ブラックワンサマー (のんびり日和)
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プロローグ
プロローグ


今回から2作目です。もちろん誤字脱字ヘンテコ文満載ですがよろしくです。




少年には姉がいる。その姉は何をしても完璧にこなす。周りの人は姉ができるなら弟もできるだろうと期待の目で見てくる。だが少年は姉のように何事も完璧にこなせない。姉が得意な剣道も上手くない。得意なのは天性の射撃技術と家事のみ。

その為周りからいつもいじめを受けた。少年はそんな仕打ちに耐えていた。

ある日姉が忘れた道具を姉が剣道をしている道場に持って行った。

その帰りに道場近くの家の縁側に座る女性に少年は目を惹かれた。その女性は視線に気づいたのか少年を見た。少年は恥ずかしくなってその場から走り去った。女性は走り去っていく少年の背中をジッと見つめていた。

次の日少年は学校の帰り道に縁側にいた女性に待ち伏せされていた。少年は赤くなりながら要件を聞いた。

 

「ぼ、僕に何か用ですか?」

 

女性は腰を曲げて顔を少年の顔に近づけた。

 

「昨日どうして私を見つめてたの?」

 

少年は赤くなりながらその訳を言った。

 

「そ、それは・・・その。・・・・・たから。」

 

「うん?もうちょっと大きく言ってくれない?」

 

「す、すごくきれいな人だなって思ったから。」

 

そう言われた女性はへっ?!と驚きながら自分に指をさして聞いてきた

 

「わ、私が?」

 

少年は首を小さく振った。女性は赤くなりながらその少年に興味を持った。初めてきれいだって言われたから。女性は周りから変人と言われ引かれていたがこの少年はそんなことを気にせず綺麗だと言ってくれた。そして女性は。

 

「そっか~、わたしも君の姿を見たとき可愛いな~って思ったよ。」

 

少年は驚いた後赤くなって俯いてしまった。少年はおずおずとあることを聞いてきた。

 

「えっと、今度お家に遊びに行ってもいい?」

 

「もっちろん。ところで君の名前は?」

 

「一夏、名字はその、ごめんなさい言いたくない。」

 

「別にいいよ~。私はね束って言うんだ~。」

 

そして一夏は勉強道具などを持って束のところに遊びに行くようになった。そして一夏は束の事をいつしかウサギのお姉ちゃんと呼ぶようになった。束はその呼び方に嬉しすぎて一夏が帰った後部屋でピョンピョン飛び跳ねていたそうだ。そして何時しか一夏と会うと心がドキドキすることに気づいたが何かまでは分からなかった。

ある日束は何時もの時間になっても一夏が来なくて心配していた。近くまで来ているのかと思い道場近くまで行くと、道場の中で一夏を見つけた。だがその姿はボロボロで気を失っていた。そして対面には自分の妹が竹刀を持って一夏に罵声を浴びせていた。束はすぐに一夏に駆け寄った。一夏はあちこち痣ができていた。束は父になぜこんなことをしたのか追及したら、あの子の弟ならできると思いとやらせてみたと言われ、束は父を殴り飛ばし直ぐに治療しようと自分の部屋に向かおうとしたら妹が邪魔をしてきたため、妹を蹴り飛ばし直ぐに部屋に向かい一夏を治療した。一夏は直ぐに目を覚ました。束はごめんねと謝り続けた。一夏は束に抱き着いて

 

「ウサギのお姉ちゃんが悪いわけじゃないから謝らないで。」

 

と言われ束は泣きながらごめんねと繰り返していた。

そしてその時に束はこの子が好きになったんだと気づいた。

その後一夏の傷はすぐに治りいつも通り遊びに来た。束は家の入り口付近で待つようにして妹がまたあんなことをしないように見張るようになった。ついでに一夏に学校で妹に苛められていないか聞いたりし、一夏に暴力などを奮ったりしたら仕返しにしてやろうとしていた。

 

そしてしばらくして束は、宇宙への翼としてISを作り上げた。そして学会に発表したが相手にされなかった。最初は落ち込んでいたが一夏が慰めてくれたためひどく落ち込むことはなかった。ある日、とある企業の人工知能が暴走し日本にミサイルが発射された。束はどうしようと思っていた時、偶々遊びに来ていた千冬がISで出撃しミサイルを落とし、その後スクランブルしてきた戦闘機を落として戻ってきたときになんで戦闘機を落としたのか問い詰めたら、

 

「向こうから撃ってきたんだ。だったら反撃するのが当たり前だ!」

 

と言われ二度と私の前に姿を見せるなと怒鳴り出ていかせた。そして世界各国からISについて説明を求められた束はコアを世界中に配って姿を消したように見せた。

実際は廃墟に見せた隠れ家で一夏と会っていたのだ。もちろん毎日とはいかなかったが、それでも大好きな一夏と会えるならそれでもよかった。

 

ある日、一夏に中国から来た友達を連れてきてもいい?と聞かれどんな人なのか、そして連れてくる理由を聞いたらその子は片言の日本語のせいで苛められていたのを助けてあげたらしく、もしかしたら片言の日本語のせいで苛められているのではと思い、ウサギのお姉ちゃんなら何とかできるんじゃと思ったらしい。

 

束はそれだったらいいよと伝え後日、一夏はその友達を連れて束の隠れ家に連れてきた。

 

「この子がそうだよ。」

 

「あ、あたし鳳 鈴音。は、はじめまして。まだ日本語上手くない、です。」

 

「初めまして~、私は束って言うんだ~。因みにいっくんからはウサギのお姉ちゃんって呼ばれてるよ~。」

 

そうして互いの自己紹介が終わった後に鈴の日本語をスラスラと喋れるようになる訓練を始めた。そして見る見るうちにスラスラと喋れるようになっていった。ある日いつもの感じで鈴と一夏が遊びに来た時、一夏がトイレに行っているときに鈴はあることを束に聞いた。

 

「束お姉ちゃん、一つ聞いてもいい?」

 

「うん?何かな~、束さんで答えられることならなんだっていいよ~。」

 

そう言われた鈴は躊躇いつつも聞いてきた。

 

「その、束お姉ちゃんは一夏のこと好き?」

 

そう言われた束は顔を赤くしながら答えた

 

「うん、好きだよ。弟だからじゃなく、一人の男の子として愛しているよ。」

 

そう言われた鈴は少し落ち込みながら

 

「そうですか。「けど。」え?」

 

「鈴ちゃんもいっくんのことが好きならさ~二人でいっくんのこと愛しちゃおっか?」

 

そう言われた鈴は赤くなりながら本気ですかと聞いた。

 

「もちろん!」

 

束にそう言われた鈴は赤くなりながら2人で一夏を支えていきましょうと言い、束もそれに了承した。

そして喋っていると一夏がトイレから戻ってきた。

 

「何喋ってたの?」

 

そう聞いてきた一夏に二人は

 

「「何でもない(よ~)。」」

 

一夏は首を傾げながら勉強を教えてもらった。

 

一夏が5年生になったときに姉の千冬にドイツでISの大会があるから行くぞと言われ、行きたくないと伝えたのだが無理矢理連れていかれた。そしてドイツに着いた後、大会会場の特等席に連れていかれた。一夏は大会を見ていても虚しい思いしかなかった。その訳が大好きなウサギのお姉ちゃんが宇宙に行くために作ったISがこんなことに使われていることにだ。

 

そして一夏は大会会場から抜け出そうとしたときに背後から襲われて気を失った。




はい、本日はここまで。
なんだか時系列おかしくないかと思いの方。その通りです。けど気にしないでください。



それではまた次回。

誤字等あったら報告お願いします。


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2話

一夏は目を覚まし周りを見るとごみが散乱していたり壁には落書きがあった。

 

「目が覚めたようだな。」

 

そう声を掛けられ、その方向を見ると覆面をした男が立っていた。手には水の入ったペットボトルを持っていた。

 

「ほれ口を開けろ。」

 

そう言われ一夏はビクビクしながら口を開けた。男は一夏の口にペットボトルの口を咥えさせゆっくりと飲ませた。

 

「悪いな坊主。俺たちの目的が達成出来たら解放してやるからな。しばらく我慢してくれや。」

 

一夏は小さく頷くと男はそのまま奥に行った。一夏は兎に角解放してくれることを信じてジッとした。

 

 

数時間後男達が入ってきた。

 

「で、どうする、このガキ。」

 

一夏は男の最初の言葉でこの人たちの目的は達成できなかったんだと分かり、自分は解放されないと思った。

 

「殺すしかないだろ。」

 

そう言って一人の男が銃のスライドを引き初弾を込めた。

 

「待て、殺すとあとが厄介だ。」

 

そう言ったのは一夏に水を飲ませた覆面の男だった。

 

「だったらどうするんだ。」

 

そう言われた男は暫く考えた後、こう切り出した。

 

「確か港から今日貨物船が出るはずだ。その中の荷物の一つに紛れ込ませればいいんじゃないのか。こいつが見つかるころには俺たちは高跳び済みだ。」

 

そう言うと他の男たちもそれでいこうと準備をしに出ていった。

 

「坊主わりぃな、目的が達成できなかったから解放は出来なくなっちまったんだ。それでこのままだとお前が殺されちまうと思ってな。だからあぁ言ったんだ。」

 

そう言って男は一夏のポケットに十数枚ほどの札と数本のエナジーバーをポケットに入れて担ぎ上げた。

 

「そのエナジーバーがあれば空腹を少しは紛らわせるだろう。それと金は大事に使え。それで生き延びてどこかの国の大使館に行けば保護してもらえるはずだからな。」

 

そう言われた一夏は小さな声で

 

「ありがとう。」

 

そう言われた男は少しだけ笑みを浮かべてこの子供が無事に生きて帰られることを祈りながら仲間たちのもとに向かった。

そして一夏を箱に詰め、貨物船に向かって車を走らせた。数分後港に着き、目的の貨物船の中にこっそりと箱を積ませて犯人グループは何処かに去って行った。

 

一夏は箱に詰められてしばらくジッとしていた。するとどの位経ったのか分からなかったが誰かがこの箱を運んでいることが分かった。暫くすると箱は何処かに置かれ、揺れが生じた。つまり今自分は船から別の何かに移されたと一夏は思いもうしばらくジッとしていた。すると急に箱の蓋を開ける音が鳴り一夏は開けられたら終わりだと思い開けられませんようにと祈っていたが上の蓋が開く音が鳴りそして箱の蓋が取られた。

箱を覗いてきた人はサラリーマン姿の男と2丁の銃をぶら下げた女だった。女の方は何だかうんざりしたような顔の様子だった。

 

「おい~なんでガキが入ってんだよ。前にも同じような光景見たことあるぞ。」

 

「けど、以前のはガルシア君がカルテルの抗争に巻き込まれて誘拐されただけでこれはそんなのとは違う気がするぞ。」

 

一夏は束に英語などを教えてもらったから、この二人が会話している内容がある程度理解できた。

 

「あ、あの。」

 

「うん?君もしかして英語が話せるの?」

 

一夏は男の質問に首を縦に振って少しだけと答えた。

 

「あの、この船はどこに向かってるんですか?」

 

「この船は今“ロアナプラ”に向かってるぜ。」

 

一夏の問いに答えたのは女の方だった。一夏はロアナプラ?と首を傾げていた。そんな街があるのかと疑問に思ったからだ。

 

「ロアナプラを知らないのか?まぁガキが知ってるわけないか。とにかくそこから出たらどうだ?」

 

一夏はそう言われ箱の中から出て二人と一緒に貨物室から出た。そして船員室の様なところで待たされた。女の方は出ていき男の方は一夏の傍にいた。

 

「所でどうして僕があの箱の中に入っていたってわかったんですか?」

 

一夏はふと気になったことを聞いてみたら男は

 

「いや、実は受け取る荷物の数が明らかに一つ多かったんだ。だから何かの手違いかなと思って確認してたんだ。」

 

一夏はそう言われそうですかと答えた。次に質問してきたのは男の方だった。

 

「そう言えば君の名前は?俺はロックって言うんだ。」

 

「一夏。名字は織斑です。」

 

そう言うと一夏は少し暗くなった。ロックはなぜ暗くなったのかすぐに分かった。

 

「織斑って確か今年のISの優勝者の?」

 

一夏は首を縦に振った。ロックはそうかとつぶやいて黙ってしまった。すると

 

「もう、あの人は僕の姉なんかじゃないんですけどね。」

 

そう言ったのは一夏だった。ロックはえっ?と少し驚いた顔で見てきた。

 

「姉のせいでいっぱい苛められたし友達もあんまりできなかったんです。だから姉のことは嫌いなんです。」

 

ロックはこの子供はずっと孤独の道を歩んでいたんだなと思った。するとさっきの女が戻ってきた。

 

「ロック、その子供と一緒に操舵室に来い。ダッチが呼んでる。」

 

「分かった。」

 

そう言ってロックは一夏に手を差し出し、一夏はおずおずとその手を握りしめ立ち上がった。そして操舵室に向かうと一人の黒人が操縦をしていた。

 

「うん?来たか。ようこそラグーン号へ。船長のダッチだ。」

 

ダッチは操縦しながら挨拶をしてきたため一夏も挨拶をした。反応はさっきのロックと同じ反応だった。そしてダッチは質問を投げてきた。

 

「さて一夏、お前さんは日本に帰りたいか?もし帰るんだったら日本の大使館があるところまで送っていってやる。ただしもちろんタダじゃない。」

 

そう言われた一夏はどうしようか迷った。帰ってもまた苛められるだけで帰りたくなかったのだ。

 

「僕、日本には帰りたくないです。」

 

そう帰ってきた時、操舵室は驚きでいっぱいになった。

 

「どうしてだ?日本には家族がいるんだろ?」

 

そうダッチに言われるとロックがそれを答えた。

 

「いや、一夏君の家族は姉只一人みたいなんだ。」

 

そう言うとダッチはなるほどな。と答えしばらく考え込んだ。

そうこうしているうちに港が見えてきた。

 

「仕方がない。いったん事務所でどうするか考えるか。」

 

「だな。と、そう言えばまだ私の紹介してなかったな。レヴィだ。」

 

そう言われ一夏はよろしくと答えた。そしてジッとレヴィが下げている銃をみた。

「うん?こいつがどうかしたのか?」

 

そう言ってレヴィは銃を見せてきた。

 

「えっと、それってベレッタのM92F?」

 

そう一夏が言うとレヴィは驚いた顔で知ってるのか?と聞いてきた。一夏は首を少しだけ縦に振った。レヴィは少しだけこの子供が気に入った。小さいくせに銃のことが詳しい奴は早々にいないからだ。

 

そして港に着き、船から降りるともう1人知らない人がいた。

 

「お、君が一夏かい?僕はベニーだ、よろしく。」

 

そう言って握手を求められたから一夏も握手で返した。そして4人と一緒に事務所に行った。事務所に入るとビール缶が置いてあったり書類が散らばっていたりしていた。

 

「ようこそラグーン商会の事務所へ。」

 

そう言ってダッチはドカッと椅子に座った。

 

「さてこれからあいつをどうするか相談といこうか。」

 

ダッチがそう言って話し合いを始めようとしたが

 

「その前になんか腹ごしらえしねぇか?腹減った。」

 

レヴィがそう言いだすとベニーやロックから腹の虫が鳴る音が響いた。

 

「確かにそうだな。よしそれじゃ食いに「あの。」うん?何だ一夏?」

 

一夏はおずおずと手を上げていた

 

「あの、冷蔵庫に何か食材があるんだったら僕料理できるよ。」

 

そう言うとダッチは少し考え始めた。レヴィは早く食いに行こうぜと急かしたが

 

「よし、それじゃあ何か作ってみてくれ。ただし失敗したらそのポケットにある札をいくらか貰うからな。」

 

一夏は分かったと答え、事務所にあるキッチンの場所へロックに連れて行ってもらった。

 

しばらくして一夏とロックが大皿を持ってソファーのところに持ってきた。皿に盛られていたのは一つが唐揚げの様なものでもう一つがチャーハンだった。

 

「なんかすげぇいい香りがするな。」

 

「確かに。だが問題は味だ。」

 

そう言って4人はそれぞれ料理を口に運んだ。すると4人に電撃が走った。

 

(何だこの料理は?!そんじょそこらの店じゃなかなか味わえないぞ!)

 

(旨すぎる。キッチンにあるわずかの量でこれだけの物ができるなんて!)

 

(何だよこの料理旨すぎるだろ!)

 

(この子供一体どんな勉強をしてきたんだ?)

 

一夏はみんなが黙ってしまったためもしかして口に合わなかったんじゃと思い半泣きになりかけた。それに気づいたレヴィは慌ててフォローをして事なきを得たそうだ。

そして腹ごしらえを終えた4人は一夏の今後について相談を始めた。

 

「さてどうしたものか。」

 

ダッチはそう考えているとレヴィがいきなり

 

「なぁ、いっそのことうちの料理係として雇ってみねぇか?」

 

そう言うと周りはうぅーんと悩み始めた。

レヴィは悩み始めた3人に怪訝そうになって

 

「何で悩むんだよ?」

 

「いや、だってまだ子供なんだぞ。子供をここに居させるのは流石に・・・。」

 

そうロックが言うが内心自分も一夏をこのまま日本に帰せばまたつらい思いしかしないと考えていたのだ。

 

「僕は別にいててもいいと思うけど。おいしい料理が食べられるし。」

 

そうベニーが言うとレヴィもそうだろ!と賛同していた。そしてダッチは

 

「よし、それじゃあ一夏はラグーン商会(うち)の専属コックとして雇い入れる。それでいいか?」

 

そう言うとレヴィはよっしゃーと喜んでいた。ロックはこれでいいのかと考えていたが一夏の今後の幸せのためならこれでもいいかと考えた。ベニーもレヴィほど喜んでいないがそれでも一夏が入ることに反対はしなかった。

 

すると洗い物から戻ってきた一夏が何を話し合っていたのか聞いた。

 

「えっと、なにを話し合っていたんですか?」

 

すると一夏に気づいたレヴィが一夏を抱き寄せた。

 

「よく聞け一夏、今日からお前はラグーン商会の一員だ!」

 

そう言われ一夏は混乱しながらなぜ抱き絞められているのか分からなかった。

一夏を見かねたダッチがレヴィに放すように言って改めて一夏をラグーン商会の一員として向かえ入れようと思っていると言うと一夏は

 

「え?本当にここに居ていいんですか?本当に?」

 

一夏は半泣きながらそう聞くとダッチはそうだ。と肯定すると一夏は大泣きしながらこれからよろしくお願いします。と言った。4人は快く一夏を迎え入れた。




無事にラグーン商会に入れてもらえた一夏、そして数年が経ち一夏はいろんな人とパイプを持ちそのままロアナプラで生きていこうとした矢先思わぬ再開を果たす。そして一夏の人生におおきな衝撃をもたらしてきた。

次回再開するウサギ

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3話

一夏がラグーン商会の一員になってから数年が経ち、一夏はロアナプラの重鎮たちと大きなパイプを持つことができた。そしてある日。ラグーン商会に設けられているキッチンでお昼を作っている一夏。その脇にはスプリングフィールド社のM1911A1のOPERATORがショルダーホルスターに入っていた。この銃は一夏が14の誕生日にプレゼントされたのだ。腰には大きめのサバイバルナイフが装着されていた。

そして料理が完成し、皿に盛り付けて机に持って行った。机にはダッチ達が待っていた。

 

「お、今日の昼は回鍋肉(ホイコーロー)に出汁巻きか。」

 

「いい匂いだ。」

 

ロックとベニーはうまそうに首を伸ばしていると一夏はレヴィがいないことに気づいた。

 

「あれ、レヴィ姉は?」

 

そう聞くとダッチが

 

「恐らく部屋で寝てるんだろう。そっとしておくか。」

 

「だったら声だけかけとくよ。」

 

そう言って一夏は扉から顔だけを出して大声で

 

「レヴィ姉ぇ!お昼ご飯無くなっても知らねぇからな~~!」

 

そう叫んで部屋に戻った瞬間廊下からドタドタと走ってくる音が聞こえてきて扉が思いっきり開かれた。

 

「ひ、昼飯は絶対に食うからな。」

 

そう言ってぜぇぜぇと息をしたレヴィは席に着いてメシを食べ始めようとしたところで事務所の扉がノックされた。

 

「おいおい、まさか。」

 

そう言ってダッチは盛大なため息をした。ロックは誰か解ったので扉を開けるとそこにいたのは

 

「よぉ、ラグーンの諸君。お昼戴きに来たぜ。」

 

部屋に入ってきたのは三合会の幹部の一人、張維新(チャン・ウァイサン)だった。

 

「張の旦那、ここは食堂じゃないんだぜ。」

 

「硬い事言うなよダッチ。せっかく久々の一夏の手料理が食べられるんだからな。」

 

そう言って開いている席に着いて昼ご飯を食べ始めようとしたらまた扉がノックされた。

 

「おいおいまたか。」

 

呆れたような言い方をしたダッチは誰が来たのかすぐに分かった。ロックはまた扉を開けに行くとそこにいたのは

 

「はぁ~い一夏、元気にしてたかしら?」

 

入ってきたのはホテル・モスクワの幹部の一人で火傷顔(フライフェイス)の異名を持つバラライカだった。

 

「はぁ~、バラライカもここは食堂じゃないんだが。」

 

「いいじゃない、ようやく大きな仕事を終えたんだからそのご褒美ということで一夏のご飯を食べに来ただけなんだから。」

 

そう言ってバラライカも空いている席に着いた。因みに護衛に来ているボリスは後ろで立っていようとしたが一夏が用意した席に着いていた。

本来この二人は相互利益のため手を結んではいるが敵同士である。だが一夏のこととなると話は別であった。

 

「お、この回鍋肉うまいな。さすが俺の弟分だ。」

 

「この出汁巻きもいい味ね。さすが私の弟分ね。」

 

そうこの二人一夏の料理が気に入っているし、その性格も気に入ったのか二人は一夏の兄貴分、姉貴分になっている。その為か一夏のことを結構可愛がっているのだ。一夏が持っているOPERATORは張がプレゼントし、サバイバルナイフはバラライカがプレゼントしたのだ。さらに一夏に危害を加えようとする人物もしくは組織がロアナプラに存在すると分かると二人は、自分たちの部下たちを向かわせて潰すということもあるそうだ。その為ロアナプラでは絶対に一夏に手を出してはいけないと言うルールができている。一夏も張とバラライカのことを本当の兄と姉の様な存在だから[張兄さん][バラライカ姉さん]と呼んでいる。

お昼を食べていると急に張が話し始めた

 

「そう言えばもうすぐ一夏も高校生くらいの年頃か。」

 

「急にどうしたのさ張兄さん。」

 

一夏は怪訝そうな顔で聞いてくると張は頭をかきながら説明した。

 

「いや、せめて一夏には高校位は出ておいてほしいなと思ってな。」

 

そう言うとバラライカも確かにと思い始めていた。

 

「確かに。しかし高校と言ってもこのロアナプラにそんなものないのだがな。」

 

そう悩んでいるとまた扉をノックする音が響いた。

 

「うん?他に来る奴なんていないはずだが、客か?」

 

「俺が行くよ。」

 

そう言って一夏は席を立ち、扉を開けた。

 

「はい、ラグーン商会に何か御用d「い、いっくん?」・・・え?」

 

そこに立っていたのは機械のうさ耳をして不思議の国のキャラみたいな格好の一夏がよく知っている人物だった。

 

「た、束さん?」

 

一夏がそう呼ぶと束は

 

「うぅうぅぅいっぐーーーん会いたがっだよ~!」

 

そう泣きながら言い、一夏に抱き着いた。一夏はいきなり抱き着かれてそのまま後ろに倒れ込んでしまった。

 

「おいおい、一体何なんだ?」

 

ダッチ達は一体全体分からない状態だった。

 

しばらくして落ち着きを取り戻した束を一夏はソファーに座らせた。ダッチ達もそれぞれソファーや椅子に座っていた。そして張が切り出した。

 

「で、一夏。その女性はいったい誰なんだ?」

 

「あぁ、この人は篠ノ之束さん。俺が誘拐される前からよく一緒に遊んでくれた人なんだ。」

 

そう言うとダッチ達は驚いた。まさか目の前にいる女性がISの産みの親で世紀の天災だとは思わなかったからだ。

 

「それで博士はどうしてここに?」

 

そうバラライカが聞くと束は素直に答えた。

 

一夏が誘拐されたことはすぐに気が付き、急いで一夏が誘拐されたところに行ったがその途中でIS委員会の追手が現れてその撃滅をし、それを終えた後に犯人のアジトに突入したが一夏はそこにいなかった。その後くまなく探したが一夏の痕跡はなかった。その後日本に戻り一夏が誘拐され何処かに消えた事を鈴に伝えた。鈴は糸が切れたような人形のように崩れ落ち束は必死に慰めていたそうだ。その後鈴は隠れ家から出ていきどこに行くかと思って付いていったら一夏の家に向かっていた。そして鈴はカバンからカッターナイフを取り出したのが見え、急いで止めに入ったそうだ。鈴はあいつを殺してやると泣き叫んでいて束はとにかく落ち着かせ様としたそうだ。その後落ち着きを取り戻した鈴は家に帰っていき、その後鈴は中国に帰ったそうだ。帰る前に鈴に必ずいっくんを見つけると約束したそうだ。そして昨日世界中に放った無人偵察ドローンの一つがこのロアナプラにいた一夏の姿を捉えこうして会いに来たそうだ。

 

「これがここに来た訳です。」

 

そう言うと束は一夏が用意したお茶を飲んだ。

 

「束さん、鈴に連絡はとれますか?」

 

そう一夏が言うが束は首を横に振った。

 

「いっくんを見つけた時に連絡しようとしたけど連絡はつかなかったんだ。」

 

一夏はそうですか。と言った。そして束はある物を一夏の前に出した。それは水晶玉の様なものだった。

 

「いっくんこれに触ってみて。」

 

一夏は何かわからずとりあえず触ってみるとその水晶は一夏が触ると急に光り出した。そして

 

【マスター?もしかしてマスターですか?!】

 

そう声が聞こえた瞬間一夏は手を引っ込めた。

 

「た、束さんこれは?」

 

「いっくんには聞こえたんだね、この子の声が。」

 

そう言うと周りが驚いた。

 

「声ってそれは一体何なんだ?」

 

張は一体何が起きたのか気になった。

 

「これはISのコア。そして今まで誰にも起動できずにいたコアであり、私といっくんが最初に作ったコア。」

 

そう言うと周りは驚きで満ちた。

 

「い、一夏とあなたが一緒に作った最初のコアですって?と言うことはそのコアは白騎士と言うISのコアなの?」

 

そうバラライカに聞かれた束は首を横に振った。

 

「白騎士のコアは私が一人で作ったもの。けどこのコアはいっくんが私の隠れ家に遊びに来た時に一緒に作ったものなの。」

 

そう言われた一夏はあることを思い出した。それは一夏が夏休みに束の隠れ家に遊びに行った際、束の部屋の机に置かれた作りかけのコアを一夏が作ってしまったのだ。そして戻ってきた束が一夏が手に持っているものに驚き、どうしたのかと聞いたら、作りかけだったから僕が完成させたと言ったとたん束に思いっきり褒められたことがあったからだ。

 

「もしかしてあの時の?」

 

「そうだよ~!あの時いっくんが作ったコアがこれだよ!」

 

束は笑顔でそれに答えた。

張は一夏にそんなすごいことができるんだなと驚きつつ流石俺の弟分だと喜んでいた。バラライカもそんな感じだった。

 

「となると一夏が再来年行くところが決まったな。」

 

ダッチがそう言うと周りの人は一体どういう事なんだという顔で見た。

 

「一夏がISに乗れると分かったら世界中はどうする?」

 

そうダッチが言うとそれぞれ思いついたことを言った。

 

「モルモット」

「解剖」

「暗殺」

 

張とバラライカは言わなかったが体からは殺意がにじみ出ていた。

 

「つまり一夏がISに乗れるということがばれたら」

 

「世界中の科学者達(馬鹿共)のおもちゃにされるということね。」

 

そう言うとレヴィ達からも殺気が出た。

 

「そうだ。だから博士、あんたは一夏を安全なIS学園に入れようと考えたんだろ?」

 

そう言われた束は笑顔でそれを肯定した。

 

「そうだよ。いっくんがISに乗れることはいずればれる。だったらその前に発表してIS学園に入れてしまえば世界中の要人(無能共)から守れるしね。」

 

束がそう言うと周りはなるほどな。と頷いていた。

 

「けど一夏が行くかどうかそれが問題だ。」

 

ロックはそう言って一夏を見た。一夏は悩んでいた。行けば皆に迷惑を掛けずに済むが行くと面倒ごとに巻き込まれる可能性が高くなると思っているからだ。

 

「一夏。」

 

バラライカに呼ばれ一夏は顔を上げると頭を撫でられた。

 

「貴方の人生は貴方の物。だったらせめて高校生活だけは楽しんでらっしゃい。」

 

「そうだぞ一夏、高校生活なんてなたった1回しかないんだ。だったらせめて高校生活だけは楽しんで来い。」

 

 

張とバラライカにそう言われ一夏は行くことを決意した。

 

そして一夏がIS学園に行くことが決まった。

 

 

 

 




今日はここまで。次回は木曜日に上げる予定です。

説明
スプリングフィールド社M1911A1“OPERATOR”
一夏用に張がカスタマイズを依頼して作成された銃。口径は45口径。使用弾丸は.45ACP弾
カスタム内容
カスタムスライド
カスタムハンマー
サプレッサー用のバレル
カスタムリアサイト
カスタムトリガー
タクティカルフレーム
例:MGS4のオペレーター

最初はM92Fにしようかなと思ったのだがそれだと面白くないと思ってこれにしました。

それとあらすじにも書いた通り千冬を後に許す感じにしようと思っております。しかしまだ予定でもしかしたらそのままアンチのままの可能性もあります。その時はまたタグが変更されます。ご了承ください。

次回予告!
束は隠れ家に戻るより一夏と一緒に住もうと考え、一夏が住んでいる家に居候することにした。そこで自身の想いを告げることを決心した。

次回恥ずかしがり屋のウサギさん


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4話

そして束はあることをダッチにお願いした。

 

「あの実は一つお願があるんだけど・・・。」

 

「何だ?」

 

「私もここで住んでいいかな?もちろん家賃も払うし。」

 

そう言われたダッチ達ラグーン商会メンバーは驚いた。

 

「い、いや構わないが、ほかにもいいところがあると思うんだが。」

 

「だって、いっくんがここに住んでるんだったら私もここに住む!」

 

そう言われたダッチは理由はそれかと呆れていた。だが

 

「あのさ、束さん。俺今ここで住んでないよ?」

 

そう一夏が言うと束はへ?と言う顔で一夏を見た。

 

「俺今、このロアナプラから少し離れたところからここに通ってるんだよ。」

 

そう言うと束は居候させてくださいと言い、一夏は別にいいかと思いそれを了承した。

そして夜になり一夏と束は車(米軍が払い下げたハンヴィー)に乗って一夏が住んでいる家に向かった。ロアナプラからおおよそ30分のところにある白壁の町の一軒家だった。

 

「へぇ~~、ここが今いっくんが住んでる場所かぁ。」

 

「えぇ、仕事で此処に来た際いい物件だなと思ってね。そしたらある仕事が終わった後にバラライカ姉さんがこの家の権利書やらなんやらを持って事務所に来た際は驚いたよ。」

 

一夏は笑いながら中に入った。束もそれに続いた。

 

「どうしてここをプレゼントされたの?」

 

「前にうちに仕事を依頼してきたやつがいてさ、そいつの依頼は荷物を受け取って持ってくるという簡単な仕事だったんだけど、実際は俺たちを潰すための罠だったということが分かってね。何とかその罠を退けて事務所に戻ってきた際にバラライカ姉さんが来て今回のお詫びとしてダッチ達には仕事の依頼、俺にはこの家の権利書とかだったんだ。」

 

なるほどね~と束は頷いていた。そして一夏は束に家の間取りを説明し、夕飯を作って二人一緒に食べ一夏は束に寝る場所を案内をして自分の部屋に入った。

 

一夏side

俺は部屋で電子たばこ(バラライカ姉さんがプレゼントしてくれた物)を吸いながらくつろいでいると部屋をノックする音が響いた。

 

「いっくん入ってもいい?」

 

束さん?

 

「別にいいですよ~。」

 

俺がそう言うと束さんはお邪魔しま~すと言って入ってきた。恰好は女性ものの寝巻きなんてないから俺が買っておいた大きめのジャージを貸している。

 

「あ、いっくん。タバコは未成年は吸っちゃいけないんだぞ~!」

 

「大丈夫ですよ、これ電子たばこだから。それでどうしたんですか?」

 

俺がそう言うと束さんは赤くなってもじもじし始めた。

 

「あ、あのね一緒に寝てもいいかな?」

 

そう言って束さんは後ろに隠し持っていた枕を見せて尋ねてきた。

あ、そう言うことね。

 

「べ、別にいいですけど、狭いですよ。」

 

「だ、大丈夫。束さんはベットからたとえ落ちてもへっちゃらだから。」

 

「そ、そうですか。まぁどうぞ。」

 

俺はそう言って束さんを布団に招き入れた。束さんはよそよそと入ってきた。そして電気を消した。

やっぱりベットは狭くなりお互いの肩が当たるほどの距離だった。

 

「にゃははは、やっぱり二人はいると狭いね。」

 

束さんの言う通り流石に2人でこのベットは狭いな。今度こういう時のために2人用のベットを買いに行ってこようかな。

 

「ねぇいっくん。」

 

束さんに呼ばれ俺は束さんの方に顔を向けるとその顔は赤くなっていた。

 

「実はね束さん、いっくんに言わないといけないことがあるんだ。」

 

その目は真剣だった。俺はそんな束さんの目をそらさないようにジッと見つめた。

 

「じ、実は私ね、いっくんのことがね。」

 

束さんはもじもじしながら言った。

 

「好きなの。ううん、大好き。束さんはいっくんのことが大好きなの。」

 

俺は束さんの告白に驚きが隠せなかった。そして

 

「束さんだけじゃない、鈴ちゃんもいっくんのこと好きなんだよ。もちろん好きっていうより大好きの方だと思う。」

 

その告白にも驚いた。だって鈴も俺のことが好きだとは思わなかったからだ。けど確かに鈴とは俺が誘拐される前から一緒によく遊んでいた。弾たちともたまに遊んでいた。けど弾たちと一緒に遊んでいる時間より鈴と束さんと一緒に遊んだほうが多かった。

そして俺は二人と一緒にいるときのほうが楽しいと思っていたし、鈴や束さんに急に抱き着かれたりしたとき心臓の鼓動が速くなったことがあった。だからおれは鈴と束さんのことが

 

「その、束さんの想い気づかなくってごめん。そのさ、俺も束さんのこと大好きだ。もちろん鈴のことも好きだ。けど」

 

俺はそこから先が言えなかった。だって彼女に出来るのはどちらか一人だ。絶対に片方を選べばもう片方を泣かせてしまうからだ。

 

「いっくんが考えていることはわかるよ。片方を選べばもう片方を泣かせてしまうと思っているんでしょ?」

 

俺は首を縦に振って肯定すると束さんは笑顔でそれを否定した。

 

「大丈夫だよ。鈴ちゃんとね、一回話したことがあるんだ。『いっくんを二人で愛し合おう』ってね。」

 

俺はそれにどんな顔をしているのかわからなかった。だが2人の女性にこんなにも愛してもらえるなんて、こんなにもうれしいとは思わなかった。

 

そして束さんは体をこっちに向けてきたため俺も体を向けた。束さんと見つめていたまましばらくすると磁石みたいにお互いの顔が近づいて気づいたらキスをしていた。そして唇を離すとお互いの顔が真っ赤になっているんだろうなと思った。

 

「いっくん。・・・・いいよ。いっくんだったら私の初めてあげる。」

 

俺はそう言われ首を縦に振ってそのままキスをしてベットの中で次の朝日が昇るまで愛し合った。

 

 

イチカside end

 




次回から本編です。
設定は本編を上げ始めてしばらくしたら上げます。

一夏がハンヴィーを運転できた理由
免許?ロアナプラにそんなものは必要なのか?すっ呆け

次回予告♪
入学前日、張やバラライカ、さらに暴力教会から入学祝と言う武器を貰い一夏は日本へ向かった。そして新しい名を名乗ってクラスに入ると多くの女子がいた。そしてその中には一夏を痛み付けた奴と元姉がいた。一夏はこのクラスでやっていけるのか。そして再び鈴と再会することは出来るのか

次回IS学園入学

(主)「誤字等あったら報告お願いします。」


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本編
1話


まだ本編が始まってもいないのに300人以上ものお気に入り登録していただきありがとうございます。
今回から本編が始まりますのでこれからもお願いします。

では本編をどうぞ


一夏と束が再会して数ヶ月が経ち、その間に束が一夏がISに乗れることを世界中に発表した。だがその男性の名前などをすべて秘密にした状態でだ。世界中は騒然となりその男性の詳細を探ろうと必死になったが分からずじまいだった。そして一夏がIS学園入学前日となった。一夏は入学前日までにISの動かし方やその知識を蓄えた。そして今ラグーン事務所の前で送迎の車を待っていた。

 

「それにしても遅いな。」

 

ダッチがそうボヤいていると一台の車が事務所前に止まり運転席からボリスが降りてきた。

 

「遅くなって済まない。」

 

「いえ、今日は無理を言ってすいません。」

 

一夏はそう言って衣類などが入ったキャリーケースを車に積んでいった。すると三合会の車が2台事務所前で止まった。降りてきたのは張とバラライカと暴力教会のシスター、エダとヨランダだった。

 

「あれ、エダ姉にヨランダおばあちゃん?なんでここに。」

 

「今日一夏坊やが学校に通うためここを離れるって聞いてたからね。入学祝いを渡すのと見送りをしようと思ってね。」

 

ヨランダは微笑みながらそう言った。

 

「おばあちゃん。ありがとうね。」

 

そう言ってヨランダを抱きしめた。ヨランダも抱きしめ返し、坊やに神のご加護があらんこと。と呟いた。

そして離れると張とバラライカが一夏に近寄った。

 

「さてヨランダ婆さんが言っていた入学祝いだがこいつだ。」

 

そう言って張は部下に車のトランクを開けさせるとそこには

 

「え!M4CQB-RにP250じゃん。もしかしこれが入学祝?」

 

一夏がそう言うと張とバラライカは首を縦に振って肯定した。

 

「M4は私から、P250は張からよ。」

 

一夏はそう言われありがとう。とお礼を言うとふと気になったことを聞いた。

 

「ところでどうしてP250が2丁もあるの?」

 

そう、トランクにはP250が2丁あるのだ。

それを答えたのは張だった。

 

「そりゃあ、お前がこっそり2丁拳銃の練習をしていることを俺たちが知らないとでも思ってたのか。」

 

張はにっこりとそう答えると一夏はバレてたのかと言った顔になった。

 

「この2丁はバレルなどを換装して9㎜パラベラム弾対応にしてあるから装弾数は多い。逆に今お前が持っているOPERATORは.45弾対応だから装弾数が少ないからな。まぁもちろんOPERATORも換装すれば9㎜を使えるがそれでも装弾数が少ないからな。」

 

「そうだったんだ。ありがとうね張兄さん。」

 

「一応他の換装パーツも一式あるから自分好みでやってくれ。」

 

そして一夏はトランクに入っているM4とP250をISの拡張領域に入れた。

 

「そろそろ出発の時間だ。」

 

ボリスにそう言われた一夏は分かりました。と言って車に乗り込もうとする前に束が近寄ってきた。

 

「いっくん、向こうに付いたらちゃんと電話してね。そうじゃないと束さん心配で心配で仕方なくなっちゃうから!」

 

「あははは・・・、分かってますって。くーちゃん、束さんの言うことをちゃんと聞いていい子にするんだよ。」

 

「はい、お父様!」

 

一夏がくーちゃんと呼んだこの女の子、名前はクロエ・K・天ノ川。天ノ川は一夏の新しい名字だ。ある日一夏と束が夜空を見上げた際に綺麗な天の川が出来ていたため、この名字を思いついたとのこと。

 

「それじゃあ行ってきます。」

 

そう言って一夏は束にキスをして車に乗った。

 

「気をつけてな。」

 

「向こうでもちゃんとメシ食うんだぞ。」

 

「ちゃんとここに帰ってくるんだぞ。」

 

張達に見送りの言葉を送られ一夏が乗った車は出発した。

 

一夏が乗った車が見えなくなるまで見送っていると張があることを束に聞いた。

 

「ところでIS学園には一夏の姉がいるって聞いたんだが本当か?」

 

「うん。何を考えているのか分かんないんだけど教師をしているみたいだよ。」

 

束がそう言うとバラライカや張たちの顔に笑顔が消えた。

 

「一夏の姉は弟が生きていたと分かったら確実によりを戻そうとするだろうな。」

 

バラライカは葉巻に火をつけてそう言った。

 

「なぁ~に、その為にある奴に一夏を陰ながら支えてくれと頼んでおいたから大丈夫だろ。」

 

張がそう言うと周りは?でいっぱいになった。

 

「張、ある奴っていったい誰なんだ?」

 

バラライカがそう聞くと張は笑顔でそれに答えた

 

「あそこで一番権力がある奴だよ。」

 

 

 

一夏はボリスが運転する車に乗ってしばらくし、空港に着いた。そのまま空港で待っていた張の部下たちに荷物を預け張が用意したプライベートジェット機に乗り込んだ。暫くして日本に到着した。空港をからでた一夏は学園が指定したホテルに向かい翌日の準備をしてから眠った。

 

翌日、一夏は制服の下に脇用のショルダーホルスターにP250を両脇に入れホテルを出発した。学園の門まで行くと初老の男性が立っていた。一夏はその男性に近付くと男性も一夏のことに気が付いた。

 

「初めまして、天ノ川一夏君。私がここの学園長をしております、轡木 十蔵(くつわぎ じゅうぞう)と言います。」

 

「初めまして。3年間よろしくお願いします。」

 

そう言って一夏は轡木と共に学園に入った。

 

「君のことは張さんから聞いております。彼の弟分らしいですね。」

 

「なんで張兄さんのことを知ってるんですか?」

 

「彼とはある仕事で知り合ったんですよ。偶に連絡を取り合ったりしているんですよ。昨日彼から連絡があって君のことを任されているんですよ。」

 

一夏はそうですか。と答え、轡木の後に続いた。すると曲がり角から2人の教師が出てきた。1人は緑髪の童顔巨乳でもう1人は黒髪でキリッとした顔つきの人だった。2人は轡木に気づき挨拶をした。

 

「おはようございます。織斑先生、山田先生。」

 

一夏は織斑という単語を聞いた瞬間ピクッと体が動いた。そして轡木を壁にしてその2人を見た。そして黑髪の教師は自分の元姉貴だと分かり、内心苛立ちが募った。

 

「おはようございます。ところで後ろにいる生徒は?」

 

「あぁ彼は今日からこちらの学園に通う男子生徒です。」

 

「え?!今噂の男子操縦者ですか?!」

 

真耶は驚きながら教師として挨拶をしておかないとと思った。

 

「えっと初めまして。1組の副担任をしている山田真耶と言います。何か困ったことがあったらいつでも相談に乗りますからね。なんたって私は教師ですから。」

 

そう言って真耶はえっへんと胸を突き出すとプルンと胸が動き、一夏はすげぇーーー!と心の中で喜んでいた。そしてもう一人の教師が挨拶しようとした。

 

「織斑千冬だ。よろし・・・く・・・。もしかして一夏なのか?」

 

そう言って千冬はまじまじと見てきたが一夏はすぐに

 

「自分は確かに一夏ですが、何か?」

 

「い、いや私の弟に似ていてもしかして?」

 

「人違いですよ。自分は天ノ川一夏です。」

 

そう言って一夏はすぐにこいつから離れないとまずいと思い、すぐに2人と別れ学園長に教室まで案内してもらった。

 

暫くして1年2組と書かれたプレートの掲げられた教室に着いた。

 

「ここでしばらくお待ちください。」

 

轡木はそう言って教室に入った。

 

「あれ?学園長どうかしたんですか?」

 

「いえ、今日からこちらのクラスに入る男子生徒を案内してきました。呼んでも構いませんか?」

 

そう轡木が言うとクラスが騒然となった。噂の男子操縦者がこのクラスに入るんだから騒然とするのは当たり前だった。

 

「では呼びますね。天ノ川君入ってきてください。」

 

「分かりました。」

 

そう言って一夏は教室に入った。

 

「では自己紹介をお願いします。」

 

先生がそうお願いすると一夏は分かりました。と答えた。

 

「天ノ川一夏だ。好きなものは銃で、嫌いなものは女尊男卑の屑と気に食わないとすぐに暴力を振る奴だ。特技は銃の改造と家事だ。いろいろ迷惑をかけると思うがよろしく頼む。」

 

そう言うとシーンとなっていたクラスの女子は急に叫んだ。

 

「「「「きゃーーーーー!!」」」」

 

一夏は耳栓をしていたので無事だったが担任の先生はもろ喰らって耳を塞いでいた。

 

「男よ!しかも凄いイケメンよ~~!」

 

「あぁ~、お母様私を産んでくださってありがとうございま~す!」

 

「制服の上からでも分かるくらいのマッチョじゃん!その腕で私を抱いて~!」

 

「はいはい。みんな静かに!」

 

そう言って担任の先生が手を叩きながら静かにさせた。

 

「ふふふふ、今年はこのクラスは楽しい生徒が集まりましたね。さてシルヴィア先生もご挨拶をお願いします。」

 

そう轡木に言われた教師は自己紹介をした。

 

「私が2組の担任のシルヴィアよ。よろしくね天ノ川君。」

 

一夏はよろしくお願いしますと答え自分の席に着いた。その後シルヴィア先生が次の授業の準備をしておくようにと伝え教室を出ていった。教師が出て行った後にクラスの女子たちは噂の男子生徒にどうやって声を掛けようか相談し始めた。一夏はカバンに入れておいた小説を読みながら授業開始のチャイムを待った。

 

学園長とシルヴィア先生が廊下に出ると丁度1組から出てきた千冬、真耶と共に職員室に向かっていた。すると

 

「山田君、先に行って次の授業の準備をしておいてくれないか?私は学園長と少し話がある。」

 

「あ、わかりました。」

 

そう言って真耶とシルヴィアは職員室に向かった。

 

「して、話とは何ですか織斑先生。」

 

「天ノ川のことです。何故事前に我々のところに連絡が入っていないのですか。」

 

そう千冬が言うと学園長は苦笑いでそれに答えた

 

「仕方がありません。篠ノ之博士が詳細を発表されていないので私も今日初めて彼に会ったのですから仕方がありませんよ。」

 

そう言われた千冬はしかめっ面になっていた。

 

「貴方が言いたいことは分かります。しかし彼はあなたの弟ではありませんからね。それと彼に関することで詮索することは禁止です。いいですね?」

 

轡木にそう言われた千冬は驚愕の顔となった。

 

「先ほど篠ノ之博士からメールが届き内容が『天ノ川君のことを詮索しないように。もし詮索していることが分かったらお前らの学園にあるIS全部止めるからな。』と書いてあったからです。」

 

そう言われ千冬は渋々了承した。そして轡木はそのままどこかに去って行った。千冬はあれは自分の弟だと思っているが調べてもしばれた時のリスクが大きすぎると考えもう少し時間をおいてから調べようと考えた。

 

一夏side

次の授業までまだ時間があったからこっちに来た時に空港の売店で売ってあったこの小説なかなか面白いな。それにしても

 

「あれが例の男子?すごくイケメンじゃん。」

 

「ほんとほんと。あぁあの腕で後ろからだきしめてほしい。」

 

「私は腕枕がいいなぁ~。それで耳元で愛の言葉を囁いてほしいなぁ~。」

 

なんか廊下からも覗いてくる生徒が大勢いるな。もしかして休み時間いっぱいまでいるつもりなのか?すると教室の前の扉が開いた。そこにいたのは黒髪ポニーテールの生徒だった。チッ、何でこいつがここにいるんだ?

 

「久しぶりだな一夏、憶えているか?」

 

「誰お前?」

 

そう返すと驚いた顔になって詰め寄ってきた。

 

「な、なにを言ってるんだ!私だ、幼馴染の篠ノ之箒だ!」

 

「悪いがお前みたいなやつ知らない。と言うかそろそろチャイムが鳴るし帰れば。」

 

「チッ。また後で来る。」

 

「二度と来るな。」

 

そして授業が始まった。はぁ、なんで糞姉貴と糞モップがここに居るんだか。

 

イチカside end




まさかの1組ではなく2組wwwwww
これで1組代表決定戦は無くなりました。理由は早く鈴ちゃんと一夏の感動の再会書きたいと思ったからこうなりました。


次回予告
無事に2組に入った一夏。そんなある日1組から金髪ドリルがケンカを吹っ掛けてきた。もちろん無視したが織斑がいらないことをして、ISバトルで勝負することになった。はたして一夏は勝てるのか?そして一夏のISはどんなやつなのか

次回
金髪ドリル叩き潰す、慈悲はなし

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2話

ある日の放課後、一夏はいつも通りに寮に帰ろうと立ち上がったところ金髪の女性が教室に入ってきた。

 

「貴方が噂の男子操縦者ですか?」

 

一夏はそう声を掛けられ目を向けると金髪の女性がいた。

 

「そうだが、何か用か?」

 

「いえ、どんな人物かと思って見に来たのですがあまりパッとしない人ですわね。」

 

金髪の女性はニタニタと笑いながらそう言ってきた。一夏はこいつ女尊男卑に染まった屑野郎だとすぐに分かった。

 

「あっそ。それじゃあ俺はこれで。」

 

そう言って一夏は帰ろうと立ち上がったら金髪はそれを遮るように前に出てきた。

 

「まぁそうおっしゃらずに。実はあなたにあるお願いがあってきました。」

 

「なんだよ。」

 

「わたくしと勝負しなさい。」

 

金髪女性にそう言われた一夏ははぁ?と言った顔を向けた。周りも騒然としていた。

 

「もう一度言います。わたくしと勝負しなさい。」

 

「断る。なんでお前と勝負しないといけないんだ?」

 

そう一夏が聞くと女性は憤怒の顔で答えた。

 

「理由なんて貴方が男のくせして神聖なISに乗っているからに決まっています!だからここであなたを叩き潰すためです。」

 

そう言ってきたため一夏ははぁー。とため息を吐いた。

 

「何ですかそのため息は!これだから男は嫌なのですわ。」

 

「うるさいな。兎に角俺は帰る。」

 

そう言って一夏は出ていこうとすると

 

「逃げるというのですか!これだから極東のサルは嫌なのですわ。すぐに嫌なことがあると逃げる。本当に愚かですわね。」

 

そう奴が言うとクラスにいた日本人や親日の人はいい顔にならなかった。それに気づかずに女性は続けていた。

 

「わたくし自身こんな極東には来たくありませんでした。こんなことならEUにこの学園を建ててほしかったわ。」

 

一夏はそう喋っている奴を放置して帰ろうとしたところを女性は気づいてすぐにそれを制止させた。

 

「待ちなさい!まだ終わっていないですわよ!いいから言うことを「さっきからうるさいんだよ」なっ!」

 

一夏は我慢の限界が来て懐からP250を取り出して女性の額に突き付けた。

 

「さっきからギャーギャー喚きやがって。そんなに喚きたかったら動物園とかに行け。」

 

そう言いながら一夏はP250を懐に仕舞った。

 

「・・・決闘ですわ。」

 

「はぁ?」

 

「決闘ですわ!あなたみたいな男ここから追い出してやりますわ!」

 

足を震えさせながらそう言ってきてもあまり迫力がわかなかった一夏はそのまま無視して帰ろうとしたところ入口に千冬が立っていた。

 

「待て。」

 

「なんか用ですか?」

 

「奴の決闘を受けろ。」

 

一夏はイライラが限界だったため語尾が悪くなり始めた。

 

「ここはあんたのクラスじゃない。だからあんたの指示に従う必要もない。」

 

そう言って出て行くと廊下にはシルヴィアが立っていた。

 

「天ノ川君、本当に申し訳ないけどあれの決闘受けてくれない?」

 

一夏はめんどくさそうな目で抗議した。シルヴィアは苦笑いで理由を答えた。

 

「あれが極東のことをバカにしたせいでクラスにいた生徒全員があれにムカついているのよ。もちろん日本人だけじゃなくて親日派の人たちもよ。だから」

 

そう言ってシルヴィアは()()笑顔で

 

「潰してきてほしいの、あれを。」

 

そう言われた一夏はそう言う理由ならと引き受けることにした。そしてシルヴィアにあることを聞いた。

 

「途中棄権は?」

 

「向こうは決闘を申し込んできたのよ。そんなものは無いわ。」

 

そう言うことなら。と一夏は不敵な笑みを浮かべながら決闘を受けることにした。決闘は3日後に行われることとなった。

 

~3日後~

一夏はこの3日間に女性のこととISの情報を掻き集めていた。女性の名前はセシリア・オルコットと言いISはブルーティアーズと言うBT兵器搭載型のISらしく、射撃は得意でも近接は不得意らしいこと掴んだ。

 

一夏は自分が乗るISの準備をしていた。するとピットにシルヴィアと学園長が入ってきた。

 

「あれ、学園長にシルヴィア先生。何か用ですか?」

 

「実はさっき織斑先生が君用のISを持ってきたって言ってISを押し付けようとしてきたのよ。」

 

一夏ははぁ?と言った顔で見ていると千冬がピットに入ってきた。

 

「天ノ川、日本の倉持技研にお前用のISを用意させた。これに乗って勝負しろ。」

 

そう言って渡されたガントレットを一夏はそのまま資材置き場にポイと投げ捨てた。

 

「なぁっ!なにをするんだ!」

 

「俺はすでに専用機を持っています。あんなもの要りません。」

 

そう言って一夏は準備ができた自分のISに乗り込んだ。

 

「おい、ま「織斑先生。」が、学園長。」

 

そこには眉間にしわを寄せて明らかに怒っている状態の学園長がいた。

 

「彼にはすでに専用機が渡されていてます。それと貴女は1組の担任でしょうが。さっさとここから立ち去りなさい!」

 

そう怒鳴られた千冬はすごすごと退室していった。

 

「あれが世界最強(ブリュンヒルデ)と思うと嘆かわしいですね。」

 

「まったくです。それでそのISが天ノ川君のですか。」

 

「えぇこれがおれのIS”A-10ThunderboltⅡ”です。」

 

A-10ThunderboltⅡ、一夏が束に頼んで作ってもらった専用機である。武装は実弾兵装が多く、極めつけは両肩に装備されたGAU-8アヴェンジャーと呼ばれる7砲身のガトリング砲だ。

 

「さてそろそろ行ってきます。」

 

「えぇ、あの馬鹿に痛い目を見せてやってきなさい。」

 

そう言われ一夏はアリーナに飛び出した。

 

アリーナに出るとセシリアがすでに立っていた。

 

「ようやく出てきましたか。てっきり逃げたのかと。」

 

一夏は文句を言わずに武装を展開していた。一夏の中でやることはすでに決まっている。目の前で喚いている金髪ドリルを叩き潰す。ただそれだけだと。

 

『それでは試合開始!』

 

アラームが鳴るとセシリアは空中に飛び上がり、ライフルを一夏に向けて攻撃を開始した。

 

「這いつくばりなさい!」

 

一夏はこれまで集めた情報を照らし合わせながら回避していた。

 

(代表候補生だからもっと強いと思っていたが、・・・・()()()。)

 

そう思っていると脳に声が聞こえた。

 

[それでマスター、あいつどうやって潰すの?]

 

[地面に叩き落してフルバーストで潰す。クラスの人だけじゃなく束さんのことも馬鹿にしたからなあいつ。ベアトリクス、射撃補正は任せたからな。]

 

[了解よ、マイマスター。]

 

話しかけてきたのはこのISのコアの人格だった。一夏は名前をどうするかと思っているとふとアニメの雑誌に目がいき、そこにあったキャラクターの名前からとったのだ。

 

数分経ち、未だに一撃も喰らっていない一夏とビームを撃ちまくってしまったためSEがほぼ枯渇してきたセシリア。

 

「な、なぜ当たりませんの!わたくしは今年の代表候補生のエリートですのよ!」

 

そう言いながら攻撃してくるがまったく当たらなかった。

 

(そろそろ終わらせるか。)

 

そう一夏は思い、ブースターを吹かして一気に、接近した。

 

「なっ!イ、インタ「遅い。」ぐっ!」

 

近接攻撃を止めようとセシリアはナイフを取り出して止めようとしたがその前に一夏のケリが当たり、セシリアはアリーナの壁に叩きつけられ、墜ちた。

 

「まだ本気も出していないんだ。もっと楽しませろよ。」

 

そう言って一夏は武装を対物ライフルに持ち替えた。セシリアは攻撃されまいと避けようとしたがその前に一夏の攻撃が当たった。ライフルは攻撃を受け破壊され、一夏はセシリアの両肩や足を撃ちぬいていった。そしてセシリアのSEが無くなりかけたところで

 

「そろそろ飽きたし、終わらせるか。」

 

そう一夏が呟くと同時に対物ライフルを仕舞い、マシンガンを取り出し両肩のガトリング砲をセシリアに照準を向けた。セシリアはこれ以上はまずいと思い

 

「わ、わたくしの『棄権は認められないわよ。』え?!」

 

驚愕だった。本来これ以上の攻撃を受けると危険と判断した教師は強制的に試合を止めさせるし、生徒もこれ以上は無理と判断して棄権した場合はその場で受諾するはずだ。だが管制室にいるシルヴィアから言われたのはそれの拒否だった。

 

「な、なぜですの!こ、これ以上攻撃を受けたらわ、わたくしは!」

 

『あなた、自分があの時何て言ったか覚えてるの?』

 

若干怒声を含ませながら聞かれ、セシリアはあの時のことを必死に思い出そうとした。そして

 

「決闘ですわ!」

 

そう言ったことを思い出した。だが意味が分からなかった。

 

『決闘と言うのはね、互いのプライドを賭けた戦い。つまり死ぬことだって構わない覚悟で戦うことなの。それなのに貴女、そんな覚悟を持たずに決闘を口にしたのよ。』

 

そう言われ、セシリアは自分が口にしたことに後悔した。そしてセシリアはとにかく攻撃されまいと必死に考えたが一夏は容赦なく攻撃を加えた。地面には大量の薬莢が落ちた。

 

管制室では真耶が必死に一夏を止めようとしていた。

 

「あ、天ノ川君それ以上はオルコットさんが死んでしまいます!止めてください!」

 

真耶は一夏を止めようと教員を送ろうとしたが

 

「え!なんで操作を受けつけないんですか?!」

 

そう、管制室にある機械はすでに何者かのハッキングによりマイク以外の操作を受け付けていなかったのだ。その為一夏の攻撃は止まらずセシリアが居たところに大量の土煙が立ち上っていた。

 

「ふむ、そろそろ止めますか。」

 

そう言ってシルヴィアはマイクを持った

 

「天ノ川君、そこまででいいわよ。」

 

そう言うと一夏は攻撃を止めた。そしてセシリアが居たところに舞っていた土煙が晴れるとそこにはボロボロになったセシリアが倒れていた。

 

一夏はそんなセシリアを放置してピットに戻った。

 

「いやはや凄まじいですね彼。」

 

「まったくです。これではクラス代表は任せられませんね。」

 

そう言って学園長とシルヴィアが出ていこうとすると

 

「学園長、天ノ川のISは危険すぎます。取り上げる許可を!」

 

そう切り出したのは千冬だった。だが学園長は

 

「取り上げる?彼が勝てたのはISの性能ではなく彼の実力だと思いますよ。兎に角彼からISを取り上げる許可は出しません。」

 

そう言って二人は出ていった。千冬は苛立ちから壁を思いっきり殴った。

 

(あいつは私の弟だ。絶対にそうだ。なら私の言うことを聞くのが当たり前なのに!)

 

そんな自分勝手な考えを持ち始めた千冬を監視カメラ越しで見ていた人がいた。

 

束side

あいついっくんのこと調べようとするな。ふん、そんなことさせないもんね。お前なんかにいっくんを渡さない。お前がいらないからと捨てたのなら私が貰う。たとえ返せと言われてももう返さないもんね。いっくんは私と鈴ちゃんの旦那様だもの。

 

「束お母様、これを見てください。」

 

「うん?何々。・・・・おぉーー!クーちゃん喜んで!もうすぐもう一人のお母さんがあそこに来るよ!」

 

「本当ですか!あぁ、早くお会いしたいです!」

 

「そうだね、早く会いたいよ、鈴ちゃん(もう1人のお母さん)

 

束side end

一夏がピットに戻り廊下に出るとシルヴィアと学園長がいた。

 

「お疲れ様、天ノ川君。」

 

「凄い戦いでしたよ。」

 

「いえ、それほどでも。」

 

一夏は照れながら頭を掻いていた。すると向こうから箒が歩いてきた。

 

「一夏、なんだあの戦い方は!篠ノ之流はどうしたんだ!」

 

そう言われた一夏はまたこいつかとため息を吐いて寮に向かって帰っていった。

 

「ま、待て!」

 

そう言って箒は肩を掴もうとしたが一夏に腕を掴まれそのまま背負い投げをされ背中から落ちた。

 

「グぅ!な、なにを・・・っ?!」

 

箒の目の前には銃を構えている一夏が見えていた。

 

「二度と俺に近付くな。」

 

そう言って一夏は銃を仕舞い寮に帰っていった。

 

そのころ門の前にツインテールの女の子がやってきた。腰には紐付きのグルカナイフが二つあった。

 

「ここに、あの女が。」

 

そう言うと女の子はグルカナイフの柄をギュッと握りしめた。

 

「仇は取るからね一夏。」




次回予告 
セシリアを倒した一夏。クラスに入るとみんなから感謝をたくさんされているとセシリアがやってきて謝罪をしてきた。だが一夏はそれを無視して追い返した。そして先生が入ってくると転入生のことを伝え、中にいれさせた。入ってきたのは一夏の大切な人で幼馴染だった。

次回
想い人との再会~会いたかったよ、一夏!~


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3話

一夏とセシリアとの対決の次の日、一夏はクラスの全員に冷ややかな目で見られるだろうなと思いながら、教室に入ると

 

「あ!天ノ川君おはよう!」

 

「おはようございます天ノ川君。」

 

「おはよう天ノ川君。」

 

とみんな笑顔で挨拶をしてきた。その為一夏はちょっと困惑しながら理由を聞いた。

 

「えっと、昨日のあれ怖くなかったのか?」

 

「え?全然怖くなかったよ。」

 

「そうそう、怖くなかった。と言うより物凄く恰好よかった。」

 

「うんうん。弾丸がまるで雨みたいで凄かったよね。」

 

と、クラスのほとんどの人が怖がるよりむしろ恰好いいという声が多かった。すると教室の扉が開きそこには

 

「し、失礼します。」

 

セシリアが入ってきた。するとクラスの空気は一気に変わった。

 

「あ、あの天ノ川さん。お、お伝えしたいことがございます。」

 

そう言いうセシリアはあの戦いのせいで一夏のことが怖くなっていた。

 

「何だよ。」

 

一夏はセシリアの状態から女尊男卑ではなくなったと分かるが、それでも日本人をバカにしたことはまだ許していなかった。

 

「あの、先日の事で貴方に謝罪をしにきました。」

 

一夏は先日のことを思い出し、自分に喧嘩を売ってきたことかと思い出した。だが

 

「あの事なら気にしてない。それより俺よりも先に謝る奴らがいると思うんだが。」

 

そう一夏が言うとセシリアは頭に?を浮かべていた。

 

「えっと、先に謝る人ですか?」

 

その返答がきた瞬間に一夏は殺気を飛ばした。

 

「まさかお前、自分が言った言葉をすぐに忘れる癖でもあるのか?」

 

「ひっ?!そ、そんなわけありません!」

 

「だったら分かるはずだ。俺より先に謝る奴らが。」

 

そう言われたセシリアは必死に分かろうとしたが全然分からずにいた。

 

「分からないなら教えてやるよ。このクラスにいる奴らだよ。」

 

そう言われセシリアは周りの生徒を見たら全員まるで親の仇みたいな目でセシリアを見ていた。それをみたセシリアは恐怖で後ずさった。

 

「あ、あの、その」

 

すると一人の生徒が口を開いた。

 

「別に私ら謝罪とかいらない。」

 

「うん、別にいらないからさ。」

 

そう言われたセシリアは安堵しようとしたが

 

「さっさとこのクラスから出ていってくれない?」

 

え?と言った顔でセシリアが見上げると全員軽蔑するような目でセシリアを見ていた。

 

「あんたがここにいるとすごくムカついてくるの。」

 

「あれだけ暴言を言って、それで謝罪だけで済むわけないじゃん。」

 

「それに先に私たちじゃなくて天ノ川君に謝罪するって順番おかしいじゃない。」

 

そう言われセシリアはガクガクと震え始めた。するとチャイムが鳴りシルヴィアが入ってきた。

 

「はーい、全員席に着きなさい!ん?オルコットさん、貴女は隣の1組でしょ。さっさと戻りなさい。」

 

「で、ですが。・・・・はい。」

 

そう言ってセシリアはとぼとぼと1組に戻っていった。

 

「で、彼女一体何しにここに?」

 

「謝罪に来たみたいです。」

 

そう。とシルヴィアが呟きすぐにそのことを頭の片隅に置いた。

 

「それじゃあSHRを始めるわ。それと実は今日転入生が来るわ。」

 

「「「「え!?」」」」

 

「それじゃあ入って。」

 

そうシルヴィアが言うと教室の前の扉が開いた。一夏はどんな奴かなと見ると驚愕した。入ってきた女子は一夏にとって大切な人でもあり幼馴染の

 

「それじゃあ自己紹介の方をお願い。」

 

「はい。鳳鈴音よ。背は低いけどみんなと同い年だから。あと中国代表候補生よ。よろしく!」

 

「「「「よろしく~!」」」」

 

「それじゃあ鳳さんの席は天ノ川君の隣ね。」

 

そう言われた鈴は一夏の隣の席に向かった。そして鈴は自分のクラスに男性操縦者がいることは知っていたが顔は知らなかったためその顔を見た瞬間

 

「あ、あんたが噂の・・・男性・・。い、一夏なの?」

 

「・・・あぁ俺だよ、鈴。後で屋上で話そう。」

 

そう言われた鈴は感動の再会を我慢してSHRを終えてすぐに一夏と共に屋上に行った。

 

「バカ!!今までどこにいたのよ!ずっと心配してたんだからね!」

 

そう言いながら再会できたことを泣き叫びながら抱き着いた。一夏もそんな鈴を小動物のように優しく背中を撫でていた。

 

「本当にごめん。連絡したかったがお前とは連絡が取れなかったって束さんから聞いてな。」

 

「え?!束お姉ちゃんと会ったの?!いつ?!」

 

「ここに来る数ヵ月前だ。今は俺が住んでいる家にいる。」

 

そう。と鈴が言うと一夏は束が言っていたことを思い出していた。

 

【鈴ちゃんもね、いっくんのことが好きなんだよ。好きっていうより大好きなんだよ。】

 

一夏は束が言ったことを思い出し、気持ちを奮い立たせた。

 

「鈴、大事な話があるんだ。」

 

「な、なに?」

 

鈴は赤くなりながら耳を傾けた。

 

「お、俺は、お前のことが好きだ。」

 

「え?」

 

鈴は一夏の告白に耳を疑った。

 

「い、今の告白って、本当に?」

 

「あぁ、俺はお前が好きだ。」

 

そう言われた鈴は目に涙を浮かべながらまた一夏に抱き着いた。

 

「嬉しい!あの時一夏が誘拐されてもう会えないってわかった瞬間もうどうしたらいいのか分からなかった。けどあんたが生きていたうえにその言葉を貰えて私本当に嬉しい!」

 

そう言われて一夏はギュッと鈴を抱きしめた。すると

 

「束お姉ちゃんと会ったということは」

 

「あぁ、束さんからも告白された。鈴と三人で愛し合おうって。俺も2人を幸せにするからな。」

 

そう言われ鈴は赤くなりながら小さく「バカ。けど大好き」と呟いた。

 

暫くしてもうすぐチャイムが鳴る前に教室に戻ろうとしたところで

 

「あ、因みにもう娘もいるから。」

 

「はぁ?!」

 

一夏は先に行きながら言うと鈴は固まってしまったがすぐに復活して一夏の後を追いかけた。

 

~昼休み~

「ちょっと娘ってどう言う事よ。」

 

鈴はジト目で一夏に追及すると一夏は

 

「いや、血のつながりは無いけどうさぎのお姉ちゃんが保護した女の子なんだよ。」

 

ウサギのお姉ちゃんとは束のことで学校や人が多い所ではそう呼ぼうと決めていた。そして鈴はなるほどね。と納得していた。

 

「因みに鈴も自分の母親って伝えてるから。」

 

「マジで?あたしこの年で子持ちって恥ずかしいやら嬉しいやら。」

 

と赤くなりながら満更でもない顔になっていた。

 

「因みにこの子がそうだ。」

 

そう言って一夏はスマホの画面を見せるとそこには家の前で三人で撮った写真が写っていた。

 

「この銀髪の子?結構可愛いわね。」

 

「あぁ。名前はクロエって言うんだ。そうだ今度4人で買い物でも行くか。」

 

「それは良いわね。そうしましょ。」

 

鈴と一夏が和気藹々と楽しんでいると

 

「おい一夏、そいつは誰なんだ!」

 

箒がやってきた。

 

「はぁー、お前には関係がないだろうが。とっとと失せろ。」

 

「ねぇ一夏、こいつ誰?」

 

「知らん。簡単に言えば俺のストーカーみたい。」

 

そう言われ鈴はふぅ~んと箒に目を移したがどうでもいいかと目線を一夏に戻した。

 

「所でどこに買い物に行くの。」

 

「そうだな、すぐそこのショッピングモールはどうだ?あそこ結構品ぞろえ良かったし。」

 

「そうね、そこにしましょうか。」

 

二人だけで話を再開すると

 

「無視するな!」

 

そう叫びながら箒は木刀を振り下ろしてきた。一夏は素早く懐の銃を取り出そうとしたら

 

「遅い。」

 

そう言って鈴が腰に付けていたグルカナイフで木刀を斬った。柄の部分から上は切り落とされた瞬間箒は驚愕し、固まった。そして

 

「動くな。」

 

冷たい声でそう言われ喉元には鈴のグルカナイフが向けられていた。

 

「さっさとここから消えて。じゃないと今度はその首切り落とすからね。」

 

そう言われた箒は顔を青くさせながら食堂から出ていった。

 

「何よあいつ。いきなり暴力振るってくるとか最低じゃない。」

 

「いつものことだよ。あれがウサギのお姉ちゃんの妹なんだぜ。」

 

「うそ?!あんなのが妹って、すごく苦労したんじゃないのお姉ちゃん。」

 

「あぁ、本人はあの人は関係ないって言いながらその権力を振りかざしてるからな。」

 

「最低すぎでしょ。お姉ちゃんの気持ちも知らずに。今度暴力を加えてきたら殺してやろうかしら。」

 

「やめとけ、やめとけ。お前の武器が穢れるぞ。」

 

それもそうね。と言い鈴はラーメンを食べた。そして一夏はさっきのナイフのことを聞いた。

 

「所で鈴、お前そのグルカナイフの扱い方ってさ。」

 

「うん?」

 

「シェンホアさんから教えてもらったのか?」

 

そう聞かれた瞬間鈴はラーメンを噴いた。

 

「うわ!いきなり噴くなよ汚いな。」

 

「ちょっと、一夏。あんた師匠のこと知ってるの?!」

 

「あ、あぁ。以前仕事で一緒になったことがあってな。仕事仲間からは「デスダヨ姉ちゃん」って呼ばれてる。」

 

「あの人今どこにいるか知ってる?」

 

「シェンホアさんだったら今ロアナプラにいるぞ。」

 

「ロアナプラ?確か犯罪者の街だっけ?てかあんたまさかあそこに住んでるの?」

 

「いや、ロアナプラから少し離れた街に住んでる。職場はロアナプラだけど。」

 

「まじか。それだったらさ「行きたいんだったら夏休みだからな。」なんだ分かってたの。それじゃあ夏休みに行きましょ。」

 

そう約束し、一夏と鈴はご飯をたいらげて食堂を後にした。

 

~放課後~

一夏は自分の寮に戻って束にテレビ電話をしようとしたところ扉がノックされた。

 

「うん?開いてるからどうぞ~。」

 

「お邪魔しま~す、今日から一緒になるからよろしくね~。」

 

そういって入ってきたのはボストンバックを背負った鈴だった。

 

「うんよろしく。あ、束さんに今からテレビ電話するところだ、一緒に話すか?」

 

「話す話す~。」

 

そしてコールして2秒で画面に束と娘のクロエが写った。

 

『やっほ~鈴ちゃん、おひさ~!』

 

「束お姉ちゃん久しぶり~。元気にしてた?」

 

『もちもちろんろん。それと事前に鈴ちゃんが入学してくることが分かったから学校のネットにハッキングしていっくんと同室にしておいたけどどうよ?』

 

「本当感謝感激雨あられ。」

 

『にゃはははは!喜んでくれて本当に良かったよ。あ、それとこの子が3人の娘の』

 

『初めまして鈴お母様。クロエと言います。』

 

「初めましてクロエ。いろいろお母さん的なことはできないけどよろしくね。」

 

『はい!』

 

そして和気藹々と喋って一夏はあの事を束に提案した。

 

「そうだ、束さん。今度4人で買い物に行こうかと思っているんだけどどうかな?」

 

『買い物?因みにどこに行くの?』

 

「この学園から近いところに大きめのショッピングモールがあるんだ。そこなんかどうかなと思ってね。」

 

『なるほどね~。うんいいよ~。それじゃあクーちゃんと変装して行くよ。いつごろの予定?』

 

「そうだなぁ、大体ゴールデンウィークあたりかな。」

 

『了解~。それじゃあクーちゃん、カレンダーに花丸で「デート」って書いといて。』

 

『わかりました。お父様楽しみにしておきますね。』

 

『束さんもたのしみにしておくよ。それじゃあバイバ~イ。』

 

そう言って束は切った。

 

「楽しみだな、デート。」

 

「そ、そうね。」

 

鈴は赤くなりながらデートに似合いそうな服が有ったか考え始めた。




次回予告
一夏と鈴が再開した後、クラス代表選が開催された。クラス代表は鈴となり、鈴は師匠のシェンホアから教えてもらった技術で優勝目指して挑んだ。

次回激突クラス代表戦~師匠譲りの殺し屋術見せてあげる!~


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4話

束とテレビ電話をしてから数日後、IS学園恒例の学年別代表戦が開催された。一夏達2組の代表は鈴だった。最初は一夏になってもらう予定だったが、セシリアとの決闘で一夏の実力は他のクラスより遙かに上のため勝負にならないとのことで除外されたのだ。そして今鈴と一夏は2組が利用するピットにいた。

 

「へぇ~、これが鈴のISか。」

 

「そうこれが私のISの甲龍よ。」

 

一夏は鈴のISの準備を手伝っていた。ふと一夏はあることを提案した。

 

「そうだ、鈴。もしこの代表選で優勝したら俺が出来る範囲で言うことを一つ聞いてやるよ。」

 

そう言われた鈴は、しばらく考えた後何かを閃いた

 

「それだったら部屋に戻ってから言うわ。」

 

「そうか。そろそろ時間か。鈴。」

 

一夏は鈴を呼んだ。呼ばれた鈴は振り向くと一夏の顔が目の前にあった。

 

「な、なに?」

 

鈴がそう言うと一夏は鈴のおでこをかき上げてキスをした。いわゆるデコチューである。

 

「な、な、な、な!」

 

「優勝できる為のおまじないだよ。それじゃ俺は観客席で応援してるから頑張れよ。」

 

そう言って一夏はピットから出ていった。

 

鈴side

あ、あ、あの馬鹿!何恥ずかしい事平然としてくるのよ////。とりあえずあいつが言ってた通り優勝目指してやってやろうじゃない!優勝してその、私の願い絶対叶えないと。

 

鈴sideout

 

鈴がピットから出るとアリーナにはラファールを纏った3組の代表が既にいた。

 

「あんたが2組の代表?」

 

「そうよ。なんか文句でもあんの?」

 

「別に。ただ例の男性操縦者だったら潰してあげようと思っただけ。」

 

鈴は潰すという単語に眉をピクッと動かしその理由を聞いてみた。

 

「潰す?何で潰す必要があるのよ。」

 

「決まってるじゃない。男のくせして神聖なISに乗るなんてまさに神への冒涜と同じよ。」

 

鈴は相手が女尊男卑の奴だとは最初から分かっていたがここまでひどいとは思っていなかった。

 

「あっそ。まぁわたしはどうでもいいけど。」

 

「なに?あんたまさかあの男に惚れてるとか?マジ受けるんですけど。てかあんな男どこが良いんだか。」

 

その言葉が出た瞬間、鈴は心の中で

 

(この女殺してやろうかしら。)

 

そう思い、グルカナイフを構えた。

 

『では、試合開始!!』

 

アラームが鳴ると同時に3組の代表はアサルトライフルで攻撃してきた。

 

「ほ~らさっさと墜ちなさい!」

 

そう言って攻撃してくるが殺し屋からいろんなことを学んだ鈴にとっては相手の攻撃はまるで教科書に載っているようなもので簡単に避けれた。

 

「はぁ~、そんな攻撃当たる訳ないじゃない。本当の攻撃ってのはこうするの!」

 

そう言って鈴は攻撃を避けながら左手のグルカナイフを投げ、相手のライフルを切り落とした。

 

「なっ?!ま、まぐれよ。そうに決まってる。」

 

そう言ってハンドガンを取り出し再び攻撃しようとしたが、今度はクナイが飛んできてハンドガンが弾き飛ばされた。

 

「本当に遅いわね。」

 

そう言って鈴は近接攻撃を繰り出し相手を地面に叩き落し、鈴は素早く相手の背後に回り込んだ。

 

「ぐうっ?!・・まだまd「終わりよ。」え?」

 

そう言われ背後を見るとグルカナイフを振り下ろそうとしていた鈴が見えた。その目は絶対零度の様で、そして鈴からは殺気が出ていた。

 

「ま、待って!」

 

「何?」

 

「と、取引しない?あたしを勝たしてくれたらフリーパスあげるから。ねぇ、お願い。」

 

そう言ってきた代表に鈴は

 

「馬鹿じゃないの?」

 

そう言ってナイフを振り落とした。もちろんSEは大幅に削れた。けどブザーが鳴っていないため鈴は続けざまにナイフで斬りかかった。

 

「やめ、やめて!お、お願い!もうやめて!」

 

鈴の攻撃は止まることなく続いた。そして

 

『相手側が戦意損失(気絶)のため、勝者2組代表!』

 

「「「「わぁぁぁーーーー!」」」」

 

大きな歓声が巻き起こり鈴はピットへと戻った。

 

~数分後~

4組の代表は出場出来ないようなので1組と2組との決勝戦となった。アリーナにはすでに鈴とセシリアが立っていた。

 

「お初にお目にかかります。イギリス代表のセシリア・オルコットですわ。」

 

「鳳 鈴音。堅苦しい挨拶は良いからさっさと始めましょ。」

 

そして開始のブザーが鳴り、セシリアは空中に飛び上がった。

 

「舞いなさい!」

 

そう言ってセシリアはBT兵器を展開して攻撃を開始した。だがやっぱりBT兵器を動かしているときはその場でジッとしていた。

 

それに鈴は

 

(あいつ、戦う気はあるのかしら?あんなところで停止したままでいるなんて。)

 

そう思いながら鈴はグルカナイフの紐の長さを調節し攻撃を開始した。鈴はグルカナイフを投げ飛ばした。その方向はセシリアがいる場所から若干右の方向だ。そして鈴は紐を引っ張りながら横へと引っ張った。その結果グルカナイフはセシリアにいる方へと向かいそのまま

 

「へ?きゃあ!」

 

グルカナイフは命中しセシリアのライフルを潰した。

 

「まだまだ行くわよ!」

 

そう言って鈴はクナイをBT兵器へ飛ばし撃破した。

 

「そ、そんな。ロックオンアラートなんてなかったのに!」

 

「そんなもの鳴る訳ないじゃない。目測で投げてるんだから。」

 

そう言われセシリアは驚いた。

 

「も、目測ですって!そんな訳ありえm「あり得ているじゃない。現に私があんたのBT兵器全部撃ち落としちゃったじゃない。」・・・・。」

 

そしてセシリアは武装が残りインターセプターしかない。だからセシリアは棄権した。

 

『1組代表棄権のため、優勝は2組です!おめでとうございます!!!』

 

そう言われ鈴は2組がいる方に向かってダブルピースをした。

 

「イェ―――イ!みんな勝ったよーー!」

 

そして鈴はピットへと戻っていった。セシリアもピットへと戻って行こうとした。その時チラッと自分のクラスの観覧席を見ると全員冷ややかな目でこちらを見ていることが分かり、足早にピットに戻って泣いてしまった。

 

代表戦終了後、2組の生徒たちはクラスに戻りシルヴィアから優勝賞品の半年間のデザートフリーパスを貰い大いに喜びが溢れた。

 

「いやー、鈴ちゃんありがとう!」

 

「これでいっぱい甘いものが食べられるわ!」

 

みんな感謝の言葉を言いながら食堂へと向かって行った。もちろん一夏と鈴たちも食堂へと向かい、デザートをおいしく食べて寮へと戻った。

 

一夏side

寮へと戻り部屋に入った俺は鈴にピットで話したお願いを聞くことにした。

 

「所で鈴、ピットで話していたお願い事を一つ叶える件、俺は何をしたらいいんだ?」

 

そう聞くと鈴は赤くなってもじもじし始めた。

 

「そ、その、あの、・・・・私を抱いてほしい////」

 

・・・・へ?抱いてほしい?

 

「えっと、鈴それって・・・・。」

 

「うん。じ、実は一夏がいない時に束お姉ちゃんとテレビ電話した時にね。」

 

~回想~

「ねえ、束お姉ちゃん。」

 

『うん?なにかな鈴ちゃん。』

 

「一夏にその、初めてってあげた?あ、キスじゃないよ。」

 

そう言われた束はあげたよ。と笑顔で答えた。

 

『初めは痛かったけど、後からもっといっくんをもっと感じていたいと思い始めてすごく求めてたな~。』

 

束は赤くなりながらそう答えていた。

 

「そ、そうなんだ。」(やっぱり最初は痛いんだ。)

 

『あ、鈴ちゃん。もしいっくんとやるんだったらちゃんとゴムしてやらないとダメだからね。』

 

「う、うん。わかった。」

 

そう言って鈴は束にいろんなアドバイスを聞いていたそうだ。

 

~回想終了~

な、なるほど。束さんから聞いたのね。そして鈴は

 

「だ、だから一夏。私を抱いてほしいの。」

 

そう言われ俺は決心して分かった。と言って鈴をそっとベットに押し倒すと

 

「あっ。ちょ、ちょっと待って一夏。」

 

そう言って鈴はツインテールを解き、リボンをベット横の机においた。

 

「なんでリボンを解くんだ?」

 

「これは一夏と私の大切な思い出の品だからさ。汚れたら嫌じゃん。」

 

そう言えば、あのリボンは俺が小さい頃にあげたリボンだっけ。まだ持っていてくれるなんて嬉しいな。そう思っていると鈴は手を広げながら

 

「一夏、来て////」

 

そう言われ俺はそのまま鈴に覆いかぶさるよう倒れ鈴とキスをした。

 

「ん。・・・・私初めてなんだからやさしくしなさいよね。」

 

「わかってる。」

 

そう言って俺と鈴は夜が更けるまで愛し合った。

一夏sideend




次回予告
代表選後のゴールデンウィーク。待ちに待った4人で買い物。そして楽しい時間を十分に楽しんだ。そしてゴールデンウィーク終了後、1組に転入生が2人も来たらしく、一人が男?でもう1人が軍人とのこと。この二人のせいで一夏はめんどくさいことに巻き込まれるのであった。
次回デートはワクワク、転入生にはイライラ。~もう一度保育園からやり直してこれば。~



感想でブラックラグーンだと時系列的にどのあたりと言うのが多かったので書いておきます。


・ガルシア誘拐事件

小5・一夏ラグーン商会入社

この間に張やバラライカ達と会い、弟分となった。

小6・シェンホアと仕事

小6・吸血鬼事件

中一・偽札

中一・日本ヤクザとの抗争

一夏は小6まで原作には参加していない。中一以降は少しだけ手を貸すくらいのことで大きく原作には関わっていないとしています。因みにシェンホアとの出会いは小6ですが一緒に仕事したのは中二の頃としています。


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5話

クラス代表戦から数日後、一夏と鈴は今学園近くのショッピングモール『レゾナンス』に来ている。理由は以前束たちと一緒に買い物へ行こうと約束したからである。

 

「待ち合わせ場所はここでいいんだよな、鈴。」

 

「うん。間違いないわよ。あ、あれじゃない?」

 

そう鈴に言われ一夏は指された方をみるといつもの機械のうさ耳が無く、長い髪の毛を後ろで束ねており、普段のアリスの服ではなく大人のお姉さんみたいな服を着て眼鏡をかけた束といつもの白い服と青色のスカートをはいたクロエが手を繋ぎながらこちらに歩いてきた。

 

「お待たせ~。いや~、クーちゃんにどんな服がいいか一緒に考えていたら遅くなっちゃた。ごめんね~。」

 

「まったくです。お母様、今度からは自分で見繕ってくださいね。そうじゃないとお父様との買い物できる時間が無くなってしまうので。」

 

軽い感じで謝罪している束にクロエははぁ~とため息を吐きながら次はないと言わんばかりに咎める。一夏と鈴は苦笑いで2人を見ていた。

 

「そ、それじゃあ、2人も来たし行くか?」

 

「そ、そうね。ウサギのお姉ちゃん、クロエそろそろ行きましょ?」

 

「はい鈴お母様。」

 

「は~い。」

 

そして4人はレゾナンスに入っていき、ショッピングモールを見て回ると服屋の近くに行くと

 

「あ、お父様。クロエは新しい服が欲しいです。」

 

「うん?服か。そう言えばクロエはそんなに服を持っていなかったっけ。」

 

「はい。これと同じような服があと3着くらいあるのですが、ほとんどがよれよれになってきましたのでそろそろ新しい服などが欲しいのです。」

 

「そうか。よしそれじゃあまずはクーちゃんの服を買いに行こうか。」

 

「そうね。クロエに似合いそうな服とついでにウサギのお姉ちゃんの服も買いましょ。」

 

「へ?私も?」

 

鈴にクロエのついでに束の分も買おうと言われ、束はその訳が分からずにいる。

 

「さっきクロエから聞いたらお姉ちゃんのタンスの中にはアリス服がほとんど占めていたって聞いたからね。」

 

「うっ!べ、別にいいんじゃないのかな?ウサギさんはアリス服だけで「俺は新しい服を着たウサギのお姉ちゃんを見てみたいな~。」よ~し、見に行こう~!買いに行こう~!」

 

最初は渋っていたが束だが一夏に言われた瞬間にコロッと変わり、クロエと共に服屋に入って行った。鈴と一夏は計画通りと顔を変えながら2人に続いて入店し、2人に似合いそうな服を探し始める。

 

服屋に入った4人はそれぞれ見繕いをして一夏と鈴は束とクロエに似合いそうな服を渡し、束とクロエは試着室に入っていく。

 

「着替えましたか~?」

 

一夏がそう聞くと束とクロエは着替えましたと言って試着室のカーテンを開ける。

 

「どうよ~いっくん、かわいい?」

 

「どうでしょうかお父様?」

 

束の格好はさっき着ていた服とは違い、肩が出たトップスにデニムスカートで、クロエは白と黒でおりなった服を着ている。

 

「うん、二人ともかわいいですよ。」

 

「確かに普段とは違う服装だから新鮮に見えるわね。」

 

「そ、そう?よ~しそれじゃあこれを買おう。」

 

「わたしもこれを買います。」

 

そう言って二人はいくつかの服を入れたかごを持ってレジに向かい、一夏達もその後に続く。買い終えた4人は昼食をとり、その後近くのアクセサリーショップに足を運んだ。

 

「へぇ~、結構きれいなアクセサリーがあるわね。」

 

「そうだな。お、これ可愛くないか?」

 

そう言って一夏が鈴に見せたのはネックレスだった。しかも同じような物が3つ有った。

 

「確かに可愛いじゃない。」

 

そう鈴が言うと一夏はその3つのネックレスを持ってレジへと向かう。

 

「もしかして買うの?」

 

「あぁ、3人同じようなものを持っていた方がなんだか絆みたいなもので繋がっている。そう思えるものが欲しかったからな。」

 

そう言って一夏はレジで会計を済ませて、一つを鈴に渡した。

 

「ありがとうね一夏。」

 

そして一夏と鈴は束たちと合流して束にもネックレスをプレゼントし、クロエには一緒に買ったシュシュをプレゼントした。

 

そして時刻が5時頃を回り始めた頃、一夏と鈴は門限もあって帰ることに。

 

「楽しい時間ってあっという間に過ぎるって言うけど本当だったな。」

 

 

「そうね。ウサギのお姉ちゃん、クロエ楽しかった?」

 

「うん。久しぶりに羽を伸ばせたから良い一日だったよ。」

 

「はい。また家族一緒に買い物に行きたいです。」

 

「そうだな。また4人で買い物に行こうな。買い物だけじゃなくどこかの遊園地とかにも行こうな。」

 

「はいお父様!」

 

クロエの返事に3人は微笑んでいると束が何かを思い出したのか一つのUSBメモリーを一夏に手渡す。

 

「これは?」

 

「ベアちゃんの追加の拡張機能が入ったUSBだよ。」

 

「拡張機能?具体的にどんな機能が入っているんですか?」

 

「それはベアちゃんに聞いてみて。それじゃあそろそろ帰るね。」

 

「お父様、鈴お母様。短い時間でしたが楽しかったです。」

 

「私もよクロエ。次の休みの時も同じようにみんなと何処かに行きましょうね。」

 

「はい!」

 

そして束とクロエは一夏の家へと帰り、鈴と一夏も学園へと戻った。

 

 

 

 

 

 

束たちとのデートから数日が経ち、学園にはあるニュースが飛んできた。

 

「転入生?しかも2人もか?」

 

「そうなのよ、驚きだよね。」

 

一夏は仲良くなったクラスメートたちと話していると転入生が2人来ることに驚く。

 

「しかも片方は男の子って言う噂なんだよ。」

 

「へぇ~。」(男?今になって見つかるっておかしいだろ。)

 

一夏はそう思いながらクラスメイトと喋っているとチャイムが鳴りそれぞれ席に着き始めた。

 

「はぁ~い皆さんおはようございます。たぶんみんな知っていると思うけど隣の1組に転入生が入ってきたらしいわ。しかも片方は男子のようです。」

 

「「「「本当ですか!!」」」」

 

「えぇ本当よ。どんな生徒かは次の合同実習で見なさい。それじゃあSHRはこれにて終了。みんな次の実習には遅れないようにね。」

 

そう言ってシルヴィアはクラスから出て行き、一夏も着替えにクラスを後にした。

 

一夏side

更衣室で着替え終えアリーナに行こうとしたとき、

 

「あ、君が天ノ川君だね。」

 

そう後ろから声を掛けられて振り向くと金髪の男装した奴がいた。こいつが例の転入生か。

 

「あぁそうだがお前は?」

 

「僕はシャルル・デュノアって言うんだ。よろしくね。」

 

そう言って手を出してきたので俺も手を握り返したが

 

(細いな。)

 

こいつ女だろ。男にしちゃ細すぎるし、なにより作り笑いが雑。

 

「じゃあ俺は先に行く。」

 

おれはそう言ってアリーナに出て行った。

 

[ベアトリクス、あいつのこと調べてほしいって束さんにメールしておいてくれ。]

 

[了解よ。]

 

[そう言えばこの前束さんから貰った拡張機能ってまだ使えないのか?]

 

[インストールとその構築にまだ時間がかかるのよ。あと2週間くらいすればお披露目出来るわ。]

 

[楽しみにしておくか。]

 

そう言っているとアリーナに到着した。すでに何人かはアリーナにいてお喋りをしていた。

 

「い~ちかっ。」

 

そう呼ばれながら首に手を回しながら抱き付かれた。こんなことをするのは一人しかいない。

 

「おい、鈴。もうすぐ授業が始まるんだぞ。」

 

「別にいいじゃない。まだ休み時間なんだし。」

 

まぁ確かにそうだが。

 

「おい。」

 

「あぁ?」

 

なんか呼ばれたんだが誰だこいつ?

 

「お前織斑一夏か?」

 

「織斑?俺の名字は天ノ川だチビ。」

 

「チッ!貴様!」

 

そう言って俺に殴りかかろうとしたがその前に俺がその拳を掴んだ。

 

「くっ!離せ!」

 

「分かった離すぞ。」

 

俺はそう言って離すとチビはそのまま後ろに尻もちをついた。

 

「この!「何をしているボーデヴィッヒ!」き、教官。」

 

そう言ってチビは糞姉貴に敬礼をしていた。こいつ糞姉貴の関係者か。

 

「で、何をしていたんだ。」

 

「こ、こいつがいきなりチビと言ってきたので・・・その・・・。」

 

「お前が名前を言わなかったからとりあえず見た目からチビと呼んだんだ。」

 

「はぁ~、問題ごとを起こすな天ノ川。」

 

だったらお前がちゃんと手綱を引いておけよ。

 

「さっさと列に並べ。もうチャイムは鳴っている。」

 

そう言われ俺と鈴は列に並びに行こうとしたら

 

「憶えておけ!この屈辱必ず果たす!」

 

そう言ってチビは自分のクラスの列に加わりに行った。

 

「何だったのあの銀髪?」

 

「さぁな。とりあえずほっとけ。」

 

そう言って俺と鈴は列に並んだ。

 

一夏side end




次回予告
合同実習で鈴とセシリアが山田先生と模擬戦をし、その後専用機持ちごとに訓練が始まった。
一夏は放課後鈴と訓練をしようとアリーナに向かうと金髪男子?ことシャルルと会い、鈴と共に訓練をすることになった。すると銀髪のチビがいきなり乱入。

次回合同実習そして訓練~さっさと引込めWicht(チビ)~


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6話

今回はちょっと短めになってます


1組と2組が列になり前には1組の担任である織斑千冬がいた。

 

「ではこれより1組と2組の合同実習を行う。鳳、オルコット前に出ろ。」

 

呼ばれたセシリアと鈴は前に出てくる。ちなみに鈴の内心は

 

(なんでこいつが教師なんかしてるのかしら?ただの暴力女なのに。)

 

そう心の中で愚痴っていた。

 

「それで一体何をするんですか?もしかして鳳さんと模擬戦をするのですか?」

 

セシリアがそう千冬に聞くと千冬はニヤリと笑い。

 

 

「まぁ待てもうすぐ来る。」

 

そう言うと何処からともなく悲鳴がこだました。

 

「きゃぁーーーーーー!どういてくださ~~~い!?」

 

そう聞こえ全員上を見上げるとラファールを身にまとった真耶が墜ちてきた。それに気づいた1組と2組は全員アリーナの端に慌てて退避し始める。もちろん一夏も。そして真耶はそのままアリーナの地面に激突しクレーターを作った。

 

「・・・・お前たちの相手は山田先生だ。」

 

そう言われたセシリアと鈴は心の中で

 

 

((あれで先生よくなれたわね。(ましたね。))

 

「山田先生早く上がってきてください!」

 

「は、はい!」

 

そう言ってクレーターから真耶は這い上がってきた。

 

「ではお前たちはタッグを組んで山田先生の相手をしろ。」

 

「それだとタッグの方が有利では?」

 

セシリアがそう聞くと千冬は

 

「山田先生は元日本代表候補生だ。なぁにお前たちに負けるような奴じゃないさ。」

 

そう言われセシリアはムッとなるが鈴はふぅ~んと言った顔となる。

 

「では始めろ。」

 

千冬がそう言うと3人は空中に上がる。

 

「ではその間にデュノア、山田先生のラファールについて説明しろ。」

 

そう言われシャルルはラファールの説明を始めた。しばらくすると

 

「そこまででいい。もうすぐ終わるぞ。」

 

千冬がそう言うとセシリアと鈴が降りてきた。セシリアは肩で息をしているのに対して鈴は全く息が乱れていなかった。

 

「さすが元代表候補生だけあるわね。なかなか攻撃が当たらなかった。」

 

鈴がそう言いながら次戦う場合の戦法を考えていると真耶も降りてきた。

 

「凄いですね鳳さん。ロックオンアラームが鳴らないからちゃんと目で監視しておかないと危なかったです。」

 

「それはどうも。」

 

そう言って鈴は列に戻り、セシリアも列へと戻る。

 

「これでわかるように代表候補生二人で相手にしても勝った。これからは尊厳をもって対応するように。」

 

そう言われ生徒たちははい!と答えた。

 

「では今回は専用機持ちごとに分かれてISの歩行練習などをしてもらう。」

 

そう言って専用機持ちはそれぞれ分かれると一夏のところにきた生徒はほとんどが2組の生徒だった。出席順でならぶとこうなったらしい。すると1組のデュノアの列にいた篠ノ之が恨めしそうな目線を送ってきたが一夏はそれを無視して実習を始めた。

 

何の問題もなく実習は終わり一夏は使用したISを片付けて更衣室に戻り着替えて鈴と共に食堂へと向かった。

 

~放課後~

一夏と鈴がアリーナで訓練をしようと向かっていると

 

「あ、天ノ川君。ちょっといいかな?」

 

そう呼ばれ2人は後ろを向くとシャルルがいた。

 

「何か用か?これから鈴と訓練するから急いでいるんだが。」

 

「僕もその訓練に参加してもいいかな?君の実力も見てみたいし。」

 

そう言われ一夏と鈴はどうするか考えた。

 

「まぁ別に俺は良いが。」

 

「私も別にいいわよ。」

 

そう言われシャルルは笑顔になり

 

「ありがとう。それじゃあアリーナに行こ。」

 

そう言ってシャルルは2人と一緒にアリーナへと向かった。

 

~アリーナ~

「参加してごめんなさい。」

 

そう言いながらボロボロになっているシャルルは頭を下げた。その理由は一夏と鈴の訓練の内容だ。一夏と鈴の訓練は主に自分が得意としている事を踏まえたほぼ実戦同様の訓練内容だったからだ。代表候補生たちとは違い、2人は生きるか死ぬかの世界を体験したことがあるため教科書などに書いてある訓練内容などでは満足しないため、自分たちでアレンジしている。

 

「まだ半分もやってないのにもうへばってるのかよ。」

 

「仕方ないわよ。私たち用に組んだ訓練内容なんだからすぐにへばるわよ。」

 

そう言っているとアリーナの入り口付近にいた生徒たちがざわめき出した。

 

「ねぇあれって。」

 

「うん。」

 

「まだ本国だとトライアル中だって聞いてるわよ。」

 

そう聞こえ一夏と鈴は目をそっちに向けると1組のラウラが立っていた。

 

「天ノ川一夏、私と勝負しろ。」

 

「はぁ?」

 

一夏はメンドクサイやつに目を付けられたと思いながら

 

「断る。今はこいつらと訓練中だから他の奴を誘え。」

 

そう言って鈴と続きをしようとすると

 

「なめた口で!」

 

そういってラウラはキャノンを撃ってこようとすると

 

「そこの生徒何をしている!学年と名前を言え!」

 

アリーナを監視していた先生からの怒号が響きラウラはISをときピットに向かい

 

「興が冷めた。」

 

そう言って帰って行った。

 

「何だったんだろうなあいつ。」

 

「もしかして友達いないんじゃないの?いわゆるボッチっていう奴。」

 

「そ、それは言い過ぎじゃ・・・?」

 

一夏の疑問に鈴が推論を言うとシャルルはそれに突っ込んでいた。

 

 




次回予告
訓練が終わり寮へと戻ると束からシャルルの正体について知らされる。一夏と鈴は警戒することにした。そして数日が経ちシャルルは一夏にハニトラ紛いの行為でISの情報を引き出そうとしてきた。だがその行為は自分の人生を終わらせるに等しい行為だとは知らずに。
次回迷惑行為


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7話

アリーナの一件から数日後、一夏と鈴は寮でのんびりしているとTV電話の呼び鈴が鳴る。

 

「もしかして例のことが分かったのか?」

 

そう言いながら一夏はTV電話に出ると画面に束が映った。

 

『やっほ~いっくん、鈴ちゃん久しぶり~。』

 

「こんにちは束お姉ちゃん。電話をかけてきたということは例の転入生のことが分かったの?」

 

『うん。あの金髪オスカル君の戸籍を調べたんだけどそれらしい戸籍が無かったんだ。それで顔で検索したら見事にヒットしたよ。』

 

そう言うと画面の半分にその人物の情報が映し出された。そこには顔写真と名前、性別などが書かれていた。

 

『名前はシャルロット・デュノア。性別は女性でどうやらデュノア社社長の愛人の子供らしいよ。』

 

「愛人の子ね。てか女性なのになんで男の格好で入ってきたのかしら?」

 

「恐らく男で入ってきた方が警戒心なく近づけると思ったんだろう。まぁあれで男の変装してますって言うのは無理があると思うけどな。」

 

「言えてる。あれで男って無茶があるわよ。一度あんたに笑顔向けた時の顔なんてほぼ作り笑いだったから気味が悪いって思っちゃったわよ。」

 

『確かに!ベアちゃん越しに見たけどあれは気味悪いね。』

 

「と、とにかくあいつが女性ということは俺の専用機に関する情報を引き出そうと何かしらの接触があるかもしれないから注意しておくよ。」

 

『うん、そうして。もしハニトラ紛いのことをしてきたらすぐに連絡してね。束さん自らそいつを葬りに行くから。』

 

そう言われた一夏は苦笑い気味に

 

「その時はお願いします。」

 

『それじゃ束さんそろそろ切るね。またね~。』

 

そう言って束は切った。

 

「さてあいつはどう動くのか要注意だな。」

 

「そうね。さてそろそろ寝ましょうか。」

 

そう言われ一夏は自分のベッドに入ると鈴も一緒に入ってきた。

 

「な、なんで俺のベッドに入ってくるんだ?」

 

「偶にはいいじゃない。別にエッチなことをする訳じゃ無いんだから。」

 

そう言うと鈴は目を瞑り寝始める。一夏はため息を吐きながらも一緒に寝ることにした。

 

~数日後~

ある日の放課後、一夏はまっすぐ寮へと帰ろうと廊下を歩いていると前からシャルルことシャルロットが壁にもたれるように立っていた。そして一夏に気が付き駆け足気味に近寄る。

 

「何か用か?」

 

「ちょっと相談したいことがあるんだ。」

 

「相談?俺じゃないとダメなのかよ?」

 

「男の方が相談しやすいからさ。その、ダメかな?」

 

「はぁ~、わかったよ。で、俺の部屋でいいか?」

 

「いや、僕の部屋で。僕相部屋の人いないから。」

 

「わかった。」

 

そう言って一夏とシャルロットは部屋へと向かった。一夏は部屋に向かう中ある2つの推論を考えていた。1つがデュノア社の人形になっているのがつらいから助けてほしいと言ってくる。2つ目がハニトラをしてくる。もし後者だった場合は排除しようと考えていた。そして部屋に到着する。

 

「さぁどうぞ。」

 

そう言われ一夏は中に入るとシャルロットはこっそりと鍵を掛けた。

 

「で、相談事ってなんだよ。」

 

「あのさ、一夏。」

 

そう呼ばれ一夏は振り向くと制服などをはだけさせたシャルロットがいた

 

「実は僕ね、女なんだ。もし君が君のISの情報をくれたら僕のこと好きにしていいよ。」

 

シャルロットがそう言うと一夏は盛大なため息を吐く。シャルロットは一夏のその行動に驚き戸惑う。

 

「な、なんでため息を吐くの?」

 

「あぁあ、自由になるチャンスを潰す方を選んだか。」

 

「え?」

 

一夏の言葉にシャルロットは耳を疑った。

 

(自由になるチャンスを潰した?僕が?)

 

シャルロットは訳が分からずにいると背後の扉が開く音が聞こえ振りむこうとしたがその前に首に強烈な打撃を喰らいそのまま気絶した。

 

シャルロットが目を覚ますと目の前には鈴と一夏がいた。そして自分は後ろに腕を回され結束バンドで拘束されていた。

 

「な、なにこれ?」

 

「そりゃお前がスパイだから拘束したに決まっているだろ。」

 

一夏にそう言われシャルロットはなぜバレたのか分からなかった。だがその疑問をすぐに頭の隅に追いやり拘束を解こうとISを展開しようとしたが出来なかった。

 

「拘束を解こうなんて無理よ。だってあんたのISはここにあるから。」

 

鈴にそう言われその手を見るとラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの待機形態の十字マークのついたネックレストップがあった。

 

「か、返して!」

 

「なんで返さないといけないの?返せば暴れられると面倒じゃない。」

 

そう言って鈴はネックレスを机の上に置き腕を組んだ。

 

「さて、お前の狙いは俺のISの情報だろ?」

 

一夏にそう聞かれシャルロットは首を縦に振る。

 

「そうか。さて本来学園の規則事項にはスパイ行為をした生徒は拘束されると書かれている。だからお前も拘束される。」

 

そう言われシャルロットはその時に出来るだけ罪を軽くしようと考えていると

 

「だがそれは正規に入ってきた生徒に対してだ。お前は名前と性別を偽って入ってきているから正規入学とは違う。つまり規則事項には当てはまらない。」

 

そう言われシャルロットは冷汗が止まらなかった。性別や名前を偽って入った自分は不正入学になる。もし捕まれば強制送還され二度と社会に出ることができなくなる。

 

「お、お願い。このこと黙ってほしい・・・です。」

 

そうシャルロットに言われた二人は

 

「いや無理だし。」

 

「そうそう無理無理。」

 

「ど、どうしてさ!同じ学園の生徒なんだよ?」

 

「はい?不正入学したやつを同じ生徒だと俺は思わないんだが。」

 

「私も。」

 

そう言われたシャルロットはもう八方塞がりだった。

 

「さてと、そろそろ片づけるか。」

 

そう言って一夏は懐に仕舞っているP250を取り出しスライドを引き初弾を込めシャルロットの額に銃口をむける。

 

すると扉をノックする音が響く。

 

「うん?鈴頼む。」

 

そう言われ鈴が扉を開けに行くと扉の前には真耶が立っていた。

 

「あれ、どうして鈴さんがここに?」

 

「いえ、ちょっと。それで山田先生何か御用があったのでは?」

 

「あ、そうでした。デュノアくんはいますか?」

 

そう言われシャルロットは助けてもらおうと叫ぼうとしたが

 

「あ、山田先生ちょっと来てもらってもいいですか。」

 

一夏が中に真耶を招き入れた。

 

「えっとわかりました。それではお邪魔します。」

 

そう言って真耶が中に入り奥に行くと腕を後ろに回され拘束されているシャルロットとその前で腕を組んでいる一夏がいた。その手には銃が握られていた

 

「えっと、これはどういう状況なんですか?それとどうして銃を握ってるんですか?!」

 

「こいつは男性と偽って入ってきたスパイで、俺にハニトラをして俺のISの情報を引き出そうとしてきたので拘束したんです。」

 

そう一夏が言うと真耶は信じられないと言ったような顔でシャルロットを見る。

 

「でゅ、デュノア君本当ですか?」

 

「・・・はい。」

 

そう返事が帰ってくると真耶は頭が痛くなった。

 

「ま、まさかあのメールが本当だったなんて。」

 

「メール?」

 

一夏は真耶が言ったメールと言う単語が気になった。

 

「はい、メールには『シャルル・デュノアは実は男ではなく、女だ。』と言う内容で送られてきたんです。」

 

(誰かが山田先生にメールを送って密告したのか?一体誰が。)

 

一夏は山田先生に一体誰がメールを送ったのか考えていると

 

「山田先生、誰がそのメールを送ってきたんですか?」

 

鈴が聞くと真耶は

 

「それが匿名で送られてきたので分からないのです。」

 

そう言いながら真耶はデュノアを立たせる。

 

「兎に角彼女はこちらで事情等を聴きますので、天ノ川君たちはすいませんが、この事は内密にお願いします。」

 

そう言われ分かりましたと二人は返事をして自分たちの部屋へと戻る。その途中

 

「一体だれがメールを送ったんだ?」

 

「さぁ。束お姉ちゃんに相談してみる?」

 

「そうするか。」

 

そう言って二人は部屋へと戻りTV電話で束に電話をするとすぐに出た。

 

『もっし~、どうかしたの二人とも?』

 

「束さん、実はさっき金髪オスカルにハニトラされかけてさ。」

 

一夏がそう言うとさっきまでの笑顔が消え去った束が映った。

 

「そいつまだ部屋にいる?」

 

「いや、鈴に頼んで気絶させて拘束後、事情を聞いて処分しようとしたんだけど、その前に先生が来てそのまま拘束されて連れていかれた。」

 

『ふぅ~ん。それにしても実にタイミングが良すぎるね。』

 

「そうなんだ。実はデュノアを連れて行った先生のところに匿名の密告メールが届いていたらしくてさ。事前に誰かがデュノアの行動を知っていた可能性があるんだ。だからそのメールは誰が送ったのか束さんに調べてほしいんだ。」

 

一夏がそう言うと束はえぇ~と言った顔になった。

 

『別に誰が送ったっていいじゃん。その金髪オスカル野郎はいっくんにハニトラした時点で極刑なのに。』

 

そう言って調べる気はないと言う態勢の束に一夏は

 

「どうしても調べてくれませんか?」

 

『いっくんの頼みでもこればっかりは束さんはいや。』

 

「頼む、束。」

 

一夏は最終手段として呼び捨てで頼んでみると

 

『はぅ~~~~~~~!いっくんに呼び捨てされちゃって束さんの心はキュンキュンしちゃった~!よ~し、いっくんに呼び捨てされたことに免じて調べてくるからちょっと待っててね。』

 

それから数分後、画面に束が戻ってきて報告を始めた。

 

『その先生のところにメールを送ったのはデュノア社の社長のようだね。』

 

「社長?なんでまた社長がそんな匿名メールを送ったんだ?そんなことをすれば自分の娘は捕まるうえに自分の会社を潰すも同然なのに。」

 

『もしかしたら今回の件、社長は反対で社長夫人の方が強要させたんじゃない?あそこの女、糞風潮(女尊男卑)に染まった奴みたいだし。』

 

「なるほど、自分の娘を守るためにメールを送った。それだったら納得がいくわね。」

 

「だとすると奴は被害者であり、加害者だな。」

 

一夏がそう言うと二人はなぜ?と言った顔で見てくる。

 

「あの時あいつが人形でいるのが嫌だと言っていればこんなことにはならなかった。」

 

そう一夏が言うと二人はなるほどと納得した。

 

「まぁ、とりあえずあいつは他クラスだし、どうなろうと俺たちにとっちゃ知ったこっちゃないけど。」

 

『「そうだね(そうね)。」』

 

そしていつもの雑談などをして、暫くしてから電話を切り一夏と鈴は布団に入り眠った。

 

一方真耶に連れていかれたシャルロットは生徒指導室にある椅子に座らせられていた。そして目の前にはデュノア社社長の顧問弁護士がいた

 

「それではシャルロットお嬢様。今回の件なんですが社長はあるご決断をされましたので心してお聞きください。」

 

「は、はい。」

 

「社長から伝言で会社には戻らず、日本政府に亡命して助けてもらい自由に生きなさい。とのことです。」

 

「お、お父さんが?」

 

「はい。実は私は社長から夫人には内密に話を進めておいてくれとのことで以前からお二人の亡命申請等を進めていて、すでに申請等は終わっております。」

 

「二人?もしかして・・・・。」

 

「はい。社長も亡命されるとのことです。」

 

「そ、そうなんだ。」

 

「それと今回の件で余り社長のことを責めないであげてください。あの方は自分の娘にどのように接したらいいのか分からないといつも愚痴っておられたので。」

 

そう言われシャルロットは弁護士の言葉に驚く。あの父がそんなことを言っていたことにだ。

 

「では私はこれで。それと今回の件の罰として学園からは学年別トーナメント戦終了まで自室待機とのことなので大人しくお部屋にいてくださいね。」

 

「わ、わかりました。」

 

「では私はこれで。」

 

そう言いって弁護士は帰っていき、残ったシャルロットは監視役の先生に連れられて部屋に帰された。




次回予告
シャルロットにハニトラ紛いのことをされたと報告を受けた束。そしてデュノア社に報復することを決意しバラライカに連絡をする。けどデュノア社社長は今回の件でハニトラをさせたくないということから密告メールを送っていたことが分かったため、社長の命だけは奪わないようにして欲しいとついでにお願いしておく。そして連絡を貰ったバラライカはフランスにいる幹部の一人に連絡しデュノア社夫人と夫人の計画に賛同して動いた奴らの排除をお願いした。

次回番外編その一、グリフォンの尾を踏んだ者たちの末路~我が孫に手を出すとは万死に値する!~


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番外編Ⅰ

連投です。初番外編です。


束side

いっくんからTV電話を貰い内心いつもの楽しいお話かなと思っていたら例の金髪オスカルがハニトラを仕掛けてきたと聞いた瞬間私の中の何かが切れた。そしていっくんからある先生のところに密告メールが送られてきたらしいためそれを送った人物を調べてほしいと言われた。最初は嫌だったがいっくんが呼び捨てで私のことを呼んでくれたから心をキュンキュンさせながら調べ始めた。(因みにお腹から下もキュンキュンしていたとか)

そして調べた結果デュノア社社長が密告メールを送ったことが分かり恐らく金髪オスカルがハニトラを仕掛けると報告した時にすぐに密告のメールを作成して送ったんだろう。それだったら許してやるか。だが

 

「あんたの夫人(糞女)とそれに賛同した奴ら、そしてお前の会社、フランス政府だけは許さないからな。」

 

そう言って私はあるところに電話した。

 

『もしもし、Dr.篠ノ之何か御用?』

 

「もしもしバラライカさん、少しお願いがあるんですがいいですか?」

 

そう私が掛けた先は元ソ連軍所属、第3次世界大戦も戦えるほどの武力を有するアフガン帰還兵であるバラライカさんだ。

 

『お願い?叶えられる範囲だったら別にいいわよ。』

 

「ありがとうございます。実はさっきいっくんから連絡がありまして、――――」

 

そして私はさっき貰ったいっくんの報告と私が調べたデュノア社社長の行為を伝えた。いっくんにハニトラを仕掛けてきたと聞いたバラライカさんから殺気が出ているのか電話越しでも分かりすごく怖かったよ~(泣)

 

『分かったわ。フランスにいる幹部に連絡してそいつらの処理をお願いしておくわ。彼だったら喜んでやってくれるはずだし。』

 

「彼?」

 

『フランス支部の頭でね、彼一夏のこと本当の孫みたいに可愛がってるのよ。だから今回の件を聞けば喜んで引き受けてくれるのよ。』

 

「な、なるほど。いっくんはいろんなところの重役と知り合いなんですね。」

 

『知り合いと言うより皆まるで孫や息子、弟みたいに思えてくるのよ。かくいう私もだがな。それじゃあ私は彼に電話をしないといけないから切るわね。それじゃあ。』

 

「はい、夜分遅く失礼いたしました。」

 

そう言って私は電話を切り、目の前にあるISの開発を続けた。

 

束side end

 

連絡を貰ったバラライカは早速フランスにいる幹部に連絡を取った。呼び出し音が鳴り数回後電話に男の声が聞こえる。

 

『もしもしバラライカか?お前から電話なんて久しぶりだな。』

 

「久しぶりねジョヴァンニ。今回あなたにお願いがあって電話したのよ。」

 

『お願い?』

 

ジョヴァンニはそう聞き返すとバラライカは束と話したことをジョヴァンニにも話すと電話越しでも分かるくらいの殺気が出ていた。

 

『ほぉ~う、つまりそのデュノア社の婦人とそれに賛同した社員、そしてこの件に関わっているフランス政府の役人を始末すればいいのか?』

 

「えぇ、一夏にハニトラを仕掛けて情報を引き出そうとしてきたらしいからな。だが社長の方はこの件に反対的で自分の娘を守ろうと学園に密告のメールを送っているらしいから社長の方は見逃して構わない。」

 

『分かった。我が孫に手を出したんだ、五体満足で済ませんぞデュノア社め。』

 

そう言いながらジョヴァンニは電話を切られ受話器を戻すと部屋に一緒にいたボリスが話しかけてきた。

 

「しかしまさかフランスの幹部が一個人のことで動くとは思いませんでした。」

 

「まぁ彼も一夏のことを実の孫みたいに可愛がっているからな。その孫にハニトラを仕掛けてきたとあれば黙っていられないだろ。」

 

そう言ってバラライカは椅子に深く座る。

 

「あとはあいつに任せておけばいいだろ。仕事はきちんとこなす奴だからな。」

 

その頃フランス支部のジョヴァンニは部下たちに命令を下して今回の件のデュノア社社長夫人と社員とフランス政府の役人の居所などを調べ上げていた。そして調べていく際デュノア社の夫人と社員が横領などをしてフランス政府の役人と結託していたことが分かったためそのことをマスコミにリークしてその混乱に乗じて処理することになった。ジョヴァンニはリークする前に変声機を使ってデュノア社社長に電話した。

 

『誰だ?』

 

「デュノア社社長ノアンソニー・デュノアダナ?」

 

『そうだが、貴様は誰だ?どうやってこの番号を?』

 

「時間ガ無イカラ手短ニハナス。IS学園ニカヨッテイル男子生徒ニハニトラヲスルヨウニ指示シタヤツラヲ排除スル。コチラノシジニシタガエバオマエハ見逃ガシテヤル。」

 

『な、なに?・・・・・・分かった。どうすればいい?』

 

「2日後オ前ノ会社ハ大騒ギガ起キル。ソノ日ハ1歩モ外ニ出ズニ家ニイロ。」

 

『わ、分かった。さ、騒ぎとは一体何なんだ?』

 

「ソレハ追々ワカル。デハナ。」

 

そう言ってジョヴァンニは電話を切り決行日を待つ。そして決行日当日マスコミ各所にデュノア社の横領の証拠が送られ一斉にデュノア社の前ではマスコミや報道陣が多く押し寄せた。そして裏口から逃げるようにデュノア社の社長夫人とそのとりまき達が車に乗り込んだ。

 

「なんで横領のことがばれたのよ!」

 

「わ、分かりません。厳重に管理していたのですが何処からか漏れていたのかもしれません。」

 

「この役立たずの屑どもが!兎に角山の上にある別荘に行って身を隠すわよ。暫くしたらほとぼりも冷めるはずだから。」

 

そしてデュノア社社長夫人ととりまき達が乗った車は山道を駆け上がって行き別荘に行く途中にある広い広場に出たところで急に車が止まりリムジンの後部座席の鍵がすべて掛けられた。

 

「ちょ、ちょっとなにをしているの!さっさと行きなさい!」

 

そう怒鳴るがスモークガラスのため運転席の様子が分からなかった。するとリムジンに備えられている電話が鳴る。夫人はそれをとり電話に出る。

 

『デュノア社社長夫人のメリル・デュノアだな?』

 

「だ、誰よあなた!」

 

『ボスからの伝言だ。孫に手を出したこと、地獄に行って詫びろ。だそうだ。じゃあな。』

 

そう言って電話が切れ車が動き出した。

 

「な、なによ今の電話。」

 

「ふ、夫人!この車崖に向かって走り始めてます!」

 

「な、なんですって!ちょっとどこに向かて走ってるのよ!」

 

夫人はそう叫びながらスモークガラスを叩くがまったく反応が無く、扉を開けて脱出しようとしたが鍵が掛けられていて開かなかった。

 

「な、なんで鍵が掛かってるのよ!あ、開きなさいよ!」

 

だがいくらドアノブを引っ張っても開くことなく車の前輪が崖に差し掛かる。

 

「い、いやーーー?!死にたくない!ここからだしてぇー!」

 

「お願い開けて?!」

 

「あぁぁ神様、どうかお許しを!」

 

だがそんな願いもかなうことなく車は崖から落ち、地面に激突した瞬間車から炎が立ち上り始めた。

その現場を近くで見ていた男は携帯を取り出し何処かに電話をしながら歩きだした。

 

「ボス、処理の方完了しました。」

 

『ご苦労。すぐに戻ってこい。』

 

「了解です。」

 

そう言って男は現場を後にした。




人物紹介
ジョヴァンニ
フランス支部を任されているホテルモスクワの幹部の一人。ある時旧知のバラライカに会いにロアナプラに訪れた際に一夏に会い、いつの間にか孫のように可愛がるようになった。(因み一夏がジョヴァンニのことをおじいちゃんと呼んだ瞬間にジョヴァンニの体に稲妻が走り、それ以降おじいちゃんと呼んでいいぞと許可したらしい。)

昔はソ連軍の情報将官だったという噂がある。

次回予告
朝のTVにデュノア社倒産と夫人とフランス政府の役人が事故死したニュースを見ながら朝食をとった一夏と鈴はいつも通り学業に励んだ。そして放課後鈴と共にアリーナに行くとまたしてもラウラがケンカを吹っ掛けてきた。

次回喧嘩再発~自分の飼い犬ならちゃんと首輪しておけよな~


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設定 ※4/7更新

IS側

天ノ川一夏

本作、原作主人公。小学生の頃姉の忘れ物を届けに篠ノ之道場を訪れた際に束と出会い、一目惚れするがその気持ちが何なのか全然わかっていなかった。そして学校の帰り道に再会し、それから束の家に遊びに行くようになった。それから束がISを発表後篠ノ之家が引っ越した後も束に隠れ家を案内されて遊びに行ける日はいつも遊びに行く。そして鈴が転校してきた時に日本語がおかしいからと苛められていたところを助けて日本語の練習を見てもらおうと束の隠れ家に連れて行ってそれから3人で一緒に遊ぶようになった。

小5の頃に誘拐され、誘拐犯たちから殺されそうになるが犯人の1人によって貨物船の荷物に紛れ込ませてもらい逃がしてもらう。そして木箱に詰められていた一夏をラグーン商会のダッチ達が助けて、それ以降ラグーン商会のコックとして働き始める。それ以降からロアナプラの住人たちから弟や孫みたいな感じで可愛がられ世間的に中学2年の時に束と再会しIS学園に入学を決意する。

 

姉の千冬は一夏とは仲がいいと思っているが一夏はそうは思っていない。箒は小学生の頃、机の上に忘れていた筆箱を届けた際、それ以降ストーカーみたいに付きまとわれる。そしていつも通り束のところに遊びに行こうとしたときに捕まり道場で剣道をさせられ、自分は出来ないと道場の師範である篠ノ之 柳韻に言ったが聞いてもらえずボコボコにされた。因みにこの時姉はバイトでいなかった。その後束がきて柳韻と箒を殴り飛ばしたりして助けてもらっている。

 

銃が好きでロアナプラただ一人のガンスミスのところで勉強してお墨付きをもらえるほど。P250を両脇のホルスターに入れ拡張領域にOPERATORとM4CQB-Rを入れている。

 

一夏がIS学園に入学するにあたって各国の政府に牽制するために考えられたカバーストーリーが一夏は日系アメリカ人で姉はレヴィで遠い親戚に張とバラライカがいるとなっている。裏のことに精通している政治家などは二人の名前が出たため詮索はしないでいるが、そんなことはお構いなしに調べようとした何か国の役人の内、何人かが行方不明となっているらしい。(因みに姉枠でエダとレヴィが銃で撃ち合いが勃発した。その後じゃんけんで勝敗を決めた。)

 

IS情報&キャラ情報

 

A-10ThunderboltⅡ

一夏用に束が作ったIS。世代は第4世代でとにかく実弾兵装を大量に載せようと考えて作られた。

武装

両肩GAU-8アヴェンジャー

7砲身のガトリング砲で火力制圧においてはISの中ではトップクラスを誇る。弾丸は普段は30㎜対応の装弾筒付徹甲弾を装填しているが、いざというときは拡張領域に入れている劣化ウラン弾を装填して完膚なきまで叩き潰すことも出来るらしい。

アサルトライフル

自動拳銃

格闘専用ナイフ

 

F-22ラプター

もう一つの一夏用の機体。隠密性と機動性は折り紙付きで、その性能は多くのISの中で上位に入るほどの物。

武装

グレネードランチャー付きアサルトマシンガン

近接ナイフ

ハンドガン

 

ベアトリクス (登場作品:マブラブ シュバルツェスマーケン)

一夏が小学生の頃、偶々束の隠れ家に遊びに行った際に机の上にあったISコアを一夏が作りあげた際に生まれた人格。本来コアの声は聞こえないのだがこれだけははっきりと聞こえる。その原因は束でもわからない。そして一夏が名前でも付けるかと思っていると事務所の机の上に放置された日本のアニメ雑誌にあるロボットアニメに出てくるキャラクターの名前からとってこの名前が付けられた。

マスターである一夏のことが好きで敵となる奴には容赦しない。

 

アイリスディーナ(登場作品:マブラブ シュバルツェスマーケン)

ベアトリクス同様一夏が手がけたら生まれた人格。性格は真面目でマスターである一夏に絶対の忠誠を誓っている。ベアトリクス同様にマスターの敵は自分の敵と豪語している。

 

篠ノ之束

一夏のヒロイン。原作同様ISの開発者である。一夏が小学生の頃に可愛いと褒められてから興味を持ち始め、一夏が父親と妹にボコボコにされたところを見た瞬間に篠ノ之家とは絶対に縁を切ってやると考え始めるのと一夏に恋をしたと気づいた。誘拐事件後、誘拐された一夏を探すためあちこちに作った隠れ家を転々としているときにロアナプラにいた一夏を見つけ会いに行きそしてその夜に告白した。

一夏を探している途中で助けたクロエは自分の娘として育ている。

最初は料理などは出来なかったがクロエと共に練習して今はかなり上達している。これをきっかけに様々な家事などをマスターし始める。

織斑千冬とは白騎士事件を起こす前は友人とも思えたが事件後絶交を言い渡している。そして一夏とよりを戻そうとしている千冬の邪魔をしている。

箒と篠ノ之家のことはすでに眼中には無く、会ってもただの道端の石としか見えていない。

 

鳳鈴音

一夏のヒロイン。転校してきた時周りから変な日本語だと馬鹿にされていた時に一夏に助けてもらう。その後一夏に連れられて束と知り合いそれから3人で遊ぶようになる。そしていつしか一夏に恋したことに気づき束も一夏のことが好きなのか聞き、もし好きなら諦めようと考えていたが、3人一緒に付き合えばいいんだよと提案され将来3人とで幸せな家庭を築くのが夢だった。そして一夏が誘拐され行方不明となったとき千冬を殺そうと家に行き、カッターナイフを取り出すが束に阻止されいつか復讐してやると心に決めた。そして中国に帰るが母親が典型的な女尊男卑に染まり始めたことに嫌気がさし家を飛び出した時、シェンホアと出会い弟子入りする。その後見事お墨付きを貰えても鍛錬を続け、中国代表候補生となる。(代表候補生になった理由が千冬に復讐できる機会を窺えるかららしい。)

IS学園に転校してきた時に一夏と再会し、告白され夢の3人での幸せな家庭を築けると喜んだ。義理の娘のクロエとは仲が良く、いつか束の様なボインになろうと毎日牛乳を飲もうと熱く語っていたそうだ。

 

クロエ・K・天ノ川

束がドイツで偶然見つけた研究所で死にかけていたところを助け、自分の娘にした。そして束が一夏と再会した時に、束は一夏は自分の旦那様になる人だというと、クロエはそれだったら一夏は自分の父親になると考え、お父様と呼んで甘える。学園に自分と同じヴォーダン・オージェの妹がいるみたいだが興味は無いらしい。

最近弟が欲しいと思い始める。

 

織斑千冬

アンチ対象。一夏の実の姉である。一夏のことを大事にしていると本人は思っているが一夏はそうは思っていない。モンドグロッソでは本来は束のISで優勝したがこの作品では倉持技研が総力を挙げて開発したISで優勝している。行方不明となっていた一夏が目の前に現れたからよりを戻そうと話しかけようとするが色々と邪魔が入り出来ずにいる。(ほぼ束の手によって。)

 

暮桜

織斑千冬がモンドグロッソで使用していたIS。原作では束が作成したがこの作品では倉持技研の総力によって作られた物。しかし性能は原作より劣っている。単一機能も零落白夜であるが、性能は当時は最新だが現在は使い勝手が悪いと判断されている。現在は解体されコアは倉持技研が所有している。

 

篠ノ之箒

アンチ対象。小学校の頃に一夏が箒の机に忘れられていた筆箱を家に届けに行った際に好意で持ってきてくれたと勘違いし、それ以降ストーカーみたいに付きまとう。そしていつしか変な妄想を抱くようになり理想の一夏と現実の一夏と区別がつかなくり篠ノ之道場に連れて行き剣道を無理矢理させる。その後束に蹴り飛ばされる。そしてISが世に出た瞬間家族をバラバラにしたのが束のせいだと決めつける。姉は関係ないと言っているが、自分が不利になると姉の名前を出して脅す。

 

セシリア、シャルロット、ラウラは原作同様。

 

更識簪

日本代表候補生で4組の代表。いつもは引っ込み思案だがいざッというときは前に進んで皆を引っ張ろうと頑張る。なかなか人にお願いができない性格だったが一夏が設立した武装部に入ってから人に頼る大切さを知り、4組の友達や同じ部の一夏達に手を借りながら自分のIS『打鉄弐式』を完成させる。姉とは仲が悪く、いつもストーカー行為をされてうんざりしている。

 

更識楯無

ロシアの国家代表で日本の暗部組織更識家の当主。幼い頃に簪を守るためにいろいろ努力し当主になった時、簪を守るために掛けた言葉のせいで簪を苦しめていると後から知る。何とか仲直りしようとするがなかなかうまくいかず困っている。一夏と仲良くなり裏の情報網を広げようと学園祭説明会の時に企画した案を発表するが束によって阻止される。

 

BlackLagoon側

ダッチ

お馴染みラグーン商会社長でブラックラグーン号の船長。最初は一夏のことをお荷物だと思っていたが、いつの間にか弟みたいな感じに思い始め、事務所のキッチンを任せている。

 

ベニー

ラグーン商会の機械、情報を担当している。厄介ごとには首を突っ込まずただ静観していることが多い。一夏のことは弟と言うよりかなり年下の友達と言った感覚の方が強い。

 

ロック

ラグーン商会の頭脳的立ち位置だが銃は使えないなど周りからはおかしな日本人として見られているが、一度キレるとなかなかに鋭い。最初は一夏をここに置いていいのだろうかと悩んでいたがいつの間にかいろんな人とパイプを持つようになっていたから安心している。

 

レヴィ

ラグーン商会の武力担当。すぐにキレて銃をバカスカ撃ちまくる。一夏のことを実の弟みたいに可愛がっている。カバーストーリーの一夏の姉枠を掛けてエダとケンカをしている。(一度酔っぱらって部屋のエアコンを銃で壊した時に一夏に「レヴィお姉ちゃんなんか嫌い。」と言われた瞬間この世の終わりのような顔で部屋の隅で泣いていたことがあったそうだ。)

 

張維新

ロアナプラの中で大きな勢力を持っている組織の内の一つである三合会幹部。性格などは原作同様であるが一夏が絡むと変わる。仕事でラグーン商会に依頼に行った際に一夏と会いその時丁度昼飯時だったため一緒に食べ、一夏の料理に感服した。それ以降何度か昼食を戴きに転がり込んでいくうちに一夏のことを弟みたいに可愛がるようになる。万が一、一夏に危害を加える奴はどんなやつも許さないらしい。

 

バラライカ

ホテルモスクワ所属でタイ支部の幹部。冷酷非道でたとえ親兄弟でも敵となるなら容赦はしないがモットだが一夏のこととなると別となる。張同様仕事の依頼をしに事務所に来た際に一夏と会う。ここで違うのが丁度午後3時ごろで一夏がおやつとして作ったお菓子が机の上に置いてあったためそれをバラライカが口にした瞬間、おいしすぎて膝をついてしまった。それからは一夏が作るお昼やらおやつを食べに転がり込んでくることが偶にあったそうだ。張同様、一夏に危害を加える奴がいたら即座に撃滅する気でいる。

 

エダ

原作同様、暴力教会のシスターでCIAのエージェントでもある。仕事で一夏とロックとレヴィが来た際に会い、それから偶に一夏一人でも遊びに来たりしたりして仲良くなる。CIAにも一夏のことは知らせており、出来るだけ一夏の要望に応える様にと返事が来たそうだ。

レヴィとは仲がいいが一夏のカバーストーリーの姉枠で喧嘩している。

 

ヨランダ

暴力教会のシスターで、武器販売などを営んでいる。裏では麻薬の密売もしているらしい。一夏が教会に遊びに来るようになった際、孫ができたようだと微笑んでおり、一夏もヨランダおばあちゃんと呼んでいる。

 

鷲峰雪緒

元鷲峰組組長。港で銀次の刀で自殺したが、一夏がこっそり救急車を呼んでいたため奇跡的に助かる。最初は死んで銀次達に会いたいと思っていたが後輩の真希達に説得されまだ大切なものが近くにあると思い直され今は彼女たちと共に頑張って行こうとしている。喉には自殺した際の傷が残っており普段は見えないように首の丈が長い服を着ている。今は後輩たちと共に小さな孤児院を営んでいるとのこと。




設定は随時更新予定です。



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8話

朝日を感じて目をこすりながら一夏は起きると隣でぐっすりと寝ている鈴に気づく。

 

「すぅ~、すぅ~。」

 

「相変わらず寝顔が可愛いことで。」

 

そう言いながら一夏は鈴を起こし、服を着替え始めた。着替え終えた二人は食堂へと向かい朝食を受け取り近くの席に着き二人は朝食をとろうとしたところ食堂に備えられているTVにニュースが流れているのに一夏が気づく

 

『先日フランスのデュノア社社長夫人とその部下がフランス政府の一部の役人たちと共に横領を働いていたことが分かり、フランス警察が捜査に乗り出そうとしたところデュノア社社長夫人とその部下たちが死亡していたことが分かりました。死亡した原因が×××山にある別荘に部下たちと共に身を潜めようと向かっている途中で運転手のハンドルミスで崖から車ごと落下したためと考えられています。さらに横領に関わったフランス政府の役員にも事情を聴こうと警察が家宅捜査に向かいましたが自殺した状態で発見されたとのことです。』

 

「自殺ねぇ~。」

 

「うん?あのニュースがどうかしたの?」

 

「いや、何でもない。」(恐らく束さんがバラライカさんあたりに言ったんだろうな。それでフランスにいるジョヴァンニおじいちゃんに言って始末させたんだろうな。今度お礼言っておかないと。)

 

そして朝食を食べ終えた二人は寮へと戻り教科書などが入ったカバンを持ってクラスへと向かった。

 

~放課後~

鈴と一夏はいつもの練習メニューで訓練を始めようと向かい合っていると二人の間に砲弾が放たれた。二人は放たれた方向を見るとラウラがISを纏った状態でいた。二人はため息を吐きながら訳を聞く。

 

「何の用だぼっち。」

 

「これから訓練するから邪魔するなら他所でやってくれない?」

 

「天ノ川一夏、私と勝負しろ!」

 

「人の話聞きなさいよ。」

 

鈴はまったく聞き耳を持たないラウラにイライラしており一夏も付き合ってられないと言わんばかりのため息を吐く。

 

「さっき鈴が言った通り訓練をするからまた今度な。」

 

そう言って一夏は鈴と訓練を始めようとすると

 

「無視するなぁ―――!」

 

そう言ってラウラは攻撃をしてきた。

 

「はぁ、まったくメンドクサイな。ベアトリクス弾種変更、劣化ウラン弾。」

 

[jawohl!(了解!)(ヤ・ヴォルー)]

 

「鈴ちょっと付き合ってくれ。」

 

「えぇいいわよ、背中は任せなさい。絶対に守って見せるから。」

 

「ははは、なら俺もお前の背中を守りきってやるよ。」

 

そう言って一夏は両手に持ったアサルトライフルと両肩のアヴェンジャーの照準をラウラに向けトリガーを引いた。弾丸はそのままラウラへと向かうが途中で停止する。

 

「うん?止まった?」

 

[マスター、あれはAICと言う停止結界の一つよ。にしても戦い方が雑ね。あれじゃ死角に入り込まれたら一発で退場よ。今回だと例えば]

 

ベアトリクスが言おうとしたところで鈴がラウラを背後から強襲した。

 

[マスターの奥方の一人とかね。]

 

ラウラは背後からの強襲に防ぐことが出来ずに攻撃を喰らうと集中力が必要なAICが解け大量の劣化ウラン弾と通常弾を受ける。そしてラウラのISの装甲がボロボロにされ一夏は一気に接近する。

 

「飼い犬くらいちゃんと手綱を引いておけよなっ。」

 

そう言って一夏の蹴りが入るとラウラのISは強制解除されラウラはそのまま後ろに飛ばされ、その後ろに現れた人物はそれを受け取る。

 

「きょ、教官・・・?」

 

「・・・・済まなかった。」

 

現れたのは織斑千冬だった。申し訳なさそうな顔で言ってくるが一夏は別にどうでもいいと言った顔になる。

 

「鈴、今日はもう帰ろう。」

 

「そうね。」

 

そう言って二人は帰ろうとすると千冬は待てと叫ぶ。

 

「一夏、あの時助けに行けなくて済まなかった!」

 

そう言うと一夏と鈴は振り返る。

 

「優勝した後にお前が誘拐されたことを聞かされて私はすぐに指定された場所に向かった。だがもうお前はいなかった。私はあの時凄く後悔した。お前を守ると誓ったはずなのに。本当に済まなかった!」

 

そう叫んでくる千冬に一夏はどうしたらいいのか分からずとにかくそこから足早に去って行った。だが一人(一機)違う反応を示していた。

 

[(あの女、マスターにあんな嘘をついてまでよりを戻そうとするなんて本当に最低な女。まぁ今は何も言わないけど、精々戻ってくる夢を味わっていなさい。その夢はすぐに消えてなくなるものなんだから。だって貴女に待っているのは絶望と言う現実(真実)なんだから。アハハハハハ!)]

 

ベアトリクスはそう思いながら笑っていた。




次回予告
ラウラが喧嘩を吹っ掛けてきて数日後学年別トーナメント戦が始まる。だが今回からタッグを組んで試合をされるとのこと。一夏は鈴とタッグを組んで出場した。そして1回戦はラウラと箒のタッグとの試合だった。そして悪魔のシステムが目覚める。

次回タッグマッチトーナメント戦~別に殺してもいいんだよな?~


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9話

~学年別トーナメント戦数日前~

ラウラとの決闘紛いを終え、一夏と鈴がクラスで談笑しているとクラスメートのティナが話しかけてきた。

 

「ねぇねぇ、二人とも聞いた?」

 

「何が?」

 

「今学期の学年別トーナメント戦、どうやらタッグマッチで行われるらしいのよ。」

 

「へぇ~、なんでまたタッグマッチにしたんだろうな?」

 

「噂によるとモンドグロッソの正式競技の一つとして組み込まれるらしいの。その為の予行演習的なものだって。」

 

「因みに何処情報それ。」

 

「新聞部よ。」

 

「「胡散臭さ~。」」

 

「ふ、二人して言わないでよ!」

 

「だってあの新聞部(捏造部)だぞ。信憑性の欠片もないのにすぐには信じられないぞ。」

 

「うんうん。」

 

「ま、まぁ確かにそうだけど。」

 

3人が喋っているとチャイムが鳴りそれぞれ席に着くとシルヴィアが教室に入ってきた。

 

「は~い皆さんおはようございます。捏造・・・失敬、間違えたわ。新聞部が報道しているように今学期の学年別トーナメント戦はタッグマッチで行われることになったわ。今から配る紙にタッグとなる人の名前を書いて私に提出するように。もしタッグが決まらなかった場合は当日に抽選で決められるから注意するように。それじゃあSHRは以上とします。」

 

そう言ってシルヴィアは教室から出ていくとクラスのほとんどは事前に決めていたのか紙に書いて提出しに出ていく。一夏も鈴を誘おうと声を掛けようとすると

 

「「あのさ鈴(一夏)、俺(私)とタッグ組まない?」か?」

 

「「・・・・・・。」」

 

「タッグ組むか////」

 

「え、ええ、いいわよ////」

 

同じ考えをしていたことに恥ずかしくなったのか明後日の方を向きながら一夏は鈴に聞くと鈴もそれを了承した。因みに周りは

 

「「「「甘すぎる!!!」」」」

 

と叫んでブラックコーヒーを買いに走り出した者や、砂糖を吐いて倒れている者が出たとのこと。

 

~タッグマッチトーナメント戦~

一夏と鈴はISの準備を終えてモニターを見ていると対戦表が出され相手を確認すると

 

「なんだあいつらとかよ。」

 

「そのようね。はぁ、なんだか悪意を感じるわね。」

 

モニターには『篠ノ之箒&ラウラ・ボーデヴィッヒ対天ノ川一夏&鳳鈴音』と出ていた。一夏と鈴はため息を吐きながらピットへと向う。

 

「にしてもあの二人がタッグ組んで大丈夫だと思う?」

 

「大丈夫だろ。てか最悪自滅して勝てるかもな。」

 

「その根拠は?」

 

「力こそ絶対の奴ほど同じ理念を持った奴がパートナーになると互いの足を引っ張り合う。つまりあいつらは互いに同じ磁石のN極を向け合っているから反発しあう。」

 

「なるほど納得したわ。」

 

そして二人はピットに入ってISを身に纏うと放送室からの放送が聞こえた。

 

『ではこれより第1回学年別タッグマッチトーナメント戦を始めたいと思います!司会は新聞部の黛薫子です。では早速第1回戦選手の入場です!』

 

そう呼ばれ一夏と鈴がアリーナに出ると反対のピットから箒とラウラが出てくる。

 

「この前の借りを返してやる!」

 

「はいはい。」

 

「一夏!そんなチビのどこが良いんだ!」

 

ブチ「おいモップ、あんたいい度胸じゃない。ここで殺してあげるから動くんじゃないわよ。」

 

「鈴、こっちもすぐに終わらせてそっちの手伝いするわ。人の彼女馬鹿にするとは本当にいい度胸してる。」

 

そう言うと鈴は笑顔で

 

「分かったわ。けど一夏が手伝いに来る前に終わってるかもよ。」

 

鈴にそう言われた一夏はそうか。と笑顔で答える。

 

『相変わらずのラブラブっぷりです!流石校内ただ一組のカップルです!あぁ~、独占取材したい!』

 

と司会がボヤいているが開始時間が迫っていることが分かると

 

『では、試合開始!』

 

開始の合図が鳴ると同時に一夏は両手のアサルトライフルの照準をラウラに向けて引き金を引くと

 

「同じ手に引っかかるか!」

 

と言ってワイヤーブレードを展開して攻撃をしてくる。一夏はそれを避けながら後退した。

 

「確かに前とは違う動きで来たみたいだな。だが」

 

そう言って一夏は格闘用ナイフを取り出してアサルトライフルで牽制しつつ接近した。

 

「AICの餌食にしてやる!」

 

そう言ってAICを発動して止めようとしてきたところ一夏はナイフをラウラに向けて投げる。ナイフが投げられたことに驚くが直ぐに落ち着いてワイヤーで弾くが集中が乱されたことに変わりなくアサルトライフルの牽制射撃の弾丸を受ける。

 

「くっ!たかが牽制射撃にやられるほど軟ではないわ!」

 

「そうかい。けどちゃんと周りは確認しておいた方がいいぞ」

 

そう一夏に言われラウラはなに?と思うと背中に衝撃を受ける。

 

「くっ!一体何?!篠ノ之、貴様なぜそこにいる?!」

 

「な、そっちこそ何でここにいるんだ!向こうの方で戦っていたのではないのか!」

 

「それはこっちのセリフだ!・・・・しまった!」

 

「気づくのが遅いんだよ。」

 

そう言って一夏はアヴェンジャーとアサルトライフルの一斉射を。鈴は龍砲を撃ち込んだ。そして土煙が立ち上ると

 

『篠ノ之箒選手、SEエンプティ―により敗退です!』

 

「うん?あのチビまだ倒れてないのか?」

 

「そうみたいよ。あれ。」

 

鈴にそう言われ一夏は土煙の方を見ると箒を盾にして何とか攻撃を凌いだラウラがいた。

 

「はぁ~、はぁー、ま、まだ終わってない!」

 

「あれどうする?」

 

「ちゃっちゃと終わらせるか。」

 

そう言って一夏はアサルトライフルとアヴェンジャーを向ける。

 

(まだだ、あいつを倒して私は教官の様な軍人になるんだ!)

 

ラウラがそう思っていると

 

【汝、力を求めるか?】

 

(何?・・・あぁ、力を寄越せ!私に絶対の力を!)

 

【ピッ、VTシステムスタンバイ、・・・・・スタンバイOK。リミット解除】

 

するとラウラのISが黒い粘着物で覆われ始める。

 

「ちょっと何よあれ。」

 

「さぁな、だが言えることはまた面倒な事に巻き込まれたって言うことだ。」

 

そう言って一夏はアサルトライフルで攻撃を始める。だが黒い物体はそれを躱す。

 

「ちょっ!あれを躱すの?!」

 

「こいつはかなり厄介な奴だな。」

 

そう呟いていると通信が入ってくる。

 

『あ、天ノ川君、鳳さんご無事ですか!』

 

通信してきたのは真耶だった。

 

「山田先生、あれ何なんですか?」

 

『恐らくVTシステムと言う違法システムだと思われます。とにかくお二人はすぐにそこから退避を!』

 

「そうしたいのは山々ですが。私たちが逃げると被害はもっと大きくなりますよ。」

 

『生徒を危ない目に合わせるわけにはいきません!教師部隊も間もなく到着し「山田先生」な、なんですか天ノ川君。』

 

「あれ、殺しちゃってもいいですよね?」

 

一夏の平然とした声で殺しちゃってもという単語に思わず真耶は聞き返してしまう。

 

『え?こ、殺しちゃってもって。まさかボーデヴィッヒさんごと潰す気ですか?!』

 

「その気ですが何か?」

 

『そ、そんなこと認められません!と、兎に角お二人は退避を!』

 

そう言われ二人はピットに避難しようとしたが黒い物体は二人に目がけて攻撃を開始してきたため退避が出来なくなる。

 

「山田先生、攻撃をしてきたため退避できなくなりました。」

 

「一夏と私とでこいつ潰すので、教師部隊の方も出来るだけ早めにお願いします。」

 

『ふ、二人ともまっ』ブツ

 

「ベアトリクス、ナイスだ。」

 

[別に構わないわ。実際の戦いを知らない人が喚くのは雑音の様な感じですし。]

 

「それ言えてるわね。」

 

「それじゃあとっとと終わらせるか。」

 

そう言って一夏と鈴は反撃を開始した。黒い物体はブレード一本で攻撃をしてきているため二人はとにかく距離を開けて戦うことにした。

 

「あの黒いの何かをモデルにしてるのかしら?」

 

「ありゃ暮桜だな。」

 

「暮桜ってあいつ(織斑千冬)のISじゃない。てことは。」

 

「あのシステムに組み込まれているデータは現役時代のあいつのだな。」

 

そう言いながら一夏はアサルトライフルで攻撃をする。暮桜もどきは銃弾を弾くか躱すをしながら追跡してくる。

 

「こりゃ切りがねえな。ベアトリクス、アヴェンジャーの弾種を劣化ウラン弾に変えておいてくれ。」

 

[了解よ。]

 

ベアトリクスに弾種を変更させるとアヴェンジャーの弾種が変更されたとマークがモニターに出て装弾数が表示された。

 

「兎に角距離を開けながら撃ちまくるしかないな。」

 

「そうね。私の龍砲は弾数が無限だけどあんたのは。」

 

「あぁ、弾丸に限りがあるだろ。問題ない。モニターに出されている数字はあくまで装填されているもので全部の弾丸じゃないからな。拡張領域に無限に近いほどの弾丸が収められているから問題ない。」

 

「なんか聞いちゃいけないものを聞いた気がするわ。」

 

「気にしない気にしない。」

 

そう言いながら一夏はアヴェンジャーで攻撃する。放たれた劣化ウラン弾は真っ直ぐ暮桜もどきに向かう。暮桜もどきは躱したり剣で防いだりするが劣化ウラン弾の攻撃に耐えきれなくなったのか剣が折れる。

 

「よし、得物が無くなっちまえばコッチの物だ。」

 

そう言うと鈴は近接攻撃を繰り出し一夏は援護射撃をした。2人の攻撃を受けた暮桜もどきは成すすべなく攻撃を受け遂に壊れた。どろどろとした粘体の中からラウラが出てきた。一夏はISを解除して拡張領域からM4を取り出しラウラに照準を向けながらゆっくりと近づき足でお腹辺りを軽く小突く。すると若干胸のあたりが上下していることに気が付く。

 

「ベアトリクスこいつまだ生きてるか?」

 

[脈等は問題なく正常よ。あの攻撃を受けてよく生きてるわね。]

 

「本当よね。とりあえず帰りましょう。」

 

「そうだな。後は教師が後片付けをしてくれるだろ。」

 

そう言って一夏は鈴と共にピットへと向かう。二人が去って行くのをただ見ている事しかできなかった箒は自分の力が欲しいと思い始めた。

 

(あんな奴より私の方が強いんだ。私にも絶対的な力さえあれば!)

 

そう思いながらもう連絡はしないと思っていた自分の姉に連絡をして自分だけのISを作ってもらおうと考える。だがその思惑はすでにばれていることに箒は気づいていなかった。

 

束side

まったくあの愚妹は何を考えているんだか。まぁいいや、どうせあいつの電話帳に登録されている電話番号はもう捨てちゃったものだし。どうせ繋がらないから放置でいいや。それにしても

 

「VTシステムとか言うふざけたシステム作るなんていい度胸してるじゃん。しかも狙った相手を間違えたな屑どもが。」

 

今私の目の前のモニターに映っているはドイツの山奥にある研究所だ。あのボッチちゃんのISに搭載されていたシステムを作ったのはこの研究所らしいからね。さてとドイツのミサイル基地にハッキングと。

 

 

束side end




次回予告
タッグマッチトーナメント戦は中断され一夏と鈴は部屋へと戻る。保健室でラウラは目を覚ましあの時の一夏との戦いで目覚めた気持ちが何なのか部下に電話する。その電話のせいで一夏と鈴はまた面倒な事に巻き込まれる。そして臨海学校に向けて一夏と鈴が買い物をしにレゾナンスに行くとある再会を果たす。
次回思わぬ再開~お久しぶりですね、一夏君~


次回はBlackLagoonのキャラが出るよ。


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10話

ラウラのVTシステムによってタッグマッチトーナメント戦は中止となり、一夏と鈴は学園長室に呼ばれ今回の件を口外しないようにと誓約書を書かされその後部屋へと戻った。

 

一方ラウラは保健室に備えられているベッドから窓から見える夜空を見ていた。一夏達と戦っていた途中で意識がなくなり気づけばベッドで寝ていた。そして隣には山田先生がいて自分のISに違法システムが搭載されていたことを知らされ暫く休養しておくようにと言われたため大人しく寝ていたのだ。

 

(あの時何故助けてくれたんだ?あいつらにとって私は赤の他人なのに。)

 

ラウラは何度考えても分からず上半身を起こしてテーブルに置かれている携帯をとり自分が最も信頼している部下に電話をし始める。

 

 

 

そして次の日の朝6時半頃、この時間はまだ寮は静まり返っており、いるとしたら朝練をする運動部のみだ。そんな静まり返った寮の廊下をコソコソしている生徒がいた。その生徒はある部屋の前まで来るとピッキングツールを取り出し部屋の鍵を開けようとすると

 

「な、なにをしているんですかボーデヴィッヒさん?!」

 

コソコソしていた生徒こそラウラだった。そしてラウラは後ろを振り向くと真耶が立っていた。

 

「何をって嫁を起こしに・・・。」

 

「よ、嫁って何を言っているんですか!と言うかなんで裸なんですか!」

 

そうラウラは現在裸だったのだ。

 

「いや、私は寝るときは裸じゃないと眠れなくて。」

 

「だ、だからって裸で廊下を歩くなんて何を考えているんですか?!」

 

「?」

 

「そこで首を傾げないでください!」

 

ギャーギャーと扉の前で怒鳴っていればもちろん部屋の中まで響くため部屋の住人はうるさい。そしてラウラが開けようとした扉がいきなり開かれた

 

「うぎゃ?!」

 

そう言ってラウラは屈んで扉を背にしていたため急に開いた扉にいきなり押されそのまま地面にぶつかった。

 

「あ、天ノ川君。お、おはようございます。」

 

そうラウラが開けようとした部屋の住人は一夏と鈴なのだ。

 

「あの、今6時半ですよね?」

 

「は、はい。」

 

一夏は明らかに不機嫌です。と言うような顔で真耶に聞く。

 

「だったらほとんどの生徒はまだ寝てたりしてますよね?」

 

「そ、そうですね。」

 

「それじゃあ、部屋の前で大声を上げないでください!うるさいんで!」

 

「ご、ごごごごめんなさぃぃぃぃ~~~~!」

 

そう言いながら真耶はラウラを掴んでその場から逃げた。逃げていく真耶の背を見て一夏は部屋に戻りもう一度寝ようとしたが目が覚めてしまったためシャワーでも浴びるかと浴槽へと向かおうとすると

 

「ねぇ~いちか~、いったい何だったの?」

 

そう聞いてきたのはタオルケットを体に巻きながら歩いてきた鈴である。

 

「いや、部屋の前でなんか山田先生が何かに怒鳴っていたんだ。とりあえずうるさいですって抗議入れたら謝罪しながら帰っていった。」

 

一夏がそう言うと鈴はふぅ~ん。と言う。そして一夏が朝シャンをしに浴槽に入って行き暫くすると鈴が突入して来て仕方なく一緒に朝シャンしたのは言うまでもない。

 

因みにラウラはと言うと生徒指導室に連れていかれお説教を受けたとか。ついでに間違った日本語を正しく学ぶように丸1日語学勉強をさせられたとのこと。

 

~1年2組の教室~

「はぁ?あのボッチが露出癖だと?」

 

「うん、そうみたいなの。」

 

一夏が教室で談笑しているとクラスの一人の吉原愛唯がそう言うと一夏は思わず聞き返してしまう。

 

「それ本当?」

 

鈴がそう聞くと吉原は困った顔で答える。

 

「同じクラスの榊原さんって武術部所属でいつも朝6時から1時間ほど朝練をしてから部屋に戻っているらしいんだけど、偶々その日は途中でけが人が出たらしくて途中で中断したらしいんだけどその帰り道にボーデヴィッヒさんが裸で廊下を歩いているところを見つけたんだって。」

 

「他人の空似じゃないの。」

 

「けどうちの学園で銀髪ってあまりいないわよ。」

 

「確かに。」

 

 

「しかしあいつ一応軍人らしいんだが良く気づかれなかったな。」

 

「榊原さんのお父さんは現役の軍人らしいわよ。だから小さい頃からそのお父さんから鍛えてもらってるから気づかれなかったんじゃない?」

 

「な、なるほど。」

 

「そう言えば1組に入ってきた男の人、あれ実際は女の人だったんだって。」

 

そう切り出したのはティナだった。

 

「へぇ~、そうだったのか。」(知ってるけど。)

 

「それで1組はすごく落胆してて廊下からでも分かるくらい暗いのよ。」

 

そう言われ一夏は試しに扉から顔を出し1組の方を見ると明らかに暗い雰囲気が出ていた。

 

「確かに暗いな。まるで瘴気が漏れているようだ。」

 

「確かにそうね。」

 

鈴も同じように顔だけ出して1組を見て一夏に同意する。

 

~放課後~

鈴と一夏は今大型ショッピングモールのレゾナンスに来ている。その訳がもうすぐ臨海学校があるため新しい水着などを買いに来たためである。そして目的の物を買って今はベンチに座って休憩していた。

 

「しかし相変わらずここは大きいな。」

 

「そうね。あ、いけない日焼け止めクリーム買うの忘れてた。」

 

「日焼け止めっているのか?」

 

「乙女の肌はデリケートなの。ちょっと買いに行ってくるから待ってて。」

 

そう言って鈴は日焼け止めを買いに行き、一夏はその背を見てベンチにもたれながら持っていたジュースを口にする。すると視界の端に黒髪で短髪の女性が映った。一夏はふと視線を向けると首元を隠すような服を着ていることに気づき雰囲気などからまさかと思いながら一夏はその女性に声を掛けた。

 

「すいません。」

 

「は、はい。どなた・・・・もしかして貴方は。」

 

「お久しぶりです、雪緒さん。」

 

「はい、お久しぶりですね一夏君。」

 

そう一夏が声を掛けたの女性は元鷲峰組の若すぎる組長、鷲峰雪緒である。声を掛けられた雪緒は最初こそ何だろうかと思っていたが声を掛けてきたのがあの抗争の時に手を組んでいた組織と一緒にいた少年だった為驚いていた。

 

「怪我はもう大丈夫なんですか?」

 

「えぇ、誰かが救急車を事前に呼んでいたため私は無事でした。ですがこの通り、」

 

そう言って雪緒は喉元を見せると痛々しい傷跡が残っていた。

 

「この傷跡は消えていませんけどね。」

 

「そう、ですか。やっぱり恨んでいますか?」

 

「はい?」

 

一夏にそう聞かれ雪緒は何が?と言った顔で聞いてきた。

 

あの人(バラライカ)のやり方で自分の組が無くなったことに恨んで「いえ、恨んでいませんよ。」え?」

 

「例え彼女に共同戦線を提案してなくても私は無事ではなかった。どちらにしろ私の運命は地獄しかなかった。」

 

そう雪緒が言うと最初は暗かったが明るくなる。

 

「病院で目を覚まして、最初は死んだ方が楽になるんじゃないかと思いました。けど私の後輩がお見舞いに来てくれて死なないでくださいって泣きながら説得されてヤクザの人間なのにいいの?って聞いたら、」

 

『先輩がヤクザだろうと何だろうと関係ありません!先輩は私にとって尊敬できる先輩なんです!』

 

「そう言われ私は涙が止まらなかったのです。だからあの地獄を体験して私にはまだ大切なものがあるんだと実感できたんです。」

 

「そうですか。」

 

すると遠くの方から女性の声が聞こえてきた。

 

「せんぱ~~い!」

 

「あ、真希ちゃんが呼んでる。では私はこれで。もし彼女に伝えるなら「伝えませんよ。」え?」

 

「貴女はあの時自殺してもうこの世にはいない。今俺の前にいるのは只の一般人の鷲峰雪緒さんです。だから伝える理由がありません。」

 

そう一夏が言うとでは自分はこれでと言い、その場から去って行く。雪緒はその後ろをただジッと見ていると後ろから声を掛けられる。

 

「先輩、勝手に行かないでくださいよ。あちこち探したんですから。」

 

「ごめんね真希ちゃん。さ、帰りましょうか。」

 

「はい!」

 

そう言って雪緒と真希は一夏とは反対の方向へと歩き出す。

 

(ありがとう一夏君、やっぱり君はやさしい少年だよ。)

 

雪緒と別れた一夏は鈴と合流してレゾナンスを後にした。

 

一方束はと言うと

 

「よ~し、これでOKだよ。」

 

[ありがとう博士、ようやくこれでマスターに会える。]

 

「そうだね。いっくんたちはもうすぐ臨海学校があるらしいからその時に会いに行こっか?」

 

[そうだな。待っていてくれマスター、今会いに行くからな。そして待っていろベアトリクス、もうお前だけいい思いはさせないからな!]

 

そう決意しているのは一機のISだった。




次回予告
臨海学校が始まり一夏と鈴はクラスメイト達と楽しく遊んだりした。そして夜は担任のシルヴィアと一夏の部屋に集まってトランプをしたりと楽しんだ。そして次の日、専用機持ちと一般生徒が集まっていると一機のニンジンが降ってきて中から降りてきたのは束だった。そして一夏に新しい機体を渡しに来たと伝え新しい機体を紹介した。そして驚きの事実を伝える。そしてベアトリクスも千冬にある真実を伝える。それは一夏と千冬の関係をもはや修復不可能になる真実を。
次回新たな機体、そして真実~やっぱり貴女は最低な女ね~

感想で雪緒さんか?書かれたときドキッとしました。


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11話

今回は結構長くなりました。つまり文章がおかしいところなども出てくるかもしれません。
もし有った場合は報告をお願いします。


一夏達2組が乗るバスが学園を出発して数時間後、バスは目的の旅館に着く。着いたバスからぞろぞろと生徒たちが降り旅館前に集合していると旅館の女将らしき人物が出てきて挨拶を始める。

 

「初めまして、当旅館の女将をしています、前川と言います。どうぞ皆さんゆっくりとお寛ぎ下さい。」

 

「女将もこう仰っているがあまり邪魔にならないようにすること。」

 

千冬がそう言い、各部屋の注意事項の説明後それぞれの部屋に行こうとしたとき一夏はふと気が付く。

 

「シルヴィア先生、俺の部屋ってどこになるんですか?」

 

そう聞かれたシルヴィアは

 

「あ、説明してなかったわね。天ノ川君の部屋は私と同室よ。」

 

そう言われ一夏はなぜ?と言った顔になると、シルヴィアは苦笑いでその理由を答えた。

 

「もし女子生徒たちと同じ部屋にすると夜更かししたり、他の部屋の生徒たちが押し掛けたりしてくる可能性があるのよ。だから防止のため担任である私と同室にしたわけ。」

 

「なるほど。けどそれだと2組の生徒たちは先生の部屋に来るんじゃ?」

 

「なぜ?」

 

「だって先生、2組のみんなに甘いから部屋に来ても招き入れて消灯時間ギリギリまでトランプとかで遊びそうですもん。」

 

「あらそれが何か問題?」

 

「え?それでいいんですか?」

 

「別にいいじゃない。臨海学校って言うけど中身の半分は他のクラスとの親睦会みたいなものだし。つまり遊んで今まで親睦が無い人と親睦を深めましょうって言う事よ。」

 

「残りの半分は?」

 

「学園内だとできないISの訓練とかよ。」

 

「な、なるほど。」

 

「さ、天ノ川君も早く部屋に行って着替えて遊びに行ってらっしゃい。彼女さんが首を長くして待ってるかもしれないわよ。」

 

「っ!はぁ~、了解です。」

 

そう言って一夏は部屋へと向かう。その背中を微笑みながら送っているシルヴィアに声を掛けてくる人物がいた。

 

「シルヴィア先生。」

 

「うん?あぁ織斑先生、何か?」

 

「やはり天ノ川は私と同じh「学園長が決めたことですよ?勝手なことはしないようにと言われているはずです。」しかしシルヴィア先生、貴女に任せておいて万が一のことがあれば「私はこれでもロシアの元アルファ部隊に所属していました。ですのでご安心を。」・・・・。」

 

シルヴィアにことごとく言い返され何も言えなくなった千冬。

 

「では私はこれで。」

 

そう言ってシルヴィアは去って行く。そして残された千冬は拳を握りしめながらいずれは私のところに帰ってくると自分に言い聞かせながら旅館へと入って行く。

 

~海岸~

一夏は部屋で着替えた後海岸まで来るとすでに遊んでいる人たちがおり一夏は目的の人物を探していると

 

「い~ち~か~!」

 

と呼ばれ後ろを振り返ると目の前に鈴の顔が迫っておりそのまま抱きしめられ一夏も抱きしめ返しながらその場で勢いを殺すように回して鈴を着地させた。

 

「おいおい、鈴危なかったぞ。」

 

「けど嬉しかったでしょ?」

 

「ま、まぁそうだが。」

 

「でしょ。それよりさ一夏、どう?」

 

そう言って鈴はその場で一回転する。鈴の水着はオレンジ色で胸の部分に大きなリボンがついているものだった。

 

「あぁ似合ってる。可愛いぞ。」

 

「そ、そう?あ、ありがとうね////」

 

鈴が照れていると他のクラスメイト達が来る。

 

「あ、天ノ川君達もビーチバレーやらない?」

 

「人数足りなくて困ってるんだ~。」

 

「おういいぞ。鈴も行こうぜ。」

 

「うん!」

 

そう言って鈴と一夏はクラスメイト達とビーチバレーをやり始める。チームは鈴と一夏は敵同士となった。数分後試合が終盤に差し掛かった時、鈴は味方が上げたパスにスマッシュをかける。

 

「さぁ一夏、私の愛受け止めて!」

 

そう言って鈴がスマッシュしたボールは物凄い豪速球で迫り、一夏は身の危険を感じその場から避けるとボールは地面を大きくえぐってから跳ねた。

 

一夏達の味方は

 

(((アレはやばい)))

 

と全員思ったそうだ。

 

「おい鈴!あれは受け止めた瞬間俺の身が消し飛ぶわ!」

 

「えぇ~、まぁいいわ。それより私たちのチームの勝ちでいいわよね?」

 

「あんなスマッシュ受け止められても後半で負けるっつうの。」

 

そう言いながら一夏達はチームメンバーを入れ替えながらバレーを楽しみ、その後泳いだり浜辺で一夏を埋めたりしながら遊んだそうだ。

 

~夜~

夕食後、一夏とシルヴィアの部屋には2組のティナ、鈴、一夏の他に3人のクラスメイトと担任のシルヴィアがトランプでババ抜きをしていた。

 

「う~ん、これ!」

 

そう言ってティナは一夏からトランプをとるがまさかのババ。

 

「うげ!」

 

「ちょっとティナ。その顔をしたらあんたがババを持っているってわかるわよ。」

 

「うぅ~、分かってるけどどうしてもなっちゃうんだもん。」

 

そしてその後一人、また一人と抜けていき、残りはシルヴィアとティナの一騎打ちとなった。

 

「さぁ~先生、どれを取りますか?」

 

そう言われシルヴィアは2枚あるうちどちらをとるか悩んで、数秒後意を決したように左のカードをとる。

 

「やったー!私のあがり~!」

 

そう言ってシルヴィアが捨てたカードにはハートとスペードのQueenが二枚揃っていた。

 

「負けた~!」

 

そう言ってティナは後ろに倒れる。

 

「またあんたの負け?これで何回目だっけ?」

 

そう鈴が聞くとティナは

 

「うぅ~、10戦中8回負けた。」

 

「意外と勝負運ないよねティナって。」

 

そうクラスメイトの友人に言われティナは

 

「くぅ~、次こそは勝つ!」

 

そう言ってカードをシャッフルして配ろうとしたが

 

「はぁ~い、残念ながら消灯時間10分前だからここで終了~。」

 

シルヴィアにそう言われて全員「は~い。」と返事をして部屋から出て行き一夏とシルヴィアも布団を敷いて寝始めた。

 

 

~次の日~

 

一夏達専用機持ちと一般生徒たちは海岸でISの訓練をしようと集まっていた。

 

「ではこれよりISの訓練を「いっくぅ~~~~~~ん!!!」?!」

 

そう叫び声が聞こえその場にいた全員が辺りを見回したが誰もいなかった。だが一人の生徒が上を向くと何かが近づいてくることに気が付く。

 

「あれ何?」

 

そう言われ全員上を見上げると何かが真っ直ぐ自分たちのところに落ちてきている事に気づき、急いで退避を始めた。

 

「何だあれ?」

 

[アレは博士が乗っている人参型ロケットよ。来た理由は分からないけど。]

 

「え?あれに束さんいるのか?」

 

一夏は思わずそう聞き返すとロケットはそのまま落ちてきて地面に突き刺さった。そして中から降りてきたのは

 

「やっほ~、愛しのいっくん!&鈴ちゃ~ん!」

 

一夏の恋人の束だった。

 

「束さん今日はどうしたんですか?」

 

一夏は平然に対応しているが周りは騒然としていた。

 

「あ、天ノ川君。篠ノ之博士と知り合いなの?」

 

一人の生徒にそう聞かれた一夏は

 

「知り合いと言うより恋人だな。しかも結婚前提の。」

 

そう言われた瞬間

 

「「「えぇぇぇ~~~~!!」」」

 

海岸に絶叫が響き渡る。

 

「まさかの彼女持ち!しかもあのISの生みの親が彼女!」

 

「こんなの勝てるわけない!」

 

「もはや無理ゲーじゃない!」

 

そう悲観していると一人の生徒が

 

「あれ?けど天ノ川君って鳳さんと付き合ってるんじゃ?」

 

そう言うと全員鈴の方に顔を向けると

 

「あ、私も一夏の恋人よ。束お姉ちゃん公認だし。」

 

「「「な、なんだと・・・・!」」」

 

全員開いた口がふさがらずにいるなか、束はと言うと

 

「ねぇねぇいっくん、今度さどっかの温泉旅館に泊まって4人で寛がない?ネットでいい穴場を見つけたんだ~。」

 

「へぇ~いいですね。それじゃあ夏休みにでも行きます?」

 

「賛成~!」

 

と、夏休みの予定を決めていた。それを見ていた千冬は

 

「束何の用だ?」

 

とイライラした表情で聞いてくる。そんな千冬に束は

 

「あ?今いっくんとイチャイチャしてんだよ。邪魔すんな。」

 

そう言って殺気を混ぜながら睨んで、すぐに一夏の方を向くといつもの笑顔に戻る。

 

「あいつうるさいからさっさと用事済ませて夏休みの予定決めようね?」

 

「えぇいいですよ。鈴もそれでいいよな?」

 

一夏は隣にいる鈴にそう聞くと

 

「えぇいいわよ。その前に」

 

「分かってる。師匠に会いに行きたいんだろ?」

 

一夏がそう聞くと鈴は首を縦に振る。

 

「さて私がここに来た理由をさっさと済ませますか。それではいっくんの()()()()()を紹介します!」

 

そう言うと周りが騒めく。

 

「た、束さん?もう俺にはISがあるんだけど?」

 

一夏が困惑気味でそう言うと束は笑顔で

 

「うん、確かにいっくんは持ってる。けど彼女も()()()()()()()()()()()()()()()()()だから渡しておかないと。」

 

そう言われた瞬間先ほどよりもさらに大きく騒然となった。

 

「あ、天ノ川君との共同開発?!」

 

「ということは天ノ川君もコアを作れるって言う事?」

 

そう疑問に思い始めた生徒たちに束は

 

「いや、いっくんは一からは作れないよ。私が半分作ったのをいっくんが残りの半分を作っただけ。」

 

そう言うと周りは「な、なるほど。」と言い出した。一夏はただ困惑している。

 

「た、束さん、俺こいつ以外にコアを作った記憶が無いんだけど?」

 

一夏にそう聞かれると束は笑顔でその理由を答える。

 

「だってそりゃ知らないもん。あの時いっくんに伝えたのは偽物って言ってあるからね。」

 

そう束が言うと一夏は偽物?と頭を?にしながら思い出そうとすると鈴が何かに気が付く。

 

「あ!そう言えばあんた、小4の時の夏休みの宿題の工作で原寸大のISを廃材で作ったって写真を撮って学校に持ってきてたじゃない。」

 

そう言われ一夏は思い出したように話す。

 

「そう言えば夏休みの工作が決まらずにいた時に束さんが手伝ってくれたんだっけ。その時廃材で原寸大のISを作って。あ、そう言えばコアも載せたんだっけ。・・・・・まさか。」

 

一夏は何かに気が付くとそれを察した束がすかさず答える。

 

「ピンポンピンポン!だいせ~か~い!あの時いっくんに廃材でコアの偽物を半分作ったからもう半分は頼んだよって頼んだあれは本物のコアでした~!」

 

束がそう言うと一夏は驚いた表情で束を見る。

 

「な、なんでまたそんなことを?」

 

一夏がそう聞くと束は

 

「いや~、実は本当にいっくんが作るコアは意思を表すのか?っていう疑問が残ってね。それでいっくんにもう一度作ってもらおうと思ってあぁしたんだ。もちろん夏休みの工作に作ったISには廃材で作ったコアを載せてるけど。」

 

そう言われ一夏はポカーンとしているが、束はそのまま一夏の新しい機体の紹介を続ける。

 

「さていっくんの新しい機体を紹介するからね。そろそろ来るはず。あ、来た来た。」

 

束がそう言うと束の目線の先に一夏達が目を向けるとISらしき機影が迫っていることに気づく。

 

「あれが一夏の新しい機体?」

 

「そうみたいだな。」

 

一夏と鈴がそう喋っていると一夏達に向かってきていた機体は一夏達の前に降り立つ。そして中から降りてきたのは

 

「アイリス様送ってくださりありがとうございます。」

 

一夏の義娘のクロエだった。降りてきたクロエはそのまま一夏の前まで小走りでやってきて一夏に抱き着く。

 

「お久しぶりです、お父様!鈴お母様!」

 

一夏は久しぶりに会った娘に優しく頭を撫でる。

 

「久しぶりだなクロエ。元気にしてたか?」

 

「はい、元気にしておりました!」

 

一夏とクロエが仲睦まじそうにしているのを見た生徒たちはありゃ勝てないと諦め始めた(1人は除いて)

 

「それじゃあいっくんの機体が来たから説明するね。これがいっくんの新しい機体、F-22Raptor。もちろん戦闘機と同じステルス戦闘を得意とした機体で機動性と隠密性はお墨付きだよ!武装は近接用ナイフとグレネードランチャー付きアサルトマシンガンが4丁載せてあるよ。」

 

束にそう説明され一夏は内心驚きながら機体に近付く。

 

「これが俺のもう一つの機体。」

 

一夏がそう言うと

 

[ようやく会えたなマスター。]

 

「「「え?」」」

 

いきなり声が聞こえてきて全員驚いていると、一夏の新しい機体が急に光を発し、しばらくすると治まり始めそこに目を向けるとそこにいたのは、ロングの金髪で前髪に黒色のヘアバンドをしている蒼い目をした軍服女性が立っていた。

 

[うむ、博士ありがとう。私の要望通りだ。]

 

「ふふ~ん、この私にできないことはあまりないのだよ。」

 

全員口を開けてポカーンとしていると一夏の胸のあたりにあるドッグタグ(ISの待機形態)が光り出し、その光は一夏の隣に行き徐々に光が治まるとそこにはロングの黑髪で切れ目で紅い目をした軍服女性がおり、金髪の女性に近付く。

 

[久しぶりだなベアトリクス。]

 

[えぇ久しぶりね、博士からはアイリスディーナと言う名前を貰ったらしいじゃない。]

 

[あぁ。これからは私もマスターと共にいるからそのつもりで。]

 

そう言うと二人の目から火花が散っているように見える。一夏はすかさず束に訳を聞く。

 

「束さん、あれはどういう事なんですか?」

 

「うん?ベアちゃんから何も聞いてないの?」

 

「何もって、・・・まさか例の拡張機能って。」

 

「うん、ベアちゃんに頼まれて自分を人の形態にすることはできないかって相談されて試しに色々計算したらあの二人だと人の形態に必要な条件とかがそろっていたみたいだから機能を付けちゃった。テヘ」

 

そう可愛く言われ一夏は何とも言えずにいると後ろから声を掛けられる。

 

[改めて自己紹介をさせていただく。F-22に搭載されているコアのアイリスディーナと言う。気軽にアイリスと呼んでくれマスター。]

 

「お、おう、よろしくな。」

 

そう返事をすると横から

 

「天ノ川、そいつをこちらに引き渡せ。」

 

そう言ってきたのは千冬だった。一夏は睨みながら

 

「それは無理だ。後日スペック等をそちら送るんで。」

 

そう言って一夏はアイリスのフィッティングを行おうとISの状態に戻ってもらおうとすると、千冬は無理矢理取り上げようと腕を伸ばすがその腕を掴まれる。

 

「離せ!ISの癖に!」

 

[離すわけないじゃない。マスターに危害を加えようとするやつは何人たりとも許すつもりもないんだから。]

 

そう言いながらベアトリクスは腕に力を籠める。

 

「ぐぅ?!」

 

腕に激痛が走り始め千冬は顔を歪め始める。

 

[たかがISだからって舐めないでくれるかしら?]

 

ベアトリクスはこのまま腕をへし折ってやろうかしらと思い力を加えようとするが

 

「ベアトリクスそこまでだ。」

 

フィッティングを終えた一夏にそう言われベアトリクスは

 

[命拾いしたわね。]

 

そう言って腕を離す。そして一夏のところに向かおうと歩き出そうとした瞬間何かを思い出したかのような顔をする。

 

[そう言えば忘れてたわ。マスターに報告しておかないといけないことがあったんだったわ。]

 

「報告?」

 

一夏はそう聞き返す。ベアトリクスは笑みを浮かべながら答える。

 

[えぇ報告よ。2度とあの女(織斑千冬)に付きまとわれなくなる報告よ。]

 

「?どういうことだ。」

 

一夏がそう疑問を持つと人間形態になったアイリスが入ってくる。

 

[ベアトリクス、まさかアレをマスターに言うのか?]

 

[それだけのことをあの女はしたのよ?それに()()()()()()()よりを戻そうなんて図々しいにも程があるわ。]

 

「嘘だと?」

 

一夏はこの二人は何かを知っていると考えていると束も入ってくる。

 

「ねぇねぇアイリちゃんもベアちゃんも二人だけで話さず私たちにも話してよ。あの女がどんな嘘をついたのか。」

 

いつもと変わらない笑顔で聞いているが目は笑っていなかった。

 

[それじゃあ話そうかしら。マスター、そこの眼帯との2回目の喧嘩をした後、あの女が言ったこと覚えてる?]

 

「あぁ、確か優勝した後に俺が誘拐されたことを知ったって言ってたな。」

 

そう一夏が言うとアイリスは千冬を睨む。何故アイリスは千冬を睨んでいるのか鈴達はその行動が分からなかった。

 

[実はそこなのよ。彼女が嘘をついたのは。]

 

「なに?つまりあいつは。」

 

そう一夏は言うと同時に千冬を睨むとベアトリクスは黒い笑みを浮かべながらそれに答える。

 

[えぇ、彼女は

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。]

 

ベアトリクスがそう言うと束と鈴は千冬を殺気のこもった目で睨む。

 

「そ、そんなもの出鱈目だ!」

 

[出鱈目かどうかこれを聞けばハッキリするだろう。]

 

そうアイリスが言うと手にはボイスレコーダーが握られていた。束はそれが何なのか聞く。

 

「それは?」

 

[この中には彼女が言い逃れができない証拠が入っている。]

 

アイリスがそう言って再生ボタンを押すとレコーダーからは歓声などの声が聞こえてきた。

 

「これってもしかして。」

 

鈴が何かを察したかのように聞くとベアトリクスが首を縦に振る。

 

「えぇ、モンドグロッソの時の音声よ。」

 

そう言われ全員聞き耳を立てている中千冬は一人だけ汗が止まらずにいた。するとレコーダーから声が聞こえてきた。

 

『お、織斑選手!』

 

『うん?なにか用ですか?』

 

『さ、先ほど貴女の弟を誘拐したと連絡があって。』

 

明らかに女性は慌てていることが分かる。

 

「この女性は?」

 

一夏がそう聞くと

 

[彼女は当時の日本政府の役員の一人に仕えていた秘書よ。]

 

そうベアトリクスが話す中、話は続いていた。

 

『何を言っているんですか?』

 

『え?』

 

『弟が誘拐されたとか冗談はよしてください。まさか他の国に頼まれて私を負けさせようと?』

 

『そ、そんな事ある訳ないじゃないですか!』

 

『一夏だったらおおかたトイレにでも行ってるんでしょ。とにかく邪魔です。誰か、彼女をここから連れ出してください!』

 

『お、織斑選手!本当なんです!信じてください!織斑選手!!』

 

女性の声は聞こえなくなりレコーダーもそこで終わる。

 

「アイリス、その後彼女はどうなったんだ?」

 

一夏は目元が見えない程度で俯いている。

 

[彼女はその後日本で売国者の汚名を着せられ、後日日本の自宅で自殺した状態で発見されたわ。]

 

アイリスがそう言うと周りの生徒たちは驚いた表情をする。

 

「う、嘘だ!」

 

千冬がそう叫ぶ。

 

「そ、そんなものいくらでもでっち上げられる!」

 

[因みに言うけどこれがどこから送られてきたか知ってる?]

 

ベアトリクスがそう言うと千冬は

 

「そんなもの知るか!お前らがでっち上げたに[これ貴女が乗っていた暮桜から送られてきたのよ。]な、なんだと?!」

 

千冬は驚愕の顔を浮かべる。

 

[そりゃあ驚くわよね。貴女が乗っていたISが送ってきたって。けど真実よ。彼女、泣きながら言ってきたわよ。『私のマスターは人じゃない。血も涙もない化け物だ』って。]

 

ベアトリクスが笑みを浮かべながらそう言っていると

 

「ベアトリクス。」

 

一夏が呼ぶとベアトリクスが振り向く。一夏は俯いたままだがしばらくして顔を上げると笑顔になる。

 

「お前のおかげで決心がついたわ。」

 

一夏がそう言うとベアトリクスは最初は驚くが直ぐに笑みを浮かべる。

 

[それは良かったわ。私はあなたの剣であり楯でもある。]

 

[私も同じだマスター。あなたの前に立ちはだかる障害は全力で排除する。]

 

ベアトリクスとアイリスがそう言うと一夏はありがとう。と言い千冬に顔を向ける。

 

「本当にお前は最低な奴だったんだな。」

 

「い、一夏。お、お前はそいつらのことを信じるのか?たかが機械なんだぞ?」

 

震えるようにそう訊いてくる千冬の問いに一夏は

 

「機械?こいつらは俺のことをずっと心配してくれていた。そして真実を教えてくれた。たとえ機械でもこいつらは自分たちの意思を伝えられる。心を持っている。だからお前より信頼できるんだよ。」

 

そう言って一夏は笑顔で

 

「あの時見捨ててくれたおかげで俺は、姉や兄の様な人たちと会えた。だから

 

 

 

 

 

あの時助けに来てくれなくてありがとうな、世界一最低な世界最強(ブリュンヒルデ)。」

 

そう一夏が言うと、千冬は目の前が真っ暗になり膝から崩れ落ちる。その目には光が無くなっており虚空を見ているようだった。

 

「ありゃりゃ、精神崩壊寸前まで行くとはよっぽどショックだったんだ。プププ。」

 

束は千冬の姿を見て笑いを零す。その笑みは黒く生徒たちはその顔を見て恐怖する。

 

 

「いい加減にしろ一夏!」

 

そう怒鳴ってきたのは箒だった。




次回予告
いきなり怒鳴ってくる箒に一夏はめんどくさそうにあしらっていると真耶が大慌てでやってくる。慌てていた理由がアメリカとイスラエルの極秘開発したISが暴走したとのこと。専用機持ち達はこれの迎撃すべく出撃する。そして一夏の手伝いをしようと勝手に動こうとした箒をクロエが妨害する。

次回激突銀の福音~お父様の邪魔はさせません~


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12話

いきなり怒鳴ってきた箒に一夏はため息を吐く。

 

「いきなりなんだモップ。そんな大声上げなくても聞こえてるんだが。」

 

「お前、実の姉である千冬さんになんであんなことが言えるんだ!」

 

そう怒鳴ってくる箒に一夏はめんどくさそうな顔で答える。

 

「実の姉?それじゃあ弟が誘拐されたのをただの冗談と思っている奴が実の姉だと言えるのか?俺は思わないね。」

 

そう言って後ろを向きアイリスの機体性能をもう一度確認するためアイリスに話しかけようとすると

 

「ふざけるなぁー!・・?!」

 

そう叫んで箒は殴りかかろうとしたが銃声がし、箒の足元に銃弾が当たる。

 

「さっきからギャーギャー喚いて五月蠅いんだけど。叫ぶんだったらよそでやりなよ。」

 

撃ったのは束だった。手にはFN Five-SeveNが握られていた。いきなり撃たれたことに驚く箒だったが、すぐに怒りの矛先を束に向ける。

 

「姉さんも姉さんです!なんで私から一夏を奪うんですか!一夏は私の「いっくんはお前の物じゃない。束さんと鈴ちゃんの婚約者でクーちゃんのお父さんだよ。」?!」

 

真顔で言う束はまるでそのまま箒を殺そうとするような顔だった。

 

「お前がどれだけ叫ぼうがいっくんと束さん達の絆は切っても切れない関係なんだよ。お前が後から叫ぼうが何しようがどうすることもできないんだよ、愚妹が。」

 

束がそう言い終えると旅館から大声を上げながら走ってくる真耶。

 

「た、大変です~~!」

 

そんな姿を見たシルヴィアは真耶を落ち着かせる。

 

「山田先生、慌てた状態でどうしたんですか?」

 

「き、緊急事態です!」

 

そう言われたシルヴィアは顔が真面目になり生徒たちに指示を出す。

 

「一般生徒たちは至急、部屋に戻って大人しくしておくように。専用機持ち達は私についてくるように。」

 

そう言って動こうとすると一人の生徒が手を上げる。

 

「シルヴィア先生、織斑先生はどうしましょうか?」

 

そう言われシルヴィアは千冬を見るが未だに虚空を見つめた状態でいたためはぁ。とため息を吐く。

 

「山田先生、あれをお願いします。」

 

そう言って真耶に千冬を指さして運ぶようにお願いする。

 

「は、はい!」

 

そう言って真耶は千冬を立たせて旅館へと運ぶ。そして専用機持ち達もシルヴィアの後に続いて行く。束も一夏の隣に付き一緒に行く。

 

旅館の一室に設けられた指令室には多くの教員が空間ディスプレイで状況を確認したりしている。その後ろでは専用機持ち達とシルヴィアが集められた理由を聞かさせれている。

 

「さて集まってもらった理由なんだけど先ほどアメリカ、イスラエルの極秘研究していた軍事ISが暴走し、こちらに向かっていると先ほどアメリカから連絡があり、私たちIS学園が目標から最も近いため、専用機持ちであるあなた達を今回召集させたの。」

 

軍事ISの暴走と聞いた瞬間専用機持ち達に緊張が走る。

 

「もちろんこれは命を落とす可能性があるわ。ここから退室しても別に恥じることはない。どうする?」

 

そう聞かれると全員退室せずその場にジッとしていた。

 

「そう、分かったわ。では今作戦に関してなにか質問はあるかしら?」

 

「はい。目標のスペックなどをお願いします。」

 

そう言って手をあげたのはセシリアだった。シルヴィアはそれを了承する。

 

「分かったわ。ただしこのことは公表しないように。万が一世間に情報が漏れた場合はあなた達に監視が設けられるから注意するように。」

 

そう言ってシルヴィはアメリカから渡された情報を空間ディスプレイに投影する。

 

「オールレンジ型ですか。」

 

「しかもレーザー搭載型か。厄介だな。」

 

そう言って一夏達はう~んと悩んでいると、束が話に入ってくる。

 

「今アメリカの軍事ネットワークにハッキングして情報を洗ったけど、特に改竄はされていないようだね。」

 

「なんか静かだなと思ったらそんなことをしてたんですか束さん。」

 

一夏と鈴は苦笑いになりながら束を見ている。

 

「まぁ~、アイリちゃんなら問題なくやれると思うけどね。」

 

「アイリスがですか?」

 

一夏は最初は分からなかったがアイリスが説明する。

 

[マスター、私の機体は隠密と機動性に優れていると博士が言っていたはずだぞ。]

 

「あ、そっか。」

 

アイリスにそう言われた瞬間一夏は思い出したように手を叩く。

 

「それだったら天ノ川君が攪乱で時間を稼いでもらい、その間に他の専用機たちが攻撃する。これで行きましょう。」

 

そう言ってシルヴィアは専用機持ち達に準備をさせ5分後に作戦開始と言って解散させる。部屋の会話を盗み聞ぎしていた者はひっそりと旅館を部屋の前から立ち去る。その後をつける者に気づかずに。

 

盗み聞きしていた者は学園が持ってきていた打鉄に乗り込もうとすると背後から声を掛けられる。

 

「そこで何をしているんですか。篠ノ之様。」

 

打鉄に乗り込もうした箒は動きを止め後ろを向くとそこにはクロエがいた。目は閉じられていたがISのハイパーセンサーのおかげで目が見えなくても分かるのである。

 

「お前は。ふん、邪魔をするな。」

 

そう言ってISに乗り込もうとした箒にクロエは銃を構え箒の足元に1発撃ち込む。クロエが握っているのはワルサーPPKである。

 

「お父様の邪魔をするならば容赦は致しません。」

 

クロエは銃口を箒に向ける。

 

「えぇい邪魔するな!」

 

そう叫んで箒は羽織っていた上着をクロエに投げつける。クロエは投げつけられた上着に構わずにPPKを撃ち続ける。そして上着が落ちると箒が打鉄を纏っている状態で立っていた。

 

「ふん。さぁそこをどけ!」

 

そう言ってブースターで迫ってくるがクロエは冷静だった。

 

「はぁ~、お母様からは出来たら無傷で取り押さえるようにとおっしゃられましたし、この服、お父様が選んでくださったお気に入りですが仕方ありません。」

 

そう言ってクロエはPPKを仕舞う。箒は道を開けると思ったが

 

「力を御貸しなさい、不知火。」

 

そう言ってクロエは黒色の機体を身に纏い持っていたブレードで箒の左肩からばっさりと切り落とした。

 

「うがぁーーー?!??!!」

 

ISを強制解除された箒は血をまき散らしながら転げまわる。

 

「あまり動かないで貰えませんか?血が飛び散って服につくかもしれないので。」

 

そう言ってクロエは箒の腹を足で押さえつける。

 

「?!!?は、離せ!」

 

箒はそう言って足をどかそうと必死にもがくが退くはずがない。そしてクロエはレーザーライフルを取り出し切り落とした左肩に銃口を向け発射する。

 

「!!!!!????!??!?!?」

 

レーザーを掠めた傷口はジュウジュウと音を立てて周囲には肉の焼けるにおいが満ちる。血が流れ出るのは止まったが激痛が左から走り、痛さで箒は気絶した。

 

「ふぅ~、ようやく静かになりました。」

 

ISを解除して地面に降り立つとポケットに入れていた携帯が鳴る。

 

『クーちゃーん、電話だよ~。』

 

「もしもし、お母様。今ですか?学園が用意したISの保管場所近くにいます。はい、お父様たちの邪魔をしようとした人を退治したところです。分かりました。」

 

電話を切ったクロエは気絶した箒の服の襟を掴んで引きずりながら束がいる場所へと向かう。

 

その頃、一夏達は出撃し銀の福音と対決していた。




次回予告
一夏達は海上で銀の福音と対決し全員で何とか撃墜したが、第二形態移行をして襲い掛かってくる。そして辛くも撃墜したが所属不明のISと遭遇する。
次回激突銀の福音その2~ようやく会えたねお兄ちゃん~


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番外編2

本編のネタが無くなったので、感想に書かれていた一夏のロアナプラの日常を上げようと思います。




これは一夏がロアナプラに来て暫く経った頃のお話である。

 

~レヴィ、姉御に怒られる~

ある日のお昼頃、一夏はいつもの通りラグーンの事務所でお昼を作っていると扉がノックされる。ロックが扉を開けに行くとそこにいたのはバラライカだった。

 

「はぁ~い、一夏。ご飯食べに来たんだけどいいかしら?」

 

バラライカがそう聞くと一夏は笑顔で答える。

 

「いいよ~。たぶん来るだろうなと思って多めに作っといたし。」

 

そう言って一夏は料理をお皿に盛り机に並べる。皿にはナポリタンが盛られており、もう一つ持ってきた鍋にはポトフだった。

 

「あら、おいしそうじゃない。」

 

「えへへへへ。あ、レヴィお姉ちゃんまだ起きてないと思うから呼んでくるね。」

 

そう言って一夏はレヴィを起こしに部屋を出る。入れ違いでベニーが入ってくる。

 

「あれ、一夏はどこに向かったんだい?」

 

「一夏はレヴィを起こしに行ったけど。」

 

そうロックが言うとベニーはやばいと言った顔になる。

 

「まずいよ、昨日レヴィの奴夜更けまで酒飲んでたから『バァーン』?!」

 

そうベニーが言い終える前に銃声がこだます。部屋にいた全員急いでレヴィの部屋へと向かおうと部屋を飛び出すとレヴィの部屋から一夏が泣きながら出てくる。そしてロック達に気が付くと走り出してバラライカに泣きながら抱き着く。

 

「うわぁ~~~ん!レヴィお姉ちゃんがいきなり撃ってきた~~~!」

 

一夏が大泣きしながらロック達に言うと、バラライカは一夏を慰める。

 

「そうだったの、怖かったわよね。もう大丈夫だからほら泣き止むの。」

 

そう言ってやさしく一夏の頭を撫でながら慰める。そして暫くして泣き止んだ一夏をロックとベニーに任せ、バラライカはレヴィの部屋へと向かう。その姿は普段一夏の前では出さないようにしている冷酷な表情だった。バラライカが部屋に入ると頭を抑えているレヴィがベッドの上にいた。

 

「うぅ~、なんか睡眠を邪魔してきた奴がいたけど誰だったんだ?」

 

そう言っていると急に頭を掴まれ目の前にバラライカの顔が映る。

 

「あ、姉御?なんでここにいるんだ?し、しかも殺気まで出して。」

 

そうレヴィが聞くとバラライカは睨みながらその訳を言う。

 

「理由は簡単。一夏のご飯を食べにここに来た。殺気を出している理由は一夏がお前を起こしに行ったらお前が寝ぼけて銃を一夏に向けて発射した。これだけ言えばわかるな?」

 

バラライカにそう言われたレヴィは顔を真っ青にしながら謝ろうとしたが時すでに遅し。

 

 

「酒を飲んで銃を握ったまま寝るな―――――――!!!!」

 

「す、すいませんでしたーー!!!」

 

そして部屋から出てきたレヴィの頭にはデカいたんこぶが複数も出来ており、金輪際部屋で酒を飲むときは銃からマガジンを抜くのと握らないようにするようバラライカに言われ、破ったらまたゲンコツをお見舞いすると言われたそうだ。因みにレヴィは一夏にちゃんと謝ったおかげで許してもらえたとか。

 

 

~一夏のロアナプラでの初めての御使い~

ある日、事務所で使っている用品と食材を買いに一夏は市場と雑貨屋へと向かう。その背後には黒スーツを着た男たち数人がいた。何故この男たちが一夏を尾行しているのかと言うと話は数十分前まで遡る。

 

=数十分前、ラグーン事務所=

「あ、ボードの油性ペンのインクが無くなったな。」

 

ボードに今週の仕事などをボードに書いていたロックがそう言っているとキッチンから一夏が出てくる。

 

「どうしたのロックお兄ちゃん?」

 

「あぁ、一夏か。実はボードのペンのインクが無くなってね。新しいのもどうやら無いみたいなんだ。どうしようかな。紙で書こうにもメモ用紙もないし。」

 

そうボヤいていると一夏がある提案をする。

 

「それだったら僕が買ってこようか?」

 

「え?けど一夏にはまだ早いし、危ない「けどこの後みんな仕事で事務所いないじゃん。それに食材も無いし今晩夕飯なしになるよ。」偶にはみんなで外食も「あたいは断固反対だ!」れ、レヴィ?!」

 

一夏と話していると突然レヴィが割り込んでくる。

 

「ぜってぇー今日は一夏の料理を食おうと決めてたんだぞ。ここの所忙しすぎて夕飯が食えなかったのに今日も食えないとか絶対に嫌だ!」

 

「だけどレヴィ、一夏一人に買い物をさせるのは流石に危ないんじゃないか?」

 

「一夏はこの島でも権力がある奴らから可愛がられてるんだぞ。下手に手を出す奴なんていねぇよ。」

 

レヴィの正論にロックはため息を吐く。

 

「分かったよ。それじゃ一夏頼めるかい?」

 

「分かった。」

 

「今日の夕飯楽しみにしておくからうんとうまいやつ頼むぞ!」

 

「はぁ~い。」

 

そう言って一夏は財布と買い物袋を持って出かける。一夏が出て数分後、仕事の依頼に来た張がやってくる。

 

「よぉ~ラグーンの諸君。元気にしてるか?」

 

「まぁそこそこにな。」

 

ダッチとの挨拶を軽く済んだ張は仕事の依頼を伝える。そしてふと一夏がいないことに気が付く。

 

「うん?そう言えば一夏はどこ行ったんだ?」

 

「あぁ一夏は今、買い物に行ってるぞ。」

 

ダッチがそう言うと張は咥えていた煙草を落とす。そしてダッチに迫る。

 

「か、買い物だと?!まさか一人で行かせたのか?」

 

「あ、あぁ。一夏は張の旦那やバラライカのお気に入りだから誰も手は出さないだろってさっきレヴィとロックからそう聞いたが。」

 

そうダッチが言うと張は何処かに電話をする。

 

「もしもし俺だ。何人か部下を引き連れて一夏を陰から守るんだ。もし一夏に危害を加えようとした奴らがいたら即刻排除しろ。いいな?」

 

そう言って張は電話を切る。ダッチは張のブラコンぶりに流石に呆れる。

 

「張の旦那、流石にやりすぎじゃないか?」

 

「何を言うんだダッチ!もし流れの奴に一夏が危害を加えられて死んだらどうする気だ!」

 

そう言って張はあぁ心配だぁ~と部屋を右往左往とする。

 

そして時間は冒頭に戻り、後ろから付いてくる黒服たち(張の部下)に気づくことなく一夏は先に雑貨屋へと向かう。そして目的の雑貨屋へと着きメモ用紙と油性ペンを買って出てくる。

 

「目標、目的の物を買って出てきました。このまま尾行を続ける。」

 

『了解した。そのまま尾行を続けr『非常事態発生!』どうした?!』

 

『目標から100m先に見慣れない男二人を確認!恐らく流れだと思われる。』

 

『了解した。奴らの目的が分かり次第速やかに排除しろ。』

 

そして黒服の一人が男たちの動向を確認していると男の一人がナイフを持ち一夏に近付こうとしたことが分かり素早く男の一人を路地裏に引きずり込み排除する。仲間が一人消えたことに動揺していると背後から口を押えられもう1人も路地裏へと消えていく。

 

『流れの男たちの排除完了。引き続き警戒に当たる。』

 

『了解した。』

 

そして一夏の買い物が終わるまで男たちは一時も一夏から目を外さずにいたおかげか無事に一夏の買い物は終わり事務所へと帰ってくる。一夏が事務所へと入ると張がまだいた。

 

「あれ、張お兄ちゃん仕事の依頼?」

 

「おう、今依頼を申し終えたところだ。それじゃあダッチ頼んだぞ。」

 

そう言って張は立ち上がる。

 

「ばいばい、張お兄ちゃん。」

 

「おう、またな。」

 

そう言って張は事務所を後にする。そして一夏は買ってきた用品をそれぞれ必要な場所に置き、食材を持ってキッチンへと向かう。それを見ていたダッチは取り合えず今日張の部下が尾行していたことは内緒にしておくかと思いながら手に持っていたビールを飲む。

こうして一夏の初めてのロアナプラでのお使いは終わった。




次回は本編上げられるように頑張ります。


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13話

一夏、鈴、セシリア、ラウラの4人は旅館から出撃し、目標の銀の福音に向かって飛行していた。

 

「全員準備はいいか?」

 

一夏が全員にそう聞く。

 

「私はいつでもいいわよ。」

 

「わ、わたくしも大丈夫です。」

 

「何時でも構わん。」

 

それぞれ返事をしているとアイリスから声を掛けられる。

 

[マスター、目的の銀の福音をレーダーで捉えた。真っ直ぐこちらに向かっているようだ。]

 

「そうか。よし、予定通り俺が攪乱して時間を稼ぐ。その間に落としてくれよ。」

 

一夏はそう言ってF-22のブースターを吹かし銀の福音へと向かう。

 

そして一夏がブースターを吹かして数分後、目標の銀の福音を見つけ一夏はマシンガンを取り出し、狙いをつけグレネードを発射する。グレネードは弧を描くように飛び銀の福音に命中する。

 

[敵対行動を確認。排除します]

 

そう言って機械音声をあげながら攻撃してきたISに反撃をしようとしたがレーダーから突如と消えたため福音は慌てるようにバイザーで周囲を確認するが全く反応がなくその場に留まっていると別方向からグレネードの爆風を受ける。福音はすぐさま攻撃が来た方向を向くがまたレーダーから反応が消える。一夏はステルスを利用して攻撃していた為向こうはまだこちらを捉えられていないことが見て取れた。そうこうしている内に鈴たちと合流する。

 

「お待たせ一夏。」

 

「おう来たか。それじゃあ攪乱するから任せるぞ。」

 

そう言って一夏は攪乱させに向かう。

 

「ほら私たちも行くわよ。」

 

そう言って鈴は攻撃をしに向かう。その後をセシリアたちも追いかける。

 

「当りなさい!」

 

そう言ってセシリアはBT兵器で攻撃を加える。レーダーの反応に気づくのが遅れたのか福音は攻撃を喰らう。反撃しようとするが別方向からラウラのキャノンによる砲撃を受ける。そして鈴の近接のナイフ攻撃を喰らい、徐々にSEが無くなる。

 

「よしこれならいける。」

 

そう言って鈴は攻撃を続ける。

 

「これでそろそろ墜ちろ!」

 

そう言って一夏はマシンガンをマガジン1本分撃ち続け、無くなるとグレネードランチャーを撃つ。そして福音は海へと墜ちた。

 

「ふぅ~、何とかなったな。」

 

一夏がそう言うと鈴もそれに同意する。

 

「確かに。事前に攻撃を受けてたのかしら?やけにSEが少なかったような気がするんだけど。」

 

「確かに。だが撃墜したから問題ないだろ。」

 

ラウラがそう言って旅館にある指揮所に報告しようとした瞬間、福音が墜ちたところから轟音と共に水柱が立つ。

 

「な、なんだ?!」

 

そう言って一夏達は水柱に注目するとそこには禍々しいオーラみたいなのを纏った福音がいた。

 

「チッ!第二形態移行(セカンドシフト)してるじゃねぇか。」

 

一夏は舌打ちをしてそう言う。

 

「兎に角やるぞ!」

 

そう言ってラウラはキャノンを向け発射するが躱される。

 

「なに?!さっきより機動性が上がっているだと!」

 

さっきと違い機動性が跳ね上がっていることにラウラが驚いていると鈴から声を荒げて言ってくる。

 

「驚いている場合じゃないわよ!直ぐに回避行動に移りなさい!」

 

そう言われラウラはすぐに我に戻り回避行動をとる。福音は所かまわずレーザー攻撃をしてくる。

 

「くっ!これでも喰らいなさい!」

 

そう言ってセシリアはBT兵器で攻撃するが接近してきたBT兵器を福音はレーザーブレードで壊す。

 

「そ、そんな?!」

 

「なんて機動性よ!」

 

鈴たちは何とか攻撃できているが先ほどの戦闘でSEや弾などが底を尽きかけていた。一夏のアサルトマシンガンも3丁が弾切れ、残りはハンドガンとナイフのみだった。

 

「これだけレーザー攻撃されていると避けるのは苦難だな。」

 

[確かに。恐らくマスターの機体がステルス戦闘が可能だと気付いたのでしょう。]

 

「なるほど近づけさせないためにああしている訳か。」

 

そう一夏が言う。一夏の頭の中ではこれ以上の戦闘は危険と判断し、即時撤退が当たり前だがあれが逃がしてくれるはずがないと考えられた。すると上空からのレーザー攻撃で福音の両腕が破壊される。破壊されたことに驚きつつも鈴は即座に福音に近づきコアを無理矢理抉り取りだした。

 

「ナイスよ、セシリア!」

 

そう言って鈴はセシリアを褒めるが。

 

「わ、わたくしではありませんわ。わたくしのBTはすべて落とされてますもの!」

 

「な、なんだと。それじゃいったい誰が?」

 

そうラウラが呟くとアイリスが叫ぶ。

 

[所属不明のISがこちらに来る!]

 

そう言われセンサーが反応した方をみると青い蝶のようなISが降りてきた。

 

「まったく、そこの金髪と眼帯は戦う気あるの?もしお兄ちゃんに怪我でもしてたら殺してたところだったよ。」

 

バイザーをした少女がそう言う。

 

「お前は誰だ!」

 

一夏がそう叫ぶと少女はさっきとは違う対応をする。

 

「会いたかったよ、お兄ちゃん♪」

 

バイザーで顔はよく見えなかったが喜んでいることは明らかだった。

 

「お兄ちゃんの質問なんだけどごめんね、まだ私のことは言えないの。けど安心して、いつかお兄ちゃんのところに戻ってくるから。それじゃそこのツインテールのお姉さん、お兄ちゃんのことお願いね。ばいば~い、お兄ちゃん。また会おうね。」

 

そう言って少女は反転して戦域を離脱していく。

 

「何だったんだ、あれは。」

 

一夏がそう呟いていると、セシリアが驚いた表情のまま呟く。

 

「そ、そんなどうしてあれが・・・。」

 

セシリアの驚愕した表情に疑問を持つ一夏達だったが本部に報告していないことを思い出し、本部へと連絡する。

 

「こちら一夏、目標の銀の福音の撃退に成功。コアも回収できました。」

 

『了解よ。みんなは無事?』

 

「全員疲労困憊しています。ですが負傷者はいません。」

 

『そう、それは良かったわ。それと先ほどレーダーがそちらの海域が計測できなくなったんだけど何かあったの?』

 

「それについては戻り次第報告します。out。」

 

そう言って一夏達は通信を切り、全員で旅館へと戻る。

 




次回予告
旅館へと戻った一夏は所属不明のISと遭遇したことを報告し、福音のコアを束に渡し暴走の原因を調査してもらう。それと同時に織斑家に何かしらの秘密があるのかと思い束に調査を依頼する。束は依頼されたことを調査する前に自分の親のところに行き縁を切りに行くことにする。

次回帰還そして決別~もう束さんはお前らの娘じゃないから。~


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14話

一夏達は旅館へと着くと旅館前にはクロエと束とシルヴィアが立っていた。

 

「あ、お父様!」

 

そう言ってクロエは駆け出す。駆け出してきたクロエに気づいた一夏は飛び降りても大丈夫な高度から降り、抱き着いてきたクロエを抱きしめ返す。

 

「ただいまクロエ。大人しくしてたか?」

 

「はい。お父様達が無事に帰ってくるように祈りながら待っていました!」

 

そう言ってクロエはギュッと一夏に抱き着く。すると一夏は何かに気が付きクロエを持ち上げてにおいを嗅ぐ。

 

「お、お父様?どうかしましたか?」

 

そう聞かれ一夏は神妙な顔でクロエに聞く。

 

「クロエ、誰か斬った?」

 

そう聞かれ、クロエは箒の腕を切り落とした際に臭いが服についてしまったんだと気づき泣きそうになる。

 

「ご、ごめんなさいお父様。お父様達の邪魔をしようとした人を止めようとしてそれで、ヒック。」

 

クロエは我慢が出来ず遂に泣き出す。一夏はそっと頭を撫でる。

 

「そうだったのか。ありがとうなクロエ、俺たちの為にしてくれたんだ、怒りはしないよ。」

 

そう言われクロエは涙を拭く。

 

「ほ、本当ですか?」

 

「あぁ本当さ。」

 

そう言われクロエはまた一夏にギュッと抱き着く。それを見ていた束は

 

「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン、良かったねクーちゃん♪」

 

と母親らしい顔で見ていた。

 

 

 

 

暫くしてクロエが泣き止み一夏達は報告をする。

 

 

「では海上であったことを報告します。」

 

そう言って一夏達は銀の福音との交戦したことと福音が第二形態移行(セカンドシフト)したことを報告する。

 

「それでこれが銀の福音のコアになります。」

 

そう言って鈴が拡張領域から取り出したコアを束に渡す。

 

「うん、確かに受け取ったよ。後はこれを解析して暴走した原因を突き止めるだけだ。」

 

そう言ってコネクターを繋げて作業を開始した束の隣でシルヴィアは質問をする。

 

「それで急に計測が出来なくなったあの海域で何があったの?」

 

そう聞かれ一夏が答える。

 

「実は所属不明のISと遭遇したのです。」

 

「所属不明?」

 

一夏はシルヴィアの返答に頷き返す。

 

「俺たちは所属不明のISのお陰で此処に居るようなものなんです。」

 

「そのISについて何かわかることはある?」

 

シルヴィアの問いに一夏達はセシリアを見る。

 

「セシリア、あのISについて何か知ってるよな。」

 

そう一夏に言われセシリアは首を縦に振る。

 

「あのISはわたくしの祖国であるイギリスで開発されていたブルーティアーズの後継機、サイレント・ゼフィルスです。」

 

そう言われ全員驚いていた。

 

「おいおい、なんでお前の所のISがあそこに現れたんだ?」

 

一夏の問いにセシリアは首を横に振る。

 

「分かりません。」

 

セシリアはそう言って顔を下に向ける。

 

「兎に角全員無事でよかったわ。そのISについてはこちらで調べるからみんなはそれぞれ怪我をしていないかチェックしてもらってから休憩に入って。」

 

そうシルヴィアに言われ一夏達は旅館へと入る。

 

その日の夜、一夏は海岸近くの崖に来ていた。

 

「束さんいる?」

 

一夏がそう言うと背後から一夏に抱き着く人がいた。

 

「此処に居るよ~いっくん。どうかしたの~?」

 

「いや、そろそろ家に帰るんだろうなと思って見送りに来たんだ。」

 

「そっか。ありがとうねいっくん。」

 

束が微笑みながらお礼を言う。一夏は束にあることをお願いする。

 

「束さんお願いがあるんだけど?」

 

「何かな~?」

 

「織斑家について調べてほしんだ。」

 

そう一夏が言うと束は首を傾げる。

 

「どうしてあいつの家系調べるの?」

 

「今日あったサイレント・ゼフィルスのパイロットはどうやら俺のことを知っているようなんだ。しかも俺の身内かもしれないんだ。」

 

一夏がそう言うと束は驚く。

 

「うぇ!身内?あいつ以外のいっくんの家族って確か死んだんじゃ?」

 

「そうなんだ、俺の記憶の中では小さい頃からずっと親なんていなかった。昔あいつに聞いたら両親は死んだって聞いてる。だから俺にはあいつ以外身内なんていないはずなんだ。」

 

そう一夏が言うと束はう~んと考える。

 

「もしかしたらあいつが何かしたのかも?両親は実は生きていて、そのサイレント・ゼフィルスのパイロットはもしかしたらいっくんの妹だったりして。」

 

束がそう推論を言うと一夏も頷く。

 

「俺もそうだと思う。けどどうして今になって会いに来たのか。それが分からないんだ。」

 

「う~ん、もしかしたら何かを企んでるのかな?」

 

「それっぽい雰囲気はなかったと思いますけど・・・。」

 

一夏がそう言うと束はう~んと首を傾げる。

 

「まぁ、取り合ず調べてみるよ。何かわかったら電話するね。」

 

「ありがとう。あ、束さん」

 

そう言って一夏は束を呼び止める。

 

「うん?・・・『ちゅ』////?!?!」

 

束が振り向くと同時に唇にキスをする一夏。

 

「お休みのキス。それじゃあお休み。」

 

そう言って一夏は旅館へと戻る。その後ろでは束は口をパクパクさせている。

 

「い、いっくん、大胆すぎるよ////けど嬉しい////」

 

そう言って束はロケットに乗り込み一夏のお家に帰ろうかなと思った矢先、あることを思いつく。

 

「そうだ、せっかく日本に来たんだしあいつらに絶縁言い渡しに行こうっと。」

 

そう言って束はロケットを飛ばしある場所へと向かう。

 

 

街外れに立っている古臭い道場の近くに立つ家に夫婦がいる。

 

「あなた、あれから箒から連絡はありましたか?」

 

そう男性に話しかけた女性は篠ノ之舞、箒と束の母親である。男性は篠ノ之龍韻といって箒と束の父親である。

 

「いや、ない。束の電話番号を教えて以降一度もな。」

 

そう言って机の上に置かれている湯呑に入っているお茶を飲み干す。

 

「もしかしたら仲直りをするために番号を聞いてきたのかしら?」

 

そう言って舞はまた仲のいい姉妹に戻ると思っていると。

 

「はぁ?愚妹と束さんが仲直り?ある訳ないじゃんそんなこと。」

 

「「?!」」

 

声がした方向に二人が向くとそこには自分の娘の一人、束が立っていた。龍韻は驚きながら聞く

 

「た、束いつ帰ってきたんだ?」

 

「今朝だよ。」

 

そう言って束はさっさと要件を済ませようと喋る。

 

「今日ここに来たのはお前らと絶縁をしに来たんだよ。」

 

笑顔で束が言うと二人は驚く。

 

「ぜ、絶縁だと!お前自分が何を言って「分かってるよ。と言うか前からしようと思ってたし。」ほ、本気なのか?」

 

龍韻はそう聞くと束は笑顔でそれを肯定する。

 

「本気も本気。あの時からお前らのこと嫌いだったから、いつかこの家と絶縁してやるって決めてたし。」

 

二人はあの時とは何時のことなのか分からなかった。

 

「その顔からして覚えてないようだね。あの時ってのはね、お前らがいっくんを苛めた時だよ。」

 

笑顔だった束は急に真面目な顔でそう言う。二人は反論する。

 

「ま、待て!私たちは一夏君を苛めた覚えはないぞ!」

 

「そうです!いったい何の根拠があってそう言っているの!」

 

二人がそう反論してくると束は

 

「根拠?じゃああの時なんで剣道は出来ないって言ったいっくんを無理矢理剣道をさせたの?そしてお前もどうして止めなかったの?」

 

「そ、それは・・・・。」

 

龍韻は口ごもる。舞も何と言えばいいかわからずにいる。

 

「苛めていたと言う訳なんだね?」

 

そう束に言われ二人は何も言えずにいる。

 

「そっか。それだったら尚更この家とは縁を切らないとね。それじゃあさよなら私の親だった人たち。政府のお役人共には私から知らせておいたしいつもの日常に戻ると思うよ。」

 

そう言って束は言いたいことが言えてスッキリしさぁ帰ろうとしたところであの事を伝えることにする。

 

「そうだそうだ、お前らの娘のモップだっけ?もう二度と剣道はできないよ。」

 

束がそう言うと龍韻は声を荒げる。

 

「ど、どう言うことだ!なぜ剣道が出来なくなったんだ!」

 

「詳しいことは言えないけど簡単に言えば自分勝手をした報いを受けた。それじゃ~ね~。」

 

そう言って束は出ていく。二人はもう二度と姉妹は元には戻らないと思い涙し、箒の容態はどうなのか気になり学園に連絡し箒が入院している病院へと赴く。そして片腕を失った娘と再会し、悲痛に泣き叫ぶ。




次回予告
遂に夏休みへと入り一夏と鈴はロアナプラへと向かう。その後を1組のセシリア、ラウラ、シャルロットも追いかける。二人は3人に気づきさっさと帰るように言うが拒否し続ける。仕方なく一夏は家がある街のホテルに泊まるように言い、仕事場までは付いてこなければ一緒に来てもいいと伝え空港を後にする。家に着いた一夏と鈴は早速鈴の師匠、シェンホアさんに会いに行く。

次回師弟の再開~很久没有看到,老师。(お久しぶりです、師匠。)~


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15話+おまけⅠ

夏休み初日、一夏と鈴は旅行カバンを持ってタイの空港から出てくる。

 

「うわー、やっぱり赤道近くだと夏の時期は暑いわね。」

 

「だな。今日は特に暑いらしいから水分補給は忘れんなよ、ほら。」

 

そう言って一夏は鈴にミネラルウォーターを渡す。

 

「ありがとうね。」

 

そう言って鈴は受け取り口にする。

 

「ほぉー、此処がタイか。結構暑いな。」

 

「そうですわね。」

 

「僕日本以外の外国って初めてだな~。」

 

そう聞こえ一夏と鈴が振り向くとそこにはラウラとセシリアとシャルロットがいた。

 

「・・・・なんでお前らが此処に居るんだ?」

 

一夏がそう聞くと

 

「いや、お前たちが何処かに行こうとしているのを昨日見てしまったんでな。だから後を付けてきた。」

 

「わ、わたくしはイギリスの要件が済んで暇だったものでつい。」

 

「ぼ、ぼくはラウラが心配で付いてきた感じ。」

 

そう返答され一夏と鈴はメンドクサイと言わんばかりのため息を吐く。

 

「まさかだと思うけどそのまま一夏の家まで付いてくる気?」

 

鈴がそう言うとラウラは

 

「そのつもりだ。別にいいだろ?「いいわけないでしょ!」な、なぜそこまで怒る?」

 

「当たり前でしょ!なんであんたたちも連れて一夏の家に行かないといけない訳?ちょっとは空気読みなさいよ!」

 

そう言って鈴が怒っていると一夏達の近くに車が止まる。

 

「お待たせ一夏。」

 

そう言って降りてきたのはロックだった。

 

「久しぶりロック兄。元気にしてた?」

 

一夏は久しぶりに会ったロックに握手をしながら聞く。

 

「あぁ元気にしてたよ。ところで後ろの3人は?」

 

ロックがそう聞くと一夏は苦笑いで言う。

 

「ただの同級生。タイに旅行に来たんだって。」

 

そう言いながら一夏は鈴のカバンと自分のカバンを車のトランクに入れる。

 

「あ、我々のも「あんた達はタクシー拾って首都のバンコクでも行ってきなさいよ。」・・・・何故そこまで冷たく接する?」

 

ラウラはむぅー。と言いながら講義する。

 

「旅行だったらバンコクとか有名なところがあるんだから私たちに付いてこなくて「いえ、あなた方と一緒の方が何やら面白そうと思いますし。」面白くないわよ!てか此処に来たのは私の師匠に会いに来ただけで「ならその師匠に会ってみたいぞ。」会わなくていいわよ!「ぼ、僕はラウラの付き添いで・・。」だったら二人を連れてバンコクに行くなりしなさいよ!」

 

「はぁー、鈴。もう諦めろ。そいつらどんだけ言っても付いてくるつもりらしい。」

 

そう言って鈴の肩に手を置きながら一夏が言うと鈴はまだ納得がいっていない様子になる。

 

「むぅ~、一夏は甘いのよ。」

 

そう言われ一夏はため息を吐きながらセシリアたちに言う。

 

「別に付いてくるのはいいが、泊まる場所だが俺の家は無理だぞ。」

 

「「「えぇ~~~。」」」

 

「・・・泊まる気だったのかよ。」

 

一夏はまた盛大なため息を吐く。

 

「ど、どうして泊められないの?」

 

シャルロットがそう聞くと鈴が答える。

 

「あんたね、一夏の家には束お姉ちゃん達が居るのよ?もしあんた等が家に来てみなさい。どうなるかわかるわよね?」

 

そう鈴が言うと3人は過去にしでかしたことを思い出し、下手すれば実験用のモルモットにされるかもと想像する。

 

「・・・・何処かでホテルでもとるか。」

 

「・・・・そ、そうですわね。」

 

「・・・・う、うん、そうだね。」

 

ラウラ達はそう決めた後、一夏と鈴はロックの車に乗り、セシリア達はタクシーを拾って一夏達が乗る車の後を追う。

 

数時間後、セシリアたちは一夏達が住んでいる街にあるホテルへと行き、一夏達が乗った車は一夏の家へと着く。そして荷物を降ろし終えてロックと別れ一夏と鈴は家へと入る。

 

「ただいま~、今帰ってきたよ~。」

 

そう一夏が言うと奥からクロエが走ってきて一夏に抱き着く。

 

「お帰りなさいませお父様!鈴お母様!」

 

「ただいまクーちゃん。束さんは?」

 

そう一夏が聞くと奥からもう一人走ってくることに気づく。

 

「おかえり~、いっくん、鈴ちゃ~ん!」

 

そう言って束は一夏と鈴に抱き着く。その間にクロエを挟んだまま。

 

「ちょっ、束さん抱き着くのはいいんですがクーちゃんが挟まってる!」

 

「はっ!ついいっくんを見て我を忘れてしまった。大丈夫クーちゃん?」

 

「は、はい。危うく窒息死しかけましたが。」

 

クロエがそう答えると一夏達は

 

「「「いや、それ危ないから。」」」

 

一夏達がそう言うとクロエは冗談です。と言って笑い出すと皆も笑い出す。暫くして束たちと久しぶりにおしゃべりをした後、一夏と鈴はロアナプラへと赴く準備をし玄関近くにある駐車場から車に乗り込む。

 

「それじゃあ束さん達は後から合流でいいですか?」

 

「うん、さっさとやり残したこと終わらせて事務所に向かうからそれまでパーティーは始めないでね。」

 

「分かってますって。それじゃあ先に行ってますね。」

 

そう言って一夏と鈴はロアナプラへと向かう。車が見えなくなるまで束は手を振り、見えなくなると家に入りやり残した仕事を片付けようとするとクロエが話しかけてくる。

 

「束お母様、誰かがお父様達を監視しようとしているようです。」

 

「何だって。どこのどいつだ~?」

 

そう言って束はパソコンで一夏達を監視しようとしている奴らを調べる。ハッキングして数分後、ドイツのある部隊が監視しようとしていたことが分かった。

 

「うん?なんでドイツの連中がいっくんたちを監視しようとしてるんだろう?まぁいっか。とりあえずポチッとな。」

 

そう言って束がEnterキーを押すと監視用の衛星が停止と表示する。

 

「さていっくん達を監視しようとした奴らはどうにかしたし、早いとこお仕事終わらせないと。」

 

「私も手伝います束お母様。」

 

そう言ってクロエも仕事を手伝う。

一方そのある部隊はというと。

 

「ダメです!衛星とのリンクが完全に途切れました!」

 

「こちらの操作を全く受け付けません!」

 

「そうか。仕方ない隊長には方角だけを報告するしかないか。」

 

そう言って電話を取り出し何処かに電話をする。

 

「もしもし、隊長ですか?はい、私です。天ノ川の行動なんですが、自宅の場所は分かりましたが、何処かに出かけた模様です。はい、行先はその町から北西の方角にある街です。はい、街の名前は”ロアナプラ”です。」

 

その頃一夏達はというとある一軒家の入り口前にいた。

 

「ここが師匠が今住んでる家?」

 

「あぁ。俺の記憶違いじゃなければな。」

 

そう言って一夏はインターホンを押す。すると扉が開かれる。

 

「懐かしい気配だなと思ってたらやっぱり一夏だったのネ。」

 

出てきたのはシェンホアだった。

 

「お久しぶりですシェンホアさん。」

 

「本当に久しぶりヨ。ところで今日はどうしたネ?」

 

そうシェンホアが聞いてくると一夏の隣にいる人物に気づく。そしてハッ。と気づく。

 

「お前、まさか鈴か?」

 

「はい、お久しぶりです師匠。」

 

そう鈴が言うとシェンホアは嬉しさのあまり鈴に抱き着く。

 

「アイヤー、本当に久しぶりね。あんまり連絡寄越さなかったから心配したヨ。」

 

「ちょっと、師匠!いきなり抱き着かないで下さいよ!く、苦しいから!」

 

「おう、済まないネ。でも久しぶりに弟子であり愛娘である鈴と出会えたんだから許してネ。」

 

シェンホアは笑いながらそう言ってきて鈴も苦笑い気味で許した。そしてシェンホアの家に上がり久しぶりの師匠と弟子の談笑を鈴とシェンホアは楽しんだ。

そして時刻が17時くらいになったとき一夏はそろそろ事務所に行かないととつぶやく。

 

「事務所?2丁拳銃とこのか?」

 

「そうだよ。実は昨日ロアナプラに戻るって連絡したらそれじゃあ久しぶりパーティーやろうぜってレヴィ姉がさ。だからそろそろ事務所行かないとね。シェンホアさんも来る?」

 

一夏がそう言うとシェンホアはしばらく悩む。

 

「うぅ~ん、それじゃあお邪魔するネ。あ、あと二人ほど来るけどいいか?」

 

「ロットンさんとソーヤーさん?別にいいと思うよ。」

 

「ありがとネ。それじゃあ後で事務所向かうから先行っといて。」

 

「分かった。それじゃあお邪魔しました。」

 

「師匠、またね。」

 

そう言って一夏と鈴はシェンホアの家を後にする。

 

その頃束たちはと言うと。

 

「で、君たちは一体此処で何をしてるのかな?」

 

そう言って束の目の前にはラウラとセシリアとシャルロットがいた。

 

「えっと、天ノ川達を探しにここへ。」

 

「此処がどういう場所か知ってる?」

 

束が威圧的に言うと3人は首を横に振る。それを見た束とクロエははぁー。とため息を吐く。

 

「此処は犯罪者たちの街、ロアナプラなんだよ。さっさとホテルに帰れ。」

 

そう、今セシリアたちがいる場所はロアナプラだったのだ。

 

 

 

おまけ~もしあの双子が殺人鬼では無く普通の双子で一夏が保護した場合 その1~

 

「「お兄ちゃ~ん。」」

 

そう言って銀髪の双子が寄ってくる。

 

「うん?どうしたんだヘンゼルにグレーテルも。」

 

「今日のおやつって何?」

 

「私、前に食べたホットケーキがいい。」

 

双子は事務所でおやつを作ろうとしていた一夏にリクエストしようと思って駆け寄ったのだ。

 

「今日はカップケーキにしようと思ってる。」

 

そう一夏が言うと二人は目を輝かせる。

 

「「カップケーキ!食べた~い!」」

 

「はいはい、それじゃあ手を洗って向こうで本でも読んで待ってるんだ。」

 

一夏がそう言うと二人ははぁ~い。と言って手を洗いに洗面所へと向かう。そして暫くして一夏は皿に載せたカップケーキを持って双子の所に持って行き仲良く食べる。互いに血の繋がりは無いが、3人は実の兄弟のように仲が良かったとさ。

おしまい




次回予告
事務所へと向かおうとした束さんが鉢合わせたのはセシリアたちだった。そして来た理由を聞きそのまま放置するのも良かったのだが、後から一夏に面倒が掛かるといけないから仕方なく事務所まで連れて行く。事務所では着々とパーティーの準備が進められ束が来たら始められるようになっている。そしてセシリア達を連れてきた束が現れた時また面倒な事が起きようとする。
次回楽しい楽しい再会パーティーは?~なんで俺がお前の婿なんだよ。~



シェンホアさんの口調難しい。


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16話

束が3人を見つけたのは偶然だった。一夏達が待っている事務所へと向かおうと途中まではタクシーを使って行き、その後ロアナプラからほど近いバーで降ろしてもらいそこから歩いて行く途中で会ったのだ。

 

「で、君たちが此処に居るのはいっくんに会うためだけにこの街に来たの?」

 

束がそう言うと3人は首を縦に振る。

 

「君たちは馬鹿なの?この街が危険なのは調べればすぐわかるはずだよね?なんで調べもせず此処に来たの?」

 

束がそう聞くとシャルロットが答える。

 

「その、調べようとしたんですがその前にラウラが出発して、その・・・ごめんなさい。」

 

シャルロットが説明し終えると束とクロエはため息を吐く。

 

「調べる暇もなかったと。と言うかそこの眼帯ちゃん。お前軍に所属してたよね?」

 

束がそう聞くとラウラは首を縦に振る。

 

「いっくんのことを調べさせただろう?」

 

束がそう言うとラウラは肩をビクッと動かし観念して白状する。

 

「は、はい。天ノ川が何処に行こうとしたのか気になったのでつい。」

 

「つい?誰だってついてきてほしくない時とかあるよね。それが今日なんだけど。それとお前らいっくんとは友達でも何でもないじゃん。」

 

束がそう言うと3人はうっと言って下を向く。するとクロエが。

 

「お母様、この人たちのことは放っておいて早くお父様達が居る事務所へと向かいましょう。お父様達が首を長くして待ってるはずです。」

 

「そうだね。行こうっか。」

 

そう言って2人はその場を離れようとしたが束はあることに気づく。

 

「あ。そう言えばお前ら専用機持ちじゃん。」

 

そう言って心底めんどくさそうな顔で舌打ちをする。

 

「仕方ない。早く来なよ。事務所まで連れて行ってあげる。」

 

「え?!お母様正気ですか?」

 

クロエが驚きながら聞くと束はため息を吐きながら答える。

 

「もしあいつらが専用機持ちじゃなければ放置するけど、仮にも代表候補生とかだから後で面倒な事が回ってくるのはいっくん達だからね。」

 

そう束が言うとクロエは納得が出来なかったが父親である一夏に迷惑が掛かるのは嫌だから仕方なく頷くしかなかった。

 

そして束達は一夏達が居る事務所へと移動する。

 

数分後、目的地に到着し事務所へと入るとすでにピザとか料理が机の上に置かれておりパーティーの準備は済んでいると分かる。

するとキッチンから一夏が出てくる。

 

「お、いいタイミングで来ましたね。て、なんでお前らが此処に居るんだ?」

 

そう言ってジト目でセシリアたちを見ていると束が説明する。

 

「ごめんねいっくん。本当だったら放置して来るんだったんだけどこいつら仮にも代表候補生とかだからこいつらに何かあったらいっくんにも面倒が掛かると思って連れてきちゃったんだ。」

 

そう言って束がへこみながら言うと一夏はそっと束の頭を撫でる。

 

「そう言う事でしたら俺は何も言いませんよ。」

 

そう言って一夏は目線を束からセシリアたちへと移す。

 

「今回は束さんに免じて許すが次は無いからな。」

 

そう言って一夏はキッチンへと戻る。それを見ていたバラライカが聞いてくる。

 

「あなた達一夏と何かあったわけ?あそこまで扱い方が嫌々なのは初めて見たわよ。」

 

そう聞かれセシリアは言いにくそうに説明する。

 

「その、色々事情がありまして。」

 

「事情ね。まぁ余り私の可愛い弟分を困らせることはしないでね。」

 

そう言うとラウラは何かを思ったのかこう聞いてくる。

 

「もしや貴女は天ノ川のお義姉さんなのですか?もしそうだったら私も天ノ川の嫁にしてください!」

 

そう言ってきた瞬間全員の口がはぁ?と開ける。

 

「なんで俺がお前を迎え入れなきゃならねんだよ。」

 

そう言ってキッチンから出てくる一夏。するとラウラは説明をしてくる。

 

「天ノ川の言動などは突き放す言動などしてきて時折デレるというツンデレというものじゃないのか?部下がそう言っていたぞ。」

 

「それは特定の人物のことを言って俺は断じてツンデレじゃねえよ。」

 

一夏はそう反論していると座っていたバラライカが立ち上がりラウラの襟を掴み上げ部屋から出て行こうとする。

 

「ダッチ、ちょっと隣の部屋借りるわよ。」

 

「な、なにをするんですか!離してください!」

 

そう叫びながら必死に振りほどこうとするが解けずそのまま連れていかれた。

 

「だ、大丈夫なんでしょうかラウラさんは?」

 

そうセシリアが震えながら聞いてきて一夏は両手を横にして首を横に振る。

 

「命までは取らないと思うけどたぶん大丈夫だろ。」

 

そう張が言う。すると鈴が驚く。

 

「て、貴方は中国マフィアの三合会幹部の張維新じゃないですか!なんで此処に居るんですか?」

 

「うん?俺のこと知ってるのか?」

 

張が鈴にそう聞くと鈴は驚いたまま言う。

 

「だって裏の事情を初めて知ったときあなたの名前が多く出てきたんです。それでそのすごさを調べたら想像以上だったんですし、今見てすごい人物だと改めて分かりました!」

 

鈴は自国の裏の偉人に出会えたことに目を輝かせながら語る。それを見た張は苦笑いになる。

 

「ははは、こいつは驚いたぜ。まさか本国で俺のことが有名だとはな。」

 

一夏はさすが張兄さんだと誇る。そんな光景にセシリアとシャルロットは改めて自分たちは来てはいけない場所に来てしまったと後悔し始めたのだった。そして暫くしてラウラとバラライカが戻ってくる。ラウラは泣きながら「もう部下の言葉を真に受けません。」と言っていた。そしてパーティーが始まり久しぶりに一夏と会ったバラライカや張は向こうの暮らしとかいろいろ聞いて楽しみ、鈴は師匠と談笑したりクロエとお喋りを楽しんだ。他の人たちもそれぞれ料理を食べたり談笑したりと楽しんでいた。セシリアたち3人はとりあえず隅っこで楽しんでいたとのこと。そして夜が更けてき始め、パーティーはお開きとなりセシリアたちはロックの運転でホテルまで送ってもらえるとのこと。一夏はふとあることが気になりセシリアたちに聞く。

 

「そう言えばなんでお前ら此処に来たんだ?別にボーデヴィッヒ一人だけ行かせてお前ら2人はバンコク行くなりすればよかったのに。」

 

そう聞くと2人は苦笑い気味で答える。

 

「その、実はもし天ノ川君に会えたら正式に謝罪しようと思ってたんだ。だからその、あの時あんなことをしてごめんなさい!」

 

そう言って頭を下げるシャルロット。

 

「その、わたくしも謝罪が出来ればと思いまして此処に来ました。本当にごめんなさい!」

 

そうセシリアは頭を下げながら言う。

 

「シャルロットは分かった。だがオルコット、俺はあの時謝罪はいいと言ったはずだが。」

 

「それでもちゃんと謝っておかないといけないんです!あの後1組でもわたくしは孤立気味でしたがクラス代表戦後、クラスの前で精一杯の謝罪をして少しづつですがクラスの人たちとは仲良くなってきたのですが、迷惑と思われるかもしれませんがあなたにもちゃんと謝っておきたいと思ったのです。」

 

そう言ってきて一夏ははぁ~。と息を吐く。

 

「分かったよ。お前の謝罪を受け入れる。だが2度と馬鹿な真似はするなよ。お前もだシャルロット。次はない、そう思っておけ。」

 

そう言って一夏は束たちが乗って待っている車へと向かう。セシリアたちは漸く肩の荷が下りたと思い盛大に息を吐き、ロックが乗ってきた車へと乗りラウラと共にホテルへと帰って行った。




次回予告
パーティーから数日後、一夏、鈴、クロエ、束は日本の旅館へと赴いていた。そして温泉で日ごろの疲れなどをとったり、贅沢な料理を楽しんだりと英気を養っていた。だがその裏で束はある計画を実行しようとしていた。そしてある組織が動き出そうとしていた。

次回楽しい楽しい温泉旅?~さぁ~てのんびりしますかぁ~。~


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17話

パーティーから数日が経ち、一夏は街外れにあるイエロー・フラッグと言うバーにロックやレヴィ達と来ていた。

 

「ほい、鳥皮つきのから揚げいっちょ上がり。」

 

そう言って一夏は厨房から唐揚げをのせた皿をレヴィ達がいるテーブルに持ってくる。

 

「お、待ってました!」

 

そう言ってレヴィは爪楊枝で唐揚げを一つ刺し掴み口へと頬張る。

 

「うぅ~んこの肉汁たっぷりなのがたまらないぜ~。」

 

レヴィが嬉しそうに頬張っている姿を見て一夏は笑顔になる。

 

「そりゃよかった。と、そろそろ時間か。バオのおじさん、厨房貸してくれてありがとうね。」

 

「なぁにいいさ。酒のつまみ作ってうちの稼ぎを手伝ってくれたんだ。いくらでも貸してやるよ。」

 

そう言われ一夏は再度ありがとうと言って店を出る。その時入口を出てすぐにメイドの服を着た女性とぶつかりそうになる。

 

「おっと、すいません。」

 

「あ、いえこちらこそ申し訳ありません。」

 

そう言って女性は丁寧にお辞儀をしてお店に入って行く。一夏はその姿を見て思ったのが。

 

(なんでメイド服着て此処に居るんだ?)

 

そう思っていたがまぁいいかと結論付け車に乗り込み家へと帰っていく。

 

 

~日本のとある温泉宿~

「ふぅ~、日頃の疲れが抜けていくな~。」

 

一夏はそう言って肩まで温泉につかる。ここは臨海学校で束が見つけた温泉宿に備わっている温泉なのだ。すると隣の女湯から声が聞こえてくる。

 

「へぇ~結構大きいわね。」

 

「そうですね。これだけ大きいと泳いでみたいです。」

 

「クーちゃん、温泉は泳ぐ場所じゃないよ。けどちょっとわかるかも。」

 

そう聞こえ一夏は声を掛ける。

 

「よぉ、此処の温泉、結構いい湯加減だぞ。」

 

「そうなの?それじゃあ入るとしますか。」

 

そう言って鈴達は温泉に入る前にかけ湯をしてから温泉へと入る。

 

「本当にいい湯加減ね。それになんだかお肌がスベスベになってる気がする。」

 

「本当ですね。うん?」

 

クロエは壁に書かれている掲示板に気づく。すると

 

「鈴お母様!この温泉には胸が大きくなるという言い伝えがあるそうです!」

 

「な、なんですって!」

 

そう叫び壁に書かれている文章を二人は食い入るように見る。

 

「なるほど。お湯につかりながら胸が大きくなるようにお願いしながら揉めばいいのね。」

 

「これがもし本当なら束お母様並みの胸も間違いなしですね!」

 

「良し、善は急げ!早速やるわよクーちゃん!」

 

「はい、鈴お母様!」

 

そう言って2人はやり始めている隣で束も同じようにしていた。2人はすぐに気づいてジト目をしながら訳を聞く。

 

「束お姉ちゃん、何してるの?」

 

「何って、胸を大きくするためのマッサージだよ。」

 

「「それ以上大きくさせてどうするんですか!」」

 

二人がそう怒鳴ると束はチッチッチッと言いながら指を横に振る。

 

「胸を大きくさせればそれだけいっくんを甘やかさせることが出来るんだよ。例えばお胸でパフパフさせたり、お胸でもたれ掛ってきた時の頭を支える場所にしたりとか色々あるんだよ。」

 

束がそう言っていると2人は俯いておりしかも小刻みに震えていた。

 

「「それができるのは、元から胸が大きい人だけでしょうがーーー!」」

 

そう叫んで2人は束の胸を互いに掴みかかる。

 

「ええいこの胸の肉寄越せーーー!」

 

「羨ましすぎるんです束お母様は!」

 

いきなりの行動に束は成す術がない。

 

「ふ、二人とも落ち着いて!あん、ダメ!そんなに強くもんじゃ!や、変になっちゃうから!」

 

そんな声が聞こえてきている中、一夏はと言うと覗くべきか覗くべきではないかと葛藤を続けていたとは3人は知る由もなかった。

 

 

温泉から上がってきた一夏は牛乳を買い、とりあえず頭を冷やそうとするが隣から聞こえてきた束の卑猥な声が耳に残ってどうしても頭が冷えなかった。暫くして鈴達も上がってきて一夏と合流し部屋へと戻ると豪勢な料理が準備されており一夏達はその料理をおいしくいただく。そしてはしゃぎすぎたのか鈴とクロエは早々に布団へと入り眠ってしまう。

一夏は部屋の窓近くに備えられている椅子に座り、ジュースを飲みながら夜空を眺めていた。すると束が向かいの椅子に座る。

 

「鈴ちゃん達、眠っちゃったみたいだね。」

 

「えぇ、あれだけはしゃいでいたらすぐに眠っちゃいますよ。」

 

そう言って一夏はコップに入ったジュースを飲み干すとそろそろ寝ますね。と言って布団に入ろうとする一夏に束が後ろから抱き着く。

 

「ど、どうしたんですか?」

 

一夏がそう聞くと束は息を若干荒げながら答える。

 

「今日、鈴ちゃん達に胸を揉まれた時にスイッチ入っちゃてね。ずっと我慢してたんだ。けどもう無理。」

 

そう言って一夏を布団へと押し倒し、その上から覆いかぶさる様に倒れてくる。

 

「え!ちょっ、束さンっ。」

 

一夏が声を掛けようとするがその前に束はその口を口で塞ぐ

 

「ん・・・・ちゅ・・・チュパ・・・プハッ。・・ハァハァ。」

 

一夏との長いキスをして呼吸を整えるため離れる束。一夏も乱れた呼吸を整えながら流石に鈴達が隣で寝ているのに行為をするのはまずいと考え止めようとする。

 

「た、束さん、隣で鈴達が寝てるから流石にまずいですって。」

 

一夏がそう言うと束は笑顔で答える。

 

「大丈夫だよ。鈴ちゃん達の布団の近くに私が作った発明品『安眠君』があるからね。」

 

「あ、安眠君?」

 

一夏がそう聞き返すと束が説明する。

 

「安眠君はね特殊な音波を出して睡眠を促進させる物なんだよ。例え大声を上げようが振動を起こそうが起きることはないんだ。勿論緊急時は即座に起きるための音波を出すしね。はい、説明終わり。さぁいっくん続きをしよう~。」

 

そう言って束は一夏にもう一度キスをしようとする。

 

「それでも怖いですって。」

 

そう言って一夏は何とか躱そうとするが束がそれを抑える。

 

「むぅ~~、躱し続けるならこっちだって考えがあるんだからね。」

 

そう言って束は何処からか注射器を取り出し一夏の首に刺す。すると一夏の体が痺れて動きにくくなる。

 

「た、束さん、な、何をしたん・・・ですか?」

 

「今いっくんに注射したのはちょっとした痺れ薬だよ。大丈夫、暫くしたらとれるから。」

 

そう言われたが一夏はここまで準備してあるということは計画性があると分かった。

 

「束さん、・・・・なにか・・・企んでる?」

 

そう聞かれ束はうぇ!と驚き、暫くして観念して説明した。

 

「ごめんね、実はクーちゃんが以前こんなことを言ってたんだ。―――――」

 

ある日、束とクロエが買い物から帰っている途中、その道の途中にある公園で遊んでいる子供たちがいたらしい。その中で男の子と女の子がいて2人は姉弟らしく、姉は弟の面倒を見ており、そんな弟も姉と仲良く遊んでいる。そんな光景をみてクロエは

 

『・・・・・私も弟が欲しいです。』

 

と、小さく呟いていたそうだ。だから束はクロエの為に弟をあげたい。そう思い、一夏との間に子供を作り、クロエに弟をプレゼントしようとこの計画を立てたと言う。

 

「ごめんね、いっくんの気持ちも考えずにやるべきじゃないよね。束さんもう寝るね。」

 

そう言って束は自分の布団へ行こうとするが、一夏は痺れた体を必死に動かし、束の腕を掴み引っ張る。引っ張られた束はそのまま一夏の胸に倒れ込む。

 

「い、いっくん?」

 

「そう言うこと・・だったら・・別にいい・・・ですよ。」

 

そう言って笑顔で返すと束は頬を染めながら喜ぶ。

 

「ありがとうねいっくん。だ~い好き!」

 

そう言って束は一夏に抱き着きキスをする。そして自身が着ていた着物を脱ぎ、大きな胸をさらけ出す。

 

「いっくん////」

 

「束さん。」

 

そう言って2人は朝日が昇るまで愛し合った。

 

 

 

一夏達が旅館で愛し合っているころ、とある国に建ててあるホテルの一室に3人の女性がいた。1人はブロンドヘアーの女性、もう1人が栗色のロングヘア―の女性、そして臨海学校で一夏達が遭遇した女の子だった。

 

「それじゃあ文化祭の日に決行するんだな、スコール?」

 

スコールと呼ばれた女性は首を縦に振り、質問を肯定する。

 

「えぇ、文化祭の日となれば多くの人が訪れる。そうすれば隙が生まれるはずだからその時にターゲットのコアを奪って。この作戦はM、貴女も参加するのよ。」

 

Mと呼ばれた少女は嫌そうな顔でスコールを見る。

 

「なんで私がオータムの面倒をみなきゃいけないんだ。」

 

そう言うとオータムと呼ばれた女性はMを睨む。

 

「あぁ?なんでてめぇに面倒をみられなきゃいけねぇんだ?逆だろうが。」

 

そう言ってオータムは殴り掛かろとするがスコールがそれを止める。

 

「止めなさい、オータム。M、とにかくこれは決定事項よ。オータムが目標の奪取が成功もしくは失敗した場合はちゃんと救助して共に帰還するのよ。」

 

そう言われMはめんどくさいと言った顔で部屋を出ていく。

 

「おいスコール、あいつはいらねぇだろ。俺一人で十分だ。」

 

「ダメよ、あの子がいれば万事問題なく遂行できるんだから、我慢しなさい。」

 

そう言われオータムは心底嫌そうな顔でMが出て行った扉を睨む。

 

Mは部屋から出た後、ニヤッと笑う。

 

「そう万事問題なく行けるわよ。あなた達が望んでいる結果はこないけど。」

 

そう呟いた後自分のホテルの一室に入り周囲に盗聴器やら人がいないか念入りに調べた後拡張領域から通信機を取り出し暗号回線を開き何処かに連絡を入れる。数秒後応答があるのを確認し報告する。

 

「決行日が分かりました。はい、文化祭の日にするようです。はい、了解しました。はい?新しい任務ですか?内容は?・・・はい、了解です。」(やったー!)

 

新しい任務と聞き、その内容を聞くとMは心のなかで喜びつつ返事をする。

 

「では失礼します。はい?今ですか?今1900ですが。はぁ~、了解です。うっんん、お休みなさい、お父さん。」

 

そう言ってMは通信を切り、通信機を拡張領域に仕舞い代わりに写真を取り出す。それには臨海学校でF-22ラプターを身に纏った一夏が写っている写真だった。

 

「ふふふ、待っててねお兄ちゃん。もうすぐお兄ちゃんと一緒に居られるからね。」

 

そう言って写真をギュッと胸に抱きしめ写真を仕舞い、布団へと入り眠った。




次回予告
夏休みが終わり、旅行から戻ってきた一夏と鈴はクラスへと行き多くの友人たちと挨拶を交わす。そしてシルヴィア先生が来ると新しい2組の副担任と生徒を連れてきた。その人物は何と束とクロエがだった。そして休み時間どうして此処に来たのか説明を聞く。するとそこに織斑千冬がやってくる。
次回2学期始動!~ハロハロ~、いっくんの奥さんで今日から2組の副担任、篠ノ之束さんだよ~。~


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18話

夏休み終わりの2日に旅館からロアナプラへと戻り学園へと戻る準備をし、バラライカや張達に出発の挨拶を済ませロアナプラを出立した。

 

IS学園へと戻ってきた鈴と一夏は寮へと行き、部屋に入ると荷物やお土産などが入ったキャリーケースを開け荷物の仕分けなどをして翌日に備え早々にベッドに入り眠った。翌日、一夏と鈴は朝食を済ませ、クラスメイトたちに配るお土産を持ってクラスへと向かう。そして2組のクラスに入ると何人かの生徒たちがいて、一夏達に気が付くと挨拶をしてくる。

 

「あ、鈴に天ノ川君久しぶり~。」

 

「本当だ、2人とも久しぶり~。」

 

クラスメイト達からの挨拶を返しつつ空港で買ってきたお菓子を配り、SHRが始まるまで夏休みをどう過ごしたか談笑しているとチャイムが鳴り、それぞれ席に着くと教室の前の扉が開きシルヴィアが入ってくる。

 

「は~い、皆さんお久しぶりです。この中の何人かはおはようございます。」

 

そうシルヴィアが言うと何人かが肩をビクッと跳ね上げさせて挨拶をする。その中にティナの姿もあった。その光景を見た一夏はあることを思い出す。

 

(そう言えば、赤点が3個あると補習学習で夏休みのほとんどが潰されるんだったけ。赤点取らなくてよかった~。)

 

と、心の中で必死に勉強して良かったと安堵していた。

 

「さて実は今日からこの2組に新しい生徒と副担任が来ることになったわ。」

 

シルヴィアがそう言うとクラスが騒然となった。

 

「先生、その転校生は男の子ですか?」

 

そう聞かれシルヴィアは苦笑いで答える。

 

「残念ながら女の子よ。因みに副担任も女性よ。」

 

「何だ~、残念。」

 

「あんたどんだけ男子が入ってきてほしいのよ。」

 

とみんな笑いながらしゃべっているとシルヴィアは手を叩きながら静かにさせる。

 

「はいはい、お喋りは休み時間でね。それじゃあ入ってきてください。」

 

「はい。」「は~い。」

そう言うと廊下から返事が聞こえてくると、一夏と鈴はえ?と声をあげ、顔を見合わせる。

 

「な、なぁ今クーちゃんと束さんの声が聞こえなかったか?」

 

「う、うん。聞こえた。まさか。」

 

そう言って前を向くと扉が開かれ入ってきた人物たちに驚く。

 

「「やっぱりクーちゃんに束さん(束お姉ちゃん)?!」」

 

「こらこらそこ2人、驚くのは分かるけど訳は後から聞きなさい。」

 

シルヴィアにそう言われ鈴と一夏は席に着く。

 

「さてそれじゃあ自己紹介等お願いします。まずはクロエさんからお願いします。」

 

シルヴィアにそう言われクロエは返事をし、1歩前に出て挨拶をする。

 

「1度お目にかかったと存じますが改めて自己紹介の方をさせていただきます。クロエ・k・天ノ川と言います。名前から察しますように天ノ川一夏の娘です。そして篠ノ之束、鳳鈴音は私の母です。目を閉じているのは事情の方がありまして目が見えないのです。ですが特別に許可を頂きISのハイパーセンサーを使用していますのでわかるのですが、まだ不慣れなところもあるのでその時は助けていただくとありがたいです。それでは皆さんどうかよろしくお願いします。」

 

そう言って頭を下げると拍手が起こる。

 

「こちらこそよろしくねクロエちゃん。」

 

「よろしくね~。」

 

とみんな歓迎的だったためクロエは少し呆けてしまうがすぐに笑顔を向けありがとうございます。と返事をし1歩後ろに下がる。

 

「はい、ありがとうございます。それじゃあ篠ノ之先生お願いします。」

 

「は~い。」

 

シルヴィアに呼ばれた束は返事をして1歩前に出て挨拶をする。お決まりのポーズを決めて。

 

「ハロハロ~、朝はみんなのアイドルで夜はいっくんだけのアイドル。そして今日からみんなの副担任になります、いっくんの奥さん事篠ノ之束先生だよ~。担当教科はISの技術指導と国際宇宙論だからよろしくね~。分からないことはそのまま放置せず素直に聞きに来てくれたら分かりやすく、そしてすぐに応用できるように解説するからね。と言う訳でよろしく!」

 

と言うと生徒たちは拍手と喝采が上がる。

 

「こちらこそお願いします!」

 

「私篠ノ之博士みたいなIS開発者になるのが夢なんです!」

 

クラスの多くは束が入ってくることに拒否せずむしろ大歓迎と言いたげに言っているとシルヴィアが手を叩く。

 

「はいはい、他のクラスはまだSHR中なんだから騒がないの。さて1限目からは早速篠ノ之先生の国際宇宙論の序論だからしっかり受けるように。特に夏休みに補習を受けた人たち、冬休みにまた補習を受けないようにしっかり勉強するのよ。」

 

そう言ってシルヴィアはSHRを終わらせる。一夏と鈴はクロエと束を連れて屋上へと連れて行く。クラスに残った生徒たちは恋人同士の大切な話だろうと聞きに行きたいという欲望を抑えながら授業の準備をする。

 

 

屋上に来た一夏と鈴は誰もいないか確認し、束とクロエがどうしてここに来たのか聞く。

 

「それでどうして2人は此処に?」

 

「いきなり来たもんだからびっくりしちゃったじゃない。」

 

そう言われ束はにゃははと笑いながらごめんごめんと謝る。

 

「いや~、本当はクーちゃんだけを学園に通わせようと思ったんだけど張さんが―――」

 

『ついでならお前も行ったらどうなんだ?一夏達のクラスは副担任がいないらしいから副担任として入れば一夏達と一緒に居られるぞ?』

 

「そう言われてついOKしちゃったんだ~。」

 

そう言われ一夏と鈴は張に感謝しつつこの学園の学園長によく受け入れたなと考える。

 

「なんで此処に居る束!」

 

そう大声が聞こえ、一夏達は屋上の扉を見るとそこには千冬が立っていた。

 

「あれ、精神病院に入院してたんじゃないの?」

 

束は笑顔でそう聞くと千冬はそれを無視してもう一度聞いてくる。

 

「コッチが質問をしているんだ、答えろ!」

 

そう言われ束はやれやれと言った感じで手をあげながら答える。

 

「此処に居るのはいっくん達のクラスに副担任がいないらしいから前から興味があった教師をやってみようかなと思って此処の学園長にお願いした。そしたら軽くOKを貰えたから此処に居るんだよ。と言うか今朝の会議で私のこと言われて無いの?あ、束さんが言わないようにお願いしてたんだった。忘れてたや。」

 

そう言ってケラケラと笑う。

 

「ふ、ふざけるな!お前が教鞭をとるだと?ふざけるのも大概にしろ!」

 

「ふざけてるも何も、束さんはマジだし。と、そろそろ時間かな。」

 

そう言って束はポケットから懐中時計を取り出し時刻を確認する。

 

「さていっくん達、そろそろ教室に戻るよ。束さんの楽しい楽しい授業の始まりだからね。」

 

そう言われ一夏達ははぁーい。と返事をして屋上を出るため千冬の横を通り過ぎていく。

 

「い、いち「いっくんに声を掛けるな。」?!」

 

千冬は一夏に声を掛けようとしたが束が銃を取り出して、銃口を千冬に向けそれを阻止する。その光景を見た一夏は

 

「束さん、そんな奴放っておいて早く教室行きましょうよ。」

 

そう言われ束は銃を仕舞い一夏達と共に屋上を後にする。残された千冬はもうあの頃に戻らない。と痛感しその場で泣き崩れ暫く動けなかった。




次回予告
ある日、一夏は鈴から何処かの部活に所属しないのかと聞かれ、一夏は入るより部活を作るかと言い束を顧問とした部活を設立する。そして入部してきたのは1組の専用機持ちとシャルロット、そして布仏本音と更識簪だった。一夏と鈴は2人にどうして入ってきたのか聞くことにする。
次回~武装部設立 私は変わりたいの、姉の付属品じゃないってことを。~


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19話

ある日、一夏は2組でのんびりしていると鈴が話しかけてくる。

 

「そう言えば一夏、アンタまだ部活って決めてないの?」

 

「うん?部活か?そう言えば決めてないな。」

 

そう言ってう~んと悩み始める。

 

「別に入らなくてもいいが、それだと3年間帰宅部だから面白くないしな。」

 

「だったら自分の部活でも創ればいいじゃない。」

 

鈴にそう言われ一夏はそれいいなと言い、早速部活創設方法を聞きに職員室に行く。職員室で方法を聞いたところ、顧問となる先生1人と部活動する場所、そして入部する人物が5人以上だったら許可が下りると言われ一夏は顧問を束にやって貰おうと頼みに行く。

 

「なるほどなるほど、いっくんが造ろうとしている部活の顧問をやればいいんだね。もっちOKだよ~。場所は束さんが探しておいてあげるよ。」

 

束は軽くOKを出し一夏は後は部員だなと思い昼食をとりに食堂へと向かう。トンカツ定食を受け取り一夏は開いてる席は無いかと探していると鈴とクロエがご飯を食べていたのを発見し合流しに行く。

 

「よ、鈴にクーちゃん。ここいいか?」

 

「あら一夏。別にいいわよ。」

 

「はい、お父様でしたら断る理由なんてありません!」

 

そう言われ一夏は笑いながら席に着きありがとうと言いクロエの頭を撫でる。そして昼食をとりながら部活創設の進展状況を説明する。

 

「つまり顧問は決まったけどまだ部員が足りないってことね。」

 

「そう言うことだ。」

 

そう話しているとクロエが参加してくる。

 

「あの、お父様。私もその部活動に参加してみたいです。」

 

「うん?俺が創設する部活にか?」

 

一夏がそう聞くとクロエは、はい!と返事し、鈴は

 

「これで部員は3人ね。」

 

そう言われ一夏は疑問を言う。

 

「3人?鈴もまだ部活に入ってなかったのか?」

 

「えぇ、拳法部とかあったけどあまり面白そうじゃなかったし。だったらあんたが造った部活にするのも悪くないと思ったからね。」

 

そう言われそれだったらいいかと思っていると一夏達に近付いてくる集団があった。

 

「あ、こんにちわ。鈴さん、天ノ川さん、それとクロエさん。」

 

そう言われ一夏達は振り向くとそこにはセシリアたちが食事を持って立っていた。

 

「やっほー。もしかして席探してる感じ?」

 

鈴にそう聞かれセシリア達は頷く。

 

「はい。もうほとんどの席が埋まってしまっているのでどうしようかと思っていたところだったんです。」

 

そう言われ鈴はそれだったらここに座ればと提案され3人はそれを受け入れ席に着く。

 

「ところで何か悩んでおられる様子でしたが何かあったのですか?」

 

セシリアにそう聞かれ別にしゃべってもいいかと思い一夏は説明する。

 

「実は部活を造ろうと思ってな。それで部員を集めているんだが今3人しかいないんだ。」

 

「部活?どういった部活なの?」

 

シャルロットにそう聞かれ一夏が答える。

 

「まぁ簡単に言えば銃器、刃物など自分の身は自分で守れるようにするためにいろんな武器や身近なものを使った護身術などを学んでいこうと言った健全な部活かな。」

 

そう言われ3人は

 

(((どこが健全なんだ?)))

 

そう思いながらもなんだか楽しそうだなと同時に思う。

 

「あの、その部活なんですがわたくしも参加してもよろしいでしょうか?」

 

そうセシリアに聞かれ一夏と鈴は理由を聞く。

 

「なんでまた?確かお前テニス部に所属してなかったか?2組のテニス部の人がそう言ってたぞ。」

 

「はい。テニス部に所属しています。ですがテニスはイギリスでやっていたことをこちらでも続けようと思って入ったのですが、天ノ川さんが造ろうとされている部活はわたくしが苦手としている近接攻撃の練習などにもなると思ったのですが、ダメでしょうか?」

 

そう言われ一夏は

 

「テニス部はどうするんだ?」

 

「勿論続けます。偶に天ノ川さん達の部活には参加できないことがあると思うのですがそれでもいいでしょうか?」

 

「まぁ両立できるなら俺は特に何も言わん。」

 

そして残りの2人も入りたいと言う。シャルロットは自分も銃器の扱いは得意だが刃物はあまり得意じゃないから教えてほしいため。ラウラは高校の青春とはどういった物なのか味わってみたいとのこと。そして銃を扱うなら現役の軍人が居ても損はないとのこと。(本音はただ仲間外れは嫌だから入りたいとのこと。)

 

部員がそろった一夏は早速職員室に行き部活創設申請書を提出する。そして3日後、束が場所が決まったと言い、放課後部員たち全員を連れエレベーターで学園の地下に下りる。ついた場所は射撃場やCQB(近接戦闘)フィールドがある場所だった。

 

「束さん、此処は?」

 

「此処は元々教員たちが銃器の訓練をするために作られた場所らしんだけどもう使われなくなっちゃった場所だよ。学園長に聞いたらこの場所だったら置いてある物とか好きに使っていいよだってさ。」

 

そう言いながら射撃場横にある部屋のカードキーを通し番号を打つと電子音が鳴り扉が開く。そして束と共にその部屋に入ると大量の武器が置かれていた。一夏以外は圧巻している中、一夏は手近にあったAK-47をとり動作を確認する。

 

「チャージングハンドルの動きが悪いな。長い間手入れされて無いようだ。」

 

そう言って銃を戻しみんなに向き直る。

 

「最初の部活動は此処にある武器のメンテだな。」

 

そう言うとみんな頷く。

 

「あ、因みに銃についてあまり詳しくないって言う人挙手。」

 

束がそう言うとセシリアが挙手。他はあげていない。

 

「シャ、シャルロットさん分かりますの?!」

 

「うん、僕が使っていたISの武器はほとんどが実弾武器だったからある程度は分かるよ。」

 

そう言われセシリアはショボーンとする。そして束はホワイトボードと机と椅子を持ってきてセシリアに座るように促す。

 

「ほらほら束さんが直々に教えてあげるんだからちゃんと覚えろよ。」

 

「は、はい!」

 

そう言い椅子に座り束の銃口座を受ける。セシリア以外は銃のメンテを始める。ラウラはドイツが産んだ銃、H&K(ヘッケラー&コッホ)社製の突撃銃(アサルトライフル)、G36を慣れた手つきで分解しメンテを始めている。

 

「さすが現役の軍人だな。」

 

一夏がそう言うとラウラは当たり前だ。と言う。

 

「ドイツにいた頃はこいつを分解して組み立てる行為を何度もしていたからな。体が覚えていたんだ。」

 

そう言って懐かしむようにメンテをするラウラ。一方シャルロットは対物ライフルPGMウルティマラティオ・へカートⅡを手入れしていた。

 

「またデカいものを手入れしようと思うわねあんた。」

 

鈴は呆れながらそう言う。シャルロットは苦笑いで答える。

 

「いや~、これだけ口径の大きい銃を見つけちゃうと実際に触ってみたいと思っちゃってね。」

 

そう言われ鈴はシャルロットは銃の口径がデカいほど燃えるタイプかしらと思う。そして一夏はクロエの元に行くとクロエはハンドガンの手入れをしていた。そしてクロエがメンテしているのはベレッタ社のM92である。

 

「クーちゃんうまくできそう?」

 

「はい。けど普段はワルサーのPPKしかメンテをしたことがなかったので実際に触りながらメンテをするのは初めてなので少し心配です。」

 

そう言ってメンテを終えたM92を『メンテ済み』と書かれた籠に入れる。一夏は籠に入れたM92をとりマガジンに弾を込め射撃場に行く。クロエはその光景を見て何をするのかすぐに分かり、耳あてをみんなに配る。そして一夏は耳あてを付けた後スライドを引き初弾を込め銃を構えマガジンに入っている弾をすべて撃つ。排出された薬莢は空を飛び地面に音を立てて落ち転がる。その光景を見ていた6人は呆けている。一夏は耳あてをとりクロエに近付き頭を撫でる。

 

「ちゃんとメンテ出来ていたよ。もし心配だったら俺か束さんに聞いたらいいからね。」

 

そう言って銃を籠に戻し全員分のジュース買いに行ってくる。と言ってその場から出ていく。頭を撫でられたクロエはえへへへへ。と照れている。ラウラは少し羨ましそうに見ている中、鈴は一夏が撃った的を見ている。的には頭と胸を的確に射貫いており狂いはなかった。

 

「さすが一夏といったところかしら。」

 

そう言って鈴はクロエの元に行き一緒に銃のメンテを始める。

 

地上に戻った一夏はそこから一番近い自販機に行き適当にジュースを買い戻ろうとすると後ろから声を掛けられる。

 

「あ、あのちょっといい?」

 

一夏は後ろを向くとそこには水色の髪の眼鏡を掛けたおどおどした女子とダボダボの制服を着た女子がいた。

 

「何か用か?」

 

そう言われ眼鏡を掛けた女性は話しかけた理由を言おうとするがどう伝えたらいいのかわからないのかしどろもどろになっている中隣の女子が言う。

 

「あのね~、いっち―が創った部活に入りたいんだ~。」

 

そう言われ一夏は首を傾げる。

 

「どこで俺が部活創ったって知ったんだ?」

 

「皆噂してたよ~、噂の男子生徒が自分の部活創ったって。」

 

そう言われなるほどと納得していると眼鏡の女子が聞いてくる。

 

「えっと、それで入部は?」

 

そう言われ一夏はうぅ~ん。と考える。

 

「まぁここで立ち話もなんだし一度部活見てから決めるのはどうだ?いきなりここで入部となって後で全然違うってなったら面倒だろ?」

 

そう言われ2人は確かに。とつぶやき一夏と共に地下の射撃場に下りる。

 

一夏達が射撃場に着くと銃のメンテがほぼ終わったのかラウラたちは片づけを始めている。

 

「お~い、入部希望の生徒とジュースを持ってきたぞ。」

 

そう言って机の上に適当に買ってきたジュースを置く。そして銃を片付け終えた鈴達はジュースをとり飲みながら入部希望の生徒を見る。

 

「それでえっと、」

 

「わ、私は更識簪って言うの。一応日本代表候補生です。それとあまり名字は好きじゃないから簪って呼んで。」

 

そう言って眼鏡を掛けた女子事、簪は挨拶をする。

 

「私は布仏本音って言うんだ~。かんちゃんとは幼馴染なんだ~。よろしく~。」

 

そう言ってダボダボの袖をふる。

 

「あら、本音さん。こんにちわ。」

 

「あ、本当に本音さんだ。」

 

「ふむ、いつもお菓子を食べているあの着ぐるみの奴か。」

 

そう言ってセシリアたちは本音に挨拶をする。

 

「さて入部についてなんだがどうしてこの部を選んだのか教えてくれないか?」

 

一夏は簪たちにそう聞くと簪は言いにくそうにしている。それを見た本音は心配そうに聞く。

 

「かんちゃん、言いづらいなら私が言うよ?」

 

そう言われ簪は本音に大丈夫。と言って顔をあげて説明をする。

 

「実は私には姉がいるの。姉は何でもできる人なの。けど私はいつも姉の付属品みたいな感じで見られてたの。周りは姉が出来るのになぜおまえは出来ないって言われて私必死に追い付こうとして頑張ったの。それで日本代表候補生になれたの。そして私の専用機が造られる予定だったの。」

 

一夏達はだったと過去形で言われたことに疑問を持つ。

 

「だった?ということは貴女。」

 

鈴がそう言うと簪は首を縦に振る。

 

「突然入ってきたISの製造依頼で私の専用機の計画は途中で凍結されたの。」

 

「「「?!」」」

 

そう言われセシリア、ラウラ、シャルロット、鈴が驚く中、一夏は何かを思い出したような顔立ちになる。

 

「その依頼は織斑千冬が関わっているのか?」

 

一夏はそう聞くと簪は首を縦に振る。

 

「うん。私が施設を出ていくときそこの職員が――――」

 

『いい?あの千冬様からの直々の依頼なんだから変な機体を送るなんて失態犯すんじゃないわよ!』

 

「そう言って私の専用機の開発者たちに叫んでたから間違いない。」

 

そう言うと一夏は舌打ちをする。そして頭を下げる。いきなりの行動に全員驚く。

 

「元とはいえ、俺の身内がとんでもないことしてしまい本当に申し訳ない。」

 

そう言って深々と頭を下げる一夏に簪は慌てて頭をあげるように言う。

 

「あ、貴方のせいじゃないことは知ってるから頭をあげて。」

 

そう言われ一夏はゆっくりと頭をあげる。

 

「それで今ISはどうしているの?」

 

鈴がそう聞く。

 

「今は学園にお願いしてメンテナンスルームの一つを借りてそこで作ってる。」

 

そう言うと下を向く。本音は補足的な説明をする。

 

「ISが完成しないとかんちゃん、此処で結果が残せなかった場合候補生資格を剥奪されるかもしれないんだ~。」

 

そう悲しそうに説明する本音に一夏はある提案をする。

 

「それだったら俺たちも手伝おうか?」

 

そう言われた簪は顔をあげて驚く。だがすぐに下を向く。

 

「申し出はありがたいけど一人で作るから大丈夫。」

 

「だがそれだと結果も出せないから候補生資格を剥奪されるかもしれないんだろ?だったら俺たちを頼れ。お前はもううちの部員だ。」

 

そう言われ簪は顔をあげる。

 

「え?でもまだ入部届を出してない。」

 

「そんな物後で出せばいい。お前は此処に入りたいと思い来たんだろ?それはお前自身が今までの自分を変えたいと思って行動したんじゃないのか?それだったら俺たちはどんなことでも協力してやる。それにここの顧問はISの知識だったら右に出る人はいないしな。」

 

そう一夏が言うと後ろから一夏に抱き着く束。

 

「そう、この部活の顧問でISの生みの親である束さんがいるからね!」

 

束の登場に簪は驚き立ち上がる。

 

「し、篠ノ之博士?!」

 

「大体の話は聞かせてもらったよ~。この私にド~ンと任せなさいな。」

 

そう言って胸を張る束。

 

「君はもう少し周りを頼るように努力しないと、何時まで経っても君はお姉さんを超えられないよ?」

 

束がそう言うと簪はドキッとする。

 

「・・・・分かりました。・・・その、どうか私に皆の力を貸してください!」

 

そう言って頭を下げた簪

 

「勿論いいぞ。皆もいいよな。」

 

一夏はそう言うとセシリアたちも笑顔で首を縦に振る。

 

「ねぇねぇいっちー、私の入部は~?」

 

本音がそう聞いてくると一夏は勿論いいぞと答える。

 

「それじゃあこれからよろしくな簪、本音。ようこそ武装部へ。」

 

そう言って一夏達は簪達の入部を歓迎した。温かく迎え入れられた簪は心の中で決心をする。

 

(私はこの部に入って変わる。もう2度と姉の付属品なんて言われないようにするために。)




次回予告
部活が始動し、一夏達は簪の専用機の開発を手伝いつつ、部活に精を出す。そしてある日学園祭のことで説明があるとのことで全学年体育館に集められる。そして説明が終盤に差し掛かった時学園の生徒会長が現れ何やらビッグイベント発表しますと言ってスクリーンをだす。そのスクリーンを見たこの学園で怒らせてはいけない人物堂々の1位になった人物が壇上に上がる。
次回学園祭・説明編~君は私を怒らせる天才だね~。~


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20話

今回から挿絵(銃シミュレーターで造った銃)を加えていきます。あまり多くは入れられないかもしれませんがよろしくお願いします。


武装部が設立され数日が経ち、一夏達は部活に精を出したり簪のISの開発を手伝ったりと色々と忙しい日々を過ごしたがそれでも充実した日々を過ごしていた。そんなある日の朝、学園祭の説明があるとのことで全学年が体育館に集められた。

 

「ではこれより学園祭の説明会を始めさせていただきます。まずは学園長からのお話です。」

 

そして学園祭の説明が始まる。学園長からの説明から始まり、次に風紀委員会からの説明、そして最後に生徒会会長から最後の説明で終わりのところまできた。

 

「では最後に当学園の生徒会長、更識楯無会長からの説明で終わりとさせていただきます。では会長お願いします。」

 

そう言われ学園の生徒会長、更識楯無は壇上へと上がる。

 

「あれが簪さんのお姉さんか。」

 

「見た目からして裏で色々してそうな感じね。」

 

一夏と鈴は見た目からどういった人物か観察していると楯無の説明が始まった。

 

「皆さん、おはようございます。私が当学園の生徒会長、更識楯無です。ではこれより生徒会から重大発表を行います。」

 

生徒会長からのいきなりの重大発表と言う単語に体育館内は騒然となる。

 

「はいはい、みんな静かに。それではスクリーンをご覧ください。」

 

そう言われ全員スクリーンを見た瞬間

 

「「?!」」

 

そこには『天ノ川一夏 特別講座』と書かれていた。

 

「今回の学園祭では一番楽しかった出し物を投票で決めて、一番になった出し物にはスクリーンに書かれている通り天ノ川一夏君直々に武器の特性や護身術について教えてもらえる権利を得とく出来るわ!」

 

そう叫ぶと館内は大きく騒ぐ。

 

「よっしゃーーー!皆優勝目指してやるわよ!」

 

「こっちも負けられないわよ!」

 

多くの生徒たちは優勝目指している中、一夏と鈴はと言うと

 

「ちょっと一夏、本当なの?」

 

「いや俺はそんな話聞いてないぞ。」

 

一夏と鈴が混乱していると突然銃声が鳴り響き、プロジェクターが壊される。突然の銃声に館内が静まり、銃声がした方を見るとそこには派手な色で染められたM98Bを持った束がいた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

束はコッキングレバーを引き、弾を排莢して次の弾を送りそのまま壇上へと向かう。その時束がシルヴィアの横を通り過ぎようとした時シルヴィアから

 

「口はいいけど、手は出しちゃだめよ。」

 

そう言われ束は首を小さく縦に振ってから壇上へと上がる。

 

「な、何か用でしょうか篠ノ之先生?」

 

楯無は今度は自分が撃たれるのではと思いいつでもISを展開できるようにしていると束は笑顔だが目は笑っていない状態で話しかける。

 

「君、私を怒らせる天才か何かかな?」

 

そう言われ楯無はへ?となる。

 

「いっくんは今回のこれについて何一つ知らされていないし、許可した覚えもないらしいんだけど。」

 

「えっと、寮のお部屋で許可の方をお願いしました。」

 

「部屋にね~。けど君が束さん達の部屋に来た覚えが一回も無いんだけどそれってどういうことなのかな~?」

 

そう言われた瞬間、楯無は驚く。まさか目の前にいる人物は一夏と鈴と同じ部屋に住んでいるとは知らなかったからだ。

 

「そ、それは篠ノ之先生がいなかったからで。」

 

「あそこの部屋、監視カメラが仕掛けてあるんだけど私がいない時に君が訪ねている様子もないんだけどどういう事かな?」

 

漸く出した逃げ道も束に潰され、すでに八方塞がりの状態になる楯無。

 

「今すぐ、このふざけた発表を無しにするなら束さんは今回のこと水に流してあげる。けどもし無しにしなかったら。」

 

そう言って束はポケットから四角い箱にスイッチがつけられている物を取り出す。

 

「そ、それは?」

 

楯無は恐る恐る聞くと束は笑顔で答える。

 

「これはね~、一部のISを除いた世界中のISを停止させるボタンだよ。」

 

そう言われた瞬間館内に衝撃が走る。今束の手元にあるボタンがもし押されれば世界中は混乱に陥るからだ。

 

「な、何をされるのか分かってるのですか?!」

 

「分かってるよ~、けどいっくんの意思を無視してこんなことをするなら束さんも非情になるもんね。」

 

そう言われ楯無は自分の計画と世界の治安かと言うともはや答えは1つとしか言いようがなかった。

 

「わ、分かりました!この講座は無しとします!ですからそのスイッチを押さないでください!」

 

楯無はそう叫ぶと束は

 

「分かればいいんだよ~。」

 

そう言ってスイッチをポケットに戻す。そして壇上から降りる。

 

「で、では生徒会からは以上です。」

 

そう言って壇上から降りていく楯無。その足はふらついており、もう一人の生徒会役員に肩を貸されながら歩いていく。

 

「ではこれにて学園祭説明会を終わります。」

 

そう司会の人が言うとぞろぞろと体育館から出て行く人達。そして一夏達も体育館から出て行き教室へと向かう。その途中で簪から姉の暴走を謝罪されるが簪が悪いわけではないからと言って教室へと戻らせる。

 

そして2組ではクラスの出し物について案が多く出される。多くはカフェなどでどれにするか悩んでいると束がある提案をする。

 

「だったら中華喫茶でもどうかな?このクラスには鈴ちゃんと言うリーダー、さらに我がクラスの切り札いっくんもいるし。」

 

そう言うとクラスはその案で行こうと賛成し、2組は中華喫茶をすることになった。

 

そして放課後、一夏達は部室である射撃場へと向かう前に簪が借りているメンテナンスルームへと向かう。

 

「あ、天ノ川君。それに鈴さん。」

 

そう言って簪は手を止め一夏達に挨拶をする。

 

「こんにちは、簪。どう進んでる?」

 

「うん。あとはこれをインストールすれば完成する。」

 

そう言って空間キーボードのエンターを押すとインストール中と表示し、そしてインストール完了と表示される。

 

「で、出来た!」

 

そう言って勢いよく簪は立ち上がる。

 

「おめでとう簪!」

 

「おめでとう。」

 

一夏達はそう言って拍手しながら完成を祝う。

 

「そ、そんな天ノ川君たちのお陰だよ。足りない部品も天ノ川君の知り合いの人から回してくれたり、色々手を貸してくれたおかげだよ。」

 

不足していたパーツは簪の機体には特に重要な部分の物で、日本のなかではもう手に入りにくい物だったのだ。それで一夏はバラライカに電話をし不足しているパーツを伝えると直ぐに探してみると伝え3日後に見つけ出しブーゲンビリア貿易を使って一夏達にパーツを届けてもらったのだ。

 

「それじゃあ部室に行って束さんに確認してもらってそれから打ち上げと行こうか。」

 

そう一夏が言うと簪は首を傾げる。

 

「どうして篠ノ之先生に見てもらうの?」

 

「こういうのは最初自分やISについてあまり知識が乏しい人が見ても完璧にできていると思うけど、思わぬ落とし穴があったりするかもしれないからな。それだったらISに詳しい人に見てもらって本当に大丈夫か判断してもらった方が安心するだろ。」

 

「確かにそうだね。うん、篠ノ之先生に見てもらう。」

 

そう言って簪は完成したのが嬉しかったのか速足で出て行き、その後を一夏達も追いかける。そして部室に着くとすでにセシリア達は部活動をしていた。

 

「あれ、束さんは?」

 

「まだこちらには来てはおりませんわよ。」

 

そう言ってセシリアは鈴に近接戦闘について教えてもらいに行く。一夏はそれだったら暫く待つかと思い拡張領域に入れているM4CQB-Rをいじる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

簪はその光景を見ながら銃について一夏に質問をしたりする。そして暫くすると束とクロエがやってくる。一夏は束達の様子がおかしいことに直ぐに気が付き話を聞く。

 

「束さん、何かあったんですか?」

 

そう聞くと束とクロエはさっきあったことを話す。

 

「さっき職員室から出て行こうとしたらあの脳筋馬鹿(織斑千冬)が部活の顧問を代われって怒鳴ってきてさ。本当にマジムカついた。」

 

「実はモップが勝負しろと強迫してきて追い払うのに手間取りました。」

 

「なるほど。」

 

そう喋っているとエレベーターからシルヴィアが降りてくる。

 

「あ、いたいた。篠ノ之先生さっきのことで報告があるの。」

 

「なにシーちゃん?まさか学園長の奴が顧問を変わるようにって言ってきたの?」

 

「違うわ。顧問はそのままでいいって。それと今日の朝の行為はちょっとやりすぎだから1ヵ月の減俸だそうよ。」

 

そう言われ束はふぅ~んと言って興味なく言う。

 

「それとクロエちゃん。さっき箒さんが貴女と決闘をするから道場の貸し出しを申請してきたんだけど受けたの?」

 

そう言われた瞬間クロエははい?と言って首を傾げる。

 

「私は受けた覚えはないです。まったく傍迷惑にも程があります。」

 

そう言ってプリプリと怒っていた。

 

「だったら申請は取り下げておくわね。」

 

そう言ってシルヴィアが出て行こうとした時一夏がそれを止める。

 

「待ってくださいシルヴィア先生。クーちゃん、あいつの挑戦受けてやれ。」

 

そう言われクロエは驚く。

 

「ど、どうしてですかお父様?」

 

「なに簡単なことだ。あいつを完膚なきまで叩き潰せるチャンスが来たと思えばいいんだよ。」

 

そう言うとクロエは普段見せない黒い笑顔で一夏を見る。

 

「つまり容赦なく潰してもいいんですね、お父様。」

 

「あぁ、情け容赦はいらない。存分に叩き潰してやれ。」

 

そしてクロエはシルヴィアに勝負を受けることを伝える。その代わり自分はISのハイパーセンサーを使う事を伝えておいてほしいと伝える。

シルヴィアは似た親子ねと思いながら道場の申請を通す準備をしに行く。




次回予告
箒の一方的な挑戦を受けることにしたクロエ。そして道場でクロエは剣道着を着て箒と勝負をする。そして片腕しかない箒にとっては不利しかなく直ぐに勝負がつく。そしてクロエが出て行こうとすると箒が襲い掛かってくる。が一夏がそれを阻止する。そして箒がとんでもないことをしていることを剣道部の部長に言う。その頃生徒会室にいる楯無はロシアのIS委員会からお説教を受けていた。

次回愚行を重ねる愚妹~人を殺そうとするなんて本当に最低な人~


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21話

一夏と鈴、クロエは道場へと行くと既に剣道着を着ている箒と剣道部の部員たちがいた。部員の一人が一夏達に近付く。

 

「初めまして。私が剣道部の部長、矢野真紀奈よ。今日は御免なさいね。彼女何度言っても聞かなくて。」

 

「別にいいですよ。その代わり全力で行かさせていただくので。それで彼女が再起不能になっても責めないでくださいね。」

 

そうクロエが言うと真紀奈は別にいいわよと言う。

 

「それじゃ胴着は隣の部屋にあるから案内させるわね。」

 

そう言って真紀奈は一夏達と同じ2組の部員にクロエを案内させる。数分後剣道着に着替えたクロエが出てきて箒と対面する。

 

「あの時の報いを受けさせてやる!」

 

「そうですか。できたらいいですね。」

 

クロエはそう言って嘲笑うと箒は怒りを露にする。そして真紀奈が開始の合図を出したと同時に攻撃を仕掛けてくる。箒は他の部員からやりづらいから短めの竹刀の方が良いと言われていたのに通常の竹刀で攻撃を仕掛けてくる。しかし怒りで振り方が雑になっておりクロエは難なく躱す。そんな時一夏はあることに気にかかる。

 

「なぁ、あいつの竹刀振ったときの音なんかおかしくないか?」

 

「えぇ、普通の竹刀にしちゃ空気を切る音が大きいわ。」

 

「何か仕込んでいるのか?」

 

そう言うと一夏は試合を止めるべきか悩むとクロエからプライベート回線が届く。

 

『お父様そろそろ片づけます。』

 

そう言って切られた。一夏はそれを聞いてまぁクーちゃんなら大丈夫かと安心する。

 

「そろそろ終わらせます。」

 

そう言ってクロエは竹刀を抜刀術みたいな構えに入る。箒は好機と思い攻撃してくるがその前にクロエが懐に入り胴を決める。

 

「勝負あり、勝者クロエさん!」

 

そう言われクロエは当然と言わんばかりの顔になる。

 

「では金輪際お父様やお母様達に付きまとわないでくださいよ。」

 

そう言ってクロエは胴着を脱ぎに行こうとする。その背後から箒が襲い掛かってくる。だがその攻撃を予期していたのか鈴はグルカナイフを投げ箒の動きを阻止する。

 

「こ、この!」

 

「動くな。」

 

そう言って一夏はP250を箒に向けながら箒が持っていた竹刀を奪い確認する。そして一夏は持った瞬間気になっていたことが分かる。

 

「てめぇ、俺の娘を殺す気だったのか。」

 

そう言われ箒は目線をそらす。真紀奈はどういうことなのか分からずにいて訳を聞く。

 

「あ、天ノ川君どいうことなの?殺すって。」

 

そう聞かれ一夏は箒から奪った竹刀に結ばれている紐を解く。すると竹刀の中から鉄の棒が出てくる。

 

「?!な、なんでそんなものが!」

 

「おおかたこいつがクーちゃんを殺すために仕込んでいたんでしょ。」

 

そう言われ真紀奈はクロエに頭を下げる。

 

「ごめんなさいクロエさん。もう少し早く私が気づいていればこんな試合止められていたのに。」

 

「いえ、最初の攻撃であの人が竹刀に何らかの細工をされていたのは気づいていましたし、あんな攻撃に当たるような軟な鍛え方はしていないので大丈夫です。」

 

そう言われ真紀奈は少し安心する。そして先ほどの抜刀術について聞く。

 

「あの抜刀術って誰に教わったの?」

 

「あれですか?あれは」

 

少し言いづらそうになった後クロエは笑顔になり

 

「内緒です。」

 

そう言われ真紀奈は詮索はしないでと言う意味かと捉え、深くは聞かなかった。そして箒に体を向ける。

 

「篠ノ之さん、今日限りでこの部から出て行って。」

 

そう言われ箒は聞き間違いかと言わんばかり驚愕に染まった顔で返す。

 

「剣道は己の心を鍛えるための物で決して人を殺すための物じゃないわ。もう貴女は竹刀を握る資格なんてない。さっさとこの部から出て行きなさい!」

 

そう怒鳴られ箒は壁を殴ってからその場から出て行く。

 

「良いんですか?」

 

一夏がそう聞くと真紀奈は仕方ないと言った表情になる。

 

「彼女が片腕になったと聞いたときは少しは大人しくなると思ったけど逆に悪化しているとは思わなかったもの。仕方がないわ。」

 

そう言われ一夏はそこからは何も言わずクロエと鈴と共に部室へと戻る。

 

 

 

 

その頃、生徒会室では生徒会長である楯無がロシアのIS委員会から怒られていた。

 

『全く貴女は何を考えているんですか!先ほどDr.篠ノ之から『今度同じようなことをしてきたらIS止めるからな』と警告されたのですよ!万が一止められた時、貴女は責任が取れるのですか!』

 

既に数時間に及ぶお説教を受けており楯無は既に深く反省をしておりずっと頭を下げる作業を繰り返していた。

 

「はい、はい、本当に申し訳ありませんでした。もう2度こんなことを起こさないようにします。はい、はい、本当に申し訳ありませんでした。では失礼します。はい。」

 

そして漸く解放され椅子にドカッと座り深く息を吐く。

 

「漸くかいほ~うされた~。虚ちゃ~んお茶ちょうだ~い。」

 

そう言って生徒会書記の布仏虚にお茶を淹れてもらおうとしたが

 

「自分で淹れてください。」

 

そう言われ楯無は気まずくなる。

 

「・・・まだ怒ってる?」

 

そう聞かれた瞬間虚は持っていた鉛筆を握力で折る。

 

「当たり前です!下手をしたら御家が潰されたかもしれなかったのですよ!そこのところを分かっているのですか!」

 

「う、うん分かったから落ち着いて。」

 

「落ち着け?これが落ち着けますか!あんなふざけた企画を考えていたなんて。知っていたら手段を選ばず止めていたのに。」

 

そう言って頭を抱えながら息を吐く。

 

「ご、ごめんなさい。」

 

楯無は自分の従者がここまで凹むとは思っていなかったのだ。

 

「第一、どうしてあんな企画を立てたんですか?」

 

そう聞かれ楯無は説明する。

 

「天ノ川一夏君の親戚については知ってるわよね。」

 

「はい、1人はブーゲンビリア貿易と言う貿易会社を営んでいるロシア人女性でもう1人がケーブルテレビ配給会社、熱河電影公司を営んでいる中国人男性と聞いています。」

 

「そう、けどそれは表向きの顔。裏は全然違うわ。」

 

そう言われ虚ははい?と首を傾げる。

 

「ブーゲンビリア貿易はロシアンマフィア、ホテルモスクワの支部。そして熱河電影公司は国際マフィア三合会の支部。」

 

そう言われ虚は驚く。

 

「まさか彼がその2つの組織と繋がりがあると思っているのですか?」

 

「えぇ。だって彼のその親戚、かなりの有名人だもの。ホテルモスクワはバラライカ、三合会は張維新。この二人は虚ちゃんだってよく知ってるでしょ?」

 

「は、はい。冷酷非道で有名ですからね。まさかお嬢様はそれであんな企画を立てたのですか?」

 

「えぇ、彼と繋がりを持てたら裏の情報網を更に広げられる。そう思ったんだけど・・・。」

 

楯無はそこからは顔を下に向ける。虚はすぐに察する。

 

「まぁあんな企画を通そうとすればあぁなりますね。」

 

そう言って今朝のことを思い出す。

 

「おね~ちゃ~ん、もう終わったから行ってもいい?」

 

そう言ってきたのは本音だ。本音は生徒会役員で生徒会に届いた資料などを整理する手伝いをさせられて部活に行けずにいたのだ。

 

「あら珍しく早く終わったわね。」

 

「うん!さっきかんちゃんから連絡があってISが出来たから今から部室で打ち上げをするってメールで言ってたんだ~。」

 

そう言うと楯無は机に手を音を立てて立ち上がる。

 

「あ、ISが出来た?!だってまだ機体の半分も出来てなかったんじゃなかったの?」

 

「うん。かんちゃんがいっちーが造った部活に入ってからいっちー達に手伝ってもらいながら作ってたんだ~。しかも篠ノ之先生に時折教えてもらいながら~。」

 

そう言った瞬間、楯無と虚は驚く。

 

「し、篠ノ之先生が手伝った?!」

 

「本音それは本当なの?」

 

「うん。けど直接ISに触りながらじゃなくてかんちゃんが設計した構図をこれでいいかどうか確認してきた時にアドバイスしたりとかだけだよ。

 

「そ、そう。」

 

「それじゃあ私行くね~。」

 

そう言って本音は生徒会室から出て行く。その後ろ姿は楽しみなのかスキップしているかの様な感じだった。

 

「そう、簪ちゃんは天ノ川君の部活に。」

 

そう言って楯無は椅子に深く座る。

 

「まだ仲直りが出来そうにありませんか?」

 

そう言われ楯無は小さく首を縦に振る。

 

「はぁ~、早く仲直りできるといいですね。」

 

「他人事みたいね。」

 

「はい、他人事ですから。」

 

そう言われ楯無はうっ!と言い息を吐き赤くなり始めた空を見上げる。




次回予告
簪のISが完成してから翌日、簪のIS『打鉄弐式』の稼働テストの為アリーナに行く一夏達。そしてその背後を付ける楯無。が、直ぐにばれる。その後稼働テストをするはずがいつしか姉妹ゲンカへと変わる。楯無は止めておいた方がいいと言うが簪は何か秘策があるのか頑なに拒む。そして姉妹ゲンカがきって落とされる。
次回壮大な姉妹ゲンカ~いつもいつもストーカーみたいなことしてきて正直気持ち悪かったのよ!~


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22話

自分的に少し納得がいかなかったところがあるのとある指摘を頂いて少し書き直す為、22話を一度消去しました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


一夏達は今アリーナが見渡せる管制室でモニターを見ている。そこには簪と楯無がISを身に纏って相対している。なぜこうなったかそれは数十分前に遡る。

 

~数十分前~

 

一夏と鈴、簪は束とクロエが待っているアリーナへと向かう。

 

「楽しみね簪のIS。」

 

「だな。今日のテストで問題がなかったら次のクラス対抗戦に簪も出られるんだろ?」

 

「うん。そうなったら手加減なしで行くからね、鈴。」

 

「ふふん、こっちも手加減なしで行くから覚悟しなさい。」

 

簪と鈴は互いに戦える日を待ちどうししながらアリーナへと向かう。そんな一夏達の背後をコソコソと着けている人物がいた。

 

「あんな楽しいそうな笑顔、私には見せてくれないのに。」

 

そう言いながら覗き見ている楯無。そして彼らが角を曲がったのを確認しその角まで行き覗き見ると3人の姿が消える。

 

「?!う、うそ!確かにここを曲がったはず。」

 

そう言って廊下を少し進む。すると横から視線を感じ横をみると3人がジト目で楯無を見ていた。楯無は汗を滝のように流しながら見つめ返す。

 

「は、はぁ~い。元気?」

 

「えぇ元気ですよ、さっきまでは。」

 

「本当にさっきまでは楽しい気分でした。」

 

「うん、貴女にあったら気分が失せた。」

 

3人にそう言われいたたまれない気持ちになる楯無。

 

「いつから気づいてたの?」

 

「俺たちが簪と合流した時から。」

 

一夏がそう言うと鈴も頷く。簪は角を曲がった際に一夏に聞かされ気づく。

 

「・・・・最初からだったのね。」

 

「それでも暗部の長なんですか?」

 

鈴にそう言われた瞬間楯無は目を広げる。

 

「ど、どうして・・・。」

 

「そんなの裏のことを知っている人間なら少し調べたらすぐに分かりますよ。」

 

鈴がそう言うと一夏も頷く。

 

「あ、聞きたかったことがあるんですがいいですか?」

 

「え、えぇいいわよ。」

 

「俺の親戚のことは既に知っていると思うんですがなんであんなことをしたんですか?」

 

そう言われ楯無はえっと~。と言いながら目線をそらす。

 

「まさか日本にいないから問題ないと思っているならお門違いですよ。」

 

え?となる楯無。

 

「今回の件、あの二人に電話したらすぐに飛んできますよ。」

 

そう言ってスマホをちらかせる一夏。それを聞いた楯無は不味いと感じる。

 

(もし電話されたら家が潰さる。そうなったら簪ちゃんを守れなくなる!)

 

「・・・それは脅し?」

 

「脅しじゃないです。忠告です。まぁ俺が連絡しなくても束さんがどうにかしちゃう気がしますが。」

 

そう言うと楯無は背後にいる気配を感じ、後ろを見ると束が真顔で楯無を見ていた。

 

「いっくん達の到着が遅いなと思って見に来たらなんでお前が此処に居るのかな?」

 

そう言われ楯無は冷汗が止まらない。

 

「答えないなら二度といっくん達に関わらないようにあの2人に電話しようかな~。」

 

そう言ってスマホを取り出し何処かに電話しようとする束。楯無はそれを止めようと声を掛けようとした瞬間。

 

「待ってください、篠ノ之先生。」

 

そう言われ束は手を止める。

 

「どうして止めるのかなかんちゃん。」

 

止めに入ったのは簪だった。

 

「天ノ川君の親戚にこれ以上迷惑を掛けたくないので。」

 

「あの2人は別にそれくらい問題ないと思うよ。」

 

「それでもです。」

 

そう言われやれやれと言った感じでスマホをポケットにしまう。

 

「かんちゃんがそう言うならいいよ。」

 

「あ、ありが「ねぇお姉ちゃん。」な、なに?」

 

楯無はお礼を言おうとしたが簪がそれを止める。

 

「私と勝負して。」

 

「か、簪ちゃん、それはISで?」

 

「うん。」

 

そう言われ楯無は困惑する。

 

「けど私と貴女とじゃ勝負には「やらないなら2度と私に関わらないで。」・・・・分かったわ。」

 

そう言って楯無はアリーナへと向かう。

 

「大丈夫なのか、彼女ロシアの代表なんだろ?」

 

「うん、もうやる前から諦めたくないから。」

 

そう言う簪の目は本気と書いてマジの目になっており一夏達は止めなかった。

 

そして序盤に戻る。

 

一夏と鈴は管制室でモニターを見ているとクロエが放送を入れる。

 

「ではこれより試合を始めます。勝敗はどちらかのSEが無くなった時点で終了とします。さらに時間切れとなった際はSEが多い方が勝者とします。では両者構え。」

 

そう言われ両者構える。そして

 

「試合開始!!」

 

そう言われ簪は薙刀で楯無に斬りかかる。楯無はそれを躱しながらランスで攻撃する。簪もその攻撃を躱しながら反撃する。双方は一進一退を繰り返す。

 

「凄いな、国の代表相手にあそこまで攻防できるとか。」

 

「確かに。」

 

一夏と鈴は驚いている中ら束はデータ採取を続けながら説明する。

 

「かんちゃんのISは機動性がどうしても落ちちゃうからね。その辺は自分の腕でどうにかするしかない。けどあそこまで食いつけるのは束さんも予想外だよ。」

 

そしてアリーナで戦っている2人はというと

 

「いつもいつも影から付いてきたりしてストーカーみたいで気持ち悪かったのよ!」

 

そう言われ楯無はガァーーンと落ち込みながらも反撃する。

 

「だ、だって簪ちゃんが心配だったのよ!」

 

「私はもう高校生なのよ!」

 

「それでも私にとっては大切な妹なの!」

 

そう叫びながらランスで攻撃する。簪はそれを躱し後ろに下がる。そして

 

「ミサイルロック・・・・ファイヤ!」

 

そう言って無数のミサイルが楯無に迫る。

 

「ちょ!なによその数、ありえないでしょ!」

 

そう言いながらランスに備えられているガトリングで対処する。

 

管制室にいた一夏達も顔を引きつかせながら見る。

 

「あれって・・・。」

 

「うん、いっくんと同じように拡張領域を弄って沢山ミサイルを積めるようにしてあるからね。」

 

「マジか。」

 

鈴はクラス対抗戦勝てるかどうか心配になり始める。簪はミサイルを対処している楯無に近付き薙刀で斬りかかる。楯無はミサイルを対処しながら簪の攻撃を回避する。

 

「いい加減に殺られて」

 

「字!字が違う!」

 

そう言いながら楯無は避ける。そして楯無は回避をやめたのか動きを止める。

 

「何?降参するの?」

 

「うんん。ねぇ簪ちゃんここ暑くない?」

 

そう言って楯無は指を弾く。が何も起こらない。

 

「あれ?どうして爆発が起きないの?」

 

そう言って慌てる楯無。

 

「理由は簡単。あれだけのミサイルが発射されれば此処は物凄く乾燥して暑くなる。」

 

簪にそう言われた瞬間楯無はさっきの大量のミサイルはこのアリーナに巻かれている水蒸気をすべて蒸発させるために撃ったんだと。

 

「貴女のことだから逃げながら撒いていると思ってたからその対策。今度こそ『ビィ―』!」

 

簪が最後の攻撃を仕掛けようとするが時間切れのアラームが鳴る。

 

「双方そこまで。この試合の結果は」

 

そう言われ二人は黙って聞く。

 

「双方引き分け!」

 

2人はえ?と驚く。クロエはそれを気にせず続ける。

 

「どちらもSEが同じ2桁の数字で止まっていたんです。だから引き分けです。」

 

そう言われ簪はがっかりする。

 

「・・・勝てると思ったのに。」

 

そう言っていると楯無は簪の肩に手を置く。

 

「そうね、あのまま行けば簪ちゃんが勝てたかもしれない。」

 

「・・・お姉ちゃん。」

 

そして楯無は顔を伏せながら簪に謝る。

 

「ごめんなさいね、簪ちゃん。あの時簪ちゃんを守るために言った言葉でひどく傷つけて。」

 

「うんん、私の方こそ変に意地張ってごめんなさい。」

 

「・・・これからは昔みたいに仲のいい姉妹に戻りましょう。」

 

「うん!」

 

簪が笑顔で頷くと楯無は感極まって抱き着こうとするが避けられる。

 

「むぎゅ!ど、どうして避けるの!お姉ちゃんが嫌いなの?」

 

「抱き着かれるのは流石に嫌。」

 

そう言って簪は逃げる。楯無は簪に抱き着こうと追いかける。その光景を見ていた一夏達は仲が戻って良かった良かったと思いながら見て機材の片づけをする。




次回予告
ある日、学園祭の準備状況の報告会として職員会議が開かれる。そして最後に学園長から箒を学園祭終了後、退学処分にすると言われ千冬が反対する。束は千冬の教育方法が悪いからではと言うと、千冬は束の授業の方が悪いはずだと言うがシルヴィアが束の擁護をする。それでもあることないことを言ってくる千冬に束は、あることを伝える。それはもう2度とISには乗れないということだった。
次回愚行を重ねた者達の末路~もうこの学園にお前の居場所なんてどこにもないんだよ。~


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23話

学園祭開始3日前の日、学園に備えられている会議室に学園長と教師たちが集まり学園祭の準備状況の報告会が始まろうとしていた。

 

「ではそれぞれのクラスの進行状況の説明をお願いします。」

 

学園長がそう切り出し、1年1組から状況説明を始める。

 

「1年1組はコスプレ喫茶をやることになっております。準備はほぼ済んでおり後は当日に出す料理等を調理しておくだけです。」

 

そう言い席に着く。

 

「1年2組は中華喫茶をやります。こちらも準備は済んでおり当日に出す料理を調理しておくだけです。」

 

シルヴィアも報告を終え席に着く。

 

それ以降も他のクラスの準備状況の報告をし、最後のクラスの報告を終える。

 

「クラスの準備状況についてはよく分かりました。では報告会を終えようと思います。」

 

そう言われ教師たちは椅子から立ち上がろうとするが学園長がそれを止める。

 

「皆さん少し待ってください。実は皆さんに言っておかないといけないことがあるのです。」

 

そう言われ教師たちは席に戻る。

 

「実は学園祭が終了の後、篠ノ之箒さんを退学させようと思っています。」

 

「な、なぜですか?!」

 

そう言って立ち上がる千冬。周りの教師たちも騒然となる。

 

「何故も何も彼女は色々問題を引き起こしており、そのほとんどが政府の指示でお咎め無し、もしくは短期の謹慎処分にされてきました。ですが」

 

そう言って束に目をやる。

 

「篠ノ之先生とは既に縁を切られているとのことなのでせめて学園祭だけは参加させこの学園から去っていただこうと思ったからです。」

 

「な!お前、自分の家族と縁を切ったというのか!」

 

「そうだけど何か?」

 

お前には関係ないだろと言わんばかりの表情で言い返した束は空間ディスプレイ型のPCでデータの整理を続ける。

 

「学園長、私は反対です!あいつの性格は私が何とかして見せます。ですので退学は待っていただきたい。」

 

「そう言われましても既に決まっていることですし。それに私自身、彼女をこのまま此処に居させてもよろしくないと思っています。」

 

「?!」

 

「彼女の成績を見ても圧倒的に他の生徒より低いですし、それを改善させようとする気配もなさそうですしね。」

 

「わ、わたしがそれでも「そもそもお前の教え方が悪いんじゃないの?」な、何を!」

 

口を挿んできたのは束だった。

 

「1組の人から聞いたけど、言うことを聞かない生徒や勉強できない生徒に対して出席簿で頭を叩いてるらしいじゃん。しかも力一杯。そんなんだから生徒たちはおかしな風潮に染まったりするんじゃないの?」

 

「っ。そう言うお前はどうなんだ!聞いたところによると2組以外では授業を行っていないと聞いている。それこそどうなんだ!」

 

そう怒鳴ってくる千冬にシルヴィアが代わりに説明する。

 

「確かに篠ノ之先生は他のクラスでは授業を行ってないわ。けど学園長がそれを認めているんだから問題ないわよ。」

 

「な、なに?!」

 

そう言って千冬は学園長の方を見る。学園長は首を縦に振って説明する。

 

「えぇ、彼女の言う通りです。篠ノ之先生には教鞭をとってほしいとしか言っておらず、どのクラスでとは言っておりません。ほとんど篠ノ之先生の独断でどのクラスで授業を行うか決めてもらっているのです。」

 

そう言うと一人の教師が手をあげて質問をする。

 

「で、では篠ノ之先生の授業を受けるには何か条件があるのですか?」

 

そう聞かれ束は答える。

 

「うんとね~、クラスに一人も女尊男卑と言う糞風潮に染まっていないクラスだったら考えてもいいよ。」

 

そう言われた瞬間、ほとんどのクラスが思い当たる生徒がいるのか無理だと言わんばかりの顔になる。

 

「あ、因みに1年1組は条件とか関係なく拒否するからね。」

 

そう言われ真耶が困惑しながら聞く。

 

「ど、どうしてですか?」

 

「だって授業を真面目に聞こうとしない生徒がいるし、いちいち文句を言ってきそうな先生が居るからね。」

 

束はそう言って千冬に目線を向ける。

 

「お前ふざけているのか?」

 

そう言って睨む千冬。

 

「ふざけてないよ。大真面目。」

 

「やはりお前は教師に向いてない。さっさとこの学園から出て行け!」

 

そう叫んできた千冬に束はため息を吐いて立ち上がる。

 

「さっきからギャーギャー喚いてさ、子供じゃないんだしちょっとは大人の対応をしなよ。」

 

「う、うるさい!お前は教師に向いてない!いずれお前のクラスの成績は落ちるのが目に見えて「それは無いわよ。」し、シルヴィア先生?」

 

「篠ノ之先生が2組の副担任として赴任後、夏休みで補習を受けていた生徒の多くが苦手としていた教科を克服したわ。」

 

「そ、そんな馬鹿な!」

 

「だったらこれを見れば。」

 

そう言ってシルヴィアは会議室のディスプレイを起動し2組の生徒の小テストの結果を見せる。

 

「右は1学期の小テストの結果よ。そして左が2学期で行った小テストの結果。明らかに点数が伸びてるわ。」

 

そう言われ多くの教師がディスプレイに釘付けになる。ディスプレイに映し出されていた小テストの点数は確かに右の表に出ている点数の多くが平均点ギリギリの者や平均点以下の者が多かったが左の表はほとんどが平均点越えをしており明らかに学力が向上していることが見て取れる。

 

「見て分かるように篠ノ之先生が赴任して来てくれたおかげで我が2組の学力は飛躍的伸びたわ。」

 

「確かに。篠ノ之先生、学園長としてお礼を言わさせていただきます。ありがとうございます。」

 

「別にいいよ~。補習を受けてた子達は初歩でミスってただけだからそれさえどうにかできれば後は楽だしね。」

 

教師たちは是が非でも束の授業を自分のクラスに入れようと思いクラスに蔓延っている風潮をなくす方法を考え始める。

 

「こ、こんなものカンニングとかをしたに決まって「それ本気で言ってるの?」?!」

 

シルヴィアは殺気の篭った目で睨む。

 

「他のクラスを貶したりするのはいいけど私のクラスを貶す様なことは許さないわ。」

 

「だ、だがこんな飛躍的に上がるはずがないだろ!」

 

そう叫んでくる千冬に束はイライラが募り遂に爆発する。

 

「あぁ~、さっきから叫んでさ五月蠅いんだけど。と言うか暴力で人を支配しようとするやつの方が教師向いてないじゃん。ねぇ、ISにもう乗れないブリュンヒルデさん。」

 

そう言われた瞬間会議室が驚きで一杯になる。

 

「ISに・・・乗れない?」

 

千冬がそう呟くと束は黒い笑顔で言う。

 

「そうだよ。1学期の時学園長から言われて無かったの?いっくんの詮索はするなって。あの時はISを全部止めると脅したがそれでもお前は調べると思った。だから2度といっくんの目の前に現れないようにするにはどうすればいいかと思って考えたんだ~。そして思いついたのが2度とISに乗れないようにすればいいんだと閃いたんだ。」

 

そう言われ千冬は束に掴みかかる。

 

「そ、そんなデマ信じんぞ!」

 

「まぁ信じるかどうかはお前次第だよ。あ、因みにこのボタンが―――」

 

束はそう言いながらボタンの説明をしようとすると千冬はすかさずボタンをひったくりボタンを押す。押した瞬間千冬は安堵するが束はそれを見て大笑いをする。

 

「アハハハハハ!それは解除するボタンじゃなくて実行するボタンだよ。なんで自分で押すのかな?アハハハハハ!」

 

そう言われ千冬は信じられないと言わんばかりの顔となり手からボタンが落ちる。

 

「あ、ついでにそのボタンにはある所に真実が送られるようになってるよ。」

 

「あ、ある所?」

 

千冬がそう聞いてくると束がさっきよりも黒い笑顔で答える。

 

「お前が追い出して売国者の汚名を着せられ自殺した女性秘書の遺族達。」

 

そう言われた瞬間、千冬の顔が青くなる。

 

「真実を知った遺族たちはどうするだろうな~?」

 

そう言いながら千冬に笑顔を向ける束。

 

「織斑先生。」

 

そう言われ千冬は学園長の方を向く。

 

「貴女も学園祭終了後この学園から退職していただきます。理由は言わなくても分かりますね?」

 

そう言われ千冬は膝から崩れ落ちる。それを見た束はせいせいとしたと言わんばかりに腕をあげて体を伸ばす。

 

(もうこの学園にはお前の居場所なんて無いんだよ。)




次回予告
学園祭当日、中華喫茶を開いた2組。女子生徒の多くはチャイナ服を着ていくが一夏は制服でいいかと思っていると束が衣装を持ってくる。そして一夏が衣装をきて2組の生徒たちの前に出てくると、全員歓喜する。そしてそのまま学園祭が始まり休憩時間の時、一夏が一人になったのを見計らって現れてきた巻紙と言う女性。一夏は瞬時に侵入者と分かり対峙する。
次回学園祭始動!~なんでこの格好なんだ!~


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24話

学園祭当日、一夏達2組は中華風にアレンジした教室で最後の料理を完成させる。

 

「よし、終わったぞ。」

 

そう言って一夏は最後の仕上げを終えた料理を籠に入れる。

 

「ありがとう天ノ川君!それじゃあみんなそろそろ着替えよっか。」

 

そう言ってみんな大きめの段ボールに入っているチャイナ服に手を掛ける。そこで一夏はふと疑問に思ったことを言う。

 

「あれ、そう言えば俺の衣装はどれなんだ?」

 

「え?篠ノ之先生から何も聞いてないの?」

 

そう言うとクラスのほとんどが束に目線を向ける。

 

「あ、いっけな~い、渡すの忘れてたや。はいこれ、いっくんの衣装。」

 

そう言って束は一夏に衣装が入った紙袋を渡す。

 

「あ、はい確かに。それじゃあ着替えてきます。」

 

そう言って一夏は着替えにカーテンで仕切られた中に入る。暫くして中から

 

「な、なんでこの衣装!?」

 

そう聞こえ2組の生徒は何事かと慌てている中、束は楽しみと言わんばかりにカメラを構えてスタンバイしているとカーテンが開かれる。そこには黒スーツにロングコートを着てサングラスをした一夏が居た。それを見たクラスメイトたちは歓声を上げる。

 

「これ張兄さんの衣装じゃん!どっから持ってきたの?」

 

「全部買ってきた物だよ。」パシャパシャ

 

「なんで写真撮ってるの?」

 

「送るためだよ。」

 

そう言って一夏は張に送るんだとすぐに分かり止めようとするがクラスの一人が悲鳴を上げる。

 

「キャー!り、鈴さんが鼻血出して倒れた!」

 

「か、顔がもう満足って言った顔になってるわ。」

 

「お、お母様ーーー!」

 

そう叫んで急いで起こそうと必死になるクロエ。一夏は困り顔で束に聞く。

 

「俺、今日一日これ?」

 

「うん、今日一日それ。」ダバダバダバ

 

「て、束さん!鼻血!鼻血!」

 

騒動はあったものの2組は準備を終えると同時に学園祭開始の放送が入る。そして暫くして多くのお客さんが一夏目当てにやってくる。2組は必死に仕事をしていく。そしてお昼過ぎになると人もまばらになり始め一夏を休憩させようということでクラスメイト達は一夏を休憩に行かせる。

 

「大丈夫なのか?俺が居なくても。」

 

「大丈夫、大丈夫。天ノ川君がいっぱいお客さんを対応してくれたり料理作ってくれたおかげで今はゆっくりできるんだし。今の内天ノ川君には休憩してもらって午後からも頑張ってもらわないと。」

 

「そうか。わかった、それじゃあ休憩貰うな。」

 

そう言って一夏は教室を出る。鈴とクロエはもう少し手伝ってから向かうと言い束はシルヴィアに呼ばれ学園の警備へと出払って行く。一夏は何処に行こうかなと思いながらぶらぶらする。すると人がいないような場所に行くと一夏は後ろに声を掛ける。

 

「なぁさっきから俺の後を付けてる人出てきたらどうなんだ。」

 

そう言うと建物の影から一人の女性が出てくる。

 

「良く気づかれましたね。初めまして、わたくし巻紙と言います。IS装備開発企業『みつるぎ』に所属しております。実は「ちょっと待ってくれ。」は、はい?」

 

一夏は要件を言おうとした巻紙を止める。

 

「あんたからさ、俺と同じような気配を感じるんだけど。」

 

「お、同じ気配?」

 

「あぁ、俺と同じ犯罪者と言う気配がな。」

 

そう言うと巻紙は驚きながら正体を表す。

 

「へ、このオータム様の気配に感づくなんていい勘持ってるなガキ!」

 

そう言ってオータムはアラクネを身に纏い攻撃を仕掛けてくるが一夏はそれを避けA-10を身に纏いアヴェンジャーを発射する。弾はアラクネに命中し装甲をボロボロにしていく。

 

「クソ、なめんなよクソガキが!」

 

そう言って攻撃を加えようとしたところで何かに気づき上を向く。一夏も目線を上に向けると、そこには臨海学校で会った少女がいた。オータムは口角を上げ勝ち誇ったような顔を一夏に向ける。

 

「へ、これで2対1だ。覚悟しな!」

 

そう言って攻撃を加えようとしたが腕に激痛が走りよく見ると自分の右腕がゴトッと落ちるところを見てしまう。

 

「あ、あぁぁぁぁ!い、痛てーーーーー?!?!!」

 

そう叫び自分の右腕を落とした奴を睨む。

 

「何しやがるM!!」

 

そう、オータムの腕を切り落としたのはMのシールドBITなのだ。Mはバイザー越しでもわかる笑顔で答える。

 

「何って、お兄ちゃんに危害を加えようとするやつの腕を切り落としただけ。」

 

「て、てめぇこいつと、こいつの姉貴を恨んでたんじゃないのか!」

 

「恨む?お兄ちゃんは別に恨むようなことはないよ。もう1人は別だけど。さてそろそろ終わらせようかな。あ、因みに言うけどあいつに連絡しようなんて無駄だから。」

 

そうオータムに言う。オータムは通信でスコールを呼んでいたが雑音しか流れてこない。

 

「この辺一帯ジャミング張ってるから連絡なんて繋がるはずないからね。」

 

そう言ってシールドBITでオータムのもう片方の腕を切り落とす。

 

「ぐあぁぁーーー?!!?」

 

「これで良し。あ、逃げられないように片足も奪っておこうっと。」

 

そう言ってシールドBITをオータムの左足の関節から切り落とす。

 

「?!?!!」

 

声にならない悲鳴を上げた後、オータムは気を失う。一夏は何がどうなっているのか分からずにいたがとにかく銃口をMに向けている。

 

「はい、情報源確保っと。さて久しぶりだねお兄ちゃん。」

 

そう言ってバイザーを外して素顔を見せるM。

 

「・・・・そいつはお前の仲間じゃないのか?」

 

「仲間?全然違うよ。こいつらは仲間なんかじゃない。むしろ敵だよ。」

 

そう言っていると束とシルヴィアがやって来る。

 

「いっくん大丈夫?」

 

「?!貴女がそこの女性をやったの?」

 

シルヴィアがそうMに聞くと首を縦に振る。

 

「早いとここいつ医療施設に連れていった方がいいよ。折角の情報源が死んじゃうよ?」

 

そう言われシルヴィアは束にMのことを任せオータムを担ぎ上げ医務室へと向かう。

 

「それで、君は一体誰なのかな?束さんがいくら調べても君の情報が全然見つからなかったし。」

 

「そりゃ見つからないよ篠ノ之博士。私の個人情報とかはネットには登録されて無いからね。」

 

「ネットには無い?・・・!紙媒体の情報!」

 

そう束が言うとMは正解と言う。

 

「それで結局お前は誰なんだ?」

 

一夏がそう言っていると楯無がISを身に纏ってやって来る。

 

「天ノ川君大丈夫?」

 

「会長、来るの遅すぎです。」

 

「ごめんなさい、来賓や一般人の避難で来れなかったのよ。」

 

そう言われ一夏はそれだったらいいですが。と言う。

 

「所でそこの少女は?」

 

「あ、ちょっと待って。通信が来たから。」

 

そう言ってMは通信を繋げる。

 

「はい、私です。はい、情報源は確保しました。今IS学園の教員に引き渡しました。はい、このまま新たな任務に就きます。それとIS学園に私の正体は?はい、では学園長室でいいんですね?はい、了解です。」

 

そう言って通信を切る。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。此処の学園長室に案内してほしいんだけど。」

 

「・・・そこでお前が誰なのか説明してくれるんだな?」

 

「勿論!」

 

そう言われ一夏は束と楯無と共に学園長室へと向かう。

 

 

その頃、スコールはと言うと作戦終了後の報告の連絡を待っているが一向に掛からないし掛かってこないことにイラついている。

 

「どうして繋がらない上に掛かってこないの?まさか二人とも捕まったんじゃ?」

 

そう思っていると電話が鳴る。スコールはそれに出ると彼女の上司的な人物からだと分かる。

 

「何か御用ですか?今忙しいのですが。」

 

『つい先ほど入った情報だがお前の所のオータムが捕まった。』

 

「!!」

 

スコールは驚きながらもMはどうなったのか聞く。

 

「Mは?彼女も行かせていたはずです。」

 

すると上司は重い口を開く。

 

『彼女は裏切った。』

 

「?!」

 

スコールは下唇を噛み締める。

 

『どうやら随分前から我々に潜入し色々探っていたのだろう。してやられたな。』

 

「この汚名は必ず!」

 

『分かっている。だが気を付けろ。』

 

「何をです?まさかあの男性操縦者にですか?」

 

そう言うと男は怒鳴る。

 

『違う!奴の周りにいる人物だ。奴の周りには篠ノ之博士の他に国際マフィア、三合会。そしてホテルモスクワが背後にいる。』

 

そう言われスコールは驚く。篠ノ之博士が一夏の傍にいることは情報で入っていた。だが三合会、そしてホテルモスクワが背後にいることは全く知らなかったからだ。

 

「そのような情報はこちらには入ってきていないのですが?」

 

『恐らく何者かが偽の情報を混ぜてお前に渡したんだろう。この組織も1枚岩と言う訳ではないからな。とにかく気を付けろよ。』

 

そう言って電話が切れる。スコールは電話を切り壁を殴る。

 

「・・・M。憶えていなさい、必ず報いを受けさせてあげる。」

 

その目は復讐の炎が宿っていた。




次回予告
学園長室にMを案内してきた一夏達。そしてMは自分の正体を明かす。それを聞いた一夏達は驚愕する。
次回再開する兄妹~私の名前はマドカ。マドカ・タチバナって言うんだ。~


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25話

えぇ~と、25話なんですが改めて読み返したり質問を貰って思ったのがこれ色々無茶な設定でやってるなと思って一度書き直して再度あげました。前の25話を読んでいただいて感想をくださった方、ならびに誤字修正をしてくださった方、大変申し訳ないです。


一夏と束、楯無はMを連れて学園長室へと向かう。暫くして学園長室へと着いた4人は中へと入ると学園長と他の専用機持ち達が居ることに気づく。

 

「あれ、なんでお前らが此処に居るんだ?」

 

「実は学園長から此処に来るように言われてきたんだ。」

 

そうラウラが言うとセシリア達も頷く。

 

「所でそちらの方は?」

 

そうセシリアが聞いてきたため一夏が答える。

 

「こいつは臨海学校で俺たちを助けてくれたISのパイロットだ。」

 

そう言うとセシリア、ラウラ、鈴は驚く。

 

「つ、つまりその人はわたくしの国のISを奪った人ですの?」

 

そう言うとMがそれを否定する。

 

「奪った?あぁ、そう言えばこれは今強奪されたって事になってるんだった。けどこれの正式なパイロットは私だから何の問題は無いわよ。」

 

そう言うとセシリアが驚きながらもサイレント・ゼフィルスを取り戻そうと躍起になる。

 

「な?!正式なパイロットって、そもそもそれを決めるのは政府の役目です。あなたが決めることではありません!」

 

「もう、うるさいな。それを今から説明するから黙っててよ。」

 

そう言ってMは殺気を混じらせた目線で黙らせて学園長にある所にテレビ電話を掛けてほしいと頼む。場所を聞いた学園長は驚きながらも電話を掛ける。そして数コールした後画面に黒髪の男性が映る。

 

『皆さん初めまして。私はイギリス情報局ことMI6局長のムネアキ・タチバナと言います。そしてそこに居りますのが』

 

「MI6特別捜査官マドカ・タチバナって言います。」

 

一夏達は画面に映っている人物、そして一夏の妹かもしれない人物がMI6ことイギリス情報局の職員だとは分からなかったからだ。特にセシリアの反応が大きかった。

 

「あ、貴女イギリス情報局の職員でしたの?」

 

「えぇ、これが私がサイレント・ゼフィルスの正式なパイロットだという証拠。」

 

『マドカは確かにサイレント・ゼフィルスの正式なパイロットですよ、オルコット嬢。』

 

そう言われセシリアは頭を下げて謝る

 

「重ね重ね無礼を言ってしまい申し訳ありません。」

 

「別にいいよ、気にしてないし。」

 

そう喋っていると楯無が質問を投げてくる。

 

「えっと、それでマドカちゃんだっけ、貴女は一夏君の妹さんで間違いないの?」

 

「うん、私はお兄ちゃんの実の妹だよ。」

 

そう言われ一夏は画面に映っているムネアキに目線を向ける。

 

(つまりこの人が俺の父親?)

 

そう思っているとムネアキは優しそうな顔で一夏を見る。

 

『それにしても大きくなったな一夏。髪の毛は俺譲りだし、鼻はやはり母さんにそっくりだ。』

 

そう言われ一夏は驚く。

 

「つまりあんたは俺の・・・」

 

『そうだ。俺はお前の父親だ。』

 

そう言われ一夏は色々疑問だったことが頭の中に大量に湧いてくる。

 

なぜ家族を捨てて出て行ったのか

なぜ今になって妹を通して会いに来たのか

なぜ・・・・

 

そう思っているとムネアキは一夏が何を言いたいのか分かっているかのように言う。

 

『お前が言いたいことは分かる。なぜ今になってお前に会いに来たかだろ?』

 

ムネアキがそう聞くと一夏は首を縦に振る。

 

『お前に今頃になって会いに来たのはな、最初はある男の死に際で頼まれたからなんだ。』

 

一夏はある男?と聞き返すとムネアキは首を縦に振って答える。

 

『その男はある組織の手下なんだが上層部に裏切られて死にそうになっていたところを私が偶々見つけたんだ。そしてその男は死ぬ間際にある少年の話をしたんだ。』

 

――貨物船に誘拐した子供を木箱に入れて海外に逃がしたことがあるんだ。

 

――心残りがあるとすればその子供が無事に生きているかどうかだな。

 

『男はそう言って息を引き取ったんだ。』

 

ムネアキがそう言うと一夏には心当たりがあった。

 

(まさか、あの時の覆面のおじさんなのか?)

 

『それで私はその少年を探すことを決めた。それでまず男の仲間を探しだし、その子供について調べたんだ。その男の仲間はすぐに見つかり尋問したらすぐに吐いたよ。そして誘拐されたのは私の血の繋がった息子だと知り、そこからずっと足取りを探したんだ。だが見つかることはなかった。だがある日IS学園に男性操縦者が入学すると聞いてすぐにその男子を調べてた。そしてお前だと分かりぜひ会いたいと思った。』

 

「それじゃあどうして今まで会いに来なかったんだ?」

 

『俺も会いに行きたかった。だがお前の傍にはアイツが見張っていた。だから会いに行こうにも奴が邪魔をして会えなかったんだ。』

 

一夏はアイツと聞いてすぐに誰なのかわかる。

 

「アイツって織斑千冬のことか?」

 

『そうだ。お前と私たちを離れ離れにした女だ。』

 

「一体何の目的で?」

 

すると束が話に入ってくる。ムネアキは目を閉じながら説明する。

 

『千冬は一夏のあまりの可愛さに憑りつかれて自分だけのものにしたかったんだろう。奴が中学生の頃、友人を通して親しくなった人物の手を借りて私たちを殺そうとしたんだ。』

 

「その人物って一体?」

 

一夏がそう言うとムネアキは口開く。

 

『女性権利団体の創設者、袴田朋美(はかまだともみ)。奴の祖父、そして夫は政治界でかなりの権力者なんだ。』

 

そう言うと部屋にいた人全員が驚く。

 

『千冬は自分の中にある潜在的な力を貸すから自分の頼みを聞いてほしいと袴田に頼み、袴田も女性の権利を勝ち取るために千冬に手を貸したんだ。そして一夏が保育園児の時に動いたんだ。ある時、千冬が欧州に行きたいと言い出し、私は家族サービスもかねて旅行へと行ったんだ。そしてイギリスの空港へ着いた時、出発まで時間があるからか千冬は一夏を抱き上げてトイレに連れて行ってくると言い出したんだ。なかなか千冬が帰ってこないことに心配した私と妻は一緒に探しに飛行機から出たんだ。そしてそれから数分後、飛行機で爆発が起きたんだ。』

 

ムネアキがそう言うとセシリアが何か思い出したように呟く。

 

「・・・バーミンガム空港飛行機爆破テロ。」

 

そう言うとムネアキは首を縦に振る。

 

『あのテロは国際テロ組織によるものだと言われているが実際は違う。』

 

そう言われ全員すぐにどこの組織かわかる。

 

「まさか。」

 

『そうだ、袴田の理想に感銘を受けた者による犯行だ。それからは大変だった。私たちが死んだと日本で報道されていて帰ることが出来なくなってな。だから知り合いのイギリス人夫婦に助けてもらったんだ。そのイギリス人夫婦と言うのはなセシリアさん、貴女のご両親なんですよ。』

 

「わ、わたくしの両親?で、ですがお父様もお母様も貴方のことは何も教えてもらってないのですが?」

 

『それは私がお願いしたからなんだ。出来るだけ情報が広まらないようにするためにね。』

 

「それでどうやってMI6の長官までなったんですか?」

 

楯無がそう質問するとムネアキは隠す必要もないから言うか。と呟く。

 

『私は元々自衛隊の秘密諜報部に所属していたんだよ。その経歴を買われてMI6に所属、そしてそのまま昇進して今の地位にいるのさ。』

 

「ま、待ってくれ。保育園の時に両親がいた記憶がないなんだが、それはどういう事なんだ?」

 

『恐らく、袴田の知り合いが何かしらの方法で記憶を改ざんしたんだろう。』

 

「そ、そうなのか。」

 

『因みにそれから2年後にマドカが生まれたんだ。マドカには一夏のことは色々話していたからな。何時か会いたいといつも言っていたんだ。それが今叶ったようだが。』

 

そしてムネアキは一夏にあることを提案する。

 

『なぁ一夏、イギリスに来ないか?父さんも母さんもお前と一緒に暮らしたいと思っているんだ。』

 

そう言われ一夏はそれを断る。

 

「ごめん。俺は今住んでいる場所がすごく好きなんだ。それに俺には守らないといけない家族が居るから。」

 

一夏がそう言うとムネアキはそうか。と言う。

 

『それだったら偶にイギリスに泊まりに来て父さん達に顔を見せに来てくれよ。』

 

「わかったよ、父さん。」

 

一夏に父さんと呼ばれたムネアキは目頭が熱くなり始めるがそれを我慢してそれじゃあなと言って通信を切る。一夏はもう少し話したいと思っていたが、焦る必要はない、何時でも会いに行けると思っていると一夏の両手が握られる。

 

「優しそうなお父さんだったね。」

 

「本当だね~。」

 

鈴と束は一夏と手を握りながらそう言うと一夏もそうだなと。言う。

 

「さて、それではタチバナさん。貴女は本学園に特別入学ということでよろしいでしょうか?」

 

学園長がそう言うとマドカは首を縦に振る。

 

「うん、それでいいよ。あ、クラスって私何処になるの?出来ればお兄ちゃんと一緒の所がいい。」

 

そうマドカが言うと轡木は笑顔で答える。

 

「貴女のクラスなんですが先ほど送られてきたムネアキさんのメールの言う通り2組にしておきます。シルヴィア先生からは私がお伝えしておきますので篠ノ之先生、お願いしますね。」

 

学園長にそう言われ束ははぁ~いと言う。

 

 

 

 

人物

ムネアキ・タチバナ

一夏の実の父親で、マドカの父親でもある。イギリス情報局MI6の長官で愛妻家でもある。家族を二の次にすると言ったことはせず、常に家族、そして国を第一に考える人物でイギリス女王もその働きっぷりには感心している。セシリアの両親とは日本に旅行に来ていた2人を案内人として行動していたことで友人となる。

 

 




次回予告
マドカが学園に入学することが決まり、一夏はマドカに頼まれて近くのショッピングモールへと買い物へ行く。その頃、学園では千冬と箒が荷物をまとめ出て行くところだった。そしてモノレール駅に行くと箒の両親が迎えに来ており一緒にモノレール駅に乗り家へと帰る。そしてショッピングモールで買い物を終えた一夏達がモノレール乗って帰ろうとした時4人と鉢合う。
次回永久の別れ~許してくれ?何を言ってるんだアンタは?~


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26話

学園祭襲撃事件から翌日、一夏と鈴、クロエは自分たちのクラスに入るとクラスの雰囲気は暗く多くの生徒はショックを受けている状況だった。そんな3人にティナは必死に笑顔を作って挨拶をしてくる。

 

「あ、3人ともおはよう・・・。」

 

「あぁ、おはよう。」

 

一夏はティナの顔色が悪いことは瞬時に見抜く。

 

「大丈夫ティナ? 気分が悪いんだったら保健室行った方がいいわよ?」

 

鈴は心配そうにティナに聞くとティナは首を横に振って元気そうに振舞う。

 

「大丈夫、大丈夫。ちょっと昨日の疲れが残ってるだけだから。暫くしたらまたいつもの元気になるから。」

 

そう言ってティナは席に戻って行く。一夏達はそんな姿が痛々しくて見ていられなかった。

 

「絶対に大丈夫じゃないよな?」

 

「うん。ただ普通に学校に通っているはずなのにこんな事件に巻き込まれれば暗くなるわよね。」

 

「はい。ティナさんは必死に元気に振舞っていますが結構無理されていると思われます。」

 

そう喋っているとチャイムが鳴り、席を離れていた生徒たちは席へと戻り一夏達も席に着く。そして教室の前の扉が開きシルヴィアと束が入って来て挨拶を交わす。

 

「皆さんおはようございます。・・・元気そうとは言えなさそうですね。」

 

「そりゃああんな事件があったらみんなショック受けちゃうのは仕方ないよ。」

 

生徒が暗い事にシルヴィアは少し落ち込みながらも気持ちを引き締めSHRを始める。

 

「えっと、実は今日から特別入学で入ってきた生徒をこのクラスで受け持つことになったからみんな仲良くしてあげてね。では入ってきてください。」

 

そう言ってシルヴィアは廊下に向かって呼ぶと扉が開き1人の少女が入ってくる。一夏と鈴、クロエは知っていたから驚くことはなかったが生徒の多くは珍しいなと思いその生徒に注目していると、生徒が教壇のところまで行き体を生徒たちの方へと向け自己紹介をする。

 

「マドカ・タチバナと言います。本来であれば私は中学生なのですが特別入学ということでこちらでお世話になります。どうか皆さんよろしくお願いします。」

 

そう言ってマドカはお辞儀をする。クラスの生徒は拍手をして出迎える。

 

「あ、それと天ノ川一夏と私は兄妹です。」

 

ついでと言わんばかりにマドカがそう言うとクラスはその一言に驚愕した。

 

「え!天ノ川君に妹がいたの?!」

 

「うそ!なんで今まで教えてくれなかったの?」

 

一夏は多くの生徒からの質問攻めに遭いながらも訳を言う。

 

「いや、俺も妹がいるって知ったのはつい最近なんだ。だから俺も知った時は驚いたんだ。」

 

そう言うとクラスメイト達は納得していく。

 

「それじゃあタチバナさんの席は、ティナさんの隣が空いているからそこに座って。」

 

「分かりました。」

 

そして席に着いたマドカを確認したシルヴィアは今後の学園の方針を説明し始める。

 

「昨日の事件を踏まえて学園は来月行われるキャノンボール・ファストは中止されることになったわ。それ以降の行事は目下検討中よ。」

 

「「「えぇ~。」」」

 

シルヴィアが説明するとみんな残念がる声をあげる。キャノンボール・ファストとはISを使用して都市に設置されたレース場で行われる妨害ありのレースのことである。多くの生徒たちもこれの参加は待ち遠しかったのだ。

 

「みんなが残念がることは分かってたわ。けど、あんな事件が起きたからには下手に大きな行事は出来ないのよ。警備の隙を突かれてまた事件が起きたら今度こそ死傷者が出るかもしれないからなの。そこのところを分かってほしい。」

 

そう言われ生徒たちは仕方ないと言った雰囲気で頷く。そして今日の授業は午前授業のみとされ午後からは自由時間とされた。

 

~昼休み~

一夏、鈴、マドカ、クロエが食堂でご飯を食べているとマドカが一夏にチラチラと見てきたため一夏が訳を聞く。

 

「何か用かマドカ?言いたいことがあるならちゃんと言えよ。」

 

マドカは最初どう頼もうか悩んでいたが自分の兄だから甘えてもいいと考え、お願いを言う。

 

「う、うん。それじゃあさお兄ちゃん。今日一緒に買い物について来てくれない?」

 

「買い物にか?別にそれだったらいいぞ。けど学園から出てもいいのか?」

 

一夏がそう疑問に思い口にするとマドカは今学園は特別警戒態勢に入っていることを思い出し、買い物は無理だと諦めかけたが鈴が妙案を考え出す。

 

「それだったら束お姉ちゃんに頼めばいいじゃない。」

 

「束さんに?なんでまた?」

 

「教員が一人ついて外出するなら問題ないんじゃないの?」

 

鈴がそう言うと一夏とクロエはなるほどと納得し、マドカはその手があったかと思い急いでご飯を食べ束の元へと向かった。そしてマドカが食堂を出て行ってから暫くして束と共に戻ってきた為、一夏達は許可が下りたんだろうなと思った。

 

「いっくん、マドカちゃんがいっくんと買い物に行きたいから私と同行してほしいって言われたんだけど良い?」

 

「勿論いいですよ。この状況じゃなければ本当はみんなと行きたいんだけどな。」

 

そう一夏が残念そうに言うと鈴が苦笑いで返す。

 

「仕方ないわよ。どっかのテロリストが一夏を襲ってきたんだから。それより早くご飯食べてマドカちゃんと束お姉ちゃんと買い物に行って来たら?」

 

そう言われ一夏は仕方ないと思いながら残りのご飯をかき込む。

 

~学園前のモノレール駅~

一夏は制服だと犯罪に巻き込まれる可能性があると思い私服で駅で待っていると束とマドカが手を振りながらこちらに駆け寄ってくることに気づき手を振り返す。

 

「ごめんねお兄ちゃん。束さんが着替えるのに手間取ってちゃってさ。」

 

「いや~、久しぶりにアリス服以外を着るからさ、どれ着ようか迷っちゃた。」

 

「前にも同じような事ありましたよね?」

 

一夏は笑いながら束たちと買い物に出発する。

 

一方、寮にある学年主任用の部屋から大きめボストンバックを担いで出てきた千冬は部屋にカギをし、寮から出て行く。その途中で箒と鉢合う。箒は千冬が大きめなボストンバックを担いでいることに驚きその訳を聞く。

 

「ど、どうしたんですか千冬さんその荷物?」

 

「・・・なに、色々してきた代償が来ただけだ。」

 

千冬は悲観にそう言い、箒と共にモノレール駅へと歩き出す。モノレール駅に着くと初老の男性と女性が立っていることに気づいた箒はその人物が何者か気づく。

 

「お、お父さん?それにお母さんまで、どうして此処に?」

 

「なに、学園からお宅の娘さんを退学とするから迎えに来てほしいと言われてな。それで母さんと共に迎えに来たんだ。」

 

龍韻はそう言いながら箒が持っている荷物を受け取り一緒に帰ろうとする。

 

「申し訳ありません、龍韻さん。お宅の娘さんだけでも学園に残せるように努力はしたんですが。」

 

そう言って千冬は頭を下げる。それを見た龍韻は慌てて顔をあげるように肩に手を置く。

 

「いや、君はよくやってくれたよ。この子が退学になった理由は私の子育ての仕方が間違っていたんだ。これは親の責任だ。」

 

そう言われ千冬は申し訳なさ一杯の顔をして篠ノ之家と一緒にモノレールへと乗る。モノレールが出発してから数十分後、終着駅のデパート前に着きモノレールから降り駅の改札を出たところで前方から3人組の男女がやって来た。

 

「束さん、あれ。」

 

「うん? うげぇ会いたくない奴らと会っちゃったよ。」

 

その男女は一夏達で、一夏達も箒たちに気づいたのか一瞬嫌な顔してからその横を無視して通り過ぎようとすると、千冬が一夏達に向かって土下座をした。龍韻たちが驚いている中一夏達はただ黙ってその行動を見ていた。

 

「済まなかった! お前の事を蔑ろにしてしまい本当に済まなかった! だ、だから許してくれないか?」

 

千冬は土下座をしながら謝罪をし、許してもらおうとしたが一夏は呆れた目線を千冬に向けながら話し出す。

 

「許してくれ? お前は何を言っているんだ?」

 

「え?」

 

一夏の言葉に千冬は理解できずに思わず顔をあげ一夏の顔を見ると、その顔は軽蔑と憎しみの篭った顔だった。

 

「お前は俺を両親から取り上げて自分だけの人形にしようとした上に、実の両親まで殺そうとした。そんな奴を許せって? ・・・ふざけるな!」

 

「ひっ!?」

 

一夏に急に怒鳴られたことに千冬は小さく悲鳴を上げ、そしてどうして自分が両親を殺そうとしたことを知っているのか驚いた。

 

「どうして知っているっていう顔だな。そんなの隣にいる俺の妹、そして父さんから昨日すべて教えてもらったからだ。」

 

そう言われ千冬は隣にいた人物が自分の妹だと知り驚く。そんなマドカも千冬に対して軽蔑を込めた目線で見下す。

 

「全部お兄ちゃんに話してやったよ。お前がお父さんやお母さんにしたツケを払わせるためにね。」

 

千冬は一夏に全て知られたと分かりその場で動けずにいると一夏が見下しながら言う。

 

「本当だったらお前を殺してやりたいところだが、俺は無闇に人は殺さない主義だ。だからお前は俺からじゃなく世間から社会的に殺されればいい。」

 

 

そう言って一夏はマドカと束に帰ろうと促し、学園へと通じるモノレールへと向かう。

 千冬は腕を伸ばして一夏を掴みたいと思ったがその腕を避けるかのように一夏はどんどん遠くへと行き遂には見えなくなった。

 千冬はもう後戻りは出来ないことは承知だった。だが一夏がいればそれだけでも良かった。だがそんな一夏はもう自分の所には戻ってこない。そう改めて実感させられその場で大声をあげながら涙した。




次回予告
キャノンボール・ファストが無くなり通常授業が行われている中、一夏はエダに電話をする。内容はアメリカで蔓延っている女性権利団体というガンを駆除する情報を渡すからこちらの要求を聞いてもらえるように頼めないかというものだった。
次回権力の崩壊・前編~な~に、このエダお姉ちゃんに任せときな。~


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27話

 千冬そして箒が学園を去ってしばらく経ち、IS学園では千冬がいなくなって悲しむ生徒や教師の人数が日に日に減っていった。

 その訳が第2回モンドグロッソ後に売国者の汚名を着せられ自殺した秘書の遺族が、ネット上にモンドグロッソで起きた誘拐事件とそしてそれを隠そうとした政府の対応を赤裸々に公表したのだ。勿論、自殺した女性秘書が千冬に弟が誘拐された真実を伝えたのにそれを嘘だと言って追い出したことも書かれていたのだ。

政府は躍起になって消そうとしたが一度広まった情報は消すことはできず、次第に翻訳されて世界中の国でこの情報が広まったそうだ。

 そしてこれを見た生徒や教師の多くが自分たちが信頼していた教師が家族より名誉を優先したと知り、手のひらを返すように信頼から軽蔑へと変わっていったのだ。それでも千冬がそんな事をするわけがないと信じている生徒や教師は僅かにいたが何時手のひらを返されても可笑しくはなかった。

 

そんなある日、一夏は屋上でスマホを取り出して何処かに電話を掛けていた。数秒ほどコール音がしたのち電話に誰かが出る。

 

「もしもし、久しぶりエダ姉。元気にしてた?」

 

『そりゃ元気にしてたに決まってるだろ~、それで一夏今日はどうしたんだ? もしかしてエダお姉ちゃんの声が聴きたくて電話してきたのかい?』

 

一夏が掛けた相手は暴力教会のシスターでCIAアジア担当のエダこと、イディス・ブラックウォーターだった。

 

「ははは。ごめん、実はちょっとお願いがあって今日は電話したんだ。」

 

一夏は若干に苦笑い気味で対応する。

 

『お願い? まぁあたいが叶えられる範囲だったら何でもいいぜ。あ、エダ姉欲しいって言うんだったら今すぐにでも会いに行ってやるよ。』

 

エダが冗談交じりでそう言うと一夏は苦笑いになる。

 

「それはいいかな。で、お願いって言うのがさエダ姉の本業の方で頼みたいことなんだ。」

 

一夏がそう言うとさっきまでのチャラチャラした感じでは無く、冷徹な感じで返事が返ってくる。

 

『本業ね。で、そのお願いって言うのはアメリカの利益になるのかい?』

 

一夏はその質問が来るのを予期していたと言わんばかりに口角をあげる。

 

「もちろん。うまくいけばアメリカの先駆けでこの世界は大きく変わるよ。」

 

『ほぉ~う。それじゃあ言ってみな。そのお願いっていう奴を。』

 

「うん、お願いって言うのはね―――」

 

一夏はそこで一度言葉を区切り一呼吸入れる。

 

「アメリカに置かれている女性権利団体の本部を潰してほしいんだ。」

 

一夏の頼みにエダは若干驚きつつもその理由を聞く。

 

『そりゃまた無茶なお願いだね。で、そんなお願いをする理由を聞いてもいいかい?』

 

そう言われ一夏はムネアキとマドカから聞いた話をエダに伝える。千冬が実の両親を殺そうとし、自分を誘拐したこと。それに女性権利団体の創設者が関与していること。それらを聞いたエダは怒りが沸き起こったのか声に若干怒りが籠っていた。

 

『なるほどね。そう言う事だったらウチのボスに伝えてやるよ。それで潰すにはそれなりの情報がいる。そのネタはあるのかい?』

 

そう言われ一夏は空間ディスプレイを起動し、あるデータを暗号メールで送信する。

 

「エダ姉、今パソコンに送ったメール見てくれる?」

 

するとカチャカチャと聞こえパソコンを弄っている音が聞こえる。

 

『こいつは?』

 

エダは一夏に言われた通りにメールを開いたのか中に入っていたデータについて聞く。

 

「女性権利団体が今まで行った不正や違法研究とかを集めた奴だよ。因みに集めたのは束さんと俺の父親。」

 

そう言われエダはその内容をよく見る。内容は女性権利団体が今まで犯罪行為を行ってきた内容とかそれを握りつぶしたこと。違法研究所を女尊男卑に染まった国に建て、児童を使った非人道的な研究などを行っていることが書かれていた。さらに各国の女性権利団体に所属している政府の役人の名簿なども入っていた。

 

『こいつはすごいな。よくこれだけの情報が集まったな。束がやったと言うのはわかるがお前の父親もかなり凄いな。』

 

そう言われ一夏は誇らしげな顔で自分の父親の正体を伝える。

 

「実は俺の父親、MI6の長官なんだよ。あ、これは誰にも言わないでよ。」

 

『はぁ?! MI6の長官が一夏の父親!? どんだけすごい血筋なんだ。』

 

エダは一夏の父親がMI6の長官だということに驚き、一夏は超人を生み出す家系の子なんだと改めて思い知らされた。

 

『まぁ、そのことはまた今度話そう。で、これだけの情報を渡すんだ、見返りは何だい。』

 

「ある組織を潰したいからそれの手伝い。」

 

エダは一夏が言ったある組織という単語にどの組織かすぐに分かった。

 

『そのある組織って亡国機業って言う奴じゃないのか?』

 

そう聞かれ一夏は組織の名を言ってないのになぜエダが知っているのか驚く。学園内で知っているのは自分とオータムを尋問したシルヴィア、束、楯無。そしてその報告を聞いた学園長。そして潜入調査をしていたマドカとそれを指示した父、ムネアキのみだからだ。

 

「どうして知ってるの?」

 

一夏の問いにエダはやっぱりかと呟く。

 

『IS学園で襲撃事件が起きたって張の奴が学園長から聞いたらしくてな。そしたら今度はどこの組織がやったのかをバラライカが調べて持ってきたらしい。それでホテルモスクワ、さらに三合会が緊急招集を行って亡国機業にどうやって報復するか今会議が行われているんだよ。しかも此処ロアナプラでな。』

 

それを聞いた一夏は口が引きつり今ロアナプラはかなりやばい状態だと確信した。

 

「ち、因みに俺が襲われたって張兄さん達は知ってるの?」

 

『・・・あぁ。お前が襲われたことを聞いた張にバラライカ、それとレヴィの奴がブチ切れて今すぐ一夏を襲った奴を八つ裂きにしてやるって日本に行きそうだったぞ。』

 

そう言われ一夏は冷汗が止まらなかった。もしあの3人が日本に来たら人目を憚らず襲撃してきたオータムを確実に血祭りにあげると思ったからだ。

 

「え、えっとそれで力は貸してもらえるのかな?」

 

『ソイツは問題ないだろ。これだけのネタを出すんだ。大統領だってそれくらい力は貸すだろ。まぁ後はこのエダお姉ちゃんに任しときな。じゃあな。』

 

そう言って電話を切られ一夏は空を見上げる。するとベアトリクスが話しかけてきた。

 

[ところでマスター、もうすぐ修学旅行よね?]

 

「うん? そう言えばシルヴィア先生がそんな事言ってたな。けどやって大丈夫なのか?」

 

一夏が疑問に持つのは当たり前だ。テロみたいなことが起き、今後また同じようなことが起きたら生徒たちの安全の為に学園内にいた方が教師たちも守りやすいからだ。

 

[確かに学園にいた方が安全ですが、学園内に閉じ込められて溜まりに溜まった息を吐かせないと今後テロなんかが起きた時に対処しにくくなるからでしょう。]

 

アイリスディーナがそう説明し一夏も確かにそうだがと思うがそれでもやはり心配だなと思わずにはいられなかった。未だどこに修学旅行に行くかは決まっていないが、一夏的には何も起こらず無事に修学旅行が済むことを祈るしかできなかった。




次回予告
一夏から送られてきたデータを持ってエダは一度アメリカへと戻る。そして自分のボスと会いデータを渡し、一夏の要求を伝える。そして遂にこの世界に蔓延る風潮の根源が潰されるときが来た。

次回権力の崩壊・後編~漸く世界が動き始めたね、いっくん。~


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おまけⅡ~ビバヤング~

本編書こうと思ったときに降ってきたネタです。


白い靄が晴れ一人の男子中学生が自分の容姿がおかしいことに気づく。

 

「まさかこれって俺が中学の時のじゃないか。」

 

そうこの中学生はロック(13歳)なのである。ロックは一体なぜこうなったのか考えていると背後にあった扉が荒々しく開けられ中に入ってきたのは

 

「なんだこりゃーーーー!」

 

「レヴィ?! 目つき悪いなお前!」

 

入ってきたのはレヴィ(14歳)だった。大人の時とは違い目つきが悪く常に睨んでいるように見えた。

 

「うっせぇ~バカ! 何その頭? それかっこいいの? それってかっこいいの?」

 

レヴィにそう言われロックは慌てるように頭を隠そうと両手で頭を隠す。

 

「う、うるさいな校則だったんだよ!」

 

両者が口喧嘩をしているとその後ろをそぉーと抜け出そうとした人物がいたが。

 

「あ、ベニー!」

 

「うわ、いじめられっ子オーラがにじみ出てる。」

 

そう言われベニー(12歳)は泣き叫びながら両手をあげる。

 

「見るなよ! だから会いたくなかったんだ!」

 

するとレヴィはあと一人ダッチがいないことに気づく。

 

「そういやダッチは? ダッチはどうしたんだよ?」

 

そう聞かれベニーは紙切れを手渡して説明する。

 

「ダッチはとっくに逃げたよ!」

 

そう言われ渡された紙切れをみるとそこには

 

『さがさないでください。 ダッチ』と書かれていた。

 

3人は野郎逃げやがったなと思っているとロックは一夏がいないことに気づき、一夏の部屋の前へと行くと誰かが出てきた。

 

「ふわぁ~、おはよ~。」

 

そう言いながら出てきたのは保育園児くらいの子供で寝巻きには星が描かれており、左手にはクマのぬいぐるみを抱いていた。

それを見たロックとレヴィはまさかと思い声を掛けずにはいられなかった。

 

「ま、まさか一夏なのか?」

 

ロックがそう声を掛けると一夏だと思われる子供はロック達に顔を向け、笑顔で挨拶をしてくる。

 

「あ、ロックお兄ちゃんにレヴィお姉ちゃんおはよ~。ふわぁ~。」

 

他の人たちとは違い一夏だけ幼児退行している感じで、まだ眠いのか目を擦りながら2人に近付く。

 

レヴィは一夏の保育園児に退行したことに歓喜していた。

 

(な、な、な、なんじゃありゃー! 小学生の時の一夏は見たことあるが保育園児のは見たことないけど、めっちゃ可愛すぎるだろー!)

 

レヴィが石のように固まっていることに気づいた一夏(5歳)は近づいてレヴィの服の裾を掴んで引っ張る。

 

「レヴィお姉ちゃんどうかしたの?」

 

「な、な、何でもないぞ! と、とりあえずダッチ探しに行くから服着替えてこい。」

 

一夏ははぁ~いと言って部屋へと戻り数分後、服を着替え終えた一夏がクマを抱きしめながら出てきて、レヴィ、ロック、一夏はダッチを探しにまず暴力教会へと赴く。中に入ると金髪のきわどい衣装を着た女性がおり、レヴィはすかさず一夏の目を手で隠す。

 

「? レヴィお姉ちゃんどうしたの?」

 

「お前は見るんじゃない。」

 

「おや、可愛いね坊や達だね。でもここにはダッチは来てないわよ。」

 

「あんた誰だ!」

 

ロックの鋭いツッコミがすかさず入る。

 

「おやお分かりでないかい?」

 

そう言って煙草を吸い、吐き出す女性。

 

「ヨランダだよ、ぼっちゃん。」

 

そう言われレヴィは驚きすぎて開いた口が閉じなかった。

 

「げぇ、マジかぁ!」

 

「ほぇ? ヨランダおばあちゃん? けど声違うような気がするんだけど。」

 

一夏はレヴィの手でヨランダ(?歳)の姿が見えていないため声だけが頼りなのだが声がいつも聞いているヨランダと違い困っているとヨランダが一夏に近寄り頭を撫でる。

 

「おやおや、一夏坊やも随分かわいい子になっちゃったじゃない。」

 

「あ、この撫で方ヨランダおばあちゃんだぁ。」

 

そう言って頭を撫でられ続けてる時にレヴィはエダがいないことに気づく。

 

「そう言えばエダはどこ行ったんだよ?」

 

「あぁ、あの子も随分面白いくらい変わっちゃったんだけど姿が見えないねぇ~、おぉ~いエダ?」

 

そう言って呼ぶが返事はない。

 

「クソ~、あいつも逃げたか。」

 

そう言って他の所に探しに行くかと言い、ロックと一夏を連れて教会を後にする。その時一夏はふと後ろを振り向くとエダが扉の影から一夏に向けて手を振っていることに気づき声を掛けようとしたがエダは自分の口元に人差し指をたてシィーとポーズをとる。

一夏は何だろうと思ったけどしゃべっちゃダメと言っている気がしたから何も言わずただ手を振ってレヴィ達と一緒に去って行く。

それを見送ったエダは息を吐き扉の影から出てくるとその衣装はチアリーダーの恰好だった。

 

「まったく急いで逃げようとした瞬間にあいつらが来ちまうとは、冷や汗が止まらなかったぜ。」

 

エダ(17歳)はそう言って逃げる準備へと戻る。

 

 

~とある建物の入り口前~

 

『ピンポーン!』

 

レヴィ達はとりあえずダッチが行きそうな人物がいる建物の前に来てインターホーンを鳴らすと扉の鍵が開き小柄の少女が出てきた。

 

「えっとぉ~、今お父さんもお母さんも留守にしてるので、よく分かりませぇん。キャッ」

 

そう言って出てきた少女にジト目で見るロックとレヴィ。一夏はヨランダから別れ際にもらったペロペロキャンディを舐めて誰だろうと考えていた。

 

「姉御、ヨランダ見たら何も驚くことないぞ。」

 

レヴィが姉御と言った少女、そう彼女はホテルモスクワの幹部のバラライカ(9歳)なのである。

 

「あらそうなの。というかあんた目つき悪いわね。」

 

バラライカにそう言われレヴィは切れた。

 

「うっせーよ!」

 

「にょ~ほほほほ! 育ちの悪さが顔に出るわね。」

 

バラライカは口に手をあて、上品?に笑っているとレヴィ達に近付く人物たちがいた。

 

「なんだ、お前らもか。」

 

ロックはそう声を掛けられたほうを見て驚愕した。

 

「張さん、若?!」

 

最初に声を掛けたのは張(15歳)だった。その隣にいた人物たちはレヴィが気づいた。

 

「バオはあんまし変わってねえな。」

 

「うるせぇ。」

 

バオ(22歳)、ベトナム戦争時の装備を着用していて、余りにも場違いな感じだった。

 

「シェンホアは貧乏くせぇな。」

 

「余計なお世話ヨ」

 

シェンホア(12歳)、大人の時とは違い髪は短髪で顔だちもちょっとマルイ感じだった。相変わらず喋り方はデスダヨだが。

 

「ところでそこにいる子供って誰なんだ?」

 

張がそう聞くとキャンディを舐めていた一夏は舐めるのをやめる。

 

「張のお兄ちゃん、こんにちは~。」

 

一夏が屈託のない笑顔を張に向けると、張の体に稲妻が走った。

 

「ま、ま、まさか一夏なのか?」

 

「え?」

 

張が震える声で聞くとバラライカもさっきからいたこの子供が一夏だとは思ってもいなかったのだ。

 

「うん、僕一夏だよ。」

 

一夏がそう肯定するとバラライカは震える手足でゆっくり一夏に近付く。

 

「うん? どうしたのバラライカお姉ちゃん?」

 

その一言がダイレクトアタックとなりバラライカは猛ダッシュで一夏に抱き着く。

 

「か、か、か、可愛いーーーーー!」

 

「あ、姉御?!」

 

一夏に抱き着いたバラライカはむぎゅーと一夏に抱き着いており一夏は頭に疑問符を浮かべながらジッとしていた。

 

「可愛すぎます! もぉ~、一夏はどうしてこんなにも可愛いの? お姉ちゃんにそんなに可愛がって欲しいからそうなったの? もうお姉ちゃんを萌え殺したいのね? そうなんでしょ?」

 

元軍人という気配はなくそこには可愛いものを見つけて頬擦りしまくる少女がいた。張も弟分を撫でたいと後ろで順番を待っていた。

そんな状態を見るに見かねたロックがバラライカの側近がいない理由を聞く。

 

「そ、そう言えばボリスさんは?」

 

「うん? 軍曹かそう言えばどこに「大尉~!」おや?」

 

声がした方に全員見るとそこには茶髪の美少年がロック達に走り寄ってきていた。

 

「探しましたよ、大尉。」

 

「はぁぁぁぁ~?」

 

バラライカは驚きすぎて口がアングリ落ち、ロックとレヴィは誰だこいつと言った目線で見ていた。一夏は張に肩車をしてもらい遊んでもらっていた。

 

「ど、どなた?」

 

バラライカは震えるようにそう聞くと美少年は驚きつつも自分の正体を伝える。

 

「お忘れとは嘆かわしい。専任軍曹のボリスであります!キラキラ」

 

「「「えぇぇぇ~~~~!」」」

 

ボリス(16歳)からの爆弾発言にロック、レヴィ、バラライカは驚愕する。

 

「自分は昔、もやしっ子と罵られおり、軍隊に入って鍛えなおそうと思ったのであります!」

 

その言葉に3人は指をさして叫ぶ。

 

「軍曹お前!」

 

「なんというもったいない事を。」

 

「そのままでいろ!」

 

3人からの指摘にボリスは驚愕の顔を浮かべる。

 

「そんな!」

 

その頃一夏は張と一緒に中華料理屋でご飯を仲良く食べていたとさ

 

終わり




次回本編


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28話

えぇ~、実はエダのボスなんですがいい人が思いつかなかったのであの人にしました。


一夏からデータを貰ったエダはヨランダに暫くロアナプラを離れることを伝えアメリカへと帰国する。空港から出てきたエダの格好はシスターの服装ではなくリクルートスーツを身につつ、サングラスを外した状態だった。エダは空港入口で止まっていたタクシーの一つに乗り込み、待ち合わせの場所へと向かわせた。

 

空港から出発して約30分したところにある小さな喫茶店へと到着し、エダは喫茶店へと入る。中はテーブル席やカウンター席などがあり、カウンターには店のオーナーと思われる人物がカップを磨いていた。エダは目的の人物を探し店の奥へと行くと端の方の席でパンケーキを食べながら新聞を読んでいる人物がいることに気づき近づく。

 

「久しぶりだな、エダ。」

 

「えぇお久しぶりです、ブックマン課長。」

 

エダは店員にコーヒーを頼みブックマンと呼んだ男性の向かいの席へと腰を下ろす。

 

「それで、わざわざアメリカに戻ってきて私に渡したいものって何?」

 

そう聞かれエダは持っていたカバンからぶ厚いファイルを取り出しそれを渡す。ブックマンはそれを受け取り怪訝そうに中身をみると体に衝撃が走った。

 

「これは・・・・。なるほど確かにメールとかで送るには危険すぎる代物だな。」

 

「えぇ、ですのでわざわざ此処に戻ってきたのです。」

 

ブックマンはファイルに入っていた紙の束を一枚一枚見落とさないように見入る。そして最後の一枚を読み終わりファイルへと戻す。

 

「これだけの情報をいったいどこで入手したんだ?」

 

「以前報告した少年からです。情報を集めたのはDr.篠ノ之ですが。」

 

エダは店員が持ってきたコーヒーに口を付けそう説明をするとブックマンは納得した顔になる。

 

「なるほど、例の商会に入った元ブリュンヒルデの弟か。してこれの見返りは?」

 

「ある組織の壊滅の手伝いだそうです。」

 

エダは淡々と一夏が要求したことを伝えるとブックマンは真剣な表情になる。

 

「そいつはまたデカい要求だな。本来であれば断るところだ。だが」

 

ブックマンはニヤリと口元を歪ませる。

 

「これだけの情報をくれたんだ。断るのは流石に礼儀に反するな。」

 

「では?」

 

「勿論、手は貸そう。我らがアメリカ大統領だってこいつは喉から手が出るほどの代物だ。それにテロリストを潰すのは我々アメリカの仕事でもあるしな。」

 

そう言って席を立つブックマン。

 

「では私はこれをFBI(連邦捜査局)NSA(アメリカ国家安全保障局)の連中にタレこんでくるよ。」

 

そう言って店から出て行こうとしたブックマンだがふとエダの方に体を向ける。

 

「そうだ、少年に言っといてくれないか。」

 

「何をですか?」

 

エダがそう聞き返すとブックマンは笑みを浮かべながら話す。

 

「“祖国を代表して礼を言う”って。それじゃあな。」

 

そう言ってブックマンは店を後にした。それと同時にカウンターにいたマスターと店員も私服へと戻って店を後にした。実はこの店自体がCIAが用意した架空の喫茶店で店員もマスターもCIAの局員だったのだ。エダは相変わらず用意周到なことでと思いつつカップに残っているコーヒーを飲み干し店を後にした。

 

それからは電撃的展開で武装したFBI、さらに軍のIS部隊がワシントンD.C.に置かれている女性権利団体の本部を襲撃、中にいた幹部達を次々と逮捕していった。そして部屋の奥にいた女性権利団体の創設者の袴田朋美を発見し拘束した。

 

「離しなさい! 私を誰だと思ってるの! 女性たちを開放に導く指導者である袴田朋美よ!」

 

「五月蠅いわね、黙りなさい!」

 

ISを身に纏った女性軍人の一人がそう言って猿轡をさせ、肩に担ぎ外へと運び出す。その後、女性権利団体が犯した犯罪などが世間に公表され世界中は衝撃に包まれた。特に世界中に広まった女性権利団体の支部は捕まることを恐れ、逃亡しようとしたが現地の警察や軍隊によって捕まったり、射殺され次々と女性権利団体は縮小していった。さらに政府の高官になっていた女性権利団体も次々と逮捕されていった。

 

女性権利団体を他の国より先に潰したアメリカでは大統領が男女平等社会を築くと宣言し、少しずつ社会が変わり始めていた。そんなある日ホワイトハウスで仕事をしていたアシュフォード大統領に電話が鳴り、大統領はそれに出ると怒り狂った男の声が響いた。

 

『貴様、どう言う事だ! 私の娘を逮捕するとはいったい何の権限でそんなことをした!』

 

「何の権限ですかって? そりゃあもちろん我がアメリカの利益に反する組織として潰したまでですが。何か問題でもありますか?」

 

アシュフォードは怒り狂った男からの質問に冷静に返答する。それを聞いた男はさらに怒り狂った。

 

『問題だらけに決まっているだろ! 貴様がその席に座れるのは我々が手を貸してやったのを忘れたとでもいうつもりか!』

 

「あぁ~、確かにあなた方が私を操り人形としてこの席に座らせたことは十分憶えています。ですが私はあなた方の操り人形でいるつもりなどはじめからなかったので。」

 

アシュフォードは淡々と返答すると受話器からガラスが割れる音が響いた。恐らく持っていたガラスのコップを投げ捨てたのだろう。

 

『貴様! 私は絶対に貴様を許さんからな、覚悟しておけアシュフォード!』

 

そう言って男は電話を切った。アシュフォードは受話器を置き、席を立ち窓から外の景色を眺めた。その目は鋭く覚悟を決めたかのような目だった。

 

「覚悟しておくのはお前の方だ、亡国機業司令官。いや“袴田源次郎”」

 

世界中で女性権利団体の幹部たちが逮捕されているという情報はIS学園にも届いており近々日本の権利団体も捜査のメスが入るだろうと言われていた。

夜、寮の屋上で束と一夏は夜空を見上げていた。

 

「漸く世界が動き出したね、いっくん。」

 

「えぇ、後は亡国機業を潰すだけですね。それが終わったらみんなとあっちこっち旅行に行きたいですね。」

 

一夏の提案に束は笑顔で頷き、一夏に抱き着く。

 

 

人物

ブックマン(登場作品:ヨルムンガンド)

お馴染み食べること大好きなCIA課長

エダの上司であり、多くの部下たちから慕われている。

 

アシュフォード

アメリカ大統領で亡国機業がアメリカを思うがままに動かすために大統領の席に座らせた人物。最初は人形でいることに仕方がないと思っていたが一夏がエダに手渡した情報によって人形でいることをやめる決意を固め、亡国機業と決別することを実行した。




もっと盛大な逮捕劇とかしたいと思ったのですがなかなか思いつかなかったのでしょぼい逮捕劇になってしまい申し訳ないですm(;_ _)m

次回予告
女性権利団体が事実上の崩壊となって数日後、1年生たちは息抜きと評して京都へと修学旅行へと出発する。一夏達は何事もなく終わってほしいと願っていたが突然の襲撃を受ける。
次回復讐を誓った女性~Mいえ、マドカ。貴女をここで殺す!~


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29話

新幹線の窓から見える景色はずっとコンクリートの壁だったが突然それは開け、古い建物や赤々しく染まった紅葉の木々が見え、そして京都に入ったとアナンスが入る。

 

「ふわぁ~、漸く京都に入ったのか。」

 

一夏は欠伸を漏らしつつ長く席に着いていた為固まってしまった体を伸ばす。

 

「綺麗ですね、鈴お母様!」

 

「そうね、私も京都に来たのは初めてだから楽しみだわ。」

 

一夏がいる席の後ろの窓際の席に座っていたクロエは窓から見える京都に感銘を受け、鈴は初めてきた京都に胸を躍らせながらクロエと共に窓からの景色を楽しんでいた。

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃん。このタウンマップに載ってる生八つ橋のお店行ってみたい!」

 

マドカは事前に本屋で購入してきた京都マップを見て、食べてみたいお店をピックアップしており、特に最初に食べたかったであろう生八つ橋のお店に行きたいと一夏に提案する。

 

「うん? どれどれ、なるほどそこかぁ。鈴達も一緒に行かないか?」

 

一夏が後ろにいる鈴にそう聞くと鈴と、隣にいたクロエが了承し、最初に行く目的地が決まった。

 

新幹線が京都駅へと着き、1年生全員はまず宿泊するホテルへと向かうためバスへと乗車する。一夏は乗車するときに束にも鈴達と一緒に八つ橋を食べに行くと伝えると自分も行くと言い、ホテルのロビーで集合することになった。

バスが京都駅を出発して数十分後、宿泊するホテルへと到着した。一夏の部屋は鈴とクロエと一緒で、マドカは最近仲良くなったティナと同じ部屋となり、束はシルヴィアと同じ教員の部屋となった。部屋に荷物などを置き、鈴とクロエと共に一夏は部屋を出てロビーへと向かうと束とマドカが先に着いて一夏達の到着を待っていた。

 

「お待たせ束さん、マドカ。」

 

「そんなに待ってないよ~、それじゃあマーちゃん、その生八つ橋のお店って何処にあるの?」

 

そう聞かれマドカは持っていたタウンマップを開き、目的の店を見せる。

 

「此処から歩いて40分ぐらいしたところにあるみたいだよ。 広大な竹林が目印だって。」

 

「なるほど、それじゃあ行きますか。」

 

そして一夏達は目的の店へと出発した。

ホテルを出発して数十分後、目印となる竹林が見え、もうすぐ目的地だと全員思った瞬間、一夏は竹林から殺気が飛んでいることに気づき銃をすかさず構える。

 

「どうしたの、いっくん?」

 

突然の行動に束は驚くが鈴も殺気を感じ取りグルカナイフを抜き臨戦態勢に移っており、八つ橋を食べに行ける状態ではないとすぐに感じ取れた。

 

「…束お母様。」

 

クロエは並々ならぬ殺気に束の後ろへと隠れ、束はクロエを守る様に前へと出る。マドカもMI6局員に配備されているUSPを構え警戒する。

 

「やっぱり殺気なんて放ってれば気づかれるわよね。」

 

竹林からそう言いながら出てきた金髪の女性。

 

「誰だお前?」

 

一夏はP250を構えつつそう聞くと隣にいたマドカが説明する。

 

「こいつはスコール・ミューゼル。私が潜入調査してた亡国機業の幹部の一人で私の上司だった人だよ。」

 

「えぇそうよ。初めまして天ノ川一夏君、そして篠ノ之博士。」

 

スコールは笑顔で挨拶してくるがその体からは殺気が放たれ続けていた。

 

「挨拶はいいよ。 それで要件は何? まぁおおよそ見当は付くけど。」

 

「では、単刀直入に言わせていただくわ。 オータムはどうなったの?」

 

スコールは先ほどの笑顔から睨むようにオータムの居場所を問いただす。

 

「オータム? あぁ、俺に襲い掛かってきてマドカに両腕と片足をそぎ落とされた奴のことか。」

 

一夏はオータムについて思い出し、挑発するように伝える。

 

「何ですって?! 貴女そんなことしたの?」

 

一夏の言葉を聞いたスコールはマドカを濃い殺気を放ちながら睨むがマドカは平然とした顔で肯定する。

 

「やったよ。 だって逃げられたら情報手に入らないじゃん。だから逃がさないのと抵抗されないようにするために両腕と片足を奪った。あ、それとアイツから絞る情報はもう無くなったから、今頃処分されてるんじゃない。」

 

「M、いえマドカ! 貴女をここで殺す!」

 

スコールはマドカの言葉に殺意を解放し専用機であるゴールデン・ドーンを身に纏い攻撃を仕掛けてくる。ISを身に纏って攻撃を仕掛けてきたため、一夏達もISを身に纏い反撃を開始する。束はクロエを抱き上げ攻撃に巻き込まれないようにするため後ろに下がり、シルヴィアに連絡を取り応援を頼む。

 

「シーちゃん、亡国の一人に襲われてるから何人かコッチにちょうだい!」

 

『何ですって?! 実はこっちも亡国の構成員と思しき連中と交戦中なのよ。だから応援を回してあげられないの。すぐに片づけてそちらに向かうから何とか持ちこたえて!』

 

「…分かった。いっくん達に頑張ってもらう。けど出来るだけ早くして。」

 

応援を頼み終えた束は一夏達が戦っている方へと目を向ける。一夏はA-10を身に纏いアサルトライフルやらアヴェンジャーで攻撃するがスコールはそれを難なく躱す。その隙をついて鈴がクナイを投げ動きを封じようとするが肩から出た鞭でクナイを弾き飛ばす。マドカのシールドビット攻撃も両肩から出る炎の鞭で無力化される。

 

「こいつ反応速度が速すぎるだろ。」

 

「全くね。 死角から攻撃したはずなのに何の問題もなく対処するなんて、どうなってんのよ。」

 

「コッチは三人だっていうのにそれでも対処できるって言う事は腹ただしいけどそれだけ強いってことだよね。」

 

一夏達は荒々しく呼吸を整えているのに対し、スコールは乱れた呼吸すら見せず、平然とした顔でいた。

 

「どうしたの、そんなものなの、あなた達の実力って?」

 

一夏はどうすべきか思案しているが先にスコールが動き両肩から鞭を飛ばす。一夏は攻撃を避けようと考えたが、ある作戦を思いつきその場から動こうとしなかった。

 

「っ?! 一夏!」

 

鈴は一夏に向かう攻撃を止めようとするが間に合わず鞭は一夏へと向かう。一夏は向かってくる鞭をすかさず掴みとる。

 

「?! 貴方いったい何を!」

 

「こうすればお前は逃げられないだろ。」

 

一夏はSEがガリガリと削られつつもアヴェンジャーをスコールへと向け発射しようとするが、スコールはソリッドフレアを放ち、攻撃を阻止する。

 

「いい加減に離しなさい!」

 

スコールからの攻撃を耐えつつ一夏は口元をニヤリとする。

 

「? 何が可笑しいの?」

 

「俺ばっかに集中して大丈夫なのか?」

 

一夏の言葉を聞いたスコールは慌てて周りを見ると、マドカと鈴がいないことに気づき、何処に行ったのか捜索すると真上から衝撃を受け地面へと押し付けられる。

 

「ぐっ?! 上に移動していたとはね。」

 

スコールは真上にいる鈴とマドカを睨みつけながら立ち上がろうとしたがその前に一夏のアヴェンジャーが火を噴きスコールが倒れ込んだ場所を濛々と土煙が立ち上った。

暫くしてアヴェンジャーに装填されていた弾丸が尽き、一夏はハイパーセンサーで確認する。すると反応があり、一夏は再度撃てるようにアヴェンジャーに弾を込めるようにベアトリクスに指示を飛ばす。

そして土煙が晴れるとそこには若干ズタボロにされたスコールがいた。だが肩は壊れているのか火花が飛んでいるうえに、脚部も装甲が剥がれ落ちていた。

 

「やってくれるじゃない。けどまだ私はやられるわけにはいかないのよ!」

 

スコールはそう叫び、最後の攻撃と言わんばかりに突貫してくる。一夏はアヴェンジャーで攻撃をしようとするがスコールからのソリッドフレアによって片方のアヴェンジャーが破壊され、もう片方で攻撃をしようとするが間合いを詰められうまく照準が合わなかったため素早く近接ナイフを取り出す。

 

「この!」

 

「墜ちなさい!」

 

スコールの近接攻撃用の尾が一夏に迫るがマドカのシールドビットによって弾かれ、動きが一瞬止まったのを一夏は見逃すはずもなく、近接ナイフを構え、ブースターで一気に接近しとどめを刺そうとする。だがスコールは手のひらでナイフを受け止め攻撃を止められた。

 

「もらった!」

 

鈴は双天牙月で攻撃するが空いたもう一つの手で攻撃を阻止される。

 

「いい加減にしなさいよ!」

 

鈴はそう叫びながら力を加え叩き切ろうとするが思うようにいかなかった。

 

「これでどうだ!」

 

マドカは残ったシールドビットで攻撃するが残った尾で対処される。

 

「此処まで手負いにされたのは初めてだけど、それじゃあ私を倒せないわよ。」

 

三人はスコールのISが破損状態になっているのにも関わらずに倒せないことにこのままでは負けると感じた。だが

 

「だったらもう一人加わったらどうなるんだろうね~。」

 

その声が聞こえたと同時にスコールの腹からブレードが突き抜けた。

 

「ごふっ。 ど、どうして? 絶対防御があるはずなのにブレードが突き抜けたの?」

 

スコールはブレードを突き刺した人物を見るとそこには紫色のISを身に纏った束が立っていた。

 

「そんなの簡単、お前の腹に刺さっている武器は私が作ったシールドを突き抜けて操縦者本人にダメージを負わせることが出来る代物だからだよ。」

 

そう言いながら束はブレードを勢いよくスコールの腹から抜くとスコールの腹から白色の血と赤色の血が一緒に出てくる。

 

「お前、体に機械入れてたのかよ。」

 

一夏がそう聞くとスコールは自嘲するように笑う。

 

「…えぇ、そうよ。けどこれだけの傷だともう長くは無いわね。…マドカ、貴女に頼みがある。」

 

弱弱しくなっていくスコールにマドカは呼ばれ、スコールに近づく。

 

「なに?」

 

「私のISに亡国機業の情報が入っている。だからオータムを…殺さないで。」

 

スコールは自分のことではなく自分にとって大切な恋人のオータムを助けてほしいと頼む。

 

「…もし無理だと言ったら?」

 

「…機体を爆破するわ。」

 

スコールの目は真剣さを帯びており、マドカは本気だと感じとる。

 

「…わかった。けど、刑務所で一生過ごすことになる。それでもいいわね?」

 

「それで…い…い‥わ。」

 

そう言ってスコールは息を引き取った。その顔は安堵したような顔だった。

 

「…それじゃあ学園に戻り次第こいつのISを解析するね。」

 

そう言い束はスコールからゴールデン・ドーンの待機形態の金色のブレスレットを外し取り、拡張領域へと片づける。

 

「本当はこの人はやさしい人だったかもしれないわね?」

 

鈴はそう推論を言うと一夏はなぜそ思ったのか気になった。

 

「どうしてそう思ったんだ?」

 

「だって、そうじゃなきゃこんな安らかな顔で死んだりしないもの。」

 

そう言われ一夏も納得し、スコールの両腕をお腹の上に乗せ静かに黙とうをささげた。




戦闘が都合よすぎるのはいつものことなので気にしないでください。



次回予告
修学旅行が終わり、一夏達はスコールが死の間際に渡した情報を調べていると、そこには亡国機業の本部の位置等が入っていた。一夏達はケリをつけるため、亡国機業本部へと乗り出す。
次回決着の弾丸~地獄の閻魔様にでも謝るんだな。~


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30話

投稿が遅れて申し訳ありません。


修学旅行は中断となり一年生達はIS学園へと戻ってきた。修学旅行中にまた襲撃にあったがそれでも一息つけたため、一年生達は顔に若干笑顔が戻ってきたそうだ。

スコールとの戦いに勝った一夏達は寮の部屋でゴールデン・ドーンを解析していた。

 

「束さん、どうですか?」

 

「うん、確かに色々な情報が入ってるね。お、これなんてすっごく重要な情報じゃん。」

 

そう言ってスクリーンを一夏達に見えるように拡大して空中投影するとそこには亡国機業の施設の位置が映し出されていた。

 

「確かに重要ね。けどこの位置本当に施設あるの?」

 

鈴は敵から渡された情報だから信憑性に欠けると考えそう言うと、束はもう一つのモニターを起動して衛星をハッキングし、亡国機業があると思われる位置へと動かす。衛星が目的の位置へと移動し、モニターにその位置を映し出すとほぼ森林で覆われていた。

 

「やっぱりガセだったのね。」

 

鈴はガセだと思い、肩を落とすが束はモニターをサーモグラフィーに変えると所々から赤く染まったりしていた。

 

「これは?」

 

「所々から熱が出ているみたい。もしかしたら建物は地下にあるのかも。」

 

そう言って束は衛星で更に確認すると入口だと思われる場所を発見する。

 

「ビンゴ! 此処に施設があるみたいだね。このまま他の施設も見つけますか。」

 

束はそう言って他の施設を探し始める。

数時間後、束はゴールデン・ドーンに入っていた施設の位置情報を確認し、すべて発見し終えた。鈴とクロエはベットで寝ており、一夏は束にお茶の入った湯呑を手渡す。

 

「お疲れ様です、束さん。」

 

「うん、にしてもこれだけ多いとは思わなかったよ。」

 

そう言って束は一夏から受け取ったコップに入ったお茶を飲みながら画面を見る。そこには世界地図が映し出されており、至る所に赤点と青い点が付けられていた。

 

「束さん、この青い点と赤点は何か違うんですか?」

 

「青い点はダミーの施設で赤い点は人がいる施設だよ。ざっと数えただけでも赤い点は50以上、青い点は100近くあるね。」

 

束の説明に一夏は呆れるように息を吐く。

 

「これだけ多いと骨が折れるね。アメリカに頼んで潰していってもらう?」

 

「そうですね。束さん、亡国機業の司令官がいるだろうと思われる場所って絞れます?」

 

そう聞かれ束はキーボードを数回叩くと東南アジアにある施設が画面に映し出された。

 

「他の施設より此処の施設は結構大きいみたいだから此処が本拠地だと思うね。」

 

画面に映し出された施設はカモフラージュされているがサーモグラフィーで施設を見ると他の施設より赤い部分が多く出ていることが分かった。

 

「確かに排熱されている量が他より多いですね。」

 

「それじゃあ此処にアメリカ軍を送ってもらうの?」

 

「ついでに自分も送ってもらいます。」

 

一夏の発言に束は驚き一夏を見ると一夏の顔は真剣さを射していた。

 

「理由は?」

 

「俺の過去と決別するためですよ。あいつ等があの女の願いを聞かなかったら俺は家族と普通の生活が出来たかもしれないし、テロを何度も仕掛けてこられたから結構腹が立っていたんで。」

 

そう言うと束は行かせるべきではないと思ったがこの先また亡国機業が襲ってきたりするとうざいとも思う。

 

「分かったよ。でも束さんも一緒に行くからね。」

 

「…束さん。」

 

「いっくんは私の夫。なら夫の問題は妻である束さんの問題でもあるからね。鈴ちゃんもそうでしょ?」

 

「え?」

 

一夏は後ろに振り向くと鈴は不敵な笑みを浮かべながら立っていた。

 

「束お姉ちゃんの言う通り。あんたの問題は私の問題でもあるんだから私も行くわよ。」

 

「けど、クロエはどうするんだ?誰かがクロエの傍にいてやらないと。」

 

「クロエなら大丈夫よ。シルヴィア先生にしばらく見てもらえればいいから。」

 

「だが。」

 

一夏は娘であるクロエを一人残して行くのに抵抗があった。だが

 

「大丈夫ですよ、お父様。」

 

そう言ってクロエは起き上がる。

 

「クロエ…。本当に大丈夫なのか?」

 

「はい。お父様達としばらく離れるのは寂しいですが、2組の皆さんがいますし、大丈夫です。ですが無事に帰ってきてください。それだけが私の願いです。」

 

そう言われ一夏は決心し、クロエを2組のみんなに任せ、全てに終止符を打ちに東南アジアへと向かう。

 

~数日後~

「ではこれより『オペレーション・ファントムキラー』を開始する。」

 

アメリカ軍の海兵隊の前には軍の将校らしき人物が立って、作戦の説明を始める。

 

「本作戦の目標はテロリストグループの壊滅だ。そこで我々は正面から陽動攻撃を開始し、敵の注意を向ける。その間に背後から別動隊が内部に潜入し、敵リーダーを排除する予定だ。それとテログループにはISを配備している恐れがあるため空軍のIS部隊も作戦に参加する。以上で作戦の説明を終えるが何か質問はあるか?」

 

将校がそう聞くと海兵隊の一人が手をあげる。

 

「その別動隊はこの作戦指令室にいないのですか?」

 

「別動隊は軍の特殊部隊らしい。その為此処とは違うところで作戦を聞いている。」

 

将校がそう言うと作戦室内がざわざわと騒ぐ。

 

「質問は以上か?なら諸君、我々アメリカの誇りを胸にテロリスト共を薙ぎ払え!いいな?」

 

「「「サー・イエス・サー!!」」」

 

そう叫び作戦指令室から海兵隊たちは出て行く。将校は出て行く兵士たちを見て呟く。

 

「上層部の指令をそのまま部下に伝えたのはいいが、一体何処の特殊部隊なんだ。」

 

数時間後海兵隊の兵士達の攻撃が始まり、施設にいた兵士達が反撃を開始してくる。勿論ISを身に纏った敵も出てきたためアメリカのIS部隊も前に出てISの撃破を開始した。

それを遠くで見ていた3機のISは施設内部へと潜入する。

内部に潜入した3機のISはそのまま奥へと進み、障害となる敵やISを薙ぎ払って行き、コントロールルームだと思われる場所へと着き、一人がISを解除しコネクターにケーブルを挿し、ハッキングを開始する。

 

「施設のコントロール強奪成功っと。ラビットさんは此処で監視してるから2人は先に行ってきて大丈夫だよ。」

 

「「了解。」」

 

そう言って2人は先へと進む。コントロールの仲間の道案内を受けながら施設奥へと向かうとデカい扉へと行きつく。二人は中へと入ると逃げようと金庫から金などをカバンに詰め込んでいる老人がいた。

 

「なっ?!もうここまで来たというのか。えぇい!」

 

そう叫び効きもしないのに拳銃を二人に向けて発砲するが何の効果もなく装甲で弾は弾かれた。そして全弾撃ち尽くしたのか拳銃を投げ捨て逃げ出そうとするが一機のISに装備されていたアサルトライフルから弾が発射され、弾は老人の足へと命中し倒れ込む。

ISの弾を受けた足は足首から抉られており、ドクドクと血が流れ出ていた。

 

「がぁぁ!足が!ワシの足が!」

 

老人は必死に抉れた部分から噴き出す血を止めようと手で押さえるが止まることなく大量に出てくる。

老人の近くに一機のISが近寄る。老人は止めを刺されると思い、傷を抑えながら逃げようとするがもう片方の足を思いっきり踏みつけられる。踏まれた瞬間骨が砕かれる音が部屋中に響き渡り、老人は声にならない悲鳴をあげる。

 

 

「?!!!?!!あがぁぁぁぁ!」

 

老人の両足は使えなくなる。老人を踏みつけたISは突然解除され一人の青年が出てきた。

 

「き、貴様は?!」

 

ISを解除して降りてきたのは一夏だった。

 

「袴田源次郎、地獄へと落ちる時間だ。」

 

そう言って一夏はOPERATORの銃口を源次郎の頭に向ける。

 

「ま、待ってくれ!取引を―――」

 

「するかよ馬鹿野郎。」

 

そう言って一夏は引き金を引き源次郎の頭に弾を打ち込む。仰向けに倒れた源次郎に一夏はOPERATORに装弾されている弾を全部撃ち込む。

 

「ようやく終わったわね。」

 

そう言ってもう一機のISを身に纏っていた鈴が話しかける。

 

「あぁ、さて束さんと合流して帰ろうぜ。」

 

そう言って一夏はエダの仲介で知り合ったブックマンに報告を入れる。

 

「こちらリーパー、スペードのキングを倒した。繰り返す、スペードのキングを倒した。これより撤退する。オーバー。」

 

『ご苦労だね。そこから南に行った所に船が用意してあるからそれに乗って撤収してくれ。』

 

そう言うとブックマンとの通信が切れた。そして一夏は鈴と一緒に束の元へと行きそのまま施設から脱出しブックマンが言った南に向かうとそこにいたのはラグーン号が停泊していた。一夏達は疑問に持ちながらも船の近くに降りると船からダッチ達が出てきた。

 

「よう、三人とも。早く乗りな。」

 

「え?どうして。」

 

一夏は疑問で頭の中がグルグルとなっているとダッチが説明した。

 

「匿名の依頼が入ってよ。此処に来る人物たちを連れて出来るだけ現場から離れた場所へと届ければ50万ドルって言われてな。で、待っていたらお前たちが来たと言う訳さ。」

 

そう言われ一夏達は匿名の相手がブックマンだということはすぐに見当が付き、別に言わなくてもいいかと思いラグーン号へと乗り込み現場を後にした。




次回予告
あれから2年が経ち、一夏は束、鈴との結婚式を挙げようとしていた。幸せな生活を始めるために。
次回最終話 平和で幸福な日々の始まり~絶対に幸せにするからな、2人とも~


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最終話

亡国機業が崩壊して2年の月日が経ち、そしてその2年で世界は大きく変化した。まず世界中に蔓延っていた女尊男卑の風潮が消え去った事。多くの国で女性権利団体が潰れたことによって政府は男女平等社会を掲げあげたことにより今まで虐げられてきた男性達、そして反女尊男卑の女性達が手に取り合ったことによって女尊男卑と言う風潮は消え去ったのだ。

次にISの運用方法がもう一度見直された事。ISを自国防衛として配備されているIS以外を全て宇宙開発専用として打ち上げようとIS委員会が動き出したのだ。その際、篠ノ之束に宇宙開発チームのリーダーになって欲しいと頼みに行ったが

 

「君達は雛鳥のままでいるつもりなの?鳥は何時か自分の羽で巣を飛び立つように、束さんは君達に宇宙に飛び出すための羽を与えた。なら後は君達自身がその羽をバタつかせて飛び出すだけだよ」

 

そう言って断られ、IS委員会は仕方がないと了承し別のチームリーダーを探すことにしたとのこと。そしてISを使用して戦うモンドグロッソも廃止、これによりIS学園は国連の直轄学園となりISの知識、技術そして宇宙に関する知識を学ぶための学園となった。

 

そしてロアナプラにある教会では結婚式が執り行われようとしていた。

 

「あら、レヴィがドレスを着ているなんて珍しい物を見たわ」

 

そう言っていつものリクルートスーツから真紅のドレスに着替えたバラライカが黒色のドレスを着たレヴィに言うとレヴィはしかめっ面になる。

 

「仕方ねぇだろ、姉御。今日はあいつ等にとって大事な日なんだぜ。アタイだけいつもの服装でいたら明らかに場違いって雰囲気になっちまうじゃねぇか」

 

「それもそうね」

 

そう言い、バラライカは辺りを見渡す。辺りにはスーツを着た張、そして普段の服装からスーツ姿へと変えているダッチ達ラグーン商会の面々、一夏の実の家族のムネアキとその母親と妹のマドカ、そしてチャイナ服ではなく青色のドレスを着たシェンホアなど、今回の主役たちと仲のいい人達が集まっていた。するとマイクを持ったシスター姿のエダが話し出す。

 

『えぇ~、それでは新郎新婦たちの登場だ。盛大な拍手で迎えてやってくれ!』

 

そう言うと同時に教会の扉が開かれそこから現れてきた人物たちに全員拍手を送る。教会から出てきたのは白いタキシードを着た一夏と純白のウエディングドレスを着た束と鈴、そして同じく白い服装をしたクロエだった。

 

「一夏~、おめでと~」

 

「おめでとう、束さ~ん」

 

「鈴~、会是幸福的〜(幸せになるのよ~)

 

「ぐす、かっこいいぞ~、一夏!」

 

「何泣いているんだ、張。まぁ確かにかっこいいぞ一夏」

 

「うぅぅ、まさか生きて息子の結婚式を見れて、父さんは嬉しいぞ!」

 

「あらあら、貴方ってばそんなに泣いていたら一夏に笑われますよ。ほら笑顔を向けてあげて下さい」

 

「そうだよ、お父さん。お母さんの言う通り笑顔で送ってあげようよ」

 

一夏達は辺りを見渡し、多くの人たちに祝福されていることに感動し目元から涙が出てくる。

 

「まさかこれほど多くの人たちに祝福されるなんてな」

 

「そうだね。沢山の人たちが私たちの門出を祝ってくれているんだから笑顔を向けなきゃいっくん」

 

「そうよ。あんたを育ててくれたロアナプラの人たちや、あんたを産んでくれた家族にちゃんと笑顔を向けてあげなきゃ」

 

鈴と束にそう言われ一夏は、そうだな。と言い笑顔を向け手を振って答えた。そして最後に全員で教会前で記念撮影が行われ結婚式はお開きとなった。

 

そしてそれから数年後、ロアナプラから少し離れたところにとある食堂が建っていた。そこの食堂は料理が美味しいことで有名でロアナプラの住人、更にそれを食べに危険を承知で来る美食家などがいた。

 

「はい、焼き野菜定食と生姜焼き定食お待ちどうさん」

 

そう言ってエプロンを着たツインテールをした女性が料理を運んでくると待ってましたと言わんばかりに割り箸を手に取り料理を食べ始めるお客。すると1組の男女が店に入ってくる。

 

「あ、張さんにバラライカさんいらっしゃませ!」

 

「よぉ、今日も来たぜ」

 

「それにしてもここは相変わらず人気ね」

 

そう言って張とバラライカはお気に入りとしている席へと着くと女性はお冷を二人の前に持って行き、注文を聞く。

 

「それで注文は何時もの日替わり定食でいいですか?」

 

「あぁそれで頼むよ、鈴」

 

張はそう言い、鈴は厨房に注文内容を言いに行く。

 

「一夏~、張さん達に日替わり定食お願いね~!」

 

「あいよ~!」

 

そう言って厨房にいる一夏が料理を作り始める。そして暫くして鈴はトンカツ定食を持って張達の前へと持って行く。

 

「お待たせしました、日替わり定食です!」

 

「お、今日はトンカツ定食か」

 

「昨日来たときの焼き魚定食も美味かったし、今日の料理も楽しみだ」

 

そう言って2人は料理を食べ始め、何時と変わらない美味しい料理だと舌鼓していると張はもう一人の嫁さんはどうしているか聞く。

 

「そう言えば束はどうしているんだ?」

 

「束さんだったら今家で子供たちの相手していると思いますよ」

 

一仕事を終えた一夏がミネラルウォーターを飲みながら張達の席へと近づきそう言うとバラライカが思い出すように言う。

 

「そうか、もう歩けるくらいになっているのか。今度どれくらい大きくなったか写真を送ってくれないか」

 

「えぇ、構いませんよ。そうだ今これ位大きくなってるんですよ」

 

そう言って鈴はスマホの写真をバラライカに見せる。そこには茶髪の子供と黒髪の子供が寝っ転がっている写真だった。

 

「あら可愛いわね」

 

「確かに、こっちの黒髪の方は何だか一夏に似てイケメンになりそうだな」

 

そう言いながら鈴、そして束の子供の写真を見ながら談笑し始めた。そして暫くしてバラライカと張は自分たちの事務所へと帰っていき、一夏と鈴は午後の仕事の準備に入り

、そして食堂の閉店時間となり一夏と鈴は後片付けをし、家へと帰る。家へと帰り扉を開け中へと入ると、最初に出迎えたのは背が伸びたクロエが出迎えた。

 

「お父様、鈴お母様お帰りなさいませ」

 

「ただいまクロエ。束さんは?」

 

「居間で春斗と楓夏の二人と遊んでおります」

 

そう聞き、三人は居間へと入ると茶髪の春斗がヨチヨチ歩きで一夏の足へと抱き着く。

 

「とぉとぉ、とぉとぉ」

 

そう言い、一夏は春斗を抱き上げる。

 

「ただいま~、春斗。いい子にしてたか?」

 

そう言っていると黒髪の楓夏を抱いている束が一夏の元へと近寄り頬にキスをする。

 

「お帰り、いっくん。春斗も楓夏もいい子にして待ってたもんね~?」

 

そう言うと春斗と楓夏はキャッキャッと笑う。

 

「それじゃあ今日は私が食事当番ね」

 

そう言ってエプロンを付け、鈴はキッチンへと向かう。

 

「クロエも手伝います」

 

「それじゃあその間に束さんは春斗と楓夏をお風呂に入れてくるね」

 

そう言って束は2人を抱き上げて風呂へと向かう。一夏はすることがないなと思いテレビでも見るかと呟き、テレビの電源を入れる。テレビには日本の番組が流れており暫く見ていると番組が終わりニュースへと変わった。

 

『八時になりました、ニュースの時間です。今日未明、○○県○○市にある一軒家から腐敗臭がすると警察に連絡が入り、中へと入ると死後数ヵ月が経っている死体が発見されました。警察の会見によると死亡していたのはこの家に住んでいる「一夏~、準備出来たわよ~。」「お~う。」…ピッ』

 

テレビを切って一夏は席へと着くと風呂から上がってきた束と春斗と楓夏も席に着き、全員席に着きご飯を食べ始めた。

一夏はこの幸せを絶対に離さないと常に心に思いながら愛する妻の料理を楽しんだ。

 

 

終わり

 

 

 

 

人物(その後)

天ノ川一夏

IS学園を卒業後、束と鈴と結婚。その後ロアナプラからほど近い所で食堂《天ノ川食堂》を開店した。人気はすぐに出て、常に黒字を叩き出していた。

自分の子供である、春斗と楓夏を可愛がっており束と鈴から親バカになるわよと言われた事がある。

 

天ノ川鈴

IS学園卒業後、中国代表候補生を降り一夏と結婚。その後、一夏がシェフを務める食堂のウエイトレスをしている。春斗を産んでから胸が大きくなり始めたことに感動していた。

 

天ノ川束

鈴と一夏が学園を卒業してから学園に退職届を出し、その後一夏と結婚。一夏の家でISの研究を続けながら一夏との子供である楓夏の子育てをしている。

 

クロエ・K・天ノ川

数年のうちに身長等が伸び、綺麗な女性へとなった。多くの男性が告白したが全員撃沈。本人曰く「お父様に勝てた人なら考えてあげます。」そう言われほぼ無理ゲーと思われている。




これにてブラックワンサマーは終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございます!

最初はブラックラグーン要素が余りないなと思いながら書いておりましたが多くの方がお気に入り登録していただき本当にありがとうございました。

次回作は活動報告でアンケートをとっているので答えていただくとありがたいです。


それでは再度感謝の言葉を言わせていただきます。

皆さん、本当に最後まで読んでいただきありがとうございます!!


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登場人物のその後

感想にその後の人物達が気になるというものが多かったし、自分も最終話の遺体について説明しないといけないのでこちらをあげます!


セシリア・オルコット

学園卒業後は国連のIS宇宙進出計画に参加し、オルコット家の復興を目指す。宇宙進出計画に参加した際に共に計画に参加していた男性に恋をし、宇宙に飛び出した際に船内にて告白。告白は成功し、4年後に地球へと戻ってきたら結婚式を挙げると友人の鈴やシャルロット達に知らせたとのこと。

 

シャルロット・デュノア

学園卒業後は倉持技研の専属パイロットとなり亡命し、同じく倉持技研の研究者となった父が考案した宇宙用の道具のテストに付き合っている。時折日本に建てた母親の墓に花を手向けに父と共に出かけているとのこと。最近の悩みが父がお見合い相手の写真を持ってくること。

 

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ

学園卒業後はドイツへと戻り、軍人としての職務を全うしている。当時は失恋という言葉が分からずどうやって一夏に嫁入りしようかと模索していたらしいが、自分の手元に一夏と束と鈴の結婚しましたという手紙が届いてから諦めたとのこと。クロエとは連絡先を交換しているがこちらから送ることはあるが向こうから送られてくることが余りない事に少し寂しさを感じるが、何時までも姉に甘えるわけにはいかないと自分に言い聞かせているとのこと。

 

シルヴィア

一夏達が卒業してから、学園主任を任されより良い学園生活を送れるようにと厳しい規則等を排除し、楽しい学園生活を送れるように日々努力している。時折ロシアへと戻り、自分の元上司と酒を交わすのが一つの楽しみだと思っている。

 

山田真耶

変わらずIS学園で教師を続け、束に教えてもらった方法で生徒たちを育ている。相変わらず生徒たちからは先生と思われず、年上の友人みたいな感じでいられることに慣れ始める。

 

更識楯無、簪

楯無はロシアの代表を卒業と同時に降り、更識家当主としての仕事に専念する。簪も同じように日本代表候補生を降りた後は姉の手伝いをしている。

 

 

 

 

 

 

 

そして篠ノ之家と織斑千冬はというと

篠ノ之家は束との縁を切られただの篠ノ之家として見られ、龍韻はまた子供たちに剣道を教え始める。その教え方は自分の身を守れるようすると同時に、傷つきそうになっている人を助けるための力の使い方を教えている。子供たちの親からも子供に力の使い方をしっかりと学んでもらえるからありがたいと思っている。ある時、新聞社がどうしてそんな力の使い方を教えているのかと聞いたことがあり、龍韻は

 

「自分は力の使い方を教え間違えた事がある。だから二度とそんな間違いを犯さないためにこうして教えてる」

 

そう答えられたそうだ。

そして箒は家から出て行き、今は何処にいるのか分からなくなっていた。置手紙には

 

『力で言う事を聞かせようとする私がいては、お父さんのすることの邪魔にしかなりません。遠くへ行き己を見つめ直しに旅に出ます』

 

そう書かれていた。

 

 

そして織斑千冬はというと、彼女が住んでいる家は石が投げ込まれたのか窓は割れており、更に壁には『人殺し』、『娘を返せ!』、『社会の敵!』と書かれた張り紙が貼られている。そんな幽霊屋敷のようになりながらもまだ織斑千冬は住んでいた。ゴミや食べかけの弁当、酒の空き缶などが散乱した居間に置かれているソファにもたれるように虚空を見つめていた。

 

「…一夏、どうしてお姉ちゃんを捨てるんだ。なんで?どうして?そんなにお姉ちゃんが嫌いなのか?私はお前のこと大切にしていたんだぞ」

 

そう呟きながらもたれていた。自分がどれくらいソファにもたれているのかも分からないくらいその場から動こうとしていなかったのだ。

何故こうなったのか。最初はご近所もお付き合いとして様子を見には来ていたが、千冬が過去にしでかした行いがご近所へと広まりそれ以降様子を見に来ることが無くなったのだ。その為食事もとらなくなり、みるみるやつれていった。それから数ヶ月後に腐敗臭などが外へと漏れ出したことにご近所は我慢できなくなり、市へと連絡。市の職員が到着し、中へと入ると食べ残った弁当や洗われていない空き缶からカビなどが生え、腐敗臭をまき散らしていたのだ。職員は家主を探そうと奥へと行き居間へと入った時にソファにもたれたまま餓死していた織斑千冬を発見し警察へと通報したのだ。その後織斑千冬の遺体は火葬され無名墓地へと埋葬された。




以上がIS学園を卒業、退学した人物たちのその後などです。


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