魔法少女リリカルなのは~無限転生者の記憶~ (№78)
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ZEROMemory  始まりの記憶
Memory1 誕生


どうも、No78です

4作品目の投稿です。しかし、この作品は武器、技のクロスオーバーと

私の中二病成分満載なので苦手な人は読むことをおススメしません。

それでは、どうぞ。


 黒、ただただ真っ黒の空間・・・・・・・・・

何回、何千回、何万回と見てきた空間・・・・・・

 

「(またここに来たか・・・・・)」

 

 その空間に漂っている『僕』は疲れたように呟いた。

僕は身動ぎ一つしないが、僕の身体は水に流されているように、

真っ黒の空間の先にある白い光に向かって流れていた。

 

 

「(今度は、どんな世界なんだろうか・・・・・出来れば)」

 

 平和で明るい世界がいいな・・・・と呟くと同時に、僕は真っ黒の空間に出来た

白い光の中に消えていった

 

 

 

 

 

 瞼の隙間から光が差し込む・・・・眩しい

 

「(・・・・・・・・・・また、朝が来た)」

 

 やぁ、僕は・・・名前は無い、いや、名前はあった。しかし、この世界での名前はない。

僕は、ある種の呪いを持って生まれた。その呪いは・・・・・・・『無限転生』

『無限』の名前の通り、死んでも、また新しい世界で新しい身体で甦る。

僕は輪廻から外れた存在なのだ。

 別にこのことについてはどうと思っていない。

ただ・・・・・

 

「(何で、転生すると決まってネコ何だろう・・・・)」

 

 何故か基本形態がネコなのだ。色は黒。一応、ネコ形態から人型形態になれるけど

僕は断然ネコの身体がいい。

 

「(まぁ、他にもいろいろな能力があるし、気にしていないけど)」

 

 僕の持っている能力をまとめると

 

・変身能力(ネコ⇔人間・・・断然、ネコ派)

 

・念動話術能力(離れた相手との意識間会話能力のこと・・・使った経験数回)

 

・解読能力(異種族の文字、言葉を理解できる能力・・・勉強いらず)

 

・空間転移(離れた場所、または異空間に転移する能力・・・ほぼ逃走用)

 

・記憶継承(前の世界の記憶や経験を受け継ぎ、身体に覚えさせ本にして保存する・・・・

クリアデータを受け継いで再スタート?)

 

 

 の5つとなる。どれも、転生した世界に対応するためのものばかりでとても重宝する。

 

「(さて、また放浪ネコらしく色んなところに行こうかな)」

 

 そうして僕は、歩き始めた。

道の途中の標識には、

 

『海鳴市まであと1.2km』

 

 この後ついた街で僕は、数えるのも億劫になるほどの転生で初めて

この世界に留まっていたいと思う出会いに会った。

 だけど、それは同時に、これから起こる様々な事件に巻き込み、巻き込まれる事への

始まりであることに、僕は気付くはずも無く、標識の方向へ向かって歩き始めた。

 

 

 それが、戦いに塗れた茨の道であることに、

 

 でも、例え分かっていたとしても、僕は止まる気はない。

 

 茨の道を吹き飛ばし、地獄への道を捻じ曲げる。それが、僕が無限に転生する

理由のような気がするからだ。




後々、修正するかもです。


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Memory2 海鳴市

gdgdです。原作にはまだ入りませんが、少しだけある人物が出てきます。


 海鳴市に着いた。いや~、遠かった・・・・。

 

「(何が2.5kmだよ!明らかに5kmはあったぞ!)」

 

 文句を言いつつ(と言っても、周りからはただネコが鳴いているだけ)公園にやってきた。

 

「(日向ぼっこでもしよう・・・・・。あのベンチ、暖かそうだし・・・)」

 

 そう言って、僕は陽の光の当たるベンチの上で眠りについた。

 

 

 

 

 

 

「(おい・・・・・・・・)」

 

「(・・・・・・・・ん?・・・・・・・・・誰?)」

 

 突然、寝てるときに声をかけられた。

不機嫌そうに目をあけると・・・・・うわぁ・・いかにも『ボス』的なネコがいた。

 

「(何?)」

 

「(何?じゃねぇよ。ここは俺の領地だ。他所モンが勝手に入ってきていい場所じゃねえ。)」

 

 ・・・・見た目どおりの奴でした。でも、寝起きの僕は機嫌が悪い。無視しよう。

 

「(ふーん。あっそ)」

 

「(テメェ・・・・痛い目見ないと分からないようだな・・・・)」

 

 しょーもない殺気を垂らしながらボス的なネコが近づいてきた。

・・・・・・ちょっと脅かしてみようか

 

「・・・・・・・・・・・・(キッ)!!」

 

「(うひぃ・・・・・・・!?)」

 

 僕が目の前のネコに向けて殺気を含めて睨みつけるとネコは怯えて金縛りにあったように固まった。

 

「(・・・・・・ひい・・・・・お・・覚えてろーーーー!)」

 

 ボスネコは脇目も振らず逃げていった。と言うか

 

「(あんな在り来たりな捨て台詞を言いながら逃げる奴初めて見た・・・・・)」

 

 ともあれ、再びお昼寝タイム

 

 

 

「あっ!ネコ!」

 

「(ん?今度は誰?)」

 

 誰かが近づいてくる足音が聞こえたので、うっすら目を開けると

茶色い髪のツインテール少女が目の前でしゃがんでいた

ランドセルを背負っているところから小学生。恐らく、1,2年生くらいかな?

 

 

「な、撫でてもいいかな?」

 

 いやいや、ネコに話しかけるのはおかしいでしょ?まぁいいや

適当に「にゃ~」と鳴いておこう

 

「いいのかな・・・?じゃ、じゃあ撫でるよ?」

 

 恐る恐るといった感じで僕の頭に触れて撫で始めた。

 

「(ん?この子、どっかで会ったような・・・・・と言うより誰かと似ているような・・・・・)」

 

 まさか。僕と違う世界で会えるなんてありえない。

 

「君、野良猫?でも、綺麗な毛・・・・・(ナデナデ)」

 

「フニュゥ~~~~」

 

 ・・・・・・・・・・・・今まで何回も触られたけど、今回のは・・何というか、懐かしいというか、

不思議な感じがした。

 

 

5分ほど撫でると、少女は立ち上がり

 

「あっ、そろそろ帰らないと。じゃあね。」

 

 といって、走り去っていった。

 

「(ふぅ・・・・なんか久々に触られた・・・。あの子、また来るかな?)」

 

 少し、明日が楽しみ。



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Memory3 乱闘のち交通事故

gdgdです・・・・・

今回、少しだけ物語が進むかも・・・・?

と言っても、原作にはまだまだ入りませんが・・・・・・・


 次の日は・・・・・災難だった。

 

 僕は、昨日であった女の子に今日も会えるかな、と思いつつ今日は何をしようか考えていた。

 

「(あの子とここでまた会えるとは限らないし、この世界を知るために町を探検してみよう)」

 

 そう言うことで、僕は町の中心部に向かって歩き出した。

 

 

 町の中心部の人気のない裏道を歩いていると、

 

「(おい!昨日はよくもやってくれたな!)」

 

 昨日脅かした、ボスネコと会ってしまった。

かなり昨日のことが頭に来ているみたい。

メンドイ・・・・

 

「(何?文句を言いに来ただけなら帰ってくれないかな。僕は世界を知るのに忙しいんだ)」

 

「(テメェ・・・・もう許さん。二度とその生意気な口を聞けないようにしてやる・・・

おい、お前ら、やっちまえ)」

 

 すると、裏道のあちこちから子分のネコが現れた。数にして大体10匹くらい。

そして、一斉に襲い掛かってきた

 

「(はぁ・・・・痛いのは嫌なんだけどなぁ・・・・)」

 

 そう言って、全員を返り討ちにすることにした。

しかし、この乱闘騒ぎが僕のこの世界での生活を大きく変えるきっかけとなると言うことを

この時は知るはずなかった。

 

 

 時間にして約数分。

勝負は殆ど着いた感じになっていた。

 

「(くそっ・・・・よそ者のくせになんてデタラメな強さなんだ・・・)」

 

 子分が全員倒され、ボスネコと一対一で戦っていたが正直、弱すぎて相手にならない。

そりゃ・・・こっちは軽く見積もって1万以上生きているんだから経験や場数が違いすぎる。

 

「(どうする?降参するなら、攻撃しないけど?)」

 

「(ふざけるな!降参なんかするか!!)」

 

 といって、また攻撃しようと尖った爪を光らせながら飛び掛ってきた。

僕は、それを避け横から体当たりを食らわした

 

「(グッ・・・・くそ・・・)」

 

 この時、僕はこの乱闘はネコの視点から見れば本気の喧嘩だが、

人の視点から見るとただの野良猫同士の喧嘩で、迷惑なだけだという事に気付いていなかった、

 

「(もう一度・・ん?ゲッ!ヤバイ、おいお前ら起きろ、保健所のやつらが来たぞ、逃げろ!)」

 

 そう言うと、ボスネコとその子分はフラフラしながらも逃げていった。

 

「(ん?ほけんじょ?何だろう?)」

 

後ろを振り向くと、網を持った人が2,3人こっちにやってくるのが見えた。

 

「(これは・・・逃げよう。)」

 

 空間転移を使おうと思ったが、逃げ切るのは余裕だろうと思って走って逃げた。

 

「あっ!こら待てー!!」

 

「(待てといわれて待つ奴はいない!!)」

 

 僕は、人が入れないような細い道に入り、そのまま大きな通りに出たが・・・・・

 

 

 ドガンッ!!

 

 

 飛び出したせいで、車に跳ねられてしまった

 しかも、無意識のうちに受身を取ろうと人型になってしまい、強烈な痛みで意識を失った。

 

 

 

 



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Memory4 W.D.D.O

 前回

 転生し、世界の情報を知るために街中を移動していると先日、追い払ったボスネコが現れ、
ケンカが勃発。その後、保健所らしき職員から逃げている最中、事故に遭ってしまう。
 主人公が目を覚ますと・・・・・・・・・・・・・・


「う・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 痛みで目が覚めると、病院にいた。

いや・・・ここは病院じゃない。

 

「(違う世界かな?さっきいた世界には空中に浮かぶディスプレイなんて無かったし)」

 

 それにしては、いつもと目覚め方がちがうなー、と不思議に思っていると

 

「あら?目が覚めたようね。」

 

 扉が開き、銀色の髪をした超がつくほど美人な女性が入ってきた。

 

「驚いたわよ。いきなり逃げ出して挙句には車に跳ねられて、しかもネコから人になれるなんて。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 あれ?ほけんじょって言うところの人じゃなかったの?

 

「あなたも異世界人なのね。どこから来たの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 『も』?と言うことは、この人も・・・・いや違う、この人は転生者じゃない。

言葉通り、別次元から来たんだろう

 

「と、言うか。さすがにそこまで黙り込まれると結構悲しいんだけど、喋れるでしょ?」

 

「えっ?あっ・・・・・」

 

 今更だけど、人型のままだったという事に気がついた僕。

 

「すみません、人の身体は久しぶりなんで・・・・・」

 

「それにしても、あなた凄いわね。魔力の量が計測器を拭き振り切っちゃうなんて。」

 

「・・・・・・・・そうなんですか。あっ、それよりあなたは誰ですか、そしてここは?」

 

「そうね、まずは自己紹介ね。私はリーネ・アイリス。

ここの司令官でさっき言ったとおり、異世界人よ。

そしてここは、海鳴市の地下にある『世界次元防衛機構』通称『W.D.D.O』と言う組織の基地。

主に超常現象の研究や次元犯罪者の逮捕、ロストロギアの回収保管、

そしてこの世界の人々を次元犯罪から守るのが仕事よ」

 

「まさか・・・・管理局の支部か何かですか?」

 

 もし管理局絡みなら、僕はここを破壊してでも逃げなければ・・・・・

 

「安心して、違うわよ。あんな自分の欲求だけを追い求めてる奴らが組織している

ところと組まなきゃならないのよ」

 

 ・・・嘘は言ってなさそう。一応、信用してもいいかな?

 

「その証拠に、この組織にいる異世界人は私だけ、あとの職員はみんなこの世界の人よ。

実は、世間には知られてないけど裏では世界各国が認めているちゃんとした組織なの。」

 

 それが本当なら、物凄い特権や権限を有する組織という事になる。

こんな組織は簡単には作れない・・・・・

 

「どうしてこんな組織を?」

 

「え~っと、私がこっちの世界に引っ越してきたときにね、その・・・・何と言うか・・」

 

 リーネさんはバツが悪そうに、ポソポソ話し始めた

 

「うっかり向こうの技術を使っちゃって、で色々バレちゃって・・・・・・」

 

 今に至ると・・・結構省略されているけど気にしない。

 

「だいたい分かりました。」

 

「うん、じゃあ、今度はあなたの番ね。」

 

 さて、どうやって説明しようか・・・・・ 



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Memory5 自己紹介

前回

 事故に遭い、世界次元防衛機構、WDDOに拾われた主人公
そこの司令官、リーネ・アイリスの自己紹介を聞き、自分の自己紹介をはじめる
そして・・・・・・・・・・・


「僕は・・・・・・・クロヤです。下の名前やファミリーネームとかはありません。親もいません」

 

 これが一番まともな名前だと思う。僕の名前って番号とかコードネームが多かったし

 

「え?どういうこと?もしかして親が死んじゃったとかそんなのじゃないよね?」

 

「いいえ。僕は今は子供に見えますが、今まで生きてきた時間を足すと1万歳は超えます」

 

 リーネさんが唖然としている、着ていた白衣が肩からずり落ちるほど驚いたみたい。

 

「僕は『無限転生』という一種の能力と言うか呪いをもっています。その力は言葉通り、

無限に転生して様々な世界を生きる力です。」

 

「転生・・・・・輪廻転生とかそう言う類なのかな?」

 

「似たようなものですよ。ただ、それまで生きて見たり体験してきた世界の情報は

持ったままですし、力の副産物なのか分かりませんけど言語解析能力とか空間転移、

念動会話といった能力も持っています。」

 

「歩く無限書庫ね・・・・・忘れたりしないの?」

 

「忘れませんね。それに・・・・あれ?僕、本を持ってませんでした?」

 

 あれがないと非常に困る。

 

「これのこと?表紙は真っ黒、書いてある文字は殆ど解読できないし、これって?」

 

「そうそれ。これが僕の今までの記憶・・・・生きてきた世界で僕自身が体験してきたことを

纏めた本・・・『記憶の書』って呼んでますけど。」

 

 これが、僕が無限に転生していると言う証。

 

「日記とか歴史書とは違うのよね?」

 

「まぁ、僕が体験してきたことしか載りませんから・・・その時代その世界の技術や技の他に

僕が関わってきた人物、出来事とかが載ってますよ。」

 

「もう、これは無限書庫通り越してロストロギアね・・・・・」

 

 ロストロギアね・・・・あれに近い・・・のかな?

 

「まぁ、僕についてはざっとこんな感じです。もし、この話を誰かに話したり、

戦いの為に利用するなら、僕はここを破壊します。」

 

「絶対しないわ、約束する。ところで、クロヤ君はどうするの?」

 

「え?ネコの姿で野宿とかですけど?」

 

「ちょっ!それはダメ!いくら1万歳超えていようと、今は子供なんだから私が許さないわ!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっそうだ、いっそ私の養子になっちゃいなさい!」

 

 ええっ!う~ん・・・確かにこんなに美人な人が親というのもいいけどなぁー

 

「・・・・・・迷惑じゃありませんか?」

 

「全然!むしろ大歓迎!」

 

 ・・・・・・・・なら

 

「よろしくお願いします。リーネさん。」

 

「こちらこそ!よろしくクロヤ君!」

 

 と言うことで、僕はリーネさんの養子になることになりました。




次回

 リーネ・アイリスの養子となったクロヤ。
しかし、新しい生活に慣れ始めた頃、突然、クロヤの体に異常が・・・・・

Memory6 新たな真実


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Memory6 新たな真実

 前回

 リーネ・アイリスの養子となったクロヤ。
養子になって間もない頃、クロヤは突然、体に異変が起きる・・・・・
そして、もう一つの真実が明らかになる・・・・・・・・・


 家族になって一ヶ月、今は地上にある母さん・・・リーネさんの家で暮らしてます。

しかし、僕にはある問題が発生した。

 

「うっ・・・・・・・く、苦しい・・・・・いた・・・い」

 

 身体に締め付けるような痛みと息苦しさが襲ってきた。

 

「ど、どうしたの!?」

 

 母さんが慌てて僕に話しかけてきた。

 

「母さん・・・・た、多分、原因は・・・か、身体の中・・・・・今、すぐ・・基地・・に」

 

 母さんは僕を抱きかかえると、急いで基地に向かった。

 

 

 

『W.D.D.O』基地内メディカルセンター  

 リーネSIDE

 

 

「うそ・・・・なんで気付かなかったの・・・」

 

 私は、自分の不注意を呪った。

自分の子供の身体の管理すらまともにできないなんて・・・・・

 

『母さんのせいじゃないよ。僕がずっと隠してたんだから』

 

 クロヤがモニター越しに力なく笑っていた。

今、クロヤは隣の部屋のメディカルマシーンのカプセル内にいる。

クロヤが隠してきたこと・・・・・それはクロヤの内臓は機械が探知できないほど

精密に造られた人工内臓であること・・・・・ううん違う。

内臓から筋肉、骨に至るまで身体の殆どが改造されていると言うこと・・・・・・・・・

 

『ごめん母さん。僕の力に記憶の書があるでしょ、

あれって体験したこと全てを記録して僕に反映させるんだ、

だから今までで習得してきた技、覚えた技術、そして、身体の改造もね」

 

「・・・・・・・・・いつ、改造されたの・・・・・・・・・・」

 

『うーんと、この世界に来る2,3個前。僕の無駄に多い魔力に気付いた人たちが、

僕を拉致して改造したんだよ・・・・ NIS開発計画っていう計画の為にね』

 

「『NIS開発計画』?」

 

 ろくでもないものなのは確かね。

 

『高い魔力とか身体能力が高い子供を拉致して、機械とナノマシンを入れて改造するんだ。

そうするとそれに応じた体の機能が強化されるんだ。僕の他にも4人、被験者がいたよ』

 

「・・・・・・・・何よ、それって人が出来ることなの!?そんなの人のやることじゃない・・・・・!」

 

 人を人と思わない・・・・・そんなの許されるわけがない!

 

『大丈夫ですよ。その人たち、時空管理局によって捕まりましたから』

 

「えっ?そこって、管理世界?」

 

 そんな事件なら私も知っているはず・・・・・何で知らないの?

 

『知るはずもないよ。だって、僕たちがその人たちの基地を壊してデータを消して逃げたんですから』

 

 それほどの力を持っていたなんて・・・・一体、どれほどの改造をしたというのよ・・・

でも、何でそんな危険を冒してまで脱走を?

 

「何で管理局に保護されなかったの?少なくとも普通の暮らしは保障されるはずよ」

 

『・・・・・・・・彼ら、兵器としてはもう完成体だったんだよ・・・あとはいらない感情を消すだけの状態で。

そんな状態で捕まったら間違いなく戦力として使われてたし、

僕たちと同じような存在を生むかもしれないってみんなで判断したんですから。』

 

 『そんなことはない』って言い切りたいけど・・・出来ない・・・・

 

「身体の不調は・・・・何が原因なの?」

 

 強引に話を切り替え、不調の原因を探った。

 

『う~ん。多分、身体と機械とナノマシンの拒絶反応。僕は色々と違うからね。もう治らないよ。一生』

 

 そんなこと・・・・・ない

 

「・・・・・おす」

 

『え?』

 

「治す!治してあげるわ!絶対、絶対!だから・・・・だから治らない・・なんて言わないでよ・・・・・・」

 

 私の目からは涙があふれていた。同情したんじゃない・・・そんなつらいことを背負っていたクロヤに

気がつかなかった自分に腹が立って悔しかっただけ。

 

「もっと一緒に過ごしたいよ、だから治させて・・・・お願い」

 

『母さん・・・・僕ももっと母さんといたい!だから、お願いします!僕の身体、治してください!」

 

 ええ、もちろんよ!




 次回

 クロヤの体調が悪化して1週間が過ぎても、確実な治療法が見つからず
リーネは日に日に焦りを募らせていた。そんなある日、クロヤの希望で
1日だけ二人きりで過ごすことになったが・・・・・・・・・

Memory7 ヒント


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Memory7 ヒント

前回

 体内のナノマシンの不調により、体調が悪化してしまったクロヤ。
リーネはクロヤの治療法を探すが、一週間たっても完全な解決には至らず、
日に日に焦りを募らせていた・・・・・・・


僕の身体が悪化して一週間。

母さんは寝る間も惜しんで僕の身体の解析をしている。

 僕は今、基地の医務室で身体に負担をかけないように行動を制限されながら生活しています。

 

「母さん、無理しないでね。」

 

「うん。あと少しなんだよ・・・あと身体とナノマシンの拒絶反応をどうにかすれば解決なの・・・・

ごめんね時間かかっちゃって」

 

 かかってなんかいるもんか・・・

僕を改造した人たちですら諦めていた問題を一週間で殆ど解決しちゃったのに・・・・

 

「でも、今日はだめ。今日くらい休んで僕と一緒に居てほしいよ・・・・僕、寂しかったんだよ・・・」

 

「ごめんね。じゃあ、今日はずっと一緒に居てあげる。」

 

 今日は、うんと母さんに甘えよう・・・・

 

 リーネSIDE

 

 今日は、今までの疲れが吹き飛ぶような一日だった。

一日中ついてあげたお陰か、クロ君は安心したように眠っている。

 

「今日は休むって約束したんだし、私も寝ようかしら・・・」

 

 時計を見ると、もう午後九時・・・時間って経つの早いな・・・

 

「って、あら?いつの間に」

 

 いつの間にかクロ君が私の服を掴んでいた。

そっと、手を外しても、掴もうとまた掴んでくる

 

「ふふ・・・まるで磁石みたい」

 

 離してもくっついて来るS極とN極みたいに・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

 

「磁石・・・・?・・・・・・・・・・・・もしかしたら!」

 

 私は、クロ君の手を外すと、大急ぎで研究室に戻った。

 

 

「クロ君の身体とナノマシンが拒絶反応を示すのは、マシンの電気信号と身体の電気信号が

違うのと体内の成分にナノマシンが対応してないからだから・・・・・・

ということは、ナノマシンの電気信号を変換して、マシンの成分対応能力を底上げすれば・・・・・」

 

 やっと見つけた解決法・・・・・・と思ったけど、

 

「だめだわ・・・・・いくら電気信号を解析してもどうやって体中にあるマシンを直せばいいのよ・・・・

それに、能力を底上げしてもまた故障する・・・・」

 

 またループ思考に入ってしまった・・・・・

ナノマシンという、ミッドチルダでも未完成のものを入れたせいでこんなに苦しんでるのに・・・・・

いっそ、ナノマシンが身体から無くなればいいのに・・・・

 

「ん?なくなる・・・・・なくすのは無理だから・・・・・そうよ!

新しい身体にあったマシンを入れればいいのよ!今の技術なら出来る!

前のナノマシンは・・・・・磁石の要領で身体の一箇所に集めて取り除けば・・・・・・できる!」

 

 私は大急ぎで、プランを練った。

 

 

 

 

クロヤSIDE

 

 

「つまり・・・僕の身体のなかのナノマシンをそっくり丸ごと入れ替えるって事?」

 

「うん・・・・・・だから、少し手術をしないといけないんだけど、我慢できる?」

 

 朝起きると、母さんが解決方法が見つかったといって、その方法について聞いた。

そして、最終的な判断を僕に聞いてきた

 

「お願いします」

 

 即答しかない。

 

「じゃあ、準備するわね、それまで待っててね」

 

 母さんはそう言うと、部屋を出て行った。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかしたら、今まで生きてきた中で一番いいかも・・・・」

 

 

 

 それから一時間後、手術が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五ヶ月がたった。僕がこの世界に来てはや半年。

あの手術以来、身体の不調が嘘のように消え、前と変わらない生活を送っている。

ただし、改造によって得た異常な身体能力は新しいナノマシンを入れたあと

必要最低限の出力を残して二重の封印がされている。

どちらの封印も自分で解除できるが解除する必要はないし、解除する気もない。 

 

 そんなある日

 

「魔法かぁ・・・・・・」

 

「どうしたのクロ君?」

 

 クロ君・・母さんがつけた僕の呼び名。ネコみたい・・・実際ネコにもなれるけど。

 

「僕、魔法が使えないんだよ。」

 

「何で?リンカーコアはあったよ?」

 

「一応使えるんだよ?記憶の書の記録をロードすれば。あれはそう言う使い方もあるんだ。

でも・・・・使うと使った魔法の分の反動が来て痛いんだよ。」

 

「どういうこと?」

 

 僕は母さんに簡単に説明した。

まず、攻撃魔法を使うと使った後、威力の分のダメージが自分に来ること、

補助系魔法を使うと全身がマヒして動けなくなること

回復系魔法を使うと回復じゃなくダメージが自分に来ること。

 

 

「ちょっと調べてみるわ。」

 

 母さんが頭に手を置き魔方陣を展開した。

 

「調べるから動かないでね」

 

 少しの間、母さんは目を瞑っていた

そして、目を開けて結果を言った

 

「・・・・・・・・・・・・・・・分からないわ。でも、どうも魔力はあるのに濃度・・・かしら?それが薄いね。

・・・・・・多分、改造されたせいで魔力が機械に邪魔されて薄まっているんだと思うわ。」

 

「それって、つまり・・・・僕の魔力は水増しなだけってこと?」

 

「それは違うわ。魔力の量はクロ君自身のものだけど、濃度が薄いだけ。」

 

 量の多いけど味が薄いスープみたいな感じかな?

 

「でも、これは直接的な原因じゃないわ。」

 

「・・・・・・・・・まあいいや。今僕と母さんと一緒に開発しているものが完成すれば問題ないし。」

 

「そうね。完成を急ぎましょう。」

 

 




 リーネのお陰で、ナノマシンの不調が無くなり、普段の生活に戻れたクロヤ

そんな時、ふとクロヤにはある考えが浮かんだ・・・・・

次回 Memory8 少女との再会


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Memory8 少女との再会

 前回

 リーネのお陰で普段の生活に戻ったクロヤ。
リーネの養子となって半年、クロヤはある重要なことに気が付いた。



 半年たって、ある重要な問題に気付いた

 

「ねぇ母さん。この世界に『ぎむきょういく』って言うものがあるんでしょ?」

 

「ええ。一定年齢に達した子供は必ず学校に行かなければいけないっていうものよ。

それがどうしたの?」

 

「僕、行かなくてもいいの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 母さんは「しまった」という顔をしていた。

 

「あー・・・・忘れてたわ・・・。学年・・どうしようかしら」

 

 学年?どういうことかな

 

「何で学年なんか気にするの?」

 

「クロ君ってさ今何歳?」

 

「こっちに来たのが半年前だから・・・・・・・・・・0歳と六ヶ月、

実年齢だと・・・・1万2413・・・・・無理、だよね・・・・・」

 

「う~ん・・・・・・・・・・・・よし!私が何とかするわ。」

 

 何とかって一体母さんは何を考えてるんだろう・・・・・・

 

 

次の日

 

「クロ君、やったよ!お偉いさんがクロ君の戸籍、何とかするって!」

 

「え?本当に?早くない?」

 

 早すぎると思うなぁ・・・・・今までも身辺情報を何とかするのに苦労したんだけどなあ・・・・・

 

「何の何の、『色々バラされたくなかったら言うとおりにしてね』ってお願いしたら

快くオーケーだったよ!」

 

 震えるお偉いさん方の姿が目に浮かぶ・・・・・・・・・・・・・・

 

「それじゃあ、一週間後に学校ね」

 

「うん分かった。楽しみにしてるよ」

 

 

 一週間後・・・・・私立聖祥大附属小学校にて

 

「(・・・・・・学校か。何回目だろう・・・・。どうか楽しく過ごせますように)」

 

 僕はそう祈りつつ学校の中に入った

 

 

なのはSIDE

 

 高町なのはです。今日、私たちのクラスに転校生がやってくるらしいです

 

「なのは、聞いた、転校生の話?」

 

 考えていると喧嘩して仲良くなったばかりの私の友達、アリサ・バニングス、

アリサちゃんが話しかけてきました

 

「うん聞いたよ。どんな人なんだろ?」

 

「友達になれるような優しい人がいいですね」

 

 もう一人の同じ喧嘩していた場所に居て仲良くなった友達、月村すずか・・・すずかちゃんが

楽しみにしているような声で言ってきた

 

「席についてくださーい。HRを始めます」

 

 先生が入ってきたので、私たちは自分の席に戻りました

 

「えー、昨日お知らせしたように、今日、転校生がやってきます。

みなさん仲良くしてくださいね。それじゃ、クロヤ君入ってきてください」

 

 先生がそう言うと、一人の男の子が入ってきました

 

「えーっと、クロヤ・アイリスです。よろしくお願いします」

 

 そう言うと、ペコリとお辞儀をしました。が、外国人なのに結構、文化慣れしてるね・・・・・

 

「クロヤ君は・・・・・・高町さんの隣の席に座ってくださいね。」

 

「はい」

 

 クロヤ君は、そのまま隣の席に座りました

挨拶しておかないと

 

「始めまして、私は高町なのは。よろしくね」

 

「ッ!!あ、うん。これからよろしく」

 

 一瞬、クロヤ君は驚いたような気がしたけど、ちゃんと返事をしてくれた。

・・・・・仲良くなれるといいな

 

 

 

 




 クロヤは転生して初めて出会った少女・・・高町なのはと再会した。
向こうはそのことを知るはずもなく、クロヤは転入生としてなのは、アリサ、すずかたちと
仲良くなっていった。
 そんなある日、学校は夏休みに突入したため、クロヤは一番嫌いな読書感想文を済ますため
海鳴市の図書館を訪れるが・・・・・・

次回 Memory9 車椅子の少女


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LastMemory 車椅子の少女

前回

 なのはと再会し、なのはやすずか、アリサたちとも仲良くなっていったクロヤ
そんな時、学校が夏休みに突入したため、クロヤは一番嫌いな読書感想文を終わらすために
図書館に向かうが・・・・・・・


クロヤ・・・SIDE

 

「ふー・・・・・酷い目に遭った」

 

 授業が終わり、僕は今、屋上のベンチで寝そべっている。

少し時間も早いので屋上には誰もいない

 まさか、休み時間に囲まれて質問攻めに遭うとは・・・・・・

 

「(まぁ・・・嫌じゃないけどね・・・・・)」

 

 起き上がったとき、入り口から声がした。

 

「あれ?クロヤ君だっけ?」

 

「あ、高町さんと・・・・・・・そっちの二人は?」

 

 誰だっけ・・・・?

 

「自己紹介がまだだったわね。あたしはアリサ・バニングス」

 

「私は月村すずかです、よろしく」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。ところで、三人はここに何をしに?」

 

「お昼を食べに。いつも私たちは屋上で食べているの」

 

「そっか、じゃあ、僕はお邪魔かな?」

 

「あ、待って」

 

 邪魔しないように、教室に戻ろうとすると、高町さんに呼び止められた

 

「教室じゃ、お話できなかったでしょ?だから、色々聞かせてほしいな」

 

「う~ん、邪魔じゃないなら、いくらでも」

 

 

 その後、高町さんはなのはって呼んでほしいとのことでそう呼ぶようになり、

アリサさんとすずかさんも同じように下の名前で呼ぶようになった。

 

 

 

 

 

 

 そんな楽しい、学校生活なんだけど・・・・6月の後半に転校してきたのがいけなかったのか、

すぐに夏休みに入ってしまった。

別に夏休みが嫌いじゃないんだけど・・・・・・恐らく全世界の子供が嫌うであろう、

夏休みの宿題の最大の難関が待っていた

 

 

「何でどこの世界の学校でも『読書感想文』があるんだよー」

 

 そう、僕は報告書などの書類を書くのが大嫌いである。

あればっかりは何回の転生を重ねても好きになれない。

 

「文句言わないの。早めに片付けないとあとあと苦しいわよ。」

 

「そういう母さんは、どうだったの?」

 

「それは・・・・・私もよく最後まで残っちゃって苦しんでたわ・・・・・・(遠い目)」

 

 うん、母さんが苦しんでたんだ、早めに終わられちゃおう!

 

「早めに終わらせるために急いで図書館に行って本借りてくる!」

 

「うん、いってらっしゃい。」

 

 

 

 図書館にて

 

 

「どの本にしようかな・・・・」

 

 課題図書もいいけど・・・やっぱり自由図書かな

 

「別の本に・・・あれ?」

 

 本を戻そうとしたとき、向かいの棚で本を取ろうと苦労している車椅子の女の子が見えた

 

「(危ないな・・・・倒れるぞあれ)」

 

 案の定倒れた。僕は倒れた女の子の所に行って起こしてあげた

 

「大丈夫?」

 

「え?あ、ありがとうな、ついでで悪いんやけど、あの本をとってくれへんか?」

 

「この本?はい」

 

 本を取って渡してあげた。

 しかし、この女の子の話しかたは変わってるな・・・・訛りなのかな?

 

「ありがとうな。あっ、うちの名前は八神はやて。はやてでええよ。そっちの名前は?」

 

「僕はクロヤ・アイリス。クロヤでいいよ。ところで、はやては何をしにここへ?」

 

「うち、見ての通り足が不自由でな。両親はおらんし、家にいても暇なだけやから

ようここに来て本を読んでるんや。クロヤは?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ、ぼ、僕は、読書感想文の本を探しに来たんだ。

でも、なかなか良いのがなくて・・・・・・」

 

 このままじゃ、休みの最後の方に涙する羽目になる・・・・・

 

「そんなら、うちのおすすめの本を紹介してあげよか?」

 

「うん。お願い。それってどこにあるの?」

 

「ここじゃないから、案内してあげるわ」

 

 僕は車椅子を押しながら、はやての案内に沿って目的の本の場所に行った。

 

「その棚の・・・・・・そうそれ」

 

「『星の王子様』?童話みたいなもの?」

 

「ちゃうちゃう。恋愛モノなんやけど・・・・少し悲しいけど最後はハッピーエンドな感じの本や。

うち的には好きなんやけどな」

 

「恋愛モノか・・・・・。うん、はやてが薦めてくれたんだしこれにしてみるよ」

 

 

 僕たちは、エントランスの受付で本の貸し出しを済ませて一息ついていた。

 

「意外にあっさり決まっちゃったし・・・どうしようかな」

 

「なら・・・・・・・・うちとお話せえへんか。こんな状態やから話し相手もえんくてな」

 

 寂しいだろうな・・・・。そんな経験は僕にもあるからよく分かる

 

「もちろん、喜んで!」

 

「ほんとにありがとうな!そなら・・・何から話そうか・・・・・・・・・」

 

 

 僕たちは1,2時間ほど色々なことを話した。

といっても、僕は今まで生きてきた世界のことを織り交ぜながらだったけど・・・・・・

 

「あ・・・・もうこんな時間だ。時間って経つの早いな・・・・、じゃあねはやて。

毎日は無理だけど週に3,4回は来るよ。その時、またお話しよう」

 

「うん、楽しみに待っとるよ。ほな、おおきになクロヤ!」

 

 また一人、この世界での友達が増えました。一段と楽しくなってきたなぁ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても・・・・・・・・・・・・・・・

 

「はやての脚に纏わり付いていた黒い魔力・・・・・・・・『夜天の書』と似てるけど違う・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・何なのだろう?」

 

 ちょっとした不安が僕の中に残った。

 

 

 

 

 

 

 

 




 無限転生者との邂逅により少女たちの運命の歯車は回りだした
この邂逅が彼女たちの運命にどのような影響を与えるのか・・・・

 悲しみを負った少女が魔法と出会う時、母の願いを背負った少女が降り立つ時、

無限転生者が少女たちの前に現れる


次回 新章 FirstMemory 白と金と無限転生者の記憶

Memory1 新装備『MMA』前編


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FirstMemory 白と金と無限転生者の記憶 
Memory1 新装備『MMA』前編


 新章始まります。

最初の3,4話はクロヤが所属するWDDOでの話です。

説明会なので読みにくいです。後に、出てくる言葉や武器の纏めの話を作ります。


 僕がこの世界に来て3年が経ちました

僕はいつもと変わらず楽しく暮らしてます。

 変わったところといえば・・・・・・

 

 まず、一年生の夏に出会ったはやてをなのは達に紹介して会ってもらったらすぐに打ち解けて、

今では、よく遊びに行く仲になっているということ。

 

 後は・・・・僕は二年生の途中、母さんが司令を務める『世界次元防衛機構(W.D.D.O)』の

特別隊員になったことぐらいかな

 入隊した理由はたった一つ

 

 

『この世界や友達を守りたい』

 

 

 母さんは最初は反対したが、僕の願いに最後には折れた。

但し、条件として僕の安全や部隊の装備強化のため、『記憶の書』を貸してほしいとの事。

『記憶の書』は僕を介してなおかつ、魔力をページごとに一定量与えないと読めないので、

僕も一緒に立ち会って今までの武器、デバイスの情報を探した。

 

 

 僕が入隊して一年、

 

「おっ?クロヤ君じゃないか、リーネさんのお手伝いかい?」

 

 『W.D.D.O』の通路を歩いていると後ろから、がっちりした体格の男の人に話しかけられた

 

「あ、新島さん。」

 

 新島俊一(にいじましゅんいち)さん。

僕が所属する『W.D.D.O』の行動部隊、通称『第1斑』の隊長です。階級は大尉

 部隊は全部で2つあって簡単に説明すると、

 

 第1班は犯罪者の逮捕や追放、ロストロギアの回収、魔法系の危険物の処理を担当

 

 第2班は事件後の処理やロストロギアの保管、解析や、新装備の開発を担当

 

といった感じで、1班は10+1(僕)11で人、2班は15人で構成されている

(但し、2班は3人オペレーターが別にいるので実質18人)

 世界中から集められた人たちでWDDOは構成されているため、どの班も人種は様々

 

 

「母さんが1,2班みんなを大会議室に集めてって言われてきたんです。」

 

「というと、新しい武装が完成したみたいだな。分かった、すぐに部隊のみんなを呼ぶよ。」

 

「お願いしまーす。じゃ、僕は先に行って待ってます」

 

 僕は新島さんと別れて大会議室に向かった。

 

 

 

 大会議室に着いて5分ぐらい経つと、ぞろぞろと部隊のみんなが集まってきました。

大会議室は司会者を真ん中に、ぐるりと周りを囲む階段状になっているので、

背の小さい僕でもしっかりと見ることが出来る。コロッセウムを想像すると分かりやすいかな?

 みんなが集まり終えたくらいに

 

「はーい、皆さん集まりましたか?今から、新武装の発表と解説を行いまーす!」

 

 母さんが現れて楽しそうに宣言しました。

 

「今回、何と!今までの装備一式を丸ごと変えちゃいます!」

 

 新武装の詳細を聞かされていないみんなは、かなり驚いているみたい。

僕は、一応、開発と設計に少し関わったのでだいたい分かる。

 

「はーい、お静かに!それで、今回の新武装は私のいた世界『ミッドチルダ』で使われている

デバイスという一種の魔法武器を参考に開発しました。

名前は『マジカルマシーナリーアーマー』略して『MMA』です!」

 

 といって、母さんは携帯ほどの大きさをした四角い物が付いた腕輪を見せた。

 

「それでは、この武装の解説に移ります。この武装は『アーマー・オン』の掛け声で展開します。

では、私が装着します。『アーマー・オン』!」

 

 すると、母さんが一瞬光に包まれた。光が収まると、アーマーを装着した母さんが出てきた。

 

 姿の説明すると、胴体、肘から手首、肩、足全部に真っ白の装甲が装着されていて、

装甲のない肘から上、手は黒いボディスーツで覆われていて背中と足にスラスターが着いている

 

「この通りです。重そうに見えますがみんながいつも着ている服と殆ど変わらない重さです。

 次に機能の説明に入ります。このアーマーは地上戦を得意とします。

一応、背中と足のスラスターで飛行も可能ですが、あまり速く長くは飛べません。

しかし、地上の戦闘では一変します。

 まず、足の裏の装甲に埋め込まれた『グライディング・ホイール』で自在に動けて

踝の辺りについている『ターン・ピック』を打ち込んで急速ターンが可能です。」

 

 そう言って、母さんが動いたり、急速ターンを見せたりしています。

みんなは驚きっぱなしです。

 

「次に性能です。このアーマーはこの世界に存在する銃弾は効果がありません。

また、爆発の衝撃波や破片を目に見えませんが、ある程度防ぐシールドが常に張られています。

 でも、過信はしないでください。攻撃を受け続ければ壊れますし、強すぎる衝撃波や破片は

防ぎきれず貫通してしまいます。」

 

 この辺りは、時空管理局の魔導士のバリアジャケットと同じかな?

バリアジャケットの発想に装甲を付けた、こっちの世界の人の為のパワードスーツ

言うなれば・・・魔導装甲ってところかな?

 

「他に注意する点は・・・・・・特にありません。では、次に基本武装の解説に入ります。」

 

 説明はそろそろ終わりに近づいてきました。




後編に続きます。

感想、よろしくお願いします。

次回予告は説明会が終わり次第、再会します


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Memory2 新装備『MMA』後編

続きです。


「はーい、では『MMA』の基本武装の説明に入ります。

基本武装はこの『ヘビィマシンガン』と『ブレード』です。

あと、両腕の装甲にはエネルギーシールド発生装置が組み込まれています。

これは敵の攻撃を防ぐためのものです。」

 

と言って母さんは、腰の鞘に納まっている剣と弾倉が四角く、銃の側面に付いているのが特徴的な

一丁のマシンガンを見せた。

 

「この武装は見た目どおりの武器ですが、この世界の武器と最も違う点は、

この武装の弾丸、アーマーの動力源が『魔力』だと言うことです。」

 

 動力源が魔力だと知ってみんなは驚いているようです。今日一番の驚きようです。

すると、近くにいた新島さんが手を挙げました。

 

「司令!質問があります。」

 

「んー、その呼び名、嫌なんだけどなー。まぁいいや、はい。何ですか新島さん?」

 

「すみません、では、リーネさん。貴方は先程、動力源は魔力だと仰いましたね?」

 

「はい。そうですが?」

 

「私たち、こちらの世界はリーネさんたちの世界とは違って魔法というものがありません。

だから魔力自体がないと思うのですが?」

 

 あー、それはよくある勘違いなんだよねー

 

「確かに、この世界の人たちは魔法を使えません。しかし、魔力がないというのは間違いです。

どんな生き物であっても魔力を持っています。

 向こうの世界の大前提『リンカーコアは個人によって有無がある』

それをこっちに来てからの研究で覆すことが出来ました。

 リンカーコアは魔力の結晶体であることが分かりました。

リンカーコアの有無は、自身の魔力を結晶化できるか出来ないかの差なのです。

だから『MMA』にはみんなから出ている微弱な魔力を大幅に増幅、変換し、

コアを形成する機関が組み込まれています。」

 

 これが、母さんが一番苦労した部分であり、最も凄い発明『リンカーコア形成機構』である。

 

 詳しく言うと、胸の真ん中あたりにこの機構が埋め込まれていて、

それに体から出る微弱な魔力を取り込み、増幅、変換し、リンカーコアを形成して

アーマー維持やエネルギーシールド、スラスターやGH(グライディングホイール)に供給される仕組み。

 武装については、ブレードは柄の部分を握った時、流れ込んできた魔力を刃に纏わせる

ヘビィマシンガンはトリガーを引いたときに流れる魔力を側面に付いているマガジンと見せかけた

増幅変換機構に取り込み、銃弾の形に変換して発射すると言った感じ。

 ブレードについている機構は取替え不要だけど、マシンガンだけは連続使用すると

オーバーヒートを起してしまい、交換が必要になる。

交換用のは両腰に一つずつしかないため、気をつけないといけない。

 ブレードに関しては普通の剣に魔力を纏わせ切れ味を上げているといった代物で、

機構がオンオフを切り替えられ、オフの状態では普通の剣だから相手を殺傷してしまう。

 

「と言う感じです。ちなみに、今説明したのは第1班の装備で、第2班には『MMA』じゃなくて

情報処理能力をアップさせるバイザーを支給するわ。

 2班のバイザーを簡単に説明すると、バイザーを掛けると情報処理と並行して状況に対する

最も有効な方法を自動解析して提示するという感じよ。

 だから、今まで見たいに情報を聞いて、分析すると言った作業が無くなって、情報を聞いて、

バイザーが自動で解析して最も効果的な手段を提示し、それを伝えるだけになります。

 これで、新武装の説明は終わりです。この後、第1班はクロ君と第2班は私と、

実際に練習してみてください。それでは、1班は仮想訓練室、

2班は情報処理室に集合してください。では、解散!」

 

 さて、僕も行こうかな・・・・・・

 

「クロ君、ちょっと来て。」

 

「え、はーい」

 

 僕は母さんに呼び止められ、母さんに付いて行った。

そして、母さんの部屋に連れて行かれた。

 

「はい。これ、クロ君専用の『MMA』」

 

「あ、え?何で?」

 

「クロ君は半端ない量の魔力を持っているし、コアもあるから変換機だけでいいでしょ?」

 

「なるほど・・・・ありがとう母さん。じゃあ、僕は訓練室に行ってくるね。」

 

「いってらっしゃい。でも、訓練だからって気を抜いちゃだめだよ。」

 

 母さんの言葉を背に、僕は訓練室に急いだ。

 

 

 




 説明会と前準備はあと2話で終わりです。

感想、よろしくお願いします。


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Memory3 訓練

 めっちゃ読みにくいです・・・・・

この話は飛ばしてもいいくらいです・・・・・


 仮想訓練室にやってくると、みんな整列して待っていた。

僕が来たのが分かると、新島さんが号令をかけた。

 

「気をつけ!これから新武装『MMA』の訓練を始める。講師はクロヤ曹長にお任せする」

 

「皆さん、揃ってますか?では、今から『MMA』の訓練を始めたいと思います。お願いします」

 

「「「お願いします!!」」」

 

 さて、じゃあ、まずは・・・・・・

 

「それでは皆さん、『MMA』を起動してください。」

 

「「「アーマーオン!」」」

 

 みんなはキーワードを言ってMMAを装備した

 

「あれ?こんなヘルメットあったか?」

 

「というか、色が違う?」

 

「なんかリーネさんのと違うような・・・・?」

 

 ああ、説明してませんでしたね

 

「あ、母さんのはヘルメットを装備してなかっただけです。色は自分で変更できるので、

訓練のあとやってみてください。

このヘルメットなんですけど。原案はこの世界の戦闘機の物で、右耳側に手を添えて時計回りに回すと・・・・このようにバイザーが降ります。」

 

 みんなは『おおー』と言った感じで、バイザーを上げたり降ろしたりしている

 

「バイザーはどうやって起動するのですか?」

 

「バイザーは降ろした瞬間に起動します。映る映像は肉眼で見たものと全く変わりません。

機能なんですが、まず、視界右上の四角い枠はレーダー画面です。

青い点は味方で、今は無いですが敵は赤い点で表示されます。

それと敵をロックオンしたりすることも出来ますし、ロックオンした敵が視界から消えても、

視界の下に細長い矢印で表示されます。

それと、敵からの攻撃は上下左右の画面端が黄~赤の順に変わります。

黄色はロックオン、赤は攻撃が来たことを表します。とこんな感じです。

ゲーム画面だと思ってくれればいいです。」

 

 と言っても、本当に元のアイディアはゲームなんだけどね・・・・・・・・

 

「さて、ヘルメット・・・正式には『HUD(ヘッドアップディスプレイ)』の説明は以上です。次は基本中の基本、移動をします。

その前に・・・・・仮想訓練室を・・・・・場所は、広い、屋外にセット。」

 

 空中にコントロールパネルを呼び出して操作をすると、無機質だった部屋が、広い屋外になった

この仮想訓練室は、パネルを操作することによって様々な場所をホログラムで再現できる特殊な部屋で、母さんが最も苦労したトコでもある

 

「では、移動の説明をします。このMMAは母さんがいた世界『ミッドチルダ』の魔道師の飛行魔法の方法と全く同じなんです。

移動するにはイメージすることが必要です。イメージの例ですが・・・・・車を思い出してください。アクセルを踏むと前に行きますよね。

その時感じる前に行くって言う感触をイメージするというのがあります。イメージは皆さんが一番イメージしやすいものを見つけてください。

じゃあ、1時間、移動の練習を各自行ってください。1時間後、テストを行います。では、始め。」

 

 さて、じっくり待とうかな。

 

 

1時間後

 

「さて、皆さん集合してくださーい。今から、テストをします。

セットさせたコースを一周してきてください。えっと・・・・場所を、レース場と障害物を組み合わせて・・・

っと、よし。では、位置について・・・よーい、スタート!」

 

みんな一斉に走り出した・・・・・・とはいかず、一番早い人で自転車くらい、遅いと歩くくらいの速度になっている。

うーん、これに慣れるには時間が掛かりそう。

 

「(これから訓練漬けの毎日だなぁ・・・・・・)」

 

 

 

 

 

 



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Memory4 改造

 兵器のクロスオーバーです。

マニアックなところもあるので・・・・


ある日、いつものようにDGの訓練室で大分慣れてきた1班に人たちと訓練をしていると

 

『お知らせでーす。MMAの追加装備及び、改造パーツ『WT(ウェポンチップ)』と

AT(アーマーチップ)』が販売されるようになりました。

お求めの人は、開発室近くの配給スペースまで』

 

 と言うことは、やっと自由改造が出来るようになったのかな?

 

「なぁクロヤ君。さっきの放送ってどういうことなのだ?」

 

 新島さんが聞いてきた。そっか、説明してないもんね。

 

「えっと、待機状態MMAで四角い部分があるでしょ?

そこをスライドさせると内部が見えるはずです。」

 

「こう、か・・・・おっ、開いた。中に差込口が5つ並んでるが?」

 

「今は2つ埋まっていますが、その差込口にさっき言っていたチップを入れると、

入れたチップの武器や追加装備が付くんです。」

 

「へぇ~。ところで、武器って5つが限界なのか?」

 

「一応、差込口を1つ使って増設も出来ますけど、それだと重量も増えるし消費魔力も増えるので

お勧めできませんね。」

 

「そっか、3つか4つが妥当だな。よっし、行くか。おーい、訓練中断。行くぞ。」

 

 僕たちは販売スペースに向かった。

 

 

「いらっしゃい、色んな武器とか追加アーマーあるから見てってねー」

 

 配給スペースに来ると、一番驚いたのはパーツの種類の多さである。

武器に関しては拳銃から大きなものはバスーカ、ハンドミサイルランチャーなんて物まであるし、

近接武器にはパイルバンカー、ダガー、手裏剣まであった。

 追加装備に関しては、脚部小型ブースター、煙幕装置、狙撃スコープなどなど・・・・

 

「凄いな、現代兵器から見たことのないものまである・・・・・

これの一部はクロヤ君の記憶を読み取って造られたものなのか?」

 

「はい。といっても、あるのは威力が異常に高い武器以外ですが。」

 

「威力が異常に高い武器?どんなものなんだ?」

 

「例えば、戦艦を貫通するレーザー砲とか、直径100km級のクレーターが出来る熱線照射機

という感じの武器ですね」

 

「それはもう戦略兵器じゃないか・・・・。そんなものが必要にならないことを願うばかりだな。」

 

「・・・・・・はい」

 

 なぜ、新島さんが僕のことを知っているかというと、

母さんに一番信頼している人になら話してもいいと言ったところ、

その条件に当てはまったのが新島さんだったというわけ。

 

「・・・・よし、この話は止め。第一、そんなものを使わせるような状況にならないように

俺たちが頑張ればいいだしな。」

 

「そうですね。僕としても、今までの地獄をみんなには味あわせたくないですし。」

 

 そんなことにならないためにも、思いっ切り改造しようかな・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、

 

「新島さん、改造したんですか?」

 

「ああ。ランチャーを外して、脚部小型ブースターと脱着式腰部小型バルカン砲を着けてみた。

それと、マシンガンはバレルを短く切り落としたタイプⅡに変更したのと、

接近用にパイルバンカーをつけたな。あと、カラーは迷彩柄にした」

 

「へぇ・・取り回しを良くしつつ火力アップですか。うまいアイディアですね。色はやっぱり?」

 

「まあな。自衛官だったころの名残だな。

しかし、他の隊員には武器を一新してバズーカやら二丁拳銃、大きいのになるとガトリング砲まで

装備しているものいるし、凄い奴は、射撃一筋にしたのもいる。

全く、自分の魔力をいくら増幅しているとはいえ、困ったものだ。」

 

「一応、全部の武器にはリミッターがあるので魔力がなくなって倒れる事は無いと思いますけどね」 

 

 僕のには無いけど・・・・・というより外した。

 

「クロヤ君はどんなのなんだい?」

 

「僕は・・・・ランチャーを脱着式6連肩部ランチャーに変えて、

小型ブースターと肩に取り付けるブレードタイプのレーダーレンジブースターを装備、

あと増設して腕部内蔵型ガトリング砲と連結式ブレードと増えた重量を支えるために出力アップ用の

ジェネレーターを追加といったところです。」

 

「物凄い火力重視だな・・・・・でもそれだとクセが強くて上手く動けなくなるんじゃないか?」

 

「そこは・・・・まあ慣れですね。ちなみに重量なんか初期と比べて2倍近くなってますけど、

その分基本性能は3倍くらいに跳ね上がってます」

 

「そうか・・・・・・・・・。でも、無理はするなよ。」

 

「無理は・・・・・・・基本しないように心がけます。」

 

 もっとも、この世界とみんなを守るためなら何だってするけど・・・・・・

 

「カラーは?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全身黒で右肩が紅い色をしています。」

 

「・・・・・・・・禍々しいというか不気味というか、とにかく始めに出てくる言葉は『恐怖』だな」

 

 そうだよね・・・・・・

 

 これはベース機となった『スコープドッグ』が使われている『ギルガメス』に存在した

極悪非道の部隊『RS(レッドショルダー)』のマーキングである。

だけど、僕はこのマーキングをあえて使った。

カラーには『この世界やみんなを守るためには悪魔にも死神にもなる』と言う意味を込めている。

そして同時に、これは僕の決意の現れである。

 




 作者は、サンライズ作品好きです

特に、装甲騎兵と機動戦士が大好きです。(他も好きですが)

最後に出てきた『RS』ですが、装甲騎兵中で二番目に好きな部隊です(一番はバーコフ分隊)

なんだかんだで、クロヤたちの使用する武装は作者の趣味がばっちり反映された物ですので

今後も。作者の趣味が全開になります。ご注意を


次回は、MMAのまとめです。次回で、説明会が終わり、原作に入ります。


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OtheMemory MMAについて

マジカルマシーナリーアーマ(MMA)

 

リーネ・アイリスがクロヤの持っていた『記憶の書』の中の記録を読み取って開発した魔導装甲

読み取った記録は

 

『アストラギウス銀河』呼ばれる銀河で『ギルガメス』と『バララント』によって行われていた

『百年戦争』と呼ばれる戦争の末期に開発された

AT(アーマードトルーパー)と言う人型兵器の一つで『ギルガメス』の方の主力AT

 

『ATM-09-ST スコープドッグ』(原作名 装甲騎兵ボトムズ)

 

別次元の地球で開発された『MS(モビルスーツ)』と呼ばれる人型兵器(陣営問わず)

(原作名 機動戦士ガンダムシリーズ)

 

であり、スコープドッグをベースにしてMSの武器、推進機器類を搭載させ、

魔導士のバリアジャケットの発想を組み合わせた

まさに世界を超えたハイブリットパワードスーツである。(原作の詳しい情報はウィキで)

 

 HMD(ヘッドマウントディスプレイ)はこちらの地球の戦闘機のパイロットヘルメットを元にしており

ヘルメット内部の表示は分かりやすさ、覚えやすさを考慮しTVゲームの表示を採用している。

 スコープドッグの特徴的機能であるGH(グライディングホイール)はベース機とは異なり、

使用時の場所を選ばない(地上のみ)が、飛行魔法を行うような感覚的技術が

必要となってしまい、魔法を行使できないWDDO隊員には扱いが難しく、

相当の訓練必要になってしまった

 

 平均速度は時速65~80km、最大速度は時速110km

 

 魔力消費による戦闘不能状態の回避のために『セーフティーロック』がある。

装備者の魔力が危険域まで消費されると発動、MMAを強制解除する。

 

 

 

WT(ウェポンチップ)

 

・MMAの強化チップの一つで、武装データが入っている

MMAの待機状態である腕輪の時、四角い部分を開けて、中にある差込口に差し込むと

チップに入っている武装データがMMAにインストールされて使用可能にある。

チップを抜き取るとMMAにインストールされた武装データは消える。

インストールする武装によって消費される魔力が違うため、自身の魔力に合った武装を選ばないと

MMAの魔力消費による気絶や怪我を防ぐ『セーフティーロック』が発動して、

MMAが解除されてしまうため、注意が必要。

 

 

 

 

AT(アーマーチップ)

 

・MMAの強化チップの一つで、MMAに付加機能を与えるデータが入っている

WTと同じように差込口に差し込むと付加機能を与える装備のデータがインストールされる。

使用方法はWTと変わらないが、MMAの性能や機能に作用するものなので、

インストールするデータによって自身のMMAの特性が変わってしまうため、

慎重に選んで装備しないといけない

 

 

基本武装

 

『ヘビィマシンガン』

 

・ベース機『スコープドッグ』の武装の一つ。

四角いマガジン(MMAでは変換機)が側面に付いているのが特徴

銃口の下にグレネードランチャーが付いている。

MMAでは銃弾、グレネードは魔力で精製される。

ストックとバレルを切り詰め、取り回しを良くした『ヘビイマシンガンⅡ』もある

(元の名前はヘビィマシンガン改)

 

『ブレード』

 

・MSの中でも、陸戦型機に多く採用されていた『ヒートソード』のMMA版

刃に魔力を纏わせることで切れ味を格段に上昇させることができる。

機構のオンオフで実体剣としての使用も可能

 

 基本的にブレードの機構オフ状態を除いて、常時非殺傷設定がされている。

しかし、クロヤのみ設定変更が出来る。




 


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Memory5 夢の狂気と謎の念話

 クロヤが転生して早3年。
クロヤはWDDOに所属しつつも、なのは達と楽しく平和に過ごしていた。
しかし、そんな平和な生活に影が差し始めた・・・・


 休日が明ける前日の夜、僕は妙な夢を見た。

 

「(は?何ここ・・・・・・こんな世界は来たことが無い・・・・どこ?)」

 

 見渡す限り火の海。始めに思いついたのは、一世紀近く戦争をしていた世界だったが

そことは雰囲気が違う。

かといって隕石を人為的に落としたわけでもなさそう。

 

「(どっちかというと・・・・・・これは・・・・・・・・・・次元崩壊によるものが一番近いな)」

 

 するとその火の海の中に誰か立っているのに気がついた。

シルエットからして男の子・・・・だろうか?ただ、見るからに異常だった。何故なら

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハハハ!戦え!!憎め!殺せ!壊せ!戦いこそ俺の全て!

ハハハハハハハハハハッ!!!」

 

 

 

 

 

 嗤っていた。それだけでない、姿がやけに

 

「(僕に似ている。違いは目の色と髪の色と身体に入った紅いラインくらいか・・・・・)」

 

 でも、あれは僕じゃない。そう断言できる。

確かに一時期、転生のたびに戦火に巻き込まれ戦わせられるのに自棄になっていたこともあったが

あそこまで狂ってはいなかった。

 すると、嗤っていた少年が、嗤い疲れたのか、嗤うのをやめた。

 

「アハハハハハ・・・・ハァ・・・・・。これ以上は大きくならなそうだな・・・・なら、

 

もうこんな世界に用は無い。」

 

 と言って、ニヤリと笑った

 

「今度はどの世界を壊そうかな・・・・・・・・・・・」

 

 と言って、身体が光り、消えた。だが、僕は見逃さなかった。

なぜなら

 

「(僕を・・・・・・見ていた・・・・・・・・!)」

 

 消える一瞬だけだが、はっきりと僕を見ていた!

それだけじゃない、

 

「(あの光は・・・・・・それに、あの狂った考え・・・まさか・・・・・・・)」

 

 あいつ・・・・・・なのか?

 

 僕の心に、不安の種が増えた。

でも、どんなやつが来ても、僕はこの世界を守る。

と言う決意だけは忘れないように心に刻んだ。

 

 次の日、夢のせいであまりよく眠れなかった。

でも、昨日の夢のことははっきりと覚えている。

 母さんと一緒に朝食を食べている時、おもむろに聞いてみた。

 

「ねえ、母さん。ここ最近、この町とか世界に変わったことってなかった?」

 

「え?そうね・・・・・大きな変化ないけど・・・・この町は昨日のあたりから状態が変だわ。」

 

「!!どんな?」

 

「大気中の魔力濃度が少し濃くなって不安定なの。微弱だから大事にはならないと思うけど。」

 

 普段なら気にしないけど今はとても心配だ。

ますます、昨日の夢が現実になっていく気がする。

 

「どうしたの?」

 

「・・・・・実は・・・・・・・・・・」

 

 僕は母さんに昨日の夢(かどうかも怪しいが)を話した。

母さんは難しい顔をして何かを考えているようだった。

 

「・・・・・・警戒レベルを引き上げた方が良いかもしれないわ。

とにかく、何かあれば連絡するけど、出来るだけ私や1,2班の人たちで処理するから

クロ君はなるべくいつも通りの生活をしてね。」

 

「・・・・・うん。」

 

 話を止め、ふと、時計を見たら

 

「あっ、しまった!こんな時間!遅刻しちゃう・・・・・・・・・いってきます!」

 

「気をつけてね!いってらっしゃい」

 

 僕は学校に急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、・・・ま・・・・・間に合った・・・・・・・・・」

 

 全力疾走して何とか遅刻ギリギリの時間に教室に入ることが出来た。

 

「大丈夫ですか?すごい汗ですけど・・・・・」

 

「珍しいわね。あんたがギリギリの時間に来るなんて。」

 

「週末いろいろあって疲れたんだ・・・・・しかも昨日の夜、変な夢を見て寝不足なんだよ・・・・・・」

 

 週末の色々は・・・・W.D.D.Oことだけど、秘守義務があるため話せない。

夢は母さんに説明したあのこと。

 

「ど、どんな夢だったの!?」

 

 なのはが驚いたように聞いてきた。

 

「変な内容だったんだけど・・・・あんまり覚えてなくて。なのはも何か変な夢でも見たの?」

 

「えっ?う、うん。わたしも変な夢を見ちゃって・・・・・・」

 

 ・・・・・よくないな。魔法要素を持つなのはにまで同じような夢が見えているのならば、

本格的に不味い。違う夢だと思いたい、願いたい。

 

 その後、授業が始まったが、なのははどうも上の空だったり、ぼんやりとしていることが多く

時折、周りをきょろきょろとすることもあった。

やっぱり、なのはも聞こえているみたい。

 

《ーーーーーーーーーーーーーーーーーー》

 

 断続的に聞こえるこの念話が・・・・・・

 

「(誰?この声の主は?何のために話しているんだ?)」

 

 不安の影が大きくなってきた。

 

 そんな状態だったので、僕となのはは授業があまり耳に入っておらず、

先生に立たされることになったのは言うまでもない。

 

 

 




 念話が断続的に聞こえた午前を過ぎ、帰路に付くクロヤとなのはたち。
そんな時、なのはは念話の聞こえる方に向かうと、そこには傷ついた小動物が・・・・

次回 Memory6 非日常への一歩


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Memory6 非日常への一歩

 前回

 変な夢のせいで不安になっているクロヤ。
その不安に拍車を掛けるように謎の念話が断続的に聞こえてた午前中を過ぎ、
クロヤ、なのは、アリサ、すずかは帰路に付いたが・・・・


 帰り道、僕はなのは、すずか、アリサたちと一緒に話しながら歩いていた。

 

「なのはちゃん。具合でも悪いのですか?」

 

「え?」

 

「授業中あれだけボーッっとしていたらこっちだって心配になるわよ。

今日はどうしちゃったのよ?」

 

「ちょっと、夢のことが気になっちゃって・・・・・クロヤ君も変な夢見たって言うし・・・・」

 

「気にしない方がいいよ。変な夢は見たけどなのはとは同じ夢なわけないんだから。」

 

「・・・・・・・・・うん。」

 

 ここで会話を打ち切って歩いていると、公園に差し掛かったとき

 

《ーーーーーーーー》

 

 

 また聞こえた、謎の幻聴が。

 

「あれ?」

 

 なのはも気付いたみたいで、きょろきょろと周りを見回していた。

 

「どうしたの?」

 

「なんか聞こえたみたいだけど・・・・・空耳みたい」

 

「そう。ならいいけど。」

 

 また歩き始めたとき、

 

 

《ーーーーーーーーーー》

 

 

 また聞こえた。

 

「・・・・・・・・やっぱり何か聞こえる!」

 

 

「え?ちょ、なのは!?」

 

 アリサが驚いて言うと、なのはは公園の中林の中に入っていった。

 

「待ちなさーい!」

 

「なのはちゃん!」

 

「追おう。何か様子が変だ。」

 

 僕たちもなのはの後を追って林の中に入っていった。

 

 

 林の中を探し回ること数分。なのはを見つけた。

なのはは傷ついてぐったりとしている生き物を抱えていた。

 

「なのは?その子は・・・・・・?」

 

 アリサがなのはが抱えている動物を指差して聞いた。

 

「この子、夢の中で会ったの。朝、夢の話で出てきたのはこの子なの。」

 

「なんていう動物なの、その子?」

 

 これは・・・・・・・・

 

「フェレットかな?」

 

「「フェレット?」」

 

「フェレットっていうのはイタチの仲間の小型肉食動物なんだ。

最近はペットとかで人気があるらしいんだけど、僕も本物は初めて見るよ。」

 

 といっても、この知識は図書館の図鑑からの引用だけど。

 

「あ・・・・この子怪我してる。どうしよう・・・・・・・・・・・」

 

「確かこの近くに動物病院があったはず・・・・・・・」

 

「あ、私知ってるよ!」

 

 すずかのナビに従って、僕たちは動物病院に急いだ。

 

 

 

 病院にて

 

「怪我の手当ては終わったわ。見た目より衰弱が激しいけど数日すれば元気になるわ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 病院で事情を説明して、フェレットを預けて手当てをしてもらった。

どうやら命に別状は無いらしく、僕たちは胸をなでおろした。

 

「よかったぁ~」

 

「先生、それでこのフェレットなんですけど・・・・・誰かのペットなんですか?」

 

 アリサの質問に、獣医の先生は困ったような顔をした。

 

「それがね、見たことないの、こんな種類のフェレット。

それに、この子が首に付けているのは宝石かしら?」

 

 先生がフェレット?が首から下げている紅い宝石に手を伸ばしたとき、

フェレットがゆっくりと目を開けた。

混乱しているのか周りをゆっくりと見回すと、

 

「見てる・・・・・・・・・」

 

 すずかがいうように、なのはをじっと見つめていた。

なのはは戸惑いつつも恐る恐る手を伸ばした。すると、フェレットがなのはの指を舐めた。

それを見たなのは喜んでいた。でも、そのフェレットはまた気を失って倒れてしまった。

 

「とりあえず、数日病院で預かるからまた明日、見に来てね。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

 病院の時計を見ると結構遅い時間だったので、僕たちはそれぞれの家に帰った。

 

 

 

「何だろう、この胸のざわつきは?・・・・・良くないことが起きそうだ。

しかし、あのフェレット・・・・・やけに魔力を持っていたな。

・・・・・大事にならなければいいけど・・・・・)」

 

 

 後に、この胸のざわつきが現実になることを僕は、この時、微塵も思っていなかった。

 

 

 




 なのはが見た不思議な夢に出てきたフェレットを拾い、
動物病院に預け、4人はそれぞれ家に帰った。
 クロヤはMMAの訓練のためにWDDOの基地にいた時、
突然、緊急警報が鳴り響き、クロヤたち第1班に出動命令が出された・・・・・

次回 Memory7 第1班、出動! 


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Memory7 第1班、出動!

 前回

 なのはが謎の念話を辿ると、そこには傷ついたフェレットが倒れていた。
フェレットを病院に預けて、4人はそれぞれ帰路についた。
 クロヤは、MMAの訓練のためにWDDOの基地に行くが・・・・


 家に帰ると、誰も居なかった。

リビングにあるテーブルに置手紙が置いてあり、母さんはWDDOの基地にいるらしい。

夕飯を食べて、戸締りをすると、玄関で靴を履き、壁に手をやった。

すると、壁の一部がスライドし、中からボタンのついたコントロールパネルが出てきた。

 僕はいくつか操作して、最後にOKと書かれたボタンを押すと、足元に魔方陣が現れた。

これはWDDOへの移動手段で、基地の転送室に繋がっている。

そして僕はまぶしい光に包まれると、基地に転送された。

 

 

WDDOにて

 

 

 基地に着くと、すぐに自分用の部屋に行き、MMAを付けて、訓練室に向かった。

いくらMMAが優秀でも、使う人が下手では意味がない。毎日の訓練は欠かせない。

 

「お、クロヤ君じゃないか。今日も訓練かい?」

 

「はい。そういう新島さんは、訓練上がりみたいですね。」

 

 訓練室でばったり新島さんと会った。

新島さんは汗を流していたので、相当訓練していたみたいだ。

 

「今日は他の隊員たちと一緒にみっちり訓練したからな。

そうだ、良ければ、俺と一戦してみないか?」

 

「うーん、遠慮します。今日はゆっくり休んでください。」

 

 新島さんは「本人に断られたんじゃ仕方ないか」といって訓練室から出て行った。

その後に続いて、他の隊員の人たちも出て行った。みんな揃って汗だくだった。

 

「さて、始めようか。」

 

 僕は、MMAを起動し、仮想敵機をセットした

相手は・・・・・・昨日の僕だ。昨日記録した僕自身のデータで作り出された僕が敵だ。

『自分を知り、相手を知れ。その逆もまた然り』って、誰かが言っていたな・・・・・・・・。

 

「さっさと、始めるか。よろしく『僕』」

 

 銃を構え、模擬戦が始まった。

 

 しかし、始まって少なくとも10分は経っていないころ、

突然、緊急アラートが鳴り響いた。

 

『緊急事態発生!緊急事態発生!海鳴市市街地において大きな魔力反応をキャッチ!

今回は市街地及び狭い路地のため重火器の使用を禁止する!

よって、次のナンバーの1斑メンバーはMMAを装備し、至急転送室へ向かえ!

『ナンバー01(ゼロワン)』『ナンバー03(ゼロスリー)』『ナンバー04(ゼロフォー)』『ナンバー08(ゼロエイト)』『ナンバー00(ゼロゼロ)

繰り返す『ナンバー01』『ナンバー03』『ナンバー04』『ナンバー08』『ナンバー00』

はMMAを装備し、至急転送室へ向かえ!』

 

 ここでは出動時、部隊員の人たちは名前で呼び合わず、ナンバーで呼び合うことになっている。

そして、MMAにも左胸の所に必ず自分のナンバーが記されている。

『ナンバー00』それが僕のナンバー。ちなみに新島さんは『ナンバー01』

 

「・・・急ごう!」

 

 転送室に向かっていると、忘れ物に気付き、自分の部屋に戻った。

 

「これは持っていかないと・・・・」

 

 僕は『記憶の書』を腰の後ろについているホルダーに装着し大急ぎで向かった。

 

「すみません!ナンバー00、ただいま到着しました!」

 

「急げ!転送するぞ!」

 

 新島さんが仕事モードに切り替わっていた。

いつもの優しさが消え、厳しい隊長の顔になっていた。

 

『こちら司令室、ナンバー01、現場に最も近い**-****-***ゲートへ転送せよ。』

 

「了解!転送する!着いたらオペレーション頼む!」

 

『了解。グッドラック。隊の全員帰還を願う。』

 

 通信が終わると、眩しい光に包まれ転送された・・・・・・・

 

 

 

 

転送先**-****-***ゲートにて

 

 

 

「・・・・よし転送完了!出撃!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 転送が終了すると同時にGH(グライディングホイール)を回転させ、猛スピードで走っていく。

 

『こちら司令部。オペレートを開始します。現在、分かっていることを伝えます。

目標は、高濃度の魔力生命体の可能性が高いです。

現在、そこから700m離れた通りで破壊活動をしています。至急、制圧してください。

あ、訂正します。もう一つ小さい魔力反応と・・・・民間人!?

あっ、すみません。3つの反応を感知しました。

どうやら、小さい反応の方と民間人は高濃度の魔力生命体の方に襲われている模様です。

至急、魔力生命体を制圧、小さい反応の方と民間人を救出してください。』

 

「了解!聞いたか!民間人が巻き込まれたそうだ!小さい反応のと民間人の救助を最優先しろ!

二手に分かれる。03、04、08は迂回して攻撃し魔力生命体の気を逸らせ!

俺と00は小さい反応の方と民間人を救助する!」

 

「「「「了解!」」」」

 

「03、04、08迂回します!」

 

 三人が別の道に入って、僕とにいj・・・01の二人だけになった。

 

「気をつけろ・・・・・目の前の通りにいるぞ・・・・・」

 

 その時、僕は目を疑った、目の前に巻き込まれたらしい小さい反応のと民間人がいた。

でも、それは

 

 

「なのはとあのフェレット!?」

 

だったからだ。

しかも、大きな反応・・・・魔力生命体であろう黒く大きな怪物が今まさに、

なのはたちに襲い掛かろうとしていたからだ

 

 

 

 

 

 無意識だった。

僕は無意識のうちに、小型ブースターを使って、なのはたちの間に割って入り、

 

「彼女に触れるなぁぁぁっ!シールド最大出力!」

 

 腕のシールド発生器の出力を最大にし、怪物の攻撃を防ぎ、

 

「食らえぇぇぇぇぇぇ!」

 

 ババババババッ!

 

 僕の魔力光である薄い緑の銃弾が怪物を襲った。

 

「え?え?」

 

 なのはは何が起こったのか分からず、混乱していた。

 

 

 

 




 クロヤがWDDOの基地にいる時、
なのはは、保護したフェレットを一時的に家に預かることをみんなに連絡していた。
 しかし、ちょうど、WDDOで緊急警報が出された時、
なのはにも異変が起こっていた

次回 Memory8 なのはとフェレット


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Memory8 なのはとフェレット

 前回

 なのはは、みんなと別れて家に帰った後、フェレットを一時的に預かりたいと家族に相談した。
許可が下り、なのははみんなに連絡を取っていた。
 そして、夜が更けてきたとき、なのはに異変がおきる・・・・・


なのはSIDE

 

 病院を出て、家に帰って、お母さんたちに事情を説明して拾ったフェレットを

元の飼い主が見つかるまで預かりたいと言ったところ、

私がしっかり面倒を見るのならという条件付でならいいということになりました。

 早速、アリサちゃんとすずかちゃんにメールで連絡したけど、

 

「あ・・・クロヤ君携帯持ってなかったんだっけ?どうしよう・・・・・・」

 

 クロヤ君のお家に電話を掛けてみたけど誰も出てきませんでした。もう寝ちゃったのかな?

 

「明日、学校でお話しよう。」

 

 

 夜が更け、寝ようとしていたとき、またあの夢のときと同じ変な感覚が襲ってきました。

 

「(な、なに!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何か聞こえる)」

 

 落ち着いて、耳を澄ますと公園で聞いたあの声が聞こえてきた。

 

『僕の声が聞こえますか?聞こえる人はいませんか?いたら力を貸してください』

 

 えっ・・・・・あのフェレットさんが喋ってるの・・・・・・・・・・・?

 

 

『お願いします!早く僕の所に・・・・はや・・・・く・・・・き・・・・け・・・・』

 

 途中から、声が聞こえにくくなり最後には聞こえなくなってしまった。

すると、全身の力が抜けベットに倒れてしまった。

 

「(さっきの声、助けを求めてた・・・行かなくちゃ・・・)」

 

 私はこっそり家を抜け出し、病院へ向かった。

 

病院に向かって暗い夜道を走り、病院の近くまで来たとき、またあの変な感覚が襲ってきた。

 

「ま、また・・・・・・・」

 

 正直、気持ちいいものじゃなく、私は耳を塞いで目を瞑ってしまった。

目を開けたとき、周りの景色が変わり、病院の方から何かの唸り声のようなものと、

何かが壊れる音が聞こえてきた。

 病院に着くと、私は言葉を失いました。窓からあのフェレットが飛び出してきました。

そして、黒いよく分からないものに襲われて、こっちに飛んできたのを何とかキャッチしました。

 

「来て・・・・・・・・くれたの?」

 

「え?ええ!?しゃ、喋った!?」

 

 びっくりして落としそうになったけど、抱えなおして、見つからないうちに走り出した。

 

 変な景色の中、私はずっと走っていたけど、頭の中は混乱していて

もう何がなんだか分からない状態でした。

 

「さっきの怪物は何!?この変な景色は何!?どうして君が襲われるの!?」

 

「理由は、後で話すから、お願い、僕に力を貸して、君には素質がある。」

 

「素質?」

 

「僕はある探し物ために、異世界からやってきました。

でも、僕一人の力じゃ想いを遂げることが出来ないかもしれない。

だから・・・・・・・素質を持つ人に協力してもらいたくて・・・・・・・・」

 

 走っていると、突然、フェレットさんが飛び降りた。

 

「お願いです、お礼は必ずしますから、僕の力を君に使ってほしいんです、魔法の力を!」

 

「魔法の力・・・・?それって」

 

 なに、と言おうとしたとき、さっきの怪物が空を飛んできて上から襲ってきた。

私はフェレットさんを抱え電柱の影に隠れた。

 

「魔法って・・・どうすればいいの!?」

 

「これを!」

 

 そう言って渡してきたのは、首から掛けていた紅い宝石でした。

手に取ると不思議な感覚が伝わってきました。

 

「それを手にして、心を澄まして僕の言うことを後に続いて言って!」

 

「う、うん!・・・・・・・・・あ!」

 

 すると、怪物が私たちがいる電柱に向かって突進してきました。

何とか避けれたけど、さっきまでいた電柱が簡単に倒されてしまい、

その光景を見て私は体が凍りついたように動かなくなってしまいました。

 

「あ・・・・ああ・・・・・・・・・」

 

 そして、チャンスと言わんばかりに怪物が襲い掛かってきた。

 

 

 私、死んじゃうの?

 

 

 来るであろう衝撃に目を瞑ったとき、

 

「彼女に触れるなぁぁぁっ!シールド最大出力!」

 

 誰かの声が聞こえ、目を開けると、

 

 怪物よりも黒い右肩の紅い鎧を着込んだ誰かが間に割って入って怪物の攻撃を受け止めて、

 

「食らえぇぇぇぇぇぇ!」

 

 持っていた銃で怪物を撃ち抜いていた。

 

「え?え?」

 

 私はさらに状況が分からなくなり、うまく言葉が言えませんでした。

怪物を撃ったその人はこっちを振り向いた。

 

「大丈夫?怪我していない?」

 

 ヘルメットで顔が隠れて表情は見えないけど、聞き覚えのあるとても優しい声だった。

鎧の色で始めは怖い人かと思ったけど、全然違う。

 

「00!無事か!?」

 

「はい。巻き込まれた二名と合流したところです。」

 

 すると、今度は同じような緑の鎧を来た別の人が来た。

 

「00は二人を安全なところへ!03、04、08が攻撃を始めた。俺も加勢する」

 

 すると、他にも同じような鎧の人たちがさっきの怪物と戦っていた。

 

「二人ともこっちへ!」

 

「待って!あの怪物は・・・・ジュエルシード・・ロストロギアから生まれたものなんです!」

 

「本当なのか!?まずい・・・・あれがロストロギアならこちらの攻撃は無駄だ。

どうすればいいんだ?」

 

「・・・・・・・・・・・少しの間、あの怪物の気を逸らしてください。」

 

「・・・・分かった。詳しくは今は聞かない。頼む!」

 

 そう言うと、00さんは怪物に向かっていった。

 

「ごめん。大分、話が逸れちゃったけど、さっきも言ったとおり、

僕が今から言う言葉を後に続いて言って。」

 

「うん!」

 

 

 続く・・・・・・・

 




ジュエルシードの暴走体と交戦した00。
しかし、封印機能を持たないMMAでは暴走体を倒せず、苦戦を強いられる。
そんな時、保護したフェレットがある提案をする・・・・・・

 次回 Memory9 白い魔導師の少女


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Memory9 白い魔導師の少女

 前回

 ジュエルシードが暴走し、緊急出動した00たち第1班。
その中、襲われていたなのはとフェレットを救出した00は
現状打開の為とフェレットの提案の為、時間稼ぎをするために戦線に参加した。


 あのフェレットが思っている手段・・・・

恐らく、稀に見るほど高い魔導師としての才能を持つなのはに魔導師になってもらうこと。

僕としては・・・なってほしくないが、今はそれ以外に方法が無い。

ジュエルシードを破壊するのは、僕にとっては簡単だが、

破壊したときの被害は僕が身をもって知っている。

 

「考えている暇は無い。今はやるべきことをするだけだ・・・・・・・・・・・・・」

 

 余計な考えを振り払い、僕も戦線に参加した。

 

 ドオオオオオオンッ!!

 

 戦線に参加したとき、化け物が攻撃を受け飛び散っていた。

 

「やった!」

 

「倒したのか?」

 

 01たちが倒したと思ったとき、オペレーターからの声が一気に気を引き締め直させた

 

『気を付けてください!反応が消失していません!・・・・・・・復活します!』

 

 すると突然、飛び散った化け物の破片が集まり、再び元の姿に戻ってしまった。

 

「じょ・・・冗談だろ・・・・・・」

 

 03が疲れ切った声で言った。

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・く・・くそ・・倒す前に・・・こっちがバテちまう・・・・・」

 

「ぜぇ・・・・ぜぇ・・・・・・・・だが・・・・ぜぇ・・・食い止めないと・・・・被害が・・・・・・・」

 

 04、08も息絶え絶えだった。

 

「あ・・あきらめるな・・・・・・今までの訓練を・・思い出せ・・・それに・・・・・このようなことを・・・・

・・・・・・そ、想定して人々を守るのが・・お・・俺たちがいる理由だろうが・・・!」

 

 01もみんなを鼓舞するが、自身もフラフラであり喋るのもつらそうだった。

 魔力は使う人の精神状態に影響されやすい。ここまでみんなの消費が激しいのは、

初めて魔力生命体と戦うことへの緊張、やっとの思いで倒したのに復活したという絶望感、

周りに被害が増えるということへの焦りがあるからだと思う。

 

「みんな、僕が相手をする!下がって、出来るだけでいいから援護お願い!」

 

 僕はみんなを下がらせ、化け物の前に出た。

 

「何としてでも、コイツを食い止める・・・・・!」

 

 

 バババババババッ!

 

 化け物の横を高速で横切りながらヘビイマシンガンを連射し、

怪物の気をこちらに向けさせた。

 

「まだまだ!」

 

 怪物の横を過ぎると、ターンピックを打ち込み反転し、マシンガンを片手で持ち、

空いた腕を前に突き出した。

 すると、ガチャン、と腕の装甲がスライドして中から小型ガトリング砲が顔を出し、

 

 ガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!

 

 マシンガンとガトリング砲の二重攻撃を浴びせた。

 

「グガアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 化け物に攻撃が当たり、化け物が苦し紛れに身体の一部を変形させ鞭のように叩きつけてきた

 

「甘い!」

 

 両腰に付いている二刀連結式ブレード『トライブレード』に切り替え、鞭を切り落とした

そのまま、ブースターを使って急速接近し切りかかり、化け物に大量の切り傷を負わせる

 

「ガ・・・・ガアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!」

 

 しかし、化け物もただやられているだけでなく、鞭を何本も出現させ振るってきた

 

「ぐッ・・ちぃっ!」

 

 そのうちの一本を食らってしまい、一度距離をとったとき、

 

 パパパパパパパパパッ!!

 

 01たちが散開して近くの建物の上からや僕がしたように化け物の横を横切りながら、

威力が落ちてしまっているが、それぞれ撃ちながら援護してくれた。

 その時オペレーターから緊急の報告が入った

 

『こ、後方に新たな魔力反応!この反応は一体!?現在交戦中の反応より数倍以上大きいです!』

 

 化け物越しに後ろを見ると、

通っている小学校の服を模して生成したであろうバリアジャケットを纏った

 

 

 

魔導師姿のなのはがいた。

  




 魔法に触れ、魔導師になったなのは。
ジュエルシードを封印するため、なのはは生まれて初めて魔法を使う。
 それは、これから始まる大きな事件の幕開けでもあった・・・・・

 次回 Memory10 初めての魔法


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Memory10 初めての魔法

 前回

 夢の中で聞いた声を再び聴いたなのは。
声の元へ行くと、そこには化け物とそれに襲われる保護したフェレットがいた。
フェレット共にその場から逃げるが、化け物はなのはにも襲い掛かった。
 その時、黒く右肩の紅い鎧を着た人・・・00に助けられるが、状況は良くならなかった。
そして、フェレットの提案で、なのはは生まれて初めて魔法を使うことになるが・・・


なのはSIDE

 

「何者なの・・・・・・あの人たち・・・・・・」

 

 私は自然と疑問を口にしていた。

明らかにあの人たちは、警察官とか軍人さんなんかじゃない。

 

「分からない・・・・でも、今はあの人たちを信じることしかない。

今のうちに、僕がさっき言ったとおり、今から言うことを後に続いて言って!」

 

「う、うん」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「わ、我、使命を受けし者なり」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「え、えっと、契約の元、その力を解き放て」

 

「風は空に、星は天に」

 

「風は空に、星は天に」

 

「そして不屈の心は・・・・・・」

 

「そして不屈の心は・・・・・・」

 

「「この胸に!」」

 

「「この手に魔法を!レイジングハート、セットアップ!!」」

 

 すると、宝石から光が出てきて空に光の柱ができた

 

「すごい・・・なんて魔力・・・・・・・・・あっ、落ち着いて!

今度は君の魔法を制御する杖の形と君を守る強い服をイメージして!」

 

「ええっ!そ、そんなこと急に言われても、えーっと・・・・・・」

 

 強い服・・・・・・・・・・・・よし、これなら!

頭の中でイメージを思い浮かべると、桜色の光が私を包んだ・・・・・・・・・・・

 

 目を開けて自分の姿をみるとイメージしたとおりの姿になっていた。

 

「よし!成功!」

 

 喜んでいると、さっきまで00さんと戦っていた化け物がこっちに向かって突進してきた

 

「ッ!!!」

 

 思わず目を瞑って杖・・・レイジングハートを前に突き出した。

 

『Protection』

 

 レイジングハートから声が聞こえて、目を開けると、

桜色のバリアみたいなものに化け物がぶつかって飛び散っていた。

飛び散った破片は近くの塀とか道に穴を開けてしまった。

00さんと01さんたちはみんな、腕を前に出して私と同じようにバリアを張っていて

怪我はしていなかったみたい。

 

「僕らの魔法は、発動体に組み込んだプログラムと呼ばれる方式です。

そして、その方式を発動させるために必要なのは術者の精神エネルギーです。

そしてあれは、忌まわしき力の元に生み出された思念体。

あれを止めるには封印して元の姿に戻さなきゃいけないんです」

 

「えっと、よく分からないんだけど、どうしたらいいの?」

 

「さっきのような攻撃、防御などの基本的な魔法は心で念じるだけで発動しますが、

もっと威力のある魔法は呪文が必要になります。」

 

「呪文?でも、私、さっきみたいな呪文知らないよ?」

 

「心を澄まして。心に浮かぶ呪文があるはずです。その呪文を言うんです。」

 

 フェレットさんの言うとおり、心を澄まして呪文を思い浮かべていると

化け物がまた集まって、こっち向かってきた。

 

「邪魔は・・・・・させない!」

 

 すると、00さんが化け物の身体から出ている触手みたいな物を掴んで、

 

「うおおおおりゃあああああああああああああああ!!」

 

 後ろに振りかぶって、地面に叩きつけた。

私は、口をポカンと開けて、その光景を見ていた。

 

「今のうちに早く!」

 

 00さんの声ではっ、として呪文を思い浮かべる。

 

「リリカル・マジカル・・・封印すべきは忌まわしき器!ジュエルシード封印!」

 

『Sealing Mode Setup』

 

 

 呪文を言うとレイジングハートの先端の形が変わって、U字型になった。

そして、その先端から桜色の翼が出てきた。さらに、同じ桜色のリボンが出てきて巻きついた。

 

『Stand By Ready』

 

「ジュエルシード、シリアル21、封印!」

 

『Sealing』

 

 すると、さらにリボンが出てきて、化け物を包み込んだ。

そして、青いひし形の宝石が出てきた。

 

「それがジュエルシードです。レイジングハートで触れてください。」

 

「う、うん」

 

 レイジングハートでジュエルシードに触ると、ジュエルシードは先端の中に入って消えた。

それと同時に、服装も元に戻った。

 

「お、終わったの?」

 

「はい・・・・ありがとうございます・・・・・・お陰で・・・被害・・・は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 そう言って、フェレットさんはまた気絶してしまいました。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・高町なのはさん」

 

 声がして、振り返ると00さんと01さんたちが立っていました。

あれ?私、名前を教えたっけ?

 

「我々も感謝します。あなたのお陰で被害も最小限で食い止めれました。

しかし、少し事情を聞かせて貰います。我々はこれで撤退しますが、

00が残って事情を聞きますので、あったことを全て話してください。

それでは。00、後を頼む」

 

「了解」

 

 01さんたちはそう言って、走り去っていった。

そして、私と00さんと気絶したままのフェレットさんが残された・・・・・・・・・・・・

 




 何とか暴走体を封印することに成功したなのはたち。
しかし、WDDOの性質上、事情を聴かなければならないため、
なのは、フェレットは00に事情を説明することになった・・・・・

次回 Memory11 事情聴取と宣言


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Memory11 事情聴取

 前回

 何とかジュエルシードの暴走体を封印することが出来たなのは。
しかし、WDDOの仕事上、事情を説明してもらうとのことで、なのはとフェレットは
00による事情聴取を受けることになった


 戦闘が終わり、01たちが撤退したのでここにはなのはと僕、

気絶しているフェレットしかいない。

遠くからはサイレンの音が聞こえてくる。

恐らくここでの戦闘を聞きつけ警察が動いたのだろう。

 

「あわわ・・・・どうしよう・・・」

 

「落ち着いて。オペレーター、警察が来ているがどうすればいい?」

 

『そちらに2班を送ります。彼らに任せてください。

00は事情を聞いて彼女を家まで護衛してください。』

 

「了解。では、なのはさん。ここでは話しにくいのでどこか話が出来る所に行きましょう。

・・・・・・・・・この近くの公園でいいかな?とりあえず、そこまで行こう。ちょっと失礼!」

 

「え?あ、きゃっ!」

 

 腕を背中と膝下に入れて抱える、いわゆるお姫様抱っこでなのはを持ち上げた。

 

「うええええ!?な、なななにゃにお!?!?」

 

「すみません。時間も遅いし、なのはさんに極度の疲労が見えたので最も効率がいいこの方法を、

少しの間だけ我慢してください。しっかり掴まってください。飛ばしますので」

 

「は、はい!」

 

 なのはがしっかり掴まったのを確認すると、ブースターを点火し近くの公園に急いだ。

 

 

 

 

 

公園にて

 

 公園に着くと、近くのベンチに真っ赤のなのはを降ろした。

 

「う・・・ううん」

 

 しばらくすると気絶していたフェレットが目を覚まし、事情を聞ける状態になったので

事情を聞かせてもらうことにした

 

「まずは、自己紹介かな。僕はこの世界の人々を次元犯罪や次元災害から守る組織、

世界次元防衛機構、WDDOに所属するナンバー00(ゼロゼロ)

呼びにくいなら、そうだな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オーツーって呼んでくれていいよ。」

 

「私は、高町なのはです。」

 

「僕は、ユーノ。ユーノ・スクライアです。スクライアは部族名なのでユーノが名前です。」

 

 これでお互いのことが分かった。

でも少し悲しいね。なのはとは友人なのに名乗れないなんて・・・・・・・・・・・・

 

「なのはさんにユーノ君でいいかな?では質問するよ。

まず、なのはさんは何故、あの場にいたの?」

 

「えっと、家にいたらこの子・・ユーノ君の声が聞こえたからです。」

 

 ・・・・・・ガチガチに緊張しちゃってるよ、なのは。何か嫌だな。

よし、情報を少し教えてあげよう。

 

「敬語はいいよ。僕はなのはさんより年下だし。」

 

「えええ!?年下なの!?」

 

「うん。だから気軽に話してくれればいいよ。・・・・ちょっと話が逸れたね。

じゃあ、ユーノ君、何でなのはさんに念話を?」

 

「えっと、実は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ユーノ君はこれまでの経緯を話してくれた。

 

「なるほど、つまりジュエルシードの輸送中に事故にあって、

ジュエルシードがこの町に散らばってしまったと、

そして自分一人じゃジュエルシードが暴走しても対処できないから、

この世界で魔法の適正がある人に手伝ってもらおうと、

そして、それがなのはさんだったっていうわけ?」

 

「はい・・・・・・・・・・・・・・。すみません、なのはさんを巻き込んでしまって・・・・・・・」

 

「なのはでいいよ。それに別に私、気にしてないから。」

 

 ユーノ君が嘘を言っている可能性があったが、ここは1万2000年余りの経験。

嘘を言っているようには感じられなかった。

 

「で、なのはさんとしてはどうしたいの?」

 

「私は・・・・ユーノ君のお手伝いをしたい。せっかく魔法を使えるようになったんだもん、

誰かの役に立ちたい・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・その気持ちに迷いは無いね?」

 

「うん」

 

 そっか・・・・・・なら、言うことやることは一つ。

 

「うん。分かった。じゃ、決まり。僕たち、WDDOはジュエルシ-ド集めに全面協力する。」

 

「「え!?協力してくれるの(ですか)!?」」

 

 ユーノ君となのはが驚いて聞いてきた。

 

「さっきも言ったとおり、僕たちはこの世界の人々を次元犯罪や次元災害から守るのが仕事。

今回のようなことのためにいるんだ、

 

それに・・・・・・・・女の子一人にそんな重荷を背負わせるわけにはいかないよ。」

 

「にゃ!?」

 

 なのはは変な声を出して顔を真っ赤にしてしまった。

 

「では、これで質問は終わり。なのはさん、家の近くまで送るよ。

僕の姿を見られると不味いんでね。」

 

 そう言って、またお姫様抱っこでなのはを持ち上げ、走り出した。

なのはは終始真っ赤だったけど・・・・・・ 




 WDDOがジュエルシードの捜索に全面協力することになった次の日。
普段どおりに学校に向かったなのは。
そのころ、家では留守番をしているユーノにWDDOの01から手紙を渡される。

 次回 Memory12 今後の方針


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Memory12 今後の方針

 前回

 事情聴取を行い、ジュエルシード回収に全面協力することになったWDDO
聴取を終えた00が帰還した後、今後の方針が言い渡された


 基地に戻ると新島さんたちが転送室で待っていた。

 

「ナンバー00、ただいま帰還しました。」

 

「了解・・・・・・・っと、これで全員帰還だな。オペレーター、現時刻をもって作戦を終了する。」

 

『了解しました。ご苦労さまです。なお、司令が(ごほん)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 しばしの沈黙が続き

 

『・・・・・・・リーネさんが今後の方針を言われるそうなのでそのまま聞いてください』

 

 観念したような声が基地のスピーカーから聞こえてきた。

思ったんだけど、母さん・・・・・フレンドリーすぎない?

 

『さて、今後の方針を言います。

1班のみんなは00の通信を聞いていたから知っていると思うんだけど、説明するわね。

今後、この町に散らばったジュエルシードを高町なのはさんたちと協力して

捜索、封印作業を行います。捜索は明日から、二人1チームで捜索すること。

詳しい説明は明日するから今日は休んで頂戴。じゃ、解散』

 

「ということだそうだ。それじゃ、今日はさっさと休んで明日に備えるぞ。」

 

 新島さんの言葉を聞いた途端、どっと疲れがやってきた。

今日は早く帰って寝よう・・・・・・・

 

 次の日

 

 僕は眠い目を擦りながら学校に登校した。

 

「おはよ・・・って、やけに眠そうね。」

 

「夜更かしでもしたのですか?」

 

 席に着くと、先に着ていたアリサとすずかとなのはがやってきて話しかけてきた。

 

「昨日の夜にやっていたテレビが面白くて・・・・・つい見すぎちゃってさ・・・・ふあぁ」

 

「まぁ、よくあるわね・・・あたしも前に同じことあったわ・・・。

あっ、それより昨日の夜の事故聞いた?」

 

「夜の事故?」

 

「あのフェレットさんを預けた病院の前の道路で車の事故があったらしくて・・・

塀とか近くの電柱とかも倒れちゃって酷かったんだって」

 

 事故のことを聞いて、なのはがピクリと反応していた。

まあ、その事故の当事者が化け物で、それを撃退したなんて言える訳も無いよね・・・・・・

 

「へぇ・・・・あのフェレット、大丈夫かな?」

 

「分からない。建物もかなり酷く壊れてたって・・・・」

 

「あ、あの・・・・そのね・・・・。そのフェレットのことなんだけど・・・・・・」

 

 なのはが気まずそうに、口を開いて昨日の夜、つまり、僕と別れた後のことを説明した。

 

 

「へー、じゃあ今はなのはの家にいるんだ」

 

「でもすごい偶然だね。逃げ出してきたあの子とたまたま会うなんて」

 

「うん・・・・。それでね、あのフェレット、どうも誰かのペットじゃないみたい。

それで、新しい飼い主が決まるまで家で預かることになったの」

 

 どうやら・・あのフェレット、ユーノ君はしばらくなのはの家にいるみたいだ。

二人も、なのはの家にいることが分かり、安心したようだった。

 すると、話がフェレットの名前を何にするかに変わった。

 

「ねぇ、名前は何にするの?もう決めたの?」

 

「うん、ユーノ君って言うの」

 

「ユーノ君?」

 

「うん」

 

「いい名前だね。」

 

 その後、しばらく話し合っていたが、授業開始のチャイムが鳴り、

僕たちはそれぞれの席に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーノSIDE

 

 コンコン

 

 

「ん?何の音だろう?」

 

 なのはが学校に行っている間、なのはの部屋で留守番をしていると、物音が聞こえた。

 

「外から・・・(コンコン)うひゃあ!!」

 

 僕は変な声を出して、後ずさってしまった。

何故なら、窓の外に緑の何かが浮かんで、窓を叩いているからだ

 

「シー!俺・・・って言っても分からんか。昨日のだ。窓を開けてくれ」

 

 緑の何かが喋った昨日という単語で思い出したのが、

オーツーって人が所属するWDDOという組織だった。

 

「え?あ、えっと、WDDOの人ですか?」

 

頷いたので僕は窓を開けて、話を聞くことにした。

 

「よっと、簡単に自己紹介させてもらう。俺は昨日、君の話を聞いた00の上官の01だ。

すまん、このアーマーは空を飛べるようになってないんだ。

長時間ここにいることが出来ないから手短に言うぞ。」

 

 そう言って01?は開いた窓の縁に座りながら言った。

 

「えっと、何の用ですか?」

 

「昨日言った、ジュエルシードの捜索の協力についてだ。

この手紙をなのはさんに見せてやってくれないか?」

 

 といって、持っていた紙を渡してきた。

 

「分かりました。じゃあ、念話で話しておきます。」

 

「よろしく頼む。俺たちは今から捜索を開始する。

見つけたら、一時的に俺たちが保管しておくから焦らなくていいぞ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 そう言うと、01さんは目の前の道路に降りて、走り去っていった。

 

「・・・・一体、あれほどの物を有するWDDOとはどんな組織なんだろう・・・・・・?」

 

 疑問を抱きつつも、僕はなのはに手紙の内容を伝えるため念話を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 




 手紙を受け取ったユーノ、手紙の内容をなのはに念話で伝えることに
その手紙の内容は、今後のWDDOの方針・・昨夜言い渡されたものと同じ内容だった。
 意気込むなのは。そんな時、ジュエルシードの反応があった

 次回 Memory13 二つ目のジュエルシード


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Memory13 二つ目のジュエルシード

前回

 留守番中のユーノに今後のWDDOの方針が書かれた手紙が届き、
ユーノは念話の練習も兼ねてなのはに念話を送った。


なのはSIDE

 

『なのは、聞こえる?』

 

 授業中、突然、ユーノ君の声が頭の中に響いてきた。

 

『え?何これ?』

 

『これは念話っていうんだ。話したい相手を思い浮かべて心の中で話すと相手に伝わるよ』

 

『え、えっと・・・こう?』

 

『そうそう』

 

 あ、何か楽しい・・・・・!

 

『それで、どうしたのユーノ君?』

 

『昨日の、オーツーって人の仲間の人がなのは宛の手紙を持ってきたんだ。

なのはに見せてっていってたんだけど、ちょうど念話の練習にもあるし聞いてくれる?』

 

『うん。それで手紙には何て書いてあるの?』

 

 カサカサ、と手紙を取り出す音が聞こえた後、ユーノ君が手紙を読み始めた。

 

『えーっと、

 

『こんにちは、なのはさん。オーツーです。

昨日言っていたジュエルシードを集めることについて伝えます。

 僕たちWDDOはこの手紙を届けた日から捜索を開始します。

なのはさんは無理をせず、出来る日の好きな時間に捜索してください。

また、昨日みたいにジュエルシードが暴走したら念話で僕たちを呼んでください。

もし、僕たちの方で発見したら、後日、念話で伝えます。

 僕たちは、日ごとにローテーションして捜索を担当していますので、

その日によって対応してくれる隊員が違いますが、皆さん、良い人ばかりですから

怖がらなくて大丈夫ですよ。なお、僕は毎日出るのでまた会うかもしれませんね。

長くなったけど、伝えることはこれだけです。では、また。オーツーより』だって』

 

『そっか、オーツーさんたち今日から探し始めるんだ。

よーし、じゃあ私も、今日から探そうっと!』

 

『うん、そうだね。でも、無茶はだめだよ。』

 

 私はユーノ君と念話を切って、今日から始まるジュエルシード探しにワクワクしながら

授業を聞いていた。放課後が待ち遠しいな。

 

 

 SIDEOUT

 

 

クロヤSIDE

 

『うん。なのはに手紙の内容が伝わったのを今、確認した。01、そっちは?』

 

『まだ見つからない。日中はMMAが使えないからな、頼りになるのは自分の足だけだ。

しかし、骨が折れるぞこれは・・・・・・』

 

 僕は、なのはとユーノとの念話を盗み聞きして、

極少のイヤホンとマイクで01たちとこっそり連絡を取っていた。

 

『放課後、僕も探すし、多分なのはも探しに出てくると思うから、日中がんばって。』

 

『了解、とにかく指定された範囲内はキッチリ探す。それじゃ、学校頑張れよ。』

 

 「そちらこそ」と言って通信を終了し、授業に耳を傾けた。

 

 

放課後、WDDO基地にて

 

 

「・・・・・・・・・・(カチャカチャ)」

 

 僕は、学校から帰るなり基地に行き、自分の部屋に篭っている。

僕は今、MMAのWTとATの確認作業と動作点検をしている。

使う武器は毎日必ず点検、整備をする。

1万2000年以上の戦闘経験から身に染み付いた行動である。

 

『(ピピッ)こちら01!聞こえるか00!ジュエルシードを発見したが、暴走している!

至急、こちらに来てくれ!場所は、海鳴市内の神社だ!』

 

「了解。今すぐそっちに向かう。」

 

 すぐに点検を終了し、急いでMMAを装備して転送室に向かった。

 

「00です!01から指定された場所に最も近いゲートへ!」

 

『了解!***-****-***ゲートに転送します!』

 

 僕は光に包まれ、転送された。

 

 

 

***-****-***ゲートにて

 

 

「転送完了。目的地に急行する」

 

『こちら司令部。オペレーションを開始します。00はこちらのナビに従って現場へ』

 

「了解!」

 

 HUDから聞こえるオペレーターの指示通りに道を進み、現場へ向かった。

人目を避けるためか、道を左へ右へ曲がってばかりで方向感覚がおかしくなりそうだ。

 すると、

 

『聞こえますか?オーツーさん』

 

 なのはの声が頭に響いてきた。

 

『聞こえるよ。どうしたの?』

 

『ジュエルシードの反応があるってユーノ君が言ってるの!』

 

『うん、知ってる。今、01たちが先に現場で対応している。僕もそこに向かっている』

 

『私も急ぐから神社で会おうね!』

 

『うん、分かった!』

 

 なのはと念話を切ると、スピードを上げ目的地である神社へ急いだ。

 

 

 神社にて

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

「120ミリ無反動砲・・発射!!」

 

 ズドオオオオオオオオオン!!

 

「こいつも貰っとけ!!」

 

 ガガガガガガガガガガッ!

 

 

 01と02が四つ目の狼のような化け物に波状攻撃を行っていた。

が、ダメージは受けているもののジュエルシードの魔力の影響でダメージを受けても

受けた部分から回復し始めていた。

 

「ちっ!面倒な・・・・・・・」

 

「隊長はこんなヤツと戦ってたんですか!?」

 

 僕は二人の間に割って入り、戦闘を開始した。

 

「00、戦線に参加します!」

 

「ありがたい!高町なのはさんは!?」

 

「もうすぐ来ます!それまで抑えましょう!」

 

「了解!もう少し踏ん張りますか!」

 

 ここから3人による攻撃が開始された。

しかし、敵もただやられているだけじゃなかった。

疲弊し始めている01、02を集中的に狙い始め、次第に防戦一方になり始めた。

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

 

「なっ!しまっ!」

 

 一瞬の隙を狙って、化け物が02に体当たりを食らわした。

 

「ゴフッ・・・・・・・・・・・・カハッ・・・・・・・・・・!」

 

 数十メートル吹っ飛ばされ、02は地面に打ち付けられて階段から転落していってしまった。

 

「きゃああああああああああああああああああ!!!」

 

 その転落していった先から、聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。

 

「高町さんの声か!?」

 

「01!回避!回避して!!」

 

 なのはの声に気を取られた01に化け物が肉薄し、その大きな爪で01を引き裂こうとした

 

「くっ!シールド防御!」

 

 すぐさま、01はシールドを張り攻撃を防いだため引き裂かれることは無かったが、

明らかにシールドの強度が足りてなく、ヒビが入り始めてた、

 

「お前の相手はこっちだ!!」

 

 僕はブースターを使い、化け物に接近し、トライブレードで切り裂き、蹴飛ばした

 

「01下がって、02の救出に!」

 

「わ・・・分かった・・・」

 

「オーツーさん!これって!!」

 

 01が下がると同時になのはが現れた

 

「大丈夫です!吹っ飛ばされた人は01が助けに行きました!なのはさん!今すぐ変身を!」

 

「うん!って、あれ!?ユーノ君どうやってすればいいの!?」

 

「ええ!?えっと、昨日言ってたパスワードを言えば起動するけど・・・・・」

 

「あんな長いの覚えてないよぉーー!!」

 

 ええ!?ちょ!まずいって!

 

「あっ!この、そっちに行くなああああ!」

 

「え?きゃあ!?」

 

 化け物がなのはに向かって跳躍し、襲い掛かったときレイジングハートが光り、

 

『Stand by Ready.Setup』

 

 レイジングハートが起動したが、肝心のバリアジャケットが展開されていなかった。

 

「なのは!防護服の展開急いで!!」

 

 ユーノが気付き、なのはに伝えるが、間に合わない

 

「ッ!!!」

 

『Protection』

 

 なのはに化け物の爪が当たる直前にバリアジャケットが展開され、

レイジングハートがバリアを張った為、化け物が弾き飛ばされて何とか無事だった。

 

「よし!一気に畳み掛ける!」

 

 弾き飛ばされた化け物に狙いを定め、

 

「全弾発射!食らえ!!」

 

 ガガガガガガガガガガガガッ!!ズドオオオオオオオオオオオン!

 

 ランチャー、ヘビィマシンガン、腕部ガトリング砲が一斉に発射され、派手な爆発を起した。

 

「グ・・ガアアアア・・・・・・・アアアア」

 

「今だ!なのはさん!お願いします!」

 

「うん!レイジングハートお願い!」

 

『Yes.My,Master.Sealing Mode Setup』

 

 前に見たように桜色のリボンが現れ、化け物を巻きつけ桜色のリボンで包み込んだ。

 

「リリカル・マジカル、ジュエルシード、シリアル16封印!」

 

『Sealing』

 

 そして、出てきたジュエルシードをレイジングハードで触れ、封印した。

長いようで短かった戦闘が終了した。 




 二つのジュエルシードを封印したなのは。
しかし、なのはの表情は暗かった。
 落ち込むなのはにオーツーは優しく励ます。

 次回 Memory14 励ましと強制休暇


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Memory14 励ましと強制休暇

前回

 戦闘が終了し、二つ目のジュエルシードを封印したなのはたち。
しかし、なのはは怪我をした02を見て、自分を責めた。そのときオーツーは・・・


「ふう、やっと終わった・・・・・」

 

 一息ついていると、階段の方からローラーダッシュの音が聞こえてきた。

階下から、01と01に肩を貸された02がやってきた

 

「どうやら、戦闘は終了したみたいだな」

 

「はい。ジュエルシードは封印され、暴走体は消失しました。02、大丈夫ですか?」

 

「ああ、流石、司令が設計しただけある、なんとも無い・・・と言いたいが、

恐らく肋骨にヒビが入ったな、痛てぇ・・・・・」

 

 まぁ、あんな質量から出された体当たりをまともに食らったんだ、

ヒビですんだのはMMAのお陰だろう。

 

「肋骨にヒビって・・・・大丈夫なんですか!?」

 

 なのはが驚いて言った。

 

「まぁ、ちょいと呼吸がしにくいが、基地まで帰れる・・・はず」

 

「あの、治療しましょうか?一応、僕、治癒魔法を使えるんです。」

 

「あー・・・お願いしてもいいか。痛みが続くのは正直、つらい」

 

「では、座ってください。」

 

 ユーノの指示に従って02が座ると、ユーノは呪文を唱えた。

唱え終えると、淡い緑色の魔方陣が現れ、光り始めた。

 

「お・・・・痛みが引いていく・・・・・」

 

 数分経つと、魔法陣が消え、光も収まった。

 

「治療は完了しました。もう痛みは無いはずです」

 

「すごい・・・・・これが魔法・・・・。怪我したのが嘘みたいだ・・・・・」

 

 02は治癒魔法の効果に驚いていた。

 

「礼を言う。お陰で治った。」

 

「い、いいえ!当然のことをしただけです!」

 

 02が頭を下げて礼を言ったので、ユーノは慌てていた。

 

「あの・・・・・」

 

「ん?どうしたんですか、なのはさん」

 

「私、ちゃんと出来たのかなって・・・・・」

 

「十分すぎるくらいですよ」

 

「でも!私がもっと早く来ていれば、02さんも怪我しなかったし、01さんやオーツーさんも

危険な目に遭わなかったかもしれないのに・・・」

 

 ああ、なるほど。優しい人だよ、なのはは・・・・・・

でも、ちょっと自分を責めすぎだな、だから・・

 

「てい」

 

「にゃわッ!」

 

 僕はなのはにデコピンをした

 

「自分を責めすぎだよ。なのはさん。今、僕たちは君を守るために戦っているんだ。

これくらいの危険は覚悟の上さ。

それに、まだジュエルシード探しは始まったばかりだよ?これから挽回すればいいし、

悔しいけど、僕たちもなのはさんに頼ることも多くなるかもしれない。

だからさ、ね?そんなに自分を責めないで」

 

「オーツーさん・・・・・・・・・・。うん!私、もっと頑張る!」

 

 暗い顔だったなのはが笑顔になり、僕も嬉しくなる。

 

「その意気だよ、それになのはさんは笑っているほうが素敵だよ。」

 

「にゃっ!!」

 

 なのはは変な声を出して真っ赤になった

 あ、あれ?何かマズイことでも言っちゃった!?

 

「(隊長・・・これが・・・・・・・・・・)」

 

「(本人に自覚が無いところが厄介だな・・・・・・・・・・・・・)」

 

 01と02はそんな心の声を発していたとか・・・・・・

 

 

 

 二つ目のジュエルシードを封印してから4日後。

なのはは、ほぼ毎日捜索に出てきてくれた。しかし、明らかなオーバーワークのため、

僕と新島さん、ユーノ君で渋るなのはを何とか休ませることに成功した。

 

「で、怪しまれないために僕も休めと?」

 

「それもあるが、今日くらい子供らしく遊んで来い。捜索は俺たちでやっておく」

 

 断れそうな雰囲気でもなかったのでありがたく休ませて貰うことにした。

 

 

家にて

 

 家に戻ったが、何をしようか悩んでいた。

 

「そうだ。久々に図書館行こう。はやてともしばらく会ってないし。」

 

 早速、準備をして、図書館に向かった。

 

 

図書館にて

 

 久々に図書館に来て、早速、はやてを探し始めた。

 

「って、だいたいいるところは分かるんだけどなぁ・・・・」

 

 僕は恐らくいるであろう場所に足を運ぶと、案の定いた。

 

「ん・・っと、よっと・・・・」

 

 しかも、初めて会ったときと同じ状況と言うオマケ付きで・・・

 

「また倒れるよ。よいしょっと、これかなはやて?」

 

「あっ!クロヤ!久しぶり、しばらく来んかったから忘れられとるんかと思ったわ」

 

「ごめんね。最近、忙しくて会いに来れなかったんだ」

 

「まっ、今日会いに来てくれただけでも嬉しいし許してあげるわ。また、お話しよっか?」

 

「そうだね。とりあえず場所を移そうか」

 

 僕とはやては久しぶりの会話を楽しんだ。

 

 はやてと話をしていると、意外な人物がやってきた。

 

「あれ?なのはにアリサにすずか?」

 

 入り口から三人の姿が見えた。

手を振ると、向こうも気付いたみたいでこっちにやってきた。

 

「あっ!いたいた。こんにちは、クロヤ君、はやてちゃん」

 

「家にいなかったから、どこかと思ったけど、やっぱりここね」

 

「どうしたの三人とも?」

 

「今日、今からなのはのお父さんがコーチをしているサッカーチームの試合があるんです。

だから一緒に観戦しようと思って誘いに来たんです」

 

 サッカーの試合ねぇ・・・・・・。

そういえば、この世界に来てからこの世界のスポーツを見た記憶があんまりないな。

 

「僕はいいけど。はやては?」

 

「うーん・・・・今日は病院も休みやから、うちも一緒に行くわ」

 

「二人ともオッケーね?それじゃ、行きましょう。もう少しで試合始まっちゃうわよ」

 

「りょーかい」

 

 僕たちは途中、はやての家に寄ってから試合のある川原に向かった。

 

 




 強制的に休まされたなのはとオーツーは、なのはの父・・士郎が監督するサッカーチームの
試合を観戦していた。
 しかし、ここにもジュエルシードの反応が・・・・

次回 Memory15 久しぶりの休日


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Memory15 久しぶりの休日

 強制的に休まされたなのは。
その頃、クロヤは久しぶりにはやてに会いに行っていた。


川原にて

 

 

 

「こんにちは、君たちがクロヤ君にはやてさんだね?私は高町士郎。

なのはとよく遊んでもらっているらしいね」

 

 川原に着いてなのはのお父さんを探していると、向こうからやって来てくれた。

なのはのお父さん、士郎さんの第一印象は、一緒に話しているだけでも分かるくらい

すごいオーラを纏っているってことだった。かなり腕の立つ武人であることが伝わってくる。

何となく、なのはが異常な才能を持っているのが分かった気がした。

 

「いえいえ。こちらこそなのはと遊んでもらってます」

 

「うちも、足がこんなんですから友達になってくれて遊んだりしてくれる

なのはちゃんたちにはほんま感謝してます」

 

「そう言ってもらえると、こちらも嬉しいよ。

そろそろ試合が始まるからなのはたちの所に行ってね」

 

「「はい」」

 

 そう言って、僕ははやての車椅子を押しながらなのはたちと合流した。

合流すると、すぐに試合が始まった。

 

 熱気と、闘志が伝わってきて、あまりルールを知らない僕でも思わず応援してしまうくらい

白熱した試合が行われていた。

 

 そんな時、

 

「っ!(わずかな魔力波の乱れを感じる・・・・・・。あれか?)」

 

 魔力波の乱れを感じ、かすかな乱れを辿ると、

ゴールの前にいる少年のポケットから発していることに気が付いた。

 

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」

 

 僕は、連絡を取るためにトイレに向かうふりをした

人気の少ない場所で小型インカムを取り出し、基地に連絡を入れた。

 

「こちら00。オペレーター、今日捜索しているのは?」

 

『こちらオペレーター。今日、捜索しているのは05と06ですが?どうかしたのですか?』

 

「ジュエルシードを発見した。しかも、一般人が所持している」

 

『っ!!了解しました。05、06に連絡します。対処なのですが、

1班がとっておきの方法があるそうなので、それを試します』

 

「こちら00、了解した。では、通信終わり」

 

 どうやら、今回は僕の出る幕では無さそうだ。

急いで戻ると試合も終盤に差し掛かっており、ちょうど士郎さんのチームがゴールを決めていた。

 

 結果は勝ち。

 

その後、翠屋という士郎さんとなのはのお母さんが経営する店で祝勝会が開かれるらしく

僕たちにもお誘いが掛かったのでありがたくお受けすることにした。

 

 

翠屋にて

 

「へぇ・・・はじめて知ったよ。ここって、そんなに有名なんだね」

 

「というより、この町じゃ結構有名なんやけど、

まさかうちでも知ってることをクロヤ君が知らんかったなんて・・・・・・・・・・・・・・」

 

 僕たちは翠屋で祝勝会に参加していたが、僕がこの店のことを知らなかったことを言うと

はやてに呆れられてしまった。

 

「ここのケーキ、とてもおいしいんですよ。」

 

「そうなんだ。母さんに買って帰ろうかな?」

 

「いいじゃない。クロヤのお母さんも喜ぶと思うわよ。ねぇ、なのは?・・・なのは?」

 

「・・・・・・・えっ?あ、うん。きっと喜んでくれると思うよ。」

 

 アリサがなのはに話を振ったが、なのはは周りを気にしているのか

こっちの会話には半分上の空だった。

 

「どうしたのなのは?」

 

「ううん。なんでもない。(ユーノ君、近くに・・・・・・)」

 

「(うん。ジュエルシードがある)」

 

 どうやら、なのはとユーノ君もジュエルシードの存在に気付いたみたい。

どうしようかな・・・・休みの日までそういうことに意識を向けてほしくないな。

 

「あ、ちょっとトイレに行ってくるね」

 

 僕はトイレに入り、インカムを使って01に連絡を取った。

 

「こちら00。01応答を」

 

『こちら01。どうした?』

 

「なのはがジュエルシードに気付き始めた。至急、回収を」

 

『分かった。作戦を早めるが、ジュエルシードを所持している人が動かないとできない』

 

「ちょっと待って・・・・・・・・あー、多分、もう少しで動く。今、祝勝会がお開きになったみたい」

 

『了解した。では、作戦を実行する。おーい、頼むぞ、05』

 

 と言って、向こうから通信を切った。一体、何をするつもりなんだろう?

 

「あ、いけない。お開きになったんだった。戻らないと」

 

 僕は大急ぎでみんなに所に戻った。

 

 

「ごめん!遅くなった!」

 

「本当よ。いつまでトイレに行ってるのよ?なのは、先に帰っちゃったわよ?」

 

「祝勝会も終わったみたいですし、私たちもお開きにしましょうか」

 

「そやね。うちもそろそろ帰らんとあかんし」

 

「うん、そうだね。さてと、お土産を買って家に帰ろうかな。・・・・・・・あ、やば」

 

「どうしたんですか?」

 

「僕、今日、用事があるんだった、ごめん!僕急ぐから!」

 

 嘘を言いつつ、僕はお土産を買い、なのはを追いかけた。




 ジュエルシードを持つ、少年を追うなのは。
しかし、追った先では驚きの事実が

 次回 Memory16 新たなる決意


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Memory16 新たなる決意

 ジュエルシードを持つ少年を追いかけたなのは。
そこで、オーツーから休んだ理由を聞かされる。


なのはSIDE

 

 

 みんなと別れた後、私はジュエルシードの反応を追っていると、

前を歩いているカップル?の男の子の方のポケットの中から反応を感じた。

 

「あ、いた!でも、どうしよう・・・・・・・・ユーノ君、何か方法は無いの?」

 

「うーん。普通に『持っている宝石をください』って言うわけにもいかないし・・・・・」

 

「とりあえず、様子を・・・・・・・って、あれ?」

 

 二人はスーツを着た見知らない男の人に話しかけられていました。

男の人はポスターみたいなものを二人に見せていました。

 

 あれって・・・・

 

「ジュエルシードだよね?」

 

「うん。うっすら文字が見える。間違いないとは思うけど・・・」

 

 すると男の子がポケットに入ってたジュエルシードを渡していました・・・って、ええ!?

 

「ど、どうしよう・・・」

 

 ジュエルシードを受け取った男の人は違う色をした宝石を男の子に渡して

歩いていってしまいました。

 

 追いかけると、人気の少ない路地に入りました

 

「(どうしよう・・・追いかけたのは良いけど、これからどうやればいいの~!?)」

 

 肝心なことを考えてなくて、どうしようか物陰で焦っていると、

 

「ふぅ・・・・・・疲れたな・・・・・。それと、もう出てきてもいいですよ。高町さん?」

 

 と、男の人に呼ばれてしまいました・・・・・ば、バレてる!?

物陰から出ると、そこにはさっきの男の人・・ではなくて

オーツーさんと同じ鎧を着込んだWDDOの人がいました

 

「え?あなたは・・・・」

 

「はい。WDDO所属の05です」

 

 良かったぁ・・・WDOOの人なら安心なの

 

「ジュエルシードは回収しました。が、封印は後日でいいでしょう。」

 

「え?今しないんですか?」

 

「実は言うと・・・・・・・」

 

「それじゃあ、お休みにならないからですよ」

 

 後ろから声が聞こえて振り返ると、オーツーさんが立っていました。

 

「休ませたのは身体を休めるだけじゃなく、なのはさんの命を守るためでもあったんですよ」

 

「え?命を守るため?」

 

 どういうこと・・・・・・。私の身体に何が起こっているの?

 

「なのは、本当のことを言うよ・・・・・・・・・・

なのはの身体には、とてつもない程の負担が掛かっているんだ。

魔法による疲労は運動による疲労と違って溜まりやすく取れにくいんだ。

しかも、なのははまだ成長期だから身体に与える影響も大きい。だから僕たちは休ませたんだ。」

 

 ユーノ君が申し訳なさそうに言っている・・・・・・本当なの・・?

 

「ユーノ君・・・・。オーツーさん、本当なの?」

 

「うん。無理してほしくないし、なのはさんに怪我をしてほしくない。だから休ませたんだよ」

 

「そこまで考えていたなんて・・・・・・私、まだまだダメだよね・・・・・・」

 

 自分の身体も管理できないなんて・・・・・・・・

自分自身のダメさに涙が浮かんできました

 

『マスター。そんなことはありません』

 

「レイジングハート?」

 

『マスターは魔法を自分自身だけじゃなく他人の役に立つために使っています。

マスターのその志は立派です。

むしろ、今回はマスターを最大限サポートするはずの私のミスです。』

 

「レイジングハートの言うとおりだよ。

誰かの役に立とうと必死になるということは簡単なことじゃないんだ。

その難しいことを精一杯しているなのはさんは十分立派だよ。

でも、無理はダメ。怪我をして悲しむのは家族、友人、僕たちだってそうなんだ。」

 

「その通りだよ。本当なら、このことは僕一人で片付けなくちゃいけなかったんだ。

でも、なのはは僕のいきなりの助けにもちゃんと答えてくれた。

だから、なのはにはとても感謝しているし、僕もなのはのサポートをするから」

 

 みんなの言葉で、私の中に、一つの決意が生まれました。

 

「オーツーさん、ユーノ君・・・・・・。私、決めた!

誰かに指図されるんじゃなくて自分の意思でみんなを守るためにジュエルシードを集める!」

 

「強いね、なのはは・・・・・。僕も決めたよ。どんなヤツからも絶対なのはを守る。」 

 

「僕も、なのはを助ける。」

 

『私も同じです。マスター』

 

「みんな・・・・・・・・ぐすっ・・・・あ・・・・・ありがとう・・・・・うぅ・・・・・」

 

 泣きそうになっていると、オーツーさんが優しく抱きしめて頭を撫でてくれた・・・・

その後、私は大きな声で泣き続けた。

泣いている間もオーツーさんは優しく抱きしめて頭を撫で続けてくれた。

 泣き終わった時、私はすっきりした気持ちになり、新しい始まりを感じました。

 

 

 

 




 新たな決意を持ったなのは。
しかしある夜、なのは不在の捜索中に事件が起こる

次回 Memory17 闇


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Memory17 襲撃

遅れてすみません



前回

 オーツー、ユーノ、レイジングハートの言葉を聞き、
決意を新たにしたなのは。しかし、その日から数日後、なのは不在の夜の捜索時に
大きく事件が動いた


ある夜、今日はなのはが夜の捜索には出られないと言うことで

僕と、今日担当の09、10と共にジュエルシードを探していた。

 

「うーん。ないな・・・・もうそろそろでこの町一体を捜索し終えるころだから、

範囲を変更しないといけないのかな」

 

 と、今後の捜索範囲のことを考えながら道、側溝、建物の影などくまなく探していると、

一緒に捜索している10から通信が入った。

 

『こちら10。ジュエルシードを発見した』

 

「了解。封印ケースは09が持ってるから合流して」

 

『こちら09。今10と合流する。封印したら今日はもう終わろう』

 

「了解。」

 

 しばらく待っていると、再び09,10から通信が入った。

 

『こちら10。封印作業が完了した。こ・・・・れよ・・・・・き・・・・・か・・・・・・』

 

「ん?どうしました!?応答を!」

 

『こち・・・・・0・・・・・・・・・・何・・・・・・・しゅう・・・・・う・・ああ・・・・・・あああああ・・・・!!』

 

『・・・・10・・・・・・きゅ・・・・・をもと・・・・・く・・・す・・・・・・・・きゅう・・・・・・・あああああああああ!!』

 

「09、10!応答を!オペレーター!何がありましたか!?」

 

 突然、通信が途絶えたのと救援を求めている内容だったのでオペレーターに急ぎ聞いた。

 

『こちらオペレーター!09、10との通信及びシグナルロスト!彼らがいた場所一帯が通信不能!』

 

「00、現場に急行します!」

 

『オペレータ了解!なお、第一斑に緊急出動が発令されました。全隊員がそちらに急行します!』

 

 僕はオペレーターの言葉を聞きながら、09、10のもとへ急いだ

 

 

現場にて

 

 

 

「なっ!」

 

 現場についた瞬間、背筋が凍りついた。

道に二人が倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

  血まみれで

 

 

 

 

 

 

 

 

「09、10!しっかりしてください!」

 

 二人を抱き起こしたが反応が無い。脈はあるので、死んでいないことに安堵した。

 

「装甲がズタズタにされている。この切り口は・・・鋭利な刃物?・・・違う、焼き切られたに近い」

 

 ふたりのMMAは無残にも切り裂かれてボロボロだった。

 MMAは魔導士のバリアジャケットに装甲を取り付けたもので、

防御性能ならバリアジャケットより上のはず・・・・・・

 

「な!何だこれは!?」

 

 声がしたので、振り向くと01たちが到着したみたいで、みんな唖然としていた。

 

「01!二人を!」

 

「ああ!09、10を急いで基地に運べ!オペレーター、緊急手術の用意を!

09、10が負傷!二人とも意識不明の重体!」

 

 01の指示に、みんなは素早く行動し、二人に応急処置をして持って来た担架に乗せ、

全速力でグライディングホイールを回転させて走り去っていった。

残った人たちはMMAの破片、犯人の証拠品探しを始めた

 

「01!これを見てくれ!」

 

 02の声がして、駆け寄ってみると、粉々にされた何かがあった

 

「なんだこれは?」

 

「これ、封印ケースです!」

 

「何だと!MMAの装甲と同じ装甲板で出来ていたはずだ!なのに、粉々だと!」

 

 02が見つけたのは粉々にされた封印ケースだった。

 

「00!ジュエルシードは!?」

 

「既に封印されてそれのなかに・・・・・犯人は、ジュエルシード狙ったみたいです・・・・」

 

「くそっ!一個でも危険なものなのに奪われたとなると・・・」

 

「一先ず帰還しよう。MMAを簡単に破壊できる奴が犯人です。ここに留まるのは危険です」

 

「00・・・・・・・・・・そうだな。総員、撤退だ!急げ!」

 

結界の中で攻撃されたようで 周りの建物や壁に損害が無く撤退はスムーズに済んだが、

何か大きな闇があることは誰の目にも明らかだった。

 

 

 

基地にて

 

 

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 09と10を救出し、基地に撤退した僕たちは食堂に集まっていた。

今は、MMAに残されている映像データの解析と二人の緊急手術が終わるのを待っている。

みんな、ショックを隠しきれないみたいで、誰も何も話さずにMMAは装備したまま

HMDを外して椅子に座っていたりウロウロ歩いたりしていた。

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 小声で喋っているのが聞こえて、声のする方を見ると03が聖書を片手に祈りを捧げていた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちくしょぉっ!」

 

 ガタン!と大きな音がすると、06が机を叩いて怒りを露わにしていた

 

「誰だ!誰なんだ!?10を・・・・アニスをやったのは!?」

 

「落ち着けフーバー。戦友を傷つけられて怒るのは分かるが、今はアニスとジェフの無事を祈れ。

事はそれからだ」

 

 06・・・フーバーさんを02・・・アシュレイさんが宥めている。

フーバーさんとアニスさんは二人ともアメリカ軍の訓練学校時代からの友人で、

同じ海軍特殊部隊に所属していたんだっけ・・・・

 

「そうだぞフーバー。俺だってジェフをやられて悲しいんだ。

だが、今俺たちがすることは二人の無事と、解析を待つことだ」

 

 そう言って、大柄な黒人・・・・04ことダグさんが落ち着いた声で言った。

ダグさんとジェフさんは人種は違うけど同じ国出身ということで、配属時からの友人らしい。

 

「そう・・・だな・・・。すまん」

 

 フーバーさんが謝って、椅子に座りなおすと再び沈黙が訪れた。

数分経ったころ、ドアが開き、研究員が着る白衣を着たいつもの格好の母さんが入ってきた。

 

「リーネさん!二人は!?」

 

 01・・・新島さんが母さんに聞くと、母さんは首を横に振った。

 

「・・・・・・まだよ。あと、2,3時間掛かるらしいわ。それと、解析が終わったけど、どうする?」

 

 新島さんは少し考えると、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・今すぐお願いします。」

 

「そう・・・・・・・。では、至急、会議室に集合して。」

 

 そう言って、母さんは会議室に向かい、僕たちもぞろぞろと会議室に向かった。




 襲撃され重傷を負った09と10。
二人のHMDの映像に映っていたものとは・・・・

次回 Memory18 襲撃者の正体


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Memory18 襲撃者の正体

 解析の終わった09と10のHMDの映像を見ることにした第1班
そこに映っていたものとは・・・・


「集まったわね?・・・・・・・・・・・・・・・・・・これから見せるのは09と10のHMDの映像よ。

つらい光景を見るかもしれないけど、堪えて頂戴」

 

 会議室に集まり、映像を見せる前に母さんが注意を言った。

相当、酷い映像が映っていたのだろう。

 

「・・・・・・・・・・・・・はい。お願いします」

 

 新島さんが言うと、母さんは機械を操作し、空中にディスプレイを出現させて映像を流し始めた。

 

 

 

 

映像

 

 

 

『こちら10。封印作業が完了した。これより帰還する・・・・・・ん?何だ、通信が繋がらない?』

 

 映像は、通信が途絶したあたりから始まった。

どうやら、途絶した時にはまだ犯人と出会っていなかったみたいだ。

 

『どうした10?』

 

『通信が繋がらないんだ。どうなってるんだ?』

 

『俺たちはメカニックじゃないんだ。分かるわけないだろ?ゲートの場所は覚えてるからさっさと帰ろうぜ』

 

『そうだな。さっさと帰るか・・・・・・・・・・ん?』

 

『今度はどうしたんだ?』

 

 何かに気付いた10が道の先を指差していた。

 

『あそこ、道の真ん中に誰かいる』

 

『道の真ん中?・・・・・あっ!いた。誰だアイツ?』

 

『・・・・・・・・・・少なくとも、一般人じゃないのは明らかだな』

 

 二人の視線の先にいたのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ黒の衣装とマント、金色の髪、赤い瞳をした少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一応、聞いてみるか。こちらは世界次元防衛機構、WDDOだ。そちらの所属、名前、目的を言ってください』

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 10が少女に質問をしたが、少女は黙ったままだった。

 

『おーい。聞こえてるか?もう一度言うぞ。君の名前、所属、目的を言ってください』

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

『おいおい、無視するなよ。君は一体・・・・・・・・・・・・・』

 

 09が呆れて近づこうとした時、

 

『・・・・・・・・・・・あなた達に用はありません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・消えてください』

 

 無表情に冷たく、少女が呟いた途端、姿が消えた。

 

『は?何を・・・・・・・・・・グァッ!!』

 

 映像が揺らぐと、10の視点になり、09が脇腹のあたりを切り裂かれていることに気付いた。

 

『なっ!』

 

 10が驚いて後ろを見ると、少女がいつの間にか大きな金色の刃をした鎌を持っていた。

 

『は、速い!いつの間に!』

 

『どうやら、ジュエルシードはその箱の中のようですね。渡しなさい。

でなければ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

死にますよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女が非情に宣言すると、09と10は全速力で少女から逃げていた。

 

『こちら09!襲撃された!う、うわあああああああああああああああああああ!!』

 

 

『こちら10!至急、救援を求める!繰り返す、救援を、あっ、あああ・・ああああああ・・・ああああああああああああああ!!』

 

 突然、09と10の横に金色の閃光が走り、目の前に少女が現れた。

 

『逃げましたね。なら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 少女は、狂気めいたゾッとする笑みを浮かべ、

 

『死んでくださいね?』

 

 

 

 そのからは一方的な虐殺だった。

明らかに、少女のスピードは二人の反応速度を超えており、姿が消えるたびに二人のうちどちらかが斬られていた。

 

まず、二人の脚部装甲が斬られ、動けなくなった。

 

そして、一撃離脱を繰り返し二人をズタズタに切り裂いていった。

 

『アハハハハハハハハッ!キャハハハハハハハハハァッ!!!!!』

 

 狂気の笑い声を響かせながら、二人を少しずつ、確実に切り裂いていった。

 

少女は二人を切り刻んだあと、転がっていた封印ケースを拾おうとした時、

 

『グッ・・・・・そ・・・・それは・・・・・渡せ・・・ない・・・・』

 

『・・・・ふ、封印・・ケースには・・指一本・・・・・・・触れ・・・させな・・・・・いぞ』

 

 二人が少女の足とマントを掴んで最後の抵抗をしていた

 

『フフッ・・・・・・・そんなに殺されたいんだぁ・・・・・・・・・なら殺してあげるよッ!』

 

 少女は、09と10の手を払い、二人を空中に放り投げ何回も切り裂いて、地面へと叩き落したところで映像が途切れた。




 襲撃者の正体を知り、怒りにとらわれる第1班。
そんな彼らに対するリーネの決断とは。
一方、00も何か引っかかりを感じていた

 次回 Memory19 リーネの決断


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Memory19 リーネの決断

 残された映像に映っていた悲惨な光景
それを目にした第1班の隊員は怒りにとらわれる
そんな状況の中、リーネの下した決断とは・・・・・


「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

 映像が終わっても、誰一人として言葉を発することは無かった。

酷すぎる・・・ここまで残忍なことを笑いながら出来るなんて・・・・狂ってる・・・・

 

 

 

 でも、何か変だ・・・本能なのか直感なのかは分からないけど、そう思う。

 

 

 

 

「・・・・・こ・・これでは、一方的な虐殺行為だ!こんなことが許されるはずが無い!!」

 

「リーネさん!至急、この子に対する交戦許可を!!」

 

「市街地での重武装の使用許可を!!」

 

 すると、ショックから回復した01、02以外の隊員たちが次々に交戦許可を求め始めた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 でも、母さんは目を瞑って黙ったままだ。

 

「「「リーネさん!」」」

 

 みんなが大きな声で呼ぶと、母さんは目を開けて、

 

「交戦は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

             許可しないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 はっきりと宣言した。

 

「何故です!これは明らかに虐殺行為です!」

 

「そうですよ!このような狂気の沙汰、普通は出来ますか!?」

 

 みんなは明らかに怒りにとらわれて目先のことしか考えていない、こうなったら・・・・・・。

僕は空気を思いっきり吸い込み、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるせぇぞォォォォォォォォォッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋全体が揺れていると錯覚するくらいの大音量で叫んだ

 

「「「「ッ!!!!!!!!」」」」

 

 みんなが耳を押さえ、驚きながら僕を見てきた

 

「ふう・・・・。ごめんなさい。でも、頭は冷えましたか?」

 

 僕が一拍おいて言うと、新島さんが僕と隊員たちの間に立つように身体を滑り込ませた。

 

「みんな、クロヤ君の言うとおりだ。頭を冷やせ。第一、いくら重武装をしたところで勝てるのか?」

 

「しかも、その時にこの子が周りの施設や民間人に危害を加えないと断言できるのか?

それに、重武装なんか使ったら被害を加えるかもしれないのは俺たちになるんだぞ?」

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

 新島さんの言ったことにアシュレイさんが援護射撃をし、みんなは黙ってしまった。

 

「それに、少し気になることがあったの」

 

 母さんはいくつか操作をして、映像を一部分のみ再生した

ちょうど、金色の少女が二人に止めを差そうとしたところだった。

 

「ここよ」

 

 さらに一部分を再生すると、僕の直感が確信になった

 

「この瞬間、一瞬だけだけど身体の一部分が変わっているの。ここと、ここ」

 

 指差したのは少女の長いツインテールと腕の部分だった

 

「まず、髪の毛が短くなって白色に、腕の部分にうっすらと何かの紋様が浮き出ているの。

多分、この姿は変身魔法を使った偽装。

なぜこんなことをしたのか分からないけど、恐らく誰かに罪を擦り付けるためね。」

 

「(白い・・・紋様のある体・・・・・・まさかアイツ?・・・・・・・・・・・)」

 

 母さんをチラリと見ると小さく頷いていた。

やっぱり、母さんも同じ考えに辿り着いたみたいだった。

 

「それにしても・・・・・・・・この子、誰かに似ているような・・・・・・・?」

 

「(コンコン)失礼します」

 

 母さんが別のことで悩んでいると、ノックの音がした。扉が開くと、この基地の医師が入ってきた

 

「無事、手術が終わりました。設備のお陰もあって二人とも峠は越えました。

二ヶ月もすれば完治するでしょう」

 

「ッ!!ありがとう。お疲れ様でした。みんな、聞いた!?」

 

「「「「いよっしゃっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」

 

 手術の終わりと二人の無事を聞くと、みんな嬉しさのあまり抱き合ったり、泣いている人もいた。

 

「でも、楽観はできないわ。今日はもう休んで。明日からの捜索の際は必ず二人で離れず行動すること。

じゃあ、解散!」

 

 

 

 

 みんなが解散した後も、僕は会議室に残り椅子に座って考え込んでいた。

 

「何をしているのクロ君?」

 

「あ、母さん。いや、あいつのことを考えていたんだ。」

 

「・・・夢で出てきたって言う白いクロ君のこと?」

 

「うん。もしかしたら、あいつは生物兵器・・・・Ωかもしれない」

 

「Ω?」

 

「異世界『ロンデニオン』と言う世界で造られた、僕のクローン。それを兵器にしたのがΩ。

正確には、Ωだったもの」

 

「どういうこと?」

 

「あいつは、調整ミスと実験事故で暴走して、ただひたすら破壊と殺戮の為に生きる怪物だよ。

しかも、あいつは僕のクローンだから、僕の能力の一部を受け継いでいる。

多分、ほぼ僕と同じくらいの力はある。

さらに最悪なことにあれは、『ロンデニオン』を破壊する際に

軍の中枢コンピュータからありとあらゆる知識を得ているんだ。

だから、かなり頭が良い。ただ暴れまわって破壊の限りをするときもあれば、

裏で暗躍して大きな戦乱を引き起こさせることもある」

 

「最悪ね・・・・・。破壊と殺戮が生きがいで、しかも頭も良くて強い。史上最悪の犯罪者・・・いいえ、

もう犯罪者っていう枠を超えているわ。」

 

「あいつは僕を狙う。『ロンデニオン』で戦った時、手傷を負わせたんだ。でも、逃げられた。

それ以来、僕に異常な執着を持っている。

近いうちに必ず出てくる。もし、Ωが出てきたら、僕はあれを倒す。皆を守るために」

 

「・・・・・・・・・・・クロ君」

 

 僕の決意を聞いた母さんは、そっと僕を抱きしめてきた。

 

「クロ君の思いは聞いたわ。母さんは止めない。でも、一つだけ約束して、必ず帰ってくること」

 

「うん。」

 

 母さんと約束した後、僕は母さんと一緒に家に戻った。

 

 

 

 

 

 

????にて

 

「ただいま戻りましたよー」

 

「・・・・・・・・・・・・・回収したものは?」

 

 地球とは別の次元のある場所で、軽い調子の声が響いた。

声の主・・・・金色の少女は部屋の奥に設置された椅子に座る女性に近づき、持っていた物を渡した。

 

「ほい。ジュエルシード一個、回収~。いやー、町の中に紛れていると思っていたけど、

まさか向こうの組織が回収しているとはね~。

回収するのは楽だったけどそいつら弱いこと弱いこと、もっと抵抗して楽しませろっての。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 女性は無言で少女の言葉を聞いていると、不意に指を少女に向けた

 

 ズバァッ!

 

「ひひっ!」

 

 向けた瞬間、指先から電撃が走り、少女のいたところに当たるが、

少女は既にジャンプでその場から飛び退き、離れたところに着地した。

 

 

 

 

 しかし、姿は少女ではなく、白い髪で全身に紅い線の入った少年に変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・なぜ、あの子の姿に変身したの?」

 

 女性は怒りを露わにしながら立ち上がり、少年に険しい口調で聞いた。

 

「だってさー、どっちにしたってあの子はさっき言った組織と交戦するだろうから

印象付けておいてもいいかな~って」

 

「馬鹿にしないで!二度とあの子に変身しないで!うっ・・・・・・ゴホッゴホッ・・・・・・!」

 

 激しく怒っていた女性は突然、咳き込み片膝を付いた。

女性は吐血しており、手は血で真っ赤だった。

 

「あーあ。あんまり無理するからだよ。無闇に魔法なんて使ったら寿命を縮めるだけだよ?」

 

「・・・・・・・くっ・・・・・!!」

 

 女性は少年を睨みつけた。

しかし、少年は怯まずむしろ面白そうに笑った。

 

「おーおー。怖い怖い。でもさー、あんまり図に乗るとあの方法、教えてあげないよ?」

 

「!!!!」

 

 少年の言葉を聞いた女性はひどく怯えた表情になった。

 

「ひひっ!冗談冗談。それじゃ、僕はまた探しに行くからね~。

あと、あの子に今度会いに行くから。それじゃ、バイバ~イ!」

 

 少年はそう言って、部屋から出て行った。

 

「くっ・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・アリシア、フェイト・・・・・・・うぅ・・」

 

 部屋には、残された女性の嗚咽が響いていた。 

 

 

 

 

 

 

 




 敵の正体を自分のクローン・・Ωだと確信したオーツー
いつ来るかも分からない状況下、ジュエルシードの反応があった

次回 Memory20 なのはの必殺技と二人の来訪者


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Memory20  なのはの必殺技と二人の来訪者

 襲撃者をΩだと思う00。
しかし、肝心のΩの動向が分からないまま、数日が経過した
そんなある日、ジュエルシードの反応がありなのはとともに現場に向かった


襲撃から3日後、海鳴市の公園にて

 

 

「なのはさん!そっちに行った!」

 

「うん!任せて!」

 

 今、僕たちは公園の木に埋め込まれたジュエルシードの暴走体と

ユーノ君が展開した結界内で戦闘している。

ちなみに他のみんなには、とある理由で休んでもらった。

 驚いたのは、なのはさんの戦い方が以前とは全くと言っていいほど良くなっていることだった。

ユーノ君に聞いたところ、時間を見つけては魔法の練習をしているらしい。

また無茶をするかもしれないと思ったが、ユーノ君とレイジングハートがしっかりと

コンディションを把握しているらしいので度を過ぎた魔法の練習はさせていないとのことだった。

なのは自身も分かっているみたいなので、心配はなさそうだ。

 

 と言うか・・・・・・・・・・・・

 

「何か、倒せる気がしないな・・・・・・木なだけに・・・・・」

 

「冗談言ってる場合じゃないと思うけど・・・・・・・」

 

 思いついた洒落を言ったら近くにいたユーノ君に呆れられてしまった。

それもそのはず、コイツは根っこを鞭のようにして攻撃してくるんだけど

斬っても撃ってもその部分から超速再生してしまうのでキリがない。

 こういうタイプとは何回か戦ったことはあるけど・・・・面倒なところは共通しているんだよね・・・・

これには一撃必殺の強力な技が効果的なんだけど・・・・・・・・・・・

 

「何か、一発で決めれるのがあればいいだけど・・・・・」

 

「うーん・・・・。あっ、そうだ、なのは!この前から練習してたあの技を試してみて!」

 

「ええ!?でも、あれまだ上手く出来る自信ないんだけど・・・・」

 

 どうやら、練習中の新技があるらしい。

今は四の五の言ってられないので、僕がフォローするしかない。

 

「なのはさん、僕がフォローするから自信持って!」

 

「うん!」

 

 なのはが頷くと、レイジングハートを構え、魔力をチャージし始めた。

だが、敵がその隙を見逃すはずも無く、なのはに攻撃しようとした

 

「邪魔はさせない!」

 

「オーツーさん!足止めを!」

 

 僕が牽制し、ユーノ君の拘束魔法で動きを止めた時、なのはの射線上から退くと、

 

「いくよ!ディバインバスター!」

 

 物凄い魔力の砲撃が撃ち出され、敵を呑み込んだ

 

「うう・・・・きゃあっ!」

 

 しかし、激しい砲撃の威力に耐え切れず、なのはが後ろに吹っ飛ばされてしまった。

 

「よっと・・・・大丈夫?」

 

 何とか後ろに回りこんで飛ばされたなのはをキャッチした。

 

「う、うん。ありがとう」

 

「どういたしまして。それにしても・・・・・・・・・・」

 

 僕は砲撃の跡を見て呆れていた。

 

「物凄い威力だね・・・・・・・。地面が抉れて大変なことになってる・・・・」

 

「にゃはは・・・・・・・でも、失敗。

まだ上手く制御できないからこうやって吹っ飛ばされちゃうんだよ。

あと、これを撃った後ね・・・・・・」

 

 すると、なのはが光に包まれた。

光が収まると、バリアジャケットではなく私服のなのはが現れた。

 

「こんな風に魔力切れを起して、しばらく戦えないんだよ。

しかも、チャージが必要だし撃つのにも時間が掛かっちゃうから、まだまだ未完成なんだよね」

 

 一体、この子はどれだけの才能を持っているんだ・・・・・・・・・・・・・・

僕が戦慄していると、ジュエルシードを持って走ってくるユーノ君が見えた。

 

「お疲れなのは。ジュエルシードを持ってきたから封印を、と言いたいけど

今は無理だから今日は帰って休もう」

 

「うん。あ、オーツーさん。ジュエルシードを預かってもらえるかな?」

 

「いいよ。じゃあ、これは僕が責任を持って預かるよ。それじゃ、気を付けて帰ってね」

 

「うん。じゃあね」

 

 ジュエルシードを預かると、なのはは少しふらつきながらも家に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて

 

「もう出てきてもいいじゃないかな、そこに隠れているお二人さん?」

 

 僕が背後の茂みに向かって言うと、茂みがガサガサと揺れ二人組みの人物が現れた。

 

 ひとりは・・・・犬耳?ちがうな、オレンジの狼耳と尻尾を持ったお姉さん。

もう一人は・・・・・金色のツインテールに、赤い瞳、黒いバリアジャケット・・・・・・・・

以前、09と10を襲った奴が変身していた少女だった。

 

 




 00の前にΩらしき人物が変装していた金色の少女が目の前に現れた
00は彼女たちから話を聞こうとするが・・・・

次回 Memory21 金色の少女との出会い


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Memory21 金色の少女との出会い

まず、投稿が大変遅れてしまいすみませんでした。

なかなかやる気がおきず、放っておいたら三ヶ月近くなってしまいました

その間、PCまでもが調子が悪くなってしまい、遠ざかるのに拍車を・・・

重ね重ね、すみませんでした




「・・・・・・・・・・いつから気が付いてたの?」

 

「最初からだよ、で、何の用かな?」

 

「分かってるくせに。あんたの持っているジュエルシードを渡してもらおうとでも言えばいいかな?」

 

 まあ、分かっていたけどね。それにしても、

 

「・・・・・・・・・ふーん。失礼かもしれないけど、君ってクローンだよね?

そっちの狼耳の人はその子の使い魔だよね?」

 

「「!!!!」」

 

 やっぱり、

 

「ど、どうしてそれを!?」

 

「うーん。なんていうか、クローンって人工的に産み出されるから体から出る命の波長が

きっちりしすぎてるんだよね。普通は少し乱れているから分かりやすいんだよ。

使い魔のあなたからは、その子と全く同じ魔力波長を感じたから一目で分かりましたよ。

ついでに言うなら、あなた、変身できますよね?この波長からすると・・・・・・

1メートルから2メートル弱くらいの狼系かな、それと近接格闘、補助魔法が得意ですよね?」

 

「そんなに詳しく・・・・・・あんた一体何者なんだい!?」

 

「世界次元防衛機構、WDDO行動隊所属、オーツー曹長。とでも、名乗っておくよ。

さて、さっきの答えなんだけど・・・・・この(・・)ジュエルシードは渡せないね」

 

「・・・・・・・・・・・・・どうしてもですか?」

 

「うん。」

 

「なら、力ずくで奪ってやる!」

 

 再度拒否すると、オレンジの使い魔が狼に変身し飛び掛ってきた

 

「はぁ・・・・・・・言葉の綾って難しいね。ファーストリミッター解除」

 

 僕は一瞬だけ最初のリミッターを解除し後ろに回りこんだ。

 

 

 

使い魔を通り越し、金色の少女の後ろに

 

 

 

 

「え!?」

 

「は、速い!こいつ、フェイトより速い!」

 

 クローンの女の子はフェイトって言うんだ。

この波長からすると・・・高速戦闘が得意で魔力属性は電気、手数の多さで勝負してくるみたい

ま、典型的な高速戦闘のスタイルだね。

 

「まだ話は終わってないよ。『この(・・)』って言ったでしょ?でも、こっちはあげてもいいよ。

但し、条件があるけどね」

 

 そう言って、いつもなら予備の変換装置を着けている所に装着しておいた小さな袋から、

以前回収したジュエルシードを取り出した。

 

「・・・・・何が目的なの?」

 

「フェイトダメだよ!あんな怪しい奴と取引なんかしたら何されるか分かったもんじゃないよ!」

 

 フェイトという少女は明らかに疑念を抱きながら聞いてきたが、

使い魔はそれを拒否するように言ってる。

でも、向こうはジュエルシードがほしい。さあ、どう出るかな?

 

「でも・・・できれば戦わずに手に入れたい。

それに、あの人の実力が分からない以上戦わない方がいいと思う」

 

「うう~・・・・フェイトがそう言うんだったらいいけど、もしあいつが変なことしたら戦うからね」

 

 どうやら、こっちの交渉に応じるみたい。良かった、話が通じて・・・・・・

 

「そちらの条件を言ってください」

 

「僕の質問に答えてくれればいいよ。もし、答えられないなら言わなくてもいい。それだけだよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かりました。その条件を飲みます」

 

 よし、じゃあ質問タイムっと

 

「まず、君の名前は?使い魔のあなたも」

 

「・・・・・・・・・・フェイトです。下の名前は教えられません」

 

「あたしはアルフ。あんたの言ったとおりこの子の使い魔だよ」

 

 フェイトさんアルフさんね・・・・了解了解っと

 

「次、フェイトさんは3日前にこの町に来た?」

 

「??いいえ。来たのは昨日です。」

 

 ・・・・どうやら、この子は襲撃してないみたいだ。嘘の波長も感じない。本当みたいだ。

 

「次、あなたの他にジュエルシードを回収している仲間はいる?」

 

「いいや、あたしらだけだよ。」

 

 Ωらしき奴は、この子とは関わってないみたいだ。

 

「次、何のためにこれを集めてるの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言えません、ただ、私の母さんのためと言う事だけは言えます」

 

 目的はお母さんの為ね・・・・・もういいかな?

 

「うん。ありがとう、これで質問は終わり。はい、お礼のジュエルシード」

 

「「え?」」

 

 困惑する二人を他所に、僕はジュエルシードを手渡した。

 

「ちょ、ちょっと待ちな!本当にこれだけでいいのかい!?」

 

「うん。問題は解決したし、聞きたかったのもそれだけだったし」

 

「でも、そんな簡単に渡して良いのですか?」

 

 まぁ、本当なら渡さないけど、

 

「僕はフェイトさんが純粋にお母さんのために集めようとしてるのが分かったから渡したんだ。

フェイトさんからは邪悪な思念を感じない。だから信用出来ると思ったんだ。」

 

「・・・あ、ありがとうございます」

 

 そう言うと、フェイトさんはお礼を言った。

でも、

 

「でも、さっき一緒に戦っていた女の子の魔導師がいたでしょ?僕はあの子の味方なんだ。

あの女の子もちゃんとした理由をもって集めている。僕はそれを応援しているんだ。

だから次にフェイトさんと会うときは敵同士になる」

 

「・・・・・・・・・・・うん」

 

「近いうち、必ずフェイトさんとあの女の子は会う。

その時は、お互いの想いがぶつかり合って戦いになると思う。

けど、それでもいいと思う。自分の想いを貫き通せない奴は物事をする資格はないからね。

 

 

 でも、」

 

 僕は一旦言葉を区切り、言った

 

「『想いは自分の為であって、誰かに伝えるもの』。僕はそう思ってる。

他人に伝えても意味が無い想いは無いと思う。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 思い当たる節があるのか、フェイトさんは俯いて黙ってしまった。

 

「あくまで、これは僕の考え方。どうとるかはフェイトさん次第だよ。それじゃ、さようなら」

 

 僕はフェイトさんに別れを告げ、公園から出て行った。



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Memory22 謎の少年(フェイト視点)

 半年以上開いてすみませんでした

大学受験も終わり、進路も決まったので、再開します


フェイトSIDE

 

「(アルフ、ジュエルシードの反応は?)」

 

「(無いね。もう少し掛かりそう)」

 

「(分かった)」

 

 私はアルフと念話で連絡を取りながらこの町に散らばったジュエルシードを探し始めた。

昨日、来て早々に捜索したけど空振りになってしまったので今日こそは探して封印したい。

 その時、遠くの方で大きな魔力反応があった

 

「(アルフ!)」

 

「(間違いない、ジュエルシードだよ!早速、一個発見だね!)」

 

「(うん!って、あれ?結界が張られた!?私たちの他に誰か魔法を使える人がいる!?)」

 

「(管理局だったらマズイ!急ごうフェイト!)」

 

 私は急いで反応があった場所に向かった。

 

 

公園にて

 

 

 公園の近くに着くと、結界が張られているのが見えた。

 

「やっぱり、誰か他に魔導士がいる」

 

「早く中に入ろう」

 

 私はアルフと一緒に結界を壊さないように中に入った。

 

 中に入ると、白いバリアジャケットを着た女の子と女の子の使い魔みたいな動物と

 

・・・・・何あれ?

 

右肩が紅いのを除いて全身が黒い鎧を纏った女の子と同じくらいの人が一緒に戦っていた。

鎧を着た人は顔をヘルメットで覆っているから男の子なのか女の子なのかは分からない。

 

「管理局・・・・じゃないっぽいけど、どうするフェイト?」

 

「まずは様子を見よう。2対3じゃ分が悪い。」

 

「了ー解」

 

 茂みの中から様子を伺ってると、女の子がデバイスを構えて魔力をチャージし始めた

 

「ちょ!何て魔力量!?フェイトと同じくらいあるんじゃないの!?」

 

 アルフが驚きながら女の子を見ていた。

凄い・・・・・私と同じくらいかそれ以上はある・・・・あの子は一体?

 そして、発射された魔力はジュエルシードの暴走体を飲み込んだ。

 

「凄かった・・・・・・あ、ジュエルシード!」

 

 砲撃の後を見て、唖然としているとジュエルシードが女の子の使い魔に持っていかれていた。

 

「マズイよ!封印される前に奪わなきゃ!」

 

「ちょっと待って、あれ?あの子、封印しないで行っちゃった・・・」

 

 どうも、鎧を着た人に預けて帰っちゃったみたい、今なら、

 

「さて、もう出てきてもいいじゃないかな、そこに隠れているお二人さん?」

 

 出ようとした瞬間、鎧を着た人に声を掛けられた。

 

 

 ば、バレてる!?

 

 

 私は茂みから出て、鎧を着た人と向かい合った。

 

「・・・・・・・・・・いつから気が付いてたの?」

 

「最初からだよ、で、何の用かな?」

 

 どうやら、この人は男の子みたい。

用件を聞いているけど、そんなこと分かっているはずなのに、

 

「分かってるくせに。あんたの持っているジュエルシードを渡してもらおう・・・

とでも言えばいいかな?」

 

 アルフが私の代わりに言うと、鎧の男の子は予想したとおりと言った感じで小さく頷いた。

そのあと、小さく首をかしげて、

 

「・・・・・・・・・ふーん。失礼かもしれないけど、君ってクローンだよね?

そっちの狼耳の人はその子の使い魔だよね?」

 

「「!!!!」」

 

 私とアルフの正体を言い当ててしまった

 

「ど、どうしてそれを!?」

 

 自分でも声が震えているのが分かる。

アルフなら分かっても仕方ないけど、私の出生まで分かってしまうなんて・・・・

 

「うーん。なんていうか、クローンって人工的に産み出されるから

体から出る命の波長がきっちりしすぎてるんだよね。

普通は少し乱れているから分かりやすいんだよ。同じ形の波長をし続けるのは不自然だからね。

 使い魔のあなたからは、その子と全く同じ魔力波長を感じたから一目で分かりましたよ。

ついでに言うなら、使い魔のあなたは変身できますよね?この波長からすると・・・・・・

1メートルから2メートル弱くらいの狼系かな?

それと近接格闘、補助魔法が得意ですよね?」

 

 アルフの変身や特徴まで・・・・・この人は一体!?

 

「そんなに詳しく・・・・・・あんた一体何者なんだい!?」

 

「世界次元防衛機構、WDDO行動隊『第1班』所属、オーツー曹長。とでも名乗っておくよ。

さて、さっきの答えなんだけど・・・・・この(・・)ジュエルシードは渡せないね」

 

 WDDO?管理局・・・・・じゃないみたい。

でも、今はそんなことより、何としてでもジュエルシードを渡してもらわないと・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・どうしてもですか?」

 

「うん。」

 

「なら、力ずくで奪ってやる!」

 

 少年が拒否すると、アルフが変身して飛び掛った。

 

「はぁ・・・・・・・言葉の綾って難しいね。ファーストリミッター解除」

 

 すると、少年はため息をつき、何かを呟いた後・・・・・・消えた。

消えた瞬間、私の横を何かが通り過ぎたような風を感じ、後ろを振り向くと・・・・・・

 

 さっきの少年が立っていた。

 

「え!?」

 

「は、速い!こいつ、フェイトより速い!」

 

 アルフが驚いた声を上げていた。

驚いていたのは私も同じ。スピードには自信があったけど、付いていけなかった。

 

「(物凄いスピード・・・私よりずっと速い・・・・・。何者?WDDOってどんな組織?)」

 

「まだ話は終わってないよ。『この(・・)』って言ったでしょ?

でも、こっちはあげてもいいよ。但し、条件があるけどね」

 

 すると、少年は腰の袋からもう一つのジュエルシードを取り出した。

 

「・・・・・何が目的なの?」

 

「フェイトダメだよ!あんな怪しいやつと取引なんかしたら何されるか分かったもんじゃないよ!」

 

 アルフが取引をしないように言ってるけど・・・・・・

 

「でも・・・できれば戦わずに手に入れたい。

それに、あの人の実力が分からない以上戦わない方がいいと思う」

 

 それに、もし戦いになったら・・・・・勝てない。

あの速度についていけないし、何よりどんな魔法を使ってくるかも分からない。

完全にあの少年に主導権を奪われている・・・・

 

「うう~・・・・・・・・フェイトがそう言うんだったらいいけど、もしあいつが変なことしたら戦うからね」

 

 アルフは渋々、引き下がってくれた。

少年もどこか、ほっとした様子だった。

 

 

「そちらの条件を言ってください」

 

「僕が言う質問に答えてくれればいいよ。もし、答えられないなら言わなくてもいい。それだけだよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かりました。その条件を飲みます」

 

 何かとても条件が緩い気がするけど、ジュエルシードの為に私はその条件を呑んだ。




 フェイトとアルフに出会ったオーツー。
仲間を襲った犯人でないことに安心するも、不安は消えなかった
 そんな中、新たなジュエルシードの反応があった

次回 Memory23 なのはとフェイトと破壊魔


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Memory23 なのはとフェイトと破壊魔

前回  襲撃した犯人がフェイトでないことが分かり
   一応の安心ができたオーツー。
   そんな中、なのはは運命的な出会いをする


「こちら00。01、応答を」

 

『こちら01。聞いてたぞ。どうやら、彼女は09,10を襲ったやつとは無関係らしいな』

 

 出会った金色の少女・・・・フェイトさんのことを伝えると、通信先の01が少し安堵したような声が聞こえた。

 

「でも・・・・これは僕の予想なんだけど、多分、この前襲撃した奴はフェイトさんと関わり合いがあると思う」

 

『どういうことだ?本人は知らないと言った感じだったし、使い魔もいないって言い切っていたじゃないか』

 

「正確には、関わり合いを持っているのはフェイトさんのお母さんだと思う。

多分、ジュエルシードを集めているのに関係していて、襲撃した奴は別ルートで協力している」

 

 僕の推理を聞いた01は『むぅ・・・・・』と言って黙り込んでしまった。

しばらくして、01が口を開いた。

 

『00の予想は一理あると思うが、予想の域を出ない。第一、確認する手段が無い」

 

「ありますよ。多分・・・いや絶対、襲撃したやつはまた現れる。

そいつから力ずくで聞き出してやればいい」

 

『・・・どうしたんだ00?やけに乱暴なやり方だが・・・・』

 

「すみません。こればっかりは譲れませんし、何故そうするのかも教えれません」

 

 Ωのことは母さんと僕だけの秘密だ。

下手に知らせれば、01たちが僕に協力するとか言い出してしまう。

そうなれば・・・・・・

 

 

 01たちには『死』しか待っていない。

 

 

 

 それくらい、Ωは強く危険な存在だ。

 僕は、何か言いた気な雰囲気を出している01との通信を切って基地に戻った。

 

 基地に戻ると、僕はすぐに家に戻った。

しばらく自分の部屋でゴロゴロしていると、電話が鳴った。

 電話に出ると、相手はなのはだった。

 

「もしもし?」

 

『もしもし、クロヤ君ですか?』

 

「うん。そうだけど、どうしたの?」

 

『実は、明日、すずかちゃんの家でお茶会をするんだけど、クロヤ君もどうかなって』

 

「お茶会?明日?・・・・・・・・・・うーん・・・・・・・・・ごめん、明日家の用事で一日いないんだ。誘ってくれて嬉しいけど、  行けないな」

 

『そうなんだ・・・・。うん、分かった。それじゃ、またねクロヤ君』

 

 そう言って、なのはは電話を切った。

本当は、嘘だ。用事なんか無い。

でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「(今は、Ωを警戒しないと・・・・・みんなやこの世界を守るために・・・・)」

 

 窓の外を見ながら、僕はそう心に思った。

 

 

 次の日の午後あたり、僕は基地に一日中篭って訓練をしていた。

その時、

 

 ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 

 緊急事態を知らせる警報が鳴り響き、オペレーターの緊迫した声が基地中に響いた。

 

『緊急事態発生!緊急事態発生!巨大な魔力反応をキャッチ!識別は・・・・ジュエルシードです!

それと同時に結界が展開されました!

現場はポイント******-**-***-****です!なお付近に複数の別魔力反応を確認しました!

至急第1班は出動を!』

 

 ポイント******-**-***-****って・・・・・・・すずかの家じゃないか!!

 

    ・・・・・・・・まさか!

 

 僕は急いでオペレーターのいる司令室に基地内電話を使って連絡を入れた

 

「00です!第1班の出動は中止!僕一人で行く!」

 

『何を言っているんですか!?危険過ぎます!許可できません!』

 

「死人が見たいのですか!下手したら1班皆殺しにされますよ!」

 

 僕は電話の向こうのオペレーターに向かって怒鳴った

すると、電話の向こうでオペレーターの焦った声が聞こえ、別の人の声が聞こえてきた。

 

『話を聞いたわ00。『奴』なの?』

 

 声の正体は母さんだった。

 

「分からない・・・・でも複数の反応って言うのが気になる。もし奴だったら・・・」

 

『・・・・・・・分かったわ。司令官命令です。00の単独出撃を許可します!1班は基地で待機!』

 

 オペレーターが『何を!?』と言っているのが聞こえたが、僕は受話器を乱暴に置き、転送室に急いだ。

 

 

 転送室から転送され、一番近くのゲートから出た僕は急いで結界に急いだ。

 反応があったポイント付近に来ると、かなり大規模な結界が見えた。

 

「ここか・・・・・・・・・・・・・。なのは、無事でいて!」

 

 僕は結界を壊さないように中に入った。

 

 

 なのはSIDE

 

「くっ・・・・・・・・・・・・・」

 

 私は今、かなりピンチです。

始めは、ジュエルシードが発動したのを感じたから反応のあった場所に向かったんだけど、

そこには、すずかちゃんの子猫がジュエルシードで巨大になっていた。

 襲う気も無いみたいだから封印しようとした時、どこからか金色の光が飛んできて、

猫に当たった。

飛んできた方向を見ると、

 

 金色の髪して黒いマントを着た女の子と

 

白い髪をして全身に紅い線の入った・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「え?」

 

 

     クロヤ君がいた

 

 

「へぇ~・・・・この世界に、こんな素質を持つ子がいたなんて・・ビックリだよ」

 

 白いクロヤ君は私を見て何かを言ったけど、私は目が合った途端、金縛りにあったように動けなくなった。

 

「(えっ・・・・何?この感じ・・・・・・背筋が・・・寒い・・・・・)」

 

 こ、怖い・・・・。クロヤ君に似た男の子から、何かよく分からない気配がする・・・・・・・・・・・・・・・

 

「まぁ、いいや・・・・フェイトさん、分かってるね?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・うん。でも、あなたこそ本当なの?あの子を倒せば、ジュエルシードを集めるのを手伝ってくれるの?」

 

「もちろん!僕は言ったこと(・・・・・)は必ず守るよ。僕が協力すれば多分2,3日で全部集まっちゃうかもね」

 

 え?ジュエルシードを集める?あの女の子も?私を倒す?

 

 混乱していると、マントを着た女の子がこっちにやって来た

 

「・・・・・・・・・ごめんなさい。あなたに恨みは無いけど、

私に倒されて・・・・・・・バルディッシュ、お願い・・・・・・・・・」

 

 そう言って、今にも泣き出しそうな顔で持っていた杖を鎌に変えて襲い掛かってきた

 

「くっ・・・・・・・・・・・・・」

 

『Protection』

 

 レイジングハートを前に突き出して何とか防御したけど、バリアが解けた時女の子が消えていた

 

「え?どこ?」

 

『マスター!上です!』

 

 レイジングハートの声で上を見ると、鎌を振りかぶって斬りかかってくる女の子がいた

とっさに私は飛行魔法を使ってその場を離れたけど、女の子は凄いスピードで向かってきた

 

「(速い!逃げれない・・・・・・・・)」

 

 追いつかれそうになったとき、

 

 バババババッ!!

 

 銃声が聞こえ、私と女の子の間を薄い緑色の銃弾が通り抜けた

視線を地面に向けると、

 

「どういうつもりなの?フェイトさん・・・・」

 

 女の子の名前を呼ぶオーツーさんが立っていた。

 

 

 




 なのはとフェイトの戦闘を目にし、驚きを隠せないオーツー。
そして、最も会いたくなかった悪魔と出会う

次回 Memory24 始まる悪夢


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Memory24 始まる悪夢

前回 なのはとフェイトが運命的な出会いをした
   しかし、フェイトはなのはに対し攻撃を仕掛けてきた
   その光景を目にしたオーツーは驚きを隠せなかった


オーツーSIDE

 

 中に入ってすぐに、なのはさんを探すと近くで戦闘を行っている音が聞こえた方に向かうと、

 

 なのはさんがフェイトさんに追い詰められていた。

 

「あの二人・・・・・出会ったのか・・・・・ん?」

 

 フェイトさんから並々ならない気負いと覚悟を感じ取った。

今のフェイトさんは人を傷つけてでも何かを成そうとしている・・・・・・・

 

「(一体何が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」

 

 このままでは、両方とも無事じゃすまないので一旦戦いを停止させるためにマシンガンを撃った。

 突然の銃撃に二人とも驚いて、一斉にこっちを見た。

 

「「オーツー(さん)!」」

 

「どういうつもりなの?フェイトさん・・・・」

 

 僕は二人を降ろさせ、話を聞くことにした時

 

「二人とも一旦降りて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「させないよ」

 

 横から誰かの声が聞こえた瞬間、物凄い衝撃を受け吹き飛ばされた。

 

「うああああっ!!」

 

 僕は派手に木をなぎ倒しながら何とか、バリアを張って踏み止まった。

しかし、あまりの衝撃で左手のバリアは使えなくなってしまった。

 

「ぐっ・・・・・・・・・テメェは・・・やっぱりかΩッ!!」

 

 睨み付けた視線の先にはΩが立っていた。

 

「へぇ・・・・・あの一撃を防ぐなんて。正直ビックリ~!さすがオリジナル」

 

 驚いたような声色だが、表情では『防げて当然』と言っていた。

 

「もうちょっと遊びたいけど・・・今は遊んでる場合じゃないんだよね。と言うわけでフェイトさん。

頃合を見て撤退してね。僕はあれを回収して帰るから」

 

 Ωが見ている先には、恐らくジュエルシードの影響で巨大化した猫がいた。

 

「それじゃあ、回収~」

 

「させない!」

 

 Ωが回収しようと攻撃モーションに入った時、茂みに居たユーノ君が拘束魔法でΩを捕まえた。

 

「・・・・・何これ?こんな脆弱な魔法で僕を捕まえれるとでも?」

 

 しかし、Ωがちょっと肩を開く動きをしただけで、拘束魔法は砕け散った。

 

「えっ!?」

 

「邪魔」

 

 そう言ってΩは指先に小さな赤い魔力球を出して、ユーノ君の近くの地面に向けて撃った。

 

 

 ヒュン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!

 

 

 

 地面が『消えた』

 

 そう表現せざるを得ないほど地面が削り取られていた。

 

「「ユーノ君!!」」

 

 ぼくとなのははフェイトさんとΩには目もくれず、ユーノ君の元に急いだ。

 

「ユーノ君!大丈夫!?しっかりして!?」

 

 ユーノ君は攻撃された場所のすぐ手前で倒れていた

 

「うう・・・・・ゲホゲホッ!うん大丈夫・・・とっさにバリアで防がず避けて正解だったよ・・・。あれを食らっていたら死んでた・・・・」

 

 無事を確認して安心したその時、後ろの方で眩しい光が発生した。

 

「何!?」

 

「ジュエルシードが!」

 

 光が収まると、ジュエルシードと猫を抱えたΩが飛んでいた

 

「こいつはいらない。返す」

 

 Ωは猫をこちらに投げ付けてきた

 

「えっ!?何を!!」

 

 なのはが投げられた猫を空中でキャッチし、悲惨なことだけは避けれた。

 

「それじゃ、僕は撤退するよ。フェイトさんは考えて行動してね。それと、協力の件だけど協力してあげるよ。

君の覚悟は十分に分かったからね」

 

 そう言って、Ωは空間転移を使って消えた。

そして、フェイトさんも撤退しようとしたので、僕は大声で呼び止め、叫んだ

 

「フェイトさん!!アイツと協力しちゃダメだ!!手遅れになると大変なことになる!!今すぐ奴と手を切るんだ!!」

 

 すると、フェイトさんは悲しい顔をして、

 

「ごめんなさい・・・・・・・・私は・・母さんの願いを叶えたい・・だから、今は・・・・手段を選んでいられない・・・・・・・・・・」

 

 そう言って、飛び去っていってしまった。

 

「うう・・・・・・・・・・・くそぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」  

 

 一番恐れていたΩの暗躍を止められなかった僕の悔し紛れの叫びが響いた。




 止められなかったΩの暗躍。
オーツーはΩの打倒を決意する。
そして、同じくジュエルシードを集めるフェイトの存在を知った
なのはは・・・・・・

次回 Memory25 オーツーの決意、なのはの思い


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Memory25 オーツーの決意、なのはの思い

 Ω(オメガ)の暗躍を知り、怒りを露わすオーツー
一方、オメガの存在と、フェイトの存在を知ったなのはは決意を新たにする


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「あ、あの・・オーツー・・ひぅ!!」

 

 空気の抜けるような声が聞こえたと思うと、なのはが腰を抜かして座り込んでいた。

ユーノは全身が石になったように固まっていた。

何事と思ってよく自分を見ると、無意識の内にセカンドリミッター・・

僕自身が大昔から自分にかけている魔力抑制の封印が解け掛かっていて、

漏れ出した魔力の影響で足元が灰のような砂になっていた。

 

「ごめん・・・。びっくりさせちゃったね・・・」

 

「う、ううん。それで、オーツーさん。今の男の子と女の子は一体誰なの?」

 

 なのはを立ち上がらせるとΩとフェイトさんの事を聞いてきた。

・・・フェイトさんのことは断片的にだけ教えよう。いずれ、また必ず会うはずだから・・・・

 

「女の子の名前はフェイトって言うんだ。なのはさんと同じでジュエルシードを集めている。」

 

「「え!?あの子もジュエルシードを!?」」

 

 なのはとユーノ君はかなり驚いていた。

 

「目的は一体何なのですか?」

 

「・・・・・・・・・・・・それは今教えるべき内容じゃない。

ただ、邪悪な事には絶対使わないって断言できるだけだよ

知りたかったら、なのはさん。あなたが聞いてみるしかない。」

 

「わ、私なの?」

 

 戸惑うなのはに僕は首を縦に振った。

 

「むしろ、なのはさんじゃないとダメなんです。

あの子・・・フェイトさんも目的があって集めています。同じジュエルシードを集める者同士、

目的がある者同士。話す権利があるのはなのはさん。あなただけです。

僕は・・・それの手助けをするくらいです。『想いは自分の為であって、誰かに伝えるもの』

フェイトさんにも言った言葉です。話をするかはなのはさん次第です。」

 

「私は・・・・・」

 

 なのはは一度、目を閉じ意を決したように言った

 

「私は、あの女の子・・フェイトちゃんと話がしたい・・。あんなつらそうな目をしていたんだもん、

放っとけないよ」

 

「分かった。次に会った時、話をしてみてください。僕も全力でバックアップするから。

でも、話が出来ないのなら、全力で戦って、自分の想いをぶつけてみてください。

そのときはそれが一番いい方法だから」

 

 「うん」となのはは頷いた。

なのはの意思は固い。必ず、フェイトさんとの対話は成功させて見せる。

 

「オーツーさん。それで、あの凄まじい力の少年・・・オメガって呼んでましたけど・・・」

 

 ユーノ君が、さっき自分を殺しかけた奴、Ωについて聞いてきた。

 

「さっき、ユーノ君を殺しかけたのは、オメガって言うんだ。

あいつに話は出来ないし、向こうもする気が無いと思う。

あいつは世界を滅ぼすのが愉しみな奴だから」

 

「「え!?」」

 

「だから警告するよ、絶対に戦っちゃいけない。戦ったら、命の保障は出来ない。

もし出会ったら、僕に連絡して、あいつは僕が倒さなくちゃいけない」

 

 Ωの凄まじい力を目にしていた一人と一匹は揃って首を縦に振った。

 

「でも・・・・・それ以上に気になることがあるの」

 

「え?」

 

 なのはが戸惑うような声で聞いてきた

 

「あのオメガっていう男の子。何でクロヤ君・・・あ、クロヤ君っていうのは私の友達なんだけど、

そのクロヤ君にそっくりだったの」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!」

 

 言葉が詰まった。確かに、Ωは僕のクローンだから似ていても仕方ない。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分からない。でも、その子とは絶対、関係は無いはずだから、

あまり気にする必要はないと思うよ」

 

 我ながら苦しい言い逃れを言ったがなのはは「うん」と言って納得してくれたみたいだった。

 

「それじゃ、なのはさん。僕は戻ります。なのはさんも速く戻った方がいいですよ」

 

「うん。それじゃあね」

 

 そう言って、なのはと僕は別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ・・・ユーノ君。あのオーツーさんの魔力・・・・」

 

「うん・・・・・正直言って・・・人の身で出せるようなものじゃない・・・・

物質が砂になるなんて・・・・・・聞いたことがないよ・・・」

 

「レイジングハート、何か分かる?」

 

『先程、オーツーから漏れ出た魔力を計測しましたが・・・・・途中から測定不能になりました・・・・

申し訳ありません・・・』

 

「ううん。気にしなくていいよ。私なんか腰が抜けちゃったから」

 

『ただ、漏れ始めた最初のころの魔力で既にマスターの5倍以上ありました。

濃度は・・・・・マスターの砲撃時の2乗倍以上ありました」

 

「ありえない・・・・なのはの持っている魔力の5倍・・・そんな量なんてもっていたら

自分の体がもたない・・・それに濃度が2乗倍以上だなんて・・・・」

 

「オーツーさん・・・・・一体何者なの・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




決意を新たにしたなのは。それからしばらく経った連休の日、
なのはたちは旅行に行くが・・・・

次回 Memory26 旅行


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Memory26 旅行

 遅くなってすみません。大学のテストやらレポートやらで
すっかり忘れていました


 なのはとフェイトさんが出会った日からしばらく経った連休の日。

僕はなのはたちに温泉旅行に誘われた。

 保護者同伴と言うことで母さんも一緒に付いて行くことになった。

よく考えてみれば、母さんと一緒に出かけるのは初めてのような気がする。

 

 

 一旦、集合場所に車で向かうと、なのはたち高町一家とすずかたち月村一家とアリサがいた。

 

「はじめまして、私はリーネ・アイリス。クロ君・・・クロヤがいつもお世話になってます。」

 

 母さんがなのはやすずかの家族のみんなと自己紹介も兼ねた話をしている間、

僕はなのは、ありさ、すすがから色々聞かれていた

 

「あの女の人がクロヤ君のお母さんなの?」

 

 なのはが母さんを指差しながら聞いてきた

 

「うん。そうだよ」

 

「綺麗な人ですね。モデルの仕事でもしているのですか?」

 

「ううん。普通の会社員だよ。モデルとか色んなところからオファーがあったみたいだけど

母さん、そういうのは好きじゃないみたいで全部断ったらしいよ?」

 

 すずかの質問には少々困ったが、母さんがこっちに来て実際にあったことを言ったので

怪しまれることは無かった 

 

「それにしても、あんまり似てないわね・・あんたとあんたのお母さん。それとお父さんは?」

 

 アリサが誰でも気付くことを聞いてきた。まぁ、これくらいは言ってもいいかな

 

「そりゃあ、そうだよ。母さん結婚していないし、僕と血は繋がっていないもん」

 

「「「え!?」」」

 

「僕は養子なんだ。昔、母さんが外国で彷徨ってた僕を拾ってくれたんだ。

だから似てないんだよ」

 

 半分嘘、半分真実を言うと3人は暗い表情になってしまった

 

「ごめん・・・・そんなこと聞いて」

 

「別にいいよ。それとそんなに暗くならないでよ。これから楽しくなるのにさ。

それに、僕は今、母さんやみんなと一緒に居るだけで幸せなんだ。それだけで十分だよ。

『今が大事』でしょ?」

 

 その言葉で3人とも、暗い表情から明るい表情になった。

そのあと、親同士の話も終わったみたいで僕たちはそれぞれ車に乗り込み、目的地に向かった。

 

 目的地の旅館に着くと、荷物を預けて温泉に入ることになったのだが、

僕は女子風呂に連れて行かれそうになったユーノ君を確保して男子風呂に入った。

 

「・・きゅぅ・・(た、助かった・・・・偶然にせよ、ありがとうクロヤ)」

 

「・・・・・・・・何かユーノ君が疲れて見えるのは僕だけかな?」

 

 ユーノ君はそんな事を言っていたとか

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~・・・のぼせちゃった・・・」

 

 長湯をしてしまい、のぼせてきたので温泉から上がって、ユーノ君を連れて

一人ぶらついていると、なのはたちを見つけたが、様子が変だった。

 

「ん?・・・・誰だろう?あの人?」

 

 近くに行くと、どうやら一人の女性に絡まれているらしかった。

 

「あのー、すみません。何しているんですか?」

 

「ん?いや~、何でもないよ。ただ、知り合いの子と似ていたから、ちょっとからかっただけさ」

 

 そう言って女性は離れていったが、僕は聞き逃さなかった。

 

「(あの子の邪魔をするな。邪魔するなら容赦しない・・・・か。あの人、アルフさんだな。

どうりで見覚えがあるはずだよ)」

 

「もう!何よ今の女の人!!」

 

 アリサはかなり怒っていた。

 

「いいよアリサちゃん。気にしてないから」

 

「なのはも!いきなり責められたのよ!気にしないほうが無理よ!!」

 

 今にも暴れだしそうな勢いのアリサ。友達想いもいいけど、少し落ち着いてもらうか

 

「まぁまぁ・・・。ここには他のお客さんもいるし、ああいう人もいるんだからさ。

ここは落ち着こうよ」

 

「むぅぅぅぅ・・・・・・・・・」

 

 アリサは納得できないと言った感じだったが、何とか食い下がってくれた。

その後、僕はユーノ君をなのはに預けた後、こっそり旅館を抜け出した。

 

 

「アーマーオン・・・さて、どこかな?」

 

 旅館の近くの森の中。

僕はもしもの時のために持って来たMMAを纏い、森の中を探していた。

 

「どこだろうか・・・闇雲に探しても会えるわけないし・・・・」

 

 そう愚痴りつつ、目の前の木の枝を払った時、目的の人物とばったり会った。

 

「「あ」」

 

 突然のことで、奇妙な声を出して僕と目的の人物・・・フェイトさんは固まってしまった。

 

「やあ、フェイトさん。久しぶりだね。・・・・・・・・その様子だと、

まだΩと手を切っていないね」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 僕の言葉に、フェイトさんは俯いてしまった

 

「フェイトさん。あいつは・・・Ωは信用しちゃいけない。あいつはとても危険な奴だ。」

 

「・・・オーツー。これを見て」

 

 そう言うと、フェイトさんは手にしていたデバイスを向けた。すると、

中から封印していたジュエルシードが八つ出てきた

 

「一つはオーツーから貰ったもの、残り七つはΩが探してくれた。Ωは約束を守ってくれてる、

だから・・・・」

 

 それでも手を切れ・・と言いたかったけど、フェイトさんの意志は固い。

曲げることなんて部外者の僕では出来そうに無い・・・・・・・

 

「・・そっか・・・・なら、教えてほしいんだ。フェイトさんのお母さんの願いを」

 

 せめて、これだけは聞かないと。

でも、フェイトさんは首を横に振った

 

「・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」

 

「・・・・分かった。これ以上僕が聞くと、フェイトさんにも危険が及ぶ。帰るよ。

でも、もしΩに何かされそうになったら

・・・・・・・・・・・・・・・・(この波長の念話で僕に連絡して。それと、あの女の子の魔導士、

この近くに来ているから)」

 

 僕はそう言い残すと、旅館に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Memory27 始まる戦い

「はぁ・・・・・・・・・」

 

 旅館に戻ってきた僕は、ロビーの椅子に座ってため息を付いた

内心では焦りと不安が渦巻いていた

 

「(Ω・・・一体何を考えている。フェイトさんたちを利用してジュエルシードを集めているのは・・・・

いや、考えるまでも無いか・・・・・・あいつの望みは破壊と混乱と殺戮だ・・・

一刻も早くΩを止めなければ・・・)」

 

「あ、いた!クロヤ君!」

 

 今回の黒幕と見て間違いないであろうΩの撃破を最優先事項と決めた時、呼ぶ声がして

顔を上げると、なのはたちが手を振りながらこっちにやってきた

 

「どうしたの?」

 

「どうしたの?じゃないわよ!一体どこに行ってたの!?探し回ったのよ!」

 

「まあまあ、アリサちゃん落ち着いて。クロヤ君だって一人静かにしたいときもあるでしょうし」

 

 マズッたな・・・・少し、外に出すぎたのかもしれない・・・・。なんとか誤魔化そう・・・

 

「ごめんごめん。今度からは気をつけるよ。それで、何の用?」

 

「これからみんなで卓球をするから、クロヤ君もどうかなって?」

 

 卓球ね・・・・・。やったことないけど・・いい機会だしやろう

 

「うん。いいよ。僕もするよ」

 

 暗いことを考えていても仕方ない、束の間であっても

今は、なのはたちと過ごすこの時間を大事にしよう。

 僕たちは、卓球場に行き、時間を忘れるほど楽しんだ。

 

 ただ、チームに分かれて卓球をしているとき、

僕と同じチームだったなのはが浴衣のすそを踏んでしまい、転びそうになったのを僕が支えたら、

僕がなのはを抱き寄せているみたいな格好になってしまい、お互い真っ赤になり

そのあと試合どころではなかったことを記しておこう・・・・・あー、恥ずかしかった・・・・

 

 

 

 深夜

 

 みんなが寝静まったころ、誰かが部屋を出て行く気配がした。

案の定、なのはだった。少し前に魔力波の乱れを感じたから、その場所に向かったのだろう。

 

「(さて、出動しますか)」

 

 僕もなのはが出て行った後、こっそりと後を付けた

 

 

 

なのはSIDE

 

 ジュエルシードの反応があり、私は反応のあった場所に行くと、

ちょうど池にかかる橋に着きました

そして、その橋の真ん中にはジュエルシードが、そして反対側には・・・・

 

「フェイトちゃん・・・・・・」

 

「・・・また会ったね」

 

 今、一番会いたくて、話がしたかった女の子、フェイトちゃんがしました。

そして、その隣には今日、旅館で私に警告してきた女の人がいました。

 

「一体、何のためにジュエルシードを集めているんだ!」

 

「さあね。教える理由が無いね」

 

 ユーノ君の質問を受け流すと、女の人が狼の姿になった

 

「やっぱり、あいつはあの女の子の使い魔だ!」

 

「使い魔?」

 

「そうさ、あたしはこの子に作ってもらった魔法生命体。製作者の魔力で生きる代わりに、

命と力の全てを掛けて守ってあげるんだ」

 

 そう言って、使い魔さんははっきりと敵意を向けてきた。

 

「フェイトちゃん、どうしてもジュエルシードを集める理由を教えてくれないの・・・」

 

「うん・・・・・・『想いは自分の為であって、誰かに伝えるもの』ってオーツーも言っていたけど、

これだけは別。話すなって言われているから」

 

「・・・・・・オメガっていう男の子に?」

 

 フェイトちゃんは無言で俯いた。

話ができないのなら・・・・・・・

 

「分かったよ。フェイトちゃん、お互いのジュエルシードを賭けて全力で私と戦って。

私が勝ったら理由を教えて」

 

「・・・いいよ。これでいいの?オーツー?」

 

 フェイトちゃんが言うと、後ろの茂みが揺れて、オーツーさんが出てきた。

 

「・・・・うん。話では解決できなかったみたいだね・・・。

それなら、僕は何も口出ししないし手も出さない。

二人とも、全力でお互いの想いをぶつけ合って。僕は・・邪魔が入らないようにするから」

 

 そう言うと、オーツーさんは銃を下げて、少し離れた場所に行った。

 

「さて、あたしとあんたは別の場所で戦ってもらうよ」

 

「・・・分かった。なのは、頑張って」

 

 ユーノ君とフェイトちゃんの使い魔は転移魔法を使ってどこかに行ってしまった

 

「・・・・こっちもはじめよう・・・」

 

「・・・うん。それと、こんな時にだけど、私は高町なのは。なのはって呼んでくれればいいよ」

 

「・・・・私は・・・フェイト。それじゃ、行くよ」

 

 そう言って、私とフェイトちゃんはお互いにデバイスを構えた・・・・

 

 

 

 

 



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Memory28 勝負の行方

 綺麗な夜空の下、桜色と金色の閃光が何回も当たり、弾けている。

 

「やあっ!!」

 

「くっ!・・はあぁっ!!」

 

 見上げる僕の目には、スピードを生かした戦術で接近戦が苦手であるなのはを

追い込むフェイトさんが見えた。

しかし、なのはもただ押されるだけじゃなく、不利と分かった途端に距離をとった。

 

「ディバインシューター!!」

 

 牽制に魔力弾を撃つなのは。

フェイトさんは軽く避けるが、追尾機能を持つ弾になのはとの距離を詰められないでいた。

 

「くっ・・・・・このぉっ!!」

 

 避けても埒が明かないと思ったフェイトさんは、追いかけてくる弾を切り裂いた。

その隙に、なのははデバイスをフェイトさんに向け

 

「ディバインバスター!」

 

 以前、未完成だった技を放った。

以前と違う点は、戦闘継続時間を延ばすため威力を落とし、短い時間で撃てるようにしたところ。

たった数日でここまで進歩できる能力を持つ人を見たのは、久しぶりだし稀だ。

 しかし、フェイトさんはその攻撃を読んでいたらしく、さっきよりも速い高速移動魔法を

使って回避し、反撃してきた

 

「フォトンランサー・・・・ファイア!!」

 

 いくつもの金色の魔力弾がなのはに向かって飛来した

 

「く・・・・・・・・」

 

 とっさにプロテクションで防ぐが、その隙にフェイトさんが再び接近してきた

 

「やあああああっ!!」

 

 何とか、フェイトさんの一撃を防いだなのは。

そのまま、再び一進一退の攻防が続いたが、突然、フェイトさんが距離をとった

 

「はぁっ・・・はぁっ・・流石だねフェイトちゃん・・・」

 

「なのはこそ・・・あの一撃を防ぐなんて・・・・」

 

 どうやら、フェイトさんの予想以上になのはが耐えるので、体力がなくなってきたらしい。

 

 そんな9歳の女の子がする戦いとは思えないものを見守っていると、

 

「へぇ~・・・すごいなあの二人。ここまで出来るなんて」

 

 軽い調子の声が聞こえ、声がしたほうに目を向けると

 

「Ωッ・・・・・・」

 

 Ωが楽しそうに空中であぐらを掻いて座っていた。

 

「やっほ~。こんばんわ、オリジナル」

 

「Ω・・・・手出しする気か?手を出すって言うなら、この場で殺す」

 

 Ωを睨みつけながら銃口を向けると、オーバーにのけぞった

 

「ストップストップ!そんなことしないって。こーんな楽しいゲームをしているんだ、

水差すなんて勿体無い。僕はここで観戦するだけだよ。

それに・・・・今ここで僕と戦ったら、あの二人もこの世界も無事じゃすまないよ?」

 

「ちっ・・・・・・・・・・」

 

 Ωに尤もなことを言われ、僕は大人しく引き下がった

Ωはどこからか取り出したポップコーンを食べながら、二人の戦いを見ていた。

 

 視線を戻すと、どうやら決着が付きそうだった

 二人は、離れた位置に留まり魔力をチャージしていた

 

「ディバインバスター!!」

 

「サンダースマッシャー!!」

 

 お互いに大技を放ち、撃ち合いの状態になった

 

「うぅっ・・・・・・・・・・」

 

「えーーーーーーーい!!」

 

 しかし、威力ではなのはの方が上らしく、徐々にフェイトさんが押されてはじめた

その時、

 

「今!!」

 

「え?」

 

 フェイトさんは砲撃を止め、高速移動魔法を使いなのはの真上に移動した

突然のことになのはは対応できず、棒立ちの状態になっていた

 そして

 

「・・・・・負・・・・・け?」

 

「・・・・・・・・私の勝ち・・・みたいだね」

 

 なのはの首にフェイトさんのデバイスの刃が当てられ、勝負が付いた。

レイジングハートからジュエルシードが出てきて、フェイトさんのデバイスに吸い込まれた。

 

 

「んん~・・・はぁ~~、楽しかった」

 

Ωは大きく伸びをして、その場から立ち去ろうとしていた

 

「珍しいな・・・何もせずに行くなんて」

 

「ん~~?別に~。久々に楽しいものを見せてもらったからさ。でも、いつか二人とも

        

 

     ズタズタに引き裂きたいなぁ~・・」

 

 

 

「クソが!!」

 

 銃口を向けて発射しようとした時、Ωは空間転移で転移寸前だった

 

「実は、もう仕込みは終わっているんだよね~。後は、時間が経てば勝手に始めてくれる」

 

「フェイトさんたちに何をした・・・・!」

 

「ヒヒッ!!さぁ~ねぇ?自分で考えれば?それじゃ、ばいば~い!」

 

 そう言い残して、Ωは転移した。

 

「(手遅れか・・・)」

 

 

 僕の中に、絶望が広がった

でも、

 

「(諦めてたまるか・・・・。なのはだって、フェイトさんの強さを見ても諦めなかったんだ

ずっと長い時間を生きてきた僕が真っ先に諦めてどうする?必ず、Ωを止める・・・・)」

 

 なのはたちの戦いや意思を見てきて、まだ希望が消えたわけではなかった。

 

 



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Memory29 暗雲

お久しぶりです。投稿主の№78です。
最後に投稿してから、身の回りでいろいろありまして、
ごたごたしていたら意欲がなくなってしまい。ずっと創作を避けていました。
最近になって、「AIのべりすと」様にはまり込んでから、意欲が復活してきました。
また少しずつですが、投稿していこうと思います。
しばらくは、投稿をやめる前に作っていたもののストックを投稿してきますが、
途中から、最近作ったものになっていきますので、作風が変わったり話し方が変わっているかもしれませんが、ご了承ください。


 なのはSIDE

 

「・・・・・・・・私の勝ち・・・みたいだね」

 

 フェイトちゃんがそう言うと、レイジングハートからジュエルシードが出てきて

フェイトちゃんのデバイスに吸い込まれていった。

 

「・・・・・・・さようなら」

 

 そして、そう言い残してフェイトちゃんは飛び去っていってしまった

わたしは飛び去っていくフェイトちゃんをただ呆然と見ているしか出来ませんでした。

 

 地上に戻ると、オーツーさんが何も無い空間を睨みつけていた

(ヘルメットを被っているから分からないけど・・・・)

顔で唯一見える口元は、歯を食いしばっていてまるで、何かに耐えているような

悔しがっているような感じがしました。

 わたしに気付いたオーツーさんは、ゆっくりとこっちに向かって歩いてきました

 

「お疲れ様。いい戦いだったね。負けちゃったのは残念だけど」

 

「・・・・・・ごめんなさいオーツーさん。今まで封印したジュエルシード、全部取られちゃった・・・・」

 

 流石に怒られると思っていたけど、オーツーさんは優しく頭を撫でてくれた

 

「気にしなくていいよ。僕たちの基地に1個、なのはさんから預かっているのがあるよ。

今度はそれを使ってフェイトさんにリベンジすればいいし、見つかってないのを探せばいいのだから、

フェイトさんにリベンジできる機会はまだあるよ」

 

 やっぱり、オーツーさんは優しい・・・・・

 

 

 何だろう・・・・オーツーさんと一緒にいるとドキドキする。

このドキドキって何なのかな?

 

 

 

「うん。次は絶対勝って、フェイトちゃんの目的を聞いてみる」

 

「そうそう。その意気だよ」

 

 意気込んでいると、近くに魔法陣が現れて、その中からユーノ君が出てきた

 

「お疲れユーノ君。大丈夫?」

 

「何とかね・・・・・。ごめん、負けた」

 

「気にしなくていいよ。なのはさんにも言ったけど、まだチャンスはある。次の機会にってことで」

 

 ユーノくんを連れてくると、オーツーさんは「速く戻った方がいいよ」と言われたので、

わたしとユーノ君は、怪しまれないようにこっそりと、素早く旅館に戻りました。

 

 

????

 

 

 時間を少し巻き戻し、なのはとフェイトが戦う少し前

 

「やっほ~。元気にしてたかな?」

 

「・・・・何の用?」

 

 Ωは以前、訪れた女性の前に再び現れていた

 

「別に、用事って言うほどの用事じゃないんだけどね、今後のことで言いたいことがあってさ」

 

「手短に言いなさい」

 

 Ωは一息置くと、残忍な笑みを浮かべて

 

「じゃ、お人形になってもらおうかな?」

 

「何を言って・・うっ・・・!!」

 

 女性が問い詰めようとした時、突然、周りから黒いバインドのようなものが現れ、女性を拘束した

 

「そろそろなんだよね・・・俺の遊びが始まるのは。あんたとあんたの娘さんのクローンには

俺の遊び道具になってもらうよ」

 

「くっ・・・・・騙したのね・・・協力してやると言ったのは・・・」

 

「騙してなんかないよ。言ったはずだよ『集めるのに協力してあげる』って。

俺は集めるのに協力してあげると言ったけどその後のこととかは、何も言ってないよ」

 

「このっ・・・・!! こんなもの!」

 

 女性は黒いバインドを解除しようとするが

 

「・・・・解除できない!?」

 

「残念!!それ『影縄』っていうんだ。影に俺の意思を送り込ませて操る技。だから、

その影は俺自身でもあるんだ。まあ、お遊びで使う技だけどね」

 

「ッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 女性はこのとき気が付いた。目の前の少年は、人の皮を被った化物であると、

そして自分を遥かに上回る魔導士であると

 

「それじゃ、お人形になってもらおうかな」

 

「くっ・・・・・・・・・・・・・・フェイトやアリシアに手を出したら、あなたを殺すわ!!」

 

「ん~。そんな状態で言われてもなあ。まさか、自分で洗脳を解除できるって思ってる?

無理無理。その影すらまともに解除できないんでしょ?

それに、俺がやろうとしているのは洗脳じゃなくて『意識の書き換え』だよ。

つまり、この次に目が覚めたとき、あなたは姿は同じでも全くの別人になっているんだよ?」

 

 Ωはあきれた風に言った後、女性の額に指を当てた

すると、赤黒い魔法陣が現れ、女性の中に入っていった

 

「うぅぅぅ・・ああああああああああああ!!」

 

 女性が苦しむ様子をΩは待ちきれない様子で、楽しそうに見ていた

 

「(アリ・・シア・・・・フェイ・・ト・・・・ごめ・・ん・・な・・・・さい・・・・・・)」

 

 薄れゆく意識の中、女性・・プレシア・テスタロッサは二人の娘に自分の過ちを謝りながら

その意識を書き換えられた

 

「ん~?出来たかな?さぁ~てと、これからどうしよっかなこれ。娘と殺し合わせるのもいいけど、

ここは二人仲良く・・・あの白い魔導士とオリジナルに戦ってもらおう。ヒヒッ・・・楽しくなってきた」

 

 Ωの狂った嗤い声が空間に響いた。

 

 



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Memory30 改修案

投稿主のNo.78です。もうしばらくストック分の投稿が続きます。
長い間放置していたので、設定を一部忘れていたりするので思い出しながら
作業してます。
ただ、もう少し後になったら、改めて装備などの解説回を作ろうと思います。


 旅行から帰ってきた次の日。

いつものように基地に行くと司令室に召集が掛かったので司令室に向かった。

司令室に入ると、母さんと新島さんが既にいて待っていた

 

「来たわね。さて、始めるわ。今日集まってもらったのは、今後の捜索についてよ。

実は、もうすぐで今捜索しているこの付近は完全に調べつくしてしまうの。

残っているのは都市部と海、後方の山。

山と都市部は今のままで捜索できるけど・・・・問題は・・・・」

 

「海・・・ですよね」

 

「そう・・・・・。MMAは自分で言うのもなんだけど優秀な機械だわ。

だけど、実はまだ完全とはいえなくて今はまだ陸上でしか運用できないのよ。

で、今回の議案なんだけど・・・水上戦用装備と水中戦用装備を開発するんだけど、

どういうのがいいかしら?出来れば、構造が簡単なのがいいわ。

今、空戦用のエナジーウィングを開発中であまり手が割けないのよ」

 

 水中戦と水上戦の装備か・・・・・良いのがあったっけ?

あんまり水中とかは戦う機会がないからな・・・・・

 

「うーん・・・」

 

 僕はペラペラと記憶の書を捲りながら条件にあった装備を探していた

 

「前線に立つ者の意見としては・・・出来れば、GH(グライディングホイール)を動かすのと連動しているのが良いと思います」

 

「確かに・・・複雑になりすぎるのは良くないわね・・・クロ君、何かあった?」

 

「・・・・・いくつか候補があるけど。条件に合うのは・・・この二つだね」

 

 そう言って僕は、『LFO』と呼ばれる人型ロボットが使用する『リフボード』と言う

サーフボード状のパーツと水中用MS『アクアジム』が背負っている『ハイドロジェット』を

二人に見せた『リフボード』は空中用の装備だけど、形状が形状だから簡単な改造で水上用に変更できると思う。

 

「うーん・・・この二つを一つに集約するのは少し難しいし、時間も掛かっちゃうから

別々にした方がいいわね。まず試しに、この『リフボード』って言うのを開発するわ。

水中は・・・MMAに防水加工用のデータを近々アップデートするわ」

 

 母さんにリフボードの設計図を見せていると、新島さんが追加でお願いをしてきた

 

「リーネさん。実は今、班の抱える問題として、戦闘継続時間が短いというのがあるんです」

 

「あー・・・・やっぱり?元々、こっちの人は魔力が少ないからそろそろ問題になるかなぁ~って思ってはいたけど」

 

「はい。今、訓練では瞑想などの精神修行を取り入れているのですが・・・・・・」

 

 精神修行を取り入れさせたのは、僕の意見だけど・・・・・

これって数年以上続けないと効果が出ないんだよなぁ・・・・

 

「MMAの消費魔力を減らすための改造も考案中なんだけど・・・・もう少し掛かるわ・・・

流石に開発がこうも重なるとね・・・」

 

「そこでなんですが・・・・自分に一つ案があるんです」

 

 どんな案だろう?

母さんと僕は新島さんの案を聞いてみた

 

「MMAの武装は自身の魔力が動力源です。

しかし、MMAのGHやシールド、装甲を維持するのにも魔力が使われています。

これだと、自分たちの魔力が長持ちしません。これが今、班が抱えている問題です」

 

「ええ、その通りよ。今の方針はは基本的な機能の消費魔力をいかに減らすことなのよ。

でも、さっきも言ったけど開発が重なってなかなか進んでないけど」

 

「そこでなのですが・・・武装に使う魔力を別のところから供給できれば、と考えたんです。

例えば、武装にエネルギータンク的な機能を付与させて、使用時はタンク内の魔力を使用し、

タンクが空になったら自身の魔力を使用するというのは?」

 

 あれ?それと似たような機構を知っているぞ?何だったかな?

 

「それいいわね!画期的だし、構造も簡単だし既製の武装を改造するだけで良いわ!」

 

「それって、この機構とそっくりだね。MSの武装に採用されていた『Eパック方式』

これを使っては?」

 

「どれどれ・・・・・うんうん・・なるほど・・・・へぇ・・うん!バッチリ!

これなら今日中に出来るわ。二人ともありがとう!

それじゃ、早速取り掛かるからMMAを貸してちょうだい」

 

 僕と新島さんがMMAを渡すと、母さんはすぐに司令室から出て行ってしまった

 

「相変わらず、研究や新技術に目が無いなリーネさんは」

 

「ははは・・・母さんは根っからの研究者気質と技術者気質だからね」

 

 その後、僕はMMAが無いので今日は筋トレをするだけにしておいた



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Memory31 反動

どうも投稿主のNo.78です。
ここで主人公のチート系スキルが少し出ました。
前の話でも少しだけ出ましたが、ここから出ることが増えていくと思います。
が、自分はあまり俺TUEEEE系は好きではありませんので、
主人公には力を使うたび痛い目に合ってもらうことにしました。


 MMAの改修を行ってから数日、僕たちは毎日ジュエルシードを探し回ったが

一つも発見できないでいた。

 ユーノ君が言うには『少し探す範囲を広めた方がいいかもしれない』とのことだった。

 と言うことで、今、都市部のエリアを捜索中。

今日は久々に01と02のコンビが捜索に参加している。

 

「01。そっちはどうですか?」

 

『こちら01。まだ見つかっていない。02、そっちはどうだ?』

 

『こちら02。同じくですよ隊長。探す範囲が広いから進まないって進まないって・・・』

 

 02の愚痴に僕と01も同感だった。

基地にあるレーダーは捜索魔法と違って大雑把な範囲しか捜索できないため、

指定された範囲を僕たちがくまなく捜索する必要がある。

 

「なのはさん。そっちはどうですか?」

 

『うーん。まだ見つからないよ。ユーノ君が捜索魔法を使っているけど・・・・ッ!!』

 

 なのはさんに連絡を取っていると、なのはさんの近くからジュエルシードの反応があった。

 

『見つけた!オーツーさん、先に行ってるね!』

 

「了解!僕らもすぐに向かう!」

 

 

 

 現場に向かうと結界が張られており、僕たちは結界を破壊しないように慎重に中に侵入した。

 結果の中では、またなのはさんとフェイトさんとの戦いが始まっていた。

 

「ディバンシューター!!」

 

「フォトンランサー!!」

 

 激突しあう閃光。その光を見て01と02は唖然としていた

 

「凄い・・・あれが子供の・・女の子のする戦いか?」

 

「・・・俺たちの数倍以上強い・・・・こりゃあ、手を出すなんて出来ないな」

 

 二人の言葉に激しく同意した。なのはさんは、さらに強くなっている。

以前よりシューターの操作が鋭く速くなっている。さらに、

 

「くっ・・バルディッシュ!」

 

 フェイトさんがなのはさんが放ったシューターをランサーで迎撃するのを諦め、

バルディッシュでシューターを破壊したとき

 

「レイジングハート!」

 

「え?」

 

「ディバインバスター!」

 

 以前は使えなかった高速移動を使い、なのはさんがフェイトさんの後方に回り込み一撃いれた。

旅行の後、時間があればずっとユーノ君と特訓していたとは聞いていたけど・・・・

なんて成長速度なんだ・・・

 しかし、爆風の中から出てきたフェイトさんにはあまりダメージは無いみたいだった。 

 

「やるね・・・・以前よりずっと強い」

 

「特訓したもん。ずっとフェイトちゃんに負けっぱなしだと悔しいからね」

 

 お互いの強さに驚きあい、再びデバイスを構えたとき、異変が起きた。

 

 

  ドクンッ!!!

 

 

 

「「ッ!!」」

 

 低い音が聞こえ、音のした方を見るとジュエルシードが激しい光を発していた。

 

『まずい!ジュエルシードがみんなの魔力に反応して活性化している!』

 

 ユーノ君の慌てた声の念話が聞こえた

どうも、目の前で戦っていたなのはさんとフェイトさんの魔力と

ここから少し離れたところで戦っていたユーノ君とアルフさんの魔力に反応して

ジュエルシードが活性化、暴走の一歩手前らしい。

 

「は、早く封印しないと!」

 

『ダメだよなのは!今、無理に封印しようとするとなのはも巻き込まれて危険だよ!』

 

「じゃあどうすれば!?」

 

 封印に行こうとしたなのはさんをユーノ君が引き止めた時、

 

『フェイト!無理だよ!』

 

 アルフさんの叫びが聞こえ、フェイトさんを探すと

 

「フェイトさん!ダメだ!引き返して!!」

 

 無謀にも、フェイトさんがジュエルシードに向かっていた。

 

  バリバリバリッ!!

 

 フェイトさんに激しい稲妻が襲い掛かる

 

「くっ・・・あと少し・・」

 

 稲妻に耐えながら、ジュエルシードに手を伸ばした時、

 

 バチンッ!!

 

 一際強い稲妻がフェイトさんを直撃し、フェイトさんを吹き飛ばした

 

「キャアアアアアアア!!」

 

「フェイト(さん)(ちゃん)!!」  

 

 吹っ飛んだフェイトさんは、何とか空中にいたなのはさんがキャッチし、

とんでもないスピードで来たアルフさんに渡していた。

 

「・・・・・使いたくないけど・・・やるしかない・・・・・・・・」

 

 僕は覚悟を決め、腰に付けていたホルダーから『記憶の書』を取り出した。

 

「ユーノ君!アルフさん!結界を出来る限り硬くして下さい!」

 

「何をする気なんだい!?」

 

「ジュエルシードを沈静化させます」

 

「そ、そんなことできるわけないよ!?」

 

「無理は承知!でも、やるしかない」

 

 僕は記憶の書を右手に持ち、キーワードを言った

 

「『メモリーロード』」

 

 すると、記憶の書が独りでに開き、僕が必要としている技の情報が入ってきた

空いている左手にエネルギーが集まっていき、光の球が出来始めた

 

「食らえ!!」

 

 光の球が出来た瞬間、左手を前に押し出すと溜まったエネルギーが発射され、

ジュエルシードを飲み込み、眩しい光に包まれた

 

 眩しい光が収まると、そこには沈静化したジュエルシードが落ちていた。

 

「(なんていう技だったっけ?確か・・・かめはめ波だっけ?)」

 

 片手版とは言え・・ちょっと加減し損ねたな・・何て場違いなことを思っていると・・・・

 

 ブシャァァ・・・・

 

「ぐっ・・・・・・・・」

 

 使った左手が裂け、血が噴き出してきた。

手の装甲の隙間から血が流れ出てきて地面に赤い水溜りができてきた。

記憶の書を使うと、反動として使った技に応じたダメージを受けるのは分かっていたが…

痛いものは痛いな、やっぱり…

 

「「オーツー(さん)!!」」

 

 振り向くとなのはさんと回復したらしいフェイトさん、遅れて01と02が来た。

 

「オーツーさん・・・一体何なの今の?」

 

「・・・・・僕のちょっとした秘密かな?」

 

「あ・・オーツー・・その手・・・」

 

 フェイトさんが僕の左手を指差して青ざめていた。

 

「反動でね、大げさに見えるだけで何ともないよ。大丈夫。それよりもフェイトさん・・・・・」

 

 僕はフェイトさんを見て、きつめの口調で言った

 

「さっきの、軽症で済んだからいいけど、下手したら死んでたよ?」

 

「ッ!!」

 

「集めるのに必死になってるのは分かる。けど、今回は無茶しすぎだ。

もう少し自分のことも考えようよ。目的、まだ達成していないんでしょ?」

 

「・・・・うん・・・・」

 

「だったら尚更だよ。目的も達成できずに力尽きるなんて後悔はしたくないでしょ?」

 

「・・・・・・・ごめんなさい」

 

「分かればよろしい」

 

 フェイトさんが謝ると、僕は落ちていたジュエルシードを拾い、

 

「これは一旦、僕たちが預かる。今日の勝負は、またいつかしてほしい。今日はお互い退こう」

 

「うん。フェイトちゃんもそれでいい?」

 

「・・うん」

 

「それじゃ、また会った時、今日の続きをしようね」

 

「うん。今度はそう簡単には取らせないよ」

 

 僕の宣言に誰も反対することなく、お互いに言葉を掛け合った後、解散となった。 



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Memory32 接触

どうも、投稿主のNo.78です。
本日、3回目のワクチン接種があり、副作用の熱と倦怠感に襲われているので
今から寝ます。それではどうぞ


 ジュエルシードを預かって二日目の夕方、僕となのはさん、ユーノ君は公園にいた。

向かい合うように立っているのは、フェイトさんとアルフさんのコンビだ。

 どうしてこうなったかと言うと、

 

 

 数分前、基地のレーダーに微かなジュエルシードの反応を確認し、なのはさんに連絡して出動。

 

 反応があったこの公園で、ばったりフェイトさんと鉢合わせ。

 

 この前の続きをしようという事になり、今に至る。

 

 

「また会ったね、フェイトちゃん」

 

「なのはも・・・こんなに早く会えるなんて思ってなかった」

 

 向かい合う二人の間には淡く光を発しながら浮かんでいるジュエルシードがあった。

 

「二人とも、準備はいいかな?」

 

「うん」

 

「こっちはいつでも」

 

「それじゃ、続きって言うことで。僕は今回も手は出さない。全力で、思う存分戦って」

 

 僕が離れるのを合図として、二日前の戦いが再開された。

 

 

 

 

 しかし、戦いが始まって数十分もしないうちに異変が起きた。

 

『転移反応!何かが転移されてきます!』

 

 オペレーターの驚いた声が聞こえ、辺りを見回すとなのはさんとフェイトさんが

まさに切り結ぼうした瞬間、二人の間に、一人の少年が割って入り二人の攻撃を止めた

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!これ以上戦闘を行うなら、そちらを拘束する!」

 

 管理局・・・・! 面倒なのが・・・・!。

 

「なのはさん!フェイトさん!離脱して!!07、スモークグレネード!」

 

「おう!」

 

 僕が叫ぶと、公園の林の中に待機していた今日捜索担当の07と06が現れ、

07がスモークグレネードを発射して三人の周りに煙幕を張り、その間に06が

浮かんでいたジュエルシードを確保して封印ケースの中に入れた。

 フェイトさんとアルフさんは、煙に紛れて高速で離脱したが、

なのはは煙を吸い込んでしまい離脱が遅れてしまった。

クロノと名乗った少年が煙を吹き飛ばし、手に持っていたデバイスを

僕たちと合流しようとしているなのはに向けた瞬間、

 

「動くな!!」

 

 鋭い声と共に、基地に待機していた01たちが現れ、クロノに銃口を向けていた。

 

「こちらはWDDO、この世界の次元防衛隊だ!その少女を拘束、危害を加えるつもりなら敵対の意思があると判断し攻撃する!」

 

「それはこちらも同じだ!こちらは時空管理局、この世界は管理局の管理下にある!

これ以上の行動は、敵対行動とみなす!」

 

「こちらはこの世界の次元防衛に関し、全ての権利を有する!そちらの意思に従う気は無い!」

 

 どちらも一歩も譲らず、険悪な空気になってきたところで、

 

『両方ともストップ!一旦、武器を下ろしてください』

 

 突然、空中にモニターが現れモニターに映った女性が、この場の空気をクールダウンさせた

 

「リンディ提督!」

 

『クロノ君、少しクールダウンして。WDDOでしたね?

私たちは、そちらと敵対する気はありません』

 

「・・・・・そちらの、この世界に来た理由を答えてもらおう」

 

『高町なのはさんとユーノ・スクライアさんにジュエルシードについてお話を聞くために

やってきました。そのため、二人には一度、こちらに来てもらいたいのですが』

 

「・・・・・・・・む・・・」

 

「01さん。ここは管理局に従ってくさい。管理局と敵対するのは危険です」

 

 ユーノ君が01にここは折れてもらうように言った。

 

「・・・分かった。そちらに二人を行かせよう。しかし、まだそちらを信用していない。

だから、護衛として一人随伴する」

 

『分かりました。では、転送しますので護衛も含めて前に出てください」

 

 モニターが消えると、地面に魔法陣が現れた。

 

「00。高町さんの護衛、頼んだぞ」

 

「了解」

 

 そう言って、僕はなのはさんたちとともに転送された。



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Memory33 管理局

どうも、投稿主のNo.78です。
なんとか、ワクチン接種の副反応を乗り切りました。
この後の話から、原作と違う感じになっていきますので
どうぞよろしくお願いします。


なのはSIDE

 

 えっと・・・・わたしたちはクロノっていう男の子に連れられて転送されました。

 

 転送が終わって見えたのは、映画で出てくる宇宙船のような感じの場所に着きました。

 

「・・・この大きさと動力炉の反応からすると・・・中型の時空巡航艦?」

 

「その通りだ。ここは時空管理局所属巡航艦『アースラ』の内部だ」

 

 何かオーツーさんとクロノっていう男の子と難しい話をしています。

 

「(ねえねえ、ユーノ君。時空管理局って?)」

 

「(管理局って言うのは、なのはたちの住む世界を含めた、たくさんの次元世界を管理している

なのはの世界で言う警察とか裁判所が合体したみたいな組織のことだよ。

オーツーたちWDDOと似た役割だね)」

 

「(たくさんの次元世界?えっと、パラ・・・何とかって言う感じかな?)」

 

「(パラレルワールドのこと?うーん、少し違うけど、そんな感じって思ってくれればいいよ)」

 

 ユーノ君と念話で話をしていると、クロノ君がこっちを振り返りました

 

「これから艦長とあってもらうんだが、その前に君はいつまで変身してるんだ?」

 

「あっ、すみません。この姿でいることが多かったから。今、解除します」

 

 すると、ユーノ君が立ち上がって光に包まれました。

そして、光が収まった時そこには・・・

 

「ふう。この姿に戻るのは久しぶり・・って、なのは?」

 

 わたしと同じくらいの男の子が立っていました。

 

って・・ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!

 

「え、ええ!?ユ、ユユ・・ユーノ君なの!?」

 

「そうだけど・・ええ!?あれ、なのはと初めて会ったときってこの姿じゃ・・・・」

 

「ううん、フェレットだった!人間に変身できるなんて初めて知ったよ!!」

 

 わたしがビックリしていると、オーツーさんが頭に?を浮かべながら聞いてきました

 

「え?なのはさん、知らなかったんですか?」

 

「ええ!?もしかしてオーツーさんも知っていたの!?」

 

「うん。初めて会ったときから」

 

 何で教えれくれなかったの~!!

 

 軽くパニックになっていると、クロノ君が『ゴホン』と咳払いをして区切りを入れました

 

「どうやら、相互の勘違いも解けたようだな?それと・・・・」

 

 クロノ君はオーツーさんを見ました

 

「君もだ。こちらには少なくとも攻撃の意思はない。だから、艦長と会うときにはそのスーツは

脱いでもらいたい。」

 

「・・・・断る。こちらは完全にはそちらを信用していない。それに我々には守秘義務がある。

だから、これを解除するわけにはいかない」

 

 オーツーさんはいつもみたいな口調じゃなくて、もっと相手を警戒しているような、

ちょっと厳しい口調でクロノ君の条件を断ってしまいました

クロノ君は少し悩んで、もう一つの条件を言いました。

 

「・・・・・・・なら、武装解除してくれ。それが随伴する最低条件だ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・了解した。パージ」

 

 オーツーさんが不満そうに言うと、肩に付いていた箱が取れました。

そして、オーツーさんはその箱に銃を向けて、

 

 ドドドドッ!!

 

 使い物にならないくらい壊してしまいました。

 

「技術を盗まれるわけにはいかない。とりあえず、一番危険なランチャーは破壊した。

銃にはセーフティーをかけて預ける」

 

「ああ・・・分かった。(今の銃弾は魔力だった・・あんなスーツ初めて見た。少なくともこの世界の技術じゃない…。一体、どこの誰が開発したんだ?)」

 

 クロノ君はオーツーさんから銃と剣を受け取ると、再び歩き出したので後についていきました。

 

 しばらく歩くと、少し大きめの扉の前に来て立ち止まりました

 

「ここが艦長室だ。失礼の無いように」

 

 わたしたちが頷くと、クロノ君は扉を開けて中に入っていきました。

後に続くと、わたしは部屋の中を見てビックリしました

 

 何故なら・・畳、盆栽、あれってお正月に出てくるものだよね?その他ectect・・・・・・

とにかく、

 

「日本の文化を一箇所に集めてみましたって感じなの・・・・・」

 

「・・・筋金入りの日本人なら怒り狂い出しそうだね・・・・」

 

「?」

 

 その部屋の真ん中でモニターに出てきた女の人が?を浮かべて正座していました。

 

 

「『アースラ』にようこそ。私が艦長のリンディ・ハラオウンです」

 

「改めて、僕は時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンだ」

 

 あ、同じ名前。親子なんだ

 

「わたしは高町なのはです」

 

「僕はユーノ・スクライア」

 

「WDDO行動隊『第1班』所属、ナンバー00。本名は守秘義務の為明かせない。階級は曹長。オーツーって呼んでくれればいい」

 

 自己紹介も終わって、お互いの情報を交換し合いました。

 

 

 

「以上が事の全てです」

 

「なるほど・・・。その心意気は立派だけど・・・」

 

「無謀すぎる」

 

 ユーノ君の説明を聞いた後、出てきたのはその言葉でした。

そして、さらに驚いたのは今、わたしたちが集めているジュエルシードの危険さでした。

 

 なんでも、とてつもないエネルギーの結晶体というのがジュエルシードの正体で、

わたしたちの世界に大きな被害を起してしまう次元震、さらにはユーノ君やクロノ君の世界も

一緒に巻き込んで崩壊させてしまう次元断層を引き起こしてしまうかもしれないというものでした

 

 今まで集めていたものがこんなに危険だったなんて・・・・

わたしはこのことを聞いて、背筋がゾッとしました。

 

「これより、ジュエルシードの回収は時空管理局が全権を持ちます」

 

「君たちは、今回の事から手を引いて普通の生活に戻るべきだ」

 

「でも!」

 

「ユーノ・スクライア。君の一族はこういう事に詳しいはずだ。

尚更、今回のことの重大さは分かるはずだ。それに、報告の中にあったΩという少年。

もし、それが真実なら尚のことだ」

 

 ユーノ君が反抗したけど、クロノ君にきっぱり断られちゃった・・・・・

 

「まぁ急に言われても気持ちの整理も出来ないでしょう。一度家に帰って、よく考えてください。それから、もう一度改めてお話しましょう」

 

 そうしますと言おうとした時、

 

『ふーん。相変わらず汚いと言うか、セコいわね、管理局ってさ』

 

 突然、女の人の声が響きました。

 

「誰だ!」

 

 すると、部屋の真ん中にモニターが現れました。

モニターには女の人が映って・・・・・・・

 

「え?」

 

 モニターに映っていた女の人は、綺麗な銀色の髪で翡翠色の瞳をした、

 

「クロヤ君のお母さん?」

 

『はーい。久しぶり、高町なのはさん』

 

 人違いじゃない、正真正銘のクロヤ君のお母さん・・・リーネさんでした。

 

 



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Memory34 協力

どうも、投稿主のNo.78です。
次回に、今まで出てきたオリジナル要素や用語についての説明回を
挟みたいと思います。一部原作にも登場していますが、この物語上で
変更した部分も合わせて説明しようと思います。
主人公のプロフィールもあるのですが、作ったのが6年前なので、少し
手直しが必要な個所が多いため、プロフィールは載せられるか怪しいですが
頑張ります。




















オーツーSIDE

 

 突然の母さんの乱入で、今、この場はかなり混乱している。

なのはなんて、目が点になって唖然としている

 

「何者だ!」

 

 クロノ君が問いかけると、母さんは少し口元をニッと上げて答えた

 

『WDDO司令官、リーネ・アイリスよ。そっちにいる00の上司になるわね。

いや~、プロテクトが簡単で簡単で、数秒で突破できちゃった。

そっちのオペレーターも優秀だけど、このリーネさんに勝つのにはまだまだだね』

 

「リーネ・アイリス?まさか・・・・・」

 

 母さんの名前を聞いた途端、クロノ君とリンディさんの表情が変わった。

 

「もしかして、あなたは・・技術開発局とロストロギア研究部の局長だった、

リーネ・アイリス一佐ですか?」

 

「あの、『管理局の天才』の?でも、突然失踪して、現在は行方不明なはず…」

 

『あら?知っているの?そうよ、そのリーネよ。それよりも』

 

 母さんは自分の経歴のことを置いておいて、本題に入った

 

『相変わらず、することが汚いわね。手を引けっていうなら強制的に追い払うものでしょ。

それなのに、一度よく考えてって・・それって遠まわしに協力してって言っているものじゃない。』

 

「何を言って・・・・」

 

『あなたは黙っていて。私は艦長と話をしているの』

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 反論しようとしていたクロノ君を黙らせ、母さんはリンディさんを見ていた。

リンディさんは黙っていた

 

『大方、戦力が足らないから自発的に協力するようにしたかったのでしょう?

誘導尋問みたいなものね。ロストロギアを封印したり、暴走体と戦うのに戦力が多いことに

越したことは無い。しかも、高町さんは稀に見る高い魔導士としての才能を持っている。

これを管理局としては見逃すはずがないでしょ?』

 

 室内が、とても静かになっていた。

なのはとユーノ君は真剣な表情で聞いており、クロノ君、リンディさんは真っ直ぐ、

モニターの母さんを見据えていた。

 やがて、リンディさんは短くため息を吐いた。

 

「ふぅ・・・・・・・・・・その通りです」

 

「か、艦長!!」

 

 クロノ君が反論しようとするが、リンディさんは手で制した

 

「リーネ一佐の言う通りです。現在、この場にいる人員でジュエルシードの封印が出来るのは

私とクロノしかいません。他にジュエルシードを集めている者がいる以上、回収及び封印は迅速に行われなければなりません。」

 

『あれ?やけにあっさりと言ったわね?』

 

「相手が相手ですし、下手に隠して信用を失うよりはいいですから」

 

『ふふっ、あなたは管理局の人間では珍しく信用できるわ』

 

 険悪な空気が消え、少しだけ穏やかな空気になった。

どうも、この人は信用できるみたいだ。母さんが言うし、僕もそう思う。

いざとなったら・・・・方法はあるし。

 

『で、そちらとしてはどうしたいの?』

 

「こちらとしては、なのはさんやユーノさん、そしてあなた方に協力してもらいたいのですが」

 

『そう。じゃあ、聞くけど・・なのはさんはどうしたいの?』

 

 話をなのはさんに振ると、なのはさんは一瞬戸惑ったけど、はっきりと自分の思いを言った

 

「わたしは・・・・・・協力したいです。みんなを守りたいし…フェイトちゃんとの約束もあるから」

 

『・・・・・・・・・・・なのはさんの意思はよく分かったわ・・・・でも』

 

 母さんは一拍おいて、残念そうに言った

 

『でも、私たちWDDOはあなたたち時空管理局には協力できません』

 

「どうしてですか?」

 

『この組織は、あらゆる国家、企業、宗教、政治から独立することを条件に設立されたの。

WDDOは一応、国際連合という組織の極秘組織だけど実際のところほぼ独立した組織なの。

そんな組織だし、見ての通り未知の技術の塊。異世界人ってバレたとき提出した技術も全部、

軍事転用出来ないものしか渡してないからその他の技術はみんな喉から手が出るほど欲しい。

その独立性を放棄したら、どうなるか分かるでしょ?』

 

 そう。例外を作ると、それに付け込んで様々な勢力があの手この手で技術や協力を迫ってくる。

そうなれば待っているのは・・・・・・・戦争だ。

 母さんはこのことを何より恐れている。だから、協力を申し出ることは絶対にできない。

 

「そうなのですか・・・・」

 

「大きすぎる力は、災いの元ということか・・・・・」

 

「そんな・・オーツーさんたちは協力できないんですか・・」

 

 みんな、落胆の声を上げた。

しかし、母さんが

 

『でも、抜け道があるの』

 

「「「え?」」」

 

 母さんが抜け道について説明した。…というよりどちらかというと屁理屈だが。

 

『このWDDOの使命は『私たちの住む世界の人々を次元犯罪から守ること』なの。

その目的を少し屁理屈気味に解釈して『この世界の住民である高町なのはさんを守る』

っていう名目でなら、なのはさんを挟んで協力することは出来るわ』

 

「じゃあ・・・・・・・・」

 

『ええ。今言った目的でなのはさんを介して協力します。でも、そちらに指揮権は渡せないし、

こっちの任務が優先だから、そこのところを気をつけて』

 

 決まったかな。少しセコいかもしれないけど気にしないが一番。

 

『と、こっちで勝手に進めちゃったけどなのはさんはこれで良い?』

 

「はい。リンディさん、クロノ君、オーツーさんよろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしく」

 

「よろしく」

 

「またよろしく」

 

 まぁ・・・当面の任務に変わりはなさそうだ。

それよりも・・・・フェイトさんたちは無事だろうか・・・・

 

 

 

 

 

 

アースラブリッジにて

 

 

「すごいよクロノ君。さっきの戦闘映像から分析したんだけど、なのはちゃんと

黒い魔導士の女の子、二人ともAAAランクだよ。最大出力だとSランクに届くかもしれないよ」

 

「すごいな・・・・。魔法の概念が無いこの世界にこんな素質を持った人がいるなんて」

 

 ブリッジ担当官の一人のエイミイの分析にクロノは感嘆の声を上げた

 

「それで・・・あの装備については?」

 

「それがね・・・・よく分からなかったの」

 

 クロノの質問にエイミイは申し訳なさそうに答えた。

コンソールを操作すると、映像が切り替わりオーツーたちWDDOの各隊員の映像に切り替わった

 

「このパワードスーツなんだけど、クロノ君の言ったとおり魔力で動いてるわ。

でも、バリアジャケットの技術が使われているのは分かるんだけど‥…

それ以外の構造が全然分からないの。しかも・・・・・」

 

「しかも?」

 

「このスーツからリンカーコアの反応が出てきたの」

 

「魔力で動いているんだ。当然だろう?」

 

 クロノの言葉にエイミイは首を振った

 

「違うの。体からじゃなくてパワードスーツから検出されたの。

つまり、この人たちはリンカーコアを持っていない」

 

「なんだって・・・・。じゃあ、機械がリンカーコアを持っているというのか?」

 

「ありえないとは思うけどそうとしか言えない。流石『管理局の天才』のリーネ一佐・・・」

 

「既存のあらゆるデバイスの性能を30%も上昇させて、今のストレージデバイスの強化理論を

提唱しただけはある・・・・」

 

 天才の一端を目にした二人は、ただ唸るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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subMemory 設定&プロフィール

どうも、投稿主のNo.78です。
この話はこの物語における設定集になっていますので
興味ない方は飛ばして、次話に向かってください。
興味ある方は、厨二満載の設定をご覧ください。それではよろしくお願いいたします。


登場用語集

 

・WDDO

 

『Worid Dimension Defense Organization』

世界次元防衛機構の略称。

 魔法の概念が存在しない地球における、次元犯罪者が関係する事件全般を担当する組織。

名目上、国連直轄の極秘組織扱いだが、魔法に関する知識やノウハウはないため

実態はリーネ・アイリスが指揮、決定権を持っている。

 極秘組織のため、事件が発生し出動する際に各国の機密機関と連携し、カバーストーリーや

世間の事件への関心をそらすといった活動により、各国機密組織とのつながりが深い。   

ただし、逮捕権がなく、事件解決後、地球側の人間は該当国の司法機関に引き渡し、

向こう側の人間なら元の世界へ追放するのだが、リーネ曰く、『管理局の前に放り出している』

 あらゆる国家、企業、政治、宗教から独立しているため、所属人員の出身、人種、宗教に

制限がなく、様々な人物が集まっている。基本的にはリストアップされた人物から選ばれるが、

中には次元犯罪に巻き込まれたり、目撃した結果、組織に所属することになった人物もいる。

 組織は大きく2部隊あり、実際に現場に行き事件を解決する行動隊の『第1班』。

情報収集や調査、行動隊の支援を行う『第2班』に分かれている。

        

       (元ネタはSCP財団とメン・イン・ブラックの組織を足したようなもの)

 

 

 

・MMA

 

『マジカル・マシーナリー・アーマー』の略称。魔導士のバリアジャケットとクロヤがもたらした異世界のロボット兵器『スコープドッグ』と『モビルスーツ』の技術を合わせたパワードスーツ。

 スコープドッグの基本機構であるグライディングホイールを標準装備し、モビルスーツ譲りのジャンプ力、軽い滞空能力を持つ。

 地球側の人間は基本的にリンカーコアを持たないため、疑似的にリンカーコアを形成し

魔力を使えるようになる形成機構と増幅変換機構が埋め込まれている。

 武装は基本的にスコープドッグ、モビルスーツ両方で使われていた武装を魔力で使用できるよう

改造されたものを使用する。

       

 

 

・リンカーコア

 

 魔法を使う者の魔法の源となる魔法機関。原作では基本的に向こう側の人間にしかなく、

個人によって有無があり、未だ謎の機関というもの。

 この物語では、リーネの研究により、リンカーコアの正体は有機魔法結晶体であり、

リンカーコアの有無は結晶体の形成能力の有無によるものということが判明した。

この研究結果から、リンカーコア形成機構及び増幅変換機構の開発につながった。

       

 

 

 

・記憶の書

 

 クロヤ・アイリスの記憶を纏めた本。

今まで過ごしてきた全異世界の技術、技、記憶が詰め込まれている。

 クロヤの体の一部ともいえるが、本人が無事な限り壊れることは無い。

第3者による読み取りを防ぐためなのか、検索機、翻訳装置のように本人を介さないと 

そもそも文字を読み取るどころか、量が膨大すぎて必要な情報が手に入らない。

読み取りには魔力を必要とする。

 

 

 

 

 

・クロヤ・アイリス。

 

 無限にあらゆる世界を旅する『無限転生者』で実年齢は1万2000歳以上。

転生し海鳴市に来て事故に遭い、WDDOに拾われ司令のリーネ・アイリスの養子になる。

多くの世界を渡り歩いてきたが、ほとんどが争いに満ちた世界だったため、人の死に敏感。

数多くの戦争を経験したため、相手の攻撃といった動きは経験や勘で大抵避けられる上、

機械修理やハッキングなど戦闘に関するスキルが非常に高い。

 ある世界で身体を改造され、サイボーグ状態になっている。

その為、目は普段は皮膜で隠して黒い瞳だが、皮膜を解除すると赤い瞳の中に顕微鏡のような

3つの種類の違うレンズ(標準、精密、赤外線)が瞳の中に見えてしまう。

 上記のことや、長い年月の蓄積の影響か魔力が膨大な量に達しており、2つのリミッターが掛けられている。

 1つは身体リミッター。サイボーグ改造の影響で身体能力が必要以上に上がっているため、

日常生活に不便が出ないようリーネが施した。この影響で、身体能力は3割程度に減少し、

少しスポーツが得意な程度に落ち着いている。

 2つ目は魔力リミッター。これはクロヤ自身が大昔にかけたもので、転生を重ねて行くたびに

肥大化する魔力を抑える目的でかけている。

 現在の魔力はリミッター解放を行うと触れた物質の消滅もしくは物体中の魔力の枯渇をおこし、

灰や砂に似た物体へ変質させてしまうなど危険極まりない。

 その魔力を記憶の書、身体強化に迂回させるなどをして制御しているが、

今度は技の威力制御が出来なくなるなど、リミッターなしの生活は不可能となっている。

 

 

 

 

 

・リーネ・アイリス

 

WDDO司令。時空管理局技術開発部、ロストロギア研究部のトップを務め、

『管理局の天才』と呼ばれていた。しかし、管理局の最高評議会の正体や上層部の腐敗を目にし、

管理局から失踪、以前訪れた地球に移住する。

 地球でミッドチルダの技術を使ってしまい、各国家から技術提出を求められ、

一部技術提出とWDDOの設立と引き換えに地球での市民権を得た。

ミッドチルダより劣る科学技術の地球でもその才能を発揮し、MMAを開発する。



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Memory35 模擬戦

どうも、投稿主のNo.78です。
今回、戦闘シーンを盛り込みました。
幼稚で見にくい、擬音まみれのシーンばかりですが、ご了承ください。
それでは、よろしくお願いいたします。


「と言うことで、高町なのはさんの護衛という名目上、管理局と行動を共にすることになります」

 

 リンディさんたちとの話し合いの翌日、基地では今後の方針を母さんが説明していた。

 

「なのはさんは今後、管理局に所属する次元航行艦『アースラ』に乗艦します。

そこで、なのはさんに付き添いと言う形で00が一緒に同乗します。

 ジュエルシードの回収は管理局と合同で行い、向こうの出動に合わせてこちらも出撃します。

その際のメンバーはこちらから指名します。

なお、00はなのはさんの護衛の為、行動を共にしてください」

 

「了解」

 

「残りのメンバーは基地に残っていつも通り、訓練に励んでください」

 

「「「了解」」」

 

 

「質問は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なさそうね。それじゃ、解散!」

 

 

 解散の号令でみんな会議室から出て行ったが、僕はなのはと一緒にアースラに乗艦するため

転送室に向かった。

 

 

 転送室からアースラに転送されると、先に着ていたなのはさんとクロノ君が待っていた。

僕は二人の前まで来ると、

 

「WDDO行動隊『第1班』所属、オーツー曹長。高町なのはさんの護衛の為、

次元航行艦『アースラ』に乗艦します」

 

「了解した。そちらの乗艦を許可する」

 

 クロノ君と職務上の乗艦許可を取り合った。

 

「と、まぁ堅苦しいのはここまでだ。よろしく頼む」

 

「こちらこそ。しばらくお世話になります」

 

「よろしくお願いします」

 

 僕たちはクロノ君の案内の下、艦内の部屋に案内してもらい、今日はそれで終了した。

 

 

 次の日

 

「オーツー。ちょっといいか?」

 

「はい?」

 

 乗艦して二日目。僕は、クロノ君に呼ばれて艦内にあるトレーニングスペースに来た。

 

「単刀直入に言う。オーツー、君の実力が知りたい」

 

 いきなりのことに僕は言葉に困りました

 

「えっと・・つまり?」

 

「僕と模擬戦をしてもらいたい」

 

 ・・・・面倒な誘いが来た。やり手の魔導士ほど手加減がしにくく、こっちの実力を推測される原因になるから、正直やりたくないが、断る訳にもいかない。

 

「いいですよ」

 

「よし。じゃあ、早速始めよう。手加減はするなよ?」

 

 無理な相談だね。

 

 

 僕とクロノ君が位置に付くと、ブリッジ要員らしい人(エイミイさんって言うらしい)と

なのはの映ったモニターが現れてカウントした

 

『がんばって二人とも!』

 

『それでは、クロノ君対オーツーの模擬戦・・・・・始め!』

 

 合図と共に、GH(グライディングホイール)を回転させクロノ君から離れロックオンと同時に、

ヘビィマシンガンを連射する

 

 ドガガガガガガガガッ!!

 

 しかし、クロノ君はすぐさまその場から飛び退き、射撃魔法を飛ばしてきた

 

「シューター!!」

 

 クロノ君から高速で射撃魔法が撃ち出され、一直線に僕に向かってきた

 

「おっと!」

 

 飛んできた弾をヘビィマシンガンで撃ち落し、クロノ君に急接近する。

素早くヘビィマシンガンをトライブレードと入れ替え、腰にヘビィマシンガンを収め、

両手にトライブレードを構えて斬りかかる

 

「やあああぁ!!」

 

「くっ!」

 

 

 ガギンッ!!

 

 

 クロノ君のデバイスとトライブレードがぶつかり火花が散る

そして、ほぼ同時に距離を取り僕は肩のランチャー、クロノ君はディバインバスターによく似た

砲撃魔法を放ってきた

 

 ドオオオオンッ!!

 

 お互いの攻撃が当たり、一瞬で周りが爆煙に包まれた。

 

「(・・・・・・・どこだ)」

 

 センサーには元に位置にはクロノ君がおらず、ロックオンも外れていた。

 

「ッ!!」

 

 

 ドウッ!!

 

 突然、真横から砲撃が飛んできたのを直感で避けたが、

 

 バチッ!!

 

「(しまった・・・設置型の罠)迂闊だった・・・・」

 

 内心、舌打ちをしていると煙の中からクロノ君が現れ、僕の首筋にデバイスを当てた。

 

「僕の勝ち・・・・と言いたいが」

 

 クロノ君は睨むように僕を見てきた

 

「・・・・・僕は手加減するな、といったはずだが?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 ・・・流石に手を抜きすぎたかな・・。クロノ君ぐらいの腕になるとやっぱりバレるか。

 仕方ない、本当のことを言おう

 

「・・・・・僕が本気出したらクロノ君、絶対勝てないよ」

 

「何・・・・・随分、自信があるみたいだが・・・・」

 

「試してみる?」

 

「上等だ!」

 

 と言うことでもうワンラウンドやることになった

 

 

 位置に着いたクロノ君に僕は警告を発した

 

「クロノ君、防御が最大に。それから、初撃は格闘攻撃をするから」

 

「???」

 

 クロノ君は『?』を浮かべながら僕と向かい合うように立った

 

『では、クロノ君対オーツー、模擬戦二回目、よーい・・・スタート!』

 

 

 ドゴオオオンッ!!

 

 

『『え?』』

 

「あ・・・・・・・・・・・・」

 

 開始わずか5秒経たず。

見ている人からだと、僕が瞬快移動してクロノ君の目の前に移動したと持ったら、

次の瞬間には吹き飛ばされてクロノ君が壁に叩きつけられたとしか見えないだろう。

 

「やりすぎた・・・・・・」

 

 あっけにとられた二人を見て、そう呟いた。



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Memory36 異変

どうも、投稿主のNo.78です。
ここから、原作と大きく話が変わり始めます。
それと、注意点として、次回当たり、再び戦闘シーンがあると思いますので
少し手直しをしてから投稿しますので、遅くなるかもしれません。
ご了承の程よろしくお願いいたします。


「ごめんなさい。やりすぎました」

 

 僕は今、クロノ君にただひたすら頭を下げている。

あの後、クロノ君は医務室連れて行かれ、僕はクロノ君が目覚めるまでどうすればよいか考えて、

考え抜いた結果がこれだった。

 

「分かったから、そろそろ顔を上げてくれないか・・・こっちが悪いような感じになる・・・・」

 

 クロノ君が引き気味で言うので、僕は顔を上げるとクロノ君は真剣な顔になって聞いてきた

 

「一体、あれは何なんだ?いきなり魔力が上がって、身体的な能力が上がったが・・・」

 

「掛かっていたリミッターの一つを解除したからだよ」

 

「リミッター?オーツーさんどういうこと?」

 

 あ・・・しまった・・

 

「えっと‥僕の秘密の一つ。ちょっと、これは機密事項に当たるから話せないな。

まぁ、一種の身体強化ってことだけ言っておくよ」

 

 その後も、何回か聞いてきたが機密事項で教えられないと言い通して何とか諦めてもらった。

 

 

 

 

 数日後

 

 

 アースラに移ってから数日、ジュエルシードの反応があり封印の為に

僕となのはさん、クロノ君、ユーノ君と基地に残っていた隊員たちと迎撃に向かった

 

『00!そっちに行ったぞ!』

 

「僕が足止めをします!」

 

「ユーノ君頼む!・・・・・・・・今だ!食らえ!」

 

「えーい!!」

 

「シューター!!」

 

 

 ドオオオオオオオオンッ!

 

 

 僕たちは鳥のような暴走体を撃破したが、おかしな点に気が付いた

 

「変だ・・・・・こんなに分かりやすい反応だったのに・・・」

 

「うん・・やっぱりオーツーさんも?」

 

 なのはさんも同じ意見だった

 

「「フェイト(さん)(ちゃん)が来ない」」

 

 そう。フェイトさんが来なかったのである

ジュエルシード集めに必死になっているはずなのに、こんな分かりやすい反応を見逃すはずが無い

 

「フェイト?それは・・・あの金色の魔導士のことか?」

 

「うん。フェイトちゃんなら絶対、こんなチャンス見逃さないのに・・・」

 

「・・・・・・報告にあったΩと何かあったのかもしれないな」

 

 クロノ君が考え込んでいると、基地から緊急通信が入った

 

『全1班隊員に通達します!現在、海鳴市の二ヶ所で結界が張られるのを確認しました!

観測の結果、この反応はフェイトさんとアルフさんです!

なお、張られる直前に交戦による発光を確認しました。何者かに襲われている模様です!』

 

「どうした!」

 

「・・・・・クロノ君、どうやら君の言っていたことが起きたみたいだ・・・・」

 

「どういうことだ?」

 

「え?まさか・・・・フェイトちゃんたちが・・・・」

 

 なのはさんが恐る恐る聞いてきた

 

「・・・・・・・・・二人が何者かに襲われている」

 

 聴いた瞬間、なのはは超高速で飛行魔法を展開、飛び去ってしまった

 

「なのは!」

 

「なのはさん!クロノ君追いましょう!」

 

「ああ。運がよければ、二人から事情を聞けそうだ」

 

 僕とクロノ君もなのはさんを追いかけた

 



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Memory37 交戦

どうも、投稿主のNo.78です。
作り直していたため投稿が遅くなりました。
まだまだ拙い文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


 飛んでいったなのはさんを追いかけていくと、

結界の前でなのはさんが立ち止まっていた

 

「なに・・なんなのこれ・・・?」

 

「な、なんだこれは!?」

 

 なのはさんとクロノ君が驚きの声を上げた。

それもそのはず、目の前には結界が張られているのだが、

 

「結界・・・・なのか?それにしてもこんな真っ黒の結界は見たことが無い」

 

「これは『空間断絶』?・・違う、少しアレンジされている・・・。こんな技をできるのは・・・・・・・」

 

「ッ!!フェイトちゃん!!」

 

 なのはさんは、意を決したように中に飛び込んでいった。

 

「あっ!ダメだなのはさん!迂闊に入っちゃ!!」

 

「僕たちも急ごう!」

 

「ユーノ君、こっちは僕らで何とかするから、01たちの支援に向かってほしい!」

 

「分かった。気をつけて!」

 

 

 ユーノ君と別れ、僕とクロノ君はなのはさんを追いかけて中に入った

 

 

「くっ!なんだこの空間は!?」

 

「この『空間断絶』は自分の有利な空間に書き換えるんだ!」

 

 空間の中は、薄暗く無重力に近い感覚だった。

しかも、その空間には大小さまざまな瓦礫が浮かんでおりフェイトさんのような

高速戦法には不向きな場所だ。

 僕が纏っているMMAの姿勢制御スラスターは通常空間では飛ぶのに適していないが、

このような無重力空間ならむしろ好都合だ

 

「なのはさん!どこですか!?」

 

「どこにいる・・・っと!くそっ・・瓦礫が邪魔で思うように飛べない」

 

 僕たちはなのはさんたちを探すのに手間取っていた。

 

 

 

なのはSIIDE

 

 わたしは黒い結界の中に入ると、すぐにフェイトちゃんを探し始めました

 

「フェイトちゃん!どこにいるの!?」

 

 暗い結界の中、わたしはフェイトちゃんに聞こえるように声をかけながら探していると

遠くの方から

 

 

 

 

 ドォォン・・・・・

 

 

 

 

 

 と、何かが爆発したような音が聞こえました

 

「あっち!?」

 

 音のしたほうへ、瓦礫の間を飛んでいくと・・・・

 

「フェイトちゃん!」

 

「え・・・・?なのは?」

 

 ボロボロの姿をしたフェイトちゃんが瓦礫の陰に隠れていました

 

「フェイトちゃん、大丈夫!?」

 

「なんとか・・・・・・ッ!!!なのは!!」

 

 突然、フェイトちゃんがわたしの手を掴んで飛び退くと、

さっきまでいたところに砲撃が撃ち込まれ瓦礫が爆発しました。

 

「見つかった・・・・・」

 

 砲撃が飛んできた方を見ると・・・・・

 

「ロボット?」

 

 右手が剣になっていて、左手が大砲になっている赤い一つ目が光っているロボットが

こっちを見ながら飛んでいました。

 見た目だけを見ると、小さい男の子向けのおもちゃみたいでした。

 

「フェイトちゃん・・・何あれ?」

 

「あれがこの結界を発生させたの・・・・おもちゃみたいで油断したけど‥‥あいつかなり強い・・・」

 

 フェイトちゃんがデバイスを構えながら言ってきました。

 

「・・・・新タナ反応ヲ確認・・・該当データ『高町なのは』・・・当初目標ト共ニ排除スル」

 

 ロボットの赤い目が光り、大砲を向けて撃ってきました

 

 わたしたちはその場から飛び退き、フェイトちゃんはデバイスを鎌に変形させて近づき、

わたしはいくつかのディバインシュータを撃った

 

 ガギンッ!!

 

 フェイトちゃんとロボットが切り結んでいるところにさっき撃ったシューターが飛んでいった

 

「・・危険・・回避」

 

 ロボットはとっさにフェイトちゃんから離れ、シューターを避けようとするけど逃がさない!

するとロボットは逃げる途中、浮かんでいた瓦礫を一つ蹴飛ばしました。

蹴飛ばされた瓦礫がシューターの目の前に飛んできて、その瓦礫に当たってしまい・・・・・・・・・・・・

 

 ドォォンッ!!

 

 小さくなった破片が雨のように飛び散って、ロボットを追いかけていたフェイトちゃんと

わたしに降りかかってきました・・・って!!

 

「うわわっ!レイジングハート!!」

 

『Protection』

 

 とっさにレイジングハートがバリヤを張って破片を防いだ瞬間、

 

「排除」

 

 目の前にさっきのロボットが現れ、斬りかかってきた

 

「きゃああ!!」

 

 バリヤは簡単に破られて、吹き飛ばされてしまいました

 

「排除」

 

 ロボットが剣を振りかぶったところ

 

「させない!」

 

 フェイトちゃんが後ろからロボットを斬り裂こうと高速魔法を使って移動してきました

 

「やあぁっ!!」

 

「無駄」

 

 ロボットが言うと、頭がグルリと真後ろを向き、目の部分から砲撃が発射されて、

フェイトちゃんに向かっていき

 

「ッ!!」

 

 ドオオオオオオンッ!!

 

 命中して、フェイトちゃんが爆発に飲み込まれてしまいました

 

「フェイトちゃ・・・きゃあ!!」

 

 気をとられていた隙にわたしは、ロボットに投げ飛ばされ瓦礫に押し付けられて、

大砲を突きつけられてしまいました

 

「排除」

 

 大砲にエネルギーが溜められ、発射されそうになったとき

 

「はああああああっ!!!」

 

 上から聞き覚えのある声が聞こえて

 

 ズバンッ!!

 

 大砲が腕ごと斬り落とされました

 

「破損、緊急回避」

 

 ロボットが離れると、わたしとロボットの間に割り込むように

 

「間に合ってよかった・・・大丈夫?」

 

 腕を斬り落とした人、オーツーさんがわたしの前に立っていました

 

 



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Memory38 撃破

どうも、投稿主のNo.78です。
今回の話ではさらに別作品の技が登場し、とても厨二臭くなってます。
拙い文章と戦闘シーンですが、楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


間一髪だった・・・・・

爆発音を聞きつけ、大急ぎで飛んできてみれば二人とも危機一髪の状況だった。

 

「間に合ってよかった・・・・。大丈夫?」

 

「うん・・・・それよりもフェイトちゃんは?」

 

「大丈夫だよ。ほら」

 

 先程、フェイトさんがいたところにはバリアを張ってフェイトさんの前に立つクロノ君がいた

 

「くっ・・・凄い威力だ・・・。強めに張っていなかったら破られるところだった」

 

「え?え?」

 

 いきなりの乱入にフェイトさんは混乱気味だった

さて・・・・

 

「・・・おい、人形。大切な人たちを傷つけたんだ・・・ぶっ壊してやる」

 

今、僕は凄く怒っている・・・覚悟しやがれ・・・

 

「該当データ『オリジナル』ト判明。最優先デ排除」

 

 ロボットが機械音声で僕をロックした。

僕はトライブレードを両手に構え、向こうは残った右腕の剣を構え、

ほぼ同じタイミングで斬りかかって来た

 

「はああああっ!!」

 

 ガギンッ!!

 

 火花が飛び散り、鍔迫り合いの状態になるとすぐさま離れ、腕のバルカンを発射

 

 ドガガガガガッ!!

 

「回避」

 

 ロボットは短く言うと、瓦礫を盾にして攻撃を防ぎその瓦礫ごと目からレーザーを放った

 

「うおっと!」

 

 それを避けると、ロボットが一気に距離を詰めて再び斬りかかって来た。

そしてまた離れると、今度は瓦礫を避けて飛びながら何回も切り結びあう空中戦になった

 

 ガギンッ!!  ギインッ!!  ガンッ!!  

 

「ちいっ!」

 

 埒が明かないと僕は判断し、少し後退気味になった

もちろん、ロボットがこのチャンスを逃すはずが無く、さらに攻撃の手を強めて押し始めた

 

 そうそう・・・・もっと来い。

 

「排除」

 

 大きく下がった僕に、ロボットが大きく素早く斬りかかって来た時

 

「掛かった!!」

 

「!!!」

 

 ロボットの身体に青色のバインドが巻きついていた。

実はこれ、クロノ君が戦闘音を聞きつけたときに仕掛けておいた罠で、僕がワザと下がったのはこれに引っ掛けるためである

 

「破壊」

 

と言うと、バインドにひびが入り始めた。

 まぁ・・あのフェイトさんを追い込むんだ、それくらい分かっていたけどね・・・

この少しの時間さえあれば十分!!

 

「メモリーロード・・『六杖光牢』!」

 

 記憶の書から技を呼び起こし、ロボットの動きを封じた

『六杖光牢』は六角形の対角線を結ぶように板状の魔(霊)力板を相手の身体に突き刺して相手の動きを封じる非殺傷技

 

「排除排除排除!!」

 

 動きを封じられたロボットは唯一使える目のレーザーを放とうとしたが

 

「やああああああっ!!」

 

 上空から急降下してきたフェイトさんに頭部を斬り飛ばされ、動きを完全に止めるかと思った

 

が・・・・・

 

「やっぱりか・・・Ωのやつ・・面倒なものを造りやがって・・・」

 

 動きを止めるどころかむしろ、動きを封じている六杖光牢を破壊するため激しく抵抗し出した

 

「なのはさん!クロノ君!今だ!!」

 

 僕が叫ぶと、レイジングハートに魔力をチャージして発射体勢に入ったなのはさんと、同じように発射体勢に入っているクロノ君がロボットの上に現れた。

 

「ディバイン・・・・・・バスタァァァァァ!!!」

 

「ブレイズカノンッッ!!」

 

 二人から極太の砲撃が飛んできて、ロボットを飲み込み、大爆発を起した。

爆発の閃光の後、ロボットは跡形も無く吹き飛んでいた。それと同時に空間断絶も消えた。

 

「お・・終わったの?」

 

 ボロボロのフェイトさんが戸惑い気味に聞いてきた

 

「うん。そうみたい。空間断絶が消えたから、完全に破壊されたよ」

 

「そう・・・はっ!!アルフは!?」

 

 フェイトさんはアルフさんのことを思い出し、慌てて辺りを見回した。

 

「オーツーさん。ユーノ君が向かった方はどうなったの?」

 

「ちょっと待って。01たちから通信が入ったみたい。念話の波長を僕に合わせて」

 

 フェイトさんとなのはさん、クロノ君が波長を合わせたのを確認すると、

01からの通信を聞かせた。

 

『こちら01。敵ロボットの撃破に成功!それと、アルフさんを保護した』

 

「アルフは!アルフは無事なんですか!?」

 

『この声は・・フェイトさんか?重傷だが大丈夫だ、君が無事だと伝えたら気を失ってしまった。今、ユーノ君が回復魔法をかけている」

 

「そう・・・よか・・・った・・・」

 

 そう言うと、フェイトさんは全身から力が抜けるように崩れ落ちてしまった。

(ちなみにここは近くのビルの屋上)

 

「フェイトちゃん!」

 

 なのはさんが慌てて抱き止めると、クロノ君が首筋や脈を測った。

 

「大丈夫。安心して気を失っただけだ」

 

「そう・・・良かったぁ」

 

「クロノ君、これから二人をどうする?」

 

「怪我の度合いが酷い。アースラでも一応治療は可能だが・・・・」

 

「なら、僕たちの基地に運ぼう」

 

「そうだな。よし、案内してくれ」

 

 僕たちはフェイトさん、アルフさんの治療の為WDDOの基地に帰還することになった。



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Memory39 移動

どうも、投稿主のNo.78です。
今回の話は特に目立ったことは無く、主人公たちの基地に移動する話です。
なお、オリジナル人物であるリーネは、管理局の裏のことを大体知っています。
巻き込むのを防ぐために基本言わないので、その辺ははぐらかします。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


 僕たちは、住宅街の人気の無い裏路地にいた

 

「オーツー、こんなところで何をするんだ?」

 

 フェイトさんを背負ったクロノ君が尋ねてきた。

 

「ここはさっきいた場所から一番近い基地への入り口。ここから転送してもらうんだ」

 

「え?基地ってどこにあるの?」

 

 えーっと確か・・・・

 

「海鳴市の地下にあるよ」

 

「えええっ!?地下にあるの!?」

 

「うん。流石に空中に造るわけにもいかないしね」

 

 僕は基地に連絡を取り、なのはさん、クロノ君、フェイトさんの転送許可を取ってもらっている

 

「・・・・はい。了解しました。じゃ、みんな転送するよ」

 

 僕は転送範囲内にみんながいることを確認して転送してもらった。

 

 

なのはSIDE

 

 アースラに転送されるのと同じように、魔法陣の上に立つと目の前が眩しく光りました。

 光が収まって目を開くと、アースラの中と似たような感じの大きい部屋の中にいました

 

「ここがオーツーさんたちの基地?」

 

「うん。ここは転送室って言って、言葉の意味のまま転送するところ。

ここから僕たちは出撃しているんだ」

 

 すると、部屋の扉が開いて、白衣を来たクロヤ君のお母さん・・・リーネさんがやってきました

 

「ようこそ、WDDOの本部へ。早速で悪いけど、フェイトさんの治療をするから

みんなは私についてきて」

 

 リーネさんがそう言うと、また扉が開いて今度はお医者さんらしい人たちが入ってきて

クロノ君がフェイトちゃんを下ろすと、基地のお医者さんたちが素早くベットに乗せて行ってしまいました。

 

 

 

 わたしたちはリーネさんの後につきながら、基地の中を案内されました。

最後に、会議室に案内されてそれぞれ椅子に座りました

 部屋には、先に着ていたユーノ君が待っていて、お互いに大きな怪我も無く合流できたことに

喜びました。

 

「さて、基地案内ツアーご苦労様。何か質問とかあるかしら?出来る範囲でなら答えてあげるわ」

 

 わたしは手を挙げて、ずっと気になっていたことを聞きました

 

「あの、リーネさん。リーネさんはその・・・クロノ君たちと同じ世界から来たんですよね・・・・」

 

「ええ。そうよ」

 

「クロヤ君はそのことを知っているのですか?」

 

「知っているわよ。でも、WDDOのことは知らないわ」

 

 良かった・・・・クロヤ君がこの事件に巻き込まれていなくて・・・

 

「次は僕から」

 

 今度はクロノ君が手を挙げて質問しました

 

「リーネ一佐は何故、管理局から失踪したのですか?」

 

 ユーノ君やクロノ君、エイミィさんたちから聞いたけど、

リーネさんが管理局で勤めていた技術開発局とロストロギア研究部っていうのは管理局の中でも

かなり重要なところらしくて、そこの局長だったリーネさんはとても偉かったみたいなの。

 そんなところにいたのにどうして辞めちゃったのかな?

 

「あー・・・それ?管理局にいるのが嫌になったの」

 

「嫌になった?どういうことです?」

 

 嫌になって辞めたって、どんな事なんだろう?

 

「・・・・クロノ君、その質問の理由を聞くと管理局内部の人間から命を狙われるわ。

私はそれほどの事実を知ったの簡単に言うと・・・・・管理局の闇を知ってしまった感じかしら」

 

「管理局の闇・・・・・・・」

 

 ・・・・リーネさんの表情がいつもより真剣・・・・なの

クロノ君も何も言わずにそのまま座ってしまいました

 

「それに関することについてはあまり詮索しない方がいいわ。闇の部分を知ると消される・・・

殺されても事故死と言う風に真実が書き換えられてそれでおしまい。あとは忘れ去られるだけよ。

事実、こっちに来るまでに何回か狙われたからね」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 クロノ君が深刻な顔をして黙ってしまいました

 

「あ、あの、リーネさんはジュエルシードのことをどこまで知っていますか?」

 

 ユーノ君がジュエルシードのことについて聞きました

 

「んー?それって、どんなものかってこと?」

 

「はい。発掘して移送する前に解析したのですが、膨大な魔力の塊で危険なものぐらいしか

分からなかったので」

 

「うーん・・。その判断は甘いわね。私も完全に分かっているわけじゃないけど、

ジュエルシードは人為的に造られた兵器の一部っぽいわ。正確には兵器の動力源。この世界で言う

核兵器のような戦術兵器レベルのね。でも、曲がりにも魔力の結晶体、兵器から抜き取られて

人の手に渡れば、その持ち主の願いを結晶体の中に溜まっている魔力で実現しようとする、

と言うのが私たちの研究の結果よ」

 

 む・・難しくてよく分かんない・・・・・。

ユーノ君は「なるほど・・・・」って言ってるし、あう~・・・・・

 

「なのはさんには少し難しかったかしら?簡単に言うと、ジュエルシードは危険な兵器の一部で、

今は人の願いを間違った方向に向かわせるものって思ってくれればいいわ」

 

 あ、何となく分かったかも。

 

「他にしつ・・・(コンコン)ん?どうぞー」

 

 リーネさんが話そうとした時、ドアがノックされて白衣を着た人が入ってきました

 

「失礼します。先程、フェイトさんとアルフさんの治療が終わりました」

 

「!!フェ・・フェイトちゃんは・・・・」

 

 治療が終わったと言ったので、わたしは椅子から立ち上がり、不安で声が震えながら

フェイトちゃんの様子を聞きました。

 

「大丈夫です。今は魔法の使用による疲労から寝ています。明日あたりには目を覚ますでしょう」

 

「よ・・・よかったぁ・・・・」

 

 わたしは、ホッとして胸を撫で下ろしました

 

「そう。ありがとう。それじゃ、フェイトさんも無事に治療が済んだことだし、

今日は一旦解散しましょう。なのはさんも一度、家に帰ったら?」

 

「うん。あ、でも・・・・・わたし、何日も家に帰らなかったからみんな心配しているかも・・・・・・」

 

 

 うう・・・・・・・・・・・帰ったら絶対怒られる・・・・どうしよう・・・・

 

「そこはリンディさんに話してみたら?もともと、あの人が連れて行ったみたいなものだし、

その辺も考えてあると思うわ」

 

「分かりました。一度、リンディさんと話してみます」

 

 

 わたしたちは、フェイトちゃんをWDDOに預けて一度アースラに戻りました。



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Memory40 不安

どうも、投稿主のNo.78です。
この物語でのフェイトとプレシアの親子関係は原作とは違い悪くなくむしろ良好です。
なぜ、そうなっているかはもう少し後で語られる予定です。
あと、主人公は後に出てくるあの本と深い関係があります。
それに関しては気長くお待ちいただけると幸いです。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


「すぅ・・・・・すぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 僕の目の前にはベットの上で規則正しい寝息を立てているフェイトさんがいる。

なのはは一旦家に帰り、恐らくリンディさんからなのはの家族に説明がされている頃だろう。

 僕がなぜフェイトさんのいる病室にいるのかというと、極めて単純。護衛だ。

最優先護衛対象はなのはだが、Ωのところから逃げてきたフェイトさんは何かしらの情報を

持っているため、Ωが直接来てもおかしくない。だから僕は、護衛を買って出た。

 

「(Ω・・・とうとう自分の欲の為に動き始めたか・・・・最悪だ・・

向こうには10個近いジュエルシードがあるはずだ。早く取り戻さないと)」

 

 そう思っていると、控えめなノックが聞こえた

部屋はそんなに広くないので銃は使えないから、ブレードに手をかけながら声をかけた

 

「誰?」

 

「あ、あたし・・・アルフだよ」

 

 アルフさんらしく、フェイトさんが心配で部屋に入れてほしいみたいだ

一応、目の中にあるカメラを切り替え、赤外線で計測した上で入ってもらった

 

「ありがと。それでフェイトは大丈夫なのかい?」

 

 アルフさんは眠っているフェイトさんを見て、心配そうに聞いてきた

 

「峠は越えたみたいですので、もう心配は無いですよ。

もっとも、Ωがやってくるかもしれないと言う最大級の心配はありますけど・・・」

 

「ごめん・・・あんたの忠告、もっと早く聞いていればこんなことには・・・・」

 

 アルフさんが申し訳なさそうに俯いてしまった。おまけに頭にある耳も垂れてしまっていた。

 

「仕方ありませんよ。あいつのやり口は知っていますから。

人の弱みに付け込んで手を切れなくする。そして、用済みになったら裏切る。

あいつの常套手段です。むしろ奇跡ですよ。生きて逃げ切れるなんて」

 

「ああ・・この身でよーく分かったよ」

 

 

 

「ぅ・・ぅぅ・・・・・・・・・・・・・・」

 

「「!!」」

 

 アルフさんと話していると、眠っているフェイトさんが小さく呻き始めた

 

「ぅ・・・ぅぅぅ・・・・・・さん・・・・・・かあさ・・・・・かあさん・・・」

 

 悪夢にうなされているらしく、何かに手を伸ばしながら小さく呻いていた

 

「フェイト、大丈夫、大丈夫だから」

 

 アルフさんが伸ばされた手を握ると、フェイトさんは落ち着き始め、

また規則正しい寝息を立てて眠った。

 

 アルフさんはその後、フェイトさんに付き添うと言ったのでお任せして、

僕は警戒に集中することにした。

 

「そういえばさ」

 

 すると、アルフさんが思い出したように聞いてきた

 

「あんた・・オメガのことをずいぶん知っているけど、なんか因縁でもあるのかい?」

 

「・・・・・・・・・ないと言ったらウソになるけど、答えられない」

 

「あれかい、守秘義務ってやつ?」

 

「それもあるけど…。あまり深入りしてほしくないんだ。

Ωとの関係はそんなに単純じゃないしね…」

 

「そうかい・・・。あんたの正体は謎のままってことか・・・」

 

 アルフさんは少しムスッとしたが、そこまで気にしている様子ではないようだ

 

「ところで、あんたオメガに勝てるの?」

 

「・・・多分・・・・かな?」

 

 実は・・Ωは最後に会った100年前に比べて遥かに強くなっていた

僕自身もそれなりに鍛えてきたから100年前よりは強くなったが、

正直言って勝率は50%あればいいかもしれない

 

「まぁ、勝つしか選択肢はありませんよ。放っておいたら犠牲が増えるだけですし」

 

「・・そうだね・・」

 

 

 その後、日付が変わってもオメガは襲撃してこなかった。

 

 

 

 今日、フェイトさんはまだ眠ったままだったが、警備を01たちに任せ、

学校に久しぶりに行った。なのはが久しぶりに登校するからだ。

 

 久しぶりに教室に入り席に座ると、アリサとすずかがやってきた

 

「あ、二人とも久しぶり」

 

「『久しぶり』じゃないわよ!お母さんの仕事の関係で一緒に付いて行ったのは分かるけど、

連絡くらい頂戴よね!」

 

 あ、僕が学校来ないのってそう言う理由になっているんだ

 

「そのせいではやてのことも知らせれなかったじゃない・・」

 

「はやてがどうかしたの?」

 

 すずかが説明してくれた

 

「はやてちゃん、病状が悪化して入院したの・・・・・」

 

「え?」

 

 まさか、あの黒い魔力が・・・・

 

「いつ?」

 

「・・・・クロヤ君が休み始めてから3日くらい後から・・・」

 

 ちょうど、アースラに乗り込み始めたころからだ・・・・

 

「・・・ごめん。今日、はやてに会いに行って来る。あと、なるべく早く連絡手段を作っておくよ」

 

「うん。そうしてあげてね」

 

「はやてにちゃんと理由説明しなさいよ」

 

 

「おはよー」

 

 その後すぐ、なのはが登校してきた

アリサとすずかはさっきのことを説明をなのはにもしたのだが・・・・

アリサがなのはの腕を掴み、すずかと一緒にどこかに連れて行ってしまった。

追いかけようと思ったが、アリサやすずかから感じた気配は、はっきり言って

僕のような新参の友人が割って入っても良いものではなかった。

 

「(これは・・・・・よくないな)」

 

 はやてのことになのはのこと、問題は山積みとなっていった

 

 

 

 

 

 学校終了後、なのはの護衛をするべきかはやての所に行くべきかの選択を迫られた、

迷った挙句に出した答えは、一時的になのはの護衛を外れ、はやてのところへ行く。

もし、異常があればすぐさま戻る。だった。我ながら無責任な感じもしたが、

なのは自身にも自分を守れる力はあると判断したので、Ωの襲撃でもある程度なら耐えられると

判断した結果だった。

 

 病院にやってきて、ナースセンターではやての病室を聞き急いで病室に駆け込んだ

 

「はやて!」

 

「あ!」

 

 はやてはベットで半身を起こしていた。

はやては一瞬嬉しそうな顔をしたものの、すぐにベットに顔を埋めてしまった

 

「えーっと・・・はやて?」

 

「ふん・・・いきなり連絡もなしにいなくなるクロヤ君なんて知らんもん・・」

 

 どうやら、いきなり会えなくなったことにご立腹のようだ・・

流石に任務だったからって、一言連絡入れるべきだったな・・・・

 

「ごめん。母さんの仕事の都合でいきなりだったんだ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「本当にごめん。・・・何でもは無理だけど、はやてがして欲しいことなら喜んでする」

 

 すると、はやては顔を少しだけ出した

 

「うちがして欲しい事ならいいんやね?」

 

「うん。出来る範囲なら何でも」

 

 すると、はやては意外な事を頼んできた

 

「クロヤ君・・・もうちょっとこっちに来てくれん?」

 

「?いいよ」

 

 するとはやてはベットから飛び出す勢いで抱きついてきた

 

「わっ!」

 

「寂しかったんよ・・うち、また一人ぼっちになったんかと思っていたん・・・」

 

「大丈夫。友達を放っておくなんてしない。だから安心して」

 

「うん・・うん!」

 

 はやての頭を撫でると、うれしそうに抱きしめる力を強くした。

 

 

 

 

「「「うひゃあっ!!」」」

 

 

 と、当時に扉が勢いよく開き、三人の見知った顔がなだれ込んできた

 

「いたた・・・アリサちゃんが押すからだよ・・・」

 

「そういうなのはだって興味津々に乗り出してきたじゃない!」

 

「ふたりともケンカしないで…」

 

「でも、覗こうって提案したのはすずかだからね」

 

「ほうほう、じゃあ、そのままお怒りのはやてにごあいさつしようか三人とも」

 

「「「あ」」」

 

 三人の視線の先には顔を真っ赤にしたはやての引きつった笑みがあった・・・・

 

 

 その後は、入院前と変わらない四人の時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(はやての足に纏わり付いている黒い魔力、色が濃くなっていた・・。

原因が特定できないから対処も出来ない。これ以上の体調悪化がおきないといいが・・・)」

 

 

 帰り道、僕の中にあった不安がジワリと大きくなっていった。



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Memory41 目的

どうも、投稿主のNo.78です。
今回の話では、フェイトたちの行動の理由について大まかに触れます。
といっても、内容や目的は原作とそんな変わりませんが・・・・
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


 なのはが学校に復帰してから数日後、基地の医務室で眠っていたフェイトさんに変化があった。

目覚めそうな兆候があるとのことで基地に急いで戻ってきた。

なのはにも伝えたら僕より早くついていた。どうやったの?

 

「う・・ううん・・・・・」

 

 小さな呻き声をあげると、フェイトさんは少しずつ目を上げた

 

「フェイト!フェイト!」

 

 アルフさんが呼びかけると、フェイトさんはぼんやりとしながらアルフさんを見つめた

 

「アルフ?・・・ここは?」

 

「えっと・・・・・」

 

「ここはオーツーさんたちの基地だよ」

 

 答えにくそうなアルフさんに代わり、なのはが答えた。

 

「あれ…なのは?え、基地・・・?オーツーたちの?」

 

「うん。襲われたあとフェイトちゃん、気を失ってここに運び込まれたの」

 

 少しずつ覚醒してきたのか、気を失う前のことを思い出し始めたようだった。

 

「入るわよ。大丈夫?目は覚めたかしら」

 

 頃合をみて、リーネさんとクロノ君、リンディ提督が部屋に入ってきた。

リーネさんはベッドの脇にしゃがみ、フェイトさんと目線を合わせるようにして話を始めた。

 

「目が覚めたばかりで悪いけど、あなたのこと、色々聞かせて欲しいな」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 フェイトさんはチラリとクロノ君たちを見ると口をつぐんで、俯いてしまった

管理局の手前、あまり言いたくない事情なのだろう

 

「フェイトさん。今回の件に関して、あなたたちを弁護するつもりです」

 

 リンディ提督の言葉にフェイトさん、アルフさんは顔を挙げて驚いた声で聞き返した

 

「弁護・・?どうしてですか?私たちは・・・・」

 

「そうだよ!ロストロギアの不法所持と使用をしたんだよ。それなのに」

 

 二人の言い分はもっともだ。ふつうならかなり重罪に当たるからね

 

「確かに、通常なら重罪に当たる。けど、今回の事件の影の首謀者であるオメガの存在を知ると、

話は別だ。オメガに関する情報は管理局には全くない。

WDDOにもあるのはオーツの証言と映像記録のみ。その証拠を鵜呑みにはできないが

それを見積もっても、オメガはこれまでの次元犯罪者とは比べ物にならないほど危険だ。

君たちが協力してくれれば、こちらも弁護が容易になる」

 

「フェイトさん。わたしたちWDDOもあなたのことを助けたいの。

これは私だけでなくなのはさんの強い希望なの。だから、お願い」

 

「なのはの・・・・?」

 

「うん。わたし、フェイトちゃんを助けたいの。フェイトちゃん、いつも悲しい顔してた…。

もうフェイトちゃんの悲しい顔を見たくない。」

 

 みんなの言葉に、フェイトさんはアルフさんに目を配ると

 

「分かりました。知っている限りの事を話します。その代わり、私だけでなく、

母さんも助けて・・・・・・」

 

 搾り出すような願いに、返す答えはもちろん

 

「わかったわ。全力であなたの願いを叶える」

 

 

 

なのはSIDE

 

 あのあと、すぐにフェイトちゃんたちに質問が始まった

まず、最初に私が一番聞きたかった質問が来た

 

「まず、あなたのフルネームを聞かせて欲しいな」

 

「私の名前は・・フェイト・・・・フェイト・テスタロッサです」

 

 すると、リーネさんが驚いたように質問をしました

 

「テスタロッサ?待って・・・もしかして、あなたのお母さんってプレシア・テスタロッサ?」

 

「は、はい。何で知っているんですか?」

 

 リーネさんが頭を抱えてため息をついた。

 

「オッケー・・・・。大体理由は分かった。もう一つ質問。あなた、双子のお姉さんがいる?」

 

 リーネさんの質問を聞いた瞬間、フェイトちゃんとアルフさんがビクリと震えました。

 

「そ、それは・・・・・・・」

 

「頼む、その質問はやめてくれないか・・・。頼む」

 

 二人とも、震えていました・・・・。フェイトちゃんのお姉さんと家族に何があったんだろう・・・・。

 

「いいわ。ごめんね。でも、その反応から大体答えは予測できたから」

 

 なんか、リーネさんが一人で進めちゃってるから何がなんだか・・・・・・

 

「あの、リーネ一佐。話が見えないのですか・・・」

 

「あ、ごめん。あとでまとめるから」

 

「フェイトさん、いつ頃からオメガと関係を?」

 

 オーツーさんがオメガの事を聞いてきた

 

「大体。2,3年前から」

 

 意外と、オメガと一緒だったのは最近みたい

わたしは、いちばん大事な事を聞いてみた

 

「ジュエルシードを集めて何をするつもりだったの?」

 

「アルハザードへ行くため・・・」

 

「おい」

 

「ひ!」

 

 お腹に響くような低い声が聞こえたと思ったら、オーツーさんだった

 

「今、アルハザードって言ったね。どこで知った?」

 

「え?母さんが見つけた古い資料とオメガの情報から・・・・」

 

「こんな文字が書かれていた?」

 

 オーツーさんが見せてくれたのは、英語とも日本語とも違う全く見たことない文字・・・

というより記号?だった

 

「う、うん。少しだけだけどその記号について書かれてあった。

確か、アルハザードでの文字だったはず」

 

「?!!?!??!???///11(…この世界にも同じ伝承があるなんて…)」

 

 なんか、よく聞こえなかったけどオーツーさんなんて言ったんだろう。

それよりも、

 

「アルハザードって?」

 

「アルハザードというのは、伝承にのみ存在が確認されている。伝説の土地の名前だよ。

そこでは、現在を遥かに超越した技術や文明があるといわれているんだ」

 

 ユーノ君が説明してくれた。

つまり、超文明?なんかそんな感じの文明が、地球にもあったような・・・・

 

「なのはの世界で言う、『ムー』とか『アトランティス』というのと同じだね」

 

 あ、それだ。

 

「無謀にも程がある。あるかどうかも分からない場所を目指すなんて」

 

「・・・分かってる。でも!」

 

「はいはい。ヒートアップしない。フェイトさん、ありがとう。聞きたい事は大体聴けたわ。

また、何かあったらよろしくね」

 

 リーネさんが質問を終わらせると、別の部屋に案内されました。話をまとめるみたい。

 



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Memory42 目的2

どうも、投稿主のNo.78です。
原作を見ている方なら知っていると思いますが、
フェイトたちの目的が判明します。
それでは、よろしくお願いいたします。


 リーネさんが会議室に入り、みんなが着席するのを待った後、話をまとめた。

・・・というより、フェイトさんのお母さんの名前が出た瞬間に何となく分かったようだった。

 

「はいはーい。ちゅーもーく。さっきは一人で進めてごめんね。話をまとめるわ。

フェイトさんたちがジュエルシードを回収していた目的は、アルハザードへ行く事。

そこは分かるわね?」

 

「はい。しかし、なぜ?あるかどうかも分からない場所を目指すのかが分からないのですが・・・」

 

 クロノ君がもっともな返事をした。確かに、不明確な場所を目指すのは無謀にほかならない

 

「リーネ一佐は彼女の母親であるプレシア・テスタロッサについて何か知っているようですが?」

 

 リンディ提督が先ほどの会話内でのやり取りについて聞いてきた。

 

「えーっと・・・・知っているっていうか・・・。プレシー・・プレシアとは学校の先輩後輩の仲で、

親友だったの。それで、今回の事件の原因は多分・・・・あの爆発事故が原因だと思うわ」

 

「爆発事故?」

 

「リンディ提督。確か・・・管理番号*******の区域で起きた事件の事を調べてもらえるかしら?」

 

 リーネさんが恐らく地域番号を言うと、リンディ提督はアースラへ連絡を入れていた。

数分後、情報が端末に送られてきたらしい

 

「ありました。技術開発系企業の実験施設での爆発事故ですね。

死傷者100人以上の大惨事だった事件です」

 

「その実験主任だったのがプレシーなの。そして、死者のリストに載っていない子がいるはず・・・

リストの中にアリシアって名前の女の子はいる?」

 

「アリシア・・・・アリシア・・・いません。一体その子とは?」

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・プレシーの一人娘」

 

 

 

 

「え?」

 

 リーネさんの発言に場の空気が固まった。

 

「ど、どういうことなの・・・一人娘って…フェイトちゃんは・・・一体・・」

 

 なのはさんが震えた声で立ち上がって聞いてきた

 

「実は、00がフェイトさんたちと初めて会ったときに正体を見破ったの」

 

「なのはさん。フェイトさんはクローンだ。恐らく、アリシアっていう女の子がオリジナル。

事故で亡くなったんだと思う。そして、アルハザードへ行く目的はアリシアさんの蘇生だ」

 

「蘇生?そんな事できるの?」

 

「なのは、さっき言ったでしょ、アルハザードは現代を遥かに上回る技術を持った超文明だって。

多分、フェイトさんたちは蘇生技術もあると思っているんだと思う」

 

 なのはさんは無言で座った。言葉も出ない様子だ

 

「どうりで、専攻以外の専門書を読み漁っていると思ったわ。私がこっちに来るちょっと前、

偶然、向こうで会ったの。別人のようにやつれていたわ。そして、私の専門の魔法技術系の事とか

生物学、バイオテクノロジー系のや研究結果を聞いてきたの。

プレシーはどっちかというと機械工学系なんだけど」

 

「リーネさん、クローンってそんなに簡単に出来ちゃうものなんですか?」

 

 ユーノ君が質問してきた。

 

「…できない事はないけど、オリジナルと完全に同じというのはかなり難しいわ・・・・・。

人の人格形成に関しては未知の部分が多すぎるから…」

 

「・・・命の冒涜じゃないのですか?」

 

「ユーノ君、それは目的によるよ。家族を失って取り戻すならなんだってする、してしまうのが親って奴さ。少なくとも、望まれずに生まれて来たわけじゃない。

それに、フェイトさんは愛情をもって大切育てられてきたんだ、歪んだ教育を受けて成長してないだけでもずっとマシだよ。」

 

「お、オーツー?」

 

 おっと、いけない。

 

「あ、あの!」

 

 突然、無言になっていたなのはさんが大きな声を出した

 

「わたし、フェイトちゃんやフェイトちゃんのお母さんを絶対助けたい!

どんなことしてでも助けたい!」

 

 どうやら、改めて・・いや、強い決心が出来たみたいだった

 

「なのはさん。それは僕たちも同じ。リーネさんもそれでいいですよね?」

 

「もちろん。異論はないわ。あなたたちは?」

 

「管理局・・いえ、これは私個人としても協力するわ」

 

「同じく」

 

「僕も、大した事は出来ないかもしれませんが、同じ気持ちです」

 

「みんな・・・・・・・」

 

 なのはさんは驚いた顔でみんなを見た

 

「大丈夫。みんな同じさ。だから、みんなでやろう」

 

「うん!」

 

 とりあえず、やる事は決まった。あとは実行するだけ

オメガ、舐めんなよ。意志の強い奴は実力差もひっくり返すぞ。今に見ていろ



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Memory43 休息

どうも、投稿主のNo.78です。
今回の話は、短めの日常回です。
それではよろしくお願いいたします。


 フェイトさんたちの目的を知り、今後の行動が決まったが、

向こうの動きが分からない以上、やる事は今までと変わらない。

しかし、ここ最近はジュエルシードが確認されていない上、レーダーにも全く反応がなく

動きようがない。しかも、残っているものも海の中の可能性が高くMMAでの活動が出来ない。

そのため、今できる事はただ待つことしかない。

一応なのはたちなら水中での活動は可能らしいが、空中とは勝手が違うらしく、

クロノ君曰くきちんとした指導がないと危険とのことでしばらく休みという事になった。

 フェイトさんも大分回復し、今日はリハビリを兼ねて町に行くことになった。

もっとも、Ωの襲撃を警戒して周りには1班の人と、管理局が警戒する事になっているが・・・

僕も護衛メンバーに参加するはずだったが、新島さんたちに「今日は休め」の一言で

外されているので、ありがたく休ませてもらう事になった。

 

「(なのはたちも町にいるだろうし、町のほうへ遊びに行っているか・・・)」

 

 なのはSIDE

 

 私は今、フェイトちゃんのリハビリを兼ねた街の案内をしています。

フェイトちゃんとアルフさんはこの街に来てもジュエルシード探しばっかりだったらしく、

街を見て回っていなかったみたいで、色んな場所に行っています。

 

「あれ?なのは?」

 

「あ、アリサちゃんとすずかちゃん」

 

 偶然、街でアリサちゃんとすずかちゃんに会いました。

すると、アリサちゃんがアルフさんを見て顔をしかめました。

 

「げ・・なんで一緒にいるのよ。ていうか、その子は?」

 

「出会って早々それはないでしょ・・・・」

 

「まぁまぁ、アリサちゃんそんなに不機嫌にならないで」

 

「えっと・・・この子はフェイトちゃん。それと従姉妹のアルフさん。

フェイトちゃんとはさっき知り合って、今街案内しているの。フェイトちゃん、

私の友達のアリサちゃんとすずかちゃん」

 

「よ、よろしく」

 

「よろしくフェイトさん」

 

「よろしくね」

 

「ま、あたしとはまた会ったってことだけど、よろしく」

 

 ふぅ・・なんとか誤魔化せた。アリサちゃん、すずかちゃん、ごめん!

心の中で二人に謝っておきつつ、二人の事を紹介しました。

 

「あと、二人友達がいるんだけど、片方は男友達なんだけどまだ携帯作ってないみたいで、

今どこにいるか分からないのよもう一人の友達は、今ちょっと病気で入院中なんだよね」

 

「へぇ・・・意外に友達が多いんだね、二人の名前は?」

 

「クロヤ君とはやてちゃんっていうんです。転校生で、私たちとは最近友達になったのですけど、

とても仲がいいんですよ。はやてちゃんはクロヤ君繋がりで仲良くなったんです」

 

 クロヤ君のこととかはやてちゃんのこと、学校での事とか色んなことを話しつつ、

街案内をアリサちゃんとすずかちゃんを加えて再会しました。

 

 

クロヤSIDE

 

「うーん・・・休みだけど・・・」

 

 ぶっちゃけ、休日を平穏に過ごした事が少ないため何をしたらいいのか分からない。

何か買いたいものがあるわけでもないし、食べたいという欲求もない。

累積とはいえ長い間生きているとそういった欲求が薄れてしまう。‥干からびて干物だよ僕。

 

「(帰って寝よ・・・・)」

 

 適当に本屋を見ていた僕は、特に何も買うことなく家に帰ろうとした途端、

 

「あれ?クロヤ君?」

 

「ん?あ、なのは・・・・って、みんなと誰?」

 

 なのはとフェイトさんが外出しているのは知っていたが、アリサとすずかが一緒なのに驚いた。

あと、表向きはフェイトさんとは初対面なので、知らないふりをした。

 

「紹介するね、この子はフェイトちゃん。街案内をしてあげているの。

こっちはアルフさん、フェイトちゃんの従姉妹だよ」

 

「よろしく。僕はクロヤ・アイリス。クロヤって呼び捨てでいいよ」

 

「よろしく、クロヤ」

 

「よろしく・・・ん?」

 

 アルフさんが首をかしげて、僕を見てきた

 

「ねぇ・・あんた、最近、会ったことない?」

 

 流石にドキリとした。僕についている微弱な魔力を感じ取ったみたいだ

 

「それはないんじゃないかな。最後に会ったのって旅館が最後だし」

 

「まー、それもそうか」

 

 とりあえず、上手くかわせたみたいだ。

 

「そうそう。ちょうどいいわ!クロヤ!携帯買いに行くわよ!」

 

「は?」

 

 アリサの突然の宣言に固まった。いきなり何言ってんの?

 

「いやいや。携帯買うって、僕そんなに持ち合わせないよ?」

 

「あたしが出す!いい加減連絡手段作りなさいよ!はやてですら携帯持っているのよ」

 

「お嬢様とはいえそれは流石に悪いよ。母さんに買ってもらえば・・・・」

 

「先延ばししそうな雰囲気があるので・・・・わたしもアリサちゃんに賛成かな」

 

「えぇ・・・・・それだったらフェイトさんたちも」

 

「「ごめん、もう持ってる」」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 抵抗するもむなしく、僕は携帯ショップに連行された。

携帯を手に入れたが、契約その他もろもろは流石に未成年だけでは出来ないため、

母さんとまた今度と思ったが、なぜか買えてしまった・・・・。

(後日、なのはが念話で母さんに連絡、先に根回ししていた事が判明)

しかも、買わされたと同時に全員の連絡先を入れられた。女子の行動力ってすごいな・・・

 

 



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Memory44 記憶処理

どうも、投稿主のNo.78です。
次回から数回、オリジナル回が続きます。気なる方はお楽しみにしてください
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


フェイトさんが基地にやってきて数週間。

ここ最近は特に目立った動きも無くいたって平穏な日々を送っている。

フェイトさんたちは基地に住み込みみたいな状態だが結構な割合で外出をしており、

なのは以外にもアリサやすずか、はやてたちとの仲も深めている。

 調査のほうは、実は現在ほぼ手詰まり状態になってしまっている。

理由としては、残りのジュエルシードが海中にあることは確定したが、

MMAの海上海中用装備の開発が遅れに遅れている。

どうもリフボードを自在に操る点で個人的な技量差もある上、なによりサーフボードより

やや大きいぐらいの装置に推進系エネルギー系機体制御系を組み込むとなると、

とてもじゃないが水の上で浮かばない。軽量化に失敗している。

 そのため現在海上装備のリフボードは一旦凍結し、飛行装備であるエナジーウィングの開発に

集中しているがこれも上手く行っていない。

エネルギー効率や姿勢制御、安定性に不安が残り実戦投入は無理と判断されているからである。

特にエネルギー効率の問題は深刻で新島さんが装着して試験飛行したところ10分持たずに

新島さんの魔力が尽き墜落してしまった。

他の隊員のみんなも同じで最高11分ぎりぎりという状態である。などなど、装備開発が進まないため第1班は現在開店休業状態である。

 

 

「やあっ!」

 

「くっ・・たあっ!」

 

 今はなのはとフェイトさんの模擬戦をモニターしている。

二人とも時間があるときは基地のトレーニング施設を利用しお互いに切磋琢磨している。

 

「すごいね。昨日と比べて動きがまた良くなってる」

 

「あのなのはって子もすごいけど、フェイトも動きが前とは段違いだよ」

 

 一緒にモニターしているユーノ君とアルフさんも関心して見入っている

驚くのも無理は無い、明らかに動きが良くなっている。

 

「(驚いているのはこっちだよ。この成長速度は今までの世界でもトップクラスの速度だ。

まだまだ伸びるな・・・・この二人は)」

 

 

 

「ふぅ・・・お疲れフェイトちゃん」

 

「なのはも。お疲れ」

 

 今日の模擬戦はなのはの勝ちで終わった。

 

「すごいねフェイトちゃんの魔法!」

 

「なのはも最近から魔法を習い始めたって聞いているけど私と変わらないくらいだよ」

 

 二人は今日の模擬戦の話や魔法について色々話している。

 

「そういえばフェイトちゃんって誰から魔法を教えてもらったの?」

 

「えっとそれは・・・母さんとアルフ・・・と…(♪♪!?!!!?!?@@)かな?」

 

「へえ、アルフさんからも?」

 

「そ。あたしは主に強化型。基礎はプレシアと(♪@@!!^。、、?:)くらいかな?」

 

 二人が言葉に引っかかった瞬間、僕の背筋に悪寒が走った。

 

「二人とも、動かないで」

 

「え?」

 

「ど、どうしたんだい!?」

 

 驚いた二人を尻目にフェイトさんの頭に手を添えて目を瞑った

 

「ユーノ君、アルフさんの記憶か頭部に念入りに探査魔法をかけて」

 

「ええ!?どうして?」

 

「今すぐに」

 

 ユーノ君にも手伝ってもらい探査をするとユーノ君が異変に気付いた

 

「ん?なにこれ?魔法・・かな?全く知らない術式の何かが掛かってる」

 

「・・・・・え?」

 

 アルフさんが目を丸くして固まった

 

「オーツー・・もしかして・・」

 

「うん。フェイトさんも同じのがある。これは・・・Ωの記憶処理のパターン配列と同じものだね

Ωに記憶処理をされている」

 

 記憶処理されているという事は何かΩにとって不都合な記憶があるということ、

それを暴くために僕は二人の記憶処理魔法を解除した

 

「「うっ・・・・・」」

 

 解除した途端、二人は頭を抱えて蹲ってしまった

 

「フェイトちゃん!アルフさん!」

 

 なのはさんが心配して駆け寄ると、ゆっくりと立ち上がり、

引っかかっていた事があふれ出てきたらしく震えた声で話し始めた

 

「そ・・そうだ、私に魔法を教えてくれたのは母さんと・・・リニスだ!」

 

「リニスだ・・・・あたしはリニスから何もかもを学んだんだ・・何で・・

なんでこんな大事な事を忘れていたんだ!!」

 

「リニス?」

 

 新たに出てきた人物の名前に二人を除くみんなが?を浮かべた

 

「リニスは母さんの使い魔で、私たちに魔法や普段の勉強とか、母さんの助手をしながら私たちの先生でもあったんだ」

 

「フェイトの魔法の基礎、あたしのサポート魔法、今使っている魔法のほとんどはリニスが基礎を教えてくれた」

 

 落ち着いた二人は、リニスという人物について話してくれた

 

「でも、突然いなくなった」

 

「?いなくなった?」

 

「プレシアも突然回路が弱くなったのに驚いて、あちこち探したんだけど見つからなかった」

 

 どうやら、リニスという人はいきなり失踪したらしく、未だに見つかっていないとのこと

僕は気になったことを聞いてみた

 

「それいつ?それとその時、すでにΩと手を組んでいた?」

 

「2.3年ほど前かな?あと、私たちは知らなかったけど・・多分、母さんとはもう・・・」

 

 フェイトさんの答えを聞いて何となく予想が付いた

 

「オーツー・・・なんか分かったのかい?」

 

「魔法回路が切れていないということは生きているとは思う。多分、リニスさんは何か見たんだ。Ωが何かをしている事を」

 

「口封じってこと?でも、なんで記憶処理を?」

 

「ユーノ君の言うとおり普通だったら記憶は消したほうがいい。だけど、記憶を消すっていうのは結構難しいんだ。ちょっとしたきっかけで思い出す可能性があるからね

だから、消すんじゃなくて思い出せないように記憶を曖昧にするほうが効果的なんだ。

思い出したけど思い出す手がかりがない。だからどうしようもない。

そうすると一旦放置するしかなくなる。すると、だんだん「思い出せないのが普通」という風に

慣れちゃうんだ。そうして思い出さなくなっていく。というのがさっきの魔法の正体」

 

「えっと・・つまりいきなり消すんじゃなくて、少しずつ思い出せないようにしてくということ?」

 

「そういうこと。スパッと切るんじゃなくて徐々に消えてくようにするから違和感も少ない。

大方、寝ている時や一瞬の隙を使ってかけたんだろう」

 

「リニスは一体どこに行ったの・・・」

 

 フェイトさんの、悲しげで寂しさが混じった声が響いた

 

 



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Memory45 調査

どうも、投稿主のNo.78です。
今回から数回にわたってオリジナル回になります。
そのため少々、場面展開がおかしい部分が出てくるかもしれませんが
ご容赦の程よろしくお願いします。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


 ある日、おかしな反応があるということで会議室に部隊全員となのはさん、

ユーノ君、フェイトさん、アルフさんそれとアースラからクロノ君がやってきた

 

「みんないるわね。じゃ、状況を説明すわ。

ジュエルシードとはちょっと異なった反応が確認されたの。

場所は海鳴市と隣の町の境目近くの山の中。ここにはそれなりの大きさの湖があって、

その付近から反応があったわ」

 

「では、早速、部隊を派遣しましょう」

 

 新島さんが部隊の派遣を提案すると、母さんは首を横に振った

 

「んー。そうしたいのだけど、ここは近くにハイキングコースがあって割と人が来るの。

見つかると厄介だから今すぐの派遣はリスキーすぎる」

 

「では、日暮れに?」

 

「そう言うことになるわね。部隊も少人数に絞るわ。とりあえず誰を向かわせるか01に一任する

それとなのはさんたちはどうする?」

 

「もちろん行きます!」

 

「私も」

 

「僕も同意だ。センサーに引っかかるほどの強力な反応を見逃すわけには行かない」

 

 全員参加が決定し、日没を待ってから出発という流れになった

 

 

 

 

日没後 

 

「よし、みんないるな」

 

 人数を確認しているのは01と思いきや02だ。参加メンバーは魔道士組プラス02、

リハビリを兼ねた09、10だ

 

「しかし、隊長のMMAが動作不調を起すなんてな。あれだけ酷使すれば仕方ないとはいえ」

 

「まぁ、これが作られていきなりこんな大きな事件が起きるなんて予想できんからな。

俺たちの怪我もだが」

 

 10の言葉通り、この二人は以前にフェイトさんに化けたΩの襲撃を受け重傷を負い、

ずっと基地の医務室生活だった。完全復帰とはいかないものの、一応、ある程度の戦闘には

耐えられると判断されたため今回の任務に選ばれたそうだ。

 

「反応のあった地点は、ここから森の中に入ったところだ。暗いから暗視装置を使え。

ライトは使うな、目撃されたり、謎の発光物として噂にされたくないからな」

 

「了解」

 

 普段ならハイキングにもってこいの場所なのだろうが、今は日が落ち、あたりは薄暗く、

完全に真っ暗になるのも時間の問題と思われる。

 すると、妙に固まっている二人がいた

 

「どうしたの?なのはさんにフェイとさん?」

 

「うぇ!?な、なな、なんでもないよ!ね、ねぇ、フェイトちゃん!」

 

「う。うん。なんでもないよお、オーツー」

 

「(なのはって、暗いところだめなんだなぁ・・・・・)」

 

「(ビビってるなぁ。フェイトって、この手の雰囲気、大嫌いだったの忘れてた)」

 

 

 ユーノ君とアルフさんの心配そうな表情を見て分かった。

 

「(この二人、暗い場所とお化けとかダメなタイプだ)」

 

「あー・・・二人とも、怖いなら無理しなくてもいいぞ」

 

「だ、大丈夫です!」

 

「大丈夫!頑張ります!」

 

「お、おう・・・・・・・」

 

 02が心配して代わりに言ってくれたが、大丈夫の一点張り。

時間も迫っているので、とりあえず現場へ向かう事にした。

 

 

 数十分後、現場にて

 

 

「さて、現場に着いたのだが・・・これはなんだ?」

 

 02が目の前にあるものを見て素直な感想を言った

 

「こんな山の中になんでこんなのがあるんだ?」

 

「不釣合いだな。こんな場所にこんなもの作ったってどうしょうもないだろうに」

 

 09と10の二人も同じような感想を言った。誰から見たってそう言と思う。

 

「ね・・ねぇ、オーツさん、これって、廃墟・・だよね?」

 

「うん。見た感じそうだね。それもかなり大きい、廃ホテル?洋館?かな」

 

 今、僕たちの目の前には巨大な廃墟、恐らくホテルと思わしき建物が不気味な雰囲気で

暗闇の中に佇んでいた。

 

「司令、現場に廃墟があるんだが?この建物に関する情報はありますか?」

 

『ちょっと待ってね・・・・・あったわ。その建物は数十年前にあった、この辺のリゾート開発の際に

建てられたものらしいわ。ただ、建設会社の汚職とか、リゾート開発事業の費用問題で、

完成間際で中止になってそのまま閉鎖されたみたい』

 

 どうやら、かつての開発の遺構らしい。

ていうかこんな規模のものを放置するなんてもったいないというかなんと言うか

 

「リーネさん・・その、場所、間違ってませんか・・?」

 

『残念だけど、その建物からね。中か外かは分からないけど・・・。

大丈夫、フェイトさん?声震えているけど?』

 

「ぜっ、全然問題ありません!ありがとうございます!」

 

 フェイトさんはそう言って、慌てて通信をきってしまった。

 

「とにかく、内部を探索しないと始まらないな。よし、行くぞ」

 

 02が先頭になって、ホテルの正面ゲートから入ろうとした瞬間、白い稲妻が走った

 

「うわあああああ!!」

 

 02が白い稲妻に撃たれるのと同時に吹っ飛ばされた

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ああ・・・。一体なんだ?」

 

 見た目は派手に飛ばされたものの02には目立ったダメージは無いようで、

普通に起き上がることが出来るくらい無事だった

 

「バリア?見た感じは何も無いが・・・」

 

「・・・・・槍の先で突いてみたがなにも手ごたえは無いな。人にしか反応しないのか?」

 

 09が槍の先端を門に近づけたり、門を潜らせてみたりしたが全く反応が無い。

 

「・・・・僕が行って見ます」

 

「・・分かった。気をつけろよ」

 

 今度は僕が門に近づき、門をくぐってみた

 

「・・・なんとも無いですね」

 

「うーん・・・条件はなんだ?」

 

 あっさりとくぐれてしまった。あまりにあっさりだったので拍子抜けしてしまった

 

「・・・・なのはさん。ちょっと門をくぐってみてください」

 

「う、うん」

 

 なのはがゆっくり門に近づき、目を瞑って一気に駆け抜けた。

やはり何も起こらない

 

「もしかしたら、リンカーコアの反応の有無が条件の可能性があるのかも」

 

 その後も、フェイトさん、アルフさん、ユーノ君、クロノ君といったコアを持っている人は

あっさりと通り抜けられたが、コアを持たない02、09、10は弾かれてしまった。

 

「やっぱり、コアの有無みたいだ。どうする?彼らには外で待機したほうがいいと思う。

無理に入ろうとして、何かしらの罠が作動する可能性もある」

 

「クロノさんの言う通りだな。・・・・仕方ない、我々は外周を調べてみる。

内部はそちらで頼む、気をつけろよ」

 

「了解、そちらも気を付けて」

 

 僕たちは、内部に入れる人と入れない人で別れて調査することになった。

 

 門をくぐれた僕たちは建物内部に入る前に感じたのは違和感だった。

特にアルフさんが強く感じていた。

 

「な、なんか・・・・妙に体が重く感じるんだけど…ほかのみんなは何にも感じない?」

 

「いや?特には感じないけど・・・・」

 

「ん~・・・・気のせいかな、それとも疲れているのかな?」

 

 アルフさんが首をかしげていた。しかし、その後、その違和感の正体に気づくことになった

 

 建物内部は、完全に真っ暗で、夜目が効いても足元が危ういくらいだった。

MMAには暗視装置が標準搭載されているため、建物に入ったときに作動させている。

そのおかげか僕は大丈夫だったが、魔導士組に問題が発生した。

 

「暗いな。みんな、光源を発生させる魔法を展開してくれ」

 

 クロノ君の指示で、光源を発生させようとしたが、

 

「ん?魔法陣が構築できない?」

 

「あれ?なんだろう、うまくいかない・・・・」

 

「私も」

 

「僕もだ、どうなっているのだろう?」

 

 その原因は、レジングハートがなのはの魔法陣構築の際に気づいた。

 

『マスター、マスターが魔方陣を構築しようとした際に微かですが、構築を妨害する

正体不明の波長のようなものが観測されました。しかし、発生源がわかりません』

 

「え?妨害?」

 

「もしかして、アルフが感じていたのって、これのこと?」

 

「少し調べてみよう。『スキルロード』」

 

 探査魔法をかけて周辺を調べてみた。

記憶の書が使える時点で、この妨害魔法は異世界系のものであることが分かった。

そして、この建物全体に妨害魔法がかかっていた。

しかも、この魔方はなのはやフェイトさん、クロノ君たちが使うこの世界のものではない、

全く違う系統の魔法だった。

 

「どうやら、妨害魔法がかかっている。しかも、これはΩのものっぽいな。…いてて」

 

 反動でひどい頭痛が来ているが、気にしていられない。

 

「一度戻ろう。この暗闇を明かりなしで捜索するのは危険すぎる」

 

 クロノ君が戻ることを提案した。それもそのはず、僕はMMAのおかげでまだ見えるが

ほかのみんなは肝心の魔法が使えず、足元すら見えていないだろう。

 

「クロノ君に賛成だね。しかもΩが関わっているとすると、装備や対策をしっかりしないと」

 

「そ、そうだね!一度戻って、ちゃんと準備してからまた調査しよ」

 

「わ、私もそれがいいと思うな」

 

「「「「(早くここから出たいんだな、この二人)」」」」

 

 なのはとフェイトさんも『強く』賛成したため、僕たちは一度出直すことにしようとした…

その瞬間、突然、建物入り口が黒い壁に阻まれ出られなくなった。

 

「え!?これって!?」

 

「空間断絶!しまった!」

 

 Ωの魔法の一つで『空間断絶』が発動していた。さらに、

 

「ん?うわっ!」

 

 一番後ろにいたユーノ君が驚いた声を上げた。一斉に後ろを振り返ると、

そこには真っ黒い穴が出現しており、轟音とともにすべてを吸い込み始めていた。

 

「くッ…吸い込まれ・・うわっ!!」

 

「ユーノ!!・・・つかま・・うわあっ!」

 

 吸い込まれそうになったユーノ君を助けようと、クロノ君が手を伸ばしたが、

 

「「うわああああああああああああああああああ!!」」

 

 二人とも、足が宙に浮いてしまい、一瞬で吸い込まれてしまった。

 

「ユーノ君、クロノ君!!」

 

「なのはさん!だめだ!」

 

 なのはさんが吸い込まれた二人に気を取られてしまった瞬間

 

「え!きゃあああ!!」

 

「なのは!!」

 

 足が宙に浮き、吸われそうになった。僕はなのはの手を片手でつかみ

もう片方はブレードを床に刺し、ターンピックで床に脚部を固定し、何とか留まっていたが

 

「(引きずり込まれている!)」

 

 ズリズリと少しずつではあるが穴のほうに吸い込まれて行っていた

 

「し、しまっ!うわあっ!」

 

「アルフ!ダメ、捕まって!」

 

 後ろにいた、アルフさんが足を取られ、吸い込まれそうになった。

フェイトさんがバルディッシュを床に刺し、踏ん張ったが

 

「しまっ!きゃああ!!」

 

「え?(ゴスッ!)うおっ!わあああああああああああ!!」

 

「きゃああああああああああああああああ!!」

 

 バルディッシュが床から抜け、そのまま後方にいた僕に激突してしまった。

そのため、僕自身もブレードから手が離れしまった上に、最悪なことに二人分の衝撃に

ターンピックが耐えられず、パキンッという金属音とともに折れてしまい

みんなまとめて黒い穴に吸い込まれてしまった。

 

 



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Memory46 迷宮 00side

どうも、投稿主のNo.78です。
ここまでが、復帰する以前までに作っておいたストック分です。
今回は前回からの続きで飲み込まれた後の話で、00サイドの話です。
短めですが、お楽しみください。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。



『本体ダメージ・・・無  神経伝達異常・・・無  戦闘行動…可  周囲の敵性反応…無  

意識覚醒、起動』

 

「う・・・うぅ…くそ、相変わらず嫌な目覚めだ」

 

 頭に響く機械音声と目を閉じているはずなのに、映り込む文字列と周囲の状況。

NIS計画で改造された際の影響で、気絶など意識を失った場合、一部機械化された脳が

自動的に周囲の状況と自分の体の状況を分析して、意識の覚醒を促すようになっている。

便利といえば便利だが、気持ちの良いものではない。

 

「みんなは…?ここは……」

 

 意識が覚醒して初めに目に入ったのは、無機質な壁と天井…通路だった。

しかも薄暗く圧迫感に襲われる感じがする。過去の経験からすぐにこの場所が何か分かった。

 

「迷宮か・・・・面倒な。コアルームを探さないと」

 

 コアルーム・・・この迷宮を制御する部屋を探すため僕はこの迷宮を進んでいくことにした。

壁に手を当て、迷宮を構成する魔法回路を読み取り、不自然な箇所を探す。

これを繰り返していくとコアルームにたどり着くはず

 

 

 曲がり角を10回ほど曲がったとき、今いる通路と別の通路との合流点の奥から、

かすかに誰かの足音が聞こえて来た。

強化された聴覚で聞き取れたものだから、おそらく相手はこっちの足音が聞こえていない。

 

「(誰だ?)」

 

 僕は壁に張り付き、相手が来るのを待ってみることにした。

1,2分後、足音が近くなってきた。人数は一人。

 

「(・・・・ん?この歩き方は・・・)」

 

 何回も転生を繰り返し、長い時間を生きていたせいか、裏切りなども数多く経験しているため、

かかわった人物のクセなどを記憶しておくことが習慣になってしまっている。

そのせいかもしくはおかげか、歩いてくる人物が特定できた。

 

 コツンコツンコツン…

 

 徐々に足音が近づいてきた。

僕は足音の主がこちらの通路との合流点に近づいた瞬間、相手の目の前にブレードを突き出した

 

 ビュッ!

 

「うあっ!」

 

 風を切る音といきなり現れた切っ先に相手が驚き、尻餅をつく音が聞こえ、

反対の手で銃を構えながら僕は姿を現した

 銃口の先にいたのは

 

「お、オーツー!?」

 

「やっぱりクロノ君か。ごめん、確信がなかったからこうするしかなかったんだ」

 

 やはりクロノ君だった。当の本人は知っている人物で安心したのか安堵したような表情をした。

もっとも、いきなり切っ先や銃を突きつけられて驚いたことのほうが大きいみたいだけど。

 

「こんな場所だから仕方ないが、心臓に悪い…」

 

「一応の警戒だからね」

 

 クロノ君に手を貸して起き上がらせると、クロノ君が状況を聞いてきた

 

「オーツー、ここはどこなんだ?あの黒い穴に吸い込まれた後気が付いたらここに・・・」

 

「ここは迷宮だと思う。おそらくΩが侵入者を閉じ込めるために張った罠にかかったんだ」

 

 迷宮という聞き覚えのないワードにクロノ君は首を傾げた。

 

「迷宮?ゲームでよく出てくるダンジョンというものか?」

 

「まぁ、確かによく似ているけど、ゲームと違って大きな違いはここには明確なゴールはない。

というより出口や正解のルートはない。入った人を永遠に彷徨わせるための場所だよ」

 

「出口がない!?じゃあ僕たちはここから出られないということなのか?」

 

「普通に道をたどっているだけじゃ永遠に出られない。だから抜け道を探す必要がある」

 

「抜け道?」

 

 僕は壁に手を当て、この迷宮を構築している魔法の術式回路を浮かび上がらせた

 

「壁とか床、天井にこんな魔法回路があるから、これを読み取って不自然な部分を探すんだ。

見つけたら、強い衝撃を与えると抜け道が現れる。これを繰り返して、この迷宮の中枢を目指す。

中枢についたら、この迷宮を構築している魔力の元、動力源ともいえばいいかな、それを止める。

そうすればこの迷宮が消滅して出られるはず」

 

「管理局の人間、特に執務官クラスはロストロギアの暴走に巻き込まれた時の対処法を学ぶが・・・

オーツー、君は一体、どこで対処法を学んだんだ?

というより、なぜこの場所の対処法を知っているんだ?」

 

「・・・・・・そんなことより、みんなを見つけて早く脱出するのが優先じゃないかな?」

 

「・・・・そうだな。早く脱出しよう」

 

 クロノ君は腑に落ちない表情を浮かべたが、本当に優先すべきことが分かっているため、

それ以上聞いてくることはなかった。

 僕たち二人は、抜け道を探しながら中枢を目指すため、迷宮を歩き始めた



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Memory47 迷宮 なのは&フェイト ユーノ&アルフside

どうも、投稿主のNo.78です。
今回の話から、今年に入って作ったものになります。
そのため、前回と大きく書き方が変わっています。
前回までは、主人公やそのsideのメイン人物の視点で話が進んでいましたが、
今回の話では、第三者の視点で物語が進行する、三人称一元視点となっています。
そのため、前回までの方が良いなどなりましたら、感想に書き込みをお願いします。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。


「ん…んん。いたたた。・・・・ここはどこ?」

 

なのはが目を覚ますと、見覚えのない通路のような空間に倒れていた。

 

「ここは一体・・・・みんなは?みんなはどこ?」

 

起き上がろうと手をつくと、ムニュリ、と何か柔らかいものも感触を感じた。

さらに、自分はその柔らかいものの上にいることに気が付いた。

 

「なっ!?」

 

 慌てて手をどかすとそこには自分と同じように倒れているフェイトの姿があった。

 

「フェ、フェイトちゃん!大丈夫?」

 

「う・・・・ぺしゃんこにされるかと思った」

 

「ご、ごめん!フェイトちゃん、私気づかなくて」

 

「ま、まぁ、私もなのはに圧し潰されるまで気を失っていたから大丈夫だよ。でも、それより」

 

 フェイトは周りの空間を見渡し、ここが一体何なのか見当もつかない様子だった

 

「とにかく移動しようよ。もしかしたら、みんなもどこかにいるかもしれないし」

 

「そうだね、ここにいても仕方ないみたい。それにΩが関係しているんだったらオーツーさんと

合流したほうがいいかもしれないし」

 

 二人は、同じように飲み込まれた四人を探しつつ出口を探し始めた。

 

 しばらく通路に沿って歩き続けたものの、出口どころか分かれ道まで現れ始め、

なのはとフェイトは困惑し、少しずつ焦りが見え始めた。

 

「ねぇ、フェイトちゃん。これってさっきと同じパターンじゃないよね?」

 

「えっと・・・その可能性はあるかも。さっき通ったような気がする」

 

しかし、行けども行けども全く同じ風景が続き、二人はどこを通ったのか通ってないのかが

完全に分からなくなっていた。さらに、狭くもないが広くもなく、暗くもなければ明るくもない

不気味な雰囲気が二人の焦りや恐怖心を駆り立てており、変な圧迫感を感じていた。

 

「ね、ねぇ…なのは。驚かすわけじゃないんだけど、後ろから誰かついてきている感覚ない?」

 

「え?や、やめてよフェイトちゃん。私、お、お化けとか苦手なんだから」

 

「わ、私だって‥に、苦手なの。とにかく移動しよう。ここ、不気味すぎる」

 

しかし、移動し続けても全く変わらない空間に、二人はとうとうへたり込んでしまった。

 

「もうだめだー!」

 

「落ち着いてなのは!まだ諦めるのは早いよ」

 

そう言いつつもフェイトにも余裕はなくなってきているようだった。

その時、今まで一言も話さず、点滅を繰り返していたレイジングハートとバルディッシュが

持ち主である二人に話しかけて来た。

 

『マスター。失礼します、この場所に関してですが先ほどからバルディッシュと共に調べた結果。壁の一部に不自然な個所を発見しました』

 

『そのまま、まっすぐの壁を叩いてください』

 

フェイトはバルデッシュに指示された箇所を叩くとと、壁の一部が消え、今までとは違う

細く、暗い通路が出てきた

 

「これって?今までの通路とは何か違うみたいだけど」

 

「もしかして出口まで繋がっている?」

 

二人は不安はありつつも、同じ道を延々と歩くくらいならと、発見した隠し通路を辿っていった。

 

「・・・あれ?行き止まりかな?」

 

しかし、いくら歩いても一向に外へ出られる気配がなく、次第に二人の表情は曇り始めていた。

 

『ストップです。その横の壁を叩いてください』

 

「わかった。えい!」

 

今度はなのはが軽く叩くと、同じように壁の一部が消え、先ほどと似たような通路に出た。

 

「あれ?またさっき見たいなところに出たような‥‥」

 

「う、うん。あ、もしかして、今みたいに隠し通路を探して辿っていけば出口につけるんじゃ…」

 

『恐らくは。私とバルディッシュでこの迷宮を構築している魔法回路を解読してみましたが、

見たこともない回路のため出口までの道を探すことは不可能です。力不足で申し訳ありません』

 

レイジングハートとバルディッシュは申し訳なさそうに、現状できることを伝えた。

 

「そんなことないよ!二人のおかげで少しだけ希望が持てるもん。ありがとうね」

 

「そうだね。とりあえずここから出てみんなと合流しないとね」

 

「うん。まずはこの迷路を攻略しようか」

 

こうして二人は隠し通路を探しつつ、再び歩き出した。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「ねぇ、ユーノ・・・・。ここさっきも通った気がしない?」

 

「‥‥間違いない。さっき付けた目印がある。ループ構造になっているみたい」

 

 ユーノは冷静に状況を分析し、この迷宮を攻略しようと頑張っていた。

 二人とも、目が覚めたら、なのはたちと同じ通路の迷宮に倒れていることに気が付いた。

ユーノたちもみんなと合流するため、出口を探して迷宮を歩き回っていたのだった。

その時、ユーノは自身の経験をフル活用し、この不気味な迷宮の規則性を推理していた。

 

「え?ということは同じところグルグル回っているという事?」

 

「というより、間違った道を通った時点で戻されるんじゃないかな?・・・・・確証はないけど」

 

「フェイトは大丈夫かな‥…」

 

 アルフの心配そうな呟きが迷宮に響いた。

 

 二人は体感で2,3時間ぐらい歩いたのだろうか、時間を知る方法がないため感覚を頼りにするしかなかったが、明らかに疲労が溜まってきていた。

さらには、景色に全く変化はなく、無限に廊下や部屋が続いているだけだ。

 

「‥…これ本当に出口ってあるのかな‥‥?」

 

「…一応、目印をつけながら来てるけど‥‥僕も心配になってきた・・・・・」

 

 アルフの言葉に、流石にユーノも自信がなくなってきた。

すでに、かなりの距離を歩いているはずなのに何も変化がないからだった。

 

「‥‥‥くそっ!」

 

 アルフが悪態をついて壁を殴った。すると、

 

「へ!?うわあっ!?」

 

「アルフ!?」

 

 壁の一部が消え、その中にアルフが落ちてしまった。

 

「大丈夫!?」

 

「いたた…。何が起こった…んだい?」

 

 アルフは困惑しながら立ち上がった。

ユーノもアルフが立ち上がるのと同時に現れた謎の通路に降り立った。

 

「これは……?隠し通路かな?もしかしたら、今までの通路のどこかにも同じような場所があったのかも。もしかしたらこの道が本当の道なのかな?

 

「じゃあ、脱出できるってこと!?」

 

「それか、いくつかの隠し通路を経由していく感じかもしれない」

 

「でも、それだと全部の壁を叩く羽目になるよ。そんなことしたらこっちが先に参っちゃう…」

 

 うーん、と悩んでいると、ユーノが壁に手を添えると、壁から魔法回路が出現した。

 

「あ‥このタイプなんだ。それなら、回路を読み取ればなんとかなるんだけど‥‥

見たこともない文字と方式・・・・完全に読み取るの不可能だ‥でも、ヒントにはなりそう・・・・。

うん大丈夫、隠し通路のほうは僕に任せて。何とか見つけられるかもしれない」

 

「本当!?じゃあ、そっちのほうは頼りにしてるよ。壁を壊すのは任しといて!」

 

そう言って、二人は現れた隠し通路を進んでいった。



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Memory48 リニス

どうも、投稿主のNo.78です。
前回からの続きで、書き方も三人称一元のままです。
そして、今回の話はタイトル通りになります。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。



「オーツー、この部分か?」

 

「…そうだね。合ってる。すごいな、少し教えただけなのに、もう見分けることができるなんて」

 

 オーツーとクロノのコンビは、この場所のことを知っているオーツーの指示に従い、

迷宮の隠し通路を辿り、中央にあるコアルームと呼ばれる場所に向かっていた。

 

「しかし、さっきは上に向かったと思ったら、今度は下っている…。一体、この迷宮はどんな構造をしているんだ?」

 

「コアルームに着けば全体像が分かるよ。それから、上に行ったりしたに行ったりしてるのは構造が入れ替わった影響だと思う」

 

「構造が入れ替わる?いったいどういう事だ?」

 

「それももうすぐ分かるよ。・・・・そろそろ終点かな?」

 

 すると、今まで通ってきた隠し通路とは雰囲気が変わり、通路全体にエネルギーの通り道のような光る線が現れ始めた。そして、その線が二人が歩いている先から走って来ているのが分かった。

 二人がその線を辿っていくと、非常に明るい大部屋にたどり着いた。

その部屋は、今入ってきた通路以外の入り口がなく、部屋の中央に端末がポツンあるだけだか、

その端末から先ほど辿ってきた光る線が出ているため、何かの制御端末という事だけは分かった。

 

「オーツー…ここは?」

 

「ここがコアルーム。この迷宮の中央で制御システムが全部詰まっている」

 

 そういうと、オーツーは慣れた手つきで部屋中央の端末を操作し始めた。

すると、空中にこの迷宮の全体図が映し出された。

迷宮はまさにルービックキューブという形と構造をしていた。

 

「これが、この迷宮の全体図なのか・・・・。まるでルービックキューブだ」

 

「その通りだよ。この区画一つ一つに、あの通路しかない場所が詰まっているんだ。

それが3×3の9つで一面を形成している。そして、この迷宮に取り込まれたものが違う区画に

移動した瞬間、移動先やその周辺が、全く違う場所の区画と入れ替わる。

これがこの迷宮の迷う原因。踏破済みや未踏破の場所がランダムで入れ替わるから

マッピングもかなり難しいよ」

 

「しかし、そのパターンだといずれは行ったことのある場所だらけになる上、僕たちみたいに隠し通路を見つける可能性もあるんじゃないか?」

 

「隠し通路も一緒に移動しているし、全部の隠し通路がここに繋がっているわけじゃない。

正解の道は一つだけ。それに、ある程度踏破されると、この迷宮は区画をリセットして

新しく書き換えるから、行ったことのある場所しかないっていう状況には絶対にならないよ」

 

「なんて高度なシステムなんだ・・・・。ロストロギア級に危険な存在じゃないか」

 

 クロノはこの迷宮の仕組みを聞かされると頭を抱えた。

執務官という仕事上、ロストロギア関係に関わったことがあるため、

この場所の危険性が余計に分かってしまったためだった。

オーツーが話しながら端末を操作していると、迷宮の全体図に4つの赤い点が現れた。

 

「みんなの居場所が分かったよ。どうやら、みんな隠し通路の存在には気が付いたみたいだ。

でも、流石に隠し通路まで入れ替わっていることには気が付いていないみたい。

みんな、めちゃくちゃな方向に行ったり来たりしてる。みんなをここに集合させないと・・・・」

 

 オーツーはさらに端末を操作すると、二つの光る扉が左右に出現した。

 

「今度はなんだ?」

 

「みんなの目の前に、ここに繋がる扉を出現させたんだ。ここに集まってから脱出しないと、

バラバラな位置に飛ばされる可能性があるからね。

僕はなのはたちを迎えに行くから、クロノ君はユーノ君たちを迎えに行ってあげて」

 

「分かった」

 

 オーツーとクロノはそれぞれ、扉に入り、仲間を迎えに行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「え…いきなり目の前に何か出て来たんだけど…」

 

「フェ、フェイトちゃん…なんだと思う…?」

 

 なのはとフェイトはいきなり目の前に現れた、光る扉に戸惑っていた。

この場所は魔法が使えないため、もし敵が現れるとどうしようもないからだった。

すると、その扉の先から見知った姿が現れた。

 

「二人とも、大丈夫?」

 

「あ、オーツーさん!良かったぁ…敵かと思っちゃった…」

 

「オーツー!?良かった…敵じゃなかった…」

 

 二人は同じような反応をして、その場にへたり込んだ。

 

「ケガはないようだね。もう大丈夫だよ。この先でみんな待ってるから、着いてきて」

 

「え!?みんな?アルフたちがこの先に?」

 

「うん。ユーノ君とアルフさんはクロノ君が迎えに行っているから、さ、早く」

 

「分かった。行こ、なのは!」

 

「あ、ま、待ってよぉー!」

 

二人がオーツーの後に続いて光の扉に入ると、コアルームに着き、二人の到着と同時にクロノがユーノとアルフを連れて戻ってきていた。

四人は無事な再会を喜び合っている中、クロノはクロヤに真面目な声で質問した。

 

「それで、これからどうやって脱出するんだ?」

 

「この迷宮を構成しているエネルギー炉を停止させる。そうすれば、この迷宮は自然消滅して、

僕たちは元の場所に戻されるはず」

 

 オーツーはそういうと、再び端末を操作し出してエネルギー炉の停止作業を始めた。

みんなが見守る中、作業を進めていると奇妙な点を見つけた。

 

「ん?この反応・・・・。基地が拾った反応と同じものだ。・・・・エネルギー炉に何かあるな…」

 

オーツーは端末を操作し、エネルギー炉を露出させた。

すると、部屋中央の床が円状に沈むとその穴から、円柱状のエネルギー炉がせせり出てきた。

 

「オーツーさん、これは?」

 

「この迷宮のエネルギー炉。これが生み出すエネルギーでこの迷宮を維持しているんだ」

 

『膨大なエネルギーです。この量は『アースラ』のエンジン出力よりも大きいです』

 

「アースラよりもか!?とんでもないエネルギーだ…」

 

 レイジングハートの計測を聞いたクロノは、エネルギー炉の生み出す量に驚きの声を発した。

オーツーは、エネルギー炉本体に取り付けられているパネルを操作していた。

その様子をなのはとフェイトとユーノが興味津々という感じで見ていた。

 

「オーツー。何をしてるの?」

 

「エネルギー炉の中身…エネルギー源を取り出そうとしているんだ」

 

「このエネルギー炉の元はジュエルシードじゃないのですか?」

 

ユーノが質問すると、オーツーは首を横に振った。

 

「いや違う。ジュエルシードより魔力が低い‥‥。何か別のものを入れて無理やり魔力を吸い出して増幅させているっぽいな」

 

 操作が終了したらしく、エネルギー炉の正面扉が蒸気を吐き出しながらゆっくりと開いた。

その中には、何やら人間サイズの結晶状の物体が入っているのが分かった。

しかも、中には何かが入っている…というより閉じ込められていた。

その中身の正体が見えた途端、とんでもない金切声が上がった。

 

「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 金切り声の主はフェイトだった。

結晶の中に閉じ込められていたのはアルフのような獣耳に尻尾の生えた女性…

 

 

 

 

フェイトやアルフに教育や魔法を教え、母親のプレシアの使い魔、リニスその人だった。

 

 

 

 

 フェイトはあまりの衝撃に、完全に力が抜けその場にへたり込んでしまっていた。

 

「う、うわあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 アルフは半狂乱になってリニスが閉じ込められている結晶に殴り掛かっていた。

 

「ダメだアルフさん!衝撃を与えたらエネルギー炉が暴走する!止めろ!!」

 

 オーツーは、結晶に殴り掛かろうとしたアルフの足を引っかけ転ばせると、

目にも止まらないスピードでアルフを組み伏せた。

 

「離せ!離してくれ!リニスを助けなくちゃ!!離せッ!!」

 

 アルフは何とか拘束から逃れようと必死に藻掻いたが、フェイトやなのはとそんなに変わらない身長のオーツーの拘束はビクともしなかった。

あまりの暴れっぷりに、流石に危機を感じたクロノがアルフにデバイスを向けると、

アルフはガクンと意識を失った。

 

「睡眠魔法をかけた。しばらくは起きない。」

 

「ありがとう。フェイトさんは・・・・」

 

 オーツがフェイトの方を見ると、なのはがショック状態のフェイトを抱きしめていた。

フェイトはショックのあまり虚脱状態だった。

オーツーは二人を任せると、炉内部のリニスが閉じ込められた結晶を自分の身長よりも大きいのにも関わらず、ゆっくりとスムーズに取り出した。

すると、エネルギー源を失った迷宮が眩い光を発し、その場にいた全員がその光に飲まれた。

 



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Memory49 崩落

どうも、投稿主のNo.78です。
今回で迷宮に関するお話は終わりです。
それでは長々というのもあれなので、
どうぞ、よろしくお願いいたします。


 一方、迷宮に飲み込まれた直後、謎のバリアに阻まれ周囲の探査と別の入り口を探していた

02,09,10は中に入った全員の反応がセンサーから消失し、連絡が付かなくなったことを

基地に連絡していた。

 

「こちら02!中に入った全員の反応が消えた、連絡もつかない!そっちではどうだ!?」

 

『こちらでも同じく反応が消失しました。どうにか中に入れませんか?』

 

 基地からの問いかけに、02は周囲の壁を乗り越えようとしている09と10に聞いた。

 

「どうだ、入れそうか?」

 

「越えられそ・・・・(バチンッ!)うおあっ!」

 

「痛って…クソッ!02、ダメだ。周囲一帯入れそうもない。どこもかしこもこんな感じだ」

 

 09と10が壁を乗り越えようとした瞬間、やはり入り口と同じようにバリアに阻まれ、

白い稲妻に撃たれ弾かれていた。

 

「‥‥無理そうだ。他に案は・・・・」

 

「02、あれは何だ!?」

 

 10が慌てた様子で廃墟を指さした、02が振り返ると廃墟の内部が見えていた場所全てが黒い何かによって一瞬覆われ、すぐに消滅していた。

 

「今のは、以前報告があった『空間断絶』…。内部探査組が危険だ!何としても中に入るぞ!」

 

「しかしどうやって!?」

 

「‥‥この柵を吹き飛ばす」

 

 02はメイン武装であるソリッドシューターを柵に向かって構え、トリガーを引いた。

砲口から砲弾の形に形成された魔力が発射され、柵に向かって一直線に飛んでいった。

02はバリアに阻まれ、砲弾が搔き消さるかと思っていたが、何と、砲弾は柵に命中し、

爆発音が響き渡り噴煙が上がった。噴煙が収まると、壁が粉々に吹き飛ばされ大穴が開いていた。

 

「バリアがない?」

 

「今のうちに突入しましょう!」

 

「こちら02。攻撃してみたらバリアが消滅していることが判明。これより内部に突入する」

 

『こちら基地、了解しました。気をつけて突入して下さい。それと、攻撃の際は必ず(・・)許可を

取ってください。周囲に知られる可能性があります』

 

 基地のオペレーターはチクリと言いつつも、02たちの突入を許可した。 

02たちはGH(グライディングホイール)の擦過音を響かせながらホテルの廃墟内部に突入していった。

 

ーーーーーーーーーーー

 

 内部に突入した3人は、搭載されている暗視装置と熱源探査装置を使い周囲を見渡したが、

中に入った全員の反応はやはりなかった。

 

「こちら02。内部に突入したが、00を含む全員の反応がやはりない。そちらではどうか?」

 

『こちら基地。こちらのレーダーーでも同様です。しれ(ゴホン)‥リーネさんによると、

場所移動の罠が作動して建物のどこかに飛ばされた可能性があるとのことです。

建物内部に何かしらの痕跡がある可能性が高いため、その痕跡を探してください』

 

「了解した。これより捜索を開始する」

 

 そう言って、02は通信を切り、捜索のプランを練った。

 

「どうする、手分けして探すか?」

 

「それはダメだ。さっきの空間断絶から、オメガが関わっているのは確実だ。

下手にばらけると各個撃破されかねん」

 

「しかし、密集しても一撃で吹き飛ばされる可能性もあるぞ?」

 

09,10からの指摘を聞いた02は捜索の際の指示を言った。

 

「罠や襲撃を警戒して、間隔を広めにとって捜索を行おう。ただし、開けすぎるな。

付かず離れずの距離を保ちつつ一階から探索を始める。捜索の際は細心の注意を払うように」

 

「「了解」」

 

02たちは、指示通りの距離を保ちながら一回から捜索を開始した。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「行くぞ‥…。3・・2・・・1・・・GO!」

 

 部屋の入り口の壁に張り付いた02と10がタイミングを合わせると、ランサーを構えた09が一気に部屋に押し入り、その後に02,10が続いた。

 

「‥…何もないか‥」

 

「くそ。ここもはずれだな…手がかりが一つもない」

 

 09と10が悪態をついた。捜索を開始してすでに1時間が経過しているのにも関わらず、

手がかりが全く見つかっていなかった。

 

「この部屋で一階は最後だな…。次は2階になるな・・・・。」

 

 02が不安げに言った。02の言う通り、今突入した部屋で一階はすべて探索したことになり、

次は2階に探索の場を移さなければならなくなった。

 

「2階か…。この建物は崩壊が進んでいる…。もし、何かの罠が2階にあった場合、

全員瓦礫の下敷きだ。気をつけろ」

 

 02がそう言って、一階最後の部屋を出ようとしたとき、突然、センサーに反応が現れ、

基地から緊急通信が入った。

 

『こちら基地!正面エントランス付近に00はじめとする複数の反応が現れました!

至急向かってください!」

 

「了解!こちらのセンサーでも捉えた。すぐに向かう!」

 

 02たちはGH(グライディングホイール)を全速力で回転させると現場に急行した。

 

 

 現場に急行すると、眩く光る球体が浮かんでおり、しばらく経つと光が収まった。

光が収まると、その場には00たちとリニスの閉じ込められた結晶体が現れた。

02たちが駆け寄ると、フェイトやアルフの様子がおかしいことや結晶体のことについて聞いた。

 

「大丈夫か?何があった?その結晶体は一体?それに、フェイトさんやアルフさんの様子も・・・・」

 

「すみません。説明するには時間がかかります。詳しいことは基地でお願いします」

 

 00の声のトーンが暗いことに気が付いた02は09と10に結晶体を支える指示を出し、

撤退の指示を出そうとした瞬間、突然、廃墟が崩壊し出した。

 

「撤退だ!急げ!!下敷きになるぞ!!」

 

 02が大声を上げて撤退を指示すると、全員、全速力で駆け出し廃墟から脱出した。

 

脱出した全員が振り返るとさっきまであったホテルの廃墟は、ただの瓦礫の山に変わっていた。

 02が全員いることを確認し、結晶体に異変がないことも確認すると、崩壊の轟音を聞きつけた周囲の住民に気付かれる前に急いで基地に帰還した。

 




迷宮関連は終わりましたが、あと数話オリジナル話が続きます。
それと、ストックがなくなってしまったので、現在、製作中です。
そのため、少し投稿間隔があくようになります。申し訳ございません。


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Memory50 再契約

どうも、投稿主のNo.78です。
投稿間隔があいて申し訳ありません。
今回はなかなか難産で、話を思いつくのにかなり時間がかかりました。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。


 基地に帰還した00たちは魔法で眠っているアルフを医務室に預けると、

リニスが閉じ込められた結晶を訓練スペースに運び入れた。

 そのあと、リーネも合流し結晶の調査を始めた。

 

「オーツー、リニスは助かるの!?」

 

「フェイトさん落ち着いて。少なくとも生命反応はあるから生きているよ。

とにかくこの結晶から出さないと」

 

 オーツーはリニスの入った結晶に手を当てると、結晶の正体について調べ始めた。

 

「オーツー、何だか分かるか?」

 

「うん。・・・・何だこれ?なんて雑な封印魔法なんだ・・・・。」

 

 クロノが聞くと、オーツーが首を傾げた。

 

「雑?どういう事?」

 

 ユーノが?を浮かべながら聞いてきた。

 

「Ωがやったのは確実なんだけど、慌てて封印した感じなんだ。

詳しく言うと、一番初めに掛けた魔法の上から何重にも封印魔法をかけてあるんだけど

その封印魔法全部継ぎ接ぎなんだ。しかも、その継ぎ接ぎも雑すぎて隙間だらけ・・・

いったい何を考えてこんなことをしたんだか‥」

 

オーツーが解除を試みると、5分程度で解除が終わったらしく、結晶体に変化が起きた。

眩い光を発したかと思うと、結晶体にひびが入り、ガラスの割れるような音と共に砕け散った。

 

「おっと…」

 

オーツーは支えを失ったリニスを支え、床に寝かせた。

しかし、オーツーはリニスを寝かした後、片膝をついて頭を押さえていた。

よく見ると、顎を伝い血が流れ落ちていた。

 

「血が!オーツーさん、大丈夫ですか!?」

 

 流れ落ちる血を見たなのはが慌てて駆け寄った。

 

「だ、大丈夫・・・・。なんとか・・・」

 

「大丈夫なわけないでしょ。00は休みなさい。あとは私がするわ」

 

 立ち上がろうとするオーツーをリーネが制止すると、オーツーに変わり、

リーネがリニスの状態をチェックし始めた。すると、とんでもないことが判明した

 

「まずいわ。魔力回路が切れている」

 

「え!?魔法回路が切れているって、なんで・・・・」

 

「ど、どういうことですか?」

 

フェイトは信じられないという顔をして、使い魔の知識がないなのはは、

どういう状況か分からずおろおろしていた。

そんななのはにクロノが説明した

 

「使い魔は魔導士と契約した際に、魔導士と魔法回路を繋いで魔力を供給してもらうんだ。

そして、使い魔は魔導士の魔力を消費してその存在を維持している。

その魔法回路が切れているということは、使い魔との契約を切った…

つまり、契約主である魔導士がいらないと判断したことになる」

 

「そ、それじゃあ、フェイトちゃんのお母さんが!?」

 

「いいえ、プレシーは何かを使い捨てにするような性格じゃないわ。恐らく、何かあったのね。

それより、早く新しい回路を繋がないと。このままじゃ消滅するわ」

 

「じゃあ、私に繋いで下さい!リニスが消えるなんて嫌!」

 

 リニスが消滅する危険があるとリーネが告げると、フェイトがすぐに回路を繋ぐように言った。

しかし、リーネは首を横に振った

 

「ダメよ。フェイトさんは既にアルフと契約しているわ。

二人も使い魔を使役するのは今のフェイトさんじゃ無理よ」

 

「じゃあ、私が・・・・」

 

「なのはさんでも無理ね。というより、今、ここにいる魔導士組の負担を増やしたくないの。

ジュエルシードの封印や戦闘になった時、どうしても中心になるのはあなたたちなの・・・・・。」

 

 すると、リーネはリニスを中心に魔法陣を展開した。

 

「だから、代わりに私が契約するわ。私なら、この子の消費魔力を十分補えるし、

不測の事態にも対応できるわ」

 

「で、でも、リーネさんって魔導士としての経験は・・・・」

 

「リーネ一佐は、管理局の天才と言われるほどの研究者だが、実は管理局でも指折りの実力を持つ

魔導士なんだ。おそらく、ここにいる4人全員よりもずっと魔力的にも技量的にも上だ」

 

「「「え?」」」

 

 クロノの言葉に3人は驚きの言葉を上げた。

 

「もう、買い被りすぎよ。研究の方が重要だったから、魔力なんて宝の持ち腐れだったけど、

今は感謝してるわ」

 

 リーネは話しながら契約の術式を組み立てていき、3分ほどで完成させると魔法陣を解除した。

 

「ふう。終わった。私が新しい契約主になったからこれでこの子が消えることは無くなったわ。

それと、契約の際に今までの記憶や経験もそっくりそのまま引き継ぐようにしたから

目が覚めたら別人ってこともないわ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 リニスの消滅が回避され、フェイトは涙目になりながらリーネに深く感謝していた。

 

「流石、管理局の天才と言われただけはある・・・・・。

使い魔の契約をあんな短時間でデバイスなしにするなんて…」

 

 クロノの言葉になのはが頭に「?」を浮かべ、ユーノが説明した。

 

「なのは、普通、使い魔の契約はデバイスを介して複雑な術式を展開してするものなんだよ。

使い魔の能力の高さによって術式の難易度や消費魔力は上がるから優秀な使い魔を持つ事は優秀な魔導師である事の証明にもなるんだ。しかも、今回は他人との契約が切れた使い魔を自身の使い魔として再契約した上に記憶や経験まで引き継ぐっていう、とんでもない離れ業をしたんだ。」

 

「ええ!?そんなすごいことをデバイスなしでやっちゃったの!?」

 

「もう、恥ずかしいわ。でも、こんなに複雑術式を組んだのは久しぶりだから流石に堪えたわ。」

 

 リーネは顔を赤くしつつも、少し疲れた様子で言った。

 

「とりあえず、私の魔力が循環するまで時間がかかるから、しばらくは起きないわ。

この子も医務室に送るわね。それと、00,少し張り切りすぎよ。

心配する人たちがいることを忘れないように」

 

「‥‥了解」

 

 リーネがリニスを抱え、いつの間にか回復していた00に釘をさすように言うと、

訓練スペースを出ていった。

 残った5人もそれぞれ解散することになった。

 

 

 



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Memory51 新装備

どうも、投稿主のNo.78です。
大変遅くなって申し訳ありません。
コロナに感染したり、その後の事でごたついたり
単に仕事が忙しかったりと、なかなか話をまとめることができませんでした。
それでは、大変お待たせしましたが今回もどうぞよろしくお願いいたします。


 リニスの救助とリーネによる再契約を行った次の日。

 今日はクロノの希望で、WDDOにおける訓練風景の見学を行っていた。

クロノの視線の先では、ホログラムで映し出された障害物や高い段差だらけの広い空間で

01をはじめとするWDDOの第1班の隊員が先程配備されたばかりの新装備である

ジャンプブースターの習熟訓練を行っていた。

この装備はMMAのジャンプ力強化のために開発された、背中に背負うユニットである。

MMAには元からある程度のホバリング機能とホバリングを活用した滑空が可能であるが、

滑空距離や滞空時間の問題を抱えていた。

今回開発されたジャンプブースターはその問題の解消と、将来的に空中からの奇襲や出撃、

3次元戦闘を行うことも視野に入れて開発された。

しかし、着地時の衝撃吸収のため脚部にスラスターを増設した影響で、姿勢制御が難しくなり、

特に着地の際の姿勢制御が難しいという欠点を抱えている。

 その制御の難しさを克服するため、01たちは配備直後から猛訓練を行っていた。

 

GH(グライディングホイール)の擦過音を響かせ、隊員たちは指示されたコースを走っていた。

しかし、ただコースを走るわけではなく、隊員の被るHUD(ヘッドアップディスプレイ)には標的がランダムで映し出され、射撃もしくは近接攻撃を行う必要があった。

標的は固定タイプ、移動タイプのほかに、遠距離近距離、おまけに攻撃タイプ、シールドを展開、防御を取るタイプなどバラエティに富んでいた。

実際には攻撃が飛んできているわけではないが、もし、標的からの攻撃を受けるとMMAに衝撃が走り、一定時間行動不能になるという凝った仕組みだった。

そんな標的とジャンプブースターを使用した高台への移動も混ぜられた訓練が行われていた。

 

「ッとぉ!!」

 

 先頭を走行していた01がジャンプブースターを使い高台へ移動したのに続き、

次々と後続の隊員たちもジャンプブースターを使い移動していった。

 

 

「ん‥?おあっ!しまった、バランスが!」

 

 すると、降下中に03がバランスを崩し、地面に激突してしまった。

ドゴンッ!という鈍く大きな音が響き、他の隊員が駆け寄った。

 

「03!大丈夫か!?」

 

「あ、ああ、何とか…。いてて、しかし、あの高さから落ちても無傷でいられるなんてな…」

 

「気をつけろ。訓練とはいえ気を抜くなよ」

 

01に注意され、03が返事をすると、訓練が再開された。

 

 

「すごい性能だ‥…。魔法を使えない人間が一般魔導士と同じくらいの戦闘力を得ている…。

管理局が欲しがりそうな装備だな…」

 

 その訓練や事故で無傷な場面を見て、クロノがMMAの性能に感嘆の声を漏らしていた。

 

『本当にそうね。こっちでも送られてくる映像を見ているけど、みんな見たこともない装備に

興味津々で映像に釘付けだよ』

 

 クロノのデバイスを介して、アースラのオペレーターであるエイミイの声が聞こえて来た。

クロノはデバイスを通じてWDDOの訓練風景をアースラに中継していたのだった。

 

「改めて分析してみて何かわかったことは?」

 

『やっぱり、バリアジャケットの技術が一部使われていることはわかるんだけど‥‥

詳細まではさっぱり・・・」

 

「そうか。やはり、リーネ一佐の技術を解析することは一筋縄じゃ行かないか…」

 

『うん、そうみたい。あっ、それから、こっちもすごいよ!』

 

 エイミイが思い出したように声を上げると、逆にクロノのデバイスに映像を送ってきた。

実は、クロノを除く魔導士組はアースラの訓練スペースにいた。

目的は自分たちの訓練…ではなく、なのはを護衛するという目的で一緒に行動している00の

新装備の習熟訓練に付き合うためだった。

 

 

場所が変わってアースラの訓練スペース

 

 なのはたち魔導士組は、アースラの訓練スペースで飛行魔法を使って空中に浮かんでいた。

その下では00が新装備である『エナジーウィング』を展開して、HUD(ヘッドアップディスプレイ)に表示される

数値のチェックをしていた。

 

エナジーウィングとは、新開発の飛行ユニットで翼状に魔力を形成、放出することで魔導士と

同じように高速飛行を可能とした新装備だった。

ただし、魔法で飛ぶ魔導士と違い、脚部や肩部に姿勢制御や方向転換用スラスターの設置、

墜落防止や姿勢安定用のジャイロが搭載されているなど、機械的サポートを受けながら飛ぶため、

非常にデリケートな操作を要求される代物であった。

 

「00さん。大丈夫ですか?」

 

「…姿勢制御。よし。ジャイロ数値・・・正常。よし・・・!」

 

 00が数値のチェックを完了すると少しずつ上昇し、なのはたちと同じ高さまでやってきた。

 

「すごい・・・・。本当に飛べるんだね‥ソレ」

 

 アルフが率直な感想を言った。

 

「うん。自分でも驚いている。この装備の開発にかなりの時間がかかっていたからね。

正直、上手く作動するか心配だったんだ」

 

「じゃあ、始めよっか!」

 

 なのはが訓練の開始を告げると魔導士組は飛行魔法を駆使し、一気に加速した。

00はエナジーウィングを操作すると魔導士組の後を追い始めた。

 

「00、ついて来てる?」

 

「大丈夫。追いつけるよ」

 

「よし、じゃあ、急旋回!」

 

 先頭を飛ぶなのはが急旋回を行うと魔導士組も続いて急旋回を行った。

続いて00も急旋回を行ったが、旋回半径が大きくなり大きく外側に膨らみ、

壁に激突するコースを取っていた。

 

「00、危ない!」

 

 一番後ろにいたユーノが00が壁側に大きく膨らんだのを見て叫んだ。

 

「くっ…このぉ!!」

 

 00が壁際ぎりぎりの位置で脚部のスラスターを吹かし、壁を蹴るような恰好で無理やり方向転換を行い何とか壁に激突せずに済み、コースに復帰することができた。

 

「ふぅ…」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫。少し、反応が遅れただけ。装備も体にも異常はないよ。さ、訓練を再開しようか」

 

 00が無事なことを言うと、訓練を再開した。

訓練を始めておよそ1時間くらいが経った頃、休憩のために全員が地面に降りて来た。

 

「ふぅ、こんなものかな。みんなありがとう。わざわざ訓練に付き合ってもらって」

 

「ううん。気にしなくていいよ。それより、新しい装備はどうですか?」

 

「うん。だいぶん慣れたよ。あとは実際の戦闘で使ってみてみないとって感じだね」

 

「でも、改めてすごい装備だね。多分、ミッドチルダの方でも作るのは難しいと思うよ」

 

 ユーノの言葉になのはや00が不思議そうな顔をした。

 

「え?ユーノ君やフェイトちゃんたちの世界の方でも難しいの?」

 

「うん、恐らくね。魔法や次元関連以外の技術はこっちの世界とあんまり変わらないんだ。

だから、魔力を使っているとはいえ機械の力で魔導士のように自由自在に飛べること自体がすごいことなんだよ」

 

「へえ・・・・。向こうはこっちとあまり変わらないんだ…。意外だね」

 

「と、言うより、00のいるWDDO自体がすごい組織なんだけどね…」

 

「そういえば、その装備は00だけしか渡されなかったよね?どうして?」

 

 ユーノがもっともな質問を投げかけた。

 

「この装備、滅茶苦茶魔力を消費するんだ。試しに01とか他のみんなに装備してもらったけど、

1分持たなかったうえに、その後の戦闘継続が不可能なほど疲れ切っちゃったんだ」 

 

「1分持たないって…。どんだけ燃費悪いんだい、その装備・・・」

 

 アルフが呆れたように言った。

 

「まぁ、それだけ空を飛ぶっていう事が難しい証拠だよ」

 

 00やなのはたちはミッドチルダのことやWDDOのことで話が盛り上がっていると、

けたたましく警報音が鳴り響いた。

 

『緊急事態発生!緊急事態発生!至急ブリッジに集まってください!繰り返します!

至急ブリッジに集まってください!』

 

 00たちは急いでブリッジに向かった。

 

 ブリッジにつくと、オペレーターのエイミイが慌てた声で言った。

 

「今、WDDOから緊急通信が入ったの!これを見て!」

 

 そう言って、コンソールを操作すると、目の前に空中投影された映像が映った。

そこに移っていたのは、天気が崩れ少し荒れた空模様になっている海鳴市の映像だった。

 

「海鳴市?」

 

「今日はすこし天気が悪いって予報されていたけど…?」

 

 なのはと00が?を浮かべながら映像を見ていると、映像がズームし海上上空を映した。

すると、上空に何かがいるのが分かった。

 

「Ωだ!」

 

 00の言葉通り、映像には海上上空で飛行魔法を展開し浮遊しているΩが映っていた。

 

「な、何をする気なの…?」

 

 なのはが不安げな声を上げたとき、Ωに向かって空から雷が落ちて来た。

カッ!!とモニターが雷による白く激しい光に包まれた。光はすぐに収まったが、

そこにΩの姿は映っていなかった。

 

その代わりに・・・

 

「え!?な、なにあれ!?」

 

「た、竜巻!?」

 

 映っていたのは、海から海水を巻き上げ、グネグネと伸びる3つの巨大な竜巻だった。

 

「Ωは何をしたの!?」

 

 映像を見ている全員が混乱していると、警報が鳴り響きエイミイが慌てて確認した。

 

「な、何!?…え!ジュエルシードの反応!?」

 

 すると、00が深刻な声で言った。

 

「Ωのやつ、雷を呼び寄せて自分の魔力を込めて海に向けて撃ったんだ。

その影響で、海中に沈んでいたジュエルシードが反応して暴走している」

 

「急いで戻らないと!このままじゃ街が!」

 

 事態の深刻さが判明するや否や、ブリッジにいた魔導士組全員と00は転送装置に向かい、

大急ぎで海鳴市に戻った。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

海鳴市に戻ってきた5人は、リーネから現在の状況が伝えられた。

 

『現在、海鳴市にはカバーストーリー『爆弾低気圧』が実施されているわ。

特に沿岸部には避難指示が発令されているから、派手に魔法を使っても大丈夫よ。

一応、目撃を防ぐために地域一帯には電子ジャミング及び記録装置へのハッキングを行える準備も完了しているわ。

発生した竜巻は、ゆっくりだけど確実に街に向かっている。

街につく前にジュエルシードを鎮静化して』

 

「分かりました!」

 

『それと、今回、00以外のWDDO隊員は海上に出られないから後方待機しているわ。

ごめんなさい・・・・』

 

リーネが申し訳なさそうに言った。WDDO隊員は00を除く全員が空を飛べないため、

今回のような海上などへの対処は魔導士頼りになってしまうのが現状だった。

 

「大丈夫です!みんなの分も頑張ります!」

 

 なのはが元気よく返事をすると『ありがとう』とリーネが感謝し、通信を切った。

5人は海上に向かって飛行中、クロノが気になったことを聞いてきた。

 

「00、カバーストーリーとは何なんだ?」

 

「カバーストーリーは僕たちWDDOが魔法関連の事件に対処する際に流す偽情報の事だよ。

僕たちや魔法のことを知られたり、不審に思われるのを防ぐために、それっぽい嘘情報を流して

事件そのものを覆い隠すっていう意味からカバーストーリーって呼ばれてる」

 

「なるほど。魔法と言う存在がないこの世界に余計な混乱を防ぐための仕方ない嘘という訳か。

存在を知られないようにするというのは何とも大変なんだな…」

 

クロノは魔法が一般的に知られていない世界で魔法を知られないようにするという、

管理局では絶対に味わうことのない苦労を知り何とも言えない気持ちになった。

 

そして、5人は海上で猛烈な勢いでゆっくりと街に近づいていく、ジュエルシードの暴走体である竜巻に向かってさらに速度を上げて向かって行った。



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