アインズ様は息子に王座を譲ります (ドミニコ・トモン)
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PART1

ここはとある一室。

傘下におさめたプレイヤー達、その中でも五大ファミリーと呼ばれる5人の王が集まっていた。

アインズは重たく口を開く。

『偽善はお互い様だ。

だがナザリック、アインズウールゴウンの悪口、侮辱だけは許さん。』

続けて

『私は迷信深い。

万一ナザリックの者が、アインズウールゴウンに関わる者が事故に遭ったり何者かに撃たれたり、あるいは首を吊ったり雷にうたれても、私はここにいる傘下プレイヤーの誰かを憎む。

そのときは絶対に許さん』

 

『私の後継者の話だが、既に息子(パンドラズアクター)に譲るつもりだ』

 

五大ファミリー「御心のままに。」

 

アインズが息子に魔導王の座を渡してそう時は経たずして

一波乱起こる。

 

アインズの息子、パンドラズアクターが新たなる地を目指し拠点を移すべく指針を唱えたのが事の発端だ。

これに危機感を覚えた五大ファミリーの王達が独立を求めるもパンドラズアクターはこれを許さず。

 

とても我慢出来ないとアインズの元に五大ファミリーが訴える。

そしてアインズは腰を上げ

『私の言葉を聞くか?』

 

ひざまづいていた五大ファミリー達は即座に「はい」

と答え、手、骨の手に口づけする。

 

『私を信頼しているか?』

 

「いついかなる時も」

 

『ならパンドラズアクターに従え』

 

五大ファミリー達は再度骨の手に口付けを交わしパンドラズアクター魔導王を神輿と誓いを立てる。

 

鈴木悟(黒歴史に王座を渡したけど大丈夫なのこれ)

 

そんななか、娘を街のチンピラによって暴行を受け怪我をさせられた魔導国民の1人が復讐を頼みにアインズの元に通された。

この男はアインズの琴線に触れた者の1人で数少ない現地人の友人とでも言える男だった。

しかし、アインズはこの男の娘の名付け親なのに長年顔を出さなかったことを責める。

その男はアインズに借りを作るのが怖かったと告白する。

それを聞いたアインズは

『君が友人として来るならそんなクズなど処分してくれる。善良な君を苦しめるのは私が許さん・・・君が友人なら』

そしてこの男を許しその頼みを引き受ける事にした。

後にこの男はこの時の恩をアインズに返すことで友情を示しますがそれはまた別の話で・・・

 

このようにアインズは自分が認めた者にはとことん尽くす、というかそんな半端な表現では表すことが出来ないほど身内を愛していた。

元魔導王の決めゼリフ『心配するな。奴らに決して断れない申し出をする』は今もなお健在だ。

なお、カルネオーレ村は今日も平和だった。

 




はい。すみません。ごめんなさい。


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PART2

あれはまだ新魔導王が誕生して間もない日の事。

 

かの土地のドンにナザリックNPCの2人が殺されたあの日。

パンドラズアクターは追手から逃げのびナザリックへと帰還する。

 

新たにナザリックの傘下に加わった1人のプレイヤーが新魔導王パンドラズアクターを裏切り、かの土地のドンに情報を流したことによって窮地に追い込まれた。

 

それを知った魔導王パンドラズアクターは殺すことはせず話し出す。

 

『面倒見てきたでしょう?』

 

それを聞いた裏切り者のプレイヤーは

 

『面倒だと?お前はまだこの世界では新参者だ。傘下に降ったとは言え、俺の事を一度でも考えたことがあるのか?指図ばかりしやがって。それはあいつにやらせとけ、城にはあいつを迎えにやれ。俺はお前よりも先にこの世界に来たんだ!俺にだって出来る。俺は馬鹿じゃない尊敬されたいんだよ!』

 

そもそもプレイヤーの中でもレベルもカンストでは無く出来損ないと言われていたこのプレイヤー。

このプレイヤーが所属する傘下ギルドのギルド長と父アインズは仲が良かった。

だからこの裏切り者のプレイヤーもパンドラズアクターは等しく接して来たつもりだった。

しかし、この裏切り者のプレイヤーはナザリックの重要な仕事から外され疎外感を抱いていた。

その心情を、パンドラズアクターにぶつける。

 

それを聞いたパンドラズアクターは非情に言い放つ

『もう終わりです。あなたはこれよりナザリックの、アインズウールゴウンの関係者でも友達でもない。あなたのギルド長に会いたければいつでも訪ねてくるといいでしょう。その時は席を外すようにします。』

 

メッセージ

 

『父上。パンドラズアクターです。相談が御座います。すぐに向かってよろしいでしょうか?』

 

『うむ。』

 

『ありがとうございます。では、即座に。』

 

『父上、このパンドラ、御身の前に。』

 

『うむ。相談とは?』

 

『はい。父上と仲がよろしかったあのギルド長が束ねるギルドのプレイヤーが裏切りました。』

 

『ふむ。して、息子よ。お前はどうする?』

 

『あのプレイヤーは父上が仲がよろしかったあのギルド長の仲間ですが、、、』

 

『よい。話してくれ。』

 

『はっ。すぐにでも抹殺すべきかと』

 

『ふむ。まぁ待つのだパンドラズアクターよ。仮にもそのプレイヤーはギルド長の仲間だ。

既に裏切っているのであれば身の危険を感じ隠れているだろう。

せめてもの情けにギルド長が生きているうちは生かしといてやれ。

あいつが悲しむ顔は見たく無いのでな。

ギルド長が死ぬまではヤツの身は安全だ。

裏切った事もギルド長には内密にしとくように。』

 

『おおっっ!おおっっっっ!なんと!父上の慈悲深さはいつになっても御健在で!』

 

『うっ、うむ。』

 

アインズとの密談が終わるとパンドラはすぐにメッセージを送る。

『デミウルゴス殿、あの裏切り者のプレイヤーにはまだ手を出さないで下さい。今あれが死んだらあれのギルド長が悲しむので。ギルド長が死んだらあの裏切り者を消して下さい。それからこの話はギルド長には極秘に。』

 

『御心のままに』

 

それから数年後、パンドラズアクターは年老いたかの土地のドンを訪ね、この地で活動する事の承認を求める。

かの土地のドンからギルド名を尋ねられたパンドラズアクターは、耳元で自らの素性を小声で明かし、驚くかの土地のドンに子分を呼ぶ隙を与えず『お返しだ!』と、ナイフを突き刺し腹を切り裂いて見事復讐を果たす。

 

それからまた数年後。

 

あの裏切り者のギルドの長が亡くなった。

彼の葬儀にアインズをはじめ、ナザリック勢と五大ファミリー、傘下ギルドの主だった面子が出席した。

あの裏切り者のプレイヤーも出席したがタイミングを見計らってパンドラはその場を離れていた。

パンドラに面会を求めるも側近のデミウルゴスは拒絶する。

パンドラは未だにこのプレイヤーを許しておらず、彼と顔を合わせるのも嫌がっていたのだ。

それもそのはず。せめてもの情けにヤツのギルド長が生きている間は生かしてやっていただけに過ぎない。

 

葬儀が終わってアインズはパンドラに顎をしゃくる。

その瞬間、あの裏切り者の命は終わる事となった。

そう抹殺の合図である。

 

 

かの土地のドンや反乱分子を始末して勝利したものの、パンドラが一人きり玉座に座っている。

 

その顔は卵のような何の変化も無い顔だか、孤独と虚無が滲み、まるで魂を失ったかのように虚ろだった。

 

なお、カルネオーレ村は今日も平和だった。



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過ぎ去りし過去を求めて

ねねっち『色々やりたかったっていうか、なんというか。』

あはごん『なんでノーマルがないんですか?』

ねねっち『そっちー!』



ア『パンドラズアクターよ。もし私が闇落ちした時は、その剣で私を倒して欲しい。』

 

パ『ちちうえっっ!何を仰いますか!父上が闇落ちなど、天地がひっくり返ってもあり得ません!』

 

ア『みなまでいうな。』

 

パ『・・・Wenn es meines Gottes Wille・・・(我が神の望みとあらば)

 

パンドラズアクターがアインズから王座を継いで数百年が経ったある日。

 

もう何回目かも忘れるくらいのプレイヤー到来周期か訪れた。

 

そのプレイヤーはかつてギルドアインズウールゴウンと敵対していたギルドのマスターただ1人だった。

 

はじめこそは魔導国と敵対ルートを取ることなく、従うフリをしてこの世界の理を理解していった。

 

時が来たのはそれから数年後と早い段階であった。

 

隠居したアインズへとあの手この手を使って近付き、ワールドアイテム、それも20を行使したのだ。

 

その20とはルーの鏡・・・

 

アインズを本来の姿、そう鈴木悟へと変えたのであった。

 

 

アインズが死を覚悟したそれと同時だった。

 

なんと鈴木悟と敵対ギルドの間を遮る様に41人のうちの4人が姿を表したのだ!

 

鈴木悟『み、みなさん!ヘロヘロさんにたっちみーさん!ペロロンチーノさんにぶくぶく茶釜さん!』

 

そう、彼らは過ぎ去りし時を超えてアインズの前へと姿を現したのであった。

 

敵対ギルドのギルマスはたっちみーが一刀両断した。その時のギルマスの最後の言葉、ふふっ。時を超えて来たのはお前らだけと思うなよ。が、心残りとはなったが、たっちみーは同じ20をもって鈴木悟をアインズの姿へと変えた。

ちなみにその頃の魔導国は今日も平和だった。

 

アインズ以外にいち早く4人の存在に気付いたのは創造された子達であった。

 

仕事を放り投げ何振り構わず4人の元へと馳せ参じ再会を喜びあった。

 

しかし、過ぎ去りし時を超えて来たのは4人だけではなかった。

 

なんとユグドラシル全盛期のギルドランクトップ3も時を超えて来たのであった。

 

それからと言うと、共存、敵対、騙し討ち、裏切り、などを経て、真の支配者アインズウールゴウンが不動のごとく世界を支配していた。。。

 

 

ここで、とある女性が本をたたみ棚に直した。

 

棚には同じ形の色違いの本が三冊ありⅠ Ⅱ Ⅲと分けられていた。

その本には魔導国の紋章、そうアインズウールゴウンの紋章が刻み込まれていた。

 

女性は階段を上がり部屋の扉をあける。

 

おきなさい、おきなさい

 

私の可愛い坊や

 

今日はおまえがはじめて魔導国のお城に行く日だったでしょう

 

この物語はその本に書いてある物語である。




おしまい


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そして伝説がはじまった・・・

そして・・・


アインズは未知を探求する真の冒険者組合を設立した。

 

それと同時にレアな人材は身近に置き、その一族を手厚く保護対象とした。

 

その保護下にあったとある少年が16歳になる誕生日のことであった。

 

母親:起きなさい。起きなさい。私の可愛いボウヤ……。

今日はお前が始めて魔導国のお城へ行く日だったでしょう。

この日のために私はお前を勇敢な男の子として育てたつもりです。

さあ母さんについていらっしゃい。

ここからまっすぐ行くとお城です。

王様にちゃんと挨拶するのですよ。

さあ行ってらっしゃい。

 

 

少年は母親の元に戻ろうとした。

 

どうしたの?

王様に会っていらっしゃい。

 

それから少年は魔導国の王、パンドラズアクターに謁見した。

 

おぉ!おぉ!よくぞ来た!

我が魔導国で勇敢に冒険者として活躍したオルテーガの息子よ!

そなたの父オルテーガはドラゴン討伐の末、火山に落ちて亡くなったと聞き申した。

その父の後を継ぎ冒険者になりたいというそなたの願い 、しかと聞き届けた!

世界は我々アインズウールゴウンの栄華であるが、いつ何があるかは分からない!

我が魔導国冒険者組合のダンジョンで力を付けよ!

 

町の酒場で仲間を見つけこれで装備を整えるがよかろう。

 

(少年はお金と仲間のための武器防具をもらった!)

武器防具はちゃんと装備する様に!

もっているだけではダメですぞ!

 

ではまた会おう!

我が魔導国の勇敢な少年、オルテーガの息子よ!

 

それから少年は家へと戻った。

 

 

おかえりなさい。私のかわいいボウヤ。さぞや疲れたでしょう。

さあ、もうおやすみ。ゆっくり休むのですよ。

 

♪♪♪♪〜♪♪〜♪♪〜

 

おはよう!朝ですよ。

 

さあ いってらっしゃい。

 

ん?どうかしたの?

冒険に出るのがつらいの?

母さんだってボウヤにいつまでもそばにいて欲しい……。

でも子供はいつの日か親から離れなければならないのです。

さあ おゆきなさい!あなたには勇者オルテーガの血が流れているのです。勇敢で立派だった父さんの……。

 

それから少年は仲間をみつけ冒険者チームを作り日々着実とダンジョンを攻略していった。

 

 

そして少年はその日帰るのが夜遅くになった。

 

まあ遅かったのねっ。

でも無事で本当によかったわ!

もう上に行っておやすみなさい。

お友達もごいっしょに…。ゆっくり休むのですよ。

 

♪♪♪〜♪♪〜♪♪〜

 

おはよう!朝ですよ!

 

さあおゆきなさい!

あなたには勇者オルテーガの血が流れているのです。

勇敢で立派だった父さんの……。

 

それから時は経ち少年は、とうとう父オルテーガと同じアダマンタイト級のさらに上、勇者級へと昇進した。

 

 

おかえりなさい私の可愛いボウヤ。

母さんは嬉しくて…。

今のお前の姿を父さんにも見せたかったわ。あぁ私の可愛いボウヤ……

 

〜魔導国〜謁見の間〜

 

おおー!おおっー!少年よ!よくぞダンジョンをクリアし勇者級へと昇進した!

さすがオルテーガの息子!国中の冒険者が少年をたたえるであろう!さあ、みなの者!祝いの宴じゃ!

 

・・・どこからともなく無気味な声が聞こえる……。

 

わっはっはっ!わしは闇の世界を支配する大魔王ゾー

・・

・・・このわしがいる限り、やがてこの世界も闇に閉ざされるであろう。さあ苦しみ悩むが良い。そなたらの苦しみはわしの喜びなのじゃ。わっはっはっ

 

パ なんとしたことだ。

やっと新たな勇者級が誕生したというのに……。闇の世界が来るなどみなにどうして言えよう。大魔、、・・・

 

 

(メッセージ

 

パ えー、演技の最中すみませんアインズ様。

 

ア ん?どうしたと言うのだ息子よ!お前らしくもない演技中に。ここからまた私の大魔王のロールがはじまっ

 

パ えーっと、その、めんどくさいんでもうこれやめてもらえます?何百年前に流行っていたと言われるリアルの世界のロープレ?でしたっけ?

 

ア う、うむ。そうだが。新たな勇者級には次のステップアップを用意しているからなっ。う、うん。

 

 

パ ・・・Wenn es meines Gottes Wille(我が神の望みとあらば)・・

 

 

ぷつっ)

 

 

おおっっ!少年よ!

 

なんとしたことだ。

やっと我が魔導国から新たな勇者級が誕生したというのにっっ!・・・闇の世界が来るなどみなにどうして言えよう。大魔王ゾー・・・のこと、くれぐれも秘密にな。

もう疲れた……。下がってよいぞ。

 

 

 

そして伝説がはじまった!




久々に魔王ロールをやりたかったアインズ様


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魔導国に慈悲を求めて・・・

魔導国の噂を耳にし、彼の国から亜人の群れが逃げるように魔導国の元へ慈悲を求め動き出したのはいつからだろう。

ふとミノタウルスは過去を思い返し苦虫を噛んだような顔をする。第三者から見れば表情はあまり変わってないんだが。

あのヤルダバオトのせいで・・・

 

やっとの思いでかの有名な三重城壁の最外壁が見えてきた。

そしてそこにたたずむ立派な門。

ただし、ミノタウルスの目を奪ったのはどちらでもない。目を奪われたのは門の左右に立つ、超巨大像だった。

それはおぞましいほど、ヤバそうな杖を持つアンデットの姿だ。

魔導国の王はアンデットだとは聞いていたが・・・

ミノタウルスがスケルトンが何故?と口に出した瞬間、街の衛兵とおぼしき人間の兵士が震えながら近付いて来た。

 

きさま!今何と!? くっっ!

もう1人の衛兵がその先を止めに入ったが、こちらからも同じような殺気がくつくつと煮え繰り上がってるのが見て取れた。

ミノタウルスは最初の1人を見て笑った。

人間のくせに俺を見ても怖がらないのか?魔導国に命を乞えば亜人も、どんな種族も繁栄が約束されると聞いて、最後の頼みとばかりに頼ったのが間違えだったか。人間が門番という時点でなめくさってやがる。

 

さぁ、来なさい。

ふと1人の衛兵が何かを呼んだ気がした。

馬鹿な!あれは!

ミノタウルスが叫んだ。

それはまごうことなき異形であった。その体格は大きすぎそのシルエットは邪悪過ぎた。

そんな者たちが計2体。

敵意は皆無。

警戒し戦闘態勢をとるミノタウルスをあざ笑うかのようだった。

ミノタウルスは真っ青な顔で膝をつく。真っ青かは第三者には分からないが。

1人の衛兵が先程とは嘘のような気配で現れた。

ようこそ、魔導国都市エ・ランテルに。ミノタウルス殿はこちらにいらしたのは初めてのようですね。

それでは今から講習を行います。と、その前に。

衛兵は近付くなり小声で話し出した。

この偉大なる魔導国の絶対君主、魔導王陛下の事をスケルトンだの間違っても口にしてはいけません。陛下は気にするなとおっしゃいますが、(たしか昔、リザードマンの1人が言葉遣いがなってなく、コキュートス様が言葉遣いに気をつけるよう言おうとした時も陛下は怒らなかったと伝え聞いたが、最後まで話を聞いたらなんと部下思いか。一語一句私は忘れません。そう、「しかし、ゼンベルよ。これだけは忘れるな?お前の言葉遣いを恥じ、コキュートスが私に対して罪悪感を抱いていることを」その後のコキュートス様の椅子事件はと言うと、、それが在るべき姿なのだ。)・・・他の方が聞いたらあなたの命など一瞬です。あなたの命だけで済めばよろしいですが種族ごとこの世になかったものとされます。いいですか?私も含め、陛下はこの魔導国に生きる全ての者の救世主様なのです。慈愛に溢れた陛下のもと我々は日々幸せに暮らせているのです。その陛下の事を侮られては例え相手が誰であろうと許しはしません。

話はそれましたが一番大事な事ですのでお忘れなく。

ミノタウルスは自分が置かれている立場を思い出した。

今までの傲慢さのツケが回って来たかと再度認識させられた。

講習を聞き終えてミノタウルスは有難いという気持ちと魔導国の素晴らしさを認識した。

この講習がなかったら、この国に来たものは皆死んでしまうであろう。

この街を闊歩するアンデット達は伝説以上のまさにお伽話に出てくるようなアンデット達だ。身の危険を感じて間違って武器を抜いたらそれで終わりだ。瞬殺されて終わりだ。

あれほどのアンデットを支配している魔導王とはいったい・・・

話では配下の方々も超常の力の持ち主ばかりらしい。魔導王陛下が守られているこの都市こそが世界で一番安全な場所だと皆が言う。

ふと凄まじく豪華な馬車が、馬が引いてるから馬車だよな?っっ!なんだあの馬のアンデットは!あれはヤバイ。とてつもなくヤバイ。あの一体でこの世の半分は支配出来るであろう最強最悪のアンデットだ!

しかもそれを馬車に?何と言う事だ。何と言うことか!

ミノタウルスは既に立っていられなくなりその場に崩れ落ちた。

馬車からカツン、カツンと近付いてくる音で我にかえり目を開けると、そこに白いかんばせが。

 

(おっ、このミノタウルス始めて見た!デミウルゴスが言っていた珍しいミノタウルスとはこいつだな。なかなかレアだな。コレクター魂がくすぶるぞ。)

 

あなた様が!あのた様が!

 

(うおっ、びっくりした!)

 

まだ耳は遠くなってないんだが・・・

 

(そうだった、俺の冗談はこの世界でもあまり好評ではなかったこと忘れてた)

 

無礼者!

 

良い。

アインズがアゴをしゃくるとデクリメントが威圧的な声で発する。

「ミノタウルス、拝謁を許す」

アインズと2人の時とはまるで違った態度だ。

冷徹で出来る女と言う雰囲気だ。

通常、宮殿などでメイドがそんなことを言えば不快に思う者は多いだろう。そもそも王の横に立つのがメイドだという事実に伏せた拝見者の顔には笑いが浮かんでいるかもしれない。はたまたメイドにそのような役目を担わせる魔導国の人材不足を憐れむかもしれない。しかしながら、この国に入国する者は講習を受けているお陰でNPC達の地位がどんな高レベルのシモベよりも高いと知っている。よってデクリメントの態度に何も思うところはないはずだ。

アインズはデクリメントを通してミノタウルスに立ち上がるように告げる。

(面倒だよな。こんなことせずに普通に話せばいいじゃないか、とは思うんだが、郷に入っては郷に従えとはまさにこのことだな。)

命令に従ってすっとミノタウルスが身を起こした。

正直ミノタウルスの違いは今まで分からなかったがこいつだけは違うと確信出来る。ツノとヒヅメが金色に輝いていた。

アインズはデクリメントに名前を聞くように命じる。

 

「アインズ様が名前を名乗る事をお許しくださいました。」

 

はっ!ありがとうございます!ミノタウルス族長、ミノモンタナと申します!ミノタウルス族の長は口だけの賢者の時代から代々この名を受け継いで居ります。

 

(ふむ。たしか以前デミウルゴスの報告書にそう書いてあったな。多分だが)

アインズは鷹揚に頷き話を進める。

アインズはデクリメントに訪問理由を聞くように命じる。

(この流れ、めんどくさ!)

するとミノモンタナは額を地につけて魔導国にて慈悲を乞いたいと懇願した。

 

顔を上げよ。我が魔導国のもと、そなたらを国民として受け入れよう!

 

 




単発ばかりですがこれからもよろしくお願いします。


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