白の狐は何を見る (橘 聖)
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番外編
コラボ回『旅行』


キャピキャピリン
どうも、橘聖です

投稿が遅れてすいません
今回はOKI10様の『旅行』とコラボいたしました

きっかけはUA数10000超えのツイートをしたときに「コラボでもしようかなぁ…でもこんな作品とコラボしてくださる人なんて…」と書いたところ、OKI10様がコラボをしてくださることになりました

OKI10様、今回はコラボしていただき本当にありがとうございます

『白の狐は何を見る』と『旅行』の世界が交わった、一話限りのお話をお楽しみください


今日は何もなければいいなぁ

数分前、そんなことを静かな自分の家の中で思っていた

 

それが引き金になったのか、竹林の中から音がした

まだ朝とは言えど薄暗い

こんな時間に好き好んで竹林の中に入る妖怪もいないだろう

もちろん、竹林の中に住んでいる人妖はまだ活動時間ではないはず

 

竹林で何かが起こっているのだろうか

そんな焦燥感が頭をよぎる

俺の家にまで何かあったら大変だ

 

というわけで、少し急ぎつつ、音のした方へ向かう

 

 

 

「…なんだこれ」

 

急いで来てみると、そこには小さな人形があった

この人形が大きな音を出すとは思えないが、周りには長く伸びた竹があるだけ

何か人形に仕掛けがあるのかと思い、じっと見てみる

 

傷がところどころに入り、少し煤がついている

ここだけ見るとただの古びた人形だが、それとは少し違った

なにせその人形から声が聞こえるのだ

注意しつつ、その声に耳を傾ける

 

「…美しいところにいきたい」

 

なんと、喋ったではないか

見た感じでは妖力や神力ではない何かがこの人形には宿っているみたいだが…

 

「俺の声が聞こえるか?」

 

「はい、聞こえますよ」

 

同じことを繰り返しで言うようなカラクリだと勘ぐってみたが、どうやら違うらしい

この感じだと敵意はなさそうだからこの人形の言う『美しいところ』に連れていってもいいかもしれない

…だが万が一のこともあるかもしれない

仕方ない、あいつでも呼ぶか

 

「ゆかりーん」

 

…なぬ、反応がない

いつもはすぐ出てくるはずなのになぜだ

まあ、用心棒程度だしいてもいなくても関係ないか

 

「…朝早くに呼び起こされて悪口叩かれてるんですけど」

 

背後から聞き慣れた声が聞こえる

どうやらただの寝坊だったらしい

 

「寝坊じゃないわよ。霜月のように朝早くには起きられないだけよ」

 

「…今気づいたけど勝手に心読むなよ」

 

「私をこんな時間に起こした罰よ。で、何の用なの?」

 

「いや、この人形が美しいところに行きたいって言うからさ。連れに紫はどうかなーと思ってな」

 

「…その報酬に見合うものがないわねぇ?」

 

説明したらこんなことを言い出すわがままな紫

…紫のことだからあれだろうなぁ

 

右手の人差し指を伸ばす

紫は首を横に振る

 

さらに中指を伸ばす

だが紫は横に振る

 

薬指も伸ばす

だが紫は頷かない

 

小指も伸ばす

が、紫はまだ見合わないと目で訴える

 

右手の全ての指と左手の人差し指と中指を伸ばす

紫は少し硬直したが首を横に振る

 

さらに左手の薬指と小指を伸ばす…と見せかけて左手を降ろす

その瞬間、紫は頷く

 

「五本だな」

 

「…だましたわね」

 

その時の俺の顔はどれだけ笑顔だったのだろうか

しかし、結局紫の思い通りになっていると気づいたのは家に帰ってきてからであった

 

 

 

「美しいところってどこだろうな」

 

「それはたくさんあるわよ。霧の湖に白玉楼、妖怪の山に無縁塚とか」

 

「どこも良さそうだがいまいちパッとするところがないなぁ…」

 

「んー…なら太陽の畑はどうかしら」

 

「それだ。あのひまわりは絶景だったからな」

 

「それじゃあ行きましょ」

 

「…スキマは?」

 

「歩いた方が運動になるでしょ」

 

「これだからおまえの腹まわりには無駄な―――」

 

「わーわーわー!!」

 

そう、紫は霜月の尻尾の上でもふもふしているだけなのだ

歩いているのは霜月だけ

なので紫の重みを霜月は受け(スキマオクリニサレマシタ)

 

 

 

「人形はどこから来たんだ?」

 

流れで太陽の畑まで行くことが決まったが、喋る人形がなぜここにあるのかという疑問がふと頭をよぎったのだ

 

「…わかりません。気づけばここにいました」

 

「幻想入りしたってことなのかねぇ」

 

「それなら私がスキマで元の世界に戻しましょうか?」

 

「いや、どこかから来たんだろうけども、自分で歩きそうにないんだよ」

 

「…つまり?」

 

「送り返したところでこの人形は何もすることができないだろうから、うちにでも置いておこうと考えてるんだが」

 

「まあ…霜月がそれでいいって言うのならそうしても構わないんだけど…」

 

霜月の手元で人形が何か言っていたが、周りの鳥類のさえずりによりそれが霜月と紫の耳に届くことはなかった

 

 

 

「もうすぐ着くからな」

 

竹林を抜け、丘の中腹(ちゅうふく)辺りで人形に言葉をかける

 

しかし人形の反応がない

人形に意識を向けると、やっと声が聞こえてくる

 

「ありがとうございます」

 

「別にいいんだよ。俺も幽香…俺の友だちと顔を合わせたかったし」

 

知らない名前を言われてもわからないだろうと思い、言いなおした

別に他意はない

 

 

 

「やはり何度見てもすごいな」

 

丘を越えると、そこには黄金の海が広がっていた

見渡せるほどとは言わないが、十分な広さの平地に所狭しとひまわりが咲いている

 

「紫、ついたぞー」

 

いつの間にか寝ていた紫を尻尾を消して起こす

地面に落ちた紫が短い悲鳴をあげたがいつものことなのでスルー

 

「霜月からの愛が重い」

 

「バカなこと言ってないで行くぞ、ほら」

 

紫を起こし、歩かせる

宴会後に手入れしたのにまた涎をつけられるのは遠慮したい

 

「それで、幽香はどこにいるのか」

 

「いつもの小屋じゃないの?」

 

「確かに昼時だから小屋にいるか。幽香のことだから時間とか気にせずに花の世話してそうだと思ったが考えすぎか」

 

「それもありうるけど小屋にいなかったらその時に考えればいいじゃない」

 

「それもそうか。それじゃあ行こう…と言いたいとこだが人形の頼みでここに来たからな。この景色に満足してから行こうか」

 

頭に乗せていた人形を手に置き、反応を見る

 

「…確かに美しい場所です。わざわざここまでありがとうございます」

 

人形の気に召したようで安心する

人形と俺らの感覚は同じようだ

 

「…人形はこれからどうするんだ?」

 

「えっと、迎えに来る鳥がいるんですが、こちらに来たときから姿が見えなくてですね…」

 

「どうすることもできない、と。人形がよかったらこの花畑の管理者にでも会ってみるか?」

 

少しの間があったが頷く人形

 

「よし、それじゃああの小屋に行こうと思うがいいか?」

 

再び頷く人形

人形の合意が出たので、背丈くらいある花の道を通りつつ小屋へ向かう

 

「幽香、いるか?」

 

ドアを叩き、居るか確認をとる

 

「この声は霜月ね、いるわよ」

 

間も無く返事をしてくる

…何気にすぐ俺だと気づくって怖い

 

「遊びに来たんだが、入っていいか?」

 

「いいわよ、お昼ご飯をたかりに来たのかと思ったわ」

 

「いや、さすがにそこまで無礼ではないさ」

 

度々(たびたび)、俺の家に泊まりに来るどこかの誰かさんへ

しかし当の本人はどこ食わぬ顔で幽香の家に入ろうとしていた

 

「ねぇ紫、この頃戦ってなくて動きが心配なのよ。相手になってくれない?」

 

「なんで!? さっき入っていいって言ってたわよね?」

 

「私は霜月に許可を出したわよ、あなたには言ってないわ」

 

「ひどくないかしら…」

 

「まあまあ、今日は俺から付き添いに誘ったから、許してやってくれ」

 

「霜月がそう言うならしょうがないわね。特別よ、入っていいわ」

 

「…私への扱いがひどい気がするのだけれど、気のせいかしら」

 

気のせいじゃないだろう

かくいう俺も『今日は』と限定的に言っている

いつもは知らないがどうせ紫のことだ、勝手に何かやっているのだろう

 

「じゃあ失礼するぞ」

 

幽香と紫と一緒に幽香の家に入る

この間入ったときとあまり変わらない雰囲気

違うとすれば鉢に植えられている花が変わったことであろうか

 

「メディもいたのか、とその鳥は?」

 

「あ、霜月さん、こんにちは。この鳥はさっき疲れた様子でここに来たので療養してるところです」

 

その鳥を見ると、人形から声が聞こえる

 

「あの鳥です。あの鳥が私を運んでくれています」

 

「あの鳥って…鳩じゃないのか?」

 

幻想郷ではあまり見ないが、本で見たことがある

体に比べて頭が小さく、胸骨、胸筋が発達してずんぐりとした体型であるから間違いはないだろう

その鳩も、人形を見つけるや否や二鳴きする

 

「向こうも人形を見つけて一安心したのか」

 

「霜月さん…でしたか、今回はありがとうございます。あなたと出会わなければどうなっていたことか」

 

「いや、いいんだよ。こっちとしてもいい運動になったよ、誰かの」

 

ちらっと紫を見るが気づいていない様子

 

「そうですか。それでは私はこれで失礼します」

 

「もう行くのか、もう少しゆっくりしていけばいいのに」

 

「いえ、もう十分にお世話になりました。これ以上迷惑をかけるわけにはいきませんので」

 

「別にかかってないが…これ以上言っても無駄か」

 

「はい、では今回は本当にありがとうございました」

 

そのお礼を言い終えると同時に、メディに触られていた鳩が人形を掴んでホバリングをする

その意志をくみ取り、俺は玄関のドアを開ける

すると、鳩は開けた玄関から飛んでいく

 

「体は大事にしろよー」

 

飛んでいく鳩と人形にその声が聞こえたのかはわからない

だが、人形が手を振った、そんな気がした

 

 

 

 

 

「そういえば、どうやって幻想郷から抜けていくんだろうか」

 

そんな疑問を持ったが、帰ってこなかったので抜けることができたのだろう




今回は、大半が私の執筆の遅さ等でコラボ回の投稿が遅くなりました
OKI10様、本当に申し訳ありませんでした

初めてのコラボ回、いかがだったでしょうか
初めての試みということもあり、コラボ相手の方のキャラの特徴や話し方などを変えないようにしながら書くことの大変さを知りました

OKI10様の『旅行』のページはこちらからどうぞ
https://novel.syosetu.org/115146/

今回はここまで
これからはコラボしてくださる方がいらっしゃいましたら随時…とは言えませんが、Twitterかこちらで募集させていただきます
もちろん相手がいなくて本編更新になるでしょうが

それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「…あ、人形の名前聞いてなかった」
紫「別にいいじゃない。縁があればまた会えるわよ」
霜月「…そうだな、その時には聞こう」
紫「でも幽香が怖い」
霜月「それはお前のせいだろうが」
紫「なんで。別にお酒飲んだり花を摘むくらいいいじゃないの」
霜月「それだよ、バカ」


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本編
1.氷の妖精


初めましての方は初めまして
そうでない方はキャピキャピリン
どうも、橘聖です

次話がいつ投稿されるかは私にもわかりません
…どうせ見てくれる人なんていませんけどねっ

さて、では前置きはここまでにして…
『1.氷の妖精』 どうぞ


気が付くと広大な草原にいた。眠っていたらしく体を丸めている。

体を起こすために背伸びをする。

白い体毛と一本の尾。その白い生き物は大きくあくびをした。

 

 

特に行くあてもなく、気の赴くままに移動するだけ。そんな毎日。

しかしその生き物は満足だった。縛られることなく動き回れる、そんな自由な世界に生きているからだった。

 

その生き物に仲間はいなかった。

気がついたときにはまわりに同族はいなかった。

 

その生き物はお腹が空かなかった。

だから動物を狩ることはなかった。

 

その生き物に寿命はなかった。

生きているうちに尾の本数は増えていった。

 

その尾の本数は9本だった。

その生き物はいつの間にかヒトの姿に化けれるようになっていた。

 

その生き物は妖狐と呼ばれた。

それは今もどこかに生きているといわれている。

 

(東洋妖怪編 19項より引用)

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

「ふう…目が痛いな…」

 

「こんな時間まで休憩無しで読んでいたらそれは目が痛くなりますよ」

 

袖で口元を隠しながらくすくすと少女…小鈴は笑う。

 

「まあ、一度読み始めたら時間も忘れて読んでしまうからな」

 

膝に書物を置き苦笑する。

 

「それで、霜月さんはこれからどうするんですか?」

 

「うーん…何か少し変わっているところはないか? 刺激がほしくてね」

 

「変わっているところ…それなら紅魔館なんてのはどうでしょうか」

 

「こうまかん…どんな字だ?」

 

「紅いの紅に悪魔の魔、それに館です」

 

「それで紅魔館か…いい名前だ、行ってみようかな」

 

「でも気をつけてくださいね? 吸血鬼が住んでいますから」

 

「分かった、だけどいざとなったら大丈夫だけどな」

 

「ふふ、それもそうですね」

 

「さて、聞きたいことも聞けたし」

 

そう言って席を立ち、小鈴の手にお金を置く

 

「え、代金ならいりませんよ?」

 

「情報代だ、気にせずに受け取ってくれ」

 

小鈴は少し思案した後、申し訳なさそうにお金の乗った手を引っ込める

 

「別にいいんですが…折れませんから言っても無駄でしょう」

 

「よくわかってるじゃないか」

 

笑いながら小鈴の頭に手を乗せる

 

「頑張りなよ、これからも」

 

「ええ、霜月さんもケガには気をつけてくださいね?」

 

「もちろん。それじゃ」

 

小鈴に手を振ってから店内から出る

 

「さて…紅魔館は…、…どこだ」

 

少し考えをめぐらせる

だが紅魔館を探す案は思いつかない

しょうがない、と思いつつ再び店内へ戻る

 

「いらっしゃいませ…どうしました?」

 

「いや、紅魔館の場所を聞きそびれてたから帰ってきた」

 

「かっこよく店を出たのにこれだと恰好がつかないじゃないですか」

 

「はは、それが俺だから…気にするな」

 

はあ、とため息を漏らしながら店を出ていこうとする小鈴

 

「場所を教えますから来てください」

 

言われるがままに店から出る

 

「紅魔館はあっちの方向です」

 

大きな山のある方向を指さす

 

「あの山の中か?」

 

「いえ、麓です。正確にはここから山の直線からは少し外れたところにあります」

 

「わかった、ありがとう。じゃあ今度こそ」

 

「はい、またのご来店をお待ちしております」

 

再び小鈴に手を振り、山へ向かう

 

人里を出て、森へ入る

道なき道…という訳ではないが、ひざ下くらいの高さの草を踏みながら目印となる山へ向かう

 

「にしても…喉が渇いたな」

 

本を休憩無しで二刻(4時間)ほど読み、そのまま森へ入ったから当然と言えば当然なのだろう

 

「何か川か池でも無いかな…」

 

すると

 

「あんた、水が欲しいの?」

 

後ろから声を掛けられ、驚きつつ振り返る

そこには青い服を着ており、氷らしき羽をもつ生物がいた

 

「まあ、そうだな」

 

平然を装い、返事をする

するとその生物は

 

「わかった、こっちに湖があるからそこに来る?」

 

なんと優しいのだろう

 

「ほんとか? あ、自己紹介が遅れた。俺は霜月、人間をやってるよ」

 

「あたいはチルノ、ここ一帯では最強の氷の妖精だよ」

 

そう言ってチルノは胸を張る

…無い胸を張ってどうするのだろう

 

「…あんた、今失礼なこと考えなかった?」

 

「いんや、全く考えてないけど」

 

棒読み感が出たが致し方なし

 

「ふーん…それじゃ、湖に案内するからついてきて」

 

そう言って俺が進んでいた方向から少しそれた方向にチルノは進んでいく

ついていかない道理はない。そう思いチルノの後をついていく

 

あまり時間は経たずして木や草ばかりだった視界が開けてくる

そこには言われた通りの湖があった

 

「おお、意外と大きい湖だな」

 

「そうでしょ、この湖はあたいのテリトリーでもあるんだから」

 

…そういえばさっき最強だとか言っていたな

テリトリーか、嘘ではないみたいだ

 

「…この湖の水は飲んでもいいのか?」

 

「いいと思うよ。よく飲むけど一回も具合が悪くなったことはないし」

 

「じゃあ、いただくよ」

 

そう言って湖の水を両手ですくって口に運ぶ

…うまい。なかなかじゃないか

 

「おいしいな、なかなかの水質だ」

 

褒めるとチルノは少し照れくさそうにしていた

…水だぞ?なぜおまえが照れる

 

「いやあ、なんかむずかゆいね。あたいの湖を褒められるとさ…」

 

なにこの妖精、かわいい

…おっと、思考がずれた

 

「ありがとう、おかげで助かったよ」

 

「いいんだ。あ、でも一つだけお願いがあるんだけど…聞いてもらってもいい?」

 

「俺にできることならいいが、何だ?」

 

そう答えるとチルノは一つ深呼吸をする

 

「ふぅ……笑わないでね?」

 

その言葉に頭を縦に振って肯定の意を示す

 

「…あたいと、と…と…」

 

「と?」

 

「…友達になってくれない?」

 

「…へ?」

 

素っ頓狂な声を出してしまった

 

「…さっきさ、あたいがここ一帯では最強の妖精だって言ったよね。その肩書きのせいで他の妖精からは離れられて、人間からは畏怖されて、友達と言える友達がいないんだ。だからさ、あたいと…友達になってくれない?」

 

簡潔に、しかし要点はしっかりと伝えてきたチルノ。その水より蒼い目には涙がたまっていた

 

「…もし俺が嫌だ、と言ったら?」

 

こんなことを聞く俺は最低だろう

しかし、このまま軽く返事をしたらチルノは…

 

「そのときは…諦めるよ。別に一人でも生きていけない訳じゃないから」

 

そう言ってチルノは後ろを向く

俺からは顔が見えない

…ふむ

 

「チルノ、ちょっとこっち向け」

 

「え?」

 

チルノは言われた通りにこっちを向く

俺はチルノの額にデコピンする

ぺちっ、といい音がする

チルノは突然のことに目を丸にして固まっている

 

「チルノ、お前は少し受け身になりすぎだ。もっと積極的になれ」

 

「え? でも…」

 

「でも、じゃない。そうやってできた友達は友達と言えるか? お前は消極的なやつから急に『友達になって』って言われて『うん』と言えるか?」

 

「それは…言えない」

 

「そうだろ。まあ、端的に言うぞ。お前は遠慮がちなんだよ、もっと積極的にいけ。そしたら自分の気持ちは伝わるだろ」

 

チルノは少し考えるようなしぐさを見せる

すこしして、チルノは顔を上げる

 

「…ありがと、おかげで気持ちが楽になった」

 

「そりゃよかった。んで、どうするんだ?」

 

「…霜月、あたいと友達になって。妖精だけど、まだ誰も近くにいる人はいないけど…こんなあたいでも気軽に話せる友達が欲しいんだ」

 

そう言って、チルノは俺に向かって頭を下げた

その顔からは水滴が何滴も地面に落ち、吸い込まれていった

 

「…こちらこそ、よろしくな」

 

そう言って、チルノの頭をわしゃわしゃする

ズビビ、と鼻水をすする音が聞こえた後、チルノは顔を上げる

目は充血しており、そこから涙が頬を伝っていた

 

「ありがと…ほんとにありがと」

 

そのまま胡坐をかいていた足を叩く

するとチルノは察しているのか俺の胡坐の上に背中を向けた状態で座る

俺はそんなチルノの頭を撫でる

手入れされているかのような空色をしているその髪は指にかかることなくされるがままになっている

 

「それと、さっきはあんな意地悪してごめんな」

 

「…ああ、いいよ。というかむしろありがとう。おかげであたいの心の中の壁がなくなった気がする」

 

「…それはよかった」

 

 

 

俺からすれば「ちょっと変わった出来事」で済まされるこの話

チルノからすれば「人生が変わった出来事」として脳に刻まれるだろう

俺はそんなことを考えながら、ちょっと変わった出来事でできた"友達"の頭を空が赤く染まるまで撫で続けた




…深夜テンションってこわいですね
なんでこうなったんでしょうか
内容は薄いくせにして長いなんてありえない
…もっと精進できるように頑張ります

「東洋妖怪編」はオリジナルです
実在…しないはず…

次話…『2.破壊の吸血鬼』
とかいうサブタイトルにでもするかも…しないかも

霜月「そういえは今日クリスマスだな。作者は何かあった?」
橘「…クリスマスにこれを投稿してるんだ、察して」
霜月「…すまぬ」


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2.嘘つきスキマ妖怪

キャピキャピリン
どうも、橘聖です
まずはあけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします

前回、タイトルを『2.破壊の吸血鬼』にすると言ったな
あれは嘘だ
…いや、書いてたらどうしてかこうなったんですよ
許してください、なんでもしませんけど

では改めまして
『2.嘘つきスキマ妖怪』
どうぞ


「さて、そろそろ暗くなるし、紅魔館に寄るのはまた今度かな」

 

チルノを撫でていた手を頭から離す

…物足りなさそうにこっちを見るんじゃない

 

「暗いと危ないからね…しょうがない、あたいはほとんどはここにいるから来てね」

 

「もちろん。あ、でもチルノは家なんてあるのか?」

 

「ないよ。だけどあたいに寄ってくる妖怪はここにはいないから襲われる心配もないんだ」

 

「ふうん…でも気を付けとけよ、いつ何に襲われるかはわかんないからな」

 

「…今いやらしいこと考えたでしょ」

 

「ナンノコトカナー」

 

「…凍ってみる?」

 

「遠慮します、それとすいませんでした」

 

「ん、よろしい」

 

そんなこんなで話しているうちに辺りには夜のとばりがおりた

 

「もうこんな時間か、さすがに危ないから帰るからな」

 

「気を付けて帰ってね、あたいの友達のしももん」

 

「…誰だそれ」

 

「霜月のあだ名。友達になったからこれくらいはいいでしょ?」

 

「…まあいいか。てことは俺もチルノにあだ名をつけろと?」

 

「うん。あ、変なのはだめだよ?」

 

「わかってるって。うーん…チルチル?」

 

「おー、いいね。じゃあ今度こそじゃあね、しももん」

 

「おう、またな、チルチル」

 

俺とチルノは互いに手を振りつつ別れた

…チルチルって言うのはチルノの前だけにしよう、こっちが恥ずかしいわ

 

 

 

 

 

 

 

チルノと別れたあとはさすがに紅魔館に行くわけにはいかないので家に戻る

家があるのは迷いの竹林と呼ばれる竹林の端っこ

さすがに中に住もうとは思わない

…自ら迷いたいと思う人は頭がどうかしてるよ、うん

 

「さて…俺の家に帰ってきた…俺の家だ。だけど…なぜおまえがここにいる」

 

「あら、年頃の女性におまえ呼ばわりとは感心しないわねえ」

 

「そりゃすまなかったな、紫のおばあちゃん」

 

紫と呼ばれた金髪の女性は額に青筋を浮かべる

 

「…霜月、てめえは私を怒らせた」

 

「すまん、少女の間違いだった」

 

「ゆかりん許す☆」

 

「…(ちょろいわあ)んで、どうして紫がここに?」

 

「いやね、ちょっと会いたくなっちゃって」

 

「…何が目的かはっきり言ってくれ」

 

「ほんとに会いたくなっただけだってば」

 

「その言葉で俺がどんだけ騙されたか覚えてるか?」

 

「うっ…今回はほんとだから!」

 

「その言葉も聞き飽きた」

 

「…じゃあ今回嘘なら私に何してもいいから! 抵抗しないから!」

 

「ん? 今なんでもって…じゃない、何言ってんだ。女性がそんな言葉を言うものじゃないぞ」

 

「霜月だから言ってるの!」

 

「信用してる人にも言うものじゃないぞ、しかも男に」

 

「霜月なら嫌じゃないもん! 初めても霜月でいいから!」

 

「さすがにそれはやめとけ、ろくなことにならん。しかもお前を襲おうとは思わん」

 

「…そんなに私って魅力ないの?」

 

…そこで涙目になるなよ…

 

「安心しろ、美女の部類に入ると思う。それとわかった、そこまでいうなら信用する」

 

「ありがと」

 

「ただし、今さっき言ったことを他の人に言うな。いくら紫が大妖怪と言えど襲ってくるやつらはいるだろうからな」

 

「もちろんよ、霜月しか言う気ないし」

 

いろいろ言いたいことはあるが…今回はスルーしないと立ち話が終わらない

 

「…それでだ、なぜ今来た」

 

「昼からいたわよ。ただ霜月が不在だったから帰ってくるまで居ようとしたらこの時間になったの」

 

「あー…昼前から人里にいたからな。というか俺は悪くないぞ、アポなかったし」

 

「アポいれたわよ! 紫の花と一緒に窓辺に置いてあった紙に書いてあったでしょ!?」

 

「…ああ、差出人不明だったから燃やした」

 

「…今回は私だったからまだよかったけど大事な手紙ならどうするの?」

 

「大事なら手渡しだろう」

 

「…ぐぬぬ」

 

「はあ…話を変えるが晩ご飯は食べたか?」

 

「…まだ」

 

「じゃあ作ってやるから机で待っとけ」

 

「うん!」

 

こんなときだけ見た目より幼い反応するんだよなあ…

紫は…特に嫌いなものはなかったっけ

じゃあ、ぱぱっと終わらせますか

 

 

 

 

 

肉と野菜の炒め物、魚の味噌煮、ほうれんそうのおひたし、油揚げたくさんの味噌汁

うん、こんなところかな

油揚げの味噌汁がおかしいって? 俺のすぐ後ろでぶんぶん尻尾振ってる藍見たら否応なしだよ、うん

 

「できたぞー」

 

「…はっ。失礼しました、霜月さん」

 

藍が頭の下げてきた

…主も見習ってほしいものだけどなあ

 

「別に大丈夫さ、ほら、藍の分もちゃんと作ってあるから」

 

おおう、また尻尾が…

 

「べ、別に私の分は用意しなくてもよかったんですが」

 

そう言いつつ味噌汁に目がいってるし

行動と言葉が合ってないけど…まあいいか

 

「油揚げの味噌汁、食べる?」

 

「いただきますっ!」

 

…あれ? 一つの器の味噌汁が消えた…

 

「ふう…やっぱり霜月さんのお料理はおいしいですね」

 

「もう食べたの?」

 

「はい、いただきました」

 

…油揚げの力ってすげー

 

「霜月ー、まだー?」

 

「…藍の主がぐうたらしてるんですが」

 

「申し訳ありません、あとでこってりしぼっておきます」

 

「いやいいよ、ただ…人の家ってことをわきまえてほしいなあ」

 

「ひえっ」

 

藍がおびえる…あっ

 

「あ、ごめん、出しちゃった」

 

「い、いえ、気にしないでください」

 

殺気が思わず出るのは改善したいなあ…

 

「とりあえず…むこうに持っていこうか」

 

「わかりました」

 

いつの間にか来ていた橙を含む八雲一家

そんな八雲一家に晩ご飯を作ったりして夜はどんどん更けていく

 

 

 

 

 

『明日はいいことがありますように』

 

 

 

 

 

そう願いつつ、八雲一家と同じ部屋で床に就くのであった




…はい、反省も後悔もしていません
自分の中の八雲一家を出してみました
ちょっとあれな表現があるのはご了承ください

次回は…今度こそ『3.破壊の吸血鬼』になる…はず!

霜月「…紫の好意を俺に向けないで」
橘「え? 別にいいでしょ?」
霜月「胡散臭い紫だけは…それだけは…」
紫「ちょっと、ひどくない?」
橘「あ、紫さん、こんにちは」
霜月「…うわあああ!」
橘・紫「あ、逃げた」
紫「…霜月って、わたしのことをどう思ってるのかしら」
橘「それは…向こうm」
霜月「やめろおおおお!」
橘・紫「え、待っt」
boooooon



…爆発オチなんてサイテー


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3.紅い幼き吸血鬼

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

…長いっ
長すぎるっ

吸血鬼までは行った
破壊まで行けてないっ

文字数的にここが一番切りがよかった
…予告がことごとく私を裏切っていく

今回も『破壊の吸血鬼』にはなりませんでした
申し訳ありませんでしたぁっ!

書きたいことを書いていってたらこうなったんです
ほんと…すいません

…前書きもほどほどにして
『3.紅い幼き吸血鬼』、どうぞ


朝日が瞼の上から照りつける

その光で目覚める

布団から起きて背伸びをする

 

「ふああ…」

 

ポキポキッと心地いい骨の鳴る音が耳に響く

周りを見ると、橙と紫が同じ布団で寝ていた

藍の姿が見えなかった

そして台所からはトントンという音が

 

「…ふむ」

 

橙と紫を起こさないように部屋を出る

廊下を歩いてリビングへ向かう

 

「藍、おはよう」

 

「あ、おはようございます、霜月さん」

 

こちらを向き一礼する藍

…律儀なことで

 

「わざわざ朝食を作ってくれてるのか?」

 

「はい。昨日のお礼と思いまして」

 

「別にいいのに」

 

そういうわけにも…と否定しつつ朝食の準備をしていく藍

 

「手伝おうか?」

 

「…お願いします」

 

言われた通りに動いていく

結局、橙と紫は呼ばれるまで起きなかった

 

 

《朝食後(/・ω・)/》

 

 

「さて、俺は紅魔館に行こうと思ってるが、紫たちはどうするんだ?」

 

「特にやりたいこともないし家に帰るわ」

 

「じゃあ戸締りするから出るか?」

 

「もう少し霜月の家でゆっくりしてからスキマで帰るから鍵は閉めて大丈夫よ」

 

「…はあ、荒らすなよ?」

 

「そんなことはしないわよ」

 

「藍、観察よろしく」

 

「わかりました、お任せください」

 

「うん、やっぱり安心感が違うな」

 

「…ぐすっ」

 

「おうおう、泣くな紫。次あったら紫の好物のみたらし団子買ってやるから」

 

「…わかった、約束だからね」

 

「(ちょろいわあ)じゃあ、行ってくる」

 

「「「行ってらっしゃい」」」

 

八雲一家に見送られ家を出る

向かう先は紅魔館

途中でチルノと会うかもなあ…

 

 

《移動中ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ》

 

 

道中は獣や妖怪に襲われることもなく、チルノに会うこともなく

紅魔館…らしきところについた

 

第一印象は…目に悪い

これでもかというほど紅い

紅魔館とはよく言ったものだ

さぞかしカリスマ力の高い人? 妖怪? が主なんだろうな

 

「さて、到着したはいいものの…」

 

門の前には一人の女性が

髪は赤く、後ろ髪は腰まで長さがある

そして頭には「龍」と書かれた星がついた帽子を被っていた

 

そして…寝ていた

 

「立ち位置的に門番…だよな? なんで寝てるんだか」

 

門番の前に行って声をかける

 

「あのーすいませーん」

 

声をかけるが反応はない

頬をつついてみる

 

「おーい、起きてくださーい」

 

だが起きない

 

「…えぇ、どうすれば…」

 

頬から指を離し考える

…場合によっては敵対するかもだけど不法侵入よりはマシか

 

「…おい、起きろ」

 

殺気を出し、起こす作戦

 

「…おーい」

 

だが起きない

近くの森からは生き物が飛び去っていったから殺気は出てるはずなんだがなあ

 

「うりゃ」

 

殺気を抑え門番を倒す

 

「ふぇっ、いだっ」

 

あ、起きた

 

「おはよう、よく寝てたね」

 

「あ、おはようございます。ふあぁぁ」

 

起き上がり気持ちよさそうに背伸びをする門番

 

「…あ、紅魔館に何かご用ですか?」

 

仕事をしてるのかさぼってたのか…

 

「用事ってほどでもないんだが館の中を見て回りたくてね」

 

「…ここの主が吸血鬼だということはご存知ですか?」

 

「吸血鬼がいることは聞いていたが、主が吸血鬼は初めて聞いたな」

 

「それでも中を見学したいですか?」

 

「構わない」

 

「…わかりました、許可をもらってくるので少々お待ちください」

 

そう言って門番は門の中に入っていく

 

「…主が吸血鬼か、昔を思い出すなあ」

 

昔の記憶に浸っていると

 

「お待たせしました、許可が下りましたのでどうぞ中へお入りください」

 

門番が帰ってきて、門を開けてくれた

 

「ありがとう、よろしかったら名前を教えてくれないか? 俺は霜月と言う」

 

「私は(ホン)美鈴(メイリン)と言います、美鈴と呼んでください」

 

「ご丁寧にありがとう、よろしくな美鈴」

 

美鈴もこちらこそ、と一礼し門の中へ入るように催促する

門の中へ入り、整備された庭に感嘆をもらしながら館の入口の扉を開ける

 

「ようこそいらっしゃいました。私はこの紅魔館のメイド長をさせていただいております、十六夜(いざよい)咲夜(さくや)、と申します」

 

入ってすぐにメイド姿をした銀髪の女性が腰を曲げて礼儀正しく挨拶をする

 

「おお、ご丁寧にありがとう。俺は霜月だ、よろしく十六夜」

 

「私のことは咲夜、とお呼びください」

 

「失礼した、よろしく咲夜」

 

こちらも頭を下げ挨拶する

 

「それで、主には会っても?」

 

「わかりました、我が主、レミリア・スカーレット様のお部屋にご案内させていただきます」

 

スカーレット…聞いたことがあるような…

 

そんなことを考えながら咲夜に着いていくこと数分

外見より中が広くなっている気がするが…気のせいだろう

 

「到着しました。お嬢様、お客様をお連れしました」

 

目の前の扉の向こうから声が聞こえる

 

「わかった、咲夜は下がりなさい」

 

「かしこまりました」

 

そう言って咲夜は横から消えた

…消えた? おおう、すごいな

 

「失礼します」

 

扉を開ける

そこにいたのは…大きなドアノブカバーを被った小さな女の子だった

 

「どうした? 私の威厳で動けないか? はっはっは、これだから人間は」

 

いや…イメージと違いすぎて唖然としてるだけ…

 

「私の名前はレミリア・スカーレット、呼び名はなんでもいいぞ、心は広いからな」

 

「…レミィか?」

 

「は? レミィと呼んでいいのはパチェと…」

 

「あー…覚えてないか?」

 

「覚えてないもなにもお前とは初対面のはずだか?」

 

「あ、そっか、この姿はレミィには見せてないからな」

 

そう言って隠していた尻尾(・・)を出す

 

「これでわかるか?」

 

「あ、ああ…霜月…?」

 

「お、思い出してくれたか」

 

「…私が小さいとき、フランから呼ばれていたあだ名は?」

 

「わがままな幼女」

 

「私の夢は?」

 

「想い人と生涯過ごすこと」

 

「私の想い人は?」

 

「一番近くの人」

 

「…霜月だぁ」

 

レミィが抱きついてくる

避けることなく受け止める

 

「…おかえり」

 

「ただいま、レミィ」

 

レミィの頭を撫でる

さらさらな髪は指を止めることなく受け流す

抱きつきながら肩を震わせるレミィの頭をやさしく撫でながら、時間が過ぎていくのを待った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流れでただいまって言ったけど…俺、ここに住んだ覚えは無いが」

 

「…うるさいっ」

 

「いだっ」

 

…なんで叩かれたし




……霜月は頭を撫でるのが好きなようです
自分の語彙力の無さを恨みたいっ
想像力ももっとほしい
そして文章力をくださいっ

…予告はもうしません
予告したらおそらくそうならないでしょう

では、次の回まで
さようなら


霜月「レミリアの呼び名、パチュリーと被るんだが」
橘「うん、思いつかなかった」
霜月「レミリアの想い人も予想つくんだが」
橘「うん、文章力がなかった」
霜月「…頑張れよ」
橘「うん…頑張るよ」


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4.紅い吸血鬼は見た目相応

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

…予告しなくてよかった!

なんで書いてるといつも脱線してしまうんでしょう
…不思議だね

…さて、前書きに書くことが無くなってきている
話題集めなりしないとなぁ…(遠い目)

信長「はっはっは セプテットじゃ!」

…さて、では『4.紅い吸血鬼は見た目相応』、どうぞ

あ、いつもより短いかと思われます
…区切りがいつも微妙なんですっ
すいませんっ <(_ _)>


レミィが目を充血させている

その隣には咲夜

 

そして俺は咲夜の前で正座をしております

…どうしてこうなった

 

 

----------

 

鼻をすする音しか聞こえないレミィの部屋

 

「…なんで泣いてるんだ?」

 

疑問に思ったことを口にする

 

「霜月が…約束してたのに来なくて…グスッ…そのあとずっと来なかったからっ…!」

 

…あー、あの時か

 

「…すまん、あのときは―――」

 

「言い訳なんか聞きたくないっ!」

 

そっとしておくしかないか…

 

「すまなかった、埋め合わせはいつか絶対する。俺が言うのもなんだがどんと泣け」

 

「グスッ…う、うわああああああっ!」

 

…そこまでは良かった

 

「どうされましたか! お嬢様!」

 

咲夜が切羽詰まった表情で入ってくる

額には汗があるから飛んできたんだろう

 

「…お嬢様を泣かせたのはお前か」

 

…はい?

 

「お嬢様を泣かせた悪党はお前かぁ!」

 

「え、いや、お、俺だけども」

 

「じゃあ死ねぇ!」

 

ナイフを額めがけて飛ばしてくる

こっちにはレミィがいるってのに

 

「あぶなっ」

 

そのナイフを上体を反らして避ける

そしてレミィを抱えバックステップする

 

「お嬢様に触るな!」

 

瞬きしたその瞬間、俺の腕から重みが無くなる

咲夜の方を見ると横にレミィはいた

 

「なぜ泣かした! 言え!」

 

「泣かせたのは俺だけど泣かせたくて泣かせた訳じゃない」

 

「泣かせたという事実がある以上言い訳は無駄だ!」

 

「わかった、俺が悪かったからそのナイフをしまってくれ」

 

「嫌だ。お嬢様を守るためのナイフを今使わずにいつ使う!」

 

「いや知らんがな…いや、嘘、嘘だから。何もしないから攻撃するのはやめてくれ」

 

「……不審な行動を少しでもしたら命はないと思いなさい」

 

「…わかった」

 

そして今に至る

 

----------

 

「レミィに聞いてみたらわかるんじゃないか?」

 

「その名で呼ぶな! 呼んでいいのはパチュリー様だけだ!」

 

「…レミリア様に聞いてみては?」

 

「お嬢様、本当でしょうか」

 

咲夜はレミィに聞く

 

「…霜月が泣かせた」

 

「…遺言を言う時間だけは与える」

 

「レミィ…もうホットケーキ作ってあげないからな」

 

ホットケーキの単語にピクッと反応するレミィ

 

「あーあ、埋め合わせの一つでホットケーキ作ろうと思ったのになぁ」

 

バッと顔を上げるレミィ、その目は輝いていた

 

「それほんと!?」

 

「ああ、ほんとだとも」

 

「咲夜、厨房に霜月を案内してちょうだい」

 

「…え? しかし…」

 

「咲夜、命令よ。霜月を厨房へ案内しなさい。それと霜月に危害を加えないこと、わかったわね?」

 

「…わかりました」

 

とぼとぼ部屋から出ていく咲夜

 

「霜月も行くのよ」

 

「あ、今から作れと」

 

「そゆこと、行ってらっしゃい」

 

咲夜とは裏腹に楽しそうに言うレミィ

その声に返事をしつつ咲夜についていく

 

玄関からレミィの部屋までの時間と同じくらいの時間で厨房へ到着する

 

「こちらです、霜月様」

 

「…ありがとう、それと俺のことは呼び捨てで構わない」

 

「いえ、こちらの問題ですので『様』をつけさせていただきます」

 

「…せめて『さん』にはできないか? 様は慣れていないからくすぐったくてね」

 

「…わかりました」

 

「…で、材料はあるのかな」

 

「こちらにございます」

 

瞬間目の前の机にホットケーキを作るための材料や器具が現れた

 

「…瞬間移動系の能力か?」

 

「それにはお答えいたしかねます」

 

「ふむ、まあ深くは聞かないよ」

 

それでは失礼します、と咲夜の声が聞こえたが姿はもうなかった

 

「さて、それじゃあやりますかね」

 

 

 

《ホットケーキ、作りました('ω')》

 

 

 

「できたぞー」

 

ホットケーキを作り終わったところでちょうど咲夜が現れた

レミィは自室で待っている、とのことだった

 

それで、目を輝かせてホットケーキを見つめるレミィには呆れの一言しかない

 

「…ハッ、作ってきてくれたか」

 

「作ってきてくれたか、じゃない」

 

手刀でレミィの頭を軽く叩く

…咲夜、睨まないでくれ

 

「…なによ」

 

「前に言わなかったけか、なにかをしてもらったら言う言葉があるだろ?」

 

「……あ、ありがとう」

 

ぎこちなくお礼を述べるレミィ

その頭を撫でる

 

「ッ…」

 

顔を赤らめうつむくレミィ

…別にこうさせたくて撫でてるわけじゃない

 

「よく言えました」

 

「こども扱いをするなっ」

 

レミィは俺の手を払いのける

そのとき見たレミィの物足りなさそうな顔を見逃すはずがない

 

「おりゃおりゃ、俺の年齢と比べりゃこどもだろうが」

 

レミィの頭をわしゃわしゃとする

…反抗しないのがやっぱりこどもだわな

 

 

しばらくしてレミィの頭から手を離す

 

「さて、冷める前に食べろよ」

 

机に載せていたホットケーキを指さす

 

「…いただきます」

 

ホットケーキを食べ始めるレミィ

その顔はすごくうれしそうだ

 

「うんうん、そんな表情されると作った方もうれしいってもんだ」

 

そんな言葉を聞いていないかのように食べ進めるレミィ

 

数分で十段ものホットケーキを食べ終えてしまった

…一つの大きさ手のひらくらいだぞ

 

「久しぶりに食べたわ、霜月のホットケーキ」

 

「舌には合ったか?」

 

「もちろんよ、おいしかったわ」

 

「そりゃよかった」

 

ホットケーキが載っていた皿を下げる咲夜

 

「ああ、ありがとう」

 

「いえ、おきになさらず」

 

…たまに刺さるような視線が…

 

「あ、そうだレミ…リア、フランはいつもの場所か?」

 

フランという単語を口にした瞬間、咲夜は手を止める

 

「…ええ、前と変わらない場所よ。ただ、あの時より…」

 

「ふむ…まあ大丈夫だろう。それじゃ顔を出してくるよ」

 

フランの場所を思い出しながらレミィの部屋を出る

そしてフランのいる地下への扉のある大図書館へむかうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おにイちゃん、キてくれタんダね。あのときノように、アそンデくれるンダよネ?」




はい
…はい
……はい

書いていくうちに低い文章力がさらに低くなっていく現象が発生しております
もっと精進していきたいと思います

…次は大図書館メインだろうなあ…

…あ、最後のあれは…スパイスです
狂ってるセリフを書いてるときが一番楽しいです
…思考が狂ってるって? 反論できないね HAHAHA

それではまた次回、さようなら



フラン「あれでよかったの?」
霜月「えらいぞー」ナデナデ
フラン「えへー」
レミリア・紫「(う、羨ましい…)」
霜月「あれ? 今誰かいなかったか?」
フラン「誰もいなかったんじゃない?」
レミリア「え、ええ、誰も見てないわよ?」
霜月「…ふーん」
レミリア「…(霜月を愛そう会の副会長は、けっしてくじけぬぞっ)」
霜月「…言い計り知れぬ悪寒が…」


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5.紅い館の魔法使い

キャピキャピリン
どうも、SW2.0にはまっている橘聖です

勢いあまってルルブⅠ~Ⅲ(改定版)も買いました
いやあ…ルルブ眺めてるだけで充実感が…
私は後衛職が好きなので、エルフプリ―ストか人間プリ―ストですかね…
どこかのMSみたいなプリを目指してみてもいいかもなあ
…白○卓(わーはく○く)の動画はすごいですね
粉物コンビって誰が考えたんでしょうね、その頭が羨ましいです(いい意味)

…っと、熱が入りすぎました

今回の話は私の頭では難しかったです
この作品はハーレムの話ではないので、恋以外の話を考えるのが…

…無駄話が過ぎました
では『5.紅い館の魔法使い』、どうぞ
…二つ名と被らないようにやっていきたいなあ(願望)


…迷った、困った、餅ついた

前にこの館を探索したことはあったがこんなに広くはなかった

改装でもしたのかねえ

色は変わってたが外見の形は前と変わってなかった

 

そんなこんなでうんうんうねっていると

 

「お困りでしょうか」

 

目の前に咲夜が現れた

 

「そうだね、前にこの館を探索したことがあるんだが、そのときと広さや中の形が変わっててね」

 

「…わかりました、それではこちらへ。大図書館へご案内させていただきます」

 

礼を述べつつ咲夜の後についていく

 

数分後、大図書館への扉の前に到着した

 

「到着です。それでは私はこれで失礼させていただきます」

 

また目の前から消えた、と思いつつ大図書館に入る

 

前にここを訪れたときは、埃っぽい空間で本も乱雑に置かれており、とてもではないが読もうとは思わないほどの放置され様だった

しかしどうでしょう

換気をしているのか埃っぽさはなくなっており、本が湿らない程度の湿気を保っている

そして本は棚にしっかりと収納されており、さらにはジャンル順にわかれていた

 

「…ほえぇ…しっかりと整理整頓されてる…レミィは面倒だからとか言ってしなさそうだが…」

 

そんなことを呟きつつフランのいる地下室への扉へ向かう

しかし、大図書館の中央、開けているところに女の子がいた

 

「こんにちは、かな」

 

「…ええ、こんにちは。急に聞いて悪いけどあなたはどうしてこの大図書館へ来たの?」

 

「俺の名前は霜月、呼び捨てで構わない。それでなぜここに来たのだが…」

 

そう言って入ってきた方向とは反対側、大図書館の奥へ目線を送る

 

「…フランと久しぶりに会ってみたくてね」

 

「久しぶり?」

 

「ああ。…少し昔話をしよう」

 

昔あった出来事、レミィたちの昔の話をしてあげよう…

 

 

 

----------

 

俺はツェペシュ、ヴラド=ツェペシュの友達だったことがあってね

その子どものレミィ、レミリア・スカーレットの子守役をしてたんだ

吸血鬼と言えど子ども。やっぱりかわいかったよ

そのレミィが5歳の時に妹のフラン、フランドール・スカーレットが生まれたんだ

フランもかわいかったよ、レミィと髪色や羽が違ったけど自分の子どもみたいでね

…だけどそんな時間がずっと続きはしなかった

レミィが10歳、フランが5歳のときに人間が来たんだ、それもたくさん

…そう、その人間たちは吸血鬼を狩りに来たんだ

もちろん、普通の状態ならツェペシュが負けるはずがなかった

普通の状態ならね

人間たちが攻めてくる日の前日の夜、ツェペシュは大けがして帰ってきたんだ

だけど吸血鬼、時間をかければ体は元通り、体は

体力とかは吸血鬼でも消耗する、それが原因でツェペシュは狩られた

ツェペシュの妻はもともと戦闘能力があまりなくてね、人間どもにいろんなことをされた挙句、なぶり殺された

レミィとフランは俺の能力でなんとか見つからずに済んだ

そして俺が、殺された二人に変わって人間どもは燃やした

だけど…残された二人は心に大きな傷を負ったんだ

両親が殺されてなんともない子どもはいないよ

吸血鬼も例外じゃなかった

レミィもフランも泣いてたよ

そりゃあもう大声でね

泣き疲れて寝てるときにも涙が出てたよ

それからだね、レミィとフランに能力が発現したのは

レミィは身内をそんな目に遭わせないために事前に回避させるための能力

フランは親を殺された恨みから先手必勝のための能力

そして…気が触れた

レミィは姉としての気持ちが強かったからか何とか気は触れなかった

だけどまだ精神が安定していなかったフランは…

 

----------

 

「というわけだ」

 

過去の忌々しき話

俺も話しているうちにあのときの後悔がこみ上げてくる…が

あいつと約束したから…人間は襲わないし…襲ってもツェペシュが帰ってくることもない

 

「…わかったわ、今から封印魔法を解くから少し待ってて」

 

そう言って女の子は扉のある方へ歩いていく

 

「ああ、言い忘れてたわ。私はパチュリー・ノーレッジ、パチュリーとでも呼んでちょうだい」

 

「わかった、それと封印魔法を解いてくれてありがとう」

 

「…別にレミィの信頼できる人でフランと知り合いなら大丈夫だと思っただけよ」

 

「レミィ呼びか、従者とかではないのか?」

 

「私はレミィの友達よ、従者は別にいるからね」

 

会話をしているうちに頑丈そうな扉の前に着いた

 

「じゃあ解くわよ…―――」

 

聞き取れない声が数秒間耳に届く

 

「―――…ふう、終わったわ」

 

扉に変わったところはない

しかしパチュリーは汗だくになっていた

 

「…すまない、迷惑をかけたな」

 

「別に、大丈夫よ、この、くらい」

 

そう言ったとたんパチュリーの体が前に倒れる

それを尻尾で優しくキャッチする

 

「大丈夫じゃないじゃないか」

 

「久しく大魔法を使ったからね…気持ちいい…」

 

言い終えるとパチュリーはすうすうと寝音をたて始める

 

「…なんで初対面の男の前で無防備に寝るかなぁ…」

 

はあ…とため息をつく

 

「咲夜、いるー?」

 

「なんでしょうか」

 

呼んだ瞬間前に現れる咲夜

 

「パチュリーが寝たんだけど、パチュリーの部屋に案内してくれないか?」

 

「わかりました、ただしパチュリー様をお部屋に運んだあと、速やかに退室してください」

 

「…別に初対面の女の子を襲うほどたまってない」

 

「そんな意味ではございません。病気の可能性もございますので検査をするだけです」

 

いやらしい、と訴えるかのような目線が…

 

「すまない、つい先日そんな感じの会話があったものでね」

 

弁解をしてみるが、おそらく意味はないだろう

 

「…お嬢様には《霜月様はいやらしい方です》と報告させていただきます」

 

「やめて、そんな考え方をしたことは謝るからやめて」

 

「では…」

 

そこで咲夜は俺の後ろに目を向ける

 

「その尻尾をもふもふさせてください」

 

「…Σ(・_・;)ウェ?」

 

取引内容が予想外で変な声がでてしまった

 

「さもなければ…」

 

「それでいいならいくらでも」

 

「では、取引成立です」

 

移動中にそんな会話をして、無事パチュリーをベッドの上に運んだ

パチュリーを降ろす間際、もふもふぅ…と声がしたが気のせいだろう

 

「診察終わりましたので…」

 

「ちょっと待て、いつやった」

 

「え、今しました」

 

「はぇ?」

 

「時間を止めて診察しました」

 

「…ああ、能力か」

 

「はい、では…」

 

咲夜は尻尾めがけて飛んでくる

避けたらレミィに言われるので止む無く受け止める

 

「もふもふもふもふもふもふ…」

 

「…大図書館までな」

 

聞いていない咲夜を尻尾でぺちぺちしながら、来た道を戻っていった




無駄に話が長いです、はい
咲夜はもふもふ好きです
パッチェさんも同様です
フランやレミリアの過去はオリジナル…だと思います
お風呂に入っていたら思いつきました

…書くことが無くなっていく…
誰か…誰か話題をかんs(無言の腹パン

ではまた次回、さようなら…うぇっぷ




霜月「そんなに尻尾もふもふだったか?」
パチェ・咲夜「そりゃあ夢中になるほど」
霜月「いずれはレミィとフランからもされるんだろうなあ」
フラン・レミリア「ギラリ」
霜月「ヒエッ」
紫「(私ですら触らせてもらえなかったのに…!)」
霜月「(だって紫が触るとボサボサになりそうだったもん)」
紫「(こいつ、直接脳内に…!)」


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6.吸血鬼の姉妹

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

やっとフランが登場します
…3話ぐらい前に予告してた気がする

それと今回、ちょっとスランプに陥りかけてた気がします

…お気に入りが10件…?
Σ(゚Д゚)ウェ?

こんな駄文の作品を読んでくださってありがとうございます
これからも精進していきたいと思います

それでは『6.吸血鬼の姉妹』、どうぞ


咲夜の頭を尻尾でぺちぺちしながら大図書館にある地下室への扉の前に到着する

 

「着いたから降りてくれないか?」

 

自分の尻尾へ視線を移す

そこにはいまだ尻尾を触っている咲夜の姿があった

 

「えー、いいじゃないですかー」

 

「レミィが泣いてたときと全然キャラが違うじゃないか」

 

これには苦笑いするしかない

 

「だってー、霜月様の尻尾が気持ちいいんですもん」

 

「その言葉はありがたいが…フランのところに行くんだぞ」

 

瞬間、咲夜は何事もなかったかのように俺の隣に立っていた

 

「お言葉ですが、妹様はただいま危険な状態だそうです、お会いになられるとしたらまた後日が良いかと…」

 

「要するに咲夜は今のフランと会うのは反対だと」

 

咲夜は何も答えない

 

「だが、フランやレミィを多少なりとも育てた俺にそんな言葉で会うのを諦めさせれると思ったか?」

 

咲夜は何も答えない

 

「…すまないが、それでも俺は行かせてもらう」

 

扉の取っ手を持って押す

扉は重厚そうな音をたてながら地下への道を開く

 

「でも…忠告ありがとう」

 

お礼を述べる

咲夜は一礼して

 

「帰ってこられるのをお待ちしております」

 

そう言って視界から消えた

 

「さて、フラン、今会いに行くぞ」

 

地下への階段を一歩、また一歩と進んでいく

 

 

 

 

 

 

 

五分もしないうちに一番奥の扉の前に到着する

一見、普通に見えるこの扉

しかし鍵穴は無く、取っ手も無い

線が入っている壁に見えなくもないのだ

 

「…―――――…」

 

ここに施されている封印魔法を解く

おそらくこの魔法を知っているのはレミィとパチュリーだけだろう

レミィには俺が教えたし、パチュリーも魔法が使えるならここの魔法を解く方法もわかるだろう

 

封印魔法が解かれた扉は内開きで開いていく

その中には…

 

前と変わらぬ部屋

前と変わらぬ家具

前と変わらぬ少女

 

フランがこっちを見て椅子に座っていた

 

「やあフラン、久しぶりだね」

 

「ひさシぶりだね、おにいチャん、あそぼウよ」

 

「おーけー、遊ぼうか」

 

そう答えた瞬間、フランは俺の方へ突進してくる

俺は避けることなく、尻尾を体の後ろから体の右へ動かす

フランの突進の先は…尻尾だった

 

「ふあああ…久しぶりだー…」

 

「どうだ、久しぶりの尻尾は」

 

「前よりももふもふになってるー…ふあああ…」

 

「気持ちよさそうだな」

 

肩をすくめる

 

「ほぼ毎日触ってた尻尾だよ? 気持ちよくないわけないよー。それに、おにいちゃんが紅魔館に来たときからずっとさっきの姿勢で待ってたんだよ」

 

「え、どこかの考える像みたいな恰好で?」

 

「うん、そうだよ」

 

「ちょっと見せてみろ」

 

フランの顎辺りを見る

そこには圧迫されたのであろう痕が赤く残っていた

 

「ほんとだ、大丈夫か?」

 

「ただの痕だからだいじょーぶ、それよりなんで危険って言われてたのに来たの?」

 

「え、聞こえてた?」

 

「うん、ばっちり」

 

「吸血鬼って聴力もよかったっけ」

 

「こうもりも聴力がいいからそうなんじゃないかな」

 

「うへえ、こわっ…んー、来た理由は…」

 

「理由は?」

 

「育ての親として…かな」

 

「おー…かっこいい(?)こと言うねー」

 

「(?)は不要じゃ」

 

もふられてない尻尾でぺちっとプランを叩く

叩かれたフランは頬を膨らませる

 

「叩かなくてもいいじゃん」

 

「じゃあ叩く道具を片付けますねー」

 

そう言って、九つあった尻尾を消す

フランは一気に悲しそうな顔になる

 

「あっ…もふもふが…」

 

「もふもふが…じゃない、俺の尻尾だ」

 

「おにいちゃんの尻尾イコールもふもふ、おーけー?」

 

「おーけーじゃない。それと、なんで今さっき気が触れてたんだ?」

 

フランはバツの悪そうな顔になる

 

「…おにいちゃんがなかなか私のところに来なかったから」

 

「…え、それだけ?」

 

「うん、それだけ」

 

…(´・ω・`)

 

「大事かと思ったら俺のせいか」

 

「…そうなるね」

 

「まあ、フランに大事がなくてよかったよ」

 

「心配してくれてありがと」

 

そんなこんなで会話をしていると

扉の方から視線を感じた

…うん、だいたい察せる

 

「…レミィ、なんで隠れてるのかなあ?」

 

殺気をちょっと出してみる

 

「ピィッ!?」

 

もはや声と言えるか微妙な声を出すな

地下室の入口、レミィが隠れているところに目線を向ける

 

「なんで隠れて見てるのかな?」

 

「フ、フランが気が触れてるって言ってたから霜月に何かあったら、と思って…」

 

「…心配してくれたんだな、ありがとう。ほら、こっちに来ていいよ」

 

殺気を引っ込めて手招きする

レミィは扉を閉め、俺の横に来る

 

「…あんなだったレミィとフランがこんなに立派になって再会できるとは…運命ってのも悪くない」

 

右手でフラン、左手でレミィを撫でる

吸血鬼という種族のまえに女の子であり肉親を亡くしたレミィとフラン

そんな姉妹に再会できたことを運命に、神様に感謝してもいいのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、その悪くない運命を操ることができるけど?」

 

「…いい雰囲気を壊さないでくれ」




最後の一文を考えるのが楽しみだなーだが下手だ

みたいなことがよくあります

次回か次々回に別のところに行こうかなと思っています
…どこにしようかなあ

子を慈しむは母の宿命
母を求めるは子の本能
然らば、其れを失った子と母は何とする

この文、覚えてしまうほどに好きです

それとこの頃寒いですねー
皆さん、体にお気をつけてお過ごしください
では、また次回でお会いしましょう、さようなら






霜月「紅魔館内ってあったかいのか?」
レミリア「あったかいわよ、紅いし」
霜月「赤は暖色だけど紅もなのかね」
フラン「同じなんじゃないの?」
霜月「…どうなんだろうな」


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7.主とメイドと妹と

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

どうもこの頃書き方が不安定になってきています
一人称で書いてるつもりが三人称っぽくなっていたり、と
それと展開があまり思いつかず、週一ペースになってきています
もう少し間隔を縮めたいと思っているんですが…
あと、展開が簡単といいますかマンネリしているといいますか…
もっと展開のバリエーションを増やしたいものです

さて、言い訳はここまでにしておいて
『7.主とメイドと妹と』、どうぞ


尻尾の上で寝ているレミィとフランを起こさないように九本の尻尾でやさしく包む

その尻尾へ振動をあまり与えないように地下室を出る

レミィ曰く、フランは前より気が触れることが少なくなり外出しても問題がないそうだ

 

「大丈夫ですか、霜月様」

 

そうこう考えていると大図書館まで戻ってきていた

そこで待っていた咲夜から声をかけられる

 

「ああ、どうってことないよ。むしろ咲夜より軽いかもね」

 

いじわるっぽく言ってみる

咲夜はそれを聞くと

 

「…ここがてめえの墓場だ、逃げれるなんて思うなよ」

 

「…え? あ、お、えぇ?」

 

「死にさらせぇぇぇぇ!!」

 

ナイフが急に現れ、俺に向かってくる

 

「待て! ちょっと待て!」

 

「人が気にしていることをさらっと言うてめえは死刑だ!」

 

「すまない! 謝るから! やめて!」

 

「命乞いをしても無駄だ! さっさと死ねぇ!」

 

尻尾を配慮しつつナイフを避けたり落としたりする

しかし防戦だけではナイフの雨は止まらないだろう

こっちにはレミィとフランがいるってのに…ん?

…よし

 

「レミィとフランがいるから止めろって!」

 

レミィとフランの名前を出すと咲夜の動きが止まる

止まった咲夜を残っている尻尾で持ち上げる

 

「ひゃっ」

 

「レミィと一緒にいたい? フランももう気は触れてないから大丈夫だけど」

 

「…むむむ」

 

「(nmd)」

 

「…お願いします」

 

「じゃあ抵抗するなよー」

 

言われた通り抵抗しない咲夜を一本の尻尾で(くる)

そして寝ているレミィのとなりに置く

 

「ふああ…最高のベッドだー」

 

「尻尾に触れてるときと普段のキャラが変わるのはなぜだ?」

 

苦笑しながら聞いてみる

 

「わかりませんよー、おおらかな気持ちになってるんじゃないですかー?」

 

「…もふもふは人の心をおおらかにする…か」

 

尻尾に意外な効能があったことについて考えつつ館を散策する

…そういえば

 

「咲夜、この館って見た目より中が大きく感じるんだか…何か魔法でも使ってるのか?」

 

「いえー、私の能力で広げてるんですよー」

 

「咲夜の能力って何なんだ?」

 

流れに乗って聞いてみる

ちょっと前は教えてくれなかったが、今の状態なら可能性はありえる

 

「時間を操る程度の能力ですよー」

 

…尻尾、さすがだ

 

「時間で空間を拡張できるのか?」

 

「んー…パラレルワールドみたいなものです。時間が違う世界の紅魔館をつなげて広くなってるのです」

 

「へえ…すごいんだな、咲夜って」

 

「ふぇっ、いえいえ、そんなことありませんよ」

 

顔を赤くしながら否定する咲夜、褒めなれていないのだろう

 

「それと…霜月様」

 

「ん、なんだ?」

 

「…ここで寝てもいいでしょうか」

 

「別に構わないぞ、寝相はいいか?」

 

「はい、いい方だと思っております」

 

「んじゃ、安心して寝てくれ」

 

もふもふのベッドに三人目の睡眠者が現れる

三人とも寝音は静かだ

 

「さて…どうしたものか」

 

以前訪れたことはあれど内装は変わっている

初めて来たのとほとんど同意義なのだ

そして案内役はベッドで安眠

…あれ、詰んでね?

 

「…仕方ない、歩いてたら知った場所に着くだろう」

 

そのまま歩を進める

しかし窓の無い紅魔館は、自分がどこにいるのか把握できなくするほど迷いやすい構造になっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ、ここ今さっきも通ったな」

 

歩くこと一時間

部屋には番号が振ってあり、何度も見た番号が目に入る

 

「…反動がこわいが…能力使うか」

 

そうつぶやき能力を使う

しかし見た限りでは変化は表れない

 

「さて、この迷路を運でのりきってやりましょうか」

 

口ではそう言うが心の中では反動をおそれていた…

 

 

 

 

 

 

数分後、来たときに一度見た豪華そうな扉の前に到着した

 

「着いた、レミィの部屋だ…」

 

失礼する、と後ろで寝ているこの館の主に起こさない程度の声で言う

そしてレミィの部屋と廊下を隔てる扉のドアノブに手をかけ捻る

特にギィィーといった音をたてることもなくすんなりと開く

そのままレミィのベッドの横まで移動する

 

「…レミィとフランはいいとして、咲夜はどうしようか」

 

寝ている三人を落とさないように尻尾を動かし、慎重にレミィとフランをベッドの上に置く

その横にメイド姿の咲夜をしわがよらないように置く

 

「…起こすのも悪いし、仕方ないな、うん」

 

そう自分に言い聞かせるようにしてレミィの部屋から出る

そして玄関からレミィの部屋まで来た道を戻っていく

 

数分後、玄関に着いて両開きの扉を開ける

数時間ぶりに見た外は…暗かった

太陽が西の方角に落ち、満月が東に浮いていた

 

「…もう夜か」

 

数時間しか経っていないと思っていたが軽く半日程度は紅魔館にいたようだ

窓が無く、外の様子がわからないだけで時間感覚が狂うとは…

 

「まあ、そうこうもしてられないか」

 

この時間は妖怪が至る所でうろついている時間だ

いくら自衛の方法を熟知していても、俺を凌駕する妖怪はざらにいるだろう

門を出るとき、寝ていた美鈴を起こして紅魔館をあとにする

 

まわりに衝撃がおこらない程度の速さをだしつつ家へ向かう

しかしまわりが異様なほど静かだった

そんな静寂に不安感を感じていたとき…

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャアアアアア!!!」

 

遠くから、一つの高い悲鳴が耳の奥にささった




題名の割には中身がしょぼい!
こんな題名をつけたやつ、出てこい!
先生怒らないから正直に出てきなさい!
…はい、私です

低評価つけたいならどうぞ
それが私の実力です…

咲夜の空間拡張の説明は独自設定…?
自分で考えた設定ですので矛盾点はあるかと思いますが
…一番しっくりきた設定でしたのでお許しください

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回にお会いしましょう





霜月「三人ともレミィのベッドに置いたけどよかった?」
レミリア「ええ、私は大歓迎よ」
フラン「お姉さまのベッド、とても気持ち良かった~」
咲夜「お嬢様のベッドで…(うつむく)」
霜月「やっぱり別のほうがよかったか…」
咲夜「いい経験になりました」
レミ・フラ・霜「Σ(・□・;)」


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8.うさぎ耳の女の子

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

ほんと、駄文しか書けない
この回の後半はセリフばっかりで読みにくいかと思われます
同じ日に書いたのに書き方が変わるんですよねぇ…

あ、それと前回の注意点(咲夜の能力による空間拡張)とキャラの会話を抜かしていました
もし時間があって、暇な方は見に行ってみてください

それでは、遅くなりましたが
『8.うさぎ耳の女の子』、どうぞ

…あのキャラって女の子でいいのかな


無意識のうちに悲鳴の聞こえたほうに走っていた

方向は湖の向こう側

妖力を使い空を飛んで急行する

 

行った先にはうさぎ耳をつけた女の子が腰を抜かしていた

その前には人の言葉を喋る蜘蛛が息を荒くしていた

 

「へへへ、おなごだあ、あんなことやこんなことを…げへへ」

 

明らかに雄としての目で女の子を見ている

それに対してそんな目で見られていた女の子は

 

「いやっ、やめて、こっちに来ないで!」

 

後ずさりしながら必死に逃げようとしていた

…いじめられているのを快く思わないのは当然だ

 

「妖怪として人を食べるのは自然の摂理、性欲も仕方ないだろう。だが、同じ種族同士でやっていただきたい」

 

女の子の前に出て相手を牽制する

 

「黙れっ! おでには人間の雌しか嫁にはいらないっ!」

 

「おうおう、身勝手なこった。じゃあ俺も妖怪として…」

 

暗闇の中でも目立つ白色の尻尾を九つ出す

 

「九尾の狐として、目の前の邪魔な蜘蛛には消えてもらう」

 

手の中に火の弾を作り出す

 

「明るいだろう、明るいと影はどうなる?」

 

「う、うるせぇ! お前なんか殺す!」

 

蜘蛛がこちらに攻撃してくる

 

「…影は、消えるんだよ」

 

火の弾を蜘蛛に飛ばす

その弾は徐々に大きくなり、成人の人間二人ぐらいの大きさの蜘蛛を飲み込む

 

「がぎゃああああ!!」

 

「うるせえ、黙って消えろ」

 

とどめの火球を燃えている蜘蛛へ飛ばす

数秒後、こだましていた叫び声は消え、静寂があたりに訪れた

 

「…あ、そういえば大丈夫か?」

 

後ろにいる女の子に話しかける

…しかし返事は帰ってこない

後ろを振り向き女の子の姿を探す

 

ちゃんと女の子はいた

ただし、泡を吹いていた

 

「ふぁっ!? ちょっと、大丈夫か?」

 

急いで女の子の傍へ行き、鼓動を確かめる

 

…大丈夫そうだ

 

「にしても…うさぎ耳をつけて歩くとは」

 

哀れみの目で女の子を見る

 

「…ここにいたらまたあんなやつが来かねないか、とりあえずうちに運ぶか」

 

尻尾で女の子を拾い、家へ向かう

 

 

 

何事もなく家に到着する

そのまま鍵を開けて家に入る

 

綺麗になっていた

家具も、布団も、台所も

光を当てたら反射しそうなほどに掃除されていた

 

「…八雲一家の仕業か、藍が提案したのかね」

 

とか考えながらうさぎ耳をつけた女の子を布団の上に置く

 

「…久しぶりに妖術使ったし、眠いな…」

 

来客用の布団に寝ようかと思って後ろを振り向く

しかし、睡魔に襲われそこで意識は途切れた

 

 

 

――――――――――

 

襲い掛かられそうになっていた

対抗する手段などいくらでもあったはずだった

しかし診療などをして疲れた脳では考えることができなかった

もうやられる、そう思ったときにその人は現れた

性欲ダダ漏れの蜘蛛妖怪を火球で葬った

しかし恐怖からの解放で、私は気を失った

 

 

 

 

 

朝日が瞼にあたり目が覚める

 

「知らない天井です」

 

いつも目が覚める私の部屋じゃない

上体を起こし、部屋を見渡す

 

綺麗になっている部屋

棚も、机も、窓も、朝日の光を反射していた

 

そして近くには倒れた男性が

その男性には見覚えがあった

気を失う前、私を助けてくれた人

 

頭には太陽の畑にある花を(かたど)った髪留め

服は白と黒を基調とした足までの長さの和服

 

…男性の家?

そう思うと顔に熱が集まっていくのを感じる

わ、私、男性の家に寝泊まりした!?

 

お礼の一言も述べず、その男性の家を急いで後にした

 

――――――――――

 

太陽が空高くにきたころに目が覚める

 

「…痛い」

 

硬い床にそのまま寝てたのだから当然である

体のあちこちに痛みを感じる

 

「そういえば、女の子は」

 

起き上がりつつ布団を見る

そこには、急いで起き上がったとみられる横に追いやられた掛け布団があった

 

「…自分から帰ったのなら大丈夫そうだね」

 

その後、掛け布団を直し、遅めの朝食を済ませ思考する

 

「んー…今日はどこに行こうか…」

 

「やっほー、あなたのゆかりんよー」

 

「うるせえ」

 

「いだいっ!? なんで叩くの!」

 

「急に現れるわ耳元で叫ばれるわで頭にくるんだよ」

 

「…ごめんなさい」

 

「ん、謝れる心があるならよろしい」

 

「わたし、許された!?」

 

「そんなオッドアイの傘持った妖怪みたいな…あれ? なんで俺こんなこと知ってるんだ?」

 

「さぁ? 私もなんか口が勝手に動いたけど…」

 

「わかんないのならそれでいいか。んで、なんで紫がここに?」

 

「霜月が行きたいところを考えてたからおすすめの場所を教えようと思ってね」

 

「ふーん…?」

 

「そんな疑うような目で私を見ないで」

 

「ごめんごめん、そのおすすめの場所は?」

 

紫は俺の頭に指をさす

 

「その髪留めを霜月にあげた本人が住んでいるところよ」

 

「…ほんとか?」

 

「ええ、ここからも近いし、行ってみたら?」

 

「もちろん行くよ、教えてくれてありがとう」

 

「いえいえ、別にこのくらいならどうってことないわ」

 

「それじゃ、今から行ってくるよ」

 

「行ってらっしゃい」

 

「…またスキマで帰るのな」

 

「もちろんですわ」

 

「あ、藍と橙にもお礼を言っておいてくれ」

 

首をかしげる紫

 

「掃除のお礼だよ、またご飯なら作るからいつでもおいで」

 

紫の頭をなでる

固まった紫を置いて、紫から教えてもらった方角へ向かう

今度こそは、と胸に誓って




…無理やり感のある霜月の服装紹介でした
太陽の畑の花と言ったら…ねえ?
白黒と言ったら…ねえ?

―――――

―――――
この間は視点変更しています
わかりにくいかと思いますが
白と黒のダイヤマークが変換で出ないんですよ
…くそう

完全に無理やり交流しましたって感じです
設定もガバガバです

こんな駄文、ガバガバ設定、キャラ崩壊のこの作品を読んでくださってありがとうございます
これからも頑張っていきます

感想・評価、お待ちしております
それでは、また次回にお会いしましょう、さようなら





紫「太陽の畑って言ったらねえ?」
霜月「あのドSのあの方だな」
紫「でもこの作品だとSじゃないそうよ?」
霜月「え、まさかドMになるん?」
紫「そんな訳ないでしょ」
霜月「ドMキャラももういるもんな、あの天人」
???「呼んだ!?」
橘「え、あ、ちょっ、何勝手に出てきてるんですか!?」
???「総領娘様! ダメですよ!」
???「まだ出番無いの!? あ、後ろに引っ張らないで!?」」
橘「もう少しキャラの関係を出してからなら…」
???「待ってるからね!? それと要石で頭を殴らないで!?」
???「総領娘様は礼儀をお知りになってください!」
???「バタンキュー…」
霜月・紫・橘「…苦労人だなあ…」


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9.太陽の畑の管理者

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

遅れました、すいません
展開がなかなか思いつかなくて遅くなりました

MTG(Magic The Gathering)のパックを5個買ったんですよ
ええ、初期デッキすら持ってないのにです
それとスリーブも買って2500円ちょっとだったんですね
それを開封したあと、近くのトイザ○スに行ったら
1200円のスターターデッキが売ってあったんです
人生で一番後悔しましたね

でも、その5パック買ったやつのなかに一つだけ英語のカードが入ってたんですよ
『Rings of Brighthearth』ってカードです
なんかキラですし、いいカードなんですかね?
予備知識すらない私には価値が全くわからんのです

あ、それと『ショック』が一枚入ってました
これは確かいいカードだったような記憶があります

どうでもいい私のリアル事情でしたが
『9.太陽の畑の管理者』、どうぞ

あ、前回の後書き会話部分も見てない方は暇なときにでも見に行ってみてください


紫に教えてもらった方向に歩くこと一時間

背が高く黄色い花がたくさん咲き誇るところにやってきた

 

「まだ育ててるんだな…こんなに数も増やして」

 

その黄色い花、ひまわりの花畑の中を歩く

すると、歩いてきた方向とは反対の方向から緑髪の女性が飛んできた

 

「あんた、ここに何の用? 人間が勝手に入ってきていいところではないんだけど」

 

…よし、一芝居打つか

 

「そうなんですか? すいません、私ここには初めてきたものであまりわからなくて…」

 

少し声のトーンを上げて喋る

 

「あら、外来人なのかしら。それなら話は変わるわねぇ…」

 

顎に手をつけて思考する緑髪の女性

 

「ひとつ聞いていいかしら?」

 

「うn…はい、なんでしょうか」

 

危ない、いつもの口調で返事するところだった

 

「この花たちをどう思うかしら?」

 

周りのひまわりを見渡して何かを確認するかのようなトーンで話してくる

 

「きれいだと思いますよ。ちゃんと手入れされてるようですし、花の高さもほぼすべて同じです」

 

「ふうん…」

 

俺の方をまじまじと見つめてくる。ばれたか…?

 

「あんたは違うのね、他の人間は気味悪いとか言って逃げるのに」

 

「その人間は花をよくわかってないんですよ」

 

「そう言ってくれてよかった、種をくれたあいつにも顔が立つわね」

 

「そのあいつってのは、もうこの世にはいないんですか?」

 

「そうね…もう500年は会ってないかしら、生きてるかどうかもわからないわ」

 

「そうなんですね。…会いたいとは思いますか?」

 

緑髪の女性は少し間をおいて答える

 

「そうね…会いたいとは思うわ」

 

「でももし死んでいたら?」

 

また少し間が空く

 

「向こうが私をどう思ってるのか、それを聞いてみたかったわ」

 

…そろそろか

 

「優しい女の子、って言ったらどうする? 幽香」

 

尻尾を出し、声のトーンを戻す

俺の顔は今、とてつもなく悪い笑みを顔に浮かべているだろう

 

「…」

 

緑髪の女性、幽香は顔を真っ赤にしてプルプル震える

そして、小さな声でつぶやく

 

「…うふふ」

 

「ん? どうした?」

 

「心配させるんじゃないわよっ!」

 

幽香から渾身の右アッパーが繰り出される

 

「おぐぉっ」

 

避けることもままならず、鳩尾(みぞおち)にクリーンヒット

その痛みに耐えきれずうずくまる

 

「あ、大丈夫!?」

 

正気に戻って背中をさすってくる幽香

 

「ははは、大丈夫…なわけねえ!」

 

尻尾を器用に使い幽香を拘束して浮かせる

 

「あ、ちょっと!?」

 

「ふふ、お返しだっ!」

 

尻尾の先っぽで幽香の脇腹、首のうしろ、太ももの内側をサワサワする

 

「あっちょっと、そこはっ」

 

体をうねらせて逃げようとする

しかし逃さん

 

「俺が受けた痛み、倍返しだ!」

 

そのまま数分間、幽香にこちょこちょした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ…」

 

「気持ちよかったか?」

 

「…ねえ」

 

幽香は膝をついた状態で声をかけてくる

 

「どうしてここまで蹂躙してくれるのかしら?」

 

「どうしてって…思いっきり殴られたから?」

 

「じゃあ殴り返してくればいいじゃない!」

 

「嫌だ。だって幽香の体硬いもん」

 

「だからってこちょこちょは止めてよ!」

 

「殴るより全然こっちのほうが効くからやったまで」

 

「そんなドヤ顔されても…」

 

「よし、ここまでにしとこう。終わらない」

 

「…すっごい敗北感が残ってるけど恨みは晴らせたからいいわ」

 

「…そんなに恨みあったん?」

 

「ええ、いろいろとね」

 

喋っているうちに身体が回復する

 

「どうせだし私の家に来る? お昼もまだでしょうし」

 

「お、いいのか?」

 

「ええ、新しい家族も紹介したいし」

 

「え、結婚したん?」

 

「そんなわけないでしょ、将来の相手はもう決めてるわよ」

 

「幽香の顔に合う男か、会ってみたいもんだな」

 

「―――…」

 

「ん? なんか言った?」

 

「な、なんでもないわよ」

 

その男のことを考えたから顔が赤くなってんのかねえ

想うだけで顔を赤くするとは乙女だねえ

 

「着いたわよ、ここが私の家」

 

「…前と比べるとずいぶん質素になったね」

 

「これでも私は満足してるほうよ? 前の家は広すぎた」

 

「そうか、じゃあおじゃましてもいいかい?」

 

「ええ、どうぞ」

 

おじゃましまーす、と言いつつ幽香の家に入る

洋風の壁に洋風の床

丸いテーブルに木製の椅子

そしてその奥にはきれいに整頓されているキッチンがあった

 

「きれいになってるな」

 

「なによ、前まで汚かったみたいな言い方して」

 

「え、汚かったじゃないか」

 

「それは前の話、今は心機一転して頑張ってるのよ」

 

「ふうん」

 

家具や置かれているものを見渡す

すると、ひとつのあるものが目についた

 

「幽香、これなんだ?」

 

手に取って見てみる

それは、金髪のショートヘア―に赤いカチューシャをつけたかわいらしい人形だった

 

「それは私の友人が作ってくれた人形よ。本人にそっくりなのよね」

 

「そうなのか、良かったら名前を教えてくれないかい?」

 

「アリスよ、アリス・マーガトロイド」

 

「アリスね、わかった」

 

「アリスの話はいいのよ、お昼ご飯作るけど何か食べられないものでもある?」

 

「特にないかな」

 

「わかった、少し待ってて」

 

そう言って幽香は部屋の奥、キッチンへ向かった

 

 

 

部屋を見渡しながら料理ができるのを待つ

そして小さい鉢に植えられている花を見てなごんでいると

 

「できたわよ」

 

幽香が料理を運んでくる

菜の花の和え物、ほうれんそうのおひたし、鴨の香草焼き、そして青汁

 

「お、おお?」

 

「ん? どうしたの?」

 

「…いや、なんでもない」

 

そんなすがすがしい顔で来られたらなんも言えねえ

そんな俺をよそに幽香は料理をテーブルの上に置いていく

 

「それじゃあ食べましょう」

 

「ああ、いただきます」

 

「いただきます」

 

俺と幽香は手を合わせて頭を少し前に倒す

そして料理を口に運んでいくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、これおいしそう」

 

「それ、唐辛子とハバネロの炒め物」

 

「がはっ、み、水っ! …苦っ!?」

 

「その青汁はケールとか苦いけど健康にはいいものだけを入れてるわ」

 

「…いやがらせだろ、これ」




オチがすごく下手ですね、はい

それ以外特に書くこともないので今回はここまでにします
それでは次回お会いしましょう、さようなら

活動報告にちょっと書いていますので
気になるかたは見に行ってみてくださいねー


霜月「あ、今回はゲストを呼んでるぞ」
橘「どうぞ、スターリンさんです」
スタ「よろしくー」
橘「スターリンさんはドラクエ10で知り合ったフレンドさんです、私はリンリンと呼んでます」
スタ「なんか橘から『出ない?』って聞かれたからとりあえず出てみた」
橘「名前は好きなキャラからとってきたそうですよ、どこかの独裁政権の方じゃないそうです」
スタ「よくそれでからかわれるんだよw」
橘「そういう名前にしたのが運の尽きw」
スタ「でもそのおかげで今のスターリンがあるんだろうな」
橘「でも私はヒ○ラーの方が…」
スタ「誰も独裁者の話はしてねえ」
橘「HAHAHA さて、そろそろ私の眠気がアウトなんで終わりますね」
スタ「じゃあの」
橘「じゃあの」



霜月「…出番がなかった」


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10.小さな甘い毒

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

深夜に2時間足らずで書きました
眠たい状況でこれを書いています

バレンタインデーが終わりましたね
皆さんはどうだったでしょうか
私ですか? 私は3つです
母親からと祖母から一つずつ
あと一つは何かって?
仲良くしている女の子からもらいました

…どこかから橋姫の声が聞こえてきそうな感じがしますが
『10.小さな甘い毒』、どうぞ

あと今回、短いです

気づいたら10話ですよ
閲覧してくださっている読者の皆様、ありがとうございます
これからも頑張って精進していきたいと思います

長くなりましたが、改めまして…どうぞ


舌の痛みが無くなりかけたとき、玄関の方から扉を開ける音が聞こえた

 

「ただいまー」

 

「お帰り、遅かったわね」

 

「ちょっと傷ついた鈴蘭が多かったから…」

 

そんな会話を幽香としながら入ってくるのは

金色の髪に赤いリボンをつけた女の子

近くには同じような姿をした人形がふわふわ浮いていた

 

「ご飯はー…」

 

こちらを認識するなり固まる女の子

…あ、尻尾出したままだった

 

「九尾の狐様っ! 殺さないでくださいっ!」

 

きれいにジャパニーズDOGEZAを決めてくる

殺気は出していないはずだが…

 

「大丈夫よメディ、この狐は私の友達だから」

 

「ほ、ほんとですか?」

 

涙目で顔を上げながら聞いてくる女の子

 

「う、うん、ごめんね」

 

そう言って尻尾を消す

 

「紹介が遅れたわね、この子が言ってた家族のメディスン・メランコリー」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

震えた声で挨拶をして頭を下げてくるメディスン

…罪悪感がすごい

 

「こちらこそよろしくね、メディスン」

 

「私のことはメディ、と呼んでください」

 

「わかった。遅れたけど俺の名前は霜月、改めてよろしくね、メディ」

 

「さて、顔合わせも済んだことだしメディはお昼ご飯まだなのよね?」

 

「うん、もうお腹ペコペコだよー」

 

幽香はすぐにできるから待ってなさい、と言い残してキッチンの方へ向かう

残されたのは俺とメディとその横に浮いている人形だけ

 

「その人形はメディのかい?」

 

「え、あ、はい、私が妖怪化したときからは横にいました」

 

「妖怪化、ならメディは後天性の妖怪なのか?」

 

「はい。元々は人形だったのですが、ここからちょっとしたところにある無名の丘ってところにある鈴蘭畑に捨てられていたんです。私はその時に人間から捨てられた恨みと鈴蘭の毒によって妖怪になったんです。と言っても妖怪になってからまだ数年しか経っていないんですけどね」

 

「…大変だったんだね、でも数年しか経っていないのならまだ新米なのか。紫や幽香とかはもう何千ねn…」

 

そのとき、キッチンと背後からとてつもない殺気が放たれた

背中に冷たい汗が流れる

 

「…何でもないよ、俺の命が無くなる」

 

「? そうですか」

 

メディは何も感じなかったようだ

俺だけに殺気を放つとか器用すぎだよ

 

「できたわよー」

 

幽香は満面の笑みでメディの昼食を運ぶ

 

何かの肉の香草焼き、サラダ、トマトの冷製スープ

…あれ? 俺のやつと違う

 

「幽香、その肉って何の肉だ?」

 

見ただけではわからなかった肉の種類を聞く

対する幽香は首だけこっちに向ける

 

「ひ・み・つ」

 

いや、そんな上ずった声で言われてもなにも思わねえ

ほら、メディも「なんだこいつきもちわりい」みたいな顔してそっち見てるじゃねえか

 

「…何よ」

 

「いえ、なんでもありません」

 

俺は顔を背ける

メディは何事もなかったかのように料理を口に運ぶ

 

そんな変な雰囲気のまま誰も声を発することなく時間は過ぎていった

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「おそまつさまでした」

 

メディが昼食を食べ終わったところで幽香に聞いてみる

 

「幽香、聞きたいことがあるんだがいいかい?」

 

「何?」

 

座った状態で体ごとこちらに向けてくる幽香

 

「いや、そんな大事なことじゃないんだが」

 

「いいから、何?」

 

幽香は続きを催促してくる

 

「ひまわり、まだ育ててくれてたんだな」

 

窓から外を見る

 

そこには精一杯背伸びをして、首を太陽の方向に向けている黄色い花が数えられないほどたくさん咲き誇っていた

 

「霜月のプレゼントだったしね、思えばあれが最初で最後の殿方からのプレゼントだわ…」

 

外を向き、ひまわりの向こうを見る幽香

 

「…気が向いたらまたプレゼント買ってくるよ」

 

「…ええ、よろしくね」

 

メディが「何この言いようのないロマンチックな雰囲気は」と言いたげな、苦虫を噛み潰したような顔でこちらを見ていたことは絶対忘れない、絶対にだ

 

 

 

 

 

「…ゴホン」

 

わざとらしい咳こみで雰囲気を変える

 

「何か幽香がおすすめするような観光場所は無いか?」

 

次の目的地を幽香に聞く

すると幽香は思いついたような顔をする

 

「それなら魔法の森はどうかしら?」

 

「魔法の森? どんなところだ?」

 

「さっき紹介したアリスが住んでいるところよ。ただ面倒な魔法使いが近くに住んでるけどね」

 

「ふむ、ありがとう。じゃあそろそろお(いとま)しますかね」

 

席を立ち玄関へ向かう

 

「あら、もう行っちゃうの?」

 

「ああ、さすがにずっといるわけにはいかないし。古い友人の顔を見たかったから寄っただけだから」

 

「そう…気を付けるのよ」

 

「もちろん。じゃあな、お世話になったよ」

 

「プレゼント、期待してるからね」

 

そう言って幽香は自分の頭を触る

俺の同じところにはひまわりを(かたど)った髪留めがある

 

「もちろんだよ。メディもまたな」

 

手を振って幽香の家を後にする

さて、次向かうなら魔法の森か

 

アリス・マーガトロイドと別の魔法使い、か

 

 

 

新しい出会い、そして古き友人との再会

幻想郷の生活に霜月は満足していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、彼は気づいていなかった

通り過ぎた森から一つの視線が彼を見ていたことを

 

 

 

バカジャネーノ




最後のやつは多分二次創作から影響を受けてます

ネタ回みたいになってしまいましたね
展開が思いつかずに無理やり次に繋げてる感が拭えないですね

今回はここまで
感想・評価、お待ちしております
それではまた次回にお会いしましょう、さようなら





霜月「ねえ、料理がメディと違ったのはなんで?」
幽香「久しく霜月に料理を作るから奮発しちゃった」
霜月「じゃあなんで辛いやつとか苦いやつを出す」
幽香「え、あれはまだ序の口よ? もっとすごいものもあるわよ?」
霜月「お前…味覚とかまで強かったんだな」
メディ「幽香、これ」
霜月「それ、世界一辛いって噂のキャロライナ・リーパーじゃねえか」
幽香「パクッ…(´~`)モグモグ」
霜月「…まじかよ」




幽香「…辛い、無理するのはやっぱり厳しいわ」
メディ「霜月さんがいなくなるまでよく我慢したね」
幽香「あれをただのいたずらと言うのはちょっとまずい気がしたからね」
橘「これどうぞ」
幽香「お、ありがと…ブハァッ!?」
橘「それ、くさやを一週間つけた水です」
幽香「幻想『花鳥風月、嘯風弄月』」
橘「ひえっ!? すいませn…」



霜月「あ、流れ星だ」


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11.魔法の森の人形遣い

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

リアルではいろいろ疲れることが身の回りで起こってるんですが、私はそれでも小説を書くことは止めません
妄想を膨らませて書くのってすごい楽しいんですもん

それと今更なのですが、霜月の口調がごっちゃごっちゃになっています
敬語もあればタメ口もあったり
そんな駄文の作品ですが読んでくださる方がいらっしゃって感激です

さて、涙を流している橘聖は無視していただいて
『11.魔法の森の人形遣い』、どうぞ


幽香から教えられた魔法の森に行ってみる

 

そこは、日中だというのに薄暗くジメジメとしており、決して気持ちのいいところではなかった

 

「ひまわり畑と対照的なところだな」

 

そんなところを適当に歩いて進んでいく

 

 

 

生い茂った草をかき分けて進んでいると開けたところへ出た

その開けたところにはひとつの建物があった

 

「ここがアリス・マーガトロイドの家なのか?」

 

表札みたいなものも無く、所有者が誰なのかはわからない

 

「横文字の名前だし、洋風の家だから合ってるのか…?」

 

いくら推測しても答えは当然わからない

ということで扉をノックしてみる

 

「だれかいないかー」

 

礼儀は知らん

 

「どなたかしら」

 

扉を開けて中から出てくるのは、幽香の家で見た人形とほぼ変わらない姿をした女の子だった

 

「失礼した、俺は霜月という。幽香の紹介でアリス・マーガトロイドに会いに来たんだけど」

 

「あら、幽香の知り合いなのね。アリス・マーガトロイドは私よ、アリスと呼んでちょうだい」

 

「ん、わかった。よろしくアリス」

 

「こちらこそ、よろしくね」

 

玄関先で挨拶を済ませてアリスの家に入る

木で作られたシンプルな椅子と机、レンガでつくられた暖炉、きれいにされたキッチン

そして、棚の上には人形

机の上には人形

浮いているのも人形

アリスの肩の上にも人形

 

いたるところに人形があった

 

「…人形が好きなんだな」

 

「そうよ、なにか文句でもあるの?」

 

「滅相もございません」

 

「…ふふっ」

 

会ってから無表情だったアリスの顔に笑みがこぼれる

 

「いい笑顔だな」

 

「ふえっ」

 

急に顔を赤らめるアリス

 

「…口説こうとしてるの?」

 

「…ああ、すまない、そういう意味で言ったんじゃない。無表情より笑顔の方が人が集まるだろうってことだよ」

 

「的確に弱点突いてくる…」

 

膝から崩れ落ちるアリス

 

「どうしてあなたは私の心をそんな簡単に抉ってくるのかしら…」

 

「すまない、アリスの友人はそんなに…あれなのか?」

 

「ふぐおぅっ」

 

「…アリスについて話すのは止めにしとこう」

 

「…そうしてくれたほうが助かるわ」

 

立ち直るアリス

その近くには人形がふよふよ浮いていた

 

「その人形は自立してるのか?」

 

「いいえ、これはまだ半自立、セミオートよ」

 

そう言ってアリスは指を動かす

するとアリスの近くに浮いていた人形が手を振る

 

「こんな感じよ」

 

「ほお…すごいな」

 

「…え?」

 

言われるとは思わなかった、そんな感じの顔をするアリス

 

「ん? だって直接触らずに思うがままの行動を人形にさせれるんだろ? それがすごくないわけがない」

 

「…霜月は気持ち悪いって思わないの?」

 

何かにおびえるような声を出して問うてくる

 

「別に。人形は元から好きな方だしな」

 

「…ありがとう」

 

「なんでお礼なんてするのかねえ」

 

「最初にこの人形達を見たときに何て言われたと思う? 『気持ちわりい』とか『こんなとこに住めるあんたが狂ってるんじゃないのか』とか、散々言われてきたの。それから私はあまり家から出なくなった。でも来る人を拒んだりはしない。どうしてだかわかる? あの時言われたこととは反対の言葉、それを聞きたかった。でもそれは今まで無かった。来る人は全員同じようなことを言って逃げていった。そんなときだった、霜月さんは私の人形を拒んだりしなかった」

 

気がつくとアリスの瞳からは涙がこぼれていた

長年の悲しみを一人でため込んでいたのだろう

尻尾を出し、アリスをゆっくり包む

 

「ひゃっ」

 

「大いに泣け、大いに吐き出せ、今までの悲しみを出せる分、全て出してすっきりしろ」

 

「…うっ…うわああぁぁぁぁ!!」

 

尻尾の中で今までの思いを吐き出すアリス

俺は尻尾で優しくアリスの背中を擦っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もう大丈夫、ありがと」

 

尻尾を叩くアリス

その言葉を聞いて尻尾を消す

 

アリスの目は赤くなっており、その近くと鼻頭も赤くなっていた

 

「ん、憑き物がとれたみたいだな」

 

今までの思いを吐き出したせいか、はたまた泣いたせいか、アリスの顔は明るくなっていた

 

「上海、蓬莱、いらっしゃい」

 

アリスの呼び声に反応するかのように家の奥から二体の人形が現れてアリスの顔の左右で止まる

 

両方とも長い金髪に赤いリボンをつけている

 

「この子たちは私が作った中でほぼ自立に近い人形、上海と蓬莱よ」

 

「シャンハーイ」

 

「ホーライ」

 

ペコリ、と空中で頭を下げる上海と蓬莱

 

「よろしくな、上海と蓬莱」

 

上海と蓬莱の頭を撫でる

 

「シャンハーイ♪」

 

「ホーライ♪」

 

目を細くして嬉しそうな声を出す上海と蓬莱

…声?

 

「なあアリス、上海と蓬莱ってどうやって声を出してるんだ?」

 

そう問うた瞬間、上海と蓬莱がどこから出したのか剣と槍を突き付けてきた

 

「ちょっと!? 上海と蓬莱、止めなさい!」

 

アリスが驚きつつも上海と蓬莱を止めに入る

主から怒られたせいか上海と蓬莱は武器を収める

 

「上海と蓬莱、霜月さんに謝りなさい」

 

「いやいいんだ、こっちの配慮が足らなかった、こちらこそすまない」

 

上海と蓬莱も申し訳なさそうな雰囲気を出している

 

「お前たちには禁句だっただけだ、俺に非があるから気にしなくていい」

 

「シャンハーイ…」

 

「ホーライ…」

 

「だから…あーもう」

 

尻尾で上海と蓬莱をつかむ

 

「気にしなくていい、お前たちは人間らしい一面を出しただけだ」

 

つかんでいない尻尾で上海と蓬莱とアリスの頭を撫でる

咲夜の言うことが正しければ落ち着くはず

 

「…なんで私までなのかしら」

 

アリスは頭を撫でられることに抵抗があるようで、尻尾を手で払いのける

 

「シャンハーイ♪」

 

「ホーライ♪」

 

上海と蓬莱は気持ちよさそうに撫でられている

対するアリスは申し訳なさそうな顔をしていた

 

「なんか…ごめんね」

 

「いや、俺の失態だからこれくらいはいいさ」

 

アリスの家の中で行われていること

アリスは申し訳なさそうな顔をして立っている

上海、蓬莱は尻尾に捕まってナデナデされている

霜月はその尻尾の持ち主で尻尾を操っている

 

そんな不思議な光景を窓の外から眺める人がいたことを誰も気づかない




ネタを入れないと精神安定しない気がする(嘘

はい、もうネタに走ってたり過去を偽装してたりしてます
アリスの過去っぽいのもおそらくオリジナルかと思います
適当に考えて、その場のノリで書いてるなんて言えない…

今回はここまで
感想・評価、お待ちしています
また次回お会いしましょう それではさようなら





霜月「上海と蓬莱、触っていい?」
上海・蓬莱「イイヨ」
霜月「え、喋れるん?」
アリス「よくわかんないんだけど、たまに喋るわよ」
霜月「では失礼して…おお、ふかふかだ」
上海・蓬莱「キモチイイ?」
霜月「きもちいいよ」
アリス「…慣れないわね」
上海「ナレルノハ」
蓬莱「ジカンノモンダイ」
霜月・アリス「!?」


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12.スキマ妖怪への罰

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

一週間は厳しかった(´・ω・`)
リアルが忙しいので不定期投稿は楽ですね
まあ、投稿時間は私の自由なんですけどね
約束したらそれを守るのが投稿者の役目です
いくらリアルが忙しいといえど頑張りますよ

…褒めても何もでませんよ?(自意識過剰

では、ニヤニヤしてる橘は放っておいて
『12.スキマ妖怪への罰』、どうぞ

-3/3 追記-
あかりをつけましょ ゆかりんに~♪
お花をあげましょ ゆうかりん~♪
五人ばやしの 雷鼓たち~♪
今日はたのしい ひな祭り~♪

適当に作ったひな祭りの歌です


アリスと雑談をしていると玄関の扉が勢いよく開かれる

 

「アリス、そいつは誰なんだ?」

 

白黒の服や帽子を身に着けた金髪の女の子が俺に睨みをきかせてくる

…ここって金髪多いんだな

 

「あら魔理沙、この人は霜月さんよ。幽香との知り合いでもあるみたいよ」

 

「こんにちは、俺は霜月という。魔理沙だっけか、よろしくな」

 

「気安く声をかけてくるな」

 

「こら魔理沙、初対面の人にそんな口の利き方はないでしょ」

 

「こんなやつに心を開くのか、アリス」

 

「霜月さんに向かってこんなやつって何よ、謝りなさい」

 

「誰が謝るかってんだ! こんなアリスなんて嫌いだ!」

 

魔理沙と呼ばれた女の子は開いていた扉から出ていった

呆気にとられていたがすぐに外から悲鳴が聞こえた

すぐに開きっぱなしの扉から外へ出る

そこには閉じられる瞬間のスキマがあった

 

「紫…何する気だ…」

 

「…あの悲鳴、魔理沙のだった」

 

「…何の目的で拉致したんだろうな」

 

紫の意図が理解できないまま時間は過ぎる

 

と思ったらすぐに魔理沙がスキマから出てきた

…しかし様子がおかしい

まるでなにかに怯えているような…

 

魔理沙の言葉、スキマ、魔理沙の様子

そこでひとつの答えが見つかる

 

「カモンゆかりん」

 

「はぁい 呼ばれて飛び出てじゃあおぐぇっ」

 

一発鳩尾に拳を入れる

スキマから半身出している状態で悶える

 

「うぐおお…霜月からの愛が痛いぃぃ…」

 

「もう一発いっとくか?」

 

「やめてください死んでしまいます」

 

スキマの中に逃げる紫

しかしそれをみすみす逃がすはずがない

閉じようとしているスキマの中に手を突っ込む

あとは火をブッパするだけ

 

「ちょっ、洒落にならないからやめてぇぇぇ!」

 

そしたら紫の丸焼きの完成

簡単でしょ?

 

「私の話を聞いて!? 魔理沙を洗脳したのは謝るから!」

 

…ほお?

 

「あ…しまった」

 

「ちょっとこっちに来い、そして座れ」

 

紫の顔が青ざめていく

 

「アリスは魔理沙を連れて家に入っててくれ」

 

「…あ、え、ええ、わかったわ」

 

呆気にとられていたらしく反応が遅れていた

だがそれを気にするときではない

 

「紫、座れ」

 

「い、いや、霜月に暴言吐いてたから改めさせようと思って…」

 

「座れ」

 

「はい」

 

紫は地面に正座する

殺気のせいで魔法の森の動物たちが逃げているが知らん

 

「聞きたいことがいくつかある。まず、なぜお前は魔理沙を洗脳した」

 

「さっき、霜月に暴言吐いててイラッときたから」

 

「…二つ目、その暴言によって俺は何か被害を(こうむ)ったか?」

 

「…何も」

 

「ハァ…最後だ、洗脳された人と接したとしよう。嫌われてたはずなのに友好的に話してくる、はたまた畏怖されて逃げられる。そんな人間と話したくなるか? そんな人が変わったかのように話しかけられて気分がいいか?」

 

「…グスン」

 

正座していることもあり、涙目の上目遣いということになっているがあいにく紫に恋愛感情は向けていないので効果は無い

 

「泣いて許されると思っているのか? 魔理沙の心に傷を負って、そのせいで性格が変わったらどうするつもりだったんだ?」

 

「…それは、わたs――」

 

「『私の能力でどうにでもなる』とか言うなよ、それでどうにかなるかもしれないが傷を負ったという結果に変わりはない。それを考えて行動したのか?」

 

「…してない」

 

「そうだろ、今ならまだ間に合うだろうし魔理沙を元に戻してやれ。そして謝れ。幻想郷の創立者だろうが礼儀を知らんやつについていこうとか思うやつはいないからな」

 

涙を袖で拭った紫はアリス邸に入っていく

…これで俺への行動も慎んでくれるといいんだけどなぁ

 

 

 

 

 

「霜月、ごめんね」

 

魔理沙を元に戻して、アリス、魔理沙、紫、俺の4人でテーブルを囲んでいる

魔理沙には悪いが紫の洗脳のことは忘れてもらった

だから今の紫の言葉の意味をわかっておらず、首をかしげている

 

「まあ、今回はまだなんともなかったからいいんだが、次からはちゃんと行動してくれたらそれでいい」

 

「…ありがと」

 

「だが」

 

紫がお礼を言ったが、一つ忘れていることがある

 

「罰はある」

 

「えっ」

 

「なんだ? 何もないと思っていたのか?」

 

「いや、霜月のことだから何かあるとは思ってたけど」

 

「それじゃあ話は早い。魔理沙、アリス、紫への罰を考えていいぞ。大妖怪だからって遠慮はいらない、何かやられそうになったら紫への罰が増えるだけだから」

 

「それじゃあいいか?」

 

魔理沙が目をキラキラさせて確認をとる

俺は首を縦に振り、続きを催促する

 

「[ホウソウサレマセン]なんてどうだ?」

 

「それはダメだ、モノには限度がある。というか魔理沙ってけっこう考え方が怖いな」

 

アリスは[ホウソウキンシ]の言葉を聞いて顔を赤らめている

紫は青ざめた顔で固まっている。…さすがにそこまでしないさ

 

「えー、ゴホン。能力での罰もありだぞ」

 

空気をかえるために方向性をかえる

…別に狙ってないからな

 

「霜月さんの能力ってなんなの?」

 

アリスが目線をこちらに向けて聞いてくる

 

「ん、俺か? 二つあるんだが、一つ目は『熱気を操る程度の能力』。二つ目が『運を操る程度の能力』だ」

 

「…丸焼きか悪運でよさそうね」

 

「アリス、丸焼きって発想よくでてきたな」

 

アリスの考え方に戦慄する三人

 

「魔理沙とアリスの能力でもいいんだが」

 

「それだと物理的な罰になりそうなのよ。魔理沙は魔法だし、私は人形だし」

 

「…妖怪の弱点を突こうとしてるアリス、こわい」

 

アリスは妖怪が精神的な攻撃には弱いことを知っているらしく、それで罰を執行するという考え方らしい

敵にまわしたら終わるな…こわっ

 

「質問いいか?」

 

「魔理沙か、どうぞ」

 

「悪運ってのは一度にどのくらいの期間が有効なのか?」

 

「んー…もって一ヶ月かな」

 

「それならいいんじゃないか?」

 

「ただ…運ってみんな平等なんだよ。だから悪運が続いたら幸運が続く、逆に幸運が続いたら悪運が続く。そうやってバランスをとり続けるんだよ」

 

「要するに、悪運をつけたら一ヶ月後には幸運がくるってこと?」

 

「その通り、アリスは飲み込みが早くて助かる」

 

「まあ、反動があるのはわかったが一時的な罰だしいいんじゃないか?」

 

魔理沙が提案役になっていると思うのは気のせいだろうか

 

「そうね、どうせなら厄と言っていいほどの悪運をお願い」

 

「だからアリス、考えが怖い。…まあ、それでいいならやるぞ」

 

「…まとまったのかしら」

 

眠たそうにあくびをする紫

…緊張感持てよ

 

「んじゃ、紫には一ヶ月の悪運をプレゼント」

 

能力を行使して紫に罰を与える

見た目には何の変わりもない

 

「…終わり?」

 

「終わり」

 

最後の締まりがないのは仕方がない

 

日も傾いてきたころ、魔理沙の言葉で解散した

紫は何もないところでこけそうになる、といった悪運ぶりを見せている

…厄ほどまではさすがにやりすぎかと思って悪運を少し弱めたのは内緒である




昨日(3/2)、コンビニにニン○ンドープリペイドカードを買いに行ったんですよ
ドラ○エXの大型アプデ来たんでやろうかと思ったんですよ
そしたらそのカードの最低値段が1500円になってたんです
何気に2017年初めての購入でしたけど、2017年になって変わったんですかね
1500円分のカードの絵のヨ○シーがこれまでにないほどまで憎く見えました
…疲れてるのかな

なんか内容がわけわかめになってる気がする
自分の考え方を公にしてるようでなんか恥ずかしい
…霜月の考え方ってことでお願いします(震え

感想・評価、お待ちしております

それでは、また次回お会いしましょう
さようなら





紫「卵の黄身がなかった」
霜月「え、卵白だけってことか?」
紫「うん」
霜月「そんなこともあるんだな」
橘「現実にはそんなことありえるんですかね」
紫・霜月「知らん」
橘「冷たいっ」


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13.九尾の狐の看病

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

先週がほぼ休みだったので怠けてしまいました
申し訳ないです

言い訳させていただくと、課題が多かったんですよ
なのに、ドラ○エXしてました

はい、完全に私が悪かったです

そして今回は会話無しパターンにチャレンジしてみました
語彙力がこい、と叫びたい

では、言い訳もくそもありませんでしたが
『13.九尾の狐の看病』、どうぞ

今回も短い(2000字以内)です


幽香、メディスンと会った日から一週間経った

 

チルノは俺と会った次の日から友達づくりを頑張っていたそうだ

その頑張りの甲斐もあったからか何人かできたようだ

確か名前は…大ちゃん、ルーミア、リグルとか言ってたかな

妖精仲間らしく、人里へいたずらをしに行っているようだ

そんなことを紫がこぼしていた

…聞く限りではそんな酷くないらしいが、ほどほどにしてほしい

 

八雲一家はあいかわらず三日に一回は訪ねてくる

ほとんどの場合、昼食や夕食を食べに来る

夕食を食べに来た場合はたいてい泊まっていく

そのとき紫から何か脳内の境界をいじられることもあるが、藍を呼んでダブル狐の説教だ

翌朝には藍がいつも朝食を作ってくれている

藍に、いいお嫁になれるんじゃないか? と言ったら尻尾で往復ビンタをくらった

…赤面してたのは関係あるのだろうか

 

紅魔館メンバーは俺が訪ねた次の日から動きが活発なようだ

動きといっても怪しいのではなく、人里での出現頻度があがって俺の家に来ることもある

その中には日光に弱いはずのレミリアとフランもいた

咲夜と美鈴がそれぞれ日傘を差し、日光が当たらないようにしていた

俺の家に来たときはレミリア、フラン、咲夜、美鈴が全員尻尾でもふもふしていた

紅魔館メンバーが紅魔館に帰ったあと、尻尾の毛を一時間弱、繕っていた

…次会うときは尻尾を消していこうか悩む

 

アリスはあの日から人里で見かけるようになった

人形劇をやってみたい、というアリス本人の願いを紫に伝え、人里の守護者に話を通してもらって許可をとった

普通では考えられない動きをする人形の劇、ということもあって子どもから大人まで幅広い人気があるそうだ

観客のなかには鼻の下を伸ばしている男もいるらしく、劇が終わったらすぐに家に帰るそうだ

…大変だな

 

 

と、この頃会った人妖の様子を語ったが、今は上記のどれかの最中

さて、どれかわかるか?

ヒントは…朝、って言ったらわかるか

 

 

 

 

 

…その通り、八雲一家のお泊り会である

今は朝、空には黒雲が立ち込めており小さい雨が降っている

いつもなら藍が朝食を作っているはずなのだが…

見に来てみればいないのだ

今までの傾向だと、もう今の時間には作り終えているはずなのだが…

藍の様子が気になり、藍が寝泊まりする部屋へ向かう

紫オンリーの部屋

藍、橙の部屋

俺の部屋

で寝泊まりしているのだが、橙の寝顔でも見ているのだろうか

 

そんなことを考えつつ、藍と橙が寝泊まりしている部屋に入る

見た限りだと荒らされた様子はなく、普通の部屋だ

しかし、耳を澄ますと荒い息遣いが聞こえてきた

それは藍が寝ている布団から

橙は猫又の姿で寝ているのが目視できた

 

藍が寝ている布団に近づき、掛け布団をはがす

そこには顔を赤くし、息遣いが荒い藍の姿があった

尻尾の毛は整っておらず、汗も布団に染みている

まさかとは思い、額に手を当てて自分の額との温度差を計る

 

熱があった

それもけっこうな熱さだった

 

俺はすぐに橙を起こし、部屋から出るように言った

そして紫も呼ぶ

いつも通りで起きないので耳元である言葉を囁くと跳び起きる

そのまま紫と橙に状況説明をして、それぞれ行動してもらう

 

紫は藍の服や布団の交換

橙は水を頼みたかったが、式神ということで水は苦手らしい

ということで、橙には藍の看病を頼む

容態が悪くなったら逐一連絡を頼むようにした

 

俺はとりあえず…氷か

外に出て空を飛ぶ

目的地は紅魔館近くのあの湖

その近くに住んでいる妖精に用がある

 

飛ぶこと数分

湖のほとりで水を凍らせて遊んでいるチルノを発見した

氷が欲しいことを言うと二つ返事でオッケーをくれた

ひと口大の大きさの氷をたくさん作ってもらい、箱に入れていく

箱いっぱいの氷を作ってもらったところで止めの合図をだす

すぐにお礼を述べ、来た道を急いで戻る

 

来たときとあまり変わらない時間で家に到着

紫に頼み、外の世界からビニール袋を持ってきてもらう

 

もってきてもらったビニール袋に氷を入れて、口を縛る

服と布団を換えた藍の額に氷の入ったビニール袋を置く

藍の体がピクッと反応する

橙は心配そうに藍の手を握っている

紫は熱の正体を既に調べていたらしく、俺に報告してきた

風邪、ということで大事には至らないだろうが、合併症が怖いので安静にさせておく

 

 

 

 

 

藍の息のリズムが安定してきたので緊張を解く

もう日は高く昇っていた

紫に、家にいていいから藍の面倒を継続してもらうように言っておく

 

こんなときは家族水入らずかな

そう思いつつ、藍が寝ている部屋から出て何気に外を見る

 

 

 

水滴がついた窓から見た空には青空が広がっており

青いキャンパスに虹色の橋がかかっていた




終わりの一文で雰囲気ぶっ壊れ
こうなってしまうのが橘クオリティ

この回は1時間強で書いたので短いです
次回は2000字越え、頑張ります

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





紫「途中の表現の仕方がR指定入りそうな気がしたんだけど」
霜月「作者曰く『狙ってないけど書いてたらこうなった』だとか」
紫「それって作者の脳内がそんなことになってるってことよね?」
霜月「だろうな。作者、そこのところについて一言」
橘「極めて遺憾である」


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14.妖怪の山の麓にて

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

ドラ○エXで占い師という職業があるんですよ
その占い師の武器がタロットカードなんですね
大アルカナのうち、『吊された男』を除いたアルカナ21種が使われてるんです
それで、タロットカードに興味がわいて、調べたんですよ
…一気に興味がなくなりました
正位置、逆位置の意味が多すぎて…
いつか触れれたらいいくらいに思います

まあ、そんなことは置いといて
『14.妖怪の山の麓にて』、どうぞ

2000字すらいかない…助けて…

あ、後書きにお知らせがあるので目を通してくれたら幸いです


藍の風邪は治って、紫たちは帰っていった

本人が言うには

『散歩中川に落ちて急いで服は乾かしたが、それが原因かも』

だそうだ。ドジっ子属性入りましたー

 

昼食という名の遅い朝食をとって外へ出る

空にかかっていた虹も消え、雲が少し残っている

この様子ならもう雨が降ることもなさそうだ

 

八雲一家によって、ためていた食料の量が心もとなくなってきた

また人里に行って買うこともできるがそれには少し抵抗がある

なぜかというと、ツェペシュやその妻を殺めた『人間』が住んでいるから

もちろん何百年も前の話だからその人間たちはこの世にいないだろう

しかし『人間』は未だにあまり好きではない

もちろん克服しようと人里に行くが、小鈴や阿求くらいしか仲が良い人間はいない

 

まあ、理由は言ったがなぜ今言ったのかというと

紅魔館を訪れたときに、近くに山があったからそこへ山菜や動物の命をもらいたいのだ

さすがにあんな大きな山を所有している人はいないだろうし、もしいたとしても紫だろう

食料調達と言えばOKももらえそうなので問題は無い

 

(かご)も持ったし、邪魔な尻尾は消した

さて、いざ行かん

 

 

 

到着、紅魔館の近くの山

近くに来るとやっぱり大きいな

外の世界の富士山と比べると…わかんね

高さや長さを頭で出そうとするのは苦手なのだ

 

まあ、俺の苦手話など別にいいのだ

さて、おいしい山菜はあるのかな

 

「待て、そこの者」

 

山に入ろうと一歩を踏み出したとたん、前から声をかけられる

 

白い髪に獣耳がついた頭

大剣を背負い、左手には紅葉の絵がついた小盾をつけていた

哨戒でもしているのだろうか

 

「ん、なにかな?」

 

「ここは妖怪の山、人間は立ち入り禁止だと言われているはずだかなぜここにいる?」

 

「山菜とかを採りに来たんだけど、無理?」

 

「無理だ、立ち去ってもらう」

 

「どうしても?」

 

「どうしてもだ」

 

「ケチだなぁ、紫の友人って言っても無理?」

 

「…お主、何者だ。人里の者が八雲紫を呼び捨てに、ましてや友人などと」

 

「…んじゃ呼ぼうか? ゆかりーん」

 

「…来ないではないか」

 

あれ…おかしいな

いつもならすぐ来るはずなんだけどなあ

…あ、藍の看病か

そのせいで来られないのか

納得した

 

「…そういや藍の看病してんだったわ」

 

「八雲様の式神様まで…お主、本当に人間か?」

 

俺が九尾って言ってもいいが、信じないかいろいろ面倒なことになるのが目に見える

正体を明かすにしても、今はまだ早い

 

「…人間だよ」

 

「あやややや、これはこれは」

 

目の前に現れたのは、黒い頭に白いポンポンをつけた独特な帽子を被った女の子

…なんか見覚えあんぞ

 

「…文、久しぶりだな」

 

「私に人間の知り合いなんていましたっけ?」

 

「相変わらずからかうなあ」

 

「いえ、真面目にどなたでしょうか」

 

「あ、ほんとにわかってなかったんだ」

 

大声出すなよ、と白い髪の方に注意させ、白い尻尾を出す

 

「これでわかったか?」

 

「あー…霜月さんでしたか」

 

「おーよかったよかった、覚えててくれたのか」

 

「文様、こいつとはお知り合いで?」

 

あれ、反応が変わってない…?

 

「そう、この人は霜月って名前で九尾の狐」

 

「……へ?」

 

「まあそう唖然とするのが普通だわな。人間って思ってたのが尻尾出したり、九尾の狐って言われてるんだから」

 

あ、尻尾が偽物とでも思ってたのか

まあ、仕方ない…のか?

 

「んで文、山菜をとりたいんだけどいいか?」

 

「あー…ちょっと今は入らないほうがいいかと」

 

「…理由を聞いても?」

 

「この妖怪の山の山頂近くに神社が建ってるんですが、そこでいざこざが起きてまして…」

 

 

 

文の話を簡潔にまとめると

ここは妖怪の山、その山頂近くに守矢神社という神社があるらしい

その神社では二神を祀っているが、その二神がけんかをしている、ということだった

 

「ふむ…さすがに神には手出しできないからなぁ…」

 

ここで神のけんかに巻き込まれるおそれの中、山菜を採っていく

人里で買う

 

…後者がまだいいかな

 

「わかった、また後日改めて訪ねるよ」

 

「ありがとうございます。椛、霜月さんが次来たら通すように哨戒役の白狼天狗に伝えててください」

 

「わかりました、安全が確保されていたらお通しします」

 

「私は天魔様に霜月さんが来たことを伝えてきますので」

 

文はそのまま山頂方面に飛んで行った

それに続いて、白い髪の女の子も行ってしまった

 

「…帰るか」

 

(きびす)を返して、来た道を戻る

 

神のけんか、か

一日ぐらいじゃあ終わらなさそうだなぁ…

 

そんなことを思いつつ、重い足取りで人里へ向かっていった




んー…
短くなるのはどうしたら解消されるんだろうか
登場人物を一気に出してしまうと、個々のキャラが薄くなりがちなんで迷うんですよねえ…
書き方に問題があるんだろうか
もっと考えておきます

・・・・・・・・・・
あ、お知らせですが、活動報告にてアンケートを実施中です
期限は4月初旬くらいを予定しております
それ以降に書いていただいても結構です
その場合、記念回のあとに出させていただく予定です
・・・・・・・・・・

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「山菜…採りたかったなあ」
文「すいません…あの二神なもので」
椛「このあと、どうなっても知りませんよ」
文「え、それってどういうこと…」ガタガタ
???「私たちを侮辱したかい?」
???「お仕置きが必要だねぇ」
文「た、助けてください霜月さん!」
 「…」
文「いないっ!? ちょっ…やめっ…」


霜月・椛「自業自得」


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15.白玉楼でお泊り会(上)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

YouT○beで友達から勧められた動画を見たんですよ
…泣きましたね
「博麗ふ○り」って動画なんですが、感動しました
夜、布団の中で涙流してました
おかげで寝不足になりましたし、その日の授業には集中できませんでした…

まあ、要するに
ぜひ見てくださいな
名前は伏せないといろいろ怖いんで伏せてます

それと、お気に入り30件超え
平均評価がつきました
ほんとにうれしい限りです
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします

それでは、『15.白玉楼でお泊り会(上)』、どうぞ

…やっぱり2000字行かないのか
…呪われてんのかな

活動報告にて登場人物アンケートを実施中です
お気軽にコメントしてください
お願いします、わりとほんとに


人里で野菜や肉を買った後、家に帰る

 

家の扉を開けると見覚えのある顔がそこにあった

 

「…ただいま?」

 

「おかえりなさい、ご飯にする? お風呂にする? それとも…」

 

「何の用で来た? 一人ってところを見ると泊まりに来たわけでもなさそうだし」

 

「なんで人の話を遮るの…」

 

「妖怪だから」

 

「屁理屈言ってんじゃないわよ…っと、話がそれたわね」

 

「誰が原因だよ」

 

「…本題なんだけど、私の友人が泊まりに来てほしい、って言ってたのよ」

 

「…は? なんで俺に言うんだ?」

 

「ああ、霜月に泊まりに来てほしいってこと」

 

「…待て、話が見えてこない」

 

「んーと、その友人に霜月が来たって話をしたのよ。そしたらやっぱり食いついてきてねぇ…」

 

「やっぱり? それってつまり面識があるのか?」

 

「ご明察、サプライズみたいなのだから名前は明かさないけどね」

 

「…その話をしたのっていつだ?」

 

「ん? 今さっきだけど」

 

「…俺、紫呼んだよな?」

 

「ああ、話が盛り上がってたから無視しちゃった☆」

 

「…わかった、泊まりに行かん」

 

「それでもいいけど友人が泣くだろうなー。あーどうしようかなー」

 

「白々しいな、おい」

 

「断ってもいいのよ、スキマで送るから」

 

「強制じゃねえか」

 

「うふふ、やっぱりこの能力でよかったわぁ」

 

「…わかったよ、泊まるだけだろ?」

 

「…うん」

 

「なんだ今の間」

 

「多分大丈夫」

 

「身の安全すら保障できない友人って誰だよ」

 

「行ったら納得するわよ」

 

「…納得するまえに危険が訪れそうなんですが」

 

「さすがに会ってすぐは大丈夫よ」

 

「会ってちょっとしたら危ない、と」

 

「まあ…うん」

 

「肯定しちゃったよ」

 

「まあそんなことはどうでもいいのよ」

 

「そんなことでいいのか」

 

「いいの。それで、その荷物を置いて準備したら送るから」

 

「いろいろ危なそうだが…わかったちょっと待っててな」

 

買ってきた食料をいつもの場所に置いて、葛籠(つづら)に着替え等を入れる

泊まることはあまり無かったから何を持っていけばいいのか…

まあ、忘れ物したら紫に取りに行かせるかな

 

「準備終わったぞー」

 

居間に戻ると紫が団子を食べていた

…それ、俺のなんだけど

 

「ん、ほはったほ(おわったの)?」

 

「まずなぜお前がそれを食ってる。そして口の中に入れたまましゃべるな、聞こえない」

 

うなずいて団子を飲み込む紫

 

「…なぜって、そこに団子があったから?」

 

「だから紫のお腹に何かがついていくんだろうな」

 

「な、なんで知ってるのよ!」

 

「看病してるときに藍が寝言で『紫様…そんなごろごろしてたらもっと贅肉がつきますよぅ…』って言ってたから」

 

「…痩せてやるわ、そして見返してやる」

 

「三日坊主という言葉があってだな」

 

「そこ、うるさいわよ」

 

「アッハイ」

 

「…無駄話も過ぎたわね、それじゃあ行きましょ」

 

言われて外を見ると真っ暗だった

…そんなに話してたのか

 

「はい、つくったわよ」

 

紫がスキマをつくってその中に入っていく

それに続いて入っていく

 

スキマの中は薄暗い

その中で赤く光る目がいくつも(せわ)しなく動いている

お世辞にも気分がいいとは言い難い空間だ

 

その中を歩くこと数十秒

急に目の前が明るくなる

 

まわりには満開の桜

それが言い表せないくらいたくさんあった

 

「ほええ…きれいだな」

 

「ありがとうございます」

 

お礼を言われ、その声のする方向を向く

そこには緑の服を着た、銀髪の女の子がいた

腰には二本の刀を差しており、顔の横には白い何かが浮いていた

 

「…紫、この子がそうなの?」

 

「いえ、この子の主が私の友達であり霜月の知り合いよ」

 

「初めまして霜月様。私、この白玉楼で庭師兼剣術指南役をしております、魂魄妖夢と申します」

 

頭を下げてくる魂魄

魂魄というとなんか知り合いにいたような…まあいいか

 

「俺は…知ってるぽいけど霜月と言う。よろしくな魂魄」

 

「私のことは名前の呼び捨てで構いません」

 

「ん、じゃあ俺も呼び捨てでいいよ」

 

「いえ、そういうわけにもいきません」

 

「…わかった、じゃあ主のところまで案内してくれる?」

 

「わかりました、それではついてきてください」

 

言われた通り妖夢の後ろについていく

道の横には途切れることなく桜が咲いていた

その光景に心を奪われながらも進んでいく

 

一分くらいで白玉楼と呼ばれる屋敷の敷地に入るための門に到着した

妖夢はそこの大きな扉を開けずに、その横にある普通の扉を開けて中に入るように(うなが)

それに従うように入る

 

ザ日本屋敷、と呼んでも差し支えないほどの大きな屋敷

そして整えられた庭

それは主の心の広さを表しているようだった

 

「あらいらっしゃい、待ってたわよ」

 

水色の服に豊かな胸

渦巻きが描かれた何かをつけた水色の帽子

その帽子によって強調された桃色の髪

 

「霜月をちゃんと連れてきたわよ、幽々子(・・・)

 

「…ゆ…ゆ、こ?」

 

そんなかすれた声が出るのは仕方がないだろう

だって…幽々子は…あのときに…

死んでいたはずなのだから




表現方法がすんごくヤヴァイ
もう拙いのレベルを超えてヤヴァイ
もっと精進したいです…

前書きでも書いたんですが、活動報告にて登場人物アンケートを実施中です
どなたでも構いません、よろしくお願いします
…お願いします

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら




霜月「作者の友達から妖夢を出してほしいって言われたから書いたらしいぞ」
妖夢「あ、ありがとうございます」
紫「いいなー」
幽々子「ねぇねぇ、私は?」
霜月「んー…妖夢だけらしいな」
妖夢「ふぇっ…恥ずかしいです」
紫・幽々子「若いわねぇ」
霜月「…これが年期の違いか」
紫・幽々子「あぁん!?」
霜月「すいませんでした」


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16.白玉楼でお泊り会(中)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

雪崩で亡くなった学生、先生方、ご冥福をお祈り申し上げます

あれって罪とかどうなるんでしょうか
責任もどこがとるんでしょう
…書きたいことはまだたくさんありますが、ここではこれくらいにしておきます

寒かったり暑かったり
今は寒暖の差が激しいので体調管理には十分お気をつけください
私? 私は今のとこ健康ですよ
ちょっと寝不足なのを除けば…ハイ

さて、前書きはこれくらいにして
『16.白玉楼でお泊り会(中)』、どうぞ

(中)が入るとは自分でも思わなんだ

あ、最後あたりにグロシーン入ります
それが苦手という方は

   ―――――☆―――――

   ―――――★―――――

この間は読まないことをおすすめします
まあ表現方法がクソなんで、読んでも場面を想像できないでしょうが…

何度も書きますが活動報告にて登場人物アンケートを実施中です
今のところ一名のみ投票があります
書いてくださった方、ありがとうございます


「霜月、久しぶりね~」

 

幽々子と呼ばれた女性は俺の名を呼んでくる

しかしそれに反応することはできない

 

「…霜月? おーい?」

 

幽々子は…あのとき…自殺したんじゃ…

だって…この目で…

 

「ねえ紫、霜月硬直してるんだけどなんで?」

 

「さあ? 斜め45度から叩いたら直るんじゃない?」

 

「んー…叩くのはあれだから…そうだ」

 

そのまま幽々子は俺の前まで歩いてくる

そしてそのまま笑顔で声をかけてくる

 

「久しぶりね、しーくん」

 

しーくん

それは俺の愛称で、ただ一人だけ俺に言ってきた

それが幽々子だったんだ

 

「…ほんとに幽々子なのか?」

 

「あ、帰ってきた。ええ、そうよ」

 

「…なんで生きてんの?」

 

「死んでるわよ」

 

「…ゑ?」

 

「死んでるの。亡霊って言ったらわかるかしら」

 

幽々子の顔をぺたぺた(さわ)

 

「…(さわ)れるのに?」

 

「ええ、死んでるけど触れるのよ」

 

「…紫、ほんと?」

 

なんかもう信じたいけど体が信じようとしないから横で傍観していた紫に助けを求める

 

「ほんとよ。嘘、偽りなくね」

 

しかし無常にも弾かれる

残すはあと一人

 

「妖夢、ほんと?」

 

「ほんとですよ」

 

哀れむような目でこちらを見る妖夢

やめて、そんな目はやめて、お願いだから

 

「…うん、信じるしかなくなったんだけどさ」

 

「あら、意外と順応早いのね」

 

「まあ、信じないと話が進まないからな。うん。それで、なんで亡霊としてここにいるんだ?」

 

疑問に思ったことを幽々子本人に聞く

 

「閻魔からの指名ってやつかしら」

 

「閻魔?」

 

…幻想郷にも閻魔っているのか

 

「そ、閻魔。私の生前の能力って覚えてる?」

 

「えー…んーと…確か…『死霊を操る程度の能力』だったか?」

 

「そうそれ、その能力。その能力で閻魔からここの管理を任されたの」

 

「…死霊を操る、管理…待て、もしかしてここって」

 

「多分考えてる通りよ。ここは冥界、罪のない死者が転生や成仏を待つ場所」

 

「生きてるうちにここに来るとはなぁ…」

 

冥界の雰囲気を味わっていると幽々子が手を鳴らす

反射的に幽々子の方を向く

 

「まあそんなことはどうでもいいのよ」

 

「おいこら、そんなことで済ますな」

 

「いいのよ、どうせここの管理者は私なんだし」

 

「…それでいいのか」

 

「いいのよ。で、しーくんにはここに泊まってほしくて呼んだんだけど、それは聞いてるわよね?」

 

首を縦に振る

 

「ん、それでオーケーが出たから来たのよね?」

 

首を縦に振る

 

「もう晩ご飯は食べた?」

 

首を横に振る

 

「じゃあ一緒に食べましょうか」

 

首を縦に振る

 

「そのあと一緒にお風呂に入りましょ?」

 

「お前はバカなのか。恥じらいを持て、恥じらいを」

 

「いいじゃないの、減るものでもないし」

 

「入ったらいろいろと減りそうなんだが」

 

「あら、ばれた?」

 

「おいこら、何をしようとしてたんだ」

 

「そりゃ○○(ピー)とか○○(ピー)とかそりゃいろいろと」

 

「なんで口でピーピー言ってんだ」

 

「まあ、想像に任せるわよ」

 

「はあ…幽々子は昔からよく人を振り回してたなぁ」

 

「あら、もう昔の呼び名では呼んでくれないのかしら」

 

「…紫がいる手前、言いにくいんだよ」

 

「だそうよ、紫」

 

幽々子の目線を追いかけて俺の右後ろを見る

そこにいたはずの紫はおらず、一枚の紙が置かれていた

そこにはこう書かれていた

 

『幽々子と妖夢、両手に花の状態でそのまま夜を過ごせるとは思わないように   あなたのゆかりんより』

 

「灰も残すなぁぁぁ!!!」

 

最大火力で紙を燃やす

手に残ったのは灰だけ

 

「…はぁ…はぁ…」

 

一気に最大火力を出した最後はもう覚えていない

しかしそのときにひどく疲れたのだけは覚えている

 

「ごめん、幽々子、眠たい…」

 

「いいわよ、運んであげるから」

 

その声に安堵したのか、俺の意識はそこで途切れた

 

 

 

 

 

   ―――――☆―――――

 

気がつくと俺は屋敷の中にいた

目の前には包丁を持った少女

その少女の後ろには、満開になって花びらを散らしている桜

 

「思いとどまれ! ―――!」

 

俺は必死に少女を止めようと声を張り上げる

しかし少女はそれを聞いていないようで、包丁の切っ先を自分の胸元に向けていく

 

「待て! やめろ! まだ死ぬのは早いだろう!」

 

そんな制止の声も聞かず、少女は胸元に包丁を刺していく

真っ白な衣が胸元を中心として赤い円を作っていく

その円が大きくなるにつれて少女の顔は苦痛のせいか歪んでいく

 

「痛いよ、痛いよ…」

 

そんな声を出しているにもかかわらず、包丁は少女の中に吸い込まれていく

そして包丁の刃が半分くらい刺さったとき

少女の体が糸が切れたように前に倒れる

それを咄嗟に支えようと手を伸ばす

しかし、その手をすり抜けるようにして前から地面に倒れる

瞬間、少女の背中から出てくる赤く濡れた鋭い刃

その勢いで顔に赤い液体が飛んでくる

そして少女の体からも出てくる赤い液体

その液体は俺の足元にも広がっていく

そして理解する

少女は死んでしまったのだと

目の前の少女はもう動かないのだと

俺に好意を抱いていた少女はもう…この世にいないのだと

 

   ―――――★―――――

 

 

 

 

 

不意に目が覚める

目の前には幽々子の顔

 

「うおあ!?」

 

「あら、おはよう」

 

「な、なんで俺を見てたんだよ」

 

「だってうなされてたのよ? しかも涙を流してたのよ」

 

「え?」

 

自分の頬を触ってみる

そこには透明な液体が薄く残っていた

 

「…もう、大丈夫だから、一人にしててくれ」

 

そのまま幽々子のいた部屋から出る

 

 

 

「私の名前を呼んで、涙を流して、大丈夫なわけないじゃない」

 

幽々子の発した声は、桜の散る庭園に溶けて消えていく




はい
気分を害された方、申し訳ありません
深夜テンションだったので、もう歯止めが効かなくて…
というか、実際はいれる予定なかったんですよ、グロシーン
でも文字数があまりにも少なすぎた(1500弱)ので入れました

活動報告にて登場人物アンケートを実施中です
どうか、どうか私に御慈悲をぉぉぉ…

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





橘「今回もスターリンさんにお越しいただきました」
スタ「どもども」
橘「なんか今回は旅行に行ったとか聞いたんですが」
スタ「和歌山の白浜だったっけか、そこの動物園と水族館」
橘「…? 確か二泊三日だったよね」
スタ「うん、行ったのは動物園と水族館」
橘「日にちが合わないのは?」
スタ「行ったのは動物園と水族館」
橘「…ハイ それじゃあ動物園つながりで、好きな動物は?」
スタ「んー…猫かな」
橘「おー、てことは家で飼ってたり?」
スタ「これが猫アレルギーなんですわ」
橘「…まじで?」
スタ「うん、まじで」
橘「齟齬だねえ」
スタ「難しいこと言いたいだけでしょ」
橘「…なぜばれたし」
スタ「そりゃなんとなくだよ」
橘「おっともうこんな時間、今回のゲストはスターリンさんでした」
スタ「どもでしたー(無理やり切ったな)」
橘「いいオチがついたよ、ありがとね」
スタ「その発言で台無しだよ」


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17.白玉楼でお泊り会(中Ⅱ)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

終わらない
いろいろ終わらない
休みだからって人狼ゲームしすぎた

『白玉楼でお泊り会』が終わらないよぉぉぉ
誰か、誰かこの流れを止めてくれぇぇぇ

昨日はエイプリルフールでしたね
ほんとは嘘をつくのは午前中だけらしいですね
まあ、私は家でゴロゴロしているだけなので嘘をつく相手もつかれる相手もいませんでしたけどね
…別に悲しくないよ…グスン

エイプリルフールの嘘は早めに嘘だとバラシてくださいね
取り返しのつかない事態になることもありますのでご注意ください

それでは『17.白玉楼でお泊り会(中Ⅱ)』、どうぞ

…上中下だけで終わんないよ、無理やりだよちくせう

あ、今回も少しグロシーンがあるかと思われます
苦手な方はご注意ください


幽々子の部屋から出たが行くあては無い

泊まると言ったので白玉楼から出るわけにはいかない

 

ちなみに今は夜

寝ているうちに夜になったようだ

 

…それにしても、懐かしくて思い出したくないことを見た

幽々子が死んだときのこと

 

俺は西行寺家に仕えていた

なぜか、それは人間に慣れるため

ツェペシュの件から人間が嫌いになって数百年

人間慣れするために仕えた家が西行寺家だったのだ

 

そしてもうひとつの理由

人間に化けるのを慣れるための試し

人間は妖怪を嫌う

妖怪がどうしようとも人間は逃げる

だからこっちが工夫をしなければならない

その試験を西行寺家でしたのだ

 

結果から言うと、人間に化ける方は大成功だった

人間に慣れることも良くはなっていた

 

ただ、あの一件で人間慣れの結果は無になった

 

 

 

 

西行寺家に仕え始めて早数年

今は西行寺家のお嬢様、西行寺幽々子の側近になっている

幽々子からは懐かれ、『ゆーくん』などと呼ばれている

別に悪い気はしないのだが、なんだかむずかゆい

俺は立場上『幽々子様』と呼んでいるが、気に食わないらしい

なので、幽々子と二人きりのときは『幽々子様』ではない名前で呼んでいる

恥ずかしいので出さないが、その名を呼ぶと笑顔でこちらに寄ってくる

妖怪にもあるのかはわからないが、なんか、こう…父性本能というだろうか、そんな感じの何かがこみ上げてくる

そのおかげで人間慣れというか幽々子やその両親などとは仲良くなっている

 

こんな時間がいつまでも続けばいいのに、そう思ったのが間違いだった

妖怪と人間、生きる時代が同じでも流れる時間は違う

いつかは別れのときがきてしまうものだ

 

…そう、両親が亡くなったのだ

二人の最期は布団の中で眠るようにして亡くなった

この時代にしては長生きしたほうだろう

そして、部屋を整理

していると遺言状みたいなものもあった

幽々子の今後を考えたことや従者に宛てた言葉が書かれてあった

そこには俺に宛てられた言葉もあった

要約すると『幽々子をこれからもお願いする』みたいなものだった

もちろん、さすがにここで放り投げるわけにもいかない

改めて頑張ろうと思ったときだった

 

そしてそれからだ、幽々子がおかしくなったのは

ふらふらと部屋を出たと思ったら池をのぞきこみ、そのまま池に頭から落ちることもしばしばあった

また、夜中に起きて部屋を出ていくこともあった

そして両親が寝起きしていた部屋に行っては一人なのにも関わらずに声を出したり笑ったりしていた

 

そんな幽々子は見たくない

頑張って正気に戻そうと、西行寺家にある文献をいろいろ読んだ

しかし徒労に終わった

その間も幽々子はおかしくなっていった

部屋でずっと天井を見ていたり

爪で自分の腕をひっかいたり

自傷行為までし始めていた

 

そして、そのときは訪れた

料理長が包丁のひとつが無くなったという報告が始まりだった

会議では誰か泥棒が盗っていたのではないか、というのが最終結果だった

しかしそれにしては盗みの残骸が無いのが気がかりだった

桜の花びらが散る庭園には足跡一つ無かった

正面は警備が厳しいので入れる場所はこちらしかないはずなのだが…

そんなことを考えながら幽々子の腕の治療をした

そして気づくべきだった

幽々子の腕に鋭いもので切ったような傷が増えていたことを

 

その次の日、幽々子の部屋に行くと幽々子がいなかった

またどこかに行ったのか、と思いつつ探索をしようとした矢先、従者の一人の悲鳴が聞こえた

急いで悲鳴の聞こえた場所に行くと、幽々子がそこにいた

満開に咲いた桜の下、包丁を胸元に向けた幽々子が光の無い眼でこちらを見ていた

 

そこからは夢の内容の通りだ

目の前には幽々子の死体とそれに刺さった血に濡れた包丁

そこからはあまり覚えていない

気づくと桜の下、幽々子が死んだ場所に墓があった

そこはもう赤い液体は無く、桜の花びらがその場所を隠すように墓の上に積もっていた

 

雇い主を失った従者は散り散りになった

俺はもう信頼した人間を失う怖さを味わいたくなく、いつもの生活に戻ろうとした

しかし、いつもの生活に戻れるはずがなかった

考え事をすると、いつも思い浮かぶのは幽々子の笑顔

忘れようとするほど幽々子の笑顔が鮮明に頭に浮かぶ

 

夢にも幽々子の顔が出てくることがあった

その顔は笑顔だったが、思い出したくない笑顔だ

目には穴が開いてそこから血が流れ出ており、歯は欠け、顔のところどころは切り傷で血だらけになっていた

夢が覚めると背中には汗をかいており、額からも気持ち悪い汗が流れていた

 

もうこんな思いはしたくない

そう考え、人間と仲良くなることは無いようにしてきた

 

 

 

 

下駄を履き、池にかかっている橋に腰を下ろす

そしてなんとなく周りを見渡そうとしたら妖夢を見つけた

上半身はサラシだけで下半身はズボンを履いている

その妖夢は刀を振っている

おそらく素振りだろう

その洗練された動きに目を引かれる

妖夢はこちらが見ているとわかったのか、素振りをやめて汗を拭いこちらに歩いてきた

 

「霜月様、どうなされたのですか? こんな夜中に」

 

「いや、寝付けなくてちょっと外の風を浴びに、ね」

 

幽々子の従者だからこの嘘で察してくれるだろう

 

「…私もあまり寝付けなくて素振りをしていたのですが、疲れたので休憩に入ろうとしていたところです」

 

「それは良かった。それなら少し俺の話し相手になってくれないか?」

 

「私で良ければ」

 

妖夢も察しが良くて助かる

しかも疲れたというのは嘘だと思う

おそらくこちらに合わせてくれたのだろう

 

ある程度話した後、妖夢は汗を流したいということでお風呂に向かった

一人になった後、桜を眺める

散っていく花びらが池に落ちるたび、俺の心が少しづづではあるが晴れている気がした




苦しい
表現能力がなくて苦しい

活動報告にて行っている登場人物アンケート
ただいま二名の方が書いてくださっています
ありがとうございます
期限は…『白玉楼でお泊り会』が終わったらUA1000到達記念回のアンケートは締め切らせていただきます
ただ、登場人物アンケート自体はいつでも募集中なのでお気軽に書いてください

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら




霜月「ホラーゲームに出そうな顔を思い出してくれれば夢の幽々子の顔が想像しやすいかと」
紫「…そんな顔の幽々子は考えたくないわね」
霜月「あ、紫」ガシッ
紫「…なんで私の首根っこを掴むのかしら?」ダラダラ
霜月「あの置き手紙はなんでしょうか?」ニコニコ
紫「いや、ほら、あんな美女が二人いるからさ…」ガタガタ
霜月「死刑、さよなら」
紫「いやあぁぁぁぁ!!」


藍「…今頃なんか罰が執行されてるんだろうなあ」
橙「…紫様、ご愁傷さまです」


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18.白玉楼でお泊り会(下)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

悲しい気持ちになったので書きました
完全不定期更新なのでこういうことも許されますよね

もうすぐ春休みが終わりますよ…
もっとぐうたr…ゲフンゲフン
休みが欲しかったですね
…なんですかその蔑むような目は

それでは『18.白玉楼でお泊り会(下)』、どうぞ
やっと下にいけた…


縁側に座っていると、妖夢がお風呂から上がってお茶を淹れてきてくれた

ひと口、口に含んでゆっくりと喉に通らせる

口の中のお茶が無くなると、自然とため息が出る

 

「ほぅ…それで、妖夢はなぜこの冥界に? まだ生きてるんじゃないのか?」

 

「微妙な立ち位置なんですよね。死んでもいないし、純粋に生きているわけでもない。でもだからこそ、ここにいれるんだと思います」

 

「死んでないけど生きてるわけでもない…ね、難しいなぁ」

 

ここでまたひと口

…やはり温かい緑茶は心を静めてくれる

 

「霜月さんこそなぜ冥界に来られたんです?」

 

「…幽々子か紫に聞いてないのか?」

 

「ええ、全く。二人でこそこそと話していたのは覚えていますが…」

 

「紫によってスキマで無理やり連れてこられた」

 

「察しました、お疲れ様です」

 

律儀な妖夢でさえわかるってなんだ

紫の評価、賢者としてならゼロに等しそうなんだが…

 

「俺が泊まるっていうのは知ってたのか?」

 

「それは幽々子様から伺いましたので。あ、あと霜月様が狐だってことも」

 

「おいこら待て」

 

聞き逃してはいけない言葉が聞こえた

 

「どうされました?」

 

「俺が狐ってのを幽々子から聞いたのか?」

 

「はい、あと尻尾がもふもふで気持ちがいいってことも聞きましたよ」

 

「あ、紫から聞いたのを妖夢に言ったのか。わかった、理解した」

 

西行寺家に仕えていたときからばれているのかと思ったが杞憂(きゆう)だったようだ

 

「それならいいのですが…あの…ひとつお願いしたいことが…」

 

「ん、なんだ?」

 

「その…尻尾を触らせていただきたいなぁと思ったり思わなかったり…いや、失礼ですね、無かったことにしてください…」

 

「いやいいぞ?」

 

「ふぇ? いいんですか?」

 

勘違いしてるかもしれないが、別に触られるくらいは構わない

ただ、乱暴にシャワシャワされると毛が痛んだりするから控えてほしいだけなのだ

妖夢はそこはしっかりしてそうだから大丈夫と判断したまでだ

しかもそんなキラキラした目でこちらを見られるとダメと言えないではないか

 

「いいよ。ただ、あまりワシャワシャとはしないでくれよ。毛が痛んだり毛並みが悪くなるから」

 

とりあえず注意はしておかないと心配ではあるからしておく

それと同時に尻尾を九本全て出しておく

 

「わかりました、それでは失礼します…ふあぁ…気持ちいいですねぇ…」

 

白い尻尾に顔をうずめる妖夢

その顔はリラックスをしているような無防備な顔だ

そのまま妖夢の気の済むまで尻尾を触らせようと考えたとき、後ろで何かを狙うようなオーラが感じられた

このオーラはもう何度も感じたことがある

仕方ない、対処するか

 

「妖夢、そのまま動くな」

 

「ふぇっ?」

 

妖夢を数本の尻尾で包んで残りの尻尾で縁側を思いっきり押す

そしたら反動でこっちが飛んでいくからバランスをとって転ばないようにして体を後ろに向かせる

妖夢は尻尾で何ともないだろう

さて、お仕置きを考えよう

 

「尻尾いただきまぁぁぁ?! いだっ」

 

少し前まで尻尾があったところに頭からダイブしてくる紫

もちろんそこには少し温まった木の板しかないのでそのまま顔を縁側にぶつけて止まった

 

「霜月様!? なにがあったんで、す…か?」

 

尻尾から抜けてきた妖夢が警戒して縁側を見たが、言葉を失ったようだ

そりゃ賢者様がこんな無様な姿をさらしてたら誰だってそうなるわな

 

「なんでお前が来るんだ、紫」

 

紫は赤くした顔を扇子で隠していつも通りの声のトーンで話し出す

 

「霜月の尻尾が見えたから来たまでですわ」

 

「ほお? 尻尾がそんないいのか?」

 

「ええ、少なくとも私が顔を縁側に打ちつけるほどにはね」

 

こいつ、恥じらいってもんはねえのか

まあいい、それじゃあ刑を執行しよう

 

「紫、明日は尻尾を出しっぱなしにしておいてやる」

 

扇子によって顔のほとんどは隠されてわからないが、目から喜んでいることは明らかだ

俺は紫に歩いて近づく

 

「でも、お前、なんか置き手紙を置いて帰ってたよなぁ?」

 

やばい、と思ったのかスキマを開いて逃げようとする

しかしそれを逃がすわけがないだろう?

スキマに顔をつっこんだあたりで襟を掴んで逃げなくさせる

瞬間、紫はこちらに顔を向ける

その顔は不安、焦りなど

それに快感を覚えるわけではないが、紫がちょっかいをしかけてくるのだ

こんなことをするのも仕方がない

 

「何をそんな怯えた顔をする? 今回は痛くないから安心しとけ。んじゃさよなら」

 

伝えることは伝えたので開いていたスキマに投げ込む

『ふにゃっ』とか聞こえたような気がしたが気のせいだろう

 

「さて、ごめんな妖夢。紫のせいで」

 

「い、いえ…気にしないでください」

 

「…そろそろ寝ないと明日がきつそうだ、俺が寝る部屋まで案内してくれないか?」

 

「あ、はい。こちらになります、ついてきてください」

 

案内されたところは、ちょっと前に俺が起きた部屋ではなく、客間として使っているような普通の部屋だった

…あれって幽々子の部屋だったのかな

 

「ここです、それでは私はこの辺りで失礼させていただきます」

 

そう言って妖夢は部屋から出ていこうとする

 

「ありがとな。それと尻尾触りたくなったらいつでも言ってくれ」

 

「…わかりました」

 

笑顔で妖夢は部屋から出ていく

 

そのまま布団に入り、瞼を閉じる

するとすぐに眠気が俺を襲ってくる

何か考え事をする隙もなく、そのまま意識は遠のいていった




無理やり終わらせた感がすごいですね、はい
グダグダと話を延ばしてると終わらなさそうだったので…

何度目の報告だろ
活動報告にて登場人物アンケートを実施中です
ただいま三名書いてくださっています
書いてくださった方々、ありがとうございます
お気軽にコメントをしていってくれて構いません
登場させたいキャラを書いてくださればそれで結構です

それでは今回はここまで
また次回お会いしましょう、さようなら





霜月「作者、携帯欲しそうにしてたな」
紫「何よ藪から棒に」
霜月「いや、I Pod Touchを使ってるみたいだけど、そろそろ携帯が欲しいって嘆いてたからな」
紫「自分でお金を貯めればいいじゃない」
霜月「それなんだが、作者の通ってる学校、バイト禁止らしい」
紫「あら、なんでなのかしら」
霜月「社会の勉強にもなって、お金のサイクルを学べるとかメリットも多いはずなんだけどなぁ」
紫「学校側はバイト禁止の理由を言ってたりしてないの?」
霜月「してないと思う。生徒も数人こそっとやってたらしいからな」
紫「やってた? ということは…」
霜月「うん、学校に報告されて辞めさせられてる」
紫「はっきりさせてほしいわよね、禁止の理由」
霜月「外の世界でもなんかいろいろはっきりしてなくてニュースになってることも多いらしい」
紫「そういうのも早くはっきりさせてほしいわよねぇ」
霜月「嘘をつくから矛盾点が生まれてそこを突かれるんだよ」
紫「国会を開くにもお金を使うならさっさと終わらせてほしいわよね」
霜月「そうそう、長引かせるから国の予算がどんどん減っていくんだよ」
紫「そして赤字、と」
霜月「この国の未来が不安になるなぁ…」


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19.宴会の前日(上)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

今回はPCの不調により執筆&投稿が遅くなってしまいました
申し訳ございません
…以後気をつけれたら、気をつけたいと思います

この頃、暑いですね
昨日なんて半袖でいいんじゃないかってくらい暑かったです
私はどちらかというと冬が好きですね
夏は暑いし虫がめっちゃ飛んでるし
自転車で夜道を通っていると何かしら顔に当たったり、服に引っ付いてきたり
もう、あれは嫌だ
口で呼吸すらしたくない
口の中にドンピシャで入ってきたりするんで、もう、ほんと嫌です

この世から虫いなくなんないかな
そう考えてる橘はスルーしてもらって
『19.宴会の前日(上)』、どうぞ

やっとUA1000の記念回の準備ができる…
もう今3500超えてるんですけどね…遅すぎた…


「宴会、するわよ」

 

家でくつろいでいたらスキマが急に現れ、紫がすぐにそう言った

もちろん俺はその意図を知る(よし)もない

 

「…はい?」

 

「いや、だから宴会をするわよ」

 

「…いつ?」

 

「明日」

 

「どこで?」

 

「決めてない」

 

「主催者は?」

 

「霜月」

 

「…は?」

 

いや、なんか勝手に決められてるんですが

俺、今知ったんだけど

いや、は? え? 明日?

 

「おいこら、何勝手に決めてくれとんじゃボケ」

 

「え、歓迎会がてらにしようと思ってるんだけど」

 

「だからといって主催者が俺ってのはおかしくないか?」

 

「それが幻想郷のルールですわ」

 

「なんでもルールにするな」

 

尻尾で叩く

 

「…叩かないでよ」

 

再び尻尾で叩く

 

「…うー」

 

尻尾でぺチぺチ

 

「…」

 

よし、紫が尻尾に目線を移したところであの時の罰を実行する

 

「はい、そのまま座っとけ」

 

「え? …うん」

 

紫の前で尻尾を振る

紫は尻尾好きと言っていたので、白玉楼での置き手紙の罰はこれでいいだろう

今回はおちょくってきただけなので、これくらいがちょうどいいと思う

 

「……!!」

 

もちろん座り続けているわけもなく、紫はすぐに立とうとする

 

「おっと、俺は座っとけと言ったはずだが?」

 

尻尾を紫から少し離し、座るように言う

紫はそれを聞き、プルプル震えながらも座った

 

「さて、じゃあちゃんと聞こうか。なぜ俺の歓迎会をしようと思ったのか」

 

紫は尻尾に触れようとするのを諦めたのか、目線を尻尾に合わせないようにして俺の質問に答える

 

「まだ霜月が幻想郷に来て日が浅いじゃない? だから親睦を深めたり旧友と会ったりするちょうどいい機会かなと思ったから」

 

「ふむふむ。で、本音は?」

 

「お酒飲みたいから! …ハッ」

 

しまった、とでも言いたそうな目をしてこちらを見てきても、もうどうにもならんがな

 

「ふぅん? あくまで俺の歓迎会は建前ってことか。へぇ?」

 

…自覚無いだけでマゾなのかなぁ、俺

 

「…もう誘ってるのよ」

 

下を向き、小さな声で呟く紫

別に耳が遠いわけではないのでちゃんと聞こえている

 

「何を誘ってるんだ?」

 

「明日宴会あるからって参加しそうなやつを片っ端から呼んだのよ」

 

今ここで明かされる衝撃の事実

 

「主催者は俺って言ったよな。なんで主催者無視して勝手に集めてるんだよ」

 

「そ、それは…サプライズでしたかったから…」

 

「じゃあ俺が参加しないって言ったらどうするつもりだ」

 

「…普通の宴会にする」

 

「主催者いない宴会で楽しめるのか」

 

「…」

 

ついには反応しなくなる紫

その目には涙がたまっていた

 

「はぁ…なぁ、紫」

 

体がビクッと反応する紫

 

「俺が絡むことは俺に相談してからやってくれ、準備とかいろいろあるだろう」

 

「…じゃあ」

 

「ああ、今回の宴会もちゃんと準備する。だからこれからはそうしてくれ」

 

「わかった、ごめんね」

 

袖で目元を拭う紫

 

「じゃあ準備しますか。何を用意すればいい?」

 

「そうね…基本的なのはお酒と食べ物かしら。食べ物は参加するところが持ってくることもあるからそんなに多くは持って行かなくていいわ。お酒は…多いに越したことはないわね」

 

「そんな酒豪がいるのか」

 

「幻想郷に住んでる人妖は基本的にはけっこう飲むわよ」

 

「まじかぁ…」

 

人が来ても酒出さないようにしよう、うん

出したらもう終わるな…

 

「まじよ。で、あとは霜月の必要だと思うものを持ってきてちょうだい。主催者だしね」

 

「必要なもの、か。わかった」

 

「他に聞きたいことはあるかしら」

 

「あ、場所」

 

「そうだったわね、決めてないけどほとんど決めてるから」

 

「それどっちだよ」

 

「まあ宴会ならあそこって所があるから心配はないわ」

 

「…それは俺が知ってる場所か?」

 

「明日スキマで送るわ、荷物多そうだし」

 

「んじゃそれで頼む」

 

「わかったわ、それじゃそろそろ買い出しにいってらっしゃいな」

 

「ゑ? 紫は着いてきてこないのか?」

 

「ええ、私はまだ誘いきれてないから」

 

「…何人ぐらい誘う予定で?」

 

「そうねぇ…二十弱くらいかしら」

 

「多いな、おい」

 

「別にいいじゃない、減るものじゃないし」

 

「減るわ、俺の金が減るわ」

 

「いいじゃない、あるんだし」

 

「…紫に俺の持ってる金の話、したっけ?」

 

「あ、持ってるのね」

 

…鎌かけてきやがった

 

「…いい性格してんな、紫」

 

「よく言われるわ」

 

うふふ、と笑って肯定する紫

褒めてないってこと、気づいてんのかな

…いや、気づいてなさそう

 

「…まあ、うん、お前の頭が羨ましいよ」

 

体をクネクネさせて頬を赤らめて手を頬に当ててる紫

…正直気持ち悪い

 

「その動き、やめてくれ」

 

「あ、ごめんね」

 

いつもの立ち姿に戻る

 

「…んじゃあ買い物行ってくる」

 

「いってらっしゃい、何かあったら呼んでちょうだい。暇だったら行くから」

 

「そこはいつでも来てくれ」

 

買い物前に疲れつつも家を出る

鍵はもちろん閉めていく

酒と食べ物と宴会に必要そうなものか…

 

 

 

 

 

所変わって人里

 

度数とか教えてもらってないなぁ

そんなことを考えながら散策中

 

もちろん尻尾を隠して人間に変装中

あ、甘味とかも持ち帰ったほうがいいな

 

酒かー…吹雪酒とか月乃酒とかが度数ちょうどいいかなあ

 

と、人里を歩きまわっていると後ろから声を掛けられる

 

「そこの君」

 

変装がばれたのか?

後ろを振り向き平静を装う

 

「どうされました? 里の守護者様」

 

人里の守護者こと上白沢慧音がこちらを見ていた

 

「…霜月だろう? そんな人里でうろうろしていたら怪しまれるぞ」

 

「ばれてたかぁ…そんな変装下手だったか?」

 

「いや、人間への変化は大丈夫だ。ただ、動きが…な」

 

それは考えてなかった

 

「貴重な第三者目線の情報、ありがとう」

 

「それが霜月のためになるならなによりだよ」

 

「そのお礼としてはなんだが、明日の宴会来るか?」

 

「明日か、特に急ぐべき仕事はなかったから行かせてもらおうかな」

 

「お、それじゃあ何か宴会でのリクエストはあるか?」

 

「んー…見て楽しめるものがいいな。いつも飲んで食べてのバカ騒ぎだから」

 

「ふむ、見て楽しめるものね。探しとくけどあんまり期待はしないでくれよ」

 

あったらいいな、くらいの気持ちで慧音は言ったらしく、別に無いなら無いでもいいそうだ

その後、軽く世間話をした

と言っても俺からの話はほとんどなく、慧音の話を聞くだけでもあった

日が高くなったころ、それじゃあ明日の分の仕事も今日の内にしておく、ということで慧音は帰っていった

 

見て楽しめるもの、か…何がいいかなぁ

そんなことを考えつつ、空からの光を受ける人里をまた歩く




文字数の都合上、上と下になると思います

お酒の名前(吹雪酒、月乃酒)は私が勝手に考えたものです
実在しているとしても、それとは何の関係もございません

アンケートでの同率1位である上白沢慧音の登場です
今回はあまり出番はありませんでしたが、記念回で霜月と絡ませたいと思います

アンケートの同率1位の残りのお二方
片方はどう出すか決めてるんですが、もう片方の出し方が思いつかない
まあ、あってないような頭で考えます

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「熊本地震本震から一年経ったな」
紫「作者は学校行事で大分に行ってるときにその前震を体感したそうよ」
霜月「もうこればっかりは予測もできないし、予測できたとしても対応のしようがないからなぁ」
紫「寝てるときに地震がきたら反応できないわよね…」
霜月「ほんと、日本って自然災害が多いよなぁ」
紫「ほんとよねぇ…」
霜月「でもくじけない心が大事だからな」
紫「そうね、これからも頑張りましょう」


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20.宴会の前日(下)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

東方天空璋が発表されましたね
例大祭行きたいけど学生の身として東京は行きにくいところだなぁ…
天空璋の自機で霊夢、魔理沙、文はわかるんですよ
日焼けしたチルノとは一体なんぞや

氷の妖精が日焼けってすごいですよね
いや、まあ…夏より冬の方が日焼けしやすいらしいんですけどね
雪積もってるところとかだと、雪(白色)に反射して大体2倍の紫外線を浴びるんだそうです

…紫外線って怖いね!

まあ、紫外線の話は終わりにして
『20.宴会の前日(下)』、どうぞ

ついに20話目に到達
これも皆さまが感想、評価、閲覧、お気にいりをしてくださっているおかげです
これからも頑張っていきます


慧音と別れた後、再び人里を歩く

すると、近くを通った二人組の話が聞こえてきた

 

「この頃里に現れるようになったあの面をつけた女の子、能楽ができるらしいぞ」

 

「そりゃすげえな」

 

「しかも―――」

 

能楽か、宴会にやってもらうってのも手か

…いや、その面をつけた女の子ってどこにいるんだ

それがわからなきゃどうしようもないが…

話聞いておけばよかったか?

…慧音にでも聞くか?

いや、仕事がどうとか言ってたか

邪魔したら悪いな…

おおう…どうしよ

 

そう考えていると前から知った顔の女性が歩いてくる

…知ってるのかな

いや、まずは聞いてみよう

 

「おーい、咲夜ー」

 

呼ばれた咲夜は変なものを見るような目でこちらを見て歩いてくる

 

「すいません、どなたでしょうか」

 

あれ? 人間の姿って見せてたはずなんだけどな

 

「あ、ごめんごめん。霜月だよ」

 

「ああ、霜月様でしたか。それで、今回はどのようなご用事で?」

 

「えっとね、面をつけた女の子のいる場所ってわかる?」

 

「あ、それならさっきそこで見かけましたよ」

 

「そうだよね、知ってるはずが…まじで?」

 

思っていた答えと異なる答えが咲夜の口から出る

咲夜が指さすのは咲夜が来た方向、つまり俺の来た方向とは逆の方向

 

「あちらでそのお面を頭につけた女性が歩いてましたよ」

 

「ありがとう。それと、紅魔館メンバーも明日は宴会来るんだろう?」

 

「ええ、もちろん行かせていただきますわ」

 

「おーけー。じゃあ俺はこのへんで」

 

「明日は楽しませていただきますね」

 

手を振りつつ咲夜が来た方向に歩いていく

 

そんな歩かずに目的の女性らしき後ろ姿を見つけた

不可解に膨らんだスカート、そのスカートに開いた顔のような穴、そしてなにより顔につけられたお面

ふぅ…行くか

 

「あのー…すいません」

 

肩を叩きこちらを向かせる

 

「…ん、どうした」

 

…あの、無表情なんですが…怒ってらっしゃる? おこなの? ねぇねぇおこなの?

 

「…別に怒ってない」

 

君は心が読めるフレn(ry

 

「…で、何の用で話しかけたの」

 

「ああ、ごめん。えっと、あなたが能楽できるって聞いたんだけど、合ってる?」

 

「…うん、踊れる」

 

「それで、明日宴会あるから踊ってくれないかなって思ったんだけど…」

 

「…いいよ」

 

「あ、いいの?」

 

「…うん、場所さえ教えてくれれば行く」

 

「あ、それなら少し待っててくれ」

 

場所は知らないのであいつから教えてもらうしかないか

 

「ゆかりーん」

 

「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃヘブッ」

 

あ、地面とキスしてる

 

「…何してんだ、紫」

 

「…何でもないわ。それで、なんで呼んだのかしら」

 

「ああ、この人を宴会に参加させたくて。だから宴会の場所ってどこか教えてくれ」

 

「霜月はわかんないだろうけど、博麗神社って言ったらわかるかしら?」

 

「…わかった」

 

「俺はわからん。まぁ、明日の盛り上げ役を頼むよ」

 

「…任せて」

 

「他に聞きたいことはある?」

 

「…名前」

 

「あ、そういや言ってなかったか。霜月という」

 

「…(はたの)こころ」

 

「おけ、なんて呼べばいい?」

 

「…こころでいいよ」

 

「ん、よろしくなこころ」

 

「…こちらこそよろしく、霜月」

 

挨拶等が終わったのでこころと別れる

紫は誘う人全て誘ったらしく、俺の横を歩いている

…人里の中だから目立ちたくなかったんだけどなぁ

 

「紫、目立ちたくない」

 

「いいじゃない、妖怪ってばれるわけじゃあるまいし」

 

「いや、ばれる。紫の隣歩く人間がいるはずないだろ」

 

「うー…」

 

渋々離れる紫

 

「…明日な」

 

「へ?」

 

「だから、明日の宴会のときに羽目を外せ。だから今は我慢しとけ、いいな?」

 

「…わかった」

 

紫にスキマを開いてもらい、買ったものを家に置く

そして再びスキマを通り、ある妖精のところへ行く

目的地は、紅魔館に行く途中にある湖だ

 

歩くこと数時間

無事に目的地に到着

さて…いるかな

 

「チルn…チルチルーいるかー」

 

目的の妖精、チルノを呼ぶ

すると、湖の反対岸から飛んでくる影

 

「しももんじゃん、久しぶりー」

 

そこには真っ白な肌のチルノが―――

幻覚だった

肌は黒くなり、しっかりと日焼けしているチルノがいた

 

「…松崎し○るかよっ!」

 

「誰それ!?」

 

「…ハッ 誰だ、松崎し○るって」

 

「しももんも知らないのかい」

 

「…ゴホン チルチルってそんな黒かったっけ?」

 

「え、ああ、これ? なんか起きたらこうなってた」

 

「えぇ…本人が理由知らないんかい…」

 

「まあいいじゃん。いつか治るだろうし」

 

「気楽だな…」

 

乾いた笑いをする

まぁ…そんな気楽なとこがチルノのいいとこだったりするのかもな

 

「それで、結局何の用であたいを呼んだの?」

 

「ああ、そうだった。明日宴会するんだけど、チルチルも来るか?」

 

「いいのっ!?」

 

思ったより食いついてきたな

 

「ああ、いいよ。なんならチルチルの友達も呼んできていいぞ」

 

「ありがとっ!」

 

「そう喜ばれると準備する方も嬉しいな」

 

宴会の誘いの後は、そのまま近況のことを話した

新しくレティとかいう妖怪と友達になったようだ

レティは冬の妖怪らしく、チルノとは気が合ってすぐに仲良くなったらしい

友達が増えてるようで安心だよ

 

話しているうちに暗くなってきたのでチルノと別れ、家に帰る

明日は疲れるだろうしさっさと寝るか

…誰が来るんだろうなぁ

 

明日への期待と不安、言葉に表せない気持ちを胸に秘め、瞼を閉じた




なんだろう…スランプかな?
書きにくいというか、何というか…

日焼けしたチルノの登場でした
次回の記念回ではノーマルチルノか日焼けしたチルノ
どっちを出そうか迷ってます
…ほんとどっち出そう

感想・評価、お待ちしています
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「そういえば、作者の尊敬してる人がこの作品をお気に入りしてくれたそうだ」
紫「あら、それはよかったじゃない」
霜月「作者、テンション上がって友人に報告してたけど、その友人はテンションの高さに引いてたな」
紫「でも尊敬する人からお気に入りされてテンション上がらないわけ無いわよね」
霜月「そうだよな。それじゃあ…」
一同「これからも『白の狐は何を見る』をよろしくお願いします」


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21.宴会準備(上)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

この『白の狐は何を見る』のUA数とかお気に入り数とか見たら、UA数は4500超え、お気に入りは50件(2017/04/29現在)だったんですよ
こんな作品をお気に入り登録してくださってありがとうございます
不定期更新+駄文ですが、これからも『白の狐は何を見る』をよろしくお願いします

さて、リアルの話に変わりますが
学校に登校しているときにちょっとドジしてしまって、手をけがしたんですよ
けがと言っても手のひらの腕に近いところをちょっと擦った程度なんですが、そこにガーゼとか絆創膏をつけてると握りしめることができないんですよねぇ…
利き手のけがなんでけっこう不便です
手のありがたみを感じているところです
あ、指とかは普通に動きますよ

それと前に書いた尊敬した人とは別の尊敬している人がこれをお気に入り登録されていました
もうね、テンション上がってそれを行動で表現してたらそれを見てた友達から
「キチガイじゃんwww」とか言われました
別に間違ってるわけじゃないんですが、まあ…ね

…前書きが長くなりすぎた
それじゃあ遅くなりましたが『21.宴会準備(上)』、どうぞ

また上下シリーズだよ(呆れ
そして記念回にまだ入れないというね…

あ、それっぽい表現の部分あるんでご注意ください


「起きて、霜月」

 

誰かから声を掛けられる

重い瞼をゆっくりと開ける

 

「…んむぅ? 誰だ?」

 

意識がまだ朦朧としている状態で声を出す

 

「あなたのゆかりんよ」

 

「あぁ、紫か。何の用だ?」

 

「あれ? スルー? いつものボケがスルーされた?」

 

うるせぇ…こちとらまだ眠いからツッコむ気がおきんのじゃ

 

「こっちは寝起きだからな? 要件をさっさと言え」

 

「あ、うん、ごめん。えっと、宴会の事なんだけど…」

 

「ん、宴会がどうした?」

 

そこでいいごもる紫に疑問を持つ

 

「えーっと、宴会開始時間を伝えてなかったから…」

 

「ああ、そういやそうだったな。で、いつからだ?」

 

「…お昼前」

 

「…は?」

 

「…今から開始時間まで三時間もない」

 

「…なぁ、紫」

 

眠気は覚めた

そりゃあ…衝撃が強すぎるだろうよ

 

「それならもっと早くに起こせやぁぁぁ!!」

 

「ごめんなさいぃぃ!!?」

 

尻尾で紫をビシバシ叩く

しかし、叩いているうちに紫の顔が恍惚に染まっていく

そんな顔は望んでいないので叩いていた尻尾を引っ込める

 

すると、紫は虚ろな目をこちらに向ける

その目に俺は写っていないようだった

 

「やだっ、もっと! もっとぉ!」

 

荒くなった息、赤らめた顔でこちらにせがんでくる紫

…やべぇ、取り返しつくか? これ

 

「待て、落ち着け紫」

 

「しっぽぉ! しもつきぃ!」

 

「ダメだ…藍はいるか?」

 

「はい、ここに」

 

紫の横にスキマで現れる藍

その手には見るからに怪しそうな縄を持っていた

 

「紫を連れていってくれ、早急に」

 

「わかりました、宴会はどうされますか?」

 

「あー…スキマでお願いしたかったけど贅沢は言ってられないからなぁ…」

 

「今すぐなら可能ですがどうされますか?」

 

藍、ぐう有能

 

「じゃあ宴会に持っていくものと一緒に送ってくれないか?」

 

「わかりました、それではいいですか?」

 

「お願いする。それと、紫だけど宴会開始までに落ち着かせれるか?」

 

「ええ、一時間もあれば十分です」

 

黒い笑みを浮かべる藍

主人より悪い笑みが似合う従者っていったい何よ

 

「それでは宴会の準備をお願いします」

 

その言葉と共に目の前にスキマが開かれる

開いたスキマの中に入り、博麗神社へ向かう

スキマが閉じる瞬間、紫の叫び声が聞こえたのは気のせいだろう

…藍がそんなことするはずないしな、多分おそらくきっと

 

 

 

 

スキマの中を歩いていると先から光が入ってきていた

目的地、博麗神社に到着したのだろう

スキマと外の境目にある段差に気をつけつつ外に出る

スキマの中を歩いていたのは数分だけだったが、外の光はいつもより明るく思えた

 

「あら、あんたが今回の宴会の主催者の霜月…だっけ?」

 

スキマを出ると前に人がいた

頭には大きな赤いリボン

袖が無く、肩・腋の露出した赤い巫女服を着ている

…巫女服で合ってるよな?

 

「ああ、知ってるみたいだけど俺は霜月」

 

「尻尾がもふもふの九尾ってことも知ってるわよ」

 

「誰から聞いたか想像つくが、一応聞いておこうか」

 

「紫」

 

「ビンゴ」

 

「…初対面なわけだけど、私のことは知ってるの?」

 

「いや、全く」

 

漫才のずっこけよろしく盛大にこける巫女

 

「…ゴホン えっとね、私は博麗霊夢。博麗の巫女なんだけど、その博麗の巫女ってわかるかしら?」

 

「いんや、全くと言っていいほど知らないな」

 

ここで仮に知ってると嘘をついたとしても結局わからずじまいになってしまう

紫に聞けばいいが、あんな状況だったから聞こうにも聞けない

…そこ、霜月が悪いんだろとか言わない

だってああなるとは思わないじゃん

 

…失礼、話がそれた

 

「…いいかしら?」

 

「あ、待っててくれたのね、ありがとう」

 

「いいのよ、何回も説明するのが面倒なだけだし」

 

「アッハイ」

 

「それじゃあ説明するわね。博麗神社の巫女は代々、博麗大結界を管理し、妖怪を退治し、異変が起きればそれを解決しているの。幻想郷の維持のためには、博麗神社と博麗の巫女が不可欠であるとされてるらしいけど、それを実感したことはまだ無いわね。まあ、これが博麗の巫女」

 

「…要するに幻想郷の結界を管理、妖怪は退治、異変とかいうものがあればそれがあるたびに解決していく。ってことでいいのか?」

 

「そうね。で、霜月は私をどう見るのかしら」

 

「…はい?」

 

博麗の言っていることの意味が全くわからない

 

「聞いてた? 私は博麗の巫女。妖怪の退治を生業にしているのよ?」

 

「…それなら問答無用で俺を倒すはずだろう? 博麗の巫女が幻想郷を管理しているのならなおさらだな。その妖怪が宴会の主催者でもな」

 

「…あなた、紫より頭きれるでしょ?」

 

「さぁな」

 

それぞれの自己紹介も済み、宴会用の荷物を運ぶ

博麗もその荷物運搬を手伝う

まあ、食べ物とか酒ばっかりなんだけどね

 

「そういや博麗」

 

「霊夢でいいわよ、博麗呼びは好きじゃない」

 

「…すまん。で、霊夢は宴会に来る人数を把握してるのか?」

 

準備する量を考えるために参加人数を聞く

 

「そんなの知らないわよ」

 

しかし返ってきた言葉は望んでいない答えでした、はい

 

「いつも何人だからだいたいこのくらいとかは?」

 

「それすらバラバラなのよ」

 

「…作りすぎるくらいでいいのか?」

 

「作りすぎるなんてことはありえないわね」

 

…?

作りすぎることはありえない?

いつも人が多く来るからとか、大食いの人がいるからとかか?

…いや、考えただけじゃあわからんか

 

「じゃあ作れる分作ればいいのか?」

 

「そうね、お願いしていい?」

 

「いいけど、霊夢は手伝ってくれないのか?」

 

「そこは主催者だから頑張りなさい」

 

…あっれぇ? 宴会の主催者っていろいろ準備するんだっけ?

こっちで常識は通じないのか…?

 

「んじゃあ料理作ってくるから酒とか並べててくれ」

 

「わかったわ」

 

そう言って霊夢は俺が持ってきた酒を持って外へ出ていく

 

「もちろん先駆けは無しだからなー」

 

外に行ったはずの霊夢の舌打ちが聞こえた気がしたが気のせい…と信じたい

 

「さぁて、作りますか」

 

隣には大量の食糧

料理をするのは今のところ俺一人

…やってやらぁ

 

まだ、(宴会用の料理の)戦いは始まったばかりだ




長いとあれなのでこのくらいにしてます
別に筆が進まないからとかじゃないですよ?

…なんですかその目は
「早く続き書けや」とか言いたそうな目でこっちを見ないでください
ほ、ほら学校とかあるんで…(震え

いや、まあ…頑張りますよ?
それを気長に待っていただけると嬉しいです

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「玉ねぎで目がぁ! 目がぁ!」
霊夢「どっかの大佐じゃないんだから」
紫「三分間待ってやる」
霜月「お、紫。あれやるか」
紫「いいわよ、せーの」
藍・橙「バルス!」
霜・霊・紫「!?」


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22.宴会準備(中)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

GWのくせして投稿間隔はほぼ変わらないというね
いや、筆が進まなかったんですよ
今回はほんとに、本気と書いてマジで

あ、『天人お嬢様に恋をした』という小説を書き始めました
恋愛もので、オリ主と比那名居天子の話です
向こうも不定期更新ですし、表現が乏しいですが…

さて、他作品の話もここまでにしておいて
『22.宴会準備(中)』、どうぞ

…記念回が私から遠ざかっていく


持ってきた材料をほぼ使い切ったとき、境内の方から話し声が聞こえる

参加者が集まりだしたようだ

まだ開始まで一時間以上あるが、気が早いなぁ…

来た参加者にそんなことを思いつつ、料理の手を止め境内へ向かう

 

外に出ると紅魔館メンバーが来ていた

全員なのかは知らないが、俺が紅魔館で会ったメンバーは全員顔を見せている

紅魔館の門番、紅美鈴

図書館の管理人、パチュリー・ノーレッジ

吸血鬼の従者、十六夜咲夜

紅魔館の主、レミリア・スカーレット

吸血鬼の妹、フランドール・スカーレット

その五人が境内にビーチパラソルを地面に刺して敷物を敷いて霊夢と話していた

 

「来てくれてありがとなー」

 

感謝の言葉と共に軽く挨拶をする

 

「あら、霜月ももう来てたの?」

 

そう言ってくるのは足を組んで優雅に座っているレミィだ

ただ、そこまでは何ら変わらない

…なんで美鈴が四つん這いになってその上に座っているんだ

 

「いや、まあ主催者だから早めに来ておくのが普通だろうが…なんでレミィは美鈴の上に座ってるんだ」

 

「ああ、これ? なんか地面に座るのは抵抗感あってね。だから美鈴を椅子代わりにしてるのよ」

 

「…美鈴の気持ち、確認したか?」

 

「ええ、もちろん。『美鈴、椅子代わりになってくれないかしら?』って言ったら『……はい』ってちゃんと肯の意を示してたわよ」

 

あれは明らかに『そんなこと絶対にやりたくないけど主の願いだしやらなきゃ解雇されるから仕方ない』とか思ってそうな返事だぞ

ほら、現に美鈴が助けを請うような目でこっち見てるじゃん

…仕方ない、助け船出すか

 

「レミィ、降りてやれ」

 

「え、嫌」

 

簡潔な否定の言葉ですか

美鈴の哀れな姿を宴会で披露するのは気が引けるので半強制的にレミィを降ろしますかね

 

「降りなさい」

 

殺気を放ちながら命令形の言葉を口にする

すると、その殺気を感じたレミィは顔を青くしながらゆっくりと美鈴から降りる

 

「美鈴、大丈夫か?」

 

「あ、はい、ありがとうございます」

 

体育座りして膝を抱えたまま震えているレミィに聞こえないような小声でお礼を言ってくる

 

「いや、いいんだけど…やりすぎた?」

 

「…やりすぎでしょうね」

 

「…行ってくるわ」

 

レミィがあんなに震えていたのはやりすぎとの声が聞けたので、いまだに震えているレミィの横へ行く

そのとき、やはり体を一層震わせていたのは見間違いではないだろう

レミィの頭に手を乗せ、ゆっくりと撫でて安心できるようにする

 

「ごめんな、レミィ」

 

謝りつつも手は止めないようにする

すると数分の内にレミィの顔はいつもと同じような色に戻り、震えはもうなくなっていた

 

「…もう大丈夫」

 

今更ながらこの状況を理解したのか顔を赤らめるレミィ

本人の口から大丈夫の言葉か聞けたので頭から手を離す

…時間とりすぎたかな

 

「すまない、時間をとってしまった。まだ料理を作り切ってないからここで一度席を外させてもらう」

 

紅魔館メンバーに向けて話す

すると、フランの面倒を見ていた咲夜が手を挙げた

 

「私もお手伝いしてもよろしいでしょうか」

 

「気持ちはうれしいけど参加者に準備をさせるのは気が引けるからいいよ」

 

「…ではこれでも同じことが言えますか?」

 

その言葉に疑問を持った瞬間、俺の目の前に俺が持ってきた半分程度の食材が現れた

咲夜の発言からして紅魔館メンバーが持ってきた分なのだろう

でも、この量は…

 

「…お願いします」

 

「わかりました、紅魔館のメイド長として恥じないような料理の腕を振るわせていただきます」

 

待ってましたと言わんばかりの笑顔で宣言する咲夜

…料理好きって女子力高いな

 

ここだけの話、レミィは料理の腕は悪くはない

オムレツを作るときでも、卵を割ると必ず殻が入るし、焼いた卵をひっくり返すときも必ず形が崩れる

だけど見た目が悪いだけで味は良いのが玉に(きず)である

対してフランも悪いわけではない

卵を割るのは片手できれいに割れるし、殻も入らない。焼いた卵をひっくり返すときは見本のごとくきれいに盛れる

しかしこっちは味があれだ、やばい

砂糖と塩を間違えただけじゃあるまいし、ひと口、口に入れると形容しがたき味と風味が脳まで突き抜ける

しかもその後飲み込もうとすると、何かが喉に詰まってなかなか飲み込めない

水とかで押し込んだら胃の中がおかしくなりそうな感じがする

あれはまじでやばい、もう二度とフランには料理させないと誓った瞬間だったね

レミィが下準備してフランが調理したらちょうどいいんじゃないのかな

…確証はないけど

 

ゴホン…話がそれた

 

昔の思い出に浸っているうちに咲夜は見えなくなっていた

目の前にあった食材もなくなってるし調理場へ向かったのだろう

 

「それじゃあ俺もお手伝いに…あ、また誰か来た」

 

調理場に戻ろうとしたとき、階段から人影が見えたので挨拶を兼ねて向かう

 

来たのは銀髪の女の子と桃色の髪の女性

そう、妖夢と幽々子だ

 

「今回は来てくれてありがとう、ゆっくりしていってくれ」

 

「言われなくてもそうするわよ」

 

「今回はお誘いいただきありがとうございます」

 

変わらない雰囲気で話す幽々子とかしこまる妖夢

 

「そんなかしこまらなくていいよ、妖夢」

 

頭を下げる妖夢

わかりました、と受け取っていいんだろう

…で、気になってるんだけど

 

「その妖夢が背負ってる大きな風呂敷は何?」

 

問われた妖夢は、表情を変えないまま一言

 

「何って、食材ですが…?」

 

食材…?

俺がスキマ経由で持ってきた量とほぼ変わらんぞ

それを背負ってこれるとか妖夢すごいな…

 

「でも正直もう十分と思うが…」

 

「ああ、霜月様は知りませんでしたか」

 

「何を?」

 

「幽々子様の食欲のことです」

 

幽々子の食欲?

記憶が正しければ普通だった気がするがそれがどうかしたのだろうか

 

「その様子だとわかっていないようですね。言ってしまうと、幽々子様の胃袋に底はありません」

 

「…はい?」

 

「昔は違ったのですかね? 幽々子様に満腹という言葉は通用しません」

 

「…そうなのか?」

 

幽々子に聞こうかと思ったら既に妖夢の横からいなくなっていた

姿を探そうとまわりを見渡すと調理場へ入ろうとしていた

…妖夢の言うことが本当ならやばい

暴走する前に止めなければ

 

今来ているメンバーは紅魔館メンバー、白玉楼メンバーのみ

しかしすでに騒がしくなりつつある博麗神社の境内である




まだ宴会本編までは遠そうです(白目

そういえば、なんかよく揺れを感じるんですよね
揺れといってもほぼ感じないような揺れですけど、不安です
…大きな揺れがこないことを祈ります

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「そういえば、また筆者が尊敬している人がこの小説をお気に入り登録してくださったらしいぞ」
紫「なんかそれ毎回言ってない?」
霜月「うん、まあ、これで三回目だな」
紫「そんなに…ありがとうございます」
霜月「これで筆者のモチベーションも上がるだろうな」
紫「でもGW終わりの落ち込みのせいであまり上がってなさそうよ?」
霜月「…学校って精神的に追い込む場所なのか?」


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23.宴会準備(下)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

投稿がいつもより遅れました
申し訳ございません

テスト前ということもあって、書く時間があまりなかったのです
え? Twitterに浮上してただろ、だって?
…シリマセンネェ

それと、5/16のお昼にハロ現象を見たんですよ
ハロ現象ってのは、太陽を虹が円で囲ってるやつです
その写真はTwitterに出してます
気になる方は見てみてください

さて、前置きがいつものごとく長くなりましたが
『23.宴会準備(下)』、どうぞ


「やはり早いのはいつものメンバーか」

 

「あ、慧音か。慧音も早い方に入ると思うけどな」

 

境内に来たのは人里の守護者こと上白沢慧音

その手には酒と食料が少しばかり乗っていた

いや、俺とか咲夜とか妖夢の持ってきた量と比べるのはかわいそうだ

俺が家に備蓄している食料と同じくらいの量だから、普通に言えば大量の部類に入るだろう

ちなみに備蓄してる量は八雲一家がいつ来てもいいように二週間分くらい置いている

それでも誰かがたくさん食べるから正直足りないと錯覚してしまう。そう、あのゆk[スキマオクリニサレマシタ]

 

「これも宴会の食材の足しにしてくれ」

 

「ん、ありがとう」

 

慧音から食料をもらい、尻尾を四つほど出してそこに乗せる

刹那(せつな)、何か鋭いものが尻尾に突き刺さる

しかしそれは物理的なものではなく、複数の視線

その視線の内、一つは慣れ親しんだものがあったので、いつものように残りの尻尾で慧音の裏にすばやく回避する

そのコンマ何秒後、俺が元いた場所で鈍い音が響く

その音の正体は…

 

「ーーーーーッ!!?」

 

同位置で駄賢者と幼吸血鬼が頭を抱えてうずくまっていた

尻尾に執着しすぎて頭から行こうとするからそうなるんだよ

 

「…はぁ、なんでお前らは学習しないのかねぇ…」

 

しかし一方、霜月が目の前からいなくなったかと思えば、そこにいたのは頭を抱え悶絶する紅魔館の主と幻想郷の管理者という不可思議すぎる光景を見た慧音は唖然としていた

 

「そ、そりゃ霜月の尻尾があったら飛びつくわよ…」

 

「あんな鈍い音したのにもう喋れるのか、妖怪の回復力は侮れないな」

 

言葉を返してきたのは紫

ちゃんと話せるってことはあの精神状況から治ったとみていいんだろう

レミィは…まだ頭を抱えている

いや、あれは…

体育座りの座り方でお尻を浮かし、太もも辺りに顔を埋め、頭に被ったナイトキャップを握りしめプルプルと震えている

…あ、これはしばらく動きそうにないな

 

「…慧音はどこか好きなところにでも座っててくれ。俺はまだ準備があるから」

 

「…え? あ、ああ分かった」

 

まだ来ているメンバーが少ないのもあり、紅魔館メンバーの方に歩を進める慧音

 

「慧音、こんな状況は日常茶飯事だから慣れとかないとこれから生きていけないぞ」

 

「…わかった」

 

一度こちらを向いて首を縦に振る慧音

しかし顔は苦虫を噛み潰したような表情をしていた

慣れるはずがない、とでも言いたいのか

…そうだろうな、慣れるはずがない

 

…さて、と

こいつらはどうしたもんか

片方はいまだに頭抱えてプルプルしてるし、もう片方は食料持ってる尻尾を目で追ってるし

 

「レミィと紫、よーく聞け」

 

レミィは頭を上げこちらを向く

紫はまだ尻尾を目で追ってる

ということで食料を手で持ち尻尾を消す

 

「あっ」

 

「何が『あっ』だ」

 

尻尾が全て消えたことにより、紫の顔が悲しみに染まる

その目には光が灯っていないような気がした

 

「…ほら、出すからその目止めろ」

 

仕方なく尻尾を一つ出す

瞬間、紫の顔が喜びに染まる

…藍の尻尾で満足しないのか?

 

「で、だ。一つ約束をしろ。俺は手伝いをするために尻尾を出す。だから尻尾をみかけても飛びついてきたり触ったりすんなよ」

 

「せんせーしつもんでーす」

 

元気に右手をピンと伸ばして問いをとばしてくる紫

幼児退行でもしたか?

…いや、ノリだろう。それならノッてあげるのがせんせーの役目だろう

 

「なんでしょうか、ゆかり君」

 

「しっぽって、せんせーのおしごとがおわったらさわってもいいんですかー?」

 

おしごと、というのはさっき言った手伝いのことだろう。

 

「ええ、それならいいでしょう」

 

「言ったわね? 聞いたわよね、スカーレット」

 

「もちろんよ、スキマ賢者」

 

「…流れとかじゃなく、それを言おうとしてたからな」

 

な、なんだと…とでも言いそうな顔をするな、紫

そしてレミィはうれしそうに羽をパタパタさせるんじゃない

 

「ただし、手伝いをしているときに触ったりしたら即座に宴会から退場してもらう。いいな?」

 

「ええ、わかったわ」

 

二人とも了承したので、尻尾を出して手伝いに入る

さあ、この食べ物の山を運ぼうか

 

 

 

 

宴会開始時間となった

境内はたくさんの人妖で溢れ返っている

幽々子には言っておいたし食べ物を無尽蔵に食べたりはしないだろう

 

見える範囲で知ってるやつだと、紅魔館メンバー、白玉楼メンバー、妖精グループ、あとは個人でちらほら

全体人数のうち知ってるのは…半分くらいか

えーと、とりあえずは食べ物や酒は配布し終わった

準備が終わったからそろそろ声がかかるはずだが…

 

「霜月、乾杯の音頭をそろそろ頼むわ」

 

ちょうどいいタイミングだ

といっても何も考えてないから…まあ適当でいいかな

 

霊夢の声で騒いでいた参加者が一斉に静まる

俺はその場で立ち、みんなの視線を浴びる

緊張をほぐすため、長い息を吐いて言葉を発する

 

「さて、今回は私のためにこのような宴会を開いていただきありがとうございます。もうご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私は九尾の狐です。いつもは迷いの竹林の端の小屋におりますので何かご用がございましたら気軽に訪れてくださって結構です。さて、もうそわそわしてる方もいますので挨拶はこのくらいにしておいて…」

 

俺は置いていたコップを手に持つ

そして中身が入っているのも気にせず思いっきり天に掲げて一言

 

「乾杯!」

 

「「「かんぱーい!!」」」

 

そして、博麗神社の境内で『霜月の歓迎会』という名の宴会が始まった




やっと宴会が始まりました
次回がUA数1000記念回になります
…あれ? 今見たらUA数6000超えてる
申し訳ないし遅すぎですね…
しかしこんな駄作品を読んでくださる方々には感謝です
頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「ほんと間隔あきすぎ」
紫「筆者曰く『学校生活が忙しい』だそうで」
霜月「…それでもこの文字数なら一週間あれば出せるだろう」
紫「そこよねぇ…あとで筆者の心の声でも聞いてくるわ」
霜月「頼む」


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24.月夜の宴は星空の下で(上)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

ほぼ一ヶ月空いてしまいました
その点については大変申し訳ございません
ただ、リアルでの部活やテスト前ということもあって、あまり書く時間がなかったのです
もう、はい、それは本当に

ついに来ました宴会回
しかしいつものごとく上下に分かれるパターン
しかも筆者ですら宴会回のゴールが見えていないというこの見切り発車感満載のUA数1000記念回

そんな感じの作品ですが
『24.月夜の宴は星空の下で(上)』、どうぞ!


ワイガヤワイガヤ

 

ただいま宴会の真っ最中

俺は料理の運び役を担っております

ただ、こいつらが邪魔をするんだが…

 

「もっふもふぅ♪」

 

「あ゛~生き返るわぁ~」

 

レミィと紫が尻尾に巻かれて、尻尾の感触を楽しんでるんですわ

巻いてるのはお前だろ、だって?

しょうがないじゃん、だって真後ろで尻尾を凝視されてたんだもん

触るなとは言ったよ? だからって見続けるってのを思いつくとか考えつかないじゃん

だから、もう諦めてそれぞれ一本貸してるの

そしたら二人とも『巻かれたい』とか言い始めるからさ。仕方なくだよ、うん

まあ、料理運びに使うのは多くても五本だからいいんだけどさ

 

ちなみに残りの二本は消してます、じゃないとこいつらが欲を出してくる

あ、ほら、紫が思考を読んだかのようにこっち見てきやがった

 

「尻尾残り二本出して~」

 

「やだよ、めんどくさい。というか宴会始まってるんだから飲み食いしてこい」

 

「霜月が来ないと私たちは何もできないのよねー」

 

「ねー」

 

「俺は暇じゃないんだ。というかレミィも話に乗ってこなくていい」

 

ただでさえ料理運んでると、苦労している父親に向けるような視線をいくつも向けられるんだが

おい幽々子、あんたはちょっとは遠慮を知れ

あんただけは料理をがっつきっぱなしじゃないか

 

そしてパチェ、お前のその目はなんだ

まるで親友が嫁にもらわれたときの婿に向ける視線じゃないか

そんな視線を俺に向けるんじゃない

 

「しもつきぃ~、わたしの、さけがぁのめないってぇのかぁ?」

 

「うわ、酒くさっ。慧音、お前酒に弱かったっけ?」

 

「ちょっと慧音、失礼だろう」

 

酒に酔っぱらってこっちに来た慧音の後ろから現れたのは、長い銀髪にリボンをつけ、長い垂らしがついたもんぺを着た女性だった

 

「おう、妹紅、お前も来てたのか」

 

「まあね、慧音から酔ったときのストッパー役として呼ばれてたわけだが、いつもより羽目を外してるからか手に負えなくてな」

 

「そのストッパーが仕事してないのは…」

 

「だって慧音がどこからともなく酒瓶持ってきて一気飲みしたんだよ。止める隙もなくああなってしまった」

 

妹紅と共に慧音の方を見やる

 

「れいむぅ~、わらひにひゃくをひれふれぇ」

 

「ちょっと、あんたもう酔ってんの? しかも何言ってるのか聞き取れないわよ」

 

「にへへぇ~…う゛っ…」

 

笑顔が一転、ものすごくやばそうな顔に変わる

 

「あー、妹紅、行ってやってくれ」

 

「はいよ、どこがいいかな」

 

「そこらへんの茂みで大丈夫だろう。さっさと吐かせて楽にしてやれ」

 

「ほいほい。んじゃ行ってくる」

 

慧音の方へ走っていく妹紅を見送る

なんか、こう見ると母の世話をする子どもみたいな感じがする

周りが静かならよかった…あ、やばそう

これは―…よし、仕方ない

 

「我慢してくれよっ!」

 

あることを思いついたので、その場から跳躍をして慧音の横に着地する

そのまま、うずくまっている慧音を残っている尻尾で腰辺りを巻いて、後ろに引き勢いをつける

 

「ちょっ、霜月、何する気だ」

 

「妹紅、すまない。慧音の無事を祈れ」

 

そして、慧音をそのまま向こうにある茂みへ思いっきり投げる

慧音の反応を見る間もなく、慧音は茂みに突き刺さる

瞬間、慧音の方から吐瀉物が地面に流れていく音と表現しがたい声が聞こえてくる

なんとか間に合ったようだ、よかったよかった、めでたしめでたし

 

「めでたくない。慧音がけがしたらどうする気だ」

 

さらっと心の声を聞かれてるわけですがなぜなんでしょう

 

「半人半獣だし、多少は大丈夫だと思って投げたんだが」

 

「それでも限度ってものがあるだろう」

 

「限度って言ったって茂みにシュートしただけだろう。人間ならけがするかもしれないが慧音ならけがしないとふんでやったから大丈夫」

 

「だが予期しない結果になることもありえただろう。例えばその茂みに妖怪が隠れていたりしたらどうする気だったんだ」

 

「人里の守護者と呼ばれる慧音だぞ? ここの近くに来る妖怪なんぞ弱小だろう」

 

「それは霜月が弱小だと言ってるようなもんだぞ?」

 

「あ゛? なんだって?」

 

「耳が遠くて聞こえなかったか? 霜月が弱いって言ってるんだよ」

 

…ははは

やってやろうじゃないの

 

「はい、そこらへんで止めにしておけ」

 

火花(物理)を散らしていた俺と妹紅の間に割って入ってきたのは、先ほど茂みに刺さりつつ戻していた慧音だった

 

「慧音、もう大丈夫なのか?」

 

こちらから視線を外し、慧音の容態を確認する妹紅

向こうが喧嘩をふっかけてきておきながら…ああイライラする

 

「まあ、胃の中のすべてを出したから楽なほうではあるかな」

 

「そうか、良かった。それで、投げられたときにけがはしてないか?」

 

「いや、してないぞ。なんだ、心配してくれたのか?」

 

「べ、べつにそんなわけないし…」

 

…やる気失せたわぁ

なんでここでそんな属性出すかねぇ

もういいや、ここにいたら甘々の波に飲み込まれかねない

 

そういえばまだ手伝いの途中だった

後ろの二人は器用にスキマ使いながら宴会楽しんでるし、もうこれ降ろしていい?

二人なのに、もう酔ってうるさいし

…なんで主催者がこんな気分が落ち込んでるんだ。誰か理由を教えてくれ

 

「しもつきぃ、のんでりゅう?」

 

そんな気分の中、後ろで騒いでいた一人、紫がこちらへ話しかけてきた。が、完全に酔ってる

 

「もうベロベロじゃないか。飲むのは周りが静かになったらな」

 

「やだぁ、しもつきといっひょにのみたいぃ」

 

「呂律が回ってないやつに飲ませるお酒はあいにく無いんだ」

 

「やーだ。まだのむのぉ」

 

「飲むと言って焼き鳥の串だけを振ってるのはいったいなんだ。もうお前は休んどけ」

 

「やだ。まだこのしっぽをたんのうひらいのぉ」

 

「…はぁ、わかったわかった。お前がそのときまで起きてるならいっしょに飲むから、だから尻尾を引っ張るのだけはやめてくれ」

 

紫が尻尾を堪能したいとか言うと同時に尻尾を引っ張らないでくれますかねぇ

俺の種族の象徴でもあるからな、それ

 

「……すぅ」

 

「ん? 紫、お前…寝るんかい」

 

散々飲む飲む言っておいて言い終わったら寝ましたわ

レミィは尻尾に噛みついた状態で寝息たててるし

 

…いや、なに噛んでくれてんの?

いやいや、さっき俺の種族の象徴とか言ってたのを噛むとか何してくれてんの

尻尾を引っ張られたときの痛みで、噛まれたときの痛みがわからなかったのか?

それでも許可なく噛むとか教えたやつ誰だよ、親の顔が見てみたいわ

…それって半分俺になるのか?

ツェペシュが肉親になるが、育て親と言われたら俺…なのかな

だが俺は教えてねぇ! そんなことは言ってぬぇ!

 

ゴホン 話がそれた

まだ始まって数時間しか経ってないけど、まだ騒いでるのが大半

酔い潰れて寝てるのはちらほら見かける

…神社の本殿の中に勝手に寝せていいのかな

さすがに地面とか石畳の上で寝かせるとかいう鬼畜巫女でないことを祈ろう

 

紫、レミィをはじめとする数人の寝ている人妖を寝かせる

俺が知らないやつもいたから挨拶回りくらいしておけばよかったかな

 

 

 

主催者がほぼ飲み食いしないまま、月はゆっくりと昇っていく

だが、これはまだ宴会の序章に過ぎない




さあ始まりました今更感たっぷりのUA数1000記念の宴会回

そしてもうすぐUA数7000を超えそうで喜んでいいのか戸惑ってしまう今日この頃

次回更新はもう少し早めにしたいと思っています

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「で、どうだった?」
紫「FPSのゲームとか戦争ゲームのことばっかり考えてたわ」
霜月「ゲームのことばっかりじゃねぇか」
紫「でも部活があったりとか、リアルが忙しいのは本当みたいよ」
霜月「…筆者に暇な時間ってあるのか?」
紫「時間があったらすぐゲームだからねぇ」
霜月「…まあ、次からゲームやってたら燃やしますわ」
紫「じゃあ私がスキマの中でギッタンギッタンにしてあげますわ」


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25.月夜の宴は星空の下で(中)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

月一投稿になりつつありますが、大目に見てやってください
期末考査があったりと結構リアルが忙しいのです
今回ばかりは本当です

先に言っておきますと、二ヶ月経っても活動報告や作品に更新している様子がなかった場合は失踪と考えてください
まあ、失踪するくらいなら完走させますけどね
万が一どころではなく億が一のために、です

いつも通り前書きが長くなってしまうのが橘聖クオリティ
『25.月夜の宴は星空の下で(中)』、どうぞご覧くださいませ


酔い潰れた者、飲み騒ぎする者などが入り混じる博麗神社の境内

いつの間にか中央に設置されていた(やぐら)で能を舞っているこころを横目で見つつ、月見酒を神社の屋根の上で楽しんでいた

その霜月の背後に忍び寄る影が一つ

 

「霜月、隣いいかしら」

 

顔を少し赤くし、両手にお酒を持ったこの神社の主、霊夢が後ろに立っていた

俺は口を開けずに首を一度だけ縦に振る

霊夢はありがとう、と一言だけ言い、俺の右側に座る

 

「主催者がこんなところで一人酒ねぇ…」

 

「…悪かったな」

 

言われてみれば確かにそうだ

しかし正直なところ、うるさいところは遠慮したい

だからこうやってここからでも見える能を酒の肴にして一人で飲んでいるのだ

 

「別にいいんだけどね。ここは自由気ままな奴らが生きてるから、そういうのももう皆慣れてるわよ」

 

猪口でお酒を飲みながら話す霊夢の顔は先ほどよりほんの少し赤みがかっていた

その横姿はどこか優美で、どこか(うるわ)しくも、どこか儚いような気がした

 

「…でもね」

 

霊夢が顔だけをこちらに向ける

 

「いくら盛り上がってようとも、主催者がいないと本当の意味で盛り上がることはできないわよ」

 

「…ははっ」

 

自然と笑い声が出てしまう

 

「人間はどうしてこうも長生きしている俺らより考え方や知識が上を行くんだろうな」

 

「…弱いからこそ、よ」

 

霊夢が小さな声で答える

 

「自分の身を守るため。仲間の身を守るため。人間には守るべきものが多すぎる。なのに妖怪より心も体も弱い。だから、だからこそ人間は知識で戦ってきた。そのおかげ、とでも言おうかしら」

 

「…そうか」

 

「…辛気臭くなっちゃったわね。まあ、行ってらっしゃいな」

 

俺の後ろに回り込み、背中を押してくる

 

「わかった、わかったから本気で押すのは止めてくれ。いくら俺でも落ちたくはない」

 

「じゃあ早く行きなさいよ。ほらほら」

 

「…はいはい」

 

すくっと立ち、櫓がある方に歩いていく

そして屋根から降りるときにちらっと見えた霊夢は、昔を思い出しているような顔をして、月が上がっている方向を見ていた

 

 

 

「おにいちゃーん!」

 

屋根から降りて歩いていたら、突然お腹に痛みが走った

視線を向けると、宝石のようなものがついた羽を持つ金髪の少女、フランが俺のお腹に抱きついていた

 

「フラン、その大砲タックルは止めろと何度言えば…」

 

「いいじゃん、減るものでもないし」

 

「俺への痛みを考えてくれるかねぇ?」

 

「んふふ~」

 

「聞けよ」

 

話を聞かないフランの頭を撫でながら、騒がしい宴会場を歩く

騒がしいとは言っても、酔い潰れてしまった人も出てきたせいか始まってすぐのときよりはうるさくない

 

「あ、しももんだー」

 

後ろからあだ名を呼ばれたので、後ろを振り返る

そこにはチルノがおり、そのチルノの後ろには触覚の生えた緑髪の男の子、桃色の髪で、翼が生えた女の子、金髪の髪で黒白の服を着た女の子、そしてその四人より背が高く、水色の髪に白い帽子を被った女性がいた

 

「こりゃまた大人数連れてきたな、チルチル」

 

「全員あたいの友達だもん」

 

ドヤ顔で言ってくるチルノだが、俺にも友達ぐらいいる。ボッチじゃない

 

チルノからしたらただの友達紹介なのだろうが、霜月には自慢に見えたようだ

こう見たらチルノの方がまだ大人っぽいような気がするのは気のせいだろうか

 

「皆、しももんに挨拶して」

 

完全に大人(親)である

 

チルノの言葉で、まずは緑髪の男の子が自己紹介をしてくる

 

「初めまして。私はリグル・ナイトバグです。リグルとでも呼んでください」

 

桃色の髪の女の子もそれに続く

 

「私はミスティア・ローレライ。八目鰻の屋台をやっています。気軽にミスチーと呼んでくださいね」

 

「そして(われ)が闇を操りし夜の(しもべ)、ルーミアと言う」

 

…すまん、これは耐えられない

ちゃんとした自己紹介が連続で続くかと思ったらボケを突っ込んで来たら笑ってしまう

 

「…くははっ…ぷふっ」

 

「ルーミア、ちゃんと説明…ぷふぅ…して…よ」

 

ミスチーも…笑ってるし…

 

「…ゴホン 失礼したのだ。私はさっきも言ったけどルーミアというのだ。以後よろしくなのだ」

 

なのだ口調のボケキャラとか有能すぎませんかねぇ?

 

「…私もいるんですけど」

 

あ、もう一人いたんだ

 

「…私はレティ・ホワイトロック。レティと呼んでくださいな。ただし、白岩とだけは呼ばないようお願いするわ」

 

白岩…ああ、ホワイトロックか

自分の名前からの派生でコンプレックスを抱くのは結構辛いことだよなぁ…

 

「わかるぞ…その気持ち」

 

「え、何がわかるの気持ち悪い」

 

「ひどくないっ!?」

 

「まあまあ、レティも根は良い人だからよくしてやってよ」

 

チルノが仲立ち役で仲介に入る

まあ俺の心が傷つけられただけだからいいんだけどさぁ…

 

「いいけども、一つだけ確認させてくれ」

 

チルノ、リグル、ミスチー、ルーミア、そしてレティ

髪色も姿も違うこの五人だが、ある一つの点が気になっていた

 

「…レティってさ、この四人の母親?」

 

 

 

 

 

沈黙

 

 

 

 

 

平手打ち

 

 

 

誠に理不尽である




最後はあえてこう書きました
レティさんの口調がわからないところが本音ですが…
…登場キャラ募集時に書かれたキャラなのでもっと目立たせていきたいところ
もっと精進せねば

そういえば前回がUA数7000行っていなかったのにも関わらず、この回を投稿したときはUA数7700を越えていたのです
システムがどうなっているのかわからないのでぬか喜びになりそうですが…

UA数10000を越えたらまた記念回でも書こうか悩んでいるところ
はたまたコラボも考えるか…?
いや、こんな作品とコラボしてくださる方なんぞいらっしゃらないか

長ったらしい前書き、後書きもそろそろ控えるべえきところ

感想・評価、お待ちしております
それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「精神的な傷と物理的な傷、両方受けたんですが」
紫・レミリア「ザマァ」
霜月「お前らは後で『尻尾目の前我慢の刑』な」
紫・レミリア「ひどいっ!?」


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26.月夜の宴は星空の下で(中Ⅱ)

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

…弁明の余地なし
よって有罪(ギルティ)

はい、遅れた理由は単純に私の語彙力不足です
今回の話で急に展開が変わるところがあるのですが、そこで半月くらい悩んでました
自然な流れで書こうにもどう書けばいいかわからない
じゃあ宴会だしあの方を出しちゃえ、という安直な考えです

まあ、サーティーワンオラ○ンの運極を3時間足らずで作ったのもあるんですが
初降臨時の一回でやってやりましたよ
今はつばさを頑張っているところです
今日の昼からなでこが降臨するのでそこも頑張りたいところ
ちなみに十連結果はアンデルセンが出ました
おまけはハズレ、ちくせう

ゴホン
いつもの通りの長ったらしい前置きですが
『26.月夜の宴は星空の下で(中Ⅱ)』、どうぞ


チルノたちの一行と別れ、はたかれた頬を擦りながら飲めや騒げや状態の境内を歩く

それにしてもあの平手打ちは痛かった

なんだあれ、振りかぶることなく繰り出された手のひらがこんな痛いのか

だって平手打ちをくらった俺でさえ唖然としてたけど、チルノたちに至ってはレティを「やれやれ、またか」みたいな目で見てたからな

今思うと、いつもやってるのならあの威力は納得です

 

どの世界でも女性を怒らせると怖いね

…そういえば幻想郷って人里以外だと女性しかみてない気がする

いや、そんなわけないか、もしそうだったら喧嘩が絶えなさそう

うん、今はそう思っておくことにしよう

 

なんか優しそうな人いないかなぁ

そこだと安心して飲めるんだけど…

 

慧音は却下、怒ると怖いし今は不安定すぎる

妹紅も却下、すぐに喧嘩になる

紅魔館メンバーも却下、すぐに尻尾触ろうとしてくる

幽々子も却下、ペースに乗せられる

妖夢は忙しそうに幽々子の世話をしてるから却下

チルノたちも却下、のんびり飲めなさそうだしなによりレティが怖い

霊夢はさっき別れたばっかだからなんか戻りにくいし却下

 

…あれ? いなくない?

いや、さすがに誰かしらいるはず…思い出せ…

 

 

 

 

 

いないんですがどうしましょう

えーとね、うーんと…結局一人で飲むしかないのか

だとしてもどこで飲む

屋根上は霊夢に取られたし、境内はまだ宴会の真っ最中だし

んー…帰るわけにもいかないしなぁ…

 

そうこう悩んでいると階段の下から人影がこちらへ向かってくるのが見えた

しかしその人影の雰囲気がおかしいのに気がつく

宴会か参拝目的であればそれ相応の雰囲気を出すはずだが、それは明らかな殺意を持っている

そしてその殺意が向けられているのは―――俺

なぜ俺を狙っているのか理由はわからない、というか思い当たらない

まだ距離は開いてはいるが、相手がどんな能力を持っているか不明である以上、相手から目を離すのはまずい

だからといって考えても打開策が思いつくとも思えない

どうする…

 

考えていると、後ろから急に殺気を感じた

まだ手を出そうとはしていなさそうだが、臨戦態勢は整えておこう

こちらが見る限りだと、階段を上がってくる身長は低くて頭に何か刺さって…え?

待て、刺さってる?

えーと…あれは…ブーメラン?

異様にとがってるけど…ほんとに刺さってるとしたらすごいな

というかどうやって刺さったし

もっと間近で見てみた―――

 

そう思って目を凝らした瞬間、消えた

目の前の人影が消えたと理解すると同時に後ろの殺気の正体がこちらに攻撃をしかけてくる

頭に刺さっていた何かのせいで気を抜いていたが、なんとか初撃は避けることができた

しかし避けたときにバランスを崩したせいで、相手に追撃の隙を与えてしまう

避けることができないと察したので妖力を体全体に纏わせ次にくる攻撃の衝撃を緩和させようと試みる

が、予想していた追撃が来ないので片足で階段を踏み飛ばし、階段の横の坂に着地する

そして相手の姿を見ようと顔を上げると、見知った顔が目の前にあった

というか酒くせぇ

 

「しもつきぃ、久しぶりだねぇ」

 

文字通り目の前で挨拶してきたのは酒呑童子(しゅてんどうじ)の伊吹萃香

昔にひょんなことから知り合ってからは、たまにうちの酒を飲んでいくやつとして認識している

酒あるところに萃香あり、という迷言も生まれるくらいの酒好き

あ、この迷言は紫が考えたやつね

なんか紫も萃香からお気に入りの酒を盗られてからは萃香を敵対視してるんだよ

その後俺がその酒と同じものを買ってきたのに、萃香から盗られたやつがいいとか言ってたからもうめんどくさかったな

まあ、次の日にはその酒が返ってきてたわけだけど。中身が空で

もうその日から一週間は紫が口をきいてくれなかったよ、俺関係ないのに

 

「ああ、久しぶりだな」

 

それから姿を全く見せなくなったからどうしたのかと思ったが…

元気そうでなによりだよ

…急に殺しに来るようになりやがって

 

「…あれぇ、怒ってるぅ?」

 

「当たり前じゃぼけ、おかげでこっちは紫から何日無視されたと思ってるんだ」

 

「え? なんかしたっけ?」

 

こいつ…忘れてやがる

 

「なーんてね、あっはっは! あの時の紫の顔はほんと怖かったねぇ…鬼としての血が滾るほどに」

 

その言葉を発すると同時に萃香の目が妖しく光る

 

「あの時ほど戦いたいと思ったことはないね、さっきのもなんとなくだし」

 

さっきの、とは俺への不意打ちの攻撃のことだろう

というかなんとなくで攻撃してこないでくれますかねぇ? こっちは不意打ちで内心焦ってたんですが

 

「まあ、今回は酒の匂いにつられてやってきたんだけど…楽しんでるようだねぇ」

 

そうですか、やっぱり紫の迷言は正しかったのか

 

「じゃあね、わたしは行ってくるよぉ」

 

そう言い残し、ふらふらと境内に入っていく萃香

萃香が何をやらかすかわからないので不安になり境内に戻る

 

 

 

境内は最初より騒がしさを増して宴を続ける




やはり宴会と言えばこの方、伊吹萃香
酔っぱらってる様子を文面で表せたらいいんですが…やはり技量不足ですね
もっと精進したい…なんかいつも言ってるな、これ

Twitterで進行状況を呟いたりしています
しかし大半は日常の愚痴や発狂したり…はしてないと思います

それでは後書きはこのくらいにして
また次回お会いしましょう、さようなら





萃香「あ、その酒ちょーだい」
霜月「あ、それは…」
萃香「…うわっ、なにこれ不味い」
霜月「それ度数薄いから萃香の舌には合わないと言いたかったけど遅かったな」
萃香「ええ…一気に酔いがさめたし…」
霜月「ほぉ…萃香の酔い覚ましには度数の低い酒か…覚えておこう」
萃香「やめて」


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27.月夜の宴は星空の下で(下)

キャピキャピリン
どうも、久しく登場する橘聖です

再び1ヶ月空いてしまいました、申し訳ありません
宴会回の書きにくいこと書きにくいこと
展開が思いつかずに今話で無理に切った感じになってしまいました

…いまさらUA数1000記念やってもねぇ、と思ってしまっています
皆様のおかげであと1000足らずで10000超えるので、ですが

はい、前置き終わり
では『27.月夜の宴は星空の下で(下)』、どうぞ


「しもつきぃいひひ」

 

「やめろ、気持ち悪い」

 

境内に戻ると顔を赤らめた妹紅がすり寄ってきた

寄って来たらそのまま腰に腕を回され、さっきの変な声を出してきた

 

「しもつきぃ、しゅきぃ」

 

「はいはい、そういうのは本命に言おうな」

 

酔いによる勢いで妹紅から告白されたが、多分からかいだろう

本気だとしてもその気持ちには応えられない

だって…妹紅って貴族じゃん?

ただの一妖怪が付き合うのはお門違いってものだろう

 

「ぶー、本気だもん」

 

「本気でもダメなものはダメ」

 

「なんで? 胸がないから? 他に好きなやつがいるから? 私に魅力がないから?」

 

…妹紅の目から光が無くなっていってるんですが

待って、これが紫の言ってたヤンデレってやつ?

めっちゃ怖い。なに、こんなのを好む人いるの?

 

「ち、ちょっと待て妹紅。別に絶交とか言ってるわけじゃない。だから機嫌直せ、な?」

 

「…じゃあひとついい?」

 

目の光は戻らないまま妹紅は話す

俺は無言で首を縦に振る

 

「私は霜月のことが好き、それは変わらない。だからせめて私がいいるときは一緒にいて」

 

「…それは無理だな」

 

「…! じゃあ――」

 

「だが、別に妹紅といることが嫌なわけじゃない。時間があったら構ってやるから、それでいいか?」

 

「…霜月がそう言うなら、それで我慢する」

 

妹紅の目に光が戻ってきたところで、俺は胸をなでおろす

しかしここで疑問が一つ頭に浮かんだ

 

「なぁ妹紅、一つ聞いてもいいか?」

 

「ん、なに?」

 

「…いつからだ?」

 

「え、何が?」

 

「いや…俺に好意を持ったのはいつからなのかな、と思って」

 

俺が好かれるような行動はしてないはずである

外の世界でいう『ふらぐ』も立てていないと思いたい

妹紅は依然腰から離れないまま、少し考えてから答える

 

「最初から、かな」

 

関係なかった

 

「その理由も聞いてもいいか?」

 

「別にいいけど…女の勘ってやつ?」

 

直感ですか、そうですか

でも勘で俺に好意を持たれてもなぁ…

 

「俺の好きなところは?」

 

「えっ…尻尾?」

 

お前もか

そんな渋そうな顔を見て妹紅は続ける

 

「嘘。凛々しい顔とかすらっとした体とか、まあ全体かな」

 

「…そうか」

 

別に悪い気はしないのだが、やはり少しこそばゆい

そんなことを考えていると、妹紅は俺の手を引っ張って縁側に俺を座らせる

急に何かと思えば、外に顔を向けるようにして、俺の太ももに頭を置いた

 

「…しばらく、このままでいさせて」

 

夜空に消え入りそうなほどの妹紅の声に、俺は尻尾の一本でゆっくり頭を撫でて応じる

星が(またた)く夜空は、全てを凌駕するような闇を、光を、夢を孕んでいるように思えた

 

 

 

 

 

「…んむぅ」

 

背中には平たくも人肌ほどのぬくもり

そして太もも辺りに何かが乗っている

 

「そうか、あの後寝てしまったのか」

 

上半身をゆっくりと起こし、周りを見渡す

食べ物はすべてなくなっており、大きい器や杯などが散乱している

そこにはそういった物だけではなく、酔い潰れてそのまま寝た者もいる

これは後片付けが大変そうだ

 

先に後片付けを終わらせようと思い、妹紅を降ろそうとして尻尾を動かそうとすると動かない

不思議に思って尻尾のある方を向くと、紫が俺の尻尾を枕代わりにして心地よさそうに寝ていた

(よだれ)まで垂らしやがって

 

一度尻尾を消し、再度尻尾を出す

そこには透明の液体で濡れて固まっている毛がいくつもあった

 

「…はぁ、後で藍に何か罰でも考えてもらうか」

 

寝起きの頭ではそんなことを考える余裕もなく、涎で濡れたもの以外の尻尾で妹紅を降ろす

そのまま宴会の終わった境内の後片付けを始める

すると、神社の裏から水を流すような音が聞こえることに気づいた

尻尾が汚れないように食器等を重ね、尻尾の上に置いたものが崩れないように気を遣いながら音の聞こえたところへ向かうと霊夢が井戸水で食器を洗っているところだった

 

「霊夢か、早いな」

 

背後から声をかけられ、少し肩が跳ねる霊夢

なんか悪いことしたな

 

「…霜月じゃない、何か用?」

 

しかし冷静だと言わんばかりの顔と声色(こわいろ)でこちらを向く

別に隠さなくてもいいんだが…

 

「食器とか持ってきただけだ。そこに置いておくぞ」

 

 

尻尾に載せていた器や杯を霊夢の横に置く

境内にはまだまだ食器類が残っているので戻ろうとする

 

「あ、霜月」

 

霊夢に名前を呼ばれ、振り返る

 

「えと、あの、そのー…」

 

言い淀んでいる霊夢に疑問を持つ

言いにくいことなのだろうか

 

「あ…あり…ありがと…」

 

そう言ってすぐに洗いを再開する霊夢

お礼は大事だよな、誰かみたいにお礼も言わずわがままばっかり言う奴とはやっぱり違う

 

 

そのとき、至る所の人妖が一斉にくしゃみをしたというが、その噂の真偽を知るものはいない




今回の後書きは特になし!
それではまた次回、さようならぁ!





霜月「あ、吹雪酒と月乃酒が飲まれてる」
紫「霜月が買ってきたお酒、おいしかったわぁ…スヤァ」(寝言)
霜月「てめぇか、一度死なないと気が済まないようだなぁ?」
紫「あっ、ちょっと、そこはだめっ…」
霜月「…どんな夢見てるんだ。やる気なくなったし…片づけの手伝いしてこよ」
紫「…ああ、そこ。肩が凝ってるのよ、はぁー…スヤスヤ」


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28.探索! 妖怪の山

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

また一ヶ月投稿が空いてしまいました
一ヶ月一話更新にしない理由は、アイデアがフッと思い浮かんで筆が進むときがあるので、一ヶ月経つ前に投稿できると信じているからです
だって前はできていたんですから

ゴホン
今回からは妖怪の山の探索回となります

そしておそらくですが次回の更新は12/25になると思います
ちょうどその日がこの小説の投稿開始から一年が経ちます
感謝などはそのときにしますね

ではでは、『28.探索! 妖怪の山』をどうぞ


宴会も終わり、すっかりいつもの雰囲気に戻った幻想郷

俺は家でのんびり…してはいなかった

 

ただいま人里の上空

目的地は妖怪の山

目的は山菜の採集と観光

 

なぜ妖怪の山に行くことになったのか、というのにはもちろん理由がある

宴会と八雲家のお泊りで食料の在庫が切れた

あんなに買っておいたのに俺は全体の一割も食べてないぞ

…宴会にはもう参加したくないな

 

前回行ったときには神々の争いもとい迷惑行為で入ることができなかった

いつその迷惑行為が終わるかわからないが、数日は経っている

終わってないのなら人里に行くまでだが、妖怪の山に行くこと以外は現状を把握する(すべ)がない

 

 

 

そろそろ妖怪の山の麓に着く

上空から入ればいいじゃないか、と言われそうだがダメだろう

前回は哨戒中であろう妖怪と会ったし、上空から入ると面倒なことになると分かる

なので前回と同じようなところから入ろうと思い、高度を下げて静かに着地する

 

…連絡もなしで来たのでもちろん迎えてくれるやつなんていない

仕方ない、少し待つか

 

 

 

「…何をしている?」

 

待つこと数分

前回と同じような声が聞こえる

 

「見たらわかるだろ、尻尾の毛を数えてる」

 

「いや、そうだが…何用でここに来た?」

 

毛の数を数えていた尻尾を消し、答える

 

「山菜取りに来た」

 

「性懲りもなくまたか…だが、二神の争いは終わっている。入るといいだろう」

 

「ほんとか、ありがとう」

 

願っていた答えが返ってくる

無駄足ではなかった、よかった

 

「では、これをつけるといい」

 

白髪の女の子から渡されたのは紅葉型の木片に紐を通したもの

 

「それは私が独断で、山に入ることを許可した者に渡すものだ。それには微量だが私の妖力を流しこんである。他の哨戒している者に会ったらそれを見せれば問題が起こることは無いだろう」

 

「これは首にぶら下げていればいいのか?」

 

「そうだな。あ、山を下りた後は近くの哨戒している者にでも渡しておいてくれ。持って帰るなよ」

 

飾りやアクセサリーとして良さそうだったんだが…ダメですか

仕方なく頷き、その許可証を首につりさげる

 

「…それを壊したり失くしたりすると大事になるからな。わかったか?」

 

再び頷く

すると、その白髪の女の子はどこかに行ってしまった

哨戒に戻ったのか、上に伝えに行ったのか

ともかく、これで山菜が取り放題なわけですな

持って帰れる分だけ取っていきましょうか

 

 

 

・・・・・<数時間後>・・・・・

 

 

 

大量大量

これだけあれば数日はもつ

八雲家が来てもすぐに底をつくことはないだろう

 

もちろん他の哨戒しているのにも出会ったが、この許可証を見せると一礼して哨戒に戻っていった

一礼していったのは『すいません』の意なのか『ゆっくりしてけ』の意なのか

 

だが、咎められないということは、いても大丈夫ということなのだろう

それなら山菜集めはこれまでにしておいて、妖怪の山の散策をしようか

何かあったらこの許可証でも見せたらいいだろう

…名も知らぬ白髪の女の子、すまぬ

 

 

 

まずは山菜取りの途中で見えた川にやってきた

さすが幻想郷と言うべきか、流れる水は透き通っている

このまま飲んでも問題ないように思われるが、今は特に喉が渇いているわけではないからまたの機会に

 

この山の地形を把握しているわけではないので、この川に沿って登っていくとしよう

道中で誰かに会ったら、どこに何があるのかを聞くのもいいかもしれない

気になる場所があったらそこへ行ってみようか

 

 

 

霜月、行動開始 in妖怪の山




短いのはご了承ください
普通に書くと長くなってしまい、余計に投稿が遅れると判断したのでここで投稿させていただきました

PS4デビューから一ヶ月は経ったでしょうか
今やっているゲームはBF4とDQ10です
R6sやdbdもしたいのですがお金が…

書きたいこと(リアルの話)はいろいろありますが読者様に読ませることでもないですので割愛させていただきます

次回はこの話の続きかクリスマス回にするか…
それは私にもわかりません

ではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「妖怪の山の案内人はいないのか」
椛「普通なら私が護衛として着いていくんですが、妖狐でしたので不要かと思いまして」
霜月「別にいいんだけど…せめて地図くらいは欲しかったなぁ」
椛「…ハッ」(腰から丸めてある地図を取り出す)
霜月「…この木片、燃やし尽くしてくれようか」
椛「それだけは!」

文「何をしているんでしょう、あの二人」


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29.川の近くの住居人

キャピキャピリン
どうも、橘聖です

皆様、あけましておめでとうございます(二月中旬)
気づけば、この作品を投稿し始めて一年経ってました
これも、読者の皆様のおかげです、ありがとうございます

遅れた理由ですが、本当に何もこの後の展開が思いつかず、時間だけが過ぎていったが故に、です。本当にすいませんでした

おそらくというかほぼ確定ですが、これからの更新もこれまで以上に間隔が空くと思います
それまで待っていただければ、と思っています

それでは、遅くなりましたが
『29.川の近くの住居人』、どうぞ

無理やり気味に書いたので文字数は少ないです


近くに川が流れているのか、水の音が絶え間なく聞こえてくる

目印となるものがない今、その音のなる方へ歩いていく

 

数分もしないうちに少し開けた場所に出た

そこには、さっきから聞こえていた音の元であろう川と、そこには不似合いなほどに土台がしっかりしている小屋があった

 

「こんなところに小屋が…? 人間が住むとは思えないし、やはり妖怪がここに…?」

 

そう、ここは妖怪の山

妖怪の、とつくほどには魑魅魍魎(ちみもうりょう)跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しているこの山

 

…どんな妖怪が住んでいるのか気になるところ

思い立った日が吉日、という言葉がある

ということで訪問してみようじゃないか

 

扉を四回叩き、反応を見る

すると、すぐに中から反応した声が聞こえた

 

「なんだーい!? 私は今忙しいんだけどー!? ていうかだれぇ!?」

 

…これは訪ねる時間を間違えたな

 

「いや、なんとなくここを通った者だから理由は特にない」

 

「私としては来客は嫌なわけではないから、もう少し待ってくれれば中に入れさせるけどー!?」

 

そんな大声でなくとも聞こえるんだが…

 

「…そちらがいいのなら俺はここで待たせてもらうが」

 

「わかったー! もう少し待っててねー!」

 

元気のいい妖怪さんだなぁ

そう思いつつ、近くの川を眺めながら時間をつぶすことにした

 

 

 

「待たせたね! …なんで人間がここにいるのかい?」

 

そう待たずに中から元気に出てきたのはこれはまた可愛らしい女の子

緑の服に帽子、青い髪を左右二つで纏めたツインテール

見る限りだと何の妖怪なのかわからない

 

「理由は妖怪の山探索。許可はこれだ」

 

言い終えるのと同時に首に下げていた、哨戒していた白髪の女の子からもらっ…借りた紅葉型の木片を強調させる

すると、目の前の女の子は納得がいったように首を縦に振る

 

「ああ、椛から許可をもらってたのか。それなら歓迎するよ、中に入るかい?」

 

警戒していた様子から一変、手招きをしつつ中へ入るように促される

 

「それじゃあお邪魔しようか」

 

「うんうん、お邪魔歓迎さ。あ、中のものに手を触れないようにね、中にはバイオハザード物質を放出させるのもあるから」

 

バイオハザード物質…? なんだそれ

 

「なんだそれ、って顔をしてるね。説明しよう! バイオハザード物質とは有害な生物による危険性をいうのだ! 「生物災害」と訳して危険性による災害そのものをいうこともある。肝炎ウイルスや結核菌、エキノコックス、プリオンタンパク質といった病原体の培養物やその廃棄物、注射針等の医療廃棄物、生物兵器といった、病原体等を含有する物質を総称して「病毒をうつしやすい物質」という。病原体とは感染症の原因物質のことであり――」(Wikipediaより引用)

 

…勝手に蘊蓄(うんちく)での説明が始まったが、これはどうすればいいのだろうか

俺としては早くお邪魔したいのだが…

 

 

 

「――だから、私の発明品は幻想郷一、いや、世界一と言っても過言じゃないんだよ、わかったかい!?」

 

興奮気味にこちらに視線を移す女の子

あ、やっと終わったのか。かれこれ十数分は話してたんじゃないのか…?

こちらとしてはあまり話を聞いていなかったからわかったとは言えないが、とりあえず何か返しておこう

 

「ふむ、その発明品とやらに触らなければいいのか?」

 

「端的に言うとそうだね。それじゃ、長話も済んだし中に入っていいよ」

 

自覚はあったのか…

そう思いつつ、女の子の後ろに着いていく

 

 

 

もちろん、そこらかしこにあったやばそうなものに驚いたのは言うまでもない




次は天人お嬢様の方を更新しなければ…(絶望)

それではまた次回お会いしましょう、さようなら





霜月「…」
紫「…」
霜月「…なぁ」
紫「…えぇ」
霜月・紫「寒い」


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