遠坂さん家の聖杯戦争 (くまー)
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1話
設定も何も大して考えていません。
もしも、遠坂姉妹が離れ離れにならなかったら。
もしも、遠坂時臣が弟子の裏切りから生き永らえていたら。
もしも、言峰綺礼と対峙したのが一人ではなかったら。
もしも、赤毛の少年を育てた人物が衛宮切嗣ではなかったら。
そんな、いくつもの『もしも』が重なった、どこかの平行世界のお話。
■ 遠坂さん家の聖杯戦争 ■
「じゃあ、私から召喚するから。貴方達は、隅っこの方で待っていなさい」
「はいよ。うっかりを起こすなよ」
「兄さんに同じく」
「……黙りなさい、気が散るでしょう?」
「「了解です」」
「ったくもう……素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「……」
「……」
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
「……なぁ、桜」
「――――Anfang」
「どうかしましたか?」
「――――――告げる」
「いや、今って……ほら」
「……午前、一時? あれ、でも、家の時計は……」
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「私の腕時計も午前一時……」
「……なんだろう、ものすごく嫌な予感しかしないんだが」
「ど、同感です」
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――!」
「っ!?」
「ふぇ!?」
■
「サーヴァントが三体。しかもラインが混在……」
「うっかりだな」
「うっかりですね」
「……で、誰がどのクラス?」
「スルーしたな」
「スルーしましたね」
「アンタたちは黙っていなさい!」
「短気は損気」
「姉さん、家訓」
「あああああああああああああああああああ!!!」
ワ、バカ、コンナトコロデ……
ネエサン、オチツイテ……
アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
ドドドドドドドドドド!!!
「……」
「……」
「……猛烈に不安です」
「奇遇ですね。同じことを思いました」
「……」
■
「へぇ、サーヴァントが三体も固まって行動しているなんて、珍しいこともあるのね」
「そういうそっちはずいぶんと余裕そうね?一体で勝てるとでも」
「ふふっ、私のバーサーカーは最強だもの。そこらの有象無象程度に負けやしないわ」
「言ってくれるじゃない。……行きなさい、セイバー。がつんと懲らしめてあげて」
「いや、凛のサーヴァントはアーチャーだろ」
「そうですよ、アーチャーさんに失礼ですよ」
「うるさい!空気読みなさい!」
ぎゃーぎゃー、わーわー
「……帰りましょ、バーサーカー」
■
「なぁ、遠坂。僕と手を組まないか?」
「士郎と桜がいるから十分よ。じゃ」
「なぁ、遠坂。僕と手を組まないか?」
「いえ、私には兄さんと姉さんがいますから。それでは」
「……なぁ、遠坂。僕と手を組まないか?」
「いや、勝手に組むと凛と桜が怒るんだ。悪いな、慎二」
「……ちくしょおおおおおおおおお!!!」
■
「ルールブレイカー!」
「なっ、契約が……」
「ふふふ、この宝具の能力は見てのとおりよ。
さぁ、セイバー。私と契や「フィーッシュ!!!」っ!?」
「ナイス、アーチャー!ふふふ、これで……」
「いや、真名解放出来なきゃ無理じゃないか?」
「あ……」
「まぁ、それ以前に色々と言いたいことはあるが……」
「醜いですね。恥ずかしいです」
……ぶちっ
アアアアアアアアアアアアアアア!!!
オ、オチツケ!
ネエサン、ギャクギレキンシデス!
ドドドドドドドドドドドドド!!!
「あ、あの、シロウ、契約を……」
■
「えへへ、お兄ちゃーん」
「っとと、料理中だから危ないぞ、イリヤ」
「んー?大丈夫、大丈夫」
「あー、士郎?色々と訊きたいことが……」
「兄さん?色々と訊きたいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか?」
――――ゾクッ
「あ、ああ」
「シ、シロウ?すごい汗だよ!?」
「だ、大丈夫、きっと、大丈夫だから……」
がちゃっ、ばたん
「……ライダー、もう出てきても大丈夫ですよ」
「……お見苦しいところを見せました」
マ、マテ、サクラ! ソレハシャレニナラナ……ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!
■
どこかの平行世界の、とある魔術一家の物語。
聖杯戦争中でも、遠坂家は平和です。まる。
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