☆駄菓子屋の店員 (モン太)
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白髪の店員

ここは空座町。日本のとある重霊地だ。俺はこの町の浦原商店に住んでいる。俺の名前は白波 颯斗(しらなみ はやと)、11歳。普段はジン太と雨、鉄裁さんで店のお手伝いをしている。とは言っても基本的に俺はサボリ魔だから、鉄裁さんの目を盗んではP○Pでモ○ハンとかゲームをしていたりする。

 

「バッター4番。花菱ジン太....」

 

なんかジン太が箒で遊んでるけど、気にしない。俺は適当に座ってゲームをする。こんなに暑いのに庭掃除なんてしていられるかよ。太陽マジ勘弁。

 

俺は太陽の光を遮る様にパーカーのフードを被る。ついでにポケットに入れてた風船ガムを口に入れる。流石は駄菓子屋だね。おかげで風船ガムは好きなだけストックできる。

 

暫く、クチャクチャとガムを食べながら、ゲームをしているとジン太と雨が喧嘩し始める。喧嘩と言っても、雨が一方的に虐められているいつもの光景だ。

 

「私の方が年上だよ。」

 

「歳とか関係ねーし。レベルが違うんだよ!」

 

歳がどうこうって言ってるけど、死神達から見たら、団栗の背比べだよな。一応俺は、3人の中では真ん中だ。

 

にしても雨はともかく、ジン太ってめちゃくちゃ怖い人相してるよな〜。なんせ、髪の毛ピンクだもんな。それでいて、あの口調にあの態度。雨もよくジン太に噛み付くよな。関心するわ。

 

そんな事を考えながら、ぼーっとしていると、誰かが近づく気配を感じる。ただの一般人ではなく、力は弱いけど霊力はある。たぶん前に来た、朽木ルキアとかいう死神だな。

 

朽木ルキアは雨を虐めているジン太の傘を奪う。あ、優しいんだな。

 

「相変わらずだな、チビ助。店長はいるか?」

 

「........まいど.......」

 

そんな怖い顔でまいどって言う店員がいるかよ。まあ、いいや。俺もゲーム仕舞わないと。鉄裁さんの気配を感じるし。

 

ジン太が店の戸を開けると、中にはかなりごついおっさんが出てくる。鉄裁さんだ。

 

「こら、ジン太。開店にはまだ早い...って、朽木殿でしたか。」

 

鉄裁さんが朽木ルキアに、店員を呼んでくる旨を伝える。この絵すごいな。特に身長差が。2倍ぐらいあるんじゃね?

 

「少々お待ちを。今店員を起こして参ります故。」

 

「残念でした。今日はもう起きてるよ。おはよう。ジン太、雨、颯斗、鉄裁さん。そんでいらっしゃいませ、朽木さん。」

 

浦原喜助。俺は普段店長って呼んでる。店長は、二年前に俺を引き取った人だ。なんでも、元死神で隊長やってたり、技術なんちゃらかんちゃらとか言う凄い組織を作ったそうだ。

 

「昨日、あっちから丁度仕入れてきたとこっすよ。今日は何をお求めで?」

 

そんでお客様の朽木ルキアさん。駄菓子を買いに来た訳ではなく、瀞霊廷から来た空座町担当の死神だそうだ。実力は俺が感じるに、最初会った時は、副隊長>ルキア>三席といった感じかな。でも、今は死神の力を一時的に失って、義骸に入って生活している。今回は、その義骸関係の商品についての商談と購入が目的のようだ。

 

「雨〜。倉庫から持って来て。」

 

「あ、はい。」

 

「箱に新品って書いてあるから。」

 

雨が店長にパシらされる。雨はもう少し、しっかりしてもいいと思うんだけどな〜。1番年上なんだし。まあ、本気出した時はあいつめちゃくちゃ怖いんだよな。そう思うと俺って、1番平和的なやつだよな〜。平和っていいね。それ以上に何か面白い事があれば、さらにいいんだけど。

 

「これだけしか無かったのか?」

 

「そう言わないでくださいよ。それだって、2番人気だったんですから。」

 

義魂丸か〜。女性死神協会ってのも良くわからないセンスしてるよね。

 

「それよりも、いつまでも誤魔化せるもんじゃ無いっすよ。」

 

朽木ルキアと店長の間に緊張が走る。まあ、事情を知っている者なら、誰でもわかる。瀞霊廷から来る死神達だよね〜。

 

「わかっている。」

 

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「これなんて読むか、呼んでみろよ。」

 

「そ、わる、ぴん?」

 

「粗悪品だ!粗悪品!すっげー悪い商品を客に売ったんだよ、テメーは!」

 

ジン太の怒鳴り声が聞こえる。うっさいな〜。どうも雨が、朽木ルキアに間違って商品を渡してしまったらしい。

 

「ふざけんなよ、テメー!ありえねー前髪しやがって!」

 

「うっさい。ゲームの邪魔。」

 

「お前はゲームしてないで、店の手伝いしろよ!」

 

それ、お前が言う?

 

俺の内心のツッコミもまるで無視して、蹴ってくる。あーいてー。あーウゼー。

 

「こら、こら、喧嘩しない。」

 

「しかし、この義魂丸は困った事になりそうですな。」

 

「そうだねー。どっちにしろ、早目に片付けないとねー。彼がどんな事しでかすか、わからないし。」

 

確かにねー。改造魂魄なんて、野放しにしちゃうと何しでかすかわかなんないしねー。まあ、改造魂魄ぐらいなら、すぐに回収できるでしょ。

 

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浦原side

 

彼を見つけたのは、本当にただの偶然でした。たまたま川辺を散歩していたら、1人の子供が堤防に腰掛けて、携帯ゲーム機で遊んでいるのが、目に止まりました。普通なら、特に気にはとめないのですが、見た目がかなり歪でした。白い髪の毛を目元が隠れるくらいに長く伸ばした前髪。白いパーカーを着て、フードを目深に被り、膝下ぐらいの長さの黒い短パンを穿く少年でした。私が驚いたのは、彼の眼。前髪とフードに隠れて見えにくいが、良く見ると瞳の色はオレンジ色。しかも、何故か輝いて見えるような眩しいオレンジ色でした。その瞳はゲーム画面を見ているようで、その実何も見ていないかのようでした。

 

少し、変わった風貌の少年だなと見ていると、少年の真後ろの空間が、突然開き中からトラのような巨大虚が現れました。少年はまるで気付く様子も無く、ゲームに釘付け。巨大虚もすぐ目の前に獲物を見つけて、飛び掛かる。

 

「不味い!」

 

アタシは彼を助けようと瞬歩の構えに入りますが、突如彼の背後に無数の水の玉が浮かび上がり、水球からレーザー光線の様に水流が射出され、巨大虚を一瞬で細切れにしてしまいました。

 

アタシが呆然としている間にも、彼は何事も無いかの様にゲームをしていました。あれは、彼がやった事なのか?しかし、彼からは霊圧の昂りを感じなかった。実際、ウォーターカッターで巨大虚が殺されている時も一切手を止めて無かった様ですし...........。とりあえず、接触してみますかね。

 

「いや〜、見事なお手前で。」

 

「ん?おじさんもモン○ンやるの?」

 

長い前髪から、オレンジ色の眼が覗く。

 

それにしても、目が痛くなる様な色してますね〜。

 

「いえいえ。そっちじゃ無いっすよ。さっきの虚の方ですよ。」

 

アタシがそう言った瞬間、少年の目が見開かれる。

 

「おじさんも、さっきの化け物見えるの?」

 

「ええ、アタシも見えます。浦原喜助、浦原商店の店長しています。あなたは?」

 

私はポケットに偶然入ってた、風船ガムを差し出しつつ、自己紹介する。

 

「俺は白波颯斗。」

 

彼.......颯斗は、私の風船ガムを手に取り、名前を応えてくれました。意外と警戒されなかったっすね。

 

「どうです?1人でゲームするのも楽しいかもしてないっすけど、アタシは寂しいと思いますよ。アタシんとこに来てくれれば、他の駄菓子もありますよ。それに、少しお話を聞いておきたいですし。」

 

颯斗は、特に警戒するでも無く、アタシについて来ました。余りの無防備さに心配になり、親は居ないのかと問いましたが、親は虚に殺されたそうです。颯斗はその時に髪の毛の色が抜け、瞳の色が変色し、今の水を操る力を得て、虚を殺したそうです。

 

アタシは彼にこの世界の事や、アタシの今の状況を教えました。流石に崩玉の事は説明しませんけど。

 

結局、夜一さんと鉄裁さんで話し合い、身寄りの無い颯斗はうちの店員になる事になりました。

 

彼の戦闘能力の高さは恐らく、かなりのものでしょう。颯斗はかなり無自覚のようですけど。アタシはなかなか、いい拾い物を得たのかもしれないっすね。



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