東方書迷録 (SunoA)
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プロローグっていうのかな?

プロローグなんでかなり短めです。




頭が痛い。昨日のアルコールがまだ抜けてないのか。ちょっと飲み過ぎたかも知れないな。萃香と飲んだ後は毎回こうなってる気もするが。でもそろそろ起きないと。時計の針は7時過ぎを指してる。
流石に起きないと開店に間に合わない。名残惜しい布団の温もりから離れて伸びをする。パキパキと骨の音が響く。

「さて、今日も頑張りますか」








----------------


俺は喫茶店兼貸本屋を営んでる。まぁ簡単に言えば漫画喫茶みたいなもんだね。軽く掃除を済ませて朝食を取る。焼いたトーストにバターを塗って一口。うん、美味しい。やっぱり朝はこれだよね。時計の針をみる。どうやら開店までまだ時間があるらしい。読みかけの小説でも読もうかな。なんて考えてると目の前にスキマが現れた。

「あら?起きてたのね。おはよう、涼」

そんなことを言いながら妖怪賢者こと八雲紫が出てきた。今日は随分早いんですね。朝は弱いんじゃなかったの?

「おはよ、朝からどしたの?」

「頼まれてたものをもってきてあげたのよ」

そう言って段ボールを6つ程スキマから出した。頼まれたことっていうと店で出す本やコーヒー豆かな?丁度残り少なかったからありがたい。それにしても凄い量だね。これの片付けで1日持ってかれるかも。

「まとめての方が楽でしょ?」

「まぁそれはそうかも知れないけどさ……」

流石に多過ぎる気がしないでもない。まぁ持って来て貰えるだけありがたいんだけどさ。けどおもったより早かったね。紫のことだからもっと遅くなると思ってたんだけど。基本後に回す人だし。

「…………何か失礼なこと考えてるわね」

「いやいやそんなことないよ。感謝してるって。ありがとね」

なんでこんなとこだけ勘がいいんだろうねこの人は。まぁ感謝してるのは本当だし一応労いの言葉をかける。紫には定期的に外の世界に買い物を頼んでたりする。主に本やらコーヒー豆、紅茶の茶葉とか。幻想郷じゃなかなか手に入らないから紫に頼むのが1番手取り早かったりする。その見返りとして偶に紫の手伝わされたりしたりしてる。

「さてどうやら………。私にも何か飲み物を貰えるかしら?」

「ん、りょーかい。何にする?」

「オススメで」

オススメってなかなか困る注文なんだよね。なんか面白いこと言ってって無茶振りされた時くらい困る。オススメかぁ。まぁ朝だし無難にホットコーヒーでいいかな。丁度いい豆を持ってきてくれた所だしね。豆を中細挽きにしてペーパードリップで淹れる。

ふわりと広がる淹れたてのコーヒーは朝の匂いがした。

「ん、ありがと」

そう言って紫はカップに口をつける。
どうか味わって下さいな。

「さて、それじゃそろそろお店の方も開けますかね」

「あら、もうそんな時間でしたの」

少し緩くなった飲みかけのコーヒーを一気に飲みほして立ち上がり、店の入り口に向かう。あんまり人はこないけど、やっぱりこの辺はしっかりしないとね。ドアの鍵を開けて「closed」になってるプレートをひっくり返す。

「よし!」

と一声気合いをいれて気持ちを切り替える。
こうして今日も何気ない1日が始まっていく。



これからほのぼのとした日常系のお話を書いていこうと思うので、お暇がある時にでも読んでいただければなぁっと思います^ ^


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第1話〜借りパクはやめて下さい〜


借りパクはやめましょうね




「邪魔するぜー」

昼食も済ませた昼下がりにそんな声と共にお客さん。

「いらっしゃいませー………ってお前かよ」

やってきたのは白黒の魔法使いこと霧雨魔理沙。一応うちの常連ではあるがお客さんではないね。

「なんだよいきなり失礼な奴だなー。客なんだからもーちょっと愛想良くしろよな」

「客ってのはちゃんと料金を払う人の事を言うんだよ」

そう、こいつは基本料金を踏み倒す。ちゃんと払ったことの方が少ない、てかないかも知れない。その癖飲み食いして挙句に貸し出した本を返さないんだから手に負えない。客というよりはどちらかといえば盗賊だ。せめて本は返してよ、仕入れるの大変なんだから。

「まぁまぁそのうち返すからさ、そう怒るなって」

「一体何年先になるやら………」

思わずため息がでる。でももう慣れたけどね。どうせ返ってくるなんて思ってないから。まぁこういう考えがまだ甘いのかも知れないけど。

「で、今日は何しにきたの?」

「ちょっと探し物があってな〜。あ、アイスティーで」

「料金は?」

「ツケで」

うん、まぁ知ってたよ。そうだと思ったよこのやろー。文句を垂れながらも用意するあたりやっぱり俺は甘いんだと思う。ついでに自分の分のもいれる。コップに注ぎ魔理沙と自分に豆菓子とともに差し出す。

「ん、さんきゅ」

「で、探し物ってのは?」

「前読んだ本の続きだな」

あー、あれか。
あれは確か………

「あー悪いけど今は貸し出し中だからないね」

「えー!なんだよそれ聞いてないぞ!」

カウンターから身を乗り出してそんなことを言う。だって言ってないしね。ていうかそもそも魔理沙が店にこないと言うこともできないじゃん。

「まぁいいや。で、それはいつ返ってくるんだ?」

「昨日貸し出したばっかだから1週間後だな」

「長!それまで私に待てって言うのかよ!」

「いやそれくらい待てよ」

そんなこと言われても貸し出したもんはしょーがないじゃん。基本早いもん勝ちみたいなもんだし。世界は君を中心に回ってるんじゃないんだからもう少し我慢とか気遣いとかを覚えてほしい。

「まぁ返ってきたらキープしとくよ」

「絶対だからな?忘れんなよ?」

「はいはい」

というかなんで俺が怒られなきゃならないのか。別に俺何も悪いことしてないよね。理不尽にも程がある。最近こんなんばっかだ。

「 まぁこの機会になんか新しいのでも読んでみなよ」

流石に紅魔館の図書館までとはいかないがここにだってそれなりの量の本はある。大体は外の世界の本だけど。暇潰しには十分過ぎるだろう。

「とはいえ戦闘物は大体読んじまったしな〜」

「いやもうちょっと他のジャンルも読めよ」

てか年頃の女の子が戦闘物ばっか読んでるってのもどうなのよ。
もうちょっとなんかあるんじゃない?こう恋愛物とか青春物とかさぁ。まぁそれはそれで似合わない気がするけども。

「なんか失礼なこと考えてるだろ」

魔理沙がジト目を向けてきた。

「いや、魔理沙って恋愛物とか読んでるイメージないなーっておもって」

「やっぱ考えてんじゃねーかよ」

そうはいっても事実だから仕方ない。あーでも部屋でもがきながら読んでたりしそうかも。足とかバタバタさせながら。それはそれで可愛いかも知れない。

「じゃあ読んでたりするの?」

「全く読まないな」

読まないんかい。予想通りじゃんかよ。よくそれで失礼なこととか言えたよね。その自信はどこから出てきてたの?少しでも可愛いとか思った気持ちを返して欲しい。

「前アリスに勧められて読んでみたけど私には合わなかったな。だってなんかむず痒いじゃんあーゆーの」

んーわからなくもないけどそういったのがいいんじゃないかな?俺もそっち方面は読まないからよくわかんないけど。だって男でそういうの読んでるって、なんか、ねぇ?
まぁ今度アリスにでも聞いてみよう。

「まぁ恋愛物が駄目なら何にする?」

「そうだなぁ……。涼は今何読んでんだ?」

「化物語」

「よくあんな複雑なの読めるな………」

いいじゃん化物語。好きなんだよこのシリーズ。
読んでてほんと飽きない。

「ほんと何かないかなー」

「何かって言われてもねぇ…………あっ」

「思いついたのか?」

「いや、なんでもない」

「何か思いついたんだろ?言えよ」

いや、一応そういうジャンルがまだあったなーって思って。店とは関係無い私物だけど。最近読んで無いから店に出そうと思ってすっかり忘れてた。でも魔理沙に貸したらほぼ返ってくる見込みはない。そんな訳で絶対教えない。

「いや、だからなんでもなi、はいまってー。取り敢えずそれを下ろしなさい」

無言で八卦炉をこっちに向けないでよ。多少霊力あっても基本ただの人間なんだからそんなん食らったら死んでしまいます。

「言うか?」

「……………はい」

結局こうなるんだよ。本当嫌になっちゃうね。もう腹をくくるしかないか。

「いや、まだそのジャンルの奴があったなって思って。俺の私物だけど」

「本当か⁉︎ならそれ貸してくれよ‼︎」

魔理沙が目を輝かやかせてる。
ここで断わったらどんな顔するんだろうね?
少しみてみたいが今度こそマスパが飛んでくるからぐっとこらえる。

「まぁ貸してもいいけど………」

「いいけど?」

「ちゃんと返せよ?」

最大の問題はこれだ。ちゃんと返ってくるかどうか心配でならない。そんなポンポン持ってかれるとキリがない。てかまず今までの返しなさいよ。

「わかってるって。次はちゃんと持ってくるよ」

なら目を逸らさないで欲しい。本当死活問題なんだよ。ただでさえお客さん少ないんだから。なんであるって言っちゃったんだろ。数秒前の自分を恨むよ。

「じゃあ持ってくるから待ってろ」

まぁ言っちゃったからには持ってこない訳にはいかないかな。引き下がってくれるとも思えないし。下手にゴネて暴れられても困る。

「はいよ〜」

そう言って手をひらひらさせている。凄えいい笑顔してる。まぁその顔が見れただけいいのかなって思ってみたり。そんなことを思ってる自分に嫌気がさしたり。

持ってきた本を紙袋に入れて渡す。

「やった!ありがとな!」

「どういたしまして」

本当この数分のやり取りだけで凄い疲れた。毎度毎度こんなんばっかだよ。嫌んなっちゃうね。

「じゃあ私はそろそろいくとするかな」

「お、今日は早いんだね」

「この後少し用事があるからな………ってなんだよその嬉しそうな顔は」

おっとまた顔にでてたか。ダメだなほんと。隠すの下手過ぎ。

「じゃあまたくるぜ」

「はいはい。気をつけてね」

カランカランと音が鳴り、店が静かになる。

「はぁ………」

無意識にため息がでる。

本………返ってくるといいなぁ…………。



今回は魔理沙さんに登場して貰いました。
キャラ的に出しやすいんですよね^ ^

それではまた次回

感想、質問などがあればお気軽にどうぞ^ ^


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第2話〜そんなんだから小さいんだよ〜


ちっちゃくないよ!



今日も今日とて店は静か。本当に客足が増えない。なんでだろうね?品揃えは割といいと思うんだけど。

「ねぇ」

外の世界の本なのがいけないんだろうか。幻想郷に無いものとか色々でて面白いと思うのに。いや、逆に無いものだからこそ興味がわかないのかも知れない。

「ねぇってば」

いや寧ろ本を読む人が少ないということも考えられないだろうか。それは非常に由々しき事態だ。店の存続にかかわる。なんとかして興味を引いて貰わないといけn痛ってぇ!!

「無視すんな」

殴られた。伊吹瓢で。頭を。なんなんだよ一体。こっちは真面目に考えてるんだから邪魔しないでほしい。今後の俺の生活がかかってるんだ。

「どうせ客足なんて増えないよ。諦めたら?」

カラカラ笑いながらそんなことを言うこいつは酒呑童子こと伊吹萃香。一応こいつも常連、というか多分1番きてる。だけどやはり客ではない。いつもフラフラきてはお酒を飲んでお喋りしてくだけ。なに?鬼ってそんなに暇なの?というか喫茶店で酒なんて飲むなよ。

「他は知らないけど私は暇だね」

そういって伊吹瓢の酒を煽る。仄かに香るアルコールの匂いが鼻をくすぐる。あーあーまた昼からそんなに飲んで。もうちょっと抑えなさいよ。そんなんだからいつまでも小さいんじゃないの?

「小さい言うな!」

「ならお酒やめたらどう?」

「それは無理!」

もう駄目だなこいつ。アル中だアル中。こんな風にはなりたくないと心底思う。

「涼だってお酒好きじゃん」

「そんな昼からガバガバ飲む程依存してないわ」

そもそも俺にはそんな酒ばっか買う予算はないしね。伊吹瓢みたいなものがあれば別だけど現実はそんな甘くない。

カランカラン

音が鳴り自然にドアの方に視線が向く。
いらっしゃいませー。

「どうもー!清く正しい射命丸ですよー!」

入ってきたのは鴉天狗こと射命丸文だった。新聞を抱えてるあたり仕事の途中と言ったとこかな?

「いらっしゃい。何か飲む?」

「あ、ではアイスコーヒーでお願いします」

「へいよー」

そんな軽いやりとりをして準備にかかる。この子はうちの店にしては珍しいちゃんと払ってくれるお客さんだ。久々のまともなお客さんで嬉しい限りだね。自分で言っててなんか悲しくなってくるけど。

「どうしたんですか?泣きそうな顔して」

「なんでもないよ。気の所為じゃない?」

泣いてなんかない。泣いてなんかない。

「で、今日はどうしたの?」

アイスコーヒーを出しながら聞いてみる。

「今日の号外をもってきたんですよ。どうぞー」

そう言って号外の新聞を1部渡された。

「毎度毎度ご苦労様です」

「なんか私とは随分と対応が違うね……」

少しむくれた萃香が言う。そりゃそうだ。ちゃんと注文してお代を払ってくれる文と、ただ呑んだくれてグダグダしてる萃香との対応が同じわけがない。寧ろこれは当然の対応と言えるだろう。俺は悪くない。

「あ、こないだの霧の奴か」

号外の内容は赤い霧の異変だった。確かこないだレミリアがなんか企んでたとかどうとか。まぁ異変とかは俺には関係ない話だけどね。多少なり霊力があるとはいえ俺は殆ど戦えないし。

「結局霊夢さんが主犯のレミリアを倒して終わっちゃいましたけどね〜」

「まぁ要はいつも通りだな」

異変やらなんやらは大体あいつが解決する。それが巫女の仕事だとかなんとか。馬鹿みたいな霊力で妖怪だろうが神だろうが蹴散らしていく様はとても人間には見えない。
というかなんでみんなそう異変とか起こしたがるのかね。力の無い俺にはわからん。

「なんだかんだでみんな退屈してるんだよ」

「お前はいつも退屈してんじゃん」

「そんなことないよ。私にはお酒があるから」

ほんとそれしか脳がないのかねこいつは。そのうち病気になるぞ。
あ、でも鬼は病気とかかかんないのかな?その辺はよくわかんないや。

「私は記事さえ書ければ何でもいいですよ〜」

それは随分と仕事熱心なことで。まぁ異変なんて格好のネタだもんね。普段はヤラセとでっち上げだらけの新聞だけど、こういった時だけは嘘偽りなく事実だけで記事が書けるみたいだし。普段からそうすればいいのにね。

「失礼なこと言わないでくださいよ。これでも正確に迅速に記事を書いてるつもりなんですから」

「つもりなだけだもんな」

「つもりなだけだもんね」

「そんなことないですよ!」

キッパリ言い切った。嘘もここまで堂々としてるといっそ清々しいね。俺には真似できないよ。ほら俺ってすぐに顔にでちゃうタイプだから速攻見抜かれるんだよね。

「ほんとなんなんですか、2人して。お代払いませんよ?」

「すいませんでした。調子に乗りました」

机に手をついて全力で頭を下げる。それは本当にやめて欲しい。そんなことをされたらただでさえ少ない売り上げが更に減ってしまう。たった数百円でも俺には大切なんです。店は常に赤字なんです。勘弁してください。

「必死過ぎませんか………冗談ですよ………」

「なんか見てて哀れだよね…………」

お願いですからそんな可哀想な物を見る目で見ないで下さい。俺のSAN値がどんどん減っていく。しょうがないじゃん、金欠なんだから。お客さんこないんだから。てかこれもほぼほぼ白黒と脇巫女達のせいだ。あいつらがツケを払えば幾分かは楽になる。なんで俺がこんな目に合わなきゃならんのだ。

「そいや文は仕事の途中じゃないのか?」

無理矢理話題を変える。
あれ以上あの視線と空気にいたら死んでしまう。

「これは残りなんで大丈夫ですよ〜。今日の仕事はもう全部終わってます」

そういって脇の新聞をたたく。あら、そうなんだ。それは随分と仕事の早いことで。

「もうそろそろ涼さんの仕事も終わりですよね?」

「んーそうだね。もう夕方だし」

時計は7時過ぎを指していた。もうこんな時間か。話してると時間の流れって早いね。俺ももう歳なのかな?なんて、まだ十代だけどね俺。ギリギリだけど。

「ならこのあと飲みに行きませんか?」

「私もいく!」

文から飲みのお誘い。最近飲んでないし嬉しいお誘いではあるんだけど今月はちょっとやばいんだけどなぁ。でもまぁ偶にはいいかな?折角誘ってくれたのを断るのもあれだし。なんだかんだで俺もお酒が飲みたいのです。あとお前は反応早いな。今の今までずっと飲んでたでしょーが。

「そうだね、偶にはいこうかな」

「おろ?断られるかと思ってたんですが。金欠とか言って」

「偶には俺も飲みたいんだよ」

「涼も好きだねぇ」

「うっせ、お前に言われたくないわ」

「ふふっ、良かったです。では待ってるのでちゃちゃっと片付けちゃって下さい」

「へいよー」

そうして店を落とす準備に取り掛かる。
久しぶりのお酒だ。楽しんでいきたいね。





というわけで今回は萃香と文に登場して貰いました。
主人公の金欠をどうにかしたい所ですねw

次回は飲み回になりそうですね^ ^


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第3話〜夜雀の酒処〜

「で、どこに飲みにいくんだ?」

あれから店を閉めた後すぐ飲みに向かうことに。久々のお酒だと思うとテンションが上がってくる。まぁゆーて1週間ぶりくらいだけどね。

「ミスティアさんの屋台ですよー」

みすちーの屋台か。あの屋台に行くのも凄い久々だな。かれこれ半年は経ってる気がする。家からもちょっと遠いし。

「私が知る限り1番の屋台ですからね〜。飲みに行くなら是非あそこがいいなと思いまして」

「まぁ私は飲めれば何処でもいいよー」

確かにあそこの八目鰻は美味かった。熱燗もあるとなおのこといい。あと君は本当にぶれないね。ある種の尊敬の念がでてくるよ。

「あーいった場所で呑むからこそ味わいがあるんじゃないですか〜」

「確かにな。お前はもーちょっと雰囲気を大切にしなよ」

「そういうもんかなぁ」

そういうもんなんです。雰囲気や感情でお酒はより一層美味しく感じるもの。どうせ飲むなら美味しく飲みたいじゃないか。

「まぁ私は楽しく飲めれば文句はないよ」

笑いながらそんな言葉を口にする。まぁ極論を言うとそうなるのかもね。折角の飲みの席。誰だってつまらないよりは楽しいの方がいいはず。それじゃあさっさと向かいますか。





------------

漸く屋台に辿り着いた。やっぱり少し時間がかかるね。ここまで飛ぶので霊力をほぼほぼ持ってかれた。所詮俺の実力なんてそんなもんです。倒れそう。

「いらっしゃ〜い!おっ、今日は珍しいお客さんだね〜♪」

そう言って笑顔で迎えてくれたのはこの屋台の店主、ミスティア・ローレライだ。うん、凄いいい笑顔だね。超可愛い。

「なんだい随分と久しい奴らがきたねぇ〜」

「おろ?奇遇ですね〜小野塚さん。お久しぶりです〜」

そして何故か小町もいた。なんでお前がこんなとこにいるんだよ。ちゃんと自分の仕事くらいしなさいよ。また映姫に怒られるぞ。

「今は勤務時間外だからいいの〜」

そういって肩を組んでくる。うわ酒くさ。絡み方が完全におっさんだよこの人。

「まぁまぁ飲みの席くらい仕事の話はおいときなよ〜。注文はどうする?」

「あ、取り敢えず八目鰻と熱燗で」

続いて各々が注文を言っていく。あとそろそろ離れて下さい。重いです。

「失礼な奴だねぇ。か弱い女性に重いとか言っちゃ駄目だよ?」

「少なくともお前からはか弱さなんざ微塵も見えんがな」

鏡みてみろよお前。顔真っ赤にして屋台で呑んだくれて、ウザ絡みしてくる人の一体どこにか弱さがあるというのだ。

「あたいも仕事で疲れて弱ってんだよ」

「そういう台詞はちゃんと働いてから言おうな」

お前が仕事してるとこなんざ殆どみたことないわ。そんなだから映姫に怒られるんだよ。

「お待たせー。八目鰻の蒲焼と熱燗だよー♪」

自分の前に並べられる。基本いつもは出す側だからなんか新鮮。

「それでは今日もお疲れ様でした〜」

文が俺の御猪口にお酒を注いでくれる。ありがとね。

「それじゃあ改めまして……」

「「「「乾杯」」」」

今日も1日お疲れ様でした。御猪口を傾け一気に飲み干す。喉の焼けるような感覚と鼻を抜けるアルコールの香り。うん、美味しい。やっぱりお酒はいいもんだね。

「でも本当久しぶりだね〜♪どう?お店の調子は?」

みすちーが笑顔でそんなことを聞いてきた。おや?嫌味ですか?俺の傷口抉りにきたんですか?

「いつも通りガラガラだよね〜。今日だって私と天狗がこなけりゃお客さん0だったし」

更に塩を塗り込むようなことを言ってくれる。何?そんなに俺をいじめたいの?終いには泣くぞ。あとお前はお客さんじゃないからね?間違いなく。

「あらら〜。それは残念だね〜」

「もう慣れたよ…………」

「お前さんも大変だねぇ」

「まぁ頑張りなよ。私も応援してるからさ♪」

小町とみすちーが励ましの言葉をかけてくれる。嬉しいけど余計辛くなるからやめてほしい。俺のSAN値がどんどん削られていく。結構メンタル弱いんです。

紛らわすようにお酒をあおる。飲まなきゃやってられない。

「はいもうこの話はやめ!楽しくいこ!」

「随分無理やり切り替えますね」

「これ以上続くと耐えられないんでしょ」

わかってんなら流してください。あれ?おかしいな。視界がボヤけてきた。泣いてなんかない。泣いてなんかない。

「まぁそんな落ち込まないでって。きっとそのうち転機はくるって」

「だといいんだけどね…………」

ほんと上手くいかない世の中だよ……………。



今回はちょっと短めです。
その分次は少し長くするかも?
いずれ飲み回はまた書いてみたいですね^ ^
次回は年末をテーマにかけたらなーって思ってたりします。

質問、感想などお待ちしてます^ ^


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第4話〜お前が言うな〜

今回はちょっと長めです。





「あー頭いてぇ……」

カウンターでコーヒーを飲みながらそんな言葉が出た。あの後結局飲み過ぎて絶賛2日酔い中。色々愚痴ってると何故かお酒の進みが早いんだよね。俺も知らず知らずにストレスとか溜まってるのかな。

「強くないのにあんなに飲むからだよー」

「俺も疲れてんだよ」

てかなんでまた朝っぱらから萃香がいるんだよ。昨日一緒に飲んだばっかなのにまた飲んでるし。最早病気だなこれは。永遠亭いってきたら?

「私にとってはこれが普通だからいいの」

「さいですか…」

これが普通とかどんだけだよ。本当鬼ってどんな体質してんだよ。いや、鬼以前にこいつがやばい気がする。勇儀もよく飲む奴だけどここまでではなかったし。

「まぁ私は酒呑童子だからね」

「そういうもんかね」

「そういうもんだよ」

そういって笑いながら答える。まぁそうなら突っ込んでもしょうがないか?幻想郷では常識にとらわれた時点で負けだ。

そんな会話をしてるとカランカランという音と共にドアが開いた。

「じゃまするわよー」

軽い挨拶と共に入ってきたのは自称楽園の素敵な巫女さんこと博麗霊夢だった。まーためんどくさいのがきたよ。

「何よその嫌そうな顔は」

どうやら顔にでてたみたいだ。だってどうせろくでもない理由できたんだろうし。顔に出てしまうのもしょうがないと思う。

「あんた今ヒマ?」

「見ての通り仕事中だけど?」

「こんな客のいない店で?」

「うっせ、お前が言うな」

自分の事を物凄い棚に上げて凄え失礼なことを言われた。確かにお客さんは少ないけどお前に言われたくない。お前の神社だっていつも客いなくて暇じゃんかよ。

「ふふん、それはどうかしら?」

うわすっごいドヤ顔。なにかいいことでもあったの?

「今日は何月何日かわかる?」

「今日?確か12月30日だけど……あっ」

なるほど、もう年末か。いくら普段客足のない神社とはいえ、年末年始となれば話は変わってくる。初詣にくるお客さんでいっぱいになるはずだ。

「そう!年末年始!1年で1番の稼ぎ時なのよ!」

めちゃくちゃ目を輝かせながら言ってくる。まぁ当然といえば当然なんだが。でもそれと俺になんの関係が?

「つまりどういうこと?」

「その準備を手伝いなさい」

「は?」

なんで俺が?てかそもそも俺は店の仕事があるし。急にそんなこと言われても困る。少しはこっちの予定も考えて欲しい。

「1日2日閉めたところで売れ行きなんて変わんないわよ」

「余計なお世話だ」

確かにそんな変わんないと思うけどそんな言い方しなくてもいいんじゃない?割と傷付いたよ?ていうかどう考えても人に物を頼む態度ではないよね。もうちょっと言いようがあるんじゃない?

「そんな訳だから私もすぐに戻らないといけないから。あなたも早くきなさい」

いやまだ行くなんて言ってないんだけど。

「てかそれならそこの萃香連れてったら?暇してるみたいだぞ?」

「わかったわ、なら萃香も手伝いなさい」

「え、なんで私まで…」

普段邪魔ばっかしてるんだからこんな時くらい役に立って下さい。あと俺も行くことには変わらないんだね。拒否権を下さい。

「そんなものあると思う?」

ですよねー。知ってましたわかってましたよ畜生。なんで俺ばっかこんな目に合うんだよ。現実はいつだって非情だ。

「じゃあ私は先戻ってるから。準備が出来次第きなさい」

そう言って霊夢は出て言った。折角開店したのにもう閉じなければいけなくなるとは。これじゃ本当に潰れたみたいじゃんか。

「もう涼の所為でとばっちり受けたじゃんかー」

むくれた萃香が気怠げに言う。

「お前はどうせ暇なんだからいいだろ」

「涼だって暇じゃん」

「お前と一緒にすんな」

確かに暇だけど。お前みたいに好きで暇してる訳じゃないんだよ。お客さんこないから暇なんだよ。

「暇なことには変わらないじゃん」

まぁそうなんだけどさぁ。お前と一緒にされるのはなんか納得出来ない。

「まぁいいよそんなことは。早く用意しなよ」

「そうだな……」

これ以上話していても拉致があかないので用意に移る。とはいえまだ開けたばっかだからそんなすることもないんだけどね。









---------------

「なんだよ他にも手伝いの人いるんじゃん」

神社に着くと村の人達と河童達が作業をしていた。主に屋台や出店の準備、階段や境内の掃除など。こんだけ人がいるんだったらわざわざ俺がこなくてもよかったんじゃないか?見た所人手が足りないとかそんな感じは無さそうだし。

「お、2人も手伝いにきたのかい?」

「霊夢に無理矢理駆り出されたんだよ」

「はっはっはっ!キミも大変だねぇ!」

そう言って笑っているのは通称谷カッパのにとり?だっけ?忘れた。こと河城にとりだった。

「にとりも霊夢に駆り出されたのか?」

「いや、私は自分の意思できたんだよ。私達にとっても年末年始は稼ぎ時だからね」

そういって建設中の屋台の方を指差す。そーいや河童って興業みたいなこともしてるんだっけか。それならこの屋台や出店も興業の一環なのかな。

「まぁそんな所だね。オマケするから明日は是非買ってよね〜」

「ん、了解。なんか買いにくるよ」

屋台なんて久々だから楽しみだ。やっぱこういった催しってのは楽しくなる。

「今月はピンチじゃな「はいストップそれ以上言うな」……………ごめん」

折角楽しもうというのに萎える様なこと言うなよ。てか今月ピンチなのは昨日君と飲みにいったのが原因でもあるからね?

「金欠は相変わらずなんだね」

そういってにとりがクスクス笑う。もうその話やめない?

「あ、こんなとこにいた。遅いわよあんた達」

そうこうしてると霊夢に声をかけられた。そういや霊夢の手伝いできたんだったね。あとナイスタイミング。いい助け船になりました。

「悪い悪い、でもこれだけ人がいるんなら俺達が来る必要なかったんじゃないか?」

「外の仕事ならね。あんた達には納屋の片付けを手伝って欲しいのよ」

納屋って言うとあの神社の裏にある倉庫みたいな奴か。そいや俺もまだあそこには入ったことなかったな。てかそもそも機能してることに驚きだったり。使ってるとこみたことなかったもん。

「ここ数年使ってなかったんだけど、神酒が閉まってあることを思い出してね。折角だから飾っておこうかと思ったのよ」

あっ、やっぱりぜんぜん使ってなかったのね。そりゃ使ってるとこなんてみないはずだ。てか神酒をそんな全く使ってないようなとこに閉まっておくなよ。バチ当たるぞ。

「てかこの神社って何を祀ってるんだ?」

そういえば今まで聞いた事もなかった。神社である限り何かしらを祀ってはいるはずだけど。

「さぁ?」

「え、知らないの?」

さぁ?って。自分の神社で何を祀ってるのかも知らない奴が巫女やってていいのかよ。てかそれくらい把握しときなさいよ。今まで気にならなかったのかよ。

「そんな事言われても知らないもんは知らないわよ。昔からここにいるけど聞いたこともないわ」

それでいいのかよ。随分と適当だな。萃香の方を見ると知らないと首を振った。古参の萃香も知らないってなるともう殆どの奴が知らないんじゃないか?紫辺りなら知ってると思うけど。今度聞いてみるか。てか霊夢に教えとけよそれくらい。

「まぁなんでもいいわよ。そんな訳で手伝って貰うからついてきなさい」

「はいはい。そんな訳だからまた後でなにとり」

「はいよー。頑張ってきなよー」

軽く手を振ってにとりと別れる。それにしても数年手をつけてない納屋か。聞いただけで嫌な予感しかしないが……。





---------------

「うん、まぁ予想通りだったよ…………」

「凄いことになってるね…………」

納屋の中をみて俺と萃香が肩を落とす。大量のよくわからないものが積み重ねられていて、その上には埃が被っていて蜘蛛の巣だらけ。最早廃墟といってもいいような散らかり具合。よくここまでになるまで放置したもんだ。

「特に用もなかったから放置してたらこうなってたのよ」

「いや放置すんなよ」

用がなくても定期的に掃除くらいしときなさいよ。それくらいできるでしょ基本暇人なんだから。

「嫌よめんどくさい」

もう駄目だこの巫女。そんなんだから参拝客がこないんだよ。

「あぁもううるさいわね!こうなっちゃったもんはしょうがないじゃない!早くやるわよ!」

なんで逆ギレしてんのこの巫女。どう考えても自業自得だよね。

「もう早く終わらせようよ……」

げんなりした様子の萃香が言う。まぁそうだな。文句を言っても終わらないし。

「じゃあやるか……」

さてどんだけかかるのか…………。






---------------

「もう夕方になっちゃったね〜」

膝に座ってる萃香が呟く。あれから作業にかかるも思いの外時間がかかってしまい気がついたらもうこんな時間になってしまった。色々変なものが出てきたりもしたがその辺りは割愛。

「お疲れ様。2人のお陰で助かったわ」

萃香と休んでると霊夢がお茶を入れた湯呑みを持ってきてくれた。そういえばずっと片付けてて何も飲んだなかったな。

「ん、ありがと」

お礼を言って貰うと一気に飲み干す。冷えた麦茶が疲れた体に染み渡る。普段あまりお茶は飲まないんだけどたまにはいいかもしれないね。

「じゃあ今日はもう終わりってことでいいのかな?」

「そうね、他ももうみんな終わってるし今日は解散よ」

「やっと終わりかぁ………疲れたぁ…………」

ようやく終わりかぁ。やっと一息つける。萃香も珍しくよく頑張ってたね。まぁ霊夢の手前ってのがあったんだろうけど。サボったらお札やら針やら飛んできそうだし。

「じゃあ俺はもう帰るよ、お疲れ様」

まだ重い腰を上げて立ち上がる。もう今日は疲れた。さっさと帰って寝たい。

「あ、待って。今日のお礼。夕飯食べてきなさいよ」

唐突なお誘い。んー帰って寝たいんだけどここで無下に断るのも失礼だよね。折角誘ってくれたんだ。ここはお言葉に甘えよう。

「そういうことならお言葉に甘えさせて貰うよ」

「そう、よかったわ。なら今から調理するから手伝ってね」

あっ俺も手伝うの?作ってくれるとかそういうのじゃないんだ。ちょっと残念。

結局この日帰路についたのは日付が変わる頃になった。







いやー思ったよりも長くなってしまいました。
これでも結構削ったんですがね。
文章力の無さが悔やまれます(^^;
駄文ですいませんm(_ _)m

今回は霊夢とにとりに登場して貰いました^ ^

次回は年越しがテーマになるのかな?

質問、感想等があればお気軽にどうぞ^ ^
あと、活動報告の方も更新したので宜しければそちらもお願いします。


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第5話〜不毛な争い〜

ぺったんこーぺったんこー。


「ねぇこの本はどこー?」

「えーっと、確かそこの棚だったかな」

「どこの棚?」

「今いるとこの右側」

「ほいよー」

今日は大晦日。今年最後の日。今年1年の感謝を込めて朝から大掃除の最中。そんな中今日も今日とて萃香が来たのでついでに手伝ってもらっている。

「それにしても昨日に続いて今日も掃除の手伝いをさせられるとはねぇ」

萃香がそんな文句を言う。
まぁ昨日霊夢の手伝いに駆り出されたばっかだもんね。今日ばかりは手伝ってくれることに感謝します。お客さんがなかなかこないとはいえ貸本屋なだけあって物は多い。店にだしてある物に裏にしまってある物まで合わせると相当な量がある。

「終わったよー。次はー?」

棚の整理を終わらせた萃香が言う。

「んーじゃあ裏の片付け手伝って貰おうかな」

裏にも結構な数の本があるからね。萃香と共に本が閉まってある奥の部屋にいく。ドアを開けると少し埃っぽい匂いがした。それなりに掃除はしてるつもりだけどやはり表に比べると少し手入れが疎かになってしまう。

「でも昨日の納屋に比べると大分マシだね」

「まぁそりゃあね」

流石にあそこまでになるまで放置したりはしない。特に本なんてデリケートな物を扱ってるんだから当然と言えば当然かも知れないんだけど。

「で、ここで何すればいいの?」

なんか今日は随分と積極的に働いてくれるんだね。どうしたの?頭打った?まぁありがたいんだけどね。その分早く終わるし。
んーそうだなぁ……

「取り敢えず埃取りしてそれから虫干しかな」

「何それ?」

「本についてる埃をとってから日光に当てて風を通すんだよ」

そうすることで湿気やカビ、虫の害を防ぐことができる。まぁ予防みたいなもんだけどこれが割と効果あるんだよね。前にやったのが梅雨明けの晴れた日だったから今みたいな乾燥期に入ってる時にもう一度やるのが1番効果がある。

「へ〜。随分手間がかかるんだね」

「まぁそんなもんだよ」

本の手入れってのはめんどくさいもんなんです。怠ったら取り返しがつかないことになりかねないし。外の世界の本だから貴重だし、簡単に次のを取り寄せるなんてこともできないからね。

「じゃあさっさとやろうよ。取り敢えず埃をとればいいんだよね?」

「そだね。ゴミ袋はここに置いとくからこれに入れといて」

「ほいよー」







---------------

「夜はやっぱ霊夢んとこいくの?」

ひと段落して萃香と軽めの昼食をとってるとそんな質問がでてきた。

「まぁいくつもりではあるよ」

それに間に合わせる為に朝から大掃除してるんだしね。昼から始めたんじゃ絶対間に合わないもん。それににとりの屋台に行く約束もしちゃったし。

「このペースで間に合うの?」

乱雑に移動されてる棚や山積みになってる本を見ながら萃香が不安そうに言う。

「まぁ間に合うでしょ。あとは店の棚を戻して本を閉まって床を掃除するだけだし」

1人だとちょっと大変かも知れないけど今は萃香も手伝ってくれてるのだしあと数時間もすれば終わるだろう。

そんな話をしてると店の入り口からガチャガチャと言う音と話し声がした。ありゃ、誰か訪ねてきたのかな?
外のプレートはclauseにして置いたはずだけど。ドアの前には移動させた棚があって中には入れない。今日は休みの予定だったし誰かくるなんて思ってなかったからその辺りに気が回らなかった。

「すいませーん。ちょっと待ってくださーい」

そんな声をかけて棚を移動させようと立ち上がった時だった。

物凄い音と共にドアごと棚が粉々に吹き飛んだ。

「「・・・・・・・・は?」」

俺と萃香がその有様をみて固まってると1人の少女が入ってきた。

「ちょっと、あんなとこに置いてあったら邪魔じゃない。お邪魔するわよ」

そんなことを言いながら入ってきたのは我儘お嬢様の天人こと比那名居天子だった。いやお邪魔するわよじゃねーよ。何してくれてんのお前。今待ってって声かけたじゃん。それくらい待ちなさいよ。

「あぁもう何してるんですか!すいませんすいません!うちの総領娘様が!」

そう言って後ろで頭を下げてるのは天子のお付きの永江衣玖。うん、君は気にしなくていいよ。悪いのは全部そこの我儘お嬢様だから。謝るべきなのはそいつだから。

「お前は何してくれてんだよ。余計な仕事増やすなよ」

漸く片付きそうって時になんで更に仕事増やすかね。萃香が凄い顔してるよ?というかどうすんだよその粉々の棚。もう使えないじゃんか。

「てか何しにきたんだよ」

「今年最後の日だから顔を覗きににきてあげたんじゃない。何よその嫌そうな顔は」

「今すぐおかえりください」

「なんでよ!折角この私がきてあげたのよ⁉︎」

いや知らんがな。まずきてくれなんて頼んでない。余計な仕事が増えるだけだから本当に帰って欲しい。

「そうだ早く帰れ!」

俺に続いて萃香も言う。萃香さん激おこじゃないですか。まぁ萃香が片付けてたとこがまた汚されたんだから怒るのも当然だけど。

「何よ!別にあんたの家じゃないでしょちんちくりん!」

「誰がちんちくりんだこのぺったんこ!」

「なっ⁉︎あんたの方がぺったんこでしょうが!」

おっと萃香と天子が不毛な言い争いをしだした。どっちともこれ以上ないってくらいぺったんこなんだから決着なんてつかないだろうに。みてていたたまれなくなるからやめなよ。

「衣玖!貴女もこいつの方がぺったんこだと思うわよね!?」

「いや!お前の方がぺったんこだ!」

「え、私ですか!?」

衣玖さんに思いがけない飛び火が飛んできた。これはまた不憫な。助けを求めるようにこっちを見てくるけど目をそらすことしかできない。俺にはどうしようもないです。力になれずにすみません。

「え、えっと………」

「「どっち⁉︎」」

悩んでる衣玖さんに2人が詰め寄る。本当やめてあげなよ。もう泣きそうになってるよ?

「え、えっと………2人とも……変わらない……と思います………」








---------------

「なんで私がこんなこと……………」

「お前が汚したんだから当然だ」

現在4人で店の掃除中。
まぁ自分が散らかしたんだから手伝うのは当然だよね。
あの後どうなったかって?別に何もありませんよ?ただ2人して泣きそうになってたくらいです。

「どうせ小さいわよ私は……」

何か独り言が聞こえるけど知らない。てか下手に突っ込めば余計店を壊されかれないし。別にそんなこと気にするよなことでもないと思うんだけどねぇ。そんなの人それぞれだし。あっ、俺がそういう趣味って訳ではないですよ?断じて。

「すいません……」

そして何故か衣玖さんが謝る。いや別に君が謝る必要はないと思うよ?寧ろかなり頑張ったと思う。

「で、結局天子は何しにきたの?」

多少無理矢理感があるが話題を変える。

「だから今年最後だから顔を見にきてやったのよ」

随分と上から目線だね。天子に変わらず天人は殆どこんな感じらしいけど。まぁ他の天人なんて見たことないからなんとも言えないんだけどこいつが偉そうなのは確かだ。

「そう、じゃあもう用事は済んだね。お帰りは後ろの扉だよ」

とはいえ後ろの扉なんてもう吹き飛ばされてないけど。冬の冷たい空気が室内に直で流れてくる。寒いったらありゃしない。

「なんでよ!本当に失礼な奴ね!」

「いやいきなりドア吹き飛ばす奴を歓迎する奴なんていないとおもうけど。みてよこれ。風が直で流れてくるじゃん」

ドアがあった場所を指差して言う。このままの状態で冬を過ごすのは流石にキツすぎる。まぁ夏でも嫌だけど。

「何よそれくらい。要は風を防げばいいんでしょ?」

そういって地面を盛り上げて入り口を塞いだ。いや、確かにそれなら雨風は凌げるかも知れないけど違うそうじゃない。俺が言いたいのはそういうことじゃない。

「はぁ……まぁいいよ。片付けくらいは手伝えよ?」

「だから今やってんじゃない」

「本当すいません……」

一向に悪ぶれないねこの子。さっきからずっと謝ってる衣玖さんを見習いなよ。我儘な主人を持つ従者ってのは本当大変だと思う。少なくとも自分はごめんしたい。いつもお疲れ様です。

「もう早く終わらせるわよ。手を動かしなさい」

いや誰のせいでこうなったと思ってるの?少なくとも君が吹き飛ばしたりしなければもう少し早くなったと思うよ?まぁ言ってても仕方ないんだけどさぁ。この子人の話聞かないし。

「はぁ…………」
増えた仕事とこれからのことを思うとため息がでた。





------------------

「漸く片付いた………」

漸く店の掃除が終わった。時計の針は17時を指している。ということはあれからもう3時間も掃除してたことになる。それでも予定よりは大分早いけれども。

「みんなお疲れ」

労いの言葉を変えてみんなに飲み物を出す。

「やっと終わった〜」

「お疲れ様です」

「手伝ってあげたんだから感謝しなさい」

萃香は朝から手伝ってくれてたんだし本当助かった。これは今度何か奢らないといけないかな。
衣玖さんもテキパキと作業を進めてくれてあっという間に終わらせてくれた。ここまで早く終わったのも衣玖さんのおかげって言うのもあるだろう。天子の巻き添えなのにありがとね。
そして1番偉そうな天子はどっちかと言えば邪魔してたよね。頼んだのと違うことばっかするし最後には1人ずっと漫画読んでたよね。一体何を手伝ったというのか。

「じゃあ私達は一足先に神社にいくことにするわ。また後でね」

「随分早くいくんだね。まだ夕方だよ?」

「だからよ。並ばなくても済むじゃない」

あーなるほどそういうこと。まぁ確かに屋台で並ぶのってめんどくさいよね。

「なら裏口から出なよ。表は壊れてるし」

てか君が壊したんだけど。

「ん、わかったわ。いくわよ衣玖」

「わかりました総領娘様。すいません、扉と棚の修理費は改めて持ってきますので」

「ん、了解。衣玖さんはそんなに気にしなくてもいいよ。悪いのはあいつなんだし」

「そういう訳にはいきませんよ。ではまた」

そうして2人は神社に向かっていった。
先程まで騒がしかったのが嘘のように静かになる。

「涼はいつ頃いくの?」

「んー7時頃かな?」

今いってもまだ早いしね。別に屋台でいっぱい買う予定もないし。

「なら私は少し寝たいかな。奥の部屋使っていい?」

「ん、いいよ。時間になったら起こすよ」

そういって萃香は奥の部屋に入っていった。本当にご苦労様でした。

「俺も少し寝るか……」

朝少し早かったし疲れもあって少し眠い。
そうして俺は椅子にもたれて目を閉じた。









今回は天子と衣玖さんに登場してもらいました。
この2人は割と好きだったりします^ ^

次回は博麗神社で年越しって感じだと思います

感想、質問などがあればお気軽にどうぞ^ ^


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