東方英雄伝 ~ラノベの主人公が幻想入り~ 【完結】 (カリーシュ)
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プロローグ
1話 主人公の幻想入り


 

―??神社前

 

―此処は何処だ?確かオレは、ちゃんと自分のベッドで寝たはず…

 

五河士道は、重い瞼を開けると、そこは見慣れた自室―ではなく、雪国―など勿論なく。

 

「はく…れい…神社…?聞いた事もない所だな」

 

それにしても紅葉が綺麗だな。桜の木が少し寂しい事になってるけd―は?

 

「ちょっと待て桜の木ぃ!?」

 

今日って確かもう春だよな!?なんで紅葉が!?

よく見れば、装いもパジャマでは無く、つい先日入学が決まった高校の制服だった。

 

「おおお落ち着け! こーいう時は誰かに聞けば―」

 

周りにあるはひたすら木、木、

そして正面に寂れた神社。

 

「どうすりゃいいんだよ…取り敢えず人が居そうなのは神社か?」

 

 

〜精霊移動中〜

 

 

―博麗神社

 

「鳥居はくぐった訳だけど、人の気配が全然無いな…?

―ん?」

 

ふと目に入ったのは、異様な気配を持つー

 

「賽銭箱……だよな?」

 

なんか執念というか怨念というか、殺気のようなものを感じるんだが。

 

「…せっかくだから幾らか入れていくか。

―しまった。 この間、月末だからって細かいの全部貯金箱に突っ込んだんだった」

 

若干後悔しつつ、それでも一番額の小さい500円玉を放り込み―

 

 

パシッ

 

「ぃいヨッシャァァッ!!500円!ゲットォォォオ!!」

 

「」

 

 

―賽銭箱の中から、腕が出てきた。

 

 

「あらいらっしゃい参拝客ねようこそ博麗神社へお茶でも飲んでく?それより見た感じ外来人ね賽銭入れるなんて良い心掛けじゃないきっと良いことあるわよ」

 

賽銭箱からは、脇が大きく開いて裾が別になっている紅白の巫女服を着た少女が出てきた。

…寒くないのだろうか。 それより物理的にも骨格的にも、どうやって賽銭箱に入ってたんだ?

 

「…えっと、ドウモ?

あの、此処が何処か教えて欲しくて」

 

「あら、良いわよ」

 

 

〜巫女説明中〜

 

 

―博麗神社 縁側

 

「―まあ、こんなところかしら」

 

「…」

 

幻想郷。人の他に妖精妖怪怨霊幽霊神がいる、二重の結界で隔離された『忘れ去られた存在』の場所。

 

「……じゃあ、オレは忘れられたってことか?」

 

「それか、むこう側で言う神隠しにあった場合ね」

 

神隠し……ジブ○映画で出てきたアレか?

 

「帰る方法はあるのか?さっき博麗さんが、現実と幻想郷を隔てる結界の管理者の片方って言ってたけど」

 

「霊夢で良いわよ。

うーん…それが、今何故か結界が管理を外れて自立している状態で…紫も最近見かけないし……早い話、誰も出入り出来ない状態(・・・・・・・・・・・)なのよ。日付がズレているのも多分そのせい」

 

「……オレの事を疑わないのか? 今の話を聞く限りは、幻想入り?出来たオレはおかしいってことになるけど?」

 

「それは考えてないわ」

 

「……何でだよ?」

 

「それはね―」

 

腕を組んで、ドヤ顔で―

 

「―カンよ!!」

 

―トンデモナイことを言ってくれたよ、この巫女。

 

「は!? カン!? んなアバウトな!?」

 

「いいのよ。 私のカンは当たるから」

 

「だーかーらー、それがアバウトなんだろぉぉぉぉお!?

て言うかさっきはツッコまなかったけど、お前どうやって賽銭箱に入ってたんだよ!?」

 

「え? それはもう、ぎゅっと…

説明するのも面倒くさいから、入ってみなさいよ。 思ってるより快適よ」

 

「普通無理だから!? だとしても何で賽銭箱!?」

 

「お金は大事よー。 なんのご利益があるか分からない神さまに祈ってもお腹は膨れないし」

 

「それでいいのかよ!? お前一応巫女だろ!? 言ってることは正論かもしれないけど!?」

 

「そもそも、幻想郷には神さまだって溢れてるのに、何でウチのは姿眩ましてんだか」

 

「前言撤回そういえばココ人外魔境だった!? 神さまいんじゃん!?」

 

「うるさいわね。 賽銭いれて無きゃ今頃お祓い棒でド突き回してるわよ」

 

「なにこの巫女さん!?

一般的な巫女からかけ離れ過ぎだろ!?」

 

「外の常識なんて知らないわよ」

 

「………なんかもういいや」

 

ツッコミ疲れた………

 

 

 

 

「―さてと、これでも結界の管理を任されてるんだし、何か心当たりはないかしら? お姉さん話くらいは聞いてあげるわよ? 変なBBAに会ったとか目がそこらじゅうにある空間にボッシュートされたとか紫色のBBAに会ったとか」

 

「お婆さんになんの恨みがあるんだよ。 後お前多分オレより歳下だろ。身長も低いs」

 

バキっ

 

 

「で、思い当たることは?」

 

「お祓い棒で人を殴るな。

…可能性としては低いけど、もしかして空間震に巻き込まれたのか?」

 

「何よ、その『くうかんしん』って?」

 

「詳しくは分かってないけど、突発的に起こる『空間の揺れ』でな、余震があるからそれで避難ー」

 

「ちょっと待って!私今まで何人か外来人に外の話を聞いたことあるけど、『くうかんしん』なんて単語1回も出てきたことないわよ!」

 

「なっ!?」

 

「…もしかして、結界の異変と関係があるのかしら?今度いっぺん紫をとっちめて聞き出さないと」

 

……帰るまでに時間がかかりそうだな。

―幻想郷、か。どうやって生きていこう?

 

「ところで、士道はこれからどうするの?」

 

「ああ、その人里ってところでなんとかしようと思ってる。

これでも家事全般出来るしな」

 

「そのことなんだけど、ちょっと試してみたいことがあるのよ」

 

「?何だ?」

 

「手を前に出して、こう、エイって、力を込めるような感じ?をやってもらっていい?」

 

「何で疑問形なんだよ」

 

言われた通りにやってみる。

何時ぞやの黒歴史の時みたいに、掌に血液が集中するイメージで……

 

力むために目を瞑っていたら―

 

 

「わ、ちょ、士道!? やり過ぎやり過ぎ!」

 

「へ……ヘャ!?」

 

右腕が砲門になってました。マル。

なんか先端から光ーというか炎が漏れてるのは多分幻覚だ。

というか思いっきり溢れてる。

 

「どうすんだよコレ!?いかにも発射5秒前なんだけど!?」

 

「わ、私に聞かないでよ!」

 

「じゃあどうしろってー」

 

ドンッ

 

ごくシンプルな爆音をたてて砲が暴発、ビームが発射された。

とっさに真上に向けたおかげで被害は無かったが。

 

 

「…」

 

「…」

 

「…士道」

 

「…何だよ」

 

「アンタココで働きなさい」

 

「何でそうなる!?」

 

「だってスッゴイ霊力じゃない!何よアレ!?幽香のマスパ並に火力あるじゃない!カンで霊力あるのは何となく分かってたけど!」

 

「ちょと待てココで働くってことは、」

 

「当然―異変解決も手伝ってもらうわよ!じゃあまずはスペルカードルールを教えないとね!」

 

「オレの意見は?」

 

「無い!!」

 

「デスヨネーじゃねえよ!HA☆NA☆SE!」

 

「I☆YA☆DA!」

 

 

〜巫女精霊を連行中〜

 

 

 

 

 

―ちょっとだけその後。

 

「……お前、ここ最近どんな飯食べたんだ?」

 

「えっと、水増ししか食べてないわよ?」

 

「……金出すからなんか人里で買ってこい。 出来るだけ常温で日持ちする奴」

 

調理器具すらボロボロ……どんな生活してたんだよ?

 




どうもおはこんばんちわ。
カリーシュです。

ここまできて思ったこと…
…結構、大変だコレ…
三桁話書いてる人はガチで尊敬します。

一応補足。
デアラは原作前なので、士道はイフリートの能力のみ持っています。


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2話 迷い込んだ武偵

 

―森

 

…もう、あれからどれくらいたった?あれから―

 

 

―兄さんが死んでから。

 

 

 

 

 

遠山キンジは彷徨っていた。

 

アンベリール号の事件の後、何もかもから逃げるように。電車やバスを財布が空になるまで乗り継ぎ、降りた駅からふと目に入った森に入っていた。

 

 

 

…最後に他人と話したのは……白雪だったか?…迷惑、かけちまったかな。武藤と不知火は元気にやってるか?

 

フラフラと歩きながらボーっとしてきた頭で考える。

 

 

ふと、倒れてしまう。

 

 

 

 

俺は、こんな何処かも分からん所でくたばるのか…?酔狂な御先祖にタコ殴りにされるな、ハハ、ハ…

 

 

 

?誰か、近づいて来てる…?あ、やべ、ガチで意識が―

 

 

 

 

俺が意識を手放す前に見たのは、

 

 

 

―おとぎ話に出てきそうな箒に跨った魔女の格好の少女だった。

 

 

〜武偵失神中〜

 

 

 

 

 

―??宅

 

……火の音、か?

 

薄目で周りを確認すると、どうやら誰かの家らしい。

 

木造住宅、築何年かは分からないな。周りは、…暖炉、本、ビーカー、本、何故かキノコ。随分散らかってるな。

 

ひとまず見える範囲での危険は無いと判断し、身を起こす。

 

ソファーに毛布…拘束は無し。完全に安心は出来ないが、取り敢えず助かったのか?

ついでに武装も確認…!?

 

 

ま、丸々ゴッソリ無くなってる…!ベレもナイフもマガジンも!後武偵手帳も!

蛇足だがあった財布はどうせ空なのでスルー。

 

 

 

バタンッ

 

!奥でドアの開閉音…!ヤバイ!か、隠れる所!…!?

急いで身を隠そうとしていたが、身体が上手く動かない。

ヤベ、毒か何か盛られたか!?

 

ドスドスという足音がドンドン近づいて来る。

 

俺、今度こそ終わったな……

 

せめて犯人の顔くらい見てやろうとドアを凝視する。

 

 

ガチャ

 

 

「は…?」

 

顔を見る前に服装で唖然とした。

 

何処となくメイド服に似た白黒の服。

手には箒。状態からして掃除には殆ど使用されて無い。

背負っている緑の風呂敷が何故かマッチしている。

 

そして―いかにも「魔女です」と言わんばかりの途中で折れた黒のトンガリ帽子。

 

「君、h

「あ〜〜〜!」

ッ!うるさッ!」

 

「まだ起きちゃダメなんだぜ!毒が抜けきって無いんだぜ!」

 

寄りかかってたソファーに張り倒すとそのまま手近な所にあったビーカー(中身は黄色の液体。匂いナシ)を突き出してくる。

 

「飲むんだぜ!」

 

「は!?」

 

今更顔が見えた。肩までの金髪。金色の瞳。

 

…正直、可愛い。格好もコスプレじみている。が、突き出してるのは得体の知れない謎液体だ。

 

「中身は何だ?」

 

「解毒剤だぜ!」

 

「何でだ?」

 

「何でって、魔法の森はキノコの胞子の毒が漂ってて、耐性無い奴が吸うと―とにかく、飲むんだぜ!」

 

「…まずお前が飲んでみせろ」

 

「疑り深いんだぜ」

 

少女は一口飲んでみせる。

…問題無いみたいだな。

一応警戒しながら、一口口に含む。

どれどれお味は―

 

…ニガッ!

 

 

 

 

「♪〜♪〜」

 

俺が苦い薬をチビチビ飲んでる間、少女は風呂敷の中身を弄、く―

 

「ッて、それ俺のナイフ!」

 

「借りるぜ。死ぬまでな」

 

「人はそれを盗むと言うんだ!返せッ!」

 

ああッ!ベレや手帳まである!

 

「そういやキンジ。このナイフ刃が無いんだぜ」

 

「何で名前、手帳か…。バタフライナイフだからだ。それでよくナイフだと分かったな」

 

「ん?香霖に聞いてきたからな」

 

「?」

 

「あー、やっぱり外来人か」

 

「??」

 

「えっとだな―」

 

 

 

〜魔法使い説明中〜

 

 

 

「―こんなもんかな」

 

「…人外魔境とか、マジかよ」

 

「大マジなんだぜ」

 

信じられん。 空想上でしか存在しない筈の生物が、そこらじゅうに溢れかえっている世界だなんて……

 

 

まあ、どちらにせよまずは、

 

「…取り敢えずだな」

 

「?」

 

 

「―ヒトのモン返せッ!」

 

「借りるだけって言ってるんだぜー!」

 

 

 

〜武偵魔法使いドタバタ中〜

 

 

 

10分後〜

 

「ぜえ、ぜえ、やっと取り返せた!」

 

「あ〜、私の『べれったえむきゅーにーえふえす』と『さぶまがじん』とバタフライナイフが〜」

 

「私のって、お前な…」

 

「う〜。せめて使い方位教えるんだぜ!」

 

「駄目に決まって…」

 

あれ、そういえば俺―

 

 

 

 

 

 

 

なんでヒスって無いんだ?

 

 

あれだけこのモノクロ魔法少女(魔理沙とは呼んでやらん)と取っ組み合ったのに。

 

それに話していて、いつもなら女と同じ空間にいるだけで感じる緊張が無い。

 

 

「…まあそれくらいなら」

 

試しにナイフを開いて見せる。

 

「…魔法か?早くて見えなかったんだぜ」

 

「…」

 

今度はゆっくりとやる。

 

「おお!柄に入ってるんだぜ!」

 

「後他は…ベレか」

 

「何に使うんだぜ、その『べれったえむきゅーにーえふえす』は?」

 

「『ベレッタM92FS』な。早い話飛び道具だ」

 

「へー!弾幕ごっこには使えるのか?」

 

「?」

 

「あそっか外来人だったぜ。えっと―」

 

 

 

〜魔法使い追加説明中〜

 

 

 

「結論、無理だな。9ミリパラじゃ殺傷能力が高すぎる」

 

そもそも、広範囲に高密度な弾幕を放つとか、拳銃じゃまず無理だろ。

それこそマシンガンクラスの重火器が必要だ。

 

「ちぇー。練習相手にしようと思ってたのに。なーなーやってみよーぜー、弾幕ごっこ」

 

「やる意味が無いし、そもそも弾幕を出せない」

 

「弾幕なら出せるようになるんだぜ!」

 

「どうやって?」

 

 

 

 

 

「魔法使いになるんだぜ!」

 

 

 

「断る」

 

「即答なんだぜ!?」

 

……魔法使いって、なろうと思ってなれるのかよ? ドラクエの職業か? 幻想郷にもダーマはあったのか。

 

「仮に、仮にだ。弾幕ごっこが出来るようになって何が変わる?さっきの話じゃ人里から出ない限りは安全らしいが」

 

「そりゃもちろん、面白いからだぜだぜ!」

 

「…はぁ?」

 

「あと異変解決だな。異変っていうのは―」

 

 

 

―緊張しない理由が少し分かった、気がする。

コイツは昔の俺に、少し、似ている。

異変解決なんて正義の味方みたいなモンを目指して、自分を、強くしたいと思ってる。

それは悪いことじゃない。

 

だけど―

 

 

 

「…おい、お前。家族は生きてるか?」

 

「お前じゃなくて、私は霧雨魔理沙なんだぜ!…家族?生きてるぜ?勘当されたけどな」

 

「何やったんだよ。―さっきお前、殺傷能力の無い弾幕でも当たりどころによっては死ぬって言ってたよな」

 

「言ったんだぜ」

 

 

「…これは俺の知り合いの話だけどな、先祖代々正義の味方なんてやってるちょっとかわった家の出の兄弟がいたんだよ―」

 

細かい所やHSSみたいなヤバイ部分は省力して俺の経験を話してやる。

 

 

正義の味方なんて、割に合わない。

 

利用されるだけ利用されて、ミスったら叩かれる。

 

生きてる内に退屈でも、長生き出来るようにした方がいい。

 

 

 

「…」

 

「―俺から言えるのはこれで全部だ。あとは好きにしr

「分からないんだぜ」

…!?」

 

急に手をつかまれ、うぉ!?

 

箒にまたがった!?

 

「しっかりつかまってるんだぜ!!」

 

「どこに!?」

 

「知らないんだぜ!!」

 

 

え、マジで浮いー

ギヤァァァァア!?!?

 

 

「文字通り飛ばすんだぜ!!」

 

ちょッ!? ここ屋内!?

ゑ、待っ―

 

―doooooor!?!?

 




と、いうわけで、自機二名がそろいました。

…あ、そういえばいい忘れてた。
この二次小説は、基本的に三話構成で時期が一気に変わります。
どういう意味かって?

――それは進んでのお楽しみ…

(かっこつけてるけど、そのまんまの意味です。)


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3話 弾幕ごっこ

 

―博麗神社

 

side士道

 

 

ヒュンヒュンッ!

 

 

頭上から大小様々な、紅白の弾幕が降り注ぐ。

 

そのまま真っ直ぐ飛ぶものもあれば、途中で爆散・拡散するもの、

スピードは遅いがゆっくりと追尾してくるものもある。

 

それらを全力で走って、時に転びながらも躱し、時々こっちも火の子レベルの弾幕を放つ。

 

……即弾幕の海に沈むが。

 

 

「ほら士道! 全然こっちに届かないわよ!」

 

「も、もうちょっと手加減してくれ! 避けるので精一杯だ! そもそもオレ飛べないのに!」

 

「なら飛びなさい!」

 

「んな無茶な―」

 

とうとう避けきれずに、追尾弾が不可避の距離に迫り来る。

咄嗟に弾幕を放つも―

 

 

速攻で掻き消えた。 うん分かってた。

 

 

 

ピチューン

 

 

 

 

「は〜。情けないわねぇ」

 

「な、んで、こんな、目、に」

 

……今日これだけで、もう何回弾幕にぶっ飛ばされたんだよ。

 

「そりゃ私がアンタをこき使う為よ」

 

……もう賽銭箱にはビタ一文入れん」

 

「夢想封印いっとく?」

 

「ヤメテクダサイシンデシマイマス」

 

神も仏もないのであった。

つーか通常弾幕ですら避けきれない奴にスペカとか、殺す気しか感じられないんだが。

 

 

 

 

 

「―おーい!どいてくれー!」

 

ん……何処からか声が、

でも見渡す限りだれも―

 

 

ドゴォっ!!

 

 

「ドムっ!?」

 

「イテっ!」

 

「」

 

ピチューン×3

 

 

 

 

 

 

 

ひ、酷い目にあった。

 

……まぁ、この魔女っぽい奴が連れてきた奴の方が死にそうになってるけど。

 

「…で、魔理沙。半死半生のやつなんか連れてきてどうしたのよ?」

 

「弾幕ごっこをやるんだぜ!」

 

「…そいつ、とても弾幕撃てるようには見えないんだけど」

 

というか今この瞬間にポックリ逝ってもおかしくなさそうだが。

 

「さっきの青髪はどうなんだぜ?」

 

「スペカはまだ、飛ぶのもまだだけど、弾幕そのものは撃てるわよ」

 

……誰か心配してやれよ。 口から人魂っぽいのが出てるんだが。

あとマリサとやら。 オレを巻き込むな。

 

 

 

取り敢えず、人魂っぽい何かはさっき投げつけられたお札で押し込んで、ついでに斜め45度に軽く手刀を叩き込む。

ゲフッ!? て聞こえたが気にしない。

 

「おーい、大丈夫かー?」

 

「……なんとかな。酷い目にあった。

……? なんか頭が痛むんだが知らないか?」

 

「知らん」

 

って、復活早いな。 見た感じオレと同じ高校生っぽいのに。

……どこの制服だろ?

 

「…そっちこそ大丈夫か? なんか全身ボロボロだが?」

 

「ハハハ、まぁ色々あってな。

弾幕とか弾幕とか弾幕とか……」

 

「…よく分からんが同情するよ」

 

「……ありがとな」

 

こいつもマリサに弾幕でぶっ飛ばされたのか?

遠い目をしてるんだが……ま、下手に触らないほうがいいだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

sideキンジ

 

「―ホイ終わった」

 

「サンキュー。ったく、封魔針はねぇっての」

 

「あれもう完全な凶器だろ。なんであんなデカい針があんだよ」

 

「さぁ?」

 

武偵手帳に挟んである応急セットで簡単な治療を済ませる。

 

さっきまでそこの巫女に弾幕でフルボッコにされてたらしい青髪の愚痴を聞くと、弾幕と一口に言っても光弾やレーザーは勿論、針やお札といった飛び道具(?)、果ては体術や剣術まで有りとのこと。

 

実際に刺さったらしい、レイピア並にデカイ針を見せられた時にはビックリしたが……

あのサイズの針を正確に、連続で投げられるなら銃いらないな。

 

「…今更だけど、随分治療に手馴れてるな」

 

「まあ武偵だし、それくらいの傷は日常茶飯事なんだよ」

 

「ぶてい?

……なあ、空間震って聞いたことあるか?」

 

「…いや、ないな。なんだそれ?」

 

「…もう一つ聞いていいか?幻想郷に来た時の季節は何だった?」

 

「…ズレてるのか。俺は夏だった」

 

「みたいだ。コッチは春だった」

 

妙に肌寒いと思ったらそういう事か。

 

 

「やっぱり外の世界でも異常が…?」

 

「うお、霊夢!?急に来るな心臓に悪い」

 

100%余すことなく同意する。

そもそも脇丸出しで動き回るんじゃねえ!?

 

「アンタが勝手にビックリしたんでしょ。…それより情報整理よ。私のカンが正しければ、かなり面倒なことになったわ」

 

「面倒なこと?」

 

「その前にアンタ達、自己紹介は済んだの?」

 

……あ。

 

「…五河士道、高校生だ」

 

「俺は遠山キンジだ。同じく高校生」

 

「遠山?珍しいな。確か同じ姓の人が良く時代劇に出てたような…」

 

「よく知ってるな。遠山金四郎だろ。…ウチの御先祖だよ」

 

「マジで!?スゲー」

 

「ハイハイ、盛り上がってないで」

 

 

 

〜精霊武偵説明中〜

 

 

 

「―銃が普通に出回ってる世界か。怖えー」

 

「空間の揺れ…炎の斧…ステルスの一種か…?」

 

ぶっちゃけSSR(超能力研究科)の連中の事をただのオカルト好きの集まりだと思っていたが………

……帰ったら白雪に聞いてみるか。確かアイツもSSRの高ランクだった筈だし。

 

 

「…どうやら、結界の外の世界もメチャクチャになりつつあるみたいね」

 

「うーん、難しいことは良く分からないんだぜ。それよりも弾幕勝負しようぜ霊夢!」

 

「アンタはそればっかり、ハイハイ分かったわよ」

 

「おし!それじゃキンジ!乗るんだぜ!」

 

「あれ、デジャビュ?し、士道!?助けてくれ!!」

 

「スペカは見る分には綺麗だからな。ガンバレ(ドンマイ)

 

「ウソだッ!ギヤァァ!?」

 

このッ、裏切りモンがぁぁぁあ!?!?

 

「ほらちゃんとつかまってないとまた気絶するぜ?」

 

「だから俺は女が苦手

「飛ばすぜ!!」

―もうどーとでもなれ!! 俺は知らないからな!!」

 

白黒に軽く抱きつく。恥ずいしヒスる!

どうかヒスりませんようにどうかヒスりませんようにどうかヒスりませんようnった舌噛ん、だ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その景色を言い表すなら、まさしく『幻想的』だった。

 

視界に入りきらない程の赤や黄の大小の光球やレーザー。

 

それぞれが、真っ直ぐ飛び、囲い、ホーミングしてくる。

 

一見絶対に当たりそうだが、その光の奔流の中を躱しながら駆け抜ける、おとぎ話のような格好をした、2人の少女。

 

 

「綺麗、だ」

 

「お、やっと笑ったんだぜ!」

 

「え―」

 

「キンジ、今までずっとどっか哀しそうな顔してたんだぜ」

 

「…」

 

思い出すのは、兄さんのこと―

 

 

「―なあ、キンジ。私には誰かを喪う哀しさなんて分からない」

 

「…」

 

「でもな、キンジ。きっとその死んだ兄貴も、キンジが笑ってるほうが幸せだと思うぜ?

私は難しいのは苦手だから上手く言えないけど、とにかく!今を思いっきり楽しもうぜ!

なんたって、―

 

 

 

 

 

ここは幻想郷だからな!」

 

 

 

…………………

 

「―魔理沙」

 

「なんだぜ?」

 

 

 

 

 

「―ドヤってるヒマあるなら前見ろ前!レーザー来てるって!!」

 

「へ―うお!?」

 

げぇ、アクロバットは止めてぇ…!

 

思わず思いっきり抱きついてしまう。

同時に思い出すのは、白黒の笑顔。

 

!?…なんでコイツで、ヤバい、素数―あ。

 

 

 

 

 

 

 

やっちまった、間に合わなかったか。 今回はやたら早かったな。

 

―ヒステリアモード。

 

 

 

 

 

 

 

『ヒステリア・サヴァン・シンドローム』

 

オレに―遠山家に呪いのように存在する能力。

 

性的興奮(・・・・)によって分泌される脳内物質が、過剰に放出され、ウンタラカンタラ(実は詳しいメカニズムは分かってない)で、一時的に超人になる体質。

 

これが原因でオレは中学で酷い目にあったし、親父も―

 

 

……今は考えないようにしよう。

それよりも、ヒステリアモードに気づかれないようにしないと―

 

 

ん…?

何だ、この線みたいなの?

魔理沙自身、箒、魔理沙の撃った弾幕から見える、光る線や点。

同じ光が、別の場所からも見える。

 

これは、もしかして―

 

 

「魔理沙」

 

「!?な、何だぜ!?雰囲気が変わったのぜ!?」

 

「箒の運転に集中して貰えるかな」

 

「え、でもそれじゃ勝てない―」

 

「大丈夫。俺を信じて」

 

コラヒス俺耳元で囁くな気持ち悪い!

 

「オッケーなんだぜ!でもどうするんだぜ?」

 

……この子は人を疑うってことを知らんのかな?

 

「―弾幕を撃つ」

 

「え、ちょ、銃は駄目なんだぜ!!」

 

「大丈夫だ。弾は入ってない。マガジンを入れてないし、チャンバーも空にしてあるからな」

 

「…『弾は』って、何入れてるんだぜ?」

 

「魔法の杖さ」

 

「?」

 

本来マガジンを入れるべき場所には今、『発光している』バタフライナイフが突っ込んである。

 

俺のカンが正しければ―

 

 

狙うは、前から飛んできたホーミング弾。

 

引き金を引く―

 

 

パシュっと、割と小さな発砲音と共に、銃弾サイズの光弾が発射される。

 

「ッしゃ!!」

 

「うお、マジで出たぜ!?」

 

これで迎撃―

 

 

バチンッ

 

 

「…嘘だろ」

 

「打ち消し切れて無いんだぜー!?」

 

……今起きた事をそのまま話すと、

光弾が相手の放った弾幕に当たった瞬間、弾け飛んだ。

 

その結果は当然、

 

 

ピチューン

 

 

 

 

 

 

 

「…なあ士道。弾幕ごっこって、気絶するためのもんなのか?」

 

「…否定しきれないな」

 

……そこは否定して欲しかった。

 

 

 

「それよりキンジ!さっきの何なんだぜ!」

 

「…やっぱ気になるか?」

 

「「「そりゃ勿論」よ」だぜ」

 

デスヨネー。

……どう言い訳しよう?

 

「あー、まあ、あれだ。二重人格みたいなもn

「嘘ね」

!? 根拠は?」

 

「カンと今の態度」

 

「あー、えーと…その」

 

「次嘘言ったら封魔針千本飲ますわよ」

 

……この脇巫女、SSRより尋問科(ダデュラ)向けだろ。 性格的に。

 

取り敢えず、

 

「…三十六計逃げるに如かず―!?」

 

「悪いな、キンジ。オレも命が惜しい」

 

「てめ、士道、離せ―分かった、話す!話せば分かる!話すから針とヤバそうな薬品しまえお前らぁぁぁぁぁあ!!?」

 

結局(自称)自白剤盛られた。

 

 

 

〜武偵自白中〜

 

 

 

「…これで、全部、です」

 

結局……全部喋っちまった………カン当たりすぎだろ……

 

 

まあ反応の方は当然、

 

「…うわぁ」

 

「変態」

 

「じゃあキンジさっきの酷いんだぜ!」

 

「…返す言葉もございません」

 

「それ魔理沙に向かって言ったら?」

 

「…」

 

……なんて言えば良いか分からん。

そもそもどのツラ下げてコイツに話しかければ―

 

「…キンジ」

 

「…

 

「…何で今まで黙ってたんだぜ?」

 

「…」

 

恥ずかしい、もあるけど、1番は―

 

「昔、コレでトラブルに巻き込まれたから、です」

 

中学の時―

何処からかヒステリアモードのことがバレ、女子どもに都合のいい『正義の味方』にされた。

 

あの時期は………本当に酷かった。

 

 

……今回も、そうなるのか?

いや、コイツらは『正義の味方』(そんな下らないモノ)が必要な程弱くない。

 

―なら拒絶か。 まあ、利用されるよりはマシか。

 

 

 

 

 

 

 

「…キンジ」

 

「ハイ」

 

 

 

―が、次に飛んできた言葉は、オレの予想の真逆を、遥か彼方までぶっちぎっていた。

 

 

 

 

 

「―なんでそんな『面白そう』な能力早く言わないんだぜ!?」

 

「…だよな。気持ち悪―

 

 

 

 

 

……え?」

 

 

 

「ヒステリア・サヴァン・シンドロームね。幻想郷風に言えば、『興奮することで数十倍強くなる程度の能力』かしら?」

 

……ど、どうなって、

 

「トリガーがアレな感じはするけど、普段よりも圧倒的に強くなるなんて、マンガとかのヒーローっぽくてカッコイイじゃねえか!」

 

!?!?!?

 

「キンジ!」

 

「は、ヒャい!?」

 

「魔法使いになれなんだぜ!」

 

「!?」

 

「さっきの弾幕!あれ魔力弾だぜ!キンジならなれるし、能力使わないなんて勿体無いんだぜ!」

 

襟を掴んでズルズルと……ッ!?

じょ、状況が全く把握できん!?

 

「へ、ちょ、引っ張るな!士道辺りをスカウトすればいいだろうがッ!」

 

「キンジじゃなきゃイヤなんだぜ!」

 

 

……サヨナラ平穏。

コンニチハ(非日常)

 

 

―これだけは言わせろ。

 

「どうしてこうなったああぁぁぁ…」

 

 

 

 

 

side士道

 

「…世の中広いんだな」

 

あんな変わった能力があるなんてな……

 

「なにお爺ちゃんみたいなこと言ってんのよ。アンタも早く飛べるようになりなさい。霊力量的には出来ない方がおかしいんだから」

 

「まだやるのか!?」

 

「勿論♪」

 

「ウソだドンドコドーン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その夜

―テラス

 

「―ねぇ、大丈夫なの?」

 

「どういう意味?」

 

夜闇に浮かぶ月を眺めながら、隣に座っている妹に声をかける。

 

「…もうすぐ異変を起こす話はしてあるでしょ」

 

「私は大丈夫だけど?」

 

「…そうじゃなくて、最近貴女の専属にした従者のことよ」

 

「ああ…この間咲夜が厳しいってちょっと疲れてたよ?」

 

「…そう」

 

指を鳴らす。

 

次の瞬間、まるで最初から居たように現れたメイドが、紅茶を継ぎ足す。

 

 

目の前の『妹』もマネして指を鳴らす。

 

若干の時間差で影から現れたのは、中性的な顔の少年。

 

 

改造させた、全身黒尽くめの執事服に、何よりも目立つのは、隠しきれていない、背負った2本の剣(・・・・)

 

「…えへへ」

 

「急にどうしたのよ?」

 

「ん〜、楽しみだなあって」

 

「…そうね」

 

空に浮かぶは、小さな三日月。

満月には、あと2週間程かかるだろう。

 

 

「…せっかくこんなに月も緋いのだから、楽しまないとね」

 




ヤバイ…紅魔館のEX感が…

・妹様開放済み。
・『二刀流の黒の剣士』、敵キャラ。

…アレ?クリアできるか、コレ?
難易度がルナティック(デスゲーム)固定になってる気が…


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紅魔郷の黒き剣士
4話 紅い霧


紅魔郷、スタート!

…士道、キンジ、ガンバ。うp主も戦闘描写、がんばるから…!


なお東方原作キャラ同士の戦闘はカット。


〜2週間後〜

 

―朝

―博麗神社

 

side士道

 

えーこちら、絶賛居候中の五河士道です。 本日もお日柄よく……

 

「ん〜美味し〜♪」

 

「なあ霊夢、言わなきゃならないことがあるんだが。外n」

 

「あー!あー!おかしいわねー!何にも聞こえないー!」

 

お日柄よく……

 

「…霊夢」

 

「…」

 

「もう食料のストックがそれでラストなんだが」

 

「う…!」

 

お日柄……

 

 

良くないんだよ!!

 

「それにこの天気じゃ洗濯物も乾かない」

 

チラッと見た外は、今日もまた『紅い霧』。

 

ここ数日連続で続いていて、洗濯物が溜まる一方だ。

部屋干しでもいいが……どうしても生乾きになっちまうからな。

 

「く…!アンタが行けばいいじゃない!」

 

「行ってもうボコられてきたっての」

 

「⑨に負けて恥ずかしくないの!?」

 

「真っ直ぐしか飛べないスペカ3枚じゃ限度があるわ!」

 

て言うか何が(バカ)だから楽勝だ!! しばらくの間空飛ぶ氷がトラウマになったよ!! 普通の氷は空飛ばないけどな!

 

「ったく。

…魔理沙とキンジは?」

 

「…そもそも生きてるのか?魔法の森から何回か断末魔の悲鳴が聞こえてたけど?」

 

明らかに聞き覚えのある声のな。

 

……複数回聞こえたからあんまり心配はしてないけど。

 

 

「それは大丈夫みたいね」

 

? なんで部屋の隅に動い―

 

 

 

ドグシャァっっ!!

 

 

「は―ザグっ!?」

 

「イテっ!」

 

「デジャビュッ!?」

 

ピチューン×3

 

 

 

 

 

……グォォォ………ふ、襖がぁ………

 

「霊夢ー!異変なんだぜー!」

 

「面倒臭いからアンタたちでやりなさいよ」

 

イヤツッコむ所そこじゃないだろ。

 

「へへーん?じゃあ謝礼とか全部私が独り占めなんだぜ!」

 

「そんな大口叩いといて、アテはあるのかしら?」

 

「キンジ」

 

「イテテ…霧はザックリ言えば水滴の集合体だからな。どこか湖みたいな所は?」

 

アイツも全身生傷だらけ……苦労してんな……

 

―ん? 湖?

 

 

「人外が外の常識に当てはまるワケが―」

 

「そういえば、霧の湖の湖畔に見慣れない真っ赤な洋館があったけど」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

数瞬の沈黙、の、後。

 

「出発なんだぜ!」

 

「「おおー」」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさーい!!」

 

 

 

〜巫女魔法使い精霊武偵祈祷中〜

 

 

 

―神社近辺 森

 

…今、空を飛んで移動してるわけだが……

 

やっぱ慣れない……ハンドルの固定された自転車に乗ってるような感覚だな。

 

 

「うーん」

 

「?どうしたキンジ?」

 

「いや、俺も少しは飛ぶ練習でもしようかなと。1人で飛べれば巻き添え喰らわないし。帰れるのもまだ先みたいだからな」

 

「巻き添えってなんなんだぜ!」

 

「自覚しろよノンブレーキ魔法使い」

 

「自覚はあるんだぜ」

 

「ねぇ、あ「なら着地のたびにピチュるのをどうにかしろ」‥」

 

「ねぇ、あ「だが断る、なんだぜ!」‥」

 

「ねぇ、ちょ「ダニィ!?」‥」

 

「ねぇ、お願「ハイハイじゃれ合ってないの。遠足じゃないんだから」‥」

 

…さっきから何か言おうとして、全部台詞を被せられてる人がいるんですけど……

 

「…えっと、君、大丈夫?」

 

「…うわーん!!」

 

「うわ、ルーミア!?」

 

「全然気がつかなかったんだぜ!?」

 

「…俺はあえてスルーしてるのかと」

 

「鬼だ。お前ら鬼だ。―ほら、もう大丈夫。ちゃんと聞いてくれるから」

 

「…言う内容の予想はつくけどね」

 

コラ霊夢、そんな呆れた顔をするでな―

 

「エグっ、あなた達は、食べられる人類…?ルーミアお腹空いたのだー。エグっ」

 

…ゑ?

 

「ほらやっぱり」

 

「あー、なる」

 

「あまりにも自然体だったから気にも留めなかったけど、そういえば飛んでるな。妖怪か」

 

……そういえばそうだった。 こんな天気でのうのうと空を飛んでるんだから、妖怪か妖精だよな。

 

「…食べても、いいのかー?」ジー

 

「いやダメだろ」

 

「お腹空いたのだー」ジー

 

「う…」

 

そ、そんな泣きそうな眼で見られても……

 

「―じゃあこうしましょう。弾幕勝負で誰かが戦って、アンタが勝ったらその相手を食べていいわよ」

 

「分かったのだー」

 

「じゃ、士道。ゴー!」

 

「ゴー!じゃねえよ!殺す気か!?」

 

「殺るのかー!」キラキラ

 

ルーミア漢字が違うからそれ!?!?

 

 

(おい魔理沙。あれ大丈夫なのか?)コソコソ

 

(ヤバくなったらさすがに霊夢が助けるんだぜ。事実コッソリスペカ持ってるんだぜ)ヒソヒソ

 

(ならいいか)ボソボソ

 

「じゃあ先に行ってるんだぜ」

 

「士道。骨は拾ってやる」

 

「キンジィィ!?化けて出てやるからなぁぁあっ!?」

 

アレか!? 前に霊夢の弾幕に突っ込ませた仕返しか!?!?

 

 

 

〜精霊祈祷中〜

 

 

 

「ご飯の時間なのかー

月符『ムーンライトレイ』!」

 

「チクショウ、もうヤケだ!

炎符『灼爛殲鬼(カマエル)』!!」

 

ヒュンヒュンヒュンヒュン!

 

互いの宣言直後、発生した弾幕を炎で出来た戦斧で迎撃していく。

 

移動があまり―というか全然出来ない以上、短期戦に持ち込むしか―

 

「―っうおおぉぉおおぉぉぉおお!!」

 

戦斧をフルパワーで振り回し、噴き出た炎の斬撃で、弾幕に消し飛ばす。

 

そして―

 

 

 

「よし、1枚クリア!」

 

「うー、まだご飯にありつけないのかー?

夜符―」

 

「させるか!

熱符『(メギド)』!」

 

戦斧の棍の部分が変形、腕に装着され、その砲門から極太の熱戦が放たれる!

 

バシューッ

 

「!?能力を―なのかー!?」

 

ピチューン

 

 

 

「は〜…怖かった…」

 

「お疲れ♪」

 

「お疲れって、お前な」

 

マジで死ぬかと思ったんだが……

 

「ううぅ、食べ損ねたのかー…」ショボーン

 

……完全に項垂れるルーミア。

 

心なしか、こっちにまで空腹感が漂ってくる。

 

「…あー、ルーミア?」

 

「なんなのかー…」

 

「えーと…異変解決出来たら何か食わせてやるから、それまで待てるか?」

 

「…!わかったのだー!」

 

「よしよし。またな」

 

「またなのかー」

 

ルーミアがフヨフヨと飛んでいく。

 

約束した以上、キッチリ異変解決して、ちゃんとした料理を作らないとな。

 

「…」

 

「…何だよ霊夢」

 

「ロリコン」

 

「!? そ、それより置いてかれちまったんだから早く行こうぜ!」

 

誰がロリコンだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

―霧の湖

 

sideキンジ

 

哀れ幼女に喰われることとなった(ウソ)士道を置いて、その紅い屋敷があるっていう湖にたどり着いたんだが―

 

「ココが霧の湖なんだぜ!」

 

「…なんか、やけに冷えないか?結構寒いんだが」

 

って、吐息が白い………最低でも10度は下回ってやがる。

 

「それはd

「氷符『アイシクルフォール』!」

…説明する前に来たんだぜ!!掴まれ!!」

 

「うおっ!?」

 

突然、大量のツララが降ってくる。

その向こう側には―

 

「あたしのなわばりにはいってくるなー!」

 

「やっぱりチルノなんだぜ!」

 

菱形の、透明な羽が生えた幼女がいた。

 

……幻想郷のメンバーの外見年齢ってどうなってるんだ? =実年齢じゃないのは聞いてるが。

 

 

―って、

 

 

「ちょっと待てツララァ!?危ねえだろ!?」

 

「いいのよ!なぜならあたいはさいきょーだからよ!」

 

「…えっと」

 

「見ての通りの⑨なんだぜ」

 

「…ウチの高校も駄目人間量産場だけど、それ以上だな」

 

「なによー!あたいったらてんさいなのよ!」

 

彼奴ら揃いも揃って脳筋だからな……

 

特に強襲科(アサルト)とか蘭豹が担当してる学科とか死ね死ね団とか。

 

…うん、オレが元いた場所も大概トチ狂ってるな。

 

 

「じゃあ問題。1+1は?」

 

「じゅーいちよ!」

 

「…じゃあ18.5×6×3の二乗は?」

 

「⑨⑨⑨よ!」

 

「普通逆だろ!?」

 

「気にしたら負けだぜ。さっさと片付けてくるから、キンジはそこで待ってるんだぜ!」

 

言うと同時に、振り落と―

 

「グホォッ!? お、おい!

…行っちまったよ」

 

 

〜武偵観戦中〜

 

 

「終わったんだぜ!」

 

「ミルキーウェイ1発かよ。容赦ねぇなーうおッ!?」

 

目の前に突き出されたのは、炎の砲門。

 

こんな物騒なモンを持ってる奴に心当たりは、1人しかいない。

 

「…よ、よお士道。ぶ、無事だったか」

 

「キンジ」

 

「?」

 

「次はお前がやれ」

 

「…チルノー居るかー?」

 

………しーん、と。

 

「さて、行こうか」

 

「」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―????

 

side紫

 

「始まった、か」

 

「…」

 

幻想郷に存在して、

だが同時に幻想郷に存在しない場所―

 

そこを根城にする、私の古い友人―と言うには、互いの事を知り過ぎている少女の、昔と変わらない、ポツリと呟く悪癖。

 

「ん?どった?」

 

「…顔に出てたかしら?」

 

「読心術。その程度の思考なら大声で喋っているかのよーによく分かるよ」

 

「…貴女ならやりかねないわね」

 

「嘘です。読心などしたこともないしやり方も知らん」

 

……この冗談を言う癖も。

 

「…何の役に立つか分からない能力を集めるのが趣味だったと記憶しているけど?」

 

「それを言っちゃぁお終いだよ。感情が読み取れるのは事実だけどね」

 

「知ってるわよ。貴女と何年付き合ったと思って?」

 

「それもそうか」

 

 

 

 

 

「…ところで、幻想郷の結界の異常は?」

 

「私がやった―いや、やっていることだけど?」

 

―本来なら、止めるべきなのだろう。

妖怪の賢者として、幻想郷の創始者として、幻想郷を愛する1人の妖怪として。

 

そして、目の前の存在は、私が本気で懇願すれば、アッサリと幻想郷から手を引き、背後にいる存在を意地でも止めるだろう。

 

「…」

 

「なに、適当なタイミングで戻しておくよ」

 

―だからこそ、止めない。

 

この人を、危険に晒したくないから。

 

 

 

この人(・・・)は、幻想郷を滅ぼすような人物ではない()だから。

 

 

 

 

 

「さあ、4人の英雄達(精霊、哿、剣士、幻想殺し)?この私をどうやって止める?」

 

 

 

 

 

……ならば一体、何なのだろう?

 

 

 

この漠然とした不安は―

 




なんかラスト、明らかにヤバイやつが…
でもうp主こんなの書いたっけ…

…ラリッてると思われるのもヤダし、消去消ky――


え、ちょ、ナニアレ!?
よく見ればタグにも打ち込んだ覚えの無い字が!
これは――そんなまさか!だって『アレ』はフィクショ――

あぁ! 窓に!窓に!



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5話 異界の剣士

―紅魔館 門

 

sideキンジ

 

「さて、到着したわけだけど―」

 

……なんというか。

 

「赤いわね」

 

「目に悪そうなんだぜ」

 

……ここまで真っ赤だと、一周回って芸術に見えるな。

 

「ちょっとくらい血が垂れてても気付かなそう―ん?」

 

 

同じく真っ赤な門の脇には、緑色のチャイナ服を着た女性が―

 

「Zzzー…」

 

「…門番か?」

 

「門の前で居眠りする門番って。まあ余計に戦わずに済んだからいいだろ。なあ魔理沙」

 

「…」

 

「…」

 

?なんで門番と下を交互に見てるんだ?

 

……イヤな予感がするな。

 

 

具体的に言うと、今のこいつら、目が逝ってる時の白雪と似た気配がするんですけど?

 

 

 

「なんで目が座ってるんだよ。ほら行くぞ」

 

「キンジ」

 

「な、なんだよ?」

 

 

 

「「アイツに鉛玉ぶち込んできなさい(くるんだぜ)!!」」

 

ゲシッ

 

イヤな予感、的中!

全く嬉しくねぇ!!

 

て言うか他人を蹴るな!

 

 

「はっ!?な、何事ですか!?」

 

「あーあ、起きちゃった。それじゃキンジ、ガンバ」

 

「わーったよ! やりゃいいんだろ!」

 

 

〜武偵祈祷中〜

 

 

「中には1人も通しません!背水の陣の構えです!」

 

「…1人で陣なのか?」

 

「う…気にしたら負けです!

虹符『彩虹の風鈴』!」

 

「―ッ!」

 

迫り来る弾幕を、紙一重でかわしていく。

まあレヴァリエとかと比べればまだマシか。

 

 

 

 

 

? 不意に弾幕が途切れ―

 

「どうやら飛べないようですね!なら私の得意分野です!」

 

「なッ!?」

 

回し蹴り―あの構えは、カンフーか!?

大振りだから軌道は読めるが、―スピードとパワーがケタ違いだッ!

コイツも妖怪かよ!

 

「次は当てます!」

 

「危ないから当てんでいい!」

 

バスバスバスッ!

 

牽制にベレから弾幕を撃つ。

 

……スペカの弾幕の後だとショボく見えて虚しいのはナイショだ。

 

 

 

「!?銃火器!?でもなんで弾幕を―?!」

 

それぞれ距離を取る。

 

いくら軌道が読めても、スピードが問題だ。連打が来たら避けきれない。

 

不幸中の幸いなのは、向こうは『銃』がどんな物かを理解して、警戒してくれてるってことか。

 

 

考え込んでるのを隙と判断したのか、一気に距離を詰めてくる。

 

「はあぁあっ!!」

 

放たれるのは、左ストレート。

 

「この距離でもキリングレンジなのかよッ!?」

 

咄嗟に紙一重で躱す。が―

 

「もらいました!」

 

「ッ!しまっ―」

 

後ろ回し蹴り―ダメだ、避けきれない!

ガードは間にあっ―重ぉッ!?

 

派手にぶっ飛ばされて―

 

 

「…あ"っ!」

 

「グエッ!」

 

「うわっ!?」

 

グォォ………ん? 妙に柔らかいような…?

 

 

 

……ゲッ!?!? ま、魔理沙ぁ!?

 

!?ちょ、よ、よく見ると、ふ、ふふふふふ服がはだけて―

 

 

ドクン

 

 

それに、近いから果物みたいな香りが―

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

「う〜ん…キンジ? 大丈夫なんだぜ…?」

 

?! い、今そんな上目で見られたら―

 

 

 

 

 

ドクンッ!

 

 

 

 

 

「ん?

―キンジ、まさか!?」

 

「…心配を掛けさせたかな?

―大丈夫、ここからが反撃だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だったか、キン―

…うん、大丈夫そうでなにより。

…こりゃ勝ったな」

 

「氣の流れが、変わった…!?」

 

「待たせてしまったね。

さて、―続きを始めようか」

 

「…!?

―本気で行きます」

 

……!!向こうの気配も変わった!

 

来るかッ!

 

「―シッ!!」

 

門番の放った渾身の右ストレートは、左肩を捉え―

 

 

 

 

 

―思い出せ!前に父さんが1回だけ見せてくれた、あの技―!!

 

 

 

 

 

「―『絶牢』」

 

―右足での蹴りが、門番のこめかみを打った。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう―」

 

いやはや、土壇場で上手くいってヨカッタヨカッタ。

 

「…キンジ」

 

「なんだよ士道?」

 

そんな呆れかえった目で見て、どうした?

 

「今のなんだよ!?お前完全に殴られてたよな!?なんで門番が倒れてるんだよ!?」

 

「カウンター技だ。なんなら教えてやろうか? 本当は門外不出の技だけど、どうせ知ってる奴ロクにいないからすぐに幻想入りしてただろうし」

 

「多分分かんねぇし出来ねぇよ!」

 

「後でやりなさい。今は前に進むわよ」

 

「そうなんだぜ!折角キンジが絶好調なんだぜ!」

 

「「ハイハイ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―紅魔館 ホール

 

「建物の中に入った訳だけど―」

 

「分かれ道だな。どっちに行く?」

 

「私のカンじゃ、上ね」

 

カンて……アバウトな。

 

「私は下だと思うんだぜ」

 

「ならオレ、霊夢で上、キンジと魔理沙で下を調べて行こうぜ」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―紅魔館 廊下

 

side士道

 

「…それで、何時までついてくるつもりかしら?」

 

……何か急に喋り始めたんだが。

誰か近くにいるのか?

 

「―よく気が付きましたね」

 

フッ、と、まるで最初からいたようにメイド服の少女が現れた。

 

「……えっと、いつ気がついたんだ? オレは全く分かんなかったんだが」

 

「カンよ」

 

「便利な言葉だなオイ!そ、それより今の今までいなかったよな、このメイドさん!?」

 

「十六夜 咲夜と申します」

 

「よし士道、ゴー!」

 

「ゴー!じゃねーよ!しかもノータイムで言ってんじゃねぇ!? それよりさっきもこんなやり取り―」

 

ダンッ!

 

ヒッ、な、ナイフ…

 

「やるなら早めにお願いします。地下に向かった侵入者の相手もしなくてはならないので」

 

「あら、ここの警備は人手不足なのかしら?」

 

「いえ。地下に向かった侵入者の手当てをしなければならないからです」

 

「―なんですって?」

 

地下に向かった―キンジと魔理沙か!?

 

「私が話せる事は以上です。始めましょう」

 

「……士道はスペカを温存しておきなさい。私がやるわ」

 

…霊夢じゃないが―

 

 

嫌な予感がするな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―紅魔館 ヴワル図書館

 

霊夢たちと別れた後、階段で地下降りると、異様に広い空間に出た。

 

そして、梯子付きの棚の中身は、

 

パッと見ただけでも、ボロボロの古い本から割と最近、元の世界から幻想入りしてきたと思われる真新しい本が、ぎっちり詰まっていた。

 

「うわー…凄い量の魔導書なんだぜ…」

 

「これ全部がか?部屋の果てが見えないな」

 

「そーだなー」

 

……この反応は。

 

「…魔理沙。借りるならちゃんと図書館の人に言えよ。あとちゃんと返すんだぞ」

 

「分かってるんだぜ!ちゃんとかえすんだぜ!…死ぬまでには」ボソッ

 

やっぱり図星かい。

 

……幸い、丁度ヒスってるし、ここの構造覚えておくか。

何度か来ることになりそうだしな。

 

「―思いきり聞こえてるわよ、人間」

 

「ぜ!?」

 

「……雰囲気が人じゃないな。妖怪か?」

 

声の聞こえた方を見ると、ぱっと見病弱そうな少女がいた。

 

……誰かいるのは気がついていたけど、また女かい。

 

「妖怪じゃないわ。魔法使い、パチュリー・ノーレッジよ」

 

「…ん?」

 

「私達も魔法は使えるけどまだ人で、あっちは魔法で人間辞めた種族魔法使いなんだぜ」

 

つまり、人間でも妖怪でもなくて、魔法が使える人間辞め人間…?

 

「…こんがらがりそうだな。それでノーレッジさん、本を借りたいんだが」

 

「断るわ」

 

デスヨネー。

 

「なら弾幕ごっこでもぎ取るんだぜ!」

 

「…人が、種族差を超えて勝てると思っているの?」

 

「その為のスペカなんだぜ!」

 

「…分かったわ。相手をしてあげる」

 

「じゃっキンジ!ちょっと行って来るんだぜ!」

 

「ハイハイ」

 

―って、返事聞く前に行ったぞアイツ……

 

ん?

 

「そこに居るのは誰だ?」

 

「こあっ!?」

 

「…」

 

「こ、こあ〜」プルプル

 

……いかにもな翼の生えた女が、震えていた。

 

「…最近のコスプレは頭にまで翼を生やすのか?」

 

「こあ!?コスプレじゃありません!」

 

「そ、そうか」

 

こあ以外に喋れたのかコイツ。

 

「はっ!そうだ!私、侵入者を探さないといけないんだった!」

 

「…それって天然か?それとも本気で言ってるのか?」

 

「はい?とにかく行ってきます!」

 

「イッテラー……」

 

いろいろと大丈夫か、この洋館?残念な妖怪の溜まり場になってないか?

 

まあ、魔理沙の方もまだ時間かかりそうだし、そこらの本でも物色してるか。

 

 

 

〜武偵読書中〜

 

 

 

「彗星『ブレイジングスター』!!」

 

「むきゅ!?」

 

 

ピチューン

 

 

最後のむきゅってなんだよ!?

 

「さあこれで盗り放題なんだぜ」

 

「…もう何も言わん」

 

「そういうキンジは何読んでたんだぜ?」

 

「ああ、これか? ウチのクラスのSSRの連中がハイテンションで自慢してた本と同じタイトルだったからな。ちょっと興味が湧いた。まああっちが写本で、原本は行方不明だって―」

 

「ゲホッゲホッ―その『法の書』、本物よ」

 

「」

 

……幻想入りしてましたか。

 

じゃああいつらが原本を読む可能性は限りなくゼロだな。

 

「まあどっちにしろ借りて行くんだぜ!」

 

「…後でちゃんと返しなさい」

 

「やったんだぜ!」

 

……!

 

「―でもその前に」

 

「俺達に客―いや、俺達の方が客か?」

 

「? それってどういう―」

 

 

 

 

 

 

 

「貴方達が、お姉さまの言ってた魔法使いと探偵さん?」

 

「…若いな。こっちじゃ外見はアテにならないけどな」

 

気配を感じた方向から現れたのは、パチュリーより幼いように見える金髪の少女と、俺と同じ位の年の少年だった。

ただ、少女の背には、―異形の翼が生えていた。

 

 

「うお!? 誰なんだぜ!?」

 

「私はフラン。フランドール・スカーレット。吸血鬼だよ」

 

「…今度はヴァンパイアか。もう驚かねえぞ。それで、後ろの奴は?

―ッ!?」

 

……!!??

何だ……コイツは!?

 

 

「―キリト。剣士 キリトだ」

 

「…魔理沙。フランの相手を頼んでいいか?」

 

「どういう意味何だぜ?」

 

「奥にいる奴。アイツは多分、強い。もしかしたら、俺が負けるかもしれない」

 

「!?でもキンジ、前にヒステリアモードは―」

 

「あくまで対人では無敵同然ってだけだ…心配するな。勝てるさ」

 

魔理沙の背を軽く押して、吸血鬼に向かわせる。

 

「お話は終わった?」

 

「…ああ、付き合ってやるんだぜ!」

 

「アハ、アハハ、アハハハハ!!」

 

……あの吸血鬼もあり得ないレベルの威圧感なんですけど。

 

―まあ、目の前の自称剣士に比べれば、マシか。

 

「―さて、こっちも始めようか」

 

「―そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―紅魔館 屋上

 

side霊夢

 

廊下にいたメイドを速攻でピチュらせて、主がいるここの場所を吐かせて駆けつける。

 

カン頼りに進んでもよかったけど……

 

そのカンが、魔理沙たちの危機を警告してる。

 

私らしくない程急いで、出た先には―

 

「―アンタがメイドの言ってた『お嬢様』かしら?」

 

「…思ってたよりも早かったわね」

 

紅魔館の主である、吸血鬼がいた。

 

「さっさとケリをつけましょ―って言いたいところだけど、始める前に一つだけ教えなさい。

 

―ここの地下に居るのは何?」

 

「……魔法使いと使い魔、私の妹にその従者よ

…もっとも、その従者は貴女のところの武偵を上回る程の人外だけど、ね」

 

「―! 士道!」

 

「分かってる!霊夢、負けるなよ」

 

タッタッタッ……

 

 

念のため、士道を向かわせたし―

 

 

私も仕事するとしましょう。

 

 

「―今夜は、月が紅いわね」

 

「…確かにそうね」

 

 

 

「こんなに月も紅いから、」

「こんなに月も紅いのに、」

 

 

 

「―楽しい夜になりそうね」

 

「―長い夜になりそうね」

 



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6話 武偵vs剣士

推奨戦闘BGM 最終鬼畜妹フランドール・S


 

―紅魔館 ヴワル図書館

 

sideキンジ

 

「―『ソニックリープ』!』

 

ザシュッ

 

「―ガ、グゥ…!」

 

「どうする魔法使い?まだやるか?」

 

な、何も見えなかった……!

 

斬られたのは分かるが、軌道が―

 

「へ、まだまだ…」

 

「そうか―」

 

「―ッ!」

 

殺気!!

 

 

 

バババババッ

 

拳銃から弾幕を放つ、が―

 

 

 

ギャリギャリギャリギャリギャリッ!

 

 

「……銃弾切りなんてフィクションの中だけにしてくれ。

いや、弾幕切りか?どっちにしろ、夢に出てきそうだ。悪い意味でな」

 

「弾幕は目で追いやすいからな。慣れれば避けるより簡単さ」

 

「は、無茶をいいやが、るッ!!」

 

銃が効かない以上、近接戦で、あの剣を奪う―!

 

早技で展開したナイフを、腕狙いで振り―

 

「『ホリゾンタル』!」

 

!? 剣が、青の光に包まれ―

 

 

ガキンッ

 

 

「―は??」

 

ナイフの刃が、切断されてる―ッ!?

 

「投符『バレットシュート』!」

 

「うおッ!?」

 

ぴ、ピック!?

なんでどいつもこいつも尖りモンを投げたがるんだよ!?

 

バババババッ

 

弾幕と弾幕が打ち消し合う。が、弾幕の数や密度に差があり過ぎる!

 

ガチンッ!

 

スライドストップ―弾切れかよ!

 

「ゼェ、ハァ、1枚、ブレイク…!」

 

幸い、丁度向こうのスペカも終わったらしいが―

不味い、弾がもう無い…!

 

ここから逆転するには―

井筒取りで剣を奪うか、一か八かの秋水で一撃で決めるか―

 

まずはラッシュの途中で井筒取りを決める!

 

「ッラア!」

 

ジャブ、ストレート、アッパー、サマーソルトの連撃。

 

ヒステリアモードで加速してるんだ、ダメージは通るはず―

 

 

「フッ―!!」

 

ギィィィンッッ!

 

 

 

なん……だと……

 

全部に剣で受け止めて、流しただと…ッ!?

 

ウソだろ、ヒステリアモードのスピードに、反応出来てるのか!?

コイツも妖怪なのかよ!?

 

「テメェ、このバケモンが…ッ!」

 

「お前もそうだろうが…!」

 

もう出し惜しみは出来ない。あの自損技なら―

 

 

 

「…悪いな。

ここから本気でいくぞ!!」

 

―っシャンッ!

 

 

 

……は?

 

「―!?!? オイオイマジかよッ!!」

 

あの反応速度で―

 

 

 

 

 

二刀流(・・・)だと!?!?

 

 

「『ジ・イクシリプス』!!」

 

「ッ!? しまっ―」

 

スーパースローの視界の中で振られる、赤い27連撃。

 

マトモに食らった―ヤベ、何か果物の匂い付きで花畑が―

 

 

 

……果物の匂い(・・・・)

 

 

 

 

 

 

「キンジ!10条なんだぜ!!」

 

視界に写ったのは、フランとの戦闘を終わらせたらしい魔理沙。

 

……って、10条…おいいつ覚えたんだよ?

 

 

「? 10条?」

 

「『諦めるな。武偵は決して、諦めるな』。

 

 

 

―まだ終わってねぇよ、二刀流!」

 

 

吹っ飛ばされた距離を詰めるのを最大加速で、爪先で、膝で、腰と背で、肩と肘で、手首で生み出すスピードを被せる!

アレに届くなら―

ヒステリアモードですら反応出来ない速度を出せるなら関節や骨がどうなったっていい!

 

瞬間最高速度1236kmの、超音速の一撃なら―

 

 

 

「この遠山桜、散らせるものなら―

 

―散らせてみやがれッ!!

『桜花』!!!」

 

 

パァァァァアンッ!!

 

 

今度は―ガードが、間に合って無い!

 

「ガァっ!!?」

 

 

ドゴォッ!!

 

「勝った、か…?ハハハ…」

 

ヤベェ、今度こそ意識が―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………おーイテテテテ……あれだけぶった斬られて、よくアザで済んだな。 流石防弾制服。

……でなけりゃ強襲科(アサルト)の死亡率は跳ね上がってるか。

 

………ん?

 

「ゼェ、ヒィ、悪い、途中小悪魔とかいう奴に邪魔されて―おいキンジ!?大丈夫か!?」

 

「士道遅いんだぜ!もう全部終わったんだぜ!」

 

「うぇ!?キンジ以上の人外の従者って奴は!?」

 

「キンジが勝った!」

 

「違うよ!キリトが勝ったよ!」

 

「先に倒れたのはそっちの黒いのだったぜ!」

 

「倒れたのは同時だったよ!先に起きたのはキリトだよ!」

 

 

〜魔法使い妹喧嘩中〜

 

 

騒がしくなった二人を避けて、遅れて来た奴が近づいて来る。

 

「…事実、どうなんだ?キンジ」

 

「……負けだ。喰らってるダメージはこっちの方が重いからな」

 

「…悪かったな。思いっきり切っちまって」

 

「気にすんな、いつもの事だ。アザにしかなってないしな。

それより、キリト、だっけか?」

 

「桐ヶ谷 和人だ。キリトって呼ばれてるけどな」

 

「じゃキリトでいいや。お前何者だよ。あの反応速度は異常だぞ」

 

ついでにあの殺気も。 今は完全に霧散してるが、2、3人バラした(殺した)ことがあるって聞いても驚かないぞ。

 

「―剣士兼執事だよ。 ……これでも人間だ。

そういうお前もラストのワンパン。衝撃波が出てなかったか?そっちこそ何者だよ?」

 

「そうだな…

―ただの落ちこぼれ武偵だよ。ちょっと不思議な力はあるけどな」

 

こっちに高校はないから、イマイチパッとしないな。

 

 

 

 

 

「―全員そろってるわねっ!!」

 

「だから急に現れるな叫ぶな心臓と耳に悪い! ていうかどっから現れた!?」

 

士道に賛成。 ドアの開閉音しなかったけど!?

 

「士道はツッコミ入れるくらいなら飛べるようになりなさい! それよりも! 異変が解決したら、まずすることがあるわ!」

 

「「怪我の手当てか?」」

 

「何で弾幕ごっこでそんな全身ボロボロになるのよ!?」

 

あー……

スペカルールが頭から吹っ飛んで、気がついたらお互いガチになってましたとは言えんな。

 

「建物の修繕ですか?」

 

「だから急に―もういいや疲れた」

 

「そっちでやりなさいよ」

 

(((鬼だ。鬼巫女だ。))クラインに見せたらバグるな)

 

「じゃあなにをするんだよ?」

 

士道の問いへの応えは、満面の笑みでの―

 

 

「勿論―宴会よ!!」

 




黒の剣士vs哿…そりゃバケモン同士の戦いにもなるなぁ…
え?前々回のあとがきの後どうしたかって?

そのことですが、次のあとがき(もしかしたら時々まえがきも)からキャラが一人増えることになりました。
なんでも、ゆっくり傍観できる場所が欲し――ゲフンゲフン。

というわけで、『東方英雄伝』をこれからもよろしくお願いします。


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スカーレットアート・オンライン
7話 スカーレットアート・オンライン


キリト、幻想入り(過去)編、スタート!
やっぱり黒の剣士には紅魔館がよく似合う(笑)。


―1ヶ月前

―森

 

……土の、匂い?

 

オレは確か、ヒースクリフと相打ちになって、アインクラッドの崩壊を見て、その後―

 

「……何処なんだ、ここは…SAOの中なのか?」

 

気がついたら、森の中で倒れていた。

 

右手の指を揃えて振る―が。

 

「ウィンドウは…出ないな。なら現実世界…いや、それだと装備がある理由が………

―!?」

 

 

殺気を感じ、咄嗟に跳躍したその場所には、

 

―次の瞬間、巨大な顎が突き刺さっていた。

 

「YOoooooォン!!」

 

「へ、ヘビ…か…?

デカっ!4、5メートルはあるだろ!」

 

「Ooooo!!」

 

「チッ!!」

 

素早く剣を抜き、突っ込んでくる大蛇にカウンターで斬りかかる。

 

刹那―

 

 

大蛇の身体から血飛沫(・・・)が散った。

 

「え―?」

 

「っっYOooooN!!」

 

ドォンっ!

 

「グアッ!?」

 

体当たりをモロに―いや、それよりなんでゲームで血が出る!?

 

 

様子をうかがっているらしい大蛇。

 

あまりにも自然な土や鉄の匂い。

 

体当たりされた所の痛み。

 

 

 

 

 

……現実―なのか―?

 

 

手が、全身が震えだす。

 

隙だと感じたらしい大蛇の噛みつきを、紙一重で躱す。

 

 

落ち着け!SAOでもHPがゼロになれば死ぬ!現実でも同じだ!それに、どうしてかは分からないけど、ステータスや装備は75層の時と同じ!

 

 

大蛇の様子を伺うと、周りをグルグルと回っていた。

 

「来ないなら―こっちから!!」

 

剣を光らせながら突っ込む。

 

「『バーチカルアーク』!!」

 

「OooooooooNN!!?」

 

V字の斬撃が、頭を切り裂く。

 

怯んだ―頭が弱点か!

 

「YOooooooooNNN!!!」

 

 

怒り狂ったらしい大蛇が、渾身の飛びかかりを放った。

 

「なっ!?浮いた!?」

 

 

―それは、文字通りの『飛びかかり』だった。大蛇の巨体が一瞬とはいえ、宙に浮いたのだ。

 

その予想していなかった現象に、オレは驚いてしまった。

 

咄嗟に受け止めるが―

 

「うっ―!!重い!!」

 

そして、不幸は重なる。

 

 

その攻撃が、大蛇の全体重をかけた攻撃だったことと―

 

 

この世界は、ゲームではなく、現実だったこと。

 

 

「!? グリップが―」

 

血で足まわりが、滑る!?

パリイ、仕切れない―

 

 

バキィッ!

 

「ガッ!!」

 

また吹き飛ばされた。

しかも、

 

 

剣が無い!?手放しちまったのか!?

 

慌てて左右を見ると、走れば直ぐに届く距離に転がっていた。

 

 

 

―しかし、

剣との間に、太く、長い尾が横たわる。

 

 

見上げれば―

 

 

 

「う…そ…だろ…?」

 

「―YOooN」

 

大蛇が鎌首を上げ、噛みつくところだった。

 

 

「ガッアァァァァアッ!?!?」

 

痛い―クソッ!

 

 

噛みついた大蛇は、周りをグルグルと回っている。しかも知能があるのか、剣を取りに行こうものなら即一撃入れられるようにしていた。

 

予備の剣―は、ウィンドウに入れてたから取り出せない。

手持ちは、ピックが数本。

 

スカルリーパー戦でポーション類は全滅。

 

 

 

「……泣きたくなってきたな」

 

…まず投擲で目を潰す、それから剣を回収、攻撃は体術のカウンターなら!

 

 

「―『シングルシュート』!」

 

「YOOooooN!?」

 

目にピックが刺さるのを確認すると同時に駆け出す。

 

「薙ぎ払い―狙いが甘いぜ!!」

 

尻尾が迫るが、余裕で躱す。

 

 

 

剣に手が届いた瞬間―

 

「―『ヴォーパルストライク』!!」

 

発生させた必殺の刺突が頭に突き刺さり、大蛇は倒れた。

 

 

「YOooo―oooon…」

 

ズ、ン―……

 

 

「…返り血でベトベトだ。これじゃ黒の剣士じゃなくて赤の剣士だな…うっ?」

 

傷口に手を当てると、血の他に、分かりやすい紫色の液体―

 

あの蛇、毒持ちかよ!?解毒ポーション―

は、無いと。

 

「…人の、いる所なら…」

 

 

 

 

 

〜剣士移動中〜

 

 

 

フラフラの足取りで、何とか辿り着いたのは―

 

「ハァッ、ハァッ…こりゃまた、ハァッ、真っ赤っかな洋館で、ハァッ」

 

マズイ、本格的に毒がまわってきた…

うう、キモチワルイ……

 

「すい、ません…誰か、いませガフッ!?」

 

扉が、顔面に……!

 

 

「だからサボってませんって!瞑想ですよ瞑想!」

 

「貴女そんな言い訳がいつまで通用すると思って―誰か扉で吹っ飛んだみたいよ?」

 

「え?うわ、血塗れですね」

 

「…取り敢えず手当てするわよ」

 

「そうですね。場合によってはおぜうさまの食事―」

 

 

……助かるんだか助からないんだか分からないな。というか食事ってなんだ食事っ、て…

 

 

ツッコんだところで、意識が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜紅魔館 空き部屋

 

「う…ん…」

 

生きてる、のか?オレは…

 

「目が覚めましたか?」

 

「うおっ!?め、メイド…?」

 

コイツ、いきなり出てこなかったか!?

 

「十六夜 咲夜と申します。この紅魔館でメイド長をしています。貴方は?」

 

「え?オレは、キリトだ。

……あの、ココは…?」

 

「キリト、ですか。少々お待ちを」

 

「うおっ!?今度は消えた…どうなってんだよ此処は?」

 

周りを見れば、小さな部屋のベットに寝かされていた。

 

 

服が、綺麗になってる…?剣も、ピックも…

 

 

隣のテーブルに置かれていた剣とピックの状態を確認して、ピックはホルダーに戻した。

 

そういえば、体の方も特になんともないな。

 

「キリト様。お嬢様がお呼びです」

 

「…もう驚かねえぞ」

 

 

〜従者剣士移動中〜

 

 

「それで、お嬢様って言うのは?」

 

「この紅魔館の当主、レミリア・スカーレット様です。

…着きました。この部屋です」

 

 

コンコン

 

 

「失礼します。連れてきました」

 

「は…?」

 

大部屋にいたのは―

 

―女の子だった。

 

 

わ、若い!?そのレベルを超えて幼い!どんなに多めに見ても9、10歳ってとこか!?

 

「ありがとう咲夜。下がっていいわよ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

「貴方がキリトね」

 

「…えっと、君は?」

 

「聞かなかったのかしら?紅魔館当主、レミリア・スカーレットよ」

 

「…当主?でも君、―あぁ」

 

きっと元当主の親御さんが亡くなったんだろうな。それであんな小さな子が…

 

「あ?」

 

「いや、なんでもない。それで、オレを呼んだのは?」

 

そう思って見れば、どこか背伸びしてるような気がしなくもないな。

 

「そうね―小難しい話をしても時間の無駄だから一言で言うわ。

 

―キリト。貴方此処で働いてみない?」

 

「は…?」

 

ほんわか和んでたらしてたら、勧誘(?)されました。

 

……は?

 

「何か不満かしら?」

 

「不満以前に此処が何処か知らないんだが…何でオレなんだ?」

 

「『運命が見えた』、としか言いようが無いわね」

 

「運命、ねぇ…」

 

……厨二病持ちっと。

 

「…信じてないわね」

 

「うーん…信じt」

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

 

ズガンッ

 

一瞬で右手に凝縮された光が、槍になって投げつけられた―

と、理解した頃には、真後ろに紅い槍が突き刺さってた。

 

「」

 

「もう一度だけ聞くわ―

貴方此処で働いてみない?

ちなみに私は500歳の吸血鬼よ」

 

「ご―!?!?

なおさら何でオレなんだ!?」

 

「言ったじゃない。『運命』だって」

 

……さっきまで微笑ましく見えた顔が、別の何かに見える。

 

拒否したら……考えるまでもなさそうだな。

 

「……そんな何年もは付き合いきれないからな」

 

「フフ―今日から宜しく頼むわよ」

 

「ハイハイお嬢様」

 




さて、ここからどうやってフラグを立てよう?(爆発すればいいのに)

補足説明
・SAO:原作通り75層でヒースクリフが倒されています。
但しアスナとの結婚ルートがなくなっており、よってクラディールも生存。(出す予定が無いから、だからどうしたって話ですが。)
現状はアスナリズシリカの牽制合戦。
ユイはいるけど、保存されたナーブギアはアスナの&キリアスの呼び方が「お兄ちゃん、お姉ちゃん」になってる。

・YOoooooォン!!:某生物災害に出てくる日訳であくびのデカイ毒蛇。なお、この固体は感染してません。してたら別の作品だよ。


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8話 黒の剣士の真っ紅な生活

―翌日

―紅魔館 廊下

 

「…なあメイド長」

 

「咲夜で構いません」

 

「…なんで夜から仕事なんだ?…眠い…」

 

「紅茶をどうぞ。…お嬢様の種族を忘れましたか?」

 

……どっから出した? 今のコップ。

 

え? 気にするな? そーですか。

 

「種族って吸血鬼…あ、なるほど」

 

「納得して頂けたところで行きますよ。案内しますから、まずは紅魔館の部屋の位置の暗記とレミリア様以外の方との挨拶も済ませてください」

 

 

―紅魔館 門

 

 

最初に向かったのは、門だった。

 

そこには、チャイナ服っぽいのを着た女の人が―

 

「Zzz…」

 

「…」

 

「爆睡してる…」

 

ドスッ

 

 

 

 

 

「え〜っと、桐ヶ谷和人さん…キリトの方が呼びやすいですね」

 

「そ、そうですか。あ、あの、紅さん?」

 

「美鈴と呼んでください。どうしました?」

 

「あ、あの、ナイフ―」

 

額に思いっきりナイフが突き刺さってた。

 

いやなんで死んでないの!?

 

「慣れてるんで」

 

「そういう問題!?」

 

「キリト。次行きますよ」

 

「!? は、ハイ!」

 

咲夜さん怖っ!! 全く動じてないんですけど!?

 

 

 

 

 

 

 

「……ちっちゃくて女顔で可愛い人でしたねー。

 

―はてさて、今度は何日保ちますか。

……

 

……Zzz……」

 

 

 

 

 

 

 

―ヴワル図書館

 

次に案内されたのは、地下にあるやたらデカイ図書室(?)だった。

 

そこには、月と太陽のマークの印がある、ドアノブカバーの帽子を被った、女の人だった。

 

「…」

 

「パチュリー様。連れてきました」

 

「お疲れ咲夜。…話はレミィに聞いてるから自己紹介はしなくていいわよ」

 

「はぁ…」

 

普通に会話してるけど……この人もぶっ飛んでるんだろうなぁ……

 

「それから、これを持って行きなさい」

 

「!? これってエリュシデータ!?」

 

昨日紅魔館で働くことが決まったあと咲夜さんが持っていったのって、こういうことだったのか。

 

「損傷が酷かったから修復しておいたわ」

 

「ありがとうございます」

 

「キリト。次行きますよ」

 

「ハイハイっと―」

 

メイド長に呼ばれ、図書室を出ようとすると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―ネェ、アナタハダァレ?ワタシトアソボウ?」

 

 

 

「!?!? 今のは!?」

 

「貴方が今知る必要は無いわ」

 

咲夜さんの反応―聞き間違いじゃない!

 

「―でも」

 

「関わると、死ぬわよ」

 

 

「……分かった」

 

なんだ今の声は…よくは分からないけど…

 

 

 

―凄く、悲しい声だった。

 

 

 

 

 

 

 

「…これで良かったのかしら?レミィ?あの従者、間違いなく死ぬわよ」

 

「あら、どうしてそう言い切れるのかしら?」

 

「程度の能力も無い人間にあの子の相手は務まらない。ただそれだけよ」

 

「あら、あるわよ? 何かはハッキリしないけどね」

 

「……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

ー紅魔館 ホール

 

その後、一通り見終わると、ホールまで戻ってきた。

 

「キリト。私は厨房に向かいます」

 

「はってことは、別行動か?」

 

「ええ。美鈴にスペルカードルールについて聞いてきて下さい。今晩は以上です」

 

「オーケー。分かった」

 

 

―紅魔館 門

 

 

「…いつ来ても雰囲気あるな」

 

「まあガチのお化け屋敷ですしね」

 

……ちなみに美鈴さんは起こしてある。

流石に普通に揺すって起こしたけどな。

 

「ハハハ……

どっかの映画みたいに幽霊とか出る―」

 

「出ますよ。ポルターガイスト」

 

「」

 

……………ゑ?

 

「他にも動く絵や石像、違うものがうつる鏡、開かずの扉、グリム、ケルベロス、食肉植物、電源のないレコード、etcetc…」

 

「…剣でどこまで対処出来ますか?」

 

つい敬語になる。

死活問題だろ!?

 

「実体が無いとキツイですね。現に今キリトの後ろにいるピエロモドキは物理攻撃一切効かないんで」

 

「へ―?」

 

ウシ、ロ?

 

「kィィィエhェえェhエhエェ!!」

 

「」

 

 

〜剣士気絶中〜

 

 

 

 

 

…頭が、柔らかい……

 

「あ、気がつきました?」

 

「う、ん…? うわっ!?」

 

ひ、ひひひひ膝枕ぁ!?

 

「そこまで驚きますかね?」

 

「驚くよ!」

 

しかも服装が服装だから、ほぼ直だし!

何がは言わんけどなあ!!

 

「あはは」

 

「ハァ…あれ、そういえばさっきのピエロは?」

 

「ああ、あれですか?消えましたよ」

 

「消えた?」

 

「はい。アレは目があった相手を建物に永遠に閉じ込める怨霊の類なので、比較的安全ですよ。 解呪も簡単ですし」

 

「どこが安全なのかサッパリ分からない」

 

それ、場合によってはそのままそこで餓死しかねないよな?!

 

「人間相手なら即死モノもありますけど。メデューサの生首とか」

 

「近づかないんで全部教えてください。ていうかどっから入手した!?」

 

「普段から動くのは無害か驚かすだけが多いですよ」

 

「普段から、ねぇ」

 

「ほら、現に私も何もしてないでしょ?」

 

「…ほえ?」

 

「そもそも紅魔館に種族人間はキリトと咲夜さんしかいませんよ」

 

「!?!?」

 

吸血鬼だけじゃないのかよ……さっきの幽霊やらナイフが刺さっても平然としたから、予想はしてたけど………

 

逆に咲夜さんあれで人間なの!?

 

「…そこまであからさまだと少し傷つくんですが」

 

「え、あ、ごめん…

じゃあパチュリーもか…そういえば、ヴワル図書館には何があるんだ?」

 

「ヴワル図書館…ドッペルゲンガーの出てくる鏡と、手を喰いちぎる引き出しと、詳しくは知りませんが呪いの本くらいですかね」

 

「ホラゲかよ七不思議とか越えてるぞ。

それじゃあ、あの声は一体…?」

 

「声…ああ、はい」

 

「知ってるのか!?」

 

「近づかなきゃ安全ですから」

 

「いやそうじゃなくて」

 

「近づかなきゃ安全ですから」

 

「えっと」

 

「近づかなきゃ安全ですから、ね」

 

「…ハイ」

 

美鈴さん顔が近いです。

 

「それで、スペカですよね。あれは―」

 

 

〜門番説明中〜

 

 

「―こんなもんですかね」

 

「飛びながら撃ちあうのか…苦手だなぁ」

 

そもそもSAOじゃ、飛行は勿論、遠距離攻撃も投擲くらいしかないからな。

飛行はステータスと環境によっては、壁を交互に蹴るとかでやろうと思えば出来なくもないけど。

 

「キリトさんもですか。私も飛んだり撃ったりは苦手なんですよね」

 

「気が合いそうだな」

 

「同感です!せっかくだから手合わせs」

 

 

サクッ×2

 

 

 

「弾幕は、殺傷能力さえ押さえておけばどんな形でもいいですからね」

 

「ナイフやピックでも?」

 

「剣筋が弾幕として飛んでく例もありますし」

 

「へーそーなのかー」

 

「そーなのだー。

 

 

…行きましたかね?」

 

「…ボケてもナイフが飛んで来ないから大丈夫そうだな」

 

目の前の壁にいきなりナイフが刺さった時はマジで怖かった。

 

「ははは。それで、キリトさんの場合、剣やピックを弾幕にするにしても」

 

「斬っちまうからな。殺傷能力が…」

 

「う〜ん…人なら霊力か魔力、神力を纏わせるっていうのもありなんですけど…どれも無いですしね…妖力は人には扱えませんし…」

 

「…なんかすいません」

 

「いいんですよ。ただ、神力を除いて他は努力で何とかなるんですけど、それでも最初からスッカラカンですからね」

 

「…と言うと」

 

「正直、かなりキツイかと」

 

「…万が一弾幕勝負になったら剣の腹でやるか、ひたすら逃げるよ」

 

「…まぁ、逃がしてくれる相手だといいですね」

 

「美鈴それフラグ」

 

「ふらぐ?」

 

あーそっか。 ネットスラングみたいなものだから、まだ幻想入りしてないよな。

 

「えっとだな―」

 

 

〜剣士門番雑談中〜

 

 

「―いつまで喋ってるのかしら?」

 

「「あ」」

 

しまった……つい喋りすぎた……!

 

「咲夜さん……話をしよう。 話せば分k

「幻符『殺人ドール』!!」

 

ピチューン×2

 




紅魔館って、よくよく考えたらフツーに化け物屋敷じゃね?と思った結果こうなりました。

?「だからってこれはないだろ!ていうかよくあんなホイホイとホラゲーネタを放り込むもんだ」

お、前に増やす宣言したこのssのオリキャラ。どうした?出番はまだ先だぞ?

?「殺夢『エルム街の爪男』!!」

ちょ、ま、それアカンヤツ―
ゆぎゃぁーーーーー!!


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⑨話 チルノ、スカウトされる!?

前話でウチのオリキャラが、

「出番を、よこせー!!」
「あ、私も出(ry」

とのことで、ちょうど⑨話なので出しました。

「ならばよろしい!!」

但し活躍するとは言ってない。

「!?」



―紅霧異変 解決後

―霧の湖

 

side無し(第三者視点)

 

「あはは、カエルさんカチコチ〜」

 

「ゲコォ!?」

 

チルノはいつも通り湖の蛙を凍らせて遊んでいた。

 

が―

 

「う〜ん…さいきん大ちゃんみかけないな〜。まいっか!」

 

「―いや友達がいなくなったなら探そうとか思わないの!?」

 

 

所々腐食した深緑の髪に腐肉がこびりついた蝙蝠の羽の骨が生えている少女がいた。

 

 

「はっ!?さいきょーのあたいのそばにきづかれずにでてくるなんて、やるわね!」

 

「えっと、人の話聞いてる?」

 

「いくわよ!

凍符『パーフェクトフリーズ』!」

 

「おーい…

拒絶『A.T.フィールド』」

 

ギギギギギギィン!

 

「あたいのだんまくをこうりゃくするなんて、あなたやるわね!あたいのでしにしてあげる!」

 

「…妖精に恐怖の感情はないのか?それとも単にアレが例外?どちらにしろ―

 

―身の程を知れ!

断罪『裁きの礫』!」

 

「うわー!?」

 

ピチューン

 

「うう…」

 

「力の差が分かったな。とりあえず人の話を―」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「―テメェは才能から態度までどっかの這い寄る混沌かよ!?もぉいい!!フルコースだ!」

 

 

 

―数十分後

 

 

 

「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ、」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「手持ちのスペカどころか直接攻撃まで撃ち込んでコレだと結構くるな…でも『アレ』は殺しちまうだろうし」ブツブツ

 

「どうしたの?てんさいのあたいがかいけつしてあげる!」

 

「テメェに言うこと聞かせる方法考えてんだよ!」

 

「そのひつようはないわ!」

 

「は?」

 

「なぜならあたいはさいきょーだからよ!」

 

「\(^o^#)/」

 

 

 

 

 

―しばらくお待ちください

 

 

 

 

 

「」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「精神攻撃まで効かないなんて…

えぇいこうなったら―

おいチルノ!もっと強くなってみないか!?」

 

「ひつようないわ!なぜならあたいは」

 

「最強、だろ?なら―

『最強の、さらにその先』を目指してみないか?」

 

「……さいきょーの、さき?」

 

「最強止まりじゃ、その座を狙った奴に勝負を吹っかけられるだろ?だからよぉ―

 

挑む事すら出来ないような、『無敵』になってみないか?」

 

(コレで反応変わらなければ人質―じゃなかった妖精質を出すしか―)

 

「むてき…?」

 

「…オイオイ、無敵だよ無敵。意味分かるよな?」

 

「わかんない!」

 

「ぺったんぺったんつるぺったんな胸張って言うな!!無敵ってのは最強よりも強いって意味だよ!!」

 

「わかったわ!」

 

「そうか!それで、無敵を目指すか?」

 

「あたいったらむてきね!」

 

「もうヤダコイツ!!」

 

「にげていったわ!やっぱり、あたいったらむてきね!」

 

 

 

―数分後

 

 

 

「―チルノちゃ〜ん!」

 

「あ!大ちゃん!」

 

「チルノちゃん無事!?変な人に襲われなかった!?」

 

「だいじょうぶよ!」

「本当に?」

 

「ほんとうよ!なぜなら―

 

あたいはさいきょーだからよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―????

 

side紫

 

……急に呼び出してきたから、何事かと思えば……

 

「えっぐ……チルノの⑨ぅ……」

 

「分かる言葉で喋ってちょうだい」

 

……言いたいことも、何があったかも薄々分かるけど……

 

「…スカウト、出来まして?」

 

「…」

 

「…私の頭の中を平然と弄るのも辞めてちょうだい?」

 

「…打ち消してるクセに」

 

「それはそれ、これはこれですわ」

 

ホント、この――は……

 

 

「…ホント何なの、あの妖精?」

 

「幻想郷1の⑨ですわ」

 

「…私のラストスペル喰らってケロッとしてるやつ始めて見た。他の妖精はトドメさせたくらいなのに」

 

「…お疲れ様」

 

……取り敢えず、ハンカチくらいは貸してあげてもいいかもしれない。

 




?「…う~p~ぬ~し~?」

乙笑。

?「ブチ殺す!!
狂信者『イn―

ハイハイアンタの設定の補足説明するからスペカしまえ。

補足説明
固体名:クト
対人友好度:不明
危険度:測定不能。凶悪。
種族:不明
能力:不明
現在把握済スペカ:恐符『怨みっ子』
         断罪『裁きの礫』
         殺夢『エルム街の爪男』

…こんなとこかね。

クト「分かんねえことの方が多いのかよ」

カンのいい人なら種族は察しがつくかもな。
つーかお前、スペカのレパートリーおかしいだろ。なんで全部ホラーネタなんだよ。

ク「うp主がホラゲー実況ばっか見てるからだろ。少しは自重しろ」

だが断るっ!

ク「追符『青鬼』!!」

ゆんやー!



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10話 U.N.Owen

来た…ついに来たぞ…!
ク「うp主キモい。なにが来たんだよ?フランか?」
それもある!けどそれだけじゃないっ!
ク「じゃあなんだよ?」
それはっ!

読んでのお楽しみっ!

ク「絶符『滅びの歌』!!」

ゆぎゃっ!?


―数日後

―紅魔館

 

第六感……まあ所謂霊感や直感というものを知っているだろうか?

 

今までオレは、精々VR空間でのデータでの違和感程度でしかあり得ないと思っていた。

 

 

 

 

 

―そう、いた(・・)だ。

 

 

 

 

 

恐らく、第六感は有るだろう。

何故かと言うと―

 

 

 

 

 

ギャリギャリギャリリッ!

 

 

 

「キリトっ!待ちなさい!」

 

「ならナイフを投げるな!」

 

……そんなもの(第六感)にでも頼ってないと、後ろから降り注ぐナイフの雨を捌ききれないからだよ!

 

「止めて欲しいなら―

 

さっきのことは忘れるか、『こちら側』に来なさい!」

 

「さっきのことって、咲夜の自爆だろうが!」

 

どうしてこうなった、とは言わん。

 

絶対あれだからなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

―数分前 回想

 

 

「おぜうさまー。さっき言ってたレコード、倉庫にあったぞー」

 

ガチャッ

 

無用心にも、ノック無しで入った部屋には―

 

「う、うー!にゃー!」

 

「素晴らしい!素晴らしいですお嬢様!!」

 

「」

 

……ネコミミレミリアがいた。

な、何を言っているのか(ry

 

 

「ね、ねぇ咲夜。貴女目が怖いんだけど。それと鼻血拭きなさい」

 

「ハァ、ハァ、モウガマンデキマセン!」

 

「」

 

「うー!うー!」

 

「ハァ、ハァ、―ハッ!」

 

…………………うん、

 

「ごゆっくり」

 

バタンッ

 

 

―回想終了

 

 

 

 

 

 

 

「―あれ完全にアウトだろ!」

 

「うるさい!私は完全で瀟洒な従者」

 

「変態ロリコンを忘れてるぞ!」

 

「ようこそ紅魔館の幼女面(rorikonnside)へ」

 

「100%暗黒面の一種だろそれ!」

 

ナイフの密度が増えた。 解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数分後

―ヴワル図書館

 

 

 

「ゼェ、ハァ、ま、撒いたか?」

 

 

前から気になっていた場所―

ヴワル図書館の奥深くにある扉。

 

入ろうとすると、いつも誰かに止められる扉の1つに咄嗟を隠れられたのはラッキーだったぜ。

 

 

……しかし、飛び込んだはいいけど真っ暗だな。

 

 

しかも、内側ノブないし。(涙)

 

 

 

 

 

……外の様子はどうだ?

こぁか妖精メイドだけなら、開けてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

「こあっ!キリトは何処に逃げましたか!?」

 

「こあっ!?さ、さあ…?」

 

「〜〜〜〜!

 

奇術『ミスディレクション』!」

 

「こあぁぁぁ…」

 

 

ピチューン

 

 

 

 

 

 

 

「…スマン、小悪魔」

 

さて、どうしよう? 咲夜さんは行ったみたいだけど………

 

強行突破はナシ。 とすると、こぁの復活を待つしかないか。

 

―っ!?

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

今一瞬、誰かに見られていた気が……?

 

 

そもそも、この扉はおかしい。

 

外側に鍵が無い。

 

外側にしかないノブ。

 

隙間が無いせいで、真っ暗な空間。

 

 

 

「……調べてみる、か!?」

 

ツルッ

 

―階段、踏み外した!?

 

「ギヤァァァァア―」

 

ゴロンゴロンゴロンゴロ―

 

 

 

 

 

 

 

〜剣士落下中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドンガラガッシャーン!

 

 

 

「…い、痛ぇ……つかここ何処だ?」

 

妙に明るいし………

部屋は相変わらず真っ赤だし。

 

 

強打した背中をさすりながら立ち上がる。

 

うおぉ………居場所バレたかな?

 

 

 

 

 

「―あなたは、誰?」

 

 

 

「? この声って、あの時の―」

 

確か美鈴が、近付かなければ安全って言ってた―あれ?じゃあ今ピンチ?

 

咄嗟に抜刀出来るようにして前を見ると―

 

「お、女の子……?」

 

金髪の、変わった翼の生えた少女がいた。

 

 

「―あなたは誰?不審者?」

 

「いや、そうじゃなくてだな。最近ここで働き始めたキリトだ」

 

「ここ?アイツが連れてきたの?」

 

「アイツ?」

 

「上にいるんでしょ。―レミリア」

 

…そういえば、この女の子、顔つきとかレミリアそっくりだな。

妹か? だとしたら、なんでこんな地下に?

 

「おぜうさまのことか?まあ連れてこられたっていうより、迷い込んだっていうのが正しいけど」

 

「そう……なら帰って」

 

「え…?」

 

「聞こえなかったの?今すぐ帰って」

 

「ど、どうしたんだ急に?」

 

「周りにあるモノが見えないの?」

 

「周りにある物って……」

 

……だいぶ汚れてるな。 咲夜さんの手が届いてない―そもそも知らないのか?

 

「ボロボロのヌイグルミ、ベッド、破けた本、やたらデカい赤黒いシミ―」

 

「そのシミ、血だよ」

 

…………ゑ?

 

「アイツが連れて来た生き物の血。特に、人の」

 

「……本物?」

 

「本物。私の機嫌がいい内に帰って。(もう、何かを壊すのは嫌)」

 

 

――

 

 

「……そうか。

それなら―

 

 

 

 

 

尚更帰るわけにはいかないな」

 

「!? 何で!?あなたはバケモノと一緒にいるんだよ!?怖く、ないの?」

 

「怖いさ。慣れようが無いしな」

 

「なら、何で―」

 

「何で、か。じゃあ聞くけど―

 

 

 

―何で、そんなに悲しそうなんだ?」

 

「え―?」

 

初めて声を聞いた時から、ずっと疑問だった。

 

 

 

―なんで、そんなに悲しい声なんだ?

 

 

 

「―オレは今までいろんなヤツと会ってきた。それこそ、欲の為や、楽しいから、なんて理由で人を殺すようなヤツも。でも君は―

 

 

 

そんなふうには見えない」

 

「でも―」

 

「大丈夫。なんかあっても、きっとオレが何とかしてみせる」

 

「キリト…」

 

「ここから歩き出そうぜ。怖がることは、もう無いからさ」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―ヘェ、ソンナコトイッチャウンダ」

 

「―!?」

 

気配が、変わった!?

しかもこのイヤな気配……

 

………まるで、

 

 

 

 

 

PoH(快楽殺人鬼)

 

 

 

 

 

「ネェ、アソボウ?」

 

「…二重人格、か?」

 

「ソンナコトヲカンガエルヨユウアルノ?」

 

「ないだろうな。

―でも、その『狂気』をどうにかしないと、君は出られなさそうだからな」

 

「アハ、アハ、アハハハハハ!!アノニンギョウトオナジメ二アワセテアゲル!!(お願い、気付いてー助けて!!)」

 

 

! 今度は、ハッキリ聞こえた!

 

 

「分かった、助けてやる。

 

―来い!」

 

 

 

 

 

 

 

〜剣士祈祷中〜

 

 

 

 

 

 

 

「『クランベリートラップ』!!」

 

美鈴との弾幕勝負で見つけた―

弾幕には、核がある。そこを斬れば―っ!

 

「―っラァ!!」

 

迫って来る紅い光弾の、中心を斬る!

 

 

ギャリィッ!!

 

 

―よしっ!

 

真っ二つになって霧散した!

 

 

「!?」

 

「これなら―いける!!」

 

「アハハハハ!アナタツヨイネ!

 

『レーヴァテイン』!!」

 

 

 

ゴウッ!!

 

 

女の子の手に現れたのは、

 

「炎の大剣!?」

 

「アハ、アハハハハハ!トケチャエ!」

 

 

 

ブォン、ブォン、ブォン、ブォン!

 

 

大振りだから、剣筋は見切れるけど……!

 

「くっ!」

 

パリィしたら、間違いなく剣が熱でダメになる!

 

「ヨケテバカリジャ、アソベナイヨ」

 

「こっちは必死なんでなっ!!」

 

「―モウイイ。ツマンナイ

 

『フォーオブアカインド』」

 

 

!?!? 4人に、分身、した…!?

 

 

「「「「アハハハハハ―」」」」

 

「『禁じられた遊び』!」

 

「『カタディオブトリック』!」

 

「『カゴメカゴメ』!」

 

「『495年の波紋』!」

 

「なっ―」

 

前後左右―同時スペカだと!?

 

ダメだ、追いつかない―

 

 

 

 

 

 

 

ドッゴォォォオォォォン!!

 

 

 

 

 

 

 

「ガ―ハッ―!」

 

「…マダイキテルンダ」

 

「そう簡単に、くたばるかよ…!」

 

「フーン。サッサトシネバラクナノニ」

 

「―死ねるかよ、女の子1人救えないで。

 

もう逃げない! 諦めない!あの時そう誓ったんだ!!」

 

 

もう、あの時と、同じ後悔をするのは、イヤだ。

 

 

だから―

 

 

 

「だから、絶対に―

 

 

 

 

 

 

 

君を助ける!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「…ソウ。ナラ―

 

―『そして誰もいなくなるか?』」

 

見たことのない密度の、壁と言ってもいい程の弾幕が迫る。

 

……だけど、この程度!

 

「―『ヴォーパルストライク』っっ!!」

 

選んだのは、重単発突進ソードスキル。

 

これなら―!

 

 

 

ーッッッギュォンッ!!!

 

 

 

 

 

「!?」

 

「スペル、突破ぁ!!」

 

弾幕の壁を、強引に突き破る!

 

「っ『レーヴァテイン』!

 

コンドコソコワシテアゲル!!」

 

炎の大剣―もう躊躇わない!

 

「『ソニックリープ』っ!」

 

 

 

ゴウッ!

 

 

 

「!? ワタシノ、レーヴァテインガ!?」

 

大剣を、一撃で破壊する。

高熱でエリュシデータが白熱し、欠けたが………

直るかどうかの心配は後だ!!

 

 

「う…ア…!私、は…」

 

「! もう大丈夫だ!だから戻って来い!!」

 

「―コワシテヤル!(壊したくない!)

 

オワリダ!(キリト、逃げて!!)

 

 

 

キュットシテー

 

 

 

 

 

ードカーン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グシャッ―

 

「!? カハっ―」

 

喉を、熱いものがせり上がって来る。

 

吐き出してみると―

 

 

 

血!?

 

 

 

何を、された―!??

 

 

「アハ、アハハハハ!!コワレタ!コワレタ!!」

 

目がくらむ。

 

身体のあちこちから、血が滲み出ているのが分かる。

 

明確に近づいて来る、死の気配。

 

 

 

 

 

 

 

……だけど……

 

 

 

……まだ……

 

 

 

 

 

「まだ、終わって、ねぇ!!!」

 

「!? コワレテ、ナイ!?

 

ーアナタは、コわレ、ないノ…?」

 

「ああ―壊れない。

 

 

 

 

 

―絶対にな」

 

「うっ―

 

ごめんなさい…!キリト、私、酷いこと…!」

 

「大丈夫、大丈夫、だから、な?」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…!」

 

……気配が、戻ったな。

これで、この子はきっと大丈夫だ。

 

 

悲しい殺人鬼じゃない、他人を心配することが出来る、優しい女の子なら―

 

 

 

 

 

…………………

 

「…悪い、でもちょっと動けそうに無いからさ。誰か呼んできてくれないか?」

 

「…うん!分かった!待ってて、すぐ戻るから!」

 

 

 

タッタッタッタッ…

 

 

 

「…行ったか」

 

 

……ヤベェ、本格的に、前、が、見えな、く……

 

―アレ?なんかデジャビュ? 前にも似たような事なかったか?

 

 

 

「…ごめん。頼むから、戻ってくる、な―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―リトッ!?キリトッ!!!」

 

……あれ? 何か、聴こえてる?

 

今度こそ死んだと思ったのに。

 

「……うぅ」

 

重い瞼をこじ開けると―

 

「キリト!無事!?目を覚まして!?」

 

「……お、おぜうさま?」

 

涙目のレミリアがいた。

 

 

 

………ん? ちょっと待て涙目?

 

え、キャラ違くね!? カワイイけどさ!?

 

「キリトォォ!!」

 

グエぇぇぇぇ…………

首絞まってる………死ぬ…

 

「レミリア様、起きてますよ」

 

「え、ホント!?

―し、しってたわよ!?」

 

ようやく気管が解放される。

うぅ…なんか一瞬川が見えたぞ?

 

 

………さて、と、

 

「…おぜうさま?」

 

「な、何よ?」

 

「…いつものカリスマはどこへ?」

 

―その一言で、オレの周りの態度が激変した。

 

 

 

 

「……うー!うー!」

 

「お嬢様…!」

 

「レミィ、屈んでないで立ちなさい。咲夜、鼻血出てるわよ」

 

「……いつもよりテンションが高くないか?」

 

「普段がこうよ。貴方が来てからの1週間は見栄張ってただけ」

 

つまり、

 

レミリア:カリスマ→外見年齢相応の子供。

咲夜:完全で瀟洒な従者→重症のロリコン………これは知ってた。

パチュリー:関わりを持たない無口→メンバーの纏め役(?)。

 

 

「……カリスマェ。

 

ところでパチュリーさん、オレが地下で会ったあの子は?」

 

「」

 

「」

 

「」

 

「…パチュリー?」

 

空気が凍った。

………何かあるな。 良くなさそうなことが。

 

「…予定より早いけど、いいわね。レミィ?」

 

「…頼むわ」

 

 

 

〜図書館説明中〜

 

 

 

 

 

「…要約すると、レミリアの妹で、情緒不安定で、『ありとあらゆる物を破壊する程度の能力』を持っていて、それらが原因で495年間閉じ込められていた、でいいのか?」

 

「大体あってるわ」

 

「そうか………」

 

495年―オレたち人間から見れば、恐ろしく永い時間だ。

 

それをあの子は、お世辞にも広いとは言えない地下室に、ずっと――

 

 

 

 

 

「………そのフランドールはどこなんだ?」

 

「どこもなにも、そこにいるわよ」

 

「?」

 

「そこ」

 

指差した先は、オレが今寝ているベッド―まさか!?!?

 

 

 

 

 

「Zzz…ウーン…お兄様…」

 

 

 

 

 

「…いつの間に」

 

全く気付かなかった……

 

「そうは言うけど貴方、丸々4日寝っぱなしだったのよ」

 

「4日!?」

 

「ついさっきまで起きてたんだから、休ませてあげなさい」

 

「ハハハ…」

 

4日かぁ……そりゃ気付けないな。

 

 

 

 

 

「あの、えっと、キリト?」

 

「?何だ、おぜうさま」

 

「レミリアでいいわよ。

 

その…ほんとは最初からアナタとフランを闘わせるつもりで…もっと弾幕にも慣れてからって思ってたんだけど……正直、上手くいくとは思ってなくて…その…ごめんなさいっ!」

 

「? 何にだ?」

 

そんな涙目で謝られても、なんだかこっちが悪いみたいな気になってくるんだが……

 

「え? その、アナタを騙して、殺すようなことを…」

 

「結果オーライだったんだ。気にしないよ」

 

「!?!?」

 

「それに、レミリアも何とかしたかったんだろ。家族は大切に、な?」

 

「う―うわぁぁぁん!!」

 

!? だ、だから首に抱きつくのは止めてくれ!!

 

吸血鬼の腕力でそれやられると………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…結局、あのままレミリアも泣き疲れて爆睡と」

 

 

ちなみに、咲夜は美鈴を起こし(やつ当たり)に行ってる。

 

最初は寝入ったレミリアたちを連れて行こうとしたんだが………

 

その、2人とも離れなくてだな。

 

 

 

 

 

………咲夜さんのマジの殺気、怖かったです……………

 

 

 

 

 

「ハァ…ああ、貴方の剣だけど」

 

「?」

 

「損傷が酷すぎて、外見はそのままだけど性能は完全に別物になったから」

 

「へ!?」

 

「それじゃあ」

 

「へ、ちょ、パチュリーさん!?

 

…行っちゃったよ」

 

 

入れ替わるように入って来たのは、咲夜さん。

 

「………美鈴は? 生きてるよな?」

 

「妖精メイドに門番を代わってもらってました。 ここに来ているかと思ったのですが………

 

まぁ別の収穫が有ったので良しとしましょう」

 

「? 別の収穫?」

 

聞き返したオレの目の前に、手鏡を突きつけ、て―

 

「………オイチョトマテこれって」

 

こ、この一筋の赤いものって―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―ようこそ、鼻から忠誠心が溢れ出る従者の世界へ(紅魔館の幼女面へ)

 

「言うと思ったよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―なんやかんや色々あって、咲夜を部屋から追い出したあと。

 

 

 

「………ところで、いつまで隠れてるんだ?

 

 

 

―美鈴?」

 

「ありゃ、やっぱり気付かれましたか」

 

「よく言うよ。ワザと気配出してたのに」

 

咲夜が「良いですかキリト。 基本的にはノータッチで―」等々延々と語り始めた辺りから、ギリギリオレが気付くように気配を出していた。

 

「あはは…ちょっと気になることがありましてね」

 

「そうだな。オレも美鈴に聞きたいことがある」

 

「お先にどうぞ」

 

「こういうのはレディーファーストだ」

 

「ではお言葉に甘えて。

 

キリトさん―

 

 

 

 

 

―妖力の感覚は如何ですか?」

 

……やっぱりか。 気配に咲夜が気づいてないから、もしかしてとは思ってたけど。

 

「…人には扱えないんじゃなかったのか?」

 

「純粋な人には、です。例外はありますよ。

例えば、シャーマンと呼ばれるような人や、妖怪を式神にしている人、血筋に妖怪がいる半妖。そして―

 

 

 

 

 

妖怪そのものに種族が変わり始めている人」

 

 

 

「…」

 

「『破壊』されて不安定なところで妹様が応急処置に妖力と魔力とかがごちゃ混ぜになったのを撃ち込んだのが不味かったんですかね」

 

「…オレは、どうなる?」

 

「さぁ?でも専用の儀式をやった訳でもないんで、変な事しなければ現状維持でしょうね」

 

「…」

 

「安心してください。まだ『妖力が使えるかなり珍しい人間』レベルですから」

 

「そうか…分かった、ありがとう。

 

次はオレからいいか?」

 

「どうぞ」

 

「美鈴―――種族は何だ?」

 

さっきの気配からして……おそらくだが……

 

「妖怪ですよ?」

 

「…妖力っぽいのが使えるようになってから、妖怪の大体の強さが直感的に分かるような感じがするんだ」

 

「良かったですね」

 

「…今は抑えてるみたいだけどな、―

 

 

 

 

 

―無茶苦茶強いだろ」

 

それこそ、咲夜やパチュリー、レミリアとフランドールよりも。

 

 

 

 

 

「…さぁ?私は唯の門番妖怪ですよ」

 

「…そうか。なぁ美鈴?」

 

「はい?」

 

「…信じても、いいんだよな?」

 

「何言ってるんですか。此処(紅魔館)は私の『家』で、此処のメンバーは私の『家族』なんですよ?」

 

「ははは…ありがと、美鈴」

 

「それじゃあ私は仕事に―って危な!?忘れるとこだったぁ!!」

 

「!?」

 

「ハイこれどうぞ」

 

「これって…片手直剣?」

 

美鈴が隠れていた陰から引っ張り出して来たのは、紅い、緩くカーブした刀身を持つ剣だった。

 

「キリトさん、二刀流でしょう。体捌きを見れば分かりますよ。それじゃ!」

 

……銘すら言わずに行ったよ。

 

 

「……二刀流、か」

 

完全に別物になったらしい、外見はレーヴァテインと打ちあう前のエリュシデータの隣に、紅い剣を置く。

 

 

 

――この先、間違いなく二刀流で戦う時が来る事を、予感しながら。

 

 

 

 

 




…というわけで正解はっ!カリスマブレイクとキリトキャラ崩壊(ロリコン化)でした!
ク「全国一千万(適当)のキリトファンにリンチされるぞお前」
それでもかまわん!キリフラこそ至高なのだから!!
ク「全国のSAOファンに土下座して来い。もちろん焼きな」
しどい!

補足説明
妖力:ネタバレするとフラグです。覚えておいてください。
美鈴の片手剣:紅い大型の剣。デザインはかなりシンプルで、目立つ装飾は特に無い。大型ハ虫類のような素材が使われてる…?


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11話 extrastage vs『閃光』

―紅霧異変解決の翌日 夜

―博麗神社

 

sideキンジ

 

 

「―異変解決を祝って、カンパーイ!!」

 

 

「それさっき済ませたぞ。調子に乗って飲みすぎるからだ」

 

「なにをー!キンジは私の酒が飲めねぇってんだぜ!?」

 

「寄るな絡むな酔っ払い!そもそもお互い未成年だろうがッ!」

 

「幻想郷じゃあ常識に囚われちゃいけないんだぜ!」

 

「都合のいい言葉だな幻想郷ッ!?」

 

この短時間でどれだけ呑めばこう酔うんだ!?

乾杯の音頭は最初に霊夢が済ませただろうがッ!

 

 

 

酔っ払いに一升瓶を押し付け、さっさと逃げる。

 

……ついでに人探しもするか。 来てるかは分からんけどな。

 

 

―あれは士道のところか。

そう言えば、ルーミアに飯を作ってやるみたいな約束をしたらしいからな。

 

ちょっと覗いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

「美味い!美味いのかー!」

 

「」

 

「ほらちゃっちゃと次作る!」

 

「少し、休ませ」

 

「おかわりなのだー!」

 

「」

 

 

 

 

 

 

 

……えげつねぇ。

士道………強く生きろよ。

 

さて、次のグループは……

 

こぁ、パチュリー、レミリア、咲夜か。

 

一応確認っと―

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、1人だけ早々と屍になってますね」

 

「士道…だっけ?生きてるのか、アレ?」

 

「咲夜、手伝ってきてあげたら?」

 

「分かりました」

 

「―うわ、蹴り起こした」

 

「トドメ刺してませんか、アレ?」

 

 

 

 

 

 

 

……哀れ、士道。

強く生き(ry

 

 

さて次は―

 

 

 

「絡まれてたな。 お疲れキンジ」

 

「見てたんなら助けろキリト!…と美鈴さん」

 

よかった。 探してた人がいた。

 

「で、フラフラと彷徨って、どうしたんだ?」

 

「それはだな、美鈴さんに用があってだな」

 

「…要件によっては斬るぞ、変態」

 

「お前が言うなロリコン。

…HSSについてそっちにも伝わってるなら話は早い。実はだな―」

 

 

 

〜武偵説明中〜

 

 

 

「―成る程。脳物質の過剰分泌のコントロールですか」

 

「美鈴さんは『氣を使う程度の能力』だって聞いた。だから何とかなると思ってな」

 

でなきゃ、こんな白雪以上の胸部装甲を持つ人を探したりしない。

 

「ん〜…確かキンジさんは魔法使いでしたよね?」

 

「魔力を使える人をそう言うならそうなる」

 

「じゃあ、魔力を体内に流して直接オンオフを切り替えられるようにしたらどうですか?」

 

「分かった、やってみる。

―体内に、流して、直接…」

 

 

―お……!血流が、少しずつ集まっていくような…?

 

 

「…コツが分かれば上手く行きそ「クォラキンジ!!」ガボォ!?」

 

口の中になんか突っ込まれたぁ!?!?

 

って、魔理沙か!?

 

「飲めっ!飲むんだぜ!!」

 

「ゴボガボ、き、キリト!美鈴!笑ってないで助け―」

 

一升瓶直って! 死ねるから!

やべ、酔いが回ってきた…!

 

「〜〜〜〜ッ!!ゴホッ!ゴホッ!」

 

何とか、瓶を手で抜けた………

 

「私の酒が…飲めねぇってんだぜ…!」

 

げぇ、もう一本持ってやがる………ッ!

 

「分かった!飲む!飲むからお前は一回飲むのやめ―んんん!?!?」

 

何故そこで口移し何だよッッ!?!?

 

 

「うわぁ…ディープですねぇ…」

 

「? ねぇキリト、前が見えないよ?」

 

「フランにはちょっと刺激が強いから目隠ししておこうな」

 

「んんん〜〜!」

 

アカン………何かヒスったけど…意識、が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―アレ?」

 

何処だ此処は?洞窟、か?

 

「…調べてみるか。幸いヒステリアモードも続いてるみたいだしな」

 

 

 

〜武偵調査中〜

 

 

 

……分かったことは、前後に閉じられた扉がある人工の洞窟だってことと―

床に何かデカイ、ムカデみたいな生き物が走り回った跡があるってことだな。

それに、今、俺がフル装備だってことも気になる。どういうことだ……

―ッ!!

 

 

 

シャッ―!

 

 

咄嗟に上体を反らし、一閃を避ける。

 

 

 

「躱された!?」

 

「…君は一体?」

 

……女!?しかも疾い!!

 

「…これは、どういうことですか?何故、此処に?」

 

「…それは俺も聞きたいよ」

 

栗色の髪、白が基調の鎧、レイピア…いつの時代の騎士だ?

 

そもそも、年に対して―外見年齢=年齢なら、だが―眼つきが違う。

 

どれだけ戦い続ければこうなるんだよ!? キリト並みだぞ!?

 

「…1つ聞いても良いですか?キリト、という名前に聞き覚えは?」

 

「キリト―『黒の剣士』か。

……アイツと何の関係が?」

 

「!!…やはりアンタ、須郷の…!!!」

 

…何故だろう、盛大に勘違いされた気がする。

 

「…須郷?誰だそれは?」

 

「惚けないで!!75層のフィールドデータまで引っ張ってきて…ALOのダンジョンにトラップまで仕掛けて…!!『リニアー』!」

 

「!? 防衛はさせてもらうよッ!」

 

速ぇ!? 抜銃間に合うか!?

 

バスバスッ

 

「銃!?卑怯者!!男なら正々堂々戦いなさい!!」

 

「悪いが唯一持ってたナイフをこの間切られたもんでね!」

 

「『ニュートロン』!」

 

「!?」

 

うぉ………ッ!!

対応出来ない―

 

ギュンッ!!

 

「グッ―」

 

「『リニアー』!」

 

「ガッ―」

 

「『リニアー』!」

 

「ゲホッ―」

 

ヤバイ―パターンに入れられたかー!?

 

これじゃ、ジリ貧に………

 

「―これで、ラストォ!!

『リニアー』!」

 

―せめて、逸らせれば……

逸らせる―

 

 

 

……一か八かッ!!

 

 

「―銃弾逸らし(スラッシュ)!!」

 

両手の指で、白刃取りの要領で―ッ!

 

 

ギャッッッ―!!

 

―良し! 上手くいった!!

 

「!? 剣先を、素手で!?なら―」

 

「動くな!俺の勝ちd

「『スタースプラッシュ』!!」

嘘だろおい命が惜しくねぇのかよッ!」

 

0距離で銃口突きつけられた状態で暴れるか普通!?

 

 

ドッガガガガガガガッッ!

 

 

「ゲームの中で、よく言う!!」

 

「ゲームだ!?此処は現実じゃないのかよ!?キリトのヤツと似たような技使いやがって!?」

 

「へ―ソードスキルを、知らないー?

あ」

 

「あ?」

 

 

パリンッ

 

 

「…今の人…本当に須郷の計画の関係者…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―ウゴァ!?」

 

チュンチュン―

 

……朝、か。

 

「…戻って、これたのか…?頭イテェ……」

 

ヒステリアモードは解除されてるみたいだな……

 

 

―って、

 

 

「酒くさッ!?ていうか屍累々!?おい起きろロリコンども!!お前らの主人焼け死ぬぞッ!!オイッ!?」

 

さっきの女は気になるけど、今はまず―

 

「いっつまでも酔いつぶれとらんと、起きんかーーーーいッッッ!!!」

 




ク「…オイうp主」
初期プロットだとヒースクリフかスカルリーパーかグリームズアイだったんだ。…まぁどれもソロ初見は勝負にもならないからこうしたんだけど…
ク「思いっきりハメ殺されてたな」
ま、でもこれでキンジのHSSのコントロールが効くようになったからな。
ク「…それって」
もちろんチート。この時点で緋アリの伊U勢はシャーロックパトラを除き無双できます。
ク「…伊Uェ」


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白玉楼の幻想殺し
12話 妖々夢 開始


約二週間!お待たせいたしましたー!!
ハーメルンよ!私は帰ってきた!うp主だ!
クト「どうも、アホうp主のツッコミ兼ストッパー(?)、クトだ。
…にしても、そこそこ空いたな。何かあったのか?」
ぶっちゃけフツーにパソコンいじる時間がなかった。
ク「さいで。
まぁ、こんなうp主だが、ゆっくりしてやってくれ。
じゃ、妖々夢、スタート」


 

―春

 

―博麗神社

 

 

「霊夢ーー!!」

 

 

ドッゴォォォオン

 

 

「箒で突っ込みつつ橘花で着地するのやめなさい」

 

「霊夢!異変なんだぜ!」

 

「人の話を聞きなさい!!」

 

 

「ヒスって無いのに大技お疲れ」

 

「…寒い…士道テメェ…のうのうとコタツでぬくぬくしやがって…」

 

「いやオレも4月にもなって雪は異常だと思うぞ?」

 

「なら動けよ」

 

「寒いから断る」

 

「灼爛殲鬼あんだろうが!」

 

「アレ本人には全然熱が伝わらないんだよ」

 

「あんだけボーボーと燃えててかよ!?グエッ!?」

 

「出発だぜ!!」

 

「だから首!首絞まって――」

 

「…生きて帰って来いよー」

 

「…士道」

 

「新しいミカンか?ちょっと待ってろ」

 

「違うわよ!?今あるの食べたら私たちも行くわよ」

 

「ん、りょーk」

 

 

ドッゴォォォオン

 

 

「霊夢ならそう言うと信じてたんだぜ!」

 

「」

 

 

「…戻して来てもらっていいかしら?」

 

「…あいよ。ルーミア、留守番頼めるか?」

 

「分かったのだー」

 

 

 

 

 

―紅魔館

 

 

「さ、寒い…」プルプル

 

「寒いね、お姉様…」プルプル

 

 

「…咲夜、ほれ。ハンカチ」

 

「ありがと…貴方の分は?」

 

「気合で止める」

 

「流石」

 

 

「さ、咲夜ー!キリトー!」プルプル

 

「お呼びでしょうか?」

 

「予想はつくけどな」

 

「ま、薪ってまだある?」プルプル

 

「いえ、そろそろ在庫がきれる頃かと」

 

「じ、じゃあ異変を解決してきてくれるかしら?」プルプル

 

「了解しました」

 

「キリトォ…寒いよぉ…」プルプル

 

「待ってろ速攻で元凶ブチのめして来るからな」

 

 

バタンッ

 

 

「「…」」

 

「「今日中に、片付ける!!」」

 

 

 

 

〜巫女魔法使い従者精霊武偵剣士祈祷中〜

 

 

 

―霧の湖 上空

 

 

「―これで揃ったわね」

 

「いつもの面子だな」

 

「…約2名顔面スプラッタの跡があるけどな」

 

「ウルセェ」

 

「霊夢、アテは有るんだぜ?」

 

「私のカンは魔法の森の上空が怪しいって言ってるんだけど…その前に、冬の妖怪を拷も…訪ねようとおもってね。ちょうど向こうから来てくれたみたいだし」

 

 

「――この私を倒す、ねぇ…貴方たちにそんなこt」

 

「士道」

 

「熱符『砲』」

 

「ヒトのセリフの途中ー!?」

 

 

ピチューン

 

 

「じゃあキリキリ吐きなさい」

 

「グゥ…」

 

(鬼だ)

 

(尋問科にスカウトされそうだな)

 

「さっさと吐かないと――」チャキッ

 

「ひっ!?」

 

((針、太ぉっ!?))

 

(従者コンビ仲良いんだぜ)

 

「はいごーよーん」

 

「分かった話す!話すわよ!」

 

(なんかデジャビュ)

 

(あったなあんなこと)

 

「話すっていっても何も知らない!春が森の上空に集められてるってことくらいしか知らない!!」

 

「そう…いーち」

 

「カウントダウン!?」

 

「ぜろ。

 

霊符『封魔針』!」

 

「ウソだッ!」

 

 

ピチューン

 

 

「さて、こんな寒い中働かされる鬱憤は晴らしたし、魔法の森に行くわよ」

 

「戻るのかよ」

 

「そうなるんだぜ」

 

「…誰もレティを心配しないあたり、かなり幻想郷に毒されてるわね」

 

「「「ピチュっても直ぐ復活するしな」」」

 

「…やった(拷問した)私が言うのも何だけど、アンタたち本当に外来人?」

 

「…多分、気にしたら負けなんだぜ」

 

 

 

―魔法の森

 

 

「」プルプル

 

「ど、どうしたんだぜ、急に震えて?」

 

「…何か言ってるわね」

 

 

「ニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイ」ブツブツ

 

 

「いやお前の方が怖い」

 

「空気の壁ブチ抜く奴が怖がる人形って…」

 

 

「魔理沙ー!」

 

 

「」ビクゥッ

 

「お!アリスー!」

 

「魔理沙ー!」ダキッ

 

「うお!?落ちるんだぜ!ていうかキンジ落ちたんだぜ!」

 

「回収済みです」

 

「なら良いんだぜ」

 

「チッ――」

 

「?」

 

「何でもないわ」

 

「まあいいんだぜ。それより、今起きてる異変について何か知ってるんだぜ?」

 

「そうねぇ…私に弾幕ごっこで勝てたら教えるわ。でも私が勝ったら――」

 

「早く勝負なんだぜ!」

 

 

〜魔法使い戦闘中〜

 

 

「…なんか言いかけてたけどいいのか?」

 

「大丈夫だろ…」

 

「キンジ生きてたのか」

 

「勝手に人をピチュらせるな」

 

「「へ?お前人なの?」」

 

「そっくりそのまま返すぞ人外共」

 

「で、何が大丈夫なのよ?」

 

「ああ。魔理沙の奴が、物だけじゃなく技まで盗めるってだけだ」

 

「「「「?」」」」

 

 

 

「蒼符『博愛のオルレアン人形』!」

 

「儀符『オーレリーズサン』!」

 

 

バシュシュシュシュ!

 

 

「えぇ!? 弾幕が跳ね返って来た!?」

 

「へへ!これぞ『鏡撃ち(ミラー)』なんだぜ!」

 

 

 

「…ワオ」

 

「他にも二重跳弾と、前に弾幕輪切りにしてたな」

 

(…私、博麗の巫女として必要なの?

 

…ちょっと真面目に修行しようかしら)

 

 

ピチューン

 

 

「勝ったぜ!」

 

「…しょうがない、教えるわ。

 

…せっかく魔理沙とイチャイチャ出来ると思ったのに」ボソッ

 

「?」

 

「何でもないわ。それで、異変について?魔法の森の上空に穴が空いてるのよ」

 

「穴?どこにあるんだぜ?」

 

「…もしかして、冥界?」

 

「多分ね。じゃあ私は帰るわ」

 

「おう!またなーなんだぜ!」

 

 

 

―魔法の森 さらに上空

 

 

「…ここが、そうみたいだな」

 

「何か白いモヤモヤしたのが出てきてるけど、これは?」

 

「それ、幽霊よ」

 

「「へー」」

 

「怖ッ!ていうか士道とキリトはもっと驚けよ!」

 

「いや、神社への依頼で悪霊退治もあったし」

 

「ウチなんてガチのホー○デッ○マ○ショ○だし」

 

「オイバカヤメロネタ元が危険だ」

 

「此処でウダウダしていてもしょうがないぜ!早く入るんだぜ!」

 

「ハイハイ――ん?霊夢、どうした?」

 

「――何でもないわ。行きましょう」

 

(この冥界への穴、おかしいわ。まるで――

 

 

結界そのものを一撃で破壊した、そんな開き方――)

 

 

 

―冥界

 

 

「…白いモヤ以外何もないな」

 

「…やっぱりおかしい」

 

「? 何がだ?」

 

 

「霊的な者の気配がしなさ過ぎる」

 

 

「? そうなんだぜ?」

 

「…誰かが、追い払った…?でもどうやって…?」

 

 

「侵入者なんだよー」

 

 

「「!!」」

 

 

ジャキッ

 

 

「いきなりナイフと銃なんだよ!?」

 

「なら急に現れるな」

 

「…それでもココは通せないんだよ!」

 

「って、よく見たら橙じゃない」

 

「知り合いか?」

 

「大結界のもう1人の管理者の式の式よ。じゃあ今回の異変は紫か藍が関わってるの?」

 

「紫しゃまもらんしゃまも関係ないんだよー」

 

「じゃあなんでアンタがココにいるのよ?」

 

「頼まれたんだよー」

 

「頼まれた?」

 

「そうなんだよー。ほんとは誰か来たら知らせるだけでいいんだよー」

 

「なら通しなさい」

 

「でも、ここを通したらあの人とぶつかるんだよー。あの人は弾幕を撃てないから、私も戦うんだよー」

 

「…そんな奴が冥界にいて、よく無事だったわね」

 

「あの人はちょっと変わった力を持ってるんだよー」

 

「力?」

 

「知りたかったら、ここを通るんだよー!」

 

「…誰が出る?」

 

「私が行きます」

 

 

〜従者戦闘中〜

 

 

「分からないんだよー!!」

 

 

ピチューン

 

 

「終わりました」

 

「…やっぱ時間停止ってエグいな」

 

「始まった瞬間囲まれてるからな。武偵としての任務なら即降参だな」

 

「うわーん!!」

 

「あ、逃げた」

 

「ほっときましょ。さっきの話が本当なら次は瞬殺できるわ」

 

 

 

―白玉楼 入り口

 

 

「こんな色の灯籠、初めて見たんだぜ」

 

「幻想郷では常識に囚われてはいけない」

 

「そうだったんだぜ!」

 

「キンジ、アンタホントに外来人?

 

…武偵法5条は?」

 

「行動に疾くあれ。会敵した瞬間ピチュらせろ」

 

「ガッツリ毒されてるー!?」

 

「みょん!?超危険人物みょん!?」

 

 

「「「「「「…あ」」」」」」

 

 

「え…あ!

 

し、侵入者め!何をしに来たみょん!」チャキッ

 

「…剣士ね」

 

「オレの出番だな」ジャキッ

 

「ふー妖怪が鍛えたこの桜観剣に、切れない物などあんまり無い!!」

 

「あんまりかよそこはハッタリでも何も無いって言っとけよ」

 

「う、うるさいみょん!」

 

 

 

〜剣士祈祷中〜

 

 

 

「小手調べに――

 

斬符『スネークバイト』!」

 

「みょんっ!剣士なら弾幕なんて使わず堂々と切りかかってこいみょん!」

 

「それもそうだな!

 

『ホリゾンタルスクエア』!」

 

「あの、スペルカードルールまもっt」

 

「ウオォォォオ!!」

 

「はあぁぁぁあ!!」

 

 

ギャリギャリギャリギャリギャリッッ!

 

 

「やるみょん。ならこれはどうみょん!」

 

「二刀流、ならオレも―」

 

「左右同じ長さでマトモに振れるワケが」

 

「『ジ・イクシリプス』!」

 

「み"ょん"ーーーーー!?」

 

「スペカーーー!!」

 

 

「み…ょん…」

 

「ラストは弾幕にするよ。さっきからスペカルールに従えって後ろがうるさいからな。

 

投符『バレットシュート』!」

 

 

 

 

「――妖夢!危ねぇ!」

 

 

 

パキンッ

 

 

「なっ――」

 

「―」

 

「弾幕を、触っただけで消した!?」

 

 

「…お前らが、橙の言ってた侵入者か?」

 

「だったらなによ。私たちは異変を解決しに来たのよ」

 

「…地上で冬が続いてるのは、確かにこっちが悪い。でも、これは俺に出来る恩返しで、花が見たいって言った幽々子の為なんだ。女の人1人の我儘すら叶えられねぇ幻想なら――

 

 

――まずはその『幻想』をぶち殺す!!」

 




ク「ねえねえうp主」
なんだよ今次の話の細かい調整やってr
ク「長くない、コレ?話の展開も早いし」
…13話が丸々vsイマジンブレイカー&説明回だからな。
3話で一区切りルールだと、こうなっちまうんだよ。
ク「そーですか」
…ん?それだけ?
ク「キンジの早苗化やキリトの咲夜化に関しては突っ込まん」
そーなのかー。


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13話 幻想に生きる『幻想殺し』

 

―白玉楼 入り口

 

 

「…お前、確か弾幕撃てないんだよな?」

 

「それでも闘う。幸い『幻想殺し』なんて不便なモノがあるからな」

 

「じゃあ遠慮無く――

 

斬符『バーチカル』!」

 

「――っ!!」

 

 

パキンッ

 

 

「な――ソードスキルを、キャンセルした――?」

 

「隙だらけだ!!」

 

「しまっ――ガフッ!!」

 

 

ピチューン

 

 

「キリトぉ!?」

 

「さて、次は誰だ?」

 

(弾幕消去って、強すぎるんだぜ!)ゴニョゴニョ

 

(でも何かしらのデメリットはある筈よ。そこを叩けば)ゴニョゴニョ

 

「―オレがやる。やっとなった(ヒスった)からな」

 

「「「キンジ!?」」」

 

「この遠山桜、散らせるものなら――

 

散らせてみやがれッ!!」

 

 

 

〜武偵祈祷中〜

 

 

 

バババババッ

 

 

(さっきキリトの弾幕を消す時もスキルをキャンセルした時も、アイツはわざわざ『右手』で殴っていた。もしかしたら、右手にしか効果が無いのか?)

 

(…弾幕が左側に集中してきた!ばれたか!?)

 

 

「弾幕じゃ決着がつかないな。直接かかってこいよ」

 

「…そうみたいだな」

 

 

(―あの右手は、どこまで消せる?消えるのは、完全にか一時的か? 近づいたらアウトか? 触れなければ安全なのか? 手だけなのか、腕全体か、右手のみはブラフで全身か?

 

…ダメだ、情報が少なすぎる!)

 

(…あれ、警戒されてる?取り敢えず銃を抑えるだけのつもりだったんでせうが?)

 

「来ないなら――こっちから行くぞ!」

 

「――ッ!」

 

(遠近両方ダメなら―一撃でッ!!)

 

「―なっ!?」

 

「『桜花』ッッ――」

 

 

バッッッッt――

 

 

パキンッ

 

 

「…え…?」

 

「―止めきったぞ」

 

(ちょっと待て何でヒスが解除されてんだそれはいいとして――

 

どうやって桜花を止めた!?!?)

 

(ふい〜。反射的に右手で受け止めちまったけど、うまくいった)

 

 

「…さて、と」

 

「」

 

「―その『幻(ry

 

 

 

ピチューン

 

 

「「」」

 

「なん…だと…」

 

「―次は誰だ?」

 

(ちょっとどうするんですか?)ゴニョゴニョ

 

(普通の弾幕ごっこならまだ勝ち目はあるんだぜ。だけど…)ゴニョゴニョ

 

(さっきのキンジ、ヒステリアモードまで解除されてたわね。あれいったいどこまで消せるのよ!?)ゴニョゴニョ

 

 

「―じゃあ、オレが相手だ」

 

 

「「「士道!?」」」

 

「勝ち目があるんだぜ!?」

 

「いや、何も思いつかない」

 

「「「ハァ!?」」」

 

「まあ―何とかなるだろ」

 

 

 

〜精霊祈祷中〜

 

 

 

「悪いけど速攻で行くぞ!

 

炎符『灼爛殲鬼』!」

 

発火能力(パイロキネシス)か!分かりやすいな!」

 

 

パキンッ

 

 

「っやっぱり駄目か!?」

 

「これで終わり――!?!?」

 

 

ゴゥッッッ!!

 

 

「!?」

 

「な!?消えきらない!?」

 

「よく分からないけど―

 

こっちの番だ!

 

炎符『灼爛殲鬼』!!」

 

「負けられないんだよ!コッチもな!―その『幻想』をぶち殺す!!」

 

「お前が『幻想』を否定するなら――

 

 

――オレは『お前』を否定する!!

 

ラストスペル『グングニル』!!!」

 

 

 

ゴッッッッ――

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ霊夢?」

 

「…何よ?」

 

「……ピチュったの聞こえたか?」

 

「…」

 

「完全にオーバーキルだったな」

 

「ていうか士道、いつの間にあんなスペカ作ってたんだ?」

 

「…灼爛殲鬼と砲じゃ火力不足でな。つーか復活早」

 

「「で、結果がこれと」」

 

「」

 

「み、みょん…?そんなのウソだみょん!?当麻?トーマ!?」

 

 

 

ガコッ

 

 

 

「ゲホッ、勝手に殺すな、ゴホッ!」

 

「無事だったか。良かった良かった」

 

「オイコラ犯人」

 

「…手帳にまだ応急セットあったっけか?」

 

 

〜武偵手当て中〜

 

 

「さて、俺たちは先に進むけど…」

 

「別にいいぞ、行っても。それが異変解決のルールだろ?」

 

「じゃあ移動と行くんだぜ!」

 

 

〜巫女魔法使い従者半霊精霊武偵剣士幻想殺し移動中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―???

 

 

「」

 

「いやぁ…派手にブっ放したねぇ…

 

アレ(グングニル)顕現装置(リアライザ)の補助無しで撃てるんだ」

 

「」

 

「お〜い?いつまでフリーズしてんの?まあご自慢の巫女の霊力クラスの魔砲だったからねぇ。驚くのも分かるけど」

 

「…白玉楼の修理、後で愚痴られるのは私なんだけど?」

 

「ドンマイ」(^_^)b

 

「」

 

「強力な『五番目』とはいえ、アレでまだ精霊一体分ってんだから。ラストにゃどれ程強くなんだか」

 

「…それはそれとして、貴女は説明出来るのかしら?」

 

「何を?言っとくけど異本は部下が勝手にやった。ワタシワルクナイ」

 

「…」

 

「…」

 

 

「ラストスペル『深弾幕結界ー夢幻泡影ー』」

 

「呪館『resident evil』」

 

 

―しばらくお待ちください

 

 

―数分後

 

 

「酷いジャマイカ、いきなりラストスペカだなんて」

 

「そういう貴女もシレッとトップクラスのスペカよね」

 

「私にはまだ、兄より上のスペカがある…!」

 

「まだ上があるの?ていうか兄いたの?」

 

「正確には異母兄弟で弟だけどね」

 

「…マジ?」

 

「イッ・ツジ=ョーク。いません。つーかそれ原作」

 

「メタいわよ。―それより、冗談抜きで説明出来るのかしら?」

 

「幻想殺しが灼爛殲鬼を消しきれなかった理由?証拠無しの妄想で良ければ」

 

「ボケが無ければなんでもいいわ…」

 

「疲れてるねー。そっかいつもならこの時期は冬眠――分かった話す!話すからぶらり旅は止めてぇ!!」

 

 

―もうしばらくお待ちください。

 

 

「うぅ、電車の一刀両断は腕のキンニクが…

 

で、幻想殺しが効ききらなかったワケ?あの幻想殺しは、何もありとあらゆる『異能』や『幻想』を消すわけじゃないからね。『命』や『魂』に関する系は効果が薄いor皆無なんだよ。ていうかそれにも効果バツグンなら唯の大量殺人能力だから。触れただけで終了とか青鬼かよって話。でもって精霊の力の源の霊力結晶って『魂』の在り方から変える代物だから、効果の発動地点と核が離れてんだよね分かりやすく言えばイノケンさん想像すればおk。早い話精霊の霊力って文字通り命そのものだからね。そら幻想殺しじゃ打ち消しきれないよ」

 

「…長いから3行で」

 

「幻想殺しは魂には影響が少ない。

 

精霊の霊力はソイツの魂そのもの。

 

だから効果今ひとつ。

 

喋ったんだからカツ丼よこせ」

 

「…故郷の常識では3行と言ったら4行になるのを忘れてたわ」

 

「カツ丼」

 

「境符『二次元と三次元の境界』

 

ボッシュートされてなさい」

 

「what!?」

 




ク「…オイコラうp主最後の私の扱いはなんだ?」
ボケ及び説明担当。
ク「…しかも最後のネタって、」
まぁ、これでわかる人にはクトの種族と、とある『フラグ』に気がつくでしょ。
ク「…」

補足説明
キンジのヒスったタイミング:前話の上条がキリトの弾幕を消した直後の「―」の時。
士道のキメゼリフ:原作美九編のセリフをパロった。
グングニル:原作七罪編で琴里がフラクシナスからぶっ放したアレ。威力絶大。


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14話 西行妖

ク「これでこの異変も終わりか」
そうだな。ちなみにお前の出番この回もあるぞ。
ク「どうせ説明だろ?」
全部がそうじゃないけどな。とりあえずお前さぁ…
ク「?」
…終わってからでいいや。では14話、どうぞ。


 

―白玉楼

 

 

「…冥界にこんな所があったなんて」

 

「桜が綺麗な所だな」

 

「広いし、宴会に良さそうだな。ただちょっと遠いな」

 

「だからってウチに溜まるのはヤメロ」

 

「「じゃあ菓子とか茶とか持ってかなくてもいいんだな?」」

 

「この間珍しいの1本人里で貰ったんだけどよかったら一杯どうだ?」

 

「ちょっと待てお前ら酒飲んでんのかよ!?」

 

「「「それがどうした?」」」

 

「ちょっ、未成年!」

 

「「「幻想郷では常識に囚われてはいけない」」」

 

「その幻想をぶち殺す!」

 

「ボケてないで異変の主犯のトコに案内するんだぜ!」

 

「分かってるみょん…幽々子さま〜」

 

 

シーン

 

 

「みょん…?」

 

「誰もいないのか?」

 

「常時腹空かしてる幽々子に限って呼んでも無反応なんて…おーい、幽々子ー?」

 

 

シーン

 

 

「…まさかとは思うけど、西行妖?」

 

「…見てみるみょん」

 

「ねぇ、西行妖って?」

 

「妖怪桜だみょん。近付いた人を死に誘うから注意だみょん」

 

「「「「「「」」」」」」

 

 

 

―西行妖 前

 

 

「…いないな」

 

「どっかですれ違ったのか?」

 

「…にしても、デカい桜だな。7分咲きって所か?」

 

「やっとここまで咲かせたみょん。普段は全く花をつけないみょん」

 

「なんでなんだぜ?」

 

「みょーん…呪いがかかってるって、どこかで聞いた覚えが…どこだみょん?」

 

「呪いって、オイオイ――ッ!?」

 

 

バッ――

 

 

「ど、どうしたんだぜ?」

 

「…霊夢、咲夜、キリト」

 

「…カンよ。物凄く嫌な予感」

 

「強い殺気です。注意してください」

 

「かなり分かりやすいな。

 

――この桜からだ」

 

「…なぁ妖夢。西行妖で何かもっと思い出さないか?」

 

「みょーん、みょーん…御師匠から聞いたような…」

 

 

ブワッ―

 

 

「お、花びらが舞ってr―」

 

「みょん、そういえば花吹雪に触ると死ぬって聞いたような」

 

「危なっっっ!?」

 

「これじゃおちおち人探しも出来ないわ。ちゃっちゃと封印して春を返して貰うわよ!!」

 

 

 

〜巫女魔法使い従者半霊精霊武偵剣士幻想殺し祈祷中〜

 

 

 

「封印って言ってもどうするんだ?あの花びらが即死なら近付けないぞ!」

 

「やる事は弾幕ごっこと変わらないわよ。避けるか、ボム撃って打ち消す。違うのは、掠って(グレイズ)もアウトと、封印用の弾幕を近距離で撃ち込ままなきゃいけないってこと」

 

「そうなると、ブレイジングスターや桜花みたいな直接攻撃するスペカは危険だな」

 

「だからどうしたってんだぜ!

 

恋符『マスタースパーク』!」

 

「まったく、1人で突っ込むな。

 

弾符『バーストファイヤ』」

 

「キリト、上条、魂魄。前衛は任せます。

 

幻符『殺人ドール』!」

 

「結局いつも通りか。

 

斬符『スターバースト・ストリーム』!」

 

「はぁ、不幸だ…」

 

「当麻は右手を当てるだけだみょん。

 

断迷剣『迷津慈航斬』!」

 

「アンタたちお喋りしすぎよ。

 

霊符『封魔針』!」

 

「お前も人の事言えないだろ。

 

熱符『砲』――っ!?ゲホッ!?」

 

「ど、どうしたの士道!?」

 

 

 

「…弾幕が、でねぇ」

 

 

 

「よく見たら霊力スッカラカンじゃない!!」

 

「…グングニルの時か。士道、下がってろ。この調子ならすぐ片が付く」

 

「…悪りぃ」

 

「―獄界剣『二百由旬の一閃』!

 

道が出来たみょん!」

 

「でかしたわ妖夢!

 

霊符『夢想封印』!!」

 

 

―っっキンッ!

 

 

「封印、完了!」

 

 

「――!? 霊夢、戻れ!まだだ!!」

 

「え?キリト、一体なに言って―」

 

 

 

「――まだ終わってない!!」

 

 

 

―ゴゥっっっ―

 

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

「ウソ、封印は!?っ―!

 

霊符『博麗二重結界』!」

 

「な、なんかさっきより不味そうなんだぜ!?」

 

「やっこさんも、本気になったってことだろッ!」

 

「クソッ!不幸だ!」

 

「」

 

「―キリト」

 

「気が付いてる。さっきより花びらが多い…!」

 

「っー!ならもう一度!

 

霊符『夢想封印』!」

 

 

バチィッ!

 

 

「!? 効いてない!?霊力が足りないっていうの!?」

 

「斬符『ダブル・サーキュラー』!

 

―マズイぞ。キンジ!」

 

「コッチもボムが弾かれ始めてる!これなら実包少しは取っておくんだったッ!」

 

「もう一度―

 

霊符『夢想封印』!」

 

「魔符『スターダストレヴァリエ』!」

 

「クッ―

 

幻象『ルナクロック』!」

 

「霊――ゲホッ、ゴホッ!」

 

「士道!? 今は来ちゃダメ!!」

 

 

 

 

 

(…オレは、荷物なのか?

 

こんな大事な所で、霊力もなにも無くて―

 

何も出来なくて――)

 

 

 

((―何か出来る事が、あるとしたら?))

 

 

 

「!?」

 

 

 

((クッケケケ…探したって見つからないよ。それより、アンタが出来ること。聞きたい?))

 

 

 

「教えろ!何が出来る!?」

 

 

 

((…死ぬかもしれないよ?))

 

 

 

「だからどうした。目の前で苦しんでる奴がいるのに、保身なんか出来るか」

 

 

 

((…私は嫌いだよ。ヒトのそういう態度は。極稀に食物連鎖の絶対的上下すらひっくり返す、その根性は。

 

―まぁそれは今はいい。アンタが出来ることだったね。

 

…幻想郷の住民の一部は、私たちが『EX』と呼ぶ一種の暴走状態になることが出来る。それならいけるんじゃないか?再三言うけど、命の保証は無いからねぇ…クッケケ))

 

 

 

「…分かった。やってやる」

 

 

 

((…引き金くらいは引いてやるよ。今アンタたちに死なれちゃ、コッチもシナリオが滅茶苦茶だからねぇ))

 

 

 

 

 

 

「―魔砲『ファイナルスパーク』!!」

 

 

っっゴゥン!!!

 

 

「コレでも突破出来ないんだぜ!?!?」

 

「…夢想天生なら…でも、私まで霊力がカラに…」

 

「ッー『桜花』!!」

 

「キンジ!?」

 

「衝撃波を使っただけだッ!」

 

「ヤバいみょん…もう九分咲きだみょん…!」

 

(ちょっと不味いわね。一旦退いて、実力者をかき集めるしか―)

 

 

 

 

「――霊装『神威霊装・五番(エロヒム・ギボール)』」

 

 

 

 

「「「「「「「士道!?」」」」」」」

 

「ふ、服変わってないか!?さっきまで学生服だったよな!?その和服どうした!?」

 

「それ以前に物凄く顔色悪いわよ!?大丈夫なの!?」

 

「…大丈夫だ、問題無い」

 

「ふらつきながら言っても説得力無いですよ!?」

 

「…そんなに酷いか?

 

それより霊夢」

 

「いいからアンタは寝てなさい!!

 

―じゃないと、普段、コキ使えない、じゃない…そんな、今にも死にそうな顔して…グスッ」ポロポロ

 

「…霊夢」

 

「グスッ、なに、よ…」

 

「…あの夢想封印、もう1発、撃てるか?」

 

「…?撃てる、けど」

 

「それじゃあ、オレのすぐ後ろにいてくれ。西行妖に近付いたら、撃ってくれ」

 

「どうやって、近付くのよ?」

 

「そりゃもう、単純の極みで―

 

――突っ込む」

 

「…は?え?」

 

「そういうワケだ!どいてくれ!」

 

「自殺行為だッ!退けるかッ!!」

 

「『今のオレなら出来る』んだよ!!

 

信じろ!!!」

 

「ッーラッツオ(復活薬)は使ってやらねぇからなッ!!」

 

アイルビーバック(I'll be back)!!」

 

「無事に戻ってきたら斬り刻んで溶岩に沈めてやるよ!!ハヨ行け!!」

 

「いわれなくても!!」

 

(霊装の回復能力と、西行妖の能力ー大丈夫だ!きっとたどり着く!!)

 

「―――今だ、霊夢!!」

 

「『夢想封印 絶』!!!」

 

「オマケだ!持ってけ!

 

EXラストスペル『イフリート』!!!」

 

 

 

――キンっ!!

 

 

 

「―今度こそ、」

 

「―封印、完了よ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー??

 

 

「いやぁ〜、ヒヤヒヤしたねぇ〜」

 

「…干渉しないと言ったのはどの口だったかしら」

 

「さぁ?ま、コレで異変も解決、西行寺の亡霊も帰ってくるし。アンタも出てってネタバレしたら?西行寺はあの桜について何にも覚えてないんでしょ?」

 

「…それより、よく五河士道の霊力を暴走させられたわね」

 

「あれ?何で知ってるのってツッコミが入ると思ったけど?」

 

「…貴女が妙に物知りなのは昔からでしょう?」

 

「わーい信用されてるねぇ。…前も言ったけど、精霊の霊力の独自の特徴だよ。霊力カラが博麗ならあんなマネは無理」

 

「…」

 

「にしても―

 

だいぶ、面白く(美味しそうに)なったねぇ…そろそろ私も、『表』に出るかな」

 

「…言っておくけど」

 

「ハイハイ幻想郷は滅びないよ。EXとはいえ、子供4匹と遊ぶのに私が本気だすわけないじゃん?」

 

「…どうかしらね」

 

「…私が、負けるとでも?アンタが霊力の才能が無い先代の博麗にボコボコにされたように?」

 

「…」

 

「…ク――

 

クッケケケケケケッ!

 

ヒトと妖怪なら、まあ時々あるこった。でも今度は違うでしょ?

 

私に、私達に勝てるモノは、何もない。

 

何故なら私達は、――

 

 

『程度の能力』を持った、『神』なのだから!!!!」

 




…クトは―
よし、まだ紫と話してるな。
どうも、うp主です。いまさらですが、ここで再度警告。

この二次小説は『クトゥルフ神話』成分を含んでいます。
好きなキャラが発狂(もう決まってる)する場面や、未定ですがクト以外の邪神も登場します。
ダメという方はブラウザバックを。

…なんでこのタイミングかって?
これから先、段々とクトゥルフカラーが強くなっていくからです。


ク「おーい、あとがきまだ?」
…もうあと補足だけだよ。
ク「ダニィ!?」

補足説明
ラストスペル:体内にある力(士道なら霊力)の全てを撃ち込むスペル。うまくコントロールできなければ、しばらくは行動にも支障が出る。
EX:極一部の存在のみが可能。潜在的な力を解放することにより、暴走状態に移行。大半の場合、姿や服装に大きな変化が現れる。
士道の場合は、精霊『イフリート』の限定霊装。


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とある白玉楼のイマジンブレイカー
15話 とある冥界の幻想殺し(イマジンブレイカー)


ク「上条当麻の過去編か」
そーなるね。…いやはや妖夢と幽々子は口調がホント楽だよ。
ク「そんなに違うのか?」
うん。男四人集まろうものなら、もううp主にもわけがわからないよ。
口調がコロコロ変わるヤツもいるし。
ク「…もしかしなくても」
クトのこと。
ク「」


―約1ヶ月前

 

―学園都市

 

 

「待てー!今日こそ決着つけるわよ!」

 

「ビリビリの勝ちで良いって言ってるだろ!」

 

「良くないわよ!!後ビリビリって言うなー!」

 

「あぁもう!不幸だー!」

 

「チョコマカと―

 

コレでもくらいなさい!」

 

 

ちゅどーん

 

 

「だからレールガンは危ないだろおぉぉぉぉ…」

 

「…あれ、吹っ飛んでった?

 

ちょ、ちょっと!どこ行くのよ!?」

 

 

 

〜幻想殺し飛行中〜

 

 

 

―白玉楼

 

 

「今日の庭の手入れは、後あの池だけだみょん!終わったらオヤツだみょん!」

 

 

「―ぁぁぁぁぁ」

 

 

「!? なんだみょん!?みょんな声が聞こえるみょん!」

 

 

「―ぁぁぁぁあ」

 

 

「ま、まさか、オバケみょん!?」

 

 

「―あああああ!」

 

 

ドバシャーン!!

 

 

「い、池がーー!?」

 

「」

 

「こ、この人?生きてるみょん?化けて出るのは辞めるみょん!」

 

「」

 

「みょん!?まさか―

 

 

 

―栗のオバケみょん!?」

 

 

 

「ウニ条と呼ばれることはあれど栗条ってなんでせう!?」

 

「出たみょーーん!!」

 

「ん?…ぎゃー!ユーレーだ!!」

 

「誰がユーレーみょん!?」

 

「出たって人をオバケ扱いするな!」

 

「じゃあなんでそんなにツンツンした髪してるみょん!」

 

「地毛だ!ほっとけ!そういうお前こそ、その人魂みたいなのなんだよ!?」

 

「これは妖夢の半霊みょん!人魂じゃないみょん!人のことユーレー扱いして、そういうそっちはユーレーじゃないのかみょん?」

 

「なんでそうなるんでせうか!?」

 

「どっからともなく吹っ飛んできて、池に墜落―みょん?池?」

 

 

Q、学園都市から超電磁砲の余波で白玉楼の池まで飛びました。さて、着地地点はどうなるでしょう?

 

 

A、『見るも無残な形容しがたき池だったもの』になる。

 

 

「」

 

「…ごめん」

 

「…みょん…妖夢のオヤツ…これが終わったらって…みょん…」

 

「…ホントにごめん」

 

「…あ…アはハ…これが終わったらって…aはハはは…」

 

 

〜幻想殺し半霊池修復中〜

 

 

「」

 

「…えっと、大丈夫でせうか?」

 

「…帰って、夕食の支度みょん…」

 

「夕食?まだこんなに明るいのに?」

 

「…幽々子様の食べっぷりを知らないからそんなことが言えるみょん…みょんの1日の3分の1から半分はご飯の支度みょん…」

 

「…手伝おうか?」

 

「…いいのかみょん?」

 

「いいっていいって」

 

「…みょんは魂魄妖夢だみょん。よろしく頼むみょん」

 

「上条当麻だ。よろしく」

 

 

 

〜数十分後〜

 

 

 

「」

 

「」

 

「ムシャムシャパクパク」

 

「」

 

「」

 

「ゴクゴクーふぃ〜」

 

「」

 

「」

 

「おかわり!」

 

「…タダイマオモチシマス」

 

「ちょっと待てーぃ!!」

 

「どうしたのかみじょー君?」

 

「どう考えても食べ過ぎだろ!ちゃんと噛んでるのか!?」

 

「バクバクムシャパク」

 

「西行寺さーん!?!?」

 

「みょん…あはは…お花畑が見えるみょーん…」

 

「妖夢お前もういいから少し休め!?な!?俺がやるから!?」

 

「…でも、カミジョーは開始3分で指ザックリやってるみょん」

 

「う…!こ、これくらい大丈夫だ!」

 

「…」

 

「…妖夢?」

 

「」

 

「立ったまま気絶するな!?戻って来い!!」

 

「おかわりまだー?」

 

「あぁもう!不幸だーー!!」

 

 

 

―しばらくして

 

 

 

「」

 

「…えっと、カミジョー?」

 

「燃え尽きてるわねー。真っ白に」

 

「幽々子様少しは手加減して下さい!!トーマが可哀想だみょん!!」

 

 

「…どうしましたか?随分騒いでいますが?」

 

 

「あ、藍ちゃん久し振り〜」

 

「…お久しぶりです、幽々子様」

 

「あれ?橙ちゃんは?」

 

「…マヨヒガにいるかと」

 

「…藍ちゃんクマ酷いけど大丈夫?

 

紫がまだ、見つかってないの?」

 

「…はい。

 

ところで、あれは一体…?」

 

 

「ふ、こう、だ…」

 

「みょん!?トーマ、息するみょん!トーマ!トーマァァァァァア!!?」

 

 

「えっと、お客さん?」

 

「…幽々子様、貴女の食事量は作る方は勿論、見るだけでさえ心が折れるのですから自重して下さい。

 

妖夢。回復術を掛けるからちょっとズレてくれ」

 

 

 

パキンッ

 

 

「!?」

 

「どうかしたみょん?」

 

「…妖夢、此奴は何処から来た?」

 

「空から降ってきたみょん!」

 

「…おいかみじょーとやら。起きろ」

 

「」

 

「…」

 

 

バキッ

 

 

「そげぶっ!?」

 

「みょん!?予想外の肘!?」

 

「…おい起きろ。コッチは此処最近夢見が悪くて眠れてないんだ。紫様が行方不明になってから橙を愛でる時間も減ったし…!」

 

バキッ、ゴキッ、ベキッ

 

「辞めるみょん!トーマのライフはもうゼロみょん!」

 

「…そういう問題じゃないんだ妖夢」

 

「?」

 

「今の幻想郷には誰も出入りが出来ない筈なんだ」

 

「それとトーマがなんの関係があるみょん?」

 

「…もし此奴が幻想入りしたのなら、どうやって入ってきた?

 

それにさっきの、私の術をキャンセルしたのは何だ?」

 

「みょん…確かに気になるみょん」

 

「だからって肘はどうかと思うんでせうがそれは。不幸だー」

 

 

 

〜幻想殺し説明中〜

 

 

 

「…よし分かった」

 

「『がくえんとし』に『いまじんぶれいかー』…随分変わってるみょん」

 

「ふ〜ん。外はいまそうなってるのね」

 

「…ところで今更だけどココ何処でせうk

 

「式神『仙狐思念』」

 

うぎゃぁ!?」

 

 

パキンッ

 

 

「…藍さんだっけ?いきなりなんなんだ?」

 

「…危険の排除だ。『触れた異能を消す程度の能力』は神妖異形が存在する幻想郷にとって受け入れられる代物では無い。

 

だから、貴様を殺す」

 

「…いいぜ。テメェが対話も無しに殺しにかかるってんなら―

 

 

まずはその『幻想』をぶち殺す!!」

 

 



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16話 幻想の狂

 

―白玉楼

 

 

「ちょ、藍さん!?トーマ!?どうしちゃったんだみょん!?」

 

「…藍?いくら何でも結論を急ぎ過ぎじゃない?貴女らしくないわよ?」

 

「…ちょっと…黙ってて下さい…!これは、…ソう…幻想郷のタメデ…」

 

「…様子がおかしいみょん」

 

「かみじょー。私たちもちょっと手を出すわよ」

 

 

 

〜幻想殺し半霊亡霊祈祷中〜

 

 

 

「…私は、…間違っテ無イ…間違ってナイ…

 

式神『十二神将の宴』!!」

 

「ちょーっち痛いわよ。

 

桜符『完全なる墨染の桜-封印-』」

 

 

バシュシュシュシュ!

 

 

「…グゥ…」

 

「――!!」

 

「みょん!?おかしいみょん!」

 

「…何かおかしい所あったか?西行寺さんが撃った光弾?が藍さんに当たりまくってるだけ」

 

「大問題みょん!スペルカードルールは力を持った存在が相手を殺さないように作られた、一回当たったらお終いの勝負だみょん!」

 

「…てことはつまり?」

 

 

「…藍。貴女何を考えているの?」

 

「……あ………る………え…た……」

 

「…

 

『反魂蝶-伍分咲-』」

 

「式輝『狐狸妖怪レーザー』」

 

 

(迎撃は出来るから、反応は出来ている。なら疲れ過ぎじゃないわね。とすると―誰かに操られている?でも誰が?何の為に?

 

まあ今の予想が正しいなら―)

 

 

「かみじょー。今からこの子撃ち落とすから、何処でも良いから触ってみてくれない?」

 

「ほえ?コッチも流れ弾避けるのに必死

 

「お願いね〜」

 

―あぁもう!不幸だー!」

 

 

「―それじゃあ」

 

「!?

 

『狐句狸さんの契約』」

 

「藍ちゃんごめんね〜。

 

ラストスペル『西行寺無余涅槃』」

 

 

ブワッ――

 

 

「…グェ」

 

「トーマ!落ちてきたみょん!今みょん!」

 

「うおぉぉお!!間に合えー!!」

 

「? 間に合うって何にみょん?」

 

 

―ガシッ!

 

パキンッ

 

 

「…みょん」

 

「あらあら」

 

「イテテ、全身擦り傷だらけでせう…

 

藍さんは―よかった。間に合ったか」

 

「…フツーさっき自分に殺す宣言した相手をお姫様抱っこするみょん?」

 

「良いわねー。最近の子は」

 

「そういう問題みょん!?」

 

「そういうもんよ。それもそうだけど―」

 

「みょん?」

 

「久し振りにラストスペル撃ったからお腹空いちゃったわ」

 

「…ふ」

 

「ふ?」

 

「ふこーだみょーーーん!!」

 

 

 

―翌日

 

 

「……う――此処は…?」

 

「あ、藍さん。目を覚ましたみょん?」

 

「妖夢…なら此処は白玉楼…?」

 

「そうだみょん……

 

…って、それどころじゃないみょん!藍さん昨日何やってくれたか分かってるみょん!?」

 

「昨日?昨日は確か…橙の寝顔を完徹で眺めて…紫様を探して妖怪の山まで行って…結界に異常があったから、それを直して…

 

そうだ妖夢!!昨日誰か見慣れない奴が冥界にいなかったか!?出入り出来ない筈の幻想郷に幻想入りした奴がいる筈n」

 

「えぇい、ツッコミ所が多過ぎるみょん!!幽々子様叩き起こしてからゆっくり尋問だみょん!!」

 

 

 

―しばらくして

 

 

 

「じゃあそろった所で改めてツッコミみょん」

 

「…すまない、その前にそこの栗頭は誰だ?」

 

「…栗…ウニもあれだけど栗…」

 

「トーマ心折れるの早すぎみょん!?藍さん昨日のこと覚えてないみょん!?」

 

「…すまない」

 

 

 

〜半霊説明中〜

 

 

 

「―こんなことがあったみょん!」

 

「…そんな事が…?すまない、上条」

 

「別に良いって。ビリビリに比べればこうやって話し合える分ずっと良い」

 

 

(妖夢ー)ヒソヒソ

 

(何でしょう?)ヒソヒソ

 

(お姫様抱っこの件は話さないのー?)ヒソヒソ

 

(―!!べ、別にいいみょん!ワザワザ話す必要はないみょん!!)ヒソヒソ

 

(そーなのかー)ヒソヒソ

 

 

(…何ヒソヒソ話してんだ?)

 

(…断片的にしか聴こえないな。おひ…まだ…後で幽々子様に聴いておこう)

 

 

「と、取り敢えず置いといて!完徹って何だみょん!そりゃフラフラにもなるみょん!」

 

「あぁ。最近夢見が異常に悪くてな。夜中に跳び起きる生活を送っているうちに段々寝なくなってな」

 

「…一応聞くみょん。どれ位寝てないみょん?」

 

「悪夢が始まったのが丁度結界の暴走と同じ時期で…本格的になったのが紅霧異変からだから…かれこれ一ヶ月はうたた寝すらしてなかったな」

 

「それいくら妖怪でも死ぬみょん!?」

 

「そのせいか、ここ数日は時々視界に空飛ぶ油揚げがちらついてな」

 

「誰かこの人寝かしたげてぇ!!」

 

「…ところで、その悪夢っていうのは何だ?一ヶ月完徹させるような夢なんてあるのか?」

 

「アレは、……」

 

「…藍ちゃん凄い勢いで顔真っ青になってるわよ?辛いなら話さなくても…」

 

「…いえ、大丈夫です。夢の内容そのものは単純ですから。

 

…半魚人の大群が、訳のわからない言葉を叫びながら追ってくるんです。しかも、その夢を見るたびに、段々、近づい、て―!?」

 

 

ギュッ

 

 

「…大丈夫。もう大丈夫だからな」

 

「―//」

 

 

「…みょん。やっぱトーマはタラシだみょん」

 

「あらあら。妖夢も大変ねぇ」

 

「どういう事ですみょん?」

 

「え〜?妖夢は何時からかみじょーを名前で呼ぶようになったのかなって」

 

「…ゑ?」

 

「まさかの無意識!?」

 

「幽々子様がツッコまないで下さい。キャラがブレるみょん!オラ二人とも離れるみょん!!

 

…にしても半魚人の大群、みょん。半魚人って人面魚みょん?」

 

「人面魚じゃなくて、魚面人が正しいと思うけどな」

 

「魚面、みょん?

 

…想像出来ないみょん」

 

「お面やマスクの類か?だったらまだ」

 

「ぱっと見でも分かる程水掻きが発達していたし、首にエラらしき皺や鱗もあった」

 

「…ますます想像つかないみょん」

 

「そもそも上条さんはオカルトは全く分からないんでせう」

 

「…河童とは違うのかしら?」

 

「河童は見た事がありますし、一応妖怪の山の河童を〆てみましたが変わりませんでした」

 

「…河童ェ」

 

 

「―そろそろお暇させてもらうよ。橙にも心配かけているだろうしな」

 

「今度はちゃんと寝るみょーん!」

 

「分かっているよ。それじゃあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…上条当麻、か。また変わった奴が幻想入りしたものだな」

 

「―らんしゃまー!」

 

「お!橙!」

 

「らんしゃま!昨晩は何処へ?」

 

「ん?白玉楼へな。そうだ、面白い人間が幻想入りして来たんだ。今度橙にも会わせて――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、うん。いきなりノロケ話ならいいや」

 

 

「―!? お前は誰だ!?」

 

「おっと逃がさない。

 

恐符『イベント式金縛り』」

 

「な!?がっ!!?」

 

「さて、さて。

 

幻想殺しが来た以上、ゆっくりジワジワ行くタイプは解除されちゃうからねぇ。もう一発で効くヤツでも」

 

「お、前か!?悪夢の、正体、は!?」

 

「…流石九尾。ホラゲ特有の特定の動作しか出来ない状態を再現したその状態で動くとは」

 

「そりゃあ私の自慢の式だもの」

 

「!?!? 紫様!?」

 

「やっほいゆかりんどったの?『準備』は済んだの?」

 

「まだ6割、と言ったところかしら」

 

「わひー。早くしないと、あの短気な『魔王』がフルパワー状態で突っ込んで来るよ?」

 

「それもそうね」

 

「ちょっ、待って下さい紫様!?

 

『準備』って、『魔王』って何なんですか?そもそもこの橙は―」

 

「ハイハイ取り敢えず発狂しとこうか」

 

「…クト」

 

「分かってるって。一発で済むようにしとくよ」

 

「一体、何の話だ!!」

 

「さぁ?これから分かるんじゃない?

 

狂乱『Deep Ones(深きものども)』」

 

「待て、貴様――ひっ!?」

 

 

ピト―ピト―

 

 

「これ手は、なん、」

 

「君の夢に出てきた魚面人だよ。その水掻き、見覚えあるでしょ?」

 

「ひっ、私に、触るな―」

 

 

ピト―ピト―ピト―ズルッ ズルッ

 

 

「辞め、引っ張るな、辞めろ、辞めてくれ、」

 

「クッケケケ。ようこそ――

 

 

恐怖と狂気と絶望と混沌(クトゥルフ神話)の世界へ」

 

 

「い、嫌だっ!紫様!助けてください!!紫様!!?」

 

「…」

 

「ひっ!だ、誰かぁ!!幽々子様!!妖夢!!上条!!ちぇ、っゲホッ!?」

 

「ちょっとディープ・ワン?それ殺しちゃダメだよ」

 

「お願い、助け、て…誰、かー」

 

――ダレカ……タスケテ………

 



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17話 襲来、宇宙人!?

 

―数日後

 

―白玉楼

 

 

「―ごちそうさまー!」

 

「」

 

「トーマ…無事みょん?」

 

「…かろうじてな」

 

「でもトーマに『少量の食材から大量の料理を作る程度の能力』があるとはビックリみょん!これで白玉楼は救われるみょん!」

 

(―アレ?これまさか上条さん永久就職のオチでせうか?不幸だー)

 

「そんな能力あるかよ。あったらとっくに右手で壊れ」

 

「みょん!」キラキラ

 

「みょん!」キラキラ

 

「…妖夢。上条さんのメンタルは弱いからそんな目で見ないでくれ。幽々子さん。それは色々無理がある」

 

「(゚д゚)」

 

(…まぁ、そうなったらなったで、ビリビリに家電壊されて飯抜き&破産がないし、不良(スキルアウト)に追われる心配もない。

 

結構、いやかなり良い所じゃないか白玉楼って?強いて言えば、作る食事量がぶっ飛んでるのとメンツが生きてるのか死んでるのかハッキリしない(半人半霊と亡霊)ってのが問題か?)

 

「トーマ、何考え事してるみょん?」

 

「…ん?何でもねえよ」

 

「ならいいみょん!今日は白玉楼の外に行くみょん!」

 

「白玉楼の外って…現界、だっけか?」

 

「結界があるから通れない―みょん。そういえばその手のインチキ能力があったみょん。でも今日は冥界までだみょん。トーマに会わせたい人がいるみょん!30秒で支度するみょん!!」

 

「ちょっと待て短過ぎないか!?クソッ、不幸だー!」

 

 

 

―冥界

 

 

 

「到着みょん!」

 

「…階段、多過ぎるだろ」

 

「だてに飛べる人向けに作ってないみょん」

 

「…不幸だ」

 

 

「―おーい、よーむー!」

 

「あ!橙!こっちだみょん!」

 

「探したよもー」

 

「ごめんみょん!トーマが飛べないってことスッカリ忘れてたみょん」

 

「とーま?」

 

「…あー、上条当麻だ。よろしく」

 

「橙なんだよー。左手で握手する人初めて見たんだよー」

 

「トーマの右手は凄いみょん!弾幕もビームもバンバン消しちゃうみょん!」

 

「…」

 

「どうしたみょん?」

 

「妖夢が男の人を連れてるんだよー!?」

 

「今更!?」

 

「でも、右手に注意なんだよー。分かったんだよー」

 

「…で、何の為に集まったんだ?自己紹介してはいお終い、じゃないだろ?」

 

「よく分かってるみょん。最近この近くで外見がハッキリしてる幽霊がいるっぽいみょん」

 

「…幽霊?」

 

「そーだみょん。フツー冥界にいる霊は、亡霊でもない限り人魂っぽい形をしてるみょん。見つけて、成仏させるみょん!」

 

「分かったんだよー!」

 

「そのついでに、外の人の幽霊ならいっぱい話を聞くみょん!」

 

「それが目的だろ」

 

「何で分かったみょん!?」

 

「誰でも分かる」

 

 

 

〜幻想殺し半霊猫又探索中〜

 

 

 

「…いないみょん」

 

「そもそも霊すら逃げてるんだよー」

 

「…幻想殺しの影響なのか?」

 

「う〜ん…あっちだみょん!」

 

「何が」

 

「幽霊のいる方向みょん!」

 

「根拠は?」

 

「カン!!」

 

(…凄まじく手間のかかる妹が出来たらこんな感じなんだろうな)

 

「はぁ、不幸だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 

「…誰だい君達は?」

 

 

「…妖夢」

 

「…みょん?」

 

「…当たった感想は?」

 

「…微妙みょん」

 

「そもそも人の幽霊じゃ無いんだよー」

 

「そうだせっかくだ。ねぇ君達。ここから出られるかい?」

 

「妖夢達は出られても、多分謎ウサギは出られないみょん」

 

「謎――ボクは別にいいんだ。ねぇ君達。外に出てボクと同じウサギを見つけたら―」

 

「見つけたら?」

 

「その個体と契約して魔法少j」

 

「フンッ!」

 

「そげぶっ!!」

 

「みょん!?急にどうしたんだみょん!?」

 

「いや、何か…突然、物凄く殴りたくなってな…何でだろう?」

 

「…みょん。何かみょんも斬りたくなってきたみょん」

 

「スペカの準備も出来てるんだよー!」

 

「…せめて、最後の言葉を…

 

ボクと契約して、魔法sy」

 

 

ドカッ!ザクザク!バシュシュシュシュ!

 

 

〜宇宙生物抹殺中〜

 

 

 

「なんかすっごくスッキリしたみょん!」

 

「話聞かずに蹂躙したけどよかったのか?」

 

「いいみょんいいみょん。どうせロクな内容じゃないみょん」

 

「楽しかったんだよー!」

 

「せっかくみょん、お昼ご飯食べてくみょん」

 

「助かるんだよー。らんしゃまが何故か帰ってこないんだよー」

 

「藍さんが?」

 

「流石にまた不眠で動き回ってることはないみょん」

 

「…そうだな」

 

 

 

〜幻想殺し半霊猫又移動中〜

 

 

 

「着いたんだよー」

 

「」

 

「トーマ、立つみょん」

 

「…不幸だ」

 

「あ。妖夢ーかみじょーお帰りー」

 

「ただいま戻りましたみょん」

 

「あ!橙ちゃん!ちょうど良かった〜」

 

「?」

 

「今度ね―

 

 

白玉楼でも異変を起こしてみようと思うの!!」

 

 

「異変…みょん?」

 

「何でまた急に?」

 

「この間紅い霧が出続けるっていう異変があったんだけど、解決した後の宴会が楽しそうだったのよ!!」

 

「察したみょん」

 

「それと。ここにある西行妖が咲くとこも見たくてね。こんなこと思いついちゃった〜」

 

「『西行妖』?」

 

「そーいえば、まだ見せてなかったみょん」

 

 

 

―西行妖

 

 

「…デッカい木だな」

 

「みょんが把握してるだけでも500年前からあるみょん。ただ…」

 

「一度も花をつけたことが無いのよね〜」

 

「一度も?花が咲かない品種なのか?」

 

「桜の木みょん。それは断言出来るみょん」

 

「それで、異変の内容はどうするんだよー」

 

「それはね、『春』を集めて来て貰おうと思ってね〜」

 

「春?季節のか?」

 

「みょん。分かったみょん。春を集めると、現界はその分冬が続くみょん。4月や5月にもなって雪がガンガン降ったら一発で異変認定だみょん!!」

 

「頑張るんだよー!!」

 

「…まぁ、やるか!」

 

 

 

 

「ところで、トーマは西行妖の影響受けないみょん?」

 

「影響?」

 

「この木、近づいた生き物を死に誘う妖怪桜だみょん。注意しないとみょんでも危ないみょん」

 

「…マジで?」

 

「幻想殺し強すぎみょん!?」

 

「…かみじょー。ココで働かない?ご飯美味しいし、西行妖の影響無いし、弾幕ごっこは全部消してスペカブレイクで勝てるし」

 

「…一応上条さんの本分は学生なのでせうが」

 



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18話 宴会、EX戦(Part2)

やっとたどりついた宴会編!
今回のEXボスは、あの人です!


―博麗神社

 

 

「―異変解決と!!」

 

「幽々子様の無事の帰還を祝ってみょん!!」

 

『『『『乾杯!!!』』』』

 

 

「士道ー!早く次作りなさーい!!」

 

「いくらでもイケるのだー!」

 

「あら貴女。随分食べるわね〜」

 

「…」

 

「…」

 

ガツガツバクムシャパクモグモグ

 

「急に大食い対決なんて始めるんじゃないわよ!?」

 

 

「…西行妖の時の霊夢は何だったんだろうな」

 

「また料理係…しかも揃いも揃って大喰らい…不幸だ…」

 

 

「うー…うー…」Zzz

 

「ふわ〜…春ってあったかいねー」

 

「」ドックドック

 

「キリト。何故その溢れ出る忠誠心を垂れ流すのですか?私のように後で献上するために取っておこうという発想は無いのですか?」ドックドック

 

「それ以前に出血多量で死ぬぞお前ら」

 

「「大丈夫だ、問題ない。寧ろ本望だ」」

 

「無駄に息ピッタリだなロリコンsッ!?」

 

 

「みょん!藍さん!ちゃんと寝てるみょん?」

 

「ああ。相変わらず忙しいが、少なくとも悪夢は見なくなったな」

 

「良かったんだよー!」

 

 

「いやぁ、毎度毎度凄まじい宴会ですねぇ。これで巫女達のインタビューも出来れば私の記事が一番n」

 

「いよぉ、よく来たなマスゴミパパラッチ(射命丸 文)

 

「三十六計逃げるに如かず!」

 

「逃がすか『桜花』ぁッ!!」

 

「ギャァ!?さっきまで紅魔館のメンバーと一緒にいましたよねアナタ!?」

 

「だからどうした!一回ヒスっちまえばコッチのもんだッ!」

 

「能力の無駄使い!?」

 

「ウルセェ!今日という今日は焼き鳥にして喰ってやるッ!!」

 

「ははは!人間が幻想郷最速の私に―

 

ちょっ、タンマ!タンマ!!アナタホントに人ですか!?!?」

 

「キンジー。ほどほどにするんだぜー」

 

「魔理沙さん!?ちょ、コレどうにかして下さい!!ホントに焼かれちゃいます!!」

 

「いつもそう言って逃げ切ってるんだぜ」

 

 

 

「―私の勝ちね」

 

「ゲフッ…そーなのかー…」

 

「アンタたち2人で何人前食ったのよ」

 

「」

 

「…不幸だー」

 

「…士道、お疲れ」

 

「……ホントに疲れた…食材はしばらく見たくない…」

 

「あはは……飲む?」

 

「…貰うよ。当麻はどうだ?」

 

「上条さんは…学生で、せう…」バタンッ

 

「…おい、上条?」

 

「…Zzz」

 

「…オレも少し飲んだら寝るか」

 

 

 

〜精霊熟睡中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―????

 

 

「―ぇ。ちょっと。ねぇ!!」

 

「―ん?…後5分…」

 

「…」

 

 

バチバチバチッ!!

 

 

「―起きろって言ってんでしょうがー!!」

 

「ギャァァァァァァアア!?!?」

 

「…目が覚めたかしら?」

 

「…ショックで気絶してそのまm」

 

「もう一発行っとく?今度は電圧フルにするわよ」

 

「…分かったよ」

 

 

五河士道が目を開けると、目に入ったのは見慣れた神社ー

 

 

―ではなく、風車が回る近代的な都市だった。

 

 

「………は?ゑ?ここ何処??」

 

「何処ってアンタ、決まってるじゃない。

 

―学園都市よ」

 

「…がくえんとし?」

 

「…アンタ、もしかしてフィクションとかでよくあるキオクソーシツってやつ?」

 

「いや、それは無いと思うけど…」

 

(確かに、気違った量の料理を作り終わってぶっ倒れた後からの記憶が無いけど…)

 

 

「―今知り合いのジャッジメントにメールしたから。瞬間移動(テレポート)のレベル3だから直ぐに来るわ」

 

「テレポートは想像つくけど…レベル3?」

 

「…アンタ何処まで記憶ぶっ飛んでるのよ?自分の名前とか、どこまで思い出せる?」

 

「えぇと…」

 

(名前―オレは五河士道だ。家は―元の世界のは分かる。神社は正確な住所は無いらしいから保留。人間関係―問題なし)

 

「…大体分かる。思い出せないのは、どうやってここに来たかだ」

 

「…もしかして、外の人?」

 

「…外?外来人みたいなもんか?」

 

「外来人?…決まりっぽいわね。じゃぁ私が聞きたかったことは聞けない、か」

 

「何かあったのか?」

 

「えぇ?あぁ、人を探してるのよ。手加減間違えて吹っ飛ばしちゃってね」

 

「…探さなきゃならないほど飛ばすって、何やったんだよ」

 

「何やったって、超電磁砲撃っただけよ」

 

「……へ?電磁砲?」

 

「そ。超電磁砲(レールガン)。なんなら見てみる?」

 

「…見るって、確かレールガンってメタ○ギアとかについてるアレじゃ」

 

「何よメ○ルギアって。私の超電磁砲は――コレよ!!!」

 

 

ドッッッッッ―――――

 

 

「…ワォ。あんなの喰らったら普通死なないか?」

 

「ソイツ、よく分かんないけど『右手で触った能力を消せる』のよ」

 

「…へ〜。そういえばオレもそんな知り合いいるな。能力は何でもかんでも消せる訳じゃないみたいだけどな」

 

「じゃあアイツやっぱり能力者じゃない!!…そっちの知り合いさんは消しきれないの?」

 

「ああ。砲を消しきれてなかっt」

 

「もしかして、アンタも能力者!?なら勝負よ!!」

 

「能力はあるけど無差別かよお前!?」

 

 

 

〜精霊祈祷中〜

 

 

 

「先手は譲るわ」

 

「…普通レディーファーストってやつじゃないか?」

 

「言い忘れてたけど、私はレベル5の第3位よ。記憶が戻り始めてるっぽいアンタなら、この意味が分かるはずよ」

 

(…ゲームとかだとレベルって99くらいまでなかったか?それで5って…)

 

「…霊力は―あれ?最大まで回復してる?」

 

「遅過ぎるわよ!これでも食らいなさい!!」

 

「先手は譲ってくれるんじゃなかったのかよ!?」

 

 

バチバチバチッ!

 

 

「うお、電撃!?」

 

「!? 空を飛んだ!?ってことは、

 

やっぱ実力者ね!雰囲気がそこらのとは違うと思ったわ!」

 

「…つい数ヶ月前はただの高校生だったんだけどな。

 

熱符『(メギド)』!」

 

 

バシュッッ―

 

 

「上昇気流を操りながら熱線!?

 

アンタレベルいくつよ!?」

 

「いやレベルとかないから」

 

 

(―今の感じ。痩せ我慢の可能性があるにしても、飛行と攻撃を余裕そうに同時にこなした!発火能力のレベルー最低でも3。最悪、未登録のレベル5(超能力者)かも…!)

 

(…幻想郷は関係無いみたいだな。飛べないらしいから砲でテキトーにやるか)

 

 

「次は雷でもk」

 

「『砲』乱れ打ち」

 

「連射ぁ!?!?」

 

 

(最低レベル4…!!こうなったら―)

 

 

「これならどうよ!!」

 

「…ちょと待てさっきの超電磁砲ー!?」

 

「――撃っち抜けえぇぇぇぇぇ!!」

 

「―っ!

 

ラストスペル『グングニル』!!」

 

 

―っっっカッ―――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「―お姉様!お待たせしましたですの―お姉様!?」

 

「…」

 

「あぁ、服が所々焼けて…御御足が露わにっ!!」

 

「フンッ!」

 

「アババババばば!!げげげんんききききででですののののの!」

 

「…ねぇ黒子。レベル5候補って、どれくらいいるの?特に発火系で」

 

「うう……レベル5候補?黒子が最後に資料を見たときは―

 

 

 

―1人もいませんでしたよ?」

 

 

 

「…うそ?」

 

「本当ですの。そもそもレベル5は第7位まで揃いも揃って――」

 

(じゃあ、アイツは一体―?

 

名前、聞いとけばよかった)

 

 

「―聞いてますの、お姉様?」

 

「え?ごめん、何の話だっけ?」

 

「はぅ!?ま、まあいいですの。それで、学園都市の外から来て記憶を無くしたバカはどこですの?」

 

「この辺り一帯焦土にしたバカがそうよ。ちなみに、戦った感じレベル5クラスの実力者よ」

 

「…へ?…あり得ないとは思いますけど、」

 

「負けたわ。超電磁砲が押し切られたから」

 

「」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―博麗神社

 

 

「…戻って来たのか」

 

「…そーなのかー…」Zzz

 

「……………どうしてんのかな、琴里」ボソッ

 

「―士道?起きたの?」

 

「ん?霊夢か。…何かやけに静かじゃないか?」

 

「そりゃ全滅してるもの。起きたんなら片付け手伝って」

 

「おうよ」

 

 

「…」

 

「…」

 

(何故だろう、空気が重い)

 

「…ねぇ、士道?」

 

「何だ?」

 

「………琴里って誰?」

 

「!?!?」

 

「…さっき寝言でボソッと言ったのが聞こえたのよ。その感じだと、外の世界に置いてきた彼女さんかしら?」nyny

 

「違う。妹だ。だから何故ニヤニヤする?」

 

「あはは!冗談よ冗談!」

 

 

(そっか…そりゃ外来人だもの。家族は外に居て。

 

……いつかは、向こうに帰っちゃうのよね。

 

 

 

 

 

……………ならいっそ、この異変が永遠に続けばいいのに)

 




――はい、というワケで、今回のEXは、レールガンこと御坂美琴でした!

…なんか雲行きが怪しいなぁ。


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1⑨話 チルノのぱーふぇくとくとぅるふしんわきょうしつ

フハハハハ!⑨の話パート2!
…題名からしてヤバそう?大丈夫だ問題ない。
なぜなら⑨はさいきょーだからな!(フラグ)


―18話頃

 

 

―妖怪の山 麓

 

 

「にとりー!しょうぶよ!」

 

「またかい!?これで5回目n」

 

「氷符『アイシクルフォール』!」

 

「あ"ー!ちょ、私の発明品がツララの餌食になるぅ!?」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「もー!

 

洪水『ウーズフラッディング』!

 

…と、取り敢えず機械は無事」

 

「凍符『パーフェクトフリーズ』!!」

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!?」

 

 

 

 

 

(博麗神社の宴会―藍は怪しまれてないな。不逞の狂気は完全発狂よりコントロールが難し――ん?)

 

 

「…あ」

 

「…久し振り?大妖精」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁあ!?!?こ、来ないで!?来ないでぇぇぇぇぇ!?!?」

 

「……いやうん、ダゴンけしかけたけどさ。攫ったけどさ。私は直接アンタ襲ってないよね?ていうかアンタもこんな木陰でなにやってんのさ」

 

「うぐ!?それは、えっと、その…

 

ち、じゃなくて」

 

「ち?…チル」

 

「わー!!?血が落ちてたからそれを見てたの!?」

 

「普通に怖いよ!!アンタなに!?どこぞの火薬脳ヒゲ(バ○ー・バート○)みたいに眺めただけでなんか分かるの!?」

 

「誰よ○リー・バー○ンって!?」

 

「知らんのかーい!?いやまあそりゃそうk」

 

「凍符『パーフェクトフリーズ』!!」

 

「どわあぁあ!?」

 

「チルノちゃーん!?私も巻き込んでるよ!?」

 

 

ピチューン

 

 

「あ、大妖精ピチュった」

 

「だ、大ちゃん!?おのれ、いつぞやのざこようかい!このあたいがつきにかわってせいばいしてあげる!」

 

「セー○ーム○ンと時代劇でもみたの?てか雑魚妖怪ってなんだ!?」

 

「うるさいわねー!しょうぶよ!」

 

「上等!最初っからトバすぞ!!」

 

 

 

〜氷精祈祷中〜

 

 

 

「氷符『アイシクル

 

「ノロい!

 

狂乱『Deep ones』!」

 

「うわー!?」

 

 

ピチューン

 

 

「…さて、これでどれくらいSAN値減ったかn」

 

 

ドッカーン!

 

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「ゴ主人……コレムリ…」

 

「深きものどもーー!?」

 

「凍符『パーフェクトフ

 

「深淵『ハイドラ』ぁ!!」

 

「うわー!?」

 

 

ピチューン

 

 

「…」

 

(なんか喋ったらフラグだよなコr)

 

 

ドッカーン!

 

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「ゴ主人……コレムリ…」

 

「ハ、ハイドラァァァ!?!?」

 

「氷符『アイシクルフ

 

「神話『4神属性』!!」

 

「うわー!」

 

 

ピチューン

 

 

「ぜぇ、はぁ、水土風火の4属性集合スペルだ。流石にこれなら」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「……ナニコレ私がSANチェックのお時間なの?」

 

 

〜以下スキップ気味でお送りします〜

 

 

「崇拝『ダゴン』!」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「死亡フラグ『窓に!窓に!』!」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「怨符『Older God』!」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「狂信者『インスマス』!」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

 

 

〜邪神暴走中〜

 

 

 

「あああああもおおおおおお!!」

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

「――――あぁ」

 

「?」

 

「アタイッタラ…サイキョー…アハハ…」

 

「ちがうわよ!あたいがさいきょーなの!」

 

「アタイ…サイキョー…?」

 

「ち・が・う・わ・よ!あたいが、てんさいのさいきょーなの!!

 

凍符『マイナスK』!」

 

 

ピチューン

 

 

「あくはたおしたわ!だいさんぶ、かん!!」

 

「―う、う〜ん…」

 

「あ、大ちゃん!だいじょうぶ?」

 

「う、うん、私は大丈夫―

 

さっきのバケモノは!?早く逃げないと大変なことに」

 

「あたいがたおしてやったわ!」

 

「…へ?」

 

「あたいがたおしてやったわ!」

 

「…へ?嘘?ホント?」

 

「ほら、こいつでしょ!」ゲシッ

 

「」

 

「うわぁ!?…本当にピチュッてる」

 

「大ちゃん!こんなざこようかいほっといてあそぼう!」

 

「チルノちゃん…!」ジーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―かなり後

 

 

「」

 

「…」

 

「」

 

「……」

 

「」

 

「………」

 

 

ゴキッ!

 

 

「あ痛ーーーー!?あんの⑨!なにしやが、る…」

 

「目が覚めまして?」

 

「…やっほいゆかりん」

 

「あら、まだSAN値が下がりっぱなしみたいね。もう一回精神鑑定(グーパン)やっておく?」

 

「マイナス方向にカンストしてる私にそれ必要?それ以前に普通に辞めて死んじゃう死んじゃう!?」

 

「ふふ……それにしても、」

 

「…なんだよ」

 

「いえ。

 

………⑨に負ける⑨支配者。プッ」

 

「テメェのSAN値も直葬してやってもいいんだぞ嘲笑者。ていうかいつから見てた!?」

 

「ディープ・ワンが氷漬けにされたあたりからかしら」

 

「ほぼ最初っから!?」

 

「そうとも言うわね」

 

「そうとしか言わねーよ!!」

 




ク「うp主ーーーー!コレどういうことだ!?」
前書きで言ったじゃないか。

――⑨は、さいきょーだとっっ!!

ク「アホかーーー!?」


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『悪夢』の始まり
20話 永夜抄 開始



ク「永夜抄か…うーん」
どうしたクト?
ク「…永遠亭のメンツって宇宙人じゃん」
まぁ、ザックリ言えばな。
ク「…こっちの情報(技能:クトゥルフ神話)持ってるって可能性はある?」
…流石に月から見てもゾスやフォーマルハウトは遠過ぎると思うぞ。
ク「ならいいや。
じゃ、永夜抄、スタート!」



 

―数週間後 夜

―紅魔館 テラス

 

 

「…」

 

「レミリア様?どうされましたか?」

 

「…咲夜。今日の月をどう思う?」

 

「月、ですか?いつもと変わらぬ満月かと」

 

「そう……キリトと美鈴を呼んできて」

 

「承知しました」

 

 

―紅魔館 廊下

 

 

「キリト。お嬢様がお呼びです」

 

「レミリアが?パチュリーやフランじゃなくて?」

 

「はい。カリスマ状態だったので、何か重要な話かと」

 

「分かったよ」

 

「では、私は美鈴を呼んできますから先に行ってください」

 

「美鈴も?…何でだ?」

 

 

 

―紅魔館 テラス

 

 

「レミリア、来た、ぞ―!?」

 

「あら、キリト。やっぱり直ぐに気づいたわね」

 

「…この件ならそれこそパチュリーが適任じゃないか?

 

 

月が入れ替えられてるなんてよ」

 

 

「パチェには万が一に備えて、護りを固めてもらうつもりよ」

 

「…てことは、オレと美鈴を呼んだのは」

 

「異変解決よ。今回はフランも連れて行っていいわ。最悪ー能力を使うことも視野に入れて、ね」

 

「…オレら2人はむしろストッパーか」

 

「ハッキリした言い方をすると、そうなるわね。あの子の能力は、分からない事の方が多いもの」

 

「…」

 

 

「遅れました〜」

 

 

「「美鈴、遅い!!」」

 

「うぅ、すみません」

 

「まったく―ところで美鈴?」

 

「月ですか?気のせいだと思ってスルーしてましたけど、ガチですね。この空気だと」

 

「そうよ。それで、フランを連れてキリトと一緒に解決してきてほしいのよ」

 

「…マジですか」

 

「大マジよ」

 

「……分かりました。行ってきます」

 

 

バタンッ

 

 

「………頑張りなさいよ、フラン」

 

 

 

 

―博麗神社

 

 

「―しどーーー!!れーむーーー!!」

 

「何だよルーミア?」

 

「大変なのだー!月が入れ替わってるのだー!」

 

「月?…変わらないように見えるけどな」

 

「月からの妖力が全然違うのだー!」

 

「…霊夢、どうする?一応調べるか?」

 

「そうね…先に紅魔館に行きましょう。彼処が動いてるなら可能性は高いわ」

 

「私も行くのだー!」

 

「ルーミア!? 何もお前まで行くことは…」

 

「ついて行くのだー!」

 

「…分かったよ。はぐれるなよ?」

 

「そーなのかー!」

 

 

 

 

 

―白玉楼

 

 

「―大変何だよー!」

 

「お!橙だみょん!どうしたみょん?」

 

「月、月が!月が入れ替えられてるんだよー!」

 

「月が!?

 

…って、何かマズイのか?」

 

「み"ょん"!?」

 

「だよー!?」

 

「…とにかく、なんかヤバイのは分かったから移動しながらにしよう。異変だろ?」

 

 

「―それで、月が入れ替えられてるって言ったな。どういう意味だ?」

 

「そのまんまだよー。月がニセモノと変わってるんだよー」

 

「…どうやって変えるんだよ」

 

「…分かんないんだよー!」

 

「…じゃあそれはいいや。月がニセモノだと何がヤバイんだ?」

 

「月の光は妖力と一部魔力の元なんだよー。それがいきなり変わったら、妖怪は怒って暴れるんだよー。万が一人里で暴れたら大変なんだよー!」

 

「一部まだよく分かんねえけど、取り敢えず分かった。急ぐぞ!」

 

「みょん!飛べないトーマは走るペース考えるみょん!」

 

 

 

 

 

―魔法の森 霧雨魔法店

 

―カランカラン

 

 

「お!誰か来たんだぜ?」

 

「こんな夜にか?一体誰が―って、げ」

 

「げ、とは何ですかげ、とは」

 

「…誰なんだぜ?」

 

「貴女とは初めましてですね。犬走 椛。妖怪の山で歩哨をしています」

 

「…白狼天狗がこんな遠くまで何のようだ?」

 

「やはり気づいていませんでしたか。

 

…月がニセモノに変わっています。そのせいで今、妖怪の山は混乱しています」

 

「…今が攻め時?」

 

「アンタどれだけ文さん嫌いなの!?あ―ゴホンッ!

 

…攻め時では無くて、異変の解決を依頼しに来ました」

 

「ちょっと待て。妖怪の山―てことは天狗だろ?連中が誰かにものを頼むなんて、想像出来ないぞ」

 

「それに、なんでココに依頼に来るんだぜ?普通、霊夢にするんだぜ」

 

「私の能力で確認したところ、博麗神社、紅魔館、共にもう察して出ました。白玉楼も、冥界の切れ目から庭師達が出てきています。

 

…約1名、出てくると言うより落下していると言った方が正しいようですが」

 

「完っ全に出遅れたんだぜ!?」

 

「…で、天狗の意見は?」

 

「…今回の妖怪の山からの依頼は、正確には違います。この異変に関しては、その依頼の次いでです」

 

「異変が次いで…なんだぜ?」

 

「最近、幻想郷で行方不明者が続出しているのは知っていますか?その調査です」

 

「…いや、ぼちぼちいるのは知ってるが、続出なんてのは初耳だ」

 

「妖怪の山からも、何人か消えてしまいまして。実力者の鴉天狗まで被害にあったので、上層部が事態を重く見ました」

 

「尚更、なんでここなんだ?霊夢か、それこそ大老クラスの仕事だろ」

 

「…本当に何も知らないんですね」

 

「?」

 

「その大老クラスからも出てるんですよ。行方不明者」

 

「!?」

 

「マジなんだぜ!?」

 

「はい。スキマ妖怪に、フラワーマスター。以前からなので無関係でしょうが、常闇の妖怪もです。現在無事が確認されているのは、天狗の頭首様、西行寺の亡霊、天界の者ですね。ハッキリしないのは、地底の悟りと閻魔です」

 

「フラワーマスター――幽香もなんだぜ!?」

 

「そういう訳です。

 

―引き受けてくれますね?」

 

「…脅しは止めとけ。お前は顔に出やすい。

 

 

―分かったよ。ただ期待はするな」

 

「…ありがとうございます」

 

 

「それで、どうするんだぜ?」

 

「まずは異変だ。向かうなら―人里だな。ルールを忘れた連中が攻め込んでるとも限らない」

 

「オーケー!乗るんだぜ!飛ばすぜ!!」

 

 

 

 

 

 

〜巫女宵闇精霊妹門番剣士組〜

 

 

―魔法の森 人里付近

 

 

「急ぐのかー!急ぐのかー!」

 

「ちょっ、ルーミア!?待ちなさい!」

 

「待てないのだー!ヘンな匂いが人里からするのだー!」

 

「だからってそんなに急ぐと―」

 

 

ゴチンっ

 

 

「なのかー!?」

 

「痛ーい!?」

 

「…ホラぶつかった」

 

「霊夢さーん、痛そうな音がしたけど大丈夫ですか?」

 

「私はね。ルーミアの前方不注意よ。

 

……ていうか男2人。恥ずかしくないの、そのカッコ」

 

 

「ウルセェ霊夢。オレはそんなスピード出ないんだよ」

 

「士道さんって、見かけより軽いですよね」

 

「うるさいうるさいうるさーい!!」

 

「脇に抱えられてる状態じゃただの駄々っ子になってますよ」

 

「うぅ…」

 

 

「」

 

「れいむー。パチュリーの本で読んだんだけど、お姫様抱っこってコレであってる?」

 

「その抱えられてる顔真っ赤な黒い人に聞いたら?ぷぷっ」

 

「……フラン、恥ずいからそろそろ降ろして」ボソボソ

 

「ヤダ!」

 

「」

 

 

「痛い、のかー」

 

「うぅ、タンコブが…」

 

「あれ?ミスチーなのかー?」

 

「そう言うあなたはルーミア?どうしたのよ、そんなに急いで」

 

「そうなのだー!人里から変な匂いがするのだー!急ぐのだー!」

 

「ちょっと待ちなさいルーミア。

 

…後ろにいるのって、人間?」

 

「? そーなのだー」

 

「…ルーミア。

 

 

ー1人か2人、置いてってくれない?

 

今夜は何だか、血が騒いじゃって…!」

 

「!? ダメなのだー!」

 

「ねぇ…いいでしょ…ひと齧りくらい…!」

 

「…ルーミア、どきなさい。墜とすわ」

 

「ダメなのだー!ミスチーは友達なのだー!

 

―私がやるのだー!」

 

 

 

〜宵闇祈祷中〜

 

 

 

「ミスチー、目を覚ますのかー!

 

夜符『ナイトバード』!」

 

「ルーミア…お願い…

 

夜雀『真夜中のコーラスマスター』!」

 

「ダメったらダメなのだー!

 

しどーは…絶対に齧らせないのだー!」

 

「ルーミア…」

 

「私の分なのだー!」

 

「人の感動を返せ!?」

 

「…

 

『ブラインドナイトバード』」

 

「はわっ!?不意打ちはヒドイのかー!」

 

 

ピチューン

 

 

 

「なのか〜…」

 

「あは、あはは!今なら霊夢だって斃せる気がするわ!」

 

「…ルーミア」

 

「ケガさせちゃ、ダメなのだー…

 

ミスチーは友達、なのかー…」

 

「…分かってるわよ。ちょっと弾幕ごっこで力の差を再認識させるだけよ」

 

 

〜巫女戦闘中〜

 

 

「…しどーは何でめーりんの脇に抱えられてるのかー?」

 

「ルーミアたちが置いてくからだろ!?美鈴、そろそろ降ろしてくれぇ!!」ジタバタ

 

「ハイハイ分かりm」

 

「私が持つのだー!」

 

「え、ちょ、ルーミア!?何考えてるんだよ!?」

 

「…ああ、そういうことですか」

 

「美鈴なに1人で納得してんだよ!?そしてなんでにやけてる!?ルーミア、考え直して―」ガシッ

 

「獲ったのかー!!」

 

「ルーミア字が違う!?」

 

「…? めーりん、しどーがおっきくて抱えられないのだー」

 

「んー…フランさまみたいに横向きならどうですかね?」

 

「オイマジで辞めろなにが悲しゅうて身長半分くらいの女の子にお姫様抱っこされなくちゃいけないんd」

 

「しどーの顔が近いのだー」

 

「…お願い、降ろして//」ボソボソ

 

「わはー」

 

 

カプっ

 

 

「!?!?!?」

 

「おひひいもくゎー(訳:美味しいのかー)」

 

「…首を甘噛みって、それは恥ずかしいですね。

 

そういえば、キリトさんが静かな気が―」

 

 

振り向いた美鈴の視界に入ったのは―

 

 

「――」チゥチゥ

 

「フランっ、血を吸うん、やめ、」ビクッビクッ

 

「」

 

 

―首筋からキリトの血を吸いまくっているフランの姿だった。

 

 

 

―ちょっと前から

 

 

「…」

 

「…えっとフラン?オレの顔に何か付いてるか?」

 

「…」

 

 

(キリトは、外から来た人で、

 

いつかは帰っちゃうってお姉さまが言ってた。だから、頑張りなさいって)

 

 

「…おーい、フラン?」

 

「…」

 

 

(…フランのそばから、離れて…)

 

 

「フラーン?…ラグってる、は無いよな」

 

 

(―キリトのことを離したくない(ヒトジャナクナレバ、ソバ二イテクレル?))

 

 

「…」

 

「…なんか近付いてないか?フラン?どうなってr」

 

 

ガプッ

 

 

「痛、い!?」ゾクゾクッ

 

「――」チゥチゥ

 

「フランっ、血を吸うん、やめ、」ビクッビクッ

 

「」

 

「フランっ、何か変な感じ、がっ」

 

(血吸い過ぎだろ!何だか、あたまがぼーっとして、き、)

 

「ちょ、妹様!?それ以上はまずいですって!」

 

バッ

 

「――?アレ?キリトは?」キョロキョロ

 

「」チーン

 

「…士道といいキリトといい、私がミスティア撃墜してる1、2分の間に何があったのよ?」

 

 

(結局美鈴が2人とも持ってった。)

 

 

 

 

 

 

〜魔法使い武偵半霊猫又幻想殺し組〜

 

 

―人里

 

 

「…まだ襲撃はないみたいだな」

 

「無いに越したことは無いんだよ―」

 

「ならちゃっちゃと元凶潰しに行くんだz」

 

 

ズドンッ!

 

 

「「「だぜ!?」みょん!?」だよー!?」

 

「い、今のは何でせうか!?」

 

「この方向は、ー里の門近くなんだぜ!」

 

 

 

―人里 門

 

 

「…こりゃあ、一体、」

 

「何が起きたんだよー!?」

 

 

魔理沙達の前には、クレーターが出来ていて、その中央には、―

 

一頭の『獣』がいた。

 

 

「…女の人、なんだよー?」

 

「でも、あそこまでヒトに似たヤツなら、普通かなりの知性があるハズみょん。考えナシに地面を陥没させたりなんて―」

 

「――」

 

「…目が合っちゃったみょん」

 

「ツノが無ければ怖くなかったかもな。不幸だー」

 

「…もしかして、慧音なんだぜ?」

 

「? 知り合いか?」

 

「私が人里にいた頃、何度かお世話になったんだぜ」

 

「―!?その声は、魔理沙、か!?」

 

「やっぱり慧音なn」

 

「今の!私に!近づくな!!」キーン

 

「うお!?」

 

「…すまない、ただ…身体のコントロール、がっ―!アアアァァァ!!」

 

「…なあ橙、あれって月の影響でいいんだよな?」

 

「たぶんそうなんだよー」

 

「じゃあ、俺の右手で触ったら、あの人はどうなる?」

 

「………変身が解けるかもしれないんだよ?」

 

「よし、やるか!キンジ、手伝ってくれ」

 

「スペカじゃいけないのかよ」

 

「スペカ用の弾幕じゃあ抑えきれないだろ」

 

「…分かったよ。ちょっと待て。――

 

おし、『なった』」

 

「それじゃあ、始めるぞ!」

 

 

 

〜武偵幻想殺し祈祷中〜

 

 

 

「ーーーー!」

 

慧音の拳が真っ直ぐにキンジの腹部へと伸びる。

 

が、

 

「タメが長いし、振り抜きの動作にも無駄が多い。戦い慣れてない女性の手は、開かせてあげるものと俺は思うけどね。『橘花』」パシッ

 

「」

 

「おい当麻、止まってると当たるぞッ!」

 

「…話には聞いてたけど、性格変わりすぎだろ」

 

「…」

 

(…グゥの音も出ないな)

 

「ーーーー!!」

 

「おっと」パシッ

 

 

慧音の両拳を受け止める。

 

しかし、そのまま押し合いになってしまった。

 

 

「ーーーー!!」

 

「グッ…!当麻、早めに頼む!流石に力比べは分が悪い!」

 

「分かってーうお!?危な!」

 

「ーーーー!」

 

(む、胸ぇぇぇ!?)

 

 

慧音が、上体を仰け反らせ、ツノで上条を下がらせると―

 

全力で振り下ろした!

 

 

ブォンっ!!

 

ゴキィィイ!!

 

「しまっ―イデェ!!」

 

「ー!?」くらっ

 

「!? チャンスか!?おりゃあ!」

 

 

パキンッ

 

 

 

「ーーァァぁぁ、あ…」ドサッ

 

「慧音!大丈夫なんだぜ!?」

 

「…私は、大丈夫、だ。それより、私が頭突いてしまった、彼、は、」

 

「!! そうなんだぜ!キンジ!?」

 

 

「うぐぉぉぉ……橘花が間に合ってなきゃ死んでた…」

 

「…お疲れさまでせう」ポン

 

パキンッ

 

「「あ」」

 

 

「…こちらが痛くなるくらい思い切り頭突いたのだが」

 

ウチの一家(遠山家)は、代々頭突きが切り札になるくらい石頭だからな。多分それで」

 

「ハクタクより頭が硬いのか!?」

 

「…?」

 

「獣の妖怪の一種なんだよー」

 

「」

 

「…噂以上の人外でせうな」

 

 

 

 

「ところでキンジ、なんでさっきはマトモに喰らったんだぜ?」ゴゴゴゴゴ

 

「えーと、あのだな、」

 

「……胸か?胸なんだぜ?」ボソッ

 

「? どうしたんd」

 

「恋符『マスタースパーク』!!」

 

「なぜだあぁぁぁぁぁ…」

 

 

ピチューン

 

 

「…竹林の方に吹っ飛んでったんだよー」

 

「…ビリビリみたいだな。攻撃といい理不尽さといい」

 

「…ええと、魔理沙?頑張れよ」

 

「何をなんだぜ?ていうかうっかりマスパ撃っちゃったんだぜ!」

 

「…うんまあ、若いな」

 





ク「…うp主、椛の言ってる、落下してる奴って、」
もち上条。そもそも自機組で身一つで飛べないのはアイツだけ。
ク「…ん?でもキンジが魔理沙の箒の後ろに座ってなかったっけか?」
キンジ曰く、「ほっとくとブレーキ0で着地するから」だとさ。
ク「…それだけ聞いたら天子みたいなヤツだな。それと、キリトはどうなってるんだ?吸血鬼に直で吸われてたけど?」
セーフ。全部吸われたわけじゃないし。例え吸われてたとしても、それだけじゃゾンビになるのがオチ。
ク「…フランェ」
ただし吸われた側の合意があればその限りではない。
ク「…すると?」
キリトの種族人外フラグが立った。
ク「フランっ!?」


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21話 第三勢力


ク「考えてみたら、展開早過ぎないか?異変の連続だろ?なんか知らない間にフラグ立ててるヤツもいるし」
取り敢えず主人公4人揃えたかったからな。永夜抄終わったら過去編で日常パートやります。
ク「…私のオリジナル異変は?」
ストーリーの都合上、一番最後。
ク「」



 

―迷いの竹林

 

〜巫女宵闇精霊妹門番剣士組〜

 

 

「―この竹林ね。変な結界が張ってあるのは」

 

「結界?」

 

「真っ直ぐ突き進むと、向きがおかしくなるようにされてるわね。上条がいれば楽だけど…多分敵の本拠地だから、備えておきなさい」

 

「わかったー!」

 

「そーなのかー!」

 

「…美鈴、男2人の調子は?」

 

「えっとー

 

士道さんはまだフリーズしたままですね。キリトさんは軽い貧血です」

 

「フラン、アンタどれだけ吸ったのよ。

 

おーい、起きなさーい。アンタたちの好きな戦闘が始まるわよー」

 

「ヒトをバトルジャンキーみたいに言うな…」ゲッソリ

 

「」

 

「ダメだこりゃ。一旦降ろしてもらっていいかしら?」

 

「いいですよっと」

 

 

美鈴が小脇に抱えていたキリトたちを降ろそうとした瞬間。

 

 

ズボォ!!

 

 

「ひゃあ!?」

 

「うわぁ!?」

 

「ドムっ!? 」

 

「は!?落とし穴!?ちょ、士道!キリト!美鈴!無事!?」

 

 

「…ここは誰、オレは何処?」

 

「…何年前のネタだよそれ」

 

「…取り敢えず、士道さんも意識を取り戻しました」

 

「じゃあ大したこと無いわね」

 

 

〜精霊門番剣士脱出中〜

 

 

「…自分の足で立つことが、こんなにも幸せなことなんだな」

 

「なにしみじみと言ってるのよ」

 

「あんまりゆっくりしている時間もなさそうだしな。

 

ところで霊夢、美鈴―

 

どのくらい見えてる?」

 

「…なんとなく」

 

「…カンでなら。トラップ地獄ね、此処」

 

「みたいだな。

 

投符『バレットシュート』!」

 

 

キリトの放ったピック型の弾幕が、その先にある『何か』に当たり、仕掛けられてた罠が誤作動をする。

 

 

「え、うそ、ちょ待っ、ギャー!!」

 

「…誰か巻き込まれてるのかー」

 

「うぅ、ヒドイ目にあったウサ…いきなりなにするウサ!?」

 

 

霊夢たちの前に這い出てきたのは、ルーミアやフランより背が低い、丸っこいウサギの耳が付いた幼女だった。

 

 

「いや、まさかトラップの作動先にいるなんて分からなかったんだ」

 

「だからって荒すぎウサ!」

 

「まあまあ、コイツもさっき引っ掛かったばっかりでちょっと気が立ってるんだよ」

 

「勝手に引っ掛かったのはそっちウサ!あんな簡単な落とし穴に引っかかるなんて!こっちはとばっちりウサ!」

 

「…」

 

「…」

 

「…その残念な子を見るような目はなにウサ?」

 

「いや、想像以上に簡単にボロを出したなと思ってな」

 

「ウサ?」

 

「オレたちが引っ掛かったトラップが『落とし穴』なんて一言も言ってないぞ」

 

「…あ。

 

え、『エンシェントデューパー』!」

 

「炎符『灼爛殲鬼』!」

 

 

ゴウッッ!

 

 

「…ウッソピョン」

 

「ん。じゃ、霊夢。後は任せた」

 

「任されたわ。

 

フフ…それじゃあ何からゲロって貰おうかしら?」

 

「」ガクブルガクブル

 

(((南無三)))

 

 

 

 

 

〜魔法使い武偵半霊猫又幻想殺し組〜

 

 

「…こっちで本当にあってるのか?」

 

「…さあ?でもなぁ」

 

 

パキンッ

 

 

「これで結界5枚目なんだよー!」

 

「いい調子みょん。みょんのカンは自分でも怖くなっちゃう程正しいみょん!」

 

 

「…ま、いんじゃね?最悪キリトの所の吸血鬼にニセ月ぶっ壊して貰えばいいしな」

 

「それもそうだなっと、魔理沙、足元にワイヤーがあるぞ」

 

「ぜ!?」

 

「こっちもまたなんだよー」

 

「…」

 

 

(この竹林のトラップ群。落とし穴や塹壕みたいな原始的なものから、巧妙に隠してあるワイヤーや非殺傷のクレイモアみたいな近代的なのまである。明らかに襲撃を警戒しているな。

 

そして、揃いも揃って『生け捕り』用の罠ばかりってことは―ん?)

 

 

「―すまない、先に行っててくれ」

 

「ぜ? 急にどうしたんだぜ?」

 

「ちょっと気になることがあってな。

 

すぐに戻る」

 

「…本当なんだぜ?ちゃんと帰って来るんだぜ?」

 

「ああ。約束するよ」

 

「…分かったんだぜ!それじゃ、行くんだぜ!」

 

 

 

〜武偵祈祷中〜

 

 

 

キンジが迷いなく向かった先には―

 

ウサギの耳が付いた、セーラー服の少女がいた。

 

そして、そのそばには―

 

 

「アキュラシー・インターナショナル L115A3か。高性能サイレンサー付きスナイパーライフルの入手なんて難しかっただろ。帯銃許可証をみせろ」

 

「…」

 

「黙りか。

 

―ならこっちに聞くとしようか」

 

 

バスッ!

 

―バチンッ!

 

 

真横に向けて放った弾幕が、飛んで来た弾幕を弾いた。

 

 

「なっ―!?」

 

「…姿を見せてくれないかな?どうもやりにくくてね」

 

「やりにくい状態で『弾幕弾き(クラッカー)』なんて出来るの…!?

 

なら―」

 

 

ヒュッ―

 

 

「おっと」

 

 

パシッ!

 

 

「…アナタ、本当は見えてる?」

 

「いや全く。この感触はナイフか?」

 

「指2本で白刃取りをやる奴の言うことが信用できるか!」

 

 

姿の見えない『ソレ』が、間合いを開けた瞬間―

 

ウサ耳の少女が複数現れた!

 

 

「私の能力は『波長を操る程度の能力』!どれだけ観察しても本物は見分けr「はいミッケ」ナンデェェェエ!?」

 

「時々キリトにつき合わされてな。分身(フォーオブアカインド)は見慣れてるんだよ」

 

「ふぉーおぶ…? な、なら!」

 

 

ウサ耳の少女は、拳銃を抜くと同時に発砲、徐々に後退し始めた。

 

 

「またサイレンサー付きか。しかもグロッグ17」

 

「年代物のベレッタM9(旧型銃)なんて使ってるアナタならコレで充分過ぎるわよ!」

 

「…これでも愛着があるんでね。

 

『鏡撃ち』」

 

 

ババスッ! バチチッ!

 

 

「きゃっ!? わ、私の銃が!?」

 

「そろそろ降参してくれないかな?弾幕ごっこも終わりみたいだし」

 

「う…ううぅ……」

 

 

ウサ耳の少女は項垂れて、両手を挙げた。

 

 

「…分かりました。私の負けです。

 

 

 

 

 

 

―なんて素直に諦められるかぁ!!」

 

ジャキッ!

 

「!?」

 

 

両手を勢いよく振り下ろし、その勢いで出した銃を、キンジの頭に突きつける。

 

 

「…レミントン・ダブルデリンジャーか」

 

「動くな!この銃には実弾が入っています!少しでも怪しい動きをしたら、0距離で―」

 

「44口径弾が、頭をバンッか」

 

「…アナタの様に強い存在にこうするのは少し気が引けますよ」

 

「?」

 

 

ドゥンッ!

 

 

 

「―思ったより痛かったな。流石大口径」

 

「………え?な、なんで生きてるの!?!?」

 

「『絶対に帰る』って約束しちゃったからね。女性との約束は守るものだ」

 

「バ、バケモノ………」

 

「化け物で結構」ガシッ

 

グルッ ドサッ!

 

「ガハッ!?」

 

 

銃身を手首ごと掴むと、そのまま縦に投げた!

 

 

「…そもそも、なんで私が、こっちにいるって、気づいたのよ?」

 

「スコープの反射光。相方からの返事が無いからってがむしゃらにモールスを送るのは悪手だったね」

 

「…アナタ何者よ?銃は出来る、格闘も出来る、挙句波長操作も効かない、し」

 

「波長操作?」

 

「え…?最初にアナタが、こっちに来た時、発狂するように脳波、弄ってたんだけど。

 

む、無意識にキャンセルさせられるなんてぇ。種族なによ、この、バケモノ」

 

「…ただの人間の高校生だよ。偏差値低めの荒っぽい学校のね」

 

「アナタみたいな、人間がいて、たまる、か―」

 

「…ちょっと強く投げすぎたか?気絶って…魔理沙が怖いn」

 

「マスタースパーク!!」

 

「不幸だーーーーー!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―竹林 最深部

 

 

不自然に竹が折れ、引き抜かれ、焼かれている場所で、黒髪の少女と―

 

『腐食』という異質さを持った少女が対峙していた。

 

 

「…永琳にここで待ってるよう言われてたけど、―

 

貴女は誰かしら?異変を解決しに来た人?」

 

「残念ながら違う。どう転んでも一晩で片がつく『お遊び』には興味が無い。付け加えるなら、あんたら月面人にも興味が無い」

 

「へぇ……なら、何時ぞやの男たちみたいに私自身が目当てかしら?それなら―」

 

「宝物を、だろう?輝夜姫殿のお気に召すかは知らんがな。

 

―来い」

 

「―!!」

 

 

異形の少女の背後から現れたのは、全く生気の無い目をした―

 

 

「も、紅、なの…?」

 

「その通り、藤原の娘本人だ。

 

なんなら首でも撥ねようか?」

 

「……妹紅に何をしたの?」

 

「なに、ちょっとした『催眠』さ。正しい方法なら、簡単に元に戻る」

 

「正しい方法、なんて念を押されたってことは、タダでは教えてくれなさそうね。

 

―何が望みよ?」

 

「話が早いと助かるよ。どっかの名状しがたき者は空気操れるクセに空気読まないから―っと、失礼。

 

私の望みは、そうだな―

 

輝夜姫殿の実力でも見たいかな。藍」

 

「式神『十二神将の宴』」

 

「!?―ッチ」

 

(あの九尾、何処から!?)

 

「難題『龍の顎の玉 ―五色の弾丸―』!」

 

(まず、この妖怪を斃したら―)

 

 

「覚悟してなさいよ、妖怪。絶対にのめしてやる!!」

 

「クッケケケッケケケケ!!

 

―やれるもんなら殺ってみなぁあ!?!」

 





ク「…うp主はなに?私が嫌いなの?」
なんでそうなるんだよ?
ク「私が出た時、完全に悪役か完全にボケ役か説明役じゃん。しかも登場ごとに口調違うし」
…キャラの立ち位置上仕方ないんだ。
口調は仕様。
ク「…私が主人公やる話は無いの?って、クトはクトは涙目の上目使いで見つめてみたり」
無理スンナ。キャラが違い過ぎる。
ク「」
今回の補足説明は銃の説明ばっかりです。リソースはうp主のうろ覚え。間違ってたらゴメンナサイ。うp主に代わりクトがDO☆GE☆ZAしまs
ク「あ"!?」
…クトではなくハイドラちゃんで。
ハイドラ「■■■■、■■■■■ーーーー(大変申し訳、ございやせんしたーーーー)!!」
ク「…いまハイドラの絶叫を聞いたアナタ。SANチェックのお時間です。仮にも邪神クラスだからー1D80くらいが妥当か?おーい、うp主ー?」
……………
ク「…うp主?」
SAN値!(/・ω・)/ピンチ! \(・ω・\)SAN値! (/・ω・)/ピンチ!\(・ω・\)SAN値! (/・ω・)/ピンチ! \(・ω・\)SAN値! (/・ω・)/ピンチ!\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ! \(・ω・\)SAN値! (/・ω・)/ピンチ!\(・ω・\)
ク「お前がかよ!?!?」

補足説明
アキュラシー・インターナショナル L115A3:言わずと知れた対人狙撃銃。通称『サイレントアサシン』。GGOでデスガンがブッ放してる銃。
グロッグ17:グロッグ社製9ミリハンドガン。時々間違えるが、フルオート出来るのは18。最近だとバイオ7で登場。
ベレッタM9が型落ち:現実でも米軍や警察での採用銃がベレッタからグロッグに移りつつある。バイオでもとうとう最初に入手するのがグロッグに…うぅ。(うp主はオート拳銃はベレッタM92Fが好きなヒト。)
レミントン・ダブルデリンジャー:装填数2、有効射程距離5mの使い勝手最悪の拳銃ーが、実は44マグナム弾が使用可能という見方によっては、あらゆる銃としての機能を取っ払って、純粋に0距離でマグナムを叩き込むロマンの塊のような銃とも言える。
…身も蓋も無い話、素直にマグナム銃使った方が強いが。
うどんげの精神攻撃:ヒステリアモードに精神攻撃など効かぬわぁ!!(効いたら後々メンドイ事になる。)
キンジが生きてるトリック:原作でルガーP08で撃たれた時の技。


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22話 迫り来る『悪夢』


ク「落ち着いたか、うp主?前回のあとがきで発狂してたけど」
大丈夫だ、問題無い。
…ところで、お茶淹れてくれたのは有難いんだけどさ。
ク「うん?」
ウチにこんな味のお茶あったっけ?麦茶とガチの抹茶くらいしか無かったと思うけど?
ク「そりゃフグの皮入れて―げふんげふん。気のせいじゃないか?」
………ゑ?フグの、皮…?
ク「さぁーて!22話!はっじまっるよー!!」
チョトマテクトォォォぉぉお!?!?
(※フグには一部毒があります。専用の免許を持ってない人が捌いたフグを食べるのは辞めましょう。)



 

―永遠亭 前

 

〜巫女宵闇精霊魔法使い武偵妹門番剣士半霊猫又幻想殺し集合〜

 

 

「…なあ美鈴?」

 

「なんでしょう?」

 

「…士道はどうしたんでせうか?」

 

 

「」チーン←脱力してる。何故か首がデロデロ。

 

 

「気にしないであげてください」

 

「…じゃあ、キリトは?」

 

 

「」チーン←脱力してる。何故か首が真っ赤。

 

 

「気にしないであげてください」

 

「そ、そうでせうか」

 

「…あの、当麻さん?」

 

「?」

 

「…何でキンジさんが気絶した状態で引き摺られているんでしょうか?」

 

「…オレが聞きたいでせう」

 

 

「―さて、全員揃ったところで!

 

突っ込むわよ!!」

 

『『『おー!!』』』

 

 

「おー!!やっちまえウサー!!」

 

「おー…ああ、後でお師匠さまが怖い」

 

「乗り掛かった船ウサ!寧ろボッコボコにされた永琳に『|NDK?NDK?《ねえ今どんな気持ち?ねえねえ今どんな気持ち?》』が出来るウサ!」

 

「」

 

 

 

―永遠亭

 

 

「ほらちゃっちゃと案内する!」

 

「分かってるウサ。楽しみウサ〜」

 

「…多分お師匠さまから来るような気がs」

 

ヒュンッ

 

「奥から矢ぁ!?」ヒョイ

 

「おうふ!?」ドスッ

 

「う、うどんげーー!?」

 

「…貴女達には竹林の警護を任せてた筈だけど?」

 

 

廊下の奥から現れたのは、弓矢を持った、赤青の服を着た銀髪の女性だった。

 

 

「アンタがこの異変の主犯かしら?」

 

「月を入れ替えたのは、確かに私よ。だから?」

 

「だったら今直ぐ戻してもら

 

「断る」

 

早っ!」

 

「…ねーねー、永琳さん?だっけ?どうして月を替えたの?」

 

「…てぬ」

 

「そこの鬼巫女に拷問されたウサ!ヘルプミーウサ!」

 

「…てぬ?NDKって何の略なのかしら?」

 

「詰んだウサーー!?」

 

「…因幡への制裁は後にするとして。

 

どこまで聞いたのかしら?」

 

「この場所の位置と―

 

アンタの他にもう1人居るってことくらいかしら?『薬を作る程度の能力』が弾幕ごっごの役に立つとは思えないし」

 

「…なら。

 

ここで全員、止める必要がありそうね。射抜かれたい人からかかってきなさい」

 

「そうね…」チラッ

 

「…何故だろう、嫌な予感がするでせう」

 

「…妖夢」

 

「トーマ、ゴーだみょん!!」

 

「やっぱかよ!? 不幸だー!!」

 

 

 

〜幻想殺し祈祷中〜

 

 

 

「さっさと斃れなさい、人間。

 

天丸『壺中の天地』!」

 

「うお危なっ!?」

 

パキンッ

 

「!? スペルカードを!?」

 

「…その反応されるの何回目だろ。不幸だー」

 

「弾幕が効かないなら―」

 

 

永琳は、スペルカードとは別に引き絞っていた矢を射った!

 

 

「うおおぉぉぉお!?」

 

「実体弾は問題無いようね。

 

これで―」

 

「ちょま、器用だなお前!?」

 

「―終わりよ。

 

秘術『天文密葬法』!」

 

 

同時に射られた何本もの矢とスペルカードが、上条を囲うように襲い掛かる!

 

 

「飛べない上条さんにはちょっとルナティック過ぎないでせうか!?」

 

(避けるのは無理。だったら―

 

正面から!!)

 

 

パキンッ

 

―グサッ!

 

 

「…へぇ」

 

「と、とーま!?」

 

「み、みょん…」ブクブク

 

 

「痛った!うぎゃぁぁあ手に刺さったぁ!?」

 

「あ、当たり前なんだよー!よーむなんか泡吹いて気絶したんだよー!!」

 

「え?うわマジだ!おい妖夢起きろ!!」

 

「うーん…みょん!?血!?うーん…」ブクブク

 

「「よーむー!?」」

 

「…茶番ね」

 

「キンジー起きるんだぜー。包帯とか準備しておくんだぜー」

 

「……今まで散々ヒトのコト雑巾代わりにしておいて言うことかよ」

 

「起きてたんなら言うんだぜ」

 

 

 

「イテテ…取り敢えず弾幕は防ぎきったぞ」

 

「…止血するくらいの時間は待ってあげるわよ?」

 

「この後まだグッサングッサン刺さりそうなんでやめとくよ」

 

(とは言っても、もう勘弁でせうが)

 

「…なら全身針のむしろになってなさい」

 

「悪いけど、―

 

その『幻想』をぶち殺す!!」

 

(俺の攻撃が届くまで、だいたい10歩。さっきのスピードなら、矢を2、3本、2回射ってくる。それに耐えられれば―)

 

 

「―っ!」

 

「っこの!」

 

(先ずは1回目!)

 

 

「ちっ―!」

 

「う!?ぐあ…!」

 

(右手に受けちまったけど、2回目ぇ!!)

 

 

「!?しまっ―」

 

「これで―俺の勝ちだ!!」

 

 

 

 

ドバゴッシャンッッッ!!

 

 

 

 

「!?」

 

「不幸だぁぁぁあ!?」

 

「「うお!?なんだ!?」」

 

「ば、爆発!?」

 

「なんだよー!」

 

「誰かが横槍を入れたんだぜ…?」

 

「…それにしては、永琳さんも巻き込んでませんでした?」

 

「…なんか居るのかー」

 

 

「ううぅ…」ボロッ

 

 

「ひ、姫様!?」

 

「え、じゃあ今の爆弾が輝夜姫!?」

 

「いや幾ら引きニートの姫さんでも爆弾に変身するのはムリウサ!誰かがぶっ飛ばして来たウサ!」

 

 

 

 

「―おいおい。役者が集まり始めているようじゃないか」

 

 

 

 

腐肉がこびりついた蝙蝠のような骨の翼。

 

一部変色し、腐った蛸のような印象を抱かせる深緑の長い髪。

 

左手は、腕ごと異形と化しており、異様に肥大化。手には指の第一関節まで水掻きのような膜があり、爪は指から直接生えているかのように太く、長く、鋭い。

 

例え一切の光源が無かったとしても、暗闇の中で鈍く輝いていそうな深い蒼の瞳。

 

所々湿っている厚手の黒いワンピースを着た少女のカタチをした『ソレ』は、そこに、存在していた。

 

 

 

「…その羽…吸血鬼か?いや、気配が違い過ぎるな」

 

「キリト、士道、当麻。気を抜くな。コイツは、」

 

「『本物』ですね。妹様、『目』は見えますか?」

 

「…見えるけど、幾つもある。多分ニセモノ」

 

 

「…貴女は、誰を投げたか分かっていますか?」

 

「分かってるさ。ついでにアンタのこともな、『賢者』サマよぉ」

 

「ッツ―!!」

 

「無駄だ。私の能力に常識は通用しない」

 

 

永琳の射った矢が、容易く弾かれる。

 

 

「―さて、さぁて。『狂わせた』まま闘るのもいいが―

 

 

折角だ。『ノーマル』で相手しよう」

 

 

「!? 気配が、変わった!?」

 

「『賢者』が激昂しちゃダメだr

 

「今だッ!!」

 

―クッケケ。遊んでやるよ!」

 

 

 

〜精霊武偵剣士幻想殺し祈祷中〜

 

 

 

―vs 腐食の少女―

 

 

 

「さて、さぁて。

 

恐符『恨みっ子』!」

 

「効かないぞ!」

 

パキンッ

 

「クッケケ…幻想殺しはこうでなくちゃな!」

 

「隙だらけだッ!

 

弾符『バーストファイヤ』!」

 

「熱符『砲』!」

 

「投符『バレットシュート』!」

 

「効かないって―

 

言ってるだろ!!

 

完全生命体『パーフェクトバリアー』!!」

 

 

少女を丸く囲うようにスパークが迸り、弾幕を士道たちごと弾き飛ばす。

 

 

「こんなもんか?…想像以下だな。うぅ、アルとテリーにドヤされるぅー

 

っと」

 

 

シュンッ

 

 

「!? 今の避ける!?」

 

「…博麗。気配出しすぎ。不意打ちで針投げるなら、もっとコッソリ動け。

 

まぁ―

 

博麗霊夢、ルーミア、霧雨魔理沙、紅美鈴、フランドール・スカーレット、魂魄妖夢、橙。

 

あんたらも相手となると」

 

「―!! 永琳!やらせないで!!」

 

「秘術『天文密葬法』!」

 

「…追加訂正。鈴仙・優曇華院・イナバ、因幡てぬ、八意永琳、蓬莱山輝夜もか。流石にこのままじゃ、ちとキツイな」

 

 

腐食の少女の、気配が、変わっていく。

 

常に放たれていた狂気的な威圧感は消え。

 

それを補うように、純粋で、決して突破が出来ないような、絶壁を思わせる『気』が練られていく。

 

それに伴い、

 

左手は骨が皮を突き破り、変型し、緩く十字の型をした『盾』となり。

 

右手は、2本の爪が伸び、捻れ、1本の『剣』となっていく。

 

 

 

「―さあ。

 

弾幕ごっこ(デスゲーム)の続きを始めようか!!」

 

「っ―!!」ギャリッッ

 

 

少女の剣と、キリトの二刀が、ぶつかる。

 

まるで―

 

 

「クソッ!

 

斬符『スターバースト・ストリーム』!!」

 

「クッケケケ。

 

―74層のリプレイだな、これでは」

 

「!?!? 何で、知って、」

 

「終わりだ。さらばだキリト君」

 

 

ザシュッ

 

 

少女の剣が、キリトを右袈裟に斬る。

 

そのまま『ソードスキル』のように、連撃が決まる。

 

 

 

「が―ぐはっ―」

 

「う―

 

うわああぁぁああぁぁぁぁあっっ!!!」

 

「キリトさん!?今加勢します!!」

 

「―飛んで火に入る夏の虫。自分たちの火力を過信してないか?」

 

 

フランのレーヴァテインと美鈴の打撃を盾で受け止める。

 

同時に、元々関節だったであろう部分から、槍のような骨が14本突き出される!!

 

 

「!? 妹様!!」ドンッ

 

「きゃっ―!? 美鈴、何し、て―」

 

 

「ゴフッ! ご無事、です、か…?」

 

 

「めい…りん…?」

 

「チッ。吸血鬼は仕留め損なったか。もういい。喋るな」

 

 

美鈴を突き刺していた槍が、盾に戻される。

 

そのまま右手を1回転させ、爪をわざと折って剣を逆手に構えると、

 

呆然としているフランの腹部に突き立てた。

 

 

「う…え……?」

 

「寝てろ。起きた頃には悪夢は終わってる」

 

 

ドサッ

 

 

 

「―さてさぁてっと」

 

 

絶壁の気が霧散し、キンジたちが動けるようになる。

 

が―

 

 

「―次のショータイムといこうか」

 

 

少女の気配は、変わり続ける。

 

手は縮み、普通のサイズに戻っていく。

 

折れた爪は更に変わり、巨大な鎌のような型となる。

 

そして、練られていく『気』は―

 

美しさと強さを同時に発するものであった。

 

 

「!?!?……テメェ」

 

「どうしたキンジ?

 

久しぶりだろうに反応が鈍いぞ」

 

 

バスバスバスッ

 

 

「ぜっ!?」

 

「グアッ!?」

 

 

『不可視の弾幕』が、魔理沙と鈴仙を一瞬で沈め、キンジの頭を掠る。

 

 

「…テメェの能力は、『他人の能力を使う程度の能力』か?」

 

「残念だけど、完全にハズレ。

 

ただ、一応根拠は聞いておこうか」

 

「…アンタのその気配。

 

その(不可視の銃弾)

 

それは―

 

兄さんのだッ!!」

 

「クケケケケ!ビンゴだよ。

 

出エジプト記32章27―汝ら各々、劍を帯びて門より門と営の中を彼処此処に行き巡り、その兄弟を殺し、愛しき人を殺し、隣人を殺すべし。

 

キンジ。

 

―ここで、眠れ」

 

ゴッ―

 

「ッ―がッ!!?」

 

 

鎌を音速で払い、キンジの横腹に叩きつける。

 

ただスピードが速い。

 

たったそれだけのことで威力が増幅された殴打で、なすすべもなく壁に叩きつけられた。

 

 

「…近接で強い2人がやられたわね」

 

「野郎!!

 

1発ぶん殴って―」

 

「やれるもんならやってみなさい。

 

クッケケケ―」

 

 

ビュッ

 

ゴスッ

 

 

「―ケぇ!?」

 

『『『はっ!?』』』

 

「ば、バールが、」

 

「突き刺さったんだよー!?」

 

「〜〜〜っっ!? おいコラ紫!何しやがる!?」

 

 

「―遊び過ぎよ。いつまで闘ってるのよ」

 

 

少女の背後に立っていたのは―

 

『妖怪の賢者』にして、『幻想郷の創始者』と呼ばれる女性。

 

 

「ゆ………ゆか、り?」

 

「う…発狂技禁止つったのはそっちだろう」

 

「だからといって心を折りにいってどうするのよ」

 

「むぐぅ………

 

分かったよ。撤収撤収!」

 

「ハァ……また後始末が……説明が……」

 

「頭痛そうだな」

 

「誰のせいよ!?」

 

「―ハッ!? ちょ、ちょっと待ちなさい!!」

 

「ん?どうした博麗霊夢?」

 

「…アンタたちは、一体、何?紫はなんでソイツと一緒に、」

 

「いつもニコニコアナタの隣に這い寄る混沌ニャrロイガーっ!?」ゴスッ

 

「…いずれ分かるわ」

 





ク「…頭痛い」
そりゃ2回も『名状しがたきバールのような物』でぶん殴られれば痛いよ。
ク「…まあこれでこのss2体目の邪神が何だか確定だな。具体的な名前は出すか?」
別の機会にな。それより先に説明すべきモンがあるだろ。
ク「私の能力だな!」ドヤァ
じゃあ補足説明特別会。
まずあの『気を練る』ことそのものは、コイツの能力の副産物でしかない。
『気を練る』ことで出来るのは、
『他のキャラクターの能力を使える』ようになる。
追加効果として、行動制限が出来る程の威圧感も出せるけど…デフォでも出せるから関係ないな。
ク「今回だけでも3人分使ってるね」
とあるの垣根帝徳。SAOのヒースクリフ。緋アリの遠山金一(カナ)
…そうそうたるメンツだな。
ク「うp主。もしかして私の口調や性格が不安定なのって、」
SAN値がマイナスなのと、この能力が原因だな。能力パクると口調性格も似るからな。
ク「マジか。
…まいっか」

補足説明
腐食の少女(クト)vs輝夜:前話で輝夜と戦っていたのは藍。クトは観戦している内に盛り上がってきて、藍を下がらせて参戦。
クトの左腕:イメージとしては、バイオリベレイのアビス完全体の左腕。通常の腕に戻すことは可能だし、右腕を変化させることも可能。


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23話 vsEX  『双剣双銃』と『名も無き少女』


ク「前回あんな終わり方したのに宴会編?」
いや、宴会パートナシ。いきなりvsEX。
ク「アララ。vsEXって今まで、キンジvsアスナ、士道vs美琴だったけど今度は?」
今回は豪華2本だて。
ク「なん…だと…」
東方原作の異変はコレがラストだから。
ク「ハァア!? 萃香は!? 早苗は!? さとりは!?」
前に感想返信で書いた通り、続編があるからそっちでな。
ク「まだまだ時間かかりそうだなぁ…」
それじゃあ、23話。スタート!!




ク「…コレタイトルで丸分かりだろ」



 

―???

 

 

キリトは1人、暗い空間を彷徨っていた。

 

その空間は、まるで夢の中にいるかのようにフワフワと、安定しないものだった。

 

 

(―此処は…何処だ…?そもそもオレ、どうなって―)

 

 

脳裏に浮かぶは、腐食の少女の顔、そして技。

 

 

「…!! 茅場が、背後にいるのか?」

 

(あの技。間違えない。ユニークスキル『神聖剣』だ。でも一体、何で?

 

あのスキルは茅場の、ヒースクリフ専用に作られたスキルの筈。それに、何で74層のデュエルを知っている?

 

…アイツも、SAO生存者なのか…?)

 

 

「……ダメだ。いくら考えても答えが出ない。それ以前にココは何処だ?」

 

 

気がつけば、キリトは2本の足で立っていた。

 

何処かの廃ビルのようなところにいるらしく、遠くから車のエンジン音、そして―

 

―銃声と、悲鳴が聞こえた。

 

 

「!? 何がどうなってるんだよ!?」

 

(さっきまで、オレは迷いの竹林にいた筈なのに。それに、アイツにやられた傷も無い)

 

「……調べてみるか」

 

 

 

〜剣士移動中〜

 

 

 

ドアをいくつか通り抜けた先は、地獄絵図だった。

 

何人もの男が脚から血を流し、パッと見外傷のない男も、防弾チョッキには大量の拳銃弾が撃ち込まれていた。

 

 

「お、おい!大丈夫か!?」

 

【グゥ……ガキ!?テメェさっきのアマの仲間か!?】

 

「え、英語……マジでココ何処だよ……」

 

【ウルセェ!!ゴチャゴチャ言ってねえで――死ね!!】パスッ!

 

 

至近距離で撃ち込まれた9ミリ弾を避ける。

 

 

「危なっ!?いきなり撃つなよ!」

 

【ウルセェっつってんだろ!!ガキ!!テメェは殺す!!あのアマは殺せなくてもテメェは殺す!!!】

 

「うおだから危ないって!?」

 

 

ドンドンッ!

 

 

【グヘェ!?】

 

「うわっ!? じゅ、銃撃?別の場所から?」

 

 

【ハロー?言葉、通じる?】

 

 

キリトの目の前に現れたのは、両手に拳銃(コルト ガバメント)を持った、ピンクのツインテールの少女だった。

 

 

「また英語……えー、アイキャノ」

 

「アンタ日本人? これで通じる?」

 

「…助かったよ」

 

「通じるならいいわ。それで、アンタこんな所で何してたのよ?」

 

「こんな所? ……気がついたら迷い込んでいたんだ」

 

「ハァ!? 迷い込んだ!?」

 

「あぁ。…ところで、この人達は?あと何で銃なんか持ってるんだ?」

 

「……アンタ、こいつらと関係ないの?」

 

「? 赤の他人だ。そもそも関係ってなんだ?」

 

「…こいつらは犯罪者。ソコソコの規模の組織なんだけど、その割には弱かったのよ」

 

「…マジで?」

 

「マジで。それでアンタ。

 

ステルス(超能力者)、でしょ」

 

「…ステルス?レーダーにうつらないアレか?」

 

「…しらばっくれるつもり?この組織が傭兵を雇ってるのは分かってるわ」

 

 

ジャキジャキッ

 

 

2丁拳銃の銃口が、キリトを狙う。

 

 

「あたしの勘が正しければ、アンタはかなり強い。素直に自供すれば司法取引でそのままパートナー候補っていうのもアリだったんだけど、いいわ。

 

 

――風穴開けてやる!!」

 

 

 

〜剣士祈祷中〜

 

 

 

ドンドンドンドンッ!

 

ギャリリリッ!

 

 

「!? 銃弾が、通じない!?」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!なんでこうなった!?」

 

「言い訳しない!!」

 

「クソッ!当麻じゃないけど、不幸だ!!」

 

 

(どうする?このまま弾切れを待つか?それともこっちからも攻撃するか?

 

……相手を傷つけないまま無力化出来るならそれで十分だ。このままガードを―)

 

「……ねえアンタ。あたしの2つ名、知ってる?」

 

「?」

 

「『双剣双銃(カドラ)』、よ!!」

 

「―っ!?」

 

 

ギャリリリリリッ!!

 

 

「クっ―!」

 

「アンタも二刀流みたいだけど―

 

あたしには敵わない!!」

 

 

少女の双剣と、キリトの二刀流が押しあう。

 

 

「止めてくれ。頼む」

 

「今更命乞い?アンタふざけてるの!?」

 

「違う。

 

 

―これ以上は、手加減、出来ない」

 

 

「―!?!? くっ―」

 

 

ゴッガガガガガガガガッッ!!

 

 

「っ、今度はなによ!?」

 

「また銃弾かよっ!?」

 

 

穴が空いた壁から、煙を上げているガトリングガンを持った大男が入ってくる。

 

 

【―オイオイテメェ、もしかして『双剣双銃』かぁ!?オレのクライアントも随分なビックネームに追われたなぁ!!】

 

【……へ?クライアントって、この組織の?】

 

【他に誰がこのバハムートサマを雇うってんだよぉ!!】

 

「……じゃあアンタは?」

 

「何がじゃあなのかは分からねえけど、こいつらは赤の他人だって」

 

「」

 

【オレサマのこと放って置いて、くっちゃべってんじゃねぇ!!】

 

「―!! ミニガン!?」

 

「ヤバイのか?」

 

「バカ!逃げなさい!!アイツはあたしが―キャァ!?」

 

 

ゴッガガガガガガガガッッ!!

 

ガツンッ!

 

 

【あ?チッ、バッテリー切れか、面倒くせえ。まあ100発は撃ち込んだんだ、今頃挽肉に―】

 

 

「―お前、射撃そうとうヘタだろ」

 

 

【!? ガキ!? 何で生きてやがる!? もっかい喰らえや!!

 

―って、バッテリーがっ!!】

 

「重突『ヴォーパルストライク』!」

 

 

ゴガシャァッ!

 

 

キリトの剣が、正確に銃口と銃身を貫き、破壊する。

 

 

【ナニィ!?】

 

「……」

 

【ヒッ! ち、近づくな!! そ、そう、そうだ!ガキ!オレサマと組まねえか!? 分け前は6:4、いや7:3でも構わねえ!な!?】

 

「悪い。

 

―何言ってるか分かんねえや」

 

 

ヒュンッ!

 

 

 

 

「……はっ! ちょ、どうなって―」

 

「ん? 気絶したからそのままにしてるぞ」

 

「…アンタ、何で最初に狙われた時に逃げなかったのよ。ていうか何で無事なのよ!?」

 

「銃身がブレまくってたからな。ろくすっぽ当たらないのは予想出来たし。

 

それに今更真っ直ぐにしか飛べない弾に当たるのもな。アレなら強めのスペカの方が避けにくい」

 

「」

 

「さてと。問題はどうやって帰るか―

 

ん?」

 

 

ピシッ ピシッ

 

 

「…嫌な予感がする」

 

「…あたしもよ」

 

 

異音が少しずつ大きくなり―

 

数秒後には、ビルが倒壊し始めた!

 

 

「建物ってこんな簡単に崩れるのかよ!?」

 

「今度こそ逃げるわよ!?」

 

 

ガラガラガラッ!!

 

 

 

 

 

 

「―ゲホッ、ゲホッ!

 

ちょっと、アンタ!無事!?」

 

 

………

 

 

「…え? ちょっと、どこ行ったのよ?」

 

(そういえば、アイツは『気がついたら迷い込んでいたってー)

 

「…帰っちゃったのかしら……?

 

ま、日本語で話してたってことは、きっと日本人よね。パートナー探し、日本でもやろうかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―???

 

 

「……気が付いたら、また知らない所。不幸だー」

 

 

上条当麻は、迷子になっていた。

 

 

「ビルや電柱があるから、多分幻想郷の外だよな。

 

……にしても、

 

何で誰もいないんだ?」

 

 

上条が一歩踏み出そうとした瞬間、突然、目の前がー

 

 

――ドッ―――

 

 

―空間が、爆発した。

 

 

「不幸だぁぁぁぁぁあ!?」

 

 

ゴロンゴロンゴロンゴロゴッ!

 

 

「……不幸だ、パートツー…

 

電柱で後頭部が痛いでせう」

 

 

立ち上がって見ると、

 

地面が抉れ、中心には王座のような物があった。

 

 

「……はい?隕石でも堕ちたのか?

 

ていうか今時の隕石は椅子の形なんでせうか?

 

……んなワケ無いか」

 

 

ドンッッ!!

 

 

「うお!? なっ―」

 

(何だありゃあ!?)

 

 

反射的に見上げた先では、―

 

大剣を持つ、淡く光る紫の鎧を纏った1人の少女と、機械的な、鎧と言うより学園都市のパワードスーツの様な物を着た集団が戦っていた。

 

当然、真下にいる不幸の避雷針と呼ばれた奴(上条当麻)には流れ弾(ビーム砲)が降り注ぐ。

 

 

「不幸だぁぁぁあ!?」

 

 

パキンッ

 

 

「……おろ?良かった打ち消せた〜。

 

(メギド)を打ち消せなかった時からビームは上条さんの鬼門だったからなー」

 

 

幻想殺し発動の音で気がついたのか、パワードスーツ集団の内の1人が降りてくる。

 

 

「え!?無事なの!?

 

……ってそうじゃなくて!一般人が何でこんな所に!?避難放送の指示は!?」

 

「? 避難放送?」

 

「あああもおおお!!取り敢えず逃げなさい!!」

 

「断る」

 

「はあああああああああ!?状況分かってんのおおおおお!?!」

 

「だって、なぁ?アンタたちが誰かは知らないけどさ―」

 

 

一瞬、チラッと見えた少女の目は―

 

 

「―あんな『悲しそう』な目で見られちゃ、助けないって選択肢は無いだろ」

 

「……はっ!?ちょ、君、ゑぇ!?!?」

 

 

(なんだかんだ言って貰って、使ってなかったコレを使う日が来るとはな)

 

 

宴会の時に「お前飛べないんだからコレくらい持っとけ」と酔っ払い(キンジ)に押し付けられたベルトのバックルから引き抜いたワイヤーを近くのビルに引っ掛ける。

 

同時に内蔵モーター(河童印)が巻き取りを始める。

 

モーターのパワーだけでは登れない。

 

が―

 

 

(その『常識』をぶち殺す!!)

 

 

『不幸』で鍛えた(?)脚力があれば、話は別。

 

一息に駆け登る!

 

 

パキンッ

 

パキンッ

 

パキンッ

 

 

「うおおおぉぉぉぉぉお!?!」

 

(流れ弾―ていうか明らかに上条さん狙ってないか!? 不幸d―)

 

「!? 何だお前はっ!?」

 

「……こんにちは?」

 

(…目が合っちまったでせう。不幸、いや幸福?

 

……何故だろう、嫌な予感しかしない)

 

「―フッ!」

 

 

ザンッ!

 

 

「ほらやっぱりいいぃぃぃい!!」

 

 

上条が咄嗟に避けた先は―

 

 

「ふこおぉぉぉぉぉだああぁぁぁぁぁあ!!?」

 

 

少女とパワードスーツ集団の間(しかも空中)だった。

 

 

「―お前もか」

 

「―っ邪魔!!」

 

「ちょちょ待っ!?」

 

 

黒髪の少女と、パワードスーツ集団の1人の銀髪の少女が、同時にビームで攻撃する。

 

 

(クソっ―!)

 

「!?」

 

 

パキンッ

 

 

銀髪の少女のビームは打ち消し、

 

 

「そぅりやぁぁぁあああ!?」

 

「なっ!?」

 

 

打ち消した時に出来た僅かな反動で黒髪の少女のビームを回避する。

 

 

「あっはっは!よっしゃ後は墜ちるだけって不幸だあぁぁぁぁぁあ?!?」

 

「っ―待て」

 

 

ガシッ

 

 

「グフォ!? は、腹が……! ベルト食い込んで……!」

 

「………」

 

 

墜ち始めた瞬間、黒髪の少女にベルトを掴まれる。

 

上条が悶絶しても気にしない。

 

 

「……お前は誰だ?何故私の前に立つ?」

 

「どちらかといえば立ったんじゃ無くて落ちてきたっていう方が正確痛い痛い!」

 

「ちゃかすな!!」

 

「ハイ」

 

「(調子が狂う…)……もう1度聞くぞ。お前は誰だ?どうして私の前に立つ?」

 

「誰って、俺は巻き込まれただけの不幸な学生………だよな?庭師じゃないよな?」

 

「私に聞くな。巻き込まれただけなら、尚更何故だ?」

 

「何故って言われてもなぁ。

 

多人数でやられてる女の子がいたら、助けないなんて選択肢は男に無いだろ?」

 

「……あっちのメカメカ団にも男はいるが?」

 

「…」

 

「…」

 

「……」

 

「……」

 

「………」

 

「………」

 

「………マジか」

 

「よし飛んでけ」

 

「わーっ!わーっ!ちょっと待って後1個言わせてええぇぇぇぇぇえ!!」

 

「往生際が悪いぞ!さっさと言え!」

 

「頼むから――

 

 

絶望だけは、しないでくれ」

 

 

「―っ!? 何を―」

 

「アイツらと君の関係は分からない。そもそも俺だってなんでここにいるか分からない。そんな分からないことばっかの俺でも1つだけ分かる!

 

 

―必ず。君を拒絶しない、『肯定』する奴がいる!!!

 

 

だから―だから―っ!!」

 

「………フン」

 

 

ブンッ

 

 

「不幸だああぁぁぁぁぁあ!?」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!?!」

 

 

ちゅどーん!

 

 

投げられた上条は、パワードスーツ集団の1人に直撃。当たり所が悪かったのか、ミサイルポッドが爆発した。

 

 

 

「……絶望だけはするな、か。

 

………私は、この世界で生きていてもいいのか?」

 

 

同時に、少女は、消失(ロスト)した。

 

 

 

 

 

 

 

 

―白玉楼

 

 

「―ぅぎゃああぁぁぁあ!?!」

 

「みょぉぉぉぉぉおん!?!」ビクゥ

 

「―って、よかった。帰って来れたのか……爆発オチとか嫌過ぎるでせう」

 

 

サクッ

 

 

「開口一番それかみょん?」

 

「(よく分かんないけど)ゴメンナサイ」

 

「全く……凄い魘されてたけど大丈夫かみょん?」

 

「魘されてた?」

 

「みょん。魘されてたあと、1回なんかやり遂げた漢の顔みたいになって、その後また魘されて飛び起きたみょん」

 

「意味わからん」

 

「こっちのセリフだみょん。

 

……一応聞くけど、漏らしてるってオチは無いみょん?」

 

「流石にそれは―」

 





ク「最後どんな終わり方だよ!?」
ちょっと遊び心を。
ク「要らんわそんな遊び心!大丈夫なんだよな!?」
ご想像にお任せします。
ク「おおぉぉぉぉぉおい!?」

補足説明
時系列:22話直後、それぞれが撤収した後。ケガ人は永琳がなんとかしました。
vsEXなのにあんまり戦ってない:ハイホントゴメンナサイ。後半完全にデアラ1巻への伏線にしかなってないし。
ミニガン使いバハムート:某VR銃ゲーのベヒモスは関係無いです。
バハムートの命中精度:ハッキリ言ってクズ。ミニガンにビビった相手が避けるから当てられるけど、動かない的には1発も当てられない。最早才能の域。
河童印モーター仕込のワイヤーバックル:18話で酔ったキンジが上条に渡した。まだ飛べなかった頃ににとりに作ってもらったバックル。ワイヤーは最初からあった。


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24 番外編:祝!UA1100突破!

うp主「つー訳で始まった番外編!

 

無知無能無計画と色々足りないカリーシュことうp主と!」

 

クト「こういう機会にしかマトモなセリフを喋らせてもらえないクトだ」

 

う「それじゃあ!」

 

うク「ゆっくりしていってね!!」

 

 

・番外編

 

ク「番外編なのに24っていう番号があるのはこれいかに」

 

う「⑨の都合上。番外編だろうが過去編だろうがカウントは進むんだよ!」

 

ク「ふむふむ。

 

で、ここまで投稿してきて読者からの反応をうp主的に纏めると?」

 

う「……このssつまんないのかな?あんまUA伸びないんだよね。感想も少ないし。この番外編も、書き始めた頃は『祝!UA850突破!』だったし」

 

ク「リアル友がハーメルンでss投稿してて、読んでて地の文ばっかだったからってセリフばっかにしたのが不味かったんじゃない?」

 

う「しかもこのssより話数少なくて、尚且つ失踪しててUA7000越え……俺氏の立場……」

 

ク「乙」

 

 

・訂正・追加補足説明

 

ク「うp主が自分で読み直して、『ココおかしくね?』を自虐するコーナーだな」

 

う「自虐て……まあ間違っちゃいないけどさ……」

 

ク「オラなんでもいいからキリキリ吐け」

 

う「オロロロロロロロ」

 

ク「吐く(物理)じゃねえよ!?」

 

う「ジョークだ。

 

じゃあまず紅魔郷から。

 

第5話の美鈴のシーン」

 

ク「あー……霊夢と魔理沙が妬いたトコか。なににとは言わないけどな」

 

う「それもあるけど、美鈴がキンジを蹴り飛ばした直後。キンジが魔理沙を巻き込んで転がってる所」

 

ク「ココがどうかしたのか?」

 

う「追加補足。誰かがバトってる時は、基本的に残りのメンバーは後ろにいます。別行動時はちゃんと描写する」

 

ク「さいで」

 

う「次は⑨話シリー、ず!?」ガシッ

 

ク「………」グググ……

 

う「く、首、離じで……」

 

ク「……手短にな」

 

う「ア、ハイ。

 

チルノに撃退されまくってるクトの攻撃、スペカは、実は話数が増えるごとに強化・増加しています」

 

ク「……マジで?」

 

う「大マジ二。実際⑨話打ってる当時、22話の戦闘で使われた能力は、『能力のパクリ』はあったけど、あくまでパクった相手の能力を元ネタにしたスペカが使えるっていうレベルだったし。それが気がつけば変身してるし」

 

ク「ヒトは日々成長するものなのだよ!」ドヤァ

 

う「お前は人じゃないだろ」

 

ク「そういううp主はどうなんだよ?24話打っといて文才は成長したか〜?」

 

う「……」

 

ク「……うp主?(言い過ぎたか?)」

 

う「―そう、アレは私が車で帰宅する時だった」

 

ク「は!?」

 

う「ドントルマ、タンジア、バルパレ、モガ、ユクモ、シナト、」

 

ク「急にモンハンの地名羅列すんじゃねえ!?おい大丈夫か!?」

 

う「らりるれろ!

 

らりるれろ!!

 

らりるれろ!!!」

 

ク「あ(察し)」

 

 

ドゴッ

 

 

ク「オラハヨ次行け発狂大佐」

 

う「……頭痛い…なぜにチョップ…」

 

ク「昔から壊れた電化製品直すには斜め45度でぶっ叩けって言うだろ」

 

う「俺氏は電化製品か!?」

 

ク「しらんな。でも発狂大佐って原作だとウィルスでバグったAIだっt」

 

う「それ以上はいけない。

 

さて次はっと」(読み直し中)

 

ク「オイコラ決めとけよ」

 

う「あったあった10話」

 

ク「ここで気になる所……ああ。

 

フランの能力喰らってキリトが生きてる訳か」

 

う「そのとーり。大まかに理由は2つだ。

 

1個は、能力発動時、フランは完全には狂気に呑まれてなかったってことだな。発動の瞬間、狙いが微妙に逸れたんだ」

 

ク「それであのダメージって……」

 

う「でもって2つ目。フランの能力にも射程距離がある」

 

ク「は?」

 

う「幻想郷にいるキリトは、あくまでアインクラッドにいたキリトだから。本人の桐ヶ谷和人は未だナーブギアかぶってひっくり返ってる」

 

ク「言い方……じゃあキリトが幻想郷で死ぬようなことがあっても、本人はは無事なのか?」

 

う「その場合はナーブギアのレンジ機能が稼働します」

 

ク「……oh」

 

う「次は16話だな」

 

ク「16話……なんかあったか?」

 

う「この話のラストでお前が化けたニセ橙が出るだろ」

 

ク「ああ、そう言えばそうだな」

 

う「…ネタバレにもなるが、このシーン以外の橙は本物です」

 

ク「…橙『は』、か。でも今の所それ以外化けた覚えはないぞ?」

 

う「……さて次と」

 

ク「(言ってみただけか)」

 

う「次は21話のうどんげのライフルだな」

 

ク「ああアレ?saoのデスガンの対人狙撃銃だろ?それ以上書くことあるか?」

 

う「正確にはライフルについてじゃないんだよ。うどんげがこの銃を撃ったシーンあったか?」

 

ク「……ああ、なんで有るか、か」

 

う「そうそれ。本来のうどんげたちの作戦は、『それぞれ銃撃、弾幕で罠のレンチャンに追い込みつつ2チームをぶつけて消耗させる』だったんだ」

 

ク「それが、てぬが速攻で捕まって、連絡が途絶えたうどんげがパニクってモールス乱射して、それでキンジにバレたと」

 

う「そうなるな。よってライフルの使用弾数0」

 

ク「…うどんげェ」

 

う「ラストは14話について」

 

ク「…ん?巻き戻ったのか?」

 

う「このストーリーの核心に一番近い内容だからな」

 

ク「ああ、『EX』か」

 

う「うむ。この話で士道がEXを発動させてるけど、それについて。

 

このssは、EX化専用スペルが各キャラに存在、それを発動させることでEXに移行します」

 

ク「まあ邪神群に比べりゃ弱いけどな。ところで今EX化させるキャラはどれだけ考えてるんだ?」

 

う「ほい一覧」

 

ク「どれどれ…………………

 

ファッ!?!?」

 

う「どった?」

 

ク「うp主テメ私たちを殺す気か!?!?」

 

う「……ついさっきヨユー発言してたの誰だっけ?」

 

 

・追加・補足説明 狂気神話編

 

う「次の説明には、クトゥルフ成分とかなりのネタバレが含まれますっと」

 

ク「何してんのうp主?」

 

う「これ言っとかないとウルサイ奴がいるからな」

 

ク「ふーん?で、次は何の説明?」

 

う「お待ちかね、お前絡み(クトゥルフ神話)の説明だ」

 

ク「待ってました!!」

 

う「と言っても、ヘタなこと喋るとネタバレになるからな。あまり話すことはナイ」

 

ク「じゃあここで何話すんだよ?」

 

う「東方クロスものだからって読み始めてくれた読者への基礎説明と、邪神群の種類分けだな。じゃクト、後よろ」

 

ク「えぇ〜……しゃーない、やるか。

 

『クトゥルフ神話』、別名クトゥルー神話だったり狂気神話だったりするこの神話は、昔のアメリカ人小説家、H.P.(ハワード・フィリップス)ラブクラフトが最初に書いた『クトゥルフの呼び声』が原作で、その作品を元にオーガスト・ダーレスらが書いた小説の総体のことだな」

 

う「超絶ぶっちゃければ、二次創作が原作の珍しいパターンだな。

ちなみにうp主はダーレスはおkの人です」

 

ク「コラ先を行くな。今のうp主のセリフに『?』が付いた人の為に言うと、ラブクラフト御大が書いたクトゥルフ神話は、宇宙的恐怖(コズミックホラー)、俗に言うホラーモノで、その邪神群に属性や力関係を付けたダーレスに対して、許容派と絶対ゆる早苗派に分かれていて、うp主は許容派ってだけだ。

……こんなモンでよくね?」

 

う「あと力関係と、代表的なとこと、このssでの力関係よろ。俺氏はコンビニ行ってくる〜」

 

ク「」

 

 

 

ク「……(うp主)が消えやがったから続き言います。

 

力関係、まあダーレス設定では、

 

旧支配者<外なる神々<旧神

 

(各邪神の眷属とイ=ス人はメンドイからランク外)

 

となっていて、まあ旧支配者狂信者s(いあいあ宗団)の反感を喰らった訳だな。

 

それぞれ代表的なのは、

 

旧支配者

 

クトゥルフ

 

クトゥグア

 

ハスター

 

ニャルラトホテプ

 

外なる神々

 

アブホース

 

アザトース

 

ヨグ=ソトース

 

旧神

 

ノーデンス

 

……有名なのはこんなところか。

 

付け足すとしたら、クトゥルフはハスターと、クトゥグアはニャルラトホテプとガチで仲が悪いって事か。何しろ原作だとお互いの復活の足引っ張ってるしな。

 

このssでは、狂気神話絡みの事件が旧神の助けであっさり解決、を避けるために力関係を変更、

 

旧支配者≦旧神<<<外なる神々

 

となってます」

 

う「クトー、終わったかー?」

 

ク「今丁度終わったところだ」

 

う「じゃあ次行こうか」

 

 

・製作秘話

 

ク「そもそもなんで東方×クトゥルフ×ラノベなんだ?」

 

う「初期プロットだともっとクトゥルフカラーが強くて、ラノベ組も違うキャラだったんだ」

 

ク「……言うだけ言ってみ」

 

う「エレン・M・メイザース、ヒースクリフ、一方通行」

 

ク「メンバー構成頭おかしいだろ!?ていうか緋アリ何処行った!?」

 

う「当時は無かった。タイトルも『東方最強伝』だったからなぁ」

 

ク「……ん?そのタイトルって、続編の仮タイトルと同じじゃね?」

 

う「流石にメンバー変えるよ」

 

ク「……インパクトデカかったな。なんであんなキチガイじみたメンバーで書こうとした?」

 

う「ことの発端は、うp主がカラオケレパートリーを増やそうと東方アレンジを調べていた所から始まる」

 

ク「東方アレンジ一択の時点で色々終わってるな」

 

う「うるせぇ。バイオ7のEDでもよかったんだぞ?」

 

ク「もっと辞めろアレの歌詞の日本語訳はSAN値が減る」

 

う「でもって、ある曲を耳にしたタイミングで考えついたのがこの曲で、これが初期プロットだ」つ

 

ク「どれどれ…………」

 

 

―5分後

 

 

う「どうだ?」

 

ク「…曲はいい曲なんだけどさ……これカラオケで歌ったら100%しらけるぞ。消されるとヤダから曲名は言わんが、寿命ネタの曲とだけ言っておく」

 

う「」

 

ク「プロットの方も、メンバーから無双モノかと思ったらまさかの絶望endだし。ていうか、このプロットのネタ殆ど残ってねえじゃねえか!」

 

う「……まあぶっちゃけオリキャラのお前(クト)の設定の一部とクロスする作品くらいしか共通点ないけどさ。

 

なんなら消した初期プロット第1話上げとく?」

 

ク「オイバカヤメロ折角お気に入り登録してくれた8人すら敵に回す気か!?永久封印に決まってんだろ!」

 

(なお曲名と封印1話は、要望があれば言います。)

 

 

今後の予定

 

う「さて今後の展開だけど」

 

ク「さっさと話せお前只でさえ1つの話を3話で済ませようとするから1話あたりが長いんだよ」

 

う「(T ^ T)」

 

ク「チョトマテ今どうやって発音した!?」

 

う「冗談ともかく、今後の予定か……

 

取り敢えずは、」

 

ク「私主催のオリ異変か?」

 

う「各クロスキャラの日常編だな。大体短編×3か、短編と長編(2話構成)で」

 

ク「……そういえば前にも似たようなこと言ってたな。細かいプロットは出来てるのか?」

 

う「士道編が短編2話分、片方は膨らませれば長編になるかならないか。

 

キンジ編はほぼ出来てる。

 

キリト編は今寧ろ削ってる。

 

上条編は手付かず」

 

ク「…上条ェ。

 

細かいネタバレは?」

 

う「……それ言う必要あるか?」

 

ク「でないとお前派手に脱線するだろ?『ココでこう書いたんだから』っていう脱線防止だよ」

 

う「」

 

ク「オラハヨ言えでないと有る事無い事ベラベラ言うぞ?ちゃんと時系列もつけろよ?」

 

う「ううぅ…

 

士道編は、妖々夢前、人里での依頼の話と、永夜抄前、只ひたすら幻想郷メンバーと戯れる話だ。依頼の話は12話で言ってた内容だし。

 

キンジ編は、紅魔郷前、ベレッタ改造話と、妖々夢前、妖怪の山に殴り込む話だな」

 

ク「キンジ何があった!?」

 

う「清正以下略」

 

ク「察した」

 

う「次行くぞー。

 

キリト編は、紅魔郷前、従者話、妖々夢後、西行妖話と、同じく妖々夢後、狂気フラン話。

 

上条編は全く考えてない(笑)

 

一応言っておくけど確定じゃないから。変わる可能性はあるからな」

 

ク「ん?そういえばフランの狂気はクトゥルフ神話と関係あるのか?他の東方クトゥルフssだと大抵アザトースが絡んでたけど」

 

う「関係ナイ。狂気神話とフランの狂気は全く関係無い。大切なことだから2回言った」

 

ク「さいで」

 

 

カップリング

 

う「うp主に砂糖吐いてピチュれと!?」

 

ク「何故急にそうなる!?」

 

う「年齢=彼女いない歴のうp主にノロケ話を書けと!?」

 

ク「女キャラばっかの東方にハーレムモノで有名なラノベキャラ幻想入りさせたら100%そういう話になるに決まってんだろ!?

 

ていうかどうせもうカップリング決まってんだからハヨ言え!タグに書くつもりが文字数制限に引っかかって書けなかったこと、忘れたとは言わせないぞ!!」

 

う「ピチューン」

 

ク「口で言うな〆るぞ」

 

う「ううぅ…

 

カップリングの言い方は、何かルールがあった気がするけど忘れたから無視で。

 

基本的に士道×霊夢、キンジ×魔理沙、キリト×フラン、上条×妖夢で。それぞれサブヒロインでルーミア、文、美鈴、橙がいる」

 

ク「原作ヒロインは?」

 

う「却下。その為に原作開始前のキャラって設定にしたくらいだからな。戦力の関係でキリトはsao後だけど、それはまあ原作改変でアスナの想いがイマイチ伝わらなかったってことで」

 

ク「……ふーん。じゃあ頑張ってね。私は逃げる」スタコラサッサ

 

う「? 何故窓から?」

 

 

ピンポーン

 

 

う「お、宅配便か?もしかしたら頼んでおいたマンガゆく妖クトゥルフが来たのかな?」

 

 

エピローグ

 

鏖殺公(サンダルフォン)ー『最後の剣(ハルヴァンヘレブ)』!!

 

―風穴!風穴風穴ー!!

 

―『スタースプラッシュ』!!

 

―『竜の息吹(ドラゴンブレス)』!!

 

―ゆんぎぃやあ"あ"あ"ぁぁぁぁぁあ!?!?

 

 

ク「おー、殺っとる殺っとるっと、

 

ここまで読んでくださった読者の皆様、こんな会話ばっかの駄文を読んでくださり、ありがとうございます。

 

こんな程度のssですが、楽しんで頂けるなら、今絶賛処刑中のうp主も嬉しいです。

 

これからも引き続き、『東方英雄伝 〜ラノベの主人公が幻想入り〜』を、そしてできれば、続編の方もよろしくお願いします。

 

それでは!」

 



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それぞれの日常
25話 士道編:悪霊退散!博麗の神主!?



どうも、最近になって『東方英雄伝』といったら普通は銀河英雄伝説とのクロスのことを言うと気付いて愕然としているうp主です。
クト「どうも、デアラ最新刊でファントムの正体予想が当たって嬉しいクトです」
つー訳でデアラ16巻&バレット発売だぁあ!
ク「ああ、そういえばうp主は、デアラで一番好きなキャラは狂三だっけか?」
そのとーり。だから滅茶苦茶嬉しい。
ク「13から15巻スキップしてまで買ってたからなぁ…
正直辛いんじゃないか?二亜とか、六喰とか、分からないキャラもいるんだろ?」
それでも構わない。
ク「その心は?」
カワイイは正義(ジャスティス)。取り合えずアイザックはボコられればいい。映画バイオのラスボスと苗字一緒だし。
ク「さいで」



 

―紅魔郷宴会終了後、ある日

―博麗神社

 

 

博麗霊夢は、縁側に横になって煎餅をバリボリと齧っていた。

 

「……暇ね」

 

「暇なのかー」

 

「……何で居るのよ、ルーミア」

 

「しどーが居ていいって言ったのだー」

 

「……この神社の巫女が誰か、再確認する必要があるかしら?」

 

「家事全般こなしてるしどーの方がヌシに見えるのだー」

 

「うぐっ!?」

 

「このあいだも、誰かがれーむのこと『ヒモミコ』って呼んでたのを聞いたことあるのだー」

 

「くぅっ!? る、ルーミア、その辺にしt」

 

「んー?そーいえばれーむ、昨日か一昨日にしどーのこと『母さん』って呼んでt」

 

「もうやめてええぇぇぇぇぇえ!?」

 

「……何やってんだお前ら?」

 

「あ!しどーなのかー!」

 

「べ、別に、何でも無いわよ」

 

「? まあいいか。それより霊夢、付き合ってくれないか?」

 

「ファッ!?」

 

「大胆なのかー」

 

「…ん? 買い物にってことだぞ。このあいだの宴会の余り物も、もう無いしな。食料とか消耗品とか買い足したいんだよ」

 

「え?あ、そ、そう」

 

「私はチルノちゃんたちと遊んでくるのだー。いってきますなのだー」

 

「おういってらっしゃい。晩メシまでには帰れよー」

 

「……もう完全に主婦の台詞ね。

 

ていうか1人で行きなさいよ」

 

「いやだってホラ、オレ真っ直ぐにしか飛べないし」

 

「気合でどうにかしなさい」

 

「無茶振り!?」

 

 

 

〜巫女精霊移動中〜

 

 

 

―人里

 

 

「…そういえば、なんだかんだでここに来るのは初めてだな」

 

「それもそうね。士道が幻想入りしてからは弾幕ごっこばっかりやってた気がするわ」

 

「あはは…」

 

「…満足に飛べるようになるまで続けるからね」

 

「orz」

 

「……あの、道の真ん中で四つん這いにならないで下さい。手を踏んでしまいます」

 

「いいのよコイツ傷の治り早いから―って、阿求じゃない」

 

「お久しぶりです、霊夢さん」

 

「知り合いか?」

 

「まあね」

 

「初めまして。稗田阿求といいます」

 

「五河士道だ」

 

「士道さん……あ!この前の異変の解決者の1人でしたか!」

 

「…なんで知ってんだ?」

 

「天狗の新聞に書いてありましたよ」

 

「天狗って新聞書くのか!?」

 

「書くわよ。…ゴシップばっかりであんまりアテにならないけどね」

 

「読んでみますか?知り合いの貸本屋にあったと思いますが」

 

「頼む」

 

「この道を真っ直ぐ行った先の右側にありますよ」

 

「ありがとう。ちょっと行ってくる!」

 

 

〜精霊離脱中〜

 

 

「新聞を読みたがるなんて……外の世界は分からない習慣があるのね」

 

「彼、外来人なんですか?

 

……ところで霊夢さん?」

 

「何よ?」

 

 

 

「…彼とはどこまで?」

 

 

 

「……はぁっ!?!?」

 

「え?だって同居してるんですよね?

 

幼子の声を聞いたって噂もあるんですよ!?」

 

「な、ないないない!絶対に無い!!ていうか噂の発信源誰よ!?」

 

「里の1人が依頼に行った時に聞いたらしく、そのまま逃げ帰って来たんですよ」

 

「なんで逃げるのよ!?ていうか近くまで来たなら賽銭入れてきなさいよソイツ!!」

 

「見つかったら脅迫(夢想封印)されると思ったんでしょうね」

 

「しないわよ!?

 

……ていうか阿求?やけに詳しくない?その人って、」

 

「まあまあその話は置いといて。その依頼の話をしましょう」

 

「ちょっと待ちなさ「謝礼金」おし乗ったぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―夜

―人里 物陰

 

 

「……それで?結局依頼ってなんだったんだ?」

 

「さっきも説明したでしょ!『夜な夜な幽霊が出るから、除霊をする』っていう簡単な内容よ」

 

「幽霊なんてそんなポンポン出るのか?」

 

「なんでも、阿求の家の資料室にあった古い手紙を開けてから目撃されるようになったそうよ。調べてみたら、昔、その手紙には書き手の霊が憑いてて、成仏させた筈っていう記録があったらしいわ」

 

「…よくそんな記録があったな」

 

「その書き手が当時の結構なお嬢様だったそうよ」

 

「成る程。

 

…成仏したんだろ?無関係じゃないのか?」

 

「ボコして聞き出すなり、さっさと成仏なり除霊なりさせたら終わりよ。

 

…シッ!言ったそばから来たわ」

 

 

建物の陰から、噂の柳の木を見ると―

 

長い髪の女性が、いた。

 

そして―

 

 

(う、うわ!?出た!?)

 

(さっさと三途の向こうまでぶっ飛ばし――え?)

 

 

…1人の男性が駆け寄った。

 

手元には、手紙のような物もある。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……誰が幽霊?」

 

「……逢引って……私の出番……」

 

「ま、まあいいじゃないか。見てるのも悪いし、さっさと帰ろう―」

 

 

―ドサッ

 

 

「―ぜ……」

 

「……間違いないわね。

 

 

悪霊よ」

 

 

柳の木の下には、―

 

 

倒れた男性と、不自然に宙に浮いた女性の霊がいた。

 

 

「」

 

「チッ!

霊符『夢想封―」

 

「―」

 

 

―フッ

 

 

「…取り逃がした、か」

 

「え!?ちょ、消えた!?」

 

 

 

―翌日の夜

 

 

「さあ!リベンジよ!!」

 

「カエリタイ」

 

「却下」

 

「ダニィ!?」

 

「…お前ら仲良いんだぜ」

 

 

前日と同じ物陰には、霊夢、士道の他に、魔理沙がいた。

 

 

「なんで私まで…」

 

「いざとなったらぶっ飛ばす(マスパ)からよ」

 

「士道の『砲』じゃダメなんだぜ?」

 

「やらせるつもりだけど、……」

 

 

「な、なあ?ミスったら末代までた、祟られるなんてこと、な、ないよな…?」ガタガタ

 

 

「察したんだぜ」

 

「まったく……大丈夫に決まってるでしょ」

 

「本当にか?」

 

「祟りだろうが封印だろうが、私に掛かればイチコロよ!」

 

「…」

 

「……なによ、その不満そうな目は?」

 

「…いや、別に。(フラグにしか聞こえない)」

 

「それじゃあ―

さーいしょーはグー!ジャンケンポン!」パー

 

「うお!?」グー

 

「だぜ!?」パー

 

「ひ、1人負け…」

 

「ちょうど良かったわ。はいこれ」つ紙切れ

 

「なんだコレ?なにに使うんだ?」

 

「その手紙のニセモノでアイツ(悪霊)の注意を引きなさい。私たちがその隙に背後からぶちのめすわ」

 

「はぁ!? ちょ、え!?」

 

「大丈夫よ。万が一火力不足だった時用に魔理沙もいるんだし。

ていうか魔理沙。キンジはどうしたのよ?」

 

「……ちょっち色々あって魔力も体力も使い切ってるから留守番なんだぜ」

 

「……まさかとは思うけど、妖怪の山か?」

 

「そのまさかなんだぜ」

 

「へ?私の所には何の連絡も来てないけど?」

 

「あー……キンジが文の新聞にキレてな。元々アイツ外で、えっと、ますこみ?と何かしらあったらしくてな」

 

「昨日の新聞の特集欄か……まあ確かにアレはないな」

 

「…その件は文をとっちめて聞き出すとして。

 

―来たわよ」

 

 

昨日と同じ柳の木の下。再び霊が現れた。

 

まるで、何かを待っているかのように佇んで。

 

 

(ほら士道!逝ってきなさい!)

 

(霊夢、漢字が違うんだぜ)

 

(逝ッテキマス)

 

((士道ォォォオ!?))

 

 

物陰から、なるべく自然に歩き出す。

 

霊が気がついたように士道を見る。

 

が、長い髪のせいで、士道からは霊の顔は見えない。

 

 

(落ち着け……1人じゃないんだ……イザとなったら灼爛殲鬼で……)

 

 

10メートル。

 

 

 

5メートル。

 

 

3メートル。

 

 

1メートル。

 

 

(―ん? ええ!?)

 

「き、君は―」

 

「「もらったぁぁあ!!」」

 

 

ゴキンっ!!

 

 

「ここで会ったが100年目!今度こそキッチリあの世へ」

 

「ちょっと待て霊夢!? その人生きてる!」

 

「待たないわよ!アンタのせいでこんな夜遅くまで待たされて―

 

は!?」

 

 

「きゅ〜……」

 

 

「「阿求!?!?」」

 

「やっぱりか」

 

「え、ちょっ、私たち思いっきり殴っちゃったんだぜ!?」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「…逃げるわよ」

 

「おう」

 

 

ピュー

 

 

「お、おい! 待てよ霊夢! 魔理沙!

 

…ったく」

 

「」

 

「…どうすっかな、これ」

 

 

 

 

 

 

―翌日 朝

―稗田家

 

 

「―う、う〜ん…」

 

「起きたか、阿求?」

 

「えぇ、おはようございま、す―

 

キャャァァァア!?」

 

 

バチーーン!

 

 

 

「―すいません!すいません!!」

 

「いや、急に寝室に入ったオレも悪かったからさ」

 

「ありがとうございます。

…ところで、何故士道さんが私の家に?」

 

「あー、そのことなんだけどな。実は―」

 

 

〜精霊説明中〜

 

 

「―そうなんですか。ご迷惑をおかけしました」

 

「いや、うん。憑かれてたっぽいとはいえ、殴っちまったこっちもこっちだからさ」

 

「気にしませんよ。

…それにしても、優しいんですね。士道さん。 あまり他人と関わらない霊夢さんが夢中になるわけです」

 

「? それって、どういう―」

 

「そうだ!士道さんのこと、『幻想郷縁起』に載せてもいいですか?」

 

「? 幻想郷…ごめん、なんだって?」

 

「私が昔から書き続けている資料集のような物なんですけど…実物を見た方が早いですね。ちょっとお付き合いお願いします」

 

 

 

―稗田家 書斎

 

 

「―これが、『幻想郷縁起』です!」

 

「…ごめん、どれがだ?」

 

 

士道の目には、部屋を埋め尽くす大量の紙が見えた。

 

至る所に色付きの付箋が貼ってあるから、細かく整理されてることは分かりけど……

 

 

「ああ、

 

 

この部屋にあるものは、全て『幻想郷縁起』です」

 

 

「……はい?この量を、君が?」

 

「正確には、私で9人目ですが」

 

「? ? ?」

 

「あはは…簡単にいうとですね。私は、これまで8回転生して、ここまで書いてきたんです。

 

『1度見たものを忘れない程度の能力』を持った初代の稗田阿礼が、人里に妖怪や幽霊についての資料を残す為に書き始めたものが、これ(幻想郷縁起)なんです。その阿礼が8回転生したのが私。9代稗田阿求です。

…といっても、資料や書物以外の記憶の大半は転生の度に失われていますが」

 

「…成る程。先祖代々、ずっと昔から書き続けてるってことか。違う点は、書いてる人の中身が同じってことで」

 

「その理解で正しいです」

 

「…それで、オレを載せるっていうのは?」

 

「これには、妖怪や幽霊だけじゃなくて、それを退治する人、今でいう異変の解決者も載せるんです。霊夢さんはもう書いてありますよ」

 

「…オレなんかが、か?」

 

「はい!なにせその欄は、―

 

 

『英雄伝』っていうタイトルですから!」

 





ク「さてと、うp主……
私が言いたいこと、分かるよな……?」
終わり方が中途半端?ゴメンナサイ打ってる途中で力尽きてこうなった。
ク「違ぁぁぁう!! 更新だよ!いくらなんでも遅すぎんだろうが!!」
クトやクトや。
ク「ンだよ?」
G級バルク一式最大まで強化すると武器ネコ飯も込みで防御力900代行くんだな。
ク「ざけんなモンハンかよ!?」
でもスキルがちょっちうp主のプレイスタイルに合わないの。
ク「知・る・かぁぁぁあ!!!
魚竜『理不尽攻撃』!!」
亜空間タックルはダメェェェエ!?


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26話 士道編:幻想郷のお値段以上

 

―妖々夢後 ある日

―博麗神社

 

 

ザ、ザ、

 

 

「はー。霊夢のヤツ、境内の掃除押し付けやがって。まだ寒いの―」

 

「―士道、出掛けるわよ」

 

「によぉぉお!?ど、どこ行くんだ?」ドキドキ

 

「? 白玉楼よ。異変後の話し合い」

 

「はぁ……そりゃいいけど、なんでオレまで行くんだ?」

 

「え?それは、ええと…

 

と、兎に角ついてきなさい!!」

 

「? ハイハイ分かったよ」

 

「私も行くのだー!」

 

「アンタは留守番」

 

「ケチなのかー」

 

「…霊夢とルーミアって姉妹みたいだよな。リボンも似てるし」ボソッ

 

「なんか」「言ったのかー?」ジトー

 

「いや何も」

 

 

 

〜巫女精霊移動中〜

 

 

―白玉楼

 

 

「―にしても、改めて話すことなんかあるのか? 幻想郷のルールは向こうも分かってるだろうし」

 

「この世と冥界を分ける結界についてよ。元々は扉みたいになってて、通る時だけ開け閉めすればよかったらしいんだけど…」

 

「……そういえば、くる途中なかったな。そう言うの」

 

「全く、どこのバカがぶっ壊したのやら」

 

 

 

 

 

 

「ふぁ、ハーックションっ!!」

 

「うお!? 大丈夫かいニイチャン?」

 

「うぅ、誰か噂してんのか?不幸だー。あ、その鶏肉下さい」

 

 

 

 

 

 

「…直せるのか、結界?」

 

「完全遮断なら」

 

「いやダメだろ!?」

 

 

チャキッ

 

「止まれ!此処は生ける者の来る所じゃ―

って、霊夢に士道かみょん」

 

「お、妖夢か。

 

……ボロボロだけどどうしたんだ?」

 

「あはは……さっき試合でちょっとボコボコにされちゃったみょん」ボロッ

 

「あんたも大変ね。ちなみに相手は?」

 

「フランだみょん」

 

「「は!?」」

 

「『最近新しい技習ったから試させて!』って…両手剣(レーヴァテイン)の二刀流で27連撃とかバケモノ過ぎるみょん……」

 

「うわぁ……ん?キリトも剣士だよな?なんでわざわざ白玉楼に?」

 

「今まで全部流されて返り討ちにあったらしいみょん」

 

「」

 

「……何処を目指してるのよ、あの人間辞め人間」

 

「それはともかく、どうしたんだみょん?」

 

「冥界の結界をどうにかしに来たのよ。あのままじゃ幽霊が大量発生することになるわ」

 

「あー、トーマがぶっ壊したヤツかみょん。でもアレなら藍さんがどうにかするって聞いてるみょん」

 

「えーー!! か、完全なる無駄骨……!」

 

「ま、まあ、よかったんじゃないか?」

 

「その分謝礼とか言って毟り取るつもりだったのにぃぃ…」

 

「この間の西行妖の件でガッツリ持ってったくせにかみょん!?」

 

「ふ、ふふ、ふふふ……妖夢。

 

1週間蕎麦だけで生活したことがあるかしら……?」

 

「1ヶ月水と塩だけで生活したことがある人なら知ってるみょん」

 

「桁が違う!?

 

……って、あれ?士道は?」

 

「毟り取るのあたりでどっか行ったみょ」

 

「お・し・え・な・さ・い・よ!!」ガクガクガクガク

 

「ふこーだみょん!」

 

 

 

 

 

 

―魔法の森

 

 

「…霊夢の奴、金の亡者過ぎるだろ。

霊夢はきっとあのまま白玉楼で昼飯済ませてくるだろうし、オレまで御馳走になるのもなあ……」

 

(そういえば、妖怪の山の方には行ったこと無いんだよな。山の中は天狗が襲ってくるから入れないって聞いたけど…)

 

「…麓の河童がどんなのか見に行くか。キンジの話だと機械まみれらしいしな」

 

 

〜精霊移動中〜

 

 

 

―妖怪の山 麓

 

 

「―ほい到着っと。

にしてもデカい滝だなぁ…」

 

(…そういえば、修行っていえば滝に当たるっていうイメージがあるけど…)

 

 

試しに霊夢で想像してみる。

 

 

 

……

 

………

 

 

「うん、無いな」

 

(『寒い寒い懐も寒い。どうせならお湯か銭でも流しなさいよ!』とか言って直ぐに出てきそうだな)

 

「…えっと、盟友? 1人そんな所でニヤニヤしてどうしたんだい?」

 

「……」

 

「呆れ顔!? 私何か盟友にしたっけ!?」

 

「いや。幻想郷の人達は、なんで揃いも揃っていきなり側に現れるかなと思ってさ」

 

「それは私に言われてもなぁ」

 

 

(見たところ、小学校3、4年生くらいに見えるけど……

機械のアームっぽいのがリュックからはみ出てるし、この子がそうみたいだな)

 

 

「なあ、河童…でいいんだよな?」

 

「おお! そうだよ!幻想郷1のエンジニア、河童の河城にとりとは私のことさ!」

 

「……お値段以上?」

 

「外で流行ってんのかいそれ!? この間の盟友にも言われたよ!?」

 

「悪い、条件反射みたいなもんだ」

 

「どんな条件反射だよ…もうそれ売り文句にしようかな…」

 

「えっと、その、頑張れ?」

 

「あはは!心配してくれるのかい盟友?私は大丈夫だよ。それより今は盟友の方が危ないよ」

 

「? なんでだ?」

 

「いやー私も詳しくは知らないんだけどね? なんか最近新手のバケモノが、いきなり現われて天魔を襲撃したらしいんだ」

 

「!? 無事なのか!?」

 

「幸い、天魔本人は無事らしいよ」

 

「……本人は、か」

 

「友達の白狼天狗に聞いた話だと、後遺症が残るようなダメージや死人はいないらしいけど…

 

以来、行方が分からない奴が何人もいるんだ」

 

「そこは断定なのか?」

 

「…いなくなっちゃったんだよ。私の知り合いも1人、ね」

 

「…ごめん」

 

「盟友が気にすることじゃないさ。

 

それより、今妖怪の山は、同士討ちが起こるレベル極限の緊張状態だよ。麓のここも危ない」

 

「……分かった。離れるよ。

 

ああそうだ。にとり?」

 

「なんだい盟友?」

 

 

「落ち着いたら案内してもらってもいいか?妖怪の山」

 

 

「…ああいいさ!」

 

 

 

 

 

―行っちゃったか。

 

「…椛ー。いつまで隠れてるんだよー?」

 

「……人間は、信用しきれない」

 

「あはは……そっか、文さん盗られたk」

 

「〜〜〜〜!! わ、私、もう行くから!!」

 

 

バビュン!

 

 

おー早い早い。

 

…椛の奴、思いつめなきゃいいけど……

 

「ハァ…

 

何処行っちゃったんだよ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はたてぇ……」

 





ク「……発狂者1名様ご案なーい」
あーあ。山まで敵にしたのか。
ク「ウルセェどれもこれもあのクソ風野郎が……って、オイうp主!?お前この話、24話で『士道がひたすら幻想郷のメンバーと戯れる話』って言ってたよな!? なんで妖怪の山、しかもにとりだけなんだよ!?」
おいおい白玉楼には行ったろ。
ぶっちゃけた話、士道が行ったことなくて、かつ現段階で行ける場所って、もう山くらいしかないんだよな。
ク「…地霊殿…天界…守矢神社…
あーまどろっこしい!」
という訳で、かなり短めの26話でした。ではまた次回!

補足説明
冥界の結界:もちろん細工します。
水と塩だけで1ヶ月:とある原作でそんなことを言ってたような気がする。
お値段以上:河童の科学技術は世界一ィィィィィイ!!


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27話 士道編:宵闇の妖怪

 

―妖々夢後、ある日

 

 

…これは、士道が幻想郷で体験した、とある不思議な1日の記録―

 

 

 

 

 

 

「と思っていたのかー!」

\デデーン!/

 

「残念、ルーミアちゃんなのだー!!わはー!

今回は私の話なのだー!」

 

 

…私は誰に話しているのかー?

 

ま、いいのかー!

 

 

 

―朝 博麗神社

 

 

「―おーいルーミア。 飯だぞー」

 

「ん…いま起きるのかー…」

 

 

私の朝は、しどーの呼ぶ声で始まるのだー。

 

しどーのごはんはとっても美味しいのだー!人喰い妖怪のはずのルーミアが、胃袋をガッチリ掴まれちゃったのかー。

 

 

「バクバクムシャムシャゴクゴク」

 

「ご飯は逃げないから落ち着いて食べろよ?」

 

「ふ、甘いわね士道。幻想郷ではご飯は逃げる物よっ!」

 

ガシッ

 

「ほい確保。お代わりならよそってやるから人の茶碗に手を伸ばすn」

 

「「お代わりっっ!!」」

 

「…へーへー」

 

 

今しどーのお茶わんを取ろうとしたのはれーむなのだー。

 

この神社の巫女……らしいのかー。

 

最近は家事なんか全部しどーの任せきりなのだー。あーゆーのを『ひも』って言うらしいのかー。

 

 

「誰がヒモよっ!?」

 

「うお!? どうした霊夢?」

 

「……いえ、誰かに馬鹿にされたような気がして…」

 

「?

―っと、ルーミア、これ弁当な」

 

「なんであるのだー?」

 

「なんでって、今日は寺子屋があるから作ってくれって……

 

…時間、大丈夫か?」

 

「……あ」

 

 

…血の気が引くってこういうことなのかー。

 

 

「いってきますなのかー!!」

 

 

 

 

 

―人里 寺子屋

 

 

バタンっ

 

「セーフ!なのかー!」

 

「あ!ルーミアちゃんおはよう!」

 

「大ちゃんおはよーなのだー!」

 

 

今の緑色の髪の毛は大妖精なのだー。

 

チルノとよく一緒にいるのだー。

 

 

「あれ?チルノはどうしたのかー?」

 

「ええと、途中でまた人に不意打ちして、その人も咄嗟だったらしくて、えっと……今復活中」

 

「…それ、何時の話なのかー?」

 

「…人里に到着する直前だから、まだ5分経ってないと思う」

 

 

……チルノ、アウトなのかー。

 

後チルノに襲われた人、お疲れ様なのだー。

 

 

 

 

「―フアァ、ヘックシ!」

 

「うお!? うつすななんだぜ」

 

「へいへいわぁーってるよ。

 

…さっきの氷精で冷えたか?」

 

「ま、アイツなら何時も遊んでるからピチュらせても困んないんだぜ」

 

 

 

 

―しばらくして。

 

 

「あたいったらさいきょーね!」

 

ゴチンっ

 

「遅行して来て最初に言うことがそれか!?」

 

「ふっーしゅやくはいつだっておくれてとうじょうするものよ!」

 

ゴチンっ!

 

ピチューン!

 

 

「…チルノちゃぁぁん……」

 

「…けーね先生あいかわらずいいおとさせるのだー」

 

 

遅れて堂々と教室に入ってきた⑨…

 

チルノにけーね先生が頭突きしているのかー。

 

…いっつも思うけど、頭突きでピチュらせるってどんな威力なのかー?

 

 

「うぅ…あたいったらさいきょーね!」

 

「ほぅ……ならもう一発くらいいっておくか?」

 

 

けーね先生怖いのかー!?

 

チルノも「き、きょうはちょうしがわるいからかんべんしてやるわ!」って半泣きなのだー!

 

 

「はぁ……リグルは今日も休みか。

 

ほら出席とるぞー。早く席に着けー」

 

 

 

 

―放課後

 

 

「…うぅ、あたいはさいきょーなのにぃ……」

 

「ち、チルノちゃん、ファイト!」

 

…外でて一言目がそれなのかー。

 

後大ちゃんも応援するポイントが違うと思うのだー。

 

…あれ?

 

 

「あれなんなのかー?」

 

「え?」

 

「なによ?」

 

 

けーね先生とよくいるもこもこ?なのかー?

 

何人かのフードかぶった怪しい連中と裏路地にいるのかー?

 

 

「えっと、あれ妹紅さん、だよね…?

 

いやな感じがするけど…?」

 

「…取り敢えず様子を見るのだー。ただ怪しいカッコした人間なら瞬殺なのー」

 

 

「あたいったらさいきょーね!そのもこもこをはなしなさい!」

 

「チルノ!? ダメだ、来るな!!」

 

「…妖精…邪魔……

 

ハイジョ……」

 

 

「チルノちゃん!?」

 

「…マジなのかー」

 

⑨がフードたちに叫んだおかげでモロバレしたのかー!?

 

 

「氷符『アイシクルフォー」

 

「魔術『一ノ式』」

 

 

ビッー

 

 

ピチューン

 

 

「チルノちゃん!?……あ」

 

「ただの人間じゃないのかー!?……あ」

 

…真後ろにフードの1人がいるのかー。

 

「…」

 

「…わはー?」

 

 

 

 

―森

 

 

…ヒジョーに、マズイのだー。

 

え?状況が分からないのかー?

 

裏路地でルーミアたちはフードに捕まって、絶賛妹紅さんへの人質状態なのだー。

 

…チルノはピチュってたから放置されたのだー。

 

それにしてもこいつら、喋らないのによく動くのだー。全部単語を繋げただけなのかー。

 

…まともに喋ってるのは、妹紅と話してる奴だけなのかー。

 

 

「…わた―う不死―らに使える―無いぞ!」

 

「我々のか―不老ふ―味ガ無い」

 

「じゃあ―にが―望―」

 

 

…知恵熱が出てきたのかー。モーローとしてきたー

 

 

「―我々ノ神々が望むハ、お前自身だ」

 

 

!? なんでそこだけハッキリ聞こえたのかー!?

 

 

「は―なに言って―離―」

 

 

なんかヤバくなってきたのかー!

 

フード手を離すのかー!!

 

 

「―が―ぐ―」

 

ドサッ

 

 

あ、あれが噂の―

 

 

 

 

 

 

アイアンクローなのかぁぁぁあ!?

 

「もーもごもごもっもごもごごもごう!?(ルーミアちゃんツッコむトコ違う!?)」

 

 

「……さテ次は―」

 

こっち来たのだぁぁぁぁぁあ!?!?

 

 

「もがもががー!もがもががー!!(離すのかー!離すのだー!!)」

 

「宵闇の妖怪……ちょうどいい…我々の神々もお喜びにー」

 

 

 

 

 

「熱符『砲』!!」

 

 

 

 

 

「!? っ熱ぃ!?」

 

 

こ、この熱線は……

 

 

「……五河……士道……!」

 

「―そいつらから離れろ。でなきゃ―

 

次は、当てるぞ」

 

「…………チッ。たった1人デいい気に

 

ナるな。

 

魔術『五ノ式―」

 

「野符『武烈クライシス』!」

 

 

ゴッ――!!

 

 

けーね先生も来てるのかー!

 

 

「…………クソッ」

 

ボフン!

 

 

「なっ!?」

 

「煙幕か!? 待てっ!!」

 

 

目の前真っ白なのかー!?

 

な、何も見えない―

 

 

フッ―

 

 

誰か私を持ち上げたのかー!?

 

 

「もがもががー!もがもががー!!」

 

「落ち着けルーミア! オレだ!!」

 

し、しどーなのかー!?

 

 

 

あの後、私と大ちゃんの縄が解かれた後に煙が晴れて、みんな無事だったのかー。

 

聞いたら、チルノがあの場に置いてきた私のお弁当箱を見てけーね先生→しどーと連絡が届いたらしいのかー。

 

……けど……

 

 

「うぅ……しどーの料理……だめになっちゃったのだー」

 

とぉ〜〜〜〜〜ってももったいないのだー。

 

…? なんで今私の頭を撫でるのかー?

 

「そう落ち込むなって。また作ってやるからさ」

 

「ほんとなのかー!?」

 

「お、おう!

 

……そこまで喜ぶか?」

 

「れーむが、『最近ちょっとお腹周りが……でもご飯美味しいし……でもちょっと減らさなきゃ……』ってブツブツ言ってたから私もちょっと遠慮してたのだー」

 

?? なんで苦笑いするのかー?

 

でも頭撫でられるのきもちいーのだー。

 

 

この後、(チルノたちと)メチャクチャ食べまくったのだー。

 

それからしばらくはチルノ、大ちゃん、時々けーね先生や妹紅も食べに来たのだー。

 

…妹紅の目、ちょっとボヤッとしてる気がするけど……まあ気にしないのだー。

 

 

ちなみにれーむは、しどーがへるしー?な料理を作るようになってからまたバクバク食べるようになったのだー。

 





やっと士道編終わったー!!
ク「最後士道編じゃなくてルーミア編だったな」
気にするな!
ク「さいで。
…あと妹紅って今どんな状態なんだ?」
発狂済。
ク「アイアンクローでか!?」
そんな訳ないだろ。
ク「じゃあどうやったんだよ?」
……ポチってホント便利だよな。
ク「24話のうp主の死亡フラグあれフラグだったのかよ分かりにくいよ!?」
皆さんもゆく妖クトゥルフ見てみてください。マジ面白いです。
ク「まさかの宣伝!? しかも他人の作品の!?」

補足説明
フード集団:いあ!いあ!な人達。集団のリーダー(唯一まともに喋ってた奴)以外の狂気は薄いため、実は簡単に正気に戻る。
捕まルーミア:ちょいキツめのグルグル巻き+布咬まされてる。
もこたん発狂:ここで発狂してなかったら未来が変わる。


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28話 キンジ編:ベレッタキンジモデルの幻想入り

―キンジ幻想入り 翌日

―魔法の森

 

 

 

―昨日は、本当にメチャクチャだった。

 

『幻想郷』とか言う人外集団の巣窟に迷い込んで。

 

『魔法使い』なんて奴に拾われて。

 

『弾幕ごっこ』なるモノに付き合わされて。

 

そして、―いや、俺の思い違いか、あまりにも希望的観測だけど―

 

 

『ヒステリアモード』が受け入れられて。

 

…正直、疲れた。

 

……だからなあ、魔法使いさん(霧雨魔理沙)よ。

 

 

「出掛けるんだぜ!だから起きるんだぜ!」

 

 

もーちっと寝かせてくれませんかねぇ?

 

 

「…後5分」

 

「駄目なんだぜ!今日は香霖の店でべれったを魔力弾撃てるようにしてもらうって話だったんだぜ!」

 

「分かった、分かったからー」

 

「よし、それじゃ起きるんだぜ!」

 

「…」

 

「…ぜ?」

 

「Zzz…」

 

「…よく分かったんだぜ」

 

 

―思えば、これが始まりだった。

 

なんのかって?

 

 

…後に幻想郷七不思議の1つになる、『魔法の森に連続して響き渡る(男の)悲鳴』のだよ!

目覚ましにマスパはおかしいだろッ!?

 

 

 

―数十分後

―香霖堂

 

 

「いらっしゃ―魔理沙か」

 

「おう!邪魔するんだぜ!」

 

上手に焼かれた俺が荷物よろしく連れてこられたのは、白髪の若い男が店番をしている『香霖堂』という店だった。

 

…店、だよな? ガラクタ屋敷にも見えるんだが。

 

 

「…後ろの人?は無事なのかい?ボロボロだけど」

 

「…まあ、何とか。寝耳に水ならぬ寝耳にマスパな朝だったんだ」

 

「それは、御愁傷様…ところで何か用かい?」

 

「おお!キンジのべれったを魔力弾を撃てるようにミニ八桂炉みたいな改造をして欲しいんだぜ!」

 

「?」

 

「昨日見てもらった代物のことなんだぜ!」

 

「ああ、拳銃のことか。それじゃあそこの人が、」

 

「遠山キンジ。武偵だ」

 

「森近霖之助だよ。よろしく」

 

「それじゃあ頼むんだぜ」

 

「分かった、やってみるよ。いいかい遠山君?」

 

「俺は―」

 

「マスパ」ボソッ

 

「お願いします」

 

脅迫は卑怯なんだぜ。

 

 

〜半妖鑑定中〜

 

 

「―うん、改造そのものはできそうだ」

 

「そのもの『は』?」

 

「うん、魔力媒体が足りなくてね」

 

「魔力―これも調べてもらっていいか?」

 

 

昨日発光していたバタフライナイフ。

 

考えてみれば、なんで魔理沙の魔力と似た感じをコレから感じたんだ?

 

 

「それは、確か刃の無いナイフかい?今は付いているようだけど」

 

「それの刃は柄の中にあって、回すと出るんだぜ」

 

「これは、緋々色金かい?」

 

「珍しいのか?」

 

「スルーなんだぜ!?」

 

「うん。長い間生きてるけど、本物は魔理沙の八桂炉に使った分以外は見たことないね」

 

 

なるほど。だからか。

 

 

「…うん、ナイフのメッキに使われてる分だけあれば、何とかなるよ」

 

「頼む。…ところで、どれくらいかかるんだ?」

 

「1日あれば形になると思うよ」

 

「そっちじゃ無くてだな、えっと、」

 

「お代かい?それじゃあ、この店には外界から流れ着いたものがあって、名前や用途は分かるけど使い方が分からないものがあってね。それを教えてくれないかい?」

 

「俺に分かる範囲でならな。悪いな」

 

「毎度ありと言っておくよ」

 

 

〜武偵説明中〜

 

 

「…私は最後まで空気だったんだぜ!」

 

 

 

―魔法の森 上空

 

 

「―改造に出したはいいが、丸腰だと不安だな」

 

「そうなんだぜ?」

 

「ああ。それにさっきから、何か寒気を感じるんだが―」

 

 

「魔理沙ー!!」

 

 

!?

 

 

「お!アリスなんだぜ!どうしたんだぜ?」

 

「それは勿論、魔理沙に付いた虫の駆j、じゃなくて、初めて見る人がいたから気になったのよ」

 

 

な、何者だ!? この女!?

 

笑顔でこっちに殺気をぶつけんじゃねえよ!?

 

 

「…遠山キンジだ」

 

「フーン。アリス。アリス・マーガトロイドよ。―よろしく(四露死苦)、ね?」

 

「!?」ゾクッ

 

 

俺なんかこの女にやったっけ!?

 

 

「ねぇ魔理沙、この人間借りていい?」

 

「ん?別にいいんだぜ―何でキンジは震えてるんだぜ?」

 

ヤバイヤバイ今この箒から離れたら絶対明日を迎えられないつぐの日状態になる自信がある!!

 

(…箒どころか私の服の裾まで掴んで、なんか可愛いんだぜ)

 

「じゃあ借りてくねー!」

 

「おう!キンジ、後でなー!」

 

「」

 

 

 

「―分かってるわよね、人間?」

 

「分からないし分かりたくない」

 

「へぇ、そう…

 

『グランギニョル座の怪人』」

 

 

人形の大群―弾幕か!

 

 

「!?危なっ!」

 

「フフ…そんなに魔理沙といたいなら…人形になってみる…?」

 

「誤解だッ!むしろ帰りたい!」

 

「そう…」

 

「テメェ対話する気ねえ―

 

う、うわあぁぁぁああ!?!?」

 

 

 

 

 

―霧雨魔法店

 

 

「う…ん―あ!?」

 

「あ、やっと起きたんだぜ」

 

「ま、魔理沙…? あれ、俺確か、アリスって奴に森に降ろされて―その後どうしたんだ?」

 

「さあ?森の中を気絶しながら走ってるところを文に助けられたってことしか知らないんだぜ」

 

「気絶しながらって。ありえないだろ」

 

「やったのはキンジなんだぜ」

 

「…まあいい。それで、その文って奴は?」

 

「あのパパラッチなら追い返したんだぜ」

 

「いや追い返―パパラッチ?」

 

「おう。文々。新聞の記者なんだぜ。ガセネタばっかりなんだぜ」

 

「―そうか」

 

「…なんかキンジが怖いんだぜ」

 

 

…こっちにも兄さんを傷つけた連中の同類がいるのか……

 

 

「そ、そういえばキンジ!文が来る前にアリスがこんなのくれたんだぜ!」

 

「ん?…こんなに真っ赤な服着た人形見たことな、い―」

 

 

…アレ? この人形の目、どっかで見たことが―

 

 

「まあ貰える物は貰っておく―キンジ?顔色悪いんだぜ?」

 

「」ブルブル

 

「キ、キンジ?」

 

「ニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイニンギョウコワイ」

 

「な、何があったんだぜ!?」

 

「」バタンッ

 

「キンジ!?何があったんだぜ!?キンジ!?キンジィィーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

―翌日

 

―香霖堂

 

 

「いらっしゃい、遠山君。頼まれた物なら出来てるよ」

 

「ああ、ありがと…」

 

「…やつれてるけど、大丈夫かい?」

 

「…スッゴイ悪夢見た」

 

「…聞いてもいいかい?」

 

「…小さな、人形みたいなのがうじゃーっていて、持ってる槍やら剣やらで永遠とど突かれ続ける夢…」

 

「…うわぁ」

 

「また私は空気なんだぜ?早く出来たの見たいんだぜ!」

 

「分かったよ。はい」

 

「おう―外見は殆ど変わらないな」

 

 

帰ってきたベレッタは、外見どころか触った感じも全く変わってなかった。

 

一通り動作確認もするが―不思議と狙いがつけやすくなったくらいだな。サイトでも変えたのか?

 

 

「緋々色金はグリップとそのカバーの間に伸ばしてメッキし直したよ。それと、これも」

 

「これは、9ミリパラ?」

 

「薬莢はね。弾丸部に他の使い捨てタイプの媒体を詰めて使えば、少なくとも火力不足にはならないと思うよ。それは札を使ってる」

 

「弾が切れたら?」

 

「自分の魔力を籠めても撃てるよ。燃費は悪いけどね」

 

「ちょっと試し射ちしてくる。弾はこれ使っていいか?」

 

「いいよ」

 

「私も見たいんだぜ!」

 

 

〜武偵試射中〜

 

 

結論。

 

この弾幕、武偵としても使いやすいな。

 

外見の割に威力が小さいから防弾服の有無を気にせず撃てるし、扱いそのものは普通の銃と何も変わらない。

 

強いて言えば、人に対して試してないから、逆に充分な火力があるかどうか分からないことと、弾は自作しなきゃいけない所だな。

 

…まあ火力は魔理沙や霊夢の弾幕を見る限り問題なさそうだけどな。

 

 

「これなら打ち消しきれないなんてことは無いんだぜ!」

 

「そうなのか?これで自衛の手段は手に入ったか。あとは手持ちの弾をバラして作り直せばいいな」

 

「気に入ってくれたようで何よりだよ」

 

「それじゃあ早速―

 

 

弾幕ごっこやるんだぜ!」

 

「弾が出来たらな」

 




ク「…アリスェ」
ヤンデレは怖い(確定)。
ク「限度があるだろ!? 12話でアリスが接近しただけでキンジが気絶するレベルでビビるわけだよ!!」
しかもキンジと幻想郷メンバーの絡みって、なぜかヤンデレ率高いんだよね。何故だろう?
ク「キンジ逃げて超逃げて!?」

補足説明
緋々色金:緋アリのキーアイテム。
八桂炉にコレが使われているのは東方原作設定。
バタフライナイフ:色金剥がしたせいで耐久力下がって、結果キリトに斬られる。以降は咲夜にナイフを一本譲ってもらって使用。
アリス:マリアリ以外認めないそうです(震え声)。


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2⑨話 ⑨、行きまーす!

祝! UA2000突破!!

皆、ありがとぉぉぉぉぉお!!!(号泣)

(注 今回のラストは、人によってはとてつもない不快感をもたらすかもしれません。 お食事中の方はご遠慮下さい。)祝! UA2000突破!!
皆、ありがとぉぉぉぉぉお!!!(号泣)

(注 今回のラストは、人によってはとてつもない不快感をもたらすかもしれません。 お食事中の方はご遠慮下さい。)



―永夜抄後

―霧の湖

 

side 大妖精

 

「―みんな! そろったわね!」

 

「チ、チルノちゃん、本当にやるの?」

 

「あったりまえよ!」

 

「…イやな予感しかし無イんだけど」

 

「リグル、同感なのだー」

 

皆さんこんにちは。 大妖精と言います。

 

今日はルーミアちゃんから聞いた、この前の異変で霊夢さん達をボコボコにした『オバケ』を(主にチルノちゃんが)やっつけに行く所です。

多分だけど、ルーミアちゃんが言ってた『オバケ』はこの前チルノちゃんががやっつけてくれた変な羽の生えた人っぽいんだよね…

 

その事をチルノちゃんに言ったら、こうなった訳だけど。

 

でも途中で、久し振りにリグルにも会えたし、一度ピチュられた所を見た事あるから、きっと大丈夫よね!

 

「さあ! いくわよ!」

 

「「おー!!」なのかー」

 

 

「……何処から探すのかー?」

 

「しらみつぶしよ! そうさのきほんはあしだっていってたし!」

 

「」

 

……チルノちゃんェ

 

 

〜氷精妖精宵闇狂蛍捜索中〜

 

 

「……oh」

 

「なのかー……」

 

「」

 

「なにやすんでるのよー!」

 

げ、幻想郷一周したんだから、ちょっと休もうよ…?

 

「で、でもチルノちゃん、後探して無い所ってある?」

 

「あるわよ!」

 

「…神社、紅イ館、人里、妖怪の山、永遠亭……アと探して無イ所アったっけ?」

 

「…妖怪の山は門前払いだったのだー」

 

「じゃあもっかいとつげきするわよー!」

 

あ、オチが読めた。

 

 

〜氷精妖精宵闇狂蛍突撃中〜

 

 

テイク 1

 

「とうちゃくしたわ!」

 

「誰だお前達は! 此処から先は立ち入り禁止だ!」

 

「なによー! アタイはさいきょーなのよ!

氷符『アイシクルフォール』!」

 

「うわぁぁぁあ!?」 ピチューン

 

「…何をやってるんですか貴女達は」

 

「あ、椛なのk

「氷符『アイシクルフォール』!」

台詞切られたのかー!?」

 

「ハァ…

狗符『レイビーズバイト』」

 

「キャアア!?」 ピチューン

 

「「「………」」」

 

「…まだやりますか?」

 

「ゴメンナサイカエリマス」

 

 

テイク 2

 

「とうちゃく(ry」

 

「あははは! 特ダネいっただきぃ!!」

 

「マテやこのパパラッチがぁッ!!」

 

「おお怖い怖い」

 

「ぶっ飛ばすッ!

弾符『バーストファイヤ』ッ!」

 

「あやや!

旋風『鳥居つむじ風』!」

 

「お前らいい加減にするんだぜ!

特にキンジ! まだ骨がくっつききってないんだz」

 

「『桜花』ッ!!」

 

「『幻想風靡』!!」

 

「〜〜〜〜っもう!

恋符『マスタースパーク』!!」

 

「「ギャァァァァァア!?!?」」ピチューン×2

 

「理不尽!?!?」

 

「なのかー!?!?」

 

ピチューン×4

 

「―ん? 今誰か巻き込んだんだぜ?」

 

 

テイク 3

 

「とうちゃ(ry」

 

ヒュ〜←タライが落ちる音。

 

カァン!←⑨の頭にクリティカルヒットした音。

 

ピチューン

 

「「……なんでタライ?」」

 

 

テイク 4

 

「と(ry」

 

「…アレ? なにかいるね?」

 

具体的には腕の先がザリガニみたいになってて、頭の部分が点滅するイボイボだらけの蟲みたいな生き物。

 

「――――!――――!」

 

「…なんか気持ち悪くなってきたのかー」

 

「なん…だと…!?」

 

「? リグルちゃんどうしたの?」

 

信じられないモノを見たような顔してるけど?

 

「!? な、なんでもなイ…」

 

「とりあえず、やっつけるわよ!

氷符『アイシクルフォール』!」

 

ドスッ

 

「――――!? ――――――――――――!?!? ――――!? ――――!?!?」ピチューン

 

「アタイったらさいきょーね!」

 

「出番取られたのかー」

 

「やっぱりチルノちゃんは凄いね!」

 

「」

 

麓の邪魔者も倒したし…

 

「さあ! のりこむわよ!」

 

「「おー!」なのかー」

 

「…はっ!? チ、チルノちゃん待って!」

 

? リグルちゃんさっきからどうしたんだろう? さっきの変な生き物が出てきた辺りから顔色が悪いけど…

むむむ…

 

「なによー?」

 

「さ、さっきのミ…じゃなくて、蟲について、なにも思わなイの!?」

 

「べつになにも? あんなごみご(・・)みしたやつ! なぜなら―

 

アタイはさいきょーだからよ!」

 

「―あはは……どこが(バカ)……酷いよチルノちゃん、全部分かってて…こんな…」

 

「? ? ?」

 

えっと……

急にリグルちゃんがorzってるんだけど……

どうしたんだろう?

 

「……チルノちゃん。 僕は、僕たちは、また友達になれる……?」

 

「なにいってるのよー! アタイたちはずっとともだちでしょー!」

 

「チルノちゃん……!」

 

…リグルちゃんのあの態度…

 

「リグルちゃん、ちょっといい?」

 

「え? 大ちゃんなn―え?」

 

チルノちゃんとルーミアが話してる間を見てリグルちゃんに詰め寄る。

 

「―チルノちゃんは、私のなんだからね。ワカッタ?」

 

「え? え? え?」

 

「ワカッタ?」

 

「ちょ、意味が分からないn」

 

「ワ・カ・ッ・タ?」

 

「!?!? さ、サーイエスマムっ!!」ガタガタガタガタ

 

さー、これで良しっと♪

チルノちゃんにつく『悪いモノ』は、殺っつけないとね。

リグルちゃんがその『悪いモノ』じゃなくて良かった♪

 

 

「…帰ったんじゃなかったのか?」

 

「「「「あっ」」」」

 

ピチューン×4

 

 

 

その後のリグル談

 

「あ……ありのままにあの時の事を話すね。

大ちゃんが光の無い目で、ニッコリ微笑みながら『チルノちゃんは私のモノ』って底冷えする声で言ってきたんだ……。

ヤンデレとか、邪神の見せる悪夢だとか、そんなチャチなものじゃ絶対ない。

もっと恐ろしい大妖精の片鱗を味わったんだ……!」

 

 

 

 

 

―????

 

side クト

 

「クク…フフフ……クッケケケケケ!」

 

「見事な悪役三段笑いですこと」

 

「コレが笑わずにいられるかぁ!

ついに……ついに……!!」

 

あの憎っくき⑨を仕留められる!

 

「自分から喧嘩を売りにいって、アッサリ負けて。逆恨みよね、それ」

 

「……なんと言われようと、これで『計画』を⑨が邪魔する可能性はゼロだ!」

 

「具体的な作戦の説明を3行でお願いするわ」

 

「発狂済のリグルにミ=ゴを預けます。

そのリグルを⑨達と合流させます。

不意打ちさせて斃す、可能であれば発狂させて連れてこさせます。

これで勝つるっっっ!」

 

「……なんで4行……」

 

「…えっと、ゆかりん? その手に持った形容しがたい100tハンマーのような物は一体なn」

 

「フンッ!!」

 

カキィィィィィイィン!!

 

「ギャャァァァァァ……」キラーン☆ミ

 

「ふう――やっぱりホームランは振り向きに当てるに限るわね」

 

「うう……私はどっかのXYZが合図の街の狩人か?」

 

「……割と本気でぶっ飛ばしたのだけれど?」

 

全身ボロボロだよホント。

でもまぁ―

 

「ゆかりんが私にやる分には、我々の業界では御褒美ってやつなんだよ!」ドヤァ

 

「なら全身の関節を外した状態で風見幽香の前に放置p」

 

「ゴメンナサイそれはムリ」

 

深い溜息をつくゆかりん。

どうしたんだろうね?

 

「…リグルの様子でも見ましょうか」

 

「そうだな」

 

 

〜邪神スキマ様子見中〜

 

 

……取り敢えず一言。

 

「あっりぇるかああぁぁぁぁぁぁあああああ!?!?!?」

 

「」

 

ミ=ゴが⑨に斃されるのはともかく!

不定の狂気まで治るってどういう事だってばよ!?!?

 

「こうなったら私直々に出て―」

 

「ちょっと待ちなさい。先ずは神話生物(ミ=ゴ)の回収が先よ」

 

そう言って紫が開いたスキマから落っこちてきたミ=ゴ―

 

 

 

 

―には時限式で発動するようになってた起動済のスペカが貼り付けてあった。

 

「……」

 

「……」

 

「……クト、あのスペル、私は凄く見覚えがあるわ」

「奇遇だね。私もスッゴイ見覚えがあるよ」

 

もしかしなくても、アレ私が拉致(SAN値直葬)ってから作った奴だよね。

 

―よし。

 

「「逃っげるんだよぉぉぉぉぉおおおおお!?!?」」

 

 

―狂気『Gの狂宴』―

 

 

キターーーー!!

なんかキターーーーーーー!!!

 

もうさっきっから後ろから横からカサカサとかミ"ョンとかじょうじとか聞こえ―じょうじ!? JYOUJI!?!?

 

「ちょ、ゆかりんこれどうすr…」

 

横を見る。

 

野郎、いねぇし。

 

「……ミ"ョンって、スキマで逃げやがったぁぁぁぁぁぁあああああ!?!

チョオマ、ヘルプ! ヘルプ!!」

 

反応ナシ。

 

 

ふと私は、背後を見た。

―見てしまった。

 

其処は、床、壁、天井すら覆い隠す程のサイズも種類も様々な種類の例のあの生物(人間サイズも込み)が、スペカらしく隙間を開けながら壁の様に迫ってくる。

 

そう―スペカ(・・・)の様に。

 

 

「……悲報 Gの壁が前からも来た件についてwww」

 

 

 

 

 

 

 

その後の文々。新聞より抜粋。

『先日の建物の窓ガラスの9割以上が割れ、一部妖怪の耳に深刻なダメージをもたらした『超音波異変』について。博麗の巫女の調査によると、

「心当たり一通り〆て全部外れだったけど、あの一回だけだし多分大丈夫よ」

だそうです。

人間の子供が集まる寺子屋や大量のステンドグラスを所有していた紅魔館は、さらなる調査の要請を―』

 




ザーザー

…おいクトや、最近は水道代もバカにならないんだが。

ク『ウルサイあんなスペカ出す方が悪い』

…はぁ

ク『…』

…なぁクトや。

ク『何?』

…いつまで風呂場立て篭ってんだよウチは脱衣所とトイレ兼用だからハヨ出ろやこちとら最近下痢気味なんだよ!!!!

ク『知るかっ!! オラさっさと〆ろ!』

…ヤロォォォオ…


という訳で約1ヶ月ぶりの更新となりました、東方英雄伝!
書きだめ分1発目からいきなりクトゥルフ+某火星生物ネタなんていう誰得だよ展開ですが気にしねぇぜっ!
…やたらテンションが高いのは、ちょっと前まで入院してまして、その間ひたすらモンハンやりまくってたせいです。防具合成で中身ガチ東方コスプレ楽しれす(^o^)
モウナニモコワクナイ。アルバでもルーツでも持って来いやぁ!!

壁| アルバトリオン&ミラルーツ ヌッ

……oh no (レオン風)


ク(なんか外がウルサイ…)

補足説明
リグル・ナイトバグ:本人ついに初登場。「虫って(発狂させるのに)ヴィジュアル的にも(偵察に)サイズ的にも便利じゃね?」と判断した幻想入りした初期のクトが真っ先に発狂させた。チルノが神話生物(ミ=ゴ)に圧勝という別ベクトルでブッ飛んだ光景が精神分析扱いに。
大妖精:ヤンデレ。
テイク1:モブ白狼天狗、瞬殺されるの巻。
テイク2:22話でクトに一撃でボロボロにされた主人公の1人(キンジ)、さらっと復活。
テイク3:タライ。なぜ降ってきたかは謎。
テイク4:まるでミ=ゴがゴミのようだ!! …あと神話生物見たのに殆どSAN値が減らない⑨s。 バカってスゲェ。
狂気『Gの狂宴』:狂気神話と虫を操る程度の能力が混ざった結果。混ぜるな危険。 具体的には、実在架空関係無しにありとあらゆる種類のGが襲ってくる。 SAN値がゴッソリ減ります。
ミ=ゴ:ユゴスよりの使者。 外見は異常にデカイカビとコケを足して3掛けたのがくっついた、ザリガニとハエの間の子っぽいの。 イミフである。 ある程度の戦闘技能が有れば、タイマンなら人間が勝てる程弱い。
(※7/6 ミ=ゴの説明に間違いがあったので、訂正しました。 テケリ・リって鳴くのは別の神話生物です。)


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30話 キンジ編:フライング哿


緋アリ25巻だヤッホイ!
ク「…安定の超展開だったねぇ…」
原作キンジは完全に格闘特化(レベルを上げて物理で殴る)だな。
…ていうか、銃撃で勝負の決着がついたのって初めてじゃねぇか?
ク「ねぇよ。ブラド・ヒルダ吸血鬼親子と、一応マキリ(シージャック時)の時も核魚雷堕としたのは拳銃弾だったろ」
…緋アリワールドは、人より種族人外の方が銃弾が効くのか?
ク「………さあ?」
……
ク「……」
……取り敢えず30話、始めるか。



 

―紅魔郷宴会後 ある日

―霧雨魔法店

 

side キンジ

 

―火っていうのは、ここまであったまるものなんだな。ストーブやエアコンとはまた違う。

 

季節は冬。魔法店と看板が掛かってるはいいが、商品の大半が店主の趣味で作られたもので、時期もあって客なんぞ来ない(霊夢はちょくちょく来る)から、暖炉で暖まりながら読書中だ。

…そういえば、その店主はどこ行った?

 

バタンっ

 

「うひ〜。寒いんだぜ!」

 

「コートも着ずに出てったら寒いに決まってるだろ。…なに持ってるんだ?」

 

「ああ、新聞だぜ! この間の異変について書いてあるって言われたから買ってみたんだぜ」

 

「…そうか」

 

…新聞って幻想郷にもあるんだな。まあ適当に書いてるんだろうが―

 

「はぁ!?」

 

「うお!? 急に叫ぶな、どうした?」

 

「な、なん、何でもないんだぜ!

 

…ちょっと出かけてくるんだぜ」

 

…怪しい。

多分新聞に何か書いてあったんだろうが、肝心のブツは持ってかれたし…

 

「…人里なら売ってるだろ」

 

 

―人里

 

思ったより簡単に手に入ったな。

『号外!号外!』とか叫びながら道のど真ん中で売ってたお陰で、分かりやすかった。

……売ってた奴の背中から生えてた黒い翼についてはツッコまない。飛膜ならどっかのお嬢さまにも生えてたしな。

 

さて、鬼が出るか蛇が出る、か―

 

「はぁッ!?」

 

いきなり視覚に飛び込んで来たのは、

 

美鈴にぶっ飛ばされた先で魔理沙を押し倒しちまった、その瞬間の写真。

見出しは―『弾幕で生まれた淡い恋』。

意味分からん、異変はどこ行ったッ!?

 

「―ッおいあんた―ッていない!」

 

こうなりゃ作者に直談判だ!ぶっ飛ばしてやるッ!!

 

 

〜武偵爆走中〜

 

 

―妖怪の山 麓

 

「ぜぇ…はぁ……と、遠いぃ」

 

人里から山まで走り抜けたら、流石に疲れた。やっぱ飛べないのは辛いな。

ベルトのワイヤー、モーターでも付けるか?でも香霖堂にある機械のモーターはデカすぎる―

 

 

 

突然だが、ここで1つ現状確認だ。

この間の宴会で、ヒステリアモードの制御のヒントを貰ってから何度か練習してみたら、時場所を選ばずオンオフが切り替えられるようになった。

血液というのは、元々一部の魔術や魔法と相性が良いらしい。時々問題になるカルト教団やら昔の宗教で生贄やら血で書かれた魔方陣が使われるのは、効果や効率はともかく、実際に物理化学を無視した現象を起こすことが出来たらしいからだ。

…効果や効率はともかく、だが。

俺や魔理沙が使う星系統とは相性が悪いんだがー無理のないレベルでの血流操作くらいならなんとかなった。

 

まあ何が言いたいかと言うとだな―

 

「―光学迷彩か。外の世界より進んで無いか?」

 

「―!?」

 

チラッとでも違和感や気配を感じたら、即ヒスって対応が出来るってことだ。

 

 

〜武偵祈祷中〜

 

 

「…どうして気がついた?」

 

「いくら姿が見えなくても気配の消し方が素人同然だ。足音、呼吸音、それに匂いも」

 

「あはは、普段潜む時は水の中だからね。でも―これならどうだい!

水符『河童のポロロッカ』!」

 

スペカ―確かに、音で追うのは難しいな。

 

「『連鎖撃ち(キャノン)』!」

 

バツツツツツ!

 

銃口から飛び出た弾幕が、別の弾幕を弾き、そして弾かれた弾幕が、別の弾幕を弾き…が連鎖的に起こり、結局1発も俺に当たることはなかった。

 

「なっ!?」

 

ジャキンッ

 

驚いているところで声を頼りに銃を突きつける。

 

「チェックメイトだ」

 

「―はあ、私の負けか。それだけ戦い慣れてるなら大丈夫でしょ」

 

光学迷彩を解いたそいつは―

 

「こ、子供ぉ!?」

 

「失礼だね!私は立派な大人だよ!」

 

青い髪を短いツインテールに結んだ少女だった。

 

「大人って……妖怪か」

 

「そう!私は河童の河城にとりさ!」

「…お値段以上?」

 

「? なんだいそれ?」

 

「…気にしないでくれ」

 

河童―そういえば、魔理沙の話だとよく分からないメカを作りまくってるって話だけど―

 

「なあにとり? 河童が機械に強いって本当か?」

 

「ああ!水鉄砲から携帯電話までなんでもござれだよ、盟友!」

 

「(水鉄砲?)じゃあ頼みたいことがあるんだ。このベルトのバックル、ワイヤーが仕込まれてるんだが、巻き取り用のモーターを取り付けることって出来るか?」

 

「ちょっと見せて貰ってからいいかい?

―う〜ん。このサイズだと、取り付けそのものは出来るけど人1人を上げられるだけのパワーのあるモーターは無いかな…

勢いをつけて斜め上にジャンプしたり、物を引っ張るくらいは出来るだろうけど」

 

「それで十分だ」

 

「おーし!じゃあ私の家に招待するよ!工具もそこにあるしね!」

 

女の家か。

…ヒステリアモードは切っておこう。

 

 

―にとり宅

 

…河童の家って、滝の裏側にあるんだな。水中じゃなくてよかった。

 

「じゃあベルト借りるよ。代わりのはその辺の適当に使っておくれ!」

 

そう言ってにとりは奥に引っ込んじまったし。

代わりになるモノっと……

 

 

…なんかバックルがおかしいベルトが出てきたんだが。

具体的に言うと、中央が丸く凹んでいて、周りに出っ張りが3つくらい付いてる。しかもその出っ張り動くし―

 

バシュッ

 

「うおッ!? さ、サッカーボール…?」

 

…別のにしよう。

 

次に手に取ったのは、物凄くゴッツイベルトだった。

ベルトといっても、明らかにズボン用のじゃないなこれ。全身を締めるタイプだ。なんか両脇の下にホルスターらしきものがあるし。ボンベが乗ってる長方形の箱が両腰についてるし。後ろには3つの円板状の機械が組み合わさってるし。

オマケに長方形の箱、隅に『アンヘル』って書いてある。…読み方あってるか?

……何故だろう、若干血の匂いがするような……気のせいか?

 

「…次ッ!」

 

バックルが扇風機になってる、某イーッ!な人たちに改造されたバッタ人間が使ってたようなベルト。

 

「………もういいや」

 

 

―1時間後

 

「出来たよ盟友!」

 

「お、思ったより早かったな」

 

帰ってきたベルトは―特に変わりはないな。

 

「電池の蓋はかなり頑丈につけたから、電池切れになったらまたおいで!」

 

「ああ、ありがとう。大事に使う―」

 

 

 

バッシャァァァアンッッ!!

 

「死ね!人間っ!!」

ブンッ!!

 

「うお!?」

 

「きゃあ!?」

 

な、なんだ!? い、犬耳の女の子!?

 

「にとり、無事!?」

 

「へ!? う、うん」

 

「おのれ人間っ! 哨戒の目を盗んで忍び込んだだけじゃなく、私の友達まで誑かしやがったなあっ!!」

 

「ちょ、ちょっと待てッ!なんの話だ!?」

 

「今更惚けるか! にとりに、その、咥えさせた挙句、家に連れ込んでコトに及ぶなど言語道断っ!例え彼岸の閻魔が許そうと、私が許さないっ!!」

 

「…すまん、本気で分からないんだが」

 

何やら勘違いされてるということだけは分かったな。

 

「あー、私がベルトを見せて貰った時の格好で勘違いしたのかな? まあ改めて考えるとそういう風に見えなくもないかな?」

 

「? ? ?」

 

「……盟友、アンタホントに男かい?」

 

……俺が苦手な分野の話ってことだけは理解した。

 

―取り敢えず、

 

「何をごにょごにょ喋っているっ!! 人間!! その首置いてけぇぇぇえ!!」

 

―友達思いの犬耳少女をどうにかしないとね。

 

 

〜武偵祈祷中〜

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁあっっ!!」

ブンッ! ブンッ!

 

スペカではなく、繰り出されるのは大剣の一撃。

スピードそのものは何処ぞの二刀流には到底届かない(比べる相手が悪過ぎる気もする)が、体重の乗った綺麗な一撃だ。

 

……だが……

 

「くっ! なぜっ! 当たらっ! ないっ!」

 

綺麗過ぎる。

知性の無い獣や下級妖怪なら兎も角、剣士相手の戦闘に慣れていれば、剣筋を読むのは簡単だ。

多分、実戦経験より素振りや型稽古が多いんだろうな。

…さて、倒すことそのものは簡単だが、下手に傷つけるのもな……

 

―あの技を使うか。思いついたはいいけどキリトには通じなくて封印してたけどな。

 

「今度こそっ! 捉えたっっ!!」

大振りの振り下ろし―

 

パシッ―

 

「なっ―」

 

「―『二指真剣白刃取り(エッジ・キャッチング・ピーク)』」

 

初めてやったけど、上手くいったな。

 

「うううぅぅぅ……」

 

「これで剣は使えない。降参してくれないか―」

 

「狗符『レイビーズバイト』!」

 

「デジャビュ!?」

 

どっかの細剣使いを思い出させやがって!

ほぼ0距離同然の弾幕―ならッ!

 

「『弾幕切り(スプリット)』からの―

掃射『フルオート』!」

 

スペカ宣言と同時にセレクターを操作。勿論宣言通りフルオート。

カチッという僅かな手応えがするやいなやトリガーを引き切り、最大装填数15発+あらかじめチャンバーに入れてた分1発を遠慮無しに撃ち込む。

ホントはさらに追加で体内の魔力を撃ち出すけど……まあeasyという事で。

かなり短めの弾幕が過ぎ去った後には―

 

「―これで終わったと思うなっ!人間!!」

 

―ボロボロの盾を投げ捨てた犬耳の少女がいた。

 

……マジかよ。弾数保つかな?

 

 

 

 

 

〜一方、その頃〜

 

side 文

 

……私、射命丸文は、今、長い人生で5本の指に入る程驚いている。

そして、それは恐らく、周りにいる天狗達もそうだろう。

何故なら、私達の目の前には―

 

「はっはっは! 随分大きくなったな!元気にしてたか、天魔!」

 

「…ええ、まあ」

 

―鬼の四天王の1人である、星熊勇儀がいるのだから。

 

「おっ!射命丸じゃないか! 久し振りだな! そんなに縮こまってどうしたんだ?」

 

「ひぇっ!? だだだ大丈夫ですっ!問題あませんっ!」

 

「? まあいい。後で1発闘ろうじゃないか!」

 

「!? え、ええ遠慮します!!」

 

「つれないなぁ、風神少女サマは」

 

「それは……その……若さゆえの過ちと言いますか……」

 

ああ、周りからの視線が痛い。

主に『なんてことしてたんだよ!?』と『鬼に挑んだのかよ!?』というツッコミの視線が。

 

…それにしても、星熊様がいるということは、―

 

「勇儀〜。面白そうな人間が麓にいたよ〜」

 

…やっぱりいますよね、伊吹萃香様。

そして突然の鬼追加に全く動じない天魔様、流石です。

 

「…はて、面白そうな奴、で御座いますか」

 

「お、天魔が先に食いついたか〜。

んっとね、人間が白狼天狗相手に素手で圧倒してたよ」

 

場が一気にざわつく。

 

麓にいる白狼天狗―その時点でその天狗が、強くない子供とは違う、少なくとも戦力として数えられるレベルの天狗だということは分かる。

そして、そんな白狼天狗を『素手で圧倒』出来る人間―そんな奴は数少ない。というよりほぼいない。

ヒトが天狗に勝つこと自体はあまり珍しいことじゃないが、天狗が手加減をしているか、何かしらのルール上で戦っているか―鬼が嫌う戦い方(・・・)をした時だけだ。

 

例えば、毒。

 

例えば、酒。

 

例えば、嘘。

 

 

だから、ヒトが、純粋な力や経験で天狗―だけではないが、妖怪に勝つことは、『不可能』だというのが常識だ。(例外(博麗の巫女)もいるっちゃいるが)

 

それなのに。

 

そのハズなのに。

 

 

『素手で圧倒』

 

 

「……手を抜いてたんじゃないのか?」

「そんな風には見えなかったね〜。凄い殺気だったから。やっぱ若いのは生きがいいね〜」

「ふーん。

 

………なあ萃香」

 

ニッコリと満面の笑みの鬼の四天王2人。

…あコレあかんヤツだ。

 

「―そいつ、まだ麓にいるかな?」

 

取り敢えず、祈っとこう。

 

(((人間逃げて超逃げてっ!!!)))

 





ク「なんで鬼がもういるんだよ!?」ガクガクガクガク
ちょ、首、揺らすなぁ!?
ク「ウルセェ!時期的に萃香がいるのは良いとして、なんで怪力乱神(星熊勇儀)までいるんだよ!?」
なんとなく。
ク「遺言は?」
というのは冗談にして、キンちゃんのレベルアップの為です。今のままだとお前や紫はともかくとして、今計画中の最後のvsEX編は、キンジは手も足も出ないから。ていうかちょっとでも原作キンジに近づけないと、妄想という名のこの先の構成が出来ぬぅ!!
…このキンジは回天も羅刹も未習得なんだから。
ク「成る程。
………で、本音は?」
三歩必殺と桜花を正面からぶつけてみたかった。
ク「よし分かった。月まで吹っ飛べ!!
一撃男『全力パンチ』!!」
いやソレ直撃したら吹っ飛ぶ距離月じゃすまな―

【うp主が太陽系からログアウトしました】

補足説明
魔理沙:文をとっちめるべく出発。途中で同じく新聞を読んだ咲夜に弄られ絶賛戦闘中。
唐突に始まった魔法説明:オリ設定です。
予想外のベルト:ボール射出ベルト、立体機動装置、仮面ライダー変身ベルト。何であるとかツッコんではいけない。
白狼天狗:察しの通り椛です。白狼天狗の中ではトップクラスでもエネさんに掛かれば「経験不足」とあっさり倒される。
天魔:オリキャラ。かなり年いってるお爺さん。昔は無茶苦茶強かった。
鬼2人:萃香の異変を抜かした事に最近気づき、勇儀とセットで登場。
地底の封印?クトが幻想郷の結界いじった時にミスって緩めたという事で。
ク「オイ」


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31話 キンジ編:拳最強説浮上(ただし人外に限る)

ク「何か文視点多くない?」
士道編の時のルーミアみたいなノリで書いてるからな。
ク「じゃあキリト編と上条編も他キャラ視点を入れるのか?」
そのつもり。



―妖怪の山 麓

 

「…突然切り掛かって、すみませんでした」

 

「いや、よく分からんがこっちも紛らわしい事してたみたいだし、別にいいぞ」

 

頭を下げてるのは、ついさっきまで俺を殺そうと襲ってきた犬耳の少女(白狼天狗という種族らしい)、犬走椛。

 

フルオート射撃を防いだ後、剣ナシ盾ナシスペカは残1で、そのスペカすら使った後は格闘戦に突入したんだが―

 

正直、かなり弱かった。

橘花や絶牢を使うまでもなかったし、耳を傷つけないように亜音速に留めた桜花を絶対当たらないように顔の真横を通過させたら、「ひっ!?」って言って耳伏せさせて涙目で睨んで来た。

 

…ちょっとカワイイとか思ったのは秘密である。

 

まあ、椛が怯んだタイミングでにとりが説得して。

で、冒頭にいたる。

 

「…それにしても盟友、強過ぎないかい? 一応椛って、歩哨の中でもかなり強い方なんだけど?」

 

「そう言われても困る。俺にどうしろってんだよ」

 

「そうだな……負かした責任取って、椛が強くなるまで付き合うとか!」

 

「はぁ!? ちょ、にとり、何考えてっ!? こんなネクラな奴と、」

 

…やっぱり妖怪は何を考えてるか分からんな。どっからそんな発想が出てくる?

あと椛、目の前で悪口を羅列されるのは幾ら俺でも傷つくからな?

 

―っとそうだった。

 

「なあ椛。『文々。新聞』の記者に会いたいんだが、何か知ってるか?」

 

「文々…文さんのことですか? まあ居場所くらい直ぐに分かりますけど…

…何するつもりですか?」

 

「直談判だ」

 

頭にハテナが浮かんでた。そりゃそうだよな。

 

「まあ別にいいですけど…ちょっと待ってて下さいね」

 

と言って、遠くを見るような焦点の合ってない目で虚空を見つめる。

 

「お、おい、大丈夫か?」

 

「大丈夫です。今探してるので」

 

…どうやってだよ? テレパシーか何かか?

いや、『視覚』に集中してるから多分―

 

「説明しよう!椛の能力はね、「千里眼か?」せんr……」

 

「…すまん」

 

だからその遠い目辞めろよにとり。

見てるとだんだん怖くなってくるんだよ。

 

「見つけました! ……あれ?」

 

「? どうした?」

 

「この景色……出て直ぐの所ですね」

 

つまり滝の外側にいるってことか。

 

「―よし、行くか」

 

にとりの先導で横道を通り、正面に出る。

 

そこには―

 

 

 

 

 

side文

 

着いた。

着いてしまった。

 

今、私の周りには、鬼2人と天魔様だけだ。

他の天狗は巻き込まれ(やつあたり)されないように当の昔に逃げている。

人間と鬼が素手で闘って、まともな勝負になる訳が無いからだ。

ならスイッチの入った鬼の矛先は何処へ向くか、だそうだ。

 

……私が逃げないのは、若い頃、この2人と闘って瞬殺された時、そんなことをするような鬼ではないと分かっているから、と言うのもあるが……

 

『その白狼天狗、紅葉の柄の盾持ってたよ〜』

 

…萃香様の言った言葉から、負けたのは十中八九、椛小隊の誰かだ。

 

先鋭の白狼天狗を倒した人間。

 

これはきっとかなりのスクープになる!

 

「それで、何処で闘ってたんだい?」

 

「滝の裏側、河童の住処でだよ。

―まあ、向こうから出てきてくれるみたいだけど」

 

はてさて、どんな人間が出てくる?

 

1人目は、私もよくカメラでお世話になる、河童の河城にとり。

 

2人目は、白狼天狗、の―

 

「あやや!? 椛!?」

 

歩哨メンバーのトップクラスを倒す人間って―スクープじゃなくて情報規制がかかりそうな気が……

 

3人目は―

 

 

男にしては少し長めの黒髪。

そのせいで若干ネクラに見えるが整った顔。

 

よく知ってる顔だ。

このあいだ、彼の写真を記事に載せたばかりだし。向こうは気がついてなかったみたいだが、人里でさっきその記事を買っていったばかりだ。

 

……因縁つけにここまで来たんですかね?

 

 

―遠山キンジさん。

 

 

「ふーん。アンタが天狗を素手で倒した人間かい?」

 

「…誰だ?」

 

「アタシは星熊勇儀。鬼だよ。

アンタは…

 

……え?」

 

勇儀様が信じられないといった顔をしている。萃香様もだ。

 

「――文殊丸、なのか?」

 

「? 俺は遠山キンジ。 武偵だ」

 

「……子孫か何か? まあいい。尚更期待出来るってもんだ」

 

「ちょっと待て。何の話だ?」

 

「遠山ぁ―

 

―アタシと勝負しろ!!」

 

「いや意味分からんッ!!?」

 

「私とでもいいよ〜。ヒック」

 

「……酔っぱらいの相手は宴会の時だけで十分だ」

 

そんな言葉は届かず、勇儀様と萃香様はどっちが闘うかジャンケンして、勇儀様が闘ることになった。

キンジさんは「まだ俺戦うなんて言ってねぇぞッ!?」とツッコンでいたが当然スルー。

 

「あやや…これはスクープに……

なりますかねぇ……?」

 

それなりには強いとは言え、たかが人間。

それで相手は四天王、怪力乱神の異名を持つ鬼。

しかも弾幕ごっこじゃなく殴り合い。

 

人間側がさっさと勝負を投げ出して、その後白狼天狗との戦闘でも取材して、色々盛って記事にしたかったんですが……

 

…終わった後に原型留めてますかね…

 

ちょっと離れとこう。声は聞こえなくなるけど。

 

 

〜武偵祈祷中〜

 

 

勇儀様は酒が入った盃を左手に持って立っている。

昔から変わらない、いつものハンデ(零せたら勝ち)だ。

対するキンジさんは、諦めたように溜息を吐くと、スペカを発動させた。

右手に握られた物から放たれる視界を覆い尽くすほどの緋色のホーミング弾。

その全てが勇儀様に届く筈もなく、拳圧だけで弾かれる。

 

弾幕が消し飛び、キンジさんは―

 

アッパーぎみに盃を殴る直前だった。

 

「あやっ!?いつの間に!?」

 

勇儀様が盃を引っ込めるのが間に合ったが―続けて右回し蹴りが飛ぶ。狙いはまた盃。

勇儀様は蹴りに合わせて拳を振るう。

腕力だけで殴っている(手加減)しているが、それでもかなり力んでいる。

当たりどころが悪ければ、致命傷どころか良くて即死、悪ければ殴られた部位が消し飛ぶ一撃。

 

そんな一撃が右脚に当たった。

 

次の瞬間、右脚は捥げ、無惨な人間の身体が転がる。

 

 

 

―誰もがそう思った。

 

けれど、実際は、―

 

 

 

 

 

左脚が盃を直撃した。

 

 

「あや、え? ゑ、ハァァア!?!? ちょ、何がっ!?」

 

「へぇ。アイツ、中々やるなぁ。私も闘いたいなぁ〜」

 

「分かるんですか萃香様!?」

 

「分かる…というより見えたって感じだねぇ」

 

そう言って続ける萃香様の顔は―

 

心の底から、嬉しそうに、笑っていた。

 

「あれは水車と同じだよ。左右どっちに力を掛けても流され、反対側から返される。思いっきり殴れば殴るほどこっちが不利になる。

ありゃぁいくら殴っても意味ないねぇ」

 

「」

 

なにそのチート。

 

「アレをブチ破るとしたら……

 

私でもああする(一発で決める)ね」

 

勇儀様は、奇跡的に一滴も零れていなかった酒を飲み干し、盃をしまう。

キンジさんは一瞬何か言いかけたようだが飲み込んだらしく、苦笑いしながら構えを取り直す。

 

「文ぁ。よく見ときな。次で決まるよ」

 

「…」

 

間合いが開く。

 

互いに特徴的な構えを取る。

 

 

全ての動きがゆっくりと見える視界で―

 

勇儀様の『一歩』目で、2人の間合いは一気に狭まる。

 

 

勇儀様が『二歩』目を踏み出し、大地が揺れる。

見切ったのか少し浮いてるのか、揺れでバランスを崩さなかった。

 

 

 

そして、『3歩』目で―

 

―全力の拳が擦り―

 

 

 

 

 

―キンジさんが吹っ飛ばされた。

 

 

「……は?え? キンジさんっ!? 大丈夫ですか!?」

 

駆け寄ろうとしたら勇儀様に先を越された。って早っ!?

 

「遠山ぁ……なんでだ!!?」ガコガコガコガコ

 

「」

 

「勇儀様ソイツ血反吐吹いてますから!? そんなに揺らしたら死んじゃいますよ!?」

 

「なんでっ―」

 

流石に萃香様も近づいて来る―いや酒飲んでないで止めるの手伝ってくださいよ!?

 

「いや、オチが読めたからねぇ〜。

……遠山、か」

 

「さらっと人の心読まないでください!? て言うかだったら手伝ってくだ―」

 

 

「―なんで最後に手加減したぁぁぁぁぁあっっ!?!?」

 

 

「―さいよ? ……え?」

 

人が、鬼に、手加減?

 

「―死ぬ気ですかアンタぁ!?」スコーン!

 

「たわらばッ!?」

 

はっ、つい蹴りがキンジさんの顔面を―

 

「…白」ボソッ

 

 

〜記者、武偵を蹂躙(シリアスブレイク)中〜

 

 

「」

 

「ふぅ、スッキリしました」

 

なんか顔面にモザイクがかかるレベルでヤバい事になってますが気にしません!

 

「……はっ! と、遠山っ! 答えろぉぉお!?!?」

 

「ちょっ勇儀様!? ソイツ死んじゃいますって!?」

 

「トドメ刺した奴の台詞じゃないよねそれ!?」

 

「萃香様が……ツッコミ……天然キャラだと……信じてたのに……っ!」

 

「アンタもぶっ飛ばされるかい?」

 

「全力で遠慮します」

 

なんて茶番をやってると―

 

「―コホッケホッ……うぅ…」

 

「お!流石遠山。やっぱ生きて」

 

「なんでだぁぁあ!!?」

 

「死に晒せや女の敵ぃぃい!!!」

 

「えー加減にせえやぁ!!

勇儀! ちょっと落ち着け!そんなに揺らしたら舌噛むぞ!

文! それ以上はいけない!」

 

「ですが萃香様!コイツさっき私のパンツを覗いたんですよ!?」

 

 

「…いや完全に不可抗力ですよね?それに文様もよく私やはたて様のを盗撮してますよね」

 

 

場が凍る。

―ブルータス、お前もか。

なぜかこんな台詞が浮かんだ。

 

「…射命丸」

 

「なんでしょうか天魔様?」

 

「減俸3ヶげt」

 

「天魔様お慈悲をぉぉぉお! 最近フィルム高いんですよ!!」

 

「「「「いや自業自得だろう」」」」

 

「あややっ!? そ、それよりほっとくとキンジさん失神しますよ!?」

 

ほら現に今だってキンジさんの存在感がっ! 存在感そのものがっ!!

 

「いやほぼ…お前のボケ、のせいだろ…」

 

「サテナンノコトデショウ?」

 

「……はははッ」

 

急に笑い出しましたよ。やっぱり頭を強打したのが不味かったんでしょうか?

これじゃあしばらくは何言ってもおかしく無い―

 

「…話は終わってないぞ遠山。

なんで手加減なんかした? あのままならお前の拳が先にアタシを捉えただろう?」

 

「そうだな…

 

 

―美人を傷付けるワケにはいかない、じゃあダメかな?」

 

―と思ったらいきなり爆弾発言ですよ。

直撃した勇儀様は耳まで真っ赤ですし。

どうしてか椛は逃げちゃったし。

萃香様は爆笑してますし。

 

な に こ の 状 況?

 

言った本人気絶してるし。

 

「…どうしましょうかね、この後始末?」

 

「攫うに1票」

 

「何方でもに1票じゃ」

 

「…私は辞めとくに1票」

 

「……あやややや!? 私の番ですか!?」

 

「まあ、勇儀は固まってるしね〜。

あ、私たちに遠慮はしなくていいよ〜」

 

…萃香様、威圧が凄いです。何処が遠慮しなくていいですか?

 

「……私は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideキンジ

 

――此処は、何処だ?

確か、妖怪の山にカチ込んで…

椛をどうにか説得(?)して…

それから――ッ!!

 

「うごあ!?

 

……ここは……」

 

霧雨魔法店、か?

 

「あやや、丁度起きましたか」

 

コイツは……人里にいた天狗?

 

「…誰だお前?」

 

「私ですか? 私は! 清く!正しい!射命丸 文です!」

 

「…はぁ?」

 

平賀さん大人にしたらこんなのになりそうだな。名前同じだし。

 

「という訳でキンジさん! これからも取材させてもらいますからね!」

 

「さいd……取材?」

 

「それじゃ! アデュ〜」

 

そう言い残してさっさと何処かに消えた。

 

 

後から魔理沙に聞いた話だが―

 

アイツが文々。新聞の記者兼作者の射命丸文だそうで、不法侵入盗撮は当たり前で、色々と飛び回っては相手がキレるか泣くまで取材し続けるらしい。

ついでになにやら魔理沙も取引(深く聞いたら話題逸らし(スラッシュⅢ)された。)で俺の外でのことを多少なりともゲロったらしい。

 

……よしアイツは絞める。

 

でもまぁ――

 

 

こんな生活も、気が楽だし。

 

「……俺も、異変解決者の1員か」

 

……俺も、俺自身の呪い(ヒステリアモード)と真剣に向き合う時なのかもな。

 

 

ちなみにその後、なぜか大天狗とか言う奴が来て『あの日の事は出来るだけ内密に。特に博麗の巫女には』と言ってきた。なんでも俺が殴りあった女がいたのは、実は不味かったらしい。

 

……まあどちらにせよ、今の俺に出来る事は、

 

「筋肉痛が……ッ! 顔面が割れるように痛い……ッ!」

 

「色々と自業自得だぜ」

 

とっとと体力を回復することだな。

 




後書き
祝!(?)、キンジ編もしゅーりょー!
ク「これで日常編は残り半分か」
時系列的に士道編1、2の直前だな。
士道が幽霊相手にしてる間キンジはひっくり返ってたって事で。
ク「…これキリト編と上条編大丈夫か?伏線とか時系列とか」
大丈夫だ、問題ない。
ク「あ、そう」
……
ク「……」
……
ク「……」
……アレ? ツッコミは? ネタ切れ?
ク「偶にはいいだろ」
マジか!? ヤッt
ク「と思っていたのか?」
ダニィ!?
ク「爆破『魔力暴走(マダンテ)』!」

▽うp主 は死んでしまった!


…アレ?全滅表示は?
ク「私がいるだろ」
ウソだっっ!

補足説明
スラッシュ(5):勇儀の三歩必殺に対し、桜花を掠らせるように当てることで攻撃を逸らせる。感覚的には銃弾撃ち(ビリヤード)砲弾撃ち(パトリオット)と近い。弾丸か拳かくらいの違いしかない。
但し今回は、技が完全に成功すると桜花が相手に当たるからとワザと減速。
結果三歩必殺を喰らった。
三歩必殺:勿論手加減してる。どっかの物理チート先代巫女ですら脚グチャグチャになるのに、本気の三歩必殺と真正面からぶつかったらいくら哿でもタダじゃ済まない。
……直撃しても死にそうにないけど。


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32話 キリト編:スイーツな最終鬼畜妹

私が(ハーメルンに)来たっっ!! (ムキっ!)
クト「帰れプロ◯イン中毒者。つかまともな登場が出来ねぇのか本文がブッ飛んでるんだから登場くらい普通にせーや何時までもそんなんだからお気に入り登録万年ティーン(10代)なんだよノンブレスで言わせんな疲れんだよ!!」

ク「…偶にはシンプルに行こうか」

ク「必殺『かめはめ波』ぁぁぁぁぁあああ!!」
えちょ待っt―

(お気に入り登録者、マジでありがとうございます。こんな駄文ですが、これからもよろしくお願いします。)



―紅魔郷前

―紅魔館 廊下

 

紅魔館の朝は遅い。日の入り=日の出なおかげで、早朝起床とか言われたら夕方のことだ。

居座ってる亡霊sや妖精メイドも込みにすれば、9割以上が夜行性か、そもそも寝る必要が無い。

それでもって同じ人間の咲夜さんは能力もあって人間辞め人間だし。

 

「…ここって結構ブラックだよなぁ。

 

種族的に」

 

…環境そのものは、悪くない。

おぜう様(レミリア)のワガママを除けば、妖精メイドの掃除の監督(咲夜さん曰く、最近何故か真面目にやるようになったらしい)や、門番起こしや、庭の手入れ(薔薇が殆ど)や、美鈴起こしや、交代での血の提供(しないと2人揃って直で飲みに来る。でもってしこたま飲んで溢す。特にレミリア)や、フランのガス抜きや、医務室行きになった門番の代わりや、暴走したメイド長を宥めるくらいだ。

余った時間は、紅茶やら菓子やらの作り方を教わったり、弾幕ごっこの練習。

 

…問題があるとすれば、男女比率が狂ってるくらいか。性別(があるか)不明はともかく、男がオレ1人で後は全員女。

……正直かなり気まずい。

 

女性と話すことそのものは、アスナやシリカなんかとはちょくちょくクエ行ったりしたから多少は慣れてるけど……そういう問題でもないしなぁ。

 

「―あ! キリトさん、こんな所にいましたか!」

 

「ん? 美鈴か。 何かあったのか?」

 

「おぜうさまが呼んでましたよ。なんでも大事な話があるからとか」

 

「言ったそばからかよ」

 

美鈴、頼むから同情するような目でオレを見ないでくれ。

 

ハァ……

 

 

―テラス

 

「―あら、来たわねキリト」

 

「……ひとつ先にいいか?

足元何があった?」

 

「?」

 

テラスに足を踏み入れた時目に入ったのは、椅子に腰掛け優雅に紅茶を飲むレミリア、テーブルに置かれたコップと空の皿、足元に広がる赤い水溜り(・・・・・・・・・・・)

 

……まあ何があったか予想はつくけどな。

 

「え? さ、咲夜!? いったいだれがこんなことを!?」

 

あ、壊れた(カリスマブレイク)。今日は早かったなー。

 

「」

 

「さくや!?さくやっ!!? えっと、しんぞうまっさーじ…あれじんこうこきゅうがさきだっけ!?」

 

「一旦落ち着けトドメを刺す気か」

 

「ほぇ? とどめ?」

 

タダでさえ言い訳無用の犯行現場なのに人口呼吸(キス)なんてやったら、そこのロリコン出血多量で今度こそ死ぬから。

心臓マッサージは―あれ?

別に問題無い気がs―

 

 

―零れ落ちる円盤状の肌色の物体―

 

―煌めく銀色のナイフ―

 

ウッ、頭が……!

 

 

「と、取り敢えず、それ(咲夜さん)は放置でいいと思うぞ」

 

「ふぇ? で、でも、」

 

「それより、何かオレに用があったんじゃないか?」

 

「あ、そうだった!」

 

あ、危ねぇ……

さっき一瞬頭が痛くなった時から、

あれ(メイド長)の胸部装甲にこれ以上関わったら死ぬ』

って直感が全力で叫んでた。

一体、何だったんだ…?

 

「えっとね、キリト。

―私と、スペルカードルールで戦いなさい!」

 

…咲夜さん、かりちゅまがカリスマに戻ったからってガッカリするなよ。

 

「そう言えばレミリアとはやりあったこと無かったな。

 

―いいぜ。 来いよ」

 

 

〜剣士祈祷中〜

 

 

「最初っからクライマックスよ!

神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」

 

血のような紅に輝く槍状のエネルギーの塊が迫り来る。

 

「初めて会った時のスペカか!」

 

槍本体や、追随してくる弾幕も危なげなく避ける。

 

しかし―

 

 

何と言うか、妙だ―

 

あらかじめ動きがある程度決まってるスペカだから、視線から弾道を予むことは出来ない。

それでもフッとレミリアを見ると―

 

 

(グングニル)を構えて突っ込んでくる所だった。

 

「!?

防符『スピニングシールド』!」

 

咄嗟に発動させた防御系スペカで牽制する。

 

アインクラッドじゃ弓持ちみたいな遠距離攻撃mobは、矢より相手の目を見た方が弾道を読めるから癖でつい相手を見ちまったけど…

今回はそれに助けられた訳だが―直さないとな。

 

「…弾幕ごっこで勝負、じゃ無かったのか?」

 

「あら、殺傷能力さえ抑えておけば直接攻撃もルールの範疇よ。

むしろ直接攻撃が得意なのは貴方じゃなくって?」

 

「違いない!

斬符『ダブル・サーキュラー』!」

 

左の剣でガードを崩し、右の剣で斬撃と同時に扇状に弾幕を放つソードスキル―が元のスペカを宣言。

 

「この程度、余裕よ」

 

槍を防御に使うまでもなく、掠らせ(グレイズ)ながら避け切られる。

 

「…やっぱスペカ単体じゃあ堕としきれないか」

 

―さて、と。

『美しさ』の次に『当てる』事が大事な弾幕ごっこに於いて、近接戦で重要視されるのは、速さと正確さ。

レミリアの両手槍とオレの二刀流なら、2つとも二刀流に軍配が上がる。

それでも近接戦を仕掛けて来る理由―

 

「っ―

斬符『ソニックリープ』!」

 

「あらあら。お返しよ!

紅符『不夜城レッド』!」

 

「ぎゃぁあ!?」

 

室内かつ至近距離で馬鹿でかい十字架をぶっ放すヤツがあるか!

……そういえばギリ屋外(テラス)だったな、ここ。

 

レミリアの『運命を操る程度の能力』。

基本的にはランダムで未来の運命が見えるから、それに対して行動して運命を『操る』のが精一杯とのこと。

それでも調子がいい時は、好きなタイミングで特定の相手の運命(未来や過去)が見える事があるらしい。

あの感じだと、調子がいいみたいだな。

……でなきゃ、満月ってことを考慮しても、

 

「ほらほらガンガンいくわよ!

天罰『スターオブダビデ』!

神術『吸血鬼幻想』!

必殺『ハートブレイク』!」

 

「スペカ同時使用ってフランかお前はっ!?!?」

 

…こんなハイテンションじゃねえだろ。モウヤダこんなドSおぜうさま。

 

「―っていうか、ティーセット!?

あんな弾幕の海に突っ込んだら絶対割れる!?」

 

「え――あ"!」

 

…やっぱ予想通りボロボロ―ん?

 

「…おぜうさま?」

 

「……なによ」

 

「……あの紅茶、おぜうさまが淹れたのか?」

 

「………だったらなによ?」

 

「…いやあのコップ―」

 

 

「―キリト、私のコップが見当たらないんだけど、何か知らないかしら? こほっこh―」

 

 

現れるは、我らが紅魔館の喘息系ブレイン、パチュリー・ノーレッジ。

 

集まる視線。

柄が辛うじて分かるレベルに割れた

―と言うより粉砕されたコップ。

 

 

「…レミリア……まさか……」

 

「……

日符『ロイヤルフレア』」

 

じゅっ

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああ!?!?

ちょ、パチェ、暑い暑い暑い!!」

 

「ふふふ……レミィ、貴女、私のコップを駄目にしたの、それで幾つ目かしら……?」

 

「ひぃぃぃぃいいぃいい!?!?

さ、咲夜! キリト! 助けてぇぇぇぇぇえ!!?」

 

「命が惜しいんでやめときます」

 

「」

 

南無三。つーか常習犯かよ。

 

「さぁレミィ……ちょっとゆっくり話し合いましょうか……?」

 

「う、うー! うー!」

 

「……ごゆっくり」

 

その後テラスで何があったか―

それは神と動かない大図書館のみぞ知る。

 

 

咲夜さん? レミリアからのダメージは全部別のナニカに変換出来るあの人(変態)なら大丈夫だろ。

一応回収して逃げてきたし。

 

 

 

 

 

―地下室

 

「―なんて事があってな。結局おぜうさまは何がしたかったんだ?」

 

「さぁー?」

 

フランにさっきのテラスでの話をする。

本当なら外に出してやりたいが―

昔、紅魔館が幻想入りしたばかりの時に色々あった(・・・・・)らしく、敷地から外は結界が貼ってあって、結界をどうにかするか、低確率で迷い込むくらいしか出入り出来ないらしい。

 

咲夜さんはこぁに預けてきたし(目が妖しく光ってたけどスルー)、未だ地上からはドッカンバッシャン爆音(ロイヤルフレア)やら滝みたいな水音(プリンセスウンディネ)がするから、まだ話し合い(意味深)してる最中なんだろ。

 

「ところで、なんでその話を私に?」

 

「ああ…何となく気になる事があってな。

レミリアやフランって吸血鬼だろ?

なのにその……吸血鬼っぽくないと言うか…」

 

「? そう?」

 

外の世界だと、吸血鬼と言えば、不老不死で、血を吸った相手は同族か隷属にし、日光、ニンニク、銀、十字架、流水が弱点。ファンタジーモノなら、常に魅了系の魔法を身に纏っている悪魔の一種だ。

 

なのに紅魔館の吸血鬼は、不老どころか「しんちょう3ミリのびた!」と喜ぶは餃子やら饅頭やらのニンニク料理を平気でパクつき、銀製の十字架のアクセサリーを平然と身につけている。

日光も、浴びた瞬間アウトという訳でもなく、流水も属性的に水が苦手というだけらしい。後単純に泳げないとか。

魔法? ウチのおぜうさまは何気に脳筋(物理特化)ですがなにか?

一応魅了(チャーム)+基礎的なモノ(ショボイ)のは出来るらしい(パチュリー談)が、一部の人(ロリコン)にしか効かないっぽいし。

 

 

……吸血鬼って何だったんだろうな。

 

 

強いて無理矢理吸血鬼っぽい点を挙げるとしたら、カリスマか。

そう言えばレミリア、カリスマモードの時は火力(パワー)機動力(スピード)が高いけど、かりちゅま中はガードが高いよな。カリスマガードとか保護欲と(咲夜さん曰く)忠誠心(鼻血)が湧いてくるガードでも、何気にフランのフォーオブアカインドからのスペカ→レーヴァ×4とか言う最終鬼畜技に平然と耐えるし。

……ここがSAOならユニークスキル『カリスマ』の可能性もあるな。

そうじゃなきゃ、しゃがんだだけであのガード力はおかしい。

あるとしたら、『カリスマゲージ』か?かりちゅま中はゲージを消費してガード。ゲージが最大まで溜まったらカリスマ化からの高火力攻撃の嵐か。

ボスモンスで出てきたらムリゲだな。

 

―ん? レミリアの素って、カリスマ?かりちゅま? どっちだ?」

 

「う〜ん、私もお姉様とお話ししたの久し振りで、あの反応は初めてだったからな…」

 

「………………

…声出てたか?」

 

「パワーやスピードの辺りから」

 

「…………oh」

 

恥ずい……オレがガードしてぇ……

 

「それにしてもお姉様の下ガードって、確かにどうなってるんだろうね?

確かめてみよっか! そこ動かないでね!」

 

「いや確かめるってどうy―

……ゑ?」

 

そこ動かないでって、ナンデ?

 

「禁忌『フォーオブアカインド』!

? キリトが攻撃役やる?」

 

「いや動けない女の子相手に攻撃なんて出来ない…………あ」

 

……もしかして、詰んだ?

 

「禁弾『スターボウブレイク!」

「禁忌『クランベリートラップ』!」

 

スペカの種類こそ違うけど……っ!

 

「ワーイデジャビュだぎゃぁぁぁぁぁぁあああああ!?!!」

 

「ホラホラ、チャントガードシナイトジッケンニナラナイヨ!」

 

「ちょっ、 狂気今ココで出るかフツー!? 」

 

「「禁忌『レーヴァテイン』!」」

 

クソッ、しょうがない。応戦―

 

 

………あれ?

 

「獲ッタドー!」

 

「ちょ、それオレの剣!?!」

 

いつの間に!? フォーオブアカインドしたのに2人しかいなかったから嫌な予感はしてたけど!!

 

「「「ジャア……ハジメヨッカ♪」」」

 

「」ナンテコッタイ\(^o^)/

 

 

 

「……って、諦められるかぁぁあああ!!

フラン!? 戻って来い!! フランドール!?!?」

 

「…キリト―」

 

あの感じ―正気だ!

よっしゃコレで勝つr―

 

 

 

 

 

「―何でか分からないけど、その表情、ゾクゾクするの♪」

 

「…………流石姉妹」

 

3人のフランが、両手剣を構えて突っ込んでくる。

 

回避―4人目にやられますね、ハイ。

迎撃―ピック数本でどうしろと?

 

残る選択肢は、防御一択。

さぁ、レッツカリスマガード!

 

 

「………出来るかぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

でもだからってノーモーションでレーヴァ×3+αは死ねる!?

 

えぇい、ヤケクソだぁ!!

第一層で攻略組に啖呵切ったのに比べれば、見てる奴は1人(?)だ!!

 

しゃがむ!

頭を抱える!

 

完成!もう何も怖かねぇぞ!!(←錯乱してます。)

 

「うーん、レーヴァテインだけっていうのもつまんないよね。じゃあお姉様のスペカ使おっと♪」

 

「」

 

…多分グングニルデスヨネ。もしくは不夜城レッド(デカイ十字架)

うー!こーなったらヤケじゃあ!!

矢でも鉄砲でもビームでも持って来いやぁ!!!

 

 

……

 

………

 

…………

 

……………

 

 

……あれ?来ない??

恐る恐る顔を挙げる、と―

 

「えいっ!

吸血『バンパイアキス』!」

 

チュッ、っと、フランの唇が、タイミングが良いのか悪いのか、オレの唇、に―っ!?!?!?

 

「あははは! やった、上手くいった!」

 

残り3人のフランも、いつ作ったのか『ドッキリ大成功』なんて看板持ってるし。

 

……オレの覚悟は一体……

 

ただ、一応スペカはスペカだったらしく、ピチュることでオレの意識はログアウトするのであった。

 




ク「うp主ィ……全国のキリトとフランのファンへの言葉は?」岩盤ナウ
この始末☆
ク「伝説『ギガンティックミーティア』!!」

\デデーン/

ク「全く、1話で原作同じスペカ使わせんなよ。

と言うわけで、ウチの馬鹿(うp主)が岩盤にクレーターこさえた挙句爆散しやがったので、今回の補足説明は、このクトがお送りします」

補足説明

零れ落ちる円盤状の肌色の物体:PA―いや言わんとこう。私も咲夜の気持ちは分かるし。オノレうp主、何故私にこんな設定を……ブツブツ。
ティーカップ:レミリアが自分で淹れる時に間違え、さらにぶっ壊した。しかも複数回。
色々あった:吸血鬼異変だな。ちなみに当時の紅魔館頭首はレミリアの親父サン。ゆかりんに美しく幻想的にこの地から往ねされました。
ユニークスキル:この先レミリアをsaoにブッ込むssを書く人がいたら、どうぞお使い下さい。うp主も泣いて喜びます。泣かなかくても泣かせます。これぞホトトギス。
うp主「上手いこと言ったつもりか?」
爆殺『北斗百烈拳』!!
う「あべしっ!?」
レミリアの素:かりちゅま(断言)
ゾクゾクするの♪:元ネタ『鬼畜姉妹と受難メイド』
流石姉妹:カリスマか狂気モードだと揃ってドS。
バンパイアキス:正確にはスペカではなく、緋想天に出てくる『投げ』に近い技。レミリアがやると『ズキュゥゥゥゥン』とか言う音を立てながら吸血、ポイ投げ、からの「けぷっ」。
一応(多分きっとメイビー)吸血行為の延長。
咲夜に対しては不可避の一撃必殺(ウソ)。
間違ってたらスンマせん。


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33話 キリト編:

思いっきり電波回です。
分からない人には分からない書き方ですが、仕様です。フランの混乱を味わって下さい。



―妖々夢後

―???????

 

side フラン

 

「…知らない天井だ。ていうか青空だ」

 

どうも、フランドール・スカーレットです。

突然ですが、朝起きたら違う場所でした。

 

…私は一体、誰に何を話してるんだろ?

 

 

そもそも私は確か……

 

キリトと咲夜の言ってた『西行妖』に興味を持って……

 

キリトと咲夜と一緒に白玉楼まで行って……

 

変に近づき過ぎると危ないからって遠目に眺めて……

 

飽きたからお話してたら、何がどうなってかキリトの初恋の話になって……

 

それで………あれ?

 

 

「そっから先、私は何してたんだっけ?」

 

……取り敢えず、動こう。

幸い(?)、何故か日光に当たっても大丈夫みたいだし。

 

 

 

コツ、コツ、コツ、と、石畳の道を歩いていると、大きな広場に出た。

 

(こんなところ、白玉楼にあったっけ……?)

 

 

突然―

 

空が赤く染まった。

 

「―っなに!? 何が―」

 

……赤く染まった。それだけだった。

 

 

「……移動しよう」

 

ここは何故か、キモチワルイ。

まるで大勢の、絶望と、怒りと、恐怖を塗り固めたような感じがする。

 

 

勘だけど――大体、1万人分の。

 

 

 

 

 

コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、コ―

 

「……あれ?」

 

さっきまで石畳の道を歩いていた筈なのに、

 

「…洞窟?

―っ!!?」

 

気配を感じて振り向くと、小鬼が群れて、武器をギラつかせてた。

 

「遊ぶ……って感じじゃないね」

 

レーヴァテインを喚び出す。

 

同時に小鬼が飛びかかってくる。けど―

 

「そんなに遅いんじゃ、私には追いつけないよ!」

 

ハッキリ言って、鈍い。

持ってる武器も、刃物なんてキリトの剣と咲夜のナイフくらいしか見たこと無いけど、それでも分かるほどボロボロだね。

 

「そうだ、せっかくだから―」

 

剣を片手で構える。

紅く燃える刀身が、青く、光る。

 

「―『バーチカルアーク』!」

 

V字の斬撃で、手前の2体は蒼いガラスの破片みたいになって消えた。

 

「……ふーん、変なの」

 

ま、全滅させるのは変わらないけどね。

 

 

〜妹、ゴブリン無双中〜

 

 

―さて、さっきの小鬼たちでさっきっから何処だか分からない場所を歩くストレスを発散したところで、また移動しよう。

アイツら一撃でガラスに出来るけど数が多いんだもん……

 

 

 

 

 

コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、―

 

今度は景色が変わる瞬間を見逃さないよう、注意する。

 

「―っ!?」

 

だと言うのに、またいつの間にか景色が変わった。

 

今度は、石畳の道。

それでも、さっき歩いた広場からの道とは違う。

と言うか、いきなり夜になってるし。

 

(これって………夢?

それにしてはハッキリしているような……?)

 

裏路地のような場所を、迷い無く(・・・・)歩く。

 

何故だか分からないけど、急がないといけないような気がした。

 

間に合わなければ、誰か、大切な人を喪ってしまうような気がした。

 

 

―私は気がついたら、走っていた。

 

裏路地を走る。

右に。左に。直線に。

 

 

息を切らせて辿り着いたのは、川だった。何処に繋がっているか、トンネルから水がゆっくり流れて来ている。

 

 

―間に合わなかった?

 

 

……違う。トンネルの所。

足場があって、誰かそこにいる。

 

 

『「……――?」』

 

 

私の口から、『その人』の名前が出る。

目があった。気がした。

何故か安心した。

 

……意味が分からない。

 

 

 

 

 

―それでも。

 

 

私は、何故か嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だからってこれは無いでしょ」

 

また景色が変わった。一歩も動いて無いのに。

 

 

また洞窟。でも場所は違うのか、壁の感じが違う。

 

近くと、壁の一部が動いて、隠し部屋(・・・・)が開いて、中には宝箱(・・)が見える。

 

やった! これで―――を驚かせられる!

 

仲間(・・)の1人が宝箱に駆け寄り、トラップを解除していく。

 

中身は一体―

 

そんな私のドキドキとした気持ちは、もう1人の仲間が、何かを言うかどうか迷ってる姿を見て吹き飛んだ。

 

 

開けちゃいけない。

 

 

開けさせちゃいけない!

 

 

 

 

 

 

 

そんな『私』の想い(幻想)をぶち殺すかのように、宝箱は開け放たれ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警報音が鳴り響いた(トラップが作動した)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湧き出る大量の怪物。

 

『彼ら』は武器を取り、迎撃する。

けれど、幾ら斬っても、突いても、潰しても、

 

怪物の数は減らない。

 

 

私も闘った。

 

なのに、減らない。

 

 

まるで、彼らが全滅するまで滲み出ている気がした。

 

 

まるで、此処で彼らが死に絶えるのが、確定した『事実』であるかのように。

 

 

―――が、ガラスになって砕けた(死んだ)

 

次に、―――が。

 

―――が。

 

 

 

 

 

そして、――が、死にそうになっていた。

 

「『―っ!! ウオォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオ!!!』」

 

 

 

レーヴァテインで斬って、潰して、

 

弾幕で砕いて、吹き飛ばして、

 

型も何も無しに殴って、蹴って、

 

『目』すら握り潰した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのに。

 

 

それなのに。

 

 

 

 

 

『 』

 

 

 

 

 

―『その人』は、死んだ。

 

 

『――――――――――っっ!!!』

 

…私は、声が、出なかった。

『この人』は、血を吐きそうな絶叫をした。

 

 

あれだけいた怪物は、消えていた。

 

 

 

『この人』は、闘い続けた。

 

1人で、ひたすらに、闘い続けた。

 

彼が、望んだのは、たった1つの、小さな、それでいて不可能な我儘。

 

 

―『あの人』が最期に遺した言葉。

それがなんだったのか聞きたい。

 

 

ただ、それだけだった。

 

 

騙していた『ジブン(この人)』への罵倒でもいい。

 

約束を守れなかった『ジブン(この人)』への怨みの言葉でもいい。

 

 

何時しか、死者を蘇らせる事が出来るかもしれないモノを聞きつけ。

 

『この人』は、さらに闘った。

 

 

―私は、後ろで見ていることしか出来なかった。

 

 

 

 

そして、彼は出会った。

 

1人では勝てない。無謀だと言われた相手。

 

 

太った悪魔が、優しそうなお爺さんから剥いだ生皮を被り、出来損ないの布切れのような赤い服を着たヤツだった。

 

 

彼は、挑んだ。

(相手の主観での)片手斧と、頭陀袋と、体のサイズ差を活かした攻撃を躱し、流し、受け止め、グレイズさせ、時に喰らいながらも食いついた。

 

 

 

―『この人』は、何時からか化物の様になっていた。

 

近付く敵を殺し。

 

自分の心すら傷つけ。

 

味方すら威嚇し。

 

 

…そんな化物ですら、悪魔を潰しきれなかった。

 

 

あと一撃。

 

あと一撃入れれば斃せる。

 

 

そこで『この人』は、限界を迎えた。

 

 

雪の中に力無く倒れ込む。

 

迫るのは、無慈悲な斧の大振りな縦振り下ろし。

 

 

「―っ!!

『レーヴァテイン』!!」

 

 

『あの人』が死んでから、何故か私は物に触る事が出来なかった。

 

 

それでも、

 

 

 

 

 

あの一撃は、あの一撃だけは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―届かせない!!!!!

 

 

「――っはぁぁああああああ!!!」

 

 

レーヴァテインを振り向く。

 

斧が、弾かれる(・・・・)

 

 

―いけるっ!!

 

「『レーヴァテイン』っっ!!」

 

 

 

この二本の剣が届くのなら―

 

 

 

私自身にも分からない、この想いが届くのなら―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―私は、

 

歴史すら、

 

 

 

 

 

『破壊』する!!!!!

 

 

 

 

 

―届け

 

 

「―コンティニュー出来ると思わないでねっ!」

 

 

―何度も見た、あの技ならっ!

 

 

「斬符―」

 

 

だから、立ち上がれ。

 

 

この悪魔を潰すのは、貴方でしょう!?!?

 

 

「―『スターバースト・ストリーム』!!!」

 

 

―キリトっっ!!!

 

 

 

悪魔が弾き飛ばされる。

HPバーは、全く減ってない。

 

―その必要も、ない。

 

 

『―『ヴォーパルストライク』!!』

 

 

必殺の一撃が、悪魔を貫き、貫通する。

 

 

そして―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―???

 

―ここは…?

 

「…気がつきました?」

 

誰かが、顔を覗き込んできた。

ホクロが特徴な、線の細い、人間の女の子だった。

 

「―あの悪魔、は?

キリトは!?」

 

頭がボーっとする。

考えがまとまらない。

 

「―大丈夫。無事です。

その事は、貴女が一番よく知っています」

 

意味が分からない。

頭が、ガンガンする…!

 

「フランドールさん」

 

誰かが、私を呼ぶ。

 

「私は、もう長くは此処にいられません。だから、手短に言います。

 

―彼を。キリトを、頼みます。

KoBの『閃光』ではなく、私でもなく、今の彼に必要なのは、間違いなく貴女だから」

 

視界を、光が埋め尽くす。

唯一見えてた『あの人』の顔すら見えなくなる。

 

「―ありがとう さようなら」

 

 

―そして、何も見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―白玉楼

 

……?

 

あれ? なんか、長い夢を見てたような……

 

「お、フラン。起きたか?」

 

「喉が渇いてるでしょう。何かお飲み物をお持ちします」

 

キリトが何でもない様に話しかけ、

咲夜は返事をする前に時を止めて行ってしまう。

 

「…ここは?」

 

「白玉楼だよ。 …まだ寝ぼけてるのか?」

 

「昼夜逆転……いや直った?のはまだ割と最近だしな…」なんて言ってるキリトを置いといて周りを見ると、寝っ転がってお煎餅を貪ってる幽々子さんが目に入った。

 

 

「―それで、何処まで話しましたっけ?」

 

「…何をだよ」

 

「貴方の初恋についてでしょう」

 

「……まだやるのか、それ?」

 

あー…私が寝ちゃう前に話してたね、そんなこと。

 

「結局どうだったの?」

 

「あーっとだな、フラン? 取り敢えず一旦「クリスマス風コスプレをした幼女だそうです」っ咲夜サァァァァァン!?!?」

 

「…は?」

 

「聞いた話を纏めますと、罠に引っ掛かって囲まれ、彼と女性1人残して(・・・・・・・)全滅した時と、家族の様な関係の人を喪って、自暴自棄になって無茶やって死に掛けた時に助けられたそうです。挙句、最後まで誰だか分からなかったとか」

 

「う、ウルセー! 大体、さっきっからピントがぶれた影みたいにしか見えなくて、女だったってことと、身長、あとざっくりとした装備のデザインしか分からないって言っただろ!」

 

「『150センチくらいで、赤を基調とした服のデザインで、背中に七色に光るアクセサリーを付け、剣も赤い二刀流の剣士』でしたっけ?

それだけの情報、しかも半年ほど経っても殆ど外見が変わっていなかったのでしょう? 私なら絶対に見つけ出せます」

 

「うんアインクラッドが崩壊して無かったら巻き込んでやったのに!!」

 

「しかもその後自身も二刀流の剣士になったのでしょう? 憧れて真似ながらもそのザマ―プッ」

 

「よし咲夜表出ろ! ぶっ飛ばしてやるこのドSPADちょ―」

 

 

へー。あのキリトにも憧れの人とかいたんだー。

 

……この満たされるような気持ちは何だろう?

 

―ま、いっか!

 

 

 

あと咲夜、いくら禁句を言ったからって手加減無し&不可避の殺人ドールはちょっと可哀想だよ?

 

 

 

 

 

「では妹様、今から先にこのゴ◯ブリを紅魔館の庭に埋めて来ますので。しばらくお待ちください」

 

「共通点色くらいしか無いからね?

後埋めないであげてね!?」

 

「しかし、埋葬しておかないと少々匂いますが」

 

「葬なのかー。って、手遅れ!?」

 

「冗談です」

 

…まったく冗談に聞こえないよ。

 

 

哀れボロ雑巾と化したキリトを引き摺りながら、咲夜は時間を止めて紅魔館へ向かった。

 

 

私は、白玉楼を見て回って、目当ての人物を見つける。

 

「妖夢さん! ちょっと付き合ってよ!」

 

「えちょ、今素振りの途中―

―イエナンデモナイみょん。だからその右手をゆっくり握るのはやめて欲しいみょん」

 

中庭で見つけた、妖夢さん。

確かこの人も二刀流だよね。

 

「それで、付き合うって妖夢は何をすればいいみょん?」

 

「剣の相手になってよ!」

 

「……えっと、得物は?

それに、何で私n「行くよー?

『ツイン・レーヴァテイン』!!」

……ふこーだみょん」

 

レーヴァテインの二刀流を構えると、妖夢さんも構えてくれる。

…1本だけで。

 

「さーさー、どっからでも掛かってくるみょん。妖夢は逃げも隠れも

「『ダブル・サーキュラー』!!」

…っ!? ゴメンやっぱ無しで!!」

 

居合で2本目の剣が飛び出してくる。

 

さあ―

 

「貴女がコンティニュー出来ないのさっ!」

 

「妖怪が鍛えたこの桜観剣に、切れない物などあんまり無い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―????

 

side 紫

 

歴史の改変、死者の蘇生、部分的な時間遡行―

 

彼らは『目覚め始めてる』。

 

……危険過ぎるわ。力を付け切らない内に―

 

「無粋な事はするもんじゃないよ、紫。

まあ、思う所はあるだろうけど」

 

「……今回、スカーレットの妹がやったことを見逃せと?」

 

「そー言っトルト。

―おっ、そっちいくか。ズラヴィンかと思ったけどチートだしな。まあ主人公格潰したらアカンわな」

 

マヨヒガとは別の場所、クトの根城で、何処から取り寄せたか分からない本を寝っ転がって読んでいる。

 

「……閻魔が黙って無いわよ?」

 

「んー? 大丈夫大丈夫」

 

「けれど―」

 

「あのねぇゆかりん?

 

―閻魔だろーが神だろーが、例え竜神だろーが、『あいつら』に掛かれば塵以下っていうのは、ゆかりんの方が良く知ってるでしょ?」

 

「……」

 

外なる神々(Outer God)

 

そんな存在が、幻想郷で力を解放でもしたら―

 

 

「……頼んだわよ、霊夢」ボソッ

 

「? 何か言った?」

 

「貴女のイビキを黙らせる為の最適な方法を考えてるのよ」

 

「what!?」

 




ちょっとだけその後。

フラン「勝った!」
妖夢「ふこーだみょん」ボロッ
幽々子「晩御飯は魚料理がいいわね」
上条「ゑ、今日は鶏肉が安かったから唐揚げのつもりだったんでせうが」
幽々子「あら、なら両方作ればいいじゃない」
上条「不幸だっ!」

補足説明(by うp主)
時系列:26話直前。


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34話 キリト編:それでも彼女は居なくならない


ク「今回長くね?」
32、3話打ってる内に新しいネタを思いついてな。気がついたらこうなった。
ク「…投稿済みの時系列先の話との矛盾は作るなよ」
あ、それについては後書きでちょっち話があるんだ。
ク「そーかいそーかい。じゃ、読者の皆さん。ゆっくりしていってくれ」


あ、オリキャラ注意な。
ク「今更かよ!?」



 

―妖々夢後

―紅魔館 ヴワル図書館

 

 

―月に一度、新月の夜。

 

紅い館に住まう999体の亡霊達の大半が縮こまり、亡霊にあるまじき事に夜が明ける事を待つ夜。

 

白黒の魔法使いや巫女ですら立ち入ることの出来ぬ館で始まるは、

 

―狂気の、うたgぇごぁ"!?!?」

 

ドゴシャーン!!

 

あ……頭が地面にぃ………

 

「こぁ、何時まで厨二全開の台詞を吐いてるのよ。全部録音して発表するわよ?」

 

「ふっふっふ……パチュリー様がボイスレコーダーなんて使える訳無いでしょう。バレなきゃいいんですよ!」

 

「これ見てそう言うかしら?」

 

!? コレは……まさか………録音結晶!?

再現に成功したとでも!?

 

『―月に一度、新月のy』

 

「マジスンマセンそれだけは勘弁して下さい」

 

「ならさっさと結界の維持に集中しなさい」

 

 

…え〜と、盛大にグダってすいません、小悪魔ことこぁです。

 

私は今、ヴワル図書館で結界の強化・維持に全力を注ぐハメになっておりますハイ。

 

一応さっきの私の発言に自分でツッコムと、

そもそも紅魔館にはどう頑張って数えても999もの妖怪幽霊その他諸々はいませんし、立ち入り禁止は本当ですが、外側からの守りに咲夜さんがまわっただけですから脇巫女ならアッサリ入れるでしょうね〜。

 

……まあ、それでも―

 

『狂気の宴』って言うのも間違ってる訳じゃ無いんですけどね。

 

何故かって?

 

じゃあ問題。

何故私とパチュリー様は、こんなワザワザ結界の維持になんて力を使ってるでしょうか?

シンキングタイム5行!

 

 

 

 

 

……出来ましたか?

それでは正解の発表です!

正解は―

 

 

「『ダブルサーキュラー』!!」

 

「オレのアイデンティティ……

『ヴォーパルストライク』!」

 

ギャギィリリリリリリッッ!!

 

 

―はい、という訳で、

『狂気モードの妹様とキリトのガチ戦闘』

が答えでした〜。

 

……………マジで勘弁してほしいです。

キリトはデフォでスペルブレイク(魔法・弾幕破壊の斬撃)の攻撃を乱射するは妹様も平気で『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を使うは……て言うか、どうやって避けてるんですかね、アレ?

前に咲夜さんが聞いたら、

「分からん。多分スペルブレイクの影響で引き寄せる『目』を間違えるとか、そんな所じゃないか?オレも能力の使用は妨害してるし」

だそうで。

 

…私も剣、使える様にしよっかな……

 

あ、終わった。ソニックリープで一撃ですか。やっぱ両手剣の二刀流は無茶ですよね〜。

 

 

ハテ、それにしても、今回はヤケにアッサリ決まったような…?

新月だからですかね? 最近は狂気も2週に1回、出るか出ないかって感じですし。

 

 

―この時の私は、まさかあんな事になるなんて、思いもしなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM:緋色月下、狂咲ノ絶

 

 

 

 

 

 

 

side ??

 

……ここ、は?

 

―地下室?

 

「おはようございます、妹様」

 

「…咲夜」

 

いきなり目の前に現れたメイド―

(ワタシ)が閉じ込められてた時にも、姿は見えなくても食べ物を届けてくれてたニンゲン。

 

 

意識に、ノイズが、走る。

 

―ワ[ザザッ―]、[ザザッ―]ノ?―

 

 

「…妹様?

 

―ぐっ!??」

 

ドガッ!!

 

手を横薙ぎに攘う。

 

唯、それだけでコワレル(・・・・)、脆いモノ。

 

「ゲホッ! …妹様……なぜ……?」

 

「ウルサイ」

 

―『スターボウブレイク』―

 

部屋の一角が爆発するのを尻目に、ワタシは、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

ランタン1つない、暗い階段を登りきり、図書館に入る。

 

「あら、フラン。今日は遅いのね」

 

私の前には、(ワタシ)を閉じ込めていた結界を張った魔法使い。

 

 

…まただ。

ノイズが、走る。

 

―ワ[ザザッ―]ハ、イ[ザザッ―]ナノ?―

 

 

「朝食がまだでしょう? さっき咲夜が呼びに行ってたけど、すれ違ったのかしr

「朝ご飯は、いらない」

ムキュ!? な、ならちょっとここで待ってなさい。さっきネズミ(・・・)が来たってキリトが迎撃に行ったから、もうすぐ魔理沙が来る―」

 

 

「ワタシハ『イマ』アソビタイナ」

 

 

「!? な、狂気!? 2日連続で!?

日符『ロイヤルフレア』!」

 

太陽の力を持った光弾がワタシを囲む。

 

けど、遅い。

 

あまりにも遅い。

 

「……コレデオシマイ?

ヨワクナッタネ。ツマンナイ」

 

 

―『カゴメカゴメ』―

 

 

「…! 弾幕ごっこ用の火力じゃ、ない…!?」

 

今更焦りだした。

 

 

モウ―テオクレナノニ。

 

 

 

 

 

カゴメ カゴメ

 

籠の中の鳥は

 

いつ何時出会う

 

夜明けの晩に

 

鶴と亀が滑った

 

後ろの正面―

 

 

 

「―ダーレ?」

 

 

 

ゴガッ!!

 

「ム……キュ……」

 

魔法使いの背中に、弾幕が直撃する。

 

 

コレデアト―サンニン。

 

 

 

―ワ[ザザッ―]シハ、イ[ザザッ―]ナノ?―

 

 

 

 

 

廊下を進む。

 

『私』の記憶があるから迷わないし、正直、『ワタシ』の頃のクソ野郎(・・・・)の場所と変わっていない。

 

一歩ごとに、『私』は、『ワタシ』になっていく。

 

 

『私』には、お姉様が来てくれた。

 

『ワタシ』ハ、トジコメラレタノニ。

 

 

『私』にハ、動くニンギョウが来テくレた。

 

『ワタシ』ニは、コワレタニンギョウしかナカッたノニ。

 

 

『私』ハ、外に出たいトオモエタ。

 

『ワタシ』は、ソトニデヨウとして焼かれたのに。

 

 

 

『私』ニハ、エホンの『オウジサマ』ガキテクレタ。

 

なのに。

 

『ワタシ』には。

 

 

 

 

誰もいない(・・・・・)

 

 

 

 

ついた。

 

この屋敷の(ワタシの部屋を除いて)一番奥の部屋。

 

紅魔館の主の部屋。

 

キイィ…

 

「…お姉様?」

 

イタ。

 

(ワタシ)を閉じこめて、のうのうと地上で暮らしていたヤツ。

 

「…フラン? どうしたのよ?」

 

『私』に話しかけながら、本とチェスボードから目を離す。

 

「ねぇねぇお姉様、495年前の事って覚えてる?」

 

「495年前……

貴女が閉じ込められた年の事よね、それ。

忘れたくても忘れられないわよ。

貴女が産まれた事を喜んでいたお父様が、すぐさま鬼気迫る表情で貴女を地下室へ放り込んだんですもの」

 

「どうしたのよ急に?」と言いながら、苦い表情で紅茶を啜る。

 

……覚えてるだ。ヘェ……

 

―オボエテルノニ……

 

 

「…ねぇ、お姉様?

 

 

 

 

 

 

 

 

―ズット、ズゥッッッットナガイアイダ、『イラナイモノ』アツカイサレタキモチッテ、シッテル?」

 

「……は? え? フラ―」

 

 

―『495年の波紋』―

 

 

「っ―!!」

 

スペルカードとは火力も、密度も桁違いに多い。

そんな弾幕を、お姉様は紙一重で躱す。

 

「あは、アハハ、

アハははハハハはハあハはははあハハハはははハ!!

 

 

―ブチコロシテアゲル!!」

 

 

自分で放った弾幕を掻い潜り、一瞬でお姉様に近づく。

 

「っフラン!!?

神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

 

苦し紛れの一撃が撃たれる。

避ける必要は、無い。

 

ドォンッッ!!

 

「…フ、フラ、ン?」

 

 

だってこれは、弾幕ごっこじゃなくて、

 

 

「―サヨナラ、オネエサマ」

 

 

 

戦い(殺し合い)だもの。

 

 

 

 

刹那―

 

(ワタシ)の腕が、お姉様の胸を貫いた。

 

 

「え………?」

 

 

お姉様が、油の切れたブリキのオモチャみたいな動きで『私』を見る。

 

『どうして?』とでも言いたげな表情と、

 

 

『いつかこうなるんじゃないか』と言う諦めの表情で。

 

 

「フ、ラン………貴女……」

 

「…きゅっとして―」

 

 

ゼロ距離で、『目』を手の中に移す。

 

絶対に逃さない。

 

握り潰す。

 

 

「―どかー

 

 

「―秘伝『小規模殺人ドール』!」

―っ!?」

 

目の前を高速でピック(・・・)が飛ぶ。

 

 

―ワタシ[ザザッ―]イラ[ザザッ―]?―

 

まただ。

また、ノイズが走る。

 

 

軽く頭を振って、ジャマモノを見据える。

 

 

「―キリト、か」

 

「…フラン。これは、どういう事だ」

 

剣は2本とも抜かれている。

 

妖力のカバーも無い、完全な抜き身の刃先が、『ワタシ』を捉えている。

 

「…どう言うことって?」

 

「っ―!?」

 

『私』は、返事を聞きたくない。

けれど、『ワタシ』は聞きたい。

『エホンノオウジサマ』の応えを。

 

「―咲夜とパチュリーとレミリアの事だ!!なんであんな事をした!?!?」

 

ソードスキルこそ使っていないが、キリトが、(ワタシ)に斬りかかる。

 

「ウフ、あはは、うファフアぅあははハハハ!!

ナンデダロウネェェェェ!?」

 

オネエサマの顔面を蹴って腕を引き抜き、そのままの勢いで展開したレーヴァテインを叩きつける。

 

けど、あっさりと左の剣で流される。

 

「―『スネークバイト』!」

 

律儀にも、いつも通り『宣言』と一緒にソードスキルを発生させる。

 

そう、いつも通りに。

 

 

スペルカードでは無く(・・・・・・・・・・)本気で(・・・)

 

 

―ワ[ザザッ―]シハ、―

 

ノイズが、走る。

 

 

「―っうわアぁぁあァァァぁぁアアぁぁァぁァァァァぁぁァぁぁぁァァぁぁアぁぁあ!!?!?」

 

レーヴァテインを振り回す。

 

相手が何処にいるかなんて考えず。

 

何度か弾かれたり、流された感じもしたけど、考えない。

 

ただがむしゃらに、滅茶苦茶に振り回した。

 

 

ギンッ!!

 

そんな状態が続く筈も無く、レーヴァテインは私の手から弾き飛ばされる。

 

けど、(ワタシ)には、爪も牙も、ニンゲンを圧倒的に上回る身体能力がある。

 

レーヴァテインに比べれば遥かに弱いとは言え、どっちも直撃すれば、ニンゲンにとって一撃必殺な事に変わりはない。

 

「フランっ!? 一旦落ち着け!?!」

 

「ウルサイ!ウルサイ!!

ナンデアナタハっ!!」

 

両手の爪を出鱈目に、それでも引き裂くべき相手を逃さないよう振るう。

 

 

負ける筈が無かった。

 

ここでコワシテ、後ヒトリもコワス筈だったのに。

 

 

なのに何故、

 

ワタシ()は、

 

 

 

壁に叩きつけられてるの?

 

 

キリトは、―

 

 

スキル後の硬直時間が今解けたように片脚(・・)を下ろしているところだった。

 

 

スキル『体術』―

 

予備動作は殆ど分からなかったし、『宣言』も無しの、相手を斃す為の技(・・・・・・・・)

 

 

 

「き、キリ、トぉ……」

 

「……フラン」

 

 

キリトは『私』を想ってくれる。

 

 

「……ドウシテ―」

 

 

つまり、それは、

 

 

「―ドウシテ『ワタシ』ヲミテクレナイノ!?」

 

「―は?」

 

 

―ワタシハ、ジャマモノデシカナイ―

 

 

「キリト……マエニイッテクレタヨネ……『(ワタシ)』ヲタスケテクレルッテ……」

 

感情が、爆発する。

 

495年間、溜め込まれた『ワタシ』の感情が。

 

「ナラ『私』ダケジャナクテ『ワタシ』モミテヨ!? ナンデアナタハ『私』ニハワライカケテクレテ、『ワタシ』ニハワライカケテクレナイノ!?

『私』ニハ『タノシサ』ヲクレテ、『ワタシ』ニハ『イタミ』シカクレナイノ!?」

 

「フラ―」

 

「『ワタシ』、ハ―」

 

 

『ワタシ』の頬を液体が伝う。

 

血でも汗でも、脳漿でもない液体が。

 

 

「『ワタシ』ハ、イラナイコナノ……?」

 

「…フラン」

 

「キキタクナイっ!!

アナタガ、アナタタチガスキナノハ、『(フラン)』デショウ!?」

 

両手で耳を塞ぐ。

 

なのに、それすら腕を掴まれて邪魔される。

 

「ハナシテっ!!ハナシ―

「フランドールっ!!」

―っ!?!」

 

真っ黒な瞳が、真っ直ぐに『ワタシ』を見つめる。

 

「…オレは、まだ20年も生きてないから、500年弱も閉じ込められる絶望や孤独なんて分からない。知らない。想像もつかない。

自分でそうなんじゃないかと思うことはあっても、本当に誰からも必要とされないなんて経験もない。

そもそも、オレもまだどう言う状況なのかすらよく分からない。

だから、本来、オレは口出しすべきでないのかもしれない」

 

「ナラ―」

「だけどな!!」

 

少し息を整えて、一瞬何かを考え―

 

直ぐに考えを投げ捨てて、キリト(エホンノオウジサマ)は、想いを、吐き出した。

 

「お前は『お前』だろう!?

きっと『フランドール・スカーレット』とは別なんだろう。

なら何を拘る!何を怖がる!!

『お前』は『お前』でいいじゃねぇか!!!」

 

「デ、デモ、『ワタシ(フラン)』ハ、『(フラン)』カラウマレタ、イラナイコデ―」

 

「『お前』は『いらない子』なんかじゃない。

『フラン』に拘ってそう思うくらいならオレを使え!頼れ!!

レミリア達が渋るなら、どんな手を使っても説得して見せる!!

 

―オレには、『お前』が、『必要』だ!!!」

 

 

「…イマサラ、ナニヲ。

ワタシ(フラン)』、ハ―」

 

 

 

突然、ぎゅっと、

 

 

抱き締められた。

 

壊れ物を包むように。

 

温めるように。

 

 

「……ユナ」

 

「…?」

 

「『お前』の新しい名前。ユナでどうだ?

いつまでも『ワタシ(フラン)』じゃ、不便だろう?」

 

「ユナ……」

 

 

(フラン)』じゃない。

ワタシ(ユナ)』だけの、名前。

 

 

「……ワタシは、いていいの?」

 

「……ああ」

 

 

何故だろう。こんなにも簡単に、凍った心が溶けていく。

 

同時に、ワタシ(ユナ)が、(フラン)に置き換わっていくような感じがする。

 

 

「ネェ、キリト。

また、いつもみたいに、アソンデくれる?」

 

「ああ。約束だ」

 

「……アリガトウ」

 

サヨナラ、って言いかけて、辞めた。

 

だって―

 

 

 

「―マタネ」

 

 

きっと直ぐに、また会えるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side キリト

 

グッタリとしてしまったフランを、腕で支えてやる。

 

「……また随分と大口叩いわね」

 

「…レミリアか」

 

ドレスの胸元を血塗れにしながら、

それでもしっかりと自分の足で立っている永遠に幼き紅い月がいた。

 

「心配しなくても、その子―ユナ、かしら? 追い出したりなんかしないわよ」

 

「…レミリアは大丈夫なのか?」

 

「あら、吸血鬼を舐めているのかしら? ちょっと痛む程度よ」

 

少々残念な胸を張って答える。

ドレスにデカイ風穴が空いていて、直視しがたい事になっているが……

ツッコムのは野暮だろうな。

 

「…それより、咲夜とパチェは?」

 

「美鈴が診てる。問題ないそうだ」

 

「そう…」

 

 

沈黙が、場を支配する。

 

5分か、10分か、もしかしたら10秒もしてないで、レミリアが口を開く。

 

「……私の、ミスだわ。

フランの狂気をどうするかばかり考えて、狂気化したフランの人格の事は、考えて無かったわ。

……言い訳をするようだけど、まさか狂気によって構成された人格が存在しうるだなんて、想像も出来なかった」

 

レミリアが、項垂れる。

 

―違う。

 

「…いや、オレのミスだ。

今まで、フランのことを気に掛けてやってるつもりだった。

けどオレは、何1つ気づいて無かった。むしろ、追い詰めてたんだ」

 

「……キリト。改めて頼むわ。

―フラン…とユナを、お願いできるかしら」

 

鼻声で、そんなことを言ってきた。

答えは、決まっている。

 

「―当たり前だ。任せろ」

 

 

「……はぁ」

 

「おっと」

 

緊張の糸が途切れたように倒れ込んだから、咄嗟にレミリアの事も腕で支える。

 

「ぁー……これじゃ紅魔館の主失格ね。従者にこんな姿を見せるだなんて」

 

「別にいいだろ。何も先頭に立って引っ張っていくだけがトップじゃないさ。

仲間に頼って、頼られて―そんなトップでもいいじゃないか」

 

そんな言葉に、少し頬を染めたウチのトップは、鼻を掴ん、で……!?

 

「うるさいわよ。貴方達は鼻血流して私について来ればいいのよ。

分 かっ た か し ら?」

 

「わがっだ! わがっだがら!!

鼻を"ばなぜぇ!?!」

 

「あははははは!!

 

 

 

 

 

……ねえキリト。貴方さえよければ……

…いえ、なんでもないわ」

 

 

 

 

 

「ところで、よくユナがフランの多重人格のような状態だって気がついたわね」

 

「髪と瞳と羽の宝石の色がモノクロレベルでくすんでただろ。普段の狂気の時から若干そんな感じはあったし。

さて、どのタイミングでフランと合わせるかな?」

 

「いえ無理でしょう」

 

「…フォーオブアカインドは?4人分裂じゃなくて2人ならもっと長時間持つだろう。やったなレミリア、妹が増えるぞ」

 

「………その手があったわね」

 





キリト編、しゅーりょー!
ク「オゥお疲れ。
さて、ツッコミ所はいっぱいあるワケだが―
先に前書きの話をしよう。
うp主、何を企んでる?」
ああそれな。
このss、最初はほぼ会話文だけで突き進んでたジャン?
ク「まあ、あらすじ欄にそう書いてるしな」
けど、27話辺りから地の文を書いてくスタイルに切り替えたんだよ。
ク「はぁまた何で?」
会話文だけだと表現に限界があったのと、同じサイトでss投稿してて失踪しやがった某リア友が「読み難い」とハッキリ言ってくれやがった所為ですハイ。
ク「…で、ものは試しとやってみたら?」
UAの上昇率が増えましたが何か?
ク「……結局何が言いたいんだ?」
投稿済み1〜26話をリメイクしようと思いまして、その時期をアンケートで決めたいと思うんだ。
活動報告欄にもほぼ同じ文をうpするけど、一応ここでも説明を。

リメイクといっても話の流れは変えません。ていうかメタい話来年度受験がある所為で月3話投稿すら危ういです。なので、地の文ブッ込んで表現を変えるのと、細かい所で出てしまった矛盾点を直すくらいです。後ちょっと細かいギャグや伏線の追加があるかも?
締め切りはこの回の投稿1ヶ月後。場合によっては延長アリ。
リメイク執筆のタイミングは、
1.上条編後。
2.クトの異変後。
3.東方最強伝(仮タイトル)後。
4.その他。
の中から選んで下さい。
なお、本編の感想欄に書かれた場合も一応カウントはするけど、同数の場合などはその分票を引くので悪しからず。

ク「ん、用事は済んだな。
それじゃあお待ちかねのツッコミタイムだぁ!」
生き生きとしとるなぁ…
ク「キリト編が全然キリト編じゃないのは置いといて。
今回は『ユナ』についてだな。
何でフラン絡みのオリキャラが?」
他の人の作品読んでる時に、フランの狂気をどうにかするって言うのはテンプレなんだけどな。
その解決法が、力でねじ込む、心を強くする、発散させる、元を断つ、
て言うのが殆どなんだよ。
ク「まあ東方原作でも魔理沙が発散させてるっていう描写があるらしいしな」
でも狂気が出てる時と出てない時で、性格が全然違う何てこともザラにあるんだよ。もうここまで違うんなら別人じゃね?ってレベルで。
ク「それで生まれたのが『ユナ』か。
…うp主も紅魔郷ネタだと生き生きとするな」
ククク、それほどでもぉ!
ク「(イラッ)…そんなうp主にプレゼントがあるんだ」つ
ん……ノート?…『デアスノート』?
ク「そうだノートだ。名前は書いといてやったから」
おーマジか! ありがとちょうど今ルーズ◯ーフきらしててな。
ク「そ、そうか(駄目だ…まだ笑うな…)」
……書いた文字が血文字になる(SAN値減少アイテム)とかじゃないよな?
ク「それはない」

補足説明
999体:某亡霊の数をカウントすると小町の船に乗れる(片道のみ)都市伝説のある呪われた館は関係ナイ。
キリト流フランの能力対策:物体の『目』を掌に移動させる際の『道』を無意識に切断(スペルブレイク)している。
クソ野郎:紫にデリートされた、スカーレット姉妹の父。元紅魔館トップ。
フランの幽閉を決めた。レミリアにも当たりが強かった模様。
ク「設定ちゃんとしろよ」
胸糞になるから却下。一応イメージとしては、他の人の作品だけど、先代録で出てきた奴。
いつかこうなる:クソ野郎が映姫様にしばかれた後も、フランを閉じ込め続けた事で恨まれてる自覚があったから。
小規模殺人ドール:『殺人ドール』を時を止める能力無しでキリトが真似したスペカ。キリトのスペカでは珍しい弾幕らしい弾幕。但し下手な鉄砲の賭けと牽制くらいにしか役に立ってないらしい。
ユナ:元ネタはアガサ・クリスティー原作『そして誰もいなくなった』のU.N.オーエン夫人、『ユナ・ナンシー・オーエン』から。
但しキリトは、『独立した1人』と言う意味を込めて、どっかの言葉(多分フランス? 間違えの可能性高)で『1』を意味する『ユナ』とした。
モノクロ:イメージとしては、某ようつべの実況で出てくる直訳で砂糖なフランドール。但し服はそのまま。


ク「…さて、後は上条編か」
そうだな……未だにネタが……おぉふ。
ク「―そろそろか」
? 何がsぉげぶぇ!?!?
バタッ
ク「ふっ―
計 画 通 り」(ゲス顔)


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35話 上条編:ピエロは聞かぬ振りで戯けた


他のキャラと違って、上条って苗字の方がしっくり来るんだよな。何故だ?
ク「ナズェイキテルンデス!?」
お、オンデゥル語か。うp主はカブト世代だったかr
ク「いやツッコミ所が違う!?
何で!? ちょっと次元『狂わせ』て死神連中からパクったデスノート使ったのに!?」
ふはは、ちょっち知り合いに頼んだら、お気に入り登録20突破記念でアッサリ戻ってこれたわい。
ク「どうやって!?」
三途を泳ぐ訳にはいかんから、投げ飛ばして貰った。
ク「……ちなみに誰よ? まさかの野菜(ブ◯リー)か?」
サンダーボルト(ソ連製ピカチュウ)
ク「シャゴホッドォォォォォオ!?!?」



 

―永夜抄後

 

 

「「―ふこぉぉぉぉぉぉだぁぁぁぁぁあああ(みょぉぉぉぉぉん)!!」」

 

「ブギィィィィィィィィイ!!」

 

上条当麻、魂魄妖夢。

只今爆走中なのでせう。

尚、後ろにはデカイ猪の化け物。

 

……何でこうなった!?

 

 

 

 

 

〜数十分前〜

 

―冥界 結界の境

 

「……こっから降りるのも何度目だ?」

 

眼下には魔法の森。

危険なのは、毒キノコくらいか。

飢えて雑草に齧り付いたコトがあったくらいだから、キノコの胞子くらいたいして気にならない―じゃなくて。

 

「………」

 

「…そのジト目はなんだみょん」

 

「いや、別に」

 

…地上まで何十メートルも離れてるってことだな。

 

「心配するなだみょん。みょんは橙と違って、ウッカリ途中で手を離したりしないみょん」

 

「…マジで頼むぞ。もうコードレスバンジーは御免でせう」

 

あれは本当に痛かった……

 

にしても橙の奴、あの時はどうしたんだ……?

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「…?」

 

「チッ、不発かみょん」ボソッ

 

あ、フラグの立った音が聞こえた。

 

 

 

 

 

で、降りてる最中。

 

「み、みょぉぉぉん…」

 

「妖夢? しっかりしろ!? 妖夢!?」

 

何故か橙が俺を落とした時と、同じ症状(心拍数上昇、発汗、錯乱)を発症。

 

「い、今! よよよよ妖夢は! みみみみっちゃみみみみょ」

 

「ぎゃーす! ちょ、手!? 潰れる!? てか握力スゲェ!?」

 

―なお、現在俺は左手を掴まれてる状態で背負われてる。

 

 

後は御察しの通り、

妖夢、何故かオーバーヒート→上条さん落下→丁度真下にいたナニかに激突。

 

「う―クッション? た、助かっ―

 

……デスヨネー。不幸だー」

 

「―ハッ!? みょんは何を!?

と、トーマ!? 無事かみょん!?」

 

「あー、妖夢? 今はこっちこない方がいいぞ」

 

「みょん?」

 

 

俺の落下した先には―

 

 

「フゴッ、フゴッ、フゴッ、」

 

「「」」

 

―でっかい猪がいたのでした。マル。

 

「ブギィィィィィィィィイ!!」

 

「「ふ、ふこぉぉぉぉぉぉだぁぁぁぁぁあああ(みょぉぉぉん)!!」」

 

 

 

 

 

〜それからしばらく逃げまわって、今〜

 

「ぜぇ、ひぃ、」

 

「妖夢、走るんだ! 撥ねられるぞ!?」

 

「うふ、あはは……あ、お婆ちゃんが川の向こう側で手招きしてるみょん……今逝くみょぉぉん」

 

「よーむぅぅぅぅぅ!?」

 

そろそろ妖夢も限界か……

上条さん? かなり前から脚が笑ってますが何か?

上条さん(不幸)に限ってイイ雰囲気になるなんてあり得ないとはいえ、可愛い女の子にカッコ悪い姿は見せられないんだよ!!

 

「ブギィィィィィィィィイ!!」

 

「うふ、うふ、うふぁあふあぁははは…」

 

「〜〜〜〜っ!! あーもう! やってやろうじゃねぇか!

やい猪! テメェ、何時までもこんなこと(リアル鬼ごっこ)を続けるってんなら―」

 

体を反転させて、その勢いも載せて右腕を振るう。

 

「―まずはその『幻想』をぶち殺す!」

 

ガッ―

 

「……」

 

「……」

 

シーン

 

「……あれ? 幻想殺し(イマジンブレイカー)は?」

 

まさか……そんな……

 

「こ、コイツ、3、4メートルもある癖に、ただのデカイ猪だっていうのか……!?」

 

「ブギ」ドヤァ

 

「ドヤ顔って器用だなお前!?」

 

…ん? て事は―

 

「ブギ」

 

バキッ

 

「そげぶ!?」

 

右手(イマジンブレイカー)の所為で飛べないハズなのに、何故か感じる浮遊感。

そうか、これが飛ぶってことなのか。アイキャンフライ!

顔面の痛みなんか気にしねぇぜ!

あはは、目の前が真っ暗に―

 

「…なんでコイツ、ぶっ飛ばされてんのにイイ笑顔なんだ?」

 

「当たり所が悪かったんじゃない?

ただの動物みたいだし、灼爛殲鬼で追いはr―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―人里 団子屋

 

……猪、幻想、ピンクの悪魔…

う、う〜ん……

 

「―酷い夢を見た」

 

「寝言から察せたみょん」

 

突っ込んで来る妖怪猪に幻想殺し(イマジンブレイカー)で触れると何故か鍋になって、それが片っ端から幽々子(ブラックホール)に吸い込まれていく無限ループという精神的にも肉体的にも過労死しそうな謎の悪夢から覚めると、そこは春雪異変以降ちょくちょく来る団子屋だった。

ここは安い、美味い、持ち帰り可の三拍子が揃ってて、パシリ(士道)買い出し(キリト)ともよく会う場所だ。

 

 

―さて、現実逃避はこれくらいにして。

この店は団子だけでなく、お茶や茶菓子なんかも充実していて、人の出入りも多い。 一回駄弁り始めれば、1、2時間くらい簡単に潰せる。

つまり、待ち合わせ場所にピッタリ(・・・・・・・・・・・・)なのだ。

追い打ちをかけると、さっきまで俺達は猪に追っ掛けれれて―

―つまる話、遅刻している。

さらに、その待ち合わせ相手の性格も考慮すると……!

 

「…不幸だーーーーーっ!!」

 

「まだ何にも言ってないじゃない!?」

 

「え、じゃあお咎め無しk

「あ"?」サーセンしたぁぁあ!!」

 

修羅の如き覇気を垂れ流してるオn―

紅白の巫女、博麗霊夢。

 

隣には、最近霊夢よりも神主やってると噂の五河士道―ではなく、皿の山。

その山が1つ、2つ、3つ……!?

 

「……妖夢、今どれくらい持ってる?」

 

「………たいして持ってないみょん」

 

「……足りるか、これ?」

 

………………詰んだ!?

 

 

 

(なお、この後偶々通りかかった慧音さんに泣きついて貸してもらった。

……白玉楼って実は薄給だったりすんのか?)

 

 

 

「…で、なんたって急に俺たちを呼んだんだ?」

 

「―この間の異変の最後に出て来た奴についてよ」

 

深刻そうな表情で言う。

 

 

この間の異変―

 

月を入れ替えた主犯のいた永遠亭。そこに現れた2人。

 

キリト、美鈴、フラン、キンジ、魔理沙、優曇華院を次々といとも簡単にねじ伏せた、所々体が腐食していた女性。

 

その女に『ゆかり』と呼ばれていた女性。

 

「何か分かったのか!?」

 

「…新しく(・・・)分かった事は無いわ」

 

「……新しくは、か。

なあ妖夢、『ゆかり』って、まさか―」

 

その名前なら何度か聞いた。

 

幽々子の昔からの友人。

藍さんと橙の主。

幻想郷の管理者にして創始者。

 

―スキマ妖怪『八雲 紫』

 

「……その、まさかだみょん。

―霊夢、紫様は行方不明だったみょん。あの場にいた紫様が偽者だったって可能性は無いのかみょん?」

 

「あり得ないわ」

 

縋るように言った可能性を、バッサリと切り捨てる。

 

「…根拠は?」

 

「勘―だけなら、私もその希望に賭けてたわ。

あいつ()は昔っから、変な力を持ってたのよ。妖力とも霊力とも魔力とも神力とも違う、私の知らない5つ目の力(・・・・・)

…アレと同じ力を紫以外から感じたことはないわ」

 

「……」

 

「……マジかよ」

 

重くなった空気に、冷や汗を流す。

 

「……呻いてても状況は良くならないわ。今の私たちには、情報も戦力も足りて無いんだから」

 

「戦力と言えば、魔理沙たちは大丈夫なのかみょん? 美鈴とか全身串刺しだったみょん」

 

「…ヤベ、思い出しちまった」

 

幽々子の食欲の所為でというかお陰でというか、調理し続けざるおえなかったから肉を食えなくなるってことは無かったけど……気分が悪くなることに変わりないからな。

 

「紅魔館には寄って来たわ。キリトはまだ動けないらしいけど、フランは元気よ。弾幕勝負してきたくらいだし。美鈴は相変わらず門で寝てたわ。

……流石に包帯まみれだったし、咲夜も黙認してたけど」

 

「流石妖怪、回復力が高いな」

 

「…矢が刺さった痕が数日経たずに消えたトーマもどっこいどっこいだみょん」ボソッ

 

「?」

 

「なんでも無いみょん。

あ、後魔理沙に引きずられてた奴はどうしたんだみょん?」

 

「あぁ、キンジね」

 

「……」

 

「……」

 

「……いいヤツだったわ」

 

「「死んだ!?」」

 

「冗談よ。折れたアバラがくっ付ききらない内に文におちょくられて、暴れた挙句に脂汗垂らしながら帰ってくるってこの間魔理沙が愚痴ってたわ」

 

……何やってんだあいつ?

 

「魔理沙とうどんげは軽い脳震盪だけだったらしいし。男2人の全快も近いわよ」

 

「じゃあ戦力は、取り敢えずは揃うのか。足りるかどうかは別として」

 

「じゃあ後は情報かみょん。アテはあるのかみょん?」

 

「士道には阿求のとこの資料を総当たりさせてるわ。パチュリーにもヴアル図書館の魔導書で怪しいのをピックアップさせてるし。私も天狗連中の資料を見てくるつもりよ」

 

「……資料を見に行くのにタライが必要なのかみょん?」

 

うん、目が覚めた時から気になってた。空っぽのタライなんて何に使うんだ?

 

「ついでにたかるのよ。士道が神主としての仕事をしなくなったお陰で最近ちょっとずつ増えてきた賽銭がまたパッタリ来なくなったのよも〜〜〜〜〜っ!!」

 

……噂は本当だったのか。ていうか仕事しろよ博麗の巫女。

 

「…もしかして、みょんたちにもどっか調べて欲しいのかみょん?」

 

「そうよ。

 

 

―幻想郷中手当たり次第ね」

 

「「……は?」」

 

「て、手当たり次第かみょん!? 幻想郷中を!?」

 

「当たり前じゃない。情報が集まってる場所はもう探し始めてるし。それに、上条の右手がある以上、妙に既知の場所を調べるより未知の場所に突っ込ませる方がいいでしょ」

 

「俺のことをなんだと思ってるんでせうか!?」

 

使い所に迷う能力(幻想殺し)を持つ栗頭」

 

「デスヨネー不幸だー」

 

「じゃあ、頑張ってね。一応通話用の札は渡しておくわ」

 

妖夢にお札を押し付けると、さっさとどっかに行ってしまう。

 

「…どうするみょん?」

 

…どうしようか? 不幸だ。

 

 

 

 

 

「―まずヒントを集めるみょん」

 

「ヒント…ヒント、ねぇ。

…ヒントのヒの字すらあったか?」

 

そう言ったら、ドヤ顔で返してくる。

 

「みょんを舐めるなみょん。

永遠亭での2人の会話に幾つか変な単語があったみょん。

 

"アルとテリー"

"発狂技"

"ハイヨルコントン"

"ニャr(以下不明)"

 

…後は、キリトの過去とキンジのお兄さんについてもアイツは何か知ってるみたいだみょん。けどそっちは紅魔館と魔理沙に任せるみょん」

 

「おぉぉ」

 

一個は明らかに何かの名前、一個はそもそも単語にすらなって無いが、ノーヒントに比べればマシ―

 

……だけどよぉ。

 

「なんだよ"ハイヨルコントン"って。カオスって自立して動くのかよ」

 

「発狂技っていうのもただ事じゃないみょん」

 

……何ひとつとして分からない事に変わりはないな。

取り敢えず動くか。捜査の基本は足だってなんかのテレビで言ってたしな。

 

「それじゃあ何処行くみょん?」

 

「う〜ん……紅魔館、人里、妖怪の山以外となると……永遠亭か?」

 

「…迷いの竹林はどうするみょん?」

 

「行ってみりゃ何とかなんだろ」

 

いざ迷ったらてゐでも捕まえて案内させればいいか。

 

 

 

 

 

 

 

―と思っていた時期が俺にもありました。

てゐどころか普通の兎にすら会えねぇ…

異変の時みたいに方向感覚を狂わせる結界を壊せば飛んでくるかと思ったら、そもそもその結界が張られてねえし(幻想殺しが発動しない)

 

うん、完っ全に迷った。

 

「―と言うわけで助けて欲しいんでせうが」

 

『知らないわよ』

 

「デスヨネー」

 

霊夢にヘルプを頼んでも瞬殺されたし。不幸だ。

 

「…マジでどうしよう……?」

 

「…流石に木端妖怪にすら会わないっていうのも異常だみょん。 やっぱり何かおかしいみょん」

 

「こうなったら前進あるのみだな。どうせ帰り道も分からんし。

……はぁ、不幸だ」

 

 

〜半霊幻想殺し遭難中〜

 

 

―夜

 

……まさか竹林に入ってから、兎・人・妖怪・てゐの罠どころか小鳥一羽として見かけなかったとは……

しかもその所為で、

 

「…ひもじいみょん」

 

グゥ〜〜〜

 

―夕飯が確保出来なかった。

野宿、水は少量、食料ナシ。

 

……えげつないレベルに不幸だ。

 

飛ぼうにも、上に上がれば上がるほど竹の密度が高くなって、僅かに光が差し込む程度の隙間しかない。竹を切断してスペースを確保しようにも、どんな品種の竹なのか、妖夢の刀でも切り倒すのに苦労し、挙句には、切っても切っても何故か即元通りに再生するは、切り倒された方は一瞬で腐るし…

…迷いの竹林の竹ってこんな変な種だったか?弾幕戦の余波で吹っ飛んでた気もするけど、気のせいだったのか?

 

「妖夢、先に寝てろ。見張りはやっておくから」

 

辛うじて手に入った枯葉や枝に非常用で持ってた火打石で点けた火種を押し付ける。地面が湿ってるから燃料になる物が少ないんだよな……

 

……にしても、この間まで学園都市にいたのに、まさか火打石を使う体験をする羽目になるとは。

人生分からないもんだな。

 

「………トーマは、大丈夫なのかみょん?」

 

「平気だ。向こうじゃ補習やら夏休みの宿題で完徹なんてよくあることだったからな」

 

 

「……まさか―」

 

妖夢の顔が強張る。妖怪かなんかいたのか!?

 

「―妖夢が寝てる間に乱暴する気だみょん!? 【ピーーー】みたいに! 【自主規制】みたいに!!」

 

「しねぇよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―数時間後

 

「……寝みぃ」

 

竹にもたれ掛かってるが……

 

今なら美鈴の気持ちが分かる。

本当に暇な状態だと体重預けられれば立ちっぱなしでも寝れるな。

ちなみに妖夢は体育座りで寝てる。

身体柔らかいなオイ。

 

「…薪でも集めて来るか。動いてないと堕ちかねん」

 

月なんて贅沢言わないから星でも見えればなぁ…

焚き火の明かりが届かない所だと、ルーミアの出した闇並に見えなさそうだ。

 

 

 

 

…この時、俺は半分くらい寝ていたのだろう。

もし、完全に意識があれば、俺は絶対に妖夢の側を離れなかっただろうから。

 

 

 

 

 

―僅かに漂う、磯のような生臭い臭いに気がついていれば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

『旧支配者のキャロル』

 

 

 

 

 

side妖夢

 

「ん―トーマ?」

 

慣れた気配が離れていくのが分かる。

その事が、何故か私を強烈に、不安にさせる。

 

「待つみょん……待って―」

 

ガサッ!

 

「……え?」

 

真後ろから、徐々に近づいて来る足音。

 

トーマの気配は正面にあるのに(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

やがて足音のヌシが焚き火に照らし出されて、浮かび上がる。

 

 

 

輪郭は人間の様にも見えたが、その姿は、余りにも異質過ぎた。

 

 

ゴムの様な、鱗の様な表皮を持ち、

 

手には、長さが全く揃っていない薄汚い鉤爪、

 

歩行は苦手なのか、水掻きのある足を、蛙が無理矢理歩いているかの様に、跳ね交じりに脚を前後させ、

 

 

その顔は―

 

 

鋭く、長く、不揃いで左右非対称なのが一目で分かる牙の生えた魚面(・・)だった。

 

 

「ひっ―!?」

 

反射的に柄に手を添えるが―

 

刀を、抜く事が出来ない。

 

本能的に感じる恐怖で、身体を、動かす事が出来ない。

 

 

―そして、目の前の魚面人は、

 

「と、トーマ、」

 

 

―鉤爪を高く振り上げ、

 

「助け―」

 

 

―真っ直ぐ、妖夢に振り下ろし、

 

 

 

 

 

―鮮血が、散った。

 

 

 

 

 





ク「ちょと待てうp主なんだこの展開はぁぁぁぁあ!?」
なんだとはなんだ、なんだとは。
ク「これ日常編だろ!? ⑨話でも無いのに思いっきり神話生物出してんじゃねぇよ!?」
いや、ぶっちゃけ上条は幻想入りしてから一番時間が経ってないから、あんまりネタが思いつかないんだよ。
弾幕ごっこも幻想殺しを考えると、最初っから飛行無し弾幕発射無し前提だからある意味即戦力だし。
他の3人みたいに準備期間みたいなのが無いし。
ク「……東方の原作が進んで無い影響もあるな。永夜抄までなら既存の場所は博麗神社、魔法の森、霧の湖、紅魔館、人里、白玉楼、迷いの竹林、永遠亭、マヨヒガくらいだからな。妖怪の山は別として」
よって、大規模な伏線(?)扱いとして、上条と妖夢には先にクトの異変の一部に挑んでもらう事にしました。
ク「それであの場所に迷い込ませてからの神話生物の襲撃か。
……ん!? 確かあの場所って、」
ハイそれ以上はネタバレになるから黙ってようか。
投稿スタイルも、メタい話うp主がリアルで半年程忙しくなるから、月に1日、一気に書き溜めた3話を投稿なんて出来なくなります。
今まで後書きでのヒントネタバレは気にしてなかったけど、これからはなるべくナシの方向で。
ク「……うp主。失踪だけはしてくれるなよ」
半年チョイ後のうp主に言ってくれ。


ク「ところで、アンケート結果はどうだった?」
0でした……(涙)。
予想はしてたけど。
ク「じゃあリメイクどうすんだ?」
…元々ペースは落ちるだろうとは思ってたから、同時並行でチマチマやってくよ。
ク「そーなのかー」


補足説明
デカイ猪:金冠ドスファンゴ。
博麗霊夢:普段は無いから食べないのであって、成長期なんだし、食べれる時はガッツリ食べます。
薄給:どっかで妖夢がそんなことを嘆いていたから取り入れてみた。
上妖「「不幸だ(みょん)!?」」
魚面人:御察しの通り、深き者です。
後今更ですが、このssでは深き者とインスマスの外見・性能の差は殆どありません。


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36話 上条編:叫べ! 今行くこの道しか無いと


推奨BGM:『旧支配者のキャロル』



 

―マヨinoチkUりン

 

 

「―こんなもんでいいかな」

 

改めて薪になりそうな物を集めてみると、意外にもスイスイ集まった。

……昼にも探しているから、幾ら薄暗かったとしても気付けよって量の枝が手に入った時は、ラッキーと素直に喜んで良いのか、一瞬複雑な気持ちになったが―まあいいか。

 

「お、また見っけ」

 

そろそろ片手で抱えるのがきつくなってきたな……1回戻るか。

 

右手(・・)で額の汗を拭う、と―

 

パキンッ

 

「…は? 何に反応したんだ?」

 

今のガラスが割れるような音―何度も聞き慣れた幻想殺し(イマジンブレイカー)の発動する時の音だよな?

その時触ってた場所って、……頭、か?

 

一体何で、何時から、………!?!?

 

「……この臭い、は―」

 

阻害系の術でも掛けられてたのか、幻想殺し(イマジンブレイカー)が発動して直ぐに、鉄臭いニオイが濃く漂っている事が分かる。

 

―血のような、生臭い、鉄のニオイが。

 

「っ―妖夢!!?」

 

薪を放り出して走る。

 

頼む、無事でいてくれ。

 

猪か何か捌いてるだけだと言ってくれ。

 

頼む― 頼む!!

 

 

―けれど、現実はやっぱり『不幸』だった。

 

「―クソっ!!」

 

焚き火の側にある、血溜まり。

 

その場所には、妖夢が寝ていた。

 

 

―いた筈だった。

 

「連れ去られたのか……?」

 

目を凝らせば、奥に血が少しずつ、等間隔に垂れている。

 

……出来すぎている。罠かもしれない。血だって妖夢のだとは限らない。

恐怖心が脚を止める。

 

―だとしても。

 

「―行くっきゃねえだろ。手掛かりはこれしか無いんだから!」

 

焚き火から、比較的長い枝を引き抜く。

何時間―下手したら何分明かりが保つかすら分からない。

 

だからどうした。

 

だったら、明かりが消える前に見つけ出せばいいだけだ!

 

「おし―

 

待ってろ、妖夢!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side妖夢

 

「―う……ここ、は?」

 

頭が、ボーっとする。

確か、妖夢は………!!?!?

 

 

思い出してしまう。

 

自分が気を失う直前、何を見たのか。

 

そして―『ソレ』に関して知っていることを。

 

「……『魚面人』。 藍さんが言ってた連中って、まさか、あれなのかみょん……?」

 

確か、藍さんの悪夢だと―

 

『半魚人の大群が、訳の分からない言葉を叫びながら追ってくる』

 

「…大群、みょん。 あんなのがうじゃうじゃいるのかみょん?」

 

唯の夢、と切り捨てるには、さっきの魚面人はあまりにも藍の言ってた連中と特徴が一致していた。

 

「………どうするみょん。 どうする―

イタっ!?」

 

肩に鋭い痛みが走る。

 

魚面人を思い出したショックで気にする余裕がなかった、自分の今の状況に気がつく。

 

女の子座りさせられた状態で、竹に背中をくっ付けたまま、上半身をグルグル巻きにされていた。

気絶の原因らしい肩の傷は、未だに血が細く垂れている。

前を見ると、此処まで運んで来た跡なのか、血の跡が等間隔に付いていた。

 

その光景を見て、ある嫌な予感が浮かび上がる。

 

「……頭がボーっとするのと、肩があんまり痛く無いのって、もしかして、血が足りて無いみょん……?」

 

半人半霊だって半分は生きてる。

血を失い過ぎれば、結果は常人と変わらない。

 

「……みょんは、此処で、干からびて死ぬのかみょん…………?」

 

 

―イヤだ。

 

そんなの、絶対にイヤだ。

 

唯でさえ昔、妖忌に『御主は少々頭が足りない』等言われてしまったうえ、血の足りてない頭で、必死に生き残る可能性を考える。

 

そして、直ぐに思いつく。

 

「!! 血の跡! トーマが気がついてくれれ、ば―」

 

が―

 

 

妖夢は、前を向き、絶望した。

 

 

暗闇に目が慣れたことで、更に細かい所まで見える様になったことで、見たくなかった、気が付きたくなかったものまで見えてしまった。

 

 

「―『魚面人』」

 

竹の陰から、此方を、そして血の跡の先を見つめている、異形の影。

分かる限りでも、5体。

 

「……妖夢は、エサなのか、みょん」

 

 

そして、『不幸』は続く。

 

遠くにユラユラと、それでいてそれなりのスピードで、小さな明かりが近づいて来る。

その明かりに照らし出されているのは、分かりやすい、ツンツン頭。

 

―上条当麻が、来てしまった。

 

 

「……ダメ。ダメだみょん」

 

助けに来てくれたのは嬉しい。

このままだと、妖夢は絶対に死んでいただろうから。

 

―でも、上条当麻が死ぬことは。

 

「―もっとイヤだ、みょん。

―トーマ!! 来ちゃダメみょん!! これは罠だみょん!!」

 

声が届いていないのか、小さな明かりはどんどん近づいて来る。

 

「トーマ! イヤ、ダメみょん!! 来ちゃダメ―あ"あ"あぁ"!?!」

 

もう片方の肩にも激痛が走る。

絶叫しながら見れば、

 

『6体目』が爪を突き立てていた。

 

 

「あああぁぁぁぁあああ!!」

 

「―妖夢!? 何があった!?!?」

 

妖夢の悲鳴を聞きつけて、小さな明かり(上条当麻)が、声の届く範囲まで来てしまった。

 

「トーマ……逃、げて―」

 

痛みに気絶する直前、最後に妖夢の視界に映ったのは―

 

 

背後から複数の魚面人に不意打ちされている当麻の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side上条

 

焚き火から血の跡を辿って、たどり着いた先には、縛られ、両肩から血を流す妖夢と、その肩を抉っている魚の様な顔をした生物がいた。

 

―『魚面人』

 

前に藍さんから聞いた悪夢に出て来た異形が実在するとしたら、まさしくこんな感じだろう。

確かに魚面人としか言い表しようが無い。が。

 

―それがどうした。

 

背後からの気配は、スピードを上げる事で掠らせ(グレイズ)て避ける。

今の一撃で仕留められると思っていたのか、『驚愕』の感情が伝わってくる。

正面の魚面人が慌てて爪を振り上げるが―

 

「その手を放しやがれ!!」

 

助走をつけた右ストレートが、先に魚面人の顔面に突き刺さると、ぬじゃぁあ、という粘性の高い液体をぶちまけた様な音を立てて吹っ飛んでいく。

 

すぐさま振り返り、敵を確かめる。

 

「……ツイてないよな、こりゃ」

 

さっき吹っ飛ばした魚面人の同種が5体。

 

内1体が真っ直ぐ突っ込み、2体づつ左右に離れた。

 

「当たるかよ、今更そんな攻撃!」

 

振り下ろされる両手の爪を上体を反らして躱し、カウンターで革靴の踵の部分を低くなった顔面にぶち込む。

今回は湿った水音の他に、歪な細長い破片が吹っ飛んだ。

 

「次っ!!」

 

左右に分かれた4体は、2体づつ左右から、1体が跳ねて上空から挟み込む様に飛び掛る。

それを見た瞬間、近くの竹の高所にバックルから引き抜いたワイヤーを投げつけて絡ませ、ジャンプすると同時にモーターを起動させる。

 

「!?!?」

 

「堕ちろ、三下が!!」

 

上空にいた魚面人より高くなった時点で蹴り落としてやる。

墜落した魚面人に、攻撃動作を止めきれなかった左右の2体の爪が突き刺さり、更にトドメに3体の真上に上条が着地し、踏み潰す。

 

「ラストぉっっ―!?」

 

次の瞬間、

 

 

明かりが消えた。

 

 

足元に放置した松明が、遂に消えたのか?

 

……違う。

 

 

消された(・・・・)んだ!!

 

 

「!? しまっ―がっ!」

 

ズン、と。

下腹部に入る鈍い衝撃。

 

バックルを狙われた。

 

直後に、腿に強烈な痛みと異物感が走る。

 

「がぁ……!」

 

無理矢理引き抜こうとすると、今度は反対側の脚にも同じ感覚が生じ、

 

―強烈な、磯臭さが鼻をつく。

 

「! ヤロォっ!!」

 

正面を殴り、何とか引き剥がすことには成功するが―

 

両脚を痛めたことで、殆ど移動が出来ない。

マトモに動けたところで明かりが無い以上、攻撃するどころか何処にいるかすら分からない。

 

「……不幸だ」

 

苦笑いし、無理矢理体勢を変える。

自分の背後―妖夢がいた場所まで、方向が合ってる事を祈りながら這って行く。

 

「……ごめんな、妖夢。 こんな目に遭わせて―」

 

右腕を伸ばし―

 

 

 

 

 

その右腕が、歪んだ刃物の様な物で切断(・・)された。

 

 

 

 

 





ク「……上条の右腕切断イベントかー」
改めてどうしたんだ、クト?
ク「だって、なぁ? アレだろ?
原作とあるで上条の右腕が切られた後に起こることなんて、アレ(・・)くらいしかないだろ?」
感想欄で聞かれちゃったからねぇ。
予定を大幅に繰り上げました(笑)。
ク「それでいいのかうp主」
構わない。そもそも感想そのものが少ないから、要望や期待には時系列やキャラの性能上絶対に無理とかじゃ無ければ応えたいし。
ク「ふーん。
―さて、今回はどうやってうp主をボコるかな?ぶっちゃけツッコミながらじゃないから気がノらないし」
……本人の目の前で言うことか、それ?
ク「よし、決めた」
人の話聞いてる!?
ク「うっさい散れ」
何だtゴギャスっっ!?!?

チュドーン

ク「おー。あらかじめ打ち上げ花火(市販品)を大量に仕掛けておいてヨカッタヨカッタ。
……汚ねぇ花火だな。やっぱ」

(普通に死ねるので、現実では間違っても打ち上げに限らず花火を他人に向けてはいけません。)

補足説明
妖夢の血:普通にピンチだったりする。
妖夢ファンの方々ゴメンナサイ。死なすつもりは無いので許しtザヤク!?
↑狙撃された。


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37話 上条編:神が下すその答えは―

―まyoイノtiくrIン

 

 

side妖夢

 

「―う……あれ?

みょんはまだ生きてる……みょん?」

 

朦朧とした頭で周りを確認する。

 

最初に感じたことは、「ここは何処?」だった。

 

辛うじて残っている何本か纏まっっている竹を除き、大半の竹が薙ぎ倒され、へし折られ、粉微塵になるまで潰され、塵と化していた。

 

傷口を確認すると、肩から流れ出る血も固まり、これ以上悪化することはないように見える。

 

そして―

 

「……トーマ。

トーマは、どうなったみょん!?」

 

広がり、月明かりで見やすくなった視界には、上条当麻も、魚面人も見えなかった。

 

―それなのに、何処からか断末魔のような絶叫が聞こえる。

 

「…またいつもみたいに不幸だとか言いながらヒョッコリ出てくるみょん?

みょんには分かるみょん。

だから……

 

……だから………」

 

 

頬を熱いモノが伝う。

現実を、認めたくないと。

そんな『幻想』を、ぶち壊してくれると信じて。

 

 

「……早く、出てくるみょん。

早くしない、と、幽々子様の、食事作り、全部、押しつけ―」

 

上からナニカが水音を立てて落ちてくる。

 

妖夢の涙で歪んだ視界には、ソレは、

 

 

ヒトの、手足に見えた。

 

 

「―あ、ハハ。あはははは……」

 

爆発音と断末魔は鳴り止まない。

 

視界の端には、魚面人、異常な巨大さのカビの生えた蟲のようなナニカ、馬の頭を持つ歪な竜のようなモノが見える。

 

 

「トーマ……こんなみょんで、ごめんみょん」

 

自分には、剣があった。

 

自分には、経験があった。

 

自分だって、戦えた。

 

 

その筈なのに。

 

 

「トーマにばっかり戦わせて……

みょんは、いつも後ろで見ているだけで……」

 

 

白玉楼でもそうだった。

 

自分を一瞬で下した相手に勝ち、さらにもう1人を殴り飛ばした。

 

 

人里でもそうだった。

 

右手の力で、狂気に暴れる半獣を抑えた。

 

 

永遠亭でもそうだった。

 

永琳の弾幕と矢を前に、ただひたすらに、前に突っ込んでいた。

 

 

私には、力がないから。

私には、幻想を殺す力なんてないから。

 

そう言い訳していた。

 

彼は、唯の人間だったのに。

 

私より、体も脆い、寿命も短いのに。

 

彼は、前に進むことしか出来なかったのに。

 

 

だからこそ、突き進めたのだろう。

 

 

「トーマ……みょんは、トーマに伝えたいこと………話したいことが、まだいっぱい―」

 

風切音が迫る。

 

この短い期間で何度も聞いた、魚面人の鉤爪の音。

 

 

その鉤爪は、妖夢の首に―

 

 

 

 

 

―届くことなく、見覚えのある巨大なレーザーに焼き尽くされた。

 

「……はぇ?

―マスタースパーク?」

 

 

「―あらあら。久し振りに目が覚めたと思ったら、私を私の花畑ごと封印してくれた連中に会えるなんて…

ラッキー、ね」

 

緑色の髪を持った妖怪が、傘を構えていた。

 

 

さらに、

 

 

ゴッッッッッッと鈍い音を立てて、

 

 

馬頭の竜を咥えた、半透明の龍の首(・・・・・・・)が落ちてきた。

 

 

その首元には―

 

 

「―トー、マ?」

 

「悪い、妖夢。

―助けるのが遅れた。もう少しだけ、待っててくれ」

 

 

ヒーロー(上条当麻)がいた。

 

 

 

 

side上条

 

右手の切断面から現れたドラゴンの、生首の先に咥えた象程のデカさのソレを、力むことで出る吐息だけで爆散させる。

 

「…凄まじい力ね、それ。 シャンタク鳥が何も出来ないまま一方的に蹂躙されるだなんて」

 

巨大カビの生物の甲殻を踏み壊しながら、突然現れ、マスタースパーク(見覚えのあるレーザー)をぶっ放した女性が言う。

 

「……アンタは?」

 

「人に名を聞く時には、まずは自分からよ、ボーヤ」

 

「…上条当麻だ」

 

赤白い光の奔流をドラゴンの口から発生させ、魚面人の群を壊滅させながら応える。

 

「風見幽香よ。

―取り零すと後が面倒よ」

 

上条のレーザーを躱した生き残りに、再びレーザーをぶっ放す。

 

「…どっから出てきたんだ? 何を知っている?」

 

「あら、貴方が私を解放してくれたんでしょうに。 その龍の力で」

 

「……アンタは、コレ(・・)について何か知っているのか?」

 

「何も。だから教えて欲しいのよ。

怪我人の手当ても必要みたいだし、ね。

取り敢えず―

ようこそ、『太陽の畑』へ」

 

全ての形容しがたきナニカを薙ぎ倒すと―

 

 

竹林の竹は消滅し、開花前の向日葵が辺り一面に生える花畑に、上条達はいた。

 

 

 

 

 

―太陽の畑

 

「―なるほど。『右手で触れた幻想を殺す程度の能力(イマジンブレイカー)』……

確かにその能力なら、封印も結界も破壊出来るわね」

 

あの後。

妖夢を解放し(ひたすらバカと連呼された。不幸だ)、風見さんの家で妖夢の肩の手当てをして貰いつつ、自分の知っているのことの全てを話した。

 

 

右手に宿る、幻想殺しについて。

 

なぜ、あの場にいたのか。

 

ドラゴンについては、何も知らないこと。

 

右手については、ドラゴンが消えたタイミングで何故か再生していた。

 

 

「今度はコッチの質問タイムだみょん。

封印されてたって、どう言うことみょん?

それにさっきの魚面人たちについても何か知ってるみょん?」

 

「魚面人……深き者どものことね。

……今から、1年くらい前かしらね。

 

―あの日も、何時も通りの日常だったわ。

花に水をやって、声に耳を傾けて、入り込んでくる雑魚妖怪を消し飛ばしたり、妖精を吹っ飛ばしたり。

 

 

何時も通りの日常に、なる筈だったわ―

 

 

彼らが、来るまでは」

 

 

 

 

 

推奨BGM『旧支配者のキャロル』

 

 

―1年前

―太陽の畑

 

ゴウ、とレーザーが突き抜ける。

圧倒的な破壊力で振るわれる暴力の嵐が突き抜ける。

 

血飛沫は舞い、四肢は吹っ飛び、あるべきモノを失った頭蓋や骸が大地に転がる。

 

 

それでもなお彼らは、冒涜的なナニカは、止まるということを知らない。

 

 

何十、何百もの、魚の顔をしたヒトガタ、巨大な胞子嚢のようなモノを纏ったザリガニと蝿の混ざったようなナニカ、蝙蝠の羽と馬の頭を持った鱗の生えたモノ。

 

それらに齧られ、引き裂かれ、啄ばまれながらも叩き潰していった。

 

 

けれど―

 

 

「―へぇ。深き者どもとミ=ゴとシャンタク鳥の大群相手にそこまでやるなんてねぇ。

流石にこれ以上の消耗はキツイかなぁ。このまま続行したら全滅だよ。ダゴン、ハイドラ。 そろそろ封印の準備して」

 

届かない。

 

2体の巨大な魚面のヒトガタの肩に腰掛けた、あの女に届かない。

 

「貴様……っ!!」

 

マスタースパークが、放たれる。

 

が、

 

「おおこわいこわい」

 

真上に立てた人差し指から発生した、禍々しく輝く碧いエネルギー球に吸収される。

 

「なっ……!?!?」

 

「さて、さぁて。

―綺麗な花火を打ち上げようか」

 

エネルギー球が打ち出される。

 

「ふ、ざ………

 

 

―ふざけるなっっ!!!」

 

もう一度、マスタースパークを撃つ。

より妖力を注ぎ込んで。

より威力を上げて。

 

 

けれど、足りない。

 

打ち返すことも、弾くことも出来ない。

 

徐々に、押し切られる。

 

 

「ああああああああぁぁぁぁぁぁあああああっっっ!!」

 

 

そう長く持たず、やがてエネルギー球は、幽香ごと、太陽の花畑に堕ちた。

 

「くぅっっ……!?!?」

 

落下と同時に、ナニカの紋様―深緑の、8本の触手の生えた頭―が浮かび上がり、幽香を戒める。

 

「ち、くしょう。 こんな……こんな奴らに―」

 

意識が遠のいていく。

 

最後に聞こえた、耳障りな奴らの言葉は、―

 

「クッケケケケケケケケ! 見てよ! ダゴン!ハイドラ! こんなにも綺麗な花火だよ!―」

 

 

 

 

 

―現在

 

「―で、気がついたら貴方達が暴れていたのよ」

 

「……」

 

「…みょん」

 

空気が沈む。

 

 

 

 

けれど、誰1人として音を発することの出来なかった空間に、最初に鳴り響いた音は―

 

 

『―上条、妖夢、聞こえる!?

見つけた…見つけたわよ!!

 

 

 

―ヤツらの手掛かりを!!!』

 

 

 

 

 

―幻想郷の、反撃の狼煙が上がる音だった。

 

 

 




ク「……フリーザェ」
やらかしたねぇ(笑)。
ク「……うん、やった覚えあるよ。
アルティメットサディスティッククリーチャーなんて敵にいても味方にいてもコッチに絶大な被害を出してくれそうなヤツを抑え込めるって、調子乗ってフリーザの戦闘力コピってやらかした(デスボール)よ」
で、結果がこれとww
ク「……恨まれてるよなぁ。
絶対後で八つ裂きにされるよなぁ。
うぉぉぉおおうぅ……ブツブツ」
おーい?

という訳で、クトが機能停止したので、さっさと補足説明に入りまーす。

補足説明
ドラゴン:幻想殺しの奥に潜むモノ。
原作とあるでも未だに設定がハッキリしないから幾らでもチートに出来る。実際にウチのカミやん竜王の殺息(ドラゴンブレス)撃ってるし。
シャンタク鳥:馬の頭、蝙蝠の羽、鳥の足を持ち、灰色の鱗に覆われている、象程の大きさの神話生物。
とある邪神の眷属として有名。
深緑の、8本の触手の生えた頭:とある邪神の紋章。


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東方幻想『狂』
38話 狂宴の始まり



クト「私の時代(出番)がついにキタ―――≧∇≦―――!!」
次話でチルノにボコられるから、三日天下ならぬ1話天下だけどなww
ク「ふはは! その『幻想』をぶち殺す!! 今の私には出来るんだぁっ!!



……具体的には、うp主を葬るという方法で」
なんだtォロンボーンっ!?(グシャァ)
ク「では読者の皆様。
ゆっくりしていってね!!」


……バールは、ダメェ……(ガクッ)


注: 今回は久し振りに台詞中心の話となっています。
後、異名はうp主のウロ覚えと感覚でつけているので、「自分が知ってるのと違う」「前に言ってたのと(或いはこの先で、今回言ったのと)違くね?」等有りましたら、気にしないで下さい。



 

―永夜抄後

―ヴワル図書館

 

霊夢が謎の超音波異変を、上条が太陽の畑の異変を解決した翌日。

紅魔館のヴワル図書館には、数多くの人妖―その誰もが異名を持つ程度に強力―が集まっていた。

 

 

「……これで全員揃ったかしら?」

 

「気になるなら出席でも取るか? 予想外の面子もいることだし」

 

「そーなのだー」

 

"楽園の素敵な巫女" 博麗霊夢。

"青赤の神主" 五河士道。

"宵闇の妖怪" ルーミア。

 

 

「あやや! 異変を最初から最後まで取材出来る機会なんてそうそうありませんからね! それもこんな大規模! またと無いチャンスです!」

 

「……誰だコイツ連れて来たの?」

 

「一応妖怪の山も被害者なんだし、別にいいと思うんだぜ?」

 

"風神少女" 射命丸文。

"(自称)普通の武偵" 遠山キンジ。

"普通の魔法使い" 霧雨魔理沙。

 

 

「キリト、もう大丈夫なの?」

 

「あぁ。

……それにしても、此処は相変わらず広いな」

 

「私の能力で拡張してますから」

 

「……人、多過ぎ……ケホっ、ケホっ」

 

"悪魔の妹" フランドール・スカーレット。

"黒の剣士" キリト。

"完全で瀟洒な従者" 十六夜咲夜。

"動かない大図書館" パチュリー・ノーレッジ。

 

 

「……なんというか、濃いメンバーだな」

 

「言えてるみょん」

 

"幻想殺し(イマジンブレイカー)" 上条当麻。

"半人半霊の庭師" 魂魄妖夢。

 

 

「うぅ……私は争いが嫌で逃げてきたのにぃ……」

 

「諦めなさい。 もう運命みたいなものだから」

 

"月面兎" 鈴仙・優曇華院・イナバ。

"月の賢者" 八意永琳。

 

 

「私、もしかしなくても場違い……?」

 

「えっと、だいじょうぶだとおもうよ?」

 

「………」

 

"残念系門番"「ちょ、扱い!?」 紅美鈴。

"永遠に幼き紅い月" レミリア・スカーレット(只今ブレイク中)。

"なよ竹のかぐや姫" 蓬莱山輝夜。

 

以上17名+α。

後に『幻想狂異変』と語られる異変の解決者が集った。

 

 

 

「―じゃあまず、分かっていることから纏めるわよ。

パチュリー」

 

「分かってるわよ。こぁ」

 

「は、はいです〜」

 

ドシン、とかなり重そうな音を立てながら、3冊の本がテーブルに置かれる。

 

1冊は、緑色の真新しい鍵が付いていた。

 

2冊目は、見るからに湿っている本だった。

 

3冊目は、白い表紙に、金色にも黒色にも見える字で、何かが書かれていた。

 

 

「題名は直訳でそれぞれ、『無銘祭祀書』、『ルルイエ異本』、『ネクロノミコン』。 つい最近、外の世界から流れ着いてきた魔導書よ」

 

「……で、この本からなにが分かったのよ」

 

パチュリーは、僅かに息を吸い、

 

「その中に、奴らに関する情報が書かれている、と言う以外は何も分かってないわ」

 

一息に言った。

 

「…どういう意味よ?」

 

「そのままの意味よ。 その本、稀にある『所有するだけで周りに危害を与える魔導書』なのよ。 今だってかなり高度な妨害術式を使ってるけど、それが無ければ今頃此処は地獄絵図よ」

 

「じゃあ何で情報があるって断言出来るのかー?」

 

「『検索』で単語単位で調べたり、召喚した悪魔に読ませたりしたのよ。

……もっとも、『検索』は数行で即死系の呪いに早変わりしたし、悪魔は残らず消滅したけど」

 

『はっ……!?』

 

全員、絶句。

 

「ち、因みに、何の単語でヒットしたんだぜ?」

 

「『這い寄る混沌』。そこからさらに『無貌の神』、『旧支配者』…

そして、正確な読み方は分からないけれど、おそらく『ニャ』で始まる固有名詞―『Nyarlathotep』も。

読み解く方法の目星が無い訳じゃ無いけれど、先に他の情報を聞きましょう」

 

(((((―す、凄ぇ………))))

 

((パチェさんカリスマパネェ……))

 

「………は!? え、えぇ、そうね! じゃ、じゃあ次、士道!」

 

「……オレが調べて来た内容がスゲー勢いで霞んで感じるな。

あー、幻想郷が出来る前の日本で数10年程度の短期間だけど、『ハイヨルコントン』と呼ばれる土絡みの神が信仰されていた時期があるらしい。

……これだけだ」

 

言うだけ言うと、士道は突っ伏した。

「うぐおぉぉぉぉぉ……」という呻き声が近くに座っていたルーミアに聞かれたのか、肩を慰めるように叩かれていた。

 

「…士道さんはまだマシですよ。 こっち(妖怪の山)なんて、資料のヒットは一切無し。襲撃時の目撃情報を集めても、犯人があの『腐食の女』であるっていうことが確定しただけなんですから……」

 

光の無い目で文が続ける。

 

「……この空気の中で言うのか。不幸だ。

―昨日、『腐食の女』が引き連れていたらしい変な化物の一部と戦って、結果として、深き者(ディープ・ワン)、ミ=ゴ、シャンタク鳥、ダゴン、ハイドラっていう名前と外見までは分かった」

 

未だ微妙な違和感の残る足をさすりながら、上条が言う。

 

「……これで粗方出尽くしたかしら?」

 

「そう思うなら、ちょっと待ってあげたら?」

 

苦笑気味の永琳の視線を辿ると、地雷でも踏み抜いたのか、突っ伏したまま完全に機能停止した士道と、魔理沙がどんな話術を使ったのか、文に不器用に話し掛けるキンジがいた。

 

「……ハァ。 それもそうね」

 

「なら今お茶をお持ちしますわ」

 

 

〜異変解決者、ティータイム中〜

 

 

「―すまない、心配かけた」

 

「あやや! これから大本命の魔導書の解読ですか。 タイトルをつけるなら、『今、明かされるベールの内側!?』ですかね!」

 

「取り敢えず文は落ち着きなさい。

―それじゃあ、パチュリー。 後は頼んだわ」

 

「はいはい。分かったわよ。

 

……さっきも言ったように、この魔導書は所有するだけでも呪いが発動するわ。 当然、読み手に掛かる負担は想像を遥かに超えるでしょうね。

具体的に予想出来るの範囲だけでも、魂への書換え・消去・幻覚・催眠による発狂といったところかしら。

この魔導書に書かれている内容を知るには、誰かが犠牲になって読み解くしかないわ。

幻想殺し(イマジンブレイカー)が有効だと仮定しても、あらゆる魔法魔術封印が解かれた魔導書が、どんな状態になるかは分からないわ。最悪、本そのものが消滅する可能性だってある」

 

「…それって、つまり、」

 

「手詰まりってことだみょん……」

 

 

「……もどかしいわね。 手掛かりが目の前にあるって言うのに、手も足も出せないなんて―え?」

 

「? どうした、霊夢?」

 

「……通話用の札が、反応してる……? 一体何で……?」

 

霊夢は、驚愕の表情で懐から取り出した札を見つめる。

 

「? 誰かが話し掛けてるだけじゃないのか?」

 

「そんな筈……通話用の札っていうのは、あらかじめ霊力で繋げて、始めて使えるようになるのよ。

そして―

 

私の持っているのと繋がっている札を持っているのは、ここに全員いる(・・・・・・・)わ」

 

「じゃあ一体誰が……?」

 

札を持っているの者は、「自分じゃない」と札を出した。

 

「……イマジンブレイカー、準備しておきなさい。 解呪に関しては、貴方の能力が最強よ」

 

「分かった」

 

上条は霊夢の隣に移動し、何かあれば、直ぐに右手で触れるように腕を伸ばす。

 

「じゃあ、繋げるわよ――」

 

札に込められた霊力が、音を放つ。

 

その音は、―

 

 

『おー! 繋がった繋がった! ねーほら見t【ザザッ―】、ちゃんと繋がったでs【ザザッ―】!』

 

 

ノイズ混じりの、幼い口調の『声』だった。

 

「…アンタ誰よ? どうやって繋げたのよ?」

 

『そん【ザザッ―】警戒するこ【ザザッ―】いじゃん! あーもー、ウルサイ!』

 

「警戒するな、ですって!? アンタ、一体何をやったのか自覚して

『てーい! これで直ったー!』

人の話を聞きなさい!!」

 

『なにをやったって、ワタシはただ、お話したいなーと思って力を込めただけ(・・)だよ?』

 

「は!? 何よそれ!? それだけで霊力の繋がりに割り込める訳が―」

 

『ワタシには出来るよー? だってワタシは、そーだなー。 ディープスr―え? 何? 質問も意味も違うしもう時間? ちぇー』

 

(向こうには、もう1人いる―?)

 

『うーん、急ぐから大切なトコだけいうね。

 

―今すぐ、ヴワル図書館から離れた方がいいよー。 ニャルニャルが本に気がついて、えっと、何だっけ? ニョム……ラム……ラムネ………ねぇアレ何だっけ? え? 知ったこっちゃない? まいっか。何か近付いてるよー! じゃっぁねー!』

 

「ちょ、待ちなさい! 待てっ!!

 

……切られたわ」

 

誰しもが黙りこんだ図書館に、霊夢がイライラした様子で札を乱暴にしまう音だけが響く。

 

「……内容は、結局『ヴワル図書館から離れろ』だけだったわね」

 

「どうする? 一応従っておくか?」

 

「でもあの言葉を信じるなら、その魔導書に反応して来てるみょん? だったらその魔導書をどっかにやるだけでいいんじゃないかみょん?」

 

「…分らないことばっかり増えてくるわね。

―アイツの言いかけてた、でぃぷ何とかって言うのに、何か聞き覚えのある人いる?」

 

霊夢の問いかけに応えたのは、キンジだった。

 

「『外』、というか、俺のいた世界にあったゲームに、『内部告発者』って意味で使われてたのがあったな」

 

「…あぁ、『ディープスロート』か? サイボーグ忍者のことをいってるなら、そのゲームオレの所にもあったぞ」

 

「マジか。 俺も機会があれば学園都市の外に探しにいこうかな?」

 

「これでもレトロゲーも一通りやったんだけどな。 どんなタイトルだった?」

 

「コラ男ども! 変な所で盛り上がるな!!」

 

 

 

「―『内部告発者』、か。 嫌な響きなんだぜ」

 

「でも、ソイツの言ってることが本当なら、間違いなく強力な一手になるわ。

……仕方ないわ。 場所を変えましょう―

「その必要はなイ」

ムキュ!?」

 

ヴワル図書館の内部を、突然、黒い濁流が襲う。

 

「な、なんなのかー!?」

 

「っ! 全員、飛びなさい!!」

 

「俺は!?」

 

その場にいる全員が、ある者は余裕を持って、ある者は慌てて、ある者はワイヤーでぶら下がって、宙に浮かぶ。

 

「魔導書は!?」

 

「回収済みよ。

 

……1冊だけだけどね」

 

そういったパチュリーの手には、湿る本―『ルルイエ異本』が握られている。

 

 

「―なら、その1冊も貰おうか」

 

「!? なっ、アンタ、は―」

 

いつの間にか黒い水は消え、魔導書が置いてあったテーブルに立っていたのは―

 

 

「久し振りだな。 妖夢、霊夢、上条」

 

「八雲―藍。 アンタなのか……!?」

 

 

「ん……橙はいないのか。 まあその方が都合がいいから良いが―」

 

「―藍さん。 この本を……貰うっていうのは、どういう意味だみょん。

返事によっては、………みょんたちの敵なら―」

 

先を言わず、桜観剣の柄を握る(居合の構えをとる)

 

「……なぁ藍さん。 あの後―春雪異変の宴会の後、何があったんだ?

あの時は何ともなかったよな?」

 

「…ふむ」

 

考え込むように両手を反対側の袖に突っ込み―

 

「―お前達は、『宇宙』というモノを感じたことがアるか?」

 

質問を返した。

 

「は……?」

 

「上条、辞めなさい。 『アレ』は私たちの知る藍じゃないわ」

 

霊夢が上条を引き留める。

 

そこから先に、触れぬように。

 

 

「―私は、アる。

初めて、如何に自分が、この世界が、自分の知る有らゆるモノがちっぽけで、脆イモノかを知った時がそうだった。

 

……なあ? お前達は、感じたことはないのか? この世界の、常識の、非常識の裏側に存在する、『カレラ』の力、を―」

 

「黙りなさい! そして本を返しなさい!!」

 

八雲藍(ありえざるもの)は、大仰に腕を広げ―

 

 

 

 

 

【「―私に勝てるか? 『旧支配者』の一角―『暗闇に棲むもの』の力を内包する、この私に」】

 

 

次の瞬間―

 

 

再び黒き濁流が、

 

 

 

 

―『神話生物』が、襲いかかった。

 

 

 

 

 





補足説明
読み難い:ゴメンナサイ。 人数の関係で、霊夢とパチュリーを除いて口調の特徴がハッキリしている面子ばかりが喋ってしまいました。
魔導書:狂気神話において、有名な3冊。
神話は知らなくても、『ネクロノミコン』の名前を聞いたことがあるって人は多い筈。 元ネタは狂気神話です。
幻想殺し:仮に上条が何の準備も無しに右手で触れた場合、触れている間は解読不可能な暗号書になります。
通話用の札:オリ設定。 登録してある相手以外への送受信が出来ないケータイのようなもの。
ディープスロート:戦いの基本は格闘だ!の狐。
別のモノを想像した変態は窓に注意して下さい。


なお次回は、うp主がクトにボコられたため、チルノ抜きの⑨話となります。
チ「なんでよ!?」


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3⑨話 Same day in the rain


注:⑨話ですが、チルノ、及び東方、ラノベキャラは一切出ません。
ある人物の過去編となります。


グロ描写注意!



 

―??前

―とある都市

 

side????

 

「あーぁ。 今日も疲れたなぁ〜」

 

学校帰り、電車を待ちながら軽く伸びをする。

ふと眠気の残る頭で腕時計を見れば、長針と短針は無慈悲にも帰宅ラッシュの時間帯である事を示していた。

 

「うげ〜〜ぇえ。 人混みマジニガテなんですけどぉ」

 

ボヤくだけボヤいて、「いつもの事だし、まいっか」と考え、鞄から1冊の本を取り出す。

 

クシャクシャになることを恐れてか、カバーの外されたその本のタイトルには、

 

―『とある魔術の禁書目録(インデックス)』と書かれていた。

 

 

その人間は、本を読む事が好きだった。

勿論アニメやゲームなども趣味としていたが、その人間が何よりも好んだのは、本―世間一般で言う、『ライトノベル』や漫画、小説と言ったモノだった。

 

 

人間が、栞を挟んでいたページから読み始めて数分後、

 

『○○〜。 ○○〜。 扉の側にお立ちのお客様は―』

 

「うげぇ……やっぱ混んでる……」

 

本数増せよ。 どーせ人件費ケチってんだろ○ェーアー○と○京○ト○(某鉄道会社s)、と、知る人が知れば怒りだしそうな事を考えつつ、本をしまって無理矢理人の隙間に体をねじ込む。

 

(ラノベ1冊広げる空間すらないとはこれ如何に。

……今度から乗る場所変えよっかな)

 

取り敢えず、席にふんぞり返って如何わしい表紙の雑誌(でもタイトルは某有名なコミック雑誌。 最近の子供って怖ぇ)を広げて真面目な顔して読んでるスーツ姿のヲヤヂに三つ目が通る式の呪詛を吹っかける。

異論も反論も受け付けるけど、後悔も反省もしない。

 

 

 

そんなこんなで家の最寄りの駅に到着。

直感にビビッと来たので財布の残高を確認して―野口サンが1人に鍍金硬貨1枚+ちょっちのアルミコイン。少ねぇ(泣)―ブッ○オ○に駆け込み、コミック棚の最深部まで突き進む。

 

(っっおっっっしゃぁぁぁぁぁあああ!!!)

 

そこには予想通り(外れる事の方が圧倒的に多いが)、○○が最も好きなシリーズ―『東方project』の同人誌が置かれていた。

 

(秋葉や池袋まで行くのはちと手間だし新品は高いからなー。 取り敢えず買いっと)

 

ザッと目を通して、絵や大まかなストーリーが好みに合うかだけ確認、バイオ5のグラサンクラスの勢いでレジに並ぶ。

勿論脳内は|『最終鬼畜妹』がフルスピードで鳴り響いてる《ヘブン状態》。

 

 

 

「大漁大漁〜」

 

ホクホク顔で帰路に着く。

帰ったら読もうとにかく読もう絶対読もう! とノリノリのハイテンションで歩いていく。

 

周りはもう暗く、終電まで大分本数があるとはいえ、人通りは無く、近くの大通りを車が走っていく音だけが聞こえる。

 

 

 

 

何時も通りの道。

 

 

 

ちょっと『幸運』であっただけで、変わりない日常。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けれど、そんな日常は、

 

 

 

 

 

長くは、続かなかった。

 

 

 

 

 

―翌日

 

「……………アカン、寝みぃ」

 

(やっぱ昨日買った奴読み終わってから調子乗ってよ○つ○(某無料動画サイト)見まくったのが不味かったかな……兎に角眠い)←タダの(バカ)

 

蛇行する程ではないにせよ、何時もより遅いペースで駅のホームを歩いていく。

 

(まあその分早く出たし、電車ん中で仮眠すりゃ少しはマシになんだろ。

―お、キタキタ)

 

ショボショボする目で始発電車を眺める。

 

今日もまた、何時もと同じ、つまらない1日が始まる。

そう再確認して、溜息を吐いた。

 

 

 

 

―トン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おろ?」

 

おかしい。

 

さっきまでは、ホームの反対側が見えていた。

 

なのに、今は、真っ黒い『ナニカ』で覆われていた。

 

(…電車か? でもこんな真っ黒いの、SL位でしか見ないような―)

 

状況を確認しようとして、気が付いた。

 

 

首が動かない(・・・・・・)

 

 

(…は? え、ゑ、ぇ?)

 

 

声も出ない(・・・)

 

 

音も聞こえない(・・・・・・・)

 

 

眼球運動だけで、隣を見る。

 

 

 

 

レールの間を平行に引かれた、ナニカの破片が混ざった、アカイ液体が、あった。

 

 

(……………は??)

 

 

目を凝らした。

 

 

 

指の様な出っ張りのある、アカイ棒があった。

出っ張りの根元近くには、見慣れた腕時計がついていた。

 

 

バールの様に、先端がL字状になった、太い棒があった。

先っぽは尖っておらず、革で出来たカバーの様な物がついていた。

 

 

 

白いモノが見えた。

バラバラになっていたが、透明な糸の様な物が、辛うじて、ソレラが元は一塊であった事を示していた。

 

 

 

突然、視界が明るくなった。

 

 

 

 

 

ホームの天井が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、激痛が、全身を覆った。

 

(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイっっっっっ!?!?!?!?)

 

全身の神経を鑢で擦る様な痛みだった。

 

全身の骨の繋ぎ目という繋ぎ目を一旦外し、それからその骨を、肉ごと、一本ずつ、断ち切り、捻り切り、焼き切り、引き千切り、すり潰し、突き割るような痛みだった。

 

 

 

今更の様に、先ず右脚の膝から下が、

 

 

左脚丸ごとが

 

 

右手の指が

 

 

骨盤より下が

 

 

右手そのものが

 

 

背骨が

 

 

左手の肘から先が

 

 

脊椎が

 

 

 

電車に引き摺られるショックで

 

 

叩き割れ

 

 

摺り切れ

 

 

血というペンキが、

臓物という装飾が、

線路と言うキャンパスにぶちまけられていく痛みが

 

全身を

 

蝕む。

 

 

 

 

 

(あー……コリャ死んだな。

どーせなら、もうちっと穏便なほう、方で、……

 

……しな、せ―やがれってん、だ………い――)

 

 

意識が一気に遠くなる。

 

 

 

 

 

遠く、遠く、深く、深く、深く、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―現在

―????

 

side??

 

「―フォォォォォォォイ!?!?

なんっじゃ今の夢ぇぇぇぇぇええ?!?!?」

 

ベットから跳ね起きる。

 

思わず自分の身体を見て、触って、軽く動かして、始めて落ち着く。

 

「……そーいや、あんなこともあったっけねぇ。

―いつ以来だよ、生前(・・)の夢を見るの」

 

汗だくの服をどうにかすべく、能力を発動して水分やミネラルの類を消し飛ばす。

 

「……………」

 

次に、己の一部が残念な身体を見、能力を発動させる。

 

が、ウンともスンとも言わない。

 

「………チッ」

 

舌打ちをして、立ち上がる。

 

 

 

 

 

『ソレ』は、それしか無いのか、黒い厚手のワンピースを着ていた。

 

『ソレ』は、所々が醜い灰色に変色、壊死している身体を持っていた。

 

『ソレ』の手脚は、能力によって剛腕にも爪にも、盾にも刃にもなった。

 

『ソレ』は、鈍く輝く、深淵の様な蒼の瞳をしていた。

 

『ソレ』は、身体の様に所々壊死している、()の様なイメージを持てる深緑の髪をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"邪神" クトは、転生者である。

 

 

テンプレな死に方をし(死んでから多少意識があった所為で痛い目に遭ったが)、

 

テンプレにも神様に第二の人生と能力を貰い、

 

テンプレにも原作(ただし複数)に介入し、もう既にかなりの人数の未来を、そのチートな『程度の能力』で変えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ1つ、異常だったのは―

 

 

 

 

 

転生させた『カミサマ』は、

 

 

 

 

 

あらゆる時空間において、『最()』で『最()』で『最()』で『最()』で『最()』な、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『魔王』であったことだった。

 

 

 

 

 





補足説明
魔王:
『秩序ある世界の外で口には出せず切れぎれに囁かれる血も凍る最期の危機――
全ての無限の中核で不敬にもだえ、泡だつ最奥の混沌に潜む最期の無定形の黒影――
その名を敢えて口にする者もなく、呪われたフルートの消え入るような単調かつ遣る瀬無い調べと、鈍く篭った太鼓の下卑た狂おしい連打の中で、時を超え、想いもよらぬままに、闇に閉ざされた室で飢え齧るもの』
引用:『クトゥルー 闇の黙示録』


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40話 ありえざるもの

 

 

 

―vs

 

 

―【暗闇に潜むもの】―

 

―【ありえざるもの】―

 

 

 

―【ニョグタ】―

 

 

 

―ヴワル図書館

 

side第三者

 

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

「霊符『夢想封印』!」

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

 

 

ドグァァァアン!!

 

 

極太の閃光が、数え切れぬ程の光弾が、膨大な妖力によって創り出された槍が、九尾の身体を焼き、弾き、貫ぬかんと当たり、炸裂する。

 

だが―

 

 

 

「…それで終わりか?」

 

「…今のじゃ流石に無理っぽいわね」

 

タールのような『ナニカ』を壁にする事で、その場から一歩も動いていないにもかかわらず、塵1つつかない。

 

 

 

 

 

「キリト、アインクラッドであんなの見たことある?」

 

「…いや、ない。 そもそもスライムタイプのmobそのものが殆どなかったな」

 

「つまり、手探りでやっていかなければならないと。

―っ! 来ます!!」

 

 

ビチィッ!!

 

 

「っとぉっ! 全員無事か!?」

 

「舐めないでちょうだい!

火水木金土符『賢者の石』!」

 

「禁弾『スターボウブレイク』!」

 

「無駄な事を……」

 

何色もの色で構成された弾幕は、その一切を壁の内側に入り込むことが出来ない。

 

 

 

 

 

「完全防御、鞭状にしてからの一撃……強襲科(アサルト)じゃなくてSSR(超能力者)の管轄だろありゃ。 不定形らしくどうせまだ色々隠してるだろうし」

 

超能力者(Level5)なら瞬殺出来んのかなコイツは!?」

 

「そっちの超能力者じゃねえよ」

 

「2人とも喋ってる暇あったら避けるみょん!?」

 

ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ! ドゴッ!

 

黒い水はうねりながら、肉を穿とうと迫る。

その全てを交わし、避けきれないものは弾幕で強引に逸らす。

 

 

 

 

 

「……紫様は、一体何を警戒してイらしたのか―ん?」

 

藍の眼前に、何かが飛び込んで来る。

咄嗟に壁を再構築させようとし―

 

「―此方の方が早い!

さあ、私の『目』を見なさい!」

 

 

飛び込んで来た相手が脅威になり得ない事を確認し、攻撃を続行した。

 

 

「!? 波長操作が、効かない!?」

 

「……微々たる能力だな。 本物の『狂気の波長』を喰らってみるか?」

 

黒い水の一部が鈴仙を空中で捉える。

 

「ふむ……どの頁を読みたい?」

 

「!? そ、そそそそそそれって、」

 

一切躊躇い無く『無銘祭祀書』を開き、適当にページを捲っていく。

 

「そうだな。 私の勧めはやはり、『無貌の神』についてだな」

 

「ひっ!? こ、こっちに近付けないで―」

 

とある1頁で捲る手を止め、鈴仙の視界に入る様に魔導書を持ち替え―

 

 

 

流星の如く飛来した矢に撃ち落とされる。

 

「じ、じじょう"〜〜!!」

 

「貴女の波長操作すら効かないとなると、本格的に手詰まりね…」

 

永琳は矢をつがえ霊力を籠めていくが、2射目を放つつもりは無いのか、狙いが全く定まっていない。

 

「本当にどうしましょう、この化物―」

 

 

 

 

 

「くっ……! 霊夢! 持ちそうか!?」

 

「そんなの私が聞きたいわよっ!?」

 

ガキッ、ガキッ、―バキンッ!!

 

「あああぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉおおお!! これで何枚目よぉ!!

『博麗二重結界』!」

 

運悪く避けきれずにぶっ飛ばされた上条や、咳き込むパチュリー、戦力外のルーミアを庇い、霊夢が何重にも結界を貼り、さらの士道が霊力の多さに任せて補強していく。

 

『二重結界』1つで大妖怪の本気の一撃ですら軽々と防ぐことが出来るのにもかかわらず、一枚ずつ、確実に、叩き割られていた。

 

「こっちの攻撃は通らないし向こうの攻撃は防ぐのがやっとだし!!

どうしろって言うのよもぉぉぉぉぉぉおおお!!!」

 

「オレが聞きてぇぇぇぇぇええ!!」

 

「……一撃貰うより先に自壊しそうだみょん。 ふこーだみょん」

 

 

 

 

 

「…吸血鬼、手を組みましょう?」

 

「うーん、オレは人間なんだけどなっ!!

斬符『ホリゾンタル・スクエア』!

―手を組む以前に最初っから仲間だろ。

なんか作戦でも出来たのか?」

 

ソードスキルを連発して安全圏を広げ続けるキリトに、黒い水の一撃を躱しながら永琳が話しかける。

 

「作戦と言うほどのものでも無いわ。

あの防御能力を前に、いつまでも個の力では埒があかない。 同時攻撃で強引に狐を表に引きずり出すしか―」

 

「お言葉ですが八意様、先程時を止めてナイフを投げつけた際、刺さったナイフが体内から押し出されたことから、おそらく本体にも何らかの形で黒い水の防御が働いていると見るべきです」

 

「」

 

「……攻略の糸口がつかめねぇ。

このままじゃジリ貧だぞ!」

 

 

 

 

 

「………こんな程度か」

 

八雲藍(ニョグタ)は、上位種族から『魔導書3冊の回収及び戦力偵察』という命令を受けていた。

戦力は非常に低く、最初はとある3人(・・)以外は、わざわざ自分(ニョグタ)が戦う必要がある程では無い。

そう考えていた。

 

しかし、未だに2冊しか回収出来ていない事も事実であり、そのことが(ニョグタ)を苛立たせた。

 

 

 

彼等のお遊び(スペルカード)に付き合ってみるか」と考えさせる程には。

 

 

 

 

 

 

 

「―『タタールの黒き神』」

 

 

 

 

最初に異変に気がついたのは、霊夢だった。

 

「何か来るわ―皆、逃げてっ!!」

 

回避方向を先読みすることはあれど、基本的に真っ直ぐ突っ込んで来るだけだった黒き水が、激変した。

 

全方向に鋭く延び、それを延ばしたまま、全てバラバラの方向に、無秩序に振り回し始めた。

 

『柱』でそのまま殴りつける様な攻撃を前に、まず最も回避能力の低い(ワイヤー頼り)上条が打ち据えられ、

その場面を見て硬直した妖夢も叩き落とされ、

連続で回避行動を取れなかったルーミアとパチュリーは弾き飛ばされた。

 

 

「こんなスペカありなんだぜぇぇぇええ!?!?」

 

「ひーっ! つ、潰れる!挽肉にされちゃいますよ! 何かアレ(黒い水)の写真撮ったらカメラ壊れて変な絵しか浮かびませんし、もうイヤ―

き、キャァァァァァァア!?!?」

 

 

グチャァッ!

 

 

文が回避し損ね、結果として黒い水に挟み潰されかける(・・・)

 

「―あれ、生きてる?」

 

「ボサッと突っ立ってない! ホラ避けないと次来るわよ!!」

 

「は、ハイ!?」

 

 

 

 

 

まだ、黒き水の犠牲者が出続ける。

 

集中力の切れた士道が。

 

急な軌道変化に対応仕切れず、鈴仙とレミリアと輝夜が。

 

『目』を破壊しようと立ち止まったフランが。

 

主を追撃から護ろうとした咲夜が。

 

 

 

 

 

残った者にも、疲労が溜まっていく。

 

「こりゃ、ハァ、ちょっと、ハァ、キツイかもね」

 

「…私ももう飛ぶのが精一杯なんだぜ」

 

「あややや、や。 この継続時間と火力、スペルカードルールを無視してますよね!?」

 

「……姫様。くっ!?」

 

「永琳、抑えろ! 今相手から目を逸らしたら即アウトだぞ!!」

 

「……おぜうさま……咲夜さん……」

 

「!? 美鈴、レミリアたちなら大丈夫だから意識をしっかり持つんだぜ!?」

 

 

 

 

 

「……もうすぐ終わるな。 結局、所詮はヒト、か」

 

パチュリーがダウンしたことによって、今は霊夢の手にある魔導書を見ながら呟く。

 

一瞬、魔導書を優先して黒き水を延ばそうとしたが、今の攻撃を続行して全滅を待つ方が早いと判断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし今回に限って、それは悪手だった。

 

 

 

 

 

『希望』はいつだって、どんな方法で現れるか、分からないものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラランッ!

 

「!? う、うわわ!?!」

 

窓から何かが、(ニョグタ)の目の前に放り込まれる。

 

それは―

 

「な、なんだ、唯の松明か。

…一体誰がこんな―

「凍符『パーフェクトフリーズ』!」

っ!?!?!?」

 

黒き水が、一気に凍っていく。

 

松明と一緒に飛び込んできたのは―

 

 

 

 

 

推奨BGM:『チルノのパーフェクトさんすう教室』

 

 

 

 

 

「ち、チルノなんだぜ!?」

 

紅魔郷2面ボス、チルノ()だった。

 

「あ、しろくろじゃない! しょうぶよ!」

 

「今それどころじゃ無いんだぜ!?

早く逃げるんだぜ! ソイツはお前が叶う様な相手じゃないんだぜ!!」

 

「ふん、だいじょうよ!

なんたってアタイは、さいきょーなんだから!!」

 

言うだけ言って、(ニョグタ)の前まで飛び去っていく。

 

「くっ…! 連れ戻さないと…!」

 

「えっと、大丈夫ですよ? 本当に。 それより魔理沙さんも降りてきてもらっていいですか?」

 

いつの間にか隣に浮かんでいるのは、

 

「……ごめん、誰なんだぜ?」

 

「大妖精です!?」

 

「それより、降りてこい、って―」

 

下を見る。

 

 

自分以外の全員が隅っこの方で一服していた。

なんかデカイ蟹モドキもいるし。

 

 

「」

 

「…えっと、魔理沙さん?」

 

「………アイツらは………

 

それよりチルノ―」

 

 

 

魔理沙の目には、またもや信じられないものが映った。

 

 

 

 

 

チルノが(・・・・)圧倒しているのだ(・・・・・・・・)

 

 

 

「……………ゑ?」

 

「えっと、リグルちゃんの話だと、土の神性は火や凍結に極端に弱いって―」

 

「………つまり、アグニシャインやメギド(火のスペカ)なら瞬殺出来たかもしれないんだぜ?」

 

「えっと、そうなりますね!」

 

次の瞬間、魔理沙の気が遠くなって、そのまま気絶した。

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

「えーいっ!

凍符『マイナスK』!」

 

「来るな来るな来るな来るな来るなァァァァァァァァァアアアア!?!?」

 

ニョグタは、遙か太古の火の神性との戦いを思い出していた。

 

結果は惨敗。 冷たき炎(・・・・)に瞬間冷凍された挙句、木っ端微塵にされたのだ。

幾ら神話生物といえど、思考する脳を持つ(取り憑いている)今では最早唯のトラウマでしかない。

 

「ヒィィィイイィィィィィイ!?!?」

 

凍ってない黒き水を叩きつける。

あっさりピチュる。

 

安堵した次の瞬間、

 

「さあつぎよ!

氷符『アイシクルフォール』!」

 

「!?!?!?!?!?!?!?」

 

先人(クト)同じ過ちをやらかす(無限ループ突入)のであった。

 

 

 

 

 

因みに、コッソリスキマから覗いていた邪神2名も震え上がっていた事には誰も気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

〜氷精、ありえざるものを蹂躙中〜

 

 

 

 

 

 

 

―10分後

 

「」

 

「だいさんぶ、かんっ!」

 

カチコチに凍った藍と、ドヤ顔でピースサインをするチルノがいた。

 

 

「…取り敢えず、状況を説明して貰って良いかしら?」

 

 

〜幼女説明中〜

 

 

「―つまり、リグルはこの間まで紫のとこにいて、その時に知った相性とかでさっきのニョグタ? をチルノに斃させたってことでいいのかしら?」

 

「えっと、はい! そうです」

 

「ミー君は一旦帰っちゃったんですけど、ボクに懐いたのか戻って来たんですよね……」

 

霊夢は、チラッと横目でリグルの隣を見る。

 

ミ=ゴ(上条が確認済)が頭の先をチカチカさせていた。

 

 

「…眩暈がしてきたわ。

―協力してくれる、ってことでいいのよね」

 

「「はい!!」」

 

「さいきょーのアタイがいればひゃくにんりょくよ!」

 

……………

 

「…もしかして、百人力みょん?」

 

「そうそれよ!」

 

霊夢は緊張状態(シリアスムード)が容赦なく吹き飛ばされていく感覚に気絶しそうになった。

 

 

 

 

 

しかし、自体は寧ろ悪化していた。

 

 

 

 

 

「―文様! 一大事ですっ!!

―って遠山キンジ!?!?」

 

「知り合いなんだぜ?」

 

「いや、俺は見たことないな」

 

頭に兎を乗せた白狼天狗が駆け込んでくる。

 

「何事ですか!?」

 

「…あら? 永琳、あれウチの兎じゃない? 何かしら?」

 

 

 

「―妖怪の山、及び迷いの竹林に多数の魚面の妖が出現! 襲撃されています!!」

 

「「「「なっ!?!?」」」」

 

「…露骨に戦力を削りにきたわね」

 

「現在、なんとか迎撃出来ていますが、突然戦闘を放棄したり同士討ちを始める者が出始め―

全ての天狗に召集命令が掛かっています!」

 

「………」

 

「……迷いの竹林は?」

 

「わ、分かりかねます。

私も椛様に指示を受けて来ましたので…」

 

「そう―」

 

文と永琳は顔を伏せる。

 

 

「おい霊夢、どうするんだぜ!?」

 

「……仕方ないわ。 別れて対処しましょう。

永遠亭組と紅魔館組は迷いの竹林に向かって。

文と魔理沙、キンジは妖怪の山。

敵の拠点には、残りのメンバーで行くわよ」

 

「…その人選は勘か?」

 

「そうよ。 文句ある?」

 

「いや、何も。 霊夢の勘の良さは分かってるからな」

 

「…オレたちも行こうか」

 

キンジたちは、ヴワル図書館を出る。

 

妖怪の山へ。 迷いの竹林へ。

 

 

「さて、と―

リグル! 紫たちが拠点にしていた場所は分かる?」

 

「…場所だけなら。 行き方までは、分かりません」

 

「? どういうことよ?」

 

 

 

 

 

そして―

 

 

 

 

 

「―霧の湖の、湖底。

そこに―」

 

 

 

 

 

物語は、加速する―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『ルルイエ』への入り口があります」

 





補足説明
ニョグタ:土の神性。 一応旧支配者にカウントされるがかなりマイナー。
なお、今回の個体はこの後霊夢が封印して藍から引っぺがした。
発狂藍しゃま:SAN値直葬被害者その2。
ミー君:ご存知29話でチルノにワンパンされたミ=ゴ。 クトに精神的ダメージを喰らわせた後、ひょっこりリグルのところに戻った。
原典では『人の脳を取り出して生かし続ける技術を持つ』といった話があるので、回復係に。
チルノさいきょー説浮上:対神話生物最終兵器。 妖精特有の無限復活+妖精にあるまじき火力+⑨ゆえにSAN値が減りにくい(と言うより減らない)、の3コンボでクトを苛める。
3⑨話での出番が無かったので登場。
別行動:trpgなんかだと別行動は死亡フラグでしかないが、こんだけワラワラいると全然活躍出来ないキャラが出てくるので。
謎の投稿速度:夏休みに突入したし書きまくるぜヒャッハーっ!!


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41話 黄衣の王

今回はかなり短めです。

1話に纏めると長くなる、
だからと言って分けると短い。

……どうしてくれよう?


ま、結局は戦闘描写もっと書けやって話なんですがね。
あぁ、文章を書く程度の能力が欲しい。後時間も欲しい。(切実)

欲を言えば画力とお金と思考ry(以下略



―妖怪の山

 

sideキンジ

 

 

「……何だ………アレは………?」

 

霊夢の指示で文と魔理沙と白狼天狗を連れ、妖怪の山へと急ぐと―

 

 

 

『黄色のローブ』を纏い、フードを目深に被ったナニカが、深きものの群を粉砕していた。

 

「………味方、なんだぜ?

あ―」

 

キンジも、一瞬そう考えた。

 

 

 

 

 

かち上げた深きものを、カマイタチで3枚におろし、微塵切りにし、空気の塊で赤い霧に変えるまで徹底的に殺戮して無ければ。

 

 

「―ッ!?」

 

「うぇ………しばらく肉は食えそうに無いんだぜ……」

 

「兎に角、一度本隊に合流しましょ―」

 

 

ガッ―!!

 

 

「? どうしたんだ、ぜ―」

 

 

ふと黄色のナニカから目を逸らし、さっきまで先行していた白狼天狗がいた場所を見ると―

 

 

 

 

 

灰色の鱗が全身を覆い、左右非対称に隆起した眼球を持ち、醜く不揃いの尖った牙と長く、異常に湾曲した爪を持つ、カラスにも、モグラにも、ハゲタカにも、アリにも、腐乱死体にも見えるナニカ(ビヤーキー)が、白狼天狗の首から上を呑んで(マミって)いた。

天狗も意識があるのか、狂ったように暴れていたが、次第に力無くグッタリとした。

 

「………は? え?」

 

「―ッヤロォ!!」

 

咄嗟に首を真下から桜花で殴り飛ばすと、喉にでも入ったのか、直ぐに吐き出された白狼天狗を抱える。

 

「オイッ! 大丈夫か!?

クソッ、先ずコイツを何処か安全な所に―

「キンジさんっ! 無事ですか!?」

―椛か!? スマン、コイツを頼む!」

 

近づいて来た椛に白狼天狗を預ける。

 

「―――――!」

 

「―させるかってんだッ!!」

 

山の頂上付近へ逃げる椛を、ビヤーキーが追撃しようと俺を追い抜かすタイミングで脳天を再び桜花で殴り堕としてやる。

素早く周囲を確認するが―

さっきのヤツは、あの一体だけだったみたいだな。

 

 

 

 

 

 

 

―さて、

 

「魔理沙、文。 覚悟は出来たか?」

 

マジックアイテムと化したベレッタキンジモデルをコッキングしつつ尋ねる。

 

「いつでもいいんだぜ」

 

「あやや、カメラが直るまでは待って欲しかったですね」

 

八桂炉を、天狗の団扇と刀を構えたのが気配で分かる。

 

 

 

「―――――」

 

向こうも、やはりと言うべきか『腐食の女』の関係者らしく、有るかどうかすら確認出来ない目が此方を捉えたのが分かる。

 

 

「この遠山桜、散らせるものなら―散らせてみやがれッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM:『旧支配者のキャロル』

 

 

 

 

 

 

 

―vs

 

 

―【名状しがたきもの】―

 

―【星間宇宙の帝王】―

 

―【邪悪の皇太子】―

 

―【黄衣の王】―

 

 

 

―【ハスター】―

 

 

 

 

 

「先手必勝!

恋符『マスタースパーク』―

なっ!?」

 

魔理沙十八番の極太レーザーがナニカに迫るが、その姿が一瞬で消える。

 

「どうなって―うぐぉッ!?」

 

急に発生した竜巻に身体を削られながら、気配のする方向を見ると、

直ぐそこに、ソレはいた。

 

「キンジさん!? くっ!!」

 

竜巻そのものは文の団扇のひと扇ぎ(風を操る程度の能力)で消滅するが、ナニカは再び消える。

 

「瞬間移動系の能力なんだぜ!?」

 

「だとしたら出現ポイントを先読みしねえと―ッ!?」

 

「―――――」

 

虚空から放たれたカマイタチを、ヒステリアモードのスーパースローになった視界で躱す。

掠ったときの斬れ味からいって、防弾制服なんて紙同然だぞ……ッ!?

 

 

 

「―――――」

 

「そこかッ!! 『桜花』ッ!

―チッ!」

 

 

「―――――」

 

「魔符『スターダストレヴァリエ』!

―ああもう! いい加減当たるんだぜ!!」

 

 

「―――――」

 

「うひぃ!? ちょ、その威力のカマイタチは洒落になりませんって!?」

 

クソッ、完全に弄んでやがる……!

 

 

 

 

 

「…2人とも、何か掴めたか?」

 

「……」

 

「あやや……いくら幻想郷最速の私でも瞬間移動が相手だと……

ってまた来たぁ!?」

 

「―――――」

 

虚空からの不意打ちではなく、停止した状態での攻撃。

なんで瞬間移動のアドバンテージを捨ててまで止まっ―

 

 

 

 

 

……なるほど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ビュォォォォォオオォォォオオオオォォォォオォォオオ――

 

 

「……ハハ……桁が違い過ぎるんだぜ……」

 

「ああ……ソウダワタシマダセンタクモノトリコンデナカッタワーアハハハh―」

 

「オイオイオイオイオイ、流石に冗談キツイぞ……ッ!」

 

 

ひっくり返したらそのまま山をスッポリ覆える程の、巨大な竜巻が発生していた。

凄まじい吸引力で既に岩や大木が渦巻き、巻き込まれようものならミキサーに入れられるのと大して変わらない結果になることは目に見えている。

 

 

 

そんな、もはや別モノと化した竜巻が、

 

 

俺たちに向かって、ゆっくりと、撃ち出された。

 

 

 

「に、逃げましょうキンジさん!?

私たちだけじゃ手に負えません!!」

 

「コレを放っといたら山どころか地底まで被害が広がるぞッ!?」

 

「広がらしときゃ良いんですよ!!

被害が出れば鬼が出張って来てくれる可能性があります!!」

 

「ンな無茶苦茶な―ガッ!?」

 

「―――――」

 

今のは―アイツの打撃(エアハンマー)か!?

つまり、あの竜巻は、アイツの制御から外れている。

 

コイツ、最早災害同然じゃないか!!

 

 

 

 

 

……だけど、何の為にあんな姿勢を崩す(・・・・・)程度の弱い攻撃なんか―

 

 

「―起きるんだぜ!? 文! 文!?!」

 

「なッ―!?」

 

視界の端に映ったのは、意識を失ってるらしい文と、それが竜巻に引き寄せられないよう引っ張っている魔理沙。

よく見れば文は頭から血を流してるし、魔理沙も帽子が吹っ飛んでいる。

 

「…テメェ、頭狙ったのかよ……ッ!!」

 

「―――――」

 

言葉での返事は無い。

が、視線は正直だな、コイツ。

 

 

 

 

 

―助けたいなら、コレを如何にかしてみろ―

 

 

 

 

 

「……やってやろうじゃねえか」

 

ヒステリアモードの()が、変わっていくのが分かる。

 

 

 

 

 

 

 

数ヶ月後に分かることだが―

 

女性を奪われた(人質にされた)ことで発動する―

 

 

『ヒステリア・ベルセ(・・・)』に―

 

 

 

 

 

 

 

竜巻の根元に急ぐ。

引きずり込まれたら元も子もないので、加速はしないで減速の調整だけだが、それでも異常なまでの吸引力だから直ぐに辿り着ける。

 

 

 

竜巻みたいな渦巻くエネルギーの塊を止める方法―

 

そんなモノ、強襲科(アサルト)は勿論、何処も教えてくれない。不可能(・・・)な事なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

―だからどうした。

 

 

 

 

 

 

 

「纏めてブッ飛ばせば終わりだッッ!!」

 

 

何処ぞのフィクションの様に、渦巻きのコアにして、1番エネルギーが集中する場所―

『渦の先端』を狙うッ!!

秋水も併用して―

 

「『桜花』――グァッ!?!?」

 

高速回転する金属の塊を殴ったような感触が、手に伝わる。

 

回転とは逆ベクトルのエネルギーを叩き込む以前に、そもそも介入すら出来ない。

 

 

 

 

 

「―ならッッ!!」

 

素早く距離を取る。

 

以前の、この近くでの出来事―

鬼との戦闘で相手の使ってた技。

便利そうだからと、記憶を頼りに練習しておいたアレ(・・)に、桜花、秋水も併用して―

 

 

 

「―一歩、」

 

 

 

だが、まだ足りない。

 

なら―

 

 

 

 

 

「―二歩、」

 

 

 

 

 

いつもとは違うヒステリアモードだから気付けた、体内の『魔力の流れ』も

右手に集中させる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『三歩必殺』ッッッ!!!」

 

 

 

グワァァァッッッッッッッ!!!!

 

 

 

岩盤をぶち抜いたような音を立てて、拳が、流れに逆らうように竜巻にめり込む。

拳ごと弾き飛ばされそうになるが、秋水と中途半端な桜花を連発して強引に踏みとどまる。

 

 

 

 

 

 

 

―踏みとどまることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

巻き込まれていた石や枝が、容赦なく全身を打つ。

特に、竜巻に突き刺さっている右手など、とっくに骨がボロボロになっている。

 

これは……

冗談抜きで死にかねないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―魔理沙……何処だ?」

 

 

 

 

 

―気がついたら、無意識の内にオレが居候している家主の少女を、目で探していた。

 

 

 

アイツでヒステリアモードになってしまった事があるにもかかわらず、オレを嫌う訳でも、利用する訳でもなく、認めてくれた少女。

 

未だ―と言うより、一生残るだろう女嫌いのオレが、一緒にいて緊張しない相手。

 

格上でも格下でも、誰が相手でも決して崩れない、男勝りな態度の、普通の魔法使い。

 

 

 

 

 

 

 

消え入りそうな魔力の線を見つけて、辿った先には―

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、魔力を使い切って、

 

眠るように目を閉じて、竜巻に吸い込まれていくアイツが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その光景を見た瞬間、俺の中でナニカが切れて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば、右の拳を振り抜いて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜巻を掻き消していた。

 

 

 

 

 

その一瞬、星のように金色に輝くオーラ(・・・・・・・・・・・・・)のような物を視界の端に捉えていたが、気にしている余裕はなかった。

 




補足説明
ハスター:風の神性。 旧支配者4神のなかで、1番人類に友好的(多分)。
水の神性とは異常なまでに仲が悪く、原典でも、水の神性の活動を妨害する側の人間のピンチには眷属であるビヤーキー等を遣わし、セラエノまで連れて来させることがある。
おうし座ヒヤデス星団のアルデバラン付近に封印されているらしいが、定かでは無い。


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42話 決意

―少し前

―妖怪の山 麓

 

side魔理沙

 

「―起きるんだぜ!? 文! 文!?!」

 

突然気絶した文を咄嗟に掴む。

 

原因は分かりきっている。

あの黄色い奴が、どうやってか頭に衝撃を叩き込んで来たのだ。

一体どうやって―

 

 

 

―いや。 今はそれどころじゃない。

 

「文ぁ……早く起きるんだぜ……!」

 

何とか文を引き寄せ、箒に跨る。

少しでも地獄の門(竜巻)から逃れられるよう、斜め下の地面に撃ち込むようにマスパをブッ放つ。

 

だが、それでもなお、少しづつ、引き寄せられる。

 

「くぅぅぅぅぅぅっっっ!?!?

き、キツイんだぜ……!」

 

 

 

 

 

 

 

―私は、此処で死ぬのか?

 

 

 

今までの人生で、危ない橋は何度も渡った。

 

 

人里を飛び出して、魔法の森に住み始めた頃。

 

初めて、妖怪に鉢合わせた時。

 

初めて、異変の解決に乗り込んだ時。

 

 

 

怖かった。殺されると思った。不安だった。

 

 

 

人里の人間だった自分は、やっていけるのか?

 

目の前の妖怪は、スペルカードルールがちゃんと理解出来ているのか?

 

自分が負けたら、どうなってしまうのか?

 

 

霊夢とコンビを組む(強引に絡む)ようになってからは、さらに不安が増えた。

 

 

 

 

 

―勝てない。

 

霊夢に、全然勝てない。

 

 

 

どんなに努力しても、

 

どんなに頭を捻っても、

 

どんなに喰らい付いても、

 

 

 

 

 

何時しか、妖怪を軽々と圧倒出来るようになっても。

 

 

異変解決者として恥ずかしく無い実力を手に入れても。

 

 

 

 

 

あの『天才』には届かなかった。

 

 

 

 

 

 

それが、心残りで―

 

 

 

 

 

「……って、私は何を考えてるんだぜ? これじゃ走馬灯なんだぜ!?」

 

 

 

 

 

―心残りと言えば、『アイツ』は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『遠山キンジ』は何処に行った?

 

 

 

 

 

ある日、魔法の森を死人同然の状態で彷徨っていた、外来人。

 

何故かは分からないが、自分と似た力を感じた、同い年か、少し年上の少年。

 

トリガーは少々変わっているが、女性によって一気に強くなるという、物語の主人公のような能力を持っていた、武偵。

 

 

 

 

 

 

 

アイツは、今何処に―

 

 

 

 

 

「!?!? うわ、と、と、と、」

 

竜巻の側で見つけたから焦ったが、引き込まれた訳では無いらしい。

竜巻に拳を打ち込んでいた。

 

紅魔館の化物剣士や、天狗、聞いた話では、伝説の鬼とすら戦って、生き抜いた拳なら―

 

 

 

 

 

グォン、と、寺にある鐘を殴ったような鈍い音が聞こえる。

 

 

 

 

 

キンジの拳は、当たり前の様に弾かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

「―っ! 文! 起きるんだぜ!! キンジを助けに行かないと―」

 

瞬間、

 

 

魔力の爆発、としか表現出来ないような衝撃が走ると同時に、

 

 

 

 

 

―グワァァァッッッッッッッ!!!!

 

 

 

 

 

堅いものに、無理矢理穴を穿つような爆音が響き渡った。

 

 

 

 

 

「……は?」

 

 

見れば、キンジの右手が、

 

竜巻の風の流れに、突き刺さっていた。

 

「………は、ははは…………滅茶苦茶過ぎるんだぜ………

………?」

 

あそこまで行ったなら、後は楽勝、

そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

竜巻の中で、鮮血に塗れている右手が見えるまでは。

 

 

 

 

 

「アイツは霊夢クラスの天才だから、どうせなんだかんだで無事に帰ってくる」、そう思っていた。

 

 

 

アイツだって、霊夢だって、それこそ咲夜や上条だって『人間』なのに。

 

 

 

 

 

 

 

ふと、アイツの顔が見えた。

 

キョロキョロと、まるで飼い主を見失った子犬のように不安げな表情で、何かを探していた。

 

 

 

 

 

私のマスパの残留魔力をアイツの視線が辿り始めた頃、私はやっと、気がつけた。

 

 

 

 

 

 

 

……相手に対して、天才だとか、才能だとか、種族だとか、適当な言い訳を言って壁を作っていたのは、自分だったんじゃないか?

 

もちろん悔しいが、霊夢には、弾幕ごっこの才能があって。

 

アイツには、格闘や打撃の才能があって。

 

皆に、それぞれ多種多様な才能があって。

 

 

 

 

 

 

 

―それならそれでいいじゃないか。

 

私にだって、私が1番優れていることだってあるだろう。

 

 

何も、1つに拘る必要は無い。

 

 

 

人間も、妖怪も、1人では生きていけない生き物なのだから。

 

 

 

「……でも私は、今から死ぬんだよなぁ……。

冥界行き、ならいいな。 それならまた皆で、バカ騒ぎして―」

 

 

 

マスパに注ぎ込んでいた魔力が切れる。

 

せめて最後くらい、女の子らしくいたかったな。

今更あの男みたいな口調を直す気は無いが、せめて、アイツが私のことを―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side文

 

黄色い服のナニカの攻撃を受けて、気絶してから―

 

 

一瞬か、それともそれなりの時間が経ったのか、

 

イマイチ状況が把握出来ない状態で感じ取ることが出来たのは、暴力的なまでに強大だった暴風が、収まっていたことだった。

 

「…あやや。 となると此処は彼岸ですかねぇ?」

 

どっこいしょ、と上体を起こすと、

何が起きたのか想像もつかない程、デコボコになった地面が目に映った。

次いで、消耗しきった顔で、静かな寝息を立てている魔理沙。

最後に―

 

 

 

左手(・・)で銃を構えるキンジ。

 

 

 

「………あの世ですかね此処は? 私としては、せめて最期はカメラと運命を共にしたかったんですけど」

 

(バカ)は死んでも治らないってのはマジみたいだな。

―まだ死んでねえから安心しろ。

 

……向こうの気紛れで、が付くけどな」

 

寝惚け眼で銃口を辿ると―

 

 

 

 

 

あの、黄色い服のナニカが、佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ?…………―っっ!?!?」

 

一気に頭が覚醒する。

 

「え? ゑ?? ちょ、何でこうなったんですかさっきの竜巻どうしたんですか何で私の髪がカチコチになってるんですかて言うかキンジさん右手ぇぇぇぇえ!?!? す、すぷ、スプラぶぴッちょタん!?!?!?」

 

「…取り敢えず落ち着こうか」

 

此方には振り返らず、それでも若干の呆れが混じった声色で返事が帰ってくる。

 

「そ、それで、何というか、……………大丈夫なんですか?

 

 

 

―その右手」

 

「俺が今、それを1番聞きたい」

 

 

力無く垂れ下がった右腕は、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小石や硝子の破片、短い枝が至る所に突き刺さり、

パッと見何も刺さってない場所も、皮膚は大きく裂け、一部は白いナニカが露出し、

指なぞそれらしい出っ張りが在ればまだマシな方で、小指や中指などは、手の部分ごと吹っ飛んでいた。

 

 

「―、――、―!?!?」

 

「……スマン、何言ってるかサッパリ分からん。 取り敢えず、先ずは頭数が増える位は待ってくれたコイツをどうにかして斃し―」

 

 

 

 

 

スパァンッッ!!

 

 

「ッ!?――あ、文?」

 

「…………貴方という人間は、………」

 

 

 

 

気が付けば、彼の脳天をビンタしていた。

 

 

予想外の一撃を喰らった所為か、一瞬ビクッとし、

おそるおそる、此方に振り向いた。

 

 

「……貴方という人間は、自分の状態を理解しているんですか?

 

 

 

―今すぐ、何処か遠くへ逃げて下さい!! その腕、手遅れになりますよ!?!? 貴方、人間の癖して、自分がどれだけぶっ飛んだ面子に囲まれてると思ってるんですか!? 河童天狗果ては鬼の四天王の2人まで日頃から貴方のことを気にかけてるんですよ!?!? ホントアンタ何者ですかコレなら正体不明の四人目の四天王だって言われた方が納得出来ますよ!?! て言うか私の恋心返せ馬鹿阿保唐変木!!!ライバルのレベルが揃いも揃って高過ぎるわよこの鈍感!!! 兎に角アンタ人間、私妖怪!! アンダスタン?!? 分かったらとっとと魔理沙さん連れて霊夢さんなり永琳さんの所行ってくださいよまた顔面蹴り砕かれたいですか!?!?」

 

「」

 

「」

 

途中でトンデモナイことを口走った気がするが、自分でも何言ってるか分からないレベルで怒鳴りつけると、キンジさんどころか、その向こうにいるナニカまで絶句していた。

 

 

やがて、何を言われたか、意味を飲み込むことが出来たらしいキンジさんが、口を開いた。

 

 

「―そうだな。

 

 

 

 

 

 

 

それでも俺は戦うよ」

 

「はっ……!?」

 

拳を握り込む。

 

手加減され、不完全ながら防御していて、鬼の一撃に耐えるぶっ壊れ耐久とはいえ、妖怪の全力の一撃を眉間に叩き込んだら気絶する筈―

 

「な、なに、を、言って、」

 

 

 

 

 

「―俺は、文を守る。 勿論魔理沙も、山も、幻想郷も」

 

 

「き、綺麗事、を、」

 

「それになぁ―」

 

完全に呆れている口調で、私に、トドメの一撃を―

 

 

 

 

私自身がぶっ放した不発弾だと思っていたのを、そのままの威力で投げ返して(カタパルト)きたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―文の言う通り俺が鈍感だとしても、今みたいな言われかたしたら、ついつい希望を持って張り切っちまうのが男ってもんだよ」

 

「―へ?」

 

サッと冷えた頭が、ご丁寧にもさっき私が怒鳴った台詞の一部をリピートする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―て言うか私の恋心返せ馬鹿阿保唐変木!!!ライバルのレベルが揃いも揃って高過ぎるわよこの鈍感!!! ―

 

 

 

 

 

 

 

「あ―

 

ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああぁあぁあぁぁああああぁぁぁああああああ!?!?!?」

 

「お、おい、文!?」

 

「うーん……うるさごぶふぁ!?」

 

「―――――??」

 

頭を抱えて転げ回る。

途中で何か柔らかい者を下敷きにした気がするが、気にする余裕はない。

 

は、はず、恥ずかしい………!!

 

「殺せぇぇぇぇぇええ!! いっそ殺してぇぇぇぇえぇぇぇぇぇええ!?!?」

 

 

 

錯乱する私。

困惑するキンジ。

追撃を喰らって気絶した魔理沙。

呆然と立ち尽くす黄色いナニカ。

 

 

グッダグダのカオスがそこに広がっていた。

 

 

 

〜ブン屋発狂中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideキンジ

 

「えぇと………大丈夫か?」

 

「………はい…………お騒がせしました…………」

 

一通り絶叫して、過呼吸になって、落ち着いたのを見計らって声をかける。

 

ちなみに魔理沙は、ちょっと前に意識が戻っていて、ある程度作戦(・・)を伝えてある。

 

 

 

腕について、その時にも聞かれたが―

 

 

 

 

 

痛みは、無い。

それに、ここまで酷いとなると、感染症予防の為にも切断することを覚悟しておいた方がいいだろう。

 

そう割り切って、

 

 

 

――問題無いと、伝えた(嘘をついた)

 

 

 

 

 

さっきの文の台詞が冗談じゃなかったとしても、

 

 

魔理沙に対するこの妙なモヤモヤがなんだったにせよ、

 

 

 

 

 

 

 

ヤツは、黄色いナニカは止めないといけない。

 

それこそ、死ぬ気で。

 

 

 

例え死んだとしても、誰かを守る為に死んだのなら最低限は誇れるだろ。 不特定多数の人を救った兄さんには届かないだろうがな。

 

 

 

 

 

 

 

―さて、仕切り直しといこうか。

 

 

「待たせたな。 どういうつもりかは知らんが、遠慮なく利用させてもらうぞ」

 

 

俺たちの、作戦の準備が整う時間をくれた、その隙を。

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間―

 

 

 

ヤツの顔面目掛けて、『水の球』が突き刺さり、

 

 

 

そのフードを吹っ飛ばすだけだった。

 

 

「チッ、バランスの1つも崩れると思ったんだけどなッ!!」

 

タイミングよく文が騒いでる間―

 

『千里を見る程度の能力』で戦況を見ているだろう椛に伝言―文が気をひいてる隙に、にとりにヤツを狙撃出来る水球を発射する武器を造らせ、合図を出して狙撃してもらったのだ。

 

回避してもマトモに喰らっても、バランスが崩れると思っていたが―

まさか受け止めるとはな。

 

だが目眩し程度でも、攻勢に出るには充分―ッ!

 

 

 

 

 

 

 

だが、その顔を見た文の台詞で、

 

この攻撃のチャンスを潰さざるを得なかった。

 

 

「………はた、て?

 

―キンジさん!! その子、行方不明になった天狗の一人です!!」

 

「―ッ!? うぉ!?」

 

一瞬、スピードを緩めた瞬間、ノーモーションで放たれたカマイタチを躱し、後ろに下がる。

 

 

「…知り合いか?」

 

「ライバルの新聞記者で―

はたて、私です、射命丸文です!! 分からないんですか!?!?」

 

「―――――」

 

「取り憑かれてるのか……?!」

 

 

 

 

 

最大のチャンスは潰れた。

 

相手が女で、しかも文の友人なら、|ヒステリアモードの特性上《女性を傷つけたり、悲しませることが出来ない》、攻撃が難しくなった。

 

 

 

 

 

 

 

だが、これは、―

 

 

 

「……ん? アイツの首元がウネウネ動いてるように見えたのは、私の気のせいなんだぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

勝利(・・)への糸口が見えた瞬間だった。

 




前話の前書きで、2話に分けたと言ったな。
アレは嘘だ。

……マジですいません。区切りがいいところで、と考えたら、3話構成となりました。

…この話は丸々ノロケでしたが(RPG–7を構えながら)。

補足説明
ハスター:ニョグタ同様、取り憑いている。神降ろしに似た状況。
よって、本体に比べれば結構弱体化しています。
発狂はたて:SAN値直葬被害者その3。
犠牲になっていたことそのものは26話で分かっていた。
ウネウネ:ポチ(ショゴス)って便利だよね(2回目)。 リモコン受信部。
待つハスター:
ルルイエにて

クト「リア充爆発すべし」
ゆかりん「オイバカヤメロ」

そんなこんなで攻撃指令と停止指令が同時に出てました。
キンジの右腕:筋繊維血管神経全てグチャグチャ。 狂気神話の魔術も混じった怪我だから永琳でも完全に治すのはムリなレベル。
水球:にとり製狙撃銃(水鉄砲)
▽こうかは いまひとつ だ!


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43話 『不可能』を『可能』にする男

推奨BGM:『最速最高シャッターガール』
『恋色マスタースパーク』


―妖怪の山 麓

 

sideキンジ

 

―ビシィッ!!

 

「―――――!?」

 

 

放たれたカマイタチを弾幕弾き(ビリヤード)で防ぎながら、即席の作戦を立てる。

 

―魔理沙が気がついた、首筋の蠢く黒いヤツは、リグルからニョグタについて聞いた時に出てきた『ショゴス』というニョグタの小型版に見えなくもない。

何せ不定形なもんだから、特徴らしい特徴が、"黒いタールの様な生物"だけで、ハッキリ言って確かめようがない。

 

 

だが、アレがショゴスだとすると―

 

 

 

 

 

「魔理沙、後どれ位魔法が使える?」

 

「アレを炙るつもりなんだぜ?

……正直、1回持つか持たないかなんだぜ」

 

「ok、分かった」

 

 

 

コッチが戦う準備が整うのを待っていたと言わんばかりに、向こうも、―はたても、行動を再開する。

 

 

「―――――」

 

「あやっ!? 瞬間移動をどうにかしないと、そもそも攻撃すら出来ませんよ!?」

 

再度、虚空から連続でカマイタチが放たれる。

 

 

……カマイタチ?

 

 

 

 

 

 

 

――ッ!!

 

 

「文!! お前の能力って、『風を操る程度の能力』だったよな!?」

 

「だから何ですか!! 瞬間移動に風でどう勝てっていうんですか!!」

 

 

 

「―瞬間移動じゃない、ただ疾いだけだッ!! 風の流れに集中しろッ!!」

 

 

 

「え、えぇえ!?」と驚いている文を放置して、相手を

―特に、カマイタチが放たれた瞬間を見る。

 

速過ぎて、本人は全く見えないが、

 

 

 

―風に靡くツインテールなら、ギリギリ目で追える。

 

 

このスピードに、目を慣らせば―

 

 

 

 

 

「―そこかッ!!」

 

バスッ!

 

「―――――!?!?」

 

 

よし!

 

弾を当てられた(・・・・・・・)!!

 

 

このまま追い込めれば―

 

 

 

 

 

 

 

ガッッッッ―!!

 

 

 

 

 

「………は?」

 

突然、腹に異物感が生じる。

 

ふと、見下ろしてみれば、

 

 

 

 

 

 

 

撃墜した筈のビヤーキーが、噛み付いていた。

 

 

 

「―ッ!?!? わ、忘れてた……ッ!!」

 

 

状況は最悪。

 

コッチの勝利条件は、はたてを捕まえて、ショゴスを炙る。

 

だが確定では無い上に、捕まえる時点で、魔理沙は一度しか魔法を使えないから参加出来ず、文は相手の動きに翻弄されっぱなしだ。

そして俺もこのザマで、動けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―万事休す、八方塞がり。

 

 

 

トドメに、さっき腕一本犠牲にして霧散させた竜巻が、もう一度発生されようとしている。

 

 

 

 

 

―ここまで、なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―キンジさん。 諦めちゃ駄目です」

 

「……文?」

 

見れば、文が、何かを決意したよう、に―

 

「―1つだけ聞かせて下さい。

 

 

―貴方は、私のことを、魔理沙さんのことを、勇儀様や萃香様、椛のことを、どう思っていますか?」

 

「?……どういう意味だ?」

 

何で今、そんな事を―

 

 

「あやや、分かりにくかったですかね? なら言い方を変えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のこと―私たちのことが、好きですか?」

 

「っ―!? ちょ、文!? タイミングを考えるんだぜ!?」」

 

 

 

―今まで見たことの無い、真面目な顔で聞いてきた。

 

 

「……………」

 

「……………」

 

 

「……………」

 

「……………やっぱり、答えられませんよね。 すいません、忘れてくださ―

「俺は、好きだぞ」

 

―へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想入りしてから、色々とあった。

 

 

現実での悩みなんて「それがどうした?」と言わんばかりに吹っ飛ばされ。

 

 

物理法則その他諸々の常識も消し飛び。

 

 

数々の、空想でしかなかった存在と、戦って、笑って、―

 

 

 

 

 

―そんな世界が、そしてそこに住むメンツが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―楽しくない、好きじゃないワケねぇじゃねぇかッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「―さっきも言ったハズだぞ。

俺は、魔理沙も、文も、何もかも―

 

この『幻想』を、護りたいんだ」

 

「き、キンジ、さん……」

 

 

 

……うーん、感動してくれるのはいいんだが、ハラに腐りかけた干物(ビヤーキー)が噛り付いてる状態だと締まらんな。

 

 

 

 

 

 

 

……じゃあ、気合も入れなおしたところで―

 

「―反撃と行こうか……ッ!!」

 

文は黄色のナニカに突撃し―

 

魔理沙も、あらかじめ八桂炉に魔力を注ぎ始める。

 

俺は、空いてる左手を隙間に捻じ込んで、ビヤーキーの口を強引に開かせる。

 

 

血が足りない―なら魔力で代用。

 

激痛が走る―今更知るかッ!

 

 

 

「ひ―

 

ひ・ら・けェェェェェェェエエエッッッ!!!」

 

隙間が、広がっていく―

 

 

1センチ―

 

 

 

3センチ―

 

 

 

 

 

5センチ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10センチ―!!

 

 

これだけあれば十分だッ!!

 

出来た隙間にナイフを突っ込み、口内に突き刺してやる。

 

「―――――っっ!?!?!?

ギギギギギギイィィィィィィィィィィィィィイイイ!!!」

 

ガラスを擦るような不快音が響き渡るが、

これで、動けるッ!!

 

 

 

 

 

 

 

side文

 

―あの宣言、きっと私たちの想いには気がついて無いんでしょうね……

 

苦笑しながら、空を駆ける。

 

 

目指すは、超巨大竜巻―

 

 

―では無く、敵本体。

 

向こうも気がついてるらしく、竜巻はそのままで、顔をこちらに向けている。

 

 

「あやや、一応挨拶はしておきますか?」

 

「―――――」

 

「……だんまりと。 そもそも喋れないんですかねぇ、おおあわれあわれ」

 

「―――――」

 

 

目下最大の問題は、あの竜巻。

 

今の規模なら、まだギリギリ私の能力でも打ち消せる。

 

なら私がやるべきことは―

 

 

 

「あやや、ひょっとして言葉も理解出来ないんですか。 力に傾倒してオツムが追いついていないとは、さぞかし不便でしょうねぇ?」

 

「―――――」

 

 

煽って、煽って、煽りまくって、あの竜巻の制御を手放させること―!!

 

 

「―――――ァ」

 

「あれー? 何言ってるか全然聞こえませんよ―? ひょっとしてアレですか、そんな身体に悪そうなモン首に巻いてるから声すらロクに出ないんですか。 察せず失礼しましたぁ」

 

「―――――ォォ」

 

 

風の流れが乱れた……!

 

あと、もう一押し!!

 

 

「それとも何ですか? 折角天狗なんていう高等種族に憑依出来たのに、貴方自身もオツムが弱いんですかねぇ、おおゆかいゆかい」

 

「――ォ―rォ―s――……

 

kor―――ウ!!」

 

 

パァァァアンっっっ!!

 

 

「っ―!? そ、そうこなくっちゃぁ!!」

 

 

冒涜的な威圧感を叩きつけられ、一瞬怯みましたが……

 

どうやら、運は私たちに向いているようです。

 

 

 

 

 

あの竜巻、勝手に潰れてくれましたよ!!

 

 

「―――――!!」

 

「っ! そこぉ!!」

 

瞬間移動も、相手がブチ切れてるお陰か、直線的―

 

しかも―

 

 

 

「……そうですか。 風の神性でしたか」

 

「―――――」

 

 

竜巻、カマイタチ、高速移動。

 

 

もう、流れは掴めました―

 

 

 

 

 

「ここから先はずっと、私の、私たちの番です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―幻想郷を、『風神少女()』をナメるなっっ!!!」

 

 

相手が加速する。

 

スーパースローの視界の中で捉えた狙いは、左脇。

 

回避と同時にフードを掴んで、下に放り、

追撃でひざ蹴りを叩き込む。

 

「―――――!?」

 

「―まだまだぁ!!」

 

そのまま腹部を殴り飛ばし、トドメに一回転しながらの踵落としを肩に叩き込む。

 

やった、勝ったっ!!

 

 

「―――――!?!?!?」

 

「―っ!? なっ―」

 

 

はたての身体から力が抜けると同時に、首筋の黒い水―ショゴスが襲い掛かってくる。

 

この距離だと、逃げられない―!!

 

咄嗟に身構え―

 

 

 

 

 

 

 

「―お疲れ、文。 後は任せてくれ」

 

 

―ボコボコの右腕でショゴスを受け止めたキンジが、いた。

 

 

 

 

 

 

 

side魔理沙

 

魔力―充分溜まった。

 

ターゲット―キンジが捕まえたのを弾き飛ばして、浮遊中。

 

そして、何よりも―

 

 

 

 

 

「「…ラストスペル―」」

 

 

八桂炉の中心に、火がつく。

 

ベレッタのトリガーが、引かれる。

 

 

 

 

 

 

 

そう―

 

キンジも手伝ってくれる。

 

それだけで、力が溢れてくる。

 

 

 

さぁ、ショゴス―

 

 

もう回避もガードも、誰かに取り憑くこともさせないぜ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「―『ファイナルマスタースパーク 炎』!!!」」

 

 

 

ゴッッッッッッ―――

 

「―t―k―r―r――!?!?!?」

 

 

火の属性魔法を即席で編み込んだ魔砲。

 

それが、ショゴスを焼き尽くしていく。

 

 

 

「「これで………これで終わりだぁぁぁぁぁぁあああああっっ!!!」」

 

「―――――リ――リリ―――………」

 

ショゴスが、次第に小さく、萎びていく。

 

 

 

 

 

 

 

そして、私たちの魔力が底をついた時には―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショゴスは、ただの黒い炭と化していた。

 

 

 

 

 

 

 

「……勝った、んだぜ?」

 

「……ああ。

 

俺たちの勝ち、だ―」

 

 

―ドサッ

 

 

「…キンジ?」

 

私たちの勝ちが、決まった瞬間。

 

限界をぶっちぎっていたらしいキンジが、倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―????

 

sideキンジ

 

「…………ここは、何処だ?」

 

気がついたら、戦いが終わった直後の格好のまま、知らない場所に立っていた。

周りには、正しく星の数程の本や石板があり、それが仕舞われている棚ですら頂上が見えなかった。

 

そして、なにより―

 

「大量の本に……この魔力や霊力は、本から溢れてるのか?」

 

一瞬ヴワル図書館の可能性を考えたが、あそこは上質な絨毯を敷いてる。 剥き出しの、何の種類か見当もつかない堅い材質の床ではない。

 

 

 

始めての場所を、警戒しながら歩いていくと―

 

 

 

 

【……オマエハ、人間、カ? キンジトオヤマ】

 

「―ッ!?」

 

突然、目の前に黄色のコートが現れた。

身長は3メートル程もあり、顔の部分には、何の飾りも無い、目の部分だけが空いている仮面を被っていた。

 

……コートや仮面の隙間を見るに、中身は不可視の存在のようだが。

 

「……そういうお前は誰だ? そのコート―さっきまで俺たちが戦っていたヤツと、何か関係があるのか?」

 

【……………オマエハ、人間、カ? キンジトオヤマ】

 

……堂々巡りになりそうだな。

 

[……ただの魔法使いだよ。 ちょっと常識がぶっ壊される、綺麗な所のな」

 

【…………………オマエハ、フシギ、ダ。 マルデ、アノカタト、共ニイルヨウナ、気ニナル】

 

「どういう意味だ?」

 

【オマエガ知ル必要ハナイ】

 

質問をばっさり切り捨てた後、仮面を近づけてジロジロと観察してくる。

 

………なんかハリポタの吸魂鬼みたいだな、こいつ。 色もサイズも違うケド。

 

 

【………人アラザル者ヨ。

「人間だって言ってるだろ」

………人間ヨ。

 

 

オマエハ、ナゼ戦ッタ?】

 

 

「………は?」

 

【……人間ハ、己ノ利益ノ目的、カ、己ノ命ヲ優先スル、ト、聞ク。

腕ヲ犠牲二シテマデ、オマエハ、ナゼ戦ッタ? キンジトオヤマ。

オマエガ守ルハズデアル運命ノ存在ハ、マダ、オマエノモトニハイナイ、トイウノニ】

 

「……俺が護る筈の存在がまだいない?

 

 

 

―いい加減にしろ」

 

 

こいつ、さっきっから聞いてれば―

 

 

 

 

 

「……アンタ、さっきっから何様のつもりだ?

俺が護る筈の存在を、どうしてお前に決められなくちゃいけないんだ。

利益が無きゃ、自分の命がかかってなきゃ、戦っちゃいけないのかよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―誰かの為に戦うのに、自分の利益やらなんやらは関係無いだろ。

誰かを護る―幸せにする為に、戦う。

これは、俺の意思だ。 俺は、俺自身の意思で戦った。

その結果で腕が吹っ飛ぼうが、死のうが、知ったことじゃ無い」

 

【……………理解、出来ヌ。

 

 

 

 

 

―ダガ、オモシロイ】

 

「……はぁ?」

 

音も無く、コートの裾が上がっていく。

手に相当する場所には、3つのクエスチョンマークが、点の部分を内側にして円状に並んでいるマークが彫られた物が握られていた。

 

【………持ッテイケ、キンジトオヤマ。 仮ニモ我ヲ除ケタノダ。 オマエニハ、資格ガアル】

 

「………」

 

そのナニカを、受け取る。

 

持った質感はただの石に近い―いや。

物はただの石コロだ。 問題は、彫られた印。

この印そのものに、トチ狂った量のエネルギーが凝縮されてやがる……ッ!?

 

「お、オイ!? 何だこれ!?」

 

【………『黄衣の印』。 我ヲ指シ示ス紋様。

ソノ印ガオマエト共ニアル限リ、オマエニハ我ガイル】

 

「全力で返品するぜ」

 

【出来ヌ相談ダナ】

 

笑っているのか、肩の部分を震わせている。

 

【………サア、モウ行ケ。 オマエガ護ルト定メタ者達ガ、オマエノ帰リヲ待ッテイル】

 

「…ご丁寧にどうも」

 

振り向くと、光が溢れ出ているトンネルがあった。

ここを通れってことなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

その光の中で―

 

【―オマエノ問イニ応エヨウ。

我ガ名ハ、『ハスター』。

大イナル『風』ヲ司ル、神デアル。

 

……キンジトオヤマ。 人間ノ枠ニ収マリキラヌ者ヨ。 自分ノ想イヲ突キ通シテミセヨ。

…決シテ迷ウナ。 オマエガ護ルベキ存在ヲ、見失ウナ】

 

「……言われるまでもねぇ」

 

確かに、アイツ(ハスター)の声を聞いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―妖怪の山 麓

 

「―ジ! 死んじゃダメなんだぜ!! キンジ!! キンジ!!!」

 

「…………ぐッ、―う……?」

 

目を覚ますと―元の妖怪の山だった。

 

「キンジ!! 目が覚めたんだぜ?!?!」

 

「!? おぐぅ!?!?」

 

き、きゅ、急に抱きついて来―

 

「ちょ、おい、魔理沙!?

―?」

 

「………た」

 

? ボソボソと、何か呟い、て―

 

 

 

 

 

 

 

「―本当に、生きててよかった…!」

 

 

 

 

 

 

 

「…あー、おう。 心配、させて悪かったな」

 

……き、気まずい。

 

前の世界で徹底して女を避けてたから、こんな時どうすればいいか分からんし―

 

 

 

 

 

「いや〜、おあついね〜。

そういう時は頭を撫でてやる位はしてやれよ〜」

 

…!? この声、は―

 

「伊吹、萃香―ッ!?」

 

「久し振り〜」

 

酔っ払った幼女―にしか見えない、鬼がいた。

 

 

「……地底に帰ったんじゃなかったのかよ?」

 

「地上から馬鹿デカイ気配を感じたから、『疎』で隠れられる私が見に来たんだよ〜。

……出てきた先で元に戻れないほど猛烈な竜巻に巻き込まれた時には酔いが醒める程驚いたけど」

 

「……よく復活できたな」

 

「へへへ、鬼の四天王だからね。 あの程度で死ぬ程ヤワじゃないよ。

 

……ところで、右手の調子はどうだい?」

 

「? 右手の調子?」

 

さっきから違和感は感じるが、あのズダボロっぷりだから気にして―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんで傷一つないの???

 

ていうか体に、少ないけど魔力とは別の流れがあるんですが??

 

「………俺が気絶してる間に何があった?」

 

「…えっと、それはですね……」

 

言いづらそうに応えるのは文。

萃香は何故かニヤついている。

 

 

「―腕、なんですが。 どう見ても手遅れな状態でして………

 

 

―完全に切断して、移植、したんですよね……」

 

「……誰のをだ? 」

 

 

ゆっくりと指指した先は―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酔っ払い幼女(萃香)だった。

 

 

「……………は!?!?!?」

 

「いや〜、最初はイッペンバラし()てから戻せば行けると思ったんだけど、タダの怪我じゃなくて呪いか何かが蝕んでたっぽくてね。

あーコレダメなやつだっつって、私の腕をそっちのブッた切った切れ目ごと疎密を弄ってくっつけたんだよ。

も〜あんな細かい操作すんのはヤダからね〜」

 

「………へ? じゃあ今お前に生えてる腕は?」

 

萃香のやつ、普通に右手で酒呑んでるよな?!

 

「私の能力は、『疎密を操る程度の能力』だぞ〜。 私自身をちょっと薄くして、腕を一気に再生させたんだよ。 鬼は、環境と妖力量によっちゃあ首だけからでも全身再生出来るからね〜」

 

「」

 

……ホントに生物なのかよ、鬼って。

 

 

「―キンジさん、迷いの竹林の方も片付いたみたいですし、霊夢さんと合流しましょう」

 

「それもそうだな。

 

 

………魔力カラで飛べないけど」

 

「……あー、私もなんだぜ。 回復剤もニョグタとの戦闘で使い切ってるし」

 

………オゥ。

 

 

 

 

 

「……ところで、アレなんだい? 見たこと無い奴だけど」

 

ヤベェどうしようと悩んでいると、萃香が聞いてきた。

なんだよ今忙し

 

「ギィィ」

 

 

「」

 

「」

 

「」

 

……見覚えのある石コロをカギ爪に持ったビヤーキーが、こっちを見つめていた。

 

「………使えるモンは使っとくか」

 

何故かは知らんし考えたく無いが、どうやら友好的みたいだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ちなみに、黄衣の印を受け取った瞬間、消えたと思ったら、魔力と妖力(文が教えてくれた)が一気に増えた。 ついでに神力の類もあったらしいが、合わなかったらしくちょっとしか増えなかった。

 

……イヤこんなにいらないんですけど!? 勢い余って魔理沙たちまで全快してるし!

返品に対して出来ぬ相談って、こういうことかよあの野郎(ハスター)ッッ!?!?

 

 

 

 

 




補足説明
黄衣の印:そこまでチートアイテムではない。 魔力その他回復作用はハスターの気分次第。
風の操作能力等ナシ。
ビヤーキーを呼び出せるが、黄金の蜂蜜酒+呪文での召喚と違い、呼び出すだけ。 場合によってはそのまま襲われる。
破棄、解呪不可。
ぶっちゃけ棄てられないだけのマジックアイテム。 ほぼ使い道ナシ。
鬼の腕:やったねキンちゃん! あと一息で名実共に人間辞められるよ!
キンジ「オイバカヤメロ」


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44話 生ける炎

 

―迷いの竹林

 

sideキリト

 

「―やはり死んでるわね。 それも、同じ死因で」

 

「………また(・・)、か」

 

 

迷いの竹林に入ってから10分と経たず、オレたちの視界には、異様な光景が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深き者と思われるソレが、炭化するまで徹底的に、焼き尽くされていたのだ。

 

パッと見では人と区別が出来ないほど焼き焦がされ、永琳が調べて、人間には無い器官が見つかったことで、深き者だと分かった。

 

 

 

 

 

……てゐ製のトラップで気絶していた個体もいたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

奥に行けば行くほど、そんな死体が増えていく。

 

 

 

 

 

―奥に行けば行く程に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…師匠。 これって、」

 

「迷いなく永遠亭に向かってるわね。

………とすると、この死体の山を生み出したのは、間違いなく藤原妹紅ね。 竹林そのものへの被害が少ないのも、彼女がやったのなら説明がつくわ」

 

「……ならいいわね」

 

永琳の予想に対し、生返事の輝夜。

 

……そういえば、その藤原って人は、『腐食の女』に操られてたんだよな。

 

 

 

「……」

 

「…キリト、貴方が憤る必要は無いわ。 発見して、取り返せばいいだけなのだから」

 

「……分かってる、大丈夫だ。

それよりレミリアこそ大丈夫なのか? 日光とか」

 

傘をさしていないレミリアに声をかける。

フランもそうだけど、吸血鬼が日光に弱いって設定何処行った?

 

「パチェに障壁を張ってもらってるわ。 戦闘になったら話は別として、ただ移動するだけならこれで充分よ」

 

「ならいいんだが……」

 

チラッと美鈴を見る。

 

パチュリーと輝夜(引きこもり)を背負って、汗を流していた。

 

 

「………」

 

……オレも手伝おうとしたら何故か止められた。

永琳は忙しいし、鈴仙と咲夜は体格的に少し辛いし、レミリアとフランは寧ろ背負われる側だし。

 

まぁ、その………頑張って下さい。

 

 

 

 

 

〜吸血鬼妹従者門番曜日剣士賢者月兎姫移動中〜

 

 

 

 

 

 

 

「―そろそろ永遠亭に着くわ。 準備しなさい」

 

竹林を進み―

焼死体が途中から見当たらなくなり、しばらくして、竹の隙間に建物がチラッと見える位置で、永琳が言った。

 

「オレは準備オーケーだ。 皆は?」

 

魔強化されたエリュシデータと、紅い剣を引き抜く。

 

それを合図に、槍が、大剣が、ナイフが、魔導書が、銃器が、展開される。

 

 

「…姫様。 もう少しですから」

 

「……私は大丈夫よ。 いっつも殺しあってるんだから………今回も、その延長みたいなものよ。

 

―さあ、行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―永遠亭 前

 

 

「―やっと来たか。 思ったより遅かったな」

 

 

永遠亭の前には、1人の女の人がいた。

タバコを咥え、手に黒いボール状の物体を転がしているのは―

 

 

「……妹紅。 貴女、正気なの?」

 

…あの人が、藤原妹紅、か。

 

 

なんというか……元の世界でいうヤンキーみたいな人だな。 目つき悪いし。

 

 

 

「あ? 正気? ……正気に決まってるだろ。 何時までもあんなふざけたヤローの言いなりになんかなるかよ。 ヒトの頭ん中でテケリリテケリリうるさかった奴もぶちのめしてあるし。

寧ろ今は良い気分だ」

 

ゴッ―

 

「――――?!?!」

 

 

手にしていたボールに火がついた瞬間、断末魔が響き渡る。

 

その絶叫は数秒続き、最後はただの炭と化した。

 

 

「……今のは、一体、」

 

「ん? 誰だいアンタ?

……まあいいか。 今土に還したのはショゴスっつって、頭ん中に入り込んで来て身体の支配権乗っ取る奴だ。 コイツだけなら大したことないんだけど、妙にしぶといもんだから、取り除くのに手間取ったんだ」

 

「」

 

……ショゴスって、アレだよな?

さっきボコボコにされて、藍さんから強制退場させられた、土の神性の小型版みたいな奴だよな?

 

…相性の問題もあったんだろうが、瞬殺されすぎだろ。

 

ま、戦闘の必要が無くなったならいいか―

 

「…そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―それで、妹紅に憑いている貴方は誰?」

 

「……オイオイ、私は正真正銘の藤原妹紅だぞ」

 

「そ、そうですよ。 波長も、いつもの妹紅さんですよ」

 

輝夜は、真っ直ぐに、正面から妹紅を見つめて、

 

「……私は、もう何回も妹紅と殺し合ってるわ。 自分の目の前にいるのが、妹紅か、それ以外か位の見分けは着くわ」

 

断言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM:『旧支配者のキャロル』

 

 

 

 

 

【「―ほぅ。 流石は月の姫。 聞いていた通りの娘だったな」】

 

『『―!?!?』』

 

一気に、気配が変わる。

 

ガラの悪い人、だったのが、

アインクラッドのクオーターボスクラス―

 

 

―いや、違う。 そんなかわいいものじゃない。

 

 

 

 

 

もっと邪悪で、冒涜的で、おぞましい『ナニカ』に―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【「―やはりこの娘の躰は我と相性が良い。 あのクズに召喚され、この躰に押し込まれた時は、同盟を結んでいた風の神性共々嘆いたものだが―

まさか我の力に頼らず、己自身の力のみでクズ共の支配から逃れたのだからな」】

 

 

酷く歪んだ笑顔で、語る。

 

 

「……じゃあ、妹紅は勝ったのね」

 

【「いかにも。 貴様らが敵対している水の神性には打ち勝った。

その後この場に逃げ込み、そこで初めて我に気がついた……」】

 

 

ナニカは、笑い続ける。

 

 

【「我にとっても、初めての経験だった! 何かを焼き滅ぼす以外の為に我に力を求めた者は!!

……我はこの娘に力を与えた。

月の姫よ。 この娘が我に何を願ったか知っているか?」】

 

「私を抹殺する力でしょ? そんな分かりきったこと、今更―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【「―この娘は、貴様に命の尊さを理解することを求めたのだ!!!」】

 

「…………え?」

 

輝夜の顔が、驚愕の一色に染まる。

 

 

【「…確かに、我の力があれば、所詮人のたどり着いた不老不死如き、魂ごと焼却し、葬り去ることが出来る。

この娘は、それを知った上で、貴様の完全な死を望まなかった。

 

 

 

……月の姫。 貴様は、この娘の父を死に追いやった時の、この娘の気を理解出来るか? あれ程の憤怒……それも数百年に渡って、あの激情を維持し続ける程の―

 

 

 

貴様に理解出来るか?」】

 

「……………」

 

輝夜は、完全に黙り込んでしまう。

 

【「……だからこそ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―我は貴様らを、一滴の血も残さぬよう焼き尽くしてやろう」】

 

『『……へ??』』

 

ちょ、今までの命の尊さうんぬんはどこ行った!?

 

【「本来なら今すぐにでも我の封印を解き、土のクズ共を滅却しなければならないが……………

さっきも言ったが、我は今気分がいい(・・・・・)。 手加減してやるから精々足掻け、下等種族」】

 

宣言した瞬間、妹紅の身体が炎に包まれる。

 

同時に、ニョグタとは比較にならないほど強烈な圧迫感が全身を覆う。

 

 

【「……我は炎の神性、『クトゥグア』。

旧支配者最強の邪神の力の前に、ひれ伏し、恐怖し、無様に命乞いをするがいい!!」】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―vs

 

 

―【生ける炎】―

 

 

 

―【クトゥグア】―

 

 

 

 

 

「―来るぞっ! 全員避けろっ!!」

 

ゴウッッッッ!!

 

クトゥグアの突き出した掌から、真っ直ぐに火柱が延びる。

 

「ちっ―」

 

永琳が矢を放ち、追随するように咲夜のナイフがクトゥグアに迫る。

 

が―

 

 

ボッ!

 

「なっ!? 一瞬で!?」

 

その全てが途中で炎上、消滅した。

 

 

「火を消すには、冷やすのが一番手っ取り早いわよ!」

 

パチュリーが、スペカとは別の呪文を唱える。

 

 

「物体を焼くことは出来ても―

―エネルギー塊はどうかしら!!」

 

レミリアの右手に、槍状のエネルギーが凝縮される。

 

 

「さっきは失敗しましたが……

今度こそ!!」

 

鈴仙が、相手と目を合わせる。

 

その3人に対し、

 

【「……邪魔だ」】

 

ポツリと呟いただけで、

 

 

 

ゴッッッッッッッッ!!

 

 

さっきまで3人のいた場所に、大爆発が起き、一撃でボロボロになる。

 

 

 

「きゅっとして―」

 

【「……させる訳なかろう」】

 

今度は、腕が振り下ろされる。

 

その動きに合わせ、人間大の火球が発射される。

 

「妹様!?

―ガッ?!!」

 

咄嗟に美鈴が庇ったが、2人揃って竹林に吹き飛ばされる。

 

 

 

「……クトゥグア。

お前を、許さない!!」

 

エリュシデータを後ろに引き絞る。

 

「―『ヴォーパルストライク』!!」

 

発生させたのは、重単発突進突き。

 

 

そのソードスキルが、

 

 

 

 

 

あっさり奴の身体に突き刺さった。

 

「―な!?!?」

 

咄嗟に引き抜こうとするが―

 

【「……おやおや。乙女の柔肌を傷つけておきながら、何もなしか?」】

 

剣が更に深く刺さることを無視して、奴がオレの首を鷲掴み、放り投げる方が速かった。

 

「ぐっ……ゲホッ、ゴホッ!」

 

どういうことだ……確かに突き刺さった筈………

 

【「……調子を試す為にワザと焼壁を解除したが………

成る程。 この不老不死、貴様ら程度を相手取るには充分過ぎるようだな」】

 

そう言いながら、突き刺さったままのエリュシデータを引き抜き、へし折った。

 

 

さらに、傷口が、燃え上がって―

 

塞がった、だと……?!?!

 

 

 

 

【「………飽きた。 終わりにしようか―」】

 

言うと同時に、腕を水平に払う。

 

 

その軌道に沿って発生した、黒い線が、オレたちを貫いて―

 

 

 

 

 





補足説明
クトゥグア:単純な戦闘力なら旧支配者最強クラス。 原典でも解釈によっては、『外なる神』を眷属扱い出来るほど。
エリュシデータ:あっさり折られる。 多分出番はもうナイ。
エリュシデータ「解せぬ」
妹紅の想い:同じ『永遠』の檻に閉じ込められた2人なんだから、仲良く出来る妥協点があってもいいんじゃないかと考えたうp主のオリ設定。
…どっかの脳ミソ爆薬野郎が滅茶苦茶にしかけてるけど。


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45話 デッドエンド

今更ですが、キャラへの
暴力・狂気
の描写が存在します。

ここまで読んでくださった方には今更でしょうが、一応念のため。



―永遠亭前

 

sideキリト

 

謎の黒い線が、ガードも虚しくオレたちを貫き―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………何とも、無い?

 

 

【「……ふむ。 下等種族。貴様、運はいいらしいな。

 

……もっとも、幸運か不運かで言えば、間違いなく不運だろうが」】

 

「は? どういう意味、だ―」

 

周りを見渡し、絶句した。

 

 

 

 

 

「―クトゥグア。 テメェ、何をした?」

 

【「……何をした、か。 人間とは時々変わった事を聞くな」】

 

「はぐらかすなっっ!!」

 

オレの視界には、―

 

 

 

 

 

 

 

一言で表すなら、『絶望』が、広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初から…………勝てる訳が、無かったのよ…………あは、はは、は……」

 

その場で座り込み、涙しながらレミリアが、

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ―」

 

頭を抱え、呟き続ける永琳が、

 

 

「!?……一体どうなって……お嬢様!? 妹様!? キリト!? 何処ですか―イタッ!」

 

まるで、目も耳も利いてないような様子の咲夜が、

 

 

「……そうだ……因幡………また変な罠仕掛けて………待ちなさい……何処行ったのよ……」

 

違う光景が見えてるような鈴仙が、

 

 

「来ないで………何で………貴方は、死んだ筈…………私を、殺しに来た、の…………?」

 

虚空を見つめて、呆然としているパチュリーが、

 

 

「―ぁ…………ぃ……こ……ぇ」

 

震えのあまり、呼吸すら満足に出来ていない輝夜が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もう一度だけ聞く。

 

皆に、何をした?」

 

【「……我は、思い知らせてやっただけだ。

絶対的な力の差を。

 

圧倒的な、

狂気を、恐怖を、苦痛を、悲嘆を、絶望を、―

 

 

 

……下等種族。 貴様が、終焉を拒むなら、

 

 

―我自らが終わらせてやろう」】

 

そう言って、両腕を振り上げる。

 

 

ゴウッッッッ!!

 

 

 

「なっ!?」

 

発生したのは、炎のドーム。

 

高温が、身体を蝕む………

 

 

 

 

 

―違う。 それだけじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―息が、苦しい………

 

 

【「……哀れな下等種族。 酸素を失うだけで満足に動けなくなるのか」】

 

すぐ近くから、奴の声が聞こえる。

 

 

…が、 もう、意識が……

 

 

目の前、が、真っくら、に―

 

 

 

【「……安心しろ。 他の奴らもすぐに後を追わせてやる。

何も出来ぬまま、焼け落ちるがいい」】

 

 

 

ぼーっとしてきたあたまで、こえをおう。

 

 

 

 

 

だれもいなかったが、なぜか、そこらじゅうに、いろんないろのたまがみえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのひとつに、だれかにあやつられるように、けんをふりおろし―

 

 

 

 

 

キンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

【「?!?!?! ば、馬鹿な……

下等種族、どうやってドームを破壊した!?」】

 

周りを見る、と、そこはさっきと同じ、迷いの竹林だった。

 

 

……酸欠で、頭が朦朧とする。

 

 

……満遍なく焼かれたせいで、指先を動かしただけで、激痛が走る。

 

 

【「……今の力………まるで、あの方…………だが、奴が認めた人間は、幻夢境(ドリームランド)で朽ちたはず………

 

―……認めぬ。

貴様の如き餓鬼が、あの方の加護を受けるなどあり得ない!!」】

 

 

 

掌が前に突き出され、火柱が真っ直ぐにオレを消し飛ばそうとする。

 

……今度こそ、オレ、死ん―

 

 

 

 

 

 

 

「―禁忌『レーヴァテイン』!!」

 

 

ゴォォウゥオォォォッッッ!!!

 

 

【「……このクソ餓鬼が、」】

 

「ガキじゃないもん!! 495歳だもん!!」

 

 

「―ふ、フラ、ン。 駄目だ……」

 

 

幾ら吸血鬼と言えど、あの邪神には………勝てない。

 

せめて………せめて、フランだけでも、逃がさない、と―

 

 

「……フラン――グハッ?!?!」

 

ふと見れば、自分自身の腹に剣を突き立てていた。

 

 

―だが、不思議と、オレの弱気な心が消えた。

 

一体どうなって―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アハハ、お兄様ぁ♪

ワタシとアソンデくれないうちにコワレちゃうの?』

 

「!?!?!? この声は、

 

ユナ、なのか……?!」

 

でも一体、どうして……

 

ユナの声が、今、聞こえるんだ?!

 

『ウーン、ワタシは『フランドール』の別れた魂なんだから、そのキズナをキュットシテドカーン(破壊)すれば、他の人にも入り込めると思ったの♪』

 

「……消える可能性があったんだから、今度からはやめろよ?」

 

……さっき一瞬見えた球は、『目』だったのか。

 

 

『………え、今ここでプロポーズ? イエーイワタシの勝ちー!!』

 

「なんでそうなる」

 

つまり、さっきの剣は、オレの弱気な心を破壊したってことでいいだろう。

 

 

 

そうだ、戦況は今、どうなって―

 

『…あーこれ、憑依先間違えちゃったかな?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side美鈴

 

―妹様を庇って、竹林に逆戻りして―

 

結果としては、ラッキーだったのでしょう。

 

 

「……もう………無理、無理なのよぉ……」

 

「ちょ、お姉様!? どうしちゃったの!?!?」

 

氣の流れが狂っているお嬢様たちを、妹様に任せる。

 

キリトさんへの一撃こそ、妹様が防ぎましたが―

 

 

……この邪神の相手は、フラン様には荷が重すぎる。

 

 

【「……貴様と似た気配を感じたことがある。

…どこかであったか?」】

 

「いえ。 初めましてですよ」

 

考え込む仕草をしていますが……

 

超高温の焼壁があって、攻撃出来ませんね。

 

 

 

【「……思い出した。 古き時代の戦いで、旧神どもに力を貸した連中に似ている。

……貴様は、あの時の個体なのか?」】

 

「…私はただの門番ですよ。 昔も、今も、この先も」

 

この邪神の攻撃―氣の流れを狂わせる以外は、全て炎を使った攻撃です。

 

なら、私なら身代わりになれる。

 

 

……傷つくのは、

 

 

 

 

 

―力があるのに、フラン様の狂気を放置していた、私が、多分、唯一出来る償いだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideフラン

 

どうしよう……

 

どうしよう、どうしよう!?!?

 

「美鈴が……美鈴が死んじゃう!!」

 

 

美鈴に言われた通りに、様子のおかしいお姉様たちを遠ざけて(うどんげは抵抗してきたから気絶させた)、戻って来たら―

 

 

美鈴が、アイツの攻撃を受け止めることしか出来ていなかった。

 

なんで!?!? 美鈴なら、あの程度簡単に―

 

 

「い、もうと、様。 後、キリトさんを、頼み……ます」

 

 

え? キリト―

 

 

あ!! 美鈴の後ろにいた!?

 

 

い、今すぐ助けないと―

 

 

 

ビッ―

 

 

 

「……え?」

 

急に、身体が冷える。

 

 

周りを見る、と、青い人魂みたいなのが、白いレーザーを撃ってきて―

 

 

ビッ―

 

「!? キャァァァ!!」

 

私の身体の一部が凍らされて、地面に墜ちる。

 

 

【「……よくやった、アフーム=ザー」】

 

「…!? あ、貴女という奴は……!!」

 

 

アイツの掌に、火球が生み出される。

 

【「……今度こそ、塵1つ残さず消し飛べ」】

 

 

動けない私に、どう動くか迷った美鈴に、火球が、迫る。

 

 

……私、ここで死んじゃうのかな?

 

 

……でも、美鈴やキリトと一緒なら、きっと何処に行っても楽しいよね。

 

ゆっくり、目を閉じ―

 

 

 

 

 

 

 

ドッ―――ゴォォォォォォン…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

…………

 

…………………?

 

あったかいな……誰かに、優しく抱きしめられてるみたいで。

でもちょっと重いかな?

 

……目を開ける、と―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前ら、無事、か?」

 

全身煤と血でボロボロになったキリトが、私と美鈴を地面に倒して、覆いかぶさっていた。

 

「……え? キリト、さん……冗談、ですよね?」

 

「…ワリィ、美鈴。

無理なのを承知で頼む……もし、オレの世界の連中に会うことがあれば―

 

……また会おうって約束、果たせなくて、ごめんって―」

 

キリトの全身から力が抜ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ねぇ、起きてよ。 まだアイツ……斃せてないよ?

 

こんな所で寝ると、風邪引いちゃうよ?」

 

 

 

 

 

……当然、返事は返ってこない。

 

 

頭では分かってるのに、

 

心が、事実を、認めてくれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、きっと私への罰だ。

 

今まで、何人も、何人も、何人も、

 

壊して、壊して、壊し続けて来た私への。

 

 

 

私が殺してきた人たちの仲間も、きっと、今の私と同じ苦しみを味わってきたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―なら、せめて、

 

 

 

 

 

…気がつけば、私は、

 

 

 

 

 

―私自身の手で、

 

 

 

 

 

…キリトの『目』を、

 

 

 

 

 

 

 

「―きゅっとして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どかーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side美鈴

 

【「……貴様らは、変わっている。

絶対的な力の差があるにも拘らず、互いを同格のように扱う。

 

…なぜだ?」】

 

「………」

 

 

……キリトさん。 すいません。

 

奴の言葉にだって、貴方なら「仲間だからだ」の一言くらい、簡単に言い返せるんでしょうけど、

 

 

……私は、『家族』に囚われ過ぎたせいで、貴方を、見殺しにしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―だから。

 

私はもう、迷わない。

 

 

 

【「……心が壊れた、か? 相変わらず下等種族は、あらゆる面で雑魚でしかな―?!?!?!」】

 

焼壁を膝蹴りで叩き壊し、そのままの勢いで、掌底を当て、即席で練った氣を炸裂させる。

 

 

「―これは、咲夜さんの分」

 

 

動揺する奴の背後に最高速度で回りこみ、足を払い、バランスが崩れた隙に襟を掴んで真上に投げとばし、落ちてきた所にさらに蹴りをねじ込む。

 

 

【「――うご!?!?」】

 

「―これは、パチュリー様の分」

 

 

顔面を掴み地面に叩きつけ、そのまま氣を爆発させる。

思い出したように炎が私を襲うが、皮膚に火傷1つつけることができない。

 

【「―我が配下よ! アフーム=ザー!! この雑魚を如何にかしろ!! グボァ!?」】

 

赤と青の人魂状のナニカが、私に殺到するが、

 

 

「―邪魔です」

 

 

体内の氣を、

 

決して表に出さないと決めた妖力を、

 

 

全開(・・)にして、腕を水平に振るう。

 

 

 

 

 

ドゴガガガガガガガッッ!!!

 

 

その直線上に爆発が連続で発生し、そのナニカを消し飛ばす。

 

 

「―これは、レミリアの分」

 

 

 

―妖力を解放したことで、かつての力が、―

 

 

私が嫌い、棄て去った筈の、龍としての血(・・・・・・)が騒ぎ出す。

 

垂直に打ち上げ、右手に溜めたエネルギーをそのまま叩きつける。

 

 

再度の爆発、轟音、閃光。

 

落下時に回し蹴りでの追撃も忘れない。

 

「―これは、フランの分。

そして、これは―」

 

吹っ飛ぶ奴に一瞬で追いつき、掴み、そのまま上昇、

 

 

 

「―キリトの分、だぁぁぁぁあああ!!!」

 

 

 

急降下し、地盤をブチ抜き、それでもまだ止まることなく、奴を叩きつけ続ける。

 

摩擦と、私自身の体温で、土が一部ガラス状になっているが、無視する。

 

 

「…焼け堕ちろ―

 

お前が、焼け堕ちろぉぉぉおおぉぉぉぉおおぉおおおおぉおおおおっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……私が力尽きて止まった頃には、深さだけで軽く数十メートルの大穴が出来ていた。

 

「…久し振り過ぎて、随分無駄に暴れちゃいましたかね?」

 

地割れまで起きてるし……こりゃ門番に戻れるのはいつになることやら。

 

 

体の氣の流れを普段通りのものに戻し、フラン様を探す。

 

……仇は、取ったと伝える為に。

 

それが終われば………こんな取り返しがつかないレベルになるまで、隠し事をしていた私への断罪ですかね。

 

 

 

……前言撤回。 そもそも門番に戻れますかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【「……召喚―」】

 

「!?!? なっ!?」

 

致命傷を与えた筈の、奴の声が聞こえ、振り向いた先には―

 

 

 

 

 

【「―『フォーマルハウト』」】

 

マグマよりも、太陽よりも、

 

遥かに高温の大気が、召喚されていた。

 

 

 

 

 




補足説明
黒い線:『狂気の波導』
精神への直接攻撃。 TRPG的に言えば強制SANチェック。 SAN値の減少値は、放った邪神に依存する。
今回の場合は、クトゥグア(憑依体)であるため、1D25ほど。
よって、精神状態や運によっては被害が少ない。
ユナ:34話終了時点で、何故フランの内面にいると思った?
…ネタバレすると、少なくとも永夜抄のタイミングではフランの内面にいた。
クトゥグア:今奴が、誰に憑依していると?
フォーマルハウト:クトゥグアが封印されている星。 魚座に位置する星で、表面温度が太陽よりも高いらしい。


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46話 黒の剣士

―迷いの竹林 跡

 

sideクトゥグア

 

【「……ふむ、こんなものか」】

 

先ほど、この我を追い詰めた存在に、我の星の大気の一部を叩きつけてやったが……

 

 

……脆い。 たったあの程度の熱で、もう虫の息とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―みんなを、返せっ!!!

禁弾『スターボウ

【「……失せろ」】

 

 

この娘本体の火を扱う能力に我の火力を足した火球を、鬱陶しく跳ね回る羽虫に叩きつける。

どうやら、人とは違う種らしい此奴らは、今程度の熱量では死なぬようだが……

 

……わざわざこの我が、一々トドメを刺す必要はない。

 

あの火傷ではそう長くは持たぬし、仮に生き延び、再び挑まれたところで、また焼いてやれば良いだけのこと。

 

 

さらにこの娘の身体、不安の残る次元で、且つ不完全だが、曲がりなりにも不老不死だ。

ちょっとやそっとの攻撃は、再生すれば済む。

……あの存在の連撃を喰らった時には、流石に一瞬焦ったがな。

 

 

 

 

 

……あの存在と言えば……

 

【「……あの絶望しきった表情―」】

 

…おっといかんいかん。 つい恍惚としてしまった。

一刻も早く、我自身の封印を解かねば。

 

 

 

 

 

 

 

【「……また邪魔か」】

 

再度発生させた火球を背後に放る。

この気配―適当な死に損ないがつっかかって来たのかと思ったら、新手か?

 

……まあいい。 炭にしてやれば、何であろうと変わらぬ。

 

 

 

【「……燃え尽きろ」】

 

先に放った一撃が躱されたことは分かっているので、振り替えり、視界の端を通った影に向かって火球を撃つ。

 

……これで終わりか。呆気ない―

 

 

 

 

 

―ギンッッ!!

 

 

 

 

 

【「………なんだと?」】

 

火球を―

 

 

 

 

 

切り裂いた(・・・・・)、だと?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM:『Grip & Breakdown』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【「……面白い。

貴様は、何者だ?」】

 

目に写ったのは―

 

 

枝に白と黒の透明な石(・・・・・・・・)がぶら下がったような翼。

そして―

 

 

 

紅い2本の剣(・・・・)を構えた、男。

 

 

 

 

 

【「……貴様……面は先程の男に似ているな。 兄弟か何かか?」】

 

 

『「……オレか(ワタシ)

オレは(ワタシは)キリト(ユナ)

さっきテメェが殺してくれた奴(さっきアナタがコワしたヒトの)本人だよ(妹だよ)」』

 

 

若い人間の雄の声と、雌の声が、混ざって聞こえる。

 

……気にくわん。 土のクズを思い出させるな。

 

 

【「……そうか。 なら消えろ、死に損ない」】

 

今度は火柱を喰らわせる。

 

 

『「鈍い(遅い)それならマスパの方が(それなら魔理沙の方が)断然早い(ずっと早い)!!」』

 

奴はそれを危なげなく躱し、距離を詰めてくる。

 

……馬鹿め。 そのまま近づけば、焼壁が貴様らを―

 

 

『「―秘弾(秘弾)そして誰もいなくなった(そして誰もいなくなった)』!!」』

 

【「……ぬぅ。 消えた、だと?」】

 

 

焼壁に衝突する寸前、何かを宣言すると同時に奴の姿が消え、代わりに大量の妖力弾が四方八方にばら撒かれる。

 

焼壁に当たった物は燃えている。

この弾幕程度で、この我への道を作り出すことが出来るとでも?

 

【「……小癪な。

―辺り一帯、焼き滅ぼせば済む話」】

 

再び、我が星の大気を呼び寄せ―

 

 

 

『「―させるわけ無いだろっ(させるわけナイヨネェ)!!

斬忌(希望)―」』

 

焼壁の内側(・・)に現れたと同時に、2本の剣が、大袈裟に構えられる。

 

 

その紅き剣が、更に緋く染まって行く―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「―『And Then There Were None(それでも彼らはいなくならない)』!!!」』

 

 

 

 

 

 

 

【「……無駄なことを」】

 

迎撃用に、奴の初撃が届く前の刹那の隙に、溶岩製の長棒を生み出す。

 

 

奴は未だ不敵に笑うが―

 

これで、終わりd

 

 

ドガガガガッッ!!

 

 

【「ヌゥゥゥゥっ!?!?」】

 

飛来したエネルギー塊が、長棒を打ち砕いただと!?!?

 

そんな馬鹿な―不可能だ!!

 

 

 

『「―オイオイ(ネェネェ)ちゃんと他人のスペルカード宣言(ちゃんとワタシたちのスペカの名前)聞いてたか(聞いてた〜)

ユナは(ワタシは)、―

 

 

 

 

 

それでも(それでも)彼らはいなくならないって(彼らはいなくならないって)言ったんだ(言ったんだ)!!」』

 

 

彼方を、見やれば―

 

 

 

 

 

 

 

「―何時から、私たちがもう戦えないと?

従者や妹が踏ん張っているのに、のうのうと寝ている姉がいるか!!」

 

「おほほほ! 私の能力ならその程度の結界、突破は楽勝よ!!」

 

「……いやいや、私の能力(波長操作)がなかったら詰んでましたからね? 特に姫様」

 

「そのうどんげを助けたラッキーうさちゃんへの言葉は? ねえねえ?」

 

 

 

 

 

【「……ば、かな―」】

 

この短時間で、狂気を―

 

増えてるあのクソチビの所為か!?!?

 

 

 

 

 

―弾幕と同時に放たれた剣の一撃目が、右肩から、斜めに胴体を裂く、

 

続けて、薙ぎ払いが、突きが、斬り上げが、振り下ろしが、身体を容赦なく穿って行く。

 

その数、8連撃。

 

 

【「……貴様―

 

下等種族の、分際でェェェェェエエエっっっ!!!」】

 

『「―これで(コレで)……

 

 

終わりだァァァァァァァアアアアアっっっ(コワレろォォォォォォォオオオオオっっっ)!!!」』

 

右の剣での刺突が、左胸を貫き、

 

 

 

素早く引き戻された二刀が、低い位置に、身体に巻きつかせるように構えられ、

 

一瞬のタメの後―

 

 

 

 

 

交差するように、我の首に炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

【「……これっぽっちか?」】

 

我の首をx字に切り裂いた状態で、奴の動きが止まる。

 

剣の輝きも消え、殺気すら失せている。

 

 

【「……残念だったな。 この身体は不死だ。 今程度の攻撃では、我を斃すことは出来ぬ」】

 

―さぁ、絶望しろ。

 

 

その悲痛な表情を、我に見せ―

 

 

 

『「―いや(いや)

 

今ので(今ので)十分だ(じゅーぶん)それ以上は(それ以上やったら)妹紅を殺しかねない(その人死んじゃうもん)」』

 

【「……何をバカ、なっっっっ?!?!?!」】

 

 

―なんだ、この痛みは!?!?

 

胸を押さえ、膝を着いてしまう。

屈辱的だが、今はそんなことを気にする余裕は………っ!!

 

 

『「……ユナには(ワタシには)『目』が見える(『目』が見える)

アンタの中には(アナタの内側に)妹紅のとは別に(その人のと違う)もう1つの『目』が見えたんだ(もう1つの『目』が見えたんだ)

そこを(そこを)オレが斬った(キリトが斬った)

その結果は(その結果は)………

言うまでもないな(言うまでもないかな)」』

 

 

……さ、寒い―

 

我が、この身体から、剥がれて行く。

 

……おのれ。

 

 

 

 

 

 

 

…………おのれおのれおのれオノレオノレオノレオノレオノレオノレ、

 

 

 

 

 

おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええぇえぇええぇえぇぇえぇぇぇぇええええっっっっっ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……だが、

 

【この怨み、はらさでおくべきかっ………!!

 

……だが、見事だ。

我は、また貴様を焼き滅ぼしに現れるぞっっ!!

貴様――貴様だけは、絶ェェェっっっ対にィィィィィイイ―】

 

 

言葉を吐き続ける我に、奴は、怯えを一切見せず―そもそも、我に畏怖や恐怖の感情を一切持たず、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「……何度でも(コンティニュー)

 

お前に次は、無い!!(アナタがコンティニュー出来ないのさ!!)」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして、我に向けて、広げた掌を―

 

 

 

 

 

―ゆっくりと、握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideキリト

 

『……ふぃ〜、キンチョーしたよ〜。 ワタシもう寝るね〜』

 

「お疲れ、ユナ」

 

 

頭の中から聞こえるユナの溜息―

これだけでどんな表情か想像がつく―に、労いの声をかけ、左手の剣を鞘にしまい、右手の妖力で作った剣は消す。

 

 

 

「―キリトーーーっ!!」

 

ドッシーーン!

 

「ぐぼぉ!? ……ふ、フランもお疲れ。 よく頑張ったな」

 

「えへへ」と幸せそうな顔をするフランの頭を撫でてやる。

 

……うん、ボコボコにされ、トドメのタックルを喰らってなければ思わず忠誠心が溢れ出てきそうだ。

 

 

「…で、さっきのアレはどんなカラクリよ?」

 

疲れが面に出てるレミリアが聞いてくる。

 

後ろには、咲夜と鈴仙に支えられてる美鈴や、パチュリーまでいる。

 

 

「…正直、オレにもよく分からん。

ただ、フランの『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』が引き金だってことは分かるな」

 

オレがフランと美鈴を庇って死にかけ―と言うより、肉体的には即死した時、

フランが能力を発動させ、オレの中のナニカ(・・・)を『破壊』することで、ユナが表に出る事が出来るようになり、結果、一時的とはいえ、オレにも『目』を見る能力や吸血鬼のパワーが発揮出来たのだろう。

 

 

 

……気になるのはそのナニカ(・・・)だが…………

 

人間としての『桐ヶ谷和人』そのものか、人間と妖怪の境界か、それとももっと別のものか―

 

真実を知る時は、永遠に来ないだろうな。

 

 

 

 

 

「―で、貴方の立ち位置はどうするつもりですか?」

 

「? どういう意味だ、美鈴?」

 

「いえ……さっき、貴方自身の世界に残っている人たちへ、何やら謝ってたじゃないですか。

それに、詳しくは分かりませんが、妖怪化したとなれば外の世界に出る事は自殺行為と聞きますし、そもそも幻想郷で人間が妖怪になることってご法度じゃあ………」

 

「」

 

―アレ? これ霊夢に抹殺されるオチか?

 

 

 

 

 

「……パチュリー、なんとか誤魔化す魔法ってn

「あの巫女の勘の前には無駄でしょうね」

……フラン、もっかい能力t

「もうそんな危ないことヤダ!」

……oh」

 

やべぇどうしようと右往左往していると、レミリアが突然吹き出した。 何故に?

 

「そんな心配しなくても大丈夫よ。

私には、紅魔館のメンバー全員が―

 

家族(・・)が皆揃っている『運命』が見えたもの。 きっとなんとかなるわ。

 

 

……あと美鈴。 そんなビクビクしなくても、貴女をクビになんてしないし、詮索もしないから安心しなさい。

そもそも、私が物心つく前からいる貴女を、間違えてもクビになんて出来ないわ。 吸血鬼異変の時だって、貴女がいなければ私は死んでいたのかもしれないし」

 

「あはは……

ありがとうございます、おぜうさま」

 

そうか、運命、か……

 

我らのカリスマがそう言うなら、大丈夫だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ちなさい。 つまり美鈴、貴女お嬢様の赤ん坊の頃を知ってるってことよね?」

 

「え? まあ、ハイ。 少なくとも妹様が産まれる前から居ますが?」

 

「羨ましい妬ましい!!」

 

「ちょ!? いきなり殺人ドールは―

 

アーーーーーーーーーーーッ!!」

 

 

……ナイフの群にピックを混ぜたオレは悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

「……楽しそうね、貴女たち」

 

「永琳か。

……その、大丈夫か? 藤原さん。 思いっきり斬っちまったけど」

 

オレの疑問に対し、若干のドヤ顔で、

 

「妹紅が飲んだ蓬莱の薬は誰が調合したと思ってるのかしら?

失神してることを除けば健康体そのものよ。 姫様が側にいることだし、後数十分もすれば意識も戻るわ」

 

「起きなかったら、それはそれで貴重な薬の被験体が……」なんて恐ろしいことを呟き始めたので、心の中で合掌。 強く生きてください。

 

 

「―そうそう。 さっき妖怪の山に向かったメンバーとの連絡がついたわ。 向こうも片付いたそうよ」

 

「となると、敵本拠地の霧の湖に集合か。

……翼マジでどうし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……まあ、結果オーライか」

 

あの特徴的な翼は、いつの間にか消えていた。

途中から口の中でチクチクしてたのが消えたのも、慣れたんじゃなくて牙が引っ込んだのか。

 

 

 

じゃあ、懸念事項が1つどうにかなったし、

 

「行くか! 霧の湖!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うどんげ、貴女もついて行きなさい。 私と姫は此処で離脱するわ」

 

「え"」

 

 

 

 

 




補足説明
クトゥグア:某ジャパニーズクトゥルフ作品では1番好きなキャラなのに、気がついたらこうなった。
なお、当たり前ですが生きてます(・・・・・)。当たり前ですが生きてます。
大事なことだから2回言いました。
右手の剣:禁忌『ヒノカグツチ』
原作東方紅魔郷の製作途中において、レーヴァテインに変更された剣。
ユナ固有のスペカとして登場させました。
ユナ:キリトが死にかけたことで表に出てきたブラコン。 フランとは違う固有スペカを持つ。
例:禁忌『ヒノカグツチ』
秘弾『そして誰もいなくなった』
希望『それでも彼らはいなくならない』
キリト:完全EX化3人目。 吸血鬼化。 士道(天使完全制御)上条(龍の顎)キリト(吸血鬼化)の中で1番原作離れしている。
なお、『目』を見る能力と翼の形状はユナ頼りなので、今回のみ………の予定。
斬忌『And Then There Were None』:10連撃の二刀流オリジナルソードスキル。 『十人の小さな兵隊』で、兵隊が減っていく歌詞になぞった連撃となっている。トドメは斜め上への首切り(首吊り)
ネーミングセンス? ………言わないで。


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47話 無貌の神


ニャル様の活躍をご期待の皆様、





マジでごめんなさい。m(_ _)m


 

―霧の湖

 

side霊夢

 

「………やっぱり、ここにいたわね」

 

不自然に濃い霧を消去させ、湖岸まで突き進むと、

 

見覚えのある背が見えた。

 

 

「久し振り……いえ、この間会ったばかりね」

 

「紫……これは一体どういうことなのよ。

さっきの藍―一種の神降ろしよね。

アレは一体何なの?」

 

「………」

 

 

扇子で口元を隠しながら、少し間を空けて、

 

「……知りたい? 貴女だけではなく、後ろの方達も」

 

「はぐらかさないで、さっさと吐きなさい。

さっきの藍に憑いてた奴はなに?

あの『腐食の女』は誰?

あんたたちは何を企んでるの?」

 

「そうねぇ……

 

 

 

―まあ、問題無い範囲でなら良いでしょう」

 

―扇子を、閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女達……特に、外来人である2人は、『世界』や『宇宙』についてどの程度知っているかしら?」

 

「またそうやって―

「それは物理的にか? それとも概念としてか?」

 

私を遮って、士道が話を進めた。

 

「今話してるのは私なのよ?!」

 

「…少し代わってくれ。

今度の異変は、桁が違う。 慎重に行こう」

 

「う…………

 

わ、分かったわよ」

 

 

すごすごと引っ込む。

…笑ってんじゃないわよ紫!!

 

 

「―霊夢。 良い相手を見つけたわね」

 

「!? ちょ、そんなんじゃないわよ!!」

 

良い相手って、そ、そんな……

 

「あら? 私は異変解決のパートナーの話をしているのだけれど?」

 

「……話を戻してもらっていいか?」

 

 

紫のせいで脱線した話を軌道修正する。

 

 

「…それで、物理的か、概念的か、ね。

……答えは、『どっちも』よ」

 

 

アイツ、また訳の分からない言い方を―

 

 

「なら少なくとも、オレの答えは『何も知らないに等しい』だな」

 

「正直ね。

……なら、まずは私達が『ナニカ』を答えましょう。

 

 

 

 

 

私達は……簡単に言えば、『神』に分類されるわね」

 

「幻想郷は神サマのバーゲンセール状態だからありがたみが薄れるけどな。

……『ハイヨルコントン』か?」

 

「バーゲンセールは余計よ。

……懐かしいわね。 昔、その名で呼ばれてたわ。

……『這い寄る混沌』、『無貌の神』、『顔のないスフィンクス』、『燃える3眼』―

 

 

……それが、かつての私」

 

「妖怪の賢者はそもそも妖怪じゃなかったってか?」

 

「そうなるわね。

藍に降ろしたのも、貴方達の言う『腐食の女』も、

―今妖怪の山と迷いの竹林で暴れている彼らに降ろしたのも、同じ神話で語られる神よ」

 

「………」

 

 

!? 妖怪の山と迷いの竹林!?

それって、今キンジたちがいる所じゃ―

 

 

「……あんたや、キンジたちが今戦ってるだろう連中が、神サマの一種だってのは分かった。

なら、何の為に異変を起こした?」

 

「……………

私達の神話では、ある程度の上下関係が存在するわ。 その最上位に君臨する存在を、愉しませる為」

 

「バケモノが崇めるバケモノ、か。

そりゃさぞかし強そうだ。

―愉しませる? さっさと呼び出すなりなんなりして、弾幕ごっこでもしてもらえばいいだろ。

何でこんな大事になる?」

 

「……それを話す為には、まず『世界』について知る必要があるわね」

 

「……オレたちが幻想入りした時の季節のズレ、全く違う『外側の世界』―これが関係するのか」

 

「……貴方、正式に博麗の名を継ぐ気は?」

 

「そっちの返答による。 満足のいく答えが返ってきたら考えるよ」

 

 

ちょ、紫も士道も何言ってるのよ!?

 

 

「…………

―五河士道、上条当麻、遠山金次、桐ヶ谷和人。

貴方達外来人のいた場所と、この幻想郷は、物理的には繋がってないわ」

 

「……やっぱりか。

灼爛殲鬼。 ステルス。 超能力。

これらがある以上、幻想郷の規模はもっと小さいだろうからな」

 

「それもそうね。

―ここから先は、そう簡単に話す訳にはいかないわ。

世界の、本質に関わる」

 

「つまり―

聞きたきゃ実力行使か?

いい加減情報の細切れにはうんざりだったんだ。

灼爛殲鬼(カマエル)

 

 

ゴゥっっ!!

 

 

「…話は終わったかしら?」

 

「ん。 どうやら、あっちの神サマは隠し事が大好きってことも分かったしな」

 

そりゃそうよ。 でなきゃこうも面倒くさくならないわよ。

 

「じゃ、ここから先はいつも通り―

妖怪退治よ!!」

 

お祓い棒を構える。

 

 

 

「ちゃっちゃと片付けるわよ!!」

 

「妖怪が鍛えたこの楼観剣に、切れないものなどあんまり無い!!」

 

「お前が何かを『否定』するなら、オレはお前を『否定』する!!」

 

「テメェが自分の思い通りに事が進むと思ってるなら―

その『幻想』をぶち殺す!!」

 

 

 

 

 

「……私は、この一時だけ妖怪であることを辞めるわ。

博麗の巫女―私を、越えられるかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―vs

 

 

―【這い寄る混沌】―

 

―【無貌の神】―

 

―【顔のないスフィンクス】―

 

―【闇に吼えるもの】―

 

 

 

―【ニャルラトホテプ(八雲 紫)】―

 

 

 

 

 

 

 

「熱符『(メギド)』!」

 

「空観剣『六根清浄斬』!」

 

「霊符『夢想封印』!」

 

「……相変わらず、ね」

 

弾幕が、斬撃が、熱線が紫に殺到する。

 

一番早い熱線が紫に直撃―

 

 

 

 

 

「「「なっ!?!?」」」

 

「あらいやだ♪」

 

す、すり抜けた……ですって?!

 

「……生き急げば、見えるものも見えなくなるわ。 気をつけなさい。

結界『光と闇の境目』」

 

弾幕が、一気に展開される。

 

けど―

 

「いつも使ってるスペカじゃない。

よく分からない神としてのスペカは無いのかしら?」

 

士道と妖夢は兎も角、紫と何度も弾幕ごっこをしてきた私なら、楽勝よ。

 

「そうしたいのは山々だけど………ねぇ。 私は土の神性なのよ?」

 

「え?………あ、そういえば忘れてた」

 

「不幸だっ!?」

 

成る程。 能力消去が出来る上条が地面にいるから、神としての力が使えないのね。

 

 

「じゃあ、そろそろ終わるわね」

 

「……それはどうかしら? 少なくとも其方には、私に弾幕を当てる方法が無さそうだけれど?」

 

「う……」

 

……問題はそこなのよね。

 

 

向こうの攻撃は、いつも通りの紫のスペカに、正体不明の能力。

 

スペカは、私にとっては前に攻略済みだし、初見のスペカが出て来ても、アイツの癖は分かってるから余裕。

能力は幻想殺しが地面にいるから封印されてる。 嘘の可能性もあるけど、私のカンが、紫は本当のことを言ってるって判断したから、不意打ちされる心配は無い。

 

 

だから紫に弾幕を当てるだけの簡単な話の筈だったのにぃ………

 

 

「どういうカラクリか教えなさいよ!!」

 

「そう言われて、はいこれこれこうだからですと答える奴はいないでしょう」

 

「「「…………」」」

 

私たちの視線が、地面に集中する。

 

 

「……毎回毎回、初めての奴と弾幕ごっこやる時に幻想殺し(イマジンブレイカー)について説明しているんでせうがそれは」

 

「」

 

 

 

 

 

 

 

「………なんか締まらないわね」

 

幾ら正体が全く違ったとはいえ、見知った相手が、いつも通りの態度でいたら、切り替えようが無いわよ。

 

「紫ー。 アンタ、なんか変身とか出来ないの? アンタのカラクリ見破るまで、なんかもうちょっと欲しいのよね」

 

「そういうのはせめて、見破ってから言いなs

「士道、あそこに砲」

ぁい!?!?!?」

 

カンで指した所に熱線を撃たせると、関係ない所にいる紫が回避行動をとったわ。

 

「……なによ、めちゃくちゃ単純じゃない」

 

「……………ノーヒントで答えの出せる貴女の勘がおかしいのよ」

 

さっきまでいた紫が消え、逆に私が指した所に浮かびあがってくる。

 

「で、アンタの負けまで秒読みの訳だけど?」

 

私、士道、妖夢で囲む。

 

一応上条にも、ほぼ真下に移動して貰ってるし、急降下で逃げても無駄よ?

 

「そうそう。 藍に憑いてたニョグタと同じ手を使っても効果は無いから」

 

「……その名を知ってるのと、五河士道がここにいる時点でやる気が失せたわ………」

 

溜息を吐く紫。

 

「今のは降参ってことでいいのかしら?」

 

「そうねぇ…………降参―

 

 

 

 

 

―したいけど、もうちょっと続けるわ」

 

「……何よ。 言っとくけど、もう詰みよ」

 

「ええそうね。 私自身それは理解してるし、第一に、先程名前を挙げた4人が揃った時点で、『腐食の女』―クトが待つ場所へは案内するつもりだったわ」

 

………つまり、

 

「アンタにとっては、勝っても負けても変わらない戦いだったってこと?!」

 

「そういうこと♪」

 

「」

 

め、眩暈が………

 

 

 

「じゃあ、さっきの世界の本質うんぬんはどうなるみょん?」

 

「………全てを話す訳にはいかないわ。

知れば、戻れなくなる」

 

 

「じゃあ、消化試合としましょうか」

 

「……もうちょっと言い方ってもんがあるでしょう?」

 

「うっさい。 士道、後は任せたわ」

 

「オレぇ!?!?」

 

 

弾幕ごっこの練習を士道に言いつけ(断じて面倒くさくなったからじゃないわ)、さっさと降りる。

 

 

……紅魔館にオヤツでもパクリに行こうかしら―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM:『旧支配者のキャロル』

 

 

 

 

 

「―全員、伏せなさい!!」

 

 

ゴッッッッッッ―

 

 

 

?!?!?!

 

ば、爆発!?

今度は何よもう!!

 

 

 

 

 

「―オ―――オォlo―――」

 

 

 

「な………何よ、アレ……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソレ(・・)は、円形の形の炎で、真ん中に3つの燃える、花弁のようなものがある『ナニカ』。

 

 

 

「………何よ、コレ―

クトゥグアの眷属? だとしたら何故ここに………?」

 

「紫様!! アレが何か知ってるみょん!?」

 

「……ハッキリとは。 予想の域を出ないわ。

―ん? ちょっと待ってなさい」

 

……あの感じは、念話ね。

 

 

それよりも、目の前のコイツ………何なのかしら?

 

 

全身火の塊だし………

 

でも、その割には神々しさっていうか――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……もの凄い、嫌な予感が―

 

 

 

 

 

「―ハァァァァっっ!?!?

クトゥグアの召喚に干渉の跡があったぁぁぁぁぁ!?!?!?

……………じ、じじじじじじゃあ、今私の目の前にいるのって―」

 

 

 

紫の顔が面白いくらい真っ青を通り越して真っ白になっている。

 

しかも、分身して見えるまで震えてるし、何か分かったのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『外なる神(Outer God)』の一神………

 

 

―『ヤマンソ』?」

 

 

 

 

 

 

 

「えっと………どうだったみょん?」

 

念話を終えたらしい紫に、妖夢が聞いてるけど……

 

 

……私のカン、外れてるといいな。

 

 

「……………わよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―全員、死ぬ気で逃げるわよっっ!!!」

 

 

 

 

 





補足説明
ヤマンソ:『外なる神』の一神。
分類上はクトゥグアの眷属だが、コイツが現界した瞬間、クトゥグア及びその他眷属は即逃げると言われている程危険。
クトゥグアの召喚に失敗、或いは召喚門を開きっぱなしにすることで降臨する。


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48話 外なる神(Outer God)

 

 

―vs

 

 

―【外で容赦なく待つもの】―

 

―【星々からの貪食者】―

 

 

 

―【ヤマンソ】―

 

 

 

―霧の湖

 

side霊夢

 

 

「ちょっと紫! 何なのよコレ!?」

 

「生きて帰れたら知りたくなかっただろう事まで全部教えてあげるから、今は回避に集中―熱っ!!」

 

 

逃げる、と紫は言ってたけど、上条がいるからスキマが使えない事に気がついたのと、広げたスキマが目の前のコイツの所為で燃え始めたもんだから、結局、コイツの放つ火球をひたすら回避し続ける羽目になったわ。

 

上条の右手でも逸らせるのが精一杯とか………ホンットに使い勝手が悪い能力ね!

 

「不幸だっ!? 俺は悪くねぇ!!」

 

「きゅ、急にどうしたみょん!?」

 

 

 

 

 

「―で、いつまでこうしてればいいのよ!?」

 

「クト―『腐食の女』が退散の準備を進めてるわ!! それまでなんとか凌いでちょうだい!!」

 

「後どれくらいかかるのよ?!」

 

「私が聞きたいわよっそんなの!!」

 

完全に泣いてる紫が、ヤケクソ気味に返してくる。

 

いやそっちのミスなんでしょ!?

なんでヤケクソなのよ!?

 

 

「もうイヤぁぁぁぁぁぁあ!! 誰か助けてえぇぇぇぇぇえ!!」

 

「BBAのカリスマブレイクとか誰得よ!? シャキッとしなさいシャキッと!!」

 

 

使いものにならなくなった賢者(笑)を放置して、相手の動きを観察する。

 

本体を見つめる程じゃないにしろ、気分が悪くなってくるけど………

背に腹はかえられないわ。

 

 

 

 

 

「―――!――――?―」

 

ボッ………ボボボッ……ボボッボッ………

 

 

「…………」

 

一個一個がデカいから避けにくかったけど―

 

 

弾幕の密度そのものは低いわね。

 

 

カンだけど、あっちもまだ状況を理解出来てないか、本調子じゃないのかしら?

 

 

 

 

 

「士道!! 他のメンバーとの連絡は?! 特にリグルと!」

 

「今この状況で確認出来るか!?」

 

「気合入れなさい!! 多分まだeasyよ!!」

 

「ウソだろオイ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ルルイエ

 

sideクト

 

「うおー!!

どーなってんだコレぇぇぇぇぇえ!!」

 

とっくの昔に効力を失った魔法陣を確認していく。

 

ダゴンハイドラはもう駆り出してるし、残りの連中は水の魔術以外は無知だし!!

 

 

「こうなりゃ怪しい所手当たり次第…

 

―いや、ぶっ壊した方が早いな!!」

 

 

いろんな所からパクってきた、古今東西多次元異世界の榴弾を引っ張り出す。

 

ホントはランチャーに詰めて使うのもあるけど………

―知ーらないっ!!

 

 

「―グレネード!

グレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネードグレネード、

 

グッッッッレネェェェェェェドォォォォォォォォォォォっっっ!!!

オマケにC4」

 

 

 

 

 

チュドォォォォォォォオオォォォォォオオンンン―――

 

 

 

 

 

「やったか!?

 

 

 

 

 

 

 

………あ、―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―霧の湖

 

side霊夢

 

「―――?」

 

ボッ……ボッ…………………

 

 

 

「と、止まった………?」

 

突然、ヤマンソなる邪神が動きを止める。

 

「た、助かったのか?」

 

「みょん?」

 

「……だといいけどな」

 

落下した火球で地面が赤くなってるからか、士道と妖夢で上条を支えて飛んでる。

 

「……飛びにくそうね」

 

「そう思うなら手伝え」

 

「嫌よ」

 

 

バッサリ切り捨て、邪神の動きを再度観察す、る―

 

 

 

 

 

【―オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオオオオ!!!!】

 

 

―なっ!?

 

「まさか………

目覚めた!?!?」

 

 

今までの威圧感が、そよ風程度でしかない程の圧力が全身を叩く。

 

なんとか立て直すけど……

 

「ぐっ―これじゃあ近づくことすら………」

 

 

 

「―霊夢! 私が囮になるから、背後から集中砲火しなさい!!」

 

「紫!?!?」

 

ちょ!? さっきまで泣いてたのはどうしたのよ!?

 

それに、アイツが紫をピンポイントで狙う理由なんて―

 

 

「あら、これでも私は幻想郷の一勢力のトップよ?

それくらい、余裕―余裕余裕、余裕、なのよ、ウン」

 

「………」

 

……あんまりアテにしない方がよさそうね。

 

 

 

 

 

「それじゃあ行くわよっ!!」

 

言うと同時に、弾幕を放ちながら大きく旋回する。

そもそも向こうに着いて行くかどうかすら未確定だったけど………

 

 

【オオォォォ…………

―オオオオオオオオオォォォォォォオオオオオオ!!!】

 

「い"や"ぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

要らない心配だったみたいね。

 

……火と土って、なんでそこまで仲悪いのかしら?

 

 

 

 

 

閑話休題(それはともかく)

 

 

 

 

 

「今よ!!

神霊『夢想封印 瞬』!!」

 

「『待宵反射衛星斬』!!」

 

「『グングニル』!!」

 

再度、弾幕と斬撃とレーザーが視界を埋める。

 

ただし、さっきのと違い、ラストスペルか、それに相当する高ランク・高火力の弾幕だから、余程の相手じゃない限り、回避は勿論、死にかねない威力になってる。

そもそも弾幕ごっこは1対1でやるルールなんだけどね………

 

 

 

……さて、アイツの体の大きさじゃあ、全弾命中で跡形も無いかし―

 

【――――ォオ】

 

……ら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―オオオオオオォォォォオオオ!!!】

 

 

………まさか、無傷?!

 

嘘でしょ、あり得ない―

 

 

 

 

 

「―霊夢! 避けろっっ!!」

 

「…え?」

 

呆然としていた意識を戻すと、斜め下から、巨大な炎の腕。

 

マズい………避けられない!!

 

 

 

 

 

 

 

パキンっ

 

 

【オオオォォォ??】

 

 

………あれ?

暑く、ない―

 

って、なんで炎が関係無い所に?

 

 

「っしゃあ! 汚名返上だぁ!!」

 

「気にしてたのかよ!?」

 

 

……げ、幻想殺しで逸らせたのね。

 

 

―でも、状況は最悪ね。

 

士道と妖夢は霊力を使い切ってるし、幻想殺しでもアイツを倒し切れるとは思えない。

私のラストスペル(夢想天生)はカウンター系だから、残りの霊力量からしてさっき以上の威力は出ないし―

 

 

 

【―オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオオオオ!!!!】

 

 

……詰み、かしら? 向こうも怒ってるみたいだし。

 

でも逃げ切れたとしても、こんな奴を放っておいたら………

 

 

 

 

放って………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面に降りる。

 

「…上条、ちょっと私の頭触ってくれない?」

 

「は? なんでだよ?」

 

「えっと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―なんかアイツが、縮んで見える(・・・・・・)のよ」

 

具体的には、さっき紫の逃げる宣言の時より1割くらい。

 

「「「………あ、ホントだ」」」

 

 

………………………

 

 

「士道、一応チルノたちに連絡。 さっさと来るように伝えなさい。

あと、―――って伝えといて。

妖夢、紫を回収してきて。

上条、妖夢が回収してる間、妖夢への攻撃を防ぎなさい。

後、紫を回収出来たら、『合わせろ』って言っといて」

 

「それはいいけど、霊夢は?」

 

それは勿論、

 

「アイツの注意を引くわ」

 

「………死ぬなよ」

 

「誰に向かって言ってるのよ。

私は、博麗霊夢よ?

邪神だか何だか知らないけど、幻想郷にいる以上、私に勝てる奴はいないわ」

 

「……それもそうだな」

 

 

 

士道の見送りを受けて、空を飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

……本音を言えば、怖い。

 

スペルカードルールなど知ってる筈も無い、まさしく『火』そのものな存在が、どう防いでも即死する攻撃を連発してくる。

オマケにさっきと違って相手は本調子ときた。

 

「……Hard―いえ、間違いなくLunaticね」

 

 

苦笑しながら、お祓い棒を、もう癖となった動きで構える。

 

 

【オオォオォォォ………」

 

「……ヤマンソとやら。

幻想郷は、全てを受け入れるわ。

ただし―

アンタが幻想郷を受け入れないのであれば、お引き取り願うしかないわね。

 

じゃあ―始めましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM:『色は匂えど散りぬるを』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side士道

 

【オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!】

 

「………何だよアレ………無敵じゃねえか………」

 

火球、熱線、炎の渦、黒い線、炎の腕、

 

 

その全てが、完全に、敵を殺す為だけに、一点に集中している。

 

これだけ聞けば、炎の神性の方が有利に聞こえるが―

 

 

 

 

 

 

 

「―攻撃が、すり抜けてる(・・・・・・)

 

その攻撃全てが、霊夢を、たった1人の人間を、捉えることが出来ない。

 

 

火球が迫る。 すり抜ける。

熱線が貫く。 すり抜ける。

渦が焼く。 すり抜ける。

腕が殴る。 すり抜ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『浮く程度の能力』。

 

前に霊夢から、程度の能力の説明で聞いた。

地面から、この世から、世界から、次元から、浮かび上がる能力。

 

その時はピンと来なかったが……

 

「……もうどっちが神サマか分かんねえな。 ていうか、あそこまで行ったら炎が演出にしか見えん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界そのものすら焼き焦がす地獄の業火。

その中で佇む、楽園の少女。

 

 

どんな風景にも、どんな絵画にも勝る、まさに――

 

 

 

 

 

『幻想』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感動してると、

 

「……もう、何処まで行ってるのよ、あの子は。 『外なる神』をあそこまで本気にさせられる人間、私は初めて見たわよ」

 

「……八雲さんか。 でも、霊夢を博麗の巫女にしたのは貴女だと聞いてますが、予想出来たのではないですか?」

 

「……規格外のキチガイの魔窟に、大切な子を連れ込む想定なんかしてないわよ」

 

「……大切な子、ですか。

―行かなくて良いんですか? 伝言は妖夢か上条から聞いてますよね?」

 

「………あの子を外で拾った時は、こんな頼もしい姿が見れるなんて、思ってなかったのよ。 もうちょっと眺めさせてちょうだい。

…あと、敬語はいいわよ」

 

 

……………

 

 

「…そうか。

紫、頼みが―

……いや、何でもない」

 

「……そろそろ行きましょうか」

 

 

言って、浮かんでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―そうそう、私はその想いに賛成するわよ? あの子もいつまでも1人じゃ寂しいだろうし」

 

「ハヨ行けスキマ妖怪! わざわざ人の耳元に隙間開けるな能力の無駄使い!?」

 

行った筈の相手の声がイキナリ耳元から聞こえたら、仕掛け知ってても驚くわ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side紫

 

スキマ妖怪……こんな目に合わせても、私をまだ妖怪として扱ってくれるなんて―

 

彼にとっては、得体の知れない化物も妖怪も同じなのか、それとも………

 

 

 

「……らしくないわね」

 

「なにニヤニヤしてるのよ、気持ち悪い」

 

 

攻撃が無駄だと判断したらしいヤマンソは、私が標的に近づいたことで、様子を伺うことにしたらしいわね。

なら、今が好機―!

 

「霊夢、手短に言うわ。

今ヤマンソは、少しづつ転移門に吸い込まれている。 けれど、ーこのままだと気づかれて、門を破壊されるわ。 そうしたら、もうアレを追い出す方法は無い」

 

「つまり、気を引き続けるか―

押し込んじゃえばいいのよね?」

 

 

無邪気な顔で、こちらの言いたいことを言う。

……この子なら、もしかして。

 

 

「……いけるかしら? 相手は瞬を受けて、微動だにしなかったのよ?」

 

「やれるか、やれないかじゃないわ。

 

 

―やるか、やらないか、よ。

手伝いなさい、紫。 アイツは幻想郷の害にしかならないわ」

 

「………そうね」

 

 

 

 

 

―霊夢は霊力を、私は純粋な妖力を、解放していく。

 

「「ラストスペル―」」

 

さあ、炎の神性さん?

 

アナタに、この弾幕の雨を耐えきることが出来るかしら?

 

 

 

 

 

「―『夢想天生』!!」

「―『深弾幕結界 -夢幻泡影-』!!」

 

赤と白と紫の弾幕が、川の流れのようにヤマンソを押し流していく。

 

「オオオォォォオオ―」

 

炎を放とうとするが、もう遅い。

 

 

ゆっくり、しかし確実に、世界の外側に、押し出されて―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―オオオォォォォォォォォォオ!!】

 

「「!?!?!?」」

 

門から―何か出てくる!?

 

 

 

 

 

炎で形作られた、豪腕。

 

火の鳥よりも、激しく、禍々しく炎上する翼。

 

憎悪と憤怒を燃料に燃え上がる、巨大な体。

 

 

 

 

 

―まさか、

 

「ちょ、紫!? どうなってるのよ!?」

 

「……旧支配者、炎の神性―クトゥグア!? なんで今更!?」

 

そもそもアレは、ヤマンソを恐れている筈―

それが、むしろ押しのけてまで現界しようとしているなんて、一体何が!?

 

 

 

【オオオォォォォォォォォォオオオォォォォォォォオオオォォォォォォォオ!!!

此処に来ることは分かってる!!

出てこい、早速再戦じゃあァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!】

 

「?!?! オオオ……ォォ―

オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオオオオ!!!!!」

 

 

炎が、炎を焼くなんていうあり得ない事態が起きている。

 

早く2体とも押し込まないと、幻想郷が灰に………!

 

 

「……妖力の代わりに、なけなしの神力を集めれば―」

 

「―紫、引くわよ!!」

 

!?

 

「霊夢、何を考えてるの!?

あのままほっといたら、幻想郷が―」

 

 

 

 

 

「―そこ、射線上(・・・)よ。 注意はしたから、恨まないでよね!!」

 

霊夢が、私を突き飛ばして、そのまま落ちる。

 

どうして、こんな―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『ファイナルマスタースパーク』!!」

「『幻想風靡』!!」

「『ファイナルスパーク』!!」

「『季節外れのバタフライストーム』!!」

「『ダークサイドオブザムーン』!!」

「『自然派系弾幕』!!」

「『マイナスK』!!」

「『彩虹の風鈴』!!」

「『賢者の石』!!」

「『デフレーションワールド』!!」

「『スカーレットデスティニー』!!」

「『そして誰もいなくなるか?』!!」

「『小規模殺人ドール』!!」

「『幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)』!!」

 

 

 

 

 

「なっ―」

 

あらゆる色の弾幕が、レーザーが、炎の神性に炸裂する。

 

 

「ォォォォォォォオオオオオオ!?!?」

 

【グギャァァァァァァァァァァアアアアアアア!?!?!! ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁずぇだあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――】

 

 

空には、―

霧雨魔理沙、射命丸文、

遠山金次、リグル、

大妖精、チルノ、

紅美鈴、パチュリー・ノーレッジ、

十六夜咲夜、レミリア・スカーレット、

フランドール・スカーレット、桐ヶ谷和人、

鈴仙・優曇華院・イナバ、

さらに彼女は、………EXルーミア!?

 

 

その全員が、それぞれのスペルカードを発動させている。

 

 

 

「………どうして………」

 

「―士道に連絡させたのよ。 アレをどうにかするには兎に角火力が必要だから、『予めそれぞれの最強スペカを射程距離に入った瞬間発動するように』ってね。 近接バカ(キリト)とかどうするのかと思ってたら、一応マトモなスペル持ってるじゃない」

 

「」

 

つまり、

 

 

 

 

 

「貴女には………この状況が、予測出来たの?」

 

「はぁ? 出来る訳ないでしょ。 カンよカン」

 

「」

 

 

神話生物、それも旧支配者に外なる神なんていう文字通り次元が違う存在が叩き出されるという、聞いただけならあり得ないと断言する事実すら、目の前の巫女の規格外っぷりの前には霞む。

 

……私はもしかして、とんでもない人選をしてしまったんじゃ―

 

 

「―さて紫。 アンタの言ってた外来人4人も集まったことだし、知ってること全部吐いてもらうわよ!」

 

「……分かってるわ。 今更隠し事なんてしないわよ―

―え?」

 

 

 

次の瞬間、ブォン、という音と共に、

あの4人が、紫色の光の柱に包まれ、消えた。

 

 

 

 

 

『『『『………え?!』』』』

 

 

 

 

 




補足説明
クトゥグア:本能的恐怖すら忘れ顕現。
ただし即退場。
スペカの嵐:基本的に各キャラのラストスペル。 ただし、ラストスペルが近接攻撃、ラストスペルを作ってないキャラは、一番火力のある遠距離攻撃スペルを使用。
なお、大妖精のスペカはオリジナル。
霊夢:東方project最強のキャラ。 タイマンならまず負けない。
……勝てるとも限らないが。
紫色の光の柱:別作品の遠距離or異世界移動のエフェクト。 何の作品か分かる人はコレだけで世界の真実の一部に気づける?


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4⑨話 ⑨のチルノがこんなに強い訳がない

注意!

・ルーミアのEX化。
・チルノとEXルーミアによる無双。
・神話生物がまるでゴミのようだぁ!

の成分が含まれます。



―霧の湖

 

side大妖精

 

「リグル〜、ま〜だ〜?」

 

「ちょ、チルノちゃん、もうちょっと頑張ろう!」

 

こんにちは、皆さん。 大妖精です。

……皆さんって、誰だろう?

 

―まいっか!

 

 

 

 

 

紅魔館の図書館で、霊夢さんに

 

「念のため、別行動であらかじめるるいえ?へ行けるようにしておきなさい。 私たちは紫と話をつけて来るから」

 

と言われ、ミー君が出て来たと思う場所を、湖面を浮いて探してるんだけど……

 

「また出たのかー。 今度は右下からなのだー」

 

「え〜。 もうあきたー」

 

……時々、深きものが襲いかかってくるんですよね……

チルノちゃんも、最初の頃は片っ端から弾幕でやっつけてたんだけど……飽きちゃったらしくて、今はもう凍らせるだけになっちゃったんだよね……

 

私やルーミアちゃん、リグルちゃんが変わってあげられたらいいんだけど、試しに何回か戦ってみたら、ルーミアちゃんとリグルちゃんは相手が1匹か2匹だと勝てるんだけど、それ以上や連戦になると厳しくて、私に至っては負けちゃって………

 

 

「……真後ろなのかー」

 

「……そーなんだー」

 

ピキピキピキピキ

 

「gyoooooo!?」

 

 

あーまたぎせいしゃがー(棒)。

 

 

 

 

 

 

「んー……あれ?」

 

「どうしたの、ルーミアちゃん?」

 

「深きものの気配……でもなんか違うのかー?」

 

なんか違うって……なにが?

 

―あ、あれかな? ちょっと離れた所に縦に並んで浮かんで来てる3匹。

 

…1番前が鉈っぽいのを持ってるけど、なんだろう?

 

「……もうあきた………いってきます……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここからはセリフのみでお楽しみ下さい。 なお、深き者共のセリフは和訳してあります。

 

 

「来たな、氷精!

仲間の仇!!」

 

「食らうがいい! 我らの主から授かりし必殺技!!」

 

 

「……ギャーギャーうるさい……」

 

 

「まずは!! 隊列の1番前が切り掛かる!!」

 

「次っ!! 真ん中がばずぅかなる物を撃つ!!」(←弾幕で代用)

 

「最後ぉ!! 1番後ろが組んだ手を振り降ろすハンマーパンチを決める!!

名付けて―」

 

 

 

「「「ジェット・ストリーム・アターーック!!!」」」

 

 

 

 

 

「……もう、おわらせていいよね」

 

 

 

 

「さあ兄弟! まずは一撃目だ! おrぐほぉ!? お、俺を踏み台にしたぁ!?」

 

「おのれ、だが二撃目を避けることは「ナタげっとー! せーい!」!? た、弾ごと俺を切った、だと……

れ、練習したのにぃ…」

 

「貴様ー! この俺の一撃で、沈m」

さくっ

「―お、俺の手がぁ!?」

 

 

 

「うーん……やっぱだんまくがイチバンよね!

氷符『アイシクルフォール』!」

 

ドスドスドスドスっ!

 

「「「ば、ばぁぁぁかぁぁぁなぁぁぁ!?!?」」」

 

ドボシャーン!

 

 

 

「うーん……これいーらない」

 

ポイっ

 

「―ふはは! ジェットストリームアタックが3連撃だと誰が決めt」

さくっ

「め、目が、目が〜〜!?!?」

 

 

 

 

 

〜以上、セリフのみでお送りしました〜

 

 

 

 

 

「やっぱよわかった!」

 

「………うん、そうだね」

 

何故だろう、思わず同情してしまう私がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―あれから大体10分後。

 

さっきの3匹……チルノちゃんが捨てた鉈が刺さって登場する前に退場したのを入れると4匹? の魚もどきをやっつけてから、今度は逆に出て来なくなりました。

だからチルノちゃん寝ちゃって……今私が背負ってます。

 

「大ちゃん、重くないのかー?」

 

「ご、ごめんね、大ちゃん」

 

「大丈夫だよ! リグルちゃんもルーミアちゃんも、探すのがんばって!」

 

―えへへ、振り向くとチルノちゃんの美味しそう(意味深)なほっぺが、鼻が、あと、く、くくくくく、くちびr―

 

ブシュッ!!

 

「!? 敵なのかー!?」

 

「ごめっ、だ、大丈夫だから! 鼻血が出ただけだから!!」

 

「「?」」

 

いけない、つい愛が溢れ出して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―更に10分後。

 

「だ、大ちゃん、ルーミア……

あれ、そうかもしれない……」

 

「確かに怪しいのかー」

 

「う、うん……」

 

私たちの目の前では―

 

水が、渦を巻いてました。

 

その辺りだけ水が黒く見えて、ちょっと怖いです。

 

「……近付いてみよう。 仕掛け扉とかだったら、触れるくらい近くにいないと―」

 

 

 

 

 

「―ゴォアアアアアァァァァァァァァアア!!」

 

バッシャァァァァァァン!

 

「「「!?!?」」」

 

う、渦からさっきの魚もどきを、物凄く大きくしたのが出て来た!?

 

 

「アレは………まずい! みんな、逃げるよ!!」

 

「そーなのかー?!」

 

「え、ちょ?! リグルちゃん!?」

 

リグルちゃんが、私とルーミアの手を引いて全力で飛び始めた。

ちょっと、どうしちゃったの?!

 

 

「……あれがダゴンかハイドラだとしたら―

―やっぱりぃぃぃぃぃい!?!!」

 

 

バッシャァァァァァァン!

 

「―ゴォアアァァァァァァァァアア!!」

 

さ、さっきと同じのが出て来た!?

で、でもさっきのはまだ後ろにいるよ?!

 

 

 

 

「「……ォォォォォオオオオアアアアアアアアアアアアアア―」」

 

「今度はなんなのかー!?」

 

突然、大きいのは体を仰け反らせて―

 

 

 

 

 

「「―ゴォアアァァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!」」

 

ブシャァァァァァァァアアアア!!

 

 

 

水を吐き出した!?

 

「汚いのかー!?」

 

「ルーミアちゃんツッコむポイント間違ってるから?!」

 

 

 

……あれ? これって普通にピンチ?

 

 

 

状況を考えよう。

 

前後から濁流。

 

濁流は太く、避けきれそうにない。

 

チルノちゃんは未だ睡眠中。

 

そして、私たちにあの濁流をどうにかするほどの力はナイ。

 

 

 

 

 

 

 

………うん、

 

「キャァ〜〜〜〜〜!?!?」

「うわぁ〜〜〜〜〜!?!?」

「なのか〜〜〜〜〜!?!?」

「」スヤァ

 

な、流されるぅぅうぅぅぅぅぅ!!!

そして溺れるぅぅうぅぅぅぅ!?!?

 

 

 

「Zzz―

―はっ!? どういうじょうきょうよ?!」

 

「ち、チルノちゃん―助けゴボゴボ」

 

「だ、大ちゃん!?」

 

慌てたチルノちゃんが、一気に湖を凍らせる。

 

おかげで溺れる心配はなくなったけど……

 

「助かったんだろうけど……びしょ濡れでコレはキツいよ……」

 

 

……うん、ちょっと寒過ぎる気がする。

ルーミアちゃんなんて、タイミングが悪かったのか、リボンが氷に埋まって逆さまのまま動けなくなってるし。

 

 

「…チルノー恨むのだー」

 

「? アタイ、そこまでやってないよ?」

 

「他に誰が出来るのかー?」

 

「「ゴォアア」」ノ

 

「こいつらじゃない? いまのへんじっぽいし!」

 

「そーなのかー。

 

……………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ゴォアア」」

 

「「「」」」

 

「またあったわね! もっかいやっつけてやるわよ!」

 

……そっかーさむすぎるとおもったらさっきのおっきいのもれいきそうさできるんだーしらなかったー。

 

「大ちゃん戻って来て?! ルーミア助けるの手伝って!!チルノちゃんm」

 

「しょうぶよ!!」

 

「「ゴォアアァァァァァァア!!」

 

「……オワタのかー」

 

あー、チルノちゃんのだんまくとおっきいののこうげきが―

 

 

 

 

 

 

 

ドッッゴオォォォォォォォオン――

 

 

「キャア!?」

「えぐっ!?」

「なのかっ!?」

 

 

 

ば、爆発?! 今度は何!?

 

 

煙が晴れると―

 

 

 

 

「だ、大ちゃん!! ルーミアちゃんが………リボンになっちゃった!!」

 

「え、―えええ?!?!」

 

さっきまでルーミアちゃんのいた場所を見ると………確かに、リボンだけに…………っ!!

 

 

 

 

 

「……いやいや、勝手に殺さないで欲しいのだー」

 

「「ルーミアちゃん!?」」

 

ちょっと離れたところに、ちゃんとルーミアちゃんがいた!

 

「よ、よかった―

…リボンの無いルーミアちゃんって、なんか新鮮だね」

 

「そーなのかー? まあ自分じゃ取れなかった、し―」

 

…? 急に真面目な顔して、どうしたの―

 

 

 

 

 

「―あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!?!?!?!?」

 

「「!?!?」」

 

ルーミアちゃんが、頭を抱えて叫ぶ。

 

ど、どうしちゃったの?!

 

「……ルーミアちゃんの姿が、変わって―」

 

「え!?」

 

……ホントだ、ドンドン大きくなってる!?

 

私たちと同じくらいから―魔理沙さんたちと―違う、

 

 

 

幽香さんや永琳さんと同じくらいに………!?!?

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁ……………あ…

―何で……………今更………」

 

「……えっと………

大丈夫ですか?」

 

おそるおそる、声をかけてみる。

 

「……大丈夫に………見える?」

 

「………あんまり。

とても悲しそうに………見えます」

 

……なんて話しかければいいか、分からないでいると、

 

 

 

ドゴォンっっ!!

 

 

「…ふ! うでをあげたようね!

でもさいきょーのアタイにはまだとどかないわ!」

 

「「ゴォアアァァァァァァァァアア!!」」

 

 

……チルノちゃん、まだ戦ってたんだ。

 

 

 

…?

何か動く気配を感じて見ると、

 

「……チルノ……そこ、代わって」

 

ルーミアちゃん(?)が、チルノちゃんの隣に立っていた。

 

「……? あんただれよ! あれはアタイのえものなのよ!」

 

「手こずってるじゃない。 手伝ってあげるって言ってるのよ」

 

「てこずってないもん! よゆうだもん!」

 

「でもまだ生きてるわよ、アイツら」

 

「うるさい!」

 

「「―ゴォアアァァァァァァァァアア!!」」( `皿´)

 

「ひっ!?」

 

無視され続けた大っきいのが、怒って吼える。

関係ない所にいた私が、思わず悲鳴をあげてしまったのに、あの2人は、

 

「「やっぱアンタが1番ウルサイ」」

 

ビキビキビキビキ!

キンッ! キンッ!

 

「」「」

 

 

 

 

 

「」

 

「…す、すごい……」

 

チルノが氷漬けにして、ルーミアちゃん(?)が影から出した剣で突き崩して瞬殺した。

 

 

 

 

 

「……こんなことって………今だに信じられないよ………

―? あ、なんか来た」

 

リグルちゃんが気がついて取り出したのは、霊夢さんから貰った通話用のお札。

誰かが話しかけてきたのかな?

 

「リグルです。

……あ、士道さん? どうしたんですか? うわ!?」

 

「!!! 士道!?」

 

リグルちゃんが、通話用のお札が今繋がってる相手の名前を出した瞬間、ルーミアちゃんがお札をひったくった。

 

……あの反応は、間違いなくルーミアちゃんだね。

 

 

 

 

 

チルノちゃんとリグルちゃんに静かにしているようにお願いして、耳をすませると、お札からの声も聞こえてくる。

 

 

『―うお!? ルーミア!?

大分声変わったな、何かあったのか?』

 

「………えぇ、まあ………

―ゴメンなさい、士道。 私はもう、貴方の傍にはいられないわ。

……それじゃあ」

 

『!? ま、待ってくれ! こっちの話がまだ終わってないし、もう傍にいられないってどういうことだ!?』

 

「後はリグルか大妖精に任せるわ。

……さよなら」

 

『だから待てって! 何があったんだよ!?

………何か、言えないことでもされたのか? どこのどいつだ?』

 

 

士道さん、声低くて怖いです……

 

 

「……なんでアンタが早とちりして殺気立ってるのよ?

アンタは私の兄貴か?! 違うでしょ!!

……私自身の問題だからほっといて」

 

『………そうか。 分かった。

―ルーミア』

 

「……………今度は何よ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―晩飯には帰って来いよ。 今日はお前のリクエスト聞くからよ』

 

 

 

「―!!! ふ、ふざけてるの……っ!? 私は、もう戻れないって、」

 

『戻らない、じゃないだろ?

問題があるなら言ってくれ。 相談があるなら、話せる範囲でいい。

……もっと頼ってくれ。 その程度の力なら、あるつもりだ』

 

「………貴方を殺すと言っても、その態度を続けられるかしら?」

 

 

!? ちょ、ルーミアちゃん!?

本気の殺気強過ぎ!? リグルちゃん泡吹いた!!

 

 

『おーおっかない(棒)』

 

「……私は、本気よ?

そして、それを実行出来る実力がある」

 

『なら好きにしろ。

お前のにーちゃんそう簡単に殺せると思うなよ』

 

「何時までふざけ―

 

―は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―でなきゃ、声変わってるのに一発で誰か当てられるわけないだろ。

にーちゃん舐めてんのか?』

 

「―っ!」

 

 

ルーミアちゃんが、その場に座り込む。

 

涙も出てたけど―

私には、嬉し泣きだって分かった。

 

「あいつ、ないてるわね! アタイがはんにんをぶっとばしt」「チルノちゃん! 今いいとこだから!」

 

勘違いし始めたチルノちゃんを抑える。 本人は納得してなかったけど……

取り敢えず静かになる。

さ、続き続き!

 

……ていうか、士道さんもすごいなー。 どうして分かったんだろ?

 

 

 

『―だから、ちゃんと帰って来いよ。 あんまり遅いと、そこら中焦土にしてでも探すからな』

 

「っ、この、バカしどー!!」

 

『ふはは、バカで結構!

―それじゃあ、後でな』

 

 

 

 

 

「……………」

 

氷の上に座って、空を見上げるルーミアちゃんは、もう悲しそうじゃない。

 

「……いい人だね」

 

「……そうでしょ。

 

―って、聞いてたの!?」

 

「それはもう、バッチリ」

 

途端にルーミアちゃんの顔が真っ赤になる。

大きくなると、一気に初心になるんだね!

 

「〜〜〜〜っ!! 殺すっ!! 頭から喰ってやるっ!!」

 

「わっ!? ちょ、危ないです!!」

 

「うるさい! 忘れろ忘れろ忘れろっっ!!」

 

「それはできません」

 

「何でよっ!?!?」

 

と、まあ、それからしばらく鬼ごっこ(捕まると八つ裂き(1回休み)にされる)をしました。

 

 

 

 

 

 

 

……因みに、『伝言忘れてた!?』と、士道さんからの呼び出しに、意識を取り戻したリグルちゃんが気がつくまでに、必死に氷を破って出て来た深きものが何匹巻き添えになったかは分からないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

―霧の湖 上空

 

EXルーミアを見たキンジとキリトの反応。

 

「幻想郷だし、驚くようなことでもないだろ」

 

「異変が落ち着いた後で弄るネタゲット!」

 

「……なんで怖がらないのよ。

これでも封印前は有名な人喰い妖怪だったんだけど?」

 

「「………」」

 

「……なによ、ポカーンとして?」

 

「「初めて妖怪らしい紹介を聞いた!!」」

 

「大丈夫なの幻想郷!?!?」

 




補足説明
深き者ども:最早斃される際の描写がテキトー。 これでも神話生物なのに……
ジェットス(ry:某黒い三連星のオチ。 うp主の中では死亡フラグ扱いである。
ダゴン&ハイドラ:ルーミアEX化後、瞬殺される。
せっかくチルノと善戦出来るくらいには強くなったのに。
士道:なぜかEX化して声変わったのに、相手を認識出来た人。
理由は想像に任せます。
EXルーミア:異名『常闇の妖怪』。 大老クラスの大妖怪。 当時の幻想郷で、その危険度と対人友好度から封印された。
解除には、八雲紫か博麗の巫女が直接封印の札(リボン)を外すか、人に一定以上懐く(原作デアラで言うデレた状態)でリボンに強い力が加わること。
後者の場合は、ルーミア自身の意識で決められるようになっていた。
……本人は忘れていたが。


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50話 世界の真実

―????

 

side士道

 

 

 

―ブォン―

 

「うぉ!?

……何処だよ、此処?」

 

―炎の塊の様な邪神をどうにかして幻想郷から追い出し、さあ後はルルイエに突っ込むだけだって時に……

 

 

……それにしても、気味が悪い所だな。

 

緑や黒が基調でこそあるが、名前も知らないような色全てをブチ撒けたような暗い色彩。

 

おまけに緑色の石柱がねばねばした液体に濡れていて、あらゆる線と形が歪んで、まるで完徹したアル中患者が腐ったカエルの死体を見ながら書き殴った絵図通りに街を造ったように、完全にトチ狂っていた。

 

「……場所もそうだけど、瞬間移動(テレポート)、だよな? 今の。

幻想殺し(イマジンブレイカー)があるのにどうして……」

 

「い、言われてみれば、確かに」

 

 

……場所も場所だし、気が滅入りそうだな。

 

 

「……ここで立ち止まっていても仕方がない。 移動しよう。

キンジ、方角は分かるか?」

 

「分からん。星も太陽も無いからな。 コンパスは魔理沙が借りてった(盗んだ)し。

ま、大丈夫だろ。

 

―向こうから迎えに来たみたいだしな」

 

? それって、誰か近付いて来てるってことだよな? どこだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―よく気がついたわね。 気配はしっかり消しておいたんだけど」

 

「……薄気味悪いの追加かよ」

 

話しかけてきたのは―

所謂デッサン人形というヤツだった。

 

ただし、等身大で勝手に動く、が前に付く。

 

 

「―普通の消し方じゃないだろ。 消し過ぎて逆に分かりやすかったぞ」

 

「後学の為にどうして気がつけたか聞いても?」

 

「俺の気配探知は、足音とかを探るのとは別に、弱い魔力をレーダーみたく円状に撃って、その反射でも気がつけるようにしてあるんだ。

そんななかで、何も無い筈の空間から魔力の反射すら返って来なかったら、誰かしら隠れてるのは分かるからな」

 

「その理屈だと反射する物体の無い開けた空間においては全く効果が無いんじゃない?」

 

「それか? 前に河童(にとり)の光学迷彩を一発で見破ってやったら、対抗意識かは知らんが新しい迷彩を作りまくってな。 今言ったただのレーダー式だと、吸収素材を使ってきた時に気づくのが遅れてから、魔力は一定距離進むと自動で戻って来るよう設定してある」

 

「……吸収型はそれで気がつけるとして、じゃあ反射そのものを少なくする相手だったら?」

 

「それなら、さっきのオート反射の応用で―」

 

 

 

 

 

……………

 

「……アイツの言ってる意味分かる人ー?」

 

「意味不。 学園都市の科学者なのか、アイツら?」

 

「半分くらいは、なんとか」

 

デッサン人形とキンジが、何やら語り始めたんだが。

 

取り敢えず言わせろ。

お前何の為に出て来た!?

あとにとりは何やってるんだよ?!

 

 

 

「―つい話し込んじゃったわね」

 

「確かにな。

………お前ら、どうした?」

 

「…脳筋だと思ってた奴が呪文唱え始めたから驚いてたんだ」

 

「オイコラ当麻それどういう意味だ?」

 

「そのまんまの意味だよ!

平気で音速越えて人を数十メートル吹っ飛ばせる奴が脳筋じゃないなんて誰が思う?!」

 

「「「お前も似たよなもんだからな幻想殺し(イマジンブレイカー)?!?!」」」

 

「?」

 

思わずツッコミ。 お前も普通にパンチ一発で数十メートル吹っ飛ばせるだろ。

 

 

「……貴方達はコントをしにここまで来たのかしら?」

 

「いやいやそっちが最初から普通に出て来たらキンジと語り始めることもなかったから!?」

 

「ならダンボールを被って来た方がよかった?」

 

「頼むから普通に出て来い!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―さて、もう察しはついてると思うけど、コレを遠隔で動かしてるのは、貴方達の言う『腐食の女』。

ここ、ルルイエの案内をするために即席で作ったんだから、壊さないでよね」

 

「………」

 

 

……無意識の内に、灼爛殲鬼を出す構えになっていた。

霊力ほぼカラだからライターくらいにしか出てないケド。

 

―改めて見ると、全員厳しい状態だな。

霊力の類を持てない当麻は別として、オレ、キンジ、キリト、そろって殆ど霊力、魔力、妖力が空だ。

それに、キンジは右腕に問題があるのか、ホルスターの拳銃に添えてる手が左手だし、キリトも剣が1本足りない。

 

 

「……安内か。 何処へのだ?」

 

「決まってるでしょ。

―今、私がいる所よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜精霊武偵剣士幻想殺し人形移動中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ルルイエ 最深部

 

 

この人形の先導で、ルルイエを進むこと10分ちょっと。

 

 

 

 

 

そこに、あの『腐食の女』はいた。

 

 

 

「―久し振り、だね。 4人とも。

名乗り忘れてたから言うけど、クトだよ」

 

「……獰妖異変以来、になるな」

 

開けた場所の一番奥にある鎖が巻きついた椅子に、足を組んで座っている少女。

 

戦闘が始まった訳じゃないのに、既に重圧がのし掛かってくる。

 

「…? あ、『永夜異変』か。 確かに霊夢達が想定よりずっと早く動いたから、夜を止める必要がなかったし、名前も変わるか」

 

「永夜異変? ………何を言ってるんだ、お前は?」

 

その質問を待っていたと言わんばかりに両頬が吊りあがり、

 

 

 

 

 

「世界の『真実』についてさ」

 

 

 

 

 

―そう、言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―先に聞くけど、何処まで知ってる? 士道と当麻は紫から多少は聞いてるでしょ」

 

「……オレたちがいた場所と、幻想郷は陸続きじゃない、異世界ってことと、アンタたちが神話で語られる生物ってことくらいだな。

急にこんな薄暗い所に連れて来られなきゃもうちょっと聞き出せたんだが」

 

「あー……

後で謝っとこう。 ゆかりんファイト」ボソッ

 

「?」

 

「なんでも無い。

―さっき士道が言っていた事には、幾つか、決定的に足りない点がある」

 

「…勿体ぶらずにさっさと言え。 もう面倒な謎はたくさんだ」

 

「じゃあ、一番重要なことを一言で言おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―私達もお前達も、全て作り話(・・・)の存在だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………は?」

 

 

内容が飛躍し過ぎて、理解出来ない。

 

 

「…どういう意味だ? 作り話って、何かの例えか?」

 

 

思考停止したオレに代わって、キンジが話を進める。

 

 

「いや、そのままの意味。

フィクション、御伽噺話、エンターテイメント、創作物、まあ言い方は色々あるけどね」

 

 

「……俺たちの記憶も、経験も、何もかもが作られたモノだってことか?」

 

 

「完全には違うけど、そう思ってくれて構わない」

 

 

……だとしたら、オレたちの、オレの今までの人生って―

 

 

「……完全には違う、って言ったな。

何が違うんだ?」

 

 

今度はキリトが、パンドラの箱の中身を取り出す。

 

 

「んー………

話は飛ぶけど、パラレルワールドって知ってる?」

 

 

「……平行世界のことか? そこで創作されたモノが、別の世界に影響を与えるとかか?」

 

「惜しい。

それぞれの世界には『コア』になる世界があって、それがエンターテイナー(製作者)以外介入不可能の、完全なる『作り話(原作)』。

で、その周りに存在する、私みたいにある種の能力者が入り込めるのがパラレルワールド。

基本的にパラレルワールドは『コア』に沿って進むから、まあ介入や誤差を除けば、そのまま『コア』と同じ道を辿る。

だから、完全には違うって言った」

 

「………つまり、幻想入りしたオレたちは、お前の介入を受けた結果だってことか?」

 

「モチロン。 紫の境界操作単体じゃ、そこまでの大事は出来ないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『ありとあらゆるモノを狂わせる程度の能力』。

それが、私の能力」

 

 

 

 

 

「………その『コア』は、誰が生み出しているんだ?」

 

「それぞれの世界、『コア』とパラレルワールドの両方」

 

「……つまり、創作が創作をしてるってことか?」

 

「今は、ね。

私も聞いた話だから、証拠は無いけど………

ちょいと昔話に付き合っておくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔は、世界は1つしかなかった。

 

そこは、魔法も、魔術も、超能力も、神仏も、妖怪も、天国も、地獄も無い。

夢も、終焉も無い。一番最初の、ちっぽけで、ツマラナイ世界。

 

けれどある日、人々が『ある存在』を意識し始めた。

 

 

意識は認識に。

 

認識は理解に。

 

理解は畏怖に。

 

畏怖は信仰に。

 

 

そうやって人々に意識(信仰)された存在は、やがて、ハッキリとした意識を持つようになった」

 

 

 

……それって、まるで、

 

 

 

「……まるで、神、だな」

 

「その通り。 のちに創造神だとかヤオヨロズだとか言われる存在の、原型。……話、続けるよ。

 

 

 

 

 

 

 

―しかし、『それ』は無力だった。

いくら信仰され、生贄を捧げられ、認識の違いによる戦い(宗教戦争)が起きようと、『それ』は所詮、現実に介入することは勿論、人の意識にすら語り掛けることが出来なかった。

 

……そしてそのまま、永い時が流れ、かつて信仰されていたモノが解明され、畏怖されなくなっていっても、『それ』は形を変えて存在し続けた。

当時の人々の生み出した、異世界の意識を取り入れることで」

 

「……その、異世界の意識ってのは、」

 

「―作り話。

 

神話からゲームのシナリオまで、様々な『異世界』が生まれては消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

―そして、ある日。

突然、その時は訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『それ』が自害し始めた」

 

「「「「!?!?」」」」

 

自害―自殺って意味だよな!?

 

「自分達の世界で見た事ない?

バッドエンド、終焉エンド、全滅エンド、ループエンド―

 

主人公が、最悪のカタチでエンディングを迎えた話。

 

 

 

 

 

 

 

―トリガーの物語がなんだったのかは、もう、誰にも分からない。

ただ一つ、確かなのは―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それ』が、生まれてから死ぬまでに、唯一、その世界に最初で最後に出来たことは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を、終わらせることだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

もう、誰も喋れない。

想像の斜め上すら当の昔に突き破り、最早、理解の範囲を超えている。

 

 

「……崩壊した世界と『ソレ』の破片は、『ソレ』の生前の習性からか、或いは偶然か奇跡かで、幾つかの塊になり、世界は、分裂して、再生し始めた。

 

―一度崩壊し、分裂し、幾つもの作り話(異世界の種)を持った世界は、やがて別の道を歩み始める。

 

神仏のいる世界。 超能力がある世界。 エイリアンが開国させた世界。 ダメ人間量産機が未来から来る世界。巨大な竜が闊歩する世界。

……挙げていけばキリがない。

 

さらに、新たな世界は、旧世界から生み出されたことで、本来作り話において重要視されない存在―

所謂モブキャラ達にも、ハッキリとした人生を歩める世界になった。

 

 

 

―そして世界は、数を増やし続けながら、歴史を繰り返す。

『ソレ』の子供達が、最初からシナリオ通りに介入出来る、その違いを持って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―これで昔話はお終い。

今の『コア』は、別世界の『コア』とパラレルワールドに存在する、旧世界のエンターテイナーと同じ人物が作り続けている。

そしてパラレルワールドは、ボツになった展開や、他人の作った二次創作が『コア(原作)』に介入しようとした結果生まれた世界。

 

 

……これが、全ての―

 

『世界の真実』」

 

 

 

 

 

……………

 

「……つ、つまり、オレたちは―」

 

 

そして―

 

 

 

 

 

トドメの一言を、聞かされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『五河士道』も、『遠山金次』も、『桐ヶ谷和人』も、『上条当麻』も、

『士道の姓が本来は五河ではない』のも、『アンベリール号事件』も、『SAOのデスゲーム化』も、『上条当麻が不幸』なのも、全て、全て、全て―

 

 

 

 

 

作られた『設定』。

読者や視聴者を笑わせ、涙させ、嘲笑せるための、『作り話』。

気が向かなければ消される、替えが効く、都合の良いように動かされる『操り人形』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ウソだ」

 

根本的な、生物としての原始的な恐怖が湧き上がる。

 

「……オレは、…………嫌な事もあったけど………1人の人間として………家族で…………」

 

「なら聞こう。

―お前らは、全てを思い出せるか?

クラスや親戚1人1人の顔名前。 自分の今までの思い出。 その、全てを。

………『主人公』はまだマシな方だ。

『読者』に読んでもらうのに、その人物の人生十数年分の経験をしっかりと決めていることはほぼ無い。

モブや脇役でしかない存在など、顔や名前、どれくらいいるといった数ですら曖昧なことだってある。

 

 

 

 

 

…………もう1度、ハッキリ言おう。

お前らは、作られたモノだ」

 

 

―目の前が、暗くなっていく。

今聞いた話を拒絶する―いや、

理解してしまったからこその、自分自身への拒絶か―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――だからどうした」

 

「……?」

 

……とう、ま?

なんで、おまえ、は、

 

「―世界から不幸で溢れかえってるのも、特定の誰かが信じられないくらい重いモンを背負ってる根本的な原因も分かった。 たったそれだけだろうが。

だったら、俺のやるべきことは変わらない」

 

 

……いや、愚問だったな。

 

 

 

「―このチカラが、顔も知らない誰かに押し付けられた『呪い(設定)』だとしても、

 

―その結末が、レールに沿って進められた終着点だっととしても、

 

 

―俺たちが、絶対に抗う事すら出来ないってタカくくって眺めてるなら―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―まずは、そのふざけた『神サマのシステム(幻想)』をぶち殺す!!!

 

 

士道!! お前を兄だなんだって慕ってくれてるルーミアは、どの世界探しても1人だけだろうが!!」

 

「―っおう!」

 

「キリト!! この際だからぶっちゃけるが、本音はなんだこのロリコンって思ってた! でもそれでいいじゃねえか、お前らしくて!!」

 

「なにがいいのかサッパリ分からん。 が―

大人しく受け取っておく」

 

「キンジ!!―」

 

「………」

 

「……悪りぃ、咄嗟に出ねぇ」

 

「「「おぉぉぉぉぉぉぉい!?!?!?

そこはラストビシッと決めろよ!?!?!?」」」

 

 

―空気が、一気に澄んだ。

 

 

 

 

 

異世界? パラレルワールド?

作られた操り人形?

 

 

 

 

 

 

―だからどうした。

 

 

 

 

 

 

オレは、オレだ。

 

 

幻想入りして、霊夢たちとバカやって、騒いで、宴会して、弾幕ごっこやって―

 

 

 

それが、オレ(五河士道)だ。

 

 

 

 

 

 

 

―本来なら、別の道を歩んでいたのかもしれない。

別世界のオレは、実際歩んでるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

―なら、そっちは任せたぞ、オレ(・・)

 

 

 

オレは、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレ(この世界の五河士道)のやるべき事をやるだけだ。

 

 

 

 

 

「お前が『オレ』を否定するなら、

―オレは『お前』を否定する!!!」

「この桜吹雪―

―見忘れたとは、言わせない!!!」

「コンティニュー?

―お前に次は無い!!!」

「テメェが、神サマみたいな能力で世界を滅茶苦茶にするってんなら、

―まずはそのふざけた『幻想』をぶち殺す!!!」

 

 

「……やっぱり受け入れ、その上で立ち上がるか。 流石各作品の主人公―いや。

もう、別モノ(・・・)だな。

―いいだろう」

 

 

 

クトは、椅子からゆっくりと立ち上がり―

 

 

「終わらせようか。

 

 

―『幻想()異変』、最後の戦いを!!!

 

この私を止めてみせろっ異変解決者!!!」

 

 

 

 

 

―最終決戦が、始まった。

 

 

 

 

 





補足説明
クトの能力:物体概念に干渉し、狂わせることによって、自分の望むモノに変えることが出来る。
世界の真実:ざっくり言えば、
原作者が作っている原作=コア。
パラレルワールド=コアへの干渉によって生まれる別世界。
俗に言う二次創作。
放置すればコアと同じように進むが、干渉の度合いによっては崩壊・消滅する。
紫もこの事は知ってるが、昔話を知らない為、創作物云々は知らない。
よって「よく似た世界が幾つもある」程度の認識。


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51話 異世界の鎮魂曲


推奨BGM:『Death to the World』


 

 

―vs

 

 

―【大いなるものを超えたもの】―

 

―【ルルイエの暴君】―

 

―【『ありとあらゆるモノを狂わせる程度の能力』】―

 

 

 

―【クト】―

 

 

 

 

 

―ルルイエ

 

side士道

 

「―初っ端からデカイの行きますかぁ!

能力使用!闇の帝王!!」

 

宣言の直後、色取り取りの閃光が突如クトの右手に出現した杖から乱射される。

 

キリトとキンジはジャンプで躱し、当麻が幻想殺しでキャンセルしようとするが、あの宣言(・・)が本当なら―

 

「―当麻!! 念の為躱せ!! 即死系呪文だ!!」

 

「っとぉ!? マジかよ!?」

 

飛来した緑色の閃光を2人して躱していく。

 

 

「やっぱ有名所は簡単に見破られるか!! ならお次は、

「させるか!! 『桜花』!!」

「『ヴォーパルストライク』!!」

―だよねぇぇぇえ!!

インペディメンタ(妨害せよ)』!!」

 

杖を振ることで、2人の動きが極端に遅くなる。

 

その隙を逃すような相手ではなく―

 

「―かーらーのぉぉぉぉぉおお!!

能力使用!シスの暗黒卿!!

オラよっとぉ! フォース万能説万歳!!」

 

距離がある状態で左右に掌底を打ち、2人を吹っ飛ばすと、何処から出したか赤いプラズマの刃の光剣でキリトに斬りかかる。

 

 

ブォン!!

 

 

「―うぉ!? ライトセイバー!?」

 

「あったりー!! ついでにライトニングも持って行きー!!」

 

「!?!? ガァァァァ!?!?」

 

間一髪で躱したキリトに、手から発生した電撃が襲いかかる。

 

「テメェッッ!!」

 

「!? 元祖弾幕切りぃ!!」

 

バチバチバチバチバチバチ!

 

キンジの銃撃も、光剣によって全て阻まれるどころか、そっくりそのまま打ち返される。

 

「!? チッ!」

 

電撃から解放されたキリトと弾幕を躱したキンジが降りてくる。

 

「グゥ……想像以上にイテェ」

 

「ついでに、今のやり取りで魔力がカラだ。 予備弾倉もあと一つだし、こりゃチト厳しいな」

 

「マジかよ……」

 

最低限戦えた近接2人も、とうとう飛ぶ事すら出来なくなった。

 

マズイ、このままじゃ格好の的―

 

 

「作戦会議は終わったかい!!

能力使用! 虚無の担い手!!

―纏めて吹っ飛べ!! 『エクスプロージョン』!!」

 

光剣が消え、再度現れた杖から光弾が撃ち出され―

 

 

 

 

 

―ドッッッゴォォォォォォン!!!

 

 

 

 

 

「うわっ!?!?」

 

咄嗟に目を瞑る、が―

 

 

…? 閃光も、爆風も、来ない―

 

 

 

―あぁ、成る程。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―俺が相手だ、クト」

 

「カミヤンが相手かい!

イイネ、楽しみにしてたんだよ!!

能力使用! サンダーボルト!!

さーて何分持つ!?」

 

当麻に合わせ、地面に降りてきてボクシングの構えをとる。

両拳どころか、全身を電流が流れてる相手に、

 

 

「―その幻想をぶち殺す!!」

 

パキンっ!

 

「!? グポァ?!?!」

 

―右手が、突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

「―やっぱり効くね、それ………

おーイテテ、キンジー格闘技かなんか教えたでしょー」

 

「当たり前だッ! 『桜花』ァッ!!」

 

「ギャポァ!?」

 

幻想殺しの影響で防御を失ったクトに、音速の拳が炸裂し、数十メートル吹っ飛んでいく。

 

 

「やったか?」

 

「……多分まだだ。 手応えはあったが、耐えてるだろ」

 

クトが叩きつけられた壁を見ると―

 

 

 

「―いったいなーもー。

アザになったらどうしてくれる?!

能力使用! 追跡者!!

無限ロケランの理不尽さに泣くがいi

「選択ミスだろ、それ」

デスヨネー」

 

 

 

ドッゴォォォォォォォン!!

 

 

 

湧き出てきた(もう驚かない)4連ロケットランチャーの砲門に容赦なく光弾が入り込み、榴弾ごと爆発する。

 

「ギ………プ………

焼けたぁ……ドラァっ!?」

 

「一気に決めるぞ!! 『桜花』ッ!!」

 

キンジが、再度桜花で吹き飛ばし、

 

 

「―『ソニックリープ』!!」

 

「ブッタァァ!?」

 

キリトのソードスキルがそれを叩き落とし、

 

 

「はいオーライオーライ―っとぉ!!」

 

「グペ………ちょ暑い熱いアツい!?!?」

 

残った霊力を全て使って、熱した手で掴み、投げ飛ばし、

 

 

「―これで、トドメだっ!!!」

 

「そげぶっ!?!?」

 

当麻の右ストレートが、再度顔面を捉え、再度別の壁に叩きつけられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか、弱過ぎね?」

 

後頭部を抑えながら転げ回っているクトを無視して当麻に話しかける。

 

 

「確かにそうだけど、手加減してるってオチじゃないか?

キンジの桜花もいつもより目に見えてスピード落ちてるし、少なくともこれで終わりってことは無いだろ」

 

「それもそうだな」

 

何時でも回避行動が取れるように、慎重にクトの様子を伺うとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideキンジ

 

トドメに上条に殴られ、未だ悶絶しているクトに油断なく銃口を向ける。

 

さっき桜花を右手でやってみたが……

やっぱりスピードが出ないな。

 

最初の頃みたいに全身を使えば、辛うじて亜音速まで持っていけるが―

『鬼の腕』のパワーだけで殴ってるようなもんだな。 しかも、それすら思うように力が出ない。

 

 

……こっちがそんな状態なのに、こうもアッサリと、最後に現れた旧支配者を斃せるもんなのか?

 

クトを見ると―未だに悶絶している。 タンコブが出来たと叫んでいるが、あの調子なら直ぐに戦闘に復帰するだろう。

 

 

………トドメを、刺しておくか。 相手が動けない今がチャンスだし。

 

一応後方確認。

……分身すら無い。 てっきり攻撃を集中させた瞬間に、背後から襲って来るかと思ったんだが―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―って思うジャン、フツー。

でも私は正面から行く!!」

 

「ッ!?」

 

慌ててクトに照準を合わせ―

 

 

 

 

「流石にふざけ過ぎたよ。

満身創痍だから舐めプでもイケるかと思ったけど……

 

―サービスタイムはお終い」

 

パシュッ!

 

「うッ!?」

 

サプレッサー付きの黒い(・・)ベレッタM92FSから早撃ちで吐き出された銃弾が、ベレッタを弾き飛ばす。

 

「―能力使用。

―破壊王

―最強の拒絶タイプ

―シスの暗黒卿

―ウロボロス」

 

「ンなッ……!?」

 

聞き覚えのある異名無い異名が出て来ると同時に、クトから発せられる重圧が、ガクンと重くなる。

 

これまでのパターンから言って、おそらく宣言した人物の能力や武器を使えるといった具合だ。

 

今までいちいち宣言し直していたが、複数人分同時に出来るのかよ………ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

―だが、まだ勝機がある。

 

「おい、さっきの名前、どれくらい分かるッ?!」

 

「…さっきもでた暗黒卿って、確かSW(スターウォーズ)のダース・シディアスってやつだよな? あれなら映画の再放送を見たから、まだ分かる。

フォースっていう超能力と、さっきもやってた電撃、剣術に注意だ。

他は……悪い、見当もつかない」

 

これは、キリト。

 

 

「拒絶タイプ……多分、ゼルエルってキャラだったハズだ。

……コア以外へのダメージは再生するってこと以外、詳しいことは忘れちまったけど。 それ以外は、オレも」

 

これは、士道。

 

 

「……ひとつも分からん。 不幸だ」

 

……これは、当麻。

 

 

「…俺は、ダースシディアスと、あとウロボロスなら、武器から言って多分ウェスカーだ。

化物じみた体力、精密射撃、銃弾を避けられるスピードでの体術、ニョグタみたいな黒い不定形での攻撃―

…ざっとこんなもんか」

 

……勝てるのか、コレ??

 

 

 

 

 

 

 

「そんじゃまぁー―

ダンスパーティーと洒落込みますかぁ!?!

伝説『トラップシューター』!」

 

キイイィィィィィィィ―

 

 

バシュシュシュシュシュッッ!!

 

 

右手に凝縮された緑色のエネルギー塊から、大量の光弾が発射される。

 

「オラオラオラ避けないとフツーに痛いよー!!」

 

「なら避けさせる気のある攻撃にしろよ!?!? げふぉ!!」

 

俺は躱し、キリトと当麻は防御していたが、士道が餌食となる。

 

「!! ヤロォっ!!」

 

「ぴょぉっとお!! ハデにトビなぁ!!!

天使『最強の十字架』!」

 

殴り掛かった当麻の拳を空中で3回転ほどしながら避け、そのまま髑髏のようなマスクを被る、と―

 

 

 

キュィッッ!!

 

ドォォォォォォォォォオオオン……

 

 

 

「!?!?」

 

ま、マスクの目の部分が奇しい閃光を放ったと思ったら―

 

 

 

 

十字の怪光線が、当麻の右手を避けるように、足元から炸裂していた。

 

 

 

「ッ―!? キリト! 合わせろッ!!」

 

「オーケー!!

―なっ?!」

 

あ、あのヤロ―

 

 

「おおこわいこわい。

一時退さーんと!」

 

仮面を付けたまま、空中に発生した六角形の光る板のようなモノを足場にして逃げやがった!!

 

 

「ヤロォッ! 何処に―

―ッッ!?!」

 

バスッ!

 

―ビシィッ!

 

 

反射的に真横に銃弾を撃つと、銃弾同士が当たる音(・・・・・・・・・)が聞こえた。

 

 

―狙撃かよッ!? 銃声が完全に聞こえなかったから、多少は離れているみたいだが―

 

気が一切抜けない。

 

 

 

「……キリト、進むぞ。 あのまま芋られたら埒があk―」

 

ブォンッ!!

 

「!! キンジ! 伏せろっ!!」

 

頭上から聞こえてくる特徴的な音に、正体を見るまでもなく指示通りに伏せる。

 

 

ギィインッ!!

 

 

 

「ヤッホイキリ君調子はどーだい!!」

 

ギィンッ! ギュィンッ!

 

「お陰で最高だよ。 エリュシデータは薪にされるわ一回ガチで死に掛けるわ異世界からストーキングされるわっ!!」

 

ギィッ! ガギィィィィイッ!!

 

「全部クトゥグアのことかい!?」

 

「喚んだのはテメェだろっ!!」

 

バギィィッ!! バチッ! バチッ!

 

 

 

 

 

……て、手を出すに出せねぇ。

 

この2人(特にクト)、

鍔迫り合い(怒鳴り合い付き)→派手に動きながら2、3撃打ち合い→鍔迫り合い

って動くもんだから、危うく踏まれるかと思ったぞ。 お前らはどこのジェダイにシスだよ。

 

……片っぽ似たようなモンだった!?

 

 

 

 

 

―さて、どうするか……?

 

鍔迫り合いの最中に拳銃で援護射撃でもするか?

 

 

 

「―キーくんちょい待ってや。 もーそろそろ片がつくから、さぁっ!?」

 

バキィッ!!

 

 

クトが俺の動きに気を取られた瞬間、キリトがライトセイバーを弾き飛ばす。

 

「―チェックだ、クト」

 

「そこでチェックメイトって言ってくれない辺り警戒されてるねー………」

 

首に刃先を当て、宣言する。

 

流石にあの距離なら、何かアクションを起こした瞬間に斬れるな。

 

 

……一応、狙いを付けておくか。

 

 

そんな俺を見て、溜息を吐いたクトは、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―直ぐに片付けると言っとるのに、気が早いねーキーくんは」

 

「は?―」

 

laaa―

 

 

 

 

 

ズドンッッッッ!!!

 

 

 

 

 

「!?!?」

 

な、何が起きた!?!?

 

妙な、唄のような音が聞こえたと思ったら―

 

 

 

 

 

 

 

―なんでキリトが押し潰されてんだ?!?!

 

 

「―A.T.フィールドは攻撃にも使えるんだよ。 バリエーションも割と多いし」

 

「お……お前は何を―」

 

言ってるんだ、と言う前に、

 

 

 

「―バァ。 ヒステリアモードって、結構隙だらけだよね」

 

「?!!?」

 

い、いつの間に背後にッ!?

 

「おやおや。 折角知ってるキャラの技を使って見せたのに拍手の一つもナシかい」

 

「………ウェスカーの瞬間移動か!?」

 

「そっか、キーくんはバイオ映画派だっけ? ゲーム版はあれもっと鬼畜性能だからねー。 実際にタイマン張ってみたけど、もう早い早い」

 

「……?」

 

…『実際にタイマン張ってみた』?

 

 

「おーい、ちょっと前に話したことお忘れー?

『バイオハザードの世界』もあるに決まってるジャン。

それに私の能力的に、最低一度は戦う(・・・・・・・)斃した事のある奴(・・・・・・・・)の能力のマネなんだし、コレ」

 

「…つまり、お前が能力を使った奴と実際に戦った事があると?」

 

「さっきからそー言ってるじゃん。

ま、そーいうわけでぇ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―兄弟考える事は似てるねぇ」

 

パシュッ

 

 

―ッ?!

しまった、ベレッタが―

 

 

「『不可視の銃弾(インヴィジビレ)』―

私が警戒しないとでも?

そもそも、一か八かの記憶頼りの再現じゃ、オートマチック拳銃じゃなかったとしても弾き飛ばすのは簡単だったね」

 

「ッ―!!」

 

「おーい、させるわけ無いっしょー」

 

―パシッ

 

「うッ―」

 

拳銃を回収しようとスライディングをした瞬間、引き寄せられるように、俺の拳銃がクトの手に収まる。

 

ふ、フォースセコッ!

 

「煩い。

それじゃ、ま。

―肉体言語と行きますか?」

 

黒とワインレッドのベレッタ二丁をヒップホルスターに突っ込んだらしいクトが、棒立ちのまま手招きしてくる。

 

 

……上等じゃねぇか。

 

「―来いよ。 レディーファーストだ」

 

「えー、じゃ、遠慮なく」

 

―ビッ!!

 

 

!? は、疾い!!

一瞬消えたと思ったら、次の瞬間には打撃が鳩尾に直撃する直前だぞ!?

 

 

 

 

 

―だが、それは、

 

「予想通りだッ! 『絶牢』!!」

 

殴られる勢いを利用して、逆サマーソルトを叩き込む。

 

パキィンッ!

 

 

 

 

 

 

 

……なッ―

 

 

「……A.T.フィールド一枚突破、おめでとぉ。

やっぱり完全に使徒やエヴァの能力をコピー出来た訳じゃないから、未中和状態でも破れる、か」

 

 

―ノーダメージ、だと……ッ?!

 

 

 

「じゃ、そろそろ―

 

 

 

 

 

 

 

血祭りにあげてやるよ」

 

「な、―うぉッ!?」

 

突然、頭を鷲掴みされるような感覚と共に、持ち上げられる。

 

ま、またフォースかよ…ッ!?

 

 

「…クケケ―」

 

!?

 

頭の感覚が消えて、落ち始め―

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴォッ!!

 

「が……ッ!?」

 

す、垂直に殴り飛ばされた……ッ!

 

落下しながらだから橘花は使えなかったし、重心を意識する時間もなかっ―

 

「―この始末、どうするキーくんよぉぉぉぉぉぉお!!!」

 

 

―バヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン

 

ドゴゴォォォオオッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「……ご………はッ………」

 

な、何が起きた……ッ?!

 

ぶっ飛ばされた上空で、クトが一瞬で追い付いて来たと思ったら―

 

壁に、押し付けられてるのか……?

 

 

クソッ、ロクに受け身も取れない状態で後頭部を強打した所為で、意識、が―

 

 

 

「…終わった、か。

所詮、エネイブルと言っても、人は人だったか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideクト

 

「ん〜………暴れたりないな」

 

士道はブロリーの弾幕で倒して、

 

当麻はゼルエルの怪光線で吹っ飛ばし、

 

キリトはゼルエルのA.T.フィールドで圧縮し、

 

キンジはブロリーの頭鷲掴みアッパー→岩盤コンボで、物理的に沈めて、

 

 

「……ま、連戦で削れてたし、しょうがないか。

 

 

 

 

 

―待ってはあげないけど」

 

フォース(色々と万能能力)を使って、一応生存確認。

 

 

 

「………あれ、カミヤンの反応無くね?」

 

…………………………

 

 

文字通りマッハで爆心地に飛ぶ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドンッ!!!

 

パキキキキキキィンッッ!!!

 

「!? な、7枚あったA.T.フィールドがぁぁぁぁぁあああ!?!?」

 

と、咄嗟に避けて、それでも避けきれなかったから受け流そうとしたのに!?

 

擦りこそしなかったけど、今のレーザー、一体何―

 

 

 

 

 

「―っ!?!? 嘘っ速すぎ―

いや、違う?!?!」

 

瞬間―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊力と、魔力と、妖力と、神力が、吹き乱れる。

 

同時に、圧倒的な重圧が私に覆い被さる。

 

 

 

一瞬、召喚魔法陣が機能して、喚び出す予定―あくまで予定―の『外なる神』が来たのかと思ったけど………

 

別々の方向から、重圧が来てる。

一箇所からじゃ無い。

 

 

 

 

 

一体、何が―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なーんて、私らしくなかったね。 今こんなことが出来る連中は、彼奴らだけか。

 

 

―で、アンタらは何しに来た?」

 

 

重圧の発生地点―左右から挟むように現れた『ソイツら』は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―黄色い、風の塊。

 

【……久シイナ。

相変ワラズ、邪神ラシクナイ奴メ】

 

「……言ってろ、ハスター」

 

 

 

 

 

―紅い、焔の塊。

 

【―アレハ、我ノ獲物ダ。 横取リスルナラバ、貴様モ燃ヤシ尽クスダケダ】

 

「………関係無く炎上させんだろ、クトゥグア」

 

 

 

―風の神性に、炎の神性。

 

 

 

「……ンで? 何でわざわざ2神が此処に?

―まさか、人間を護る為、とか言い出すんじゃねぇだろうな、旧支配者?」

 

 

【―ソノマサカ、ダ。

クトゥグアハ、獲物ノ確保ノ意味合イガ、強イガナ】

 

言うが早いか、風と、焔が、それぞれ集まって、ヒトの形をし始める。

 

 

「……金髪のはたてに赤髪の妹紅とか……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―女の格好とか、お前ら、まさかアレか? 『惚れた』とか後から言い出さないよな??」

 

【【…………ソレハナイ】】

 

「即答しろよオイ!?!? て言うかクトゥルフ()ニャルラトホテプ()にアンタ達までとか、旧支配者のプライドどこ行った!?!?」

 

【【無論、向コウカラ屈服サセル】】

 

「言い方!? 屈服って言い方!?!? て言うかお前ら否定する気ゼロだろ!?!?」

 

こ、この私がツッコミ疲れるだなんて………

 

 

 

 

 

「……で、あいつらの力が高まってるのは、お前らが原因って事でおk? あ、手段は聞いてないから」

 

【…アア】

 

うおーいマジかー。

 

……ん? 連中と殺り合ったキリトとキンジは兎も角、上条と士道は?

 

 

 

 

 

 

 

……なるほど、士道は納得。 上条はオマケですか、不幸な。

 

 

「ハァ…………あいつらの準備が整うまで、私も手ぇ出さないから帰れ。 つーか私もやることが出来たから」

 

 

…ま、考えようによっては、この先やりやすくなるかな?

 

 

 

 

 




補足説明
クトの能力:解釈によっては、『変化させる程度の能力』になるから出来る荒業。キャラ専用なら武器も召喚可能。
なお、コピーは完全ではない。

一応、今回使用したキャラ一覧。

闇の帝王→ヴォルデモート卿(ハリポタ)
シスの暗黒卿→ダース・シディアス(SW)
虚無の担い手→ルイズ(ゼロ使)
サンダーボルト→ヴォルギン(MGS)
追跡者→ネメシス(バイオ)
破壊王→ブロリー(DB)
最強の拒絶タイプ→第10使徒(ゼルエル)(新劇エヴァ)
ウロボロス→ウェスカー(バイオ)

旧支配者勢:かなり前にタグにも追加しましたが、このssのクトゥルフ神話生物は、基本的にニャル子さんテンションです。
クトゥグアの態度?
ほら、好きな相手は虐めたくなるって言うジャン。(オイ)


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52話 『とおりゃんせ』

 

―????

 

side三人称

 

 

 

 

 

「―う……此処は、どこだ……?」

 

「……それが分かれば、こんな混乱して無い」

 

 

 

4人が目を覚ましたのは―

 

 

 

足元の部分だけ淡く光った、一本道の上だった。

 

 

 

 

 

「…魔力はカラのまま。 だけど、身体へのダメージは一通り回復している―

 

……魔理沙たちと合流出来た、て訳でもなさそうだな」

 

キンジが状況を判断し、いつでも発砲出来るようにベレッタを構え―

―ようとして、物が無いことを思い出す。

 

「? どうした?」

 

「……拳銃、あの野郎にパクられてたんだった」

 

「………取り敢えず、歩こうか。 このまま此処にいても、どうしようも無いしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜精霊武偵剣士幻想殺し探索中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―あの後、分かったことを並べると、

 

・何も無い空間に光る道が浮かんでいるように見えるが、実際はトンネル状になっている。

 

・壁、天井の材質は不明。

 

・霊力や魔力の自然回復速度が非常に遅い。

 

・幻想殺しは効果無し。

 

 

 

「……で、どこまで続いてるんだ? この道」

 

「さぁ?

………ただ、オレの勘だけど、妙にトラップのニオイがするんだよな」

 

「トラップのニオイ?」

 

聞き返した士道に、キリトが頷く。

 

 

「……丸岩が転がって来るとかないよな?」

 

「地面がほぼ平坦だ。 迫って来ることはあっても、転がって来るは無いな」

 

「ならいいんだけどよ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―うん、薄々分かってた。 不幸だっっ!!」

 

当麻の絶叫で、後ろを振り返ると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―床が、ジワジワと無くなっていた。

 

「―よし、逃げるか」

 

「落ち着け、まだ遠いだろ。

それに、光が消えただけかもしれない」

 

「…それに、そこまで焦る必要も無いみたいだしな」

 

安堵混じりのキンジの声に、前を見ると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―扉だ。 これで外に出られるかもしれん」

 

 

 

鉄製と思しき、無骨な扉があった。

 

 

 

「……さっきまで無かったよな?」

 

「先に調べとこうぜ。 これでギリギリになって、鍵が掛かってた、なんてシャレにならないからな」

 

 

4人が、少しペースを上げて歩く。

 

 

遠くに見えたが、1分もしないうちにすぐ目の前まで辿り着くことが出来た。

が―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ノブ無くね?」

 

「鍵穴も特に無いな。

……内開きだから、そもそも鍵が掛かってるかすら分からんが」

 

―扉には、ノブも、取っ手も、鍵穴も、何かを引っ掛けるような窪みも、引っ張れるような出っ張りも無かった。

 

 

 

まさに、1度入れば出られない(一方通行)

 

 

 

 

 

 

 

「…えげつないな、こりゃ」

 

「ブチ破ればいいだけだろ。

キリト、3、2、1でやるぞ」

 

「オーケー。 いつでもいいぞ」

 

「―3

 

―ni」

 

 

 

―ギ、ギィィィ……

 

 

扉が、外側から少しだけ開いた。

 

何人かいるのか、複数の男女の切羽詰まった声が聞こえる。

 

 

 

「「………」」

 

「…ま、まあ、良かったじゃねえか! この扉、結構堅そうだったし! なっ、士道!」

 

「え!? お、おぉ!

手を怪我するよりはマシだろ! ホラ、こっちからも引っ張るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―ギ、ギギギ………ギィィィィイ―

 

 

 

 

 

 

 

 

「お……重い!?」

 

「キリト! 剣突っ込んでテコの代わりに出来ないか!?」

 

「いや、このまま引っ張った方が早いッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

―ギギ………ギギィィィィイ―

 

 

 

 

 

 

 

 

―扉が、徐々に開き、人1人分の隙間が出来る。

 

 

 

 

扉の向こうには―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―お兄ちゃん!! 無事!?」

 

「…は? 琴里!?」

 

赤い髪を、白いリボンでツインテールに結んだ少女。

 

 

「―良かった。 生きてるわね」

 

「―ッ!? ―ッ?! に、兄s、じゃ無くて………

カナ!? そっちこそ死んだんじゃ―」

 

足元まで届く、長い茶髪の三つ編みの女性()

 

 

「―キリトくん! やっと―

やっと会えた………!」

 

「あ、アスナ!?」

 

栗色の髪をした、騎士風の少女。

 

 

「いよーカミヤン! 生きてたかにゃー! やっぱ悪運強いぜよ!!」

 

「土御門!? おまっ、よくここに来れたな! 俺もここがどこか分からんけど!」

 

アロハシャツ、グラサン、金髪の格好だけ見れば怪しい少年。

 

 

 

4人が、予期せぬ再会に喜んでいる(約1名(キンジ)は戸惑っている)と―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピキ、ピキピキピキ、ピキピキ………

 

 

 

「ん……げぇ!?」

 

「どうした士、道―

……逃がさないってか? ハタ迷惑なこって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―道が、すぐ目の前まで消えていた。

 

 

 

「? どうした、カミヤン?」

 

「あー……扉のこっち側には、後道が10メートルくらい……もうそんなに無いか?」

 

「っ!? 早くこっちに来い!1人ずつなら通れるハズだ!!」

 

 

 

 

 

「―士道ッ! 先に行け!」

 

「!? キンジ!?」

 

「このメンツで一番先輩(古参)だろ。 早いトコ彼女の所に行ってやれよ」

 

「―っ! すまない!」

 

 

扉の隙間を潜り、外に出―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………霊夢(・・)?」

 

「は?―」

 

 

ふと、士道が、消えた道の先を見ると―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手を振っている博麗霊夢が、

霧雨魔理沙が、

フランドール・スカーレットが、

魂魄妖夢が、立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっ、道あるのかよ?!

……焦って損したぜ。 こっちに来いよ、そこは―」

 

何も無い、と言おうとして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行って―

―アンタの居場所は、そっちなんだから」

 

―確かに、そういった風に聞こえて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢達が、消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……オレの見間違え、か?」

 

「…いや、俺にも聞こえた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……気がつけば、誰からとも無く、笑っていた。

 

 

 

 

 

そして―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道は、扉の内側に戻った(・・・・・・)

 

 

 

「!?!? お、お兄ちゃん!?」

 

「…悪い、琴里。

………ごめんな」

 

 

 

「………待ちなさい。

キンジが私の言うことを聞かなかったことは………なかったよね?」

 

「……偶には反抗したい年頃でね。

―多分、最初で最後の、な」

 

 

 

「―ちょ、キリトくん?! 皆……

皆、待ってる―」

 

「……すまない。 やる事が出来た。

……きっと、もう、帰らない」

 

 

 

「……ま〜た女の子かにゃ〜?

―上条、本気か?」

 

「……不幸にも、な」

 

 

 

4人は、消えた道に向かって歩みだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―オ前達ハ、何ダ?】

 

誰かが問う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その応えは、たった一言だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『幻想』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ルルイエ

 

sideクト

 

 

「……来たか」

 

目を開き、組んでいた腕を解く。

 

 

 

何もしなくても感じ取れる、純粋な、『力の集合体』―

上昇し、声が届く範囲に現れた、その存在達に苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……その姿になるのは2度目だねぇ。 士道」

 

「あの時の声……やっぱりお前だったか」

 

5番目の精霊『イフリート』の限定霊装―赤い和服に、透明な、光る謎素材で出来た()を纏ったモノ。

 

 

 

 

 

「……私、戦闘民族を幻想入りさせた覚えは無いんだけど?」

 

「諦めろ。 幻想郷じゃ常識に囚われたら負けだ」

 

身体から溢れる星属性の魔力―金色の光がオーラの様に見えるモノ。

 

 

 

 

 

「予想通りというか何というか………

おめでとう、で良いのかな?」

 

「自分でもビックリだよ。

―悪い気はしないけどな」

 

飛膜状の、蝙蝠のような―吸血鬼の翼を持ったモノ。

 

 

 

 

 

「……初めて空を飛んだ感想は?

―てかそれ、幻想殺しの効果は?」

 

「知らねぇよ。

―ただ、護りたいモノを護れる力だって事が分かっていれば、それで十分だ」

 

右腕から、あらゆる『幻想』を噛み砕く、巨大な龍の顎が顕現させたモノ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―EX、か」

 

……こりゃ詰んでるかな?

 

 

「―じゃ。 第二ラウンドと行こうじゃないか」

 

「オーケぇ。

 

 

 

 

 

 

 

―最終ラウンドだっっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

―普通ならな!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―EXが、お前らの専売特許だと思うなよ、主人公(操り人形)辞めたキャラクターA(ヒーロー)ども。

能力使用!!―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―私も、なれるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―旧支配者の司祭(クトゥルフ)!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―EXにな!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―身体に、力が溢れてくるのが分かる。

 

霊力が、神力が、魔力が、妖力が、

 

 

 

 

 

―それだけじゃない。

 

 

 

 

 

―数多の『世界』を巡り、手に入れたチカラの全て(・・)を解放する。

 

 

 

 

 

 

 

四肢の先まで、チカラが染み渡る。

 

どんな医療技術も、回復魔法も、再生能力も、体質も、アイテムも、治すことの出来なかった腐敗すら治っていく。

 

 

髪は水の神性らしい水々しさを取り戻していく。

 

翼にも肉と皮が戻り、久し振りに空気を打つ。

 

暴走するチカラが、早速左手の骨の一部を大きく変異させ、タイラントシリーズのような爪が―更に発達し―大剣とも鋏ともとれる形になる。

 

 

 

チカラの影響は、服装にすら影響する。

 

肩が辛うじて隠れる程度の黒いワンピースだけだったのが―

 

 

何処からともなく、足首まで届く漆黒のレザーコートが現れ、

 

腰周りの布地が変化し、2丁拳銃用のホルスターを始め、ナイフやグレネード、サブマガジンなどが収納出来るホルダーやミニポーチが付いたベルトになり、

 

更に左腰には、特殊な片手槍を吊るし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【……さぁ】

 

 

 

左手の、当然残っている指の部分で拳銃を―サプレッサーを外した黒いベレッタM92FSカスタムを抜銃する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―決着をつけようか!!!!】

 

 

 

 

 




補足説明
EXキンジ:血流に魔力が混じり、更にヒステリアモードが強化された状態。
溢れ出た制御外の魔力がオーラの様に見える。
簡単に言えば、髪が逆立ってない超サイヤ人。
EXキリト:ユナの影響が出てないので、通常の吸血鬼状の翼が生えている。
EXクト:コピーした全ての能力を解放した状態。
左手の変異が特に激しいが、感覚的にはウルヴァリンの爪が更に変異したようになっている為、指等手の機能は失われていない。

能力使用(アイテム)原作一覧
漆黒のレザーコート:ウェスカー(バイオ)、ダンテ(DMC)、キリト(SAO)
片手槍(ガンランス):モンハン
拳銃(サムライエッジ):ウェスカー(バイオ)


なお、ガンランスはオリ武器。
考えてあるザックリとしたスペック。

属性 無
砲撃 収束型
装弾数 6
デザイン
深緑色のラギアバーストの先端が、海竜の尾ではなく、クトゥルフの爪の様になっている。


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53話 東方英雄伝

推奨BGM:
『Trust in you』
『scarlet・bullet』
『crossing field』
『No buts』


―ルルイエ

 

 

「『ヒノカグツチ』!

―『ダブルサーキュラー』!!」

 

【初っ端から生きが良いねぇブラッキー!!】

 

ギリィッ!!

 

 

キリトの右手に収束した妖力が炎の剣を形作ると同時に、二刀流ソードスキルを発動。

 

クトが振り下ろした左手を紅剣で弾き、右の剣を突き出すが、空中を前転して回避する。

 

 

「―隙だらけだ!

(メギド)』!!」

 

【隙?

―無いんだなぁ、これが。

『ウォーターカッター』!!】

 

ジュワッッ―ドオォォンッッッ!!

 

 

灼爛殲鬼からの熱線と高圧水流が激突、水流が即座に気化し、小規模な水蒸気爆発が起こる。

 

【ほな次ぃ!!

『荷電粒子砲―

っとぁ!?!?】

 

「―くっ!!」

 

右手が変異、正立方体の宝石を組み合わせた様な形に変わり、甲高い音と共にエネルギーがチャージされ始めるが、龍の顎が噛みついてくるのを確信すると同時に急上昇、必勝の一撃を紙一重で回避する。

 

 

【さぁ、来いy

「『マスタースパーク』ッッ!!」

―ファっ!?】

 

ドォンっ!!

 

 

桜花を警戒したクトにマスパが炸裂し、僅かにダメージが通る。

 

 

【〜〜っ!? ゆ、油断したねぇ……

でも、今程度のパワーなら、何発喰らったとしても私を斃すことは出来ない!!】

 

「―ま、そりゃ斃すつもりで撃ってないからな」

 

 

カチャッ

 

 

【……は?】

 

 

2丁のベレッタの銃口が、クトに向けられる。

 

【……『ヰ筒取り』。

―自分の弾幕の中を通ったのか。 まさか最初から狙っていたの?

…恐ろしい事考えるね】

 

「俺としては、こっちの手札を全部知ってるだろうお前の方が恐ろしいけどなッ!」

 

バスバスバスバスバスバスバスッッ!

 

【クケケ! よく言うよっ!!】

 

左右の銃口から連射された弾丸を、全て回避する。

 

 

 

 

 

 

 

「―『グングニル』!!」

「いっけぇぇぇぇえ!!」

 

【クケッ! 押し返して―

「―『ソニックリープ』!!」

「『桜花』ッ!!」

―チッ!! A.T.フィールド全開!!】

 

バキバキバキバキバキバキバキバキ!!

 

展開された光の壁を熱線と龍王の殺息が貫くが、僅かなタイムラグの間に回避、キンジとキリトの一撃を左手で受け止め、2対1の鍔迫り合いになる。

 

 

ギリッ………ギギ………

 

「―で、何時までそうしてるつもりだ?」

 

【? ……どういう意味だ?】

 

「惚けんなよ。 まだ何か隠してるだろ、お前」

 

【………クッケケケケケ!!

なら引きずり出させてみろよ、魔法使い!!!】

 

「―そうさせてもらうッッ!

『秋水』ッ!!」

 

「『灼爛殲鬼』!!」

 

「『バーチカル』―

『ヴォーパルストライク』!!!」

 

【!!! ゴホッ!!】

 

ゴウンッ!! ドグァッ!!!

 

キンジの一撃で拮抗が崩れ、左手が大きく跳ね上げられ、その隙に炎の戦斧と、スキルコネクトの一撃が炸裂する。

 

 

 

 

 

【―チッ!

『ユメヲタツホノオ』!!】

 

「『弾幕弾き(ビリヤード)』―

なっ!?」

 

ボボボボボッ!

 

 

クトが宣言すると同時に、人魂の様な火球が弾幕状に発射され、迎撃の為の魔力弾すら掻き消し、4人に迫る。

 

「幻想殺しと同じ効果か?!」

 

「分からない! 兎に角避けろ―

 

【させるかっ!!

『ユメノナイセカイ』!!】

 

瞬間、世界から光が消え―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドギャギャギャギャギャッ!!

 

「うわっ!?」

「ガっ?!」

「ガハッ!!」

 

「―?! オラっ!」

 

パキンっ!

 

士道、キリト、キンジを斬撃が襲い、偶然か、ノーダメージの当麻が龍の顎で火球を噛み砕いた。

 

 

 

 

 

「い、いったい何が―」

 

【休憩する暇があると思うか?!

『裁きの礫』!!】

 

 

 

――ドゴォン! ドゴォン!!

 

 

 

宣言と同じに、空から光弾が降り注ぐ。

1発1発が地面を砕く威力のソレを遮蔽物にして避け、弾き、打ち消して突き進む。

 

 

【―フォースをお忘れかな?!

『イレイザーキャノン』!!】

 

それを見越して、クトは広範囲爆破が可能な光弾を撃つ。

 

そして、緑の光弾は―

 

 

 

「―『銃弾返し(カタパルト)』ッ!!」

 

 

 

―クトに投げ返された。

 

 

【………ゑゑ?!?!

ちょっ!?

か、『風穴』っ!!】

 

咄嗟に広げた掌に発生させたブラックホールの様な穴で吸い込み、技を強制キャンセルする。

 

 

 

 

 

そして、その数瞬で―

 

 

【!!! し、しまっt―】

 

「『桜花』ッ!!」

「『灼爛殲鬼』!!」

「『ヴォーパルストライク』!!」

「―これでも、喰らえ!!」

 

4方向から、協力な一撃が同時に炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―グゥゥ………】

 

「……終わりだ、クト。

―オレたちの、勝ちだ」

 

クトは、龍王の顎に噛まれ、砲門と銃口と剣先を突き付けられていた。

 

 

 

【……………はぁ。

わぁーったよ】

 

「……これで、異変解決か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―『幻想殺し(イマジンブレイカー)』】

 

パキンっ!!

 

「「「「?!?!」」」」

 

宣言で、―

 

 

 

当麻の龍の顎が一瞬揺らぎ、その隙に脱出した。

 

 

「『幻想殺し』って、俺の能力?! どうやって?!」

 

【お忘れかなー?

―私は、能力コピーの条件は相手に勝つだけ(・・・・・・・)とは言ってないよぉ!?

それと、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ここから先は予習(・・)の時間も追加しよぉか!!

暴虐公(ナヘマー)

終焉の剣(ペイヴァーシュヘレヴ)』!!!】

 

右手に顕現させた黒い大剣に逆霊力を凝縮、

―堕天使の一斬が解き放たれた。

 

 

 

 

 

「うぉ!? 『灼爛殲鬼』!!」

 

射線上にいた士道は、咄嗟に戦斧を振り回した反動で躱し、その間に3人はクトに殺到する。

 

 

「『三歩必殺』ッ

―ガァァァァッッッ?!?!?!」

 

ミキィッ!!

 

【おー痛そォだな。 さて、私は今一体何をしたでしょォか?!】

 

キンジの最強の一撃をクトが受けた瞬間、寧ろ殴ったキンジの左手から異音が響く。

 

 

「―『ジ・イクシリプス―」

【そぉだキリト、アイス好きか?

―『オルレアンの氷花』!!】

 

パキパキパキパキっ!

 

大剣を変異させ、ソードスキル発動前のキリトを氷漬けにしていく。

 

 

「キンジ! キリト!

―テメェ!!」

 

【クッケケケ!!

優先! 『龍王の顎』を下位に!

肉体を上位に!】

 

ドゴォっ!

 

「?! クソっ!!」

 

 

右手で龍の頭を殴り、今度は殴った部分を消滅させた。

 

 

「―『グングニル』!!」

 

【元気だねーっ!!

クッケケケケケケケケ!!!】

 

熱線すら、砂の盾を複数使って防ぎきる。

 

 

【ホラホォラ、こちとらまだ暴れたりないんだよぉ!!

『ヒャクレツケン』カッコジョジョ式ぃ!!

オォラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オルゥァア!!!】

 

両手での連撃が、一気に接近した4人を襲う。

 

その一撃一撃は重く、平然と音速を超え、全身を打ちのめし、吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

「ぐぇっ!? て、テメェ……っ!!」

 

【……オイオイ、一回逆転されたらもうへばってんのか?

―ま、再逆転させんし、する暇も与えんがなぁ!!

『ロンギヌスの槍』!!!

 

 

 

 

 

―これで、終わりだ】

 

現界させた、二重螺旋状の矛先の赤い槍を、膨大な量のチカラを籠めて投げつける。

 

その一撃は、例え完全なる不死の存在であろうと絶命させる、即死の一撃―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―『へばってる』?」

 

「―『再逆転させない』?」

 

「―『これで終わり』?」

 

「―ンな訳無いだろッ!!!」

 

 

―槍に、真っ直ぐ突っ込む。

 

 

【……オイオイ、それじゃ自滅だろ。 その一撃は、幻想殺しじゃ逸らすことも出来ない、触れたら即死の―】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『夢想天生』!!!」

「『ファイナルマスタースパーク』!!!」

「『そして誰もいなくなるか?』!!!」

「『待宵反射衛生斬』!!!」

 

ドッゴォォォォォォォォォンンッッ!!!!!

 

 

 

 

 

【………ハァ?!?!】

 

あらぬ方向からの弾幕が、槍を撃墜し、4人を護った。

 

その先には、―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【なっ―霊夢?!

どうして?! 私の結界は完璧だったハズ―】

 

あの4人が、いた。

 

「あのねぇ………結界術は私の十八番よ? 少人数が潜り込める程度の穴を開ける位は朝飯前よ」

 

【だが、神話の魔術も組み込んで―

紫かァァァァァァァァァアアアアア?!?!】

 

「―随分と余裕だな?」

 

【!?!?】

 

 

霊夢たちに気を取られた、その間に―

キンジたちは、回避不可の距離まで近づいていた。

 

 

【クゥっ! 『反射』ァ!!】

 

音速の拳と斬撃を防ごうと、能力を展開して―

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴォッ!!

 

【ゴハァっっ?!?!】

 

拳が、クトを捉えた。

 

 

【な……んで? ど、どうやって―】

 

「さっき弾き返された時、お前を殴る直前に、少しだけ妙な抵抗があったから、膜っぽい何かで威力を跳ね返してると思ってな。 物は試しで、お前に触れる直前―抵抗に触った瞬間に橘花(逆ベクトルの桜花)を使った」

 

【な―か、賭けに出たの?!】

 

「勘で何となく効きそうだったからな。

それとお前―

 

 

 

 

 

 

 

随分と余裕だな(・・・・・・・)?」

 

 

【―!? しまった、あと2人―】

 

―気づいた時には、もう遅かった。

 

 

「―『灼爛殲鬼』!!」

「―噛み砕けぇぇぇぇえ!!」

 

【優先―神の右手―A.T.フィールド―ギャァァァァァアアアア!?!】

 

龍の顎と、炎の戦斧が、炸裂し―

 

 

 

 

 

―クトは、地面に堕ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideクト

 

【ご……がっ………!】

 

うぅ………強……分かっちゃいたけど強…!

 

ていうか土壇場で、しかも1回で反射のカラクリ見破って木原神拳って、あり得ねぇだろJK(常識的に考えて)

 

 

 

 

 

 

 

―あぁ。

 

【……常識……無かったねぇ……】

 

気配を探り、相手の位置を確認―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―『Call of Cthulhu』】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ラストスペルを発動させた。

 

白、黒、碧、緑の弾幕とレーザーが、適当な隙間を作りながら放射状にばら撒かれる。

 

 

 

 

 

私が、一番最初に作り、改良し続けた弾幕。

 

『クトゥルフ』としての、本来の能力のみを使って描かれる、スペルカード。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―スペルカードには、作った奴の『想い』が込められる。

 

 

……誰の台詞だったか、もう覚えてない。 そもそもこのスペルカードを作った時は、まだ結構荒れてた時期だ。 ロクな感情は篭っちゃいない。

 

……本来の計画なら、私はここで負け、もう狂気神話の怪物があの幻想郷に絡む事は無くなる。

 

前世で憧れ続けた存在に殺されるなら、悔いもない。

 

 

 

 

 

 

 

―でも、この時間が終わる事が、余りにも惜しくて―

 

ついでにクトゥグアとハスターまであのザマだしぃ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―クケケ。

………最後の、悪足搔きといこうか】

 

右手を握り、左手は担ぐように構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―当然のように弾幕を潜り抜けた4人に、その両方を奮った。

 

 

 

【―I'm absolutely crazy about it(楽し過ぎて発狂しそうだよ)!!!】

 

 

「―オレはお前を『否定』する!!」

「―散らせてみやがれッ!!」

「―アンタに(コンテニュー)は無いっ!!」

「―その『幻想』をぶち殺すっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ゴグシャァァッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―私は、負けた。

 



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54話 終わりの終わり/始まりの始まり

sideクト

 

 

―夢を、見た。

 

 

 

昔の夢を―

 

 

 

 

 

 

 

―かつて、私がまだ、辛うじて人と呼べるモノだった頃の………

 

転生してすぐの頃の―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【―ねぇ、あなたはだれ?】

 

【……クトゥルフ】

 

【ふーん……いいにくいからクトでいい?】

 

【………好きにすれば】

 

【そーする!

……ずっとしたみて、なにかあるの? どうしてあなたは、そんなちいさなからだでいるの?】

 

【…………】

 

【………ねー?】

 

【………煩い、邪神。私につきまとうな】

 

【?……あなたもそうでしょ?】

 

【私をお前らと一緒にするなっ!!

―私は人間なんだっ!!

私はっ、私は………】

 

【……………】

 

【……………】

 

【……………】

 

【……………そういうお前は、―

ニャルラトホテプか。

―ンだよ。 遂に土の神性も水と敵対したのか?】

 

【………わたしのこと、しってるの?】

 

【………知ってちゃ悪いかよ?】

 

【………わたしは、わたしのことをしらないから。

しってるのは、なまえと、ひがこわいってことだけ】

 

【あ"?

―チッ、そう言えばあの魔王、わざわざ一個パラレル作ったとかほざいてたの………そういう意味かよ。 イチから創造って、暇人過ぎんだろあの一つ目】

 

【……………】

 

【……いや待てよ? 贅沢言わずに初期ハスターヌッ殺せば、とりま安寧の地は得られるワケだし―

クトゥグアもコイツをエサにして両方殴れば………】ボソボソ

 

【………? どうしたの?】

 

【……ん。 なんでも無い。

取り敢えず、何かしら姿変えてくれないか? 私も人間の姿になれるようになるまでにSAN値がゴリゴリ逝き過ぎてもうピンチなんだわ】

 

【………? さんち? ぴんち?】

 

【だぁーっ! 私と似たような姿になれっつってんだよ!! understand (分かる)?!】

 

【ひっ!?

……こ、これでいい………?】

 

 

 

 

 

【……………マジすか。 まだ人類現れて無い(ノーヒント)のにコレって……うわぁ……】

 

【………だ、だめだった………?】

 

【………問題ない。

―なぁ、ニャルラトホテプ】

 

【………ながいから、すきによんで………ください………】

 

【―もっと堂々としろ。私なんぞにンな丁寧な言葉遣いはいらん。

………時期が来るまで忙しくなりそうだ。なぁ、―――】

 

【………いまのは?】

 

【……お前の名前だ。 安心しろ。

私なら、お前を護ってやれるから―】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………つぁ―

……生きてる?」

 

まだ自分の意識がある事に驚き、目を開けると―

 

 

 

「―お! やっと元凶が目ぇ覚ましたか! ホラ呑めぇ!!」

 

「がぼぉ?!?!

〜〜〜〜っっ!! ぷはっ!

殺す気かテメェ!?!?」

 

いきなり一升瓶を口に突っ込まれた。

なお、犯人は伊吹萃香。

 

 

………なんでいるの?

そもそもここ何処? ルルイエ―

は、こんなに明るく無い。

 

 

「―あら、やっと目を覚ましたの」

 

「……んにゃ。 やっほいゆかりん、ところでこれどゆ状況なn

「無理して明るく振舞わなくても良いわよ?」

……状況が全く見えないんだけど?」

 

「そうねぇ………

まず、貴女が話し合うべき相手がいるわ」

 

 

話し合うべき相手……天魔かなー。幽香かなー。 どっちの住処にも被害出したからなー。

私が生きてるのも処刑タイムの為かなー?

 

 

……ヤバイ、逃げよっかな?

 

 

「おっと、妙なマネはするなよ?

アンタに逃げられると私の酒も逃げるんだ」

 

「鬼が買収されてんじゃないよ!?」

 

 

くっそう、紫もニコニコして……

なに? Sなの?ドSなの?

 

処刑(意味深)される幼女(笑)を見てピーするようなドSなの?!

 

 

「……ぶらり旅」

 

「サーセン」

 

 

だから電車でGOは辞めて下さい私のトラウマ(死因)にクリティカルなんです!

 

 

 

 

 

「……なにこの状況?」

 

 

私が紫の尻に敷かれている(絶対代わらないよ?)と、襖が開いて、ぞろぞろとs―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………何しに来た? 元の世界に戻せ、か?」

 

 

―主人公達が、入って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………何か話しなさいよ」

 

 

睨めっこ(睨みor真顔縛り)なぅ。

 

というのは流石に冗談として、実際に空気が重い。

 

 

「………何の用だ?」

 

「……気分は、どうだ?」

 

 

……は?

 

 

「最高さ。

……何で生かした?

あのままなら、トドメを刺せたハズだ。 元の世界に帰るのも、紫の能力なら出来るだろ」

 

 

……? なんで紫は頭抱えてるの?

え? なんで紫がキレてるの?!

 

誰か教えてっ!?!?

プリーズアンサーm―

 

 

 

 

 

 

 

 

「―宴会の主賓を迎えに来たに決まってるだろ」

 

「…………………ゴメン遠山、耳に水が詰まってたみたい。 もう一度言ってくれる?」

 

 

はぃ? 宴会?

いや確かに異変の後は宴会だよ?

 

でも私クトゥルフだよ? 生粋の邪神だよ? 一説によるとゴジラとタイマン張れるバケモンだよ?

しかも私、何回そっちを殺しかけたか分かんないだよ?

 

そんな相手を、宴会に誘いますかJK?

 

 

「メンドッ」

 

「もう引っ張って行くか。

当麻、左腕持て。

士道、扉開けてってくれ」

 

 

ふぁ?! 両腕を掴まれてズルズルと……

 

ゆ、紫、ヘルプ! キンちゃんと話してないでヘルプ!!

 

ちょっ! BGMがドナドナになるぅ〜〜………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜邪神連行中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ"〜、^ハートがピョンピョンするんじゃ〜………

 

 

「「「「ほら行ってこい!!」」」」

 

 

そう言われ、放り出された先は―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―やっと来た。遅すぎるのよ!!」

 

「そうだぜ! もう呑み始めてるんだぜ!!」

 

「ねー! 今度は私と遊ぼうよ!!」

 

「ちょ、幽々子様?! 一旦食べるのを辞めて下さい!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぇ?」

 

 

……博麗神社、の、宴会シーンだね。

 

 

 

「…ど、どうなって―」

 

「あら、貴女の方が理解しているのではなくて?

―幻想郷は、全てを受け入れるわ」

 

「ゆ、紫―」

 

 

 

「―さぁ、嫌な事はお酒でも呑んで、水に流しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………私は、ここにいてもいいのか?」

 

「逆に、何でダメなんだよ」

 

 

紫は私にコップを押し付け、士道とキンジとキリトは何時ものメンバーで騒ぎ出し、

呆然と立つ私の隣には、上条当麻。

 

 

「……私は、お前達を殺しかけ―」

 

「気にしねぇよ。

―なんでそんなに他人を避けるんだよ?」

 

「……私は、自分の勝手でお前達の人生を滅茶苦茶にした」

 

「みたいだな。で?」

 

「……私は、―」

 

「―あぁもうっ!」

 

 

私の目を、真っ直ぐ見て―

 

 

「―幻想郷(ここ)にいるのは、皆仲間だろうが!! 種族とか、上下とか、何もかも関係無しに!!

そんな仲間だから、背中も預けられるし、殺されても文句はねぇ!! 他人を信じるってそういう事だろうが!!!」

 

「!!」

 

「……それに、殺しかけたっつってたけど、誰1人として死んでないじゃねぇか」

 

「………それは結果論だ。 事実、キリトは1度心停止したし、キンジも瀕死の重傷を負った。

―死んでもおかしくなかった」

 

 

 

……だから、頼む。

 

 

 

「―あれだけ保険をガチガチにかけてか? ハスターもクトゥグアも、召喚しないで神降ろし止まりで、撃退用の術式を準備して、さらに憑依の時の影響が本人に出ない様にしても、か?」

 

「……準備したのは紫だ。 て言うか紫口軽」

 

「やり方を教えたのはお前だろ」

 

 

 

 

―そんな目で、私を見るな……!

 

 

 

 

「……私にとって、お前達は登場人物でしかない。 気持ち悪いとか、感じないのか?」

 

「全く。 その程度の事なら気にするまでもねぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

「………上条当麻。

―私は、もう、自分のやりたかった事を、全部終わらせた。

……私は、これからどうすればいい?」

 

「え、ちょ、質問の内容重っ!?

う〜〜〜〜ん………

 

 

 

 

 

 

 

―好きな人でも探したらどうだ?

お前、そういう人いなさそうだし」

 

 

………あの(・・)上条当麻が、恋を語った、だと………っ!?!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―クッケケケケケケケケ!!

あー、バカらし!!

深く考えるのがアホらしくなってきた!!」

 

「え? お、おう?!」

 

私は私! それでいいか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―じゃ、まずは―

 

 

「好きです」

 

「直球過ぎだろ!?」

 

 

隣の主人公にでも告白してみますかぁ!!

 

 

 

 

 

「―とーま?」ちゃき

 

「「冗談です。 だから光モン下ろそうか妖夢」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―その少し後。

 

士道、キンジ、キリト、当麻を集めて、未練タラタラな私が、酔い潰れる前に、最後の質問をした。

 

「―幻想入りしたことを、後悔してないか?」と。

 

 

 

 

 

 

 

―その答えは―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―答える必要があるか?』

だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ま、でも、

 

 

 

 

 

「いっぺん帰って貰うけどね☆」

 

「「「「……………はぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!」」」」

 

「訳を吐きなさい3行でっ!!」

 

「世界崩壊条件にコアからの解離がある。

防ぐには特定の敵を斃す必要がある。

でも補正が掛かって例外除けば主人公にしか斃せない。

長文乙!!」

 

「3行ォォォォォォォォっ!?!」

 

 

ドゴォォォォンっ!!

 

 

だから電車(ぶらり旅)はらめぇぇぇぇぇっ!?!

 

 

「……帰っちゃうんだぜ?」

 

「すぐに帰ってくる。 絶対だ」

 

 

………能力使用、ブラキディオス(爆殺魔)

 

「次の電車が参りまーす!」

 

ドゴシャァァッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―おーイテテ。 わざわざ在来線で轢くことはないでしょーに。

………げ」

 

「―あら? アンタは―」

 

 

物凄く見覚えのある緑の髪に赤目。

 

 

 

よし逃げなきゃダメだ。

 

 

「失礼しやした〜……」

 

「待ちなさい」

 

ドスッ!

 

 

 

足元に突き刺さる傘。

 

………oh、逃走失敗―っ!?

 

 

「人の顔見て逃げるなんて、いい度胸してるじゃない。

―私にとって、まだこの異変は終わってないのよ。

………後で来なさい?」

 

「ハイ」

 

 

わーいゆうかりんが怖いです。

 

(この後必死に交渉、異世界の貴重な植物の種を大量に探す事になりました。

……どうしよう?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side紫

 

風見幽香との生死を賭けた交渉の後、藍にボコられてるクトを見ながら盃を傾けいると、霊夢が瓶ごとやって来た。

 

 

「……隣、座るわよ」

 

「貴女から来るなんて珍しいわね。 てっきり士道と一緒に呑んでいると思ってたわ。

明日は槍が降るのかしら?」

 

「降ったらあんたたち2人(邪神勢)を叩きのめすわよ。

………いくつか、気になる事が有るのよ」

 

「……私が知る範囲での事なら」

 

 

………? 何かしら………?

 

 

「―アイツ(クト)、最初から幻想郷を出て行く(嫌われ役の)つもりで士道たちに喧嘩を売ったんでしょ? わざわざ、えっと、並行世界の座標? まで遺して置いて。

……ならあのまま叩き出しても良かった―ていうか、死にそうだったんでしょ? 何で生かしたのよ?」

 

「簡単なことよ。 彼ら―士道たちが、そう望んだから。 異変の後は主謀者も交えて宴会だー酒だーって」

 

 

―嘘は言ってない。

 

あの人は、態度があんなのだから忘れられがちだけれど、身長がチルノ程の―

1人の少女なのだ。

 

それが、目の前で息絶えようとして―

 

 

 

見過ごすような人たちでは無いでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

「……じゃあ次。 アンタとアイツの関係は? 同じ神話の神ってだけじゃ無いでしょ」

 

「……私の義姉よ。

私がまだ、右も左も分からない時に、名前をくれて、私を導いてくれた人。

―もう、忘れてるでしょうけどね」

 

 

隣からの噴き出す音を無視して、今度は橙にポカポカ殴られてるクトを眺める。

 

 

「……そもそも幻想郷は、あの人の夢なのよ。

『忘れ去られる者達の、平和な、最後の楽園』―」

 

「……なら、なんで最初からいないのよ?」

 

「……それは、多分、私の所為」

 

 

あの傷―身体中を、特に翼を蝕む腐食は、この世界のクトゥグアとハスターとの戦いで受けた傷が原因。

 

 

「……あの人は、昔っから隠し事が大好きで……1人で無茶して……自分の夢すら放り投げて動く様な人なのよ」

 

 

この世界のクトゥグアとハスターを始めとする旧支配者を殺した後、何故かは分からないが、外なる神が彼女を連れ去った。

 

 

その時に、私は決意した。

 

 

 

 

 

―いつか、あの人が帰ってきた時に、喜んでくれる………

夢の場所を作ろう―

 

 

 

 

 

「……そう。 大体察したわ」

 

「………」

 

 

 

―だから―

 

―もう、離さない。

 

 

 

 

 

ずっと、一緒にいられるわよね……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―最後に答えなさい。

ディープスロート(密告者)を名乗って連絡を寄こしたのはアンタなの?」

 

「? 違うわ」

 

「「………じゃあ一体誰が―」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―????????

 

推奨BGM:『―――――の夢』

 

side三人称

 

何一つ見えぬ暗闇の中。

単調な笛の音色のみが響くその空間に、それらは、いた。

 

 

【………我が君。 裏切者が出た様です】

 

【…………】

 

【……我が君!!】

 

【ふぇっ!?

………び、びっくりした〜……

その声、テリー?】

 

【……その名は辞めて下さい。 虫酸が走ります。 大体私には―】

【はいはい。 で、何の用?】

 

【……裏切者が出ました。 やはり、奴です】

 

【あー、クトちゃん? 裏切り以前に、結構自由にさせてたけど、どうしたの? それよりヤマンソがクトゥグアに負けたって話聞いた?!】

 

【―奴が人間に着きました。

貴方様が、神に生まれ変わらせたというのに】

 

【……君も大概面倒くさい性格してるね。 他の『外神』にでも着いたの?】

 

【……いえ。 ただ、件のクトゥグアやハスターまで人間に着いたのが驚きで―】

 

【ウッソ、ホント!?

うわ〜、どんな人達がいるんだろう!! ワクワク】

 

【………貴方様のその意思を無視し、奴は出来かけの『門』を―】

【ねーテリーコレ見て!!

イイコト考えた!!】

 

【……………】

 

【ねっ、どう思う?】

 

【―最低にエゲツない(最高であります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本物の狂気は―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―未だ、止まることを知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




―はい、これにて『東方英雄伝』終了ー!!
クト「長かったな。 計54話か。
まぁ、ハーメルンの中じゃまだ短い方だろ」
前に一作品で4ケタのがあったからな……よくモチベーションが持つなぁ……
クト「うp主、比較のレベルが違い過ぎる。
こっちは低級駄作の自己満作なんだから。
UAもこの話を投稿する時点で6000弱な訳だし」
うっせいやい!!
クト「―で、そんなことはどうでもいい。 続編はどうなった?
こんな終わり方したんだから、当然考えてあるんだよな?」
当たり前田のクラッカー、モチのロンでさぁ!!
次回(?)のキャラ説明の後半で番宣をやります。


補足説明
クト:転生したての頃、ニャルラトホテプが1発でロリ紫に変身(後に能力がスキマである事が判明)したことにより、
「あれココ東方の世界?」
と判断したクトが保護した。
『八雲紫』に教育&当時の地球から、クトゥルフ神話関係の情報の一切を排除し、『幻想郷』を紫に託してどっか行く。
だからこの世界の宇宙には、フォーマルハウトやセラエノはあっても神話生物が、クトや紫を除いて存在しません。 ルルイエも精々ダゴンとハイドラの住処程度。
奉仕種族はある程度残してある。
帰ってもらう:平行世界の崩壊(bad end ルート)を回避すべく(あと各人荷物纏めて来いやという意図で)、其々の世界に一時強制帰還。
もちろん総ブーイングからのフルボッコが始まった。
オマケ:指摘があったので、49話を一部訂正しました。















―じゃクトや。最後を締めてくれ。

クト「へいへい。

―えー、ゴホン。
読者の皆様、このようなうp主の自己満駄文にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

このように、至らぬところが目立つ書き手に作品ですが、今作も、そして次回作でも、読者の皆様が苦笑いでもクスリとしていただけると嬉しいです」

クト、長い。

クト「煩い! 分かったよ、やればいいんだろやれば!!

……それでは、





ゆっくりしていってくれてありがとう!
次回も、ゆっくりしていってね!!」


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キャラ説明、次回予告

―未完の幻想郷縁起より―

 

 

 

五河士道

 

博麗神社の良心、青赤の神主

 

種族:人間

能力:『霊力を司る程度の能力』

主な活動場所:博麗神社

主なスペルカード

炎符『灼爛殲鬼』

熱符『砲』

 

博麗神社に住まう外来人。

優しい性格をしており、人と妖怪を分け隔て無く接する(※1)ことから、『妖怪神社の主』扱いされることもしばしば。

弾幕ごっこにおいては炎の斧を活用。細かな炎弾を展開、熱線で撃墜という戦略を好む。

噂によるとかなりの料理家であるらしく、様々な人妖が入り浸っていたらしい(※2)。

 

 

 

 

 

遠山金次

 

普通の武偵、人間辞め人間

 

種族:人間(※3)

能力:『(条件によって)強くなる程度の能力』

主な活動場所:魔法の森

主なスペルカード

弾符『バーストファイア』

掃射『フルオート』

魔砲『マスタースパーク』

 

人の身のままでの魔法使い。

若干排他的な性格であり、初対面ではやや当たりが強い(※4)。

戦闘では、弾幕ごっこよりも近接戦闘に特化しており(※5)、平然と音速を超える動きをする。

かといって弾幕ごっこが弱い訳では無く、相手の弾幕を利用した攻撃に重点を置いた動きを取る。

能力の条件は不明であるが、自分の意思で入切が出来る為余り関係無いとのこと。

 

 

 

 

 

キリト

 

紅い館の黒執事、黒の剣士

 

種族:人間(※6)

能力:不明

主な活動場所:紅魔館

主なスペルカード

重突『ヴォーパルストライク』

投符『バレットシュート』

秘伝『小規模殺人ドール』

 

紅魔館に勤める従者。

温厚な性格であり、人里においても人気が高い。

紅魔館の住人と行動を共にすることが多く、従者というよりも用心棒のような振る舞いをする姿が多々見られる。

戦闘では完全に近接特化であり、弾幕ごっこは得意では無いとのこと。

二刀流の使い手であり、万が一彼の間合いに詰められれば、例え大妖怪でもひとたまりも無いであろう実力を持つ。

なお、かなりの辛党であるらしく、里の激辛大食い対決で2位(※7)の記録を持つ。

 

 

 

 

 

上条当麻

 

幻想殺し、不幸の体現者(※8)

 

種族:人間

能力:『右手で触れた異能を打ち消す程度の能力』

主な活動場所:白玉楼

主なスペルカード

無し

 

冥界に住まう外来人。

ハッキリとした性格をしており、思ったことを直ぐ口にする癖がある。

能力故に飛ぶ事も弾幕を放つ事も出来ないが、相手の弾幕を消去させることが出来る(※9)為、持久戦でのスペルカードブレイクが主軸となる。

近接戦闘も強い分類には入るが、特に優れていると言う程では無い。

白玉楼の亡霊姫の食欲を満たす為、量に特化した調理技術を持ち、味も良い。

 

 

 

 

 

※1:神社に住み着いている妖怪に対し、兄妹の様に接しているという。

※2:情報提供、上白沢慧音。

※3:他に魔法使い、天狗、果ては鬼であると言う噂があり、種族人間は自称である。

※4:初対面で当たりが強いのは女性のみと言う噂がある。

※5:白狼天狗の歩哨に稽古をつけていたという目撃証言が存在する。

※6:吸血鬼の翼が生えているのを見たと言う人物もいるが、定かでは無い。

※7:なお、一位は西行寺幽々子。

※8:誇張などでは一切無く、筆者が知る限りだけでも、財布を落とし、里の不良に絡まれ、異常発達した獣に追われ、亡霊姫に頭から捕食されている。

※9:五河士道の『灼爛殲鬼』等、例外はあるが関連性は不明。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クト

 

非常識外れの神、清潔な生ける屍

 

種族:邪神

能力:『ありとあらゆるモノを狂わせる程度の能力』

危険度:極高

人間友好度:不安定

主な活動場所:湖底都市

主なスペルカード

狂気『クトゥルフ神話』

狂乱『Deep ones』

神話『4神属性』

 

先の『狂神異変』の主謀者であり、神でありながら信仰を必要としない異端の存在。

近接・弾幕共に非常に高い戦闘技術を有しており、更に特筆すべきは、相手の能力や弾幕を模倣、自分の技にすることが可能な能力である。

よってスペルカードや攻撃パターンの種類は他に類を見ない程多く、死蔵している(※)分も数えれば、百を超えるとのこと。

長寿でこそあるが、外見年齢相応の態度であり、ある程度友好的。

だが一方で、万が一彼女の逆鱗に触れれば、例え低級妖怪であろうとその全能力を持って虐殺する残忍さも持ち合わせている。

 

 

 

※:同じ様な効果の重複などで、一度も使用してないものすらあると言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー注意!! 注意!!ー

 

この先の予告編での台詞等はあくまで予告であり、本編において、そのシーンが出ない可能性があります。

 

では、どうぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『狂神異変』から約1年―

 

 

『英雄』達が去った幻想郷に、新たな風が吹き込む―

 

 

 

 

 

「博麗の巫女! その信仰―私たちが貰い受けます!!」

 

「……はぁ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………それが、終焉へのカウントダウンとは気付かぬまま―

 

 

「―一応、守矢の巫女、ということになっている、―――――です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―相次ぐ異変

 

 

「―そう。 貴女は少し、堕落し過ぎている」

 

「―私を楽しませなさい! 人間!!」

 

「…うにゅ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―明かされるクトの過去

 

 

【……ア、ハ。

アハ、ハハ、クハハハハハハハハクキコキケクケケクキケクッケケケケケケケケケケケケケケ!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―異世界へ広がる不穏

 

 

「―しつこいね、本当に」

 

「言ってる場合か?! 不幸だっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―再び閉じられる外との境界

 

 

「―あいつらは無事なの?!」

 

「それが分かればこんなに慌ててないっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―降臨する、神話を超えた『外神』

 

 

【―『外なる神(outer god)』だ? あんな連中と一緒にしてくれるな】

 

 

【……選別、終末。

 

―始動】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―幻想郷が巻き込まれたのは、神々の悪戯か。

 

 

 

 

 

それとも―

 

 

「……あの爺婆どもが。

何考えてやがる―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『戦争』か―

 

 

 

 

 

【―ワタシと共に来なさい。

それがアナタの運命だから。

……それ以外?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

消えちゃえ(・・・・・)♪】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『東方物語録』―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―世界は、振り出しに戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―『ソレ(始まりの神)』が、目覚める―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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エピローグ:クト

54話の少し後。 クトがただウダウダと悩んでるだけ。

一応次回作の伏線及びネタバレが多少ある。

(誤って消してしまったので、再投稿)


―ルルイエ

 

 

 

 

 

sideクト

 

 

 

 

 

戦闘の余波や流れ弾でボコボコになったルルイエで―

 

 

 

本来の『ルルイエ』ならばクトゥルフが、死を超える眠りについている場所に置いてある椅子にちょこんと座り、視覚を『狂わせ』て、異世界の光景を眺める。

 

 

 

 

 

 

 

かつて、憧れた光景を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、自身の手で狂わせた光景を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デート・ア・ライブ』

 

 

 

 

 

『緋弾のアリア』

 

 

 

 

 

『ソードアート・オンライン』

 

 

 

 

 

『とある魔術の禁書目録(インデックス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………さて、さぁて。

 

どうなることやら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視覚の先で、幻想入りしている間、行方不明扱いされていた―時の流れを『狂わせ』て1週間程度の調整―主人公たちが、他の人物と合流した事を確認する。

 

 

 

さらに視界を限界まで広げ、それぞれの世界の不確定要素を確認。

 

 

 

 

 

「……げ、クトゥルフ神話は実在かよ。

 

―ま、あいつらなら大丈夫か。 ヤバメな教団は………モノホンクトゥルフ(それっぽい外見で)降臨で潰しておくか。

 

イザって時用にイ=スの連中とのパイプも作んなきゃなぁ」

 

 

 

 

 

行動が早いキンジがネット検索をかけたらしく、「オイコラクトこれどう言うことだッ!?!?」と、私と目をバッチリ合わせながら(どうして分かった!?)ツッコんで来るのが煩いから、さっさと接続を切って、だらしなく手摺に頭を預けて横になる。

 

この椅子、無駄にデカいから私にとってはソファーみたいなんだよね♪

 

石で出来てるからクッソ硬いけど。

 

誰だコレ作ったヤツ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱり…………怒ってるよなぁ……………ハァー」

 

 

 

 

 

つい昨日のことを思い出し、深い溜息がつい口から漏れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間前の宴会で―

 

 

 

あの幻想郷を拠点にすることに決めた私は、半幅脅すように、あの4人を元の世界に帰すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この『世界』―幾つもの平行世界や異世界、異次元を内包するこの世界は、分かっていることですら矛盾があり、私にも分からないこと、知らないことの方が圧倒的に多い。 『崩壊』すら可能性の話だ。

 

 

 

 

 

おまけにあの4人があそこまで幻想郷の住人に拘ることは想定外だったし、特にキリトのEX(吸血鬼化)は、かなり驚かされた。

 

 

 

 

 

まぁそんなこんなで、元の世界に戻りたがると思ってた私は、『世界』の修正力頼みとはいえ、それぞれの世界へ与える影響を無視してあの4人を幻想入りさせていた。

 

結果、後から考えると相当な綱渡りをしていたワケで………幻想殺し影響デカ過ぎィ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ホンット、何やってンだろうな、私は」

 

 

 

 

 

それぞれの『世界』への心配は主人公たちへ丸投げし、今度は自分の心配を始める。

 

 

 

 

 

本人たちの自覚の有無は兎も角、主人公たち(無自覚ハーレム野郎)へ恋心を募らせていた少女は当然いるワケで………

 

 

 

 

 

……永遠の別れでも無いのにイチャイチャしよって………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………パル……パル……

 

 

 

―はっ!? みょんな電波受信した?!

 

つかンなことやってる場合じゃねぇのに!」

 

 

 

 

 

姿勢を戻した私は、自身が使える能力を一通り思い出す。

 

 

 

 

 

―ハッキリ言って、私の能力はかなり弱いし、使い勝手が悪い。

 

 

 

多数の能力を使える分全能に近いが、1つ1つが大幅に弱体化しているうえに、パワー不足を補う為に重複させると能力同士で潰しあい、酷い時にはマイナス要素しか残らなかったりする。

 

 

 

例えば『とある』の魔術師(運動オンチ)の能力を使うと、魔術が使える代償に、基礎運動能力が0と言っていいレベルにまで低下する。

 

その状態で『重複』で適当なサイヤ人の能力まで使うと、身体能力は増加しても元に戻る程度だし、賢さ補正で魔術なんて粗方使えなくなる。

 

 

 

……え? 『魔術師』に別の『魔術師』の能力を追加したりするとどうなるか?

 

多少のブーストはかかるけど、魔力量の上限からして、重複させればさせるほど、術式1つ1つの精度がザツになる。

 

 

 

 

 

今までは、相手に対して相性の良い能力を使ったり、高頻度で入れ替え続けてゴリ押ししてきたが……

 

いずれ通用しなくなるだろう。

 

 

 

既に、私が自分から喧嘩を売った―

 

勝てると予想して挑んで、タイマンで返り討ちにあったことだってある。

 

 

 

 

 

「………マジでどうすっかなぁ〜〜。

 

コピー仕直し―は意味無いし。

 

前に私を負かした連中の所で戦闘三昧は私の心臓が持たないし」

 

 

 

 

 

燃え尽きポーズで溜息再び。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……重力室でも作ろっかな。 能力で狂わせないと身体が変化しない私に筋トレは無駄なんだけど、辺りまで思考が彷徨って、別の事も考えておかなくちゃいけないことを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの4人を『いつ』幻想郷に連れてくるか、だ。

 

 

 

 

 

原作が進めば、それだけ向こうに情が湧くだろう。 けれど、アイツらじゃないとストーリーが進まず、最悪の場合、その世界の崩壊に繋がる。

 

 

 

 

 

「………1年半位が丁度いい、かな。 伏線さえ張って貰えば、後は私たちでボコれるし」

 

 

 

 

 

『精霊をデレさせて封印する』必要がある士道には、ギリギリまで留まってもらわなければならない。

 

干渉するならDEMとの決着前後で割り込むかな。 最後まで発売されてないから、時崎狂三(ザフキエル)は保留。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とすると、

 

 

 

『緋弾のアリア』なら緋々神の一件が片付いた直後。

 

 

 

 

 

『ソードアート・オンライン』は……

 

あの厨二天使(笑)(ガブリエル・ミラー)にラース関連の情報を少し流して興味を刺激してやれば、勝手に加速して1年半以内に原作が終わるだろ。

 

考えてみれば、ここも私は戦力にならないんだよなぁ。フルダイブ酔いが………今思い出しても………ウップ。 酔い止め(アンブレラ社製)効かなかったしぃ……

 

 

 

 

 

『とある魔術の禁書目録』は、第三次世界大戦が終わった直後だな。

 

確か―グレムリン、だっけ? あの水ぶっかけて夜中に食いモン喰わすとヤバくなる連中。(←グレムリン違い)

 

カミやんがフィアンマをそげぶした後でひょっこり出て来た連中なワケだから、潰すにしてもそれくらいまで待たなきゃならんのよな。 つか詳細が分からんって面倒くせぇ。

 

 

 

取り敢えず、オティヌスは可愛い。

 

コレだけ分かっていればおkだ。(どこが?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………戦う可能性があって、ヤバそうなのは―

 

デアラならアシュクロフト、ウエストコット、あとフルクナシス、だっけあの艦? DEMは士道がキレたら一掃出来るだろうから、実質相手はラタトスクだけだな。

 

 

 

緋アリは0課とN―特にネモとモリアーティ。 『神隠し』との関連を疑われたらバスカービルもやり過ぎない程度にあしらわなきゃな。

 

 

 

SAOはガブリエル・ミラーとの接触、あとフラクトライトの行く末の補助だから私が戦う事はないな。 精々UW大戦に参加する程度か? まぁそれは紅魔館の連中でも放り込めば、後は勝手に暴れるだろ」

 

 

 

 

 

一旦ここまで考え、残りの1つに頭を抱える。

 

 

 

 

 

 

 

「……で、問題は『とある』の新約編だよなぁ………パワーインフレが頭オカシイし敵の数もトチ狂ってるし。

 

オマケにクトゥルフ神話関連の知識持ちの可能性大だから、高確率で『神隠し』の主犯に疑われるだろうし。

 

つーことは何? 最低でも学園都市とイギリス正教と、フラグの立ち方と私の知らない設定によってはグレムリン、上里勢力&その後の連中まで相手にしないといけないの?

 

中ボス格ならなんとかなるけど、ラスボスsとか私ムリなんですケド。

 

明らか私より強そうなのがいるんですケド。 Level5とかアレイスターとか魔神とか理想送りとか。

 

て言うか一方通行(アクセラレータ)って、前に能力コピーしに挑んだらコピー出来たのが奇跡のレベルで瞬殺されたんですけどぉ!!」

 

 

 

 

 

限りなく悲鳴に近い叫びが漏れる。

 

 

 

向こうを殺る気にさせる為に打ち止め(ラストオーダー)を気絶(コナン式麻酔銃使用)させたら、まさかの初っ端から黒翼ブッパだもん。 木原クンと同じ運命を辿ら(流れ星になら)なかっただけマシか?

 

四肢は吹っ飛んだケド。

 

 

 

 

 

「……と、とり、取り敢えず、一旦傍に置こう。 昔の事を一々振り返ってたら幾らSAN値があっても足りない。

 

 

 

―あの4人はそれでいいとして………十中八九ついて来るだろう『オマケ』はどうするかな。 幻想郷のキャパだって無限にあるわけじゃないんだし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜邪神知恵熱発生中〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―よし、その時の私に任せよう」

 

 

 

……? 今「それだけ考えて丸投げかよ!?」って聞こえた気が……

 

ま、(どうでも)いいか。

 

 

 

 

 

「やっぱ私には戦いが似合ってるってワケよぉっ!!」

 

 

 

 

 

とりま知り合いに押しかけまくるか! ついでに植物の種集めじゃい! 私の53万のコミュ力で得た友人関係をフルに活かすぜい!!

 

 

 

 

 

「さーレッツゴー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―と言う訳で、景気付けにゆかりんに夜這いに来たんだ。 だからそこをどけぇぇぇらぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

 

 

 

 

今何処にいるかって?

 

マヨヒガですがなにか?

 

 

 

 

 

「どう言う訳!?!? そんな理由で退く訳がないだろう!!!」

 

 

 

「ふ、そうかい」

 

 

 

「? わ、分かったならさっさと帰れ!

 

(いやにあっさり引き下がった気が―)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―あ! あんな所で橙が見知らぬ奴とデートしt」

 

「ナニィ!?!? どっ、どこだ―」

 

 

 

「ウソだピョン☆

 

クケケ、スキだらけジャン!!」

 

 

 

「な!? し、しまった、待て!!」

 

 

 

 

 

イヤッホー! 今の私を止める事など出来ぬぅ!!

 

 

 

 

 

「―ふぁぁ……藍? 騒がしいわよ―」

 

 

 

「ゆっかっりちゃーん!

 

(意味深な意味で)あっそびっまsy

 

「『ぶらり旅』」

 

おやくそくっっ!?」

 




主人公s帰還後のワンシーン。



フルクナシスにて

琴里「最近士道が厨二な題名の本を読み始めたわ。 こっそり内容調べて弱味にしてやるわ!」



30分後。



琴里「いあ!いあ!くとぅるふ!ふたぐん!」

神無月「司令!? 一体何が!?」

クト(喚ばれたと思ったら気のせいか)







学生寮にて

キンジ「―ッ!? またピチュった! レミリア強ッ!」

理子「あのキンジが、女キャラばっかりの同人ゲーに手を出した……だと……っ!?」







桐ヶ谷宅にて

直葉「最近お兄ちゃんのリアルでのお菓子作りスキルが高くて、体重計が怖い件について」

明日菜「最近猛暑が続いて暑い」



自室

和人「かりちゅまがたりない」(←重症)

異空間

クトゥグア「見つけた」(←犯人)







学生寮にて

上条「土御門ー、飯作り過ぎたから手伝ってくれー」

土御門「(結局、あの時の夢は一体…?) カミやん、ビンボーなんだから買い物は考えてするny―

……マジで多くないか?」

(ざっと10人前。)

上条「つい癖でな。

つっても、材料はコレだけだぞ」ピラッ

(レシート。 精々2人前分。)

土御門「ウソだっ!?!?」





補足説明

クトの戦闘力:一対一の戦闘で、神性でも無い相手に本気で負けることが何度かあった。

グレムリン違い:クトが言ってるのは映画「グレムリン」の方。


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