スカアトリー (ルア君は気まぐれ)
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戦争の発端

まずは説明と、何故戦争が起こったのかについてだぜ


まず、スカアトリーとは、多種族が暮らす世界。

 

種族は

 

Witch 魔法使い

Elf エルフ

Fairy 妖精

Demon 悪魔

Angel 天使

God 神

Mermaid 人魚

Beast man 獣人

Machine goddess 機械の女神

Orge 鬼

Human 人間

???

などで、それぞれの説明が

 

魔法使い

大魔法使い、天才魔法使い、魔法使いの弟子、落ちこぼれ魔法使いから成る種族。

文字通り魔法を使うが、使える量は階級が上がるにつれて増え、魔法の質も上がっており、全種族から見て比較的文明が発達している。

 

エルフ

王、王子、姫、城仕え、職人の階級から成る。基本的に上流階級は、城の外や国土の外に出ない。

物作りが得意で武器からアクセサリーまで、幅広く作っている。また植物とある程度までは意思疎通が出来る。

 

妖精

王、一般の階級がある。

サイズはまちまちで親指ほどの妖精もいるが、普通の人間サイズの者もいる。

簡単な結界を張ったり、すでにそこにある火や水を操れる。

 

悪魔

サタン、大悪魔、悪魔、落ちこぼれ悪魔の階級に分かれる。

狂暴な性格が多く、また階級が上がるほど他種族をよく思っていない。

人の堕落を至高とし、駆け引きや心理戦に秀でる。

また、天使とは特に仲が悪い。

 

天使

大天使、天使、堕天使の階級がある。

大天使はプライドが高い。天使は基本的に他種族に対しても友好的な場合が多い。また堕天使は、非協力的で自分勝手に動くことがあるため手を焼かれている。

悪魔とは仲が悪い

 

基本戦闘には参加しないが、気に入った人に能力をあげたり、性格的に例外もいる。

他種族とは圧倒的に能力差があり、弱い神の部類でも他種族の上層複数人がかりで勝てるかどうか

 

人魚

階級は特に無し。他種族と比べてかなりの長寿(神を除く)

尾を脚に変えることで陸で過ごすことが出来るが、長時間は居られない。

陸に出たがる者は少なく、多くの者がやられない限りやり返さない。

 

獣人

代表がいるだけで、特に階級は無し。

あらゆる動物の形があり、動きがとても早く、五感が鋭い。

あまり武器を使う戦いを好まず、少数で群れを成して行動する。

どの程度獣が混ざるかは個人差がある。

 

悪魔とは存在を違える。比較的温厚で他種族にも友好的。

力が強く、見た目以上の怪力を持つ。鬼の近くで鬼火を見たとの声もある。

 

人間

スカアトリーの中で最も数が多い種族。他種族に比べてひ弱だが、稀に超能力が使える者がいる。

他種族の国土を縫うようにして暮らしている。

また、人類の中にひと…ここから先はネタバレなのでやめておこう。

 

機械の女神

機械仕掛けの女神。

スカアトリーの森の中の泉に沈んでいる機械。見た目は十五歳ほど。

とある手順を踏むと、なんでも願い事を叶えてくれる(本当に何でも叶えれる)

 

???

詳細不明

元悪魔が人を集めて作った種族であり、スカウト制でねずみ算式増えていく…筈が、条件がある為人は少ない。

 

まぁ、取り敢えず説明はこんな所かな……それでは、物語を始めるぜ

 

―――――――――――――――――――――――

ここは神の国……その中でも特に神の上位が集まり話し合う場所である。

 

パッと見渡し、一つの席が空いている事以外は別に気になる点はない場所である。

 

「……何か手を打たなければ…どんどん増えていく一方だ…」

 

「しかし…下界に我々神が直接手を下すってのも…如何かと思われるのだが」

 

「だが、このままでは…大変な事になるのでは?」

 

「そうだな…だが…どうしたのもか…」

 

…12個の席に11の神が座り、下界の増えている生物達について話し合っている。

 

下界の生物が増えすぎてこのままでは神の座を狙う輩も居ないとは限らない。また、増え過ぎて、減らないのが問題に挙げられている模様。

 

と、そこで神様の中ではまだ新人で若い神様が疑問をボソリと呟く。

 

「今回もあの席は空いているな〜…」

 

新人はまだ神になったばかりで、意見を出しても却下される事が多いため、この会議を退屈そうにしながら空いている席を眺めながら言った。

 

口に出すつもりではなかったのだが、その言葉が聞こえたのか、隣の神が軽く咳払いをする。

 

その咳払いにやっと自分が口に出したことに気付き、私語をしてしまった事について先輩が気を悪くしてしまったのだろうと思い慌てて訂正する

 

「あ、すいません…私語を言ってしまい」

 

「ああ、気にするな…お前は新人だからな…お前が入ってからあの席はいつもああだから…気になるのは分かるだろうが…」

 

私語にではなく、あの席について触れてはいけないと言った感じで隣の先輩は話し始める

 

「…えっと、あの…参加する事もあるんですか?」

 

話を中断する感じで疑問を即座に口に出す、すると思ったより大きかったのか、皆がこちらを見ている事に気付く。その空気はまるで『その席について触れるな』と言った様子の雰囲気であった。

その空気に圧され、つい口ごもる新人を見かね、会議に参加している限りでは一番の先輩である神が口を開く。

 

「あ〜…まぁ、新人なのだから知らなくても仕方はないだろ…少し説明してあげてやってくれ…ガイアスよ」

 

と言うと、ガイアスと呼ばれた男が嫌そうな顔で

 

「えっ…俺っすか!?…まじですか?」

 

「ああ、頼む…知ってる限りで構わないからな…」

 

「あ〜…知ってる限りね…知ってる限りって…殆ど知らねぇんだけど…まぁいいや…」

 

と、嫌々ながら席を立ち、人間界で言うホワイトボードに近づくとペンを持ち説明を始める

 

「まず、その席の人物について話そうと思うが…アジムナーって知ってるか…?」

 

と、ペンでホワイトボードにアジムナーと書くと、新人の方を見る

 

「アジムナーさん…ですか?はい、名前だけは…神様の中でも上位の人ですよね…………って、え?」

 

アジムナーと聞き、頭の中で知ってる限りは、神様間でも評判が良く、いつも笑顔であり、女神の中でも最高峰の美貌を持ちながら、戦闘力や知識においても神の中でも群を抜いていると言われる平等の神の事を思い浮かべ、もしや…その席が?と新人が思い目を向けるとガイアスは頷く

 

「その通り…その人物が座る権利を持っている椅子だ」

 

「…そ、そんな人が…入っ…てない訳ないですよねー…そんな力があれば普通に入ってるとは予想してました…けど、見ないからまた違う陣営についてるとばっかり…」

 

「あ〜…そりゃ驚くよな…まぁ、そういうこった…因みにその席に居ないのは面倒だからだとよ…」

 

「…え?面倒?」

 

新人は驚く、それはそうだ、新人の噂に聞く限りでは笑顔でこの会議に参加し、どんどん会議をサクサク進めそうな雰囲気なのだから。

 

「面倒…だと、驚くだろう…最初は俺も驚いたぜ、会議の途中に突然立ち上がったと思ったら…「おいおい、そんな事で話し合うなよ…少しは考えな…じゃあね♪」……って、突然何処かに出て行ったんだからな…」

 

「…うわぁ…そんな事が…アジムナーさんって予想以上に変人なんですね…」

 

「ああ、そうなんだよ…だから会議に参加している神様達は大体あいつの事を嫌ってるさ…」

 

と、ガイアスがペンを置きホワイトボードの文字を消そうとした瞬間、聞き慣れない声が響く

 

「おいおい…嫌われてるなんて初耳だぜ…悲しいな〜…ガイアス君…」

 

「「「「「は?」」」」」

 

先程まで空いていた席にいつの間にか女の人が…いや、女神が座っている。勿論神は驚くに決まっている、ガイアスなんか手元からペンを落とし唖然としているくらいだ、複数人の神に全く気取られずに突然現れたのだから当然であると言われればそれまでだが。

 

「なんだよ…ハトが豆鉄砲喰らった様な顔してさ…」

 

と、話から察するに恐らくアジムナーであろう彼女は皆の顔を見渡してそう言う。

 

「い、いや…お前がこの会議に参加するなんて…と思ってな…」

 

「まぁ、たまは参加しないとね〜♪」

 

どうやら、突然現れたことより会議に参加している事に驚いている様子であり、どれだけ会議に参加してないんだよ…と思っていると。突然彼女はガイアスを見て

 

「ああ、それとガイアス君…」

 

話し掛けられたガイアスも突然の事に驚きながらも一応神、返事を返す。

 

「え?は、はい…?」

 

アジムナーさんは微笑むと…こう言った

 

「僕の事は親しみを込めてアジムさんと呼びなさい…分かったかい?」

 

と、その笑顔は完璧で、見ているだけで怖くなってるほどであった。向けられたガイアスは尚更恐怖に襲われるだろう。

 

「は、はい…アジムさん…」

 

「よろしい…」

 

ガイアスの言葉に満足したのかアジムナーさんは笑顔で返す、すると今度は新人の方を向く、新人の肩が思わずブルっと震える

 

「あ、新人の子かな?僕はアジムナー…親しみを込めてアジムさんって呼んでね♪」

 

「あ、は、はい!私はメタイアと言います…よろしくお願いしますアジムさん」

 

慌てて立ち上がり一礼をしながら挨拶をする

 

「あぁ、いいって…そんな堅苦しい…まぁ、挨拶も済んだ事だし…会議を終わらせようか…」

 

と、突然会議を終わらせると、意味不明な事を言われた神様一同は慌てて立ち上がり抗議の声を出そうとするが、彼女の一言で落ち着かされる。

 

「ああ、人口に関しては気にするなよ…この僕が既に手を打っているからさ…」

 

皆が静かになる、先程までの会議の内容を把握しているのも凄いのだが、それを解決したと言われれば、何も言えないからだ。

 

「あの、一体どうやって…?」

 

新人は思い切って質問をしてみる。すると彼女は…

 

「ああ…種族間で戦争を行わせるのさ…」

 

衝撃の言葉に皆が驚き反対をする

 

「な…!?……お前は馬鹿なのか…そんな事をしたら…!」

 

「どうせ…このまま増え続けたら戦争は起きる…なら、被害が小さく済む今の内にした方がいいのさ…だろ?」

 

とアジムナーは言う。

 

神様間で静かに話し合いが起きる、勿論アジムナーをそっちのけで。

 

「このままでは無駄な…」

 

「いや、しかし…ほかに思いつかないならこれも…」

 

「そうだな…ふむ…」

 

神様同士で一時話し合うとアジムナーが声を掛ける

 

「そろそろ纏まったかい?」

 

彼女は退屈そうに座っていた姿勢を正し、他の神の方向を見る。

 

「ああ、分かった……今回はお前の意見を聞こう…だが、失敗や何か大きな問題が起きたとしても…私達は責任は取らない…それでよいか?」

 

「ふ〜ん…まぁ、構わないぜ♪じゃあ、そういう事なら、今回の件は僕に全て任せて貰おうかな…」

 

「ああ、そういう事で構わない…」

 

「失敗した時は僕が全責任を負うから安心してね♪」

 

と、一通り纏まり会議は終わる。

 

新人は自宅の方に帰りながら

 

(…あの人なら普通に成功させそうだなぁ…)

 

と、思う新人だが、彼は気付いていなかった…今まで参加していなかった神が1人ではなく…2人だという事に




と、まぁ、はい…スカアトリーの説明と戦争が起きた理由を大雑把に書いてみたぜ♪

まぁ、色々あったけど、突っ込まないでね。

突っ込んだら負けだぜ?


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ある少女と少年の出会い

やっほー…ルア君は気まぐれです、今回は僕が主人公と思う2人を出していこうかと思います。それでは…


戦争が起きてから1000年ほど経ったスカアトリーは神の思惑通り人口は減少し、沢山の人が死に…地上も海も空も荒れ果てていた

神は傍観し続ける態勢を止め、戦争に介入、その為に天使を作り地上の種族達を治めようと動き始めた

 

しかしそのどれもが失敗、更に沢山の命が枯れ果てた

 

そこから更に4000年が過ぎた世界

戦争は少なくなっていった…だが事態が治まった訳ではなくただ人口が減って収縮されているだけの時代

 

そんな時代にあら少女が言った…

 

「戦争ばっかりして……つまらないなぁ、皆仲良くすればいいのに…」

 

その発言は…誰に聞いても分からない程昔から、このスカアトリーで起き続けている種族間での戦争についての感想だろう、少女は本を読みながら小さく呟くのだった。

 

「戦争何て…戦いなんて痛いだけなのに…」

 

昔を思い出しながら再びポツリと…その思い出は…他種族に理由もなく襲われ、毒やその他の攻撃を一方的にされた記憶。そのせいか、彼女には殆どの毒に耐性ができ、大抵の毒が効かないと言う皮肉な身体になってしまった。

 

「……そうだ!!」

 

突然なにかを思いついたのか、彼女は机を思い切り叩き立ち上がる

 

「んぁ…?どうしたんだ師匠…いきなり……」

 

彼女を師匠と呼ぶ男が、突然立ち上がった彼女を見て眠そうな顔をしたまま起き上がりフローラの方を見る

 

「……戦争が自然に止まらないなら……止めればいいんだよ!!」

 

「……へ?……あ、うん、そうだね…」

 

彼女が大声で男の方を見て言うと、眠そうな男はまた彼女が適当に思い付いた何かをしようとしてるのだろうと思い、適当に返事をすると再び眠りにつこうとソファーに横になり始める。

 

「…なんで寝ようとしてるの!起きてよ!朝だよーー!!」

 

彼女は、何処から取り出したのか、拡声器の様な物を男の耳元に近付けると大声で喚く。

その大声にもあまり驚かず男は瞼を擦りながら顔を起こす。

 

「朝じゃねーよ…」

 

男が窓の方を見る。窓にうつる外は赤く染まり、陽が落ちる少し前の時間帯を表している。

 

「よし、起きたね…じゃあ会議を始めよう!」

 

「って…聞けよ…」

 

男が眠そうな目で元気な彼女に目を向ける。

 

「……え?」

 

彼女はまるで知りませんと言った顔で男の方を見る。その顔に男は何かを察した顔で諦め彼女の話を聞く事にする。

 

「あー…分かったから…会議ね…それってさっき言ってた、戦争を止めるって奴と関係あるのか…?」

 

「うんうん!その通り…さすが我が弟子…察しがいいね!!」

 

「あ、はい、ソウデスネ…」

 

拍手して褒めてくる師匠と、それを呆れて見返す弟子の構図は、何かがおかしいと思わなくもない。

 

「……それで、なにか意見ある!!?」

 

「あー…全世界を昼寝大国にし…昼寝を全員が貪れる世界にしたら…平和になると思います」

 

「却下!そんなんじゃ戦争が無くなっても、大問題ばっかり起きるに決まってるよ!」

 

適当に、しかし本音をぶつけるも却下され、やはりかと思う男

 

「…じゃあ師匠には何か案があるんですか?」

 

そう男が彼女に返すと、突然女の表情が崩れ、満面の笑みを浮かべる。

 

「ふふふ……よくぞ聞いた!」

 

「あ、やっぱり良いです…変な予感がしますので」

 

嬉しそうに言おうとすると、即座に話を切り捨てようとした男に彼女は驚く。

 

「ええっ!?な、何で!?聞こうよ…師匠の意見だよ!!?」

 

「……全種族の生き物全員を仲良くして戦争を無くそう…平和だ!ピースピース…とか言う気でしたよね?」

 

「…なぜ分かった弟子…さては貴様…エスパー!?」

 

「魔法使いという種族でありながら僕が魔力が全然使えない事は魔法使いの天才である師匠は分かってるよね…!」

 

と、男が言うと

 

「いやー、冗談だよ、冗談……さてと…」

 

「冗談か…なんだ……ん?」

 

彼女が笑顔で言うとすぐさま何かの支度を始め、男は不思議に思う。何故なら、彼女は外に出るのは、とても久し振りだからだ。

 

「あの、師匠…?何をし「それじゃ弟子よ…留守番頼んだぞ!!」…… 速っ!?」

 

身支度をしている彼女に話し掛けようとすると、既に身支度を終えており、猛ダッシュで家から出て行き、男を置き去りにした。

 

「…まぁいいや…寝るか」

 

男は特に何も思わず寝る事にした。

 

―――――――――――――――――――――――

 

一方…弟子を置き去りにした彼女は、人間の住む街に来ていた。

 

「わー…凄い人…人間が一杯いる…」

 

沢山の人を見て女が呟く彼女に、背後から迫る影があった。

 

『ねぇねぇ!!君可愛い!』『僕の名前はクマー・マクラ!君の名前は何ていうの?』『パンツの色は?』『裸エプロンと手ぶらジーンズ…どっち派?』『ジャンプとマガジンなら?』『やっぱりジャンプだよね!!いやぁ、気が合うなぁ…今からお茶飲みに行かない?』

 

「…え?」

 

突如現れたこの世界では珍しい真っ黒な学生服を着た珍客に話し掛けられた彼女は目を白黒させる

 

『どうしたの?そんなに目を白黒させて』『あっ!もしかしてパンダが好きなのかい?そうだね、じゃあお茶じゃなく動物園に行こうよ!』

 

「…えっ、動物園?楽しそう!」

 

普通ならここでお断りするのだが、魔法使いであり、人と余り接してこなかった彼女は…ズレていた。

 

『でしょでしょ!!じゃあ今から行こうか!』『あ、そう言えば君の名は…?』

 

そう聞かれた彼女は答えた

 

「え?私…?」

 

『君だよ』『君以外に誰かいるように見えたのかい?』『え、君幽霊見えるの!?』

 

「…見えないよ!?あ、えっとね…私の名前は…フローライト・ガーネット…フローラって呼んでね!魔法使いだよ!!」

 

『うんうん…じゃあよろしくね…フローラちゃ…え?』

 

「え?」

 

フローラという名前を聞いたクマーは、少しの間頷くと、その名前を言おうとした時に何かを思い出したかの様に固まった。

 

その様子を見たフローラも不思議に思い、固まる真似をした。




はい、今回はここまでだぜ…それじゃあ……アディオス♪


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故に彼女は……

今回は、フローラちゃんの目的を……って感じだぜ

それじゃあ小説スタート


「ねぇ…クマー君だっけ…突然固まってどうしたの…?」

 

目の前で不自然に固まったクマーに対してフローラは疑問をぶつける、最初は真似をしてたが…数分も固まっているのだ、流石の彼女も疑問に思ったらしい。

 

『…え?』『ん〜……ああ、気にしないで、うんうん!』『この世界には同じ顔か3人いるって言うし…同名の人だっているよね♪』

 

質問を投げかけられ硬直から抜け出した彼は一転してヘラヘラとそう語る、そのテンションの差を不思議に感じた彼女は

 

「へぇ、フローラって名前の人がクマー君の知り合いにもいるの?」

 

不思議に…不思議に…は感じていない様子だった。

 

『…え?』『……』『ああ、知り合いって訳じゃないよ、ただ聞いた事ある名前だっただけさ♪』

 

「へぇ〜…奇遇な事もあるんだね!」

 

『うんうん、全くだよね♪』

 

と、少しずれた会話をしていると、フローラはふと思う。

 

(そういえば…クマー君の種族は何だろう…魔力は全然感じないし…悪魔や魔法使いはない…この付近にいたし…鬼じゃなく人間かな?)

 

と、魔法使いであるフローラはクマーには魔力が全く感じれない事に気付きそう考える、するとその一瞬の思考の間に気付いたのか、クマーが話しかけてくる。

 

『……ん?』『どうかしたのかい?フローラちゃん』『ああ、僕がこんな所で何してたか気になったのかな?』『それはね、このジャ〇プを買いに来たんだよ!』

 

と、懐からジャ〇プを取り出すとフローラに見せつける。

 

「…何それ?面白そうだね、ジャンプって言うんだ、面白そう!!」

 

『違う違う、ジャ〇プだよ!』『とても面白いよ!』『……』『って、あれ?魔法使いの所ではジャ〇プは出回ってないのかな…?』

 

「…え?あ、う〜ん……どうなんだろう…私いつも家に引きこもってるからなぁ…」

 

『へ〜…ニートなんだ!』『なら知らなくても仕方ないね!』『そうだ!今週の分はまだ見てないから…先週分のジャ〇プなら貸してあげるよ!』

 

「え、本当に!?やったー!ありがとうクマー君!」

 

『いやいや、気にしないでよ♪』『ジャ〇プファンの僕としては…ジャ〇プファンが増えてくれる事が嬉しいからね!』

 

といい、フローラに先月分のジャンプを手渡す

 

「やったーー!」

 

嬉しそうにはしゃぐフローラを見てクマーは軽く頷く。

 

『それじゃあ…僕はこれから用事があるから…またね〜♪』

 

「え?あ、うん!またね!!」

 

ジャ〇プを渡したら仕事を終えたとばかりに、クマーはすぐさま後ろを向くとあっという間にフローラから離れていく。

 

「ジャ〇プかぁ…楽しみだなぁ…早く家に帰って読もう!」

 

と言い、転移魔法を使いすぐさま家に帰るフローラ

 

―――――――――――――――――――――――

 

「zzz…」

 

家に戻るとソファーで寝ている弟子が最初に目に入る。

 

「あ、また寝てる…全く…まぁいいや…ジャ〇プ読むし…起こすのは後ででいいか…」

 

軽く跳ねるとドスッと音を立てソファーならぬ弟子の上に思い切り座る。

 

「グフッ…ちょっ、師匠…重……グフォッ」

 

フローラは尻の下の男から何か声が聞こえた気がしたが、何か女の子に言ってはいけないことを言おうとした様に聞こえたので重力魔法を使い、自分を重くし弟子を気絶させる事にする。

 

「よし…これで静かにジャ〇プが読める!」

 

そしてフローラは、気絶した弟子を軽く一瞥するとすぐさまジャ〇プの方を開き見始めたのだった

 

―――――――――――――――――――――――

 

一方、クマーの方はというと…

 

『えっと…?あれ?』

 

バタッ

 

「……ふわぁ…暇だなぁ」

 

グフッ

 

死んでいた…いや、正確には死にかけていた

 

『…あ、あれ?僕の体が変な所にあるなぁ…気のせいかな…』

 

「……あれ?まだ生きてんのか…?」

 

『いやいや…この状態で生きてるなんて言えるのか分からないけど…死にかけてるのは確かだよ…だってほら、今にもめのまえがまっくらになりそうだし…頭なんかクラクラしてきたからね♪』

 

何処から声を出しているのか、首だけでヘラヘラと話しながら彼はそう言う。

 

「……そうは見えねぇけど…あれだな、兄貴より気持ち悪いな…まぁ、身体の方が動き出したりしても嫌だし…とどめ指しとくか…」

 

そう語る身長が低い見るからに子供なのだが、顔から首に向けてタトゥーの似合わない男をヘラヘラと見るが、クマーは内心焦っていた、彼が自分を殺したのは確かなのだが、何をされたのかが全く分からなかったこともあるが、何よりトドメを刺されると、とある場所に意識が飛ばされ、ある女の人に会わなければいけない。いや、クマーにとっては女の子に会う為なら身投げだろうとするだろう、それはどんな女の人であろうと可愛ければ当然だ、クマーにとって、非リアにとっては女の子に会えるだけでとても喜ばしいからだ。ならば何故厄介だと思うか?それは…その場所の女の人が例外を超えた例外だからである。いや、別に容姿が悪いとか、悪魔を超えた化物で全身が崩れてるとかそんなわけでは決して無い、寧ろこの世の全員を合わせてもトップレベルで魅力的に見えると言っても過言ではない…ならば何故会いたくないのかと言うと…

 

『ちょ、ちょっと待ってよ!僕を突然殺そうとするなんて、君は殺人鬼でもあるまいし…そんなことはやめなよ!』

 

「あ〜…まぁ、殺人鬼…ん〜…間違っちゃいねぇけど…」

 

『…え?殺人鬼なの?』

 

「まぁな…だとしたらどうするんだ?」

 

タトゥーの男はクマーを興味深そうに見る

 

『…僕が改心させてあげるよ、ほら!もう人を殺さないでくれると誓ってくれ!』

 

「あ〜…改心させてくれるのは嬉しいが……って、改心させるんじゃねぇのかよ!?それじゃただ誓っただけじゃねぇか…誰が誓うかよ」

 

『いやいや、ほら、誓うだけでも結構約束になって心の隅とか脳の奥底に引っかかったりするじゃないか、騙されたと思って誓ってみなよ!』

 

「いや、誓わねぇよ…」

 

『なーんだ…じゃあ仕方ない…実力行使といこうかな…』

 

突然声音が変わるクマーにタトゥーの子供は慌てて構える

 

(……何焦ってんだ俺…こんな首だけの男に何かが出来るわけ…ん?首……?しまった…身体の方の意識が抜けちまってた!)

 

グササササッ

 

慌ててタトゥーの男が体のほうを見る。すると突然身体の至る所に刺さる訳ではなく、身体を動けなくすることに重点が置かれた様に『何かが』数本飛んできてタトゥー男の動きを止める。タトゥーは驚く。先程まで地面に突っ伏していた身体が起き上がっていたのだ、いや、それだけなら驚かないが、何と、首まで丁寧に身体に接合され、男は立ち上がっていた。

 

(え?はっ?首…!?いつの間に……と言うかこの螺子…まずい、動けねぇ!)

 

先程まで首があった方向から首が消えている事にも気付く、しかし首と身体の距離はそこまで離れていない、視線には殆ど一緒にいれる様に見ていたのだ、なのに目の前の男はいつの間にか首が元に戻っていた。まるで斬られたこと自体無かったことにしたかの様に

 

「なんだそりゃ…なんてイリュージョンだ?確かに…治癒魔法はあるが…そんな速度で回復する魔法なんてしらねぇぞ…しかも、ご丁寧に傷跡まで綺麗になくなってやがる…何をした、元から斬れてなかった…とかか?」

 

しかし全身タトゥーの男もすぐに持ち直す、その様は戦うことに慣れたプロだとすぐに分からせるだろう。

 

『…ん?イリュージョン?いやいや……そんな訳ないだろ?最初から斬られてないなんて…さっきまで首だけで話してたのが良い証拠じゃないか…ほら、あれだよ…君の斬った後があまりにも綺麗に斬れてたから…首と身体がピタッとくっついたんだよ……良くあるだろ?あまりにもいい刃物だと…繊維を傷つけないからそのまま置けばぴたっとっつくって話がさ♪』

 

と、男はペラペラと話し始める。

 

(いや、そんな訳が…血だってあんなに噴き出してたんだぞ…普通に出血多量で…………血?)

 

男は先程まで辺りに1面に溢れていた血液が消えている事に気付く、それも匂いまでさっぱり消えている。

 

(…はぁ?綺麗に吹いたってだけでも匂いは消えねぇだろ…まるで…完全に無かったことに…)

 

そうタトゥー男が思ったと同時に

 

『おっと…手が滑った』

 

タトゥー男の頭に綺麗に螺子が突き刺さる。同時にタトゥー男の意識も刈り取られる。

 

『やれやれ…君も運が悪いね』『…こんな時間にたまたまこんな所を歩いてた僕にたまたま出会い、それを標的にしてしまうなんて…』『僕が弱そうだから殺せると思った?』『僕が脆そうだからすぐ死ぬと思った?』『僕が臆病そうだから、失敗しても肉弾戦で殺せると?』『…甘ェよ…』

 

シーン…タトゥー男が死んだ後しか残っていない為、静寂な空間だけが残る

 

『…おっと……順番を間違えたか…僕とした事が、話す前に殺しちゃうなんて…ジャ〇プファンとしてあるまじき行為だよね♪』

 

スッ……とタトゥー男に手を翳す

 

『…『大嘘憑き(オールフィクション)』…君の絶命を無かったことにした…』

 

頭の螺子が消え、タトゥー男が生き返る、だが、意識が戻らない事にクマーは気付き嘆息する

 

『…やれやれ、殺そうとしてきた相手を改心させると言っておきながら…自己紹介さえ出来なかったなんて』『……』『また勝てなかったぜ』

 

クマーはやる気を完全に無くし踵を返すとタトゥー男の事などもう忘れたと言わんばかりに歩いていく。が、そこで何かを思い出しタトゥー男の方を見て指を向けると

 

『おっと…忘れてた…『大嘘憑き(オールフィクション)』…僕と君が出会った間の記憶を無かったことにした』『……』『それじゃあね♪』

 

今度は完全に…タトゥー男の前から居なくなる。

 

タトゥー男の意識が復活したのはそれから数十分後だったが、何故気絶したのか、何が起きたのかについては全く覚えていなかったらしい。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「やれやれ…甘くなったものだねクマー君」

 

教室の様な場所で教卓に座り一人呟く赤い制服を着た少女

 

「それにしても…僕も暇なんだから死んで会いに来てくれても良いのに…釣れないなぁ…ん?」

 

彼女は途中まで一人で話していたが、突然何かに気付き何処かを見る

 

「ああ、見に来てたのか…」

 

と言うと教卓から降りあらぬ方向を見て話し始める

 

「やぁ、このつまらない小説をここまで読んでくれた皆さん…よろしくね♪僕の名前はアジムナー…まぁ、この世界の神様って奴だね…まぁ其の辺は1話を見てれば分かるだろう。それ以外についても小説が進むにつれて説明していくし……楽しみにしててくれ。それじゃあ今回はこんな所で」

 

と彼女が言うとまるでモヤがかかったかの様に教室が断片的になっていく。

 

クマーが言っていたのは彼女の事だ…クマーが会いたくない理由は……彼女が魅力的過ぎるが故に…惹かれてしまうから……と言う理由だった。まぁ、多少違う感情もあるが…大半はそういった理由である。

 

「ああ、そうだ、一つ忘れてたよ……たまにこうやって小説の途中に顔を出すから……その時はよろしくね♪」

 

と言うセリフと共に教室は消えてしまう。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「ふんふん…あ〜……面白かった!」

 

と、一転して場面はフローラに変わる。どうやらジャ〇プを読み終わった様だ。

 

「よし…じゃあそろそろ……起きて弟子!!」

 

弟子の上からどき、弟子の頬を叩く

 

「……あれー?」

 

弟子が起きない事に気付く。

 

「やりすぎちゃった……まぁいっか、弟子だし!」

 

師匠らしからぬ事を言い弟子から離れ冷蔵庫の方に歩いて行きその中からクッキーを取り出すと机に置き食べ始める。

 

「美味しー……♪あれ、そういえば……」

 

ジャ〇プを見て今日出会ったクマーの事を思い出したフローラは慌てて立ち上がる

 

「動物園に行ってない!!」

 

「…んぁっ!?…な、なんだ!?……まあいいか…グー」

 

弟子が起きたがすぐ寝始めた事にも、もはや突っ込む気が起きず、弟子から目を離しフローラは落ち込む。

 

「…明日クマー君探して…今度こそ連れて行ってもらお!」

 

故に彼女は…自分の最初の目的を忘れ、クマー探しを始めたのだ。




まぁ、後書きは苦手だからあまり長々しく書かず…

今回も何とかかけたぜ…それじゃあ次は次話とかで…またね〜♪

修正 追加 2018 2/25 2:25

??)あ、そうだ!クマー君はナイフの男に殺された時に何も見えなかったと言っていたが、正確には彼自身には何もされてないよ……首が切れた瞬間はね♪


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夢のお告げ

やっほ〜♪大変長らくお待たせしたぜ…待ってる人は居ないだろうが、僕の思い出語りという名のただの自己満足小説だぜ、見る見ないは君次第だよ( ー`дー´)9mキリッ


どんな世界に置いても…非日常という言葉は日常から始まり…突然日常をぶち壊しにしてくるものである…その場合ぶち壊された本人が喜ぶか喜ばないかは別として…壊された日常は必ずちょっとやそっとじゃ治らないものであり…戻らなくなるものである。

 

とまぁ、そんな前置きは置いといて、これはある男の数週間前のお話である。

 

『…うーん、ムニャムニャ』

 

と、彼は自分の住んでいる、いや、彼の場合は居座っていると言った方がいい……その国の城の地下牢で彼は寝ていた。

 

「何やってるんだ……?」

 

「いつも通り寝てるんだろ……不思議な奴だよ……」

 

「ははっ、確かにな……」

 

と、周りの兵士が男を見て笑っている

 

彼はそれを意にも介さず寝ているのだが

 

そんな中突然クマーの体が金縛りにあったかのさまに不自然な形で固まってしまう。

 

「あれ……?今度は変な寝相に……」

 

「いつも通りだろ?気にするなって……ベッドから頭だけ落ちてるだけの今日はまだマシだろ」

 

「確かにな……前は牢屋に首だけ突っ込んで抜けなくなった時もあったしな……」

 

「はははっ、あの時は抜くのを手伝うのは大変だった……結局気付いたら抜けてたしな」

 

「本当に不思議だよな……」

 

と、周りは全く気にしていなかったが、当の本人はというと…

 

『…………』

 

死んだ様に寝息も立てず動かない……実を言うとこれは、ある人がクマーの夢の中に出ているだけの話なのだが、勿論夢を覗くと言った能力をたかだか城の兵隊が持っている訳が無いので知る由はなかった。

 

これが戦争に向かう予定の軍勢や傭兵だったら分かっていたのか?と言われても、勿論そんな実用性のあまり無い能力を戦争に行く奴が持っているというのも限りなく低いし、これは良くてスパイや情報屋くらいしか持ってないだろうが。

 

まぁ、こんな与太話は誰も望まない。

 

今回はクマーの夢の中に入ろうという訳だ

 

まぁ、夢とはいっても彼は死んでいるから死後の世界と言った方がいいが。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

クマーの死後、教室の様な所に2人の男女、ここで間違えるなよ、2組じゃない、2人だ、つまり男と女が1人ずつの二人っきりという事だよ。

 

「やぁ……お久し振り♪」

 

『……やぁ、君か……久し振り』

 

またか、と言った様子で彼は呆れている

 

「うんうん♪元気そうだね、調子は悪そうだが」

 

『当たり前じゃないか』『君に会う度に僕は死んでるんだから』『いや、本当に僕に話したい事があるなら脳内に直接届かせたりとか』『……出来ないものなのかい?』

 

出来るだろ?といった様子で彼は彼女を見る。

 

「ははは……出来るけどやりたくは無いね、それこそ君の脳内を覗くも同然なんだ、僕はプライバシーは大事だと思うからやらないよ♪」

 

『君が会いたいと思ったから一度一度死んで会わされる僕の身にもなってくれよ……』『そもそも一度死んでここに来る僕にプライバシーなんて無いんだから』『どちらでも構わないだろ……?』

 

 

 

「やれやれ、君は分かってないなぁ……君は脳内も覗けるし脳波を飛ばす事も出来るから一々テレパシーをしろと言いたいんだろ?だが断る……理由は三つあるよ、まずはその一つ目はそもそも現実世界の僕には残念ながら今はそんな事が出来る状態じゃない……二つ目は、僕だけ能力を使って君が楽をするなんて僕は許せないよ、三つ目は、僕も大変なんだし君も大変な目に合わせて面白く笑いたいからだよ」

 

僕は君のために生きてる訳じゃないんだからね?と、ツンデレなのかヤンデレなのか、又はそのどちらでもないのか分からない話し方をする。

 

『はぁ……』『全く理不尽で仕方が無いよ』『……それで?』

 

どうしたの?と言った感じに態度を変えるも、彼女はそれを知ってか知らずか、全く違う話をする。

 

「それで?別に君が苦しんだからと言って僕はキミに褒賞やら恩賞を与えたりは……」

 

と言ってる最中に彼は口を挟み話し始める。

 

『全く、はぐらかさないでよ』『僕が聞きたいのは僕を呼んで、今回の要件は何かな?って聞いてるのさ』

 

話すだけ話してみなよ、と言った感じで明後日の方向を見て興味無さそうに席に座り。

 

「ああ、そうだね、何処から話したものか……取り敢えず戦争はもうそろそろ止む可能性がある……」

 

と、彼女が言うと同時に興味の無さそうな彼は突然顔を彼女の方に向ける。

 

『……!?』『そんな、僕があれだけ止めようと頑張っても止めれなかったのに』『一体どうやって』『……』

 

何かを考える様に顔を落とし

 

「なに、簡単な事さ……元々僕も戦争は吝かにしたに過ぎないし……本当はこんな事をしたくも無かったんだから止まって欲しくないと言えば嘘になるんだし、こんな事は望んでた訳だ……しかし、これには重大な欠点が何億個もあるんだ……そこで君には戦争を止めて貰う手助けをしてもらうよ♪」

 

人差し指を立て彼女は説明……と思いきや、結局その戦争を止めるといった方法や内容については話してくれるといった感じではない。

 

『全く……戦争を起こした張本人が一体何を言って……』

 

やれやれと言った様子で肩を竦ませながら

 

「いやいや、僕だって数が増えたから仕方なく減らしてあげようって思っただけさ……そもそも、種族がどれだけ増えようが減ろうが、最終的に貧困の差は変わらない……それはまるで何処ぞの青い星と同じで……戦争が起きようが起きまいが、最終的に痛い目を見るのは下の者で、上の者は全く苦にならないんだから、上になる立場の生き物が違うだけでね、まぁ要するに……どれだけ星が進歩しようが、彼等が今の生き方を捨てない限り、この世界の惨状や、青い星の惨状は変わらないし、破滅へ向かって行くのもどんなものにも寿命に限りはあるから仕方ないのさ……だから僕は、その寿命を先延ばしにし、違う生き方を見せる方法って奴を教えたに過ぎない……それをどうするかは、彼等の知恵なのだから、僕は責められる謂れはないよ」

 

青い星と言った単語で首を傾げるものの、彼女が不思議なことを言うのは今に始まった事ではないと思った彼はその事は無視する事にして、彼女が言い終わったと思うタイミングで口を開く。

 

『……全く君は昔から全然変わらないよね……まぁいいや、手伝って上げるから手助けするにあたって必要な事を教えてよ』

 

話が進まなそうだし、脱線してるからね、と言った感じで肩を竦ませながら。

 

「ああ、そうだね、まず君は今から魔法使いが住んでいる国、まぁ国というより塔に向かい、魔法使いでも稀代の天才魔法使い…フローラちゃんという方を探して来てよ♪」

 

魔法使い?というか人探し?という顔で、探して来てよという時点で彼は少し嫌そうな顔をしている。

 

『……仕方ないなぁ、それにしても魔法使いの国になんて僕が行っても大丈夫なのかな?殺されないかな?だって僕は一応仮にもちがう種族なんだから……』

 

仮にも戦争中なんだよ?と彼は言いたそうな顔をして。

 

「それについては大丈夫だよ、君は自分の種族の特徴が全く無いし、魔力が一切無い魔法使いとでも言っておけば通じるさ♪」

 

『嘘は嫌だなぁ……』

 

嘘は嫌というよりただ単純に面倒臭そうな顔をしながら彼は言う。

 

「まぁ、そう嫌がるなよ、フローラちゃんには本当の事行ってもいいし、そもそも君に対して種族を聞くのは恐らくだが、殆ど居ないと言っても過言ではないよ」

 

指を立てながら彼女が言うので彼は納得したのか納得してないのか、とりあえず口を開く。

 

『ふ〜ん』『まぁ、それならいいけど』『もしかしたら口が滑るかも知れないけど』『……』『大丈夫かな?』

 

首を傾げながら、彼は彼女に向かって聞いてみる

 

「まぁ、その時はその時だよ……取り敢えず行ってから考えなさい」

 

と、彼女は無責任なことを言い出したものだから彼は黙っておられず。

 

『……』『やれやれ、仕方がないなぁ』

 

そう言って彼は仕方なく頭を掻きながら教室のドアの方に向かって歩いて行くのであった。

 

因みに彼が簡単に話から引き下がるのは、彼女が言いだしたら自分が何を言っても最終的にそうなると痛いほど分かっているからである。

 

「おっと、おいおい、最後に一つ忘れてるぜ?」

 

『全く』『今言うつもりだったのに、邪魔しないでよ』『まるで勉強をしようとペンを持ったのにお婆ちゃんに勉強はしないのかい〜?』『と言われた感覚だよ』

 

「おいおい、お婆ちゃんって……普通そこはお母さんだr」

 

『僕の死をなかった事にした』……ガラッ

 

そう言って彼はすぐさま部屋から出て行った

 

「やれやれ……最後の最後まで彼らしいぜ」

 

彼女は最後にそう言いながら、彼の負け惜しみと言った感じの最後の様子を思い出していた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

『……』…パチッ…スクッ

 

彼は元の世界に戻り早速目を開けると、体に傷が無いか確認し、牢屋から出ようと歩き始める。

 

「あ、もう戻るんですか?」

 

『うん!』『今日も牢屋は良い寝心地だったよ!』

 

「そうですかぁ?好きこのんで牢屋で寝るなんて貴方くらいですよ?」

 

『そんな事は無いさ!』『犯罪者だってここで寝たいからきっと犯罪を起こしてるんだよ!』

 

「はぁ……違うと思いますが…」

 

『大丈夫!』『それに関しては僕が太鼓判を押すよ!』

 

と、彼が牢屋を出ようとする為、普通は止めるべきなのでは?と思うかもしれないが、彼は別に捕まってここで寝ている訳では無い、じゃあ何故ここに居るのか?それは……

 

「まぁ、牢屋に自分から進んで寝るために来るのは貴方くらいですよ……普通は緊張感などから寝れないという人も多いのに……」

 

『ふーん』『僕は寝やすいから牢屋は好きだけど』『そう言えば僕以外は自分から進んで入ってくる人は居ないね!』

 

何でだろ?と言った感じで首を傾げながら考えている。

 

「まぁ、貴方が変わってるんじゃないですか?」

 

面倒臭そうに適当に言う。

 

『嫌だなぁ』『僕は普通の一般市民さ!』

 

と、胸を張って彼は言う。

 

「一般市民がこんな所で自分から牢屋に入って来ないですよ」

 

誰が一般市民だ……と言った感じで牢屋の兵士は呆れた様子になり。

 

『まぁいいや』『……』『僕は一時ここに来れないから、この部屋は貸切解除してて構わないぜ』

 

と、牢屋の兵士にキメ顔で彼は言う。

 

「いや、まぁ別に貸切ではないんですが……あれ?どこかいくんですか?」

 

珍しい、と言った表情で牢屋の兵士は彼の方を見る。

 

『まぁ、ちょっとね』

 

と、彼は呟き

 

『まぁ、牢屋も楽しかったぜ♪』

 

と言いながら部屋の外に向かって歩いて行く。

 

「はい、クマーさん、また気が向いたら来てくださいね〜」

 

と、牢屋の兵士は軽く手を振りながらクマーを見送る。

 

『フローラかぁ』『……』『どんな人なんだろ、名前の響きからして可愛い子に違いないよね!』

 

と、クマーは部屋を出て思うのであった。




ん?異様に名前を呼ばれてない?

まさか、そんな事は無いさ、この僕が、これは誰の物語なのか分からせない様にわざと名前を最後の方に出すとか、そんな事はしないさ、

というか、『括弧』が付いてる時点で分かるだろ?うん!

まぁ、格好はついてないけど。


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戦争とは名ばかり

戦争…戦争ってなんだっけ…?

あ、そうだ……じつはこのスカアトリーには色々元ネタになったキャラがいるから……それを当てていくのも面白いかもね!


ある男は眠る直前に思っていた

 

戦争を止めるって…そもそも戦争状態って名ばかりで……殆どしてない様な…まぁいっか…

 

と……

 

「戦争を止めるつっても…今戦争してるとこなんか殆どないってのに…何言ってんだろ…師匠って…」

 

男は考えるが…すぐさま思う、あの師匠だし…考えるだけ無駄か…と

 

そして男は寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

少女は走っていた……戦争を止めるために…

 

小一時間ほど走っただろう…彼女の足は止まり大声で叫ぶ

 

「……戦争なんかどこもしてないじゃんかー!弟子の嘘つきー!全く!」

 

彼女、フローラは叫ぶ、何故かというと、戦争が行われてないから……いや、その事自体、事態は悪くない……ただ、彼女は走っている理由を考えたら少しムカついてしまったのだ。

 

そもそも戦争を止めると言い始めたのは戦争を止めたいから…まぁ正確には無駄な命は散るべきではないと思っていたとかそんな所だろう、彼女には別に深い理由はない、ただ戦争がいい事では無いということは知っていた、だから走り始め止めようとしていたのだ…のだが

 

「うがぁー!弟子め!戦争なんてどこもしてないじゃん!これじゃ私が無駄に体力を使っただけじゃん!無駄足だよ!あほー!」

 

彼女が腹を立てていたのは、ただ弟子が言っていたことを思い出し、騙されたと思ったからだ。

 

因みに弟子に言われた言葉は

 

「このスカアトリーが平和……ですか?いや……僕はそうは思いませんよ……だって戦争はまだありますし……え?ちょ、師匠!?待ってください……突然部屋に籠るって!いつも通りですけど、どうしたんですか!?…………まぁいっか……」

 

と、突然部屋に籠る少女を見つめたまま、いつもの何かの思いつきかと判断した弟子が悪い……訳ではなく勿論最後まで話を聞かなかったフローラが悪いのだが、当の本人は知る由もない。

 

更に言えば、世間知らずで余り外に出なかった彼女が悪いのだが

 

「うがぁーー!最近外に出なかったからって……嘘つくことはないでしょ!嘘つくことは!……はっ!?まさか……私を外に出すための策!?……弟子…恐ろしい奴!」

 

と、なにかに気付いた様子で彼女は軽く青ざめる……が、勿論弟子はそんな事を思っているわけでもない、ただの思い過ごしである。

 

「……戦争……やっぱりしてないんだね!平和だ平和!良かった良かった!」

 

まぁ、取り敢えず彼女は自分に考える事は向かないと思い、とりあえず戦争が無いということに喜ぶのだが、そんな時に背後から声を掛けられる。

 

「ははは……さっきから1人で百面相の如く顔やテンションを変えて……どうしたんだい?」

 

声を掛けられたフローラは驚く

 

「ひゃわぁ!?えっ!?いつの間に!?」

 

驚かれた青年はその驚きように更に笑いながらこう言う

 

「ははははは…ごめんごめん、あまりにも一人騒いでたから、近付いてきてたのが分からなかったんじゃないかな?」

 

「さ、さいですか……どうも、騒いでしまってすいません……」

 

フローラは頭を下げその青年に謝ろうとする……が、その前に止められる

 

「あ、大丈夫だよ……面白かったし……何かテレビでも撮ってるのかと思ったよ……」

 

「テレ……ビ?」

 

聞いたこともない言葉にフローラは頭を傾げる……

 

「何それ!テレビって何!?」

 

「うわぁ……凄い食いつき……え、えっと……漫画みたいなものだよ……うんうん!」

 

「へぇ〜……」

 

漫画というものはフローラも知っていた……この前聞いた事もあり、納得する……私が家に篭ってた間に知らないものも出来たんだなぁ……と

 

「えっと……それより、君は1人で何を騒いでたんだい?」

 

青年は気になっていたことを聞くことにした

 

「えっとね!えっとね!戦争がわー!でそれを止めようとしたけど……わー!って来たら戦争なかった!だからやったーってなってた!」

 

と、フローラは初対面の人には絶対に分からない……いや、初対面じゃなくても分からない様な発言をする。

 

「成程……戦争を止めようとしたけど……無かったから無駄足だー!と思ったけど戦争なくてやったー!って喜んでるんだね……」

 

少し呆れた感じで青年が言う

 

「良く分かったね!ビックリ!弟子にも師匠は落ち着いて話せって言われるのに!」

 

分からないと自覚はあったようだ……ならそれを飲み込んで落ち着いて欲しい……と言った顔を青年はしながら

 

「いやぁ……5歳児の相手を良くしてるから……分かるんだよ」

 

と、返すと、フローラは少し傷つく

 

「ご、5歳児!?……私5歳児と同じくらい……?」

 

青年はフローラがそうこぼした事に驚き慌てて訂正をしようとする

 

「あ、いや!そういう訳じゃなくて!ほら、えっと……」

 

が、正直青年も5歳児程の喋り方だなぁ……と思ったため、何も思いつかずに言葉に詰まる

 

「ふふん!別にいいよ!5歳児か……まぁいいや……」

 

フローラは正直まぁ、それでもいいや……初対面に言われるのはムカつくけど……と落ち着いていたところ、青年は苦笑いをして誤魔化そうとする……それにまた少し腹が立ってしまう

 

「苦笑いじゃ誤魔化されないからね!ふん!」

 

フローラはもうこいつの言う事は知らん!そもそも初対面にその態度は失礼だ!と思い、もう去ろうと思う

 

「えっと……ごめんなさい……」

 

「別にいいよ!5歳児だもん!」

 

5歳児が何だってんだ!5歳児でも頭がいいのはいるもんね!そうだ!私は5歳児並でもその五歳児の頭のイイほうだもん!とフローラは思う

 

5歳児でも良いのかよ……と突っ込まれる気がしてその事を考えないことにする。

 

「それで、用は何?特に無いの?」

 

「え?あぁ……特に無いです……けど……戦争は無いわけじゃない……と思います」

 

「……?でも戦争無かったよ?住人もそんな感じの顔じゃなかったし……」

 

フローラの言う通り、フローラが街を見た感じじゃみんなは戦争に怯えていたり、他の侵攻を怖がった様子ではなかった、なのでこの青年の話に違和感を持つのだ

 

「あ、いや……確かに今は冷戦と言うか……大きな戦争は無いですけど……戦争が起きそうな時は一軒一軒家のポストに手紙が来ますよ……?先々週も鬼と半獣が戦ったって手紙が……見なかったんですか?」

 

「……え?でも私の家には今まで1回も……」

 

そこで彼女は思い出す……最近の手紙は弟子に見させて自分で見ることは無いと……

 

「師匠……戦争ですって…」

 

「へー、そうなんだー」

 

そして、弟子が言ってたのを……自分は聞き流した記憶がある

 

「手紙読んでなかった……!」

 

「まぁ……そんな気はしたよ……」

 

「何それ!?私が文字を読まないと言いたいの!?」

 

「あ、いや!?……そんな事は無いです……」

 

「自分の好きなのしか読まないよ!」

 

「……あ、そうですかー」

 

フローラは何故か胸を張ってすぐさま纏められた手紙を見ようと、そして戦争の場所を探って戦争を止めよう!……と決意して自分の家に歩き始める

 

「え?あ、ちょっ……行っちゃった……凄い子だなぁ……」

 

呼び止める青年の声も聞こえず、自分の決めた事に真っ直ぐ……それがフローラという女の子であった

 

「……適当に言ったけど……馬鹿な子で良かった……」

 

青年が最後にポツリと呟いた言葉も彼女には聞こえていなかった




以上……5話?……4話かな?うん、おつかれー


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