいかな。
そろそろ機関を停止して、アーセナルとケーブルで繋ぐかな
少年待機中・・・
よし、ワイヤー接続完了。曳航準備よし、時刻19:05。自動航行にてイタリアへ向かう。全力航行用意!!
とりあえずは飯食って寝よう。
で・・・さあ飯を食って風呂入って寝て起きたら・・・ね
まあこれは解説する気も起きないから次回詳しく説明しよう。
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太平洋上、異常なし
では、続きを語るとしよう
現在時刻は午前6時。19時まで手動で航行、その後機関全力運転でアーセナルに曳航させた。とはいえせいぜい24ノットが限界だ。(アーセナルは一般的な原潜の速度と同じと仮定)
現在、高知県南約250kmの位置を航行中。
面倒だしこのまま行くか。よしそうしよう。
――大和を占拠しようとするものの影は、この時すでに見え隠れしていたのかもしれない
なーんてね
さて・・・話を戻すか。
事が起きるのは沖縄を超えてちょうど南大東島とかその辺を通過した頃だ。
単純計算で23ノットで航行して42時間だが、機関全力運転のアーセナルに曳航させ、大和が単体で22ノット出している状況下からならちょっとくらい速度は上がると思う。時間のかかる旅をしてもいいけども、少し飽きてきたという本音からちょっとだけ時間を止めて船を前進させることにした。無論スキマで移動するよなぁ?瞬間移動くらい当然だよなぁ?
というかこの先のフィリピン海は群島地帯で水深もところによっては浅く、なおかつ抜けるにはそれなりに手続きが必要で面倒だからっていうのが1番。あとはあれ、群島地帯を避けてオーストラリア側を周ると余計に時間がかかるので一気に黒海付近まで突っ切ろうという作戦だ。ただし俺は向こう出身ではないし場所を知らないと移動できないのでちょっと誰かに協力してもらう。
余談になるが俺は生前・・・といっても今生きてるけど、前の世界では俺ってば海外旅行経験ゼロだったりする。
まあ引きこもりだったしね、仕方ないね♂
冗談半分、本気半分だから、とりあえず大和の以外の世界の時間だけを進めて夜はフィリピン沖で停泊、休養後に早朝から飛ぶことにしよう。
後でパトリシアに出身聞きに行こう・・・多分イギリスだよな・・・初対面でイギリス英語話してたし・・・
「大丈夫・・・だよな。うん」
とりあえずは、太平洋をちゃんと進まなきゃ話にならない・・・全部後回しだな。
このスピードなら午後には目的地に着けそうだし、一回休憩して操舵はアーセナルの曳航に任せるか
少年休憩中...
やはり朝はコーヒではなく紅茶に限る・・・茶葉なんて持ってないから午後の紅茶だけど・・・
だけど美味いものは美味い。
「ふぅ・・・とりあえず進路は問題ないし、しばらくゆっくりできそうだ」
「休憩中失礼するわね・・・で、何?いきなり呼び出して」
艦橋にやってきたのはパトリシア、さっき呼んだからわかるんだが・・・傍らにはブレードウルフが一緒にいる
「お前・・・飼い慣らされたのか・・・」
『やめろ、そういう目で見るな。どうやらここでは戦わなくていいようだから彼女と一緒にいるだけだ。飼い慣らされてない』
「・・・そうか。パトリシア、お前出身ってイギリスか?」
先ほどの疑問をパトリシアにぶつける、出身くらい教えてくれるだろう。
「まあ、イギリスであってるわよ・・・なんで?」
「お前、シャーロックから俺の能力は聞いてるか?心が読めるとか・・・そういうの」
「ええ、まあ多少は・・・」
「なら話は早い、ヨーロッパに行くっていうのは知ってるよな?それで一気にイギリス方面に移動しようと思ってな?イギリスのどこでもいいから場所の記憶を借りようと思ってさ・・・」
「嫌よ!」
パトリシアはまるで何かに怯えているのを隠すかのように机を叩き怒鳴る。
いや、失礼なこと言ったのはこちらの非だ・・・
「すまん・・・不躾なことを言ってすまない・・・」
「あ、ごめん・・・いきなり怒鳴っちゃって悪かったわ。じゃあ、私は失礼するわ・・・」
少し落ち込み気味で艦橋を出て行くパトリシア、ウルフだけは残っている。
予想外だったな、あそこまで嫌がるとは・・・
はぁ・・・とりあえず、後で何かしらフォローしておかないとな・・・
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空へ
さて、どうするか・・・
パトリシアはなんか問題を抱えているようだし、今回は俺の独断が過ぎてたな。
自分勝手は嫌われる、以後反省するとして・・・ひとりなら別に適当な航空機を飛ばせば済む話だからいいんだが、わざわざ人借りてきてるしなぁ。
艦橋の中で一人、反省と今後の対応を考える。
「どうすっかなぁ・・・」
行き詰った。なんにせよ記憶が必要なものだしなぁ。誰か向こう出身か、渡航経験があるやつに知り合いがいればいいんだけど。どうもそういう人間に心当たりがない。
ヨーロッパねぇ・・・目的地はイタリア。まあ旅行がしたいんじゃなくて大和に乗れたからこれで実は満足なんだけどね。
一休さんとかならウンウン唸ってからなんか頓智で解決するんだろうけど、お生憎様だけど俺は一休さんでも一寸法師でもないですから。たどり着く答えなんてのはないのです。
「自分のケツくらい自分で拭かねえとな。ちょっと行ってくるか・・・」
本末転倒?だからどうした。本末は倒すもの、責任は取るものだ。帰ったらパトリシアには謝ろう・・・
操舵は既に手動ではなくアーセナルに曳航されての半自動航行、目的地に付けば自動で止まるだろう。
その間に俺はぶっ飛んで早い機体で欧州は地中海沖の海域に行ってこよう。
機体は・・・ブラックバードなんて操縦できねぇし・・・F-35かF-22をアフターバーナー全開で飛ばすくらいしか思いつかねぇな・・・Mig-31?頼むから操縦システムを簡略化してくれ
しかして困ったことにジェットエンジンの始動に必要な機材は今手元にはないからな・・・空母から発艦させるか、上空で空気圧縮して無理やりスタートさせるか・・・ほんと、異能力があるって便利だねぇ
ポケットからメモ帳を取り出して置き手紙を書いて置いていく。
艦橋から表に出た後、すぐさま時間操作を解除して上空へと飛び去るのであった・・・第三部完。
side ???
3時間後、沖縄県沖380km、排他的経済水域を離脱した大和は悠々と航海を続けている。
「―――――!」
小型船に複数の男達。顔立ちはアジア系の鼻の低い顔立ち、浅黒く焼けた肌と筋肉質な体。話している言語は少なくとも日本語でも英語でもない。
フィリピン海を泳ぐマグロを複数の男たちが嬉しそうに獲っている。
操舵室に控えている男は窓越しに双眼鏡を覗き、周囲の状況をしきりに見ている。
数キロ先だろうか、巨大な船影を見つけた。目測だがおよそ200mクラスに見える。タンカーではない。巨大な艦橋らしきものが確認でき、旗などは掲揚されているようには見えないが、特段脅威になるようにも見えない。
占拠できれば小型船でタンカーなんかを襲うより効率的に物資の奪取と海産、海底資源の回収ができるかもしれない。
一度接近して確認してみよう。無理そうなら離脱すればいい。
「―――!」
男が操舵室の窓から頭を出し、甲板で作業をしている男達に指示を出す。それに続いて、いそいそと網や竿などの漁具を引き込み、片付けを始める。
男は操舵室に置いてある椅子に腰掛け腕時計を覗き込み、ふぅ・・・と一息ついた。
side 響
ロシア、チェリャビンスク上空15000m。
結局高空まで登ってから
目的地までは本機のの最高速度で連続航行を行えば片道およそ5時間の旅になる。ステルス機とはいえロシアの領空だし、レーダーに引っかかったらただじゃ済みそうにない。おかげで哨戒機のレーダーや地上の対空レーダーなんかを誤魔化すためだけにアフターバーナーを使用せず赤外線対策を行っている。言ってしまえばF-22の限界高度まで登って
まあ、UHFとVHF帯でレーダー探知しようとしても照射位置に反射しないからほぼ探知されないんだろうけどね。それでも確実はないからさっさとロシア領を抜けたい。
「耐Gスーツ着なかったけど戦闘になったとき大丈夫だろうか・・・」
最悪失神してそのまま墜落や撃墜なんてのもありえる話だし。いや、怖いな・・・
外骨格に付いてる人工筋肉を無理やり収縮させればもしかしたら血流が下半身以下に下がるのをある程度抑制出来るかもしれないけど、無茶はできない。最悪俺の骨が折れる可能性すらある。
HUDから目を落とし速度計と高度計、残燃料計を順に確認する。既にF-22の航続距離の倍は飛び続けてる。増槽だって投棄するたびに空中でスキマの中にに回収して、MQ-25無人給油機を空中発機させて空中給油を一人でやるとか言うスタント飛行パイロットももびっくりなことやってるわけだし・・・
無人機の制御をレプタイルポッドのAIと関連付けておいて良かった・・・命令すれば忠実に従うからな。
兎に角、今は見つからずにさっさと空域を抜けるのが第一目標となってしまったわけで・・・
まあ、ロシアを抜けてもその先で領空侵犯しまくるからバレたらどのみちただでは済まないのだけども
明けましておめでとうございます。
昨年に引き続きまして「ひょんなことから転生しました」をお読みいただき誠にありがとうございます。
本年もよろしくお願いします。
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