東方人狼録 (海老天饂飩)
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古代編
プロローグ


 初めまして海老天饂飩です!
 にじファンで始めようと思ってた矢先に閉鎖・・・なのでシステムが似ているハーメルンに来ました。
 未だ分からない事もありますががんばっていこうと思います!
 ちなみに私は豆腐メンタルですのであしからず。


 

 

―――とある山

 

 

side ???

 

 

 

 チクチクと当たる草の感触、風がそよぐ音、そしてそこに鳥のさえずりが・・・っておかしくね!?

 そう思い起き上がり周りを見渡すと、木、木、木、木。

 

 

 「・・・何処なんだよここ・・・」

 

 

 誰もいないのに喋ってしまうほど驚いている。

今はこんな感じだが本当は発狂したいほど焦っている。だが発狂したところでどうにもならないのも目に見えているのでむりやりそれを押さえつけている自分がいる。あぁ、何でこんな時だけ冷静なんだ・・・

 とりあえず、周りを見る限り生えている木やこの斜面からして此処が山だということが分かった。自分がこうなる前は何をしていたか思い出そうとするが、どこかで寝たという事しか思い出せなかった。もし此処が大きい山だったら、下手に動くのもまずいのでここで少し休憩することにした。なぜなら、ここは少し開けた場所なので、もしかしたらこの山に登ってきた人に会う事ができるかもしれないからだ。

 

・・・決して動いてまわるのが怖いというわけではない・・・

 

 とは言ったものの、暇だから身のまわりにあるものを確認することにした。今俺が着ているのは学校の制服、所謂ブレザーそれと腕時計とローファだ。ブレザーのポケットに入っていたのは、携帯電話と財布と腕時計とハンカチとくしゃくしゃになったレシート位か。携帯電話は当然の如く電波は入ってこない、財布の中身も小遣いとカード類とアレだけだな、まぁ『アレ』については説明しなくてもいいだろう。そして、周りを見て回ると何故か俺の学生鞄がおちていた。中身は、音楽プレイヤーと教科書と家と自転車の鍵とその鍵のキーホルダー代わりの十徳ナイフがあった。他に何かないか探したが、何も見つからず探すのを止めた。とりあえず、使えるとしたら鞄を枕に使う位だな・・・。その後も暇を潰す為教科書を眺めるが特に面白い訳でもないので止めてしまった。

 そして、鞄を枕にして木々の木濡れ日を見ながら朝から今に至るまでの事を思い出すことにした。

 

 

 

 

少し前

 

 

 

――――???の家

 

 

 二階の一室では、けたたましく目覚まし時計が鳴り響いていた。

 

 

「だあぁぁ!もう!五月蝿いッ!!」

 

 

 そう言いながら殴りつける様にして時計を止めてそのまま時計に映し出されている数字を見た。するとそこには、学校の朝の予鈴が鳴る二十分前を示す数字が映し出されていた。

 

 

「ヤバイ!遅刻する!!」

 

 

 ばねの様に飛び起きて軍隊のスクランブル顔負けのスピードで準備を始めた。そして、準備ができたので家に鍵をかけて、自転車に跨り、学校に向けて全速力で漕ぎ出した。学校へ向かう途中昨日の改善すべき生活習慣を思い返していた。

 

(やっぱり早く寝るべきだったなぁ・・・だけどあのニコニコする動画サイトは外せないし、腋巫女とか普通の魔法使いとかが奮闘しているSTGもしたいし、家族を殺されてその復讐を誓ったアサシンのゲームもやりたいしなぁ・・・)

 

 と、そんな下らないことを考えながら自転車を漕ぎつつ腕時計を見る。

 

 

「後十分かぁー・・・間に合いそうにないな」

 

 

 そう言って自転車のスピードを落とした。

 

 

(まぁ、怒られるのは構わないけど出席簿で殴られるのはちと堪えるなぁ)

 

 そのような事を思いながら、ふと右を見ると遠くのほうに学校が見えた。自転車を止めて学校を眺めながら呟いた。

 

 

「近道なんだけどここ通っていいのかなぁー?」

 

 

 そこにあったのは少し高めのフェンスに囲まれていた群生している腰の高さ位のピンク色の花々であった。決して超えることができない高さではないのだが、自転車を置いていかなかければならなかった。

 

 

「背に腹は変えられないな・・・仕方ない帰りに取りに来よう」

 

 

 そう言って自転車に鍵を掛け、フェンスに脚を掛けて跳び越えて

花を潰さないように学校に向けて走り出した。そして、数分間走り続けて学校側のフェンスを跳び越えて走り歩道に飛び出たら・・・

 

 

???「グハッ!?」

 

 

・・・誰かにぶつかってしまった。

 

 

「あぁ・・すっすみまsって、あれ?(ショウ)じゃん・・・」

 

 

翔「肩がぁ~ってなんだよ(ミツル)かよ、ってかなんだよその【何故お前が此処にいるんだ】みたいな顔は。それならお前だって一緒だろ?」

 

 

「まぁそうだな、とりあえず学校に行こうぜ」

 

 

そう言い二人で学校に走り出した。

 

 

翔「そういやお前はなんであんな所から出てきたんだよ。まっ、まさかっ! あの茂みから俺を襲って俺にアッー!なこt「馬鹿が・・・」アッー!」

 

 

 その後、横で悶えている翔を無視しながらここに来るまでの道のりついて話した。すると翔の顔がさっきのふざけていた顔から信じれないといった顔に変わっていた。

 

 

翔「お前、あそこに生えている花の名前知らないのか!?」

 

 

「それがどうかしたのか?」

 

 

翔「お前どうしたもこうしたもないだろうが!あそこに生えているのは『夾竹桃』なんだぞ!!」

 

 

「キョウチクトウ?なんだよそれ?」

 

 

翔の顔はさっきの驚いていた顔から何かを諦めたような顔に変わった。

 

 

翔「ハァ・・・なんで知らないんだよ・・・まぁ所謂毒花ってやつだな」

 

 

「ハッ?毒!?って俺大丈夫なのか!?」

 

 

翔「俺は見た目と花自体には青酸カリより強い毒があるってぐらいしか知らないから分からんが花自体には触ってなかったんだろ?」

 

 

翔の質問に思い当たる節は少々あるが・・・

 

 

・・・無情にも時間は待ってくれず、学校の方から予鈴の音が鳴り響いた。

 

 

翔「あっ、ヤバイ!?とりあえず学校に着いてから保健室で診てもらえばいいんじゃね?」

 

 

「・・・そうだな。」

 

 

 そう言いながら、俺たちは学校に間に合うわけもなく、案の定担任から出席簿を食らうのであった。さらに二時間目の体育で問題がなかったから自分で大丈夫だろうと判断して保健室には行かなかった。・・・そして、三時間目が終わり立ち上がろうとするが眩暈がしたので机に手をつきバランスを取ろうとしたがそれも空しく床に倒れてしまった。

 

 

翔「光? オイ光!?どうしたッ!?せっ、先生!光が!」

 

 

担任「ん?どうした?・・・!?如月!?オイッ!如月大丈夫か!?保健室に連れて行くぞ!後、救急車を呼べ!!」

 

 

 そしてそのあたりから胸が苦しくなって、体が痺れきて周りの音も聞こえなくなってきて・・・・って!?はぁ!?

 

 

 

 

回想終了、そして今

 

 

 

―――とある山

 

「これ夢じゃね!?」

 

 

 イヤイヤイヤ、それはないな・・・夢にしては余りにもリアル過ぎだこれ。じゃあ何だ?俺は死んだのか・・・なんかありえそうだからその事は余り考えないようにしよう。それにしても誰も来ないなぁ、ここ開けてるから人が来ると思ってたんだけどなー。仕方ない下山するしかないかーまぁ荷物は、重くないから全部持っていこう。

 

 

 

side out 光

 

 

 

光が去ったあと何かが呟いた

 

???「ケケケケケケケケケケケケケ、ウマソウダウマソウダダガヨルニッテカラデイイヤケケケケケケ」

 

 

 

 

 




主人公の原作知識は一通り知っているということで・・・

脱字、誤字、文法の間違いなどの指摘お願いします!
要望でもokです。前書きでも言いましたが私は豆腐m(ry


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第一話 『第一村人発見?』

 どうも、海老天饂飩です。遅れてすいません。


 

 

 

 

 

 下りるのは良いものの、獣道さえも見当たらねぇぞ・・・・とりあえず下りるか。

 

 

 

 

 

                      少年下山中...

 

 

一時間後

 

「うわっ!あの木毛虫だらけじゃねえか・・・」

 

さらに、二時間後

 

「うぅ~~、さすがにローファじゃ足がキツイなぁ」

 

さらに、三時間後

 

「あぁ、腹減った朝はまともに食ってないし、昼も食ってないしなぁ」

 

 

 と、落ちていた木の枝を杖にしながら、うだうだ喋って歩いていくと村の"ような"もの見つけた。なぜ"ような"のかというと・・・

 

 

「これって村なのか・・・」

 

 

 と、言ったように俺が知っている山々に囲まれていて家がぽつぽつ並んでいるような村ではなく、竪穴式住居や高床式倉庫などが木の塀で囲まれている村というより遺跡の方が近い気がしたからだった。例えるなら、佐賀の吉野ヶ里遺跡みたいな感じだ。

 そんな事をボーっと考えてると、門の前に立っている体格の良い二人の男が此方を怪しい者を警戒する様な目で見ているのに気がついた。

 それもそのはず、まず服装が違いすぎる。どのようにかというと、自分が今着ているのはブレザーだがあっちが着ている物は、何かの繊維を織った物を着て紐で締めたような格好だったからだ。それに、村を遠巻きにずっと眺めている者など不審者にしか見えないからだ。

 とりあえず、これ以上怪しまれないために笑顔を作り、手を振ってみる。すると、一人がこっちにやって来て俺に喋りかけてきた。

 

 

「おいおまえ、何処の村の者だ?」

 

 

 日本語が通じなかったらどうしようと思ったが、日本語が通じそうで良かった。とりあえず聞かなければいけないことが。

 

 

「私は何処の村の者というよりもですね、え~と旅をしている者です。ところでここは何処の国ですか?」

 

 

「ん?ドコノクニ?聞いたことがないがそこがお前が住んでいる所の名前か?」

 

 

 ん?日本語通じてそうで通じてないのか?それとも、国という概念がないほどの辺境の地なのか?それとも過去の世界なのか?となると、やっぱり俺って死んだのか?・・・とりあえずこの事については後で考えることにしよう。

 

 

「いえ、違います。ところで、あなたの名前は?私の名前は光と申します。」

 

 

「ん?あぁオレの名前は右門だ、ちなみにあそこに居るもう一人の門番は、左門だ」

 

 

「ところで右門さん、非常に申しずらいのですがぁ・・・」

 

 

 と言うか言うまいか悩んでいると腹のほうが先に口走ってしまった。いや、この場合は腹走ったか?

 

 

「ハハッ、腹が減っているのか、よしっ!ついて来い」

 

 

 右門さんの後をついて行って門をくぐったのだが・・

 

 

「あの~右門さん普通よそ者の僕は門をくぐってはだめなんじゃないですか?」

 

 

「ん~?別に大丈夫だろオマエ悪さはしないようだし、それともなんだ悪いことでもしに来たのか?」

 

 

「いえ、そんなことありませんよ」

 

 

「なら別にいいだろ」

 

「ハァ・・・」

 

 

 いや、確かにその考えは分かるけど、門番それでいいのか!?

 

 

「それに『旅人は迎え入れよ』って、村長が言っていたしな」

 

 

「なるほど」

 

 

 ・・・なんとなくその村長が考えが分かる気がする・・・

 

 

 と、こんな話をしたり、ここの土地についていろいろ話していると、周りの家より広く、装飾されている家の前に着いた。

 

 

「この家は誰のですか?」

 

 

「村長の家だな。とりあえず外から来た者はここに来ることになっているからな。行くぞ」

 

 

「はい」

 

 

 そして、広い敷地の一番奥の建物に入った

 

 

「村長、旅の者を連れてまいりました。」

 

 

「うむ、分かった右門お前は下がってよいぞ」

 

 

「はい、それでは失礼します。光、またな」

 

 

「はい、右門さんありがとうございました」

 

 

 右門さんと別れ、俺は村長と呼ばれる男を見た。白髪と白い長髭に皺のたくさんよった顔と一見、柔和であるが威厳のある雰囲気、まさにThe村長っていう感じの老人だな。

 

 

「私はこの村の長をしている者で御座います。報告は受けております。え~~と光殿でしたか、とりあえずそこにお座りください。」

 

 

「はい、失礼します。」

 

 

 俺は村長が手で指していた座布団?の様な物に座った。

 

 

「聞きますが、光殿はなぜ旅をしておられるのですかな?」

 

 

 さすがに今起きていることを、そのまま話しても信じてくれるはずもないと思ったので、外の世界が見たいのでいろんな所を旅していると言っておいた。まぁ、嘘も方便って言う奴だ。

 

 

「ほぉ、それは凄いですな。実は私も昔は何度もこの村を出て旅をしようと思ったのですが・・・」

 

 

 と、いったように村長の昔話を長々と聞かされるはめになった。マジで腹が減って眩暈がしてきた・・・すると村長が俺に話を振ってきた。

 

 

「ところで光殿今日泊まる所はお決まりかな?」

 

 

「いえまだですが・・・」

 

 

「それは良かった、どうですかここに泊まりませんか?食事も用意しますが?」

 

 

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

 

 思ってもいない提案だったので、とても嬉しかった。その様子を見ながら、ホッホッホッっと村長は笑っていた。そして俺はひとつのことに気がついた。

 

 

「・・・あの~恥ずかしながら、旅をする者でありながら通貨の類は持ってないのですが・・・」

 

 

「いやいや、けっこうですよ。その代わりと言っては何ですが、ここまでの旅の話を聞かせてくれませぬか?」

 

 

 さっきのいろんな所を旅しているという嘘が、裏目に出てしまった・・・なんとか誤魔化さなければ!

 

 

「え、え~、はい分かりました。まっ、まずはですね。私は教えられたとしても、実際やらないと気がすまない性分でして、・・・」

 

 

 と、こんな感じにその場で思い浮かんだストーリーを話していった。途中矛盾していて、ばれたか?と思ったが幸いその時村長は、舟をこいでいたので、助かった。

 そんな感じに小一時間位だろうか?その位話してたら、夕飯が出来たという事だったので、村長とその周りの者たちと食事を取った出された料理の味はお世辞にも美味しいとはいえなかったが腹が減っていたので、なんとか食べることができた。

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 今、俺は村長に貸してもらっている客人用の小屋にいる。小屋には寝るだけ物しかなく何もする事がないので寝ることにした。ちなみに風呂はないらしいので、明日川か湖で水を浴びれたらいいなと思っている。

 

 

「・・・っん?う~~ん、なんだ?」

 

 

 寝ていたが外から誰かの話し声が聞こえてきて目が覚めてしまった。

 

 

「・・・おいっ、よそ者はもう寝ちまったのか?・・・」

 

 

「・・・ああ、物音がもう聞こえないから寝ているだろう、しかし村長も人使いが荒い、だって『旅人から全部剥ぎ取って殺し、死体は気づかれないように処理しろ』だもんな・・・」

 

 

「・・・まぁ、そう言うな俺達もそのお零れが貰えるんだからな。

それにしても死体は何処に捨てればいいんだ?・・・」

 

 

「・・・死体なら裏の山に捨てとけば勝手に妖怪どもが食うからそれでいかないか?・・・」

 

 

「・・・よし、そうしよう。じゃあ念のために周りの確認でもするか・・・」

 

 

 村長がグルだったということに関しては、薄々気付いていたのでたいして驚かなかったが気になることがある。それは『なぜ外の話し声が聞こえるのか?』だ。唯の話し声なら聞こえるのは分かるが、どう考えても今のは、まわりに聞こえないよう話す時の話し方だった。それとなぜか体が異様に軽い。

 と、考えるのも良いが取り合えず今は逃げなければ、靴を履き直し鞄を落とさないように肩に掛け入り口で逃げるタイミングを計る。

 息を潜めていると、さっきの奴等戻ってきた。

 

 

「・・・よし、誰もいなかったな。三つ数えてくれ、一気に終わらせるぞ・・・」

 

 

「・・・ああ、1、2、s「うぅをおぉぉりゃーー!!」ッグヘ!」

 

 

 扉の前にいたやつ等を一緒に扉を蹴り飛ばし外に飛び出た。後ろを見ると二人の男が手に棍棒を持ったまま倒れていた。日中に入った門は正門だと右門さんに教えてもらったので、正門があるなら裏門もあるだろうし正門より手薄だろうと踏んで正門と逆の方向に走り出した。

 

 

「ぐぅ・・腰を打ったぁ~って、オイッ!!逃げられたぞ!」

 

 

「くっそぉ~舐めたことしてくれやがって~、追うぞ!!」

 

 

 そう言い二人は俺を追っかけてきた。俺も捕まるわけには、いかないので、さらにスピードを上げて走った。すると徐々にだが二人を俺は引き離していった。

 しかし、その先で俺を待ってたのは、裏門ではなくこの村を囲んでいる5m以上の柵だった。

 

 

「あぁクソッ!どうすりゃいいんだよ!?」

 

 

 考えを巡らせるが、さっき引き離した二人の叫び声がだんだん近づいて来ていた。

 そして俺は登っている間に二人に捕まってしまうかもしれないというリスクを背負い、この柵を乗り越えることにした。そう決め、助走を付け柵に跳びかかったが、手と足を柵にかけることなく越えてしまった。

 

 

「嘘・・・だろ?」

 

 

 ・・・ありえない、なんなんだこれは!?これは、さっきから体が軽いのと関係してるのか?・・・怖い、自分に今、何が起きているのか分からない事が無性に怖い。

 

 

「今、アイツこの柵を飛び越えていきやがったぞ!?」

 

 

「チクショ~、回り込むぞ。急げ!」

 

 

「もう何がどうなってんだよ!?くそっ、だが今は逃げるしかねぇ。」

 

 

 そう言い俺は今置かれている状況や状態の性で頭の中がぐちゃぐちゃになり、やけになって夜の鬱蒼と木が生い茂った山の中に走って行った。

 

 

 

 

 

 




 ちなみに古代といっても永琳がいる時ほど昔じゃないです。


脱字、誤字、文法の間違いなどの指摘お願いします!
要望でもokです。私は豆腐m(ry


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第二話 『満月の夜に』

どうも、海老天饂飩です。今回も遅れてしまいました。

今回からモノローグに感情や考えていることの区別がつき辛かったので()を付けました。まぁ、勝手が悪かったら外します。


 

 

 

 

 

 

 

「はっ!はっ!はっ、はっ、ふぅ~~」

 

 

(さすがにここまで来れば追ってはこないだろう・・・たぶん。)

 

 そう思い、疲れている体を少しでも休めるため、木を背にして座り込んだ。

 

(休憩がてら今の状況でも整理するか。今は村から逃げ出して逃走中っと、荷物ちゃんと全部ある。

 そして異常なのが俺の身体能力か・・・分かっているのが、5mの柵を越える位の脚力、壁越しの小さな喋り声を聞く位の聴力、暗闇なのに近くなら昼間とあまり変わらない位に見える視力、後いろんな所から力が漲ってくる様な感覚。

 うん、異常だ。あっ、後臭いにも敏感なっているな。今もなんか臭いし、って臭い?屁はしてないぞ、しかも若干錆びた鉄の臭いもするし。じゃあこの臭いはいったい・・・・・!?)

 

 上から何かが迫ってくる感覚を覚えた俺は前に跳びだした。

 振り返ると俺が座っていたところに、さっきまで無かった筈の人間の頭と同じ位の大きさの岩が地面に半分ほど埋まっていた。恐らくあのまま動かなかったら、アソパソマソみたいに頭と岩が交換されていたかもしれない、と考えると背筋が凍った。

 すると後ろから枝が折れる音が聞こえたので振り向くと、何か鋭利な物が俺の事を貫かんと飛んで来たので体を捩って回避したが、脇腹に掠り、服と皮を少し持ってかれてしまった。

 何者かによる襲撃だと確信した俺は苦痛に顔を歪めながらも、見えない敵に向かって叫んだ。

 

 

「ッ誰だ!!何処にいる!出て来い!!」

 

 

 そう言ったら鼻の奥を突く様な肉が腐った臭いと一緒に金切り声が聞こえた。

 

 

「ケケケケケ、出テ来イト言ワレテ出テクル馬鹿ガ何処ニイル、ケケケケ」

 

 

(確かに見えないから正確に何処にいるかは分からないが、声が聞こえてくる方向でだいたいの場所は分かるんだよ!)

 

 そして俺は、声が聞こえた茂みに向かって足元に転がっていた石を思いっきり蹴飛ばした。かなりの勢いで石は茂みの中に突っ込み、鈍い音と蛙が潰された時に鳴く様な声が返ってきた。

 すると今度は後ろ辺りから声が聞こえてきた。

 

 

「グエッオエッケケケ、オマエ意外トヤルナ、ダガ次デ殺ス、ケケケケケ」

 

 

 また声が聞こえた所に石を蹴りこんだが、今度は当たる事無く飛んでいった。次に身構えて聴覚と嗅覚をフルで使ったが聞こえたのは木が風で揺れる音と虫が鳴く声だけで、鼻はあまりの臭さにイカレていた。

 

(逃げたいところだが、下手に動くと後ろからいきなり、ってなるかもしれないからなぁ。まったく、どうすりゃ良いんだよ。)

 

 

「・・・何処に居やがる・・・」

 

 

「ココダ、ケケ」 「!?」

 

 

 耳元から声が聞こえたので飛び退こうとしたが、それよりも早く右の脇腹に衝撃が走り、嫌な音を鳴らしながら吹き飛ばされた。

 立っていた場所から4mほど飛ばされ、さっきまで肺を満たしていた空気と体内の何処かから出血した血を吐きながら仰向けになった。

 

 

「ッウッグ!?ックフ!カハッ!ヒューヒュー・・・」

 

 

(ックソぉ!イタイ!いたい!痛い!肋は何本か折れたし、血が喉に詰まって呼吸が出来ない!)

 

 血を吐こうと思い体を横に向けようとしたが、何者かに跨がれて横を向くことが出来なかった。

 

 

「ケケケケケ、イタイダロ?クルシイダロ?コワイダロ?今スグ血ヲ吐キ出シテ息ヲシタイダロ?ソウダロソウダロソウダロ?オレヲモット畏レロモット苦シメソシテ死ネ、ケケケケケケ」

 

 

 そう相手は何か言っていたが俺はその時意識が朦朧とし過ぎて・・・

 

(あぁ、俺はもう死ぬのだろうか?それにしても今日は満月か、山の中のためかいつもより幻想的で綺麗だなぁ・・・)

 

 ・・・っといった様に余りにも場違いなことを考えていた。なので余り怖がっていない俺に対して相手はキレた。

 

 

「ケケ?オマエハ何故畏レナイ?何故モット怖ガラナイ?ナゼダ?ナゼ?ナゼ?ナゼ!?モウイイ・・・殺ス!!!」

 

 

 そう叫び、相手は腕と見られる物を鋭く尖らせて喉に狙いを定めた。それを見て現実逃避していた俺は改めて迫る危機に気づいた。

 

(ハッ!?ヤバイ!殺される!死にたくない!まだやりたい事があるんだ!死にたくない!しにたくない!シニタクナイ!」

 

 もう何がなんだか分からなくなった俺は唯、死にたくない一心と最後の足掻きと思い、渾身の力を籠めて目を瞑り左腕を前に突き出した。

 そして、周りには何かが潰れてぶちまける音と短い断末魔が響いた。しかし何時まで経っても来るはずの痛みは来ず、その変わりに腕に生温い物が伝わる感覚と左腕がやけに重たくなった感じがした。恐る恐る目を開けてみると目の前の光景に俺は自分の目を疑った。

 

(ハッ!?はああああぁぁぁぁぁ!!??何だよこれ!?俺の手が・・こいつの胸に刺さって・・血が、血が・・・ってこいつ人間じゃねぇ!?)

 

 そう、俺が相手していた奴は人間じゃなかった。俺の事を貫かんとしていた腕を力なくだらりと垂らし、目は血走ったまま白目を向け、頬には唾液と血が混ざった物が異臭を撒き散らす。その見た目はゾンビやグールと言われている者に良く似ていた。

 しかし、そいつは今、胸を俺の左腕に貫かれて、生ける屍ではなく唯の屍となっていた。

 

 

「な、何だよこいつ!?って気持ち悪!!」

 

 

 そう言い俺は腕を振ってそいつを振り落とし、立ち上がり血に濡れている手を見つめた。

 

(今のは誰にも見られてないし“人”じゃなかったけど、“ヒト”を殺してしまった。血もべっとり付いてしまった。落とさないと・・・それにしてもこんな大量な血は、はじめて見たが美味しそうだなぁ。赤より濃い紅色で鉄の錆びた様な臭いが堪らないなぁ・・・)

 

 そして、ソフトクリームを舐めるように手についている血を舐め続けた。すると、急に舐めていた血が不味くなり体が異物と判断し、血や胃酸等を吐き出してしまった。

 

 

「うぅぐ、オエ~~!」

 

 

(なんで俺は血を舐めているんだ!?色々あり過ぎて、ついにイカレてしまったのか!?・・・・・分からん・・・嗚呼、だが美味しかったなぁ)

 

 といった様に自分の狂った行動に驚愕したり、血の不思議な味を思い出したりしていた。それから、体を洗ったり口を濯ぐため、耳を澄まし川を探した。

 

 

「向こうか・・・」

 

 

 そう言い、川の方にある方に向かい始めて体の違和感に気づいた。

 

(脇腹が痛くなくなっているだと?しかも体の奥から力が漲って来ている・・・感じがする?これは血を飲み込んだせいか?・・・ますます分からん・・・)

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 

 川についた俺は周りに誰もいないことを確認して、服を脱ぎ先に服を洗ってから体を洗い始めた。

 

(はぁ、血で髪がガチガチになってるじゃねえか、おかげでこんなツンツンに・・・ん?何だこれ?)

 

 頭に違和感を覚えた俺は一旦体を洗うのをやめ、水面に映る自分の頭を見た。

 

 

「!?・・・・っ何だよこれ!?」

 

 

 そう驚くのも無理はない、何故ならいつもの黒髪が白髪になっていて、短めの髪が肩にかかる位にまで伸びていたからだ。しかし、そんなことよりはるかに目を見張るものがあった。それは、二つの犬のような耳だった・・・

 そして、俺はあまりの驚愕にその場にへたり込んでしまった。すると腰あたりに違和感を覚えたので見てみたら・・・白いフサフサした尻尾が生えていた・・・

 

(嗚呼、物凄く頭が痛い・・・それにしても、ここに来てから良い事ないな・・・そもそも何でこんな所にいるんだよ。

 目が覚めたら知らない山の中にいるし、村には泊めて貰ったは良いけどメシはまずいし襲われるし、人外には襲われるし、自分はその人外を殺してしまったし、そしたらいつの間にか自分まで人外になっちまてる・・・どゆことなの?

 はぁ、こんな時こそもっとポジティブに考えなくては、えぇ~と。自分がいつの間にか知らない山にいたのは・・・・・ダメだ思いつかねぇ。)

 

 

「クソッ!何でだよ!?何で何だよぉぉぉおぉおぉぉおぉおぉおぉ!!」

 

 

 その後俺は、誰にも邪魔されることも、慰められることも、励まされることもなく涙が枯れてしまうまで泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

そしてその後、泣き疲れた俺は川の辺で蹲ってずっとブツブツ言っていた。

 

(はぁ、こんなところに来てしまったのはともかく、耳や尻尾が生えたのはいい体験ができるっていう事で良いか・・・いや、良くないだろ。)

 

 そんな風に自分に突っ込みを入れることができるくらいに回復?していた俺は顔を上げたら日が昇ってきているのに気づき、そして昨日グールみたいな奴を殺した所に鞄を置き忘れてきてしまったことを思い出した。

 

 

「・・・取りに行くか・・・」

 

 

 そう言い俺は立ち上がり、固まっていた関節を鳴らしながら大きく欠伸をし、干していた服を着た。

 

(うぅ、生乾きだがこれしかない今は我慢するしかないか。)

 

 そしてもう一度、自分の体に起きている事確認するため水面を見たするとそこに映っていたのは、耳が生えている白髪に自分ではなく、耳は生えておらず髪の毛も灰色になっていて、その灰色も徐々にだが何時もの黒髪に戻りつつあった。

 

(どういう事なんだ?もう、さして驚きはしないが、分からない物は分からんなぁ。ある一定の条件で、ああなるとするならば、夜だけとかだろうか。)

 

 そんな風に自問自答を繰り返しつつ、昨日の場所に戻ってきた俺はあまりの臭さに鼻を覆ってしまった。その臭いの原因とは、昨日殺したグールなのだが、その見た目は、四肢は食いちぎられダルマの様になってしまっており、腹は食い破られ腸や内臓だった物も引き釣り出されてそこ等に転がっていた、しかも頭も右半分が欠損し、その周りにはどす黒い血のカーペットが敷いてあり、昨日見たのとは大きく変わっていた。

 

(・・・たぶん俺がいなくなった後、血の臭いに釣られて野犬や熊が来たのだろうか?)

 

 そして、一度は殺されそうになったが逆に殺してしまった相手に合掌した俺は鞄を取り、そそくさと川があった場所まで戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 川の辺に戻ってきた俺は今後の方針を決めようとしていた。

 

 

「さぁて、今からどうすっかな?」

 

 

(とりあえず、これからは当分は野宿だな。もし夜に変化するのならば、また村に泊まったら化け物扱いされて追い出されてしまうのは、火を見るよりも分かりやすい。

 しかし、道具とかが欲しい時は買うなり物々交換するなりするかもな。とりあえず、そんな感じで今は腹を満たすために動物なり魚なり捕って来ようかな。)

 

 そして、十徳ナイフを取り出し、大きく背伸びをして、森の中に歩いていった。

 

 

「・・・何か食えるものがあるなら良いけど」

 

 

 

 

 






次回は少しだけ時間が飛んだところから始まります。・・・多分。



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