喧嘩ならよそでやれ (観葉植物)
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プロローグ
契約しました
俺の名前は黒霧透、魔法少女ららこが好きなどこにでもいる高校生だ。今日は秋葉原まで、ららこたんの限定フィギアを買いに来ている。っと誰にしているか分からない自己紹介をしながら目的の店にむかっていた。
気合いが入りすぎていて少し目が血走って途中チラシを配っているメイドさんに避けられたのはここだけの秘密だ。今は春休みでこの休みが終わると2年生になる。気温が上がってきて最近は朝起きるのがつらくなってきたなぁ~などと考えていながら歩いている時に、急に声をかけられ、はっと我に返る。
「すみませーん」
前方から端正な顔立ちでボーイッシュなショートカットの黒髪美女が声をかけてきた。
俺は基本、人に声をかけられることはない。なぜなら身も心もららこたんに捧げているからだ。常にららこたんがプリントされたTシャツを身に纏っているため、自動的にATフィールドが発動されている。俺のATフィールドを潜り抜け声をかけてこられるのは、俺と同じ同志か友達ぐらいのため、現実を受け止められないまま、とりあえず返事だけはしておくことにした。
「どうかしましたか?」
「私、魔法少女ららこの限定フィギア買いに来たんですけど道に迷ってしまってどこのお店に売っているか知りませんか?」
なんと目の前の美女は俺と同じ同志だった。
「俺も同じものを買いに来たんですよ、一緒に行きますか?」
「いいんですか!お願いします」
同志に優しくするのは当然だよね!下心なんてないよホントダヨ。
彼女との、ららこトークは白熱し、途中は言い合いになるようなこともあったがとても楽しかった。フィギアも無事ゲットすることができ、休憩がてら近くのメイド喫茶に入ることにした。
「今日はありがと!助かっちゃた」
「いえいえ、こっちも楽しかったから」
彼女と談笑をしながら頼んだオムライスがくるのを待っていたが中々こず、彼女との会話もひと段落したため健気に働くメイドさんを心の中で応援していると、彼女に冷たい目で見られていることに気づいた。
「やっぱり男の人ってああいう可愛い女の子が好きなんだね」
「いや、全然そんなことないにょ」
急に言われた言葉に思わず否定しようとしたが全然出来なかった。
「・・・」
「・・・」
しばらくの沈黙が続いた後に彼女がこう切り出してきた。
「私の前でもし次そういう目で女の人見たらどうする?」
なんかいきなり怖い質問がきたんですけどーと心の中で叫びながら考えたがいい考えが浮かばず安易にこう言ってしまった。
「何でも言うことを一つ聞きます」
彼女はこの言葉聞いた瞬間悪魔のような笑顔を浮かべ、すぐに悪手だと気づいたが遅かった。
俺はこの時は知らなかった、彼女が本当の悪魔だということに。
そんな時に、明るく元気な声が飛び込んできた。
「お待たせしました!手作りオムライスです!」
やっと来たのかと声の方をを見ると、今朝のチラシを配っていたメイドさんだった。心の中でお前かーいと突っ込みながら固まってしまった。
「んんっー」
という咳払いで我に戻ったが遅かった。彼女は口パクでア・ウ・トと伝えとても素敵な笑顔を浮かべていた。
その後メイドさんが文字を書いてくれたり、おまじないをしてくれたりしたが全く頭に入ってこなかった。メイドさんはごゆっくりどうぞーっと言って忙しそうに仕事に戻っていった。
「目つぶってて」
約束のことだと分かり大人しく目をつぶる。どんな恐ろしいことかと思っていたらご褒美の流れだったため、ラブコメ展開キター!!と心の中でファンファーレが鳴っている時に、急に頭をつかまれ勢いよく何かが唇にあたり唇を切ってしまった。痛みで目を開けると同時に彼女の舌が歯茎と唇の間に入ってきて傷口を舐めとっていった。あまりの早業に呆然としていると、彼女は笑顔で鞄から小さな紙袋を出して自分に渡しながらこう言った。
「契約完了、体の何処かに紋章が出てきたら連絡してね、あと紙袋の中身は無くさないように、私の名前はリリン、君の名前は?」
「黒霧透です」
彼女の言っていることの意味が分からず、何とか質問を返すと満足そうに頷き席を立ちながらこう言った。
「バイバイ私の下僕君」
彼女はそう言い残すと足早に店から出ていった。
紙袋の中身は10㎝程の長さで後ろに鈴紐で針と鈴を結んである奇妙な針15本と彼女の連絡先だと思われる数字の羅列が書かれた紙だった。色々なことがあって状況を整理できていないが、分かったことは自分のファーストキスは血の味だったということだ。
夢小説にハマって勢いで書いてしまいました。処女作で文才もありませんが完結目指して頑張ろうと思います。最後まで読んでくれた方ありがとうございました。
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足踏み入れました
秋葉から帰り、ベッドにダイブして1日を振り返るが振り返ることが多すぎて上手くまとめることができなかった。まるで夏休みの宿題が多すぎてどれから手をつければいいか分からないような感覚だ。ららこたん人形に話しかけても返答が返ってくることもなかった。誰かに見られたら切腹ものだと思いながら目をつぶり、今日は寝ることにした。
翌朝俺は、この世で一番嫌いな音で目を覚ます。そう音の発信源は目覚まし時計だ。起きた時にはご丁寧に太陽もいつもどおり昇っていた。
「毎日昇ってたらありがたみが薄れるから昇らない日があってもいいんじゃないの?」
っと朝のイライラを太陽にぶつけながら洗面所に向かった。
洗面所で顔を洗っている時に違和感に気づく。左目の黒目のところに二重丸のような赤い模様が出ていた。意識は一気に覚醒して、昨日会ったリリンの言葉を思い出す。
『体の何処かに紋章が出たら連絡してね・・・』
携帯の電源を入れ電話をかける何回かコール音がしたあとにリリンは出た。
「ハロハロー、紋章が出たのかな~?」
此方は焦っているのに彼方は能天気な返答が返ってきたため少しイラッとしたが抑えて彼女に説明を要求した。
「私ね、冗談とかじゃなくて本当の悪魔なの実はね…」
簡単に話を纏めると彼女は悪魔でこの紋章はコンタラクト紋章《コンタラクトスペル》という物で彼女との契約の証らしい。悪魔が人間界で力を使うには人間を触媒とするため人間との契約が不可欠らしく、悪魔の力を使えず困り、契約する人間を探していたそうだ。そこで自分の好きなららこたんがプリントされたTシャツを着ていた俺に白羽の矢が立ったらしい。これで彼女と俺は悪魔の力を使えるようになったが問題があった。悪魔の力を使うと、この紋章が複雑に増えていくらしく、このままでは顔が刺青だらけの人間になってしまう。彼女との交渉の末、春休みが終わるまでは力を使わないと約束をして貰ったが、悠長にはしていられない。春休みが終わるまでに紋章が拡がらないようにする紋章術をマスターしなければならないからだ。
電話を切るとリリンから貰った針とにらめっこを始めた。
針は彼女が愛用していた針らしく、魔力を通しやすく、感じやすいため最初の紋章術の練習には打ってつけだそうだ。
針から鈴紐を外し、ららこたんの人形を作ることにした。裁縫などする事も無いため苦戦し、また針が長すぎるため手に針を何度も刺し出来た人形が血まみれだったのはまた別のお話。
こうして俺は悪魔の道に足を踏み入れ、平穏な高校生活を手放しだったのだ。
読んでくれてありがとうございます、全然べるぜバブ感がありませんが、次から原作に突入させて行きたいと思います。最後まで読んでくれた人ありがとうございました。
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6騎聖
出会いました
高校2年生がスタートした。。春休みだけでは紋章術を覚えられず身体中に刻印が拡がり学校に行くどころではなくなった。結局学校に行けたのは1学期の終わりからだった。
学校には、眼帯をして刻印を隠しながら通っている。
クラス替えもあったが1年の時からつるんでいる
何故こんなにハゲ率が高いかというと、帝毛工業高校に通っているからだ。学校の生徒は殆どがスキンヘッドの不良だが、県内ではトップクラスの就職率を帝毛は誇っている。その為、高卒で就職をしようと考えていた俺は帝毛に進学した。休みすぎて内申に傷が付くところだったが、それは悪魔の力ですり抜けた。
あれからも悪魔の力の修行を続け、魔力を糸として針で物を地面や壁に縫い付けたり、鈴の音で幻術や結界、力の弱い者には記憶の改竄まで出来るようになったからだ。最初は悪魔に恨みしかなかったが今では感謝しているレベルだ。この学校にいる以上よくチンピラに絡まれるため、幻術で適当にあしらっている。俺が喧嘩する時は自分に利益がある時か
今は桜も散り蝉が鳴き、2学期が始まった。蝉は外の世界で数日しか生きることができないから畜生と叫んでいるじゃないかと自分の蝉についての持論を立て、蝉の悲しみの歌を聞きながら学校に登校した。
教室に入ると妙にそわそわした斜落がいた。話を聞くと、学校が全壊した石矢魔高校の生徒が、近くの聖石矢魔高校で教室の間借りをしているらしく、今日の放課後に石矢魔高校の奴らが調子に乗らないように石矢魔狩りをするらしい。誘われたが、今日はセーラームーンの再放送が6時からある為断ることにした。
「今日はちょっ「ここに水樹カヤの写真集があるが」行かせて頂きます」
水樹カヤ、それは
放課後になると石矢魔狩りを開始した。と言っても自分は集団の1番後ろで付いて行くだけである。貰った写真集を見ながら歩いていると集団の動きが止まった。どうやらターゲットを発見したらしい。しばらくすると取り巻きたちが斜落の名前を叫び始めた。どうやら返り討ちにあったようだ。幹部を張る程の斜落を倒すやつが気になり、写真集から顔を上げると、緑色の髪の毛をした裸の赤ん坊を背負った不良と思われる学生がいた。
「えっ、なんで裸?」
すいません、邦枝を出すとこ行きたかったんですけど今回はここまでで、次回オリ主動きます。最後まで読んでくれた人ありがとうございました。
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不幸な1日でした
赤ん坊を背負った男は斜落を蹴り飛ばして壁にめり込ませた様だ。はっきり言って人間技ではない。
依頼人は倒され報酬は前払いだった。うん、もうここにいる必要がない、それに無駄な喧嘩は趣味じゃない別に相手にビビった訳じゃないよ、ホントダヨ。
斜落を抜いて帰るため、写真集を隣のハゲに渡し斜落の方に歩いている時に声が響いた。
「動くんじゃねぇ、
振り向くと先程写真集を渡したハゲが
「おい、何言ってん…」
否定の言葉を言おうとした時に言い切る前にハゲが吹き飛んだ。
「今後聖石矢魔の生徒に手出したら、うちらが黙ってないよ」
傘を俺たちに向けながらハゲを吹き飛ばしたであろう美女が啖呵を切ってきたが、頭に入って来なかった。気づいたら俺は走っていた。
「黒霧さんに続けー」
「帝毛舐めんなー」
様々な自分たちを奮い立たせる言葉が聞こえ、次々と人がゴミのように壁に飛んでいく。
俺は立ち止まり、しゃがみこんだまま動けなかった。俺の手の中には切り刻まれ、ボロボロになった写真集があった。
俺の頬から涙が伝い気づいたら傘を突き付けられていた。
「とっとと連中をつれて行きなさい」
どうやら俺以外は全滅したらしい。
「何でだよ、クソがぁー」
俺は写真集がボロボロになったことの怒りに、叫びながら立ち上がった。
「なっ」
彼女は驚いた表情をし、傘で切りかかってきた。
俺は傘を顔面の前で受け止め握り折り無理やり手から引き離した。
「何すんだよ」
写真集の文句を言ってやろうとした時に俺の腹部に衝撃が走り壁に激突した。どうやら後ろから蹴り飛ばされたらしい。
今日はイライラすることが多すぎる。頭が上手く回らない。見ると赤ん坊を背負った男が俺の事を蹴ったらしい。傘の女は顔を赤らめている。なにこのラブコメ、塩撒きたいんだけど。取り敢えずリア充はぼこるのが俺の流儀だ。制服を脱ぎ、ららこたんに十字を切り勝利を約束し殴りかかった。
俺は身体中ボロボロになりながら家に向かっていた。結局赤ん坊を背負った男を倒しきることが出来なかった。殴れば殴り返してくるし、蹴れば蹴り返してくる。気づけばお互い笑いあって殴りあっていた。
きりがないと感じた俺は幻術で終わらそうと針を取り出した。その時に赤ん坊が騒ぎ始めた。
「ダァー、ダブダブダァー」
「おぉ~彼奴がいいんだな!そうかそうかじゃあ決まりだな」
そお言うと赤ん坊を背負った男は赤ん坊を俺に押し付けてきた。
「いや、なにやってんの?」
思わず口から出た言葉だった。
あの後何を言っても赤ん坊を押し付けようとしてきて、余りのしつこさに赤ん坊に針を1本渡すことで許して貰った。赤ん坊をベル坊といい背負っていた男は男鹿という名前らしい。傘の女は石矢魔東邦神姫の邦枝だった。
その後針を渡した事をリリンに報告すると目茶苦茶怒られた、急に家に押し掛けてきたかと思うと、泣きながら、何回も目の前でららこたんに嫌われるという恐ろしい幻術をかけられた。
何回謝っても許して貰えず、泣き止むまで頭を撫で続ける事しか俺には出来なかった。
こうして俺の長い不幸な1日は終わった。
最後まで読んでくれた人ありがとうございました。
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