なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か (輝く羊モドキ)
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黎明
主人公の初期設定的な第一話


初投稿です(ヒロアカは)。


世界は光に満ちていた。

 

 

 

 

 

未来は希望に満ちていた。

 

 

 

 

 

自分は何にでも成れる可能性を秘めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時まで、そう思っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

『僕』はヒーローになりたかった、でもなれなかった。

 

そもそもなれるようなうつわじゃなかったんだ。だってトモダチをみすてたんだから。そうだろ?

 

ヒーローってのはよわきをたすけあくをくじくんだから。でも『僕』はよわきをみすててあくにしたがった。

 

そんな『僕』を『僕』はキライだった。そんなんでも『僕』はまだヒーローになりたかったんだ。

 

ジブンをジブンではないなにかにかえてたたかうヒーロー、変身ヒーローに。

 

そうして『僕』は『俺』になった。

 

世界は暗い闇で満たされている。

 

未来は不安でどうしようもない。

 

自分は所詮ただの人にしか成れないだなんて。

 

流れるように、漂うように、何かを成す努力をしない『俺』になった。

 

過去を見ようともせず、未来に向き合おうともせず。

 

今からも逃げるようにヒーローに憧れ続けた。

 

ただ憧れて見ているだけだった。

 

そうして『俺』は『私』になった。

 

世界はもはや知っている物になった。ただ知っているだけだった。

 

未来はぬるま湯のようだった。思うことを放棄した。

 

自分は結局凡人だった。いや、それ以下の存在かもしれない。

 

上に倣えが道理。列から外れたらすぐに弾かれる。

 

何も思わず足並みだけ揃えて。抜きんでようともせず、唯抜かれる事に怯え。

 

日常を常としてただ寿命を浪費するままに生きてきた。

 

『私』はこうなりたかったのか?

 

『俺』はこうなる事を漠然と解かっていたのか?

 

『僕』の未来がこうなると知っていたら何をした?

 

 

 

 

 

ヒーローにあこがれたのはどうして?

 

--かっこよかったから。

 

どこがかっこよかったの?

 

--たたかっているところが。

 

どうしてたたかっているとかっこよかったの?

 

--・・・。

 

てきもたたかっているのに、どうしてヒーローだけがかっこよかったの?

 

--それは・・・

 

それは?

 

 

 

 

 

--誰かの為に戦っていたから。

 

 

 

 

 

 

『僕』は友達の為に戦えなかった。戦おうとも思わなかった。

 

『俺』はそんな自分を嫌いになっても、自分から変わろうとはしなかった。

 

『私』は変われる機会は何度も有ったのに、変わる事を恐れてしまった。

 

・・・だから、『私』はヒーローにはなれない。結局最期の時まで変われなかったのだから。

 

だけど『キミ』は違う。『僕』と同じ歳で変わることが出来たのだから。

 

ボロボロになっても立ち向かう姿は、格好良かったよ。

 

 

 

世界は光に満ちている。同じくらい闇にも満ちている。

 

未来は希望に満ちている。ただし障害はいっぱいだ。

 

自分は何にでも成れる可能性を秘めている。成ろうとする努力を怠らなければね。

 

きっと『キミ』は良いヒーローに成れるよ。・・・まあ、こんなロクデナシが言ってもしょうがない事だけどね。

 

 

 

そうだ、こうして出会ったのも何かの縁だ。『キミ』にプレゼントを贈ろう。

 

・・・そんな顔をしないでくれ。確かに見ず知らずのオジサンからプレゼントなんて受け取れないだろうがね。

 

まあ、タブン悪いものじゃないから受け取っておくれ。

 

 

・・・うん、中々似合っているじゃないか。

 

さて、どうやらもうお別れの時間のようだ。これからの君の活躍を草葉の陰から見守っているよ。

 

 

・・・ん?良く考えたらこの世界だと『私』はまだ死んでいないから草葉の陰では正しくないかな?しかし今の私は魂一個の状態だし死んでいるといえば死んでいるからな・・・うーむこういう時に使える正しい言葉は

 

**********

 

 

 

 

 

んごぁ。・・・ぁ~。あ~?なんか変な夢見たような・・・。ぅ~・・・。

 

 

 

 

・・・スヤァ

 

 

「いい加減起きろクソあにぇき」ゴッ「ぎゃはぁ!!」ビダーン!

 

 

 

「……ううっ女の子にいきなり暴力振るうなんて。しかも寝込みを襲うなんて最低よぉ……。」

 

「黙っとけ無性生物。いびき五月蠅いんだよ雌雄同体。叫び声からして女じゃねえよ両性具無。」

 

「……寝起きから弟にワンターンスリーキゥされかけている件。」

 

「朝飯だってんだよ蝸牛、とっとと着替えろ。」

 

「はい死んだー。弟の心無い一言でおねーちゃん死んだー。おねーちゃん弟に心まで犯されたわー。」

 

「母ちゃんにメシ要らないっていってくるわ。」

 

「まってよぉ、そんなことしたら空腹でしんじゃうから。」

 

 

 

 

 

「・・・え、弟ちゃん本当に行ったのかよ。まって、まて。待てよ!おいゴラァ!」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「ひゅー、危ない危ない。マジでメシ抜きになるところだったぜ・・・。」

 

「家で大型生物に化けるんじゃねえよ単細胞。」

 

 

私の名前は殺生石(せっしょうせき) 化太郎(ばけたろう)。何処にでもいるヒーロー志望だ。

 

ただちょっと普通じゃない人である。何が普通じゃないかというと・・・

 

「ほらほらー、貴方たち食べ終わったなら皆の分の朝食分けるの手伝いなさい。」

 

「ん。」「イエスマーム。」

 

 

我が殺生石家の普通じゃないポイントその一。数えるのが億劫になるほど家族が多い。

 

 

まあ家族が多いといっても、人型は5人しかいないんだけど。

 

・・・うん。『人型』はね・・・。

 

「おらー。お前等並べー。」

 

目の前の光景を一言で説明するならそう。

 

 

     『狐狸戦争』

 

 

視界を埋め尽くすほどの狐、狐、狐。狸、狸、狸。獣獣しい。

 

しかもそれが理路整然と並んでいるのだから凄い迫力だ。・・・ありゃ?りろせいぜんってこんな意味だったけか?

 

まあいいか。

 

勘違いをしないでほしいのだがこの狐狸共、家のペットではない。遠縁とはいえ私と血が繋がっている。

 

血が繋がっているのだ。冗談ではない、二つの意味で。

 

そこで我が殺生石家の普通じゃないポイントその二。先祖が狐と狸。

 

これはもう説明するまでも無くヤバイ。

 

「こらこら、全員分あるからしっかり並べ。順番守らんとしばくぞ。」

 

動物虐待発言をしている我が弟、殺生石 統狸(とうり)。個性がそのまま『化け狸』である。

 

世間的にはタヌキっぽいことが出来るのとちょっとした変化の術が出来ると見せかけている。

 

実際にはタヌキが人化の術で人に化けているとは思うまいに。

 

「クソあにぇき。サボってんじゃねえよ蹴るぞ。」パチン

 

「既に平手で殴られてるのですけども。」「さらに蹴るってんだよ言わせんな。」

 

いや本当になんでこんなクソガキに変化してるんでしょうね・・・。

 

「貴男の教育が悪かったからじゃないですかね。」「あ、さとりん。」

 

突然現れた謎の美少女の正体。それは私のマブダチである。名前は先詠(さきよみ) さとり。

 

「私は貴男とは血の繋がらないただの他人で同居人程度にしか思っていないのですが。」

「そりゃないぜさとりん。」

 

ひどい。

 

「そう思うんならばもっと普段の言動に気を付けてはどうでしょう。まあ貴男には無理ですか。」

 

「もうやめて、アタイのライフはもうゼロよ!」「そういう所だって言ってるんですよ。」

 

ちなみに家庭内ヒエラルキーのトップ2である。居候の癖に私より偉いのだ。

 

個性は(多分)読心。その個性を用いて多くの喋らぬ狐狸共を手なずけている。

 

「サボんなって言ってんだろ不定形動物ぁ!」ゴベキッ

 

「バベルッ!!」「ローリングソバットとは、また器用になりましたね。」

 

こいつ本当にタヌキかよ。

 

「こらー、喧嘩はだめよー。」

 

この間延びした声が特徴のお方は我が母である。ワガママである。うまいこと言った。

 

名前は殺生石 瑞久女(みずくめ)。ふっさふさの尻尾が九本ある美女である。

 

そして家庭内のヒエラルキー堂々の一位である。怖い。母の言葉に従わぬものは処刑されるのだ。

 

しかし私はマザーのテイルでシエスタするのが日課であった。

 

「・・・」

 

「あらお父さん起きたのー?朝ご飯できてるわよー。」

 

そして我が家最後の人型、マイファザーである。寡黙。名前は二ツ岩(ふたついわ) 団九郎(だんくろう)

 

もっふり尻尾がチャームポイントさ。

 

なんでも昔は一つの国を治めていたとかいないとか。まるで意味が解らんぞ。

 

さてさて、そうこうしているうちに時間が迫ってきてしまった。そろそろ出ないと学校に遅れてしまう。

 

「さあ諸君!学校に行く準備をしたまえ!時間は止まってはくれない「五月蠅いメタモル野郎」スパァン!

 

弟の家庭内暴力が加速する。

 

「あにぇきももう中学生になるんだからいい加減性格と行動に落ち着きを持てよ。」

 

それが出来れば苦労しない!

 

・・・本当にね。

 

 

私の普通じゃないポイント。不定形。

 

言葉通りに一定の姿形を持たない。持てない。

 

改めて自己紹介をしようか。私は殺生石(せっしょうせき) 化太郎(ばけたろう)。個性は変質。

 

私と、私の身に着けている物を私がイメージできる様々なものに姿を替えることが出来る個性だ。

 

そこには恐らくだが制限というものが無いのだろう。生物、無生物、空想上の存在あるいは、無。

 

其処にイメージが出来てしまったら、姿を変えてしまうのだ。

 

自身の身体が気体になるイメージをもったらガス生命体に。

 

自身の身体が不明の金属になるイメージを持ったらSFの人型ロボットに。

 

自身の身体が目の前の人になるイメージを持ったら目の前の人に。

 

常に変質し続けてしまう。自身の個性が常に暴走してしまっているのだ。其処に自分の意志は無い。

 

私は、生まれた時から自分の顔を持たなかったらしい。

 

人間の、最も個性的な部分の欠落。

 

ましてや、この誰のモノかも分からない知識、記憶、経験はなんだ?

 

私は誰だ。私は私なのか。私とは私で私の私は。

 

 

 

 

 

 

どうでもいいやぁ・・・。

 

 

そんな感じで私はいつも性格不安定なのだ。小学校の成績通知表でも

 

『もっと落ち着きを持ちましょう。』

 

とか書かれるくらい落ち着きを持たない。まあ、三つ子の魂百までっていうし、許して。

 

 

そんなこんなで、朝起きてからもう変質するのが10回目を迎えた。小学生の頃は100回とかが普通だからこれはもう成長といっても過言ではないんじゃなかろうかいやしかし五十歩百歩ともいうし結局10回も100回も変わんないんじゃないかなでも実際変質回数は減っているんだから順調に成長していってるねコレは高校に上がる位になったら一日2,3回くらいまでに抑えられるのではないかなそう考えたらテンション上がってきた流石に友達もっと欲しいしね親友と呼び合うような間柄なら居るんだけどやっぱりもっと友達が多いほうがいいかなでも一人親友が居るんだから贅沢もいっていられないかブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

 

 

・・・おっとまた無意識に変質してしまった。そういえばあのモジャ髪君元気かな。

 

というか気が付いたら弟もさとりんも居ない。小学校に行ってしまわれたのね。

 

時間もヤバイ、このままでは入学式初日に遅刻をしてしまい遅刻マンのレッテルを貼られてしまう。

 

折角なら遅刻ウーマンのほうがいい。

 

違う、そうじゃない。私は着の身着のまま、学校指定のカバンすら持たずに家を飛び出した。

 

「いってきまーす!!」

 

制服も、カバンも、学校ついてから変質して作ればいいや。

 

こういう時にこの個性は便利だよなぁと思いながら鳥に変質した。

 

何故か頭に違和感を覚える。まあいいや、無視した。学校までの道をひとっ跳びぞ。

 

 

 

 

 

「・・・なあ。」「あらー、お父さん。どうしたの?」

 

「・・・アイツ、あんなお面着けてたか?」「ついにオシャレに目覚めたのかしらー?」

 

 

 

学校には遅刻せずに済んだ。遅刻マンや遅刻ウーマン等のレッテルは貼られなかった。

 

変わりにマスクマンの称号を頂いた。解せぬ。




他の作品書いてたら凄いムラムラしてきたので思わず書いてしまいました。
こんな稚作をお読みいただいて感謝感激。

ちなみに化太郎の両親とも普通の人ではないので化太郎を産んでも
「まあこういうこともあるか。」
と気にしなかった。


BAKETARO
SESSYOSEKI

○個性

 変質

全身及び身に着けている物をあらゆる物に変えることが出来るぞ!
但しイメージだけで変わってしまい未だ制御が出来ていないから非常に不安定だ!
しかし個性の制御が出来ればまさにチート級だぞ!


殺生石’s顔-生まれつき無い。

殺生石’s全身-生まれつき無性。変身してないときは胸部装甲も槍も穴も無い。

殺生石’s服-体とともに変質するから基本的に安物。

殺生石’s仮面-夢の住人?からの貰い物。何故か個性の影響を受けない。


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主人公の相方紹介的な第二話

メインで進めている小説の息抜きに書いているので不定期更新ですがご了承ください。


「よおマスクマン。お前のセンスは相変わらず解らんが、まさか学校にそんな物着けてくるとは思わなかったぜ。」

 

「やほー、ディアフレンド。頼むからマスクマンは止めれ。」

 

此奴は私の唯一無二の親友、遊戯(ゆうぎ) 融剛(ゆうごう)

 

何時もテンションのおかしい私に仲良くしてくれる神様で、小学校からの仲だ。此奴になら尻を貸しても良い。

 

「と言うかこの仮面は気が付いたら頭にくっついてたんだよ。『だから僕は悪くない。』」

 

「そうだな。悪いのはお前の頭の中身だもんな。」「ふぇぇ…今日も容赦無い言葉だぁ…。」

 

融剛キミほんと私に対して口悪いんだよね。他の人にはあんまそういうの無いけど。

 

「そういう融剛は髪切った?」「切ってねえよ。」

 

「シャンプー変えた?」「変えてねえよ。」

 

「香水変えた?」「付けてねえよ。」

 

「オシャレな服だね。」「学校指定の制服だよ。」

 

「彼女出来た?」「入学初日だぞ。」

 

「雰囲気変わった?」「気のせいだろ。」

 

「眼鏡変えたの?」「掛けてねえよ。」

 

「あ、コンタクト派だったっけ。」「視力2.0だよ。」

 

「じゃあ卒業してからどう変わったんだよ!」「中学生に変わったんですけど?!」

 

イエーイとハイタッチを仕掛ける。フェイントして軽く腹パンされた。解せぬ。

 

でも親友と同じクラスになれたのだからこれくらいはしゃいだっていいじゃないか。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

こんなん入りきらないだろってくらいの人数が学校の体育館に詰め込まれた入学式から解放された。

 

一息ついたのもつかの間、我がクラスの担任の先生と思わしき教師が我が物顔で自己紹介をしだす。

 

副担任だった。担任どうしたし。

 

そんな流れで生徒共も一人一人自己紹介の流れになった。

 

私はこの自己紹介の流れが嫌いだ。だってこんなんで顔と名前をすぐ覚えれるわけないやん。

 

もっと顔と名前を覚えやすいように改良するべきだと思う。

 

ちなみに私の思う覚えやすい自己紹介方法は面接方式かな。

 

39人(先生入れて40人か)対1人。超圧迫面接じゃねえか。

 

でも絶対キョドるから覚えると思うんだけどな。ほら、人の失態っていつまでも覚えていられるでしょ?

 

そんなくだらないこと考えてるから人の顔と名前を覚えられないんだ。そうして自己紹介は自分の番になった。

 

言う事は自分の名前、出身、個性と好きな事くらいか、余裕さね。

 

「殺生石 化太郎でぅ」です。の部分を噛んだ。まじか私の舌。

 

「でぅ。」「でぅ。」「でぅちゃーん。」「でぅマスク。」

 

やめろお前等。これ以上謎の称号はいらん。

 

「ん”ん、生まれは多摩丘陵の方で、個性は、自分の身体を色々変えることが出来ます。」

 

「色々変えるって・・・具体的には?」隣の席の如何にも図書委員な眼鏡女子リスナーが聞く。

 

「そりゃもうボインボインのネーチャンから渋くてナイスなちょいモテオヤジにまで。」

「「「言い回しが絶妙に古い!!」」」

 

ほっとけ。

 

「オレ質問いいっすかー?」なんだ如何にも中学生デビューしたかの様な金髪リスナー。

 

「結局お前男なの?女なの?」

 

自己紹介したのに名前で呼ばずにお前呼ばわりとは・・・まあいい。私は大人だからな。

 

「あら、性別なんて重要かしら?大事なのは人の内側なのではなくて?」

 

チャラ男リスナーの方を振り向きながら絶世の美女(笑)に変身し、ウインクしながら悩殺ポーズ(爆笑)をとった。

 

チャラ男含め男の大半が鼻血を吹いた。やったぜ。

 

「・・・あー、殺生石君。学校内で個性の使用は控えなさい。」

 

「あらぁ先生?こういうのはお嫌いかしら?」振り向いて悩殺ポーズ(失笑)。

 

「ブッ。いや、そういう事を言っているのではなくてだね・・・。」軽く前かがみになる副担任。

 

やったぜ。それもういっちょ。

 

「それともムキムキマッチョマンの方が好きですかぁっ!!?」ムキキッ!

 

「学校で個性を使うんじゃないって言ってるんだ!」急に当たりが酷くなったなおい。

 

ちょっとどこぞのコマンド部隊のムキムキマッチョマンの変態に変身しただけじゃないか。

 

 

 

ちなみにその日からあだ名がメタモン仮面になった。解せぬ。

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

入学式後のレクリエーション的な何かでほとんどの生徒がオールマイトが好きだって事が判明した。

 

そんな事はどうでもいい。既に大半の生徒が家まで邁進し、その大半に入らずに入学初日から友を獲得した生徒の殆どが近くの娯楽施設へと進撃していった。寄り道せずに帰れ。

 

そしてその殆どからあぶれた私は何処に向かっているかと言うと・・・。

 

 

 

「ただいまー。」「おじゃましまーす。」「おいっす、バケちゃん。よくきたね~。」

 

遊戯家にお邪魔していた。

 

早速お出迎えしてくれたスレンダー美女は我が親友の姉に当たるお方。遊戯(ゆうぎ) 調律(ちょうりつ)

 

歳が離れていて、なんと既に働いているのだ。職業はメンタリストらしい。たぶん強い。

 

「重合は居ないのか?」「融剛、ちゃんとお兄ちゃんと呼びなさいってば。」「へいへい。」

 

遊戯(ゆうぎ) 重合(じゅうごう)。調律さんとは双子の兄に当たる。職業が化学者らしい。フラスコ投げてきそう。

 

「わぁ~たろちゃんだぁ~。たろちゃぁ~ん♥」ドスドスドス

 

「うわぁ」

 

女性が歩いているとは思えないSEを出しながら近寄ってくるこの方は遊戯(ゆうぎ) 振子(ふりこ)

 

遊戯家の長女であり職業プロのニートである。遊戯家にお邪魔する度に肉感溢れるボディに包まれる。

 

不思議と嫌いじゃないわ!

 

私が遊戯家に入り浸るようになったのは親友と出会ってから1年程経過してからだ。

 

切っ掛けは・・・まあ、話してて気分のいいものでもないし、割愛。

 

ここで重要なのは、遊戯家は広い敷地面積を持っている事。そして、親友の両親がプロのヒーローであるということだ。

 

ヒーロー志望としては見過ごせませんなぁ。

 

同じくヒーロー志望である親友と共にプロヒーローから色々教わっている、・・・と言いたいが。

 

プロのヒーローだもの。そりゃ忙しいですよね。休日もゆっくりしたいですよね。

 

それでもご厚意により暇を見つけては様々な事を教えてくださる。

 

戦闘、救護、個性制御、国語、算数、社会等。

 

・・・何もおかしなことは無いな。

 

ともかくそもかく、今日はおじさんおばさん二人とも居ないらしい。まあそんな日も別に珍しくは無い。

 

親が居ないときは滅茶苦茶広い庭で親友と戦闘訓練っていう暗黙の了解があるからね。

 

それでは早速庭へ行きましょう。

 

「バケちゃん、今日はたけ○この里があるよ。」「頂きます!」

 

おやつを食べてから庭に行きましょう。

 

ドスドスドスドス…

 

 

 

「…あの。」「なぁに~たろちゃ~ん♥」

 

「そろそろ放して頂けると…」「たろちゃんが織田○長になって壁ドンしてくれたら放してあげる~♥」

 

「マジですか。」「マジですよ~♥」

 

この後滅茶苦茶壁ドンした。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

き○この山もいいけどたけ○この里もいいよね!

 

おやつを食べてエネルギー補給。変質するには体力を使うのだ。ましてや本気で戦う用の変質は。

 

親友も準備運動を終えて闘気全開。触れたらヤケドするぜ。

 

戦闘訓練とは言っているが基本的に全力で戦う。今更手加減し合うような仲でもないし必要ないしね。

 

私は多少の攻撃程度ならダメージすら受けないメタルボディ&衝撃吸収トロトロスライムボディに変質。

 

親友はその個性によりダメージを相手に倍返し出来る。理不尽かよ。

 

ここいらで遊戯 融剛の個性紹介。個性は融合。簡単に言うと色々融合できる。

 

個性の制御訓練のおかげか、融合を始めてから終わるまでの間が異常に早くなった。

 

具体的には人の身体ほどの岩石と融合するのに最速1秒である。

 

そうやって身の回りにある物と自身を融合することで攻撃力や防御力の底上げ、リーチの長さを稼ぐことが出来る。

 

さらには融合した物を体から勢いよく分離することも可能。つまり擬似的人間大砲。ヤベエ。

 

そしてその個性の真骨頂、それは相手から受けたダメージと自分の攻撃の融合。

 

つまり自分のダメージがそのまま攻撃力に加算されるのだ。しかもダメージが回復する仕様。チートか。

 

個性の使用限界があるとはいえ、親友を倒すには正面からの殴り合いでは勝ち目がない。

 

ましてや普通に組み合うだけでも融合されてしまうからアウト。

 

貴方と、合体したい(白目)。

 

とはいえ、生き物と融合するには若干時間がかかるからヒット&アウェイで融合されるのは回避可能だけども。

 

さぁてさて、どうやって倒そうかな。と思案している途中、親友からの一言。

 

 

「その仮面、変身しても変わらないのな。」

 

 

…?はてさて?私の変質能力は基本的に身に着けている物ごと変わるのだからこの仮面も変質するはずなのだが…。

 

私の個性により所持している物はそれが生物由来だろうが化学製品だろうが金属類だろうが一緒に変質するのだが。

 

頭にくっついている仮面を外してまじまじと仮面と目を合わす。

 

コミカルなキツネのようなタヌキのような仮面である。可愛い。

 

ドクン。心臓が蠢いた気分だ。

 

私の個性でも変わらない、唯一の顔。

 

 

 

私の、顔。

 

 

 

そうだ。今日からこの仮面こそが私の唯一無二の顔だ。決~めたっと。

 

仮面をかぶりなおす。なんだか今日は調子がいいぞ。いまならオールマイトすら倒せそうだ。

 

仮面の下の顔はつるつるのメタリックなスライムフェイス。起伏が無い。

 

でも私の顔はここについている。思わず嗤ってしまう。ハハハハハ!

 

「急に笑い出すんじゃねえ。気持ちわるいな。」ひどぅい。

 




主人公は多少おバカなので多少間違った意味で言葉を使っている所があります。
でも作者もバカなので意図せず間違っている所もあります。ゆるしてちょ。

遊戯家の面々・・・察しの良い方は元ネタが分かりますよね。
ちなみに作者は最近スマホでリンクスしてます。いまステージ44です。


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主人公の千変万化的な第三話

主人公のチート具合の片鱗が見えだします。


「急に笑い出すんじゃねえ。気持ちわるいな。」

 

 俺は遊戯 融剛。プロヒーローの子供でヒーロー志望だ。目の前に居るコイツとは小学生の頃からの仲だ。

 化太郎は俺の事を親友と呼んでくれる。ありがたい事だ。俺も化太郎の事は親友だと思っている。あまり口には出さないけどな。でもそれだけじゃないんだ。

 昔話をちょっとだけしようか。俺と、小さなヒーローの話を。

 

 ◇

 

 俺が豆粒くらいの時、有体に行って俺はクソ人間だった。両親はプロヒーロー、個性は超強力、そして軽くとはいえプロに鍛えられた。少なくとも同世代の間では最強だったからな、そりゃもう増長しまくった。

 小学校に入ったばかりの時でも俺の性格は変わらない。むしろさらに増大していた。その時くらいから自分と他人を一時的に融合することが出来るようになり、瞬間的な強さも激増した。

 気に入らないヤツは脅し、従わない奴には暴力を振るう。そうして手下、取り巻きを増やしていった。本当にヒーローを目指しているような子供じゃあなかったよなぁ。

 そんな小学校生活をしていたある日。転校生がクラスに来た。化太郎だ。

 コイツは第一印象からして衝撃だった。どういう挨拶をぶちかましたと思う?

 

 

 

 

 

   『わーたーしーがー!!』

 

       『教室の窓から入ってきた!!』HAHAHAHA

 

 

 

 

 あの時の担任の先生の顔は忘れられねえな。もうね、オールマイトかよと。普通に扉から入って来いよと。突っ込むことも出来なかったね。画風が違い過ぎる。

 今だからわかるけどアレはアイツなりのつかみのギャグらしかった。効果は抜群だったけどな。

 そうしてすぐに変身を解いて普通に自己紹介して普通に空いてる席に座った。先生が動き出したのは授業開始の鐘が鳴ってからだった。

 同時に俺は思った。アイツを俺の側近にし、何時でも融合出来るようにすれば中学生すら簡単に怖気づかせることが出来るってな。そうだろ?いきなり目の前の奴が筋肉ダルマに変貌すれば誰だって驚く。そのスキを突けばどんな相手も余裕だからな。

 

 その日から籠絡作戦が始まった。授業終了の鐘が鳴り、休み時間に入ったとたんすぐにアイツの周りに人だかりが出来た。まあ、当然だな。転入生というのもあるし、何よりあの個性だ。もう一度オールマイトを間近で見たいって思うよな。

 だが残念だったな。ソイツは俺が目を付けているんだ。お前等、退け。その一言で人だかりはモーゼが海を割るかのごとく離れて行った。ガキ大将に目を付けられた転校生を哀れに思うが誰も助けようともしない。当然だよな。俺の邪魔をすれば痛い目を見るのだから。俺は悠々と転校生に近づき、話しかける。

 結果、徒労に終わる。なんていうか話すだけでも疲れる。個性の制御が出来ていないのか、転入生はコロコロ姿を変えてしまう。ましてや俺をじっと見ながら俺の姿になるのは止めろ。鏡に話しかけてる痛いヤツみたいじゃなねえか。

 ましてやこいつのテンションのブチ切れ具合について行けねえ。未だかつて出会ったことのないタイプに終始翻弄されまくっていた。だが諦めない。俺の目指す最強のヒーローへのロードのためにコイツには人柱になってもらうのだから。

 そうして1年過ぎた。コイツは未だに友達が出来ないと嘆いている。知るか。そもそも俺が特別に目を掛けている存在なんだ。周りからどう思われているのか。そして俺は俺でコイツのブチ切れているテンションのアップダウンについていけるようになってしまった。これは成長ではない。

 だが、コイツと話し続けているおかげで新たな個性の運用法を思いついた。これだけは成長と言えるな。

 そんなこんなで未だにコイツに執着していたある日、俺は(ヴィラン)に出会ってしまった。

 

「ねえ、君もしかしてフレンドシップの息子さんかい?」

「?ああ、確かにフレンドシップは俺の母ちゃんだけど。」

 誰だ、このスーツの男は。母ちゃんの知り合いか?生憎だが母ちゃんは今遠出してるから家に来られても困る。

「おお、そうかそうか。やっぱり君が『ゲームマスターズ』の子か。うんうん、目元とか、口元とか、確かに似ているなぁ。」

「・・・あの、何の用ですか?」

 言ったとたん軽く袖を引っ張られる。犯人は化太郎だ。

「(こいつ、なんかヤバイ匂いがする。)」

「(はあ?なんだそれ。)」

 こんな如何にも優男然として、高級そうなスーツを着こなしている奴がか?疑問に思った瞬間強く引っ張られた。尻もちをついた。

「ってぇな、何するんだ!」声を上げる。顔を上げる。声を失った。

 化太郎の左腕が不自然に曲がっていた。

「・・・は?」「っっつ!」

「はは、ひははは!おいおいおい、今のをよく避けられたなぁ!だが他のガキを盾にするなんざヒーローの子供のすることじゃあねえなあ!!」

 なんだ、何が起きたんだ。

「ひひはは!何が起きたかって顔してるなぁ?」「!!」

「っぐぅ、見えない・・・武器・・・。多分・・・鉄パイプか・・・?」

「!!ひひはぁ!よぉぉく分かったじゃねえかぁ!ええおい!そーですそのとーり、俺の個性は透明化!触ったものを誰にも見えなくすることが出来るのさぁ!!」

「っなあ!」

 ふざけた個性だ。見えない武器なんてどうやって防げばいいのか。

 

 ・・・なーんて思っちゃいない。要は見えないだけで其処に存在はしているのだ。ならば話は早い。

 1、相手の武器の無効化

 2、相手の拘束

 1は簡単だ。アスファルトとでも融合してしまえば鉄パイプなどどうってことは無い。

 2も余裕だ。こんなチンピラ程度なら壁と融合させてしまえば簡単に拘束できる。

 それにこんな街中で騒いでるのだ。どうせヒーローがすぐに駆けつけてくれるだろう。折角だ、駆け付けてきたヒーローに俺の活躍を見せておくのも悪くない。有能な若者はどの界隈でも欲しがるものだ。

「ひひははは!さあフレンドシップのガキぃ!お前にはヤツをおびき出す人質になってもらおうかなぁ!」

「っは!ヒーローが敵に屈するかよ!」

「ひははは!じゃあ無理やりにでもオネンネしてもらおうかなぁ!この鉄パイプでぇ!ひひはは「嘘だっ!」はは、あ?」

「っ化太郎!」

「お前は、二つ、嘘をっ痛ぅ、ついている。」

 

「一つ、お前の武器、鉄パイプだけじゃねえだろ。」

「・・・あ?」

 なんで、「二つ。」

 

「お前の個性、ハァッハァッ、透明化じゃ、ないな?」

 なんで、

「・・・」

 

「は、はは、ええおい。おいおいクソガキさんよお、お前。」

 

 

「どぉ~してわかったんだぁ?」

 

「ハァッハァ、まず一点目、私の個性はちょっと変わっていてね、『今は』物の波動を読むことが出来るんだけど。」

 波動、何言って。お前の個性は見た目が変わるだけじゃ、

 

「お前の周り、そして私たちの後ろ側に、無数の、道具の波動が感じられるよ。」

 

「・・・へぇ、」

「そして二つ目、ハァ、個性にも、個性の波動が見えるんだけど、ハァ。」

 

 

「道具と、お前の個性の波動が繋がっていない。」

 

 

 

「ふ」

 

「ふは、ふははは、ふひははははは!あ”あ”ぁ?なんだそのふざけた見破り方はよぉ!物の波動が読める?個性の波動が繋がってないだぁ~?」

 

 ・・・あ?つまり、え、どういうことだ。

「ハァ、ハァ、ハァー。つまり、最低でも三人の(ヴィラン)が此処にいるって事さね。」

「ひはは、ばれた。ばれたか。ばれちまったら仕方ねえなあ?お前等!出てこい!!」

 そしたら何処からともなく人が湧き出してきた。

「おぃおぃ。たかがガキ二人にばれたんかワイら。」

「でも。計画、支障、無し。」

 計画、なんだ。此奴らは何を言っている。

「っかー!あん(にっく)きフレンドシップに復讐できるゆうから手ぇ貸しとんに情けなかぁ。」

「ま、この子、予想外。」

「ひはは、だがまだまだ修正可能な範囲よぉ、要はこのガキを拉致っちまえばいいんだからよ。」

 このガキ…俺の事か!

「はぁー、はぁー、ふん、あんた達の個性、当ててあげましょうか?」

「あぁ?」

「まずそこの爺、アンタがこの道具を浮かして操っている個性ね。」「!?」

「そんでそこの女、アンタは道具、そして自分たちを見えなくしてるんでしょ。」「!、?」

「最後のスーツ男、アンタは、ここら辺一帯に幻覚でも見せてるのかしら?」「・・・」

「・・・なんで、そんな事をすんだよ。」

「決まっているでしょ?ここにヒーローが来てもらっちゃ困るから。」「!!」

 なんだと!ってことはヒーローが来ないのに3人の(ヴィラン)相手にしろって言うのかよ!

「・・・ひは。ひは。は。参考にまで聞くけど、どうやって俺の個性がわかったんだ?此処にいるお前には解かりようもないと思ったんだが。」

「決まってるでしょ。」

 そういって少し溜めた。

 

「巫女の勘よ(今は)。」

 

「ひは、はは。勘、だってよ。」「理解、不能。」「なんなんやこんガキ・・・。」

 

 ほんとに、本当になんなんだよ、お前は。

 というかよく見たら左腕が元に戻っている?!

「?ああ、これね。変身すれば治るわ。しばらく痛いままだけど。」

 怪我しても、すぐに治る・・・だって?嘘だろ・・・そんなの、そんなの、化けm

「お前等。作戦は中止。この化け物を殺す。此処でだ。」「賛、成。」「先にお前からや。」

「・・・融剛、アンタは逃げなさい。」「?!・・・あっ、」逃げろ?俺が?

「 早 く ! 」「ひっ、あ、」

 逃げた。俺は。無様に這いながらも。転びながらも。

 

 

 後ろから聞こえてくる何かの折れるような音から耳を塞ぎながら。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 ゴギッ今度は右足が折れたか。まいったなぁ、私の変質はイメージだけで簡単お手軽に変身できるんだけど、これじゃあ完全に折れたっていうイメージがこびり付いちゃうよ。まぁ、足が折れても空飛ぶ巫女には関係ないか。いてて。

 

「なんやなんやなんなんやこいつ!」「不、気味。」「ひは、打撃も。斬撃も。刺突も。効果が今一つとは。」

 

 そう。今の私は完全にボロボロ。鏡で自分の姿を見たら卒倒しそう。

 

 右腕は見えない包丁だのサバイバルナイフだのを受けてバラバラにほどけそう。左腕はこれまた見えない鉄パイプ、バット、角材等でボキボキのドロドロ。お腹回りはアイスピックや錐、フォークが突き刺さったままだ。

 

 何で生きてるんだ私。

 

「なんでお前こないなっても生きとんねん!」「不死、身?」「ひは、は、そんなになってまでまだ立ち向うのか。」

 

 いやほんとにね、仮に普通の巫女さんのままだったらすでに死んでるから。今は巫女さんの皮を被ったスライムちゃんだから生きてられるんだけども。いやぁ、火事場のイメージ力って大事だねぇ。

 

 しかしこのままでは千日手。死にはしないが倒せもしない。正直持久戦になってしまったら負ける。この体、燃費が悪いのだ。お腹すいたぁ。

 

 だけど見えない角材やら包丁やらフォークやらでボコボコにされてるとイメージを作り上げるのが難しすぎる。現状維持でも精一杯なのだ。

 

「ひはは、こうなってしまったら奥の手だな!」「なんや!そういうのあったら先やらんかい!」「抗議、す。」「ひひは!うるせえ!最終手段って奴だ!これ使っちまったら俺の個性でも誤魔化しきれねえんだよ!」

 

 そういってスーツ男が取り出したのは手のひらよりは大きな・・・基盤?

 

「最悪でもフレンドシップの事務所でも爆破してやろうと持って来たんだよぉ!」「お前マジか!」「出来る、男。」

 

 爆破はらめぇ。

 

「ひははは!もう死に体のお前には逃げることも出来ねえだろ!爆散して死ねやぁ!!」「死、で。」「汚く散れや!」

 

 そういって男は離れていく。代わりのように近づいてくる爆弾。やべえ、爆弾に強いなにかイメージを!

 

 爆弾に対して何が強いんですかね(哲学)。

 

 ちがう、ふざけてる場合ではない。これ爆発したら流石に死ぬ。死ぬ?死ぬのか。まあ、『視えてた』結果ではあるんだけど。流石、暗躍が趣味のエリート。格が違う。

 

 あーもーほんと。あの時なんで(ヴィラン)を挑発するような事言っちゃったかなぁ。

 

 いや、そりゃつい殴られて腕の骨が折れちゃった衝撃でS級エリートに変質しちゃったのはしょうがないけどもさ。

 

『視えた』のが転校してから今日まで毎日話しかけてくれた友人どころか親友と言っても過言ではないお方の死なわけで。

 

 そりゃー仕方ないよなー。だって転校する前だってまともな友達いなかったもんなー。

 

 もはや初めての親友だもんなー。そんな親友を見捨てて自分だけ生きることは出来るだろうか。

 

 というかあれだね、勝手に体が動いちゃったってやつだね。うん。やべえよ、これもしかして私トップヒーローの器なんじゃね?うっはやべえ、学生時代から逸話残したとか言うレベルじゃねえ。だって私小学生だもん。

 

 いや、方やまともに友人作れないロクデナシ。方やロクデナシ相手でも気さくに話しかけてくれるちょっと口の悪い神サマ。世界がどっちを取るかっていったら当然神サマだよねぇ。

 

 そいえば融剛は逃げられたかな。あぁ、無事だといいんだけど。

 

 ていうかあれだ。今更だけどこれ走馬燈てきな奴か。そうだよなー、爆発するまで長いんだよなー。

 

 ほら爆弾はまだ地面に向かって落ちて行ってる最中だし。

 

 とか思った瞬間ピーとか甲高い音聞こえるし。あ、はい。爆発するんですねわかります。

 

 

 

 

 まぁ、悔いのない人生だったかなぁ。  て、え、ちょ。 融剛おま  な   ん     で

 

 そうして視界が光に包まれた。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 死ぬか思った死ぬかと思った!

 やった事は単純。化太郎を爆弾から庇う位置に立って爆風を個性で自分に融合。言ってしまえばそれだけなのだが、融合するタイミングを間違うと俺も死ぬところだった。ぶっつけ本番で出来るもんだな。二度とやりたくないけど。

 

「え、ちょ。融剛?え?なにここ天国。」

 

「バカ、現世だよ。」

「ええ・・・死んだかと思った。」

「なんだよ、死にたかったのか?」

 俺をかばったんだ、勝手に死んでは困る。

「いやぁ、生きてるなら生きてるで。」

「そうかよ。」

 そうだ、こいつには貸しがある。あの時透明な鉄パイプから俺をかばったって言う貸しが。さらにはさっき『逃げちまった』貸しが。

 ヒーローってのは逃げてはいけないのだ。ヴィランから逃げるということはそれだけ市民が傷つく可能性が増えるのだから。もしあのまま、こいつを、友達を見捨てて逃げてしまったら俺は真っ当に生きれなかっただろう。ヒーローにはなれないのだろう。

 一度逃げたっていう過去は消せねえ。だから、もう逃げないと誓う。それを体現する。

 まずは目の前のヴィラン共から逃げない。此処で、倒す。そのためには友達の協力がひつようだ。・・・なのだが・・・。

「・・・おい。」「んぅ?私かな?」「お前以外いねえだろ。」「そうか。」そうか。じゃねえよ。いやそれよりだな、

「・・・お前のその身体・・・なんだよ。」「・・・あ。そっか爆発のショックでイメージが全部吹っ飛んじゃったか。」

 そこにはまるでデッサン用の人形に気持ち肉を付けた程度の人型がいた。

「いやはや、これは生まれつきでね。気にしないでくれたまへ。」「誰目線だバカ。」

 普通に考えたら、こんなモノは気持ち悪い。当然だ。人の形をしている最低限の構成物しかしていない存在が動いて喋っているのだ。

 でも、不快感は無い。此奴は化太郎なんだから。

 ふと思いついたことを試してみる事にした。

「あとちょっと時間をくれ。いい感じの人に変化する。」「いや、無用だ。それより手ぇ貸せ。」「ん?」

 この状態でコイツと融合したらどうなるんだろうな?

 

 

 

 

 

「ひは、ひは!木っ端微塵だ!ざまあみろ!」「絶対、死。だ。」「代わりにワイのおもちゃ共も吹き飛んだんがね。」「ひひははは!あんな化け物をぶち殺すことが出来たんだ!やっすいものだろぉ!」

 

「!!見。」「ひはは、は?」「あ、ま、まさか!?」

 

 

 

『うひょー!融剛お前なんだこの個性バリかっけぇ!』

「うるせえお前耳元で叫ぶんじゃねえよ。こんなもんまだ序の口だぞ。」

『だってお前合体だぞ合体!こんなもんテンション上がらないわけないだろーが!』

「合体じゃねえ。融合だ。おら、これで少し慣らしたらギアあげんぞ!」

『おう、そうだな。これじゃあまだ乗っただけ融合とか言われるもんな。ゲートガーディアンも突っ込むわ。』

「褒めるながれで急にディスんのやめてくれない?」

 

 

((( なんだあれ?! )))

 

 

「おぃおぃどーなっとるんや!なんやあれ・・・なんや!!」

「混乱。把握、不可。」

「っち!よくわからねえが化け物とターゲットが一緒に居るなら好都合!まとめて始末だ!」

「了、透明。」

 

 

「っ!おい!ヴィラン共が見えなくなった!何とかしろ!」

『おっおっ?これはつまり主人公のお助けフェアリー的なポジション?おっけー!まっかしといてー!』

 変身!流狩男!

『どう?どう?見える?見えてる?バッチシおっけー?』

「バッチシオッケー!!」

 

 

「っ!なんでヤツらこっちにまっすぐ来んねん!見えへんようにしたんやろなぁ!」

「ムカッ当然。不服。」「ひは!喧嘩は後だ!迎え撃てぇ!」

 

『刃物はNO!中距離攻撃だ!』「中距離・・・?こうか?!」ヒュボッ!

 

「ギャッ!」「ひは、なんだ!?」「正体、不明。」

 

「おい!あんまり効いてないぞ!」『しょーがないよー!相手は大人、こっちは子供!体格差があるだろ!』

「それを何とかするんだよ!」『理不尽!でも頑張っちゃう!』

「近接、推奨。」「ひは、言われんでもわかってるわぁ!」

 変身!機工兵!

「オラァ!」『そんなナマクラナイフじゃ刺さらんよ!』バキィィン!

「ひはぁ!?ナイフが折れたぁ?!」

『追撃のぉ、ジェットパァンチ!』「ひばごぉ!」

「さあ、ラストワンだ!」

「っ!待、降参。」

 ビタァッ

「っちょ!おい!急に止まるんじゃねえよ!」『まあまあ。ヒーローとして、敵意の無い相手を殴るのもどうなのよ。』

「ああ?そんなの嘘に決まってるだろ!」『だめだよ、ヒーローたるもの、悪人には更生の機会を与えるべきだ。』

「っち!」

(助か、た?)

『とはいえ、持っている武装は全て外して貰おうかな。』

「当、然。」

 ポイ、カランカラン

「外、た。」

「化太郎、これで満足か?」

『いやいや。私は全部、と言ったんだよ?』

「・・・全、て。」『嘘はいけないわね。』ビッ、ビリビリッ!

「?!」「はぁ!?お前なにして」ジャランガランカラン。

「・・・」「・・・」『・・・』

『服の下にこれほどの暗器を仕込んでいて全て、ねえ?』「ガクガク」「・・・ギルティ。」

 

 

 

 

 

『裸ラッピングの刑!』「それただのお前の趣味じゃねえか!」「ブルブル」

 

「捕獲ヒーローただいま見参!ヴィランはお縄に・・・て、なぁにこれぇ。」

 

 ◇

 

 あの後子供がヴィランに立ち向かうなんて無謀すぎると説教を食らい、遅れてやって来た警察にも説教を食らい、保護された俺等を迎えに来た両親からも説教を食らった。化太郎は最初の説教の時に

「あ、電池切れだわ。」

 といって寝るし散々だったぜ。

 ん。まあ、そういうようなことがあってからかな。俺は今までやっていたガキ大将的な悪行を止めた。暴力を振るったり虐めたりした奴らにも謝罪した。謝罪ついでに何発か貰ったがな。まあ自業自得だ。

 化太郎も化太郎で全然友達が出来てない。まあ、結局ヴィラン襲撃事件に関しては大人の都合とやらで情報操作されたし、ガキ大将がいきなり心変わりしたんだ。アイツが何かしたーって陰で凄い噂流されちゃぁ友達も出来るもんも出来んわな。

 あ~、要するにだ。俺にとって化太郎ってのは。あ~、一言で表すのには難しい関係ってことだ。

 

「お~っし。こっちの準備はいつでもおっけーね!」

「こっちはとっくに準備終わってんだよ待たせやがって。」

 

 つまり、そういう事。あれ以来、こうやって真のヒーローを目指して互いに高め合ってるのさ。

 さあ、今日の戦闘訓練を始めようじゃないか。今日こそ俺が勝ち越してやるからな。

 

 

 

 

 

 

 一応言っておくが、別に化太郎に恋愛感情は抱いてねえからな。だって、性格とかがアレだし。

 




なんか書いてたら気合いが入りまくってしまった。


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主人公の奮励努力的な第四話

化太郎の個性の補足説明
何でも出来る個性ですが、基本的に個性はコピーすることは出来ません。
 例)麗日お茶子に姿を変えることは出来ても個性『無重力』はコピー不可
しかし個性による現象を擬似的に再現することは出来ます。
 例)尾白猿夫の『尻尾』、常闇踏陰の『ダークシャドウ』等。
さらに例外的に外に干渉しないような特殊能力を使うことが出来ます。
 例)楽園の素敵な巫女の『勘』『浮遊能力』
   実力派エリートの『未来予知』
これは生きているイメージではなく創作物のイメージだからこそ可能な能力です。
その他隠された性能もあるけど未だに原作突入してないしいいよね。補足説明終わり。

あ、今更ですがオリジナルのヒーローが出ます。主に変身先として。
苦手な方は注意してくださいね。


「お~っし。こっちの準備はいつでもおっけーね!」

「こっちはとっくに準備終わってんだよ待たせやがって。」

 

なんだか戦闘準備が整うまでものすっごい時間が掛かったような気がするがそんなことは無かったぜ!

 

親友と対峙しながら改めて訓練のルールを思い起こす。

 

 

 

ルール壱、互いに相手をヴィランだと思う事。

 

ルール弐、殺傷を目的とした攻撃は禁止。

 

ルール参、最後まで油断してはいけない。

 

 

 

ルール壱は、まあ互いに本気を出しましょう程度の意味と弐、参を意識した作りになっている。

 

ルール弐は、壱を前提とし、それでも相手を確保しろって事だ。ヒーローたるもの、いかなる理由でもヴィランを死に至らしめてしまってはいけない。まあ、ヴィランを殺すのはヒーローじゃなく法ってことさぬ。

 

ルール参は、この戦闘訓練をより実践的に捉えさせる働きがある。

 

例えばだが、ヒーローに捕まりました。参った。で終わるようなヴィランなんぞ居ないってことだ。

 

仮に確保されても、まだ暴れられるだけの体力が残っているのならば大暴れするのだ。

 

 

…ちなみに今までで最後の最後の油断で逆転負けした回数はもはや両手の指では数え切れない。学習しねえな私。

 

 

さてここで問題です。此処に、あらゆる物と融合できる男と、様々な物に変身できるヒトが居ます。どの様にすれば捕獲できるでしょう?

 

 

A.相手が動けなくなるまでボコる。

 

 

まあ、適当にボコっただけじゃあ手痛い倍返しが襲ってくるのだが、個性も身体能力。使い続けたらいづれ疲れ果てて機能しなくなる。

 

とはいってもこっちもほぼ条件一緒なのだけれども。

 

何が言いたいかっていうとだね・・・

 

 

「行くぜ、『フュージョンアーツ』!」

「かかってきんしゃい、『メタモルコマンド』!」

 

 

互いに必殺技ぶつけまくっても千日手になっちゃうんだよね!

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 足先だけ地面と融合。そしてすぐに融合解除、その時に勢いよく分離する。踏み込みと同時に行う事で爆発的な推進力を得る。この技は『縮地』と呼ばれてる。呼んでるのは主にアイツだけだが。

 弾丸の如き速度をもってあいつに接近。手を伸ばし掴みかかる。パシャン。体ごと空を切る。アイツは水の様に地面に広がっていた。今のアイツはおそらく水銀の様な何かになっているのだろう。打撃は効きそうにないな。

 すると水銀の海から、まるで人の胴体ほどもある握りこぶしが突き出てきた。俺の身体に直撃する。さながら風に舞い上げられた木の葉の如く空に舞う。

 しかしダメージはそれほどでもない。攻撃を食らう瞬間、衝撃を融合した。

 アイツはこれを『ダメージフュージョン』と呼んでいる。ネーミングセンスの宝庫かよ。ガラクタばっかりじゃねえか。案外覚えやすいから訂正しない俺も俺だがよ。

 空高く舞い上がった俺は辺り一帯の空気と融合、ジェット噴射の様に勢いよく分離して地面に急降下する。

 着弾。瞬間地面と融合。融けるようにして地面と一体化した。この辺り一帯はもはや俺の陣地だ。

 それを見ていた化太郎は水銀の様な姿から変わっていく。さながら巨大なドリルだ。どうやらこの辺りの地面を俺ごと掘り抜くらしい。

 これは流石に拙いと地面から分離。距離を取る。すると化太郎はまた姿を変えた。

 

「HEYHEY!フュージョンボーイ、ビビってんのか?そんなんじゃ張り合いでねえ・・・ZE!」

 

 そう言って大量のブーメランを投擲してきた。投擲ヒーロー『ブーマー』に成りきっているのか口調がうざい。

 四方八方からブーメランが襲い掛かるが何の脅威も無いな。すぐさましゃがみ込み地面に手を付く。融合。これまた辺りの地面が俺の支配下に置かれたが、今度は地面に潜らず表面だけを動かした。

 バゴン!と音を立てて大きな壁が出来上がる。壁にブーメランが激突しているが痛くも痒くもない。

 音が鳴り止んだと感じた瞬間融合解除。これまた勢いを付けて分離した。今度は俺でなく壁が吹き飛んだ。土くれのつぶてが化太郎を襲う。・・・と思ったんだが其処に化太郎は居ない。何処だ?

 

「上だぁっ!」

 

 後ろから聞こえてきたじゃねえk

 

予想外の一撃(バンプ・オブ・バグ)!!」ドスンッ!

「ぐはっ!」

 

 クソッやられた!ダメージフュージョンは便利な反面不意打ちに弱い。攻撃を融合できずモロに入った、背中が痛いぜ。衝撃を殺しながら後ろを振り向く。しかし化太郎らしき姿は見えない。何処に居る!

 

「ブはは!融剛!お前はもはやこの『無意識達の檻(エアロ・パラサイト)』から抜け出す事はできブ!」

「そのH×H(ハ○ターハン○ー)みたいな技名つけるの止めろ!」

 

 だがおかげでなんとなく攻撃の正体が掴めた。化太郎は恐らく虫かなにかに変身したのだろう。それならば小さくて見えないのも納得がいく。しかし正体が掴めたとしても不意打ちされてしまえばどうしようもないな。

 そこで俺は、対化太郎用の切り札を切る事にした。

 

「うわっ!猫耳付けたムキムキマッチョのおっさんだ!」

「えっなにそれ。何処何処?」ボフン

 

 化太郎の弱点その一、個性制御の甘さ。

 アイツの個性は一見強力だが、制御は自分のイメージ力次第というある種ピーキーな仕様になっている。そこで口頭でインパクトのあるイメージを叩き付けたらほれこの通り、

 

 

目の前には猫耳つけたムキムキマッチョのおっさんを探す猫耳を付けたムキムキマッチョなおっさんが出来上がる訳だ。視覚の質量兵器かよ。

 

「ダメージディフュージョン・・・」

 

 だが好機。ここぞとばかりに今まで融合し溜め込んだダメージを開放する!

 

「30%キャノンナックル!」

「おぐわぁー」

 

 あきらかに効いてなさそうな間抜けな声をあげてぶっ飛んでく化太郎。だがそれがアイツのデフォルトなだけで、手ごたえは十分だった。とりあえず動けなくなったところで地面と融合させてしまおう。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

痛たたた。三味線とは卑怯だなぁ。引っかかる私も私か。

 

うーんいまので体力が5割ほど持ってかれたなぁ。

 

まあ先に『予想外の一撃(バンプ・オブ・バグ)』を直撃させたから差し引きは……マイナスじゃないか!

 

ダメージレースでは大きく後れを取っている私。

 

…だけどまぁ、戦いも始まったばかりってこともあるし何より、

 

 

 

この仮面を着けてから絶好調極まっているから負ける気がしないんだよねぇ。

 

 

あ、そうだ。きっと今なら考えてた必殺技イケるかも。ふふふ、見てろよぉ~。

 

 

今から始まるのはヒーロー達によるスペシャルパレードだぜ。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 派手にぶっ飛ばしすぎたかな。土埃が全然収まらねえや。この視界不良に乗じて反撃してくる恐れもあるから少し離れたところで様子を見よう。

 土埃の中で何かがゆっくりと動いている影が見える。まぁまず化太郎だろうな、何時攻撃されても良いように身構えておく。

 …!来た。化太郎は何かを投げて・・・あれは、錨?小さな錨が飛んできた。余裕をもって躱す。だが今度は沢山の錨が真っすぐに俺を狙ってきた。どれもこれも小さくて大した事なさそうだが、多分だが当たるとヤバイ。飛んでくるものを見極めて避けたり叩き落したりする。よく見たら錨には細いロープが結ばれている。何の意味が…?

 

「必殺!キャプチャーアンカー!」

 

 化太郎が結ばれているロープを巧みに操り、不規則な動きで錨が襲い掛かる。躱し切れないか。いつでもダメージフュージョンを発動できるように身構える。だが俺に直撃せずに体に絡みついていく。一体何を

 

「ボルトアンカー!」

 

 ?!!突然体に巻き付いてた錨がデカく、重くなった。しまった。これじゃあ身動きが取れねえ!というかこの捕縛方法って『キャプテンアンカー』のじゃねえか!何で気付かなかったんだ俺!こうなったら一度ロープと錨ごと融合して拘束を外さないと…!

 だが化太郎は悠長に待ってくれる奴では無かった。一気に間合いを詰めて、手に持っている輝く竹刀を叩きつけてきた。今度は『バンブシドー』だと?!

 

「でやあああああああああああ!」

 

 大気が震えたんじゃないかって言うほどの気合いの入った声を出し、一息で超速連撃を繰り出してきた。これが普通の竹刀だったならば、多少痛い程度を無視して拘束から離脱すればよいのだが、アレは間違いなくバンブシドーの『雷光竹刀』。一撃目を食らったら体が一時的に麻痺し、すぐさま二撃目が、そして三撃目が、と体力が尽きるまでボコボコにされ続けてしまう。

 それを回避するためには俺の場合はダメージフュージョンで受けるしかない。しかしダメージフュージョンを発動し続けてしまうと今度はキャプテンアンカーの拘束が外せない。有体に行って、ヤバイ。

 バンブシドーの連撃が襲ってくる。頭、肩、胴、腕。不規則で、だが高速で放たれ続ける連撃に対して成す術は無い。ダメージフュージョンを発動し続けて耐え続ける。しかしダメージフュージョンも延々と発動し続ける事は出来ない。既に体が怠くなってきた。

 しかし反撃のチャンスはすぐにやって来た。化太郎の息が乱れてきた。竹刀を振るスピードもどんどん遅くなっていく。……今っ!

 

「50%ディフュージョンインパクトォ!」ドォォッ!

 

 邪魔だった拘束ごと化太郎を吹き飛ばす。化太郎は飛ながらも空中で器用に受け身を取り、すぐに変身した。アイツはその日の調子に物凄く左右されやすい所があるが、いくら何でも変身頻度と速度が速すぎる!

 

「ロケットアームズ!」

 

 今度は『アストロハンド』だと!?マジで節操がねえな!かなりの速度で二本の腕が飛んでくる。アストロハンドの攻撃方法は飛ぶ腕で相手を殴るんじゃない。空中の腕を巧みに操り相手を翻弄してから…

 

超空気投げ(エアロ・ア・ラウンド)!」

 

 投げるのだ。

 一瞬にして天地がひっくり返る。凄い力で引っ張られ…

 

D・D・G!!(DeepDiveGround)

「ゴッはぁっ!」

 

 背中から叩き落とされる。呼吸が…!

 化太郎が変身しながらマウントポジションを取る。変身先は…俺か!

 

「さあ倍返しだ!60%キャノンナックル!!」

 

ドズゥゥゥゥン

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

勝った!第三部完!

 

いやまだ三部始まってすらいねえよ、それどころか序章終わってもいねえよ。あれ何言ってんだ私。

 

ふふふ、やはり今日の私はサイキョーであった。間違いない。これはトップヒーロー目前ですわ。

 

いやはや。良くあれだけのヒーロー達に連続して変身出来たよね。自画自賛。

 

よしよし、ヒーローの必殺技を連続して借り続けるこの変身技。早速名前付けしなくては。

 

うーん。やっぱり『HERORUSH』かな?安直すぎるか。

 

ん~、『HEROVision』…ちょっと違うな。

 

『ExtraHERO’s』狙いすぎかな?もっと自然な感じで…ズボォ!

 

 

 

気が付いたら首から下が地面に埋まっている訳だが。

 

 

「お前最後まで油断するなってあれほど言われてただろうが…。」

 

 

融剛!貴様死んだはずでは「殺すな馬鹿。」あぁん踏むのらめえ。

 

「お前はとにかく最後は大振りって決まってるからな。まあ、やられた振りして倒れてればトドメを刺しにくるだろ。そこを狙ってダメージフュージョンで防御。反撃を…と思ったところでお前が油断しまくりだったからなぁ。拘束させてもらったぜ。」

 

ぐぬぬ、今日はとにかく絶好調だったのに。サイキョーへの道は未だ遠い。

 

「はい。ということで今日の戦闘訓練は俺の勝ちだ。今日はもうおしまいだぜ。」

「ぶーぶー、もっかい!次は勝てそうな気がしないでも無いわけじゃないぜ!」

「喧しい、疲れた、終わり。今日はもう帰れ。」

 

「おっとそうはイカの一夜干し。」

 

「んだよ律姉。もう風呂入りたいんだ…け…ど…。」

「調律お姉様!融剛が急にSに目覚め…て…。」

 

あれ、オカシイな。私の目は狂っちゃったかな。

 

「毎回毎回何度も何度も口を酸っぱくして言ってるよね。庭を荒らすなって。」

 

どうやら耳も狂ったらしい。調律お姉様の声をした鬼がおる。

 

「なのにあんた等ときたら何度も何度も何度も何度も・・・」

 

やばい。先ほどの戦闘訓練とかいつぞやのヴィランにリンチされた時以上の生命の危機が訪れている。私のサイドエフェクトがそう言ってる。

 

逃げよう。今の私は地面を潜るモグラ。いやミミズで良い。何でもいいから逃げなければ。

 

 

▼しかし、まわりこまれてしまった。

 

 

「よぉ親友。お前俺を置いて逃げるとか無いよな?」

「何を言っているのでしょう大親友。そんなことはある訳無いじゃないですかだからその手を放してください。」

「お互い死ぬまで一緒って約束したじゃないか。俺達、ズットモだょって。」

「えぇえぇ、どうせ人間死んだら皆同じ所に行くんです。だからちょっとの間離れてようとも大丈夫ですよ。」

「いやいや。ほら、今の俺ってウサギモードだから。寂しいと死んじゃうから。だからお前も一緒にいようぜ。」

「馬鹿なこと言わないでください。ウサギほど縄張り意識の強い小動物なんてそうそういる物じゃあありませんよ。だからここはお互い少し距離を取ってですね「ねぇ」ピヨッ。」

 

 

 

 

「庭の修繕。お願いね?」

 

 

 

 

「「ハイ。」」未だ嘗てこのようなお願い(めいれい)なんてあっただろうか。(反語表現)

 

 




原作開始までこのような戦闘訓練を続けていくことで経験値めっちゃ貯めていくってスタイル。

『フュージョンアーツ』
遊戯融剛の技。有体に言って只叫んだだけとも言える。
どういう効果が有るかと言うと意識が戦闘モードになるだけ。
でもスイッチ入ってるのと入ってないのとじゃゾウとマンモスくらい違う。

『メタモルコマンド』
殺生石化太郎の技。有体に言って只叫んだだけとも言える。
どういう効果が有るかと言うと意識が戦闘モードになるだけ。
でもスイッチ入ってるのと入ってないのとじゃネコミミ好きとケモナーくらい違う。

『縮地』
速い。

『ダメージフュージョン』
チャージ型カウンター技。

予想外の一撃(バンプ・オブ・バグ)
小さな虫になり相手の死角から接近。攻撃の瞬間だけ大きくなる。

無意識達の檻(エアロ・パラサイト)
目に見えない虫の群体となり相手を囲む。
化太郎が予想外の一撃(バンプ・オブ・バグ)共々即興で作った技。今後はもっと改良するんじゃないの(鼻ホジ

『ダメージディフュージョン』
ダメージフュージョンで溜め込んだ力を解き放つ。100%がダメージフュージョンで貯めておける最大値。それ以上は貯めこむことが出来ずパンクしてしまう。
キャノンナックルは単体技。ディフュージョンインパクトは範囲技。

『ExtraHERO’s』(仮名)
ヒーロー達に次々と変身しそのヒーローの必殺技を使っていく、言ってみればそれだけの技。
詰めを誤らなければあっと言う間に相手を制圧できるが、如何せんユルい化太郎が使ってるので偶に色々と、その場のノリで無駄な行動を挟んだりする。

水兵ヒーロー『キャプテンアンカー』
いつもセーラー服(学生服じゃない方)を身に纏い、錨を担いでいる女性ヒーロー。
個性は『重厚長大』。持っている物を重く、厚く、長く、大きくできる個性。変化させたものを元に戻すことも可能。
セーラー服の中に隠している紐付き錨を用いて主にヴィラン確保をしている。
融剛の両親であるヒーローコンビ『ゲームマスターズ』の相棒(サイドキック)

サムライヒーロー『バンブシドー』
コッテコテのサムライ服を身に纏い、腰に竹刀と竹光を挿しているアメリカ生まれの日本オタク。
個性は『帯電剣』。剣状の武器に麻痺属性を付与する。
元々無個性と思われていたのだが、日本オタクを拗らせて日本に行き、剣道体験したところ個性が発現した。化太郎はすぐに息切れしたが、本物は相手が倒れるまで打ち込み続けても息切れ一つしないスタミナ馬鹿。1対1ならかなり強い。『ゲームマスターズ』の相棒(サイドキック)

ロケットヒーロー『アストロハンド』
元々コイツを主役に考えていたが格闘系ヒーロー多くね?(原作にも二次創作にも)との思いから主役から外れてしまった悲劇のヒーロー。でも個性はなんか好きだからせめてもの供養。
個性は『操腕』。自分の腕を関節単位で切り離し、見える範囲まで自在に操ることが出来る。腕だけワンピースの道化のバギー。必殺技名が無駄に格好いい。


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主人公の宿敵登場的な第五話

緑谷出久に死柄木弔がいるように。
オールマイトにオール・フォー・ワンがいるように。
主人公にも宿敵となる存在がいるようです。

そしてここから少年誌的な内容から離れていくんじゃないかな。


~とある場所~

 

「これ以上この地に狐狸共をのさばらせておく訳にはいかぬ。」

「そうだ。」「然り。」「奴らを駆逐するのだ。」

「…」

 

ザワザワザワ

 

「あの禿狸と女狐が手を組んでから何一つうまく行っておらん!」

「西だけでなく東にまで勢力を伸ばしおる。」

「おとなしく片田舎に籠って居れば良かったものを。」

「彼奴等さえ居なければ我等が天下を取っていた。」

「…」

 

ザワザワザワ

 

「今月に入って我らが傘下が5人もやられおった。」

「ワシらの若いのは半数が既に奴らの手に…。」

「あれから先詠のとも連絡が取れん。奴はわえ等の期待の星だったのじゃが。」

「……」

 

ザワザワザワ

 

あーだ

こーだ

「……!」

 

ザワザワザワザワザワ

 

 

 

「やっかましいんじゃジジババ共がぁぁあああ!」

 

 

 

「何だ何だよ何ですかァ?!老害共が揃いも揃ってブツブツザワザワダラダラベラベラ無駄話してェ!僕は此処で『経立会(ふったちかい)』の未来について話し合うって聞いてるんですがァ?!」

「おぉおぉ旧鼠の、そいつがお前の孫かい。中々元気がいいじゃないか、あ?どれ、アメでもやろうか?」

「なにいってるんじゃ、今時アメに釣られる子供が居るかい。ほら坊や、チョコレェトがあるよ。」

「馬鹿共が、そんなもんじゃ食った気がせんやろがい。ホレ、するめなんてどうだ?」

「どれもいらねェんですけどォ!!」

 

 

「あのよォ、こんな下らない話ばっかりだったら僕はもう帰るぜェ?暇じゃねえんだよォ。」

「全く最近の若いもんは余裕というもんが無いのう。わえ等の若い頃はもっと落ち着きがあったわい。」

「はん、貴様も若い頃はもっとろくでもない馬鹿野郎じゃったろうに。」

「あ”あ”ん?お前なんてマトモなお供すらもてんかったやろ。」

「「…」」

 

 

「「表出ろやぁ!!」」ギャーギャー

 

 

「僕は帰るぞォ?」「まあ待ちな。」

「んだよババァ。こんな下らねぇ会合なんてブッチしてジャンプ読みたいんですけどォ?」

「ほら、急くんじゃないよ。この写真を見な。」「んァ?」

ピラ

「なんだァ?このザコそうな奴はァ。」

「殺生石化太郎。ソイツがわし等のシマを荒らしているやつさ。」

「はァ、コイツが例のか。見えねえなァ。」

「油断するんじゃないよ。こんな見た目だが、あの『傾国』のと『島引き』の子供なんだ。」

「あァ?誰にモノを言ってんだァ?」

 

「僕こそが『鼠浄土(ねずみじょうど)』の次の王になるんだぜェ!油断?慢心?上等じゃねえかァ!」

 

「…カァーッ!大した自信じゃのう!それでこそ我が孫、旧鼠の血を持つ者よな!」

「フン!貴様が王になるころには我らの同胞(はらから)全て奴ら狐狸共の腹の中に納まってなきゃいいがな!」

「バカかァ?手前等が勝手にザコ動物共を手下に揃えてるだけだろうがァ。これからの経立会にザコは要らねェ。弱者はおとなしく腹に納まりなァ!」

「なんじゃと!?貴様、経立会が今の今まで続いてきたのは誰のおかげだと思っておるか!」

「うるせえんだよ老害がァ!誰のおかげで続いてきただァ?手前等ザコ共が何時までも昔は昔はなんて言ってるからここまで衰退したんじゃねえのかァ!!」

「!!貴様ッ!殺してやる!」「おやめっ!」

 

「死ねええええあああああ!!」

 

 

「っくはァ。」

 

ぶちっ

 

 

「あ、か、 。」ドサッ

 

「三井寺ぁ!」

「お前ぇ!何故同胞を殺した!」

「あァ?殺されたザコが悪いんだよォ。」

「キサマぁ!」

「野郎共ォ!入ってこいやァ!!」

ドダン!ドタドタドタドタドタ!!

「っ!何のつもりだ!」

「あァ、邪魔な老害共にはとっとと消えてもらおうかと思ってよォ。」

「っな!こんな事をして只で住む筈が「うるせえよォ」ドスッ

 

 

「はァ、ザコが粋がってんじゃねえよォ!これからは弱肉強食。狐狸共が鼠を喰う時代は終わりだァ!さあ屑共、腹を鳴らせェ!声を荒げろォ!今こそ我等が食物連鎖の頂点に君臨するのだァ!」

 

「「「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」」

 

 

「おいィ。」「ハッ」

 

「経立会の他の幹部共に伝えなァ。『今より、旧鼠 公星(きゅうそ こうせい)が経立会会長に就任する。従うなら良し。従わなければ死を。』となァ。」

「御意に。」

「っくはははァ!これで僕は経立会を手中に収めた。もはや鼠浄土の王となるのに然したる障害は無いなァ。あとは現国王がとっととおっちんでくれればいいだけだァ。ははっ、折角だァ。殺生石とかいう奴の首でも王座に飾ってやるかァ?いい考えじゃぁねえかァ。ははは、今週号のジャンプ読み終わったら早速狩りに行ってやろうじゃねえかァ!!ハハ、ハハハ、ハハハハハァ!!!」

ゲホッゲホッ

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

やぁ。早いもので中学校に入学してからもうじき3年になるぜ。つまり私は3年生ってわけだぜ。

 

思えばあれからすったもんだあったが大きく変わった事と言えば、志望校はやっぱり雄英高校だよなってところかな。変わってないと言えば変わってないのかも。

 

あ、それとヒーロー志望友達が増えました。やったね。

 

多くは語らないけどのっぺりぼでーがちゃーみんぐだぜ。

 

そんな友人と融剛と私の3人で放課後よくトレーニングをしている。

 

…それとよく勉強も教えてもらっている。

 

仕方ないんじゃ!雄英って滅茶苦茶倍率高いんじゃ!体鍛えるだけじゃなく頭も鍛えなきゃいかんのじゃ!

 

 

 

…試験日当日だけ天才キャラの頭に変質しようかな。ダメですかそうですか。

 

ずるいやずるいや。友達はその個性からして一度覚えた物は忘れそうもないし、親友は生まれつきか頭の出来が人とはかなり違うらしい。

 

そして私は生まれつき謎の記憶を持っているが残念な事に勉強において全く生かせてない。詐欺だ。

 

悲しみのあまり最近見かけたMt.レディ(私服)に変身しながら雄英の過去問と共に帰宅していた。

 

 

「イヤアアアアア!!」

 

 

?!

 

この声は…さとりん!?

 

大人顔負けの毒舌砲をブッパしてくるさとりんの悲鳴とか新鮮!

 

じゃねえよ馬鹿か!何かあったんだよすぐ行くぞさとりん!

 

 

 

 

 

「寄らないでっ汚らわしい!」

「おいおいィ、そりゃねえだろォ。かれこれ5年ぶりの再会だってのによォ、嫌われちまったもんだぜェ。あ、8年だったかなァ?まあいいや。ギャハハァッ!」

「ッ!下衆め!」

「んァ?ああ、そういやァ心が読めるんだったよなァ。それで僕等がかくまって(・・・・・)やってやったんだっけェ。」

「かくまった、ですって…?!監禁した、の間違いでしょう!」

「あァ、まあ変わんねえだろォ?実の親からバケモノ呼ばわりされるのに比べたらなァ。」

「っ~!」

「おっほォ怖い怖い。」

「私はお前達の所には絶対に戻らないっ!」

「あ~あ~そう言うのほんといィから、まあしばらく見ない間に随分可愛いく育ったよなァ。僕はそんな趣味は無いが、まあ旺盛な子分共の相手にはちょうどいいかァ?」

「!相変わらず最低ね!」「そう褒めるなよォ。」

 

「さあてェ、子供らしく可愛いケツ振りながらのオニゴッコはお終いだァ。いい加減僕について来いよォ。そうすれば痛い目にあわすのは勘弁してやるよォ?」

「…今は。ですよね?」

「っくはははァ!そうだよォ!残念だったなァ。手前には経立会から逃げたオシオキを受けてもらうんだからなァ!もう二度と逃げようなんて思わない様に徹底的にヤらせてもらうぜェ?」

「誰が下衆共なんかについて行きますか!」ペッ

「…」

 

 

「よォ、人に唾を吐きかけるなんてシツケがなってねえなァ。あ”ァ”?」

「…!」キッ!

 

 

「…まァ、手前を見かけたのは偶然だしィ?個性を使うのも最悪生きていればいいしィ?子分共の相手をさせるのもアナがあいていればヤることヤれるしィ?」

 

 

「手前の両手足を捥ぎ取っても別に問題無いなァ?!」

「?!!」

 

「ひ、嫌ぁ、ぁ。」

「はははァッ!どうしたァ、怖いのかァ?どうしようかなァ、手前が無様に土下座して命乞いをするなら助けてやってもいいんだがなァ?」

「ッ!誰がするもんですか!この悪臭低脳穀潰し!」

「…」

 

 

「苦しんで死ねやァ!」

「嫌っ、助けて!化太郎!!」

 

 

DETROIT…

 

 

「ふぇ?」「あァ?」

 

 

 

  S  M  A  S  H  !!!

 

 

 

「ぐっガハァ!!」

 

「もう大丈夫だ、さとりん!」

「あ、あぅ。」

 

 

 私が来た!

 

 

「お、遅いんですよ、バカ!」

 

ごめんごめん。ちょっと叫び声が反響してて居場所の特定に時間掛かっちゃった。

 

怪我は無いかい?…うん、どこも怪我はしてないみたいだね。

 

「ぐっゲボッ、ぉ、オールマイト…だとォ…?」

「オールマイトではない。通りすがりの仮面ヒーロー(志望)だ。」

「仮面…?はァ!手前が殺生石化太郎か!」

如何にも私は化太郎でございます。そう言うお前は・・・

 

「随分汚いカピバラだなぁ。」「ハムスターだァ!!」

 

お前のような小汚いハムスターが居るか。

 

「舐めやがってェ…!僕は経立会が会長!旧鼠 公星だァ!手前をぶっ殺す!!」

「貴方が会長ですって…?」「経立会…だと…?!」

 

 

 

「さとりん、経立会って何だ?」「そこからですか!?」

「…経立会というのは最近貴男が倒したヴィラン達を擁していたヴィランによる組織です。」

「なるほど、つまり私がその経立会の構成員をボコボコにしていた所為でそこのトップがお礼参りに来たって訳か。ヤクザみたいな奴らだな。」

「貴男妙な所で察しの良さを発揮しないでください。馬鹿なくせに。」「酷いや。」

「僕を無視してお喋りしてんじゃねえよォ!!」

 

「ここまでコケにされたのは初めてだァ…!仲良く血祭りにしてやん「遅いゼヨ。」ドッ「ごオッ!」

 

フウン。偽物とはいえオールマイトの一撃を耐えて、さらにボディーの追い打ちをかけてもダウンしないか。なるほどヴィラン共のカシラなだけは有るか…。

 

「て、手前ェ…!」「どうした?さとりんを泣かせた罪はこんなもんでは済まないゼヨ?」

 

「舐めんなァ!噛みちぎってやるゥ!」

「おお、怖い怖い。」

 

かなりの速さで飛びかかってくる。しかしその速度よりもっと速い組手相手がいたおかげで反応することは十分に可能だった。

 

相手の突進に合わせて毛むくじゃらの横顔を蹴り飛ばす。獣型の個性のおかげか中々に耐久力があるみたいだ。

 

壁に叩き込むが衝撃を上手い具合に殺し、すぐに反撃に移ってきた。そして今度は私の脚をめがけて噛みついてきた。

 

ガジィ!!

 

 

「っ~~!な、なんて硬さだァッ!!」

 

噛みちぎってやる。という言葉を受けて相手の行動は大体読めていた。相手が噛んできそうな部分を予めタングステン合金に変質させておいた。しかしそれでも相手の歯は欠けないとは・・・。普通の人が齧られたらきっと骨ごと持ってかれたんじゃないか?

 

未だに足に齧りついている奴ごと振り上げる。旧鼠と名乗ったヴィランは空中に放り上げられ、ジタバタもがいている。

 

落ちてくるタイミングに合わせて空中コンボを決めてやろうか。

 

 

 

「昇!!」

 

 

   「龍!!」

 

 

      「拳!!」

 

 

 

クリティカルヒット!相手は綺麗な放物線を描きながら何処かに吹っ飛んでいった。

 

一連の流れを見ていたさとりんからの一言。

 

「コンボっていったい…。」

 

あ、いけね。アイツ確保しなきゃマズいじゃないか。

 

さとりんに警察を呼んでもらうように頼みながら奴が飛んで行った方向に駆け出した。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 やれやれ、最近受験勉強が捗り過ぎてやる事が無い。今日は家で訓練をやる日でもないし、家についたら完全にオフになる。まあ、偶には息抜きは必要だよな。

 そう思いながら帰り道を歩いていると誰かの声が聞こえてきた。どんどん近づいてくる。………空?

 

「あああああああァ!!!」

 

 上空からモサモサした何かが叫びながら落ちてきた。俺はこの現実を一瞬受け止めきれなかったが、すぐに現状を把握。このままではアレが地面に激突してしまう。アレが何かはひとまず置いといて、俺はモサモサした何かを受け止めに行った。

 

 何とか受け止めることは出来た。人ひとり程の大きさもモサモサは、その見た目に反してかなり軽かった。

 

「おい、大丈夫か!?」

「っうぐゥ。」

 

 よく見るとかなり怪我をしている。ほっといても死にはしないだろうがヒーロー志望としては放置するのは間違っているだろう。俺はカバンから救急キット(常に所持している)を取り出した。

 

「ッ!放せェッ!なにしやがるゥ!」

「落ち着け。今から応急処置をしてやるから。」

 

 モサモサした何かはかなり興奮しているようだ。なんとか宥めないとマトモに治療が出来ない。

 

「ほーらどうどう、落ち着いて、落ち着いて。」

「ふあ。」

 

 こういう時は優しく語り掛けながら手で相手の目を覆う。動物的な個性の持ち主なら大体本能でか落ち着きやすいんだよな。

 

「……」

 

 落ち着いたか。よしよし、早速応急処置を施す。両親に仕込まれた救急処置術はしっかり俺の血肉となっているみたいだ。本職にも負けない速さで処置を終えた。

 

「はい、終了。どうしてそんな怪我をしたのか知らないが、早く病院で見てもらいな。」

「ッ……。何なんだよお前ェ、なんで僕に優しくするんだァ?!何が目当てだァ!?」

 

 は?優しくするのに一々目的なんて持ってられるかよ。

 

「別に見返りなんて求めてねーよ。助けたいから助けたんだ。」

「嘘つけェ!何処にこんな見た目がボサボサのドブネズミモドキを何の見返りも求めずに助ける野郎が居るんだよォ!」

 

 自分で自分の事をドブネズミって言うのか………。こんなに捻くれるほどに気にしてるんだな、自分の見た目を。

 

「なぁに。俺の周りには人外どころか生物なのかよ、って見た目の奴が多いからな。見た目がどうとか拘らないことにしてるんだ。」

「な……。だ、だからって理由も無くこんな奴を助けるのかァ?!有り得ねえだろうがァ!!」

「理由がなきゃ助けちゃダメなのか?」

 

 助けたいから助けた。じゃあ納得してくれないかぁ……。うーん、こんな言葉あんま使いたくないけど仕方ないか。

 

「じゃあよ、可愛い女の子に良いところを見せたくなるのが男の性だから。ってのはどうだ?」

「…は?……あァ?……………はェ?!あ?え?お、女ァ?!!誰がァ!?何がァ!?!?可愛いィ?!?!?」

 

 なんか凄い混乱している。まあいきなりこんなキザったらしい言葉を言われたらこうなるか。むしろ無言で殴りかかってくるよりマシかもしれない。

 

「か、かっかかかか可愛いとか目が腐ってんじゃねえのお前ェ!こんなネズミ女なんかに何言ってんだボケがァ!」

「さっきも言ったが見た目がどうとかは拘らないんだ。でも可愛いと思ってるぜ。」

「ぁぅ。~~~~!!!」プシュゥ

 

 なんか煙出てきた。……まあ助ける理由云々は誤魔化せたし、結果オーライ?

 

「(何だ何だよ何ですかァ?!いきなり僕の事をか、可愛いなんて言いやがってェ…。そんな事言う奴なんて今まで…。)」

「おい、大丈夫か?怪我はもう痛んだりしてないのか?」

「っ!近づくんじゃねェ!」ブンッ「うおっと、危ないな。」

「(いいいいいきなり顔近づけんじゃねえよォ!ビックリしただろうがァ!……てかコイツかなりイケメンじゃねえかァ…。それに体付きも、ちょっと、イイ…。匂いも…。)」

「ん、それだけ動ける様なら大丈夫そうだな。ほら、立てるか?」スッ

「(うァ、こんな、ヤバイィ……。こんな、こんな凄いオスなんてェ……。)」キュッ

 

「ん?どうした?腰でも抜けたのか?それなら引っ張り上げるけ」グイ

「欲しくなっちまうよォ!!」ガシッ

「?!うわっ!」

 

 何だコイツ!?いきなり豹変したぞ!っくそ、なんて力してやがる!放せって!

 

「くはァ。ん。すんすん。あはァ♥やっぱりイイ匂いだなァ!僕のお腹の奥にじんじんとクる匂いだァ♥」

「!?」ゾワゾワ

 

 マジで何なんだよこいつ、有体に言ってキモい!!完全に少年誌じゃOUTなヤツだこれ!

 

「は、離れろ!」

「はァ。もっと、もォッとお前のオスを感じさせてェ。」

「っ!この…!」

 10%ディフュージョンキャノンナックル!「放せ!!」

「オア”ゥ!」

 

 よし!やっと離れ…

 

「っく、ふふッ。いたァい…♥」

 

 ?!何だよこいつマジで……。目がイってやがる…!もしかしてコイツヴィランか!?

 

「はァ…もっと。もっとキミの事を教えてェ…」

 

 ヤバイヤバイヤバイ!間違いなく今まで出会ったヴィラン共よりもヤバイ奴で、絶対強い……!どうする…どうする…!

 

 

 

「おーい!融剛~!こっちにネズミみたいなヴィランが飛んで…って居るじゃねえか!!!」

「!?化太郎か!助かった!」

 

 良かった。コイツ相手に俺一人だけだったら勝つことも、マトモに逃げることも難しかったところだ。

 

「あはァ。ゆうごうゥ。ゆうごうクンって言うんだァ。イイねイイねェ。イイ名前だねェ…♥」

 

「融剛、アイツ経立会とかいうヴィラン組織のトップらしい。」

「おお、素晴らしい情報じゃねえか。出来れば10分前の俺に教えておいてほしかったよ。」

 

 どうやら俺も軽口が言える程度に心に余裕が出来てきたみたいだ。やっぱりなんだかんだ言って化太郎は頼りになるなぁ……。

 そして相手はどうやら興奮が収まってきたみたいだ。ヤバイオーラが目に見えて下がっていく。それでもヤバイ奴には変わりないが。

 

「……ハァ。折角の逢引なのに邪魔するなんてェ、マナーがなってねえなァ?」

「ア”ア”ン?彼女いない歴イコール年齢の融剛が逢引なんて出来る訳ねえだろうがバーカ!」

「お前後でシメる。」

 

 頼りになるって思ったの撤回するわぁ……。

 

「はははァッ。流石に2対1は不利かァ。ここは一時撤退してやるよォ!次会う時は手前の最期だぜェ殺生石ィ。それと次会った時はドロドロの交尾しような♥ゆうごうクン♥」

「融剛貴男いつのまにそんなプレイボーイになったの!?」

「ちげえよ馬鹿!誤解だ!」

「五回!?五回もヤったの!!?この恥知らず!ヤリチン!」「お前マジで黙ってろ!」

 

 

 

「…ハ!アイツが居ない!」「お前がアホな事言ってるうちに逃げたんだよ!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「……会長、えらくまた上機嫌ですね。」

「ん?あァ、お前か。出先でなァ、滅茶苦茶良いオスを見つけたんだよォ。」

「…はぁ、それで?」

「捕まえ損ねたがまァ、いい。機会はこれから幾らでもあるゥ。次の時には向こうから言い寄ってくるようなイィメスになっていないとなァ♥」

「あぁ、なるほど。それでですか。」

「あァ?なにがだァ?」

「いえ、子分のオス共が会長に発情しだしましたので。」

「はッ。僕のカラダは既に売約済みなんだよォ。こう見えても僕は淑女だからなァ。」

「勿論、存じております。しかしこの状況が続きますとあてがいのメスが居なくなってしまいます。」

「あ”ァ?奴らそんなに消費してんのかよォ。」

「はい。既に大半のあてがいのメスは孕んで、残りのメスもおそらく…」

「ッチ。奴らは繁殖力は旺盛だが実力もセットでついてこねえとまるで使えやしねえ。」

「如何なさいますか?」

「今あてがってる奴が使えなくなったら我慢させろォ。」

「…しかしそれでは暴動が起きるのでは?」

「はッ。自分でメスを捕まえるオスならともかく、あてがいが必要なオス共なんて全部ザコだろォ。ザコがいくら集まろうが幹部にすら勝てねえんだァ。僕が直々にぶち殺してやるよォ。」

「会長の手を煩わせるまでもありませんよ。」

「そおかィ。あァそうだ。どォせならザコのオス共を去勢するかァ?今のとこザコの子もザコなんだろォ?」

「…大変心躍る提案ですが、他の幹部共の反感を無駄に買いますよ?」

「冗談だァ。…ッケ、先詠の奴を連れて来れれば解決する話なんだがなァ。」

「…アレですか。確かに孕む可能性も無いですし、使いつぶしても問題ないですね。」

「フン。どうせ連れて来れて無いんだァ。考えるのも無駄よォ。取らぬ狸のって奴だァな。ははははァ。」

 

 

 

 

 

「失礼、少々お話をよろしいですか?」

 

 

 

悪意と悪意が交差する時、物語はようやく始まりを迎える。

 




この話に入って時間軸はようやく原作1巻目でござんす。

ハムスター会長の事男と思ったろ。残念、僕っ娘だ。ははっ。

融剛君、実はたちの悪いタイプのジゴロかもしれない。



YUGO
YUGI

○個性

 融合

様々な物と自身を融合することが出来るぞ!
自分以外の物と物同士を融合するのは意外と苦手だ!
自分と他の人を融合することで戦闘力が倍算される!かもしれないぞ!


遊戯's顔-イケメンだが性格は悪そう。

遊戯's髪-つむじを中心に同じ方向に渦巻いている。

遊戯'sカバン-常に救急キット、非常食、常備薬、小型ろ過装置が入ってる。

遊戯's全身-手のひらに近ければ近いほど融合に掛かる時間が短い。逆に一番時間が掛かるのは足先。


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入学
化太郎、試験受けるってよ。


ようやく物語は始まり、始まり。って所であります。


「先生、私にも雄英の推薦くださ「無理。」食い気味に断られたッ!」

 

 

「どうして!?この前の模試でもなんとかA判定だったのに!」

「……殺生石、お前この部屋が何処だか理解してるか?」

「?何処って……指導室じゃないんですか?」

「そうだ、指導室だ。それでお前がこの部屋を使うのは何回目だ?」

「え~…と。年に一回だと仮定して3回目じゃないですかね。」

 

「……」「……」

 

「そうだな、年に一回という仮定が正しかったら3回目だな。でも仮定が間違っていたら結論も間違っている。そうだろう?」

「はぁ。」

「ちなみに先生の手元にはお前がこの部屋で個性指導を受けた回数が乗っている。何回だと思う?」

「先生。それは中学校生活で延べ何回授業を受けたか、と聞いてるのと同じ事ですよHAHAHA。」

「ああそうだな。一授業につき一回個性指導してるんだからそうなるよなぁ……!」ビキビキ

「HAHAHA、教師がしちゃいけない顔してらぁ。」

「黙っとれ!教室の扉を開ける回数より指導室の扉開ける回数の方が多いヤツ相手にするんだったら誰でもこうなるわい!」

「もー、エコヒイキするなんて教師失格だゾ★」

「俺もこんな贔屓するとは長い教師生活で一度も思わなかったよ…遊戯の奴良くこんなん相手出来るな。」

「私の自慢の親友ですからー。」エッヘン

「……生徒に殺意を覚えたのは初めてだよ…。」

「やぁん。センセイのは・じ・め・て♪貰っちゃった。」

「…」

「おおぅ。その瞳は絶対零度使われちゃあ化太郎君も黙らざるを得ない。」

「……そういうわけだ。たとえ勉強できようとも学校生活が悪い奴に推薦は出せないな。」

「そんな!そもそも私の個性は無意識に発動しちゃうのに!それを止めろなんて呼吸するなと言ってるようなものなのに!横暴だ!」

「…ほぅ?じゃあ聞くが、国語の授業でいきなり虎に変身したのはなんでだ?」

「……それは、山月記の主人公になりきって気持ちを汲み取ろうと努力した結果ですね。」

「……社会の授業で鎧武者に変身した理由は?」

「たまたまその時やってた大河ドラマが丁度授業の範囲だったので臨場感を演出した結果ですね。」

「英語の授業に金髪の女性に変身した理由は!?」

「英語っていったらやっぱエレン先生かな、って」

「美術の授業にウシに変身した理由は!?」

「友達との賭けに負けてヌードモデルになっただけです。」「お前それヌードモデルじゃなくて”ヌー”モデルだから!!」

 

「兎に角!お前に推薦は推薦は出せん!」ゼェゼェ

「酷い!ショックのあまり先生に手籠めにされそうになったって言っちゃう!」

「ヤメロォ!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

そんな訳で一人寂しく雄英高校ヒーロー科の一般試験を受けに行く私であった。

 

親友も、友人も、推薦で先に合格貰いやがって、覚えてろよぅ。

 

雄英のヒーロー科は毎年倍率300を超える。

 

最近のヴィラン共の増加の煽りを受けてか、今年から定員が増えたらしいけどそれでも一般入試の定員38人。推薦入試入れても44人しか合格しない。

 

まさに受験戦争。隣の奴は戦友じゃない。倒すべき敵だ。サツバツ!

 

そんな狭き門をなんとしてでも潜り抜けなくてはいけない。

 

まぁ、雄英高校の入り口のゲートは私が10人分程手を広げても通行可能な広さを持ってるんだけどね!雄英の門は広いけど狭いのだよ!

 

 

 

 

寂しい……

 

 

ちくしょー…なんであいつら先に合格するんだよぅ。サミシイ…サミシイ…

 

 

「おっおっおぉおおおお」

 

 

ニャァ、何だ突然!アラーム音か!?叫び声か!誰だ!モジャ髪か!

 

 

モジャ髪?はて、あの子何処かで見たな。ススッと近づいて顔を見る。

 

「ハローベイベー。」「うわああ!変なお面着けた人!!!」

 

至極その通りではあるのだがいささか傷つくぜベイベー…

 

ジロジロ。

 

「?!え、えっと。何の用…ですか…?」

「まあまて。今観察途中だから。」

「(ひょっとして凄い変な人に目を付けられたんじゃ)」

「…なんて思って無いだろうね?」

「へぁ!?な、なんで?!」

「顔に書いてあるぜぃ。そうだ思い出した。キミ出久君だろ!」

「えっ。どうして僕の名前を?」

「おや、私の事を覚えてないなんて。悲しいなぁ。まあしょうがないか、なんていったって同窓会では世界一『お前変わったなぁ~』って言われる人間だからね!」HAHAHA

「えっ?えっ?」

「ふむ、そうだなぁ。あ、これだ。これ言えば流石に思い出してくれるだろう?」

 

「いずく、オールマイトごっこしようぜ!私町におりてきたクマな!」

「…えっ、もしかして………化太郎くん…?」

 

懐かしいなぁ。オールマイトごっこ。あの時は何というか…輝いてたよね(ボキャ貧

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「みてみてバケタロウくん!オールマイトへんしんセット!おかあさんにかってもらったんだ!」

「…フフン。そんな物無くても私はオールマイトに成りきれるけどな!だけど折角買ってもらったんなら使わなきゃ勿体ないよねぇ。よぉっし!今日もオールマイトごっこするぞ!私町に降りてきたクマな!」

「……まえからおもってたけどなんでクマなの…?」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

やっべぇ昔の友に偶然会えるとかテンション上がる!

 

「そういうわけでオールマイトごっこしようぜ!」

「今から実技試験だよ?!」

「あ、そうだった。」

「まさかの素?!」

 

テンション高めのまま出久君と一緒に体育館に向かう。

 

……あれ、出久君って無個性じゃなかったっけか?気のせいか?でも無個性の人がヒーロー科に受けに来るなんて記念受験以外の何物でもないよな。

 

 

 

 ◆

 

 

 

『 今日は俺のライヴにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!! 』

「イエー!!!」

((((((え、何こいつうるさっ!)))))

 

周りの視線が痛い。なんでや、こういう時はノリよく返事するのがリア充ちゃうんか。

 

 

 

 ◆

 

 

 

模擬市街地演習!広っ!雄英やっぱスゴッ!

 

というかココまで移動するのにかなり時間とったよ。なんなんだ雄英。

 

「あー!さっきのうるさい人だー!可愛いお面だねー!」

 

何ッ!誰だこやつ!

 

「この仮面の良さが分かるなんて貴女…やるわね!」

「えっ?なにがやるの?」

「私は殺生石化太郎。よろしくね、可愛いツノの人。」

「私芦戸三奈!よろしくねー!ねえねえ、殺生石!キミって男みたいな名前してるね!」

「まあ、こんなナリだけど女じゃないのよ。男でもないけど。」

「えっ?」

『 ハイスタートー! 』

「あっ、じゃあお先に失礼するわ。変身ッ!」

「えっ?えっ?えっ?」

 

芦戸ちゃんには悪いがこれは試験。先を急がせてもらおうか。

 

ツバメに変身して市街地の中心部へ向かう。とりあえず誰よりも先に中心部に陣取って仮想敵を集めてしまおうって作戦で。

 

プレゼント・マイクが受験生を急かしている声を後ろに、ツバメから戦闘ヘリに変身して市街地に向かう。

 

やってる事完全に戦争じゃねえか。市街地で戦闘ヘリとかFPSかよ。

 

 

 

 ◇

 

 

キュラキュラキュラキュラキュラキュラ

ズドォォォォォン!!

 

「57!いや、60だっけ?わっかんね!」

 

市街地でド派手に大砲ぶっぱなしながらキャタピラで高速移動している。

 

今の私は轟砲ヒーロー『G-タンク』だ。若い物にはまだまだ負けんぞ。

 

とはいえ流石に鉄製砲弾を使うわけにはいかない。あくまでもこれはヒーロー活動。市街地をむやみに破壊するヒーローなんて居ないのさ。

 

…あっ、いたわ。市街地をむやみに破壊しちゃうヒーローいたわ。もっと郊外で活動すればいいのにってヒーローいたわぁ…。

 

なんにせよ普通の砲弾だと市街地で使うには超危険。そこで込める弾はビッグ・トリモチ弾だ。当たれば即くっつく。そして発射時の轟音に釣られてかドンドン仮想敵が集まってくる。大砲ぶっぱなす。集まる。なんてすばらしいループだ。まさにやったぜスパイラル。

 

唯一の欠点はこのループ。私の身体の消費が激しいことくらいか。お腹すいた。

 

砲弾撃つのに強力なエネルギーが必要。さらにトリモチ弾を作るのも維持するのもエネルギーが必要。結果、めっちゃお腹すいて力が出ない。

 

まぁ、このペースだったら10分持つだろって思ってた自分を殴りたい。

 

まだ5分経ってないのにお腹ペコペコちゃんなんですけども。孤独にグルメれそう。

 

このままじゃ試験終了まで持たない。チェンジペースしよ。

 

変身するは無敵のボディ。あらゆる攻撃を受け流し、あらゆる防御を貫く槍となれ!

 

《標的発見。始末セヨ!》

 

メタモルチェンジ!スラリーメタ《一斉掃射!!》ドドドド

 

バチュン

 

 

 

ヌルリ

 

「おいゴラァ!変身中に攻撃するとは鬼畜外道か貴様ぁ!!」

《?!》

「ヌルフフフ。お約束を守らない生徒にはしっかり教育しないといけませんねぇ。」

シュッ

「ヌルフフフ。武骨な砲門はパンクなテーブルに。」

「重厚そうな外装はリクライニング可能なソファーに。」

「それ以外の部分にはキラキラのスワロフスキーでデコレート。」

「ついでに中身のAIも少しイジらせてもらいました。」

《これが…私…?》

「さあ、あなたは今日から仮想敵ではなく可動式カフェテリアとして活動するのです。」

《はい。先生!》

 

 

 T H O O M

 

 

「ん?」

 

 

 B o o o o o o M !!

 

 

「にゅにゃァ!!何事!?何事ですか!?」

《アレは、0ポイント仮想敵。ステージギミックです!》

「アレがか?!デカっ!デカすぎない!?」

《とりあえず逃げるのです!》

「お、おう。改造しといてなんだけどお前それで慣れすぎでしょう…。」

 

 い、痛…

 

?今何か声が

 

 あ、ヤバ。これ走れないかも…

 

やっぱり聞こえた。こっちか?!反響特定(エコロケーション)!!キイイイイ

 

!?居るっ!見えないけど、そこに人が居る!

 

「おい、大丈夫か?!」

「・・・えっ?私が見えるの?」

「見えない!でも其処に居るのは分かる!怪我してるのか?立てるか?」

「立てる…けど走れないかも。」

 

ズズゥゥゥゥゥン!!

 

「うわ、0P敵が…もう駄目かも…。」

「諦めるな!」「え?」

 

変身

 

「たとえ無理かもしれなくても!」

 

轟砲ヒーロー

 

「ヒーローは弱音を吐いちゃいけない!」

 

超巨砲準備

 

「あらゆる困難を!」

 

超重量砲弾装填完了

 

「笑って乗り超えろぉ!」

 

発射準備工程終了

 

「行くぞ!ゲージ全振りの超必殺!」

 

 Plus Ultra!!(更に向こうへ!!)

 

「 超弩級砲塔!マックスキャノン!発射ぁぁぁああああああ!! 」

 

ボッ

 

 

 

  ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン

 

 

 

「う、嘘…。あんな巨大なヤツを…一撃で…」

「はっはぁ!どうだ!ヒーローに不可能はないん」ドサッ

「…!?ちょっ!大丈夫?!生きてる!?」

 

 

 

 

( ˘ω˘)スヤァ

 

 

 

「寝ただけかい!心配させないでよ!」

 

『 終 』『 了 ~!!!!』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「おはよー!」

 

あー、この電池切れから目覚める感覚。滅茶苦茶久しぶりだ…。あれ?ここ何処。

 

「やれやれ。やっと目が覚めたかい。個性使ってぶっ倒れたって聞いたからアンタも無茶したんじゃないかと思ったんだがね。」

「…お腹すいた。」

 

そんでここ何処。あなたどなた。

 

「ここは雄英の保健室。そんで私は看護教諭の『リカバリーガール』だよ。」

 

おかしい。口に出したはずの言葉は無視され、口に出してないはずの考えの答えを言われた。

 

「それは私の管轄外だよ。」

 

…もう何も言うまい。

 

「それよりほら。起きたならもう暗くなるんだからとっとと帰りなさい。」

「…お腹すいた。」

「…今はハリボーしかないからこれで我慢しな。」

 

わーいハリボーらー。圧倒的栄養不足ぅー。

 

しかし無いものはしょうがない。ハリボーかみかみしながら帰るとしよう。

 

「ハリボーありがとうございます。それじゃあばーちゃん、また入学式後に会いましょう。」

「おや、もう受かった気でいるのかい?大した自信だねぇ。」

「勿論。エリートヒーロー(志望)ですから。」

 

 

鼻で笑われた。ちくせう。

 

 

 

 

 

一週間後。普通に合格した。しかもトップ合格だって。イエイ。




主人公の個性をもってすればトップ合格間違いなしだよなぁ…
そして特に考えもせず定員増加。1クラス22人になってもうた。まあいっか。

殺生石 化太郎 敵P 59 救助活動P 50

お茶子を助けた出久が60Pで出久を助けたお茶子が45Pなら化太郎ならこれくらいかなって…


轟砲ヒーロー『G-タンク』

主に都心から離れた場所でヒーロー活動をしている高齢のヒーロー。
個性は『戦車』。どんな悪路も駆け抜けることが出来るキャタピラ、生半可な攻撃は跳ね返す重装甲、そして物凄い威力の大砲を持っている。
趣味で農業をしている。


『超弩級砲塔マックスキャノン』

G-タンクの必殺技マックスキャノンをさらに巨大化させた物。
身体のエネルギーを全て込めて発射する。相手はまず死ぬ。自分もまず電池切れする。


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化太郎、また試されるってよ。

中学校入学初日にしてマスクマンの異名を勝ち取った化太郎。
高校入学初日ではどんな異名を勝ち取るのでしょう。

それと察しのいい方ならわかると思いますが、主人公が色々はっちゃけます。
他のキャラのお株を奪いまくります。
なんだよそれゆるさゃなへぞ!!ってお方は無理せず最後まで見て行ってください。

……というかコッチ書くの楽しすぎてメインの小説全然手を付けてない…。


やほーディアフレント(*´ω`*)

突然でなんだけど遅刻しそうなんじゃぁ(´・ω・`)

まあどうせ入学式とかガイダンスとかだから別にいいよね(/・ω・)/

一応学校には連絡しといてんけど担任の先生にあったら連絡よろちくビーム(*^^*)

安堂と一緒のクラスに成れなかったのは残念だけど同じ学校に入学できただけでもよしとしましょー(*´ω`*)(*´ω`*)(*´ω`*)(*´ω`*)

 

「……」

 

 

ピロン♪

 

P.S

融剛の事だからクラスの女の子とすでにフュージョン(意味深)したのかなぁ?

(*´ω`*)(*^^*)(´・ω・`)((+_+))(*´ω`*)

 

「(あいつのラインうざっ)」

 

『 思わねーよてめーどこ中だよ端役が! 』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『『個性把握…テストォ!?』』

 

「(あー、似たような事家でもやったなぁ。)」

 

 高校生活の始まり、入学式。…のハズだったんだが、何がどうしてこうなったんだか。

 ”自由”が校風、先生側も然り、ねぇ。話には聞いてたがなかなかどうして…。あ、そういえば一応伝えておかなきゃな。

 

「相澤先生、いいですか。」「なんだ、遊戯。」

「一人遅刻してくるって話、聞いてますか?」

「聞いてるよ。入学初日から引ったくり犯捕まえるとは奇天烈な奴だな。」

《ひったくり犯捕まえたって…!?》

「…そうですか。聞いていたのなら大丈夫です。」

「そうか。ならお前も50m走の準備をしろ。」「はい。」

 

 …入学初日にひったくり犯捕まえるとか……アイツ何でそういう変な運持ってるんだろうな。

 

 

 ◇

 

 

 50m走。早い奴はやっぱりというか早いな。…折角だしとりあえず今の俺がどれだけやれるか試してみるか。…それに最下位は除籍…か。

 

「全く、除籍なんて嘘に決まってますのに…」

「本当にそうか?」「…え?」

 

 あ、いけね。つい口に出しちゃった。

 

「それはどういう意味でしょうか?まさか本当に除籍するとお考えなのですか?」

 

 あぁ、なんか見た目からして面倒な奴だったのに…まぁ、口に出しちゃったものはしょうがない、答えるとするか。

 

「あの先生、つまらない嘘は吐かないだろってことだ。」

「どうしてそのように思ったのですか?」

「ん~。何というかなぁ。ああいうタイプの人は非合理を削っていくタイプの様に見えたからかなぁ。」

「…非合理?」「ああ。」

「俺の予想だけど、多分最下位ってのは方便で見込み無しと判断したら除籍ってのが真実なんだろうよ。」

「…つまりそれは見込み無しと判断されたのなら…」

「最下位じゃなくても除籍処分だろ。」

「ッそんな訳「有るんだよなぁ。」?!」

「単純な話、先生一人で一クラス22人見るより、見込み無しって切り捨てていって見込みのある奴だけに付きっ切りで指導してる方がより良いヒーローを育てられるって事だ。」

「…そんな事……。」

「まあ、ヒーローを名乗る有象無象が増えまくった今の時代だからこそって奴だろ。見込み無しって判断されない様にお互い頑張ろうぜ。……えーっと?」

「あ、八百万 百ですわ。」「遊戯融剛だ。よろしく。」

 

 うーん、優等生。

 

「ほら、次八百万さんの番だろ。気張れよ。」「え、ええ。」

 

 あ。アイツ遅刻してるって事は今のこのクラスは奇数って事だ。つまり…俺一人で走るのか?!やだなぁ。

 

 

 『世界は平凡か?』

 

 

 …あ?なんだ?凄まじく嫌な予感が…。すでに走り終えたクラスメイト達もきょろきょろしている。

 

「ね、ねえ。今のって…。」「いや…まさか、な。」

 

 

  『未来は退屈か?』

 

 

「や、やっぱりこれって…!」「おい、何処だ。何処に居るんだ!?」

 

 

   『現実は適当か?』

 

 

「嘘!?何で!??何でここに出てくるの?!」

「…!あそこだ!!」

 

 

    『安心しろ!それでも生きる事は劇的だ!』

 

 

 こんなアホな事するのはアイツしか居ねえよなぁ。

 

「うわ!めだかちゃん!めだかちゃんがいる!すげえ本物だ!!!」(スマンそれ偽物)

 

「そんな訳で本日から箱庭学園…じゃなかった、雄英高校ヒーロー科に入学した黒神めだ…でも無かった。殺生石化太郎だ!学業・恋愛・仕事・友人関係全てに渡ってなんでも相談を受け付けるわけでは無いが相談があるというのなら乗ってやろう。」

 凛ッ!

 

 …アイツ遅刻しておいてよく堂々とあんなこと出来るよなぁ。ホラ見ろ。クラスの奴ら全員アゴ外れてるんじゃないかってくらい吃驚してるぞ。

 

「え?あのお面は殺生石?あれ?でもあの時もっと…あれぇ??」

「あのお面って、もしかしてあの時助けてくれた人…なのかな…?」

「ウヒョー!すげえおっぱいだぜ…!あんなに出してるんだからもう揉めって言ってるようなもんだよなぁ…!」ハァハァ

 

 …例外がいたようだ。何かムカつくから蹴り倒しておいた。丁度良い身長なのが悪い。

 

「先生。遅刻して済まなかったな。だがせめてグラウンドに居るなら何かしら情報を残しておいてくれないか?おかげで体育館に突撃して要らぬ恥をかいた。」

「それは悪かった。だが考えなしに体育館に突撃する方も悪いな。それと殺生石、その恰好は何だ?」

「あはは、実は昨日めだかボックスを読みだしてな、ついついこのような姿に。」

(((自由すぎる…!)))

「そんな事は聞いていない。…まあいい。早く体操服に着替えろ。個性把握テストの最中だ。」

「着替えたよ。」

(((いつのまに?!)))

「なら50m走だ。遊戯、お前と走れ。」

「…化太郎と走るくらいなら一人がいいです。」「酷い!お前それでも親友か!」

「走るついでに親友なぎ倒していくやつが何処に居るんだ?あ”あ?」

「…てへぺろ♪」

(((なんだこれ…)))

「いいからとっとと準備しろ。」ギロッ

「…はいな。(この人が担任か。なんで私の担任って皆目つきやばいんだろうね?)」

「(その一端はお前が担ってることを自覚しろ馬鹿。)」

 

 

 ◆

 

 

《位置ニツイテ、ヨーイ…》

 

結局一人で走る事になったよ!まず先に親友から走る。

 

『縮地』を使う親友にとって50mなんてとても短い距離だ。だけど縮地一回では50mまで跳ぶことは出来ないからなー。

 

親友は少し前傾姿勢を取っているだけで特に構えらしい構えはしていない。強いて言うなら地面に少しめり込んでるくらいかな?

 

《スタート!》

 

合図と同時に地面から打ち出される親友。さながらロケット頭突きの如く頭から飛んでいく。

 

かなり早いけどやっぱり50mには届かない。あのままじゃ頭から落ちて顔面ズルズルになるぜ。

 

「よおっっとぉ!」

 

おお!ハンドスプリングの様に地面に一度手を付いて瞬間融合。そしてすぐに自身を打ち出した!

 

なるほど。確かに足で着地した後跳ぶより手で着地したほうが融合速度が速い分さらに早く動けるね。

 

《3秒89!》

 

ひゃー3秒台!めっちゃ早いねぇ!コレを超える記録なんて

 

「すげえな遊戯!飯田には劣るがそれでも2位だぜ!」

 

居るのかよ!マジか!雄英すげええ!

 

「まあ、自慢じゃないが小さい頃から個性訓練してるからな。」

「いいなぁ!個性訓練できるような場所があって!家で個性使うと危ないんだよなぁ。」

 

…親友にもう友人が出来てる…サミシイ…サミシイ…

 

…いや、まだだ!ここから一気に逆転してクラス全員マブダチにしてやんよ!

 

 

「…それに、多分3位になるぜ?」

「はぁ?なんだそりゃ?」

「つまりあの変な奴の方がお前より早いって事か?」

「…まあ、見てれば解かる。」

 

 

やっぱあれだよな!マブダチって言うくらいだから実力を認め合う~みたいな感じだよな!

 

よっしゃ!ここで一発ドカンと大記録だしてやるぞ!

 

スタートポジションにセットアップ!いくぞぉ~。変身ッ!

 

「うわっ!何だアイツ!急に光り輝きだした!」

「アイツは変身するとき、その時の気分で変身エフェクトがかかるんだ。」

「え!?変身!!スゲエ!アイツ変身するのか!!」

 

変身完了ッ!私は普通の魔法使いだぜ!

 

「うわ!魔女っ娘!魔女っ娘だ!」

「なんだ?あいつめだかちゃんに変わる個性じゃないのか?」

「…オイオイ、ウソだろ!あれって間違いなく魔理…」

 

《位置ニツイテ、ヨーイ…》

 

彗星…

 

《スターt「ブレイジングスター!!!」ゴオオオオオオオオオオ

 

《0秒98!》

 

「イエーイ!好記録ぅ!」

 

「…ぜっ」

 

「「「「0秒ぅぅぅぅ!!!???」」」」

 

 

 

 

*****

 

 

 

その後も……

 

握力測定!

「コレ万力に変身すればよくね?」ギュゥ

機械「やめてっ!こわりぇりゅぅぅぅ!」

 

 測定不能!

 

 

立ち幅跳び!

「ちゅんちゅん!」バササササ

測定器「校舎の裏までは無理っす。」

 

 測定不能!

 

 

反復横跳び!

「見ろ!巨大昆虫6本足ステップ!」ガサガサガサ

融剛「キモイ!測定しづらい!てかそもそも横跳びしろよ!」

「なにっ!これじゃいかんのか?!」

 

 記録0回!

 

 

「どーなってんだあいつ!滅茶苦茶強個性じゃねえか!」

「…僕が速さで負けるなんて…」

「殺生石!お前なんにでも変身できるのか?!」

「おう!何でもござれよ!」「マジでか!じゃあさ「めっちゃエロい教師になってくれ!」

「性欲全開かよ!いいよ!」「いいのかよ!」

「いくぞ!体はミッドナイト、顔は相澤先生!へ~ん「待て待て待て待て!!なんてクリーチャー生成しようとしてんだ!」

「え、だってそのまま変身したらつまんないかな~って。」

「無駄なサービス精神!!」

「お前等、ふざけてると除籍するぞ…!」

 

 

 ◇

 

 

ボール投げ

 

 

うーん相澤先生があの『イレイザーヘッド』だったなんて。まさか私の天敵ともいえるお方が担任だったとは…。

 

「まさかお前の天敵が担任になるとはな。偶然か必然か…。」

「な、なーに。個性消されたくらいで戦えなくなるなんてヒーロー失格だろオイ…」

「どの口が言ってんだ馬鹿。お前攻撃も防御も回避も全部個性だよりじゃねえか。」

「グヌヌ、融剛がそれを言うのかな?ダメージフュージョンだよりボーイ。」

「別にお前と違って素の格闘技も鍛えてるからある程度は問題ねえよ。」

「…あ、出久君、やっぱ個性持ってたんだ。」「露骨に話題変えたな。知り合いなのか?」

「まあね。融剛に出会う前からの友達で、入試の時に再会したんだ。」

「へー。お前に友達いたんか。」

「ねえ泣くよ。ほら泣くよ。今泣くよ。」

「やめろ。冗談だから。ほら、相澤先生はドライアイなんだってよ。」

「おー。つまり付けこむならそこか。いかに見られないようにして目をつぶすか考えよう。」

「…というかなんで敵対すること前提なんだよ…。」

「…え?だって世の中何があるか分かんないし。相澤先生と戦うことになるかもしれないじゃん?」

「……果たしてそうだろうか。」

「あ、そろそろ融剛は準備しといた方がいいんでねいですか?」

「…おー。そうだな。じゃ、手伝ってくれ。」「おっけいアイボー」

 

 

 

 

「じゃあ次。遊戯……?!」

「えー!ちょっと!二人とも何してんの!?」

「「何って…」」

 

ドドドドドドドド

 

「全力で殴ってます」「殴られてます」

(((マジで何してんだー!?)))

 

「遊戯お前…ドMなのか!?」「ちげえよ峰田はっ倒すぞ!!」

「遊戯はただ殴られて嬉しいだけだよ!」ボコボコボコボコ

「だからちげえって言ってんだろボケが!」カウンターキック!!「ゴプェ」

 

「そもそも痛くも無いから問題なしだ!」「絵面に問題あるんだよなぁ。」

 

「個性を最大限有効活用する!まあ見てれば解かる!」

 

ザッ

 

「遊戯の個性って殴られて効果を発揮するって事か…?」

「あながち間違いじゃないでぇ!」「!?測定不能女子!」「今は男子だ眼鏡君!」

「眼鏡君?!」「…今は?」

 

「融剛の個性はその名も融合!何でも融合出来る個性や!」

「マジかよ!遊戯といいお前といい強個性の群れかよ!」

「否定はしない!ただ使いこなせるようになるまで時間が掛かっただけや!」

「話を戻すで!融剛の個性の真骨頂!それは受けたダメージを自身と融合して攻撃力に変換することができるんや!」

「はあ!?なんだそのチート!無敵じゃねえか!」

「まあそうやな!でも弱点が無いわけでもないんやで?まあええわ。ホレ、融剛がボールを飛ばすでぇ。」

 

融剛はボールを真上に高く投げた。…あーなるほど。さながらテニスのサーブみたいな感じで飛ばすんか。

 

ぐぐぐっっと力をためる。100%の開放なんて久々に見るなぁワクワク。

 

 

「ダメージディフュージョン…」

 

 

ボールが落ちてきた。

 

 

「100%…」

 

 

身体を弓のように引き絞った。………………今っ!

 

 

「キャノンシュートォォォ!」

 

 

 ゴッ

 

 

      ッッオオオオオオオオオオ!!!!

 

 

「うわっ!!風が!!」

「ヒョー!前見た時よりかなり威力上がってるぜ!」

「これっ……すごっ……!まるでオールマイトみたいだっ!!」

「いやいや、流石に片手で天候変えられるほどじゃあないでしょ。」

「こ、これは大記録が期待できますわね…!」

 

「…」

 

「相澤先生!今の記録は?!」

「あのスゲエパンチだ!1キロはいったんじゃねえの!?」

 

スッ

 

 

58m

 

 

 

「…え?」

「おかしいな。58mって見えるんだけど。」

「うーん。私も眼鏡買おうかな。目がぼやけてるみたいだ。」

「いやいやいや。ぜってえ機械が故障してるって。だってあの威力だもんな。」

 

「…」

 

「ねーねー。60m線の付近に大穴が開いているように見えるんだけど。」

「奇遇ね。私にもそう見えるわ。」

「さっきの衝撃で地面がはがれちゃったのかなー?」

 

「…」

 

 

「「「…」」」

 

 

「失敗しちゃった」テヘペロ

 

「「「「「 アホかぁぁぁぁ!!! 」」」」」

 

 

遊戯融剛 ボール投げ 記録 58m

 

 

(ついでに)

殺生石化太郎 ボール投げ 記録 850m

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

持久走

 

「八百万さん!バイクなんてズルい!」「これも個性のうちですわ。それに私はまだいいじゃありませんか…」

 

「どけどけー!魔理沙様のお通りだぜぇぇ!!」ゴオオオオオオ

 

「…空を飛ぶお方に比べればこの程度……」「ああ……うん……」「走れよ」

 

 

上体起こし

 

「倒れるだけで腹筋ワンダーk「それだとマットに肩つけられないから測定できないよ。」マジかあ。」

 

 

長座体前屈

 

「のびーるアーム(物理)」「うわあ腕がどんどん伸びてく!」

「……ゴムゴムの「それ以上はいけない。」

 

 

全種目終了

 

 

「んじゃパパっと結果発表」

 

「…なあ、最下位が除籍ってやっぱり本気なのかな…。」

「えっ、なにそれ。除籍?」

 

ちょっと。私そのルール聞いてない。

 

 

「ちなみに除籍はウソな。」

 

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽。」

『『『はーーーーーーー!!!!??』』』

 

まって。話について来れない。

 

「…やっぱり嘘でしたわね。」「…最下位は順当に行けば緑谷だ。だけど多分ソフトボール投げの時に見込み有りって判断したんだろうな。」

「……ところで遊戯さん。」「ん?なんだ?」

 

「あなたって多分って言葉好きなんですね。」「…ほっとけ。」

 

ちょっと、融剛が知らないうちに女の子と仲良くなってる。

 

ちょっと遅刻しただけなのにもう置いてけぼり食らった気分だよ…。




すまない飯田君。A組最速は君ではなくなってしまって。
すまない八百万ちゃん。万能ポジション奪ってしまって。
それと峰田。ことあるごとに化太郎に変身願うのは止めなさい。

そして化太郎。明日から測定不能マン呼ばわりは覚悟しろよ。

一応補足

この世界にはジャンプコミックはありますし、その他創作物も普通にあります。
今まで素敵な巫女や実力派エリートに変身したのも、知る人が見れば「え?コスプレ?!完成度高!」となります。
そんでもって平然と変身しながら登校してますが異形型の個性がそれだけで警察のお世話にならない様に、化太郎も街中で変身して暴れたりしなければ見逃されます。というかまず気付かれません。

気付かれなければ犯罪ではないのだよ!こいつ本当にヒーローになっちゃだめだろ。


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化太郎、初めてのヒーロー基礎学だってよ。

被服控除!
入学前に『個性届』『身体情報』を提出すると学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる素敵なシステム!

「さー!今年の一年共はどんな素敵なアイデアを見せてくれるんだろうなぁ!」
サポート会社は新しい発想を取り入れるのが大好きなのだ!



「うんうん。一通り見たけどどれもフレッシュ!って感じだね!」
「先輩。追加の『要望書』です。」
「ありがとう後輩!さてさて!どんな要望が来たのかな!?」

遊戯融剛
 どんな悪路でも怪我しない靴。履きやすく、動きやすく、かつ薄く。

「靴だけ!?」
「 ユニーク!! 」

「居るんだよねー!たまに自分の個性を万能だって勘違いして完全に機能だけを重視したようなコスチューム要望出す奴!お前ヒーロー何だと思ってんの!!」
「そんな君には嫌でもかっこいいコスチュームを作ってやろうじゃないか!!覚悟しろよ!」

「次だ!コレの後ならどんな要望でもイケそうな気分ッッ!」

殺生石化太郎
 いらない

「…」「…」

「我々サポート会社の意味……」


午前は必修科目や英語等、普通の高校としての授業がある。

 

『おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーー!!!』

「イエー!!」

(((またお前か…)))

 

「オーケーオーケー!じゃあ仮面リスナーこの問題の答え言ってみようかーー!!」

「分かりません!!」

(((あ、こいつアホだ。)))

 

昼は大食堂で一流の料理を安価で頂ける!

 

「でも私はお弁当派なんだよね!!」

「殺生石!一緒に食べよー!」「やほー芦戸ちゃん。今日も可愛い角だね!」

「私も一緒にいい?」「いいよー葉隠ちゃん!今日もメイクばっちりだね!」「解かるの!?」「勘!」

 

キャアキャア

 

「…お前はあそこに入らないのか?測定不能マンの保護者。」

「誰が保護者だ。俺はいつも食堂派だからな。というかあんな女子の輪に入る勇気はねえよ。」

「お前そこはPlusUltraで…」「校訓汚すな。」

 

「お弁当っていつも作ってるの?」

「ん~ん。作ってもらってるの!」「やっぱお母さんとかに?」

「違うよー。お母さんはあんまりそういうのやんないから。でも居候の子が毎日作ってくれてるの。」「「居候。」」

「ほら、この子」

「わっかわいい!」「めっちゃ照れてる!」

「でしょー?もう毎日なでなでしたい。そんでこの子が作ってくれるお弁当がコレ。」ドン!

「「重箱!?」」

 

ザワッ

 

「……もしかして殺生石ってめっちゃお金持ち?」「別にそんな事無いよ。ふつーよふつー。」

「いやいやいや!お弁当で重箱持ってくる人とか漫画でしか見たことないよ!」

「…エンゲル係数がほかの家より高いだけなんだよね……。偶には外食とかしてみたい…。」

「…ああ。うん…」

「ほ、ほら!そんな事より食べよ!時間なくなっちゃう!」

「そだね!ねえねえ!おかず交換しようよ!」

「いいよー!中身ぎっしりだから選び放題だよっ!」

「えっとねー!じゃあこのコロッケ頂戴!」

「いいよ!じゃあ私は……。芦戸ちゃん?」

「ん?なーに?」

「私の目が狂ってなければ、弁当に納豆入ってるように見えるんだけど…。」

「入ってるね。」

「……」

「……?」

「(まいいか。)じゃあこの肉団子貰おうかな!」

「あ、それ中身オクラだから!」

「ネバネバだらけじゃねえかお前の弁当!」

「ねーねー!このポテトサラダちょーだい!」

「いいよ!」チラッ

「…?どうしたの?」

「(よかった。葉隠ちゃんは普通のお弁当だった…)」

 

キャアキャア

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

午後からはヒーロー基礎学!楽しみ!

 

『わーたーしーがー!!』

『普通にドアから来た!!!』HAHAHAHA

 

キャー!オールマイトー!!本物だー!やっぱ本物は違うなー!!!

 

「(…なんだろう。いつも化太郎で見慣れてるから本物に会っても感動しねえ。)」

 

そんな訳で早速戦闘訓練!いつも親友と友人とで訓練してるから結構いけるんじゃないかな。

 

そして誰よりも早くグラウンド・βに到着。私は着替える必要ないし仕方ないか。

 

そして順次到着するクラスの皆を観察する。おお、やっぱヒーローコスチュームはかっこいいな!

 

「あれ?殺生石ちゃん。あなたコスチュームはどうしたの?」

「私にコスチュームは猫に小判、豚に真珠、オールマイトに日本刀だぜ。蛙ちゃん。」

「梅雨ちゃんと呼んで。」「じゃあ私の事はバケちゃんで良いわ梅雨ちゃん。」

「ケロ。」

「私はいつも服ごと変身しちゃうからな。無いのと一緒さ。」

「なにィ!つまり殺生石はいつでも全裸だってぇ!?」ハァハァ

「そうだけどお前この格好見ても同じこと言えるのか!」モリムキィ!

「…ナンデモナイデス」

「すげえ、2日で理解できるほどのエロの権化を一瞬で黙らせた。」

「…殺生石さん…御見苦しいのでやめて頂けますか?」

「しょうがないなー」プシュュー「あれ?融剛お前その恰好…」

「…おかしいな。要望では靴だけ頼んだはずなんだか…。」

「無駄にケバケバしてる!受ける!」

「笑うな。シバくぞ…!」

『みんな揃ったようだな!始めようか有精卵共!!!!戦闘訓練のお時間だ!!!!』

 

 

さてさて、屋内での対人戦闘訓練か。私の最も得意とするところではないでぃすか。

 

ふむ。チームに分かれての訓練か。というかオールマイトは先生としてのスキルは低そうだなぁ。

 

…チーム分けはクジか。良かった。好きに二人組作ってって言われるんじゃなくて…

 

体育……二人組つくってー……余り……う、頭が。

 

クラス人数は22人。二人組で作っていったら11組、チーム分けしたとき一組余るね。

 

二組だけ3人チームってのが妥当かね。

 

やっぱりそうなった。3人組チームになったのは私、上鳴君、耳郎ちゃん組。融剛、常闇君、砂糖君組か。必然的にここと当たるよねやっぱ。

 

制限時間15分。ヒーローチームは(ヴィラン)チームの確保もしくは核爆弾の確保が勝利条件か。そして(ヴィラン)チームはヒーローチームの確保あるいは制限時間まで核爆弾の確保阻止すれば勝ち。っと。…ふーむ。

 

「おい。」「なんだい融剛君。」

 

「核爆弾に変身するなよ。」「……まさか、そんな事考える訳がないじゃないか危ないなぁHAHAHA。」「(考えてたな…)」

 

 

 ◇

 

 

一番手は出久君チームと爆豪チームか。ワタシ、バクゴウ、キライ。

 

とはいってもあっち側は私の事は覚えてないみたいだ。まあそれならいいか別に。

 

……お、あの奇襲に対応できるとは、中々やりますね出久君。しかしあまりにお粗末。屋内で、ヴィランの陣地なんだからもっと警戒するべきじゃないのか?

 

「爆豪ズッケェ!!奇襲なんて男らしくねえ!!」

 

お前は何を言ってるんだ(真顔)

 

戦いにらしいもらしくないもあるかい。結局は勝った方が正義なのさ。

 

ただヒーローは勝つために手段を択ばざるをえないだけで…。

 

しかし出久君は結構頭が回るみたいだなぁ。

 

「どう思う、融剛。全体的に。」

「…麗日は気が抜けてんな。飯田の奴は相手の対策が出来てる。緑谷の奴は…まだよくわからねえ。爆豪は…あぁ、ありゃ駄目だ。」

「あー、やっぱりそう思うか。」

 

私の勘だけど多分そろそろ…

 

 ド

   オ

     オ

       ォ

 

「うわわ!なになに!?」

「授業だぞコレ!」

「何たる威力…!」

 

あー、やらかしたねぇ。屋内戦なのにぶっぱなすかね。

 

「アイツ遠距離戦も出来るのか。」「ね、意外。」

「冷静かお前等!」

「おっ!今の攻撃は面白いな。器用な事するねぇ。」

「型にはまらないって言うかなんて言うか…多分ありゃ独学だな。無駄が多いが、身体能力と個性を上手く合わせた体術だ。」

 

「才能マンだ才能マン。ヤダヤダ…」

 

しかしアイツ、妙に熱くなってるな。

 

出久君も熱くなってるが…あの位置は……ああ、なるほど。個性使ってぶち抜くのかな?

 

 

 ボ ゴ オ ォ

 

 

うわーお激しいぃー!核爆弾置いてる施設で使う技じゃないよね!

 

麗日ちゃんも激しい攻勢だけど核に当たっちゃうよ…。

 

そんなこんなでヒーローチーム勝利。出久君はまた保健室にお世話になるのか。このままだと私が指導室にお世話になった回数超えるんじゃないかな?!「いや、それはねえよ。」ですよね!

 

講評の時間、ポニーテールのおっぱいちゃんがチラチラ融剛の方をみながら講評してた。

 

お”お”ん私の融剛になんかあるんかゴラァ!痛い!殴っちゃらめぇ。

 

「なんとなく殴りたかったから。」

 

冗談を考えるのもあきまへんか…。

 

そんなこんなで第二戦。葉隠ちゃんは全裸で挑むらしい。

 

「うおおお神様オレに透明人間が見えるようになる力をくれええええ!!」

 

五月蠅いぞブドウ。轟君こいつも凍らして冷凍ぶどうにしてやれ。

 

「なあ化太郎。お前がアレ相手ならどうする?」

「とりあえず不凍液スライムになって戦いながら考える。」

「…おう。」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「さぁってようやく我々3人チームの出番って訳ですたいね。」

「…もうちょっと口調安定させてくれない?」「善処しまーす!」

「さてさて、俺ぁ『上鳴電気』個性は帯電!めっちゃ電気ビリビリできるぜ!」

「ウチは『耳郎響香』個性はイヤホンジャック。このプラグを伸ばして小さい音聞いたり相手に爆音を届けたり出来るよ。」

「私は殺生石化太郎。個性は変質!基本的に何にでもなれるよ!」

「なあなあ、めだかちゃんに変身したのもその個性だろ?他に何に変身できるんだ?」

「そりゃあもう色々さね。とりあえずジャンプ主人公なら一式いつでもおっけーね!」

「はー。すっごい個性ね。アンタ一人でも余裕なんじゃない?」

「ところがどっこいそうはいかないんだよなぁ!なんてったって相手に融剛がいるし!」

「融剛ってあの58mだろ?確かに強力な個性だけど屋内であの威力は出せないだろ。」

「のんのん、確かにあの威力は融剛の真骨頂ではあるけど、それ以外にもっといろいろできるんだよん。」

「…例えばどんな?」

「んー。ぶっちゃけ私たちがヒーローチームじゃなくてヴィランチームだったら詰んでる。」

「え?」「はぁ?」

「制限時間は15分もあるでしょ?融剛ならこの建物全部と自分を融合しきるのに3分もいらないからね。何処かに隠れて融合始めちゃったら私たちの拠点だったはずの建物が融剛の体内と変わらなくなっちゃうぜ。」

「はああ?!なんだそのふざけた個性!どうやって勝つんだよそんなもん!」

「だからウチたちがヴィラン側だったら詰むって話でしょ。でも実際そんなこと出来るんだったら既にこの拠点は遊戯の支配下になってるんでしょ?どうすんの。」

「まあ実際には私たちの居場所が常に融剛に知られて、融剛が何時でも何処からでも奇襲を仕掛けることが出来るって”程度”のハンディさ。大したことない大したことない。」

「いや、十分あるだろ…」

「それと二人とも、融剛と正面切って戦うのは絶対に避けてね。相性云々以前に勝てないだろうし。」

「…はぁ?どういう意味だそりゃ。」

「そのままの意味だよ。対人戦闘で一番重要なのは経験さ。次点で慈悲の無さかな。」

「…ちょっと。ウチらだって雄英の試験を合格してるんだからそんくらい「じゃあ聞くけど。」

 

「貴方たちは他人の顔を躊躇せず、全力で、殴れる?」

「「…え?」」

「時に相手の骨を折ったり、急所を撃ち抜くのにも躊躇しないって言える?」

「…いやいや、だってお前そんな事する必要が「無いって言いきれるの?本当に?」

 

「戦いっていうのはね、とどのつまりは殺し合いなんだよ。ただヒーローは相手を殺さずに生かして捕らえるってだけで、不慮の事故くらいあるさ。」

「「…!」」

 

「貴方たちが相手を攻撃するときに躊躇した一瞬で、私たちは相手を仕留めるくらい訳無いんだ。それだけの対人戦闘を繰り返してきたからね。」

「だから融剛を相手するのに正面から戦わず、必ず搦め手を使ってね。じゃないとすぐ捕まっちゃうから。」

「あ、ああ…。」

 

あ、それと常闇君と砂糖君の個性について何か知ってる?え?個性把握テストで見た以上の知識は無い?そっかー。

 

 

 

 

 

 

 

「常闇踏影、こいつは相棒の『黒影』だ。」『オ前等ヨロシクナ!』

「俺!砂糖力道!個性は『シュガードープ』!少しの間筋力が5倍になれるぞ!」

「俺は遊戯融剛。個性は融合。自分とそれ以外ならすぐに融合できる。自分以外を融合するのにはちょっと時間が掛かる。」

「…遊戯。恐らくこの中で最も強いのはお前だろう。お前が指揮を執ってくれ。」

「分かった。作戦を考える前に一つ言っておくことがある。」「おお。なんだ!リーダーとしての意気込みか!?」

 

「化太郎に出会ったらすぐに逃げろ。」

 

「…!?それはどういう意味だ?」「説明しろ。」

「単純な話。化太郎は俺が知る中で最も屋内戦闘が強いからだ。」

「…なるほど。話は理解した。だが納得はしない。相手が強いから逃げるではヒーローとしての矜持にかかわる。」

「そうだぜ!確かにあの測定不能マンは見たところ何でも出来て強力な個性の持ち主だが、付け入る隙がないって訳じゃないだろ!?」

「いや、無い。」「「!?」」

「アイツ、化太郎は変身できる個性の持ち主だ。言葉通り、何にでも、な。」

「…それがどうしたって?戦いになれば隙は出来るだろう?」

「例えばで聞くが、砂糖。お前幽霊ってどんなものか知ってるか?」

「幽霊がどんなものって?そりゃあなんか透明で、フワフワ浮いてる…くらいか?」

「じゃあ幽霊を殴ったり、捕まえる事は出来るか?」

「はぁ?何言ってんだ、出来る訳無いだろう。それと今の話が何の関係が…!まさか!」

「ああ、そのまさか。奴は実体を持たない何かにも変身できる。」

「「なんだと…!」」

「幽霊。お化け。妖怪。ガス生命体。呼び方はなんでもいい。とにかくそういったモノに変身できる。お前等はコレをどうやって捕まえるんだ?」

「それは…じゃあどうするんだ!そんなやつから逃げ続けろってのか!?」

「いや、その必要はない。何でか知らないが実体を持たないモノに変身してる間は極端に足が遅い。ナメクジ以下だ。だけど手を伸ばして確保してくるから距離を取れって言ってるんだ。」

「つまり殺生石を捕まえるには距離をとって、追いかけてきたところを反撃すれば…」

「それも無理だ。言っただろう、屋内戦闘では最強だって。もしアイツに捕捉されたなら捕まるのは覚悟しとけ。それくらいの実力差がある。」

「…舐められたものだな。そんなに俺等が弱いと思ってるのか?」「ドーナンダヨハッキリイエ!」

「ああ、弱いね。ハッキリ言って個性を使わなくても俺はお前達二人に勝てるよ。」

「「!?」」

「理由は二つある。

一つ。身体能力の差。

二つ。対人戦闘経験の差。およびそれに伴う躊躇の無さの差だ。」

「……なんでお前がそんな事解かるんだよ…!」

「観察眼の違いかな。お前等、俺達より前の戦闘訓練を見ていてどう感じた?」

「何?…どうもこうも無い。皆実力者であると感じた。」

「ああ、個性使った拠点防衛とかすげーなって思ったぐらいか?」

「それだよ。見ただけで相手がどれほどの力量を持っているか。どうしてあの時ああ動いたか。また自分ならこう動いて相手を倒す、等。それが分からない程度にしか経験値が無いって事だ。戦闘において一番重要な事は経験だからな。次点で容赦のなさか。」

「…」

「まだ納得いかないって顔だな。やってみなきゃわかんねえだろって思ってるな。」

「…!」

「相手の先を読む。相手の動きを読む。そして、相手を支配する。それが対人戦闘の経験って事だ。俺と化太郎は間違いなくこのクラスで一番経験豊富だよ。」

「ぐっ…」「…」

「悔しいか?まあそうだろうな。そうじゃなきゃ男じゃねえ。ま、今はいいよ。これから経験を貯めればいい。折角無線があるんだ。俺が化太郎が居る場所を言うから其処に近づかないようにすれば捕まりようもないだろ。じゃあ作戦を言うぞ。異議があったら遠慮なく言え。」

 

 折角だ。ここで一回白黒つけようぜ。化太郎。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「作戦は?」「猪突猛進!」「行き当たりばったりって事ね…」

 

「じゃあ遊戯に捕まらないうちに核の場所突き止めようか。」

「ちょっと待ったぁ!じろちゃん!壁にプラグ差し込むのは止めたほうがいいよ!」

「え?なんで?」

「ここは既に融剛の体内!プラグ突き刺したところを狙って爆音をお届けされちゃあマズいでしょ!それに融剛が素直に核爆弾の部屋を教えてくれるとは思えないしな!」

「あ、なるほど。それもそうか…」

「対人戦闘の基本は相手の気持ちになる事!相手が嫌がる事を進んでしようねぇ!」

「…なんだか別の意味に聞こえるな。」

「と言うわけで此処は二手に分かれて核探そ!なんかあったらすぐ連絡してねっ!文字通り飛んでいくから!じゃあね!」スタコラ

「…冗談に聞こえないんだよなぁ。」「冗談じゃないんだろ。」

 

 

 

「作戦は理解したな。」「…ああ。」「納得は出来ねえけどな。」

「無理にでも納得しろ。それだけの実力差がある。勝つにはより成功率の高い作戦だ。」

「…分かってるぜ!」

「早速階段に向かっているようだな。砂糖、合わせろ。」

「クソッ。やってやるよ!」

 

 

 

「融剛の事だからせっかちな私がいきなり5階に行った時用の保険を入れて4階に核爆弾を置いてあるはず…まずはそっからいきますか」ゴゴゴゴゴゴ「うわあなんだ!階段か!?」

 

 

 バ ガ ア ア ァ ァ ン !!

 

 

「おおおおおらああああああ!!」

「ギャー!タラコ唇お化けが降ってきたあああああ!」「誰がタラコ唇お化けだ!!」

 

「おおお!食らえ!」

「わお!増強型個性から繰り出されるテレフォンパンチ!直撃したらただでは済まないッ!」

 

 

「直撃したらね。」フッ

 

 

「ッ!やっぱり遊戯のいった通りか!」

「ふはははは!名付けて『ゴーストリックモード』!!如何な物理干渉を受け付けない!」

「クソっ!やっぱこうなるか…仕方ねえ、作戦通りに行かせてもらうぜ!」

「ふははは!掛かって来い!どうしたオラァ!どこ行くねんオラァ!ちょっともしもーし!」

「(殺生石はいったん無視!先に上鳴と耳郎を捕まえる!)」

「もしもしじろちゃん!?そっちにたらこマン向かったから!よろしく!」

『たらこマン!?砂糖の事?!っち、既に常闇と戦って手一杯なのに!』

「マジでか!ソレ言ってよ。おっけーたらこマンはこっちで何とかするから…

 

 

 ねっ!!」

 

「どおおお!いつのまに横に並走してんだ!!!」

「いつの間に?今の間にですけど?それとよそ見していいのかなぁ?前前。」

「?!前だとっ…?何も「あ、ごめん。私から見て前だから横だわ。」えっ?」

「っ砂糖っ!?」「常闇っ!?」

 

ドダタッ

 

「っく!すまない!」「わりぃ常闇!」

「走る時はちゃんと周りを見ないとねぇ。」「お前が余所見させたんだろ!」

「そーで~す。敵の言葉に翻弄されるなんてまだまだよのう。」

「…どっちがヴィラン役だか分からんな。」

「あと砂糖君、腕。腕。」「腕…!いつの間に確保テープが!?」

「常闇君とぶつかった瞬間だね。隙だらけだったぜよ。」「…!クソっやられた!」

「ナイスファイトだぜジロちゃん!」

「ふぅ。ウチもなかなかやるでしょ?じゃあ常闇を3人で確保して「それなんだけどジロちゃん。」

 

「上鳴君何処に居んの?」「え、さっきまでそこに…居ない?!」

 

「…ふっ。想定外もあったものの既に貴様らは我らが術中に陥っている。」

「…なるほどねぇ。融剛が考えそうなことだぜ。ジロちゃんこっち来な。離れるよ。」

「え、でも先に常闇を確保したほうがよくない?2対1だし。」

「いや、常闇君に意識を割かれる分融剛の奇襲の警戒がおろそかになっちゃうん。現に意識を割いてるうちに上鳴君は融剛に捕まっちゃったんだろね。」

「…ふっ、舐められたものだな。俺から素直に逃げることが出来るとでも?」

「出来るさ。空を飛ばんでも、常闇君から逃げるくらい。ジロちゃん失礼しますね。」ヒョイッ

「わ、わっ!」「あはは!気分は姫を抱えて移動する勇者かな?」「バッ!何言ってんの!」

「逃がすか!ダークシャドウ!」『アイヨッ!』

「逃げるんだよぉ!ランニングデュエル!アクセラレーション!」「ちょ、ま!キャアアアァァァァ……」

『ハヤッ!』「クッ!逃げられたか。追うぞ!」「ちょいまち。」「!?」

「貴様か遊戯…。脅かすな。」

「悪いな、ちょっと急ぎだからな。予定変更だ、核爆弾の部屋の守護を頼む。」

「何…?殺生石を捕まえなくてもいいのか?」

「ここでの最悪は相手が二人に対して俺一人で戦う事。挟み撃ちにされたら流石にマズい。出来れば1対1に持ち込みたい。1対1に持ち込んでもフリーとなった耳郎が核を回収するのもマズい。そこで核部屋をお前がやってくれ。」

「…了解した。ところで上鳴はどうした?」

「今それ重要か?まあ、俺の隠し玉になってる、と言っとく。」

 

 

 

「ちょっと!殺生石!下ろして!」

「まだ駄目だやぅジロちゃん!せめて核爆弾置いてある部屋見つけてからじゃにゃーと。」

「じゃあせめて抱え方変えて!こんなんウチ恥ずかしい!!」

「え!?なんで?!この抱え方のほうが運びやすいんだけど!」

「だって!これ…

 

  お姫様だっこじゃん!!」

 

「いいじゃん!女の子なら誰でも憧れるでしょお!」

「憧れんのと実際にやられんのとでは違うんだよお!!それにこれ皆にモニターされてるんでしょ!」

「いいじゃん!羞恥プレイって奴やで!誰もが経験できるもんでもなかとよ!」

「経験したいなんて言ってないんですけど!いい加減にして!鼓膜破るよ!」

「何それ怖い。…!ほら4階についたぞ!ジロちゃん!核探すよ!」

「ぅぅぅ!もう何でもいいから早くして!」

「おっけーね!ノックしてもしもーし!」バゴーン

 

「…」「…」

 

「「核あるぅぅぅぅ!」」

 

「よっしゃぁ!核確保!ただちに確保せよ!」

「見つけたから!下ろして!下ろして!」

 

 

「シャドー・ヘッジホッグ!」

「ッ危ない!」 ドゴォォォン!

 

「…今日は建物が良く壊れる日だぁ…」

「・・・!あれは遊戯!?いや、常闇…?」

 

「…っち!お前は本当に予想通りに動いてくれないよなあ!」

『まさか一直線に核のある部屋に向かうとは…な。』

 

「やっべえ!あれは融剛の真骨頂その二!『フュージョンヒーロー』!」

「なに!?その必殺技みたいなの!?」

「みたいなの。じゃなくて実際必殺技でござる!」

 

「悪い常闇。融合解除してる暇ないわ。ちょっと負担やばいけど我慢しろ」

『問題ない。』

 

「自分と他の一人以上の人を融合することで戦闘力倍増の必殺技!当然のように融合した人の個性を使ってくるよ!」

「マジか!」

「唯一の欠点はダメージフュージョンが使えないって所かな!?」

「なにそのダメージなんちゃらって必殺技!」

「攻撃を相手に返す奴!とにかく殴れば勝てる!ハズ!!」

 

「ダークシャドウ!頼むぜ!」『暴れろ!ダークシャドウ!』

 

「どおおお!なんか黒いのキター!」

「アレは常闇の個性!たぶん影か何かだよ!」

「っ!ジロちゃん!とりあえずアイツにダメージ与えて!」

「分かった!『爆音ビート』!」

 

「っ!ぐぅ!!」『!大丈夫か遊戯!』「まだ問題ねえ!ダークシャドウを使え!」

 

「よし!案の定効いてるな!やっぱり常闇君の個性じゃ音の防御は無理みたいだ…な!」

『ギャン!』

 

「ダークシャドウ…強いっちゃ強いけどまだまだ動きが単調で読みやすいぜ!」

「『爆音ビート!』」

「いいぞジロちゃん!相手に近づかず、相手の嫌がる事をし続けるんだ!」

「…なんか納得いかない…!」

 

「ぐぅ!クソ!」『遊戯!無茶するな!俺の分までダメージを受けてるんじゃないのか!?』

「問題ねえって!ここで粘れば勝てるんだ!最後の切り札使うぞ!『ッ!了解した。!』

 

「…!動きが鈍った!」「チャンス!確保テープで一網打尽にしてあげる!「あ、ちょ!ダメだジロちゃん!」

 

ビリッ

 

「え?」

 

 

 B Z Z Z Z Z Z Z Z Z T !!

 

 

「・・・え?」

「あばばばばば…だ、だいzz丈夫かzzzジロちゃん?」ビリビリ

「…え。ウチは大丈夫だけど…」

 

「行け!ダークシャドウ!」『ヒーン』シュッ

ドッ「ぐえぇ」

「!殺生石!」

 

「融合解除。常闇、化太郎を確保しろ。」「了解した。」

「ぐぬぬ、まだまだ…!」

「!まだ立ち上がるのか!」

「でももう手は無いだろ。常闇、耳郎を足止めしとけ。制限時間まで粘るぞ。」

「だが、…いや、了解した。」

 

「おいおい…いい加減上鳴君返してくれへん?」

「まだ駄目だね。お前達を確保したら返してやる。」

「おぉぅ、男のヤンデレは怖いなー。」「ほざけ馬鹿。」

 

「っく、ごめん殺生石、ウチのせいで。」

「っふ、反省は確保されてからするのだな。」

 

「(流石に今から相手二人を確保するのは厳しい…なら核兵器狙いしかないか。)」

「化太郎、お前の考えは読めてるぞ。核兵器を狙おうってもそうはいかないぜ。」

「…はは、流石だな私達。まさに以心伝心?」

 

「…殺生石…」「ジロちゃん。核兵器を確保しに行くぞ。なあに、真っすぐ行くだけが能じゃない。色々暴れてみようぜ。」

「…うん!」

「常闇、うまく抑えておけよ。あと一分もしないで制限時間だ。ダークシャドウも頼むぜ。」

「任せろ。」『オッ、オウ…』

 

「いくぜぃ!メタモルチェンジ!スライムモンスター!」

「!エレキチャージ!」BZZZ

「爆音ビート!」

「ダークシャドウ!」

 

ズズゥン!

 

「!ジロちゃん!床にビート叩き込んで!」

「!?分かった!」

「…何を。!ヤベエ!常闇、耳郎を止めろ!」

「!?ダークシャドウ!頼んだ!」『ガンバル!』

 

「爆音ビート!!」

 

バゴォォン!!

 

「何っ!大穴を開けただと!?」 F A

「くっそ!落ちる!!」         L

「……って核爆弾も落ちてるじゃん!!」   L

 

「だいじょーぶ!!何故なら私は飛べるからぁぁ!!」CATCH!!

 

『ヒーローチーム  WIIIN!!!!』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「…全く情けないなぁ上鳴。あっという間にやられた上に相手に利用されるなんて。」

「面目ねえ…」

「いやー、ぶっちゃけ融剛相手なら仕方ないねー。でもあの電撃は結構効いたけども。」

「う、ごめん。考えなしに飛び出して。」

「ああ!ちゃうねん!別にジロちゃん攻めてるわけじゃないの!」

 

「…悪い。取り仕切っておいて結局負けちまった。」

「いや、お前だけのせいじゃねえよ。俺なんか開始早々に空気だったからな。」

「…俺もさらに精進しなくては……。」

 

「もう終わってる雰囲気出してるところ悪いけどこれから講評だからね!」HAHAHA

 

 

「さあ、今戦のベストは誰だか分かる人!!?」

 

「…つってもなぁ。正直レベルが違い過ぎて何が何やら……」

「殺生石君じゃないの?強かったし!勝ったし!」

「でもよー、遊戯の個性制御も凄かったぜ!何せ建物一つ融合したんだからな!」

「それなら殺生石のあの判断力と器用さだろ!緑谷の度胸も凄かったが殺生石の鮮やかな確保も凄かったぜ!」

 

「確かに殺生石少年も遊戯少年も君たちどころかプロと比較しても負けないくらいに素晴らしい能力だった!恐らく普段から似たような訓練をしているのだろう?目まぐるしく変わる現状に対応し続け、常に最善手を打つ判断力と、相手の策を見抜く観察力、そして戦闘力は抜群だったね!だが…

 

 今戦のベストは耳郎少女だ!」

 

「……え?ウチ!?」

 

「さあ何故だろうな~~~~分かる人!!?」

 

 

誰も手をあげない。オールマイトがちらりと八百万さんを見て明らかにほっとしている。

 

「分からないかー!!でも仕方ない!これは実はプロでもなかなか出来ることじゃないからね!」

 

 

「いいかい?確かに殺生石少年も遊戯少年も素晴らしい戦闘力だった。だけど足りなかったものがある。それは仲間とのコミュニケーション!お互い自分一人で戦ってるんじゃない、チーム戦なんだ!それなのに自分の考えを仲間に伝えるのをかなり疎かにしていただろう?」

 

うーん心当たりが多いぜ…

 

「勿論長年の付き合いである君たちの間ならばそれでも十分だったのだろう。けど今回は初めてチームアップする相手がいたんだ。いつも通りじゃ相手に自分の考えは正しく伝わらないぜ!」

ゴホッ

「一方耳郎少女は少ないやり取りの間からでも何とか相手の意図を察しようと努力できた!これは褒める所だ!」

 

…確かにオールマイトの言う通り、相手に考えてる事の説明が足りなかったかなぁ。

 

でも状況は刻一刻と変わってるんだから一々伝えるのも……いや、これは言い訳か。

 

というかオールマイト。最後の最後で先生っぽいこと出来たーって顔に書いてある…なんか台無しだよもう!

 

「さて、これで最後だね。お疲れさん!!緑谷少年以外は大きな怪我はなし!しかし真摯に取り組んだ!!初めての訓練にしちゃ上出来だったぜ!」

 

相沢先生の後だからあれだけど実に真っ当な授業だった。

 

真っ当な授業もまた私たちの自由って…真っ当な授業しか出来ないの間違いゲフンゲフン

 

そして出久君に講評を聞かせないとって言って凄い勢いで去っていった。

 

…さーて授業終わったし。帰ろっかな

 

「ちょっと待った!」あぁんやっぱり捕まっちゃったか。

 

「なあ!お前達滅茶苦茶動けんのな!俺あんなの初めて見たぜ!!」

「お、おう。そうか。」

 

昼飯あれだけ食ったけどちょっと小腹空いてきたんだよぉ。

 

「今から皆で反省会しようと思ってるんだけどよ!俺達の講評をしてくれないか?!」

「…オッケー。まーかせといてー。」

「よっしゃぁ!」

 

ああ、おやつ食べたい。

 

 

…それと出久君の怪我も気になるなぁ。ここ連続でリカバリーガールの所に行ってるからなぁ。

 

 

……見に行っちゃだめかなぁ。だめそうだなぁ。




11336文字。普通だな(白目

途中キャラの書き分けが出来てないかもしれません(今更か)。
許してぇ。

次回、飯田君票と轟票が揺れる!?ご期待ください。


仕方ないよね今回もはっちゃけちゃったし。


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化太郎、委員長やらないってよ。

学級委員長はやりたくない!でも影のボスとかはやってみたい!


最近さとりんはデレ期に突入したんじゃないか?!

 

そう思って朝、髪をわしゃわしゃ撫でていたらアゴに鉄拳を御見舞いされました。

 

デレ期と思ったがそんなことは無かったぜ!気絶した。

 

気が付いた時には遅刻しそうだったのでハヤブサに変身して登校。

 

既に時間はギリギリだ。このまま窓から侵入しようかと思ったが眼下に人だかりが出来ている。

 

祭りかなと思って近づいてみると仰々しいマイクやカメラを持っている人間の集まりだった。

 

マスコミじゃねえか糞が。フンでも落としてやろ。

 

……我が事ながらヒーロー志望のやることじゃあねえなあ……。

 

 

 

鐘が鳴ると同時に教室に飛び込む。相澤先生に殺されかけるほど睨まれた。インガオホー。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「学級委員長を決めてもらう。」

『 学校っぽいのきたーー!!! 』

「委員長!!やりたいですそれ俺!!」「ウチもやりたいス。」「ボクの為にあるヤツ☆」

「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm!!」「リーダー!!やるやるー!!」

 

うるせえええ!なんだこのハイハイ合唱!なんで皆学級委員長やりたがるんだ?

 

しょうがない、皆が学級委員長やりたいって言うのなら皆学級委員長だ。その代わり私が学級委員長の総まとめ役ね。

 

なんてアホなこと考えてたらメガネ君が投票で決めるべきと発言。腕がそびえたってなかったら良かったんだけどもね…。

 

「投票ってのに賛成。ただしやり方に提案がある。それぞれが用紙に自分の名前と推薦者の名前を書くってのはどうだ?自分=推薦者は無効票にして。」

 

融剛の提案。切島くんの発言に対して、だな。確かにそれなら公正な投票になるねぃ。ただ問題がある。

 

「1、梅雨ちゃんの言う通り私たちは誰かを信頼してると言うにはまだ早すぎる。

2、記名投票は公正かもしれないけどだからこそ誰かの名前を書くのに躊躇する。

以上の点から時間内に委員長が決まるかどうか疑問を呈します。」

「何キャラだよお前…。」「エセインテリですわ。」

「つまり投票用紙に推薦者の名前だけ記入すればよいのではないでしょうか。もし、自分以外の誰も委員長にふさわしくない。委員長が務まる訳がないと、本気でお思いなのでしたら、自分の名前を書けばよろしいかと。」

「悪意満載の言い方ね化太郎ちゃん。」「エセインテリですので。」キリッ

「インテリ関係ねえよ。」

 

で、

 

出久君が4票で委員長に、ももっちが3票で副委員長に決定しましたとさ。

 

「思いのほか結局自分に入れてたと思われる票があったねー。」殺生石・3票(辞退)

「……まぁ、結局のところ自分がやりたいって思ったんじゃね?」遊戯・2票

「で、化太郎は誰に入れたんだ?」

「出久君だけど?頭回る方だし、視野も広い方だし、個性の反動を無視してまで勝利をもぎ取る所がイイと思った。融剛は?」

「八百万だな。」「相思相愛かよ!ボケが!」「何が?!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

待望のお昼休憩。今日もさとりんの手料理いただくぞい。

 

「ご一緒してもよろしいでしょうか?」「ウチも、良い?」

「私はいつでもうぇるかむ。お二方は?」

「いいよー。」「オッケー!」

「すげえ!ももちぃもお弁当が重箱だ!」

「(…ももちぃ?)えぇ、しっかり食べないといざという時に個性が使えませんので。」

「驚きの重箱率!」「そんなに食べて太らないの?」

「いやいやー個性でエネルギー食う分、しっかりがっつり食べないとガリガリの人体標本になっちまうでな。ねえももりん。」

「(ももりん…。)え、ええ。人体標本は言い過ぎですが…。」

「今更だけどここだけ女子人口密度高いよね。」

「ジョシジンコウミツド。」

「言われてみればそうだねー。麗日ちゃんと梅雨ちゃんも誘う?」

「お茶子ちゃんはいつも食堂派なんだって。ツユちゃんは…あれ?昨日はお弁当だったのに今日はいないね。」

「遊戯さんと食堂に行ったみたいですわ。」

「何?!ここでも融剛が出てくるのか?!」

「そういえば殺生石って遊戯と仲いいよね。中学校一緒なんだっけ?」

「うん、一緒。それどころか3年間クラス一緒だったんだぜ。これはもう運命の赤い糸で結ばれてると言っても過言ではない!」

「スキなの?」「好きやでー。」「「「ええっ!?」」」

「そりゃあ3年間も一緒だったし、それによく融剛ン家に行ったしね。もはや家族公認の中よ。」

「(なんだろう。付き合い浅いけど別に色っぽい話は無いんだろうなって分かる…)」ヒソ

「(無性と公言してるだけあってかそういう気が無いんだろうねー。)」ヒソヒソ

「(遊戯も別に意識してないんじゃないのかな…)」ヒソヒソヒソ

「「「((( つまんない!! )))」」」

「…どうしたのあいつ等急にかたまって。」

「いえ…さっぱり分からないですわ。」

 

 

  ウ ウ ~ ~ ~ ~ !!

 

 

「わあっ!なになに!?」

「何コレっ!警報!?」

『 皆静かに! 』「「「ッ!?」」」

《セキュリティ3が突破されました 生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください》

「せ、セキュリティ3ってナニ?!」

「たしか、雄英の最後のセキュリティですわ!」

「それが突破されたって!?つまりどういう事!?」

「わ、分からないけど…なんかヤバイ事がおきてるんじゃ…!?」

「ど、ドウシヨ殺生石!これなんか……」

 

「…」モグモグモグモグ

 

「落ち着いて飯食ってる場合か!!!?」

んゴクン「落ち着いて飯食ってる場合だよ。」

「?!何言ってるんですかこんな時に!!」

モグモグ「君が一番冷静になるべきだよ八百万。さあ、副委員長?この非常事態に何をするべきかな?」

「!?なにをって……!!」

「先生は現在不在。学級委員長も不在。教室内は小規模ながらもパニックが起きてる。廊下の方でも慌てふためいている声が聞こえるね。先生は教室までは恐らく来ない。改めて聞くけど、この非常事態に、どうする?」

 

「っ!……教室にいる皆さん!!落ち着いて黒板前に集合してください!人数を確認でき次第避難を開始します!!」

「ん。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「大変だったなぁ。」

「あんだけのパニックを一言で済ますってお前どんな生活送ってきたんだよ…。」

「どんな?音も無く忍び寄るハンター相手に朝食と夕食を死守しながら毎日過ごしてる生活ですが?」

「まるで意味が解らんぞ…。」

「おい、教室で食ってた連中は何事も無かったか?」

「あっ遊戯。…お前その顔の赤いモミジはなんだ?」

「…気にするな。察しろ。」

「おっおう。(食堂で一体何が……。)」

「まあ八百万の奴が皆をまとめて上手く避難したよ。流石は副委員長だぜ。」

「そうか。こっちはパニックだったが飯田が活躍したおかげで最悪の事故は無かったぜ。」

「そうそう!非常口みてえになってたよな。」

「非常口?…ま、皆大きな怪我がないようだし良かった良かった。……ところで融剛。」

「ん?なんだよ。」

「さっきから梅雨ちゃんがチラチラこっち見てる割には融剛と目を合わそうとしないんだけど。」

「………知らん。」

「…ふぅん?」

 

「(融剛と一緒に食堂へ向かった梅雨ちゃん。パニック。融剛の顔の赤モミジ。目を合わそうとしない梅雨ちゃん。ここから見えるたった一つの真実とは…そう!)」

「ラッキースケ」トスッ「ペゥッ!」

「少し…黙れ…。」

「ヒュッ。(のどに指がメリメリめり込んでるぅ!)」

「お前ら、いつまで遊んでいる…とっとと席につけ。時間がもったいない。」

 

結局、なんだかんだあって委員長は出久君から飯田君に変わることとなった。

 

…いやいいけどね?メガネだし。でも出久君に投票した人の気持ちとかさ……いやいいんだけど。メガネなんだから…。

 

「(…飯田はあの時ただのマスコミと言った。だが雄英のセキュリティを突破するマスコミって何だ?どうやってセキュリティを突破したんだ?………(ヴィラン)?ヒーローの学校にか?何が目的だ?ただの考えなしの馬鹿か?……判断しきれないぜ…。)」

「まかせたぜ非常口!!」

「非常口飯田!!しっかりやれよー!!」




主人公と女子会フラグが立った。
八百万の自信喪失ゲージが上がった。
融剛はトラブルボーイの称号を得た。


鉄は熱いうちに打て。熱意があるうちはメイン小説の投稿遅らせてコッチ優先しよ(


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戦陣
悪意と劣情


嘘の災害や事故ルーム編始まりマース。


今日のヒーロー基礎学は人命救助(レスキュー)訓練だ!

 

融剛ン家で色々なヒーロー訓練はしてきたけど人命救助(レスキュー)訓練はあまり出来なかったな。

 

まあ流石に家の中に災害や事故を再現するって言っても限度があるし仕方ない。

 

つまりは人命救助(レスキュー)訓練の経験値は私も融剛も皆とあんまり変わらないって訳だ。

 

話によれば雄英の人命救助(レスキュー)訓練は大規模な災害でも再現できるって聞いたし、本腰を入れて学ばなければ。

 

『バスの席順でスムーズに行くよう番号順に二列で並ぼう!』

「飯田君フルスロットル……!」

「はしゃいでるだけじゃねえの?」

 

 

 ◇

 

 

『こういうタイプだったくそう!!!』

「イミなかったなー。」

「想定外こそ人生よ、メガネ君。」

 

そう、想定外こそ人生。私が爆豪の隣に座らされてるのも人生って訳なのよ。

 

「…」「…ッチ!」

 

滅茶苦茶睨まれてまーす。なんだよ、そんなに気に食わないのかよ、自分より強い奴がいることが。

 

「あなたの個性オールマイトに似てる。」「!!!」

 

そういえばそうだね。単純なパワーの増強。単純すぎるが故に似たような個性も多いけどオールマイトと出久君のは桁が違うからなー。

 

…出久君の個性のデメリットさえなければオールマイト並なんじゃね?

 

「(個性が発現したての子供みたい…か。なるほど言い得て妙。)」

 

融剛がエロい事考えてる時と同じ顔してる。「(急に化太郎を殴りたくなったぜ。)」

殺意?!

 

「しかし増強型のシンプルな個性はいいな!派手で出来ることが多い!俺の硬化は対人じゃあ強えけどいかんせん地味なんだよなー。」

「そうかしら?対人にも限らず事故現場や災害現場の二次災害からも身を守れるって結構凄い事だと思うし、殴り合いはいつの時代でも根強い人気があるわよ?」

「僕もすごくかっこいいと思うよ!プロにも十分通用する個性だよ。」

 

口には出さないけど、対人に強いって言ってもわりかしどうにでも出来る個性なんだよね。

 

例えば投げ技主体で戦うとか、そういえば『盾壊し』なんて技があったなぁ。体が岩とかで出来てる異形型相手でも殴り勝つ技が。

 

もやんと考えてたら話は変わっていた。

 

「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だな。」「ケッ」

 

確かに身体が氷結しちゃったら対処方法が限られてくるし(出来ないとは言ってない)爆発もあれ連発できる上に長期戦になると威力も上がってくるみたいだし…まあ、ド派手だね。でも派手さなら私も負けてないと思うんだけど。

 

あと図星だからって急に横で叫ぶんじゃねえようるせえなクソ下水煮込み。そんなんだから人気でなさそうなんだろうが。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も……USJ(嘘の災害や事故ルーム)!!

((( USJだった!! )))

 

私は夢の国派ですわ。どっちも行った事無いけど。

 

訓練が始まる前にスペースヒーロー『13号』からのお小言を頂いた。

 

実に教師として模範的なお話だった。やっぱり本物のヒーローはかっこいいなぁ(相澤先生から目をそらしながら)。

 

瞬間

 

全身の皮膚が泡立つように感じた。

 

「一かたまりになって動くな!!13号!!生徒を守れ!!」

 

あれは

 

「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってるパターン?」

「呑気か!あれは…(ヴィラン)だ!!!!」

(ヴィラン)ンン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

 

確かにそうだけど、わざわざ捕まるためにここに来るわけはない。何か目的があってここに来たんだろう。そしてヒーローの学校に入り込んでくるんだ。相応の戦力があるって認識で間違いはない。

 

「化太郎!やばそうなヤツは?!」

「今見る!ミコミコサーチ!!」

「うわぁ!霊夢だ!ワキミコだ!」「ちょっと黙ってて。」

 

説明しよう!ミコミコサーチとは素敵な巫女の勘で強いか弱いかを判断するのだ!

 

「ヤバイのは3人!手男と脳みそ丸出しと黒モヤモヤ!それ以外の奴を比べてレベルの桁が違う!」

「そうか!分かった!」

「それとここから見えないけどこの施設全体にいる気がする!流石に強さは分かんない!」

「全体に…?何で戦力を散らしてるんだ?まあいい。今は皆の安全優先で…」

「「 全力を出す! 」」

「『フュージョンアーツ』!!」

「『メタモルコマンド』!!」

 

久々の全力戦闘か。この掛け声もいつ以来だ?

 

状況把握終了。と同時に相澤先生が一人飛び出していった。

 

多対一。明らかに不利なのに関係ないと言わんばかりの戦闘を魅せてくれる。

 

……でもきっとあれじゃあ長くはもたない。先生はドライアイなんだから本領はきっと奇襲からの捕縛。持久戦は向いていないはず。

 

先に皆の避難を終えてからすぐに助太刀します!先生!!

 

 

 

と、思ったのもつかの間。

 

黒いモヤモヤ野郎が目の前に現れた。

 

「初めまして。我々は…敵連合(ヴィランれんごう)。せんえつながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは

 

  平和の象徴 オールマイトに

     息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

そうかい

 

「打ち込み!パァーイルバンカァー!!!」目的は聞いたからとりあえずボコる!

「ッ!」スカッ

 

攻撃が黒モヤモヤを通り過ぎていく。どうやらコイツは私の『ゴーストリックモード』と似たような物理無効持ちらしいが…だとしたら融剛!

 

「危ない危ない……おや、その仮面は…」

「『フュージョンキャプチャー』」

「…?何を」「『融合拳』!!」ドゴォ!「グウゥ!」

「決まったぁ!無遠慮情け無用の融合拳が顔面にぃ!」

「おっしゃ!コイツどうやら化太郎と同じ弱点を持ってるようだな!『融合(オレ)に弱い!』

「ちょっと!なんか不名誉なんですけど!13号先生!早く皆を連れて避難を!」

「!?君たちも逃げなさい!」

「それは出来ねえ!コイツは相澤先生の一瞬の隙をついてここまで飛んできた!足止め出来る奴がいないとすぐに追いつかれちまう!」

「ソレを君たちがやる必要はないんだ!」

「違うね!私達だからこそ適任なんです!融剛はこの黒モヤモヤ野郎に効果的なダメージを与えられる!私は逃げるときのアシになれる!」

「男らしいじゃねえか殺生石!遊戯!俺等も助太刀するぜ!」

「馬鹿野郎!すぐに逃げろって「顔を殴られた(・・・・・・)のは」ッ!」ゾワッ

 

「いつ以来ですかねえ…!」ユラリ

 

「融剛の『融合拳』食らってすぐに立ち上がるなんて…!物理無効属性の癖に打たれ強いなんてズルっ!」

「言ってる場合ですか!」

 

「その仮面…そしてその顔…『彼女たち』の目的が一かたまりになっているとは都合がいい…。それに優秀な金の卵たちもいるのなら」

 

  散らして

 

「!?マズい!皆逃げろぉ!」

 

   嬲り

 

「!化太郎!」 「融剛!!」

 

    殺す

 

「 皆!! 」

 

 

 ◇

 

 

~火災ゾーン~

 

ズズ…

 

ズ…

 

「!?うおおおお熱いいいいぃ!!」

 

首から着地。でも大丈夫、だって今の私はスライムだもん。

 

「あつつつつつ!と、溶けるぅ!」

 

既に溶けてるだろとか言わない。

 

しかし火災ゾーンかここは。うーんマズい。私は熱に弱いのだ。

 

いつもの全力戦闘スタイルはスライムボディからの奇天烈な動きを起点としてるのだけどこの熱量の中だと自分の身体を維持するだけでエネルギーが奪われていく。

 

仕方がないのでスライムから人型モードへ変質。いわゆる省エネモードだ。

 

辺りをざっと見まわしてみるが誰もいない。黒モヤモヤ野郎の個性のせいか皆とはぐれてしまったようだ。

 

…黒モヤモヤはどうやら私と融剛が狙いのようだった。他の皆はついでに狙われた感じだろうか?

 

つまり私がここに飛ばされたのは偶々ではなく目的あっての事か。

 

ここから一気に去るべきか…それとも罠だとわかった上で罠を踏みつぶしていくか…

 

 

「クチチ。やっと来たようだナ。」

 

…?なんだアレは…鼠…?

 

「クチ。お前個人に恨みは無いが、お前を殺せば会長が夜の相手をシてくれるんでナ。そういうわけでさっさと死にナ!」

「なんだかよく分からんが…たかが喋る鼠一匹で私を殺せると思ってるのか?」

「クチチチチ!一匹じゃねえんだナ!」

 

…?!なんだ!?鼠野郎の身体が膨張してく…!

 

「クチ!クチ!クチチ!さあさあでませい火ネズミ共よ!全てを喰らい、蹂躙するのだ!」

 

バァン!

 

鼠野郎の身体が弾けた!同時に中から燃え盛るネズミの大群が飛び出してきた!

 

「クチチチチ!改めまして、俺の名は『万軍火鼠(ばんぐんかそ)』!お前等!奴を骨まで齧りつくしてしまいナ!」

「万軍?随分大層な名前じゃないか。例え燃えてようが数えるのが面倒なほどいようが所詮ネズミだったって事を思い知らせてやる!」

 

ネズミ…会長……コイツはまさか経立会…か?…敵連合(ヴィランれんごう)の一員として組み込まれたかもしくは協力者的な立場か…まあともかく今は目の前のこいつ等を片っ端からぶっ潰していくか!

 

「万対一だ!お前に勝ち目なんて無いんだナ!」

「ネズミ風情がいくらいようと私に傷一つつけられはしない!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

~???~

 

ズズ…

 

ズ…

 

「!? うわっ!」ドサッ

 

 痛てて、尻が…。ここは何処だ?他の皆は居ないのか?…居ないみたいだ。

 あのモヤモヤ男はどうも俺と化太郎を狙ってたっぽいな。つまり俺、化太郎、皆で分断されてる可能性がある。……(ヴィラン)に襲撃を受けてるこの現状において単独行動は非常に危険か。化太郎か他の皆に合流する必要があるな。

 …化太郎はまぁ、派手な事やってくれるだろうし探す必要はないか。問題は他の皆か…無事だといいんだが。

 

「くはァ。久しぶりだなァゆうごうクン?」

「っ!?」

 

 コイツいつの間にっ!さっきは居なかったはず!

 

「誰だアンタは。生憎とあんたみたいな可愛い子は出会ったら忘れないと思うんだけどね。」

「っ!!くはァ♥可愛いィなんていってくれるたァ自分を磨いた甲斐があるじゃァねえかァ♥相変わらずお腹の奥にキュンキュンクるオスだなァ♥」

「?!…その気持ち悪い言い回し…お前は何時ぞやの…!」

「っくははははァ!ゆうごうクンが分からなかったのも無理はないなァ♥最後に会った時は長かった全身の毛を整えたんだァ♥ゆうごうクンはこういうのはスキィ?」

「っ!吐き気を催すキモさだな!」

「あはァ照れちゃってェ♥そういう所もイイなァ♥滅茶苦茶に犯したいなァ!!」バッ!

「?!うぐっ!」

 タックル!?速、やばっマウントポジションとられ…

「くははァ♥」ゴソゴソ

「…て何やってんだよ!」俺のコスチュームを脱がそうとするな!

「何ってェ…ナニ?」スリスリ

「!離れろ!っくそ!」擦り付けるな!

「くはァ、安心しろォ。オスはハジメテでも痛くはないらしいからよォ♥」ヌギヌギ

「やめろ馬鹿!クソが!」服を脱ぐな!!

「大丈夫だってェ、僕もハジメテなんだからお相子だろォ?」

「どこが大丈夫なんだよ!」

 グラウンドフュージョン!地面に潜り逃走する。それでここは何処なんだ?……USJ(嘘の災害や事故ルーム)の何処かか?とりあえず周りにはあの変態しか居ないみたいだ。いつまでも地面に潜っている訳にもいかない…とりあえず広場に向かうべきか?

 俺はとりあえず変態から離れ、広場が有りそうな方角へ向かうのだった。

「あァ、ユウゴウくんどこォ?」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

~元・火災ゾーン~

 

 

 ド ゴ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ン

 

 

「………なんだよ、なんなんだよ。なんなんだよおまえはあああああああ!」

「…何って…今の私はそうだな…通称

                       巨匠だ。」

 

「ふざ…ふざけんナッ!こんな…こんなバカげたことがある訳…有り得ない…!」

「へいへい、キャラブレまくってるぜネズミパイセン。一撃で全体の5分の1くらい消し飛ばしただけじゃねえか。」

「嘘だ…嘘だこんナ…会長だって…お前ならできるって…こんな…馬鹿ナ…。」

「おい、どうした?万軍火鼠さんよ。ご自慢の軍隊があと2000匹もいるじゃないか。腰を抜かしてる場合じゃないだろう?」

「!来るな!お前等!奴を殺せ!ころせええええええ!」

 

ドドドドドドドドドド

 

「……大改造…

 

   『 悲劇的ビフォーアフター(匠の粋な計らい)!! 』

 

 ド ゴ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ン

 

 

なんということをしてくれたのでしょう。燃え盛る建物でいっぱいだった火災ゾーンが、巨匠の手腕により風通しの良い広場になったじゃありませんか。

 

 

 

 

 

や ら か し た 。

 

 

 

 

 

マズい拙いですよこれは。いくらヴィラン確保のためとはいえ辺り一帯を吹き飛ばすとか。いやでも相手は1万もいたんだしある程度の建物への被害は仕方ないよね。そう、これは事故だったんだ。そうだ、これアイツがやった事にすればよくね?そうだよ、アイツいきなり膨張しだしたりしたから爆発することもおかしくは無い。つまりアイツがやったんだから私のせいじゃない。そう。『僕は悪くない。』

 

「というか他の皆が心配だな。私がここに飛ばされたことは作戦だとして…皆の所にもヴィランが居るんだろうな…まあ流石に自分の身くらいは守ってほしいんだけど大丈夫かなぁ?」

「ひぃ、お、お前…たす、助けて…命だけは…」

「ふぅん。あれだけ殺すだのなんだの言っておいて、自分が殺されそうになるとみっともなく命乞いかい?」

「ひぁ、お願いします。許して、許してください…」

「許して?今までそうやって命乞いしてきた人を助けてあげたことあるの?」

「っ!あります!見逃したことあります!だから命だけはお助けください!!」

「そう…」

 

 

 

「だからといって私が助けてやる義理も義務も無いわけで。それじゃあサヨナラ。」

 

「あ、あ、あああああああああアアアアアアア!!!」 プチッ

 

 

「…」

「…」

 

 

「臭っさあああああああああああああああああああ!!!!!」ビクンビクン

「命までは取らないよ。私はヒーロー志望なんだ。…まあ、ネズミ野郎はシュールストレミングを鼻に押し付ける刑で。あとは法が裁いてくれるでしょ。」

 

あ、ネズミに限らずそもそも動物って日本の法で裁けるのか?まあいいや。

 

皆も心配だけどとりあえず相澤先生が一番心配だ。とりあえず広場に向かうか。大急ぎで。

 

…ああ、でもお腹空いてヤバイかも。いや、そんな事言ってる場合か。一応まだ電池切れには遠いかな?




ヴィラン連合に経立会も合わさり最強に見える…と思いきや経立会のお目当ては主に主人公と融剛君だから他のキャラとはあまり絡まないかも。

あ、凄い今更ですけど基本的に原作沿いですのでコミック片手に読んでいただけると分かり易くなるかもです。

化太郎:火災ゾーンを更地にするも勝利。
融合:USJの外に居るが移動中。全てが片付く前に戻れるか。
旧鼠:放置プレイ!?あァでもこれはこれでいいかもォ。

『フュージョンアーツ』
もはやただ叫ぶだけの技じゃなくなった。脳と身体が一気に戦闘モードに変わるだけじゃなく手のひらから常に融合エフェクトが出て様々な技のスタンバイタイムを無くす。

『メタモルコマンド』
もはやただ叫ぶだけの技だった。でも脳と身体が一気に戦闘モードに変わり変身に掛かる時間がほぼ無くなり、今までだったら三味線で簡単に上書き出来たイメージによる変身にもある程度抵抗できるようになった。

『フュージョンキャプチャー 融合拳』
元々化太郎の『ゴーストリックモード(物理攻撃完全無効)』用に編み出した技。
フュージョンキャプチャーで実体のない物(霧、炎、ガス、霊体等)を掴むことが出来る。
融合拳はフュージョンキャプチャーで掴んだ物と一時的に融合し同質化することで接触する事を可能としている。

万軍火鼠(ばんぐんかそ)
個性を持った喋るネズミ。経立会の中でも強い方ではあったのだが相手が悪すぎた。

『巨匠』
某サンドボックスゲームのレアな敵キャラの通称。
悲劇的ビフォーアフター(匠の粋な計らい)』で辺り一帯を吹き飛ばす爆発力をお持ち。


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無謀と参戦

オールマイトにはちょこっと遅刻してもらうんじゃ


 S M A S S H !!

 

ザッ

 

「いい動きをするなあ…スマッシュって…オールマイトのフォロワーかい?」

 

「まぁ、いいや君」

 

 

「そこまでだヴィラン共!私が来た!!」

 

 

「お、オールマイトーーー!!」

「あー…コンティニューだ。」

 

オールマイト……!あれ、なんでオールマイトが僕たちの後ろから来たんだ…? ザッ

…!いつの間に!

「え!? え!?あれ!?速ぇ…!!」

「出久君、君また怪我したのか!まあ、五体満足なだけマシか!」

「_!?オールマイト…じゃない?!」

僕のこと出久君って………!それに頭についてるそのお面。もしかして!

「化太郎くん…何で…!」

「流石にばれるか!奴らの注意を一瞬でもひく方法を思いついたから実行したまでだ。」

 

「…あ?オールマイトじゃ…ない?」

「死柄木 弔。アレは件の化け狐ですよ。」

「ああ…アレが。あーあ…ぬか喜びさせやがって…脳無、アレを始末しろ。」

!?ヤバイ!あれに襲われたら幾ら化太郎くんでも!

「止まれ脳無。」

ピタッ

 

 

「…はぁ?」

…?え、なんで…

 

「どうやら私の予想通りっぽいようだね。『脳無、あいつを抑えろ。』」

「!?放せ脳無」

パッ

 

なんで。どういう事なんだ?

 

「お前が一々そいつに指示している所からもしかしてって思ったんだよ。そいつはいわゆるお人形(・・・)って奴だろう?そして指示されなきゃ自分で動けないお人形だ。」

!もしかして、ソレを今見抜いたのか?!どうやって!?

「それを裏付ける証拠は、さっき私が出久君達を運んだ時さ。そいつの速度は滅茶苦茶速かった。当然自分の動きに対応できるだけの動体視力を持っていると言っていいだろう。だが私の移動に対して一切目で追う気配が無かった。普通生き物ってのは無意識にでも動くものに対して目で追うもんだぜ?」

つまりそれが無かった = 指示されなきゃ動かないって思ったって事?!

スゴイ化太郎くん…!

 

ガリガリガリ「…はー…」ガリガリガリ

 

「こんな方法で脳無が攻略されるなんて思って無かったよ…バグめ…」ガリガリガリガリガリガリ

 

「じゃあこれならどうかな。脳無。」ダッ

「!『戻れ、脳無。』っ!同時攻撃かい!」

「殺せ、脳無。ほらほら、俺に捕まるとこうなるぜ?」

「っ!!『全力で跳べ脳無!』」ボロ…

ダンッ!

「腕が崩れた!?だけどお生憎、これぐらいの怪我なんてすぐに修復可能なんでね!」

「…バグが…!」

「奇想奇天烈乱打撃!ついて来れるか!右!左!左!右!左!右!右!上から!ほらほらどこ見てる!こっちだこっち!」

 

す、凄い!本物の(ヴィラン)を翻弄してる!完全に人の形してないけど、それが予測不可能の拳蹴の連撃を生み出してるんだ!これが…化太郎くんの本気…!

 

「まだまだ!下から!右!上!下!もういっちょ!」

「っ!ぐっ!うっ!うぅ!くっ!」

 

「『狐狸双掌』!!」「ぐあぁ!!」

相手の防御を崩し切った所に最大限の一撃!凄いや!これなら…

 

「(…頼むからこれで倒れておくれよ…流石にエネルギー使い過ぎて限界近いんだからさ…。)」

 

「…」

 

ガリガリ「…何のためにわざわざ同盟組んだと思ってんだあのネズミ共…黒霧。」

ズズ…「ようやく見つけましたよ…彼女はあの位置からかなり移動してましたから。」

「いいから連れてこい。」

 

ズズズズ…

 

何だ!?増援!??

 

「なんだよォ、僕はあのコをおっかけてたのにィ。」

ガリガリ「ふざけるなよ…。アレは元々お前等の取り分だろ…。」

「あァ?なんだ火鼠の野郎は足止めにもならなかったのかァ?ッチ。やっぱオスは使えねえな。」

「御託はいい…とっととアレを始末しろよ…」ガリガリ

「…あ”ァ?誰にモノを言ってるんだガキがァ。自分の手に負えませんから助けてくださいィ、くらい言えねえのかァ?」

…どうしたんだ?仲間割れ?

「大丈夫?主に出久君。」

「ケロ。」「オ、オイラはあんま良くないかも。」

「僕もまだ戦えるよ…!」

「そうか、じゃあ相澤先生と一緒に入り口に向かってくれ。」

「え、あれ!?いつの間に先生を!?」

「今さっきだ。早く行ってくれ!奴が脳無を動かす前に!」

「…!待って。僕も「一緒に戦う…なんて幻想は捨てろ。」…っ!」

「出久君、賢いキミなら分かるだろう。自分とあいつ等のレベル差が。いくら個性が強力でも埋まらない差が有るのが。」

「っでも…!」

「…大丈夫だって!さっきも見ただろ?私の活躍。あんな奴らすぐにボコボコにしてやるさ!梅雨ちゃん、こいつ等と先生の世話、頼んだぜ。」

「…ケロ。」

 

ズズズズ…

 

「不本意だがァ契約は契約だァ。それに手前には借りがあるからなァ!ここで屍晒せやァ!」

「脳無、奴らをやっつけちまえ!」

「早く行け!『脳無、ネズミ女を殴れ!』」ドゴォ

「!ごぼォ!…ッ手前ェ!」

化太郎くん……!

「脳無。」

「『霧男を殴れ!』」

「!おっと危ない。」

「脳無!」

「『全力で跳べ!』」

「回収しろ黒霧!」ズズズ…

「齧りつくしてやるゥ!」ブヂッ

「っ”!邪魔だカピバラァ!」「ハムスターだァ!」

「脳無、殺せ!」「死ねェ!」

「(っ!やばっ、もうエネルギーが…!っっぅうがああアアアアアアア!!!!!!」

 

 バ ァ ン !!

 

『 もう大丈夫 

           私が来た 』

 

 

「お、オールマイト!!今度は本物だよな!!」

オールマイト!!……笑ってない!!

 

トッ

 

「緑谷少年!相澤くんは?!」

!?速い!

「あ、オールマイト!先生の腕と…顔が…!」

「そうか…相澤くん、すまない。」

「それとバケちゃんが!」

「分かった!皆は早く入り口へ!」

オールマイト……!

 

「…本物が漸く来たか、社会のごみめ。」

「あン?っチ。もうちょっとでこのクソ仮面野郎の喉笛噛みちぎってやるとこだったのによォ。テンションさがるぜェまったく。」

「フゥ…フゥ…オールマイト…」

「もう大丈夫だぞ殺生石少年!」ビュッ!

ドドッ「うぐゥ!」「…」

「…はは、やっぱり本物は凄い速いですね…。私とは大違いで…」

「よく頑張ったね!さあ君も皆と一緒に入り口へ。」

「…オールマイト。脳みそ野郎は手男の指示でのみ動きます。でも私なら奴をインターセプト出来ます。ネズミ女は「大丈夫!ここからはプロの仕事だ。君は皆と入口へ避難してなさい。」オールマイトォ…」

 

「う、ぐぐゥ。なんなんですかねェお前等。僕のお腹になんの恨みがあるんですかねェ…」

「オールマイトだめです!!あの脳みそ敵!!ワン…っ僕の腕が折れないくらいの力だけどびくともしなかった!!きっとあいつ…」

「緑谷少年。大丈夫!」ニカ

 

『CAROLINA…』

「脳無」「肉壁になァれ。」

 

 『 S M A S H !! 』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

~山岳ゾーン~

 

「うェ~~~~い」ヘロヘロヘロ

「上鳴さん!顔が著しく変形してますわ!」

「変形と言うかなんというか…ほら、尾白君も出てきなよ。」

「俺は何も見てない俺は何も見てない俺は何も見てない…」

「つか八百万も服すぐ作り直して!いつまでたっても尾白君もショートしっぱなしになっちゃってるから!」

「わ、分かってますわ!」いそいそ

「うェ~~い」ヘロヘロ

 

ボゴッ…

 

「うぇーい?」

「ほら尾白さん!いつまでもうつむいてないで…私はあまり気にしてませんわ。」

「俺が気にするんだよ!」

「はいはい、そういうのいいから早く皆と合流しよ。」

「そうですわね、まずは一度広場に行きましょう。」

「うェ~~」ガシッ!「い?」

 

「こんなところで仲良くお喋りとは全く大した度胸の持ち主でチ。」

 

「!?」

「なっ?!お前は!」

「チチチ。お前等動くなでチ。動いたらこの顔面崩壊野郎の首を掻っ切るでチ。」

「何っ…くっ。」

「上鳴さん…!」

「やられた…!完全に油断してた……!」

「うぇ、うぇ~~~~い…」

「チチチ。当然個性も使っちゃだめでチ。使うそぶりを見せようものなら…ズバァ!でチ。」

「全滅させたと思わせてからの伏兵……こんなことも想定できていなかったなんて…」

「チチチチチ!大した個性をおもチのようだけどオツムの方はあんまり良くないんでチねぇ!!」

「っく、ネズミみたいな顔してるくせに!」

「あれぇ~?そんなクチ聞いていいんでチか~?ぼぉくの気分次第でコイツの首を切り落としていいんでチよ~?」

「っ…!」

「うぇ~~~い……」

「チチチチ!ようやくその空っぽなオツムにどちらが上かが理解できたようでチねぇ?チょ~っとチチューに埋まってただけで大逆転されちゃった気分はいかがでチ?」

「ぐっ…」「…」「…」

 

「「「 (こいつうぜぇぇぇ!!) 」」」

 

「チチチチチ。折角だから自己紹介でもしてやるでチ。ぼぉくの名前は『電銅鼠(でんどうそ)』でチ。お前等を殺す男の名前でチ。メイドの土産でチ。」

「…ふん、ウチ達を殺すなんて大きく出たね。」

「チチ。じゃあ人質を見捨てるでチ?どうせ出来る訳無いでチ。」

「…くっ。」

「チチチ、そうだな~どうしてやろうでチか~?…そうだ、イイ事思いついちゃったでチ。」

 

「そこのナイチチ、服を脱げでチ。」

 

「(ナイチチ……ウチの事か!)」ガーン

「なっ!止めろ!何をするつもりだ!」

「うるせえ、男は喋んなでチ。こいつの首掻っ切っちゃってもいいでチか?」「ぐっ…!」

「チチチ、ぼぉくは胸がちっさい方が好みなんでチ~。ほらほら、早く服脱いでこっちに近寄るでチ。さもないとこの電気チビを殺すでチよ?」

「…!」

「うぇ、うぇ~い…」

「チチチ、安心するでチ。お前が自分からイイ事してくれるっていうならこのガキは解放してやるでチ。ささ、ちこう寄るでチ。」

「…っち!ゲスが!」

「チチチ!そう褒めるなでチ~。早くしないとこいつの喉に風穴があくでチ。」

「…!」

「耳郎さん…!」

「(こうなったら…イチかバチか…!)」

 

「チチ!気付かれないと思ってるんでチ?バカでチねぇ~?」「?!」

 

「ヒーローが人質を軽視しちゃだめでチ?そもそもガキの浅知恵程度が通用するはずもないでチ。」

「くっ!!」

「あ~でもいまので気分悪くなっちゃったでチねぇ~。これじゃーちょっとイイ事してくれるだけじゃーコレの解放はできんチねー。」

「っ…!!」

 

「そうだ、そこの尻尾のガキ、デカチチをヤるでチ。」「「!!?」」

 

「な、何をさせるつもりですか!?」

「そりゃ当然少年誌では掲載出来ないような事でチ。それにどうせオスの方はまんざらでもないでチ?」「っ…!尾白さん!?」

「…!!」

「ガキとはいえオスはオスでチ~。いいメスを見るとつい盛っちゃうのも無理ないでチ~?それに今は脅されてるんでチ、言い訳も十分。だからそう『仕方がない』んでチ。」

「…っ!」

「お、尾白さん…!」「尾白君…。」「うぇ~い…」

 

「ふざけるな!!」

 

「チ!?」

「うぇい!?」「尾白君!?」「尾白さん!?」

 

「ヴィランに脅されたから仕方ない?だから何だ!たとえどんな理由があっても女の子を襲うなんてそれじゃあただの獣だ!そんな事をするくらいだったら俺は死を選ぶ!!」

 

「尾白さん…!」「…いいこと言うじゃん。」「うぇい…!」

「…チッ!チッ!チィィィィィッ!生意気でチィィィィィィ!それでもオスでチか!?」

「俺はヒーローだ!」

「人質を守れないでなにがヒーローでチィィィィ!!死ねクソガキィィィィィ!!」

「っ!上鳴!」「上鳴さん!」「上鳴ぃ!!!」

「!!!」

 

 

 

フュージョンストック

 

 

 

「うぇ!」スポッ

「チ!?何処、どこに消えたでチかあのガキ!?」

 

 

下だよ下。下下。

 

 

「下ぁ?」

 

グラウンドディフュージョン!

 

「ミサイルアッパーカットォ!!」バギャァ!!「グヂィィ!!!」

「「遊戯!?」」「遊戯さん!?」

「ヒーローは遅れてやってくる…なぁーんてな。上鳴、出てこい。」

ディフュージョンストック。ペィ

「うぇ」ドシャッ「ぇ”い…」

「遊戯!お前何処から!!」

「場所の事か?何時から居たかって事か?」「…とりあえず両方。」

「あの時モヤモヤ野郎にワープさせられた場所がどうもUSJの外だったらしくてな。地面を潜りながら移動してたら偶々ここに来た。そしてここに来たタイミングがついさっき、デカチチを~のくだりだな。」

「…でも助かった!ありがとう遊戯!」

「いいって事よ。それより尾白、お前あんなハードボイルドな事言えるんだな。」

「!!?う、五月蠅い!」

「うぇうぇーいうぇーうぇうぇうぇ~い」

「日本語喋れバカ。あと何だその顔面崩壊状態?!敵の個性か!?」

「それは上鳴さんの個性の反動ですわ…」

「マジかお前、難儀な個性だな。」

「うぇうぇ~い……」

 

「グ…グぐグ…ぼぉくの…歯が…!」ボタボタ

「なんだ、まだ意識あったのかアイツ。」

「グ、ギギギギ!!殺す、殺す!ぶっ殺してやるうう!!「遅いぜ。」あ」

「お前みたいな性犯罪者にぴったりの技があるんだ。融合神拳奥義!」

「チ、チチチ…会長…」

 

 

片魂虚静拳(かたたまきょせいけん)!!」

「ぱおっ」「ひぇっ!」「うぇっ!」

 

イメージ図

 

     ○|○

 

      ↓

 

     ○|_くしゃっ

 

 

「」ドサッ

 

「す…凄い!ウチらが苦戦したヴィランを…こうもあっさりと!」

「やっぱり流石ですわね……ところで…」

 

「……」「……」

 

「あのお二人はどうして股間を抑えているのでしょう?」

「…アレの痛みをイメージしてるんじゃない?」

「よし、今度こそ気絶しただろ。ん?どうしたんだ?」

「…いや、まあ大丈夫でしょ。それより早く広場に行こう!皆の所に!」

「ええ、そうですわね!すぐに向かいましょう。」

「?おお。」




Q、化太郎ってどうやったら死ぬの?
A、流石に飢えれば死ぬんじゃない?

脳無は声で反応してたからもしかしたら声真似すればワンチャンあるんじゃね?とか思った。
尾白君は火災ゾーンは既に先約が居たので山岳ゾーンにお引越し。

『奇想奇天烈乱打撃 狐狸双掌』
腕や足が増えたり減ったり伸びたり縮んだり割れたり飛んだりして相手の経験に無い動きでガードを崩していき、強力な一撃を最後に叩き込む技。比較的消費が少ない。

電銅鼠(でんどうそ)
ネズミみたいな顔した人。近接戦闘がすこぶる弱いが卑怯事が得意。広範囲の電波を操ることが出来る強個性ではあるのだが性欲魔人なせいでまともな人生送ってない。現在片玉。

『フュージョンストック』
融剛の中にある融合した物を一時的に保管しておくストレージを利用して物や人を出し入れすることが出来る。ただしあくまでも一時的であって長時間保存は出来ない。お腹が痛くなるから。

『融合神拳奥義 片魂虚静拳(かたたまきょせいけん)
自身の能力を最大限活用した奥義。よっぽどの相手でないと使わない。他にも奥義はある。
片魂虚静拳は男が相手なら絶大な効果を発揮する。相手は(男として)半分死ぬ。


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限界と超越

USJ編はおしまい。


ああ、クソ。嘘だと言ってほしい。

 

さっきからずっとだ。どうして、なんで。

 

爆豪、轟君、切島君が参戦したってのに。状況は好転したはずなのに。

 

最悪のヴィジョンが頭から離れない。このままだと皆……死ぬ。

 

「っと動くな!!『怪しい動きをした』と俺が判断したらすぐ爆破する!!」

「ヒーローらしからぬ言動…」

 

黒モヤモヤは爆豪が抑えてる。ネズミ女と脳みそ野郎は轟君が氷漬けにしている。あとは手男だけ…。

 

本当にそうだろうか。

 

もし脳みそ野郎がほかの隠し玉を持っていたら?

 

もしネズミ女があの程度の氷漬けでも動けるようになったら?

 

考えたくない。でも現在マトモに言葉を話すエネルギーすら絞り出せない私には考えることしか出来ないから。

 

そもそもなぜ脳みそ野郎は指示待ち人間なんだ?

 

オールマイトの一撃すら耐えられるのになぜネズミ女は沈黙している?

 

私の中で、ありえない、が。そんな訳無い、が。パズルのピースのように組み上がっていく。

 

こんなのは妄想だ。有り得る訳がない。

 

こんなのは非現実的だ。起こりうるわけがない。

 

なのに。

 

 

 

 

 

ああ、だめだ。駄目だ。ダメだ。皆逃げないと。君らではアレらの相手は荷が勝ちすぎている。

 

手男に捕まったら身体が崩壊するんだぞ?どうやって防ぐんだ?

 

ネズミ女はタングステン合金にも負けない牙を持ってるんだぞ?どうやって守るんだ?

 

脳みそ野郎にはどうやって戦うつもりだ?動きを眼で追うことすらできてないだろ?

 

 

あ、爆豪…声…出ない…

 

オールマイト…庇った…

 

手男が何か講釈を垂れている。何を言ってるのか聞こえやしない。

 

皆…早く逃げるんだ…!

 

 

 

あぁ、ああせめて。せめて声だけでも。

 

!オールマイトが脳無と真正面から殴り合ってる!!

 

ダメだ…!ダメだ…!ダメだ!!!!

 

『止まれ脳無!』

 

「!?」

(ヴィラン)よ こんな言葉を知ってるか!!?

 

      P l u s(更に)            ド

             U l t r a(向こうへ)!!  ガ ァ … ン

 

 

ああ、やっぱり流石オールマイトだ。……でも、いくら全盛期から衰えたと言ってもあれじゃ…

 

あ、ああ、ああああ、まだ。まだだ、あのネズミ女がオールマイトを喰おうとしてる。

 

動け、マズい、ダメだ、私が、誰かが、オールマイトは、皆は。

 

オールマイトが、死ぬ。

 

平和の象徴が…死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

ダメだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あァ~あァ~。負けちまいやがんのあの脳みそォ。結局つかえねェじゃねェか。」

「黙れ…!お前はいつまで凍ってるんだ雑魚…!」

「はッ。とっくに動き出す準備はできてるがァ?お前等に先を譲ってやっただけだァ。」

「…お前ぇ……」ガリガリガリ

「死柄木 弔…落ち着いてください。よく見れば脳無に受けたダメージは確実に表れている。どうやら子供たちは」「オイシイ所は僕がもらおうかァ!」「なっ!」

「オオォォォォルマイトオオオォォ!!おとなしく僕の餌となりなァ!!!」ビュッ!

 

「(来るんかい!!!ったくホーリーシットだ!早く…!!!皆…)」

 

 

 

 

「跳べ、出久君。」「うん!」

僕だけが知ってる秘密--------!!!

 

 

 

「な…緑谷!!?」(速い…!)

「……!!」

折れ…てない…!でもズキズキする…!さっきはうまく行ったのに…!!でも!!届いた!!

「!?速すぎるゥッ!!!」

 

《オールマイトから離れろ!!》  S M A S H !!

「ごォッ…がァ!!」ベキベキッ

!折れてない!力の調整がうまく行った!

「うぬぼれんな、私のおかげだ。お前普段からどんな個性制御訓練してんだ馬鹿。反動だけで私脱げかけたぞ。」

「ご、ごめん…!!」

 

「緑谷少年…!?その姿は一体!」

「説明は私が。」「その声は…殺生石少年!?」「…良く分かるなぁ本当に。」

「今の私はいわば、出久君の戦闘コスチュームに変身しています。そして出久君の個性発動と同時に衝撃緩和や反動軽減用にコスチュームを操作することで擬似的に出久君を操っている訳ですね。ハッキリ言って、この馬鹿はどういう個性訓練してたか分からないけど自分の個性に見合った体の動かし方がまるで出来ていないんで私がこうやって外骨格のようにサポートして無理矢理反動を無視する形で「話が長いよ化太郎くん!」お前のブツブツほどじゃないんだけどね、まあいい。」

 

「オールマイト、あなたもう活動限界ですよね?」「!?」「…!なっ!何故それを…」

「大丈夫です。誰にも言いません。というか反則じみた方法で知った事なんで元々言えるものでもないっていうか…」

「化太郎くん…!何で!?いつ!?」「出久君のコスチュームに変身する直前。」

 

 

「……ぐ、ぐくく、くははァ。はははははァ!情けねェ!情けねェよなァ旧鼠 公星ィ!!何度も、何度もボコボコにされてよォ!見ろよこの足ィ!ガタガタブルブルしちまってらァ!」

ガリッ「なんだ…アイツ…。ついに壊れたか…。」

「ははははァ!はァははははははァ!ははは、………」

 

「おィ、退くぞ。」

「…あ?お前がなに指図してんだ…?」

「増援だァ。霧野郎、早くゲート開けェ。」

ドズ

「!!!!」

「来たか!!」

 

『 1-Aクラス委員長飯田天哉!! ただいま戻りました!!! 』

 

「あーあ、本当に来てたのか…ゲームオーバーだ。帰って出直すか黒霧…」

   BLAM  BLAM    BLAM

「ぐっ!!!」「うッ!ちィ!!」

ズズ…ズズズズズ

「今回は失敗だったけど……今度は殺すぞ。平和の象徴 オールマイト。」

「この雪辱ゥ、絶対忘れないィ!!殺生石化太郎ゥ!!!」ズズズ…

     ズズ…

 

 

「………っ!!」ズキズキ

「今更足の痛みが来たんかい。全く緊急時だからって力み過ぎだぜ。あーあーあーアホみたいに足が腫れあがってらぁ。ま、私が補助していなかったら両足粉砕骨折以上の大被害だったかもね。感謝しろよ。」

「あ、ありがとう。」ズキズキ 「礼には及ばん。」

「でも…結局敵には逃げられた………何も…出来なかった…」「…」

 

「そんなことはないさ。あの数秒が無ければ私はやられていた…!」

 

「また助けられちゃったな。」

 

「オールマイト…」「無事で…良かったです…!」

 

 

「緑谷ぁ!殺生石ぃ!!大丈夫か!?」

「切島くん…!」「大丈夫だ、問題ない!」

切島少年!!なんて素晴らしい心持ち!!

しかし待ってばれてしまうやばい待ってくっそおおおおお

「待っ」 ズ

      ッ

「生徒の安否を確認したいからゲート前に集まってくれ。」ドス…ドス…

 

「怪我人の方はこちらで対処するよ。」ヌー…

「そりゃそうだ!ラジャっす!!」

 

 

「…やれやれ、とりあえず一件落着って所かな。」

「うん…。また来るみたいな事を言ってたけど、しばらくの間は大丈夫だと思うよ。…ところで化太郎くん、コレって…」

「コレ?……あぁ、『憑衣装着(オーバーオール)』って名づけよう。」

「そういう意味で聞いたんじゃ無いよ…」

「しかし…オールマイトの活動限界……か。」

「殺生石少年。どうやって知ったのかは分からないが……この事は誰にも言ってはいけないよ。」

「分かってます。私はお喋りだけど口は堅いって評判が無いわけでもないことも無いって言われている訳でもないですから。」

「それって結局どっちなの!?」

「HAHAHA、大丈夫だって。融剛にだって絶対話さないさね。」

「大丈夫かな…。」

「へいへいオールマイト、ちょっとは生徒を信じてもいいんじゃ」ドチャッ

「!?化太郎くん!!?」「殺生石少年!!?」

 

 

 ◇

 

 

「17…18…19………両足重症の彼ともう一人を除いて……ほぼ全員無事か。」

 

「遊戯…お前だけUSJ内の何処にも反応が無かったがどこに居たんだ?」

「分からん。学校の敷地よりも外だったことは確かだ。」

「ええ?なんで遊戯だけ外に引っ張りだされたんだ?」

「知るか。」

 

「とりあえず生徒らは教室へ戻ってもらおう。すぐ事情聴取って訳にもいかんだろ。」

「刑事さん。相澤先生は…」

 

《両腕粉砕骨折、顔面骨折…幸い脳系の損傷は見受けられません。ただ…眼窩底骨が粉々になってまして…眼に何かしらの後遺症が残る可能性もあります。》

「だそうだ…」「ケロ…」

「13号の方は背中から上腕にかけての裂傷が酷いが、命に別状はなし。オールマイトも同じく命に別状なし。彼に関しては、リカバリーガールの治癒で十分処置可能ということで保健室へ。」

「デクくん…緑谷くんは…!?」「殺生石は大丈夫なんですか…!?」

「緑谷君は保健室で間に合うそうだ。…ただ…」

「…化太郎がどうかしたんですか…?」

 

「……殺生石君は意識不明だそうだ…。」「「「 !!? 」」」

 

「意識不明…!?寝てるだけじゃないんですか…!?」

「ああ…と言うよりそもそも生きているのかどうかも怪しい状態らしい。怪我は無いみたいだが……詳しくは分からないが生物として行うべき活動を一切行っていないそうだ。」

「…!??それってどういうことですか!?」

「それがよく分からないんだ。なんでも彼の個性は様々な物に変身できる個性だそうだね。その個性により呼吸や心臓の動きを止めても生きていられるように自分の身体を作り替えたんじゃないかってのが医師達の見解だ。」

「…つまり?」

 

 

 

「意識が戻るまでは入院してもらうことになるね。」

 




閑話を挟んで今章は終了です。

感想いっぱいくれよォ(直球)


憑衣装着(オーバーオール)
コスチュームに変身することによって装備者に様々なサポートを行える。
例えば、個性による反動の軽減から移動補助、攻撃力増加やダメージ軽減まで色々出来る。
某カードゲームのユニオンモンスターみたいになる。


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代償と休息

臨時休校になった日の話


眼を開けると知らない天井だった。

 

というか天井ですらなかった。

 

…はて。ここ何処。

 

「やれやれ、キミも無茶をするね。」

 

「…あんた誰よ。」

 

なんだこの…おっさん?

 

「『俺』か?そうだな…なんていえば分かり易いか…まあ、とりあえずこの空間の主って所だ。」

 

「空間の主?」

 

何を言ってるんだ。

 

ちょっと辺りを見回す。何も無い。

 

足元を見る。………水?

 

上を見上げる。……雲だろうか、ゆっくりと風に流されている。

 

遠くを見る。……地平線?水平線?

 

「ここは一体なんなんだ。」

 

「ここは、そうだなぁ。死後の世界?」

 

「…はあ?つまりここにいる私は死んだって事?」

 

「キミはまだ死んで無いが『俺』は既に死んでいるからね。もしかしたら別の適切な呼び方があるかもしれないが『俺』はここを死後の世界だと思ってるよ。」

 

「…じゃあなんで私は此処にいるんだ?」

 

「そりゃ勿論『俺』が呼んだんだよ。キミ、個性を限界以上に使っただろう?良くない良くない良くないなぁ。」

 

「何が良くないんだよ、限界までお腹がすくだけだろう。」

 

「そうじゃないんだよね。君は自分の個性のエネルギー源を勘違いしているよ。」

 

「…?勘違いって言われてもね。現に食事をしたらエネルギー補給にもなるだろう?」

 

「まぁ、確かに食事をすることでもエネルギーは補給されるけどね。」

 

「何が言いたいんだ?さっぱりわからない。」

 

「『俺』が言いたいのは要するに、個性を限界以上に使ったら『次』が無くなるよ、って事さ。」

 

「…『次』?」

 

「そう、『次』。さっきは『僕』と『私』のエネルギーで代替出来たけど次からは自分のモノを使わないとダメだぜ。」

 

「??」

 

「まあ、いずれ全て理解できるようになるさ。現にキミはさっきも知るはずの無いことをさも当然のように理解したからね。

 

「知るはずの無いこと…オールマイトの活動限界の事か?」

 

「……さて。話は終わりだ。もう自分の身体に戻りな。」

 

「待て、何が何がかさっぱりだ。『僕』?『私』?何なんだいったい。」

 

「それもいずれ…な。それでは、さよなら(おはよう)

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

……………今度こそ知らない天井だ。

 

はて、夢を見ていたような気がしないでも無い。私はどうしてこんな所で横になってるのだろう。

 

「意識が戻ったようだね。」「何奴ですか。」

 

声がした方向を見ると白衣をきた蛙がいた。

 

 

 

「まさか冥土返し(ヘブンキャンセラー)…!」

「よく言われるけど違うからね。ただの蛙顔の医者だからね。」

 

なんだ、蛙か。

 

「それで、何奴ですか。」

「聞いてなかったのかね。医者だって言ったんだけどね。」

「私はなんでここに押し込められているんですか?」

「人聞きの悪い事を言わないでほしいんだがね。キミは一日程意識不明だったんだけどね。キミの様子を見る限り大丈夫そうだね。それでも今日いっぱいは念のため入院してもらう事になるけどね。」

「入信?新興宗教か!」

「医者たるもの信じるものは自分の腕と仲間ぐらいだね。神にすがる医者なんて碌な物じゃないね。そうじゃなくて入院ね。」

「入院…?なんでですか。こんなに元気なのに。」

「そうだね。無駄に元気そうだけどついさっきまであらゆる生命活動が停止していたからね。」「無駄に…」

「クマムシって知ってるかね?」

「あったかいんだからぁ~。」

「そっちのクマムシじゃないね。緩歩動物の方のクマムシだね。」

「かん…なんですって?」

「クマムシを代表にワムシやネムリユスリカ等の動物が厳しい環境でも生き残るためにクリプトビオシスを行うんだけどね。さっきまでのキミの状態はそれに限りなく近い状態だったんだね。」

「………」

「クリプトビオシスというのは隠された生命活動という意味でね。要は厳しい乾燥で生存するのが困難になった時自身、あるいは卵の生命活動を停止、無代謝状態にすることで超長期的に自己を保存するんだね。それで劣悪な環境が変化して自身が生存できる環境になるまで耐えるようにできてるんだよね。」

「……………」

「恐らくキミも似たような状態だったんだろうね。少し違う点はクリプトビオシスは環境の変化から自己を守るための反応だけどキミのは個性を使い過ぎたことによる栄養失調から身を守るために栄養を不要とする身体に作り替えたんじゃないかって予想なんだけどね。それにしてもキミの身体は中々興味深い構造をしているね。是非とも解剖してみたいと思うんだけどね。」

 

( ˘ω˘ ) スヤァ…

 

「人が説明している時はしっかり聞かないと失礼だとおもうんだけどね…!」

「いやぁ、寝ろっていう前フリかと。」

「…まあ、いいけどね。健康そうなら何よりだね。ナースコールはソレね。緊急時だけおしてね。」

「今日いっぱいはこの何もない退屈な部屋で過ごせと?」

「そうだね。ごゆっくり。私はこう見えてそこそこ忙しいんだね。それじゃあお大事に。」

 

 

………

 

……………

 

テレビもねえやこの病室。なんなんですかねぇ…。

 

……寝るか。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 やれやれ、アイツが一生お世話になりそうもないところにお世話になるとは思わなかった。ハッキリ言って病院にお世話になるより警察のお世話になる方の心配してたくらい。

 まぁ、よく考えたらアイツも病気くらいするか。でも生半可な病気なんて無かったことに出来そうなアイツが掛かる病気ってなんだ。

 

 

 いい感じに混乱してるなぁ俺。

 

 化太郎の奴が意識不明で入院してるって聞いたもんで、とりあえず入院している場所を聞いておいた。USJが襲撃された次の日、学校は臨時休校だったから見舞いに行く事にした。

 意識不明だの生命活動をしてないだの言っていたが案外叩けば治りそうなものである。近場で買った見舞い品を担いでアイツが入院してるっていう病院に来たはいいが…

 

 

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

 

 

 帰りたい…。

 

 

 

 

 

「病院の出入り口であんなブツブツされたら子供泣くぞ…。」

「ご…ごめん…。なんていうかその…御見舞いに来るのって初めてで…。」

 

 緑谷のことは、普段卑屈気味なくせにいざという時のクソ度胸や頭の回転とか評価してたんだが。コイツもしかしてアホの部類なのでは…。

 まぁいいか。折角なので緑谷と一緒に化太郎の見舞いに行く。アイツは生意気にも病院の最上階の病室にいるらしい。普段は意識して階段を使っているが面倒なのでエレベーターを使って上る事にした。

 エレベーターに入って閉まるボタンを押した時…

 

「ちょ、ちょっとまってー!私も乗るからー!」

 

との声が聞こえて服が飛び込んできた。

 

「ふぅーギリギリセーフ!アレ、よく見たら緑谷君と遊戯君じゃん。」

「そう言う空飛ぶ服は…葉隠か。」「空飛ぶ服って!」

「は、葉隠さんも化太郎くんのお見舞い?」

「そうだよ。意識不明って聞いて心配したんだもん。」

 

 確かにクラスメイトが意識不明って聞いたら心配するわな。まあ俺はあの(・・)化太郎が意識不明だからこそわざわざお見舞いしてるんだが。

 ……ところで凄い気になることがあるんだが…

 

「なあ、お前等の持ってるそれ…」

「え、これがどうしたの?」「え!?な、何か変かな…!?」

「いや、化太郎への御見舞いの品だよな、それ。」

「そうだよー。お見舞いの品って言ったらこれかなって。」

「こういうのよくわからないから、お店で目についたのを買ったんだ。」

「そうか……」

 

 葉隠…百合の花ってお前…。緑谷…フルーツ盛り合わせってお前……

 

「…あのな葉隠、緑谷。化太郎は気にしないからいいけど、次から見舞いに来るときは気を付けような…。」

「「 ? 」」

 

 そう言う俺は何を持ってるのかって?ジャンプだよ。

 

 

 ◇

 

 

「おーっす生意気にも個室に居る化太郎にお見舞いに来たぞありがたがれー。」

「ちょ…!遊戯君、流石にそんな言い方は…」

「気が付いたら個室に居たんだ。『僕は悪くない。』おらとっとと見舞い品寄越せー。」

「あーこれ大丈夫な奴だ。」

 

「なんだー。意識不明って聞いたから大事かと思ったけど全然へーきそうだね!」

「まあね、医者からはクマムシ扱いされたのを平気と捉えるかはその人次第だろうけど。」

「あったかいんだからぁ~。」

「たぶんそのクマムシじゃないよ…。」

「しかしお前が病院の世話になるのは初めてじゃね?大怪我しても変身して怪我をなかったことに出来るだろ。」

「怪我を無かったことに出来るけど痛いものは痛いんだ。まあ今回のコレは怪我とか関係ないところだけど。」

「あ…そうだ!化太郎くん。あの時どうして急に倒れたの?」

「あー、あんとき既に私はガス欠しててね。ぶっちゃけ『憑衣装着』した時から既に限界突破してたんよ。」

「『憑衣装着』?」

「うわ!なんか必殺技みたい!」

「おう。融剛の『フュージョンヒーロー』を真似てみた。」

「『フュージョンヒーロー』って?」

「ああもうなんか聞きたいことが溜まっていく。しっかり順番に説明しろ化太郎!」

「しょうがないなー。解説の殺生石君にお任せなさい!」

 

「じゃあ説明しやすい順番から、融剛の『フュージョンヒーロー』ね。フュージョンヒーローってのは初めてのヒーロー基礎学の時にお披露目してたよね。」

「あ!常闇くんと遊戯くんが一つになってた時のやつ!?」

「そうそれ!融剛は誰かと融合することで身体能力の向上と一緒に融合した人の個性をほぼ自由に使うことが出来るんだ。同時に融合できる人は自分を入れて3人まで!個性同士の相性が良かったら相乗的に強い個性を生み出せるんだよ。」

「凄い!色々な人と力を合わせて戦える個性なんだ!」

「ああ、まあな。簡単に言うと一つの身体に頭と個性が二つついてるようなものだ。」

「へー!じゃあ私と融合したら透明になれんのかな!?」「なれるんじゃないか?」

「そんな事はどうでもいいんだ、重要なことじゃない。そんなフュージョンヒーローからアイデアを得て考えたのが「『憑衣装着』って訳だな。」言うなよぉ。」

「わぁ、必殺技のオンパレードだね!」

「と言ってもやってる事は私が人に纏わり憑いてるだけなんだけどね!」「言い方」

 

 

 ◇

 

 

「いいなー。私も何か必殺技欲しいなー。」

「必殺技か…そう言えば緑谷。」「何?遊戯くん。」

 

「お前って自爆技しか持ってないの?」「不名誉な発言!??」

 

「確かに戦う度に身体ぶっ壊してたらそう思うよねぇ。」

「い、いや、これはその…しょうがないって言うか不慮の事故って言うか…。」

「不慮の事故で四肢爆散しても知らねえぞ…」「う、…キヲツケマス。」

 

ドンドンガラッ

 

「あにぇきー、生きてるかー?生きてたらトドメ刺すぞー。」

「隙あらば殺そうとするの止めてくれませんかねぇ!?」

「うわっ!ビックリした。」

 

「…おっ?」「えっ?」「ん?」「…あ、どうも…」

 

「あにぇきに見舞いに来るやつがいる……だと……!?」

「へイディアリトルブラザー、ちょっとそこに座れ。偶には年上の威厳というものを見せてやろう。」

 

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 

「えー、このクソ生意気なメガネタヌキ野郎が統狸(とうり)。私の弟だ。」ボロッ

「どうも。このクソ生意気なあにぇきを持つ統狸です、ヨロ。」

「(流れるような蹴りの連撃…!!化太郎の蹴り技のルーツはこれか…!!)」

「なんで私は病院でこんなボロボロになってるんだろうな。」

「あ、あはは……」

「わー、可愛いね!統狸くんは何歳になるの?」

「…あー、生まれてから今年で8…「統狸は今中一だから13歳になるね。ね!」

「お、ああ。そうだ。」

「中一!見えない!」

「おうそりゃどういう意味だインビシブル脂肪。」

「イン…なんだって?!」

「(うわぁ……すごい事言うなぁ…)」「(インビシブル脂肪…その発想は無かった)」

 

「んで、統狸が一人でお見舞いに来るなんてどうしたの?天災の前触れ??」

「父さんも母さんも今日は会合だ。覚えとけよゴミクズ、お前の頭にはA4の紙一枚分の記憶領域も無いのか。」「……泣いちゃうぞー。そんな事いうと恥も外聞も無く泣いちゃうぞー。」

「さとりは例の…あー。アレの日だ。」「女の子の日か。じゃあ仕方ない。」「違ぇよカス虫、お前なんで頭ついてるのに口から垂れ流す言葉は脊髄反射なの?どうせ使わないんだったら捨てれば?脳。」

「……!!!」

「分かったから無言でこっち見ながら泣くな。」「殺生石くんが言葉で負けてる…!!」

「うーん、凄い兄弟だね…。」

「そもそも何でお前元気なのに入院してんの?頭の病気なの?今更なの?」

「……」

「ちょ…!統狸くん!殺生石くんが完全に無表情で泣いてるからやめたげてよお!」

「化太郎ー。死ぬなー。傷は浅いぞー。」「ビックリするほど棒読みだ!?」

 

「ああ、そうそう。父さんと母さんから伝言。『・・・鼠共に負けるなよ。』『これからも精進するのよー。』だって。」

「…おお、なんという温かい激励のお言葉か…!!」

「…え、何この空気。」「今とさっきで温度差が激しい。」「高低差有りすぎて耳キーンなるわ。」

「それともう一つ。『今度の体育祭、余りにも不甲斐無い結果だったら四肢欠損くらいは覚悟してるわよね~…?』」

「…おお、なんという冷たい殺意のお言葉か…ッ!!」

「化太郎くんが白目をむいている…!」「どんだけ恐怖を感じているか。」「顔をみれば分かるねえ。」

 

「…さて、別になんともなさそうだし、オレは帰るぞ。」

「お、おう。本当に顔見に来ただけか…。」

「あにぇきの顔なんて普段から見慣れてるからわざわざ見たくねぇよ。……あ~。それとそこの三人。ちょっといいか?」

「えっ…とぉ…」ちらっ

「……」 「……」こくっ

 

「どうした?俺たちに何の用だ?」

「ああ、ちょっとな。外に来てくれると助かる。」

「うん、良いよー。じゃぁ殺生石、ちょっと待っててね。」

「なんだよー。急にハブんじゃねーよー。」

「喧しいんだよおしゃべりクソマネマネ。ベットでまごついてろ。」

「お前日を重ねるごとにボキャブラリー凄い事になってんな…。」

 

 

 

 

「それで、わざわざ部屋の外に出てまでする内緒話ってなんだ?」

「ん、まあ…大したことじゃないんだけどな。」

 

「今更だけどお前達って遊戯融剛、緑谷出久、葉隠透…だろ?」

「うん…。あれ?自己紹介したっけ…?」

「してもらってないが、見て一発で解かったよ。あにぇきが見せてくれた変身そっくりそのままだったんだからな。」

「あー…。」

「…まぁ、なんだ。俺等の家って他人には絶対に言えないような秘密の塊でな。最近は特にゴタついてて皆今日見舞いに来れないんだけど…オレが家を代表して言うわ。」

 

 

「化太郎の見舞いに来てくれてありがとう。」

 

 

「「「 ・・・ 」」」

「…それと、これはさっき言った秘密の内の一つなんだが、きっと今後オレ達と関わるとロクでもない連中に狙われると思うんだ。それこそチンピラの様な(ヴィラン)じゃなくて、もっと深い闇に潜むような(ヴィラン)に…だから………」

 

「…危ないから化太郎くんに関わるなって?」「!……ああ。」

「…そっかぁ。」「…もちろん、学校で挨拶したり、偶に遊んだりなら大丈夫だと『ん”んっ』っ。」

 

「まず最初の見舞いに来て…ってやつだが、別にこっちが好きでやってる事だ。気にしなくていい。むしろアポぐらい取っておけばよかったかなと思ってたところだ。」

「…」

 

「それと、ヤバい(ヴィラン)に狙われるから化太郎に関わるなって話だが…

 

 

そんな事知ったこっちゃないぜ。」

 

「!?」

 

「僕達はヒーロー科の生徒なんだ…!危ないからって友達を捨てることは出来ないよ!」

「私も!戦闘は得意じゃないけど逃げ足なら自信あるよ!」「透明人間だしな。」

「ま、そう言う事だ。俺達は自分の身くらい自分で守れるさ。(それにすでにヤバイ(ヴィラン)に目を付けられてるし…)」「え?なんか言った?」「いや、なんでも。」

 

「ん。まあとにかく、俺達は少なくともただやられるほど弱くは無いよ。それに…化太郎も化太郎だからな。案外俺等が(ヴィラン)に襲われても勘で助けに来るだろ。」

「…ああ、なんとなく分かる。」「化太郎くんって時々妙に鋭いからね。」アハハ。

 

「…そう…か。うん、そうか………。ゴメン、余計な事を言ったみたいだな。」

「別にいいさ、家がちょっとばかし普通じゃないってのはそれだけ気を遣うからな。」

「両親がプロヒーローなのはちょっとばかし普通じゃないって分類で良いの?」

「は、なんでそれを……!化太郎か!!」「聞いちゃった♪」

「ええ?!遊戯くんの両親ってプロヒーローなの!?」

「こうなっちゃったじゃねえか!なに喋ってんだ!」「あ、メンゴメンゴ。」「化太郎が増えたみたいでムカツク…!」

「ハハハハ。……なあ、お願いがあるんだが、オレが今日話したこと、あにぇきに黙っててくれねえか?」

「え、いいけど…。どうして?」

「決まってんだろ?アイツは昔から俺等家族にとって特別な位置にいるんだ。表向きの立ち位置だけじゃなく、心の位置でも……。だから、こういう事はあんまり見せたくなんだよ。」

「ふぅん。そう言うやさしさを普段から化太郎に見せてやらないのか?」

「やだよ、恥ずかしいじゃん。」

「…やれやれ、本当に可愛げのない弟くんだぜ…。」

「おやぁ~?自分はさも可愛げがある弟みたいな言い方だね?」

「…化太郎か…?」「うん、4人姉弟なんだってね!いいなー賑やかそうで!」

「アイツ何でもかんでも喋りすぎだろぉ!」「あははは…。」

 

「じゃあ、オレは帰るよ。チビ達が待ってる。…今日は悪かったな。それとありがとう。」

「あぁ?何がだよ。」「色々だよ、色々。じゃあな。」

「じゃあねー統狸くんー。」「バイバイ。」

 

 

 

「さて、そろそろいい時間だし、俺等も帰るか。それにクラスの連中に化太郎は普通に元気だったって知らせておくか…。」

「そうだね。…殺生石?私たちもそろそろ帰るから」ガラッ「ねー……」

「……?どうしたの葉隠さん?」「…?」

 

 

 

 

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

やべぇやべえよ体育祭もし入賞すら出来なかったら私は死ぬまずいまずいまずい死にたくない死にたくないどうやって生き残るかこれはマジで全力を尽くすしかないか今からでも体育祭の傾向と対策を練る必要があるかそれともとにかく自力を磨いていくしかないかこの際周りの奴ら全員蹴落とす方向で考えるかいやでも万が一があるし返り討ちにあったら怖いそれどころか足を引っ張る事に目が行き過ぎて入賞逃したら私が死ぬこれじゃ本末転倒だこうなったら最初から最後まで死力を尽くすべきかそうなったらエネルギー切れが怖いなどうやったらエネルギー切れを起こさずに全力を出し続けるか途中途中で補給できればいいんだけど流石に競技中に補給できるわけはないだろうしああやっぱりペース配分も考えなきゃダメだろうかそれともこっそり食料を持ち込む必要があるかとにかくなんにせよ入賞出来れば一位を取らなければ私は死ぬヤバイコワイシニタクナイタスケテ

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

 

 

 

 

「…」「…」「…」

 

「帰るか緑谷1号。」「僕1号!?」「じゃあ今の殺生石は2号か。」

 




この話の始めの人物は『俺』。
一話目の人物は『私』。

謎は深まっていきますね。


融剛 → 緑谷
頭の回転はクラス内でも優れている方だな。個性もパワー系の極致みたいだ、反動さえなければ。どういう生活してたらあんなに内気になるんだろうな?

緑谷 → 融剛
近接戦闘はクラス内でトップを争うんじゃないかな。個性を使った大技や小技も多様だし、身体能力もすごく高い。僕ならどういう風に戦えば勝てるんだろう…。

葉隠 → 融剛
なんか凄い強い男の子。個性もチート級で性格も悪くない…らしい。殺生石の受け売りだけどね。

融剛 → 葉隠
透明化の個性は凄いと思うが如何せん最初の授業の出落ち感がぬぐえねえからな…。


殺生石統狸(とうり)
足技が強烈で多彩な中一の化け狸。最近言葉の引き出しがメキメキ増えていく。口が凄い悪い。

会合
殺生石家は言わば狐と狸たちの間のヤクザ一家。辺り一帯の個性を持った動物たちを人間が悪用しない様に保護している。その昔様々な動物たちに個性と知恵を与え回ったモノが居るらしいが…

さとりの例のアレの日
個性を持っていても喋る事の出来ない動物たちを相手に相談会の様なものを開いている日。


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競争
回収しそびれた伏線を回収するお話


別名B組の二人を紹介するお話


「皆おっはー」

「殺生石くん!意識不明と聞いたが無事なようだな!」

「まあね~。怪我らしい怪我はないし、入院したのも検査入院みたいなものだったから。」

「元気そうだな殺生石。あんなこともあったけど無事にクラス全員揃ったな!!」

「そうだね。さあ皆ー!!朝のHRが始まるから席につけー!!」

 

「お早う。」

『相澤先生復帰早えええ!!!』プロすぎる!!」

「(プロってもうなんだか分かんねえなこれ。)」

「先生、無事だったのですね!!」「無事言うんかなぁアレ……。」

「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ戦いは終わってねぇ。」

「戦い?」「まさか…」「また敵がーー!!?」

 

「雄英体育会が迫ってる!」

『クソ学校っぽいの来たあああ!!』

 

「体育祭…入賞逃す…死…!」

「おい、なんか物騒な言葉つぶやいてるんだけど大丈夫か?」

「…まあ、放っておいてやれ……。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

昼休み

 

「あんなことはあったけど…」

「なんだかんだテンション上がるなオイ!!活躍して目立ちゃプロへのどでけぇ一歩を踏み出せる!」

「目立つことも大事だがプロへのアピールも重要だ。あんませせこましい事するなよ…なあ?」

「うるせえ俺を見て言うんじゃねえ殺すぞ…!!」

 

「皆すごいノリノリだ…」

「君は違うのか?ヒーローになる為在籍しているのだから燃えるのは当然だろう!?」

「飯田ちゃん独特な燃え方ね。変。」

「僕もそりゃそうだよ!?でも何か…」「デクくん、飯田くん…」

 

「頑張ろうね体育祭。」「顔がアレだよ麗日さん!!?」

 

「イイ顔してるねぇ。」「どうした?全然うららかじゃないよ麗日」

「生…」スパァン

「皆!!私!!頑張る!」バッ

「おおーーーけどどうした、キャラがフワフワしてんぞ!!」

「私ほどでもない!」「そういう問題か。」ペシッ

 

 

 

「と言うわけでよく来た梅雨ちゃん女子食事会へ!」「あなた女子じゃないじゃない。」

「こりゃ手厳しー!」

「ねえねえ殺生石、体育祭たのしみだね!」

「楽しむのはもちろんですがスカウト目的でプロが大勢来るのも忘れてはいけませんわ。」

「プロに自己アピール出来る数少ない場だし、チャンスはしっかり掴まないとね。」

「…まあ、そんなに気張らなくてもいいんじゃね?」

「確かにまだ二週間もあるもんね。」

「それもあるけどもさ……私達が幾ら注目されてるとはいってもまだ一年生だし、本気でスカウトするつもりならそもそも3年のステージを見るでしょ普通。」

「…確かにそうでしょうが、青田買いということもあるのでは?」

「そうねー。でも所詮青田買い、気に入らなかったらポイよ。」「世知辛い…」

「ケロ、でもちゃんと見てくれる人は絶対に居ると思うわ。」

「それな。だから私達1年はなんでもできる、じゃなくて一芸に秀でている、って方がプロからのスカウトが来やすいんじゃないかな?」

「なるほどー。」

「一芸…か。例えば?」

「ううーん、例えば近接戦闘が上手だとか?」

「近接戦闘…戦闘分野でしたらガンヘッドやフォースカインドが有名ですわね。」

「相手を捕獲するのに向いていたらシンリンカムイとか?」

「そっか!自分が得意な事を上手くアピール出来たら似たような事を得意としてるプロから声がかかりやすいんだ!」

「まあ、そう言う事。もちろん目立つに越したことは無いけど、見てくれる人はちゃんと見てるさ。」

「うーん…つまり2週間は自分の得意な部分を鍛えたほうがいい!ってこと?」

「そうかもだけど2週間じゃ付け焼刃ね。結局は日頃の鍛錬がモノを言うわ。」

「確かにそうですが…」

「でも付け焼刃もあるとないとじゃ全然違うよね。」

「…おお、偶に鋭い事を言うねぇ。」「いつもバカっぽいけど。」「なにおー!」

 

 

 ◇

 

 

放課後

 

ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワワザワザワザワザワザワザワ

 

「 何事だあ!!!? 」

「出れねーじゃん!何しに来たんだよ。」

「敵情視察だろザコ。」

「 」ワナワナ 「あれがニュートラルなの」

「敵情視察というか…ただのミーハーだな。」「ミーハーって?」「それは…」

(ヴィラン)の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてえんだろ。」

「というかそんな事してる暇あるなら帰ってトレーニングでもしとけよ。」

「意味ねェからどけ」「邪魔だからどけ」

 

「「 モブ共。 」」

 

あ? お? バチバチ

 

「なーにやってんだあの阿呆…。」

「爆豪さんはともかく、遊戯さんの意外な一面を見ましたわ…」

「まぁ、融剛の嫌いなものの一つに野次馬ってのがあるからねぇ…」

「へー、遊戯にも嫌いなものがあるんだね。何でも受け入れる菩薩みたいなイメージだったけど。」

「個性だけだよ、なんでも受け入れんの。むしろ本人の性格は受け入れないものの方が多いよ?」菩薩て…

「意外にも遊戯と爆豪って似た者同士なのか…?」

「うーん…」

 

「ま、このままじゃどうせ帰れないんだし、あいつ等が勝手にヘイト集めしてくれたんだから私的に感謝感謝。」

「それでいいのか殺生石。」

 

 

 ◇

 

 

雄英高校の玄関口で靴を履き替えていると私を呼ぶ声がした。

 

「久シブリダナ、化ノ字。」

「…んの?、その特徴的な機械音声は…」

 

振り返ってみると、制服の上からでも隠し切れないメカメカのっぺりぼでーのちゃーみんぐな友人ともう一人いた。

 

「おおおお!安藤 (あんどう)露伊戸(ろいど)安藤 (あんどう)露伊戸(ろいど)じゃないか!こうして会うのはなんだか久しぶりだなぁ!」

「ナンダ?ソノ謎ノ説明。」

「こちらの事情だ!」

 

安藤 (あんどう)露伊戸(ろいど)、私の中学校時代の数少ない友人の一人だ。そしてヒーロー志望仲間でもある。合格したと聞いてはいたがクラスが違ったのはとても残念であった。

 

「融ノ字トハ会ウノダガ、オ前トハメッキリダナ。」

「融剛と?何処で会ってるのさ。」

「食堂ダ。」

 

食堂かー。私はお弁当派だから仕方ないね。

 

「なあなあロイコちゃん。この変な仮面ヤローにワイをはよぉしょーかいしてーなぁ。」

「…なんだこのTHE・エセ関西人は…。」

「…コイツハ天 転々(てん てんてん)。阿呆ダ。」

「おk把握。」「ちょwwwなんやそのしょーかいwww。」

 

草を生やすな。

 

「どーもおーきに。ワイ天 転々(てん てんてん)ゆーさかいに、よろしゅーたのんますわー。まあお近づきの印っちゅうこって握手でも。」スッ

「…?はあ、殺生石化太郎でありやす。」ガシッ

 

「うらぁっ!!」ブゥン!!「!?」

ダァン!

「っハ!なんやロイコちゃん、こんなんがホンマに強いんか?こんな軽ぅやっちゃ幾らでも投げれるしwww」

「…ハァ。オ前ノ悪癖ダ、コンナノ相手ニ油断スルノハ…」

「油断てwwwww何言うとりますのwwwこんなん油断の内にはいらへんやろwwwww」

「オ前ジャナイ、阿呆。」「ハ?」ドッ

 

「 」「秘技、千年殺し。相手(の尻の穴は)死ぬ。」

 

「いやーちゃうねん。こんなあからさまな奴は逆に平気かなーって思っただけですたいね。そこんとこ「喧シイ。オ前マデ面倒クサクナルナ。」うぃ。」

「…ぁ、ケツが……ワイのけつがぁ…」「馬鹿メ、ダカラ言ッタダロウ。化太郎ニテヲダスト後悔スルトナ。」

「…しっかしなんなんだこの変な中国人ヤローは。何いきなり喧嘩売ってきてる訳?」

「…ソイツハワザワザ中国ハ広東カラ武者修行ニ来タラシイ。強イト聞イタモノニ挑マズニハイラレナイ性癖ラシイ。……ソレト一ツ訂正ガアル。」「なんさね、ロイコちゃん。」

「ソイツハ野郎デハナク女郎ダ。」「…………ゑ?」

 

「お…女の子にいきなりカンチョー(ア○ル拡張)なんて少年誌(T○LOVEる)でもアカンやろ…」

 

「うるせえ短髪ナイチチ。なんで男の制服着てるんだせめて髪伸ばせよ。」

「喧しぃ!ワイかて好きでムネ無いちゃうんや!短髪なのは相手に髪掴まれたら危ないからや!こんなカッコやから学校からも男に間違われてこんな制服まで届くんや!ワイかてな、ワイかてなぁ…もっと女の子らしいカッコで……外を歩きたいぃ……」

「…ゴメン。悪気は無かったんだ…」

「いや…ええよ…仕方のないことなんや…ワイもロイコちゃんみたくスレンダー美女になりたい…。」

「知ルカ。ワタシハ男ダト何度言ワセレバ気ガスムンダ。」

「「……!!」」

「オ前等ソコデ『何言ってんだこの女…?』ッテ顔スルンジャナイ。」

「控えめとはいえオッパイついとるロイコちゃんが…男…やと…。」「胸部装甲ダ。」

「自分の背丈程もある長い髪を靡かせて歩くロイコちゃんが男だって…?」「接続端子ダ。」

 

「「もう何も信じられない!」」「喧シイ。」

 

 

 

 

「サテ、ソレハソウト化ノ字。意識不明ノ重体ニナッタソウダナ。一体ナニヲサレタラソウナッタンダ?」

「されたって言うか…ちょっと全力出し続けたって言うか…。」

「ほーん?なんやお前どんな個性か分からへんけどめっちゃ燃費悪いそーやなぁ。」

「別に燃費は悪ぅないで。ただ全力だしたらエネルギー消耗が激しいだけや。」

「口調マネすんなや怒るで。」

「じゃあ何でそんなエセ関西人なんや、ゆーてみい。」

「あぁ?こないお前そりゃワイが留学した先が偶々そういう家庭だっただけや。なんや変な日本語教えられてんしゃーないやんな。」

「チナミニワタシノ親戚ノ家ダ。」

「マジかお前の親戚頭の中おちゃめ機能かよ。」

「マアソンナコトハドウデモイイ。本題ニ入ルゾ。」

「…えっ?私が意識不明の重体になった話はそんな事?」

「ソウダガ?」

「……」

「…な、なんや。元気出せや…」「慰めんな、虚しい。」

「オ前ガムダナコトヲシタセイデワタシニ迷惑ガカカッテルンダ。自覚シテルノカ?」

「…えー?無駄な事って言うなら毎日無駄な事をしている気もするけど。」

「自覚シテルノナラ治セ。」「無理でーす。」

「…でも本当に自覚も何も無いよ?ロイコになんか迷惑かかってるって言われても…」

 

「…『可動式カフェテリア』…」「…あー。」

 

「入試の時のアレか。その場のノリでついあんな感じにしたけどそれがどうしたの?」

「ドウモコウモナイ。アレガ中庭ニ居座ッテ堂々トシテイルモノダカラ生徒タチニ人気ナンダ。」

「おー、人気が出たんだアレ。いいことじゃないか。」

「良クナイ。アレガ勝手ニ給仕ナドシテドンドン動クダロウ。ワタシカラスレバ良イ迷惑ナダケダ。」

「ん~?話が見えないな。確かにAI弄ってメイド兼カフェテリアな感じ出したけど…」

「アレノメンテナンスヲダレガヤッテイルト思ッテイルンダ、ワタシダゾ。」

「マジかお前。確かにお誂え向きの個性してるけども、何でそんな事やってるんだ…。」

「…お誂え向きの個性だからだぁ………(;_;)」

「お、おう。そんないきなりマジトーンで泣かれても困る。」

「五月蠅い!そもそもお前が私以外どうにもできないような改造とAIの再構築するから悪いんだろうが!(#゚Д゚)サポート科の先生が興味持ったせいで廃棄するにも出来ないんだぞ!(#`Д´)その上勝手にメンテナンス係に任命されるし!(/_;)お前が作ったんならお前が責任とれよぉ

(´;ω;`)」

「あーもう。悪かったって。悪かったから泣くんじゃない。ほーらよしよし、よく頑張ってくれたな。」

「…あの言葉通りの鉄面皮が泣いとる…やと…!?」

 

 

 

そんなこんなで可動式カフェテリアを露伊戸と一緒に改造しまくったりサポート科の人に捕まったりしながら2週間は過ぎて行った……。

 

雄英体育祭が…始まる!




はい、5話から存在はしてた友人がようやく出てきました。ついでにB組の22人目も出てきました。

そして融剛は野次馬が嫌いなようです。何があったんだろうね!?


安藤 (あんどう)露伊戸(ろいど)
美女(男) あだ名はロイコ。
感情を表に出さないポーカーフェイスだが感情が大きく揺れ動くと一転して表情豊かになる。そして普段の機械音声はキャラ作り。
 個性『機械王』
触れた機械を自在に操作することが出来る現代社会においてチートクラスの個性。
機械を再構成して別の機能を持たせたり、機械とコミュニケーションをとることが出来る。
ただ携帯電話だけはまるでダメらしい。未だにガラケーも使いこなせない。

天 転々(てん てんてん)
美男子(女) あだ名はテンコ。
戦闘狂の気がある。中国からの留学生だが、お茶目さん(白目)によりエセ関西弁が完全に定着した。主に柔術が得意。そして阿呆。
 個性『回転』
身体のあらゆる部分を支点にして回転することが出来る。
具体的には鉄棒無しで大車輪とか出来る。
自分の中心を支点として、相手をぶん回すジャイアントスイングを平然と出来る個性。


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選手宣誓って結局やらかすよなってお話

別名自由なのも困りものだねって話


1-A控室

 

「皆、準備は出来てるか!?もうじき入場だ!!」

 

「皆緊張してるわね。」

「まあ、ちらっと見ただけでも凄い大勢いたからなぁ。いつもテレビで見てた舞台に自分が出る、なんて考えてる奴もいそうだ。」

「…遊戯さんは緊張なさってないご様子ですが…。」

「俺か?まあ、緊張して無いわけでもないが…うん、今はまさにベストコンディションだな。」

「…いいなー、私なんか昨日から緊張してて寝不足なんだよね。ほらクマだってできてるし。」

「葉隠……それはギャグで言っているのか?」

「にしてもよ、やっぱ遊戯ってキモが座ってるって言うか…。どうやったらそんなリラックスして体育祭に挑めるんだ?」

「……そうだな…。とりあえずアレを見るってのはどうだ?」

「「アレ?」」

 

 

 

ガタガタガタ「やべえやべえよ昨日必死に考えた選手宣誓のメモ家に忘れてきちゃったああどうしようなんて書いたっけああくそ震えるな私の脚止まれ私の腕大丈夫私は出来る子ゆっくり思い出せ自分の記憶を頼りにしてああだめだ緊張で頭真っ白になっちゃう全然思い出せないこうなったら今ここで宣誓を考えるか落ち着けここでメモとペンを用意だあやべえ持って来てない」ガタガタガタ

 

 

 

「意外ッ!それは化太郎!」

「アイツ一番緊張とは縁遠い存在だと思ってたわ。」

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!

どうせてめーらアレだろこいつらだろ!!?(ヴィラン)の襲撃を受けたにも拘らず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!

 

ヒーロー科!!

 

            1年!!!

 

                      A組だろぉぉ!!?』

 

 

「緊張で死にそう…」

「そしたら大観衆の中墓作ってやるよ。」

「お前等こんな中でよく漫才できんな…。」

 

 

 

 

「 選手宣誓!! 」 ピシャン

 

「18禁ヒーロー『ミッドナイト』だ。」

「18禁なのに高校にいてもいいものか。」「いい」

「静かにしなさい!!選手代表!!

 

                1-A 殺生石化太郎!!」

 

「え、ええ…殺生石さんですか…」「あいつ一応入試一位通過だったからな。」

「…なんか嫌な予感が止まらねえんだけども……。」

「大丈夫かアイツ。こっから見ても震えてるように見えるんだけど…。」

 

 

「大丈夫かしら殺生石くん?緊張がマッハみたいだけど。」

ガタガタ「…宣誓考えてきたんですが忘れちゃったテヘペロ…」「本当に大丈夫なの!?」

 

「…!ハイ。私はやるときはやる男です!でもたまに女にもなります!」

「……まあ大丈夫ならいいわ…。さ、胸張って宣誓しなさい。」

 

 

ムネハッテ

 「 宣 誓 !!

 

の前に一言二言。」

 

 

「…締まらねえ奴だぁな…。」

「でも顔つきがさっきと全然違うぜ!」

「あぁ。あれは完全にやらかす前兆だ…。」

 

 

 「 私は、雄英高校の入試で偶々一位で通過しました。その結果今、最も注目を浴びる台に立って選手宣誓をすることになりました。 」

 

 

「アイツ何が言いたいんだ?」

「…たぶんとんでもねえことだろうよ…。」

 

 

 「 今!私の一挙手一投足にこの会場にいるヒーロー達!テレビの前の人達!そして入試で二位以下で通過したお前達が全て私に注目しているっ! 」

 

 

 

      「    実 に 愉 悦 っ !    」

 

 

 

 「 既に格付けは為されたッ!勝者の世界がなんと心地良いものかっ!お前達敗者に是非とも見せたいところだ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「 宣 誓 !! 」

 

「「「「「 ちょっとまてやあああああ!!! 」」」」」

 

「なにさらっと宣誓してんだオラァ!!」

「誰が敗者だってえぇ!!」

「調子乗んなよお面野郎ぉ!!」

 

 「 喧しい!!1位に『成れなかった』お前等が1位に『成った』私に何を言おうと全部負け犬の遠吠えなんだよォ!!悔しかったら引きずりおろしてみやがれぇい!!!! 」ガハハハ!!!

 

 

『YEAH!!!なんてクレイジーな野郎だ!!』

『だが一理ある。特にアイツは2位と大差をつけての1位だからな。見返したかったら体育祭の順位で勝つしかねえぞ。』

 

「さっきまでガタガタ震えてたとは思えない宣言ね。」

「ものすごい不敵だ…!!!」

「あの野郎!見かけによらず爆豪みてえなタイプだな!」

「ぶっ殺す…!」

「遊戯さん…流石にあの態度は…?遊戯さん?」

 

「…く、くくくくく、アイツ、らしくもねえ真似しやがって。あー可笑しい。」

 

「おい遊戯?」

 

「…たくよぉ、そもそも一般入試受けてねえよとか、俺との戦闘訓練で何度も負けてるだろとか…いったん置いといてやるよ。いいぜ化太郎…。その挑発乗ってやろうじゃねえか…。お前を、倒す!!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう!」

「雄英って何でも早速だね。」「流行なんだろ。」「いや流行て。」

「いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ(ティアドリンク)!!さて運命の第一種目!!今年は……」

「勿体ぶり過ぎて早速ではないよね。」「シー。」

 

「コレ!!!」   障害物競走

 

「障害物競走…!」「マズいな…。」「え、なにが?」

「障害物競走とかアイツの為にある様な競技で流石に勝てる気がしねえわ。」「…」

「…いや、やる前から諦めちゃだめだと思う!」

 

「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!わが校は自由さが売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば何をしたって(・・・・・・)構わないわ!」

「ええ!?ナニをしたって?!」「犯罪はすんなよ葡萄。」「ば、馬鹿いえ!」

「さあさあ位置につきまくりなさい…」パッ

 

パッ

 

パッ

 

「 スターーーーーーーート!! 」

 

「ってスタートゲート狭すぎだろ!!」

「俺には関係ないね。」

 

 縮地変形『壁面跳び』!!

 

「なっ!遊戯の奴壁を走ってる!」「ずりいぞ!」

 

「(一番に気を付けるのは化太郎だ。…だが、それ以外にも…)お前だよなぁ(とどろき)!!」

「っ、遊戯か。」「独走はさせねえよ!」

 

『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…

 第一関門、ロボ・インフェルノ!!』

 

「入試ん時の0P(ヴィラン)じゃねえか!!!」「マジか!ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」「多すぎて通れねえ!!」

 

「一般入試用の仮想敵ってやつか。」「は、只の木偶の坊だあんなん。」

パキパキ

「クソ親父が見てるんだから」「…!」

 

パキ

 

「ほー、分かっちゃいたがやっぱり威力も速度も大したもんだな。」「…お前に褒められても嬉しくねえ。」

「そりゃぁそうだろうよ。だって上から目線なんだから…なっ!」

 

 『フュージョンホール』デカブツの足をすり抜ける(・・・・・)

 

「…!」「あんなん相手に足を止めてる時点で二流なんだよ。」

「っち。」

「あいつが止めたぞ!!あの隙間だ!通れる!」

「やめとけ、不安定な体勢ん時に凍らしたから倒れるぞ。」

グラ…

「うわ!あぶねえ!!」

『1-A轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!!』

 

 

「どきなお前等。恋符『マスタースパーク』!!」ゴォォォォォォォ

 

 

『うおおおお!!!なんだ突然!!極太の閃光がロボ・インフェルノを焼き払ったぁぁ!!?』

『あの馬鹿、消耗が激しそうな技を…』

「おい!怪我はないか!?」

「え?!あ、おお、お前か殺生石!」

「あ、テメェ!ふざけたお面野郎!」

「なんだお前かよ!あの程度じゃ怪我しねえじゃん!もう一人の方!大丈夫か!?」

「ああ!?あんなんが倒れてきた程度じゃ怪我しねえよ!」

「んだよ!完全に助け損じゃねえか!」

 

 

「先行かれてたまるかよ!」BOOM

 

『1-A爆豪下がダメなら頭上かよー!!クレバー!』

 

「やべっ、道草食ってる暇ないんだわ。無事でよかったなお前等!じゃあの。」バササッ

「んな!?あの光線出すのがあいつの個性じゃねえのか!?」

「…まあ普通そう思うよなぁ…って俺も止まってる場合じゃねえんだった!」

 

『一足先行く連中A組が多いなやっぱ!!』

 

 

 

「っそ!長い高い階段だチクショウ!これじゃ…」

「待てやぁ融剛!あと轟くん!」バサッバサッ

「ちっ!化太郎が見える位置まで…!」「よそ見してる暇があんのか?」パキ

 

パキパキ!

 

「はっ!想定済みなんだよ!」ブォッ

「っ。」

「見えた!階段の頂上!」

 

『オイオイ第一関門チョロイってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!

 

ザ・フォーーーール!!!』

 

 

「おい、マジかよ…!マジで化太郎有利過ぎねえこの障害物競走…!」

「というより空を飛ぶ奴が有利だな…」

 

「(流石に(こいつ)の妨害を受けながら切り抜けるのは無理そうだな…)」

「(遊戯(こいつ)気にしてたら足元を掬われそうだ…)」

 

「「(( コイツとは離れたルートで攻める…! ))」」

 

ゼェゼェ「待てやお前等!くっそここまで高く飛んできたのはちょっと失敗だったかな…。仕方ないが…少し休んで一気に追い抜く!」

 

 

 ◇

 

 

『さあ先頭は難なくイチ抜けしてんぞ!!』

 

「くそがっ!!!」

「(調子あげてきたな……スロースターターか。)」

「(爆豪か、まあ予想通り。とはいえ意外と遅かった気もしないでもない…。)」

 

 

「トップ組の奴ら圧倒的じゃんか。」

「個性の強さもあるがそれ以上に素の身体能力と判断力がズバ抜けてる。」

「そりゃそうだろ。片方はフレイムヒーロー『エンデヴァー』の息子さんだよ。」

「ああー…道理で!オールマイトに次ぐトップ2の血か。」

「じゃあもう片方は?」

「ああ、あっちは『ゲームマスターズ』の末っ子さんだな。」

「なっ…あの!?マジか!道理でその手の駆け引きが上手い訳だ!」

「早くもサイドキック(相棒)争奪戦だなー!!」

 

『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずに突き進め!!

そして早くも最終関門!!かくしてその実態はーー…

 

一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!

 

地雷の位置はよくみりゃ分かる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!』

 

「(成程な。こりゃ先頭ほど不利な障害だ。)エンターテイメントしやがる。」

「(爆発…この威力を使ってブースト…いや、少々賭けが過ぎるな…。)」

「はっはぁ俺はー関係ねーー!!」

「(っ!爆豪!しまった、馬鹿か俺は!爆豪が飛べることくらい見てただろ!クソッ化太郎を意識し過ぎた…!)」

「てめェ宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ!」

 

『ここで先頭がかわったー!!喜べマスメディア!!おまえら好みの展開だああ!!

後続もスパートかけてきた!!!だが引っ張り合いながらも…先頭3人がリードかあ!!?』

 

 

 

「あやや、私を忘れてもらっちゃぁ困りますね…。幻想郷最速の新聞記者っ!ただいま見ざ

「かりるぞかっちゃん!」え」

 

あ、出久君なにして

 

 

B

 O

  O

   O

    O

     M

 

 

『後方で大爆発!!?何だあの威力!?偶然か故意かーーA組緑谷、爆風で猛追ーー!!!?

っつーか!!!抜いたあああああー!!!」

 

「(馬鹿なっ!ここで緑谷(・・)だとっ!?意外性ナンバーワンかアイツ!)」

「デクぁ!!!!!俺の前を行くんじゃねえ!!!」BOM

「後ろ気にしてる場合じゃねえ…!」パキィ

「っこうなりゃ賭けだ!負けねえぜ!縮地変形『ダメージブースト』!」ボウン

 

「私がいるのを忘れんじゃねー!出久君てめえよくもやってくれたなぁ!!」ビュゥゥ

 

『元・先頭の3人足の引っ張り合いを止め緑谷を追う!!そして後ろからとんでもない速度で飛翔する仮面の女がーー!!!』

 

 

追い越し無理ならー…

 

     抜かれちゃダメだ!!

 

 ドッ

    カチカチカチカチ

 

 ボ オ オ ン !!                      「グワー」

 

 

『緑谷、間髪入れず後続妨害!!なんと地雷原即クリア!!イレイザーヘッドお前のクラスすげえな!!どういう教育してんだ!』

「俺は何もしてねえよ。奴らが勝手に火ィ付け合ってんだろう。」

『さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!?』「無視か。」『今一番にスタジアムへ還ってきたその男ーー…

 

緑谷出久の存在を!!』

 

 

 ◇

 

 

「デクくん…!すごいねえ!」「この個性で後れを取るとは…やはりまだまだだ僕…俺は…!」

「麗日さん、飯田くん。」

「一位すごいね!くやしいよちくしょー!」「いやぁ…」

 

「ああ、本当にすごいわね、おめでとう出久君。」

「あ…、化太郎くん…。」

「まさか幻想郷最速でも追い越せないなんて…完敗だわ。」

「あ、えーっと…どうしてそんな真っ黒なの?」

「…どうして?どうしてって言った…?出久君が二回も私を爆殺し掛けておいてどうして…!?」

「え!?あ、ご、ごめん!」

 

 

「くっ…こんなハズじゃあ……………!」

 

「一石二鳥よオイラ天才!」ひょおおお

「サイッテーですわ!!」

「…おい葡萄…お前競争開始前なんて言ったか覚えてるか…」

 

 

 ◇

 

 

「予選通過は上位46名!!!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されているわ!!そして次からいよいよ本選よ!!ここからは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!!!」

 

「おやつ休憩とかないの?」「ねえよ。」

 

「さーて第二種目よ!!私はもう知ってるけど~~~~…何かしら!!?言ってるそばからこれよ!!!!」

 

    騎馬戦

 




なんか中途半端ですがここで切らないとダラダラ続きそうなのでカット。

特に考えもせず予選通過人数増やしちゃった。でもオリキャラ活躍させたいにシカタナイネ。


通過順位

化太郎 2位
轟   3位
融剛  4位
爆豪  5位

ロイコ 7位
テンコ 20位




自分がメインで書いていた小説の方に間違って投稿してもうた。
なんだかんだ言って一番やらかしたの作者だった…死にたい…。


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団体競技なのに結局個人種目になるお話

別名前回に続いてまたやらかしたんだねってお話



何やかんやあって騎馬戦のチーム決め!

 

「個性有りの残虐ファイト…か。つまり私はとりあえずポイント高いヤツと組んで高く飛んでいれば余裕で通過できるってことかな?」

 

「「「 ……!! 」」」

 

 

「「「「 お前()と組め!! 」」」」「わっ!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

いやー正直言って出久君と組めばトップ通過は余裕だと思うんだが、流石に断られてしまったよ

HAHAHA。

 

怒りのあまり結局仲の良い奴らと組んだぜ…

 

「という訳で皆よろしくね。」

「マァ、ワタシノ個性デハ今回ノ競技ニハ役ニ立チソウモナイカラ構ワナイガ…。」

「何言うてんねん。ロボなんちゃらパクっておいてよー言うわ。敵わんなぁ。」

「…なんというか張り合いでねえよなあ本当に…。ま、次で倒せば結果は一緒か。」

 

 

天 転々   20位通過。135P

安藤 露伊戸 7位通過。 200P

遊戯 融剛  4位通過。 215P

殺生石化太郎 2位通過。 225P

-------------------------------------

合計           775P

 

 

「…で、誰だコイツ。」

「今更かい!」

「ロイコ連れて来たら一緒についてきた奴。」

「ワタシノオマケ扱イデカマワンゾ。」

「ワイが構うわ!折角楽に勝てるっちゅー策があるんなら乗らな損やろ!物間の策なんかよりジューブン勝ち目あるわ!」

「あん?誰だ物間って。それと策ってなんだよ?」

「ああ、そりゃぁ「ヨセ、別ノクラスニソレヲ教エル必要モナイダロウ。」ん、まぁせやな。」

「ちぇ。まあいいや。そんな策ごと踏みつぶしたるわ。」

「…お前は終始浮いてるだけだろうに…。」

「何言ってんの、もしかしたら急に空飛んでくる奴が出てくるかもしれないじゃないか!爆豪とか出久君とか。」

「…あぁ。確かに飛びそうだ。」

 

「でもまあアレやな、楽に勝てるっちゅーても競技中はヒマやし、他の騎馬からP奪取したったるわ。」

「ん?騎手以外がPとってもいいのか?」

「ナンデモアリ。当然カマワンダロウ。」

「そうだねぇ。確かに待ってるだけってのは暇だもんね。」

 

『よォーし組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!残虐バトルロワイヤルカウントダウン!!』

 

「…おい化太郎、頼むから余計なこと考えんなよ…。」

「だいじょーぶだいじょーぶ。」

 

『 3!!! 』

 

「ちょっとばかし私も楽しむだけだから!!」

「馬鹿野郎!作戦はどうした!?」

 

『 2!! 』

 

「作戦!?知らんなぁ!!!」

「オイ発案者ァァァ!!!」

 

『 1…! 』

 

「…マァ、コイツノ適当ップリハ今ニ始マッタコトジャナイガナ…」

「勝てばよかろうなのだぁああああああ!!!」

 

 

『 S T A R T ! 』

 

 

「いくぜお前等!入試トップ通過の力見せてやんよぉぉぉ!!」

「あ、こいつ滅茶苦茶調子に乗ってるダメなパターン。」

 

 

 ◇

 

 

「作戦はこうだ。私が空高く高みの見物かますから、あとはまあ騎馬は組んでても独立行動しててもおk。」

「もはや作戦じゃないけど完璧だよなぁ…」

「なんや、ワイら暇やんけ。」

「カズアワセガホザイテイルナ。」

「おま…流石に怒るでほんま!」

 

 ◇

 

 

「ひゃっはああああああ!1000万P寄越せえええ!!」

「直前の話し合いってなんやったんやろ…」

「諦めろ…アレが化太郎だ…。」

「フン、アイツガ勝手ニオチルモノカ。ワタシラハ各自デPヲアツメルゾ。」

「せやなぁ。仮にアレのポイントが盗られたとしてもワイらが別口でポイント盗ればいい話や。」

「…じゃあ俺は折角だし轟でもおちょくってくるか。」

「…じゃワイは鉄哲にかましてくるわ。」

「噛マセ犬カナ?」「誰が噛ませ犬や!」

 

 

 

 

「いいぃぃぃぃずぅぅぅぅぅくくぅぅぅぅん!!!遊び~ましょーーーう(私の復讐につき合えェェ)!!!」

「副音声が聞こえる!!?」

「いきなりの襲来とはな……二組と一人…」

「というか一人飛んできとる!?」

「追われし者の宿命…選択しろ緑谷!」

「もちろん!!逃げの一手!!!」

 

「鉄哲ぅ!ちょっとツラかしぃや!!」

「っ転々!?お前騎馬どうしたぁ!!」

「ワイが単騎の騎馬や!ハチマキ寄越せやぁ!!」

「ばっ!アリかそんなの!!?」      「アリよ!」

「そういうわけや!ハチマキ掛けて勝負や!」

「お前掛けるもの持ってねえじゃねえか!柔造っ!」「けっ…!!」

「っ!足がっ、邪魔すんなや骨抜!!」

「馬鹿がっ!これはチーム戦だ、ハチマキを持ってないお前を相手にする時間なんてない!」

 

 

 

「サァ動キ回レクズ鉄共…!ソノ身朽チテモマタ生マレ変ワル…!」

《イエス・マム!!》「サー、ダ。」

 

『ウオオオオ!ロボ・インフェルノが何処からともなく会場内に現れたアアアア!!』

『あれはB組安藤の個性だな。恐らくただのロボじゃねえ。』

 

「オマエラ、騎馬ヲ崩サナイ程度ニ足ドメシロ!」

《イエス・マム!!》「サーダッテイッテンダロ。」

 

「一佳!こっちに来るよ!」

「全く…!随分生き生きしてるじゃん安藤!」

「ワルイナ、ワタシモ結局オトコノコナンダ。」

「どの顔で男の娘だって!?」「コノ顔ダヨワルイカ。」

 

 

 

「よう轟チーム。何処まで行くんだ?」

 

「なっ!?遊戯さん!!?どうしてお一人で!!?」

「やべー!トップクラスの才能マンがこっち来やがった!」

「上鳴、まだ放電するなよ。お前は切り札だ、まだ使いたくはねえ。」「お、おう!」

「あいつには前の借りを返さなきゃな…俺が…!」

 

「おいおい、そう怖い顔すんなって。どうせ俺にはお前の氷なんて効かねえからよ。」

「…!」

「そうだなぁ、もしかしたら炎の方なら効くかもなぁ。どうした?炎は使わないのかい?」

「 …… 」

「轟さん…。」「轟君!安い挑発だ!乗ってはいけない!」「…分かってるよ…」

「…ふん、やっぱりそっち()の話題は嫌らしいな。あんだけ横から妨害してきたのに一度も炎は使わねえんだ。そりゃ不思議に思うだろう?」

「…(ひだり)は使わねえって決めてるんだ。」

「あっそ、だから?そんなナメプで俺に勝とうってのは…

 

  100年早いんだよ!!『フュージョンアーツ』!!」

 

「オイオイ!何でか知んねえけど遊戯の奴キレてるぞオイ!」

「轟さん、ここは引きましょう!今遊戯さんの相手をするのは百害あって一利なしですわ!」

「…あいつがタダで逃がしてくれるとは思えねえがな。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『7分経過した現在のランクを見てみよう!………あら!!?ちょっと待てよコレ…A組緑谷以外ぱっとしてねえ…ってか殺生石あれ…!?』

 

「単純なんだよ、A組。」

 

「……ファ!?ハチマキ盗られてる!?ちょ、『全員集合!!!』」

 

「んのアホォ!何物間如きにハチマキ盗られとんねん!!」

「褒メルベキハ物間ダ。僅カナ情報カラ化太郎ノ個性ヲワリダシタ…ナ。」

「おい、化太郎お前…」

「ちゃうねん!あの無個性顔が幽霊状態の私のハチマキをもってったんや!」

「ああ?マジか…。ちょっとまて、物間って言ったなあのタレ目、仮に化太郎の個性を知ったとしてもどうやって対処しやがった…!」

「可能性トシテハ一ツ。物間ガ化太郎ト同ジク幽霊化シタ。」

「…マジですか~…。確かに同じ幽霊同士なら触れても納得いくけども…。」

「そんな事が出来る個性なのか!その物間って奴は…!」

「…オイロイコちゃん。クラスメイトの個性をポンと言ってええんか…。」

「……アッ。」

「お前二度とワイを取り巻き扱いすんなや!」

「切れとる場合か!とりあえずポイント取り返す!そんでついでに1000万P取って1位取る!」

「ついで扱いされる出久君カワイソス。ってか爆豪チームも取られてるみたいだな、騎手の顔がヤベェ。」

「完全に敵顔だよなぁ。」

「いやマッタリしとる場合か!はよポイント盛り返すで!」

「ロイコ!とりあえずロボ集めて!一転攻勢でブチ切り返す!」

「マテ、ダイブ破壊サレテルカラ一回作リナオシテカラニスル。」

「おっけーね!テンコは融剛と組んで!取れそうなところからP取って!」

「化太郎はどうすんだ?」

「決まってんだろ?今爆豪とやり合ってるクソタレ目をブチ転がしてから1000万取る!」

「おま…レッドカードとんなよ!絶対勝つぞ!」

 

 

 

 

 

「ははぁ…凄いなこの個性!やりたい放題だ!」「ぐぅっ!」

「爆豪!くっそアイツ殺生石みたいな個性してやがる!」

「くそが!!!」BOOM

「僕の方が良いけどさ。」ガチガチ

「んなああー!硬化!?俺のか!?」

「コイツ…個性をコピーしやがった。」

「正解!良い個性だろ?」

「そうだな!でも私の方が凄い!」ボォォォォ

「おわ!熱っ!火球!?」

「ヘェイモノマネボーイ!借りモンの力で良い気になるにはまだ早いぜ!」

「君かしつこいなぁ。格付けは為された…だっけ?格下に足元救われる気分は…「どっそぉい!」っ!」

 

ドォォン

『何だあああ!!?隕石でも降ったかあああ!??』

 

「ぶあああ!殺生石!あぶねえじゃねえか!」

「何言ってんだ切島ぁ!お前が先頭騎馬じゃなかったら使ってねえよ!」「お、おう」

「っ!おい!今の崩し目的だろぉ!審判…て、物間!お前ハチマキ!」「…!いつの間に!?」

「ヒィィ~ハァァー!!!想像力ってのは無限大!世界を切り取るくらい訳無いんだよぉ!!」

「オイ手前!俺等のポイント!!」

「ほざけ爆弾ヘッド!今は私ンだ!悔しかったらかかってこーい!」

「っち!お前…!」

「よう、良い夢見れたか格下。ラッキーパンチでつけあがるのもお前の仕事だ。」

「…!!なら格下の個性に沈め!」「あー!オールマイトが凄いブーメランパンツはいとる!!」

「は?なにを言って」「!?物間!お前…重い…!!」「ちょ、無理無理無理いい!?」「何!?」

 

グシャァ!

 

「勘違いしてるようだけど私の個性は物の本質を簡単に変えるんだ。当然変化した物の本質に成りきっちまう。今のお前がオールマイトの体重250kg位になってるみたいにな。」

「ぐっ…クソぉ…!」

「イメージだけで変質出来るってのも困りモンだよな。私がどれだけの時間を重ねてこの個性を制御しきれるようになったと思ってるんだか。言っただろ?お前とは格が違うんだ!」

 

 

「いや一言も言ってねえよ。」

「あれ?そうだっけ。まあいいや。爆豪チーム、ポイントゴチになりまーす。それじゃあね~!」

「あ!待って殺生石!!」

「…クソっ!クソっ!クソっ!!!」「爆豪っ!?」

「一位だ!俺がとるのは完膚無きまでの一位だ…!奴に舐められたままで終われるか…!!!」

 

 

 

 

一佳(いぃち~か)ちゃん!ちょぉぉっとハチマキ貸してくれへん?競技終わるまででええから!!」

「ふざけんな!全くお前達は私らに何の恨みがあるんだ!」

「ちょっとハチマキ貸してくれるくらいええやん!減るもんでもナシに。」

「ポイントが減るだろうが!」

「…なるほど。アイツの個性は手がデカくなるのか。単純だが格闘戦じゃあ強そうだ。」

「せやろ?一佳(いぃちか)ちゃんはカワイイ見た目してゴッツう強いんやで。」

「確かにデカい手なんてどう相手取ればいいのか分からないな…俺以外には。」

ダッ

「っ!おりゃああ!」ブゥン「遅いよ。」トンッ

「…!跳んだ!?」「なら撃ち落とすまで!!」ブゥン「だから遅いっての。」クルッ

「…?!何で当たらないの!?」

「ふーん、格闘技でも習ってたのかな?その大きさと技の正確さだったら十分プロでも通用するんじゃないかな?

  初見なら…ね。」

 

「くっそ!上から目線に言いやがって!」

「やー、すまんね。そのくらいの大きさの手なら見慣れてるんだわ正直。」

 

『B組拳藤とA組遊戯の格闘戦!!拳藤の猛攻を避ける!!避ける!!避けるうう!!』

『遊戯は個性もさることながら体術も同年代とは一つ抜けてるな。それも才能というより膨大な努力の跡が見える。』

『そんなこたぁどうでもいい!いけェ拳藤!すかしたヤローをぶったおせー!!』

「公平さも欠片も無いなぁ実況。」

「余所見すんな!!」ブゥン!

 

「ああ、大振りを待ってたからつい。」スッ

 

『何だぁ!!遊戯が突然消えたぞ!何処に行きやがった!!』

「!どこに「後ろや。」は!」ビッ

「ポイント借りてくで一佳(いぃちか)ちゃん。」「お前いつの間に!!」

 

『遊戯の奴が消えたと思ったらいつの間にか後ろに居た天にポイントを奪われたぁ!!』

『元々二人居たのに片方ばかりに意識を取られる方が悪い。』

 

「お前地面に沈んだりできんやなぁ。大したモンや。」「そう言うお前は大したこと出来ないのか?」「なんや!喧嘩うってんねんやったら買うで!!」

 

「チクショウ!完全にやられた…!」「まだよ一佳!競技は終わってないわ!」

 

 

「『全員集合!!』」

 

「首尾はどうよ!」

「ばっちしだ。ほれハチマキ!」「あいよ!」ぐっ

「殺生石、エネルギーハドウダ?」

「ぶっちゃけ限界近い!もう飛べねえ!」

「了解シタ、騎馬を組メ。」

「残り時間は大体1~2分ってとこやな?こんだけポイント集めりゃ突破は確実やろwww」

「草生やしてんじゃねえ殺すぞ。」「怖っ!」

「まだだよ皆、気を引き締めろ!ポイントを取られたチームが私らを狙ってるぜ?ロイコ、マシンの具合は?」

「グレートダ。」

「おっけい!じゃあ1000万ポイント狙おうか!」

「ハァ!?ここからさらにトップ狙うんか!?」

「あったりめえよぉ!そうじゃなきゃ面白くねえだろ!?」

「おもろいおもろないちゃうやろ!このままキープすれば勝ち確なんやで!」

「だったらなんだってんだ。どうせ狙うならトップだろう。」

「ソウダ、ソウデナクテハ男ニ生マレタ意味モナイ。」「ワイ女やねんけど…。」

「そんなこと言ったら私無性なんですけど!?」「黙ってろ阿呆。」「酷い!」

 

「(なんやなんなんやコイツら…このままポイントキープすれば勝ちやねんで…?なんで敢えて一位狙おうとするん?)」

 

「理解できないって顔だな。」「!」

「『やるんなら常にトップをねらえ。』俺の父さんの言葉だ。トップを狙い続けなければ転げ落ちるだけだ、とも言ってた。」

「守レバ勝テル。ソンナ甘イ考エヲ許シテクレルヤツガコノステージニドレダケ居ルダロウナ。」

「…」

「そう言う事!さあとっととあの凍った特設ステージに乗り込もうぜ!じゃないと…」

 

「殺生石ィィィ!ぶっ殺す!!」

「私らのポイント返せ転々!!」

 

復讐者(リベンジャー)に殺されるぜ!!」

「うーんシャレにならない殺意が二方向から…」

「…!ああもうこうなりゃヤケや!!女は度胸!何でもやってみるモンや!!」

「行ケ!我ガ傀儡共!ヤツラヲアシドメシロ!『サテライトドローン』!!」

《イエス・サー!!》「ダカラマムダト…あ、合ってたわ。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『逆転!!轟が1000万!!そして緑谷急転直下の0ポイントー!!』

 

「とここでチーム私見参!」

「ネーミング何とかならねえのかお前!」

「1000万ポイント寄越せやぁ!!」

「ドローン全滅!モウ部品モナイゾ!」

 

『更にサシ仕様のフィールドを飛び越えて殺生石チームが殴り込みーー!!』

 

「轟君に突っ込んで!!」

「上鳴がいる以上攻めでは不利だ!殺生石のPを狙いに行く手もあるのでは…」

「ダメだ!!殺生石くんには遊戯くんがついてる!常闇君の弱点がバレてる可能性がある!それに3組でハチマキの取り合いになったら1000万Pの把握が出来ない!ここしかない!!」

 

『更にリベンジャー達も飛び込んできた!!こりゃもうどうなるか分かんねえぞ!!!』

 

「突っ込め皆!轟ぃ!1000万P寄越せ!!」

「殺生石ィ!俺等のP返せ!そんで1000万P寄越せ!!」「同じこと言ってる!」

 

「あああああああああ!!!」SMASH!

 

「とった!!とったあああ!!」

『残り17秒!こちらも怒りの奪還!!』

「待ってくださいそのハチマキ…違いませんか!?」

「…!やられた…!!」

 

「まだだ!八百万!殺生石を…「私を…なんだって?」ッ!!」

「1000万P捕まえたァ!!」「上鳴!!」「うぇい!!」

 B Z Z Z Z T !

「あばばば!」「と…どけ!」ビッ「化太郎!」ドサッ

「ばばば…ぅぐ、1000万は死守!けど私らのPは取られた!」

「よおやった!これでトップや文句ないやろ!」「マダダ!」

「死ぃぃぃぃねェえええええ!」BBBBB!「ぶぉああ!ここで爆豪!?」

『そろそろ時間だカウントいくぜエヴィバディセイヘイ!10!』

 

 

『9!』

 

「ソレ寄越せえええ!!!」「死んでも渡すかあああ!!!」

BOOOOM!!

 

『8!』

 

「化太郎くんに突っ込んで!」

「おい殺生石ィ!こっちからも来とるで!」

 

『7!』

 

「返せ!」

「ウェーイ…」

 

『6!』

 

「オラァアア!」BOOM!

「ぐはぁ!」「化太郎!?」「エネルギーノ限界カ!?」

 

『5!』

 

「い、1000万Pは死守する…!」ぐぅぅ~

「チィ!これじゃねえ!」

 

『4!』

 

「ああああ!」SMASH!

「させねえ!ダメージフュージョン!!」バヂチ

 

『3!』

 

「転々!私を投げろぉ!!」

「っ!?」

 

『2!』

 

「クソ!やったらぁ!舌噛むなや!!」

「もう一回ィ!!」BOOM!「寄越せ!」パキ「ああああああ!」SMASH

 

『1!』

 

「真上に吹っ飛べ!『人間スリング』!!」

「エネルギー全部持ってけ!合技、緊急脱出ポット!」ボゥン!

「!?」「っ!クソがああ!」「な、待て!」

 

 

『 TIME UP! 』

 

『スゲー!!人間ってあんなに高く飛ぶモンなのか!!?鳥より高く打ちあがってるぞオイ!!!』

『言ってる場合か。あの高さから落ちたら死ぬぞ…!』

 

「…っ!いってぇ…最後なにがおきたんだ…?」

「大丈夫か切島!最後の最後で殺生石がロケットみたいにぶっ飛んで辺りを吹き飛ばしていったんだ!」

「…そうだ爆豪は!?」

 

「だあああああクソおおおお!」「元気そうだね…。」

 

 

「………くそっ…」

「うぇ~い…!」

「…ケホッ…大丈夫ですか飯田さん…!」

「あ、ああ…なんとかな…。あ!め、眼鏡が無い!」

 

 

「…あ。ゴホッゴホッ。あの馬鹿野郎(化太郎)味方ごと吹っ飛ぶ奴があるか…。」

「融剛!ハヤクオキロ!!化太郎ガ…化太郎が気を失ってるみたいだ!」

「…あ、あ”あ”!?アホかおい!!上かっ!!ヤベエ速度で落ちてきてるじゃねえか!!」

「ちょ!あない速度で落ちて来たら受け止めた側もタダではスマンで!!」

 

「化太郎くん!?大変だ!!麗日さん!」

「うん!あ、でもあんな速さじゃここから個性使っても危険や!」

「じゃあ危険じゃない所から個性使えば問題ないな!」「っ遊戯くん!」

「拳藤!!()ぇ貸せ!麗日!拳藤に投げられろ(・・・・・)!!」

「無茶苦茶だ!」「っ~!やるよ!命掛かってんならやるしかないだろ!」

 

 

「…たく、鳥より高く跳ぶ人間がいてたまるかい。」

「準備いいよ!」「投げたんはワイや、力貸すで!」「麗日さん…!」

「大丈夫!入試試験の時と比べたら全然平気や!」

「化太郎ハ…ココダ。計算上ココニ落チテクル!」

「でも幾ら軽くしても落ちてくる速度は一緒やし、大丈夫なん…?」

「その為の俺だ。化太郎が落ちてくると同時に俺が受け止め、個性で何とかする!」

「ダガ、オマエノ『ダメージフュージョン』ジャ化太郎ニ衝撃ガ残ルダロウ…!」

「何とかするんだよ!」

 

「来た!」

「行け!拳藤!天!」「いくで麗日ちゃん!」

「…超必!!」ポーーーン!

「と、飛んだ!!」

 

FLOAT「おりゃーーー!」タッチ!

 

「おっし!第一段階成功!」

「でもまだ凄い速さだよ!?」

「峰田!俺の足元にもぎもぎいっぱいつけろ!」

「っ!うおおお!」ポイポイポイ

 

 

 化太郎は今無重力状態、だが凄い速さで地面に向かってる。着地点には峰田のもぎもぎ。これで多少はクッションにはなるだろう。だがそれでも足りない。いくら無敵の化太郎と言ってもそれは個性ありきの無敵、個性が使えない強制睡眠状態のまま地面に激突したら化太郎は…!

 俺が何とかしなきゃ…!周りのヒーロー達はぼさっと突っ立ってるまま、教師たちじゃあこの状況に対応できる個性は…たぶん無い。オールマイトなら…だが何処に居る?俺が、俺が何とかするんだ!

 ダメージフュージョンじゃあ露伊戸の言う通り化太郎の衝突の衝撃は何とかできるが反作用まではどうしようもできない。なら化太郎が落ちてくる瞬間に融合して溜めておくか…?止まってる人間にならともかく相手は高速で落下してくる人間…人と物とじゃ融合し易さが段違いだ。それにストックした後出す時の慣性までは制御の対象外…結局地面と激突しちまう。

 どうする。今。イマ、今どうできる…考えろ。考えろ!

 

「化太郎くん!起きて!化太郎くん!!」

「緑谷!あぶねえから近づくな!」

「でもっ!化太郎くんが起きたなら自分で何とか出来るハズだよ!」

 

 確かに化太郎が起きたなら自分で飛べるだろうが…強制睡眠状態から起こすのは並大抵じゃ…!そういえば!

 

「緑谷!やっぱこっち来い!」

「ええっ!?」

「お前の個性で化太郎を浮かせろ(・・・・)!俺も力を合わせる!」

「!!」

 

 

「行くぞ!50%フュージョン…」「TEXAS(テキサス)…」

 

「エア・キャノンナックル!!」「SMASH!!」

 

ブオォォォ!

 

フワッ…

 

「おおおっし!勢いを削ぐことが出来た!!」

「化太郎くん!」「化太郎!」

ドササッ

「ぐえっ」「うぐっ」

 

 

「いってぇ…けど、無事なようだな…」「う、うん…」

「おい化太郎、大丈夫か?」

 

 

 

 

(˘ω˘)スヤァ…

 

 

 

 

「…は、ははは。こんだけ大騒ぎしてたのに良く寝てらぁ…」

「…あはは、化太郎くんらしいな。」

 

「おーい!殺生石は無事かぁ!?」

「ああ、無事だ。慌ててたこっちが馬鹿らしくなる程な。」

 

 

 

『終わってる雰囲気出してるとこ悪いが無事なら結果発表行くぞ!!』

 

 

 

(˘ω˘)スヤァ…

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『一位!殺生石チーム!騎手が寝てて締まらねえな!!』

「だが宣言通り1000万P死守したって訳か…かっこいいが、本当に締まらねえ寝顔だぜ…。」

 

『二位!爆豪チーム!トップから一気にポイントを奪取したぁ!!』

「クソッ…」

 

『三位!轟チーム!一度は1000万ポイント取るもあっさり奪われた!』

「……」

 

『四位!鉄て…アレェ!?オイ!!!心操チーム!!?いつの間に逆転してたんだよオイオイ!!』

「ご苦労様。」

 

『五位!緑谷チーム!』

「……え、ええ!!?どうして…!」

「…さっきの騒動で伝えそびれてしまったが…」

「常闇君!?」

 

「最後の最後…お前の攻撃で生まれた隙を突いた。1000万を取るのが本意だったろうが…殺生石は許してはくれなかったがな。それでも一本、もぎ取ってきた。緑谷、お前が追い込み生み出した隙だ。」

 

『以上5組が最終種目へ…進出だああーーー!!!』

 





加減ってものを知らんのか化太郎。ついやっちゃったぜ。
思わず全力を出して、結果皆に迷惑かける。なるほど主人公じゃねえかおい。
え?方向性が違う?…HAHAHA。
オールマイトどうしたって?人前で変身するわけにもいかなかったから時間掛かっちゃったんだよ(適当




え?5組20人じゃトーナメントし辛い?



だれがトーナメントするって言った?


追記
作者の頭はアホなので細かい点数とか勘弁してください。


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運命の赴くままに戦うお話

別名作者が書きたい戦いを書きたいがために考えたお話。

()


『一時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!!』

 

(˘ω˘)…

 

 

 

キュピーン

(゚ω゚)飯っ!?

 

「なんでいきなり起きれるねんコイツ…」

「…俺等がどれだけ苦労したかコイツに分からせたい…拳骨で…!」

「ま、まあまあ…」

 

「お腹すいた!お腹すいた!」

 

「……なあ緑谷……俺本気で殴っていいよね。全力の一撃を出していいよね…。」

「…だめだってば…。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「やっぱりさとりんの手料理に勝るものは無いんだなって…」

「いや、食堂のメシも美味いだろ?」

「違うんだよセロテープ…「誰がセロテープだ。」なんというかこの食事からは…愛が無い…!」

「愛って…贅沢な奴だなお前。」

「お前いつも女の子の手料理を食べてんのかよ…!」

「というか食ってる量が峰田くらいの質量だな…」

「やめろ砂糖。峰田がなんか美味そうに見えてくるだろ。」

「ヒイイ!オイラは食い物じゃねえよ!!」

「なあ、さっき八百万と耳郎に声かけてたけど何話してたんだ?」

「お?気になるか?気になっちゃうかやっぱり?お前ヤオモモの事気になってるみたいだしな!」

「何ィ!美男美女カップルだとぉ!モゲロ!」

「うるせえモゲルのはお前の頭だろ…。そんなんじゃねえよ、あっちがよく突っかかってくるから気になってるだけだ。」

「美男の部分は否定しないんだな…」

「まあ融剛は誰もが認めるイケメンだしな。今更否定してらんないでしょ。それにバレンタインにはいつもチョコ貰ってるし。」

「んだとぉ…!?やっぱりテメエはソッチ側の人間だって事かァ!!」

「…お前お返しだけでその年のお年玉全部消えた奴でも同じこと言えんの…?」

「言えるわぁ!なんて羨ましい悩みなんだチクショウ!」

「ちなみに融剛にチョコ渡してるのは私なんだけどね!」

「しっかりお返ししなかったら俺は両親兄姉に殺される…。」

「…なんかゴメン。」

「いやーバレンタインって実に割のいい投資ダヨネ!!」「コイツマジでサイテーだ…。」

「話を戻すぞ……。さっき何話してたんだ?」

「お?まあすぐわかるだろ!お前も男ならぜってえ楽しめるぜ!!」「…?」

「なあ、最終種目って何やるんだろうな?」

「んー、雄英体育祭の最後って言ったら一対一のガチバトルって相場が決まってるけど…」

「5組勝ち残って…20人か。トーナメントするとしてもちょっとバランス悪いよな。」

「え?なんでバランス悪いんだ?」

「いや、トーナメントって2の冪じゃないとシードが出来るからバランス悪いだろ?」

「…ニノベキ?」

「…うん、まぁ20人って人数だとトーナメントするにはちょっと不都合があるって事だ。」

「なるほど。つまり20人はニノベキじゃないって事だな!」

「…なんでコイツ雄英に合格したんだ…?」

「ニノベキってあれだろ!あれは美味かったなぁ!」

「お前も何言ってんだ砂糖!?」

「ニノベキ…あれは強かったぜ…!」

「…切島…?嘘だろ…?瀬呂!お前は分かるよな!」

「あ?ああ、当たり前だろ…高校生にもなって…。」

 

 

コソッ「なあ殺生石、ニノベキって何だ?」

「セロテープ…お前…」

(※冪というのは簡単に言って累乗数の事だぞ!)

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

昼休憩終了

 

『最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ!あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……』

 

『ん?アリャ?』「なーにやってんだ……?」

 

『どーしたA組!!?』  チアア!!

 

「峰田さん上鳴さん!!騙しましたわね!?」

「ひょー!眼福ぅ!」

「さっき言ってたのってもしかして…」「ああ!」

「…イイ。」「ああ、イイ。」

「お前等って…本当にアホだな…」「何!?遊戯テメエそれは聞き捨てならねえな!」

「お前それでも男か!」「それとも女子のチアコスが気に入らないのか!?」

「いや、そうはいってねえよ…」「だろ?!じゃあ何でそんなこと言うんだ!」

「…こういうのって化太郎が好きなんだよ…」

「何!?あの無性野郎が!?」「意外過ぎる!」

 

 

「おおお~!皆可愛い!写真とって良い!?」

「ダメよバケちゃん。」

「ももっち!超健康的ボディ!」「うぅ…あまり見ないでください…」「融剛が好きそう!」

「…え?」

「芦戸ちゃんヤベエな!なんていうか…エロスな感じ!」

「ちょ、ちょっと殺生石さん!?先ほどの言葉の真意は?!」

 

「私もチアやりたい!!!」

「「「「 …え? 」」」」

 

 

「好きなんだよ…やるのが…。」

「…まあ、見た目可愛ければ…ね?」

「そ、そうそう!幾らふざけて視界の質量兵器をぶっぱなす奴でも見た目が良ければ…」

「…視界の質量兵器…!?」

「まさか…いやそんな馬鹿な…」

「や、やめろ殺生石!頼むから…」

 

 

「皆!がんばれ♥がんばれ♥」 チアチアア!!

 

 

「…別の意味での質量兵器だなぁ。」

「お、おおおおお、まさに…男の夢…グフッ。」「峰田ぁぁぁ!」

「や、やめろ殺生石…!別の意味で死ぬ…!」マエカガミー

「ぐっ、18禁ヒーローより…18禁…。」

「お、おっぱいが一つ…おっぱいが二つ…」「峰田ああああ!」

 

 

「がーんばれ♥がーんばれ♥がーんば「いい加減にしなさい!」ドグンッ!

「胸から爆音が!!」バイン!

 

「…どうして胸に刺したの耳郎ちゃん…」

「……ゴメン…つい……。」

 

 

 

『マジでやりたい放題かよA組!!!』「本当に何やってんだ…!」イライラ

 

 

 

『気を取り直して、皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目…』

 

『進出5チーム、総勢20人からなる…クジ選出サバイバル形式!!一対一のガチバトルだ!!』

 

「クジ選出…サバイバル!?」「…てなに?去年こんな方式だったっけ?」

「形式は違ったりするけど例年サシで競ってるよ。」

「ルールは簡単よ。この箱の中に進出者の名前が書いてあるクジが入ってるわ。それを二枚引いて、書かれてある名前の二人が戦ってもらうわ!」

「生き残りサバイバル…って言うくらいだから戦って勝った方の名前のクジを箱に戻すのかな。」

「なるほど!つまり運が良ければ決勝戦の一回。運が悪ければ連戦って事も有り得るのか!」

「あんた等ホントにすぐ先に言うわね!!」

 

「でもクジは二つ前の試合が始まる前に引いてもらうわ!試合の準備する時間も必要だし、怪我しちゃったら治療する時間も必要だけど時間は有限!効率良くまわしていくわよ!」

「ん~?つまり最低でも2試合分インターバルは保証されるって事かな?」

「そう言う事!それじゃあ早速最初から3試合分のクジを今から引いてもらうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!レクに関しては進出者20人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。」

「息抜き…生き抜き…!?やべえ私はヘタな結果だったら殺される…!」ガタガタ

「どのタイミングで思い出してんだ…!」

「殺されるってなぁ穏やかやないなぁ…」

 

なんだかんだあって尾白君と庄田二連撃君が棄権することになった。繰り上がって鱗チーム…じゃなくて鉄哲チームの鉄哲君と塩崎さんが進出することになった。この際だからチーム全員でいいんじゃね?と思ったけどライバルは少ない方が良いということで黙っておく。

 

 

いうわけで、最初の3戦の組み合わせを引くことになった。私が。

 

「なんでよ!?」

「いや、あなたが一位通過の組のリーダーだからよ…。」

「納得!」

 

つくづくお立ち台の上に縁があるなあ私は!愉悦!「早く引かないと叩き落とすわよ。」

理不尽が私を襲う。

 

 

結果。

 

緑谷 vs 心操

 

瀬呂 vs 轟

 

飯田 vs 発目

 

の3試合が決まった。どうやら早速因縁つけ合ってるみたいだなぁ。台の上からだと実に分かり易い。

 

「青春ですねぇ。」「青春ね。…ってもういいからさっさと降りなさい。」

ああんもっと居たかったのに…。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

レクリエーション

大玉ころがし

 

「回すことにかけちゃワイの右に出るモンはおらんでぇ!!」ギューン!

「気持ち悪いほどに早っ!」「キモイてなんやねん!」

 

 

借り物競争

 

「おーい殺生石!ちょっと来てくれ!」

「何々!?将来の嫁とか書かれてる!?」

「書かれてたとしたらお前呼ばねえよ!」「酷い!」

 

「で、なんて書いてあったの?」

「『 朝4本足 昼2本足 夜3本足 』って書いてある。」

「私じゃなくても良くねぇ?!」

 

 

応援合戦

 

「がんばれー!」

「…」「どうしたのバケちゃん。」

「いや、葉隠ちゃんを見てたんだけど…」

 

 

「脇から見える景色に下着が見えないんだけどコレもしかしてノー「世界の神秘!!」SLAP!!

 

 

 

そんで

 

『色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!分かるよな!!心・技・体に知恵知識!!総動員して駆け上がれ!!』

 

「…ついに始まるな…!ワクワクしてきたぜ!」

「落ち着け、お前の出番はまだ決まってないんだから。」

「けどよ!一対一のガチバトルだぜ!!落ち着いていられるかよ!!」

「…ハァ。まったく、お前等少しは化太郎を見習え。」「え?」「ん?」

 

 

(-p-)。○゚゚

 

 

「寝とる!?」「また寝てんのかコイツは!!」

 

「ま、自分の番までエネルギーを貯めてんのさ。」

「…その割にはレクリエーション全力で楽しんでたよな…。」

「ほれ、試合前のクジ引き、結果が出たみたいだ。」

 

 

青山 vs 安藤

 

 

「ほー。安藤とやんのか。ドンマイ青山。」

「まるで僕が負けるような言い方」ムッ

「まあまあ、今は緑谷の試合みようぜ!」「相手は普通科…ねぇ…。」

「出来ればクラスでトップを争う戦闘力を持つ方に解説をお願いしたいのですが…。」

 

(υ_υ)zzZ…

 

「…化太郎は本格的にこの試合に興味が無いみたいだし、轟も控室にいるし、…爆豪は緑谷相手だと感情振り切れるし……仕方ない。解説出来る所は解説してやるよ…。」

「お、流石!」

「…さて、早速だが解説に入ろうか。まず普通科がここまで勝ち残ってる事を考えてアイツの個性はかなり強力な物なんだろ。だけど実際の所俺はアイツの個性を見たことが無い。つまりかなり地味な個性と予測できる。」

「おお!すごいそれっぽい!」

「逆に緑谷はリスク有の超絶パワー。リカバリーガールの治療を受けられるとはいえ消耗も激しいからできれば温存したい所。」

「それで?どういう試合になりそうなんだ?」

「ん~、普通科のアイツの個性が緑谷に通ったらアイツの勝ち。逆に通らなかったら普通科相手に緑谷が負けるハズも無い。対人訓練しっかり受けてるしな。」

「なるほど!解説の遊戯融剛さんでした!」「茶化すな。」

 

『そんじゃ早速始めよか!!レディィィィィイ  START!! 』

 

「お、緑谷が動いた…?と思ったら止まっちゃったぞオイ!」

「ああ緑谷、折角忠告したってのに!!」

「デクくん…!?」「おい遊戯!アイツ何で止まったんだ!?」

「…たぶん洗脳系の個性だろ。あんな感じは見覚えがある。」

「洗脳系!?なにそれ激強じゃん!」

 

『全っっっっっっ然目立ってなかったけど彼、ひょっとしてやべえ奴なのか!!!』

 

「う~ん…試合前の舌戦。恐らくあれが発動の鍵だな。」

「…!凄いな、どうしてわかったんだ?」

「ん、経験則。」

「あ、相澤先生がちゃんと解説しとる…。」

 

「…なるほど。確かにあの試験じゃあPは稼げないな、機械に洗脳は通じねえもんな。」

「あああ!緑谷!止まれえええ!」

 

 ブ ォ !!

 

「…!!」「止まった!?」

「すげえ…無茶を…!」

「こいつは予想外だな。あそこから洗脳を解除するなんて…完全に死に体だったが。」

「いけぇ緑谷ぁ!」

「(緑谷の指が…。)まあこれで勝負はついたな。緑谷が戦闘訓練を受けてない普通科に負ける訳がない。個性が無くてもな。」

 

「んぬああああああ!」

ダッ

 

「場外、勝負ありだ。」

 

『心操くん場外!!緑谷君、勝ち残り!!』

わあああああああ!

 

『IYAHA!緒戦にしちゃ地味な戦いだったが!!とりあえず両者の健闘を称えてクラップユアハンズ!!』

 

「ふー…。一時はどうなるかと思ったが結果は緑谷の勝利か。」

「ま、勝ってもクジ次第では疲労したまま試合に出るって事も普通にあるからな…。気は抜けねえ。」

「次は瀬呂対轟か!遊戯!どんな試合になりそうなんだ!?」

「…そうだなぁ……瀬呂って地味なんだけど優秀なんだよな意外にも。」

「えっ!?それって瀬呂にもワンチャンあるってこと!?」

「ああ、瀬呂のテープの射出速度はかなり速い。ただ轟も滅茶苦茶強いからな…瀬呂が勝つには試合開始と同時に奇襲、場外に叩きだすぐらいしか勝ち筋が見えないなぁ。」

 

「…たぶんだけどセロテープは瞬殺で負けるよ。」「化太郎!起きたか。」

 

「ん…まあ轟君の試合はちょっと見たいかな…。」

「瞬殺ってのはどういう事だよ殺生石!!瀬呂も強いんだろ!?」

「ん、瀬呂は確かに強いね。個性は拘束にも移動にも使える優秀な万能個性だ。でも轟君に勝つには圧倒的に速さが足りないねぇ。」

「…?どういう事だ化太郎、瀬呂の個性は十分速いだろ?」

「速い、だけじゃ足りないのさ。轟君の全力を私は見たことが無い。それでもまだ足りないって思うんだからそれで充分でしょ?」

「…おいおい、何が何だか…。」「あ、出久君。」

「緑谷!お疲れ!」

「あ!次のクジ結果が出たよ!」

 

 

塩崎 vs 遊戯

 

 

「お前じゃねえか!」「そぉだな。塩崎…どんな奴だっけ?」「えっと、確か頭が茨の女の子だ!」

「また女の子か!融剛お前本当に女の子に縁があるよなお前!さっきは拳藤っていったか!?」

「…何でだろうな…。」

 

 

『お待たせしました!!続きましては~こいつらだ!

優秀!!優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ!ヒーロー科瀬呂 範太!!』

 

「プレゼント・マイクにも地味って言われてらぁ。」

 

(バーサス)!3位・3位と上位を常にキープ!同じくヒーロー科轟 焦凍!!』

 

「…轟君の顔が怖いなぁ。」「そうか?いつもあんなんじゃねえか?」

「…お前には観察眼ってものがないのな上鳴…。」

 

『 START! 』

 

「やっぱり速攻!!」

「轟くんも避けられずに捕まった!」

「オイオイ!やっぱこれ決まっちゃったんじゃねえか!?」

「…」「…」

 

 

 キ イ ン 

 

 

「や…やりすぎだろ…」

 

『瀬呂くん行動不能!!』

 

「…どう思う?化太郎…。」「ん」

 

 

「想定内。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

試合前のクジで私とももっちが戦うことが決まった。

「恨みっこ無しですわ殺生石さん!」

(˘ω˘)スヤァ

「…っく!私では相手にすらされないと…!」

「ま、待て待て。これはこいつなりに全力で戦うっていう意思表示だ…。」

 

『ザ・中堅って感じ!?ヒーロー科飯田 天哉!

(バーサス)! サポートアイテムでフル装備!!サポート科発目 明!!』

 

「飯田の奴めっちゃサポートアイテム装備してる!」

「おい!あれって良いのか!?」

「主審の判断は…!」

 

『青くっさ!!!OK!』「いいんかい…。」

 

『START!!』

 

「遊戯!解説してくれるよな!」

「…解説も何も…」

 

『素晴らしい加速じゃないですか飯田くん!!』

 

「サポート科って大体あんなんだから解説も何もねえよ…。」「…」

 

 

 

「もう思い残す事はありません!!」

「 騙したなああああああ!!! 」

 

 

「うん……ああ…うん……。」

 

 

 

 

試合前のクジの結果。鉄哲 vs 切島

 

『さァーーーどんどん行くぞ!運と実力が試されるサバイバルマッチ!!!

個性は派手だが成績は地味!ヒーロー科青山 優雅!

(バーサス)!B組からの刺客!ミラクルアンドロイド!安藤 露伊戸!!』

 

「手加減しないよマドモワゼル★」

「…ワタシハ男ダ、軟弱者。」

 

『START!!』

 

「ネビルレーザー!」

「『ガン・キャノン・ショット』」

 

『おーーっと!!これは遠距離戦だあああ!!弾が!光が!飛び交うーー!!』

 

「青山の個性はよく分からんがどうも反動があるみたいだな。だが安藤の個性はよく知っている。アイツの基本戦法は近づいて殴るかターレットを設置しての物量戦のどっちか、あるいはどっちも併用して使う。自分の身体が生半可な銃弾を通さない金属の身体だからな。」

「えーっと?つまりどういう事なの?」

「威力、制圧力、機動力。どれをとっても青山が勝てる要素は無い。だからレーザーを当てられる(・・・・・)ならともかく、撃つために止まる必要があるからそこを安藤は容赦なく狙ってくぜ。」

「…?安藤…ちゃん?の個性ってどういうものなの?」

「あんな見た目でも男だぞ…。安藤は自身に触れた機械を自在に操ることが出来る。そして自分の身体も大半が機械で構成されているから…。」

 

 

「絶対必中『完成されたパンジャンドラム』」シャァァァァァッ!

「な、ああああ!」BOMB!

 

「……」「……」

「体の中からあんなモンがボロボロ出てくるって訳だ。」

 

「青山くん戦闘不能!勝者、安藤くん!!」

 

『随分ド派手な戦いだったぜ!健闘を称えて拍手…ってオイ安藤!!お前試合前と比べて縮んでねえか!?』

 

「…ココニ機械ヲ設置シテナイノガ悪イ……」

 

「あらカワイイ。」「ロリ…?ショタ…?」

「まあ当然身体から出した質量分体積が減るわな。」

 

 

 

「…ていうかよく考えたら次遊戯の番じゃん!準備しなくていいのかよ!?」

「えっ?まあ…こっから直接ステージに飛び降りようかと…」「止めろアホ!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 ハァ…結局正規のルートを走る羽目になった。めんどくさい。

 

「クジの結果、麗日 vs 爆豪!二人は精神整えておきなさい!」

 

 開始前のクジの結果か…麗日、爆豪相手か。可哀想に。あんなんと戦うって思っただけでヤダねぇ。……まぁ、タダで終わることは無いだろうよ。そんな事より俺は…

 

『散らばった残骸を片づけて次の対決!!キレイなアレにはトゲがある!?塩崎 茨!

(バーサス)!既に十分爪痕残してるだろ!遊戯 融剛!』

 

「よろしく塩崎さんとやら。」

「…。よろしくお願いいたします。遊戯さん。」

「…まあ、あんまり女の子とか殴りたくないんだけど…」

「私に遠慮しているのですか?」「まあそうだな。」

 

『START!』

 

「ならば余計なお世話です。私は手加減されるほど弱いつもりはないので…!」ザワッ

「そーかい、じゃあ泣いたら胸くらい貸してやるよ。」

「それも余計なお世話です!!」

 

「おい、おーい!遊戯の奴が戦ってるぞ!起きなくていいのか!」

(˘ω˘)スヤァ

「というかアンタも次の試合出るんでしょ!何のんびり寝てんの!」

(˘ω˘)スヤァ

「目を覚ませー!」

「五月蠅いんだよ葡萄!」「なんでオイラだけ!?」

「ふぁ、ああ、なに?次私の試合か。じゃあちょっくら準備しよ。」

「えー!ちょ、待て待て!解説してってくれ頼むから!」

「えー…轟君でも爆豪でもいいでしょー。」

「いやいや、轟の説明は意味分かんねえし爆豪も全然説明する気はねえって」

「んだよ、解説すら出来ねえの爆豪。」「出来るわテメエ殺すぞ!」

「じゃあやれや!ったく、状況はーっと、ふーん。塩崎さんが髪をわさわさ伸ばしてるねえ。」

「テメエこそ解説出来てねえじゃねえか!アレはステージ全てを覆って遊戯のヤローが逃げるスペース無くしてんだろ!」

「いや、それは正確じゃないな。あれは言うなれば陣取り合戦だ。融剛はステージ一帯を支配して不意打ち狙いがしたい。塩崎さんはそれを察知してか不意打ちの出鼻をくじきたいんだろう。」

「…おお、クラスのトップ達が超解説してる…!」

「融剛はフェミニストな部分があるからねー。なるべく相手に怪我させたくないと思ってるんじゃない?」

「ハッ、舐めた野郎だぜ!」

「だからもし塩崎さんが怪我をするような攻撃を受け始めたら…融剛が本気を出し始めたって事さ。」

 

 

「っ!っく!」

「よっほい!っおっと。へえ、まだそのつる伸ばせるのか。」

「くっ!すばしっこいですね…」

「ほらほらこっちこっち。意外だね、第一印象だと拘束特化だと思ったんだけど。案外範囲攻撃も出来るらしい。」

 

 

「わっわっ凄い!遊戯すごい粘るね!」

「ん、融剛はもうステージ全体を支配出来たはず。でもまだ避けにいってるね。」

「はっ、相手の消耗狙いだろ。怪我させずに勝とうって思うんじゃアイツの個性じゃ接近しなきゃムリだ。だが相手も接近をそうそう許しちゃくれねー。」

「塩崎さんの足元の塊…あれはたぶん急接近してくると想定した反撃用のつるかな?とりあえずアレが無くならないと融剛は強引な手を使うしか突破できないよ。」

「そもそも既にステージの支配が終わってるんだ。相手の視覚から逃れることなんて余裕だろ?」

「たぶんあのつたが切り離されても遠隔操作できるかどうかまだ分かってないんじゃない?切り離しても操作できるんだったら奇襲しながら奇襲されるリスクを考えなきゃいけないし。」

「……す、すげえ。なんてマジな解説なんだ…!」

「でももうステージ上の殆どがつたで埋まっちゃったよ!」

 

 

「ふっ!ふっ!」

「ん、体力の限界かな?」

「ま、まだ…!」

「…気力は評価してやる。でも…俺には届かない。」スッ

「…!!」

 

『ここで遊戯!ステージ上から消えたあああ!どこに行きやがったんだあの野郎!』

 

「っ!どこに……」ボゴッ!「っ!!!」

 

「『フュージョンモンスター:ストーンバイト』!」

 

『で、でけええええ!!!何だオイお前そんな事までできるのかよ!!』

 

「わーお、完全にアピール技だね。」「ちっ!無意味な事しやがって!」

「なあっ!なにあれ!なにあれ!!」

「おい殺生石!」

「あれはステージのコンクリートと自身を融合して作り出した、言わば融剛の鎧だね。」

「あれが自在に動かせるんならかなり面倒だな。だがあそこまでデカくする意味はねえ。」

「だから言ってるじゃん。アピール技だって。そもそも融剛がその気になればこの試合は一瞬で終わったのに…。」

「え、ど、どういう事だよ!アイツ手加減してたって事か!?アレで!!?」

「んー。言っていいものだろうか…。」

「要はアイツの見せ札だろ。」「おおー、爆豪良く分かってるじゃん。撫でてあげようか?」

「要るか!!」

「は!?見せ札って??!どういう事!!」

「これからの運しだいだけど、後何戦するか、誰と当たるかなんてわからないでしょ?それで次自分と当たった相手は当然今までの試合から攻略のヒントを探すわけだよ。」

「だがそのヒントこそ遊戯の野郎が仕組んだ罠。見せかけのヒントに釣られた相手の行動を先読みすることこそが真の目的なんだろ。」

「…」「…」

「…どうした?口空きっぱなしだよ?」

「……ああいや、何でもねえ…。」

「…?あっそう、まあこの試合もう終わるだろうし、控室行ってくるね。」

「お、おう…」

 

 

ドスゥン!

「さあさあ、体力限界、個性も通用しない。どうするんだ?降参するか?」

「っ…!どうして…!」「ん?」

「そんな事が出来るのならどうして始めからしなかったのですかっ!私の個性はコンクリート相手じゃ分が悪い事も貴方からすれば分かりきった事でしょう!」

 

『そうだぞ遊戯!女の子いたぶってんじゃねー!!』

 

「それは自分で考えろ。わざわざ教えてやるかよ。」「っっ!!」

「まあ、ヒントを与えるなら…この試合方法が悪いって事で。」「…なにを!」

「そうだろ?相手がどれほど強くても、覚悟決める時間を与えてくれないんだから。まあ現実問題そんな覚悟決めてる時間なんてねえわけだが…。」

「っ!あああああ!」

 

「…ふっ!」トッ

「あっ…」ドサッ

 

 

『塩崎さん行動不能!遊戯くん勝利!』

 

『ああ、うん、遊戯勝ち抜きおめっとー…。』『やるならちゃんとやれ…。』

 

 

 

 

 

「よう融剛!とりあえず勝ち抜いたみたいだな!代償に好感度ダダ下がりだけど!!」

「うるせー。後何戦するかもわからないんだ。消耗抑えて楽できるんならそれに越したことはないだろ。」

「まあねー。でも塩崎さんかわいそーだなー。こんなクソ野郎の当て馬にされちゃって。」

「誰がクソ野郎だ。こんなワケ分からねぇ勝負方法が悪いんだろ。」

「責任転嫁してる時点でクソ野郎なんだよなぁ…」

「……化太郎。」「おん?なーにー。」

 

「手を抜くなよ。」「…」

 

「…おいおい、そこまでももっちゃんを気に入ったのかよ。」

「…そういうんじゃねえよ。ただアイツがもし手を抜かれたって思ったら耐えられなくなるだろうって思っただけだ。」

「…そう言うのを気に入ってるって言うんじゃ…まあいいか。えーよ。私が全力で仕留めてきちゃるけん。もし嫌われたら一緒に嫌われようや。」

「…ああ。」

「(おーおー。だいぶお熱やの…。まあいっか。融剛だって恋をすることくらいあるか!)」

「フザケタこと考えてねえだろうなぁ…!」「まって私この後試合だっての!」

 

 

「手を抜くな…ねぇ。それがどれだけ残酷な事か分からんわけでもあるまいに。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「クジの結果、緑谷 vs 轟 !二人とも2試合目ね!まだ戦ってない人も集中切らさない様に!」

 

出久君と轟君が戦うのか…これはぜひとも見たいところだねぇ…

 

『やっとつるを除去し終わったぜ!次の試合!!あらゆる物を作り出すぜ!八百万 百!!

(バーサス)!大胆不敵!2位と1位通過でここまで来た!殺生石 化太郎!!』

 

 

「…殺生石さん!私は…あなたを全力で倒す!」

「そう…折角だしももやんの全力…見たかったんだけど。ゴメンね。」

 

 

『START!!』「 お”っ!! 」ドッ!ザザザザッ!

 

 

『…ハァァァ!!?何が起きたんだああああ!!?開始とほぼ同時に八百万が吹っ飛んだあああ!!』

『っ!八百万さん場外!!殺生石くん勝利!』

 

「手を抜くなって言われちゃったから全力で排除するね。」

 

 

 

「…!!!」

「な!何が起きたんだぁ!?」「速過ぎて全然見えなかった…!」「ていうかヤオモモがトラックに轢かれたみたいにぶっ飛んだぞ!!」「し…死んだんじゃねえのかおい…!!」「バカッ!滅多なこと言うんじゃねえよ!!」

 

「…オイ。」「…爆豪か、なんだよ。」

「いまのは…何が起きたんだ…!」ギリィ…

「…何のことはねえ。化太郎が八百万に近づいて、重心を押しただけだ。」

「何も…見えなかったっ!アイツ今まで手を抜いていたのかっ!」

「…違うね、今までも全力だったさ。今のはアイツのイメージ。八百万に勝つイメージが先行し、結果を引き寄せただけにすぎねえ。」

「おい、おいおいおい!そんなスタンド能力みてえな個性アリかよ!!」

「そうだな、化太郎に関しちゃ…何でもアリだ。」

 

 

「だからこそ…勝ちに価値がでるんだよ…!」ぐっ

 

 

 




融剛は解説者の称号を得た。
融剛はゲス男の称号を得た。
八百万の自信喪失ゲージが最大になった。


殺生石化太郎と対峙した時、化太郎が既に勝った、というイメージを持ってる場合相手は詰みます。つまり完全なる格下キラー。
逆に絶対に勝てない、と化太郎が思った場合は絶対に勝てません。死にます。
まあ負けず嫌いなので絶対に勝てないなんて思う事は…たぶんない…かなぁ…だと思う…。
つまり全力の化太郎に勝つにはどうにかして相手の勝ちのイメージを揺るがす必要があります。三味線とか、ブラフとか。
例外にヴィランにはこの補正はあまり効きません。なぜならどんなヴィランでも警戒に値する、という教育が遊戯夫婦によって仕込まれてるおかげだからです。

さあて、化太郎くんは負ける予定ではありますが(壮大なネタバレ)誰が勝つでしょうねぇ。作者にも分かりません。予定は未定で終わるかもしれません。


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暴君に対抗できるのは勇者だけなお話

別名オリキャラ達が大暴れするお話


「…殺生石さん!私は…あなたを全力で倒す!」

「そう…折角だしももやんの全力…見たかったんだけど。ゴメンね。」

 

 私じゃあ届かないのかもしれない。戦闘の経験においては私は殺生石さんの足元にも及ばないのでしょう…。でも、だからはいそうですか、と負けるわけにもいかない…!あなたを倒す策は考えてきました。この勝負……私が!

 

 

S   全身を運動エネルギー其の物に変化。

 

T   変化完了。移動開始。

 

A   手の具現化、完了。接触。

 

R   運動エネルギーの移譲。

 

T               「 、はや 」

 

!!   全力で、押す。

 

 

 「 お”っ!! 」ドッ!ザザザザッ!

 

 

 あ……何が……起きて……そら…?

 

 

『っ!八百万さん場外!!殺生石くん勝利!』

 

 

 負け……負けた…?

 

 

「手を抜くなって言われちゃったから全力で排除するね。」

 

 

 全力……あれが……殺生石さんの……

 

 何も…出来なかった……!

 

 

「八百万さん立てる!?」

 

 

 悔しい……悔しい……!!

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「……おっと、八百万。怪我は無いか?」

「…!遊戯さん!どうして保健所前(ここ)に!?」

「いや、ちょっとトイレ探しててな…。」

「…そう、です…か。……切島さんの試合は見なくていいのですか?」

「ん?まあ大丈夫だろ。なんか長引きそうだし。」

「…」

「…」

「…一人で歩けるか?」

「え?!ええ、大丈夫ですわ。」

「そうか…。席まで歩けそうなら大丈夫かな。じゃあ俺は行くよ。」

「…はい。」

 

 

「遊戯さん!」

「…ん?」

 

「…あ、いえ…。頑張ってください…。」

「……おう。」

 

 

 

 

 

 

出て行き辛ぇぇ……融剛お前こっちにトイレある訳ねえだろお前…心配なら素直に心配したって言えよタコ男がぁぁぁ…!!モモちゃんも言いたいことはハッキリ言えよぉぉぉぉ……!!

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

切島対鉄哲。殴り合いの末引き分け…と。

 

うーん、やっぱりあの個性は大したもんだねぇ…。銃弾も効かない。刃物も効かない。たぶん爆発も効かないんじゃない?

 

でもやっぱり付け入る隙は幾らでもありそうだ。そもそも近づけさせないっていう手も有りだね。

 

次は麗日ちゃんと爆豪か…ある意味見たいけど見たくないなぁ……

 

「お、化太郎。もう戻って……お前なにしてんだ…。」

「なにって…補給?」モッチャモッチャ

 

戻り際に売店探すの面倒くさかったんだぞ…。

 

「助けてくれ遊戯…請け負ったとは言えこの量を持ち続けるのは精神的に辛い…。」

「……悪いな障子…この馬鹿が…。」

「なんで融剛が私の保護者顔なんですかねぇ…」モゴモゴ

「というかどんだけ食ってるんだよオマエ…昼あんなに食ってただろう。」

「しょうがないさね、ちょっとモモッち倒すのに全力出しちゃったし。」パリパリ

「ところで次だが、お前達はどう見る?」

「どうって…どう?」

「どういう試合運びになるって事?」モッサモッサ

「そうだ。」

「そりゃまあ爆豪が勝つでしょー。」ズズズッ

「…お前いつまで食ってるんだ…。まあ、そうだなぁ…麗日の奴って頭の回る緑谷といつもつるんでるし、ワンチャンは有るんじゃねえか?」「やはりか…。」

 

「無いね。無い無い。ないない尽くしの0%だよ。」

 

「おいおい、随分言い切るじゃないか…。」

「この試合方法で身体力の低い麗日ちゃんが勝つ方法は一つ、個性で相手を浮かすのみ。それは分かるね?」

「…まあ確かに、場外に押し出すにしてもちょっと難しいだろうが…。」

「当然爆豪もそれを警戒するだろうし、それでも爆豪の空中機動力は滅茶苦茶高いよ。仮に浮いたとしても爆豪なら麗日ちゃん倒すくらい訳無いでしょ。」

「…そうかも知れねえけどよ…」

「そもそも、どうやって麗日ちゃんは爆豪を浮かす?武器になるものはステージ上にはない。ステージ其の物を武器にするにも、所詮ただのコンクリート。よっぽどの大塊を浮かさない限り爆豪の個性でチリになるだけさ。そして麗日ちゃんは大塊を作る力もないし、爆豪がわざわざそんな物作る意図も無いでしょ。」

「…」

 

「爆豪を浮かす方法も無い。そもそも浮かしても戦闘は継続できるんだ。どうやって麗日ちゃんが勝つんだい?」

 

 

『START!!』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ハァ…。何だろうねぇ。プロのヒーローってあんなんばっかりなのかな…。」

「…や、俺ん処の様な所なんて普通ないから…。」

「…まさか、本当に殺生石の言った通りの試合運びになるとは…。」

「やー、流石に爆豪の大火力はちょっと考えて無かったね。いやはや、あんなんコスチューム無しでぶっ放せるとは見直したわ。てっきりコスチュームあっての大火力だと…」

「……」

「そういえばお前また選出されてるじゃん。」「ああ、それな。また同じクラスの女の子だから気後れするぜー。」「…どの口が言ってるんだか。」

「…まあ、その前に引き分け同士の再勝負だが…」

 

『引き分けの末、生き残りを勝ち取ったのは切島!!』

 

「ステージの補修も終わったし、次は緑谷と轟か…。あいつ等始まる前に因縁つけ合ってたからな…どうなることやら。」

「…の前にクジか。なんかテンポ悪いよなぁ…。」

 

クジの結果。 切島 vs 天

 

「ほぉ。切島君とテンコちゃんか。どんな試合になるか知らん。」

「天…?確かお前達と騎馬戦で組んでたな。」

「そだね、でもぶっちゃけテンコの戦い方ってよくわっかんね。」

「レク見たところどうも回転する個性らしいが…どうだろうな?投げ技が多彩ならば切島不利と見た。」

「んまぁ、その前に出久君と轟君だ。どんな試合になるかね。」

「…殺生石でも予想できないか?」

「んにゃ?出来るって言えば出来るよ。どちらも先手を取りたがるだろ。でも轟君が先手を取るさ。轟君が一気に凍らす。出久君はスマッシュ撃って氷をぶっ壊す。単純だねぇ。」

「それで、どうなるんだ?」

 

 

「出久君が両腕ぶっ壊して勝利。ま、轟君が炎使えば話は別さね。」

 

 

 

 

『 緑谷!!(バーサス)!轟!! START!!』

 

ズアァ!

SMAAASSSHHHH!

 

 

「んー予想通り。」

「…凄いな、予知能力でも持ってるのか…?」

「予知て!こんなもん天気予報当てるのと変わんないよ!」「何?」

「対人戦闘において、『相手を知る』というのは絶大なアドバンテージだ。同時にまた、『相手に知られていない』というのも同じくな。それだけ情報というのは大事なんだ。」

「そして戦闘経験の豊富な人はその情報を基に相手の行動を読むのさ。私が轟君の試合運びを見て先手を予想した様に、同じく予想した出久君が後手でスマッシュ撃つ。なーんて感じにね。」

「緑谷の場合、戦闘経験というより想像力の豊富さだな。そしてその想像力の基は観察力にある。アイツがブツブツ言いながらノートに書き込みしてるの見たことあるだろ?」

「な、なるほど…。」

「でも分かっていても対応する事はまた別問題さ。なあ障子くん、金槌で自分の指先打ったことあるかい?」

「…?まあ、あるにはあるが…。」

「痛かった?」

「ああ、まあな。」

「じゃあワザと自分の指を金槌で叩きたいって思う?」

「思わないな。」

「だろう?誰だってわざわざ痛い思いなんてしたくない。でもホラ、出久君を見て。」

「……」

「出久君の指。たぶん金槌で指叩いた痛みの10倍以上は痛いんじゃないかな?」

「!!?」

「自分から痛みの中に飛び込むのは勇気がいるね。ましてや、それを何度も何度も経験するんだ。恐ろしいねぇ…。」

「…」

「そこまでの代償を払ってでも緑谷が暴きたいもの、それは轟の個性の弱点だろう。」

「個性の力だけでなく、判断力、それに伴う応用力、そして機動力。全て自分を上回る相手にどうやって勝つか。それを考えるために必要なのが情報さ。いやーやっぱ出久君は凄いなぁ。身のこなしから見ても全然喧嘩慣れしてなさそうなのに、勝つために何が必要かよぉーく分かってる。」

「爆豪の戦闘センスとはまた違う才能だな。その代償が両腕全損なら全く羨ましくないが。」

「…というか出久君はあの個性の使い方しか出来ないんかねぇ…。」

「…!」

 

「(一体どういう生活してればこんな発想に至れるんだ…!?俺と同い年な筈なのに、ここまでの差が有るなんて…!)」

 

「…?どうした障子?」「…いや、何でもない。」

 

 

『全力でかかって来い!!』

 

 

「……あぁ、マズいなぁ。」「…?何が拙いんだ?」

「いや、出久君のお節介モード出ちゃったなーって思ってね。」

「お節介モード?」

「いやねー?前から思ってたんだけど、出久君ってたぶん私以上にその時の調子に左右されるんだと思うんだよ。」

「…あー、なんとなく分からんでもない。」

「それでねー、これは融剛と会う前の話なんだけど、喧嘩してる相手にまでお節介焼いちゃう時があるんだよねたまに。それがお節介モードって呼んでるんだけど。」

「…はぁ、なんとなく話が見えてきたぞ。要はナメプしてる轟の()側を使わせたいって所か?」

「さっすがー、話が早いね。轟君と言えばエンデヴァーの子。エンデヴァーと言えばオールマイトの次、なーんて言われ方されてるし。ましてや始まる前の出久君への挑発。そんでもって出久君はオールマイトそっくりの個性と。ここまでピースが揃ってりゃ十分でしょ。」

「…はぁ~、成程。そりゃお節介だな。他人の事情に首突っ込むなんざイカレてるな。」

「まぁ、それが出久君だし。ある意味滅茶苦茶ヒーローしてんじゃん。」

「…余計なお世話はヒーローの務め…か。母さんに言われたなぁ…。」

 

 

ゴオオ!!

『これはーー…!!』

 

 

「ほーら、出久君の勝ち目が潰えた。しょーがねーおバカちゃんだね全く。」

「…はぁぁ~。まったく炎も氷も使う相手なんざ面倒でしょーがねえなぁ。出来ることなら轟と緑谷が当たる前に轟潰したかったぜ。」

「ま、それもくじ運。運命ってやーつ?」「喧しい。」

 

 

W H A K o o O O M !!

 ゴ オ オ オ オ オ !!

 

 

「うひょぉぉお!水蒸気爆発って奴ぅぅぅぅ!!」

「っっ!緑谷死ぬんじゃねえかコレ!?」

「はっは、人間って以外にも丈夫なんだよ!早々死ぬかい!」

「お前が言っても説得力ねえから!」

 

『緑谷くん……場外、轟くん…勝利!!』

 

 

 

 

***** 

 

 

 

 

「出久くーん!!生きてるー?」「おま、さっき言った言葉は!?」

「「「デ緑ク谷くくん!!!」」」

「みんな…次の試合…は、」「びっくりした…」

「ステージがぶっ飛んだから補修タイムだって。それより腕大丈夫?もげてない?」

「怖かったぜ緑谷ぁ、あれじゃプロも欲しがんねーよ。」ドッ

「塩塗り込んでくスタイル感心しないわ」「でもそうじゃんか。」

「うるさいよホラ!心配するのは良いがこれから手術さね。」ババー

「「「シュジュツー!!?」」」ええ!?

「流石に粉砕骨折はリカバリーガールとはいえしゅぢゅちゅですか。」

「言えてないよ。粉砕骨折ってよくわかったね。」「まあ経験上。」「経験上!?」

 

 

 ◆

 

 

『炸裂ピンキーガール!!芦戸 三奈!!

(バーサス)!さっきは一瞬すぎてワケ分かんなかったぞ!殺生石 化太郎!!』

 

「私だって全力でやるんだ!負けないよ!」

「…そ。芦戸ちゃんには悪いけど、勝つから。」

 

「(殺生石のあの超スピードには敵わない。なら…)」

『START!!』

「スグに強酸ばら撒く!!」

『芦戸!超速を警戒していきなり酸を吐き出したぁぁ!!これには殺生石警戒して動けないか!?』

『…いや、ありゃ動く気が無いな。』

 

「…?なんで動かないの…?まぁ、動かないなら酸の的に…!」

 

 

すぅぅ…

 

 

「な、なぜ動かないんですか!?」「手を抜いてんのかアイツ!?」

「…いや、『溜め』てるんだ。」「溜め…?」

「…!殺生石の背中から翼が!」「なんだありゃ…。植物みたいな羽だな……。」

「…何をするつもりだおい…」「あれは…まさか、タブー…?」

 

 

 

「そんなキラキラな羽で何をするつもりか知んないけど…食らえ!酸弾っ!」ビャッ

 

 

 

「 OFF波動 」

 

 

 

『…はっ!何が起きたんだ!!?ステージから芦戸が…っていうかミッドナイトもセメントスもぶっ飛んでるぞオイ!!!』

 

 

 

「なあああ!!いつからここはスマブラ会場になったんだ!?ぽんぽん人を吹っ飛ばしやがって!!」

「あんなのどうやって避けるんだよ!」

「…!!ふざけやがって…!あれがアイツの見せ札だってのか!!」

「見せ札…って言うより、俺達戦う側の心を折りに来てんだよ…。さっきは超スピード、次は不可避の範囲攻撃。」

「おいおいおい!マジであんなんどうやって攻略すればいいんだよ!」

「正に暴君…」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『天 転々(バーサス)切島 鋭児郎!!』

 

「なんや、さっきのが派手すぎて霞んじまうわなぁ…。堪忍してぇよもー。」

「ほんとにな、だけど地味に負ける気はねえぜ!」

「はん、なんやジブン。そない個性しとるからって勝った気でいるんは間違いやで。」

 

 

『START!!』

 

 

「先手必勝!」

「ひゃー、直撃は痛い、カスっても鋭利に切られる。たまったもんやないなぁ。」

 

 

「じゃあ当たらずに当てるしかないわな。」ドッ「っ!効かねえよ!」

「なあ知っとるか?人間って腕より脚の方が長いんやで?」

「っ!だからっ!なんだ!全然っ!効かねえぞっ!」

 

 

 

「テンコちゃんって意外にも足技使いなんだなぁ。」モグモグ

「俺はこっちの試合よりお前の弱点の方が気になるんだが…。」

「これから戦うかもしれない相手に教える訳無いだろ轟くん!」モグモグ

「天の奴は距離を保ちながら蹴り続ける…でも切島には効いてないな。どうすんだ?」

「ああ、あれは誘いだよ。」「誘い?」

「要はああやって蹴りを入れながら距離を保つ、切島は距離を詰めながら個性で防御する。だが天の奴足が長いからな、切島のリーチの外側から一方的に攻撃できんだ。当然切島は攻めるために相手の懐に飛び込むが…。」

 

 

『うおおおおおお!!回る!回る!!回るうううう!!!天のやつ容赦ねえええ!!』

 

 

「実の所テンコちゃんの本当の間合いはその距離だったって訳。」バリバリ

「ヘッドロックしてジャイアントスイング…そのまま投げるのかな?」

 

 

 

「がっ!ああっ!!」

「ほれほれ!まだまだ回るでぇぇぇ!!」

「はぁなぁせぇぇぇぇ…!!」

「お?ええんか?放すと場外ひとっ跳びやでぇ。」

「ぬぐぐっ!クソぁぁああ!」

 

 

 

「ああなると切島君厳しいねぇ。暴れるしかないけど、暴れると首が締まって苦しいよ。」ゴクッ

「しかも回転速度が更に加速していってる…そろそろ投げたら一気に場外になるな。それまでに切島は何とか打開の一手を打てるか?」

 

 

 

「ほなそろそろいくで!せーぜー頭打って死ぬんやないで!」

「っ!コナクソ!」

「!ちょ!おまどこ掴んどんねん!放しぃ!!」

「放すかぁ!うらあああああ!」

「ギャー痛たたた!!折れてまう!!」

 

 

「おおっ!あんな体勢から尻を揉みに行くなんて大胆だね!」

「いやソコ!?」

「え、だってテンコちゃんあんな見た目でも女の子だし、切島君も男なんだなぁって。」

「…まぁ、試合中の事故だ。それより切島の奴自分の足をアンカー代わりにステージに打ち込むなんて考えたな。天は切島をしっかり固定してる分、回転力が仇となったな。」

「うへぇ、肉が骨から剥離しそうだ…。」

「やめろ、そんな事いうと見ていて痛くなる…」

「流石にテンコちゃん放しちゃったねぇ。」

 

 

「お、ケツが割れるぅ…」「すでに割れてるだろ…う”、目が…。」

「イダダ…全くA組の奴らはワイのケツにもうちょい敬意をはらわんかい…!」

「野郎のケツに敬意をはらうかよ。」

「ワイは女や!」「…え?」

 

「スキアリ!『D・D・K(ドリルドロップキック)!!』」ギュゥゥン

「っ!ぐっあああああ!」ギャリギャリギャリ

 

 

 

「うわ!すげえ火花が散ってやがる!」

「恐ろしい技だ…!高速回転することで貫通力を上げている。」

「流石に切島もこれには苦悶の表情か。」

「どれだけ硬くなっても衝撃まではどうにも出来ないみたいだね。」

「というか切島の奴、足を止めて受け止めきったぞ。」

「あーらら。そりゃまずいね。」「どうして?」

 

 

 

「痛ぇ…だが止めたぞ!」

「じゃあオカワリはどうや?!『頭足投げ』!!」ドッ

「ガァァ!!」ガァン!!

 

 

 

「うわっ!頭からモロに行った!」

「足で頭を掴んで投げる…言葉にすると簡単だけど普通無理だろ……。」

「無理を可能にしたのはテンコちゃんの個性だねぇ。たぶんあの個性は自分の身体の一部を支点に回転できるって個性だと思う。」

「つまり自分の重心を支点にして足で固定した切島を地面に叩き付けたって事か…。」

「普通の人だったら頭が砕けてもおかしくないな…。」

「…切島も流石にダウンか。当然だな、生きてる以上血は流れてる。だがあの勢いじゃあブラックアウトすんのも仕方ない…。」

 

 

『切島くん戦闘不能!勝者、天さん!!』

 

 

 

 

 

 

『遊戯!(バーサス)!上鳴!』

 

「あーやだやだ。トップクラスの戦闘馬鹿相手にすんのはよぉ…。」

「…(お前の方がバカだろ。)」

「…でも、あの時の戦闘訓練の借りはきっちり返させてもらうぜ!!」

 

 

『START!!』

 

 

BZZZZZZZZZZT!!

 

『強烈ゥゥゥ!!上鳴初っ端からぶっ放した!!眩しくて見えねー!!』

 

 

「へっ!どーだ!幾ら遊戯でも電撃までは…」

 

 

「ああ、ちょっとチクッとしたな。」

 

『あれだけの大放電でも効いてなーーい!!どーなってんだ遊戯ィ!!!』

 

 

 

「融剛にダメージ与えたかったら不意打ちか見えない方向から攻撃するか、もしくは相打ち覚悟のカウンターか…いずれにしても難しいね。」

「ダメージ…なんちゃらって技だっけか。アンタも大概だけど、遊戯の奴も十分チートだよね…。」

「ところで轟くん。参考までに聞きたいんだけど、キミならどうやって融剛を攻略する?」

「…そうだな。奴の個性にも限界はあるだろ、そこを突く。」

「ほうほう、成程ね。」

 

 

『上鳴二度目の大放電!!何も見えねー!!』

 

 

「うぇ、ウェイ…」

「残念だなぁ上鳴。せめて指向性さえ付けれたなら多少節電にはなるだろうに。」ガッ

「ウェイ!?」

 

「そーら飛んでけー。」「ウェエエエエイ!!」

『上鳴くん場外!遊戯くん勝利!!』

 

 

 

 

 

『常闇!(バーサス)!安藤!』

 

「…」「…」

 

『START!!』

 

「休まず攻めろ黒影(ダークシャドウ)!!」『アイヨ!』

「穿テ。『ガン・キャノン・ショット』!!」

『クタバレェ!』

「『パイルシュート』!」『痛ックナイ!』

「ムッ、ナラバ本体ダ。走リ回レ。『小さな小さなローリングボム』!!」

 

 

 

「前から思ってたけどさ…。」「おん?」

「安藤ってなんで珍兵器好きなの?」「浪漫だからじゃね?」

「なんか小さなもやっとボールがステージ上を所狭しと駆け回ってるんだけど…。」

「小さいって言っても50㎝くらいあるし当たればただでは済まないよ。常闇君もダークシャドウで弾こうにもロイコの砲門が常に狙ってるから自分の足で避けるしかないし…あれ?意外と役に立ってね?珍兵器。」

「常闇も個性無しの身体能力が高ければなぁ…もったいない。」

「うーん…ロイコはどんどんロリロリしくなってくねぇ。」

 

 

 

「くっ!黒影(ダークシャドウ)!」『オリャァ!』

「邪魔ダ、『フラッシュバン』!」ビカッ『ギャン!』

「…フム、ヤハリ影ニハ光ガ弱点ノヨウダナ。」

「(黒影(ダークシャドウ)の弱点がばれたか…!ならば)短期戦だ!黒影(ダークシャドウ)!」

「フッ、『インパクトストロボスコープ』!!」ヂカヂカヂカッ『ギャー!!』

「集マレ自走爆雷。サテ、棄権スルナラ良シ、サモナクバコイツラガ火ヲ吹クゾ?」ヂカヂカ

『ヒィーン…』

「くっ……まいった。」

 

『常闇くん降参!安藤くん勝利!!』

 

 

「常闇は個性じゃなく地力を鍛えるのが課題だな。そうすれば安藤にも勝てるチャンスはあったんだがなぁ…。」

「しっかしロイコも大盤振る舞いだね。ローリングボムだっけ?アレ4つも出すとか消耗考えてないのかよ。」「お前が言うな!」

 

 

 

 

『飯田!(バーサス)!天!!』

 

 

「よーよーあんさん。中々足はやいんなぁ。」

「む?ああ、自慢の脚だ。」

「そーかそーか、でもワイも足は自慢なんやでぇ。」

 

 

 

「飯田くん大丈夫かな…。」「うん…あの人に捕まったら速さなんて関係ないもんね…。」

「…レシプロバースト…だっけ?飯田の個性の『間違った使用法』ってのは。」

「うん…。」

「……勝負の要はそのレシプロバーストを使うかどうかだね。」

「…やっぱり使ったら飯田くんが勝つの?」

「いや…逆だ。」

 

 

「開幕レシプロバーストを使ったら負けだな。」

 

 

『START!!』

 

「行くぞ!」DRRRR

「(使わへんのかい!)」

「うおおおお!」

「ちぃっ!使わなんだったら別の方法で戦うだけや!」

 

 

「えっ!?使ったら負けるってなんで!?」

「テンコちゃんはあれでも意外と打たれ強いんだよ、だから仮にレシプロバーストの速さからの攻撃を受けても反撃することができるね。」

「そうなると今度は飯田が苦しい。なんせバーストは制限時間が短いからな、エンストしたところを狙われる。」

「また、かなりの速度からの場外まで運ぶのも難しいね。テンコの個性は回転。自分をコマのようにグルグル回せば掴むこともままならない。」

「…だが今はバースト使ってないからそっちの解説をするか。飯田はプレゼント・マイクも言ってたが中堅って感じだな。」

「言い方を変えれば弱点らしい弱点が無いって事だね。遠距離からでも個性を使って相手に高速で詰め寄れるし、近接戦闘は飯田の肉付きを見てもだいぶ強い方だ。」

「恐らく脚のエンジンを使った高威力の蹴り技主体だろうか。蹴りってのは思いのほか戦いにおいて効率は悪いんだ。なんせ普通の人間は足は二本しかないからな。片足で体のバランスを取る必要がある。」チラッ

「私を見るんじゃない。そりゃ私は『普通の人間』じゃないけどさぁ…。」

「だが飯田の蹴りは…見る限りかなり出が速い。そして両足が浮いてもそこから蹴り足を出せるのはかなりの強みだ。」

「それを可能にしてるのは飯田君の個性だけじゃなく体幹を鍛えてるってのもあるね。そして体幹を鍛えるって事は戦闘において攻撃力と防御力の向上に繋がるのよ。」

「つまり飯田は攻撃守備のバランスがよく、機動力が高めの純格闘タイプって所だな。」

「さぁてさて、一方でテンコちゃんの方だけど…」

 

 

 

「ぐおっ!まるでブレイクダンスのようだ…!」

「はっはぁ!下から上から連続で蹴られた事は無いやろぉ!」ギュルギュル

「くっ!このお!」ブォ

「おおらぁ!」ガッ

 

「「~~!!」」ジィィン

 

 

 

「ひぃっ!」「うわっ、今のはお互い痛いな…」

「見てただけやのにこっちが痛なってきた…」「スネとスネがぶつかったぞ…。」

 

「ま、まあともかく、テンコちゃんはどうやら個性を多用する軽業師タイプって所かな。」

「ああいうタイプは道場とかで格闘技習っているような奴に思いっきり刺さるんだ。なんせ型らしい型が無いからな。経験則で防ごうにも元々の経験が無い。」

「まさか常に逆立ちしながら蹴り入れてくる相手なんて想定してないでしょ。相手からすれば自分の脚と相手の顔がより近づくんだから致命的な一撃を入れやすいんだ。でも自分からすればまさか相手の顔が自分の腰より下にあるなんて思わない、結果意外なダメージを受けやすい。」

「だが型にはまらないってのは往々にして邪道でもある。何で型があるかっていうと、その方が力が入れ易かったり、攻撃と防御が一体になってたり色々な理由がある。だが邪道にはそれが少ない。だからこそ邪道なんだか…」

「テンコちゃんはそのデメリットを個性の力でカバーしてるね。今ブレイクダンスみたいに上も下も無いような型は力なんて入るはずもないけど、そこに遠心力を加えることで威力を稼いでいるんだね。」

「やれやれ、ヒーローじゃなくバレリーナかフィギュアスケーターにでもなれば稼げるんじゃないか?」

 

 

 

「でやぁ!」DRRRR

「おりゃぁあ!」ギュルギュル

「(くっ!このままでは燃料が切れてしまう…ここは一か八か賭けに出るか…?)」

「(ぐぬ、しぶといやっちゃ!なかなか掴ませてくれへんし、いい加減目ぇ回ってきたわぁ…)」

「(…いや、まだ賭けに出るのは早いか…。相手の回転をどうにかしないと……そうだ!)」

 

「うおおお!」DRRRR

 

『おっとぉ!どうした飯田!!突然相手に背を向けて駆け出したぁ!!どこ行くんだ!』

 

「ぅ、なんや、何のつもりや…。」

 

「ギアチャンジ!」BABBBBBBB

「…なっ!早っ…くっ!『スピンハイ』!!」ギュギュギュゥゥゥゥゥン!

 

 

 

「凄い!いったん距離を取って加速する時間を稼いだんだ!」

「頑張れー!飯田くんー!」

「なるほどね、相手の回転力に負けないように加速力を追加したんだ。」

「だが諸刃の刃、相手の回転力も更にあげる時間を取らせちまった。」

「さぁてここが勝負の分かれ目。テンコちゃんも打たれ強いとはいってもあの速度からの蹴りを食らったら場外も有り得るね。」

「えっ?それならレシプロバーストの時に蹴られても一緒なんじゃ?」

「違うぜ麗日。レシプロバーストの時は『速過ぎて』相手が飛ばないんだ。」

「慣性の法則ってやつさ。ギアチェンジした今なら、まあ蹴り方次第で場外まですっ飛ばせるかな。」

「…あれ?殺生石くんが八百万さんを飛ばした時はどうなの?」

「あれは自分の運動エネルギーを相手にそのまま移す『技術』だよ。飯田くんの蹴りじゃ無理だね。」

「話を戻すが、飯田の蹴りが決まれば勝てる、だがあの回転の前にどう出るか…。」

「…もし、決まらなかったら…?」

 

 

「まけちゃうんじゃなーい?」

 

 

 

「行くぞ!!」BABBBBB

「来なくてもええで!」ギュギュギュゥゥゥゥン

「(殺生石くんの見せた、自身の速度を相手に移す技。速過ぎて見えなかったが恐らく、『押す』ことが重要なんだろう。だが、あの回転速度の前じゃぁ押す事は困難を極める…なら僕のやれることは…!)」

「おおおお!!」BBBBB!

「……」ギュギュギュゥゥゥゥン

 

「今ぁ!」

 

 

ずぁぁあ!

 

 

「って居らへん!!」

「後ろだ!」ぶぁ「何ぃ!」ガッ!「っぎぃ!」

 

『重い蹴りが脳天に直撃ぃぃぃ!!』

 

「レシプロバーストォ!!」ガシィDRRRRR

 

「おおおおお!!」DRRRRR

「ま、まて…」

 

「おおおりゃああ!」ブゥン

「がっはぁ。」ドッザザ…

 

 

『天さん場外!勝者、飯田くん!!』

 

 

 

「へー、あの速度から攻撃…と見せかけて一端相手を通り過ぎる。」

「速度に釣られてカウンター決めようとした天は攻撃をスカし、大きなスキを晒した。」

「そ…その隙を飯田くんが突いて…。」

「相手が怯んだ所をレシプロバーストを使って場外へ運んだ…。」

「あんなメガネしてなかなかの頭脳プレーするじゃないか。」

「メガネ関係なくない!?でも凄いよ飯田くん!!」

「……さぁて、じゃあちょっくら行ってくるね。」

「…ああ。恥になる様な戦い方すんなよ。」

「…そっか、次の組み合わせは…。

 

「爆豪対化太郎だ。」

 

 

 

 




不可避の超スピード。不可避の範囲攻撃…一体こんなんどう相手どれば勝てるんだ…!(戦慄

Q.OFF波動ってなあに?

A.公式チート(ただし弱体化する)


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神もサイコロくらい投げたくなるよってお話

別名その場のノリで書き続けてここまで来ちゃったけどこれもうどうやって収拾つけりゃいいんだだれか教えてくださいってお話。


小話

「ねえ殺生石、アンタんちって外食もままならないくらい貧乏って言ってなかったっけ…。」
「確かにあんまり外食に行けないけど…それがどうしたの?」
「いや、さっきあれだけモリモリ食ってたじゃん?あれ屋台のでしょ。お金どうしたのかなーって。」
「…それはね。」
-----
---
-

「たこ焼き一つくださいな。」
「あいよ!一つ500円ね!」
「…あの、今持ち合わせなくて…」しなっ
「エロッ!!無料で!!」
「ありがとー!!」


「…ほうほう。」

-
---
-----
「で私も試したら「うまく行ったってか何してんだお前。」
「あなたそれでもヒーロー志望なの?」
「え、だってそれやってたのプロヒーローのMt.レディだったし…。」
「ええぇ…」


「…へいへいボンバーマン。私と戦う前からそんな汗だくでどうしたんだい?」

「うるせえ。テメエをぶっ殺す!!」ハァ…ハァ…

「ほぉん?お前が私を殺すどころか怪我、血の一滴流すことが出来ると思われてるなんて心外だなぁ。」

「…!!」

「現実見ろよ、お前と私じゃゾウと蟻のフン以上の差が有るってよ。」

「ぶっ殺す!!」

 

 

『START!!』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「……」

「かっちゃんは…化太郎くん相手にどう戦うんだろう…。」

「緑谷でも予想出来ねえか…。」

「うん、というより化太郎くんが全く分からないっていうか…あ!分からないっていうのはそういう意味じゃなくて「分かってるよ。俺だってアイツの事分かんねえ事だらけなんだから。」

「…ねえ、遊戯って殺生石と一緒の中学通ってたんだよね。」

「一緒の中学どころか週に3~4回は戦闘訓練してたさ。」

「じゃあ化太郎くんのクセとかも…」「ああ、知ってる。」

 

 

「あいつは戦う度にほぼ別人みたくなるって事をな…。」

 

 

『START!!』

 

 

 B O O O O O M  !!

 

 

「ぶぁっ!!爆豪の奴いきなりぶっぱなしやがった!!」

「なるほどな、入場したときから肩で息してたように見えたが、要は最初の一撃の為に汗を流してたわけだ。」

「か、かっちゃんは汗を爆発させてるから基本スロースターターなんだけど、最初の一撃の為にわざわざ汗を掻いてくるなんて…!」

「それだけアイツの初撃を警戒したって事だろ。だがそれだけじゃあ爆豪も前の二人と同じ結末を辿るだけだ。」

「あ!見て!殺生石が…!」

「…あの構え…。OFF波動か!!」

「おいおい、また主審とセメントスぶっ飛ばす気かよ。」

「ああ、流石にミッドナイト怒ってる…。」「当たり前だよなぁ。」

「でも一切聞いてねえなアイツ。」

「…おかしい、変だよ!化太郎くんが同じ手を使うなんて!」

「…そうだな、たぶんあれは爆豪からの一撃を誘ってる。要はフリだ。」

「えー!なんで一発で爆豪倒さないのー!?」

「倒さないじゃなくて倒せないんだろ。」

「え?なんで?」

「あいつの個性はイメージが基本にして全てだ。つまり爆豪は一撃で倒せる奴じゃないって思ってるんだろ。」

「……それってつまり私達は一撃で倒せる程度の相手だと思われていた訳でしょうか…。」

「…あ、やべ。口が滑った。」

「遊戯ちゃん、言って良いことと悪いことがあるわ。」

「爆豪が動いた!」

「…!跳んだ!!」

「何する気だ…」

「もしかして必殺技的な何かじゃ…。」

 

 

榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!

ドッ

 

 

ゴォォォォォォン

 

 

「な!んて威力っ!」

「爆風スゲェ…!」

「分かってたことだけどやっぱ強個性だよなほんと…!」

「化太郎くんは…!」

 

 

「居ない!?ステージ上の何処にも!!」

「…上だ!」

 

 

オオオオオオオオオオオ!!

 

 

「…んだよ…。何なんだよマジで!マジで何なんだ化太郎は!!」

「なんだあれ…竜…!」

 

 

「り、り、リオレウスだあああああああああああ!!!」

 

 

ゴアアアアアアア!!

 

 

「は、はは。スマブラの次はモンハンかよ……滅茶苦茶にも程があるだろ…?」

「大盤振る舞いってこういう事を言うんだね。」

「正気になれ葉隠!言ってる場合か!?」

「おいおいおい!爆豪あんなモン見たら流石に降参…。」

「…する気0だな。」

 

 

BBBBBBBB!

 

 

「マジかおい!あんなモンに立ち向かっていきやがった!」

「そうか!確かにあれはデカいけど一度背中に回ったら…!」

 

 

ゴアアアアア!!

 

 

「…流石に許しちゃくれないですよねー。」

「か、火球放ちやがった…あんなモン直撃したら死んじまうぞオイ…。」

「…いや、どうやらただのハリボテみたいだ。火球が着弾したところ見ろ。」

「…え?あれ、なんともなってない…。」

「んー?つまり当たったらどうなるの?」

「…まあ。良くて場外。悪くて意識不明ってとこか?なんにせよあんなモンに変身してはいるが中身は化太郎だ。」

「…いや、全然安心できる要素じゃないんだけども。」

「二発目くるぞおお!」

「…!かっちゃん!危ない!!」

「マジか馬鹿!」

 

 

ゴアアアア!

BOOOOOOM!

 

 

BOOOOOOM!

グアアアアアア!

 

 

「…は、マジかアイツ。いかれてんじゃねえの…?」

「火球を正面突破しやがった…。」

「そんで口の中に飛び込んで爆撃とか…お前ドラゴンスレイヤーかよ…。」

「うわぁかっちゃんまだ追撃する気だ…!」

「…おいおい、首にしがみついて…まさか首を落とす気じゃ…!」

 

 

BBBBBBBBBBBBBOOOOOOOOM!

 

 

「やりやがったああああああああ死んだあああああああ!!!」

「うるせえ峰田、死んでねえよ…!別の姿に変身しただけだ…!」

「今度はどんな化け物に変身する気よ!」

「…人?…違う、人じゃない。何だあれ、デカい…?」

「…まじか。ああまじか。あれは…」

「おいおい、竜退治の次は鬼退治かよ…。爆豪の奴一日で伝説作りすぎ…。」

「何なのアイツ…もう爆豪題材にした絵本が売れるレベル。」

 

 

おおおおおおお!

 

ドゴン!!

 

 

「うわ!一撃でステージ割りやがった!!」

「流石に爆豪も冷汗が止まんないみたいだね!」

「葉隠お前それが素なのか!?混乱してるのか!?」

「…もうプロのヒーロー達これただの見世物としてしか見てねえよ。」

「そりゃそうだろ…俺だってこんなんテレビ越しで見てたらポップコーンとコーラの準備するわ。」

「うわぁ、爆豪も連打するけど全然通用してない…!」

「…というか爆豪、あんな高威力の爆撃連打して腕大丈夫なのかよ…。」

「最初の一撃、必殺技、竜退治の連撃、そして今。タフネスの権化かよ…。」

「!!鬼の金槌の一撃が来るぞ!」

 

 

ドゴン!!

 

 

「死んだああああ!爆豪死んだあああああ!」

「だから死んでねえよ!ってかいつの間に爆豪顔に張り付いてやがる!!」

 

 

BBBBBBBBBBB

 

 

「猛爆撃!!これには鬼もひとたまりもない!」

「ひゃー!爆豪はイヌサルキジ要らずだ!」

「分かった葉隠お前錯乱してるだろ!お前完全に錯乱してるだろ!」

「あ!化太郎くんがまた変わっていく!」

「竜、鬼ときて今度はなんだよ。虎か?熊か?」

 

 

「 お前はここで終わりだがな! 」

 

 

「ぬえだああああああああ!」

「ぬえってあの伝説の?」「伝説って?」「ああ!」「やっとる場合か!」

「ぬえ…確かに化太郎みたいなというかそのものというか…。」

「ぬえ…その正体はなんなんだ…!」「わからぬえ。」「しらぬえ。」「お前等…。」

「今度は弾幕はって近寄らせない気だ!」

「爆豪…あの弾幕を避けられるのか!?」

「やったぬえ。」「お前マジでいい加減にしろ!」

 

「…化太郎は…何が狙いなんだ?こんなわざわざ消耗するような戦いをして…。」

「わからぬえ。」「しらぬ「次それやったら例え女の子だとしても顔殴るから。」…」

 

「…もしかしてだけど…選手宣誓の時のあれかな…。」

「…あれ?既に格付けはなされたってやつか?あんなんただの挑発じゃないのか?」

「もし…もしあの宣言が本気だったとしたら…。」「うわあああ爆豪のヤロー女の子の顔面爆殺したああああああ!」「全国のぬえちゃんファンの皆さんごめんなさい!」

「…もうなんだか慣れてきた自分がいて怖いわ。」

「奇遇だねあすっ…ユちゃん。僕もだよ…。」「自分のペースでいいのよ。」

 

 

「わーたーしーがー!

 

             変身してきた!!!」HAHAHA

 

 

「おおおおおオールマイトォォ!??」

「ちょっ!流石にそれは拙くないか!?」

「もはや何でも有りなのね。」

「分かってたけど…分かってたけど!」

「爆豪の奴も固まってやがる…!」

「無情…。」

「マズい!かっちゃん!!」

 

 

DETROIT SMASH!!

 

 

「あああああ!流石の爆豪もオールマイトには勝てねえよおおお!!」

「…いや、あれはオールマイトじゃねえ。所詮偽物だ。」

「偽物でも観客席の下の壁吹っ飛んでるじゃねえか!!十分化け物だ!!」

「!かっちゃん!!」「!?上だ!」

 

 

榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!

 

ドッゴオオオオオオン!!

 

 

「ち、直撃した!?直撃したよな!!」

「殺生石の事だ、また何か隠し玉を使うに違いない…。」

「あー!見て!!」

「…マジかよ……本格的に心をブチ折りに来てやがる…。」

「…!脳無!!?」

 

 

 

GRAB

 

BBBBBBBBB

 

 

 

「ああああああ爆豪が捕まっちまったああああああ!」

「逃げようとしてるけど…離れられない…!!」

「攻撃が全然効いてねえ……!」

「化太郎は何を…投げるつもりか!?」

 

 

 

THROOOW

 

BOBBBBB

 

 

 

「上手い!爆風でギリギリ場外は免れた!」

「でも追撃してきてるぞ!爆豪ぅ!!!」

「おい!何とかしろ爆豪!!」

「かっちゃん…!」

 

 

閃光弾(スタングレネード)!!

 

 

「うおっ!眩しっ!」

「閃光っ!あんな器用な事も出来るのかっ!」

「やっぱアイツ性格クソだけど才能の塊だな…。」

「脳無も怯んでる!チャンスだ!」

「イケェ爆豪!!」

「爆豪!!!ぶちかませェ!!」

「爆豪!!!」

 

 

BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBOOOOOOOOOM!!!

 

 

「出たァァァァ!!爆豪の絨毯爆撃ィ!!!」

「倒せー!爆豪ー!」

「爆豪!!爆豪!!」

 

ば・く・ごう!ば・く・ごう!ば・く・ごう!ば・く・ごう!

 

「…この会場の雰囲気、なんだか嫌ね…。」

「蛙吹もそう思うか。でもコレすらも化太郎の掌の上っていう気がしてならねぇ…。」

「かっちゃん……」

 

 

OOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!

 

 

「!!!?」ビリ…

「ンだっこれ!!!」ビリ…

「耳がっ!!」ビリ…

「あああ頭が割れるぅぅぅぅ!!」ビリ…

「怪音…!!」ビリ…

 

 

 

「と、止まった…?」

「…は、勝負は!?」

「かっちゃん!」

 

 

ガラッ…

 

 

「かっちゃんが…負けた…?」

「嘘だろ…?あんだけ大暴れしてた爆豪が負けたって…?」

「おい。オイオイオイオイ!!じゃあ誰があんな化け物に勝てるんだよ!!」

「勝てねえ…こりゃもう優勝は決まっちまったな…。」

「あんな相手に…どう戦えば…!!」

「…クソ…。」

 

「(飯田くん…轟くんも……。もしかして、化太郎くんの狙いはこれ…?)」

 

「格付け…か…。」「遊戯くん…?」

「分かってたとはいえ、改めて化太郎は残酷無比だな…。爆豪を『使って』俺等から戦うっていう意欲を殺しにかかった。あんなモンにどうやっても勝てねえって、イメージを刷り込まれた…。」

「……!」

「そうやって対戦相手に絶望を刷り込んで、自分の勝率を確実な物にさせる…。全く、大した作戦だぜ。」

「遊戯くん…」

「(だからって負けるわけにはいかねえぞ…!なあ、露伊戸…!)」

 

「(…今融剛ト目ガ合ッタキガスル…。融剛モ似タヨウナコト考エテルナ…。)」

 

 

 

「ば…爆豪くん戦闘不能!勝者、せ、殺生石くん!」

 

 





なお試合後モリモリエネルギー補給した模様。

爆豪!君は確かに強かった!竜も鬼も退治出来た!だが、しかし、まるで全然!化太郎を倒すには程遠いんだよねぇ!

化太郎を倒すにはシンプルで強い。じゃあダメなんです。
万能には万能を、チートにはチートを、外法には外法を。何でも有りには何でも有りを。




さー、どうやってこのチート倒そう…。


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試合は進むよ残酷にもなお話

別名こうなりゃヤケじゃどうにでもなーれってお話

そして唐突にシリアスモード。


「…!かっちゃん!その両手…。」

「うぅるっせえんだよ黙れ死ねカス!!」「シネカス…」

「人に当たるのは良くないわ。」

「そーそー。でもまあ殺生石相手に善戦したほうなんじゃね?」

「聞いてたか?会場全体で爆豪コール起きてたぜ?」

「だから何だぁ!善戦じゃ意味ねえんだよ!!勝てなきゃ何の価値もねぇんだよ!!」

「…かっちゃん…。」

 

 

『轟! (バーサス)! 安藤!!』

 

 

『START!!』

 

 

ズアア!!

 

 

『いきなりかましたあ!!安藤手も足も出ない!!これは決まったか!?』

『…まだだな。』

 

 

 

「おー、もう始まってるのか。遅れた遅れた。」バリムシャ

「…!ば、化太郎くん…!」

「…」「…」「…」「…っち!」

 

「ありゃ、あんまりお出迎えムードじゃないねぇ。悲しい悲しい。」ムシャモグ

「思ってもねえことを言うんじゃねえよ。」

「あーん融剛も冷たいぃ~。もー冷たいのは今戦ってる轟くんの右側だけにしてよ~。」モグモシャ

「…」「…」「…」

「…こりゃ本格的に重症だねぇ。そんなに私の圧倒的パワーが気に入らないかい?」モシャバリ

「けっ、よく言うぜ。あんなチートまみれの試合見せつけやがって。」

「おい、峰田!」

「だってそーだろ!あんなモン見せつけられて、怒らない方がどうかしてるだろ!」

「峰田!」

「…ふーん。まあ、別にいいんだけどね。」バギリッ「ひぇ。」

「別にいいんだよ?何を思おうともそれは個人の勝手だし、私の事嫌いになろうともそれも個人の自由だし、それを言葉に出そうとも私は関与しないし。」ガギッゴリッ

 

「でも勝手に人の事悪役(ヒール)扱いして、寄ってたかって罵ってくるのは少し…いやかなり頭に来るんだよね。」ゴギリッ

 

「な…だれも悪役(ヒール)扱いなんて…。」

「へえ?あの時の爆豪コールはそういう意味じゃないの?面白い解釈だねぇ。思わず笑顔になっちまうぜ。」ガリ"ッガリ"ッ

「…。」

「まあいいよ。今は轟君とロイコちゃんの試合(茶番)だ。ゆうっくり見ようか…。それとも、私はここから離れたほうがいいかな?」

「…。」

「……そう。」

 

 

 

『おおっと!安藤なんと氷を溶かして移動してる!!なんて強引な攻略法だ!!』

『自身の身体をオーバーヒートさせてるな…。高熱でもって氷の中を突き進んでいる。』

 

 

「ギィ…ピピピ。ワタシニハ負ケラレナイ理由ガアル…。勝チヲ譲ッテモラオウカ…。」

「…」ズアァ!

 

 

『ここで轟さらに氷を追加!!相手の消耗狙いかぁ!?』

 

 

「ピピピ…動作不良…1番ケーブル断線…自動修復シマス…負ケナイ……」

「…」パキッ

 

 

『まだ氷を叩きこむ!!もはやステージ上は完全に氷の世界だあああ!!遠慮ねえええ!!』

 

 

「ピピピ…環境不良…蓄熱シテクダサイ…エラー…熱交換器故障…自動停止マデ1分…」

「…」

 

 

「ピピピ…エラー…エラー番号0000…自動修復不可…マダ…負ケテナイ…」

「…お前も、」

「ピピピ…緊急停止装置作動…頭部パーツニ損傷ガミラレマス…」

「…いや、なんでもねえ。負けてくれ。」

 

「…絶対に嫌だ。」

「…!」

 

 

BOOOOOOM!

 

 

『な、爆発ー!!!さっきの試合といい本当に爆発好きだなオイ!!今の衝撃でステージ上の氷がぶっ飛んだぞ!!』

 

 

「反撃開始。砲門解放…弐門…肆門故障…陸門停止…全二門装填…エネルギー充填…失敗…出力50%…」

「っ!」パキ

「『ガン・キャノン・ショット』!」

 

ガガガ

 

「…!」

「出力不足…モード変更…近接モード選択…レッグブースター…動作確認…」

「ちっ…」パキ

「ブーストON」バッ

 

 

『ここで安藤遠距離戦から一気に詰め寄る!!』

 

 

「…!」

「エネルギー残量10%未満…戦闘継続不可……だから…なんだ…!」SKLIT

「っ!」パキ

「ワタシが…化太郎を…!」ドッ

「!」

「化太郎を…友達なんだ…!」ガン!

「っぐっ!」

 

『安藤がここで強烈な一撃を入れたあ!!アイツも滅茶苦茶速えな!!』

 

「ってぇ…」

「ワタシが…ワタシが!!」ドッドドドド

「っ!ぐっつっがっ!」

 

『ここぞとばかりにラアアアアアッシュ!!!どうした轟!!手も足も出てねえぞ!!』

 

「ワタシが!!化太郎を…!」ガッ

「!!っそ!」パキン

「ッギィィ!!」バチバチッ

 

『轟の豪快なカウンター!!安藤ダウンかぁ!!?』

 

「…ハァ……ハァ……」

「・・・っ!化太郎を…、ばけたろうをぉぉ…。」バヂッ バヂッ

 

「っ!そこまで!安藤くん戦闘不能!勝者、轟くん!!」

 

「ハァー。ハァー…。」

「まだ……まだ…やれる…!」バヂチッ

 

「ハンソーロボ!早く!」

 

「…フゥー…」ガシッ「…!」

「…ぐっ……化太郎を…頼む…っ!アイツは…友達なんだっ…!アイツを…止めて…!」バヂッ

「……」

 

「アイツを…一人に…しないで…。」

「……ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

「ま、やっぱりどうあがいてもロイコちゃんじゃ勝てないよね。でも予想外だなぁ、まさか炎も使わないうちに負けちゃうなんて。」

「…!お前ェ!」「切島!止めろ!」

「なんでだよ!お前安藤って奴の友達なんだろ!なんで応援してやらねえんだぁ!!」

「…応援したらロイコちゃんが強くなるの?轟君が手を抜いてくれるって言うの?」

「っ…!そうかよ!!お前がそんな奴だったとは思わなかったっ!!」

「ふぅん。切島くんが私の何を知ってどう思ってるなんて、知ったこっちゃないね。」

「っっせっしょうせきぃ!!」がっ「切島くん!」

「…ふん、殴りたいなら殴ればいいんじゃない?いまなら無抵抗に殴られてやってもいいんだぜ?」

「っ!!」「殺生石!アンタも何言ってんの!」

「…どうした?殴れよ。その為にわざわざ握りこぶしを作ったんじゃないのか?」

「っ~!!」「切島、止めろ。それで殴ったらお前はヒーローじゃねえ。(ヴィラン)同然だ。」

「っクソが!!」バッ

「…全く、熱くなるのは結構だけど、人にそれを押し付けないでよ。」

「っ!」「止めろ、何度も言わすな。」

 

「…殺生石ちゃん。あなた、サイテーよ。」

「…」

 

「…上位4人が出そろったな…。」

 

 

 

 

『さあさあおまえら!!長かった勝負も終わりが見えてきたぜ!!では次の試合…の前に!!このクジ選出サバイバルの中運良く、或いは実力で生き残ったベスト4共を改めてご紹介するぜ!!

 

まずはコイツ!エキセントリックガールのサポート科発目を下し、B組からの刺客、回転と足技が自慢の天との激闘の末勝利をもぎ取った、ヒーロー家出身!エリート、飯田 天哉!!

 

そして!一瞬にして瀬呂を仕留め、超パワーの緑谷との激戦を制し、機械の王安藤を倒した、これまたヒーロー家出身!氷と炎が備わり最強に見える!?轟 焦凍!!

 

さらに!B組、塩崎を身体能力と個性で封殺し、スパーキングキリングボーイ、上鳴の大放電を完全無効化!相手を苛める力と無慈悲な一撃は氷より冷酷と評判!?遊戯 融剛!!』

 

「誰が冷酷だってんだ…。」

 

『そして最後!A組の推薦枠の一人である万物の創造者、八百万を刹那の間で仕留め、ヒーロー基礎学で優秀な成績を収めている芦戸を審判ごとKO!さらに強力な爆撃が持ち味の爆豪相手にあらゆる手段を用いて敗北に追いやった、その身に伝説と幻想と悪魔と英雄を隠し持つ優勝候補!!ぶっちゃけお前強すぎなんだけど!!殺生石 化太郎!!』

 

「……」

 

『以上の4人で最後のトーナメントをしてもらうぜぇ!!組み合わせはぁぁぁぁ………これだ!!!』

 

 

              轟 vs 飯田

 

            殺生石 vs 遊戯

 

 

『小休止を挟んだらちゃっちゃと行くぞ!その間にお前等便所はすませとけよ!!』

 

 





ちなみに(本当に)今更ですが遊戯一家は厳密にはヒーロー家ではありません。
というのも『ゲームマスターズ』は本名も自宅も一切情報公開してないからです。
ただ『ゲームマスターズ』に子供が居る事は知られていますが、子供を取材しに来たメディアは(不思議な事に)一度も成功していないので正体は不明になっています。
ただし『ゲームマスターズ』の相棒(サイドキック)はわりかし普通に自宅に訪れます。


ROIDO
ANDO

○個性

 機械王

触れた機械を自在に操作、再構成することが出来るぞ!
さらに髪を操作する機械に差し込むと遠隔操作も自由自在!
ただし小さくて複雑な携帯電話のような機械は操るのが苦手だ!


安藤’s顔-鉄面皮で愛想が0。ただし感情が大きく振れると表情豊か。

安藤’s頭-量子コンピューター搭載。機械の操作用。

安藤’s髪-自分の身長と同じくらいある。一本一本が電波の送受信機。

安藤’s全身-昔とある(ヴィラン)に殺されかけたところを全身サイボーグ化することで生き永らえた。ちなみに機械化手術は父親が施した。

安藤’s胸-男だけど夢と浪漫とエネルギー元が詰まってる。

安藤’s砲門-浪漫。両腕、両脇、腰の左右に一門ずつ収納されてる。浪漫。

安藤’s手-携帯電話のキー入力がまともに出来ない。スマホとかムリゲー。



TENTEN
TEN

○個性

 回転

自分の身体を支点として回転することが出来るぞ!
回転速度も回転力も思いのままだ!
ただしあんまり速く回すと自分の目も回るぞ!


天’s顔-快活な美青年顔(ただし女)。

天’s髪-超短髪。

天’s全身-細身でありながら鍛えられている。生傷が絶えない。

天’s足-しなやかで鋭い一撃を放てる。そして足で字が書けるほどに器用。


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例え誰からも認められなくても私は…なお話

別名終わりの始まりなお話。

大丈夫。物語はめでたしめでたしで終わるのが常道ですから。


小話

「ハンソーロボ!早くリカバリーガールの所へ!!」
《リョーカイ!》
「…化太郎を…頼む…!」バヂッ
「…分かった。あいつには借りがあるからな。ついでに返させてもらう。」
「…」

「言質取ったよ?」「…は?」

「我ガ糧トナレハンソーロボ!!」しゅっ
《エッ、アッイヤァァァァァァ!!》
ガシーン!!シュインシャキンカチカチカチキリキリ…

シャキーン!!
「フゥ…流石ニ外部パーツ無シデハコノヘンガ限界カ…。」
「…えっと?安藤くん?大丈夫なの?」
「問題ナイ。コノママ敗者復活戦モデキルゾ?」
「えっああそう…。いや、敗者復活戦なんてやらないけどね?」
「残念ダ。」

「…えぇ…?」
「デハ化太郎ノコト頼ンダゾ。」
「…納得いかねぇ…。」


小休止

 

 

「ったく、なんだよあいつ!結果が変わんなくても応援ぐらいいいじゃねえか!」

「…上鳴。陰口とは男らしくねえな。流石ちゃら男。」「うぐ、…だってよぉ…。」

「今回の件でハッキリしたな。やっぱ殺生石は気に食わねえ!」

「…瀬呂。」

「ヒーロー基礎学の時だってそうだ!いっつも上から目線で講釈たれてよ!」

「止めろ…。」

「遊戯だってそうだろうが!だいたい恵まれた個性で勝ち誇られて…も…」ゾワッ

 

「止めろって言ってんだろ。」

 

「ぅ…。」

「…怖いわ遊戯ちゃん…。」

「……ねえ皆。本当に化太郎くんが悪いのかな…?」

「…あ?何言ってんだ緑谷?」

「だって、体育祭が始まった時はあんなに楽しくお喋りできてたじゃないか…。騎馬戦の時だって、そのすぐ後だって…!色々あっても化太郎くんと一緒に居られたじゃないか!」

「…そりゃぁそうだけど…でもよぉ…。」

 

 

「な~んや?ここは葬式会場かい。シケたツラしとんなぁA組。」

 

 

「!お前は…B組の!」

「天や、名前ぐらい覚えんかい。しっかし結局A組パラダイスになったっちゅーに、なんでこない通夜ムード漂ってんねん。お前等そんなんやからワイらB組落ちこめへんやん。」

「…お前には関係ない。」

「はぁ~、一緒に体育祭盛り上げてきた仲やないかい。ツレへんこというなよなぁ…。」

 

「なんでおまえらシケとんか当ててやろか?ズバリ殺生石のことやろ。」

「「「!!」」」

「おおう、そない吃驚されるとは思わんかったで…。」

「なんで…。」

「ん?何でかって?決まっとるやんけ、ちょっと離れてたところまで聞こえてたで。殺生石がどうのーってな。」

「…なあ。お前は殺生石のことどう思う…?一緒に騎馬戦チーム組んでたろ?」

「あ?なんや。そない決まっとるやんけ。」

 

 

「あぁ~んな気持ちの良い奴はそーそーおらへんで。」

 

 

「!!」

「そやろ?打てば響く言うんか?色んな話振ってもぽーんと返ってくるし、話してて楽しいやん。ワイの実家もそーとー人おったんやけど、あんないいヤツはおらんへんかったなぁ。」

「……」

「B組もエェ奴いっぱい居るけど、殺生石の奴もB組やったら良かったと何べんも思ったで?A組は色々な意味で羨ましいわぁ…。」

「…!」

「…ま、A組はどうもヤな奴が多いみたいやな。ワイ同情するで。」

「…んだと…!」

「さっき殺生石とすれ違ったんやけど、あない悲しい顔してんの初めて見たで?っつーてもまだ出会って二週間くらいやけど。あんな気持ちの良い奴でもあんな顔するなんてA組は魔境やなぁ…アーヤダヤダ。」

「それは!殺生石が!」

「はん、子供の駄々やないんやからワイに言ってもしゃぁないやろ。不満があるんなら正面切って言えや。それがダチってもんちゃうんか?」

「…っ!」

「…それとも、お前らんとって殺生石はダチやないと?」

「おい、天。」

「おーこわ。なんや遊戯ん。お前黙ってた方がかっこええやん?」

「うるせえ。」

「しかし残念やなー。遊戯んも殺生石もワイらB組きたら絶対人気者になれんねんけどなぁー。」

「駄弁ってるだけならとっとと帰れよ。」

「いややわぁ駄弁ってるだけとか…用があってこっち来たんに…。」

「用…?B組の奴がこっちに何の用だよ…。」

「決まってるやん。」

 

 

「ワイのダチ泣かせた奴はぶっ殺したるから後で裏来いや。」

 

 

「…!」

「確かになぁ、殺生石は時々こっちがグサァ!来る言葉使ったりするし、出会った時はワイにカンチョーかましたりするし、無意識か知らんけどワイに挑発的な変身してきたりするし…あ、なんか言ってて腹立ってきたわ…。」

「…」

「でもなぁ。心はええ奴なんよ。普段から不真面目してるようで、一番真面目なんはアイツなんよ。凄い個性しとるけど、滅茶苦茶な努力もしてきてるのも分かるんよ。」

「……」

「だからよぉ……そんな殺生石を泣かせたお前らをぶっ殺してやるから、後で全員まとめて相手取ってやるっていってんだよボケ共!!」

 

「お前ら、自分の個性に殺されかけた事なんて無いやろォ!!ええよな制御が楽な個性は!!暴発したところでタカが知れとるわ!!ええよな昔っから友達に囲まれて育った奴は!!多少失敗しても許されるなんて空気があってよォ!!」

「よせ。」

「でも!!…でも…ワイ…あんなん聞いたら……。」

「…これは化太郎本人の問題だ。友達っていってしゃしゃり出てくる話じゃねえ。」

「……せやな…。殺生石も居ないんに話す事でも無かったな…。でもなぁ!もしお前ら、体育祭終わっても殺生石が泣いてたら…ワイはお前らをぶっ殺してやるからな!!絶対に!!」

 

 

「…なあ峰田、瀬呂、砂糖、上鳴、切島。俺ら昼食の時楽しく会話出来てただろ…?アレが全部ウソだったって言うのか…?」

「…」

 

 

『エヴィバディ!!便所休憩はお終いだ!!いよいよ準決勝が始まるぜ!!見逃すんじゃねえぞ!!!』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『準決勝一組目はこいつらだ!飯田 天哉(バーサス)轟 焦凍!!』

 

 

「(殺生石が相手じゃなくて良かった…なんて考えてる顔じゃあねえな…。)」

「…」ぐっ

 

『START!!』

 

パキ

バッ!

 

「(緑谷くんのような打ち消しは出来ん!!かといって安藤くんのように氷を溶かすことも無理だ!!炎を使うようになったのなら択を迫られる!ならば!!)」

 

レシプロバースト!!

 

「(エンジンが止まるまでに約10秒ある!その間に…決める!!)」ダッ

 

ガッ!!

 

「(入った!)」

 

「その速度はさっきので見慣れた。(出来れば避けたかったんだが…流石にうまく行かねえな)」

「くっ!ならば!」DRRR

ボゥッ!

ガッ!

「キミを蹴りだすまでだっ!」ガガガガ

 

『強力な蹴りが雨のように轟を襲う!!飯田、ガードの上からでもお構いなしぃぃ!!』

 

「(あと5秒!外に投げ出せるなら良し、このまま削り出すのも良しだ!)」DRRR

 

パキ「!!」ばっ

 

浮いた(・・・)な。」パキパキ

「!?しまった!」ピキ

 

「俺の氷に対応するには飯田は跳ぶしかない…。シャクだが、アイツの言ったとおりになったな。」

 

 

『飯田行動不能!!轟炎を見せずに決勝進出だ!!』

 

 

「(なんで俺に助言なんてしたんだ…殺生石。)」

 

 

 

「……」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

『準決勝二組目!!今度はどんなトンデモ変身を見せてくれるんだ!?殺生石 化太郎!!』

 

「……」

 

 

「泣いてる…か。思えば殺生石の顔なんて全然見えないのに、喜怒哀楽の激しいヤツって分かるよな…。」

「いつもお面かぶってんのに不思議な話だよな。」

 

 

(バーサス)!見た目以上に切り札の多い男!すぐ負けるんじゃねえぞ!遊戯 融剛!!』

 

「ひでえなプレゼント・マイク…。」

 

 

「…遊戯もウチらン事どう思ってんだろーな…。」

「親友って公言してたモンね…。」

「目の前で友達の悪口言われたらめっちゃ腹立つよね…。」

 

 

「おい遊戯ー!!あっさり負けんなよ!!」

「遊戯くーん!!頑張れー!!応援してるよー!!」

「遊戯ー!!もし勝ったら指名してやるからなー!!」

「そんなスカした奴なんてブッ倒せ!!」

 

『ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!』

 

 

『おーっと!!試合が始まる前から熱烈な遊戯コール!!遊戯オメーいつの間に人気になってんだオイ!!』

 

「っ…!」

「害意無き悪意…か。」

「俺達も…同じ事してたんだよな…。」

 

 

 

『ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!』

 

「へい融剛、お前いつの間に会場を味方につけたんだ?」

「…」

「まあそうだよな。会場を味方につけたわけじゃないよな、私が会場中の『敵』になってんだ。」

「…」

「いやはや、一周回って敵役(ヒール)ってのは気持ちがいいなぁオイ。こんなにも声援を浴びてる奴をぶっ潰せるんだ。これ以上の快感はねえよ。」

「…」

「お前も気持ちいいだろ?会場中の声援を浴びるのは。まったく皆、粋なマネしてくれるよなぁ。これぞWIN-WINの関係って奴?」

「…」

「…だからよぅ融剛。お前ももっとマシな顔したらどうなんだ?」

 

『ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!』

 

  う

    る

      せ

        え

          え

            え

              え

                え

                  !!

                    」

 

キィ~ン

 

 

「…え?」

 

「いいかお前らァ!!!いくらお前らがプロのヒーローだろうが、有象無象の声援なんていらねえんだよ!!邪魔なんだよ!!集中できねえだろうがァ!!!」

 

『…は?』

 

「化太郎が暴君?俺がすぐ負ける?ざっけんなバカヤロー!!俺は今日勝つためにここに立ってんだゴラァ!!」

 

「お前ら!化太郎が暴君だって言うなら!!俺はそれをさらに超える!!俺はここで神にでもなってやるよ!!」

 

 

 

 

 

 

ぷっ

 

「あぁ~はははは!!はははははは!!ハハハハハハ!!笑えねえジョークじゃねえかええ融剛ぅ!!

私を超えるぅ!?神になるぅ!?上等じゃねえか!ならば私はその上から全力でぶっ潰す!!オラァプレゼント・マイク!!早く試合の開始を宣言しろや!!」

 

『え、ええ…?す、START!!』

 

「化太郎!なにも俺は勝算なしに神になるってんじゃねえぞ?

 

 行くぞ!『シンクロフュージョン:エレキ・トリックスター』!!」バチバチィッ!!

 

『うおおお!!遊戯の奴から稲妻が迸ってやがる!!!』

 

 

 

「なっ!遊戯の奴いつの間に雷なんか…はっ!まさか上鳴の試合の時か!!?」

「うっそだろ!?今日何回驚かされるんだ!!」

「電速…それで殺生石に対抗しようというのか…!」

 

 

 

「ほー!洒落てるじゃないか!!『我は神なり。』ってかぁ!?じゃあ私も神になろうじゃん!!

 

 『メタモルチェンジ:ゴッド・エネル』!!」バリバリィ!

 

『だあああ!!殺生石の奴も雷の化身になりやがった!!眩しすぎて全然見えねー!!』

 

 

 

「皆様、サングラスですわ!コレをお使いください!!」

「おお!サンキューヤオモモ!!」スチャッ

「うっ、サングラスつけてもちょっと眩しい…。」

「…ていうかサングラスつけても勝負が全然見えねえんだけど!!」

「どちらも雷速…肉眼でとらえるのは厳しいか…。」

「…どっちかって言ったら遊戯が有利だな。」

「見えるのですか轟さん!?」「ああ、僅かだけだがな。」

「じゃあ実況してくれ轟!俺らには全く見えねえ!!」

「…遊戯の奴は殺生石からの攻撃を吸収してさらに攻撃の威力を高めてるみたいだ。だが殺生石もダメージらしいダメージは受けてねえ。」

「…じゃあなんで遊戯が有利なんだよ?」

「…そうか!化太郎くんのエネルギー切れ!!」

「そうだ。どうも殺生石は燃費が悪いらしいな、遊戯の奴の限界は分からねえが…このまま試合が続けば先にバテるのは殺生石だ。」

「な…なるほど…。え、じゃあ何でそんな状況なのに殺生石は姿を変えないんだ!?」

「恐らくだけど試合前の挑発じゃないかな…。化太郎くんはほら…、ノリがいい性格してるし…。」

「あえて不利な状況でも自分の気持ちが最優先みたいだな。」

「…そうか。確かに騎馬戦ン時も、アイツは空高く跳んでたら余裕で勝てたのに…。」

「…だが何よりも驚くところはソコじゃねえ。あいつらはこの試合の中、互いが見えてるって事だ…。」

「…!確かに!どっちも雷速で動いてる中相手に攻撃を当てるには、動体視力も鍛えてないと絶対無理だよ!!」

「…っ!経験の差…そして…鍛錬の差か。」

「…たく、どこがチート(ずる)だよ…。」

 

 

 

「ヤハハハ!!随分粘るじゃないか!!」バヂッ!!

「そりゃお互い様だろ!」ヂヂヂッ!!

「ああ楽しい!楽しい楽しい楽しいなぁ!!今の私はかつてないほどに絶好調だ!!」

「っ!そりゃ随分なこって!!」

「だが楽しいダンスもここまでだ!精々死ぬなよ!?」バヂィッバチッ!

「!跳んだ…上か!!」

 

 

 

「遊戯さんが止まった…!?」

「殺生石が居ねえぞ!どこだ!?」

「…!上!競技場のもっと上!!」

 

 

 

「ヤハハハハ!!受けきってみよ!!神の裁き(エル・トール)!!

 

カッ

 

 

ゴオオオオオオ!!

 

 

 

『ーーー!!!』

 

「わー!!あんなモン直撃したら死ぬ!絶対死ぬ!!」

「やっぱもうこれは試合じゃねえって!!」

「…!!見て!ステージの上!」

「…マジか!マジかマジか!?アレを食らって立ってやがるだとぉぉ!!?」

「…流石にダメージを受けてるみたいだな…許容量(キャパ)オーバーか…?」

 

 

 

「…ゲボッ。マジで遠慮なしかよ…だが…だからこそぜってえ勝ってやる…!!

 

 『グラウンドフュージョン』…!『フュージョンモンスター:エクストラタイタン』!!」

 

 

『遊戯の奴まだ戦う気か!?ステージのコンクリート殆ど持ってって巨人を作り出したぁ!!?』

 

 

「ヤハハハ!!第二幕は私と怪獣戦争ってか!?乗ってやるよ!!

 

 『巨大変化!ミッシングパワー!』」ズズゥン…

 

 

『殺生石の奴も巨大化したあああ!?広かったステージがまるで相撲の土俵の様に狭く感じるぜ!!』

 

 

 

「んなっ!!きょ、巨人!?」

「どっちもMt.レディ並にデカいんじゃないか…?」

「こんどはレスリングか?流石に巨大化したって言ってもコンクリ相手じゃ殺生石も分が…」

「…悪いどころか素手でコンクリ削ってるぞ…!」

「いっ…!痛くねえのかよ…!」

「普段から岩でも殴ってんのか…?」

「…おいおい轟、今時そんなバトルマンガみたいな修行法があってたまるかよ。」

「…目の前の光景はバトルマンガみたいじゃないって?」「すんませんでした。」

 

 

ガヅッ!!

 

ゴヅッ!!

 

 

「ヒィィィコンクリートを殴ってやがる…!」

「…!手から血が出てる!!」

「痛い痛い痛い!!見てるだけで痛くなってくるよ!」

 

 

『殺生石のソバットォォォ!!コンクリートの巨人もたまらずぶっ飛んだァァァァ!!!』

 

「っ!場外!殺生石くんの『まだだ!!』っ!?」

『遊戯の奴、場外に放り出される前に巨人を「脱ぎ捨ててる」!!』

 

「そうだミッドナイト!誤審で負けるのは勘弁してほしいぜ全く!!

 

 化太郎!!結局最後はコレだよなぁ!!?『フュージョンアーツ』!!!」

 

「一幕、二幕と私の勝ちだ!私の完全勝利で終幕さ!!『メタモルコマンド』!!!」

 

 

 

「ま、まだ戦うのかよぉ…!」

「いや、流石にどっちも限界が近いハズだよ…。個性を使った必殺技を極力抑えてる…!」

「お互い疲労がピークに達してるってのに…なんだよあの技のキレは…!」

「一手一手に無駄が無い…。個性を使わずとも…強い!」

「す…すげぇ…。」

「…が、頑張れ化太郎くん!!負けるな遊戯くん!!」

「!!」

「いけぇ!殺生石ィ!右だぁ!!」

「遊戯さん!頑張ってください!!」

「殺生石ぃぃぃ!!気張れぇぇぇ!!!」

「頑張って二人ともー!!」

 

 

『せっしょーせき!!せっしょーせき!!せっしょーせき!!せっしょーせき!!』

『ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!ゆ・う・ぎ!!』

 

 

「ひょー…!手のひらくるっくるだぜ全くよ…!」

「はん、そういう割には…嫌そうじゃねえな?」

「そうだねぇ…敵役(ヒール)も悪かぁねえけど、やっぱり応援貰ってこそのヒーローだなって。」

「そーかい、ソレ聞けただけでも上等だ。」

「じゃあ上等ついでに勝ち譲ってくれ!」ザッ

「ざけんな!俺に勝ちを譲れ!」ガッ

「いーじゃねえか!この前の戦闘訓練で勝ち拾っただろーが!」ズァ!

「あぁ!?ヒーロー基礎学でお前が勝ったじゃねえか!あれでチャラだ!」ブァ!

「あんなモンカウント外だ!タイマンじゃなきゃ意味がねえだろ!」ゴスッ「ぐっ!」

「その割にはあの時お前本気じゃなかったかぁ!?」ガツッ!「うぎっ!」

 

 

 

「互いに攻撃が当たってきたな…。」

「もう回避に回す余力が無いんだ…!」

「…てことは…!」

「決着は近い。」

 

 

 

「お前この前の勝利で何勝目か覚えてんのか!?俺に勝ちを譲れ!」「ぐぁっ!」

「勝った回数とか覚えてる訳ねえだろ朴念仁!私に勝ちを譲れ!」「ごふっ!」

「奇遇だなぁ!俺だって覚えてねえよ!今勝てればそれでいいだろ!?」「ぐぶっ!」

「それこそ奇遇だなぁ!私も今勝てればそれでいいんだよ!」「お”ぐっ!」

 

「「どぉぉぉりゃああああ!」」ガガッ!!「ごぁっ!」「っが!」

 

『殴り合いの末両者ダァァァウン!!まだまだそんなもんじゃねえだろお前らぁぁ!!』

 

「…ぐ、くくく…先に言っとくけど、俺は後一撃食らったら流石に立てねえぞ…」ぐぐぐっ

「…く、ふふふ…私だって、後一撃くらったら完全に起きれないねぇ…」ぐぐぐっ

 

『両者共に立ったぁぁぁ!!おいおい!どうなんだ!?終わっちまうのか!?この激闘がついに終わっちまうのか!!?』

 

 

「「じゃあ全力で、ありったけを!!!」」

 

「『ダメージディフュージョン』……120パーセントォォォ!!!」

「『メタモル・ファンタズム・グローリア』!!」

 

 

 

「『インパクト・キャノン・ブレイブ』!!!!」

「『ドラゴンブレス』!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の……勝ちだ!!!」

 

 

 

「っ…」そぉー

 

がらっ

「ごぼっ…あぁクソ…………俺の……負け…か。」

 

「っ!遊戯くん場外!勝者、殺生石くん!!」

 

 

わああああああああああああ!!!

 

『おお…ブラボー!!ブラボォォォ!!!両者の健闘を称えて惜しみない拍手を!!!!』

 

 

「ハァ…はぁ…あ~あ。流石に…立てねえや…。やっべぇ…まだ決勝あんのに…」

「やれやれ…このステージをまた作りなおす身にもなってくれ…。」ドス…ドス…

「あー…すいませんねセメントス…。なんか前の試合もぶっ飛ばしちゃって。」

「…全く、あんな事出来るのならもっと楽に勝てる方法も考えればあるだろうに。」

「あはは。それは出来ないですねぇ。私馬鹿ですから。」

「知ってるよ…。キミは本当にイイ性格してるよね…。あとミッドナイトにも直接謝ってくるように。」

 

 

 

「…凄かった…。」

「ああ…凄かった。」

「凄い以外の言葉が出ねえ…。」

「…殺生石、遊戯…どっちも男らしいぜ…!!」

「…クソが…。(俺じゃあアイツの全力…死力を引き出せねえって訳かよチクショウ…!)」

 

 

 

『おめえら!!まだ終わりじゃねえぜ!!?ステージの補修がすんだらようやく最後!!決勝戦が待ってる!!集中切らすなよぉぉ!!!』

 

 





作者最大の失敗。なんでコレ決勝戦じゃないの?馬鹿なの?死ぬの?プロット作らずノリとテンションで書き上げるからこうなるんだよ?


深夜テンションで書き上げた結果がこれだよ!!感想!評価!よろしくぅ!!




…まだクラスメイトと化太郎との確執が残ってるかな…。
ああ、決勝戦…どうしよう…。


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英雄の卵は荒魂を鎮めることが出来るだろうかってお話

別名体育祭編終了のお知らせっていうお話

暴君を超えて神(笑)になった化太郎vs親子の確執とかいったん置いといて本気出してくる轟。
さあどっちが勝つか、張った張った。

なーんて話してますが勝負そっちのけで融剛が説教垂れるお話。説教臭いんで苦手な方は…我慢して見てください!


小話

「痛…てて…。あー…流石に血がヤバイかも…。」
「遊戯くん!ハンソーロボ(予備)!リカバリーガールの所へ!」
「ちょ、待ってください!今リカバリーガールの治癒受けたら逆に死ぬ!!」
「逆に死ぬ!?」
「と…とりあえず止血用の布でもください…さっきの一撃で俺の体操服が(放送限界)ギリギリまで吹っ飛んだんで自分で止められない…」
「私の恰好を見てどこにそんな布があると思うのかしら!?」
「超使えねえ!!あんたなんで主審してんだ!!?」
「少なくともあなたの止血のためじゃないわよ!!」

「…いや、融剛おまえ超元気じゃん…とっととリカバリーガールのトコ行けよ。」


ステージ補修(再建)中

 

 

「痛てて…。」

「あっ!遊戯くん大丈夫!?うわ、凄い包帯…」「いや、お前ほどじゃねえからな緑谷?」

「…なぁ。殺生石は…」

「あん?エネルギー補給の為に屋台渡り歩いてんじゃねえか?」

「…だよな。そもそも決勝戦あるのにこっち来るわけがないか…。」

「あー…よっこらしょっ。おう爆豪、なんかペアルックみたいになったなハハハ。」

「うるせえ気持ちわりい事言ってんじゃねえ殺すぞ…!!」

「ああ、俺も言ってて無いわぁって思った。」

「じゃあ言うな死ねカス!!」

 

「…さーて…お前らなんか言いたそうな顔だな。」

「…」

「……先に言っとくけど、化太郎とお前らの事情だから俺は関与しねえぞ。それでもいいなら聞くが。」

「…ああ、そうだよな…。」

「…ねえ、遊戯ちゃん…。バケちゃんは私たちの事…怒ってるかしら…。」

「…不安か蛙吹?珍しいな…、いつも言いたい事ハッキリ言うのに、わりかし心は繊細なんだな。」

「茶化さないで。」

 

「ブチギレてるに決まってんだろ。」「…!!」

 

「俺に出来たことは化太郎の不満の一部を取り除くぐらいだった…。まぁ、勝ちたかったのもあるが。」

「…ケロ。」

「…というか、今の『勘違いし続けてる』お前らが何したところで化太郎はキレたままだろうよ。」

「…勘違い…?」

「ああ。その『勘違い』してるお前らが、例え腹切って詫びたとしても化太郎は許さないだろうし、そもそもお前らに歩み寄ろうともしないだろうよ。」

「…なんだよ、勘違いって…。」

「…自分で考えろ…て言いたい所なんだが、こればっかりは価値観の問題だからなぁ…。丁度良い、轟と化太郎の試合の最中、解説しながらお前らの勘違いを何とかしてやるよ。」

「…でもよ、轟が開始直後にすぐ負ける可能性だって「それは無い。」…なんでだよ?」

「さっき轟とすれ違った時にちょっくら助言をしたんだが…その時のあいつの目は少なくともすぐに負けるような目じゃなかった。」

「…信頼してますのね…。」

「あん?信頼?俺が轟を?アホか、そんな訳ねえだろ。あんな高校生にもなって親離れ出来て無かった奴を信頼するわけねえだろ。」

「す、凄いボロクソに言うなぁ…。」

「俺が信頼してるのは、俺の観察眼と先見性だ。」

「…いや、それはそれでどうなんだ?」

「まあとにかく俺の勘が大丈夫だって告げたんだ。そしたら勘に従うまでの話。」

「くっ…!やっぱり男らしいぜ…!」

 

 

「…さて、お前らがしてる勘違いだが…一つ、化太郎の個性が『特別である』と思ってる事だ。」

 

 

『レディースアンドジェントルメーン!!ステージの再建がようやく終わったぜ!!盛大に盛り上がった体育祭もついに終わるぞ!!体力尽してしっかり見ろよ!!決勝戦!!殺生石、轟!入場!!!』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『さァいよいよラスト!!雄英1年の頂点がここで決まる!!決勝戦!!殺生石対轟!!』

 

 

「はぁいアイスボーイ。まさかここまで来て炎を使わずに無様に負ける…って事は無いよなぁ?」

 

「…」

 

「…って台詞回し考えてたんだけど、顔見る限りどうもその心配は無さそうだねぇ。」

 

「…ああ。俺は…お前に全力で挑む…!」

 

「そーかいそーかい。そいつは嬉しい限りだね。折角だし全力の轟君に勝って格付けを済ませたいって思ってたんだよ。」

 

「言ってろ。勝つのは俺だ。」

 

「…くふっ。イイねぇ…。」

 

 

「(…って言ったはいいけどなぁ。流石にエネルギーを回復しきれなかったのはかなりの痛手だぁ…。この状態じゃあ…勝率8割かな?ああ、せめて試合の順番が逆だったら…いや、考えても詮無き事…。)」

 

 

『START!!』

 

「…」

「…」

 

『おおっと!?もう始まってるぞォ!!?開始早々お見合いかァ!?』

 

「…全力で挑むって言った割に来ないんだ。」

「ああ。先手は譲ってやるよ。」

「…フフ。後悔するなよ?(融剛の入れ知恵か…アジなマネを…。)」

 

 

 

「…あれ?何でお互い動かないんだ?」

「轟のやつ、いつもみたいに速攻で凍結させねえのはなんでだ?」

「化太郎は基本的に…というか、俺と露伊戸相手にする時以外は相手の初撃を受けてからの反撃…カウンター戦法だ。」

「カウンター!?そんなイメージ全然ないぞ!!」

「…あの、私の時はカウンターも何も無かったような気がするのですか…。」

「確かに普通思うようなカウンターじゃねえだろうが、あれも厳密にはカウンターの一種だ。八百万が試合前から無駄に力入ってたから、開始直後の相手の行動見越しての先の先を取ったに過ぎない。」「無駄に…。」

「…なんでカウンター戦法なんだ?あいつの個性…実力なら先手取っても勝てるだろ?」

「…ああ、確かに勝てるだろうな。その代わり、それには常に重大なリスクが伴う。」

「…重大な…リスク…?」「ああ。」

 

 

「相手を誤って死に至らしめるというリスクをな。」

 

 

 

「どうした?来ないのか?」

「慌てなさんなって。せっかちな男は嫌われるよ?」

「(…遊戯の言った通り…。流石に長年親友やってただけはある。)」

 

(『いいか、化太郎と戦う時は先手を譲れ。試合を有利に運びたかったらな…。』)

 

「(カウンター戦法で相手に出来るだけ無駄なダメージを与えずに勝ちたい…か。なるほど、簡単にオーバーキル出来る個性を持ってるからこそだな。)」

「『キャプチャーアンカー』!!」

「(やはり、先ほどまでの試合と比べると技のキレも殺傷力も桁違いに低い。)」

 

 

 

「相手を誤って死に至らしめる…?」

「つまり間違って殺しちゃうってことなの?」

「ああ、戦い慣れてる相手だったらともかく、実力を知らない…初めて戦うような相手ならなおさら顕著だ。」

「…でもよ、殺生石の観察力と予測力は凄いんだろ?なら相手に勝てる程度のギリギリを調整して…。」

「無理だ。少なくともそんな器用な事が出来る個性じゃない。」

「…え?だってアイツは自他ともに認める、何でもできる個性だろ?」

「確かに何でもできる個性だ。だがそれと器用であることは関係ない。むしろアイツはクラスで誰よりも不器用だぞ。」

「…嘘だぁ。だってお前、あんな滅茶苦茶な試合してたくせに五体満足じゃねえか…。」

「当たり前だ。俺と化太郎が今まで何度戦闘訓練したと思ってんだ。お互い、『この程度だったらギリギリ死なない』程度のラインぐらい把握してる。」

「…いや、やっぱり異常じゃん…。」

「それが俺らにとっては普通の事だったんだ。お前らとの価値観の違いは大体其処に集約する。話を戻すぞ、相手が俺か露伊戸ならともかく、実際に戦うのは初めてで、情報があっても100%確信できる事じゃない限りはどうしても及び腰になっちまう。例えば、爆発しない爆弾があって、絶対爆発しないって何度聞いても、その爆弾の近くで火遊びなんてしないだろ?」

「そ、そうだね…もしかして、万が一、って思っちゃうね…。」

「じゃあその例えで言ったらお前達はいつもその爆弾の近くで火遊びしてる訳か…。」

「ああ、当然火遊びだから怪我するのは当たり前だし、経験から爆発しないってのも十分理解してる。……爆発し掛けたことは何度かあるけど。」

「オイ!!」

「大丈夫だ、お互い死に掛けたり殺しかけたりしたくらいで、結局今ピンピンしてるだろ。」

「いやいやいや!全然大丈夫な要素無いんだけど!!」

「死に掛けたりって…具体的にどうなったのさ…。」

「あ?俺は精々片腕落ちたくらいだけど「片腕落ちた!!?」

「はあああ!!?片腕って…!?お前大丈夫なのかよ!!」

「何が言いたいんだか分かんねえが…俺が今片腕落ちたって言って初めて腕の心配するくらいなんだから一切問題ねえって分かんねえか?」

「あ、それもそっ…いやいや!納得しかけた!あぶねえ!!」

「お前感覚麻痺してるかもだから言うけど、普通片腕落ちたら一生モンの大事件だぞ!!」

「いや…完治してるし…。」

「そういう問題じゃねえ…あれ?そういう問題か?」

「上鳴!!目を覚ませ!!お前も感覚おかしくなってんぞ!!」

 

「(…これ化太郎は首がもげたって言ったらもっと収拾つかなくなるよな…。)」

「遊戯ちゃん?」

「なんでもねえよ。話を戻すぞ、化太郎がいつもカウンター戦法なのは相手に必要以上のダメージを与えないためだ。じゃあカウンターが出来なかったら?勝つには相手を攻撃しなきゃいけない。だが下手な攻撃だと相手が死ぬかも…そんな風に考えた化太郎のとった行動は…。」

「相手を拘束…。」

「あの碇…キャプテンアンカーだ!凄い再現度…!」

「そうだ。緑谷の言う通り凄い再現度だ。じゃあその再現度の基盤はなんだ?」

「再現度の…基盤?」

「当然……イメージなのだろう?」

 

 

「そうだな、イメージだ。…じゃあ、イメージってなんだ?」

 

 

 

「どうした?その程度の攻撃なんて避けるまでもない。」パキ

「…くぅ…言ってくれるね…。じゃあ今度はこういうので行ってみよっか!?でやああ!!」パチッ

「…それは雷光竹刀…『バンブシドー』か…。」

「そうだ!当たればずっと痛いぞ!!」

「そうだな。当たれば痛い。だが所詮……竹刀だ。」ボォォ!

「!あっつ!」

「俺が(こっち)も使う事を忘れたのか?」

「…ぐぬぬ。助言受けてるくせに生意気な…。」

「そうだな、そろそろ攻めさせてもらうぞ。」

 

 

 

「イメージってなんだ…って言われてもな…。」

「じゃあこう聞こうか?切島、確かお前の理想のヒーローは紅 頼雄斗(クリムゾンライオット)だったな?」

「え、ああ。俺の理想で、目標だ。」

「じゃあその理想にどうやって近づく?」

「どうやって?そりゃあまず喧嘩で負けない身体作りをして…「それがイメージじゃないのか?」

「それ…?」

「喧嘩で負けない身体作り…じゃあどこを鍛えれば喧嘩で負けないんだ?そもそも喧嘩の負けってなんだ?まず喧嘩ってなんだ?」

「いや、そんな哲学じみたこと言われてもだな…。」

「いいか?イメージってのは、その物事を深く知ることであり、深く考えることなんだよ。」

「深く知り…」「深く考える…?」

「イメージトレーニング…なんて言葉もあるな。実際に起きたこと、或いは起きないまでも想定して、自分はどうするかってのを考えるトレーニングだ。」

「…??」

「じゃあもっと身近な事で例えるか。例えば友達の誕生日を祝うためにプレゼントを買おうとするだろう。それで、実際に買う前に友達がこのプレゼントを貰った時のリアクションを考えるだろ?それもイメージだ。」

「…なんとなく分かったような。」

「だが、仮に知らない相手にプレゼントした時のリアクションは考えられるか?」

「…いや、知らない相手のリアクションとか無理だろ。」

「そうだな、無理だ。だからこそイメージするためには知る必要があるのさ。将来自分がどうなるかイメージしろ、なんて中学で誰もがやった事だろ。だがイメージできても、精々が会社で働いている、結婚する、凄いヒーローになってる、とかだろ。それは結局将来なんて知らないからその程度のイメージしか出来ねえんだ。」

「ああ、言いたいことは分かった。だが分からねえ、殺生石との話が繋がらねえんだけど。」

「…じゃあ、オールマイト、イメージできるか?出来るだろう?いつも授業の時見てるんだから。」

「オールマイトのイメージ?むしろ出来ない人の方がおかしくない?」

「まあ聞け。とにかくオールマイトをイメージしてみろ。イメージしたオールマイト…その目元のシワは何mmだ?」

「…え?」

「…いや…分からねえ…。」

「可笑しいな、いつも見慣れてるはずなのに何で分からない?」

「いやいや、むしろ分かる方が少数でしょ!?」

「…さて、化太郎の個性はイメージした其の物になる。化太郎が変身したオールマイトは爆豪との試合で見ただろ?違和感あったか?」

「…いや、いやいや。まさかそんな訳…。」

「爆豪、実際に対峙したお前に聞きたいんだが、化太郎が変身したオールマイトはどうだった?」

 

 

「…本物と見間違えたっ!!これで満足かクソが!!」

 

 

 

パキ

「攻めるって言った割には消極的過ぎやしませんかねぇ!?」

「だが攻めあぐねてるだろ?」「うぐぅ」

パキ

「ぐ…ぬぬぬ…!『スライムモード』!!」

「なら(こっち)だ。」ゴォ!

「熱っちぃ!!溶けるぅ!!」

「じゃあ固まらせてやるよ。」パキ

「ギャー!冷たい!凍てつく!凍えるぅ!!」

「…(効いてる気がしないんだが…これでいいんだよな安藤…。)」

 

 

 

「…見間違えた…?あんな近くで見たのに…?」

「そうだっつってんだろボケが!!」

「…そういえば…殺生石に一番最初に会った時はめだかちゃんだったな…。」

「ああ…確かにまるで漫画から本当に出てきたかと思っちまった。」

「何度も言うが、化太郎の個性はイメージした物そっくりそのままに変身する個性だ。めだかちゃんで言うなら身長体重のみならず、歩き方や風に靡く髪の質量までイメージしなければどうしても違和感が出る。だがお前ら、化太郎が変身した姿を見て違和感を感じたことあるか?」

「…違和感っていうなら、空想の世界の物がリアルに出てきて違和感を覚えたことはあるけど…。」

「なんというか…重厚感?っていうのかな。そういうのがリアルで、偽物とは思わなかった…。」

「そうだな。化太郎は細かい所まで凝ってるから全くリアルに見える、…今は、な。昔は酷いもんだったぜ。……オールマイト以外。」

「つまり…殺生石の本当に凄い所は…そのイメージ力って事か…!」

「そうだな。B組の…物間って言ったか?アイツと比較すれば実に分かり易い。アイツの個性は人の個性をコピーする物だったが、個性の習熟度とも言える物まではコピーできないみたいだった。あいつが使ってた化太郎の個性の完成度を見れば一目瞭然だった。」

「…確かに、騎馬戦の時はなんでもできるって厄介だって思ったけど、今改めて思えば大雑把だった…。」

「…つまり、化太郎くんの個性が凄いって事じゃなくて、本当に凄いのはその個性を使いこなす化太郎くんのケタ外れのイメージ力…!」

「…まあ、そうなんだか。どうもまた勘違いしてるみたいだなお前ら。さっきも言っただろ?」

「…え?ここまで話しておいてまだ勘違いがあるの?」

 

 

「化太郎の個性は他の個性と比べてちょっと違うだけで『一切特別ではない』って事だ。」

 

 

 

「もう怒ったぞ!!泣いて詫びても許さん!!」

「元々許して貰おうとも思って無い。」パキ

「むきょぉぉぉ!!ムカ着火ファイヤーも辞さない!!」

「…(これ本当に効いてるんだよな…)」

 

(『轟、化太郎ノ相手ヲスルノナラ覚エテオケ。奴ニ冷静ナ判断ヲサセルト勝テル者ハコノ世ニ片手デ数エルホドシカ居ナイ…。ナラバ冷静ナ判断ヲサセナケレバイイ。口撃トチマチマ削ルノガオススメダ。』)

 

「(今更だがあいつ等本当に殺生石の友達なのか…?)」

「君がッ!泣くまでッ!腹パンをッ!止めない!!」

「腹狙いか。」パキ

「ああああああもおおおおお氷の盾とかざっけんなゴラァアアアア!!」

 

 

 

「特別ではないって…」

「イメージ次第でなんにでもなれる。なるほど、聞いただけなら凄い個性だ。だが本当にそうだろうか?」

「…?どういう事だよ。」

「常闇、お前の個性、強力だよな。身体とは別にモンスターが自立行動するんだ。単純に見れば常にツーマンセル組んでる訳だ。」

「…何が言いたい。」

「お前の個性、本当に出来る事はそれだけなのか?他の運用方法を模索したか?自分のレベルMAXをイメージしたことあるか?」

「…!!」

「上鳴、お前の個性、戦闘で運用するとき指向性が必要って考えなかったか?電気を帯びるだけじゃなく他の用途を考えなかったか?最小限の電気量で最大限の効果を出す方法を模索したか?」

「切島、お前の個性、硬度の限界を確認したか?硬度って単純に言ったが硬さにもいろいろ種類があるのを知ってるか?自分の出来ることと出来ない事を考えたか?」

「緑谷、お前の個性、自分の身体をぶっ壊さない運用法を考えたか?一撃に掛けるんじゃなくコンスタントにダメージを与える方法を考えたことあるか?お前が出来る事は本当にそれだけなのか?」

 

 

「化太郎にあってお前達に圧倒的に足りないモノ。それは『最強の自分からの逆算』。」

 

 

 

「(氷がウザい!炎もウザい!ならば…)一切合切関係なくなればいい!!

 『マイナスケルビン!アブソリュートフリィィィィズ』!!!」

ブァァ!!

パキパキパキパキ

「!!?」

「絶対零度の永久凍土!お前に攻略できるか!?」

「くそっ!」ボォォ

「無駄無駄ぁ!その程度のボヤなんぞ海に燃えたマッチ棒投げ込むようなもん熱っつい!!」

 

 

 

「…最強の自分からの…」「逆算…?」

「そうだ。まさかお前ら、漠然と来年になったら更に強くなってる!だなんて考えてねえよな。」

「…。」

「強く『なる』じゃねえ、強く『なってる』だ。ホントにわかってるのか?」

「……」

「化太郎は最強の自分ってのを考えて、今の自分には何が足りないか、足りないならどうすればいいのか、それを一生懸命考えた。考えて行動に移した。行動に移して、鍛えて、鍛えて、鍛え続けた。その結果が今の化太郎だ。」

「……」

「ただ漠然と鍛えてるから強くなってる。授業しっかり受けてるから強くなってる。…そんな考えをしてる奴が言うんだ。『このチート野郎』」

「っ…!!」

「…なあ、化太郎はさ。あんだけ強くなってんだよ。でもまだ最強の自分に届いてないって言って、今でも滅茶苦茶に鍛錬を頑張ってんだよ。」

 

 

「蔑むんじゃなくて、もっと別の方法があるはずだろ…?」

 

 

 

「マッチ棒でも何とか出来そうな海だな…!」

「う、にゅあああああああ!!激おこスティックファイナリアリティプンプンドリームゥ!!!」

「(…だが俺がピンチなのに変わりねえ…。まさかこんな手で俺の()が封じられるとはな。)」

「泣いてもボコボコにしてやる!『双子の悪魔(ジェミネーション)』!!」

「増えた…!?くっ!」ボォッ!

「「耐熱仕様だバーカ!!」」

 

 

 

「…」「…」「…」

「…悪い。説教なんてするつもりなかったんだが…熱くなった。」

「いいのよ遊戯ちゃん。友達の為に熱くなるのは。」

「…だが…「それに、謝るのは遊戯じゃねえ。俺たちの方だ…。」

「…何やってんだろうな俺。憧れの雄英に入学出来て浮かれてた…。」

「…俺だってそうだ。先生たちも何度も言ってたのに、理解した『つもり』になってたんだ。」

「…ゴメン、遊戯。嫌な役させちゃったね…。殺生石にも謝んないと…しっかり。」

「…揃ってそんな深刻そうな顔するなよ…なんも言えなくなるじゃねえか…。」

「僕も同罪だ…化太郎くんの事全然理解してなかった…。」

 

 

 

「ああもう邪魔だ私!そっち行けよ私!!」「ざけんな私が邪魔なんだよ私が行けよ!」

「わっバカ押すんじゃない滑るだろ私!!」「だから邪魔だって言ってんだろもう離れろ私!!」

「……」「……」

 

「「 おおっと手が滑ったぁ! 」」ゴッゴッ「「痛いっ!」」

 

「…(おかしいな、ピンチだと思ったんだがいつの間にコント見る羽目になったんだ?)」

 

 

 

「「「「「 …… 」」」」」

 

「なんでこっちシリアスしてんのにあっちはギャグやってんだ?」

「しかも割と古典的なギャグだな。」

「見てるとイライラしてくんだけど。」

「あ、奇遇だね。私もそう思う。」

「緑谷、100%スマッシュ打っていいぞ。」

「うん。ってこの腕で打たせるつもり!?」

 

 

 

「大体なんだよこの足場!つるつる滑って戦いにくいんだよ!」プンスコ

「溶かせ溶かせ!こんなんならない方がマシだ!」プンスコ

 

「「 『劫火マントル!ギガブレェェェェイズ』!!! 」」

ゴォォォ!!

シュゥゥゥ…

「溶けた!全く誰だよこんなカッチンコッチンに凍らした奴!」

「私だよ!」

「お前か!なにやってんだ私!」

 

「「…ん?」」

 

「本当に何がしたいんだお前。」パキ

パキパキ

「ギャー!捕まったァ!!」「わ、私ー!!」

「…暑い。(永久凍土の次は灼熱地獄…()を使うと火傷を負うな…。ふざけてるが本当になんでもありなんだな。)」

「ザマアwww」「テメエ!!」

「(…本気なのか?ふざけてるのか?)」

 

 

 

「うん…悪い事しちゃったから謝んないとね…でもその後で全力で殴っていいよね…。」

「いや、もうこれ先に殴ってもいいレベルじゃね?」

「…よせ、殴ったら(ヴィラン)同然だ……ここは蹴りにしよう。」

「……いや、蹴りでも……ダメ…なんじゃない…かな…」

 

 

 

「…なんにせよ勝負を決める…!」パキ

「あ痛っ!氷が足に刺さった!?」「ザマアwww」

「…ふっ!」ドッ

「ぐっ!殴ったな!融剛とロイコちゃんくらいにしか殴られた事無いのに!」シュッ

「遅い!」ガッゴッ

「ギャン!ちょ、タンマ!足に氷突き刺さってるから抜かせて!!」

「またねえよ!」

 

「だから待てって…」    「言ってるでしょうが!」ガシッ「!?いつの間に、放せ…!」

 

「おいおい、あの程度の氷なんてすり抜ける事、いと容易し!」ガッチリホールド

「さぁて、今度はこっちの番だ!漏らすまで腹パンしてやんよ!!」ヒュッ!

「っクソ!」バッ!

「えっ」「あっ」ドッ「ごぅ!」

 

「…」「…ごめん私。」

 

 

「もうやだ!増えると碌なことない!!」「悪かったよぅ…」すぅ…

 

 

『お願いだから真面目にやって!!』「いや(おせ)ぇよ。」

 

 

「もう完全に超新星・ムカおこエンドオブエンシェントジェノサイドブレイバァァァ…」

「もはや意味が解んねえよ。」パキ

「『ゴーストリックモード』!!」スカッ

「…っ通り抜けた…。」

「いまからやるのは試合じゃねえ!虐殺よ!『ソウル・シェイカー』!!」ズゥゥン!!

「!?ぐぅっ!!」

「こうげきの しょうたいが つかめない!って奴だ!『ソウル・シェイカー』!!」ズゥゥン!!

「!!ぐっ!(なんだこの攻撃…!?何も見えねえ、感じられねえ、なのにダメージが来る!)」

「もういっちょ!『ソウル・シェイカー』!!「くっ!」パキパキ

 

「…?(つい氷で防いじまったが…ダメージが来ない…?)」

 

 

 

「…なるほど、初見殺し。」

「…え、流石に殺生石殺すのは拙いでしょ。半殺しくらいで。」「そういう意味じゃねえよ。」

「半殺しは良いとして…化太郎くんの攻撃の事かな…?」「良いのか半殺し?!」

 

「…ああ、あれはたぶん耳郎の爆音ハートビートと原理は似てる。より重低音で、集中させてな。」

「ウチの…?」

「音ってのは空気の振動だ。化太郎のゴーストリックモードは普通物理的な影響をお互い与えられないが、いくつか例外がある。」

「そっか、光と音!」

「光の影響がなければ化太郎は完全に見えなくなる。音の影響がなければ化太郎の声も聞こえるはずがない。化太郎は重低音を放射したんだ。轟がいる位置に集中するようにな。」

「…要するにでっかい太鼓を強く叩いた時、腹らへんがビリビリってくるのを滅茶苦茶強くしたみたいな?」

「おお、上鳴にしては良い例えじゃねえか。」

「分かり易いじゃん、上鳴にしては。」

「上鳴にしては上出来じゃね?」

「お前ら…俺のメンタル豆腐並なんだから言葉に気を付けろ…。」

「そして、たまたま轟は氷で防いだ。音は当然氷に阻まれて轟に影響を与えなかったって訳だ。」

「…というかなんでさっきから殺生石はまともな攻撃してないの?」

「あー……まあ、その…なんだ?」

「…?どうしたの?そんな急に言いよどんで…。」

「…化太郎はな、全力が出せれば滅茶苦茶強いんだよ………全力が出せれば…。」

「……つまり?」

 

 

 

「むきゃーっ!!いい加減にしろ轟!!とっとと負けろ!」

「負けるのはお前だ。」ボォッ!

「熱ぅい!燃焼系男子になるぅ!!」

「(()側だからってのもあるが…殺生石の場合加減が特に難しいな…。下手打って致命傷負わせる訳にはいけねぇし。…というか抵抗らしい抵抗しねえな…。)」

 

 

 

「…ほら、化太郎の個性ってイメージ次第じゃん…?ブチギレると頭がカッと沸騰してマトモな状況判断も出来なくなるんだよ…。」

「…ああ、そういう…。」

「自分の身体を動かすのにすらイメージ作んなきゃダメなのか…?」

「ああ…マトモだったら機械並に正確な動き出来るんだけどな?マトモなら…。」

「…もうなんだかいろんな事が1日で起きすぎてダルい…。」

「…ねぇ、今の化太郎くんの『最強からの逆算』ってのは…。」

「…『常に冷静な思考を保つ』…。」

「…」「…」「…」

「…アイツも…頑張ってるんだよ…本当に…。」

 

 

 

 

 

     ⌒  ヽ ほ  (⌒,

    、⌒ (  ほ  く    ⌒)

 (     く    ( )   )

   (    _,,.._,.-ー、,、_  '

     /      ^ ゙ヽ、

    /    ¸' 3      `ヽーっ

   ,i        ⊃     ⌒_つ

    |            ...::i/

   ,ヽ、        _::::;;イ

    ゙̄`ー-......,,,,,::-''''",/

 

 

 

 

 

 

「「「「「「 蒸 さ れ て る !? 」」」」」」

 

「…え…と、殺生石くん?戦闘不能…。よって…轟くんの勝ち…。」

 

 

 

『…あー…。えー?以上ですべての競技が終了…。今年度雄英体育祭1年優勝はA組轟焦凍…。』

 

 

 

「締まんねぇ…。」

 

 

 






えー、なんというかほんと、すみませんでしたァァァァァ!!!
だって!作者の中のギャグ成分が噴出しちゃったんですもん!!
もうあれだよね!完全にシリアス書くと拒絶反応出るんですよね!!
じゃあ何で中途半端にシリアス入れるの死ぬの?って話ですが



入れたいから入れたんじゃ。


・化太郎くんのお考え講座

八百万戦 コンディション:気乗りしない。
「私を全力で倒す…ねぇ、つまり私を倒すだけの策を練ってるって訳か。でも見たところ随分力入ってるなぁ…。これは初っ端からいきなり動くつもりだな。でも体に無駄な力が入ってるから動き出しは遅いハズ…。ここは融剛にならって私も『見せ札』切ってみるか。」

芦戸戦 コンディション:テンション下がるわぁ…。
「負けないよ…か。モモつんと違ってあんま作戦らしい作戦は練ってないみたいだな。ここは一回相手の行動を見てから判断しよう。……ん、私の『見せ札』を警戒しての酸だばぁか。遠距離戦狙いかな?じゃあ…遠距離でも対応できるってとこ見せておきましょう。
あっ……ごめんなさいミッドナイト、セメントス…。」

爆豪戦 コンディション:楽しみ!!
「爆豪が相手か!いやぁ一度ガチで戦ってみたかったんだよね。なんせ昔虐められてた借りがあるから…まあ相手は覚えちゃいないみたいだけど。…おやおやぁ?戦う前から汗だくじゃないか。つまり開幕ブッパですね分かります。ふむ…ちょっと挑発してみよう、きっと必殺技を見せてくれるだろう。…ひょー!こりゃ高威力な技だ!!…あ、いいこと考えた。爆豪に勝つ、ついでに他の試合を有利に進めさせてもらおうかな!
楽しい!楽しい!!爆豪お前タフネスの塊かよぉ!!次はこうだ!超えてきたか!じゃぁこれならどうだ!?じゃあこれは!?凄い!!惚れてまうやろ!!
……あ?なんだよこのコール。……ムカツク。イライラする。……。」

爆豪戦→融剛戦 コンディション:……。
「…………(クソが)。」

融剛戦 コンディション:どうでもいいや。
「………。すっごいイライラしてるから圧倒的にボコらせてね。…あは、やっぱり融剛と戦うのは楽しいなぁ、イライラする、ムカムカする。でもどうでもいいや。今だ。今だけ。あとはどうでも良いや。今を楽しもう。
……ぁ、あぁ、やっぱ、ヒーローっていいなぁ。」

轟戦 コンディション:小腹空いてる。
「炎と氷が備わり最強に見える轟君を倒したい…と思ったけど、心配なさそうだね。…融剛のヤロー、轟君に助言したなぁ…。ああもう!このちまちました攻撃!生意気な口撃!お前ロイコからも助言受けたな!!ムキー!!激おこプンプン丸、ムカ着火ファイヤーも辞さない!…いやまてまて、冷静になれ私、ひっひっふー。まずは相手の攻撃手段を断つ、氷を使う度体温が低下してるのは知ってるんだぞ熱っつい!うにゃあああああああ!!
あああっつい!あつぅい!焼ける!焼けるぅ!こんがり焼けるぅ!

蒸された。」

ちなみにイライラ・ムカムカと激おこプンプン丸は明確に違う感情です。

次回、表彰式と休校日書きます。それで体育祭編は終了。


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ヒーロー志望に悪い奴は…まあ大体良い奴なお話

別名予定通りの大団円なお話。
勘違い、すれ違いはありましたが皆良い子ですからね。切っ掛けがあればしっかり仲直り。

小話

 ほくほく…

「…とりあえず殺生石くんどうしましょうかセメントス…。」
「…とりあえず冷やしてみてはいかがでしょう…。」
「…轟くん、お願いできるかしら…?」
「…分かりました。」軽くひんやり







        ______
      /  //  /|
      |/_,,..,,,,_ /!/|
      | ./¸' 3/`ヽ:|っ! 
      | l /⊃ ⌒.|つ|
      |/ー -----‐'''''"|/ 
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 / バ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ン \

「「 いやなんでだァァァァァァァァ!!! 」」
「(殺生石って面白いな。)」


「それではこれより!!表彰式に移ります!」

 

「何アレ…」うわぁ…

「起きてからずっと暴れてんだと…。しっかしまぁ……」

 

 

 

「にゃああああああ!!!/// ジタバタ

 うわああああああ!!!/// ゴロゴロ

 ぎゃああああああ!!!///」バタバタ

 

 

 

「締まんねー2位だな…。」

「可愛いなぁ(*´ω`*)」「えっ!?」「あ、いや、何でもねぇ。」

 

「…瀬呂。」「…葉隠。」

 

ピシッ!ガシッ!グッグッ。

 

「…何やってんだあいつ等…。」

「ほっときなさい。ただのビョーキよ。」

 

 

「3位には遊戯くんともう一人飯田くんがいるんだけど、ちょっとお家の事情で早退になっちゃったのでご了承くださいな。

メダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」

『私が!!』

 

『メダルを持って「我らがヒーロー、オールマイトォ!!」

 

「被ったな。」「言ってやるな。」

 

 

 ◆

 

 

「遊戯少年おめでとう!強いな君は!」

「ありがとうございますオールマイト。」

「ただ!ヒーローってのは『勝てればいい』って訳じゃない。ヒーローならば勝つ方法も選ばなきゃダメだ。」

「…はい。」

「君は器用だ。すぐに実践できるさ。」ポンポン

 

「殺生石少年。ある意味伏線回収見事だったな!」HAHAHAHA

「おぉおぉおぉ…いっそ殺せぇ…!」

「君は強い、だが同時に弱くもある。一時の感情に身を任せちゃダメだ。折角取れる選択肢が多いのに自分で狭める必要はない。柔軟な思考と冷静さを忘れるなよ。」

「…うぃ。」

「大丈夫!君ならできるさ!」ポンポン

 

「轟少年、おめでとう。」

「…」

「決勝で左側を解禁したのもワケがあるのかな。」

「…緑谷戦でキッカケをもらって…安藤や、遊戯がああなるまで戦う理由のある殺生石を見て…色々分からなくなってしまいました。でも考える事、清算しなきゃならない事は置いといて、今やらなきゃ駄目だって…そう感じた。」

「……顔が以前と全然違う、深くは聞くまいよ。自分の都合なんてお構いなしに受難は訪れる。でも君はちゃんと優先順位が分かってるみたいだね。」ポンポン

 

「 さァ!!今回は彼らだった!!しかし皆さん!この場の誰にもここ(・・)に立つ可能性はあった!!

  ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!

  次代のヒーローは確実にその目を伸ばしている!!てな感じで最後に一言!

 

        皆さんご唱和ください!! せーの 」

 

「「「「「プルス『 おつかれさまでした!!! 』えっ」」」」」

 

「そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!」

「ああいや…疲れたろうなと思って……」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ねーねー轟君。もっかい勝負しようよー。」「今度な。」

「…1位に『成った』私に何言おうと「シャラァァァップ!!おい融剛お前ただでさえ私の痴態が全世界のVHSやブルーレイディスクのみならずインターネット上に永久に記録されてんのに更に傷口に錆びたナイフを突き刺すマネはヤメロォ!!」

「そこ塩じゃねえんだ。」

「馬鹿野郎轟お前アレ塩なんてレベルじゃねえだろ明らかに私を殺しにかかってるだろ!!」

「いやぁ…負けた腹いせ?」

「止めんか!!」

 

 

「…殺生石。」

 

 

「…おやおや、皆さんおそろいで。お礼参りかな?試合後の消耗を狙ってやってるとしたら大したヒーロー達『ゴメン!!』

 

「ゴメン殺生石…!俺は…お前の事全然理解してなかったのに…っ!あんな酷い事を…っ!」

「殺生石…オイラ…お前にチートだなんて言って…ホントにゴメン!!!」

「殺生石ちゃん…私もあなたに酷いこと言ったわ…ごめんなさい。」

「殺生石…済まない。俺はお前を酷く誤解していた…。」

「殺生石ぃ…ごめんなさい!!」

「ごめん!」

 

 

「…」

 

 

チョンチョン「…?」

 

「(え、何コレどういう事?)」

「(…あー。お前が轟と戦ってる時に俺がちょっと…まあ口を滑らせたっていうか…。)」

「(おk、把握した。)」

「(…あいつ等も悪いヤツ等じゃないんだ、化太郎…)」

「(良く分かってるよ、そんくらいね。でもソレとコレは違う。そうでしょ?)」「…」

 

 

「殺生石っ!俺は…っ!」ザッ

「…!」

「俺はお前に酷い事をした!お前の事勘違いしてた!許してくれなんて言わねえ!!でも…せめて、お前に償いをしてえっ!」ゴツ

「……それで土下座ってワケかい切島君。」

「土下座以外でも、俺に出来る事はなんでもやるっ!俺はそれだけお前に酷い事をしたっ!」

「…俺も、お前に酷いことを言った。」ザッ

「オイラも…。」ザッ

「…」ザッ

 

「「「「 ごめんなさい!! 」」」」

 

「…。」フゥゥー

 

「まずは切島君ね、顔あげて、話が出来ないから。」

「…ああ。」

 

 

 

「今なんでもやるって言ったよね?」ニマァ…

「ヒィッ!!?」ゾワッ

 

 

「何でもやるって…言ったよねぇ?」

「い、うぅ…言った!何でもやるっ!二言はねえ!!」

「そ、じゃあ新技の受け手になって。」

 

 

「…え?」

「だからさ。新しい技考えてるんだけど、それがちょっと普通の人間相手だとオーバーキルになりそうだしさ。融剛相手じゃ練習にはならないし。硬くなるような個性の切島君向けだから丁度いいかなって。」

 

「…え?普通の人じゃあオーバーキルになりそうな技受けろってこと…?」

「そういうこと♪

 

 二言は無いんだよねぇ。」ニッコリ

「 」

 

「じゃあ早速明日よろしくね。次、瀬呂君、顔あげて?」

「…」ガタガタ

「顔、アゲテ?」ニヤァ…

「お、おお。」

 

「私ねぇ、相手の拘束技から逃げる訓練がしたいんだけど、丁度いい個性の訓練相手がいないんだよね。だからその相手になってほしいんだけど。」

「…なんだ、そんな事なら…。」

「わあ、ありがとう。」

 

 

「訓練なんだけど、やっぱり実践に近い方が良いから全力出せる相手がいてくれて助かるなぁ♪」

「…え、全力…?」

「もちろん!実戦により近くするために全力戦闘じゃないと訓練にならないでしょ?大丈夫、瀬呂君は私の攻撃を避けながら拘束すればいいだけだから!簡単でしょ?」

「…え、コンクリートのステージを叩きわる様な一撃持ちが…全力?」「そうだよ?」

 

「嫌だあああああ死にたくなぁぁい!!」

「…そう。まあしょうがないなぁ。じゃあ代わりに切島君が…。」「ヒュィイ!?」

「…!(おま…ただでさえ死に掛ける事が半ば確定してる切島を人質にっ…!)」

「…え?瀬呂くん、引き受けてくれるって?」

「…ハイ。(切島、死ぬときは一緒に死のう。)」

「うんうん。じゃあ次上鳴君、顔あげてね。」

「…」

「…何度も言わすなよ…?」ニカ…

「ひぅ。」

 

「私ねぇ、上鳴君が個性使い過ぎた時のアホ面結構見てるの好きなんだよねぇ…。」

「…(嫌な予感しかしないんだけど!誰か助けて!!)」

「それでねぇ、気になるんだよねぇ、限界の更に先まで個性使ったらどうなんのか。」

「あばばばば…」

「見せろ」

「ひゃい…。」

 

「ん、まあ今度でいいよ♪蛙吹ちゃん?」

「…ケロォ…。ば、バケちゃん?私たち友達よね?」

「もちろん友達だよ。ちょっと酷い事言われたくらいで友達止めないよ。」

「ケ、ケロッ。」

「ところで、これから梅雨ちゃんの事、ケロちゃんって呼んでいい?」

「…ケロちゃん…。私の事は梅雨ちゃんと…「あ、それともケロタンかケロッピかケロロっちとか他の呼び方の方がいいかなぁ?」

「…ケロちゃんでいいわ…「ケロちゃん『で』?」ケロちゃんがいいわ!!」

「ん、これからもよろしくねケロちゃん♪」

「ケロォ…。」

 

「…峰田君「おおおお俺等も友達だよな殺生石!友達だよな!な!!」

「うん、もちろん友達だよ。ちょっと酷いこと言われて傷ついたけど、私は大丈夫だよ。仲直りのハグしよう?」

「せ、殺生石ぃ…」ぶわっ

 

 

「ただ私は筋肉モリモリマッチョマンになるけど。」

 

 

「殺生石ぃぃぃぃぃ!!?」

「さあ峰田君、これで仲直りだよ。」モリムキッ

「ああああ放せええええ男の汗の匂いなんぞ嗅ぎたくねええええ!!!」

みしっ、めきっ、べきべき

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」ブクブク

 

 

「……」「……」「……」

「…あとの皆は…まぁ、陰口は言ったかもしれないけど、別に私は聞いてないしいいよ。」

 

「「「 (た、助かっ「ただ、今日の事でやっぱり対外試合は大事だなって思ったから私と戦闘訓練しよ?」てない!?) 」」」

 

 

 

ワーッ!ギャー!

 

 

 

「…」「…どうした轟?」

「いや、結局俺は殺生石と戦っただけで何もしてないなって思ってよ。」

「そうか?化太郎と戦っただけって言ってもかなり大したことやってるだろ。」

「どこがだよ。」「…ほれ、見てみろ。」くいっ

 

 

「どうせ明日明後日と休みになるじゃん!そん時に私と訓練しよっかぁ!」

「いやいや!体育祭の疲れを癒す日じゃないのかよ!?」

「何言ってんの!どうせ癒すんだったら訓練したって一緒じゃん!?」

「おい駄目だコレ話が通じてねえ!!?」

「せ、殺生石!明日はゆっくりしよう!な!」

「…いいよ!切島君がそういうなら仕方ない。」

「うおおお!切島お前よくやったァ!」

 

「その代わり明日休みって事はそれだけ切島君で試す必殺技を考える時間が増えるって事だからね?」

 

「お前らぁ!明日死ぬ気で頑張るぞ!!」

「き、切島ぁ!!」

「切島が死ぬ気でって言ったら冗談に聞こえないんだよなぁ…。」

「冗談で言ってるつもりはないんでしょ…。」

 

 

「あんなに皆はしゃいでるのはシリアスとギャグの落差のおかげだろ。」

「いや落差て。」

「…それに、お前が化太郎に勝ってくれたおかげで、化太郎は俺と露伊戸以外とも切磋琢磨する気にもなっただろ。それで十分なんだよ。」

「…そうか。」

「…まぁ、お前が化太郎に勝ったとしても、俺はお前に負けたつもりはないからな?」

「…?何言ってんだ?戦ってないんだから勝ちも負けもないだろ?」

「…お前ってなんか張り合いねえな…。」

「?」

 

 

「おまえら…いつまでそんなところで駄弁ってるつもりだ…!」

 

 

「ぎゃあああ!ミイラ男!!じゃなくて相澤先生!?」

「いや、いい加減見慣れろよ。」

 

 

 ◆

 

 

ピロン♪

 

明日の休校日にウチで『体育祭お疲れパーティ兼戦闘訓練』するけど来たい人ー?

切島、瀬呂、上鳴は強制参加ね。

殺生石

 

 

パーティ兼戦闘訓練 っていう字面

ウチ参加したい

耳郎

 

 

元気の塊かよ…

殺生石の家ってどこだ?

砂糖

 

 

パーティ!行く行く!

芦戸

 

 

何時からやるんですか?

口田

 

 

私も参加しますわ

八百万

 

 

戦闘訓練は見学だけでもいいかな?

緑谷

 

 

明日俺は死ぬかもしれない…皆、骨は拾ってくれ

瀬呂

 

 

パーティいきたい!

葉隠

 

 

緑谷無理すんな…

瀬呂お前拾う骨残ると思ってんの?

遊戯

 

 

たすけて

瀬呂

 

 

電車で通ってる人は分かると思うけど高校の最寄り駅で乗り換えて『狐狸山駅』で降りればすぐだよ。迎えに行くからそこで待ってて!時間はお昼12時、昼食はバーベキューを予定してまーす!

殺生石

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

翌日

 

 

「「「お、おおおおおおお!!!」」」

 

 

「「「でっけえええ古民家ぁぁぁ!!!」」」

「よーこそ諸君!歓迎するよ!!」

「殺生石ぃ!お前ン家めっちゃくちゃでけえじゃねえか!!なんだコレ!!」

「おいおい…お前の家って貧乏って聞いてたんだけど…」「誰がそんな事言ったの!」プン

 

「…さて、驚いているところ悪いけど、君たちに残念なお知らせがある。」

「…なんだよ、まさか受ける必殺技が増えるっていう…。」

「それは切島だけが残念なお知らせだな…。」

「確かに必殺技は増えたけど「増えたの!?」そこじゃないんだなぁ。」

 

 

 

「実はこの家、いわゆる別宅って奴。私の本当の家はここの2倍位はあるよ。」

 

 

 

「「「ええええええ!!」」」

「お前ン家全然貧乏じゃねえじゃん!!」

「食費が嵩むってだけの話なのに何で貧乏ってなるんだよ!!」プンプン

「…というかだな、なんで休日にこんな山奥にまで来て、家自慢聞かなきゃいけないんだ…?」

「自慢じゃねえんですけど。」「ムカツク…。」「ちなみにココと同じ位の規模があと一軒ありまーす。」「自慢じゃねえか!」

「というか、最寄り駅から送迎バス出してやっただけありがたく思え。」

「…やっぱ金持ちじゃねえの?」

「家用の送迎バス持ちって十分金持ちじゃねえか。」

「…殺生石っておぼっちゃん?」「お嬢様かもしれねぇ。」

「失礼な、お前ら私がそんな上等なモンに見えんの?」

「「見えない。」」

「だろ?お嬢様に見えるとか失礼極まりないぞ!」プンスコ

「…あれ?普通逆じゃね?」

 

 

「皆様、『狸御殿』へようこそ。本日皆様を案内する先詠さとりです。案内って言っても大したことはしないですけどね。」

 

 

「やーさとりん悪いね。流石にクラスの大体が来るとなると手が足りんくて。」

「別に構いませんよ。貴男の普段の学校生活を知るいい機会です。…しかし聞いていた人数より明らかに少ないですね。」

「ああ、あいつ等はちょっと予定より早く来たからな。折角だし先よこした。」

 

「(おい、あの女の子可愛いな。)」「(…上鳴お前ロリコン…?)」「ば、違ぇよ!!」

 

「さてさて?どうせすぐ分かると思うけどここ狸御殿は中はほぼカラだ。それにここら一帯…というかこの山はウチの私有地だ。つまり個性は思う存分使っても大丈夫だよ。」

「お、おお。もう山一つ私有地とかで一々驚いてられなくなってる…。」

「瀬呂…お前も感覚麻痺してきたな…。」

「さぁてさて、本当だったら皆が集まるのを待ってから始めたいとこなんだけど、まあただ待ってるのも退屈でしょ、とりあえず3人とも先入って始めちゃおっか?」

「…ものすごく気が進まない提案だぜ…。」

「…諦めろ切島…。どうせいつか受ける罰なら早い方がマシだ…。」

 

 

 ◆

 

 

「うん、分かってはいた。外から見てあんなに広かったんだから中も当然広いって。」

「…でもよぉ。」

「地面むき出し。草は生えてる。生木が柱代わり。なんというか…山の中に屋根だけ付けた感じか?」

「言い得て妙だね。まあここは主に私の個性訓練の時に使う場所だし、これでも十分なんだよね。あ、あとあっちの方にちゃんとした部屋があるし、そこは冷暖房・冷蔵庫キッチン完備してるよ。所謂休憩室だね。おら男子高校生諸君、女の子の自室だぞ興奮しろ。」

「俺はここを部屋とは認めない。」

「俺はお前を女の子とは認めない。」

「俺もお前を女の子とは認めない。」

「…さとりんあいつ等がいじめるぅ。」

「奇遇ですね、私もあなたの事女の子として見てないですよ。」

「…おかしいな、なんで私の部屋なのに私の味方がいないんだ?」

「そもそも部屋じゃないだろ。」

「ちゃんと雨風しのげるわ!」

「お前の部屋の定義ガバガバすぎじゃね?」

「…よしよし、そんなに私の本気が見たいんだね。偉いじゃないか。」「ごめんなさい!!」

 

 

 

「知らなかったのか?大魔王からは逃げられない!!」

 

 

 ◆

 

 

「じゃあまずは漢、切島君からいこうか!」ニッコリ

「…なあ、本当に大丈夫なんだよな。俺本当に死なないよな!?」

「だーいじょーぶだって。」

「マジで頼むぜ…?」

 

「こんな山奥で起きた惨劇なんて簡単に隠せるんだぜ?」

 

「俺帰るゥ!!!」

「待ってください切島さん。あれは化太郎なりの冗談です。いっつじょーく。」

「それこそ嘘だろォ!!あれ見ろ!!マジな目してんじゃん!!」

「おや、では逃げるのですか?男に二言は無いのでは?」

「…」

 

 

 

「チキショォォォォォ!!」

「大丈夫だって、しっかり個性発動すれば100分の99殺しくらいになるから、想定では。」

「アアアアアダメだあああああああ死ぬううううう!!」

「殺生石家には治療の個性持ちがいます。死んで無かったら何とかなりますので安心してください。…死んで無かったらですけど。」

「ぎゃああああああ助けてええええええ!!」

 

 

「あの切島がキャラ崩壊してる…!」

「…次は俺の番って考えるともう憂鬱だ…。」

 

「「 切島…せめてなんとしてでも生きててくれ…。 」」

 

 

 

「ちくしょおおおおああああもうどうにでもなれえええええ!!」

「よしよし、あんまり下手に動かれると逆に死ぬから助かる。

 さあ行くぞ切島。しっかり個性発動しろよ!!『切島殺し(仮)』!!」

「名前まで完全に殺しにかかってるじゃねえかァ!!!!」

 

ドッ

 

 

チョドォォォォン

 

「き、切島ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「…さあ、次はどっちかな?」

「ひぃ」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

ブロロロロ…キキィ。   プシューッ。

 

「…近場の駅から直通バスがあるってすげえな。」

「直通バスっていうか殺生石家専用バスだ。」「マジで!?」

「お茶子ちゃんも来れればよかったのにねぇ。」

「両親が家に来たっていうのなら仕方ないわ。」

「結局轟も爆豪も来ないのか。」

「かっちゃんは…まあ来ないなとは思ったけど…。飯田くんも来ないみたいだし…。」

「おー、いいにおいがする!」

 

「やっほー諸君!遥々ご苦労!皆揃ってる?」

 

「殺生石!お前ン家って凄いお金持ちだったんだな…。」

「切島と上鳴と瀬呂が居なかったが…。」

「ああ、3人なら先来てるよ、今向こうでバーベキューやってる。」

「えー、先に楽しんでるなんてズルイ!」

「大丈夫大丈夫!食材はまだいっぱいあるから!さあさあ一緒に楽しもう!ジュースもいっぱいあるけんねー!」

「わ、いいね!」

「それに上鳴と切島と瀬呂、盛り上げ隊が先に居るんだからきっと楽しそう…

 

 

ジュー…

「…」モソ…

「…」モソ…

「…」ジュー…

 

 

じゃない!!?」

「うわぁなんかモソモソ食ってる…!」

「一体何が起きたんだ…!」

「ちょ、殺生石…?」

「いやさー、3人とも早く来てたから先に部屋にあげたんだよ。あと折角のバーベキューだろ?お腹空いてた方がより美味しく感じるんじゃないかと思って食前の運動をちょっとね。」

「…3人が何か言ってるみたいだぞ…。」

 

 

「やめろ殺生石人間の身体はそんな物を受けて原型が残るようには出来てないんだぞ」

「殺生石の身体が燃えるテープが溶ける迫る殺生石燃える拳あついあついあつい」

「牙を突き立てないでおねがいします電気放出もうむりなんですがんばってもでません」

 

 

「何が起きたのか光の速さで理解した。」

「バケちゃん…あなた…。」

「…」

 

「やらかしちゃったぜ★」テヘペロ

 

「切島ぁ!!大丈夫か!!戻って来い!!」

「瀬呂ぉぉぉ!!しっかりしろぉぉぉぉ!!」

「上鳴!!安心しろ!もう牙なんて何処にもないから!!」

 

 

「あ、出久くん。その手だと食べ辛いでしょ?あーんしてあげようか?」

「い!?いや、大丈夫だよ!!」

「まあまあ、ここはお姉さんに身を預けなさい。」ぽよん

「だだだだ大丈夫ですって!!?」

 

「緑谷ぁ……!」チノナミダー

「…お前、羨ましいのか?中身化太郎だぞ…。」

「見た目が綺麗なネーチャンだったら何でもいいんだよぉ…!!」

「…そうか。」

 

「おや、A組の皆様来てたのですか。ようこそ狸御殿へ。私は「キャー!可愛い!!」

「わー!殺生石の言ってた女の子!本物だぁ!!」むにむに

あんえうあああははひ、はへはへひぃえふへ(なんですかあなたたち、なれなれしいですね)。」

「わ!凄いもちもち!!ずっと触ってたい!!」

「おお、将来有望そうな子ですわね!」

あらあをへあへあさわああいへふははい(からだをべたべたさわらないでください)。」

「ん~?なんて言ってるのか分かんなーい!」むにむに

 

キャーキャー!

 

「オイラ女に生まれたかったよ…!!」

「合法的に女の子触れるからって?アホか。」

 

 

 

「混沌…!」「ケロ…。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「皆ー!コップ持ったかー!?じゃーとりあえず、体育祭お疲れ様!プロからの指名にドキドキするのは明日に回して、今日は気ー抜いてこー!カンパーイ!!」

「「「「「 カンパーイ!! 」」」」」

 

「…よかった、3人とも正気に戻った…。」

「ウチらが来る前の記憶を何処かに飛ばしてるみたいだけどね。」

「触れてやるな、その方がお互いが幸せだ。」

「幸せっていったい…。」

 

「皆様、食べてますか?」

 

「あ、ああどうも。えっと…。」

「初めまして、私は先詠さとりといいます。」

「あ、ああ。初めまして。俺は「尾白猿夫さん、耳郎響香さん、障子目蔵さんに砂糖力道さんですね。」

「えっ…?あの「どうして名前を知っているのかですか。それは貴方がたの心を読ませていただいたからです。」

「え、心…!?それって「はい、私の個性です。私の前に立って隠し事は出来ませんよ。」

「…それは「そうですね、私にかかればあなた方の個性、性癖、クセ、戦闘スタイルから今朝食べた食事や普段お風呂で何処から洗うかなんて手に取るようにわかります。」

「…凄い…!」「まあ嘘なんですけど。」「「嘘かよ!!」」

「冗談です。いっつじょーく。」

「…真顔で冗談を言わないでくれ…。」

「ええ、相手の心を読めると言われたのならどこまで読めるのか。それが気になるのが普通ですからね。ですからあえて相手の心臓に悪いように言うのです。」

「…いい性格してるね。」「ええ、趣味です。」

「本当に良い性格してるわ…。」

「…なあ、殺生石とは「どういった関係であるか、ですか。一言でいえば殺生石家の居候です。」

「…じゃあ二言でいえば?」「幼な妻です。」「ブッ!!」「嘘です。」

「…あんま嘘を連呼するのは感心しないな…。」

「ええ。ですがあなたたちのようなヒーローを目指す方はからかうと面白いですから。」

「年上をからかうもんじゃないぞ…。」

 

「…化太郎は学校でどうですか?」

「…。そうだね…。説明しづらいなぁ。」

「心を読めば一発じゃないか?」

「ええ。ですが、私は貴方がたの口から聞きたいのです。」

「…まいったな。」

「…昨日仲違いをしたばかりでな。俺等が悪いのだが…。」

「ああ、殺生石は個性が凄いから強いんだって思ってたんだ。」

「…だが、本当に凄いのは個性じゃなく殺生石の努力だって気付かされた。」

「…そうですか。それで?貴方がたは化太郎を見てもう勝てないって思ったわけですか。」

「まさか。確かに殺生石はウチらよりかなり先に行ってるよ。でもだからってもう勝てないって事は無い。」

「ああ、単純な強さだけで勝ち負けが決まるんじゃないって教えられた。」

「個性関係なく、殺生石から盗める技術は沢山有る。」

「だから俺等は、少しでも早く殺生石に追いつけるように強くなる機会を逃さない。」

「…そうですか。」ふふっ

「…(笑った…?)」「おや、惚れましたか?」

「…ロリコン。」「なっ!違う!!」

「…しかし貴方がたは少し思い違いをしています。」

「…え?」「…最近良く言われる言葉だな。」

 

「確かに強くなる事、それは大切でしょう。しかし貴方がたが目指すヒーロー像とは?何もヒーローのお仕事は(ヴィラン)と戦う事だけではないでしょう?自分の身を守れないヒーローに何が守れるのかって話ですが、ヒーローの強さとは戦う強さだけではないはずです。それに、皆が皆化太郎のようなヒーローになってしまったらこの世は終わりますよ。」

 

「…」「…」「…」「…」

「年下に、しかもこんな子供に説教されるなんて本当に何やってんだろうなぁ。ですか。」

「言わないで…!結構心に来てるから…!!」

「ふふふ。」

 

 

 

「わーたーしーがー!!

  パーティー会場に来た!!」

 

 

「うわああ!ビックリしたぁ!?オールマイトがどうしてここに!?」

「化太郎だろ。」

「ネタバラシが早過ぎるぞ融剛!!キミはサプライズを楽しむ心が無いのか!!?」

「えっ?殺生石はここにいるじゃん…。」

「オールマイトー!私にサインくれー!!」「まて!先に私にサインくれ!!」

「…ワザとらしいなおい。」

「…いや、普通に増えてるところ突っ込めよ。」

「…え?化太郎だし…。」

「完全に納得した自分が怖い。」

 

 

こうして宴もたけなわ。お腹いっぱいになって腹ごなしのレクリエーションをした後、もう一つの本題、戦闘訓練に入ったのだが…まあ皆家の回復役のお世話になったって言っておこう。

 

私達は拳を交わし合った好敵手(とも)となったのだ。

 

 

 

え?一方的に殴ってただけじゃないかって?さて何のことやら。

 

 




体育祭編終了。ヒーロー殺し編へ続く…のだけど、化太郎とヒーロー殺し会わせようか悩む。

あ、ちなみにですが
さとりん「奇遇ですね、私もあなたの事(異性として見てるから)女の子として見てないですよ。」
って補完すると色々捗ります。



なんか急に思いついちゃって書かずにいられなくなった設定

化太郎からの好感度

 0以下
あなたは化太郎に恨まれています。ありとあらゆる手段を用いてあなたを捕捉し抹殺に掛かるでしょう。尊厳ある死に方を求めるのなら自由なうちに。

 1~10
あなたは(ヴィラン)です。戦闘の結果、最悪は死亡。良くて四肢欠損くらいは覚悟してください。

 11~20
あなたは化太郎から嫌われています。非常事態の際には助けてもらえるでしょうが、それ以外の時に化太郎に近づくのはやめておいた方が良いでしょう。何らかの不幸に遭う可能性が高いです。

 21~30
あなたは無礼な一般人です。化太郎に助けを求めれば応えてくれる可能性はありますが、化太郎はそもそもあまりあなたに接近しようとはしないでしょう。

 31~40
あなたは良識ある一般人です。助けを求めずとも、化太郎はあなたが困っているのを見かけたらすぐに声を掛けてくれるでしょう。

 41~50 知人の壁
あなたは化太郎と知りあいです。見かけたら世間話をする程度の仲です。

 51~60
あなたは化太郎の友人です。あなたが望めば、化太郎は様々な事を快く手助けをしてくれるでしょう。

 61~70
あなたは化太郎と特に仲のいい友人です。もし望むのでしたら化太郎はあなたと、一夜のお供をしてくれるでしょう、ただし有償で。

 71~80 オールマイトの壁
あなたは化太郎が尊敬する偉大な人物です。

 81~90 家族の壁
あなたは化太郎と家族、あるいはソレに準ずる関係です。あなたは化太郎にとって命を掛けて守る存在です。

 91~99 魂の友の壁
あなたは化太郎にとって背中合わせで戦う存在であり、共に高め合っていく存在であり、精神の主柱であります。あなたが望めば化太郎はあなたとどんな関係にもなるでしょう。ただし化太郎から求められる事はありません。

 100 性欲の壁
あなたは化太郎にとって性欲の対象です。無性ゆえに今まで性欲が生まれたことがない化太郎は間違いを犯してしまうかもしれません。あなたが優しく手ほどきをすれば、化太郎は常にあなたにとって最良のパートナーであり続けようとするでしょう。

 101以上 病気
あなたは化太郎にとって全てです。化太郎はあなたが望めば世界を支配し、あなたに献上するでしょう。あらゆる不可能を可能に変え、世界に降臨した神となります。
しかしあなたが化太郎を拒絶することは世界の終焉と同義です。


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感染
お前の名は。


新章です


「よう飯田。お前の兄さん大丈夫なのか?」

「お早う遊戯くん!兄の件なら心配ご無用。…だが。」

「だが?」

 

 

「…」ぼー

「…」だらー

「…」ぐだぁー

 

 

「クラスの皆は一体どうしたというのだ!?」

「24時間耐久組手の結果だ。」

「ニジュウヨジカンタイキュウクミテ!!?」

 

「よお飯田おまえおとといのぱーてぃにこれなくて残念だったな」

「いやー飯田これなくてざんねんだったなー、あんなにたのしかったのにー」

「しってるか、にんげんっておもいのほか丈夫なんだぜ」

「やすみなしでもなんとかなるんだね。」

 

「兄の件よりこちらの方が心配になるのだが!!?」

「大丈夫だ。健康に一切害はない。」

「そうは見えないっ!!!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「『コードネーム』ヒーロー名の考案だ。」

 

「「「 胸ふくらむヤツきたああああ!! 」」」 ワッ

 

「膨らみ過ぎて女になっちゃ…なっちゃ…なっ…成れない!?」

「いい加減にしろよ殺生石…」ザワッ

「あひん」

「…というのも先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる。指名が本格化するのは、経験を積み即戦力として判断される23年から…。つまり今回来た指名は将来性に対する興味に近い。卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある。」

「大人は勝手だ!」ガン

「子供は自由だ。」

「余裕ですわね遊戯さん…。」

「頂いた指名がそんまま自身へのハードルになるんですね!」

「そ。で、その指名の集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが、3人に注目が偏った。」

 

 

遊戯   3,721

轟    3,366

爆豪   1,035

殺生石  426

飯田   299

常闇   152

上鳴   103

八百万  73

切島   45

麗日   20

瀬呂   12

 

 

「 私ショボッ!!? 」

「おま!お前でショボいんだったら俺等の立場!?」

「うるせえ!私2位だぞ!?」

「順位逆転してんじゃん。ていうか何で爆豪と殺生石逆転してんの…」

「そりゃぁあんな大立ち回りしたんだから印象に残るだろ。」

「チキショウ!爆豪テメエ私ともっかい勝負しろぉ!!」

「ジョートーだ今度こそぶっ殺してやるよ!!」

『殺生石…?』ザワッ…

「(´・ω・`)」

「さすがですわ遊戯さん、轟さん。」

「ほとんど親の話題ありきだろ…」

「まあ普通のプロヒーローに化太郎の手綱引けないだろうし…その分の指名が俺に来ただけだろ。」

「わあああ。」ゆさゆさ

「うむ。」

「無いな!怖かったんだやっぱ。」

「んん……」

 

「これを踏まえ…指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう。」

「職場体験…?」

「職場体験…」

「…殺生石?」「どうしましたの遊戯さん?」

 

----------

-----

--

 

 ヒーローとは常に迅速確実丁寧な仕事じゃないと務まらん!!お前等ァ!!街のあらゆる犯罪を見逃してはならん!!町内全力ダッシュしながらスリ・空き巣防止からポイ捨てまで全て逃すなぁ!!

 あらぁ、ヒーローはそれでいて身体が資本なのよ。だからはいコレ。およそ50キロの重り入り緊急キットよ。もし怪我してる子を見つけたのならそれで応急処置しなさい。

 

 えー!?ちょ、50キロ担いで町内マラソン!?

 父さん!母さん!流石に死ぬ!?

 

 何言ってやがる!仮に大災害が起きた時、人を担ぎながら活動できずに何がヒーローかっ!!50キロなんて平均体重も持てずにヒーロー目指そうなんて温いわボケがぁ!!

 

 ほぎゃー!暴力反対!!

 い”だぁ”っ!!なにすんだ!

 

 あらあら、口答えする気力があるのならもう50キロ追加ね。ほら、ちょっと重い人でもこれくらいよ?頑張りなさい。

 

 潰れるぅ!走ることもままならないよう!!

 お”お”お”っ!この体罰両親がぁぁっ!!

 

 ふむ、圧倒的に筋力が足りんみたいだな。仕方ない。これから家にいる間はずっとその装備だ!!食事の時も、風呂はいるときも!当然寝るときも!!

 もちろん戦闘訓練するときもよ?災害が起きた時にヴィランが暴れてることだって考えられるんだから。それとその重りに傷が入るということは背負った人を守れなかったということよ。常に細心の注意を払いなさい。

 

 ひぃ。助けてヒーロー!

 俺等まだ中学生だぞ!いきなりこんな重いもの持てるか!!

 

 持てる持てないんじゃない。持て!!

 プロのヒーローなんてこれくらい簡単にこなすわよ?

 

 ……

 ……

 

 

 さあ、もちろんやるだろう?

 

 

--

-----

---------

 

「 」ブクブクブク

 

「ああ!殺生石が急に泡吹いた!!?」「ちょっ!ちょっと大丈夫!?遊戯!?遊戯ちょっと来て!」

 

「…え、なんか言った?」ガタガタガタガタガタガタ

 

「全身マナーモードかお前!?遊戯お前までどうした!?」

「ちょっと遊戯さん大丈夫ですか!?」

「ああお前大丈夫だこんなん武者震いって奴よお前俺はやるぞお前」ガタガタガタガタガタガタ

「顔が真っ青通り越して土みたいな色になってるぞ!?」

「メディック!メディ~ック!!」

「何言ってんだ俺は大丈夫だおいちょっとなんか寒くね轟火ぃかしてくれ」ガタガタガタ

「救急車ぁ!救急車呼べ!!」

 

 

 

「(入るタイミング逃した…!)」

 

 

 

 ◆ なんつってな

 

 

 

「さあフリップは全員に回ったわね!そういう事で自分のヒーロー名じゃんじゃん考えなさい!」

「…あれ、ミッドナイトいつの間に居たんです?」

「さっきあなたが泡吹いてる時よ!」

「え?泡吹いてる?何言ってるんですか蟹じゃああるまいし。」

 

「(こいつ…さっきの記憶を消しやがった…!)」

 

「ヒーロー名ね、色々考えてあるんだよねぇ。」

 

 

 

 

 

「じゃそろろろ出来た人から発表してね!」「!!!」

「(発表形式かよ!!?)」「(え~これはなかなか度胸が…!)」

 

「行くよ。輝きヒーロー『I can not stop twinkling.』

「「「 短文!!! 」」」

「被っちゃった。」

「「「 被っちゃった!!? 」」」

「I can change THE WORLD…いいと思ったんだけど青山君と被るのはなんかヤダ。」

「…やめて良かったんじゃないの…?」

「ヒーロー名というよりキャッチフレーズ…。」

 

「じゃあ次アタシね!『エイリアンクイーン』!!」

「2!!血が強酸性のアレを目指してるの!?やめときな!!」

「ちぇー。」

「(エイリアンクイーン…私の変身引き出しの中にあるな…。)じゃ次わた「待て待て待て!一回落ち着け!な!発表する前にちょっと俺に見せてみろ!」「あ、」

 

 『 変身ヒーロー カフカ 』

 

「フランツ!!お前虫にでもなるつもりか!?」

「えー?洒落てると思ったんだけどなぁ。」

「駄洒落てる、の間違いだろ。」

「「「(よくやった瀬呂!完全に大喜利の流れになるところだったっ!)」」」

「じゃあ次私いいかしら。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「良いじゃん良いよ!さァどんどん行きましょー!!」

「この名に恥じぬ行いを。」『万物ヒーロー クリエティ』「クリエイティヴ!!」

「焦凍」『ショート』「名前!?いいの!?」「ああ。」

「ツクヨミ。」『漆黒ヒーロー ツクヨミ』「夜の神様!」

「グレープジュース!!『モギタテヒーロー GRAPEJUICE』「ポップ&キッチュ!!」

「…」『ふれあいヒーロー アニマ』「うん!!」

「爆殺王」「そういうのはやめた方が良いわね。」

「被った…っ!」『融合帝』「被せんな!!」

 

「…遊戯ってもしかしてガチ?」「ああうん…ネーミングセンスは私より無かった。」

「えぇ…でも必殺技の名前とかしっかり考えてるじゃん。」

「必殺技の名前はほとんど私が考えたのよ。」

「マジかよ!」

「やっぱカッケェ技には名前つけたいもんな!!」

「…え?あぁ、そういう事か。別につけたいからつけてるわけじゃないんだよ?」

「えっ?そうなのか?」

「うん。技っていうのは繊細な動きが要求されるの。だから少しのブレが技の威力に影響を与えるのね。その為必殺技ってのは常に正確な動きじゃないと困るんだよ。」

「ほうほう。」

「コマンド入力すれば技が出るゲームじゃないんだ。必殺技を正しく出すには正しいイメージが必要なの。でも戦ってる最中に一々イメージを思い起こす暇なんてないよ。だからイメージの代用として必殺技の名前を口に出すのさ。」

「あー、つまり一流のスポーツ選手がやるルーティーンって奴と一緒か!」

「そうそう。それに技に名前が無いとイメージするときでも『手をこーやってこーする技』なんてやる必要あるからねー。」

「へー。」

「必殺技の名前はまぁ、要は口に出してイメージを想起出来ればいいから極論、『1!』とか『あ!』とかでもいいんだけど…」

「『1!』って叫ぶヒーローってどうなの…?」

「そうだねぇ、ヒーローも人気商売だから、そういう所とも兼ね合いが必要なの。」

「そうなのか、てっきりかっこいい名前叫んで気合いを入れる!ってモンだと思ってた。」

「まあそういう所も無いことは無いけど…。」

 

「ソコ!ちゃんとヒーロー名考えてからお喋りしなさい!!」

「お喋りは良いのか。」

 

「…じゃあ、私の番ですね。」トン

 

 

『 幻想ヒーロー サウザンドフェイス 』

 

 

「勿体ぶった割には普通ね。」

「ミッドナイト、私の時だけちょっと当たり酷くない?」

「心当たりは?」

「あります。」

「ならなおしなさい。」

「…うぃ。」

 

 

 

 

 

「『融合賢者』!」「あなたは迷走しまくってるわね…。」

 

 

 

 




化太郎と融剛はヒーローになる為に『ゲームマスターズ』に弟子入りみたいな事してます。
しかし修行内容は大人…というかプロヒーローでも堪えるモノばかりでした。
融剛の兄姉は同じ修行を体験したことがありますが、『こんなんやるくらいならヒーロー以外目指す!』となり修行断念。せめて一番下の弟だけは立派なヒーローにしてやると意気込んだ。結果トラウマ。

殺生石の指名数ですが…



自分より強いサイドキックなんて誰が欲しがるの?


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一週間ジョブトライアル

さて、化太郎はステインに無事会えるのでしょうか。
それと今回もオリキャラが出るのですが…深く考えずに見てください。


「融剛…」

「…」

 

「『ゲームマスターズ』から指名来てるな…。」

「…」

 

 

 

 

「俺はこれだけ指名来てるからな。目に入らなかったってことにする。」

「あ!ズルッ!!」

「というか家に来ればいつでも似たようなことしてるのにあえて職場体験で行く必要あるか?」

「…」

 

 

「私も目に入らなかった!」

「よし。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

職場体験当日

 

「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ。」

「はーい!!」

「伸ばすな、『はい』だ芦戸。くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け。」

 

「楽しみだなあ!」

「おまえ九州か、逆だ。」

「…」

「轟、一緒に行こうぜ。」

「…?なんで。」

「えぇぇ、おま、なんでって…聞いてないのかよ。俺もエンデヴァーヒーロー事務所行くんだが…。」

「そうか。」

「そうか。じゃねえよ軽いな!」

 

「…殺生石?大丈夫かおめぇ、顔色悪いけど。」

「…大丈夫じゃない。これから一週間もさとりんと会えないなんてぇ…。」

「…お、おう。」

「…はっ。こっそりさとりん持っていけばいいんじゃないか!?荷物として!!」

「それは犯罪だ、よせ…。」

 

 

 ◆

 

 

でーんしゃにゆられーてー、どーこまーでーもー。

 

…は行かないけど、終点についたので降ります。

 

手元の紙には、駅から徒歩30分って書いてあるんだけどそれって何の拷問かしら。

 

いや本当何なんだよこの駅、外出たら街灯しか見えねえ…。ここ日本なのか…?

 

 

 

…グンマー。都市伝説だとばっかり思っていた。

 

 

 

あー…こんな街灯しか目印無いのにこんな地図はケツ拭く紙にもなりゃしねえ…

 

仕方ない、鳥になって飛んで行くか…。

 

 

 

!殺気!?

 

 

      ダァーーン!!

 

 

っ!銃声!?何処から!!

 

 

「ウオオオオオヲヲヲヲ!!ニクニクニクニクニクゥ!!!」

「ツカマエロ!サバケ!!クライツクセェェ!!」

 

 

ギャァァァ!原住民が襲ってきたァァァァ!!!

 

 

     ダァーーン!!

 

 

狙いは完全に私じゃないですかーヤーダー!!

 

 

「ミナイトリダ!クエ!クイツクセェェェ!!!」

「ウォーオオオ!ウォーオオオ!!」

 

 

うわああこっちくんな!!

 

 

「ウテェ!ウテェ!!」

「ジメンニタタキオトセェ!!」

 

 

    ダダダダダダ!!

 

 

自動小銃!?猟銃ですらねえ!!くっそ!完全に殺す気だな!!

 

「銃砲刀剣類所持等取締法違反及び殺人未遂の容疑で確保させてもらう!」

「トリガシャベッタ!?」

「メズラシイ!クワズニミセモノニシテヤレ!!」

 

マジでグンマー世紀末かよ!?明らかに犯罪者だけどグンマー法で特例的なのがありそうだなぁ…

 

仕方ない、一切の怪我をさせることなく捕獲する!

 

「ヒャッハアアアアア!!ブチヌケェェェ!!」ダダダダダダ!!

「シャベレリャツバサノイッポンニホンナクテモイイヨナァアアアア!!!」ダァーーン!!

 

私を銃で捕らえるなんてミニガンでも無理だよ!!

 

「行くぞ、必殺!!」ユラァ…

「ナァッ!キエタ!!?」

「ドコイキヤガッタトリヤロウ!!」

 

 

パ ァ ン !!

 

 

「ナ……ガッ……」ドサッ

「……バカナ……」ドサッ

 

「『鳥獣拳:陽炎』…いい悪夢(ユメ)みろよ。」バサッ

 

やれやれ、とんでもない所に来ちゃったもんじゃ…。とりあえずこいつら紐で縛っとこ。

 

 

「あはははは!お見事じゃないヒーローのタマゴちゃん?」

 

「何奴!?」

 

「ふふふ…安心しなさい、敵じゃないわよ。」すぅ…

 

 

うわっ、街灯の影から出てきた!?

 

…というか貴女は!!

 

 

「やっほー。キミが雄英から職場体験に来たコね。うーん、高校一年にしてグンマーの市民を捕獲できるなんて流石雄英って言ったところかしら?それとも貴方の実力?」

「ルーナーさん!見てたんなら助けてください!!」

 

私の職場体験先のヒーローがそこに居た。

 

「っていうかグンマーの市民!?あれ犯罪者じゃないの!?」

「あら、『銃を使う程度』で犯罪者になるんだったら幼稚園児から皆犯罪者よ?」

「グンマー怖ェ!!」

「ふふっ。……さて、ようこそ『僅かな悪と一かけらの正義と欲望が跋扈する世界』へ。貴方は見事に『選ばれ』ここで活動できる『資格』を得たわ。」

「えっ?えっ?私職場体験に来たんだよね?ゲームの世界に来てないよね!?」

「ゲームの世界…ね。ある意味この世界はその通りよ。」

「???」

「…まあそれは追々話すわ。にしてもどうやら見込んだ通りね。体育祭を見た時からもしかして…と思ってたんだけど。」

「えぇ~っと…とりあえず色々聞きたいことがあるのですが…。」

「あら、ここでゆっくり立ち話かしら?私は別に構わないのだけど……」

 

 

「ヒャッハアアアアアア!!ヒーローダ!ヒーローガイタゾォォォォ!!」

「ツカマエロォォォォ!!」

「ケンショウキンハオレノモノダァァァァ!!」

 

 

「いやなんでだよ!!?」

「まあそういう事よ。ほら、早く私の事務所に行きましょ?」

「え!?あ、ハイ!!」

 

 

 

 

 

「さて、もう必要ないかもだけど改めて自己紹介するわよ。こういう様式美は大事よ?」

「…はぁ。」

「さあはじめまして。私は宵闇ヒーロー『ルーナー』よ。よろしくね?」

「え、っと。幻想ヒーロー『サウザンドフェイス』です。よろしくお願いします。」

「あらぁ、ヒーローとしての心構えも出来てるのね。私も雄英で学べば良かったかしら?」

「…あのー。相棒(サイドキック)の方々は今居ないんですか?」

「あらあら、良く調べてるわねぇ…、感心感心。そうね、二人はもし貴方が『選ばれなかった』時の保険として『表』に置いてるわ。」

「…選ばれなかった?表?」

「それと後一人は…「戻りましたー!」丁度きたみたいね。」

「あー今日も疲れたなぁーっと…。あ、君がもしかして職場体験に来た子?うわぁ!近くで見るとやっぱり可愛いお面だね!どこで買ったの?」

「これですか?これは気が付いたら持ってました。」

「なんじゃそりゃー!」ケラケラ

「リグル、自己紹介なさい。」

「あっははーごめんごめん。蠢蟲ヒーロー『リグル・グロウフライ』よ、知ってる?」

「知ってますよ。強さのワリに人気が低いヒーローだって。」

「どっへぇー、ハッキリ言っちゃう子だぁー。」

「そうねえ、確かに全然人気無いどころかヴィランっぽいなんて良く言われてるわね。」

「えーん、二人とも酷いよぉ。人が気にしてる事グサグサ言うー。」

「…それで、選ばれなかっただの表だのの説明をお願いしたいんですけど…。」

「…そうねぇ。まあ隠すことでもないし、何より『資格』があるものねぇ。」

「『資格』!?凄い!その年で『資格』まで取ったなんて!流石準優勝!!」

「やめてぇ、私の黒歴史ぃ…。」

「えー!?凄いと思うんだけどなー。準優勝!凄いぞ準優勝!!」

「ふぇぇ…。」

「リグル、大人気ないことしないの。」

「大人をからかった罰だよーだ。」

「『大人』気ないって言ってんのに…。」

「グボァ!!」

「あらぁ、リグルを撃沈させるなんて凄いわねぇ。でも話が進まないからそろそろ黙ってね。」

「はい。」

「…いいもーん。大人っぽくなくても身長あるもーん……。」

「だから話が進まないって言ってるでしょ踏みつぶすわよ。」「アッハイ。」

 

「…さて、どこから話しましょうか…」

「あ、じゃあここ『グンマー』ってなんなんですか?」

「…そうね。そこから話したほうが説明がし易いか。簡単に言えばここは『外の世界と隔離された別世界』とでも言いましょうか。」

「…隔離された…世界?」

「そーそー。この世界は、君たちが普通に暮らしてた世界とは隣り合わせ。でも決して混じり合う事の無い世界なんだ。」

「…??」

「まあ、現実離れしてる話よねぇ…。でもそれが事実だからしっかり認識しなさい。」

「…わかりました。」

「良い子。貴方はここに来るとき電車を使ったでしょう?電車から駅に降りた時、選別は既に始まっているの。」

「そして君は選別を抜け、見事に『選ばれた』ってわけ。」

「……それはつまり、『グンマー(こちらの世界)に入る事が出来た』って事ですか?」

「そうよ、賢いわね。」

「…選ばれる基準は?」

「…分からないわ。より正確に言うのなら確証が持てないって所かしら。」

「たぶんソレが分かるのは『グンマー(この世界)の生みの親』だけじゃないかな。」

「…世界の生みの親…!?個性ですか!?」

「…そうかもしれない。そうじゃないかもしれない。」

「私達は(なが)い事この世界で活動してるけど、まだまだ分からない事がいっぱいあるんだ。」

「……それっておかしくないですか。グンマー(この世界)私達が住んでる世界(あっちの世界)が隔離されてるのなら、私はどうして貴女達の活躍を知っているんですか?」

「…ふふふ。本当に賢い子ね。好きよ?」

「私も貴女方は好きですが流石にそういう相手には見えないので。」

「あらら、フられちゃったわ。」

「もー、話進まないって言っておいてー。」

「ふふっ、ごめんなさいね。質問の答えだけど、そうね。憶測も混じるのだけど構わないかしら?」

「はい。」

「さっきも言ったのだけど、この世界はあっちの世界と隣り合ってるの。隔離されてる世界だけど、お互いがお互いの世界に干渉しあってるのよ。」

「つまり向こうの世界で何か大災害が起きたとしたら、こっちの世界にも何らかの影響が起きるんだ。逆もまたしかり。」

「そして不思議な事に、こちらの世界にいる(ヴィラン)を倒すと、あちらの世界の(ヴィラン)も減るそうなの。私は直接見たことは無いんだけどね?」

「私はルーナーが表の世界で(ヴィラン)退治したとこ見たことあるよー。なんていうか、ルーナーの幻影が(ヴィラン)を捕まえた後、すぐに消えちゃうんだ。」

「…なるほど。確かに神出鬼没のヒーローって言われてますね。それで表って?」

「貴方が普通に暮らしてる世界の事よ。ここグンマーと表裏一体。つまりこっちが裏。あっちが表。」

「……『資格』とは?」

「資格…それはこの世界のシステムであり、言うなればロールプレイングね。」

「…役割(ロール)演技(プレイング)?」

「この世界がゲームみたいって言ったでしょ?そういう事よ。貴方がグンマーの市民を無力化したことで、貴方はこの世界において『ヒーローの役割』の資格を得たの。」

「逆に市民を殺しちゃうと『ヴィランの役割』の資格を得ることになるんだよ。」

「…」

「そして市民にすら勝てない存在…それはこの世界にいる資格が無いとされるわ…。」

「マジっすか…。もし私があの一般人?相手にずっと逃げてたら…。」

「…この世界から消えてた可能性は高いわね…。」「怖っ!!」

 

「…お二人はどうしてこの世界に居続けるんですか…?」

「…そうね。それは私たちが『選ばれてしまった』から…かしら?」

「ん~、理由なんて後から色々つけれるよ。私はこの世界を見捨てたくなかった。」

「それに私とリグルだけじゃないわ。心強い仲間があと二人もいるもの。」

「…それは相棒(サイドキック)ですよね。この世界には他のヒーローは居ないんですか?」

「…居ないことは無いわ、ただ信用が出来ない。特にこの世界じゃね。」

「…それってつまり

 う う う う う う ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ う う

 

「!!」「!!」

「わっ!何ですか!?」

 

「丁度いいや。早速私達の職場体験と行こーか!」

「『サウザンドフェイス』!個性の使用を許可します!!ただし手出しはなるべく控えて、生き残る事に全力を掛けなさい!」

「っ!了解です!!」

 

 

 

 

「おっかしいなぁ!元々夜間の活動を重点的に行ってる事務所だからここに来たのになぁ!!」

「あっはは!だったらちゃんとあってるよ!ただ昼も夜も一切関係ないってだけだけど!!」

「『サウザンドフェイス』!そっちに一人行ったわ!!」

「ういよ!おまかせあ~れ!『軍隊蟻大行進!!』」

「ふわー凄い!そんな事も出来るんだ!参考になる!!」

「リグル!貴女職場体験に来た子に、しかも初日から負けてるなんて恥ずかしくないのかしら!?」

「おぅぃえ!『サウザンドフェイス』!!しっかり見てね!これが範囲攻撃の神髄よ!『バタフライストーム』!!」

「どぅわああ!!危ないっすよリグルさん!!」「でも当たんなかったでしょ!」

「足止めよくやったわ!トドメは任せなさい!『ダークネスフィアーズ・ノックダウン』!!」

 

ド ド ォ ォ ォ ォ ォ ン

 

「…ひょー…もうあの人一人でいいんじゃないかな。」

「えぇ~、それ君が言う~?」

 

 

ヴィラン・市民全員行動不能。ヒーローの勝利。

 

 

「…本当にゲーム染みてますね…。」

「そうね、でも遊びじゃないわ。私達が負けるって事は死ぬより酷い目に合うかもしれないの。」

「…めっちゃ男共ギラついてましたね。流石エロカッコイイヒーローナンバーワン。」

「あら?別にミッドナイトみたいな露出してるわけでは無いのだけど。」

「ふふふ~。何も脱げばエロいって訳じゃないの~。ねー?」

「まあ私には性欲無いんでエロいとか分かんないですけどルーナーさんからはグッと来るものがあります。」

「あらあら、ありがと。」

「…それで、なんでいきなりヴィラン&市民連合と戦う羽目になったんです?」

「ヴィラン役にどうやら洗脳系の個性を持ってる奴が居たみたいね。」

「まあ洗脳してもむしろ武器使わない市民とか壁にしかならないねー。」

「…それと分からないことが、なぜヴィランは私を見て『カモだ!賞金よこせぇ!』なんて言ったんです?鳩に変身したつもりでしたが…」

「そういう意味じゃないわよ…。この世界ではヴィランもヒーローも懸賞金がかけられてるの。勝てば倒した相手の懸賞金ゲット+自分の懸賞額アップ。負ければ…まあ良い目には遭えないことは確かね。」

「そして懸賞金目当てに市民が私達を攻撃してくることがよくある…というかいつもあるんだ。」

「修羅の国かよ。というか本当にゲームじゃないか…。」

「…そうね。私達の目的の一つに、この世界を壊すってのがあるわ。」

「…この謎だらけの世界をですか?」

「そう。味方は相棒(サイドキック)だけ。他のヒーロー達は頼れない。敵は常に多数。そしてどうすればこの世界を壊せるのかもわからない。」

「…」

「…怖気付いたかしら?大丈夫よ、ここから逃げても。表の世界に出るルートはあるわ。職場体験も、表の私の事務所で行える。だから…」

「…」

 

「だから…なんです?私が尻尾撒いて逃げるとでも?」

 

「…!」

「謎だらけ上等!こちとら未だに自分の事だって謎だらけだ!他のヒーローは頼れない?貴女達がいる!敵は多数?だからなんだ!ヒーローが逃げる理由にはならない!!!」

「!!」

「私は幻想ヒーローサウザンドフェイス!!夢想を、空想を、妄想を、幻想を!現実に写す千の顔!!不可能を可能に変えてやる!!」

 

 

 

「一週間!!職場体験の一週間でこの世界をぶっ壊す!!文句あるか先輩ヒーロー!!!!」

 

 

 

「…」「…」

 

 

「ふ、ふふふ、ふふふふふ。」

「っく、くくく、あははははは!!凄い啖呵切ったじゃないか!!ええ!?私たちがこの世界で何年活動してると思ってんの!!私たちがどれだけ時間を掛けてこの世界の謎に挑んできたって思ってるの!!私たちがどんな犠牲を払ってこの世界に居続けてると思ってんの!!?」

 

 

    「 知らん!! 」

 

 

「 」

「確かに貴女達はこの世界を壊したかった、壊せなかったのかもしれない。でもこれからは私がいる!だから大丈夫!!」

「…」

「……ルーミア…、あ、ルーナー。」

「いいわ、今だけルーミアでも。」

 

 

 

 

大丈夫!!サイキョーのアタイがついてる!!

 

 

 

 

「…ふっ。懐かしいわね……。」

「…」

 

「いいでしょう『サウザンドフェイス』。1週間。貴方を正式な相棒(サイドキック)として認めます。」

「!!」「ルーミア!正気!?」

「ええ、明日になればあと二人もこちらに戻ってくるわ。でも二人からの信頼を得たかったら自力で何とかしなさい。」

「勿論!自身の価値を認めさせるのがヒーロー志望の仕事ですから!!」

「…うふふ、よく分かってるじゃないの。その件に関しては私は手を貸さないわ。リグル、貴女もよ。」

「…。本気なんだね、ルーミア。『サウザンドフェイス』はあの子じゃないんだよ…。」

「…ええ、分かってるわ。可能性を感じた。それだけよ。」

「ふっふっふ。今日の私の活躍をもってすれば信頼を勝ち取るのなんてすぐだね!」

「あら?あの程度の敵なんて私達皆揃ったら一瞬よ?」

「あー、むしろ今日は足手まといがいた分遅かったかなー?」

「えー!?そんなー!!」

「…ふふっ、プロ相手に調子に乗るのはまだ早いわよ?」

「ぬぅ…」

 

「(…まぁ、ルーミアがこいつ見てあの子の事思い出すのも分かるけど…あの二人は一筋縄ではいかないでしょーねー、)」

 

「ならば次からは私が先制攻撃を…」

「あら?チームワークも取れない相棒(サイドキック)は要らないわよ?」

「にゃ、にゃぁ…。」

 

「(…まあ、なんだかこいつなら本当にやっちゃいそうだねぇ…。)」

 

「さあ、じきに夜になるわ。夜になるともっと(ヴィラン)も市民も活発化するわよ!気合い入れなさいな!」

「イエスマム!!」

相棒(サイドキック)にそんな呼び方させた覚えはないわよ?」

「あひぃ」

 

 

「本当に大丈夫かなぁ…」

 

 

 




盛大に続かない。という訳で化太郎はしばらくログアウト。お前本当に主人公かよぉ。

次回!融剛が燃え盛るぞ!恐らくな!


察しのいい方はオリキャラにン?と思うでしょうが…シーで。


『サウザンドフェイスのプロヒーロー考察!!』


宵闇ヒーロー ルーナー
個性:闇

質量を持った闇で攻撃、防御、移動、隠密と色々出来る。常闇君の上位互換だろうか。
更には日中だと高硬度、月下だと大質量と隙が無い。体から切り離してもある程度操れる。
闇を纏った格闘戦が好みらしいが、真骨頂は闇を飛ばして攻撃する計算され尽した弾幕戦。一撃当たれば体勢を崩し、二撃、三撃と次々食らってしまう。自身の闇に沈んで隠密行動も得意らしい。
防御不可能の特別な闇が使えるらしいが、生物相手ではオーバーキルなのでまず使わない。

評価:ステキなお姉さんだが、闇の恐怖を自在に操ることからきっと怒ると怖い。


蠢蟲ヒーロー リグル・グロウフライ
個性:女王蟲

身体からこの世に存在しない蟲と呼ばれる物を産みだし、自在に操る個性。一人軍隊。
産むと言っても産卵するわけじゃなく、身体のあらゆるところから涌き出てくる。見た目ホラー。
様々な種類の蟲がいるらしく、戦闘では毒蟲を。救助活動では薬蟲を主に使う。
蟲の力で相手を捕捉し、毒を注入して相手を昏倒させる戦法を好むが、真骨頂は大量に産み出した蟲を使った物量戦。生き延びたかったら逃げるしかない。

評価:シラフで笑い上戸なのだが、時折可哀想に思える場合が。イジラレ妹ポジ。


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ファインディング・ステイン

サブタイトルでもン?ってなった方。しーですよしー。


前回からのあらすじ!(by化太郎)
職場体験に来たはずなのに迷い込んで異世界!?襲ってくるのは重火器持った市民!!?なんだかよく分かんないけど職場体験先のヒーローと一緒にこの異世界をぶっ壊す事になっちゃった!でもその前にサイドキックの方々全員に会わないと…って!えー!?一緒に活動するのは認められないってー!?でも私は一度決めたらテコでも曲げないよ!皆からの信頼を得るために、今こそ私の秘奥義が炸裂だぁー!!

次回!なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 『許されざるシャフ度ですが何か』

皆の幻想、私に集めて!




 

 

「エンデヴァーさん。何故俺を指名したんですか?」

「…ふん、それを言う必要があるか?」

「まぁないと言えば無いですけど、あると言えばありますよ?ほら、自分の何を期待されているのか知れたのなら、モチベーションアップにつながりません?」

「チッ。そのとぼけた言動はやはり親子だな。」

「おや、ご存じで。」

「……貴様は同年代の中でも特に能力が高い。戦闘力だけではなく胆力もな。貴様のような奴こそ焦凍の相棒(サイドキック)に相応しい。」

「…なるほど。」

「そういう貴様は何故ウチに来た。」

「…指名が来た中で一番トップの事務所だった…じゃぁ納得しませんか?」

「『ゲームマスターズ』の子がそんなチャチな理由で動くわけがない。」

「……本当に良くご存じなようで。」

 

 

 

「ショートの奴を俺の相棒(サイドキック)にさせるための布石…と言ったらどうします?」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「緑谷、こういうのはもっと詳しく書くべきだ。遅くなっちまっただろ。」

「次から次へと……ハァ……」

「轟くんまで…」

「何で君が…!?それに…左……!!」

「何でって…こっちの台詞だ。」

 

「俺も来たぞ…!轟ィ!!お前いきなり駆け出す奴があるか!!エンデヴァーに説明するのちょっと大変だったぞ!!」「悪いな。」

 

「遊戯くん…!」

「というかお前説明だけで遅れたのか?」

「馬鹿言え!個性の限定許可貰って来たんだ!お前許可なしで個性使うつもりか!!」

「そういえばそんなんあったな。」パキパキ

「緑谷!お前も位置情報だけ送ってくるな!緊急時とはいえ情報少なすぎなんだよ!」ズオッ

「!!」

「意味なくそういう事する奴じゃねえからなおまえは。『ピンチだから応援呼べ』って事だろ。」ゴォォ

「あっち!」ツルー…「うぉっ」ゴロン

「情報通りのナリだな。こいつらは殺させねえぞ、ヒーロー殺し。」

「飯田、緑谷、ネイティブ、すぐ止血する。動けるか!?」

「くっ、そいつに血ィ見せちゃ駄目だ!多分血の経口摂取で相手の自由を奪う!皆やられた!」

「(麻痺毒かと思ったが…。)個性じゃ解毒出来ねえな…。」

「それで刃物か。俺なら距離保ったまま…っ!」SHUK

「いい友人を持ったじゃないか、インゲニウム。」

「(しまっ…!)」「そぉい!!」ギャリ”ッ!

「っ!助か「上っ!」っ刀!」ボ

「ハッ!!」「!」ドッ

ザザッ

「…2対1か…ハァ……。」

 

「轟くんよぉ、お前油断が過ぎるぞコラ。」

「…ああ。…強えな。」

「『ヒーロー殺し』だからな。撤退が一番だが……俺が足止める、俺ごとやれ。」

「わかった。」

 

「…何故……やめてくれよ…兄さんの名を継いだんだ…僕がやらなきゃ、そいつは僕が…。」

「継いだのか、おかしいな…。」

「…」クイッ

「…ハァ…」ダッ

          「俺が見たことあるインゲニウムはそんな顔じゃなかったけどな。」

「ふっ!」バッ

「…」スッ

「っらぁ!!」ドッ

「…邪魔だ。」ザク”ッ”「う”あ”っ!」

          「おまえん家も裏じゃ色々あるんだな。」

 

「…なんつって。」『ダメージフュージョン』ガシッ!

「!?」

「捕まえたっ!轟!行け!!」

ズ オ ッ !

バシィッ!

ガッ

ガッ

 

「っく!逃げられたっ!」

「遊戯くん…轟くん…………!?」ピクッ

 

カッ

ザッ

シャッ

 

「っ!氷を切り裂いた!?」

「己より素早い相手に対し自ら視界を遮る……愚策だ。」

「そりゃどうかな」トトッ「!?」

「また上かっ!」

 

「お前らも、良い…。」

 

「っネイティブ狙いか!?」

 

トン

トン

 

ガガガガガガガガ

 

「緑谷!」

「なんか普通に動けるようになった!!」

「時間制限か。」

「いや、あの子が一番後にやられたはず!」

 

SMAK

 

「ぐへっ!!」

「下がれ緑谷!」パキパキ

「ひえ!」

 

「血を摂り入れて動きを奪う。ゲホッ僕だけ先に解けたってことは、考えられるのは3パターン。人数が多くなる程効果が薄くなるか摂取量か…、血液型によって効果に差異が生じるか…。」

「何にせよ緑谷、お前動けるんなら飯田担いで撤退だ。轟、これ使え。超速乾の救急ボンドだ。」

「たすかる。」

「傷塞いだらネイティブ担いでお前も撤退しろ。それが最善だ。」

「お前はどうする気だ。」

「アイツの足止め役が必要だろ?」

「無茶だ!子供一人で奴を止められるわけがない!」

「遊戯、ここはプロの応援が来るまで三人で持ちこたえるべきだ。」

「そうだよ!三人で時間を稼ぐ方が確実だ!」

「甘ったれんな。お前等は血を摂られたら行動不能、しかも相手は格上。それでどう持ちこたえるって?」

「……」

「俺なら怪我はしねえ。それに奴の狙いはどうも俺等より飯田かネイティブを優先しているらしい。なら殺される前にさっさと連れて逃げろっての。」

「…ハァ……逃がすと思うか?」

「逃げるさ。無事でな!」ダッ

「ッあの馬鹿!」パキ

「っ轟くん、何を!」

「撤退中にヒーロー殺しから追撃されねえように路地を塞いだ!」

「でも!遊戯くんが!!」

「あいつがそう簡単に死ぬかよ!行くぞ緑谷!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ハァ……チッ。甘くはないな。」

「……おいステイン。お前は何故ヒーローを殺す。」

「問答か?」

「いやぁ、お互い口が利けるうちに話せる事は話しとこうと思ってよ。」

「…全ては正しき社会の為に。」

「…社会…?」

「この世には偽物が多すぎる…ハァ…ヒーローとは、偉業を成した者だけが許される称号であるべきだ!」

「…ふぅん。だからインゲニウムを再起不能にして、ネイティブを殺そうとした訳だ。」

「世界を正さねばならない…英雄気取りの拝金主義者は不要だ。」

「…なるほどな。お前の行動原理は理解できた。」

「なら退け。お前は生かす価値がある。」

「…まあ待てよ。その前に何で俺がここまでお前に執着してるか聞いてからにしろって。」

「…ハァ…。」

 

 

「何人もヒーローを殺害したお前を俺が単独で捕まえれば当然俺は一躍有名人になるよなぁ?」

 

 

「!!」

「さて、お互い相手を倒す理由が出来たな。」

「…そうか。撤回しよう。やはりお前は殺す。」

「やってみろ健気な革命家気取りが!」

 

 

 




短め。


あ、前書きの奴はあんまり気にしないでください。


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融剛・イン・キラーワールド

なんざん。
作者の都合上、この章は短めの話が続くかも。


前回からのあらすじ。(byルーナー)
職場体験に来た『サウザンドフェイス』。ウチの相棒達からの信頼も得ることが出来て万事オッケー、と見せかけていきなり現れるは黒幕?とりあえずこいつを倒せばいいのかしら…って、市民達を人質にするなんて!幾ら銃をぶっ放してくる市民とはいえ守らないとヒーローの資格がなくなるわ!一体どうすればいいのかしら…。と思ったら突如現れる謎の影!あなたは敵なの?味方なの!?

次回、なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 『正体不明の戦士ですが何か』

皆の心の闇を集めちゃうわよ?




 

 

 ステインは速い、轟の攻撃を回避できるくらい圧倒的に。しかも今は本気を出してきたのか更に速くなっている。一撃一撃が確実に殺しに来ている…。が、相手は俺だ。ダメージフュージョンが発動し続けている限り俺に負けは無い。問題は俺の集中力と許容限界にあるがな…。

 ステインはやはりと言うか、『一撃で殺す』ことには余り長けて無いように見える。そりゃそうか、血を摂取した相手の身体を止める個性なんだ。一撃で殺すより、相手を出血させる方が楽だし、動きが止まった相手を殺す方が絶対に楽だわな。格下である俺が付け入る隙はそこにありそうだ。

 

「…ハァ…」SLASH SLASH

「…っ」DODGE DODGE

 

 ダメージフュージョンがあるとはいえ、避けられるものは全力で避ける。体の中を刃物が通り抜ける感覚は気持ち悪く、自分の集中力を削いでいく。そしてそれ以上に、万が一血を奪われたら俺の死がほぼ確定する。

 死ぬこと自体は仕方ない、それも運命としよう。ただまだ死ぬには早すぎる。せめて緑谷と轟の撤退が完全に終わって、プロヒーローが到着した位までは死んでたまるか。

 

「…」トッ トッ

「…」バッ

 

「ハァ…後ろを取られるのはそこまで嫌か?」

「ああ嫌だね。お前みたいな目つきのホモ野郎を知ってるからな、シリを狙われるのは勘弁で。」

「…」

 

 自分でも流石に厳しい言い訳だな…。だが弱点が知られたところで問題はない。何年弱点を知り合ってる相手と組手してきてると思ってるんだ。

 それより、ようやくヒーロー殺しを捕らえる算段が付いた。

 

「さぁ、お前のターンは終わりだ。俺のターン!!

 『シンクロフュージョン:フリージング・エッジ』!!」パキ…

「…ハァ…」

 

 ダメージフュージョンと併用できるほぼ唯一の技『シンクロフュージョン』。俺と轟の氷撃とステインの斬撃を融合。今の俺はさながら凍える刃。リーチの不利は個性で補った。…次は、

 

「ふっ!」SHUK

「っ!…ハァ…」トッ

「はぁっ!」SHUK SLASH

「…」トッ ザザッ

 

 流石に打ち合わないか、当然か。轟のあの出力を見たなら、鎬を削った一瞬の間で凍らされるかもしれないと思うのも仕方ない。だがそれは既に俺の策の中。

 

 俺が斬る。ステインは躱す。躱しながら切り裂いてくる。俺が躱す。俺が斬る。

 

 それはまるで俺とステインが演武を交わす様に、クルクルと位置を変え、地面を、壁を、跳び回る。

 

 

「…ハァ…ハァ…」

「よう、どうした?ガチガチ震えて、怖いのかい?」

「……」

 

 

 既にステインはその機動力が半減している。当然だ、周りを見れば既に霜が張り付いている程に寒くなっている。俺は攻撃と同時に冷気を辺りにまき散らしていた。この寒さの中、全力で動き回りもすれば体温が奪われていくのも自明の理。特にステインはその速さが仇となった。先程まで異常な速さを持っていたステインは既に人並みより速い程度になっている。もはや捉える事は不可能ではない。

 

 …しかし機動力を削いだ代償が、コレか…。

 

「…ハァ…。そういうお前は既に限界を迎えてるんじゃないか?」

「…はっ、俺に限界なんてねえよ。常にプルスウルトラだ、阿呆。」

 

 出血は無い。傷口を無理矢理凍らせて塞いでいるから。

 両足の調子がおかしい。ダメージフュージョンの許容限界を超えた代償か。

 左腕の感覚が無い。神経が切れたか?…まあ動かせるなら大丈夫か。

 

「……ハァ……満身創痍とはお前の事だ。なのになぜまだ立ち向かう。」

「バーカ。指一本でも動く気力が有りゃ理不尽に立ち向かうのがヒーローだ。」

 

 ステインの目はまだ俺を殺す事を諦めていないみたいだ。いい加減プロ来てくれ、死ぬ。

 

「…ハァ…やはりお前は殺すには惜しい。だが、お前の目は危険だ。ここで死ね。」

「おいおい、偶には使命より感情優先で動いてもいいんじゃないか?人間なんだろ。」

「…お前は偽物より…徒に力を振りまく犯罪者より…遥かに危険な存在だ…。」

「はっはぁ、子供相手に随分過大評価してくれるじゃないかヒーロー殺し。」

「…ハァ…お前が、子供だからだ。お前が成長すれば、いずれ社会の大きな癌となる!」

「…くくっ、癌とは言ってくれるじゃねえか。ヒーロー志望の子供捕まえて言う事か?」

「ヒーロー志望?お前のような目をした奴はヒーローとは違う言い方がある。」

 

 

 

「お前は修羅場を渡り歩く事こそを目的としたただの戦闘狂だ!」

 

 





もうね、滅茶苦茶難産ですよ。便秘ですよ。

…もしかしたらこの話の流れがしれっと変わる可能性があります。


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BREAK HEART 遊戯

未だに難産。


前回からのあらすじ。(byリグル・グロウフライ)
やっほぃ皆、春だねぇ。ついこの前まで寒い寒いなんて思ってたんだけど、気が付けばもう啓蟄が迫ってきたよー。啓蟄っていうのは春の暦のことなんだけど、なんだか私の中の蟲達も疼いてきちゃった。冬も明ければ蟲達も活発になって良いこと尽くめ!もっと言えば真夏が蟲達の最盛期なんだけど、まあそれまで多少の辛抱って事でいいかー。あ、そういえばこの前ルーナーがスイーツが美味しいお店に行ってきた時の話なんだけど…えっ?予告?うそ、もう時間無いの!?

じ、次回!なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 『世界の境界に潜む悪ですがああっ!ちょっと!待って待っ




 

「融剛。お前は英雄(オールマイト)には成れない。」

「…は?」

 

「『お前を一番のヒーローにしてやる。』って言ったのは父さんじゃねえか。何言ってんだ。」

「ああ、お前を最高のヒーローにしてやる。その為には何度も血反吐を吐かせるつもりだ。」

「頼むから血反吐を吐かせるのは止めろ。」

 

英雄(オールマイト)とはある種の特別な存在だ。誰も彼もが成れる存在じゃない。」

「…憧れるのは無駄って事か?」

「勿論普通(ただ)の人間が憧れる分には何の問題も無い。英雄(オールマイト)は特別だが普通の存在でもある。」

「……。」

「しかしお前は普通(ただ)の人間ではない。異常な存在である事を自覚しろ。今の社会においてなじむことは無い存在であることを。」

「…どういう意味だよ。」

「そのままの意味だ。お前はこのヒーロー社会においても異端で、異常で、異質な『魂』を宿している。」

 

 

 

「お前が英雄(オールマイト)になる事は絶対にありえない。何故なら……

 

 

 

----------

-----

--

 

 

 

「お前は英雄とはかけ離れた、ただの戦闘狂だ!」

 

 

「……っは。何を言ってるんだか。」

「貴様のその目……ハァ……戦いを……いや、『殺し合い』を楽しんでいる目だ…。」

「馬鹿言うなよ、殺し合い?ヒーローは相手を生かして捕まえてナンボの商売だ。」

「いいや、お前は…ハァ…殺し合いの中で、生き延びる事。それだけを目的としてヒーロー活動の真似事をしているだけだ。」

「……。」

「おれから逃げようと思えば逃げれたはずだ…ハァ…奴らを撤退させた後に、わざわざこんな決闘場まで作って、まるで他からの侵入を拒むかのようにする意味なんて無い。違うか狂人?」

 

「…くくく、狂人だなんて言われたのは初めてだ。」

 

「……ハァ……」

「異常だの異端だの言われるのは慣れたが、狂人とは酷い話じゃねえか。ええ?」

「…」

「まあいい。つまらない話はお終いだヒーロー殺し!俺を殺してみせろ!!」ダッ!

「ハァ…異常者め…!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「…よし、手当終了。」

「凄いねこの救急ボンドって。一瞬で出血が止まったよ。」

「動けるようなら此処より安全な所に移動したほうがいい…が。」

「遊戯くん…。」

 

「何故おまえがここに!!!」「グラントリノ!!!」

「座ってろっつったろ!!!」ドカ

「グラントリノ!!」

 

「細道…ここか!?」

「エンデヴァーさんから応援要請承った!」

「ひどい怪我だ、救急車呼べ!!」

「待て、この先にヒーロー殺しが居る!」

「何だと!?」

「遊戯くんが足止めしてるんです!早く応援に!!」

「遊戯…?職場体験の子か!一人で足止めしてるだと!?」

「ヒーロー殺し相手に!??子供一人で無茶だ!」

「この先の細道に……って!?なんじゃこりゃぁ!!」

「どうしたっ!……これは…氷の壁…?」

「ショート君!この氷を溶かして…!?」

 

ビシッ!

 

メキメキメキッ

 

「拙いっ!離れろ!!」

 

 

 

B A G O O O O O O O O O O M !!

 

 

 

「どわああああ!!氷がぶっ飛んだ!!」

「中から人が飛んできたぞ!!」

「アレは…!ヒーロー殺し!!!?」

 

ドッ

 

ザザザザ

 

「ヒーロー殺しがなんで…」「っ戦闘態勢をとれ!立ち上がってくるかもしれん!」

 

 

「立ててもまともに戦えねえよどうせ……ハァ……」ザッ

 

 

「っ!君は…無事か!?」

「バカ、どう見ても死に掛けじゃないか!!すぐに救急車が「俺はいい…ハァ…先にアレを捕獲してくれ……。『拘束』が持ちそうにない…。」

「遊戯くん!!大丈夫!?」

「…ハァ…よくやった緑谷、轟。守れたみたいだな。」

「…お前に比べれば俺等は全然だ。」

「遊戯くん…!僕は……すまない…!」

「…?なんだか分からんがまだ終わっちゃいねえよ…ハァ…。早くあいつを…っ!!」

バサッ

「伏せろ!!」

(ヴィラン)!!エンデヴァーさんは何を……」

 

 

バサッ

 

ガッ

 

 

「 緑谷くん!! 」

「やられて逃げてきたのか!」

 

「わあああ!!」

 

 

 

 

「「 ハァ… 」」

 

 

 

「『限定仕様:凝血』」レロッ

ゾアッ!

 

「「偽物が蔓延るこの社会も」」

 

バッ

 

「「徒に”力”を振りまく犯罪者も」」

 

 

「「粛清対象だ…ハァ…ハァ…」」ザッ…

 

 

 

「「全ては、正しき社会の為に。」」

ザシュッ

 

 

 

「助けた…!?」

「バカ、人質とったんだ。躊躇なく人殺しやがったぜ。」

「いいから戦闘態勢とれ!とりあえず!」

 

「…遊戯?」

「…ハァ…『拘束』が外れたか…。」

 

 

「何故一カタマリでつっ立っている!!?そっちに一人逃げたハズだが!!?」

「エンデヴァーさん!!」

「あちらはもう!?」

多少手荒(・・・・)になってしまったがな!……して…あの男はまさかの…」

 

「うう…放っせ…!」バタバタ

「エンデヴァー…」

 

「ヒーロー殺し!!!」ボゥ

「待て、轟!!」

 

ス…

「!?」バッ

 

「偽物…」

 

ゾゾゾ

 

「正さねば…」

 

ザッ

 

「誰かが…血に染まらねば…!」

 

ザッ

 

英雄(ヒーロー)を取り戻さねば!!」

 

ザッ

 

「来い、来てみろ贋物ども。」

 

ザッ

 

 

 

「俺を殺していいのは 本物の英雄(オールマイト)だけだ!!」 ゴ オ

 

 

 

「そうかい。まぁ遠慮なく贋物に捕まれ。」トン

『エゴイックフュージョン』

 

「…」

ドサッ

 

「ハッ…」

 

「…ハァ…さて、誰か縄かなんか持ってないか?さっさと縛っちまおう。」

 

「「「 …… 」」」

 

 

 

「 ヒーロー諸君!!迅速に動け!! 」「「「 …っ!! 」」」

 

「ほらほら縄、縄。気を取り戻す前にしっかり拘束しようぜ。」

「あ、ああ。ほら、拘束用の縄だ。」

「はいどうも。」

 

 

 

----------

-----

--

 

 

 

「お前が英雄(オールマイト)になる事は絶対にありえない。何故ならお前は、人を助ける事は手段の一つとしてしか見ていないからだ。」

「……?手段の一つって…人を助けるのが目的だろ?」

「自覚無しか…、重症だな。お前はいつか、誰かを助けるためという名目であえて死地に飛び込むだろう。そう、例えば(ヴィラン)に命を狙われてる人を守るためにあえて(ヴィラン)を挑発したり、他人を逃がすために(ヴィラン)と一騎打ちしたり…とかな。」

「それの何が悪いんだよ。」

「ああ、悪いさ。他の手段も考えればあるはずなのに目を向けず、自分の命を切り捨てていくような真似をする奴なんて英雄ではないからだ。」

「…??」

「ハッキリ言おうか。お前の『魂』は戦場でしか生きられない修羅のモノだとな。」

「…んだよソレ。」

 

 






融剛はどっちかって言ったら(ヴィラン)側の人間です。
狂気、殺気を浴びてもむしろテンション上がる存在です。

私が書くオリキャラはなんか異常者多いな。あ、私が異常者だからか。


『エゴイックフュージョン』
対象の意識を一時的に奪い、相手をほぼ無意識にさせる技。成功すれば大体の相手は動けなくなる。ただし欠点として、意志の強い相手には効果が薄い。自意識と他意識の混濁。化太郎にまるで効かない←ここ重要。
遊戯家の次女、調律の個性から逃れるために何とかしようとした結果産み出された悲しい技である。


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ヒーローズ・ホスピタリティ

薄い内容を前書きで誤魔化していくスタイル。


前回からのあらすじ。(by???)
みんな、今まで会いに行けなくてゴメン。でもアタイはここから離れられない事情があるんだ。この世界の核を止めておかないとどんどん『向こう側』に広まっていっちゃう…。愛着なんて有って無いようなものだけど、それでも『向こう側』はアタイ達の故郷だから…。サイキョーのアタイがここでずっと止めておくから、みんなはすぐに脱出して!…あれ、君は…って!その姿は!?

次回、なんにでも変身できるヒーロー志望ですが何か 『悪魔を騙る希望と破壊の枝ですが何か』

世界は冷たくても、あなたは暖かいって知ってるよ。




 

 

……

 

 

 

……

 

 

 

……んぁ?あぁ…寝てた…。

 

「おっ、起きたか。」

「遊戯くん、大丈夫か?」

「…何が?」

「何がって…遊戯くん、突然倒れたんだよ!?」

「ステインを警察に引き渡してすぐくらいか…いきなり倒れるから何事かと思った。」

「そうか。」

「…そうかって…。」

 

「それより、俺が寝てからなんかあったか?というかここ何処だ?」

「ここは保須総合病院だ。キミが寝てからだが、先程職場体験先のプロヒーローと…保須警察署の署長が来た。」

「…署長?………あぁ、もしかして規則違反がどうのって話か。」

「察しがいいな。つまんねぇ。」「ちょ!?」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「で、緑谷はなんでここに?大して怪我してないだろ。」

「えっと、検査入院…てやつなのかな。脳無の兄弟に捕まれた時にちょっとね。」

「ああ、あの…。」

 

「…ねぇ、遊戯くん。あの時、どうして動けたの?」

「あの時?」

「うん…ヒーロー殺しを捕まえた時の…。」

「あの時か。確かにおれ達はアイツの…なんていうか、狂気に圧された。修羅場を経験してるだろうプロのヒーロー達もな。だがお前だけはアイツに向かっていった…。なんでだ?」

「…」

「なんでだ、と言われてもなぁ…。」

 

 

「たぶん、自分が死ぬっていう感覚に慣れてるんじゃねえかな。」

 

 

「自分が…死ぬ…?」

「穏やかじゃないな…。」

「…それは、普段から死に掛けるまでの戦闘訓練をしているって事か?」

「そうじゃない。死に掛けるくらいで何とかなるようならプロヒーローだって動けるだろう。…ただ、俺の場合は……そうだな、怖いもの知らずというか、恐怖を感じる神経がイカレてんだろ。怖いって思う事の原点は死ぬ事への危険だ。高い所が怖い、刃物が怖い、血が怖い、虫が怖い、お化けが怖い、暗闇が怖い。訳の分からないものが怖いってのも結局のところは同じだ。」

「…分からねえ、どういう事だ。」

 

「つまり、恐怖で体を硬直させるってのは、体を動かす分を削ってまで脳が生き残る方法を模索させる事に全力を注いでるからだ。あの時も一緒だ。お前達はステインの狂気に当てられ、生き残る方法を探す事に脳のリソースを使った。俺はいつも通りに行動してステインを倒した。そういう事だ。」

 

「…」「…」「…そうか。」

 

「(もっともらしい事を言っているようだけど…なんだか違和感がある…。なんだろう…この不自然な感じ…。)」

 

「さて、そろそろ診察の時間か。怪我、大したことないといいんだがな。」

「…全身の怪我、特に両足と左腕を見てどう判断したら大したことないって見えるんだろうな。」

「死ななきゃ安い。」

「いやぁそれはどうかと…。」

 

PRRRRR

 

「あっ!ゴメン、僕のだ。ちょっとゴメンね。もしもし…」カララ…

 

 

 

カララ…「診察の時間だね。気分はどうかな。」

 

「…!冥土返し(ヘブンキャンセラー)!??」

「うん、違うからね。ただの蛙顔の医者だからね。…なんだか前にもこんなやり取りした記憶があるね。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

カララ…

「あ、飯田くん。今麗日さんがね…「緑谷。」

「飯田と遊戯の診察が終わったとこなんだが。」

「………?」

 

「左手、後遺症が残るそうだ。」

 

 

「ちなみに俺は左手はほぼ動かんらしい。参っちゃうね全く。」「言い方が軽い?!」

 

「…本当にすまないっ…!遊戯くんには「あー、大丈夫大丈夫。治るし。」「治るし!??」

「いやいや!さっきの蛙顔の医者も手術でも無理だって言ってただろう!?」

「まぁ手術で無理でも個性を使ったなら無理じゃないさ。」

「個性…?遊戯くんの個性は回復も出来るのか?」

「いや、無理。」「ちょ、」

 

「俺は無理でも、出来る奴は知ってる。ちょっと電話掛けてもいいか?」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「っかー!つれーわー!休日なのに呼び出されてマジつれーわー!っかー!」

 

((( うざい…… )))

 

「とまあそういうわけで、俺の兄だ。」

「ちっす、ヒーロー志望で命知らずの君達。俺の名は遊戯 重合。超天才科学者だ。」

 

((( うわぁ…… )))

 

「…まあ、こんなふざけた奴なんだが「ふざけたとは何だ。」こう見えて結構凄い奴でな。」

「…遊戯…重合…!もしかして、今やヒーローの高価なコスチュームに欠かせない新素材の発明者…!?」

「そのとぉぉぉぉぉぉりぃ!」「ここ病院。」「あ、ハイ。」

 

「そう!アルミより軽く、チタンより強く、何より自在に塗装可能な『ヒロイックメタル』の生みの親であり!柔軟性に富み、且つ鋼鉄よりも硬い『オーバーレイシルク』の生みの親でもあるその人物こそ俺!偉大なる科学者!ゆうぎいいいいいい、じゅうごおおおおお!!「病院。」アッハイ。」

 

((( 凄いのが来たな……。 )))

 

 

 

「……えっと、それでその凄い人がどうしてここに?」

「ふふん、俺は偉大なる科学者だが、元々の専攻は『非統一個性物理学』でな。個性による現象を用いて何かに応用できないかを研究する分野なのさ。」

「重合は、昔は個性の力で様々な薬品を生成する研究してたんだが頓挫してな。その後鞍替えした結果成功を収めたわけだが」「言わんでいい。」

「…あの、『非統一個性物理学』とは…?」

「む?知らんのか?」

「普通知らねえよ。どれだけドマイナーな分野だと思ってんだ。」

「知らんのか、まあいい。素人に分かり易く教えてやろう。個性は身体機能の一つだ。個性を使い続けると、体の中の何処かしらが不調を起こすだろう?つまり個性を発動するのに何らかのエネルギーを何らかの形で消費して個性を発動してるのではないかという仮説を基に考察や実験を重ねて、個性のメカニズムを暴くという学問だ。」

「…別に正体も何も、暴いたところで何かが変わる訳でもないだろ?」

「っかー!これだからヒーロー志望の脳筋は嫌なんだ!これがどれだけ崇高で芸術的な学問であるかが分かんねえとはなぁー!」

「…」イラッ

「お、抑えて抑えて…。」

 

「いいか?個性のメカニズムが判明した場合、どうなると思う?」

「…?」

「その個性による現象が既存の科学で再現可能になる場合があるって事だ!」

「………?」

「まだ分かんねえのか!例えば、オールマイトのスーパーパワーが科学で説明がつく場合、上手いことやれば誰でもオールマイト並のパワーが発揮できる可能性が出てくるって事だよ!!」

「え、ええ!?凄い!」

「やっと分かったかちんちくりん共!なにもオールマイトに限った話じゃない。例えば『手から水を生成する個性』のメカニズムが判明すれば、世界の何処でも飲み水の確保が出来るって話も夢じゃない!『物を動かす個性』を解析すればエネルギー問題が解決するかもしれない!」

「…しかし本当にそんな事が可能なのでしょうか?個性の解析だなんて机上の空論にしか……いや、まさか!?」

「察しがいいなぁメガネ君。偉大なる俺様の発明を思い出せ。『ヒロイックメタル』は金属を強固にする個性のメカニズムを解析した結果、個性の持ち主の掌に新種のバクテリアが生息していることが判明した。コイツに微弱な電気刺激を与えることで触れている金属の性質を変化させる作用が働くのさ。つまり!このバクテリアを培養して微弱な電気刺激を与え続ける事で新たな金属を産みだす事に成功したのだ!」

「…なるほど、すげえな。」

「反応薄っ!?お前、もっとこう…ええぇ~!!みたいなリアクションしろよ!!」

「重合?」コキッ

「あ、スンマセン…。」

「偉大な科学者も弟には弱いんだね…。」

 

 

「ゴホン、本題に入ろう。融剛の左腕だが、神経が『消滅』するまで酷使したらしいな。神経消滅て…なんで動かせてるんだよ……。」

「個性がどうとかより、こいつの身体の方が不思議だ。」

「うっせ。」

「…まあいい。それでコイツの出番だ。」スッ

「…これは…種?」

「そうだ。そいつはとある回復系の個性によって生み出された『種』をベースに、『あらゆる物に変身する個性』の持ち主の体細胞を俺の個性によって重ね合わせて作った、言わば最強の万能細胞の種だ!ソレがあれば理論上、四肢欠損だろうが脳死だろうが全身がんに侵されていようが完全に回復出来る!!」

「…マジか……!」

「…というか化太郎くんだよね。片方…。」

「…!それを使えば、下半身麻痺でも完治するのか!?」

「勿論!!……と言いたいんだが……これはまだ未完成でな。副作用で、全身に植物の根が生えてくることが実験で分かった。そんなもん人に投与したらどうなるか言うまでもないだろ。」

「……そう…ですか…。」

「…じゃあどうしてそれを持って来たんですか?」

「……もし、この副作用に順応できるかもしれない人間がいたとして、その人間の左腕の神経が完全に消滅していたとしたら?そしてそいつが肉親だったとしたら?」

「…!」

 

 

「なーんて、苦労して作ったのに人体実験もしないうちに計画が頓挫しそうだから、折角だし弟で人体実験しようと…」「最低だ!!」

 

 

「まぁ、御託はいいから早くその種よこせ。」

「ちょ!遊戯くん!?いいのか!?」

「良いも悪いもねえよ。いつまでも左腕の感覚無いのは困る。それに副作用の件だって、俺ならどうにでも出来るだろ。最悪シンリンカムイみたいになるかもしれんが、まあ大丈夫だ。」

「しかし…!」

「大丈夫だって言ってんだろ?別に根拠無く言ってるわけじゃねえよ。」

「…なんだよ、その根拠って。」

 

 

「化太郎が、俺に害をなす訳がない。」

 

 

「「「………」」」

「ほれ、とっとと種よこせ。んでこれどうやって使うんだよ。」

「ほらよ。とりあえずそのまま飲め。」「飲み薬かよ!!」ヒョイ ゴク

「「「…!!」」」

 

 

 

 

 

「何にも起きないんだけど!?」

「当たり前だ馬鹿!!種が発芽するまでどれだけかかると思ってやがる!!」

 

 

 

 

 結局治った。副作用は……まあ全身からハーブの香りがそれとなく漂うくらいだった。だが、治るまでに3日掛かったから結局エンデヴァーの所で全然職場体験できなかった…。

 

 

 




タイトル考えんのも面倒になってきた。

勝手に個性を科学してますが独自設定です。あんまり突っ込まんといて…。
でも個性を利用して商品開発とか普通にしてそう。

次回で職場体験編は終わり…かな?


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アホダー


さいごのあらすじ。(byルーナー)
『サウザンドフェイス』……まだ職場体験は終わってないのよ。
それに貴方は私の大事な相棒でもあるんだから、勝手に居なくなったら承知しないわ。
貴方に教えたい事や、放したいことがまだまだ沢山、数え切れないほどあるんだから…。
だから……だから……生きて帰ってきて……。


『 さよなら、幻想。 ありがとう、幻想。 』

私達は…貴方に何も言えてない…っ!







凄く…出て行き辛いです……。


~雄英高校 1-A~

 

「アッハッハッハッハマジか!!マジか爆豪!!」ひー

「笑うな!クセついちまって洗っても直んねえんだ…!おい笑うなブッ殺すぞ。」

「やってみろよ8:2(ハチニイ)坊や!!アッハハハハハハ!!」

「ブッ殺す!!」BOMB

 

「へえー、(ヴィラン)退治までやったんだ!うらやましいなあ!」

「避難誘導とか後方支援で、実際交戦はしなかったけどね。」

「それでもすごいよー!」

「私もトレーニングとパトロールばっかりだったわ。一度、隣国からの密航者を捕らえたくらい。」

「それすごくない!!?」

「ねぇ。殺生石はどうだった?」

「群馬で大捕物だってね!新聞に載ってたよ!すごい!!」

 

「……ああ…うん……ちょっと世界を壊してきた…。」

 

「「世界を壊してきた!?」」

「ケロ…何かの比喩かしら…?」

「フフフ…グンマーの奥地には武器生産工場があるネオグンマーがあって、そこに真の黒幕と世界の核が隠されていた…。仕方なかったとはいえ、私はあんなことが出来るんだなって……」

「ああ、ダメだ。コイツは死ぬほど疲れてる。」

「お茶子ちゃんはどうだったの?この一週間。」

 

「とても……有意義だったよ。」コオオオオオ

 

「目覚めたのねお茶子ちゃん。」

「バトルヒーローのとこ行ったんだっけ。」

「(まだまだ体の使い方が甘いなぁ……)」

 

コオオオオオオオ

 

「たった一週間で変化すげぇな…」

「変化?違うぜ上鳴。女ってのは…元々悪魔のような本性を隠し持ってんのさ!!」

「Mt.レディのとこで何見た…。」

「悪魔系女子。」「止めろ。」

「俺は割とチヤホヤされて楽しかったけどなー。ま、一番変化というか、大変だったのは…お前ら四人だな!」

「そうそう、ヒーロー殺し!!」「命あって何よりだぜマジでさ。」

「…心配しましたわ。」

「誰を?」

「へぇっ。そ、それは当然四人ともですわ!」「…ふぅん?」

「エンデヴァーが助けてくれたんだってな!さすがNo.2だぜ!」

「…そうだな。」「う、うん。」チラッ

「……」

「俺、ニュースとか見たけどさ。ヒーロー殺し、敵連合(ヴィランれんごう)ともつながってたんだろ?もしあんな恐ろしい奴がUSJ来てたらと思うとゾッとするよ。」

 

「でもさあ、確かに怖えけどさ。尾白、動画見た?アレ見ると一本気っつーか執念っつーか、かっこよくね?とか思っちゃわね?」

「上鳴くん…!」「…上鳴、お前…アホもここまで極まるのか…。」

「えっ?あっ、飯…ワリ!」

「いや…いいさ。確かに信念の男ではあった…クールだと思う人がいるのも、わかる。ただ奴は信念の果てに粛清という手段を選んだ。どんな考えを持とうとも、そこだけは間違いなんだ。」

 

「俺のような者をもうこれ以上出さぬ為にも!!改めてヒーローの道を俺は歩む!!!」

「飯田くん…!」

「さあそろそろ始業だ、席につきたまえ!!」

 

「…ねえ上鳴君…。私も動画見たけど……『アレ』をかっこいいって思うのはヒーロー志望としてどうなのかなぁ…?」

「はい…。なんか…すいませんでした。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ハイ、私が来た。」

「うわぁヌルっと入ってきた。」

「パターン尽きたか……飽きたか。」

「飽きるモンなのか…。」

「飽きてないっつーの……ってな感じでやっていくわけだけどもね、ハイ、ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!元気か!?」

「YEAHHHHHH!!!」「うるせえ。」ベシッ

「HAHAHA!元気があってよろしい。さて、職場体験直後ってことで今回は遊びの要素を含めた『救助訓練レース』だ!!」

「救助訓練…レース?」

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」

「あすこは災害時の訓練になるからな。私はなんて言ったかな?そうレース(・・・)!!ここは運動場γ(ガンマ)!複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯!複数人に分かれて1組ずつ訓練を行う!私がどこかで救難信号を出したら街外から一斉スタート!誰が一番に私を助けに来てくれるのかの競争だ!!もちろん建物の被害は最小限にな!」スススス

「指さすなよ。」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「飯田、芦戸、瀬呂、尾白、んで緑谷か。」

「飯田まだ完治してないんだろ。見学すりゃいいのに…。」

「まあ動けるなら問題ないんじゃない?」

「クラスでも機動力良い奴が固まったな。」

「うーん、強いて言うなら緑谷さんが若干不利かしら…。」

「確かにぶっちゃけあいつの評価ってまだ定まんないんだよね。」

「何か成す度大怪我してますからね…。」

「んー、あの意外性ナンバーワンの出久君が一週間もプロの所にいたのに、全然成長してないとは思えないんだよねぇ。」

「意外性って…お前がソレ言う…?」

「悪いかよー。それに、ヒーロー殺しと会敵したんでしょ?なのに腕がぐしゃぐしゃになってないあたり個性の制御が大体上手く出来るようになったんじゃないかね。」

「…そうか?んで、誰が一位になると思う?」

 

スススッ

 

「…え、何みんな…。」

「え、殺生石と遊戯の解説が聞けるかなーって。」

「…すっかり俺等解説役ポジションか…。」

「…ま、いいけどね別に。そうだねー、一位は……まあ瀬呂君かな。」

「なんだ、緑谷じゃねえのか。」

「まあねぇ。こういう迷路染みた場所はまず上に登るのが定石なんだけど、瀬呂君は登るのも、登ってからの移動速度も速いだろうし、何より滞空制御が上手いからね。」

「ふうん。」

 

『 START!! 』

 

「はーじまったはじまった。瀬呂君は予想通り上に登るね。飯田くんは…地面を走っていくのか、ルート取りが重要だ。尾白君は張り巡らされたパイプを尻尾で上手に掴んで自分を投げ飛ばしてるね。芦戸ちゃんは……うん、建物に穴開いてるけど…いいのかな…?出久君は…おお!」

 

ダンッ

 

ダンッ

 

「おおお緑谷!?何だその動きィ!!?」

「忍者!?忍者かアイツ!!」

「ほー、すげえな緑谷。あんなこと出来たんか。」

「うんうん。全身を同時に強化してるんだね。片腕だけとか、片足だけとかの強化より全体のバランスが取れるからそっちの方が良いよ。ただ飛び跳ねてる動きに無駄が多いなぁ。」

「すごい…!ピョンピョン…。何かまるで…」

「爆豪君リスペクトしてんのかねぇ。今までの出久君はなんだか個性と身体の動きが不一致だったんだけど、今はだいぶ良くなってるね。ただ…。」

「ただ…?」

「ちょくちょく体のバランスが崩れるね。だから変な体勢になったりクルクル回ったりする。それにまだなんとなくで体動かしてるな。」

「なんとなくで?」

「ああ、アレじゃあ着地先の確認がおろそかになっちゃうから「あっ!」……あ~あ。」

「落ちたな。」

「落ちたねぇ。」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「次は融剛、切島君、砂糖君、峰田君、ケロちゃんか。ピンキリ激しそうだ。」

「…未だにケロちゃん呼びですのね。」

「勿論!」

「切島も砂糖も機動力が問題だよな。」

「切島君はともかく、砂糖君は機動力何とか出来るだろうに…。」

「何とかって?」

「出久君みたいにピョンピョン跳ねて移動すればいい。」

「いやぁ、アレは無茶だろ。」

「そうかな?練習は必要だろうけど筋力があるなら跳べそうなもんじゃない?」

「そうかも知れねえが…。」

「まあそもそもこういう場所で道なりに進むことしか出来ないと困るでしょー。出久君みたいに跳ねて移動するのは無理でも、パルクールの動きでも取り入れれば機動力上がるよ。」

「あー…こういう場所だと特にそうだな。」

「まあ失敗したら真っ逆さまに地面に叩きつけられるかもね。」「おい。」

 

『 START!! 』

 

「梅雨ちゃんと峰田はやっぱり上に行ったな。」

「うんうん、ケロちゃんはともかく峰田君が上に行くのはちょっと意外だな。」

「なんで?」

「登ってもそこからの移動手段が無いと意味が無いですわ。」

「あー、成程ね。」

「砂糖と切島は普通に走っていってるな。」

「どっちも平均よりは速く走れていると思うけど、平均より早い程度じゃあまだまだなんだよねぇ。」

「でも足の速さなんて一朝一夕で速くなるものでもないですわ。」

「そういう時こそコスチュームよ。切島君も砂糖君も個性使っても接近戦くらいしか出来ない。相手が常に距離を取るタイプだったり罠や足止めを多用してくるタイプの場合下手打てば詰むよ。だから瞬間的にでも加速できるようなコスチュームにすれば、多少無理にでも接近戦持ち込めるだろうね。」

「はぁー…。なるほどねぇ…。」

「…あれ、話ズレてない?レースはどうしたし。」

「レースな。そういえば遊戯はどうした?」

「オールマイトがいると思われる場所にまっすぐ突き進んでるよ。」

「…まっすぐ?」

「まっすぐ。」

「うわぁ、遊戯が壁に消えた。」

「壁も地形も無視かよ……。やっぱお前と遊戯は何でも有りだな…。」

「それほどでもない、と言いたいところだけど融剛と私の何でも有りはちょっと性質が違うよ。」

「性質?」

「融剛が今出来ることって、基本的に『融合する事』『融合した物と分離する事』の二つだけなんだよね。ただその二つを極めていった結果、出来ることが広がっていっただけなんさ。」

「えーと、つまりどういう事?」

「極めただけであそこまで色々出来るようになるの?」

「なるさ。超一流のフランス料理人が美味しい日本食を作れるみたいな感じ。」

「いや、分かんねえよ。」

「まあとにかくさ、一つを極めると技に幅が生まれるんだ。例えばもし上鳴君が帯電するだけでなく、電気を自在に操って磁界まで作れるようになったらゲーセンのコインで超電磁砲(レールガン)撃てるかもよ?」

「無理だろ!俺はLEVEL5かよ!?」

「…試してもいないのに無理とは…。嘆かわしい限りよ。」ヤレヤレ

「何かムカつく。」

「あ、遊戯がもうゴールした。」

「速いな…瀬呂以上に。」

「ほぼ直線移動でしたからね…。」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「最後の組、爆豪、常闇、八百万、障子、轟、で化太郎か。中々に個性的な面々だこと。」

「やっぱ一位は殺生石か。空を自在にかつ高速で飛べるし。」

「いや、もしかしたら案外こういうごちゃついた場所は苦手かもよ?」

「だとしたら持久走2位のヤオモモも有り得るか?」

「轟ならとっさの判断力に優れてるでしょ。」

「常闇の機動力なら障害なんてあって無いようなもんだろ。」

「いやいやそれだったら爆豪の方が速くね?」

「障子の探知ならオールマイトの位置を常に把握できるんじゃない?」

「でもやっぱり殺生石が……」

 

やいのやいの

 

「……(いつも以上に騒がしいな。)」

「遊戯くんはどう思う?」

「そりゃ化太郎がトップだろ。空を高速で移動できるのは今回のレースでは絶大なアドバンテージだ。まぁ、オールマイトもその辺は分かってるだろうから屋内に隠れてから救助信号だすんじゃないか?」

「う、うーん……」

「それに化太郎もこの一週間は遊んでたわけじゃないらしい。どうもステインに勝るとも劣らない悪と戦ってたとかなんとか。」

「ええ、そうなの!?新聞には全然そんな事書いてなかったけど…。」

「まあ、実際の所は分からんが……。多分、ルーナー事務所の話となんか関係あんだろ。」

「ルーナー事務所…化太郎くんが職場体験に行ったところだね。行方不明だった相棒(サイドキック)一人が戻ってきたんだって。」

「ああ、それに伴って事務所の場所を変えるらしい…。何があったかは知らんが、多分相棒(サイドキック)が攫われて、化太郎が職場体験に行ったついでに解決してきたんだろ。」

「ついでにって……。ルーナー事務所って、見た目は若い女の人だらけでも現存するヒーロー事務所の中でも最古参だよ?それにルーナーを筆頭に相棒(サイドキック)達も今のヒーロー達の中でも上から数えたほうが圧倒的に早い実力者ばっかりだし…。それなのに化太郎くんがそこに行っただけで解決するものなの…?」

 

「……化太郎だし。」

「うん…言ってる途中から化太郎くんだしなぁって思ってた…。」

 

『 START!! 』

 

「さてレースは、本命化太郎、対抗は爆豪かな、大穴は……八百万だな。」

「どうして?」

「化太郎は言うまでもない。爆豪は機動力においては化太郎除いて一番だ。それに最善手を打つための勘が鋭い。八百万は、化太郎と爆豪がオールマイトを見つけるのに手こずればワンチャン有る…ぐらいだ。」

「うーん……常闇くんも速いと思うし、轟くんも判断力に優れてるし、障子くんならオールマイトの場所だってすぐわかると思うんだけど…。」

「常闇はともかく、轟も障子も足が遅い。まあ同年代男子平均より速いだろうが、この組の中においては遅い。常闇は、本体の方の体力がなぁ…。」

「…あっ。化太郎くんが!」「おん?」

 

 

「空を()(あか)き神獣!『炎帝神鳥(カイザーフェニックス)』!!」

ショ ゴ オ オ オ オ オ オ !!

 

 

「カイザー…フェニックス…!」

「アイツ一週間で随分派手好きになったな。」

「アレはなんだ!?」

「鳥か!?」

「飛行機か!?」

「いや、アレは「ただのアホだ。」おい遊戯ぃ!」

「ヴィランも居ないのにあんなド派手な技いらんだろ…。」

「おまっ…!ロマンだろ!炎は男のロマンだろ!」

「そーだそーだ!」

「……せめてここぞという時に使ってくれませんかねそのロマン…。」

「何言ってんだお前、こんな特に訳わかんないタイミングで使うのがイイんじゃないか!」

「そーだそーだ!ちょっとは理解しろアホ融剛!」

 

 

「ちょっとまって。殺生石、アンタ救助レースに居るはずじゃ…。」

「…。」

「…。」

 

 

 

「分霊ね。」

「「「分霊ね!?」」」

「うん……もう普通に増えるんだ化太郎くん…。」

「どんどんフリースタイル極めていくな。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「あー…無駄に疲れた…。」

「久々の授業、汗かいちゃった。」

「ご苦労、私は今までが忙しすぎたから丁度いい息抜き程度の内容だったね。」

「つーか殺生石がなんで男子更衣室に居るんだよ…。」

「お前別に着替えなくていいじゃねーか。」

「いいじゃん、なんとなくよ。それに私のロッカーは何故かこっちにあるし。」

「それ女子更衣室にロッカーあればそっちに行くみたいな言い方だな。」

「え、そうだけど?」

「…。」

 

「やっぱ俺機動力課題だわ。」

「情報収集で補うしかないな。」

「それだと後手にまわんだよな。おまえとか瀬呂が羨ましいぜ。」

「ヒーローって普通後手で動かねえ?」

「まぁ、確かに事件が起きてから活動するけどよ…。」

「最近はコスチュームで機動力補正してくれるのもあるよ。とりあえず暇を見つけてサポート科に行ってみれば?」

「…やめとけ切島、サポート科は…。」

「…え、どうした遊戯。サポート科になんかあったか。」

「……うん。忠告はしたぞ。あとは知らねえ。」

「おい遊戯!?気になるじゃねえかおい!」

 

「おい緑谷!!やべェ事が発覚した!!こっちゃ来い!!」

「ん?」

アナァ!

「見ろよ、この穴ショーシャンク!!恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう!!隣はそうさ!わかるだろう!?女子更衣室!!」

「峰田くんやめたまえ!!ノゾキは立派なハンザイ行為だ!」

「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!!」

 

「巧い、座布団一枚。」

「巧くない、座布団全部持ってって。」「酷いわ。」「元々ねえよ座布団。」

 

「八百万のヤオヨロッパイ!!芦戸の腰つき!!葉隠の浮かぶ下着!!麗日のうららかボディに蛙吹の以外おっぱァアアア」ドスッ

 

ドックン!

 

「あああ!!!!」

「目が!」

「耳郎さんのイヤホンジャック…正確さと不意打ちの凶悪コンボが強み!!」

「もう峰田は目ん玉だけじゃなく○玉も潰したほうがいいんじゃないか?」

「ヒッ!お前金○潰すとか言うな!ぞわっとする!」

「…私玉ひゅんする感覚分かんないんだよねぇ。試していい?切島君で。」

「何でオレで!?」

「最近切島の不憫さがマッハでヤバいんだが…。」

 

 

 ◇ なんつってな(´・ω・`) ◇

 

 

帰りのHR

 

「えー…。そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが30日間1ヶ月休める道理はない。」

「まさか…」

 

 

「夏休み林間合宿やるぞ。」

「知ってたよーーやったーー!!!」

「肝試そー!!」

「風呂!!」

「花火。」

「風呂!!」

「カレーだな…!」「行水!!」

「自然環境ですとまた活動条件が変わってきますわね。」

「山より海がいいなー…。」

「いかなる環境でも正しい選択を…か、面白い。」

「湯浴み!」

「寝食皆と!!ワクワクしてきたぁあ!!」

 

「入浴ぅ!!」ガシッ

「峰田、お前マジでいい加減にしねえとお前の両タマ融合して一つにするからな?」「ピィ!?」

 

「ただし、その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は…学校で補修地獄だ。」

『 みんな頑張ろーぜ!! 』

 

 

 

こうして日常は続いていく、忍び寄る邪悪に気付かぬままに。

 

 

 

 

 

「……くはァ♥まってろよォユウゴウ君。もうすぐ…もうすぐ僕が迎えにイってあげるからァ♥」

 





 これにて職場体験編終了でござい。
 次回からは新章『期末テスト編』になるます…が、作者の都合によりしばらくはこの小説の更新を停止する予定でございます。
 まあと言うのも元々メインで書いていた小説の息抜きに始めたこの小説ですが、書いてるうちにどんどん楽しくなっちゃいまして。折角だし行ける所まで行ってしまえと言わんばかりに怒涛の更新でしたが、最近はモチベーションが低下してきまして、これでは本末転倒。キリも良いですし、今回でこっちはいったんストップ。切り替えてメイン小説書きましょって事です。
 もちろんこの小説はまだまだ続きますし、気が向いたらちょこちょこ更新するつもりです。
 そんな気まぐれ作者の駄文をここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。感想も評価もありがたく頂戴しております。



ええ、だから感想よこせとか、評価よこせとかそんな事言いませんとも。
評価バーに色が付いたら更新再開するとか、感想いっぱいついたら再開するとかそんな事は無いですよ。本当ですよ。ワタシ、ウソイワナイ。


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試験
生徒の敵って少なそうで少なくない


お久しぶりの更新デース。
お仕事が忙しいからシカタナイネ。


「 全く勉強してねー!! 」

 

「 体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねー!! 」あああああああ

 

「普段から勉強しろよ。学生の本分だろ。」

「言葉に気を付けろ遊戯ィ!!!」

「…ったく、化太郎ですら予習復習しっかりしてるって言うのにお前らと来たら…。」

「嘘ぉ!?殺生石って絶対コッチ側の人間だと思ってた!!」

「アホ言え、特待生こそ取れなかったがあんなんでも入試一位通過だかんな?」

「そう言えばそうだった!全然賢そうに見えないけど入試一位通過だったんだった!!」

「せ、殺生石?お前そんなナリして向こう側の人間じゃねえよな?同類だよな??」

「…」

 

 

「よよ予習復習とかあああ当たり前だし?なにいいい言ってんだお前ほんとまじ止めろや?」

 

 

「やっぱコッチ側の人間じゃないかヤッター!!」

「おい化太郎…?俺あれほど勉強しろって言ったよな?お前バカだからすぐ忘れるって何度も言ったよな?お前の首の上についてる物は飾りなのか?」メリメリメリ

「痛い痛い!!だって机の前に何時間も拘束されるとかそれなんて地獄だよ!!」

「それが勉強ってモンだお前にそれが分かるまで何度も頭に叩き込んでやるよ物理的に。」

「まーまー落ちつけ遊戯!これから一緒に勉強すればいいだろ?」ニコニコ

「上鳴お前お仲間が増えて随分嬉しそうだな。」

「そりゃそーだろ!一緒に勉強する友達が増えて嬉しくないわけないだろ!!」

「え、何言ってんの。そもそも私にとってもう勉強なんて不要なのだけれども。」

「…は?」

「予習復習なんてしなくても頭に焼き付ければいい。つまり超天才キャラの頭だけ変身すれば見聞きしたことを完全に記憶するなんてお茶の子さいさいYEAH!って訳痛い痛い痛い!!上鳴君お前なにすんだ急痛い痛い痛い!!」メキメキメキ

「殺生石ぃ…。お前ここに来てその裏切りは無いだろ?」メリメリメリ

「イヤァーッ!!助けて融剛!頭取れる!!頭取れちゃう!!!」

「上鳴その辺にしろ。俺がヤる分がなくなる。」「おう。」

「まさかの追撃!?助けてー誰かー!!ヒーロー養成校でイジメが発生してまーす!!!」

 

「…自業自得やな………。」

「逃れられぬ断罪…。」

 

 

いやああああああああああああああぁぁぁぁぁ…

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

-放課後-

 

「と、いうわけでチキチキ、放課後大勉強会・戦闘訓練もしちゃおーぜスペシャルウィズ化太郎家。始めたいと思います。」

「ポロリもあるよ!」

「ねえよ。」

 

「あ、化太郎の首がポロリって意味ならあるか。」「いやねえよ!?」

 

「……え、何だこのノリ。」

「私達勉強会に来たんじゃないの?」

「結局、殺生石に引っ掻き回されそうだ…。」

 

ここは殺生石家別宅。通称『狐御殿』

その目の前に10人の男女が集まった。

化太郎、融剛、葉隠、砂糖、口田、切島、障子、常闇、爆豪、そしてB組の安藤。

一同の目前には『お屋敷』と表現してもまだ足りない位立派な木造建築が立っていた。

 

「ここはこの前来た狸御殿とやらとは違う場所なのか?」

「そうだよ。広さは同じ位だけどこっちはもっと内装がしっかりしてる。」

「雄英からそう離れてないし、良い所だね!」

「図書館には劣るが、静かだな。勉強が捗りそうだ。」

「それに個性の訓練も可能って言ってたな。」

「おう。頭を動かして、体を動かして。めっちゃ辛いぞ?」

「うへぇ、キツそう。」「実際キツいだろうよ。」

 

「スマンナ、急ニオシカケタヨウデ。」

「構わんよ、教師役は多い方がいいさ。」

「そっちこそ、A組の輪の中に入るのは辛いだろ?」

「問題ナイ。オ前達ガイルカラナ。」

「…」

「…フッ、体育祭以来ダナ。常闇踏陰。」

「ああ。次やる時は俺たちが勝つ。」『マケネエゾ!』

「次モ勝ツ。」

「…」

「…」

 

「「…フッ。」」

「盛り上がってるとこ悪いけど先に勉強会だからね?」

 

「お前が来るのはなんだか珍しい気がするな、爆豪。」

「あ”ぁ”?殺すぞ!」

「ある意味いつも通りだったわ。」

「チッ」

 

~~

 

「爆豪君、家で勉強会すんだけど講師役として来ない?」

「あ”ぁ”!?誰がテメーん家なんかに!」

「おや、来ないのかー。残念だなー。是非ともかっちゃんには来てほしいんだけどなー。」

 

化太郎は滑らかな動きで爆豪を抱き寄せ、ボソッと耳打ちした。

 

あの時(体育祭)のリベンジ…果たしたくないの?」

「っ!?」

 

~~

 

「…チッ」

「…」

 

(焦ってんのか…?同年代で格上がいる事に?それとも緑谷の急成長に?或いは両方?)

 

「さあ皆!中に入って勉強会だ!!時間は待ってくれやしないぞ!!」

「はーい。」

 

「…爆豪いくぞ。お前口は悪いが頭は良い所を見せてくれよ。」

「うるせえ!」

 

 

「…」

一同は狐御殿に入っていった。

それを見ている存在に気付かず…

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 狐御殿内は俺の語彙力じゃぁ表現しきれない位に立派なつくりだった。外見も、中身も。

なんだよこの玄関100人が一斉に出入り出来るくらい広いじゃねえか。

なんだこのスリッパふっわふわじゃねえかおい。

なんかチラって見えた部屋が果てしなく広かったように見えたんだが。

中庭まであるとかここは時代劇の武家屋敷かなんかか?

 

「…やっぱり殺生石っておぼっちゃんかお嬢様かなんかだろ…。」

「荘厳…。」

「私、家の中でこんなに歩いたのは初めてだよ…。」

「凄いが…殺生石、ここには他の住人は居ないのか?まるで気配を感じないのだが。」

「ん~?ここには管理者がずっと居るはずだけど…どっか出かけたのかな?ま、勉強会にゃ居なくても問題ないし。ただ訓練にゃーいてもらわんと困るんだけど………ま、いっか!」

「…大丈夫なのか?」

「だいじょぶだいじょーぶ。勉強してるうちに戻ってくるっしょ。とか言ってるうちに勉強部屋着いたよ。」

 

 そういって指し示した所は小さな(それでも一般的な家の扉よりは大きい)襖だった。

 

「もしかしなくても和室か。」

「はーもうちょっとやそっとじゃ驚かなくなっちまったぜ。」

「…チッ。とっとと入って勉強するぞ。」

 

 爆豪がそう言って襖を開けるとそこには

 

 

 

シャンデリアがあった。

 

 

 

「…は?」

「…なにこれ。」

「急ニ別世界ニ来タヨウダ…。」

「和室…じゃないのか?」

「青天の霹靂…!」

「何だお前ら、木造家屋にシャンデリア有ってなんか問題でもあんの?」

「合わねえだろ………。」

 

 

 ◇

 

 

「じゃ、まず何からやろっか?」

「…」

パッ サッ スッ

 

 口田が手振りで表すに、先ずは数学を教えてもらいたいそうだ。

 

「おけー、数学ね。数学なら専門家に任そうか。頼んだよ融剛。」「おう。」

「「いや、専門家って普通コッチなんじゃねえの?!」」

 

 切島と砂糖が安藤を指し示す。まあ、見た目的に分からなくもないんだがな…。

 

「私ノ得意科目ハ専ラ文系ダ。数学ハ出来ナイ事ハナイガ、教エルノハ不得意ダ。」

「マジかよ!見た目に合わなさすぎるだろ!」

「うるさい(#`ー´)別に教えるの下手でもいいだろ(`д´#)」

「お、おう…。スマン。」

 

 そんな事はどうでも良い。さて、数学の覚え方だが…。

 

「ぶっちゃけ数学は数こなせ、以上。」

「!?」スッ パッ パッ

「それじゃあ全然分からないって。」

「ま、簡単に言い過ぎたな。勿論今ならどこでも分からない所を教えてやれるが、数学なんて結局、教えた所がそのまま出る訳でもないしな。だから公式だけ暗記して、後は何度も何度も問題を解くのが一番だ。」

「いや…もっと楽に覚える方法とかねえか?」

「ねえよ。」

「そんなミもフタもない…。」

「公式ヲ覚エタラ問題集ヲ何度モ解クノガ良イ。買ウ金ガナイナラ図書館デ写ストイウテモアルゾ。」

「つーか、習ったらその日のうちに復習すれば覚えられるだろ。」

「…爆豪がマトモな事言ってる!」「殺すぞ!」

 

「言っとくが、マトモじゃない爆豪がやってることをお前たちは出来てないって事自覚しろよ?」

「「「「 うっ 」」」」

 

 

 ◇

 

 

「英語がちょっと分かんないから教えてー?」

「英語かぁ…。リスニング?読解?」

「両方。」

「うーん………先ずはリスニングからかなぁ…。英語は自分で発音さえできれば勝手に聞けるようになるからね。」

「あれ?でもリスニングって普通テストじゃ点数配分低くないか?」

「まあそうなんだが、英語は発音を覚えながら同時に文法を体で覚えるようにすると効率がいい…というかそうしないと覚えれん。」

「そうなの?」

「うん。結局、発音する英文も文法がある訳だし。イメージ的には座学と実技同時進行って訳だね。」

「英語は特に参考書が要る教科だからな。参考書を熟読しながら発音練習すればわりかし良い点取れる。」

「良い点以上が取りたいなら速読と精読が出来るようにならないとね!」

「余談ダガスピードラーニングナンテ物ガアルガアンナ物ハ覚エタ所シカ理解出来ナイカラヤルダケ時間ノムダダゾ。」

「おっと某教材をディスんのはそこまでだ。」

 

 

 ◇

 

 

「世界史とかヒーロー史とか暗記物が苦手なんだよなぁ…。」

「暗記は寝る直前にやった方が良いぞ。寝てる時に脳が記憶の整理をするんだが、寝る直前の記憶は定着しやすいとかなんとか。」

「ついでに教科書の丸暗記はあんま意味がないよ!」

「そうなのか?」

「教科書に書いてある文章そのまま問題に出ることなんて殆どないって訳よ。」

「それに歴史において重要なのは年号じゃなくて歴史全体の流れだ。一問一答形式じゃなく記述形式の問題も増えてくるからな、暗記の助けになるし流れ全体を掴んでおくことが重要だ。」

「つまり勉強は時間を掛けてやれって事だOKアンダースタン?」

「結局そこに落ち着くのか…。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

カリカリカリ…

 

「あー疲れたぁ。」

「始めてまだ1時間しかたってねえぞ。」

 

そうは言うが勉強なんぞに1時間も集中した皆は褒められるべき。

 

「テストで良い点取ってる奴は大抵机に2時間3時間向かってんだよ。毎日な。」

「そりゃそうかも知れないけどさ…ちょっと休憩しようぜ…。」

「同意する…。」

「気分転換も大事だと思うぞ?なあ口田。」

「…」コクコク

 

皆テーブルに伸びてら。気分転換も大事ねぇ…。

 

「じゃあ今から戦闘訓練しますですか?」

「フム、丁度体ヲ動カシタイト思ッテイタトコロダ。」

 

「………本当に先生たちと戦う事になるのか?」

「先輩たちは入試のときのようなロボが相手だったんだろ?」

「実際どうなるかは知らん。けど予想では先生達と戦う事になるって思ってるネ。」

 

根拠らしい根拠はないけど、体育祭の時のタイマン(1対1)ガチバトルの前例があるからなぁ。去年はスポチャンだったのに…

 

「先生たちもプロのヒーローでしょ?私達に勝ち目あるの?」

「うーん…ハンディ次第かな?多分だけど、生徒複数人に対して先生一人って組み合わせだと思う。でも多すぎると生徒一人一人の採点が難しいから………二人か三人一組かな?」

「だとしても俺等が先生と戦って勝てるのか?………まぁ、お前達は勝てるかもしれないが…。」

「そこはほら、『より実践的な教え』って奴よ。勝てそうもない相手からは逃げる。これ常識。」

「フム、ツマリ教師ヲ倒スモシクハ教師カラ逃ゲキレレバ合格…ト。」

「勿論ただ倒すんじゃなくて別の条件があると思うよ?例えば何らかの捕獲アイテムで捕まえるとか。」

「なるほど…。」

「まー所詮予測は予測でしかないし、実際どうなるかなんてその時にならないと分かんないけどねー。」

「だが予想せずに教師たちに当たるよりはマシ…か…。」

「そゆこと。じゃ、場所移して軽く戦闘訓練しよっか。闘技場はここからすぐ…」

 

 BEEEP! BEEEP!

   BEEEP! BEEEP!

 

唐突に狐御殿内に警報音が鳴り響く。こんな警報付いてるなんて知らなかったけど。

 

「なっ!?何事だ!!」

「おい化太郎!何が起きてる!?」

「知らぬぅ。…障子君、なんか異常ない?」

「急に言われてもな…!?何かがコッチに来ている!!」

「何か…?」

 

はて、するってぇとその『何か』は狐御殿の防御機構を無視して、しかも管理者に悟られずにコッチに来ているって事か…。あっ(察し

 

「おい、何かがコッチに一直線に向かってくるぞ!もう5秒もなくここにつく!」

「っ、なんだかわからんが全員戦闘態勢を取れ!殺生石!この家壊しちゃったら悪い!」

「…えっ?ああ、まあ別に構わないけど…。」

「来たっ!!」

 

障子君がそう言ったと同時に部屋の電気が落ち、周りが見えなくなった。

 

ドガン!

 

入り口の襖が蹴り破られる音がした。外から光が漏れ入ってくる。

 

「な、なんだ!?うわっ!!」ガギィッ!

 

硬い物同士がぶつかる音がした。今のは多分切島君だな。

 

「っ切島く…きゃっ!」

「ぐおっ!」

 

声からして葉隠ちゃんと砂糖君だな。

 

「…!!」ガッ

「っ!」ゴッ

黒影(ダークシャドウ)!」ガッ

 

音のした方向からして…口田君、障子君、常闇君は闖入者の攻撃から身を守れたみたいだね。

 

「そこかァ!!」BOOM!

「オラァ!」バギャッ!

「フッ!」ガギッ!

 

そして融剛、ロイ子、爆豪君は闖入者を迎撃したようだ…。

 

………というか

 

「いきなり私の友達を攻撃するとか何考えてんのマイゴさん…。」

「失礼、主様に相応しい方かどうか見極めるためですので。」

「だから言ったでしょ?主様に相応しいかどうかは主様自身で決めるって。」

「言うだけじゃなく止めろよウドンさん。」

 

「…な、なんだ?どういう流れだこれ…?」

「知るかっての。」

「う、う~ん…痛い~。」

 

 

 ◇

 

 

「さて、家の馬鹿野郎が失礼したね。紹介しましょう、君たちに一発づつかましたこの狐のお面を被った馬鹿が『大生座敷 迷梧(おおざしき まいご)』通称マイゴさんだ。」

「ここ、狐御殿の管理者で御座います。どうぞ良しなに。」

「そしてこっちの兎のお面を被ったおっぱいデカいさんが『優曇華 修福(うどんげ しゅうふく)』私のいとこかなんかだ。」

「かなんかて…。こんなんでも一応家の治療師なのよ?」

「じゃあ怪我人増やす真似すんな。」「むぅ。」

 

「「「「( キャラ濃すぎだろ…! )」」」」

 

うんうん、皆の考えが手に取るようにわかるぞ。

 

「ズバリなんで同じ部屋に3人もお面被ってる奴がいるんだって思っただろ!!」

「そうだけどそうじゃねえよ!!」

「なん・・・だど・・・?」

 

私の考えが間違っているだと………バカな…!

 

「馬鹿はお前だ。」

「貴様、主様にそのような口をきくなど我が許しません。」「私が許すパンチ。」「ごぼぇっ!」

「…で?主様、どれが本命なの?」

「やっぱり融剛かな!」

「あら、そこの髪の毛ツンツン頭かしら?」「違うよ!」

「じゃあそっちの鴉みたいな頭の子かしら?」「違うよ!」

「じゃああっちのたらこ唇?」「違うよ!」

「じゃあこっちのマスクマン?」「違うよ!」

「じゃああそこの…えーと、ゴツゴツ頭かしら?」「違うよ!」

「じゃあここの透明な女の子かしら?」「違うよ!」

「まさかこのメカメカしい子かしら?」「違うよ!」

「………顔だけで選ぶのはやめなさい。」「なんでや!融剛は顔以外にも良い所あるぞ!」

「言い方。」

「…はっ!貴様が主様を誑かす疫病神かあああああ!!!」「黙殺パンチ。」「ごべぶっ!」

 

「ものの見事に話が進まない。」

「日ガ暮レルナ…。」

 

 

 ◇

 

 

ま、色々あって武道場。

 

説明しよう!狸御殿は建物全体が訓練施設みたいな物だが狐御殿は道場兼居住区になっているのだ!ただ狐御殿に住んでるのはマイゴさんとシュナさんだけだがな!説明終わり!

 

「分かったか!」

「そのノリが分からん。」

「(´・ω・`)」

 

「…で、なんで室内なの?いや確かに訓練って意味なら室内でもいいだろうけどさ。」

「こういうのは普通外でやるのではないのか?」

「ま、ド派手に動き回るんなら外がいいかもね。さっきも言ったけど格上相手には逃げるのが常道だし。」

「ならば、」

「だが殺生石家には普通は通用しない!」ババァン!

 

外に出ない理由!つまり外に出なくてもいいと言う事!何故か!説明しよう!マイゴさんが。

 

「皆様方、それは我が個性を用いれば実に簡単な事で御座います。」

 

そう言ってマイゴさんは指を鳴らす。

 

するとどうでしょう。和風板敷だった武道場が中身の無い鉄筋コンクリート造りのビルの様に変わってしまったではありませんか。

 

「…え?」「なっ!?」

「とまあこのように、我にかかればこの狐御殿の内装が思うがままであります。」

「これなら外より色々な地形で思う存分戦えるでしょ?」

 

という訳で早速バトろうぜ!ヘイカモッ!!

 

「…前から思ってたがやはり殺生石はバトルジャンキーの気があるな…。」

「爆豪とは違う意味で修羅だよな。」

「あ”あ”?!一緒にすんじゃねぇ!!」

「だが授業内ではあまり殺生石と戦闘する機会も無いからなぁ…戦闘の良い勉強になるし。」

「遥かな高みを目指すための良い機会だ。」

「やっぱヒーローって言ったらこれだよな。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「段取りはこうだ。まずペアを作って5分間タイマンバトルをしてもらう。終わったら1分インターバルを挟んで別の相手とまた5分間タイマンしてもらう。コレを全員と当たるまで続ける。以上!」

「超ハードじゃねえか!」

「何!?これが普通じゃないのか!?」

「それが尋常ならば死人が出るぞ遊戯…。」

「やっぱ殺生石と遊戯ってどっかズレてるよね。」

「なんでもいいからさっさとすっぞ!」BOM!

「気合十分ダナ。ヨシ、マズハ私ト組メ。」

「指図すんじゃねえ女男!!」

 

やれやれ、主様にも困ったものだ。本来ならこんな人間共を狐御殿に連れて来るなどお古の連中が黙ってないだろうに…。まぁ、騒ぐ輩は拳で黙らせるがね。

 

「ねえ迷梧。本当に主様は結婚相手を探すために高校に行ってるのかしら?」

「そんな訳無いでしょう常識的に考えて…。あと我の事を呼び捨てにしましたね小娘。」

「あらぁ、役職的には同格でしょう?年齢の事を持ちだす老害はこれだからやぁねぇ。」

「貴様…。まあいいでしょう、主様の御前だ。」

「クールぶってるところ悪いけど貴方主様にボコボコにされておいて良く言えるわね。」

 

黙れ。

 

「さて、ペアは組み終わったな?怪我したらインターバルの間にウドンさんの所に行けばすぐ治してもらえるぞ!骨折程度までならな!」

「はぁい~、だからなるべく怪我しないようにね。」

 

此奴の治療を受けるくらいなら他の癒者探したほうがいいと思うがな。

さて、先ほどほんの小手調べをしたが真に主様の相手が務まるのは僅かばかしの様だ。あの程度の攻撃とも呼べぬ攻撃をモロに受けたのが3人。防御したのが3人。回避どころか反撃までしたのが3人か…。

 

「じゃ、マイゴさんヨロシク。」

「御意に。」

 

我は指を鳴らす。部屋に仕切りが生まれ、組んだもの同士を隔離する。正しく決闘場だ。

我と優曇華は上階席から個々を見下ろせる位置に移動する。

この程度の訓練に監督者など要らぬと思うが…主様の御指示とあらば仕方あるまい。

まぁ、折角だ。主様と並びたてる程度の存在かどうか見させてもらおうか。

 

「さあ尋常に………始めぇ!!」

 

合図を出すと同時に各々が激突する。

………が、一部の組は互いに様子を窺っているのか動きはしない。愚かな…。

 

「時間は有限だと言うのに貴様等はお見合いですか?呑気なモノですね。」

 

我が手中に湯呑を生成し動きの無い組へと投げつける。

 

「っ!ビックリした!?」

「…!!」

 

「今は機を待つ時ではありません、直ちに動き出しなさい小心者共。」

 

透明な少女と喋らない少年が此方に抗議の目を向けてくるような気がした。

しかし今はまだ準備運動に過ぎない。すぐにでも動き出して体を温めよ。

 

そんな事をやってる間にもう戦況が変わった所がある。

いや、変わったというよりすでに決着がついたと言うべきか。

 

「くっ、無念…!」

黒影(ダークシャドウ)任せはこのジャッチメントが許しませんの!」

 

ふむ、流石主様。鴉頭を開始10秒で鎮圧するとは…。

しかしあの鴉頭は接近されると弱いようだ。我が攻撃から身を守れたのは偶然か?

 

「わかってると思いますが貴男は接近されると脆いですわ!そして相手を絶対に近づけないという意思も弱い!接近されたときの切り札とそもそも接近させない為の技を習得するべきですの!」

「ああ…」

「ですが黒影(ダークシャドウ)自体は非常に高いポテンシャルをお持ちですわ!いかに個性と体力の穴を埋めるかがカギですの!大丈夫、時間がある限り私達が協力しますですの!」

「感謝する。さあ、二回戦だ…!」

「良い覚悟ですの。行きますわ!!」

 

そうして再び始まる戦闘。鴉頭は今度は巧く主様から距離を取っている。

…ふむ、あの個性はかなりの攻撃力と防御力を兼ね揃えているのか。主様の破壊力に対して無傷でいなせるとは大したモノだ。

 

さて、次に目を引く所は…

お、あのタラコ唇とユウゴウとか言った奴の所が終わったみたいだ。

 

「い、今何が起きたんだ…?」

「お前を投げただけだが?」

「いやいやいや!?俺一秒くらい宙に浮いてたよな!!?」

「合気の一種だ。お前の力がかなり強かったからその分高く飛ばせた。本当だったら空中コンボに繋げたかったんだが…。」

「殺す気か!!?」

「安心しろ。空中なら衝撃も多少逃げるから早々死ぬことは無い。ま、上方向以外に投げてたらコンボも繋げやすいんだがその分ダメージがなぁ…。」

「…どうなるってんだ…。」

「下に向かって投げた時点で金持ちの家によくある虎皮カーペットみたいになる。」

「殺す気か!!!」

 

ほう、あのユウゴウとかいう男はかなりの実力者だな。力の流れというものを心得ている。

そしてあのタラコ唇………力はかなり強いな。筋力だけなら団九郎様と同じ位やもしれぬ。

しかし如何せん力の流れをまだ理解できてはいないようだな…勿体ない。

だがスジは良いな。近いうちに岩砕きが出来るようになるやもしれん。

 

BOOOOOOM!!

 

ふむ、あちらはかなり元気だな。あの程度の壁では破られかねん。

 

「死ィィィィねェェェェ!!!」BOOOOM!!

「ッ!対爆装甲ヲ剥ガシニキタカ…!ヤハリ見タ目以上ニ頭ハ回ルヨウダ!」

「オラァ!オラオラオラオラオラァァ!!!」BBBBBBOOM!!

「グッ、ナントイウラッシュ…!機器ガイカレソウダ…ッ!」

「トドメだ!!死ね!!!」ブゥン

 

右の大振り。だがツメを誤ったな。

メカ子が左腕を飛ばして相手の右腕を捕らえる。そして右腕で相手の左腕を抑えた。

これで胴ががら空きだ。

 

「『サードハンドブロー!』」

「ごぼ…ェ!」

 

メカ子は何と腹から3本目の腕を生やして相手の鳩尾を殴りつけた。素晴らしい奇襲だ。

………主様と昔した戦闘訓練を思い出すな。

メカ子は相手の腕を放さずまだ追撃をするようだ。

 

「『サードハンドブロー!』」

「ナメ…んなァ!!!」BOM!BOOOM!!

「ガッ!」

 

あの爆発頭、思い切った事をする。爆発の反動を利用して無理矢理拘束を引き離し、勢いそのままに相手にぶちかましを行うとは。

しかし無理矢理に解いた代償は高い。自分の腕がズタズタではないか。

…ほう、あんな腕でもまだ戦意は消えていないか。英雄(ヒーロー)より戦士(ソルジャー)の方が似合っているのではないか?

 

…む、時間か。

盛り上がっている所だが仕方ない。指を鳴らし、決闘場を消す。

 

「そこまで!一分間の休息後すぐに違う相手と戦う!休憩中に相手を探しておくように!」

 

我が隣で寝息を立ててる小娘を叩き起こす。

 

「ぷぁ!?な、なにすんの!」

「仕事です、さっさと治療してあげなさい。」

「む、むぅ。随分とボロボロボロロッカだこと。治療してあげますかー。」

 

そう言って優曇華は子供等の所に移動する。彼女の治癒能力はかなり特徴的であり、優曇華という名が示す通りだ。

 

「うーん、随分派手に怪我してるわね。さっ、他の怪我人も順番にこっち来なさいな。」

 

言いながら爆発頭の怪我をしている部位を触る。

するとみるみるうちに怪我が消えていった。

 

「スゲー!!怪我が一瞬のうちに消えたぞ!!」

「爆豪、調子はどうなんだ?」

「あ?………特に問題ねえ。」

 

身体の調子を確かめながら軽く動かす爆発頭…もとい爆豪。

 

「ほう、リカバリーガールの治癒ならば怪我を治すと相応の体力が消費されるらしいが、それがないのか。」

「そだね。確かにウドンさんの個性なら大怪我治療して疲れるってことも無いよ。でも…」

「あ、爆豪。頭になんか付いてるよ。」ピッ

「あっ」

 

「っ!だあああっ!!!」

 

突如倒れ込む爆豪。そして治ったはずの腕が再度ズタズタになる。

 

「えっ?えっ?」

「ウドンさんの治療は疲れるって事は無いけど、代わりというかなんというか…治療した時の怪我の大きさに比例したサイズの卵が髪の毛に出来るんだよね。んでその卵が勝手に取れたら治療終了…なんだけど、無理矢理取ったり潰したりすると怪我が戻ってくるんだよね。ダメージ倍増で。」

「先行ってよそういう事!!」

「言う前に取っちゃったんじゃんかよー。」

「大丈夫よ、また治せるから。」

 

「…ちょっと待て。その卵って大体どれくらいで勝手に取れるんだ?」

「そうね…怪我の度合いにもよるけど1日くらいかしら。」

「………それで、その卵の耐久力はどれほどだ?」

「んー…大きくなればなるほど脆くなるわ。バクゴウ君…だっけ?くらいの大きさだと指ではじいた程度で潰れるわ。」

「…つまり怪我した者は頭に爆弾抱えながら訓練を続けるということか…?」

「そうね。」

「…」

「…」

 

「なんで殺生石が絡むと色々ハードモードになるんだよ!!」

「ふっ、切島君。ノーマルモードの人生なんて男らしくねーでしょ?」

「それとこれとは訳が違うんだよなぁ…。」

「…あ、俺怪我治さなくていいや。」

「あら、そうはいかないわ。怪我したまま激しい運動なんて危ないでしょ?」ポン

「…うわーすげー、いっしゅんでけががきえてしまったー。」

 

「あ、そうそう。戦闘訓練で手を抜くようならマイゴさんに容赦のない狙撃をしてもらうから。」「御意に。」

「鬼や…鬼が居る…」

「サテ、モウ一分経ッテイタナ。トットトペアヲ作ッテ訓練再開ダ。」

「くそぅ、怪我しない組はこれだから…。」

 

嫌だ嫌だと嘆いていながら逃げる素振りなどは見られない。成程、実力はまだまだだが精神面においては中々立派の様だ。ウチの若い奴らにも見習わせたい所だ。

ふむ、ヒーロー養成校か…面白い場所の様だな。人間の育成機関も捨てたものでは無いらしい。

 

「さぁ~容赦無く弱点をついて行くからねー!!遠慮なくかかって来いよー!!」

「ギャァァァ!!」

 

…ふむ、ふむ。主様も活き活きとして良きかな。主様が高等学校に行くと聞いた時には不安しかなかったが、どうやら大丈夫の様だ。

 

「主様が楽しそうで何よりね。」

「ふん、貴様は気に食わないですがそこだけは同意しましょう。」

「フフフ、主様が高校に行くって聞いた時は血相を変えて主様の下に飛んで行ったのは誰だったかしら。」

「…やはり貴様はあの時に始末しておくべきでしたね………。」

「あら、怖い怖い。」

 

「どぉぉぉしたぁぁぁ!踏み込みが足りんぞぉぉぉぉ!!!」

「ちょ、待て!グアアアア!!」

 

 

戦闘訓練はまだまだ続く。





訓練回はもうちょっとだけ続くんじゃ。
さらっと新キャラが出ましたが、今後活躍するわけじゃないです。

今後出ないわけでもないですけど。

そして優曇華の個性の説明ですが、分かりづらいって方は『うどんげ 卵』で画像検索して頂けると分かり易いかもです。ただ虫の卵なんでそういうのが嫌な人は(´_ゝ`)フーン程度に思ってください。


『大生座敷 迷梧』

個性:マヨヒガ 特定の空間内をほぼ自由につくり変えることが出来る。

迷い家の座敷童子。色々あって殺生石家の軍門に下った。現在狐御殿の管理者。
口調は慇懃だが偶に素が出る。
キツネを模したお面を常につけているが、これは『殺生石家の者です』という印のような物。
狐御殿は、外来の客が寝泊まりしたり力比べしたりする場として使われることが主な用途。


『優曇華 修福』

個性:治療の卵 怪我や軽い病気等を卵の形にして固めておく。

化太郎の祖母の弟の孫の結婚相手の伯母の娘ああもういとこで良いや。
ウサギを模したお面をつけているが、これは化太郎がお面被ってるのを見て『やべーイカす』と思って被っている。その日の気分によって被るお面も違う。
珍しい治癒の個性だが、『間違った使い方』の方がよく使われている。


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運も実力の内だろうけど実力は運の内に入らない

今日の黒歴史
・謎のオリカを考える。


「切ィィィ島くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」

「うおおおらあああああ!!」

「お前に足りないものは、それは!情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!そしてなによりもォォォオオオオッ!!

 

 硬さが足りない!!」

 

 

「死ぃぃぃぃねえええええ!!!」BBBBBBBBOOM!!!

「ハハハハ!俺の『ダメージフュージョン』を破ってからホザけ!!」ドドドドドド

 

 

「砲門展開。サアドオシタ?未ダニ触レラレテモイナイゾ?」

「……!!」

 

 

戦闘訓練が始まって約1時間弱。最後のペア分けの訓練が終わろうとしていた。

訓練に参加した者達は一部の例外を除いて傷だらけのボロボロになっている。

 

 

「そこまで!!」

 

 

終わりの合図が室内に響く。全員戦闘行為を止め、一部の者は床に倒れ込んだ。

 

「だあああ~!!疲れたぁ~!!」

「ハァ…ハァ…。」

「ゼェ…ゼェ…。イタタ…。うぅ、腕が痛いよ…。」

 

「はい、お疲れ様。じゃ、この後は弱点克服の特訓しよっか。すぐに。」

「「「 鬼かッ!!! 」」」

 

「殺生石、少し休憩を入れよう…。」

「ナニ言ッテイル。コノ程度ノ準備運動デ音ヲ上ゲルトハ…。」

「準備運動ってレベルじゃねーから。」

「スタミナの権化か…。」

「…ところで何で弱点克服の特訓なんだ?」

 

化太郎は指を振りながら答える。

 

「決まってるでしょ?実技試験対策さね。」

「実技試験対策に?」

「そ。さっきも言ったけど相手は先生達(プロのヒーロー)だからね…多分。生徒達にとって相性の悪い相手が用意されるって思ってるよ。」

「成程な。相性の悪い相手を出し抜ければ合格、出来なかったら不合格って所か?」

「相性の悪い相手…。俺で言ったら誰だ?」

「切島の場合は攻撃方法が近接のみだからな。例えばミッドナイトやセメントス、13号といった近づけさせない、近づくとアウトな相手だろ。」

「逆にスナイプの銃撃はほぼ無効化出来るから試験相手にはならないと思うよ。」

「成程な…その理由だと俺も切島と似たようなモンか。」

「砂糖君の場合校長先生も相性が悪い相手だね。なんてったって頭脳派。」

「…というか、校長と相性の悪い生徒が多すぎる気がするんだが…。」

「それ言っちゃーミッドナイト先生なんか男子全員と相性悪くない?」

「確かに。」

「相性のいい悪いは個性だけの話じゃないさ。その人の性格とか戦闘スタイルとか加味して決めるだろうし、試験なんだから生徒側に『勝ち筋』が残されてるはずやね。」

「…つまり、如何に『勝ち筋』に乗ることが出来るかという事だな。」

「YE~S!戦闘とは自らの得意分野の押し付け合い。一年前期の集大成を見せつけられるかがカギだよ!」

 

皆が話していると、大生座敷 迷梧が大量の菓子と飲み物を運んできた。

 

「主様、訓練を続けるのも良いですが補給も大事ですよ。皆様方もどうぞ。」

「さんきゅ、マイゴさん。」

「あざっす!」

 

一同は迷梧の個性により突如現れた座布団に座り、菓子類を食べ始めた。

 

「…ところでだが、殺生石の場合は誰が相性の悪い相手なんだ?相澤先生くらいしか思いつかねえんだが。」

「最近気づいたけど、相澤せんせーは個性そのものを抹消するんじゃなくて個性による現象を抹消するっぽいんだよね。つまりせんせーに見つかる前にムキム筋になっておけばワンチャンあるかもん。もしくは瞬きするタイミングでせんせーのまぶたごと目を焼く閃光ブッパとか…。」

「怖いわ!!」

「おい、誰がコイツの暴走止められんだよ…。」

「私にもワカラン。ま、そん時になればわかるでしょ~うねー。」

「そうか………。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「さて、突然ですが問題です。「本当に突然だな。」柔道や空手とかの『試合』と『喧嘩』の違いはなんでしょう。」

「ん~?ルールがあるかないかの違いじゃないの?」

「まあ、概ね正解だね。ルールがあってこその試合だし、なければスポーツでも何でも無いわけで。」

「何が言いたいんだ?」

「まあ落ち着けよ砂糖君。じゃ次、『喧嘩』と『戦闘』はどう違うと思う?」

「喧嘩と戦闘…?」

 

ブラック○ンダーを齧りつつ常闇が答える。

 

「辞書的な意味ならば喧嘩とは個人的な争いの事。戦闘とは敵対する勢力同士の暴力の相互作用だ。」

「おー、そうなんだ。まぁ私が言いたい事とちょっと違うけど、要するに喧嘩ってのは相手憎しの争い事で、戦闘ってのは目的に対する手段だって思うんだよね。」

「ふぅん?」

「だからヒーローは戦闘出来てこそ。なんて言うけど極論、戦闘出来なくても目的さえ達成できればヒーローは務まる。」

「………」(それで、結局何が言いたいのか分かんない。)

「化太郎が言いたいことはつまり『お前ら試合や喧嘩は上手だけど戦闘は下手だよな。』って事だろ。」

「私すっげぇ口悪ぅい!でも大体当たってぅ!!」

「…つまりどういう事だ?」(てぅ…)

「うん。私と融剛、それとロイコは少し…ちょっと?くらい前からあるプロヒーローの所でルール無用のガチバトルをずっと続けててね、戦闘経験なら皆以上にあるって自負してんだけど。」

 

ズズズッと湯呑のお茶を啜る。「あっ緑茶美味しい。」

 

「それで?」

「ん。皆は多分さ、雄英に入る前に武芸の動画か指南書かもしくは道場とかで多少の荒事に耐性はつけてきたんじゃないかな?でも入学してからの戦闘訓練の授業じゃ、覚えてきたこととだいぶ食い違ってたでしょ?」

「あー、分かる気がする。」

「確かに個性の訓練と戦闘訓練は似て非なるものであった。」

「だからねー、『目的』の為なら戦うだけじゃなくてもっと違う視点で見てみる柔軟性が皆には必要だって思ったんだよね。」

「…爆豪、例えばだが全身が強靭な金属の塊の様な(ヴィラン)が居たとしたらどうする?」

「ブッ殺す!」

「ワタシノ対爆装甲ヲ正面カラ破レナイクセニ…」「あ"あ"っ!?」

「じゃ砂糖、お前ならどうする?」

「あー…とりあえず応援を呼ぶ…か?」

「まぁ、間違いじゃないね。全身が金属塊の(ヴィラン)だ、真っ向勝負じゃ分が悪い。ヒーロー飽和社会だ、そんなヤツ相手に相性のいい個性持ちのヒーローぐらい探せばいるでしょ。でもさ、もしその(ヴィラン)が近くの市民を攻撃し始めたら?」

「!!」

「ヴィランがヒーローに勝つ条件ってのはね、『現場からの脱出』『一般市民を攻撃』『現着したヒーローを殺害』等等…。対するヒーローは『周囲の被害を最小限かつ市民を無傷で保護かつ(ヴィラン)の捕獲』だけ。さて、ヒーローの目的はヴィランに勝つ事、ヴィランに勝たせない事。目的に対する手段は戦闘だけじゃないよ。」

「ふむ…例えばだが、その(ヴィラン)と対話するのはどうだろうか。」

「悪くない発想だ。(ヴィラン)も人間、話しかければ応える程度の理性を持ってることは十分に考えられるな。時間稼いで他のヒーローが応援に駆け付けるのを待つってのも選択肢の一つだ。」

「その(ヴィラン)を捕獲するために罠を張るってのはどう?」

「良イ考エダ。真正面カラ戦イヲ仕掛ケルコトハナイ。」

「だからブッ殺せばいいだろ!!」

「…うん、お前はもうそれでいいよ…。」

 

「…ま、戦闘訓練って銘打ってるけど要するに目的の為により良い手段を考えて実践しましょ、って事ね。」

「成程な、それで少し前の話に繋がってくるわけだ。」

先生達(プロヒーロー)を相手にするって話だな。」

「そーそー。きっと先生達はヴィラン役として相手する事になると思うし、戦うだけじゃなく他の手段を取る必要があるかもしれないからねぇ。」

「時に戦い、時に撤退し、時に罠を張り、時に不意を打つ…。」

「でもよ、やっぱりヒーローはこう…真正面から敵を討つモンじゃねぇか?」

「切島君、意地やプライドだけでヒーローは食べてけないんだよ?」「切実!」

 

化太郎は手を叩きながら徐に立ち上がる。

 

「さあさあ、そろそろ訓練再開しようか。さっきの話を頭に入れておいて、改めて戦いを教えてあげようねぇ!!」

「この流れでまた戦う事になるか普通?」

「ざぁんねぇん!!なんだかんだ言って結局、(ヴィラン)鎮圧すんのは戦闘行為なんだよォ!!」

「…」

「諸君らの弱点を指摘しながらボコボコにしてあげるからねぇ!!」

「やってる事がちょっと親切なヴィランなんだけど。」

「対象が俺らな時点で笑えない。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「さぁステージのセッティングだマイゴさん!!」「御意に。」

 

今まで道場然とした室内が一瞬の内に変化する。

まわりはさながら森の中。だがこの辺り一帯だけ何故か木が生えておらず、さながら森に穴が開いたようなスポットになっている。

 

「すげぇ………。てか完全に外じゃん!!」

「その様に見えるだけで室内で御座います故。」

「えー…これの何処が室内だよ…。」

 

「さて、状況設定といこうか。相手は格上、場所は森林、通信で応援を呼ぼうにも電波は届かないという設定ね。だからこの場合は周りの被害はあんまり考えなくても大丈夫で、周囲に市民は居ない状態。でも応援を呼ぶ場合は相手を振り切らないといけないね。」

「つまり、ヒーロー側の勝利条件は相手を捕獲、もしくはこの場から脱出する事か?」

「その通り!ちなみにヒーローは二人一組(ツーマンセル)でヴィランは一人って設定ね!ヴィラン役は主に私と融剛とロイコで務めるよ。」

「ちなみに組み合わせだが俺等の独断で決めさせてもらう。弱点が似た者同士や戦闘スタイルが似てる者同士で組ます。」

「全力デカカッテクルトイイ。受ケ止メタ上デ返リ討チニシテヤルカラナ。」

「一応試験を想定して訓練するから自分の弱点はバンバン狙われるって思っといてね。それと準備運動で私達と戦った時より遥かに強くなるから、覚悟してね?」

「どういう事だ?さっきまで手加減していたって事なのか?」

「そういうわけじゃないよん。実際に見たらわかるか。」

「任せろ。」「久シブリダナ。」

 

融剛と露伊戸が並び立つ。

 

「さてさてさーて?お前等がこれ見るのは初めてのヒーロー基礎学以来か?そん時は常闇と融合したんだったな。」

「まさか…アレか!?」

「そう、アレだ!『フュージョンヒーロー』!!」

 

融剛と露伊戸が両手を組み合わせる。すると不思議な光が辺りを包み込んだ。

 

「融剛の効果発動!このカードと場のモンスターを墓地に送り、エクストラデッキから融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚する!」

「急に何言ってんのお前!!?」

 

「あらゆる困難・理不尽・運命を操り、絡繰り、捻じ曲げる絶対の神よ!悪を討つ英雄の姿を借りてこの地に舞い降りよ!融合召喚!降臨せよ!F・HERO(フュージョンヒーロー)機械仕掛けの偽神(デウス・エクス・マキナ)!!」

「マジで何言ってんのお前!!!?」

 

 

《F・HERO 機械仕掛けの偽神》

融合・効果モンスター

星10/光属性/機械族/攻3000/守3000

「遊戯 融剛」+「安藤 露伊戸」

このカードは「遊戯 融剛」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードが特殊召喚に成功した時、手札・フィールド・墓地に存在する機械族モンスターを任意の枚数装備魔法扱いで装備することが出来る。この効果で装備されたモンスターがフィールド上に存在する限り、このカードは破壊されない。

(2):このカードは、(1)の効果で装備したモンスターの効果を得る。

(3):このカードに装備されているカード1枚を墓地に送り発動できる。相手のフィールド・手札のカードをそれぞれ一枚まで墓地に送る。

 

 

「「「なんか変なの出た!!!!!」」」

 

「そこにさらに!俺とお前を超融合!!!」

「今度は何やって、ああもうつっこみが追いつかねえ!!」

 

「三位一体の英雄神!理想と正義の下に全ての悪を打ち払え!憑依融合!!EXF・HERO(エクストラフュージョンヒーロー)究極幻想(アルティメットファンタズム)サウザンドフェイス!」

 

 

《EXF・HERO 究極幻想サウザンドフェイス》

融合・効果モンスター

星12/光属性/戦士族/攻0/守0

「殺生石 化太郎」+「F・HERO」モンスター1体

フィールドの上記カードを墓地へ送った場合のみ、

エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

このカードはリリース出来ない。

(1):バトルフェイズに移行した時、自分のデッキの上からカード5枚を裏側表示で除外し、フィールド・墓地のカード一枚を選択して発動する。

そのカードがモンスターだった場合、そのモンスターと同名カードとして扱い、元々の攻撃力と効果を得る。

そのカードが魔法・罠カードだった場合、そのカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

(3):このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力の半分だけアップし、このカードが破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する。

 

 

「「「なんかえげつないの出た!!!」」」

 

 

『強靭!無敵!最強!!!括目せよ!これが強さだああああああ!!!』

 

 

 

「…主様、目的がズレております………。」

 

 

 ◇

 

 

「さぁて、まず最初の組は切島君と砂糖君だよ!お相手は私がしよう。」

「さて、お前等が戦う前に聞くが、自分の『こうされたらヤバイ』ってのは何か分かるか?」

「こうされたらヤバイ…?」

 

切島と砂糖は腕を組んで頭をひねる。

 

「俺等は殴ることしか出来ねえからな…。距離をとりながら遠距離攻撃で削られる事か?」

「確かに距離取る相手に弱いかもしれんね、でも砂糖君なら道に落ちてる物でも拾って投げりゃ対抗可能だし、切島君に至っては大抵の飛び道具効かないでしょ?」

「いわれてみりゃ、そうだな。」

「例えばこうだ。体が硬くなっても、怪力になっても、一切意味を成さない状況に陥る事。」

「………って、どういう状況だよ?」

「こういう状況とかどうよ?『絡みつく石人形(インスタント・スタチュー)』!!」

 

突然現れる人形。一体一体は小さい赤ちゃん程度の大きさだが、次から次へと化太郎の身体から飛び出しては切島・砂糖ペアに飛びかかっていく。

 

「うげっ!何だこいつら!!」

「なんてことない只の石人形さ!殴れば壊れるんじゃないかな?」

「っらぁ!!」

 

切島がその硬化した拳で石人形を殴りつける。石人形はあっけなく砕け散ったが、そんな事お構いなしに他の石人形が飛びかかってくる。

 

「クソッ!数が多すぎる!!」

「うおおお!!なんだコレ!!くっついて離れねえっ!!!」

「はっはっは。中々にイカす拘束技だろう?とあるマンガ見て思いついた技だよ。」

「壊しても壊しても次々と増援が来る。エグイなぁオイ。」

「対抗策ハ全テ壊スダケノ範囲攻撃、アレニ捕マラナイ機動力ノドチラカカ。」

 

「解説良いから早く助けてくれ!!重すぎて身動き取れねえよ!!」

「はいよ、解除。」

 

石人形が一瞬にして煙のように消え失せた。

拘束から解放され、肩で息をする切島・砂糖ペア。

 

「とまあ、二人の弱点はこういった再生する武器や拘束技だね。ロイコも言ったけど、範囲攻撃か機動力のどっちかを得れば改善できるんじゃないかな。まぁ、そんな技を『出させない』立ち回りってのも必要だけどね。」

「…おう。立ち回りか、俺に出来るかな…。」

「…はぁ、なに不安がってんだよ。出来るさ、お前ならな。」

「ふふん、心配することは無いよ切島君、キミは骨太だから大丈夫さ!」

「いや、意味分かんねえよ。」

「…そっか、そうだな!よおっし!セメントスでもオールマイトでもドンと来い!!」

「その心意気だぞ切島少年!!では遠慮なくDETROIT…」

「待て待て待て!!そう言う意味じゃねえから止めろ殺生石!!」

「違うのか!?」

「違…くはないけどおまえいきなり過ぎるだろ!!」

「いきなりじゃなきゃいいんだな。じゃやるぞー。CAROLINA…」

「そう言う事を言ってるんじゃねえ!!」

「止めろ殺生石!いくら何でも「じゃあ砂糖君にSMASH。」流れるようにこっち来るなうおおおおおおおお!!」

 

 

「これが地上に注ぎし混沌…!」

「次ハオ前達ダカラナ?」

「!!」ブンブン

 

 

 ◇

 

 

「次、常闇と口田。相手は俺がする。」

「よろしく頼む。」「…!」(お手柔らかにお願いします。)

「さて、ちょっとキツイ言い方をさせてもらうけど君達二人は個性に比重を置いてるせいか素の戦闘力は低いよね。」

「常闇は接近されたら弱い。口田は身体能力は高いが、あんまりケンカ慣れしてないだろ?」

「個性頼リナノハ悪イ事デハ無イ。シカシソレハ弱点ヲカバー出来ル事ガ前提条件ダ。」

「ま、言うまでもないだろうけど相澤せんせーみたいな個性が相手だとなんも出来なくなるし、自分の個性と相性の悪い相手なんてザラだから素の戦闘力を鍛えておくに越したことはないからねぇ。」

「成程、一理ある。」「…」コク

「という訳で今から2対1の殴り合いをするぞ。」

 

「いや待て。普通もっとこう…理論から入るとかそう言うのではないのか?」

「あ?ねえよんなもん。」

「別ニ戦エナイ訳デモナイダロウ?今マデ個性ヲ使ッテヤッテタ事ヲ自ラノ肉体デ行ウダケダ。」

「とりあえず殴り合ってみて、ダメそうだったら横から助言してあげるから早く殴り合って、どうぞ。」

「!!」(適当すぎない!?)

「うるせえゴタゴタ言わずにかかってこいや。」

「何も言ってないんだよなあ…。」

 

何とも言えない微妙な空気のまま、口田と常闇は渋々と戦闘態勢を取った。

直後

二人の腹に拳が突き刺さる。

 

「ぐっお…」「うぐっ」

 

膝から崩れ落ちる二人。

 

「あえて鳩尾は外した。既に戦闘は始まってるのに、気を抜いてんじゃねえよ。」

「かかってこいって言って殴りかかる鬼畜外道が此処にいます。」

「オオ怖イ怖イ。」

「うっせ!」

 

腹部の鈍痛に苦悶の表情を浮かべる。

しかしいつまでもうずくまっている訳にもいかない。遊戯が言ったように既に戦闘は始まっているのだから。

脚に力を入れ立ち上がる。

 

「…!」

「思ったより立ち上がるのが早かったな口田。だが隙だらけだぞ?」

 

遊戯の腕が鞭のようにしなりながら口田の目に伸びてくる。格闘技におけるサミングだ。

口田はとっさに顔をのけ反らせ回避する。

しかしそれこそが相手の思う壺だった。

遊戯は伸ばした手をそのまま立てて口田の上がりきった顎に掌底打。

視界が揺れる。天地がひっくり返り、受け身も取れぬまま倒れた。

 

口田が背中から地面に激突したタイミングで常闇は立ち上がった。

遊戯に向かって駆け出し、勢いそのままに蹴りを放つ。

 

「悪手だ。」

 

常闇の勢いの乗った前蹴りは、正確無比な手刀によって伸びた足首を打ち抜かれる。

常闇の蹴り足が地面に降りる前に一歩、遊戯は踏み込み常闇の服の首もとを左の指で絡めとり引き寄せる。

常闇は足がもつれ、体勢を崩しては遊戯に向かって倒れ込んだ。

直後

遊戯の右肘が常闇の顔に突き刺さる。

常闇が倒れ込む勢いと遊戯の体重を乗せた肘鉄は容易に常闇の意識を刈り取った。

 

「う、うわあああ!!常闇の顔がやべえ事になってる!!」

「あ、やべ。やり過ぎた。」

「アホかお前!!ヴィラン相手にしてんじゃねえんだぞ!ウドンさん治療お願い!!」

「あぁらら、鍛えてなかったら今ので死んでるわよこの子。」

 

その後、常闇の顔は無事に元通りイケメン鴉に戻った。

しかし遊戯との戦闘の一部の記憶が無くなっていた。ある意味運が良かったかもしれない…。

 

 

 ◇

 

 

「葉隠、障子、ワタシガ相手ダ。」

「障子君は索敵特化、葉隠ちゃんは隠密特化、そして近接戦闘もそこそこ優秀と。」

「私は透明なのを利用した不意打ちが得意だよ!」

「俺は敵を常に捕捉出来、力と手数を利用した制圧が得意だ。」

「一芸に秀でているってのはいい事だ。だがもしその一芸が通用しない相手だったら?」

「赤外線センサーで熱源感知、さらに遠隔ドローンで索敵、力も手数も優秀、そして遠距離攻撃と。さぁ、自分の個性をツブしにかかってくる相手に対してどう立ち回るかの練習をしましょーねぇー。ということでマイゴさん!FieldChange!!」

「御意に。」

 

辺りの空間はひらけた森林から密林の様に変化した。足元には本物と見間違うような草が鬱蒼としている。

 

「う、うわぁ。確かに訓練に持ってこいな状況だけど虫がいっぱいいそう…。」

「あくまでも見た目だけの再現です故に虫の類は一匹も居ませんよ。」

「そ、そっか。」

「と、いうわけでこれからロイコと命懸けのかくれんぼをしましょうねー。」

「マジか…。」

「マジダ。」

 

安藤は森の暗がりに消えていった。

次いで葉隠と障子は安藤とは別の方向に消えていった。

 

「さて、観戦組は巻き込まれない様に一端どこうか。この辺までドローン飛んでくるだろうし。」

「思ったんだが、こんな状況じゃ逃げの一択じゃないか?」

「そんな事は安藤だって百も承知だ。だから既に逃げられないように手を打ってる。」

 

遊戯がそう言うな否や機械音と発砲声が聞こえてくる。

 

「早っ!?もう戦ってるのかよ!?」

「いやぁ、ただの空砲だと思うんですがね。威嚇と障子の索敵封じも兼ねての。」

「索敵封じ………音か!」

「発砲音がするって事はもしかして見つかったのかも…と思うかもしれん。そう思ったら一方的に脅威にさらされているかもしれないと精神を削り続けるだろう。」

「でもよ、銃声でも何でも普通は音がする方向にいるって分かるモンじゃねえか?」

「普通はね。そうは問屋が卸さないと来たもんよ。まずこの地形、音が反響しまくってどこが発生源か分かりづらいでしょ?それに忘れたのかな、ロイコは設置型の砲台をばら撒く事が出来るんだよ?」

「音を鳴らしまくって相手を攪乱させ、自分は音を消して相手を探し出す。理に適ってる戦法だろ?」

 

すると今まで断続的になっていた発砲音が途絶えた。

 

「…おい、銃声止まったぞ。」

「うーん…これは揺さぶりかなぁ?」

「恐らくだが障子と葉隠は何処か隠れやすい所で息をひそめてたんじゃねえか?安藤だって幾ら沢山の機械の目を持とうとも一人で探すにゃ限界がある。あえて相手が動くのを待ってるんだろ。」

「この勝負、ただのかくれんぼに非ず、精神の摘みあい也。」

 

ガギィン!!

 

金属を殴りつけるような音が鳴り響く。

 

「お、障子の奴、安藤の探知を掻い潜って一撃当てた…のか?」

「もしかしたらロイコのデコイに当たったのかもしれないねぇ。」

 

ガシャァン!!ズガガガガガガ!!

「ぐああああああ!!!」

 

「…決着………か?」

「声からして障子君だったねえ。おーい!終わったー!?」

 

 

「アア、今終了シタトコロダ。」

 

草を掻き分けて暗がりから現れたのは安藤だった。

彼の右肩には縄で縛られている透明人間…葉隠が担がれている。

そして彼の歪んでしまっている左腕の先にはボロボロになった障子が引きずられていた。

 

「障子ィ!!大丈夫かオメェ!!」

「はいはーい、どいてどいてー。今から治療しますからねー。」

 

「安藤、どうしたその左腕。」

「アア、最後ノ最後デナ。一本取ラレタ。」

「もー安藤くん強すぎ!どーなってんだよもー!」プンプン

「フン。オ前モ中々ニ力ガ強イジャナイカ。ワタシノ腕ヲ歪マセラレルトハ正直思ッテモナカッタ。」

「葉隠、怪我はないのか?」

「うん。障子くんが銃撃から庇ってくれたんだ。」

「マジかよ障子…男らしいじゃねえか!!」

「自己犠牲精神…。」

 

 

 

 

「さぁってさてさて。長いことお待たせしたねえ爆豪君。ついにキミの番だよ。」

「ようやくテメエをぶち殺せる時が来たか!!」

「(ぶち殺せるて…)チッチッチ。私を殺したきゃ理不尽(オールマイト)でも連れて来なさいな。今日はあくまでも特訓。爆豪君を叩いて殴って伸ばしていく時間だよ、残念だったね。」

「だが、さっき見た限り戦闘面においてお前に弱点らしい弱点はねえ。後は経験値積めばレベルアップしてくだろうよ。」

「ソコデオ前ニハワタシラノ内一人ヲ選ンデタッグヲ組ンデモラオウ。」

「あ”あ”?」

「つまりこう言ってんのさ。『お前、コミュ力無いだろ。』」

「ガンガンあるわ!殺すぞ!!」

「全然ねえよ。殴るぞ。」

 

「ま、ヒーローになりゃ嫌な奴相手でもチームアップせなアカン時もある。『嫌いな奴とチームアップしたからヴィラン逃がしました。』じゃヒーロー止めちまえって話ですなぁ。」

「仲間トノ作戦共有ヤコンビプレーノ為ニハコミュニケーションハ欠カセナイ。」

「そこで俺等の内誰か一人と急造タッグを組む。雄英もこういう事よくやるだろ?」

「そして残った二人がヴィラン組となって戦うわけ。言っとくけど、私達はそこそこ長い付き合いだからコンビプレーだってお手の物だよん。」

 

「「「さあ、誰を選ぶ?」」」

 

 

「チッ、なら………テメエだ。」

 

爆豪が指した人物は…

 

 




ええ、大真面目に考えましたよ。オリカ。

休みの日と睡眠時間を削って少しづつ書き上げました。そのせいか一話の中でも作者のテンションが違う部分があるので読んでて違和感を感じるかもしれませんがご容赦を。


《F・HERO 機械仕掛けの偽神》
「特殊召喚時に機械族モンスターを装備することで効果と破壊耐性を得ることが出来るぞ!
強力な効果で場を一掃するもよし!直接攻撃効果を得るもよし!装備カードを墓地に送って相手の手札とフィールドをボロボロにするも良し!様々な効果を得て相手を打倒しろ!」

サイバー・ドラゴン「貴方と合体したい!」 「ヤメロォ!!」


《EXF・HERO 究極幻想サウザンドフェイス》
「バトルフェイズに移行した時に自分・相手のフィールド、墓地のカードをコピーするぞ!強力なカードをコピーして強化しまくれ!
更にこのカードが得ることが出来る効果と攻撃力にはエンドフェイズまでの制限が無い!毎ターン強化して最強に育て上げろ!
裏側表示で除外されたカードはネクロフェイス等でデッキに戻せるぞ!」

強制脱出装置「対象に取ることが出来ますね、ふむふむ。」 「ヤメロォ!!」


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人はプライドだけで食ってけないがプライドが無ければ人じゃない

最近になって怒涛の更新。
なおクオリティ(


「さて皆様方、主様が大暴れする予定らしいのでこちらの避難所にどうぞ。」

「お、おお…。」

「なんだこのデカい施設は…。」

「それは我が能力の全てを用いて作成した、核シェルターすら凌駕する防御性能を持つ防衛機構で御座います。」

「核シェルター以上!?」

「なんだかよく分からないな…。」

「というかそのようなモノが必要なのか?」

「備えあれば嬉しいなってやつよ。」

「備えあれば憂いなし、だ小娘。」

 

「さて、この避難所からでも外の戦闘をモニタリング出来るようにしましょう。」

 

ふい、と指を振ると壁一面に幾つものモニターが現れる。そのモニターは化太郎、遊戯、安藤、爆豪の4人を様々な角度から映している。

 

「おお…。迷梧さんの個性ってスゲー便利っすね。」

「いえいえ、それほど良い物でもありませんよ。主様に比べたらこの程度…」

「先ほどから思っていたんだが、ヌシサマってのは殺生石の事ですよね?」

「ええ、それが如何したのですか?」

「いえ、普段のアイツを見ていたらどうも人を従えてるような奴に見えなくて…。」

「…ふむ。」

「ああいえ、別に悪口とかそう言うのではなくてですね、なんというか………想像できなくて。」

「ああ、それな。確かに分かるぜ。」

「今日もそうだけど、面倒見はいいけどかなりの気分屋?みたいな。」

「…」(凄い強いのにそうは見えない所とか。)

「そうね、確かに主様は強そうには見えないわね。」クスクス

「ですが、我等を従えるに足る実力を持っています。」

 

「そう、我等は実力無き者には例え本家跡取りと言えども仕えはしません故に。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「…本当に良いのかな?」

「うるせえ、とっとと始めんぞクソが。」

「口悪いよなぁお前本当に。」

「遊戯トドッコイダナ。」「うっせ!」「殺すぞ!!」

 

「ほんじゃー、いっちょ爆豪君にレベル99を見せてやりますかね。」

「短期決戦、最初から全開で行くぞ。」

「全門開放。モードチェンジ:オーバースロット。」

「皆殺しだ!!」

 

 

「え、俺も?」

「死ねクソ機械にクソ仮面!!」BooM!

「おいおい、フレンドリーファイアには気を付けろよマジで!!」ダッ

「ロイコ!合体すっぞ!」

「来イ化太郎!」

 

「行くぞ!『憑衣装着(オーバーオール)!』

「カラノ『オーバーヒート』!」

 

化太郎が安藤に憑りつき、安藤は自身のスペック以上の性能を発揮し始める。

結果、体が赤熱し始めるが化太郎が効率よく熱エネルギーを貯蔵し、爆豪・遊戯に向けて発射する。

 

「『ヒート・ラジエーション・ブリーズ』!!」

「熱っ!!」

「っの程度なんてことねえよクソが!!」

「はぁん、これは言わば地形変更技みたいなもんよ!」

「本命ハコッチダ。『ガトリング・キャノン・ショット』」

 

安藤から六門、安藤に憑りついている化太郎から追加で六門、合計十二の砲門が轟炎を吹く。

正しく弾幕と呼ぶに相応しい攻撃は音の速さで相手に向かって行く。

 

「捕まれ爆豪!『グラウンドフュージョン』!」

 

しかし攻撃は一切当たることは無かった。地面に逃げた遊戯と爆豪は作戦を練る。

 

「勝手なことすんなクソ頭ァ!」

「ああ!?お前ハチの巣になりたかったならそういえボケカス!」

「うるっせええ!!テメエの助けなんかいらねェんだよカスが!!」

「馬鹿が!化太郎一人相手でもボロカスに負けたお前が安藤と二人掛かりで来てんのにどう勝つってんだ!?それとも無様に負け恥晒してえのか!?」

「晒すかボケがァ!!絶対(ぜってぇ)勝つんだよ!!」

「だったら一人で行くんじゃねえよ!オレを使ってみろよ!!今は仲間だろ!!!お前がやってる事はただの思考停止なんだよボケェ!!」

 

「作戦タイム長すぎ。(はよ)ォ出てこんかいァ!!『超怪音波爆弾(ソニック・テラーボム)』!!」

 

地面に棒状に尖った腕を突き刺し、ガラスと金属を擦り合わせたような音を大ボリュームで地面に流し込む。

ギリギリと鳴り響く爆音は地面を通して避難所にいる皆の頭に殴りつけるように届いた。

 

「ぐああああ!!あ、頭が割れそうだっ!!!」

「っ~~~!!!!」

「悪魔の叫び声かっ…!」

 

離れた場所でもこうなのだから直撃した遊戯と爆豪は無事では済まない。

強制的に地面から分離させられ、その身を脅威に曝してしまった。

 

「ぅギッ!ヤベェ!!」

「先ズハオ前ダ。『撃鉄鋼拳(ハンマー・ブロー)』!!」

 

安藤の赤熱した腕が弓のように引き絞られ、煙を噴き上げる。

ガチン。引き金が引かれた。

音の速さで遊戯の腹部を彼の防御ごと打ち抜く。声をあげる事すら出来ずに吹き飛んだ。

 

「っクソがっ…!」

「はぁいこんにちは、死ね。『噴炎吐息(ヴォルケイノブロウ)』」

「!ぐああああああ!!!」

 

安藤から刹那の間に分離した化太郎は爆豪に向かって炎と黒煙を噴き出した。

爆豪は辛うじて直撃こそ避けたものの、攻撃の余波だけで爆豪に致命的なダメージを与える。

 

「な、なんて一方的な戦いなんだ…!」

「爆豪だって遊戯だって決して弱くはない。むしろトップクラスに強い方だ。」

「…体育祭の時でもそうだが、安藤は強固な身体と卓越した遠距離攻撃の豊富さ。殺生石は切り札の多様さと判断力の速さが強力な武器なんだろう。その二人のコンビネーションはこれ以上ない程に凶悪だな。」

「殺生石が相手を崩して、安藤が重い一撃を入れる。場合によって殺生石は遊撃にも回る。なんというか………ヤバイね!」

 

「…おい、生きてるかよ爆豪。」

「っ…誰に聞いてんだっ…クソ頭!」

「お前のスタンドプレーで倒せるほどあのコンビは甘くはないって分かってんだろ。」

「…クソが…っ!テメエなんぞと力を合わせても負けたらブッ殺す!」

「ほんと素直じゃねぇヤツだぜ…。」

 

「ヤレヤレ、コノ程度ジャ期待ハズレモイイトコダ。」

「爆豪君の欠点は誰かに頼ることに時間が掛かりすぎる事だよ。1人で無理なら2人。そこまでは頭でわかってるはずなんだ。」

「フン、無駄ナプライドニ縛ラレテイルノカ。」

「ま、子供の頃の環境のせいさね。ということでプライドの塊である爆豪君を削って、磨いて、研ぎ澄ましました。するとどうでしょう。」

 

BOOOOOOM!!!

 

「『フュージョンヒーロー:ボマークラッシュ』」

『ブッ潰ス!!!』

「ほれこのように殺意ギラギラの切れたナイフの出来上がり。」

「勝ツ為ナラ意地ヲ捨テルカ…良イ。」

「…まぁ。」

 

「「だからといって勝たせはしないがね(ダカラトイッテ勝タセハシナイガナ)」」

『勝つのは俺だァ!!!』

 

「爆速ターボ変形…『ニトロチャージ』!!」

 

両手から爆炎を噴き上げつつ突撃する爆豪・遊戯の融合体『ボマークラッシュ』。

防御を一切捨てた突撃は、高熱を発する安藤の身体を無視して鋼の鎧を大きく歪ませた。

 

「グゥッア”!!」

「っ速」

「あ”あ”あ”あ”!!」BOOM!!

「ぶがぁっ!」

 

爆発の反動を最大に利用した裏拳が亜音速で化太郎の顔を打ち抜く。

攻撃は終わらない。たたらを踏んでこらえた化太郎に必殺の一撃を叩きこむ。

 

「『榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)ォォォ!!!』」

 

BOOOOOOM!!!

 

余りにも強力な爆発で地響きが起きる。

 

「つ、強くなりすぎだろ…!」

「一撃が重くなっているのもあるが何よりも…(はや)い!!」

「移動速度も技の出の速さも今までとケタ違いだよ!」

「爆豪の個性の強力さと遊戯の技術力が掛け合わさってとんでもない強さになっているのか!」

「…だが、強さの代償もまた大きい。奴の腕を見ろ。」

「…!あれは…」

 

「っ~!!クソッ。お前の個性どうなってるんだマジで!」ズキズキ

『うるせえんだよザコが!!』

 

「腕が爛れてる…!」

「出力が強化されすぎて(・・・・・)反動が酷い事になっているのだろう。その上赤熱した鋼鉄の塊を殴りつけたんだ、ああなるのも無理はない…。」

「恐らくあの火力は遊戯と融合したからと言う事だけじゃないな。殺生石だ。」

「どういう事?」

「今も爆豪達に向けて放ち続ける熱波が影響しているんだろう。」

「…汗か!!」

「元々爆豪はスロースターターだ。始めから無理矢理ギアを上げさせ、更に遊戯が合わさり今の状態にさせることで受けるダメージが増える代わりに相手の調子を陥れているのだろう…。」

「な、成程な…。幾ら遊戯とはいえ、初めて爆豪の個性を使うならその調整とかが出来る訳がない…!」

「自分が発する爆炎の反動、そして殺生石が放ち続ける熱波、二つが合わさってあいつ等の周りはかなり熱いはずだ…これは精神を摘む戦いになるぞ…。」

 

 

「ああ全く。ちょっとはしゃぎ過ぎなんじゃない?お面結ぶ紐ちぎれちゃったよもう。」

「ナンダ化太郎、怒ッテイルノカ?」

「ん~にゃぁ?別に怒っちゃいないさ。ほら、よく言うじゃん。顔面セーフって。」

「…結構キレてるよね化太郎…。」

「キレてないですよ。俺をキレさせたら大したもんですよ。」

 

『クソッ!次こそブッ殺す!!』

「焦んな、元々短期決戦は化太郎の超得意分野だ。その上で勝つってんなら…。」

『不可避の速攻だ!!』

「いやまあそうだけどよ…。」

 

熱い。既に辺りの空気は火山口の如く熱せられ、人間が活動するに適していない気温にまで上がっている。それでも4人は止まらない。化太郎は高熱を帯びている安藤に再度憑りつき、安藤の熱を奪っていく。安藤は身体のギアを更に加速させ、エネルギーを収束させる。

一方、爆豪と遊戯は肺腑を焼く様な空気に体力を奪われ、身体から涌き出るような汗を無視して攻撃の構えを取る。速さで相手を倒すために。

 

『ニトロチャージ!!』

「爆裂演舞:砕龍!!」

 

爆音が届くとともに、人の目に留まらない疾さで安藤に衝突する。

それで終わらない。相手を殴る直前に爆発、反動の勢いそのままに連撃、爆発。爆発。爆発。

それは過激な舞だった。

自分の腕を犠牲にしながらも、確かにその攻撃は相手に届いていた。

 

「アアアアア!!」

『死ィィィねェェエエ!!!』

 

「グゥァッ!!!」

「ぐぅぎぎぎ!!は、剥がれる…っ!!」

 

既に腕の感覚はない。だが、止まる訳にはいかない。引くわけにはいかない。ここで仕留める。仕留めなければならない。

 

ここで逃げるは男じゃない。

 

「おおおおおおらああああッ!!」BOOOM!!!

「ッシマッタ!!」ガクン

 

ついに安藤が大きく体制を崩す。疾さに対応するために無理をしたツケがここに来てしまった。

安藤は瞬時に対応策を練る。しかし相手はまるで安藤が体勢を崩す事を理解していたかのような速度で大技を叩きこもうとしていた。それはまさに獣の勘であった。

 

「『核融合爆撃(フュージョン・インパクト)ォォォ!!!』」

 

まさに全力。身体にあるすべての力を両腕に込めて、終わりを告げる一撃を相手に叩き付けた

 

 

 

筈だった。

 

 

POF…

 

 

「…あ?」

 

 

POF…POF…

 

 

不発。

爆発の個性は発動している筈なのに何故先ほどまでの爆発すら起きないのか。

 

 

「爆豪君、君の個性は確かに素晴らしい。掌から分泌される汗が爆薬となり自在に爆撃を行えるようになるなんて実に派手で強力な個性だ。」

「…っ!化太郎お前…何しやがった!!!」

「簡単簡単。実に簡単なお話だよ。」

 

笑う。嗤う。仮面の奥で。ニヤニヤと。或いはゲラゲラと。悪魔は安藤の身体から離れながら最悪のネタバラシをする。

 

「そう、汗が爆薬になるのならば、汗が無ければ当然爆発出来ないだろう?

 例えばそう、例えばだが…キミの手汗を私が『全部舐め盗った(・・・・・・・)』としたら?」

 

相手にラッシュをかけている時、既に両腕の感覚は無かった。攻撃されたときに少しづつ、少しづつ掌の汗を奪っていったとしても気が付かなかっただろう。現に連撃を重ねていくに連れ、一撃の爆発力が下がっていったのに気が付いていなかった。

そして最後の一撃の時。全力を掛けての一撃は意識の全てをそちら(・・・)に向けてしまった。

爆発させる僅か数瞬前、掌の汗を言った通りに舐めとっていたのだとしたら、爆発するものが無いので当然攻撃は不発に終わる。

 

『て、テメエ…っ!!!』

「ふくくっ…!ニトロって中々に甘い味がするんだねえェ!さあさっ、楽しい戦闘(ダンス)もこれにて終焉(フィナーレ)。最後はいっちょド派手に終わろうか。私の勝ちでね(・・・・・・)!」

「…!何ヲ考エテル化太郎!!!」

「決まってるだろうロイコちゃぁん!!終わりすなわちオチ!オチといったら爆発オチっしょ!!?』

「バッ!止めろ化太郎!!」

「クソッ、止マレェ!!!」

 

『えー』

 

『それではみなさんご唱和ください』

 

誤爆スイッチON(イッツ・オールフィクション)』カチッ

 

 

 カッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………うっ、うぅ…な、何が起きて…。」

「…ゴホッゴホッ、ぐっ…オイ、皆無事か!?」

「…ああ、辛うじて…な…。」

「っ…障子、口田、動けるか!?」

「…!」(何とか大丈夫…)

「ああ………っ、頭を打ったようだ…。」

 

「…ゲホッ。いやはや、主様は以前よりも遥かに成長していますね…。まさか私の全力の隔壁を破壊しつくすとは感無量…。」

「…貴男は良いわね気楽で…。私はこの爆撃の後処理をしなきゃいけないのに…。」

 

狐御殿は見る影も無くなり、壁も屋根も全て消し飛んで、残っているのは根元からなぎ倒された木と地面の中から抉りだされた巨石だけであった。

 

『やれやれ。』

『またつまらぬ勝利をしてしまった…』

『なんてね。」

 

「…ぐっっそっっっがぁああああ!!!」

 

「おりょ?完膚なきまでに吹き飛ばしたと思ったんだけど、もう立ち上がるなんて………タフさは私ら以上…というか異常だねホント。」

「また…何も出来ねえままに…負けられるかアアアア!!!」

「カッカッカ。言っただろ?そして体感出来ただろ?これがレベル99の力だよ。」

(とは言ったモノの…ヤベエなぁ。もう私完全ガス欠。一歩動いたらもうダウンだぜ全く…。完全にさっきの爆撃で決まったと思ったんだがいったいどうやって立ち上がったんだ………ん?)

 

「ぐ、く、く…。化太郎(おまえ)の予想通りにゃさせねーぜバーロー…!」

「全ク…趣旨変ワッテルジャナイカ馬鹿モノメ…」

 

「アアアアアア!!」BOOM!BOOM!

「…ケケッ、融剛とロイコが爆撃から守ったんか。こりゃ一本取られちゃったぜオイコラ。」

「『榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!!』」

「じゃあテメェらの理想を覆してやるのが私の仕事だな!あと一撃分頑張れ私ぃ!!

 『質実剛拳(しつじつごうけん)空割(そらわ)りパンチ』!!!」

 

 

化太郎と爆豪が激突する。果たして最後に立っていたのは…

 





今日はここまで。
さらりと狐御殿ぶっ飛んでますがマイゴさんが無事なら一瞬で再建可能。



章題が『試験』なのに3話かかっても試験が始まらない小説があるらしい。


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絶望の始まりは予想外から

なんか期末テストって二日くらいに分けて行われた記憶があるので。

化太郎と融剛のペアはギリギリまで悩みました。
その結果セメントスの出番が削れました。スマヌ…スマヌ…。


「それじゃーお世話になりました!!」

「ええ、お風呂に入る時に頭の卵潰さないように気を付けるのよ。」

「うっす!」

 

「…元気出せって爆豪。」

「そーそー。あれは結局私の負けみたいなもんだからキニスンナ。…ハァ、私爆豪君に負けたのか…。」

「うるっせえカスがっ!!!あんなモンで勝ったうちに入る訳ねえだろ!!」

「当タリ前ダ。化太郎叩キノメサズニ何ガ勝利カ。」

「…あれー?ロイコちゃん私の仲間だったよねー?」

「ホウ?貴様ノヒーロー像ハ仲間ゴト爆殺スルノカ興味深イ。」

「サーセン。」

 

結局最後の一撃は化太郎が爆豪のアゴを打ち抜く形で決着がついた。

しかしそれでもギリギリまで立とうとした爆豪に対し、エネルギー切れで完全に沈黙した化太郎は『先に動けなくなった方が負けでしょ。』と敗北を認める。(復活した後に。)

しかしそれに異論を唱えたのは爆豪当人。既に死に体も同然だったから俺の負けだと譲らない。

結果的に一悶着起きそうなところを優曇華がドクターストップ(飛び蹴り)。勝負はお流れとなった。

 

「…しっかしお前等あの爆発で良く生きてたな本当…。」

「化太郎ガアノ時何カ仕出カス(・・・・)のは察知デキタカラナ。」

「後はまあ経験と反射神経だな。」

「…経験?」

「…オ前等、化太郎ト一年付キ合ウト嫌デモ身ニツク経験ダゾ…。」

「そうだなぁ…。一年前の安藤も似たような感じだったなぁ…。」

「ええぇ…。」

「あの程度は日常茶飯事(゚-゚)」

「やべえ安藤が壊れた。」

「壊れた!?」

「もうどうにでもなーれ(´・ω・`)」

「どういう事!?」

 

ギャーギャーと一同は騒ぎながら帰路につく。

 

「…さて、じゃ私も本宅に帰るわ。」

「お疲れ様です主様。」

「またいつでもお越しくださいね主様。」

「お~。」

 

化太郎はバサァッ、と背中から鴉の様な翼を生やして、狐御殿から飛び立っていった。

 

「…はぁ、やはり主様を人の世に出したのは今でも間違いだと思うがね。」

「そうかしら?外からの刺激ってバカにならないわよ?」

「フン、あのような奴らとツルむと主様がいざという時に足かせとなるだろう。そして何より、近いうちに戦争が起こるかもしれんというのに、態々人間共に構っている暇など無いだろう。」

「そんな事は主様だって分かってるはずよ。でもずっと気を張っているのも疲れるだけでしょ?」

「…。」

「それに、主様は『外』に出てどんどん美しくなってってるじゃないの。それはきっといい事よ。」

「…やはり貴様とは意見が合わないようだな小娘。」

「あら、お互いさまよ。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

なんだかんだあって期末試験日初日

放課後。

 

 

「遊戯ィ!殺生石ィィ!!」

「うわあなんかキモ…切島君どうした!?」

「お”うっ…お前時々本気で容赦()ぇよな…。

 いや、お前等のお陰でかつてない程の高得点取れそうだぜ!ありがとな!!」

「そっか、それはきっと切島君の努力のお陰だよ。」

「それに別の日にも爆豪と勉強したんだろ?じゃあ爆豪のお陰でもあるだろ。」

「ああ!爆豪もありがとな!!」「けっ…。」

「やー。私も英語不安だったんだけど、自己採点でほぼ満点だったのは初めてだよ!」

「正直あんな勉強会でも効果は出るもんだな…。」

「そりゃそーよ。コツさえ掴めば勉強なんて楽勝楽勝。」

「おい、その発言は無駄に敵を作るからやめろ。」

 

「いえぇぇぁああ!!一番不安だった科目も終わったし!あとは楽勝ロボ無双だぜ!!!」フゥゥゥゥ!

 

「…言ってないのか?あの予想の事…。」

「ま、言うほどの事でもないかなって思ってね。」

「予想外れたら要らん恥掻くからなぁ。」

「明日の演習試験が楽しみだなぁ。あの喜び顔がどういう風に崩れるのかが…!」ククク…

「やべえ奴かよ。」

「む、心外ね。私はただ人が絶望の淵に立たされた時の顔を見たいだけだよ。」

「やっぱやべえ奴じゃねえか。」

「…そんな言うんならお前が上鳴と芦戸に教えてやればいいだろ?」

「…(無言の圧力)」

「…や、止めとく…。」

 

 

 ◇

 

 

そんで次の日

すなわち

演習試験当日!

 

~学内移動用バス停広場~

 

「それじゃあ演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃみっともねえヘマはするなよ。」

「先生多いな…?」

「4…5…6…7人?」

「(これはもうやっぱりアレやねぇ。)」

「諸君なら事前に情報仕入れて何するか薄々わかってるとは思うが…」

「入試みてぇなロボ無双だろ!!」フーー!!

「花火!カレー!肝試--!!」

 

「残念!!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」

「うわ相澤先生の首から小動物生えた!」「生えるか。」

 

「…」

 

化太郎の視線の先には何とも言えない表情とポーズで固まっている上鳴と芦戸がいた。

 

「っし!」ガッツ

「お前マジで性格悪いな…。」

 

 

 そんなこんなで (/・ω・)/ ~~∞

 

 

「で、せんせー。せんせー達はオールマイトせんせー入れて9人しか居ないけど後2人は何処に居るんですか?」

「良い質問だ。今日の試験の為に外部からとあるプロヒーローが来てくれたのさ!」

「だが当人の意向で正体は移動先で明かされる事になっている。非効率極まりないが移動先での指示に従え。」

「なんだそりゃ…?」

「サプライズゲストって奴ね!」

「(わざわざ外から来たって事は…今いる先生達じゃあ相性云々が設定し辛い相手って事か。…まあ片方は化太郎で決まりだとしてそのペアは?)」

 

「じゃあペアの組と対戦する教師を発表してくぞ。」

 

 

-----------

 

-------

 

----

 

 

~バスの中(移動中)~

 

「…」

「…」

 

「と、とりあえずしりとりでもしねえ!?」

「お、おおいいねえしりとり!私しりとり大好き!」

「おっし、じゃあ俺からな。しりとりのりからで…『リンゴ』!」

「『合成化学産業(ごうせいかがくさんぎょう)』!」

「!?う、『うちわ』!」

「『若林東町中外根(わかばやしひがしまちなかそとね)』!」

「わ、わか…?」「地名ね。愛知県の地名。」「地名有りか!?」

 

「じゃ、じゃあ…『ネコ』」

厚生労働省(こうせいろうどうしょう)老人保健福祉局(ろうじんほけんふくしきょく)介護保険指導室(かいごほけんしどうしつ)地方自治体介護保険(ちほうじちたいかいごほけん)事務指導員(じむしどういん)』!」

「しりとり止めるか…。」

「お、おう…。なんかゴメン切島君…。」

「…」

「…」

 

「相手、誰なんだろうな…。」

「うぅ~ん…。少なくとも私に対して何らかの有利に働く個性のプロヒーローだよね…。」

「…」

「…」

 

 

「全く思いつかない。」

「…そ、そうか…。」

 

「(先生じゃなくわざわざ外からプロヒーローが呼ばれるって事は殺生石は完全にマークされてるじゃねえか…そんな対殺生石用に呼ばれたプロヒーローに俺の力が通用するのか…?)」

「(完全にコレ切島君とばっちりみたいなモンだよね。対私用のヒーローって誰か想像つかないんだけどコレまず間違いなく強い相手だよね。切島君大丈夫かなコレついて来れるかコレ…。)」

 

「…」

「…」

 

「(なんか超不安なんですけど…!)」

「(なんか超不安なんですけど…!)」

 

 

~別のバスの中~

 

「プロヒーローが相手になるって事だが誰が相手になると思うんだ遊戯?」

「あー…。ちょっと絞りにくいなぁ…。仮にそれこそ砂糖の相手と考えたならセメントスが一番な筈なんだよなぁ。だがまさか俺が砂糖と組まされるとは予想外だ。」

「遊戯の弱点…一応近接がメインなんだろ?例えば同じ近接メインのプロヒーローとかってないか?」

「ん~…無いことは無いが………生半可な相手なら二対一で何とでもなるっていうか…。」

「そうなのか?」

「まあな。この前ボコボコにしておいてアレだけど、砂糖もポテンシャルならプロに劣ってないからな。フォースカインドクラスのプロヒーローなら俺の個性も合わせて何とかいけるハズだ。」

「おお…頼もしいぜ。」

「ま、流石にオールマイト相手じゃ勝てんが、そのオールマイトは緑谷と爆豪についてるし、オールマイトに並ばずとも劣らないようなプロヒーローは大概忙しいからこんな試験なんかに来ねえだろ。」

「そういうもんか?」

「そういうもんだ。まぁ試験場についてからだが、考えたって仕方無い。ドシっと構えてよう。頼りにしてるぜ?」

「おう!俺も頼りにするぜ!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

~演習場ε(化太郎・切島組)~

 

バスは如何にも田舎町!といった所のド真ん中で止まり私達は下ろされた。

降りた先にも私達の相手と思わしき人はおらず、代わりといってはなんだが案山子が一体つっ立っていた。

 

「…なんだコレ。」

「ただのKA☆KA☆SHIですな。」

「…ん?なんか紙が挟んであるぞ?」

「スルーですかーおーい。」

 

 

~演習場Σ(融剛・砂糖組)~

 

カサカサッ「えー…と?『制限時間30分。諸君の勝利条件はハンドカフスを敵に掛けるorどちらか一人がステージから脱出すること。』」

「おお…殺生石が予想した通りじゃねえか!」

「そうだな。まだ続きがある。『ステージから脱出するには指定のゲートを通るべし。そして、相手は格上のヴィランであると考え行動せよ。私もヴィランとして行動する。しかし此方側はハンデとして体重の約半分の重りを装着している。戦うも良し、逃げるも良し。』だってよ。」

「成程…。お、ハンドカフスってこれか。とするとあれだな。多分だがそのゲート付近で待ち伏せされている可能性が高いな。」

「そうだな…。一見してこのステージかなり広いから、下手に歩き回るより待ち伏せした方がすれ違わなくて済むからな。それが定石だろう。」

「で、指定のゲートって何処だ?」

「ちょいまち。もう一枚紙あったわ。んーと?………なんだこれ。」

 

 

 ← あっち

 

 

「ふざけてんのかおい。」

「…ん?待て、ちょっと貸してみろ。この紙なんか違和感が…」

 

そう言って砂糖は紙を上に翳して透かし見た。

 

「あっ!なんか書いてあるぞ!」

「な、なんてムダに手の込んだことを…。」

 

  

 ← あっちにはなにもないよん

 

 

「マジでふざけてんのかオラァ!!」ビリビリッ!!

「手がかりがっ!!?」

 

「つかあれだ!こういう時は高い所に登って直接ゲートを視認したほうが(はえ)ぇ!」

「そ、そうだな…。(遊戯って頭使う脳筋だよな…。)」

 

 

『皆、位置についたね。それじゃあ今から雄英高1年期末テストを始めるよ!』

 

 

「つーかまだ相手が姿現さないんですけどぉ!!」

「結局相手の対策が練られなかったな。」

 

 

『レディイイー… ゴォ!!! 』

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

~化太郎・切島組~

 

「まあ予想つかない相手の心配しても始まんねえし、とりあえずゲート向かおうぜ!」

「おっけーね!」

 

 

 

「デュエルフィールドスタンバイ…」

 

 

 

「…ん?なんか言った切島君。」

「何も言ってねえけど…。」

 

 

「さあ始めようか、闇のゲームを!」

 

 

「っ!誰だ!」

「………」

「殺生石!?おいどうした!殺生石!しっかりしろ!」

「ヤバイヤバイヤバイッ!馬鹿か私はっ!!何でこの『可能性』が頭から抜けてたんだっ!!!」

 

 

~遊剛・砂糖組~

 

地面が砕けた。いや、爆散した(・・・・)と表現するべきだろうか。舗装されていた道路はおよそ1メートル以上深く抉られていた。

 

「…は?」

「なっ、何が起こった!?」

 

 

「うふ、うふふ、うふふふふ。大暴れできるなんて久しぶりねぇ。最近よくオバサン扱いされるからイライラしてるのよぉ。」

 

 

女性の声がする。

声の主は恐らく、高い所から降って(・・・)来た。そしてついでと言わんばかりに地面に大穴を開けたのだ。

こんな事が出来る女性など一人しか知らない。いや、むしろこの生まれた時から聞いてきた声(・・・・・・・・・・・・・)の主を間違うはずもない。

 

「う、嘘だろ…?おいおい…夢だ、夢だと言ってくれ頼むから…!」

「遊戯!?おい!遊戯!どうした!!?」

 

 

 

「夢も(うつつ)も全ては遊戯。」

 

「所詮人世は娯楽が全て。」

 

「遊びに遊んで気づけば王者。」

 

「我等に並ぶ者は無し。」

 

「さあさ今宵も神楽の舞よ。」

 

「神楽しませ。我等楽しませ。」

 

「無様に足掻けよ愚かな人よ。」

 

「フレンドシップ。」

 

「プレイメイト。」

 

『ゲームマスターズ、ここに見参!!』

 

 

 

「マジか!?俺等の相手ってまさかの『ゲームマスターズ』の片割れかよおい!!」

「ヒーローランキングは結成当時から変わらず常に上位!」

「ヒーロー最強コンビの議論の場では絶対に名前が上がるほどの超有名所!!」

「単独活動でも様々な伝説が残るほどの相手にハンデ有りとはいえ戦えだって!!?」

 

「「どうすればいいんだ遊戯(殺生石)!!!」」

 

 

 

 

 

 

「「どうしよう…。いや割とマジで。」」

 

 




化太郎と融剛の相手はまさかの遊剛の両親!?
誰も予想してなかっただろう!(エヘン

設定自体は2話目から。初めて喋ったのは24話目から(回想で)。
そして漸く34話目にして本編に登場。長かったな!
回想と口調ちゃうやん!と思うかもですが、ヒーロースイッチIN時とOFF時でキャラが変わるっていうアレです。

次回、一方的な蹂躙に成す術無しか!?
チート成分マシマシでお送りいたします!(予定)



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理不尽を覆してこそヒーロー

本編の投稿が遅れ過ぎてすんませんっしたァァァァ!!!
でも不定期更新ってタグあるから大目に見てねェェェェ!!!

?「もっと”コツコツ”書き進めろよ。」ツクテーン

というわけでチートが過ぎて雄英がヤバイ。そんなお話です。


ヒーロー最強議論。

 

それは昔から、それこそヒーロー社会黎明期から密かに行われている。

勿論大体の人はオールマイトこそ最強だと言うだろう。

しかし一部の人はそれを否定する。

例えば、海の上で戦ったなら。

例えば、新月の夜に戦ったなら。

例えば、人混みの中で戦ったなら。

例えば、切り立った崖で戦ったなら。

様々な前提条件においてなら戦闘力はオールマイトを超えると言われるプロヒーロー(スペシャリスト)は少ないが挙げられる。

 

そして、友乗(ゆうじょう)ヒーロー『フレンドシップ』もその一人。

条件は『プレイメイトが近くにいる事』。

不特定の相手とチームアップする事より特定の相手と抜群のコンビネーションを発揮する事に主眼を置いた、現代のヒーロー社会において少し異質である『ゲームマスターズヒーロー事務所』の副長を務める彼女と戦って逃げられた(ヴィラン)は一人もいない。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「さぁ、私と楽しく遊びましょう融剛?」

「ま、マジで言ってんのかよ母さん…!」

「…えっ、母さん?」

 

「あら、どうも初めまして。(わたくし)、その子の母親の遊戯 彩子(さいころ)です。」

「あ、俺は砂糖力道…っす。」

 

 

 

「いやちょっと待てェ!!ハァ!?遊戯お前の母親ってヒーローだったのか!!?と言うかえっ!?『フレンドシップ』って子供居たのかっ!!?」

「うるせえ砂糖、あとこの事は誰にも話すなよ?」

「お、おう…。(マジかよ…!確かに遊戯はただ者じゃねえって思ってたが…まさかあの、完全に謎だらけのゲームマスターズの子供とはな…。)」

「うふふ、さてさて?じゃあ挨拶も済んだことだし…ホンキ、出すぞ?」

 

硬質な何か(・・)が地面に落ちる音がした。

 

「ッ!!逃げるぞ!!」

「えっ、あ、おい!」

 

融剛はその場から全力で逃走を始める。

そして少し遅れて砂糖が融剛を追いかける。

 

その直後

 

「良い目だ。ドーン!!」

 

隕石が落ちてきた。

 

「…は?」

「呆けてる場合か!!逃げるんだよ!!」

 

融剛は砂糖の腕を引いてはそのまま引きずらんばかりに急いで逃げる。

数瞬後、隕石が地面と衝突する。

 

 

 

 

僅か1分にも満たない時間で小さな町は殆ど壊滅してしまった。

隕石が降ったにしては被害は小規模だが、この惨状がたった一人で為されたとは誰も思わないほどに酷い有様であった。

 

「…お、おい。コレマジか…!本当にあの人相手にしなきゃなんねえのかよ!」

「クソっ…!町への被害は一切考慮無しか!」

 

「当然だろう?今の私はヴィランなのだから。むしろ町ごとお前達を潰してやろう!」

 

硬質な何か(・・)が地面に落ちる音がした。

そして空から複数の隕石が降り注ぐ!

 

「さあかかって来いヒーロー共!ここが貴様らの墓場だ!!」

「ふざけんな!これの何処が試験なんだよおおおおお!!!!」

「うおおおおお!!!死ぬ!?これ死ぬ奴ぅぅぅ!!!」

 

隕石が町中に降り注ぐ。衝撃波を出しては町だった残骸を吹き飛ばしていく。

 

 

 

「…はぁ。だから『あの子等』を呼んだのは間違いだってのに…」

 

 

-----------

 

-------

 

----

 

 

『殺生石………それに遊戯…。それぞれある意味問題児ですが、プロヒーローにも劣らない実力を持っている上に弱点らしい弱点も無く、他の生徒と比べて実戦経験が豊富で個性も強力。正直、私を含め今回の試験は雄英にいる教師が相手では『試験』にはならないでしょう。』

『ならどうするんだ?ほぼ無条件で合格にさせる訳にもいかないだろう。』

『ええ…。そこで不本意ですが、試験相手として外部のヒーローを呼びます。』

 

ザワッ…

 

『異議あり!生徒の事をよく分からない様な外部のヒーローを呼ぶのはそれこそ試験にならないでしょう!?』

『確かにそのようなヒーローを呼んだのなら試験にはならないでしょう。しかしもし、我々以上に彼らの事を知っているヒーローが居るとするならば?』

『そんな人なんて何処にも………まさか!?』

『ええ。遊戯融剛の両親であり、プロヒーローである『ゲームマスターズ』を呼びます。調べによれば、遊戯も殺生石も小学生の頃から彼らの下で厳しい訓練を受けていた様子。ある意味、我々よりも彼らの試験相手に適任でしょう。』

『成程…。長い間彼らを育て続けたヒーローなら確かに試験相手としてこれ以上ない程に適任だな。』

『し、しかしゲームマスターズのお二方は教職免許を持っていないですし…』

『どうなんですか校長?』

『教職免許を持ってなくても試験という短期間だったら問題ないさ!』

『だそうです。』

『そ、それに彼らに突然試験相手をしてもらうってのも…』

『既にゲームマスターズには話を通してあるので問題ないです。』

『根回し良すぎない!?』

『…ミッドナイトさんは何かゲームマスターズに会いたくない理由でもあるんですか?』

『はあ!?無いわよそんな物バカ言わないで鞭で打つわよ!!』

『キャラ崩壊し掛けてるぞ。』

 

『…さて、ならば殺生石と遊戯にはゲームマスターズの何方かにお願いするとして次の生徒は…』

『待ちな。例えあの二人が試験相手として適任でも、私は反対だよ。』

『リカバリーガール…。』

『あの二人は加減ってモンを知らない。生徒と一緒に試験場を吹っ飛ばすのがオチさ。』

『しかし彼らは都市部で活躍するヒーロー…。彼らが必要以上に街を破壊したとは聞いた事はありませんが。』

『そりゃあの子等が二人揃って活動しているからさ。昔あの子等がばらばらだった頃はそりゃ酷いもんだったさ。』

『………そのような話は聞いた事ありませんが。』

『ま、結構昔の話だから今の子じゃ聞いた事も無いのもしょうがないさね。』

『結構昔って…。』

『…しかし、実際問題彼ら以外に試験相手として都合がつくプロが居ないのも確か。』

 

『では採決しましょう。ゲームマスターズを試験相手として招く事に賛成の方、挙手を願います。』

 

 

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-------

 

-----------

 

 

「やれやれ…。この惨状を見たのなら意見を変えるだろうさ。もう遅いけど。」

 

試験開始僅か1分。リカバリーガールはそう独り言ちた。

出張保健所の中にあるモニターには各々の試験会場が映っている。

しかしそのモニターの中で『2か所』画面が激しく動き回っている。

 

「カメラロボも忙しなく動いてるじゃないか全く…。壊れないと良いんだけどね。」

 

その2か所とは、ゲームマスターズがそれぞれ担当している場所だった。

片や隕石が降り注いでは無差別に破壊をまき散らし、

片や多種多様なモンスターが暴れまわり、

試験をモニタリングする為のカメラロボは既に何台か壊れたのだろう。残された数台で必死に生徒を映す。

 

「ちゃんとあの子等にカメラロボの存在を教えたんだろうね…。」

 

教えてたとしても既に忘れてそうだけどね…

そうしてため息を吐きながら他の試験会場の様子をみるリカバリーガールだった。

 

 

 

友乗ヒーローフレンドシップ。

個性、友情ダイスパワー。

サイコロを振って出た目の数だけ個性を使えるようになり、更にサイコロを振って威力や発動数を決めることが出来る個性。

先程の隕石はサイコロを二つ振り、『触れた物を瞬間移動させる個性』と『物を引き寄せる個性』と『質量を増減させる個性』の3つを即席で縒り合わせ、更に威力4倍値を引いた結果である。

更にサイコロを振ることで、先ほどの隕石をサイコロの出目の分だけ落とし、さらに振った場合出目の分×先ほど落とした隕石数を落とす事が出来る。

 

「マジかよ!フレンドシップの個性の謎が漸く分かったがどうやって勝てばいいのか尚更分かんなくなっちまったぞ!!」

「落ち着け!一見馬鹿げた個性だが弱点もある!あの手の発動系の組み合わせだったならもう一度サイコロを振らない限り次の発動は無い!これ以上サイコロ振ったら自分にも被害が及ぶだろうからもう無いって考えてもいいだろう。そして使える個性を決めるサイコロを振ってから5分で今まで出た目はリセットされる!」

「ってことは…!」

「後4分弱…。それまでに倒す!」

「っ!分かった。一気に行くぞ!!」

 

 

 

「…なんて思ってるんだろう?」

 

硬質な何か(・・)が地面に落ちる音がした。

 

「嘘…だろ…?」

「マジ…かよ…?」

 

「ふむ、『6』か。まあ良い。今の私はヴィランだからな。目的のためなら手段なんて選ばない。ここで死ぬがいいヒーロー共!」

 

ある種の狂気が場を満たした。

 

 

 

 

大地が 揺れる

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「っ!とと。やれやれ、今のはフレンドシップの仕業だな?一人になったらすぐこれだ全く…。」

 

「う、おおおおおおおおお!!!」

「…」

 

「…こっちもまぁ…。5分足らずで終わったようなモノだな。」

 

「おらああああっ!!殺生石ぃ!起きろぉ!!何とかしてくれ!!!」

「………無理………動けない………。」

 

・殺生石 化太郎 ATK 0  DEF 0

 E.呪縛の足枷(じゅばくのあしかせ) 攻撃的行動不可、逃走不可

 E.魂魄牢(ソウルメイデン) ATK・DEF0、移動制限、攻撃対象に選択不可

・切島 鋭児郎 ATK 1700 DEF 2500

 E.磁手甲(じてっこう) DEF+500、逃走不可

 

 

・プレイメイト ATK 2000 DEF 1800

 E.指揮棒(バトルタクト) 自分フィールド:ATK・DEF+700

 E.超圧縮おもり ATK・DEF半分

・キングゴブリン ATK 2300 DEF 1500

・コボルト ATK 1700 DEF 1200

・魔物召喚士 ATK 0 DEF 2000

・スケルトン ATK ? DEF ?

 

「さあどうした?時間いっぱいまでこいつ等と遊び続けるのか?」

「キリねーよオイオイ!ブッ倒してもブッ倒しても…次から次に出て来やがる!!」

 

・切島 鋭児郎の攻撃。SKLIT!コボルトを撃破した。

・キングゴブリンの攻撃。大棍棒の一撃!切島鋭児郎は防ぎ切った。

・魔物召喚士が詠唱を終えた。デッキからゴブリンが飛び出した。

・スケルトン『骨折り損のくたびれ儲けって奴だな。スケルトンだけに。』

 

「だぁああ!!また出てきやがった!!」

 

「…ふむ。切島鋭次郎…か。」

 

プレイメイトは手元の資料を見る。A組の教師であるイレイザーヘッドから直接渡された資料だ。そこには切島の成績と性格、戦闘傾向が細かく書かれていた。

 

「(…ふん、成程な。良くも悪くも真っすぐ単調。個性を見るに肉弾戦が得意…。傾向からしてもここで逃げる選択はないな。ふぅむ、磁手甲は着けない方がよかったな。まあいい。この布陣を突破出来ないようなら所詮そこまでだろう。問題は…。)」

 

「………ぅー………。」

 

「(化太郎君…まだ目は死んで無いようだな。しかし、その二つの装備は君を封じるためだけに探した特別なカードだ。今の君ではどうやっても逃れられんぞ。)」

「チクショウ!だったら直接大将首を狙う!」

 

・キングゴブリン攻撃。ボディプレス!切島鋭児郎は回避した。

・切島鋭児郎はキングゴブリンを踏み越え、跳躍した。

 

「成程、良い手だな。誰にでも思いつくという点を除けば。」

 

プレイメイトは手に持っているタクトを振るう。するとゴブリンが糸で引かれるように切島に飛びつく。

 

「うおっ!離れろ!」

「抑えてろ。魔法(マジック)カード発動!サイクロンボム!」

「っ!なん…うわぁ!!!」

 

魔法(マジック)カード『サイクロンボム』の効果。『磁手甲』を破壊し、相手一体の攻撃力の半分のダメージを与える。

 

切島の両腕に着けられた『磁手甲』が粉々に砕け、そこから突風が吹き荒れる。突如生まれた突風に抵抗できずに吹き飛ばされた切島は地面を擦りながら化太郎に衝突した。

 

「ギュプゥ…。」

「ぐぅっ!わ、ワリィ殺生石。大丈夫か?」

「これで大丈夫に見えるんなら眼科か精神科行けよ…。」

「大丈夫そうだな。」

 

「さて、これで戦況は元通り…。さあ行けモンスター共、蹂躙せよ!」

 

タクトを振るう。モンスター達が陣形を組んで化太郎達に襲い掛かる。

 

「だぁぁ!また来やがった!」

「切島君、私の後ろに。」

「殺生石!動けるのか!?」

「無理。でも動けないなら動けないなりに色々試すさ。」

 

・殺生石化太郎の特殊スキルが発動した!

 

化太郎が伸ばした両腕から針と糸が打ち出される。それがキングゴブリンに突き刺さった瞬間、化太郎は膝をついた。

 

「おいっ!?大丈夫か殺生石ぃ!!?」

 

『…ん、やっぱりこれなら行けそう…ね!』

 

・キングゴブリンは錯乱した!

・キングゴブリンはわけも分からず暴れまわった。ゴブリンを倒した!魔物召喚士を倒した!スケルトンを倒………せなかった!

・スケルトン『やれやれ、急な反乱とかショッキング(・・・)だぜ。』

 

「すげえな!あのデカブツをコントロールしやがった!!」

『私の精神を軽く注入しただけさ。所詮アレは生き物じゃあ無いからね…。』

 

「ふっ。化太郎君、君はやはり昔から変わらないね…。

 

悪い意味で。」

 

魔法(マジック)カード『精神毒(マインドヴェノム)』の効果。相手に操られている自分のモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×1000ポイントダメージを与える。

 

「あ、ぐぅぅあああああああ!!!」

「殺生石っ!!!」

 

・殺生石化太郎の身体に毒が回る!一時的に行動不能になった!

 

「化太郎君。君は昔から、誰かと協力するより先に自分一人で何とかしたがる………言わば癖の様なものだ。悪い事ではないが…所詮一人、出来る事は限られる。だからこそプロヒーローは複数人で分業し、自分の得意な事に集中するんだ。雄英に入って少しは変わるかと思ったが…。化太郎君、そんなに君の周りの人間は頼りないのかい?」

「な”っ…にを…っ!」

「今だって切島君を不必要に下げているだろう?それは攻撃に巻き込まない様にするためかい?それとも足手纏いを退けるためかい?」

「違うっ!!切島君は足手纏いなんかじゃない!!」「だったらどうして力を合わせて勝ちに来ない!?」「っ!?」

「化太郎君。君は結局、今になっても一人で何とかしようって思っているんだろう?まあ、もし切島君がただの一般人だったのなら正しい考えだけど。」

「…」

「しかし、融剛から聞いてるよ?最近はちょくちょくクラスメイトと一緒に特訓しているらしいね。昔と比べたら随分とコミュニケーション能力が上がったな。」

 

「おらああああ!!!」

「おおっと。会話の邪魔をしないでほしいんだが…サンズ!」

『あいよ。』

 

切島の突進の向かう先の地面から巨大な骨が突き出てくる。咄嗟に骨を殴りつけて回避したが、攻撃の勢いは完全に無くなってしまった。

 

・切島鋭児郎の攻撃!SKLIT!!スケルトンが妨害をした!

・スケルトン『そんなに急ぐなよ。骨休みしてこうぜ?』

 

「そいつの足止めを頼むぞ。」

「ああ。まあ…適当にやるよ。」

 

・装備カード『決意(Determination)』の効果。ATK・DEF+0、決意で満たされる。

 

「っ!(こいつ…さっきまでのモンスターとは全然(ちげ)ぇ…!)」

「よう。何やら急いでいるようだな。」

「そこをどけ!」

「おーおー、随分殺気立ってるじゃねえか。急いでもなんも良い事なんて無いぜ?まあ…」

 

「俺と最悪な時間を過ごしたいってんなら別だがな。」

 

切島とスケルトンが一瞬でその場から消え去った。残像すら残らず、まるでカット編集の様に跡形も無く。

 

「っ切島君!!」

「慌てるな。そうそう遠くまで行ってないさ。」

「クソッ!この拘束を放せ!」

「何を言うかと思えば…。今の僕はヴィランだぞ?ヒーローの言う事なんて聞かないだろう。」

「畜生…!」

「やれやれ全く…。ヒーローがヴィランにいいようにされてりゃぁ世話無いな。」

 

 

「(考えろっ!考えろっ!!どうすればこの状況を打破できる!?)」

「『魂魄牢(ソウルメイデン)』のテキスト外効果でキミは幽霊になろうとも物理的な拘束から逃げられない。魂魄牢(ソウルメイデン)を破壊しようにも呪縛の足枷(じゅばくのあしかせ)の効果で攻撃行動をとれない。そして僕は魂魄牢(ソウルメイデン)の効果でキミを攻撃出来ない。お互い手詰まりだ。ここで時間が過ぎるまでゆっくり過ごそうか?」

「(何か…何か手がある筈!状況をひっくり返す逆転の一手が!)」

 

 

「力無き正義が如何に無意味な存在か、改めて教えてあげようか。」

 

 




ゲームマスターズマジヴィラン。
もうこいつ等がラスボスでいいんじゃないかな。

スケルトン「俺?俺はただのジョーク好きなスケルトンさ。」
融剛「Gルートのトラウマ的存在っぽい。」
化太郎「世界一エロ絵の多い骨っぽい。」
スケルトン「お前は最悪のTOMを過ごしたいのか!?!?!?!?!?!?!」
「「最悪のTOMって誰だよ!!!」」


化太郎「テキスト外効果ってなんだよ!(マジ切れ」
?「クリボーは触ると爆発するぜ!」
プレイメイト「つまりそういう事だ!」
融剛「俺ルールって事ですねわかります。」



『デクとサウザンドフェイスのプロヒーロー考察!!』

「今日のプロヒーローはこの方です!!」
「…えっ!?なんか急に始まったんだけど!?聞いてないよボク!!」
「うるせえ合わせろ。」

・友乗ヒーロー フレンドシップ

「彼女の個性は運に左右されるが、まあトンデモナイ性能の個性で御座います。」
「個性名『友情ダイスパワー』(公式発表)!フレンドシップの友達の個性を一時的に借りる個性だ!」
「デメリットを無視すれば超威力の攻撃を連発出来る。破壊力で言ったらオールマイトの全盛期以上は出せるね。」
「勿論ヴィラン退治だけじゃなく救助活動にだって使える凄い個性だよ!」
「その運任せな個性を使いこなせるのも、頭の回転速度が化け物染みてるからなんだじぇ。」
「個性の使用時間が5分だからね…。出た目を確認してから使う個性を選択する訳だから考える時間の分だけワンテンポ遅れるんだ。」
「更に発動系の個性は追加でサイコロを振らないと発動しないってのもデメリットなんよ。代わりに異形型ならば追加でサイコロ振らんでも5分間なら使い放題なんよ。」
「そう言えば物間くんの個性は、5分間人の個性を使うことが出来る個性だったね。」
「同じ様に人の個性を使うことが出来る個性だけど、発動条件が片や触れるだけ。片や友達になり、サイコロを振らなきゃいけないと。」
「手軽さで言えば物間くんの方が扱いやすい個性かな?」
「複数の個性を同時に使えて、威力も追加で増大出来る方が良いと思うべ?」
「でもいざという時の即効性で言ったら物間くんの個性が有利だと思うないや待てよもし周りに人が居ない状況だと仮定したのなら既に条件を半分揃えてサイコロを振るだけのフレンドシップの方が良いのかもしれないなだけど緊急事態に悠長にサイコロを振ってられるだろうか」ブツブツブツブツブツ
「ちなみにフレンドシップが振るサイコロだが、文字通りに『骨身を削って』産みだしてるから個性の連続使用はそのまま命に直結するぞ!少ない回数なら老廃物やら伸びた爪やらで何とかなるけどな!」

今日は此処まで。シーユーネクストタイム!


次回!化太郎がダークサイドに落ちるってよ!お楽しみに!!


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大事なものに触ると怒られるから注意

いやー、久々の投稿になってまうなー。日々が忙しすぎてヤバイヤバイ。
あんまりにも久々過ぎて内容覚えてないわ(爆
さて、前話ってどんな内容だったかなーっと


最終投稿日が6月…だと…?


SIDE:切島

 

っ!何処だ此処…!見た限りだと………演習場の中だろうが、殺生石の奴もプレイメイトも居ねぇ。見える範囲にゃ影も形も無ぇからだいぶ離されたな…。殺生石が心配…いや、あいつならあんな状態でも何とかいい具合にやりそうだ。それより…

 

「へへへ…。どうやら上手くいったみたいだな。」

「おい骨野郎。俺の邪魔をすんな!」

「あー…。そうかい。俺が邪魔だってか?」

「そうだ!急にこんな何処か分からねえ場所に飛ばしやがって!」

「まあ落ち着けよ。」

「落ち着けるか!」

 

こいつだ。このワケ分かんねえスケルトンがさっきからずっと邪魔をしてくる。

骨しか無いくせにシャツとズボン、さらにパーカーを羽織ってやがる。

しかし身体が骨だけだからなのかやたらと身軽に動いては俺の攻撃を全部回避しやがる。

そして、それだけ動ける癖に相手からは一切攻撃してこない。

 

「おいおい、少しは落ち着けって。ほら、そこの岩場で腰を落ち着けて話そうぜ?」

「そんな暇なんてねえよ!」

「へへへ…。何をそう(あせ)ってるんだ?焦げ付くほど熱いぜ?」

「うるせえ!」

「おっと。どんどん攻撃が大振りになってきたな。それじゃあ小骨だって当たらねえよ。

 

 そんなに足手まといって思われたくないのか?」

 

「っ!」

「図星のようだな。」

 

「まあそうだろうよ。アイツ(化太郎)が万全の状態だったらこんなスケルトンくらいあっという間に倒すだろう。だが落ち込む必要なんて無いぜ?お前とアイツじゃあLVが1桁は違うんだ。」

 

「諦めちまえよ。今はアイツにおんぶにだっこでも、いつかは追いつくんだ。ならそれで良いだろ?」

 

「勝てない勝負に無理をする必要はねえよ。どうせ今は俺等以外誰も見ちゃいねえんだ。少しくらいサボっちまおうぜ?」

 

「なあに、試験だってお前が頑張んなくてもアイツが何とかしてくれるさ。違うか?」

 

「今日はもう十分頑張ったろ?だから今日は休んで明日頑張ろうぜ。なあ兄弟?」

「うるせえっ!」

SKLIT!!

「っ!おいおい、俺の一張羅が少し破れちまったじゃねえか。」

 

確かに今の俺は殺生石の足手まといかもしんねぇ。おんぶにだっこかもしんねぇ。

だからといって此処で何もしない理由にはならねえ!

まだ何にも始まっちゃいねえってのに諦めるなんて男らしくねえっ!

 

いや、それ以上に俺が此処で立ち止まっちまったら、もうアイツに追いつけなくなる…!そんな気がする!

だからっ!

 

「お前をぶっ倒す!」

「………チッ、やれやれ。仕事が増えちまったぜ全く。仕方ねえな、だったら…

 

 俺と最悪な時間を過ごして貰おう。」

 

スケルトンの左目が輝きだす。(まばた)き。スケルトンが視界から消え去った。

野郎っ!何処に行きやがった!!

「後ろを向きな、人間。」

声に反応して振り向いた…瞬間、極光が俺を襲う。

「っぐああああ!」

(あち)ィ!(イテ)ェ!まるで焼けた鉄の針が身体を突き抜けていくような感覚が全身を駆け巡る!

瞬時に個性を発動。全身をガチガチに固める!

だがそれでも突き抜けていくダメージに堪らず膝を突いた。

「ぐっ…ハァ…ハァ…」

 

「どうだ?俺のブラスターの威力は。地獄の業火にゃ敵わねえが、あー…それでも中々の火力だろ?」

「ハァ…ハァ…はっ!こんな程度、屁でもねえ!」

 

ああそうだ。こんな程度大したことは無い。殺生石との戦闘訓練に比べれば…。

 

 

いや…あまり思い出したくない記憶だが、それでもこうして為になってんだ。

思い出せ。今までの訓練を。殺生石との戦闘を。

 

「屁でもねえ…か。これでも同じことを言えるか?」

 

先程のブラスターの砲門と思わしき骨の生き物?が更に複数現れ、(アギト)を開けて光を溜めているのが見える。

ヤベエ!さっきのが大量に来るっ!

思い出せ!俺の防御をぶち抜いてくる攻撃をどうにかする訓練を!

 

 

『切島君。分かってるとは思うけど、硬くなるだけじゃどうしようもない攻撃がある。轟君の氷炎や芦戸ちゃんの酸、上鳴君の電撃とかね。それに対処するにはね…避けるんだよ!』

『いや、んな事言われんでも分かってるわ!』

『NO!!分かってねえな!相手からすれば切島君はいいカモなんだよ!幾ら防御特化でも、当たっちまえば関係ぬぇ防御貫通のうまあじ個性だからな!』

『うまあじ個性て。』

『だからこそ!相手を分析、予測、反応!この3つをブッチギリ鍛えれば怖いものは無い!当たっちまえばアウトの防御貫通だって当たんなければ良いからな。』

『分析、予測、反応…か。』

『攻撃の前動作を視て、どんな攻撃か?速度は?範囲は?射線は?即座に判断を下し、最適な位置に身体を動かす。言うのは楽だけど実際にやるのは難しいよ。』

『成程な…武術で言う所の後の先とか先の先って奴だな!』

『ま、そんな感じ!じゃ、身に定着するまで実際にやってみよっか!』

『…え?』

『実際にやってみよっか!』『あっはい。』

 

 

おおお思い出したくないィィ!!

だが…!

俺はヤツの後方に浮遊している砲門達を『視』た。

速度は一瞬。範囲は一つにつき人一人分程度の太さ。タイミングは、射線は………なら当たらない場所は…

 

今!

 

「どぉりゃあああああ!!」

「!?」

瞬間、極光が降り注ぐ!

何重にもレーザーが俺に向かってくる…が!

当たらない。当てさせない。偶然でも、個性でもない。

 

予測。

 

レーザーが脇を掠める。でも直撃はしてない。

極熱の光線を潜り抜け、ヤツの前に飛び出す。

拳を握りしめ、振り抜く!

「っ!」

ひらり。と躱されてしまった。

 

「CRAZY…。ブラスターの嵐に突っ込むなんて正気か?」

「当たらねえって分かってんだ。なら突っ切るだけだ!」

「チッ。ヒーロー志望ってのはどっかイカレてるぜ…。なら…コイツならどうだ?」

 

そう言うな否やスケルトンの背後から数えるのも億劫な程の骨が現れる。

いや、それだけじゃない。見上げれば同じ数ほどの骨が浮いていて、見渡せば地面からも大量の骨が生えている。

…どうやら完全に逃がす気はないようだ。

 

「もう逃げられねえし、避けられねえだろ?この数。もう諦めろよ、別にお前を殺したい訳じゃない。」

「…成程な。こんな数の骨の直撃を受けたんなら普通死んじまうな。」

「だろ?お前はこんな所で無意味に死んじまう様なタマじゃねえ。だからお前が「だがな!」…?」

 

「ヒーローってのは例え絶対(ぜってぇ)負けるかもしんねぇって時でも!例え死ぬかも知んねえって時でも!最期まで諦める事だけはしちゃなんねえんだよ!!」

 

「………そうかい…。」

 

スケルトンはゆっくり手を上げ、

 

「ならあの世で後悔すんじゃねえぞ。」

 

手を振り下ろす。

 

背後の骨が、空の骨が、地面の骨が高速で俺に向かってくる。

 

 

一本一本が硬く、そして速さをもって打ち出されたソレ()はまるで巨大な銃弾。重さも、量も合わせれば機関銃よりも高威力で人の身体をバラバラにするだろう。

俺の個性でも銃弾なら防げるが、ここまでの物量は防ぎきれない。

 

 

今までだったらな。

 

 

『まあ、避けるのばっか上手くなっても仕方ないんだけどね!』

『お…お”お”ィ!今までの特訓全否定かコラァ!!』

『ちゃうさ。要はさっきのが短所を補う訓練だって事。じゃ今度は…?』

『…長所を伸ばす?』

『いぐざくとりー。切島君の個性は”硬くなる”って言うけど、硬さには種類があるんだ。例えば、世界一硬いって言われるダイアモンドは、実はハンマーで砕けるんだ。知ってた?』

『そうなのか!?』

『そー。でもハンマーじゃ鋼鉄の塊を叩きのばすことは出来ても砕くことは出来ないでしょ?つまり、これからはどういった”硬さ”を求めるかを強くイメージするんだ。』

『”硬さ”のイメージ…。』

『後はそうだねぇ…。例えばだけど折れないイメージかなぁ?』

『折れない?』

『んー…。個性って結局身体機能だからね。日頃から鍛えるのも大事だけど、”こう成る!”って理想があると育ちやすい、らしい。ま、ダイエットする時毎日鏡を見るってアレと一緒だね。』

『いや、個性の成長とダイエット一緒にすんなよ。』

 

 

”折れない”イメージ。不思議としっくり来た。

今までなんとなくで使っていた個性を細部まで意識する。手本は殺生石が何度も見せてくれた。

そしてただ硬くするんじゃなく、折れないイメージを、”ああなりたい”って理想を具現化する!

「折れない、折れない、折れない、折れない!!」

身体がいつもより更に硬く、強靭に変化していく!

「負けない、負けない、負けない、負けない!!」

今の俺じゃ5秒と保てない『最後の切り札』。だけどその5秒間なら例えオールマイトの一撃だろうが何発だって耐えて見せる。体中の全ての力を”守り”に特化させる!!

「『烈怒頼雄斗(レッドライオット) 不暗侘屠夢安無嶺剋(ファンタズムアンブレイカー)!!』」

皮膚を、筋肉を、骨を、内臓を。全身をガッチガッチに硬める代償として一歩も動けない、否。動かなくても良い。全て受け止めて見せるのだから。

 

「 うおおおおおお!!! 」

 

大量の骨が俺の身体に激突していく!

本来なら人間を簡単に貫くであろう威力の骨が俺に当たると同時に砕けていく。

1...

 

「くっ、ならば…こうだ!」

空から嵐の如く骨が降り注ぐ。

一本一本が害意をもって殺到する。だがそれでも俺には傷一つ付かない。

2...

 

「しつけえ奴だ…!」

左右から骨が襲来する。

プレス機の様に挟んでくるがそれでも俺にはダメージ一つ無い。

3...

 

「クソ…」

地面から、背後からも骨が突きでてくる。

だが俺は踏鞴を踏むことなく耐えきった。

4...

 

 

 

5秒...

 

 

 

「ハァ…ハァ…マジかよ…。用意した骨を…全部受け止めた…だと…?」

「…どうだ?諦めねえ心は強ぇだろ?」

「ああ…クソ…。こんなボウズにいいようにされるとはな。ああもう、止めだ止め。元々俺はこんな事するガラじゃねえっつーの。」

「…」

「あーやれやれ。久々に骨身を惜しまず(・・・・・・・)働いたらコレだ。やっぱ人間の決意ってのは面倒だぜ。」

 

 

「…さて、こんな負け骨は放っておいてさっさと行きな人間。時間に余裕はねえんだろ?」

「っ!そうだった!コレ試験だった!」

「…お前は十分合格だとは思うがな。それでも行くってんだろ?」

「当たり前だ!ダチがまだ苦戦してるかもしんねえからな!」

「やれやれ、元気な人間だ。ならあっち側に向かって行けばいい。近道だ。」

「おう!あと俺は切島鋭児郎ってんだ。『人間』じゃねえぞ!」

「…へへ、なら俺は『Sans』。スケルトンのSansだ。」

「そうか!近道を教えてくれてありがとなサンズ!」

「別にいいさ。それより…アイツ(・・・)は恐ろしく強いぞキリシマ。」

「分かってる。それでも俺は行かなきゃならねえんだ!」

「…そうかい。ま、死なねえ(・・・・)程度に頑張んな。」

「シャレに聞こえねえぞ…。じゃあなサンズ!」

 

 

「………へ、全然似てねえのになんか思い出しちまうぜ…人間…。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

SIDE:融剛・砂糖

 

「おい………遊戯………俺達生きてる…よな?ここが天国じゃあねえよな?」

「はっ、ここが天国だとしたら随分とまた………殺風景どころか殺意高い場所だこと。」

 

隕石群からなりふり構わず逃げてきた結果、俺と砂糖はギリギリ五体満足で生還出来たようだ。

必死に逃げた所為か、母さんを見失っていた。瓦礫やクレーターによって出来た影に隠れるように飛び込み一息つく。

つーか何なんだよ一体。これ試験じゃねえのかよ。死ぬわこんなん。大量に隕石が降り注いだ所為で試験場が月面並にボコボコの大穴だらけになっちまってるじゃねえか…。

 

「………流石にもう隕石は降って来ねえよ………な?」

「…ああ。母さん…いや、フレンドシップはサイコロを振った5分間は同じ個性を使用できるが、それが過ぎると一度使った個性は24時間は使えない…らしい。」

「らしいって…そんな曖昧な。」

「阿呆。自分の個性ですら完全に把握してるなんて言いきれないのに、親とはいえ自分以外の個性を把握してる訳ねえだろ…。それこそ解析系の個性でもない限りな。」

「確かにそうだが…。いや、それよりもどうやってフレンドシップを出し抜けばいいんだ…?」

「…方法は、まあ無いことは無い………が。」

「本当か!?」

「ああ…。まず、どっちか片方が足止め役に徹してゲートに向かう。もしくは二人で時間ギリギリまで粘って脱出するか。」

「…いや、それって普通じゃねえか?」

「下手な奇策はぶっ潰されるだけだ。だからと言って普通の策を遂行するのも難しい。」

「…時間ギリギリまで粘る理由は?」

「母…フレンドシップの個性は長期戦に向いていない。一回5分、借りれる個性も無数にある訳じゃない。ましてや身体を削ってサイコロを生み出している以上、消耗も激しい。だからこそフレンドシップが全力で戦い続けるためには父さん…『プレイメイト』がサポートに回るんだが、今は一人。…一応試験って形をとってる以上、何かしらの攻略ルートが用意されている筈だ。多少賭けになるが、俺とお前との『フュージョンヒーロー』ならば相手がどういった個性を使ってきてもそれなりに立ち回れるだろう。」

「…その試験でマジな方の命の危険を感じたんだが?」「言うな。」

 

「…片方が足止めしてゲートに向かう策は?」

「………発案しておいてなんだが、こっちの策はあまり良い策じゃない。何故ならフレンドシップを一人で相手取らなければいけないからな。」

あの(・・)ヒーロー相手に一人…。無理だろ…。」

「可能性はゼロじゃない…が、限りなく低いのも確かだ。この試験を突破するための奇策を考えたい所だが、生憎時間は待っちゃくれねえ。持久戦に持ち込むとしたら早くしないと制限時間がキツイ。」

「…だけどよ、俺の個性”シュガードープ”はあんま長期戦に向いてねーぞ?」

「ああ、そこはまあ考えがある。うまく行く確率はまあ………五分くらいだが。」

「………まあ、フレンドシップとマトモに戦える確率って考えれば良い方だな…。」

 

 

「作戦会議は終わったか?待つのに飽きてきたところなんだが。」「「っ!!」」

 

いつの間にか瓦礫の山の上から俺達を見下ろしていた。いつの間にここまで接近した!?いや、今は…!

 

「砂糖!戦うぞ!!」

「っお、応!!」

「安心すると良い、先程の様な隕石はもう降って来ない…。

 

 代わりに私の拳が振ってくるがな!」

 

個性”滞空”   空に浮かぶことが出来る!風に流されやすいので注意。

個性”飛拳”   空気で出来た拳を飛ばす!真っすぐにしか飛ばない。

個性”悪魔の翼” 悪魔っぽい翼が生える!カッコいい。

 

「『飛翔拳:デビルスピア!!』」

 

フレンドシップが空から空気を殴りつける。見えない塊が地面に当たり、破裂音と共に当たった個所が砕けた。

フレンドシップが更に空気を殴りつける。見えない空気の弾が雨の様に降り注いできた。

 

「恰好つけてるけど只遠距離からチマチマ削ってくるだけじゃねえか!」

「だけど実際問題、攻撃は見えないし当たれば普通に殴られたみたいに痛ぇだろうしこっちの攻撃は届かないと来た。どうやって戦えばいいんだよ!」

「…いや、ある意味好都合だ。向こうから時間を稼いでくれるって言うんなら願ったり叶ったりだ。砂糖、まだ個性使うなよ。なるべく温存しておきたい。」

「…つーかどうすんだこの状況。このままじゃ一方的にやられていくだけじゃねえか…!」

「………いや、対抗策は有る。この瓦礫を…」

 

そう言って俺は瓦礫の山に手を突っ込み、個性を発動させる。瓦礫が俺の中のストレージに溜まっていく。

…こんな所でいいか。

 

「フレンドシップに向けて撃ち出す!『ディフュージョンショット』!!」

 

拳大の瓦礫がフレンドシップに向かって飛んで行く。すると途中で撃ち出された空気に当たったのか、破裂音をさせては瓦礫が別の方向に飛んで行った。

 

「よし!砂糖、お前もその辺の手ごろな瓦礫を投げつけろ!」

「お、おう…(んなアホな…)」

 

空から降りそそぐ空気の拳。隕石に比べれば当たれば痛い程度で済むが、後の事を考えるとそうそう当たってられん。時間はフルに使って何とか攻略してやる…!

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

SIDE:化太郎

 

・殺生石化太郎の<発想>ロール!失敗!現状を打破することが出来なかった!

・プレイメイトはデッキからカードをドローした!

 

ヤバイ。何がヤバイって色々ヤバイ。全身に力入らなすぎワロえない。この状況をどうにかする為には個性使ってどうにかこうにかしないとってのに何も思いつかん。しかもなんだか変身するのに異常な程エネルギーを食われる…。感覚的にはあと2~3回くらい…かな?それ以上変身するとエネルギー切れで詰む。

…どないしょ。

 

・殺生石化太郎の<発想>ロール!失敗!現状を打破することが出来なかった!

・プレイメイトはデッキからカードをドローした!

 

「ほらほら、どうした化太郎君?時間を掛ければ掛けるほどに手札が潤沢になって更にピンチになっていくぞ?」

 

好き勝手言いおる…。こんなガチガチのガチロック掛けておいてそのセリフよ。

 

・殺生石 化太郎 ATK 0  DEF 0  

 E.呪縛の足枷 攻撃的行動不可、逃走不可

 E.魂魄牢 ATK・DEF0、移動制限、攻撃対象に選択不可

 E.不調のメトロノーム スキル発動時75%の確率で無効

 

 

・プレイメイト ATK 2000 DEF 1800

 E.超圧縮おもり ATK・DEF半分

 

 場:アイテム貯蔵庫 装備カードが破壊された場合、手札1枚捨てデッキから装備カード1枚手札に加える

  :カードリサイクラー 墓地に送られたカードは表側表示のままデッキの一番下に送られる

  :夢幻の結界 モンスターゾーンに魔法・罠カードを配置できる

  :伏せカード2枚

 

「詰んでるじゃねえか!」

「はっはっは、時間すら味方の内だよ。」

 

ちょっとこの布陣マジで意味わかんないんだけどなんなの?動けんし攻撃できんし変身し辛いしで3重苦なんすけど。

 

…いや待てよ?プレイメイトの個性は確かアレであーだったからこうすれば…

 

試す価値はあるな。

 

・殺生石化太郎の<発想>ロール!成功!現状を打破する一手を思いつき、実行に移した!

・殺生石化太郎の特殊スキルが発動した!

・不調のメトロノームが動き出す!2枚のコイントス!『裏:裏』不調のメトロノームの動きが止まった!

 

よしっ!これで少しの間だけ個性に制限が掛からない!

イメージするは嵐。それもただの嵐じゃない、一切合切を消し飛ばす巨大な嵐だ。

風になれ。

雨になれ。

全てを巻き上げる災厄となれ。

 

・大嵐が巻き起こる!

・フィールドのカード全てが破壊さ「読んでいた!リバースカードオープンッ!『嵐吸収装置』!魔法・罠カードを複数枚破壊する効果が発動した時、破壊エネルギーを吸収!相手に返すぜ!」

・嵐吸収装置が稼働した!大嵐のエネルギーを吸収し尽す!

・嵐吸収装置にエネルギーが充填された!

・プレイメイト「発射ァ!!!」

 

装置から巨大な空気とも言えるエネルギー塊が打ち出された。だがそれは元々私の一部…というか今も私の一部なのだから私に牙を剥く筈が無い。

 

・嵐のエネルギーが殺生石化太郎に直撃した!0ポイントのダメージ!嵐吸収装置は反動で破壊された!

・罠カード『エナジーキャプチャー』の効果!殺生石化太郎の活力を奪「カウンタートラップ発動!セルフスピリチュアリズム!」「はぁっ!?」

 

荒らせ。

撒き散らせ。

手に負えない害悪となれ。

 

・殺生石化太郎「スーパーポルターガイスト!」

・場のカード全てがランダムにプレイヤーの手札に戻される!殺生石化太郎は4枚の手札を得た!

・殺生石化太郎は手札を()()()!体力が食べた枚数×1000ポイント回復!

 

「…ふっ。成程成程…先程の大嵐はフェイク、本命は()()()だったか。」

「げふぅ。フフフ、『手札』はエネルギーの塊って聞いた覚えがあるからね。それに厄介な装備カードは食べちゃうに限る。」

「いや、そもそも食べ物じゃないんだが…。だが、そうか。あくまでも君は僕相手に()()で戦うつもりか。」

「…まさか。というか分断作戦仕掛けて来てそりゃないんじゃないの?」

「味方と分断されるなんてヴィラン組織の拠点に突入すると割とよくある事だ。アジトを守るために、より有利となる様に地形操作系の個性を置いたり、罠設置系の個性を置いたりな。」

「へぇ、それで?分断された場合はどうするのが正解なんですかね?」

「第一に合流する事。分断されてしまった時点で既に敵の術中だ。分断された先でヴィランが待ち構えていようがまず合流を優先する。経験上、分断された先には複数のヴィランが待ち構えている場合か、1対1で最も効果を発揮する『詰み系』個性が待ち構えている場合が多い。その場合は命を無駄に散らすだけだ。」

「はー、勉強になりますわ。ただお生憎、敵を背に逃げる気はないですね。」

「…そうか。なら………手遅れになる前に矯正させてもらう!」

「絶対にNO!そして…ブッこめ切島君!」

「おおおおあああああ!!」「っ!いつの間に!?」

 

・切島鋭児郎の攻撃!SKLIT!相手の不意を打つ!ATK+500

・プレイメイトは咄嗟にガードを試みた!超圧縮おもりの効果!攻撃・防御にマイナス補正!

・ガード失敗!プレイメイトに1300のダメージ!プレイメイトは怯んだ!

・殺生石化太郎の高速移動!「剃!」

・殺生石化太郎はプレイメイトにハンドカフスを掛けようと試みた!

・プレイメイト「魔法カード発動!」

・装備カード『ヘビーアームアーマー』の効果。DEF+1000.回避行動不可、1度だけ破壊されない

 

プレイメイトの両腕にゴツくてデカい籠手?の様な物が装備された。

ズルイ!そんな物付けられたらこのハンドカフスが付けられない!!

 

「ふぅー…間一髪。不意を打たれるなんて何時以来だったか………。切島鋭児郎君、いつの間に此処まで接近したんだ?『システムログ』には何の反応も無かったんだが…。」

「…殺生石がカウンターがどうのって叫んでいた時だ。」

「プレイメイト。貴方は昔から周囲の探知を個性に頼り切っているってフレンドシップが言ってたのを思い出してね。ちょっとばかし頭を使って、切島君を隠してたんだ。」

「いきなり殺生石が覆いかぶさってきた時はビックリしたけどな。」

「成程。………成程成程。こりゃ一杯食わされたね、はっはっは。はっはっはっはっはっは。

 

 おじさん本気だしちゃうz「マジックカード発動っ!」っな」

 

・装備カード『不調のメトロノーム』の効果。ス=ル■□時・・%¥^。・@不..........

 

「っしまった!まだカードを持ってたのか!!」

「この装備にゃ手こずらされたけど、自分が装備される側になった気分は如何?」

「よく分かんねーが…形勢逆転…だな!」

 

 

《報告だよ。条件達成最初のチームは轟・八百万チーム!》

 

 

「Oh、こんな放送あんのか。」

「試験開始から大体10分位か?よし、なら2着は俺等が!」

「慌てない慌てなーい。早くクリアすりゃいいってもんじゃ無し、何より最後まで気を抜かない様に。」

「お、おう。そうだな。」

 

「………ふ、フフ、フ。情けない。自分が情けないじゃないか。ええ?プレイメイト。化太郎君に変わってない等とほざきながら、当の本人はこの体たらく。本格的に鍛えなおさなきゃいかんなぁ…。だが、その前に………

 

先人たる者、舐められたまま終われない。そうだろ?」

 

・..........『.....』!....が.■○代わる!

 

っ!何が…!?

 

「うぉっ!!重っっ!!?な、急になんだぁ!??」

「わっ!腕にゴツゴツのデカ籠手がっ…!いつの間に!?」

 

「魔法カード『強引な仕立て屋』。コイツは装備を強制的に入れ替える魔法カードだ。そしてその効果は全てにおいて優先され、妨害されない。例え僕の強力なカードによる妨害でもね。」

 

魔法カード『強引な仕立て屋』 自分の場のモンスターと相手の場のモンスターの装備を入れ替える。この効果は無効にならない。

 

「い、入れ替えるっ?!ちょっと!?私達はそんな入れ替えられるような装備してなかったじゃんじょんよ!」

「いいや、装備していたのさ。君達が自覚していなかっただけでね。」

 

・殺生石 化太郎 ATK 0  DEF 0

 E.ヘビーアームアーマー DEF+1000、回避行動不可、1度だけ破壊されない

 E.不調のメトロノーム スキル発動時75%の確率で無効

・切島 鋭児郎 ATK 1700 DEF 2500

 E.超圧縮おもり ATK・DEF半分

 

 

・プレイメイト ATK 2000 DEF 1800

 E.決意 ATK・DEF+0、決意で満たされる、装備モンスターが敗北した時、勝者に装備される

 E.ふしぎな仮面 ATK・DEF+0、???

 

 

「…え?」

「…うん?このお面、個性の力を感じる…。ただのお面じゃなかったのか。」

「ぐぐぐ…プレイメイト、こんな重いモン付けながら戦ってたのかよ…!

…?おい、殺生石?どうした?」

 

無い。

 

「あぅ」

 

無い。

 

「あ…」

 

顔が

 

「ああ」

 

私の顔が

 

「あ、」

 

私だけの顔が

 

 

「な………い………?」

 

「殺生石…?」

「化太郎君?」

 

無い

 

無い無い無い

 

無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった無くなった亡くなった無くなったなくなった無くなった無くなった無くなった無くなったなくなった無くなった返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ還せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ孵せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

 

 

私は「私じゃない」僕は「僕じゃない」ソレは「誰だ」違う「違わない」返せ「奪え」煩い「消えろ」コレが「お前が」止めろ「やってみろ」やめてくれ「化け物め」

 

 

「お、おい。殺生石…?」

「…マズい!離れろ切島君!」”デュエルフィールド オフ”

「あ、身体が軽く…?」

「呆けるな!」

 

 

お前は誰だ

僕は僕さ

お前は誰だ

君じゃない私だ

お前のお前で

誰でもない

俺が

お前で

私は

僕か

違う

違わない

お前は

 

 

「化け物なんだよ、殺生石化太郎。」

 

 

HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA

 

 

 

 

「っぐ、あ”…なんだ…この重圧…っ!!」

「これは…まさか、個性の暴走…!?」

 

 

苦しい

生まれながらに

悲しい

顔が無いワタシ(ぼく)

痛い

自分だけの自分を

熱い

証明する物がなく

タノシイ

代わりの物は

ウレシイ

所詮作り物だったと

キモチイイ

紛い物でしかなかったと

あは

 

 

今までの(コレ)(まが)い物で、(マガ)イ物だった

 

 

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、」

 

「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う」

 

「返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ」

 

 

異形(嫉妬)

 

 

「な、んだよ…コレ…!!」

「っ…全く…。自分の浅はかさを恨むよ。」

 

 

異形(狂気)

 

 

「ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、」

「見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな」

「奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う奪う」

 

 

異形(暴走)

 

 

今まで封じていた狂気が、嫉妬が、暴れ狂う。

人の、最も個性的なパーツを■■■■■■。

 

「ア「ヒャ「GAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」ャ!!」ァ!!」

 

()の亡い三つ首の悪魔が降臨した

 




主人公、アマルガメイト化。
試験だけど試されるのは試験官…的な?という訳でSANチェック、1D100

融剛「お前の仮面ってただの飾りじゃなかったんか。」
化太郎「アチキの顔が飾りな訳ないのよさ!」
ふしぎな仮面「実は俺ってば狂気の封印術式的な?」
「「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」」

化太郎「私の攻撃力と守備力が0なのはおかしいと思う!」
融剛「まあこれ、元々の能力値を写してるだけだからなぁ。個性とか装備とかの補正無しだとそうなるんじゃねーの?」
化太郎「つまり実質的な能力値は…
・殺生石 化太郎 ATK 無限(0) DEF 無限(0)
の可能性が!」
融剛「エクゾかよ。」

つーか更新遅れまくってマジすんませんっしたァァァァァァァァァァァ!!!
休みは有った。だが書かなかったこの体たらくよ…!
という訳で罵ってください。(という感想古事記)


『デクとサウザンドフェイスのプロヒーロー考察!!』

「お久しうごぜーやす皆様!という訳で今日のプロヒーローはこの方!!」
「あ、これ単発企画じゃなかったんだ…。」

・カードヒーロー プレイメイト

「彼の個性はとにかく影響範囲が広いっ!その影響範囲の広さから『空間支配系個性』なんて呼ばれてるよん。」
「個性名『テーブルトークカードゲーム(TCG)』!フレンドシップが人の個性の力を借りる個性なら、プレイメイトは創作物の力を借りる個性なんだ!」
「他の個性も創作物みてーだろ!ってツッコミはナシだぞ♪」
「借りた力は一枚の”カード”として保存、彼用のカードホルダー、”デッキ”に組み込まれるんだ!」
「デッキからカードを引かないと使えないがな!」
「創作物の力を借りれる上限は60!つまり、ざっくりと言って一度に60個もの個性を使えるって事だよ。強い!」
「ただし、実際にはそんなに一度に使いこなせない上にそれぞれ干渉しあうからあえて一度に使う数を絞ってるよ。」
「それが所謂”デュエルフィールド”って奴だね!あえて個性の使用に制限を掛けることで対象を絞り、より効果的に個性を使えるんだ!」
「モンスターゾーン、魔法・罠ゾーンと分け、それぞれ1度に5枚までのカードをだせるんじゃよ。」
「副次作用として、デュエルフィールド圏内の出来事に対して”システムログ”が表示されるよ!これはフィールド内に居る全員が確認できるんだ!」
「『俺のログには何も無いな』ごっこが出来ると評判に「ならないよ!」おいィ。」
「そんな強力な個性だけど、唯一の欠点はカードを引かない限り使えない所だ!そして基本的に一枚ずつしか引けないから、その瞬間に欲しいカードが引けない!なんて事もあるかもね。」
「だからこそそんな風にならない様に立ち回る力があるのサ。ちなみにだけど、今回は試験だからってンでなんちゃって装備ビートダウンデッキだけど、コレが凶悪ヴィラン退治だったらもっとガチのテーマデッキ使ってるのは言うまでも無いね?」
「ちなみにガチデッキって例えばどんなの?」
「戦闘にめっぽう強い”龍玉デッキ”、拘束に長けた”鼻毛ギャグデッキ”、隠密に相手を倒す”アサシン生徒デッキ”、全力で相手をブッ倒す”ラスボスデッキ”とかだね!」
「名前からして!」

今日は此処まで。シーユーネクストタイム!


次回!もっと更新速度上げろジンギスカンにすっぞ!お楽しみに!!


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怒りで自分を見失うって言うけど自分ってなんなんだろうね

ひと月経ってないからセーフ!
輝く羊モドキは日本語版地下物語を応援しています!


「嫌い嫌「LALAL「くひ、ひ、ひ、き、か、あ、き、き」ALALA」い嫌い」

 

 

身体が溶け落ち、生え、湧き出す。

 

生き物として余りにも冒涜的。

 

口の様な器官から発せられる音は

 

聞く者の精神に爪を立てるように傷を付けていく。

 

それは狂気。

 

狂気の毒が辺りにまき散らされた。

 

「う、ぁ………なん…だよ…コレ…!」

「見るな切島君!耳を塞げ!デッキ変更、デュエルフィールド再展開!オレのタァァァン!!」

 

・プレイメイトはデッキからカードをドローした。

・フィールド魔法『パーティフィールド』発動!陽気な音楽が流れ出す!

 

 何処からともなく陽気な音楽が流れ、周囲一帯が広大なパーティ会場に変化した。それだけでなく、どこからか派手な衣装に身を包んだ招待客が大勢現れた。

 パーティーに無粋な服は似合わない。プレイメイトと切島の身に着けていたヒーローコスチュームはそれぞれタキシード、紋付袴に変わっていた。

 

 そしてそれは、化太郎も例外ではない。

 ぐずぐずと溶け落ち、ぼこぼこと生え出た身体は今では辛うじて人の形を保ち、真っ赤なイブニングドレスに身を包んでいる。

 現世に存在しない狂気の音も陽気な音楽にかき消されて、誰の耳にも届かなくなった。

 

「AH.はHAHA.AH.AH.AH」

」LA.ΓA.Γ∀.LA「

「うるさいうるさいるさいさいさいさい」

 

・■■■■■の狂。¨気のυヽδ声が§⊂響く!&$(#%しかし誰にも’%#”Ω届かなかった!

・切島鋭児郎は混乱して動けない!

 

「(化太郎君はこの仮面が外れたから暴走した。ならばこの仮面を戻せば暴走は止まる…かもしれないが、万が一火に油を注ぐ結果になったらマズい…な。)」

 

・ふしぎな仮面 個性の制御及び増強、理性の制御、余計なモノの封印及び解印

 →それは生きている

 

「(こんな特殊も特殊な物なんて初めて見た。昔から思っていたが、やはり化太郎君は僕等とは違うナニカなのかもしれない…。だが、まあ…今はそんな事どうでもいい。)」

 

「一旦君を気絶させれば落ち着くだろう!出でよ我がしもべ!惑い迷わせ敵を倒せ!」

 

・トリックサーカス ATK 1800 DEF 300

・トリックサーカスの号令!デッキからモンスターが飛び出す!

・トリックレオが場に飛び出した!

・トリックパンダが場に飛び出した!

・トリックコンガが場に飛び出した!

・トリックレオの威嚇!GUAAAA!会場は盛り上がった!■■■■■に効果は無い。

・トリックパンダの大道芸!招待客は歓声を上げた!■■■■■は興味を持たなかった。当然だろう?

・トリックコンガのドラミング!味方のATKが500上昇!観客は踊り出した!忌々しい。

 

「(…?なんだ………?『システムログ』に違和感が…)」

 

あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、(たすけてあはきもちいいまたおかしい)

「けらけらけらけらけらけらけらけら」

でもちがうそれがあれただしいそう(あああアあAアアあああAアAあAあ)

 

・■■■■■の災■@#'撃(bugattack)!トリックレオは突然破壊された!トリックパンダは突然破壊された!トリックコンガは突然破壊された!

・デッキから『トリック』カードを墓地に送る事でトリックサーカスは破壊されな「ぎIあAァ(狂乱の声)!!」トリックサーカスは()()()()

 

「っ!手札から『パーティの準備』を発動!デッキから『パーティ』魔法カードを一枚サーチし墓地の『トリックサーカス』を特殊召…な、に…?」

 

・墓地に『トリックサーカス』は存在しない!

 

「(そん…な…、バカな!?確かに先程破壊されたはず…!まさか…まさかそんな…有り得ない!カード()()()()に干渉するなんて、それこそ個性を妨害する”個性”でもない限り…)」

「…!危ねぇ!プレイメイト!!!」

 

・■■■■■は力を溜めt「キあハ」音速を超えた一撃!プレイメイトにクリティカルヒット!

 

「 プレイメイトォ!!! 」

 

 

・パーティフィールドの効果。お互いの直接攻撃を無効にする。

 

「つぅ………体育祭で見せた例の高速の一撃か…。だが残念だったね、パーティ会場で喧嘩は無粋。()()()()()()!」

「………………………………………………クヘ」

「…効果処理を続行。墓地の『トリックコンガ』を特殊召喚する…。」

 

・トリックコンガが再び現れた!会場のボルテージが上がる!

・トリックコンガのドラミング!味方のATKが500上昇!会場中が沸き上がった!

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質し

・■■■■■は変質した!

 

「朝起きたらおはようございますお昼に出会ったらこんにちわ夜になるとこんばんは別れるときはさようならしばらくぶりに会ったらおひさしふりおはようございますこんにちわこんばんはそれではさようならにどもあうでしょう」

「いちたすいちはにひらがなはごじゅうおんきのうのきのうはおとといあしたははれいえにかえるとかぞくがいるひとはにほんのてとあしがあるさせばしぬそらはあおいめはふたつあたまはひとつきょうもひとになるひとはだれ?」

「おじいさんとおばあさんがいましたおじいさんは山へ芝刈りにおばあさんは川へ洗濯にいきましたしかしおじいさんは山に腕を置き忘れてしまいおばあさんは川に脚を捨てていきましたそれから山と川には手足が生えるそうです」

 

 ()()は恐らくヒトだった。だが生き物では無かった。道化が着るような縦縞の紅白服に身を包んで、ぱっと見は人間のようにも思えるソレはまるでヒトと言う物をバラバラにしては()()()()()付け直したかのようにちぐはぐでぐちゃぐちゃだった。

 三つの長い首の先には()が付いていたが、それぞれ眼が3対、鼻と口は亡く、何より異常なのは首に対して顔が180度回転して付いていたり、前後が逆向きになっていた。

 

・■■■■■は様子をみている

・切島鋭児郎は恐怖に慄いている!

 

「魔法カード『パーティクラッカー』発動!会場のボルテージを上げ、500ダメージを与える!」

 

・トリックコンガは何処からともなく巨大なクラッカーを持ちだし■■■■■に向けて撃つ!会場は大いに盛り上がった!

 

・危ないじゃないか:)

 

「っは、な…に…?」

 

「太陽は東に昇り海は深く世界には万有引力が働きます」

「雨が大地を潤し風が草花を運びあらゆる人は息絶える」

「狐も狸も人間が追いやるから窮屈な暮らしを送ります」

 

・■■■■■の攻撃!プレイメイトは避ける気が無いよ:)

 

「っ!?何で『システムログ』が…!!」

 

 化太郎は攻撃をしていない。そもそも攻撃の動作にすら入っておらず、異形のまま立って此方を見続けているだけだった。だというのに『システムログ』が勝手な文字を映し出す。

 

・プレイメイトの攻撃!殺生石化太郎の心臓にナイフを突き立てた!正当防衛さ!;)

 

「な、に…を………」

 

・プレイメイトの攻撃!殺生石化太郎の首を掻き切った!貴方は怪物殺しだ!やったね!XD

 

「何で…僕は…何も…」

 

・プレイメイトの攻撃!殺生石化太郎の頭部を撃ち抜いた!貴方は歴史に名を遺す偉大な勇者だ!;p

 

「………」

 

 

・プレイメイトの攻撃!貴方は返り血に染まった腕で殺生石化太郎の顔を剥ぎ取った!まるでゲームだね!:D

 

「いい加減にしろ!!」

 

 

「化太郎君っ…!君は…何故こんなふざけたマネをするんだ…!!」

 

・ふざけてるのは貴方の方でしょ:)

「!?」

 

・貴方が愚かにも、浅慮に化太郎の仮面を奪ったから化太郎は()()苦しんでるんだよ。死に掛けてるんだよ。殺されかけてるんだよ。

・貴方は知っていたはずだ。化太郎が自分の顔を大事に、大切にしていたことを。

・誰にもなれて、誰にも成れない化太郎が唯一()()()()()を証明できる物がソレしか無いことを。

・…もしかしたら、貴方は本当に知らなかったのかもしれない。

・でも、化太郎がどれだけ変身しても、()()()()()()()()()ソレに対して特別な思いを向けていることは知っていたはずだ。認識していたはずだ。

・死んだら『自分の』骨すら残らない、この世に()()()()化太郎にとって、その仮面は自分の命よりも重い物だった。

 

「キミはいったい………。」

 

・私は、そうだな………

・私は言うなれば同居人。或いは、裏人格。或いは、イマジナリーフレンド。或いは、記憶。

 

 

 

・そして或いは、殺生石化太郎其の物だ。;)

 

 

 

・愚かな先生。哀れな前達に罰を与えよう。

・でも安心して?化太郎は本当に、ほんとうにヒーローを目指してるんだ。

・殺したいほどに憎いお前を化太郎は赦すよ。

 

 

・罪人たる貴様にジユウを与えよう。

 

 

・殺してくれって願うジユウを与えよう!:)

 

 

 

 空から一筋の光が■■■■■(化太郎と名乗ったモノ)に降り注ぐ。異変はそれだけに留まらず、卵の様な、肉の塊の様な、胎動するナニカが()()()()()()()()()()()

 

・■■■■■ ATK DEF

 E.:)

・悪寒 ATK DEF

・敵意 ATK DEF

・不信 ATK DEF

・激昂 ATK DEF

 

「………ンだよありゃぁ…。まるで巨神兵の卵みてぇな…」

「…!(()()は…間違いなく良くないモノだ!)

 『トリックガール』を召喚!効果発動!」

 

・トリックガール  ATK 1200 DEF 800

・トリックガールの大脱出マジック!トリックコンガを手札に戻す!

・会場はマジックの成功で大盛り上がりだ!会場のボルテージは最高潮だ!

 

「魔法カード発動!『主役登場!』デッキからスターを一体特殊召喚する!出番だ地下世界のスーパースター!今日も最高のショーを魅せてくれ!メッタトン!!」

 

・魔法カード『主役登場!』の効果。ボルテージカウンターが最高潮の時のみ発動可能。デッキから『スター』一体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

・ITTTTTTT's SHOW TIME!!!

・ハロー皆さん!満を持してついに登場!今宵も視聴率を独り占め!本物のドラマ!本物のアクション!そして本物のMettatonが見れるのは今だけ!!

 

・Mettaton ATK ? DEF ? 最高のスターだ!

 

「YEEEEES!!やあPlaymate!漸く僕の出番という事だね!」

「頼むぜメッタトン、今回はマジでヤバイ。」

「ヤバイって言うのは…とてもカメラに映せない様なアレの事かな?」

 

 プレイメイトが視線を向けると天上からの光にあてられ、まるで植物の様に成長する()達がそこに居た。

 メキメキと。或いはグジュグジュと音をたてながら成長し続けるソレは次第に人間のような姿形を形成していく。そうして出来上がったのは肉を無理矢理人間の形に成形して固めたかのような肉人形だった。

 ()達の成長が終わったのを見届けてから■■■■■(化太郎と名乗ったモノ)が蠢きだす。バラバラにくっつけた様な身体のパーツ一つ一つが鋭利なナイフや包丁、カッター、ハサミに変質し、撃ち出された。

 

・■■■■■の身体が弾けた!刃物が乱れ飛ぶ!

 

「っ!硬化ァ!!」

「メッタトン!」

「OHHHH!!サイッコーにバイオレンス!!」

 

・切島鋭児郎はダメージを受けなかった!

・Mettatonはダメージを受けなかった!

・プレイメイトはMettatonを盾にした!Mettatonはダメージを受けなかった!

・トリックガールはズタズタになった!

 

・トリックガール ATK 1200 DEF 800 行動不能

 

 ■■■■■(化太郎と名乗ったモノ)から弾けた刃物が肉人形に突き刺さる。しかし肉人形は反応らしい反応も見せず、刃物が肉人形の中に沈んでいった。そして身体のパーツを撃ち出した■■■■■(化太郎と名乗ったモノ)は手足がなくなり、さながら樹の様に地面から生えていた。

 変化はそれだけに留まらない。天上の光を浴びてキラキラと輝く■■■■■(化太郎と名乗ったモノ)の背中と思われる部位からナニカが生えてきた。

 

 

それは()だった。

 

()が生え、()に連なる様に()が生えていく。

 

そしてそれは(異形)と成った。

 

(異形)が一対、二対と増えていき、八対になった所で増殖が止まる。

 

一筋の光に当てられたそれはまさに天使(化物)と呼ぶに相応しい。

 

 

・断罪の三つ首天使が現れた!:)

 

 

・神秘の大号令!感情の卵達を覚醒させる!感情の卵は深化した!

・悪寒 → 猛進する戦乙女 ATK 1500 DEF 1200

・敵意 → 猛進する戦乙女 ATK 2600 DEF 2400

・不信 → 猛進する戦乙女 ATK 2500 DEF 2800

・激昂 → 猛進する戦乙女 ATK 3800 DEF 0

 

 肉人形の表皮が鎧へと変化し、背中から刃物で構成された翼が生える。鎧から覗く皮膚も着色され、そこにはまるで神話から飛び出た様なヴァルキリーが存在した。

 各々が背中の翼から武器を持ち、刃を向ける。

 

「Wow、これは…」

「切島君、下がってろ!魔法カード『パーティタイム!』発動!」

 

・魔法カード『パーティタイム!』の効果。ボルテージカウンターを二つ取り除く毎に以下の効果を選択して得る。

●1枚ドローする。

●モンスターを一体破壊する。

・ボルテージカウンターを8つ取り除いた!

 

 プレイメイトはポケットから小さなネズミ花火を取り出し、火をつけた。燃え上がったネズミ花火は複雑な動きをしながらヴァルキリーの下に滑り込む。

 瞬間、小さな花火から出たとは思えない様な轟音が鳴り響き、爆熱の火柱が立ち上がった。

 

 

 

「あついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあつい」

「花火が綺麗に裂きああ今は夏で風が吹けば転がる転げるコロしコロコロコロコロ」

「消エヌ死ナヌ壊レヌ信仰示セ進行セヨ侵攻シ進攻ス猛進セヨ盲信セヨ妄信示セヨ」

 

 

『妄信する戦乙女』

 

 

・逃がさないよ:)

 

 

 立ち上る火柱の中から不気味(グロテスク)に焼け焦げた()が飛び出す。手に持ったナイフは変わらぬ輝きを示し、凶刃は行動不能に陥っていた『トリックガール』に向かって振り下ろされる。ナイフは寸分の狂いなく心臓に突き立てられた。

 

「お”っ………ぐ………!!?」

「Playmate!?」

 

 『トリックガール』の心臓を破壊すると同時にプレイメイトが胸を押さえ地面に崩れ落ちる。

 

「な…大丈夫かプレイメイト!!」

「ぐっ…ふっ…大丈…夫………だ」

 

 

・しぶといね、まるで油虫だ。;)

 

 

 火柱の中から更に一体、もう一体()()()()()()が飛び出てくる。それぞれ手に持つ凶器(狂気)を、心臓を破壊されてもなお地面をのたうち回る『トリックガール』の右肩と左足を切断した。

 

「ギィっ…あ”あ”あ”っ!!」

「っ…!オイ!殺生石、もう止めろ!!」

 

「仕返し返し還り還し孵り甦り返り代えて変えて化して狩りて刈って」

「痛み痛い痛い痛き痛し致し至り至った到らず来らず死足らず当らず」

「まだまだ足りない返せ還れ弱者に権利無く傍若無人に喰らい尽くす」

 

・『妄信する戦乙女(リベンジ・マインドヴェノム)』の効果。モンスターと相手の痛覚をリンクさせる。モンスターは死ななくなる。やったね;p

 

「そんな…有り得ない。モンスターはPlaymateの個性の産物…、それを通じてPlaymateにダメージを与えるなんて理不尽なんてモノじゃない…!」

 

・そうさ、元々理屈で語れるチカラじゃない。

・だがそれを言ったらオマエもそうだろ?所詮作り物に過ぎない存在が現実に現れ、こうして楽しいおしゃべりが出来るなんて。

・だけどコレが本当。コレが現実。

・体を岩の様に硬くしたり、手を使わずに遠くの物を引き寄せたり。個性なんてそんな理不尽なもんだろう?

・理不尽に更に理不尽を掛けた所で文句言うなよ:)

 

・………まぁいいや。それよりどうだいプレイメイト?痛い?苦しい?辛い?死にたい?

・でも残念だったねえ。早々楽にしてあげないよ。生きる事を諦めてくれるんなら別だけど。

 

 

「諦める…?ごぼっ…本当に…心臓を刺された訳じゃ無し…腕を…脚を…断たれた訳じゃ無し…っ!」

「っ…プレイメイト!」

「ぐっ…どうした化太郎君?僕はまだ戦えるぞ!」

 

 

・しつこいな。まあいい…。しもべはあと一体居る事を忘れてるわけじゃないだろう?トドメを刺せ!

 

 

 火柱の中から肉が焼け落ち、凶器と骨しか残っていない()()()が現れる。不確かな足取りだが、一歩、一歩と『トリックガール』に近づいていく。極太のカッターナイフをチキチキと伸ばし、『トリックガール』の額に向かって振り下ろ…

 

「これ以上お茶の間にお見せ出来ないシーンを続ける訳にもいかないね!」

 

・Ladies & Gentlemen!これよりスーパースターによる大脱出マジックをお見せしまSHOW!!本日のアシスタントはトリックガール!

・なんと!カメラがぐるっとパンしたらトリックガールが忽然と消えてしまいました!

・ジャジャーン!Mettatonの後ろから()()()トリックガールが現れました!

・マジック大成功!観客は超大盛り上がりだ!会場のボルテージは最高潮に達した!

 

・この番組はMTTグループの提供でお送りします。

 

「Oh YES!」

「ナイスだメッタトン…っく、はぁ…はぁ…。」

 

 

・………

 

・邪魔だなぁ。

 

邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ

 

・ああ、とても邪魔だなあ。

 

 

■■■■■(化太郎と名乗ったモノ)はその姿を変えていく。変質させていく。

 

その過程で体が3つに()()()

 

裂けた内の一つは黄色い絵の具で塗りつぶしたかのような金髪に緑の絵の具で塗りつぶしたようなワンピースを着た少女に変わった。

 

裂けた内の一つは間違えて黒くなったような学ランを身に纏い、取り返しのつかない様な青っぽい黒髪の少年に変わった。

 

裂けた内の一つは人間の身体から肉と骨を限界までそぎ落とし、まるでデッサン用の木人形の様な人形に変わった。

 

そしてソレらの手にはそれぞれパレットナイフ、脚程の太さのある螺子、どこかで見た様な仮面を持っていた。

 

「邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ邪魔だなぁ」

『あれ?』『なんで僕こんな所にいるんだろ?』『ま、いっか!』

「…」

 

「…やれやれ、人間は増えたり減ったり忙しないね。」

「はぁ…はぁ…め、メッタトン…頼むぞ…。」

「OK、Playmateは休憩の時間だね。さあて、そろそろ本当のエンターテインメントの時間だ!」

 

 メッタトンは何処かから爆弾を大量に取り出し、そのまま投げつける。

 

・Mettatonの爆弾攻撃!攻撃力がボルテージカウンターの分だけ上昇!

 

『うわあ!』『こんな沢山の爆弾が爆発したら死んじゃうぜ!』『この人殺し!』

 

 

『なんちゃって』

 

 

 大量にばら撒かれた爆弾は全てメッタトンの手元に戻っていた。まるで元から投げていなかったかのように…

 

 

『爆弾を投げたという事実を「無かったこと」にした』

「!?なんt」

 

『それではみなさんご唱和ください』

『It's All Fiction!!』

 

 

 ド

  ド

   ド

    ド

     ド

      ドォォォォォン!!!

 

 

 大量の爆弾が連鎖的に爆発していき、辺りを爆風と爆炎で吹き飛ばした。

 

『今時自爆テロなんて流行らねーぜ』『まぁそうだな』『僕は悪くない』

 

 

「(あ…有り得ない…っ!化太郎君の個性はあくまでも自身を変える事しか出来ないハズ………外部に干渉する特殊能力まで得ることは不可能………変身による再現までが限界()()()!!)」

『おいおい』『そんなシケた顔すんなよ』『いい年こいて』

「(まさか…有り得ない…こんなモノ常識外れもいいとこだっ!個性すら…否、超能力の類すらコピー出来るっていうのか!?)」

 

「Oh No!せっかく用意した爆弾が全部パーになってしまいました!でもご安心ください!そんな時こそMTTネットショップ!ワンクリックで爆弾だけでなくカタナやミサイル、はたまた犬まで簡単にご購入できます!」

『なんだ』『まだ生きてたんだ』

「邪魔。邪魔。邪魔。邪魔!!」ヒュッ

「残念だったね、そんな研がれていないパレットナイフなんかで僕の超合金ボディに傷がつく訳が」ビリッ

 

 

「Oh」

 

 

「邪魔!邪魔!!邪魔っ!!邪魔ぁっ!!」ヒュッ

「馬鹿な!Alphys謹製の超合金ボディがパレットナイフ程度で傷つく訳がっ!?」

『ふーん』『すごーい!』『でも関係ないよね!』

 

『だって君、所詮そこの冴えないオッサンが作った紙でしかないんだから』

 

ビリッ

 

ビリッ

 

ビリリッ

 

「あ、ああ…」

「…Play…mate…役に立てなくて………ゴメ『あ、そういうのいいから。大嘘憑き(オールフィクション)!』『お前の存在をなかった事にした!』『じゃあね』『えーと、なんだっけ?』『ま、どうでもいっか!』

 

「(こんな…滅茶苦茶な…勝てない…っ!?)」

『…』『さて』

「っっ!?お、俺のターンっ!ドロー!!!(奇跡の一枚っ来てくれ!)」

 

 

「き、来たっ!魔法カード発『大嘘憑き(オールフィクション)!』『お前の個性をなかった事にした!』動…あ?」

 

騒がしかったパーティ会場が消える。

 

握っていたカードが消える。

 

個性が、消える。

 

 

『あ』『ごめーん』

 

『キミのドローカードだけ無かったことにしようとしたら』『間違えちゃった』

 

『てへぺろ!』

 

『でも許してくれるよね!』

 

『だってキミは「ヒーロー」なんだから!』

 

『人にされて嫌な事はするなって言うだろ?』

 

『キミが「僕の顔」を奪ったように』

 

『僕が「キミの個性」を奪ったって構わないって事だ』

 

『そうでしょメアリー?』

 

「そうね。大事なモノに手を出したんだもの。仕返しされる覚悟くらいあるでしょ」

 

『ほらね!』

 

『民主主義的に僕は無罪だ』

 

『僕は悪くない』

 

 

消える。

 

個性が消える。

 

 

()()()()()()()()()()

 

それでは。

 

これではもう…。

 

 

「あ」

 

『どうしたのメアリー?』

 

「この人の薔薇、萎れちゃった」

 

『ふーん』『いいんじゃない?』『どーでも』

 

「…」

 

「それもそうね!」

 

「『あはははは』」

 

 

 

『じゃ、コイツ殺そうか』「そうね」

 

『ま』

 

『来世でも僕に盾突くなよな』

 

「さよなら、貴方の事とても嫌いだったわ」ヒュッ

 

 

  ガキィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

『…』

 

『なんだ居たんだ。てっきりもうとっくに逃げ帰ったかと思ったよ』

 

「キリシマ…!」

 

 

「殺生石…今のお前が正気かどうか分かんねえけどな…。これだけは言っとくぞ………。」

 

 

「絶対にお前を助けてやるッ!!!」

 





但し内容は色々アウトォ!

次回!ついに決着!バットエンドで打ち切りエンドか?もちっとだけ続くのか?こうご期待!




『デクとメッタトンのサウザンドフェイス考察!!』

「さあ今日もやってまいりました後書き茶番のお時間です!司会は私、地下世界のTVスターMettatonと!」
「…」
「おおっと!人間はどうやらテレビ出演に緊張しきっている様子。でもご安心ください!そんなときにはMTTブランドのファッションドッグ!可愛い犬を撫でれば緊張なんて一瞬で吹き飛びます!そしてなんと!使わない時はファッションの『ワン』ポイントとして「いや待って!もうどこに突っ込めばいいのコレ!!?」

:)

「Oh Yes!という訳で本題に入りましょう!」
「うん…。」
「ズバリ、なんで化太郎は思いっきり相手に干渉する能力まで使えるんでしょうか!?」
「多分誰も覚えてないと思うけど、化太郎君は”個性”まではコピーできないんだよね。」
「作者も忘れている死に設定「メメタァトンッ!!」

;)

「えーはい。なんで化太郎君は”個性”…というか特殊能力までコピー出来るようになったかっていうとですね、『干渉力』とでも言うべき力が個性の暴走により強まったからじゃないかなって思うんだ。」
「干渉力?」
「例えばだけど、触った物を熱くする個性の人と触った物を冷たくする個性の人が同じ物に同時に個性を使ったらその物は熱くなると思う?冷たくなると思う?」
「うーん………それは個性の力が強い方だろう?」
「まあそうだね。何が言いたいかっていうとつまり今までの化太郎君は世界の物理法則より強い干渉力を自分の身体の内側に持ってたんだ。」
「スケールのデカい話だね。」
「でもよく考えてみて。元々化太郎君は『服ごと』変身してたんだよ?それってつまり身体の表面よりちょっと外側までは化太郎君の『干渉力』が届く範囲だったんだよ。それが個性の暴走によって更に外側まで範囲が広がったっておかしくはないでしょ?」
「Hmm…Playmateの個性はかなり広い範囲で世界の法則を塗り替える個性だから、まあそういう事もある…のだろうか?」
「それで『干渉力』が強くなった結果、自分の身体から離れた位置でも変質させることが出来る………んじゃないかな…。」

「それで?キリシマはそんな相手にどうやって勝つんだい?」「さあ…。」

「「………」」


今日は此処まで。シーユーネクストタイム!


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番外
ありきたりなキャラクター設定的な奴


花粉症が辛すぎて思わずこっちを更新。ま、番外編ですが。
今回は黒歴史ノートをひっくり返したような内容なので見なくてもいいかもですが、本編で書かれてないような設定が平然と出てくるので見たほうがいいかもです。

もし万が一本編見る前にこっちのキャラ設定を先に見るようなお方がいるのでしたら悪い事は言わないので本編からどうぞ。絶対訳わかんないと思うので。


それと N2様 誤字報告ありがとうございます。


-HERO’s-

 

 

殺生石(せっしょうせき) 化太郎(ばけたろう)

 

性別:無し

個性:『変質』自身及び身に着けている物をつくり変えることが出来る。

外見:身長も体重も測定する度変化する。が基本的には周りの平均身長を保っているようだ。常に変な仮面を頭につけている。

 

 人外と人との間に生まれた『おおよそ人』。前世と思われる記憶を持っている……が酷く断片的で、少なくとも学業に役立つようなモノでは無かった。

 調子のよい時と悪い時の差が激しく、安定した実力を持たない。しかし、膨大な戦闘経験から相手の行動を予測する力は非常に高く、個性を用いない或いは比較的シンプルな個性持ちとの一対一の戦闘であれば未来予知に等しい程の予測が出来る。同時に、相手の予想外の行動をとることも上手い。

 個性はどんな事にも応用が利くほど自由であり、幽霊やガス生命体となり物理攻撃無効化したり、自身を灼熱や絶対零度の化身的存在にすることで地形ごと変化させたりも出来る。

 一時期自身の個性に振り回され、自分の個性に殺されかけたりすることもあったが、夢で会った謎の人物から貰った変な仮面を身に着けたことによって自身の暴走を抑えることが出来る。もし仮面が奪われたら……

 

必殺技(極一部)

・『バトルフォーム』戦闘に特化した形態に変身する。主に打撃斬撃無効のスライムボディであることが多い。

・『キャラクターチェンジ』特殊なスキルを持った創作物のキャラクターに変身する。そのキャラクターのスキルを使うことが出来るが何でも使えるというわけでは無い。

・『ヒーローマスク』特定のプロヒーローに変身し、そのプロヒーローの必殺技をコピーする。次々に変身し続けて攻め続ける『ExtraHERO’s』という進化技もある。

・『双子の悪魔(ジェミネーション)』自分を増やす。増えた方も自在に変身することが出来るが、自分の身体と同時にもう一人の自分の身体をリアルタイムで操作し続ける必要がある。双子と言ってるがもっと増やすことも可能。

 

備考:個性を使うことで、体の中の何らかのエネルギーが消費される。調子が良ければ燃費が良いが、悪いと燃費もすこぶる悪い。エネルギーを使い過ぎると気絶するように眠り、限界以上に消耗したら死ぬ。食事をすることで回復するらしいが……

 

 

 

遊戯(ゆうぎ) 融剛(ゆうごう)

 

性別:男

個性:『融合』主に自分とそれ以外の物を融合することが出来る。自分以外でも一応可能。

外見:高身長・頭脳明晰・細マッチョ・イケメンで満貫。旋毛を中心とした渦が全体に広がった髪型。ある意味天然パーマ。

 

 両親ともプロヒーローで末っ子。幼いころからプロヒーロー達による英才教育が成されている。

 常に安定した実力を発揮できるほか、手近にある物と融合することで戦闘力の底上げ・遠距離対策が可能。戦闘訓練の相手がいつも化太郎だったこともあり、想定外への対応力が人一倍高い。

 個性自体は融合と、融合した物を分離することしか出来ないが、個性を鍛えた結果様々な事に応用できるように成長した。

 世間的には遊戯家はヒーロー一家であることは知られていないが、知ってる人は知っている状態であり、両親に捕まった(ヴィラン)の仲間がよく報復に来る所為で高校に上がる時には既に実戦経験豊富である。

 

必殺技(極一部)

・『縮地』超速の踏み込み。技らしい技ではないがほぼノーモーションの為相手の意表を突きやすく、コンボの起点となる。

・『ブロックナックル』両手に土の塊やコンクリート等を纏って一撃の重さを出す。重い分速さが無くなる為、基本的に動きの遅い相手用の技。

・『ダメージフュージョン』相手からのダメージと自身を融合することでダメージを吸収し、自分の攻撃力に加算できる技。相手の攻撃を受けると同時に発動しなければならないため神経を削る。

・『融合神拳』攻撃と同時に瞬間融合し、様々な追加効果を得ることが出来る。

例:攻撃の瞬間、相手と融合する事で衝撃が後ろに逃げていかずにダメージ上昇。

 :相手の防御に当たる時に融合する事で防御をすり抜け貫通ダメージ。

 

備考:体のどこかに融合した物をしまっておくことが出来るらしい。許容限界を超えて融合し続けると太る。戦闘のセンスはあるがネーミングセンスと私服センスは持ち合わせてないようだ。

 

 

 

安藤(あんどう) 露伊戸(ろいど)

 

性別:男

個性:『機械王』触れた機械を自在に操る。主電源が落ちてようが動力が無かろうがそれを機械と認識すれば自在に操れる。

外見:見た目は完全にロボッ娘。自分自身がサイボーグであり個性で操る用の機械のストックを所持している分、身長や体重が大幅に変化する。髪の長さは170cm位。

 

 生まれた時は普通の男子だったが、とある(ヴィラン)の個性により体がバラバラになった。生死の境を彷徨ったが母親がサポート会社の社長、父親が機械技師のメカトロ一家であり、個性が生存本能により覚醒した結果、機械の身体として生き残ることが出来た。

 身体の中には様々なギミックが仕込まれているが、これは機械技師である父親の趣味。見た目がどう見ても女の子なのは母親の趣味。鉄面皮で機械音声みたいな声は自分の趣味。

 (ヴィラン)に襲われた経験から『自分の身は結局自分しか守れない』と思い、自身を強化し続けている。同時に、(ヴィラン)に殺される子供を少しでも減らすためにヒーローを目指す。

 

必殺技

・『ガン・キャノン・ショット』身体の中に内蔵されている六門の砲門からゴム弾やテイザー、麻酔弾等状況に応じて撃ち出す。

・『パイルシュート』釘を金槌で打つように相手を殴る技。肩から肘に掛けて内蔵されている炸薬によりダメージを加速させる。言ってみれば失敗した二重の極み。

・『マシンナーズウェポン』電熱コイルによる加熱や電気信号変換装置による怪音、カメラのストロボ等を使って攻撃する。

・『ロスト・アーマメンツ』狂気の軍事兵器を再現、或いは改良した物を使って攻撃する。基本的に殺傷能力は低い。

 

備考:身体の中に素材を分解したり組み立てたりする為のパーツが入っているらしい。また、頭部には量子コンピュータが埋め込まれていて、同時に沢山の機械を操っても大丈夫のようだ。

 

 

 

(てん) 転々(てんてん)

 

性別:女

個性:『回転』自分の身体のあらゆる所を支点として回転することが出来る。回転速度も回転力も思いのまま。

外見:生傷の絶えないイケメン。ただし女。キュ、キュ、キュ(すとーん)の三拍子、無拍子(ぺたんこ)寸胴(こけし)とも言うボディの持ち主。髪型はベリーショート。私服は主に中華服(男用)。

 

 生まれは中国の広東省。武術家が多く、道場もまた多い所の市で育った。男手一つで育てられ、それなりに不自由はあったが日本に留学し、雄英高校に通えるだけのお金は持ってる。というのも親子共々道場破りでお金を稼いでいた。

 負ければ明日食べる食事の心配をしなければならない程の困窮と、道場破りの報復行為から身を守る為にダーティな戦術行為を得意とする。また、武器を持ってる相手との戦闘や大人数戦は日常茶飯事な為、少しでも距離を取って戦えるように足技を鍛えている。

 現在、無駄にコッテコテのエセ関西弁を使っているが、これはホームステイした先のちょっとしたおちゃめ( の所為。

 

必殺技

・『回転蹴撃』滅茶苦茶鋭い回し蹴り。相手の防御ごと蹴り抜く力を持つ。

・『螺旋蹴穿』高速回転する前蹴り。その回転力により相手は当たると自分の服が巻き込まれ、強制的に地面に投げられる。

・『竜巻独楽』相手を掴み全身で高速回転する。相手にかかるGは相当な物。

・『転地逆天』逆立ちしながら戦う技。必然的に自分の脚と相手の顔が近づき、相手の脚と自分の顔が近づく攻撃的な構え。

 

備考:自身の高速回転にもふらつかないだけのボディバランスは恐らくピカイチ。しかしいくら回転しても360°男にしか見えない。最近尻ばかり攻撃されてる気がしてならないらしい。

 

 

 

-FAMILY’s-

 

 

 

殺生石(せっしょうせき) 統狸(とうり)

 

性別:オス

個性:『化け狸』変化の術が得意なタヌキ。自分より下位に存在するタヌキを従えることが出来、力を合わせることで町ほどの規模で化けることが出来る。

外見:クソ生意気なガキ。

 

 化太郎の弟。殺生石家においては非戦闘員だが、鋭い蹴り技を放つ(主に化太郎相手に)。

 化太郎の事は『あにぇき』と呼ぶ。これは『あにき』と『あねき』の合成語。普段から雌雄決めない化太郎の所為でこうなった。

 

 

 

殺生石(せっしょうせき) 瑞久女(みずくめ)

 

性別:女

個性:『九尾の狐』自在に操れるモフモフの尻尾が9本ある。一本一本取り外し可能で、一本につき一人或いは一匹の妖怪に変化させる。

外見:2~30代の妖艶さを突き詰めたような女性。

 

 化太郎と統狸の母。その他にも人型ではない『ナニカ』を産んでいる殺生石家のトップ。

 人間の女性だが、人外に育てられた過去を持つ。

 

 

 

二ツ岩(ふたついわ) 団九郎(だんくろう)

 

性別:オス

個性:『統率』支配下に置いた存在の現状を把握し、いつでも指示できる。統率下におかれた対象が同じ場所に集まれば集まるほど力が増大する。

外見:人型時はごく普通でやや太り気味の優しいおっさん。本来の姿は設楽焼のタヌキの置物をもう少し人に似せたような姿。

 

 瑞久女の夫、入婿にあたる。二ツ岩軍の総大将。本拠地においてならオールマイトより強い。

 滅茶苦茶長生きしている。具体的に言えば戊辰戦争に参加した経験を持つ。

 

 

 

先詠(さきよみ) さとり

 

性別:女

個性:『心理操作』元々は相手の心を読む「読心術」だったが、とある経験により個性が深化した。見た相手の心理を操り、相手のトラウマを想起させることが出来る。

外見:癖のあるボブカット、赤みがかった黒髪。美少女。胸は…まだ子供だから…。

 

 殺生石家に居候、保護されている少女。護衛付きでちょくちょく外出しているらしい。 

 化太郎と同じく、生みの親の片方は人外。現在は両親とも他界。動物相手には個性は効果が薄い。

 

備考:変態的妄想を見せられただけで赤面すると思うなよ。

 

 

 

遊戯(ゆうぎ) 振子(ふりこ)

 

性別:女

個性:『ペンデュラム』指先から糸と重りが出てくる。長さ、重さ調節可能。

外見:毛根がブチギレてるショートヘア。まんまるボディ。

 

 遊戯家の長女で真の意味で自宅警備員。

 遊戯家の敷地は広く、ぱっと見なら如何にもお金持ちそうに見える事から偶に泥棒が忍び入ることがある。しかし彼女の探知に引っかからなかった者はおらず、すぐに捕まる。

 

備考:彼女の個性は見た目以上の性能を有しているらしい。

 

 

 

遊戯(ゆうぎ) 重合(じゅうごう)

 

性別:男

個性:『オーバーレイ』物質と物質を重ね合わせて一つにすることが出来る。

外見:短髪。如何にもな白衣。そしてグルグルメガネ。

 

 遊戯家の長男で自称偉大なる科学者。ただ発明した物は実に画期的で、ノーベルヒーロー賞を受賞した。いづれ自称が取れる予定。

 彼の発明した「ヒロイックメタル」「オーバーレイシルク」は彼の個性によって生み出された物の劣化コピー品。高コストだが個性を使わない量産に成功し、いまやヒーローのコスチュームに是非使いたい素材ナンバーワンに輝いている。

 

 

 

遊戯(ゆうぎ) 調律(ちょうりつ)

 

性別:女

個性:『シンクロ』自分と対象の精神を一時的に合わせることが出来る。

外見:オシャンティーなセミロングの女子大生風。

 

 遊戯家の次女でメンタリスト。副業としてお悩み相談のような事もしているが、副業を本業にしようか検討している。

 相手の心を読むような真似は出来ないが、相手の心の傷を理解することは出来る。時にうつ病の患者を相手にしたり、災害の被害者のメンタルケアをしたりと活躍している。

 

 

 

VILLAIN’s

 

 

 

旧鼠(きゅうそ) 公星(こうせい)

 

性別:メス

個性:『 ? 』人の姿を取っているハムスターのようだ。

外見:もっさりボサボサの毛玉…だったのは昔の話、不健康で痩せ身な体付きで目玉が大きい。ネズミの耳のような髪型をしている。

 

 経立会会長、鼠浄土の幹部。主に北日本に生息している個性持ちの動物を支配している。

 個性とか関係なしに素早く、耐久力があり、そして牙は鋭い。鼠浄土の次の王であり、王の伴侶に相応しい融剛にご執心の様子。

 弱肉強食の理に生き、弱さは罪であり強者(自分)の血肉となるべきと考えている。

 

備考:ネズミだけに限らず様々な動物を支配下に置いているようだ。

 

 

??

 

性別:女

個性:『 ? 』

外見:死化粧に死装束。

 

 旧鼠公星の側近。経立会を会長に代わって取り仕切っている。

 

備考:死臭がする。

 

 

 

-PICKUP WORD-

 

 

個性を持つ動物達

 ”発光する赤子”が生まれる前から存在している。妖怪、怪異譚、都市伝説といったモノの正体。人間の目が届かない場所で数を増やしてきた。

 その昔、『導師』と呼ばれた人間が動物たちに知恵と個性と人化の術を与えていたらしい。現在、様々な動物達が『導師』を探している。

 

殺生石家

 主人公である化太郎の生まれた家だが、そのルーツは平安時代末期に鳥羽上皇の寵姫であったとされる玉藻前にある。そして現在、日本中にいる妖怪狐(個性を持つ狐)全てを管理、統率している。

 

二ツ岩軍

 佐渡島に総本山があるとされる。化け狸(個性を持つ狸)全てを管理、統率している。現在、対外的には狐の支配下にあるとされているが実際は対等な関係を築いている。

 

鼠浄土

 北日本の地底にあるとされるネズミの国。完全実力主義社会でありながら正当な理由無き私闘は禁じられている為、上位に行くためにはなんらかの成果を上げて実力を示さなければならない。ただし自らの位を掛けた決闘は許されている。

 

経立会

 『導師』を探しているマイナー動物連合。主に殺生石家や二ツ岩軍に対抗するために結成された連合だが、二ツ岩軍が殺生石家に合併された所為でほぼ太刀打ち不可能となった。結果、チンピラ集団に成り下がり抑えの利かない末端の連中が人間社会で犯罪を起こす。そしてそこを化太郎やその他のヒーロー達が捕まえ、組織力が低下し続けていた。

 しかし鼠浄土の最高幹部がトップに立ち鼠浄土の大部分が加わった事により、組織力は殺生石家に対抗できるほどになった。




ここ気になるんですけど!とかこれちょっと本編と食い違ってない?とかありましたらお気軽にどうぞ。こっそり書き加えたり修正したりします。
それと本編が進むにつれ出てきた新キャラもこっそり書き加えるかも…。


番外編、次回は小話。
放課後のあれやこれとか化太郎のとーちゃんかーちゃんの出会いとか時系列?そんなのかんけーね!と言わんばかりの内容の予定です。


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ここいらでちょっと脇道に逸れようか。

そんな訳で小話。時系列なんて気にするな。
頭空っぽにして読めばいいさー。


~雄英を襲撃するのはヴィランだけじゃなく~

 

 

「おう遊戯!この後一緒にラーメン食いに行かねえか?」

「悪いな、今日は先約があるんだ。」

「先約?誰とだ?」

「プロヒーローの『ルーナー』とだ。」

「『ルーナー』だって!?なんで「何でお前がエロカッコイイヒーロー番付一位のルーナーと知り合いになってんだよぉぉぉぉ!!!」…うるせえ峰田…。」

「知り合いになったのは俺じゃなくて化太郎だ。あと近い、離れろ葡萄。」

「んなこたどうでもいいんだよぉぉぉ!!俺もルーナーとお近づきになりたい!!そしてあわよくばおっぱい揉みたい!」

「せめて本音を隠す努力しろよヒーロー科。」

「……まあ峰田の動機はともかく、俺もルーナーは生で見たいな。」

「確かに…。今までメディアには全然出てないし、写真一枚だけでも滅茶苦茶迫力あったっつーか。」

「オールマイトとはまた違う画風だよね。」

「それな。でもなんでまたルーナーと会う事になったんだ?」

「何でも化太郎を事務所に勧誘しに来るらしい。」

「マジか!職場体験でハート掴み過ぎだろアイツ!!」

「まだ仮免すら取ってないのに!?」

「そんで!?そんで!?」

「まあ、いくら何でも気が早過ぎるって事で学校側も抑えてるらしいんだが結局化太郎のところに押しかけるらしくてな。折角だし外部のプロ目線から鍛えてもらおうと思って化太郎に話を通して貰ったんだ。」

「なっ!ズルイですわ遊戯さん!自分ばっかり!!」

「そーだそーだ!私たちも一緒に見てもらう事を要求する!」

「何で俺らに言わなかったんだ!」

「お前らまで見てもらったら相対的に俺が見てもらえる時間減るから。」

「「「 チクショウこの外道め! 」」」

 

 

 

 たすけてー!!

 

 

 

「……ん?いまなんか聞こえたか?」

「ああ、何か言ってたな……。障子、聞こえたか?」

「ああ、殺生石が『助けて』と言っていた。」

「何でまた…?大抵の事なら一人で何とか出来るだろアイツ。」

「案外トイレで紙なくなって困ってたりしてな。」

「うわ、上鳴サイテー…。」

「なんにせよ様子を見に行くか。」

「ああ。」

 

 

教室の扉ガラガラ

 

 

「イヤー!放してルーナーさぁん!!」

「良いわよ。『昔々ある所に幻想郷という所が…』「誰が話ししてって言いましたかねぇ!?」

「ルーナー君!不法侵入どころか生徒拉致はやめたまえ!!」

「あらオールマイト、元・平和の象徴。ごきげんよう。それではさようなら。」ズズズ…

「だから待ちたまえ!!」

「ふふふ、これだから雄英はダメね。前にマスコミに押し入られたというのにまるで学んで無いもの。」

「キミを捉えられるセンサーがあるのならすぐにでも導入したいところだけどね!生憎地球上にそんな技術は無いのさ!」

「技術が無いからこうして生徒が攫われるのも仕方のない事ですわ校長さん。」

「ルーナーさっはぁん!?それ犯罪!!完全に犯罪肯定してますから!!」

「あらぁ。サウザンドフェイスはこんなダメダメな所よりもっと良い所で勉強したほうがいいわよねぇ。ほら、ウチでインターンすれば実戦経験も詰めるわよ?」

「とても魅力的なお誘いですが自分はまだ雄英で学びたいことがあるので!!」

「雄英で学べてウチで学べないことなんて……無いわ。」「言い切った!!?」

「ちょっとルーナーさん!?殺生石くんは雄英の生徒なんだから連れてかれたらまた謝罪案件なんですけど!!」

「……ミッドナイト、貴女居たの?」「ずっと居ました!!」

 

 

 

「混沌…!」

「何この状況……。」「つまりどういうことだってばよ!?」

「殺生石ぃ”ぃ”ぃ”!!!お前羨ましいぞお”お”お”!!俺に代われ!!!」

「峰田ブレねえな。」

「怒りのあまり画風ブレブレだけどな。」

 

「俺もおっぱい押し付けられてええええええええええ!!!!」

「有体に言ってキモイ。」「「「「同感。」」」ケロ。」

「おかしいな、化太郎の家に来るって言ってたんだが…。気が早過ぎるだろ…。」

 

 

 

 

~雄英を襲撃するのはヴィランだけじゃなく 2~

 

 

「…という訳で今日のヒーロー基礎学は救助訓練……の予定だったが非合理な奴らのせいで予定変更を余儀なくされた。」

「あっはは、非合理て!!むしろ直接プロヒーローから指導もらえるんだから合理的じゃないかな!」

「何言ってるのよ、ここの教師共も一応プロヒーローでしょ。一応。」

「一応って強調し過ぎよ。あんなんでも頑張ってる方なんだから。」

「中々に面白そうな奴らばっかだわ。」

「誰がバカだって!?」

「貴女に言ってないしそもそもバカとも言ってないけど。」

 

 

(((( もう既に濃い……! ))))

 

 

「さて、諸君らには実際にプロヒー「私の名前はリグル・グロウフライ!よっろしくー!!」

「私はミス・ローレライ。」

「フェアリア。」

「アタイはサイキョーの氷、チルチル!」

「そして私がルーナーよ。」

「5人揃って『ルーナー事務所』!!」バァーン!

「イマイチ締まらないわね、考え直して。」

「えー!?他になんかある?」

「やっぱり○○レンジャー!みたいなのが良いんじゃね?!」

「うーん……幻想レンジャー!」

「だめよ。サウザンドフェイスと被るわ。」

「あ、そっか。」

「5人として考えるからおかしくなるのよ。今サウザンドフェイスを入れたらいいんじゃ?」

「なるほど!じゃあ」「じゃあ、じゃねえ。お前らこれ以上時間を無駄にするなら叩きだすぞ…!」

 

 

「な、なんだかなぁ…。」

「プロヒーローってみんなこう……個性的……?なのか…?」

「いやー。あれは例外でしょ。」

「おおおお…ルーナー事務所のリアルおっぱいが目の前に…!プルスウルトラ…!」ガタッ

「ちょ、峰田くん!マズいって!」

「我が闇の進化体…この目で見れようとは…。」

「いいなー殺生石、一年でもう就職先見つかるとか。」

「しかも話題のルーナー事務所。結構な花形だよ★」

「青山…お前喋れたのか。」「酷くない!?」

スマン青山、作者の力量不足で全然台詞なくて…。

 

 

そんでもって体育館

 

 

「よしよし、皆コスチュームに着替えたね?じゃあ早速だけど私達と戦ってもらうから。」

 

「「「 ええ!!!? 」」」

 

「プ、プロヒーローと戦闘訓練!?」

「あれ?イレイザー君言ってなかったっけ?」

「貴女が話を遮ったんだろうが…。」

「そだっけ?ゴメンゴメン。」

「んー……。予定ではクラス全員対私達5人って形にしようと思ったのだけど……。」

 

「ぶっちゃけアタイ一人でも全然平気そうね!」

 

「な!?おいおいチルチルさんよ!俺たちはヴィランの襲撃に耐えたんだぜ!?」

「そうだ!それに雄英の先生たちと戦った経験もあるモン!」

 

 

「うん。それマグレね。」

 

 

「…は?」

「貴方達子供がヴィランの襲撃に生き残ったのも、プロヒーロー相手に生き残ったのもマグレと言った。」

「そーそー。一部の子以外全然プロに勝てるって感じしないわー。」

「ただのラッキーパンチで自分の実力を過信してんじゃないわよ。」

「というか今生きてるのは本当に運が良かったからって思ってね。」

「雄英ってホントぬるいね!ねーイレイザー?」

「ノーコメントで。」

「ねーねーどんな気持ち?所詮ヴィランって侮って襲撃されてどんな気持ち?ねーねー?」

「…ノーコメントで。」

「やめなさいリグル。いくら雄英が怠惰と惰性で運営されていたかをわざわざ指摘しても、大事な生徒をろくに守れもしないスタンスが早々変わるものでは無いわ。」

「そっか!それもそうだね!」

 

(((容赦ねえ…!)))

 

「そんな対応を外部から無理矢理変えるという名目で私達は来た。」

「という訳で今日は全員死ぬ手前まで痛めつけて自分というのを再確認してもらうわ。」

「いやいや、死ぬ手前までって……嘘ですよねルーナー?」

「『教官』とつけなさい尻尾。」

「し、尻尾!?」

「死ぬ手前まで痛めつけると言うのはただの暴力ではないのでしょうかルーナー教官!」

 

「そうよ。」「認めちゃった!」

 

「ただの暴力に屈するならとっととヒーロー目指すのやめなさい。」

「「「 !! 」」」

「アンタらはまあ知ったつもりになってるようだと思うんだけど、ヒーローってのは命がけよ!」

「まさか、自分は死なないとか思って無いでしょうね。」

「ヒーローはね、死ぬよ。あっさり。」

「そこで貴方達に改めて感じてもらいたいの、自分がいかに無力な存在なのかを。」

「そして、ヒーロー社会を生きるために必要な力を貴方達に常に鍛えてもらいたい。」

「そういう思いで今日私たちは来たんだ!」

「ルーナー教官…!」

 

 

「なんか綺麗にまとまった感じするけど、要するにプロヒーローが全力で私達をかわいがりするって事ですよね。」

「そういう事♪あ、サウザンドフェイスはこっち側に来なさい。貴方は十分に資格あるから。」

「えー!?何で私だけ!?」

「私達5人でクラス全員見るのはめんど…手が回らないから手伝ってね。」「本音出てる!」

 

 

「ああ、なんだ……少し前にも似たような事があったな……。」

「体育祭……お疲れパーティ……実験台……う、頭が。」「切島ぁー!!!」

「戦闘訓練…!つまりうっかりおっぱいに当たったとしてもそれは事故!」

「本当にブレねえな!」

 

「あ、もし手を抜いたら殺すから気を付けてね。」

「「「 生徒に対してあるまじき発言!!? 」」」

「除籍とか言う相澤先生のほうがはるかにマシだった…。」

 

 

 

~恋はいつでもハリケーン。愛は?~

 

 

殺生石家

 

「はいお父さん。あーん♥」「……」あー

「うふふ♥美味しい?」「……ああ。」

 

「今日も我が両親は平常運転だなぁ。」

「良い事です。」

「限度があるだろ…。」

「さとりん今日予定ある?」

「…いえ、ありませんが…。デートのお誘いで?」

「いいねえ、デート。でも今日はちょっと蔵掃除しようかなって思ってさ。」

「蔵掃除ですか、どうしてまた?」

「昨日さ、さとりんが居ない時にキツネ達が蔵にでっかいつづら?みたいなの運んでたの見てね。気になって蔵を覗いてみたんだけど、中がすっごいごちゃごちゃだったんだよ。だから整理するついでに掃除しようって思ったわけよ。」

「なるほど、話は分かりました。しかし何故私を?」

「家の蔵ってなんか呪的なモノ多そうだからさとりんならそういうのいけるかなーって。」

「私は呪術師でも退魔師でもないのですが、まあいいでしょう。私の個性が何かの役に立つかもしれませんし。しかしそれなら統狸も連れていくべきでは?」

「俺か?やだよ面倒くさい。」

「統狸は連れてく事確定してるから大丈夫。」「はぁ!?」

「蔵の中は暗いからお供何匹か連れて中照らしてくれ。」

「ふざけんな!照らすだけならあにぇきがライトに変身すればいいだろ!」

「私が掃除するのにライトに変身してたら非効率だろうに。」

「……ふむ、もしかして統狸貴男…蔵が怖いのですか?」

「えっそうなの?」

「ハァ!?ちげーし!怖くねーし!!」

「大丈夫です。生物には怖い物が一つや二つある物ですから。」

「なんだよ、統狸お前タヌキの癖に暗い所怖いのかよ。」

「だからちげーって言ってんだろ!!夜行性だぞ!!」

「うんうん。分かってる分かってる。」

「ぜってえ分かってねえだろお前!良いぜ!そこまで言うんなら蔵について行ってやるよ!!」

((ちょろい。))

 

「……食事くらい静かにせんか。」

「はーい。」「おう。」「はい。」

 

 

てな感じで殺生石家の蔵

 

 

キューンキューン

「はいはい……なるほど……そうですか。」

「どうしたのその()?」

「この子が蔵の管理者らしいです。」

「ほうほう、それでなんて言ってるの?」

「『蔵の中の物は全て記憶していますので勝手に持ち出しても分かりますよ。』だそうです。」

「全部記憶してるのか…すげえな…。」

「大丈夫大丈夫、今日は掃除するだけだし。あ、折角だし一緒に手伝ってもらおっか。整理するときの役に立つでしょ?」

キューンキューン

「……そうですか。『掃除するのならばお手伝いします。』だそうです。」

「頼むよ。心強いねぇ。」

キューンキューン

「……『ただ、この蔵はおよそ100年以上整理も掃除もされていません。』だそうです…。」

「……マジかぁ。」

「おいあにぇき、やっぱりやめようぜ…。」

「…いや、ここでやめたらダメな気がする!よっし、気合い入れてやりますか!!」

「……はぁ、埃っぽい所は嫌いなんだよ…。」

「いざ!ひらけゴマぁ!!」

 

 

 

 

 

「開かねえ。」

「当たり前でしょう……。」

キューン

「アホだな…。」

 

 

 

* * * * *

 

 

 

「蔵の中異常に広くねえ!?」

「見渡す限りの棚、棚、棚。天井も壁も見えねえ…。」

キュキューン

「ふむふむ…。『私の個性で蔵の中を広げております。』だそうです。」

「マジかよ、ド○えもんかよ。」

「そりゃタヌキだろ。」

「いいえ、猫型ロボットですよ…。」

 

 

「思ったほど埃っぽい訳でもないのな。」

キューンキューン

「『掃除はしてないですが出入りは頻繁にしているので。』と言ってます。」

「なるほど、通りが多い入り口らへんは埃があんまり積もって無いわけね。」

「そんじゃとっとと掃除しちまうか。」

「とりあえず予想外に広かったから掃除する区画だけでも決めよっか。」

キューンキューン

「『向かって右側が狐達の、左側が狸達のエリアです。』だそうです。」

「じゃぁー右側からだね。昨日のつづらは狐達が運んでたしそっち側にあるでしょ。」

「それではまず入り口付近の掃除をしましょう。その後右側にある物を一度ここまで運び出してから掃除をすれば良いかと。」

「オッケー。じゃ統狸、ライトお願い。」

「へいへい、面倒だなぁ……。変化!」ポンッ

 

「うんうん、だいぶ明るくなった…って汚っ!!」

「うっ、100年分のヨゴレが……。」

キュー……

 

 

 ◇

 

 

キューン

「そうですね。確かに昔にはこんな掃除用具は無かったでしょうね。」

「ク○ックルワ○パー最強説。」ススーッ

「しかし……思ったほど建物自体は傷んでないのですね。」

キュキューン

「『もう一匹の管理者が建物の保存をしています。』ですか。」

「ついでに掃除もしてくれないかなーって私は思うのですけども。」

キューン……

「『蔵の外側から個性を使っているだけなので…。』だそうです。」

「なんてものぐさだ。」

「週に一回有るか無いかくらいのペースでお風呂に入ってる貴男が言うと説得力ありますね。」

「うっ、いや…だって変身すれば汚れとかリセットされるし……。」

「見てる側の気分の問題です。」

「……さ、掃除掃除~。」

「……。」

 

 

 ◇

 

 

「よっし。入り口付近終了!」

「お疲れ様です。ですがまだまだ先もありますよ。」

「うげぇ、俺もう帰っていい?」

「代わりの電球連れて来れればいいよ。」

(オレ)達を電球扱いするのヤメロ。」

「…さて、では右側の棚にある物を一旦こっちまで運んで……おや、これは…?」

「どったのさとりん?」

「これ…。」

 

 

「ん?コレ母さんか?」

「じゃーとなりのタキシードはおっ父か。」

「純白のドレス……結婚式の写真ですかね?」

キューン!

「えっ?……ふむふむ………そうですか。」

「なんて?」

「『瑞久女さんと団九郎さんが写ってる唯一の写真です。』だそうで。」

「そういわれれば確かに母さんの昔の写真とか見たことねえな。」

「というか洋風の結婚様式だって事に驚きを隠せないんですけども。」

キュキューン!

「『もう30年も前の事です。』だそうです……。」

「30年!?」

「母さん変わらなさすぎだろ…。」

「むしろ今の方が若く見えるのですが…。」

キュキュ~ン♥

「『愛は不可能を可能にするのです。』だそうです。」

「……ちょっと待て。俺が生まれたのが8年前。」

「私が生まれたのは15年前だね。」

「それでこの写真が30年前で…。」

 

「「「 あの人今何歳だ? 」」」

 

「……止めましょう。女性の年齢を詮索するなど…。」

「それって自分の母親でも適用されんの?」

「そういう事にしておけ。深く考えてはいけない。」

 

 

「……ねえ。私の目がおかしくなければ『日記』って書いてある本が見えるんだけど。」

「奇遇だな。俺もそう見える。」

「私もそう見えますね。」

 

「「「 …… 」」」

 

 

 

シャッ

「これってもしかして母上の日記ではないでござろうか!?」

「すげえな、紐で閉じられてるタイプの本だ。かなり年紀入ってるな。」

「ふむ…。作りはしっかりしていますね。開いただけで破れるような紙でもないようです。」

キューン!キューン!

「『人の日記を読むものではありませんよ!』と言っています。」

「何を言うか。親が昔どういう事をしていたのか知る権利が子供にはある!」

「それに読むんじゃねえ。眺めるだけだ。」

ギュゥン!!

「『同じ事ですっ!』と言ってます。…しかし貴方は気にならないのですか?瑞久女さんが昔どんな思いで日々を過ごしていたのかを。」

……クゥ…

「よし、お前も共犯だ。」

キュゥ!?

「さて、気になる中身はーっと……。んー、日付は書いてあるが年号は書いてないな。これじゃあ何時書かれたのかよく分からんね。」

「文章から察するしかないでしょう。」

「どれ、最初のページにはなんて書いてるかな。」

 

 

-

 

 7月20日

 

今日から日記を書く事にした。何故書く事にしたかというと、何も書いてない本を拾ったから折角だし書いてみようと思ったからだ。それに字の練習にもなる。

 

 

 7月21日

 

昨日の今日でもう書くのが面倒になってきた。

 

-

 

 

「早いよ!?」

「三日坊主とかそういうレベルじゃねえなこれ。」

「なるほど、貴方達のそのものぐさな性格は瑞久女さんに似たのですね。」

キューン…

 

 

-

 

 7月23日

 

狸共と戦争するらしい。また仲間達が無意味に死んでいくのか…。私には耐えられない。いっその事私も死んでしまおうか考えている。

 

-

 

 

キューン…

「『狸達と戦争していたと言うと30年以上前の話です。』…そうですか。」

「俺等が生まれた時にはもう仲良かったもんな。なんだか考えられねえや。」

「……。(戦争……知っている。私は……当時の戦争を……知っている。)」

 

 

-

 

 7月24日

 

どうすれば仲間達が死なないか一晩考えた。私は、狸達の親玉に直接会う事にした。直接会って、戦争を止めるように説得するつもりだ。もし失敗したら私は人質にでもされるだろう…。その時は……死のう…。

 

 

 7月25日

 

狸達の親玉は海を越えた先にいるらしい。そして、そこに向かった仲間は一人も帰ってきていないとも…。今日渡るのは無理だそうだ。勝負は明日だ…。

 

 

 7月26日

 

 

 

 

 7月27日

 

結婚しました。

 

-

 

 

「「「 何でだあああああああああ!! 」」」

キューン!キューン!

「25日に決死の覚悟をして、その二日後に結婚してるとかこれ訳分かんねえな!」

「結婚したって事は父さんとだろ…?出会ったのは26日だろうし、その次の日に結婚決める……いや、決めるどころか結婚式挙げてるし早すぎるでしょ…!」

「……しかもその後のページは相手がいかに素晴らしい男性であるかをずっと書き連ねていますよコレ……どれだけ一目惚れだったんですか……。」

キューン!キューン!!

「……うわ、何時初夜を迎えたとか、何時デートしたとか事細かに書いてる…。息子としてこれはキツイ…。」

「うへぇ、しかも性行為の回数まで書いてる。どんな顔してカッチャマに会えばいいんじゃ…。」

ギュゥン!!ギュゥン!!

「何ですかうるさいです…ね……。」

「うわぁ…父さんのタマのサイズ書いてら。母さんどんなところに目を付けてるんだ。」

「おいおい、これなんか男根のスケッチじゃね?何書いてんの本当…。」

くいくい

「今日は一緒に映画を見に行った後ホテルでいっぱい可愛がって貰っただの、一緒にピクニックに行って外で可愛がって貰っただの、息子から見てエグい事しか書いてねえな後半…。」

「うーん……最近のイチャイチャってむしろ抑えてた方なんだなぁ…。」

ぐいぐいっ

「どうしたのさとりん、そんな強く引っ張って。」

すっ

「…?」

「お?どうしたあにぇ……」

 

 

「あなたたち、こんな所でなにをしてるのかしらー?」

「はひぃ」

「あ、えっと。蔵の、蔵の掃除をしている所で…。」

 

 

 

「 こ ん な と こ ろ で な に を し て い る の か し ら ? 」

 

 

 

「 」

 

 

 

 

ざんねん!!さんにん(+1匹)の ぼうけんは これで おわってしまった!!

 

 

 





Q.なんでわざわざ番外編で書いたの?
A.本編でやる場面無いから。

Q.思いついたら何でも書いていいと思ってんの?
A.思いつかないのに書き始めるよりはいいと思うよ。


凄い今更ですが……

_人人人人人人人人人人人人人_
> 私の小説9割方が会話文 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


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それいけ雄英新聞部!!

原作で出てきそうで出てこなさそうなそれでいて普通に出てきそうな設定を風呂に入ってる時に思いついて本編そっちのけで書きたくなったので

書く。

あいかわらず時系列とか気にしない方向で。

-登場人物-

・亀子 映子
3年。内弁慶。

・鹿苑寺 再生
2年。経営科。

・物書 文具
3年。やれやれだ…系。


・【ビッグ3】波動ねじれ、現在交際中の男性あり!?

 -相手は謎の仮面の男か。

・根津校長、双子か!?

 -保護者会に参加中のはずが何故校庭に?

・【イケメン】一年体育祭一位の轟焦凍の素顔に迫る!

 -強さの秘密は日常に有り!?

・文化祭、メイドカフェならぬチアカフェ流行の兆し?

 -一年A組、小さき巨人(リトルジャイアント)峰田 実が語る。

・スペースヒーロー『13号』気になるコスチュームの中身は!?

 -予想だにしない正体を見よ!!

・18禁ヒーロー『ミッドナイト』まさかのヌード!?

 -放課後の美術室で起きたXXX!!

 

 

 

「うーん…。」

「どしたッスかブチョー。」

「いやさぁ、なんというかネタが無いなぁって思ってねぇ。」

「っは、○日もビックリの嘘八百記事ばっか書く部長が何言ってんだ。馬鹿なの?死ぬの?」

「あ”?お前インクの海に沈めんぞボケぇ。」

「誰にモノ言ってんだクズ部長。印刷してやらねえぞ?」

「ごめんなさい私が悪かったです。」

 

ここは雄英高校の何処かに存在する新聞部部室。詳しい場所は教えられない。

何故教えられないのかというとこの新聞部、非公認なのだ。

万が一強硬派であるイレイザーヘッドなんぞに見つかったらまた新聞部が解体されてしまう。

という訳でひっそりと活動しているのだ。

 

「あ”ー!もうすぐ月末だってのに全然ネタがあがらないぃー!」

「ぶっちゃけ新聞なのに月刊ってどういう事なんスかねぇ…。」

「学生活動だからいいんですぅ~!」

 

「という訳で明日まで各自で一つネタあげてきなさい。部長命令ね。」

-非公認新聞部部長 亀子(かめこ) 映子(えいこ)-

個性:スクープ(自称)

彼女の目に映った衝撃映像は全て写真に収められるのだ!!

 

「はー、ま~た始まったッス。ブチョーのメンドクセー命令に四苦八苦すんのも飽きたッスー。」

-非公認新聞部インタビュー担当 鹿苑寺(ろくおんじ) 再生(さいせい)-

個性:ボイスレコード

何時間でも音を記録できるぞ!記録した音声は再生、編集、削除等自在に加工できる!

 

「はー…なんで俺こんな所にいるんだろーなー…。」

-非公認新聞部書記兼印刷担当 物書(ものかき) 文具(ぶんぐ)-

個性:自動書記

寿限無だろうが般若心経だろうが彼の操る鉛筆にかかれば10秒も無く書き写せるぞ!

 

「決まってるじゃない。ドケチな先生のせいで学校のコピー機使えないんだから、代わりにアンタに働いてもらわないと学校中に張りだせないでしょ?新聞。」

「良いじゃないッスか物書先輩、報酬あるだけ。オレなんか無報酬ッスよ?無報酬。」

「何言ってんのよ、雄英卒業したら新聞社に口利きしてやるって言ってんのに。アンタもう就活勝ち組よ?分かってんの?」

「何時も虚構新聞並の文章書いてるブチョーの口利きなんて信用ならんッス~。」

「んだとオラァ!!」

「Hey後輩、お前さ、俺がコイツの出鱈目な新聞複写すんのにどんだけ心労掛かってると思ってんの?考えても見ろよ、クソつまらない文章を延々と書き写し続けるんだぜ?だと言うのに報酬がラーメン一杯とか舐めてんの?」

「何よー。あそこのラーメン美味いじゃない。」

「少なくともあの定食屋で食うもんじゃないだろ…。」

「あら、良いの?運が悪いとあそこの亭主に何喰わされるか分からないわよ?」

「…何喰わされた?」

「スルメのピーナッツバター焼き………。」

「Oh…。」

 

「よし、分かったわ。じゃあこうしましょ。アンタ等が明日までに使えるネタあげて来たら一つにつき一枚脱ぐわよ?」

「「………」」

 

 

「「まな板に脱がれたところで。」」

「よぉしお前等そこに並べ。明日の新聞の一面はお前等の惨殺死体だ。」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

結局3人でネタ探しをすることになった。

 

「やっぱ話題性って言ったら一年A組でしょ!!」

「最初っからそこ行けよクソ部長。」

「馬鹿言ってんじゃないわ!話題が話題だけに校内新聞の記事にしにくいのよ!それに何よりあそこの担任がイレイザークソトンカチヘッドなのよ!」

「イレイザークソトンカチヘッドとかいうパワーワード止めろ。」

「なんでクソトンカチヘッドなんスか?」

「それはあれよ…頭の固い先生だから………ああもう説明させんな!フィーリングで分かりなさいよ!!」「ッス。」

 

そんなこんなでつきました1-A教室前。

 

「今の時間イレイザーヘッドが居ない事は確認済み!行くわよ突撃取材!!」

「何について聞くんスか?」

「んなもんテキトーでいいのよテキトーで!!」

「それのどこが取材だ。」

「という訳でお邪魔するわよA組諸君!ちわー!新聞部でーす!!!!」ガラッ

 

 

「あ"あ"っ!!?誰だテメエ!!!」

 

 

ガラピシャッ

 

「こ、こ、こ、ころされるかとおもた…。」

「ブチョーってなんで内弁慶の癖に突撃取材とか言ってるんスかね?」

「馬鹿だからだろ。馬鹿だからだろ。」

 

 

 ◇

 

 

「つーわけで我等新聞部が一年A組を取材しに来たッスよー。」

「邪魔だモブ共!!!」

「まーまーそう言うな爆豪後輩。時間は取らせねえよ。(それほどはな。)」

「爆豪お前…ついに先輩にシメられる時が…!」「来ねえよクソ頭!!!」

「え、えひゅ、えぅ、えっと、い、いんたヴゅーいいでひゅか!?!?」

「何言ってんですか貴女。」

「クソ部長、お前もう黙ってろ。」

「はいはーい注目ー!とりま早速インタビューしていくッス。まずはクラス委員からインタビューするッス!クラス委員、誰ッスか~?」

「俺がクラス委員ですが!」

「おー、君がクラス委員ッスか。まずは自己紹介するッス。自分二年の鹿苑寺ッス。」

「俺は飯田天哉です!」

「テンヤ君ッスね。見たッスよ~体育祭、騎馬戦、超加速!!実にヒーローっぽい必殺技じゃないッスか!」

「むっ!?そ、そうだろうか?」

「そうッスそうッス。あんな超速、普通なら誰も対処できねーッス!かっけーッス」

「ふ、ふむ、そうだろう!」

「テンヤ君一家はヒーロー一家ッスね。お兄さんの件は残念ッス…、インゲニウム、立派なヒーローだったッス。」

「ああ…俺にとって兄は目指すべき目標だ。勿論今でも。」

「雄英卒業後はインゲニウムを継ぐんスか?」

「ああ、そのつもりだ。俺はインゲニウムの名に恥じぬ立派なヒーロになる!」

「ありがとうございますッス。これでインタビューは終了ッス。」

「こちらこそありがとうございました。」

「あ、ついでになんスけど、この中でインタビュー向きな人を紹介してくれねッスか?」

「む?インタビュー向き…か…。」

 

「インタビュー!?私やるやる~!!私をインタビューして!!」

「俺!そう言うの俺やりたい!!一度でいいからインタビュー受けてみたかったんだよ!!」

「そう言うの僕が向いてる奴☆」

「ウチ受けてみたい。」

「はーい!俺とかインタビューいつでも行けますよ!!」

「俺!俺!!俺をインタビューしてくれ!!」

「ケロ。」

 

「流石ヒーロー科。我が強い。」

「あ、あはは…。」

「ところで君は緑谷出久君だな。今色々と話題沸騰中の。」

「え、ええ!?僕ですか!!」

「なんだ、インタビューは嫌か?」

「い、いえいえいえ!!決してそういうわけじゃ!」

「じゃあ早速インタビューしようか。あ、俺は物書 文具。3年だ。」

「え、ええと…緑谷出久です…。」

「体育祭でも見たけど、凄いパワーだね。」

「え、あ、ありがとうございます…。」

「オールマイトに似てるけど隠し子か何か?」

「ブフゥー!!」「うわっ汚っ!」「あ、す済みません!!」

「…図星?」

「いえいえいえいえいえ!!!違いますよ!!そんなんじゃ無いですから!!」

「…ま、そうだよね。オールマイトは一撃ぶっ放す度に大怪我しないもんね。」

「そそそそうですよ。ナニイッテルンデスカーモー。」

「でもオールマイトが萎んでる時と今のキミの雰囲気似てる。」

「ブフゥー!!」

「Hey、素直に吐いちゃえよ。オールマイトとどんな関係なんだ?」

「い、いえその…えっと…それは…。」

 

「緑谷は重度のオールマイトオタクなんだよ先輩。」

 

「あ、化太郎くん…。」

「っ!おま…君は…。」

「どーもー、体育祭2位でーす。」

「あ、ああ…それより、オールマイトオタクとは…?」

「うん。1年が全寮制になったのは知ってるよね。」

「勿論。結構なニュースだからね。」

「そん時に出久君の部屋を見させてもらったんだけど一面オールマイトグッズでね。ヒく。」

「ヒく!?酷くない!?」

「おっおう。」

「元々似た個性持ちだし、オールマイトに少しでも近づこうと雰囲気作りから入るのも可笑しくないでしょー?な、出久君?」ウインクバチコーン

「う、うん。そうそう。(…ありがとう化太郎くん。)」

「そ、そうかい…。」

「あ、そだ。出久君のオールマイト顔芸見る?激似だよ?」

「え、遠慮しとく…これでインタビューは終了だ…。」

「えー面白いのに。」

 

 

「でよ!俺がそこで全力でビリビリ~っと!」

「でもその後上鳴アホになって使えなくなったよね。」

「うぐっ!」

「しかもすぐにヴィランに捕まるし。」

「ぐぐぐ!」

「遊戯に助けて貰わなかったらどうなってた事か…。」

「グゥの音も出ない!」「出てるじゃねえか。」

「あーハイハイ、そーッスねー。」

 

 

「あのー、大丈夫ですか?」

「だゃひっ!だいでょーぶでふ!!」

「大丈夫に見えないんだよなぁ…。」

「しょ、そょれよいrきになう男性とか居ないんでしゅ、すか?」

「え、なんて?」

「うりゃらかさん!貴女の好きな人とかどうでしょう!?」

「えぇっ!?ウチ!?」

「ええ!あなたかりゃ恋する乙女の空気が出ておりゅますから!!」

「いやっ!そんな!えと、そういうあれじゃあ…ないです…。」

「じゃあどんなアレでしょう!?」

「…うぅぅ…。」

 

 

「お前等、何やってる…!!」

 

 

「あ、相澤先生。」

「ゲェッ!!イレイザーヘッド!!」

「え、アレがイレイザーハンマーヘッドッスか?」

「ばっおま!!」

「誰がサメみたいな頭してるって?」シャッ!

「ギャッ!」「グエッ!」「イデッ…ッス。」

「お前等新聞部だな…?活動停止処分じゃあ不足らしいな…!!」

「い、いやぁイレイザーヘッド。ご機嫌麗しゅう。」

「ち、違いますよー。新聞部違いますよー。今日はただの知的好奇心で来ただけですよー。」

「そ、そーッス。別にA組にインタビューとかしてないッス。」

「…はぁ。まあいい。」

「(えっ?許された?私達今許された??)」

「(ま、待て、これは罠だ。孔明の罠だ。)」

「(なんでもいッスけど苦しいッス…!)」

「お前らの処分はミッドナイトに一任する。」

 

「「「えっ」」」

 

「最近ミッドナイトはイライラしてるそうだ。理由は知らん。ま、ご愁傷さまって奴だな。」

「まままま待ってくださいイレイザーヘッド!いや相澤先生!!嫌だ!!まだ嫁入り前なのに!!」

「死。死のループ。決して脱出できない地獄の迷宮…!」

「馬鹿な…そんな横暴許されるはずがないッス!!訴えてやるッス!!ペンの力で戦うッス!!」

「雄英の校風は『自由』。そう言う事だ。除籍されるよりマシだろ。」

 

「「「い、嫌だあああああああああ!!!!」」」

 

 

 

 

 

「…結局何だったんだ?」

「知らん。」

「そう言えば新聞部の新聞って見たことねえな。」

「案外見せられるものじゃ無かったりして。」

「18禁的な意味でか!?」

「小学生の作文的な意味でかも。」

「(両方正解。)」

 





勢いだけで書いた。今は後悔している。


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青少年の性的嗜好は99%女性ヒーローが影響してる

ついムラムラしたから書いた。キャラ崩壊とかそんなレベルじゃないけど番外編だから許してちょんまg(SMASH!!
時系列とか気にすんなよ!絶対だぞ!

さあ。輝く羊モドキ先生お得意のR-15タグの本領発揮だ…!
そういうわけで本編とは

全く!
一切!
これっぽっちも!!!

関係の無い勢いで書いた番外編 はーじまーるよー!!



「第一回A組男子性癖暴露大会ッッッ!!!」

「イエーイ!!!」

「…え、何これ。」

 

ここは『ハイツアライアンス1-A』男子棟五階 遊戯の部屋

五階という立地条件なのにクラス男子の秘密のたまり場と化している場所である。

というのも、遊戯は何かと戦闘面において様々な相談に乗っている上に、部屋を自身の個性を使って異常なほどに改造した結果、狭いながらも防音・防衝撃設備の整った場所で、大暴れしても隣の部屋どころか下の部屋にすら気付かれない程の優良な訓練所になってしまったのだ。

放課後によくクラスの男子達が時に助言を貰いに、時に戦闘訓練をしに遊戯の部屋に訪れた結果として今の状況になった。

 

そして今の部屋の状態を説明しよう。少ないながら部屋の中にあった家具はほぼ全てベランダに出され、唯一残った丸テーブルの上には所狭しと卑猥な本が散らばり、テーブルを囲むように座るクラス男子14人。

部屋の主たる遊戯が入り口につっ立っている事を考えれば、この部屋にはA組の女子と無性を除いた全員が揃った事になる。

 

どうやって狭い部屋に15人も入れるのか?

考えてはいけない。ただそうなっている現状だと理解すれば良いだけだ。

 

 

「さあ遊戯が来たから始めんぞオラァ!!」

「…この際俺の部屋に男が集まってんのはどうでもいいがよ…さっきなんつった?」

「猥談しようぜっ!!!」

「分かった、お前馬鹿だろ。」

「という訳で此処に様々なジャンルのエ◇本用意したぞ!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!ボ…俺は此処で、クラスの今後についての大事な話し合いがあると聞いて来たんだ!!」

「俺もそうだ!お前等が『重要な話があるから遊戯の部屋に集合してくれ。』って言うからてっきり…」

「うっせえな!男が集まって話す事なんてエロい事しかねえに決まってんだルォ!!!」

「それによ、大事な話ってのもあながち間違いじゃねえよな?」

「あ”ぁ”~?猥談の何処が大事な話だってんだタコ助。」

 

「6人。いや、一応殺生石も入れておいて7人。これが何を意味するか分かるか?」

 

「…?」

「7人?何の数だろ…。」

「一応、A組の女子の人数が6人だな。」

「成程。化太郎入れて7人ってそう言う事か。」

 

「そうだ!A組の女子の数。つまり「攻略対象の数なんだよォ!!!」バッ!お前そう言う言い方すんなって言っただろ!」

 

「はーい全員解散ー。」

「待て待て待て!!だからこれは重要な話だって言ってんだろ!!」

「いいかお前等!A組の男子の数は15人!対して女子の数は6人!ついでに無性1人!分かるか!?仮に女子全員がクラス内で付き合ったとすれば男子は半分以上は彼女無しになんだぞ!!」

「「「 !!! 」」」

 

「 !! じゃねえよお前等ァ!!正気になれ馬鹿野郎共!!!」

「そう言う遊戯も正気になれよ!いいかよく考えろよ!高校生同士のカップルならかなり気楽に付き合えんだぞ!?仮にプロのヒーローになってから誰かと付き合ってみろ!一般人が相手ならメディアにバレた時点でもう結婚しなきゃいけないみたいな雰囲気になるんだぞ!!?同じプロヒーローが相手だとしても強烈なキャラ付けしてるような相手とか疲れるじゃねえか!!」

「お、おう。もうそれでいいようん。(超めんどくせぇ)」

「で、帰っていいか?」

「帰らせねえよ轟ィ!!てか何でこの流れで帰ろうとしてんだよ!!!」

「…?悪い。」

 

「いや待て。さっきの話なら何で性癖暴露会なんだよ。単純にクラス女子で一番タイプな奴言えばいいだけじゃねえの?」

「馬鹿だなぁ砂糖君。君は実に馬鹿だな。」「(うぜぇ)」

「いいか!俺等も仮免を取った以上ヒーローとして活動する事も多くなるだろ?当然今まで以上に知らない人と協力しなきゃいけない機会が増えるだろう。だからこそ!今ある絆をより強固にしたいって思ったんだよ!!」

「…それで猥談か。」

「おおそうだ!お互いの性癖を知ればより仲良くなれるだろ?」

「それは果たしてどうだろうか。」

「そうなんだよ!」

 

「ちょっと待て。話の流れからして性癖ってのはつまり自身の性的嗜好を指しているのか?」

「はぁ?」

「ああ、確かに性的嗜好の事を性癖って言うのは誤用だな。性癖ってのはもっと広い言葉だからな。例えばそれこそ女性の脚が好きって言う性癖から潔癖症、完璧癖、虚言癖、窃盗癖ってのも性癖だ。要は性別の癖じゃなく、性質の癖って訳だな。」

「へー。」

「知らなかった。」

「まぁ、よくある誤用だからな。覚えておいて損しねえよ。じゃあそういう訳で解散!」

 

 

「待てや!!!」

「っち」

 

「話を有耶無耶にして逃げんじゃねえ!!」

「うるせえな。もう終わりでいいだろこんな下らない話。はーい止め止め!」

 

「…良いんだな遊戯?」

 

「…はぁ?何がだ。」

「良いんだな本当に?この流れで解散してもいいんだな?」

「だから何がだ。しつこいな葡萄…。」

 

 

「床裏の写真(ボソッ」「っ!!?」

 

 

「お、おおお前…いつの間に…!!」

「遊戯ぃ…。お前こんなんが好きだとは思わなかったぜぇ…?」

「っ…何が望みだ…!」

「オイラはただみんなで猥談がしたいだけさ。」

「……………いいだろう。」

「…おい遊戯…?何をする気だ。おい。おい!!!!」

 

この状況こそ峰田の策略通りだったのだろう。

男子達が立ち上がり遊戯を止めるより先に、出入り口だった扉を壁と『融かし合わせる』。

この部屋の壁は並大抵の攻撃では傷一つ付かない様に魔改造されたモノだ。

残された脱出口であるベランダ側には上鳴が立ちふさがり、電気を纏っている。

更にはベランダに出る為の引き戸には峰田のもぎもぎが既に詰められ、ガラスの耐久力も爆豪の爆発にもヒビ一つ入らない様な強度を持っている。

もはやこの部屋は檻だ。出入り口が塞がれた檻。

脱出するには壁を破壊するしかない。しかし遊戯の個性によって異常なまでに強化された壁を破壊する事が出来るのはクラス内には二人しか居ない上に片方はこの部屋に不在。必然的に残りの一人に部屋中の視線が集まる。

この状況から脱出するために力を振るう

 

「緑谷。ここで部屋を破壊すると間違いなく先生達の信頼が地の底に落ちるだろうよ。」

「ッ!!?」

 

事が出来なかった。

もはや既に詰んでいたのだ。現状。

外部に電話しようにも上鳴の個性によりジャックされてしまう。

脱出するための出口も全て塞がれている。

唯一障害物を無視できる個性も相手側に居る。

残された手段はたった一つ…

 

「さあ。エロバナだ…っ!!!」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「的な始まり方をしたわけだが、別に猥談自体やりたいってんならそこまで否定的じゃねえんだぞ?」

「まぁ確かに…。」

「ちょっと恥ずかしいけどね。」

 

改めて遊戯の部屋。

現在は皆思い思いの体勢で寛いでいる。そしてテーブルの上には卑猥書物の他に遊戯が持って来た菓子類やジュースの類が置かれている。

 

「ただし峰田は後でシメる。」「賛成。」

「ええっ!?なんでオイラだけ!?」

「日頃の行いじゃねえ?」

 

「ま、勿論この会を参画した奴から始めるんだろ?」

「てことは上鳴だな。ほら、早よ。」

「フリが雑だな!!ま、いいけどよ。」

 

そう言っては上鳴はテーブル上の卑猥書を一つ手に取って語りだす。

 

「ま、俺は面食いっつーか…。やっぱ顔が良いに越したことはねえんだけどさ。趣味つったらはやっぱコレだろ!」

 

そう言って掲げた本のタイトルは『イイチコ100%』。

内容はハーレム物だ。

 

「つまりあれか。沢山の女侍らせたいって訳だな。」

「なんつーか…予想のど真ん中を突き抜けてった感じだな。」

「つまんねえ。やり直し!」

「ちょ!酷くねえかお前等!!?」

「趣味なんてソイツの勝手でいいじゃねえか…。」

「そうだそうだ!という訳で次砂糖な!」

「…俺ェ!?」

「おう!砂糖って意外と趣味エグそうだし!」

「エグくねえよ!」

 

 

「俺は…やっぱ尻だな。」

「尻…イイよな…。」

「分かるか尾白…尻の良さが!」

「ああ…!やっぱこう…背中から肉の出てくるラインがグっとくる。」

「「分かる。」」

「急にくんな峰田。ビックリすっから。」

「でもオイラはやっぱ尻から内股にかけてのラインが好きだ!」

「「それも分かる。」」

 

「おお…良いぞ、盛り上がってきたな!」

「これでか?」

「おっし次瀬呂ぉ!」

「よ、部屋にこだわるショウユ顔。」

「怒るぞ俺でも!!」

 

 

「俺はなぁ…そうだなぁ。やっぱスカートから覗くフトモモが良いっ…!」

「太ももっ!」

「やっぱりフトモモだよね☆」

「なっ…青山、お前もフトモモ派かっ!」

「ちょっと意外だわな。」

「フトモモに顔挟みたい…」

「瀬呂お前ェ…やっぱミッドナイトのアレで目覚めたのか!!?」

 

 

「うーむ…オレは余り拘らないんだが…。」

「それでもやっぱ気になる所があるだろ障子。言ってみろってほら!」

「じゃあ例えば女の子が二人同時に告って来たらって考えたらどうだ?優先するポイントは何処だ?」

「む…や、やはりその………む、胸…かな…。」

「胸派!障子は胸派か!!」「叫ばんでも良いだろう!!」

「胸っ!それは浪漫が詰まった秘境!」

「分かるか常闇っ!」

「…」

「…」

 

ガシッ

 

「俺の勝手な考え言って良いか?」

「何だよ唐突に。」

「おっぱい派の奴ってコミュニケーションが独特だよな。」

「…まあ、分からんでもないけど。」

 

 

「さぁ、さっきからずっと気配を消してやり過ごそうとしてるお前等。逃げようったってそうはいかんよ。」

「非常口飯田!お前はどんな趣味してんだええおい!」

「っ!ぼ…オレは女性に対してそういった目線で見たことは…」

「模範解答ありがとう。だが今そんな回答は求められてねえんだよ。なあ飯田。もし仮にお前だけ自分の事を言わなかったとしたらそれはクラス内での不和に繋がるだろう。」

「い、いやだがしかし…」

「むしろ、こんな場が提供されたときに率先して自分の意見を言うのがクラス委員って奴なんじゃねえのか?」

「!!?」

「ちょ、飯田くん!?」

「さあ吐いちまえよ飯田ぁ…。お前がドコに興奮すんのかを…!」

「ぼ、僕は…。」

 

 

「運動少女が好きだっ!!」

 

 

「運動…」「少女…だと…!」

 

「日焼けした褐色の肌とちらりと見える日焼けしてない白い肌!走ると共に揺れるポニーテール!引き締まった脚!どれも好みだっ!!」

「お、おい飯田…。」

「さらに言えば朝のランニングの時に隣で一緒に走った後『疲れたねぇ。』と言われながらスポーツドリンクを分け合いたいっ!!!」

 

「「「 … 」」」

 

「…ハッ!いや、今行ったのは忘れてくれ…。」

「…そうか。ああ、俺はどうやら思い違いをしていた。」

「ああ、俺も思い違いをしていたぜ…。」

「胸や尻が好きだなんて話じゃない。もっと、もっとディープな話。そう、例えば俺はポニーテールが好きだという話っ!」

「性的嗜好とは何も好きなパーツだけを思うことじゃねえ。髪型、服装、性格、シチュエーション!!」

「その全てで語れずになにが猥談かっ!!!」

「ありがとう飯田。やっぱお前がクラス委員だぜ!」

「え、あ、うむ…?」

 

 

「という訳でそんな嗜好が最も映えるシチュエーションを考えろ緑谷ぁ!!!」

「えええええええ僕ううううううう!!!????」

「だってお前が一番妄想力有りそうだし。」

「妄想力!!!」

「緑谷。俺はお前の観察力はすげえって思ってんだ。そうだろ?お前は戦う時以外でも常に観察し、推測したことをノートに纏めている。」

「いやいやいやいや!これはそんな、大したことじゃなくてただの趣味みたいなものだし!!」

「それでもさ。現に観察して推測出来る事を戦いに生かせてるじゃねえか。」

「そ、そうかな…。」

「そうさ。自信もてよ。」

 

 

「という訳でまずは尻が映える場面だ。大丈夫、今こそお前の童貞力を見せる時だ!」

「童貞力って酷くない!!?」

「うるせえ何時も女の子と目を見て話せてねえコミュ症めいい加減治せ!」

「僕の心が壊れていく音がする…っ!!」

 

 

 ◇

 

 

「キャニオンカノン!!」「グアアア!!」

 

 

「はぁ、今日も疲れたわ。」ガチャッ

「お疲れ、Mt.レディ。」

「っ!ビックリしたわ。来てたんなら連絡しなさいよ。」

「あはは。ちょっと驚かせようかなって。」

 

Mt.レディ。僕の彼女だ。まだメディアには知られていないし、多分信じてもらえないだろう。僕だって未だに信じられない。

でも一度「僕なんかが彼氏で良いの?」と聞いたことがあるが、返答は「アンタだから良いのよ。」と返された。僕は夢なんじゃないかと疑ったが頬が千切れそうなほどに引っ張っても痛いだけだった。

 

「あーもー今日も大変だったわ~。」

「うんうん。今日も頑張ったね。」

 

僕は何時も忙しい彼女に代わって彼女の家の家事を手伝っている。

主夫みたいだなぁ。そう思うが、彼女が言うには「何時かアンタが私を養ってね。」と僕に期待してくれている。頑張らなくちゃ。

 

「…ねぇ、マッサージしてくんない?」

「ん、良いよ。」

 

「ん~♪未来のNO.1ヒーローにマッサージされると格別ねー。」

「アハハ。」

 

彼女はソファに寝転がり、だらしない姿を僕に晒している。テレビに映る彼女は何時も凛々しいけど、この姿を見れるのは僕だけだと思うと正直、グッとくる物がある。

 

「ん。もっと下ぁ~。」

「はいはい。ここかな?」

「もっと。」

「はいはい。」

「…もっと下よ下。」

「…えっと、これ以上はイロイロとマズいって言うか…。」

「…察しが悪いわね。」

「えっ?」

 

「つ、つまりそう言う事よ///」

 

彼女の鍛えられて引き締まったお尻はその見た目以上に柔らかかった。

 

 

 ◇

 

 

「「「「 グバァァァァァァ!!! 」」」」

「み、緑谷お前…なんというか想像以上の童貞力だったぜ…。」

「ちょ、無理矢理言わせておいて酷いな!!」

「いやいや、褒め言葉だぜ。というかMt.レディというチョイスがヤバイ。言葉に出来ないヤバさ。」

「というかなんでMt.レディチョイスしたんだ。」

「え、ええと…お尻って言われたから一番初めに思いついたヒーローがMt.レディだったから。」

「やっぱお前天才だわ。」

「しかもまるで幼馴染の如く慣れ親しんだ感…!外では見せないだらしなさと男のプライドを守る期待の寄せ方っ!それでありながら年上の雰囲気も見せる有り方。正妻感!!」

「見ろ緑谷!尻派以外の奴も血を吐いて倒れているぞ!」

 

「「「「 緑谷…GJ… 」」」」バタッ

 

「うわあああ皆ぁぁぁ!!!」

 

「フッ、流石だ緑谷…。だが、我々はまだ倒れてはいないぞ!」

「っ!常闇君…。」

「我等を倒したくば楽園の理想を見せてみよ!」

「なんか目的変わってる気がする!!」

 

 

 ◇

 

 

「っ!大丈夫ですかミッドナイト!!」

「っ~!これくらいなんともないわ!それより奴を逃がさないで!」

「「はいっ!!」」

 

「なにをしてるの!あなたも奴を追いなさい!」

「ミッドナイトを残して行ける訳無いでしょう!その怪我じゃ動くことも出来ないハズです!すぐに病院に!」

「私より優先すべきことがある筈よ!」

「既に相棒(サイドキック)が二人追っています!これ以上戦力を分ける必要も無い!!」

「っ!何馬鹿な事を…!」

「それに僕は貴女以上に優先することなんて何一つないっ!!!」

「っ!?」

「…ぁっ!?い、今の言葉は忘れてください!!」

「…///」

「え、えぇ~っと…///」

 

ピリリッ♪ピリリッ♪

 

「っ!如何した!!?」

『先輩!(ヴィラン)確保しました!!』

「そうか!よくやった!!」

 

ピ。

 

「ミッドナイト!敵《ヴィラン》確保したそうです!」

「っ、そう…良かったわ。」

「はい。…あっ!すぐに救急車呼びますね!」

「待ちなさい。救急車を呼ぶより、あなたが私を病院まで運んだ方が早いでしょ?」

「え?しかし…。」

「しかしも何も無いわ!いいから私を背負いなさい!」

「は、はい!!」

 

僕は数瞬どうするか迷ったが、ミッドナイトの言葉通り彼女を背負う形で病院に向かう事にした。

なるべく彼女の傷に響かない様に優しく背負う。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「怪我人の運び方は学校で教えたでしょ!しっかり実践しなさい!」

「は、はい!」

 

自分にしっかり固定させるように彼女の身体をしっかり密着させる。

なるべく意識しないように…

 

「あ、当ててんのよ…///」

 

無理だった。

僕は病院に着くまでずっと薄タイツ越しの感触を背中に感じていた。

 

 

 ◇

 

 

「「 ブボァァアアアア!! 」」

「ば、馬鹿な…!まだ上がるというのか…童貞力が…っ!」

「褒めて無いよねそれ!!!」

「み、緑谷…。見事…だ…。」

「我等…一片の悔いなし…ゴフッ。」

「うわあああ障子君ー!!常闇君ー!!」

 

「…ダメだ。息をしていない。」

「ああ、あんな童貞力を直に食らったんだ。無理もない。」

「二人とも死んで無いよ!!」

 

 

「…!」

「っ!口田!お前…まさか!止めろ!」

「え、何?何が起きんの!?」

「口田の奴、緑谷に立ち向かう気だ!」

「ええええええ!?」

 

「くっ、口田の奴は無口だからいまいち性的嗜好が掴めないだろ。だが安心しろ緑谷!オイラがヤツの趣味を暴いてやる!!」

「まさか…峰田お前、使える(・・・)のか!?」

「使えるって何が!!?」

「ああ!見てろよ…。嗜好観察目(ライクサーチアイ)!!」

嗜好観察目(ライクサーチアイ)!!まさかその使い手が現代にまで残っているとは!」

「知っているのか遊戯!」

「ああ…!嗜好観察目(ライクサーチアイ)、相手の性的嗜好を見破ることが出来る技だ。だが、半端な妄想力しか持たない奴は、見破った嗜好を活用することが出来ねえ。結果的に歴史の中で廃れていった技だ…。」

「っ!峰田の奴、そんな技を使ったところで…いやまさか!アイツは緑谷に全てを託すつもりか!」

「(話についてけない…。)」

 

「緑谷ァ!口田(ヤツ)の趣味は『モン娘』だァ!!後はお前に任せたぞォ!!」

「馬鹿なっ!モン娘だとぉ!!?」

「も、モン娘ってなんだよ!」

「説明しよう!モン娘とはモンスター娘の略語である!つまり人非ざる者であり、女性としての見た目を持つ存在の事だ!」

「な、なんだよそれくらい…!なにも怖い事なんてねえじゃねえか!」

「甘いぞ上鳴!人外であり、女性でもある存在ということがどういう事か!つまり滅茶苦茶に広い範囲を指した言葉だって事だ!」

「つ、つまりどういう事だよ…!」

「つまりはネコミミが生えた少女も、単眼の少女も、腐りきったゾンビ娘も皆モン娘だということだ!!」

「そ、そんな!!じゃあ緑谷は!!」

「ああ、口田を倒すためにはその広い範囲の中から口田の好みの範囲をぶち抜く様な妄想を造り出さないといけねえ!!」

「(今日の晩御飯ってなんだろうな。)」

「…!!」

「緑谷!来たぞ!!」

「緑谷ぁ!その童貞力を見せてくれぇえええ!!!!」

 

「(明日晴れるかなぁ。)」

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

場所変わって女子棟2階 殺生石の部屋

ここは女子たちのたまり場になっていた。

というのも、殺生石は何かと戦闘面において様々な相談に乗っている上に、部屋を家からこっそりと連れてきた子の個性を使って異常なほどに改造した結果、狭いながらも防音・防衝撃設備の整った場所で、大暴れしても隣の部屋どころか下の部屋にすら気付かれない程の優良な訓練所になってしまったのだ。

更に、冷蔵庫の中に大量の甘味類が入っていたり、保管庫の中にも大量の菓子類が有ったりで常に甘い物が補填されているので女子たちは時折(ほぼ毎日)部屋に訪れるのだ。

 

そして今現在、殺生石の部屋でA組の女子全員が集まってお菓子を摘まみながら話をしていた。

 

「という訳でクラスの男子の中で付き合うとしたら誰がいい?」

「モッチ出久君でしょ!」「ブッフゥゥゥ!!!」

「ちょ、如何したの麗日ちゃん!?」

「いいいいいやちょちょちょちょとお菓子が詰まっちゃっただけやん!!?」

「謎の疑問形。」

「え、ていうか何で緑谷なの殺生石。というかほぼノータイムでよく答えれたね。」

「バケちゃんはてっきり遊戯ちゃん一筋かと思ってたわ。」

「融剛はもはや『魂の友』だから。居て当然的な?」

「はぁ、よく分かりませんが…それで何故緑谷さんですの?」

「そりゃ決まってるじゃん。出久君は今でもオールマイトファンだろう?」

 

 

「その感情全部私に向けることが出来たらどれだけ楽しいかなぁって。」

「発想がヴィランのソレだもん。」

 

 

「えー?出久君って絶対浮気とかしなさそうだし、強いし、いいと思うんだけどねぇ。」

「確かに浮気しなさそう…というか隠し事出来なさそうだね。」

「後ろめたいことあったら絶対顔に出るよね。」

「分かる。」

「でもだからといって付き合いたいかっていうとそうじゃないよね。」

「分かる。」

 

「(なんだろう。嬉しいような悲しいようなムカツクような…。)」

 

「お茶子ちゃん、凄い顔してるわ。」

「え!?な、何が!?」

「う(まる)い棒味噌ピー味は流石にチャレンジし過ぎたか。」

「え!?あ、アハハ!大丈夫!全部食べるから!!」

 

「さて、じゃあそう言う三奈ちゃんは誰と付き合いたいの?」

「私?んーとねぇ、やっぱ轟君かな!かっこいいし!」

「かぁ~!つれーわー。こういう話しておいて顔で選ぶとかつれーわー。かぁ~!」

「えーいいじゃん別に!!」

「ちなみに轟君とデート行くとしたら何処に行く?」

「轟なら『お前に任せる。』って言いそう。」

(きょう)ちゃんの声真似が上手すぎて泣いた。」「泣くな馬鹿。」

「水族館!」

「轟君と水族館デートかぁ。」

 

 

 ◇

 

 

「轟君、待った?」

「いや、大して待ってねえ。」

「そっか。じゃあいこっか、水族館。」

「ああ。…髪型変えたか?」

「う、うん。どう?似合う?」

「ああ。そっちもいいんじゃないか?」

「そ、そっか。」

「…」

「…」

 

 

「あ!イルカショーだって!見にいこ!」

「ん?ああ。」

 

「イルカ可愛いね!」

「ああ、そうだな。」

 

 

「今日は楽しかったね!」

「ああ。」

「また来ようね!」

「そうだな。」

 

 

 ◇

 

 

「接待感が凄い。」

「相手の反応薄すぎて泣けてきそう。」

「というか轟くんから話しかけてくることが無さすぎて泣いた。」

「ヒーロー活動以外には全然積極的じゃないもんね轟くん…。」

「もっと頑張れよ三奈ちゃん。」

「私悪くなくない!?」

 

 

「さて、じゃあモモっちは付き合うとしたら誰かね?」

「男性とのお付き合いですか…。まだ学生の身ですし考えたことは『嘘だッ!!!』ッ!!?」

 

「ちょ…、急に叫ばないでよ殺生石。」

「私ゃ悪くない!悪いのはウソツキのモモっちの方だ!!!」

「ウソツキって…そんな事言うのは良くないわ。」

「い~や言うね!言わせてもらうね!言わせていただくネ!」

「何々!?何を言うの!?」

 

「私ぁ知ってるぞ!融剛を見るヤオモモの目つきが完全に恋する乙《ブブブーブォーブォーーーー!!》ブブゼラ五月蠅いわぁ!!!!」

「ささささぁ今日も遅いですし部屋に戻りますわ皆様もそろそろ部屋に戻りましょうそうしましょう。」

「まだ晩御飯前よ?」

「そう言えば今日の当番は私でしたわねそれではこれにて「まあまあ座れや。夕食は私がチャチャッと作るからさ。

 

ゆっくりしていってね!●トェェイ●」

 

 

 ◇

 

 

「あ、おーい八百万。」

「ゆ、遊戯さん!?どうして………まだ待ち合わせの時間まで1時間以上ありますのよ!」

「その言葉そっくり返す…と言いたいところだが、まあアレだ。デートで男が女の子を待たせる訳にはいかねえだろ?」

「で、デートって…!一緒に買い物に行くだけですのにそんな…。」

「えー?デートじゃねえのか…。そっかー。折角滅茶苦茶気合い入れてきたんだけどなー。デートじゃねえのかー…。」

「う…。」

「意識してたの俺だけかー…。マジかー…。何か恥ずかしいなー…。」

「うぅ…。」

「態々電話で予定聞かれたときから期待したんだけどなー…そっかー…。」

「うぅ、わ、分かりました。デ、(デートと言う事にしましょう…。)

「え?聞こえない。」

「で、ですから!今から(デート)しましょうって言ってるんです!」

「ん~?途中よく聞こえなかったなぁ~?」ニヤニヤ

「か、からかってるんですか!もう!!」

「ははは、ゴメンゴメン。八百万が可愛いからつい。」

「っ!!?や、やっぱりからかってるんですね!?」

「いやいや、本当だぞ。その服凄い可愛いな、スゲー似合ってる。」

「っ///」

「ははは、照れんな照れんなって。だから無言の攻撃を止めてくださいお願いします。」

「っ!っ!」

「痛い、痛い!わりかしシャレにならんから止めれ!」

 

傍から見たら完全に仲の良いカップルのやり取りである。

 

 

しかしはたして、男の服装は黒シャツに白文字で『GOtoHELL!!』と背中に書かれていた。

 

 

 ◇

 

 

「クソださシャツニキおっすおっす。」

「遊戯はなんかアレだよね…。服のセンス…。」

「顔も性格も話も良いけど服で全部持ってかれる感じ。」

「一緒に居て楽しい人だろうけどそもそも隣にいて欲しくないタイプね。」

「貴方達遊戯さんに何か恨みでも有るんですか!?」

 

今日も女子棟は平和だった。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ねえ、如何かしら?キモチイイ?イキそう?」ギリ…ギチ…

「っ!はっ…なせ…!!」

「アフフフ。振りほどこうと思えば何時でも出来る癖に…。何でしないのかしら?女の子に暴力は振るえない優しさかしら?それともそれを思いつかない程に苦しいかしら?」

「…!…っ!」

「違うわよねぇ?だってアナタ女の子に暴力を振るわれる(・・・・・)方が好きなマゾヒストなんだからねぇ!!アフフフフ!!」

「今だってホラ!首を絞められてるのに、私のナカでこんなに嬉しそうに震えてるもの!ねえどうしたの!?普段のアナタだったらこんな屈辱的な姿なんて死んでも(・・・・)晒さないでしょう!?」

「………!………!」

「苦しい!?死にそう!?逝っちゃいそう!!?良いわ!!!アナタがだらしなく、情けなく果てる姿を私に見せて!見せなさい!!!」

「…ぁ…が…。」

「イケッ。イケッ。逝けっ!逝けっ!!!」

 

「ぁ………。」

 

 

 ◇

 

 

「グハァッ!!クソがっ…!デクの癖に…。」ドサッ

 

「やっ………たのか…?」

「スゲエぜ緑谷!あんな普段のオカズなんてさっぱり分かんねえ爆豪の奴を倒しちまうなんて!!」

「口田のモン娘、尾白の巨大娘、そして注文の多い飯田のスポーツ少女。全てのジャンルで破壊力のある妄想を繰り出す様はまさに最強の童貞…いや、『童帝(どうてい)!!』」

「何上手い事言ったつもりになってんの…。」

「…ついにここまで来ちまったな。」

「ああ…残るはラスボス…『無情帝(クールカイザー)轟』だけだッ…!!」

「すまねえ緑谷!オイラの力じゃあアイツの性癖を見破れねえ…。オイラじゃ力になれねえ…!!」

「ありがとう峰田。お前が居なけりゃ此処までたどり着くことは無かっただろう…。」

「大丈夫だ峰田!お前が頑張ってくれた分はぜってえムダにしねえ!」

「遊戯…上鳴…!すまねえ…!すまねえ…!後は頼んだ…ぜ…。」

「「峰田ぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「いやキミ達何もしてないでしょ…。」

 

 

「茶番は終わりか?緑谷。」

 

 

「…!轟ぃ…テメェは………テメェだけは絶対打ち取ってやる!緑谷がな!!!」

「散っていったクラスの奴らの分も…置いて来た峰田の分も…!全て込めてお前を倒す!緑谷がな!!!」

「もういっそ清々しいまでのクズっぷりだよ。」

 

「愚かな…。俺が今までどんな生活をしてきたか知ってるのか?」

 

「…轟くん、何を」

「俺は幼い頃からずっと親父から英才教育を受けさせられた。そのせいか、俺は今まで他人に向ける感情が薄いってのは自覚している。当然性欲も。」

「…」

 

「緑谷、俺自身が何が好きかなんて判らないのにお前に判る訳が無いだろ?」

「…!!」

 

「俺が男として何か間違えているのは分かっている。だが、今までの妄想でもナニ一つ反応しなかったんだ。分かるか?」

「…」

「成程な。性癖の発現は幼い頃の体験やコンプレックスが重要だ。だが稀に性機能に異常が無いにも関わらず、異性に対して感心が全く無い人間が居る。俺はそれを『タマ無し系ラブコメ主人公脳』略して『タマコメ脳』と呼んでいる。」

「ひでえ呼び方だ。」

「緑谷、恐らく…いや、間違いなく轟のヤツはタマコメ脳だ。そしてタマコメ脳の男はロクな死に方をしない…!」

「な、なんだって!?」

「女に刺されて死ぬなんてマシな方。最悪、掘られて直腸が破けて死ぬ。」「直腸が破けて死ぬ!?」

「どうしたって天寿は真っ当できねえよ。だが助かる方法が一つだけある。」

「どうやったら助かるんだ!?」

「タマコメ脳を治す。簡単だろ?」

「簡単だろって…。そりゃ言うだけなら簡単だろうけどよ…!」

「大丈夫だ。緑谷なら…緑谷なら性欲が薄い轟が相手でも何とかしてくれる…!」

「(ええぇ~…)」

 

「かかってこい緑谷…!俺を前かがみにさせてみろ!!」

「ああもう!やればいいんでしょやれば!!!」

 

 

頼むぞ緑谷頑張れ緑谷。轟の未来はキミに掛かっている!

 

次回!『轟焦凍:ロリコン』お楽しみに!PlusUltra(プルスウルトラ)!!!」

 

 

「オイ遊戯…。言って良い冗談と悪い冗談が有るのぐらい知ってるよな…?」

「何ィ!?ロリコンじゃ駄目か!じゃぁ…

 

次回!『轟焦凍:マザコン』「殺すぞ。」アッハイ。」

 





気が付いたら1万文字以上書いてた。
やっぱこういう事書いてた方が進むんやなって。あ、待って石投げないで話を聞いて。
そりゃ本編放置して何書いてんだって話だけど仕方ないじゃない。書く暇ないんだもの。
まあ番外編書く暇ならあるんですけどね!!


OKその岩を一旦置こうか。


化太郎が保健室の先生だったら

ガラッ
「先生!転んで怪我したから治して!!」
「じゃあ患部を見ないとね!という訳で脱げぇ!!!」
「まって怪我したの膝なんですけどぉ!?」
「股間が腫れてる!毒を吸い出さないと(使命感)」
「誰がそんな事しろって言ったァ!!!」
「用務員のオジサン!」
「OK即刻クビにしろぉ!!」
                完


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ある日の放課後 ※最終話

遂に黒歴史が黒歴史になってしまった。
詳細は後書きにて。


ヒーロー科の生徒が体を売っている。

そんな噂を耳にしたイレイザーヘッドは、事実を確認するために職員室を飛び出した。ヒーロー足るもの、清廉であれとは言わないが不純な行いをするのならそれはヒーローではない。

未だヒーローの卵とはいえ、否、ヒーローの卵だからこそその誤りを正さなければならない。

万が一、噂が事実だった場合は如何なる理由があろうとも直ちに除籍処分にしなければ。イレイザーヘッドは考える。

腐ったミカンに割く時間など今のヒーロー科には在りはしないのだから・・・。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

噂の真相はすぐに調べることができた。

神聖なる学校内で行為は行われていたこと。

主に同じヒーロー科の生徒をターゲットにしていたこと。

放課後は使われていない講義室を使っていること。

 

それをA組の生徒が行っていたこと。

 

イレイザーヘッドは現場に駆け出した。必ず現場を押え、売る方も買う方も除籍処分にすると。

噂の講義室の前に到着した。

漏れ聞こえる音から、中には複数人居ることが分かった。扉の小窓から中の様子を伺うと、どうやら複数の男子生徒が一人を取り囲んでいるのが見えた。顔はまだ判別できないが、些細な問題である。

イレイザーヘッドは迷わず室内に突入した!

 

「何をし「「「ギャハハハハハ!!!」」」

 

複数の男子生徒の笑い声に、突入の勢いが削がれた。

しかしどうやら向こうもこちらが部屋に突入したことに気がついていないらしい。

だがある意味では好機だ。接近する事で一網打尽にする機会が増える。イレイザーヘッドは気配を消し、足音を立てず、流れるように生徒の輪に近づいていく。

なんと、よく見ればその輪には女子生徒の姿まであるではないか。

イレイザーヘッドのヒーローとしての勘が告げる。『何かとんでもない”間違い”を犯しているのではないか』と。

 

そして次の瞬間、イレイザーヘッドは自分の目を疑った。

 

 

 

 

「ハイ次のお題ぅわぁと?YES!『B組、塩崎茨が絶対に言わない事』ね!オーケーオーケー、このオレッチとあんま接点の無いコをチョイスするなんてなんて意地汚いListenerだよHeyチェケラッ!!

 

『はい、ニンニクマシマシ、ヤサイアブラカラメでお願いします』」

「「ブフゥゥゥゥ!!!」」

「ギャハハハ!!!無えって!!あの見た目でジロリアンは無えって!!!」

「しかもよりによってニンニクドカ食いかよ!」

「ヒ、ヒ、ヒ……さっきから笑い過ぎて腹痛ぇ……!」

 

「Hyuuuu!!いぇーいぇーいぇー!エヴィバディ盛り上がってるか!?Next!!Ah-Ha。『A組、爆豪が心霊スポットに置き去りにされた時の反応』OhYeah!apICEoFcAKE!!

 

『あ”あ”あ”ァンなトコ怖くなんかねえんだよボケカスゴラァ!!幽霊共出てきやがれブッ殺してやるよォ!!!』」

「「ブグフゥゥゥゥ!!!」」

「ッ!!ゴホッ!ゲホッ!!ある意味で予想のど真ん中を突き抜けていきやがった……っく!!」

「幽霊ぶっ殺すって……既に死んでるじゃんか…プクク」

「ふっ……っ……!苦し……ッ!!」

 

「OHH!SO……GOOD!!おけぃ次ィ!……Oops!どうやら次のRequestでラストの様だ。Nafh...『相澤先生が本気で考えた一発ギャグ』...オゥ、イツソォォォォォオオオdFFICULT!!

 

 

『モヤシ(裏声)』」

「何やってんだ殺生石……」

「Howdy!相澤先生!今日もいい天気だネ!残念だけど今日のショーはもうすぐ終了するんだ。また明日きてネ!」

 

 

 

 

 

「え、相澤センセ?」

 

 

 

 

*****

 

 

 

職員室

 

「で?態々使われてない講義室の鍵を開けてまで何をしていた?洗いざらい吐け。」

「いや、違うんすよ。あれは殺生石が面白い事やるっつーんで皆で集まってただけで、やましいことは何も・・・」

「ーーッ!!ーーー!!!」

 

俺は殺生石が相澤先生の捕縛武器で縛り上げられるのを横目に、しどろもどろになりながら答える。

 

「やましいことは何も?ならこいつはなんだ?」

「あっ、それは・・・」

 

そう言って見覚えのある紙切れを取り出した相澤先生。

 

「これはなんだ?答えろ耳朗。」

「え、えっと・・・チケット・・・ス。」

「なんのチケットだ?」

「殺生石のステージチケット・・・です。」

「こいつはどうやって手に入れた?」

「えっと・・・も、貰いました・・・」

「貰った・・・ね。お前らも持ってるのか?」

「あ、はい・・・。」

 

俺はポケットから紙切れを取り出す。

 

「・・・で、この紙切れには300と書いてあるがなんの事だ?」

「・・・」

「・・・」

「なんの事だ上鳴?」

「あーっと・・・スね。これはそのー・・・チケット料・・・的な?」

「つまり300円でこの紙切れを買ったってことか?」

「う・・・ス」

 

相澤先生の目つきがヤバイ。

 

「・・・さて、殺生石。以上の事に対してなにかいい分あるか?」

 

殺生石の拘束が口元だけ解かれた。

 

「 これは こうみょうな わな だ ! 」

「ふざけてる余裕があるとでも?」

「違うんですせんせ!あたくしはただ個性制御の練習をしてたらですね!第三者目線の意見があればより本物に近づけるって気がついたんじぇす!」

「それで?生徒からチケット代を取って公演会をやっていたと?」

「チケット代については知らないのぉ!あ痛い!痛い!せんせぃ日本国憲法では拷問はみとめられなだだだだだだ!!」

「正直に言え。ふざけるのも無しだ」

「ふざけ無しでマジで知りませんでした!なんか毎日違うメンツで来るなぁとは思ってたけどチケット売られてるなんて知りませんでしたぁ!」

「どうなんだ切島?」

「お、オレ!?えっと、何度もチケットを買いましたッスけど……、殺生石が直接手売りした記憶は無いッス・・・。」

「他は?」

「ウチも無い・・・ス。」

「オレも・・・。」

「オレもっス。」

「なら、誰から買った?言え。」

「・・・」

 

「「「それは・・・」」」

 

 

 ◇

 

 

「・・・はい。確かにオレが売りました。」

「・・・お前が関わってるとは思わなかったぞ轟。お前は、コレが何なのか知ってて売ったのか?」

「・・・いいえ。知りませんでした。」

「何ィ!?轟お前殺生石のライブ見たことねえのかよもったいねえ!」

「黙ってろ」

「う、ス・・・」

「轟、知らないじゃ済まされない事がある事ぐらい理解してるよな?」

「はい、反省してます」

「・・・まあ、それについては後にしよう。何故轟がこのチケットを売ってたんだ?」

「代わりにチケットを捌いてくれるなら蕎麦奢ってやるって言われて・・・」

「ガキか、お前は。・・・それで、誰に言われた。」

 

「それは・・・」

 

 

 ◇

 

 

「遊戯、俺は疲れたよ。」

「お疲れ様です相澤先生。」

「お前が関わって無ければここまで疲れることも無かっただろうがな。それで、何故お前が轟にチケット捌くように言ったんだ?」

「あー・・・一応聞きますけど、黙秘とかって・・・」「除籍になりたいのなら構わん」「デスヨネー」

 

「あー・・・ある日ですね。下駄箱の中に怪文書が入ってたんですよ。」

「怪文書?」

「はい。『オマエ の 秘 密を 知 ッテ いる バラされ たく なければこの チケット を全部 売 れ』ってな感じのが。それにチケットが同封されてました。」

「何故それを教師に伝えなかったんだ。」

「それを言ったら秘密を喋ったも同然なんで言えません。」

「除籍されるとしてもか?」

「除籍されるとしてもです。」

「・・・そうか。それで?そのチケットが何なのか知ってたのか?」

「ええ、まぁ一応。だからこそ轟にも三分の一渡せましたし・・・」

「・・・三分の一?残りはお前が手売りしたのか?」

「いいえ、面倒なんで残りは緑谷と爆豪に押し付けました。」

「何?」

「緑谷と爆豪に『どっちが先にチケット捌き切れるか競争な』って言ったら案外乗り気になっちゃって。」

「はあ?あいつ等がか?」

「爆豪には『その程度も出来ないの?』って言ったらすぐ食いつきました。緑谷には『先に裁ききれたら俺の全能力使って個性制御特訓手伝ってやるよ』って言ったら言葉通り飛びつきました。」

「・・・あいつ等。・・・まて、それでお前の秘密を守れたのか?」

「ええ。俺の秘密を知り得そうなヤツは限られてます。そしてこのチケットのコピー、雄英のコピー機全ての履歴を見ても見つからない。なら近くのコンビニで?無いな。このコピーの精度は正直、コンビニコピーで出来る代物じゃない。そう、それこそ()()()の物じゃなければ、ね。なら後は簡単な事ですよ。正直なんでそんな回りくどい事したのかが分かりませんでしたけど。」

「・・・そうか。ブラドのヤツにも話を通さなきゃならんのか・・・」

「・・・お疲れ様です。」

「お前がもっと早く教師に言っていればこうはならなかったがな?」

「・・・善処します。」

 

 

 ◇

 

 

「呼ばれた理由はわかってるか?」

「・・・致シ方ナカッタ事デス。」

「何が致し方なかったんだ?」

「化ノ字ノ個性訓練。アレノプロデュースヲマカサレタノガ私デシタ。第三者目線ノ意見、ソレヲ効率的ニ集メルナラ衆人環視ノ下デヤルノガ一番ダト。」

「なるほど、確かにそれは合理的だ。だがなぜ金を巻き上げる事に繋がった。」

「私モハジメハ無料デヤルベキダト思ッテイタ。ムシロ、オ金ヲトルナド考エモシナカッタ。ダガ、『タダ』ハ無責任ノ始マリダト言ワレテ考エテシマイマシタ・・・。」

「誰にそう言われたんだ?」

「転々デス。」

「そうか。ブラド、今度は天のヤツを」「ソノ必要ハアリマセン。」

「・・・何?」

「何故ナラモウ既ニ連レテ来テイマス。」

「むーッ!!むぐーッ!!」

「・・・」

 

「連レテ来テ「二度も言わなくていい。」

 

「・・・天」

「ぶぁはー!オイコラァロイコォ!お前何いきなり縛りよる!!」

「ダマレ。品行方正ナ私ガ職員室ニ呼バレル理由ナド一ツシカ無イワ!」

「天」

「だぁからって放送でお前が呼ばれると同時に締め落とす必要は無いやろ!?ワイいきなりロイコの性欲でも刺激したんかななんて不安に思ったやんけ!いきなり連れ込まれて犯されるんかと思ったやんけ!」

「オマエヲ?・・・ハッ、冗談ハソノナイチチダケニシタラドウダ?」

「おまっ・・・言うてはならんことを!こー見えてもなー!需要はあるんやで!?現にこの前公園で青いつなぎのエエ男に声かけられたし!」

「・・・腐?」

「腐展開ちゃうわ!ワイ女の子ですぅー!掛け合わせても腐りようがないですぅー!」

「天!」

「オ前・・・知ラナイトハカクモ悲シイ事ダナ・・・。」

「なんや!?いきなり意味深な事言いおりよってからに!」

「塩崎ニ聞イタガ・・・流行ッテルラシイゾ。」

「何がや!」

 

「天×遊戯ノBL本ガサポート科デ」

「ヴォエ!!(嘔吐)」

「いい加減話を聞け」ザワッ・・・!

 

 

 ◇

 

 

「い、いやぁちゃうんよセンセー?ワイはただ化太郎はんの事思ってやなぁ」

「チケット代はどうした?」

「半額ワイの懐ですハイ」

「天お前・・・まて、()()?」

「え、えぇ。半分の150円はアイディア料でもろてん。残りの半額はチケ売りに任せとーよ?」

「・・・」

「あ!その150円だってほぼ全額化太郎に回してんねんで!?学食奢ったり購買奢ったりで化太郎のエネルギー補給に使ってんねん!」

「・・・安藤」

「誤解無キヨウニイイマスガ、内50円ハホボ印刷代ニナリマス。良イ紙、良イインク、ソモソモノプリンターノ作成費デヤヤ黒程度デス。ソノ黒分ダッテ化ノ字ニ渡シテイル。学校帰リニヤック奢ッタリ。」

「・・・遊戯」

「俺はそもそもチケ売りは轟、爆豪、緑谷に任せたからなー。むしろ個々に依頼する時にソバやかつ丼、カレー奢ったりで完全にアシでてるし。」

「・・・轟」

「殺生石がなんかやってるとは聞いていたから殺生石に全額渡しました。」

「あー。だから最近みんなやたら奢ってくれたんだー。そう言えばちょっと前に出久君もかっちゃんもいっぱい奢ってくれたことがあったなー。そっかあれそういう事かー。」

「・・・」

 

 

 

「殺生石。お前反省文な」

「なんでぇ!?」

 

 

 

今日も雄英は平和でした。

 

 




 皆様、ご愛読ありがとうございました。
 『なんにでも変身出来るヒーロー志望ですが何か』は本日をもって未完作品としてエタる事が決まりました。
 理由としては、作者がアホなせい(執筆中に他作品を書き進めたり一話書くのに時間掛け過ぎたり)で設定を忘れたり脳内でしかプロットをくみ上げていなかったりで今後の展開が大変厳しく・・・・・・えー・・・。

 正直言えば稚作(と書くべきか恥作と書くべきか)の表現がカスレベルなので書きなおしたいというのが本音です。

 始めて書き始めた時とは既に生活環境がガラっと大きく変わったというのも有りますが。匿名で色々書いてみればそれがまさかの高評価。ウケる。
 「お、オレ文才あんじゃーん」とか喜んだのもつかの間、古き稚作がこちらをじぃっと見るのです。
 「おまえ、この程度の文で何言うとりまんねん」
 正に黒歴史。うわぁぁあぁぁあぁぁあぁあっあっあっあっ。とはなったは良いものの、ではこの作品はどうする?

 よし、見なかった事にしよう。

 となるのは自明の理でした。そう、評価の数とお気に入り登録者数を見るまでは・・・。
 こんなにも稚作に期待をくださっている読者の方々が居る。それだけでただ高尚な自慰行為に過ぎなかった執筆作業にも意味が生まれたのです。
 ただ、嬉しかった。高評価がプレッシャーに感じるのではないかとも思っておりましたが、杞憂でした。
 ・・・しかし、そんな高評価に、そんな期待に、私は裏切り行為をしなければならないのです。広げた風呂敷は畳まなければなりません、たとえそれがどんな畳み方でも。広げた者の責任は最後まで残るのです。

 評価をくださった皆様。ありがとうございます。
 お気に入りに登録してくださった皆様。ありがとうございます。
 感想をくださった皆様。ありがとうございます。

 そして、稚作最期の後書きまで読んでくださった皆様。誠にありがとうございます。皆様のお陰で適度に見れる程度の文が書けるようになりました。
 当作品は、この話を持ちまして終話とさせていただきます。
 皆様さえ宜しければ当作品に引き続き、改稿版の方を愛読お願いしたいと思います。

 この話より後に投稿される改稿版の話
『なんにでも変身出来るヒーロー志望ですが何か 怪!』
はこのお話の世界線とはよく似た違う世界線のお話となります。
 大まかな流れは一緒ですが、細かい設定が違って行きます。また、現在の執筆環境には手元に原作が無い故に過分な脚色を加える事もございます。
 早い話、大まかな流れすら変わる可能性がございます。ご了承ください。

『なんにでも変身出来るヒーロー志望ですが何か 怪!』目次
https://syosetu.org/novel/164962/

 名残惜しくもありますが、これが当作品の最期の、最後になってしまいました。
 当作品すらまともに完結出来なかったというのに、改稿版の方も完結出来る訳が無いのかもしれません。作者とはいえ未だ未熟の身。自身の作品の未来にすら責任が持てません。しかし、一度まるっと改稿しておいて『表現がカスだから再度改稿します』はもう致しません。(勿論誤字脱字や大きな矛盾の発生等は別ですが・・・)
 この身が動く限り、細々とではございますが投稿を続けたいと思います。
 当然ですが他の連載作品も細々と更新するつもりです!

 何度も書いていることではございますが、最後に改めて。

 読者の皆様、今までのご愛読ありがとうございました!これからの作品もどうぞよろしくお願いいたします!






P.S. 切島君いざこれからって時に活躍ぶった切ってマジでゴメン!!!


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