次元を超えることすらできないかもしれない (なすきゅうり)
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ぷろろぅぐ!
転生なんてなかったのかもしれない
吾輩は転生者である。名前はまだ無い。
第二の人生を歩み始めて早二年、恵まれた環境の中ですくすくと育っている。
ここで簡単にだが、私の転生の経緯を話そう。参考になれば幸い。
(´神`)「君、転生したい?」
(´私`)「No thanks.」
(´神`)「拒否権はない。って事でfate/に(´・ω・`)出荷よー」
(´私`)「(´・ω・`)そんなー」
(´神`)「一応特典はつけとくから、じゃあ、頑張ってねー!」
…実に勝手で理不尽な話だろう?参考になればとは言ったが、実際に参考になってもらいたくはないな。
それで私の身など顧みてくれない方々は私の特典が気になるだろう?前世の私なら間違いなく顧みなかったのだから仕方が無いか。
私の
さて、今話すべき事は粗方話した筈であるから、少々時を飛ばすかね。
では、キングクリムゾン。
―キングクリムゾン、時は消し飛ばされた。
やあ、吾輩である。名前は付いた。ドロシー・マナリアだそうだ。完全にシャ〇バ関連だな。
今更ではあるが私は女である。口調は紳士風であるが立派な女性である。そこの所は勘違いしないで貰いたい。喋れば多少はそれっぽくなるのだから。
それと私の生まれたマナリア家は階級はそうでもないが貴族であるらしい。ニート願望があるなら充分な環境だな。それと魔術師の系譜でもあるらしい。fate/要素がようやく出てきた部分である。
さて、
通常、魔術師の家は第一男子に最も力を入れて教育するものだ。我が家では私の3つ違いの弟、レヴィがそれに当たる。しかし我が家の場合、第一男子の他にもう1人、力を入れて育てる様だ。第一男子と競わさせて第一男子の能力を伸ばしたり、もしもの際に保険とする為らしい。これが私だな。
少し私の話をしよう。私の魔術回路は35本。原作の遠坂凛が40本、平均点な魔術師が20本なのを考えると破格の数だろう。マナリア家がそう年月を重ねた魔術の家でない事も考慮に入れて欲しい。その上私には『超越』がある。
将来設計をする上で少々重荷となってしまうこの『超越』だが、問題は無い。要の所、使わなければバレないのだからな。しかしそうなるとこの
将来設計で思い出したが、私は女だ。そしてこの家は貴族だ。察しがいい方ならお気づきだろう、つまり政略結婚の未来である。
マナリア家は決して大きい家ではない。両親は家の大きさを気にするタチでは無いのが幸いだが、言い方は悪いが弱小貴族の我が家は一つ間違えればあっという間に御家断絶なんて事もありえなくは無い。両親には2度目の人生を貰った恩があるのでもし
「ねぇ様、何をしているのですか?」
「レヴィか、今私は日記のようなものを付けている所。」
日本語で書いているのだがな。
「日記かー、僕も書いてみたい!」
「そう…父上ならば日記帳くらい幾つでも持っているかもね。貰って来たらどう?筆記具は私のを使えば良いし。」
「そうする!」
そう言って父の書斎に走っていくレヴィ。いやはや、弟は目に入れても痛くない程可愛いですな。
さて、こそっと今書いている日記…ではなく私の原作知識を書き留めたりするノートを『超越』の応用で作った空間に仕舞い、代わりに本当の日記帳を取り出す。
さらさらと日付、天候、そして本日のとりとめのない平和で幸福な日常について書き連ねる。それと並行し、レヴィの分の筆記具も用意しておく。
「ねぇ様、貰ってきたよ!」
「おかえり、もう筆記具は準備してあるからこっちにおいで。」
「うん!」
…弟が可愛すぎて鼻から愛が漏れそう。
「それでねぇ様、日記ってなにを書けばいいの?」
「その日起こった事を、後から読み返して分かるように書くの。とりあえず今日の日付と天気を書いてみて。」
「わかった!……書けたよ!」
「そうしたら今日の出来事を後で読めるように書くの。」
「…よくわかんない!」
「じゃあ、今日は私のを見ながら自分の言葉にして書いてみて。」
「わかった!」
こんな風に、私と弟の平和な日々がまた一つ、過ぎ去って行くのであった。
願わくば、ずっとこんなに平和で幸福な日常であってもらいたいと思わずにはいられない。
2話の書き途中でネフティスのプレミアムも手に入りました。
あぁそういえば、主人公の容姿はシャ〇バのドロシーそのものです。
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時間は割と簡単に消し飛ぶのかもしれない
吾輩は転生者である。名前はドロシー。
『超越』などという
齢は今年で十二。最近シスコンを拗らせ始めた弟が一人いる。
今は訳あって時計塔に在席し、立派な魔術師に至らんと勉強している。魔術師の時点で立派もクソもありはしないのは言わないお約束である。
比較的得意とする魔術はルーン魔術と錬金術、あと魔術回路の効率的運用のサークルっぽいのにも所属している。いかにもウィッチらしい内容達は、実際楽しい。これまでの私の主な実績は、採掘に便利な貫通力と精密性の高いルーンの開発、氷を素材としたゴーレムの開発、魔術回路の一部だけを起こしたり切ったりして余計な魔力を使わないようにする技法の発明、等々…。
あぁ、そういえば原作の前日譚であるfate/zeroのキャラのケイネス、ウェイバー、ソラウなんかとも関わる事が出来た。ケイネス先生は、そこまで年月が重ねられていない家の私がこれ程の魔術回路を持つことを評価していた。ウェイバーとは魔術師でありながら電子機器を使う事に抵抗がない者同士、あっさり打ち解けた。ソラウさんは、まぁ二言三言会話したくらいかね。
さて、少々長く前置きを置いたが、本題はここからだ。
今私は右腕に…と言うより右手の甲に包帯を巻いている。親やサークル仲間にはルーン魔術でミスして火傷したと説明しているが、察しの良い読者様なら包帯の下に何があるかは分かるだろう。そう、令呪だ。何故かは分からないが汚染済み聖杯に願望があると判断されたようなのだ。
それだけならまぁどうにかできない事も無い。『超越』が全力稼働するだけで住む筈だ。が、しかしそれに時間等が待ったをかける。今は1991年、そして原作のfate/stay nightの第五次聖杯戦争は確か2004年の話だった筈だ。流石の聖杯でも13年前から令呪の配布などしないだろう。
そこで、先程の話を蒸し返そう。fate/zeroの話だ。これはfate/stay nightの10年前、第
第四次聖杯戦争…fate/zeroといえば、本編stay night以上に凶悪なグロテスク表現や7陣営の過半数に救いのない鬱な展開、大量に人が死んだりもする相当ヤバい戦いな訳である。普通ならそんな戦争に巻き込まれるのは御免こうむる所だが、立ち回り方によっては一般人の大量死を防げるかもしれない。それにこの機を逃すと我が魂の祖国、極東の日の本の国、日本に行く機会が今後一切失われるかもしれないのだ。行かねば(使命感)。
という事で決断&即行動。今持てる人脈の全てを総動員し、来年度から日本の冬木の穂群原学園中等部に入学出来るように根回し。親には「極東の異文化でなら詰まり気味の私の魔術開発も伸びるかもしれない」みたいな感じに話したらあっさりOKが貰えた。ところがレヴィは行かないでほしいみたいな事言い出すので、「レヴィはお姉ちゃんのやりたいことを邪魔する悪い弟だったんだ」的な事言ったら引き下がってくれた。その日はずっとレヴィと一緒に居てあげた。
―――
それから約半年、1992年の二月半ば。私は単身、日本へと降り立つのであった。
前世終了から約12年、ようやくこの地に舞い戻る事が出来た。過去の上平行世界だがな。
煩わしい手続きを終わらせて今空港を出た所だが、さぁどうしようか。もう冬木に住居は購入してあるし家具等の搬入も終わってる。入学準備とかはまだだが三月に入ってから始めても十分に間に合うだろう。…よし、観光だ。折角前世では持てなかった時間もお金もあるのだから。
そうと決まれば即行動。まずは家電とオタクの町秋葉原からだ!
―少女観光中…
ふー。あれもこれも観光してたら一週間もかかってしまった。まぁ楽しかったから結果オーライではあるがな。
さて、今私は冬木に購入した一軒家で寛いでいる。観光疲れでこの家に辿り着いたはいいが荷解きの事を失念していたせいで『超越』を使うハメになってしまったのはここだけの話。
二階建てキッチントイレ風呂有り地下室屋根裏完備。新都方面へのアクセスも良く、一人暮しにしては豪華過ぎる我が家。お手伝いさんも来るとはいえあまりにも広い。…随分と遠くまで来てしまったな。弟が可愛いくて可愛いくて仕方がなかったあの頃が懐かしい。
まぁ感傷に浸るのも大概にしておかなければ。ご近所さんへの挨拶とか家の細かい装飾とか、やらなければならない事は山ほどあるのだ。
―キングクリムゾン、時は消し飛ばされた。
ぬっ、約二年半の中学生活が丸々カットされた気がする。確かに原作に関わるようなイベントは無かったがいくらなんでもこれはひどい。…まぁいいか。
さて、今年1994年もいよいよ秋となってきた。時計塔の人脈とは未だに繋がっているため時計塔の聖杯戦争参加者について情報が上がっているが…ウェイバーとケイネス先生の参戦は確定。こちらで殺人鬼龍之介はとっちめてあり、令呪が無いことは確認済みの為、残りの参加者についても原作zeroと変わりはないだろう。
そこで少々考えねばならないのは召喚するサーヴァントについてだ。今の所私のアドバンテージは原作知識と『超越』しかない。私の参加は結構簡単にバレるだろうし、私自身の能力も『超越』を抜いて考えると低い。つまり原作知識(とはいえアニメ全話一回分程度しかないが)に沿わない展開作りはあまり好ましくないという事だ。
少々長く語ったが結局の所、キャスターを召喚する訳である。しかし私には
まぁ気にしてはいけないのだろう。相補性の巨大なうねりとか円環の理みたいな
―夜―
脳内で魔術回路のスイッチ…私の場合シャ〇バの災いの樹の門を開くイメージ…をONに。同時に全身にピリッと痛みが走るが、いくら端くれとはいえ流石に魔術師なのだからこの程度は慣れている。
今回は魔術回路の出し惜しみは必要ないのでイメージの門の開き具合は全開。時刻も私の力が最も高まる時まであと数分。これより召喚を始める。
我が家、地下の私の工房の床に敷かれた魔法陣に、予め用意しておいた私の血と水銀を垂らす。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師■■■■■。」
呪文を紡ぎ始める。大師の名前は企業秘密だ。
「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」
魔法陣が発光を始め、徐々に魔力が消費され始める。
「
思い描くのは私の目的。勝つ事でもなく、ましてや殺す事でもない。
「――――――――――
救う事。魔術師の欲望に巻き込まれ、正義の味方の手からも零れ落ちた無関係な人々を救う。
「―――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。」
偽善なのは分かってる。私の力だけではそんな事出来ないのも分かってる。
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」
だからこれは私の自己満足。私の手を綺麗な血で染めさせない為の偽善。
「誓いを此処に。」
二度目の人生に意義を、意味を見い出せない私の戦い。
「我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」
きっと誰かを救う事が私を救うと信じて、私は偽善と自己満足を振り撒く。
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――――!」
だからお願い。私に答えを齎す
「サーヴァント、キャスター。召喚に応じ参上したわ。」
…どうやら
「確認する必要はないと思うけど、貴方が私のマスターよね、
召喚されたのは似て非なる私。『次元の魔女ドロシー』そのものだったのだ。
次回、サーヴァントについては明らかにします。
…察しの良い方なら分かるかな?
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この話は蛇足なのかもしれない
でもよく考えたらこのプロットも脈絡も知識も無く、ただ徒然なるままに適当書きしたこの小説(と書いて駄文と読む)を待ってる人なんていないので無問題ですね(違)
さて、なすの卑下はさておき本編どうぞ
「確認する必要はないと思うけど、貴方が私のマスターよね、
「え、えぇそうよ。キャスタークラスが不利な聖杯戦争でキャスターを呼ぶようなマスター、他に居るかしら?」
「居ないわね。ま、私に任せておけばどんなサーヴァントでもぶっとばすから、心配することはないわね!」
「…なんだか早速不安になってきた。」
とまぁ、それはさておきだ。少しこのサーヴァントについて考えよう。見た目は完全に私と一致。衣装がいかにも魔女ってところを除いたら多分他も私とほとんど一緒なのだろう。
一番最初に考えられるのは、この
次に考えられるのは、マスターを模す事で存在するサーヴァントである事。そう考えると心当たりがあるし、キャスタークラスなのも納得できる。…が、そうだとしたらこのzeroとかstay nightとは別の世界線から来た事になる。まぁでも一応
「と、いう訳で貴女の真名はナーサリーライムでファイナルアンサー。」
「ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー。」
「デデデゥン………正解!この短時間でよくその答えに辿り着いたわね。えらいえらい。」ナデナデ
「撫でるなぁ!これでももう中学三年生なんだけど!」
「あらそぅ…残念ねぇ。喜んでもらえると思ったのに。」
…召喚の魔力消費と合わさって頭痛くなってきた。
「おしゃべりも程々にしない?私寝たいんだけど。」
「あーっと現在時刻は…3時!?そうね、寝ましょう。できれば一緒のお布団で。」
「…ちゃんと寝間着に着替えるなら別にどうぞ。ふぁぁ。」
「なら先にお布団に行っておいて下さいな。私は最低限この家の要塞化をしておきますから。」
「そう、ならおやすみなさぁ~ぃ。」
ふぁぁ。しばらく学校はお休みするしこの夜型生活に体を戻しとかないとなー。
―――
やぁ、吾輩だ。寝て起きたらスッキリした。
結局キャスターは一緒の布団で寝たのだが…私の胸部装甲の無さに絶望したぁ!君は万死に値する!(錯乱)
こほん…私の中3にもなってAを突破しない胸の話はさておきだ、
魔術的には勿論、科学的にも幾重もの防御策が図られている今の我が家は、探知魔術・ソナー・衛星の監視・etc…を全て無効化し、許可者以外への強力な認識阻害を持ち、侵入してきた輩には鉛弾と魔力弾の雨をプレゼントする素晴らしい家となっている。家自体の強度も上げられており、メメントモリだろうとコロニーレーザーだろうと「私は帰ってきた!」だろうと
どっからその魔力と機材を持って来たのか問い正せば全て『超越』で片付けられてしまった。この世界にとってのイレギュラーである『超越』だろうと写し取るナーサリーライムはマスター依存のチートである事が分かった瞬間である。
チートついでにどれほどの記憶を持っているのか聞いたら、全部(原作知識も)だそうだ。ナーサリーライムとは小さな子供の描く夢みたいなイメージがあったけど、現在進行形で音を立ててイメージ像が崩れている。
「これも全部『超越』って奴の仕業なんだ。」
「つまり私が悪い、自業自得ってこと!?」
「過程を省いて結果だけ伝えるとそうなるわね。」
「絶対それ重要な過程を吹き飛ばしちゃってるって!」
「まぁまぁ、良いじゃない別に。」
「…おかしいな、ついさっきスッキリした筈なのにもう頭痛くなってきたんだけど。」
「ドン☆マイ」
ちくせう。いつか絶対SEKKYOUしてやる。
「それで、
…キャスターが急にシリアスな空気を纏い始めた。合わせとこう。
「何かしら?」
「まず一つ、マスター保護用の礼装を作成しましたので着用してください。」
「了解。」
「二つ、この家の要塞化後、アサシンらしき反応を検知しました。隠蔽は完璧でしたので気付かれてはいませんが、今後注意が必要かと。」
「もう居たのかアサシン。」
「三つ、これはマスターの意思に委ねますが、ルーン魔術、私に訓練されてみます?」
「…うーん…考えとく。」
「ではまた余裕がある時にでも。」
「で、話したかったのはそれだけ?」
「えぇはい。それだけですとも。って事で
「急に空気変えやがったなオイ。…別にいいけど我が家のお風呂の浴槽、1.5人分くらいの大きさしか無いんだけど。」
「そこはまぁ、密着すればいいですし?」
「なぜ疑問形だし…まぁいいや、もう好きにしちゃって。」
「やったー!」
「…本当にこのサーヴァントで大丈夫なんだろうか。」
―少女達入浴中…
お風呂上がり、キャスターから指輪、腕輪、ネックレスを貰った。さっき言ってた私の礼装だろうか?
「That's right.指輪がルーニックシールドで腕輪が魔力タンク、ネックレスが指輪と腕輪の機能を半分くらいで両方持ってるのよ。」
「へー。とりあえず、
「多分善処するわ。」
「そこは確定して欲しかったな。まぁいいや、それでこれからどうしよっか?」
「それを私に聞く?
「そう、なら…そうねぇ…初戦の倉庫街に色々設置しとこうかな。ついでに
「いいねそれ、さんせー!」
「そうと決まれば即行動。お手伝いさん用の服があったはずだからとりあえず
「りょーかい。」
―外出描写は消し飛び、家に帰ったという
「「ただいま〜。」」
…まぁ誰も居ないんだけどさ。お手伝いさんには約二週間の暇を出したし。
で、外出の成果の事だけど、倉庫街にはきっちりとルーンを敷設完了。これで初戦のデータは魔術的にも科学的にも全て採ることが出来る。ルーン自体の隠蔽も完全。あとついでに聖堂協会の事後処理の人達が少しでも楽になるような仕掛けも仕込んでおいた。
キャスターの私服もキャスター自身がこれと決めた数着を購入。部屋着は魔力で適当に編むそうなのでこれで衣服面の心配は無し。そこで冷蔵庫の中身があまりないのを思い出したので急遽買い物をすることに。これで当面の食料も問題無し。
あぁそういえば、冬木にある方の協会に使い魔を使ってキャスター召喚を一応申告して置いた。まだザイード劇場も始まってないくらい早いけど、まぁ一応ね。
「あぁ、そういえば
「ん?どった?」
「後で髪の毛の提供をお願いね。
「おっけー。…念の為確認しておくけど、どんな礼装が出来上がるの?」
そう聞くとキャスターは得意気に伊達メガネを取り出し、無意識ではあるのだろうがドヤ顔で解説し始めた。
「『超越のバトルドレス』。杖と衣装セットの礼装で、基本的に超越の発動を補助する効果が有るわ。他に外付け魔術回路、魔力タンク、亜空間倉庫、強化魔術外骨格、視界全方位化&視力超強化、フラックジャケットの機能、不導体処理済み、緊急時はパラシュートに変形、あと素材に私の開発した
「なるほど、つまり現代でも神代でも早々作れない御伽噺の代物だと。」
「そゆこと。最終調整で
「そこまでにしとけよキャスター。」
「あら、
「…キャスターのルーン魔術講座、受講しようかな…。」
「基本いつでもウェルカムだから気楽に受けちゃって♪」
「うん、その気になったら言うわ。…それはそうとして、もう眠いんだけど。」
「そう、じゃあおやすみね。私もやる事パパッと済ませて一緒に寝るから。」
「りょーかい。おやすみなさーい。」
「おやすみ、
そうしてベッドに入ってしばらくしたら、こそっとキャスターが入って来たので、ベッドだから出来るシリアスな話をしてみることにした。
「ねぇ、キャスター。」
「どうかしましたか、
「キャスターは、もし聖杯を勝ち取ったら何を願うの?」
「…そうですねぇ。…正直な所、私に聖杯に託すような願望なんてこれっぽっちも無いんですよねぇ。強いて言うなら、別の
「…そう。」
「それがどうかしたんですか?」
「キャスターの事だし、私の言わんとしてる事くらい分かるでしょ?この性悪魔術師め。」
「はてさて、一体何ノコトデセウネ(棒)」
「棒読みが露骨すぎるって。…私に心からの願いが無いこと、分かってたんでしょ?」
「そりゃあ
「そう…よね…。」
「それともなんです、私にAUOの如く有難いお説教でもしろって言うんですか?」
「それは……そんな事無いけど…。」
「なら
「そうか…そうだよね。何も焦る必要は無かったんだ。…ありがとうキャスター。話したら楽になった。」
「
「うん、そうする。おやすみ、
「おやすみなさい、
こうしてちょびっとだけ絆の深まった私達キャスター陣営は、遂に聖杯戦争に突入していくのであった。
次回から聖杯戦争始まります
そこで他陣営から見たキャスター陣営を少々…まぁ現在時点で参戦を知ってる陣営が余り居ないんですけどね
・アーチャー陣営
召喚者や英霊は知らないが、AUOの力の前なら紙屑同然、問題ない(慢心)
・アサシン陣営
使い魔で召喚の通達があったにも関わらず工房の場所が分からない、少なくとも情報戦の大事さ等々は弁えてる警戒に値する相手
・セイバー陣営
ここ数年の行動からマスターの可能性が高い、実力が分からない以上起源弾の使用も辞さない構えで行こう
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