比企谷八幡は選択する (calpass)
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序章

こんにちは、カルパスです!
年末から年始にかけて俺ガイル一気見しました!
続きが気になる最終回でしたので
ifストーリーを自分なりに、
あの続きを書いてみようと思いました!

原作は1巻くらいしか読んだことがないので
ズレてる部分が多いかもしれませんが、
暖かい目で見守って下さい。
あと初投稿ですので慣れない部分も多いと思います!
では、はじまります。




 

 

由比ヶ浜結衣、雪ノ下雪乃、そして俺比企谷八幡の依頼。

あの水族園の出来事から2週間が経った。

 

 

俺は、どうすればいいのだろうか。由比ヶ浜結衣のことを優しい女の子だと思っていた。

雪ノ下雪乃のことを強い女の子だと思っていた。

 

 

だからこそあの日の出来事は本当に衝撃的だったのだ。

 

 

今まで彼女たちと過ごした日々を思い返し

彼女たちの行動を思い返し

俺は自分の中でそう思い上がっていたのだ。

 

 

本当の彼女たちを知らなければ

「 本物 」なんてもの、見つからないのかもしれない。

 

 

果たして、俺たちの問題は、関係は、一体この先どうなってしまうのだろうか。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

まだ肌寒さの残る3月半ば、俺たちは終業式に出ていた。

全校生徒が体育館へ集まり

ふと、本来3年生がいるであろう隣の列に目をやる。

 

 

そう、3年生は先週卒業されたのだ。

城廻先輩ともお別れだ。

本当に学祭では迷惑掛けたな...ははっ。

 

 

そんなことを考えながら

校長の有難いお言葉、もとい無駄話を聞いていた。

 

 

校長の話ってなんなんでしょうね、本当に。

絶対あれ校長の自己満足でしょ?

俺が校長だったら絶対面倒だからしない。

というより式とか絶対やらないまである。

でも来年度から入学する小町のためなら

喜んで、盛大に迎え入れるだろう。

 

 

最愛の妹である小町がこの総武高校に

見事合格したのである。

4月から入学する小町のためにも

奉仕部の関係性を改めなければならない。

と言っても一朝一夕に解決する問題ではないがな......

 

 

式も終わり今日から短い春休みが始まる。

今日でこのクラスともお別れだ。

クラスの奴らは寂しいだのなんだの抜かしているが、

プロぼっちである俺には関係のないことだ。

 

 

「はちまーん!」

 

 

ふと声のする方を見ると

何だが天使が俺に手を振っている。

 

 

「もう、八幡ってばー!」

 

 

ついに俺も天に召される時が来たのかな?

いや天使もとい戸塚である。

いや、戸塚もとい天使か?

なんだ、ただの天使か。

これからは天使と書いて戸塚と読むことにしよう。

 

 

「おう、戸塚か。どうした、何か用事でもあったか?」

 

 

「えっとさ、もう今日でこのクラスともお別れ...だね。あはは...それでさ、また来年度も八幡と同じクラスになったらいいなあって。」

 

 

なんなの、この子本当に天使なの?

今までこんなに優しくされたの小町以外初めてなんですけど、それと何で戸塚は男の子なんだ。マジで神って無能。

 

 

「お、おう。そうだな。俺も知り合いとか全然いないし、戸塚がいてくれるとだな、なんというか、助かる。」

 

 

「あははっ、嬉しいなあ。前と比べて八幡って素直になったよね。あ、そろそろ部活行かないと。八幡、4月からもよろしくね!バイバイ!」

 

 

「おう。じゃあな。」

 

 

戸塚曰く、俺は素直になったらしい。

特別意識はしたことがないが、奉仕部という場所が

彼女たちが、彼女たちを取り巻く環境が

俺を変えてくれたのかもしれない。

 

 

「そんじゃ、俺もそろそろ行きますかな。」

 

 

正直奉仕部に行くのはあまり気乗りしない。

本来俺は専業主夫を希望しているからだ。

それなのに自分から職場へ向かう俺ってマジ社畜の極み。

しかし、そんな軽口を叩く暇などないのだ。

あの日の出来事がそうはさせてくれない。

 

 

行くしかないのだ。行かなくてはいけないのだ。

 

 




ここで序章の終わりです!
初めての投稿なので自分でも違和感だらけで
最後まで書けるか分かりません!
が、ラストスパートまで駆け抜けてみせます!

それではまた次回も
よろしくお願いします。


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いつもと変わらない彼と彼女と彼女の日常


こんにちは!
2話目更新したいと思います!!
面白くなるかどうか分かりませんが、
自己満みたいな物なので気に入ってくれた人たちがいたら嬉しいです!
では、今回もよろしくお願いします。




 

我が総武高校には奉仕部という訳の分からない部活がある。部活動は何?と聞かれ、奉仕部です。と答えても謎しか残らず微妙な空気になるだろう。もっとも俺にはそんなことを聞いてくる親しい人などいない。

我ながら悲しくなってきた、死にたい。

 

 

そんなことを考えながら奉仕部のある別棟まで足を運ぶ。

正直言うとかなり行きたくない。

だって気まずいもん、修学旅行明けの時くらい気まずいのは目に見えてるもん。八幡怖い。

 

 

しかしだ、今回のことは誰かが悪い訳でもない。

ここであの日の状況整理をしよう。

 

 

由比ヶ浜は言った。雪ノ下の問題を解決する。その上でいつか前に平塚先生が言っていた願い事を叶えるということ。あれ、先生って神龍だっけ?まあいい。

由比ヶ浜は自分が全てを貰うということを言っていた。

今の奉仕部を、あの頃の奉仕部へ戻すということか。

いやそれとも.......

 

 

「ヒッキー!!」

 

 

「ひゃひゃいいいっ!」

 

 

そんなことを考えていると

いきなり何者かから名前を呼ばれ、思考を遮断された。

引きこもりを連想させる渾名で呼ぶ者。それを呼ぶ者は彼女ただ1人。

 

 

「由比ヶ浜か、いきなり話しかけるな。飼いならされたぼっちにはレベルが高いんだよ。それと引くな!」

 

 

「いやいやさすがにあの反応はキモかったよ。ていうかヒッキーなんで先に行くし!いつもみたいに待っててくれたっていいじゃん!」

 

 

彼女は頬を膨らましそんな俺に悪態を吐く。

一色ならあざといの一言で済むが、この子素でやってるからな。ガハマさん恐るべし。

 

 

「ああ、悪い。あれがあれだったもんでな、つい。」

 

 

「あれがあれってなんだし!ヒッキーっていつも変なこと言ってるよね。マジキモい!」

 

 

「ちょっと由比ヶ浜さん、キモいはやめてね?それは俺に効く。むしろ効果バツグンでダメージ4倍まである。」

 

 

「まーたヒッキー変なこと言ってるし....。」

 

 

「俺は正常なのだ。それを良いと認識しない社会が異常なのだ。」

 

 

「ヒッキーが何言ってんのか分かんないから、ここは触れないでおくね。」

 

 

ちょっと由比ヶ浜さん。なんで若干Sっ気出したんですかね?俺の認識が正しければ由比ヶ浜さんってドMですよね?絶対雪ノ下さんの悪影響受けてるだろ.....。

 

 

そんな会話をしていると奉仕部の前についた。

地味に緊張するわ。扉開けたら気まずい空気流れるんじゃないのこれ?もう帰りたい.....

 

 

「すー...はー....っよし!」

扉を開ける前に深呼吸をした由比ヶ浜。彼女も少なからず緊張しているのだろう。

 

 

俺はあえてこの2週間あの日のことを話さなかった。

というよりも触れたくなかったのだ。

 

 

テスト週間に入り今日が久しぶりの部活だからな。

2週間ぶりの3人だけの空間。俺はあの空間がいつの間にか俺の大切な居場所になっていた。

だから壊したくない。それはきっと彼女たちも同じことを思っているだろう。

 

 

さて、俺もここは由比ヶ浜を見習って気合い入れますかな。

 

 

「ゆきのん!!や、やっはろー!!」

 

 

いつも通り元気に謎の挨拶をし入室する由比ヶ浜。

 

 

「うーっす。」

 

 

いつも通りテンションの低い挨拶をし入室する俺。

 

 

「こんにちは、由比ヶ浜さん。それと....どなたかしら?」

 

 

いつもと変わらない、今のところ俺と由比ヶ浜の心配は杞憂だったのかもしれない。

いつも通りの光景だ、これがいつも通りの俺たちだ。

 

 

「いや、俺だから。若年性認知症にでも患ったのですか雪ノ下さん?」

 

 

「あなたのことを言ってる訳じゃないわよ、自意識過剰谷くん。あなたの後ろに知らない人がいるわよ?」

 

 

「え!ヒッキーの後ろに誰かいるの!?ストーカー?それともいろはちゃん??」

 

 

「いやいや、それ一色に超失礼だから。というか雪ノ下、そういうのマジで怖えからやめろ。怖くて夜眠れなくなるだろ。」

 

 

「冗談よ、チキン谷くん。それより由比ヶ浜さん。さすがにそれは一色さんに失礼よ?それに比企谷くんをストーキングする人なんていないわ。仮にいたとしても仲間のゾンビくらいしかいないわ。」

 

 

「俺いつからゾンビになったんだよ....。」

 

 

「あらあら、目がそれを物語ってるわゾンビ谷くん。そんなことも分からないなんて、あなた脳もゾンビ並みなのね。」

 

 

「さっきから俺の名前変わりすぎだから、市役所大混乱しちゃうから。」

 

 

「ゾンビが市役所に何の用かしら?そもそもゾンビに人権などないのだけれど。」

 

 

「まあまあ、ゆきのん。そのくらいにして...あははは。」

 

 

「そうね、由比ヶ浜さんに免じてここは許しましょう。」

 

 

一通りの罵倒が終わり、いつも通り雪ノ下が紅茶を各々のカップに注ぐ。

変わらぬ日常だ。俺は紅茶を口に運び、安堵からか紅茶が温かいからなのか、ほっと自然に息を漏らしていた。

 

 





第2話無事終了です!
何とかいつもの3人を表現できたと思います!!
正直思い付きが多いので結構不安です!笑


それでは次回もよろしくお願いします!



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雪ノ下雪乃は考え続ける



第3話です!
年始という人間がダメになるこの時期だからこそ
頑張って投稿しようと思います!!


 

 

あの日のことを振り返る。

そう、2週間前に私たち奉仕部は由比ヶ浜さんの提案で水族園へ行ったあの日のことを....

 

 

「私はもうゆきのんの解決方法が分かったよ」

 

「私が全部貰う」

 

「それでいいよね?ゆきのん」

 

 

今思い返すと私も参っていたのね。

まさか由比ヶ浜さんがあんなことを望むだなんて....

彼女らしくないわ。

 

 

そういえば由比ヶ浜さんイヌザメを触ってる時に比企谷くんに言ってたわね。「私らしいって、なんだろう」って。

 

 

それは私自身にも言えることかもしれないわね。

学校では色々言われてるようですし。

私のことなんて何も知らないのに。

 

 

本当は本物なんて物ないのかもしれない。

由比ヶ浜さんや私の親しい人物、そう比企谷くんから

「らしさ」を言われてしまったのだから。

結局は誰も自分自身のことを相手に伝えなければ伝わらない。由比ヶ浜さんも言っていたわね。

 

 

だからこそ行動に起こしたのでしょう。

今だから少しだけ彼女の気持ちが分かる。

これで壊れてしまうのなら、そこまでの関係だってこと。

 

 

だから私からの依頼は.....

 

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

奉仕部はいつも通り由比ヶ浜はケータイを触り、雪ノ下と俺は読書を嗜む。そして静寂が支配するこの空間にコンコンとノックする音が響き渡り....

 

 

「どうぞ。」

いつも通り雪ノ下の澄み渡る声は、この静寂な空間にピッタリ当てはまる。

 

 

そして....

依頼者ではなく....

 

 

「こんにちわー!」

 

 

「いろはちゃんやっはろー!」

 

 

「やっはろーです、結衣先輩!」

 

 

「こんにちわ、一色さん。」

 

 

「こんにちわです、雪ノ下先輩!」

 

 

一色いろはである。彼女は....説明は面倒くさいのであざとウザい後輩ということにしておこう。うん、そうしよう。

 

 

俺は挨拶せずに無視でも決め込もうかと思ったが、何やかんやで一色も奉仕部の一員のようなもんだ。

仕方なくアイコンタクトだけで済ませる。

 

 

「せ〜んぱいっ♡」

 

 

「なんだよ、だからあざといんだよ。」

 

 

「あざといってなんですか!?先輩の方があざといですよ!!」

 

 

「はあ....さいですか。」

 

 

「本当に失礼な先輩ですね、こーんなに可愛い後輩が話し掛けてあげてるというのに。」

 

 

「なんでいつも上から目線なんですかね、このあざとウザい後輩は。」

 

 

「え、ウザいって酷くないですか?雪ノ下先輩、先輩がいじめてきます。」

 

 

「おいちょっと待て、別にいじめてなんてない。俺はだな、ただ客観的な意見を言っただけであって....」

 

 

「問答無用よ、比企谷くん。女性に対してウザいとは何事かしら。大体あなたには友達がいないでしょ?世間から外れたレールを走っているというのに、客観視なんて出来るわけがないじゃない。」

 

 

酷い言われようである。

 

 

「そうだよヒッキー!いろはちゃんに謝って!!」

 

 

ぐっ、由比ヶ浜まで....。女が結託するとロクなことがねえな本当に。

 

 

「す、すまんな、一色」

 

 

「えー、でもー。先輩ウザいだけじゃなく、あざといとも言ってきたじゃないですか〜」

 

 

「それお前も俺に言ってるけ「比企谷くん」はいすみません。」

 

 

雪ノ下に横槍を入れられ萎縮してしまう俺。

なんでいつもこんな虐げられるんですかね。これってイジメだよね?そうだよね?八幡悪くない。

 

 

「じゃ〜あ〜、先輩、今度の土曜日デートして下さい♡」

 

 

「「「え!?」」」

 

 

一色さん、これ以上荒波立たせないで下さい.....

 

 

 






第3話も無事終了です!

ゆきのんの依頼により
奉仕部の関係が緩和されたと解釈して下さい。
依頼内容はまたきちんと書こうと思ってますので悪しからず、、、

それでは次回もよろしくお願いします!



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一色いろはは本物が欲しい



第4話目です!
こんな駄文にお気に入り登録してくださった方も見えて
わたくし感激です!本当にありがとうございます!


それではさっそく




 

 

「それでも俺は....本物が欲しい...」

 

 

立ち聞きするつもりはなかった。

けれどそれ以上に、奉仕部の関係性に少し興味があったから。

 

 

初めは先輩のことなんて、扱いやすいチョロそうな人だと思っていた。

結衣先輩に対しては頭の軽いムードメーカー。

雪ノ下先輩はただただ怖い人。

その程度に思っていた。

 

 

けど、そうじゃなかった。

先輩は確かに目が死んでいて、猫背でやる気がなさそうで。でも最終的に依頼者を助ける責任感のある人で、気遣いもできて優しい人です。

 

 

結衣先輩も持ち前の明るさと、暴走する2人をまとめる力があったり、時には核心を突く。奉仕部で1番すごい人なんじゃないかってたまに思います。

 

 

雪ノ下先輩は言葉に棘があって確かに怖いですが、その言葉の裏にはちゃんと優しさもあります。

そして誰よりも奉仕部のメンバーを大切に思っています。

 

 

そんな3人の関係が羨ましくて、いつもちょっかい掛けたくなって、それで....あの日。先輩の言葉が私の核心を突きました。

 

 

私も、本物が欲しい。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「じゃ〜あ〜、先輩、今度の土曜日デートして下さい♡」

 

 

「「「え!?」」」

 

 

「一色さん、正気かしら?」

 

 

「そうだよ!いろはちゃん。相手は...その.....ヒッキーだよ?」

 

 

「おい、お前ら。人をなんだと思ってるんだ。それより一色、お前葉山のことが好きなんじゃないのか?」

 

 

「当たり前じゃないですか〜。え、もしかして先輩口説いてますか?去年フラれた可哀想な後輩の弱みに付け込んで今ならイケると思ってるかもしれませんが段階踏んでからじゃないと無理です。ごめんなさい。」

 

 

本当に俺何回こいつにフラれるんだよ。通算何回目だよ。1ダースくらいはフラれてるよ。

 

 

「お前のその俺を振るネタもう飽きたわ。それと別に口説いてないから。」

 

 

「え〜、そんなこと言って照れてるんじゃないんですか?先輩。」

 

 

「はいはい、あざといあざとい。」

 

 

「またあざといって言った!!」

 

 

「カップルごっこなら、他所でやって欲しいのだけれど。」

 

 

「ふぇっ!?先輩と....カップル...」ぼそぼそ

 

 

「いやいや、何でこいつと付き合ってることになってるんだよ。さっきの応酬聞いてなかったのかお前?俺告ってもないのにフラれたんだぞ?それに一色が好きなのは葉山だ。分かったか?」

 

 

「あはははは....ヒッキーって本当に鈍感...」

 

 

「いやいや俺超鋭いし。全校生徒からの嫌われ者ってことくらい分かってるし。廊下を歩けばヒソヒソ噂されてること気付いてるくらい鋭いし。」

 

 

「ものすごいネガティヴな発想だ!」

 

 

「はあ、由比ヶ浜さん。この男に何を言っても無駄よ。もう分かってるでしょ?」

 

 

「そうだね。ヒッキーだもんね。」

 

 

「おい、何だよ人をあんまり遠ざけるな。さすがにお前らに遠ざけられると泣くぞ。」

 

 

「え!?ヒッキー....」

 

 

「あの比企谷くんが....天変地異の前触れかしら....」

 

 

「おい、人を大災害みたいな扱いすんな。それよりも一色、お前も少しは否定しろよ。曲がりにもお前葉山のことが好きなんだろ?俺の彼女とか不名誉すぎて末代まで笑われるぞ。」

 

 

「ふぇ!?そ、そそそそうですね。私が好きなのは葉山先輩ですよ!!勘違いしないで下さいよ〜、私が先輩のこと好きになる訳ないじゃないですか〜。」

 

 

(その割には物凄く動揺してるんだけどね、いろはちゃん。あはは....)

 

 

「ほらな?だから言っただろ雪ノ下。一色には俺に対する恋愛感情なんて皆無だ。はい論破。」

 

 

「この男の性格が直ることは、来世でもあり得ないようね。そういうことにしておくわ。これ以上の争いは不毛よ。」

 

 

「ゆきのん。うもうって何?」

 

 

「いや、不毛な。それ温かい布団だから。」

 

 

こんな奉仕部の日常が私には羨ましくて羨ましくて仕方ない。本音を包み隠さず、自分の素を出せるそんな相手がいるこの空間に私は嫉妬した。

 

 

だからこそ、私も踏み込んでみます。

きっと結衣先輩も、雪ノ下先輩も、先輩のことが好きなはずです。ですがいくらお2人でも先輩は誰にも渡しません。

後輩だからこそできる。最高の甘え方をお2人にお見せしましょう。

 

 

「ところで先輩、デートどこに行きますか?」

 

 

「え、あれ本気だったの?俺とじゃなくて葉山と行けよ。」

 

 

「先輩はあくまで練習相手です。そ・れ・に、私を生徒会長にしたんですし、きちんと責任取って下さい。」

 

 

「はあ、分かったよ。またメールで確認するから、一先ずそれでいいか?」

 

 

「はい!よろしくで〜す☆」

 

 

「ヒッキーのバカ....。そういえば、ゆきのん。部活って春休みどうするの?」

 

 

「そういえばそうね。全く決めてなかったわね。」

 

 

「なしでいいんじゃないか?というか春休みくらい家でゆっくりしたい。」

 

 

「そうね、比企谷くんの言う通りね。私から平塚先生に伝えておry」

 

 

ガララッ

 

 

「入るぞー」

 

 

雪ノ下との会話の最中何者かが奉仕部へ入ってきた。噂をすればなんとやら、平塚先生である。

 

 

「平塚先生、ですから入室の際にはノックを。」

 

 

「いやーすまんなあ。それよりもみんな揃ってるな。奉仕部の春休みについてだ。」

 

 

「いや、それならさっき雪ノ下と春休みは活動しないという結論に至ったのですが....」

 

 

「比企谷、この部活の顧問は誰だか分かっているのか?」

 

 

「平塚先生ですが.....職権乱用ですか?」

 

 

「何を言っている。そんなこと私はしない。そういえば夏休みは臨海学校のボランティアへ行ったな。ということで春休みは花見だ。ボランティアとしてではなく、部の親睦を深めるという意味でだ。」

 

 

「えっとー、私は部外者なので....」

 

 

おい逃げるないろはす。花見と聞いて平塚先生が呑んだ勢いで暴走する所まで想像しただろ。お前の思っていることは分かる。だがな、平塚先生がそんなこと許してくれる訳ないだろ。

 

 

「いーや、一色。最近君もこの奉仕部に入り浸っているらしいじゃないか?特別に参加を認めようじゃないか。」

 

 

ほらな。

 

 

「そうね、一色さんも奉仕部の一員と言っても過言じゃないわ。部長の私からも認めるわ。」

 

 

ちょっと雪ノ下さん。悪い顔してますよ。一色さん泣きそうな顔しちゃってるんで、あまりイジメないで下さいね?

 

 

こうして波乱に満ちた花見が幕を開けることとなった。

 

 






無事に第4話も終わりました!
ありがとうございます!!

次回はお花見の前にいろはすとデート会でも挟もうかと思います!
お花見はその次ですかね?まあ気分です!


次回も頑張ります!!



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またもや一色いろはと比企谷八幡はデートをする



こんにちは。ということで第5話です!
ペースがかなり早いのはあまり考えてないということです。嘘です、きちんと終わり方は考えているのでご心配なく、、、


ちょっと今お酒飲んでるのでテンション高いですが、
八×色デート会をお花見前に挟みましょう!
有言実行であります!


それではどうぞ!




 

 

拝啓、最愛の妹小町様。

お兄ちゃんは今あざとウザい後輩とデートしてます。

 

 

練習相手とは言えこいつガチすぎんだろ。

中学の俺だったら惚れるまである。はあ.....

 

 

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「ただいま。」

 

 

「お帰り!おにいーちゃん♪」

 

 

帰宅すると天使が待っていた。

最愛の妹、小町だ。

千葉のお兄ちゃんは皆シスコンである。

もちろん俺もその例外ではない。

 

 

「いやー、ついに小町も華の高校生だよ!春休み明けからお兄ちゃんと一緒に登下校できるなんて、本当に夢のようだよ。あ、今の小町的にちょーポイント高い!」

 

 

昔からこの謎のポイント制度があり

俺は累計何ポイント貯めたのだろうか。

その貯めたポイントで小町と結婚できるのだろうか。いやないわ。うん、ないな。

 

 

「そうだな。早く小町と優雅なスクールライフを送りたい....」

 

 

「なーに言ってんの、このゴミいちゃんは。お兄ちゃんの周りには素敵な人だらけじゃん。むしろ両手に収まらないくらい華があるんだよ?早く小町に未来のお姉さんを紹介して欲しいよ。」

 

 

「それは無理な相談だな。なんてったってぼっちは群れない。孤高の生き物なのだ。」

 

 

まーた変なこと言ってるよこの人。って顔で俺を見つめる小町。べ、別にお兄ちゃんはそんなことで喜ばないんだから!変な性癖に目覚めないんだからね!うん、本当に頼むわ。

 

 

「それよりお兄ちゃん。ちゃんと小町を奉仕部に迎え入れる準備はできてるの?」

 

 

「ああ、心配すんな。大丈夫だ。」

 

 

そう、小町は俺の所属している奉仕部に入りたがっている。正直小町がいれば今奉仕部が抱えている問題を少なからず、俺たち3人で解決するよりかは早く解決出来るであろう。しかし、これは俺が解決しないといけないのだ。雪ノ下さんも俺に委ねる依頼をするの止めて貰えませんかね?

 

 

こんなことはさすがに妹には言えない。2人にもプライバシーはあるからな。

マジ俺って優しすぎる。優しすぎて小町と同じ天使属性が付与されるまである。いや、ないわ。目腐ってるし。自分で言ってて死にたくなってきた。

 

 

そんなことを考えているとケータイのバイブ音が鳴った。

 

 

『一色』

 

 

ケータイのディスプレイには一色からのメール通知がきていた。

 

 

無視したいがさすがに約束してしまった手前、さすがに可哀想だからな。ここは先輩として、大人になろうじゃないか。

 

 

差出人:一色

 

件名:土曜日について

 

本文:先輩!土曜日のこと絶対に忘れちゃダメですからね?

それと私は新しい服が欲しいので、

土曜日はららぽにでも行きましょう♡

集合場所は千葉駅で時間は11:00で!

遅刻したりサボったりしたら雪ノ下先輩に言いつけますからね?分かりましたか?

 

 

「ああもうこれ逃れられないやつですね。」

 

 

完全に外堀は埋められた。

まあ別に最初から相手するつもりだったから、こんな用意周到な真似しなくても良かったのにな。

 

 

とりあえず俺は『了解』一言だけ添えて送信した。

 

 

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「せ〜んぱいっ♡お待たせしました!待ちましたか?」

 

 

「うん、超待った。お前この間みたいに遅れるなよな。仮にも先輩だぞ俺。」

 

 

この間とは、まあちょっと前だけど。なりたけでラーメン食ったり卓球したりリア充が好きそうなお洒落なカフェ(笑)に行ったりした、あの時のことだ。

 

 

「も〜先輩。そういう時は今来たところっていうのがテンプレじゃないですか〜。ということで-10点です。」

 

 

出たよ謎の採点制度。しかも会って1分も経たないうちに最高でも90点だ。いちいち腹立つなこいつ。

 

 

「あーはいはい、そういう所あざといですね一色さん。」

 

 

「もう、なんですかいつもいつもあざといって!!」

 

 

「ほら、行くぞ。今日は花見に行く奴らでごった返してるからはぐれるなよ?」

 

 

そう言って俺は普段小町にするように一色の手を、自然に握ってしまっていた。

 

 

「〜〜〜///なんなんですか先輩いきなり!!そうやって大義名分の元私の手を握るだなんて10年早いですしそういう事は付き合ってからにして下さいごめんなさい。」

 

 

やってしまった。だってこいつ歳下だし、なんやかんやで俺のこと頼ってくるんだもん。ていうか今日もフラれたのだが....。

 

 

「ああ、すまん。いつも小町にするようなことをしてしまったんだ。悪気はないんだ。本当に悪かった。」

 

 

誠心誠意謝らないと、後日雪ノ下や由比ヶ浜に密告しそうだからなこいつ。そうなった場合俺は磔刑を受けるまである。

 

 

「ふ、ふーんだ。別に嫌じゃなかったですけどね!///でも先輩、女の子とのデート中に他の子の名前を出すのはNGです。よって-20点ですからね。」

 

 

もう70点が限界かよ、この先が思いやられる。はあ。

 

 

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ららぽーと。通称ららぽ。千葉県民憩いの場であり、ここがららぽーと1号店でもある。

ショッピングモールとしてかなりのテナント店が並び、どの店も大変魅力的である。

そして今日は土曜日ということもあり、家族連れやカップルでごった返している。

正直言うと人混みは嫌いだ。今すぐ周り右をして帰宅したい所だが、さっきから一色が俺の手を握って離さない。

近いしいい匂いがするし腕も絡めてきてるし何か当たってるしいい匂いだし近い!!

 

 

いくら飼いならされたプロぼっちの俺と言えども、女性への免疫は皆無である。

こういう行動がですね、多くの男子を死地へと追いやるんですよ。一色、お前なら絶対他の男子にも同じことをしているに違いない。断言しよう。だから間違ったってトキめいたり惚れちゃったり、今度告白なんてしてフラれたりしないんだからね!!ってやっぱりフラれるのかよ俺....。

 

 

「せんぱ〜い、ちょっとこのお店寄ってもいいですか〜?」

 

 

相変わらず甘ったるい声で俺に確認を取る。

ていうか君最初から買い物目的で来てるんだし、わざわざ俺に了承得る必要性ないよね?だったら俺も言わせてもらおう。別行動がしたいと!!

 

 

「ああ、いいぞ。てか俺さ、「先輩、別行動取ったらどうなるか分かりますよね?」

 

 

怖い!!いろはすマジで怖い!!

なんで俺の心の声分かったの?エスパーなの?

てか笑顔なのに目が笑ってない。更に怖い!!

 

 

「い、いや。なんでもないです。一色さんの気が済むまで見てて下さい。」

 

 

「え〜!いいんですか?じゃあ先輩にも私の似合いそうな服とか選んで欲しいです!」

 

 

「いやいや、俺ファッションセンスとか皆無だから。普段の俺見て分かんないの?」

 

 

「で〜も〜、先輩には小町ちゃんっていう年頃の妹さんがいるじゃないですか〜。だったら少しは分かるんじゃないんですかねえ?」

 

 

こいつ!!集合した時には他の子の名前出すなとか言ってたくせして、自分はいいのかよ。本当にいい性格してんな。

 

 

「分かったよ。じゃあ、これなんてどうだ?」

 

 

俺はたまたま小町が読んでいた、偏差値25くらいの雑誌を読んだことがある。ファッションはもちろんのこと、意味のわからん恋愛コーナーなど....。

てかなんでファッション誌に恋愛コーナーなんてあるんでしょうね?ファッション=恋愛の道具って認めてるようなもんだよね?

 

 

そんなことはどうでも良いが、俺はCMやら小町の読んでいた雑誌から一つの答えに辿り着いたのだ。

それがこれだ。

 

 

「へ〜、ガウチョパンツですか。先輩って意外と女の子のファッションに詳しいんですね。」

 

 

「小町の読んでいる雑誌に今年はガウチョパンツが流行ると書いてあったからな。確かに背が低かったりするとスタイル悪く見えるが、一色ならスタイル良いしそこらへん大丈夫だろうな。」

 

 

「///な、なんなんですか今日は!さっきから口説きすぎですし不覚にもキュンとしましたし先輩のこと彼氏としてアリかなって思いましたけどまだ経過を見たいのでちょっと待って下さいごめんなさい。」

 

 

「お前よく息継ぎなしでそんな長文言えるな、逆に尊敬するレベルだわ。」

 

 

「ちょっと待って下さいよ。試着したいですし、今日の服装には合わないので、他の服と合わせてみます!」

 

 

「おう、分かった。じゃあ試着できたら呼んでくれ。」

 

 

「は〜い!先輩、間違っても覗いちゃダメですよ?フリじゃないですからね?」

 

 

それ往年のギャグだったらフリだからな....本当にあざといなこいつ。

 

 

5分後。

 

 

「せんぱ〜い、お待たせしました〜!」

 

 

試着室から出て来た一色は普段とは全く違ったジャンルの服装をしていた。

先程のガウチョパンツに上はブルーのヒラヒラしたトップス。首元にはネクタイのような形のしたスカーフ。そして頭には黒のハンチング。

いつもの甘ったるい一色の姿はなく、急に大人びた彼女に俺は一瞬ドギマギした。

 

 

「あの.....先輩、どうですか?何か言ってくれないと恥ずかしいですよ?」

 

 

「彼氏さん、彼女さんとてもお似合いですよ!」

 

 

「わ、私が先輩の彼女.....///」ぼそぼそ

 

 

完全に見惚れてしまった俺は我に帰り、率直に感想を述べた。

 

 

「まあ、なんだ。似合ってるぞ。普段の服装よりも俺はそっちの一色の方が好きだな....」

 

 

ぐあああああああああああああああ何言ってるんだ俺恥ずかしすぎて死にたい帰りたい土に還りたい俺って肥料なの!?あああああああああ。

 

 

「ふぇっ!?そ、そうですか。先輩がそこまで言ってくれるなら、参考にしますね///。店員さん、これ一式全部下さい!」

 

 

「お買い上げありがとうございます!」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

その後のことは正直何も覚えていない。

俺なんてまともに一色を見ることすらできなかった。

もうほんとお家帰りたい。やはりぼっちが外に出るのは間違っている。

 

 

「先輩、今日は.....その、ありがとうございました。お陰様で楽しかったです。今日の先輩は色々ありましたけど、私の中で100点満点でしたよ。だから、そのお礼に....」

 

 

一瞬の出来事で訳が分からなかった。

頬に一色の唇が当たったように感じた。気の...せい、だよな?

 

 

「言っときますけど先輩、私初めてだったんですからね///。この責任もいつか必ず取ってもらいますからね!そ、それではまたお花見で!」

 

 

あれ、一色って葉山のことが好きだったんじゃなかったっけ?もう今日は疲れた。考えるのは止めよう。うん、そうしよう....。

 

 

こうして俺と一色とのデートは幕を閉じたのだった。

 

 

 






今回もありがとうございました!!
あのですね、わたくしのエゴで申し訳ないんですけども、ただただいろはすファンということで、こんな内容になってしまいました笑


ほんといろはすってどんどん可愛くなっていくので、そこが魅力だと思います。ああああ八幡がうらやまけしからん!!!!


それではまた次回お会いしましょう。



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お花見は人間性が垣間見える①


ということで最新話でございます!!
暖かいコメントに私感激しました!!


コメントにもありましたが
いろはすメインではありません!!
他のヒロインにもスポット当てますので悪しからず、、、


それではどうぞ!!




 

なに....これ.....

誰が思い浮かべただろう。

いや、確かに一色と同じく俺は本能的に悟ったが、まさかここまでだったとは.....

 

 

一体いつから間違い、こうなってしまったのだ.....

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

遡ること2日前。

 

 

比企谷家。

 

 

心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却.........

 

 

俺の名前は比企谷八幡、ただのシスコンだ。違う。そうだけどそうじゃない。

なんであんなことになったんだよ。一色頭おかしくなったのか?理性の化け物だよね俺?豆腐すぎやしませんか?

だが安心しろ、このくらいで惚れる俺じゃない。うん。

 

 

そう、俺はデートの練習相手という名目で一色と遊びに行っていたのだ。初めはあざとうざいとか思っていたが、学校では見せないあの態度に不覚にもドギマギしてしまったのだ。

 

 

てか俺には2人の問題があってだな、なんで選択肢増やしてるんだよ。ぼっちがハーレムって矛盾してんだろ。

くううう、疲れましたー、八幡くん疲れましたー。

 

 

「お兄ちゃん座禅なんて組んで何やってんの......」

 

 

「え、いや。最近出家男子増えてるらしいから、俺も少しかじってみようかと。」

 

 

はあ?というリアクションと共に小町は自室へと足を運ぶ。小町ちゃん、確かにそのリアクションは正しい。俺だってそうする。誰だってそうする。

 

 

ヴヴヴ....

 

 

音の先に目をやるとメールが来ていた。

 

 

差出人:☆♢♡ゆい☆♢♡

 

件名:お花見について

 

本文:2日後にお花見することが決定したよ(*゚▽゚*)

場所は○○公園に11:00集合ねo(^_-)O

ご飯はゆきのんと平塚先生が用意してくれるってさ!

私も何か用意出来るものあるかな?

 

 

最後の一文は読まなかったことにしよう。

ここで迂闊に肯定しちゃえばダークマターを食うはめになる。まだ俺死にたくない。

 

 

とりあえず『了解』一言だけ添えて送信した。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

2日後。お花見当日。

 

 

「さてと、そろそろ行きますかな。小町、お兄ちゃんちょっと出掛けてくるわ。」

 

 

「あ、お兄ちゃん待ってー!小町も一緒に行く!」

 

 

「え?小町もどっか行くのか?」

 

 

「え?結衣さんに聞いてなかったの?小町も来年奉仕部だし参加するんだよ。」

 

 

聞いてねえぞそんなこと。別に小町だから全然いいけど、これが葉山とかだったら帰りたくなっちゃうから。

 

 

「そうだったのか、まあいい。行くぞ小町。」

 

 

○○公園。10:50

 

 

「おっ待たせしました〜、本日は小町もお呼び頂きありがとうございます♡」

 

 

「いいのよ小町さん、今日は一緒に楽しみましょう。」

 

 

「小町ちゃんやっはろー。」

 

 

「結衣さん、やっはろーでーす。」

 

 

「そういえば比企谷くんの姿が見えないのだけれど。」

 

 

「いやいや、さっきから小町の隣にいるから、ガラスのハートだからやめてくれる?」

 

 

「何を言っているのかしら嘘谷くん。あなたがガラスのハートだったら全世界の人々は線香花火レベルよ。そうやって虚言を吐く行為はやめなさい。」

 

 

なんでいつも俺はいちゃもん付けられるのだろうか....

 

 

「雪ノ下、そういえば平塚先生はまだ来てないのか?」

 

 

「ええ。もうすぐ来ると思うのだけれど。」

 

 

「諸君、待たせたな。」

 

 

一瞬材木座かと思ったんでやめて下さい平塚先生。

 

 

「平塚先生、遅刻ですよ。以前から一教師であるあなたが遅刻をするという行為は「まあまあ雪ノ下、いいじゃないか。今日はせっかくの花見だ、桜に免じて許してくれ。」

 

 

早くも先生は缶ビールを手にそう言っていた。

この人こういう所がなければ貰い手見つかるのにな、勿体無い。

 

 

「すみませ〜ん、遅くなりました〜」

 

 

「おう、いっしきい!?」

 

 

なんと一色はこの間買った服を着てきたのだ。もうあの日のことは思い出したくないのに....やめて、もう八幡のライフは0よ。

 

 

「せ、先輩。今日の服どうですかね?」

 

 

「お前それ本気で言ってる?また俺の黒歴史が増えることになるんですけど。」

 

 

「なんで私の服装が黒歴史と関連するんですかー!!」

 

 

そう言いつつ頬を膨らませる一色。ほんとあざといなこいつ。

 

 

「それじゃ、役者も揃ったことだし奉仕部の花見を始めるぞ。皆んな飲み物は持ったか?では....かんぱーい!」

 

 

「「「「かんぱーい」」」」

 

 

ここまでは問題なく進んだ。由比ヶ浜は結局雪ノ下が止めに入り、一切料理させなかったこと。俺への罵声という集中砲火を浴びたが、いつも通りだ。八幡強い子だから泣かない。ほんとだよ?

 

 

しばらくすると近くの方から

 

 

「桜とかマジ綺麗っしょー!日本の風情ってやつ?きてますわー。」

 

ワイワイガヤガヤ

 

 

今の絶対戸部だよ。ってことは葉山たちもいるってことか?うっわ、春休みくらいお前らの顔なんて見たくねえよ。ここはひとつ。ステルスヒッキーで対処しよう。心を無にするのだ。無無無無無無無無無無無無無!!

 

 

「あ〜、葉山先輩!お久しぶりで〜す!」

 

 

「いろはじゃないか。久しぶり。それに奉仕部のみんなも来てるんだね。」

 

 

何で声掛けちゃったんですかね。ステルスヒッキー台無しだよ。

 

 

「あっれ〜、いろはすじゃーん。俺らも花見混ぜてくんない?腹減っちゃってさー。」

 

 

「えっと、これは奉仕部の親睦会っていうか、料理も雪ノ下先輩が作ってくれたので.....。」

 

 

「まあまあいいではないか、私は生徒に差別なんてことしないぞ。葉山と戸部も一緒に楽しもうじゃないか。」

 

 

「先生マジっすかー?あざーす!ていうか雪ノ下さんの料理マジぱないわ〜。」

 

 

「あれ?隼人?どうしたのこんなところで?」

 

 

「あれ、優美子に姫菜じゃないか。2人も花見かい?よかったら一緒にどうかな?」

 

 

なんで部外者のお前が仕切ってんだよ.....。正直お前は帰れ、あとさっきからベーベーうるせえ戸部。

 

 

「隼人が言うのなら仕方ないわね。」

 

 

「雪ノ下、いいのか?三浦とは犬猿の仲だろ?」

 

 

「別にいいわよ。こんなこともあろうかと思って、沢山作ってきたのだから。」

 

 

さすがは雪ノ下。関心した。

 

 

「それに、もう過去の出来事なんて水に流そうと思って。三浦さんとも4月から同じクラスになるかもしれないでしょ?だからもういがみ合うと....ほら、由比ヶ浜さんにも迷惑掛けてしまうでしょうし....。」

 

 

あなた本当に雪ノ下さんですか?

俺の知ってる雪ノ下さんだったら『ここは奉仕部のお花見よ。部外者は立ち去って頂けるかしら?それに葉山くんも勝手な行いは謹んで頂きたいのだけれど?』

 

 

これが雪ノ下なんだが.....。

少なくとも雪ノ下だって奉仕部での良い影響を受けたのだろう。あの依頼も俺たちが出会う前は絶対に言わなかったと思う。

まあ、こういうのもたまには良いかもな。

 

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「あれ〜せんぱい、もうジュースがなくなっちゃいました〜。買ってきて下さいよー。」

 

 

「何で先輩にパシらせんだよ。そういうの戸部の役目だろ。」

 

 

「ヒキタニくんマジ酷くない?ないわ〜、それないわ〜。」

 

 

「あはははは。それじゃあ私が行って来るよ。ってことでヒッキーも着いてきてね!」

 

 

「何で俺も強制参加なんだよ、はあ.....。分かったから行くぞ。」

 

 

「ひーきーがーやー、私の酒も買ってこーい!」

 

 

あれから平塚先生はそれは酷く酔っ払った。俺たちが止めても内申が云々とか言い出した。これ立派な職権乱用ですよね?許すまじ。

 

 

「分かりましたから落ち着いて下さい。じゃ、由比ヶ浜、行くぞ。」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「なんか、2人きりでこうやって歩くの久しぶり.....だね。」

 

 

「そうだな。あまり由比ヶ浜とはゆっくり話せなかったしな。」

 

 

「ヒッキーはさ、私のこと...どう思ってる?」

 

 

「え、何だよ藪から棒に。」

 

 

「あはははは.....。最近ヒッキーいろはちゃんと仲良いし、ゆきのんとも前みたいに言い合えるようになったじゃん?なんだか私だけ疎外されたように感じちゃって.....。」

 

 

由比ヶ浜結衣は優しい女の子。という認識は間違っている。これは本人が言っていたことだ。しかし俺自身、いや周りの評価から見ても優しい女の子というのは変わりはない。ただ、由比ヶ浜自身も本物が欲しいのだ。あるかどうかも分からない虚像を追いかけているのだ。

 

 

そして彼女は周りに流されやすい性格をしている。そのせいで雪ノ下や三浦に怒られてた時もあったな。つまり彼女は周りに流されやすい=周りがいないと不安なのだ。今回の一色と雪ノ下と俺の関係性を見て不安になったのだろう。

 

 

「なあ、由比ヶ浜。その...なんだ。明日とかって、暇か?」

 

 

「え!?明日?.....うん。暇だ、けど....///」

 

 

「なら、明日2人でどこか行かないか?」

 

 

普段の俺なら絶対にしない行動。それを取らせた由比ヶ浜は人を動かす力があるのかもな。事実不動の雪ノ下を影で支えているのは彼女なのだ。

だから俺はこいつには敵わん。

 

 

「え!?いいの!!すごく嬉しいな///ヒッキーからのお誘いってかなりレアだしね...// じゃあ明日楽しみにしてるね!」

 

 

そう言った由比ヶ浜の笑顔は、いつも以上に輝いていた。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

買い出しから戻ってきた俺たちはというと......

 

 

「おい比企谷遅いぞー!私の酒ちゃんと買ってきたんだろうなあ!!」

 

 

「せんぱい!!なんで私の思いを無下にするんれふかー!」

 

 

「はーやーとー♡ねえ、はーやーとー♡」

 

 

「比企谷....助けてくれ......」

 

 

「ハチ×ハヤきたあああああああ!!!!」

 

 

「比企谷くん、私の想い、ふみにじらないれね。」

 

 

「マジべーわーべー!」

 

 

俺たちが買い出し行ってた間に何があったんだよ.....。

 

 

続く

 

 

 

 




書いてる時に飲んでいたので
それの勢いもありますが、ちゃんと酔っ払った感じ表現できてますかね??

さて、後半へ続く!!


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お花見は人間性が垣間見える②


こんにちは!

本当はもうちょっと更新したかったんですけど、
執筆中に寝落ち&寝落ち&バイト&遊びということで
先程帰宅しました。はい笑


段々お気に入りして下さる方々も増えてきて
私本当に嬉しいです!
いつもありがとうございます!!

それでは後半スタートです!




 

 

先程までワイワイ騒いでいた皆様がどうでしょう。

 

 

最早ゾンビのようです。はい。

 

 

こんにちは、比企谷小町です!

平塚先生の悪ノリが始まり皆様泥酔してしまったようです。未成年なのにバレたら平塚先生はどうなるのでしょう。皆さんの心配をするなんて小町的にちょーポイント高い☆

いや、もうそんなこと言ってる場合じゃありません。

早くお兄ちゃん帰ってきてええええ!!

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「えええ.....。」

 

 

俺は思わずそう声に出してしまった。何がどうなってるの?状況説明できるやついんのこれ?

 

 

「ひ、比企谷。俺が居ながら大変なことになってしまった。」

 

 

「葉山、お前は正常なのか?一体何があったんだよこれ。」

 

 

「ゆきのーん!ゆきのんってば!!どうしたの!!」

 

 

必死に雪ノ下の両肩を両手で揺らしている由比ヶ浜を横目に俺は葉山に質問をした。

 

 

「実は皆んなのジュースに、いつの間にか平塚先生が飲んでいたアルコールを入れていたようで....。このありざまだ。」

 

 

何やってんだよこの独身三十路女!!

そんなんだから貰い手いねえんだよ!!

 

 

「大体のことは分かった。お前が困り果てているのもよく分かった。そんじゃ小町が見当たらないから、後のことは頼んだ。」

 

 

「お、おい比企谷!!君はどこに行くんだ!!」

 

 

もう無視無視。だって俺関わりたくないもん。さっきから一色が何か呟きながら俺の足掴んでくるわ、海老名さんは海老名さんだし、何か雪ノ下怖えし。てか最愛の妹を置いてけぼりとかシスコンの名が泣く。

 

 

「ヒッキー!さすがにこれはマズいよ!人でなし!アホ!ボケナス!ハチマン!!」

 

 

「おい、人の名前を悪口みたいに言わないでもらえる?まあ、無闇に探し回るよりか、ここで小町を待っといた方が効率いいか。はぁ....。」

 

 

「すまない、助かる。」

 

 

「別にお前のためじゃねえよ。」

 

 

「ハチ×ハヤきたあああああああ!!」

 

 

「「「........。」」」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

酔っ払いの相手は心底面倒くさい。

これは平塚先生との付き合いから経験したことであり、例外もあるが大体面倒くさい。人は酔うと普段言えないことを言ってしまうらしい。

人間の潜在意識とかどうとか。とにかく大胆になるということだけは言っておこう。

 

 

「とりあえず葉山、普段お前が扱い慣れている三浦、海老名さん、戸部の介抱は頼んだ。あとの3人は俺たちが引き受ける。」

 

 

「ちょっとヒッキー!隼人くんだけ3人って可哀想だよ!」

 

 

「あのな由比ヶ浜。こいつは当事者でもあるんだ。そのくらいの責任を負う義務はある。それに俺たちには最大の難関、平塚先生がいるんだぞ。先生を引き受けたんだから感謝して欲しいくらいだ。」

 

 

確かに。と由比ヶ浜は関心した表情をしている。でもそれって、暗に平塚先生のこと面倒な人って納得したことには変わりないからな?

 

 

「ああ、分かった。こっちのことは任せてくれ。結衣も比企谷の方を手伝って貰ってもいいか?」

 

 

「うん、隼人くんがそういうならそうするね!ヒッキー、私たちも頑張ろう!」

 

 

本当に何でこんな面倒なことを.....。はっ、もしかして小町、あいつこれが分かって逃げたな.....。

 

 

とりあえず1番まともそうなやつは.....。いねえな。こういう場合最も酒に弱いタイプの人間を選んだ方が賢明だ。ここでリバースされても困るしな。先生はいつも通りだ、ある意味ダメだけど。一色はなんやかんやで強そうだな。となると雪ノ下か。

 

 

1.雪ノ下の救出

 

2.一色の救出

 

3.平塚先生の救出

 

 

この順番でいこう。

 

 

まずは雪ノ下だ。

「おーい、大丈夫か雪ノ下?」

 

 

「私は別に大丈夫なのだけれろ?ほれより由比ヶ浜はんさっきから比企谷ふんと近ふぎないかひら?」

 

 

ああもうこれ末期ですね。普段の威厳などありませんよほんと。

 

 

「ゆきのんってばしっかりしてよー!!」

 

 

「とりあえず由比ヶ浜は雪ノ下の頭を揺らすな。それと悪いが、みんなの水でも買ってきてくれるか?後は俺がなんとかする。」

 

 

「うん!分かった!みんな酔ってるからって変なことしちゃダメだからね?絶対だよ??」

 

 

どんだけ俺への信頼って薄いんですかね。

 

 

「分かったからさっさと買ってきてやってくれ。」

 

 

「絶対だからね?じゃあ行ってくる!」

 

 

ったく。マジで面倒なことになったな。唯一まともそうだと思っていた雪ノ下が、こうも腑抜けてしまうとは....お酒、ダメ!絶対!

 

 

「おい、雪ノ下。気分はどうだ?吐きそうだったらすぐに言えよ?」

 

 

「比企谷ふん、何を言っていふのかひら。わたひがそんなことするわけ.....うっ....」

 

 

「ちょっと雪ノ下さん!?ここではやめてね??別の場所まで移動しようね??」

 

 

さっきからキャラブレすぎだろ、平塚先生後で覚えてろよ。

 

 

「じょうらんよ。わたひがそんなことする訳ないやない。」

 

 

「いやいや、シャレにならねえから。今の絶対ガチでしょ?」

 

 

「そんなことより、比企谷ふん。わたひはあなたのことが大好きなのに、なんれ違う女性とデートに行くのかひら。」

 

 

えええ、ちょっと本当に怖いんですけど。下手なこと言うと絶対怒られる、というか殺される。

 

 

「いやいや、あれデートじゃねえから。葉山との練習相手だからな?別に好意があって行った訳じゃない。」

 

 

「え〜、せんぱ〜い。聞き捨てなりまへんねえ〜。わたひの初めてを奪ったくへに〜。」

 

 

「ちょ、ちょおおおおおおおい!!何言ってるんですか一色さん!?語弊があるからきちんと訂正してええええ!!!」

 

 

「ふぇ?何だかわたひ眠たくなってきまひた....zzz」

 

 

「おい、寝るな!寝たら死ぬぞ、主に俺が!」

 

 

「比企谷ふん、後でお話ひがありまふ。」

 

 

ひえぇ....。覚えてませんように。酔いが醒めたら全部忘れてますようにお願いします神様仏様小町様。まだお兄ちゃん死にたくない。

 

 

「へえ、ヒッキーいろはちゃんと何かあったんだ。」

 

 

「ゆ、ゆ、ゆ、由比ヶ浜さん?いつの間にお戻りになったのですね。ていうか笑顔なのに目が笑ってませんよ?」

 

 

まだ暑くないのに、変な汗が止まらない.....。

 

 

「別にー、詳しいことは後でゆきのんと直接聞くから覚悟しといてね?」

 

 

グッバイ、マイライフ。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

そんなこんなで色々あったが、なんとか皆んなの酔いは醒めた。後日、由比ヶ浜と雪ノ下に一色とのことを責められたのは言うまでもない。

 

 

「ほんとーにっすまなかったー!」

 

 

本当だよ、平塚先生。

 

 

「平塚先生、あなた教師という立場を分かってますか?未成年に飲酒をさせるだなんて、世間に知れ渡ってしまったら先生の立場はどうなるか分かっているのかしら?」

 

 

「ぐ、返す言葉もありません。」

 

 

「まあまあ、雪ノ下さん。先生も反省しているようだし、済んでしまったことなんだからさ。ね?」

 

 

「まあ隼人が言うんだから、あーしももう大丈夫だけどね。」

 

 

俺が修羅場に発展していた頃、葉山はと言うと。あーしさんに甘えに甘えられ、それはそれは大変なことになっていた。戸部との介抱中には海老名さんから「トベ×ハヤきたあああああああ!」と言われていた。

あれ?海老名さん変わってなくない?もしかして飲んでなかったの?

 

 

そういえば小町は.....

 

 

ヴヴヴ

 

 

嫌な予感しかしない。ケータイを開くと.....

 

 

 

差出人:小町

 

 

件名:ごめんね☆

 

 

本文:お兄ちゃんを探しに行ってたんだけど、思いの外修羅場だったから先に帰っちゃった☆てへっ

ごめんね☆

 

 

あのガキ....。お兄ちゃん的にポイントちょー低い。俺は小町に『帰ったら説教な』と返信した。

 

 

もう二度と花見なんてしない。そう俺は心に深く刻み込んだ。

 

 

 






お花見編これにて終了です!
いかがだったでしょうか?
作者の経験談から言わせてもらうと、酔っ払いの相手は本当に面倒です!
友人曰く作者も酔っ払うと面倒だそうです笑


今回もありがとうございました!

ということで、次回はガハマさんとのデート回でもしようかなーと考えてます!

乞うご期待!



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彼女の笑顔はいつだって輝いている

こんにちは!

なんか朝早く目が覚めてしまったので、更新したいと思います!本日も睡魔に負けずバイトの時間まで頑張ります!


 

お花見の後、由比ヶ浜と雪ノ下に一色の件について質問もとい尋問からやっとの思いで抜け出し、愛しのマイホームへ帰ってきた。

 

 

「あ、お兄ちゃんおかえりー。」

 

 

「おい、何がおかえりだ。勝手に1人で抜け駆けしやがって、あの後お兄ちゃん大変だったんだぞ。」

 

 

「いろはさんとの件のこと?」

 

 

「そう、一色との....って何で小町が知ってるんだよ!?」

 

 

「へへへー、企業秘密でーす☆」

 

 

女同士のコミュニティネットワークどうなってんだよ。あいつら光回線なの?情報早すぎない?てかただの情報漏洩なんだけどね?

 

 

「となると、由比ヶ浜と雪ノ下のことも知ってんのか?」

 

 

「うふふふー、お兄ちゃんも隅には置けませんなあ。」

 

 

小町はけらけらと笑い、この状況を楽しんでいるようだ。いやいや小町ちゃん?お兄ちゃんのさじ加減で4月からの奉仕部を地獄にすることも可能なのよ?そこらへんのこと分かった上で笑ってる?

 

 

「まあ、そのことなんだけどさ。明日由比ヶ浜と....なんだ、2人で遊びに行くことになってだな....。」

 

 

「ほー!それは結衣さんから誘われたの?」

 

 

「実は俺からなんだが.....。」

 

 

「え.....。お兄ちゃん....。小町感動したよ。最早全米が泣いたよ。あの甲斐性なしのお兄ちゃんが....ついに...。」

 

 

「ちょっと小町さん?何か勘違いしてませんか?って聞いてねえし....。そういえばまだ由比ヶ浜に、明日どうするか聞いてなかったな。」

 

 

「お兄ちゃん、こういう場合はお兄ちゃんが場所と時間を伝えるべきだよ?大体お兄ちゃんが誘ったんだから、他人任せにするのはゴミいちゃんだからね?」

 

 

「お、おう分かった。今の独り言は聞いてたのね.....。」

 

 

そんじゃ、由比ヶ浜に連絡するか。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

翌日 a.m 10:00 千葉駅

 

 

「ヒッキー!お待たせー!」

 

 

「うっす、時間ピッタリだな。」

 

 

「本当はもうちょっと早く来たかったんだけど、今日は気合い入れちゃって///」

 

 

「そうだな、いつもよりお洒落な気がする。多分、お洒落とかさっぱり分からんけど。」

 

 

「一言多いし!分からなくても褒めればいいの!」

 

 

由比ヶ浜結衣は基本的に感情豊かな子だ。こうやって俺の言葉一つで態度も機嫌も変わるのだ。

 

 

「そんじゃ、行きますか。」

 

 

「え、行くってどこに行くの??結局ヒッキー昨日教えてくれなかったじゃん!」

 

 

そう、それは昨日の出来事である。小町に相談した所、女の子はサプライズに弱いから、目的地に着くまで内緒にするとポイントが高いそうな。だからそのポイント制度ってなんだよ。何かに還元できませんかね。

 

 

質問する由比ヶ浜を無視し、俺は由比ヶ浜の分の切符も買い、大人しく従わせた。何だか小町と遊びに行くみたいで少し気が楽になった。

 

 

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「着いたぞ。」

 

 

「ウエノ ドウブツエン?」

 

 

「お前は外人か。何でカタコトなんだよ。」

 

 

「だってヒッキーがサプライズで動物園に連れてってくれるなんて....私嬉しくって信じられなくって....。」

 

 

「小町にサプライズしろと言われてたからな。」

 

 

「それ言っちゃうんだ!ヒッキー素直すぎだし....。はあ、まあヒッキーだから仕方ないよね。」

 

 

「おい、人にはひねくれ者とか素直じゃないとか言ってくるくせに、素直になったら文句言うのかよ。」

 

 

「そういうことじゃなくて、えっと、ケーキオアケーキってやつだよ!」

 

 

「ケースバイケースな、何でケーキしか選択肢にないの?」

 

 

こんなやり取りをしつつ俺たちは入園した。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「うっわー!!可愛い♡見て見てヒッキー!パンダだよパンダ!!」

 

 

「こっちにはトラもゾウさんもいる!わー!」

 

 

小町以上にハシャいでんな。まあ、連れてきて良かったわ。ここまで喜んでくれるとは思ってなかったからな。

 

 

「ヒッキー!そろそろお腹空かない?」

 

 

「そうだな、もう13:00だしな。」

 

 

千葉駅から上野駅まで1時間。そして2時間程園内を満喫した俺たちは、当然昼時なので腹も減る。

 

 

「さっき調べてみたんだけど、ここの近くに良さげなカフェがあったよ!そこ行こうよー!」

 

 

「ん、分かった。」

 

 

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カフェ。それは喫茶店とはまたどこか違う、お洒落空間に支配された場所である。一色ともカフェは行ったことがあるが、やはりぼっちの俺には難易度が高い。

 

 

「うわー!これも美味しそう!迷っちゃうなあ!」

 

 

先程から由比ヶ浜はメニューを見て心踊らされている。

確かに種類も豊富で何を頼んだら良いのやら.....。あ、ランチメニューあるじゃん。

 

 

「由比ヶ浜、ランチメニューあるぞ。こっちのが飲み物とデザートもついてお得だ。」

 

 

「あ、ホントだ!!じゃあ私Aランチにしよっと!」

 

 

「じゃあ俺はBランチにするか。」

 

 

それから俺たちは料理を食べたり、途中由比ヶ浜からあ〜んされそうになるが、恥ずかしいからやめて!!ぼっちはそういうの慣れてないからやめて!!

 

 

そして天真爛漫な彼女を見て俺は安心感を覚えた。

ここ最近元気なかったし、やはり笑顔の彼女が1番だな。らしくもないことを思ってしまった俺も、結局は初めから「らしさ」なんて物ないのかもしれない。

 

 

カフェの後は雑貨屋巡りや、ただのんびり散歩したり、俺たちは時間の許す限り遊んだ。

 

 

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p.m.6:00 千葉駅

 

 

「ヒッキー今日は本当にありがとう!ヒッキーのお陰で本当に楽しかったよ!」

 

 

「ああ、俺も楽しかったぞ。由比ヶ浜も元気出たみたいだし、その...安心した。」

 

 

「うへへへへー...。ヒッキーも楽しんでくれたなら、私も嬉しいよ。ヒッキー、私もね、ヒッキーのこと大好きだよ。だから....私のこともちゃんと見ててね。」

 

 

そう言った由比ヶ浜は今までで1番綺麗な笑顔をしていた。安心感、それだけじゃない。こういう時どう言った感情が正しいのか、俺にはまだ分からない。

 

 

「ああ。お前のこと、ちゃんと見てるよ。」

 

 

「ヒッキー、大好き。」

 

 

不意に由比ヶ浜に抱きつかれ、俺の内心は.....まあご想像通りだろう。とりあえず何か柔らかいメロンが2つ当たってます。平常心を保つのだ八幡。

 

 

「それじゃ、私そろそろ行くね!また学校で!」

 

 

「送ってくけどいいのか?」

 

 

「ううん!大丈夫!ヒッキーも気をつけてね!」

 

 

「おう。また学校でな。」

 

 

学校で....か....。

 

 




第8話も無事終了です!
いやあ、甘酸っぱいですね。
俺ガイルを見て思うことは、こんな青春送りたかった!これにつきます笑

それでは次回から新学期編が始まります!
ではでは〜



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クラス替えは時として新たな風を舞い込む

こんにちは!ちょっと外伝的な物書いてたんですけど、思いの外出来栄えが良くなかったので、良い案まとまるまで保留にします!


昨夜投稿したこの回ですが、貴重なご意見を頂き、大幅改変することになりました。自分でも何書いてるのか途中で訳分からなくなったので、皆様頭の中?になってたと思います笑
それでは本編スタートです!


4月。新入生や新社会人、人は歳をとる度次のステージへと上がる。俺たちは3年生になり、ついに受験生となった。そして最愛の妹小町が総武高校に入学し、お兄ちゃん朝からテンション高くて昨日は眠れなかったよ。目の腐り具合が普段の3割増しである。

 

 

「お兄ちゃん!今日から小町も高校生だよ!どう?新しい制服似合う?」

 

 

我が妹ながら最高に可愛い。正直ケータイの待ち受けにしたい。してもいいかな?お兄ちゃん今年もシスコンこじらせてもいいかな?

 

 

「何回も見てんだろ?似合う似合う。」

 

 

平生を装い、まるで興味のないリアクションを取る。

危なかった。口に出してたら小町から縁を切られる所だった。え、切られちゃうの?お兄ちゃん悲しい。

 

 

「これだからゴミいちゃんは....。」

 

 

しまった、朝から機嫌を損ねてしまった。しかし機嫌を取る程お兄ちゃん今日は余裕ないんだ。今日はクラス替えもあって戸塚と同じクラスになれなかった場合、お兄ちゃん死んじゃうから。復活の呪文も効かないまである。あれ?もしかしてフラグ?

 

 

「お兄ちゃん、小町もうそろそろ行くよー。」

 

 

「おう、俺も今行く。」

 

 

新学期の始まりだ。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

学校へ着き小町と別れると、昇降口で生徒たちが騒めいていた。魔のクラス替え表が貼り出され、歓喜の雄叫びを上げる者もいれば、落胆する声も聞こえる。こういった場合、俺と同じクラスになった人たちは1人の例外もなく、阿鼻叫喚するであろう。なんか中学の黒歴史思い出してきた、死にたい。

 

 

さて、俺は.....あった。3-B組だ。金八かよ。現実にあんな先生がいたら温度差ありすぎて不登校になっちゃう。

 

 

「あ、ヒッキー!!」

 

 

振り返るといつものお団子頭の由比ヶ浜が......ない!お団子がないだと!?髪を下ろしている....だと....!?くそ、可愛いじゃねえか、破壊力半端ねえぞ。

 

 

「え、っと。どう....かな....?へへへ...」

 

 

「え、いや、何がだよ....」

 

 

くうううう、確実に髪型のこと言ってるの分かり切ってるのにいいいいい!!ぐやじい、素直になれない自分がぐやじいいいいいい。

 

 

「ヒッキーのバカ!ボケナス!ハチマン!」

 

 

相変わらず新学期早々貶されるのね。

だが3年生になった俺は成長したぞ?カタツムリからナメクジくらいには成長したぞ?あれ、殻無くなってむしろ退化してない?

 

 

「ああ、いやあ。その....お団子がないとだな.....なんか新鮮だな。....その....似合ってると思うぞ....多分。」

 

 

「ありがとう!!ヒッキー!!」

 

 

にこぱぁって!にこぱぁって!何その笑顔?何ルクスあるのその笑顔?眩しくて俺の目も浄化されそうなんですけど。いや、ないな。うん。

 

 

「ヒッキーは何組だった??」

 

 

「3-Bだったけど。」

 

 

「そっか、ヒッキーB組だったんだ、あたしC組だったよ....。でもでも、なんとゆきのんと同じクラスだったんだー!」

 

 

あれ!?あいつ国際なんとか学科じゃなかったっけ?転科したの?

 

 

「おはよう、由比ヶ浜さんにひき.....ひき....どなたかしら?」

 

 

「おい、もうちょっとで思い出せただろ。頑張れよ。てかお前って国際なんとか学科じゃなかったっけ?転科したのか?」

 

 

「そういえば比企谷くんには言ってなかったかしら?もう姉さんの影を追うのはやめたのよ。」

 

 

なるほど。こいつほんと変わったな。雪ノ下には大学生の姉がいる。それはもう食えない人で俺は正直あの人とは関わりたくない。それより転科の話誰からも聞いてなかったんですが?

 

 

「おはよう結衣!結衣は何組だった?」

 

 

「優美子おはよー!C組だったよ!優美子は?」

 

 

「あーしはE組。隼人とも別れちゃったし、海老名は理系だからA組だし、戸部はD組だってさ。」

 

 

「えー!みんなバラバラになっちゃったね.....。でもでも、絶対また遊んだりしようね!」

 

 

「あったりまえじゃーん!いつでも呼んでよ?結衣」

 

 

由比ヶ浜は雪ノ下がいるからまだしも、あーしさんも大変だな。葉山という鎖を失った百獣の王が野放しになるなんて....E組の皆さん御愁傷様です。

 

 

「おはよう!八幡!」

 

 

おっふ。新学期早々天使に声を掛けられた俺はもう死んでもいいかもしれない。

 

 

「おう、戸塚か。」

 

 

「八幡は何組だった?」

 

 

「俺はB組だ。戸塚は?」

 

 

神様お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします

 

 

「そうなんだ!残念ながら僕はD組だったよ、確か前と同じクラスだった人は戸部くんくらいだったかな。あはは....。」

 

 

あああああああああああああああああああああああああああああああああああ神よ、俺が何をしたと言うんだ!!戸部ええええ、許すまじ、俺は今お前が羨ましくて仕方ないぞ。グッバイ、マイエンジェル。

 

 

「それでさ、八幡さえ良ければだけど、よかったらお昼練習がない時とかにさ、一緒に食べない?」

 

 

天使にお昼を誘われた。

1.OK 2.惚れる 3.結婚する

迷わず3を選びたい。なんで戸塚は男なんだ。くううう。

 

 

「おう、構わねえぞ。またいつでも声掛けてくれ。」

 

 

「ありがとう!新しいクラスで結構不安なんだー!また声掛けるね!」

 

 

嬉しいような悲しいような、早く戸塚ルート開拓してくれませんかね?

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「このクラスの担任になった、平塚静だ。見知った顔も多いが、ビシバシしごいていくからなー!諸君らは受験だけじゃなく、遊びも恋も頑張りたまえ!そういえば先生また婚活に失敗してだな.....。」

 

 

いや、今の俺ら何も言ってませんからね?ていうかまた失敗したんですか、早く誰か貰って下さい。

 

 

それにしても、誰も知り合いがいない。まあ2年の時が異常だったんだよな。だが、これで俺のぼっちライフを優雅に楽しむことができる。やはりぼっちこそ至高。

 

 

「やあ、君も同じクラスだったんだね。」

 

 

「おい、聞いているのか?」

 

 

誰だよ無視してるやつ、可哀想だろ。俺が逆の立場だったら泣くぞ、ガチのヒッキーになるまである。

 

 

「おい!比企谷!!」

 

 

えっ!?俺!?誰だよ、俺に知り合いなんて全然いな.....

 

 

「は、葉山!?」

 

 

 

続く

 

 

 




今回もありがとうございました!
大幅改変しまして、再投稿前とは全く違った構成です。何が正解かは分かりませんが今後も皆様の貴重なご意見の元、参考にしたいと考えております。

では次回もよろしくお願いします!



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比企谷八幡と葉山隼人は相容れない



こんにちは!
最近も少しずつではありますが、お気に入り登録して下さる方々が増えてまいりました!本当に有難いことです!初めてこう言った活動をしているので、内心不安しかありません。ですが、皆様のご声援や貴重なご意見が私の創作意欲を掻き立てるカンフル剤となっております。これからも、矛盾点や面白いと言ったコメントを頂けると、とても嬉しいです。まだまだ完結まで先は長いですが、お付き合い頂けることを心より願っております。


それでは、第10話スタートです!




 

 

「は、葉山!?」

 

 

「やっと気づいたか、いくら相手が君でも俺はショックだよ。」

 

 

苦笑いを浮かべる葉山だったが、内心俺は動揺を隠せなかった。何で選りに選ってこいつと同じクラスなんだよ。ていうか今の状況海老名さんだったら......考えるのは止そう、HPが0になる。

 

 

「お前も同じクラスだったのか、意外すぎて言葉もでねえよ.....」

 

 

「それには同感だね。選りに選って君と同じクラスになってしまうなんて。」

 

 

こいつ!!新学期早々喧嘩売ってんのか?俺がの●太君だったらあの手この手でこいつを社会的に抹消する道具を、あの青いタヌキに頼み込んでやる。早く来いよ22世紀。

 

 

「そんで、スクールカーストトップのお前が、最底辺の俺に何の用だよ。」

 

 

「特に用事がある訳じゃないよ。ただ、元同じクラスだった君がいたからね。一応挨拶をしに来ただけさ。」

 

 

「ああ、そうかよ。お前と仲良いって思われるのは癪だから、さっさとどっか行けよ。」

 

 

「あはははは。言われなくてもそうするつもりだよ。それじゃ。」

 

 

葉山と同じクラスにしたのが、誰かの計らいだった場合俺は一生その教師を恨む。俺はあいつが嫌いだ。俺とあいつが似ているとか言ってくるやつもいるが、真逆だからな?スケッ●ダンスみたいに生き別れの兄弟じゃねえからな?違うよね?絶対違うと誰か断言して!!

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

まさか比企谷と同じクラスになるとはな....。彼は俺を嫌っているが、俺も彼を嫌っている。というより、彼より劣っていると感じている自分が嫌いだ。雪乃ちゃんやいろは。それだけじゃない。彼を取り巻く人々は皆良い意味で変わってしまった。全てを丸く収めようと考える俺を、彼は彼自身のやり方でそれすらも丸め込める。彼の自己犠牲により、雪乃ちゃんや結衣は傷付いた。自分が大切に思う人が傷付いたやり方が.....俺は嫌いだ。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

始業式を済ませた俺たちは荷物をまとめ、帰る者もいれば部活へと足を運ぶ者もいる。俺も部活へ行くため荷物をまとめいてると、葉山を取り巻く葉山帝国の国民たちに目がいった。

 

 

「葉山くん今日からよろしくね!」

 

 

「葉山くんと前から話したかったんだー!」

 

 

「葉山くんマジかっけえよ!!」

 

 

「葉山くんと同じクラスになったとかみんなに自慢だわー!」

 

 

みんな葉山に洗脳されているようだ。異常すぎる葉山信者の言動に、俺はドン引きした。あいつの何がいいのかさっぱり分からん。俺は絶対あの国民にはならん。やはりぼっちこそ至高。俺は改めて決意を固め、奉仕部へと向かった。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

と思ったが、

 

 

「我だ。」

 

 

えっと、どちら様かな?知らない人に声を掛けられても、絶対付いて行っちゃダメって子供の頃から教わってるしな。それに習おう。うん、そうしよう。

 

 

「ちょっと!?やめて!無視だけはやめてー!!」

 

 

「何だ材木座か。用が無いならさっさと帰れ。」

 

 

「今絶対分かってたよね?絶対分かってて無視したよね?」

 

 

「いや、お前が何言ってるのかさっぱり分からん。」

 

 

「はちえも〜ん....。」

 

 

さすがに材木座が涙目で訴えてきたので、いじるのはここまでにした。別にいじめじゃないよ?いじめじゃないからね?

 

 

「そんで、何の用だ?」

 

 

「けぷこんけぷこん。....実はだな、我もB組なのだ。これは

何かの陰謀、いや運命と言っても過言ではないだろう。やはりこの剣豪将軍材木座輝義、八幡菩薩の....ってちょっと待って!無視だけはお願いだからやめてー!!」

 

 

俺は材木座を置いて、奉仕部へと向かった。

途中何度も「はちえもーん、はちえもーん」と悲願する声が聞こえたが、幻聴に違いない。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「うーっす。」

 

 

「あ、ヒッキーやっはろー!」

 

 

「こんにちは、比企谷くん。新しいクラスにはもう慣れたかしら?」

 

 

「お前絶対分かりきって言ってんだろ。」

 

 

本当にこいつは俺を貶すといい笑顔を浮かべる。チクショウ、可愛いじゃねえか。言っとくが俺は別にドMではない。違うと信じたい。違うよね?

 

 

「ヒッキーは知り合いいた?」

 

 

ナチュラルにぼっちの俺にこういうこと言ってくるけど、由比ヶ浜には悪意はない。悪意がない分残酷ではある。繰り返し言うが悪意はない。ないよね?

 

 

「実は葉山がいてだな.....ついでに材木座も。」

 

 

「中2はともかく、隼人くんと同じクラスだったんだ!今年も大変そうだね....あはは。」

 

 

今サラッと材木座disったよね?このことは材木座には内緒にしておこう。さすがに俺もそこまで鬼じゃない。

 

 

「そうね、中2さんはともかく葉山くんと一緒だなんて、今年の比企谷くんもヒール役続行ね。」

 

 

お前もかよ。材木座に幸あれ。

 

 

「なんで俺がそんなことしなきゃならん。その悪意全部葉山に向けてやる。」

 

 

「さっそく悪意が滲み出たわね、万年ヒール谷くん。」

 

 

「おい、全然名前とカスってねえぞ。」

 

 

「ヒッキーヒールになるの?誰かの靴になるの?」

 

 

「「.....」」

 

 

お前ほんとどうやってこの学校に受かったんだよ......

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

俺たちは受験生ということもあり、これからは依頼人を待つ間は各自受験勉強をすることにした。由比ヶ浜は雪ノ下に懇願し教わっている最中だ。本当に雪ノ下さんは由比ヶ浜さんに甘い。小沢さんより甘い。

 

 

しばらくするとドアの方から何者かがノックする音が聞こえた。

 

 

「どうぞ。」

 

 

ガララッ「し、失礼しまーす....」

 

 

無理もないよね。別棟に存在すら知らない部活があるもんね。そうなるのも無理ないよね。

 

 

「って、大志か!?」

 

 

「あ!お久しぶりです!お兄さん!!」

 

 

こいつ....。お前にお兄さんと呼ばれる筋合いなどない。

 

 

「川崎さんの弟の川崎大志くんね。どうしたのかしら?」

 

 

「去年は本当にありがとうございました!大変お世話になりました!それと....えっと、今日は小町ちゃ....小町さんはいないですか?」

 

 

俺の愛する妹に「ちゃん」付けで呼ぼうとしやがって....馴れ馴れしい。大人気なく思わず睨んでしまった。やはりあの時こいつを排除しなかったのは一生の不覚であった。

 

 

「あ、そういえば小町ちゃん来てないね!ヒッキー、何か知ってる?」

 

 

「今日新学期始まったばっかだぞ。本入部どころか、仮入部も始まってない。」

 

 

ちなみに総武高校では新入生を対象に、新学期が始まって1週間後に仮入部。その1週間後に本入部となっている。つまり、小町は1週間後にこの奉仕部へと参加することとなる。

 

 

「それで、お前の用事はそれだけか?」

 

 

「えっと....実は小町さんに関して、その、相談したいこ「断る。」

 

 

「ヒッキー決断早すぎだし!!」

 

 

「大志、お前小町に告白するとか、そういう浅はかな考えだったら帰れ。もくしは帰れ。」

 

 

「帰ることしか選択肢にないんだ.....あはは。」

 

 

「由比ヶ浜、仮にもこいつは小町の知人だ。さすがに俺も鬼じゃない。本当ならば今すぐにでも排除したいまである。」

 

 

「シス谷くん少し黙りなさい。まだ依頼人の依頼を最後まで聞いてないわ。」

 

 

「雪ノ下先輩すみません、ありがとうございます。えっとですね、小町さんに告白したい訳じゃないんです。小町さん先月誕生日だったじゃないですか?春休み中だったってこともあって、その....誕生日プレゼント渡しそびれちゃって。タイミングを逃しちゃったんです。」

 

 

「それなら俺が渡しておくが。」

 

 

「いえ、お兄さんのお気持ちはありがたいですが、自分で直接渡したいんです。」

 

 

「分かったわ。私たちはその手助けをすればいいのね?比企谷くん、そのくらい許してあげたら?」

 

 

「そうだよヒッキー!友達として渡したいだけだよ!」

 

 

「ぐっ....。しゃーねーな。今回だけだからな。それ以上のことをしてみろ、俺が許さねえからな。」

 

 

「はぁ、全くこの男は....」

 

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 

こうして、新学期初の依頼が始まることとなった。

 

 

 






記念すべき第10話目はこんな感じです!果たして大志くんは小町ちゃんにプレゼントを渡すことができるのでしょうか!?


それではまた次回お会いしましょう!


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比企谷小町はあなどれない


こんにちは!
今日も元気に投稿しますよ!
お陰様でお気に入り登録者数も伸びています!
感謝です!

それでは第11話スタート!


 

 

あ〜あ、まだ新学期だし奉仕部に参加できないのかー。早く小町も混ざりたいなあ。それにしても、大志くん大急ぎで職員室まで走ってったけど、何かあったのかなあ?まあいっか、小町は帰ってカーくんと遊ぼっと!

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「それで、あなたはどうやって小町さんにプレゼントを渡したいのかしら?」

 

 

「えっと、自分はきちんと面と面で向き合って渡したいです!」

 

 

「場所と時間はどーすんの?」

 

 

「うっ....大事なこと考えてませんでした。」

 

 

「おいおい、お前そんなんで大丈夫なのか?プレゼント渡す時、緊張してまた渡せないんじゃないのか?」

 

 

「じ、実は前回もそうだったんです。」

 

 

「マジかよ、お前の姉ちゃんあんなんなのに、お前は意外とチキンなんだな。」

 

 

「人のことを言えるのかしら比企谷くん?小町さんと違って、あなたは社交性もなければ、目も死んでいるじゃない?」

 

 

「おい、サラッと俺をdisり始めんな。」

 

 

「あははははー.....。ところで大志くんはさ、小町ちゃんのこと好きなの?」

 

 

おい、由比ヶ浜。さすがに大志が可哀想だからやめて差し上げろ。ここで言わせるとか公開処刑だry

 

 

「はい!自分は小町ちゃんのことが好きです!!」

 

 

「分かった大志、ここでお前を処分する。」

 

 

「ヒイイィィ!!」

 

 

「やめなさい比企谷くん。殺人未遂で通報するわよ。」

 

 

「おい、別にそんな物騒なことは考えていない。俺はただ社会的に抹殺するだけだ。」

 

 

「物騒なの変わんないし!!」

 

 

「はあ、あなたのシスコン具合には呆れたわ。川崎さん、この男があなたに近づかないよう、私が駆除するから安心して。」

 

 

「俺は害虫かなんかかよ。」

 

 

「あら?気づかなかったのかしら害虫谷くん?私のやり方次第では、あなたを社会的に駆除することもわけないのよ?」

 

 

「ちょっと2人とも落ち着いて?ね?」

 

 

「大志、俺がさっき言ったこと覚えてるよな?告白なんて浅ましい考えはやめろよ?」

 

 

「わ、分かってます!お兄さんに認めてもらうまで絶対にしません!」

 

 

「お前がたとえ何度も死に戻りしても、絶対に俺が認める未来はない。」

 

 

「はい!分かりました!!」

 

 

こいつ本当に分かってんのか?

 

 

「とりあえず作戦を考えましょう。」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「なるほど。至極単純な作戦ね、あなたにしては珍しい上に意外と協力的なのね。」

 

 

「仕方ねえだろ、依頼は依頼だ。俺はやるべきことをしただけだ。」

 

 

「ヒッキー偉い!」

 

 

「そんじゃ、やりますか。」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

俺が立てた作戦はこうだ。

 

 

1.小町をここに呼び出す

 

2.プレゼントをその場で渡す

 

以上だ。

 

 

作戦をシンプルにしたのは、もちろん理由がある。まず俺はまだ大志の言葉を信じ切れていないからだ。俺たちの見守っていない状況でプレゼントを渡せば、万が一、本当に万が一、良い雰囲気に身を任せ告白し兼ねない。しかしこの奉仕部内で見守れば俺の監視もあり、大志はただプレゼントを渡すだけしかできない。俺たちが大志を見守るのは野暮なことだが、2人っきりの状況だと小町自身が大志に警戒してしまい、今後の人間関係に少なくとも亀裂を生む可能性もある。いっそのこと壊れて欲しいものだが、雪ノ下や由比ヶ浜に怒られるだけではなく、それを知った小町にも嫌われるかもしれない。俺にとっても苦渋の選択だ。

 

 

「とりあえず小町は呼び出した。幸いにもまだ学校の近くにいたようで、すぐに来てくれるらしい。」

 

 

「すみませんお兄さん、助かります。」

 

 

まあこれも依頼だから仕方ないが、大志が呼び出した場合小町が警戒してしまうだろう。学校終わりに男が呼び出すなんて答えは1つしかない。

 

 

「ところでヒッキーはどうやって小町ちゃんを呼び出したの?」

 

 

「もうお前は奉仕部みたいなもんだから、1回顔だして挨拶くらいししろ、雪ノ下も由比ヶ浜も会いたがってるって伝えただけだ。」

 

 

「そうなんだ!じゃあ後は待つだけだね!」

 

 

10分後

 

 

「こんにちはー!」

 

 

「あ、小町ちゃんやっはろー!」

 

 

「こんにちは、小町さん。」

 

 

「結衣さんに雪乃さん、こんにちは!って何で大志くんここにいるの!?」

 

 

お兄ちゃんに挨拶はないのかな?お兄ちゃん寂しい。

 

 

「こ、小町ちゃん!実はこの間の誕生日会の日に、その、プレゼント渡しそびれちゃって....受け取って下さい!」

 

 

「えっ!?もしかして大志くん、それで奉仕部に依頼してここにいるってこと?」

 

 

「う、うん。どうしてもタイミングとか見つからなくって、お兄さんたちに協力してもらったんだ。」

 

 

よし、ここまでは順調だ。さすがに大志も俺たちのいる場所で告白なんてことしないだろう。

 

 

「なるほどー、奉仕部に依頼したのは小町的にポイント低いけど、とりあえずプレゼントありがとー!あと小町からも一言大志くんにお願いがあるんだけどいい?」

 

 

「??え、僕にできることなら....だけど。」

 

 

「小町ね、その。大志くんのことがずっと前から好きでした!小町で良かったら付き合って下さい!」

 

 

は!?は!?はあああああああああああああああああああああああああああああ!?どういうこと?え?小町ちゃん正気?ははーん、これドッキリだろ?お兄ちゃんを騙すためのドッキリだろ?エイプリルフールはもう過ぎてるぞ?

 

 

「どうしようゆきのん、あたしもこの状況にビックリしてるんだけど、ヒッキーの顔が......しかもキョドッてるし....」

 

 

「そ、そうね。私も2つの意味でこの状況に相当驚いてるわ。比企谷くん大丈夫かしら?」

 

 

「え!?は、はい!俺もずっと前から小町ちゃんのことry」

 

 

「ごまぢぃぃぃぃぃ!!嘘だよな?嘘だよな?これドッキリかなんかだよな?嘘だと言って!お兄ちゃんのためにも嘘だと言って!このままじゃお兄ちゃんアイデンティティクライシスするから、お兄ちゃんが生きてる意味無くしちゃうから!!」

 

 

「お兄ちゃんちょっと黙ってくれる?結衣さん、雪乃さん。非常に申し訳ないですけど、ゴミいちゃん連れて一旦どこかで待機して頂いても良いですか?小町の都合で本当に申し訳ないです!」

 

 

「そ、そうね。小町さんのためにもここは一旦退散しましょう。比企谷くんも精神衛生上良くないわ。」

 

 

「そ、そうだね。ここにいるのは野暮だしね....ヒッキー行くよ!」

 

 

「やめろおおおおお、お前だぢ離じでぐれええええ!!ごまぢぃぃぃぃぃ、ごまぢぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 

こうして、俺の妹は大志、いや羽虫に奪われてしまった。死にたい。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「ヒッキー大丈夫?....そんな訳ないか...あはは。」

 

 

「あの、比企谷くん。気持ちは分かるけど、人目もあるからそろそろ泣き止んでくれると、有難いのだけれど。」

 

 

「ごまぢぃぃぃぃぃ、ごまぢぃぃぃぃぃ......。なんでお前ら俺を連れ出したんだ....。」

 

 

「すみませんお待たせしました。」

 

 

「ごまぢぃぃぃぃぃ!あれ本当はドッキリだよな?今ならまだお兄ちゃん許すぞ!!」

 

 

「ごめんねお兄ちゃん。小町は本当に前から、大志くんのことが好きだったんだ。それでね、大志くんと付き合うことになったんだ。でも小町は今までと同じでお兄ちゃんのこと大好きだからね?でももし大志くんに何かしたら.....分かってるよね?」

 

 

「」

 

 

「ヒッキーが....壊れちゃった....」

 

 

「小町さん、あなたこの男に恨みでもあるのかしら?」

 

 

「そろそろ妹離れしないと、お2人のためにもなりませんからねえ。こんな兄ですが、これからも好きでいて下さいね?」

 

 

「え、ちょ、小町ちゃん!?」

 

 

「こ、小町さん?わ、私は別に比企谷くんのことが好きだとは....」

 

 

「ほほーん。小町は友人として頼んだだけですよ?別にそういう意味で言った訳じゃありません。お2人のお気持ちも分かった所ですし、大志くんと帰りますのでお兄ちゃんのことよろしく頼みます!今小町が何言っても通用しないと思いますので....」

 

 

「ゆきのん、どうしよっ....か。」

 

 

「そ、そうね。とりあえず今日は比企谷くんを慰めることに集中しましょう。もう心ここにあらずって表情ですし。」

 

 

「ごまぢぃぃ.....」

 

 






なんと小町ちゃんと大志くんが付き合うというオチでした笑 それにしても小町ちゃんも策士ですね。ガハマさんとゆきのんのためにも妹離れするよう大志くんと付き合うとは.....笑 もちろん小町ちゃんは大志くんのことが本当に好きです!八幡が異常なシスコン具合だったので、今まで大志くんへの気持ちを抑えてたって意味です!

小町ちゃん、侮れない。

それでは次回もお楽しみに!



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比企谷八幡は振り返る


こんにちは!なんか途中まで書いてたら急に全部消えました!笑 めげずに頑張った自分を褒めたい、そうしたい!どうでもいい話から入りましたが、第12話始まります!


どうぞ!




 

 

あれから俺は由比ヶ浜と雪ノ下に、それはそれは丁重に扱われた。さすがにあいつらも追い打ちをかける程鬼じゃないらしい。

 

 

「あ、お兄ちゃんおかえりー!」

 

 

「あ、小町さん、いらっしゃったんですね。」

 

 

「何で他人行儀なの!?」

 

 

「それより小町、いつから大志のこと好きだったんだよ。それに俺の目の前で言わなくても......」

 

 

「去年から大志くんのこと好きになったんだよ。優しくって、少し頼りないけどそんな所が可愛くって.....お兄ちゃんの目の前で言ったのは、きちんとあの2人を見て欲しかったから。小町知ってるんだからね?結衣さんも雪乃さんも、お兄ちゃんのことを大切に思ってる。でもそれは友達としてじゃなくて、1人の男の子として。だからきちんと、あの2人を見て欲しかったの。」

 

 

「そうか.....お前には何でもお見通しってことか。」

 

 

春休み前、そうあの依頼を俺は少しだけ忘れようとしていた。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「私の依頼、聞いてくれるかしら?」

 

 

「うん、聞かせて......」

 

 

「私の依頼は、卒業式の日に......比企谷くんに私の想いを聞いて欲しいの。由比ヶ浜さんが私の問題を解決して、全て貰うのはフェアじゃないわ。それに私の問題は私が解決しないと意味がないの。だから由比ヶ浜さん、あなたも私と同じ気持ちなら、あなたもそうして欲しい。」

 

 

「......やっぱゆきのんには敵わないな。うん、分かった。私もゆきのんと同じ。ヒッキー、私たちの想い....卒業式の日に聞いて?ヒッキーが選んで欲しいの。」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

忘れていたって、卒業式は日々迫ってるのにな。それにあいつらの想いを踏みにじるのは、絶対に駄目なことだ。俺はもう分かっている。存在しないと分かっていても本物を追い続け、思考に思考を重ね、探し求めていた物。由比ヶ浜と雪ノ下、あの2人のうち俺が選んだ先に、俺の考えていたのとは違う本物があるのかもしれない。俺はずっと小町に依存していた。生徒会選挙の時だって小町を理由に、自らの行動理由に繋げていた。だが、もう小町には大切に想う人がいる。小町を理由にしてはならない。俺自身、俺の気持ち、俺がやりたいことを求める。それが俺の選択する行動理由になるのだ。

 

 

「小町、サンキューな。これからもきっと、小町のことは大切に想うよ、家族だしな。でも、もう俺だけの小町じゃない。それに俺も選ばないといけないんだ。ちゃんとあの2人をこれから見守っていくよ。その上で、俺の選んだ方が俺自身の答えだ。」

 

 

「お兄ちゃん.....今最高の顔してるよ。.....相変わらず目は死んでるけどね。」

 

 

「おい、一言多いわ!」

 

 

ある意味、今回大志の行動は全てが上手くいく良い機会を与えてくれたのかもしれない。まあ、小町を奪われたのは内心ショックだが...。これから俺のできる最大限の努力はしよう。俺にしか出来ないことならば。

 

 

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新学期2日目。怒涛の初日を終え、正直俺は疲労困ぱいしていた。俺の人生で間違いなく5本の指に入るくらい、濃い1日だっただろう。

 

 

小町は大志と通学し、ついに俺は本当のぼっちへと進化した。なんだかもの凄く寂しい。

 

 

「せ〜んぱい!」

 

 

「おう、一色か。」

 

 

「あれ!?いつもみたいに、あざといとか言わないんですか?」

 

 

「そんなこと言ってる気力なんて俺にはない。小町に彼氏ができてだな.....」

 

 

「ははは....それは先輩的にはかなりショックですね。」

 

 

「ああ、かなりショックだ。だからもうシスコンは卒業だ。」

 

 

「えええ!?シスコンじゃない先輩なんて、殻のないカタツムリみたいなもんですよ?」

 

 

「それ人のことナメクジって言ってるからな。とりあえずだな、俺には目標ができた。自分が解決しなければならない問題がある。それに突き進むだけだ。」

 

 

「へー、なんか今のカッコいいですね。」

 

 

「馬鹿野郎、格好付けてんだよ。」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

3-B

 

 

「比企谷、ちょっといいか?」

 

 

「葉山....何だよいきなり。」

 

 

「奉仕部に....いや、君に折り入って頼みがあるんだ。」

 

 

「は?お前が俺に?」

 

 

「俺だって自分の力で君みたいに解決したい。....けど、1人じゃどうしようもないことだってある。君にももう分かるだろ?」

 

 

それは痛い程味わった。だから俺は人に頼るという選択をすることができた。以前の俺なら逃げだと感じていただろう。1人でできることに何故他人を巻き込むのだろう。.....と。

 

 

「分かった。お前の依頼は俺が引き受ける。俺以外の奉仕部メンバーには言えないことなんだろ?」

 

 

らしくもないな。以前だったら葉山の頼みなんて、絶対に聞かなかった。まあこいつに借りを作る良い機会だと考えておこう。

 

 

「意外だな、君が簡単に俺の頼みを聞くなんて。」

 

 

「お前頼みたいのか頼みたくないのか、どっちなんだよ。まあお前の依頼内容は大方予想がつく。雪ノ下のことだろ?」

 

 

「さすがだな、話が早くて助かるよ。」

 

 

「お前と雪ノ下の間に、以前何かあったのは見て分かる。理由は雪ノ下のためにも聞かないでおいてやる。」

 

 

葉山のことだ、全てを丸く収めようとした結果、雪ノ下を更に陥れる形となったのだろう。しかし1年間こいつを見ていた俺には、悪意があってそんなことをした訳ではないことくらい予想がつく。こいつはただ単に、みんなの求める葉山隼人を演じていただけだ。出来損ないのピエロだ。

 

 

「ああ、助かるよ。」

 

 

「だが、その依頼は長期的になるぞ?一朝一夕で解決する問題じゃない。由比ヶ浜ならともかく、相手は雪ノ下だぞ?」

 

 

「ああ、分かっている。だから今日依頼したんだ。去年1年間...いや、これまで何もできなかったからだ。」

 

 

「あまり期待はするな。それと、場合によっては、いや、最終的にお前を裏切ることになるかもしれない。」

 

 

「それでもいい。それでも俺は、雪乃ちゃんとの止まっていた時間を進めたい。君に雪乃ちゃんを奪われようとも、1からまた始めたいんだ。」

 

 

葉山は雪ノ下が好きだ。しかし雪ノ下がああなってしまっては.....まあ葉山の心中お察しする。

 

 

「お前の気持ちはよく分かった。その代わり、俺と取り引きしないか?」

 

 

「取り......引き.....?」

 

 

続く

 

 






葉山と八幡、相容れない2人がまさかの協力関係に!?次回もお楽しみに!


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時として人は嫌いな奴でも利用する

こんにちは!!
最近立て込んでおりまして、更新できませんでした。申し訳ないです!また来週から忙しくなりますので、滞る可能性大です、、、泣 ですが、それを乗り切ればこっちのもんです!

それでは第13話スタート!!




「取り....引き.....?」

 

 

「そう、取り引きだ。」

 

 

取り引きの内容はこうだ。雪ノ下と家族ぐるみの仲であるこいつに、雪ノ下が抱いている問題を聞き出し、こいつには俺のスパイ要員として動いてもらうということだ。正直雪ノ下は自分の問題は自分で解決すると言っていたが、なんやかんやで俺も雪ノ下が心配なのである。あいつは確かに雪ノ下さんの影を追うのをやめたと言っていたが、人間根本から変わることなどできない。ソースは俺。あいつの家庭環境を詮索するのは、プライバシーに関わることだが俺は少しでも雪ノ下の力になりたい。

 

 

「それはいいが、もしもこのことが雪乃ちゃんや陽乃さんにバレてしまったらどうするんだい?」

 

 

「その時はその時だ。まあ雪ノ下さんにはバレるだろうな。彼女の気分次第で俺とお前が消されるかもしれんな。」

 

 

「お、恐ろしいことを言うなよ比企谷....俺も彼女のことは十分知っている。上手くやってみるよ。」

 

 

「ああ、助かる。頼んだ。」

 

 

「それより、君は俺の依頼に対してどうやって解決するんだい?」

 

 

「俺ら奉仕部は依頼を待ってる間、受験勉強をすることになっている。現状由比ヶ浜のアホに雪ノ下がマンツーマンになっていて、雪ノ下の勉強が疎かになりかねん。そこでお前には由比ヶ浜の勉強を教えるという口実で、雪ノ下に近づくんだ。」

 

 

「つまり、俺も奉仕部の一員になれってことかい?」

 

 

「いや、それは違う。一色もたまに顔出しに来るんだ。それと一緒だ。それに奉仕部に入部なんて雪ノ下以前に、サッカー部の連中が許さんだろ。だからお前は頻繁にとは言わん。少なくとも週に2、3回程度でいい。そこらへんは俺も上手くやる。」

 

 

「君の狙いが分かったよ。つまり俺と雪乃ちゃんの関係を戻し、雪乃ちゃんから直接悩みを聞き出せってことだろ?俺の依頼より一朝一夕に解決する問題じゃないだろそれ。」

 

 

「まあな、俺が聞いたところであいつは自分で解決すると言うだろうからな。お前は腐っても雪ノ下の幼馴染で家族ぐるみの仲だ。仲を取り持てば1番話しやすいのはお前なんじゃないか?」

 

 

「そうかな?彼女は逆に親しい者には負担になると思うんじゃないかな?」

 

 

「は、もう親しくなるの前提なのかよ。」

 

 

「俺は少なくとも、君の実力だけは買ってるからね。」

 

 

こうして俺たちは、奇妙な共同戦線を張った。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

ここで少し、協力者が必要だ。もちろん協力者とはあいつ、そう材木座だ。

 

 

「材木座、ちょっといいか?」

 

 

「どうした八幡、我に何か用か?」

 

 

「いや、やっぱいいや。」

 

 

この状態のこいつとは全く話が進まないのは自明の理。ここは一旦冷たくあしらう。

 

 

「は、八幡?絶対用事あったよね?ごめんちゃんと聞くから!」

 

 

「初めからそうしろ。お前に頼みたいことがある。」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

さてと、授業も終わったし部活にでも行くか。あとは手はず通り頼んだぜ、材木座。

 

 

「うーっす。」

 

 

「ヒッキーやっはろー!」

 

 

「こんにちは、比企谷くん。」

 

 

いつも通り指定席へ着き、参考書の問題を解き始める。そこに雪ノ下が紅茶を注ぎ、それが終わると由比ヶ浜からの質問責め。本当に雪ノ下は全く自分の勉強が手に付いていない。俺も由比ヶ浜に教えれば良い話だが、今回は葉山との契約もあるからな。さて、そろそろか.......

 

 

「頼もー!!」

 

 

「ゲ、中二!?」

 

 

「材木座くん、入る時はノックを。」

 

 

「なんだよ材木座。また罵声浴びるために小説持ち込みに来たのか?」

 

 

ここで俺はあえてしらを切る。もちろん材木座とは打ち合わせ済みだ。

 

 

「えー、それは引くし.....」

 

 

「ち、ちがーう!!八幡よ、頼みを聞いてくれ。」

 

 

「だから何のだよ。」

 

 

「我に勉強を教えてくれ。」

 

 

「いやいや、俺は確かに国語は学年3位だが、国語なんてもん教えて成績が伸びる教科じゃない。それに由比ヶ浜はアレだし雪ノ下は由比ヶ浜に付きっ切りでな。悪いが帰れ。」

 

 

「アレってなんだし!!ていうかヒッキーそれはさすがに中二でも可哀想だよー!」

 

 

「そうね、いくら彼でも可哀想ね。」

 

 

良し、食いついた。雪ノ下の言い方はアレだが、これなら上手くいきそうだな。....それより材木座どうした?今の打ち合わせ通りだよね?雪ノ下の言葉で傷付いて泣いてんのお前?

 

 

「分かった。ならアイデアを出そう。俺に良い案があるんだが、聞いてくれるか?」

 

 

俺は2人が頷くのを確認し、アイデアを出した。

 

 

「現状としては俺と由比ヶ浜は戦力外と言ってもいいだろう。しかし唯一の主戦力である雪ノ下は、由比ヶ浜がベッタリだ。つまり外部から講師を雇うというのはどうだ?」

 

 

「それってつまり、平塚先生を呼ぶってこと?」

 

 

「先生も暇じゃない。さすがに1人の生徒にベッタリという訳にもいかんだろう。教師としての立場的問題もあるしな。俺が言いたいことは、成績優秀な生徒をここに呼ぶということだ。」

 

 

「なるほど。あなたの言いたいことはよく分かったわ。でもいくら成績優秀者と言えども、自分の勉強時間を削ってまで見てくれる人なんて中々いないと思うのだけれど。」

 

 

「ああ、それは分かっている。だからこそ週に2、3回程度依頼するんだ。これなら自分に掛ける勉強時間も抑えれる。由比ヶ浜も材木座と受ければ一石二鳥だ。」

 

 

「それなら講師は私だけでも十分ではないかしら?」

 

 

「材木座のことも考えろ。今迄女子と会話なんてできた試しのない男だぞ?それはこいつにとってもハードルが高い。」

 

 

「では比企谷くんは誰が適任だと思うのかしら?」

 

 

「葉山だ。あいつはこういうの断れない性格だってこと、去年一緒にいた由比ヶ浜なら分かるんじゃねえか?」

 

 

「確かに、隼人くんならやってくれるかも!!でも.....」

 

 

由比ヶ浜はやはり雪ノ下を見て目で確認を取っている。まあ分かりきっていたがな。

 

 

「はあ、分かったわ。依頼を受けるのが奉仕部の役目だもの。それに彼なら材木座くんと同じクラスな訳だから、受け持ってもらえそうね。」

 

 

「分かった。明日葉山に直接頼んでみる。」

 

 

「ヒッキーよろしくー!」

 

 

俺は誰にも見られないように、小さくガッツポーズをした。

 

 




話数が増えてきて、今何話なのか書いてる途中で忘れてしまいます笑

それでは次回もお楽しみ!


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人が変わるのはいつだって切っ掛けがいる

こんにちは!

今日も元気に投稿したいと思います!
それでは第14話スタート!



 

「ということだ、手はず通り頼んだぜ、葉山。」

 

 

「ああ。仕事が早くて助かるよ。」

 

 

俺は約束通り葉山に依頼内容を伝えた。正直雪ノ下が承諾するかは不安だったが、由比ヶ浜のフォローもあり無事に達成することができた。あとは葉山が上手くやれば.....

 

 

「ところで俺はいつ顔を出せばいいのかな?」

 

 

「お前もサッカー部とか色々あんだろ?週に2、3回都合の良い日に来てくれればいい。」

 

 

「分かった。夏の大会前はさすがに厳しいけど、それ以外なら任せてくれ。」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

翌日

 

 

「うーっす。」

 

 

「ヒッキーやっはろー!」

 

 

「こんにちは、比企谷くん。」

 

 

「今日葉山が例の依頼で来てくれることになった。また後で材木座も一緒に来るみたいだ。」

 

 

「了解!」

 

 

どうやら由比ヶ浜はやる気満々なようだ。このままやる気が持続するなら良いんだが....

 

 

「ところでヒッキーって大学に進学すんの?」

 

 

「まあな。専業主夫希望だし、そこそこいい大学出ねえと将来養ってくれる奥さんに出会えんからな。」

 

 

「あなたまだその夢諦めてなかったのね....」

 

 

「ヒッキーマジキモい!あたしはちゃんとヒッキーが働いてくれなきゃ嫌だ!」

 

 

「何でお前と結婚するの確定してる訳?」

 

 

「え!?ヒッキーの....奥さん..../////」

 

 

「比企谷くん、それはセクハラかしら?」

 

 

「なんでそうなるんだよ....」

 

 

由比ヶ浜の気持ちも知っておきながら、さっきの言葉はダメだな。さすがに雪ノ下の気持ちも考えんとな。よし、話題を変えよう!

 

 

「そういえば雪ノ下、お前はどこの大学に志望するつもりだ?」

 

 

「そうやって誤魔化すのは悪い癖よ、すり替え谷くん。」

 

 

やはりぼっちにはトーク力は皆無。故に話題転換などの上位スキルなど扱えない。最早習得すらしていない。

 

 

コンコン「失礼するよ。」

 

 

葉山、バッドタイミングだったな.....雪ノ下の志望校お前も気になるだろうに.....

 

 

「あ!隼人くんやっはろー!」

 

 

「どうぞ、好きなところにかけて。」

 

 

「あれ、葉山。材木座はどうした?」

 

 

「呼んだか八幡よ?」

 

 

「そんで葉山、材木座はどうした?」

 

 

「無視!?無視はやめて!!新学期始まって毎回無視してない?我辛い。」

 

 

「なんだいたのか材木座。挨拶くらいしろよな。」

 

 

「けぷこんけぷこん....葉山殿、今日からよろしく頼む。」

 

 

「ああ、こちらこそよろしくね材木座くん。」

 

 

ああ、材木座はあまり葉山と絡んだことがなかったな。苦笑いを浮かべて本能的に負けを悟った顔して....去年の俺を思い出したわ....やはり弱者はリア充という名の強者には屈服するようDNAに刻まれてるのか....八幡辛い。

 

 

「隼人先生よろしくお願いします!」

 

 

「こちらこそよろしくね、結衣。」

 

-------------------------------------------------------

 

 

「今日はここまでにしましょう。」

 

 

結局葉山は由比ヶ浜と材木座に勉強を教えるだけで、全く雪ノ下と絡んでいない。こいつマジで何しに来たの?ボランティア団体かなんか?それ奉仕部が言えた立場じゃねえな、うん。

 

 

「ゆきのーん!一緒に帰ろー!」

 

 

「ええ、もちろんそのつもりよ。」

 

 

最近雪ノ下ほんと由比ヶ浜にデレデレだな。もうちょっとゆるゆりを八幡にも見せて欲しいな!

 

 

「八幡よ、我らも帰るとするか。」

 

 

俺たちは教室を出て、雪ノ下と由比ヶ浜が職員室へ向かうのを見送ってから葉山に話し掛けた。

 

 

「お前やる気あんの?」

 

 

「葉山殿は依頼を全うしていたぞ!」

 

 

「なに?お前まだいたの?」

 

 

「」

 

 

「まあまあ、材木座くんは事情を知らない訳だし.....確かに全く上手くいかなかったね。少し慎重になりすぎていたかもな。」

 

 

こいつは基本的に雪ノ下絡みだと行動力がない。普段は周りのやつらのために動こうとするが、自分のことには消極的なのだ。そりゃ今迄何の成果も果たせなかった訳だな。俺は妙に納得した。

 

 

「葉山、自分主体で考えるな。俺のために働くと考えてみろ。」

 

 

「君のためってのは少し癪だが......次回からはそうやってみるよ。」

 

 

こいつ一々喧嘩売ってくるスタイル腹立つな。俺が熱血漢だったら引っ叩くまである。

 

 

「お前に掛かってるんだからな。これ以上のフォローに期待すんなよ。」

 

 

「あれ!?せ〜んぱ〜い」

 

 

うわ.....この状況で1番会いたくない人来たわ.....

 

 

「おう、一色か。」

 

 

「やあ、いろは。」

 

 

材木座は必死に絡まれないよう背景と同化している。こいつどんだけ女に対してトラウマ抱えてんだよ.....むしろこいつに何かされたのかよ.....

 

 

「葉山先輩と一緒とか、ちょー珍しくないですか?それにもう1人そこでうずくまってる人いますし。」

 

 

残念だったな材木座、お前のステルス機能は効果なしだ。今度ステルスヒッキー講座でも開いてやろう。俺みたいに材木座って誰?って言われるようになるぞ.....客観視したら悲しくなってきた、俺の存在とは.....

 

 

「奉仕部からの依頼でね、受験勉強の特別講師をしているんだ。」

 

 

「へー、それ誰が頼んだんですか?雪ノ下先輩から頼むのは変ですし....」

 

 

いろはすやめなさい、その言葉葉山にクリティカルヒットだから、やめて差し上げろ。

 

 

「先輩、何か企んでます?」

 

 

「え、いや別に何も....」

 

 

こいつほんと鋭いんだよな。だから会いたくなかったんだよ....

 

 

「私だけ仲間外れとか〜ポイント低いですよ?罰として明日は生徒会のお手伝いを命じます。」

 

 

「いやいや、なんでそうなる訳?もう1人でできるだろ?」

 

 

「先輩、春休みの間に忘れちゃったんですか?俺もほんry」

 

 

「分かりました。是非お手伝いさせて下さい。」

 

 

「じゃあ明日はよろしくで〜す。」

 

 

何で俺はあんなこと言ってしまったんだろうか。本当に悔やまれる。そして一色に弱み握られて逃れられないのは、もっと悔やまれる。

 

 

「いろはは本当に君に懐いてるんだね。」

 

 

「アホ言え、ただ都合のいい先輩としか思ってねえだろあれ。」

 

 

「ふふふ、そうかな?」

 

 

こいつマジで何が言いてえんだよ.....疲れたしもう帰ろう...

 

 

「も、もう生徒会長殿は行った?」

 

 

こいつまだいたんだ。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

翌日

 

 

「せ〜んぱ〜い♡」

 

 

「あざといから出直してこい。」

 

 

「なんなんですかその対応。こんなに可愛い後輩が話し掛けてあげたんですよ?」

 

 

「うん、そーだねー。」

 

 

「棒読みすぎです。....私だって先輩のこと.....その...好きなんですからね?」

 

 

ん?今こいつなんて言った?俺難聴系じゃないけど、耳を疑ったぞ?でもこいつ葉山のこと好きだから、こうやってからかってるだけか。下手に反応するとまた長文でフラれるからな。ってフラれるのかよ......

 

 

「さいですか。」

 

 

「先輩のバカ!ボケナス!八幡!」

 

 

「何でお前らいつも俺の名前を悪口みたいに言うわけ?」

 

 

「先輩がいけないんですよ!それより今日はお手伝い頼みましたからね!」

 

 

「へいへーい。」

 

 

この後、俺にあんなことが待ち受けようとは、知るよしもなかった......

 

 

 

 

 




次回は久々ラブコメ展開です!最近お堅い内容に材木座で中和するというのが多かったので......口から砂糖出るくらい甘い展開できたら最高です。

それではまた次回お会いしましょう。


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比企谷八幡は二度失う


こんにちは!
全国的に雪ですね!寒いですね!私の部屋のヒーターは灯油切れでストックも只今ありません!詰みました!笑


今回も私のどうでも良い話から始まりましたが、気を取り直して第15話スタートです!




 

 

葉山にダメ出しして一色に捕まって生徒会の手伝いさせられる羽目になった。俺には安息の地はないのでしょうか?

 

 

「ということで、今回はもうすぐ生徒会選挙がありますので、その準備と書類の整理をお願いします♡」

 

 

「おい、他の奴らはどうした。」

 

 

「皆さん用事があるみたいで先に帰っちゃいました☆」

 

 

てへぺろじゃねえよ、何で毎回脅迫されて手伝わんといけないんだ。職権乱用ですよね?八幡悪くない。

 

 

「俺も用事あるから帰る。」

 

 

「先輩は暇ですよね?」

 

 

「いや、だから俺も用事が」

 

 

「暇 で す よ ね ?」

 

 

台詞と顔があってねえ....いろはす去年よりパワーアップしてない?劣化雪ノ下さんじゃなかったっけ?

 

 

「はい、暇です.....」

 

 

俺は権力に屈した。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「いやー先輩なんやかんやで手伝ってくれますし、ほんと優しいですよねー♡」

 

 

おい、さっきまで脅迫してたやつの台詞じゃねえぞそれ。ほんと良い性格してるわ。

 

 

「ところで、そろそろ休憩しませんか?私疲れちゃってー。」

 

 

え?一色なんもしてなくない?ほとんど俺に仕事押し付けてたよね?

 

 

「いや、お前が疲れる要素ないだろ....むしろ俺が1番疲れたわ。」

 

 

「先輩の監視に疲れたんですー。そうだ!先輩にこれ差し上げます!」

 

 

一色が手渡してきたのはなんと、千葉の水ことMAXコーヒー。こいつ、分かってんじゃねえか。

 

 

「おう、サンキューな。金返すわ。」

 

 

「いえいえ、お手伝いして頂いてるんで結構です!」

 

 

なんでこんな所だけ謙虚なんですか?手伝わす時点で謙虚さのカケラも感じないんですけど?でも小町に怒られるからな、女子にはちゃんとお礼しろって....

 

 

「じゃあ今度代わりに何か礼でもさせてくれ、生徒会長様。」

 

 

「ふぇ!?先輩が....お礼.....?」

 

 

ダメなの!?お礼しちゃダメなの?てかリアルでそんな声出す人初めて見たわー、こいつ計算する自分が定着しすぎてこうなっちゃったの?

 

 

「じゃあ無しでいいな。」

 

 

「ちょっと待って下さいよ!今のは不意打ちです!卑怯です!まさか先輩が素直にお礼してくれるなんて思ってなかっただけです!」

 

 

見返りすら求められない俺への期待値の低さ......八幡悲しい。

 

 

「どっちなんだよ.....その代わり無理難題だけは押し付けるなよ?こっちも色々と忙しいんだ。」主に戸塚観察とか。

 

 

「むー、じゃあ2つ提案があります!」

 

 

「え、1つだけじゃないの?」

 

 

「誰も初めから1つだけとは言ってませーん。」

 

 

くそ、嵌められた....

 

 

「1つ目は、私もう1度生徒会長やろうと思うので、それのお手伝いを命じまーす。」

 

 

「え?お前また生徒会長やんの?」

 

 

「はい!やっと板についてきたのに、もう引退なんて勿体無いじゃないですかー。それに内申も上がってポイント高いんですよね♪」

 

 

うん、間違いなく後者が本音だな。間違いない。

 

 

「それは殊勝な心掛けだな。どうせ他に立候補する奴もいないだろうし、今回も信任投票だろうしな。公約考えるとか、推薦人として補佐しろってことだろ?」

 

 

「えー!先輩そこまでやってくれるんですかー?いろはちゃんのこと大好きなんですね♡」

 

 

また嵌められた!!俺マジチョロすぎんだろ.....

 

 

「え、いや、今のは.....はい、分かりました。」

 

 

もう諦めた。あの手この手で支配されるのは分かりきっている。いつから奴隷にジョブチェンジしたのだろうか。

 

 

「ありがとうございます♡.....それで、2つ目なんですけど....先輩、私先輩のことが好きです。先輩のあの言葉を聞いて、私なりに考えてみて、葉山先輩じゃなくて、私の心の中にいつもいるのは先輩だったんです。好きで好きで堪りません。だから....その....私を先輩にとっての本物にして下さい!」

 

 

!?!?!?!?!?俺やっぱ難聴系なのかな?ていうかこの展開何??作業前にも好きとか何とか言ってたよね?え、八幡分かんない、えええ.....

 

 

「ちょ、ちょっと待て一色!失礼かもしれんが、それ...本気...か?」

 

 

「失礼すぎますよ....本気です。私は先輩のこと大好きです。」

 

 

「ちょ、恥ずかしげも無く言うなよ.....ていうかお前葉山のことが好きなんじゃないの?」

 

 

「もう好きじゃないですよ.....。葉山先輩はもしも私の彼氏になったら私のステータスが上がる、っていうくらいの薄っぺらい理由ですよ。先輩の言葉を聞いて、こんなの恋じゃないって気付いたんです。デステニーランドの時だって、自分の気持ちを確かめるためでもあり、過去への決別のためでもあり.....ただの儀式みたいなものだったんです。」

 

 

「そうだったのか....すまん、そんなことつゆ知らず今まで軽率な発言を繰り返してしまって.....」

 

 

「いいんですいいんです!私も先輩への気持ち、はぐらかしてた訳ですし。でも、もう自分に嘘つきたくないんです。私が困った時に面倒だとボヤきながらも、助けてくれる先輩が好きです。普段やる気がなくても、いざという時は頼りになる先輩が好きです。本当はすごく優しい先輩が好きです。目は腐ってますけど、そこも可愛いって思えるくらい好きです。私にとって、先輩は本物なんです。だから.....わ...私.....うっ。うっ。.....」

 

 

こんなにも人から好かれたのは、小町を除いて初めてかもしれない。ここまで言わせといて罰ゲームとか、もうさすがに思えねえな.....。あの一色が、こんな俺に好きだと言ってくれた。こんなに感情のこもった言葉を貰ったのは生まれて初めてだ。しかも泣きながらとか、俺の心に深く突き刺さりまくってるっつーの...........。はは....こんなに嬉しいのにな.....なんでだろうな.....罪悪感とか....よく分からねえ感情に支配されてるよ。

 

 

「一色.....泣くな...お前はいつもみたいに....笑ってる方が....似合ってるぞ...」

 

 

「せ.....先輩....。なんで先輩も泣いてるんですか.....卑怯...ですよ....」

 

 

俺は知らず知らずの内に泣いていたらしい。次の瞬間暖かな物に包まれた.....ああ、これ一色か。

 

 

「今日は....特別ですからね?」

 

 

俺は泣いた。嬉しくてではなく、こんなにも可愛くて、一生懸命で、あざとくて、初めて俺のことを好きだと真摯に伝えてくれた一色を.....これからフラなくてはいけないからだ。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「落ち着きましたか?」

 

 

「ああ、すまん。一色も...その...大丈夫か?」

 

 

「はい、私もだいぶ落ち着きました。それより....その、お返事なんですけど.....」

 

 

俺はこの時、逃げ出したかった。逃げ出せばどれ程楽になれただろうか。逃げることはいけないことだろうか。一色との思い出が溢れる。脳から溢れ出す。もう、2度と.....こいつと話すこともなくなるのだろうか。嫌いになんて....なれねえよ....。けど、俺にできることは1つだけだ。俺の思ってること全部、こいつにぶつける。それが、誠意ってやつだ。

 

 

「一色、その。告白ありがとな。すげー嬉しかった。初めて他人から好きだと言って貰って正直混乱したわ。.....実はさ、俺。雪ノ下と由比ヶ浜と約束してることがあるんだ。俺はその約束を守らなければならない。まだ答えが出ていないのに、お前の言葉を受け入れる訳にはいけないんだ......」

 

 

「え....」

 

 

言えよ、言えよ言えよ言えよ言えよ!ちゃんと断れよ俺!ビビってんじゃねえよ.....俺には....俺には....

 

 

「すまん......本当に....」

 

 

「.....ぐすっ........そうやって....いつも他人を理由にしないで下さい!!先輩の気持ちは?結衣先輩や雪ノ下先輩をどう思おうが先輩の勝手です。でも.....私の気持ちは...どこにぶつければ...良いんですか?.....あの2人の間に...私が入る余地はないんですか?....ズルいですよ...本当に...。あの2人には自分の気持ちを伝えたのに.....私には何も語ってくれないんですね....先輩なんて...大嫌いです....」

 

 

「いっ.......」

 

 

現実は非情である。思い通りにいかないのも現実である。生徒会選挙の時と同じだ。小町を理由に一色を会長に担ぎ上げたあの時と.....。俺は立ち去る一色を引き止めることができなかった。そして俺はまた、大切な人を失ってしまった。

 

 

 






.......なんかすみません。前話の後書きで甘々展開書くとかほざいてた癖に、またシリアス展開ぶち込んでしまいました....。

次回も頑張ります。


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いつだって彼は自分の気持ちを隠そうとする


こんにちは!ほんとここ2日間寒すぎてケータイ持つ手が震えます笑 私ごとですが、無事灯油も確保して凍死は免れました!笑

それでは....あれ、何話だっけ?笑
どうぞ!




 

終わった.....また俺は、大切なものを1つ失った....。失ってから気づく、一色も俺にとって大切な存在だったということに。

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

5月中旬、奉仕部

 

 

「そういえばさ!最近いろはちゃん全然来ないね!」

 

 

「そうね、生徒会の引き継ぎで忙しいのかしら?比企谷くん何か知ってる?」

 

 

あの事件から1ヶ月が経ち、一色はパッタリ奉仕部に顔を出さなくなった。更に一色は会長立候補を辞退した。本当にあいつは俺との繋がりのために、生徒会長に立候補しようとしたようだ.....。一色とはちょくちょく昇降口でばったり会うが、すぐに顔を背けられ避けられる。普段フラレっぱなしの俺だったのにな.....振る方も心に来るもんがあるのだなと初めて知った。

 

 

「...........」

 

 

「比企谷...くん?」

 

 

「ヒッキー、どうしたの?」

 

 

「あ、ああいや別になんでもない。分からない問題があってだな、考え事に集中していただけだ。一色のことなら知らん。」

 

 

「そう、ならいいのだけれど.....」

 

 

「ヒッキー、何かあったらいつでもあたし達に言ってね?」

 

 

「おう、サンキューな。」

 

 

今日は葉山に予定があるようで、奉仕部の3人だけで自習中だ。と言っても俺は全く頭に入らん。こんな経験初めてだからな。それにしても妙に気を遣わせてしまった。由比ヶ浜にも雪ノ下にも、プライバシーとか色々あるし言うわけにはいかないよな......

 

 

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部活動が終わり俺たちはそれぞれ帰路へと向かった。このところ無気力だ、まあ今に始まった訳じゃないけどな。一色.......

 

 

「あっれ〜、比企谷くんじゃーん!」

 

 

目の前には悪ry....雪ノ下さんがいた。

 

 

「こんなところでどうしたんですか陽乃さん?雪ノ下なら由比ヶ浜と一緒に帰りましたよ?」

 

 

「えー、そうだったのー?まあいっか、比企谷くんこれから暇でしょ?お姉さんに付き合ってよ!」

 

 

「いや、勉強しなきゃいけないんで、決して暇じゃないです。」ほんとだよ?決して家でvitaちゃんと遊んだりしないよ?ほんとだよ?

 

 

「お姉さんにはね、嘘の匂いが分かるの。」

 

 

どこのブチャラティだよ.....

 

 

「はぁ、そんで、どこ行きますか?」

 

 

「えー勉強はいいのー比企谷くん?そんじゃあ今からお姉さんとドライブだー!」

 

 

ほんとこの人には敵わん。敵に回したらどれだけ恐ろしいことか......葉山、マジで例の依頼頼んだぞ.....

 

 

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車内

 

 

「比企谷くんさー、何かお姉さんに隠し事でもしてるでしょ?」

 

 

まままままままままマジかよこの人!!いきなり核心突いてきたよ....嫌だ、まだ八幡死にたくない。

 

 

「べ、別に隠し事なんてしてないですよ。それに隠し事をした所でそれを伝える友達なんていませんし。」

 

 

やべえ、ついついプレッシャーで噛んでしまった......

 

 

「ふーん。さっきお姉さん言ったよね?嘘の匂いが分かるって。嘘の匂いがプンプンするよ。」

 

 

今度はスピードワゴンかよ......

 

 

「まあこの際俺が何か隠し事をしてることは認めます。でも陽乃さんには、何を隠してるかは分かりませんよね?」

 

 

「まあねー、でもさ。私も比企谷くんのこと助けたいんだよ?雪乃ちゃんとそこら辺は一緒かなー。」

 

 

雪ノ下が?ここで下手に話すとボロが出る。この人と話すときは慎重に言葉を選ばなければならない。

 

 

「確か雪ノ下と今同棲してるんですよね?それでもあいつが陽乃さんと何か話すとは思いませんが。」

 

 

「比企谷くんひっどーい!私だって雪乃ちゃんのお姉さんだよ?雪乃ちゃんのことなら何でもお見通しなのよ。」

 

 

「やっぱ雪ノ下から何か相談を受けた訳じゃないじゃないですか。」

 

 

「受けたよ、相談。」

 

 

「......は?」

 

 

「とうちゃーく!」

 

 

着いた場所は海だった。九十九里浜広しと言えど、ここはその中でも波も静かで人気も少ない。わざわざ俺が話しやすい場所を選んだ訳か.....本当は初めから俺を連れに学校付近まで来たんだろな。

 

 

「比企谷くん、ここなら大丈夫でしょ?」

 

 

「はあ、分かりました。その前に、雪ノ下から相談を受けたっていう、先ほどの続きからお願いしたいのですが。」

 

 

「あ、そうだったね!雪乃ちゃんね、一色さんだっけ?あの生徒会長の子!あの子が奉仕部に来なくなってから、比企谷くんの様子がおかしくなったって言ってたのよ。」

 

 

あいつがそんなことを.....それよりも、世間話を陽乃さんにすることへの驚きのが大きかった。

 

 

「陽乃さんにそんなこと話すんですね。」

 

 

「まあ、これでも姉妹だからねー。雪乃ちゃんが小さかった頃は、何でも私に話してくれたのよ。でも思春期に入ってからは、比企谷くんもご存知の通り......でもね、最近雪乃ちゃん変わったのよ。私を目標にしなくなったの。自分の目標に向かって突き進むようになった。それで私にも少しずつ心を開いてくれるようになったの。比企谷くんなんでしょ?雪乃ちゃんが変わったのって。」

 

 

「買いかぶりすぎですよ。俺が誰かに影響を与える程カリスマ性なんてありません。与えるのは不快感だけですよ。」自分で言って悲しくなってきた.....

 

 

「あははははは!やっぱ比企谷くんおもしろーい!はい、私は全部話したよ。比企谷も言ってくれなきゃ、フェアじゃないよね?」

 

 

この人に会った時点で、こうなる運命は決まっていた。

 

 

「分かりました。実は......」

 

 

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「なるほどねー、比企谷くんやっぱ最高だねー、根っこの部分は何も変わってない。」

 

 

う、何も言い返せない。ちなみにこの人の最高は=最低だと俺は分析している。

 

 

「俺は.....どうすれば良かったんですかね。」

 

 

「それは自分で考えなきゃ。何でも年長者から答えを与えられると思ったら大間違いだよ。」

 

 

「やっぱ大人ってズルいですね。」

 

 

「ふふふ、それが大人って生き物だからね。」

 

 

「なら俺は一生子供でいたいですね、陽乃さんが思ってる以上に俺ピュアなんで。」

 

 

「そうだね。比企谷くんはピュアだね。純粋だからこそ分かることもあるし、気付かない所もある。.....そんな子供な比企谷くんにお姉さんから1つ、雪乃ちゃんのためにも案を出してあげましょー。」

 

 

「案....ですか....?」

 

 

「そんな身構えなくても大丈夫、お姉さんは何も悪いようにはしないよ。お姉さんからの案は雪乃ちゃんに相談すること。」

 

 

「でも、一色のプライバシーにも....」

 

 

「プライバシー?さっきお姉さんに話した時点でプライバシーなんてないでしょ?比企谷くんはズルいね。」

 

 

「........」

 

 

何も言い返せなかった。陽乃さんは正しい。確かに今までこの人の行動は、決して正しいと言えるものじゃなかった。しかしこの人の行動には必ず裏がある。その裏が正しい方向へと向かっていることも確かだ。だから俺はこの人にいつも言いくるめられるのだろう。

 

 

「比企谷くん。車内でも言ったけどさ、お姉さんも君を助けたいんだよ?雪乃ちゃんのためってのもあるけどねー。」

 

 

「分かりました。やっぱ陽乃さんには敵いませんね。」

 

 

俺は不安とも安心とも言えない笑顔を浮かべ、陽乃さんの案を受け入れた。

 

 

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奉仕部

 

 

「うーっす」

 

 

「ヒッキーやっはろー!」

 

 

「こんにちは、比企谷くん。」

 

 

覚悟を決めるのだ、比企谷八幡。奉仕部が崩壊しかけた時、あの頃のように覚悟を決めろ。

 

 

「すー....はー..........」

 

 

俺の様子に、雪ノ下と由比ヶ浜は不安そうな顔を向けている。俺はあの日のように、いつもの席ではなく依頼者の席に座り......

 

 

「1つ依頼がしたい。.....俺に力を貸してくれ。」

 

 

あの時とは少し違った言い方で。

 

 





最近お気に入りも増えまして、応援して下さる皆様に本当に感謝してます!!最近暗い内容が増えてきて申し訳ありませんが、もう少しだけ、もう少しだけお付き合い下さい!また明るいラブコメ展開も必ずするとここに誓います!


次回もよろしくお願いします!



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ここから始まる新たなる芽吹き


こんにちは!本業に追い込まれ今月いっぱいまでバタバタしております!笑 ですが、更新は出来る時にきちんとしたいと思いますので、よろしくお願い致します。


ではスタート!


 

 

俺は全てを話した。事の始まりから、終わりまで。一色には悪いが、このままというのもさすがに後味が悪い。べ、別に陽乃さんに言われたから言った訳じゃないんだからね!あくまで自分の意志で奉仕部に相談したのだ。これはマジで。

 

 

「ごめんなさい、比企谷くん。私たちのせいで、あなたを悩ませてしまったわ。」

 

 

「ヒッキー、あたしもごめんね。」

 

 

「いや、お前らは何も悪くないだろ。俺の答えが曖昧だったからだ.....。」

 

 

「ヒッキー、でも正直に伝えてくれてありがとう。ヒッキーのことだから、この1ヶ月間沢山悩んだんでしょ?」

 

 

「ああ.....すまん。」

 

 

そう、俺は1ヶ月間毎日悩んでいた。別のことを考えていても一色のことを考え、思考を停止してもたまに廊下で会ったりと....あいつのことを忘れる日なんて1日たりともなかった。そのくらい俺にとって、あいつの存在が大きくなっていたことは言うまでもない。

 

 

「いろはちゃんとあれから喋ってないの?」

 

 

「実はだな、廊下や昇降口ですれ違っても避けられる。」

 

 

「まるで比企谷くんがフられた様ね。」

 

 

「それは否定できねえな。」

 

 

「ところで、私たちは比企谷くんに何をしたら良いのかしら?」

 

 

「.....すまん、そこまでまだ気持ちの整理がついてないんだ。相談したは良いものの、こういう経験は初めてだからな.....」

 

 

「そっか....ゆっくりで大丈夫だよ。ヒッキーのペースでね。......あたしたちも絶対協力するし!」

 

 

「そうね、私も力になるわ。」

 

 

「サンキューな。」

 

 

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「ところで今日小町さんは?」

 

 

「小町なら少し遅くなるって今朝言ってたぞ。」

 

 

そう、小町は仮入部を終え5月から正式な部員となった。今回のことは小町にはまだ話せていない。

 

 

「すみませーん!遅くなりましたー!」

 

 

「あ!小町ちゃんやっはろー!」

 

 

「こんにちは、小町さん。」

 

 

「よ!小町。」

 

 

「お2人もお兄ちゃんもこんにちはです!」

 

 

「そういえば小町ちゃんって相談聞いたの?」

 

 

由比ヶ浜早速打っ込むな.....別に悪くはねえけど...

 

 

「え?何のですか?」

 

 

「え!?ヒッキー話してなかったの!?」

 

 

「あ、ああ。最近小町が大志に付きっ切りで、話す機会がなかったんだ。」

 

 

「本当にあなた妹離れしたのね....未だに信じられないわ...」

 

 

まあ無理もない。元々あんなんだったしな俺....

 

 

「奉仕部に誰かから相談ですか?」

 

 

「えと.....実は....あはは...」

 

 

「はあ、大丈夫だ由比ヶ浜。俺から説明する。小町、実はだな.......」

 

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「ええええ!?お兄ちゃんいつの間にいろはさんまで!?.....これが天然ジゴロというやつですかね......」

 

 

「誰がジゴロだ。」

 

 

「そうね、そのスケコマシ谷くんのために今色々考えてるところよ。」

 

 

「なるほどですね....ふむふむ.....お兄ちゃんっていろはさんのこと、正直どう思ってるの?」

 

 

「え、どうした藪から棒に。」

 

 

「だって今聞いた話だと、雪乃さんや結衣さんのためを思ってフッた訳だよね?お兄ちゃんの本心は何1ついろはさんには伝わってないと思うよ?」

 

 

「確かに!さすが小町ちゃん、彼氏持ちは言うこと違うなー!」

 

 

「うへへへへ〜、それにお兄ちゃんいつも言葉足らずなんで。」

 

 

「さすが小町さん。お兄さんの生態系に詳しいのね。」

 

 

ちょっと雪ノ下さん、俺が別の生物みたいになってるんですけど。それと全国のお兄さんに謝れ。

 

 

「分かった?お兄ちゃん正直に言って!いろはさんのことどう思ってるの?いつもみたいに屁理屈こねずに、お兄ちゃんから見たいろはさんについて答えて!」

 

 

「う.....そ、そうだな...一色は最初すごくあざといって思ってたな...まあ今も変わらんが。」

 

 

「そういうこと聞いてるんじゃないの!いろはさんの性格じゃなくて、これからいろはさんとどうしたいの?」

 

 

「こ、これから!?もちろん前の関係に戻りてえけど....」

 

 

「それで?いろはさんに言うこととか他にあるんじゃないの?あの回答はさすがに失礼だよ。恋する乙女がやっと本物の恋を見つけて、告白したら告白待ちがいるから無理って.....小町的にちょーポイント低い。」

 

 

あの、小町さん?あちらで顔を真っ赤にされてる雪ノ下さんと由比ヶ浜さんがいるんで掘り返さないであげてね?

 

 

「ぐ、確かによくよく考えたら失礼なこと言ってたんだな俺.....分かった。お前らの前だ。本心で話す。」

 

 

3人から注目が集まり、生唾を飲み込む音が聞こえる....プレッシャー半端ないんですけど....

 

 

「俺は...一色ともう一度話したい。失礼な回答を伝えてしまった旨も謝りたい。俺の素直な気持ちを伝えて、しっかりあいつと向き合ってもう一度あの頃に戻りたい。」

 

 

「だそうですよ。」

 

 

は?

 

 

ガララッ「........」

 

 

「い、一色さん!?」

 

 

「いろはちゃん!?」

 

 

「い.....一色.....」

 

 

「先輩、今の.....本当....ですか?....」

 

 

「え......」

 

 

「ごみいちゃん。早く答えて。」

 

 

「い.....一色.....本当に申し訳なかった。あの日は本当に驚いたし、嬉しかったのは本当だ。.....だが、俺の気持ちをしっかり伝えてなかったな......。実は俺さ、雪ノ下と由比ヶ浜のどちらかを卒業式の日に選ばないといけないんだ。あの日言葉足らずな俺のせいで、深く傷つけてしまって本当に申し訳ないと思っている。」

 

 

「......」

 

 

「それで俺は.....あの日、お前が目の前から消えて気付いたことがあった.......」

 

 

一色との思い出が溢れる。あの時とは違った、罪悪感のない過去の思い出が.....。初めてここで出会った日のこと。一緒に推薦人名簿を書いたこと。クリスマスのこと。デステニーランドのこと。初めて2人で出掛けた日のこと。バレンタインのこと。2回目に出掛けた日のこと。花見のこと.....一色の笑顔や、あざとい表情、怒った顔....全部....全部....本当に良い思い出だ.....だが....あの日の涙だけは........俺は.....俺は......

 

 

「......お前は俺にとって、大切な存在だってことに気付いたんだ。けど、雪ノ下と由比ヶ浜も同じくらい大切で、俺は....まだ、選ぶことができない.....だから一色、もう一度俺にチャンスをくれ。これからのお前を俺はもっと近くで見ていたいんだ。だから....卒業式の日に、それでもまだ俺に想いを寄せてくれているのなら......もう一度、もう一度、お前の言葉を聞かせてくれ。自分勝手かもしれない、まだ俺に想いを寄せているとか自意識過剰かもしれない。それでも俺は......」

 

 

「本物が欲しい.....ですか....?....本当に先輩はバカです....どうしようもないくらい.....バカ....ですよ.....グスッ.......口説いてるんですか?.....でも....ものすごく嬉しくて.....グスッ....やっと2人と肩を並べることが....できて....うっ.....これで心置きなく....先輩にアタックできます.....この上なく幸せです....でも絶対....絶対......グスッ.....大好きな先輩を......うっ....誰にも渡しません....ので....よろしく.....お願いします.....うっ....うう....先輩!」

 

 

一色は俺に抱きつき、その日は大声を上げて泣いた。やっとだ......やっと止まっていた時間が動き出した感覚だ......久しぶりの一色は、いつもより綺麗に見えた。

 

 

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「死にたい.....」

 

 

「お兄ちゃん帰って早々なーにやってんの.....」

 

 

無論俺は帰宅してからというもの、今日の公開処刑を思い出し恥ずかしさの余り死にたくなって悶えているところだ。何であんなこと恥ずかしげもなく言っちゃったの俺?バカなの?本当にバカなの俺?前にも同じようなことしたよね?学習能力皆無なの?

 

 

「まあ、あの答えには小町もさすがにビックリしたけどねー。まさかお兄ちゃんが、結衣さんや雪乃さんと同じくらい、いろはさんに想いを寄せていたとは.....」

 

 

「な、なんだよ俺が想いを寄せてるとか......べ、別にまだ俺の気持ちも分かんねえし.......てか小町、お前なんで一色が外にいたこと知ってたんだよ?」

 

 

「え?だって小町の依頼人だもん。」

 

 

「は!?」

 

 

「いろはさんから直接相談がきたの。それで、さすがに皆さんには話せないから個人で受け持ったって訳。そんな所にタイミング良く陽乃さんから連絡がきてねー。」

 

 

なるほど.....つまり俺が一色について、雪ノ下個人に相談するのではなく、奉仕部に相談することも陽乃さんにはお見通しだったって訳だ。それに本人が目の前にいたら、間違いなく気持ちを伝えることもできないということも、2人にはお見通しだ。だからこそ一色を廊下で待機させ、俺から自然に気持ちを聞き出したってことだな。小町と陽乃さん.....こんな恐ろしいカードがあるんだな.....

 

 

「また俺は一杯食わされたってことか....ははは.....」

 

 

「細かいことはいーの!良かったじゃん、いろはさんと復縁できて。」

 

 

「それリア充に使う言葉だからな。」

 

 

「なーに言ってんの、あんな姿小町に見せといて......」

 

 

「うぐっ.....あ、あれは.....」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「せ〜んぱいっ♡大好きです♡もう私は絶対先輩から離れませんからね〜♡結衣先輩にも雪ノ下先輩にも絶対渡しませんからね♡」

 

 

泣き止んだ一色は今までのタガが外れたかのように、俺に素直になりすぎだろこれ!?!?一色さん?これ本当に一色さん?どこかで強く頭打ち付けて人格変わったんじゃなくて?でもなんかいい匂いするし近いし胸に顔スリスリしてくるしお腹に何か当たってるしいい匂いする!!!!

 

 

「い.....いろは....ちゃん....?」

 

 

「い...一色...さん.....ええ......」

 

 

「うわあ.....」

 

 

3人ともドン引きじゃねえか.....おい、どうすんだよこの状況.....でもこれはこれで悪くはないですねえ、うん。いや、ねえよ.....

 

 

「いや、その....一色...さん?そろそろ帰るしさ....離れよっか?」

 

 

「え〜、まだ1ヶ月分の先輩成分足りないです〜!」

 

 

先輩成分って何!?俺からハチミツみたいな濃密度の成分かなんか摂取できんの?商品化でも検討してみよう。売れねえな。

 

 

「一応俺も年頃の男子だし?人目も気になるっていうかさ......」

 

 

「え?もしかして先輩私で発情してますか?それはそれでかなり嬉しいですし先輩になら私の初めてを捧げるので今夜良かったら襲いに来てくださいお願いします。」

 

 

「い、いろはちゃん!?ズルい!!」

 

 

「そうよ!一色さん、抜け駆けは卑怯よ!」

 

 

「いや、お前らマジで何言ってんの......」

 

 

「いくらお二人でも〜、先輩だけは譲れませ〜ん。私に対してあんな情熱的な言葉をくれたんですよ?絶対に私が先輩の正妻です♡」

 

 

ギャーギャーワーワー!!

 

 

俺っていつからハーレム属性なんてついたんだろうな......

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「ほーら、あんないい思いしてこの天然ジゴロは.....」

 

 

「おい、だから俺はジゴロじゃねえ。確かに専業主夫希望だが.....」あれ、ジゴロなの俺?

 

 

あ、そういえば陽乃さんにも今度報告しとかないとな。一応助かった訳だし。

 

 

「小町、今日はサンキューな。お前のお陰だ。」

 

 

「はいはーい。」

 

 

大志に取られたせいで、最近小町がお兄ちゃんに冷たい.....やはり消すべきだったか.....

 

 

「今何か悪いことでも考えてたでしょ?」

 

 

「そっそんなことないでしゅ!!」

 

 

うっわー、思いっきり噛んじまったよ。それにしても今日は疲れた.....明日は束の間の休日。やっと土曜日だ。2日間勉強しつつ自堕落な生活を過ごそう......過ごせることを切に願う俺であった。

 

 






いやー、やっと暗黒期からの脱却!またラブコメというか微エロ展開へと発展しましたね。そんなアツい絡みとかそういうのは健全な高校生にさせませんのでご心配なく....それでは時間もよろしくお願いします!


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やはり女の争い程怖いものはない


こんにちは!最近コタツでデスクワークをしていた時に寝落ちしてしまいまして.....ということで今回は眠いをテーマに書くことにしました!どうぞ!


 

 

結論を言おう。俺に平和な休日を送れることなどなかった。土曜日には一色が昼から押し掛け、日曜日はそれを知った由比ヶ浜と雪ノ下が一色と一緒に押し掛け、俺の大切な自堕落な生活を奪われてしまったのだ。さすがに勉強に関しては許してもらったし、雪ノ下に分からない問題も教えてもらった。それだけは有り難かった。本当にそれだけは.....あとはご想像通り、あいつらは俺にちょっかいかけてくるだけだったな.....

 

 

全く1週間の疲れが取れず、あっという間の月曜日。これから毎週ああなってしまうのかと思うと.....やはり考えるのはやめよう。余計に疲れる.....

 

 

「朝から辛気臭い顔をしているのね。」

 

 

「雪ノ下か。」

 

 

登校中に雪ノ下と遭遇するとは珍しいな。

 

 

「昨日はいきなりごめんなさい、迷惑だったかしら?」

 

 

「いや、お前には勉強教えてもらったし他のことは不問にしといてやるよ。」

 

 

「そう、なら週末も押しかけるわ。」

 

 

悪戯な笑顔を浮かべる雪ノ下に、俺はただただ苦笑いを浮かべるしかなった.....

 

 

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「はちまーん!新しい小説を書いたのだ、今回は我にとって最高傑作。是非添削してはくれまいか?」

 

 

教室に着いて早々材木座からの依頼だ。こいつ毎回最高傑作とか言ってない?

 

 

「わかったわかった、今日は疲れてるから明日でもいいか?」

 

 

「我はいつでも構わん。」

 

 

ああ、眠い.....最近勉強も忙しいしな......学校着いてすぐだってんのに......ね.....む....

 

 

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「.......がや.....比企谷!!」

 

 

ん?誰だよせっかく気持ちよく人が寝てるというのに......

 

 

「起きたか比企谷。」

 

 

眠い目をこすると、目の前には独しry.....平塚先生が仁王立ちしていた。

 

 

「どうしたんですか平塚先生、何か用ですか?」

 

 

「ほほーう.....私の授業に堂々と居眠り、尚且つ喧嘩まで売るとは......覚悟はいいだろうな?」

 

 

え!?どゆこと??

 

 

「うぎっ!!」

 

 

頭に衝撃が走った。どうやら俺は授業が始まってからも眠っていたようだ。何で誰も起こしてくれないんですかね.....

 

 

「今後このようなことはないように。夜更かしもいいが、きちんと授業には参加したまえ。」

 

 

「あ、はい....すんません....」

 

 

はあ、安息の地などないのか......

安息の地.....そうだ!!

 

 

ということで俺は今、保健室にいる。平塚先生の授業が終わり、次の授業は保健室で眠ることにした。元々影の薄い俺がいようといまいが誰も気にも留めない。いたとしても材木座程度であろう。さてと、やっと安眠の時間だ。最早永眠したいまで......あ....る...

 

 

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少し体調が悪くて寝ていたら、隣のベッドで比企谷くんが寝てる。普段はあんな目をしているから分からなかったけれど、寝顔は可愛いのね。ちょ、ちょっとだけ.....悪戯してもいいわよね?最近一色さんがベッタリだった訳だし、私は比企谷くんと2人で遊びになんて行ってないから....そう、これは仕方なく。私もアピールしなければ、比企谷くんは私を選んでくれない。

 

 

「お、おじゃまします.....」

 

 

男の人と添い寝なんて初めてだわ。比企谷くんって意外とガッチリしてるのね、普段やる気のない彼を見てきたのだから、余計にそう感じてしまう。.....私はいつからこの人のことを好きになってしまったのだろう。あれだけ反目しあっていたのに。とても不思議ね。彼の寝顔を見ていたら私もまた眠た......く.....

 

 

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ふあぁぁ、よく寝たわー。やっぱ教室の硬い机に突っ伏すのとは段違いだわ。これからちょくちょく利用しようかな。.......え?....隣に何か美少女が寝て....って雪ノ下!?なんでこいつ俺と寝てんの?え?いつから?ていうか俺が寝ぼけてこいつの布団に入ったのか?ヤバいヤバいヤバいヤバい、早くここから離脱しなければ。こいつが起きた瞬間罵詈雑言の嵐だ、通報するとかいつもの脅し文句も言われる。俺の社会的地位も失いかねん、いや俺に社会的地位なんてないだろ、ないのかよ.....って今はんなことどうだっていい!とりあえず....戦略的撤退だ。

 

 

「ん....比企谷....くん....」

 

 

な....なん....だと....!?破壊力半端ねえだろ今の!もう1回、何ならもう3回くらい言ってくれても構わん。まあこのまま一緒ってのも案外悪くないですねえ....ってダメだろ、こんな所をあいつらに見られたら.....

 

 

ガララッ「ゆきのん体調どーお?」

 

 

「あ」

 

 

「え?」

 

 

「ゆ、由比ヶ浜さん、こ、こ、これは違うんだ、何かの陰謀故にこのような状況になったんだろう。こ、怖いなあ無意識って本当に怖いなあ。」

 

 

「へえ....ゆきのんとお楽しみだったんだね。」

 

 

笑顔と声色が合ってない!!なんでこうなっちゃったの?俺は悪くない、一切手も出していない。大天使戸塚に誓うまである。

 

 

「ゆ、由比ヶ浜!聞いてくれ、誤解だ誤解!俺がそんなやつに見えるか?知っての通りヘタレだぞ?」自分で言ってて虚しい。

 

 

「ふーん、ゆきのんが起きたら2人にはたーっぷり質問するからね。」

 

 

「は.....はい.....」

 

 

奉仕部内で1番怖い存在は雪ノ下ばかりだと思っていた....本当に怖いのは、雪ノ下を手懐ける由比ヶ浜だということ.....さすがはカースト上位に君臨するだけあるわ......

 

 

「パンさんがいっぱい.......むにゃ.....」

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

結局部活中俺は散々由比ヶ浜からの質問を受け、小町からは引かれ、挙げ句の果てには雪ノ下から痴漢やらストーカーやら、そんなに私のことが好きなの?とか散々言われた。最後関係ねえだろ......

 

 

コンコン「邪魔するぞー」

 

 

扉の方へ目をやると平塚先生と一色が立っていた。

 

 

「平塚先生と....一色さん?....どうかされましたか?」

 

 

「今日から一色も奉仕部の一員となった。仲良くやるように。」

 

 

「え、何で一色が!?」

 

 

「せんぱーい、忘れちゃったんですかー?どっかの誰かさんがいい加減な答え出すから、私生徒会に立候補しなかったんですよ?」

 

 

「いや、それは覚えてるけどお前サッカー部のマネージャーも.....」

 

 

「うちの学校は運動部と文化部の掛け持ちもOKなので、入部することにしました!そ・れ・に、先輩には1番近くで私を見て欲しいんです♡あんなこと言われたら、一緒にいる時間もっと欲しくなるに決まってるじゃないですか〜♡」

 

 

「はいはい、あざといあざとい。」恥ずかしいからやめてください.....

 

 

「先輩の方があざといですよ!!」

 

 

「お兄ちゃんもいろはさんも痴話喧嘩はやめて下さい。」

 

 

「え...ちわ....喧嘩.....///」

 

 

「お前どこに反応してんだよ.....」

 

 

「あははは....これからよろしくね!いろはちゃん!」

 

 

「よろしくお願いするわ、一色さん。」

 

 

「いろはさん!よろしくお願いします!」

 

 

「はい!皆さんよろしくです☆」

 

 

......って何でこのあざと可愛い後輩は俺の隣に座ってくるんですかね....さっきから由比ヶ浜と雪ノ下の視線が痛い、もう仲良くして!!

 

 

「あの.....一色さん?何故この男の隣にいるのかしら?」

 

 

「そうだよ!ズルいよいろはちゃん!」

 

 

「え〜だってー、他に座るところないじゃないですかー。」

 

 

いやあるけどね?結構あるけどね?ちなみに席順は廊下側から小町、俺、一色、由比ヶ浜、雪ノ下となっている。由比ヶ浜は雪ノ下にベッタリなため、当然俺と由比ヶ浜の間にスペースはあるはずなのだ.....あるはず......なのだ.....

 

 

「いや、俺と由比ヶ浜の間って結構間があるだろ?そこに座ればいいじゃねえか.....」

 

 

「先輩照れてるんですか?そういう所も可愛くて好きです♡」

 

 

あーダメだ、この子会話の成立しない子だ。

 

 

「さいですか、もうお好きにどうぞ。」

 

 

「ということで、愛しの先輩から了承頂いたので誰も咎める人はいないですよね?」

 

 

「いいえ、彼は奉仕部の備品。備品の管理は部長である私の務めよ。」

 

 

「ヒッキー物扱いしちゃってるし!」

 

 

「あれー、ひょっとして雪ノ下先輩嫉妬してますか〜?」

 

 

やめて!いろはす煽らないで!雪ノ下さん煽り耐性0だから!

 

 

「一色さん、なにか?別にこれは勝者の余裕というやつよ。彼とは添い寝する仲なのだから。」

 

 

「え....添い....寝?せんぱーい、詳しく説明してくれますかー?」

 

 

ヒィィィ!!その口ぶりだと、お前何してんだよにしか聞こえないから!ていうか小町助けて!何お兄ちゃんの影に隠れて面白がってんの!!

 

 

「えっと、あれは事故と言いますか、なんと言いますか...意図的に行ったことではないということは言わせて頂きます.....はい。」

 

 

「嘘はダメよ、卑猥谷くん。添い寝しながら私の体を舐め回すように見てたのでしょ?」

 

 

んー、まあそれは否定できませんねー。でもこんなこと言ったら一色キレるな、八幡だって男の子だもん、許してね。

 

 

「んな訳ねえだろ....これで満足したか?一色。」

 

 

「むー、なんか腑に落ちないですねえ.....」

 

 

「じゃあ皆さん、こんなのはどうですか?」

 

 

どうしたの小町ちゃん、長い間沈黙してたあなたがいきなり.....嫌な予感しかしない....

 

 

「え?どんな案なの?」

 

 

「ふふふー.....皆さんが今から順番にお兄ちゃんと添い寝をして頂きます!」

 

 

「「「「え!?」」」」

 

 

こうして大波乱の幕は切って落とされたのであった.....

 

 






次回、謎の八幡を巡る添い寝回です!


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やはり俺がハーレム展開なのはまちがっている①



皆さん本当にお久しぶりです!!
リアルがバタバタしておりまして、本当は先週の金曜あたりに更新したかったのですが.....すみません!
これからは暇な時間増えますので、あまり滞らないと思います。

それでは、添い寝回スタートです!!




 

 

こんにちは!一色いろはです!前回小町ちゃんの提案で先輩を巡る添い寝対決が始まりました!先輩の正妻は私しかいないのは知ってますが、お二人とも強力なのは否定できません......私、頑張ります!

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

「ということで、お兄ちゃんを巡って第一回添い寝大会を開催したいと思いまーす!」

 

 

え、唐突に何!?第一回ってことは第二回もあるかもしれないってこと?血は流れないよね?絶対流さないでね?

 

 

「これは私が先輩の正妻であることを皆さんに認めさせる絶好のチャンスですねえ.....」

 

 

「い、いろはちゃんには絶対にヒッキー渡さないんだから!」

 

 

「あら由比ヶ浜さん、それなら私には渡してもいいってことになるのだけれど?まあ、比企谷くんは私の備品なのだから私が勝つに決まっているわ。」

 

 

「って、ゆきのんにも渡さないし!!ヒッキーはあたしが貰うんだもん!ね?ヒッキー!」

 

 

「いや、ね?って.....」

 

 

この勝負が提案された瞬間に、平塚先生壁殴って無言で帰りましたよ.....本当にすみません....

 

 

「勝負は至ってシンプル!順番に5分ずつお兄ちゃんと添い寝して頂いて、1番お兄ちゃんをキュンとさせた人が勝者です!」

 

 

「え、これ5分もやるの!?お兄ちゃん計15分も悶え苦しまないといけないの?」

 

 

「せんぱ〜い、辛くなったら言ってくださいね?」

 

 

おお、一色はちゃんと俺のこと気遣ってくれるんだな。やっぱこいつは何やかんやで優しい所あるからな.....

 

 

「どうしても辛くなったら遠慮なく襲って下さい♡」

 

 

うん、やっぱこいつあかんわ、俺の関心返して.....

 

 

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「ということでまずは、じゃんけんで勝った結衣先輩からスタートです!」

 

 

「ううう....緊張する.....」

 

 

ううう.....緊張する.....色んな意味で。例えば俺の理性とか、俺のアイデンティティとか、俺の命とか。

 

 

「ところで小町ちゃん、この布団どうしたの?お兄ちゃん驚いてるんだけど。」

 

 

「細かいことはいーの!」

 

 

「え、ほんとにどうしry」

 

 

「細かいことはいーの。」

 

 

「あ、はい....」

 

 

余計なこと聞いてくんなと言わんばかりの表情だったな....我が妹ながら怖え....ほんとにどうしたのこれ?

 

 

おっと、説明するのを忘れていたが、順番は由比ヶ浜、雪ノ下、一色となった。なんだろう.....すごい不安。

 

 

「それではお二人とも布団に入ったらスタートです!」

 

 

く、南無三!どうにでもなりやがれ!

 

 

「お、お邪魔します.....」

 

 

ち、ちかいいいいいいいい!!!いい匂いがする!!てかメロンが2つ当たってる!!!ギブ、ギブ!!!理性が飛ぶ!!シラフでこれは無理、飲んだことないから分からないけど、シラフじゃ絶対無理!!シラフじゃなくても無理!何言ってんだ俺!!

 

 

「ヒ、....ヒッキーきょどりすぎだし....あたしも恥ずかしいんだからね。.....でも、ヒッキーって、あったかいね♡」

 

 

「ゆ、由比ヶ.....浜....」

 

 

あかん、理性飛ぶわ、何が理性の化け物だよ.....鋼のメンタルどころか豆腐メンタルじゃねえか....

 

 

「ゆ、結衣先輩....あざとい....」

 

 

一色さん?あなたにだけは言われたくないと思いますよ?

 

 

それにしても由比ヶ浜は天然でこういうこと言っちまうからな.....やはり侮れん。

 

 

「ヒッキー、もうちょっとくっついてよ。添い寝の意味ないし。」

 

 

「い、いや....あまりにも近いとだな....俺も....な.....」

 

 

「もー....前にも言ったけどさ、来ない人にはこっちから行くね!」

 

 

文化祭の時だろうか、そんなこと言われてたな。薄々由比ヶ浜の気持ちにも勘付いていたが、俺は奉仕部の在り方などから気付いていない振りをし続けていた.....が!!!!もうね、八幡皆さんのお気持ち知ってしまったんですよ。もうね、拒むのも疲れました。べ、別に下心から受け入れてる訳じゃないんだからね!!

 

 

「比企谷くん、鼻の下が伸びているわよ。」

 

 

「ヒッキーマジキモい!!」

 

 

いやいや由比ヶ浜さん、あなたがそうさせたんですよ?

 

 

「はあ、分かった分かった。俺から近づくから.....ほらよ、これで...いい.....か.....」

 

 

「ヒ....ヒッキー.....///」

 

 

テレテッレッテーテレテッテーレレーレー(情●大陸BGM)

今夜のゲストは千葉県在住の比企谷八幡さんです。

『いやあ....あれはもう破壊力抜群でしたね。私のようなプロぼっちには到底耐えれない緊張感がありました。ここはプロぼっちの意地の見せ所だと思ってたんですけどね、私はもうダメだと思いましたよ。』

 

 

って誰だよ俺の中で変な番組作ったやつ、紛れもない俺自身である。人は非現実的で今まで体験したことのない場面に遭遇すると頭が真っ白になるとよく言うが、俺は某番組が流れましたね、病気かな?病気だよ?

 

 

「.....///....やっぱ、ちけえな。ちょっと離れ....うお!」

 

 

「ぎゅー!あたしも恥ずかしいんだから、離れちゃダメ!それとも...ヒッキーは、あたしなんかじゃ嫌?」

 

 

そんな潤んだ目で上目遣いとかやめて!!一色とは違ってあなた計算無しのガチなやつって分かってるから!!

 

 

それにしてもハグはズルい。メロンソムリエでもある八幡先生から言わせてもらうと、これは中々.....ダメだ、俺のアイデンティティもう消滅してるわ。

 

 

「ゆ、由比ヶ浜さん....やはり侮れないわ....くっ....」

 

 

慎ましい物をお持ちなあなたには出来ませんもんね。でも希望をあるよ、遺伝的にね。

 

 

「2分経過です!」

 

 

え、まだ3分も残ってるの!?もうこれ以上これが続くと八幡おかしくなっちゃう!!

 

 

「い、いや....別に嫌って訳じゃ.....」

 

 

「うへへへ〜ヒッキー大好きだよ♡」

 

 

「お、おう....///」

 

 

なんだこのうやらまけしからん状況は。本当に平塚先生あのタイミングで退散して良かったと思う。確実にメンタル破壊されてましたね。

 

 

こうして残りの3分間は由比ヶ浜にハグされつつ、頭を撫で撫でされるという1秒たりとも気の休まらない時間を過ごしたのであった。

 

 

「それでは5分経ちましたので終了です!」

 

 

「ヒッキー、ありがとう♡あたしとの添い寝、どうだった....かな....?///」

 

 

メロンが最高でしたとは言えないな、うん。

 

 

「その....すげえドキドキしたし、頭撫でられるのは嫌じゃなかったな.....///」

 

 

「お〜、あのお兄ちゃんが中々素直な反応ですねえ。ということで1回戦終了です!次は雪ノ下先輩お願い致します!」

 

 

「元祖添い寝クイーンの私なのよ?比企谷くんとの添い寝に敵う者はいないはずだわ。」

 

 

なんなんですかその変な称号?それにお互い寝てたし全く記憶ないんですけどね?

 

 

それにしてもこれがあと2回も続くのか......はあ、ぼっちには心臓もたないぞ....早く帰りたい.....

 

 

続く!!

 

 

 






由比ヶ浜編が終わりました!

次回は雪ノ下編でその次は一色編が始まる感じです!

添い寝っていいですよね。うん。


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