最強vs最強の聖杯大戦 (三十)
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最強vs最強の聖杯大戦

思いつきで書いた。
今は反省している。


 

 ――ドゴォオン!

 

 裁定者(ルーラー)のサーヴァント、ジャンヌ・ダルクは轟音の元へと走っていた。

 彼女は『聖杯戦争の規模が計り知れない』時か『聖杯戦争によって世界に歪みが生じる』場合にのみ召喚されるエクストラクラスであり、中立の審判として現世に顕在した時から聖杯戦争の調査を行っていた。

 

 ――無辜の民に被害を出す訳にはいかない。

 

 彼女の持つ固有スキル《啓示》は警鐘を鳴らしていた。

 このままでは世界が滅ぶと。

 未曾有の大災害となると。

 一体何が原因だと言うのか分からない。だが自分のやるべきことは変わらない。

 

 ――聖杯戦争で巻き起こる悲劇を防がなければ。

 

 聖女は使命を果たすべく戦場へと向かっていた。

 そして戦場に辿り着き、そこで戦っているサーヴァントを見た時――

 

 ――聖女は自分が呼ばれた原因を理解した。

 

 

 黒の陣営の魔術師(キャスター)のサーヴァント、メディアは溜め息をついた。

 聖杯大戦。

 ユグドミレニアの魔術師の一族が協会に反旗を翻したことをきっかけに始まった七対七の聖杯戦争。聖杯の予備システムの起動により起きた二つの陣営に分かれ願望器を奪い合うチーム戦。既に聖杯を手にしている黒の陣営は聖杯を守りつつ魔術協会側のサーヴァント七騎を打倒しなければならない。

 だが実際のところ、彼女は自らの陣営が負けるようなことがあるとは思っていない。

 元々日本で召喚する予定だった男も急遽呼び出し既に全てのサーヴァントが揃っている。このメンバーで敗北を想像する方が難しいだろう。

 ふと弓を携えた巨躯の男をみる。

 生前からの知古としての贔屓目もあるだろうがそれを差し引いても彼は最強の大英雄だ。

 彼一人でも他七騎のサーヴァントを打ち取れるだろうに更に五騎も味方にいるのである。

 魔力に関しても問題はない。ユグドミレニアが用意したホムンクルスに加え神代の魔術師である彼女がバックアップを行うのである。高潔である彼は難色を示したが戦争終了後には彼等を解放することと人並みの人生を送れる程度に調整を行うことで手を打ってもらった。

 更にルーマニア中に使い魔で監視を行いサポートも万全。最早勝ったも同然である。

 そもそも各地で亜種聖杯戦争が行われ触媒の入手が困難になっている中、彼を召喚する触媒を手に入れたのも奇跡といっても良いだろうに、ましてや彼を上回る英雄を召喚するなど不可能に近い。

 故に何の不安もないはずなのだが……。

 

 ――この嫌な予感は何なのかしら……。

 

 使い魔が黄金のサーヴァント達を捉えた時、その予感があっていたと思い知る。

 

 

 赤の陣営の暗殺者(アサシン)のサーヴァント、セミラミスは頭を抱えていた。

 戦力に不満があると言うことではない。寧ろ彼等であれば自らの宝具が完成せずとも簡単に勝利を手にするだろう。

 神秘とは遡るほどに強くなる。ならば世界最古の英雄に比肩するものなど精々その友くらいだ。

 だが彼女との相性は最悪だった。

 彼の友を亡くす原因となった女神を連想させるのか彼女を毛嫌いし、場が険悪になる度にマスターのコトミネシロウが仲裁に入る。その繰り返しであった。

 もっとも最近は寧ろニヤニヤと笑いながらこちらを眺め、時折からかいの言葉をかけるようになりそれはそれで彼女を悩ませているのだが……。

 加えて聖杯戦争にもさほど乗り気でなく、我に相応しい英雄でなくば動く気はないと、挙げ句に我が最強だと小競り合いという名の戦争を行う始末。早々に単独行動を決めたセイバー組が正解だったかもしれない。

 最早自分のみでどうにかせねばと虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)の建造に急いでいたところ使い魔が得た情報により状況は一変する。

 神に列せられた彼の英雄なら我の獲物に相応しいと英雄王がやる気を出したのである。

 嬉々として飛び出していく彼等を見ながら不意に不安がよぎる。

 そう簡単に負けるとは思っていない。慢心しようと傲慢であろうと彼等は間違いなく最強の英霊だ。

 敵のサーヴァントを確認した時は絶句したがこちらも遅れをとることはないだろう。寧ろ彼等にやる気を出させてくれたことに感謝したいくらいだ。だが不安とはそういうことではなく……。

 

 ――人類を救済する前に世界が滅ぶのではないか?

 

 使い魔越しにその戦闘を眺めながら近い未来に思いを馳せた。

 

 

 サーヴァントは英霊の座にいる本体の一部の側面を切り取ったコピーである。仮にサーヴァントが倒されても座へと記録が持ち帰られるだけであり本体にこれといった影響を及ぼすことはない。サーヴァントはあくまでも分霊に過ぎないのだ。

 であれば適正を持つクラスが複数存在するならば同じ英霊が召喚されることは十分考えられる。

 とはいえ最も適したクラスというものは存在し、例えチーム戦であっても触媒を使い回すような事は有り得ないだろう。武に優れた英雄を魔術師として呼ぶくらいなら元々魔術師として名を馳せた英雄を呼ぶ方が強力に違いない。

 だが何事にも例外はある。

 どのクラスで呼んでも最強の英雄ならどのクラスで呼んでも問題ない。

 極論ではあるが真理でもある。

 

 ――こんな頭の悪そうな発想を両陣営が行っていたなど誰も想像出来なかっただろうが。

 

 

 

 

○黒の陣営

 

剣士:ヘラクレス

 

槍兵:ヘラクレス

 

弓兵:ヘラクレス

 

騎乗兵:ヘラクレス

 

狂戦士:ヘラクレス

 

暗殺者:ヘラクレス

 

魔術師:メディア

 

 

○赤の陣営

 

剣士:ギルガメッシュ

 

槍兵:ギルガメッシュ

 

弓兵:ギルガメッシュ

 

騎乗兵:ギルガメッシュ

 

狂戦士:ギルガメッシュ

 

暗殺者:セミラミス

 

魔術師:ギルガメッシュ

 

 

 

裁定者:ジャンヌ・ダルク




特に関係ないけど、SNでキャスター以外ヘラクレスで第八のサーヴァントとしてアベンジャー:アルケイデス乱入とか妄想してみたり。


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