世界変革~平和を求める者たち~ (赤色のアート)
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序章
第1話 荒廃という名の世界


西暦2050年、8代目大統領が謎の病に襲われ死に落ちた。その事件から1か月後、新たに9代目大統領になった者は、世界は我々の手で変えると宣言をした。しかし、9代目大統領がとった行動は国民全体に悪影響を与えるものだった。それは…


「これからは、私がこの世界を変えてやろう!」

 

現大統領はそういうと、周りの部下たちを連れて計画を実行し始めた。現大統領と部下たちは外に用意してあった飛行船に乗って上空へと飛び立った。一方地上の国民達は…

 

「なんだ?あの飛行船は?」

「あそこに乗ってるのって現大統領かな?」

「そうじゃねぇ~か?俺はそう思うけど‥」

 

飛んでいる飛行船は、一般の飛行船とは比べものにならないくらいの大きさだったので、国民の人達はすぐにわかった。※一般の飛行船の10倍の大きさ

そして、この物語の主人公は…

 

「随分と大きい飛行船だな」

 

そういった黒髪の少女の名は、アカメ。年齢は当時10歳。

 

「お姉ちゃん、空に飛んでるのって誰が乗ってるのかな?」

 

そういったのはアカメの妹のクロメ。年齢は当時7歳。

 

「多分、この国の大統領だと私は思うよ‥でも何で空に‥」

 

アカメがそういうと、飛行船の方から声が聞こえてきた。

 

「聞こえるか!国民の犬ども!これからはこの俺、9代目大統領がこの世界を変えてやる!」

この言葉を聞いてた国民は…

 

「おい皆!飛行船からなんか降って来てるぞ!」

 

飛行船から降ってきたのは、大量のカプセルだった。カプセルの中に入っているのはシアン化学剤ガス。つまり簡単に言うと毒性の薬剤。だが、国民の皆は知らなかった、この中にシアン化学剤ガスが入っていることを…

 

一方アカメ達は…

 

「お姉ちゃん!何か降ってるよ!」

 

クロメがそういうと地上に落ちた衝撃でシアン化学剤ガスの入ったカプセルが割れ始めた。

 

「クロメ!早く小屋に入れ!!」

 

アカメがそういうと、クロメはそのカプセルが危険と感じ、アカメと一緒に小屋に入った。

その後も、外では次々とカプセルが落ちていき町中だけではなく、地球の5割を飲み込むような形でシアン化学剤ガスは広がっていった。

30分ほど経つと、カプセルの落ちる音がやんだ。アカメとクロメは閉めっきりの小屋の中にいったため、ガスからは逃れることができた。

 

「一体…どうなったんだ!?」

 

アカメがそういって見てみると、外の景色は30分前の時とは一変していった。

 

「なん…だ‥これは…!」

 

アカメの目に映ったのは、国民が血を流しながら地面に倒れ死んでいる姿だった。

 

「お姉ちゃん、どうしたの?」

 

クロメはアカメにそういうと、アカメが…

 

「クロメ…今は外に出るな‥」

 

振り向かず、涙目になりながらクロメにそういった。

 

「お姉ちゃん…」

 

クロメは、アカメの顔を見てどんなことを言っているのかがすぐにわかった。それから二人は、自分自身が強くならないとこの世の中は次々と腐敗していくと思い、いつかこの世の中を元に戻すと…そう自分に誓い修行をするのであった。




初めての投稿で苦戦しました。アカメとクロメはまだこの時、幼い子供です。次回は二人が一気に大人になります。


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第2話 ナジェンダ将軍 登場‼

あの事件から8年後、アカメは18歳でクロメは15歳になっていた。外見だけではなく、この8年間の間に体術や剣術も。今二人は8年前にいた地方、京都府から離れて群馬県に移動していた。


「ここは…人が少ないな…」

 

アカメがそういうと、クロメが言う。

 

「それよりも、ここお店とかあるのかなぁ~お姉ちゃん‥私お腹すいてきた…」

 

アカメは自分の財布をみるが、中には100円が3枚と10円が4枚、1円が7枚(347円)しかなかった。ちなみにこの金は、アカメが2年前のバイトで稼いだ残りの金額である。クロメはバイトをしていないためお金をもっていない。

 

「私もすいてきたなぁ…どこか食べ物を売ってるところがあればいいのだが‥」

 

何歩か歩くと、団子屋が見えてきたが‥何やら渋滞しているようだ。

 

「参ったな…50分待ちとはな」

 

「そんな~ここまで来たのに~」

 

「クロメ…ごめんな、他の所にするか?」

 

クロメのがっかりした表情が顔に思いっきり出ている。だが…

 

「でもお姉ちゃんが選んでくれたお店だからいいよ、ここで」

 

アカメはそういわれると、「ありがとう」と言った。

それから30分後、予定よりも20分も早く団子屋に入ることが出来たアカメとクロメ。

 

「やったー団子食べれる!」

 

嬉しくて喜ぶクロメ。一方アカメは…

 

「(お金…大丈夫かな~)」

 

実際はほとんど真逆である。

 

「(でも、ここの団子屋は1本50円だから大丈夫か‥うん!そうだな!)」

 

そう自分に言い聞かせて、アカメは団子のメニューを見た。

メニューはこんな感じ、みたらし団子50円、アン団子60円、味付け団子+クッキー120円

、アイス団子60円※夏限定、抹茶団子70円のこの5つの種類があった。

 

「まずいなぁ~想定外のものまで入ってたとはな‥」

 

そういうと、クロメがアカメに言った。

 

「お姉ちゃん、今どれくらいお金持ってる?」

 

「今は…347円しかないんだ‥」

 

アカメがそういうとクロメは…

 

「じゃあこのメニューの中にあるもの全部大丈夫ってこと?」

 

「クロメ、全部食ったら所持金から飛びぬけてしまうぞ 」

 

「違うよお姉ちゃん!クッキーがついてる団子だけなら大丈夫でしょ!」

 

クロメがそういうと、アカメが…

 

「やっぱりクロメはそれが食べたいのか?」

 

アカメがそういうと、クロメは首を縦に振った。そして店員が二人の所に来た。

「ご注文はお決まりになりましたか?」

 

アカメが言う。

 

「みたらし団子を一つと、味付け団子を一つ頼むよ」

 

注文から3分後、団子が来た。

 

「やったー!クッキーが食える!」

 

クロメは凄く嬉しそう。クロメの頭の中はどうやらメインは団子ではなく、クッキーのようだ。一方アカメは、1本の串に団子が3つ刺さっているごく普通のみたらし団子であった。

本当ならもっと食べたいが、アカメは自分よりも妹の方を優先にした。5分後、二人が店を出たとき政府の兵たちが外で一般人を襲っているのがアカメ達の目に入った。兵たちは…

 

「おいおい~肩ぶつかって謝って、それで許されると思ってんのか?」

 

「すいません!もう二度とこのようなことがないようにこれからはっ!」

 

「だから~謝るんじゃなくて金だせよ金を!」

 

「そっそれは!」

 

「まさか、出せないとか言うんじゃないだろうなぁぁ!」

 

その時、アカメが声をかける。

 

「おい!何してる!」

 

「あっ!何って決まってるだろ~こいつから金を返してもらうんだよ!」

 

「とてもそのような様子には見えんがな」

 

「おいおい~まさか疑ってるのか?俺たちのことを‥」

 

「疑う他に何があると思う?」

 

もう一人の政府兵が一般人に言う。

 

「おい!早く金返せ!」

 

「こっこれで許してください!」

 

すると、政府兵の一人の手に10円玉が一つあった。

 

「…おい…これだけか?」

 

「えっ!」

 

「これっぽちしかねぇーのかって言ってるんだよ!」

 

「ひっ!」

 

アカメが腕を掴む。

 

「…」

 

「(何!こいつ片手で止めるだと!)」

 

「人から貰った金を投げるな!こいつはこれが全財産なんだぞ!お前たちにこいつの気持ちがわかるか?」

 

「…なんだてめぇー‥女のくせに生意気な奴だな」

 

すると、クロメが…

 

「お姉ちゃん、こいつらって‥政府兵?」

 

「そうだ」

 

政府兵2人は…

 

「なんだ?知ってて喧嘩売りに来たのかお前ら…」

 

「命知らずにも程があるよなぁ~本当に!」

 

「どうするか~兄さん‥まず弱らせるか?」

 

「そうだな~」

 

「兄弟揃ってゲスとはな…あきれるな…」

 

「そうだね‥」

 

すると、店から誰かが出てきた。

 

「そこまでだ、お前ら!」

 

政府兵2人は…

 

「あっあいつは裏切りの将軍!」

 

「ナジェンダ!」

 

アカメとクロメは首をかしげていた。?を浮かべながら…

 




ついに、ナジェンダさんがここで登場したようです。このあと、どのような展開になるのか?


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第3話 決意!

アカメはナジェンダに問いかけた。

 

「お前!将軍なのか?」

 

「…そうだ!元だけどな」

 

「元?」

 

「簡単に言えば、昔は将軍だったってことだ、だが今は違う‥今は政府にとって私は敵だ!」

 

政府兵2人は…

 

「くそっこんな時に出会っちまうとはな!逃げるぞ!」

 

「おう!」

 

クロメが二人を通さない。

 

「一度喧嘩を売ったから、逃さない!」

 

「どけー!小娘ぇぇぇぇ!!」

 

政府の拳がクロメの左頬に当たる。

 

「うっ‼」ドサッ!

 

「クロメ!!」

 

政府2人は…

 

「急げッ!追いつかれる!」

 

「兄さん!後ろ!!」

 

振り向くと、ナジェンダの義手が2人を掴もうとするのが見える。

 

「(くそーこうなったら!)」

 

「弟よ!任せた!」

 

「えっ?」

 

そういうと、兄は弟の足をつまずかせて先を行く。

 

「にっ兄さん助けてぇぇぇぇぇ!」ガッ!

 

「ギャァァァァァァァ!」

 

弟はそのままナジェンダの方へ行く。

 

「もう逃げられないぞ。貴様」

 

「ちっ畜生!」

 

そのまま縄で縛られた。

 

「クロメ!大丈夫か!」

 

アカメがそういうと‥

 

「うっ‥お姉ちゃん‥」

 

「よかった、無事でよかった!」

 

ナジェンダが言う。

 

「くっ!一人逃したか!」

 

「済まない‥一人逃がしてしまった‥」

 

アカメは…

 

「いやっまだ今なら間に合う距離だ、ナジェンダ!」

 

「やめろ!アカメ!深追いはしない方がいい‥」

 

「何故だ?」

 

「もしその先にもっと強い奴がいたら、お前が死んでしまうかもしれない!だから…」

 

「ナジェンダ…お前はどうしてそこまでして止めようとするんだ?」

 

「…それで…私の相方が‥帰ってこなかった事があるからだ!」

 

「!ッ」

 

「だから、これ以上は追わないでくれ‥」

 

そういわれると、アカメは刀を収めた。

 

「‥‥」

 

「なぁ‥ナジェンダ」

 

「?」

 

「ナジェンダはどう思う?今のこの世界は‥」

 

「…一言で言うと、腐敗している!」

 

すると、クロメも…

 

「私も!そう思っているよ!」

 

アカメは…

 

「私も同じだ!」

 

そういうと、その現場にいた一般人も…

 

「僕もそう思います!」

 

そういうとアカメが‥

 

「お前は…家族とかいるか?」

 

「いえ…僕はいません‥皆8年前の事件で亡くなりました」

 

するとアカメは…

 

「8年前って!…まさか!」

 

「はい‥あの事件が訪れた時です」

 

「なぁ‥今思ったんだが皆の名前を聞いていなかったな」

 

ナジェンダがそういうと、皆は「あっそういえば」みたいな顔をした。

 

「私はアカメだ。妹の方はクロメ、こいつはー」

 

「僕は…アバマと言います」

 

「なるほど、アカメにクロメ、それにアバマか‥」

 

「改めて言うが、私はナジェンダだ!よろしくな!」

 

捕まっている政府兵は…

 

「な…ナジェンダ~俺も仲間に入れてくれないか?」

 

ナジェンダは…

 

「…残念だな…貴様は捕虜だ!」

 

「ちっ!…だがな…捕まえた方を間違えたようだな…ナジェンダ!」

 

「どういうことだお前…」

 

「俺の兄さんは、昔から頭がキレル人だから…次は俺を救う手段や貴様ら全員を破滅に追い込む方法とか色々思いついているだろうから…次に政府達と兄さんと当たった時は貴様らは‥確実に死ぬ運命なんだよ~ハハハッ‼」

 

するとアカメが…

 

「そう来るなら…そいつらは全員、私が葬る!」

 

アバマはアカメの方を見て「(かっこいい!)」っと思った。

クロメがアカメに言った。

 

「お姉ちゃん…今捕まってる政府兵っておバカ?」

 

「それはわからないが、もう一人の政府兵よりはバカかもな‥多分」

 

「てめぇーら本人の前で勝手にバカ扱いするな!」

 

ナジェンダが…

 

「じゃあお前も少しは情報持っているという事か?」

 

「いえ…何もないです」

 

「それはないだろ!」

 

「いやっ!本当に何も持ってないんだよ!」

 

「大統領のこともないのか?」

 

「・・・・・・・」

 

するとアバマは…

 

「…持ってるんだよね‥情報‥」

 

「お前らみたいな奴には特に教えるつもりはない」

 

すると、アカメが政府兵の襟を掴んで、刀を首の真横に突き刺した。

 

「なっ何すんだ小娘!」

 

「地球の皆は今‥大統領の権力で怯えてるんだ!早く教えろ!」

 

ナジェンダが…

 

「やめろ!殺す必要はない!」

 

アカメはそういわれると刀を収める。すると政府兵は…

 

「フッ!やっぱり殺せないんだな…所詮、子供は子供だもんなぁぁ!」

 

「?」

 

「そこら辺の愚民と一緒で‥心のどこかで本当は、“殺したら次は自分が殺される”という恐怖がのしかかってくるからだもんなぁぁ!アカメ!!」

 

すると、さっきまで黙っていたクロメが…

 

「お姉ちゃんを侮辱するなぁ!!」

 

そういうと、政府兵の顔面を思いっきり殴った。

 

「ぶっ!!(こっこのガキィィ!)」

 

そのまま地面に政府兵は気絶して倒れた。アバマは目が点になっていた。

 

「(ク‥クロメちゃん…殴っちゃった…)」

 

ナジェンダは…

 

「さっき殴られたからその仕返しだと思っとけ…アバマ」

 

「あっ!はい…」

 

アカメはクロメに言った。

 

「私は大丈夫だよ‥クロメ」

 

「だって…お姉ちゃんを侮辱されたから‥私‥」

 

「その気持ちだけがあれば、私も嬉しいよ‥」

 

そういって、クロメを抱いて頭を撫でた。アバマはそれを見て感激していた。

 

「こっこれが姉妹の思いなんですね…」

 

ナジェンダは皆に言う。

 

「皆…この世の中…世界を変えよう!」

 

「人々が安定して暮らせる世の中を‥取り戻そう!」

 

アバマは…

 

「でも…この人数じゃ足りませんよナジェンダさん」

 

「そう‥だからこれから!仲間をもっと集めよう!」

 

クロメが言う。

 

「そう簡単に集まるかなぁ‥」

 

アカメは…

 

「大丈夫だ!きっと協力してくれる仲間は他にもいるはずだ!この世の中を変えたい人は絶対いるはず!私はそう思っている!」

 

そして、ナジェンダは…

 

「皆‥私もアカメの言うように、この世を変えたい人は政府を除いてたくさんいると思うんだ。だから…クロメ、アバマも一緒に仲間を集めよう!」

 

そういうと…

 

「私も…お姉ちゃんが言うなら協力するよ!その仲間探しに!」

 

「僕も協力します!助けてもらった借りもありますので‥協力させてください!」

 

ナジェンダは、皆の意見を聞くと…

 

「決まりだな!じゃあ早速仲間探しに行くとしようか!皆で‼」

 

そういうと、アカメ、クロメ、アバマ、ナジェンダは町のある方角へ、気絶している政府兵を担ぎながら行くのであった。




ここまでで、アカメはナジェンダとアバマを仲間に加えることが出来たようですね。ちなみにこの物語の主人公は、アカメです。そして、次回から伊勢崎奪還編に入ります。投稿が遅くなると思いますが、今後もよろしくお願いします。


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伊勢崎奪還編
第4話 仲間探し


あの後、1時間程歩いてアカメ達は草原に囲まれている小屋を捕虜の政府兵から金を取って購入した。
午後1:00、今は小屋の中にはナジェンダとアバマだけがいた。(捕虜も)



「アバマ…お前は行かなくて良かったのか?アカメ達と一緒に」

 

「いえ、僕はこの景色を見ているだけで、十分です」

 

「(アバマ…本当は女の子と一緒にいるのが恥ずかしいだけじゃないか?)」

 

その頃、アカメとクロメは休憩する場所を探していた。

 

「クロメ‥喉乾いたか?」

 

「お姉ちゃん…頭がクラクラする~」

 

今日の群馬の気温は、35.6℃。外は猛暑に包まれていた。

 

「クロメ‥あそこの飲み物屋に行くか?今なら金もそんなに少なくないから大丈夫だ」

 

「うん…ありがとう‥お姉ちゃん」

 

二人が行った店の名は、カフェラテ・オールベルグ。群馬市民の中でも人気の高い店である。

 

「人が多いということは、人気があるかもなこの店」

 

「お姉ちゃん…喉乾いて来た‥」

 

「大丈夫、もう席はとってるから店員が来たら注文するだけだよ」

 

そして、店員(メイド)が二人の所に来た。

 

「ご注文は決まりましたか?お二人方」

 

すると、少し離れたところから声がした。

 

「おい!あのメイドめっちゃかわいい子じゃないか?」

 

「あっ本当だ、チェルシーちゃんだ!」

 

クロメは、その名前を聞いた瞬間…

 

「(チェルシー?どっかで聞いたことがあるような気が…)」

 

アカメは注文する。

 

「アイスウーロン茶を二つ頼むよ」

 

「はい‥わかりました!」

 

そういうと、チェルシーは次の客の所へ行った。

 

クロメがアカメに言った。

 

「お姉ちゃん…」

 

「どうした?クロメ」

 

「さっきのメイドの人‥チェルシーって言ってたよね?」

 

「…え?」

 

「何か‥どっかで聞いたことがあるような名前だと思わない?」

 

「…そういえば、私とクロメがまだ小さいころだったかもな…注文するとき、顔見ていなかったからわからなかったなぁ~」

 

「(いや、さっき客が名前言ってたよ‥)」

 

アカメが言う。

 

「この店、人気ではあるが…店員とメイドが少ない気がするな‥」

 

「お姉ちゃん…喉がもうヤバイ…」

 

「そのうち来るよ‥大丈夫」

 

そう言ってるうちに、チェルシーが来た。

 

「お待たせしました!アイスウーロン茶二つです!」

 

すると、クロメが真っ先にアイスウーロン茶を取る。

 

ゴクッゴクッ!「あぁ~生き返る~」

 

チェルシーが言う。

 

「フフッ注いだ甲斐があって良かった」

 

「じゃあ、まだお客さんがいるからまたね」

 

チェルシーがそういった瞬間、アカメがチェルシーの手を掴んだ。

 

「あっあの~お客さん?」

 

「なぁチェルシー…私たちの仲間にならないか?」

 

「…へ?」

 

クロメが突っ込む。

 

「お姉ちゃん…それは流石に急すぎるでしょ!」

 

「無理にとは言わないけど、できれば仲間に‥」

 

「いやいやお姉ちゃん!まず無理に誘うのやめようか?」

 

すると、チェルシーが言う。

 

「ごめんね‥アカメちゃん‥私、今は仕事中なの‥」

 

そういうと、チェルシーは他の客の所へ行った。

 

「お姉ちゃん、無理やりは良くないよ。あの人も仕事があるんだから‥」

 

「…そうだな、少し強引だったかもな…」

 

そして15分後、二人は会計をする準備をしていた。

 

「財布の中身‥どの位入っていたかなぁ?」

 

すると、会計の所に立っていたのはチェルシーだった。

 

「さっきはごめんな…チェルシー、強引に言っちゃって‥」

 

「ううん、こっちもごめんね‥」

 

「…なぁ、チェルシー」

 

「?」

 

「いきなりだと思うけど‥今の世の中のことどう思う?」

 

アカメがそういうと、チェルシーは‥

 

「私は…今の大統領が来てから正直に言うと、辛いな‥生活も‥給料も‥」

 

クロメはチェルシーに言う。

 

「だから‥お姉ちゃんと私と今いる仲間達で世の中を変えるの!」

 

「だからチェルシーお姉ちゃんも、この店でがんばってね!」

 

すると、チェルシーはクロメの頭を撫でた。

 

「ありがとう‥クロメちゃん‥強いんだね…」

 

アカメは…

 

「頑張れよ、チェルシー」

 

そういうと、アカメはチェルシーの手にお金を置いて小屋に戻って行った。

 

「私も…私なりにできることを全力でするよ、アカメちゃん!」




ここでついにチェルシーが登場しました。この後、どういう展開が待ってるのか。ちなみにチェルシーはこの物語のもう一人の主人公です。次回の後書きから、アバマの日記を始める予定です。


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第5話 伊勢崎の現状

前回は、アカメとクロメがカフェラテ・オールベルグに来てチェルシーが初登場しました。
今回は、アカメとクロメが去ったところから始まります。


そして、チェルシーは一息つくと客の様子を見に行った。

 

「もう客は全員帰ったみたいね…」

 

「さてと、次の仕事も頑張らないとね!」

 

店の扉にある札を逆にして、中に戻った。

 

「チェルシー…今日もお疲れさまじゃな‥」

 

チェルシーの前に出てきたのは、チェルシーの義祖母、ババラという人物であった。

 

「婆様…」

 

「今日の夜の仕事は、控えた方がええぞ」

 

「大丈夫だよ‥婆様、私が伊勢崎を取り戻さないと皆が安心して暮らせないでしょ?」

 

「それに、婆様は体調が悪いんだから‥私が行くよ」

 

「…すまんの‥チェルシー」

 

「婆様、他の人達には私が双剣使いだと言うこと話さないでね‥」

 

「あぁ‥わかったよ」

 

「行ってきます!婆様!」

 

チェルシーはそういうと、服を着替えて、背中に双剣を装備して外へと行った。

 

「今日は大分早く2つ目の仕事、始めちゃったなぁ~‥でも、こういうのもたまにはいいかもしれないね‥」

 

チェルシーの仕事は2つ在り、1つ目はさっきアカメ達が行った“カフェラテ・オールベルグ”でのメイドとしての仕事で、2つ目は、政府の者たちがこの町‥伊勢崎にいないかどうかを見回る仕事である。ちなみに、チェルシーが2つ目の仕事のことをしているのを知っているのは、ババラただ一人だけ…

 

「今の所はまだいないみたいね‥」

 

今の時刻は、午後2:30…

 

「(やっぱり…政府の者たちが活発に動くのは、4時頃なのかな?)」

 

「(近くの店で少し食べ物確保しとかないと厳しいね…)」

 

そういうとチェルシーは、近くにある店‥ハタチヤに寄ることにした。

 

チェルシーは自分の金額を確認した。

 

「2000円…か、ちょっと厳しいけど何か買わないとお腹がもたないからね」

 

チェルシーは店内の周りを見た。

 

「(客の皆‥やっぱり暗い表情してる‥政府の者たちにこの店も占領されているんだ…)」

 

「(やっぱり…私が今の伊勢崎を変えないと!)」

 

店員は全員が政府の者たちで店の出入り口の所には貼り紙が貼っており、こう書いてあった。「この店が目に映った者は、必ず1度以上は入ること!この掟を破るものは…」

その先の文字は薄くなっていてよく見えなかった。

 

「政府が来る前まではこんな雰囲気じゃなかったのに…(見えている文字の時点で、狂ってる!)」

 

政府が来る前までは今とは違い、こんな感じであった。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「どうも~また来ちゃいました」

 

「いやいや~いいんだよチェルシーちゃん、いつでも来たって!」

 

「ありがとう、カナエさん!また来ます」

 

店はとても明るく、賑やかな場所で‥私はとても落ち着ける場所だった。でも次の日、その店に行った時は、言葉では表せないほどひどい光景になっていた。店にいた客と店員は全員‥その場で血だらけになって死んでいた。しかも、その横で政府兵たちは達成感を表していた。私はそれから政府の者たちを見ると、その光景を思い出してしまうようになった。

 

そして‥現在に戻る。

 

「いらっしゃ~い!」

 

政府の声がした。客はどうやら子供と母親のようだ。チェルシーはその親子と政府の様子を見ていた。

 

「お母さん!僕この店嫌だよ!他の所がいい!」

 

「ごめんね‥目に映ってしまったから入るしか‥」

 

すると、政府者の一人が親の腕を掴む。

 

「ひっ!」

 

「おいおい~そんな言い方はないだろ~」

 

ゲスい顔のまま、今度は胸を掴み揉みはじめる。

 

「お願い‥やめて‥」

 

「ん~?何だって?聞こえないなぁ~!」

 

チェルシーはその場を駆けつけようとした瞬間…

 

「やめろ!!僕のお母さんをいじめるなぁー‼」

 

その子供の蹴りが、政府者の急所に当たった。

 

「うおーっ!!痛ぇぇぇぇぇー!!!」

 

チェルシーも流石にこの行動には驚いた。

 

「(あの子、凄く必死でやったね…)」

 

だが、他の政府兵がこちらに気付いた。

 

「このクソガキめー!」

 

すると、チェルシーが親子の前に行き…

 

「今のうちに逃げて!二人共!」

 

「お姉ちゃん!一人じゃ危ないよ!」

 

「大丈夫だよ…このくらいの人数」

 

そういうと、チェルシーは背中にある双剣を取り出して構えた。

 

「惣田!今のうちに行くよ!」

 

「お母さん!お姉ちゃんが!」

 

「大丈夫!あの人が何とかしてくれるから」

 

母親は惣田の手を握って逃げていった。

 

チェルシーは、一息つき‥

 

「じゃあ‥始めようか!ゲス軍共!」

 

「私があんたらを地獄に送ってやる!」




どうも、一般人から始まったアバマです。僕がアカメさん達の仲間に入った時、伊勢崎に移動している途中にクロメちゃんに男か女どっちなのと言われました。僕は男です。文字だけなので分からない人もいますけど、僕が誕生したとき看護師さんから「元気な女の子ですよ!」と言われたようです‥これは親から昔に聞いた話です。今でも時々ナジェンダさんに性別を間違えられる場合があります(T_T)


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第6話 1対10!チェルシーの実力!

チェルシーさん、思ってたより強い気がする。


現在時刻‥午後2:45…

 

政府兵の一人が…

 

「お前、まさかこの人数を相手にたった一人で挑むつもりか?頭でも打ったかな君~」

 

二人目は…

 

「そうだぜ~しかもお前は女なのになぁ~」

 

「俺ら男10人相手なんてできるわけねーだろうが!」

 

チェルシーはその言葉を聞いても動じはせず…

 

「…それが?」

 

覆面を被った政府兵のリーダーが…

 

「お前ら‥集団でこいつを弱らせろ!たった一人の女だからなぁ」

 

そういうと、リーダー以外の9人がチェルシーを一気に攻めて来る。

 

「くらえー!」

 

一人が手榴弾を取り出すと、チェルシーは素早く手榴弾を蹴りそらした。

 

「何っ!こいつ!」

 

蹴った遠心力で、1人目の首に右手の剣の持ち手の部分で殴った。

 

ゴキっ!「ぐあっ!」

 

「(よし!手榴弾を取りに行かないと!)」

 

地面に着く前に、チェルシーは手榴弾を手に持った。

 

政府兵は…

 

「ちっ!手榴弾が駄目なら!」

 

そういっている間にチェルシーは手榴弾を天井へ投げていた。

 

ドドーンッ!

 

リーダーは…

 

「くそっ!建物が崩れる!」

 

政府のリーダーは外に出て脱出した。

 

「ちっ!こっちの人数が少し減ったか…」

 

政府兵の人数は、10人から8人になっていた。どうやら二人は、建物の下敷きになったようだ。

 

「あの女…ただものじゃなかったが、下敷きになったんなら俺の」

 

「勝ちだと思った?」

 

「何!」

 

チェルシーは無傷で、リーダーの目の前に現れた。

 

「どうやら、2人は建物の瓦礫に巻き込まれたようね」

 

「フッ!だがまだこちらの方が優勢だぞ?」

 

「次でアンタだけにしてあげるよ!」

 

「フン!やってみろ!」

 

7人の政府兵が攻めて来る。

 

「そこだ!」

 

一度回避して、リーダーに剣を当てるが武器で弾かれる。

 

カンッ!

 

「やっぱりそう簡単には行かないみたいね‥」

 

チェルシーは、綺麗に後ろに避けた。体術で攻めた政府兵が…

 

「くそ!当たらねぇー!」

 

チェルシーの双方から二人の政府兵が刀を持ってくる。

 

「くたばれー!」

 

二人を片手剣で双方を防ぐチェルシー。

 

「(くっ!こいつら腕力があるな!)」

 

正面から一人の政府兵がチャンスを見て刀を構えて来る。

 

「両手が使えない、今がチャンスだ!」

 

チェルシーは二人のつばぜり合いから手を引っ込めて、後ろへ下がる。

 

「これならどうよ!」

 

「何!」

 

チェルシーが後ろに行ったことで、双方の刀が正面から来た政府兵の両腹に突き刺さった。

 

ザクッ!「ぐほっ!」

 

そして再び勢いよく前に行って、双方の政府兵を斬った。

 

「残り5人って所かな‥」

 

リーダーは…

 

「まさか…あんな戦法があったとはなぁ…」

 

「(こいつ、やはりただものじゃねぇーぞ!)」

 

チェルシーが問いかける。

 

「もうこれ以上やっても同じだよ‥どうする?」

 

「しっぽ巻いて逃げるの?‥それともこのまま無駄に部下を失いながら戦うか‥」

 

「流石、僕の知っているチェルシー君だ‥」

 

「…知ってるの?私のこと」

 

「勿論だ!俺はカフェラテ・オールベルグの店員だからな!」

 

「…え?」

 

そういうと、リーダーは覆面を取り、素顔を見せる。

 

場面は変わり、アカメとクロメは、ナジェンダとアバマがいる小屋にいた。(捕虜も)

 

「クロメ、お菓子食べるか?」

 

「うん!食べる!」

 

「一緒に食べよ?丁度6個クッキーあるから」

 

「そうだな…」

 

アバマがクロメに言う。

 

「あの‥僕も一緒に」

 

「嫌だ!私とお姉ちゃんのお菓子だから駄目!」

 

「そんなこと言わなくても…(6個もあるのに)」

 

次はナジェンダが‥

 

「私はどうだ?1つでいいんだ!」

 

「…うん!いいよ!」

 

「ありがとう!クロメ!」

 

「え!何で僕だけ駄目なの…(6個もあるのに)」

 

すると、外で爆発音がした。

 

ドゴーン!!

 

「何だ!」

 

アカメとクロメは外に出て状況を確かめた。すると、一ヶ所の町が火で包まれていた。

 

「(あの方角は、カフェ屋!急がないと‥手遅れになる!)」

 

「お姉ちゃん!あそこって!」

 

町の悲鳴が上がる。

 

「キャー!」

 

「火事だ―!」

 

ナジェンダ達も外に出てきた。

 

「町が‥燃えてる‥」

 

「こっこれは‥一体‥」

 

アカメがナジェンダに言う。

 

「ナジェンダ…私は少し町の中に行ってくる!皆とここで待っててくれ!」

 

「アカメ!待て!単独で動くな!」

 

クロメがアカメに言う。

 

「私も行くよ、お姉ちゃん!」

 

「クロメは皆とここにいてくれ!私一人で行く!」

 

「お姉ちゃん!待って!」

 

アカメは一人で火の中の町へと入った。

 

一方、チェルシーサイドは…

 

「そ‥そんな‥副店長」

 

「昨日ぶりかな?チェルシー君‥」

 

「何で‥何であなたが政府に加担してるんですか!」

 

「…そうだな、まずはなぜ‥こうなったのかを教えてあげるよチェルシー君‥どうせ君は、ここで死ぬのだから」




アバマです。僕もカフェラテ・オールベルグに行けば良かったと、今頃思っています。ポスターを一度見たことあるのですが、チェルシーさんはとても可愛いなぁと思いました。でも僕がカフェラテ・オールベルグの仕事をする場合、店員になる前にメイドにされる気がする嫌な予感(-_-;)


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第7話 副店長の真実

今から、2年ほど前になる。俺が‥カフェラテ・オールベルグの店員になって7日目の夜のことから始まる。


「ババラ店長、皿はここに置けばいいですか?」

 

「おぉ‥ありがとうな‥いつも悪いねぇ~」

 

「いえ、若い自分が頑張らなくては店が成り立たないですから」

 

「すまんの~腰が治れば儂も手伝いたいのだが~」

 

俺の名はギル。最初は、何も変化なく仕事は順調だった。人数は俺を含めて3人程度だがな。それから1年が経ち、俺は副店長になった。副店長になってからは、仕事がさらに増えた。だが俺はそれでもいつも通りにこなしていった。

 

そんなある日、俺は一つ思った。

 

「(店員が少ないなぁ‥)」

 

「ババラ店長!流石にこの人数では少なすぎます!もっと増やしましょう!」

 

俺は、店長にそういった。店長は…

 

「ギル‥そう簡単に人を増やすことはできぬ、儂も本当は人を増やしたいとは思ってる」

 

「だったら‥貼り紙で“アルバイト募集中”て書いて貼るだけじゃなくて、自分から客にそのことを伝えればいいじゃないですか!」

 

俺がそういうと、他の後輩が俺に言った。

 

「副店長、そんな無理やりなやり方では客が来なくなってしまいます!そうなるとアルバイトの募集だってもっての他です!」

 

「うるせぇー!!!」

 

そういうと、ギルはその後輩を思いっきり殴った。

 

「うっ‼」

 

「後輩のうえに女の癖に…俺に歯向かうんじゃねぇぞ!」

 

ギルは後輩の襟を掴む。

 

「やめて‥ください‥」

 

すると、ババラが‥

 

「ギル‼ハルナになんてことをするんじゃ!」

 

後ろから棒で叩く。

 

「痛ッ!」

 

「店長!何てことするんですか!」

 

「ギル!殴っても何も変わらないんじゃよ!」

 

「ちっ!」

 

そういうと、ギルは店の外へ行った。

 

「何でだ!‥何で皆俺の意見を聞いてくれないんだ!」

 

「(…あいつら‥全員俺が!)」

 

すると、フードを被った奴が俺の所へ来た。

 

「お前はいい目をしている…」

 

「誰だ!お前は!政府軍の奴か?」

 

「まぁ~そう怖い顔することはない‥お前はこんな薄汚い店で働くよりも、もっと良いところがあるぞ?」

 

「…何を企んでいるんだ?アンタ」

 

「別に、何も企んでなどいない‥むしろ君を探しに来たんだよ」

 

「フッ!何だ?店に泥を塗った副店長を笑いに来たんか?」

 

「君は政府軍の方がよっぽど向いているよ」

 

「…お前、それ本気で言ってるのか?」

 

「あぁ‥本当だ」

 

「…」

 

「よく考えてみろ‥今この店だけじゃあないこの周り、伊勢崎自体がこんな風に人を信頼する目なんてこれっぽちも持っていない‥こんなところにいて楽しいか?」

 

「…」

 

「俺がお前を、死ぬまで守ってやる」

 

「一生、俺をアンタが守るのか?」

 

「あぁ‥同じ過去を背負った者同士の約束だ!」

 

俺は確信した。

 

「…確かに‥そろそろ…この生活に飽きてきたところだ!」

 

「そうだろ?」

 

「皿洗いや接客にも…カフェラテ・オールベルグの店員たち‥そしてババラを見るのも!」

 

「さぁ~どうする?決めるのは君次第だ」

 

「いいだろ!…入るぜ!俺は今日から政府軍に!」

 

「ありがとう、感謝するよ‥なら、名前を聞かせてもらおうか?」

 

「ギルだ!よろしくよ!見知らぬ政府人」

 

「俺は、グリーン領域の主‥スケルトンシーフだ」

 

「アンタ、人間じゃないんだな」

 

姿は人の骨そのものだった。

 

「あぁ~その通りだ」

 

そして俺はそれから、二つの仕事を両立しながら次の人生が始まった。

 

次の日…

 

俺はわざと開店時間の20分前に来た。何故なら、昨日会ったスケルトンシーフって奴は関東地方(グリーン領域)の主であるため、そこに住んでいる国民の情報をすべて持っているのだ。そのため、俺の後輩とババラがいつここに来るのかがわかっていた。

 

「副店長‥今日は珍しく速かったんですね」

 

「…すまなかったな…昨日は殴ったりして」

 

「副店長…いいんですよ、私も昨日あんなことを言ってしまったから」

 

「そうか」

 

そして俺は、店のカギをこっそり閉めた。

 

「副店長?」

 

するとギルは周りに誰もいないことを確認すると突然、後輩の首を絞めつけに来た。

 

ガッ!「それなら良かった!これで、仲直りだな!」

 

「あっ!…ぁ…」

 

ギルはそのまま後輩を寝かせて、再び後輩を締め付ける。後輩はポケットの中にある携帯を必死で取り出す。

 

「(そうだ…けい…たい‥かけなきゃ‥)」

 

だが、ギルは後輩の携帯を奪う。

 

「させるか!」

 

「この野郎!さっさとくたばれー!」

 

「(誰…か‥たす‥け…て…)」

 

開店の15分前にそのまま、後輩は死に落ちた。そして俺は初めて人を殺した。最初は震えが止まらなかった。だが少しすると、震えが止まった。俺はその時思った。“俺にはやはり、人の上に立つことが出来る才能がある”のだと…

 

耳についている通信からあいつの声が聞こえた。

 

「聞こえるかね?ギル君、どうやら邪魔な子は始末出来たみたいだね」

 

「アンタ…本当に何でも見えるんだな」

 

「当然だ、俺の目に錯覚はない」

 

「次は…ババラか?」

 

「そうだね…っと言いたいところだけど、今日は新人を連れ来るみたいだから無理だね」

 

「やっぱり、上手くは行かないか…」

 

「だけど、まだあるよ、君の後輩の遺体を僕の所に持ってくるといい」

 

「でも開店まで、あと10分前しかないぞ!どうすれば!」

 

「大丈夫…僕は今君の隣の店の裏口にいるからそこまで来ればいい」

 

「…なるほど」

 

そういって、俺はその店の裏口に遺体を抱えながら走った。外には偶々誰も人がいなかった。

 

「ほら!約束通り‥持ってきたぞ!」

 

「…うん、確かに受け取った‥後は任せろ」

 

「おう!頼むぜ!」

 

俺はスケルトンシーフに遺体を渡して、再び店に戻った。そしてその5分後、お前がババラと一緒に来たんだよ!チェルシー君。




こんにちは、アバマです。アカメさんが火の町の中に入って行く姿を見て僕は、少し心配です。妹のクロメちゃんを抑えるだけでも僕は精一杯です。ナジェンダさんも一緒に抑えてくれているんですが‥ちなみにクロメちゃんに言われて一番ショックな言葉は「放してよ!おなべ!」っと言われたころです‥僕は普通の男性なのに(T_T)


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第8話 激戦再開!1対5!

時は、現在へと戻る。因みにギルはオリジナルキャラです。


「こうして俺は、後輩を殺してババラとチェルシー君…君達をだましながらずっと店員として働くふりをしてながら、政府の仕事を完遂してきた…政府での仕事は楽で段々愚民共を殺すことが俺にとって快感へと変わって、それを成すごとに金は最低でも100万貰える、それにストレス解消にもなって仕事が楽しくなってきた!」

 

「…じゃあ‥昨日店で見せたあの笑顔も全部嘘なの?いや…嘘だったんだ」

 

「俺は今でも‥この政府軍に入って良かったと思ってるよ‥こんなに楽しい人生は生まれて初めてだと!」

 

「狂ってるよ…副店長」

 

「何だって?」

 

「人を殺して快感になる奴が、カフェラテ・オールベルグの副店長なんて…思ってもいなかった!憧れだったのに!そんなことをしてよく目の前で作り笑いできるよね!…私は‥私は…そんな奴、人間の一人として認めたくない!アンタは‥ただの殺戮者だ!!!」

 

「…ほう、俺にそこまで喧嘩を売るなんて‥成長したねぇ~チェルシー君」

 

「黙れ!!アンタは絶対私が倒す!」

 

チェルシーはギルに向かって剣を突き出す。だが、他の政府兵4人が刀で防ぐ。

 

「やらせねぇーよ!」

 

「邪魔だぁ!」

 

もう一つの剣で、左側の二人を一気に切り倒す。

 

ズバッ!

 

「ぐあぁぁ!」

 

ギルはこの隙に別の場所へと行く。

 

「またな!チェルシー君!」

 

「待て!逃げるな!」

 

政府兵の2人が邪魔をする。

 

「俺らが行かせると思うか?」

 

「くっ!」

 

1人がチェルシーの背後に回る。

 

「もう逃げられないぜ!」

 

「挟まれた!」

 

「諦めて剣を捨てろ!」

 

「…」

 

チェルシーは剣を二つ地面に置いた。

 

「さぁ、俺らに体を寄こせ」

 

「そうだ!そうすれば命だけは助けてやる」

 

政府兵の一人が近ずいた瞬間…チェルシーは正面の政府兵の溝に肘で殴った。

 

ドッ‼

 

「うおっ‼」

 

「おい、大丈夫か!」

 

背後の政府兵には、回転蹴りをいれた。

 

「ぐあっ!」

 

ドサッ!

再び剣を収めて、チェルシーはギルの元へと向かった。現在時刻、午後4:00…

 

外の状況を見ると、辺り一面が火の海と化していた。

 

「なっ!何なの‥これは‥」

 

「そうだ!早く婆様の所に向かわないと!」

 

そういうと、チェルシーはババラがいるカフェラテ・オールベルグへと急いだ。町の人々の悲鳴が聞こえる。

 

「逃げろー!火事だー!」

 

「キャー!」

 

「うわー!」

 

チェルシーは皆が町から離れていくのを確認して、目的地へと向かった。

 

「(婆様!お願い!無事で居て!)」

 

一方…アカメはチェルシーを探しに来ていた。

 

「どこだ!チェルシー!」

 

数歩走ると、カフェラテ・オールベルグが見えた。

 

「あれだ!急がないと!」

 

そして、中に入ると…

 

「なっ!これは!」

 

辺りには血の跡がついていた。すると、奥からババラがフッ飛ばされてきた。

 

「がはっ!」

 

「おい!大丈夫か!」

 

「お…お前さんも‥早く逃げるんじゃ‥ぁ」

 

奥から現れたのは、先ほど逃走したギルだった。

 

「ババラ‼もうアンタの古臭い時代は終わったんだよ!」

 

「なぜじゃ!…なぜ‥お前が政府の仲間になっとるんじゃ!」

 

「俺は…カフェラテ・オールベルグを2年間やってきたけど、俺はもうあの時の俺じゃないぞ!」

 

すると、ギルは椅子と机を鎌で壊し始める。

 

「やめてくれ!儂らオールベルグの歴史に傷をつけないでくれー!」

 

ババラは必死に叫ぶが、ギルはそれを無視して何から何まで破壊を繰り返す。

 

「ハハハッ!ハハ‥ハハハハハハハ‼」

 

「次は、お前の一番大切にしている物を破壊してやるよ!」

 

ギルの目の前には、オールベルグの店員・メイド達の写真盾がある。それを壊そうとした瞬間、アカメはギルの首を掴み入口へと投げた。

 

「うおっ!」

 

ガシャーン!

 

「(何だ!こいつの腕力は!)」

 

アカメも外に出て来る。

 

「お前は…さっきカフェラテ・オールベルグの者だといったな!」

 

「あぁ‥元カフェラテ・オールベルグの者、だけどな」

 

「お前…人を殺したことがあるか?」

 

「お?変わった質問してくるな、君」

 

チェルシーはちょうど、アカメとギルが対立する瞬間を目に映った。

 

「アカメちゃん…何でこんなところにいるの!?」




アバマです。僕は前回クロメちゃんに言われたことでだいぶ傷ついてます。そう思うと、僕ってこんなにメンタルが弱いんだなぁ…と思いました。僕が落ち込んでいるところにナジェンダさんがこう言いました。「お前も女だから涙をこらえる必要なんてないぞ」って…ナジェンダさん、僕は男ですよ( ;∀;)


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第9話 ババラの願い

副店長は、政府側の人間だったみたいです。


アカメはチェルシーに気が付く。

 

「チェルシー…無事だったか、それより‥店の中で婆さんが倒れているんだ!お前の店長か?」

 

「婆様!」

 

チェルシーが行こうとすると、ギルが阻む。

 

「させるか!」

 

ギルが投げた短剣がチェルシーの横腹に突き刺さる。

 

「うっ‼」

 

ズザッ!

 

「チェルシー!!」

 

アカメはチェルシーの元に駆けつけようとするが、ギルが邪魔をする。

 

「君の相手は俺だろ?」

 

「くっ!」

 

チェルシーがアカメに言う。

 

「大丈夫だよ…これくらいのこと」

 

微笑みながらそういうとチェルシーがババラの元へ行き、そのあとギルはアカメに言う。

 

「もうババラは助からないぞ?あんなに血だらけだからな~」

 

「だけど、チェルシーは助かる!」

 

「どうかな?君が死ねば…チェルシー君もあの世行きだがな」

 

「やれるものなら…やってみろ!」

 

そして二人の戦いが始まる。

 

チェルシーは短剣を抜き、ババラに言葉をかける。

 

「婆様!しっかりして!」

 

「チェルシー…無事…だ…た‥か」

 

「駄目!!死んじゃだめだよ!私が‥私が助けるから!!!」

 

チェルシーは自分の持っている箱の中から包帯を取り出した。

 

「(死なせない!!絶対に死なせはしない!)」

 

ババラがチェルシーの腕を止めた。

 

「何で‥婆様‥」

 

ババラは首を横に振る。

 

「何で止めるの婆様!本当に死んじゃうじゃない!」

 

「儂は…儂は‥もう…助からない‥じゃよ‥自分の体は‥自分が…一番分かる‥」

 

「そんな事‥言わないでよ…今からなら、まだ間に合うから!そんな事言わないで!!」

 

「チェルシー…お前が‥来てから…オール…ベルグは‥明るく‥賑やかな…店に‥なって…その時‥儂は‥心の‥底から…幸せに‥思ったんじゃ」

 

「…婆様‥」

 

「…2年前にいた…ハルナが‥こう‥言ってたんじゃ‥“いつか、伊勢崎を救ってくれる人が現れて来ることを、私は信じています”っと‥儂に‥そう‥言ったんじゃ…」

 

「!!」

 

「チェルシー…お前は‥ハルナの後輩…ハルナの願っていた‥人物‥だったのかも‥しれない‥」

 

「…」

 

「儂の…願い…も‥ハルナと…チェルシー…お前たちと…同じじゃ」

 

「…婆様‥私‥」

 

「チェルシー…最後に…一つだけ‥伝えたいことが…ごふっ!ごふっ!」

 

「婆様!」

 

「…この…伊勢崎を‥オールベルグを!‥国民を…頼む!…この地獄から‥民を救ってくれ!最後の‥希望‥チェ‥ルシ‥」

 

涙を流しながらそういうと、ババラは目を閉じて、午後4:23…この世を立ち去ってった。

 

「ッ‼」

 

チェルシーは、涙をこらえて立ち上がる。

 

「婆様…後は、私が全て決着をつけるよ!」

 

「婆様とハルナ先輩の伊勢崎の平和を取り戻す願い‥絶対!この手で私が命に代えて!叶えて見せます!」

 

そう決意すると、チェルシーは店を出てアカメの元へと行く。

 

一方、アカメとギルはカフェラテ・オールベルグから400m程離れている草原で闘っていた。

 

「今頃、ババラはあの世で自分の人生に悔やんでいる頃だろうなぁ~」

 

「お前のような奴は、ろくな死に方をしないぞ!」

 

「いやっ!俺は死なねぇ~よ、死ぬのは君だよ…どうせ君みたいな子は人を殺すことすら出来やしなのだから」

 

「…今の言葉…忘れるなよ」

 

「強がりは自分を追い込むことになるよ、アカメ君」

 

アカメには動揺が見えない。

 

「(ほう~殺す覚悟が少しはあるのかな?)」

 

「私を甘く見たこと、地獄で悔いるがいい!政府兵!」

 

車を超える速さでギルの後ろに着く。

 

「何!速い!」

 

ドカッ!

 

「うお!」

 

ギルが吹っ飛んだ先にアカメはもう立っていた。

 

「はっ!」

 

ギルの腹に思いっきり拳が入った。

 

「ぐおっ!!」

 

「諦めろ、お前では私に手も足も出ない‥」

 

「…なめるなよ!俺にはまだ手があるんだよ!」

 

すると、ギルの後ろから新手の政府兵が12人も来た。

 

「(くっ!増援か!)」

 

「アカメ君‥君の負けだ、武器を捨てろ」

 

「…」

 

「俺は女の子には優しいから、出来れば殺したくはないんだ‥さあ、早く武器を捨てて身柄をこちらへ…」

 

アカメは刀を置く。

 

「こういう事か?」

 

「そうだよ、それでいい」

 

「“そうか…負けなのか”っと言うと思ったのか?」

 

「何?」

 

次の瞬間、アカメは自分の刀を足で蹴り上げ瞬時に手で持ち、ギルの背後に回り、刀を首につけた。

 

「お前の負けだ!」

 

「くっ!速いなぁ~だがどうせ‥」

 

ギルが次のセリフを言う前に、アカメはギルの右腕を刀で切り落とす。

 

ズバッ!

 

「ぐあぁぁぁあああ!」

 

アカメは微笑む。

 

「どうする?次は左腕を斬られたいか?」

 

「ひっ‼」

 

ギルはアカメの顔を見て恐怖を感じた。アカメは、まるで物を斬るような顔をしていた。それを見て後ろに下がった。

 

「な…何なんだ‥お前‥その顔‥人間じゃねぇ‥誰なんだよ!お前は!お前は一体!何なんだ!!」

 

ギルは今までの人生で初めて怯えるような表情をしていた。アカメはニッコリとした表情を浮かべて言う。

 

「殺人鬼だよ」

 

「はぁ…はぁ‥(こいつ、人間じゃねぇ!ただの)」

 

「殺人鬼なのかよぉぉぉぉ!」

 

「怖いか?私が‥」

 

ギルは焦ってミニ銃を取り出して、他の政府兵と共にアカメに向けて集中砲火をした。




アカメさん…一人で大丈夫なのかが、少し心配です…でも、ナジェンダさんが「あいつは簡単に死ぬような奴じゃない」と言っていたので、僕もアカメさんと伊勢崎の皆さんが死なないということを信じています! アバマより


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第10話 アカメとチェルシー

闘いは、まだ続く。


「死ねぇぇぇえええ!アカメぇぇぇぇー!」

 

だが、アカメはそこにはいなかった。

 

「なっ!どこに行った?!」

 

政府兵たちと恐怖を感じているギルは周りを見てみるが、アカメの姿が見えない。

 

「お前ら!俺を!俺を囲うような体制をとって探せ‼」

 

「はいっ!」

 

政府兵とギルは恐る恐ると進みながら探す。すると、右の方角からチェルシーが来た。

 

「見つけたよ!ようやく!」

 

ギルはチェルシーを見ると、表情がいつも通りに戻った。

 

「よくここがわかったねぇ…チェルシー君」

 

「…右腕、なくなってるようね」

 

「フッ…腕が一本無くなったくらい、どうってことないよ…君が相手ならね!」

 

「…そうか」

 

すると、政府兵の5人が一気に吹ッ飛ばされるのがチェルシーとギルの目に映った。

 

「ば…馬鹿な‼あの人数を軽々とっ!」

 

刀がギルの真横を通って地面に突き刺さった。

 

「くそっ!距離をとらねば!」

 

刀の位置から、アカメが出現した。

 

「残りはお前と、7人だな」

 

「これで、8対2って所か‥まだ俺の方が優勢だ!」

 

アカメがチェルシーに言う。

 

「チェルシー…店長は?」

 

「…お願い‥今は…」

 

「…(そうか、間に合わなかったんだな‥)」

 

ギルは不思議に思った。

 

「(さっきのアカメのあの表情は何だったんだ‥)」

 

「ねぇ‥アカメちゃん」

 

「?」

 

「あいつは…私にやらせて」

 

「チェルシー…」

 

「因縁に…決着をつけたいから!」

 

チェルシーの表情は、覚悟を決めたような顔をしていた。

 

「わかった!あいつはお前に任せる!」

 

「ありがとう‥アカメちゃん」

 

「じゃあ、私は残りの雑魚をやるとするか!」

 

ギルが言う。

 

「おいおい、茶番はすんだかな?」

 

すると、物凄い速さでチェルシーはギルの首を掴み倒す。

 

「なぬっ‼」

 

ドサッ!

 

2人の政府兵がチェルシーに銃を向けたと同時に、アカメが二人を瞬時に斬る。

 

ズバッ!

 

「うぁ!」

 

「ぐお!」

 

ドサッ!

 

「(何だ!前に張り合った時よりもまた強くなっているのか!チェルシー君!)」

 

残りの政府兵がアカメに向かってきた。

 

「くらえぇぇ!」

 

五つの方向から銃弾が来るが、アカメはすべてかわす。

 

「遅いな!」

 

「何だ!こいつ!人間の領域を超えてやがる!」

 

そう言っている間に、一人が背後につかれる。

 

「葬る!」

 

ズバッ!

 

「ごほっ!」

 

アカメは一人を斬って、残りの政府兵を誘い込む。

 

「待て!逃げるんじゃねぇ!」

 

一方、チェルシーサイドは‥

 

「くそっ!首は反則‥だろ!」

 

「もう諦めて‥アンタの負けよ!」

 

「俺を殺したところで、オールベルグが復活すると思っているのか?」

 

「っ‼」

 

ギルはチェルシーの手をはじき、距離をとる。

 

「俺は…新しい世界を作ろうとしているだけだよ?チェルシー君」

 

「何言ってるの?」

 

「そのままの意味だ!今の世の中を塗り替えて、俺がこの世界を思い通りに操作するんだよ!人々の腐った人生を政府の俺たちの手で変えるんだよ!」

 

「…勝手に、勝手に人の人生をそうやって奪わないでよ!!何でも自分が上だと思ったら‥大間違いだ!!!」

 

チェルシーがギルに飛び込むと‥

 

「…まだわからないのか?」

 

ギルの目の前に大鎌が出現する。

 

カンッ!

 

「くっ!」

 

「なぜ、俺が操作っと言ったのか‥教えてあげるよ!」

 

「?」

 

「俺の能力は、一定の範囲の環境を自由に変換することが出来る能力さ!」




僕にも、何か能力があったらアカメさん達の事助けたいです!そして、ナジェンダさんは僕のことをまだ女性だと勘違いしている時がある(-_-;)


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第11話 エンバイロメント イン バーチャル

エンバイロメントは日本語で環境という意味。


「自由に‥変換!」

 

「そして、君は今…俺の鎌に触れた!」

 

「っ‼(周りの景色が消えていく!)」

 

そして、辺り一面が吹雪に変わっていく。

 

「(こいつ、どこまで変えるの?)」

 

「どうだい?驚いたかい?寒いかい?僕はこの能力を使いこなすのに3ヵ月も苦労したんだぁ~」

 

「何で‥今まで隠してたの?」

 

「隠してたわけじゃないさ…」

 

ギルの切断された腕が氷の腕に変わっていく。

 

「っ!!(さっきアカメちゃんが斬った腕が別の腕に変わっていく!)」

 

「この政具は、俺が政府軍に入って幹部クラスに昇格したときに大統領から授かったものさ!」

 

「大統領って‥今の!」

 

「そうさ!現大統領のことさ!」

 

「くっ!」

 

「フッ!フハハッ!さむがっている女の子を見ていると、とてもいい気分だよ~」

 

「アン…タぁ!‥絶対この先…ろくな人生送れないよ!」

 

そういわれると、ギルは思い出す。

 

(「お前のような奴は、ろくな死に方をしないぞ!」)

 

「そういえば、アカメも同じようなことを言ってたなぁ…」

 

チェルシーはあまりの寒さに耐えられず、座り込む。

 

「くっ‼(‥心臓が弱かったら、今頃死んでたところね…)」

 

すると、地面からチェルシーの足と腕を氷がくっついてくる。

 

「っ‼これは!」

 

「耐えられないのも無理はないねぇ~これで君は何もできない!何も抵抗すら出来ない!言ったはずだよ、操作できるって…」

 

「…そういう…ことか!」

 

「わかってたみたいだけど、体が先に限界になってるねぇ~」

 

「このまま…私を凍りずけにして…凍死させる気…か」

 

「その気になればできるけど、まずはオールベルグの店を粉々に破壊してあげるよ!」

 

「っ‼させるか!」

 

立ち上がろうとするが、チェルシーの足と腕には先ほどの氷がくっついて固まっているため動けなかった。

 

「指をくわえて待っていな!チェルシー君」

 

「くっ‼(こんな、所で‥私は死ねない!)」

 

ギルはそういうと、大鎌を手に持ち火の中の町へと入ていった。チェルシーは必死に氷を砕こうとするが、寒さで少しずつ体力が奪われていく。

 

「はぁ…はぁ…ごめん‥アカメちゃん…婆様…私…伊勢崎を変える‥て‥言ったのに‥」

 

そのままチェルシーは気を失った。

 

一方アカメは、政府兵たちと闘っていた。

 

「集団で責めるのは、止めた方がいいと思うぞ!」

 

「なめんじゃねぇ!」

 

「愚かだな」

 

二人の政府兵がアカメに向かって突撃してくるが、余裕そうに回避するアカメ。

 

「今だ!空中じゃ何も出来まい!」

 

飛んだところを狙って、一人が銃を撃つ。

 

バンッ!

 

だが、アカメは刀で見事にガードしていた。そして、着地と同時に銃を持っている政府兵を銃ごと一緒に体を斬った。

 

ズバッ!

 

「ぐあぁぁ!」

 

二人の政府兵がまた突撃するが…

 

「さっさとくたばれー!」

 

二人の間を通ったと同時に一瞬で、切り捨てる。

 

「うぁぁぁ!」

 

それを見た一人の政府兵が必死に逃げる。

 

「ば‥化け物だぁぁぁぁー!」

 

だが、背中からアカメに斬られる。

 

ズバッ!

 

「これで後は、あいつ(ギル)だけだな!」

 

すると、チェルシーのいた方から寒気を感じた。

 

「何だ!嫌な予感がするな」

 

急いでそこへ向かうと、直径400m程の範囲で吹雪に変わっていた。

 

「こ‥これは、どういうことだ!?」

 

その中に入ると、本当に環境が一気に変わったような感じがした。

 

「これは‥現実だ!まさか、あいつの能力か何かかもしれないな!」

 

50mくらい走ると、チェルシーが倒れているのが見えた。

 

「っ‼チェルシー!」

 

「おいっ‼しっかりしろ!」

 

アカメはチェルシーを抱えて、そのまま吹雪の中を走って範囲外まで行くと、いつもと同じ環境に戻った。

 

「チェルシー‼大丈夫か!」

 

チェルシーは微かに息をしていた。

 

「はぁ……はぁ…」

 

「よかった、生きてる!」

 

すると、草原の小屋の方向からクロメがこちらに来るのが見えた。

 

「お姉ちゃーん!」

 

「クロメ!何でここに来た!待ってろって言っただろ!」

 

クロメが近くまで来ると、遅れて馬に乗っているナジェンダとアバマが来るのが見えた。

 

「ナジェンダ達まで‥」

 

到着するとナジェンダが言う。

 

「アカメ…無事で何よりだ‥それよりこの状況は、どう見てもそこらの政府兵が出来ることじゃないな!一体だれが」

 

アカメが言う。

 

「政府兵の幹部が、この場所にいるんだ!」

 

「名前は分かるか?」

 

「…すまん‥それが」

 

すると、チェルシーが目を覚ます。

 

「うっ…」

 

クロメがチェルシーに気が付く。

 

「チェルシーお姉ちゃん!」

 

「‥あれ?‥クロメちゃん‥」

 

「大丈夫?」

 

「うん、私は大丈夫だよ」

 

ナジェンダがチェルシーに問いかける。

 

「突然で済まないが‥この状況について、何か知ってることはあるか?」

 

「っ‼」

 

チェルシーはナジェンダの顔を見て驚いた。

 

「アンタ‥まさか‥政府軍の将軍‼」

 

「いや、もう私は政府軍の者じゃない‥それは昔のことだ」

 

「?」

 

「私が今でも敵だったら、今頃お前は死んでるよ」

 

「…確かに…そうだね」

 

「話を戻すが、今回の黒幕が誰だか分かるか?」




初めて僕は、本物のチェルシーさんを目の前で見ることが出来てとても嬉しいです!実は僕…チェルシーさんのファンの一人です!


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第12話 第三者とギル!

チェルシーがナジェンダに言うところから始まる。


「‥カフェラテ・オールベルグの副店長だった‥ギルだよ」

 

「なっ‼まさか!」

 

ナジェンダはその名前を聞くと、驚くような顔を浮かべた。

 

「ギルって、今の政府軍の幹部の一人じゃないか!」

 

アカメがナジェンダに言う。

 

「ナジェンダ、知ってるのか?」

 

「あぁ!奴は私が、6年前に政府を抜けたと同時に入ってきた奴だから、顔を見ればすぐにわかる!」

 

アバマがチェルシーに問う。

 

「あの‥すいません」

 

「?」

 

「その人の‥居場所、わかりますか!」

 

「今は‥カフェラテ・オールベルグにいるかもしれない!」

 

チェルシーはそういうと、急いで行こうとするが‥

 

「うぐっ!」

 

ドサッ!

 

前に短剣で刺されたところから痛みがきた。アバマが心配そうに言う。

 

「だ‥大丈夫ですか!」

 

「大丈夫、心配しなくても‥これくらい」

 

「いえ、大丈夫じゃないですよ!傷の所見せてください!」

 

見てみると、血はまだ止まってはいなかったが刺さった跡が浅かった。アカメがチェルシーに言う。

 

「あまり無理するな、アバマは元医者だ‥だからチェルシーはアバマとここで待っててくれ!」

 

「アカメちゃん‥でも私」

 

「来たかったら‥まずはその傷を癒してから来い!先に行ってくる」

 

アカメはそういうと、カフェラテ・オールベルグの方向へと向かった。それにつられてクロメも一緒に行く。

 

「待ってよお姉ちゃん!置いて行かないでよー」

 

ナジェンダが言う。

 

「大丈夫だ!心配するな‥あの二人はお前と同等の強さを持ってるんだチェルシー」

 

「…」

 

「だから、簡単に死ぬ奴らじゃない!必ず生きて帰ってくる‥私はそう信じてるよ!」

 

そういうと、ナジェンダもカフェラテ・オールベルグの方向へ馬に乗って行った。アバマはチェルシーの傷を手当てしながら言う。

 

「皆を…信じましょう、チェルシーさん」

 

「ごめんね、こんな目に会わして‥」

 

「チェルシーさん‥こんな時に申し訳ないのですが~」

 

「?‥どうしたの?」

 

一方、ギルはカフェラテ・オールベルグの店の前にいた。

 

「一般はどうやら皆避難しちまったようだな‥ん?」

 

ギルの見た方向に男が一人、逃げ遅れた一般男性の首を掴んでいるのが見えた。

 

「た‥頼む!俺は‥話し上手じゃないんだ!」

 

「え~‥じゃあ、首を斬られるときってどんな気分かな?」

 

「え?」

 

ズバッ!

 

斬られた男性の首が、ギルの目の前に転がってきた。ギルは首を斬った男に話す。

 

「相変わらず悪趣味なことをするな~ザンク」

 

「おっギルか!久しぶりだな、3年ぶりか?」

 

どうやらザンクは政府側の者のようだ。

 

「まぁ~正確的には2年と10ヵ月だけどな」

 

「全く、一々細かいねぇ~お前は~まぁいいけどよ」

 

「それよりも、お前は何で伊勢崎にいるんだ?珍しいな」

 

「酒を買おうと思ってきただけだぜ、そしたらちょうど今殺した奴が酒を持ってたから、奪って首斬ったところにお前が来たんだよ」

 

「なるほど、そういう事か」

 

ザンクはギルに言う。

 

「お前こそ、ここで何してるんだ?」

 

「俺は上からの命令でこの町を占領しろって言われてここにいるんだ」

 

「お前って確かオールベルグの奴だけ?」

 

「まぁ~それは前の俺のことだがな、今あそこはもう一人だけしか生存してないけどな」

 

「あと一人って誰だ?ギル」

 

「メイドのチェルシー君だよ」

 

「ほほ~う‥その首俺が斬っていいかな?」

 

すると、二人の真上から刀が刺さってきた。

 

「おっと危ない」

 

「この刀‥来たか!アカメ!」

 

刀の上からアカメが降りてきた。

 

「やはりここだったか、ギル」

 

「俺の名を‥チェルシー君から聞いたのかな?」

 

ザンクはアカメの姿を初めて見た。

 

「初めて見る顔だね~それに、なかなかいい首してるねぇ~」

 

「気色悪いな…お前、新手か?」

 

「ギル、一度この子と戦ったことあるのか?」

 

「あぁ‥気をつけろ!こいつの移動スピード・斬撃・反射神経、どれも人間を軽々と超えてるぜ!」

 

「おぉ~それは楽しみだね~だけど残念だねぇ‥今回は2対1、君は明らかに劣勢‥」

 

アカメはニヤッと表情で言う。

 

「それは残念だ‥2対2だ!」

 

するとアカメの右側にクロメが上から降りてきた。ギルは少し焦る。

 

「チッ!そういう事か!ザンク、お前はちっちゃい方の相手をしろ!俺がアカメを殺る!」

 

「おう、任せとけ!」




この間、チェルシーとアバマでは…※日記はしばらく休暇
「アバマちゃんって結構繊細な腕してるんだね…」
少し顔が赤くなるアバマ。
「そっそんな事…ないですよ?」
「思ったんだけどさ、アバマちゃんってさ‥」
「(え?ここに来て‥いきなり告白!)」
「女の子‥だよね?」
「え?‥」
「あれ?…もしかして…違った?」
「あの‥僕、一応男なんです‥こう見えて」
「それは…ごめんなさい…本当に‥」
「あ!いやっ!そんなに頭下げなくて大丈夫です!僕も先に言わなくてすいません!」
早まり過ぎた、アバマであった。


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第13話 第3の目!クロメVSザンク

現在は夜、それぞれの闘いが幕を開けた。一方はアカメとギル、もう一方はクロメとザンク。二組の闘いは互いに距離が離れている場所で闘った。


そして、クロメとザンクでは…

 

「君~なかなかいい太刀筋だねぇ~」

 

「あたしもお姉ちゃんも、この8年間で強くなったんだから当然よ!」

 

「ところで、自己紹介がまだだったねぇ~俺は首切りと呼ばれてるザンクだ!君の名を聞かせてくれないかな?」

 

「その必要ないよ、だってアンタ今日ここで死ぬんだよ…」

 

「は~?それはどういう事かな?」

 

すると、クロメはザンクの横腹を瞬間的に斬った。

 

「(はっ速い!いつ斬ったんだ!)」

 

「これでも、嘘だと思う?」

 

「ハッハハハ‥俺が喋っている間に斬ったんだろ?」

 

「違うよ」

 

「何!」

 

クロメは自信ありげな顔で言う。

 

「アンタが喋り終わった時に斬ったんだよ、あたしは…スピードや反射神経はお姉ちゃんには劣るけど、居合切りなら私の方が3倍は速いよ!」

 

ザンクは余裕そうな顔をする。

 

「ハハハ‥」

 

「何?頭でも狂った?」

 

「3倍…か?なら君も相当強いわけだねぇ~」

 

「…」

 

「じゃあ~あれを使うしかないねぇ~」

 

「あれ?」

 

ザンクはそういうとポケットから何かを取り出し、それを額に装着する。

 

「(怪しい‥何だろう、あの武器)」

 

「さぁ~続きを始めようぜお嬢ちゃん」

 

クロメは同じく居合切りをするが‥

 

カンッ!

 

「なっ!防がれた!」

 

「そこだよ~!」

 

ザンクの拳がクロメの腹に直撃する。

 

「ごふっ!」

 

そのまま近くの壁にぶつかる。

 

ドカッ!

 

「うっ‼」

 

「どうした?簡単に防げちゃったよ~」

 

「くっ‼(あいつ、あれを額につけてから大分反射神経がよくなっている)」

 

「さぁ~どうする?」

 

クロメは、隠していた小型ナイフをザンクの額に向かって投げた。

 

カンッ!

 

「無理無理、そんな小細工わかってたよ~」

 

「それが狙いじゃない!狙いはっ!」

 

刀で額の武器を斬ろうとするが…

 

カンッ!

 

「それもお見通しだよ~お嬢ちゃん」

 

「くっ!何で隠し道具も分かったの?」

 

競り合いながらザンクは言う。

 

「いや~流石にこれは簡単に教えられないねぇ~」

 

「だって、アンタそれをつけてから急に強くなって、あたしの攻撃パターンすべて読んでるなんて‥絶対それに何かあるんでしょ!」

 

カンッ!

 

二人は互いに後ろに下がる。

 

「アンタ、政府の幹部なの?」

 

「いや、俺は上等兵だよ~」

 

「(上等兵ってこんなにも強いっていうの!)」

 

「…なぁ~お嬢ちゃん」

 

「?」

 

「聞こえるか?」

 

「‥何が?」

 

「黙っていると、地獄から自分が殺した奴らが“早くお前もこっちに来い”って聞こえるだろ?」

 

「…」

 

「俺はその声が聞こえるたびに、酒を飲んでごまかして今みたいに正常に保っているんだよ~」

 

「多くの人の命を奪っているって証拠だと思うよ、あたしは…あたしにはそんな声、聞こえない!」

 

「ほう、強気な子だねぇ~愉快愉快~」

 

「その狂ってる頭、今すぐあたしが割ってあげるよ!」

 

「(正面からかな、またその‥)」

 

クロメは横切り、後ろから突き刺そうとするが、またしても見破られる。

カンッ!

 

「くっ!また防がれるなんて!」

 

「俺にそんな戦法は通用しないよ~」

 

再びクロメに拳を入れようとするが‥

 

「甘い!」

 

スカッ!

 

「おっと」

 

避けると同時に刀でザンクの足を斬ろうとするが‥

 

カンッ!

 

「(また防がれた!こいつ、防ぐとき袖から刃物を出してるんだ!)」

 

もう一つの腕から刃物が出て、クロメに向かってくる。

 

「しまった!」

 

ザクッ!

 

「ぐふっ‼」

 

「痛いだろ~ねぇ~今どんな気分かな~」

 

刃物はクロメの腹に直撃していた。

 

「うっ‼‥あ‼‥ぁ‥(お姉ちゃん、ごめんね‥あたし‥あたし!)」

 

「そうだよね~悲しいよねぇ~他人にここまで痛ぶられるのは~」

 

「くっ‼(お姉ちゃん!助けて!)」




一方、チェルシーとアバマでは…
「チェルシーさん!こんな時に申し訳ないのですが、サイン‥ください!」
「この戦いが終わったらにしてくれる?」
「は‥はい‥すいません」
「別に謝らなくてもいいって…それより‥早くアカメちゃん達の所に向かおう!」
「はい!」


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第14話 スペクテッド

頑張れ!クロメ!


「くっ‼(お姉ちゃん!助けて!)」

 

「そうだ!どうせ最後だから君のお姉ちゃんをここに連れてってあげるよ~」

 

「‼」

 

「まあ~その腹の傷は早く治さないと大量出血で死んじゃうけど~」

 

「くっ!(視界が‥)」

 

ドサッ!

 

クロメはそのまま倒れた。そして、ザンクはギルの元へと向かった。ザンクが去ったと同時にクロメの後ろからナジェンダが来た。

 

「クロメ!」

 

「うっ‼…」

 

「大丈夫か!」

 

「ナ‥ジェ・ン‥ダ…」

 

クロメは意識が失い始めていた。

 

「この傷、深く切られてる!だけどこれを飲めば傷が塞がる!」

 

ナジェンダが持っているのは、傷口を一瞬で塞ぐ薬でそれをクロメに飲ませた。ちなみにこの薬は、アバマが作った薬である。

 

「お姉ちゃんが‥お姉ちゃんが‥危ない!」

 

「一体何があった?」

 

「ザンクが!…ザンクがお姉ちゃんの方向に向かっている!」

 

「首切りのザンク‥まさか!あいつまでここに来てるのか!(このままだと、アカメが危ない!)」

 

一方アカメサイドは、まだ闘いが続いていた。

 

「諦めろ‥お前では私には勝てないよ」

 

「フッ!今のうちにほざいとけ!」

 

そういうとギルは、鎌を手に持つ。

 

「大きい武器を持っているなぁ‥」

 

「俺の奥の手、その目に焼き付けるがいい!アカメ!」

 

「その前に、葬る!」

 

アカメはギルに刀を突き着けるが…

 

カンッ!

 

「かかったな!馬鹿め!」

 

「何!」

 

すると、鎌を中心に灼熱の火が所々に広がっていく。

 

「(俺のこの能力、エンバイロメント イン バーチャル!この政具を中心に環境を自由自在に変化させることが出来るものから逃れた奴は誰一人としていない!)」

 

「くっ!(暑い!環境が一気に変化した!)」

 

アカメはあることに気がついた。

 

「(少し前に、同じようなものを見たことがある!)」

 

それは、チェルシーを極寒の中から助けだした時のことだった。

 

その頃、クロメとナジェンダは…

 

「うっ!暑い!」

 

「環境が変化した?」

 

「でも何で急にこんなに気温が暑くなるの?」

 

ナジェンダは周りを見渡すと‥

 

「っ‼クロメ!恐らくこれはギルの能力かもしれない!」

 

「え?あいつの!」

 

「だけど、あいつの能力には欠点があるみたいだ」

 

「欠点って一体!?」

 

「あいつの能力、エンバイロメント イン バーチャル‥鎌を中心に環境を自由自在に変化させることが出来るが、中心から200mまでしか変化させることが出来ない!」

 

「ナジェンダって何でも知ってるの?」

 

「まぁ6年前までは、私も政府側の人間だったからな‥だから抜ける前にある程度の政具のことは知っているさ」

 

「すごいね‥ナジェンダ」

 

「とりあえず、今はこの能力の範囲外に行くぞ!」

 

「でも待って!‥お姉ちゃんが!」

 

「信じるんだクロメ!アカメはそんな簡単に死ぬ奴じゃない!きっと先に抜け出しているはずだ!」

 

ナジェンダはクロメを連れて、範囲外に向かって走った。抜け出した先には…

 

「クロメ…ナジェンダ‥」

 

傷だらけのアカメが立っていた。

 

「お姉ちゃん!」

 

「アカメ!その傷は!」

 

「私も…さっき‥抜け出してきたばかりだ、この傷は大したことはないから心配するな」

 

「…全く、お前って奴は」

 

すると、アカメは近づくナジェンダの腹を刀で刺した。

 

グサッ!

 

「がはっ‼」

 

「何で‥お姉ちゃん!何でナジェンダを!」

 

「仲間に刺される気分はどうだい?元将軍~」

 

クロメは聞き覚えのある声を聞いた。

 

「お前は…ザンク!」

 

「まさか‥お前‥だったのか‥!」

 

ナジェンダはその場に倒れこむ。

 

ドサッ!

 

「ナジェンダ!」

 

「君たち‥俺の能力にまんまとかかったねぇ~」

 

「よくも!‥よくもナジェンダをー!!」

 

怒りで突っ込んでくるクロメをザンクは簡単に防ぐ。

 

「そう来るっていうのも俺にはもうわかってるんだよ」

 

「くっ!その額の武器さえ!壊せればアンタなんか!!」

 

ザンクは蹴りを入れる。

 

ドカッ!

 

「あうっ‼」

 

「ようやく、俺の能力に気が付いたみたいだねぇ~そうだよ、俺の額についているこの帝具スペクテッドは相手の心を読んだり、行動も読むことが出来る優れものなんだよ~」

 

「帝具!何で帝具がまだ存在してるの!1030年に全部消滅したって歴史に刻まれてたはずなのに!」

 

「いやいや~俺もそんなことは初めて知ったよ~」

 

「(お姉ちゃん!‥私、こいつの能力やっとわかったよ、勝てるか分からないけど最後まで‥私闘うよ!)」




一方、チェルシーとアバマでは…
「アカメちゃん!クロメちゃん!待ってて!後もう少しで合流できるから」
痛みがはしる。
「ぐっ!(まだ腰の傷が)」
「大丈夫ですか!チェルシーさん!」
「大丈夫だよ‥アバマ君が手当てしてくれたから」
「でも‥痛みがまだ引いていないなら無理に走らなくても」
「大切な友達だから‥放っておくわけにはいかないの‥」
チェルシーは何か感じた。
「アバマ君!先に行ってて、後で私も追いつくから!」
後ろから3人の政府兵がこちらに向かってくる。
「チェルシーさん!」
「大丈夫だよ‥これくらいの人数、どうってことないよ」


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第15話 さよなら‥

死後の世界は誰にも分らぬものだ。


「さぁ~死ぬ覚悟はできたかなぁ~お嬢ちゃん」

 

「お嬢ちゃん?あたしは‥クロメだよ!」

 

クロメの刀とザンクの両腕の刃がぶつかり合う。

 

「どうやってギルの能力から抜け出したか知らないけど、俺と当たったら死ぬのは当然だと思った方がいいよ~」

 

「…」

 

「(ほう‥心を無心にしたか、少しは考えたな)」

 

「…」

 

「そういえば、君の姉は今頃こうしてる間にもう殺されているんじゃないかな?」

 

「お姉ちゃんは‥そんな簡単に死なないよ」

 

「そうかな?今君の姉が闘っているのは、政府の幹部の一人なんだよ~?」

 

「だから?」

 

「?」

 

「一回言ったはずだよ、お姉ちゃんは居合切り以外ではあたしよりも上だって!」

 

クロメは距離をとって、居合切りの構えをする。

 

「またそれかな?いくらやっても無理だよ!」

 

カンッ!

 

「ニヤッ」

 

クロメは微笑むと、連続で居合切りを連発した。

 

「なっ!何―‼」

 

ザンクは必死に抑えるが、居合切りのスピードについていけず数発の斬撃を受ける。

 

「ぐあっ!(こいつ!まさかそんなことが!)」

 

「はぁ‥はぁ‥心や行動を全部読めるんでしょ?だったら全部防いでよ」

 

「くっ!やるじゃないか~やっぱりいい太刀筋してるよクロメ‥」

 

クロメは話を聞かず、ザンクの額を狙う。

 

「(今ならいける!)」

 

カンッ!

 

「(しまった!心で行動しちゃった!)」

 

「隙ありぃぃ!」

 

クロメは横腹を斬られる。

 

ズバッ!

 

「ぐふっ!」

 

ドサッ!

 

「さっきの居合切りは大分効いたけど~どうやら体が限界のようだねぇ~」

 

「うっ!‥ぐっ!」

 

「さぁ~て、クロメはどんな斬られ方されたい?」

 

「(お姉ちゃん!ごめん!あたし!‥あたし!…もう体が動かない‥)」

 

「褒美にいいものみせてあげるよ」

 

するとクロメの目の前には3年前の仲間だった、ナタラの姿が映っていた。

 

「‥ナタ…ラ?」

 

「クロメ…もういいんだ‥お前はよく頑張った‥もうこれ以上闘わなくていいんだよ」

 

「本当に?‥でもお姉ちゃんがいないと、寂しいよ、あたし‥」

 

「大丈夫だよクロメ、君のお姉さんも天国で待っているよ‥」

 

「お姉ちゃんも‥待ってるの‥」

 

「そうだよ、クロメ‥僕の手に捕まって‥一緒に行こう‥天国へ」

 

「うん‥ナタラ(みんな…ごめんね‥先に行ってるよ)」

 

現実に戻る。

 

ズバッ!

 

クロメが目を開くと、目の前にはザンクが帝具と首をアカメに深く斬られているのが見えた。

 

「なっ‼…馬鹿な!…この俺が‥」

 

ドサッ!

 

「クロメ‥お前が死にそうだったから、脱戦してきたぞ!」

 

アカメはクロメにそういって微笑んだ。クロメはアカメが救援に来てくれたことで、涙が大量に出てアカメに抱きついた。

 

「お姉ちゃん!‥お姉ちゃん!‥バカッ!もっと早く来てよー!」

 

「ごめんな‥遅くなって‥」

 

「うっ…うっ」

 

アカメはそういってクロメを抱きしめて撫でた。

 

ナジェンダが目を開ける。

 

「うっ!‥」

 

アカメがナジェンダに、アバマが作った薬を飲ませたことでナジェンダは死なずに済んだ。

 

「アカメ‥お前が‥ザンクを倒したのか?」

 

「あぁ‥そうだ」

 

「お前がここにいるということは、ギルを倒したってことか?」

 

「…いや、それは違う‥」

 

クロメとナジェンダは…

 

「え?‥えー!」

 

「クロメが死にそうだったから、私はクロメを優先してここに来ただけだ」

 

「お姉ちゃん‥(そういえば、脱戦してきたって言ってたね)」

 

すると、死にそうなザンクが言う。

 

「音が‥止んだ‥」

 

「ザンク…アンタもこれで自由でしょ?」

 

クロメがそういうと、ザンクは言う。

 

「フフッ‥ありがとうよ‥クロメ‥それに‥アカメ‥先に‥行ってる‥ぜ…(愉快‥愉快…)」

 

ザンクはそのまま息を引き取った。

 

ナジェンダは言う。

 

「‥恐ろしい奴だったな‥」

 

アカメが言う。

 

「だけど、まだギルがいる!気を抜くのはまだ早いぞ‥ナジェンダ」

 

「あぁ‥そうだな」

 

横の通路から、アバマが来る。

 

「皆さん!大丈夫ですか!」

 

「アバマ!よくこの位置がわかったな!」

 

クロメがアバマに言う。

 

「チェルシーお姉ちゃんはどこなの?」

 

「あとから来るので大丈夫です!」

 

アカメが言う。

 

「アバマ‥お前はクロメの傷を手当てしてくれ!」

 

「あ‥はいっ!わかりました!」

 

アカメの抜け出してきた通路から…

 

「逃がすものかぁぁー!」

 

ギルが鎌を持って飛びかかってきた。




ギルがついに‥アカメ達の居場所に気がついてしまった!さあ、どうなる!


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第16話 最大の欠点‼

強敵であろうと、戦う意思は消えない!


「しまった!」

 

ナジェンダが皆を庇おうとした時、アバマが通ってきた通路から‥

 

「させない!」

 

チェルシーがギルに剣の持ち手で思いっきりぶん殴った。

 

ドカッ!

 

「うぐっ!」

 

ギルは遠くに吹っ飛ばされた。

 

「不意打ちとはな‥どうやって俺の作り出した空間から抜け出したんだ!」

 

「不意打ち?違うよギル、待ち伏せしてたんだよ」

 

ギルはチェルシーの方をよく見ると、自分の政具“エンバイロメント イン バーチャル”が奪はれていることに気がついた。

 

「なっ!‥俺の政具が!」

 

「今頃気が付いた?」

 

アカメ以外の皆は驚いていた。

 

「チェルシーさん、すごい!いつの間に政具を!」

 

「チェルシーは殴ったと同時に政具を奪ったみたいだな」

 

「見えているアカメさんもすごいですね‥」

 

ナジェンダが思った。

 

「(すごい技術の高いやり方を身につけているな、チェルシー)」

 

ギルが言う。

 

「だがチェルシー君、君がどうやってその政具を使いこなすと言うんだい?」

 

「こんな感じよ!」

 

そういうと、チェルシーは政具の刃先を思いっきり地面に突き刺した。

 

ガンッ!

 

「っ‼貴様!何を!」

 

「教えてあげるよ、アンタのこの政具の最大の欠点を‥」

 

「‼」

 

「簡単だったんだ!とても恐ろしい能力を秘めているけど、鎌の刃先を地面にただ突き刺しただけでアンタが作り出した環境変換は‥全てリセットされるということを、婆様が私に教えてくれた!」

 

それは…私がカフェラテ・オールベルグのメイドになって間もない頃のことだった。

 

「婆様、その本は何ですか?」

 

「これはな‥この世界に存在する武器の特徴が書かれている本じゃよ」

 

「でもこれ、ほとんどの武器が政府のものに渡っているものばかりですよね」

 

「そうなんじゃがな~でもこれを読めば、もしもの時に対処ができるかもしれないのじゃよ」

 

「確かに‥婆様、私もしばらくこの本読んでもいいですか?」

 

「あぁ‥勿論良いじゃよ」

 

「ありがとうございます!」

 

私は、そのおかげでほとんどの武器の特徴を知ることが出来た。婆様のおかげで‥

 

現在に戻る…

 

「くっ!…ぐきぃぃぃ!!あの老いぼれババアー!」

 

ギルの右腕の代わりになっていた氷の腕が割れて再び血が出始めてきた。

 

パリン!

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

すると同時に、ギルが作った環境がなかったかのように消えていった。

 

「これがアンタにとっての、絶望だ!」

 

チェルシーは、政具の刃と持ち手の接合部分を切った。

 

ザンッ!

 

「‼」

 

「もうこれで、アンタの手段も人生も終わりだ!!」

 

政具“エンバイロメント イン バーチャル”は完全に再起不能になった。

 

「こんなことがー!あってたまるかぁぁぁぁ!!!」

 

アカメは‥

 

「ギル…お前の負けだ」

 

ギルは予備の小型ナイフで、チェルシーに刃を突きつけるが…

 

ガッ!

 

「無駄な足掻きだね‥見苦しいよ!」

 

ズバッ!

 

ギルのもう一つの腕はチェルシーに斬られた。

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

「それは、今までアンタが殺してきた人の痛みだよ!」

 

「フフッ!…怖くないのか?」

 

「?」

 

「こんなに血だらけになった俺を見て怖くないのかって聞いているんだよ‥チェルシー君」

 

「…」

 

チェルシーの腕は震えていた。

 

「(動きが固まった!今が逃げるチャンスだ!)」

 

「怖い?‥何言ってるの?」

 

一瞬でギルの目の前に着き、誰もいない近くの草原に蹴り飛ばす。

 

ドカッ!

 

「ぐあぁぁ!」

 

「そんなの決まっているでしょ、怒ってるんだよ!」

 

クロメは…

 

「チェルシーお姉ちゃん‥こんなに強かったの!」

 

アカメは少し驚いていた。

 

「チェルシーがあんなに怒りを示しているところは、私も初めてだ‥」

 

アバマとナジェンダは呆然としていた。

 

「チェルシーさん‥相当ギルのことが憎かったんですね…」

 

「あぁ…そうみたいだな‥」

 

アカメがギルに言う。

 

「もうお前に逃げ場は残されてないぞ!」

 

「幹部に…こんなことをする奴には、後々後悔するような出来事が待っているぞぉぉ!」

 

チェルシーが言う。

 

「上等だよ!」

 

すると全員を囲むように、隅に隠れていた7000人の政府兵が一斉に銃を構える。

 

「動くな!反逆者共め!」

 

ナジェンダは‥

 

「こいつら!どこから現れたんだ!」




この7000の政府は一体、誰がいつ?呼び寄せた者なのか!?


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第17話 形勢逆転!?

安心とは、死を招くのと同じ時でもある。


ギルは笑う。

 

「フハハハハハッ!どうやら俺の方に運が回っていたみたいだな!」

 

チェルシーが‥

 

「くっ!‥あと一本の所で!」

 

アカメが言う。

 

「チェルシー‥今は動かない方がいい」

 

「でも!もう少しであいつを!」

 

アバマがチェルシーに言う。

 

「今はアカメさんの言う通り、動かない方がいいです!」

 

クロメは体が少しだけ震えていた。

 

「う…うっ‥数が多すぎるよ‥いくらなんでも…」

 

アカメが言う。

 

「クロメ、何があっても‥皆私が守るから大丈夫だ」

 

「お姉ちゃん‥」

 

ナジェンダがギルに言う。

 

「貴様!いつから呼び寄せた!」

 

「教えても意味がないんだぜ?わかっているのか?この状況を」

 

「いいから答えろ!」

 

すると、政府兵の横から捕虜になっている兄とスケルトンシーフが出現してきた。

 

「久しぶりだなぁ~ナジェンダ元将軍、まさかあなたがこんなところにいたとはなぁ‥」

 

「貴様は!スケルトンシーフ!」

 

「また会ったなぁ!裏切り将軍!」

 

「貴様は!…捕虜の兄か」

 

「おいっ!そこは名前で呼べ!」

 

アカメが言う。

 

「一度も聞いたことないぞ‥お前の名前」

 

「アドラムだ!ア・ド・ラ・ム‼」

 

「うるさい‥黙れ」

 

「あの海女ー!」

 

チェルシーが言う。

 

「ナジェンダ…兄ってことは、弟か妹がいるってこと?あいつ」

 

「あいつは、弟の捕虜を助けに来たのかもしれないが‥捕虜は今私達の小屋に置いてきぼりにしているからあちらは気が付いていないはずだ」

 

「その弟も政府側の人間?」

 

「あぁ‥そうだ」

 

スケルトンシーフがギルに言う。

 

「どうやら…こちらが優勢になったようだな」

 

「ハハ‥やっぱりシーフ、アンタの考えは凄いぜ!これで後はこいつらを皆殺しにすれば俺たちの理想に一歩近づく!‥なぁシーフ!」

 

「あぁ…そうだよ~ギル君…撃て」

 

「え?」

 

アカメが‥

 

「まさかっ!」

 

その言葉と同時に、政府兵の全員は一斉射撃をした。

 

ドドドドドドドッ!

 

「ハハハハハハハ!これは逃れようがあるまい!」

 

スケルトンシーフは、笑っていた。自分の仲間、ギルを犠牲にしながらも…

 

「ハハハハハッ!…」

 

銃声が止むとスケルトンシーフとアドラムはアカメ達のいた方に視線を向けた。

 

「‥何だ!…あれは!」

 

「まさか!弾いたというのか!全て!」

 

その先には、赤眼になっているアカメが無傷で立っていた。アカメが銃弾を全て弾いたおかげで、他の仲間も無傷の状態だった。

 

チェルシーはアカメの目を見て驚いていた。

 

「アカメ…ちゃん?‥その目は一体?」

 

「…間に合ったみたいだ!」

 

アドラムと他の政府兵は呆然としていた。

 

「な…何なんだ!‥何なんだ!あいつ!‥化け物だ!」

 

スケルトンシーフは驚いてはいるが、それと同時に興味を示していた。

 

「(あの能力は‥初めてだ!‥素晴らしい!俺にも知らない能力がこの世にまだあったとは!)」

 

政府兵7000人は、また一斉射撃をした。

 

ドドドドドドドッ!

 

アカメは全て弾いたが、体力が尽きてき始めていた。

 

「はぁ‥はぁ…(体力が‥持たない!)」

 

チェルシー達はアカメの様子に気が付く。

 

「アカメちゃん…」

 

「お姉ちゃん!無理してあたし達を守っているんだ‥」

 

「(アカメさんのあの目の色、もしかして!…でも、体に模様は浮かんでいない)」

 

「これで今、アカメは約98000発の銃弾を弾いている!アカメ…お前も能力者の一人だということは知っていたが、まさかこれほどとは!」

 

アドラムが言う。

 

「くっ!…あいつ‥銃弾を通さないのか!!」

 

スケルトンシーフが政府兵達に言う。

 

「あの小娘(アカメ)に休まずありったけの弾を撃ち続けろ!」

 

「はっはい!」

 

アカメは…

 

「(くっ!‥体が!もう持たない!)」

 

「お姉ちゃん!危ない!」

 

「アカメちゃん!クロメちゃん!」

 

ドドドドドドドッ!

 

すると、虫の大群がアカメ達を囲うように出現してきた。

 

「これは!まさか‥」




アカメのあの能力、名はまだ知られていないが7000相手でも全ての銃弾を弾くほどの実力。
そして、アカメ達を囲むあの虫たちの正体とは!?


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第18話 オールベルグの頭領

人生とは、その人の歩む形になる。


チェルシーはこの虫の大群を見てすぐに気がついた。その他の者は誰の仕業なのかが分からなかった。

 

「何なんだ!次から次へと!」

 

アカメ達の後ろから、あの者が姿を現した。

 

「君とお仲間さんがボロボロになってるから、心配して帰ってきたよ‥チェルシー」

 

「メラさん!出張中だったはずなのに何で!」

 

「さっきも言ったでしょ?心配だったから帰ってきたって‥」

 

アカメは、体力切れでその場に倒れこんだ。

 

ドサッ!

 

クロメは…

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

 

ナジェンダが言う。

 

「心配するなクロメ、アカメはさっきの影響で気絶しているだけだ」

 

さっきまで撃たれて倒れていたギルが言う。

 

「シー‥フ‥どういうつもりだっ!‥俺は‥俺はアンタの‥仲間だろ…」

 

「…」

 

「俺のことを…一生守る‥て!‥言ったじゃねぇーか!」

 

「…君はもう両腕を失った以上‥捕虜となったも同然の価値だ‥もういいよ‥要らんよ」

 

「‼」

 

メラが言う。

 

「それが君の選んだ運命だよ、童貞…後悔しても無駄だよ」

 

「…メラさん‥助けてくれ!俺は!‥俺は何も悪くない!‥こいつら(政府)が殺したんだ!オールベルグの後輩と!ババラ店長も!」

 

チェルシーはギルの顔面に蹴りを入れた。

 

ドカッ!

 

「ぐはっ!」

 

メラが言う。

 

「オールベルグを‥人の命の重さも知らないでよくそんな大層なことが言えるね‥童貞、チェルシーの様子を見てもまだ分からないの?」

 

「‼」

 

「私のかわいいメイド達を殺す奴‥怒らせる奴は、許すつもりはないわ」

 

「くっ!アンタもそっち側かよ!」

 

ギルの後ろからアドラムが来た。

 

「幹部さんよ~アンタはもうごみなんだから眠っとけよ!」

 

ギルの首元に爪を突き刺した。

 

「があああぁぁぁぁ‼」

 

「‼」

 

皆は驚いた。

 

「てめぇーのエネルギー全て俺が吸収してやるよ!元幹部さんよー!」

 

するとギルの体は次第にしおれ始めてきた。

 

「ぁぁぁ‥(俺は‥一体‥何を間違えたと…言うんだ…)」

 

夜の7:49…ギルはエネルギーが無くなり白骨化して、この世を去った。

 

チェルシーは…

 

「(言葉通りの人生だったね…でも、これでいいんだ…)」

 

アドラムは…

 

「これで今日から俺は…幹部だ!!」

 

「(なっ!)」

 

チェルシーに爪を刺そうとするが‥

 

ガッ!

 

「何!お前は!」

 

爪を抑えたのは、先ほどまで気絶していたアカメだった。

 

「親友に傷をつける奴は私が許さんぞ!」

 

「アカメちゃん!」

 

クロメが…

 

「お姉ちゃん!」

 

「心配するな‥すぐに終わらせる」

 

スケルトンシーフは…

 

「俺は先に戻っているよ‥」

 

気が付いたナジェンダが‥

 

「させるか!」

 

義手で掴もうとするが、スケルトンシーフに触れることが出来なかった。

 

「何っ!」

 

「この体は実体ではないよ、触れることなどできないに決まっているだろ」

 

そのままスケルトンシーフは姿を消した。

 

「くっ逃がしたか!」

 

アバマが言う。

 

「しょうがないですよ、ナジェンダさん‥そう簡単には…」

 

アカメが言う。

 

「捕虜の兄…後はお前だけだ!」

 

「何言ってるんだ?よく周りを見てみろ!この人数差でどうやってひっくり返すというんだ?!」

 

メラが言う。

 

「簡単だよ…」

 

チェルシーが言う。

 

「メラさん…どういう事?」

 

「7000人の政府が何をしようとも、チェルシーちゃん達みんな死なないよ‥何故なら私は、虫(危険種)を操ることが出来るんだから」

 

「そうか!さっきの虫で皆を守るってことでしょ?」

 

「チェルシーちゃん…そうじゃないよ」

 

「え?」

 

「確かに守るのもそうだけど、他の方法でやったら‥7000人も一瞬で減るでしょうね?」

 

アドラムが言う。

 

「虫ごときで他に何ができるって言うんだよ!頭冷やしたらどうなんだよ!ハハハッ!」

 

「そうだぜ?この人数相手にどうやって勝とうっていうんだ?」

 

メラはアカメ達に言う。

 

「皆‥グロいかもしれないから、目を閉じといてね…」

 

そういうと、メラは皆の周りに虫を配置させて実行した。




アカメ達は、この戦況を変えることが出来るのだろうか‥次回へ続く。


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第19話 伊勢崎に光を…

僕に…勇気をください!


「(まずは、7000人の中で最も極悪人の政府兵の中に埋めつけた卵を孵化させるとしよう)」

 

すると、2000人の政府兵の体内から虫が大量に吹き出てきた。

 

ブシャー!

 

「ごほっ‼」

 

他の政府兵はその姿を見て怯え始めた。

 

「やっ‥やばすぎる!」

 

「にっ!逃げろー!撤退だぁー!」

 

だが、虫たちは撤退する政府兵すら逃しはしない。

 

「うわー!囲まれた!!」

 

アカメ達を囲んでいた虫の大群は引いてった。皆は驚いていた。

 

ナジェンダは言う。

 

「なっ!…これは一体何が起きたんだ!」

 

クロメとアバマは腰が抜けていた。

 

「怖い!…あの虫さんたち‥」

 

「オールベルグの頭領さんってこんなにも恐ろしいなんて思わなかったです…」

 

メラが政府達に言う。

 

「一歩でも動いたら、孵化させるわよ?」

 

ゾクッ

 

「ひっ!」

 

政府の皆は座り込んでしまった。だが、アドラムは…

 

「何へこたれているんだ!あんなのガセだ!」

 

メラが言う。

 

「本当よ?」

 

「何だと?」

 

「私の虫たちは全員…♀なのよ?もしかしたら、あなたの中にも卵があるかもしれないわよ?それでも死ぬ勇気があるなら、飛びかかってきなさい」

 

「この俺を‥幹部を舐めるなよ!」

 

アカメが刀で防ぐ。

 

「私を忘れていないか?捕虜兄‥」

 

「てめぇー!いい加減名前で呼べやー!」

 

爪を突き立てるが、刀で爪ごと手を切断する。

 

スパッ!

 

「うぎゃー!!」

 

チェルシーが言う。

 

「決めて!アカメちゃん!」

 

クロメも‥

 

「お姉ちゃーん!行ってー!」

 

アドラムは…

 

「待て!アカメ!お前‥俺の次期幹部にしてやってもっ!」

 

「葬る‼」

 

ズバッ!

 

「ごはっ!(まだ‥5分しか幹部になっていないのに)」

 

ドサッ!

 

アドラムは思いっきり胴体を斬られて死亡した。

 

「任務‥完了!」

 

「お姉ちゃん!」

 

クロメがアカメに抱き着いて来た。

 

「クロメ…」

 

アカメはクロメを撫でた。チェルシーはその様子を見て安心した。

 

「(ありがとう‥アカメちゃん‥クロメちゃん‥君たちがいなかったらオールベルグと伊勢崎も‥まだ苦しみの連鎖が続いていたかも知れない)」

 

「チェルシーちゃん!」

 

メラはチェルシーに後ろから思いっきり抱き着いて来た。

 

「わっ!」

 

「生きていてよかったよ!…チェルシーちゃん」

 

「すいません‥迷惑かけてしまいまして‥」

 

「そんなことないよ‥君は‥」

 

「私‥オールベルグの皆を…皆を‥」

 

「チェルシーちゃん‥」

 

チェルシーは涙をこらえながら言う。

 

「皆を…守れなくて…っ!ごめんなさい!‥責任は‥私が‥私が全部!」

 

アバマが正面からチェルシーを抱く。

 

「!」

 

「そんな事‥言わないでください!うまく言えないけれど、僕は!皆はチェルシーさんがそんな顔をしていたら‥こころ(胸)が痛くなります!だから‥自分を追い込むようなことは‥言わないでください!」

 

「…アバマ君」

 

メラが言う。

 

「君‥いいこと言うじゃないか」

 

アカメは…

 

「アバマ、男らしい所‥あるじゃないか」

 

チェルシーが言う。

 

「ありがとう…でもやっぱり、店が壊れたのは私の責任でもあるから」

 

メラが言う。

 

「大丈夫だよチェルシーちゃん…その件については、ここに残っている政府達に押し付けとくから」

 

政府兵達は…

 

「なっ!何てこと押し付ける気だ貴様ら!」

 

「言ったはずでしょ?一歩でも動いたら孵化させるって」

 

ビクッ!

 

この言葉を聞いてまた座り込む。

 

クロメが言う。

 

「チェルシーお姉ちゃん!もう一人責任者がいるよ!」

 

「え?」

 

アカメはあることに気が付く。

 

「そういえば、ナジェンダは一体何処へ行ったんだ?」

 

場面は変わり、小屋では…アドラムの弟がまだ捕まったままだった。

 

「は…腹が…減って…死にそう」

 

すると、小屋のドアが開いて一つの飴玉が目の前に落ちてきた。

 

「たっ!食べ物だ!」

 

「よう!まだ死んでいないようだな」

 

飴玉の先にはナジェンダがいた。

 

「そろそろこの縄ほどいてくれよ~ナジェンダ様~」

 

「それは無理な話だな」

 

「やっぱり?まあいいさ!もうお前たちは完全にスケルトンシーフ様の部隊に包囲されているんだ!状況見ろ!状況を!」

 

「それはこっちのセリフだ…間抜け、外に出ればどうなっているかすぐにわかるぞ」

 

そういって、捕虜を担ぐ。

 

「降ろせ!降ろさんと貴様ら全員殺されるぞ!わかってい――――」

 

数分後…アカメがナジェンダに気が付く。

 

「なるほど…そういう事か」

 

「こいつが‥もう一人の責任者だ」

 

適当に捕虜を降ろす。

 

「痛!」

 

「これでも、そういえるか?」

 

やっと状況に気が付いた。

 

「おっ!お前ら何で座りこんでんだよ!バカか!」

 

「おめーも捕虜になってるくせに人の事言える立場か!グッチ!」

 

メラが言う。

 

「君も政府の者のようだね‥」

 

「兄貴は、兄貴は無事か?」

 

アカメが言う。

 

「お前の兄は私が斬ったよ」

 

兄の姿を見てグッチは座り込む。

 

「そ…そんな‥兄貴」

 

メラが言う。

 

「さて…君も政府同様に手伝ってもらおうかしら?」

 

「え…何を?」

 

この翌日、残った政府兵の皆はオールベルグ復興の為にメラに雑用として使われた。亡くなった人々やオールベルグの傷が消えることはないが、伊勢崎に政府の者たちが来ることは二度となかった。町や草原も血が付着していたが、メラが雑用で政府兵達に全て綺麗にさせた。この事件の跡が消えたのは5日ほどかかったと言う。そして場面はその2日後の夕方、カフェラテ・オールベルグの入り口へ。




次回、伊勢崎奪還編に終止符が打たれるとき。


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第20話 ありがとう…みんな!

仲間がいれば、平和は生まれる。
※オールベルグのスズカは羅刹四鬼のスズカと名前が偶々被りました。すいません!


メラが言う。

 

「君たちが、カフェラテ・オールベルグの新人のスズカちゃんとホムラ君だね」

 

「はい!私は群馬県の桐生市出身‥スズカです」

 

「同じく‥僕も新潟県の長岡市出身…ホムラです」

 

「ホムラ君、同じくの使い方‥だいぶ違うよ、もしかして緊張してる?」

 

「す‥すいません!今度から気をつけます!」

 

どうやらこの二人は、新しく建てられたカフェラテ・オールベルグの新人のようだ。

 

「そんな改まってなくて大丈夫だよ!内はフレンドリーな店なんだから」

 

ガタッガタッ‥

 

2階から降りてきたのは、チェルシーだった。

 

「メラさん‥私はそろそろ2つ目の仕事に行ってきます!」

 

「チェルシーちゃん‥もうその仕事は‥必要ないよ?」

 

「え?でも…一応これも私の仕事なんで」

 

「チェルシー、今はもう伊勢崎もオールベルグも平和になっているのよ‥」

 

「でも‥残りの雑用(政府兵)の様子も見ないといけませんので」

 

メラがチェルシーに抱き着く。

 

「安心して‥雑用の様子もこの子達のことも全部私が見るから」

 

「メラさん‥」

 

「2つ目の仕事じゃなくて、あなたには…立派な友達がいるじゃない」

 

「え?メラさん…それってどういう」

 

「仕事じゃなくて、あなたはあの子たちと一緒に旅に出なさい」

 

すると、カフェラテ・オールベルグの通りからアカメ達が見ていた。

 

「アカメちゃん…みんな…何で‥」

 

「アカメちゃん!この子のこと、よろしくね!」

 

「え!メラさん!?ちょっと‥押さないで!」

 

メラは後ろから軽く背中を押す。

 

「チェルシー…無理やりなことして済まない!だけど、やっぱりチェルシーは私たちにとって必要な存在なんだ!頼む!一緒に私達と今の世界を変えるのに協力してほしいんだ!」

 

ナジェンダが言う。

 

「つまり…仲間になって欲しいってことなんだ、私も出来れば仲間になって欲しい‥」

 

クロメも言う。

 

「無理なお願いかもしれないけど、私もチェルシーお姉ちゃんと一緒に旅をしたい!お願い!」

 

アバマが言う。

 

「僕も!僕もチェルシーさんが一緒にいてくれたら、心強いです!僕が…チェルシーさんを!あなたを一生守ります!だから‥僕たちと一緒にいてほしいです!」

 

クロメの心の中…

 

「(何か‥おなべの言葉がプロポーズみたいに聞こえたような気がする…)」

 

チェルシーは…

 

「(アカメちゃん…クロメちゃん…アバマ君…ナジェンダ…みんなっ!)」

 

メラがチェルシーに言う。

 

「大丈夫だよチェルシーちゃん…行って来なさい‥こっちは私に任せて」

 

スズカも言う。

 

「チェルシー先輩…私たちのことは気にしなくても大丈夫です!仕事の内容はメラさんが全部教えてくれるので心配せずに行ってください!」

 

ホムラも言う。

 

「僕たちも、いつか先輩みたいに完璧に仕事をできるように頑張ります!」

 

「みんな…そんな事言われると寂しくなっちゃうでしょ?」

 

メラが言う。

 

「さあ…行ってらっしゃい!チェルシーちゃん!みんな待っているよ」

 

「‥はい!‥行って来ます!(ありがとう…みんな!)」

 

アカメがチェルシーに手を伸ばす。

 

「行こう‥チェルシー」

 

「うん!よろしく!みんな!」

 

メラはその姿を見て思った。

 

「(ババラ‥ハルナ…アナタたちが望んでいたのは、こんな風な形だったのかな‥皆がああやって笑っているように…こんな風な形が伊勢崎だけでなく、世界全体がそうなるということを‥私も祈っているよ…)」

 

こうして、伊勢崎には平和という風景が元に戻ったのだった。




その頃‥遠く離れた政府の一部会議室では…

「何?奪還されただと!伊勢崎を?!」

「そう焦らなくても大丈夫ですよ大統領様、関東のほんの小さな市が一つやられただけですよ」

「スケルトンシーフ、貴様!どうしてくれるのだ!この俺の顔に泥を塗るつもりか!」

「いえ…そんなつもりは一切ありませんよ…ギルやザンクなど、ただの駒にすぎません」

別の人物がスケルトンシーフに言う。

「だがしかし、お前は今回7000人の政府兵まで失ったんだぞ‥大丈夫か?」

「心配するなランプゴースト‥あいつらは全員下っ端だ」

大統領が言う。

「まあいい…こっちには奥の手である“三大将”がいる…」

「あの方たちは今何をしているんでしょうかね?」

「三大将たちは今頃、日本以外のすべてを制圧しているところだろうな…スケルトンシーフ、ランプゴースト、スケルトンファイター…お前たちは、ザ・スカル・リーパーを北海道に配置させろ!」

「はい‥わかりました(アカメ、君の能力…もっと見せてくれよ…)」


伊勢崎奪還編 完 ※次回から帝具殲滅編に突入!

投稿が遅くなると思いますが、今後もよろしくお願いします!


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帝具殲滅編
第21話 違和感


アカメ達は、伊勢崎にあった小屋は政府に知られてしまったため、次の小屋を探していた。
伊勢崎を出て1時間程経つと、次の目的地…埼玉県にたどり着く。


アカメは皆に言う。

 

「少し‥ここで休憩しよう、ここらは政府兵がいないから」

 

チェルシーが言う。

 

「思ったんだけどさ…政府から取ったお金で車を購入するのはどうかな?」

 

アバマが言う。

 

「それ…僕も賛成です!はぁ‥はぁ‥」

 

ナジェンダが言う。

 

「だが、下手に音を出せば位置を知らせているのと一緒だ!歩くしかない」

 

クロメが言う。

 

「…眠い…それにお腹すいた、何でもいいからお菓子食べたい!」

 

その時、チェルシーがクロメに言う。

 

「え?クロメちゃん?お腹すいた?」

 

「うん‥」

 

「これ‥舐める?最後の棒付飴だけど…」

 

「ありがとう!チェルシーお姉ちゃん!」

 

クロメはやはりお菓子に対しての反応速度が並ではない。

 

アバマが言う。

 

「クロメちゃん‥少しは遠慮することも大事だよ‥」

 

「何か言った?おなべ」

 

「いえ‥何でもありません(頼むからおなべはやめてください)」

 

アカメは周りの景色を見ていた。

 

「ここも、荒らされている跡がたくさんあるな…政府は一体何を企んでいるんだろうな」

 

その景色は、建物が崩壊していて大地など所々に血の跡が付いていた。8年前の人々の悲鳴がアカメの頭に聞こえるのを思い出す。

 

(「いやー!」)

(「やめてくれー!」)

(「うあぁぁぁ!」)

 

「くっ!(あの時の悲鳴が頭から抜けない!)」

 

アカメは頭を抑える。

 

「だけど‥私がとめないと‥」

 

ナジェンダがアカメの所に来る。

 

「大丈夫か?アカメ‥」

 

「大丈夫だ‥過去のことを少し思い出してただけだ」

 

「8年前のことか?」

 

「…」

 

アカメはナジェンダに言う。

 

「ナジェンダ…政府の奴らは、どうしてこんな真似をするんだろうな」

 

「…今の大統領が、一番原因だと‥私は思う‥あいつがいなかった時は、世界はこんな残酷ではなかった」

 

「…」

 

「アカメ…少し違和感を感じないか?」

 

「?」

 

「なぜ‥大統領は…あいつだけなんだと」

 

「…!(そういえば、普通なら他の国にもいるはず!)」

 

「気が付いたか…そうだ!今の大統領は、他の国の大統領を‥殺したんだ!」

 

「何だと!それって、ナジェンダ!お前がまだ政府側の時か?」

 

「いや‥私はもうやめている時だ」

 

「…そうか、でもなんでそんな事知っているんだ?」

 

「…お前らと‥まだ会う前に、政府兵が言ってたのを聞いた」

 

チェルシー達が二人の所に来る。

 

「その話、私達も聞いていいかな?」

 

アカメが言う。

 

「あぁ‥もちろんだ」

 

ナジェンダが言う。

 

「今から話すことは、政府が私たちにヒントを与えてくれることかもしれないから、よく聞いてくれ!」

 




今更だけど、アバマの特徴
・髪型は「ニセコイ」の桐崎千棘とそっくりだけど、色が黄緑色。(リボンはないです‥)
・目は藍色で少し大きめ
・背はクロメより2㎝だけ大きい
・年齢は、チェルシーと同じ21歳
・服は違和感がないため姉の御下がりのワンピース(下は男なので流石に長ズボン)
・顔は女性と勘違いされるほど
・体系は小柄
・声は一般男性より少し高い

これは女性と勘違いされてもおかしくないなぁ‥でも男性とわかると何かショック!


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第22話 見えない殺気

それは、数日前の出来事のこと…群馬の団子屋の近くで、ナジェンダが座っていた時のことである。


「一人になってしまったな‥これでは世界を変えるなんて、夢になってしまうな‥」

 

数メートル離れた場所で、政府兵2人が話しているのが見えた。

 

「しかし、大統領の会議はすごかったな~」

 

「会議?いつのだ?」

 

「ほらあれだよ!‥8年前の大統領会議のだよ!」

 

ナジェンダは…

 

「(8年前!)」

 

「アジトのモニターで見てたけどよ‥何といっても帝具は恐ろしいもんだよな~」

 

「あぁ‥本当だよな~」

 

「帝具で他の大統領を全員殺しちまったもんなぁ、本当に帝具って存在したんだな」

 

「俺も帝具がそのうち手に入るかな?」

 

「バーカ!政具と違って帝具は適合者しか手に入らない品物だぞ!」

 

「それほど恐ろしいものなんだな~帝具ってのは」

 

現在に戻る‥アカメは言う。

 

「帝具?聞いたことはあるが、大昔に滅んだはずじゃないのか!?」

 

「歴史では、そう記されているが…仮説に過ぎなかったんだ」

 

チェルシーが言う。

 

「残っている帝具がどんなものかが分かればいいんだけど、わかる?」

 

「大体は見当がついている‥」

 

アバマが言う。

 

「やっぱり、元政府軍の将軍ってすごいですね‥」

 

クロメが言う。

 

「おなべ!飴頂戴!」

 

「僕は飴持ってませんよクロメちゃん(だからおなべはやめてください)」

 

チェルシーがナジェンダに言う。

 

「詳しくわかると、私も対処できるから教えて」

 

「残っているのは、千変万化クローステール、魔獣変化ヘカトンケイル、死者行軍八房、それと‥」

 

チェルシーの後ろから、誰かが囁くように言う。

 

「一斬必殺村雨…」

 

「‼っ」

 

皆はその者から距離をとる。

 

「誰!アンタは!」

 

「よく避けたわね‥お見事」

 

アカメは何かを感じる。

 

「(あいつ!ただものじゃない!気配を感じなかった!)」

 

「そうね‥自己紹介は大事ですからね‥わたくしは、リヅ ウォリシアと申します‥以後お見知りおきを‥」

 

皆は自然と体から汗が無意識に出始める。

 

「はぁ…はぁ‥」

 

笑顔でリヅは言う。

 

「皆さん、どうしたのですか?体が震えてますよ?」

 

皆は無意識に足が震えていた。アカメは皆に言う。

 

「皆…大丈夫か?」

 

チェルシーは言う。

 

「う…うん…」

 

クロメは座り込んでしまう。

 

「怖い…怖いよ…お姉ちゃん‥」

 

「クロメ!‥」

 

クロメは涙が出ていた。

 

「うっ!…うっ!」

 

アバマが言う。

 

「チェ‥チェルシーさん…」

 

「私なら…大丈夫だよ…」

 

「何があっても‥僕が…」

 

「アバマ君…今は‥少し落ち着いて…」

 

ナジェンダは…

 

「(こんな奴がこの世にいたとはな‥この恐怖感を感じたのは、あいつ以来だ!)」

リヅは言う。

 

「よくみたら…皆、女の子みたいね…」

 

ゾクッ!

 

ナジェンダは言う。

 

「お‥お前…その刀…どこで…手にしたんだ?」

 

「それは…教えられません…秘密ですので‥」

 

リヅの通信機が鳴る。

 

「どうしました?」

 

「“倉庫の保管に着けと大統領に言われているだろ!戻れ!”」

 

「あっ…そうでした?すぐに戻りますので~待っててください‥」

 

ピッ!

 

「そういう事なので~さよならです…では」

 

そういうと、刀で空間を裂いて去っていった。

 

アカメ達は一気に力が抜けた。

 

「はぁ~」

 

ナジェンダは言う。

 

「あいつ‥村雨と初めに言ったな、あの刀がそうみたいだな!」

 

チェルシーが言う。

 

「その武器が…いやっ!あの子自体が私達とは別格の存在ってことだよ…あの殺気は!(あのアカメちゃんでさえ体が震えていたくらいだもの)」

 

アカメは…

 

「(あいつの体の一部を見ただけでも、こんなに震えるなんてな‥ギルとは比べものになんかならない!)」

 

クロメはまだ震えが収まらなかった。

 

「お姉ちゃん‥怖いよ…私!…怖いよ…」

 

その姿を見て、強く抱きしめるアカメ。

 

「クロメ…大丈夫、私だけじゃない‥皆がクロメを守るから」

 

「お姉ちゃん‥」

 

アバマが言う。

 

「あの人‥何者だったんだろう(でも‥政府側だというのは確かだった、いずれまたどこがであうかもしれない!)」




リヅ ウォリシアの特徴
・髪はロングヘアで白髪
・年齢は20歳
・体系は細身で身軽
・性別は女
・性格は今は不明
・身長はアカメとチェルシーの間ほど
・服装は振袖で下はミニスカート
・目を合わせると笑顔で対応するのが癖になっている
・所持している帝具は(原作のアカメが所持している)一斬必殺村雨
・見た目は美人だが相手が恐怖を感じるほどの殺気を持っている


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第23話 政府の戦力

今回は、政府の視点で始まる。


大統領では…

 

「今連絡が入った!あの三大将がこの日本へ帰ってきたそうだ!」

 

「何と!もうここ、日本以外を全て制圧したというのですか!?」

 

「そうだ!」

 

「さすが!現最強ですね」

 

もう一人の政府兵が、報告する。

 

「大統領殿、申します!三大将様たちがこちらのアジトに帰還してきました!」

 

「よし…扉を開けろ!三大将のお通りだ!」

 

大統領の目の前の扉が開く。

 

三大将たちは、大統領の前に来た。

 

「おぉ~これはこれは!三強がお揃いになられるのは貴重ですな!」

 

三大将の正体は、大逆の死神:藍染惣右介、伝説の忍:うちはマダラ、そして、帝国最強の女将軍:エスデスだった。

 

「あ‥あれが!‥三強!」

 

他の政府兵は皆怯えていた。

 

エスデスが大統領に言う。

 

「日本に来たのは10日程ぶりか‥変わっていないな」

 

「いえいえ‥こう見えても政府は進化し続けております」

 

「…なら良いのだがな」

 

藍染が大統領に言う。

 

「私は少し外に出るとしよう‥」

 

「藍染さん!どちらへ!」

 

「なぁ~に、ちょっとした散歩だよ」

 

そのまま、藍染はその場を去って行った。

 

マダラが言う。

 

「報酬は用意しているんだろ?」

 

「もちろんです!こちらがその報酬です」

 

「これは何だ?」

 

「崩玉です」

 

「…俺には必要のないものだな‥」

 

遠くの方から別の人物が来る。

 

「ほな、必要ないなら~それ僕にくれませんかな?」

 

「誰だ…貴様は」

 

「名乗って何か得します?」

 

エスデスが言う。

 

「藍染の部下、市丸ギンだろ?」

 

「何です?知ってたんですか?僕の事」

 

「いつも藍染の横にくっついている粒だからな‥嫌でも覚えている」

 

「酷いコメントですなぁ~」

 

マダラがギンに崩玉を軽く投げる。

 

「受け取れ」

 

「いいんです?ホンマに?」

 

「俺には必要ないからな‥」

 

「ありがと~さん」

 

そのままギンは自分の部屋に行った。

 

大統領が言う。

 

「待てっギン!貴様のための報酬じゃないんだぞ!三大将殿の物だぞ!」

 

エスデスが言う。

 

「私も部下を作った方がいいのだろうか…」

 

「エスデス大将?」

 

「まぁいい‥それより今は狩りを楽しむとするか!」

 

そういうと、エスデスは外に出て行った。

 

マダラが言う。

 

「俺は少し部屋で休むとしよう」

 

そういうと、自分の部屋に行った。

 

大統領は独り言。

 

「あぁ~崩玉が…貴重な宝石が部下共にー!」

 

一方、アカメ達は再び小屋を探していた。

 

クロメが言う。

 

「震えがやっと‥止まった」

 

アカメが言う。

 

「相当な精神的ダメージだったみたいだな」

 

「でも、もう大丈夫だよ!」

 

ナジェンダが言う。

 

「だが、あまり気を抜くことはできないみたいだな…さっきみたいな奴が近くにいるとなると‥」

 

チェルシーが言う。

 

「それもそうだね、でも早く休む場所探さないと!」

 

アバマが言う。

 

「皆さん!あの建物は一体何でしょうか?」

 

アバマが見つけたのは、襲撃を受けた後の雑貨屋だった。

 

チェルシーが言う。

 

「あの雑貨屋、歩いてきた中で一番綺麗な方だね」

 

アカメが言う。

 

「だが、他の建物と比べると修復されたあとがあるな…まだ誰か住んでいる可能性がある」

 

「少し近づいてみる?」

 

皆はその建物の近くに行った。

 

ナジェンダが言う。

 

「この雑貨屋、来たことがあるぞ!一回だけ」

 

アカメが言う。

 

「あるのか?」

 

「思い出したぞ!ここで私は、帝具について調べていたんだ!」

 

「じゃあ‥あの並んでいる本にそれぞれの帝具の能力が記されているのか!」

 

「そういうことだ」

 

チェルシーが雑貨屋に入る。

 

「(…誰の気配も感じないね‥本当に誰かいるのかな?)」

 

すると、糸がチェルシーを巻き着ける。

 

「わぁっ!」

 

ドサッ

 

アカメが言う。

 

「チェルシー!大丈夫か!」

 

「何‥これ、糸?」

 

「一体‥誰の仕業なんだ」

 

雑貨屋の部屋からあの人物が出て来る。

 

「何だ~ハズレかぁ…いやっむしろ当たりか?」

 

アカメは刀を構える。

 

「誰だ!」

 

「ん?君たちは、どうやらこの人の友達みたいだけど…」

 

「質問に答えろ!お前は誰だと聞いている!」

 

「まぁまぁ‥そんなに怒らなくてもいいじゃないか?」

 

ナジェンダが言う。

 

「…ラバック?お前‥生きていたのか!」

 

「え!ナジェンダさん!」




ついに…三強の正体が明らかになり、ラバックも登場!この先の展開はどうなるのか?今のところ、ハーレム側に傾いている気がするがあまりそこは気にしなくていいか〜


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第24話 最強の一人!

女性は、やはり怖いですね…


アカメは言う。

 

「生きていた…?ナジェンダ、どういうことだ?」

 

「済まない‥紹介が遅れたな!こいつは私が政府から抜け出すときに、一緒に協力していた相方だ!」

 

クロメが言う。

 

「相方‥」

 

アカメはナジェンダに言われた言葉を思い出した。

 

(「私の相方が…帰ってこないことがあった!」)

 

「まさか‥お前の相方ってそいつだったのか」

 

アバマが言う。

 

「チェルシーさん!今、僕が解きます!」

 

「アバマ君!」

 

ラバックが思う。

 

「(君!?…こいつ‥男なのか!?見た目で見ると髪長いし、顔立ちもどう見ても普通の女の子だし‥背もちっちゃいのに‥え?)」

 

アカメは刀を収める。

 

「すまないな‥敵だと勘違いしていたみたいだ」

 

「あはは‥わかればよろしい!」

 

ナジェンダがラバックの頭にチョップをいれる。

 

「調子に乗るな!」

 

「すいません…」

 

クロメが言う。

 

「何か‥お調子者が仲間になると、不安が増すんだけど」

 

アカメが言う。

 

「まぁ‥ナジェンダの相方って言うくらいの奴だから、頼りになるかもしれないな」

 

「そうかな?」

 

アバマはチェルシーを巻き着いている糸を解くのに苦戦していた。

 

「うぁぁー!(この糸‥凄く固くて取れない!)」

 

「アバマ君!‥何か痛い!」

 

「すいません!すぐに解きます!っうぁぁー!」

 

「うっ!(でも‥アバマ君が頑張っているから、私も耐えないと!)」

 

クロメがチェルシー達の所に来る。

 

「チェルシーお姉ちゃん!その糸、あたしの刀で斬るから待ってて!」

 

「クロメちゃん‥」

 

アバマが言う。

 

「クロメちゃん!それじゃあチェルシーさんまで!」

 

「何言ってんの‥糸だけ斬るんだよ、おなべ」

 

「でもどうやって‥」

 

スパッ!

 

クロメは得意の居合切りで糸のみを斬った。

 

「こうやってね」

 

アカメは見ていた。

 

「(さっきの居合切り‥私より速いかもしれないな)」

 

チェルシーが言う。

 

「ありがとう‥クロメちゃん」

 

ラバックが言う。

 

「ナジェンダさん、あの子って帝具持ちですか?」

 

「いやっクロメが持っているのは普通の日本刀だ」

 

「(え?‥嘘だろ?!俺の帝具の糸、簡単に斬られてるんですけど‥)」

 

「それよりラバック‥さっきチェルシーを巻きつけていた糸は‥帝具か?」

 

「は‥はい‥俺の帝具…千変万化クローステールです‥(糸斬られちゃ後始末が面倒だ‥)」

 

アカメがラバックに言う。

 

「お前のその糸が帝具だとしたら、切って正解みたいだな」

 

「いや‥君の妹が斬ったの味方の帝具だよ!?」

 

「でも、帝具は帝具だ」

 

「帝具が危険なのはわかるけど‥味方のだよ?!」

 

「でも帝具だ」

 

「(駄目だ‥話聞いてない)」

 

ナジェンダが言う。

 

「まあラバック、こういう事は誰にでもあるさ!」

 

「それ本当なんでしょうか?」

 

チェルシーがラバックの後ろに来て、肩に手を置いて言う。

 

「ねぇ‥」

 

「え‥」

 

「アンタの帝具のおかげで、私の背中に傷がついているから治してくれないかなぁ」

 

「それは…無理っす」

 

チェルシーはニッコリとした顔で…

 

「治してくれるかなぁ~?」

 

ラバックはその表情を見て冷や汗を掻く。

 

「わわ‥わかりました‥(でもどうやって治すか‥)」

 

そのあとはアバマがチェルシーの傷を綺麗に治しました。

 

数分後、ラバックは皆にあることを言い始めた。

 

「ナジェンダさんと皆は、リヅ ウォリシアって人物のこと知っているか?」

 

「っ‼まさか!」

 

「その反応…知っていることだな‥」

 

「数分前に、まだ会ったばかりだ!」

 

ラバックはアカメの言葉を聞いて驚いた。

 

「まだ会ったばかりなのか!」

 

「だけど、あいつは今まで戦った奴とは比べものにならないくらいの殺気を持っていた!」

 

チェルシーは深刻そうな顔で言う。

 

「それに‥あの子、帝具を持っていたわ‥帝具の名前は村雨って自分で言ってた」

 

ラバックが言う。

 

「村雨‥チート級の帝具だな、かすり傷でさえも死に至る帝具だ」

 

ナジェンダがラバックに言う。

 

「それに、本人も異常なレベルだ!あいつと対等の実力を持っている可能性がある」

 

「あいつって誰なんですか?」

 

「…エスデスだ!」

 

その言葉を聞いて、皆は驚きを隠せなかった。




エスデスと並ぶほどの人物、リヅ ウォリシア。彼女は一体何者なのか?


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第25話 絶望の笑顔

会社の内定を取るのが難しくて…それと投稿が遅くなってすいません(T_T)もしかしたらまた遅くなると思いますが、今後もよろしく!


「エスデス!…あの三大将の一人と並ぶ程の実力者がいるとはな…」

 

「お姉ちゃん…エスデスって?」

 

「今の三大将の一人で、もしかしたらこの世の頂点といってもいいくらいの奴だ」

 

「でもアカメちゃん、リヅがエスデスと対等なくらいの強者だとしたら、残りの二人、うちはマダラと藍染惣右介も入るわ…」

 

ナジェンダが言う。

 

「とは言っても、今のこの戦力で三大将を倒すのはまだ無理だがな…」

 

「だけど、帝具を殲滅させる事は出来るぜ!」

 

ラバックは自信のある言い方をした。

 

「そんな簡単に出来るの?」

 

「皆、俺に耳を傾けろ…いい作っ」

 

「作戦は私が伝える!」

 

「ナジェンダさん…俺の台詞取らないでください…」

 

一方、リヅは倉庫へ向かっていた。

 

「せっかく可愛い子達と遊べるとおもったのですがね〜うまく行かないですわね〜今の世の中は…」

 

時は3年前の夕方の出来事に遡る。

 

「わたくしと闘いたい人は他にいないのですか?」

 

リヅの後ろには、大勢の不良が倒れていた。

 

「か…頭!こいつ一体何者なんですかい‼︎」

 

「びっビビってんじゃねぇ!たった一人の女ごときに‼︎おいっ!あれを持ってこい!」

 

そう言うと、不良のリーダーは部下が持ってきたバットを手に持つ。

 

「その様なおもちゃでわたくしと闘うつもりでしょうか?」ニコッ

 

「な!…何笑ってんだぁぁ‼︎女の癖にぃぃ!」

 

振りかざしたバットはリヅに当たる前に簡単に片手で抑えられる。

 

「へ⁉︎」

 

「…はい?」

 

「に…逃げろぉぉぉぉ!化け物だぁぁ‼︎」

 

立っていた部下達は、自分達の命が危ういと感じ一斉に逃げていった。

 

「おっおい!頭置いて逃げんな!」

 

「お兄さん」

 

「‼︎」

 

不良のリーダーは震え声で言う。

 

「たたた頼む!許してくれ!どうか…命だけは?」

 

「命…ですか?」

 

リヅに掴まれているバットはリヅの手の握力で少しずつ潰されていき、リヅは笑顔で言う。

 

「じゃあ今後は姿を現さない様に気をつけてね」

 

「あ…あぁ、わわかった!あんたの前から今すぐ消えるから…」

 

そう言って、不良のリーダーは持っていたバットを即座に離して、その場を離れようとするが…

 

ズバッ!

 

「がはっ!」

 

不良のリーダーの背中に大きな斬撃が入り、男はその場で死亡した。

 

「だから言ったじゃないですか、気をつけてね…て」

 

リヅはこの頃から一斬必殺:村雨を所持していた。外に出ると、不良グループの部下達の姿は一人も見当たらなかった。

 

「他の方たちは、正しい判断をしたみたいですね」

 

しばらくの間街中を歩くと、あるものがリヅ ウォリシアの目に写った。それはさっきまで相手をしていた不良グループの部下達が全員、凍りづけにされていた事だった。

 

「あら?誰かの仕業かしら?」

 

すると、凍りづけにされている不良グループの背後から何者かが出てくる。

 

「噂には聞いているぞ!」

 

リヅはその姿を見てこう思った。もしかしたら自分と対等以上の人物だと…

 

「凍りづけにされている方々は、貴方が原因ですか?」

 

それでも、リヅは笑顔から表情を変える事はなかった。




リヅは笑顔以外の表情あるのかな?この感じだと〜


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第26話 作戦準備

半端な過去だが、少しだけヒントが!


リヅは自分と対等以上の人物を見ても、焦りなどなかった。むしろこんな事を言うくらいだ。

 

「貴方の趣味は何ですか?」

 

「貴様…変わった奴だな、普通は驚くところではないか?」

 

「そうですか?わたくしは普段こんな感じですので普通だと思いますよ?」

 

「(常に笑顔だな…これが絶望の笑顔と言われる理由か?)」

 

「ところで、貴方は何て言う人でしょうか?」

 

「私はエスデス…三大将の一人だ」

 

「三大将が何故こんな場所にいるのですか?」

 

「気まぐれと言った所だな…退屈していたからな」

 

リヅは笑顔で言う。

 

「へぇ〜自由に移動する政府さんは初めてですよ…私」

 

すると、エスデスはリヅに言う。

 

「それよりもリヅ、私の友にならないか?」

 

「…はい?」

 

流石のリヅも、この質問には少し首を傾げた。初めて会ったばかりで、しかも政府の三大将の一人といきなり友達になるなど予測していなかったのだから…

 

現在に戻り、アカメ達の視点に移る。

 

その日の夜、アカメ達はラバックがいる雑貨屋で寝泊まりすることになった。寝室は男子と女子で別れている。

 

一方、男子二人は…

 

「なぁアバマ…お前は好きな人とかいないのか?」

 

「えっ‼︎何ですか急に!」

 

「(反応が分かりやすい奴だなぁ〜)」

 

「い、いませんよ…今は」

 

ラバックがアバマに言う。

 

「…男同志だから隠さず言うけど、俺はいるぜ好きな人」

 

アバマは少し焦った。何故なら、チェルシーの事が好きだったら今後複雑な関係になってしまうからだと思ったからである。

 

「だ…誰なんですか?」

 

「ナジェンダさんだよ」

 

「…意外ですね」←ホッとしてる

 

「俺がナジェンダさんを好きになった理由は、俺がまだこの雑貨屋で働いていた時の頃だった…そん時ナジェンダさんが初めて雑貨屋に来て、俺は一目惚れしたんだ」

 

「一目惚れ…」

 

「そっから俺は、ナジェンダさんが来るたびにアタックしようとしたんだけど…中々出来なくてな」

 

「ラバックさん…諦めないでください!」

 

「あぁ…言われなくても分かってるさ!だからこの戦いが終わったら…ナジェンダさんにまたアタックしようと決めたんだ、だからよ、アバマも頑張れよ」

 

「えっ⁉︎ぼぼ僕はまだいませんよ⁉︎」

 

「知ってるぜ…お前、チェルシーの事が好きなんだろ?」

 

そう言われると、アバマは顔が赤くなる。

 

「なっ!何で⁉︎」

 

「表情見れば分かるぜ…心配すんな、チェルシーには言わない様にするからよ」

 

そう言うと、アバマの肩を軽く叩く。

 

「(て事は、アカメさん達みんなこの事に気付いているのかな…)」

 

一方、女子達は部屋にはアカメとクロメ、チェルシーがいた。※ナジェンダは入浴中

 

「この布団気持ちぃ〜」

 

枕を抱くクロメ。

 

「クロメ、明日は作戦を決行する日だから早めに寝といた方がいいぞ?」

 

「分かってるよお姉ちゃん…?」

 

「どうした、クロメ?」

 

「チェルシーお姉ちゃん、もう寝ちゃったのかな?」

 

「いや、多分まだ寝そべってるだけだと思う」

 

チェルシーは寝そべりながら考えていた。

 

「(アバマ君…あの時言ってくれた言葉、何で私…何も返さなかったのかな?)」

※第20話を参照。

 

「チェルシー」

 

アカメがチェルシーの肩を軽く触る。

 

「ひゃっ⁉︎」

 

チェルシーは慌ててアカメの方に振り向く。

 

「だ…大丈夫…か?」

 

「びっくりした…(幽霊かと思った!)」

 

「明日は早いから早めに寝といた方がいいぞ?」

 

「そ、そうだよね?早く寝ないと!」

 

そう言うと、毛布を自分の体全体にかけて寝た。

 

「チェルシー…それは暑いと思うが…」

 

クロメがアカメに声をかける。

 

「お姉ちゃん、そう言うことじゃないと思う…」

 

「?…どう言う事だ?」←意外と鈍感

 

そしてその後、それぞれ朝を迎えるのであった。




次回は遂に、あの者達が登場予定!本格的に物語が進行する!


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第27話 帝具殲滅開始!

帝具殲滅作戦開始だ!


翌日の朝、アカメ達は昨日の作戦のことを念のため確認をしていた。

 

「ラバック、糸に何か引っかかったら教えてくれ!」

 

「勿論ですよナジェンダさん!」

 

「アカメ、クロメ、チェルシーは帝具の保管庫の近くの森まで行き、しばらく待機だ!」

 

「了解」

 

「アバマ、お前はこれを着て政府兵に紛れてほしい」

 

ナジェンダはアバマに自分が政府側の頃だった政府服を渡す。

 

「僕が…政府側の演技役ですね」

 

アバマは自分の役割は分かってはいたが、いざとなると身体が少し震えはじめる。

 

「アバマ君?」

 

そうな風にチェルシーが優しく声をかける。

 

「チェルシーさん、僕も覚悟はしていますよ…でも今日がその日だと思うと身体が勝手に震えるんです…」

 

アバマがそう震え声で言う。それはそうだ…アバマは政府側ではなく、普通の一般人の一人だからだ。そう言うとチェルシーがアバマの手を軽く握る。

 

「君にもしも、絶望的な状況が訪れた時は…直ぐに私が何処でも駆けつけるよ…だから私が同じ状況になったらアバマ君が助けてね」

 

チェルシーがそう言うと、アバマから震えが治まってくる。

 

「チェルシーさん…そうだ…僕も男なんだ!こんな所で震えている場合じゃない!」

 

ナジェンダがアバマに言う。

 

「アバマ、覚悟を決めたようだな」

 

「はい!僕必ずみんなの役に立つ様に頑張ります!」

 

10分後、ナジェンダとラバックを除いたアカメ達はそれぞれの配置までラバックが持っていた地図を辿って移動をしていた。

 

「このまま直進すれば保管庫に辿り着く筈だ」

 

「でも周りに政府兵がいる可能性があるから慌てずに進んだ方が良いと思うよアカメちゃん」

 

「わかってる…だがあまりゆっくりしても政府兵が増えるかもしれないぞ」

 

「大丈夫ですよアカメさん、敵が近くにいる時は、ラバックさんとナジェンダさんが通信機で伝えてくれます!こっちには帝具使いがいるから大丈夫ですよ」

 

「おなべ(アバマ)にそう言われても不安しか感じないんだけどあたしは」

 

「そんなこと言わなくても良いじゃないですかクロメちゃん」

 

「うるせぇよ、ロリコン!」

 

アバマを睨みながらそう言うクロメ。

 

「(裏の顔がむき出しに鳴ってるクロメちゃん想像以上に怖い‼︎)」

 

チェルシーが二人に言う。

 

「二人共、今はそんなこと言ってる場合じゃないよ」

 

「すいません!チェルシーさん」

 

「みんな!もうすぐ帝具の保管庫に着くぞ!作戦開始だ!」

 

一方、帝具の保管庫周辺では…

 

「オーガ隊長!現在は何も異変はありません!」

 

「キュッ!」

 

「そうか、ご苦労だ…セリュー」

 

「隊長の為なら、私は全力を尽くしてお守りします!」

 

「キュウ」

 

「ヘカトンケイルの調子も良さそうだなぁ、反逆者共が来てもこれなら負けることはまず無いな」

 

「はいっ!勿論です!隊長!」

 

さらに、別の政府兵二人がオーガ達の所に向かってくる。

 

「オーガ隊長、こちらも異変はありません!」

 

「同じく、私の方も異変はありませんでした」

 

 

「ハハッ!帝具持ち相手の俺たちに怯えて反逆者共は逃げているなぁ〜きっと…スケルトンシーフが言ってた事がまるで嘘の様だなぁ」

 

オーガは酒の瓶を片手に持ち、そのまま口に運ぶ。

 

「隊長!気を緩めるのはまだ早いですよ!」

 

「大丈夫だセリュー…一口ぐらいどうって事無い!」

 

一本道の所から、政府兵に変装したアバマが歩いてくる。

 

「あの〜すいません」

 

「あぁ⁉︎…誰だテメェ、見ない顔だなぁ」

 

「隊長!この人も政府兵の服を着ているからこちらの味方ですよ!」

 

「っと言うと…」

 

そう言うと、オーガは自分の剣を抜く。

 

「テメェは敵だなぁ‼︎」

 

「えっ⁉︎(変装がバレた⁉︎)」

 

セリューがオーガに言う。

 

「オーガ隊長!彼は味方ですよ!コロも威嚇してませんし!…一回落ち着きましょう⁉︎」

 

「キュッ!キュー!」

 

「…」

 

オーガの部下の一人は睨んでいる。

 

「…おい」

 

「は、はい!」

 

「テメェ…名前は何て言う?」

 

「名前⁉︎(しまった!ここで本当の名前を言ったらダメだ!政府側の方にも僕達の情報が入ってるみたいだから…なんかいい名前は〜)」

 

「僕…アズミと申します!よろしくお願い申し上げます!」

 

「…そうか、やっぱりお前!」

 

「(え⁉︎…バレた?)」




次回は7月に載せる予定です。


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第28話 特徴は⁉︎

アカメ達は作戦を成功させることが出来るか?


「僕…アズミと申します!よろしくお願い申し上げます!」

 

「…そうか、やっぱりお前!」

 

「(え⁉︎…バレた?)」

 

木の陰に隠れているアカメ達が武器を構えた瞬間、オーガの部下が言う。

 

「…女だろ?」

 

「…は?」

 

オーガ達もこの発言に驚きが隠せなかった。

 

「絶対そうだ!遠くから来た時から俺はお前を女だと確信していたぞ!」

 

「あ、あのっ!急に何を…」

 

そう言うと、アバマを地面に仰向けに倒して、床ドンをして次々と語りだす。

 

「俺はお前のことを今ここで一目惚れした!俺は今まで女に数えきれないくらいプロポーズを仕掛けてきた、だけど全部失敗した!確かにあの時は俺がいきなり付き合ってください何て言っちゃったからそれは仕方ないと思ったさ!…でも今回はそんなこと言ってないから成功すると俺は思ってる、だから付き合ってください!」

 

「(この人…一体どんな人生送ってきたんだろう…それはしない訳ですね〜長過ぎて何て言ったか途中からわからないんですけど…)」

 

もう一人の部下が言う。

 

「アズミって言ったかな?そいつの話は軽く流して貰っていいから早く配置に付きな」

 

「は…はい、その前にこの体勢…何とかしてもらえませんか?」

 

「頼む!俺と付き合ってくれー!アズミー!」

 

一方、アカメ達は…

 

「あの馬鹿おなべ!何やってるの!」

 

「アバマ君、完全に女の子だと思われてるね」

 

「とりあえず、今の所は作戦通りになってはいるな…一応」

 

チェルシーがアカメに言う。

 

「アカメちゃん…あそこにいる政府兵、みんな帝具使いかもしれないよ」

 

「そうか…ナジェンダ達の所に今の状況をナジェンダ達に伝えた方がいいかもしれないな」

 

「そうだね」

 

ナジェンダに現状を伝える。

 

「ナジェンダ…報告だ」

 

[アカメか?何か手がかりを掴んだか?]

 

「今の所は作戦通りに行ってる、アバマも正体はまだバレてはいない」

 

[そうか、こっちも今ラバックが帝具で敵の数を感知仕切っている]

 

「こっちに今見えるのは4人だ」

 

[そうすると…オーガとその部下3人だな]

 

「あぁ…そうだ、それともう一つある」

 

[何だ?]

 

「おそらくオーガ以外の奴らは全員、帝具使いだと言うことがわかった!」

 

[何!その帝具の特徴は分かるか?]

 

「チェルシー、見えるか?」

 

「うん…私が伝えるよアカメちゃん」

 

「わかった…」

 

「ナジェンダ…一人目はさっきヘカトンケイルって言ってたよ」

 

[残りの二人はどうだ?]

 

「二人目は日本刀が特徴で…三人目は…あれ?」

 

[どうした?チェルシー]

 

「三人目の政府兵が見当たらない!」

 

「みんな気を付けろ…居場所がバレたかもしれない」

 

「おなべがつまずくからだ、絶対」

 

「クロメちゃん、今は周りを警戒した方がいいよ」

 

三人の後ろから足音が聞こえる。

 

「誰だ!」

 

出てきたのは…

 

「皆さん、僕なら大丈夫ですよ」

 

「アバマ君⁉︎」

 

「おなべ!びっくりさせないでよ!」

 

「…アバマか(確かに保管庫の所には姿が見えないな…)」

 

「今、敵の隙をみて皆さんの様子を見に来ました!」

 

「アバマ君、私達は大丈夫だよ」

 

「そうだよおなべ、もっと作戦に集中して!」

 

「うぅ…折角みんなのこと心配して来たのに」

 

「アバマ、周りに集中しろ!死ぬぞ」

 

「アカメさんまで…」

 

クロメがある事に気づく。

 

「ねぇおなべ」

 

「えっ…どうしました?」

 

「もう一つの手に持ってるの、お菓子?」

 

「え、いや…そうなんですけどこれは」

 

「頂戴」

 

クロメは率直に言う。

 

「…いいですよ」

 

アバマはそう言うと、クロメにお菓子を渡そうとするが…ガッ!っとチェルシーがアバマの腕を掴み、首元に剣を向ける。

 

「貴方…アバマ君じゃ無いわよね」

 

するとアバマの周りから煙が出て、政府兵の一人が姿を現す。

 

「くっ!どう言うこと⁉︎何でバレたの!」

 

「あなた芝居が下手ね…一発で解ったわよ、アバマ君は真面目だから作戦中にお菓子なんてあげる訳ないじゃない?」

 

「やはりな」

 

アカメもこれには最初から気づいていた。

 

「クロメこのお菓子には多分、毒が盛られている可能性があるぞ」

 

「えっ!嘘…死ぬ所だったんだ私」

 

「アバマとオーガ達の居場所を吐け!でないとお前の首が飛ぶぞ」

 

「くっ!…フフッ」

 

「何がおかしい!」

 

アカメがそう言うと、チェルシーがアカメの背後を見て言う。

 

「アカメちゃん!後ろにいる!」

 

「何‼︎っ」

 

「貰ったぁぁ!」

 

アカメは瞬時にその攻撃を日本刀で防ぐ。

 

「流石、この程度の攻撃じゃあ駄目みたいだなぁ」

 

そこには政府兵の部隊長のオーガがいた。

 

「お前がオーガだな…お陰で探す手間が省けたよ」

 

「そうか!俺も今そう思ってた所だぜ!アカメ!」

 

「なら…今この場でお前を始末してやる!」

 

アカメとオーガの闘いが今、始まる!




次回は8月に投稿予定!


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第29話 アカメVSオーガ

アカメとオーガは、互いに武器を構える。アカメは日本刀、オーガは剣。その他の現在状況は、チェルシーとクロメはオーガの部下一人を押さえている。そしてアバマは今、オーガの部下一人とセリューと一緒に別の場所に移動している。ナジェンダとラバックは周りの敵感知の役割をしている。


アカメサイドは…

 

「お前は、帝具という物は所持していないみたいだな」

 

「だとしたら、勝てるとでも思ったか?伊勢崎を占領出来なかったギルやザンクなんかと一緒だと思ったら大間違いだぜ?」

 

「そうか…なら私も全力で行かせて貰うぞ!」

 

そう言うとアカメはオーガに向かって走り出す。

 

「馬鹿め!考え無しに突っ込む事がどう言う意味なのかわかっていないみたいだなぁ!」

 

アカメが目の前に来たと同時にオーガは剣を振ろうとした瞬間、アカメはオーガの左肩に手を置き、オーガの肩を下に思いっきり押す。

 

ゴキッ!

 

「ぐおぉぉおお!」

 

そう言っている間に、アカメはオーガの真上から背後に移動して背中を深く斬る。

 

ズバッ!

 

「ぬぅおおおお‼︎」

 

「そんなものか?まだギルの方が手応えを感じたぞ」

 

「くっ!俺の防具を無視して生身にまで刃が届くとは…な、大した武器持ってんじゃねぇか!アカメ!」

 

「…それだけじゃないな、私自身も強くなっているから出来た事だ…それにこの武器は小さい頃から持っている普通の日本刀だ」

 

「…(こいつ、普通の日本刀で俺の体を斬ったって言うのか!どんな腕力してんだ!こいつ人間を越えてやがる!)」

 

そう言うと、オーガは腰に備えている小型ナイフの様な物を取り出す。

 

「普通の日本刀だったら俺にもまだ勝機はある!」

 

オーガはその武器を自分の首筋に刺す。

 

グサッ!

 

「‼︎っ何を!」

 

チェルシーサイドは…

 

「っ‼︎あいつ!自分で首を刺した!自害のつもりなの!」

 

クロメはそう言うが、チェルシーは少し難しい顔をして言う。

 

「…まさか…オーガまで!」

 

「チェル姉?」

 

「あいつの手に取ってる武器、もしかしてギルと同等…政具の一つかもしれない!」

 

「政具?」

 

すると、拘束されている政府兵が言う。

 

「ああなったら…あの子は死亡確定よ?いくら強くても今のオーガ隊長は最強に等しいわ!あなたの言う通り、オーガ隊長が首に刺した物は政具の一つ”強制受注強化血”!今まで斬り殺した者の血を自分の首に刺すことでその経験値が自分に蓄積される!」

 

クロメがその政府兵に言う。

 

「血液型が違かったら自殺同然じゃないの⁉︎違う?」

 

「フフフッ!…そんなに私達の隊長が馬鹿だとでも?」

 

「クロメちゃん、私が政具について詳しいことは知ってるでしょ?」

 

「チェル姉…」

 

「あの政具は、今までのその血の血液型を自分と同じ血液型に変えることが出来るの!」

 

「そんな…何なの政具って、チートばかりじゃん!」

 

アカメサイドは…

 

「オーガ…血迷ったか?」

 

「…フフフッ!ハハハハハッ!感じるぞ!」

 

「⁉︎、何だ!どう言う事だ!」

 

「死んだとでも思っただろ?違うな!俺は今、自分の首を刺した事でより強力な力を手に入れたんだよぉ!」

 

そう言うと、オーガは政具を抜くと同時に首の傷と背中の傷が一瞬で元通りになる。

 

「ただの武器ではない様だな…政具か?」

 

「ほう…政具を知ってるのか?中々賢い奴だな、その通りだ」

 

「やはりな…政具使いの相手は一度相手をした事があるが、今回は別のタイプだな」

 

「ギルと同じにするなって…」

 

一瞬でアカメの後ろに着く。

 

「言ってんだろぉぉぉが!」

 

「っ‼︎(速い!)」

 

アカメはオーガのナイフでの攻撃をギリギリで回避するが

 

「遅えんだよぉ!」

 

次の拳の攻撃もギリギリで回避。

 

「こいつ!また回避しやがってぇ!」

 

「私もスピードを本気になった方が良さそうだな!」

 

アカメはオーガの回りを音速同等の速さで周る。

 

「くっ!ちょこまかと動きやがって!目障りだ!」

 

オーガは地面に向かって、一発の拳を叩き入れる。

 

ドカカカッ‼︎

 

アカメは地面にヒビが入る前に、大きくジャンプをする。

 

「腕力は凄まじいな…だが!隙が大きいぞ!」

 

アカメはそう言うと、日本刀を大きく横にオーガに向かって斬る様に斬撃を放つ。

 

「(黒円斬!)」

 

心の中でそう言い日本刀を思いっきり振るアカメ。斬撃はオーガに向かって飛ぶが…煙が消えた後はオーガの姿が無かった。

 

「何っ!」

 

アカメは着地すると、すぐ様防御体制に入る。

 

辺りを見るが、オーガの姿が見当たらない。

 

「…(姿を隠して居るな…)」

 

チェルシーサイドは…

 

「アカメちゃん…政具だということは気づいているけど、能力までは気づいていない!」

 

「もう誰も隊長は誰にも止める事は出来ない!絶対にね!」

 

「くっ!…お姉ちゃん!」

 

アカメサイドは…

 

「っ‼︎」

 

アカメはかすかに気配を感じ斬撃を入れようとした瞬間、オーガがアカメの足元から出てくる。

 

「よそ見しちゃぁ行けないなぁ!」

 

「しまっ!」

 

オーガの拳がアカメの腹部に直撃する。

 

ドゴッ!

 

「がはっ!」

 

アカメはそのままチェルシーたちの隣の木にぶつかる。

 

「アカメちゃん‼︎」

 

「お姉ちゃん‼︎」

 

「ぐっ…うっ‼︎」

 

アカメは腹を抑えながら立つ。

 

「…まだ立つとは、しぶといなぁ」

 

「…お…前…人間やめた…か?、ぐっ‼︎」

 

「面白いこと言う奴だ…流石に今のは大分効いたみたいだな、さっきの立場が逆転して俺は今いい気分だぜ…アカメ!」

 

「…クロメ、チェルシー、お前達はアバマを探してくれ!」

 

その時、チェルシーはアカメの手を軽く握る。

 

「アカメちゃん…そんなこと言って一人で無理しちゃ駄目だよ、一人で駄目なら…二人で行けば勝てない相手じゃないよ!」

 

「チェルシー…私は…無理をしているわけじゃ…ない」

 

「そんな体で無理してないなんて、ありえないでしょ?」

 

チェルシーは全てお見通しだった。

 

「チェル姉…」

 

「クロメちゃん…アバマ君との約束、破る事になるかもしれないけど、勝手なのはわかっている…でも、私の代わりにアバマ君の事…探してくれないかな?」

 

チェルシーはクロメの目を見てそう言う。

 

「…わかった…でも無理はしないでね!」

 

そう言うと、クロメは拘束している政府兵にロープを巻いて、一人でアバマを探すことにした。

 

「あっ!この野郎!縄を締めるなぁ!」

 

「(お姉ちゃん!チェル姉!死なないでね!)」

 

アカメとチェルシーは、オーガの方に視線を変える。

 

「さぁ…第2回戦、はじめましょう!」

 

「チェルシー…(またお前と一緒に戦うとは思わなかったよ)」

 

「さぁ来い!」




同時刻、ナジェンダサイドでは…

「中々…掛からないっすね」

「焦るなラバック、じっと待つことも時には大切だ」

「…アカメちゃん達は無事なのかどうか…」

「大丈夫だ!あいつらが簡単に倒されるわけがないだろ?」

その瞬間、張ってある糸に何かが反応する。

「糸に反応あり!人数は…7人⁉︎増援か?」

「どうやら、アカメ達の居場所を捕らえたみたいだな」

「…」

「ラバック?どうしたんだ?」

「ナジェンダさん…どうやら、アカメちゃん達の居場所じゃなく、俺たちの居場所がバレたみたいですよ!」

「何っ!」

すると、張っていた糸が全て切られる。

スパッ!

「誰だ!」

ラバックがそう言うと、木の陰から6人の人物が出てくる。

「よう…裏切り将軍」

「お前ら、よくここがわかったな!」

「頭を叩くのは作戦の基本だろ?元将軍」

「くっ!まさかまた会うとはな…災難だな今日は!」

ナジェンダとラバックは戦闘態勢に入る。


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第30話 それぞれの闘い

「さぁ…第2回戦、はじめましょう!」

「チェルシー…(またお前と一緒に戦うとは思わなかったよ)」

「さぁ来い!」


アカメは再び体勢を立て直す。だがオーガは余裕な表情を見せる。

 

「女一人増えた所で、俺を倒せると?」

 

「あぁ…お前はチェルシーを見くびっている様だな、弱いとでも思うか?」

 

「まぁ確かにギルやザンクからみたら恐ろしく強いだろうが…このオーガ様からみたら、そんなに恐ろしく強いなんて嘘の様にしか見えないんでな〜」

 

「そうか…一つ質問だ、お前、何人殺して来た?」

 

真剣な眼差しでオーガに言う。

 

「知りたいか?ハハハハッ!…覚えてるわけねぇだろ?そんなの」

 

「答えるわけがないよ、アカメちゃん…此奴の政具の能力は自分が殺して来た者の分の経験値を自分に蓄積させることが可能の政具よ、少し前にね」

 

「あの時か…(首元に政具を刺した時、既に此奴は)」

 

「詳しい女だなぁ、まぁいい…どうせお前ら二人はここであの世行きになるから今更知ったとこで…意味なんてないんだよ!」

 

オーガは二人に急接近すると見せかけて、アカメとチェルシーの間を過ぎて、背後に移動し政具で斬りかかる。

 

カンッ!

 

アカメとチェルシーはその攻撃を防ぐ。

 

「ほう、やるじゃねぇか」

 

「くっ!(二人で防いで互角か)」

 

三人は距離を取る。

 

「アカメちゃん!単純に突っ込むとこっちが全滅するわ!作戦その1で行くよ!」

 

「ああ!」

 

アカメとチェルシーは互いに距離を取り、森の方角へ向かう。

 

「俺が逃すとでも思うか?」

 

そう言うとオーガは周りを警戒する。

 

アカメサイド…

 

「(何とか木に紛れて隠れられたが、そう長く留まるのは無理だろうな。それに腹のダメージがまだ残っている。この作戦でオーガを仕留めないと後が厄介になる。オーガもそうだが、クロメが気になる。なら迅速にオーガを仕留める他はない…一気にカタをつける!)」

 

「まずは政具を葬る!」

 

遠距離攻撃でまずは攻める。

 

「おんなじ攻撃が通用すると思っ!」

 

パキンッ!

 

斬撃波の衝撃で政具が破損する。

 

「チッ!そっちを狙うか…だが手遅れなんだよ!」

 

私は正面に向かう。

 

「何故⁉︎」

 

オーガは私に攻撃をしようとすると、ある事に気づいたようだ。

 

「そうか⁉︎もう一人!」

 

振り向くと、目の前にはチェルシーが斬りかかる体勢に入っていた。

 

「もらった!」

 

オーガが攻撃を迷っている瞬間、私とチェルシーはオーガのアキレス腱を切る。

 

ズバッ!

 

「ぬぅぅ!あああぁ!」

 

オーガはその場でうつ伏せになる。

 

ドサッ!

 

「…」

 

「アカメちゃん…気を抜くのはまだ早いみたいだよ」

 

「そうだな」

 

オーガが立ち上がる。

 

「小娘の…癖に!調子に乗りやがって!俺がこの部隊の最強だって事を、教えてやる!」

 

オーガの外見が少し変わっていた。頭には危険種の角が生えていて、歯は鋭く、目の周りには黒い隈の様な物があった。

 

「来るぞ!」

 

クロメサイド…

 

あの後、お姉ちゃん達と別れてあたしは単独でおなべを探す事になったけど何処に居るんだろうか?しばらくすると人影が見えたので木の陰に隠れた。

 

「誰だろう?」

 

見てみると、そこにはオーガの部隊にいた奴らがいた。でもおなべの姿が何処にも見当たらない。何処にいるの、あのおバカ!

 

「セリュー、お前はコロと一緒に隊長の所に行ってくれ…此奴は俺が始末しといてやるからよ」

 

何やら暗い声でセリューに言う部下。

 

「わかりました、でもこの人もう意識が遠のいているから終わったらすぐにこちらに来て下さい!」

 

「キュウ!」

 

「あぁ…わかってるよ」

 

セリューとコロが去った後、あたしはオーガの部下の近くの人影を目に映った。

 

「っ‼︎」

 

「よう…目…覚めたか?」

 

「くっ!…僕は…口が堅いんですよ…」

 

アバマサイド…

 

変装して安心していた自分が馬鹿みたいです。今、目の前にいる人とセリューという人は帝具使い…バレたのはセリューという人の帝具ヘカトンケイルのセンサーみたいのが原因みたいでした。

 

「俺…お前の事好きだったのによ?どうしてくれんだろうなぁ!」

 

ドゴッ!

 

一発の拳がはいる。

 

「ガハッ!…ハァ…ハァ…」

 

「死にたくないだろ?この気持ちに責任を感じないんなら…せめてお前の仲間の情報を吐けや!アズミ!」

 

「フフ…言ったでしょ…口は…堅い…て」

 

ドゴッ!

 

「グフッ!」

 

「テメェ!本当は死にたくねぇんだろ?だったらさっさと吐けって言ってるんだよ‼︎」

 

「…何度やっても…同じ…だよ?」

 

「くっ!…何でだよ…何でそこまでして守りたがる⁉︎仲間なんて失ったらまた作ればいいじゃねぇかよ!こんな下らない事さっさと終わらせてぇんだよ!俺は!」

 

一部の言葉に反応して、相手の襟を力いっぱいで掴む。

 

ガッ!

 

「だったら!…今のこの下らない拷問をまずは辞めろよ!それに…!」

 

涙ながらに言う。

 

「僕の大切な仲間を傷つける発言を取り消せよ!」

 

僕は感情的にそう言った。

 

「仲間なんて…意味ねぇんだよ!どうせみんな死ぬんだよ!こんな風にみんな…」

 

彼はそう言って日本刀を抜こうとした時、凄い勢いで蹴りが炸裂する。

 

ドガッ!

 

「ぐおっ!」

 

「おなべ…男らしいところあんじゃん」

 

「ク…クロメ…ちゃん」

 

「てめぇ…空気読めねぇ奴だな(って今なんて言った?)」

 

「戦闘でそんなこと言ってる暇ないよバーカ」

 

「クロメちゃん!何で一人で!」

 

「今、お姉ちゃん達は目の前にいる奴の隊長と闘ってるよ!まずは此奴を倒すよおなべ!ってか…今の傷だと〜ダメ?」

 

「うん…ごめん…」

 

そのまま気を失う。

 

クロメサイド…

 

「さて、茶番はこれくらいにしてさっさとあんたを葬らせてもらうよ!」

 

通信機が切れた音がする。

 

プーッ

 

「(ナジェンダ⁉︎どうしたの?)」

 

だけど、今目の前に敵がいるから迷ってる暇はない。まずは此奴を倒す。

 

「一つ聞くが…お前、なんて言った?」

 

「…何って、あんたを葬らせてもらうって言ったけど?」

 

「違う!俺が聞いてんのは、お前さっき…男らしいって言ったよな⁉︎」

 

「別にあんたに言った訳じゃないけど〜頭大丈夫?今あたしの後ろに倒れてるおなべに言ったんだけど」

 

「おなべ…?」

 

「あんた、頭堅いね…おなべって言うのは、今あたしの後ろに倒れてる人のこと!つまり女に見えるけど、実際は男って意味!」

 

「え…嘘だよな?」

 

「いや本当だから、起きたら聞いてみなよ」

 

あたしは真顔でそう言う。

 

「そ…そんな…嘘だろ…あんなに可愛い顔してるんだぜ?こんな事が…」

 

ショックで腰が抜ける石頭。てか気付くの遅っ!

 

「許さん…!貴様は絶対に許さん!俺の理想をぶち壊したのは重罪だ‼︎…死んで貰うぜ!」

 

石頭は日本刀を手に取る。

 

「それ…帝具だよね?」

 

「あぁ…よくわかったな…これは帝具の一つ”死者行軍八房”、俺の相棒だ!お前は今から俺のコレクションの一部になって貰うぞ!」

 

石頭が鞘から刀を引き抜くと…石頭の下から危険種が出現する。

 

ガガガガッ!

 

「危険種!」

 

「まだいるぜ?」

 

木の陰から2人の人物が現れる。そして…

 

「俺の後ろのいる奴は一番のお気に入り…切り札だ」

 

「っ‼︎」

 

石頭の後ろには、3年前に一緒にいたナタラの姿が見えた。

 

「ナタ…ラ?、何で⁉︎」

 

ザンクの幻覚で見せられた時とは少し姿は違うけど、その姿は間違えなくナタラだ。

 

「俺の切り札を知ってるのか?フッ…まあいい、この他にも4体いるんだ」

 

「何で…死んだはずじゃないの?」

 

「死体だから動くんだよ!この俺の八房が有る限りな!」




原作ではクロメが八房を持っているがこの小説では政府兵が持っている事になっている。因みにクロメと対峙している政府兵の名前は次回明らかになる予定です。


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第31話 人形と迫る危機

クロメサイド…

「死体だから動くんだよ!この俺の八房が有る限りな!」


クロメはその言葉を聞いて歯ぎしりをした後、言葉を発する。

 

「…ふざけないでよ」

 

「あ?寧ろ感謝してほしいくらいだなぁ〜今こうやって命を繋いでやってるんだからさ」

 

「ナタラを人形みたいにしないでよ!!!あんたは人の命を何だと思ってるの!!」

 

「ほう、感謝とは逆に怒りが込み上がるのか〜お前は…」

 

「ナタラは…私を守ってくれた恩人だから!」

 

「恩人?つまりお前の彼氏にあたる存在だった…て事か、なら尚更この俺に感謝するべきじゃないのか?さっきも言ったがナタラの命を繋いでいるのはこの俺だ!それに対してそんな暴言を吐くなんて失礼にも程があるぜ!」

 

「…人としての感情が無いあんたに言われたく無いよ!」

 

そう言うと、クロメは日本刀を構える。

 

「どうやら、俺の人形になりたいらしいな…小娘、いいだろう会話はここまでだ!望み通りに俺の人形の一つにしてやるよ!!」

 

「その宣言、無かったことにしてやる!!!」

 

クロメは高く飛びかかり、政府兵の胴体を狙って斬りかかるが…

 

カンッ!

 

互いの刃が交わり、闘いが始まった。

 

「殺れ!土竜!」

 

そう言うと、本人は危険種である土竜から降りて、クロメに刃を向けて命令する。

 

「ウォォォォォ‼︎」

 

「一級如きにやられるわけ無いじゃん!」

 

ズバッバッバッ!

 

得意の居合い斬りで土竜の上半身と下半身を綺麗に真っ二つにし、落ちてきた土竜の上半身を更に半分に斬る。

 

「ほ〜う(やはり土竜じゃ駄目か)」

 

「残り8体!」

 

「俺をも含むか?」

 

「当たり前よ!」

 

「(まぁいい、一番価値の低い奴がいなくなっただけだ)」

 

そう考えている間に、目の前にクロメが急接近していた。

 

「油断したね!」

 

ニヤッ

 

「何てな!」

 

政府兵が横に避けると、クロメの目の前にはナタラが立っていた。

 

「ナタラ‼︎」

 

「かかったな!(急接近した勢いで、お前は今横に動く事が出来ない筈だ!)」

 

ナタラはクロメに向けて薙刀を投げる。

 

「終わりだ!小娘ぇ!」

 

「くっ‼︎」

 

クロメはギリギリの所で避ける。

 

「ほ〜う、やるな」

 

「ナタラ…どうして⁉︎」

 

「無駄だ、声が届くとでも思ったか?死んでるんだぜ?」

 

「くっ!あいつ含めて8体、数が多すぎる!(それに残りの4体は何処にいるの?)」

 

アカメサイド…

 

「来るぞ!」

 

「政具の本性が現れたわね…」

 

「ヒャハハハハハァァ‼︎そんなものかよぉ!」

 

オーガは地面に向けて拳を当てると、当てた中心部分からビビか広がり始めた。

 

バキバキッ!

メリメリッ!

 

アカメは高く飛び上がり、チェルシーはオーガの後ろに回りこむ。

 

「こっちよ!オーガ!」

 

「あぁ?あめぇんだよ‼︎クズが!」

 

オーガの鉄拳がチェルシーに届こうとした瞬間、上空からアカメの遠距離斬撃が飛ぶ。

 

「単純ね、アンタ」

 

「何っ‼︎」

 

オーガの出した腕がその瞬間、アカメの遠距離斬撃によって切断される。

 

ズバッ!

 

「うぉぉぉぉおおお!」

 

「今だよ!アカメちゃん!」

 

真上からアカメが日本刀でオーガを狙う。

 

「葬る!」

 

ズバッ!

 

オーガは両腕を切断され、その場に座りこむ。

 

「これでお前は全身の自由を奪われたのも同然だ…」

 

木に縛りつけられている政府兵が言う。

 

「そんな…隊長が…こんな女二人にっ!」

 

アカメがオーガに刀を向ける。

 

「終わりだ!」

 

「…ちっくしょ…ちくしょう…ちくしょうっ!ちくしょう!ちくしょう!!ちくしょう!!!何故!!!何故貴様ら如きにこの俺様が!!!こんな無様なことにぃぃ!!!」

 

「…」

 

「権力の無ぇクズが!!!調子に乗るなぁ!!!俺は死んでも…必ずお前を呪い殺してやる!!!必ずだ!!!!」

 

オーガはそう言う。

 

「…哀れね」

 

「…民の自由を奪う奴は斬る!」

 

アカメは刀を振り下ろし、オーガの首をはねる。

 

スパっ!

 

ドサッ!

 

「た…たいちょぉぉぉ!!!」

 

アカメは言う。

 

「チェルシー…あいつの見張りを頼む!私はクロメの所に行く!」

 

「…アカメちゃん、無茶しない方がいいって…私も行くよ」

 

「…気持ちはわかる、でもチェルシーはあいつの様子を見ていてほしい、何するかわからないからな」

 

「…わかった、帝具保管庫も破壊出来たらやるよ!すぐそこだから」

 

「あぁ…すまない!」

 

アカメはそう言って、クロメの元へ走って行った。

 

「最初に保管庫を破壊しといた方が適正だね」

 

チェルシーは二本の剣を手に取り、帝具保管庫に向かう。すると政府兵が言う。

 

「待て!隊長だけじゃ物足り無いの!あんた達はっ!」

 

「すまないけど、帝具は今日で…消滅だよ!」

 

するとチェルシーの通信機から雑音が聞こえる。

 

[ジッジジッ!]

 

「⁉︎」

 

雑音が聞こえた後、帝具保管庫付近から衝撃音が聞こえ、天井に穴が開く。

 

ドゴゴゴッ!

 

「くっ!一体何が⁉︎」

 

チェルシーは帝具保管庫に向かう。中に入ると、帝具の数は少ないが全て破壊されていた。もう少し奥に行くと…

 

「…っ!ナジェンダァ!!!」

 

うつ伏せで倒れているナジェンダがいた。

 

セリューサイド…

 

「隊長!耐えてください!今、私が行きますから!」

 

すると、目の前に人が立っている姿を見る。

 

「あら…セリューちゃん?」

 

「あなたは…リヅさん!」

 

「そんなに急いで、何処に行くのかしら?」

 

「隊長の援護に今から行く所です!すいません!そこを通してください!」

 

リヅはニヤつきながら言う。

 

「オーガなら撤退したんじゃないかな?」

 

「…どう言うことですか?」

 

「だってそろそろ、”保護区”が帝具保管庫に到着している頃よ?私が逃してあげるわよ?」

 

「”保護区”…ですか?でも私はそれでも隊長の所に行きます!すいません!」

 

セリューはそう言ってリヅの元から離れ、一人帝具保管庫に向かって行った。

 

「…困った子ね(もう遅いのに、”保護区”は味方をも犠牲に出来る人達なのにね)」

 

リヅは空間の亀裂の中に入って去って行った。

 

クロメサイド…

 

「どうした?もう終わりか?」

 

クロメは政府兵の八房の人形に大苦戦をしていた。体はボロボロになっていた。

 

「ぐっ!…卑怯よ、あんた」

 

「ふっ!自慢の居合い斬りも見切られた…後はないぜ?小娘」

 

クロメは目を閉じ、刀を地面に置く。

 

「ん?何の真似だ?」

 

「すぅ〜はぁ〜」

 

クロメは深呼吸をし始めた。

 

「(何をするつもりだ?こいつ)」

 

「(どんなに強い相手でも、きっと穴となる弱点はあるはず…探るんだ!今度はあたしが倒す番!お姉ちゃんとチェル姉の隣に立つために!)」

 

覚悟を決め、クロメは目を開く。

 

「死ぬ準備が出来たか?」

 

「さぁ…どうだろうね?」




クロメと対峙している政府兵の名前は今回…じゃなくてすいません!
by赤色のアート

因みにチェル姉をひらがなにすると→”ちぇるねぇ”だそうです。
byアバマ


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第32話 穴を探れ‼︎

やっと政府兵の名前が思いついた…by赤色のアート


クロメは冷静になる。

 

「行くよ…」

 

クロメはゆっくりと歩き始める。

 

「狂ったな…刀を持たずに俺に近づけるとでも?」

 

「…」

 

クロメはその言葉を無視して、真っ直ぐに進む。

 

「(人形1つで充分だな)」

 

クロメの目の前に、グローブを着けた人間が降りてきた。

 

「半殺しにしてやれ!」

 

人形がクロメに殴りかかる瞬間、クロメは一瞬で人形の背後を取り背中を押す。

 

「邪魔」

 

ドガッ!

 

「なら直接俺が切ってやるぜ!」

 

クロメは刀を構えた瞬間を逃さず急接近し、政府兵の足に蹴りを入れる。

 

「なっ!(バランスがっ!)」

 

「逃さないよ!」

 

「(甘いな!俺にはまだいるんだよ!)」

 

クロメは政府兵にパンチを入れようとした時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺ばかりに気を取られてるが大丈夫か?」

 

 

 

 

 

 

クロメの後ろから、カラスの人形がクロメの刀を加えた状態で突っ込んで来るが、クロメの想定内。

 

「(やっぱりね…そう来るよね)」

 

クロメは右に回避し、政府兵は左に回避する。つまり二人共同じ方向に回避した事になる。

 

「気持ち悪いよ?同じ方向に避けるなんて」

 

「好込んでするわけねぇよ!」

 

政府兵は八房でクロメを斬ろうとした時…

 

 

 

ガッ!

 

 

「何っ!」

 

「あんたの刀を振るスピード、ザンクよりも遅いから腕を掴むのが楽なのよ(そしてそれがあんたの弱点よ!)」

 

「しまった!このままだと‼︎」

 

政府兵の後ろからさっきのカラスの人形が突っ込んで来るのが見える。必死にクロメから離れようとするが、中々抜けれない。

 

「くそぉぉぉぉぉぉ‼︎さっさと離せぇぇ‼︎くそガキめぇぇ‼︎」

 

カラスの人形は政府兵に向かって来ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうなったら!」

 

政府兵は八房を手から離す。すると動いていた人形たちが全員停止する。

 

ドサッ!

 

クロメは政府兵が落とした八房を拾い、刃を向ける。

 

「あんたの弱点…教えてあげるよ!」

 

「…」

 

「八房に頼り過ぎなところと、体術が弱い所…それがあんたの最も弱い点よ」

 

「…何故、そう思った?」

 

「あんたと刀を交えた時…体術には自信がないことがわかった、それに人形は厄介だったけどあんた自身はそんなに強くないって戦っていく内にそれもわかったよ…あの時、あんたと同じ方向に交わさないでいたらこうも簡単に捕まえることは出来なかった」

 

「運が…良かったって事か…」

 

「それもあるけど…私の作戦でもあったのよ」

 

「…ハハハ」

 

「何がおかしいの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モウル」

 

「?」

 

「モウル、俺の…名前だ…俺を倒した証だ」

 

 

 

 

 

 

 

「…覚えておくよ、一応」

 

そう言い、クロメはモウルの心臓部分に突き刺す…

 

 

 

 

 

 

つもりだった…

 

 

 

 

クロメの腹に、刃物が刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!…あ…ゴフッ!」

 

 

「ハハハハハハハハハッ‼︎本当に馬鹿だな〜お前って奴はよぉ〜」

 

クロメは後ろを振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!…ナタ…ラ!ど…して」

 

「八房の主じゃないお前が、死体を動かす事なんて不可能なんだよ!それよりもどうだ⁈大切な仲間だった奴に刺されるって感想は⁉︎聞かせて欲しいなぁぁぁぁ〜」

 

モウルは立ち上がり、クロメの目の前で言い放つ。

 

「教えてやろうか?八房のこと?…手から八房本体を離したところで能力が無くなるわけじゃねぇんだぜ?」

 

「くっ…(視界が…)」

 

モウルは八房を奪い返し、クロメに向ける。

 

「ほら、立場が逆転した…」

 

クロメは意識を失う。

 

「あ〜れ〜?死んだかな?」

 

すると、さっきまで倒れていたアバマが目を覚ます。

 

「ん…っ!(クロメちゃん!やばい…このままじゃ!)」

 

「もう目が覚めたか?押さえとけ!」

 

すると、アバマの上からクロメが倒したはずのグローブ人間の人形がのしかかる。

 

ドシンッ!

 

「がはっ!」

 

「そこで見てろ!お前の助っ人の首が吹っ飛ぶ瞬間をな‼︎」

 

モウルは八房をクロメの首を目掛けて振る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アバマがそう叫ぶ瞬間…アバマとモウルの目の前の木が数本一気に切られるのが見えたと同時に、アバマを押さえていた人形が深く切り刻まれる。

 

スパッ!×5

 

「ん⁈誰なっー」

 

言いかけた所で、重い鉄拳がモウルの顔面に直撃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴッ‼︎‼︎

 

「ぬぅおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 

モウルは100m程飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の世界一可愛い妹に手を出して…ただですむと思うな!」

 

 

「あっ…アカメさぁぁん‼︎」

 

「泣くのは後だアバマ!今ならまだクロメを治療出来る!早く‼︎」

 

「はっはい!」

 

アバマはクロメを抱えてアカメのもとから少し離れようとする瞬間、ナタラがアバマを狙い、槍を投げるが…

 

「邪魔をするなぁぁぁぁ‼︎」

 

アカメが日本刀で槍と割ると同時にナタラの胴体を深く斬る。

 

ズバッ!

 

斬られた勢いで、ナタラは遠くの木まで吹っ飛ぶ。

 

 

 

「すぐに…送ってやる」

 

 

さっき吹っ飛ばされたモウルが戻って来る。

 

「て…テメェ、何者だ!方向からすると、セリューとぶつかる筈だ!何でここまで来れた⁉︎」

 

「…どうでもいいだろそんな事は、それよりも…よくも私の大事な妹と仲間を痛みつけてくれたな!」

 

「妹?さっきの小娘の姉貴か?さっきは不意を突かれたが、今度はそう簡単に吹っ飛ばさると思うなよ?」

 

カラスの人形がアカメに向かって突っ込んで来る。

 

「…」

 

アカメは振り向かずに、首を傾けて避ける。

 

スッ…

 

「(何っ!こいつ…出来るな!)」

 

「くだらない小細工は通用しないぞ!」

 

アカメが救援に来て、アバマは何とか助かった。クロメは今意識がない状態、そしてモウルの人形の数は本人を含め後、7体。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ラバックはアカメ達と少し離れた場所で保護区の3人と戦闘をしていた。

 

「ナジェンダを逃したつもりか?お前だけで俺達3人を相手にするのは無謀って言うんだぜ?」

 

「くそっ!めっちゃ強いし、数で攻めるなんて少し卑怯なんじゃないか?」

 

「卑怯?違うわ〜あなたが弱い…ただそれだけよ〜」

 

「(くっ…あの時、糸は大分切られちまったしな…どうすっかな)」




本日から「世界変革〜平和を求める者たち〜」のキャラクターの紹介を一人ずつ後書きで紹介することになりました。

・アカメ
本作の主人公。出身は京都。服装は原作と同じく、黒い服装をしている。5歳の時に両親を失い、それからは自分がクロメの親代わりとなって面倒を見ることになる。(過去編で詳しくやる)そして10歳の時、9代目大統領に世界中にシアン化学剤をばら撒かれ、京都の人々が次々に死に絶える姿を目の当たりにしてしまった事から、9代目大統領を強く憎む様になり自分はもっと強くならないといけないという感情が生まれ、修行を始める。原作との異点は、恋愛について鈍感な部分がある所と帝具を所持していないのに自分自身に能力が宿っている所。(日本刀を所持している)


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第33話 最高の切り札!

八房の能力が解放される!


アカメサイド…

 

自分の大切な妹を、意識が無くなる程にまで痛みつけられた痛さは…アカメの怒りに繋がっていた。これまでにない殺気が肉眼で見えるくらい、周りからオーラが出る程だった。

 

「覚悟しろ…クロメの分まで私が貴様を討つ!」

 

「(こいつ、序盤から俺の人形をやってくれるとはな…)」

 

そう思っている内に、アカメは瞬時にモウルの背後をとる。

 

「っ‼︎(こいつ!)」

 

八房がギリギリで間に合い、防がれる。

 

カンッ!

 

「このまま押し切る‼︎」

 

アカメが日本刀で八房を押し出す。

 

ジリジリジリ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何て力してんだ!テメェ本当に女か⁉︎」

 

「…」

 

「(無視か…まぁいい…お前の敗北は確定済みだ!既に作戦は成功した!)」

 

アカメの双方から、2つの人形が出現する。

 

「死ね!(ドーヤの銃の技術は最強だ!避けられはしない!)」

 

アカメから見て、左から無数の銃弾が飛ぶ。

 

ダダダダダダッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、アカメは自分の体重と腕力を利用し、モウルの上に乗っかり回避する。

 

「何っ!」

 

ドサッ!

 

「葬る!」

 

「させるか‼︎カラス!ドーヤ‼︎次で仕留めろ!(作戦通りにはならんが、これはかわせまい!)」

 

カラスがアカメの頭上から、ドーヤはアカメの後ろから拡散弾を放つ。

 

バンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

アカメは素早く横に回避し、拡散弾の一発を弾く。

 

カンッ‼︎

 

 

弾いた弾がカラスの人形の頭を貫通する。

 

「チッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

モウルを含め、残り6体。

 

「まだ隠しているな…お前…」

 

「気づいたみたいだな、俺の本当の切り札に!」

 

すると、大地が揺れ始める。

 

ゴゴゴゴゴゴッ‼︎

 

「⁉︎」

 

「今気づいた所で、お前に勝てると言う意思が消えるだけだがな!仲間姉妹諸共今ここで朽ち果てるがいい‼︎」

 

すると、モウルの背後から危険種の人形が現れる。

 

 

グウォォォォォォ‼︎

 

 

「くっ!(こいつ!他の奴とは桁が違う‼︎)」

 

「ハハハハハッ!俺の本当の最強、デスタグールの前には誰もが怯えるのみ!俺は…究極の力を手に入れた政府兵‼︎」

 

「…隠れ長か(だがまだ他の奴もいる…この状況はっきり言うと、きついかもしれないな)」

 

「どうだ⁉︎凄い迫力だろ⁉︎俺はこいつの力で東北を全て占領した!たった一人で勝てる訳がない!」

 

「…」

 

アカメはそれでも刀を離すこと無く、モウルに向け殺気を放つ。

 

「いい目だな、だがデスタグールの前に挑むのがどんな事かわかってるのか?」

 

グウォォォォォォ‼︎

 

「あぁ…だが私は、私達はこんな所でつまずく訳には行かない!お前を倒し、上に立つ今の大統領を葬るまではな!」

 

アカメはデスタグールに向かって走る。

 

「他の奴もまだいるんだぜ?」

 

デスタグールはアカメに向け、口からかめ○め波の様な物を放つ。

 

アカメはデスタグールの攻撃を回避する。

 

「ハハハハハッ!逃げるだけか?逃げた所で結果は変わらないぜ!」

 

アカメの前には、ドーヤが銃を構えていた。

 

ドドドドッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカメは日本刀で全て弾く。アバマはクロメの傷を治して、クロメを抱えて二人から距離を置いてその様子を見ていた。

 

「この状況、どう見てもアカメさんが不利すぎる!でも…僕が行った所で邪魔になるだけ…くっ!自分が情け無い‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェルシーサイド…

 

チェルシーはナジェンダを抱えて、帝具保管庫を出ている所だった。

 

「ナジェンダ!しっかりして!」

 

ナジェンダは重傷を負っていて、意識がない状態だった。

 

「どうしよう…でも、ナジェンダが帝具保管庫で倒れてたなら敵がこの近くに居るかも知れない!」

 

チェルシーはナジェンダを壁の隅に寝かせ、二つの剣を構える。

 

「…」

 

すると、後ろの壁から稲妻を纏った物体が壁を貫通し、チェルシーの真横を横切る。

 

シュッ!

 

「‼︎」

 

その瞬間にチェルシーは剣をその方向に振る。

 

スパッ!

 

切った勢いで、帝具保管庫が崩壊し始める。

 

ガラガラッ!

 

「くっ!(振りすぎたね…)」

 

ナジェンダを抱えて、素早く脱出する。

 

ガララララッ!

 

 

チェルシーはポケットから包帯を取り出して、ナジェンダの傷口を塞ぐ。

 

「少し我慢してね…」

 

ナジェンダはチェルシーが包帯で傷口を巻いているのに気がつき目を覚ました。

 

「ぐっ!」

 

「ナジェンダ!」

 

「うっ…チェルシーか?…アカメ達はどう…した?」

 

「アカメちゃん達ならもう一人の政府兵と別の場所で戦っているよ、それより今は縛っている政府兵が一人あそこにいるから見張ってて、お願い…」

 

「…敵が近くにいると言う事か?」

 

「うん…崩れた保管庫から来るかもしれないから!ナジェンダはもう一人の方を見張って」

 

「わかった!無茶はするなよ」

 

ナジェンダはもう一人の政府兵の所に向かう。するとすぐそばにいた。

 

「離せぇぇ!」

 

「悪いな、お前はしばらく拘束させて貰うぞ!」

 

 

 

 

 

 

崩れた保管庫から、誰かが出てくる。

 

「見えない所から殺ろうとしたけど、失敗したみたいだね〜まぁ予想はしていたけど」

 

チェルシーは剣を構える。

 

「…あんたは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帝具保管庫が壊れた以上、保護区としての役割が消えちゃったけど〜あんたらは生かす気無いよ?」

 

「…」

 

「ナジェンダなら知っているとは思うけど、私は保護区のリーダー…イヴァン」

 

ナジェンダはその名前を聞いた瞬間、イヴァンに目を向ける。

 

「やはり…貴様が保護区のリーダーだったか!イヴァン!」

 

「ナジェンダ?知っているの?」

 

「あぁ…私がまだ政府側に居た時の元後輩だ!」

 

「ナジェンダの…後輩⁉︎」

 

「だが、おかしい…保護区は6人までじゃないのか?」

 

イヴァンは呆れた様に微笑む。

 

「はは…誰がそんな事言ったのかな〜?裏切り者」

 

「?」

 

「ナジェンダ…保護区に人数制限何て物は初めから無いよ?」

 

チェルシーが聞く。

 

「でも保管庫が壊された以上、あなた達政府の人達は帝具を使えなくなった!戦力は大半削られたのは確かなはず!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かに…政府…はね?」

 

「どういうこと?」

 

「私達は別に、政府の味方とは一言も言った事なんてないよ?今の私は…保護区と言う組織の中のリーダーさ、」

 

ナジェンダが言う。

 

「何があったか知らないが、今は政府と保護区は別…という事だな」

 

「そうだよ?だから…そこにいるムシケラさんを庇う必要も見張る必要も無いって事だ」

 

そう言うと、イヴァンは縛られている政府兵の方向に人差し指を向ける。

 

「何をするつもりだ!」

 

「決まってんじゃん…拷問だよ?」

 

イヴァンの指先から電気を帯びた槍の様な物が政府兵の肩に向かって放たれる。

 

ギュン!

 

 

 

 

 

「ぐぁぁぁぁぁああああ!」

 

容赦なく肩に突き刺さる。

 

「くっ!(なんて奴なの、こいつ‼︎)」

 

「さ〜て、次は左肩かな?」

 

「はぁ…‼︎はぁ…‼︎(殺される!)」

 

イヴァンは再び政府兵に向け、放つ…が。

 

「させない!」

 

チェルシーがイヴァンの手を剣の持ち手の部分で逸らす。そのおかげでイヴァンの技は逸らされた。

 

「ほう…庇う必要も無い奴を庇うなんて、馬鹿か?あんた」

 

「別に、庇ったつもりなんか無いよ…ただあんたの殺気を感じたから逸らしただけよ!」

 

イヴァンは宙に浮き、自身の体に稲妻を纏う。

 

「とっさの判断力だね〜その政具の持ち手で私の攻撃を逸らすとはね」

 

 

 

 

 

 

 

「…何言っているの?これは政具じゃない!婆様が数年前に私にくれた大切な武器よ!」

 

「長年使っていてわからないとは、まぁ政具の図鑑に唯一載ってない物だから無理もないか…」

 

「何を言っているのかはわからない…けど今はそんな事よりも、あんたをここで倒すのが先だよ!」

 

「ふ〜ん…だったら殺ってみなよ!」

 

複数の雷が森の木に落ち、その木は燃え始める。




・チェルシー
本作のもう一人の主人公。出身は群馬。服装は原作と同じ。生まれた時から両親を亡くしており、母親の友達に拾われて育った。5歳の頃にカフェラテ・オールベルグにいたタエコと知り合い、やがては自分の姉の様な存在になる。この頃はまだ自分自身は幼かったため、働くことは出来なかったが、毎日の様にカフェラテ・オールベルグに顔を出していた。(過去編で詳しく)15歳には母親の友達の元を離れて、一人で暮らし始め、カフェラテ・オールベルグの店長であるメラルド・オールベルグに面接をしたその日にスカウトされて、ずっと憧れていたカフェラテ・オールベルグのメイドとして働くことになった。何故かアカメとクロメの事を知っている様だが…原作との移転は飴は持ってはいるが、咥えてはいない所と帝具ではなく双剣型の政具を持っているところ。あとはババラの事をババアではなく婆様と呼んでいた所。


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第34話 チェルシーVS保護区‼︎ 覚醒への一歩

保護区のメンバーはディバインゲートからのキャラクターです。


「くっ!(逃げ道を完全に防がれたわね)」

 

「政具の能力も知らない奴が…私に勝てるわけない」

 

「さっきからなんなの!これは政具なんかじゃないって言ってるじゃない!」

 

「チェルシー!稲妻を纏った状態のイヴァンの放つ電撃は特殊だ!全て避ける事を意識してくれ!」

 

「…了解!」

 

 

 

 

 

 

 

「お喋りしていいのかな?」

 

チェルシーの周りに電気で作られた牢獄の様な物が作られる。

 

「…(この双剣が政具だとしたら…試す価値は充分にある!)」

 

スパッ!

 

チェルシーはイヴァンが作った電撃の牢獄を斬る。

 

「…斬れた!」

 

「デバフ無し…か(やはりあれは政具の一つか!)」

 

チェルシーはイヴァンの正面に向かうと見せかけて、イヴァンの頭上から攻撃を仕掛ける。

 

「(電気を纏っているのは胴体だけ、なら上はガラ空きなはず!)」

 

 

 

 

 

 

だがしかし…

 

 

 

 

 

「甘いなぁ〜小娘ちゃん」

 

「‼︎っ」

 

イヴァンとチェルシーの上から雷が落ちる。

 

ドゴーンッ‼︎‼︎

 

「チェルシィィィ‼︎」

 

雷が落ちた中心部は、クレーターが出来る程の威力だ。助かる術など…無かった。

 

 

「先輩、いや…今はもう裏切り者…ナジェンダ、次はあんただ」

 

「くっ!(ここまでか‼︎)」

 

「政府を裏切ったこと…あの世に逝って悔いる事だね〜…さよなら」

 

シュンッ!

 

 

 

 

 

 

 

ナジェンダに当たる寸前に、クローステールの糸が網目状に前に出て来て電気はクローステール自体に流れた。

 

「‼︎っ」

 

「ラバック!」

 

ビリビリッ‼︎

 

「ぐあぁぁぁぁ‼︎」

 

ラバックはそのまま木から落ちる。

 

ドサッ!

 

「仲間か…まぁいいや、もう他にはいなそうだからね(こいつ、どうやって保護区の奴らから吹っ切れたんだ?)」

 

イヴァンはナジェンダに指を指し…

 

「終わりだ…」

 

 

 

 

 

その時だった。イヴァンは背後から視線を感じる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オールベルグにいた時…私は先輩や婆様の足手まといだった…そのせいで先輩が死んだ事に気づくのが遅れてしまった…婆様の時だってそうだった!私が目を離してしまったから失いたくないものを失ってしまった!」

 

チェルシーの周りには、水色のオーラが纏っていた。

 

「チェルシー…なのか?」

 

ナジェンダは状況が理解出来なかった。

 

「お前…人間なのに人間離れしているものを習得しているみたいだな(私の雷を直接受けた時…何が起きた⁉︎)」

 

「亡くなった婆様と先輩は…もう戻らない…でも…これ以上は誰も死なせない…私が全部守る‼︎‼︎」

 

チェルシーの周りのオーラが一回り大きくなる。

 

 

「面白いねぇ〜そう来なくちゃぁ面白くない!」

 

イヴァンはチェルシーの方向に向きを変え、再び稲妻を纏う。

 

 

「ナジェンダ…ラバックを連れて出来るだけここから離れて!」

 

「チェルシー…お前」

 

「お願い!そうじゃないと…巻き込むかもしれないから!」

 

ナジェンダはラバックと縄を切って政府兵を連れてチェルシーとイヴァンから距離を出来るだけ遠くとる。

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ〜…その力を私に見せてくれるかな?」

 

「直ぐに終わらせてやる!」

 

チェルシーは剣を構える。

 

 

 

 

セリューサイド…

 

「隊長!絶対無事ですよね!」

 

「キュウッ!」

 

セリューはチェルシー達がいる方向に進んでいた。その時…目の前に3人の保護区がいた。

 

「お前、政府の者だなぁ」

 

「今度は誰ですか⁉︎私は急いでいるので失礼します‼︎」

 

「もう遅いと思うがなぁ〜」

 

「どういう事ですか?」

 

「これが…その証拠だよ」

 

そう言うと草むらの中から、オーガの遺体をセリューの目の前に置いた。セリューはその姿を見て腰が抜ける。

 

「そ…そんな…これって」

 

そして、涙が目からこぼれた。

 

「あぁ〜お前の大好きな隊長さんの死体だ」

 

「…私をそんなに…怒らせたいんですか?」

 

「俺たちは知らせてやったんだ…感謝する事だな小娘」

 

「君も見ればわかるだろ?彼の死体は本物だよ?」

 

「アタイらを恨まない事だね…恨むならナジェンダ達を恨む事だね〜そいつらがオーガを殺した張本人だから」

 

「‼︎っ…ナジェンダ?」

 

「そうさ、政府を裏切った者がやったのさ」

 

「…ナジェンダ‼︎絶対に許さない!正義の為、隊長の為…あいつらを全力で潰してやる‼︎」

 

「その気持ちはいいが…今は俺らのリーダーが戦っているところだ…お前は一度政府のアジトに戻っとけ…憎しみはそれまで他の反乱軍にぶつけとけ」

 

そういうと、保護区の3人はセリューとは反対の方向に向かっていった。

 

 

 

 

 

アカメサイド…

 

アカメはモウルの切り札であるデスタグールに苦戦をしていた。

 

「くっ!(やはり硬いな!)」

 

「おいおい…そんなもんかよ(とはいっても、こいつを倒せるわけがない!デスタグールは俺の主戦力だ)」

 

アカメの左右には、ナタラとドーヤの人形がいる。正面はデスタグールの人形とその上にモウルが乗っている。

 

「…(あの時、ナタラを斬ったはずだが…やはり一筋縄では無駄だという事か)」

 

「ふっ!悩む時間なんて…与える訳にはいかなんでな!」

 

ドーヤの拡散弾がアカメに向かって飛んでくる。

 

「同じ技は通用しないぞ!」

 

アカメは戦いながら相手の特徴を探っていた。

 

「(こいつは今、拡散弾を撃ってくる事しかしてこないな…だが二つ目の銃はごく普通の銃とは変わらない…そして)」

 

アカメが拡散弾を全て弾き終わると、後ろからナタラが槍を振りかぶる。

 

スカッ!

 

だがしかし、アカメは華麗に回避する。

 

「(ナタラは槍で攻撃…だが速さで言うなら私の方が格段に上だ!)」

 

ナタラの背後をとり、背中を斬る。

 

ズバッ!

 

「ドーヤ‼︎撃て!」

 

ドーヤはまたも拡散弾をナタラ諸共放つ。

 

「‼︎っ(ナタラごと私を!)」

 

アカメは二人から距離を置く。拡散弾は殆どがナタラに当たった。そしてナタラは倒れる。

 

ドサッ!

 

「(すまないナタラ…盾にしてしまって)」

 

アカメはドーヤが次の銃を取り出す瞬間に、ドーヤの目の前に接近し…

 

 

 

「終わりだ!」

 

ドーヤの両腕を切断する。

 

ズババッ!

 

そして胴体に一発斬る。

 

ズバッ!

 

ドーヤは倒れた。

 

「(すまない…本当は斬りたくは無かった)」

 

 

 

「ほ〜う、ドーヤを倒したか…だが…これはどうだ?」

 

すると、デスタグールの前に新たな人形が出現した。

 

「俺の人形はこれだけじゃない…もう一人いる!」

 

斬ったはずのナタラが立ち上がる。

 

「何っ!(なんて耐久力しているだ‼︎)」

 

そして新たな人形の隣にもう一人現れる。

 

「懐かしいだろ?アカメ…お前なら知っているだろ?」

 

「…お前は⁉︎(どうして…だ?)」

 

アカメが目にした人形の正体とは⁉︎残る人形は本人を含め、あと5体‼︎




・クロメ
本作のヒロイン。出身は京都。服装は原作と同じく、セーラー服の様な服装。幼い頃から姉であるアカメを慕っている。親を失ってからは出来るだけアカメに負担をかけたくないと色々と協力していた。(過去編で詳しく)原作との異点は、持っている武器が普通の日本刀であるところと薬を飲んでいなく健康なところ。あとはアカメのツッコミ役になるようなところがあるところ。


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第35話 人の命をっ!

久しぶりの更新です。


アカメはその人形を見て驚きを隠せなかった。

 

「お前はっ⁉︎」

 

「懐かしいだろ?手に入れるのに苦労したぜぇ?」

 

新たに出現した人形は、一つはキラーマシンでもう1人はアカメが過去に知り合った仲間の1人…ツクシだった。

 

「貴様っ!人の命を何だと思っているんだ!」

 

「全く…折角の再開の第一声がそれか?ツクシが可愛そうじゃないか〜?」

 

モウルのその発言に、アカメは歯ぎしりをする。だが、今は感情をあまり表に出す訳にはいかないと思い…アカメは落ち着こうとする。何故ならば、感情に浸り過ぎると戦いに支障が出ると思ったからである。

 

「はぁ…はぁ」

 

「まぁそんなに吠えた所で…お前の墓場に変わりはないのだがな?デスタグールがいる限り‼︎」

 

アカメの背後から、ナタラの人形が急接近する。しかしアカメは予測したかのようにしゃがみ込み、右腕の肘をナタラの人形に思いっきり当て怯んだ瞬間を狙い、立ち上がると同時に回し蹴りをする。

 

ドカッ!

 

ナタラの人形はアカメに蹴り飛ばされるが、直ぐに体勢を立て直す。背後からツクシの人形が銃を構える。

 

「あれはっ!」

 

ツクシの人形が持っているのは、臣具プロメテウスだった。

 

バンッ!

 

ツクシの人形が銃弾を放つ。アカメは瞬時に銃弾を弾く…しかし

 

「甘いな!プロメテウスの精度は俺の中で随一だ!」

 

銃弾がUターンしアカメに迫る。

 

「…やはりそうか!」

 

スパッ!

 

アカメは銃弾を真っ二つに切った。

 

「(俺が密かに改造したプロメテウスはこんなものではないぜ?)」

 

二つに割れた銃弾が再びアカメに向かってくる。

 

「何っ!」

 

二つの銃弾が一つは真上から、もう一つは正面から向かってくる。

 

「切っても駄目なら…回避する方法はただ一つだけだ!」

 

アカメは何処からも来ていない左側に回避してそのまま林の中に走る。

 

「目くらましのつもりか?だが…無駄な事だぁ」

 

すると、キラーマシンの人形の目から光線を一掃するかの様に放った。周りにある木は円を描く様に桐だけが残る様な形になっていた。

 

「キラーマシンは並の実力で倒せるほど甘くはないんだぜ?」

 

煙の中からアカメが出て来る。

 

「やはりまだ生きていた様だな…」

 

アカメは二つに割れた銃弾よりも速く走っていた。

 

「ほ〜う、まだ逃げ切れているのか?だが…これならどうだ?」

 

キラーマシンの人形がアカメの足元を狙って光線を放つ。

 

「くっ!」

 

だがアカメは上手く体を捻り、銃弾を回避する。

 

「ちっ!しぶとい奴め!」

 

二つの銃弾も再びアカメに迫る。

 

カンッ!カンッ!

 

アカメは銃弾を切らず、日本刀の側面で弾く。そしてその後すぐにまた走り出す。

 

「フハハ…(俺が改造したプロメテウスは、こんなものではないぜ?)」

 

ツクシの人形が追加で3発放つ。

 

「追加か?」

 

「アカメ…貴様、何か企んでいるみたいだな?」

 

「だとしたら?」

 

アカメは向かってくる銃弾を全て回避し、モウルに迫ってくる。

 

「(デスタグールに銃弾なんて効かねぇの知らねぇのか?いや違う、狙いは…)」

 

アカメはデスタグールの腕を利用し登り始める。

 

「やはり俺か⁉︎」

 

デスタグールがアカメではなく、それを追う銃弾を粉々に粉砕する。

 

「残念だな!これで終わりだ!」

 

モウルがそう言うと、粉砕された銃弾が四方八方からアカメに迫る。

 

「くっ!(こいつ!わざと私をここまで⁉︎)」

 

アカメは日本刀で銃弾を弾くが…

 

「行けぇぇ‼︎デスタグール‼︎」

 

デスタグールが口から、再びかめ◯め波の様なものを出す。

 

「くそっ!(間に合わない!)」

 

デスタグールの攻撃はアカメに直撃する。

 

 

 

 

 

 

 

「フハハハハッ!銃弾に気をとられ過ぎたな‼︎この戦い…俺の勝ちだ!」

 

ドサッ!

 

「ゴホッ!ゴホッ!(くっ!…こんな…所でっ!、死ぬわけにはいかない!誓ったはずだ!今の…この世の中(世界)を変えるために…生きることをっ!)」

 

「念には念だ…もう一発だ!…消えろ!」

 

アカメが仰向けになって倒れていたその時だった…デスタグールの放った攻撃から守る様にアカメの目の前に1人の男が立っていたのは…

 

 

 

 

 

「っ⁉︎」

 

その者は、一つの武器をその砲撃に向け分散させた。

 

「悪いが…政府の者はここで消えてもらう、マスターの命令だ!」

 

「何だと⁈俺のデスタグールの技を分散させた⁉︎」

 

モウルは今までデスタグールの技を防がれた事が無かったため、焦りが表に出る。アカメは目の前の男に問う。

 

「マス…タ?お前は?」

 

「我が名はスサノオ…生物型帝具だ」




・ナジェンダ
元政府軍の将軍。アカメとクロメ、アバマの3人に世界を変えようと誘った張本人。過去にエスデスと対峙したことがあるらしい。原作との異点は特に無いが、仲間であるアカメ達の事を大事に思っている。


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第36話 闇

今回から、誰が喋っているのかわかりやすくしました。


スサノオ「我が名はスサノオ…生物型帝具だ」

 

アカメ「生物型…帝具⁉︎」

 

スサノオ「案ずるな、お前の味方だ」

 

その男の名は、スサノオ。それを見たモウルは…

 

モウル「スサノオ…電光石火だと⁉︎何故だ!何故お前が動いているんだ!木偶の坊風情が…調子に乗るんじゃねぇよ!」

 

 

 

 

 

数分前…帝具保管庫でナジェンダが倒れていた時のこと

 

ナジェンダ「うっ!…私が…ここまで飛ばされるとはなっ!」

 

ナジェンダは這いながら、帝具保管庫の周りを探ると、そこには帝具が散乱していた。

 

ナジェンダ「帝具保管庫…か…」

 

しばらく這って進むと、そこには人の形…生物型帝具が座っていた。

 

ナジェンダ「これはっ!スサノオ⁉︎」

 

スサノオ「我の眠りを妨げるその声…マスターか?」

 

スサノオは目をゆっくりと開きそう言う。

 

ナジェンダ「(反応した?)」

 

スサノオ「我の名はスサノオ…マスター、我が力を貸そう」

 

ナジェンダ「なんだ…?」

 

スサノオ「我は今、そなたのものだ…命令をしてくれ」

 

ナジェンダ「(少し怪しいが賭けてみるか!)」

 

ナジェンダはそう思いつつもスサノオにアカメの助っ人をお願いし、現在に至る。

 

アカメ「ナジェンダが…お前を目覚めさせたという事か?」

 

スサノオ「その通りだ、その後マスターは我にそなたの加勢を頼まれてここへ来たのだ」

 

スサノオはそう伝えると同時に、デスタグールの攻撃をかき消した。

 

モウル「ばっ馬鹿な⁉︎このデスタグールの攻撃を…かき消しただと⁉︎」

 

スサノオ「アカメ、我が人形達を誘い出す…その間に操っている本体を狙うのだ」

 

アカメ「…わかった!あいつは私が倒す‼︎…ぐっ!」

 

だがアカメは重傷を負っているため、体が思うように動けないでいた。

 

モウル「お前が俺を倒すだと?…はっ!そんなこと出来るわけないだろうが!(まぐれだっ!デスタグールの技が消されたのは火力不足なだけだ!危険種最高クラスなんだぞ!)」

 

モウルは内心かなり焦っていた。まさか奥の手の最大火力の攻撃をいとも簡単に消されたの目の前で見てしまったため…

 

スサノオ「アカメ…しばらくじっとした方が良い、トドメをさせる体力まで我が他の人形を足止めする」

 

アカメ「くっ!だ…大丈夫…だ」

 

スサノオ「…無理だけはするな」

 

すると、スサノオの胸に一本の光線が貫かれる。

 

アカメ「っ‼︎」

 

モウル「お喋りする暇なんてもう与えないぞ!(所詮木偶の坊同然の古き帝具!後はアカメを片付ければ俺のー!)」

 

貫かれたスサノオの胸が再生する。

 

スサノオ「…行くぞ」

 

モウル「なっ‼︎なん…だと⁉︎」

 

スサノオはキラーマシンの人形を一振りで粉砕する。

 

モウル「一撃‼︎(たった一撃でキラーマシンを粉砕だとぉぉぉ!)」

 

ナタラの人形がスサノオに向かって槍を投げるが、スサノオはその槍を真っ二つに割る。そしてその次にツクシの人形が放った弾丸を無視して、ツクシの人形を壁に叩きつける。

 

モウル「くっ!クソ野朗ぉぉぉがぁぁ!」

 

デスタグールの放つ攻撃をするが、再び一振りでかき消すスサノオ。

 

モウル「くぅぅううっ‼︎こいつめぇ!」

 

そう言っている間に、スサノオは自身が持つ武器でデスタグールの右手右足を一気に切断した。

 

グラッ!

 

モウル「はっ!しまった!」

 

デスタグールの右手右足が切断された為、モウルはバランスを崩し、地べたに落ちる。

 

ドサッ!

 

モウル「うおっ!」

 

八房も地面に落ちる。モウルはそれを拾う為向かうが…

 

モウル「俺の八房ー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカメ「はぁ…はぁ…お前に渡すわけにはいかない!」

 

アカメが八房を手に持っていた。

 

モウル「きっ貴様!まだ動けたのか⁉︎」

 

アカメ「…もう終わりにしよう」

 

アカメはそう言うと、八房を宙に軽く高く上げると…

 

モウル「で…デスタグール‼︎俺の八房を取り戻せ!」

 

スサノオ「無駄だ…」

 

ドスンッ!

 

モウル「へ?」

 

その方向を見ると、デスタグールは両腕と両足を既に切断されていた。

 

モウル「ばっ馬鹿なぁぁぁぁ‼︎俺の…俺のデスタグールがぁぁぁぁ‼︎」

 

アカメ「これでっ!死体とおさらばだ!」

 

落ちて来た八房の刃を、アカメは日本刀の先端部で粉々に粉砕する。それと同時に操られていた人形達はその場で倒れた。

 

 

 

 

 

 

バラバラ…

 

モウル「…」

 

アカメ「今…楽にしてやる」

 

アカメはゆっくりとモウルの元に向かう。

 

モウル「…ふざけんな…俺は…エリートだ、今まで俺は正しい事をして来たはずだ!…愚かな人間共を斬って何が悪い?…」

 

アカメ「…」

 

モウル「この世は強さが全てだ!弱い奴の居場所なんてどこにもねぇんだよ!…お前達みたいな反逆者は弱い奴らの集まりに過ぎない!だからっ!だから貴様はっ!俺にぃぃぃっ‼︎」

 

アカメ「…」

 

アカメは言葉に耳を傾けず、モウルの元に向かう。

 

モウル「殺されるのが正しいんだぁぁ‼︎」

 

モウルは隠していた、政府の刀でアカメに立ち向かうが…

 

アカメ「諦めて死ねっ!」

 

二人がすれ違うと、モウルの心臓部から血が吹き出す。

 

ブシャァァ!

 

アカメ「お前と私では…背負う思いに差があり過ぎだ」

 

モウルはその場でうつ伏せに倒れる。

 

ドサッ!

 

モウル「…(大統領…俺は…正しかったのか?…俺は…俺の…人生は…闇…ばかりだった…よ)」

 

モウルはそう思いながら、その場で息を引き取った。

 

 

 

 

 

 

アカメ「…」

 

スサノオ「…」

 

アカメ「…行こう…スーさん」

 

スサノオ「あぁ…」

 

アカメとスサノオは、チェルシー達の元に戻ろうと足を運ぼうとした時…

 

クロメ「お姉ちゃん‼︎」

 

アバマ「アカメさん‼︎」

 

クロメとアバマがアカメ達の所に走って向かって来た。

 

アカメ「クロメ!アバマ!」

 

スサノオ「?」

 

クロメ「お姉ちゃん!…よかったよ〜!死ななくて…本当にっ!」

 

クロメは涙目になりながら、アカメに抱きついてくる。

 

アカメ「クロメ…私は簡単に死ぬ訳にはいかないさ」

 

アバマ「あの…アカメさん、その人は?」

 

アカメ「あぁ…スーさんだ!」

 

アバマ「スーさん?」

 

アカメ「えっと〜生なんとか〜」

 

スサノオ「生物型帝具のスサノオだ…」

 

アバマ「せ…生物型帝具⁉︎(帝具に意思のあるものなんてあったの!)」

 

アカメ「スーさん…クロメ達は味方だから構えなくても大丈夫だ!」

 

スサノオ「そうか…これからよろしく頼む」

 

クロメ「うん!よろしくね?」

 

アバマ「あ…どうも(なんか複雑なんですけど〜)」

 

その時だった。

 

フラッ…

 

アカメ「(何だ…?視界が)」

 

クロメ「お姉ちゃん?」

 

ドサッ!

 

クロメ「お姉ちゃん‼︎しっかりして!お姉ちゃん‼︎」

 

アカメは先程の戦いで、体力の限界が来てその場で仰向けに倒れた。その一方で、チェルシーは未だにイヴァンと交戦を続けていた。




・アバマ
アカメ達の仲間の一人。外見や身長からみて女性と間違われる場合が多い。政府兵に襲われていた所をアカメ達に救われた事をきっかけに、アカメ達と共に行動することとなる。過去に一度伊勢崎に来た事があるらしく、その時からチェルシーに好意を抱いている。


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第37話 気分VS怒り

更新が遅れてしまいました!すいません。


一方、チェルシーは保護区のリーダー格イヴァンとの交戦をしていた。

 

イヴァン「面白いじゃん?アンタ宙に浮く事も出来るの?」

 

チェルシー「…」

 

時間は、約2年前に遡る。

 

回想↓

 

チェルシーはカフェラテ・オールベルグの店主メラルド・オールベルグに自分も強くなりたいと言った。そしたら…

 

メラルド「あなたはメイドなんだから戦闘は必要かしら?それに戦闘は男性達の仕事の一つになっているのよ?」

 

チェルシー「…でも私、それでも強くなりたいんです!だからメラさん!私に何かとっておきの戦術があるのでしたら、私もタエコの様に…」

 

メラルドはチェルシーの頭を撫で、同じ目線で言う。

 

メラルド「チェルシー、あなたの気持ちはわかるわ…だけど、ただ強くなりたいだけじゃ駄目よ?」

 

チェルシー「?」

 

メラルド「強くなりたいという気持ちも大切なことではあるけれど、命を守る強さの方がよっぽど大切なことだと私は思うわ…」

 

チェルシー「命を守る…強さ」

 

メラルド「えぇ…自分自身だけ強くても、周りの人達を救うことができない者は、強い者とは言えない…弱者と同類になってしまうわ」

 

チェルシー「…」

 

メラルド「だから、私があなたにしか会得出来ないものを引き出してあげるわ…」

 

回想↑

 

チェルシー「(メラさん…今度は私がみんなを助ける番だから…伊勢崎の仮もあるから!)」

 

ナジェンダはラバックと共にイヴァンと交戦するチェルシーを見ることしか出来なかった。

 

イヴァン「ボサッとしてんじゃないよ!」

 

イヴァンがチェルシーに指を向けて雷を放つ。だがチェルシーはそれを二刀流で逸らす。

 

イヴァン「…少しはやるみたいだねぇ…」

 

チェルシー「あんたは絶対に逃がさない!」

 

チェルシーは足で空中を蹴りイヴァンに向かう。

 

イヴァン「馬鹿が⁉︎」

 

イヴァンはチェルシーの周りに電気を帯びた檻に閉じ込めようとする。

 

イヴァン「っ!」

 

だがチェルシーが思っていたよりも速くて、捕らえることが出来なかった。チェルシーはイヴァンに急接近して、イヴァンの左腕に傷を負わせる。

 

イヴァン「くっ!…」

 

チェルシー「まだよ!」

 

2本目の剣でイヴァンの右腕を深く斬る。

 

イヴァン「ぐっ!…なるほど…両腕を斬る作戦か⁉︎」

 

チェルシー「(後は胴体を斬ればっ!)」

 

チェルシーがイヴァンを斬ろうとしたその時…

 

 

 

 

 

セリュー「見つけたぞぉぉぉ‼︎」

 

チェルシー「っ!」

 

セリューがチェルシー達を見つけると、コロが形態変化してチェルシーを吹っ飛ばす。

 

ドゴッ!

 

チェルシー「がはっ!」

 

そのままチェルシーはナジェンダとラバックの後ろにあった木に激突した。

 

ナジェンダ「チェルシー!大丈夫か‼︎」

 

ラバック「くっ!もう少しだったのに新手かよ!」

 

木はバラバラに砕けて砂煙が消えると…チェルシーが倒れているのが見えた。

 

セリュー「次は貴様らだ!ナジェンダ‼︎」

 

すると、コロの近くにいたイヴァンがセリューに問う。

 

イヴァン「…おい…邪魔してんじゃねぇよ」

 

イヴァンが声を低くしてそう言うと、セリューがイヴァンの方を見る。

 

セリュー「…え?」

 

イヴァン「今いい所だったのに…」

 

イヴァンの周りに稲妻が纏っていた。イヴァンは戦闘を妨害されてセリューに冷たい目を向ける。

 

セリュー「でも…こいつらは、隊長を殺したんです!だから!」

 

イヴァン「だから?…何だよ」

 

セリュー「だから…ナジェンダは私が倒して見せる‼︎なので今回はっ!」

 

するとイヴァンはセリューに攻撃をする。

 

イヴァン「そういうの…いらないんだよ」

 

ジリジリッ!

 

イヴァンがセリューに手を出すと、セリューの体中に電撃を浴びさせた。

 

セリュー「うわぁぁぁぁ‼︎」

 

セリューはその場に倒れ込む。コロが元の姿に戻りセリューの所に向かう。

 

コロ「キュウ!」

 

バラバラの木からチェルシーが立ち上がって、イヴァンを睨む。

 

イヴァン「起きたか?」

 

チェルシーの体に再び水色のオーラが纏う。

 

チェルシー「…あんた、幾ら何でもやり過ぎよ!」

 

イヴァン「フフ…言ったでしょ?私達は無所属、味方なんて最初からいない…って」

 

チェルシー「(こいつ…自分が良ければいいって奴か、なら…容赦はしない!)」

 

チェルシーのオーラが更に大きくなる。

 

イヴァン「…怒りか?面白い!再戦と行こうじゃないか!」

 

チェルシーとイヴァンの戦いが再び始まる。




・メラルド・オールベルグ
カフェラテ・オールベルグの店長。数千の虫を操る能力は世界でも恐れられている程だと言われている。原作程ではないが、女好きの面がある。


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第38話 託された試練

お久しぶりです!それと見てくれている皆様ありがとうございます!
これからも『世界変革〜平和を求める者たち〜』をよろしくお願いします!


一方、スサノオは気絶しているアカメを抱えてクロメとアバマをチェルシー達のいる所に案内していた。

 

スサノオ「こっちだ」

 

アバマ「はい!」

 

クロメ「ねぇ!お姉ちゃんは大丈夫なの!」

 

スサノオ「先程言った通り、ただ気絶しているだけだ」

 

クロメはアカメの顔を見る。

 

クロメ「確かに…言われてみるとそうだね」

 

アバマ「チェルシーさん…大丈夫かな…」

 

クロメ「大丈夫に決まってるでしょ!チェル姉がそんな簡単にやられる様な人に見える?」

 

アバマ「いや、そうは思いたくない…です」

 

クロメ「おなべ!もっと自信持ってよ!だからおなべはおなべって言われるのよ!」

 

アバマ「クロメちゃんにしか言われていない様な気がー」

 

クロメ「わかった?」

 

クロメが声を低くして言うと…

 

アバマ「あ…うん…わかりました」

 

クロメ「分かればいいのよ?」

 

スサノオ「もう少しだ」

 

クロメ「え?」

 

アバマ「もしかして、チェルシーさん達がっ!」

 

アバマがそう言った瞬間…

 

スサノオ「我の背後に着け」

 

スサノオは素早くアカメをクロメ達の方に渡してクロメ達に指示する。

 

クロメ「なっ!」

 

前方から光の鱗粉が波の様に迫って来た。クロメとアバマはアカメを抱いてスサノオの背後に隠れる。そして鱗粉の波はスサノオを直撃して数秒で消えた。

 

クロメ「くっ!こんな時に新手⁉︎」

 

スサノオ「その様だ」

 

アバマ「スサノオさん、大丈夫ですか⁉︎」

 

スサノオ「心配無用…大丈夫だ」

 

???「僕の攻撃を受けても立てるなんて…大した防御力だね」

 

クロメ達の前には、三人の人物が立っていた。

 

クロメ「誰なの⁉︎こいつら」

 

アバマ「なんか…嫌な予感」

 

スサノオ「…保護区だな」

 

???「よく分かったね〜あたいらが保護区だってこと」

 

???「正体なんてバレてもいいだろ?今日は冴えてるな…獲物が三匹もいるぜ」

 

スサノオ「来るぞ、構えろ」

 

スサノオの言葉を聞いて、クロメは刀を構える。アバマはアカメを抱えてスサノオの後ろにつく。

 

???「さぁ〜…楽しい狩の始まりだ!」

 

すると保護区の一人がスサノオに体当たりをしてクロメ達から遠ざける。

 

スサノオ「ぬぅ!」

 

???「お前の相手は俺だ!一番楽しめそうだからなぁ!」

 

スサノオと保護区の一人が場から離れると…

 

???「ダストの奴、あたいが狙ってた獲物を横取りするなんて…」

 

???「まぁいいじゃないか…その間、この子達をいじめていようよ?」

 

???「そうね〜暇だし」

 

クロメ「…(今は私がお姉ちゃんを守らないと!)」

 

アバマ「クロメさん…ここは退いた方が良いと思うよ」

 

クロメは敵を見ながら言う。

 

クロメ「…逃げて」

 

アバマ「…え?」

 

クロメ「あんたがいても、あたしが守りながら戦うなんて出来ない…だから逃げて」

 

アバマ「クロメちゃん?」

 

クロメ「行って!…お姉ちゃんを抱えてここから早く逃げて!チェル姉のこと…好きなんでしょ?」

 

アバマ「っ!」

 

クロメ「だから…おなべはチェル姉の所に早く行って!…こいつらはあたしが倒すから!」

 

クロメはそう言うと、保護区の二人に立ち向かって行った。

 

アバマ「クロメちゃん⁉︎」

 

???「次こそあたいが貰うよ」

 

保護区の一人はもう一人にそう言うとクロメに向かって走り出す。

 

???「お好きにどうぞ」

 

アバマ「…(僕も…出来ることならクロメちゃんに協力したい!でも今は!クロメちゃんが託した事を無駄にする訳には行かない!)」

 

アバマはアカメを抱えて急いでチェルシー達のいる方へ走り出す。数メートル離れた後、クロメと保護区の一人がぶつかり合う音が聞こえた。

 

 

 

クロメ「ぐっ!くっ!」

 

???「少しは楽しませてよね!」

 

???「クホール、僕はもう一人と遊んでるよ」

 

保護区の一人は蝶のような羽を広げてアバマを追いに行く。

 

クホール「どうしたの?この程度で終わりじゃ無いよね!」

 

クホールがそう言うと、クロメは日本刀を手放す。すると前傾姿勢になっていたクホールがバランスを崩す。

 

クホール「?」

 

そしてそこでクロメがクホールの腹に拳を繰り出す。

 

ゴッ‼︎

 

クホール「うぐっ!」

 

クロメはその一瞬を逃さず日本刀を拾いクホールの心臓部に刺そうとするが…

 

ガッ!

 

クロメ「⁉︎」

 

クホールは片手で日本刀を掴んで止めた。

 

クホール「…驚いたよ…その様な戦い方、何処で学習したのかな?」

 

クロメ「こいつっ!片手で!」

 

クロメは両手で突き刺そうとする。

 

クホール「流石に力じゃ無理か…だけどこれならどうかな?」

 

クホールの背中から天使の様な翼が生えて羽ばたかせる。

 

クホール「風を利用すれば人間の力なんか大した事ないのよ!」

 

クロメ「ぐっ!(押される!)」

 

風の威力でクロメは軽く飛ばされる。

 

クロメ「うあっ!」

 

クホール「人間が魔物に勝てる事は一生ないのよ?」

 

クロメ「…さぁ…どうだろうね?」

 

クロメはそう言うと立ち上がって日本刀を手に取る。

 

クロメ「お姉ちゃんには隠してたけど…私も半分人間やめているのよ?」

 

クホール「嘘丸出しの冗談言っても無理よ?それとも命乞いかしら?」

 

クロメ「…今に分かるよ」

 

クロメはそう言うと、ポケットから小さいビスケットを手に取り、自分の口に入れた。

 

クロメ「始めようよ?…化け物同士の戦いを!」

 




・ババラ・オールベルグ
カフェラテ・オールベルグの元店長。メラルドが店長になってからは降りてはいるが、店に顔を出すことがあった。チェルシーを含めた店員達に尊敬されていた。原作との異点は性格が優しいところ。


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第39話 刃(双剣)と刃(雷)

今回はイヴァンが技名を言います。(技名は"の間にあります)


アバマはアカメを抱きながらチェルシーと合流しようとしていた。

 

アバマ「はぁ!はぁ!」

 

すると背後から保護区の一人がアバマを追撃する。

 

ドカッ!

 

アバマ「うわぁ!」

 

???「ごめんごめん…今僕は暇だから君と遊びに来たんだ…」

 

アバマ「く…(クロメちゃん)」

 

トニング「自己紹介がまだだったね?僕はトニング、6人の中では一番最弱だからそんなに構えなくてもいいよ?」

 

アバマ「でも…僕よりは強いんだよね?」

 

トニング「まぁ〜それは否定しないよ、あくまでも6人の中ではだからね?」

 

トニングは微笑みながらそう言う。アバマはその表情を見て体が震える。

 

アバマ「…(駄目だ!相手の言う事を間に受けたら僕は殺される!)」

 

アバマは自分の後ろにアカメを寝かせてトニングに視線を向ける。

 

トニング「フフ…」

 

アバマ「…(相手は能力者だ!それに今アカメさんは気絶している…どうしたらこいつから逃れられるのか?…いや駄目だ!今は僕がやらないと!今動けるのは僕だけなんだ!僕がやらないと!)」

 

トニング「目が震えてるね〜それに体も硬直しちゃってるみたいだね?…仕方ないよ、敵わない相手が目の前にいれば恐怖は誰でも感じるさ」

 

アバマ「ぼ、僕は逃げない…」

 

トニング「へぇ〜中々の勇気だね?勝てる見込みがないのに…その無謀な勇敢さは褒めるよ、だけど君じゃあ僕を倒すのは不可能…いや皆無と言った方がいいかな?」

 

アバマ「僕は…こんな所で死ぬ訳にはいかないんだ!僕は約束したから!大切な人と!」

 

アバマは自分の頭の中でチェルシーの顔を浮かべると、真っ直ぐとした眼差しでトニングを見た。

 

アバマ「もう泣かせたくないから!」

 

アバマはポケットから治療用のメスを取り出して震えながら構える。

 

トニング「大切な人ねぇ…感動的だね、でも相手が悪かったね〜君はただの人間、勝てる訳がないのさ」

 

アバマはトニングにメスを突き刺す様に突っ込む。

 

アバマ「うぉぉぉぉぉ‼︎」

 

トニングは一瞬の隙に羽から鱗粉を周りにばら撒く。アバマはそれに気づかずにトニングにメスを突き刺す。

 

ザクッ!

 

トニング「…フフフ」

 

トニングは肩にアバマのメスが突き刺さったが…アバマを羽の風圧で吹っ飛ばす。

 

アバマ「ぐあっ!」

 

トニングは肩に刺さってるメスを手に持ってアバマに近づく。

 

アバマ「くっ!…」

 

アバマは立ち上がろうとするが…

 

アバマ「っ⁉︎(体が…っ!)」

 

アバマは体が動けなかった。

 

トニング「効果が出始めたみたいだね?」

 

アバマ「まさか…鱗粉をっ!」

 

トニング「余程周りが見えてなかった様だね〜さてと…一瞬だとつまらないからじわじわと殺るよ?」

 

そう言うとトニングはアバマの腕に刺した。

 

ザクッ!

 

アバマ「うわぁぁぁぁああ‼︎」

 

トニング「フフフ…外見に合う声出すんだねぇ」

 

アバマ「うっ!ああっ!ぁぁああっ!」

 

トニング「次は右脚だよ?」

 

アバマ「っ!」

 

アバマは動きたくても動けない状態だった。

 

ザクッ!

 

アバマ「ぁぁぁぁああっ!」

 

 

 

 

 

 

その頃、チェルシーはイヴァンとの激しい死闘を繰り広げていた。互いの技がぶつかり合い、二人は肉眼で見えるか見えないかの速さで刃をぶつけ合っていた。

 

ガンッ!

 

チェルシー「くっ!」

 

イヴァン「いいねぇ!楽しいよ!」

 

チェルシー「自分の気分だけで他人の人生を奪うなんて、そんなの許される訳ないわよ」

 

イヴァン「そんなこと私に無意味だって…言ったでしょ?保護区に味方なんていないってね!」

 

イヴァンはチェルシーに雷の槍を数百本飛ばす。チェルシーはそれを全て弾くが、その間にイヴァンは…

 

イヴァン「("アンナ"!)」

 

頭の中で唱えると、イヴァンの傷が全て回復された。

 

チェルシー「っ!(傷が!)」

 

ラバック「あいつの傷が無くなっただと⁉︎」

 

ナジェンダ「くっ!今までチェルシーが消費した体力が無駄にされたか!」

 

イヴァン「ふぅ〜」

 

イヴァンは全快の状態に戻り、チェルシーのオーラは少しずつ小さくなって来た。

 

チェルシー「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

イヴァン「もしかしてあんた、回復が出来ないみたいな?」

 

チェルシーは体が限界に行っていた。

 

チェルシー「はぁ…はぁ…(この状態だと…持っても30秒が限界ね…次の一撃で決めないとっ!)」

 

チェルシーは双剣を重ね、一刀流の構えをする。

 

イヴァン「折角だ!その状態が無くなる前に私もとっておきを見せてやるよ!」

 

すると、イヴァンの体の周りから黄色いオーラが湧き出てくる。そしてそのオーラは二つに分かれ形を変えてイヴァンの両腕を取り巻く様になり、電気を帯びた。

 

ラバック「ナジェンダさん!俺たちは物陰に隠れた方がいい!」

 

ラバックはナジェンダの腕を引っ張って草むらの中で伏せる。

 

ナジェンダ「駄目だ!このままだとチェルシーが!」

 

ラバック「ナジェンダさん!…今はチェルシーを信じるしかないんです!」

 

ナジェンダ「くっ!(アカメ!スサノオ!それとクロメとアバマ!まだか⁉︎)」

 

イヴァン「来な!あんたの全力を私に見せてみろ!」

 

チェルシーは限界を突破してオーラを発動時の2倍の大きさにしてイヴァンに突っ込んで行く。イヴァンもそのままチェルシーに突っ込んで行った。

 

チェルシー「はあぁぁぁぁああ‼︎」

 

イヴァン「おらぁぁああああ!」

 

互いの技がぶつかり合う寸前にチェルシーは片方の手を下げる。

 

イヴァン「っ?(何だ⁉︎)」

 

イヴァンの雷とチェルシーの片手剣がぶつかり合った。その瞬間、周りの木々などが二人がぶつかり合った衝撃で吹っ飛ばされた。その中でチェルシーは先程下げた片方の剣をイヴァンの心臓部に突き刺そうとするがイヴァンはその前に察知していた為、片手でその剣を塞いでいた。

 

チェルシー「っ!そんなっ!」

 

イヴァン「楽しかったよ…("マリヤ・アナスタシア"!)」

 

イヴァンはチェルシーの剣を一つ振り払い、チェルシーの腹部に手を当てて体内に電気を流そうとした瞬間…

 

ドカッ!

 

イヴァン「っ!馬鹿な‼︎」

 

チェルシーは左足でイヴァンの腕を蹴り上げた。そしてチェルシーはもう片方の剣でイヴァンの脇腹に剣を刺した。

 

ザクッ!

 

イヴァン「うぐっ!(まさかっ!…)」

 

そのままイヴァンは刺された脇腹を抑えながら地上に落下した。チェルシーは潜在能力の効果が切れてイヴァンと同じく地上に落下した。




・ギル
カフェラテ・オールベルグの副店長であったが、実は政府側の人物。伊勢崎奪還編の黒幕であり、鎌型の政具エンバイロメント・イン・バーチャルの持ち主でありアカメ達を追い詰めた程の実力。だが最期はスケルトンシーフに見捨てられて政府の人物の一人、アドラムに血を吸われるという悲しい生涯を迎えた。本編では言われてはなかったが政府側の幹部達からはペットレベルと言われる程の低さである。


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第40話 見知らぬ来訪者

お久しぶりです。


チェルシーとイヴァンは共に地面で仰向けに倒れていた。ナジェンダ達は二人の元に向かった。

 

ナジェンダ「どうなったんだ⁉︎チェルシーは大丈夫なのか?」

 

ラバック「…今は気絶してるみたいすよ…」

 

ラバックがそう言うと、ナジェンダはチェルシーを抱える。するとそれと同時にイヴァンが意識を取り戻した。

 

イヴァン「うっ!…ぐっ!」

 

ナジェンダ「っ!(イヴァン!まだ立てると言うのか!)」

 

ラバック「…しぶといな、流石は保護区のリーダーってところか!」

 

イヴァン「はぁ…はぁ…油断してたよ…まさか…ここまで追い詰められるなんて、今までなかったからね…正直死ぬところだったよ…」

 

するとラバックがクローステールを使ってイヴァンの周りに糸を素早く張った。

 

ラバック「だけどお前さんは終わりだぜ、もう体力的にも限界な筈だ…悪いが終わりだぜ!」

 

ラバックがもう片方の手で糸で固めた剣でイヴァンを刺そうとした瞬間だった。

 

ザクッ!

 

イヴァン「…あいつら…邪魔しやがって」

 

ラバックの背中には木の枝が刺さっていた。

 

ラバック「あ…がはっ!(…いつの間に…来やがったっ!…か)」

 

木の枝が引き抜かれるとラバックはうつ伏せに地面に倒れてしまった。その後ろには三人の保護区のメンバーが立っていた。

 

ナジェンダ「っ!…ラ…ラバックゥゥ‼︎」

 

???「リーダー、随分と苦戦してたわね?」

 

イヴァン「フッ…遊んでた時間が長かっただけだよ」

 

イヴァンはそう言うと周りにある糸を全て切断した。

 

???「さ〜て…この裏切り者はわたくしが葬りますわよ?」

 

ナジェンダ「っ!」

 

 

 

 

その時、ナジェンダを攻撃しようとした保護区の一人が誰かに殴られたかのように数メートル先に吹っ飛ばされた。

 

イヴァン「っ!何だ⁉︎」

 

その場にいる誰もが状況を把握出来なかった。あまりにも一瞬の出来事だったからだ。そしてみんなは同じ方向を振り向く。するとそこには一人の人間ではない者が歩いて向かっていた。

 

ナジェンダ「…(誰だ!見たこともないぞ⁉︎)」

 

???「貴様、誰だ…クロンを一瞬で吹っ飛ばすなんて大した奴だよ…」

 

???「ターゲット確認…保護区フェルノ、シュトロム、クロン、そしてイヴァン…他の三名はいないみたいだが、まずはお前達を排除する」

 

シュトロム「排除?笑わせに来たのかい君は?…その前に君は誰だ…見たこともない、政府側でもなさそうだけど?」

 

???「答える必要はない…知ったところで何も得になるものはない」

 

イヴァン「お前ら…下がってなよ…そいつは私の獲物だ!」

 

フェルノ「あっずるいよイヴァン!あんたさっきまでそこにいる女と戦ってたじゃん!」

 

イヴァン「フフフッ…あんた只者じゃないよね?」

 

???「…それが何だ?今の貴様の状態じゃ話にならんぞ?」

 

イヴァン「それはどうかな…わたしにも奥の手があるんだよ?」

 

???「ほう…なら見せてみろ…奥の手とやらを」

 

するとその者はナジェンダにカプセルの様な物を軽く投げて渡した。

 

イヴァン「?」

 

ナジェンダ「…これは?」

 

???「それを重傷者に飲ませろ…直ぐに治る」

 

ナジェンダ「…どうして初対面の私にそこまで?」

 

???「お前は政府側の者ではない…それだけだ」

 

ナジェンダ「…(少し怪しいが、ここは信じてみるか)」

 

ナジェンダは来訪者を信じてラバックにカプセルを飲ませた。

 

イヴァン「話は終わったか?」

 

???「あぁ…今終わった」

 

ラバック「うっ!…?」

 

ナジェンダ「ラバック!大丈夫か⁉︎」

 

ラバック「ナジェンダさん…俺生きてるのか?」

 

ナジェンダ「馬鹿を言うな、生きてるに決まってるだろ」

 

ナジェンダは少し視線を逸らしてそう言った。

 

フェルノ「ちっ!不意打ちの意味がなくなっちゃったわね」

 

シュトロム「まぁいいじゃないか、死ぬまでのカウントダウンが少し伸びただけだ」

 

イヴァン「面白くなりそうだ!もしかしたらチェルシーよりも強かったりする?」

 

???「どうだろうな…やればわかる」

 

イヴァン「じゃあ始めようよ!」

 

イヴァンと???は視線を互いに向けた。

 

 

 

 

その頃、スサノオは保護区のダストと激しい死闘を繰り広げていた。

 

ダスト「さっきからテメェ…避けてばかりだな!少しは攻撃したらどうだ?」

 

スサノオ「…」

 

ダスト「ちっ!黙りかよ!」

 

ダストが爪で攻撃をすると森の一部が一瞬で廃になった。

 

スサノオ「…」

 

スサノオは高くジャンプしてダストの攻撃を避ける。そしてそこから武器を使い攻撃をするが避けられた。

 

ダスト「やっとその気になったか?そうじゃなくちゃな!」

 

スサノオ「遠くまで誘えた様だ」

 

ダスト「あ?」

 

スサノオ「周りに味方がいなければ我も全力で貴様を倒せる」

 

ダスト「俺を倒す?何を言うのかと思ったら飛んだ冗談だな…甘すぎだぜ」

 

スサノオ「…」

 

ダスト「まさかお前…本気でそう思ってんのか?ハッ!どうやら脳味噌がぶっ飛んでいやがるな?いや元々そんな物ないか?まあいい、政具に比べればお前なんてゴミと一緒だ!」

 

スサノオとダストの戦いは更に激しくなっていった。




・ハルナ
カフェラテ・オールベルグのメイドでチェルシーの先輩にあたる人物。場面では無かったがババラからは、次の副店長とまで言われていた。


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