アインズ様はアインズをやめた。 (しろまってぃ)
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アインズ様はアインズをやめた。

 ナザリック地下大墳墓が異世界に転移して結構な時が経過した頃。ナザリックの主であるアインズは自室で支配者たれというロールに悶え苦しんでいた。

 

「くぁあぁぁ!ホントどうしてこうなっちゃったのかなー。」

 

 確かにNPC達の忠誠に応えたいという気持ちもある。しかし、それ以上に彼らNPCが時折見せる仲間達の幻影がモモンガに、より強い孤独感を与える。

 

「アウラとマーレは情けない主人でも、許してくれそうだよな。始めに階層守護者を集めたときにも気さくな態度だったし。怖くない方がいいともいっていたしな」

 

 あとは、シャルティアもセーフかもしれん。なんせあのペロロンチーノさんが作ったNPCだしな。

 

「そう考えると、一度皆に相談をしてみるのもいいかもしれないな。案外支配者然としていない主の方が尽くしがいがあるといって喜ぶかもしれないし。なんてな」

 

 とりあえず、軽く皆の反応をみながら切り出してみよう。《伝言(メッセージ)》をアルベドに飛ばすか。

 

「アルベド、今から階層守護者各員に相談があるんだが時間は割いてもらえるか」

『アインズ様の要望とあらば何時でも問題ないかと。』

「それではどれ程時間が掛かるかわからんので、引き継ぎを済ませて、六階層の闘技場(コロッセウム)まで来い。皆が集まり次第内容を聞かす。」

『畏まりました。アインズ様』

 

 ふぅ。この喋り方も慣れて来たとはいえ神経つかうな。

 さて、先に六階層に行ってアウラとマーレの考え方を聞いてみるかな。

 

 

 

 自室から指輪の能力(スキル)で転移し、さっきまでいた部屋ではなく解放感のある闘技場の真ん中に景色が変わる。

 

「さて、アウラとマーレはどこにいるんだ。《伝言(メッセージ)》でも使った方がいいか?」

 

 アインズが思案していると、少女の明るい声がアインズを呼ぶ。

 

「アインズ様ー!ちょっと、マーレ。またアインズ様をお待たせさせる気!早くしないと蹴っ飛ばすからね!」

「わ、わかったよぉ」

 

 変わらないな、あの二人は。アインズは初めてNPC達に自我が芽生えた時の事を思い出し軽く笑う。

 

「よい、アウラ。マーレ、階段から降りてきてもよいのだぞ?」

「あ、ありがとうございます。アインズ様」

「アインズ様がそうおっしゃるのなら。じゃあ、マーレ、あたしは先にいってるからね!」

 

 アウラはそう言って貴賓席から跳躍し、軽やかな動きで大地に降り立つ。

 

「ぶぃ!」

 

 両手にピースを作る。

 そして小走り―しかしかなりのスピード―でアインズに接近する。足で急ブレーキをかけ、アインズの目の前で止まる。

 

「いらっしゃいませ、アインズ様!ようこそ、あたし達の守護階層へ。」

 

 アインズはふと、何故双子達が貴賓席にいたのか気になる。前は配置場所が貴賓席だったから理由はわかるのだが、今回は何もない貴賓席に待機している理由がない。

 

「ところで、お前たちは何故貴賓席にいたんだ?あそこには何もないだろう?」

「それはですね。アルベドから、《伝言(メッセージ)》でアインズ様がこちらにいらっしゃると聞いたんですけど、前にアインズ様が階層守護者をこの地に集めた時の事を思い出したので。」

「なるほど、それで見たような光景だったわけだ。」

「はいっ!それで今回は相談ということですが。」

「お、お待たせしました。アインズ様」

 

 よし、二人そろったことだし軽く聞いてみるか。

 まずは、今のアインズ像を聞いて、セーフラインの位置の捜索から始めるか。

 

「うむ、詳しい話は皆が揃ってからにするが、お前たちの意見を聞いてある程度の指標にするのもいいな。―さて、お前たちにとって私はどうだ?―違うな。私は支配者としてふさわしいか?」

「もちろんです!アインズ様はナザリック地下大墳墓至高の四十一人の長として相応しい力と叡智を、そして、威厳をお持ちです!」

「ぼ、ぼくもそう思います。」

 

 お、おう。誰なんだこんな評価の高いアインズって奴は・・・

 

「そうか、それは嬉しく思う。それでは、お前たちの主人としてどう思う?もう少し頼り無い方が尽くす方としてはやりがいがあるとおもうのだが?」

 

 よし、これで大反対されないんであれば多少ハードルが下がって行くんじゃないか!

 

「アインズ様のおっしゃる事もわからないわけではありませんが、あたし達の最高の喜びはアインズ様にお仕えする事です。これ以上の喜びはちょっと想像できません。ちゃんとした答えをだせず申し訳ございません。」

「ぼ、ぼくはアインズ様に誉められると嬉しいので、そ、その機会が増えれば嬉しいとおもいます。想像はできませんけど・・・」

 

 なんだか、好感触な感じか?これだったら、もう少し態度を軟化させてもいいんだろうか?

 

「そうか、そうか。素直に話してくれて私は嬉しいぞ。」

 

 アインズはそう言って二人の頭をくりくり撫でる。

 二人はくすぐったそうにもじもじしながら眩しい笑顔をアインズに向ける。

 もし、子供がいたらこんな感じだったんだろうか?だとしたら、やっぱり今みたいな関係は少し寂しいものだな。

 

「よし、お前たち。他の守護者達がくるまで少し時間を潰す事にしよう。そうだな、空の散歩でもしようか。《全体飛翔(マス・フライ)》」

 

 二人は《野伏(レンジャー)》と《森司祭(ドルイド)》で《飛翔(フライ)》のスキルは無かったはずだよな。

 そういえば、俺が初めて《飛翔(フライ)》のスキルを取った時もゲームとはいえ年甲斐もなくはしゃいじゃったからな。この世界に来て《飛翔(フライ)》の自由度も上がってなかなか翔びまわる機会もなかったし、久々に遊んでみるかな。

 

「う、うわっ!と、飛んでるよ!お姉ちゃん!」

「あはは、楽しいね!マーレ。アインズ様。わざわざ、魔法を掛けて下さりありがとうございます。」

「よい、《飛翔(フライ)》で敵の攻撃を気にしないで翔べるのはあまりないことだからな。私も少しハメを外す事にしよう。少し自由に翔んできたらどうだ?」

「はいっ!それでは、アインズ様少し失礼致します。行こっ!マーレ!」

「お、お姉ちゃん。ちょっと待ってよぉ。それでは、ぼ、僕も失礼します。」

 

 二人はそう言ってアインズの前から飛んでいった。

 さて、俺は軽く六階層の様子でも見てまわるかな。そういえば、木の妖精(ドライアード)はどの区画にいるんだったかな。まぁ、時間潰しがてら探してみるかね。

 

 

 

 そうして、変態飛行しながら木の妖精(ドライアード)を探していると、アルベドから《伝言(メッセージ)》が入る。

 

 《アインズ様、各階層守護者闘技場(コロッセウム)に到着致しました。それで、アインズ様はどちらに居られるのでしょうか。そちらに、向かわれた方がよろしいのですか?》

「うむ、ご苦労。いや、そこで待っていてくれ。直ぐに向かう。」

 《畏まりました。それでは、お待ちしております。》

 

 おっと、もうそんな時間なのか。結局木の妖精(ドライアード)も探せてないし、飛び回るのに夢中になりすぎちゃったな。指輪の能力(スキル)でさっさと転移しよ。

 

 

「お前たち、わざわざ、集まってくれて感謝する。」

「いえ、至高の御方の要求にお応えする事こそ。我々守護者の至上の喜び。なればこそ、感謝など不要にてございます。」

「そうか、それでは、お前たちを集めた理由は少し相談したいことがあってな。お前たちは、人間が嫌いか?アルベド。」

「えぇ。存在する価値のない下等生物かと。この世から一匹残らず消し去れたらどれだけ綺麗になるかと思われます。」

「・・・デミウルゴス」

「そうですね。好きか嫌いか問われれば好きでしょうかね。あれは、生きていれば皮は下級巻物(スクロール)の材料に死ねば模型の材料になりますからね。」

 

 うん?下級巻物(スクロール)の材料ってキマイラか何かの動物とか言ってなかったか?おかしいな、デミウルゴスならちゃんと報告してるはずなんだが。俺の思い違いか?まぁ、今はそんな事はどうでもいい。

 

「・・・・・・コキュートス」

「ニンゲンニハ、価値ノナイ者モオレバ、価値ノアル者モイルカト。脆弱デスガ弱者ナラデハノ輝キハ、トテモ好マシイト思ワレマス。」

 

 コキュートスは人間というより武人としての見方だな。ある意味平等に他者を判断してるのか。

 

「そうか、シャルティアはどうだ?」

「そうでありんすねぇ。価値がないと言いだしたらナザリックの外にいる者全てが等しく無価値になってしまいんす。でしたら、食糧としては合格点ではありんせんかぇ。」

「で、アウラは?」

「あたしは割りとどうでもいいかな。アインズ様に従わないなら消えちゃえばいいと思うけど。」

「うむ。マーレ」

「ぼ、ぼくも、用途はいろいろ、あ、あると思います。」

 

 なんでこう、皆は人間に対して敵意を持ってるのが多いんだ。ナザリックは確かに殆んどが異形種で構成されてるんだけどさ。双子は一応人間種扱いだよな。他にもやまいこさんの妹だって、エルフでナザリックに遊びに来た事があるのに。

 

「そうか、お前たちの考えはわかる。しかしだな、私の体を見て何か思うことはないか?」

「「とても、素晴らしい至高の御方たるお姿で御座います。」」

「トテモ、素晴ラシイ至高ノ御方タルオ姿デ御座イマス。」

「違う、そう言うことではなく。私の体はだな。人骨なんだよ。」

 

 そう、俺の体は骨。人体模型といって差し支えない位の。正真正銘かはわからないけど、見た目は完全に人骨。昔は人間だったんだろうかとか考えないのかな。実際抑制はされるけど、基本は人間だった頃の俺。鈴木悟という精神が入ってる訳だし。

 

「アインズ様!アインズ様が只の人骨であるわけがありません!きっと、神がお造りになられた由緒正しい人骨ですわ!ねぇ皆?」

「そうだろうね。神がお造りなられたのかはともかく。至高の御方である、アインズ様が只の人骨だとは思えないですね。」

 

 神が造った骨?意味が解らないにも程があるだろう。というか、珍しいな俺の言うことに異見を言ったのは。

 

「私はな、お前たちと違い最初からレベルが百だった訳じゃない。昔はレベルが一からの始まりだった。そして、レベルアップを繰り返し百まで上げたのだ。私だけではなく、他のメンバーもな。皆、低レベルの頃があったのだ。」

 

 皆の顔に驚愕の顔が浮かぶ。しかし失望は見受けられない。このまま突っ走るか?驚愕が失望に変わったりしないよな。ええい、ままよ!

 

「それに、お前たちは他のメンバーが何処にいったと認識している?」

 

 驚愕の顔が困惑に変わり、デミウルゴスが恐る恐る口を開く。

 

「我々は至高の御方々は皆、ナザリックの地を離れ我々の及ぶべくもない遠くの地に向かわれたと。もしや、至高の御方々も人間に類する存在だったのでしょうか。だとすると寿命?いえ、人間が異形種に変化するのはかなり負荷が掛かると思われますので、崩壊になるんでしょうか。」

「うむ、他のメンバーも人間なのは否定しないが前提が間違っている。そうだな。今、私には今この場にいる私、アインズと、エ・ランテルにいるモモンという存在がいる。体が一つしか無いため、あそことこちらを行き来しているが、身体が二つあればどうだ?一つをエ・ランテルに送り込めばいいだろう。」

 

 ふう、結構上手く説明できた気がするぞ。皆の顔にも少し理解が浮かんできているようだしな。

 

「実は私にも、もう一つの人間の身体があったんだが、この地に転移した時にリンクが切れたのだ。他の皆は自分の身体のリンクが切れる予兆があったんだろう。皆はもう一つの身体を選択したんだろうな。」

「お尋ねしてもよろしいでしょうか。何故他の至高の御方々はもう一つ?のお身体を選択したのでしょう。」

 

 何故?そんなの決まってる。ゲームだから。そう、ゲームだから、優先順位が現実(リアル)より高い訳がない。それはわかってる。わかってるんだけど、それでも・・・働いて帰って来てこのユグドラシルをやっている時だけが生というものを実感出来た、俺にとっては、かけがえのない現実だった。

 

「何故か?その身体の方が長く使い。替えの利かない身体なのだ。生まれた時の身体だと言っていい。だから、他のみんなに失望しないでくれ。みんなも自分が守りたいものがあっただろうし。こうして、お前たちを私に遺していったのだから。」

「「・・・・・・・・・」」

 

 うん、どうしたんだ?皆いきなり黙っちゃったりして。俺、何か失敗しちゃった?

 

「アインズ様!私はモモンガ様とお呼びしたく堪らなかったのですが。他の御方々にもやむおえない事情があり、我々を捨てた訳ではないと分かり心が浮かばれるような気持ちで御座います!」

「お、落ち着け!落ち着くのだ!アルベドよ!」

 

 そういう話しをしにきてるわけじゃないから!というか、アルベドって他の皆に捨てられたと思ってたのか。アインズって呼び方にも不服だったっぽいし。他の皆に対する印象悪いのかな。

 

「大変お見苦しい姿を晒し、失礼致しました。」

「よい。さて、私の元の身体が人間だという話はしたな。勿論だが、人間だった頃の記憶も存在する。お前たちが散々下等生物や食糧などと思っている人間だ。それを知ってお前たちはまだ私に忠誠を誓ってくれるか?」

 

 さて、ここからの皆の反応でナザリックの存続が決定しちゃうんだけど、どうなんだろう。

 

「守護者統括アルベド。御身に忠誠を誓います。」

「第一、第二第三階層守護者シャルティア・ブラッド・フォールン。御身に忠誠を誓うでありんす。」

「第五階層守護者コキュートス。御身ニ忠誠ヲ誓イマス。」

「第六階層守護者アウラ・ベラ・フィオーラ。御身に忠誠を誓います。」

「お、同じく第六階層守護者マーレ・ベロ・フィオーレ。御身に忠誠を誓います。」

「第七階層守護者デミウルゴス。御身に忠誠を誓い致します。」

「各階層守護者、並びに守護者統括。御身に忠誠を誓い奉る。」

 

 よし!まだ大丈夫らしい。結構危ない橋を渡ってたと思うんだけど、忠誠は無くなってないみたいだ。でも、俺が望んでいるのは忠誠じゃないんだけどな。もっと気楽な関係。かつての仲間達の様な関係なんだけどな。

 

「さて、ここからが本題なのだが。お前たちは私の事を知者だと言うが、先程言った通り私は元々人間程度の知恵しか備えていない。今まではお前たちの支配者たろうとし威厳を保てていたが、これから先の事を考えると私が選択を間違えた時に意見できる様な関係を築き上げたいのだ。」

「まさか、そんなことが。私も及ぶべくもない策謀を張り巡らせ、帝国の属国化やドワーフ国との貿易をなされたアインズ様に人間程度の知恵しかないとは到底思えないのですが。」

「そのことか、帝国はあれは正直なぜあんなことになったのかよくわからんのだ。帝国に冒険者の勧誘に赴いた時にジルクニフと鉢合わせてな軽く挨拶をしたら、属国化の提案をしてきたな。」

 

 あのときは、びっくりしたな。他の人もいたけどそれが関係してるのか。正直、不法入国をどう言い訳しようかと考えてたら属国化の提案だもんな。ジルクニフとはいい関係を築き上げようとしてたのにな。

 

「では、ドワーフ国の件はどうなのでしょう。」

「あれは、運がよかったと言わざる得ないな。赴いた先にクアゴアの襲撃を受けていてな。助けた代わりに少しの報酬として手持ちのインゴットを加工して貰おうとしたら、鍛冶士が持ち逃げしてしまってな。その代わりとして殆んどの要求が通ったという感じだな。」

「そうですか。アインズ様がそうおっしゃるのなら。そうなのでしょう。御言葉ですがアインズ様。ならばなぜもっと早く我々にお話してくれなかったのですか。そういうことでしたら、アインズ様に結構なご負担が掛かっていたのかと思われるのですが。」

 

 そう、そうなんだよデミウルゴス。今まで大変だったんだよ。これ程人の上に立つというのが大変だったとは思わなかった。下手なミスはできないし説明を要求されたときの言い訳を考えるのがホント疲れたよ。

 

「確かにそうだ。しかし、あの頃の私はお前たちの事を何も知らなかったのだ。勿論データ上の事は多少は知っている。だが、お前たちが何を思い何を感じるのか私は知らなかった。だから、もしお前たちにナザリック地下大墳墓の主として相応しくないと、判断されるかもしれない様な真似だけはどうしても出来なかった。」

「我々が最後まで残って下さったアインズ様に反意を持つ事が御座いましょうか!我々がアインズ様から離れるような事はアインズ様がそう命じた時。それだけで御座います。どうか、我々共を信用しては頂けないでしょうか。我々も力及ばずながら忠義を示す所存で御座います。」

「お前たちの忠誠が揺らぐものではないと分かったからこそ、こうして話しているんだがな。それで、私はこれまでと同じ様に支配者として相応しい態度を取った方が良いのだろうか。私はお前たちを仲間達の子供のように思っている。そして、その様に気安く接していきたいと感じているのだ。しかし、それを無理強いするつもりはないと知って欲しい。お前たちが支配者として君臨して欲しいと願う気持ちも分からないではないからな。」

 

 彼らが、俺に支配者として上に立って欲しいと願うなら、俺は、彼らの気持ちに応えるべきなんだろうな。

 

「アインズ様の思うままに我々に接して頂いて構いませんとも。我々にはアインズ様が居てくださるだけでよろしいのですから。」

「そうか。それでお前たちの迷惑になったり、ストレスになることは無いのだな?」

「勿論で御座います。きっと、アインズ様にその様に接して頂いた者は喜びに満ちる事でしょう。ですが、我々からもアインズ様に気安い態度を取った方がよろしいのでしょうか?」

「それは出来るものだけでいいだろう。ユリ・アルファなんかは、礼儀正しい者として造られたからな。他にも、そう作られたものには多大なストレスになるだろう。これは、私の我が儘なんだからな。勿論私も時と場合でこれまでと変わらぬ態度を取ろうと思う。」

 

 流石に、玉座の間で指示をするような事があったときに、気安い態度は色々不味いだろうしな。

 

「そういうことでしたら。何の問題も無いかと思われます。」

「そうか、そうか。それでは、私からの相談は以上だ。これからは、気安く接するからな。それと、お前たちに俺の気持ちを知って欲しい。さっきも言った通り、俺はお前たちを仲間達の子供の様な存在だと思っている。お前たちは、仲間達が去っていって寂しい思いをしていると思うけど、俺も仲間達が居なくなってとても辛かった。だからお前たちが、俺にとってどれだけ大事な存在か知っていて欲しいんだ。」

 

 うーん、なんかちゃんと言葉に表し難いな。どうしたものか。態度で示すのはどうだろう。

 

「アルベド・・・は暴走しそうだから、あとにしよう。シャルティア、こっちに来てくれ。」

「はい、アインズ様。なんでありんしょう。」

 

 アインズは近寄ったシャルティアを抱きすくめる。

 好意を示す時はハグするのが一番伝わるよな。

 

「シャルティア。たまに残念な時もあるけど、そこも含めてペロロンチーノさんが作ったんだなとかんじるよ。それじゃ、コキュートス。今度はお前だ。」

「ハイ。アインズ様。」

 

 コキュートスが近寄り両手を広げるが、四本の腕と巨体が相まって、逆にホールドされているような格好になる。

 

「コキュートス、お前は武人健御雷さんが作ったんだったな。あの人が今のお前を見るときっと喜んで一緒に武器の開発に取り組んでいたかもな。次は、アウラとマーレだ。」

「はいっ!アインズ様!」

「は、はい。アインズ様。」

 

 この二人はちょっと背が小さいから抱えた方がいいかもな。まるでこの姿はお父さんって感じだな。

 

「ぶくぶく茶釜さんがお前たちを見ると、凄く可愛がりそうだ。あの人は日頃から妹の方がよかったと言っていたからな。よし。デミウルゴス、来なさい。」

「畏まりました、アインズ様。」

「デミウルゴスはウルベルトさんが作っただろ?だから、セバスとは気が合わないと思う。だけど、あまり周囲を巻き込むような仲違いはしないでくれよ?一時期ウルベルトさんとたっち・みーさんがギルドを崩壊させるかとヒヤヒヤしたからな。でも、ウルベルトさんがこの世界に来たら一緒に人間を殲滅させようとしたかもな。あの人は悪という言葉に過剰に拘ってたしな。じゃあ、最後にアルベド。皆と同じ様に抱きしめるが、俺を襲うんじゃないぞ?」

 

 なんか、アルベドの好意はたまに怖いときがあるんだよな。同じレベル百だけど、あっちは戦闘職だから力はアルベドの方が強いし。

 

「はいっ!アインズ様!私はベッドの方でも構いません。むしろ、私の初めてを捧げたく御座います!」

「皆、アルベドが暴走した時は頼んだからな。それじゃ、アルベド。お前はタブラ・スマラグティナさんが作った。でも、この世界に来る前に設定を書き換えてしまった。だから、タブラさんが今のお前を見てどう思うか。もしかしたら、お前の事をタブラさんは愛せないかもしれない。そんな馬鹿みたいなことをした俺を許してくれ。」

「許すなんてそんな!アインズ様が変える前の私の事はわかりませんが、アインズ様がタブラ・スマラグティナ様の分まで私を愛して下されば、今の私にとってそれ以上の喜びはありません!」

「そ、そうか。それじゃあ、アルベド。少し離れてくれないか?最後に話したいことがあるからな。―では、最後に確認するけど、俺はこれから自由にお前たちに接してもいいんだな?」

「「えぇ、勿論です。アインズ様。」」

 

 これで、上の立場というプレッシャーから解放されるわけだ。はぁ、やっと肩の荷を降ろせた気がするな。

 

「よし。それじゃあ相談は終わりだ。では各々持場に戻り仕事を再開・・・いや、この際だ皆まだ時間は大丈夫だよな?」

「「はい、引き継ぎは出来ておりますので、何か変化が無い限り我々がいなくとも対応出来るかと。」」

「では、九階層のラウンジで昔の話をしたいんだけど付き合ってくれるか?」

 

 そして、階層守護者を引き連れアインズは九階層のラウンジに。そこで、アインズは昔の、ナザリック地下大墳墓、アインズ・ウール・ゴウンで起こった出来事を皆に話し、いつの間にか日付が変わっていたというのはまた別の話。




誰かぷれぷれぷれあですみたいな二次創作教えて下さい。(チラッチラッ)


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ナザリック地下大墳墓のお正月

晦日にふと思い付いたネタで書いた公開はしたけど反省はしてない。正直、冒頭のネタを披露したかっただけ。


「皆の者、揃ったな。」

「「はい。守護者各員。並びに至高の御方々に創造されし者。御身の前に。」」

 きらびやかな玉座の間に忠誠の儀がこだまする。

 玉座の間に並ぶのは、仲間達が創ったNPCの面々。

 呼吸の音が聞こえないように、身動ぎしないように、神経を張るのがここでの嗜み。勿論列を乱すなんて事はここではしない。

 ここはナザリック地下大墳墓、超越者(オーバーロード)の園。

 

 

 玉座の間にアインズが皆を呼んだのはつい先程。にも関わらず誰一人として欠けることなく全員が揃ったのは一重にアインズの立場のお陰だろう。

 

「では、皆も揃った事だ。皆。新年、明けましておめでとう。今年も宜しく頼む。皆の働き期待しているぞ。」

「明けましておめでとうございます。アインズ様。アインズ様に期待の御言葉を頂き、皆もよりいっそう励む事でしょう。ところでアインズ様。新年、というのはそれほどまでにめでたい事なのでしょうか?」

「そうだな、デミウルゴス。その疑問もわかるが、今回は私の我儘だ。私がいた世界では新年を祝う風習があったんだが、私には一緒に祝う相手がいなかったからな。今年はお前たちと共に祝いたいのだ。それで、お前たちはお正月についてどの程度知識があるんだ?」

 

 正月って、特別休暇の意味合いしか持ってなかったからな。それなのに、仲間達のイン率も少なかったし。正直、限定アイテムの思い出しかないんだよな。

 

「お正月ですか。私はおとし玉なるものを配ってまわる事や神社にお参りをするという事しか存じ上げませんが。皆はどうだい?」

「はい、はい!あたしは、ぶくぶく茶釜様がお正月はお餅が主役と話しているのを聞きました!」

「わた、わらわはペロロンチーノ様が巫女が主役と言っていたのを聞いたでありすぇ?」

 

 なんか、認識が偏ってる気がするな。というか、ペロロンチーノさん、巫女さんなんて現存してないでしょうに。

 

「そうか。皆の認識は大体わかった。正月というのは、基本一年間を無事に過ごせたことと、これからの一年間も無事に過ごせるようにと神に感謝し願掛けをする事だ。だから、縁起物を食べたり神社にお参りをするわけだ。まぁ、今ではただのイベントと化していたけどな。そんなわけで、我々もこのナザリックでお祭りを楽しもうと言うわけだ。それで、セバス。準備の方は出来ているな?」

「はい。アインズ様。私他メイド達も加え内々に準備を始め、既に終わっています。」

「うむ、ご苦労。では、会場に移動するとしよう。」

 

 

 NPC達を引き連れたアインズは、仮設された神社にやってくる。

 

「ついたな。これが神社だ。さっそく参拝するとしよう。皆は参拝の仕方はわかるか?まずは、私が手本を見せるとしよう。」

 

 手本とは言ったものの正直二拝二拍手一拝しか覚えてないんだよな。まぁ、そこだけやっておけば様にはなるだろ。柄杓で手を洗うのなんて、どこからやっても変わらんだろうしな。

 

「まぁ、こんな感じだったはずだ。二拝二拍手一拝だけでもやっておけばいいだろう。ここの神とやらに、向こうの礼儀が通じるかわからんからな。さぁ、皆も一応参拝を済ませておけ。私は向こうの方で甘酒の準備をしておく。終わったものから私が注いでやろう。」

 

 幾人のNPCが参拝を終え、アインズが注いだ甘酒を勿体ないとばかりにチビチビ飲んでいる頃、守護者達がなにやら話をしているのがアインズの目に入る。

 

「どうした?お前たちは神に頭を下げるのは嫌か?まぁ、デミウルゴスは悪魔だからな。お前の信じる神を奉ればいいんじゃないか?」

「そういうことでしたら、アインズ様少しお時間頂けますでしょうか?我々の神とは創造主ひいてはその纏め役であったアインズ様こそが、我々どもの神に等しい存在で御座います。なればこそ、アインズ様に本殿に座して頂きたく存じます。」

 

 うん、なんかおかしな空気になってきたぞ?俺が奉られるのか?俺は皆と初詣をしに来たつもりなんだが。

 

「これはたんなる私の我儘ですので、ご迷惑でしたら気になさらないで下さい。」

「うむ、そうか。我儘か。いいだろう。デミウルゴス、お前の働きは大したものだ。お前の我儘聞き入れよう。では、私は向こうの方にいればよいのだな?」

「これはアインズ様。有り難き幸せで御座います!」

 

 信賞必罰は世の理だしな。まぁ、これが褒美に値するかはわからんけど、デミウルゴスが我儘を言う様になるとはな。なんだか新鮮な気分だ。

 

「それじゃあ、甘酒の配布は皆のお参りが終わってからにしよう。あれは私の仕事だからな。私の仕事を横取りしないでくれよ?」

「そんな、私の我儘を聞いた上で自らお酌をしてくださるとは、なんと慈悲深い御方でしょう。皆も大変喜ぶかと。」

 

 

 それから、一度参拝を終えた者もアインズが本殿に立ったことで再び参拝をし直すということもあったが、つつがなくナザリック初詣を終える。

 

「よし、皆も参拝は終えたな。では、今度は食堂の方に行こうか。皆で縁起物でも食べながら新年に向けての抱負でも語り合おうじゃないか。」

 

 

 食堂に着いたアインズ一行は料理の準備が出来るまで抱負を語り、アインズの一言で場が歓声に包まれるといった事があったが、それはまた別の話。



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アインズ様の昔話

caution caution caution
この物語は多分に妄想が詰め込まれているため、あなたのオーバーロードに異常を来す恐れがあります。
なお、原作で明記されていない設定については憶測の域を出ていませんのであしからず。


 エ・ランテルの執務室でアインズはアルベドがまとめた書類に認印を押しながら、アルベドに問い掛ける。

 

「アルベド。私が前に提案した、お前たちの休日の件はどうなっている。いくらお前たちが疲労無効の装備をしているとしても、確実に休日は取って貰いたい。」

「申し訳ありません。(わたくし)もその件については進めようとしてはいるのですが、どうしても反対意見に対して強く出られず・・・」

 

 アインズに声を掛けられた喜びに対して、その問いへの成果があまり芳しくない現状に表情を曇らせるアルベド。

 

「そうか。では、明後日に試験的に配下の数名を私の命令として休暇をだせ。・・・そうだな、たまにはで友人とBARでおしゃべりするのも楽しいんじゃないか?とでも、声をかけてあげるといい。」

 

 わずかに見当のつかない顔をするが、一転して目を輝かせる。

 

「畏まりました。アインズ様。しかし、アインズ様がわざわざその様な事を為さらずとも、ただそう仰るだけで我々は―」

「よい、アルベド。お前が何を考えているのかは分からないが。私は私の休日を楽しもうとしているだけだ。ただ、くれぐれもBARに行くように強制しないようにな。」

 

 そうして、二日後いつもの様に仕事を終わらせ自由になる時間がやってくる。

 今までならば、そういう時間は鏡を見ながらポーズの練習をしているわけだが、今日は違う。リング・オブ・アインズウールゴウンを使いBARに転移する。

 

「さて、どれだけ集まっているのやら。まぁ、これで誰もいないととんだマヌケだな。」

 

 しかし、そんな思いとは裏腹にかなりの数の配下たちが集まっていた。

 

「こ、これはアインズ様。アンデットであるアインズ様が、どうしてこんなところに。」

「おぉ副料理長、久し振りだな。いや、ちゃんと言葉を交わしたのは初めての事だったか。しかし、今日は沢山の人がいるんだな。いつもこんな感じなのか?」

「いえ、いつもならばこんなに人が集まることはないんですが、なぜだか今日に限って・・・せっかく偉大なる御方がいらっしゃっているのに。申し訳ありません。」

 

 まぁ、皆がここに来たのは俺のせいなんだけど。

 

「ところで、アインズ様はどうしてこちらに?」

「いやなに、私にだって時には話を聞いてもらいたくもなるさ。勿論聞いてくれるだろ、副料理長?」

「勿論ですとも、アインズ様。不肖ながらこのわたくし、ヒドネルム・ペキイがお聞きいたしましょう。」

「まぁ、そこまで気負う必要はない単なる私の昔話だよ。そう。もう、過ぎ去っていった過去の話さ」

 

 

 

 

「モモンガさん。今日は何処に狩りいきます?できたら、神聖系モンスターを狩りに行きたいんですけど。」

「神聖系か、あまり神聖系にはいい思い出がないんですけどね。それにしても、どうして神聖系モンスターなんです?大してうま味があるモンスターって訳でもないでしょう。」

「それがですね。確かな情報じゃ無いんですけど、最近天使モンスターが、かなり露出の多い鎧の外装データをドロップしたって噂があるんです。まぁ、レベルはかなり低いってんであまり使い物にはならないんですけど。僕としてはシャルティアちゃんのコスプレ用に取っておきたいなって。」

 

 うわぁ、流石というかなんというか、ペロロンチーノさんはブレないな。そういうとこってやっぱ憧れるな。

 

「それじゃ、メンバーに声かけて向かってみましょうか。」

「さっすが、モモンガさん!装備が完成したら、いっちばん最初にシャルティアちゃんの新コス、お披露目しますね!」

「それはどうも、ドロップするといいですね。レベルは低いとはいっても、それなりにレアドロらしいんでしょ?こんな時に限って物欲センサーなんてのが作動しちゃいますからね。」

 

 そんなやり取りをしていて、集まったのが。

 ウルベルトさん、たっち・みーさん、ぶくぶく茶釜さんとヘロヘロさん、そして俺と企画者のペロロンチーノさん。まぁ、戦力的にはベストなんだけど・・・

 

「モモンガお兄ちゃんが、天使狩りに行きませんか。なーんて言うから何事かと思ったけど、弟が提案者かよ。」

 

「なかなか、天使なんぞ狩りに行くことがないから来たものの、なんでたっちの奴がいるんだか。」

 

 普段は気のいい人たちなんだけど、なんで相性の悪いのがいっぺんに集まるんだろうか?

 

「まぁまあ、ペロロンさんが噂とは言え、新装備のドロップ情報を持ってきたんですから、折角なんで回収してみるのもいいじゃないですか。いくら低レベル装備とはいっても、気になりませんか?もしかしたら、フレーバーテキストから派生装備の情報がわかるかもしれないし。」

 

 皆が頷くのを確認して、俺はゲートを開く。目的地はアースガルズ、天使の箱庭。レベル帯は低いが異様にポップ数が多くて有名なエリア。

 このエリアは、同レベル帯だと圧倒的に多い数で蹂躙されるが、高レベルだと消耗に反して利益が少なくて狩場としては下の下もいいとこだが、今回の目的には、がっちりハマってるエリアだ。

 

「それじゃ、行きましょうか。天使どもを一匹残らずミンチに変えてきましょう!」

 

 

 

 

 ゲートを潜った瞬間10や20じゃ利かない程の天使が襲ってくるが、さすがにこの程度では大した問題にはならない。

 しかし、処理を続けて暫くすると誘蛾灯にあつまる羽虫の如く突っ込んで来ていた天使に異変が生じる。

 

「あいつら、いきなり突っ込んで来なくなったけど、どういうことだと思います?」

「定番だと合体かな?」

「それで、出てくるモンスターのランクは?」

「まぁ、良くて2、3倍くらいじゃない?いって主天使級?」

「じゃあ、雑魚ばっかで退屈だったし見守りますか。」

 

 そうして、手出しはせず変化が起きるまで待っていたんだけど。

 

「うそ、まさかでしょ。三対六枚って。」

「うわぁ、これはさすがにないわ。運営、天使虐めは反対らしい。」

「まったく、誰だったかな。いって主天使級って言ったのは。」

「「あんただよ!」」

「いや、雑魚天使狩ってて出てくるのが熾天使(セラフ)級って。子供の喧嘩に親がでてくるってもんじゃないでしょう!?」

 

 そう、変化なんて待ってる間に出てきたのが最上位の天使、熾天使(セラフ)級。初めて見る顔の熾天使(セラフ)級だけど。どうしたものか。

 

「皆さん。相手はセラフ級です。ヒーラーがいない今回のパーティーでは最悪全滅しますけど。どうしますか?正直私は、戦いたいです。ヒーラーはいなくとも、これだけの火力特化が集まったのは、あれを倒すためだと。」

 

 ここに来たのは、ペロロンチーノさんのわがままだったけど、あいつを倒したいのは俺のわがままだ。正直勝てるかもわからん奴にヒーラーもいない状態で戦いだすのはバカのすることだってわかってるけど、初見の奴に会ったら戦いたくなるんだよな。

 

「そりゃーねー。」

「目の前に餌があるんだから。」

「喰らってやるのが。」

「ゲーマーって奴でしょう。」

「死んだらその時はその時ってことです。」

「あはは、それもそうですね。それじゃ、標的は推定熾天使(セラフ)級。ヒーラーがいないので、短期決戦で片を付けに行きましょうか。」

 

 

 

 

 それから、どれだけ戦っていたのか。

 何度か肝が冷える場面もあったが、なんとか倒すことができた。

「うひー。HP1割切ってるってヤバくないっすか?」

「ヤバいです、流石に疲れました。もう、眠気が辛くて。」

「俺は久々に天使どもをぶっ潰してスッキリしたな。」

「あれだけ、てこずったモンスターは久し振りだ。」

「モモンガお兄ちゃんが、あそこで声をかけてくれなかったら落ちてたかも。」

「皆さん。お疲れ様です。さすがにリソースも残って無いですし、とりあえず、ナザリックに帰りましょうか。他のメンバーにも新モンスターの話を聞かせてやりましょう!」

 

 

 

 思い出から帰ってくると、聞き手が副料理だけでなく周りの配下たちもしんと静まりかえっていて、なんだか妙に落ち着かない気持ちになる。

 

「とまぁ、そんなことがあったということだ。ちなみに、ペロロンチーノさんが欲しがっていた装備は、セラフの方が落としていってな。上位互換になっていたんだが、ガッチガチの鎧の外装だった訳だ。とは言え、あとから、目的の物も回収しに行ったんだがな。」

 

 話を終えたつもりなんだけど、どうして皆物音一つたてないんだ?もしかして、落ちがこれから付くと思ってたり。

 

「これで終わりなんだが、ちゃんと落ちとかも付く話の方がよかったか?」

「い、いえ、お話をしていただいている、アインズ様がなんというか、とても楽しそうだったもので。音を立ててはいけないのではないかと。また、アインズ様にお話をしていただいても宜しいでしょうか?」

「なんだ、そんなことか。勿論よいとも。私もたまには昔の話をしながら、思い出につかりたくなるからな。だが、仕事中に抜け出して話を聞きに来るのは止めてくれよ?私がアルベドに叱られてしまう。」

 

 これからは、少しずつ休むことにも慣れていってくれるといいんだけどな。その為の娯楽の提供ぐらいこの子たちのためなら・・・違うな。俺がこの子たちに、お前たちの創造者はとても、素敵な仲間だったと言って聞かせたいだけかもしれんな。

 

「さて、次の話はな。私がウルベルトさんと街を歩いているとPKに目をつけられた話なんだが。聞くか?」

 

 

「「もちろんです!アインズ様!!」」



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