【短編】人生の卒業証書 (MrR)
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どうしてこうなったByMrR

 

 

 物語の始まりは山田 一郎が死んだ所から始まる。

 彼はいじめられっ子でそれが原因で自殺した。

 しかし学校の隠蔽体質と並びに市がこの事件を闇に葬ろうとし、インターネットで炎上した。

 

 だが一年も経過すれば最早過去の事である。

 

 ただ一人を覗いては――

 

「本当にやるのか山田?」

 

「ああ――」

 

 スキンヘッドでサングラスを掛けた二m近い巨体の筋肉の塊である黒人男性の隣には同じく筋肉の塊である逞しい体付きの山田 一郎がいた。

 眼前には第三次世界大戦を引き起こせそうな程の銃火器類、軍事兵器が沢山並んでいる。

 ここが日本だと言う事が忘れてしまいそうなぐらいの物量だ。

 

 

 まず始まりは血文字で「人生の卒業証書を届けてやる」と言う脅迫文を送り届ける。

 丁寧に首が取れた鶏の死体入りで投函しておいた。

 それも一年前の当時の担任+クラスメイト全員分である。

 

 これには警察もギョッとなりマスコミも過剰反応を起こした。

 当然だ。

 担任+クラスメイト三十人分に脅迫文+鶏の死体が放り込むと言う猟奇的な嫌がらせなど正気じゃ無い。

 中には鶏の数が足りなかったのかクラスメイトの家のペットが晒し首にされていた。

 

 一体誰が?

 

 と、話題になった。

 

 山田の名が上がったが、既に死んでいる。

 

 警察の捜索も虚しくこの事件は迷宮入りし、時間とともに忘れ去られる筈だった。

 

 

 市長は気が付くとアンティーク調の肘掛けが付いたテーブルに全身を固定されていた。

 外は夜で、何処かの人気の無い廃工場か何かだろう。ほこり臭い。

 

「ふ、フーアーユー!?」

 

 思わず目の前の山田に英語で尋ねる市長。

 

「俺の名は山田 一郎。覚えていないか?」

 

「し、知らんそんな名は!?」

 

 流石イジメの事件を揉み消そうとした屑である。

 一々覚えてはいないらしい。

 

「そうか・・・・・・これからお前の処刑を行う。インターネットで生配信だ」

 

「な、何をするつもりだ!? そのチェーンソーは何なんだ!?」

 

「自分の罪を正直に懺悔をするならこの44マグナムをドタマにぶち込んで楽に殺してやろうかと思ったが仕方ない」

 

「や、止めろ!!」

 

「ちなみにお前の奥さんはああなった」

 

「うぼおぇええええええええええええええ!!」

 

 盛大にゲロを漏らし、失禁して体がガタガタと震えた。

 奥さんだった物はプレデターに殺されたかの如く人体の皮を剥ぎ取られ、臓物を散乱させて血で真っ赤に塗れた頭蓋骨がテキトーに放置されている。

 

「見せしめとしてお前もああなって貰おう」

 

「そ、ソーリー!! アイムソーリー!! プリーズヘルプミー!!」

 

「キルユー」

 

「オーマイガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 翌日。

 山田が通っていた学校の門の前に妻と一緒にプレデターの刑にされた市長が並んでいた。

 嘔吐し、その場で気分が悪くなって気絶した人間は何人もいる。

 臓物はそのままで剥いだ人の皮もそのまま散乱し、ご丁寧に頭蓋骨も並べられていた。

 

 この狂気的な犯罪に警察は次々と捜査員に行方不明者を出しながらも必死に捜査を続けたが 一向に手掛かりが見つからなかった。

 マスコミもジャーナリストも同じだった。

 

 

 それから半年後、山田 一郎は人生の卒業証書をプレゼントする為に大型トラックにありとあらゆる武器を積み込んだ。

 今日は卒業式。

 同時に学校の連中の人生の卒業式になるだろう。

 

 楽には殺さない。

 

 全員を皆殺しにしてやる。

 そう意気込んで、トラックを走らせた。

 

 学校に辿り着くと余りにも猟奇的事件が多く起きたせいか警察やマスコミが駆け付けている。

 取り合えず警察もマスコミも保護者も轢き殺して学校に突入した。

 学校の関係者死すべし。慈悲はない。

 

 取り合えず正門にトラックを突っ込ませ。

 そして体育館を予め仕込んだ爆弾で爆破。

 そして遠隔操作でシャッターを閉めていく。最新の設備は仇になったな。

 

 これから教室に向かい、自らの手で直々に人生の卒業証書を渡しに行かなければならない。

 ロケットランチャー、重機関銃、ハンドガン、スペツナズナイフ、サブマシンガン、グレネード、クレイモア、ショットガン。

 取りあえずはこれぐらい携帯して、教室に向かう。

 

 途中教師に何名か遭遇したが「アイシャルリターンだ」と言って射殺する。

 

 そして次々と教室に入り、グレネードを投げ込んで重機関銃の鉛玉と言う名の卒業証書をばらまく作業を繰り返す。

 人生の卒業式は何て気持ちいいんだ。

 特に殺したくウズウズする奴を卒業させるのは最高だ。

 

「お前は山田! 自殺した筈じゃ!?」

 

「残念だったな、トリックだよ」

 

 標的の一人は変貌した山田を一目見て理解したらしい。

 しかし自殺してどうして生きているのか分からないままあの世に卒業してしまった。

 

 だが流石に異常事態に気が付いたのか自力で教室から脱出する猛者が多い。

 全力疾走で運動場を駆け抜けていく学生達。

 山田は容赦無く引き金を引く。

 

 警察も保護するが構わず射殺する。

 

「ちっ、潮時か」

 

 ここからはサドンデスゲーム。

 自らの復讐のケジメが始まる。

 

☆  

 

 ヘリコプターを墜落させ、装甲車をロケットランチャーで吹き飛ばし、パトカーを蜂の巣にした。

 ついでに巻き添えとしてマスコミも殺したがまあ運が悪かったとしかいいようがない。

 

 その一方でテレビでは一躍有名人となった。

 だが山田 一郎と言う男が自殺から蘇った事はまだ知られていない。

 

 などと思っていると爆発音。

 大方警察の特殊部隊がトラップに引っかかったのだろう。

 間抜けな奴だ。お笑いだ。そう思った。

 

『現在、学校に立て籠もっている襲撃犯は単独で多くの生徒を殺害し、現在も警察や報道関係者を含めて犠牲者は増える一方です! 一体襲撃者の目的は何なのでしょうか!?』

 

 復讐だマネケェ。

 そう言って対物ライフルで遠くにいるマスコミの胴体を吹き飛ばす。

 エンジンブロックを貫通したのか、もう何度目かも分からない爆発炎上が起きた。

 

 この後も山田 一郎は攻撃の手を緩めなかった。

 

 政府は自衛隊の出動を検討したが言葉を濁し、どうにか警察のみでの解決を望んだ。

 どうやら政治家達は自衛隊を出動させると選挙に負けると言う神話を未だに信じているらしい。

 

 そうこうしながら想定よりも長く生き残ってしまった。

 

 もう七日目になる。

 

 目的は達成出来た。

 

 余計な人間にも人生の卒業証書を配ってしまった気もするが気のせいだろう。

 

 夜明けとともに、学園中に仕掛けた爆弾を起爆。

 

 そして物理的に山田 一郎は自分が通っていた学園を廃校させた。

 

 

 その後の事を語ろう。

 

 この事件により大量の死者が出た。

 警察も大多数の殉職者を出し、マスコミ関係者も数え切れない程の死者が出た。

 

 しかし一連の反抗で山田 一郎による犯行だとは結びつけられず、謎の襲撃班による反抗としか公表されなかった。

 そして生死不明扱いである。

 

 あまりにも死体が多く、損壊状況も酷くて誰が誰だか分からない状態なせいである。

 

 このあんまりな結末に多くの人間が、人生を卒業出来なかった人間達はその後の人生に影響した。

 

 奇跡的に生き延びた教職員、生徒達は軽度から重度のPTSDを発症。

 引き籠もり生活に突入した人間も多い。

 

 警察関係者も多くの人間が辞職する事になった。

 

 自衛隊の出動を躊躇った政治家達は支持率は大きく下落し、次の選挙の当選は絶望的となる。

 

 

 そして――山田 一郎の足跡はこの後、プッツリと途絶える。

 



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