来たぞ!我らの!ウルトラマン先生! (相変わらずな僕ら)
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プロローグ 学年主任ウルトラマン先生

わかりにくいですが
兄さん=ウルトラマン
です。

さあ、ウルトラマン先生の始まりです。


M78星雲『光の国』にて・・

 

 

 

やあ、地球のみんな、こんにちは。

こうして地球の人たちに私達ウルトラ戦士に覚えてもらえて早数十年。

私はウルトラマン、最近では新人のウルトラマンがそちらで頑張っているようだね。

同じ光の戦士として逞しく育ってほしいものだ。

 

君たちの周りで危険なことは起きていないだろうか?

そんな時は必ず私も駆けつける、君たちの未来のためにね。

 

私かい?私は今書類をまとめているところだ、今度学園の授業参観があるからね、生徒の両親の出欠席を確かめているところさ。

 

え?学園?

 

ああ、そうかみんなには言っていなかったね、

 

私は今教師をしているんだ、そう、学校の先生だ。

 

m78星雲 光の国 星立ウルトラ学園

 

そこで私は今教鞭をとっている、

 

なぜ教師かって?

 

うん、それでは少し前の話をしよう。

 

 

 

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光の国 ウルトラ商店街 焼き鳥屋パンドン

 

ガヤガヤと賑やかな喧騒に彩られたこの店『焼き鳥パンドン』ここには老若男女問わず人気がある焼き鳥屋さんだ、その喧騒の中カウンターの隅に2人のウルトラ戦士が語らいながら並んで座っていた。

 

片方は私、ウルトラマン、そして…

 

「…ということがあったんだ、兄さん…私は育て方を間違えてしまったのだろうか?」

 

最近、息子のゼロが反抗期で悩んでいるウルトラセブンだ。

 

「むぅ、第一にレオのところに預けたのが間違いだったんじゃないのか?」

「いやぁ、レオのせいではないだろう?兄さん、私は友達づきあいが…」

「まて、昔レオを地球人の体で、ジープで地雷原の中追い回したんだろう?そのせいでレオも修行バカになったんじゃないのか?メビウスも相当しごかれてたぞ?」

「ぐぅ、それを言われると…当時の私はストレスが溜まっててな…」

 

そしてぐいっとお酒を煽るとセブンは頭を抱えてしまった。

確かにセブンの息子のウルトラマンゼロの非行は目が余る。

ウルトラの父のウルトラホーンにみかんを刺したり、

セブンのアイスラッガーをバナナにすり替えたり、

友達のグレンファイヤーと喧嘩ばかりしているそうだ。

そうしていると、ふと思った。

 

「なあ、セブン、考えてみると我々は地球のような学校には通っていなかったな?地球人のようにキチンとした教育機関は無いしな…」

「…確かに、両親からふわっとした、方針とかしか学んでないな。」

「ここは地球人を見習い、学校を建ててみてはどうだろう?」

「ふむ、思い切った案ではあるがいい案だな兄さん!」

「今からでも遅くない、大隊長とゾフィー兄さんに相談しに行こう。」

「そうだな!大将!お勘定!」

「まいどありー!飲酒飛行はダメですよ?」

真っ赤な怪鳥の朗らかな笑顔を背に私とセブンはちゃんとタクシーを拾って警備隊の本部に向かった。

 

そんな事があって、ゾフィー兄さんとウルトラの父に相談し、キチンと企画書も作り学園を作る場所、人材、物資も確保した。

 

ウルトラマンキングを理事長に

ウルトラの父 校長

ゾフィー 教頭

ウルトラの母 保険医

ウルトラマン 教師

セブン

ジャック

エース

タロウ

レオ

80の職員で構成された。

 

 

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星立ウルトラ学園 第一校舎 屋上

 

「まさか、また教師になれるとは……」

 

ある日の夕暮れ、学園の建設も終わり、学園の屋上で夕日を眺めるウルトラ兄弟の1人、ウルトラマン80は黄昏ていた。

 

「80!ここにいたのか、どうした少し寂しそうな顔をして?」

「兄さん、…いや、地球に残して来た生徒の事を思い出していた。」

「ああ、君が矢的先生と呼ばれていたときか…」

「懐かしいよ、私は万を越す年を過ごしても、あんなに濃密な時間はなかったかもしれない…」

「80…分かるよ、私も地球で過ごした時のことは忘れ難い、楽しくも辛くもあったが、あの経験が私を強くしてくれた。」

「私もです、あの子達といた時は本当にウルトラ戦士である事を忘れてしまいそうになる程でした。…兄さん、教師というのはとても大変だ、生徒一人一人と向き合い、彼らを正面から受け止めるのが教師なんだ、だから兄さん、……頑張ろう一緒に!」

「80が言うと重みがある言葉だ、胸に留めておくよ、」

 

そして学園が開かれ、たくさんの生徒が入って来た。

 

生徒と言っても光の国の出身者ばかりではない、

色々な星の生徒がこのウルトラ学園に入学してきたのだ。

 

 

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と、ここまでの話をかいつまんで話してみたがわかってくれたかな?

 

おっと、もうこんな時間だ、そろそろ行かなくては、

 

これからこの学園の事を地球のみんなに伝えるときが来るだろう、その時まで待っていてくれ。

 

そして忘れないでいて欲しい、私達はいつでも君たちのそばにいる。

 

それじゃあ…

 

 

 

 

 

 

シュワッチ!!

 

 

 

 




プロローグなんで少し短めです。
怪獣擬人化計画の娘がヒロインとして出てきます。
もちろんあの子ですw

あと、漫画版ウルトラマンストーリーゼロのキャラも出します。


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第1話 ウルトラ業務請負過失致死

何でこんなに地味にシリアスにした!!言え!!



可愛いゼットンさんの描写がまずかったんですウゥゥウ!!



今回重めの話です、我ながら1話目でこれって…


ウルトラ学園 朝のホームルーム

 

 

 

1年α組、春が終わり、生徒も学校に馴染んできた頃合いの出来事…

 

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

 

「きりーつ、おはようございます!」

「「「「「「「おはようございます!!」」」」」」

「はい、皆さんおはようございます。」

「ちゃくせーき」

 

チャイムが鳴り、このクラスの担任である私、ウルトラマンはいつものように挨拶をし、いつものように出席をとる、

 

 

「ゴモラさん」

「はい!はーい!!」

「レッドキングさん」

「はい!」

「レイモン君」

「はい」

「ゼットンさん」

「は、はい」

「ゼロ君」

 

 

・・・・・

 

 

またか、またあいつか。

 

 

「ゼロ君?」

「せんせー!ゼロ君いないでーす!」

 

 

ゴモラさんが元気よく返してくれるが、こちらとしてはあまり嬉しく無い状況だった。

ウルトラマンゼロ、

あのウルトラセブンの息子である。

ゼロは成績も中々優秀だし、ウルトラ戦士としての才能は私をも凌ぐだろう…ただ…

 

 

「ゼロは欠席、と」

 

 

と、その時

 

 

「ちょっと待ったぁぁぁあ!!!」

 

 

ガラガラッ

 

 

肩で息をして、カバンを持ったゼロが現れた。

 

 

「俺ならここだぜ!ウルトラマン!」

「また遅刻かゼロ…あと先生をつけなさい、」

「おいおい!遅刻じゃねーだろ!?こうしてちゃんと間に合って…」

「ねーぞゼロ」

「うそーん」

 

 

私を代弁するかのようにグレンファイヤー君が言う、彼もまた遅刻魔でもあるのだが、今日は間に合ったらしい。

 

 

「まったく…早く座りなさい、えっと次は…ミラーナイト君」

「はい」

「ジャンボット君」

「はい」

「メビウス君」

「はい」

 

 

出席を取っていくが、内心余り穏やかでは無い、理由はゼロのことだった。

 

 

ゼロは確かに優秀だ、戦闘力ではウルトラ戦士トップクラスだろう。

だか、若い。

若いと言うのは悪いことでは無い、だが決して良いとも言い切れない。

物事に熱中する熱量が激しい年頃だ、だが熱中のあまり周りを見ることを忘れてしまいがちな年頃でもある。

 

 

私が地球で犯してしまった罪…。

 

 

決して他のウルトラ戦士や生徒たちには味合わせたく無い苦しみ。

 

 

ゼロは物分かりいいところもある、いつかわかってくれるといいが。

 

 

 

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「それでは、今日の授業はここまでです、最近ウルトラ交通事故が多発しています、みなさんも加害者や被害者にならないように気をつけて下校してください、メビウス君」

 

 

「きりーつ、さようなら!」

 

 

「「「「「さようなら」」」」」

 

 

今日も1日問題なく終わる、日に日に生徒たちは新しい知識を蓄え、さらに覚えようとする、喜ばしいことだ。

 

 

「あの…先生…///」

「ん?」

 

 

振り返ると生徒の1人、ゼットンさんがいた。

 

 

「授業で少し分からないところがあるので少し見てもらって良いですか?///」

 

 

顔を少し赤くしながら聞いてくるゼットンさん、なぜだか目が潤んでる、具合が悪いのだろうか?

 

 

「ゼットンさん?熱があるんじゃないですか?大事があってはいけません、授業の内容ならまた今度教えてあげますから、……メビウス君!ゼットンさんを送って行ってあげてください。」

「え、あ、わ、私は…///」

 

 

ゼットンさんが反論するがやはり大事があってはいけない、ここは面倒見のいいメビウス君にお願いするのがいいでしょう。

 

 

「あ、はい!兄さ…先生!」

「よろしい、それではゼットンさん、体に気をつけてください、勉強熱心なのはいいですが体を壊さないように」

「うう…はい…先生///」

 

 

私は内心ゼットンさんが少し苦手だ、決して嫌っているとかでは無い、なぜなら…

 

 

 

 

 

なぜか、可愛らしい女性の姿なのだから…

 

 

 

 

 

いや、私も自分の言っていることが相当頭の悪い事だとは分かっている。

 

 

 

地球から帰って、怪獣墓場の研究員になったユリアンから聞いたところ、

なんでも、『死を迎えた怪獣は怪獣墓場に行き、何事もなければ、浄化されて、また新しく生まれ変わる』という

 

 

 

しかも『生まれ変わると言っても、そのまま同じ姿形で生まれ変わるとは限らないわ、性別が変わったり、性格が変わったり、確定したわけでは無いけど、地球の人に似た転生をする個体もいるの、それに加え偶に前世の記憶を持ったままの怪獣もいるわ』とも言っていた。

 

 

その理論で言うと、ゼットンさんは地球の人に似た転生をした怪獣に分けられる、しかも女性の。

 

 

ちなみに私のクラスの生徒で、ゴモラさん、レッドキングさんをはじめ、多くの怪獣が女性の形で転生している。

 

 

だが、私が彼女が苦手な理由はもう一つある。

 

 

さっき前世の記憶を持ったままの怪獣もいると言っただろう?

 

 

そう、彼女は前世の記憶を持ったゼットンなのだ、しかもよりによってあのゼットン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球で私を殺めたゼットンなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼女は私を殺めたことを相当引きずっているらしく、出会った当時は謝ってばかりいた。

だがちゃんと向き合い説得したことで、今では心優しい娘に育っている、命の重みを知り、無闇に破壊を繰り返さない、喜ばしいことだ。

 

 

今では姉のゼットン星人さんと暮らしている、あちらは転生してもあまり変わってないが…

そんなこと考えていると目の前をゼロが走って行った。

 

 

「こら、ゼロ!危ないぞ!」

「悪りぃ悪りぃ!先生!急いでるんで!じゃーな!」

 

 

まったく、ゼットンさんを少しは見習ってほしいものだ。

 

 

 

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ウルトラ星立運動場

 

ここはウルトラ星立運動場、光の国の民の公共施設である、ランニングをする者、飛行訓練をする戦士、果ては必殺光線練習をするものまでいる。

サウナ、プール、ジム、トレーニングについてならなんでもござれの施設だ。

ちなみにここの施設の館長はゾフィーの同期で筋肉モリモリマッチョマンのウルトラ戦士、ゴライアンだ

 

 

「うーし、ついたぜ!今日もやっていこうぜ!」

「ゼロ、あまりはしゃがないように、他の方の迷惑ですよ」

 

 

このウルトラマンゼロとミラーナイト、グレンファイヤー、ジャンボットもこの施設をよく利用している。

 

 

「おいおい、固いこと言うなよ、ミラーナイト、せっかくだ、ちょうどランニングロードだし、戦闘訓練エリアまで競争しようぜ!」

 

 

ゼロたちはいつも学校帰りに、戦闘訓練エリアで特訓をしている、いついかなる時でも万全の状態で戦えるようにである。

 

 

「いいだろう、だが他の人の迷惑にならないように。」

「だから、分かってるってジャンボット!」

「よっしゃあ!じゃあ、ビリのやつ帰りにジュース奢れよ!」

「お!言ったなグレンファイヤー!よし!行くぜ!」

 

 

ゼロ、グレンファイヤー、ジャンボット、ミラーナイトの4人はランニングロードで構える。

 

 

「行くぜ…3.2.1…ゼロ!!」

 

 

「「「「ッ!!」」」」

 

 

ゼロの掛け声で一斉にスタート、4人ともデッドヒートを繰り広げる、4人の力は拮抗しているかに見えた、だが戦闘訓練エリアが直前まで来ると…

 

 

「うおおおおおおぉぉぉお!!」

 

 

ゼロはラストスパートをかけ一気に戦闘訓練エリアまで駆け抜けた。

 

 

「きゃあ」「危ないぞ!!」「うわっ!!」

 

 

周りにいる人をギリギリで避けて、ゴールした。

 

 

「よっしゃあ!俺の勝ちだな!!」

「おい、ゼロ、今のは流石にヤバいんじゃないか?」

「あれほど周りに迷惑をかけるなと言っただろう」

「ゼロ、すこしは落ち着いたらどうです?」

 

 

一位を取ったゼロだが仲間から言葉の袋叩きにあった。

 

 

 

 

 

 

 

その様子を上の階から見ている人影があった。

 

 

「またか…流石にもう捨て置けないな…」

 

 

ウルトラ運動場、館長のゴライアンである。

 

 

 

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後日 ウルトラ学園 朝の職員会議

 

 

このウルトラ学園ではホームルームの前に職員会議が行われる、普段から顔を合わせて仲のいいウルトラ兄弟達だが、今日は少し様子が違った。

 

 

「うむ、今日は皆に言わなければならないことがある。」

 

 

ウルトラの父ことウルトラマンケンが口を開く。

 

 

「実は昨日ウルトラ運動場から連絡があってな、素行の悪い生徒が出入りしていると言われてしまった。」

 

 

「素行の悪い?」

 

 

ジャックが言う、他の教師も自分の教え子が言われていると思い、緊張が高まる。

 

 

「ああ、我々の身内、ゼロだ」

 

 

その言葉に一斉に、ゼロの父、セブンに目が集まる。

 

 

「ゼロが…」

 

 

セブンはついにこの日が来てしまったと言わんばかりに、俯いてしまう。

 

 

「ゼロは確かに優秀、だが、若さゆえ突っ走り過ぎてしまっているのだろう、心苦しいが、なんらかの処罰を下さなければならない。」

 

 

「!!!」

 

 

セブンはハッと顔をあげ、何か言おうとするが、阻まれた。

 

 

「ウルトラの父!ゼロがああなったのは私の責任です!処罰するなら私も一緒に!!」

 

 

ゼロの師であり、体育教師のウルトラマンレオが立ち上がる。

 

 

「待て!レオ!実の父でありながらちゃんとした指導が出来なかった私の責任だ!」

 

 

「セブン兄さん…」

 

 

「レオ、これは私が背負うべき問題なんだ…!!」

 

 

セブンは優しくレオを見つめ、彼を引き下がらせた。

 

 

「うむ…では致し方ない、セブンとゼロに一週間のk「待ってください。」…ん?どうしたウルトラマン?」

 

 

ウルトラの父の言葉を遮ったのは、ずっと沈黙を守っていた私、ウルトラマンだ。

 

私は皆の顔を見て言う。

 

 

「ここは学園です、学園ならば担当の教師が生徒を背負うべきです。」

 

 

「兄さん!?」

 

 

セブンが驚くように、悲しそうに見つめるが、私は続ける。

 

 

「大隊長、ウルトラの母、ゾフィー兄さん、弟達…私に少しだけ時間をください、必ずゼロを導いてみせます…!!」

 

 

会議室に沈黙が訪れる、皆が考え込む中、声をあげる者がいた。

 

 

「私は兄さんに任せてみようと思う。」

 

 

「80…」

 

 

そう、かつて地球で子供達と教師として最も長く接して来た彼だ。

 

 

「80…いいでしょう私はあなたとウルトラマンを信じます。」

 

 

80に続き、ウルトラの母も賛成する。

 

 

「…私も兄さんに任せよう。」

 

 

ジャック、

 

 

「私もだ!」

 

 

タロウ、

 

 

「そうだな、頼む兄さん!」

 

 

エース

 

 

次々に賛成していく、それを見たレオとセブンも頷いた。

 

 

「よし、それではウルトラマン、お前に任せよう、頼んだぞ。」

 

 

「はい!」

 

 

 

大丈夫、きっと分かってくれる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから10分後。

 

 

ウルトラ学園 体育館

 

 

普段は授業や雨の日の体育、学年集会などで使われる。

 

そんな体育館が、ウルトラ学園全校生徒に埋め尽くされていた。

 

 

「急な集会って、なにかあったのか?」

「いえ…分かりません、いづれ兄さん達から説明があるでしょう…」

 

「…………」

ゼロは何となく分かっていた、幾度となく注意や警告を受けて来たのだ、今度の話も俺に関係があることだろうと。

 

やれやれまたか、ま、俺に非があるのは確かだし聞いとくか。

 

 

レイモンとメビウスの会話の中、壇上にあがる影があった。

 

 

「あ!ウルトラマンせんせーだ!」

 

ゴモラの言った通り、学年主任のウルトラマン先生が登壇していた。

 

「ゴモラ、分かったから静かにしてような?」

「…うん、レイお兄ちゃん」

「しかしなぜ兄さんが?」

 

その問いに答えるようにウルトラマンはマイクをトントンと叩き、全校生徒に向かって話し出した。

 

「みなさんおはようございます、学年主任のウルトラマンです、この度みなさんに集まってもらったのには訳があります。」

 

「昨今、ウルトラ交通事故が多発しているのは知っていますね?、幸い、死亡者は出ていません、ですが被害者は出てしまった。」

 

「いずれも軽い怪我で済んでいます、この中にその被害にあった生徒もいます、加害しかけた生徒もいます。」

 

「ですが軽い怪我で済んでいるのは!我々が肉体的に優れている、ただそれだけなんです!」

 

私は鼻息荒く、独白のように続けた。

 

「私が地球の人々において最初に記憶されたウルトラマンだと、地球の人々は笑って私を迎えてくれました。」

 

「だが、私が地球に来て最初にした事は、ベムラーさんの前世を倒したことでもなく、人助けでもない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は…人間を殺しました。」

 

 

 

 

 

 

 

「みんな知っていることだろう、ウルトラマンがち 地球のハヤタ隊員と同化し、ハヤタは一命を取り留めたと。」

 

口調が教師になるため練習した敬語ではなく、ただ1人の男として私は言う。

 

「だが…私がハヤタを殺したのは紛れも無い事実、故意では無いとはいえ、守るべき人を殺めたのだ。」

 

「いまでも思う、私がちゃんとベムラーを監視していれば、ハヤタは死なずに済んだのでは無いか?、ハヤタをウルトラマンとして私の戦いに巻き込むのを阻止できたのでは無いか、私がいなければハヤタは幸せな人生を送れたのでは無いかと…私がいなければ…」

 

いつの間にか私は俯いて懺悔のように話していた。

 

顔を上げ、生徒たち全員を見る、

 

「この中にも卒業したら、他の星に行く生徒もいるだろう、だか忘れないでほしい!私たちの軽はずみな行動が思いもよらない事態に発展してしまうことを、……」

 

姿勢を正し、私は続ける。

 

 

「先生の話は以上です、それでは」

 

トントンと壇上から降りる、伝えるべき事は全て伝えた。

 

私は、私の生徒を信じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハヤタがあの時私を信じて命を分け合ったように……

 

 

 

 

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放課後 生徒は帰りだし、部活などに勤しむ時間、

 

光の国商店街を1人のウルトラマンが歩いていた。

 

 

 

ゼロだ。

 

 

 

ウルトラマン先生の話がずっと頭から離れねぇ…

 

本当に背筋が凍ったぜ…笑い事じゃ無い、あの人の武勇伝は親父から何度も聞いた。

 

いつの間にかウルトラマン先生がハヤタを………殺しちまったのは、

 

『仕方のないこと、でもそれで、地球はハヤタとウルトラマンに救われた。』

 

なんて、美談にしてた。

 

 

俺も今まで運が良かっただけかもしれねぇ。

 

 

レオとの修業でピグモンを助けることが出来たのも。

 

 

あの時俺がピグモンを踏み潰してもおかしくなかった…

 

 

「ちくしょう……」

 

 

その時、ゼロの前に人影が…

 

 

「親父……仕事は終わったのかよ」

 

 

「兄さんが残りを引き継いでくれた。」

 

 

「そっか…」

 

 

言葉少なげに親子は語りながら、共に我が家へ向かう。

 

 

「怖くなったか?」

 

 

「…ああ」

 

 

「私もだ…」

 

 

「俺……人間と一緒の時あんなこと考えたことなかった…」

 

 

「私はモロボシ ダンとして人間と共に生きていたわけではないが、警備隊の隊長になった事がある…」

 

 

「ああ、レオが地球にいたときだろ?親父が怪我で変身できなくて、代わりに…」

 

 

「そうだ、だか私は今でも思う、MACの隊長である私が無茶な作戦を立てたせいで、円盤生物を刺激し、罪のない人々を多く…死なせてしまったのではと…」

 

 

「そんな事ッ!!あるわけ!!」

 

 

「あるのだ!!ゼロ!」

 

 

「だから私は再度誓った、この力は自分の為ではなく、慈愛の為、弱きものを守るために使うと…」

 

 

「そっか…親父もいろいろあったんだな…」

 

 

 

「ああ」

 

 

2人の間に沈黙が流れる、だがゼロは何か決心したようだ。

 

 

 

「んーー、なぁ親父!俺ちょっと考え直して見るぜ、 」

 

 

 

「ゼロ?」

 

 

 

セブンから少し離れ、ゼロは真正面から父に宣言する。

 

 

 

「……やっぱ、大事なモンはテメェの手で護りてぇ!」

 

「でも!!、無茶はしねぇ!…たぶん…」

 

「ちゃんと、周りを考えてやってやるぜ!」

 

 

「…そうか…よく言った、ゼロ」

 

2人の間に風が吹いた。

 

今までの暗い会話を吹き飛ばすような、爽やかな風が…

 

子供の幼稚な考えだと笑う者もいるだろう、だがセブンは目の前の息子がこう言ってくれたのが、たまらなく嬉しかった。

 

(ありがとう…兄さん、)

 

 

 

 

 

 

2人の緊張感がようやくほぐれ、いつもの2人に戻る。

 

「で!親父!今日の晩飯何にすんだ?」

 

「うむ、今日はカレーだ!」

 

「親父ぃ!もちっとレパートリー増やそうぜぇ!?ウルトラマンの方が沢山レパートリーあるだろ!!」

 

「むぅ、そうだなぁ、今度2人で教えてもらうか?」

 

「そうしようぜ!!」

 

 

 

 

そう言いながら、話し合う親子に陰りは少しも見えなかった。

 

 

 

 

光り輝く太陽のように爽やかな笑顔で、共に笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日ウルトラマンに料理を教えてもらいに行った2人だが、

 

食材をアイスラッガーとゼロスラッガーで切ろうとすると、

 

しばかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

善の象徴の彼らだからこその悩みだと思います。

あ、あと次から頑張ってもっとキャラ出します!!

ゼットンさんの出番増やします!!

ゴモラはアホの子です!!


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第2話 いかにして恐怖は恋慕につながるのか 前編

「ずいぶんと更新期間が空きましたね?」ジリジリ

いや、ゼットンさん、別に書くのかめんどくさかったとかじゃないんですよ、ほんとですよ?

「その割に色々してたみたいですね?」

ちょっとフュージョンファイトでゼロ君を育てるのに忙しかったんです!

「艦これACで建造ばっかしてたくせに?」

ギクッ

「そんな作者さんに喝を入れるため、このお二方をお呼びしました。」

パワード「あぁん!?最近だらしねぇな!?」
グレート「ホイホイチャーハン!?」

あ、いや、ちょっとまって、嘘、あ、ア゛ーーーーーーーー!!!


はじめは何も思ってなかった。

 

 

命令されて、従って、壊して、殺した。

 

 

何も感じなかった。

 

 

どれだけ壊しても、どれだけ殺しても。

 

 

あの人も殺そうとした。

 

 

でも何度も立ち上がってきた。

 

 

今までの相手ならとっくに死んでるはずなのに…

 

 

ボロボロになりながら戦うのをやめなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、殺した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

はじめまして、

 

私はゼットン、宇宙恐竜ゼットンです。

 

私はよく破壊の道具として扱われてきました。

 

何かを壊して、誰かを殺して、その繰り返し…

 

 

でも、ある日、私の繰り返しは、とるに取らないと思っていた小さな地球人によって終わりを告げました。

 

 

私は地球人に敗れ、魂となって怪獣墓場に行くことになり、少しの間眠ることになりました。

 

 

私が転生する時、なんと人間の女性の体で転生しました、多少宇宙恐竜の名残はありますが。

 

 

でも、これといって不便は無く、何より人間に近い転生をしたので、前の体より物事を深く考えることが出来るようになりました。

 

 

転生してすぐに、昔私を育ててくれたゼットン星人に会いました。

 

 

彼女も怪獣墓場で転生し、私と同じ女性の体で転生をしていました。

 

 

彼女は私を妹のように接してくれて、私もいつの日か彼女を《お姉ちゃん》と呼んでいました。

 

 

お姉ちゃんはなぜか鼻血を出して、「私の妹がこんなに可愛いわけが…」とか言ってました。

 

 

2人でフラフラと銀河のあちこちを旅している時、ある人に出会いました。

 

 

彼はドリューと名乗り、自分を光の国出身のウルトラ戦士と言いました。

 

 

ドリューさんは光の国に移住し、新しく人生を始める怪獣や異星人を応援し支援する、ウルトラ星際管理局の局長を務めているそうです。

 

 

私たち2人にも、光の国に来ないか?と誘ってくれました。

 

 

正直私たちは悩みました。

 

 

昔と事とはいえ、私はウルトラ戦士を一人殺めています。

 

 

でも、このままジリ貧生活を送っているといずれ昔みたいに、誰かを襲い出すかもしれない、そう思いました。

 

 

せっかく転生して、新しく始まった、第二のチャンス。

 

 

私たちはそれを掴むべく、ドリューさんについて行きました。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

とてもキラキラしていました!

 

 

M78星雲、ウルトラの星、光の国、ウルトラ戦士の故郷に私たちは立っています!

 

 

噂に聞いていたよりも、ずっと綺麗なところで、私たち以外にも怪獣や異星人が思っていたよりもたくさんいました。

 

 

ドリューさんは私たちに住む場所を用意してくれました、場所はウルトラ商店街という賑やかなところの隣、ウルトラ団地3番地でした。

 

 

住み心地もとてもよく、小惑星の影で寝ることなんてもう考えられないことでした。

 

 

周りに住んでいる人たちも優しく、レイブラッド星人の男性やゴモラの女の子、たくさんの人たちが歓迎してくれました。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして今日は今度から私とお姉ちゃんが転入する予定の学校へご挨拶に行くところです。

 

 

この身体に転生して物事がよく考えられるようになったとはいえ、私はまだまだ知識が足りていません、変な宇宙人に騙されて力が悪用されないように、キチンとした倫理観を身につけるようにと、ドリューさんに言われての事です。

 

 

特にお姉ちゃんは昔とあんまり考え方が変わってないので、必ず行くように言われました。

 

 

 

私達は学校に着くと、迎えの人が来てくれました。

 

 

「やぁ、初めまして、私はゾフィー、この学園の教頭だ。」

「初めまして、ゼットンです」

「ゼットン星人よ」

 

なんだか頭が焦げ臭い人だ、でも態度は柔和で優しそうな人でもある。

 

「本当は担任の教師が迎えに来るはずなんだが、彼は今日、急用が入ってしまってな、代わりに私が来たと言うわけだ。」

 

「君たちの担任は私と同じウルトラ戦士なのだが、今日は彼に依頼が来てね、出張中なんだ。」

 

 

彼の案内で学園を周り、入学手続きを済ませ、あっという間に夕方になってしまいました。

 

 

「何かわからないことがあったらいつでも電話しなさい、君たちはじきにこの学園の生徒なのだから」

「はい、ありがとうございました。」

 

 

頭を下げ、お礼をしてから帰路につく、来週からいよいよ学園での生活が始まるんだ…そう思うととても楽しみになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あのゼットン………私の杞憂で済んでくれればいいのだが…」

 

 

 

 

 

 

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入学手続きをした日の帰路で夕飯の材料を買って来てほしいとお姉ちゃんに頼まれました。

 

 

いつもは家に買い置きがあるのに、今日の手続きで忘れていたらしいのです。

 

 

私は一人商店街に向かい、今晩の材料を買いに行きました。

 

 

この商店街は本当にいろんなものが置いてあります、元々、光の国の文化でないものはウルトラ戦士が派遣された地域で収集した情報を元に再現されていたり、私同様、移住して来た異星人の人がお店を開いていたりします。

 

 

パンドンさんの焼き鳥屋さん、ベロンさんの酒屋さん、他にも八百屋、金物屋、雑貨屋、果てはピカリの国の人が経営エネルギースタンドまであります。

 

 

とても良いところです、この商店街、この街は。

 

私は浮かれていました。

 

 

 

 

あの人に会うまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

材料を買って帰る途中の商店街、私はまだまだこの街が楽しくて仕方がなく、あたりをキョロキョロしながら帰ってました、その時…

 

 

ぽろっ

 

 

私は財布を落としてしまい、少し歩いて気づき、慌てて取りに振り返りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは君のかい?」

 

 

男性の声、どこかで聞いた、優しい声。

 

 

私は財布を拾ってくれた方に、ひとにお礼を言おうと振り向くと

 

 

「ありが……と…うご……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンがママチャリ引いて財布を手渡して来ました。

 

 

 

 

 

 

私が昔、殺したはずの、ウルトラマンが。

 

 

 

 

皆さんは覚えがありますか?

 

殺した相手や生き物が復讐しに化けて出ると言うのを?

 

私はそれなりに生き物を殺めて来ましたが、転生してから、少し割り切って考えるようになりました。

 

でもこの時ばかりは割り切れませんでした。

 

 

「?、どうかしたのか?」

 

彼は不思議そうな顔をしながら私を見つめて来ました。

 

「やっ、あの、わたっ!」

「ああ、初対面の人に失礼だったかな。」

「!」

 

初対面!今彼は初対面と言いました!と言うことは…

 

「私はウルトラマン、私もこの商店街の近くに住んでいてね、君は越してきたばかりかい?」

「は、はい…」

 

なんとか呼吸を落ち着け、目を合わせることは出来ないけど、このままやり過ごせば…

 

「そ、それは、私のです…」

「ああ、そうか、今度から気を付けるといい」

 

どうにか私が自分を殺した怪獣とは思ってないようだし、このまま…

 

 

「さて、そろそろ夕飯の支度をしなければいけないから、私はこの辺で、さようなら」

 

 

そう言って彼はママチャリに跨り、颯爽と去って行きました。

 

 

心臓が物凄いことになっています。

 

 

あまり回らない頭で必死に考えます。

 

 

彼は生きていたのか!?あの時確かに殺したはずなのに!

 

私達怪獣は怪獣墓場で転生しますが、光の国の人が転生すると言うのは聞いたことがありません…

 

 

私はブツブツ呟きながら帰ることにしました…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでママチャリ乗ってたんだろ…?

飛べばいいのに…

 

 

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あの後家に帰り、ご飯の後、急いでお姉ちゃんに伝えました、でも返ってきた答えは…

 

 

「え、知ってるわよ?」

「へ…?」

「て言うか貴女のクラスの担任は彼よ?」

 

 

ペンシル爆弾より大きな衝撃が私に走りました。

 

 

え?なんでそんな大事な事を黙ってたの?

 

 

私は全然知らなかったのに!?

 

 

「なんでって…よくテレビでもやってるじゃない、ウルトラ戦士がどうとか、その時たまたま彼が映ってたのよ、ほら、今のニュースにも出てる。」

 

 

バッと振り返り、お姉ちゃんが言ったニュースは…

 

 

《ウルトラ戦士の活躍!!テロリストを倒す!》

 

 

『昨日、M78星雲、メタル星の集落でテロリスト集団が人質をとって建物に立て籠もる事件が発生しました。』

 

 

ニュースキャスターが文を読み上げます…

 

 

『犯人はナックル星人をトップとする集団で、身代金を要求していました。』

 

 

『そこにウルトラ戦士が派遣され、一時緊迫状態に入りました。』

 

 

『テロリストはカプセル怪獣としてガゾートを召喚しましたが、瞬時にウルトラ戦士に撃破され、テロリストも捕縛されました。』

 

 

そこに映っていたのは、監視カメラの映像で、ガゾートとあのウルトラマンが対峙しているところです。

 

 

素早い攻撃をかいくぐり、身体を掴み空に投げると、彼は得意のスペシウム光線の構えをしました。

 

 

そこまではいつものスペシウム光線でした。

 

 

私が受け流して、反撃に移れるほどお粗末なものだったと記憶しています。

 

 

が、次の瞬間、彼の両腕が光り、周囲の空気が震え始め、彼の両腕から放たれた光りはガゾートを一瞬で包み込み、後には何も残りませんでした。

 

 

『派遣されたウルトラ戦士は宇宙警備隊、ウルトラ兄弟の次男、ウルトラマンさんで、彼のおかげで怪我人も無く事態は収集しました。』

 

 

さっきの映像が衝撃的過ぎて、ニュースキャスターの声が頭に入ってきません。

 

「…な…ん…」

「彼、貴女に負けて、こっちに返ってきた後物凄い特訓したらしいのよ、おかげで昔の5倍は強いんじゃないかって、大家のカネゴンさん言ってたわよ?」

 

 

ハッと我にかえり、私は最悪の事態に備えようと…

 

 

「何してんの?」

「何って!逃げるんだよ!?お姉ちゃん!」

「はい?」

 

あの映像を見てから、私の頭は恐怖で埋め尽くされていました。

 

昔とは比べものにならない

 

もし、私があの時のゼットンだとバレたら?

 

彼が復讐に来る前にここから一刻も早く逃げないと!!

 

「大丈夫よ、ここの人たちの人の良さ知ってるでしょ?歴史上2人しか犯罪者がいない星なのよ?」

「でも…」

「彼が復讐する気なら、私達とっくに消し炭になってるわよ。」

「来週から学校なんだから、明日から忙しくなるわよ!」

 

そう言って、お姉ちゃんはさっさと風呂場に行ってしまいました。

 

 

「大丈夫かな…」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、私だ、今度の新入生の件だが…ああ、あのゼットンは…」




ふぅ、なんとか前編です、グダグダ感が否めませんね…

「作者さんはどのウルトラシリーズと仮面ライダーが好きなんですか?」

え?ネクサスとクウガですけど?

「…どおりでこんな展開が好きなんですね…」


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第3話 いかにして恐怖は恋慕につながるのか 中編

どうもこんにちは、クリスマスにシャークネード見ながら艦これやってたら、嫁の時雨が轟沈しても相変わらずな僕らです。

今回は少し短くなってしまいました、どうもスランプのようです…


「それでは皆さん、これから一年よろしくお願いします。」

 

 

襟を正し、パリッとしたスーツで黒板の前に立つのはウルトラマン先生…

 

 

始まりました、始まってしまいました…悪夢が…

 

 

あ、こんにちはゼットンです。

 

 

今日は私達の入学式の日、午前で式を終えて、教室で自己紹介をクラスメイトにして、学級委員などを決めて今は教室にいます。

 

 

黒板の前に立つウルトラマン先生の話を聞いています…ビクビクしながらですが。

 

 

というか、いつ自分を殺してもおかしくない相手が教師とか…どんな拷問ですか?

 

「そして来週はクラスの親睦を深めるためのレクリエーションとして、近くのデネブに遠足に行きます、お弁当を忘れないように、それから…」

 

 

「てか、遠足って…そんな歳でもないぞ俺らw」

 

 

先生の話を遮り、後ろのゴッドフィンガー出来そうな友達と話し始めたのは、ウルトラマンゼロ君でした。

 

 

「…んん゛っ、ゼロ君、静かにしてください。」

 

 

「wwあ、あんたが俺に敬語とか、ちょっとww」

 

 

ゼロ君は先生を煽るように笑い始めました…私には出来ません、やりたくありません、したくありません、死にたくありません。

 

 

「…黙れゼロ。」

 

 

「!!?お、おう…悪りぃ…」

 

 

っ…、びっ、びっくりしました…、先生がものすんごいドスの効いた声でゼロ君に注意し、流石のゼロ君も驚いたようでした。

 

 

私は恥ずかしながら、漏らしかけました。

 

 

「…続けますよ、班分けはこちらで用意したくじ引きで決めてもらいます、これから席順に前に来て、引いてください、では…」

 

 

他の生徒の子が順番に前に行ってくじを引いて行きます…。

 

 

嫌だなぁ、前に行きたくない…、バレたらどうしよう…その場でスペシウムされちゃうのかな…

 

 

「…トンさん、ゼットンさん。」

 

「ひゃ、ひゃい!!」

 

「貴方の番ですよ、どうぞ。」

 

どうやら考えるのに夢中で、周りが見えなくなったみたいです。

 

 

でも、大変なのはここからです、私はギロチン(エース先生じゃないです。)にかけられる思いで前に行きます。

 

 

ドクン…

 

 

「さぁ、どうぞ」

「は、はい」

 

 

ドクン…

 

 

先生は優しそうにくじ引きの箱をこちらに向けますが、私的には今にもマウントポジでボコボコにされるのではないかと、胸がドキドキしています…こんなドキドキいりません…バレませんように…

 

 

すっ つ[くじ]

 

 

バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませ…

 

 

「はい、ゼットンさんはB班ですね…」

 

 

バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレません…

 

 

「ゼットンさん?もういいですよ?」

 

 

バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレませんように、バレま…

 

 

「ゼットンさん?」

 

「ひゃああ!!///」

 

 

せ、先生の顔が近くに!!ば、バレたんでしょうか!?

 

 

「大丈夫ですか?具合が悪ければ保健室に…」

 

 

あ、班分けは終わってます…いつのまに…

 

 

「だ、大丈夫です…」

 

 

大丈夫じゃないです。

 

 

「次は…」

 

 

ふぅ、どうやら終わりました…先生は次の子達にくじを引いてもらってます…。

 

 

いつまでこの悪魔とのチキンレースをしないといけないのでしょう…?はぁ。

 

 

ため息ばかりしていても仕方ありません、楽しいことを考えましょう!!

 

 

来週の遠足はM78星雲から少し離れた、夏の大三角の一つデネブへ行きます。

 

 

デネブは豊かな自然の星で、現地のデネブ星人の人も気のいい人が多いと聞きます。

 

 

「ゼットンさん、ゼットンさん、私達同じ班だね!」

 

 

そう隣から声をかけて来たのは、いつか話した近所に住むゴモラさんです。

 

「はい、よろしくお願いしますね」

 

彼女はあの伝説の希少種レイブラッド星人の血を引くレイオニクスで私達のクラスメイトでもあるレイモン君とエレキングさん、リトラさんと一緒に住んでいて、光の国に来た時にお世話になりました。

 

 

あと、なぜか常時スクール水着です…

 

 

なんでも地球人が水に入る際、最も適した衣服とこの前テレビで紹介され、今では女子人型の生徒はプールの時着るのが普通になってきていると聞いてますが…

 

 

レイモン君の趣味かな…?

 

 

「ゼットンさんはどんなお弁当にするの?自分で作ってるの?」

 

でも、そんな些細な問題を吹き飛ばしてしまうくらい、優しくて、快活な女の子です。

 

 

「はい、私はいつもお弁当は自分で作ってます、お姉ちゃんの分もつく…」

「ゼットンさん」

「ひゃい!!」

 

 

え?なに!?バレました!??!

 

 

先生は静かに私を見て

 

 

「静かに、それでは今日のホームルームはここまで、早く帰れるからといって、遊んでばかりはダメですよ、…メビウス君」

「きりーつ、さようなら!!」

「「「さようなら!!」」」

 

唖然としたまま終わってしまいました、バレなくてよかったぁ…

 

 

先生はトントンと荷物をまとめると教室から出て行ってしまいました。

 

 

「?、ゼットンさん、ウルトラマン先生が怖いの?」

「え!?」

 

 

ゴモラさんが不思議そうな顔をして、こちらを見上げて、質問してきました。

 

 

とても可愛いです。

 

 

じゃなかった…まずいです、ここで下手なことを言うとゴモラさんから周りに私が《ウルトラマン先生を殺したゼットン》というのが広まってしまうかもしれません…彼女、少し頭が弱いので…

 

 

「い、いえ!そんなことないですよ!とても尊敬していますし!どちらかというと好きな方です!」

「え!!ゼットンさん!先生のこと好きなの!?」

 

 

ゴモラさんがとんでもないことを、大声で言ってくれました…

 

 

彼女が叫んだ瞬間、クラスメイト全員が私達の方を見ていました。

 

……

 

………

 

…………

 

き、気まずいです!!ここはなんとか言って誤魔化さないと!?

 

 

「い、いえ!違いますよ!好きと言っても…」

「マジかよ!?あの人親父より年食ってんだぞ!?」

 

 

ゼロ君が私の言葉を遮り、また、大声で言ってきました。

…このダブルトサカ頭は…

それを皮切りにクラスメイト全員が私の周りに集まってきました。

嫌な予感がします…

 

 

「ゼロ、失礼ですよ、恋愛に年は関係ないでしょう?」

ミラーナイト君がそう言いました、だから違いますって!?

 

 

「でも、あの人の何処が好きなの?」

エレキングさんまで…

 

 

「えっと……大胸筋とか?優しいところとか?」

はっ!?つい流れでなに言ってるんですか!?私!?

 

 

そう言うと周りがきゃー!とか、おぉー!!とか言ってきます…

 

 

「確かに先生の大胸筋はすごいからな、大抵の攻撃は跳ね返すって噂だぜ?」

レイモン君まで話しにノってきちゃいました。

 

うう…帰りたいです…

 

 

「じゃあよ!!いつ告るんだ!?」

グレンファイヤー君が身を乗り出して聞いてきました。

 

 

バカなんですか?告白とか、私があなたを殺しましたよって言うんですか?

 

 

「よし!みんな!今度の遠足でゼットンがウルトラマンに告れるようにセッティングしてやろうぜ!!」

 

 

なんてこと言ってくれるんですか、ゼロ君は…

 

 

……この人の短絡的に考える頭は本当にあのセブン先生の息子なんでしょうか?甚だ疑問です。

 

 

「い、いえ、私から頃合いを見て言いますので…大丈夫です…はい…」

 

 

もう流れで、今更違いますなんて言えない空気になってしまいました、こうなったらそう言うことにしてやり過ごすしか…!!

 

 

「ダメよ!きっと先生は正面から向き合ってくれるから!!頑張って!」

エレキングさんは恋愛話になるととてもイキイキしてますね…

 

 

そのあとなんだかんだで何故か、今度の遠足で先生に告白する羽目になってしまいました…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その日の夜、今日会ったことをお姉ちゃんに相談して見ました、が。

 

 

「あはははは!それで告白するんだ!ww」

 

 

相談した私がバカでした。

 

 

「しないよ!ただそれっぽくしてみんなを納得させないといけないから…」

「もういっその事、本当のこと話しちゃえば?」

「!?」

 

 

なにを言っているんだろうか、そんなことしたら…

 

「あなたは怖がりすぎよ、それにどうしてあなたを彼が憎んでいるとわかるの?」

「それは…」

 

 

それは自分だったら復讐してしまうかもしれないから、殺されたことなんてそうそう水に流せないし…

 

 

「どうするかは貴女次第だけど、このままずっと先生に怯えて、嘘ついて過ごすつもり?」

「でも…」

「せっかく生まれ変わったんだから!もっと楽しく生きましょ!ね!じゃおやすみ」

 

 

お姉ちゃんは笑うと、自分の部屋に行ってしまいました。

 

 

はぁ、無理だよ…そんなの…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しだけ頑張ってみようかな…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

デネブ星 某所

 

暗がりの中ある人影が電話をしていた…

 

「ああ、間違いねぇ、奴はここに来る。」

 

「大丈夫だ、必ず仕留める、あのバカのせいでこっちは大損なんだ。」

 

「任せろって、切るぞ」ピッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルトラマン…ぶっ殺してやる…」

 

 

 




いかがだったでしょうか?
ゼットンさん編は次だ終わらせて、新しい展開に入ろうと思います。

モブ怪獣やモブ異星人を活動報告のところで募集してますので、皆さんの知恵を貸してください!!


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番外編『おうさまのおはなし』
外伝1話 おうさまとごにんのなかまたち


ピポポポポッ

「で?何か言い訳はありますか?」

待ってください!ゼットンさん!

「なんでわたしメインのお話じゃないんですか?」

いえ、あの、その…

「前の前書きに書きましたよね、わたしの出番増やすって」

グイッ

ああっ、胸ぐらはやめて!く、苦しい…

「ウルトラマン先生との絡みも増やすって///」

だ、だってウルトラマンフュージョンファイトでわたしのとこにベリアル陛下降臨されたら!書くしかないじゃないですかァァァア!!

「遺言はそれだけですか?」

しゅぼぼぼぼぼ

ベリアル帝国に栄光あれぇぇぇ!!



ここは宇宙のどこか、辺境の星…

 

 

「ふむ、また手紙ですか…」

 

 

私は手紙を懐にしまい、ポストから銀河新聞を持って戻る

 

 

あ!

 

 

皆さんこんにちは、いえ、はじめましての方もいますか?

 

 

私はベリアル軍団の参謀にして、ダークネスファイブきっての知将、メフィラス星人魔導のスライです。

 

 

 

先程はカメラが回っていたのをつい忘れてしまい、ハハハ…

 

 

 

近頃、地球にまたウルトラ戦士が出てきたそうですね、腹立たしいことこの上ないです、我がベリアル軍団が地球を征服した方が地球は平和になると思うのですが…

 

 

 

まあ、それはまたの機会に、地球の皆さんもベリアル陛下がいきなりご降臨されたら、戸惑うでしょう。

 

 

 

ここだけの話、ベリアル陛下はとても繊細な方でして…、

 

 

 

降臨の際には、万雷の拍手と花束をいくつか用意していただきたいのです。

 

 

それと歓迎の時の料理はですね、出来ればメニューにカレーを追加していただけると助かります。

 

 

陛下は以前地球のカレーを召し上がられた時、大変気に入ったご様子でしたので…

 

 

 

あ、その時は現地のウルトラ戦士は謹慎させといてください、ウルトラ戦士の顔を見ると、陛下は不機嫌になってしまわれるので、何卒お願い致します。

 

 

 

ん、ん゛、それでは本題に入りましょう。

 

 

ウルトラマンが自分の教師生活をまとめて、地球のネットワークのハーメルンでしたか?、にアップしていると聞き、

 

 

この私、知将スライは対抗し、ベリアル軍団の素晴らしさを更に地球の皆さんに知っていただくために!、我がベリアル帝国の日常を皆さんにお届けいたします!

 

 

 

え、ウルトラマンのパクリですって?

 

 

 

••••••••••••••••

 

え、と…

 

••••••••••••••••

 

あの…

 

•••••••••••••••••

 

 

 

そうですがなにか?

 

 

 

 

 

私は知将!魔導のスライ!陛下のためならばどんな手でも尽くす所存ですので。

 

 

ふふふ!卑怯もラッキョウもないのですよ!!

 

 

 

 

 

 

ふぅ、すみません、少し興奮してしまいました、究極のメフィラス紳士にはまだ遠いですね…

 

 

ん゛ん゛っ、よし…

 

 

では!気を取り直して、ベリアル帝国の日常をどうぞご覧あれ!!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ここは宇宙のどこか、辺境の星

 

 

とある山の山頂に、周辺には似つかわしくない巨大な宇宙船が突き刺さっていた。

 

 

プシュと中から人影が…

 

 

「ふむ、また手紙ですか…」

 

 

ベリアル軍団、ダークネスファイブの1人、

 

 

メフィラス星人 魔導のスライ。

 

 

それが私です。

 

 

私は手紙を懐にしまい、銀河新聞を持って再び中へ

 

 

えっと今日の見出しは何でしょう?

 

 

《光の国のウルトラ学園の教師!!ウルトラマン先生の過去!!彼が生徒に伝えたかっ…

 

 

ビリビリビリビリ

 

 

全く、こりもせず光の国の記事ですか、それしか書くことがないんですか?バカですか?そうですか!

 

 

ふぅ、光の国の記事があるたび、陛下は朝から不機嫌になってしまわれるというのに…

 

 

「おい!スライ!もう直ぐ飯ができるってよ!陛下を起こして差し上げろ!」

 

 

通路の奥からひょっこり顔を出し、私に指図するあのバ…、彼は

 

 

私と同じダークネスファイブの1人、氷結のグロッケンです。

 

 

彼は銀河でも最も寒いと言われているグローザ星系の生まれで、氷結攻撃を得意とします。

 

ま、彼の紹介はテキトーでいいでしょう。

 

 

「陛下はまだ?」

「ああ、お休みになられてる、デスローグの朝飯がそろそろ出来るからよ」

「分かりました。」

 

 

カツカツ…

 

 

ああ、伝え忘れました、グロッケンが言っていたデスローグ、彼もまた我らベリアル軍団の同胞でダークネスファイブのメンバー

 

 

炎上のデスローグ

 

 

彼はデスレ星雲出身の宇宙人です、ですが我らと同じ銀河標準語を覚えていないので、グロッケンが通訳しています。

 

 

何でも昔からグローザ星系とデスレ星雲の小競り合いに参加してたグロッケンは何となくデスローグの言葉が分かるそうです…しかも外したことないんですよねぇ…

 

しかもなぜだか料理が上手なんです…

 

カツカツ…

 

 

おや、あれは…

 

 

「おお!スライ、いい朝だな、洗濯日和だ。」

「ええ、朝からご苦労様です。」

 

 

前から空の洗濯カゴを持って現れたのは、やはりダークネスファイブの1人

 

 

テンペラー星人 極悪のヴィラニアス

 

 

「もう直ぐ朝食が出来るそうです、私も陛下を起こしてから行きます。」

「おお、そうか!ではな!」

 

 

…彼は中々の戦闘力を持っているのですが、肝心なところでポカやらかすので…我々メフィラス星人を見習って欲しいですね…

 

 

カツカツ…

 

 

おや、言っている間に陛下のお部屋まで着きましたね、では…

 

 

「すぅ、…陛下失礼致します。」

「おう…」

 

呼吸を整え、陛下の部屋に入る、

 

「陛下、おはようございます…どうぞ今日の銀河新聞です。」

「ん…」

 

この方こそ我等がベリアル軍団の盟主、我々の主人、ベリアル陛下です。

 

歯ブラシを咥えたまま新聞に目を通す陛下…

ちゃんと光の国の記事を破ったので大丈夫です。

 

陛下はシャカシャカと歯を磨きながら新聞に目を通す。

 

「…ん、何だ、キン肉マン結婚すんのか…」

「ええ、彼はキン肉星の王座を継承するようです。」

「はーん…ぺッ」

 

 

よし、ちゃんと他の記事に目を通してなさっている…

 

 

「いずれ、キン肉星も征服いたしましょう!陛下!」

「ああ、そうだな…」

「陛下、シャワーの準備が出来ています、どうぞ」

「おう」

 

 

陛下は朝がほんの少し弱く、シャワーを浴びることでお目覚めになります。

陛下を待つこと15分…

 

 

「ふぅ゛…さっぱりしたぜ!」

「陛下、こちらを」

 

 

タオルを手渡して、陛下のバスローブを用意する。

 

 

光の国出身の陛下は服はあまり意味をなさないのですが、陛下のお身体を冷やさないようにご用意します。

 

 

ふふ、つくづく出来るメフィラス紳士ですね私は…

 

 

「よし、行くぞ」

「は!」

 

 

バスローブを纏った陛下と共に、この宇宙船の食堂へ…

と言っても豪華な食堂ではなく30畳(陛下サイズ)ほどのタタミの空間です。

 

この宇宙船を作るときなぜか業者のメトロン星人が卓袱台とタタミをめっちゃ推してきたんですよねぇ…

 

ま、陛下もこの部屋を気に入ってるようです。

 

 

「陛下!おはようございます!」

「陛下、おはようございます。」

「グオッグオグオ!!」

 

「おう、お前ら」

 

「陛下こちらにどうぞ」

 

おや、ジャタール、戻ったんですね。

 

 

彼は地獄のジャタール、ヒッポリト星人…面倒なんで説明を省きます。

 

 

 

陛下はドカッと卓袱台の上座に座り。

 

「なに、突っ立ってんだ?、早く座れ」

 

この様に我々、部下にも気を配り、いつも一緒に食事をとってくださる。

 

 

泣きそうです。

 

 

「はっ!」

 

 

くいっと私が合図を送ると、皆、料理の乗った皿を持ってくる。

 

 

「グオグオグオッグオ、グオ!!」

「陛下!今日のメシは銀河鶏の目玉焼きとメガシャケの塩焼き、ボスレタスのサラダですってデスローグ言ってます!」

「こちらは地球の味噌という材料を使ったスープでございます。」

「どうぞ陛下お茶です。」

 

 

皆、やはり陛下と共に食事出来るのが嬉しい様です。

 

 

「よし、…いただきます。」

「「「「「いただきます!!」」」」」

 

 

陛下の音頭と共に食べ始めます。

 

 

実は私もこの時間がとても好きでして…

 

 

「陛下!どっすか!?塩焼き!こいつ実は俺の実家から送られてきたやつなんですぜ!」

「ふん…脂が乗って…悪くねぇな。」

 

グロッケンとの何気ない会話にも

 

 

「陛下、このボスレタスは私の菜園で採れたものです、いかがですか?」

「この歯ごたえ…採れたてだな、まあまぁだな」

 

ジャタールの意味不明な自慢にも

 

 

「陛下、この前はタイラントの特訓に付き合っていただき誠にありがとうございます。」

「暇だっただけだ、それに、タイラントはまだ強くなる…奴なりにお前の役に立ちたいんだろう。」

 

ヴィラニアスの礼にも

 

 

「グオグオッグオグオーグオ」

「??…この味噌ってやつのスープか?」

ゴク

「ふん…気にいった、また作れ。」

 

デスローグのジェスチャーにも

 

 

「陛下、ライスのお代わりはいかがですか?」

「よこせ、…大盛りでな」

 

私、スライとの会話…

 

 

 

その全てに思いやりを持って接していただける…

 

 

 

この方こそ理想の王でしょう、断言できます。

 

 

 

 

 

銀河を征服した暁にはさらに陛下に満足していただける様にさらに精進しないといけませんね…

 

私も…他のダークネスファイブもそう思っていることでしょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陛下、私達はずっと貴方と共にあります……

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ベリアル軍団 宇宙船の前の庭

 

 

 

朝食も済み、家事を一通り終わらせた私は今、陛下と共に庭にいます。

 

 

「ふんッ!オラ゛!ウラァ゛!!」

 

ブンッ ブンブンッ

 

 

陛下はギガバトルナイザーを振り回しながら、今日の鍛錬をしておられます。

 

 

「ふぅ゛…こんなもんか」ハァハァ

「陛下、お疲れ様です、どうぞ」

 

 

私は陛下に水とタオルを差し出す。

 

 

「おう…」ゴクゴクゴクゴクゴク

「陛下、そうあまり一気に飲まれますと…お腹が…」

「ぷはッ…分かってる、」

「は…」

「で゛゛゛?」

 

 

陛下は言うことがあるのだろうという顔で私に声をかける…

 

 

「は…、いえ…その、へ、陛下?」

「はあ゛…下の連中の事だろうが!」

「は!はい!」

 

 

ああ、そうでした。

 

 

陛下がおっしゃる下の連中とは…

 

 

我々ベリアル軍団がこの星に着いた時(ガス欠で墜落)、燃料を探そうとベリアル陛下が宇宙船と墜落…着陸地点の山頂を降りたところ

 

 

なぜかあらゆる星の怪獣がそこかしこで暴れていました。

 

 

この星はどうやらペットとして飼っていた怪獣の捨て場だった様です。

 

 

そして陛下に気づいた怪獣達は、陛下をエサだと思い込み、襲いかかりました。

 

 

我々は陛下をお助けしようと駆けつけた時は既に辺り一帯の怪獣は陛下にボコボコにされていました。

 

 

その怪獣達は宇宙船に回収し私達(主にヴィラニアス)がちゃんと責任を持って飼育しています。

 

 

本題はここからです。

 

どうやらこの星には人間によく似た原住民が住んでいる様で、彼らは…何ですかね、地球人に例えるなら…イギリスだかイタリアだかでしたか?、

そんな感じの原住民でして、彼らは陛下の活躍を見ていた様です。

 

 

陛下を神と思い、崇め始めました。

 

目が点になるとはこの事何でしょうね、私、知りました。

 

それ以来、この山は聖域として彼らから敬われています。

 

 

ちなみに私達ダークネスファイブは、神に仕える五大天使とか何とか言われています、タイラントは聖獣だそうです、はっはっは…はぁ

 

 

「で゛?」

「あ!はい!そうですね、大した問題は起きていない様です。」

「じゃあ大してない問題はあるんだな」

「あ、いえ、はい…」

 

 

言ってしまってもいいのだろうか…?

 

「言え゛!!」

「は、はい!、そ、それがですね」

 

 

陛下の御耳に入れるかどうか迷いましたが仕方ありません、

 

 

問題というのは、下の方々が山の麓に作った神殿に生贄として若い娘を献上してきた事です、また怪獣が暴れ出さない様にと…

全く、どこの星の人も考えるのは同じなんでしょうか?

 

 

「ったく、スライ、持ってろ」

 

ぽいっ

 

「うわっと、へ、陛下!どちらへ!?」

「散歩だ」

 

 

ギガバトルナイザーを私の方へ投げ、どこかに行く陛下…

 

 

じゃ、ありません!早く追いかけないと!

 

 

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ぜぇぜぇぜぇっはあっはあっ…

 

さ、最近太りましたかね…た、体力が…そ、それより陛下は…

 

!みえました、陛下は…人間大のサイズになり神殿に入って行きました。

 

私も行きませんと! フッ(縮む縮む縮む縮む)

 

よしこれなら、

 

「お待ちを!陛下ぁ!」

 

 

 

 

 

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つい最近までこの国は平和な国でした。

 

 

ですがあの日全てが変わってしまいました。

 

 

空が割れ、見たこともない空を飛ぶ船が、舞い降りました。

 

 

私達は初めは、あれは神の乗り物だと思いました、でも違った。

 

 

その船はあたりに巨大な魔物を沢山放り投げた後、飛び去ってしまいました。

 

 

私達は魔物相手になすすべが無かった、どんな槍も、どんなに勇敢な兵士も、全て魔物に潰されてしまいました。

 

 

ギリギリまで踏ん張りました、ギリギリまで頑張りました、でも、どうにもなりませんでした。

 

 

生贄を捧げよう

 

 

そういう声が上がりました。

 

 

生贄には若い女、処女がいい、なんて勝手に思い込んだ人たちは、王の娘である私を選びました。

 

 

初めは、これは名誉なことで、私のおかげで皆が救われるならと思いました。

 

 

でも、生贄となる日に、私は恐怖しました。

 

 

本当に魔物は破壊と殺戮を止めるのか、本当に皆は救われるのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に私でなくてはいけないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、もう遅い、私は磔にされて、魔物の餌場となる山へ連れて行かれようとした時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのお方は現れた。

 

 

魔物と同じくらいの巨大な身体

 

自分の身の丈もあるほどの武器

 

漆黒の文様と地獄の焔の如き色をした目と心臓

 

 

 

初めは魔物の親玉かと思いました。

 

 

でも10秒後にはあたりの魔物は全て倒され、あのお方は私達を少し見つめた後、山へ帰って行きました。

 

 

ですが魔物はまだ潜んでいて、後日、私達を襲ってきました。

 

 

でも、その度に、漆黒の巨人と彼に従う天使たちが、私達を守ってくださいました。

 

 

皆口を揃えて言いました。

 

 

本物の神様が降臨された。

 

 

私も信じて疑いませんでした。

 

 

山は聖域として扱われる様になり、麓には巨人様と天使様の像をあしらった神殿が立てられました。

 

 

魔物は襲ってこなくなり、この国にやっと平和が訪れました。

 

 

子供は喜び、大人は子供の成長を喜びました。

 

 

国は豊かになり、巨人様は国教のシンボルとして崇められ、年に一度の巨人様の降臨された日を祝う祭りも行われるようになりました、

 

 

私は巨人教の巫女になりました。

 

 

昔幼い頃に生贄にされかけたことをうやむやにするために、担がれたのは分かっていました。

 

でも、あの方の為に存在出来るのが嬉しかった。

 

 

 

そしてある日、国に大陸一番の預言者が来ると噂になり、当然、宮殿に招かれた。

 

王である父はこの国の未来を見て欲しいと、預言者に頼みました。

 

 

預言者は確かに予言しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

この国の滅亡を。

 

それを避けたくば、巨人の巫女を生贄として捧げろと…

 

 

 

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そして今私はここにいます。

 

巨人様を奉る神殿の中央、檻の中に…

 

預言者の言葉通りなら、私は巨人様に心臓を取り出され、彼と一体になると言う。

 

結局こうなるのね…いくらあがいても、いくら頑張っても…

 

私は諦めて、最後の眠りにつこうと、ウトウトし始めた時でした。

 

 

 

 

 

 

 

「おい、お前、起きろ」

「んう…え…?…」

「寝ぼけてんじゃねぇ゛!さっさと起きろ!!」

 

ガンッ

 

声の主が蹴ったのでしょう、私は現実に引き戻され、顔をあげました。

 

 

「え…ウソ…何で…」

「あ゛?まだ寝ぼけてんのか?」

 

バキバキバキバキッ

 

カランッ

 

「出ろ」

 

 

 

 

 

檻の扉を引きちぎり、私に出るよう促したのは…忘れようもない、背丈は大柄な男性ほどになった、巨人様でした。

 

 

 

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陛下に追いつくことはできたものの何やら空気が…

 

陛下は生贄となる原住民の女を檻から出しました、これから何をするのでしょう?

 

「お前、帰れ」

「え?」

 

流石陛下、無駄な前置きを飛ばして伝えたいことをストレートに相手に告げる!流石です。

 

「俺は生贄なんぞいらねぇでテメェみたいなやつを押し付けられても、役に立ちそうにねぇからな…」

「あ…ほ、本当に巨人様なんですね!?!?」

 

うっとおしい女だ、陛下の言葉通りさっさと帰ればいいものを…

 

「だったら何だ?」

「私は、王国の王女で、貴方様と五大天使様を奉る巫女でございます!」

「で?」

 

まったく無礼にも程がある!

 

「実はこの王国に危機が迫っています!それを回避する為には、貴方様に生贄を捧げよと予言があったのです!」

「………」

 

あぁ!陛下がとんでもなくめんどくさそうな顔をしてらっしゃる!!

あのバカ女ァ!!

 

「お願いします!私はどうなっても構いません!どうか、この国をお救いください!」

「…なんなんだ?」

「え?」

「その危機ってのは具体的になんなんだって聞いてんだよ!?」

 

 

あ、あの女俯いた…まさか…知らないでここに来たのですか?

バカですか?バカなんですよね?バカじゃあしょうがないですね!?

 

 

「す、すみません、預言者はそれ以上喋らなくて…」

「ハンッ…そんな訳の分からんこと知ったことか!つか、それが来たら俺様がぶっ潰せばいい話じゃねぇか!?」

 

 

陛下…感服いたしました、あのバカ女の頭の悪さを許し!更に未曾有の危機まで凌ぐ心意気!!

 

 

「え…えっと、その…巨人様?」

「なんだ゛!さっさと帰れ!」

「それはつまり、生贄が無くても、危機を救って下さるとい…」

「さっきからそう言ってるだろうが!!」

 

 

まったく、頭が悪いにも程がある…

 

 

「で、でもでも!それでしたら私の気が治りません!私は覚悟の上でここに来たのです!」

「………はぁ゛」

 

 

陛下ァ!お気を確かにぃ!

 

 

「あ゛ーじゃあ、あれだお前、食いもんもってこい、」

「え、人間の生贄では無く?」

「食えねぇだろ!バカが!果物でもなんでも持ってこりゃいいんだ!」

「はい!わかりました!」タッタッタ

「あ、おい待て」

「?」

 

バカ女が帰ろうとする間際、陛下がお声をかける

 

「俺は巨人様って名前じゃねぇ、俺様はベリアルだ。」

「///はい!ベリアル様!///」

 

タッタッタ

 

ふぅ、やっと帰りましたか…ではわたしもこれで…

 

「で?いつまでそこに居んだ、スライ…」

「!?!?!!!」

 

背骨を抜かれる感覚とはこんな感じなのでしょうか、今わたしは盛大に逃げ出したい気分です!

 

カツカツ

 

陛下がわたしの前に来られました…どうやらお怒りではない様子です…多分…

 

「…、今度下の連中に会うときはお前も来い、俺様がわざわざ言うのは面倒だ…」

「…はっ!陛下!」

 

わたしを叱るでも無く!盗み聞きを許し!わたしに新たな命を下さるとは…!

 

「ふぅ…行くぞスライ!、そろそろ晩飯の支度だ。」

「はっ!陛下!」

 

ポロッ

 

「?おいスライ、なんか落としたぞ」

「へ、あ゛っそれはっ」

 

わたしが落としたのは朝ポストからとった手紙!しまった!

 

「…おい、なんでお前がこれを持ってる?」

「あ、あのですね、陛下、これには…」

 

 

 

手紙を拾い差出人の名前をさっと見た陛下はポンポンとギガバトルナイザーを肩に当てわたしに向かい…

 

 

「晩飯前に運動でもするか?なぁ!!スライ!!」

 

ダッ

 

「へ、陛下ァ!何卒おゆるしをぉ〜!!」

 

ダッ

 

 

わたしは陛下に追われながら山頂の宇宙船まで登りした、死にそうになりながらです。

 

 

陛下に相応しいメフィラス紳士になる為に更に精進しなければ…

 

 

 

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ベリアルへ

ケンより

 

 

 

 

 




あ、あぶねぇ、とっさにゾフィーを盾にしなけりゃ、ファイヤーヘッド二世になるとこだった…

じ、次回はウルトラマン先生の方を書きます!?!?


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