機動武闘伝IS (kkrus)
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第1話 所在不明!?迷い込んだGF!

初めて読んでくれる方は初めまして
前に読んでくれていた方はお久しぶりです
また頑張って投稿したいと思いますのでよろしくお願いします


ギアナ高地

「ふっ!はっ!」

ドモンは更なる高みを目指して修行に明け暮れていた。

デビルガンダムとの死闘から早一年。シャッフル同盟のキング・オブ・ハートとしてガンダムファイトを戦い抜き、師匠であった東方不敗を倒し、宿敵デビルガンダムを倒して尚、ドモンは強さを求め続けていた。

(まだだ、この程度ではまだ師匠を超えたとは言えない…!)

確かにドモンは東方不敗を倒した。しかし、そのとき東方不敗の体は不治の病に侵され、全力で戦うことはできなかった。

「くっ、こんな迷いのある拳では修行など意味が無い…」

ドモンがキャンプに戻ろうとすると、急に辺りに霧が出始めた。

(何故急に霧が・・・)

(森の中にいたはずなのになぜ海に俺はいる?)

「そこにいるのは誰だ。」

「!」

振り向くとそこには黒髪の女性が立っていた。

「貴様は誰だ?名を名乗れ。」

「こういう時はそちらから名乗る物じゃないのか?」

「生憎不審者に名乗る名前は無いな。」

「…」

ドモンは隙を見て逃げる算段をしていたが、どうもこの女性には隙が見られない。

仕方がないので抵抗をあきらめ、情報を得る方向に転換することにした。

「…俺はドモン・カッシュだ。教えてくれ、ここはどこだ。」

「…ここはIS学園。インフィニット・ストラトスの操縦者の養成学校だ。貴様はそんなことも知らずにここに侵入したのか?」

「インフィニット・ストラトス?何だそれは。」

「…貴様、それは本気で…」

女性はドモンの顔をまじまじと見た。

「…どうやら冗談を言っているわけではなさそうだ。貴様、どこから来た?」

「出身はネオジャパン、直前までいたのはギアナ高地だ。」

「…」

「織斑先生!」

「山田先生か。」

「不審者は確保しましたか?」

「いや、そこにいる。」

「…」

「どうして拘束していないんですか?」

「どうやら訳ありのようだ。ISのことを知らなかった上に出身もよく分からん。」

「どうしてここにいるのでしょうか?」

「さあな、私にも分からんが…。おい、ドモン・カッシュ。」

「なんだ?」

「私について来い。ISを見せてやる。」

「織斑先生!?」

「山田先生、今までに現れた男性IS操縦者の特徴を覚えているか?」

「確か、出身が曖昧で、格闘が異常に強いということでしたが…。まさか、この人も?」

「それはまだ分からん。だが、この筋肉の感じから何かの格闘技の達人だということ分かる。違うか、ドモン・カッシュ?」

「…達人かは分からんが、一応腕には覚えがあるが?」

「ならば十分だ。ついて来い。妙なことを考えたらすぐに拘束してやる。」

「…分かった。」

 

 

 

道すがらドモンは一通りISとこの世界について説明を受けた。本来女性しか操縦できないこと、片手程しか男性操縦者がいないこと、その結果極端な女尊男卑がはびこっていること…。

ドモンも自分のいた世界のことを説明した。コロニーのこと、モビルファイターのこと、4年に一度行われるガンダムファイトのこと…。

「…にわかには信じがたい話だな。」

「こちらも信じられん。モビルファイターと同等の性能を持つパワードスーツがあるとは…。」

(何よりも信じられんのはこの人が俺より年上だということだがな。)

山田先生と呼ばれた女性の方をまじまじと見ながらドモンは思った。

「どうかしましたか?」

「…いや、何でもない。」

「カッシュ、ここがISの格納庫だ。」

鉄の扉が開かれ、明かりがつくとそこには数十体のIS が置かれていた。

「これがIS…。」

「カッシュ、触ってみろ。」

ドモンがISに触れると頭に大量のイメージが流れ込んできた。

「何なんだこれは…。」

「どうやら適合したようしたようだな。」

「何…?」

「お前にもISが操縦できるということだ。」

「おめでとうございます。さっき説明した通り男性のIS操縦者は世界的にかなり珍しいんですよ。」

「貴様にはこの4月からIS学園の生徒となってもらう。手続きはこちらで済ませておく。言っておくが拒否権はない。分かったな。」

「どうせ行くあては無い…、拒否するつもりはない。」

「よろしい、貴様は私と山田先生のクラスに入ることになる。」

「寮に部屋を用意しておきますから今日からそこで生活してくださいね。」

「ああ、分かった。」

するとドモンにも見切りがたいスピードで拳が飛んできた。

「敬語を使わんか馬鹿者。」

「ぐっ、分かりました…。」

こうしてドモンはIS学園の一年生となったのだった。

 

 

 

「じゃあ自己紹介をして下さいね。出席番号順で。」

ドモンは窓際の席で辟易としていた。

このクラスには自分と対等に試合ができそうな気を発しているものが一人もいない。

この世界におけるISの役割は現在のところは競技用なのだから仕方がないのだろう。

しかも男子は自分を除けば一人しかいない。

人付き合いが得意ではないドモンにとっては、居心地のいい環境とは言えない。

ドモンは教壇のすぐ前の席に座るもう一人の男子生徒の方を見る。

(織斑先生の弟だと聞いたが、どれほどのものか手合せしたいものだ。)

ちょうど本人が自己紹介をするように真耶から言われているところだった。

「織斑一夏です。よろしくお願いします。」

その瞬間、女子生徒全員の目が獲物を狩ろうとする獣のような目へと変わる。

ドモンも一応は集中して聴いている。

(そこまで男性が珍しいのか?)

自分のこれからの生活が少々不安となってくるドモンであった。

一夏は相当追いつめられた様子だったが、意を決して発言した。

「以上です!」

その瞬間ドモンを除く全員がずっこけた。

そして、一夏の頭に鉄拳が落とされた。

そこにはいつの間に入ってきたのだろうか、千冬が立っていた。

「げっ、千冬姉!?」

一夏の頭にもう一撃鉄拳が落とされた。

「学校では織斑先生だ。」

その様子を見てドモンは感心する。

(あの一撃、こちらの世界にいて、武術の稽古を積めばかなり上位の、あるいはシャッフル同盟に匹敵するガンダムファイターになれたかも知れんな。)

ドモンは千冬がこちらにおける最高クラスのIS操縦者であることをまだ知らない。

 

 

 

その後は淡々と自己紹介が進んでいく。一人やたら偉そうなのがいた気がするが気にしないことにする。

(ここには師匠のような武術の達人はいるのだろうか?いるとすればぜひ手合せ願いたいところだが…)

「…シュ君。」

(だが、この中で期待できるものはいるまい…。そうなると上級生の中から探すべきか?)

「カッシュ君!」

「ん?」

「自己紹介カッシュ君の番なんだけど…。」

「ああ、はい。」

どうやら考え事をしている間に自分の番が回ってきたようだ。

「俺はドモン・カッシュだ…」

周りからは一夏の時のように好奇の視線が飛んでくる。そこでドモンは先人の戦法を借りることにする。

「以上だ!!」

再びほぼ全員がこけた。千冬からは鋭い殺気が飛んできたので、負けじと殺気を送り返すと、周りの女生徒数名が身震いをした。

なんやかんやで自己紹介が終わると、千冬が教壇に立った。

「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物にするのが仕事だ。」

その瞬間教室全体から悲鳴が上がった。

(どうやらかなりの有名人のようだな。逆に言えばこの人に会うために来ている奴らもいるのだろう…。そうなると、この学年だけではなく、上級生もあまり期待できないかもしれんな…)

 

 

 

早速授業が始まった。内容はISの基礎だったが、ドモンは全くチンプンカンプンだった。

(拙い、全くわからん。どうすればいいんだ。)

一夏の方も全くわからないようで、全部わからないと発言してまた鉄拳制裁を食らっていた。

この後授業は何とか進んでいき、休み時間になった。

 

 

 

ドモンが教室のドアから覗いている女子たちに辟易としていると、

「なあ、ちょっといいか?」

「む?ああ、織斑か。」

一夏から話しかけてきた。

「俺は、織斑一夏だ。一夏でいいぜ。よろしくな。」

「こちらこそよろしく頼む。俺もドモンで構わない。」

「よろしくな、ドモン。しっかし、ここまで注目されるとは思ってなかったぜ。」

「しょうがないだろう。世界的にも珍しいISを動かせる男子生徒だ。注目しない方が無理だろう。」

「ドモンがいて助かったぜ。1人だと思ったらそれだけでゾッとするよ。」

「ああ、全くだな。」

二人とも自分1人で女子生徒たちの中で生活する様子を想像して苦笑する。

そのとき、1人の女生徒が近づいてきた。自己紹介の時にやたら偉そうだった奴だと思いだす。

「あなた達、ちょっとよろしいですこと?」

「ん?」

「誰だ?」

「まあ、私のことをご存じありませんの!?この私、イギリスの代表候補生にして、入試主席のセシリア・オルコットを!?」

「「すまん…」」

その強い語気に2人は反射的に謝罪してしまう。

「なあ、一つだけ質問していいか?」

一夏が軽く手を挙げて発言する。

「ふん、下々の者達の要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ。」

「…代表候補生ってなんだ?」

生徒たちがまたしてもずっこけた。なぜそんなことになるのか分からないのはドモンと一夏だけである。

「そんなことも知りませんの!?代表候補生というのは各国のIS操縦者の中から選ばれたいわばエリートですのよ!?」

(ガンダムファイターの一歩手前の奴らみたいなものか。)

「で、その代表候補生が俺達に何の用だ?」

「私の本国でも男性のIS操縦者は私の先生位しかいませんの。それが、この学園には1人もいるのであれば、少しは仲良くしておいた方が得というもの・・・。私は優しくて優秀ですから、泣いて頼めば少しは操縦などを教えて差し上げてもよくってよ。」

「ああ、ならそのうち頼むよ。」

「そうか、ならよろしく頼む。」

「…馬鹿にしていますの?」

そこでチャイムが鳴り、セシリアは自分の席に戻っていった。

 

 

 

その日の授業が終わり、ドモンは自分の部屋に戻ってきた。新学期前にここを使うようにといわれた部屋で、現状2人部屋を1人で使っているところだ。

「おう、ドモン。」

声のする方を見ると、そこには一夏が立っている。

「一夏か。お前の部屋はそこなのか?」

「ああ。部屋が隣なら毎朝飯を一緒に食えるな。」

「そうだな。それより、お前は部屋の準備があるだろう。やるなら早く済ませた方がいいぞ。」

「ああ、じゃあな。」

2人は軽く話してそれぞれの部屋に入った。

一夏がシャワーを浴びていた篠ノ之箒に出くわして死にかけたのはその直後のことである。

 

 

 

翌日、HRの時間である。

「これからクラス代表を決める。クラス代表は主に学級委員のような仕事をしてもらうことになるが来月に行われるクラス対抗戦の代表も兼ねている。自薦他薦は問わん。誰か意見のある者はいるか?」

千冬が話し終えた直後、女生徒の一人が手を挙げる。

「はい、私は織斑君がいいと思います。」

「えっ、ちょっと!?」

「私はカッシュ君がいいと思います。」

「おい、待て。俺は」

「納得がいきませんわ!」

クラス代表に推薦されて2人がうろたえていると、不満を露にセシリアが立ち上がる。

「どうして私ではなく、この男達を代表に選びますの!?私のような実力のあるものならまだしもまだISの基礎も分かっていないような者達がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!」

「なっ…!?」

「…」

「セシリアさん、ちょっと言い過ぎなんじゃ…。」

セシリアの言葉に一夏はムッとし、ドモンも静かにはしていたが漂わす雰囲気に少し怒りが混じった。

女生徒の一人が制止するものの怒りに燃えるセシリアの罵倒は止まらない。

「大体、文化的に後進的な国で暮らさなければならないこと自体私には耐え難い苦痛で…」

「そういうイギリスだって大したお国自慢無いだろ?世界一まずい料理で何年連続覇者だよ。」

「あなた、私の祖国を侮辱しますの!?日本にだって大したお国自慢はないでしょう!?」

2人がお互いの祖国を侮辱し合っていると、ドモンが静かに立ち上がった。

「…そこまでいうなら、1対1で決着をつけたらどうだ?」

「そうですわね。ここまで祖国を馬鹿にされては腹の虫がおさまりませんわ。」

「ああ、俺も構わないぜ。さすがにここで引き下がるわけにはいかないからな。」

2人がその言葉に同意する。

「俺も参戦する。自分の国を馬鹿にされているのは俺も同じだからな。」

ドモンがガンダムファイトに参加していたのは愛国心のためではなく、あるものを探すためで仕方なくだったとはいえ、自分の祖国に対する思いが弱い訳では無い。

「話はまとまったな。」

その様子を見て千冬が提案を始めた。

「試合は来週の月曜、第3アリーナで行う。各自準備をしておけ。分かったな?」

「はい!」「ああ!」「おう!」

こうしてどちらかというとクラス代表のためではなく、自分たちの祖国の誇りをかけた戦いの火ぶたが切って落とされようとしていた。

 

 




プロローグと1話分をくっつけてみました

タグにつけた方がいい物を募集します
自分ではちょうどいいものが思いつかなかったので教えていただけると幸いです

5/23 追記
感想からアドバイスを受けて少々修正。ついでに誤字も直しました
それと今後の展開と齟齬が生じるためセシリアのセリフも修正


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第2話 特訓!新たなる舞台へ

前回のあらすじ

特訓していたドモンは霧にまかれ別の世界へ
そこはISと言うものが存在する世界だった
ドモンはISが操縦可能だと言うことが分かりIS学園へ入学
初日にイギリスの代表候補生セシリア・オルコットからもう一人の男子生徒織斑一夏共々宣戦布告された


その日の放課後ドモンは作戦会議のため一夏の部屋に向かった。

「一夏、篠ノ之、入るぞ。」

「おう、ドモン、入ってくれ。」

中に入ると一夏と箒がそれぞれのベッドに座っていた。

ドモンはとりあえず一夏の隣に座った。

「じゃあ、早速会議を始めるか。」

「ああ。とはいっても作戦を立てる前に俺達はISの操縦から学ばなければならないだろう。」

「まあ、そうだな。向こうは代表候補ってことは相当ISの扱いには慣れてるはずだからな。」

「では、誰かにコーチについてもらって二人で特訓ということでどうだ?」

「それでいいんじゃないか?じゃあまずはコーチを探さないとな。」

「それについてだが…」

「ちょっと待ってくれないか。」

ここで今まで黙っていた箒が発言した。

「なんだ、箒?」

「一夏のコーチは私に任せてくれないか?」

「それは構わんが、どうするんだ?篠ノ之もISの操縦経験がある訳では無いんだろう?」

「こいつにはISどうこうの前に戦う覚悟が足りない。それを私が特訓して鍛えなおしてやる。」

「ほう…、分かった。では、一夏は條ノ之に任せて俺は俺でコーチを探すことにしよう。それでいいか?」

「ああ、1週間後に互いの成果を出せるように頑張ろうぜ。」

「では、俺はコーチを探すから今日は戻るとしよう。じゃあ、また明日会おう。」

「おう、じゃあ箒こっちは早速特訓を始めようぜ!」

「では、早速剣道場へ行くぞ!」

「なっ、鍛えなおすって剣道でかよ!?」

「問答無用!さっさと行くぞ!」

「待ってくれ!ちゃんと歩けるから、引きずらないでくれ!」

部屋を出ると一夏と箒はさっさと剣道場へ行ってしまった。

(さて、俺も早いところコーチを見つけなければな。とりあえず織斑先生に頼んでみるか…)

 

 

 

「だめだ。」

教務室に入ってすぐに千冬を見つけたもののコーチの話を持ちかけると一瞬で断られてしまった。

「どうしてですか。」

「生憎私は一人の生徒のために時間がさけるほど暇じゃない。他をあたってくれ。」

「…分かりました。」

「あれ、カッシュ君。どうしました?」

ドモンが他のコーチをやってくれそうな人を探すため踵を返そうとすると、ちょうどそこに真耶がやってきた。

「ああ、山田先生。ちょうどいいところに来てくれた。」

「どうしました、織斑先生?」

「カッシュがISの操縦を教えてもらいたいと言ってきたのでな。山田先生、やってもらえるか?」

「ええ、私は構いませんよ。」

「そういう訳だ。カッシュ、今度から山田先生がお前のコーチだ。しっかり基礎をたたき込んでもらえ。」

「よろしくお願いします、山田先生。」

「はい、よろしくね、カッシュ君。でも、今日は仕事があるから訓練は明日からね。」

「分かりました。あっ、それと織斑先生。」

「何だ?」

「この近くの林を個人的に使ってもいいでしょうか?」

ドモンは入学前から学園のあちこちを回り、鍛錬に使えそうなところなどに目星をつけていた。

「構わんが、何をするつもりだ?」

「朝の鍛錬に使うつもりなのですが。」

「それなら別に許可などいらん。なぜわざわざ言う必要がある?」

「力加減を間違えると木を折ってしまうかもしれません。」

「…まあ、なるべく折らないようにな。」

「はい、分かりました。」

「えーと、カッシュ君、今日は図書館に行ってみたらどうかな?色々な資料が揃ってますから。」

「分かりました。では、失礼します。」

ドモンは図書室に向かうことにした。後ろでは千冬と真耶が呆気にとられていた。

ドモンはあっさりと木を折れると言った。彼にとっては特別なことではないが、一般的には木を素手で折るなどもはや人間業ではない。

2人はドモンの力の片鱗を言葉の一端から知ることとなった。

 

 

 

(ここか)

それから数分後、ドモンは図書室にたどり着いた。

中に入ると人はまばらで、本を読む人よりもどちらかというと静かな自習室として利用している人が多いように感じられた。

司書にIS関係の資料の場所を聞き、その中から良さそうなものを数冊抜き出し、読むことにした。

1年程前に書かれた本を読んでいると男性IS操縦者についての項が見つかった。

(ここは一応しっかりと読んでみるか)

 

 

男性IS操縦者は世界でも現在のところ4名しか存在しない。その希少性から男性IS操縦者を有する国は国内に男性IS操縦者が存在することを明らかにしながらも、詳細な情報については公開していない。

男性IS操縦者の存在する国は、中国、ドイツ、イギリス、日本の4か国のみである。

ただし、日本に関しては操縦者が失踪しているという情報もあり、現在はどうなっているのかは定かではない。

残りの三名について、いずれも高い戦闘能力を持つと言われているが、各国政府は訓練教官として活動していると発表しており、今後も国際大会などに出場することはないと思われる。

いずれの人物も突然現れたことから一部では「異世界から現れた」といったオカルトな噂もまことしやかに囁かれている。

 

 

(他にも俺のような奴がいるのだな…)

ドモンはこの本も含め数冊を借りて部屋に戻ることにした。

部屋に戻ってくるとちょうど一夏と箒が戻ってくるところだった。

ただ、一夏は箒に引きずられており、体には全く力が入っていなかった。

ドモンはどのような特訓が行われたのか想像し、一夏の明日からの毎日が平穏に過ぎることを祈った。

 

 

 

翌日からは真耶による特訓が始まった。

MFとは操縦法が似ているようで違うISを動かすのはドモンでも一苦労だった

しかし、真耶の的確な指導によって、試合前日にはかなり動けるようになっていた。

話を聞くと彼女もかつては代表候補生だったそうだ。

「しかし、変わった機体ですね。格闘武器しか積んでいないなんて。」

「ガンダムファイトは要はMFを使った格闘技ですし、俺には格闘しかできませんから。」

「でも、銃火器を使ってもいいんでしょう?その方が有利だと思うんだけどなぁ。」

「だから俺が戦った大会の前は射撃主体の機体が多かったんですよ。」

「じゃあ、どうしてこの機体はこういう風に?」

「それは、俺の師匠が前回大会で優勝したからです。」

「どういうこと?」

 

かつてガンダムファイトで3連覇を達成し、文字通り頂点に立った男がいた。

男の名はジェントル・チャップマン、ネオイングランド代表だった。

彼が得意としていたのは遠距離からの狙撃であり、それにより武器の使用が有利であるとされ、ガンダムを重武装化する風潮が広まり、ガンダムファイトが再び戦争となる危機を迎えた。

チャップマンが4連覇を達成するだろうと言われていた第12回大会、優勝したのはかの東方不敗だった。

東方不敗のおかげで近接格闘が見直され、戦争の危機は去ったのだ。

 

「なるほど、そういうことだったの。」

「ところで、俺の操縦はどうですか?」

「うん、だいぶ良くなってきたと思う。特に格闘はいいと思うよ。オルコットさんの機体は射撃戦が主体だから、近接戦闘に持ち込めば勝てるかもしれない。」

「今日まで訓練に付き合って下さって、ありがとうございました。」

「どういたしまして。」

ドモンが軽く頭を下げると、真耶は優しく微笑んだ。

 

 

 

(明日はいよいよオルコットとの試合だ・・・)

ここで勝てれば更なる強者と当たる機会も増えるだろう。しかし、負ければあのセシリアのことだ。あのお嬢様口調で思いきり罵倒してくることだろう。

(今の俺にどこまでできるか分からん・・・。だが、できる限りのことをしよう)

そして、ドモンは眠りについた。

 




色々修正していたら投稿に時間がかかってしまいました
次回もこのくらいになるかもしれません

前に投稿していた時は前書きはGガンの前ふりっぽく書いていたのですがこちらでもそうした方がいいのでしょうか?
まだ空気がつかめていないのでこれでいいのか模索中です

にじふぁんで投稿していた時からいろいろなことがありました
SSを読み漁っていたらブラックラビッ党からセカン党に鞍替えしたりもしました
一番好きなのはラウラだけど嫁にしたいのは鈴
生きるとは矛盾を孕んで進むことだととある上級大尉が言っていたので私も生きます


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第3話 闘えドモン!青い貴族への挑戦

前回までのあらすじ

セシリアとのクラス代表決定戦へ向け特訓をすることにしたドモンと一夏
一夏は箒に引っ張られて行ってしまった
ドモンは真耶をコーチにつけ、当日へ向けて練習を開始した


ついに勝負の朝を迎えた。

「ドモン、おはよう」

「一夏か。いよいよ今日だな。」

「ああ、特訓の成果見せてやろう…と言いたいんだが…」

「ん?どうした?特訓をさぼっていたわけじゃないんだろう?」

実際、ドモンはほぼ毎日ボロボロになって帰ってくる一夏を目撃している。

その様子から、箒からつけられた稽古はかなりのものだと分析していた。

「実は、箒から受けたのって剣道の稽古ばかりでさ。結局ISの操縦とかは全然教えてもらえなかったんだ。」

「そうなると、今日の勝負は大丈夫か?」

「まあ、おかげで剣道の動きとかは大体思い出せたから、それで何とかしてみせるさ。それに」

「?」

「この期に及んで逃げたなんてことになったら男が廃るからな。俺は逃げないぜ。」

「フッ、いい覚悟だ。だが、訓練を受けていないのは少々どころか大分分が悪いと思うぞ。」

「…だよなー。」

 

 

 

放課後、第3アリーナにはすでにそれなりの人が集まっていた。集まっているのは1年生だけではない。数少ない男性IS操縦者と代表候補生が戦うとあって注目度は高いようだ。

「箒、何でおれにISの訓練してくれなかったんだよ。」

「う、うるさい!この期に及んで文句を垂れるな!」

「二人とも落ち着け。一夏、お前はどのISを使うんだ?」

「量産型の打鉄にしようかな。俺には専用機なんて無いし。」

『あるぞ。』

「千冬姉!?」

『織斑先生と呼べ。』

『これが織斑君の専用機、『白式』です。』

真耶がそう言うと同時に後ろのハッチが開き中から白いISが姿を現す。

『急ピッチで用意させたものだが出来は悪くない。さっそく動かしてみろ。』

「ああ!」

『そうだ、背中を任せるように乗り込め。時間が無いから戦いの中で満足に動かせるようにしろ。』

「じゃあドモン、俺が先に出ていいか?」

「ああ、構わない。俺はしばし気を整えてから戦いたい。」

「お、おう。じゃあ、先に行かせてもらうぜ。」

「い、一夏。」

「どうした、箒?」

「私が稽古をつけたんだ。負けるなよ!」

「ああ、分かってるさ!」

そう言うと一夏はカタパルトに乗り、フィールドへ飛び出した。

「篠ノ之。」

「どうした、カッシュ?」

「俺はしばし瞑想をする。決着がついたら声をかけてくれ。」

「ああ、分かった。」

(この勝負、一夏は負けるな…)

ドモンの予想通り一夏は負けた。だが、ドモンの予想よりも善戦した。これは一夏の才能によるものだろう。

 

 

 

「おい、カッシュ。」

「む、けりがついたか?」

「ああ、残念ながら一夏は負けてしまった。試合の後墜落してしまって今は医務室だ。」

「…そうか。」

「だから、頼む!一夏の敵を討ってくれ!」

「ああ、任せろ。」

そして箒はアリーナの外へ飛び出していった。おそらく一夏のところへ向かったのだろう。

ドモンは立ち上がり、自分の機体であるシャイニングガンダムを展開する。まだ展開には少々時間がかかるが、真耶には「初心者にしては早い方だ」と言われている。

ドモンはカタパルトに乗り、空へと舞い上がる。

(このような出撃の仕方も悪くはないな。)

目の前ではセシリアが仁王立ちで待ち構えていた。するとセシリアから通信が入った。

『あなたにチャンスを差し上げますわ。』

「ほう、何だ?」

『このまま戦っても私が一方的に勝つのは自明の理…。今、土下座して謝れば、少しは加減して差し上げてもよくってよ。』

「加減など必要ない。お前がいくら強くてもいつも勝つとは限らん。…昔のドイツ人が残した言葉にはこんなものがある。『強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ。』とな。」

『あら、それでは何も変わりませんわね。』

シャイニングガンダムのモニターに『警告 敵IS射撃体勢に移行』と表示された。

(…来る!)

『私は強く、そしてこの決闘にも勝つのですから!』

セシリアがスターライトMk-Ⅲを構え射撃を行う。しかし、直線的な攻撃だったためドモンにあっさりかわされた。

「どうした!貴様の攻撃はその程度か!」

ドモンは攻撃をかわしながらセシリアへ接近していく。

その時、強い衝撃がドモンを襲った。

「ぐおっ!?」

『ふん、このブルー・ティアーズ、みくびってもらっては困りますわ!』

(遠隔兵器か!?)

気づくとドモンの周りを4基の砲塔が囲んでいた。

(この程度の数ならば!)

ドモンの中では遠隔兵器は驚きこそすれど、翻弄されて後れを取る物ではない。

自分の盟友であったジョルジュ・ド・サンドのMFガンダムローズには、遠隔兵器であるローゼスビットが搭載されていた。ドモンはその攻撃に苦しめられたが、ローゼスビットの数と比べれば、今相手にしているのは物の数ではない。

周りを飛ぶ砲塔から次々とビームが放たれるもドモンは最小限の動きだけでかわすと、セシリアは痺れを切らし、少しずつ砲塔をドモンに接近させていった。

(かかった!)

この瞬間を待っていたドモンは2本の刀を抜き、その場で高速回転してブルー・ティアーズを切り裂いた。

『なっ、一瞬で全てのブルー・ティアーズを!?』

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

千載一遇の好機と見てドモンはセシリアに対して突進する。

セシリアはそれを弾幕を張って止めようとするが、それを気にせずドモンは突っ込んでいき、一太刀を浴びせる。

『ああっ!』

シールドエネルギーがかなり削られ、さらに武器も奪われセシリアは裸同然の状態になってしまった。しかし、ドモンも先程の突進で3分の2ほどのシールドエネルギーを失ってしまった。

「これで、とどめだぁぁぁぁ!」

とどめを刺そうと突進するドモン。その時、追い込まれているはずのセシリアが笑みを浮かべた。

『かかりましたわね!』

その時セシリアの腰の部分に新たな武装が展開された。

(ミサイル!?)

発射されたそれを何とか避けようとするも、勢いを落とすことができず、ドモンはミサイルの直撃を浴び、煙に包まれてしまった。

『これで私の勝ちですわね!』

セシリアは煙に包まれたドモンを見て勝利を確信したが、試合終了のブザーは鳴らない。

「お前が、蒼い雫なら…」

『!?』

「俺は、黄金の指だぁぁぁぁぁぁ!」

そう叫びながら煙の中からドモンが現れる。右手にはキング・オブ・ハートの紋章が浮かんでいた。

「俺のこの手が光って唸るっ!お前を倒せと輝き叫ぶ!」

『くっ、このままでは…!』

慌ててセシリアは自分に唯一残された武装であるショートブレードを展開する。

「必殺!シャイニング、フィンガァァァァァ!」

『は、速いっ!?』

シャイニングガンダムのスピードについていけず、セシリアはそのままシールドを鷲掴みにされてしまう。

(さすがに機体には攻撃できんか…だがっ!)

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

ドモンが力を加える毎にブルー・ティアーズのシールドエネルギーは削られていく。

『私が、負ける!?そんな!?』

「ふんっ!!」

最後に思いきり力を入れるとシールド残量がゼロになり試合終了のブザーが響く。

『試合終了。勝者、ドモン・カッシュ』

 

 

 

アリーナの喧騒からドモンが発進口に戻ると真耶と千冬が出迎えてくれた。

「よくやったな、カッシュ。」

「おめでとう、カッシュ君。少し前まで初心者だったのに、ここまでできるなんてすごいですよ。」

「ありがとうございます。」

「これでお前がクラス代表だ。今度のクラス対抗戦でも勝てるように努力しておけ。」

こうしてドモンは辛くもセシリア・オルコットに勝利した。

しかし、これはこの世界におけるドモンのファイトの始まりにしか過ぎないのだ。

 




今回は割合修正個所が少なくてよかったです
その分本文の量も結構少ないのですが

言い忘れていましたが筆者はアニメ版しか知らないのでアニメ版の内容だけで書き進めて行きます
更識姉妹のファンの方、申し訳ございませんこのような筆者で

質問や感想お待ちしています
感想に対して返信はしていませんがちゃんと読んではいます
質問にはこの後書きの欄で答えようと思っています

本当はこの直後に機体解説をつけようと思っていたのですが本文の文字数が最低文字数の1000文字に足りなかったので次にオリジナルが出てきたときにつくらせてもらいます

追記 5/25
感想で指摘を受けたためシャイニングフィンガーの口上を修正


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第4話 再会!師匠と弟子

前回のあらすじ
特訓の末に何とかISの動かし方をものにしたドモン
一方一夏はISの特訓をできないまま試合へ
一夏は善戦するも敗北
ドモンは必殺のシャイニングフィンガーでセシリアを打ち破り勝利するのだった


試合の後ドモンは一夏の様子を見に行った。

保健室に入ると箒が一夏のそばにいた。

「篠ノ之、一夏の様子はどうだ。」

「今はよく眠っている。大きなけがもないからそのうち目を覚ますだろう。」

「多分連日の疲れもあるんだろう。何せ倒れる寸前まで特訓をしていたようだったからな。」

「ま、まあそれに関しては少しは悪かったと思っている。だが、あいつが腑抜けていたのは本当だからな!情けない試合をされたら幼馴染の私まで恥ずかしいからああやって特訓してやったんだ!」

少し恥ずかしそうに箒が言うのを見てドモンは少し微笑ましく思った。

「何かおかしいことでもあるのか?」

「…いや。とりあえず一夏の事はお前に任せる。頼んだぞ。」

「言われなくてもそうするつもりだ。幼馴染でルームメイトだからな。」

一夏のことは箒に任せることにしてドモンは保健室を後にした。

すると廊下で少ししょげたセシリアと出会った。

「あっ、カッシュさん…。」

「セシリアか、こんなところでどうしたんだ?さっきの戦いで怪我でもしたのか?」

「いえ、私はただ、お二人に謝罪しようと思いまして…。」

「謝罪?祖国に対する罵倒の事なら今日の試合でけりのついたことだろう。」

「そちらではなくて、あなた方に向かって何も知らない素人などと言ってしまったことですわ。」

「それは本当の事だから謝る必要はない。俺が勝てたのもただの偶然かもしれんからな。」

「…謙虚ですわね。」

「自分の分を弁えているだけだ。…俺の師匠は俺なんかよりもはるかに強かったからな。」

ドモンはどこか遠くを見るような目をしたがセシリアは気付かなかった。

「ところで、一夏さんの方は…。」

「…ああ、今は眠っている。篠ノ之がついているから心配するな。」

「そう、ですの。」

「?」

セシリアが残念そうな顔をしたが、ドモンにはその理由が分からなかった。

「あー、ところでセシリア、お前の先生も男性だと言っていたな。どういう人物なんだ?」

「私の先生ですか?それは大変優秀な方ですわよ。私は最初男性に教えを乞うなんて屈辱だとさえ思っていたのですが、1度だけ模擬戦をしていただいた時に完膚なきまでにやられてそれ以来先生の事はずっと尊敬していますの。特に狙撃の腕では右に出るものがいませんわ。」

「…そうか、ありがとう。」

セシリアの話を聞いてドモンはその男の正体がなんとなくわかった気がした。

 

 

 

部屋に戻りドモンはベッドに横になった。

(俺はいつ元の世界へ戻れるんだ…)

ドモンの中には不安があった。

もし戻れなかったら自分はどうすればいいのか。

未だ修行の中で答えが見つけられていないのはどうすればいいのか。

そしてレインはどうしているのか。

いくら考えても答えは浮かんでこない。

そして、そのうちにドモンはゆっくりと眠りに落ちた。

 

 

 

ドモンはセシリアに勝ったためクラス代表に就任した。

その時副代表も決めることになったのだが、なぜか一夏が副代表になった。

『カッシュ君、クラス代表就任おめでとう!』

「…こういうのはあまり好きではないんだがな。」

現在ドモンは「カッシュ君クラス代表就任&織斑君副代表就任記念パーティ」と銘打たれた会に参加している。(クラスの女子たちに無理やり連れてこられた)

「なあ、一つ聞いていいか?」

「何、織斑君?」

「ドモンがクラス代表になったのは分かるけど、俺は負けただろ?なんで副代表になってるんだ?」

「それは私が辞退したからですわ。」

一夏の横に座っていたセシリアが立ち上がる。胸に手を当てるのは彼女の喋る時の癖のようだ。

「勝負はあなたの負けでしたけどそれは考えてみれば当然の事。何せ私が相手だったのですから。」

この一言で一夏はむっとした表情を浮かべたがセシリアは気付かなかったようでそのまま話を続ける。

「それで大人気なく怒ったことを反省して、一夏さんにクラス副代表をお譲りすることにいたしましたの。」

ドモンは強い者が代表になるべきだと思ったが本人が良いようなので何も言わないことにした。

「はいはーい。新聞部でーす。はいそこの男子代表二人、肩組んで。写真撮るから。」

二人が肩を組んで、新聞部員が写真を撮った瞬間、周りにいた女子たちが一斉に集まってまるで集合写真のようになってしまった。

翌日発行された新聞には何もコメントしていないはずなのにクラス代表戦に自信をのぞかせるドモンのコメントが書かれていた。

 

 

 

翌日朝食を終え、ドモンが教室へ行くと女子に囲まれた。

「いよいよクラス対抗戦だね、ドモン君。」

「ああ、今から楽しみだ。」

「そういえば、2組に今日転校生が来たらしいよ。何でも代表候補生なんだって。」

「この時期に転校してくるなんて、私の存在を危ぶんでのことかしら…?」

「ははは…。」

セシリアの自信満々の発言に苦笑いする一夏。その時女子の一人が「でも、」と切り出す。

「専用機持ちは1組と4組にしかいないから楽勝だよねー。」

「その情報、古いよ!」

声のした方向を見るとそこには小柄なツインテールの少女が立っていた。

「誰だ…、お前は?」

「私は凰鈴音。中国の代表候補生で2組のクラス代表よ!」

「おい、お前は今日転校してきたばかりなのにどうやってクラス代表になったんだ?」

「そんなの、私が強いからに決まってるじゃない!」

(こいつまさか、チコのようなことをしたんじゃないだろうな…)

ドモンはかつて出会ったネオメキシコのガンダムファイターであったチコ・ロドリゲスのことを思い出した。

彼は、病気の妹と地球の海のそばで暮らすため、違法な手段(実際はどうだったのかは分からないが)でファイターになり、地球に降下した後には自分に近づいてくるファイターを排除し続けた。

最終的に彼はガンダムファイトに負け、ネオメキシコの役人の温情で死んだ扱いにされ、今は妹と暮らしているはずだがどうしているだろうか。

「鈴!?鈴じゃないか!?」

突然一夏が素っ頓狂な声を上げる。

「久しぶりね、一夏。IS学園に入学したのはニュースで知ってたけど、まさかこのクラスだったなんてね。」

「一夏、知り合いか?」

「ああ、俺の幼馴染だよ。」

窓際に座っていた箒が少し反応したが、誰も気が付かなかった。

「えーっと、ところでクラス代表って誰?」

「ああ、俺だ。」

「そう、だったらあなたにISファイトを申し込むわ!」

「その言い方、お前まさかっ!?」

「ふふふ、今度のクラス対抗戦楽しみに「そこに居ったか、鈴よ!」あいたっ!?」

鈴が後ろから叩かれ前かがみになる。そこにはドモンにとっては見慣れた人物が立っていた。

「ええい、宣戦布告に行く際は儂にも知らせいと言ったのを覚えておらんのか、この馬鹿弟子がぁ!」

「あいたた、だからって後ろから叩くことはないんじゃ…」

「分からぬことがあったら体で覚える!これも流派東方不敗の教えぞ!」

「ううっ…。」

「し、師匠?」

ドモンの声で今までリンの方を向いていた東方不敗がドモンの方を向いた。

「ドモン!?何故お主がここにいるのだ!?」

ドモンには目の前の現実がにわかには信じがたかった。

それは当然だ。東方不敗は確かに自分の腕の中で息を引き取ったのだから。

東方不敗も一瞬驚いた顔をしたがすぐに落ち着きを取り戻し、

「ヌハハハハ、どうしたドモンよ。まるで死人にでもあったような顔をしておるぞ。」

高笑いをしながらそう言った。

「し、師匠がどうして・・・?あなたはあの時確かに・・・。」

「世の中には信じがたいことが起こることもあるものよ。」

「ですが、俺にはどうしても信じられません!」

「喝っ!」

「!?」

東方不敗の一喝によって教室が一気に静まり返る。

「流派、東方不敗は!」

「お、王者の風よ!」

「全新!」

「系列!」

「「天破侠乱!!」」

「「見よ!東方は、赤く燃えている!!」」

流派東方不敗の演武を行うことでドモンは目の前の人物が本物の東方不敗であると確信が持てた。

「今のでよく分かったはずよ。儂以外に東方不敗がいると思うたか、この馬鹿弟子がぁ!」

「では、本当に師匠なのですね!」

「くどいわ!最初からそうだと言っておろうが!」

「あ、あのぉ…。」

「「む?」」

声の方を向くといつの間にか千冬と真耶が来ていた

「もうすぐHR始まるんですが・・・。」

「おお、これはすまなかった。」

「さあ、お前らは早く席に着け。鳳とクロス先生は2組に戻って下さい。」

「じゃあ、またあとでね。」

「ドモンよ、またあとで会おうぞ!」

そう言うと、二人はそそくさと自分達の教室へ戻っていった。

 

 

 

時は放課後。夕日の射す屋上に二人の男が立っていた。

「改めて久しぶりだな、ドモンよ。」

「お久しゅうございます、師匠!」

「うむ。しかし、妙なものよ。一度死んだ儂がこのようにしてお主と会うことになろうとはな。」

「師匠、こちらでも弟子をとっていたのですね。」

「うむ。鈴は儂がこちらで指導した中では一番の有望株よ。とはいえ、流派東方不敗の技を伝えるには至ってはおらぬがな。」

「他の男性IS操縦者に会ったことは?」

「儂は国外に出ることはおろか、外国人との接触も禁じられておったから、一度も会ったことは無い。」

「そうですか・・・。」

ドモンは、男性IS操縦者はもしや自分と同じように未来世紀から来たのではないかと予想していた。そこに東方不敗がやってきたことによって、自分の予想は間違ってはいないと思い始めたのだ。

だが、まだ確証がある訳では無い。

(そのうちセシリアにも確認してみるか。)

「ところで、ドモンよ。」

「何でしょう、師匠?」

「お主はおそらく鈴と戦うことになるだろう。鈴は強い。お主も油断しておれば負けかねん相手よ。それを忘れてはならぬぞ。」

「俺は戦いで油断などしません。ここにいるのは強い奴と戦って己を磨くためなのですから。」

「ヌハハハハ、お主らしい答えよ。明日の試合は楽しみにしておるぞ。」

「はい!」

 




またも修正に時間がかかってしまいました
丸々文章を足した部分があるので前の時とはだいぶ印象が違います


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