結月ゆかり 誕生日 (キシト。)
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結月ゆかり 誕生日
2016年12月22日
僕のところにゆかりさん事結月ゆかりがやってきてそろそろ半年になる。
思い出すのはゆかりさんとの日々。
初めて会った時はかなり緊張してたっけなぁ。
『は、初めまして!ゆ、結月ゆかりで、でです!』
『ゆかりちゃん、落ち着いて。弦巻マキだよ~』
『初めまして、ゆかりさん。マキさん』
『は、はい!』
それから暫くして、二人がボロイアパートに住んでいるって聞いて、家に住まわせる事になったんだっけ。
懐かしいなぁ。
『えっ、二人ともアパートに住んでるの?』
『うん、それも隙間風とかある最悪な奴。あ~あ、どこかに美少女二人を住まわせてくれる人いないかなぁ~(チラッ)』
『ちょ、ちょっとマキさんっ!すみませんマスター。気にしないで良いですからね?』
『え?良いよ。二人くらい』
『えっ!?』
『おっ!やった~!これで隙間風生活とはおさらばだぁ!』
『ちょ、ちょちょ!?マスター、良いんですか!?』
『えぅ、うん。部屋は余ってるし、一人より三人の方が楽しいし(何より、嬉しいし)』
『うん!決まりだね!これからよろしくね、マスター』
『え、ええっと。よろしくお願いします……?』
『うん。よろしく』
それからは毎朝ゆかりさんが朝食を作ってくれるようになったんだよね。
あれからは毎朝が楽しみになったなぁ。
『あれ?ゆかりさんが作ってくれたの?』
『はい、住まわせて貰ってますから。これ位はと思いまして。………迷惑でした?』
『そんな!むしろ嬉しい位だよ!女の子の手料理だなんて………!』
『そ、そうですか……///』
『うん!ありがとう、ゆかりさん』
『い、いえいえ。取りあえず座っていてください。もうすぐできますから///』
『うん。わかった』
テーマパークに遊びに行ったときは凄く楽しかったなぁ。
『うわぁ…………っ!マスター、マスター!ジェットコースターがありますよ!』
『あはは、そうだね』
『ゆかりちゃんはしゃぎすぎだよ~』
『あっ、す、すみません///』
『いいよいいよ。それじゃあ乗ろうか』
『!はいっ!』
そう言えば、ゆかりさんが風邪を引いた時は焦ったなぁ……
『大丈夫?ゆかりさん』
『うぅ………ずびばぜん、マズダー』
『はいはい、気にしないの。ゆかりさんは病人なんだから』
『ずびばぜん…………』
『元気になったら、ゆかりさんの大好きなケーキ作ってあげるよ』
『ほ、本当ですが…………?』
『うん。だから、早く元気になろうね』
『ひゃい…………』
あ、誕生日を祝ってもらった時は嬉しかったな。
『ただいまー『お誕生日おめでとう(ございます)!マスター』うわっ!?』
『おっ、驚いてる、驚いてる♪』
『えっ、えっ?誕生日?僕の?』
『はい、マスターの誕生日です!』
『あっれ~?忘れてたの~?』
『…………………あ、そうだった』
『あ、あはは、マスターらしいと言うか』
『まぁ、マスターだしね~』
『ゆかりさん、マキさん』
『ん?(はい?)』
『ありがとう、嬉しいよ』
天体観測なんかもやって、意外とゆかりさんが星に詳しい事が分かったなぁ。
『あれが冬の大三角形』
『あ、知ってます。あれがシリウス、ペルシオン、ベテルギウスですね。それでベテルギウスを中心とした周りのポルックス、カペラ、アルデバラン、リゲルと先ほどのシリウス、ペルシオンを結んだものを冬のダイヤモンドと言いますね』
『ゆかりちゃんは物知りだね~』
『えへへ、月の観測をしているときに覚えたんです』
『へぇー』
本当に色々遭ったなぁっと、もう玄関に着いてしまった。
僕はポケットから鍵を取り出して、玄関を開けて挨拶をする。
「ただいま~」
「あ、お帰りなさい、マスター」
「お帰り~」
そう言って僕の挨拶に作業を中断してゆかりさんとマキさんが迎えに来てくれた。
僕は上着を脱ぐとゆかりさんが受け取って掛けてくれた。
「どうだった~?」
「うん。ちゃんとケーキも買ってきたよ。さあ、晩御飯にしようか」
「そうですね。すぐ並べますね」
「あ、わたしも手伝うよ。ゆかりちゃん」
そう言うと二人はリビングに行ってしまった。
僕も手伝うために服を着替えに二階の部屋に向かう。
部屋に着いた僕はスーツを脱ぎ、私服に着替えて、下に下りる。
「あ、準備できたよ~」
「ありがとう、マキさん。お疲れ様、ゆかりさん」
「いえいえ」
一階のリビングに来ると、すでに色々と豪勢な料理が並んでいた。
本当は僕が作りたかったんだけど、仕方ないね。
「それじゃ、席に着こうか」
「うん」
「はい」
そうして僕達は席に着くとマキさんが目配せをして来た。
それに頷いてゆかりさんに向きを変える。
「ゆかりさん(ちゃん)」
「はい」
「お誕生日、おめでとう!」
そう言って僕とマキさんはクラッカーの紐を引いて中から紙くずを飛ばした。
「うふふ、ありがとう」
「えへへ。それじゃあ、私からのプレゼントね」
「わぁ!開けて良いですか?!」
「良い良いよ~♪」
マキさんが黄色い箱を渡し、ゆかりさんが開けると、中には紫色の宝石が入ったアクセサリーが会った。
「僕からはこれね」
「ありがとうございます………これはっ!」
「わぁっ!かわいい~!」
僕は紫色の箱を渡し、開ける。
すると中には紫色のゆかりさんと同じパーカーを着たうさぎのぬいぐるみだった。
この日の為にちょっと徹夜して作っていたのだ。
「ありがとうぎざいます!マスター!」
その後は晩御飯を食べて、皆でゲームをして大いにはしゃいだ(途中でマキさんが酒を飲んで酔っ払った)。
今日はいつも以上にとても楽しかったなぁ。
来年はもっと、もっと楽しい事が出来るようにしたいね。
そう思いながら疲れて眠ったゆかりさんを部屋に運び、布団を掛けて部屋を出る。
扉を閉めるときに、ゆかりさんにお休みと言い、もう一つの言葉は心の中に閉まって置いた。
ハッピーバースデイ、ゆかりさん
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