リリカルなのはvivid もう1人の聖王のクローンの人生 (アテナ(紀野感無))
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番外編
ミニ番外編


番外編を頑張って書こうとしたんですが………

予想をはるかに上回る私の頭の悪さでした………


何個かの話をまとめて書くって言ってたのに結局ゲームの部分だけです………
すいません……


「はい、今回は初の番外ということで最初にここでわたしこと八神ユタを改めて紹介しようと思いますーー!」

 

と、私は高らかに言う。誰に言ってるかって?それはまあ決まり切ってるからきかないでね。

 

「お送りするのはわたくしユタと」

『その愛機であるプライドです』

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、まず私のことを紹介していこうか。プロフィールを簡単に次にまとめておきました」

 

名前・八神ユタ 13歳

St.ヒルデ魔法学院中等科1年生

style ストライクアーツ&魔法:超カウンター型+影使い

skill 影変換

magic ベルカ&ミッドハイブリッド

device 傲慢の欲(プライド)(intelligent)

IM(インターミドル)参加履歴1回(11歳) 最高戦績 都市本戦決勝(2位入賞)

 

 

「ちなみに、私のアニメ好きやらは作者の性格をそのまんまトレースしてる感じです。なんで、実はラブライバーという設定もあったりします。オタ芸もできちゃいます。あと中性な顔立ちなのも喋り方も女の子っぽくないのも作者の好みだったりするんだよね」

 

「そして、プライドは基本エンブレム状態、ミウラのスターセイバーみたいな感じでネックレス上にして首からかけてます。セットアップの際には左腕の甲に入れ墨みたいな感じになってます」

『このマスターのセットアップ状態は言ったとは思うのですがハガレンのグリードからとっています」

 

『質問なんですがマスターの一番怖かったことって?』

「私が小さいころ、まだ初等科1年くらいの時だったかな。シグナム姉さんに初めて会ったときにおばさんって言っちゃって……本当の死を体験するかと思いました…」

 

と、ユタが青ざめながらいう。

 

『マスターが八神さんに拾われたのっていつでしたっけ?』

「えーと、たしか3歳くらいのころじゃなかったかな。このことに関してはまた本編の中で詳しいことはわかるけど、地球にある人と一緒に捨てられてしばらくは裏路地で死にかけながら生きてたんだよね。私はあまり覚えてないんだけど。気づいたら八神さんに拾われてたんだよね。一緒にいた人は……あまり思い出したくないことになった」

『なんかすいません』

 

『マスター、感想にあった質問ですがジークさんにいい感情って持ってないんですか?』

 

「あーうー、えーとね。私自身はそんなことはないんだけど、二年前に私がけがをしたときにジークさんと言い争ってからはあってないから何とも言えないんだよね。私はひどいことを言ったことを謝りたいんだけど。できることならもう一度ご飯を食べあうくらいにはなりたいなとは思ってたりしてる。嫌いだとかそんなことは全然ないよ。もともとジークさんに憧れて魔法も格闘戦もこなせる総合選手になろうと思ったし」

 

 

 

「と、私の紹介に関してはこのくらいかな。まだ質問あればどしどし感想などに書き込んでください」

『それでは番外編』

「レッツゴー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~合宿一日目 ゲーム大会~

 

「えーと、私の持ってきたゲームは2つでして。初等科の子たちは楽しいほうにしてあげるのは確定で。あとはこっち側のいけにえになってやろうって人いません?」

 

いまはセインさんを許す条件であるゲームをするためにテレビのある部屋まで来ていたのだが、私も私もと初等科組が付いてきてしまったので。

どんなゲームを見せた瞬間全員の血の気が引いていた。

そして、速攻で大人組を呼ばれた。

 

なのはさんにお話しされそうになった時は焦ったが楽しいゲームも用意していると弁解したら何とか許してくれた。

 

そして、今いけにえを求めてみてはいるが誰一人として名乗り出ない

当たり前っちゃ当たり前だけど

 

「というか、ゲームならみんなでやれば楽しいからみんなでやろうって言いだしたのなのはさんですよね?ならこっちに来るべきなきがするんです」

「いや!それ地球のホラーゲームでしょ!絶対怖いもん!バイオ○ザードって超がつくくらい怖いって聞いてるし」

「なのは…あきらめてついてあげて…私はヴィヴィオたちといるから」

「いや!フェイトちゃん見捨てないで!」

 

はい、なのはさんはフェイトさんのおかげでこちら側確定。

あとは…

 

『くじ引きしたらどうでしょうか』

「いいね、その案で行こう」

 

え?残りの皆さん、何にげようとしてんすか。

 

決まってない方はこちら

 

エリオ キャロ アインハルト ノーヴェ スバル ティアナ 

 

「ていってもノーヴェさんやスバルさんはたぶん面白くなりそうにないので却下で。それならティアナさんとエリオとキャロとアインハルトからあと二人だけで」

『てか、なんでマスターが当然のように仕切ってるんです?あと、自分のゲームは自分でするべきなのでは?』

 

プライド、超正論だけどそんなことはいまは関係ない!今は私が王様だ!

 

『あとでシグナムさんに報告しておいてあげますね』

 

「地獄確定のセリフやめて!」

 

あ、やる人決まったらしい。

 

てことで、ホラゲになったのは

 

ユタ セイン なのは エリオ リオ

 

「なんでリオちゃんこっち側?」

「怖い方が楽しそうだからです!あと、私そこそこゲーマーなんですよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁ!おばさんの動き気持ち悪い!」

「まって!蟲の巣作られてますよ!」

「ちょっ!セインさん!邪魔しないで!リオちゃんも怪力で腰締め付けないで!」

「ユタ!虫飛んできてる!」

「あぁ!バーナーの燃料切れた!」

 

はい、みなさんめちゃくちゃ怖がっております。ちなみに全員VRつけております。

私がメインでみんなは映像を共有してみてる感じ

 

 

今は第二のボス戦をしているんだけど死にまくっております。

変異した蟲使いのおばさんが強い

 

 

あ、ちなみに難易度はマッドハウスっていう一番上の難易度ね。

わかる人にはわかるがかなり鬼畜。

本編で虫ディナーのところとは言ったがノーマルとは言ってないよ

 

マッドハウスを簡単に言うと

 

 

敵のHP増えて自分の攻撃回数減らされてる。

 

 

 

「………なのはさん、チェンジしてください」

「え!嫌だ嫌だ!」

「潔く諦めてください!わたしとエリオしかさっきからやってないんですよ!」

 

と、セインを除いた全員でなのはさんを見る。

すると涙目ながらなんとかコントローラーを受け取ってくれた。

 

「私、やったことないからきっとやられまくっちゃうけど許してね」

「全然大丈夫です」

 

 

 

 

 

「いやぁぁ!虫こないで!おばさんもクモ歩きやめてぇぇ!」

 

「「「「……………」」」」

 

なんだこれは、なのはさんの戦いがうますぎる。

この人、初めてやるよな?

私よりうまく戦ってるよ。

 

「へ?お、おわった……?」

 

うそでしょ。この人一発で勝ったよ。この難易度で最難関クラスって言われてるところに。

 

 

 

その後、一回もピンチに陥ることなくゲームを終えるなのはさんだった。



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番外編2

えーと、最近シリアス続きで私らしくない」
『なんですか、唐突に』

と、ここにはユタとその愛機のプライドがいた。

「いやー、だってさぁ私って戦績とか除けばいかにもって感じのネタキャラな筈なのにさ。最近作者がシリアス系にしか持って行こうとしてないから、………なんか面白いことしたくなった」
『本当に何を言ってるんですか……』
「と言うわけで、作者の唐突な番外編、お楽しみください」
『もう、好きにしてください……』
「あ、今回のはハガレンネタ、というか9.5割ハガレンの中身となっておりますのでハガレンがわからないという方はすっ飛ばしてくださって構わないですよ。キャラ詳細とかめっちゃ省いてますので」





はい、作者のアテナDAIです。
性懲りも無く番外編にチャレンジです。
さっき書いた通り、ハガレン主体になってますので
もしハガレンを知らない!って方がいましたらスルーしてくださって構いません。

あ、それと今までのを細かく読み返して見て、不自然だと思ったりしたところを直しております
謎に思ったところとかあれば一度見返して見てください。
あと、感想も随時まってます(

それではどうぞ


【よく知ってる異世界に飛んじゃいました】

 

ユタとアインハルトは目がさめるとよくわからないところにいた。見た感じはホテル。けどミッドにあるようなホテルではなかった。

 

「………ここどこ」

「どこなんでしょう……」

 

しかも、二人ともセットアップ状態。ほんとにどーゆー状況?しかも解除できないし

 

「と、とりあえず出ようか」

「そうですね…何かわかるかもしれません」

 

と、私たちはさっきまでいたホテルを出る。

なんか、だいぶ昔っぽい感じがした。

 

というか、どっかで見たことがある気がする。

 

なんというか、アニメで見た気がする。

 

「んー、ほんとにどっかで見た気がする」

「そうなんですか?」

「うん。というか……なんかやな予感がする」

 

と、外に出る。

すると、ここは都市部だったようで人がたくさんいた。

 

が、周りにいる人々が目の前を通るたびにこちらを見られた。まあ、虹彩異色の二人組とか目立ちますよね。

 

「……あっ!アインハルト!ちょっと来て!」

「え?ど、どうしました⁉︎」

 

と、私はすぐそばにあった新聞を見つけそれを拾い上げる。

そこには、【セントラル号外】とあった。

 

「セントラル……?ミッドにそんな町がありましたっけ?」

「いや……ないよ」

 

アインハルトがさらに疑問符を浮かべてるような顔になるが私は嬉しさに満ちていた。

まあ、勘違いかもしれないが。

 

だって……勘違いじゃないならここは…………

 

 

鋼の錬金術師の世界だ。

 

 

「……よし、アインハルト。少しだけ聞き込みしてくるからさっきいた宿で待ってて。まだチェックアウトしてないから」

「わ、わかりました」

 

 

 

 

 

 

うん、結論から言おう。

 

ここは鋼の錬金術師の世界だ。

私がそこらにいる人に聞いた質問とその返答をまとめて見た。

 

ここはなんて国?→アメストリス

東に砂漠があってその向こうには国がある?→あるよ

この国の北にある大国は?→ドラクマ

どこかの民族が殲滅されなかった?→イシュヴァール人なら殲滅戦があったよ

この国で一番偉い人は?→キング・ブラッドレイ大総統

国家錬金術師なる制度がある?→あるよ

その国家錬金術師だけを殺し回ってるやつはいる?→いるよ

史上最年少で国家資格をとった人の名前は?→エドワード・エルリック

etc………

 

うん、絶対そうだ。

あと、ブラッドレイ大総統が列車事故で行方不明っていうのも(裏路地にいたイシュヴァール人に)聞いたから

想像するに……大惨事が起こる直前だ。

 

「アインハルトーそんじゃさっさとずらかろう」

 

と、私は目覚めた時にいた部屋に戻りすぐさまアインハルトにそういった。

 

「え?え?」

「はいはい、後で色々と聞くからとりあえずフードかぶって」

 

と、むりやりアインハルトにそこらで買ったフード付きの服をかぶせる。

質素だがまあ無いよりはマシ。

 

お金?なぜか10000センズ(この国の通貨)持ってましたよ。

いえ、けっしてそこらへんにいる人に体を売ったとかじゃ無いですよ。まじで。

そんなことしたら母さんたちにぶっ殺されるし。

 

「あ!アインハルト、ドアからは出ないよ!」

「え?」

「ほら、こっちこっち!」

 

ドンドン!

 

「こちらに、不法入国者らしき人物が入り込んだというのを聞いている!」

 

さて、窓から逃げる理由を教えてあげよう。

憲兵さんに外国の人だと思われて入国証、もし自分の国の人ならば身分証を提示しろと言われまして。

 

速攻でにげました♪

 

「え?え?」

「はやく!」

「はいぃぃ⁉︎」

 

と、アインハルトの手を取り窓ガラスを割りながら外に出る。

幸いにも2階だったので着地はできた。

 

「さー、走るよー!」

「どこまでですかぁぁ⁉︎」

「この街から出るまで!」

 

さて、ここからは楽しい楽しい憲兵さんとの鬼ごっこだ。

 

 

 

 

 

 

〜セントラルから出たところにある森の中〜

 

「はぁっはぁっ」

「はぁっ……あははー!あー面白かった!」

「面白くないですよ!途中で銃とか撃たれてましたし!」

「まぁまぁ、それより目的地はすぐそこだよ」

 

と、私は指を指す。そっちには山ほど大きくはないがそれでも山、と言えそうなモノがあった。

 

「どこに行くつもりですか…」

「とあるスラム街。そこに私の会いたい人がいる♪」

「そこに私の意思は存在しないのですか…」

 

うん、存在しない。

 

「ただねぇ……」

「まだ何かあるんですか?」

「う、うん。アインハルト。注意しといて。もしかしたら私を見た瞬間速攻で攻撃してくる可能性があるから」

「は⁉︎」

 

うん、そうだよ。鬼ごっこしてて忘れてたけど私………

 

あの人たちの敵って思われてもおかしくない格好をしている。

とは言っても左手の甲の刺青だけだが。

 

「ま、わからないことを考えてもしょうがない!行こう!」

「なんでそんなに前向きなんですか……」

 

これが私だ。

 

〜セントラル外 スラム【カナマ】〜

 

「ユタさん……」

「なに?」

「これは……人が作ったのですか?」

「うん、そうだね。錬金術っていう科学の技で作られてるよ」

「そ、そうですか………」

 

もう、錬金術に関しての説明はめんどくさいので省きます。

 

「さてと……うまく左手を隠しながらで会えるかな…」

「にしても…このフードはもう少しどうにかならないんですか?」

「だって、スラム街にこれから入らせてもらおうっていうのに綺麗だと不自然でしょ」

 

私達は結構汚いフードつきコートをかぶっていた。

そして、お互いに片目を包帯で隠していた。

 

「よし、行こう」

「はい……大丈夫なんでしょうか…生きて帰れるんでしょうか……」

 

 

 

 

 

 

「と、言うわけでこのスラムに住まわせて欲しいんです」

「あらあら、大変だったわねぇ。私達としては若い子は大歓迎よ。子供たちの遊び相手もしてもらえるし」

「ありがとうございます」

 

今は市役所的な役割の人(というか一番話が通じそうな人?)とお話中。

こんな姿なのに信用してくれて助かってたりする。

 

 

まぁ、嘘8割で構成された内容を言ったんだけど。

 

 

「それじゃあ………」

 

ガシッ

 

と、続きを言おうとすると誰かに肩を掴まれた。

アインハルトだと思い振り返るとそこには……

 

あのエドワード・エルリックとそのご一行がいた。

 

 

 

「おい、あんたに聞きたいことがある」

「な、なんですか?」

 

ひゃっほい!あのエド様に会えたよ!!傷の男(スカー)も、マルコーさんもホーエンハイムさんもいるよ!

あれかな?セントラルに突撃する直前だったかな?

キメラ隊も全員いるし

 

あ、キャラの詳細は省きます。

 

「…?なんでニヤニヤしてんだ?」

「ひゃいっ⁉︎そ、そんなこと…ナイデス」

「?まあいい。あんたに聞きたいのはその刺青のことだ」

 

と、左手を指さされる。

あちゃー、もう見つかったか。

 

「はい、これがどうかしました?」

 

「単刀直入に聞こう。あんた、人造人間(ホムンクルス)か?」

 

うん、そりゃそう思いますわな。

 

「それについてはここだと言えません。向こうの森の中でならお話ししましょう」

 

と、私は不敵に笑う。

もちろん悪役っぽいノリで言っております。

 

 

 

 

 

「と、ここら辺でいいかな」

「さっさと答えろ!あんた達は何者だ!」

 

と、エド様が怒鳴るようにいう。

ああ……生きててよかった。

 

 

 

あ、もちろん私は基本ドMじゃないよ?エド様やプライド様相手の時だけですから。(こっちのプライドはホムンクルスのプライドのことね)

 

「急かさないでくださいよ。えーと、私達は………人間ですよ。()()のね」

 

「じゃあその刺青はなんだ」

 

「ああ、これは私が私であることを証明する証といいますか。エドワードさm……げふん、エドワードさんやスカーさんの持ってる肩書きみたいなものですよ♪あ、隣の子は私の協力者です♪」

「はい⁉︎ちょっ!」

 

隣からアインハルトが抗議してくるが特に聞く耳は持たない。

 

「私は、あなた方が何をしようとしているかを知っています。誰を倒しに行くのかも。これまで何をしてきたかも。今はあの山にそこのホーエンハイムさんがアルフォンス・エルリックと一緒に人造人間(ホムンクルス)プライドを閉じ込め、無力化していますよね?」

 

この一言でエド様達全員が一瞬で警戒レベル最大になるのがわかる。

そりゃ、他の誰かが知らないようなことを知ってたら警戒しますよね。

 

「私からも質問だ…」

 

「はい、なんでしょう」

 

「お前は私たちの《敵》か?味方か?どっちだ」

 

と、ホーエンハイムさんが質問してくる。

 

「そーですねぇ、敵でもないし味方でもない。ですかね。……いや、どっちかというなら敵になる可能性の方が高いですね。…ってうわぁ!あっぶな!」

 

と、返答すると同時にエドワード様が地面を錬成し腕を作って飛ばしてきた。それを間一髪で避ける。

 

「あっぶないですねぇ!怪我したらどうするんですか!」

 

「先手必勝だ。さぁーて、俺たちを相手に勝てる、なんて思っちゃいねぇよな?降伏して知ってる情報洗いざらい吐いてくれりゃ見逃すぜ?」

 

「……それはこうh……ゲフン、嫌ですね。却下します。力づくで降伏させてみたらどうですか?」

 

「ああ、そうさせてもらうぜ!」

 

と、お互いにやる気満々になりました。

 

 

 

さて、困った。どうしよう。

さすがに勝てる気しない。

 

 

「あ、ひとつ提案です」

 

「なんだよ」

 

「私は……チビ……じゃなくてそこの赤いコートの人とやります。で、こちらはそこのスカーさんと」

 

「だぁれがミジンコゾウリムシドチビかーーーー!!!!!!!」

 

やったー!このエドワード様みれた!感激……

 

「ユタさん!なんで私まで巻き込むんですか!」

「いーじゃん、あの人かなり強いから気をつけな。あと右腕に掴まれたら死ぬから」

「え?ちょっと待ってください。今なんと…?」

「くるよー!」

「もう嫌ですーー!!!!!」

 

と、アインハルトの悲鳴で戦いの蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

はい、まあ結論から言いますと負けましたよ。

 

エドワード様に見惚れてたらアッパー食らって1発KO。

周り全員呆気にとられてたのがわかったよ。

アインハルトはあのスカーさん相手に善戦はしてた。

してたっていうのはもう押さえつけられてるから。

右腕で。

 

「さあーーてと、洗いざらい吐いてもらおうか?」

「は、はい……」

 

 

 

 

 

 

「………と、言うわけなんですが…まあ信じれないですよね…」

「はぁー、なんだ。よかったよ。お前が敵じゃないってのがわかって。あ、それとは別で」

 

ごチン!

 

「いっっっっ!」

「さっきチビって言ったぶんな」

「ひ、酷いです…しかも右手で……」

 

 

 

 

 

 

そして、その後は一人一人……特にエドワード様とは念入りに握手をして別れました。

時系列が私の考えてるので合ってるならこのあとセントラルに戻るんだと思う。

 

「さあてと、私たちは寝る?寝床作ってもらってるらしいし」

「はい…その前に」

 

ん?どうしたのアインハルト。そんなぷるぷる肩を震えさせて。

 

「ユタさん……流石に今回のは私も我慢の限界です…しかもあのスカーさんとか言う人とかってに戦うようにされたのは怒りました…」

 

「え、いや、ちょっと待ち。アインハルトもいい経験できたでしょ?」

 

「それとこれは話が別です!断空拳!」

 

「いだっ!」

 

ああー、アインハルトのやつ……手加減なしで鳩尾に叩き込んできた……やばい………目の前が……真っ暗に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユタ、さっさと起きぃや!」

「ひゃっ⁉︎な、なに⁉︎」

 

と、突然服の中に冷たいものを入れられ強制的に目を覚まされる。

確認すると氷が放り込まれていた。

 

 

………あれ?母さん?しかもベットの上……?

 

 

「ほらはやく起きんかったら今度はお湯を入れたるで」

「わ、わかりました!」

 

と、とんでもない起こし方をされる前にさっさと起きる。

が私の頭の中は………

 

「(夢オチって…………ホッとしたようなガッカリしたような……)」

 

あ、いやでもいますぐ寝たら続き見られるんじゃない?それなら善は急げだ!はやくベッドに戻ろう!

 

と、戻ろうとすると

 

「ユーーターーー?ウチは、起きろって言ったよなぁ?なんでまた寝ようとしてるんや?」

 

「ひっ、か、母さん?なんでそんなに怒ってらっしゃる?」

 

やばい、目が怖い。なぜかガチギレしてる。

 

「いやぁ、娘に独身の神とか寝言で言われたこととかいっっっっさい気にしてないでー?」

 

「はいいい⁉︎そんなこと言ったの⁉︎」

 

これはマズイ、死ぬフラグだ。回収率?1000%くらいあるんじゃないんですか?

 

てか?いま気づいたけどセットアップしてません?

 

「ああ、ついうっかりフルチャージの砲撃の準備完了してしもうたわ。すまんなぁ、ユタ。壁になれ」

「命令形⁉︎しかもうっかりって⁉︎」

「じゃあなー」

「いやぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 

そして、ハガレンの世界に行くと言うのは夢オタで終わり、しかも母さんをガチギレさせると言うおまけまで持って帰ってきたユタだった。




基本的に、ユタはアニメ関係になるとあんな感じのキャラです。
腐女子っぽいですがBLは大嫌いなやつです。
というか同性愛に苦手意識がありすぎるだけです(特に男同士)

今回のを書こうと思ったのは前書きで言った通り、シリアス続きで一旦ギャグ要素挟みたい!と思って気づいたら書いてました…


それでは読んでくださりありがとうございます


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番外編③ いや、実は本編より本編らしいかも?

「さーーくーーしゃーーーー!!!私にシリアスを求めるのは間違ってる!」

『また唐突に叫ぶのはやめてください』

「いや、だってさぁコロナちゃんあたりからさ、シリアスばっかじゃん。こんなの、私じゃない」

『はぁ………なぜこんなのを主人公にしたんでしょうね』

「まぁ、今回はさすがにシリアス続きはやめといたほうがいいと思ったからこんな前置きをさせてるんだろうけど……どんな風になるのやら」

『それでは、みなさん。息抜きの茶番劇、お楽しみください。時系列的には、いまの無限図書編に入る直前……だいたいコロナさんの試合が終わった頃でしょうか』





はい、番外編その3です。
タイトルにもあるように、いまの状況だと本編より本編らしいかもです。

それではどうぞ


【とあるユタの休日】

 

いま、ミッドは夏だが今日は涼しいらしい。外にでればきっと心地よい風が吹いているだろう。

 

しかし、試合も一区切り付いていた私は練習は休みなので思いっきり寝ていた。

 

『マスターーーーーー!!!!!起きてくださいーーー!!!!』

「わっ!なになに」

 

そんな心地いい気持ちを無理やり解かれた。

なんだ、プライドか。なぜに私の睡眠を邪魔する。

 

『マスター……先程からずーーーーーっとチャイムが鳴ってるんですが』

「え」

 

プライドに叩き起こされ耳を澄ましていると、確かにピンポンと何回も鳴っている。

 

「はーい!今出ます!」

 

と、私は速攻で服を着て(とは言ってもかなり雑だが)階段を駆け下り玄関に向かう。

 

『マスター、身だしなみをもう少し整えておかなくていいんですか?』

「いいよ、別に。どうせ宅配か何かでしょ。確か、CD予約してた気がするし」

 

そして、がチャッとドアを開ける。

そこには------

 

 

 

 

「あ、ユタ。おはよう。寝てたところをごめん」

「ユタちゃん、ごめんね。寝てるところを起こしちゃって」

「………」

 

エリオとフェイトさんがいた。

 

 

 

 

「っっっっ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

 

予想外の展開に頭での処理が追いつかず速攻でドアを閉めてしまった。

 

「え、え⁉︎ユタ⁉︎」「ゆ、ユタちゃん?どうしたの?」

 

「き、聞いてない………」

『だから、言いましたよね?()()()()()()()()()()()()()()()()()と』

「いや!そもそもエリオがいること知ってるなら言ってよ!」

『言わないほうが正解かと思いまして』

「いや!言ってよ!」

 

私は、何も知らないまま待たせるわけにはいかないのでフェイトさんに五分だけ待ってくださいとメールを送り速攻で部屋に戻った。

 

普段ならエリオに会った時は何ともないように話せるのだが今は話が別だ。

 

髪はボサボサだし、かなりラフだし。いくら私でも好きな人の前でそんな格好で恥ずかしくないわけがない。

速攻で階段を駆け上がりちゃんとした出かけたりする用の服を手に取り10秒で着替えを終わらせる。

 

「うん……大丈夫かな」

 

服装も髪も整え、改めて玄関を開けると苦笑いしながら2人は立っていた。

 

「すいません、どうぞ入ってください」

「「お邪魔しまーーす」」「「「「お邪魔しまーす!」」」」

 

ん?なんか声増えてない?4人ほど。気のせいかな?気のせいだよね?

気のせいであってください!

 

そう思いながら後ろを見ると……

チームナカジマの4人がフェイトさんの後ろにいました。

 

「ふぇ、フェイトさん。なぜその4人が…」

「あ、あははー。なんでなのか私もさっぱり…」

 

ああ、なんかめんどくそうな予感……

 

 

 

 

 

 

 

「で、フェイトさんたちはどうしたんですか?あと……チームナカジマの方々」

 

いまは皆をリビングに通して座ってもらってる。

フェイトさんとエリオはソファに座っていて、チームナカジマの4人はテレビで流していた魔法戦技の世界大会の映像に釘付けになっていた。

 

というか、わざとらしくつけてから釘付けにさせました

 

「あれ?はやてちゃんから何も聞いてない?」

「僕もはやてさんに聞いたら、話は通しておくって」

「いや……何も聞いてない」

 

と、なにか言われたことがないか記憶を必死に掘り起こしているとメールが来た。

 

「ん……?母さんから?」

 

【ユター。今晩、アンタの家の方にエリオ泊まるからなー。しっかりとやりぃや♪】

 

ふーん、エリオ泊まるんだ。

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

「はあぁぁぁぁぁあ⁉︎」

 

と、突然のことに叫んでしまって一斉に全員に見られる。

 

「いやいや……聞いてない……それに食費とか……」

「あ。それなら僕がはやてさんから預かってるよ」

「私たちもですー」

 

と、エリオとヴィヴィオちゃんが封筒を渡してくる。

ん?ちょい待ち。なんでヴィヴィオちゃんがもらってんの?

 

「ね、ねぇヴィヴィオちゃん達。もしかして……」

 

「はい!私たちもユタさんのところに泊まらせてもらえると聞いてます!」

 

やばい、頭クラクラして来た。

 

「いや、ていうか私は構わないけどさ。なのはさんの家や、それこそ母さんの家とかでもいい気がするんですよ」

 

「いやー、それがね。なのはもはやてちゃん達も今日は仕事で遅くなるから誰もいないんだよね。だから、どうしようかってなってたんだよ。そしたら、はやてちゃんが【ユタなら大丈夫やろ】って言ってね。そのあとは……こう、流れで」

「流れで⁉︎……はぁ、わかりました。泊めます」

「ありがとー」「ありがとうユタ」「「「「ありがとうございます!」」」」

 

もういいや…。別に隠してるものないからいいけど。

 

二階のグッズ?あれは見たことある人は知ってるよ。

この中だとフェイトさんにエリオにリオちゃんかな?

 

「あ、ユタさん」

「ん?なに、コロナちゃん」

 

と、みんなが騒いでいる中コロナちゃんが耳打ちしてくる。

 

「はやてさんからです。【今日のうちに告白しろ】って」

「〜〜〜……!!」

「ゆ、ユタさん⁉︎」

 

コロナちゃんの一言で私は赤面して頭ショートしその場に倒れこんだ。

 

 

 

 

「あ、あははー。はやてちゃんも中々荒療治なことするなぁ」

 

先ほど、みんな家を空けていると言ったけどあれは嘘。

はやてちゃんによるエリオへの気持ちを伝えるための後押しだった。

それになのはちゃんも私も乗っかっただけだった。

(ただ、ヴィヴィオがユタちゃんの家に泊まるって部分だけを聞いてて、なぜかヴィヴィオ達もついていくことになったときに、はやてちゃんに()()()()()バラされていたのは……正直かわいそうだなと思った)」

 

「そ、それじゃエリオ。ユタとよろしくね。しっかりとヴィヴィオ達の保護者をお願い」

「わかりました」

 

そういいながら、私はユタの家を出た。そのまま高町家へ向かうつもりだ。

 

 

 

 

 

 

「ユタ、大丈夫?」

「ぜんっぜん大丈夫じゃない……」

「だよねー。ゴメンね。なんか、なのはさんのところも八神さんのところも誰もいないらしくて。それでユタしかいなかったんだ」

「い、いや…そこは別にいいんだけど…」

 

大丈夫じゃないのは、決して家のこととかじゃなくてエリオについてだ。

しかもメールで'しっかりやれ'だ、コロナちゃん経由で'早く告白しろ'だ。励ましてくれてるのかからかいに来てるのかわからない。

 

「ユタさーーん!これやってもいいですか?」

 

と、リオちゃんがテレビの下にあったゲーム機を持ち上げてくる。

W○iとかなつかしっ!

ゲームは大乱闘だった。

 

「いいよー。どうせならトーナメント形式の大会でもする?」

 

大会、という言葉に目を輝かせるヴィヴィオちゃん達。うん、かわいいね。

 

「あ、ユタ。どうせなら特別ルールつけない?」

「エリオからそんなこと言うなんて珍しい。私に勝てる気?」

「いやー、さすがに昔みたいにボコボコにされる気は無いけど。負けた人はペナルティを何か課すっていうのは?」

「お、いいね。乗った。みんなは?」

と、聞いて見たがそんな必要はなかった。

一瞬にしてみんなのやる気が上がった。

 

 

…………ていうか、その前に操作方法知ってんの?

 

 

「ねぇ、エリオはわかるとして、ヴィヴィオちゃん達…とくにアインハルトは操作方法とかわかるの?」

「な、なぜ私なのですか⁉︎」

「い、いや。だってこういうのには疎そうだし」

「く…ひ、否定できません…」

 

てなわけで、30分くらいの練習を挟むことにした。

 

その結果、ヤバそうなのがリオちゃん、その次にヴィヴィオちゃん、くらいかなー。

リオちゃん、合宿の時にそこそこゲーマーだと言っていたがそれはあながち嘘では無いらしい。

 

ヴィヴィオちゃんはあれかな?格闘系キャラだと異様に強くなる。

親子揃って実力がある分野に関してはゲームだろうが発揮できちゃうやつ?

 

コロナちゃんとアインハルトは………申し訳ないがおそらく私どころかエリオの相手にすらならないと思う。

 

 

対戦カード ()内は使うキャラ

 

1 アインハルト(ファルコン)vsリオ(マリオ)

 

2 コロナ(プリン)vsエリオ(リンク)

 

3(シード) ユタ(ピカチュウ)vsヴィヴィオ(ルカリオ)

 

3ストック制

ちなみに、ハンデとして私とエリオとリオちゃんだけ3ではなく1でやります。

私たちがぶつかった場合は3になるけどね。

 

 

 

 

 

 

「うう……まさかリオさんにコテンパンにされるとは…」

「あっぶない。コロナちゃん…やり手だった」

「引っ掛けれなかった……」

「あと1発殴られてたら終わってた…」

「うーーもうちょっとだったのに…」

 

さて、1回戦の結果を教えよう。

 

勝者はリオちゃんにエリオに私だ。

予想はしてたが展開はそうでもなかった。

 

リオちゃんよりコロナちゃんの方が強かったし、初めてやるゲームなのにヴィヴィオちゃんめちゃうまいし。

アインハルトは………触れないでおきます。

(めちゃ弱かった)

 

「さーてと、負けた人にはペナルティだね。んじゃ、エリオ、やってて」

「えー、ユタ。また()()させるの?」

「もちろん♪さーてと、敗者はこちらへ」

「へ?ユタさん?何を…」「ゆ、ユタさん?顔がものすごく悪い人になってますが…」「え?え?」

 

と、3人を2階に連れて行く。

そして、しばらく悲鳴が止まなかった。

 

「あ、あはは。コロナちゃん達もユタのアレの餌食になっちゃったな」

「アレ?」

「ああ、降りてきたらわかるよ」

 

と、言いつつも2人の操作は止まっておらず攻防が一転二転していた。

 

「あ!エリオさんずるい!」「ずるくないよ!ちゃんとした戦法だよ!」「ぐぬぬ……それなら私だって……」

 

そんなこんなで勝ったのはエリオだった。

 

対戦内容をちゃんと書けって?

ふっふっふ。

作者のスキルが低いのと、あんな激しいものを文字だけで表すなんてことをしたら文字数多くなっちゃいます。

だから書きません。

 

 

 

 

「うう……」「な、なぜこんな格好を……」「恥ずかしいです……」

 

「うわー、また一段とすごいことに」

「ふふーん、なかなか決まってるねぇ」

 

下に降りてきたのは、声は確かにヴィヴィオちゃん達だが姿が違う。

いわゆる、コスプレというやつだ。なんでそんなものがあるのかって?

母さんに裁縫道具セットなるものを買ってもらって自分で作りました。なかなか楽しいよ。私は着ないけど。

 

ヴィヴィオちゃんにはセットアップしてもらってF○teのアルトリウス・ペンドラゴン、要はセイバー。聖王女にコスプレさせるんだったら聖王一択でしょ。

 

アインハルトには、同じくセットアップしてもらい艦○れの加賀。なぜかというと、クールな感じだけど黒歴史とか突かれたら弱いじゃん。そういうとこ似てると思ったから。

 

コロナちゃんには少し迷ったがブラック○レットの千寿夏世。なぜかというと、頭脳派なところとが似てると思ったから。

 

「ふっふっふ。あとは……エリオに勝てば終わりか」

「そう簡単には負けるつもりはないよ。今日こそユタに勝ってあげよう」

 

そういい、笑い合う私とエリオ。

ゲームの対戦に関しては悪いがエリオだろうが容赦はしない。

 

いままでの戦績は五分五分だったはず。

最初こそ私が勝ち越していたが年々エリオも上手くなっており今では互角だ。

 

「さて…」「尋常に」

 

「「勝負!」」

 

と、その一言で決勝が行われた。

 

「あ、3人とも、リオちゃんを例の部屋によろしく」

『せっかくの良かった雰囲気をぶち壊すんですか⁉︎』

 

プライド、久々に突っ込んだね。けど、リオちゃんが逃げそうなんだからしょうがない。

3人とも、了承してくれて無理やり連れてってくれました。

 

 

 

 

 

 

 

「ま、負けた……」

「危な……あと1発入れられてたら終わってた…」

 

はい、結果は。

 

私の勝ちです。やったね。

 

「あ、リオちゃん達のコスプレ、もういいっていうこと忘れてた」

「「「「酷い!」」」」

 

あ、うん。コスプレさせてたの本気で忘れてました。

ちなみにリオちゃんはマギにでてくるモルジ○ナです。

 

写真?ちゃーーんと1人あたり10枚ほど撮ってますよ。

 

『あのー、マスター。さっきから思ってたんですが全く隠せていないと思うのです』

「いーの。細かいことは気にしない。さーてと、時間も時間だしそろそろご飯でも作ろうか。その前に……買い出しに行かないと」

 

「あ、それなら!」「私たち行ってきます!」「ですのでユタさんはエリオさんと」「2人で何かしておいてください!あ、プライドさんは道案内してもらうために連れて行きますね!」

 

と、コスプレから解放された4人が元気良く言ってくる。

ん……?ちょいまて。4人とも行くの?しかもなんでプライドまで?

 

「え?なんで4人?2人くらいで十分……」

「「「「それでは、行ってきます!」」」」

 

と、エリオの声も虚しく4人+1機は速攻で家を出た。

 

「「……」」

 

お互いに顔を見合わせる私とエリオ。

 

 

 

 

 

え?ナニコレ、ワタシキイテナイ。

 

 

 

 

 

「え、えーと、ユタ?」

「ひゃい⁉︎」

 

頭がパンクしかけていたところに急にエリオに話しかけられ甲高い声を出してしまった。………超恥ずかしい。

 

「えーと、何する?」

「何するって……何もするものないよ?」

「だよねぇ……」

 

「「………」」

 

うん、なんとなく察した。おそらくは

告白しろ

ってことなんでしょう。

 

はっはっは、私天才。

 

 

……んなわけあるか。ハメラレタ!

 

 

やばい、それ意識した瞬間からなんか無性に恥ずかしくなってきた。

 

「ユタ?顔赤いけど大丈夫?」

「へ⁉︎だ、大丈夫!」

「そう?熱でもあるんじゃない?」

 

と、言いながらエリオにおでこに手を当てられる。

 

「………」

「うん、熱はなさそうだね」

 

もうダメ、死にそう。

 

 

 

 

 

『なんですか、あのラブコメの王道的なシーンは。マスターにはあんなの似合いませんよ』

「ま、まあまあプライドさん。あれは私たちでも……恥ずかしいよね?」「う、うん」「ユタさん可愛い…」

「あのユタさんが…」

 

庭では4人+1機がこっそり様子を伺い感想を言い合っていた。

 

 

 

 

 

 

「(うー、はやく4人とも帰ってきて…)」

「あ、ユタ。4人からメール。【欲しかった食材なかったので少し遠くに行ってきますので少し遅くなります。あと、ユタさんに()()()()()()()()()()と思っててください、と伝えてください】って。するまでって何をだろう?」

 

はい、詰みです。私の人生詰みました。

 

「うーー。わかったよ。わかりましたよ!エリオ!」

「えっ⁉︎な、何?」

「ちょっときて」

 

と、私は腹を決めた。

そしてエリオを手を引っ張り一旦リビングからでて廊下に出た。

 

「周りには……カメラも何もないね」

「ゆ、ユタ?」

 

ちなみに、電気も消してるからそこそこ暗い。

 

「スゥーーハーー。うん、大丈夫……大丈夫……」

「ユタ?」

 

「エリオ!」

 

「はいっ!」

 

「そ、その……私とエリオが初めてあったとき覚えてる?」

 

「あ、あーうん。覚えてるよ。たしかはやてさんの家に遊びに行った時に会ったんだよね。たしかユタが8歳くらいの頃だっけ?」

 

「う、うん。そう。で……実は………会ったときから……」

 

「?」

 

「私は、エリオが…す……す…………好きです

 

……多分生まれて一番顔赤くなってる。

 

「え?最後なんて言った?」

 

だけど、悲しいことに伝えれていなかったらしい。

 

 

「だーーーもう!こんなしんみりしたのは私には似合わん!エリオ!私は、エリオが好きだ!」

 

 

「へぇ、そうなんだ。………って、ええ⁉︎⁉︎」

 

と、エリオは本気で驚いてきた。

 

「え?え?本当に?」

「嘘だったらこんなにも顔赤くしてないよ……」

 

未だに顔の赤さは消えない。

 

「いや、でも……ユタが?僕を?」

「あーもう!疑うなら!」

 

と、私はエリオの顔を持って

 

 

 

キスしてやった。

10秒くらい。

 

 

 

「ほら……信用してくれた……?」

「う、うん……」

 

お互い赤面している。

羞恥心?んなもんはもうとっくのとうに消えましたよ。具体的には吹っ切れたあたりから。

 

「で、どうかな?………ダメ?」

 

「え、えーーと…ちょっと待って。頭の整理が追いつかない…」

 

あ、それはすいません。でも私もだ。

 

「え、えーと。なんで僕を?」

 

「そ、それ聞く……?……キッカケは機動六課で活躍してる同じくらいの歳の男の子がいるって聞いたときからかな。

私はそれを聞いたときは単純に『すごい!』って思ってたんだ。年がほとんど変わらないのに命をかけてるからね。

でも、最初は本当にそれだけだった。

けど、初めて会った日に話して、それがなんでか楽しくて。何回も会ううちに確信していったよ。

私はエリオが好きだって。

知ってる?私が怪我をした年のインターミドル。あれの都市本戦で優勝したらエリオに告白するつもりだったんだよ?

 

それで……答えって今聞ける?」

 

「えっと、……僕なんかでいいの?」

 

「何回言わせる気なの……。うん、そうだよ。私はエリオと付き合いたい。エリオが好きだから」

 

「……うん、わかった。付き合うよ。ユタと。僕なんかでよければね」

 

あ、はい。ダメですよね。わかって…………って、え?

 

「え、エリオ?もう一回言って?」

 

「だから、いいよ。僕なんかでいいならね」

 

え?本当に?エリオが受けてくれた?マジで?

 

「あ、ありがとぅ……」

 

「うん、これからよろしくね。ユタ」

 

 

 

 

 

 

そのあと、ニヤニヤしながら帰ってきた4人から食材を受けとり超上機嫌で料理を振る舞った。

その後は、またゲームをしたり魔法戦技の映像で話し合ったりしていた。

 

ちなみに寝る場所だが、いろんな意味で私の部屋で寝かせるわけにはいかないので急遽リビングを片付けてそこに布団を並べて寝てもらうことにした。

元々いろんな人が来るから布団は複数あるんだ。

私は二階に上がってベットにダイブする。

 

 

 

『マスター』

 

「……何」

 

『おめでとうございます。成功して』

 

「……うん、ありがとう」

 

『ですので……もう泣かないでください』

 

「うん……」

 

無理、いろんな意味で涙止まらない。

 




はい、どうでしょうか。
ラブコメ系はあまりみないのでこんな感じで大丈夫か不安でしたが……

とうとう……とうとうユタが!告白を!しちゃいました!

原作でのそういう関係はわからないのでもう付き合わせちゃいました。

独断と偏見ですが、
エリオにとってキャロはあくまで【家族】で恋愛対象としてはみていないのでは、と思いました。

なので、大丈夫だろ!と番外編だということもあって思い切って書いてみました。

あれ?本編のあとがきより書く内容充実してる……



読んでくださりありがとうございました。


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番外④

番外編そろそろ書こうかなと思い立って気がつけば1週間。

己の頭の悪さを呪いたい……

えー、今回は二本立てです。

茶番とユタの復帰するまでの前半(?)を書いたものになります。

それではどうぞ


【地球にエルスさんとその他を連れて行ってみました】

 

『と、いう事情からユタを地球に向けて飛ばしました』

 

「意味わからんわ!」

 

え?何?なんで始まって早々に私……

 

「なんで私宇宙⁉︎しかもなぜに目的地が地球⁉︎」

「ま、まさか本当に行けるとは…」

「楽しみですー!」

「どういうところなんだろうな」

「楽しみやー。きっと強い人とかおるんやろうなー」

 

しかも、エルスさん、コロナちゃん、ハリーさん、ジークさんまでいるし。てか、ジークさん?なんでメイド服?

 

『で、地球の日本って国の東京やでー。二泊三日の旅楽しんでなー♪』

「あっ、ちょい待て!独身!」

『なんやー?貧乳』

「そもそもなんでこうなった!」

『………作者の勝手な妄想?』

「ふぁっ⁉︎」

 

おい作者!私にシリアス求めるなとは言ったけどここまでぶっ飛んだの求めてない!

 

「じゃあ何を?」

「それは、こう、ミッドでジークさんとかをいじり……って今の誰⁉︎」

 

突如見知らぬ人の声聞こえたぞ!なんでもありかコンチクショウ!

 

『バカマスター、そろそろ熱を冷ましてください。到着しますよ』

「あ、プライドいたのね…。はぁ、疲れた……」

 

 

『あ、そうそう。言い忘れてたわ。それ、ついたら勝手にあんたらをワープさせるようになってるから。気をつけえやー』

 

「へ?いったいなんのぉぉぉぉぉ⁉︎⁉︎」

「きゃあ!」「なんなんですかー⁉︎」「なんや⁉︎」「なんでオレまでー!」

 

ああ、こうして善良な市民は理不尽な力の前に屈して行くのか……。

 

 

 

 

 

 

〜東京 秋葉原〜

 

「なんで……なんでさ……」

『はい、なぜなのでしょう』

 

なんで、なんで。

 

 

なんで私たち着いたそばから離れ離れになってんの⁉︎

 

 

「とりあえず、みんなに連絡しようか…。エルスさんやハリーさんはともかく、コロナちゃんやジークさんは…なんか心配」

 

どっかから、なんでウチまで⁉︎、って言うツッコミが聞こえたのは気のせいだろう。

それにしても、昼過ぎなのが幸いした。夜だと色々と危ないからね。そこら辺はちゃんと考えてくれているのだろう。

 

「んじゃ、プライド。連絡よろしく」

『了解です』

 

 

 

 

 

 

 

〜二時間後〜

 

「た、助かりました…」「未開の地で1人とか…シャレにならねえよ…」「ユタさん、ありがとうございます」

 

「いやいや、これくらいはいいんですけど……なんでジークさんだけいないんだ…」

 

と、呟くとエルスさんが何かまずいことを聞かれたのようにギョッとした。

 

「ん?エルスさん、何か心当たりでも?」

「え、えーとですね……場所はわかるにはわかるんです。ただ……」

「「「ただ?」」」

「とりあえず、見てもらった方がいいです……こちらです」

 

と、エルスさんに促されみんながついて行く。

 

 

 

 

「え?」「こ、ここって…」「いわゆる、あれですよね?」

 

エルスさんに連れてこられたのは………

 

 

メイド喫茶だった。

 

 

……うん、すっごい予想できる。

大方、メイド服着てたからアルバイトか何かと勘違いされて連れてかれた。

そんなところでしょう。

 

「止めようと思ったのですが、お相手も、ものすごい忙しかったようで止める暇もなく連れていかれてしまいまして…」

「まあ、とりあえず連れ戻してきます」

 

コロナちゃん達に言って、私1人で行く。

なんでかって?

 

そっちの方がやりやすい。

 

「おかえりなさいませ♪お嬢様」

 

入ると同時に、そんなことを言われる。

 

「あ、ユタ!助けてや!」

「こらっ!逃げないで!」

「やからー、ウチはここのアルバイトじゃないんよー!しんじてーな!」

 

「あー、えーと、そこのめいど……じゃなくてジークさんを引き取りに来ました」

 

「ん?君は?」

 

「その人の連れです。じつは-------というわけでして」

 

「ふむ、そういうことか。すまなかった。私たちの勘違いだったようで」

 

と、ジークさんが店長らしき人から解放される。

 

「あーよかったわぁ。やっと自由や」

「そんな服を着てくるからですよ…」

 

そして、ジークさんを連れてメイド喫茶を出……

 

ガシッ

 

る直前に、店長に肩を掴まれる。

 

「でもですね?ユタさん。こちらのジークさんが割ったお皿7枚、壁一箇所の損害賠償は払っていただけますか?」

 

「へ?」

 

ん?なんかすっごい不吉な単語が聞こえた気がする。

 

「すいません、今なんと?」

「ですから、ジークさんが割られた皿7枚と壁一箇所の……」

「あ、すいません。どうやら人違いだったようです」「ユタ⁉︎酷い!」

 

うん、どうやら人違いだったらしい。さっさと帰ろう。うん、そうしよう。

 

「では、さようなラァゲブァ⁉︎」

「頼むからウチを見捨てんとって!」

 

と、速攻で出ようとしたら今度はジークさんに怪力で服を引っ張られた。

こら、思わず変な声出ちゃったじゃないですか。

 

「嫌ですよ!ジークさんの自業自得!私を巻き込まないで!」

「ま、お話はあちらでやりましょうか」

「え?いや、だから私は関係……あっ!あの外の人たちも私たちの関係者です!」

 

「「「はい⁉︎」」」

 

と、外で笑っていたハリーさんにエルスさんにコロナちゃんを指差す。

すると、声が聞こえていたのか3人とも驚いた声をあげる。

 

って、おいこら、逃げようとしない。

 

この3人を影で速攻でバインドした私は悪くない。

 

 

 

 

 

「うう…なんでこんなことに…」「恥ずかしい…」「2回目だからまあ慣れたけど……周りからの視線は慣れねえな…」「ジークさんのせいジークさんのせいジークさんのせい………いつか影で切り刻んでやる…」

 

「1人だけ物騒とちゃう⁉︎」

 

もう、地球に来てから前途多難すぎて酷い。

なんで地球に来ていきなりメイドコスプレしないといけないんだよ。

しかもバイト代なしとかボランティア活動じゃん!

 

「ほんじゃあ、ウチがリーダーや!しっかりとやるでー!」

 

やけにジークさん張り切ってる。

こうなった原因はあなただってこと分かってます?

 

 

 

 

 

 

「よし、拭き終わった」「次行きましょうか」「そうやなー。んじゃ次は…」

 

ドバシャア!

 

と、コロナちゃんとハリーさん、ジークさんの掃除組の3人。

頭を抱えております。

その理由としては、拭いたそばからジークさんがバケツの水をぶちまけたから。

これがお客さんの前とかだったら更に仕事が増えていただろう。

 

「あああ⁉︎ご、ごめん!」

「い、いえ、いいですよ」「次気をつけろよな」

「は、はいー」

 

 

 

 

「ハリーさん、こんな感じでどうでしょう」

「うん、いい感じだな!これなら文句も言われないだ……」

「おー、すごいなぁ。どれどれっ⁉︎」

 

ズゴォン!

 

「「………」」

 

今は壁の修復作業。

 

「ご、ごめん!」

 

が、これもなぜか終わった瞬間にジークがつまづき壁に体当たり。またもや大穴が開いた。

 

「おい、ジーク。お前に頼みたいことがある」

「は、はいー」

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ、お嬢様、ご主人様、2名ですか?こちらへどうぞ」

「はい、二番テーブルと七番テーブルのものできました!」

 

エルスは接待を、ユタは料理作りをしていた。

2人とも、なかなかいいと店長に折り紙つきをもらい、なぜか仕事が正規アルバイトよりおおい。

 

「ユーター、いいんちょ」

「あら?チャンピオン、どうされたので?」「?」

 

「番長とコロナちゃんにこっちを手伝ってくれって…」

 

「「はぁ?」」

 

と、そこにジークさんが来た。

 

「ああ、なんとなく察しました。またヴィクトーリア選手の屋敷のようになったと?」

「うう、面目無い…」

「ジークさんにメイドさせる時点でおかしいと思うけど…。まあ、人出は多いだけマシですから。それじゃ、ジークさん。注文とかお願いしていいです?」

「了解やー!」

 

 

「お水ですぅ⁉︎」

「きゃっ⁉︎冷たい!」

 

水運びは転んで水をお客さんにぶちまけてしまう。

 

「あああ、すいません!今拭き……きゃあ!」

 

ベチャッ!

 

拭こうと思い雑巾を持って走ってると急ぎすぎて仕切りにぶつかり雑巾が吹っ飛んで見事お客さんの顔面にシュート。

 

 

 

「ジークさん。塩とってください!」

「はいよー!」

「ありが……ってこれ砂糖!」

 

調理場では、砂糖と塩を間違える。

 

とかいって料理をさせると炭が出来上がるし、馬鹿力で調理器具が壊れる。

 

 

「「………」」

 

そして、その尻拭いは当然のようにユタ達に来るわけで

 

「(あれ?なんで?なんで仕事がさらに増えた?)」

「(チャンピオンが動くたびに仕事が増えていく…)」

 

「か、堪忍やー」

 

「ジークさん」

 

「はいっ!」

 

「あなたに頼みたい仕事があります」

 

「へ?ま、またか…。今度はなんや!」

 

「それは……」

 

 

 

 

 

「はぁい!お疲れ様!……って、もう1人の子は?」

 

店長に収集をかけられ、私たちは集まる。が、ジークさんだけいない。

 

「ああ…-別の仕事をしてもらってます」

「別の仕事?」

「はい、あちらに…」

 

と、外を指差す。そこには…

ミニスカートに猫耳アクセ、上半身水着というもう、痴女と言われそうな状態で客寄せをしてるジークさんがいた。

 

「……あの子が大変なのわかった?」

「はい、とても。店長、色々とすいません…」

「いーのよ、もう終わったことだし。それより、はいこれ給料。少ないけど観光費用の足しにしてね」

 

と、私たち全員に封筒を渡される。

ちなみに、ジークさんのだけなかったりする。

 

当たり前っちゃ当たり前か。

 

にしても。この店長めちゃくちゃいい人じゃん。よかったわ〜。面倒な人とかいるらしいし。

 

「あ、その服はプレゼント。上手に使ってね♪それじゃまたね♪」

 

と、私たちは来ていたメイド服を手に外へ出る。

 

 

てかさ、メイド服もらったからってどうすればいいの⁉︎

 

 

その後は、母さんが用意してくれていたホテルに泊まり、2日目はエルスさんと私とコロナちゃんによる秋葉原探索を一日中。番長とジークさんはジムへ行ったらしい。

 

3日目は、私の強い希望(というか無理やり)によりラブ○イブの聖地巡礼。

すっごい楽しかったよ

さくsy……じゃなくて、とある誰かが羨ましい!とか言ってそうだった。

 

 

その後は、母さんの迎えが来てみんなちゃんと家に帰れました。

私は、ジークさんのせいで散々な目にあったからジークさんの色々な写真をばらまいてやった。主にヴィクターさんに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【16.5話 ユタのその後】

 

 

「これからもあのことは仲良くしてやってあげてね。また前みたいに、一緒にご飯でも食べてあげてもらえるかしら?あの子、放っておいたらジャンクフードばかり食べてしまうのよ」

 

「…はい!もちろん。ってその前にジークさんにさっきのこと謝らないと……すいません。自分ジークさんを探してきます」

 

「ええ、でも無理しないのよ?」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

「車椅子って、結構大変なんだな…………」

 

私は、魔力で動かせるタイプの車椅子であちこち探しているのだが、いかんせん、消耗が大きい。特に階段とか上がる時。

 

「いそうな場所……屋上かな?」

 

必死に、魔力を運用しながら屋上へ向かっていく。

 

………は本当なんですか!

「ん?」

 

叫び声?てか、今のジークさんの声じゃ。

 

曲がり角に近づくと話している内容が鮮明に聞こえた。

 

「(何話してんだろ…………)」

 

 

「残念ながら、本当です。八神ユタさんの左目と右腕は、今後機能しない可能性がとても高いです。選手としても、やっていけないと思います」

「そんな………ウチのせいで……」

『ジークさんのせいじゃないですよ……。ですが、これは…流石に…』

 

 

「………え?」

 

思わず、声を上げて、2人と一機の前に出てしまう。

 

「ゆ、ユタ……」『マスター…』

 

「え?ど、どういう…こと……なんですか?先生。私……もう選手として、やっていけない……って」

 

多分、絶望した顔をしていたんだろう。

 

先生とジークさんは深刻そうな顔して言葉に詰まってしまっている。多分、私が聞いているなんて思ってもいなかったんだろう。

 

「……本当です。ユタさんの右腕と左目は…」

 

「…っ!」

 

「ユタ⁉︎」『マスター!』

 

けど。返答を聞く前に私はその場を逃げ出してしまった。

 

 

 

「(嘘だ嘘だ、もう戦えないなんて…………母さんを喜ばせれないなんて…………シグナム姉さんやヴィータさんの期待に答えれないなんて…)」

 

夢なら覚めてほしい、そんなことを思いながら、トイレの中に入り鏡の前に立つ。

 

恐る恐る…………どうか嘘であってほしいと眼帯を撮ってみる。

 

「(そうだ、きっと冗談だ。これを取ればいつものように見え…)」

 

が、それはより現実を突きつけることとなった。

 

 

左目は、全くと言っていいほど見えなかった。

 

 

「は、はは……」

 

もう、笑うしかなかった。

 

ドサッと車椅子に座り込み、力無く車椅子を動かし外へ出る。

 

泣きたい衝動を抑え、病室に戻る。

 

そこには、まだヴィクターさんがいた。

リンゴを切ってくれていた。が、いまはそんな気分じゃなかった。

 

「あら、ユタ。ちゃんと話せ……ってどうしたの?」

「すいません、ヴィクターさん。今日は……もう帰ってください…」

「?わかったわ。それじゃあ体に気をつけてね」

「はい…」

 

ヴィクターさんがすっごい心配そうな顔をするがそんなのを気にする余裕なんてない。

 

「ヴィクター!」

「あら、ジーク」

「ユタは…」

「ほら、あそこに…」

 

ドアの外ではジークさんが来たのかヴィクターさんと鉢合わせしてる。

 

「どうしたの?」

「実は…ウチのせいで…」

『えー、こう言ってますがジークさんのせいではないことを先に言っておきますね。実は…………』

 

 

 

 

 

『と、言うわけでして』

「…っ、そう…ですの」

『ですが、まああのマスターがこんな程度で格闘技をやめる、なんてことは言い出さないと思います』

「プライド、わたくしも出来る限りのことはしますわ」「う、ウチもや!」

『ありがとうございます。お二人とも』

 

 

 

 

 

〜5日後〜

 

『現在、インターミドルを10歳、初出場にして都市本戦2位まで上り詰めた八神ユタ選手。決勝戦での怪我により引退かと騒がれております』『初出場であれだけ勝ち進めて、最後に完璧に任されちゃったんで心が折れたんでしょうね。なんせまだ10歳ですし』『だいたい、あんな消極的な戦い方ばかりしてたんですからこうなるのも当然でしょう』

 

テレビをつけてみてはいるが、ニュースではこの前終わった都市本戦、その決勝で起こった私の怪我について色々と言われていた。

 

その内容にイラつき、乱暴にリモコンを操作し消す。

 

「何も…何も知らないくせに…」

『マスター』

「何…」

『少しは外へ出てみては?』

「いい…」

 

もう、何もやる気が起きない。

先生とか、ハリーさんとかエルスさんとか、色々来て何か言ってたけど、何もやる気が起きない。

 

そもそも、動かない右腕と見えない左目をかかえて何が出来ると言うのか。

 

「ユター。ちょい遅くなったわー」

「邪魔するぞ」

「元気かー?」

「失礼する」

 

と、病室に入って来たのは、母さん、シグナム姉さん、ヴィータさん、ザフィだった。

 

「なんや、まだこんな調子なんか」

『はい、ひたすらベットの上にいるだけです。アニメすら見ないんですよ』

「あのユタが⁉︎それはほんまか!」

「主、きっとすぐに身始めますよ」

「そーそー、それに、こいつのことだしこっそり魔法の練習とか------」

 

 

「もう、選手としてやっていくつもりは、ない」

 

 

「「「「え?」」」」『……』

 

 

「だから…もう、練習も、何もしない」

 

「な、なんで」

 

「なんでって……ヴィータさん。腕も、目ももう使えないのに、なんで魔法戦競技を続けないといけないんですか…」

 

「けどよ…」「まだ、治らないと決まったわけではないだろう?」「そ、そーやで。いま、お医者さんやシャマルも治す方法をって……」

 

「自分の体のことは、自分がよくわかってる。もう、動かないっていうのが、直感でわかる」

 

あたりが静寂に包まれる。

 

 

『マスター』

 

 

そんな静寂を破ったのは、愛機のプライドだった。

 

「何…」

 

『マスターは、いつからそんな風になられたんです』

 

「は…?」

 

『ですから、マスターは、いつから、そんな()()()になられたんです?』

 

「…なに、何が言いたいの」「ちょっ、プライド」

 

『はやてさんは少し、黙ってください。言わないのなら、私が言います。

マスター、あなたは、とんだ腑抜けになりましたね。

たかが、怪我をした程度で、今までやっていたことをやめるなど。そんなことだからジークさんにも負けるんですよ』

 

「……」

 

『それとも何か?悲しみの感情を抱いていれば周りが優しくしてくれるとでも?自分が悲しいから周りが何かしてくれるのが当たり前とでも思ってるんですか?』

 

「……るさい」

 

『ああ、もしくはテレビなどで批判されていることから逃げたいと?ああ、それだと本当の弱虫ですね。すいません、既に言ったことと重複してしまいましたね』

 

「うるさいっ…うるさいっ!プライドに……私の、私の何がわかるの!当事者でもないのに!私だって……私だってまだ動けるなら、戦える可能性があるならこんなことは言わないよ!」

 

『それが本音でしょう?』

 

「っ…!でも、治らないのに何をどう…」

 

『失礼ですがマスター?確かに、医者にも、シャマルさんにも、治らない可能性が高い、とは言われましたよ?しかし、治らないとは()()()()()()()。もっとわかりやすく言いましょうか?()()()()()()()()()()()()()()()のですよ?』

 

「っ、でも…」

 

『はぁ、まだ腑抜けになっているんですか。少なくとも、初等科2年の頃から付き合ってきた私としては、マスターはそんな腑抜けではなかったはずですが?』

 

プライドの言葉、一語一句が心に刺さってくる。

 

「〜〜〜……!少し…外で頭を冷やしてくる」

『お気をつけて』

 

車椅子に乗り、外へ出る。

 

もう、いろいろな感情がごちゃ混ぜになって自分でも分からなくなってきた。

 

 

 

 

 

 

『……すいません、みなさん。せっかく看病に来てくださったのに』

「いいんよ。すまんなぁプライド。本来は私の役目のはずなのに…」

『いえ、私ははやてさんほどではないとはいえマスターのそばにいたので…。ああ、シグナムさん』

「なんだ?」

『万が一、マスターがあのままだったら…………()()()()()()()()()()ね?』

「フッ…任せておけ」

『あ、もちろんヴィータさんも』

「お、おう!」




えー、ユタ復帰までの道のりは、少しずつ書いていこうかなーと思ってたりしてます。

とりあえずルーフェンを書いて、vivid strikeを書こうかなーと思ってたりしてます。
その合間にかけたら…と。

読んでくださりありがとうございます


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番外5 楽しい(?)お正月

あけましておめでとうございます。
一年もあっという間に過ぎましたね。

本来ならクリスマス編もやるつもりだったのですがなにぶん忙し過ぎて書けませんでした。
申し訳ないです。

さて、もうすぐでこの連載も1年経とうとしてます。早いものですねぇ

自分は年も開けた=センター試験まで二週間を切りました……
ヤヴァイです。

ですが、頑張ります。

それではどうぞ。


〜地球の暦で1/1 お正月 早朝〜

 

 

(なあ、ユタ)

 

(何ー?)

 

(実はなぁ、明日はユタの誕生日でな)

 

(??)

 

(誕生日っていう特別な日やし、何かあげようかと思ってな。ユタは何か欲しいものはある?)

 

(欲しいもの……)

 

(なんでもええんやで。ユタはとってもいい子やったし……)

 

(……お姉ちゃん)

 

(え?)

 

(マリナお姉ちゃんに、もう一回会いたい……)

 

 

 

 

 

 

「なーんて事を言われた時は、本当にどうしようか内心ハラハラしてたんよねぇー。リインフォースのこともあって気持ちは痛いほどわかってたから」

 

「そーだよなぁ。あの時は本当に焦ったもんだ」

 

現在はと言うと、八神家で新年会の準備中だ。

その途中に、はやてがふと思い出したのが、先ほどの光景だった。

 

マリナを亡くしてから数ヶ月経った頃にきた、1月1日。

つまりは、地球の西暦読みで、ユタの誕生日だった。

マリナを引き取った後に、マリナが教えてくれたことだった。

 

「確か、断るわけにもいかないから承諾しちゃったんだよな?」

 

「そーそー。そんでその後に、どないしよー!って頭抱えたんやわ」

 

「そんで…今年は?」

 

「ん?ユタも精一杯頑張っとるし、まあ、ご褒美的な意味でも何か用意するつもりやで」

 

 

「かあさーん!準備できたよ!」

 

 

と、そこへユタの声が聞こえてくる。

どうやら、無事に準備(料理)ができたらしい。

 

「はーい。そんじゃあヴィヴィオちゃんら呼んで大丈夫か?」

 

「だいじょーぶ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そーいえば」

 

「どうしたんですか?ユタさん。あ、切りますね」

 

「ああっ!まじでか⁉︎って9.10.Jの階段⁉︎どんだけ手札運いいの⁉︎」

 

今はチームナカジマ+私とリンネで大富豪をしてる。

なぜかリンネとフーカがありえないくらい強い。

というか、絶対手を組んでるだろって思えるくらいこの2人が強い。

 

「えーとね、たしか母さんに渡されてたものがあったはずなんだけど……。忘れてた。っていうか、これなんなんだろ?……って、なんで私がいつの間にか大貧民に⁉︎」

 

なんで⁉︎なんでこうも負けるの⁉︎

 

『絶望的に運が悪いだけかと。なぜ4と5と6だけの手札ができるんですか。しかも革命起こせもせず、3枚同時だしすらできないって』

「わかってるよ!」

 

「そんじゃあ」

「ユタさん罰ゲーム!」

「さあ、リオコロコンビお願い!」

「「いえっさー!」」

 

「イヤァァァ!もう闇鍋はイヤァァァ!」

 

 

『えー、いまいち状況がつかめていないかと思いますので私から説明を。

闇鍋というのは皆さんご存知、皆さんで様々な具を持ち寄ってやるのですが。今回はお酒の入った保護者……つまりは高町なのはさん、フェイトさん、はやてさんの3人による悪ノリテンションで、その場にある材料を目隠しで選ぶ。というルールになったわけなんですが……。

その材料がですね、ええ、なんともまあ、ひどいことになりましてですね。具体的に言えないレベルまで。

で、ここからは、自業自得なのですが、トランプか何かでゲームをして最下位の人が罰ゲームで闇鍋を食べる、ということをどこぞのバカマスターが提案したんです。

しかも目隠しで何がどこに入っているかわからない状態で食べる、ということになりまして。

そしたら、案の定、というか当たり前ですが皆さん結託してしまったんです。あ、先ほどのは本当にただ運が悪いだけでしたけどね。

マスターは今は……4連敗中ですかね?』

「プライドさんは誰と話しとるんです?」

『フーカさん。気にしちゃ負けですよ』

「?そうですか」

 

「……?なにこれ、甘酸っぱいというか、なんというか……。なんだろ。ミカンとか…?ていうか、後味が苦い……。いや、違うな。こっち食べたらものすんごい苦い⁉︎」

 

(リ)「あ、それ私が選んだグレープフルーツですね」

(コ)「最後に食べたのはアボカドです。私が選んじゃったやつです」

 

「〜〜〜……!!!」

 

「ユタさんが死んだ!」

「この人でなし!」

 

「なんでリオとコロナはさも当然のように他の作品のセリフをパクってるの…?」

 

 

閑話休題(ユタ復活後)

 

「もう、二度と闇鍋を罰ゲームなんかには選ばないと心に決めたよ。プライド」

『それがいいですね』

 

ん?あの後物の見事にお腹壊しましたよ。最初のエビはまだ良かったんだ。

けど、2回目でケーキの残骸が出てきたあたりからなんかおかしくなってった。3回目でただ蜂蜜を入れてた部分とかは、もうもはや意味わからん味付けになっていた。

 

と、そんなことはどうでもいいか。さっさと買い出しにいこう。

 

 

 

「母さん。材料足りなくなりそうだから買い出し行ってくる」

「ほい〜行ってき〜気をつけてーなー」

「はいはい。母さんも飲みすぎないでね」

「わかってるってぇー」

「……シグナム姉さんとかシャマルさんを巻き込まないようにね?」

「わかっとるわ!はよいけ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、ユタちゃんも大きくなったよねぇー」

「そうよね〜。私たちがあったときはまだ、こーんなにちっちゃかったのにねぇー。いまはあんなに大きく綺麗になって。 胸はまだまだちっ……栄養が行ってないけど」

「そうやねぇ…。背だけは大きくなってきてるんやけど…」

「ユタちゃん。襲われないといいけどねぇ〜」

「まあ、大丈夫やろ。プライドもついてるし。あのユタやし。襲われても逆に返り討ちにするで。きっと〜」

「にゃはは、そうだねぇ〜」

 

『……私はマスターにはついて行ってないのですが?』

 

「「「………あれ?」」」

 

 

 

 

 

 

 

「ヘクチッ!ゔー、寒い…」

 

ミッドでも冬は寒い。

寒いものは寒い。

 

「ってか、プライド置いてきたし……。なに買わないといけないかうろ覚え……。でも店まで来てわざわざ引き返すのもなぁ…」

 

ていうか、料理が足りなくなりそうとか本当に予想外。

フーカは知ってたけどリンネも予想以上に食べるものだから消費ペースがおかしいことになった。

 

「……とりあえず肉と野菜と魚を適当に放り込んどこう」

 

もう、やってることは完全なる主婦ですよ。

女子力高いって?褒めてもなにも出ませんよ。

 

エリオとの発展?………キカナイデ。

 

「ふぅ、ってか、おっも……」

 

アインハルトあたりを荷物持ちとして連れてくるべきだったかな?

 

 

 

……-()()()()()()

 

 

 

「さっきからこそこそつきまとって来てるのなんなんだろ…?ジークさんとか番長みたいに名実ないんだけど」

 

感覚的に、3人くらいかな?

 

「(てっきとーに撒いてからさっさと帰ろう)」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ユタが買い出しに出てから2時間後〜

 

 

「ダメですっ!こっち側にはいません!」

「ワシらの方もダメでした!」

「私たちも見つからなかった…」

 

八神家に居る人達は、大騒ぎ状態だった。

なんせ、ユタが帰って来てないのだから。

特にはやてが表には出してないものの一番焦っていた。

 

最初に異変に気付いたのはプライドだった。

いつもだったらマスターであるユタがどこに居るかは魔力共鳴をしているため大まかな位置がわかるようになってるのだが、突如としてユタの魔力反応が無くなったのだ。

 

『……マスターの魔力反応は、マスター自ら消したのではなく、かといって使い切ったわけでもないです。突然、()()()()()()()()()()()()()()()()()()のです。だとすると……』

 

「魔力錠か…?」

 

『おそらくは……。そもそも、あの魔力バカがそうそうガス欠なんて起こすわけがありませんし』

 

「でも、変やな…。魔力錠持っとる一般人なんてそうそうおらんで…?」

 

『そこなんですよ。普通は持ってないものを持っており、かつあのマスターに軽々とつけることができる』

 

「……ちょいと確認してくるわ」

 

そういい、はやては本局に電話をかけ始めた。

 

「みんな、大体の場所はわかったよ」

 

と、そこへ入れ替わるようになのはが入ってくる。

てか、なぜこの保護者3人組は酔いから醒めているのか。

 

「だいたい、この辺りでユタちゃんの反応があったの。で、監視カメラを確認してたら……」

 

まず反応があったあたりの座標が示され、その後に監視カメラの映像が流れたのだが……。

 

 

 

「「「「え…?」」」」『………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

〜時は少し戻りユタの反応が消える前〜

 

「…ふぅ。これでよし。さて…と、こそこそ付いてきてる人?いい加減出てきたら?」

 

買った食材を自宅に預けた後、ずっとつきまとっている人を確かめるべく、少し人気のない場所に来た。裏路地に入る少し手前あたりで振り返った。

 

すると、まあ隠れるのが下手なのか、茂みの方でガサッという音がした。

 

「……はぁ、プライドいない状態だと魔力運用が少し手間になるから使いたくないんだけど…」

 

ここにくるまでに仕掛けておいた魔力を、尾行者がいるであろう茂みの周りをぐるっと囲むようにして、いつもの私特有の影を実体化させる。

 

 

もちろん無数の目と口付きでっせ!

 

 

「きゃあああっ!」「おばけー!」「あ…あ……あ……」

 

すると、出て来たのは3人だった。

 

1人は悲鳴をあげながら、1人は泣きながら、1人は尻餅をつき後ずさりをしながら。

 

 

……ていうか、そんなに怖いものかなぁ……?脅かすためにやって、成功してるとは言え、なんか……ショックではないけど複雑な気分。

 

 

「と、忘れてた。ほい、捕縛っと」

 

慌てて逃げ惑っている3人の()()を影でとらえる。

 

「う…えっぐ……」「た、食べないで……」「(ブルブル…)」

 

「あー、どうしようかねぇ……」

 

事情を聞こうにも、あまりにも怖いのか3人ともガタガタ震えていて話せそうにない。

 

「ま、この距離なら逃げられたりすることもないだろうし、離していいかな?」

 

そーっとそーっと、泣きじゃくって震えてる3人をその場に下ろした。

 

「はい、それじゃあ君達?なんで私を執拗に尾け回していたのかをおし……え……」

 

 

 

言葉が、続かなかった。

何かしらの犯人に対する心得は叩き込まれたはずなのに。

 

 

 

「なん……で……?」

 

「……」

 

「っ⁉︎」

 

動揺をしていると、突如として後ろから後頭部に衝撃が走った。

 

「……っ!がっ⁉︎」

 

よろけながら反転し、その場に仕込んでた魔力を発動させようとするも、顎にアッパーを入れられ、そのまま気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目がさめると、いつか見た光景が映っていた。

 

私の、生まれた場所に、よく似た場所が。

 

「………あー、そう言えば、捕まったんだっけ?」

 

拘束されて、首と指くらいしか動かない状況下で周りを見渡して見るも、そこには私が寝ている、よく病院にあるかのようなベットと、様々な医療用器具。検査用器具などなど、いずれも()()()()()()()()だった。

 

「(けど、どこで見たんだっけなぁ……)」

 

記憶力がいいのが自慢だったけど、なぜかこれに関してはしっかりと思い出すことができなかった。

 

「……魔力が使えないんだけど……なんで?」

 

「魔力錠を使ってるからさ」

 

すると、突如後ろから声がした。いや、正確には頭の方から。

 

「よお、ご気分はどうだい?聖王のクローン(出来損ない)さん」

 

「……もともと最悪なのが今の言葉でさらに最悪になった」

 

「ははっ、そーだろうな。お前はそういうやつだ」

 

声だけが響いてくる。

にしても、どっかで聞いたことあるような声なんだよねぇ。

 

「そういうやつだ、って言ってますけど、もしかして私と会ったことある?」

 

「おお、あるさ。お前のことはよーく知ってるさ。世話係だった五月雨マリナのことはもな」

 

「……?」

 

本当に誰だろ。ここまで私のことやお姉ちゃんのことまで知ってる人ってそうそういないはずなんだけど。

 

「ああ、一つだけ忠告はしておきますよ。私の家族って、やたら過保護で、こわーい剣士と司令官だから、解放するなら今のうちですよ。でないと、死にますよ?」

 

「ああ、知ってるさ。……()()()()()()()()()からな。それと、あいつらのせいで俺の人生は狂ったんだ」

 

と、そんなことを言われた。

それと同時に

 

 

 

「……思い出した。おまえは……」

 

なんで今の今まで忘れていたのか。

 

 

 

「おっ、思い出したか?」

 

男が私に顔を見せに来た。

 

 

ガキッ!

 

 

「おおっ、危ねえ危ねえ」

 

「……っ!くそがっ!」

 

「ダメダメ、女の子がそんな言葉遣いしちゃ」

 

黙れ、その口を開くな。怒りしか湧いてこない。

怒りに任せて殴りかかろうにも、鎖に阻まれる。

 

「お前のせいで……お前のせいで、お姉ちゃんは……」

 

「おいおい、()()()()()()()()()()()()()()()()。これ苦しいだろ?外してやるから、存分に体力を回復させてくれや」

 

男が部屋から出る音がすると同時に私を拘束していた鎖が外れた。

 

 

 

「………くそっ!」

 

 

 

怒りに身を任せベットを殴ってしまう。

ボスっという音が鳴り、それと同時に部屋の隅でガサッという音がなった。

 

「……?」

 

「……」

 

音のした方向を見ると、買い物中の私を尾け回していた()()()()()()()()()()()の10歳前後の子が2人。

それと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の13歳くらいの子。金髪の子2人よりは年上に見える。

 

藍色の子は、金髪の子を守るように前に出て来た。

 

絶対に、守るという眼差しでこっちを見ながら。

 

 

「………あー、こういうの弱い……。ねえ、君たち名前は?」

 

「「「……」」」

 

「大丈夫。怖くないよ。もうあの影も出さないし、私はユタ。八神ユタだよ」

 

出来る限り優しい笑顔を作ると、みんな安心したのか表情が少し和らいだ。

 

「わ、私はマリナ。みんなの…お姉ちゃん」

「私はゼーケ」「私はプレヒト」

 

「そう。ありがとね、教えてくれて」

 

さて、どうしようかな。休め、と言われても休める気がしない。

 

「ねえ、私とお話ししない?」

 

やる事があまりないと思ったから、どうせならと話しかけてみると、恐る恐るといった感じだったけど頷いてくれた。

 

「うん、じゃあね------」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ユタが行方不明になってから4時間後〜

 

「はやてちゃん、ここでいいんだよね?」

 

『ああ、ユタの反応もそこや』

 

なのはにはやては、ユタがいるであろう場所に来ていた。

 

「……ていうか、本当にここなの…?」

 

『言いたい気持ちもわかるんやけど……反応はそこなんよ……』

 

私達は、未だに確信を持てずにいた。

だって….

 

「……なんで孤児院(ここ)なの…?」

『さ、さぁ…?』

 

ユタちゃんの場所をみんなで探っていると、急に反応が現れた。

ヴィヴィオたちは来たがってたけど、万が一の危険性があるからはやてちゃんの家で待機してもらっている。

フェイトちゃんは、みんなのお守りでいてもらってる。

シグナムさんたちは、何故か酔いつぶれていた。

 

 

ヴィヴィオたち……とくにアインハルトちゃんやコロナちゃんは無理にでもついて来ようとしてたけどしょうがない。

こういうのは大人(私達)のやるべき仕事だ。

 

 

『いい?いくで、なのはちゃん』

 

「うん、いつでもいいよ」

『……突入!』

 

はやてちゃんの合図とともに、勢いよく孤児院の中に入る。

 

私たちの目に飛び込んで来たのは……

 

「だからぁ!みんなちっぱいちっぱい言うし!背と合ってないっていうし!わかってるんれすよ!そんなこと!」

 

「そーだよなぁ!見た目なんて所詮ステータスだよなぁ!」

 

「それに管理局のみんな、表だと私によくしてくれてるけど裏でぐちぐち言われてるのわかってるんです!ちょくちょく嫌がらせは来るし!みんな私が天才だっていうのと親のコネで入ったっていうけど!私だって努力ばっかりしてるのに!生まれてこのかた努力しかしたことないれすよ!もう!」

 

「いいかぁ!ユタ!そんなことを言う奴らのことなんて間に受けなくていいんだよ!所詮そんなことを言う奴らなんてのはなぁ!自分ができることから逃げて自分以上に努力してる奴らを妬んでいくことでしか自分を正当化できない雑魚だ!そんな奴らの行いにお前が気に病むこたぁねぇ!一度正面から言ってやればいいのさ!それでも止まらなかったら力でねじ伏せばいい!」

 

1人の男と激しく談話しているユタちゃんだった。

しかもなんか酔ってる。

 

「……はやてちゃん」

 

『うん、言いたいことはわかるよ。なのはちゃん、スターライトブレイカーフルパワーで放ってやれ』

 

「了解。いくよ、レイジングハート」

『All right』

 

うん、レイジングハートも慈悲なんてないみたい。思いっきりやっちゃっていいやつだよね。

 

「スターライト……ブレイカー!」

 

………まあフルパワーは流石に孤児院とその他周辺が大変なことになるからこの2人だけを狙って威力を極限まで減らしたスターライトブレイカーを撃った。

 

「「へ?」」

 

2人は何が起こってるかわかる間も無く収束砲に飲み込まれる。

 

『……?なあ、なのはちゃん』

 

「ん?」

 

『向こうの部屋にな、何人かおるみたいなんよ。本当に、ここ孤児院として経営されてるかも知れへん』

 

「うん、わかった」

 

はやてちゃんに導かれて、別の部屋に行く。

 

「……わぁ、綺麗な部屋…」

 

そこには、とても綺麗に片付けられた部屋があった。

その隅には、大きめのベットが。

 

そこには、ふくらみが3つあった。

 

確認してみると、()()()()()()()()()子供3人だった。

 

「はやてちゃん、見てる?」

 

『あ、ああ……』

 

そこには、髪型や背丈は違うけど、ヴィヴィオやユタちゃんと同じ、金髪で虹彩異色の子。そして、ユタちゃんと一緒に保護して、そして亡くなってしまったマリナちゃんに瓜二つな子だった。

 

『……これは詳しく事情を聴かなあかんな。ちょいとウチも合流するわ』

「うん、わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世は理不尽だ。

 

なんで楽しく談笑してたらいきなりなのはさんがきてスターライトブレイカー撃たれるんだから。

 

 

……え?険悪な雰囲気だったはずがなんでこうなっているか?

しかもなんで酔ってたかって?

知りたい?しょーがないなぁ。なのはさんたちに説明するためにも回想行きますか。

 

 

 

 

 

〜なのはやはやてが突撃する1時間ほど前〜

 

「お話?」

 

「うん、なんでもいいんだ。私はあなたたちのことが知りたい」

 

「………。私は、捨てられた子だったんです。白衣を着たみんなが、『証拠(こいつら)残ってるぞ!早く捨てろ!』っていうよくわからない言葉を叫びながら、裏路地に置いていかれたんです」

 

「……」

 

やばい、知りたいとは言ったけどこんなシリアスなことが出てくるとは予想外。

 

「うん、似たようなものなんだね。私たちって」

 

「……?」

 

「わたしもね、元は捨て子。君たちと同じように。私もお姉ちゃんと一緒に捨てられて、途方に暮れた。それでも、……特にお姉ちゃんがね、諦めずに生きようとした。それに感化されて私も頑張ってた。そしたらね、私達を家族にしてくれた人がいたんだ。お姉ちゃんはもういないけど、その人のおかげで、私は今を生きていられる」

 

「わ……わたしたちもなんです!私達はどうすればいいのか分からずに、お腹空いたまま倒れてたらさっきのお兄さん……元いた場所でよく遊んでもらってたんですが、その人が私達を探してくれてですね!それで私達と家族になってくれるって!私達のためにこの家も建ててくださって、本当の家族のように接してくれて……」

 

 

………あるぇ?なんか果てしない勘違いを起こしてる気がする。

 

 

「ああ、うん。ありがとう。それでもう一つ聞きたいんだけど、ここってなんの部屋?」

 

「こ、ここは保健室です。私達、転んで怪我しちゃったからここでバンソーコー貼ってもらったんです」

 

「……保健室、の割には設備充実しすぎじゃないかな?」

 

みる限り、保健室とかそういうレベルじゃない。

 

「……私を尾けてた理由は?」

 

「わ、わからないです。ただ、お兄さんがお姉さんを見つけたとき、急に私達に頼んできて……」

 

「ま、それはあの人に聞くとして…。それじゃあ、私を鎖で縛ってた理由は?」

 

「ま、万が一お姉さんが襲ってきたら対処できない、からだそうです。魔力錠もそのために使わせてもらった、だとか」

 

「ふ、ふーん……」

 

………本格的に、私は果てしない人違いをしてブチ切れてたらしい。

 

穴があったらハイリタィ……

 

「おーい、チビども。いつまで寝て……って、そっちは何頭抱えてんだ?」

 

すると、さっき私が勘違いしていた男が入ってきた。

 

「いや、まあ、なんといいますか、自己嫌悪……デス」

 

「ははーん。さては俺をマリナの仇と勘違いしただけにとどまらず、そいつらに良からぬことをしてた、とか思ってたか?」

 

「うぅ…」

 

男にニヤニヤしながら見つめられ思わず蹲ってしまう。

 

「ま、それもしょうがねえ。そもそもあのときにガキどもを助けるためとはいえ背後から顎に入れちまったからな。それにマリナの仇と声や見た目が似ているときたもんだ。そりゃあ勘違いもするさ」

 

「まあ、その件に関しては私が全面的に悪いんですけど……なんで私を尾けてたか、なんで私のことを知っているかなどを色々と聞きたいんですが」

 

「おう、いいよ。ていうか全部話すつもりだったしな。そんじゃあ、こっちで話そうぜ」

 

と、17〜8歳くらいの男と一緒に別の部屋に行く。

そこには、おもちゃや絵本など、施設か何かのような感じの部屋だった。

 

「さて…と。ガキどもも寝かせたことだし、ゆっくりと話そうか。まず俺の名前はライ」

 

「あ、私は…」

 

「知ってるよ、ユタ。だろ?」

 

「は、はい…。でも、なんで?私だけじゃなくて、お姉ちゃんまで知ってて、かつ魔力錠の使い方もわかってるなんて、相当特別な人だと思うんですが」

 

「まーそれもそうだな。まず一つずつ順を追って話して行こうか。まずはだな……」

 

 

 

 

 

男の話した内容はこうだった。

 

まず、ライと名乗った男は、昔お姉ちゃんと一緒の研究室に兄弟で拾われていたらしい。

お姉ちゃんとは年も近いこともあってよく話していたとか。

なんでも恋心も抱いていたとか。

 

私のこともお姉ちゃんからよく聞かされていたそうだ。

けど、突然私が捨てられ、お姉ちゃんも一緒に捨てられたときに、この研究所にいられない、と思ったらしい。

 

でも、思えただけでそれを言えば殺されることはわかっていたから言おうにもいい出せなかったらしい。

 

時を見計らって、管理局の人に保護され、そのまめ民間協力者として管理局で働く…?とは少し違うが管理局と関わることにしたとか。

魔力錠の使い方や、母さんやシグナム姉さんがおっそろしいってことは、まあ管理局の人間ならだいたいが分かっていることだから、知っていたことは納得した。

 

私を尾けてた理由は、たまたま見かけて、思わず追いかけようとしたけど思いとどまって子供の方に頼んだ方が警戒されないと思った。けど、伝わり方が不十分でなぜか追跡を始めてしまったと。

 

 

そして、私やお姉ちゃんを攫って殺した人によく似ているというのは、ライさんはその人の兄だから、だった。

 

 

「あの時は、本当にすまなかった」

 

「え?ちょっ、ライさんが謝ることじゃ…」

 

「いや、弟の不始末は俺の責任も同様だ。それにあの時俺は弟を止めることができなかった。止めることさえできればマリナを失うこともなく、お前にも怖い思いをさせずに済んだはずなんだ」

 

「……」

 

「本当なら、俺も死のうと思ってたんだ。マリナがいない世界なんざ、俺からしたら死んだ世界も同然だ。だけど…どうやら俺はめんどくさい性分らしくてな。研究者達(クソ共)が作ったクローン(あの子達)の世話係でな。あの子達を見捨てることができなかった」

 

「ライさんは、それができるだけすごいと思いますよ。私なんか……」

 

何かを言おうにも、何も言えなかった。

 

そのまま無言の時間がずっと続いた。

 

「「…………」」

 

気まずい時間がずっと流れ続ける。

 

「なあ、そちらさんの誤解も解けたようだし、少し飯でも食わねえか?」

「あ、いいですね。なら私作りますよ。こう見えて料理は上手いので。家族が保証してくれます」

「お、んじゃ頼むわ。俺もガキどもの飯を作んねえといけねえし」

 

 

そして、料理を作ってみんなで食べたあと、チョコを食べたまでは覚えてるんだけどそこからは記憶がなく、気づくとなのはさんが来てスターライトブレイカーぶち込まれたんですよ。

 

 

 

 

 

 

〜回想終了〜

 

「と、まあここまでです」

「〜〜〜……!!!」

 

およ、母さんが頭を抱えた。

 

「……」

 

おおっ、なのはさんがゴミクズを見る目でこっちを見てくる。

 

……え?連絡くらいしろだって?

はっはっは……

 

 

忘れてました♪

 

 

「よし、ユタ。遺言は言ったな?」

「いやちょっと待って⁉︎」

「クラウソラス」

「ギャー⁉︎」

 

「あ、あの。高町なのは一尉?これは……」

「日常茶飯事だから大丈夫」

「さいですか」

 

どうやら、ライとなのは達は顔見知りらしい。

 

「おんまえなぁ。ウチの子になってどんだけ心配をかけたら気がすむんや!これで5回目やぞ!5回目!」

「だから悪かったですって!」

 

今もなお2人はギャーギャーやりあっている。

 

「「「……」」」

「大丈夫だ。心配すんな」

 

気づくと、ゼーゲちゃんやプレヒトちゃん。マリナちゃんが目を覚ましライ君の袖を掴みながら心配そうにユタちゃんを見ていた。

 

「よし、なのはちゃん。撤収しよや。このアホは放っておいてええわ。ていうか、ほっといてもチームナカジマの面子がやってくれるわ」

「うん、了解だよ」

 

「ほんなら、ライ。またな。マリナ達を……見捨てんでくれな」

 

「はい、もちろんですよ八神司令。俺の性格は知ってるでしょう?」

 

「ああ、そうやな」

「それじゃあまたね。ライ君。ヴィヴィオ達を連れてまた遊びに来るから」

 

「はい、ガキ共も喜びます」

 

「ほんじゃユタ。冥界に連行するからさっさと歩け」

「物騒すぎない⁉︎いだっ⁉︎痛い痛い!鎖を引っ張らないで⁉︎首締まるし痛い!あ、ライさん、さよなら!」

 

と、はやてがユタを鎖で縛り上げ引きずって帰り、それになのはが続く形で孤児院を出た。

 

 

 

 

 

〜孤児院〜

 

「ふぅ、なんとか落ち着いたな」

 

まあ、俺が発端といえば発端なのだが、まさかユタが連絡を忘れて管理局の人まで出て来ることになろうとは。

 

「…ん?ああ、大丈夫だよ」

 

疲れて椅子に深く座ると心配したのかマリナが駆け寄って来る。

 

「マリナ、ユタ(あいつ)と話したんだってな。どうだった?」

 

「とっても優しかった!影は少し怖かったけど楽しいこといっぱいしてくれた!」

 

おお、どうやらユタに懐いてしまったらしい。

 

「そいつは良かった。どうやら、お友達を連れてまた来てくれるかも知れねえぞ」

 

「やったー!」

 

本当に嬉しそうにするな。俺があやそうとしたら苦笑いされるんだがな。

 

「……ま、いいか。いざという時はユタに引き取らせりゃいい。それまでは俺がきっちりと育ててやるさ」

 

「?」

 

「いいか、マリナ。お前はクローンなんだろうがそんなことは気にする必要ねえ。お前はお前だ。他人が何を言おうが耳を貸すな。お前はお前の好きなように人生を送れ。好きな人ができてここから出るのもいい。働くために管理局につくのもいい。自分に悔いのないように生きるんだ」

 

「……?」

 

「はぁ、ガキには難しすぎたか。ま、気にすんな」

 

理解はされなかったがマリナは、うんっ!といい返事をしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「で、主。慈悲はなくてよろしいので?」

「ああ、遠慮なく」

「では」

 

「いやぁぁ!」

 

いやだぁ!シグナム姉さんが出しちゃいけない雰囲気出してる!これ絶対に死んじゃうやつですよ!

 

「しかもチームナカジマとかリンネも助ける気なし⁉︎私どんだけ人望ないの⁉︎」

 

(一同)「自業自得です」

 

「デスヨネー」

 

この世に神様なんていなかった。

 

 

 

 

 

そして、地球の暦でいうお正月はユタの悲鳴で締めくくられた。




(おまけ)

ユタ「えー、みなさん。改めましてあけおめですっ!」
プライド『皆様方、新年あけましておめでとうございます。いかがお過ごしでしょうか?』

ユタ「私はもちろん練習しつつオタ生活をしつつ管理局の仕事を頑張っていきます。まあ、作者(アホ)が忙しすぎる癖に本編を全く進めないから番外編が少し変なことになってますが」
プライド『マスターにアホと言われるとは心外でしょうね』

ユタ「さて、おまけといっても私たちの新年の挨拶なのでそろそろこの辺で。つか、おまけじゃないよね。これ」

プライド『いえいえ、十分立派なおまけ(笑)ですよ?』

ユタ「意味わからないんだけど⁉︎まぁ、またこの一年もこのノリでやっていきますので皆様方、楽しんでくだされば幸いです。高評価とかついたら俄然やる気わくので!」
プライド『作者が、ですがね』
ユタ「そこ、メタい発言しない」


ユタ「忘れてた!ライさんがいい忘れてたことがある!
まず、姉さん達の怖さを身を以て体験してるっていうのは訓練でボコられたからで、人生が狂ったっていうのは、いい意味で狂ったんですよ!みなさん勘違いしないようにしてくださいね!ライさんはみなさんに狂わされたおかげで今の生活がある、といっていたので!」





ユタ「それでは」プライド『皆様方』

ユタ・プライド「『今年もまた一年、よろしくお願いします』」


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番外編⑹ レッツサプライズパーティー! 準備編

6/4に書き始めて、ネタ思いつかずに延々と悩みまくってたら大変に時間が過ぎていた…

なんか…すいません。

さて、ひさびさの番外編。今回のテーマは

『サプライズを仕掛ける子供』

まあ、読んでくれればわかるかと思います


それではどうぞ!


「はいっ、ということでここに集めましたのは、チームナカジマを始めとするリリなのvivid、vivid strikeの主役たち&エリオ、キャロです」

 

 

『「「「「「「意味がわからないわっ!!!」」」」」』

「ユタちゃん……」「ユタ、流石に擁護できないよ…」

 

 

「あだっ、痛い!やめて石投げないで⁉︎」

 

「石じゃなくて魔力弾を投げてるんですよ!」

「どっちにしてもだわっ!リオちゃんから出た言葉とは思えないんだけど⁉︎あと自分の砲撃の威力理解してる⁉︎」

 

『よし、シグナムさんに少女誘拐の件で報告しますね』

「だあぁ!だめ!死ぬから!それ冗談抜きで死ぬから!エレミアの神髄以上に死ねるから!プライド様お願いしますからやめて⁉︎」

 

「ならなぜ影で有無を言わせずに私たちを連れ去ったんですか!」

「ノリで」

「よし、クリス。ママ達にも報告しよう」

「やめて⁉︎」

 

 

場所はいきなりだが、例のヴィヴィちゃんとアインハルトが出会って間もない頃に決闘の場所として使われた倉庫街。

 

改めてメンツを確認すると、ヴィヴィオ、コロナ、リオ、アインハルト、ミウラ、ユミナ、フーカ、リンネ、エリオ、キャロだった。

 

なんでかと言うと、とあることを計画しているユタに寄って知り合いを見つけたら片っ端から連れてきたからだ。

 

そして現在はみんなに袋叩きにされている。

 

「で、本当に何の用なんですか?私、ママ達と予定があったんですが」

「ああ、そんなに…大差…ない………よ…。ちゃんと…なのは……さんにも……要件は伝え……」

「あ、ユタさん気絶した」

 

 

 

閑話休題(しばらく経って)

 

 

 

「死ぬかと思った……」

『むしろ、皆さんの一斉攻撃をよく耐えきりましたね。曲がりなりにも格闘戦のチャンピオンもいるのに』

 

毒を吐きながらも、治癒魔法をかけてくれるプライドの優しさに涙が出てきそう。

 

『……』

「いやまって、いつもの通り心読んだんだろうけどなんで引いてんの?」

『感情を表に出せれないのによくわかりましたね』

 

こいつ!これでも私の愛機なのか⁉︎

『イェスアイドゥー』

「久々にこのやり取りしたけど、しかも仕向けたのは私だけどさ、なんで英語?」

『何と無く。それはそうと、さっさと説明を願います』

 

と、プライドが言うとみんながこっちに注目を集める。

 

「…みんな、明日はなんの日か知ってる?」

 

問いかけると、答えがわかったのかヴィヴィちゃん、エリオ、キャロだけ納得したかのような顔になった。

 

「そう、6月4日(あした)は何を隠そう、あのタヌキ……じゃなくて、八神はやて(母さん)の誕生日。んで…もう何をしようとしてるかわかるかな?他の人は」

 

そこまでいうと、他のわかってなかった人はようやく笑って頷いてくれた。

 

「要は!」「サプライズ!」「って事ですよね!」

 

と、初等科組が元気よく言ってくれる。

 

「正解!去年までは私がケーキとかを作ってあげてたくらいだからね。今年は少しハデにやってやろうかなって」

 

『本当は?』

 

「今年こそはいっっつもの仕返しをしてヤラァ!こんちくしょう!いっつもは泣かされてきたけど明日は違う意味で大泣きさせてやる!」

 

その瞬間、みんなに笑われたのはいうまでもない。

 

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「……なぁ、シグナム」

 

「はい、なんでしょう。主」

 

「いや…この時期にユタが家にいないのがなんかな……」

 

「ああ……毎年この時期は家に絶対にいましたからね」

 

「はぁ…あいつ、まさか忘れとるんじゃないやろうな……」

 

「ユタに限って、それはないと思いますが……まあ、仮に忘れていたならぶった斬るまでですよ」

「ほ、ほどほどにな…」

 

現在、はやてはリビングで元気なく項垂れていた。

 

「…本気で忘れられてたら、ウチ立ち直れんかも……」

「心配をしなくても…大丈夫そうですが」

 

 

原因は言うまでもない。ユタだった。

 

 

よくよく考えて見てほしい。

血が繋がっていないとはいえ娘に自分の誕生日を祝ってもらえないかもしれないのだ。

こうなるのは当然といえよう。

 

 

「こうなったら…明日はとことん…」

 

そして、はやての顔はめちゃ悪くなっていた。

 

 

 

 

 

〜場所は戻り、倉庫街〜

 

「っ⁉︎」

『どうされました?マスター』

「いや、なんか途方も無い寒気が…』

 

なんか、感じたことあるぞ……たしか、母さんが何かを企んでる時に来る寒気だ…。

 

「ユタさーん!準備できましたよ!」

「はいよー!今行く!」

 

ヴィヴィちゃんに呼ばれて、そっちに行くと、みんな準備終わってて、クリスがカメラを持ってくれていた。

 

「よしっ……て、これ改めて恥ずかしいな…」

『今更何を、マスターが提案したことでしょうに』

「まあ、そうなんだけどさ」

 

「ユタさーん、それではいきますよ!」

「よっし、どんとこい!」

「それでは…スタート!」

 

〜1時間後〜

 

 

「……ようやく終わった…」

「お疲れ様です、ユタさん」

「ども…リオちゃん。あ、ヴィヴィちゃんはデータはプライドの方に送っといてね」

「承知しました!」

 

『さて次は…魔法戦技のできる場所で、ですね』

「うん、そうだね。んじゃあ…リオちゃんとコロナちゃんに手伝ってもらおうか。頼んでもいいかな?」

「「もちろんです!」」

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「「お邪魔しまーす」」

「おお、なのはちゃんにフェイトちゃん。よーきたな。ささ、上がって上がって」

 

なのはとフェイトは突然はやてに呼ばれ八神家に来ていた。

まあ、2人ともどうせ行くから、と了承した。

 

「うーん、ユタちゃんが…?」

「そーなんよ!あいつなぁ…」

 

が、実態はただの愚痴を聞いてもらいたかっただけとかなんとか。

 

「でもねぇ…ユタちゃん、ヴィヴィオから聞いたけど何かやろうとしてるって…」

「ちょっ!なのは!それ言ったら…」

「あ…」

 

そしてサプライズをバラされるという。

だが、はやてはお酒が入っていたためか聞き逃していた(ように見えた)

 

「あ…はやてちゃん寝ちゃった」

「にゃはは…よっぽどユタちゃんがいないの寂しかったんだね」

「ヴィヴィオたちもいるって言うから何かやろうとしてるのは間違いないんだろうけどね」

 

 

 

 

 

 

 

〜魔法戦技場〜

 

「んー、こんなものかな。リハ終了!本番明日だからー!よろしくね、」

「「はーい!」」

 

 

「…ジークさんやアインハルトさん、もちろんユタさんもすごいって思ってますが…。改めてすごいって再認識しました…」

「うん…ユタの魔力も中々お化けだよね……」

「ユタちゃん……魔力量だけならティアナさんと並べるんじゃない…?」

「だよね…明らかに僕やキャロは超えてるよね…」

 

と、ユタ&リオコロコンビのある練習を見ていたヴィヴィオ、エリオ、キャロの感想である。

 

 

「んー、ユミナは母さんにマッサージしてもらうとして……エリオとキャロ、あとはなぁ…あの物理で殴る勢をどうしよう……」

 

物理で殴る勢とはもちろん、アインハルト、ミウラ、リンネ、フーカの4人である。

 

「僕たちは、はやてさんの案内役、でどうかな?」

「あ、いいね。それ」

 

「うーん、それじゃあエリオとキャロはそれでお願いするよ」

 

じゃあ、本当にあの四人をどうするか…

 

「まあ、ひとまずみんなと集合しようか」

『それがよろしいかと』

 

 

 

〜場所は戻り、倉庫街〜

 

「あ、それならボクはユタさんと一緒に料理しますよ」

 

と、何をするかの相談中にミウラがそういう。

 

「あー、そういえばミウラの家って料理店だっけ」

 

「はい。お父さんたちにはまだまだ及びませんけどね」

 

「いや、料理できる人が一人でもいるのは助かるよ。そんじゃあ、お願いするよ」

 

「はい!」

 

さてと…後どうしよう。後先考えずに誰もかれもを連れてきたおかげで、やることがなくなった。

 

「なんじゃ、無性にユタさんをぶん殴りたくなったんじゃが」

「あら、フーちゃん奇遇だね」

「あら、私もですよ。二人とも。無性に断空拳を打ちたくなってきました」

 

「え、なんで?」

『心の声でも漏れてるんじゃないですか?』

「おかしいな、みんな読心術を習得してるの?私にも教えてよ」

『あら、淑女の嗜みですからマスターも習得してないとおかしいですよ?』

「いや聞いたことないわ!」

 

なんなの、読心術が淑女の嗜みって。

 

「んー、三人とも、今んとこ3つくらい案あるんだけど」

 

「はい、なんでしょう」

 

「まず一つ目、料理をたくさん作るから、母さん主役のパーティ形式にするんだけど」

 

「うんうん」

 

「ヴィヴィちゃんが学院祭でやってたようにメイド服をきて接客」

 

それを言うと三人が顔を赤らめた。いいね、そういう表情見るとなんか満たされる。

 

「「断空拳!!」」「てりゃあ!」

「あぶっ!」

 

あぶないな!この距離で断空拳ダブルとリンネの本気の殴りが飛んできたんですけど!

 

『むしろこの近距離でよく避けましたよ』

「褒めてくれてどうも。さてと二つ目だけど」

 

改めて向き直ると、ジト目で見られた。なんでやねん。

 

「全員がコスプレして接客♪」

 

「「「いやです」」」

 

「うん、知ってた」

 

一字一句違わず同じトーンで言われたよ。

なんか悲しいな…。

 

『当たり前の反応ですよ』

「毎回ツッコミをしてくれるプライドの優しさに涙が出そうだよ」

『気持ち悪いです』

「ひどっ!」

 

「さっさと最後の案を言って下さい。ユタさん」

「あっ、はい。……えーとね、みんなの得意技って言ったら何?」

 

「「「…?」」」

 

「ほら、一番といっていいほどの得意技」

 

「「「格闘技です(じゃが)」」」

 

「うん、だからね……リンネとやったことあるくらいで、他二人とは試合形式ではやったことないでしょ?」

 

「そうですね」「そうじゃが…」

 

「だから、いままでいろいろな仕込みをしたけど、私の成長を見せるつもりもあり、改めてみんなと本気でやるってのも兼ねてね……。全員と私で試合をしてそれを見てもらう。っていう案」

 

「え、ですが…ユタさんだけ不利なんじゃ…」

「そ、そうじゃ。ユタさんの本気とやらせてもらうのは、そりゃもちろんうれしいんじゃが…三連戦はちと厳しくありませんか」

「それに…私たちみんなユタさんをフィードバック貫通させた経歴あるんですよ…?」

 

「ほうほうほう、つまりはアインハルトもフーカもリンネも私とやるのが怖いと。ま、それならしょうがないね」

 

と、煽ってみると、途端に三人ともやってやるオーラが全開になった。

 

「私の体のことを心配してるならご心配なく。シャマル先生とかイクスさんも来る予定だし、治療に関しては事足りてる。休憩も十分とるし、試合中の君らの観戦はなし。だから、正々堂々と、やるなら全力で全員を相手するつもり」

 

「そこまでいうなら」「全力でやってやりますよ、ユタさん」「そのかわり、お母様の前だからって手加減も何もしないからね」

 

「手加減も情けも無用。やるなら全力でかかってきなよ。チャンピオンにその弟子にDSAAランク1位。全力で相手するよ」

 

 

 




おかしいな、番外編はギャグ一直線で行くつもりだったのに最後シリアスっぽくなった。

まあいいか。

さて…しばらくは番外編ですね…
頭痛い!
ネタ思いつかない!誰か助けて!


と、まあ頑張ります

読んでくださりありがとうございます


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番外編 レッツ、サプライズパーティ!前座編

前の投稿からおよそ2ヶ月……待った人がいるかどうかはわかりませんが、本当にすいません。

ネタが思い浮かばないんです…




さて…2ヶ月待たせた結果を、どうぞ(面白いとは言っていない)

✳︎元あったこの番外編シリーズの2〜4を合併しております。


6月4日 八神家

 

『司令、お誕生日おめでとうございます!』

「おお、ありがとな〜」

『本当ならば…私たち部下一同でお祝いに行くべきかと思いましたが…ここは家族水入らずに、してあげようと思いました!お祝いの品はまた後日!』

「無理せんでえーよ。それに、たかが誕生日だからって無理やり休みを取らせてもらった後始末をやらせてしまってるわけやし、そんな気にせんでえーよ」

 

朝の8時にすらなっていないというのに、先程からひっきりなしに電話が来てはお祝いの言葉を送られている光景が八神家の中ではあった。

主にはやてのみが対応していたが。

 

「どーも。ありがとうございます。ええ、それではまた現場で。…………ふーーっ、疲れたぁ……」

 

「お疲れ様です、主。ずっと言いそびれましたが、お誕生日おめでとうございます」

 

「ありがとな〜シグナム。ほんで…ちょいと聞き逃したんやが、ユタがなんて?」

 

「ええ、どうやら今日の午後1時から、指定の場所に来て欲しいそうですよ。わざわざ直筆で招待状(こんなもの)を机の上に置いていました」

 

「んー、どれどれ…」

 

と、はやてはシグナムから一枚のハガキを受け取り、書かれてあることを読んだ。

 

 

『八神はやてさん。今日の午後1時に、とある場所に来て欲しいのです。ですが、どこかは秘密です。一時間ほど前には、案内人がそちらに参りますので、一緒に来てください。待っています

ユタ』

 

 

「はーん、まあどーみても悪巧みやろーなぁ」

「(単なるサプライズだと思いますが…)」

 

 

と、シグナムはそう思ってはいるがぶっちゃけはやての考えは間違ってはいない、と言うのはユタ本人からの言質である。

 

 

ピンポーン

 

 

と、昼まで何をしてようか、と考えていたはやて達の元に、来客が来た。

 

「はいはーい。どなたですか…って、なんや、なのはちゃんにフェイトちゃんか」

 

「なんやって…ユタちゃんなのを期待してたの?」

 

「いや、そーゆう訳やないよ。ユタからの招待状に書かれてる時間より早めに人が来たから誰かな、って思うたんよ。て、玄関で立ち話もなんやし、ほら、入って入って」

 

「「おじゃましまーす」」

 

 

 

 

〜一方 絶賛準備中のユタ 9時半頃〜

 

「…プライド、これすっごいマズイよね?」

『ええ、相当マズイですよ。時間まで後わずかですよ』

 

「さっきから何話してんじゃコラ。さっさと払えって言っとんじゃ」

 

なんでこんな朝っぱらからピンポイントで不良に絡まれてんの、私。

しかも、こんな脇役も脇役そーなチンピラに。

マスクしてなんか刺青してて、けどなんか脇役にいそうな感じの。

 

「…ねえ、私急いでるんですけど。早く解放してくれません?」

 

「無理だね、そいつかなり気が立ってるから、金払うか文字通り体で払うしかないよ」

 

学ラン着てる男の不良の少し後ろでもう一回り大きい男がそう言った。

 

なにが起こったかというと、私自身もわからない。

 

プライドと最終確認をしながら物資を買ってミウラたちのところに帰ってると急にいちゃもんをつけられて為すがままにこの裏路地に連れてこられた。

 

「……はぁ、面倒なことになるからこの手は使いたくなかったけど……。ねえ、お兄さん達、インターミドルってしってる?」

 

「あん?当たり前だろ。毎年見に行ってるよ」

「俺もだよ超ファンだよ。でもなんだ。今そんなことは関係ないだろ」

 

「それの上位選手ってね……って、え?……好きな選手は?」

 

それを質問すると、結構真剣に考え出した。

 

「うーん、俺はやっぱりジークリンデ選手かな」

「えっ、そうなんすか兄貴。でも俺はやっぱり番長ことハリー選手!ユタ選手も捨てがたいけどあの影怖いしなぁ…。戦いはかっこいいんすけど…」

 

「…」

『なーにいっちょまえに恥ずかしがってるんですか』

「う、うるしゃいなあ!いいじゃん!目の前で言われるとなんか無性にはずかしくなるんだって!」

 

「「ん?」」

 

「っと、忘れるとこだった…。プライド、やろうとしてることはわかってるね」

『ええ、もちろん。そのお二方にたった今メールを送りました。文言は私のお任せでよろしかったですよね?』

「うん、やな予感しかしないけどいいよ」

 

私の尊厳とかそんなものが無くなったような気がしたけどいいや。今はそんなことはどうでもいい。いやよくないけどさ。

 

「…推定到着時刻は?」

『あと3分ですね。それまで不良ズの相手をしてあげるべきですよ。お二人共、マスターをみて何かウズウズ(笑)してますし』

 

と、改めて不良ズを見ると、なんか私をみて興奮してるんですがそれは。なに、ヤラシー(棒)

 

「ほら!兄貴!ドSな愛機プライド!六等星をドラゴン?が囲ったデバイスなんてユタ選手くらいですって!」

「わかってるってーの!おい、これはサインもらうしか…」

「あれ、そういや何であの人ら、俺たちにこんなことをさせたんすかね?金もらえたからいいっすけど。つか…ユタ選手のようなインターミドル上位選手に何で俺たちみたいなチンピラを…」

 

「ん?あら、君たち本当にインターミドルの常連なんだ。私の愛機の名前まで知ってるって相当なオタクだよね」

 

「もちろんっす!ユタさん、とんでもないことをして申し訳ないっす!」

「本当すいません。俺たち、命令されただけなんですけど…。本当にすいません」

 

「おおう…驚くべき速さの手のひら返し。…なら、呼ばなくてもよかったかなぁ……」

 

「へ?呼ぶって誰をっすか?」

「?」

 

「ええ、あと…10秒くらいすれば……多分、1人は走って、1人はそろそろ跳んでくるはず」

 

「「??」」

 

 

「ユーーターー!!おまえなにをバラすだってえぇ!」

「ユターー!お願いやからあのことは言いふらさんとってぇ!」

 

「お二人共、そんなこといいながら殴りに来ないでくださります?」

 

「「ヘヴッ⁉︎」」

 

真後ろからハリーさんが、上からは文字通り跳躍してやってきたジークさんが、互いに拳を振りかぶってきたんで受け流して互いにぶつけた。

 

「んじゃ、私は本気で時間ないんでこの辺で。あ、そこの不良ズさん。憧れの選手ダブルで連れてきたんで思う存分やっちゃってください!私は管理局員なんで手を出せますがその2人は民間人には出せないはずっ!それではこれで!」

 

「あっおい待てユタ!どういう状況だ!」

「あっちょっ、何やこの人ら、すっごい好奇な目を向けてくるんやけど⁉︎あと息が荒いのがすっごい怖いんやけどぉ⁉︎」

 

後ろから黄色い歓声と悲鳴が聞こえてくる中、両手に持った食材を軽い身体強化魔法を身体にかけて本気で母さんの誕生日会をする会場に走った。

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

時計は11時半を回って、もうすぐ案内人がくるという12時にが来ようとしていた。

 

「おー、あったなあ。こんなの」

「ねー、懐かしいね」

「今思うと、ユタちゃんの小さい頃って、ヴィヴィオに本当そっくりだよね」

「ま、性格とかは真逆やけどな」

 

3人共、アルバムを見ながら昔について語り合っていた。

 

途中、はやてとなのはがユタとヴィヴィオの、正確には聖王家の色々なことについて、というなんともこの場の空気にふさわしくないドシリアスなことを話し始めたが、フェイトがスッと話題転換し事なきことを得た。

 

「はやてちゃん、ユタちゃんが管理局員、正確にはまだ屈託魔導師扱いになったわけだけど、実際のところどう思ってるの?」

 

「どうも何も……ウチ自身は、せめて今やりたいこと、将来やりたいこと。その2つくらいはな、全力でサポートする。そう決めてるだけや。まあ、正直なところを言うと……まだユタは社会に、しかも管理局に出てくるのはまだ早かったんちゃうかなぁ…って」

 

「…まだ、嫌がらせ続いてるの?」

 

「ああ、あのバカ(ユタ)は巧みに隠しとるつもりやろーが、バレバレやっちゅーねん。毎回管理局関係のことを仕事上で聞いたときの苦笑いを見せられる側にもなれっちゅーねん!」

 

 

ピンポーン

 

 

「はぁーい」

「「(相変わらずの変わり身の早さ……)」」

 

なのはとフェイトの2人はと言うとチャイムが鳴ったと同時に起こしたはやての変わり身に相変わらず驚きを隠せないでいた。

 

「お、やっぱり案内役はエリオとキャロか」

「ええ」

「やっぱり読まれてましたかー」

 

「ま、ユタの悪巧みに乗っかるようなのはチームナカジマの皆かエリオらくらいのもんやもんなぁ。それで、あたしは行き先は聞かずについてけばええんかな?」

 

「はい。でも…少しだけ回り道はさせてください。少しだけトラブルが起こって一時きっかりに始めれないらしくて…」

「もしよかったら、なのはさんとフェイトさんもご一緒に。もちろんシグナムさんも」

 

 

 

 

 

 

〜12時 会場〜

 

「…え?」

 

「そ、その…ごめんなさい。す、少しトイレに行ってたら…いつの間にか、こんなことに…」

 

母さんと、多分いるであろう色んな人に振る舞うための料理作りの最終段階…要は、あとは盛り付けだとかそう言うので終わりというところまで、あの二人組のせいで超特急でやる羽目になって、なんとか間に合いそうだったんだ。

で、リオちゃんたちの方で仕掛けの最終確認とかを済ませて、最後は料理だけ、ってなってみんなで手伝いに来ようとしたら、()()()()()()()

ミウラはトイレに行っていて帰ったらこうなってた、と言っていたけど…。

 

「…いや、大丈夫…。い、いや、全然大丈夫じゃないけど…ミウラは気にしなくていいよ…うん。…誰がやったか、見た?私達以外の誰かが来たとか」

 

「い、いえ…ボクは見てないです…」

 

「ゔぃ、ヴィヴィちゃんたちは…?」

 

ミウラ以外の、チームナカジマの皆やリンネさんにも聞くが、誰も見ていないらしい。

 

「今すぐ犯人捕まえて文字通り喰べるか斬り刻んでやりたいけど…」

『今はそんなことをする暇はありません。作っておいた料理はこれだけではないでしょう?そちらの無事も確認し、その後にどうするか、それを根本から見直しましょう」

「うん…そ、そうだね…。あ、リオちゃんたちは、他の仕掛けやら何やらの警備をお願い…。…本当にどうしよう」

 

やばい、やばい、本気でやばい。

 

半分くらいは、別の部屋で並べていた為、被害等はなかった。

が、ミウラと一緒に考えながら、どの順で出せばいいか、とか料理を食べながら見てもらいたいやつとか色々と考えていたために、本当にやばい。

 

「…いまから、私の影でのマルチタスク作業やコロナちゃんのゴーレムまでフル稼働させても……根本的に時間が足りないから無理か…」

「そ、それよりユタさんは魔力は今日はずっと温存しておかないと!」

 

考えろ、考えろ。思考を止めるな…。

 

「…ノーヴェさんに食材を買ってきてもらって、それでできる限り、ダメになったやつを作って、量は少ないけど最初は母さんがメインだから、って言って母さんに食べてもらいながら……全力で作って運んでいって……コロナちゃんのゴーレムと私の影を複合させて魔法で色彩を変えて……。いや、ヴィヴィちゃんと瓜二つになって見せても即答で当ててきたあたりから絶対に見破られるし…」

 

案を出しては捨て、出しては捨て、を5〜6回くらい繰り返した後に、超ハードワークな立ち回りをしなきゃいけないことが、自然と見えてきた。

 

「…うん、開始時刻は、しょうがない。エリオたちに頼んで、少しでも時間を稼いでもらおう…。ミウラ、全員に------------って内容のメールを一斉送信してもらえない?それが終わり次第、今ある材料で作れる限り料理を作ってこう」

 

「は、はいっ!」

 

『マスター、念のためトラップも仕掛けておいたほうがよろしいかと』

 

「そう…だね。あそこはリンネとフーカがいるとはいえ念には念を入れとこうか……。ミウラは戻ってくるまで、ノーヴェさんに食材関係のこと相談しながら無事な料理をみといてくれない?アインハルトあたりを連れてくるから、それまで…」

 

「わかりました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マスター』

 

「……」

 

『マスター』

 

「……」

 

『マスター!』

 

「ああ!もう!うるさいな!何!」

 

『やってることが大丈夫ではないと判断したから声をかけているんですよバカマスター!』

 

影を何十本も用いた料理の手が思わず止まったじゃんか!

影での超マルチタスク作業をしないと間に合わないからこうしてるんだよ!

 

『今日の目的を全部忘れたんですか?はやてさんに、喜んでもらう為でしょう?』

 

「っ…」

 

『いまマスターがやろうとしていることが全部できたとして、その先の未来を言ってあげましょうか?』

 

プライドによる説教が始まり、超マルチタスク作業と化していた料理の手が全て止まった。正確には、半分は飾り付けのし直しなのだが。

 

それにより、今まで脳にかかった負担が思い出したかのように襲ってきて、頭痛を起こした。

 

「痛っ……」

 

『ほら、無理なことをしているせいで負担がかかりすぎています。そんなことを、もうしばらくやってみてください。どうなるかは想像つきますよね?』

 

「でも……ここまで…必死に準備して、1年間ずっと、節約し続けてお金貯めて……頑張って計画立てて…頑張ったのに……それなのに……」

 

『知っています。全部、知っています。ですが、その成功もマスターが『無事でいる』というのが前提条件でなければなりません』

 

「…でも、ならどうすれば…」

 

『私としては、料理を全て完成させるのは諦めた方がいいかと思います。元々、どれだけきてもいいように量を多く作っていたのが幸いですし、ちゃんと事情を話せばみなさんわかってくれると思います。そして-------』

 

「……わかった、ごめん。…ありがとう。プライド』

 

『いえ、お構いなく』

 

 

 

 

 

 

 

「会場て…ここか?」

 

「ええ」「ユタちゃん曰く、『ここが一番私らしい』、だそうです!」

 

「なーるほどなぁ」

 

エリオとキャロに連れられてきたはやてとなのは、フェイト、シグナムは……

 

 

八神流道場のみんなが主に練習していた砂浜の近くまで戻ってきていた。

正確には砂浜から少し歩いたところにあるスポーツセンターの手前まできていた。

 

ユタはそこを丸一日貸切にしていた。

 

 

「なんかエラい遠回りした挙句戻ってんなーって思ってたのはそゆことか」

 

「はい」「えへへ…驚かせれたらいいな、と思ったらしいですよ」

 

はやてがジト目でエリオ達をみると苦笑いして返していた。

 

「あ!皆さん!こっちこっち!」

 

入口の方から声をかけられて、みんながその方向を見るとそこにはルーテシアがいた。

 

「なんや、ルー子もユタの悪巧みに一枚噛んでたんか?」

 

「いえいえ、まさかそんなわけ。私はただの受付員ですよ。今回のパーティのね」

 

と。悪そうな笑みを浮かべながらルーテシアは返す。

 

「と、それはそうと。はいコレ。今回のパーティ参加する人には付けておいて欲しいとのことです」

 

「ん?なんやコレ」

 

そう言ってルーテシアがみんなに渡したのは、バッジだった。

真ん中には八の字か大きく描かれている。

 

「参加者かどうかを見分けるため。だとか言ってました。そもそも、私が受付員をするからいらない、って言ったんですが何かつい1時間くらい前?ですかね。ユタが言ってきて。それで急遽初等科組で作ってたんですよ。なので出来は悪いですが…そこは目をつぶってあげてください」

 

「…?なるほどな。ま、わかったわ」

 

「どーも。あ、それとこちら、今日の予定表です」

 

そう言い、ルーテシアは一枚の紙をはやてに渡した。

 

「ありがとなぁ。ほんじゃ、お先に行かせてもらうわ」

 

「楽しんでくださいね。私も後で参加予定なので」

 

「ほいほい、ほなまた後でなー」

 

そして一行は先に進んだ。

 

「へー、すごいしっかり組まれてあるね」

「あれ…?でもさ、これ所々直してない?」

「ほんとや…。なんかついさっき作り直した感じがすごいなぁ」

 

紙を見ながらなのフェイはやての三人がそう言う。

 

「…ま、細かいところはあまり気にしないであげようよ。せっかくのユタちゃん主催のパーティなんだから」

「ま、そうやな。ほんならまずは……マッサージか」

「いいねえ」

「マッサージ…まさかユタがそんなことを…?あいつ、アニメの見過ぎで変なマッサージを習得したんじゃ……」

「いやいや、まさかユタに限って……ありそうやから怖いわぁ…」

 

そして4人は他愛もない話をしながらタイムテーブルに書いてあるマッサージをしてもらえるところ-----ロビーに来た。

 

そこで待っていたのは…

 

「皆さんようこそ!」

 

ユミナだった。

 

「あーユミナか、よかったわぁ」

 

はやての言葉に、どこからか『どういう意味⁉︎』とツッコミが聞こえたと全員が言うがはやてだけは気にしていなかった。

 

「ユタさんに抜擢されました!ここで皆さんの普段溜まっている疲れを全部取ってあげて欲しいとユタさんにお願いされたので!おもいっきりやらせていただきます!」

 

「おー、頼むなぁ」

「ユミナちゃんのマッサージ評判高くて一度受けてみたかったんだよねぇ」

「よろしくお願いね」

「是非とも頼む。ユタじゃないから安心できる」

 

「あ、あはは…。では、シグナムさんからどうぞ!あ、どこか重点的にやってほしいところとかあれば是非言ってくださいね!」

 

そう言われ、シグナムから用意されていたベッドの上にうつ伏せに寝っ転がった。そしてユミナによるマッサージが開始された。

 

「…?ねえ、はやてちゃん。フェイトちゃん。あそこ…」

「ん?」「どうしたの?」

 

と、そこでなのはが何かに気づいた。少し先の、控え室入り口の近くに何かを感じ取っていた。

 

「…?なんや、魔法が貼ってあんな…?」

「うん、多分迷彩(インビジブル)だとおもうけど…でも、ユタちゃんってそんなの使わないはずだよね?」

「ああ、あいつその辺の魔法は不得意やし。あんな綺麗にできん。確か協会の選手で似たよーな魔法を使う選手はおったはずやが…その人ならわざわざ姿隠す必要もあらへん。それに他のシスターがいるはずや」

「…もしかして、ユタちゃんを狙った誰か?」

「もしくはアインハルトか…。ともかく、コレは放っておけんなぁ」

 

先ほどまでののほほんとした状態から一瞬で警戒一色にした三人は、各自のデバイスを持ち迷彩(インビジブル)が貼ってあるところに、はやてとなのはが、ユミナたちのすぐそばにフェイトが待機することになった。

なのはとはやては慎重に近づいていく。

 

「え?え?みなさんどうし…」

 

「すいません、ユミナさん。マッサージの途中だと言うのに申し訳ない。少し…まずい状況になったようです」

 

「え?ええ?も、もしかして…?」

 

「?何か心当たりがあるんですか?…まあ、今は後回しにしましょう。少しだけ時間をください」

 

「は、はい」

 

そしてシグナムは、はやて達とは逆側を警戒した。

 

ジリジリと、なのはが近づき残り5メートルほどになったところで迷彩(インビジブル)が揺らいだ。

 

それを見た2人はより一層警戒を強めた。

 

「そこで何してるの?管理局です。大人しく出てきてください。出てこないなら強制的な手段を…」

 

「ま、待ってください!わかりました!出ます、出ますから!」

 

なのはが言い終わる前に透明な部分から大人の女が1人出てきた。

 

「…ん?君は…」

「ちょいまち、なんでアンタがおるんや」

「え?はやてちゃん知り合い?」

「いや、知り合いも何も……()()()()()()()()()()()()管理局の局員や」

 

「…っ、いや違いますよ。私は……」

 

「勝手に喋らんでくれるか?今からする質問にだけ答えてや」

 

弁解をしようとする女を威圧で黙らせたはやては、ゆっくりと女の目の前まで近づく。

 

 

「まず、何でここにおるんや?」

 

「何でって、八神司令のお誕生日をお祝いするためですよ。あなたのお子さんのユタさんが誕生パーティをすると言うのでそれに私も参加させてもらいにきました」

 

「ほぉ、なら迷彩(インビジブル)で隠れてた理由は?」

 

「八神司令がお見えになったので脅かそうと思いまして」

 

「んじゃ、どーやってここまで来たんや?ここはユタが貸切にしてるはずやし、しかもついさっき私らが来た時にやっと開場したんやで?もちろん私らが一番最初に入ったんや。なのに何で主催者側でもないアンタが私らより先におるんや?それにちゃんと参加者側として来たなら、私らが着けてるこーゆーバッジもあるはずやし、タイムテーブルも持ってるはずやろ?何でないんや?」

 

「そ、それは…」

 

 

「…ええか?次嘘ついたら懲罰だけじゃ済まへんで?もっかい聞くよ?…あんたは、何のためにここに侵入してきたんや?」

 

 

「……」

 

途中まで間髪入れずに返していた女は、はやての怒りのこもった声で質問されてだんまりとしてしまった。

 

「…じゃあ質問を変えよか。なーんか、やたらとユタ側でトラブルが起こっとるらしいが…アンタ、何をしたんや?いや、そもそも何人で来たんや?」

 

「そ、その…」

 

はやての怒りに、完全に怯えていた。

それを見てはやては聞いてもあまり意味がないと思ったのかユミナの方に向き直った。

 

「なあユミナちゃん」

 

「は、はいっ!」

 

「なんか、心当たりがあるようやったけど、何が起こったか教えてくれへんか?」

 

「え、えと…その。ゆ、ユタちゃんが生鮮食材とかの買い出しに行った時に、だれかからの指示で絡んでくれるように頼まれたチンピラに会ったっていうのと、ユタちゃんとミウラちゃんがはやてさんや他に来るみんな用に一杯お食事を作っていたんですが……その、誰かに荒らされてしまって…。それで、本当なら今日来る予定だったみなさんに行き渡っても十分な量を作っていたのに、今から作り直しても足りるか足りないかギリギリになっちゃって…。時間のかかる料理があったらしくて…」

 

「なるほどなぁ……」

 

表面上ではすごい穏やかに聞いていたが、女だけは、冷や汗が滝のように溢れ出ていた。

 

「つまり……()()()はユタの努力を、ユタが私を喜ばそうとしてくれたことを、邪魔しに来た、そういう訳やな?」

 

「わ…私は!料理を荒らしてなんかいません!チンピラに絡むよう指示も出したりしていません!ただ本当に司令をお祝いしに来ただけです!」

 

「…?あれ、でもユタさん、管理局の人たちには基本的に今日のことを伝えてないって、言ってましたよ。それになのはさんやフェイトさん、ティアナさんやスバルさんたちに伝えたこと自体昨日の夜で管理局のみんなが仕事が終わった後だそうですし」

 

言い逃れをしようとしていた女の逃げ道をユミナが完全に塞いだ。

 

「…ほんなら、ちょっと詳しいことを…」

 

 

ドォン!

 

 

はやてが問い詰めようとした瞬間に、近くで何がが爆発するような、そんな音がなった。

 

「⁉︎」

「何⁉︎」

 

「…」

 

全員が動揺してる中、女だけが笑っていた。

まるで何かが成功したと確信したかのように。

 

「すまんなのはちゃん!そいつを見張っといてくれ!シグナム!ついた来てくれ!フェイトちゃんはそこでユミナちゃんをまもっといてくれ!」

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「っ……痛っ…」

『っ、マスター!大丈夫…』

 

何…何が……。

私の、魔力に引っかかった誰かが、いて…それで…そこまで行って…

 

それで…

 

「「「「ユタさん!」」」」

「ユタ!」「ユタちゃん!」

 

周りから、色んな人の声が、聞こえてきた。ヴィヴィちゃん達に…母さんに、なのはさん…?

 

なん…

 

「っ…!」

 

「あっ!待て!」

「待ちなさい!ヴィヴィオに他の子達!ユタちゃんをお願い!」

 

「「「「「はいっ!」」」」」

 

…?わたしは…地面に突っ伏している…?

 

『マスター、少しの間大人しくしてください。後頭部強打し、背中も打ち付けています』

 

プライドの言葉を皮切りに、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

「…っ!はっはっ…」

 

『おはようございます。マスター。御気分の方は?』

 

「あ、あー?うん。…よくわかんない。何が起こったんだっけ…」

 

眼を覚ますと、ベットの上だった。

…ユミナのマッサージ用に用意したベット…かな?

 

『少しお待ちください。……あ、はい。はやてさん。目を覚ましました。…ええ、そちらは…。はい、大丈夫ですか。でしたら、こちらの方へ足を運んでいただけると。このバカマスター、記憶が飛んでるようなので』

 

「ねえ、サラッと貶すのやめて?」

 

『それよりマスター、いつも通りの楽観なのは良いことですが、ひとまず今日が何かを思い出すところから始めてください』

 

「へ?今日………そうだ!今日、母さんの…」

 

『はい、そうです。そして…何が起きましたか?』

 

「…?……そう、だ。そうだ!あの人…!あの人に…!」

 

『ええ、そうですよ。マスター、貴女は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そう…よかった。私、今度は誰も傷つけなかったんだ…」

 

『はい』

 

 

ドタドタドタ……

 

 

「…母さん達かな?」

『でしょうね。とても心配しておられましたから』

「…謝らないとなぁ…。心配させないって、誓ってたのに…」

 

 

「ユタ!」

 

 

さて、母さんによるお説教が始まるぞ…。しかもなのはさんにフェイトさんもいるし…。シグナム姉さんもいるし…。生きて帰れるかな……。

 

 

 

 

 

「ユタ…ほんまにお前は…」

「ユタちゃん、体の具合はどう?」

 

「はい、割と思ってたより無事です。プライドの治癒特化性能が役に立ちました。…母さん、ごめんなさい。心配をかけて」

 

「無茶しすぎや…。頼むから…少しくらい弱音吐けぇ。そのための母親(あたし)や…。愛娘の弱音くらい受け止められんでなにが母親や…」

 

「うん…ごめんなさい」

 

いつの間にかきていたシャマルさんに軽い検査をされ、母さんにはいつも以上に強く抱きしめられた。

 

 

…二度と、悲しい(こんな)表情にさせないって、誓ったのになぁ…。

 

 

「はーい、お邪魔するよー」

「ユタ…無事だったか」

 

「はい、シグナム姉さん。体の方はすこぶる健康です」

 

珍しくシグナム姉さんも心配してくれていたらしい。

そしてなのはさんとフェイトさん、それに……

 

「…その人、まだ居たんですね。てっきり管理局に送り返されたのかと」

 

明らかに、今日のイベントには呼んでいない人が2人。内の一人は、私を吹っ飛ばしてくれた人だった。

 

案の定、どっちもみたことある人。正確には、管理局で嫌がらせをしてきていた人。

 

「…あ、そういえばヴィヴィちゃん達ってどうしてるんですか?巻き込んだ挙句、こんなことになっちゃって。後で何かお詫びしないと…」

「その点は大丈夫だよ。みんな待っててくれてる。本当はもうお家に返したほうがいいのかな、って思ったんだけど皆んなが残ることを望んだの。『ユタさんが眼を覚ますまではいる』って」

 

「そうですか…」

 

なのはさんが言うなら、大丈夫なんだろうけど…。

 

「とりあえず、ユタ。なにがあって、気絶していたのか教えてくれへんか?こいつらだと信用できんからな」

 

「うん。わかった。…ていうか、シグナム姉さんとかなのはさんが体に直接聞いてもいいと思ったけど……。プライド、動画はちゃんと撮っておいた?」

『もちろんでございます』

「ありがと。じゃあ、それ投影して」

『承知しました、マスター』

 

そう言ってプライドが投影したのは、私が走っているところだった。

 

『これはマスターの探知魔法…というよりは影に引っかかったのが分かってその場所へ向かっているところですね』

「あー。そういや、私用と侵入者用の二つ仕掛けたっけ」

 

しばらく見てると、料理を作り置きしておいた場所にたどり着いた。

 

そこでは、いま母さん達に捕縛されている二人のうち一人が、影にがんじがらめに拘束されていた。

 

『〜…っ!おま…え…』

 

そこで私は、とてもみっともない事に、影の制御を見誤った。

自分の影には殺傷能力は十分にあるというのに。

 

『っ…!プ…ライド!なんで…邪魔…』

『当たり前でしょう!自分でした誓いすらお忘れですか!』

 

けど、影はちゃんとプライドによって止められていた。

 

「誓い?何のことや?ユタ」

「…それに関しては、今は関係ないから。えーと…この辺から私は記憶ないんだけど…一体どうなったんだろ」

 

動画を再度進める。

 

『っ⁉︎』

 

多分、プライドとの影操作の主導権を奪い合ってる?のかな。影が変な動きをしながらも、目の前の女の人には一切向かってはいなかった。

そして、地面が光ったかと思うと、私の体を影が拘束した。

しかも二重や三重どころじゃない。五重くらいかけてるんじゃない?あれ。

 

…あんなに罠しかけたんだ…。自分のことながらエグい…。

 

「んー?見たところ、ユタの影か?」

「うん。私が無限書庫の時のように、自我を忘れちゃってた時のための保険。本当は、そんなこと起こらない方が良かったんだけど」

 

影を影で相殺しようにも、プライドによって操作もままならず、一切解けないでいる。

 

その瞬間だ、私の体が吹き飛んだのは。

 

いつの間にか拘束を解いていた女が、私の体を殴ったと同時に魔力を爆発させて吹っ飛ばしたのだ。

影で体を覆っていたならいざ知らず、無防備な状態で、かつ体の関係上受けるのがとことん弱い私がこれを受けて無事で入られるわけがない。

 

『ガハッ…』

『ははっ!ザマァないわね!やっぱりお前ごときが八神司令の----』

 

『ユタ!』

 

『っ…!』

 

 

これで映像は終わっていた。

 

「…ひとつええか?」

 

「?」

 

「ユタ…あんた、わざとか?」

 

「何が?」

 

「……」

 

すっごい、母さんに真剣な目で見られる。

バレてる…のかな?やっぱり。

 

「ヴィヴィちゃん達から聞いてるで。メールで変なことを言われたって。内容までは聞いてへんが…あんたが考えそうなことはわかる」

 

やっぱり…。

 

「プライド、ユタがみんなに送ったメール見せてもらえるか?」

 

『…私としては構いませんが…』

「…いいよ、プライド。どうせすぐバレるし。表示しちゃっていいよ」

『承知しました。では…』

 

そう言って、プライドはみんなに送ったメールを表示した。

 

『一ヶ所だけ、警備を薄く…いや、()()()()()。場所は第一控え室。みんなは…他を守って。…念の為、みんなのところにも魔力を仕掛けに行くけど…それまで、お願い…守ってて…』

 

 

 

………はっずかし!何最後の文!え、私あんなこと書いたの⁉︎記憶にないんだけど⁉︎

 

 

 

「ほーん…。…ユタ」

 

「うん、言わんとしてることはわかってるよ。……私自身を、()()()()。今回の手口で、誰かは大体わかってた。回りくどいやり方、私自身の体を傷つけるというよりは精神的に追い詰めるやり方。

迷彩(インビジブル)の魔法が得意な人で私に恨みを持ってそうな人。

そこまで分かれば、自ずとわかってくる。

そもそも、私と面識があって迷彩(インビジブル)が使える人なんて、そういない。

教会の選手のシャンテさんか、管理局で手合わせをしたこの二人くらい」

 

「…なるほどな。……あんたが周りを巻き込まないようにする癖は相変わらずか…」

 

母さんがすごい悔やむような顔…なんで?悲しませることはあっても、悔やまれるような事は…。

 

「にしても…お前は、何故そうもユタに固執する?ユタと同年代とまでは行かなくとも、若い管理局員は沢山いるだろう?」

 

ここで、シグナム姉さんが二人に聞いた。

二人はというとずっと押し黙っていた。

 

「ほう?黙秘権でも貫くか?別にいいぞ。体に聞くだけだ。悪いが、家族に手を出されて黙ってられるほど、私もお人好しじゃないんでな」

「ちょ、ちょシグナムさん!ストップストップ!」

「シグナム姉さん、流石にそれはシャレにならない!」

 

剣を持ち出すのは…やりすぎじゃない?

けど、ここまで怒っているシグナム姉さんは久しぶりに見た気がする。

ほら、二人とも怯えてる。

 

「では、再度問おう。貴様らは、なぜユタにそんなに固執する」

 

 

「…親の七光りで管理局に入って、いい思いするやつはいないと思いますよ。シグナムさん」

 

 

私を殴り飛ばした方の女の人が、そう言った。

 

「親の七光りで管理局に入って、天才で、それでチヤホヤされて。ずっと一から頑張ってた私たちからすれば、ふざけるな、ですよ。しかも魔力の変換資質が影とかいう()()()()()()()ですし」

 

は?何言ってるの?才能?私に?

しかも、気持ち悪い?そんなこと言われるいわれはない。

 

()()()()()()()()()()()ほど、目障りなものは…」

 

「っ!」

 

今度は、私だった。

 

 

努力せずに?なんでそんなことを言われなきゃいけない。

 

 

『マスター!落ち着いて…』

「天才?努力せず…?何で貴女なんかにそんなこと言われなきゃいけないんですか…」

 

「ぐ…」

 

影で、ギチギチと言うように強く拘束してしまう。

 

また、魔力が漏れてるような、魔力に支配されてるような感覚だ。何度目だろうか。

 

「私は、努力してきました。()()()()()()()()()を後悔して、強くなりたいと願って」

 

「何言って…ぐぬっ…」

「ユタ!やめい!」

 

「目の前で、最愛の人を奪われた気持ちが、貴女にわかりますか?目の前で、冷たくなっていく家族の姿が、想像できますか?」

 

「ユタ!」

『マスター!』

 

「っ…」

 

母さんに羽交い締めされ、プライドには影操作を徹底的に潰された

シグナム姉さんにも、影を切断された。しかも締め上げてた女の人は一切傷つけず、影だけを。

 

「ユタ、お前に手を汚させる手段などはザフィーラ共々教えたつもりはない。それにだ、お前には手を汚させる気などは毛頭ない。マリナの奴に顔向けできんからな」

 

「でも…何で、今までずっとしてきた努力を、嘲笑われなきゃ…才能なんて言葉で片付けられなきゃ…」

 

そこまで言ったところで、シグナム姉さんに頭を撫でられた。

 

「天才や才能という言葉はな、自分と他人の違いを明確に知るものだ。自分にできないものを、他人はできるから、天才や才能という区切りで分けてるのさ。『自分と根本的に違う』とな。自分と違うものを畏怖し排除しようとするのは人間の悪い癖だ。そうやって努力すればできることも、する前からできないと割り切って逃げるのさ。弱い奴の典型的なパターンだ。ああ、私はお前をセンスがあるとは思ったことはあるが天才だとか才能があるだとかは一度たりとも思ったことはないぞ?まあ、強いて呼ぶなら…『努力の鬼』かな?」

 

微笑みながら、そう言ってくれる。

不思議と、気持ちが軽くなった。

 

「少なくとも私達はお前が努力をずっと続けていたことは知っているさ。ユタ、周りの誰にも理解されなくてもいい。その時は私達を思い出せ。お前の努力を知っている人達を。私達は、何が起ころうとお前の味方だ」

 

 

…どう、反応すれば、いいのかわからない。

シグナム姉さんにここまで優しくされたことが、なかったから。

 

 

「ああ…主よ。ひとつお願いが」

 

「ん?どうしたんや?」

 

「いえ、簡単なことです。この2人の処分を私に任せてもらえませんか?」

 

「?」

 

「ご安心を、別に斬ったりはしません」

 

「まあええが…上にはちゃんと報告するで?」

 

「ええ、構いません」

 

「な、なあ…ひとつ確認したいんやけど、何する気や…?」

 

「特に大したことはありませんよ。一ヶ月間、私が課す特訓をさせるだけです。私が直々にね。一切弱音を吐かなければ、罪は不問とします。ただそれだけです」

 

この時、シグナム姉さんが黒い笑顔になっていたのは気のせい…だと思いたい。

 

「なあに、ユタと同じ特訓をさせるだけですから、ユタのことを嘲笑うくらいなんですから、きっと余裕ですよ」

 

 

この時、この場にいるほとんどの人が、シグナムを本気で敵に回したら死ぬのでは、と思ったとか何とか。

 

 

「さて、それじゃあひとまず、こいつらは邪魔ですので返しましょうか。特訓は明日から、ということで」

「そーやな。今日のところは帰ってもらうか」

 

「「え?」」

 

「え?じゃないわ。今日はウチの為にユタが必死こいて準備してくれとるんや。…これ以上邪魔するようなら、ウチとて容赦せえへんで?」

 

「っ、でも…」

「わかりました」

「えっ⁉︎でも先輩…」

「では、これで失礼します」

 

そう言って、私を殴り飛ばした方の人が驚いているもう1人を連れて外へ出て行った。

 

なんか、よく分からないうちに終わった…のかな?

 

「よっし!そんじゃあ邪魔者も消えたところで…再開してもらうでー!」

 

「へ?」

 

「へ?じゃないわ。あんだけ大見得張っておいてちょっとしたトラブルでもう終わりか?ほーん、ユタの努力はそんなんで終わりかぁ。がっかりやわぁ」

 

「よーしわかった!今から本気で泣かせに行くから覚悟してよ!」

 

 

よし、全力で泣かせよう。

手順等は色々と狂ってるが、残ってるもので絶対号泣させたラァ!




だんだんシリアス化するのはなんでだ……。

最近は、ちゃんとリリカルなのはシリーズの最初絡み始めました。ロリなのはさんたち可愛すぎます。
次は本番ですね。頑張ります


読んでくださりありがとうございます


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レッツ、サプライズパーティー!本番編

はい。ようやく番外編が終わりです。

放置しすぎてワロエナイ…

ちゃんと完結させてから別の作品に手を出すべきですね…


流石に番外編で話の区切りが多すぎたと思ったので準備編 前座編 本番編とまとめております

ですので最初の方は見たことあるかもしれません



それではどうぞ


「よし…料理は…まあそこはご愛嬌で…他の仕掛けは無事。なら…」

「ひとまず魔力をいっぱい使うコレから行ってユタさんはその後回復に努めてもらったほうがいいんじゃ」

「あの映像て何分くらいありましたっけ?」

「大体20分くらい、かな?」

「うーん、リオちゃんにコロナちゃんの方は大丈夫?すぐいけそう?」

「「バッチリです!」」

「うん、よし。あとは…アインハルトやヴィヴィちゃん達は、母さんがどれだけいい人か、とにかく褒めちぎるようなトークショーをお願い。んで、フーカとリンネでエキシビションマッチで来てくれたみんなを魅せる。オーケー?」

「「オス!」」

 

チームナカジマのみんなとリンネ達との『母さんを絶対泣かせる』作戦会議は順調に進んでいった。

本来はエキシビションマッチは私とみんなが対戦する予定だったが、私自身が怪我をしてしまってるのもあり、見送りになった。

 

「よし、それじゃあみんな、いくよー!」

「「「「「おーー!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「ほえー、予想以上にしっかりと組んであるなぁ」

「その為に貯金の半分以上使い尽くした、みたいなことぼやいてましたけどね。あ、加減はどうですか?」

「バッチリやで〜。ごくらくやわぁ〜」

「それは何よりですー」

 

「はむ…美味しい〜。ユタちゃん、また料理の腕あげたねぇ」

「おや…これはルーフェンの時に見た料理だね」

 

「おお!八神司令の子供の頃の写真ですー!」

「可愛い〜!」

「あ、もしかしてこの水色の髪の人が…」

「うん、ユタちゃんのお姉ちゃんの五月雨マリナちゃん。とっても美人でしょ?」

 

今現在、式の始まりの挨拶などを担当するユタとリオ、コロナ以外のみんなは会場内---いつも試合をしている場所に広げられていた椅子に座ってご飯を食べたり、八神一家は順番にユミナによるマッサージを受けていたり、高町一家は『八神はやての成長記録』と名付けられていた年代別に並べられていた写真を順に見ていたりしていた。

 

無限書庫の司書長のユーノやティアナ、ナカジマ家のみんな、ジークリンデから始まりヴィクトリアやエルス、ハリーなど親しい選手も招待されていたようで、ざっと50人くらいだろうか。

管理局のお偉いさんとかは流石に躊躇ってしまったとか。

それでも自分の使えるツテを使えるだけ使って誘っていった結果だ。

 

 

「はーーい!皆さん!ご満喫いただいてますでしょーか!」

 

 

しばらくすると、マイクを使っているのか、やたらと大きいユタの声が響いた。

一同は、同じ方向---観客席の手すりに木の板などを使って作った簡易的な立ち台に目を向けた。

そこには…

 

「ぶっ!」

「え、ええ…」

「いや、ちょっ…よくあの2人も乗っかったね…」

 

 

はやて、なのは、フェイトのセットアップ時の姿をしていたユタ、リオ、コロナがいた。

ユタがはやてを、リオがなのは、コロナがフェイトの格好をしていた。

 

 

「さて!みなさんまずは私が主催する『八神はやて誕生祭ならぬ八神はやての結婚相手を見つけようの会!』…ではないのでご安心を」

 

煽り文句を言った瞬間、ユタの顔の横を何かが通ったのは言うまでもない。

 

「コホン。えー…改めまして皆さん、私が主催する『八神はやて誕生祭ならぬ八神はやてをとことん甘やかしたりなんなりして嬉し泣きさせようの会』にお集まりいただき感謝感激雨嵐です。あ、これは冗談じゃないので。

今日の私の目的はただ一つ!我が母である八神はやてを思いっきり嬉し泣きさせることです!皆さん、どうからご協力をお願いいたします!

あ、もちろん誕生パーティもやりますよ。

ただその前にみなさんへ一言。

この度はこちらの都合とはいえパーティ開始を予定時間を大幅に遅れさせてしまい、待たせてししまって大変申し訳ありませんでした。

これを払拭できるほどの楽しいものにしますので、ご期待ください!

よし、挨拶はこの辺にして…それじゃあ…2人とも」

「「はい!」」

 

リオとコロナは魔力で作った黒い板----遠くからでもわかるほどの結構な大きさ-----のようなものを取り出して空中に浮かせ、そこからは一本の黒い紐のようなものが出ていた。

ユタはそれを持ってはやての元へ歩いていく。

 

「はい、母さん。これに炎系統の魔法で火をつけてみて」

「ほいほい。火がつけばええんか?」

「うん。ひとまず母さん泣かせの作戦その1。まあとりあえずつけてみて」

「ほいほい」

 

はやては炎の魔法をその黒い紐につける。

すると炎は紐を伝っていき黒い板に付いた。

 

「わぁ…」

「すごい……」

「綺麗ですー!」

 

と、様々な声が上がった。

聞く限りは好評だろう。

 

「……」

 

はやては口を閉じるのを忘れてじーっと見ていた。

 

「はい!これより『八神はやて生誕祭』を始めまーす!」

 

黒い板だったものには、様々な色のついた火が絵のようになって、満面の笑みを浮かべたはやてとそれを囲むようにして八神家のみんなが描かれていた。もちろん、リインフォースやマリナも。

リインフォースに関しては、ユタはシャマルから『大事な家族』としか聞いていなかったが、それだけでこの中に描くには十分だった。

現に八神家のみんなには効果覿面だったようで、みんな懐かしむような顔をしていた。ヴィータに至っては泣きかけてた。

 

「さ…それじゃあここからは少し自由時間でーす!みなさん食べたり飲んだりしちゃってください!私は次の準備にかかりますのでー!」

 

そう行ってユタは何処かへきえていった。

 

「いやー、凄いねえ。3人の力作なのがビシビシと伝わってきたよ」

 

「ありがとうございます!でも、アイディアはぜーんぶユタさんなんですよ!」

「そうなんです!」

 

「へぇ〜。ふむふむ…影で板を作って…そこにコロナの作ったゴーレムで絵の形を作って…ユタの影で縫い止めて…。そこにリオの魔力を引っ付けたのね?しかも…炎系統の魔法を感知すると連鎖的に炎が付いていくようになって、色も調節して…こうなるのね」

 

「さすがルーさん!」「ご名答です!」

 

これを別室で見ていたユタは、ルーテシアの観察眼に心底驚いていたとか。

 

 

「それじゃあ…次!の!出し物です!」

 

 

用意が済んだユタは、白い布のようなものと、投影機のようなものを上からゆっくりとおろした。

 

「コホン。えー、これより始まりますのは、私と、ほか協力してくれた方によるビデオメッセージです。まあ、私が7割方喋っているんですけどね。それでは、ご静聴お願いします」

 

そして、会場内は薄暗くなった。

 

 

『あーあー、よし、声オッケー震えてないね。顔も強張ってない…ね。うん、自然体自然体』

「どわぁぁ⁉︎なんでこっからあるの⁉︎ストップストップ!」

 

最初に映ったのは深呼吸などをして撮る直前のユタだった。

顔が強張って恥ずかしがってるのかほんのりと赤い。

 

「ぷ、プライド!なんで…」

『私なりのサプライズですよ』

「いらないよ!」

 

ユタとプライドのいつも通りとも言えるコント(?)を止めたのは、というよりユタを止めたのは周りから起こった失笑だった。

 

「っ、き、気を取り直して…えーと…どっからだ…あ、うん。ここからだ…。これでよし…。え、えー。どうも。お騒がせしました。それではどうぞ」

 

ユタは赤面しながら再度動画を流した。

 

『えー、みなさん。いかがお過ごしでしょうか。私が初めて一から全部考えて開いたパーティなので、あと自費なのもあるので所々拙いでしょうが、楽しんでいただけてるでしょうか?まあ、この辺の前置きは多分そっちで私が適当にパパッと済ませているでしょうからこの辺で。

まずは母さん。えーと〜もう三十路だっけ?ああ、冗談です。冗談ですから母さん?私に向かってクラウソラス打とうとしないでね?わかってるからね?』

 

動画でユタはそう言っているが、予言したかのように、はやてはクラウソラスをユタに向かって撃ち込もうとしていた。

流石に周りに止められていたが。

 

『えー、改めまして。母さん。26歳の誕生日おめでとう。心の底からお祝いをするとともに、私から一言。多分後でぶん殴られますが、これは心の底から思っています。

 

早く想い人見つけて!おねがいだから!いっつも私とエリオのことに関して弄ってくることが正直めんどくさい!頼むから早く誰かとくっついて!母さん美人なんだから性格隠してシグナム姐さんたちが何もしなければ多分いい人見つかるから!』

 

「よーしユタ!覚悟せえよ!」

「誰がするかっ!いい加減見つけてよお願いだから!毎回エリオと何かするたびにいじられる身にもなってよ!」

 

「まあまあ!はやてちゃん落ち着いて!」

「じょ、冗談ですよ!多分…」

「ユタ、覚悟はできてるな…?」

 

「し、シグナム姉さん、そんなドスの効いた声で言わないで…。まだ死にたくないから…」

 

八神家は案の定ドタバタと色々起こっていた。

はやてはみんなに無理やり止められていて、ストッパーがいなければ魔力弾の撃ち合いが勃発していただろう。一方的な、だが。

 

『とまあ、多分そっちでは私が母さんに色々とやられてるでしょうから、ここからはご機嫌とりにいきましょうか。というより、今からは煽りもネタも何もなしで。ここからは本気で母さんへ、いつも想っていることを、伝えようと思います。

 

 

…母さん、八神はやてさん。私を、私とお姉ちゃんを、家族へ、八神家へ迎え入れてくれて、本当にありがとうございます。

私は、本当に幸せです。母さんと出会えて、みんなと家族になれて。

捨てられて、途方に暮れていた私達を、拾ってくれて、今までずっと護ってくれて、家族として幸せにしてくれて、私はとてもとても感謝しています。

いつも喧嘩とも言えないチマチマした煽り合いをしてますが、それでも私は、母さんを、ずっとずっと大切に想っています。

今までも、これからも。本当に…本当に、ありがとうございます。感謝しても、しきれません。

私は、母さんを、八神はやてを愛しています。

 

…ダメ、やっぱり恥ずかしい…』

『いえ!とても良かったですよ!」

「そうですよ!すごい気持ち伝わりました!』

『まさかユタさんがあんな風に恥ずかしがるとは…』

『とてもレアだねフーちゃん』

 

 

「だぁぁ!なんでこんなシーンまであるの!私切り取ったはずだよ!」

『私が組み込んだからに決まっているでしょう?』

「いらんわ!ただの公開処刑じゃん!」

『羞恥プレイの間違いでは?』

「どっちでもええわ!」

 

またプライドの策略により、ユタが恥ずかしがって顔を真っ赤にし湯気が出ている姿がバッチリ映されていた。

 

「うぅ…プライドにデータ転送させるんじゃなかった…」

『え?私に送った時点でそういうことに使えということだったのでは?』

「…もう突っ込まないよ。疲れた」

『おや、珍しい』

 

そこからは、普通の映像だった。

時間を見つけていろんな人に頼んだお祝いの言葉が続けて言われる。

 

 

『『『はやてさん、お誕生日おめでとうございますー!』』』

 

最後に、ヴィヴィリオコロナのトリオで締めくくり、計25分ほどのビデオメッセージは終わりを告げた。

 

「はーっ…ねえ、母さん。離して。私やることある」

「ええやん。もう少しこーさせときぃ」

 

ユタは、絶賛はやての抱き枕になっていた。

はやての機嫌がそこそこいいのは誰の目から見ても明らかだろう。

 

「うーん…それじゃあ、予定変えようか…。フーカ、リンネ。すぐ準備できる?」

 

「オス!いつでもいけますよ!」「私もいつでもいけます!」

 

「オッケー。んじゃあ…管理局の方々いるけど、そのみんなの度肝を抜くくらいの、派手な試合を頼むよ?」

 

「「オス!」」

 

そして、ユタを除くチームナカジマのみんなで簡易リングを設立していった。

 

「それじゃあ、勝負の内容はどうしようか?考えていたのはいつだったか2人がやったような形式。もしくは公式の試合形式。2人はどっちがお好み?」

 

「そうじゃな…前のは正直…もうやりたくないが」

「3ダウン、もしくはK.Oで終わり、でいいんじゃない?」

「そうじゃな。じゃあそれでお願いします」

 

「オッケー。んじゃ、勝った方はアインハルトとガチバトルね」

 

「へ?」

「これは…」「負けられなくなったね」

 

こうして、フーカとリンネはやる気がグンとあがり、アインハルトは急に振られた為何が何だかわかっていなかった。

 

「さ…みんなを魅せよう。2人とも。期待してるよぉ〜」

 

 

 

 

 

 

 

「さて皆さんお食事中、お話中ですが簡易設置されたリングへご注目ください」

 

私がマイクで言うとウィンターカップの時のような…簡単に言うとボクシング?だっけそんな感じのリングにみんなが注目した。

 

「今宵見て頂きますのは非常に稀な組み合わせ。DSAA・U15…違う。もうU15じゃないんだっけ。まあいいや、嘗てU15ワールドランキング1位だったリンネ・ベルリネッタによる試合。対するはリンネ・ベルリネッタの幼馴染、そして奇跡のルーキーとしてウィンターカップにて世界チャンピオンと対戦するまでに至るまでなんと4ヶ月。いやはや、全くもって羨ましい才能ですよ。そんな選手は…フーカ・レヴェントン!管理局の方々がやるような命を張った戦いではありませんが、互いに自身のプライドをかけて戦うストライク・アーツ。きっと皆様もご満足いただけると思います。そして何よりその後にももちろんあります。勝った方にはU15で全戦全勝、オールKO勝利というなんともまあものすごい化け物…失敬、格闘競技世界チャンピオンであるアインハルト・ストラトス選手と戦ってもらいます。

 

さあ、ドキドキハラハラの試合、心ゆくまでお楽しみください!

 

…それじゃあ、準備はいいかな、二人とも」

 

「「はい!」」

 

軽い演説の後フーカとリンネに確認をするとやる気は十分な声を出していた。

 

「じゃあ、1ラウンド…どうしようか、とりあえず5分。長すぎる気がするけど1ラウンド5分の計3ラウンド。ダウン…3だと少ないな、5回にしようか。計5回ダウンされた時点で負け。その他はウィンターカップの時と同じルールにしようか。それでいい?」

 

「はい」

「大丈夫です」

 

「セコンドについてはフーカはノーヴェさん、リンネはジルさんでいいかな?」

 

念のためジルさんたちにも確認をするとみんな頷いた。

 

「よし…それじゃあ始めよう。ルーさんの最新式のダメージフィードバックだから遠慮なく、ぶつかりあって。治療に関してはエキスパートな方が2人ほどいるから、そこはご心配なく。

 

それじゃ……レディー……」

 

私の声で、二人とも構える。

 

「ゴー!」

 

そして幼馴染の二人は思う存分ぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

「本当は…私が、みんなを驚かせつつ怖がらせつつ最終的には熱狂…なんてことをするつもりだったんだよなぁ…。演舞というかなんというか…その為に何度フーカ達と練習したことか…何度管理局の空のエースさんとかにアドバイスもらったことか……あの二人のせいで全部水の泡…」

 

「いや、あんたの影での怖がらせはシャレにならん」

「「「「確かに……」」」」

「流石にセーブするよ。ちょっと驚かそう、ってくらいだよ」

 

でも、何故か一番初めに考えてたやつは全員に却下されたんだよね。何でだろ。

 

そして今もなお、フーカとリンネは激しい拳と拳の打ち合いが行われている。

 

…やりたかったなぁ。

 

「にしても…フーカ、いつのまにか私のカウンターも身につけてない?え、なにあの子、怖っ…」

「フーカさん、いつも練習してましたからねー」

「カウンターなら私よりヴィヴィちゃんの方が汎用性高いでしょうに…」

「私とユタさんのカウンターは…なんというか、種類が違いますからね」

「まあ、そりゃそうたけど…ずーっと毎日練習してようやく身につけたものをこうもアッサリ習得されてると…なんというか、羨ま悔しい」

 

そんなことをヴィヴィちゃんと話していると、噂をすれば何とやら、フーカがリンネの拳を掌でうけ、その場で回転、そしてリンネの側頭部に裏拳を叩き込むという私の独特のカウンターを披露し再度会場が沸いた。

 

あと少なからず読んでいる管理局の方々がウチに欲しいなんて言葉が聞こえる。

 

やっぱりあの二人はすごいね。

 

「あーー!もう!わたしもやりたいーー!!」

『今後の選手生命に支障をきたしても良いのならどうぞ、バカマスター?』

「相変わらずのなんの混じりけもない罵倒…。私の愛機、ドS度上がってる気がする…」

『マスターにだけですのでご心配なく』

「余計ひどい気がする」

 

プライド、壊されないからって何でもしていいとか思ってない?思ってるよね?絶対思ってる。

今度スリープ状態にして中にあるデータ全部見てやろうか。

 

『おっと、それは怖いですね。近いうちにデーター他に移した上で破棄しないといけませんね』

「ねえ、なにが入ってるの?すごい怖いんだけど」

 

プライドの中身……考えたくない。黒歴史が大量に詰まってそう…。

 

『それはそうと、もう決着がつきそうですよ』

「はいはい。にしても…フルラウンドまでやっぱりもつれ込んだかー。あんだけ激しい打ち合いしてるのにどこにその体力があるの…?」

『神様からのギフト、ですかね』

「私も欲しかったなぁ」

 

そんなことを言ってたらリンネがフーカの顎を下から打ち抜いた。

とても綺麗なアッパーでフーカはたまらず倒れた。

 

そして、それがフーカの5ダウン目だった。

 

「そこまで!ダウン5回目により勝者はリンネ!」

 

審判をしてくれていたルーテシア---ルーさんが勝者の名を告げる。

フーカとリンネはかつての喧嘩の後のようではなく、嬉しがりもし悔しがってもいる。

 

だがその顔はとても楽しいという顔だった。

 

 

…本当にやりたかったなぁ…。

 

 

っと、感傷に浸るのは後だ。司会の続きをしないと

 

「いやー、すごいね、相変わらず。さすがは元とはいえランキング1位と奇跡のルーキー。互いに4ダウンまでもつれ込んでも物怖じしないどころか余計に前へ出るお二人はさすがと言わざるをえないよ。

 

…さて、ではメインといきましょう。言い方は悪いけど二人の試合は前座のようなもの。ここからは世界チャンピオンが挑戦者を迎え撃ちます。

 

チャンピオン、アインハルト・ストラトス!そして挑戦するは先程見事に相手を下したリンネ・ベルリネッタ!

 

さて、怪我はないとは思うけれど、リンネは大丈夫?」

 

「はい!むしろ絶好調です!」

 

「アインハルトは?」

 

「私も大丈夫です。むしろより燃えてます」

 

「あはは。どうやらチャンピオンは愛弟子に当てられたご様子。私もなんですがね。

 

では、これより始まりますのはリンネ・ベルリネッタによるチャンピオンへの挑戦!皆さまどうか応援してあげてください!あ、もちろんチャンピオンの応援でも構いませんからね。もしくは私でも、私の母さんの恋路でも…「クラウソラス」あだっ⁉︎」

 

と、突然魔力弾ぶつけられた…。しかも硬度が…石以上じゃん…。超痛い…。母さん!流石にやりすぎ!

 

『自業自得です』

「知ってた。くっそ…いつかやり返してやる…。と、ごめんね。それじゃあ二人とも。ルール確認だけどさっきのリンネ達の試合と同じ。1ラウンド5分の計3ラウンド。ダウン5回とったら負け。他はウィンターカップと同じルール。セコンドはリンネは引き続きジルさん。アインハルトも同じくノーヴェさん。オーケー?」

 

「「はい!」」

 

「それじゃあ行くよ。レディー……」

 

私の声で二人は構える。

 

「ゴー!」

 

そして挑戦者(リンネ)チャンピオン(アインハルト)はぶつかりあった。

 

 

……私もやりたかった!

 

 

 

 

 

 

結論から言うと、やっぱりアインハルトは強い。

少しの間リンネがペースを掴みかけた場面はあったがそれもすぐに終わり終始アインハルトのペースだった。

 

最後は綺麗にKO勝利。

さすがと言わざるをえない。

 

…わたし、よくアレに勝てたよ…。魔法戦技とはいえ…。格闘技?そんなもん勝率2割切ったくらいですよ。勝ってたの本当に最初だけ。

自分で言ってて悲しくなってくるな…。

 

「えー、それではみなさん!素晴らしい戦いを魅せてくれた3人へもう一度盛大な拍手をお願いします!」

 

 

パチパチパチパチパチ!

 

 

そして3人は会場が揺れるのでは、というくらいの拍手を浴びて笑ったり恥ずかしがったり堂々としていたりなど三者三様の反応をしていた。

 

「よし…それじゃあこのまま次のイベントへ行きましょうか。

さーて……ゲーム大会!やりますよー!初心者でも安心!十分あれば誰でもできるゲームです!もちろん豪華(?)景品付!あ、もちろん私も参加するので。自分で開催して自分で優勝かっさらう気満々なのでご注意を。それでは…」

 

そして私は控え室に置いてあった機動六課をモチーフにしたゲームを持ってきてテレビに接続し、それを大画面で見れるように映像を見せた時に使ったモニターにも繋いだ。

 

このゲームは最大3vs3までできる対人仕様のアクションかつ戦術ゲーム。

操作はボタンとかではなく感覚で操作できるもの。

VRゲームのコントロールないバージョンって言えばいいかな?

コントロールがない代わりに自分の意思でキャラクターを動かすことができる。

 

ただのゲームだと無双出来る自信しか無いし、これならゲーム初心者でもなんとかなるでしょ、と思いまして。

ていうか、なのはさん達が逆に無双しそうではあるけど。

 

「えー、それじゃあ一回実演してみましょうか。うーんと…それじゃあそこのオタク…じゃなくてエルスさん、お願いできますか?」

「うるさいですよっ!あなたに言われたくありません!…ええと、これをつければよろしいので?」

「はい。あとは目に映る映像のチュートリアルの通りに進めてください」

「は、はぁ…なんだか怖いですね」

「安全性は保証しますよ」

 

渋るエルスさんもといオタクさんに無理やりVRをつける。

それから十分くらいしてチュートリアル終了とテレビにつないでいた画面に表示された。

 

「準備できましたよ」

「オッケーです。それじゃあ私も…」

 

そして私もVRをつける。

ゲームを起動ししばらく経つと目の前に広がったのはインターミドルでよく見る試合会場。

 

向かい側にはセットアップ状態のエルスさんがいた。

 

「体の感覚はどうです?現実の体は軽い睡眠状態ですが、こちらは文字通りゲームの中に入り込んだ感じでしょ?違和感はほぼ無く動けると思います」

 

「すごいですね…これ。まさかこんなゲームがあるとは…」

 

「そうでしょうそうでしょう。それでエルスさんが自身でチュートリアルを進めたのでエルスさん固有の技も使えるはずですよ。というより、そのためにデバイスも通してもらいましたから。ゲームの方に異常がない限りは現実と同じように戦えるはずです。

さて、物は試しということで、やってみましょうか。

私の体はご心配なく。あくまでもこれはゲームの中。現実ではありません。

大怪我を負うこともありえないです。なので…遠慮なく、行きましょう。

あ、怪我を負うと痛いのは痛いので。その辺はいつものインターミドルとかと同じです」

 

「なるほど。わかりました。それでは…テスター、というんですかね。始めましょうか」

 

「ええ。何気にエルスさんとまともに()りあうの初めてなので楽しみにしてますよ。番長からもよくエルスさんのいやらしさ、すごさは聞いているので是非ともこの機会に体験させてもらいます」

 

そしてエルスさんは手錠のようなものを持ち、私は影を展開した。

 

いつかのインターミドルであり得たかもしれない組み合わせ。

思う存分楽しませてもらおう。

 

番長?ヴィクターさん?ジークさん?シラナイデス。

 

なのはさん?シグナム姉さん?そんな人いたかなぁ?

 

「それじゃあ、今回は1ラウンド3分で。物足りないかもですが思う存分やりましょう」

「ええ!望むところです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーー!やられました!」

「あっぶな…ギリギリ…。情報収集しといてよかった……」

 

今目の前には『YOU WIN!』という文字が浮かんでいる。

俗に言うS○Oみたいなフルダイブ型ゲームにて私とエルスさんがインターミドルの時のように戦った。

 

ぶっちゃけ、かなり危なかった。

なんでも捕捉して捕らえちゃうのは聞いてたけど私の影すらも動きを鈍らせてきた。

正直手数で勝てなければ勝ち筋がほとんど潰されていた。

 

「えー、こほん。皆様方聞こえていますでしょうか。このように自分だけの能力であろうと、デバイスを通してチュートリアルをしてもらうので全て使用可能です。まあゲームなのであまりにも大規模なものを使ってしまうと処理落ち、ここでいうとちゃんと魔法が反映されない可能性はありますが。特に管理局の空のエースさん、シグナム姉さん、ティアナさんあたりですね。というか、大人の方々は冗談抜きでこのゲームごとぶっ壊しかねないと思っているので。

ひとまず簡単にルールを説明しますね。

 

チーム構成は後ほどやるクジ引きにて行います。

ちょうど3で割り切れるだけの人数なはずなのであまりの人は出ないはずです。

その後はチームのリーダーを決めてもらい、そのリーダー同士で再度クジ引きをしてトーナメントでの場所を決定します。

魔力量に関してはU18までの方はそのまま。それ以上の方々は魔力量は半分にしてやらせてもらいます。

試合形式はみんなもやったことはあると思いますがルーさんの所でやる陸戦試合と同じです。

ライフは皆さん一律で5000。

以上。何か質問等あれば後ほど聞きますので」

 

そうして私とエルスさんは一旦ゲームの中からログアウトをした。

 

「はいっと、それじゃあクジ引き行きましょうか。まずはU18以下の子達からで」

 

そうしてU18の、まあ極端に言えばインターミドルに出てた子達。

それぞれでくじを引く。

そうしてできたのは2人チームが14。

ちなみに私の相方はまさかのヴィヴィちゃんでした。

 

「ほいっと、それじゃあ次はそれ以外の方々。では主役の母さんから引いてもらいましょか」

「ほいほい」

 

そうして母さんを始めなのはさんやフェイトさんたちも引く。

そして42人による14チームが完成した

 

ちなみに私のところに来たのはザフィことザフィーラだった。

 

「それじゃあ、各チームでリーダーを決めちゃってください!

 

…さーて、どうします?リーダーは」

 

3人で中心を向きザフィとヴィヴィちゃんと顔を見合わせる。

 

「そうですね…やっぱりユタさんかザフィーラさんがいいと思います」

「私もザフィがいいのは同意見。私の作戦は相手が単体かつ弱点がわかってる前提で組み立てるから。今回だとチーム戦で弱点なんていくらでもカバーしあえるし、集団戦は私よりザフィの方が得意だし」

「ふむ、だが俺は防御の方が得意だ。守り寄りの作戦になってしまうが、それでもいいならリーダーを引き受けよう」

 

こうしてリーダーはザフィに決まった。

さーて、久々の集団戦。

私の影がどこまで出来るか、試したいこともたくさんある。

 

 

 

 

「それじゃあ各チームリーダーも決まったようなのでリーダーはお集まりください」

 

集合をかけて集まったのは予想通りのメンツ。

母さん、なのはさん、ティアナさん、フェイトさん、ルーさん、ザフィ、ノーヴェさん、スバルさん、キャロ、シグナム姉さん、ヴィータさん、アインハルト、ジークさん、ヴィクターさん。

 

もうこの人たちだけでバトルロワイヤル開けばいいんじゃね、って一瞬思ってしまったのは内緒だ。

 

「では、14チームなので2チームシード権があります。1と14がシードにしましょうか。それじゃあ再度クジ引きですが、どうぞ」

 

こうして3回目のクジ引きしてください発言をし、対戦相手が決まった。

 

私のチームの初戦の相手はヴィータさんのチーム。

ヴィータさんにミウラ、あとは八神道場の子だ。

 

「さーて、それでは準備も整いましたので!ゲーム大会、始めましょー!」

 

 

 

こうしてゲーム大会という名の皆さんご察しの通り元機動六課組の無双ゲーが始まったのであった。

 

 

ちなみに母さんのセットアップだけちょっと昔の若い時に戻ってたりだとかなのはさんがちっちゃい頃になってたりだとか、色々仕組んでたんだけどボッコボコにされて元に戻しましたよ、はい。

なんでよチクセウ。

 

 

 

 

決勝戦は、なのは、リオ、ハリーさんチームと母さん、コロナちゃん、エルスさんチームで行われた。

私?なのはさんチームに負けてしまいましたよ。

 

「えー、個人的には母さんチームを応援したいところではありますが、なのはさんチームにいっつも弄ってくる母さんへ私の分も含めてやってやれ、という思いもあったりします。まあ何が言いたいかと言いますと、どちらのチームも頑張ってください。それじゃあ…ゲームスタート!」

 

司会が終わり、みんなの元へ行き、ご飯を食べる。流石にお腹減ったよ。

 

フーカ達と話してる間にもバトルはどんどん白熱していっている。

なのはさんチームはみんな火力ゴリ押しみたいなところがあるからガンガン前に出て行くのに対し母さんのチームは隠密に徹してヒットアンドアウェイの戦法だ。

チームリーダーの性格がよく表れてると思う。

 

「さて、私は最後の準備を……それじゃあコロナちゃんここから先はしばらくお願いね」

「わかりました!お任せください!」

 

コロナちゃんにここから先をしばらく任せて私は最後の催しであるアレを準備しに行った。

 

 

いろんな親御さんに聞いたんだ。

 

親が子にしてもらえて一番嬉しいことなんて、決まってるよね?

 

 

 

 

 

 

 

「いよっし!勝った〜!」

「あー!やられたわぁ…。やっぱり火力は物を言うなぁ…」

 

ゲーム大会という名のバトル大会はなのはチームが勝利で収めていた。

最終的になのはのブレイカー、ハリーのイレイザー、リオの双破龍神翔というド派手にド派手重ねたような技で一帯を処理落ちしかけるほど吹っ飛ばして終わりを告げた。

 

格闘技などに身を置いている人が多いからかこの決勝戦はとても熱狂していた。

 

「お疲れ様でした皆さん!」

 

ゲームの中にいた6人がログアウトをし体をバキボキとならしながら起きてきた。

 

「おーおー。そうや、これゲームやったわ…」

「作り込みすごいねぇ。これ」

「あれ?ユタさんは?」

 

「最後の準備があるそうですのでここからは私が引き継ぎです!まずはなのはさん、ハリーさん、リオ。ゲーム大会での優勝おめでとうございます!まずはこちらをどうぞ!」

 

そうしてコロナに誘導される形でみんなの前になのはチームの3人は立った。

そして周りに褒められて気恥ずかしそうにしながらもコロナが次に出した映像に皆が注目した。

 

 

『えー、これが流れているということはゲーム大会は終わったのですね。どなたかはわからないですが優勝者の方、おめでとうございます。私の予想としてはなのはさん率いるチーム、もしくは母さん、シグナム姉さんあたりを全員蹴散らして私のいるチームが優勝……と思いたいですが現実的では無いでしょうね。堅実的な所を言うとなのはさんかシグナム姉さんあたりでしょうか。まあ何はともあれ、優勝おめでとうございます。参加者の皆様方も今回のゲームはどうでしたでしょうか?普通の家庭用ゲームだと私が無双して終わらせれる自信しかなかったので今回のようなゲームを用いらせてもらいました。あ、ちなみに○○○じゃねえか!っていうツッコミは無しでお願いしますね。特にコロナちゃんエルスさん。さて、話が長くなるのもアレなので、優勝者の皆様方にはもちろん商品がございます。二位以下の方は申し訳ないですが予算の都合上ないです!あ、母さんの結婚相手を探してくれたら考え……いや冗談です。母さん?私がいないからってモニターぶっ壊さないでね?借り物だからね?見てないけどわかるからね?

 

…コホン。それでは私から代理を頼まれた方、優勝者の皆さんにアレを渡してください』

 

映像から出てきたのは予想通りユタで所々冗談を交えながら話していった。

そして映像の中のユタの言葉を合図にコロナは優勝者の3人へ綺麗に包装された箱を一つずつ渡す。

 

『渡されましたか?それではこの場で良いので開けてみてもらえると嬉しいです』

 

渡された3人は箱を丁寧に開けるとその中に入っていたのは白い色をしたリストバンドだった。

 

『今、「あれ?意外と普通?」って思いましたよね?でも、実はそれ結構有能品でしてね。一旦腕につけてもらえるとわかりますよ』

 

ユタの言葉に疑問を持ちながらも3人は真っ白なリストバンドを手首へつけた。

 

「…わぁ!」

「すげぇなこりゃ…」

「綺麗…」

 

付けた瞬間になのはのは鮮やかな青。ハリーは赤、リオは赤と金色が入り混じったようになっていた。

 

『ふふ、付けた瞬間にその人に合わせて色をつけるんですけど、鮮やかでしょ?私が付けたときにも赤と黒が混じったような感じですけど幻想的というか、すごいキラキラしたんですよ。そして何より、名前を刻めます。自分の名前でもよし、好きな人でもよし。自分の座右の銘でもよし。ちなみに私はそのまんま、ユタ、です。さて、と』「これにてゲーム大会は終了です。みなさん、お疲れ様でした、ではここからはしばらくの間自由にしてくださって構いません。食事を再開するのもよし。お話をするのもよし。管理局にスカウトするもよし。あと1時間くらいは自由にしてください」

 

途中で映像が止まり、今度は本物のユタが現れ続きをいう。

そこからはまたしばらく会場で談笑が続いた。

 

 

 

 

 

 

「ふーっ、ふーっ……大丈夫。大丈夫…。なんどもイメトレしたんだ….」

「ゆ、ユタさん…?大丈夫ですか?」

「あ、アインハルト、いやまぁ、大丈夫なんだけどね…。問題なのが…

 

()()()()()()()()()()()()()…」

 

「…へ?」

 

唸っているのを見て心配したのかアインハルトが来た。

それに対して不安をそのままぶつけたのだが帰ってきたのは呆けた返事だった。

 

 

「いやだってさ!この誕生日会の目的はいっつも弄ってくる母さんを嬉し泣きさせてやろう!っていう趣旨なのに!母さん全く泣いてくれないんだもん!私なりに精一杯考えたのに母さん終始ニコニコしてるだけだし!」

 

「え、えーと…そう、でしょうか?」

 

でもアインハルトはそんな事はないように見えるらしい。一体何が見えてるのか。あの母親の笑みを。明らかに子供を弄んでる顔だよ。

 

「絶対最後になかせてやる…!」

「(あれは頑張って顔を強張らせてるだけなような気がしますが…。とても喜んでるようにも見えますが…。言わないほうがよろしいのでしょうか)」

 

 

 

 

 

「前からなんですが…ユタさんが何かをしてる様子を見ると、まるで自分のように感じてしまうんです…」

「なんとなくわかる」

「二人とも、声も似てるもんね」

 

と、ユタが悔しがってる様子を見ていた仲良し3人組の感想である。

 

 

 

 

「うー…」

 

「はやてちゃん?」

「どうしたの?」

 

 

「辛いんや!」

 

 

「「へ?」」

 

はやてが頬を抑えながら唸っているところをなのはとフェイトが見て何事かと思い近づき尋ねると第一声が『辛い』で、二人とも困惑していた。

 

「辛いって何が?」

 

「もう、笑みを抑えきれないんや!もうユタがウチのために用意してくれてるってだけで嬉しすぎるのに!もうあの映像の時点で泣きそうなのに!もう顔の筋肉が痛すぎてやばいんや!」

 

「そ、そう…」

「別に素直になっちゃえばいいのに」

 

「あかん!ユタのやつに泣き顔なんか見せてもうたらウチの負けや!」

 

「「ええ…」」

 

はやての言葉を聞いた二人は軽く呆れていた。

だがそれも八神家の日常のようなものかと思いそっとしておくことにしたとか。

 

 

 

 

 

 

 

「はい!皆さん八神はやて誕生パーティーは楽しんでもらえてるでしょうか!」

 

時間が来て最後の催しをする前に確認をしてみる。

すると会場全体から色々な声が聞こえる。

楽しい、料理が美味しいなど好評なようで良かった。

 

「ありがとうございます!頑張って準備した甲斐がありました!それでは名残惜しいですが誕生パーティーも最後の催しとなりました!」

 

そういうとまたもや会場にいる人が叫ぶ。おおーという声が聞こえるが、残念ながら主役は母さんだ。

 

「えー、それでは……八神はやてさん………。だー!こういうのは似合わない!母さん!壇上上がってきて!」

 

「えー、せっかくの雰囲気を何ぶち壊しとるん?」

 

「うるさいなぁ!八神家に雰囲気も何もない!もうここからは私らしく!慣れない敬語で疲れたの!普通に行く!」

 

もうめんどくさくなって普段の、家でのやり取りをするように母さんを私の立っている壇上に呼ぶ。

 

母さんは渋々ながらも来てくれた。

 

 

「で、なんや?まさかここで…普段の恨みを晴らすとかないよな?」

 

「ないない。流石にシグナム姉さんもいるのにそんな馬鹿な真似はしないよ。それに……これでも結構真面目なんだから。とにかく、母さんを喜ばせることだけを考えて今日のプログラムを組んだの。一年以上前からお金貯めて、地球にも実費で行ったりして母さんの故郷を見てきて、何が合うのか、母さんの好きなものは何か、色々調べたよ。その証拠に、今日の料理、母さんの故郷の料理もあったでしょ?」

 

「確かになぁ。お好み焼きなんか久しぶりに見たで」

 

「関西出身って言うから調べたら『関西って名前の街じゃないんかい!関西範囲広っ!』てなってね、それでとりあえず関西って言われてるところの有名な料理を片っ端から作ったよ。久しぶりに新しい料理に挑戦してちょっと疲れたけど、まあ楽しかったしそこは結果オーライ」

 

「まーなぁ、ちゃんと言わんかったウチが悪いわ。でもまぁ、あのお好み焼きはギリギリ及第点やなー」

 

「うぐ…次は有無を言わさずに合格にさせてやる…。……話が逸れたけど、誕生日に本人を前にしてやることと言えば一つしかないよ」

 

そして私は隠し持っていた長方形の濃い紫を基調とし所々が光っているかのような箱を母さんの前に持ってくる。

 

「誕生日プレゼント。受け取って」

 

「おお、なのはちゃんたちの優勝商品より箱が豪華やなぁ」

 

「当たり前じゃん。あっちを豪華にしたらこのパーティーの主旨が変わってくるよ。…それで、今開けてみてほしいんだ」

 

私の言葉で母さんが箱をゆっくりと丁寧に開ける。

 

その中に入っていたのは1から手作りなロケットペンダントが姿を現した。

ちなみにこれが一番時間とお金がかかってたりする。

 

「……」

 

「地球にある黒い宝石を5個使って作ったの」

 

そう説明するも母さんはロケットをみて固まってる。

 

「一つ目がブラックダイヤモンド。石言葉…っていうその石が何を意味しているか、っていうのがあるんだけどブラックダイヤモンドの石言葉は『物事を超越する』『未来を切り拓く』『魅力を高める』。母さんは正直規格外な魔導師で、私がとても尊敬できて、大好きな人だから。きっと何かを超越していくっていうのは簡単にしてくれる。だからこそこの石を使ったの。それに、母さんの活躍を知った時に、母さんは『未来を作っていく人だ』って思ったのをよく覚えてる。そして魅力は…正直語りきれないほどある。母さんの器の大きさ、優しさ、その全てが、私とお姉ちゃんは大好きです。今でも魅力的だけどもっと魅力が増せばきっと婚約者もできるだろうと、いう意味も込めております」

 

「…うっさいわ」

 

そう皮肉を交えていうも、母さんは俯いたまま特に何もしてこない。

 

「二つ目はオキニス。石言葉は『手中にある成功』。きっとこれからも母さんは仕事が大変で、何かあるたびに頭を悩ませるかもしれない。でも、きっとそれでも母さんは成功をしていく。そう思ってこれを使ったの。

 

三つ目はオブシディアン。石言葉は『不思議』。母さんは地球にいた頃から不思議な人生を送ってきたから、これも入れたの。

 

四つ目はブラックオパール。石言葉は『威嚇』。ただこれは元々黒い宝石にはカリスマ性や自身、魅力なんかの言葉の意味合いが篭ってて、ブラックオパールはその意味合いが最も強いの。それらを全部含めて『威嚇』になってる。今でも最前線で司令をしている母さんには、ぴったりだと思うんだ」

 

説明を淡々としていくけど、母さんは俯いて私の贈ったものを胸に抱いて動かない。

 

「最後がヘタマイト。石言葉は『燃える思い』『戦いと勝利』『勇気』『勇敢』『自信』。沢山言葉があるけれど、これからの母さんの未来を想って、これを使ったの。これからの戦い。命をかけたものじゃないかもしれない。でも、母さんにはこれからもずっと戦い続けるのだと思う。だから…その未来がいい方向に行くように、この石を使った」

 

首にかける鎖の部分をヘタマイト。外装の中心をブラックオパール。ブラックオパールを飾るようにオブシディアン。蓋の裏側にオキニス。そして写真などが入る所の周りにブラックダイヤモンド。

 

「母さん、ここでそのロケット開いてみてもらっていいかな?」

 

「…ああ」

 

母さんの目が赤い。…成功したかもしれないけど、私がこの贈り物で一番頑張ったのは中だ。

 

そっちをみてから感動をしてもらいたい。

 

開いた時に最初にロケットの中にあったのは母さんとなのはさんとすずかさん。母さんたちが小さい頃の写真をもらって母さんたちの出会いらしくそれを使わせてもらった。すずかさんは母さんたちの親友だとか。

 

「ここからね、一回閉じてもう一回開いてみてほしい」

 

そして母さんは言われた通りに一度閉じ、また開く。

 

すると写真の部分が変わっており、今度は母さんとリインフォースが映っていた。

 

「今はこれだけしかみてないけど、母さんの思い出となる写真を、これでもかってくらい使った。母さんの小さい頃から今に至るまで。ありとあらゆるものを。

思い出は色褪せる、とは言うけれどそれでも、母さんの人生を、辿ってきた軌跡を形として、母さんに贈りたいと思った。

ロケットなら首からかけていつでも持ち運べるし、見たいときに見れるって思ってね。

 

これが私なりの、精一杯の贈り物です」

 

「…ずるいわぁ。ほんと、ずるいわぁ。誰に似たんや、お前…」

 

「100パーセント、母さん似です」

 

母さんは、笑っていたけど泣いていた。

 

これは成功ということでいいのだろうか。

確かに嬉し泣きをさせるとは言ったけど…なんだろうなぁ、すごい罪悪感が。

 

「どうかな、母さん。喜んでもらえたかな?」

 

「ああ、めっちゃ嬉しいわ…。もうずっと泣かんよーにってしてたのに、もう無理やわ…」

 

「それは何より。元々母さんを嬉し泣きさせようってことで計画をしてたからね」

 

「くっそう…次はウチが嬉し泣きさせたる…覚えときーや…」

 

「はいはい。期待せずに待っております」

 

こうして波乱だった母さん誕生日パーティーは終わりを告げた。

 

母さんのガチ泣き顔はとてもレアだったので写真を確保はちゃんとしてロケットの中のデータに追加しておきました。

 

 

 

 

 

【後日談】

 

〜管理局〜

 

「え?」

 

「だから、ごめんなさい」

 

あれから数日後、管理局のなのはさんの元に呼ばれてそこへ向かってると途中で話しかけられた。

 

上の階級の人で大人の人に子供扱いされるのはよくあるが話しかけたきたのはまさの、あの誕生日会のときに散々荒らしてくれた二人のうちの一人だった。

 

「また突然、どうされたんです?」

 

「…シグナム大尉に地獄を見せられたといえばわかるかしら」

 

「…ああ」

 

女の人の青くなった顔を見て軽く同情してしまった。

元々シグナム姉さんの私への特訓方法は私の戦いのスタイル、に合わせて『得意技を中心にバランスよく』ではなく『得意技のみをとことん伸ばす』というスタンスだったはずで。私がシグナム姉さんにされていたのは『シグナム姉さんの剣撃をとにかく避けまくる』ということを中心に、本当に第三者から見るとシバかれてるという表現が正しいだろう。

 

「アレを週7でしょ…あなた、よく生きていられたわね…」

「自分でも思うよ。でもそれ以上にあの頃は明確な目標があったから。あとは単純に母さんたちを喜ばせたかったから頑張ってただけ。それじゃそろそろこの辺で。なのはさんに呼ばれているので」

「ああ。…本当に、すまなかった」

「もういいですよ。そういえばもう一人の方は?」

「….いまだにお前を認めようとはしていない。だが、おそらく時間の問題だ。明日からシグナム大尉はもっとキツくするって言っていたし…」

「本格的に御愁傷様。ああ、先輩からの助言だけど、一本取ることよりは本当に避けることだけ専念した方がまだマシだよ。まあ、私の場合は、だけどね」

 

その後は時間も押してたから急いでなのはさんの元へ向かった。

 

シグナム姉さんのアレはやっぱり相当おかしいのだと、同じ境遇になった人ができてなぜか嬉しいと思ったのは内緒だ。




どうでしょうか

はやてさんのイメージカラー黒で黒い宝石ってなんだと思い調べたら割と沢山あってびっくりしました。
でも石言葉のどれもがはやてさんに当てはまるな、とも思いました。

さて、次は本編をちゃんと進めますよー


読んでくれてありがとうございます


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番外編(コラボ)

えー、今回の番外編は、tubaki7さんの書かれている作品『Vivid Strike Scarlet!』とのコラボ作です。

うまくかけてるか不安で面白いかどうかも不安ですが楽しんでもらえたらと思ってます。

ちなみに、こちらの世界でのアスカ(tubaki7さんの作品の主人公)はアインハルトと付き合ってると言う設定です。
IF設定なので、tubaki7さんの作品とは全く関係ありません。作者さんにも了承は得ています。

それではどうぞ


【ぱ、パラレルワールド?】

 

〜時期的に言うと、vivid strikeが終わった4〜5ヶ月くらい先〜

 

「んーーっ!」

 

うん、なかなかのいい朝。

気温もちょうど良く、眠気もない。

悪夢も見ていない。

 

そして、何よりフィギュアその他諸々(私の嫁達)に囲まれている。

なんと素晴らしい朝でしょう。

 

『最後のがなければ、ふっっつーの朝だったんですがね』

 

「何を言っているの。嫁達に囲まれて起きる朝以上に至福なんてないよ」

『ああ…どなたか…どなたかこのダメ人間を精神病院へ…』

 

残念ながら私を受け入れてくれる病院は無………じゃなくて!

 

「いや、私正常だからね⁉︎」

 

『え?』

「え?」

 

え?ちょっと待って。私って案外正常なつもりなんだけど。

 

『……嘘ですので、そんなふてくされそうな顔をしないでください』

 

「相変わらず冗談がわかりにくいんだよ!」

 

『それはそうと、今日は朝からナカジマジムに籠るんじゃありませんでしたか?今年のインターミドルに向けて』

 

「あ、そーいえばそうだった。昨日のうちに準備したけど忘れ物ってなかった?」

 

『はい、大丈夫でしたよ』

 

「どーも。んじゃ、さっさとご飯食べていきますか。そういえばフーカは?」

 

『もう既に行かれています。ご飯も作ってくださってますよ。まぁ、食パンを焼いてバターを塗っただけですが』

 

「それはありがたい」

 

フーカというのは、私の初の任務で助けた(?)女の子。

住む場所もないというのでどうせなら、と私の家に来てもらってる。

 

……時たま、私の家族のテンションにガチで引いたりしてるけど。

 

まあ、詳しいことは本編で語られることでしょう。

 

ちなみに初任務っていうのは母さんの下に就いてからの初任務です。そのまんまだね。

 

ちなみに、私は管理局には就いてはいるけどまだ嘱託魔導師みたいな扱いらしい。

 

まあ、その辺も後々本編で語られるでしょう。

 

『それにしてもマスター。一つだけよろしいですか?』

「ん?」

 

 

『いったい、いつになったら眼帯をするのをやめてくれるんでしょうか』

 

 

「一生来ないだろう(キリッ)」

『即答しないでくれませんか⁉︎あと、キリッじゃ無いんですよ!』

 

はいはい、うるさいなぁプライドは。

 

え?眼帯つけてたのかって?

もちろん、基本的につけてますよ。

 

学校にいる間とかどっか行ったりするときには基本つけてます。

というか、眼帯が私のトレードマークみたいなものだし。

 

『そんなだから…エリオさんとなんの進展もないんですよ…』

「いや、それ言われるときついんだけど…」

 

 

 

閑話休題

 

 

 

〜ナカジマジム〜

 

「どーも」

「あ、ユタさん!」

「おはようユミナ。今日はペース管理よろしく」

「はい〜。もちろんです!」

 

ナカジマジムに着いた私は、真っ先に着替え室へ行く。

予想通りなら……

 

「やっぱり、アインハルトたちもいた」

「ごきげんよう、ユタさん」

「「「おはようございますー!!」」」

「おはようございます。ユタさん、今日こそはワシが勝たせてもらいますよ!」

 

と、アインハルトとヴィヴィちゃん、リオちゃん、コロナちゃん、アインハルトがいた。

うん、相変わらずフーカの出会った直後の宣戦布告いいね。しかも声が私好みだからもっと聴いてられるよ。

もう、なんなら手を抜いて勝利の喜びの声を聞きた…………って、手を抜くなんてことはしないけど。

 

「ほいほい、期待せずに待っときますよ。覇王のお弟子さん。でも、今日はあまりできないかもね。フルでトレーニング入れてるし」

 

と、今日の予定をいうと同時にアインハルトを除くみんなに、えー、と言われた。

 

「よしっ、準備完…『マスター、はやてさんからです』……なに、相変わらず変なタイミングドンピシャでかけてくるんだね…」

 

なぜトレーニング服を着終わった瞬間に連絡がくるんですか。

盗聴器か隠しカメラでも仕掛けられてるんですか?

 

『あ、ユタか。今大丈夫よな。ちょいと頼まれてくれんか?』

 

「速攻でこっちの予定も何もかもを潰しにきてるのにはツッコまないでおく。えー、はい。なんでございましょうか。八神司令」

 

『え?気持ち悪っ。なんでそんな改まっとん?』

 

「ひどっ⁉︎」

 

『じょーだんや。えーとな、ナカジマジムのすぐそばに赤髪の不審者に()()()()()()が絡まれてるってユミナちゃんからタレコミがあったんやけど…」

 

「「「「「「はい?」」」」」」

 

『あ、やっぱりアインハルトそこにおるよな?おっかしーわ。全く同じ魔力反応が二つあるんやけど。まあ、というわけで行ってこい』

 

「というわけで、からが意味わからないんですが⁉︎はいはい…。承知しました」

 

と、通話を切る。

 

……意味不明なのですが。アインハルトが絡まれてる?

そのアインハルトはここにいるんですが。

 

現に、アインハルト自身が一番困惑してる。

 

「まあ、ジムのすぐそばらしいし行ってくる」

 

と、みんなに見送られて私はジムの出入り口に向かった。

 

 

 

 

「だーかーらー!俺はここの会員だって!」

「はい、わかりましたから。落ち着いてください。これはどこで偽造を?」

「だから…」

 

外に出ると、そこには言われた通り赤い髪の男の人……多分2つか3つくらい年上?の人とそのそばにはアインハルトがいた。

いま、現在進行形でユミナさんが対応してる。

 

「ユミナー。お待たせ」

「あ、ユタさん!聞いてくださいよ。この人、アインハルトさんにセクハラをしようとしたにもかかわらず、ここの選手だって言い張るんですよ!しかも、ジークさんを下して優勝したなんて大嘘までついて!」「いや、だから嘘じゃないって……」

 

「あー、はい。なんとなく、いや、全く状況はわからないですがあとはお任せしてください」

 

と、ユミナに言うとはーいと言いながら事務仕事に戻って行った。

 

となると、必然的に、目の前の不審者(?)と私となぜかここにもいるアインハルトと向かい合うことになりまして

 

「えーと、とりあえず、話しましょうか。ここだとアレですし。なんならすぐそばの公園で」

「あ、ああ…」「はい。わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、とりあえず最初から説明を。あ、できればあなたは名前をお願いします」

 

公園のベンチに座った2人は、顔を見合わせ、そして赤髪の人が口を開く。

 

「俺はアスカ。アスカ・スカーレット。今は管理局の嘱託魔導師兼選手をやってる」

 

「なるほ……ん?管理局に勤めてるの?」

 

「あ、ああ。嘱託だけどな」

 

「アスカ・スカーレットって名前の人いたっけ?」

『嘱託の方までは把握してないですが…八神さんに確認とってみます』

「よろしく。で、まあそれは後で確認するとして。なぜナカジマジムの会員と嘘を?」

 

「いや、だから嘘じゃないって!ほら、会員証も!あと、俺ナカジマジムの中で一番強いからね⁉︎というか、みんな…あんたは記憶にないけどみんなに応援に来てもらってたし!」

 

「そーなの?アインハルト」

 

「えっ?あ、はい。本当です。実際、世界大会でジークさんを下して優勝なさいました」

 

「(ねえ、プライド。なんかアインハルトの喋り方が硬いのは気のせい?)」

『(気のせいではないかと)」

 

だよねぇ。なんか、初めて会った人みたいな…。

 

「なんなら、八神さんに…俺を()()()()()()()()()に確認してみてくれ!」

 

「は?」

 

この人、今自分の保身のために私の家族利用しようとしてる?それなら、私容赦しないよ?

 

「え?ちょ、なんか黒いものが…」

「えっ、えっ?」

 

『マスター、少し落ち着いてください』

「……うん、ごめん。プライド」

 

『えー、お二方……じゃなくてアインハルトさん。まずですね、ひとつお聞きしたいことが』

 

「は、はい。なんでしょうか」

 

『ちょっと、私のマスターの名前を答えてみてください』

 

「え?え、えーと…」

 

はい?なんでそんな質問を。

 

『?答えれないのですか?』

 

「す、すいません…」

 

『いいえ、大丈夫ですよ…。ああ、ちょうど来ましたね』

 

と、プライドが言うと同時に来たのは……

 

()()()()()()だった。

 

 

・・・・・

 

 

「「「「ええええっ⁉︎⁉︎」」」」

 

 

 

 

 

 

 

うん、どんな奇妙な光景でしょうか。

 

今、私とアスカ・スカーレットって人とアインハルト×2の状態で一つのテーブルを囲ってます。

本当にどう言う状況?

 

「え、えーと。つまりは、俺たちの世界とこっちの世界は違う……ってことでいいんだよな?」

「というか、それくらいでしか説明できないです……」

 

にしてもさ、アインハルトがどっちのアインハルトか見分けがつかない。

 

 

さて、軽く状況説明。

 

まず、アスカ・スカーレットって人は管理局の嘱託魔導師の名簿にはなかった。

けど、確かにその証を持ってる。

母さんに確かめてもらってけど本物だった。

 

なのに、名前がない。

 

そして、寝て起きたらなぜかアインハルトと公園のベンチにいたと。

それで混乱して、とりあえずジムに行ってみようという話になったと。

 

で、誰も自分たちのことを知らなくて相当焦っていたらしい。

 

……話聞いててなんとなくは予想しててけど、いわゆる、パラレルワールド的な?

 

現に、アインハルト×2の話がだいぶ食い違ってる。

 

まあ、それはさておいて

 

「で、2人ともどうするんですか?このままでいるわけじゃないでしょう?」

 

「あ、ああ。とりあえず、泊まれるところを探さないと…」「ですね。さすがに野宿を続けるのは嫌です」

 

「えー、私の世界の方のアインハルト。もうジムに戻ってていいよ。あとは私の仕事」

「わ、わかりました」

 

うん、これでよし。

なにがよしかって?アインハルトが2人もいて間際らしい。

それがなくなったから。

 

「…-ああ、はい。わかった。えー、アスカ・スカーレットさん。とりあえず、八神司令が会いたいそうなので管理局まで行ってもらっていいですか?その後のことは八神司令がやってくれるそうです」

 

「ええ…」

 

え?なんで露骨に嫌そうな顔を。

 

「なぜそんな嫌そうな顔を」

 

「だって、あの人なにしでかすかわかったもんじゃない…」

 

「あー」

 

うん、母さん。ごめん。反論できないや。

 

「ま、これ持ってけば大丈夫だと思いますので。それでは〜」

 

と、念のため私からのメモ用紙を渡す。

 

「あ、そういえば君の名前ってなんていうんだ?さすがに、名前もわからないと不便で…」

 

「あー、言ってませんでしたっけ?私の名前はユタ。八神ユタです。八神司令の養子縁組です」

 

それだけ言ってさらに驚かせた後、私は写真だけ撮ってジムに戻った。

 

 

うん、正直に言おう。頭がパンクしそうだからもう関わりたくないというのが本音です。はい。

 

 

なんか、後ろでアインハルトとアスカ・スカーレットさんが恋人みたいな雰囲気になってるのは気のせいでしょう。きっと気のせいでしょう。

 

 

 

 

 

 

〜ナカジマジム〜

 

『はい、30分終了です』「それじゃ、1時間休憩してから次行こうか」

「はぁっはぁっ、りょ、りょーかいです…」

 

アスカさん達を管理局まで行くよう言ってから3時間。もう時刻は昼の十二時を回ろうとしていた。

 

三時間、本当にほぼノンストップで避ける特訓してました。

しかも、私専用ルームにあるガチで難しいやつだから余計疲れる。

 

 

「おーい、みんな。集まってくれ」

 

と、ノーヴェさんに声をかけられ、私含めチームナカジマのみんなが集まる。

 

「全員揃ってるな。えー、しばらくの間、新しい人が来ることになった。ほら、入ってこいよ」

 

と、入ってきたのは……

 

 

アスカ・スカーレットだった。

 

「えー、しばらくの間お世話になります。アスカ・スカーレットです」「同じく、アインハルト・ストラトスです」

 

 

そこからは、まあ当たり前のように質問責めにあっていた。主にアインハルトが。

それをなにも見てないように振る舞った私は悪くない。

なぜか少し大人びた感じのアインハルトとかが特に恥じらいの顔をしてたのに写真だけ撮ってご飯を食べに言った私は悪くない。

 

 

 

 

 

 

「はい。終了。あとは自由練習ねー」

「うん、お疲れ様…。ああ、疲れた…」

『とりあえず、水分補給をしてください。治癒魔法をかけるので十分ほど大人しくしてください」

「はいよー」

 

ユミナさんの組んでくれたメニューが終わり、私は椅子に腰掛けた。

ユミナさんは、他の子達の様子を見に行っていた。

 

「にしても…あの人、すごいね」

『ですねぇ。まあ、別世界とはいえ世界大会で優勝したほどですし』

「え、なに、プライド。もしかしてパラレルワールド的なもの信じるの?」

『いえ、全く。ですが目の前にそういう事例が出てきたので信じざるを得ないんです』

 

あの人、なにがすごいかってヴィヴィちゃんやミウラ、アインハルトとも普通に渡り合ってる。というか、圧勝してる。

 

「ありがとうございました!」

「ぜぇっぜぇっ、う、うん…」

「次は私です!」「その次は私!」

「お、おう…」

 

うん、あの人、すごいけどバカ。

すごいって褒められていい気になってみんなとの勝負を全部受け入れてるんだから。

 

いま、コロナちゃん、ヴィヴィちゃん、ミウラの順で4ラウンドのスパーリングをやってた。

 

まあ、この調子だと全員とやるまで終わらなさそう。

 

「さて、もう大丈夫。…そうだね。おーい!コロナちゃん!ちょっと魔法戦技しない?」

「は、はーい!ちょっとだけ待っててください!」

 

と、コロナちゃんは今行われているアスカvsリオにもう、絶賛興味津々ですよ。

 

「んじゃ、先行っておこうか」

『そうですね。その間に管理局の方から色々と報告がきてるのでその整理もしてもらいましょうか』

「りょーかい」

 

 

 

 

 

 

 

「ユタさん!すみません。遅くなってしまって」

「いやいや、むしろナイスタイミング。ちょうど情報整理も終わったし。それよりあの人たちの戦いどうだった?」

「はい、それはもう!すごいです!すごいとしか言えないです!あと…」

「ん?」

 

「なんか、ユタさんとも戦ってみたいって……今もすぐそこにきてるんです」

 

「へー、そうなん…って、へ?」

 

「どーも」「失礼します」

 

と、コロナちゃんの後ろを見ると、アスカ・スカーレットとアインハルトがいた。

 

「……あの、もしかして」

「ああ、あんたとやりたくてね。()()()()ナカジマジムだとあんたが一番強いんだろ?」

 

「本当は?」

 

「ハルちゃんにあんたと話してた頃、デレデレしてたでしょってめちゃくちゃ睨まれてしまいまして。それで誤解とくついでに…ってなに言わすんだ!」

 

「……ああ、なるほど。そう言うこ…」

 

 

「たっく、なんで()にデレデレしなきゃいけないんだよ」

 

 

「あっ!」「ちょっ、先輩!それは…」

「ん?2人ともなにを……あせ……って……」

 

 

「ああ、はい。そうですね。じゃあ、望み通り、全力であなたをボッコボコのフルボッコにしてあげますよ(ニコォ)」

『(あ、コレは手遅れなやつですね)』

 

 

「えっ、ちょっ、なにを怒って……ああ、もしかして本当は女でしたとかそう言うオチとか?」

 

「「……」」

「え、ちょっと待って。ねぇ、なんで2人とも黙るの。しかもユタさんはなんか真っ黒なオーラ的な、絶対殺す的なオーラがめちゃくちゃ出てるんだけど」

 

『アスカさん、御愁傷様です』「先輩、お元気で…」「し、失礼しまーす…」

 

と、コロナちゃんとアインハルトは離れていった。

いいね、私が今からなにをしようとしてるか分かってらっしゃる。

あ、今いたアインハルトはアスカさんが連れてた方だから分からないか。(ちなみに、容姿も全く同じな為区別がつくように、軽い変身魔法をかけてもらってるらしい。具体的には、髪の色と胸の大きさが少し違う)

 

「さぁーー、アスカさん。要望通りエンリョナク、やってあげますよ」

 

この時のアスカは自分の死を覚悟したとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

「ゆ、ユタさーん?」「せ、先輩?」

 

試合が終わった頃に、コロナとアインハルトが帰ってきた。が、中の光景に2人は目を疑った。

なんせ…

 

「だー!くそ!いい具合にもってかれた!」

「持てる全てをぶち込んでこのザマって……」

 

自分たちの強さの象徴が、共に悔しがりその場に倒れているからだ。

 

結果としてはユタの判定勝ちらしいが双方納得がいってないご様子。

 

「……で、アスカさん。一応聞いておきますが、私を男と判断した理由は?」

 

「え?えーと、顔が中性的で、胸がな……あぶなっ!」

 

「はい?なんて言いました?」

 

「イ、イエナンデモアリマセン(か、影が…頰を…)」

 

「で、他には何かあります?」

 

「あ、あとは八神司令に『ユタは男やでー』って言われたのもあって…」

 

……うん。なんとなく予想はついてたけど、予想はついてたけどまさか当たってるとは思ってもなかったよ。

ちょっと叫ぶのでみなさん耳をお塞ぎください。え?叫ぶなって?いやです。叫びます

 

 

 

あんの狸がーーーーー!!!!!!!

 

 

 

 

 

はい、ごめんなさい。本題に戻ります。はい。

時はそのまま帰宅してるところへ行きます

 

 

 

「………って、なんで2人ともついてきてるんです…?」

 

「え?八神司令に、ユタさんに泊めて頂けると聞いているのですが…」「俺もだ」

 

「……プライド、何か聞いてる?」

『いえ、そのようなことは……』

「だよね。困るんだけど…。今日、エリオが泊まる予定だし…」

『……あの、マスター。はやてさんからメールです』

 

「ん?まさか、今更この2人を泊めるとかそう言うことを伝えにきたとか?」

 

『はい、そのまさかです』

 

 

 

「ですよねー……。はぁ、もう一度だけ言う。

 

あんの狸がーーーーー!!!!!!!

 

いや、あの、エリオが泊まるってことあの人知ってるはずなんですが。なんでそれ踏まえて私のところに⁉︎

 

『えー、皆さんはなぜエリオさんが泊まられるのか分からないと思いますので私から説明を。実は、もうすぐ、エリオさんと付き合って2年目になるんですが、ちょうど2年目の日だと予定が合わないので少し前倒しに軽いお祝い事をやろうと言うことになってまして』

 

「いや、ちょっと待ってプライド。誰に説明してんの?て言うかさ、プライドがそんなみんなに聞こえるように言ったせいで周りからめっちゃニヤケ顔で見られてるんだけど⁉︎」

 

「へぇ、ユタも付き合ってたんだな」

 

「なに、もしかして想像できないとか言うつもりですか?アスカさん、もしそのようなことを言うなら問答無用で私の家は出禁にしますから」

「厳しっ⁉︎いや、それは言うつもりないけど…その眼帯してて厨二っぽいからエルスさん方面の人かなと」

 

「よし、もういっぺんやりあいます?」

 

「やだよ!もうあんたの『影』はこりごりだ!」

 

はい、そんな茶番をしてる間に私の家到着。家に明かりがついてるあたり、もうエリオはきてるらしい。

 

「えー、一つだけ言っておきます。勝手なことをしようものなら……セクハラその他諸々で管理局に突き出しますので」

「やる気ねーよ!やるとしてもアイちゃんにしかやらねえわ!」

 

「よし、プライド。管理局に連絡しといて」

『承知しました』

 

「え、いや、ちょっと待って。ねえ、ほんとに電話かけてませんか?ねえ、ちょっとー⁉︎」

 

「ゆ、ユタさん…。その、私と……先輩は、つ、つ、つきあって……ます

 

「へー、そうなん……ってえぇ⁉︎」

 

「で、ですので!先輩になにをされても大丈夫です!受け入れる覚悟はできています!例えそれが人に言えないような趣味であっても!」

 

えー、嘘。あの超堅物とも言えるアインハルトが付き合ってるだと…。

世の中はなんて残酷だ。全世界の非リアの皆(作者含む)、このアスカ・スカーレットをリンチにしましょう。

ん?アスカさんが空気?そんなことは知らない。

なんか、誤解を招くからやめて!とか色々叫んでるけどなにも聞こえないし知らない。

 

『はっきり言います。意味不明なことを考えるのはやめてください。なにが残酷なんですか』

 

「おかしいな、相変わらず考えただけなのに全て読み取られてる」

 

それはそうと…さっさと入ろう。夜の8時に汗だくで外にいると寒い。




はい、どうでしょう?もちろん、もう1〜2話くらい続きます(多分)

本編を3〜4話ほど書き進めながらこちらも書いていくと言う形にしていくつもりです。

tubaki7さんの作品も個人的にはすごい面白いのでそちらも是非。

読んでくださりありがとうございます


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番外編 コラボ②

先にお詫びを
感想の返信でコラボ番外は3月中に投稿、と言っていたのですが、引っ越し等で忙しく、気づいたら過ぎてしまいました。すいません。

はい、ということでコラボ編2話目です。
ここからは思い切りギャグ路線で突っ走る!(つもり)


それではどうぞ


「ねえ、エリオは私だけをみてればいいの。キャロとも、フェイトさんとも、なのはさんとも、チームナカジマのみんなとも、他の女の人と喋っちゃダメ、みてもダメ」

 

「ゆ、ユタ?ど、どうしたの急に…」

 

私は、エリオを床に押し倒して、影を実体化させてエリオの上にまたがる。

 

「エリオ、いまは私がエリオにいってるの。エリオが私に何か言う時じゃないの。わかる?わかるよね?」

 

「は、はい…」

 

「だから、私しか見ちゃダメだよ。もし見たら……私、何するかわからないから」

 

「ぐ、具体的には何をする…つもり?」

 

「えー?うん、そうだなぁ……本来の能力の使い方とは違うけど、私の『影』でエリオを取り込んで一つになろうかなぁ。文字通り、私と一つに、ね。別に首に縄をかけて鎖で繋いでてもいいんだけど……それだと周りのみんなから目立っちゃうし。ああ、別にいいのかな。エリオは私のものだって示せるし。ああ!いいね、それ。それで行こうかな……」

 

「え…そ、それは…」

 

「なに?」

 

「や、やめてほしいかなー、なんて」

 

「ダァーメェ。…そうだねぇ。次は……」

 

 

 

 

「ハイ、カットぉ!」

 

 

 

 

「「…………」」

 

「あー、うん。なんかすまん。俺が言ったとはいえ、色々な意味で取り返しつかなくなりそうだったもので。なんか、すまん」

 

『ご心配無く、マスター。キッチリと録音してあるので』

 

「……影の箱(ブラックボックス)

「ちょっ、ユタ⁉︎」

「先輩、後で少しお話ししましょうか」

「え゛っ……ハルちゃん?なんでそんなに冷たいトーンで話していらっしゃる…?」

「ユタ、気にしないで。ちょっと怖かったけど罰ゲームなのはわかってるから」

 

いまは顔真っ赤にしながら自ら作った影の箱の中に閉じこもっております。

 

本当に……なんでこうなった。

 

 

 

 

 

〜少し遡り、帰路の途中〜

 

 

「ねえ、信じられる?私がツッコミに回ってるんだよ?」

『珍しいこともあるもんやなー』

『なかなかアスカさんもはちゃめちゃな方でした。珍しくマスターとの連携が決まりましたので』

「まあ、それ抜きにして、すごいとは思ったけどね。チームナカジマのフルメンバーと連戦して勝つんだから。スタミナ管理のこととかあの子らの性格とか知ってたのに持ち上げられていい気になってほぼ休憩なしでやってたのはアホだけど」

『アホやな』『アホですね』

 

「お前ら聞こえてるからな⁉︎」

「先輩はバカじゃありません!天然で乗せやすいだけです!」

「ハルちゃん?フォローになってない気が……」

 

「まあ、アスカさんがアホなのは置いておきまして」

「とうとうど直球に言ってきた⁉︎」

「家に着きました」

 

遠くから見えていたが、明かりがついていると言うことはエリオはもうきてるんだろう。

 

 

あぁ……なんだかなぁ……。こう、悲しいというかね……なんというか、うん、2人で過ごしたかったけども……。

 

 

「そういえば……ユタさんはなぜ眼帯をつけておられるのですか?」「あ、俺も気になってた。試合の時外してたから見えないわけじゃないんだろ?」

 

「……カッコいいから」

 

「はい?」「は?」

 

「そ、そんな事はどうでもいいのでさっさと入ってください。締め出しますよ?」

 

 

 

 

 

「ユタ。おかえり〜。あ、そっちの人たちが……」

「ただいま。うん、メールで言ったアスカ・スカーレットさんと別のアインハルト。はしょって言うとパラレルワールドを実体験したと言う珍妙な人達」

「ユタ、どんどん俺たちの扱い雑になってねえか?」

「気のせいです」

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

「うーん、食料多めに買ってある……。でも、朝にして置いた下準備は2人用だからこれと同じのをもう1セット作っておいて今夜は……やっぱり鍋かな?」

『それが無難でしょうね』

「じゃあそうしようか。さて、料理しますか。おすそ分けでもらったトラフグの鍋にでもしようか。猛毒の部分は取り除いてもらってるからあとは私でもできるし」

 

 

 

 

「はー、あの『影』便利過ぎるだろ。料理でも使えるとか」

「すごいです……」

 

今は手でフグをさばきつつ影でその他のことをしてます。なんか話されてるけど微妙に聞こえない。

 

「そうですよね。でも、中にはあの『影』が触ったかもしれないから食べたくない、って言いながらユタの作ったものを絶対に口にしようとしない人とかいたりするんですよ。ただの魔力なのに」

 

「あー、それで料理に入る前にあんなにしつこく『影で食材触ってしまっても大丈夫⁉︎』って聞いてきたのか」

 

「管理局でも、特に年上かつ同じ階級の人から有る事無い事言われることも多いみたいだし。管理局に入ってからより一層他人を気にするようになっちゃって」

 

「あー、はやてさんも言ってたな。地味な嫌がらせが時々あるって」

 

「ほいっと!あとは時間を適度に置くだけ!で、なんか私について話してませんでした?」

 

なんか話してたのは聞こえてたけどあまり聞き取れなかったんだよね。

 

「いや、何でもないよ。気にしないで」

 

「?まあ、エリオが言うならそうなんだろうけど…。……うん、これくらいかな?」

 

はい、タイミングぴったり。

いい具合に出汁も染み込んでるね。

 

「おお、うまそー」「いい匂いです…」

「すごい美味しいですよ。それは僕が保証します」

「なんか恥ずかしいな…でもそう言ってもらえると嬉しいよ。そんじゃあ、みなさんどうぞ」

「「「いただきます!!」」」

 

私の声を合図にみんなが受け取り皿に具と汁を入れて行く。

 

「うまっ⁉︎」「おいひいです…!」

「うん、やっぱり美味しいね」

 

「フグ使った料理は一番得意だからねー」

 

「ユ、ユタさん!後で私にレシピを教えていただけないでしょうか⁉︎」

 

「ダメ、企業秘密」

 

「そ、そうですか…先輩に作ってあげたかったんですが…」

 

知りたかったら本場の料理店で3年くらい修行すればわかるさ。

私は1年弱で授業終わったけど。

 

 

 

 

 

 

「えんてい?ああ、ライコウ・スイクンに並ぶもう1匹の幻の炎タイプのポケモンの…。あ、アインハルトダウト」

 

「それはエンティだ!」「な、なぜわかったのですか…、ユタさん…」

 

「ああ、あれかな?幼稚園とかの庭の…。アスカさんダウト」

 

「それは園庭だ!わかってて言ってるだろ、エリオは!あと何でわかるんだよ!」

 

ご飯を食べ終わった後、全員で何が見れるかを考えて、いつの間にか置いてあったよくわからないスゴロク?人生ゲーム?みたいなのをすることになった。

トランプはその開始の時の優位を決めるための前哨戦。

 

ちなみに、私とエリオが圧勝。

 

イカサマとか疑われたが、素人がゲーマーに勝とうなんて五年早い!いや知らないけどね。

 

4回いろんな種類のゲームをやって、どれも私とエリオが1.2位を独占している。

 

その最中に、アスカさんがエンテイ、と言うものを教えてくれた。

 

「で、エンテイってなんですか?てか、結局エリオと2勝ずつか…。最近全然勝てないや」

 

「炎帝っていうのは俺の先祖のことだ」

 

「ふーん、ヴィヴィちゃんやアインハルトと関係あるってことですか」

 

結局アスカさんとアインハルトによる最下位争いが始まった。

 

「ユタとも関係あるよね?」

 

「え?まあそうだけど……アスカさん気づいてないしいう必要ないかなって思ってたんだけど」

 

「どういうことだ?」

 

「んー、番外編なのにシリアスを持ち込みたくないんだけど、まあいいか」

『急にメタいことを言わないでもらえますか?』

「まあまあ、細かいことは気にしない。番外編なんだから。はい、こういうことです。アスカさん」

 

私は眼帯を取って聖王特有の虹彩異色を見せた。

 

「ああ……なるほどな。いや、でも試合中には気づかないわ。だって始まった瞬間にユタの顔の右半分が影で覆われてたし」

 

「むしろそれでわかったら、どれだけ目がいいんだってなりますけどね。私は、ヴィヴィちゃんよりも前に造られた存在です。本来はヴィヴィちゃんの代わりに私が使われる予定だったんですけど、運がいいのか悪いのか私は『出来損ない』だったんで、捨てられました。お姉ちゃんと一緒に。で、そのあと機動六課だった母さんたちに拾われてそのあとは家族になった、って感じです」

 

ほら、アスカさんとアインハルトが神妙な面持ちになった。

 

「まあ、そんな深刻そうな顔しないでください。もう過ぎたことですし」

 

「お姉様、というのは?」

 

「正確にいうと私のお世話係だった人です。ヴィヴィちゃんが造られ(うまれ)て、捨てられる前も、後も、その後の母さんたちと過ごしてた時も、ずっと私のことを愛してくれた人。なんなら写真見る?」

 

お、どうやら最下位はアインハルトらしい。

私はお姉ちゃんと一緒に母さんたちも映ってる集合写真を2人に見せた。

 

「はい、この青い髪と目の人です」

 

「結構可愛いな…って痛い⁉︎ハルちゃん⁉︎なんでつねってるの⁉︎」

「ユタさん、この方はいま何をされているんですか?」

 

「え?え、えーと……その」

『今は仕事の関係上体を壊してしまって少し遠くの病院で養生しておられます。ですので、美人に会いたいという欲望を持ったアスカさんのご要望にはお答えできませんね。よかったですねアインハルトさん』

 

「あだぁ⁉︎ぷ、プライドさん⁉︎なんで俺に火の粉を飛ばしてんのぉぉ⁉︎」

 

あらぁ、アインハルトの目が冷たくなって無音で断空拳打った。

 

「ユタ、大丈夫?」

「う、うん……大丈夫。ありがとう。プライドもありがと」

『いえ、この時期に心を抉られて試合に集中できなとなっても困りますし。一応曲がりなりにもマスターですしね。しかし……すこし心が痛いですね。マリナさんについて嘘をついてしまうのは』

「え、プライドって心あったの…?」

『よし、宣戦布告しましたね?容赦しませんよ?』

「ほらほら、プライドもユタもコントをしない」

 

あ、なんかアスカさんが関節技をきめられてる。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

「さて、いろんな意味での被害が主にアスカさんに出たところで、母さんが用意したすごろく?人生ゲーム?をしましようか。まあ、母さんが用意した時点で絶対にまともなものじゃないですけど」

「確かに」

「今度は何をするんだろうね…」

「??」

 

アインハルトだけわかってないけど、思う存分私たちが引っ掻き回されるだろうね。

 

「えーと、『4人の場合かつ男女が2人ずつなら必ず男女ペアでのチーム戦』?なんかあからさま過ぎない……?」

「それなら、まあ僕とユタ。アスカさんとアインハルトだね」

「だな。よし!ハルちゃんにいいとこを見せてやるぜ!」

「「それがアスカ・スカーレットの最後の言葉だった」」

 

「2人して俺を殺すんじゃねえ!」

 

 

 

〜ゲーム開始20分後〜

 

 

 

…うん、予想はしてた、ロクなものじゃないって。

ちゃんとしたものだったらこんなことにはなっていないはずだ。

 

「あ、アスカさん、今度はアインハルトをお姫様抱っこをしてくださいにゃん」

「や、やめてくださイィ⁉︎恥ずかし過ぎます!…にゃん」

「諦めてくれ、ハルちゃん。出ないともっとひどいことになる」

 

 

「今度はエリオはユタに膝枕だな」

「ゔぇえ⁉︎」

「ほら、ユタ。大人しく」

「うう……わかった、にゃん……」

 

 

「アインハルト、ペアの好きなところを5個言う、だって」

「だ、ダメです、これ以上すると…羞恥心で……」

「ほら、諦めて言うにゃん。ていうか語尾ににゃんをつけ忘れてるにゃんよ」

「ほらほら、ハルちゃん。遠慮なく言ってくれ!」

「うぅ……。ウニャーーーッ!」

 

 

〜謎の命令し合うゲーム。最終ターン〜

 

 

 

「お願いだから最後くらい楽なのを……」

 

アスカさんがそんなことを言っているが、もうだいたいわかる。カードを引いてそれを命令するんだけど、ロクなものがない。

ちなみに次引くのは私。

 

「……アインハルト」

「こんどはなんですかにゃん⁉︎」

「…アスカさんに思いっきり、愛情たっぷりでハグしろ、だってにゃん」

「ゔにゃあ⁉︎」

 

「次は僕だね。えーと、アスカさん」

「エリオ、俺は信じてるぞ」

「そんなことを言われても……。……アインハルトの命令が終わった後、なんでもいいのでアインハルトに誓ってください。その誓いは絶対に破らないってことも」

 

ほんと何なの、このゲーム。

パーティ用とかじゃ絶対に違うでしょ。

 

 

 

 

「よ、よし。こんどはこっちの番だ…」

「い、行きますにゃん……」

 

「「(お願いだからすぐ終わらせれるもの来て……)」」




現実にこんなのあったら絶対にやらねえ……と書きながら思ってしまった

ヤンデレ表現って案外難しい…。

読んでくださりありがとございます


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本編
プロローグ


今回はリリカルなのはvividに挑戦してみました。

基本的に原作通りに進んで行く予定なのですが
他の作品でも言ってる通り、言ったこととやることが180度違うことがありますが、それはご了承ください。

それではどうぞ!


いつも夢に見るのは、失敗しなかった日々。

 

とある好奇心から発生してしまった

 

右腕と左目の負傷。それによるほぼ確実な現役引退。

 

それが何もなく、今でも現役でバリバリ戦っている自分。

 

だけど夢なはずなのにそれは嘘であるということがよくわかる。

 

だが、全ては自分の責任だ。

自分の実力と相手の実力の違いもわからずただ戦ってみたい、という好奇心から生み出した

右腕と左目の負傷。

 

そう、全ては自分の責任だ。

 

そう言い聞かせると夢の世界から現実に引き戻される感覚が強くなってくる。

 

そして、いつもの少しうるさい音が聞こえてくる……

 

 

 

 

「ねぇ、いまどういった状況でしょうか?」

 

いま、少女の目の前には、墨のつけられた筆を持ちいまにも顔に落書きをしてきそうな姿勢の---自分と養子縁組をしてくれた八神はやてがいた。

 

「いやー、ユタが随分と気持ちよさそうに寝てたからいたずらしてみようおもてな?」

 

「私、これでも女子であなたの子供だよ⁉︎」

 

寝ていた少女の名前は八神ユタ。地球出身で金髪の髪を肩まで伸ばしている。ちなみに中等部1年。年齢は12歳。この少女は八神はやてと血の繋がりがあるわけではないが()()で裏路地をさまよっていたところをはやてに拾われた。

ユタの過去についてはユタ自身もよく知らなかった。数年ほど前までは。

はやて(母さん)に聞いたこともあったが【あの事件】が起こるまでは話してくれなかった。

 

あの事件とは、「JS事件」と言われており聖王のゆりかご、それについてとユタ自身の出身について詳しく教えてもらった。

ユタはその事件の時に使われた聖王オリヴィエのクローンの前に試験的に生み出された最初のクローンらしい。聖王オリヴィエの血をしっかりと引き継いでいるらしいので右目は緑、左目は赤という虹彩異色だがゆりかごへの適正値が低すぎたからか捨てられたらしい。その情報を手に入れた当時は六課のリーダーだったはやて(母さん)が見つけて保護したらしい。

 

 

まあ、生まれについてなどは正直どうでもよかったけどね。

 

 

閑話休題

 

「まあまあ、そんなことより今日からまた練習するんよね?」

 

「う…、覚えてたの?今日まではゆっくりしたかったのに」

 

「そら、我が子の復帰戦までの道のりをサポートするって決めてるからな!」

 

と、明るい笑顔で言ってくる。

 

「それはありがたいけど、はや…母さんにもいろいろと仕事があるでしょ?」

 

「大丈夫大丈夫!シグナムやザフィーラにも手伝ってもらうから!」

 

「いや、ザフィーラはともかくシグナム姉さんは命の危険しか感じないよ⁉︎」

 

と、はやてさんがさらっと余命宣告をしてくる。実際、ザフィーラはこちらにあわせてくれるのだがシグナム姉さんは最近容赦なくなってきている。道場の子にはとても優しいのだが。と、ここで時計を見るともうそろそろ朝食を食べないと始業式に遅れそうになっていた。

 

「とりあえず、学校の準備するからどいてよ。あ、私の愛機(プライド)は?」

 

「あ、それはいま調整中やて。あと、なのはさんが話がある言うてたから放課後に病院行った後によって上げてーな。デバイスも終わるころになのはさんの方に届けとくわ」

 

「わかった。病院行って許可もらえなかったらバックれてやる…。あ、それと今日からはまたいつも通り自分の家で寝泊まりするから」

 

「わかった。でも」

 

「はいはい。週2は帰ってきてからちゃんとご飯は作るよ。それじゃあ行ってくるね」

 

「行ってらっしゃーい」

 

 

 

 

そのあと、朝食を食べ歯も磨いた後は普通に学校――—St.ヒルデ魔法学院の中等部まで来た。時間はSHRが始まるジャスト15分前。

まだちらほら登校している生徒もいる。

 

「と、目の包帯忘れてた。ちゃんとつけないと」

 

と、包帯を取り出し左目がきれいに隠れるように巻く。別にもう見えるようにはなっているのだが、左右の瞳の色が違うのを隠すのと、あとは単純にこの姿の私かっこいい!みたいになっているからだ。家ではもちろんそんなことしないが。理由はもちろんたぬ――じゃなくて母さんにいじられるからだ。

 

さて、それはいいとして

 

「今回こそ学年主席の座を奪ってやる…」

 

私は格闘技にしても魔法戦にしても勉強についてもなんでも一番を取りたい性分なのだが勉強に至っては毎回2位になっている。

1位は、名前だけは知っている。アインハルト・ストラトスだったか。同じクラスにはなったことないがうわさは聞いたことがある。

 

なんでも高嶺の花らしくぼっちなんだとか。

 

「と、クラスは…1組ね。にしてもまた主席と取れなかった…。アインハルトって人、どんな頭してんのよ…」

 

「あの…私がどうかしましたか?」

 

「わっ!」

 

急に横の席の人に話しかけられた。ん?私がどうかしました?ってことは隣の人が

 

「失礼しました。アインハルト・ストラトスです。あなたが私について何か言ってたと思ったので」

 

「あ、あーごめんなさい。いや学年主席を取りたかったのにまた取れなかったから悔しがってただけだよ。あ、私は八神ユタ。よろしく、アインハルトさん。今はいないけど明日とかに私の愛機も紹介するね」

 

と、形式上の挨拶を済ませるとチャイムが鳴った。

 

「(にしても、きれいな虹彩異色だったなあ。少しうらやましい)」

 

 

 

 

 

 

「え?それは本当ですか……?」

 

「はい、本当です」

 

いま、ユタは行きつけの病院に来ていた。そして、診察をしてもらっているのだが…

 

「本当ですか?後で嘘でした〜とかっていうはやて(母さん)みたいなオチだったら許しませんよ?」

 

「正真正銘、本当です」

 

「…………」

 

 

 

「やったぁぁぁぁぁ!やっと復帰ができる!!!!」

 

「はい、おめでとうございます!まだ完全とは言えませんが右腕も、左目もほとんど治っています。本当におめでとうございます!」

 

「いえ、こちらこそ!ほぼ諦めてたのに先生が辛抱強く治療を続けてくださったおかげです!」

 

「いえいえ、それじゃあまだ無理はしないよう気をつけてくだいね?」

 

「はい、わかりました!今までお世話になりました!」

 

「はい、お大事に〜」

 

 

 

 

はやて(母さん)、シグナム姉さん、ヴィータさん、ザフィーラ!やっと完治できたよ!これからもよろしくね!」

 

『おお!おめでとう!』『よかったなぁ!』『よかったな』『じゃあ、これからまたお前とやりあえるんだな!楽しみにしてるぞ!』

 

と、病院から出てすぐに完治報告を母さんたちにすると、シグナム姉さん、母さん、ザフィーラ、ヴィータさんの順で祝福してくれた。

 

「あ、そのことをなのはさんにも伝えてくるからまた後でね」

 

『うん、また後でなー』

 

 

「はぁー、ようやく体を動かせる!」

 

私はいま飛び跳ねながら高町家に向かっている。周りからおかしい子のように見られているがこの際関係ない。

 

「ととっ、ついたついた」

 

いつの間にか家の前についていた。そして、呼び鈴を押すと はーい と緩やかな声が聞こえてきた。

 

「あ、ユタちゃん。ちゃんと来てくれたんだ!」

 

「はい、ご無沙汰しています。なのはさん。あとは、報告もしにきました!」

 

「そう!その様子だと……」

 

「はい!今回ので…」

 

「あ、その前に会わせたい子がいるから入って入って」

 

「お邪魔しまーす」

 

と中に入るとフェイトさんと一人、子供がいた。

 

「あれ?ユタちゃん?」

 

「あ、フェイトさん。お邪魔します」

 

「いえいえ、ゆっくりしてねー」

 

「あれ?フェイトママ、なのはママ。その人は?」

 

とフェイトさんに挨拶をしていると子供が挨拶をしてきた。そして、その様子を見て私は驚いた。だって…

 

「え……虹彩異色…?ていうかなのはママとフェイトママって…。お二人共どうやって子供作ったんですか⁉︎」

 

自分と同じ目の色+女2人なのに子供ができていたことだ。

どちらかというと後半の方が驚いた。

 

「あれ?ユタちゃんにはヴィヴィオを紹介したことなかったかな?ヴィヴィオ、挨拶しなきゃ」

 

「あ、ごめんなさい。えーと、高町ヴィヴィオです。st.ヒルデ魔法学院の初等科4年生です」

 

「わざわざありがと。私は八神ユタ。st.ヒルデ魔法学院の中等科1年。よろしくね」

 

と、自己紹介を終えるとヴィヴィオがそわそわと落ち着かない雰囲気でこちらを気にしている。

 

「ん?どうかした?」

 

「あのー、違ってたら申し訳ないのですが…。ユタさんって一昨年のインターミドルの都市本戦2位まで最年少で上り詰めた、あのユタ選手ですか?」

 

「あ、あー。うんそうだよ。出てた出てた。にしてもよく知ってるね」

 

「やっぱりですか!名前を聞いたときからそうなんじゃないかって思ってたんですよ!」

 

と、超が付くほどの純粋な眼差しでこちらを見てくる。すっごい照れる。

 

「あれ?でもなんでユタさんがウチに?」

 

「ああ、そういえば。忘れてた。なのはさん、大丈夫です?」

 

「うん、いいよー。その後にはヴィヴィオにもサプライズあるよー」

 

「わかりました。それでは……」

 

 

 

「約一年ほどの治療の結果、右腕と左目はほぼほぼ完治いたしました!これで体も思いっきり動かせますし大会なんかにも顔を出せるようになりまっす!」

 

「お!やっとお医者さんにも許可もらえたんだ!よかったね」

 

「よかったねー。ユタちゃん。」

 

と完治の報告をするとなのはさんもフェイトさんも喜んでくれた。

ヴィヴィオちゃんは1人だけわかっていない様子だった。

 

「実はさっき言ってた一昨年のインターミドルの都市本戦決勝で左目と右腕が潰れちゃってね。それで去年はほぼ丸一年治療に専念してたんだ」

 

「え?!そうだったんですか?!あれ?でもその目の包帯は…」

 

「あーうん。かっこいいからつけてるだけ」

 

と、真面目に答えると3人にポカーンとされた

 

「と、とにかく!話は別にそんな大した意味ないのでなのはさんたちの方もどうぞ」

 

「うん、そうだね。ヴィヴィオ。ヴィヴィオはもう四年生だよね?」

 

「そーですが?」

 

「魔法の基礎も大分できてきた。だからそろそろ自分用の愛機(デバイス)を持ってもいいんじゃないかなって」

 

「ほ…ホントッッ!?」

 

おお、まさかの初の愛機手渡しか。にしても、こんな場面にお邪魔させてもらっていいのだろうか。

 

「実は今日私がマリーさんから受け取ってきました」

 

と言いながらフェイトさんが箱を持ってくる。

 

「あ、ユタちゃんのデバイスも預かってるよー。これだよね?」

 

と、手渡されたのはウロボロスの紋章の形をした私の愛機(プライド)だった。そういえば高町家のほうに送っておくって言われてたっけ。

 

「ありがとうございます!いやー、久しぶりだねぇプライド!」『お久しぶりです。マスター』

 

「ヴィヴィオも開けてみて」

 

「うん!」

 

と、ヴィヴィオが箱を開けるとそこには…

 

「うさぎ…?」

 

可愛らしいうさぎのぬいぐるみがあった。

 

「あ、そのうさぎは外装というかアクセサリーね」

「中の本体は普通のクリスタルタイプだよ」

 

と、なのはさんとフェイトさんが解説をしていると何やらうさぎが自力で箱をよじ登っている。

 

え?このうさぎ動くの?

しかもなんか浮き始めたよ?!

 

「とっ…ととと飛んだよっ?!動いたよっっ?!」

 

「それはオマケ機能だってマリーさんが言ってたよ」

 

「あ…」

 

とうさぎがヴィヴィオの前にくる。

 

「いろいろリサーチしてヴィヴィオのデータに合わせた最新式ではあるんだけど中身はほとんどまっさらの状態なんだ」

 

「名前もまだないからつけてあげてって」

 

「えへへ…実は名前も愛称ももう決まってたりして」

 

あれ?私すっごい邪魔者じゃない?本当にいていいのかな?

 

「なのはさん。私帰ったほうがいい気がするんですけど」

 

「まあまあ、もう少しいてよ。それにこの後のヴィヴィオの練習にも付き合ってくれると嬉しいな」

 

「まあ練習ならいくらでも付き合いますけど」

 

「そうだママ!リサーチしてくれたってことはアレできる?!アレ‼︎」

 

「もちろんできるよー。セットアップしてみてー」

 

「「………?」」

 

とヴィヴィオとなのはさんが話しているが後半はフェイトさんもよくわかっていなかった。

 

 

 

マスター認証などは庭ですることになりヴィヴィオが庭に移動する。

 

「マスター認証。高町ヴィヴィオ。術式はベルカ主体のミッド混合ハイブリッド。私の愛機(デバイス)に固体名称を登録、愛称は『クリス』。正式名称『セイクリッド・ハート』。いくよ、クリス」

 

と、ヴィヴィオの足元には術式が展開されている。

 

「セイクリッド・ハート!セーーット・アーーーーップ!」

 

その叫びとともにヴィヴィオが光に包まれる。

そして、その少し後には

 

 

大人モードになったヴィヴィオがいた。

 

 

にしても、どっかで見たことあるような……

こう、何か母さんの事件の主要人物ファイルを覗き見した時に見た気がする。

 

「ん…!やったあーーー!ママありがとー!」

「あー上手くいったねー」

『excellent!(お見事です)』

「………」

 

と、なのはさんとそのデバイスは褒めているが唯一フェイトさんだけ口を開けて戸惑っている。そして、そのまま床にへたーーっと座り込んだ。

 

「思い出した…。JS事件の時にいた聖王のクローンだ」

 

小声で思わず言ってしまう。がそれがなのはさんにも聞こえてたらしく

 

「どう?ユタちゃん。自分以外のクローンを見た感想は」

 

「へ?いや別に何もないですよ。クローンだろうがなんだろうが人間なんですから」

 

「うんっその答えが来ると思ってた。これからも仲良くしてね」

 

「はい、もちろん」

 

と、すぐそばではフェイトさんがやけに慌ててヴィヴィオとなのはさんの間を行ったり来たりしている。

なんで聖王モードに⁉︎とか色々と言っている。よほど混乱してるのだろう。

 

「フェイトちゃん、落ち着いて。これはね?」

「ちよ…なのはママ!なんでフェイトママに説明してないのー!」

「いやその…ついうっかり」

「うっかりってー!」

 

 

「賑やかな家庭だなぁ」

 

 

 

 

「「「連続傷害事件?」」」

 

『ああ、まだ事件ではないんだけど』

 

「どゆこと?」

 

と、ナカジマ家では今噂の連続通り魔の事件について話していた。

部屋にはノーヴェ、チンク、ウェンディがいた。

 

『被害者は主に格闘系の実力者。そういう人に街頭試合を申し込んで…』

 

「フルボッコってわけか?」

 

ノーヴェが答える。

 

「あたし、そーゆーの知ってるっス!喧嘩師!ストリートファイター!」

「ウェンディ、うるさい」

 

『ウェンディ正解。そういう人たちの間で話題になってるんだって。被害届が出てないから事件扱いではないんだけど。みんなも襲われたりしないように気をつけてね』

 

「気をつける。つーか来たら逆ボッコだ」

 

「で、これが容疑者の写真か」

 

『ええ』

 

と、映し出されていたのはバイザーをした、少し大人びた女性だった。

 

『自称【覇王】イングヴァルト。古代ベルか聖王戦争時代の王様の名前ーーー』




はい、原作でいうアインハルト初登場までかけました。まあこちらではしょっぱなでてるんですがw

オリキャラをすでにあるストーリーに組み込むのって意外と難しいんですね…。
これからも努力します!

読んでくださりありがとうございました!


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1話

今回のは、サブタイはあまりつけない方向で行こうと思います。

最初の作品でも思ったのですが自分の頭ではなかなかつけづらいんです…


と、そんなことはどうでもいいですね

それではどうぞ!


格闘技を含めた魔法戦に興味を持ち始めたのはいつ頃だろうか。

多分初等科1年にも満たなかった気がする。

 

六課として活躍していたはやて(母さん)や高町なのはさんなんかの活躍を見ていたこともあったり、テレビの生中継なんかでインターミドルの試合を見ていたころからか。

けど、決定的なきっかけは【アレ】が起こったからだろう。

 

そこからは少し独学でやっていた。人気選手の真似なんかをひたすら繰り返していたっけ。

けど、シグナム姉さんに見つかってからは筋がいいと言われてザフィーラや母さんも誘って忙しいはずなのに練習にできる限り付き合ってくれたりして。

 

シグナム姉さんにどうしても一本とれなくて嘆いたりもしたっけ。

まあ、あの人から一本取れたらめちゃくちゃすごいということを後で知ったんだけど。

 

そして、10歳になって初めてインターミドルの予選にでて、まさかの都市本戦に行けて

 

そこでいろんな出会いがあって…決勝前でも家族や戦ってくれた人が応援もしてくれた。

とてもうれしかったし楽しかった。

 

けど、そんな気持ちは試合が終わるとすべて別の気持ちになっていた………

 

 

 

 

 

 

ユタは今高町家にいるがそこでは家族会議みたいな雰囲気になていた。

 

「親子になって時はゆっくりと流れてるって、思ってたんだけど。なんでまたこんなことに」

 

こんなこととはもちろんヴィヴィオちゃんの大人モードだ。

 

「あー、えーと」

 

「いや、あのね フェイトママ?大人変化自体は別に聖王化とかじゃないんだよ。魔法や武術の練習はこっちの姿の方が便利だから、きちんと変身できるよう練習もしてたの。なのはママにも見てもらって、もう大丈夫だね、って」

 

「ハッ、そうなの!」

 

ハッて、なのはさん。そのこと忘れてたの?

 

「でも…」

 

だけど、フェイトさんはまだ渋っている。

 

「んー…。クリス変身解除(モード・リリース)!」

 

と、その合図とともにヴィヴィオちゃんが元の姿に戻った。

 

「何より変身したってヴィヴィオはちゃんとヴィヴィオのまんま!ゆりかごもレックスももう無いんだし。だから大丈夫。クリスもちゃんとサポートしてくれるって」

 

「うん……」

 

「心配してくれてありがとう。フェイトママ。でもヴィヴィオは大丈夫です」

 

うわー、なにこの超理想的な家族の団欒。本当に邪魔者になってきた気がするよ。

 

「それにそもそもですね?ママたちだって、今のヴィヴィオくらいの頃にはかなりやんちゃしてたって聞いてるよ?」

 

と、その一言でママ2人が一気に顔を赤らめる。むぅ、この子意外とやり手だな。

 

「そうだねー。母さんから聞いた話しかないけど。一般人じゃやらないようなこととかやってましたしね。あ、なんならヴィヴィオちゃん聞きたい?」

 

「え?いいんですかっ!」

 

「いや、ちょっと待ってユタちゃん!はやてちゃんからの情報は信憑性ありすぎていろいろと困るから!」

 

と、ただ情報を横流ししようとしたらフェイトママに慌てながら口を塞がれた。なのはさんからはなんとも言えない威圧感が出てて怖い。

 

「ま、そんなわけで。ヴィヴィオはさっそく魔法の練習に行ってきたいと思います」

「あ、私も!」

 

と、そんな会話をしながらヴィヴィオちゃんとなのはさんが外に出る。

 

「あ、ユタさんもご迷惑じゃなければ練習してくださいませんか?」

 

「全然いいよ。2年前のカンも取り戻したいしね」

 

「やったー!ありがとうございます!」

 

やばい、この子天使だ。私の周囲の人間たちの中では間違いなくダントツで天使だ。ものすっごいピュアな天使だ。

 

 

 

「♪ ♪ ♪ やっぱりいいなー♪大人モード♪ねークリスー♪」

「ピッ!」

「だよねー♪」

 

今は練習もできる公園に向かっているのだがヴィヴィオちゃんはものすっごい上機嫌だ。よほど大人モードができたのと愛機ができたのが嬉しいんだろうね。

懐かしいなぁ…

 

「ユタちゃん、ごめんねー。わざわざヴィヴィオの練習に付き合ってくれて」

 

「全然いいですよ。他ならぬなのはさんとその娘さんからの頼みですし。それに私と同じ生まれというなら私が先輩として気にかけてあげないといけませんし。後、まだ付き合うって決めただけでやってはないのでそのセリフは早いですよ」

 

「うん、そうだよね。でも、ありがとうね」

 

「あ、そういえば私の生まれについてはヴィヴィオちゃんには?」

 

「あ……」

 

………そろそろ呆れてもいいよね?この天然な方には。いや呆れてもいいはずだ。

 

「まあ、聞かれたら答える、位でお願いします。別に隠してるわけじゃないんですがあまり言いふらしたくないんで」

 

「うん、わかった!」

 

 

 

「ねぇヴィヴィオ?」

「はい?」

 

え?またなのはさんが超真面目モードになってるよ。また私のけ者になる気がする。

 

「大人モードはヴィヴィオの魔法で自分の魔法をどう使うかは自分で決めることなんだけど。幾つか約束して欲しいんだ」

 

「ーーうん」

 

「大人モードは魔法と武術の練習や実践のためだけ使うこと。いたずらや遊びで変身したりは絶対にしないこと。ママと約束」

 

「うん、遊びで使ったりは絶対にしません」

 

と、親子2人で指切りを交わしている。もう、この写真だけ撮ってからウチのたぬ……母さんに見せてみようかね。そしたら、家での私への対応が少しは変わるかも。

 

『あの人に限ってそれはないと思いますよ。マスター」

 

「うわっ、プライド。起きてたんだ」

 

『はい、というか私の存在をちゃんと認識されているのかどうかが怪しいのですが。主にどくし……いえなんでもありません』

 

と、そんなことを話しているとまた2人でじゃれ合っている。2人はここに他人がいることをお忘れじゃありませんかね?

 

 

まあ心が癒える動画が撮れたからよしとしよう。

 

 

 

〜市民公園内 公共魔法練習場〜

 

「じゃ、基本の身体強化からね。それから放出制御!」

「ピシッ」

 

「クリスの慣らしもあるんだからいきなり全開にはしないんだよ」

 

「だーいじょーぶ!」

 

ふむ、私はどうしようか。慣らしの部分は他人が入るのはやめたほうがいいだろうし。それなら

 

『なら、約1年ぶりのセットアップでもしてみます?」

 

「お、いいねー。プライド。その案に乗った」

 

いやー、私の愛機の名前や外装は地球の鋼の○金術師の敵役からとったんだが名前の割には私の知っている性格にはなっていない。いやなっていたらなっていたで困るけど。

 

『マスター、いろいろと隠せていません』

 

「あはは。まあそれは置いといて。プライド。セットアップ」

 

その掛け声とともにヴィヴィオちゃんがやってたような光に包まれる。すると私にとっては見慣れた、外装になった私が姿を現した。

 

肩から先はほぼ全て露出していて髪も少し伸びており後ろで束ねている状態に。服は黒一点のみのシャツっぽいものと同じくほぼ黒一点のズボンだけだ。というか、外装というより夏場の少年?みたいな服だ

 

なんでこんな外見なのかって?

 

それはハ○レンの強欲のグリー『マスター、それ以上は言わせません』 ちぇっ、どうせなら説明させてよ。

 

「にしても、1年くらい離れてたとはいえまだちゃんとできるもんだねぇ。これもプライドの性能のおかげなのかな?」

 

『いえ、こればっかりはマスターのイメージで左右されるのでマスターの力と見ていいかと。私はただそれの補助をしているだけなので。というか、マスター』

 

「ん?何」

 

『その眼の包帯はいつ頃取るんです?』

 

……忘れてた。まあいっか。別にかっこいいし。

 

 

 

その後、軽く体を慣らした後ヴィヴィオちゃんの元に戻るとそちらも慣らしが終わったらしく少し休憩を取っていた。

 

「あっ!ユタさん……ですよね?」

 

「うん、そだよー。いまはセットアップしてるからこんなだけど解除すれば元に戻るよ」

 

「なるほど。後ユタさん、えーとですね…」

 

と、またヴィヴィオちゃんがモジモジしながら言っていいのか迷っている。みたいな感じになっている。

 

「どうしたの?別に私の生理的に無理なこと以外だったら何も嫌がったりしないから言ってみなよ」

『マスター、最初の一言が非常に余計な気が』

 

うん?何か間違えてのかな?

 

「えーとですね。練習に付き合って欲しいというのもあるんですが、さ、さ」

 

「さ?」『さ?』

 

「サインください!」

 

ほぅほぅ、サイン。サインとな。私みたいな選手のサインを求めるとはもの好きでらっしゃる。私は戦闘スタイル上余り好む人がいないのだが。

 

まあそれは後々語るとして

 

「なんだ、こんな中学一年生のでよければ幾らでもいいよ」

 

「ありがとうございますっ!」

 

あー、やばい。この子の肖像画でも作って家に飾ろうかな。

 

そして、ヴィヴィオちゃんに渡された手帳にサインをして返すとそのまま練習に入る。

 

内容は主にストライクアーツの型の練習だった。

それの受けをする役目に抜擢されたというわけだ。

 

「へぇ、なかなか筋がいいんだね。それに師匠にも恵まれてるんだ」

 

「はいっ!それに最近は友達とも一緒に練習するようになってますます楽しくなってますっ!」

 

それに、この子の型……ああそれで私か。

 

「もしかしてヴィヴィオちゃんが師匠に教えてもらってる型ってカウンターヒッター?」

 

「えっ?なんでわかったんですか?!」

 

「いやー、なんでというか。同類だから?いや違うな。君は生粋のカウンターヒッターとしてだから私みたいなのとは違うと思うし…」

 

「あの、ユタさん。非常に身勝手で申し訳ないのですが」

 

「?どうしたの」

 

「私と軽く一試合お願いできませんか?」

 

?この子なんて?私に?試合?

 

「あの、インターミドルみたいな本格的じゃなくて手合わせ程度でいいのですが」

 

「あ、ああ。いいよ。なのはさんが許してくれるなら…ってなんでなのはさん涙目?」

 

と、ベンチにいたなのはさんを見ると何故か涙目になっていた。

 

「うう、だって2人とも私のこと忘れてる気がして…。あ、怪我しない程度ならどんどんやっちゃいなよ」

 

と、なのはさんからの許可も出たので私とヴィヴィオちゃんが構える。

 

「あー、そうだ。ただ手合わせするのもつまらないね。んー、ヴィヴィオちゃん」

 

「はい?」

 

「この試合中に私に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()何か一つ、なんでも頼みを聞いてあげるよ」

 

それを言った瞬間、明らかにヴィヴィオちゃんのやる気が上がった。うーん、こういう相手のやる気をあげるのが得意なのは母さんからの遺伝なのかね。血は繋がってないけど。

 

「それ、本当です?」

 

「本当本当。学校の友達とならまだしも君みたいな子やなのはさんのいる前では嘘はつかないよ。さあ、どこからでもどうぞ♪」

 

と、その言葉と共にレイジング・ハートがゴングを鳴らしてくれる。

 

すると、開始早々ヴィヴィオちゃんが突っ込んでくる。しかも思いっきり利き手の右で顎を狙ってアッパーをかましてきた。

それを避けると今度はそれを読んでいたとばかりに左で打ち込んでくる。

 

今度はその打撃を避けずに受け流す。すると今度は上段蹴りをしてくる。

 

が、それも避ける。案外まっすぐな拳や蹴りというのは軌道がわかりやすい。いつぞやの番長なんかとは大違いだ。

 

そこからはひたすらあえてヴィヴィオちゃんの得意スタイルで攻めさせる。いや正確にはカウンターヒッター型なので得意スタイルとは言えないか。それでもひたすら近距離でのジャブや蹴り、それらを混ぜたコンビネーション技みたいなのもやってきてくれた。

 

だけど、それをひたすら避けた。それか受け流していった。

 

 

「(すごいすごいっ!全部わかってるみたいに避けられる!)」

 

ユタさんの戦績やビデオから知ってはいたけどここまで綺麗に避けているのを見てヴィヴィオは興奮を抑えきれない。よほど訓練を積んでる証拠なんだろう

 

それになんとかしてでも当ててやりたい。という気持ちもそれと同時に増えていった。

 

あとはまだユタさんに()()()()()()()()()()()()()からなんとしてでも手を出させてみたいというのもあった。

 

 

 

 

「(まっずい、調子に乗って飛ばしすぎた……)」

『アホですか、マスター。まだ体力も戻ってないというのに』

 

と、あれからひたすら避けてはいるが体力に限界が来ていた。

避けるというのは体力とかはいらないと思われがちだが相手の攻撃を見切るために見ることに集中しないといけないし今みたいに連続で攻撃される立場になった時の体力の消耗は半端じゃない。

 

まあ、今回のは私から煽ってやらせたんだけどね。

 

『マスター前々から思ってたんですが……バカですよね?」

 

ひっどいなぁプライド。それでも私の愛機ですか?

『はい、愛機です』

そしてサラッと心を読まれたよ。

 

「いっ?!」

 

やばい、避けすぎて足フラフラになった所を狙われた。しかもその足を。このこ、可愛い顔して案外えげつない…。

 

「やぁぁっ!」

 

「うわ、ちょいまち…」

 

と、好機とばかりにヴィヴィオちゃんが今までにないようなラッシュをかましてくる。

 

「う…らぁっ!」

 

そこで、思わず()()()()()()()()()()()()()()()

もちろん、あいてはカウンターヒッター。それを避けてカウンターを入れ

 

「あー、うん。参りました」

 

る直前で止めてくれた。

なんともありがたい。たぶんあの勢いで入ってたら気絶してたよ。

 

「ありがとうございました!とても有意義な時間でした!」

 

「いえいえ、こんな程度でいいならいくらでも。あ、最後の一撃止めてくれてありがとうね。でも一発入れたらって話だったのになんで?」

 

「あーえっとですね。ユタさん。練習がほぼ一年空いてるっておっしゃってたじゃないですか?」

 

「うん言ってたよ」

 

「だから、もしあてちゃったらまたユタさんの復帰を延ばしてしまうんじゃないかと思いまして…」

 

女神だ。女神がここにいたよ。世界のみんな。

 

「私の体を心配してくれたんだ。ありがとうね。あ、約束のなんでも一つお願い。何か決めてる?」

 

「あ、はい!それはもう!えーと、明日から私たちと一緒に練習してもらえないかなーって思いまして」

 

と、遠慮しがちに言ってくる。提案したのは私なのになんで遠慮してるんだろうね。

 

「私から言ったんだから遠慮なんて必要ないよ。それに、練習ならいくらでもオッケーだよ」

 

「本当ですかっ!ありがとうございます‼」

と、ものすごいはしゃぐ。

 

「あ、そうだ。このことリオやコロナにも教えないと!」

 

とまた忙しそうにメールを打っている。

 

「なのはさん…お宅の娘さんは女神ですね…」

 

「ふふーん、でしょ?」

 

と、なのはさんがドヤ顔を決めてくる。

なんか面白かったので写真を撮ってみた。

 

「え?ちょっと待って!なんで写真を撮るの!?」

 

「母さんたちに見せてあげようかと」

 

「ユタちゃん?」

 

と、なのはさんがめちゃくちゃ威圧してくる。はい、正直めちゃくちゃ怖いです。すいません調子に乗りました。

 

「なのはさん、すいませ…「後で'お話し'しようか?」…いま謝ろうとしてたのに」

 

はい、そう遠くない未来に私に地獄が来ることが決定いたしました。

 

「ユタさん、一緒に写真を…ってなんで泣きかけてるんです?」

 

「あーヴィヴィオちゃん。いや何。地獄が決定したのを泣かない奴なんているのかな?」

 

「え?いや、それはたぶん泣きますけど…じゃなくて!友達に写真を送りたいので一緒に撮ってもらえないですか?」

 

「いいよ、全然オッケー」

 

と、了承するとクリスが写真を撮ってくれる。この子飛べるわ自分の意思を持ってるわ、写真も撮れるわでいろいろと便利だね。

 

そんなこんなで復帰戦へ向けての練習一日目が終わった。




どうでしたか?

基本的にキャラ崩壊は好きじゃないので原作通りのキャラで行きます

最近近所の本屋が一つつぶれて悲しいです

けどこのすば2期も始まったりして楽しみも増えております



読んでいただきありがとうございます


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2話

感想つけてもらえて感謝感激しまくってるアテナDAIです。
皆さんも、賛否両論、遠慮なく感想で書き込んでくださいな。

主に賛のほうの感想だとめちゃ嬉しいです。
否でもちゃんと読みます(心が持つかは知りませんが)


それではどうぞ!


「なのはさん、ヴィヴィオちゃん。今日はいろいろとありがとうございました」

 

「いえいえー」「私こそありがとうございました!」

 

「また明日から練習するときになったらメールしてね。できる限り行くようにはするから」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

と、そのまま分かれて帰路に就いた。

 

 

 

 

「ふう、楽しかったねー。プライド」

 

『私も久しぶりにあんな楽しそうなマスターを見ましたよ。それはそうとマスター』

 

「ん?どうしたのかな?」

 

『なぜ、フードをそんなにかぶっているんですか?周りが見えづらくないですか』

 

「なぜかって、夜道に片目だと危ないし。両目の視界にも慣れないといけないし。けどあまり目については見られたくないし。あと先にいうとサングラスとかよりはフードのほうがかっこいいからかな?」

 

『いつも思ってるんですが、マスターの感覚ってなんかずれてますよね』

「否定はしない♪」

 

さすがは初等科のころからの愛機。私の性格をよくわかってらっしゃる。

 

「さて、今日はそのまま家に帰るかな。さすがにこの時間にゲーセンに寄ると補導されるし」

 

『というか、そろそろ家の片づけをしたらどうですか?主に二階のおも…じゃなくてグッズを』

 

やだよ、全力で却下する。あそこは私にとっての楽園なんだ。つかプライド?今おもちゃって言おうとしたよね?

愛機じゃなかったら2時間くらい説教してたかもよ?

 

 

 

「やっと、やっと見つけました。聖王オリヴィエのクローン」

 

「あれ?いまのプライド?」『いえ、私ではありません』

 

と、声のした方を見上げると少し大人びた人がいた。髪は薄い緑でバイザーをしている。うん?ていうかどこかで見たことあるような?

 

と、そんなことを考えていると目の前に降りてきた。

 

「あなたにいくつか伺いたいことと確かめたいことが」

 

うーわ、これ絶対めんどくさい奴だ。さっき聖王のクローンとか言ってたし。

 

「別に私はいいけどせめてバイザーとってから名を名乗ってくれない?でないとこっちも答える気も失せる」

 

「失礼しました。カイザーアーツ正統ハイディ・E・S・イングヴァルト。『覇王』を名乗らせていただいています」

 

うん、確定。このこ。同じクラスになった学年主席のアインハルトって子だ。

 

にしても、覇王ねえ。ってうん?てことはなに?聖王のクローンである私と勝負したいとかそういうことなのかな?それだったらいやだよ。

なにはともあれ、めんどくさくなりそうなのでフードを深くかぶる。

 

「伺いたいというのはあなたを含めた『王』達についてです。聖王オリヴィエの複製体(クローン)と冥府の炎王イクスヴェリア」

 

「あーえーと。なんて言えばいいんだろうね。正直私は聖王のクローンであるとかそういうのはどうでもいいんだよね。いやむしろその生まれについてネチネチ言ってくる奴は大嫌いだね。あと、冥府の炎王とやらは知らない。というかいるなら会ってみたいくらいだよ」

 

「それは失礼しました。では確かめたいことというのは。あなたの拳と私の拳、いったいどちらが強いのかです」

 

はい、予想的中。

 

「やだ。やる意味がないし」

 

「あなたに意味がなくても私にはあるんです」

 

うんこれ人の話聞かない奴だ。

 

「それに――」

 

「?」

 

「列強の王達をすべて斃し、ベルカの天地に覇を成すこと。それが私の成すべきことです」

 

「…あーもういいよ。わかった。やってあげるよ」『マスター!』

 

プライドが何か言ってくるがどうでもいい。とりあえずこいつは一発ぶっ飛ばすことに決めた。

ぶっ飛ばせるかは知らないけど。

 

「ありがとうございます。では防護服と武装をお願いします」

 

「ん、そりゃどうも。わざわざつけさせてくれるんだ」

 

と、自称覇王サマに言われさっきまでしていたセットアップ状態になる。

 

「…?それがあなたの武装ですか?」

 

「うん、ていうかこれに関してはあまり突っ込まないでほしいな」

 

「わかりました。では…」

ん?そこそこ距離があるのに構えた?空戦(エリアル)射砲撃(ミドルレンジ)あたりかな?

 

「へ?うわっ!」

 

あっぶな!あの距離を一瞬で詰めてきたよ!しかも思いっきり顔面狙ってきたし!両目じゃなかったら絶対よけれず一発KOだったよ。

 

「いきなり突撃(チャージ)はびっくりしたぁ」

 

と、無難にすぐに距離を取る。がすぐさま追いついてきてラッシュを叩き込んでくる。けどさっきまで君より早い拳をよけまくってたんだ。まだよけやすい。

 

が、まあ問題点は練習と同じで…

 

「(プライド、もう限界…)」『早くないですか⁉︎』「(しょーがないじゃん!ただでさえさっきのヴィヴィオちゃんとの練習で疲れてるんだから!)」

 

「…ひたすら逃げの一手とは馬鹿にしているのですか?」

 

おっとまずい。私のスタイルは覇王サマにはお気に召さなかったらしい。

 

「別に馬鹿にはしてないよ。まあけどそう感じたなら謝っとくよ。でも反撃の一撃を叩き込めそうな未来は見えたかな?」

 

「そうですか。ではみせてもらいます」

 

と、また中距離からいきなり詰めてラッシュを叩き込んでくる。

が、ぎりぎりの体力を残してよけてよけてよけまくる。

 

正直一発食らえば気絶するからヴィヴィオちゃんの時より神経使う。

けど、少しずつ強烈なのを打ち込んでこれるようあえて()()()()()()()()

 

「(頼む…早く…)」

 

「(スキができたっ!)断空拳!」

 

「『キタッ!!』」

 

覇王サマがおそらく必殺クラスの打撃を腹に打ち込んでくる。

 

これをよけずに右手で()()受け威力を後ろに受け流す。

そして、その威力を利用しながら回転しその勢いで覇王サマの右側頭部に裏拳を叩き込む。

 

「ッ!?」

 

「どう?ご自慢の拳の威力を使われた感想は?」

 

久しぶりな割にはうまくいったね。

覇王サマは何が起こったのかよくわからない、といった感じで戸惑いながら膝をついている。

 

そりゃそうだね。なんせ必殺の拳を打ち込んだと思ったらやられたんだから。

 

「ふー疲れた疲れた。かえって嫁達に癒されよう」ガチャ

 

「『ガチャ?』」

 

不思議な音がして振り返ろうとして見ると動けず、両手足と腹にバインドがされていた。

 

「えーと?プライドさん。これっていわゆる?」

『絶体絶命』

「デスヨネー」

 

「わたしは…負けるわけにはいかないんです…!聖王には特に…!!」

 

「なーんでそんなに古代の王様に固執するかねえ。そういうもう終わってる過去に固執するやつ、大っ嫌いなんだよ。ベルカの戦乱も聖王戦争も、ベルカの国も、もう終わってるものなのにさぁ」

 

「終わってないからです。私にとってはまだ何も…」

 

ああ、この目は。嫌いな目だ。自分以外の何にも心を開きたがらない。味方は自分だけ。みたいな孤独な目。

 

「断 空 拳!」

 

と、こんどは思いっきり横から腹に入れられた。

そのまま近くのコンクリの壁にぶつかりそのまま気を失った。

 

 

 

 

~ナカジマ家~

 

「へー、ついにヴィヴィオもデバイス持ちっスか」

「よかったね。今度見せてもらおう」

「高町嬢ちゃんちの一人娘か。今いくつだっけ?」

「10歳ですね。4年生ですよ」

「もうそんなか。前に見た時は幼稚園児くらいだったと思ったんだがなぁ」

「それ、六課時代じゃない」「もうだいぶ前ッスよ」

 

と、今現在は六人で鍋を囲っていた。チンクやウェンディ、ノーヴェ、ギンガ、ディエチ、そしてその父親がそろっていた。

 

「ヴィヴィオの武術師範としてはやはりうれしいか。ノーヴェ」

「え。別に師匠とかじゃないよ。一緒に修行してるだけ。まだまだ修行中同士練習ペースが合うからさ」

 

とノーヴェは言っているが恥ずかしさからか顔が赤い。

 

そのそばではギンガがお代わりのほしい人はいないかと尋ねると全員元気よく、はーい、と答えていた。

 

「あ、ヴィヴィオに新しく増える練習仲間って聞いたんだけど知ってる?」

 

「んーどれどれ?」

 

とノーヴェはチンクたちに送られてきた写真を見せる。

 

「ああ!ユタちゃんじゃない!」

 

「ユタ?」「誰っスか?それ」

 

「八神さんとこの娘だよ。養子縁組だけどね。確かヴィヴィオちゃんたちも目指すインターミドルの都市本戦に10歳で出てたかな」

 

「ふーん。って都市本戦?!」

 

「そうそう、ヴィータさんやシグナムさんにバリバリ鍛えてもらってたらしいからね。けど、決勝で事故が起こって早くも現役引退せざるをえない。みたいなことで騒がれてたと思うけど」

 

全然知らねーとノーヴェやウェンディはポカーンとしながら思っていた。

 

「ま、明日会えるならその時に聞いてみたら?」

 

「ああ、そうするよ。あギンガ、おとーさん。明日教会の方に行ってくるから」

「そう」「いつものお見舞いか?」

「うん、そんなとこ」

 

「じゃアタシもいくっス!セイン姉と双子をからかいに!」

「姉も久しぶりに行きたいな」

「えー!?」「駄目よー。あんまり大勢で押しかけちゃ」

 

ピピッ

 

「あ、ごめん。あたしだ」

 

と、メールがノーヴェのもとに来た。

 

「どうしたっスか?」

 

「悪い、なんか近くで人倒れてるらしいからちょい行ってくるわ。なんかほかの救助隊全員出払っててあたしが一番近いらしい」

 

「手伝うっス」

「悪い、頼む」

 

と、ノーヴェとウェンディは外に出た。

 

 

 

 

 

 

うーん、体中が痛い。なんで痛いんだっけ?

確か学校行って病院行って、『…ター』完治できて

なのはさんたちに『マ…ター』報告に行って

そのあとヴィヴィオちゃんと練習して『マスター!』

そのあとは…『マスター、目を覚ましてください!』

 

うるさいなあ、いま目覚めかけの意識で情報整理してるってのに。

うん?なんで気絶してたんだっけ?

 

がばっ

 

「うわっ、急に起き上がるなよ。体に響くぞ」

 

「…?プライド、どうなってるの?」『この方たちが保護してくれたようです』

 

目の前には赤い短髪で男っぽい顔立ちが特徴の人と青髪の人がいた。ほかにもオレンジの髪の結構美人な人や赤髪の人の髪の色だけ青、みたいな人がいた

 

「あ、どうも。片目閉じた状態ですいません」

 

え?ちょっとまって。なんでフードとれてんのさ。もしかして両目見られた?

 

「いいっスよ、気にしなくて。私はウィンディ・ナカジマ。こっちが私の姉さんで」

「ノーヴェ・ナカジマだ。んで、そっちにいるオレンジの髪の方が」

「ティアナ・ランスターです。本局執務官をやってます。でラストの一人が」

「スバル・ナカジマだよ。ノーヴェたちのお姉さん。そしてティアナの親友です。ここは私の家」

 

ん?なんか二人くらいかなりの有名人の名前が聞こえた気がするんだけど気のせい?

『気のせいじゃないですよ。マスター』

「プライドはさらっと私の心を読まない」

 

「えーと、先に目覚めてた君のデバイスには話を聞いたんだけど。八神ユタさん。あなたからもお話ししてもらってもいいかな?」

 

まだいろいろと混乱してるところにティアナさんに聞かれる。

しかもプライドにはもう事情聴取済みらしい。

さて、プライドがどこまで本当のことを言ったか。

 

「えーと、帰っている最中に喧嘩を売られて、買った結果。ズタボロにされました」

 

「プライド君からは勝った後不意打ちでやられたって聞いてるよ。できれば治療費ほしいから被害届を出したいっていうのよ」

 

おいこらプライドさん。何勝手なことを言ってるんすか。

ていうか、プライド君て。なんかその言葉だと私のしってるアニメ内でのイメージが崩れる気がする。

 

「あーうん。間違ってはないですが。総合的にみるとたぶん私の方が格下ですよ。あと、被害届は別に出すつもりないです」

『マスター!いいんですか⁉︎治療もやっと終わった直後に襲撃されたのに』

「いいよ、別に二年前(あの時)みたいに後遺症にならなさそうだし。プライドの防御のおかげだよね。まあ全魔力使ってくれたからお互い気絶になったんだろうけど」

 

「えーと、続きいいかな?」

 

「あ、はい。すいません。どうぞ」

 

「相手の姿は見た?顔とかは。これはプライド君教えてくれなくてね。もし知ってるのなら誰かも教えてほしいんだけど」

 

……どうしようかな。あの時は半分くらい逆切れ気味だったからやるのに同意した私がアインハルトだけを貶めるわけにもいかないし。けどあんなことさせ続けるのも嫌だし…。『マスター、正直に』えーい、どうにでもなれ

 

「いえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

うん、ほぼ正直に言ったよ?だってあくまでも私と同い年のアインハルトっていうのを知ってるだけであってあんな大人になったアインハルトって人知らないもん。

顔もフード深くかぶってたからよく見てないし。

 

「そう、ありがとうね。にしても、ダメだよー喧嘩なんてしたら」

 

「あ、はい。すいませんでした。以後気をつけます」

 

「うん、よろしい。礼儀正しいねー」

 

とティアナさんが褒めてくる。そりゃそうですよ。シグナム姉さんなんかに作法を叩き込まれてみなさい

サルでも1時間でプロレベルに変身できる。

 

「?あれ外が明るい…」

『ああ、今は朝の9時半ですよ。昨日襲撃されたのが夜の10時頃ですから、だいぶお休みでしたよ』

 

は?今なんて言った?この愛機。え?朝の9時半?てことは……

 

 

「今季のアニメの1話分何個か逃しタァァァァァァァ!」

 

「「「「は?」」」」

 

「えー嘘!新シーズンの1話目は全部生で見るって決めて一度も破ったことなかったのに!やらかした!!プライド!録画は⁉︎」

『してあります。ですから落ち着いてく…』

「あの覇王サマ、次会ったらぶちのめす………」

 

 

 

 

『すいません、マスターはネジが5本くらい飛んでるので無視してください。ここからは少し私がお話しします。マスターが忘れてる話もありますし』

 

今はユタを部屋に残し、その他の全員が別の部屋に来ていた。

 

「いや、いいけどよ。お前の主人はいいのか?」

『いいんです。あの方は会った時からあんな感じでした』

「大変だな、お前も」

 

とノーヴェが呆れながら言う。

 

「それで?話していないことって?」

『えーと、マスターの目についてはみなさん見られました?それならお話が早いのですが』

 

と、4人は顔を見合わせ

 

「「「「見たよ」」」」

『そうですか』

 

「もしかして、喧嘩売られたのってそれが原因なの?」

 

『はい。なにやら聖王と冥府の炎王イクスヴェリアに用があったみたいです』

 

「なんでまたそんな」

 

『私にもわかりかねます。で、伝えたいというのは冥府の炎王イクスヴェリアも狙われる可能性が高いということです』

 

と言うとスバルとノーヴェは苦い顔をする。

 

「まあ、大丈夫でしょう。あの子はいま教会の人たちが全力で守ってるし」

「そうっスねー」

 

『あと、これはお願いなのですが…』

「許容範囲でなら受け入れるから。なんでも言って」

『マスターを念のため病院で検査させたいのですが…』

「ああ、それは私がしといたよ。特に異常はないってさ」

『ありがとうございます。ノーヴェさん』

 

 

 

 

「それで、なんで私まで教会に行かなきゃいけないんですか…。昼間は太陽が出てるから外に行きたくないんですよ…」

 

「まあまあ、そう言うなよ。いいところだよ」

「本当ですか?ノーヴェさん。嘘だったら私怒りますよ?」

「ああ。そういや、ヴィヴィオに聞いたんだけど一緒に練習するんだって?」

「あ、はい。そうです…ってなんで知ってるんですか」

「いや、なんでって。あいつらが師匠とか言ってる人。私のことだし」

「へ?」

 

え?なに最近やたらと偶然が多いな。

ハッ!もしかしてこれは私が滅ぶ前兆……

『んなバカなことがあると思いで?』

手厳しい言葉をどうもありがとう。心を読む天才愛機さん。

 

「あ、これは失礼しました。改めまして八神ユタです。宜しくお願いします。師匠」

「師匠はやめろって…。まだ教えてもないし…。というかユタ?」

「どうしました?」

「その眼帯はなんでつけてんだ?もう治ってんだろ?」

「カッコいいからです」

 

あ、でた。呆れ顔

 

 

 

 

「んじゃ、私はこっちに見舞いがあるから。後でまた庭にいるウェンディ達のところに集合な」

「オッケーです」

 

とノーヴェと教会の中で別れ、ノーヴェは見舞いに。

ユタは……

 

「さーー!迷ったぞ!」

『そんな威張っていうことですか…』

 

はい、絶賛迷子です。そりゃ知らないところに1人になったらこうなるでしょ。

 

「無駄に広いのが悪い」『マスター、今全世界の広い教会を敵に回しましたよ?』

 

しっかし、本当に広いな。あ、誰か来たから聞いてみようかな。

 

「どうされました?」

「あ、いえ。ただの迷子です!」『マスター、威張らない』

「よかったら案内しましょうか?」

「いいんですか?では是非ともお願いします」

「はい。私はシスターシャッハと申します」

「私はユタです。えーと、ノーヴェさんには騎士カリムのところに行けって言われてるんですけど」

「それでしたらすぐそこですよ」

「あ、有難うございます」

「いーえ。ではごゆっくり」

 

って、部屋の中まで入れてくれないのかい!1人でお偉方の部屋に入るのって無駄に緊張するんですが。

まあうだうだ言っても始まらないし入りますか。

 

「失礼します。ノーヴェさんにいわれてきました」

 

「どうぞー。お話には聞いてますよ。ユタさん」

 

と、待っていたのはかなり落ち着いた感じのシスターだ。この人が騎士?まあいいか。

 

「騎士カリムには襲撃者について一言言いたいことがあってきました」

 

「ああ、あなたもですか」

「私も?」

 

「先ほど、別の方にもそのことを忠告しに来てくださったんですよ」

 

「なるほど。では、それとは別でカリムさん」

「どうしました?」

「あなたの後ろの窓のそばで1人シスターがサボっているのはどうすればいいでしょうか?」

「…放っておいてあげてください。特訓で疲れていると思うので」

「わかりました。では私はこれで」

「はい、ありがとうございました」

 

 

 

はい、取り越し苦労。まあ念には念をっていうし。別にいいか。

さて、庭に向かいますか。ルート?んなもんカンに決まってますよ。

 

 

 

「おっせーよ!」「迷ってたんですよ!」

『すいません、ノーヴェさん。嘘だと思われるかもしれないですが本当なんです……。このアホマスター。初めての土地には弱すぎるので』

 




どうでしたか?

まさかのユタ不意打ちで敗北!

感想のとこでも質問?であったのですが
ユタの強さに関してはストライクアーツというよりは魔法によるところが大きいので今はまだ真価を見せれないかもですね。


読んでいただきありがとうございました


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3話

なにやら、感想にいろいろと皆さんの意見がありますが

ユタは殴り合いで言うなら総合的に見てミカヤさんレベルではないです。
よくて番長クラスです。

それがなぜ都市本選決勝に行けたかというのは…

また本編で書きますので


それではどうぞ!


~アインハルト家~

 

「昨日の勝ち方はダメ…もっと特訓しないと…」

 

昨日の夜、いつもの通りストリートファイターまがいのことをしようとしていたアインハルトは途中で聖王のクローンを見つけ条件反射で勝負を挑んだのだが

勝ったとはいえ、内容はとても納得できるようなものではなかった。

 

格闘戦で後れを取ったにも関わらず、最終的に後ろからバインドを仕掛け動けない相手に必殺の拳を打ち込んで勝ったのだ。

覇王の名を継いでいる身としては余りにも、情けない勝ち方だった。

 

「次あったら正式に倒す…聖王オリヴィエのクローン…!」

 

 

 

 

 

~教会~

 

今ユタは保護してくれたノーヴェに付き合って聖王教会に来ていた。用事も終わり庭に戻っていた。

そこにはウェンディ、ノーヴェ、ヴィヴィオ、ノーヴェたちの兄妹であるディエチ、オットー、ディード、セインが勢ぞろいしていた。

 

「うーん、最近家族の団欒にお邪魔しまくってる気がするけどいいのかな?」

『いいんじゃないですか?』

 

ま、それもそうか

ふーん、ヴィヴィオちゃんここだと陛下なんて呼ばれてるんだ。

 

話も終わったのかノーヴェさんとヴィヴィオちゃん、ウェンディさんとセインさんが歩き出す。

 

「おーい、ユタ。行くぞ」

「了解ですー」

 

と、ノーヴェさんに呼ばれるのでそちらに向かう。そのついでにディエチさんやオットーさんたちに軽く挨拶をする。

 

「んじゃあたしは四人をおくってくるなー」

 

とセインさんが付き添ってくる。

 

「しかしいいのか?ヴィヴィオ。双子からの陛下呼ばわりは」

「え?」

「前は陛下って言うの禁止ーって言ってなかったか?」

「あー、。まあもう慣れちゃったし。あれもふたりなりの敬意と好意の表現だと思うし」

「あいつらなんかずれてるからなあ」

 

あーマズイ。いろいろとおいて行かれてる。

 

『マスター、オットーさんとディードさんのことですよ』

「あーって、あの二人双子なんだ⁉︎全然似てないなー」

 

 

「そういえば、ユタさんでしたっけ?その眼帯はなんでしてるんです?」

 

とセインさんが効いてくる。よし、未来予知を使用。答えた後あきれると

 

「かっこいいからです」

「あー、確かに。なんとなくわかるよ。そういう気持ち」

 

あれ?10人弱に言って全員あきれたのにこの人呆れなかった。

 

「と、いうのは本音の内7割くらいの理由でして」

「7割って半分以上じゃん!」

 

はい、そうですよ。こんな格好をやる理由なんて格好良さ以外に基本ないでしょ。

 

「まあ、残り三割はこれが理由です」

 

と、眼帯をとり聖王由来の虹彩異色を見せる。

 

「…うそ。陛下以外にもいたんだ」

 

「私はヴィヴィオちゃんの前に造られたらしいです。ゆりかごへの適正が低かったらしくて捨てられたらしいですけど」

 

「なんかゴメン…」

 

『セインさん、マスターに謝る必要は基本ないですよ。このひと、まったくと言っていいほど気にしてないですから』

 

「まあ、プライドのいう通りです。私は過去についてネチネチ言ってこなければ大丈夫ですよ。ただ、あんまり聖王の血を引いてることは知られたくないんで」

 

「そりゃまたなんで?」

 

「ヴィヴィオちゃんみたいになんの気兼ねもなくみんなと接せるわけじゃないですし。物珍しさで集まってくるのが嫌なんです」

 

これに関しては本当だ。実際、よくわからないときにテレビ関係の人が急に話しかけてきたリ写真を撮られたりしてるから嫌なんだ。

 

「ふーん。わかった。まあこれからも陛下やノーヴェと仲良くしてやってくれよ」

「わかりました」

 

「そーいや、この後はいつもの()()か。ん?ウェンディもやるんだっけ?」

「ま、二人におつきあいっス」

「アレ…?」

 

ウェンディさんはピースしながら答えている。

にしてもアレとはいったい…

 

ハッ、もしかしてヴィヴィオちゃんを愛でる会とかそんな感じのかな!?

 

『……』

「え?プライドさん?どちらに電話をおかけになっているんですか?」

『警察です。ここにロリコンの変態がいるって報告しないと』

「バカ!まじめにやめて!母さんやシグナム姉さんに殺される!」

『ロリコンとかは否定しないんですか…』

 

 

 

~ミッドチルダ中央市街地~

 

「あ!来た!」

「リオ!コロナ!おまたせー!」

 

と、活発そうで八重歯が特徴の子と、長めのツインテールでおとなしそうな子がいた。

 

「リオは三人とも初対面でコロナはユタさんと初対面だよね」

「うん」

 

「はじめまして!去年の学期末にヴィヴィオさんとお友達になりました。リオ・ウェズリーです!」

「同じく二人のお友達でコロナ・ティミルです。ヴィヴィオからユタさんが練習してくださるって聞いて楽しみでした!」

 

「ああ、ノーヴェ・ナカジマと」「その妹のウェンディっス♪」

「こちらこそよろしく。八神ユタです。色々とあって練習に参加することになりました」

 

「ウェンディさんは私の友達でノーヴェは私たちの先生!」

「「よ!お師匠様!」」

 

と、私とウェンディさんの声がきれいにハモる。

意外とウェンディさんと気が合うかも

 

「ヴィヴィオ!先生じゃないって!」

「先生だよねー?」「教えてもらってるもん」「先生ってうかがってます!」

 

あ、ノーヴェさん赤くなってる。ついでだから写真撮ってみました

 

「ちょ、ユタ!写真撮るな!」

「かわいいですよー♪お師匠様♪」

「あ!あとであたしにもくださいっス!」

「やめろーー!」

 

 

 

 

「でもやっぱり意外~。ヴィヴィオもコロナも文系のイメージだったんだけどなぁ。初めて会ったのも無限書庫だし」「文系だけどこっちも好きなの」「私は全然初心者(エクササイズ)レベルだしね」「ほんとー?」

 

「プライド、この二次元にしかないような光景の写真を撮ったら私ってどう見える?」

『変態、ロリコン、人間の屑などでしょうか』

 

ぐ、自分から聞いたとはいえなかなかダメージ大きい。

と、迷惑をかけるわけにもいかないので着替える。がなぜかヴィヴィオちゃんたち。特にリオって子からの視線が痛い。

 

「えーと、どうしたの?」

 

「あ、いえ。何でもないです」

 

『皆さん、この人めったなことでは傷つかないので思い切ってどうぞ』

「そーそー、練習する中になるんだから遠慮なく」

 

「そ、それでは…」

 

 

 

「「ユタさんってもしかして男ですか?」」

 

 

・ ・ ・

 

 

なんて?へ?私が男?なんで?

 

「リオっ!コロナ!ユタさんは女の子だよ!」

「え?でも顔立ちとか胸板とかいろいろ…」「リオ!聞こえるよ!」

 

ああ、そういうこと、顔とか胸とかむねとかムネとか胸当たりの脂肪の量とかから判断されたのかな?

『マスター、まな板レベルですもんね』

 

「あーはいはい、そうですよ。私はどうせ女の子らしさもないただのオタク系女子ですよ。顔立ちとかに関しては私を作った人に言ってほしいし。でも男の子と間違えるのはひどいよ…」

「あー、ユタさんごめんなさい!謝ります!謝りますから元気出してください!」

「そ、そーですよ。きっと大人になれば大きくなれますよ!…たぶん」

 

「今たぶんて言ったよね?!てことは希望はあんまりないってことだよね?!」

「あ!いやそういうわけじゃなくて!」

 

 

「お前らさっさと準備しろよ…」

 

と、ノーヴェの一言で(無理やり)立ち直ったユタだった。

 

 

 

 

「へー、なかなかやりますね。この子達」「すごいっス!」

「だろ?」

 

と、リオちゃんやコロナちゃんを見ながらノーヴェに感想を言う。

 

多分同じころの純粋なストライクアーツだったらこの子達のほうが上だったよ。

私のストライクアーツの型は避けて避けて受け流して相手の威力を利用してやり返すタイプだし。

多分純粋な打ち合いとかだったら負けるんじゃないかな?

 

と、そんなことを考えていると三人が笑いながら話している。

 

うん、もう今日の三次元のエネルギーはチャージできました。一週間はもつね

 

「さて、ヴィヴィオ。ぼちぼちやっか?」

「うん。さー出番だよ。クリス!」

 

と、ヴィヴィオちゃんがセットアップをする。

そして、二人が中央のスパーリング練習用のリングに向かう。すると人混みができてきた。

 

 

「やけに注目されてるね」「すっごい注目浴びてる!」

「二人の組手すごいからねー。リオやユタさんもびっくりしますよ!」

 

と、ノーヴェの左足での蹴りから始まったスパーは確かに小学生と救助隊の人がするとは思えないスパーが繰り広げられていた。

 

『マスター、体動かしたくなってすよね?』

「お、よくお分かりで。そうだねー、コロナちゃん、リオちゃん。もし二人のスパーを見なくても大丈夫ならこっちで私と簡単なゲームしようよ」

 

「「ゲーム?」」

 

「そ、ヴィヴィオちゃんともやったんだけどね。私に一発どこにでも入れることができたら可能な範囲でいうことを一つ聞いてあげよう♪もちろん二人がかりでOK」

 

お、目が輝いた。やっぱりなんでも一つ好きなお願いができるっていうのは魅力的なんだね。

 

「やるかい?」

「「やりますっ!」

 

「オーケイ、プライド。セットアップ」

 

と、光に包まれると例のハ〇レンのグリードみたいな外装になる

 

「…ユタさんってホントに女なんですか?」「リオっ!」

 

「あー、もういいよ。コロナちゃん。これでリオちゃんには手加減する必要がなくなったね」

 

 

 

 

「あれ?リオとコロナ、ユタとやってたんだ」

「ユタさん、すごい…二人がかりなのに全部避けるか受け流してる」

 

「うーん、だいぶカン戻ってきたかな。スタミナ消費も昨日とかと比べたらだいぶ落ち着いたし。って、二人とも大丈夫?」

「大丈夫です!」「まだまだやれます!」

 

ああー、いいこや。妹あたりにどっちかほしい。

 

「ほらほら、ヴィヴィオちゃんは一人であててくれたよ♪」

「ぐっ、がんばります!」「私も!」

 

『お二人とも、あくまで治療終わった直後のカンも戻っていない。しかもペース配分めちゃくちゃな状態のマスターにあてたってことなんです。そんな悔しがったりする必要あんまりないですよ」

「こら、なにばらしてるの」

 

と、プライドと話していた時も遠慮なく打ち込んでくる。

コロナちゃんは申し訳ないが非常に避けやすくそんなに神経を使うこともない。まあ集中しないとすぐあてられそうなのは確かだが。

一方リオちゃんは独特な拳法からか非常にやりづらい。片目だと厳しいかな?

けど、なぜこんなにも避けれるかというと

 

攻撃が単調すぎるんだよね。練習すれば強くなるとは思うんだけど

 

「うーん、おいユタ」

「なんですか?いまいろいろ分析してるのに」

「ちょっとだけこいつらにアドバイスいいか?」

「…いいですよ。どうぞどうぞ」

 

と、ノーヴェさんがリオとコロナをよび何かを言っている。

 

お、戻ってきた。

二人とも'やってやる!'って顔してるね。思わず写真撮っちゃいそう。

 

「さて、準備はOK?」

「「はい!」」

 

と、コロナちゃんが突撃して顔を狙――

 

「いっ!あぶなー」

 

うフリで足払いをしてくる。これをバックステップで避けるといつの間にか後ろに回り込んでいたリオちゃんが背中目がけて蹴りを入れてくる。

これを少し蹴りの軌道をずらして避ける。するとコロナちゃんが懐に潜り込んできており、ヴィヴィオちゃんほどではないが正確なラッシュをしてくる。

よけつつ、半分以上は受け流す。

 

「(リオちゃんはどこからくる!?)」

 

さりげなくまわりを見るも視界にはリオちゃんは入ってこない。

ここで、一度コロナちゃんを突き放し距離をとる。

すると、背中に気配を感じた。

思わずふりむくと既にリオちゃんが振りかぶった後だ。

 

けどこの間合いで大きく振りかぶっているなら受け流せる!

 

 

と、この時の私は思っていた。そうだよ、これ2on1だよ。コロナちゃんがいるよ。

 

 

「いっ」

 

はい、くらいましたよ。調子に乗ってましたよ。

注意力が散漫になっちゃった私はリオちゃんに腹に叩き込まれてコロナちゃんに背中を蹴られる形で中央に止まった。

 

 

 

 

「ノーヴェ、二人になんていったの?」

 

「ん、ああ。結構単純だよ。フェイントをガンガン混ぜて、味方、この場合はリオはコロナに、コロナはリオに打たせてやれるように考えながらやってみなって。もちろん自分で打ち取る気でいきながらね。あとは相手に合わさず自分たちのペースに巻き込んでやれって」

 

「ほえー」

 

と、感心していると、すっごい悔しそうなユタさんが戻ってきた。

 

「だぁぁ!やられた!」

「うちのチビども、なかなかやるだろ?」

「はい、まいりました。まさかアドバイス一つでこんなにも変わってくるとは」

 

「「ユタさん!」」

「あーはいはい。覚えてるよ。二人とも何をご希望ですか?」

 

「私は今度家にお邪魔させてください!ユタさんの家見てみたいです!」

「わ、私はサインを…」

 

うん、コロナちゃん?そんなことでいいの?サインならいくらでもあげるよ?

 

「ていうか、なんでリオちゃんはそんなに私の家に興味深々なの?」

「ユタさんの愛機が着替え室でこっそり教えてくれたからです!ユタさんの家の2階はすごいって!」

 

オイコラ、プライドさん?なに人の楽園を面白い場所って言いふらしちゃってんですか?

 

『これを機にマスターが片づけをしてくれないかと』

「絶対にしないよ!、あ、コロナちゃん。これでいいかな?」

「あ、はい!ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

「今日も楽しかったねー」「てゆーか、ビックリの連続だよ!」

「ウェンディ、悪ィ、チビ達送って行ってもらっていいか?」

「あ、了解っス。何か用事?」

「いや、救助隊。装備調整だって。じゃ、またな」

 

「「「「お疲れ様でしたー」」」」

 

 

 

「んで?リオちゃんはこの後直で私の家にくると?」

「はい!」

「言っとくけど荒したらその八重歯引っこ抜くからね?」

『大丈夫です、マスターにそんなことできません。いえ、リオさん。むしろ派手に』

「プライド?本気でお説教しようか?」

 

そんなこんなでヴィヴィオたちと別れた




原作があるからか
こっちのほうがめちゃ書きやすいっす

と、感想にもあったのですが
ユタとアインハルトに関してはもちろん決着なんかじゃないです。

アインハルトは勝ち方が納得いかずユタはアニメを見逃した恨みがあります(笑)


と、なんかまた変なこと言いそうなのでここらへんで

読んでいただきありがとうございました


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4話

インフルエンザの治療も終わって学校にも行かないといけなくなって

なかなか自由に書けなくなりました…
けど、時間を見つけてちまちま書いていきます~


リリカルなのはの映画見たい…



それではどうぞ!


「うわー、ここがユタさんの家ですか!そこそこ大きい…」

「うん、母さんが学校に通うのにも便利やろってノリで買ってくれたんだけど。すっごい使いやすい」

 

今はリオちゃんを連れて一人暮らし用の家まで来ていた。場所は学院から徒歩15分くらい

まだ6時を過ぎたあたりだが時間的には小学生が出歩いていては危ないのでリオちゃんの親には私が全責任を持って自宅まで送り届けると親に伝えてもらった

 

「さ、どうぞ。早く終わらせよう」

「おっ邪魔しまーす!」

 

と、中に招き入れる。

 

「あれ?意外と普通…」

 

と、驚かれる。そりゃそうだ。一階はどこにでもあるような生活スペースだもん。

母さんやヴィータさんなんかを招待することもあるし。

 

「リオちゃんがプライドに聞いたのは二階の方でしょ?こっちこっち」

 

と、二階に案内する。すると階段の時点ですでに驚かれていた。

 

そりゃそうだ。階段の壁やら天井やらにはもうすでにポスターやフィギュアなんかが邪魔にならないくらいで満載なんだから。

 

「これ…全部集めたんですか?」

「そうだよー。すごいでしょ」

『すごいというかバカですよね。そんなだから食費とかがちょくちょくやばいことになってるんですよ』

「プライド、家庭の事情をバラさない」

うん?ていうかリオちゃんはなんで目を光らせながら見てるの?あれかな?可愛いもの好きとかそういう感じだよね?

 

「廊下まであるんですね……。どれも可愛かったりかっこいいです!」

「そりゃどうもありがとう。私が作ったやつじゃないけど」

 

まだここら辺はみんな見てすごいと思うスペースだ。

最後の部屋に入った時の顔が見ものだ。

 

「んでこっちが私の寝室」

「廊下よりすごいですね…」

「ふふーん、でしょ?」

 

もちろん寝室とはいえどカスタマイズしてますよ。

床のカーペットとかテレビの周りとかベッドとかもね。

 

「こっちがフィギュア専用」

「…」

 

お、とうとう言葉も出なくなったね。まだ最後のとっておきがあるのに

 

「はい。ここが最後の部屋。気持ちの準備はいい?」

「は、はい…」

 

 

「どーぞー」

「え!?なんですか?ここ!」

 

はい、恥じらいの顔いただきました。

いいねー。恥じらいの顔コレクション増えたよ。

 

なんでリオちゃんが恥ずかしがってるかって?

だってこの部屋は

 

 

抱き枕専用部屋だもん。

 

 

R18ぎりぎり入らないような代物ばかりです。女の子キャラクターの。

 

「も、もう大丈夫です!」

「えー見たいって言ったのリオちゃんでしょ?もっと見ていきなよ。何なら抱き着いてみたら?」

「いえ!いけない何かに目覚めそうなので遠慮します!」

 

ちなみに、ここに入ったとき恥じらい顔をしてくれたのは

 

シグナム姉さん、ヴィータさん、同じクラスの子何人か、フェイトさん、リインさん。

ちなみに最初の被害者はフェイトさん。

 

いい反応してくれて面白かったよ。

(そのあと事情をしったなのはさんに'お話し'されたのは内緒。地獄の一部を見た気持だったなぁ)

 

ちなみに、母さんも見たことあるけどその場のノリで抱きついてくれましたよ。何のためらいもなしに。

 

「うー、後悔した…」

「プライドの言葉を信じるのが悪いよ」

「まあそれもそうですがー」

「お詫びも兼ねてご飯でも作ってあげるから元気出しなよー」

「本当ですか!」

 

復活早っ

 

「まあ、少しだけ時間頂戴な。ささっと作るから。暇なら私が出てた時の試合映像やテレビなんかを自由に見てて」

「はーい!」

 

 

 

 

「あー、おいしかったです~♪」

「そりゃどうも。あー、今後の食費足りるかな…」

『調子に乗って冷蔵庫の中の三分の二も使うなんてバカですよね』

 

しょうがないじゃん、あんなにおいしそうに食べてくれる子にお代わり!って言われたら作るしかないでしょ。

 

「あ、私の家はここです!送っていただいてありがとうございます!」

「いえいえー、それじゃまた学校で」

「はい!さようなら!」

「さいならー」

『さようなら、リオさん。次来たときはぜひ派手にぶっとばしてください」

「よし、プライド。帰ってから話し合おうか」

 

と、そんな感じで別れた。

 

 

まさかノーヴェさんが例の覇王サマに襲われているとはだれが思うだろうか。

 

 

 

~翌日 学校~

 

「…アインハルトさん休みじゃん。こないだのことで一発顔面ぶち込んでやろうと思ったのに」

『逆にやり返されて保健室送りにされる未来しか見えません』

 

そう、アインハルトが休みなのだ。授業初日なのに珍しい。

 

「まあ、一応アインハルトの分まで含めたノートとか取っておきますか」

『え、マスターどうしました?風邪でも引いてます⁉︎それなら早く病院へ!』

「相変わらずのひどい対応をありがとう」

 

 

 

 

「新しい練習相手?」

『そうらしいです。ノーヴェから聞いただけなんですが」

「よかったじゃん。また仲間が増えそうで」

 

またどんなピュアな子がくるんだろう。いろいろと楽しみになってきた

『マスター、その考えをもったので通報しても?」

「いや!まっていろいろとひどすぎる!」

 

『ノーヴェは放課後に来てくれって言ってました』

「オーケー、じゃ校門の前にいて。終わったら行くから」

『わかりました』

「あ、それとヴィヴィオちゃん」

『はい?』

「コロナちゃんにね、サイン以外のことでお願いがないか聞いといてもらえないかな?さすがに頑張ってくれたのにサインだけってのは」

『わかりました!伝えておきます!』

 

 

と、そんなことを話していると隣の席にアインハルトが来た。

おくれてきたってことは病院でも言ってたのかな?

 

「や、アインハルトさん」

「おはようございます。ユタさん」

 

ん?なんか違和感があるぞ。なんでこの方は驚かないんだ?

眼帯あるとはいえ、襲った相手が私ってわからないものかな?

 

『マスター、眼帯を取ってみればわかるんじゃないんですか?』

「いや、そうかもしれないけど…なんかヤダ」

 

 

「アインハルトさん、出れてなかった授業分のノート」

「あっ、わざわざありがとうございます」

「ところでアインハルトさん」

「はい?」

 

「一昨日の夜さ、何やってた?」

 

と、この一言でわずかだがアインハルトが警戒するのが分かった。

 

「その日は家でトレーニングと勉強です」

 

「そう?夜に喧嘩とかしてなかった?」

 

「していません」

 

「ふーん」

『アインハルトさん、すいません。マスター頭のねじがどこか数本外れているので気にしないでください」

「おいこら、どこか数本じゃない、一本くらいしか外れてないよ」

「一本でもまずいのでは…」

 

 

 

 

 

 

 

「二人ともせっかくの休暇だろ?別にこっちに付き合わなくてもいーのに」

「あははー」

「アインハルトのことも気になるしね」「そうそう」

「まあ、それはありがたくもあるけど。問題はさ。なんでお前らまで揃ってんのかっていうことだ!呼んだのチンク姉だけだぞ!」

 

あるカフェにはノーヴェ、スバル、ティアナ。そしてナカジマ家のほぼ全員がそろっていた。

双子にチンクにディエチ、ウェンディがいた。

「えー、別にいいじゃないっスか」「時代を超えた覇王と聖王の出逢いなんてロマンチックだよ」

「陛下の身に危険が迫ることがあったら困りますし」「護衛としては当然」

「すまんなノーヴェ。姉も一応止めたのだが」

 

「うう。あと、一応言っとくとアインハルトの方はもう聖王とあってるからな」

「「「「え?!」」」」

「八神ユタ。八神さん家の一人娘だって。養子縁組だけど。それと、見学自体はかまわねーけど、余計な茶々はいれるなよ?ヴィヴィオもアインハルトもお前らとちがって繊細なんだから」

「「「「はーい!」」」」

 

「ノーヴェ!みんな!あれれ?スバルさんとティアナさんまで!」

「「こんにちはー!」」

「え…人多くない?」

 

と、そこにヴィヴィオとリオ、コロナ、ユタがきた。

 

「あー、やかましくて悪いな」「ううん!全然!」

 

「さっき言ってた八神ユタってのがこの子。ヴィヴィオと同じ聖王オリヴィエのクローンらしい」

「あー!こないだノーヴェが言ってた子か!」「私たちは前に教会で見たわね」

 

「どうも、八神ユタです。ノーヴェさんとティアナさんとスバルさんとウェンディさんには二日ほど前にもお世話になりました」

『マスターのデバイスのプライドといいます。四人とも、数日前はありがとうございました』

 

と、挨拶をすると四人は気にしないでー、とほかの双子やディエチさんなんかには驚かれた。

まあ、数日前にお世話になったってことはほぼ確定でノーヴェとウェンディが救助隊として行ったことくらいだ。

初等科組も驚いている。

 

…はい、説明するのを忘れておりました。なのはさんや母さんにまたなんか言われそうだな…。

 

「そういえばノーヴェ、紹介してくれる子って?」

「さっき連絡あったからもうすぐ来るよ」

「何歳くらいの子?流派は?」

「お前の学校の中等科の一年生。流派は……まあ旧ベルカ式の古流武術だな」

「へー!」

 

ん?なんかいろいろとこれから来る子に心当たりがあるんだけど。

 

「あとは、あれだ。お前やユタと同じ虹彩異色」

「ほんとー!?」

「ねえ、ノーヴェさん。その人って私と会ったことある人?」

「お、ユタは察しがいいな。たぶんお前の考えている相手で合ってるよ」

 

…どうしよう。なんかすごい顔合わせづらい。

『襲われているからですか?』

「それもあるけどねー」

 

もう、心をよんでくることに関しては突っ込まない。

 

「失礼します。ノーヴェさん。みなさん。アインハルト・ストラトス。参りました」

 

と、すっごい礼儀ただしい挨拶してきたのは、予想通り。同じクラスのアインハルトだ。

あれ?ヴィヴィオちゃん。すっごい目を輝かせてない?

 

「すいません、遅くなりました」

「いやいや、遅かねーよ。で、アインハルト。こいつらが例の」

 

「えと…はじめまして!ミッド式のストライクアーツをやってます。高町ヴィヴィオです!」

 

「(この子が―――)()()()()()()()アインハルト・ストラトスです。(小さな手、脆そうな体。だけどこの(ロート)(グリューン)の鮮やかな瞳は、間違うはずもない聖王女の証)」

 

「「アインハルト…さん?」」

 

と、私とヴィヴィオちゃんの声が重なる。

 

「――ああ、失礼しました」

「いえいえ。あと、こちらが」

「お気づきの通り君のクラスメイトの八神ユタ。ちなみに君が二日前に喧嘩して勝った相手は私だよ」

 

と、少し眼帯をずらし特有の虹彩異色を見せる。

すると、驚きと急に闘志がわきあがったのがわかる。

 

「まあ、三人とも格闘技者同士。ごちゃごちゃ話すより手合せでもしたほうが早いだろ。場所は抑えてあるからさっそく行こうぜ」

 

 

 

 

 

「(ねえ、プライド。アニメの恨み今すぐ晴らしてもいいよね?)」

『あほですか、馬鹿ですか。能無しですか』

「(ひどい言われようだけど我慢できる気がしない)」

『その場合はもれなく私からの警察とシグナムさんとはやてさんへの連絡がついてきますよ』

「(あ、はい、我慢します)」

 

~区民センター内 スポーツコート~

 

最初にやるのはアインハルトとヴィヴィオちゃんだ。

私はこの後にやるかやらないかは決める、といったがたぶんやることにはなる。

 

にしても、ヴィヴィオちゃんすっごい嬉しそう。

 

「じゃあ、あの。アインハルトさん!よろしくお願いします!」

「――はい」

 

 

 

 

 

(覇王の血は歴史の中で薄れてはいますが、時折その血が色濃く蘇ることがあります。碧銀の髪やこの色彩の虹彩異色。覇王の身体資質と覇王流(カイザーアーツ)。それらと一緒に少しの記憶もこの体は受け継いでいます。私の記憶にいる「彼」の悲願なんです。天地に覇をもって和を成せる、そんな『王』であること。

弱かったせいで、強くなかったせいで、()()()()()()()()()()()……守れなかったから。そんな数百年分の後悔が…私の中にあるんです。

だけど、この世界にはぶつける相手がもういない。救うべき相手も守るべき国も世界も……!)

 

(―――いるよ。お前の拳を受け止めてくれる奴らがちゃんといる)

 

 

 

 

 

「(本当に?この子やユタさんが覇王の拳を、覇王の悲願を受け止めてくれる――?)」

 

と、アインハルトの足元に魔方陣が展開される。

 

「んじゃ、スパーリング4分1ラウンド。射砲撃とバインドはなしの格闘オンリーな。レディー ゴー!」

 

 

 

 

「わー、改めてみると二人ともすごいねえ」『そうですねー。マスターはあんな打ち合いできませんもんね』

 

二人とも変身してないのにだいぶ強い。

ヴィヴィオちゃんなんか私とやった時よりうまくなってる。飲み込みが早いのかな?

 

「ヴィ…ヴィヴィオって変身前でも結構強い?」

「練習がんばってるからねー」

 

と、スバルさんとティアナさんがおんなじような感想を言っている

 

あ、ヴィヴィオちゃんぶっ飛ばされた。そして双子さん。ナイスキャッチ。

 

「お手合わせ、ありがとうございました」

 

と、アインハルトはあろうことか勝手に試合を終わりにした。

ヴィヴィオちゃんは焦ってアインハルトに近づいた。

それもそうだ、怒らせたんじゃないかって誰でも思うわな。

 

「あの…あのっ…‼すみません、私なにか失礼を……?」

「いいえ」

「じゃ、じゃあ、あの。私……弱すぎました?」

 

「いえ、()()()()()()()()()でしたら十分すぎるほどに。申し訳ありません、私の身勝手です」

 

よし、アインハルトは徹底的にぶちのめそう。今決めた。一発顔面にぶち込むくらいにしようと思ってたけどやめた。

 

「あのっ!すみません…今のスパーが不真面目に感じたなら謝ります!今度はもっと真剣にやります。だからもう一度やらせてもらえませんか?今日じゃなくてもいいです!明日でも…来週でも!」

 

「あー、じゃあまた来週やっか?今度はスパーじゃなくてちゃんとした練習試合でさ」

 

「そりゃいいッスねえ」「二人の試合楽しみだ」「はいっ!」

 

「―――わかりました。時間と場所はお任せします」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

「よし、次は私か。いっちょぼこぼこにしますか」

『できもしないことを…どうせまた相手のパワー頼りでしょう?』

「そんな辛辣なことをいわないで…」

 

と、今度は私がアインハルトと向かい合う。

悪いけど、今回は圧勝する気持ちでいこう。気持ちで。

悪いが、試合した相手を侮辱するやつはぶちのめすと決めているんだ。

 

 

あのチャンピオンみたいなやつは。

 

 

「んじゃ、ルールはさっきと同じで4分1ラウンド。射砲撃とバインドはなしな」

「オッケーです」「私もいつでも大丈夫です」

 

「そんじゃ、レディー ゴー!」




どうでしたか?

次の話はいきなりユタvsアインハルトから始まります。
戦闘描写は苦手なのでうまくかけるよう頑張ります


あと、二人がかりの攻撃をかわすって、強さの底がしれない

という感想があったのですが、
よける訓練に関してはシグナムやヴィータが鍛えまくってくれた賜物なので

弱いはずがない!



読んでくださりありがとうございます


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5話

今日は入試日なので休みで思いっきりかけました

勉強?んなものシラネ
(ちゃんとやっております)

友達の家でバイオハザード7をVRプレイを死んだら交代ってルールでやってたのですが


もうやりたくなくなった…



最近前書きに書くこともなくなってきました。


それではどうぞ


スパーが始まると同時に私はアインハルトから距離を取り眼帯も外す。理由は体が格闘技に向いていないっていうのもありたぶん両目じゃないとアインハルトの早いステップに対応しづらいからだ。

 

スピードや技術なんかは努力で積み上げれるが体の頑丈さなんかはどうにもならない

筋力もつきにくかったし。

 

 

あとは相手の動きを見やすいっていうのもある。

 

そして、自分が近距離戦をやるとなった場合どういった風に戦うのが一番いいかって考えた結果

 

ひたすら避けて避けて避けて受け流して、相手の必殺の攻撃の威力を利用したカウンター。それが私の型だ。

周りにはこのスタイルをするにはキツイ、と言われていたが私は体が頑丈じゃない代わりに目が周りより数倍よかった。

 

 

 

 

だから、シグナム姉さんやヴィータさんとやった避ける特訓も(死に物狂いだが)なんとかこなせた。

 

 

 

と、私情はここら辺にしとこう。

 

アインハルトは二日前の時のように独特の歩法で一瞬で距離を詰めてくる。

そして、同じように顔、腹、肩など様々な部位を狙ってラッシュをしてくる。

 

それをひたすら避ける。二回目だからかだいぶ動きはわかる。

あとは目のリハビリのおかげなのかね。だいぶ二年前くらいまでの視力に戻ってきたと思う。

 

プライドが治癒促進をしっかりと寝てる間にかけてくれたのもあったりして。

 

 

今回も一撃も受けないよう注意はしているが二日前にやりあった時とは一つだけ違うよけ方をしていた。

それは

 

「がっ!」

 

「はい、一本。まだ終わりじゃないでしょ?」

 

避けるのが大雑把になっているからスキが多いってことだ。

けど、逆に言えばそれだけ相手の攻撃を利用しやすいってことでもある。

 

今は腹めがけて強打をしてきたからそれを()()よけながら膝蹴りをアインハルトの腹にかました。

自分の筋力は正直言って中の下くらいだが、相手がこっちに向かってくる力と自分が相手に向かう力の両方を使えればかなり大きい力として使える

 

たとえるなら車が一方的に突っ込んでもスピードや馬力によるがそんなに壊れることはないが二台の車が正面衝突したときは一台の時よりも被害が深刻になる

あとは、マラソンの時に追い風があるとタイムが縮む、などなど。

 

 

「よっと」

「っ!」

 

今度は蹴りをご丁寧に顔を狙ってくれたので顔をそらして避けつつその足を持って床にたたきつける。

 

「二本目。覇王サマ、もう終わり?」

 

「っ、まだです!」

 

と始まった時より荒く強いラッシュが来る、がそれは愚策でしかなかった。いや、本人は自覚してないんだろうけど

焦ったのかな?

 

「はあっ!」

「どうしたのかな?さっきより精度が落ちてるよ?」

 

と、挑発をしてみるとさらに怒ったようで大ぶりの右ストレートを顔めがけて打ち込んでくる。

まあ、そんな隙だらけの威力を利用しないわけもなく

 

「ぐっ!」

「はい、三本目。そしてちょうど試合終了かな?」

 

一本目と同じように前によけながら顔にカウンターをかました

 

「そこまで!」

 

はい、ジャスト四分。いい時間配分だったかな?

アインハルトは…信じられないといった顔で倒れていた。

そこに近づき耳元で周りに聞こえないくらいの声で

 

「別にショックを受ける必要はないよ。()()()()()()()()()ならアインハルトは十分すぎるほど強い」

 

と、ヴィヴィオちゃんに言い放っていた言葉をそのまま言ってやった。

自分がどんなことをしたかをしるなんて実際に身をもって体験するのが一番いい。

実際、いい具合にショックを受けている顔になっている。

 

「君が言った言葉がどういったものかをしっかりとその身に刻むんだね。キミがどういった思いを持っているかは知らないけど真面目な相手を侮辱するようなヒトの気持ちを受け入れるなんてそんな心の器は大きくないよ」

 

と、立ち上がり見学者たちのもとに戻る。

 

「あ、そうそう。私の戦闘スタイルは魔法がメインだよ。格闘技術は弱点を補うために身に着けたに過ぎないものだよ」

『マスター、そこで更に追い打ちをかけますか…』

「うん、だってアニメの恨みと侮辱したことによる制裁も兼ねてるし」

『最初の一つがなければ立派だったんですがねぇ』

 

はっはっは。何を言っているんだねプライドさん。私が今までに立派じゃなかったことがおありだろうか。いやな『腐るほどありますからご心配なく』……さすがに今のは心に深い傷になったよ。

 

 

そして、そのあとは初等科組に双子、ディエチさん、ウェンディさん、チンクさんが。中等科組にはスバルさん、ノーヴェさん、ティアナさんが送迎者として別れた。

 

「(悪ぃ、ヴィヴィオ。気を悪くしないでやってくれ)」

「(全然!私の方が「ごめんなさい」だから)」

 

 

 

 

 

 

今はティアナさんに誘われて五人で外食中だ。

席が大人組と中等科組に分かれている

つまりは、アインハルトと隣同士なのだ。すっごい気まずい。

 

「いやー、すごかったねえ。ユタちゃんもアインハルトもヴィヴィオちゃんも」

「そうだね。ユタになんかびっくりしたよ。ほんとに一年も現役退いてたの?」

「現役を退いてても染み付いた技術はそう簡単にはおちねえだろ」

 

と、大人三人組は感想を述べている。

 

「ところでユタ」

「はい、なんです?」

「スパーの後、アインハルトに何を言ってたんだ?」

「別に、特別なことは何も。ただ自分がやられて嫌なことはやるなっていうのを伝えただけです」

 

『嘘ですよ、思いっきり心をえぐることを言ってました』

 

…おいこら。何バラしてんの。三人にジト目で見られたじゃない。

 

「私は大丈夫です…」

「え?あれじゃ足りなかった?もっとやった方がよかった?」

『――—あ、はやてさんですか?今は大丈夫で?あ、大丈夫ですか。それならついでにシグナムさんも呼べますか?あ、ほんとですか。ありがとうございます。実は言いたいことがあって』

「すんませんでしたぁ!もうやりません!」

 

と、たぶん土下座の教科書にありそうな完璧な後ろジャンピング土下座をかました。

 

『嘘ですよ、マスター。恥ずかしいのでやめてください』

 

やらせるよう仕向けたのはお前でしょ。

 

「あはは、ところでさ。ユタのデバイスってなんでそんな独特なの?」

「え?これですか?」

 

と、話を変えた方がいいと思ったのかティアナさんがデバイスの形に話を振ってくれた。

 

「あー、これは完全なアニメの影響です。名前も」

「へえ、どんなアニメ?」

「地球の○の錬金術師ってアニメです。一番好きなアニメですね」

 

と、ティアナさんたちにキャラクターや六等星を囲ったウロボロスの紋章の画像を見せる。

 

と、アインハルトも含めた四人とも驚きの顔で見ていた。

 

「プライドっていうのは傲慢の欲を現したで敵キャラのプライドがめちゃくちゃ好きで。名前はそこから。紋章はかっこいいからこれにしただけです。紋章の意味は永遠や不老不死、再生と死なんかの意味がありますね」

 

「へー、ってことはプライド君は治癒特化の性能かな?」

 

「ご名答です。ティアナさん。私はクラッシュしてしまったら動きが鈍ります。私のスタイル上致命的になるのでライフ回復はせずにクラッシュだけは即時回復するようにしてますね。クラッシュの程度によってはしないこともありますが。それはプライドの采配次第です」

 

とこんなたわいもない話をしていた。

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました」

「ありがとうございました」

 

と、おごってくださった三人にお礼をした。

 

「また明日連絡すっから」「アインハルト、何か困ったことがあればいつでもあたしたちにね」

「じゃあ、車で送ってくるから」

「うん」

 

と、ティアナさんがアインハルトを送っていった。

 

 

「ねーノーヴェ。アインハルトのことも心配だけどさ。ヴィヴィオ今日のことショック受けたりしてないかな?」

「そりゃまあ多少はしてんだろうけど。さっきメールが来てたよ。やっぱり私の修行仲間はそんなにヤワじゃねー。今からもう来週目指して特訓してるってよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?言い残したことはないか?ユタ」

 

「い、いえ…いろいろとあります…」

 

「ほう、では言ってみろ」

 

「…それ以上私に殺気を送るならシグナム姉さんの恥じらいの写真をばらまきます」

 

「よし、遺言は言ったな。じゃあ覚悟しろ!」

 

「いやですよ!」

 

翌日、母さんの家の方にご飯を作りに行くと、家に到着した瞬間にシグナム姉さんと母さんに首根っこをつかまれ砂浜の上で正座させられた。

めちゃくちゃ痛いし熱い。

 

その理由としては…

 

リオちゃんの恥じらいの写真を撮ったことです。

プライドが告げ口してたのだ。

 

「いいですよ!かかってきてください!逃げ切って見せますので!」

 

「ほう、それならザフィーラやヴィータも呼んでこようか」

 

WHAT?この方はいま余命宣告したよね?

 

「またユタにストレス発散できるのか?いいよ、やるよ」

「気が進まんがいいだろう」

 

・・・・よし、こうなりゃこっちも本気で逃げ切ってやる。

予想としては、長くて三十秒くらいかな。

 

 

 

そして、わずかな間の鬼ごっこ(一方的な惨殺)が開始された。

 

 

 

 

「あはは、ユタもあいかわらずやなー」

「笑い事じゃないよ…手加減してくれたのがザフィーラだけって…。シグナム姉さんに至っては本気で殺してやるって目で来てたし…。ヴィータさんもヴィータさんで容赦ないし…。母さんは助けてくれなかったし」

「そら、逃げへんよう見張っとくようシグナムに頼まれたからなぁ」

 

今は料理中だ。リクエストもあってフグ料理だ。

免許?そんなもの必要ない。

 

あ、いや無免許で捌くんじゃなくて免許のいらない無毒のフグだよ。

 

シロサバフグ、だったかな。

 

「ふん、これに懲りたらもうやらないことだ」

 

「いやですよ!あの恥じらい顔のコレクションはつづけます!というかあれくらいで恥じらう方が悪い!」

 

「はなせ!ザフィーラ!はやて!こいつを切り刻まないといけない!」

 

と、シグナムさんが無理やり抑えられている。

怖い

 

顔が怖い。マジで殺してやるみたいな顔だ。

 

「いつもこんなに賑やかなんですか…」

「いや、今回は特別だ。ユタがいるからうるさいだけだ」

 

と、知らない子がヴィータさんと話していた。

ピンクの髪で短髪。中性的な顔立ちでおどおどしている。

見た目的に初等科5年くらいかな?

 

「ミウラ、こいつの脳天を遠慮なく蹴り砕け」

「ええっ!」

「この鬼!悪魔!戦闘狂!」

「よし、遺言は言ったな?」

 

だぁぁ!料理中に首狙うのはやめて!

 

 

 

 

 

「えーと、ミウラ・リナルディです。一年位前からここに八神道場にお世話になってます」

「あ、どうも。八神ユタです。このたぬ…じゃなくて八神はやての一人娘。養子縁組だけどね」

「あ、きいたことあります。シグナムさんや師匠が鍛えてたって。インターミドルも都市本戦2位まで上り詰めれたって」

「うん、けど事故があっていったん現役は一旦退いたけどね」

「へー」

「ミウラってさ…何歳?」

「12歳ですよ」

「あー、マジか…」

 

どうしよう、成長が乏しいと思われるミウラにですら(胸が)負けた。

 

閑話休題

 

今は八神一家とミウラでフグ鍋を囲っていた。

 

「で、ミウラも八神道場にお世話になってるって?」

「はい!見てたらはやてさんに誘われて!やってからは自分に自信も持てるようになっていいことばかりです!」

「…シグナム姉さんとかは殺しに来たりしてない?」

「え?シグナムさん。すごい親切に教えてくれますよ!」

 

・・・あの人外め・・・

と、そんな話をしている間にもみんなの箸は進む進む。

 

「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」

 

はい、皆様完食ありがとうございます。

 

 

「で?お前は今から特訓か?」

「うん、シグナム姉さん。()()()()()()お願い」

 

と、シグナム姉さんと外の砂浜に行く。

 

「まあ、努力はしてやる」

「信じますよ…。じゃあ二年前みたいにまずは避ける特訓からで」

 

 

だが、この数秒後にきれいに裏切ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ヴィヴィオとアインハルトの約束の日 アラル港湾埠頭 廃棄倉庫区画 13:20~

 

試合時間十分前。

 

ここには一週間前と同じメンバーがそろっていた。

 

「お待たせしました。アインハルト・ストラトス。参りました」

「来ていただいてありがとうございます。アインハルトさん」

 

「ここな、救助隊の訓練でも使わせてもらってる場所なんだ。廃倉庫だし許可も取ってあるから安心して全力を出していいぞ」

 

「うん、最初から全力でいきます。セイクリッド・ハート。セット・アップ!」

 

 

お、ヴィヴィオちゃんが大人モードになった。

 

「――武装形態」

 

あ、アインハルトも大人モードになった。

 

「今回も魔法は無しの格闘オンリー。一本勝負。それじゃあ試合―――開始!」

 

と、その声で二人がぶつかる。

 

「(きれいな構え。油断も甘さもない。いい師匠や仲間に囲まれて、この子はきっと格闘技を楽しんでいる。私とはきっと何もかもが違うし、覇王()(いたみ)を向けていい相手じゃない)」

 

「(すごい威圧感。いったいどれくらいどんな風に鍛えてきたんだろう。勝てるなんて思わない。だからこそ一撃ずつ伝えなきゃ。「この間はごめんなさい」と――)」

 

 

今回はアインハルトから仕掛けた。それをヴィヴィオちゃんは受け止める。がさらにアインハルトは追撃する。

それをよけながらヴィヴィオちゃんは腹にカウンターをヒットさせた

そしてそのまま追撃をする。

 

そこからは打ち合いだった。が

 

「おお、いいカウンター」

 

ヴィヴィオちゃんが顔にきれいなカウンターをヒットさせた。

 

「(この子はどうして、こんなに一生懸命に――?師匠が組んだ試合だから?友達が見てるから?)」

 

「(大好きで大切で、守りたい人がいる。小さな私に強さと勇気を教えてくれた。世界中の誰より幸せにしてくれた。強くなるって約束した。強くなるんだ)あああぁっ!(どこまでだって‼)」

 

と、渾身の一撃がアインハルトのガードの上から入れた。

 

 

「覇王 断空拳!」

 

それを受け止めアインハルトがカウンターをした。

それでそのまま吹っ飛ばされた。

 

「――一本!そこまで!」

「陛下!」「ヴィヴィオっ!」

 

 

ヴィヴィオちゃんは吹っ飛ばされた衝撃で気絶していて双子のうちのディードさんに膝枕されている。

 

そのそばではいろんな人が心配している。

と、突然アインハルトがふらついた。

そしてティアナさんの胸、スバルさんの胸と順番に寄り掛かった。

 

うらやま……じゃなくてけしからん。

 

「ラストに一発カウンターがかすってたろ。時間差で効いてきたか」

 

 

 

 

「――で、ヴィヴィオはどうだった?」

「私が前に言ったこと理解してくれた?」

 

と私とノーヴェさんの声が重なる。

 

「彼女には謝らないといけません。先週は失礼なことをいってしまいました―――訂正しますと」

 

「そうしてやってくれ。きっと喜ぶ」

「うん、それでよし。あ、私はいつでも勝負を受けるから次受けるときは本気でやってあげるよ。魔法も含めた本気の勝負をね」

 

 

「(彼女たちは覇王(わたし)が会いたかった聖王女じゃない。だけど()()()はこの人たちとまた戦えたらと思っている)初めまして、ヴィヴィオさん。そしてユタさん。アインハルト・ストラトスです」

 

「「それ、起きてるときにいってやれよ(あげなよ)」」

 

「……恥ずかしいので嫌です。どこかゆっくり休める場所に運んであげましょう。私が背負います」

「「はい!」」

 

 

 

聖王のクローンである高町ヴィヴィオと八神ユタ。覇王の子孫であるアインハルト・ストラトスはこうして出逢った。

 

これが彼女たちの鮮烈(ヴィヴィッド)な物語の始まりの始まりになる―――




どうでしたか?
あんまりへんな意味不明なバトルになりそうだったので簡潔にしてみました。

今回ので原作1巻目が終わりました。

これからもがんばりますよー!


読んでいただきありがとうございます


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6話

すいません。
ミウラの年齢が13になっていました

12歳に戻しておきました。


中1は13のイメージがあったので勘違いしておりました。すいません

そういえば、お気に入りしてくれた方が60人超えてて驚きました……ありがとうございます!
目指せ!100人!w


それでは本編どうぞ


あれ?ここはどこだ。

 

私は何をしている?戦争?なんだ、目の前の虹彩異色の男が何か言っている。

ゆりかご?

自我すらなくなる?

 

私は何を言っている?

世界から戦火をなくすために命を使う?

 

おかしい。

 

なのになんで私は今世界を焼き尽くしている?

なんで私は泣いている?

 

 

 

あれ?別の光景になった。

 

 

 

 

(じゃあジークさんにとっては私は本気を出す価値すらない相手だったんですか!)

 

(違う!ウチはそんなこと……)

 

(ならなんで本気でやるなんて言っておいてあんな……)

 

(ユタ!よしなさい!傷口が……)

 

………2年前のだ。またこれか。

 

ていうことは、これは……

 

 

 

 

 

 

 

 

「………夢か」

 

『マスター?酷くうなされてましたが大丈夫ですか?』

 

気づくと私はいつもの部屋のベットにいた。

一人暮らし用の、グッズに溢れた。

それを見てとてつもなく安堵した。

 

………二つ目に見た夢はわかるが一つ目はなんだろう。

ゆりかご……?ゆりかごって確か……

 

 

『マスター、物思いにふけっているところ悪いのですが。今日も試験では?』

「あ!そうだった!」

 

時計を見ると学校まで30分しかない。

しくじった。復習とかする時間ないじゃん!

 

『あ、そういえばノーヴェさんと高町なのはさんからメールが来ておりますので試験後にでもご確認を』

 

「りょーかい。よし準備完了!あとはご飯食べてからダッシュするだけ!」

 

『怪我しないようお気をつけて』

 

 

 

 

 

 

 

「…………終わった。」

 

今日のテストは惨敗だ……。なんか夢のせいで体調悪いわ色々と忘れてるわで散々だった。

 

「こんなんだと学年主席とか取れるわけない……」

『ドンマイです、マスター。気を落とさず』

 

「あの…」

 

ん?誰だろ。声的に………

 

「アインハルト、どしたの?」

 

「いえ…お願いがありまして…」

 

「お願い?」

 

 

「私と……本気で戦ってくれませんか?」

 

 

え、はやっ。こないだのスパーで圧倒できたからしばらく来ないもんだと思ってたけど。

 

「あーいいけど、どこで?」

「それは、合宿先で、です」

「合宿?」

 

はて?合宿とは?

 

『マスター、メールみました?』

「あ……ちょっとアインハルト待ってて」

「はい」

 

慌ててメールを確認すると両方とも試験後の休みをフルに使って合宿をするから参加しないか、というものだった。

 

「うーん、試験休みは予定が…」

『ありませんよね?』

 

クソッ、先に念を押された。

 

「いや、でもー」

『あ、シグナムさんからもメールですよ。休みの四日間使って地獄の特訓会をー』

「よし、行くってなのはさんたちに返信して」

 

流石に自ら死地に飛び込む勇気はない。

 

「と、ごめんね。アインハルト。で、試合だっけ?」

 

「はい。魔法を含めた全力のあなたに、どれだけ私の力を通用させれるかを知りたいんです」

 

「うーん、私はそんな重いものを試合に持ち込むのは好きじゃないんだけど……まあいいか。いいよ。やる時間帯とかはそっちで決めて」

 

「わかりました」

 

「あ、あともう一つ」

 

「はい?」

 

「スパーした日、私の言ったことを謝ってなかったよね。ごめん。アインハルトも真剣に努力してたのに」

 

「あ、そのことでしたらもう気にしてませんので」

 

あー、よかった。そのことを謝る機会がなかったから心残りだったんだ。

ヴィヴィオちゃんとの再戦した日?忘れておりましたよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?どうやった?試験は」

 

「最終日にやった教科以外は満点に近かったよ。赤点もなし」

 

「おお、よかったなぁ。これで思い切って合宿に行けるなぁ」

 

「そうだね。シグナム姉さんとの地獄にならなくてよかったよ……」

 

今は母さんの家の方で試験の報告会をやってる。このあとすぐ一人暮らし用の家に戻って合宿の準備もするのだが。

 

「学年主席と都市本戦優勝以上をとってくれたら私も心配せんでいいんやけどな〜」

「ぐ…次こそはとるよ…。あ、それじゃあそろそろ戻るね。準備しないと」

「りょーかいや。怪我せえへんようになー」

「わかった。行ってきます。母さん」

 

 

 

 

「むむむ、ゲームは何を持って行こうか…」

『早くしてください…下でなのはさんたちが待ってるんですから』

「だって、みんなで楽しめそうなのって言ったらあんまりないんだもん」

 

いまは最後の準備物、ゲームを用意している。

 

「よし、これでいいか。私もクリアしないといけないし。この際みんなでやればクリアできるでしょ!」

 

と、選んだのは

 

 

バイオ◯ザード7(グロテスク版) VRつき

 

ちなみに、今はレッツ蟲ディナー!

のところです

 

1人でやるには怖すぎるから大勢の方がいいんだよね。

 

『はぁ………なのはさん達に念を押しておきますね

 

大丈夫、念のためパーティ系のゲームも入れてるから

 

 

 

 

「おそいよー。ユタちゃん」

「すいません、色々と迷ってまして」

『ゲームに、です』

 

プライドってなんで私の弱いところをこんなにも晒すのかな?ドS?

 

「アインハルトさんにユタさんまで来ていただけるなんて!」

「合宿本当に楽しみだね!」

「私、ユタさんに教わりたいことあるの!」

 

と、ヴィヴィオちゃん、リオちゃん、コロナちゃんが喜んでる。

私みたいなので喜んでくれるならいくらでも参加してあげようと心に誓った。

 

 

 

 

合宿先は無人世界カルナージというところで首都のクラナガンから臨行次元船で約4時間かかり、標準時差は7時間らしい。

私はその4時間の間は………

 

「あー、肩凝った」

『4時間もアニメ見てたらそうなりますよ』

「試験があったから溜まってたのを消化しないといけなかったんだからしょうがない」

『二次元卒業というのは………』

「んなことありえるとでも?」

『デスヨネ』

 

 

「「みんないらっしゃ〜い♪」」

「こんにちはー」「お世話になりまーすっ」

 

と、紫髪の親子が出迎えてくれた。

 

親の方はメガーヌ・アルピーノ、子供の方がルーテシア・アルピーノというらしい。

 

今回の合宿メンバーは、

なのはさん、フェイトさん、スバルさん、ティアナさん、ノーヴェさん、ヴィヴィオちゃん、リオちゃん、コロナちゃん、アインハルト、私。

 

あとはフェイトさんのご家族が2人いるとか。

まあ想像はつくが。

 

今はヴィヴィオちゃんたちがルーテシアさんと、なのはさんたちがメガーヌさんに挨拶している。

 

「でね、ルールー。こちらがユタさん」

 

おっと、私の番か。

 

「初めまして、ルーテシア・アルピーノさん。八神ユタです。今回はお世話になります」

 

「こちらこそ、八神司令からは親バカ自慢をされてるので一方的に知ってますが。ルーテシア・アルピーノです。ここの住人で14歳です。ユタのことは魔法戦が強いって聞いてたから私もワクワクしてるわ」

 

「それはどうも」

 

「敬語じゃなくても大丈夫よ。私のことはルーとでも呼んでね。ユタ」

 

「わかった。ルーさん、よろしくです」

 

 

「あれ?エリオとキャロはまだでしたか?」

「ああ、2人は今ねぇ」

「「お疲れ様でーすっ!」」

「エリオ♪キャロ♪」

「わーお!エリオまた背伸びてる!」「そ、そうですか?」

「私もちょっと伸びましたよ⁉︎1.5センチ!」

 

スバルさんがフェイトさんの家族のことを聞くと同時にその2人が帰ってきた。

1人は少し背の高めの赤髪の男の子。もう1人は小さいピンク髪の女の子。

 

男の子の方はエリオ・モンディアル、女の子の方はキャロ・ル・ルシエ。

フェイトさんの家族だ。

 

「久しぶり、キャロ、エリオ」

「お、ユタ。久しぶり。怪我はもう大丈夫?」

「ユタちゃん!久しぶりだね!去年はごめんね。仕事が忙しくてお見舞い行けなくて」

「全然大丈夫。仕事忙しかったんでしょ?あと怪我はもう完全に治ってるからまた手合わせできたらお願いね」

「「オッケー!」」

 

「ちなみに、1人ちびっこいるけど3人とも同い年」

「なんですと⁉︎1.5センチも伸びたのに!」

 

と、ルーさんが言うとキャロさんが反論してる……が

キャロさん。1.5ってそんな伸びてないですよ。

 

 

ちなみに、ルーさんの召喚獣で家族のガリューを見たときは私もアインハルトも驚いて戦闘態勢に入りかけたよ。

 

「さて、お昼前に大人のみんなはトレーニングでしょ。子供達はどこに遊びに行く?」

「やっぱりまずは川遊びかなと。お嬢も来るだろ?」

「うん!」

「アインハルトとユタもこっち来いな」

「「はい」」

 

と、ノーヴェさんに川遊びに誘われる。

……胸がアレだからあんまり行きたくないんだよなぁ。

 

 

 

 

 

「あーーー、気持ちイイーーーー」

 

やっばい、この時期の川なめてた。すっげえ気持ちいい。

泳ぐのは苦手だからラッコみたいに浮いてる。

プライドはなのはさんに渡しておいてトレーニングの様子を撮ってもらってる。

後で参考にできそうなところを探したいからね。

 

ヴィヴィオちゃんたちは競争したり鬼ごっこしたりと遊んでいる。

うん?ていうかみんなヤケに動きなめらかだね?

元気というか、元気すぎるというか。

 

あのアインハルトが泳ぎで追いつけてないよ。

 

「水中で瞬発力を出すのは陸上とは違った力の運用がいるんだよ。あいつら、なんだかんだで週2くらいでプールで遊びながらトレーニングしてっから、柔らかくて持久力のある筋肉が自然に出来てるんだ」

 

と、ノーヴェさんが解説してくれる。

たしかに、水中みたいな不安定な場所でも瞬発力出せるようになれば陸上でも使えそうだな。また後で聞いてみようかな。

 

「んじゃ、せっかくだから面白いもんを見せてやろう。ヴィヴィオ、リオ、コロナ!ちょっと『水斬り』やってみせてくれよ!」

「「「はぁーーいッ!」

「「水斬り…?」」

 

と、私とアインハルトが目を合わせる。

 

「ちょっとしたお遊びさ。おまけで打撃のチェックもできるんだけどな」

 

「えいっ!」

「やっ!」

「いきますっ!」

 

と、コロナ、リオ、ヴィヴィオの順で水斬りをやってくれた。

 

……なるほど、打撃の威力を前に打ち出して水を割ることね。

 

「アインハルトも格闘技強いんでしょ?試しにやってみる?」

「₋₋₋₋はい」

「ユタは?」

「遠慮しとく。私はこういったタイプの打撃はできないから」

 

と、アインハルトが構える

そして、拳を打ち出すと

 

「あはは…!すごい天然シャワー!」

「水柱5メートルくらい上がりましたよ!」

 

と、ヴィヴィオちゃん達とは少し違うがなかなか凄いことになった。

 

「……あれ?」

 

だが、覇王サマは納得できなかったらしい。

 

「お前のはちょいと初速が速すぎるんだな」

「お、師匠のお手本だー」

「ユタ、茶化すなよ」

 

あ、はい。ごめんなさいです。

つい言ってしまいました。

 

「初めはゆるっと脱力して途中はゆっくり、インパクトに向けて鋭く加速。これを素早くパワーを入れてやると―――こうなる」

 

……は?この人の蹴りでいま川の底見えましたよ?何この人。

 

それを聞いたアインハルトも再度水斬りを試している。

 

お、少し進んだね。

まだ練習するらしい。熱心だねぇ……

 

 

 

 

 

 

「アインハルトちゃんやユタちゃん楽しんでくれてるかな?」

「ヴィヴィオ達が一緒ですしきっと大丈夫です」

「ノーヴェ師匠もついててくれてるしね」

「ありがとうございます」

 

練習場では大人チームの基礎トレが行われていた。

なのはさんとスバルさんはなんともない感じで話しているが……

 

「ところでみんなは大丈夫ー?休憩時間伸ばそうかー?」

「だ……だいじょーぶでーーーす!!」「バ……バテてなんか………いないよ…?」

 

あのティアナさんやフェイトさんなんかですら肩で息をしている。

 

『なのはさん、ありがとうございます。マスターの無理なお願いを聞き入れてくださって』

「いいよいいよー。全然大丈夫。ちゃんと撮れてる?」

『はい、しっかりと』

「それはよかった♪しっかり参考にしてね」

 




今回から合宿編です!
そろそろユタの魔法戦が見れるかも……です


すこし番外編も書いてみようかなと思ってたりします。


ユタは六課のみんなとは面識があるとお考えください。


感想も書いてくださると嬉しいです!

読んでくださりありがとうございます


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7話

やばいっす…最近学校関係が忙しすぎて…なかなかかけません…

こんかいも本当は二日目の初めまで書く予定だったのに短めになってしまいました…


合宿でのゲーム大会(笑)は番外編みたいな感じでいくつかの話をまとめて書くつもりなので
その時に入れます

それではどうぞ


「さー、お昼ですよー!みんな集合ーー♪」

 

「「「「はーーい!」」」」

 

 

いまは午前の練習を終えてみんなで昼ご飯だ。

バーベキューて、豪華ですなー。

 

「体冷やさないようにあったかいものいっぱい用意したからねー」

「「ありがとうございます!」」

 

メガーヌさん、すっごい気遣ってる

そこらの並のホテルの従業員より気がきくんじゃない?

 

「アインハルトにヴィヴィオちゃん………大丈夫?」

「いえ……あの」「だ、大丈夫……です」

 

ヴィヴィオとアインハルトは筋肉痛なのか痛みで震えている。

その理由としては

 

「この2人、ずーっと水斬り練習やってたんですよ」

 

です。ノーヴェさん解説ありがとです。

 

 

 

「じゃあ今日の良き日に感謝を込めて」

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまです」

「はいー。お粗末様ー」

 

あー、美味かった。大勢でのバーベキューてこんなにも美味く感じるんだ。

 

「片付け終えて一休みしたら大人チームは陸戦場ねー」

「「「「はいっ!」」」」

 

なのはさん達大人チームはこんどは戦闘訓練的なものに入るらしい。

私は何をしようか。魔法の練習でもしたいけど、大丈夫かな?

 

「メガーヌさん、ここら辺で切り倒しても大丈夫な木ってあります?ちょっと魔法の練習したくて」

「あら、それならここら辺一帯の木なら大丈夫よ」

 

と、場所を示してくれる。ありがたやー。

 

「ありがとうございます」

「いえいえー、がんばってー」

 

 

 

 

 

「んーと、ここら辺か」

『そのようですね』

 

到着っと。なかなか切り倒しがいのある木が並んでいるねぇ。

 

「んじゃ、始めようか」

『はい、いつでもどうぞ』

 

その声を合図に足元に、正確には()()()()()()()()に魔力を込める。

 

すると、黒い、影のようなものがゆっくりと動き始める。

 

「そんじゃ、まずは一本!」

 

その言葉とともに黒いものが勢いよく伸び数メートル先にあった木が一瞬で切り倒された。

 

『お見事』

「どーも。そんじゃ次々行こう」

 

 

 

 

 

「はー、疲れたーー」

『お疲れです。それではサッサと一箇所に纏めてください』

「私、いま疲れたって言ったよね?」

『知っています。しかし、自分でやったのですから自分で片付けるというのが筋では?』

 

ぐっ、反論できない。

 

「はいはい、わかりましたよ」

 

と、さいど黒い物体を伸ばしこんどは小さい手のようになり、それが数十本ほど伸び木をそれで縛り一箇所に纏めていく。

 

『ほんと、便利ですねぇ、この固有能力みたいなのは』

「でしょー。遠距離の武器にもなるしバインドにも使えるなる。しかも相手にばれても対策の方法は限られてくる。ほんとにこの能力大好き」

 

まあ、完全なアニメの影響なのだが。

あとは余談だが腕に関しても、もう一つ自分しかやらないようなことがあったりする。

 

ピピッ

 

『ノーヴェさんから通信です』

「うん、繋げて」

 

『ユタ、お前どこでなにしてんだ?』

「魔法の練習です」

『そうか、もう終わってるなら大人チームの練習を見学しに行かねーか?そろそろ六課のメンツが模擬戦を始めるんだってさ』

「ぜひ!」

 

思わず即答してしまった。

 

『んじゃ、チビ達も呼ぶからまた後でな』

 

まさか、なのはさん達の模擬戦を見られるとは。

この合宿いいね。来年もきたい。

 

「あれ?ノーヴェさん達いたよ」

 

向かってるとその途中でノーヴェさん、ヴィヴィオちゃん、アインハルトが歩いていた

 

「どもー」

「あ!ユタさん!ユタさんも見学に?」

「もちろん、なのはさん達の模擬戦を見逃すバカがいるわけないよ」

 

ヴィヴィオちゃんの笑顔見てるとほんと癒される〜。

 

「え?ヴィヴィオさんのお母様方も模擬戦に……?」

「はい!ガンガンやってますよー!」

「お二人とも家庭的でほのぼのとしたお母様で素敵だと思ったんですが」

 

…………ヤバイ、笑いそう。

ノーヴェさんなんか必死にこらえてる。

 

「魔法戦にも参加されているなんてすこし驚きました」

「ブッ!」

「え?!どうしました?!」

「あ、いや……なんでも……フフッ!」

 

あー、無理だった。笑いをこらえることはできなかった。

ノーヴェさんも後ろで声を殺しながらわらってるし。

 

「えと、参加というかですね。ウチのママ。航空武装隊の戦技教導官なんです」

 

「……え?」

 

うわー、まじな反応だ、これ。てか、なのはさんって言ったらだいぶ有名な気がするけど。

 

と、陸戦場に着くと、そのなのはさんが絶賛模擬戦中だった。

 

組み合わせは なのはさんvsスバルさん、ティアナさん。

 

1vs2なのに、なのはさん普通に受けきってるよ。

すげー。

 

と、こんどはフェイトさんと龍に乗ったキャロとエリオが来た。

 

「あれは…アルザスの飛竜……⁉︎」

「正解」「キャロさんリュウ召喚士なんです」「エリオさんは竜騎士!」

 

よく知ってるね。そして説明をコロナちゃんとリオちゃんに取られて内心ショックを受けてるのは内緒。

 

「で、フェイトママは空戦魔導師で執務官をやってます」

 

あ、模擬戦終わった。

 

そして、こんどはフィジカルトレーニングしながら魔法訓練とか色々とハードな練習に切り替わった。

 

「局の魔導師の方たちは……皆さんここまで鍛えていらっしゃるんでしょうか?」

「ですね」「ま…まあな」

 

アインハルトが質問するとヴィヴィオとノーヴェが返す。

 

「スバルは救助隊だし、ティアナは凶悪犯罪担当の執務官。他のみんなも程度の差はあってもみんな命の現場で働いてるわけだしな。力が足りなきゃ救えねーし自分の命だって守らなきゃならねー」

 

「ノーヴェさんも救助訓練はガッツリやってますもんねー」

 

そうだ…そんな六課のみんなに憧れて強くなりたい……って思ったこともあったっけ。なんか、色々と昔のこと思い出してきた。

 

 

「あれ?ヴィヴィオちゃんたち抜けるの?」

 

アインハルトとヴィヴィオちゃん2人で森の方に戻ってるのをみて尋ねると

 

「ヴィヴィオもアインハルトさんもやる気モードになっちゃいましたから」

「あたしたちも頑張らないとだー!」

 

と、やる気に満ちたコロナちゃんとリオちゃんが言う。

 

「実はねコロナ。ナイショにしてたけど例のアレ、もう完成してるんだ」

「ほんと⁉︎」

「ほんと。あとはコロナが起動調整するだけ」

「アレってもしかして…⁉︎」

 

「「?」」

 

やばい、仲良し3人組で話が進みすぎて内容がつかめない。

 

「ルーちゃんお手製のわたしのインテリジェントデバイス!」

「コロナ専用のカッコカワイイやつ!」

「お嬢が組んだのか?すげえな」

 

なんか、ルーさんがドヤ顔してたので撮ってみた。

 

「ちょっ、なんで撮るの⁉︎」

「面白かったので」

 

はい、恥じらいの顔もいただきました。

 

 

「これはあたしらも負けてられないねソル!」

『Aye,Rio』

 

何語かはわからんがとりあえずソルってのがリオちゃんのデバイスってのはわかった。

 

「よーし、明日の練習では新魔法とか披露しちゃうもんね!」

「「「「おおーーっっ」」」」

 

 

 

 

 

「ね、ねぇ。アインハルトさん…これなんだと思います?」

「木の斬り倒しのプロが行った纏め伐採……ですかね」

 

 

ヴィヴィオとアインハルトはよさそうな練習場所を探していて歩いていると

 

つい最近切り倒されたであろう場所に着いた。

 

ただ3〜4本ならわかるのだが

 

「にしては…量が多すぎますよね…」

「ですね…」

 

最低でも30本近くの数が切り倒されていた。

しかもなぜか木の断面は

 

ものすごく()()()だった。

まるで居合いの達人が切ったような。

 

「ま、まあ練習しましょうか」

「そうですね……」

 

 

 

 

 

 

 

今は練習見学を早めに切り上げてホテルに戻りメガーヌさんと談笑中だ。

その内容はというと

 

「で、ここで火を強めて」

「なるほど」

 

料理だ。この方めちゃくちゃ料理うまいんだもん。

思わず、弟子にしてください!って言いそう。

 

「「「おつかれさまでーす」」」

「あ、なのはさんたち帰ってきましたね」

「そうねえ、ユタちゃん。みんなと一緒にお風呂に入ってきたら?」

「わかりました。ではまたその後にご指導お願いします!」

「私なんかでよければいくらでも♪」

 

 

 

 

 

「ふー、極楽極楽~♪」

 

なんだここ。温泉沸いてるって。神地かなにかですか。

温泉ある理由もびっくりしたよ。

適当にほったら沸いてきたって。ギャグマンガじゃないんだから。

 

「…ん?何か騒がしいね」

 

キャロさんあたりがなんか騒いでる。

ぬるっとしたものが、とか。

 

あ、今度はヴィヴィオちゃんたちのほうに…

 

そしてアインハルト。

あ、水斬り成功してる。おめでとうアインハルト。後で一緒にゲームしてあげるよ。

 

今度はスバルさんたちが騒ぎ始めた。

 

あ、なんか水色の髪の人にリオちゃんが胸もまれた。

 

え、ちょっと待って。リオちゃん、ぶっ飛ばすのはいいけどこっちにとんで…

 

「げふっ!」「あだっ!」

 

そのまま見事に頭がぶつかり合った。

 

 

 

「もーダメだよセイン。こういうイタズラは!みんなが転んでケガでもしたら笑い事じゃすまなかったんだし」

「セクハラも犯罪なんだからね」

「私が営業妨害で訴えたら捕まるしね」

「まったく、こんなのがあたしより年上かと思うと涙が出てくるわ」

 

あの後、セクハラしまくってた犯人はセインさんというのが判明し

説教されている。

 

「う……うう……。なんだよ~!ちょっとみんなを楽しませようよ思っただけじゃんかよ~‼ケガとかしないようちゃんと気を付けてたっつーの!これでも聖王協会のシスターだぞ!」

 

「いや、ユタがケガしたからね?」

「ティアナさん、それどちらかというとリオちゃんの飛ばす方向がまずかっただけです。誰が悪かったわけでもないです」

「うう、すいません・・・やりすぎました…」

 

つか、このひとノーヴェさんより年上って…20くらい?なのに何このわめき。

小学生みたい。

 

「自慢じゃねーがあたしはお前らほど精神的に大人じゃねーんだからな!?」

 

「「(言い切ったし開き直った…)」」

「(ホントに自慢じゃねーよ)」

 

 

そのあとはセインさんがみんなに謝って回った。

ヴィヴィオちゃん曰く、お茶目が過ぎることもあるがとても優しいシスターだとのこと。

 

……お茶目??

 

「セイン、訴えない代わりに交換条件をのまない?今夜と明日の朝、みんなのご飯作ってよ。そしたら今夜一泊してってもらえるようシスターシャッハに頼んであげる」

「ホントか!?そんなので良ければいくらでも!」

「示談成立だね」

 

「あ、それなら私も」

「?」

「セインさん、今夜一緒にゲームをしてください。それなら私許します」

「ホント!?いいの!?」

「はい」

「もちろん!そんなのでいいなら!」

 

よし、(ホラゲの)生贄は確保だ。あとは誰を巻き込もうか。

 

そのあとは料理が得意というセインさんとメガーヌさん、なのはさんを交えて料理談笑をしばらく続けた。

 

そして、そのあとは…ご想像にお任せする




どうでしたか?

おそらくハガレンを見ていた方は
ユタがどんな魔法にしているかはわかるかと…ww

前書きでも述べた通り最近本当に忙しいので投稿ペースが遅くなります
ご了承ください

それでは、読んでいただきありがとうございました


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8話

今回はキリのいいところまで書いたのでいつもよりかなり短めです。
ご了承ください


もう一つ書いている作品もあるのですがこちらがメインになりかけてるので不定期更新になりそうです

それではどうぞ!


目を覚ますとあたり一面が炎の海になっていた。

私はというと、それを船の上から無表情で眺めている。

 

両腕を動かそうとすると違和感がある。動かせないし、何より自分の腕ではない感覚がある

見てみると腕ではなく義腕があった

 

周りには指揮官らしき人間が数人いた。

 

(オ―――ィエよ、ゆりかごの次の向かう先は―――だ)

 

?ちゃんと喋って。よく聞き取れなかった

 

なんだろう、またおかしいことを周りは言っている。

 

世の中の大戦を止める?世界を救う?

なんで私は世界を焼き尽くしている?

 

 

 

 

あ、母さんだ。なのはさんにフェイトさん、スバルさん、ティアナさんにエリオなんかも来てる。

乗り込んできたのかところどころけがをしている。

 

母さん?助けに来た?私を?なんで?

 

あ、近寄ってくる

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――駄目だ、こっちに来ちゃだめだ!

 

きたら、私は―――――

 

 

 

 

 

 

『マスター!大丈夫ですか!?』「ユタさん!大丈夫ですか!?」

 

「……プライド?アインハルトまで。……ああ、また夢なんだ…。よかった」

 

プライドによるとまた私はうなされていたらしい。

隣で寝ていたアインハルトも気づいて話しかけ続けてくれてたらしい。

 

時間を見ると深夜の2時を過ぎていた

 

「ああ、よかった。殺してもない、私は誰も殺してなんかないよね…」

『当たり前です。マスターに人が殺せるわけがありませんしもし殺しそうなら私が全力で邪魔させていただきます』

 

いまはプライドの憎まれ口がとてつもなく安心できる。

 

「アインハルト。私の両腕ちゃんとついてるよね?」

「はい、しっかりとついています」

「よかった、ごめん、少し外の風にあたってくる。プライドを預かってて」

「え?あ、はい」

 

そして、眼帯をつけフードを被り周りに気づかれないよう外に出た。

 

 

 

 

「プライドさん、ユタさんは…」

 

『……マスターは最近夢にうなされることが頻繁に起こってるんです。前までは試合のことだったのですが、最近は別のことで』

 

「別のこと…?」

 

『マスターは両腕のない体になっていて、ゆりかご、というものを使って周りを焼き尽くしているんだとか。家族も、友達も、何もかも』

 

「……いつからですか?」

 

『アインハルトさんと()()()()()()()()()からです。あの日から一週間に一回ほど。多い時には3日連続で見たこともあります。夢の中身は毎回一緒らしいですが』

 

「…すいません、ユタさんを追いかけさせてもらっても?」

 

『どうぞ、それなら私も連れて行ってください。ただし隠して。アインハルトさんにならきっと話してくれると思いますがきっと私がいるのがわかったら気を使って話してくれないと思いますので』

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

「なんで最近こんな夢ばっかり…ジークさんとの夢を見なくなってきたのにこんどはもっとつらい夢ばっかり…」

 

外の冷たい風に当たるも頭痛なんかは一向に治る気配はない。

 

寝っ転がって休んでいると足音が聞こえてくる。

 

「ユタさん!」

 

「ああ、アインハルト。どしたの」

 

「ユタさんが心配で追いかけてきました。あとは夢について聞きたいことが」

 

「私はもう大丈夫。外の風に当たってだいぶ楽になった。あと夢については話すつもりはないよ?」

 

「…なぜですか?」

 

「アインハルトには関係ないよ」

 

「関係あります!ユタさんが見てるものはおそらく聖王オリヴィエの記憶の一部です。私にも覇王イングヴァルトの記憶があるんです!それに、ユタさんがそのような夢を見るようになったのは私と戦った日からと聞いています。それなら私に責任が…」

 

「あー、アインハルト。そういう理由じゃないんだよ」

 

「では、どういう理由で?」

 

 

 

「私は、周りのみんなに迷惑をかけたくない。心配させたくない。苦しいことはなるべく自分以外の人に背負わせたくない。ただそれだけ。これは私の問題。だから周りには話さない」

 

 

 

「………あなたの愛機であるプライドさんやあなたのお母さまたちにも?」

 

「うん、そうだよ。さ、そろそろ戻ろう。寒くなってきた」

 

「はい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあー、昨日のゲームは楽しかった」

『セインさん、なのはさん、エリオさん、リオさん。すいませんでした………』

 

 

いやいや、ちょっと待とうか。プレイヤーが私からなのはさんになった瞬間怖いこと以外ヌルゲーと化したんだからね?

ほかの子たちはちゃんと楽しいゲームやってもらってたし。

 

なのはさん、初めてやるゲームなのに銃系の武器に関しては私よりうまいんだもん。

泣きながらボス戦を無双してるんだよ?

ポカーンとなってたよ。

 

写真?勿論撮ってありますとも

 

『ところでマスター。体調はもうよろしいので?』

 

「うん、絶好調。夜は心配をかけたね。もう大丈夫。アインハルトも、夜のことは皆に秘密ね」

 

「わかりました」

 

さてと、朝ご飯食べに行きますか。それを食べ終えたら

 

 

待ちに待った陸戦試合だ

憧れだったなのはさん達と戦える。

 

 

 

 

 

 

 

 

~陸戦場~

 

「はい、全員そろったね。じゃ、試合プロデューサーのノーヴェさんから!」

「あ…あたしですか?」

 

と、なのはさんに言われ少し恥ずかしがりながらノーヴェさんが前に出てくる。

 

「えー…ルールは昨日伝えた通り、青組と赤組に分かれて行います。今回は人数の都合上6人と7人に分かれます。

フィールドマッチ形式の試合になります

 

ライフポイントは今回もDSAA公式試合用タグで管理します。

あとはみなさん、怪我のないよう正々堂々がんばりましょう」

 

「「「「「はーいっ!」」」」」

 

「じゃあ、赤組元気にいくよ!」「青組もせーの!」

 

『『『『セーット!アーーップ!』』』』

各チームのリーダーである、なのはさんとフェイとさんが掛け声をしそれに合わせ全員がセットアップをする。

 

 

 

 

チーム編成

 

赤組

 

FB(フルバック):キャロ  LIFE 2200

 

CG(センターガード):ティアナ  LIFE 2500

 

GW(ガードウィング):フェイト  LIFE 2800

 

WB(ウィングバック):ユタ  LIFE 2500

 

FA(フロントアタッカー):ノーヴェ LIFE 3000

 

FA(フロントアタッカー):アインハルト LIFE 3000

 

青組

 

FB(フルバック):ルーテシア  LIFE 2200

 

CG(センターガード):なのは  LIFE 2500

 

GW(ガードウィング):エリオ  LIFE 2800

 

GW(ガードウィング):リオ  LIFE 2800

 

WB(ウィングバック):コロナ  LIFE 2500

 

FA(フロントアタッカー):ヴィヴィオ LIFE 3000

 

FA(フロントアタッカー):スバル LIFE 3000

 

 

 

<青組>

 

「序盤はたぶん同ポジション同士の1on1。均衡が崩れるまでは自分のマッチアップ相手に集中ね」(ティアナ)

「けど、たぶんユタちゃんは1on2になっちゃうけど大丈夫?」(フェイト)

「魔王…じゃなくてなのはさんあたりが来ない限りは足止めはできると思います」(ユタ)

「わかった。倒せそうなら遠慮なく倒しちゃってね!」(フェイト)

「はい!」

 

<赤組>

 

「向こうは前衛と中盤に突破力の強い子がそろってる。序盤は守備を固めて向こうの足を止めていこう」

「リオちゃんとコロナちゃんはユタちゃんをお願い。私はティアナに集中しないといけないから」

「「はいっ!」」

 

 

 

『それではみんな元気に……』

 

メガーヌさんが開始の合図の用意を始める。

 

『試合開始~!』

 




どうでしょうか

次は試合内容を書いていきます!

あとがきに書くことがなくなってきた…


読んでいただきありがとうございます


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9話

今回でようやくユタの魔法戦を書きます。
たぶん予想のついている方もいるとは思いますが。

まあ、それは読んでからのお楽しみということで。


番外編なのですが


こういうのを読んでみたい、このキャラとの絡みを見てみたいなどがあれば感想などに書き込んでもらえると嬉しいです。


それではどうぞ


「ウィングロード!」「エアライナー!」

 

試合が始まると同時にノーヴェさんとスバルさんが多くの足場を作る。

 

「いくよっ!コロナ、リオ!」

「オッケー!」

「頑張ろう!」

 

 

 

「アインハルト~、ヴィヴィオちゃんをお願いしてもいいかな?」

「承りました!」

 

今回はもちろん眼帯なんてつけていない。

自分のマッチアップ相手についてはおおよそ見当はついている。

おそらくは…

 

「やっぱりリオコロコンビか」

 

「あれ?もう追いかけっこは終わりですか?」

「ユタさん、お相手お願いします!」

 

可能性としては高町母娘、ヴィヴィオコロナ、エリオなのはなんかの組み合わせがあったが、自分の実力的には、なのはさんを投入はあんまりいい策とは言えないし、

 

アインハルトの相手をするにはリオちゃんやコロナちゃんではあまり心もとなく感じる。

それに格闘戦がメインなヴィヴィオちゃんとほかの子じゃ即興チームワークができそうにないというのは感じていた。

 

それに私は魔法戦がメインともう公言してあるのでそれならリオコロコンビが一番良策とは思っていた。

まあ、なのはさんあたりで速攻で私をつぶすっていうのも考えてはいたけど。

 

「遊び盛りな二人を相手に逃げ回ってもただの無駄な体力の浪費だからね。ここらでやりあおうか」

 

「(ユタさんが止まってくれた。ユタさんの魔法戦に持ち込まれたならこっちが不利、なら先手必勝!)双龍演舞、炎龍!雷龍!」

「(ユタさんにはまだまだかなわないかもしれない。けどこの魔法なら!)創成起動(クリエイション)、創主コロナと魔導器ブランゼルの名のもとに!叩いて砕け!『ゴライアス』!」

 

と、リオちゃんが雷と炎の龍を。コロナちゃんはそこらの建物よりも大きいゴーレムを創成してきた。

 

「あれ?コロナちゃんもゴーレム使うんだ」

 

「はい、私の唯一自慢できる魔法です」

 

「うーん、真似したみたいでいやだけど。背に腹は変えられないし。――—創主ユタの名のもとに!創主を守れ!『ヨトゥン』!そして、主の敵を殲滅せよ!『ギガンテス』!」

 

 

と、私はコロナちゃんの同じくらいの大きさの『ヨトゥン』と半分くらいの大きさの『ギガンテス』を創成した。

 

「やっぱり、ユタさんも…」

「ヴィヴィオの言ったとおりだったね」

 

「うーん、驚きの反応が見れると思ってたけどイマイチ。けど、まだこれは序章だよ。さあ、やりあおう」

 

 

 

 

「えー!コロナちゃんもすごいけどユタもすげえ!」

「けど、コロナちゃんみたいな強いゴーレムでもないわね。時間稼ぎのために造ったように見えるけど」

 

メガーヌとセインは見学しながら感想や意見なんかを言い合っていた。

 

「時間稼ぎ?でもあんなゴーレム二体同時創成できるならもっと強いのを出したほうがよかったんじゃない?」

「けど、ユタちゃんの考えは違うみたいよ」

 

 

 

 

 

私の言葉と同時にコロナちゃんはゴライアスを操作し私に向かってくる。それに応じるようにギガンテスが前に出る。

リオちゃんは炎を出しながら向かってくる。ヨトゥンには壁になるよう簡単な命令を出す

 

創成したときの言葉?あんなもん意味なんてないない。

とはいえ、ギガンテスのほうはともかくヨトゥンはそこそこ頑丈にしてるんだ。少しはこらえて…

 

「やあっ!」

「炎龍砲!」

 

 

……うわー。二体同時に速攻で壊された。まあいいや。時間稼ぎは十分できそうだし。

 

「ロックバインド!」

 

そしてその壊されたゴーレムの破片をつかってバインドをする。そしてさらに後ろに下がる。

 

「さープライド。一年間ただただ療養していただけじゃないとこを見せようか」

『了解です。マスター』

 

 

昨日、練習でやった時のように足元の少し後ろに魔力を込める。すると影のような黒い物体………えーい、この際だから説明しとこう。

 

そう、魔力を込める理由は影を操るためだ。正確には魔力の変換資質が『影』というなんとも不可思議なことだったのだが。

某アニメが大好きな私にとっては願ったりかなったりだ。

 

影が、ゆっくりと私の後ろでヨコに、そして()に広がっていく。影が質量を得たかのように。

 

「え…」「何……あれ……」

 

「そんじゃあ改めて相手をお願いするよ。リオちゃん、コロナちゃん」

 

と、いうと同時に影が無数の目、口をもつ。

 

 

 

まあ、目と口はもちろん偽物だけど

 

 

 

そして、これを初めて見た人や映像で知ってる人でも直に目にした人は決まってこういう。

 

 

「「なんか怖いです!」」

 

 

「あははー。だろうね。さてと、ここからが本番だよ」

 

と言うとコロナちゃんもリオちゃんも構える。

 

影の拘束(シャドウバインド)

 

「え!?」

 

すると、ゴライアスの足元から影が伸びゴライアスとコロナちゃんをバインドする。

鎖でがんじがらめ、というよりは細かい関節や力の入れやすい部分を締め上げているので、逃げにくい。

 

…まあたまに馬鹿力で引きちぎる人とかイレイザーで消し飛ばす人とかいるけど。

 

「さ、コロナちゃんはしばらく無視できる。次はリオちゃんかな」

 

「っ、炎龍。紅蓮拳!」

 

「わ!」

 

あっぶな!いきなり炎の砲撃打ってきた。昨日見て炎と雷の変換資質あるなーくらいは思ってたけど。

 

「よっと!」

 

と、足元の影を延ばし勢いよくリオちゃんに向けていく。

それをよけられはするが先ほどリオちゃんがいた地面はまるで切り裂かれたようになっていた。

 

それをみたリオちゃんは素手では危ないと判断したのか剣を装備した。

 

「うん、正解だね」

 

と、今度は何本も連続でリオちゃんに向けていく。

それをリオちゃんは後ずさりしながらも剣で何とか捌いていた。

 

「(前に出れない!)っ、紅蓮拳!」

 

「へ?」

 

と、リオちゃんがいきなり剣をおさめてまた砲撃を仕掛けてきた。しかもさっきより高威力で。

そのせいか実体化していた影はほぼすべて消された。

 

……なんつー威力なの?番長と張り合えるんじゃない?

 

「雷神装・虎砲!」

 

「!」

 

と、土煙に紛れてリオちゃんが接近しており腹に打撃を入れられた。

その勢いで後ろにすっ飛ばされ壁に激突し崩れた瓦礫に飲み込まれる。

 

ユタ LIFE 2500→1000(ダメージ1500)

 

「コロナ、大丈夫?」

「うん、バインドも何とかとれたよ」

 

『コロナーリオー。ナイス!』

「あ、ルーちゃん。そっちは?」

『ヴィヴィオを今治療中。で、アインハルトがなのはさんと交戦中』

「じゃあ、あたしたちはどうする?」

『作戦もあるし、コロナちゃんはそのままユタの警戒で、リオは合図でいつでも動けるように』

「「了解!」」

 

 

「とはいっても、ユタさん出てこないね。クラッシュで動けないのかな?」

「それとも気絶してるのかな?」

「どちらも違うね」

「「え!?」」

 

「シャドウボックス」

 

とリオちゃんのみを影の箱で覆う。

コロナちゃんもできないことはなかったがゴーレムがあったのでやめておいた。

 

「げほっ。威力少しは受け流したのにあのダメージって。どんな馬鹿力なの」

「リオは、チームの中で腕力と魔力は一番ですから!」

 

「ゴライアスが面倒だなー。私みたいな単純命令だけの自動操縦型ならいいんだけど」

 

と、再度距離を取る。

リオちゃんを覆った影はそこそこ耐久力があるからあまり気にしなくてもいい……と思いたい。

 

「ゴライアス。パージブラスト!ロケット・パ――――ンチ!」

「へ?」

 

どごーーんという音とともに再度瓦礫に飲まれる。

いや好きで飲まれてるわけじゃないからね。

 

ユタ LIFE 1000→400(ダメージ600)

 

まあ、けどやられっぱなしじゃいられない。

 

「そりゃっ!」

 

瓦礫をすっ飛ばして影をゴライアスの関節めがけて延ばす。

すると、ゴライアスを操作して影を殴って消そうとしてくる。

 

なので影をできる限り細くしてゴライアスの攻撃を避けながら再度バインドをする。

 

いや、正確にはバインドもどきか。

 

「これくらい…」

 

と、コロナちゃんは無理やりバインドを引きちぎる。

 

「あぶないよー」

 

「え?」

 

すると、引きちぎれた瞬間バインドが爆発した。

ゼロ距離なのでゴーレムが耐えれるわけもなく崩れ落ちる。

 

そして、落ちていくコロナちゃんを影で捕らえ思いっきり()()()()()()投げつける。

自分はそれと同時に走り出す。

そして、腕にずっと発動直前状態にしていたある魔法をかける。

 

「せえやっ!」

 

「くっ!」

 

そのまま後ろにすっ飛ばす。

 

コロナ LIFE 2500→1600(ダメージ900)

 

「(なんか、ものすごい硬い石か何かで殴られたような)」

 

「ふぃー、なんとかできた。時間稼ぎも終わり」

 

ユタの腕は肩から指の先まですべて黒いナニカで覆われていた。影ではない、何かで。

 

『ユタ!もう少し時間稼ぎお願い!』

「りょーかいです。二人ともきっちりひきつけておきますよ」

 

「ユタさん、残念ですがそれはもうできてませんよ?」

 

「え?」

 

「だって、リオはもう逃げてますよ」

 

・・・リオちゃん、いつの間に・・・

 

『え⁉︎』

「へ?どうしました?」

『いや、リオとルーちゃんがこっちに!しかもユタちゃんとティアナさん以外が2on1状態に!』

「はい⁉︎」

 

しくじった!やらかした!

 

「すぐそっちに戻るから少し耐えてて!」

『わかった!』

 

「いかせませんよ。ユタさん」

 

「あー再構築しちゃってるか」

 

と、コロナちゃんがゴライアスを操作し近づいてくる。

けど、やることは変わらない。

 

私は影を使ってゴライアスを少しずつ削りながら後ろに下がっていく。そして、スキができたら

 

「両腕斬り落とし完了!あとは、影の拘束(シャドウバインド)!」

 

「ま、また…足元から…」

 

と、逃げながら地面にばらまいていた魔力で半壊状態のゴライアスとコロナちゃんをバインドする。

まあ、ゴーレム半分壊すのに少し手間取ったけど。

 

「最初より強いバインドだし大丈夫でしょ。さてとキャロのほうに向かわないと」

 

 

 

 

現在のライフ

 

ユタ 200

 

コロナ 1400

 

 

 

「はあっ、はあっ」

 

「ふふーん、そろそろかな」

 

「いや、まだです。アルケミック・チェーン!」

 

と、キャロは無数の鎖を出しリオとルーテシアに向かって放出する。しかし二人はすべてよける。

 

「ふふーん、あたらない♪」「ユタさんのより避けやすいですよー!」

 

「それはそうだよ。だってそれは捕まえるための鎖じゃなくて、撃墜のための布石だから!」

 

というと鎖に引っ張られながらユタが現れる。

 

「相変わらずの機転のよさナイス、キャロさん。リオちゃーん、君の砲撃の威力使わせてもらうねー。吸収放射、紅蓮拳!」

 

「「へ?」」

 

と、リオちゃんにやられた三回分をある程度の量蓄えていた影から一気にルーテシアとリオに向かって放出する。

 

 

ルーテシア LIFE 2200→0(ダメージ2200)

リオ LIFE 2600→0(ダメージ2600)

 

「いぇーい!」

「勝利のV!!」

 

と、キャロとハイタッチをかわす。

 

 

 

キィィィィィィン

 

 

 

ん?何の音?

 

「へうっ!?」「いたっ!?」

 

キャロ LIFE 1100→0(ダメージ1100)

ユタ LIFE 200→0(ダメージ200)

 

「はーい、キャロにユタちゃん撃墜」

「な、なのはさんいつの間に・・・」

「勝ったと思った時が危ないとき!現場での鉄則だよー」

 

油断した…

 

 

 

「(良し……タイミングは今!)ブラスター1ッッ!(私の残り魔力もそんなに多くないけどマルチレイドで一網打尽!)」

 

「(なのはさんが集束に入った!)紅組生存者一同ッ!なのはさんを中心に広域砲を撃ち込みます!動ける人は合図で離脱を!」

 

分割多弾砲(マルチレイド)で敵残存戦力を殲滅。ティアナの集束砲(ブレイカー)を相殺します!」

 

 

「モード【マルチレイド】」「シフト【ファントムストライク】」

 

 

 

「「スターライト――‼ブレイカーーーーッッ!!」」

 

 

 

 

 

さて、この二つの集束砲(ブレイカー)のぶつかり合いをみた人の感想を教えてあげよう

主に私とセイン。

 

「「……これ、なんて最終戦争?」」

 

 

 

 

状況

Team 青

なのは LIFE 0(ティアナの集束砲(ブレイカー)を相殺しきれず撃墜)

 

エリオ LIFE 0(集束砲(ブレイカー)が直撃し撃墜)

 

スバル LIFE 60(ヴィヴィオを集束砲(ブレイカー)から守り戦闘不能)

 

コロナ LIFE 30(ゴライアスで防御するも防ぎきれず戦闘不能)

 

リオ LIFE 0(ユタの吸収放射により撃墜)

 

ルーテシア LIFE 0(ユタの吸収放射により撃墜)

 

ヴィヴィオ LIFE 1800

 

Team 赤

 

ティアナ LIFE 110(なのはの集束砲(ブレイカー)を何とか相殺)

 

フェイト LIFE 0(集束砲(ブレイカー)直撃直前エリオにより撃墜)

 

ノーヴェ LIFE 0(集束砲(ブレイカー)が直撃し撃墜)

 

キャロ LIFE 0(なのはの弾幕により撃墜)

 

ユタ LIFE 0(なのはの弾幕により撃墜)

 

アインハルト LIFE 1350

 

 

 

 

「えーと、残ってるのが…三人?」

『ティアナさんとヴィヴィオさんとアインハルトさんですね』

 

・・・すごい、あの中生き残ったんだ。

 

あ、ヴィヴィオが近づいて行ってる。アインハルトもティアナさんを守るためなのか向かってるな。

お、先ヴィヴィオちゃんついた。アインハルトもすぐ着いたな。

 

あ、ティアナさん撃墜された。

 

おー、たぶん三度目の勝負になったね。

 

 

 

おっ、ヴィヴィオちゃんいいカウンター決まった。あれ?アインハルトもカウンターし返した。

 

アインハルト LIFE 1000→0

ヴィヴィオ LIFE 700→0

 

『はーい、試合終了~。結果は両チーム全員戦闘不能により引き分け!お疲れ様~』

 

 

 

 

 

 

 

「それでは皆さん」

 

『『お疲れさまでしたーー!』』

 

「あー、疲れた」

『もっとやりたいくせに何を言ってるんですか』

「あ?ばれた?」

『何年マスターといると思ってるんですか』

 

さすがはプライド。私のことよくわかってる。

まあ、終わりは終わりだ。しょうがない。

 

「じゃ、おやつ休憩と陸戦場の再構築をしたら2戦目いくからねー。2時間後にまた再集合!」

 

『『はーいっ!』』

 

「え?」

『…マスター、細かな日程の詳細の確認は?』

 

はい、しておりませんでした。




どうでしたか?

ユタの本領発揮が見せれたのかなーと不安になってはおりますが
能力にのもとはハガレンのプライド、グリードという2キャラお能力を参考にしていますので一度調べていたほうがわかりやすいかもしれません。

ユタのセットアップ状態も本編の中でも出しているのですが
グリードの格好を参考にしています

前書きでも言った通り番外編の中身に関してはリクエスト等があれば募集しています(というかリクエストください。自分の頭じゃ面白い組み合わせなんかがかけそうにないです)



読んでいただきありがとうございます


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10話

テラフォーマーズの最新刊見て色々と驚きまくってる作者です。

クジラ型とかなかなかふざけた物を作ってきますね。テラフォーマーの奴ら。

あ、試験も終わりましたのでまた更新頻度は戻ると思います。
それではどうぞ!


三回のチーム戦が終わり、今はみんな休憩中。

ノーヴェさん、スバルさん、ティアナさんは温泉で

なのはさんとメガーヌさんはキッチンで談話

フェイトさんは家族で団欒を。

 

そして私たちは………

 

「あうう…動けない」「腕が上がらない……」「おきられないー…」「……動けません………」

 

「みんな限界超えて張り切りすぎるからだよー」

「一生懸命やったからだねー」

 

私とルーさん以外みんな筋肉痛で動けてない。

 

「ルーちゃんとユタさんはなんで平気なのー?」

「そこはそれ、年長者なりのペース配分がね」

「シグナム姉さんとヴィータさんに鍛えられたら嫌でもペース配分は身につくよ」

 

何を言ってるのかコロナちゃんは。もし納得できないなら一度受けてみるといい。あの人外………じゃなくて鬼コーチの特訓を。

 

『あ、マスター。シグナムさんからメールです。'余計なことを言ったら命はない'だそうです』

 

………何あの人、テレパシーでも持ってる?

 

「そういえば、アインハルトはこういう試合初めてだよね?どうだった?」

 

と、ルーさんがアインハルトに聞く。

 

「はい、とても勉強になりました」

「スポーツとしての魔法戦技も結構熱くなれるでしょ」

「はい……いろいろと反省しましたし自分の弱さを知ることもできました。わたしの見ていた世界は…見ていたものは本当に狭かったと」

 

「今日の試合が良かったなら…この先こんなのはどうかなって。ユタが出ていた試合でもある」

 

「「D(ディメンション)S(スポーツ)A(アクティビティ)A(アソシエイション)公式魔法戦競技会」」

 

と、綺麗に私とルーさんの声が重なる。

 

「出場可能年齢10歳から19歳」

「個人計算ライフポイントを使用して限りなく実戦に近いスタイルで行われる魔法戦競技」

「全管理世界から集まった若い魔導師たちが魔法戦で覇を競う」

 

「「インターミドル・チャンピオンシップ」」

 

と、私とルーさんで息のそろった説明をした。

 

 

「私たちは今年から参加資格があるので…でたいねって言ってたんです」「そうなんです!」「全国から魔法戦自慢が続々集まってくるんです!」「数は少ないですが格闘型の人も!」

 

と、初等科トリオがさらに詳しく言ってくれる。

 

「自分の魔法、自分の格闘戦技がどこまで通じるか、確かめるにはいい場所だよ。ちなみに今年は私も出る!」

 

「「「「わーー」」」」

 

ルーさんも出るのか、是非とも当たりたいね。

 

コツコツコツコツ

 

あ、この足音は……

 

「はぁい、みんなー。栄誉補給の甘いドリンクだよー」

「出ましたね!魔王!」

「誰が魔王っ⁉︎」

「なのはさんですよ!3戦目でなのフェイティアのトリオで潰しに来たトラウマは一生忘れないですよ!シグナム姉さんたちとの特訓より死の間際にたどり着きましたもん!」

 

やっぱりなのはさんとメガーヌさんだ。

 

 

 

「インターミドルかぁ、アインハルトも出てくれると健全でいいんだけどね」

「今日の試合でやっぱり確信した。あいつらの探してる強さは競技者としての強さだ。命のやり取りや削りあいじゃねぇし何かをするための強さでもねぇ。練習重ねて自分を高めて公正なルールの中で相手と競い合う」

「相手にも自分自身にも勝つ戦い……だよね」

「ああ」

 

と、温泉ではノーヴェ、スバル、ティアナが話している。

 

「まあ、あいつらが大会に出るなら……あたしも覚悟決めなきゃならねーんだけどさ」

 

「ちゃんとヴィヴィオたちの『師匠になる』ってことでしょ?」

「ノーヴェの未来だってまだ探し中なんだし、この先どんな道に進むかヴィヴィオやアインハルトたちと一緒に探していけばいいよ」

 

と、スバルとティアナがノーヴェに言う。

 

「こうして見るとスバルはやっぱりノーヴェのお姉ちゃんよねぇ」

「姉です!」

「……まぁ、不本意ながら」

 

 

 

 

「インターミドルで強い子って実際本当に強いよねぇ。ユタちゃんなんかがいい例だし」

「そーなの!」

 

何言ってんですか、なのはさん、開始速攻でぶっ潰しに来たくせに。秒殺KOされたの初めてだよ。

 

「都市本戦の上位あたりからはプロ格闘家に進むのもよくいるんですよ」「そうなんですか……」「あれ?コロナのゴーレムって大会規定では……?」「持ち込みはダメだけど毎回のそばで組み上げるのはオッケーだって」

 

「あ、そういえば参加資格の方は……」

「年齢と健康面は問題なくオッケーよね」

「コーチとセコンドはノーヴェが全員分引き受けてくれるそうです!」

「ノーヴェ師匠なら安心ですよね!」

「はい」

「あ、そういえばユタさんはどうするんですか?」

「私は八神家から出るかな。八神はやての一人娘として出たいから。あ、練習はもちろん継続してやらせてもらうよ」

 

「あともう一つ…これ今も変わってないわよね?『安全のためclassS3以上のデバイスを所有して装備すること』」

 

「デバイス……持ってないです」

 

え、アインハルトってデバイス持ってなかったんだ。

てことはデバイス無いのに変身魔法あんなにうまいのか。羨ましい。

 

「あら、じゃあこの機会に作らなきゃ」

「その…でも真正古代(エンシェント)ベルカのデバイスは作るのが難しいと……」

 

「フッフッフッ、私の人脈甘く見てもらっちゃ困りますねえー。私の一番古い親友とその保護者さんってば次元世界にその名も高い。バリッバリに真正古代(エンシェント)ベルカな大家族!」

 

ん?ちょいまって。ルーさんの言う家族にすっごい心当たりがあるんだけど。

『マスターの考えであってますよ』

心を読む愛機が言ってくる。ってことは………

 

「八神家の皆さんに頼めばきっとノリノリで組んでくれるよ!」

 

やっぱり……。

 

『あ、マスター。はやてさんからメールです。'いま、ウチのこと呼ばんかったか?'だそうですよ」

「あの人地獄耳か何かかな?」

『あ、またメールです。地獄耳なんて言ってないよなぁ?だそうです』

 

………もうヤダ、あの家族。

 

 

 

 

「あ、インターミドルに出る気があるならどんな感じかを知るために一度やってみる?ちょうどアインハルトも私に本気でやってほしいらしいしね」

 

「え…いいんですか?」

「もちろん。ていうかアインハルトが持ちかけた話でしょ?」

「そうですが……」

「よし、決まり。明日の昼にやろう。ルーさん、インターミドルと同じ設定のリング作れる?」

「もちろん!私を誰だと思ってるのよー」

 

 

よし、これでアインハルトの約束の件はおわり。あとは…

 

「コロナちゃん、じゃあまた後で部屋でね。アインハルト、今日はみんなと寝て。私はコロナちゃんと寝るから」

「え?あ、はい、わかりました」

 

と。部屋を出る。後ろでコロナちゃんが質問攻めにあってるが私は悪く無い。

 

 

 

 

 

『マスター。ではリハビリを開始しますね。VRつけてください』

「あいよー」

 

部屋に戻り、ゲーム用ではなくリハビリ用のVRをつけてベットに寝っ転がる。

 

格好?暑いから上下ともに下着ですよ。上はシャツもきてるけど。

 

 

 

 

コンコン

 

「ユタさん、きました」

「あいよー。はいっていいよー」

「お邪魔します」

 

と、コロナちゃんが入ってくる。けどまだリハビリしてるからもう少し待ってもらうんだけど。

 

「もう少しだけ待ってて、これ終わるまで」

「はい、わかりました」

 

 

「……9.15.4.0.10.4.3.76.40.59」

『……87%です。前回から4%アップです。だいぶ良くなりましたね』

「けど、やるなら100%にしたいなぁ」

『鍛えればいけるんじゃないんです?』

 

ま、それは頑張るとして。

 

「コロナちゃん、お待たせ。で、お願いって何?」

 

「……私、2年前のインターミドルを見たときからずっとユタさんに憧れていて、練習で一緒になれたり合宿でもご一緒できるって知って」

 

「…コロナちゃん、私のスタイルを知ってるの?戦績なんかも」

 

「はい、近距離戦では超カウンター型、魔法戦ではリフレクトと吸収放射を使いこなして相手の攻撃を利用して戦うスタイル。戦績もライフ0にして勝った数より判定勝ちの方が多い」

 

「ん、そうだね。そこまで知ってても私のスタイルに憧れる?世間では勝てない相手を見切って逃げまくっている弱虫だ、なんて叩かれたこともあるのに」

 

「私、ゴーレムや反射、影なんかを駆使して格上の相手と逃げながらでも渡り合えることって凄いことだと思いますよ。私なんかが上位選手とやったらそんなことできませんもん」

 

………あー、ダメ。こういう風にマジな顔で言われると照れる。

 

「それで、私。リオやヴィヴィオより色々なものが劣っているってわかってるんです。ただ少し特別な魔法が使えるっていうだけで」

 

「…リオちゃん、それでいうなら私も少し特別な魔法が使えるっていうだけだよ」

 

「ですが…」

 

「それに、才能の話でいうなら今この合宿にいるメンバーの中で私が一番劣ってる」

 

「え?」

『マスター?その話はしてもいいんです?話したくないみたいなことを言ってませんでしたっけ?』

 

いーの、細かいことは気にしない。それに、そんなこといついったかもわからないしそんな意思は破棄だ。

 

「コロナちゃんはなんで私が格闘戦と魔法戦でカウンター型を極めようとしたかわかる?」

 

「ええと…」

 

と、コロナちゃんは口ごもる。

 

 

「答えは私が()()()()()が皆無だったから」

 

 

というとプライドも諦めたようにため息を出しコロナちゃんも驚いた顔をする。

 

「コロナちゃんから見て私ってどんな人に見えた?」

 

「わ、私はユタさんは11歳でインターミドルの都市本戦に出場なさいましたし試合を見た限りでも相手のペースに持ち込ませなかったり相手の攻撃を利用して戦っているからとても魔法戦技の才能のある人だなと。カウンターや反射、吸収放射って練習をすごく積まないとできないと思いますし」

 

「えーと、その前提が違うね。私が試合でカウンターを駆使するのは私に才能があるからじゃない。()()()()()()()()()()()()、だよ。まず、ストライクアーツでカウンター型を選んだのは私は生まれつきなのかわかんないけど筋力なんかがとてもつきづらかった。だから攻撃しても相手に大してダメージを与えにくい。相手にペースを渡さないようにするのは、そうしないと私は後手に回ってしまうから。私はパワーでなんとかする、みたいな方法は取れないから」

 

「でも、ユタさんは今日のチーム戦で私に」

 

「えーと、コロナちゃんならどんな魔法かわかってる気がしてたんだけど。カウンターを極めたからといって結局は拳の強さが関わってくる。けど私にはその肝心な拳の強さがない。さて、コロナちゃんならどうする?」

 

「私は……腕を固くします」

 

「うん、そうだね。私も同じ結論に達したんだよ。で、考えたのが」

 

と、一度実演してみせる。こうなるかと思い必要なものは全て揃ってる。

 

「コレ」

 

腕は初戦の時と同じような感じになる。

 

「これを受けたコロナちゃんはどういったものだと思った?」

 

「え?うーんと、ものすごい硬い石…みたいな」

 

「うん、半分正解。ものすごい硬い、はあってるけど石じゃない。これは炭素っていう物質を構成する元素があってね。この炭素同士の繋がりを変えることで鉛筆の芯からダイヤモンド並みの硬さまで変化させることができる。そして、ダイヤモンド並みの硬さにしたものを纏えばそれは鉄壁の鎧かつ硬い武具にもなる。手順としては周りの炭素が使われてる物を魔法で分解して炭素を取り出してそれの結合を変えて、あとは腕の表面にある炭素と引っ付ける」

 

『マスター、そんなに秘密をベラベラと喋っていいんですか?』

「いーの、コロナちゃんめちゃくちゃ真剣に聞いてくれてるし」

 

今なんかもブランゼルに録音しながらもしっかりと聞いてくれてる。

 

「でも、それなら全身を覆ってしまえばいいんじゃないんですか?」

 

「うん、私も最初はそう思ったんだけど。コレ、意外と使い勝手が悪い上に魔力の燃費が悪いんだよね」

 

多分、これで大方私のことは話したよね?あー、疲れた。

 

 

閑話休題

 

 

「それで、話がそれたけどコロナちゃんが私にお願いしたいことってなに?」

 

「あ、はい。私…ユタさんにノーヴェ師匠とは別で特訓をつけて欲しいんです。ユタさんみたいに強くなりたくて…」

 

……ちょっと待て、これは予想外の方向から来たぞ。

まあしかし答えは決まっている。

 

「いいよ」

『いいんですかい!』

「そうですよね……ダメに決まって……って、へ?」

 

プライド、いつもの冷静なツッコミはどこに行ったの?口調が変になってるよ。

 

「けど、条件がある」

 

「条件?」

 

「それはーーー

 

 

 

 

 

 

 

【合宿三日目】

 

「あーー、眠い」

『あれだけ寝たのにまだ眠いんですか』

 

しょーがない。寝すぎて眠いってやつだよ、プライドさん。本能みたいなものだ。

コロナちゃんはもうすでに起きているようでベットには私1人だった。

 

今現在はカルナージの時間で8時半。

今日の合宿の予定は………

 

「ユター?起きてるー?八神司令と連絡ついたからお願いー」

「はいー、今行きますー」

 

いまからアインハルトのデバイスの交渉と昼からはアインハルトと試合。あとは地球のオタ……じゃなくて仲間ととあることについての話し合い。

 

さて、多分今回の合宿で一番疲れるぞ。気を引き締めないと。特に母さんとの交渉は。

 

『変なところで覚悟を決めないでください。馬鹿馬鹿しいので。まあ同情はできますが』

「同情してくれるだけありがたい」

 

と、私は部屋を出た。



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11話

ついにお気に入り登録が100人になってました!

超がつくほど嬉しいしよんでくださってる皆さんには感謝感激です!

ユタの過去編をどのタイミングで出すべきか悩んでます…
けど頑張って面白くしていきます!

それではどうぞ!


私は、覚悟を決めるとルーさんやアインハルトのいる部屋まで来た。

 

「ルーさん、きたよー」

「お、きたきた。いまから八神さんとこと通信するから何かあったら頼むわね。ユタ」

 

……まあそれくらいは別にいいんだけど。

 

「(八神司令…一体どんな方なんだろう。数々の事件を解決してきた歴戦の勇士っていうし、やっぱり怖い方なのかな…)」

 

アインハルトを見るとなぜか緊張している。

 

「あー、アインハルト?緊張するだけ無駄だよ。リラックスリラックス。あとお願いがある」

「なんですか?」

 

「私が冷静さを欠いたと思ったら遠慮なくぶっ叩いて」

 

「へ?」

 

よし、保険は用意できた。

 

 

 

『あ、オーッス。ルールー。ユタ』

「おいーっす。アギト」「ちゃーっす、アギト」

『デバイスの件だよな?ちょっと待ってて』

 

と、赤髪の男の子っぽい口調のアギトさんが出てきた。そして母さんを呼びに行った。

 

そして、映ってきたのは

 

「たぬ……たぬき……?」

 

たぬきの仮面をかぶった人だった。アインハルトもポカーンとしている。

 

「あ!母さんがとうとうたぬきになった!みんなに狸って言われてたからとうとうなっちゃったか!」

『アホ!まだなる気はないわ!まだ狸になる前にアンタの親を卒業せないかんわ!』

「まだ⁉︎てことは狸って自覚はあるんだ!」

『うっさいわ!』

 

スパン!

 

「ユター、話が進まないから少し黙って」

「痛っっっ、はい。ごめんなさい。アインハルト、手加減なさすぎ…」

 

『それはそうとー』

 

と、画面の母さんが狸のお面を取りながら。

 

『ユタはもうエリオに告ったんか?』

 

「なにサラッととんでもないこと言ってんの!!!!!」

 

「え?」「ユタってエリオのこと好きだったの……?」

 

まずい、話を変えないと……。

 

「いや、あのー」

『そうやでー。2年前のインターミドルも都市本戦で優勝したらエリオに告白するーって張り切ってたもんなぁ』

「だーかーらーー!!!人の秘密ばらすな!」

『決勝で負けた時もなにが一番悔しかったかって言ったらエリオの前で無様に負けたことを一番悔やんで泣いてたもんなぁ』

「なんでしってんの⁉︎」

『言っとくけどウチだけじゃなくてなのはちゃんやフェイトちゃんも知ってるからなー。あとはシグナムやシャマルも。エリオは知らんけどなー』

「なぜばれてる⁉︎言いふらしたでしょ!」

『してへんわ!2年前のあんたほどわかりやすい奴はおらんかったわ!それよりはよ告りーや。そしたらウチも安心できるんやから』

「年齢=独身歴の人に心配されたくはない!」

『いま言うてはならんことを言ったな!帰ったら覚えときーや!』

 

ガン!

 

あれー?なんか目の前に星が浮かんできた……

 

ドサッ

 

『……アインハルトさん、容赦ないですね』

「え?ユタさんがこうしろと」

 

最後にプライドとアインハルトの話し声がかすかに聞こえてきて意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 

『よし、ユタは黙らせてもらったことやし。改めてルールー。お久しぶりやー』

「八神司令、お久しぶりです。今日はお休みなんですねえ」

『そーなんよー』

「(この方が……)」

「あ、それで今日はですね、この子の」

『あー聞いてるよ。覇王イングヴァルト陛下の正統血統ハイディ・E・Sイングヴァルト。格闘戦技[覇王流]を継承してて。ちょっとやんちゃもしてたけど今はノーヴェ師匠やヴィヴィオ達と一緒に魔法戦技に一生懸命。真面目で一生懸命なええ子やって。そんな子にならいくらでも協力するよー」

 

「ありがとうございます!」

 

と、アインハルトが頭をさげる。

 

『公式魔法戦用のデバイスやったっけ?どんなのがいいか決まってる?』

「あ、はい…!」

『装着型とか武器型とか』『なんでも相談にのるよー』

 

と、はやてさんの横からアギトにリインも映ってくる。

 

「えと…格闘戦技だけで戦いたいので武器型ではない方が…」

『そーかー。格闘家さんやもんねー。ほんなら体の動きを阻害するような装着型も良くないかなー。スバルのナックルやキャリバーも、あれなんだかんだでめっちゃ重いしなー』『そうなんですよねぇー』

「ですから、その、この子達のように補助・制御型の方がいいなと」

 

と、アインハルトはクリスやプライドを持って示す。

 

『なるほどなー。ほんならクリスやプライドの性能をベースに真正古代(エンシェント)ベルカのシステムで組むのがええかな』『補助・制御型か。それなら機体自体はすぐにできそうだな』『ですね。あとは性能設定と調整です』

 

『そやねー。ほんならアインハルト』

 

「はいっ」

 

『覇王の愛機。まずは軽く取り掛かってみるな。八神はやてとリイン&アギトがノリノリで組んであげよ』

『『お任せだ!(です!)』』

 

「ありがとうございます!」

 

『まあ詳しい話も聞きたいから合宿が終わったら、ユタあたりに一度ウチか本局につれてきてもらいーな。遊びにでもきてな。特にウチのユタに勝ったこととか聞きたいしなー』

 

「はい」

 

『そやけど合宿ええなー。ウチらもまた行きたいなー』

「またいつでもいらしてくださいー」

 

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「しかし、インターミドルか。もうそんな時期なんだな」

「五月も終わりだぜ。そんな時期だよ」

「ウチの近所からも出る子達いるよなー?」

「ザフィーラの教え子達ですね。何人か出るそうですよ」

 

リビングにはシグナム、ヴィータ、シャマルがおり、そこにはやてとリインとアギトも戻ってきて一気に賑わってくる。

 

「みんないつも頑張ってるけど……ヴィヴィオたちやユタのライバルになりそうな子いたりする?」

「ああ、いますよ」

「結構凄いのが1人いる」

「あ、わかった。ミウラやろ?」

「正解!」

「ザフィーラはもちろん、シグナムやヴィータともちょくちょく練習試合してるもんなー。しかも優しく教えてもらってるし。ユタが嫉妬しそうやけど。私ももう少し優しくしてー!って」

「ユタの場合は仕方ないです。避けるスタイルにするのなら生半可な練習じゃダメですから」

「一応、アレもユタのことを思っての厳しさやからねー。シグナムってなんだかんだユタのこと好きやねー。ウチと同じくらいユタのこと裏で可愛がってるもんなー。けどツンデレいうもんなんかな。シグナムみたいなのは」

「そ、そんなことは…ないと思います」

 

 

 

〜八神家近くの砂浜〜

 

「師匠!そういえばインターミドルの参加申請、今日から受付開始ですよね!」

「ああ」

 

砂浜にはストレッチをしているミウラとザフィーラがいた。

 

「師匠に教えてもらったこと。ヴィータさんやシグナムさん、シャマル先生に鍛えてもらった技!それからいつもはやてさんやリインさん達がくれる美味しいおやつに恥じないように〜。ボク、頑張りますっ!」

 

ミウラ・リナルディ(12)

区立学校中等科一年生

Style:ストライクアーツ八神家流

skill:抜剣

Magic:ミッドチルダ

インターミドル参加履歴:初参加

 

「頑張りますよ?」

「いや、2度言わなくていい。がんばれ」

 

 

 

〜聖王協会本部〜

 

「そう、ヴィヴィオ達もインターミドルに出るのね。

「覇王っ子…アインハルトも出るそうですよ」

「うちのシスターも1人出るでしょう?ほらシャッハの愛弟子」

「シャンテですね。本人は出たがっているんですが……」

 

本部では騎士カリムとセイン、シャッハの3人が話していた。

 

「ただ、人格的な部分に若干問題があるので果たして出していいものかどうか…」

「えー、シャンテいい子だよ?私と同期だし」

「悪い子だなんて言ってません。シスターとして、修道騎士として礼節面の問題がですね……」

「ん?てゆーかシスターシャッハの許可ってまだだったの?あたし、さっきお使いのついでにあの子の参加申請書出してきちゃったんだけど」

 

 

「なんですってぇぇぇぇぇ!?」

 

 

「いや、私に怒るのナシ!頼まれただけなんだって!」

 

と、シャッハは愕然としているがカリムは?マークを浮かべていてよくわかっていなかったそう。

 

「えっへっへー。怒ったってもう遅いもんね」

 

と、外の崖に生えた木には1人のシスターが登っていた。

オレンジ髪の。陽気な雰囲気のシスターだった。

 

「聖王協会本部代表。このシスターシャンテがキッチリ優勝いただいてきますとも!」

 

シャンテ・アピニオン(14)

Style:双剣術

skill:すんごい迅さ

Magic:ミッドチルダ

インターミドル参加履歴:初参加

 

 

「あり?そういえば陛下と当たったらすっごい気まずくないっ?」

 

 

 

〜ミッドチルダ南部 エルセア第9地区〜

 

「あ、リーダー!」

 

とある高校ではリーダーと呼ばれる女がいた。

そのリーダーと取り巻き3人は見た目は不良。中身はいい子ちゃん。(証言者 ユタ)

 

リーダーは、ハリー・トライベッカ。赤い髪が特徴で一人称がオレ。

取り巻きは長身のロングのミア。なお成績優秀。ちっちゃくてサングラスっぽいものをかけてるルカ。マスクがトレードマーク?のリンダの3人

 

「それ、大会の参加申請っすか?」

「おうよ。今日から参加受付開始だからな」

「いやー、今年ことリーダーが優勝っすよ!」

「去年は惜しかったっすからねー!都市本戦であんな変なのに負けちまって」

「ばかやろう!てめえリーダーが気にしていることを!」

「え?いやでも…」

 

と、ルカとリンダがいうとルカが慌てながら言う。

 

「「「ハッ!」」」

 

「ぐすっ……ぐすっ……」

 

「ホラみろ!泣いちゃったじゃねーかっ!」

「スンマセン!ほんと、スンマセンッ!」

「いいんだ!泣くほど悔しい気持ちを胸にッ!オレぁ頑張る!今年は負けねえ!!」

「「「オォスッ!」」」

 

ハリー・トライベッカ(15)

市立学校高等科2年

Style:我流魔導戦

skill:近接射砲撃

Magic:ミッドチルダ

インターミドル参加履歴:3回

最高戦績 都市本戦5位入賞

 

 

「あ、リーダー。ユタさん、今年から復帰するらしいですよ」

 

と、ミアがいうと

 

「それはほんとかっ!ていうか、なんでミアがそれを知ってんだ?」

「ユタさんから報告きてました。あのことはメルアド交換してるんで。勉強とか教えてあげたりしてますし」

「あいつ!オレとはやらなかったくせに!ミアだけかよ!……まあいい。今年で2年前の雪辱は果たしてやる…」

 

 

 

 

 

〜ダールグリュン家〜

 

「このあいだまで世間を騒がせていた自称覇王。わたくしが叩き潰してやろうと思っていましたのにいつの間にか姿を消してしまって」

「今年は聖王陛下も10歳になられましたので参戦なさるようですよ。もしかしたら覇王の子も出てくるかもしれませんね」

 

ある一室では金髪のお嬢様らしき人(実際お嬢様だが)のヴィクトーリアと執事の長身美男子のエドガーがいた。

 

「それはいいですわね。もし出てきたらいい機会ですわ。旧ベルカの最強覇者は聖王でも覇王でもなく『雷帝』ダールグリュン。その現実を雷帝の血を(ほんの少しだけ)引くこのわたくし!ヴィクトーリア・ダールグリュンが叩き込んでさしあげますわ!」

 

ヴィクトーリア・ダールグリュン(17)

Style:雷帝式

skill:神雷

Magic:ダールグリュン

インターミドル参加履歴:5回

最高戦績 都市本戦準決勝(3位)

 

「今年は知らしめられるといいですねぇ。去年は決勝前に負けられましたし一昨年は聖王の血を引く方に負けられましたから」

「いいですからエドガー。さっさと参加申請書を出してきなさい。あとお茶を早く」

 

「かしこまりました。……ああ、そういえば。今年からユタさんが現役復帰するようですよ。ジークさんにも会いたいのでまずはお嬢様とコンタクトを取りたいとメールが来ておりました」

 

「……!そうですの。わかりましたわ。いつでもいらしてと返信しておいて」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

とある荒野ではひたすらランニングをしている少女がいた。

炎天下の中フードをかぶって。まるで注目されるのが嫌かのように。

しかし、ずっと同じペースで走っている。

 

ジークリンデ・エレミア(16)

Style:総合魔導戦技

skill:鉄腕

Magic:エレミアン・クラッツ

インターミドル参加履歴 3回

最高戦績 世界代表戦 優勝

 

「(ユタ…またやりたいけど…合わせる顔もないのにまだやりたいと思ってまう…)」

 

 

 

 

〜クラナガン〜

 

森の近くではヴィヴィオとノーヴェが軽く練習をしていた。

 

「まずは予選突破。目標は都市本戦!」

「おうよ」

「頑張って鍛えるよー!」

 

高町ヴィヴィオ(10)

Style:ストライクアーツ

skill:カウンターヒッター

Magic:ベルカ&ミッドハイブリッド

デバイス セイクリッド・ハート(ハイブリッド-intelligent)

 

 

 

コロナ・ティミル(10)

Style:ゴーレム創成

skill:ゴーレム操作

Magic:ミッドチルダ

デバイス ブランゼル(intelligent)

 

リオ・ウェズリー(10)

Style:春光拳+ストライクアーツ

skill:炎雷変換

Magic:近代ベルカ

デバイス ソルフェージュ(intelligent)

 

ルーテシア・アルピーノ(14)

Style:純魔法戦

skill:召喚・治癒

Magic:ミッド&ベルカハイブリッド

デバイス アスクレピオス(Boost)

 

八神ユタ(13)

St.ヒルデ魔法学院中等科1年生

style ストライクアーツ&魔法:超カウンター型+影使い

skill 影変換

magic ベルカ&ミッドハイブリッド

device 傲慢の欲(プライド)(intelligent)

インターミドル参加履歴1回

 最高戦績 都市本戦決勝(2位入賞)

 

アインハルト・ストラトス(12)

Style:覇王流

skill:断空

Magic:真正古代(エンシェント)ベルカ

デバイス ???

 

 

 

それぞれの誓いを胸に

予選開始まであと2ヶ月!




どうでしたか?

余談ですが、
ユタは都市本戦で戦った相手は
リリカルなのはvividに出てくる上位選手では
ハリー ヴィクトーリア ジークの3人です。
内容としてはハリーにはライフを削り切って勝利。
ヴィクトーリアには判定勝ち。
ジークはKO負けを食らってます。

詳しいことは後々書きます。

読んでくださりありがとうございました!


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12話

最近、自分の書いていたISの二次小説で
キャラはそのままに
話を思いっきり作り直してみています。

意外と楽しい( ̄▽ ̄)


と、そんなのはどうでもいいですね。

今回はユタvsアインハルト中心です。

今回のて3度目となりますが、おそらく初めてユタの1vs1での本気の戦いになると思います。


それではどうぞ!


合宿三日目 昼食時

 

「ルーさん。セッティングってもう済んでる?」

「もちろん。公式試合とそっくり同じものを作ったわよ。ダメージフィードバックやクラッシュエミュレートなんかもね」

「今回のアインハルトのデバイスなしの部分を補う所は?」

「それももちろんやってるわよ」

「ありがたい」

 

と、今は景色のいい草原でピクニック的な昼食を取っていた。

主にノーヴェさんとルーさんと初等科3人と。もちろんアインハルトもいる。

 

「セコンドはアインハルトにはノーヴェさん達?」

 

「うん、そうだよ。というか、ユタは本当にセコンドはいらないの?」

 

「うん、いらない。ていうか必要ない。それに…………私のセコンドは母さんやシグナム姉さんだけだから」

 

「おっ、今の発言は親思いのいい子の発言だねー。八神司令に報告しなくちゃ♪」

 

「いや!ダメ!色々とまたいじられる!」

『マスターが恥らうとは……明日雹でも降るんですかね』

 

と、珍しくユタは顔を赤くしている。

 

 

 

 

 

 

(あ、最後に質問いいですか?)

 

(ん?何?)

 

(ユタさんって………なんでそんなに頑張れるんですか…?)

 

(…………なんでだろうね)

 

(あ、答えづらかったら答えなくて大丈夫ですので!)

 

(いや、答えづらいとかじゃないんだけど…。元々強くなりたいって思うようになったのは5歳くらいの頃からなんだよね。私が……弱いせいで母さんやシグナム姉さん、あとは母さんと同じくらい大事な人を傷つけたから。自分の弱さのせいで大事な人を……姉さんを死なせてしまったから……。裏路地に一緒に捨てられたあとも私を見捨てずにずっと守ってくれた人を……。……………あとは母さんが強くなっていく私を自分のことのように喜んでくれるのがとても嬉しいからかな。母さんが喜んでくれるから、私は過去のことがあっても辛くても頑張れる)

 

 

 

 

 

〜仮説試合場所 午後2時半〜

 

試合場所には私とアインハルト。

私のもしもの時のストッパーとしてルーさん。

アインハルトにはセコンドとしてノーヴェさんがいた。

観客は初等科トリオだ。

 

大人組はみなさん練習に行かれましたよ。

 

 

『じゃあ、公式戦と同じでライフは15000。クラッシュエミュレートもあり。4ラウンド制』

「はい」「おっけー」

『それじゃ、両者共にセットアップを』

 

「「セットアップ」」

 

の掛け声と同時にアインハルトは大人モードに。私はいつもの方から先が露出している夏の少年みたいな感じに。

 

『マスター。今日はどういった試合運びを?』

「あーうん。アインハルトには悪いけど……試合をさせないつもり。2ラウンド目からはペースを渡さない」

 

 

 

 

『いくよーー。レディーーファイト!!』

 

 

 

 

試合が始まるとアインハルトはすぐに距離を詰める。

そして、

 

「断空拳!」

「あぶなっ!」

 

一発目からいきなり必殺クラスの拳を撃ち込んでくる。それをユタは想像していなかったのかギリギリ避けている。そしてすぐさま距離をとる。

 

それをアインハルトはすぐさま追撃をしてくる。

 

「(昨日の試合で確信した。ユタさんに影生成やゴーレム創成の隙を与えたら主導権を握られる。なら!やられる前にやらないと!)」

 

「(よし…このまま…)」

 

ユタは、逃げてはいるがただ逃げてるわけではなく()()()()()()()()()()()()()()逃げている。

 

「空破断!」

「っっとお!せやっ!」

「!」

 

と、ユタは攻撃をかわしアインハルトに足払いをし、地面にひれ伏せさせる。

 

影の拘束(シャドウバインド)

 

すると、そのアインハルトの周りから影が出てきてアインハルトをがんじがらめにバインドをする。

 

「捕獲完了。この隙に……」

「ぐっ……(ただの影だと思ってたけどかなり強いバインド…でも…これくらいなら…!)」

 

と、ユタはまだ通っていない部分を通りながら腕の硬化魔法の準備をし始める。

 

「っ……断空拳!」

 

「へ?嘘……マジですか」

 

アインハルトはユタを自由にさせるのはまずいと思ったのか強行策として床に無理やり断空拳を撃ち込み床を壊した。そして床に貼り付けるようにしていたバインドから抜け出してユタに迫っている。

 

するとユタは、なぜか()()()()()()()()()()()走って行った。

 

そして……

 

「はあっ!」

「うおりゃ!」

 

ユタとアインハルトは互いに拳が顔に入った。

 

「え…?」

「痛ったい……さすがにこれは予想してなかったかな?」

 

「ふふふ……やっぱりダメか。アインハルトくらいの頑丈な人だとただのカウンターは意味ないや」

 

ライフ

アインハルト 15000⇨14000

 

ユタ 15000⇨12500

 

「やることはやったし……ここからは接近戦だ。アインハルト」

 

「……!望むところです!!」

 

 

 

 

 

 

インターバル1回目

 

「ゲホッ…少し調子に乗りすぎた……」

『バカですねえ。ライフ回復するので少しじっとしててください』

「うん」

『それで……仕込みは終わりました?』

「終わったよ。次からは……アインハルトには悪いけど格闘戦をさせてあげない」

 

 

 

インターバル回復

 

ユタ 6800⇨12000 クラッシュエミュレート 全回復

 

アインハルト 8500⇨13000 クラッシュエミュレート 全回復

 

 

『それじゃあ第二ラウンドーーーーー開始!』

 

 

 

 

アインハルトは1ラウンド目と同じようにユタに主導権を握らせないと思ったのか開始直後にユタに突撃する。

しかし…

 

「悪いけど、もうアインハルトの得意部門に付き合うのは終わりだよ。影よ。切り裂け(シャドウ リッパー)

「!?」

 

すると、突撃していたアインハルトの()()()()影が飛び出してきてアインハルトを襲った。

 

ライフ

アインハルト 13000⇨12000

クラッシュエミュレート 腕部及び腹部、脚部多数裂傷

 

アインハルトはすぐに距離をとるが

 

「まだまだ♪」

 

「くっ!」

 

逃げても逃げても足元から影が出てきている。

 

「っ!それなら…」

 

と、今度は影が襲ってきてる中、強引にユタに近づいていく。

 

「うん、正解だね。けど…」

 

するとユタは自分の近くから影を伸ばしアインハルトに勢いよく飛ばす。

 

それを避けられはするが何度も追尾をして

 

「捕まえた」

「ぐっ……しかしこの程度…」

 

バインドに似たもをかける。

しかし、それを無理やり引きちぎろうとしているが…

 

「ニィッ。そーーーれっ!!」

「えっ?がっ」

 

ユタが自分からアインハルトを引っ張ろうとしていとも簡単にちぎれた。

が、ちぎれた瞬間アインハルトが爆発に巻き込まれる。

 

「まだまだ」

 

そして、倒れ込まれる前に再度影で捕らえコロナちゃんの時のように自分に向かって投げつける。

 

腕にもあの魔法をかける。

アインハルトは空中でなんとか体制を立て直そうとしているが

 

「遅いよー。せやっ!」

 

「っっ!」

 

投げつけられた分の力とユタの殴った力でアインハルトが吹っ飛んでいく。

 

『リングアウトダウン』

 

ライフ

 

アインハルト 12000⇨5800

クラッシュエミュレート 腕部熱傷

左腕 肋骨1番2番 骨折

 

『カウント 10 9 8……』

 

 

〜観客席〜

 

「ユタさん……すごい……1ラウンド目のが嘘みたい…」

「あのアインハルトさんに圧倒してる…」

「やっぱり……ユタさんはすごい!」

 

観客席ではヴィヴィオ達3人が観戦しているが、3人とも驚いていた。

陸戦試合で戦ったリオとコロナもユタの影の使い方などに驚いていた。

 

「あ、でもユタさん結構辛そう?」

「本当だ、でもなんで?ダメージあまり受けてないのに」

 

 

 

 

『4 3 2…』

 

 

 

『マスター、魔力使いすぎです。もう少し考えてください』

「はあっ…はあっ、りょーかい。このまま終わってくれると楽なんだけど」

 

「………!まだやれます!」

 

「…!そうこなくっちゃ!」

 

アインハルトがリングに上がってきて再度構える。

それを見てユタも構える。

 

『(マスター、影の使用は少しお控えください。でないと腕の魔法まで解けてしまいます)』

「(オッケー。今からは近距離でやりあうから消費は抑えてみる)」

 

 

 

『レディーゴー!』

 

 

 

 

「(逃げてもあの影から逃げ切るのはほぼ無理。なら無理矢理にでも接近戦に持ち込む!)」

 

「(地面にばらまいてる魔力の回収をしながら……接近戦でケリをつけよう。そのためには……走り回る!)」

 

開始と同時にアインハルトはユタに接近する。ユタは逃げながら再度リンナグ全体をくまなく通るように逃げる。

 

「(多分そろそろネタに気づきそうだし3ラウンドに持ち込まれたら厄介だな……)」

 

「……?(影を使って反撃してこない?何かを狙ってる?けど、これは好機!)」

 

アインハルトは好機と見たのか一気に加速しユタに近づく。

そして、ユタの()()めがけて拳を打ち込み床を壊す。

 

「っ!あぶな……」

「逃がしません!空破断!」

 

そして、足が止まった隙を見逃さずユタに殴り込む。

ユタはギリギリのところでガードしていたが威力を殺しきれておらずそのまま地面に叩きつけられる。

 

『ダウン 10 9 8 ………』

 

ライフ

ユタ 12000⇨10000

クラッシュエミュレート 背中強度打撲

 

「ゲホッ、まだやれます!」

 

「……」

 

 

 

『ファイト!』

 

 

「一撃もらうとは思ってなかったよ。やっぱりすごいね。アインハルトは」

「それはどうもです。この試合にも勝ってみせます!」

 

「うーん、それはもう無理だね。もう仕掛けは終わった♪」

 

「え…?」

 

「アインハルトは勝つなら1ラウンド目です私を動き回らせずに無理矢理にでも動きを封じるべきだった。私が動き回ってた理由は…」

 

と、ユタが床を見る。

するとアインハルトも気づいたのかすぐさまその場から離れる……が

 

「遅いよ!」

「ぐっ!」

 

床が突如せり上がりアインハルトを思いっきり突き飛ばす。

 

「まだまだ!」

「っ!」

 

今度はユタの足元から影が伸びていき上空に飛ばされていたアインハルトをつかむ。そしてそのまま床めがけて投げつける。

 

ライフ

アインハルト 5800⇨3000

 

 

影の拘束(シャドウバインド)ダブル」

 

と、最初にかけたバインドの二倍の量をアインハルトにかける。

バインド自体の強さは変わらないが量が増えたことによりより強いバインドをかけた。

そして、細かいところまで全て動けないようにする。文字通り指一本動かせないくらい。

 

『バインディング ダウン 10 9 ……』

 

 

「はぁ はぁ」

「ぐ…これしき…」

 

「あー、無駄だよ。これ、ちょっとやそっとの力じゃ外れないよ」

 

 

『3……2……』

 

 

「ゲホッ。お疲れさん。アインハルト」

 

「……!」

 

アインハルトは最後の力を使って振り切ろうとしているが動く気配すらない。

 

『1……0! 勝者 八神ユタ!』

 

 

 

 

 

 

「…………体全身が痛い……」

『なーんで敢えてアインハルトさんと殴り合うんですかねぇ。自分の体の体質のことお忘れで?』

 

私は試合が終わって部屋でベットに倒れこんでる。

1ラウンド目でアインハルトと殴り合ったのが効いてきてるのか全身、特に腕が痛い。

 

『治癒促進をかけるので力を抜いて楽にしてください』

「あー、うん。了解…。腕の硬化してても衝撃が消えるわけじゃないんだよねぇ……改良の余地たくさんありそうだけど…」

『その場合だとさらに使い勝手悪くなりそうですね』

「だよねぇ…。ただでさえ影の方に魔力を回してるのに」

 

 

コンコン

 

 

?誰だろ

 

「どーぞ」

 

「はあーい。ユタ。大丈夫?」

「失礼しまーす」

「お、お邪魔します」

「お邪魔しまーーす!」

 

入ってきたのはルーさんとヴィヴィオちゃん、コロナちゃん、リオちゃんだった。

 

「あれ?アインハルトは?」

「アインハルトは別室で休憩中。で、ノーヴェさんとお話し中」

「そう」

『そういえばみなさん。マスターはいまほとんど動けないのでいままで振り回された分やり返せるチャンスですよ』

 

は?いま何て言ったこの愛機。

しかもルーさんとリオちゃんが目を光らせてるのは気のせいかな?ヴィヴィオちゃんとコロナちゃんは慌ててるけど。

 

「ふふーん。それじゃあ」

「遠慮なく!」

「へ?嫌、やめ……」

 

そして、その後ユタの悲鳴が響き渡ることとなる。

 

 

 

 

 

 

〜ある一室〜

 

ユタとはまた別のところでノーヴェとアインハルトが話をしていた。

 

「どーだった?ユタとやってみて」

 

「はい……改めて思いました。私の見ていた世界は……本当に、本当に狭かったものだと」

 

「そうか。それならよかった」

 

「ノーヴェさん」

 

「ん?」

 

「改めて、インターミドルに向けてご指導お願いします!」

 

「おう。しっかり鍛えて行こうぜ」




最近、将来の夢がちゃんと定まってなくて色々と右往左往しています。

あと受験生になるので更新頻度が落ちる可能性があります。ごりょうしょうを


読んでくださりありがとうございました


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13話

最近、勉強という名の夜更かしのせいで眠気マックスが続いており中々辛いです

何が辛いかって、昼間に行動できないんですよ。
あ、どうでもいいですね。

今回はなんの変哲も無い日常系ばかりです。

それではどうぞ!


みんなで一緒の四日間のオフトレツアー。

水遊びに温泉に陸戦試合×3!

 

ピクニックやのんびりタイムも思いっきり満喫して

 

そんなこんなで四日間の日程も無事終了し

 

「じゃあみんな」「ご滞在ありがとうございました♪」

「こちらこそ」「「「ありがとうございましたー!!」」」

 

私たちはミッドチルダに帰ります。

 

~ミッドチルダ 首都次元港~

 

「ミッドチルダ到着ー♪」

「車回してくるから少し待っててね」

「「「「はーい!」」」」

 

あとはなのはさんに家まで送ってもらえばゆっくり休める。

アインハルトと殴り合ったやつがいまだに響いてるんだよね。

 

「でも、みんな明日からまた忙しくなるねぇ」

「インターミドルに向けてばっちり練習しなくちゃ」

「はいっ!でも大丈夫です!」

「うちのコーチがトレーニングメニュー作ってくれますから!」

 

おお、ヴィヴィオちゃんにコロナちゃん。威勢がいいね。

 

「ま、しっかり鍛えていこうぜ。そういやユタはどうすんだ?」

「私はたぶんですが練習に来る頻度は減ると思いますね。シグナム姉さんや母さんとの練習も増えますし」

「そうか。まあ来れるときだけこい」

「そうさせてもらいます」

 

ん?なんでコロナちゃんそんな緊張してんの?

 

『マスター、練習に付き合う際に条件を付けたってことお忘れで?』

「あ……」

 

 

 

 

(条件がある)

 

(条件…?)

 

(うん、とは言っても結構簡単だよ。私と練習するっていうのをちゃんとコーチ……ノーヴェさんに言うこと。それが条件)

 

(え!?な、なんでですか?)

 

(なんだって……それが師弟の関係みたいなものでしょ。ちゃんと、正式な師匠以外から教わるってことを師匠が把握しておかないと。それができないならこの話はなし)

 

(で、でも…)

 

(強くなりたくて私に頼むってのはわかる。けど、ノーヴェさんもノーヴェさんでしっかりとコロナちゃんと向き合ってる。それに……言っちゃ悪いけど今までのコロナちゃんの言い方だとノーヴェ師匠のことを信用してないっていう風にとれる)

 

(そんなこと……そんなことないです!ノーヴェさんは頼りにしてます!)

 

(なら、言えるよね?コーチのことを信用してるなら、ちゃんと頼めば受け入れてくれる。大丈夫。私もそのときはちゃんと援護してあげる)

 

 

 

忘れてたわ。三日目の地球のオタ…じゃなくて個性的な仲間との話し合いでつかれてたかな?

 

「コロナちゃん、ほら」

「は、はい…」

 

と、コロナちゃんが緊張しながらノーヴェさんのもとに行く。

 

「ん?どうしたコロナ」

「の、ノーヴェ師匠。実は私、ユタさんとも個人的に特訓をしてもらうことになりまして」

「……それはどうしてだ?あたしに不満でもあったか?あったなら言ってくれ」

 

うわー、ノーヴェさんの顔が超が付くほど不安な顔になってる。

 

「いえ、違うんです!ストライクアーツやゴーレム操作なんかじゃなくて…魔法中心の戦い方をユタさんからは教わるつもりです。なのでノーヴェさんに不満があるとかじゃないです!決して!」

「ええ、私が初めてコロナちゃんたちと会ったときに私たちが試合してたの覚えてます?」

 

「あ、ああ」

 

「その時に1発当てることができたらなんでも一つお願いを聞くって約束してて、そのお願いがこれです」

 

「しかし…」

 

「ご心配なく。あくまでノーヴェさんが教えることを軸にして教えていくつもりなので。というか、ストライクアーツとかゴーレム操作の応用なんかは私が教えれる範疇超えてますし」

 

「ならいいんだが…」

 

と、チラッとヴィヴィオちゃんやリオちゃんの方を見る。

ああ、不公平なんじゃないかっていうのも心配してるのね。

 

「あ、私をスパーリングの相手として使いたいときはいつでも呼んでください。それくらいなら相手になれます。……ヴィヴィオちゃんたちもそれでいい?」

「はいっ!」「大丈夫です!」

 

「…ならあたしはもう何も言わねーよ。その代わり、しっかりと教えてやってくれ」

「もちろんです」

『何かあったときは私が通報しておきますのでその点はご安心を』

 

おい、何かをやる前触れみたいに言うんじゃない

 

 

 

 

「(インターミドルねぇ。ヴィヴィオちゃんたちにとっては初めての『決定的な敗北』を知る場になりそうだねぇ)』

『(マスターも順調でしたが最後の最後にそれを叩き込まれましたもんね)』

 

うーん、未だに2年前のことを思い出すと頭が痛くなる。

 

「インターミドルってかなり沢山の子が出場するんでしょ?予選会とかあるんだっけ?」

 

「あ、ええと……確か地区選考会というのがあって」

「そーです!選考会では健康チェックと体力テスト、あとは簡単なスパーリング実技があって」

「選考会の結果で予選の組み合わせが決まるんです」

「普通の人は『ノービスクラス』。選考会で優秀だったり過去に入賞歴があったりするひとは『エリートクラス』から地区予選がスタートします」

「勝ち抜き戦で地区代表が決まるまで戦い続けてーーそうしてミッドチルダ中央17区から20人の代表と前回の都市本戦優勝者が集まってーー」

 

「その21人でいよいよ夢の舞台」

 

「「「都市本戦です!」」」

 

「ここでミッドチルダ中央部のナンバーワンが決まるんですよ」

「テレビ中継も入ります!」

 

ティアナさんが聞いたことに初等科トリオのみんながすごい生き生きと答えた。元気でいいことだ。

 

「まあ、さすがに私たちのレベルだと…」

「本戦入賞とかは夢のまた夢なので」

「『都市本戦出場』を最高目標にしてるんですけど」

 

あれ?一気に落ち込んだね。

 

「その…都市本戦で優勝したら終わりですか?」

 

あれ?アインハルト知らないの?夏の風物詩とまで言われるほどかなり有名な大会なのに。

 

「もちろんその上もありますよ。『都市選抜』で世界代表を決めて、選抜優勝者同士で『世界代表戦』です。ミッドだと選抜メンバーは3人ですね。ユタさんも一昨年ので本当は選ばれてたはずなんですが…」

「ま、私は怪我しちゃったからねえ」

 

「そこまで言って優勝できたら…文句なしに【次元世界最強の10代女子】だね」

 

まあ、正直そんなのはまだ夢のまた夢なんだけど。

 

「ノーヴェさん、ユタさん。率直な感想を伺いたいんですが。今の私たちはどこまでいけると思われますか?』

 

アインハルトに聞かれ思わずノーヴェさんと目を合わせる。

 

「ノーヴェさんからどうぞ」

「あ、ああ。もともとミッド中央は激戦区なんだ。DSAAルールの選手として能力以上にな先鋭化してる奴も多い。ユタと戦ったアインハルトやコロナたちもそれはわかってると思う。その上での話として聞けよ。

 

ヴィヴィオたち3人は地区予選前半まで。ノービスクラスならまだしも、エリートクラスじゃまず手も足もでねー。

アインハルトはいいとこ地区予選の真ん中あたりまで。エリートクラスで勝ち抜くのは難しいだろうな。そんじゃ次はユタ」

 

「はい、えーーと。いまのアインハルトたちの実力からして、ノーヴェさんとほぼ変わらないんですけど。

アインハルトは運が良ければ予選の準決勝にギリギリ届くかな、ってくらい。

ヴィヴィオちゃんたちは悪いけどノーヴェさんとほとんど同じ。エリートクラスだとボコボコにされるだろうね」

 

最近、真面目なことばかりな気がする。こんなの私じゃない。

まあ今はどうでもいいか。

 

「……でも!」

 

ん?ヴィヴィオちゃん反論でもある?

 

「まだ2ヶ月あるよね⁉︎その間全力で鍛えたら?」

 

「ま、どうなるかはわからねーな」

「ノーヴェさんに同じ」

「あたしも勝つための練習を用意する。頑張ってあたしとユタの予想なんかひっくり返してみせろ」

「「「「はいっ!」」」」

 

 

このこら、本当にいいこだね。

 

「基礎トレは今まで以上にしっかりやる。その上で…

コロナはゴーレム召喚と操作の精度向上」

「はいっ!」

 

「リオは春光拳と炎雷魔法の徹底強化。武器戦闘もやっていくぞ」

「はいっ!」

 

「ヴィヴィオは格闘戦技全体のスキルアップとカウンターブローの秘密特訓」

「はいっ!」

 

「(ノーヴェさん、すごいね。しっかりと3人のこと見てる)」

『(ですね。コーチとしては満点じゃないでしょうか?)」

 

「で、アインハルトは…あたしが辺に口を出して覇王流のスタイルを崩してもなんだ。かわりに公式試合経験のあるスパー相手を山ほど探してきてやろう。お前は戦いの中で必要なものを見つけて掴む。それが一番かとおもうんだが…どうだ?」

「ありがとうございます!」

 

「ーーで、あとユタ!」

「は、はいっ!?」

 

びっくりしたぁ。急に呼ばれるとは思ってなかった。

ん?てか私にも用意してくれたの?

 

「アインハルトの試合をみてて私が思ったこと…お前はテクニックはあるが魔力が足りてない。だから……これからヴィヴィオ達とある特訓をしてもらいたいんだが…」

 

「私はいいですけど…一応シグナム姉さんやかあさんに許可を取ってもらえると」

「それならら昨日のうちにとってある」

 

「なら、大丈夫です。私なんかにもありがとうございます!」

 

 

 

 

 

〜二週間後〜

 

『マスター。生きてます?』

「ま、まだ辛うじて…」

 

辛い。予想以上に辛い。

ミッドに帰ってきて次の日にノーヴェさんにリストバンド4つ送られてきたんだが……これをつけるとあら不思議。

 

めちゃ体重くなり魔法も使いにくくなりました。

正確には魔力の運用がしにくくなった。

 

なんでも魔力負荷をかけるリストバンドだとか。

出力マックスで四個つけろとのこと。

それで本気のスパーや寝るとき以外はつけたらと言われてその通りにしてるが…

 

「これでシグナム姉さんとの練習を普段通りのノルマをこなさないといけないんだから余計辛い…」

『いちおう、治癒促進の魔法はかけてますが…疲れてるのは魔法の無理な酷使のせいなので。あまり効き目がないんですよ。なので今まで以上にしっかりと休んでください』

「はーい」

 

さて、授業も終わってるし…さっさと家に

 

『………マスター。家に帰りたいところを申し訳ないのですが。シグナムさんからメールです』

「………なんて?」

『'今から十分いないにこっちに来い。でないと……特訓力を倍にするぞ'とのことです…。

「あの人!私をなんだと思ってる!?」

『さすがに同情します…』

 

と、私は即座に荷物をまとめて疲れているにもかかわらず全力疾走する羽目になった……。

 

 

 

 

 

 

 

〜八神家の庭〜

 

「ミウラ。今からやる特訓は視界を遮られた時に耳なんかで距離を感じとるための特訓だ」

「はい!でも具体的に何をすれば?」

「今から大体十分後に【的】が通る。それを感じ取って抜剣で蹴り砕いてみろ」

「わかりました!」

 

庭ではシグナムとミウラが練習していた。

ミウラは目を閉じて集中し始めた。

 

「(しっかり…風や音を感じ取って…)」

 

ドドドドドド……

 

「(きてる?え?これ的?ま、まあ大丈夫……なのかな)」

 

ドドド…

 

「(近づいてきた……しっかり集中して……)」

 

ドド…

 

「着いたぁ!セー」

「【抜剣】!飛燕!」

「フぅぅっぅ!??あっぶなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

え?ユタさんの声?

 

「ミウラ!なんで入った瞬間に頭を蹴り砕きにくるのさ!!!!」

「へ?へ?え、でも…シグナムさんが…」

 

ユタさんなのに驚いて慌ててシグナムさんを見ると

 

「チッ」

 

ええ⁉︎舌打ち⁉︎

 

 

 

 

 

 

「はぁっはぁっ……た、ただでさえリ、リストバンドのせい、で、体っ、重いのに全力疾走したから……疲労度ハンパない…」

『………今回は何も言わないでおいてあげます』

 

ベットに横になってると、治癒促進をかけてくれる愛機。やばい、久しぶりにプライドのガチな優しさを感じた気がする。

泣きそう。

 

「ユタさん、すいません…」

 

とベットの横ではミウラが申し訳なさそうにしょんぼりしている。

 

「いや、今回の元凶は全てシグナム姉さんだよ。ミウラは悪くない」

「残念だよ。蹴り砕かれてたら面白かったのにな」

「面白く無いわい!当たってたらどーしてたのさ!」

「その場合は証拠隠滅してやるから安心しろ」

「そーいうこと言ってるんじゃ無い!この人外!悪魔!」

 

あ、まって、勢いに任せて言ったけど死亡フラグだった気がする。

しかもすぐ回収できそうな。

 

「ユタ、動けない状態で言うとはいい度胸だな」

「え?ちょ、ちょっとまって…シグナム姉さん。ごめん、謝るから……謝るから許し…」

 

『ミウラさん、ここにいてはダメです。私を連れてはやてさんのところに』

「ちょ!プライド見捨てるの⁉︎」

『御愁傷様です…今までお世話になりました』

「ちょっ⁉︎」

「え、えーと、それじゃあユタさん。頑張ってください?」

 

あ……ミウラとプライドが部屋から出て言った…。

 

さようなら、私の人生。こんなことならエリオに告白しておけばよかったなぁ………




補足をしておきますと、ユタは死んで無いです。
ただ、死と生の間際を体験しただけです((((;゚Д゚)))))))

最近はISも読み返していて、ちゃんと細かいところまで読んでみています。すると色々と見落としてたところがあって面白いです。
まあ、書いてる二次小説は面白いかどうかは不明ですが…



読んでいただき有り難うございます。


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14話

最近、ゲームする余裕がマジでなくなって来てるアテナDAIです。

春休みなのにまだ学校が四日間あるというのはどういうことなんでしょうか。

納得いきません。

まだ考え中なのですが、近いうちにリンネをなんらかの形で出していきたいと考えていたりしています。
vivid strikeみたいな展開にするのはまだまだ先になりますけどね


それではどうぞ。


〜八神家〜

今ここにはアインハルトとノーヴェ、チンクが来ているらしい。

なにやらアインハルトのデバイスのお披露目&お渡し会らしいが…

 

らしいって言うのは私がとある人外のせいで肉体的に死にかけてるからだ。冗談抜きでね。

 

「ユーーターー?起きてないんか?」

「起きてるよ…起きてるけどシグナム姉さんのせいで起き上がれない…」

「そんなことどーでもいいから、はよ降りてこいやー」

「そんなことって…はぁ」

 

と、母さんが寝ているところに来て降りてこいと言ってくる。

まあ、カラダ動かした方が気も紛れるかもしれないし。行くか。

 

「よ…いしょ。いててて…」

 

なんとか痛む身体を無理やり起こして下に降りる。

 

 

 

 

「お、きたなー。さて、そんなわけでー。約束の覇王の愛機が完成したんでお披露目&お渡し会とゆーことで」

「「わーーー!!」」

「は、はいっ!」

 

リビングには母さん、リインさん、アギト、アインハルト、チンク、ノーヴェさんがいた。

 

……私いなくても良くない?

 

「ユニットベースはリインが組んで」

「はやてちゃんがAIシステムの仕上げと調整をやってくれたですよ」

「で、外装はアギトの手作り!」

「そーなの」

 

と、母さん達が解説している。

すごいな。本当に真正古代ベルカの特別機だ。

 

「ユタやルールーにお願いしてシュトゥラの歴史も調べてもらってさ。クラウス陛下は豹を飼ってたって聞いてね。それをあってシュトゥラの雪原豹をモチーフにしてみたんだ!」

 

「え?動物型?」

「あまり大きいと連れ歩くのが大変では?」

「その辺はノープロブレムだ!リインッ!」

「はいです!さー、アインハルト!開けてみて!」

 

と、リインさんがアインハルトに一つの箱を渡す。

中には………

 

「「「「(ーーーー猫?)」」」」

 

うん、なんか虎みたいな柄の猫がいる。

 

「えええっ?なんだ今の4人の心の声⁉︎」「もしかしてイメージと違ってましたか?」

「いやいやいや!」「いえ、そんな」

 

あ、これ間違えたとかじゃなくこれがデバイスなのね……まじで?

 

「いや、ぬいぐるみ外装はちょっとしたお茶目やったんやけど性能はちゃんと折り紙つきやでー」

「そうそう。母さんがそういうのに手を抜くこととか一切ないから。それは娘である私が保証します」

「あんた、いつの間にそんなに偉くなったんや?」

「い、痛い!痛い!ごめん!ごめんって!」

 

このたぬ……たぬき!せっかくフォローした(つもり)なのに!

アタマグリグリとか古い説教してくるな!地味に痛いよ!

 

と、そんなやりとりをしてると猫型デバイスが起き上がってアインハルトを見ている。

 

「あ…」

「触れたげて。アインハルト」

「…こんな可愛らしい子を私が頂いてよろしいんでしょうか?」

「もちろん!」「アインハルトのために生み出した子ですから!」「マスター認証がまだやから、よかったら名前付けたげてな」

「はい」

「認証は外でやるですよ!」

 

と、リインさんが庭にアインハルトを連れ出しマスター認証を始める。

 

「個体名称登録。あなたの名前は『アスティオン』愛称は『ティオ』」

『にゃあー♪』

「アスティオン セットアップ」

 

すると、アインハルトが大人モードになる。

 

「「「「「「おおーーっ」」」」」」

 

「あれ?髪型変わってない?」」

「あ、そういえば」

 

ん?そうなの?よくわからんがどこか変わってるのか。

まあそれはそうと

愛機の取得おめでとう。アインハルト。

 

「ほんならちょこちょこっと調整とかしよか?」

「お願いします!」

「ほいならユター!手伝えー!」

「アンタ、最初からそれが目的だったでしょ!」

 

こちとら疲れて身体中痛いんだ!

……まあ今回はいいか。

 

「んで、その次はアインハルトとユタに関するお話をしてほしいわ〜。お願いや。アインハルト」

「え、え?」「だぁぁ!ダメ!」

 

そのこと話されたら色々とまずい!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ミッドチルダ南部 抜刀術天瞳流 第4道場〜

 

「………ノーヴェさん。なんでミカヤさんとのスパーリングを組めたの……?」

『人脈広いですねぇ」

「え、そんなに凄い方なんですか?」

「うん、居合抜刀の師範代をやってるし。ミッドチルダじゃミカヤさんくらいの居合剣士はそうそういないと思う」

 

私とアインハルトは今ミカヤさんの道場に来ていた。

 

「ま、待たせちゃ悪いし早く入ろうか」

「はい」

「失礼しまーー」

「天瞳流抜刀居合。水月!」

「へ?」「ユタさん!前隠してください!」

 

は?え?待て待て。今どうなった。

恐る恐る下を見下ろしてみると………

 

 

 

綺麗に服だけ切られて色々と丸見えだった。

 

 

「ぎゃあああ!なにするんですか!」

「いやいや。ナカジマちゃんにユタには初対面で恐ろしさを伝えておけと言われていたのでね」

「ノーヴェサンッッ!私何かしましたか⁉︎」

『色々としております』

 

 

 

 

 

 

「はぁ…まさかこんなところに来て服を剥がれるとは…」

「あっはっは」

「…何か言うことは無いんですか?ミカヤさん」

「…………眼福だったねえ?」

「なぜ疑問形⁉︎」

「あのー練習をしたいのですが」

 

と、私とミカヤさんとのショートコントみたいなものはアインハルトの一言で終わりを告げた。

 

「おお、すまないね。では、改めてユタちゃん。アインハルト。練習相手にご指名頂いて光栄に思うよ。ただ私も出場選手だからね。あまり手加減はしてあげられないよ」

 

「ーーー構いません。コーチからは【斬撃の怖さを体感してこい】と言われています」

「私はミカヤさんみたいな剣士タイプと近距離での対策をするために来ましたー」

 

「ふむ。ナカジマちゃんから聞いた話ではアインハルトは格闘型(ストライカー)でなおかつバリバリの接近戦型(インファイター)徒手格闘型(ピュアストライカー)にとっての斬撃の危険性と、素手と武器。この間合差がもつ危険性を感じてもらおうかな。その代わり私はきみのような接近戦型(インファイター)対策を。まあ言ってしまえば接近戦型(インファイター)()()()()()()()()()()()鍛錬をしたいと思ってたんだ。利害が一致したわけだね」

 

「その通りです」

 

「で、ユタちゃんは……魔法戦主体の選手が近距離型にされた時の対策を。そのかわり、私は魔法に対する対策を、ということかな?」

「その通り。大正解です」

 

 

 

 

「それじゃあ、時間もあまり無いし始めようか。アインハルトからだね」

「よろしくお願いします。お役に立てるよう頑張ります」

「怖いな、瞳がそうは言ってないぞ。殴り倒す気満々じゃ無いか」

「お見せしますーー覇王流の斬撃対策。行きますよ。ティオ」『にゃっ!』

 

 

 

 

 

ーーーインターミドル参加申請受付終了 地区予選まで あとわずか!ーーー

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

ユタはインターミドルの出場通知枠が届き、それを報告するために八神家まで来ていた。

 

「で、シードは貰えてたんか?」

「うん、地区予選8組第3シード。同じ組みの中では……私のやったことのある選手はほぼいないね」

「そうかー。よかったなぁ。一昨年はいきなりダールグリュン選手と予選で当たってたからなぁ」

「あの時は本当にクジ運悪かったからねえ」

 

私の予選は8組 今の所目立って突出した選手はいないけど、油断はできない。

 

「あ、母さん。今日はヴィクターさんの家に行くから。帰り少しだけ遅くなる」

「りょうかいやー。しっかり話して来いや」

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ダールグリュン家〜

 

「改めて来ると……でかいね」

『さすがはお嬢様…と言ったところでしょうか』

 

ダールグリュン家到着。さてヴィクターさんいるかな?

 

コンコン

 

「はいはい……あらユタ」

「お久しぶりです。ヴィクターさん。去年は色々とお世話になりました」

 

と深々と頭を下げる。

 

「いいのよ。あれくらい。それに…私にはあれくらいのことしかできなかったのだもの。プライドも久しぶり」

『ご無沙汰しています。ヴィクターさん。本日のツッコミ役は任せします』

「そんな役を任されても困るのだけれども…。えーと、ジークの件よね?」

「『はい』」

「少し待っててちょうだい。その間エドガーにお茶でも入れてもらうわ」

「ありがとうございます」

 

と、応接室で待たせてもらえることになったのだが………

 

「広すぎて落ち着かない……」

 

応接室ですら私の寝室より広いぞ?この家

 

「失礼します。ユタさん。お茶を入れて来ました」

「あ、ありがとうございます。エドガーさん」

「いえ、執事ですのでこれくらいは当然です。そんなかしこまらなくても大丈夫ですよ」

 

 

 

 

(……ク!ユタがわざわざ……てくれたのよ?はや……行きまし…)

(いやや!ユタには……る顔がない!)

(いいから……)「来なさい!」

 

と、ヴィクターさんが連れて来てくれたのは……

 

メイドだった。

 

 

「………ジークさん、とうとうそっち系の趣味に走りましたか…」

「なんか勘違いされとる⁉︎」

『趣味に関してはマスターも人のことは言えませんよね?』

「……」

「ちよっ⁉︎なんで写真を撮るん⁉︎」

「なんか、面白いしレアだったので」

「ユタ……」

 

あれ?なんかヴィクターさん怒ってない?

 

「よし!いったれ!ヴィクター!」

「その写真あとでくださいな!」

「へ?ヴィ、ヴィクター?何を言っとるん?」

「いいですよヴィクターさん。いくらでも」

「やめえやーーー!!!」

 

『はぁ………みなさん。当初の目的をお忘れで?』

 

「「「あ」」」

 

 

 

 

 

「えーと、改めてお久しぶりです。ジークさん。一昨年は優勝おめでとうございます」

「う、うん…ありがとう…」

 

そう、目の前にいるメイド………じゃなくて黒髪のロングのツインテール。ちょっとロリ要素が混じってそうな顔の

2年前の世界選手権優勝。

現在の10代次元世界最強の女子。

 

ジークリンデ・エレミアだ。

 

そして……

 

 

 

 

 

私の右腕と左目を潰したのもこのジークリンデ・エレミアだ。

 

 

 

 

 

 

「……………」

「……………」

 

やっばい。やっぱり超気まずい。

私もジークさんも無言で目の前の机を見つめている。

だが、いつまでたっても話はできそうにない。

 

えーい、いつまでもこんなんじゃダメだ。

 

「え、えーと。ジークさん。私、2年前のことで話をしちにきました」

「やっぱりまだ怒っとるん……?」

 

と、未開の地に放られた小動物のようにビクビクしながら聞いてくる。

はぁ……なんか言いづらいな。

 

「ええ、正直言うと、()()()()に関してはまだジークさんには怒ってます。けど、あの時は私はジークさんの事情を何も知らないでいました。………見舞いに来てくれたヴィクターさんが教えてくれるまでは。けど今回話をしに来たのは別件です」

 

「別件…?」




どうでしたか?

つぎは過去編?にはいるかもです。

よんでくださりありがとうございますす


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15話

今回は、2年前の都市本戦決勝の話です。
とは言ってもバトルメインですが

16.17話あたりまでをちょっとした過去編として使うかもしれないです。
なのですこし展開が遅くなるかも…


それではどうぞ


〜2年前 インターミドル都市本戦決勝前日〜

 

「それでは、ユタ選手。初出場で決勝戦進出おめでとうございます!今のお気持ちは?」

 

「え、えーーと。正直ここまで勝ちあがれるとは思ってもいなくて嬉しいです。決勝戦も悔いの残らないよう全力でジークリンデ選手を……私の憧れた選手を倒したいと思っています」

 

ユタは記者達にインタビューを受けていた。

それに緊張しながらもしっかりと答えていた。

 

「それに……私を家族だと迎え入れてくれた人や……大切な人に喜んでもらいたいので………明日は絶対に私が勝ちます」

 

「おおー!言い切りましたねえ!かっこいいですよー!それではインタビューありがとうございました!」

 

「い、いえいえ」

 

 

 

 

 

 

別の場所ではジークリンデもまたインタビューを受けていた。

 

「ジークリンデ選手、最後に明日への意気込みをお願いします」

 

「は、はいっ。えーと、ユタ選手はとてもすごい選手やと思っています。みんなは判定勝ちやと面白くないと思ってる人もいるみたいですが……ウチはKO勝利より判定勝ちを狙う方がすごいと思っています。それにユタ選手は何より試合の組み立てがうまいです。…………なので、明日は開幕から全力で、ユタ選手を倒したいと思っています」

 

「はい、ありがとうございます!いい記事が書けそうです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『だ、そうですよ。マスター』

「うう…ジークさん。そんな真面目なコメントを……私そんなすごくないのに…」

「なに言っとんやー。あれだけ勝ち進んでるんや。すごいよ。ユタは。しっかりと胸を張りいや」

「う、うん。シグナム姉さんにも、母さんにも、ザフィーラにも、……もちろんプライドにも教えてもらったことを明日は今までの試合以上に出し切ってみせる」

『はい、その意気です』

「明日はうんと応援するからなー!」

「うん、ありがとう。母さん。プライド」

 

決勝戦前日の八神家は親子水入らずの状態になっていた。

なんでも周りが気を利かせてくれたんだとか。

 

 

このときは誰も【あの事故】が起こるとは思ってもいなかった。

 

 

 

 

〜決勝戦 当日 第一会場〜

 

控え室には、ユタ はやて シグナムの三人がいた。

ザフィーラは観客としてみるのだそう。

 

「どうや?ユタ。準備はええか?」

「うん、ばっちし。それじゃあプライド」

『はい、いつでもどうぞ』

「うん。………セットアップ」

 

と、光に包まれる。

その後にはセットアップした状態になっていた。

 

『それで、本日の作戦は?』

「今までと大して変わらない…………ジークさんを無理やりこっちの土俵に引きずり込む。そのあとは状況に応じて考えていく」

「ユタ。一応確認しておくぞ。試合の時は…」

「うん、シグナム姉さん。わかってる。自分を信じろ。だよね」

「わかってるならいい。私も全力でサポートしてやる。だからお前も全力を出しきれ」

「わかった」

 

コンコン

 

「八神ユタ選手、入場お願いします」

 

 

 

 

『レッドコーナー!戦績は辞退を除けば未だ無敗!ジークリンデ・エレミアァァァァ!』

 

と、司会の言葉とともにジークがコーナーから出てくる。

すると会場が一気に沸く。

 

まるで地震が起こってるような感じだ。

 

『ブルーコーナー!インターミドル初出場にして決勝戦までコマを進めた!奇跡のルーキー!スタイルも魔法も独特なーー八神ィィィユタァァァァ!』

 

とユタも同じようにはいる。するとジークの時ほどではないが会場が沸く。

 

 

しかし、ジークもユタもお互いにそんなことは気にしてすらいなかった。

 

 

 

 

「いやー、本当にここまでくるとは思ってなかったわ。今日はよろしくな。ユタ」

「こちらこそ、ジークさん。今日は胸を借りるつもりで全力で行きます」

「あははー。顔はそう言ってないでー。倒す気満々やな。………けどウチも同じや。今日の試合も、全力でやらせてもらうで」

 

「それではインターミドル 都市本戦決勝を行います。ライフは15000。お二人とも正々堂々と!」

「はい」「わかりました」

 

と、その言葉と同時にユタも、ジークも、構えを取る。

 

「それでは……試合開始っ!」

 

 

 

 

「鉄腕……解放!」

「っ!影の壁(シャドウ・ウォール)!」

 

試合開始直後、いきなりジークは鉄腕を解放しユタに突進した。

それを読んでいたかのように影を出し防いでいた。

 

「スゥゥゥーー爆!」

「!?」

 

と、影の壁に密着状態だったのをみてユタが叫ぶ。と、影がジークを巻き込んで爆発した。

 

「よし……あとは」

「(掴み技は悪手…なら格闘戦で早めに決着をつける!)」

 

ユタは、リングの中心から半径数メートルをひたすら動き回っていた。

 

「こんの………ちょこまか動くなぁ!」

「そうする必要があるもので!せやっ!」

「くっ!」

 

と、ユタは動き回りながらもジークを寄せ付けないように影で攻撃をしている。

しかし鉄腕で防がれているためダメージもさほど入っているようには見えない。

 

「…っ!ゲヴェイア・クーゲル!」

「?!(魔力弾?かなり高密度?けどそれなら………)」

 

「ファイアッ!」

「ピンポイントリフレクト!ダブル!」

 

と、ジークが高密度の弾幕を打ち込むと同時にユタは反射魔法を使う。

 

「いたた。まさかそうくるとはなぁ」

「げー、もう少しダメージ食らっててくださいよ』

 

ユタはすべての弾幕を跳ね返すのは無駄だと考えたのか致命傷にならない程度に反射した。

ジークもそれは予想外だったのか反射された弾を何発か食らっていた。

 

ライフ

 

ユタ 15000→11500

ジークリンデ 15000→12500

 

「プライドー、残り時間は?」

『45秒です』

「おっけー。……流石に腕の魔法を構築する暇はないか……このラウンドはとにかく仕込みに行く。サポートよろしく」

『承知しました』

 

と、またユタはまた逃げ回りながら所々で迎撃をし、ジークは追いかける、の繰り返しになった。

ユタは目隠しも含めて足元を狙って攻撃していた。

 

が、それも長くは続かなかった。

 

「え?いつの間に⁉︎」

「逃さへんでー。せやっ!」

「つっ!」

 

ジークがいつの間にかユタの懐に入り込んでいた。

恐らく土煙に紛れて移動をしていたんだろう。

 

そして、そのまま脚を掴まれ投げ飛ばされる。

 

「がっ!」

「まだまだー!」

「くっ……!」

 

そして、そのまま関節技を脚に決められる。

 

「……ニッ、ようやく、ようやく近くまで来ましたね」

「?」

「忘れてますか?私の魔力の変換資質のこと」

「はっ……!」

 

と、ユタが笑ったかと思うとジークは即座に関節技を外しユタから離れようとする。

が、一足遅くユタの近くから出て来た影がジークを切り裂く。

 

「痛たた……。ふうーー、なんとかなったぁーー」

『アホマスター!無茶しすぎです!』

「しょうがないでしょ。無茶しないとジークさんには勝てないのはわかってる。それよりクラッシュの回復ナイス」

 

ライフ

ユタ 11500→8000 ボディ蓄積ダメージ 27%

ジークリンデ 12500→9700 クラッシュエミュレート 右肩部及び両腕 裂傷多数

 

 

 

カンカンカンカン!

 

『第1ラウンド終了!』

 

 

 

 

「ユタ、仕込みは終わったんか?」

「うん、終わった。あとは……いつそれに引っ掛けるか」

「それなら、いちど脚を止めてやれ。そうすればお前なら確実に捕らえられるだろ?」

「無茶言うなぁ…シグナム姉さんは。………まあ期待には答えてみせますよ」

 

 

 

『セコンドアウト』

 

ライフ

ユタ 8000→13000 ボディ蓄積ダメージ13%

ジークリンデ 9700→14500 クラッシュエミュレート 全回復

 

 

『第2ラウンド、始め!』

 

 

 

始まりと同時にジークはユタに向かって走る。しかしユタはそれを見てすこし下がっただけで逃げようとはしていない。

 

「(?なんかの作戦か?まあわからんもんを考えてもしゃーない。とにかく、先手必勝や!)」

 

「(逃げ回りながらじゃ、うまく捕らえられない。なら多少リスクを背負ってでも接近戦を…)」

 

と、近距離でのジークの【鉄腕】とユタの【影】の攻防が開始された。

 

「(あとは……出来るだけわざとらしくない隙を作っていって…)」

 

ユタはジークを引きつけながらリングの中心に近づいていっている。

 

「(よし、ここ!ここで耐えろ!)」

 

と腹をくくり影での攻撃を激しくする。

切りつけたり、打撃攻撃をしたり、バリエーションが広くなっていった。

 

しかし、ジークは鉄腕や弾幕を駆使してなんとか防いでいた。

 

「いまやっ!」

「!」

 

と、影の中を抜けて来たジークがユタに膝蹴りをする。そして、ぐらついたユタを絞め技で一気に意識を断とうとした。

 

「ぐぐ………」

「はよ落ちた方が楽やで」

 

「ぐぐ…勝った気になるのは早いですよ……寧ろ捕まえたのはこっちです。ぐぎぎ………闇の箱(ブラックボックス)!」

「え?!なんやこれ!」

 

と、ユタとジークを影でできた箱が覆う。

それに驚きジークは絞め技を外す。

 

そして、その箱の中は………

一筋の光すらない完全な闇だった。

 

「な、なんや⁉︎なんも見えへん!」

「一箇所に止まってると危ないですよーって、私の姿も見えないですよね?」

「!?」

 

と、多分観客とかからはわからないが(というかわかったら怖いが)ジークは四方八方から影での攻撃を受けていた。

 

完全な闇ということもあり反応しきれておらず次第にライフが減って来ている。

 

ライフ

ユタ 13000→8500

ジークリンデ 14500→10000 クラッシュエミュレート 全身裂傷多数

 

「ゲホッ、あとは、ゆっくりと」

「…………」

 

と、ユタが更に慎重にやろうとすると

 

 

 

 

突然なんとも言い難い恐怖がユタを支配した。

 

 

 

 

「ガイ……・ク……」

「は………?」

 

と、次の瞬間

 

 

ジークを閉じ込めていた影は跡形もなく消えていた。

そして、そこには

 

まるで機械のような冷たい瞳のジークリンデがいた。

 

「(は?ちょっと待てちょっと待て。あれ、相当強度高く作ったよね?)」

 

「ガイスト・クヴァール」

「⁉︎」

 

すると、ジークは突然ユタの目の前から消えた。

 

『マスター!後ろ!』

「えっ?!がっっ!!」

 

と、プライドの声により反応できて避けてはいたが………

 

「がっ……嘘ぉ、なにこの威力」

 

ジークの一撃は、ユタの右腕ごと、リングを綺麗に削り取っていた。

 

「あちゃー、これ本気で避けないといけないやつだ。うん?ていうかプライド?なんでクラッシュ治してくれないの?」

『違うんです!マスター!()()()()()()()!!』

 

と、プライドの言葉とともにまたジークがユタに向かう。

 

ゾオッという悪寒が走りユタはとっさに身構える。

がジークは四肢を攻撃して麻痺させた。

ユタは思わず膝をついた。

 

そして、また大きく振りかぶってユタに向かって…

 

「(え?ちょっと待って?あれ受けるの?嫌だ……死……)」

『マスター!避けて!』

「!」

 

と、プライドの声により顔をわずかにそらして直撃を免れた。

 

しかし、直撃を免れた だけであって、ジークの一撃は

 

こんどはユタの左目を綺麗に潰した。

 

「がっ、ゲホッ……」

 

そして、そのまま倒れこむ。

 

「はっ………!?」

 

すると、ジークは先ほどまでのように機械のようでなく、試合をしているときの、あの顔に戻った。

 

「(あー、これダメだ……調子乗った罰かなあ…)」

 

「…………ユタ、ゴメンな」

 

「…………!!!!」

 

 

(え?何で…私…謝られたの……?なんで……?ただお互いに全力を出して戦っただけなのに…何で?もしかして…私が弱かったから…最後の技は使うつもりなかったとか…?それで使っちゃったから謝られた…?)

 

カンカンカンカン!

 

『優勝はぁぁぁ、ジークリンデ・エレミアァァァァ!』

 

そして、ユタはそのまま意識を失った。




どうでしょうか?
ユタがジークを侮辱していたやつ
と言っていたのはここが絡んでたりしてます。


次は試合後 もしかしたらまた現在に戻るかもしれないです。


読んでくださりありがとうございます


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16話

今回は少し短めです。

あと春休みが一週間もないとか………時間がたつのは速いですね。

しっかりと課題を終わらせたいと思ってます。


それではどうぞ


〜試合会場 医務室〜

 

「なあ!シャマル!ユタは、ユタは大丈夫なんか⁉︎」

「落ち着いて、はやてちゃん」

いまここには未だ昏睡状態のユタ。

はやて、シャマル、シグナム、ザフィーラ、なのは、ヴィータがいた。

 

はやては、ここにいる誰よりも不安に押しつぶされそうになっていた。

なのはやヴィータも見たことのないほどの表情だった。

 

「――—今の所は心拍・脳波レベル正常、リンカーコアも正常。だから命に別状はないと思う」

 

「ほ、ほんまか?」

 

「うん、ただ―――」

 

 

 

 

 

 

 

〜八神家テラス〜

 

「…………」

 

はやては一人でうなだれていた。

未だにシャマルに言われたことを理解できていなかった。

いや、理解したくなかった。

 

 

(ユタちゃんは、もう二度と右腕と左目が機能しない可能性がある。もし、機能したとしても……選手をやっていくのはとてもじゃないけど無理だと思う。むしろ今まで見たいな日常生活を送れるか…)

 

「なんでや……なんで神様はあの子から大事なもんばっか奪うんや……」

 

そうだ、6年前にはユタにとって一番大事な人を目の前で奪われ、今度はユタ自身の大事な生き甲斐が無くなった。

 

はやては知っていた。

 

自分を喜ばせるために夜もシグナムたちに内緒で練習していたことも。

エリオに好意を寄せていて良い姿を見せたくて必死になっていたことも。

口では自分の生まれのことはどうでも良いと言いながらもその生まれて来たきっかけの聖王女に恥じないようにしていたのも。

 

結婚したことはないが、人生で、初めての()()が愚直に頑張っている姿は親としても誇らしかった。

 

だから、はやてもできる限りの応援をした。

だが、その結果

 

ユタは二度と公式試合で戦うことができなくなった。

 

 

「ウチのせいなんかな-----」

 

そうだ、最初にシグナムが隠れて練習していたユタを見つけた時に魔法戦技はやったらダメだと言った方がよかったんじゃないのか?

 

そしたらユタは―――

 

「はやてーこんなとこにいたのか。晩飯冷めちまうぞ」

「ヴィータ……」

 

と、そこにヴィータが来た。

 

「まだユタのこと考えてんのか?」

「そらそうや。自分の子供を心配せん親がどこにおるんや」

「そりゃそうだ」

 

はは、とヴィータが笑うがはやては全く笑っていなかった。

 

「ユタなら大丈夫だよ。すぐに良くなる。右腕や左目が機能しない【可能性がある】んだから、動かなくならないと決まったわけじゃない。それに、どーせあいつのことだからアニメがー!とか言いながらすぐに目覚めるさ」

 

「うん…」

 

「だから……お前も元気な姿でいてやれ」

 

「うん……」

 

はやての瞳は、濡れていた。

 

 

 

 

 

 

(う……ん、どこだろう……ここ。身体中がやけに痛いけど……わたし、何してたっけ?)

 

なんだろう、意識があるのに動けない。なんか周りに白衣を着た人が何人かいるのはわかったけど…

 

 

私は何をしてたんだろう?ベットに寝てる?

 

「……ユタ?」

「か…あさ…ん?」

 

周りを見渡すと母さんがそばにいた

 

「ユタ、ユタ、ユタァ!」

「え?わ!ちょ⁉母さん⁉痛い!腕とかすごい痛い!」

「ユタぁ…よかった…目を覚ましてくれた…」

 

と、母さんが泣きながらベットに寝ていた私を抱きしめてくる。

やばい、超恥ずかしい。

 

「か、母さん!ちょ、ちょっと離れて!」

「う、うん。ごめんごめん。つい」

 

と、母さんが涙をぬぐいながらいったん離れる。そして、医者に報告に行くとかで部屋を出て行った。

 

「うーん、記憶があいまい。なんで私入院してるんだっけ?」

『そんなことすら忘れたんですか。マスター』

「あ、プライド」

 

と、近くのタンス?みたいなところにプライドがおかれていた。

 

「うーん、都市本戦決勝前日にインタビュー受けてそのあと母さんたちと家で話してたのは覚えてるんだけど………」

『どうしました?』

 

そうだ…だんだん思い出してきた。私は……

 

 

ジークさんに負けたんだった。

 

 

 

「そうだ、私、ジークさんに最終的に完敗だったんだっけ?」

『そうですよ。だんだん記憶の整理もできてきました?』

「うん…それで…」

 

そうだ、なんで忘れてたんだ…。

 

「プライド…今すぐジークさんを呼び出せるかどうかヴィクターさんに聞いてみてくれない?」

『そういわれるかと思いまして…すでに連絡をしてあります。あと十分ほどで到着するようです』

 

「だんだん、何がどうなったのか思い出してきた…私…最後にジークさんに何を言われたのかも…」

 

『?なんのことですか?』

 

 

(ユタ…………ごめんな)

 

 

「なんで…なんで謝るんですか…。私の頑張りは何だったんですか。しかも……あんな………あんな」

 

使ったことを後悔するような、自分を責めているような顔をするなんて。

 

 

けど、同時にあんな顔をさせてしまった自分の弱さが悔しい。

ジークさんへの怒りと自分の弱さへの怒りがいろいろと入り混じってもう訳が分からなくなってきた。

 

 

コンコン

 

 

「ユタ!目を覚ましたのね!」

 

と、入ってきたのはヴィクターさんだった。

よほど急いできたのか肩で息をしている

 

「ヴィクターさん」

「あなた、3日も目を覚ましていなかったのよ」

「え」

 

嘘、そんなに私寝てたの?

 

「そ、それよりジークさんは?」

「ああ、それなら…」

 

と、ヴィクターさんがさっき入ってきた扉を見る。

すると、隠れているであろうジークさんがいた。

隠れているであろう、っていうのは確かに隠れているんだが長いツインテールで見事に見えているんだよね

 

頭隠して髪隠さず的な?

 

だけど、今はそんなことに笑う余裕なんて一つもなかった。

むしろ見たことによってより怒りが増していた。

 

「ジークさん…」

 

「ユタ……」

 

隠れるのはあきらめたのかおどおどしながら出てきた。

 

「その……ユタ。ごめんな」

 

「…………んで」

 

ジークさんはとても申し訳なさそうに謝ってくる。

だけど、それにより私はただ怒りが募っただけだった。

 

「なんで!なんで謝るんですか!」

 

「ユ、ユタ?」「ユタ⁉」

 

「なんで…私に最後の技を使ったのがそんなに悔やむことなんですか……。そんなに私は全力を使うに値しない選手でしたか…」

 

もう、後半は泣きそうなくらい、声が擦り切れそうだったのが自分でもわかっていた。

 

「ユタ……」

 

「私は……ジークさんが本気でやってくれると言ってくれて、とてもうれしかったです。答えれるかわからなかったですが、私も本気でやるつもりでした。いや、やりました。それに自分にも、家族にも、今まで戦ってきた人にも恥じないように戦おうと思っていました。けど………けど、なんで全力で戦って謝られないといけないんですか………。ジークさんにとって私は本気を出す価値すらない相手だったんですか!」

 

「違う!ウチはそんなこと……」

 

「ならなんで本気でやるなんて言っておいてあんな……」

 

と、怒りに身を任せて包帯だらけだった(さっき気づいたが)体を無理やり起こしジークさんに近づこうとする。が、ヴィクターさんに止められる。

 

「ユタ!よしなさい!傷口が開くわよ!」

「っ!」

 

その際にとてつもない激痛が走り顔をしかめてしまう。

 

『マスター』

 

と、プライドが話しかけてくる。

 

「なに、プライド」

『まだ完全に治りきってないのに動くので傷口がひどくなりかけてます。なので寝ていてください。そして頭を冷やしてください』

「……わかった。すいません二人とも、怒鳴り散らしてしまって」

 

と、涙をぬぐいながらベットに戻る。

 

『今回のは私の治癒魔法では手に余りますのでおとなしく療養していてください』

「うん、わかった」

 

と、ベットに戻る。

 

『ヴィクターさん、マスターをお願いしてもいいですか?ジークさんは私を持って退室をお願いします』

「え、ええ」「わ、わかった」

 

 

 

 

 

 

~病院屋上~

 

『すいません、ジークさん。マスターのお見苦しい姿を』

 

「えーよ、それに…ああいわれるのも当然や」

 

と、ジークは力のない声で言う。

 

『……ジークさん、まさかとは思いますが都市選抜以降の大会を辞退する……なんて言いませんよね?』

 

「え?な、なんでや」

 

『お願いですから…事態なんてやめてくださいね?もし辞退するというのなら……それこそマスターを侮辱することになります。マスターはああいってましたがなんだかんだジークさんには憧れているんです。ジークさんが勝ち進むことを望んでいます』

 

「…………」

 

『どうか、どうかお願いします』

 

 

 

 

~病室~

 

「ユタ、大丈夫?」

 

「は、はい。見苦しいところをお見せしました。母さんやシグナム姉さんが見てたら怒るだろうなぁ……」

 

「ユタ………あの子の最後に使った技、何かわかる?」

 

「?いいえ、何か特別な技なんですか?」

 

「そうなのよ。あの子の最後に使った技はね…【エレミアの神髄】って言ってね。あの子が受け継いだ技なの」

 

「そうなんですか。でもそれが何か?」

 

「あの子はね、エレミアっていう一族の末裔なの。それで……あの子は今までのエレミア500年分の()()()()()()を受け継いでるの」

 

「……!」

 

は?ちょっとまって。それってことはあの技も…?

けどエレミアって言ったら………

 

人体破壊を極めた一族だった気がするんだけど。

 

「あの子はね……昔はあの力がよく暴発していてね。触れるものすべてを壊していたの。今ではだいぶ制御できるようになっているんだけどね。それでも、あの子の体が【命の危険】を感じたら無条件で発動してしまうの。でも、あなたも受けてみてわかったでしょう?アレは問答無用で何もかも壊してしまうから試合では使わないって決めてたのよ。今回の件だってあなたのご家族を除けば一番心配していたのはあの子なのよ?」

 

「それでも……謝るなんてしてほしくなかったですよ…。私も選手なんですから怪我くらい覚悟してますよ」

 

でも、私………とんでもないことをジークさんに……

 

「ユタ、これは私からの個人的なお願いなのだけれど」

 

「何ですか?」

 

「これからもあのことは仲良くしてやってあげてね。また前みたいに、一緒にご飯でも食べてあげてもらえるかしら?あの子、放っておいたらジャンクフードばかり食べてしまうのよ」

 

「…はい!もちろん。ってその前にジークさんにさっきのこと謝らないと……すいません。自分ジークさんを探してきます」

 

「ええ、でも無理しないのよ?」

 

「はい!」

 

 

 

そして、この後ユタが左目と右腕のことを知るのはまた別の話――—




どうでしょうか?

近いうちにユタのが拾われた経緯やその後などを番外編で書こうかなとも思ってたりします。


読んでくださりありがとうございました


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17話

今回からvivid strikeに出て来るリンネ・ベルリネッタ
フーカ・レヴェントン ジルが出てきます。
今回ではリンネの名前だけですが。

いまは必死にアニメを見返しております。


それではどうぞ


「ジークさん……いや、ジークリンデ・エレミアさん。2年前は数々の暴言を何も知らずに言ったこと。すいませんでした」

 

と、私はジークさんに深々と頭を下げた。

 

「えっ⁉︎いや、アレはウチが………」

 

「それともう一つ、お願いがあります」

 

「へ?」

 

「これから、私と戦う時……いや私だけじゃないですね。エレミアの神髄を使うことを()()()()()()ください」

 

「え?え?どういう……」

 

「そのままの意味です。こういうのも悪いかもしれないですが、そんなに気にするほどの技じゃないと思ってます。対策も考えました。なので………終わったあと謝るなんて真似は2度としないでください」

 

「うん………わかった」

 

「ありがとうございます。では、練習あるので私はこれで」

 

「ユタ、都市本戦で雪辱は晴らしてあげるわ」

「望むところですよヴィクターさん。ジークさんも頑張ってください。では」

 

私は軽く挨拶を済ませるとヴィクトーリア家を出て家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

『さて、マスター、本当はどうなんですか?』

「なんのことやら」

『もうとぼけなくてもいいですよ』

「あーうん。正直いうとエレミアの神髄はどーにもならないとは思ってる。あんなハッタリ……言うんじゃなかったかな?」

『どーでしょうねぇ、まあどちらにしろやることは変わらないでしょう?』

「そーだねぇ。かあさんにも、エリオにも、シグナム姉さんにもかっこ悪いところは見せないように頑張るだけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜地区選考会 第1会場〜

 

『どうです?マスター。めぼしい人はいます?』

「うん、何人か」

 

今はヴィヴィオちゃん達初等科トリオやアインハルト、ミウラの応援と視察も兼ねて地区選考会を見に来てた。

 

エルスさんの「えい!えい!おーー!」は爆笑したけどね。

 

「にしても………」

 

私はさっきプライドに言って急遽撮ってもらったビデオを繰り返し再生しながら唸る。

 

「この白い髪のロングの子……アインハルト並みじゃない?」

『リンネ・ベルリネッタ、ですか。今年初出場ですね』

「やだなー。私、このこと同じ予選組なんだけど」

『潔く諦めてください。これは現実です』

 

はぁ……とため息をつきながらビデオを消す。

 

「あ、ヴィクターさん達発見」

『ジークさんもいますね』

 

あの人たちも視察かな?

 

「あら、ユタ。あなたも視察?」

「はい、そんなところです。って、なんでジークさんはフードを?」

「だって目立つの嫌やもん…」

 

と、私たちは初出場の選手達を見ながら感想を言い合っていた。

 

「というか、ユタ?この前きたときも思ってたんだけど、なんで左目を隠してるの?」

「あ、ウチもそれ思ってた。怪我は治ってるんよね?」

「かっこいいからです!」

 

あ、バカを見る目だ。てか、ジークさんにバカを見る目で見られたくはない。

雑草を食うような人だし。

 

(……過ごした!)

 

 

ん?なんか聞き覚えのある声が。

振り向くと……

 

「あ、可愛い番長」

「誰がだ!」

「あなたがですよ」

 

ハリー・トライベッカとその取り巻き(不良っぽいが超いい子ちゃん)がいた。

 

「お」

 

と、ハリーさんがヴィクターさんを見た。

 

「ポンコツ不良娘!どうしてあなたがここに?」

「ヘンテコお嬢様じゃねーか。あれ?今年はお前選考会からスタートだっけ?」

「違うわよッ!シードリストも見てないのッ⁉︎わたしは6組の第1枠!」

「あーそうだったか?」

 

うん、予想通り口論になった。この人たち毎回こうだよねぇ。ていうか、わたしを挟んでケンカしてほしくないなぁ。うるさいよ。

 

 

ガキン!×3

 

 

 

「なんですか、都市本戦常連の上位選手がリング外でケンカなんて!」

 

うわー、エルスさんだ。(オタクの)同志が現れたよ。

っていうかさ、なんで私までバインドされるの?

 

「会場には選手のご家族もいるんですよ?インターミドルがガラの悪い子達ばかりの大会だなんて思われたらどうします!」

 

「そやけど」「リング外での魔法使用も良くないと思いますが」『今回は珍しくマスターに同意します。エルスさん』

 

「ああっ‼︎チャンピオン!ユタさん!」

 

………なんでそんな大声で?ジークさんにとっても色々とまずい。あと私にとってもまずい。

 

(チャンピオン?)(どこどこ?)(あ!いた!あそこ!)

 

「二階席のあそこ‼︎」

「一昨年の世界戦優勝者!ジークリンデ・エレミア選手!それに去年のミッドチルダ都市本戦3・5・8位の上位選手勢揃いしてる!」

「それに一昨年の2位もいる!」

 

あー、こりゃめんどくさい。近くの人たちにはもれなく見つかってる気がする。特にジークさん、ドンマイです。

 

「あ、ほんとだ!あれ?でもなんでユタさん達バインドされてるの?」

「…………なんでだろ?」

 

おおう、コロナちゃん達みんな来てた。

あれ?ミウラ、いつの間にみんなと仲良くなってたの?

 

やばい、これだと私がMみたいに見られちゃう。

 

『誰もそんなこと思っていないのでご安心を。バカマスター』

「バカマスターはひどいよ」

 

「騒ぎになるのもめんどくせーな。ま、ここはおとなしく退散すっか」「そんな簡単に⁉︎」

「まったくよ、あなたと会うとどうしてこうグタグタになるのかしら」「この人もまた‼︎」

「よっと」「切断て!そんな柔らかいですか⁉︎」

 

最初、ハリーさん、その次ヴィクターさん、その次私の順でバインドを解いていった。

ハリーさんとヴィクターさんは自強化魔法で、私は影で切り落とした。

 

「(ぐぬぬ……一年間で結構成長したはずの私のバインドをあんな簡単に!やはり今年は例の新兵器に火を吹いてもらわねば-----!)」

 

「お、そういやアホのエルス」

 

「誰が『アホの』ですっ⁉︎あと私のが年上ッ!できれば敬語ッ!」

 

「うっせーよアホ。お前とオレは同じ組だからよ。まあ楽しくやろうぜ」

 

「去年の雪辱、果たしますからね!」

 

「おうよ、やれるといいなぁ。ま、オレもユタに雪辱を晴らすつもりだから負けるつもりはねーけどな。オレと当たるまでちゃんと勝ち上がってこいよ?今年は初参加組も結構アツイからな。負けないようにせいぜい頑張れや」

 

「ええーー、番長、そんなこと思ってたの?私の影を引きちぎったくせに」

「そうだよ!今年はお前に影を使わせてやるからな!オレのときはほとんど使わなかったからな!お前は!」

「だって、番長相手だとリフレクト駆使した方がやりやすいですもん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜自宅〜

 

「うーん、うーん、まずい、これ本当にまずい」

『これは………本当にまずいですね』

「うん……」

 

私は今最高に悩んでた。

なぜなら………

 

「食費が………4桁を切った…」

『そもそも、なんでこうなったのかをご説明願いたいんですが?』

「いや、うん。あの、色々と、あって」

『……………』

「え?ちょ?プライドさん?どちらに電話をおかけになってるんでしょうか?」

『あ、はやてさんですか?少しご相談が……本気でまずいので』

「いや!ダメ!プライド!それは……」

『ユーーターー?限度を少しは考えろって言うたよな?』

「はい……」

 

はい、そこそこキレてる母さんのご登場ダァ。

 

『んーーー、そうやなぁ。ユタ、今すぐこっちに来たら飯を食わせたるで?もちろんユタが作るけどな』

「え?そんなことでいいの?」

『うん、ええでー。その代わりーーしっっっかりとお話ししようかぁ?ちょうどなのはちゃんもおるしなぁ』

「え?ちょっと待って……今なんて……」

『そんじゃあまたあとでなー』

 

プツッ

 

「…………」

『御愁傷様です。マスター。諦めましょう』

 

絶望の底を味わうと死ぬのって怖くなくなるね。初めて知ったよ。冥土の土産にはぴったりだ。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…やっぱり思った通りやわ。ユタ、そろそろ二次元卒業したらどうや?」

「嫌!あれは私にとってのオアシスなんだ!」

 

今は母さんの家で料理中。八神家特製シチューを作ってます。

ちなみに、私の中での3凶(母さん、なのはさん、シグナム姉さん)も勢揃い。やったね。地獄なんか生ぬるく感じるよ。行ったことないけど。

 

なのはさんは苦笑いしてるしシグナム姉さんはいつでも斬れるよう準備してるし、母さんはジト目で見て来てる。

 

「そーいえば、ヴィヴィオちゃん達って結果どうだったんですか?」

「えーと、確かみんなスーパーノービスからだって聞いたよ」

「ミウラは?」

「ボクもスーパーノービスからです!」

 

無理やり話を変えるとなのはさんは丁寧に返してくれた。

ミウラもスーパーノービスねー。ガチガチに緊張してたところしか見てなかってけど勝ったんだ。

 

「ユタも足元すくわれんように気をつけえやー」

「わかってるよ。今年こそ……」

「ユタなー今年こそ告白するって張り切ってるんや。なのはちゃん、フェイトちゃんに頼んでエリオに観に来るよう伝えてもらっといてええか?」

「ちょ!やめて!」

 

何を考えてるの!このたぬき!

 

『マスターがまたもや恥じらうとは……やはりはやてさんの方が上手なんですね』

「そやでープライド。まだまだユタには負けんわ」

「じゃあ、はやくけっこn…って!危ないよ!」

「つい手が滑ってしもうたわ、すまんなぁ、で?なんやて?」

「イエ、ナンデモアリマセン」

 

 

 

 

 

「ユタ、特訓だがこれからはミウラと一緒にやってもらうぞ」

「え?私は別にいいけど、どしたの?」

「お前の予選の中にハードヒッターがいるんだろう?それならミウラとやればいい練習になる。それにミウラはエリート戦1回戦でミカヤ選手と戦う。刃物相手ならお前が適任だろう?」

「えっ?えっ?」

「あー、そういうこと。わかったよ」

 

と、シチューを囲みながらシグナム姉さんと話す。こういう時は頼りになる師匠なんだけどね。

こういうときは。ミウラはなんか戸惑ってるけど

 

「えっと…ボクなんかでいいんでしょうか?」

「いいだろう?ザフィ」

「ああ、俺は構わん」

「ということだ、ミウラ。練習では遠慮なくこいつの頭を蹴り砕いてやれ」

「え、えーと」

「んなことさせるか!やられる前にシグナム姉さんをやってやるよ!」

「ほう?言い切ったな?」

「あ…」

 

やばい、またやっちゃった。感情に身を任せてしまった。

 

『なーんでマスターは学ばないんですなねぇ…』

 

 

そして、そのあとは……ご想像にお任せするが地獄だったとだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうだ?ユタ」

「ふーん、なるほどねぇ……確かにコレならミカヤさんにも勝てるかも」

 

今は砂浜で特訓。

シグナム姉さんとの殴り合い(という名の暴虐)は見事シグナム姉さんに軍牌が上がりましたよ。

 

そして、いまはミウラと模擬戦をしていたとこ。

 

「はぁっはあっ、なんでユタさんそんなに平気なんですか…」

「それはねー、ミウラ。この人たちと特訓すれば嫌でもスタミナ身につくんだよ。ペース配分も」

 

にしても…抜剣ねぇ。すごい打撃のやり方だ。

収束砲の威力を利用して素早く重い打撃を繰り出すねぇ。

 

羨ましい才能だよ。

 

「さて、ユタはまだ動けるんだろう?最後は私とやるぞ」

「ええっ…せめて遺書をかかせて」

「大丈夫だ。まだ殺しはしない」

「まだ⁉︎てことは殺す気でもあるの⁉︎」

「いいから、やるぞ」

 

 

 

「ほぇー、ユタさんすごい」

『ミウラさんも十分すごいですよ。マスターの【影】に対して初見であそこまでやりあえるとは思ってませんでした』

「あ、えーと。プライドさん、でしたっけ?そんな、ボクなんてまだまだ…」

 

いま、ボクの目の前ではユタさんとシグナムさんの手合わせが行われていた。けど、すごいという言葉しかでてこない。

 

ユタさん、シグナムさんがたまにしか出してくれない全力を相手にしてほとんどかわしているんだもん。

 

「ねえ、プライドさん。ユタさんってこの練習をいつからやってたんですか?」

『えーと、確か4年ほど前だったかと』

「え⁉︎」

 

す、すごい…

 

『でも、最初の方はシグナムさんもかなり手加減してましたからね。いまもそんなに力を出してないと思いますし』

「え?そうなんですか⁉︎」

『まあ、マスターは体質なんかの問題でミウラさんのような戦いができませんから。いつもやってるような練習の代わりにこればかりをやってたんです』

「なるほど…」

『あ、忘れてました。マスターから伝言あったんでした。【ミウラ、頑張れ。初出場の私でも都市本戦の2位までいけたんだからミウラもきっと勝ち進めれる】だそうです』

「……ありがとうございます!」

 

あ、ユタさん達の手合わせ終わった。

ユタさん、汗だくでそのまま倒れこんでる。

 

そしてこの後はシグナムさんと家に運ぶこととなりました。

 

 

 

 

 

〜地区予選 第2会場〜

 

「お、ミウラすごい。あのミカヤさんに勝ったんだ」

『すごいですねぇ。大金星ですね』

「ま、そのあとザフィとヴィータにこってり絞られてたけどなー」

 

いまは控え室で待ってる。私の対戦相手は運の悪いことに当たりたくなかったリンネ・ベルリネッタだった。

 

スーパーノービス戦を見た感じシード選手より強い気がする。

 

近距離が強く、つかみ技も強い、タフネス、砲撃も使いこなしてる。パワーも強い。投げ技もされたら致命傷レベル。

 

本当に超パワー型って感じ。

あとは……………相手を見下してる。

 

 

「ま、他人のことよりまずは自分のことや。今回はシグナムがおらんからウチがしっかりと見といてあげるで。しっかりとやってきいや」

 

「うん……そんじゃあプライド、セットアップ」

 

と光に包まれる。

 

「相変わらずその格好なんやなー」

『いい加減変えたらどうです?そんなことだからエリオさんに振り向いてもらえないんですよ』

「うっさいよ!気にしてること言わないで!」

『まあ、それより……今回はどうします?』

「そーだねぇ、リフレクトと腕の魔法メインかな。影は極力控える。だからサポートよろしくね。腕の魔法は速攻で組み立てに行くから」

『了解しました』

 

コンコン

 

「八神ユタ選手。入場をお願いします」

 

 




ユタとリンネを戦わせるようにしましたが……

どう書けばいいのか悩みまくってます。
けどできるだけ面白くなるよう頑張ります。


これから受験生……勉強と頑張ります。

読んで下さりありがとうございます


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18話

ようやく暖かくなって来ましたねえ
そして新学期も慣れて来た頃です

勉強は慣れませんが!

今回はユタvsリンネです。
vivid strikeのストーリーも組み込んだりする予定ですが
それは本編とは別の扱いでやっていきたいなと思います。

それではどうぞ


〜予選第2会場〜

 

『さあ二回戦。レッドコーナーは2年前初出場で2位という快挙を成し遂げた八神ぃぃぃぃぃユタぁぁぁぁ!!!』

 

と、アナウンスと同時に私はリングに向かう。

 

『ブルーコーナー、今年初参加で去年の都市本戦出場者を1ラウンドKOしてきたぁぁリンネーーー・ベルリネッタぁぁぁぁ!!!!』

 

と同時に相手もリングに向かって来る。

 

「あ、ユタ。いい報告やで。ヴィヴィオちゃん達みんな2回戦まで勝ったって。あと応援にもきてくれてるらしいけど」

「あ、ほんとだ。あそこにいる」

 

と、観客席を見ると割と前の方にヴィヴィオちゃん達がいた。

 

「ありがたいなぁ。あ、もう一つ、3時の方向見てみぃ」

「?」

 

と母さんに言われその方向を見ると

 

 

エリオ、キャロ、フェイトさん、ルーテシアさんがいた。

 

 

ボンッと私の頭が一瞬でショートしかけた。

 

「あ、ユタ。何顔を赤くしとんや?」

「こ、この狸……」

 

うーー、この人は……

 

 

 

まあ、それはそれでありがたい。余計負けられなくなった。

 

「それじゃあ、言ってきます。母さん」

「うん、行ってらっしゃい」

 

 

 

 

リングに立ちリンネさんと向き合ったが本当に今年が初参加なのかと疑いたくなる。

それくらい、鍛えてあった。

 

「よろしく、リンネさん。精一杯やらせてもらうよ」

「……」

 

あーはい。無視ですか。

 

『マスター……こんどは何やらかしたんですか』

「いや、何もやってないはず」

 

とプライドと喋りながらリングの端に移動する。

 

そしてお互いに構えた。

 

『さあ、カウンターやリフレクト、影を駆使するユタ選手。パンチや砲撃などの威力はベテランにも劣らない力をもつリンネ選手。技術と力 対局の二人が今ぶつかります!』

 

カーーーン!

 

 

 

「はぁっ!」

「あぶっ⁉︎」

 

とコングが鳴ると同時にリンネはユタと距離を詰めアッパーを仕掛ける。が、それを間一髪でユタは避けた。

ユタの体勢が崩れたところをリンネはすかさず追撃をする。

 

「せやっ!」

「っ!うおりゃ!」

 

ユタは顔に来たパンチを避けながらカウンターをかました。

リンネが僅かにぐらついたスキを利用して距離を取る。

 

「あっぶなー。ペース持ってかれるとこだった」

『今のカウンターは見事です』

「どうも」

 

と、そんな話をしてる間にも何事もなかったかのようにリンネは立ち上がる。

 

「ありゃ、ほとんどダメージなし?」

『どうやら体も頑丈みたいですね』

「運良くこっちもダメージ受けなかったから腕の魔法の準備終わり次第接近戦に持ち込むからヨロシク」

『了解しました』

 

すると、リンネは距離が離れていながらも格闘戦のような構えをする。

それをみてユタもいつでもカウンター出来るよう構える。

 

「(この距離なら…砲撃?)」

 

そのユタの考えは当たっていた。

遠くから収束砲撃(ブレイカー)をうってくる。

1発だけでなく何発も。

 

こんどは慌てずに確実にユタは避けていく。

 

「……」

「あれ、もう終わりか」

 

当たらないとわかったのかリンネは砲撃をやめた。

 

「さーてと、あっちから撃って来てくれてたおかげで時間は稼げたかな?残り時間は……1分半か。プライド、少しだけ無茶するからヨロシク」

『限度を考えてくださいね』

その言葉と同時にユタとリンネが互いに接近する。

 

リンネは無理矢理ながらもユタに打撃を当てようとするがユタはそれを紙一重でかわしていく。

 

そして……

 

「(隙ができた!)」

「(食いついた!)」

 

とリンネが腕に魔力を集中させユタの腹を殴りにいく。

 

ユタはそれを少し体をそらし腕でうけその勢いで回転しリンネの側頭部に裏拳を叩き込んだ。

 

「がはっ……」

「ふぅ、やっとダメージをいれれた」

 

ユタはいつの間にか腕の硬化魔法も発動していた。

 

ライフ

リンネ 15000→9800

ユタ 15000

 

『ダウン 10……9……8……』

 

ダウンのカウントが始まりユタはその場から少し離れる。

 

『今のカウンターは100点です』

「ども。でもこれで接近戦はしばらくやってこないかな」

『そうですね。流石にあそこまでやられたら部が悪いと思うんじゃないんでしょうか?』

 

『6……5……4……』

 

「っ……!やれます!」

「うん、だろうね」

 

リンネは少しふらつきながらも立ち上がった。

そして互いに再度構える。

 

『始め!』

 

と再開と同時にリンネは()()()()()()()()

それはユタを驚かせ少しのタイムロスとなった。

 

「(マジですか⁉︎)」

「はぁぁっ!」

 

と、リンネはパワーのある拳でラッシュをしてくる。

ユタは少し反応が遅れたものの的確にかわしていく。

 

そしてしばらくそれが続いた時

 

『カンカンカン!』

 

第一ラウンド終了のコングがなった。

 

 

 

 

 

「ふぅ……なんとかなったぁ…」

「珍しいなぁ。ユタが近距離に徹底するってのは。なんか策でもあるんか?」

「うん。一応ね。まだ使うかは未定だけど。できれば……影は使わずに勝つのが理想かな?」

「そうか、まぁがんばりーや」

「うん」

 

 

 

 

 

 

「リンネ、あのカウンターはしかたありません。あれは忘れましょう」

「はい、次は無理矢理にでもカウンターも耐えて打ち返してみせます」

「はい、その意気です。あなたは才能があるんだから、あの選手を蹂躙してあげましょう。見せつけてあげなさい。才能の差を」

「わかりました」

「とはいえ、あの選手の【影】には気をつけておくんですよ?いつ来るのか予測がつきませんから」

「はい」

 

 

 

 

『セコンドアウト』

 

インターバル回復

リンネ 9800→14000 クラッシュエミュレート 全回復

 

 

 

カーーーーン!!

 

 

コングがなるとユタもリンネもお互いに距離を詰める。

 

「(まだ接近戦でくる?まあそれならやることは変わらないけど警戒はしておかないと……)」

 

1ラウンド目の時のようにリンネは打撃を繰り返しユタはそれを避けながらもカウンターを狙っている。

 

それが2分くらい続い頃だろうか。

 

「(キタ!)」

 

とリンネがパンチをして来たのを前に避けながらユタは顔にカウンターを決める。

 

確実なクリーンヒット。それがユタを油断させた。

 

「っ………!」

「んなっ⁉︎」

 

リンネは、直立不動で構えた状態のまま微動だにしていなかった。

 

「やぁぁぁぁ!」

 

リンネはユタの腕を掴み床に叩きつける。

 

「がはっ……」

 

そして立ち上がる前にリンネはユタに拳を叩きつける。

ユタもとっさにガードしようとするが間に合わず何発も入れられる。

 

そして、更には至近距離での収束砲撃(ブレイカー)を撃ち込んだ。

 

 

『ダウン 10……9………』

 

 

ライフ

ユタ 15000→2000 クラッシュエミュレート ボディ蓄積ダメージ 57%

リンネ 14000→9600 クラッシュエミュレート顔面強打撲

 

「リンネ、完璧です」

「ありがとうございます」

 

とリンネとコーチが話している。

 

 

『3……2……』

(おおーーっっ!!!!)

 

と、あと少しで決まろうという時に観客が湧いた。

リンネが不思議に思ってユタの方を見ると

 

「はぁはぁ、ゲホッ……。………うん、まだやれます!」

 

まだ闘志が消えていないユタがいた。

 

 

 

「痛いな……まあクラッシュがないだけマシか」

『そうですね。本当ならこの時点で棄権すべきですよ?』

「プライドのおかげだねぇ……さーーーてと、影を使わないなんて事はもう言わない。これからは持ってる手札を全部、惜しみなく、全力で使っていく。あ、腕の魔法は解除しないでね」

『了解です。健闘を祈ります』

 

 

 

リンネは少なからず動揺していた。

過去の映像(とは言っても2年前のものだけだが)を見る限りクラッシュはほとんどなかったのは気づいていたが

受け身が上手いだけだと思っていたがあれだけ近距離で叩き込んだのだ。

本来なら立てないはずだ。

 

カーーーーン!

 

そんなことを考えているとコングがなった。

慌ててリンネは構える。

 

「…?」

 

がユタはリンネから距離をとっただけだった。

 

「(行かないのなら…私から行けばいい!)」

 

とリンネはユタに向かって突進する。

 

「あーーぶなーーいよーー」

「え?」

 

とリンネの足元から影が飛び出しリンネを切りつけた。

とっさに回避したが全てを避けてはいなかった。

 

「あれ?あんまり入ってないな。もうちょっと密度を濃くしといたほうがよかったかな?まあここからは再度近距離戦だし大して変わらないかな〜。………ミウラの技借りますか」

 

とユタはリンネの背後に一瞬で移動した。

 

「なっ⁉︎」

 

リンネは完全にノーマーク、と言った感じで驚いていた。

そして、ユタはリンネを影で、確実に斬りつけた。

 

「ぐっ!」

「はい、逃がさないよ」

 

と、距離を取ろうとしたリンネをユタは影で捉え地面に叩きつける。

 

「こ…のぉ!」

 

とこんどは収束砲撃(ブレイカー)を撃って脱出を試みようとする。

 

 

「リフレクト」

「きゃっ!」

 

ユタはそれを反射し返した。

 

そして、これは近距離でリンネは影により動きに制限がかかっている。

反射砲撃を避けられるわけもなく自分の撃った砲撃に飲み込まれた。

 

『バインディングダウン』

 

ライフ

リンネ 9600→3960 クラッシュエミュレート 全身裂傷。及び肋骨3本骨折。

ユタ ボディダメージ68%

 

『マスター、いつの間にミウラさんのアレを…』

「夜中にこっそり練習してた」

 

ユタはミウラの【抜剣】の技術を使ってリンネの背後に回ったのだ。

足元に収束系魔法(ブレイカー)を使いその威力を使って爆発的な推進力を生み出す技術を、真似たのだ。

 

「けど……正直もうやらない。体がもたない」

『それが懸命ですね。抜剣はミウラさんの頑丈さがあってこそのあの荒技ですから』

 

『6……5……4……』

 

「はぁっはあっ……た、立ちました。まだやれます!」

 

リンネは影にバインドされた状態ながらも立ち上がった。

だがリンネにとってピンチであることには変わりはない。

 

「あのまま寝てもらってたら楽に終わってたんだけど。まだまだやる気満々だねぇ」

「私は…負けるわけにはいかないんです!私は強くなるって決めたんです!」

 

とユタの皮肉の混じった発言に対しリンネは少し荒ぶった声で言う。

 

そしてリンネはバインドされたままユタに向かって走りユタに近づいた瞬間にバインドを引きちぎる。

が、それはリンネの負けを確定にしてしまった。

 

「ドカーーン♪」

「⁉︎」

 

ユタの影が突然爆発しリンネとユタを巻き込む。

かなりの威力だったので多少はユタもダメージを受けていた。そしてその爆発に紛れてユタはリンネの顎にアッパーを命中させた。

 

ライフ

リンネ 3960→0

 

 

『勝者はーーー八神ユターー!!!しかしリンネ選手もルーキーとは思えないほど素晴らしい試合をしてくれました!観客の皆様、二人に盛大な拍手をお願いします!!』

 

アナウンスと同時に会場を拍手の音で満たされる。

 

「……ありがとうございました。八神選手」

「いえ、こちらこそ。リンネさんにも伝えておいてください」

「はい。わかりました。それとは別件であなたに後で話したいことがあるのだけどいいかしら?」

「?まあ私は構いませんが」

「ありがとうございます。ではまた後で」

 

とリンネを担ぎに来たコーチと話す。

コーチの言葉がよくわかってないままユタは会場をはやてと共に後にした。

 

 

 

〜シード選手控え室〜

 

「あーーー全身痛い…至近距離での収束砲撃(ブレイカー)は酷いよ…」

「よー言うわ。あんたもおんなじようなことしたやろ」

『ま、油断してたマスターの自業自得ですね』

「二人とも…勝った私を褒めてくれてもバチは当たらないと思うよ?」

「ユタを甘やかしたら私がイラつくから嫌」

『褒める時は褒めますが今回のは褒める事より咎めることの方が多いのです』

 

ぐっ……プライドのには反論できない。

けど母さん。あんたの言い分には反論したい。

なんだ、私がイラつくからって。そこは甘やかしたら調子にのるからとかにしておきなよ。

 

「あ、ユタ。メールや。ヴィヴィオちゃん達から。えーと"2回戦突破おめでとうございます!私たちもユタさんみたいに頑張ります!お疲れ様でした!"やって。ええ子やなー」

「うん、そうだね。俄然やる気出て来た」

「え、ユタって女子なのにロリコンなんか………捕まらんようにきぃつけえや」

「なんで⁉︎なんでそうなったの⁉︎」

『心配しないでください。万が一があったら私が証人になってあげますから。少しくらいは刑は軽くなると思いますよ?』

「私が間違いを犯す前提で言わないで!」

 

コンコン

 

「はあーい」

 

とそんな話をしているとノックの音がした。

入って来たのはリンネ選手のセコンド兼コーチの人だった。

 

「失礼します。リンネのコーチをやっております、ジル・ストーラと申します。八神ユタ選手にお話があって来ました」

「ユタに?」

 

ああ、そういや何か言ってたっけ?

 

「八神ユタさん。改めて初めまして。フロンティアジムでコーチをしております。ジル・ストーラと申します」

 

「はぁ、私に何か?」

 

「単刀直入に言います。あなた、フロンティアジムに来ませんか?」

 

……?なんて?

 

「すいません、聞き間違いかもしれません。今なんと?」

 

「私のところに来て鍛えませんか?と聞いたんです」

 

「お断りします」

 

んなもん即答だ。ジルさんも目を点にして驚いてる。

母さんも驚いてる。

 

「それは…なんでですか?あなたには才能があって私はそれを伸ばせる自信があります。実際、あなたと戦ったリンネも一年であれだけ成長できました」

 

「そう言うわけじゃなくてですね。まあ、才能の有無は置いておきまして。今のところは私のコーチ、セコンドは私の家族だけなので。まあ近いうちにもう一人ほど増える気はしますが」

 

「そう…ですか。なら時間の空いている時でいいのでリンネの練習相手になってもらえませんか?」

 

「まあ、それくらいなら……」

 

「ありがとうございます。あ、これ私の名刺です。では」

 

と言ってジルさんは出ていった。




どうでしたか?
ユタのバトルが同じような展開が多くて大丈夫なのか…と思ってます。

次あたりからインターミドルを挟みながら無限図書館編に入って行くと思います

読んでくださりありがとうございました


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19話

ひなこのーとがほのぼのしてていいですねぇ。
ああいう系の日常系アニメ大好きです。

今回と次話あたりまではコロナvsアインハルトになると思います。

おそらく、ユタの戦い以外では初めて詳しく書くと思います。


それではどうぞ


「ねぇ、母さん。なんでこんな事をしているのかをご説明願いたいんですが」

「ウチの気分がええからや♪」

 

今は母さんの車で帰っているのだが、なぜか助手席で母さんの抱き枕状態になっております。

運転はシャマルさんがやってくれてるから大丈夫なんだけど。

 

恥ずかしいからやめてほしい。

 

「♪」

「はぁ、なんでそんなに上機嫌なの?」

「ふふーん、別に〜♪」

 

と、こんな感じで聞いてもはぐらかされる。

 

後ろの座席を見るとシグナム姉さんとミウラとザフィがいるがシグナム姉さんもなぜか気分がいい感じでミウラは母さんたちのテンションに困惑している。

 

うん、わかるよ。私ですら困惑してるから。

 

「あ、そういえば三回戦の組み合わせってどうなってんだっけ?」

『いまトーナメント表を出しますね』

 

すると、プライドがトーナメント表を表示してくれる。

 

「ありがと。えーと……私の相手は去年の予選2位か」

『学校の合間などに資料は集めておきますね』

「うん。そういえばミウラは?」

 

ふと気になってミウラに聞く。

 

「ボクはヴィヴィオさんとですよ!もう、今から楽しみでしょうがないです!」

 

おおう、元気な事で。

他の子はどうなってんだろ。

 

『リオさんは、ハリーさんかエルスさんで祝日のプライムマッチで勝った方ですね。コロナさんは………アインハルトさんとのようです』

「はい?本当に?」

『そして、コロナさんとアインハルトさんの試合で勝った方がジークさんとやるみたいですよ?』

「うわー」

 

うーん、どうしようかな。インターミドルが本格的に始まってからコロナちゃんとの練習はあまりできてないからな。

せめて試合当日までは練習をしに行こうか。

 

「プライドー、コロナちゃんにいつが空いてるかメールしておいて。練習をしないかっていうのもちゃんと書いてね」

『了解しました』

 

 

 

 

 

 

〜プライムマッチ開催日〜

 

『マスター、本当にいいんですか?プライムマッチを見に行かなくても』

「いいのいいの、録画を見るし。それよりはコロナちゃんとの練習」

『それは構わないんですが……1週間ずっとじゃないですか。もう少し自分の練習を入れるべきです』

「ご心配なく、私の相手はコロナちゃんほどじゃないけどゴーレムも使うし、操作系の魔法の使い手だから。コロナちゃんとならいい練習になる」

 

さて、録画はルーさんに頼んでおいたしコロナちゃんの練習場所に向かいますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!ユタさん!今日も来てくれたんですか!」

「うん」

 

練習場所になっていた公園にいくとコロナちゃんとオットーさんが練習をしていた。

今はランニング終わりの休憩、らしい。

 

「ユタさん、ここのところ、毎日ありがとうございます」

「いえ、私も操作系の魔法の使い手が相手なので、ちょうどいいですし」

『と、いうのは建前でコロナさんが心配なだけです』

「おいコラ、速攻バラすな」

 

この愛機は……。

 

「ユタさんが……私を…」

「コロナお嬢様⁉︎」

 

ほら見ろ、赤面しちゃったじゃないか。

 

 

 

 

「落ち着いた?」

「は、はい…すいません」

「いやいや、悪いのは全てプライドだよ。謝る必要はない」

『なぜ私のせいなのかをご説明願いたいのですが』

 

自分の言動を振り返って見なよ。プライド。

 

「………オットー、ユタさん」

「はい?」「ん?」

 

「わたし、アインハルトさんに勝てると思う?」

 

……どうしたの。コロナちゃんらしくない質問。

 

「そ、それはもちろんー」「急にどうしたの」

 

「わかってるんです。ユタさんにも一度お話ししたことありますが、わたしは普通の初等科4年生で少し変わった魔法が使えるだけ。アインハルトさんは才能も実力もあって覇王流っていう正統派の技もあって

 

ものすごく努力してる。今も、きっと。

 

普通に戦ったら勝てっこないよね」

 

と、コロナちゃんは力なく笑っている。

 

「でもね?」

 

コロナちゃんがさらに続ける。

 

「私にしかできない魔法があるってヴィヴィオやリオが言ってくれるの。ノーヴェ師匠とオットー、それにユタさんも私のいいところをいっぱい伸ばしてくれてる。ルーちゃんが作ってくれたブランゼルもいる。

 

だから----勝つ、勝ちます!三回戦は私が勝つ---‼︎」

 

「---はい!」「うん……強いね、コロナちゃんは」

 

本当に強い子。私なんかより遥かに…

 

「さ、休憩終わりです!次のメニューに行こう!オットー」

「はいっ!」

「あ、じゃあ私もしばらくはそれに付き合いますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ミッドチルダ市内 魔法練習場〜

 

「ふーん、番長勝ったんだ」

『リオさんの次の相手はハリーさんですか。なかなか厳しいですね』

 

まあ、私はエルスさんよりは番長の方がやりやすいから番長勝ち上がってくれると私的にはラッキー。

 

「おーい、ユタ。再開するぞ!」

「はーい!今行きます」

 

ノーヴェさんに呼ばれてコロナちゃんのところまで行く。

 

いまは最後の調整をやってるところ。

 

「お前たちの試合、いよいよ明日だな」

「はいっ」

 

お前たちとは、もちろんコロナちゃんとアインハルトの試合のことだ。

 

「お前のセコンドは私とオットー。ユタは試合があるからできないけど」

「でも、時間が合えば応援には行きますよ」

「ありがとうございますっ!」

「で、アインハルトにはディエチもウェンディ。まぁセコンド対決にはならねーな。あいつらは単に保護者役だから」

「はい!」

 

と話しながらも私を交えた最後の調整をノーヴェさんとコロナちゃんとやっていく。

 

「さて、このへんにしとこう。今日までお前に教えたことでアインハルトとは十分に戦えるよ」

 

「『戦える』だけじゃ嫌ですよ。勝ちたいです」

 

「そりゃもちろん」

 

「勝つための作戦……ちゃんとあるんですよ」

 

「コロナ、お前……?」

 

何のことだ?ノーヴェさんにもこっちを見てくるが、わからない、という意味を込めて首を横に降る。

 

「構えてください!ちょっとだけお見せします!」

 

と、コロナちゃんが構える。

 

---ドギュン!---

 

「は………?」

「コロナ…お前……‼︎」

 

「今のは一瞬だけでしたが後先考えなければもう少しやれます」

 

「こんな技を教えた覚えはねえぞ⁉︎身体への負担がでかすぎる!」

「コロナちゃん……私も同意見だよ。その技はやるべきじゃない」

 

「今のもゴーレム操作の応用ですよ。ちゃんとノーヴェ師匠、それとユタさんにも教わった技の延長です」

 

確かに…操作系の魔法を少し教えた記憶はあるけど…

 

「これくらいやらないとアインハルトさんには勝てませんから」

「だとしても身体に危険があるような技はコーチとして容認できねーよ」

 

「うまくやります」

 

「それでも……」

「まあまあ、とりあえずコロナちゃんの言い分を聞きましょうよ」

 

と、ノーヴェさんを落ち着かせる。

コロナちゃんは何か決意している感じがしたから。

 

「チームナカジマの4人の中で-------私1人が色んな能力で劣っていること。自分が一番わかってます。

 

でも、だからってアインハルトさんやヴィヴィオやリオ、ユタさんやノーヴェ師匠にも、気を遣われたりしたくないんです。

 

みんなのこと大好きだから、がっかりされたくないんです。

 

証明したいんです----わたしだってチームナカジマの一員でアインハルトさんとだってちゃんと戦えるんだって」

 

あー、ダメ、わたしこういうのには弱い。

 

『でも、だからと言って身体に負担のある危険な技を好きに使っていいというわけには行きませんよ?』

「プライドの言う通りだ。コロナ」

「プライドもノーヴェさんも……まぁ、そこはわたしも同じ立場ですけど」

 

「あう……」

 

「つーわけで練習時間延長だ。明日に疲れを残さねーギリギリまでその技の使いどころを詰める。

証明しようぜ。お前らしい戦い方でアインハルトに勝ってやれ」

「わたしも全力で手伝います〜」

「はいっ!ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

〜三回戦開催日 予選第1会場〜

 

『マスター、本当に次の相手は見なくても大丈夫なんですか?』

「いーの、対策なら映像だけで十分」

『まあ構いませんが、その代わりキチッと勝ってくださいね?』

「もちろん」

 

いまはコロナちゃんの応援に来ている。

試合?2ラウンドKO勝利です。超急いで第2会場からきたよ。

 

なかなか危なかったよ。

まあそれはさておき、コロナちゃんの試合がもう始まる頃かな。

 

昨日までの練習を見る限りアインハルトには、もしかしたら勝てるかもしれない。

 

『いつからマスターはロリコンになられたんですかね……』

「コラ、まだなってないよ」

『まだってことはなる気はあるんですね。わかりました。はやてさんに伝えておきます』

「ちょっと待てやコラァ!なりません!なりません!なるつもりもありません!コロナちゃんに対してだけです!」

『え⁉︎コロナさんが好きなんですか⁉︎』

「なんでそうなる⁉︎」

『冗談ですよ。わかっていますからご心配なく』

「この……クソ愛機が」

 

まあ、ロリコンでないとわかってるならいい。

 

「お、始まるね」

『そうですね』

 

コロナちゃんとアインハルトが入場し互いに向かい合っている。

 

「コロナちゃん……頑張れ」

『マスター、なんでそんなにコロナさんを応援するんですか?』

 

プライドが聞いてくる。うーん、なんでだろうな。

 

「あー、うん。なんか昔のわたしを見ている気分になって応援してあげたくなる」

 

そう言っている間にもコロナちゃんとアインハルトの試合は始まる。

 

「うん、創成戦技(マイストアーツ)もしっかりできてるね」

『あれだけマスターと練習してましたもんね」

 

創成戦技(マイストアーツ)って言うのは格闘戦技とゴーレム創成を組み合わせた戦技のことだ。

 

ゴーレムを腕の部分だけを創成し腕に纏い、格闘戦技をつかいアインハルトを殴った。

 

感覚的には私の腕の硬化魔法と似ている。

 

「お、アインハルトはコロナちゃんを見失ったかな?」

『ゴーレム創成できますね』

 

そうだ、とにかく自分の土俵に引き摺り込め。

 

ゴーレム創成をさせまいとアインハルトはコロナちゃんにラッシュをする。

みるみるうちにライフが削られていく。

 

そして、殴り飛ばされる。が、その間にも詠唱は終わっていた。

 

「叩いて砕け-----【ゴライアス】ッ!」

 

コロナちゃんは飛ばされながらもゴーレム創成をした。

 

『Rock Bind』

 

そして、ブランゼルがアインハルトにバインドをする。

 

「ギガントナックル!」

 

そしてゴーレムを操作してアインハルトにゴーレムの腕をぶつける。

 

『ダウン コロナ選手及びゴーレム ニュートラルコーナーへ』

「はいっ」

 

ライフ

アインハルト 5200

コロナ 3500

 

 

「うん、完璧だ。あとはどれだけ優位を保てるか」

()()()を使わずに終わればいいんですが』

「うん、そうだね」

 

あの技はつかわないに越したことはない。

 

そして、試合再開すると

アインハルトはゴーレムの攻撃をかいくぐりコロナちゃんに空破断を繰り出す。

 

ライフ

コロナ 1300

 

「覇王流、破城槌!」

 

「うおっ、あのゴーレム壊すか」

『流石の攻撃力ですね』

 

アインハルトはゴーレムを粉砕した。すっごい攻撃力。

 

「でも……まだ終わりじゃないよね?」

 

そうだ、コロナちゃんはまだ終わりじゃない。

 

筋力 体力 魔力量だとチームナカジマの中だと一番目立たないかもしれない。

でも冷静さや知性、発想力は4人の中でナンバーワンだ。

 

「でも……身体操作は負担が大きすぎるんだよなぁ」

『マスターも一度体験しましたもんね』

 

ダウンから立ち上がり試合再開するとコロナちゃんは棒立ちになっている。

 

 

 

 

 

 

「(1ラウンド残り20秒。インターバルで回復させたら何があるかわからない。コロナさんにはヴィヴィオさんのようなカウンターはない。接近戦で押し切る!)」

 

【ファイト】

 

「(St.(ザンクト)ヒルデの一年生になって---ヴィヴィオと出会って友達になって。

格闘技をやってるって聞いて随分びっくりしたっけ。

 

一緒に居たいから一緒に練習するようになって。格闘技が好きとか嫌いとかよくわからなかったけど。

わたしが格闘技や魔法戦技をやめちゃったら

 

ヴィヴィオと友達でいられなくなる気がして。

でもホントは、ヴィヴィオみたいに上手くできなくて楽しくなくて。

 

そんな時はノーヴェ師匠がいつも励ましてくれたしみちびいてくれた。

 

格闘戦技が大好きでいつかママを守れるくらい強くなりたいって話すヴィヴィオはいつも素敵で。

 

春光拳と炎雷魔法をもっとマスターしたいって頑張っているリオは格好良くて頼もしくて。

 

ご先祖様の遺志を継いで本当の強さを手に入れたいって一生懸命なアインハルトさんはすごく立派で。

 

ご先祖様に恥じないように、そして家族のみんなに喜んでもらいたくて自分の体質のことも顧みず強くなりたいと思ってたり、好きな人に振り向いて欲しくて頑張るユタさんはとてもすごくて、憧れて。

 

わたしはそんなみんなに恥ずかしくない選手でいたくって。

 

あともう少し…みんなと同じ目線で、同じ速度で歩いて行きたくて

 

だから----痛くても使うんだ!)」

 

そして、アインハルトとコロナの距離が縮まる。

 

「ネフィリムフィスト!」

 

そして、コロナちゃんのカウンターが綺麗にアインハルトの顎に直撃した。そして、コロナは回し蹴りをする。

 

『ダウン』

 

ライフ

アインハルト 970 クラッシュエミュレート 中度脳震盪 視界混濁

コロナ 1100

 

カウント8でアインハルトはふらつきながらも立ち上がる。

 

 

「(格闘戦での反撃はないとコロナさんを侮った----こんな形では終われない----)」

「(残り10秒……創成している時間はない。ネフィリムフィストで押し切ろう!)」

 

そして、互いに距離をつめ格闘戦が繰り広げられる。

 

「ネフィリムフィスト《虎咆》!」

 

そして、強烈な打撃がアインハルトに命中した。

それと同時にゴングが鳴った。

 

 

 

 

「コロナちゃんのあの技、練習の時にも思ったけどヴィヴィオちゃんとリオちゃんの技だよね。あの調子だと他の人の技もあるかな」

『いまは作動も安定していますね。あのまま押し切れたらよかったんですが』

 

まあ、あれはしょうがない。最初のネフィリムフィストでアインハルトが警戒しちゃったしね。

 

コロナちゃんのあれは最初だからこそ意味がある。

 

「まあ、落ち着いていけば勝てるとは思うけどな」

『本当にそこですね。あの技はコロナさんの持ち味を殺してしまうのですが…まあ大丈夫だとは思います』

 

頑張れ…コロナちゃん。




どうでしょうか?

次でコロナとアインハルトは決着ですかね。
気づいたら原作6あたりまで来ていました。

オリジナルのストーリーなんかも組み込んで行きたいですね。

頑張ります(`・∀・´)

読んでくださりありがとうございました


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20話

ゴールデンウイークいかがお過ごしでしょうか?

自分はやりたいことやってやらなければいけないことに追われております(´-`).。oO

まあ、そんなことはどうでもいいっすね。

今回でコロナvsアインハルトは決着ですね。
拙いかもですがご了承を。

それではどうぞ!


「身体自動操作?」

「ええ、ゴーレムを動かす時の要領で自分の体を操作しているんです」

 

リング外ではアインハルトとディエチ、ウェンディが話している。

アインハルトはコロナの技の正体に気がついていた。

 

「巨体のゴーレムを動かせるだけの力です。そのまま打撃に使えばまさに『巨人の拳』。そしておそらく事前にプログラムした動作---特定のカウンターを設定したトリガーで自動再生するようにもしています」

「そっか、特定の打撃に反応して自動で撃つようにしておけば……」

「反応時間ゼロのオートカウンターっスね」

「対策は?」

「あります---さっき()()()()()()()。次ラウンドでやってみます」

 

 

 

インターバル回復

アインハルト ライフ7530 クラッシュエミュレート 全身軽度打撲 左腕中度打撲

コロナ ライフ 11180

 

 

 

 

 

 

「身体操作に自動反撃、格闘戦だと優位に立てそうだけど実際にはそうじゃないんだよなぁ。特にアインハルトみたいな才能に溢れてる人に対しては優位どころじゃない。自分を餌にするようなものなんだよねぇ」

『もともと、身体操作はタイムロスが出やすいですもんね。それに、コロナさん自身の動きにも限界はありますし』

「それに……コロナちゃんには悪いけど今使っているのはヴィヴィオちゃん達の()()()。そんなものはアインハルトには通用するとは思えない」

 

と、私が喋っている間にも予想通りコロナちゃんが押され出している。

格闘戦で押していくつもりなのかコロナちゃんはゴーレム創成をしようとはしていない。

 

「コロナちゃん、そうとう焦ってるだろうね」

『自身の切り札が通じなければそうなりますよ』

「まあ、そうなんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

「ネフィリムフィスト【マイストアーム】!」

 

コロナはゴーレムの右腕を作りアインハルトに向ける。

 

「(身体自動操作や頑強な腕部武装。覇王(わたし)にとってその対策は、600年前から取り組み続けた課題だったんです)」

 

アインハルトは真正面から受け止めゴーレムの腕を破壊した。コロナの右腕を巻き込んで。

 

その直後に、上空にいたコロナに近づき叩き落とした。

 

ライフ

コロナ 9010

 

「(痛い、痛い、痛い!けど!まだいけるはず!左のリボルザーキャノンからのスパイクのコンビネーションが----)」

「鋼体の型 『牙山』」

 

コロナは再度アインハルトに向かっていった。

それに対しアインハルトは防御を固めた。

 

左の打撃からの回し蹴りをコロナは繰り出した。

が、アインハルトは威力を殺さずに肘で受け止めた。

相手の攻撃威力を利用した攻性防御だ。

 

ライフ

コロナ 7660 クラッシュエミュレート 左拳骨折 右脛強度打撲

 

アインハルトはコロナを追撃しにいく。

 

「(拳が来る!大丈夫、オートカウンターが動作する!)」

 

そして----アインハルトは拳をぶつける直前で()()()

 

「(しまっ……)」

 

もう、遅かった。

発動した自動操作を止めることができるわけもなくカウンターアッパーが空を切った。

 

ドカン!

 

アインハルトは伸び上がったアッパーを上から叩き潰した。

 

 

 

 

「うまいね……オートカウンターの間合いを読み切って空振りさせて反撃した。完璧な筋書きだね」

『コロナさん……心が折れてもおかしくありませんよ。先ほどのアインハルトさんの攻性防御で拳も足もクラッシュしてますし』

 

ユタとプライドは冷静にみている。見てはいるが内心はとても焦っていた。

 

「いや、コロナちゃんならきっと……大丈夫」

 

 

 

 

 

「大……丈夫……です」

「……⁉︎」

 

「マイストアーツとネフィリムフィストは……ここからが神髄ですから…」

 

コロナはフラフラしながらも立ち上がった。

 

「終わりになんてしません!」

 

ライフ

コロナ 530

 

「ネフィリムフィスト、フルコントロールモード」

 

「五体の完全操作。それも外から動かしていますね。…………コロナさんも()()にたどり着いたんですね」

 

アインハルトには先人の記憶…特に聖王女オリヴィエと話している光景を思い出していた。

 

「ですが、その技は危険を伴います。危険なことになる前に---わたしが終わらせます!」

 

「終わらせません。私だって自分に胸を張って見たいから---!!」

 

 

 

 

「(五体の完全外部操作、そしてこの距離。コロナさんの最大攻撃はおそらく……)」

「ガイストダイブ----」

 

コロナはアインハルトに高速で突撃した。

それをアインハルトは防ぐ。

 

「(防がれた⁉︎)」

「(やっぱり高速突撃!読めてなければ食らってた--!)」

「(それでも当たるまで何度だって……‼︎)」

 

コロナは何度も何度もアインハルトに向かっていく。

が、一歩届かない。防がれ、避けられていく。

その間にもコロナの体は限界が近づいていた。

 

 

 

 

 

「骨が折れようと腕が千切れようと、神経が切れようと戦える五体の完全外部操作。その引き換えにコロナちゃんは膨大な魔力制御のリソースと限界を超えて動かされぶつけられる体の損傷。アレは、本当に最後の切り札なんだよね」

『いわゆる、背水の陣、ですね。もっとわかりやすくいうなら…諸刃の剣』

「あれは……あの技は姉さんが死ぬ原因を作ってしまった技だからよく覚えてる」

『なんの話ですか?』

 

おっと、つい口が滑った。プライドはこのこと知らないんだった。

 

「なんでもない。けど…もうそろそろ決着かな?」

 

 

 

 

 

 

アインハルトさんがが反撃をしようとしたのをみて私は距離をとった。

 

「(手も足も…体中が痛いよ。最後の切り札も決定打にならない。やっぱり無理なのかな…。どんなに頑張っても……アインハルトさんには……)」

 

もう、自分自身でも諦め掛けていたのがわかった。

 

 

 

 

「コロナお嬢様ッ‼︎」

 

 

 

 

そんな、私の考えをオットーの声が遮った。

 

 

「まだですよ!まだ練習の全部を出し切ってません!僕やユタさん、姉様と一緒に練習した強さ!ゴーレムマイスターとしての戦い!諦めないで見せてくださいっ‼︎秘密の切り札なんかなくたって…そんな無茶な戦いをしなくたって!

 

コロナお嬢様は強いんですっ‼︎」

 

 

……オットーは本当にいい先生だなぁ。私なんかにはもったいないくらい。

 

そうだ、忘れていた。私は……

 

 

(コロナちゃん、試合の時は、自分を信じて戦うこと)

 

(自分を信じて…ですか?)

 

(そう。まず、自分を……自分に関わって来てくれた人たちを信じないっていうのは、一番ダメ。それはコンディションにも関わってくるし、なにより劣勢になった時には手遅れになる。でも、相手が格上で自分の技が通じなくて心が折れそうになる時があるかもしれない。実際に私もそうだったし)

 

(ユタさんもですか?)

 

(うん。ヴィクトーリアさんとやった時なんだけどね。けどね、諦めたらダメ。それだけは絶対にしちゃダメだよ。それはコロナちゃんの負けを意味するから。それでも、もしかしたら心が折れそうになるかもしれない。そんな時は---今までの自分のやって来たこと、自分に関わってくれた人たちを思い出してみて。そうしたら……きっと劣勢は覆せる)

 

 

 

 

「(そうだった、私、何してたんだろ。私は 格闘技選手でもあるけどそれ以上に---)ごめんなさい、オットー、ユタさん。ノーヴェ師匠」

「(自動操作を解いている。魔法戦に切り替えた?)ティオ、全力警戒です」『にゃっ!』

 

「ケイジング・スピアーズ」

 

私は岩の柱でアインハルトさんを覆った。

 

「ごめん、ブランゼル!もう一度お願い!」

『Yes anytime!(はい、いつでも!)』

「創主コロナと魔導器ブランゼルの名のもとに、蘇れ巨神!叩いて砕け【ゴライアス】!」

 

そして、ゴーレムを再構築した。

そうだ、私は……ゴーレムマイスターだ!

 

「(再構築だけあって創成が早い!それでも破城槌ならゴライアスは一撃で…!)」

 

そして、アインハルトさんがケイジング・スピアーズを砕きゴライアスを壊そうと向かっていった。

 

『にゃあっ!』「⁉︎」

 

だから、私は後ろに回り込んだ。

 

「マイストアーム【スパイラルフィンガー】!」

 

ゴーレムの腕を纏いアインハルトさんに打撃を与える。

けど、ピンチには変わりはないのはわかっていた。けど思っていたのは…昔のノーヴェ師匠に言われたことだった。

 

 

 

(練習、やっぱりキツイか?なんでこんな思いをしてまで…って思ったりするか?)

 

(その…)

 

(まあ練習も組手も苦しかったり痛かったりすること多いけどよ、それもみんな最高の瞬間のためなんだよな)

 

(最高の瞬間?)

 

(練習した技が綺麗に打てた時、会心の一発をドカンと打ち込めた時、自分が前より強くなっていることを実感できた時。そんな瞬間をお前らに山ほど味わって欲しいから…少し苦しい練習をさせることもある。けど、それを乗り越えた先に待ってる楽しさを…お前にも知って欲しいんだよ)

 

 

 

「コメットブラスト!シュートッ!」

 

私は魔力弾を岩で覆ったものを何発もアインハルトさんに打ち込んだ。けど、それをかいくぐってアインハルトさんはわたしと距離を詰めてくる。

 

ゴーレムを操作して近づけさせないようにする。

 

「ロックバインド!(そうだ----ノーヴェ師匠が教えてくれたのは強くなることの楽しさ。特訓に付き合ってくれたオットーはわたしが強くなるのを自分のことみたいに喜んでくれた。ノーヴェ師匠はいつも私のことを気遣ってくれた。ユタさんは自分のこともあるのに私を一生懸命鍛えてくれた。

見てもらわなきゃならないのは----本当に自分に胸を張れるのは。

 

1人で思いつめた末の必殺技なんかじゃなくて-----

 

チームとコーチ、みんなで一緒に重ねてきた練習の成果!)」

 

アインハルトさんにバインドをしてゴーレムのギガントナックルを直撃させる。

 

「(ティオ……助かりました)」『にゃー!』

 

ライフ

アインハルト 640

 

 

 

「ああ…アインハルト、大丈夫っスか?」

「大丈夫、ダメージ緩和と回復補助がティオの本領。アインハルトをしっかりと守ってくれてるよ。ティオのサポートとアインハルトの頑丈さと覇王流の鉄壁防御。並の攻撃じゃ進撃する覇王は止められないよ!」

 

ノーヴェたちがコロナを信じているのと同じようにディエチたちもアインハルトを信じていた。

 

ここからは二転三転と攻防が続いていた。

 

ライフ

コロナ 190

アインハルト 510

 

 

 

「これで決めるよ、ブランゼル、ゴライアス!」

『Yes!』

「パージブラスト、ドリルクラッシャーパンチ‼︎」

 

コロナはゴーレムの右腕を回転させながらアインハルトに飛ばした。

アインハルトは真正面からそれを受け止めた。

 

「覇王流-----旋衝破ァーーーッ!」

 

そのままゴーレムの腕を投げ返しゴーレムを破壊した。

 

「(これが本当の最後の一撃!)」

 

崩れ去るゴーレムに紛れてアインハルトの後ろに回り込んでいたコロナは右腕にゴーレムの腕を纏っていた。

 

が、アインハルトはそれを読んでいたかのように振り返り

 

「覇王【断空拳】!」

 

コロナに断空拳を撃ち込んだ。そのまま後ろに吹き飛ばされ壁に激突する。

 

ライフ

コロナ 0

 

 

 

『決着!アインハルト選手の勝利です!』

 

 

 

 

 

コロナvsアインハルトの同門対決は、アインハルトに軍配が上がった。

 

 

 

 

 

〜第一会場 救護医務室〜

 

「頑張ったんですが届きませんでした。アインハルトさん、やっぱり強いです」

「でも、あと一歩のところまで追い詰めてたぜ」

「いい試合でしたよ。コロナお嬢様はやっぱり強いです」

 

救護医務室には包帯をあちこちに巻かれたコロナとノーヴェ、オットーがいた。

 

「お前のすごいところ、ちゃんと証明できてたよ。公式戦績(オフィシャルレコード)と満員の観客が証人だ。お前の創成戦技(マイストアーツ)はいくらでも応用の効くいい技だ。鍛えたら鍛えただけ強くなる。

今のチームで一緒にやっていけるよな?」

 

「はい、私はチームナカジマの一員ですから。みんなと一緒に練習していきたいです」

 

 

(……スター、早く行ってください)

(いや…この空気の中いくのは……)

(じれったいですねぇ)

(いやだってさ…)

『ノーヴェさんっ!コロナさんっ!オットーさんっ!お客さんです!』

「あ、おいコラ!」

 

この愛機!なんでわざわざ呼ぶんだ!

 

「ユタさん…?」

「あ、あー、えーと、コロナちゃん、お疲れ様」

 

この時、自分でもかなりタドタドしていたのはわかっていた。

 

「ユタ、お前試合はどうした?」

「終わらせたのでこっちに来てるんですよ」

『聞いてくださいよ、ノーヴェさん。マスター、コロナさんに教え方を間違えたんじゃないかってずっと自分を責めてるんですよ』

「あ、何バラしてんの⁉︎」

 

ほら見ろ、ノーヴェさんにジト目で見られたじゃないか。

 

「ユタさん、そんなことないですよ。私は、ユタさんに感謝しています」

「僕もですよ、お嬢様がここまで強くなられたのもユタさんの手助けあってこそです」

「そ、そうですか…」

 

 

 

「コロナちゃん、あとノーヴェさんやオットーさんにも言わないといけないんですが」

「「「?」」」

 

「これからも私、八神ユタはコロナ・ティミルの練習相手を続けたいと思っているんですが、どうでしょうか?チームナカジマとしてやっていくかどうかはまだ未定ですが」

 

 

あ。あれ?みんなが驚いてる。そんなに変なこと言ったかな?

 

「ユタさん……こちらこそお願いします!」

「アタシとしては構わないが」

「僕も構いませんよ」

 

「はい、ありがとうございます」

『皆さん、マスターのワガママを聞いてくださりありがとうございます』

 

さてと、それじゃあ家に帰りますか。

 

「それでは、失礼します」

「おつかれ様でした。ユタさん、4回戦以降も頑張ってください!」

「うん、ありがと。コロナちゃん。ノーヴェさんもオットーさんも失礼します」

「おう、気をつけて帰れよ」

「これからも宜しくお願いしますね」

 

挨拶を済ませた後は直で家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

ヴィヴィオちゃんとミウラの試合、リオちゃんと番長の試合のことど忘れしてて母さんとシグナム姉さんなどの八神一家に説教されるのはまた別の話。




どうでしょうか?
気づいたらコロナが主人公みたいに…

vivid の中では一番好きなキャラなんですけどね。

次くらいから本格的?に無限書庫編に入ると思います。

読んでくださりありがとうございます


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21話

ゴールデンウィーク最終日…皆さん、やり残したこと(課題とか)はありませんか?

私はあります!ですので頑張って終わらせます!



なんか、長期休暇ということもあって投稿がハイペースになっちゃいましたがまた落ち着くと思います。

それではどうぞ


あれからの試合は

ヴィヴィオちゃんvsミウラ

リオちゃんvs番長

の試合があったが結果は

ミウラ、番長の勝利らしい。

 

らしいっていうのは……

はい、ど忘れしてて見ていません。

 

三回戦の結果、チームナカジマの初等科組は全滅したことになる。

 

4回戦は、私はアインハルトみたいなハードヒッター。

最近、ハードヒッターとやるのが多い気がするのは気のせいだろう。

アインハルトは、ジークさんとらしい。

 

「さーてと…練習かな」

 

1人で練習というのも味気ないがまあ仕方ない。

プライドは調整をするらしく母さんに預けてある。

 

1人は…寂しいものだね。

 

 

〜翌日〜

 

久しぶりに夢を見た。

ジークさんとの夢でもないし、ゆりかごっていうのに乗っている夢でもなかった。

 

昔の…まだ姉さんと一緒に母さんにお世話になっている頃の夢だった。

そして………

 

なんのいたずらか、姉さんが死ぬ場面もあった。

正確には、殺されかけて、もう死ぬ寸前の場面。

 

 

 

 

 

(ユタ、これからはこの人にお世話になるんだよ。もう…辛い思いはしなくて済むよ)

(?)

(はやてさん、これからはこの子を宜しくお願いします)

(ええって、そんなにかしこまらんでも。それに、ユタちゃんだけやない。アンタもや。アンタも、ユタちゃんも、これからはウチの家族なんやから)

 

 

 

 

 

(ユタ……あなたは普通の女の子。クローンであるとか関係ない。女の子らしく、恋もして、元気に、幸せに……)

(なんでや!約束したんやろ!ユタと、これからはずっと一緒にいるって…)

(はやてさん、嘘をつく形になってしまってすいません。これからは…あの子を…)

 

 

ジリリリリリリリ!

 

そんな夢は目覚ましの音で途切れた。

 

「……なんで、今更姉さんのことを…。もう、姉さんのことは吹っ切れたはずなのに…」

 

私の頬は無意識のうちに涙で濡れていた。

 

「いや、そんなことを考えても仕方ない。さっさと学校の準備を…」

 

心に残ったネガティブな気持ちを無理やり吹っ切って私は準備をして学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

〜St.ヒルデ学院〜

 

「あっ、アインハルト。おはよう」

「ごきげんよう、ユタさん」

 

アインハルト発見。相変わらずの高嶺の花っぷり。

 

「ユタさん、これはやてさんからお預かりしています」

「おっ、プライドだ。アインハルトー。何もされなかった?」

『マスターの恥ずかしい過去は遠慮なくバラしましたので』

「はい⁉︎」

 

なんでこの愛機は私を追い詰めたがるんだ!

 

「い、いえ、何も聞いてませんよ……?」

「ちょいまち、アインハルト、なぜ疑問形」

「い、いえ。決して、エリオさんの前で喋ることが飛んだとかそういうのは聞いてませんので」

「よし、プライド。あとでお説教ね」

『外界からの会話を遮断しますね」

 

このやろ!自分がデバイスだからって調子乗ってるな!

 

『……?マスター、今日はどうかしたんですか?』

「どうしたって?何が?」

『いえ、心なしか……空元気というか。何かあったんですか?』

「いや、何もない」

『そうですか。インターミドル予選もまだあるのですから体調管理には本当にお気をつけください』

「うん」

 

急に何をいうんだろうね。この愛機は。

まあ、当たってるっちゃ当たってるんだけど。

 

「私は今日もいつも通り…だよね?アインハルト」

「私に聞かれましても…」

『いつも通り、バカっぽいですね』

「相変わらずの愛機とも思えないひどい返しをありがとう」

『え、もしかしてマスターって本当のマゾ……?』

「んなわけあるか!」

 

 

 

 

 

 

「はあー、やっぱりプライドがいるとなんか落ち着く」

『それはどうも』

 

今は学校終わりで母さんの家の方に向かってる。

というか、最近はいつもだ。シグナム姉さんやヴィータさん、ザフィーラとの練習をしないといけないからね。

 

『あ、マスター。少し止まってください』

「へ?なにかあった?」

『すぐそばの川沿いをみてください』

「………?……あ、ヴィヴィオちゃん達だ」

『いま、ここを通ると色々な意味で非常にまずいと思いますので』

「なるほどね」

 

プライドの言った方向にはヴィヴィオちゃん、リオちゃん、コロナちゃんがいた。

 

「あ……」

 

すると、3人揃って泣き出した。

 

「これは見ちゃいけないものを見た気がするなぁ」

『まあ、これはどうしようもないですが』

 

うん、察するに、負けたことへの悔しさか何かだろう。

私自身も味わったからよくわかる。

 

ジークさんに負けたあと、散々泣いたし。

母さんにもバラされてたが、エリオの前で無様な姿を晒したことへの悔しさもあったりする。

 

『なんだかんだ言っても、ヴィヴィオさん達はまだ10歳ですから。あれくらい思いっきり泣くのがいいと思いますけどね。どこかにも思いっきり泣いてた方いますしね。1人で隠れて』

「はいはい、そのどこかにいる人は邪魔にならないように遠回りして帰ります」

 

 

 

 

 

 

 

〜抜刀居合天瞳流 練武城〜

 

「はぁ、ジークさん対策ですか」

「ああ」

「ミカヤさんいるなら私いらないんじゃ?」

「いやいや、そうでもないぞ。私とユタちゃんではジークの分析の仕方が違うかもしれないし」

「ミカヤさんと私でも抱く感想は大して変わらないと思いますけど…」

 

翌日、私はミカヤさんのところに来ていた。

なんでも、アインハルトのジークさん対策の練習をするらしい。

 

……ぶっちゃけると、対策したところで大して変わらないと思ってるんだよね。

 

「そういえばアインハルトはヴィヴィオちゃん達のことは心配じゃないの?私、結構心配してたりするんだけど」

 

「そうですね……。心配はしていますが不安はありません。砕けた夢は、何度でもつなぎ合わせて、自分の弱さを超えて強くなっていけること。一流選手達はみんなそうやって強くなっていったと聞きます。

 

みんな、きっとすぐに立ち上がります。そして必ず強くなっていってくれます!昨日よりもっと、今日よりもっと、きっと信じられないくらいに!」

 

……なるほど。

 

「じゃあ、アインハルトは負けられないというわけだね」

「ミカヤさん、なかなかの無理難題な気がするんですが」

「いえ、絶対に勝ちます!」

 

 

 

 

 

 

〜三日後 予選会場〜

 

4回戦からは一つの会場で行うらしい。これは一昨年も去年も一緒だった。

移動の手間が省けたのはいいね。

 

オープニングバトルは予選1組、つまりアインハルトとジークさんの試合だ。

 

「さっすがに人多いな」

『そりゃあ、元世界王者の試合ですからね』

 

元世界王者とはもちろんジークさんのことだ。

 

「あ、番長発見」

「あ!ユタ!」

 

いつもの4人組で歩いていたのは番長ことハリーさん達だった。

 

「ユタ…お前、俺の試合を見ずに帰ったらしいな?」

「あ、あはは、忘れてたもので」

「はん、まあいい。……ん?あれはエルスか?なんであんな格好」

「ほんとですね。あの格好ってことは……」

 

ハリーさんと目を合わせ示し合わせたかのように下に降りていった。

 

「よう、デコメガネ!」

「おはようです、エルスさん」

「おや、ハリー選手にユタ選手」

 

あれ?エルスさん、デコメガネはいいんだ。アホデコメガネだと怒ってなかったっけ?アホが付いてなかったらいいのかな?

 

「なんだ、お前。今日はスタッフか?」

「そうなんですよー」

「似合わないなー」

 

あ、つい本音が。エルスさんはオタク系女子のイメージ定着しちゃってるからな。特に本屋であったときのせいだと思う。

 

「なんでですかっ⁉︎…えー、コホン。今大会では私、チャンピオンのセコンドを務めることになりました!」

 

あ、聞こえてたのね。って、え?

 

「「まじかっ!(まじですか!)」」

「えっへん!立候補したら快諾していただけました!」

「本当は?」

「ものすごく遠慮されたのを拝み倒し…って、なに言わすんですか!」

「いや、エルスさんが勝手に乗ってくれたんでしょ…」

『マスター、バカなことはやめてください』

 

いや、この場合バカなのはエルスさんだ。

 

「チャンピオンのそばで見て、勉強しようと思っています」

 

うおお、見た目の通り真面目だ。

 

「にしても、ジークさんは今年もセコンド不在だったんですね…。ひとりで戦いたがるのは相変わらずというか」

「あいつは未だに人懐っこいんだか人見知りなんだかよくわかんねーな」

「『優しいけど人見知り』ですかねえー。けど、心の奥底は掴めない方ですが、私たちの心は掴まれてます。選手も観客も、みんな彼女の戦いを見たくてここにいるんですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、エルスさんと別れハリーさんと観客席に上がった。そこでヴィクターさんとも合流できた。

 

「はぁ、ヒトガゴミノヨウダ」

『突然、他作品のセリフを丸パクリ、しかも棒読みはやめてもらえませんか?』

 

だって、そう思えるほど人多いんだもん。

 

「ヴィクターさん、ジークさんは今日も万全でした?」

「ええ。けど…なにやらアインハルトの方を気にかけていたわよ。【勝っても笑わない】って。相当辛い思いや寂しい思いをしてきたんだろうかって」

「また…相手を気遣う前に自分を気にしたらいいのに」

「それがジークのいいところなんだけどなー」

「ハリーさんもジークさんとは付き合い長いですもんね。けど…私からしたらそれは単なる傲慢ですよ」

「厳しいわね、ユタは」

 

そんな話をしていると会場が歓声で揺れた。

ジークさんが入場したんだ。

 

 

「「「「アインハルトさーーん!ファイトーーーーッ!」」」」

 

 

 

「あらあら、元気ね」「いい声援だな」「あれ、やる側も恥ずかしくないですか?」

 

ヴィクターさん、ハリーさん、私の順の初等科トリオ+ミウラの応援への感想だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインハルトとジークさんの試合は、段々とアインハルトが押され始めていた。

 

………うん、わたしよくジークさんと少しとは言え渡り合えたよね。

今のライフ状況はアインハルトが5810、ジークさんは14800だ。

 

そんなことを考えているとジークさんが【鉄腕】を展開した。

 

 

 

 

すると、その瞬間にわたしを頭痛が襲った。

 

「っっ!」

「ユタ⁉︎」「お、おい」「大丈夫?」

「へ、平気です」

『……』

 

あれ?珍しくプライドがなにも言わない。

 

「古流ベルカの武術の世界は広いようで案外狭いものなんですの。いくつもの源流から触れ合って混じり合って、今に繋がってる。私の雷帝式がそうですしジークが使うエレミアの技も同じ」

 

「お前のご先祖様は雷帝なんとかだっけか?」

「『ダールグリュン』ですわっ!」

 

あー、まずい。ヴィクターさんが色々言ってくれてるけど頭の痛さでなにも入ってこない。

 

「ジークの源流は『黒のエレミア』。格闘戦技という概念すらなかった時代に己の五体で人体を破砕する技術を求め、戦乱の世の中でその技を極めて言った一族」

 

うん、しってる。【エレミアの神髄】もその技の一部。

私はそれを知らずに酷いことを言ってしまったから。

 

ああ、うん。だいぶ頭痛は治まってきたかな?

 

「ユタ、大丈夫?」

「大丈夫です。すいません、ミアさん」

 

 

 

「エレミアァァァァ!!」

 

 

 

「っっ⁉︎」

 

すると、私の意識は、再度襲ってきた頭痛によって途切れた。

 

 

 

 

 

そこからは、なぜか私のオリジナルである聖王女の記憶が途切れ途切れで夢になって出ていた。

 

 

 

 

 

〜医療室〜

 

う……ん、頭がいたい。なんでこうなってんだっけ?

『………ター』確か、ジークさんとアインハルトの試合を見てて、『……マスター』急に頭痛に襲われて『起きてくださいっ!』

「ああ!もう、うっさい!」

 

と、ガバッと起き上がる。すぐそばには母さんがいた。

 

「おきたかー。ユタ、もうあんな戦い方はやめてーな。心臓が持たんわ」

 

「……?なんのこと?」

 

「とぼけたらあかんで。なんか亡霊みたいな目で格闘家かってくらい真正面から殴り合ってたやろ。まあ、勝ったからええけど」

 

「は……?」

 

『マスター、なにも覚えてないんですか?』

 

「何が?」

 

と、返すと母さんとプライドが見つめ合っている(ように見えた)

 

「あんた、気絶した後試合の十分くらい前に目を覚ましてウチとも口をほぼ聞かずに試合してそのまま倒れ込んで気絶したんやで?ほんまに何も覚えてないんか?」

 

「うん…何も覚えてない」

 

え、私そんなことしてたの?全く記憶にない。

 

「あ、そう言えばアインハルトとジークさんってどうなった?」

『ジークさんの勝ちです。あと、もう一つ言うならマスターも勝っておりますのでご心配なく』

 

「まあ、ユタも目を覚ましたことやし行こうか」

「へ?行くってどこに?」

 

「実はなーアインハルトやジークリンデ選手たちってみんなベルカ時代の王様たちの血を引いてるからな。ヴィクトーリア選手は雷帝の、アンタもやで。聖王女の血をしっかりと引いてる。だから、そんな人たちが一堂に集まってるから過去のことについて話し合う会を設けた方がええやろってことで色んな人たちをホテルの最上階に招待してるんや。あとはアンタだけやで」

 

え、やだな。行きたくない

 

「悪いけど…わたしいか……」

「ほな、いくでー!」

「私に拒否権はないの⁉︎」

「ない」

「いいきったよ⁉︎」

 

そのまま母さんにとあるホテルの最上階まで連行された。




気づいたらシリアス中心に……
こんな予定じゃなかった……

やっと(口調だけ)ユタの姉が出てきましたね。
いつ昔のことを挟もうか悩んでます

番外編で書けばいいのかな…



読んでくださりありがとうございます


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22話

今回から本格的に無限図書編には入れます。

ただ…なぜかシリアスが多くなってきているのです。
なんででしょう。




「さて、みんな〜たべながらでええから、ちょう聞いてな」

 

私はとあるホテルの屋上にいる。ご飯食べているが集まっているメンツがなかなか豪華だ。

 

八神司令こと母さんに元世界チャンプのジークさん、インターミドル都市本戦の上位入賞者であるミカヤさん、ハリーさん、ヴィクターさん。そしてハリーさんの取り巻きのいい子ちゃん3人組、初等科トリオ、ミウラ、アインハルト、ノーヴェさんが一堂に集まっていた。

 

「みんなも知っての通り、今日の試合を戦った2人には少し複雑な因縁がある。『黒のエレミア』の継承者ジークリンデと『覇王イングヴァルト』の末裔アインハルト、2人をつなぐのは聖王女オリヴィエ。かつて戦乱の時代を一緒に生きたベルカの末裔が今この時代にまた集まってる。それにこの場には雷帝ダールグリュンの血統ヴィクトーリアがいるし、ここにはおれへんけどもう1人---旧ベルカ王家直系の子がいる。

これが偶然なのか何かの縁や導きの結果なのかはわからへん。

そやけどこれはあくまで老婆心というか大人側の心配としてなんやけど」

 

「老婆心て…母さん独身なのにもう持ってるのか。もしかしてもうしょうみ……」

 

ガスッ!

 

「ユーター?何か言ったか?」

「い、いえ、何も言ってません」

「ならいいんや♪」

 

こ、怖い…ナ、ナイフが頬を…。

やりすぎだよ!みんなが引いてる!

 

「コホン、これだけ濃密な旧ベルカの血統継承者達が一堂に会するゆーんはちょっぴり気にかかるところなんや。インターミドル中の大事な時期や…みんなが事件に巻き込まれたりせえへんように私たちも守って生きたい。ウチとしてはユタのこともあるしな。

そのためにもアインハルトやジークリンデ、ヴィヴィオちゃんやユタが過去のことを話し合う会に私も参加させてもらいたいんよ」

 

え…やだな。私としては聖王女オリヴィエのことに関しては割り切ってるんだけど。

 

「同じ真正古代ベルカ継承者同士、生きたい場所や資料があるなら私も全力で協力するよ」

 

「「「はい」」」

 

 

『………』

「ん?どしたのプライド」

『いえ、誰かに監視されてる気がしまして』

「ふーん…ってえ?マジ?」

『気のせいかもしれませんが』

 

まあ、本当に誰か見てるとしたら母さんやジークさん達のストーカーだろう。気にする必要もあまりない気はする。

 

 

 

 

「クラウスとオリヴィエは、共に仲の良い友人でした。そして、共に鍛錬し合うライバルでもありました。彼女の紹介で『エレミア』ともあい、良き友人になれました。それは戦乱の世の中でほんの束の間の、だけど永遠のようなとても平穏で幸せな日々だった。あの頃は…本当にそう思ってました」

 

「やっぱりウチのご先祖様と知り合いやったんやね。名前は覚えてる?」

 

「ヴィルフリッド・エレミア----『リッド』と呼ばれていることもありました」

 

「ジークはその人のこと覚えてねーのか?」

「申し訳ないんやけど…個人の記憶はほとんど残ってへんから」

 

ハリーさんが聞くとジークさんは申し訳なさそうにいう。

 

「あの、なんだかすごい話を聞いちゃってる気がするんですが……」

「貴重なお話ではあると思うんですが…」

「大丈夫!わたしたちもあんまり変わりません!」

「いろいろ聞かせてもらいましょう」

「そやねー」

 

別のテーブルではミウラ、りおちゃんにコロナちゃん、エルスさんやミカヤさんがそんな感想を抱いてる。

多分私が同じ立場でも同じ感想を抱いてると思う。

 

「ともあれ、クラウスとオリヴィエ殿下はシュトゥラで時を過ごして、『エレミア』もまた私たちの良き友人でした。

でも、ますます戦火は拡大して言って…聖王家は『ゆりかご』の再起動を決めました。過去の歴史で幾たびか使われた強力無二の戦船。玉座に就く者の命や運命と引き換えに絶対の力を振るう最終兵器。

オリヴィエはもともと『ゆりかご』内部で生まれた子でした。だけど、ゆりかごの王としての資質は薄いと認定されシュトゥラへの人質として利用されたんです」

 

へぇ、オリヴィエも私と似たような境遇だったんだ。

 

「ですが、ゆりかごの研究が進んでいったこと…そしてオリヴィエの戦闘と魔導の才能が諸国に響くほどに磨き上げられてしまったこと。

それで本国に『ゆりかごの王』となるために呼び戻されることになりました。

ゆりかごの王になれば自由も尊厳も未来までも奪われることを知っていたクラウスはそれを止めようとしました。

だけど…私は彼女を止められませんでした、戦ってでも止めようとして何もできずに破れました。彼女の微笑みをくもらすこともできずに」

 

……いろいろと知らないことが溢れてくる。けどそれに伴って頭痛が時々起こるのを繰り返す。正直にいうと結構痛い。けど我慢できないほどじゃない。

 

「そうしてオリヴィエは国に戻ってゆりかごの王になりたった一年で『諸王時代』は終わりを告げました。けどクラウスとオリヴィエは二度と合うことはありませんでしたが」

 

「クラウス殿下とウチのご先祖様とはそのあとは…?」

 

「リッドはオリヴィエが国に呼び戻される少し前から姿を消していたんです。普段からどこにいるのかよくわからない人でしたがエレミアの力や言葉が必要な時はいつの間にかそこにいてくれたんです。

けどオリヴィエが悲しい決意をした時もそのあともずっと会えないままで」

 

「クラウス殿下は不義理な友達を恨んでたんかな?」

 

「そんなことないですよね?」

 

不安そうにいうジークさんの言葉にヴィヴィオちゃんが反応する。

 

「クラウス殿下は大切な人を一度に二人失っちゃったわけですから」

 

「そうですね…見つけたらまずは1発殴ってやりたいとは思ってました。

だけど…理性ではわかってもいるんです。エレミアが…リッドが悪いんけではないって。

ともあれ、その後クラウスとエレミアの縁は繋がることなくオリヴィエを乗せたゆりかごも姿を消してクラウスは戦の中で短い生涯を終えました。

私から話せるのはこれくらいです」

 

はー。これこそまさに生の歴史の授業だね。

 

「ウチに聞きたいことゆーんはその頃のリッドについて?」

 

「何かご存知だったらと思ったんですが。ユタさんも」

 

「残念やけどウチの実家にもエレミアの資料はあまり残ってへんのよ」

 

「そうですか…ユタさんはどうですか?」

 

「…………」

 

話を振られ私は黙ってしまう。

 

「ユタ?」「ユタさん?」

 

「ぶっちゃけると、私は所々とはいえ記憶がある」

 

その一言で母さん以外の全員が驚く。

 

「けど…それを思い出そうとしたら昔の私の生まれのこととかも思い出しちゃうからあまり思い出したくたいんだけど」

 

「い、いえ、無理なさらず…」

 

とアインハルトは遠慮するようにいう。けど、話すってのは別にいいんだよね。

ただ昔のことを思い出しちゃうから嫌なだけで。

 

「この際だから…母さん。私の生まれとか話しておいたほうがいいかな?」

「うちはアンタに任せるで。話したいなら話せばええ」

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の最初の記憶は

ガラス管の中でよくわからない液体の中に沈んでいるところだ。

チューブか何かがあるのか不思議と息苦しいことはない。

そして、周りには白衣の研究者たちがたくさんいた。

 

私は、記憶力がいいらしく胎児からの記憶がちゃんと残っている。

 

そして、試験官から取り出されたあと私は…

地球に一緒に捨てられることとなる…

 

 

五月雨マリナと会うこととなる。

 

 

マリナは透き通るような藍色の髪にサファイアのような目。

年は十代前半だったんだろうか。

マリナはユタの世話役だった。

 

私にとってお世話役立った彼女は姉も同然だった。

 

「ほ、ほらー。ユタちゃん。ご飯食べてー」

「やー!」

「ほら、お……美味し…いよ?」

 

研究所のご飯は栄養しか考えてなくて味が不味かったのでよく嫌がっていた。

それをなんとか食べさせようと姉さんは美味しく食べてみせようとしていた。が、まずい!というのが顔に出てしまっていたので成功したことはなかった。

 

「あ、ユタ。ほら、検査に行かないと」

「うーあー」

 

そして、ご飯以上に研究者たちの【検査】は嫌だったのも覚えている。

 

よくわからないコードにつながれたり注射器で何度も腕を刺されたり、とにかく嫌なものだった。

 

 

 

そして、4年弱が経ったある日

 

 

「なんで!なんでですか!なんでユタを捨てるなんて…」

 

「もう決まったことだ」

 

「そんな理不尽な…あの子はまだ4歳ですよ⁉︎あんまりじゃないですか!」

 

「はぁ、五月雨マリナ。随分と偉くなったものだな。お前を拾ってやって育ててやったのは誰だ?もう忘れたのか?それとも何か?情でも移ったのか?あんなゆりかごの適正値の低いユタ(聖王の出来損ない)に金をかけて生かすだけ無駄だ。それに、新たな適正値の高いクローンができつつあるんだ。もう失敗作に期待する必要もなくなった」

 

「っ!そんな言い方って…」

 

「まだ何かいう気か?そんなに心配ならお前も()()()()()()()()()()()

 

「え?それはどういう…」

 

きき返そうとすると突如激しい痛みがマリナを襲った。

 

「目を覚ませばわかるさ」

 

そんな研究者の声を聞きながらマリナは気を失った。

 

 

 

 

 

 

それからどれくらい時間が経ったのかな。

マリナ……これからは姉さんと言おうか。

私と姉さんは裏路地にいたんだ。

 

姉さんは自分も一緒に捨てられたんだと察するのにそんなに時間はいらなかった。

 

「ああ、でもユタもいる。よかった…」

 

と、いいながら姉さんは私を抱きしめてくる。

 

「にしても…お金もほとんどないし持ち物も服だけって…よほど私たちには生き残って欲しくないのかなぁ。あの人たちが生み出した命なのになんでこんなに簡単に捨てられるのかなぁ。

 

……………

 

うん、考えても仕方ない。生きる術を身につけないと」

 

だが、姉さんは超ポジティブ精神を持っていたらしい。

なんかすぐに吹っ切れていた。

 

「よーし、まずは仕事を探さないと」

 

そういいながら姉さんは私を抱きながら裏路地から出た。

余談だけど、表通りにいた人に変な目を見られたがここは地球という星の日本らしい。

 

管理局の管轄外の星らしいね。この時の私はまだそのことを知らなかったけど。

 

 

 

こうして、姉さんは私を生かすために働こうとしたが……現実はそう甘くはなかった。

一年もしないうちに、姉さんも私も心も体もボロボロになっていた。




多分、初めてユタのちゃんとした過去を乗せれたのではと思います。

ちなみに、適正値の高いクローンとはわかってるかもしれませんがヴィヴィオのことです。

次の話を投稿したら一度番外編でギャグ系を挟んでやろうかと思ってます。
シリアス続きになるとは思ってもなかったので…


読んでくださりありがとうございます


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23話

えー

お気に入りしてくださった方が200人を超えていました!
あと、いままで書き忘れていましたが評価に色が付いていたんですよ!

6.5ほどでしたがこれを見たとき嬉しすぎました!
読者の皆様には感謝です!



注)主はリリなのvivid から見始めているため機動六課あたりについては知識があまりないのです。
なので、なにか矛盾があるとは思いますがそこはご了承ください


地球 日本東京都 とある裏路地〜

 

「おーい、なのはちゃん。いた〜?」

「いや、こっちには何も。フェイトちゃんは?」

『私も……』

「どうやら、シグナムたちも見つけてないみたいやし…早よ見つけなあかん」

 

ここには、機動六課のメンバーである八神はやて、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、シグナム、ヴィータが来ていた。

 

なぜかと言うと、とある情報筋からこの地球に【聖王のゆりかご】に関わる人間がいるというのを聞いたのだ。

ただでさえ、今ミッドチルダでは高町ヴィヴィオ(聖王のクローン)と【聖王のゆりかご】に関することで手一杯なのだ。

 

そこに、さらに【ゆりかご】に関わってくるかもしれないのだ。

危惧して調査にくるのは当たり前だろう。

 

「にしても……本当にいるんかな?」

「間違いないって。なんでも、研究に関わった人からの情報だって」

 

「あの……」

 

突然後ろから話しかけられた、はやてとなのはは即座に振り返り警戒した。

するとそこには年齢はおそらく10代後半、しかし髪はボサボサ、服装もところどころ破れていて全体的に埃っぽい。包帯もところどころに巻かれている。

目は、控えめにいっても死んでいる。

おそらく、見出しを整えれば美人なのだろうが、藍色の髪も、サファイアのような目も、間違っても綺麗だとは言えなかった。

 

「「………!」」

 

その光景に2人はただ立ち尽くすだけだった。

 

「あの…見た目からしておそらく裕福な方達ですよね?何か…食べ物か何かを恵んでくれませんか?」

 

「え?」

 

と、はやては思わず聞き返すが、そんなことをしなくても分かりきっていた。

 

「私と一緒にいる虹彩異色の子が死にかけてまして…食べ物を恵んでくだされば助かると思うんです」

「えっ⁉︎ちょ、ちょっと案内してもらえないかな⁉︎」

「え?ええ、その代わり食べる物を…」

「恵む!恵んでやるからちょい案内してもらえんか⁉︎」

「わ、分かりました…こちらです…」

 

はやてとなのははすぐさま案内するようにその少女に頼んだ。少女は戸惑いながらも案内してくれた。

 

「あ、シグナム、ヴィータ。今すぐ集合や。……うん、そうや。多分見つけたと思う」

「あ、フェイトちゃん?今すぐ集まろう。……うん、多分見つけたよ」

 

 

 

 

 

 

 

「あの…何故そんなに人がいるんです?」

 

と、その少女は集まったはやて達をみて明らかに警戒する。

 

「そんな警戒せんでもええよ」

「そうそう、私たちはあなた達の味方だよ」

「………」

 

隠れ家…と呼ぶにはあまりにも質素な裏路地の一角まで案内されたはやて達に少女は警戒しながらもいつも暮らしているであろう部屋(?)の中を見せる。

 

そこには……紅と翠の虹彩異色の子がいた。

 

「はやて…やっぱり」「うん、そうやな」

 

何かを納得している六課の人達を見てさらに少女は警戒を強める。

 

「おねーちゃん?その人達は?」

「食べ物を恵んでくれる人達だって。失礼のないようにね」

「はーい」

 

 

 

 

 

 

「それで……そんな大勢で何の用なんですか?ユタを連れ戻したいなら私は全力で阻止させてもらいますよ」

 

死んだような目をしながらも戦う意思を見せる目の前の少女。

 

「違う違う。連れ戻すとかじゃないんやけど…とりあえず信用してもらうっていう理由でもこっちの身元を明かさなあかんな。ウチらはミッドの機動六課っちゅー部隊や。ウチはリーダーの八神はやて」

「機動六課……?」

 

だから、ウチらはできる限り敵対心を見せずに身元を明かした。

だけど、目の前の少女は機動六課すら知らないらしい。

 

「そうや。まあ、簡単にいうと特殊な警察みたいなもんや。で、なんでウチらがいるのかというと……」

 

「…ああ。ユタのことですか」

 

「話が早くて助かるわ。そうや。ウチらはその子を保護するようにって命令されたんや」

 

「ああ、それは…願ってもないことですね…」

 

と、安堵したような表情をした。

 

「どうや?悪い話ではないと思うんやけど」

 

「……分かりました。あなた方を信じます」

 

「ほな…」

 

「ですが、私も連れて行ってください。それが条件です」

 

「わかってる。そんじゃ、ついて来てもらえるか?」

 

「分かりました。ユタ…行くよ」「はーい。ねえねえ、ご飯はー?」「もうちょっと我慢してね…」

 

 

 

 

 

 

 

〜ミッド行き船 船内〜

 

「ほな、改めて自己紹介するな。ウチは八神はやて」

「私は高町なのは」

「私はフェイト・T・ハラオウン」

「シグナムだ」「ヴィータだ」

 

「私は…五月雨マリナです。ユタのお世話係でした。今は…姉です。それで、この子はユタ」

 

と言いながら寝ているユタを抱いている。

 

「そんじゃ…ちょいとそこの子……ユタやったか?ユタは席を外してもらいたいんやけど…シグナム、ヴィータ。頼めるか?」

「おう」「わかった」

 

と、シグナムとヴィータがユタを抱き上げ別の部屋に行く。

 

「あ……」

「大丈夫だよ。シグナムもヴィータちゃんも信用できる人だから」

 

と、抱いて連れて行くシグナムとヴィータを不安そうな目で見るマリナをなのはちゃんが優しく言ってくれた。

 

「分かりました…。それで、ユタを保護してもらえるというのは……本当なんですか?」

 

「うん。それは信用してもらってええ。さっき上に掛け合ってウチのところに来てもらうことになった」

 

「八神さんのところにですか…?」

 

「はやてでええよ。で、ちゃんと経緯をいうと。いまミッドチルダではその子とは別の聖王のクローンとゆりかごについていま緊迫状態なんや。だから、その関係者がどこにおるかわからんから【地球から保護してきた子供】じゃなくて【孤児院から引き取った子】という名目でウチで養子縁組で引き取った、っていう形にしようてなった」

 

「……なるほど」

 

「で、アンタをどうするかなんやけど…どうやろうか?マリナもウチにこんか?」

 

それをいうとマリナは驚いたような顔でこっちを見てきた。

 

「いいんですか…?」

 

「ああ、大丈夫や。マリナがユタちゃんを守れるようにもその方がええやろ?」

 

「それは……そうですね。……分かりました。八神はやてさん。私もよろしくお願いします。多少は家事の心得もありますので家ではどうぞいいようにお使いください」

 

「いや、そんな便利道具みたいにはするわけはないんやけど…。ウチとしては家族が増えるのは大歓迎や♪」

 

「はい…ありが…と………」

 

バタッ

 

「⁉︎ま、マリナ⁉︎」

「スゥ……スゥ……」

 

「な、なんや…寝ただけか」

「びっくりしたぁ…」

「本当にね…」

 

 

余談だけどこんなことがシグナムの方であったらしい

 

「寝てる姿可愛いな」

「そうだなー。シグナムも誰かいい男と付き合っちまえば?そしたらこんな子供が作れるぜ」

「ヴィータ、冷やかしならいらん」

「冷やかしじゃないって。実際にシグナムは美人だろ?」

 

「……?あれ…?」

「おっ、目覚めたか」「おお、起きてる姿も可愛いな…」

「……?()()()()()と…背の小さい人?なんで私を…」

 

「あ!ばっ…」

「………」

 

と、ヴィータが止める間も無くユタは禁忌の言葉を言ってしまった。

 

「ひっ……」

「お、おい!シグナム!殺気はダメだ!やめろ!怯えちまってる!」

 

それから、さっきは消えたもののずっと不機嫌になってたシグナムだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ミッドチルダ 八神家〜

 

「そんじゃあ、うちの家族を紹介して行くなー」

 

「は、はい…」「人たくさん〜」

 

八神家のリビングには家族全員集合していた。

 

右から

はやて シグナム シャマル ヴィータ ザフィーラ リイン アギト が並んでいた。

 

「私は…五月雨マリナ」

「ユター」

 

と、マリナとユタはかなり簡潔に挨拶をした。

 

「ちゃうちゃう。違うやろ?」

 

「あ…そうでした。……えー、八神・サミダレ・マリナと八神ユタです。これからよろしくお願いします」

 

「よろしくやー」「よろしく」「よろしくなー!」

 

などなど、挨拶が終わり八神家のおもてなしのパーティが始まる。

 

「ユタ、これからはこの人たちにお世話になるんだよ。もう…辛い思いをしなくてすむよ」

「?」

 

「はやてさん、これからはこの子を宜しくお願いします」

 

「ええって、そんなにかしこまらんでも。それに、ユタちゃんだけやない。アンタもや。アンタも、ユタちゃんも、これからはウチの家族なんやから」

 

「ありがとうございます…!」

 

「おっ、初めて笑ったなー。可愛いでー♪」

 

「………⁉︎」

 

と、はやてがからかうとマリナは赤面した。

それを見て回りもユタも笑ってる。

 

 

 

 

 

 

 

〜数ヶ月後〜

 

「ほら!はやてさん!起きてください!」

「うー、もうちょっと…」

「そんなこと言わないー!」

 

パサッと起きるのを渋っているはやてさんの布団を私は無理やり剥ぐ。

 

「ぎゃあ!目が!」

「ほら、早く起きないともっと太陽の光を浴びせますよ?」

「わ、わかった!おきる!おきるから!」

 

と、言いながら布団から出てくるはやてさん。

なんでこんな風にするかって?

 

普段弄られている仕返しです!

 

「ほら、朝食も作ってますので」

「わかった〜」

 

と、着替えているはやてさんに言いながら私はリビングに戻る。

そこではシグナムさんたちがもう食べている。

 

「はは、この家も随分と賑やかになってきたな。マリナなんか大分キャラ変わってないか?」

 

「ほえ?私はもともとこんな感じですよ?地球では、ただ……精神的に参ってたので…」

 

「す、すまん…。お、この刺身うまいな」

「いえ、大丈夫です」

 

「うー、おはようやー」

「「「「おはようー」」」」

 

そんなこんなで、今日も八神家の一日は普通に始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、誰もが思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーてと、今日はユタの5歳の誕生日ー。思いっきり豪華な料理を作らないと」

「やったー!ケーキは?あるー?」

「あるよー」

 

いま、八神家にはマリナとユタの2()()()()()()()

 

そんな2人をすこし離れたところから見つめている、5人ほどの集団がいた。

 

そして、音もなくマリナたちに近づく。

 

「ん⁉︎」「きゃ…」

 

そして、手際よくマリナの口を塞ぎ手を縛り、ユタも同様にして車に詰め込んだ。

 

 

そして、八神家は空になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

「オイオイ、そんな睨むなって。かつて一緒の研究所にいた仲だろ?」

 

どこ、ここは。突然、後ろから目隠しされて縛られて、車で連れ去られた。

 

目隠しを取られるとどこかの廃屋みたいだった。

目の前には研究所でかつて私と同じよに拾われていた男だった。

 

「(ユタは……⁉︎)」

「そんなあたりを見回さなくても大丈夫だよ。あのガキは生きてる。ま、もうすぐ始末するけどな」

 

「……!」

 

「息苦しいだろ?口枷くらい外してやるよ」

 

「プハァ!ふざけるな!なんでそうまでして……ユタの人生を弄ぶ!」

 

「上からの命令なんだよ。【ユタは邪魔だ。排除しろ。可能ならば、五月雨マリナも一緒に】ってな」

 

「……嘘をつくな。そんなことをあの研究者達が言うわけがない」

 

「ははっ!やっぱりわかるか。そうだよ。今のは嘘だ。俺は今研究者たちから逃げている立場だ。だから……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って思ったんだよ。で、その手土産は何がいいかを考えた。んで、お前たちのことを思い出したんだよ」

 

「……まさか」

 

「わかったか?そうだよ、あのユタ(聖王の出来損ない)が生きていることを研究者達は知っていた。でいつも懸念していた。【マリナ達から情報が漏れるとまずい】ってな。だから……

 

お前と、ユタの首を差し出せばあいつらも許してくれる。

 

って考えたわけだ。ああ、お前らを連れ去ってもらったやつらは関係ないよ?雇った奴らだ。

ま、報酬は金じゃないけどな」

 

「まさか……殺したのか?」

 

「ご名答。さーてと、だらだら喋って機動六課とか出されちゃまずいんだよな。さっさとお前らは始末させてもらうよ。俺の自由のために」

 

と、男は魔法式を展開しはじめた。

 

「……ざけるな」

「あぁ?」

 

「身体操作…」

 

「うぉっ⁉︎」

 

男はユタに蹴り上げられとっさにかわす。マリナはむりやり縄を引きちぎって立ち上がる。

 

 

 

ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!

 

なんの権利があって、ユタの命を弄ぶ!なんでユタから人生を奪う!あの子は…ただの女の子なんだ…!

 

「〜♪やるじゃん。情報だとお前は戦闘はからっきしだったんだけどな。一般人の男数人に対して何もできなかったってな。けど……そうじゃないみたいだな」

 

「殺してやる…」

「怖いねぇ、なら俺はその前にお前を殺してやるよ」

 

「殺されてたまるか、私は……ユタと共に生きるって約束したんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…」

「おいおい、威勢がいいのは最初だけか」

 

まずい、この男…強い。

 

「よっと」

「きゃあっ!」

 

男は突如私の周りから魔力弾を撃ち込んできた。

いつの間に展開したんだ⁉︎

 

「がはっ…」

「はぁ、最初のを見たときはちょっと期待したんだけどな…こんなもんか」

 

魔力弾に気を取られているうちに懐に潜り込まれ鳩尾を殴られ吹っ飛ばされた。

 

ああ、身体中が痛い。骨も内臓もかなり損傷してるな…。

右腕なんて、ちぎれてもおかしくないくらい痛いし…。ていうか、感覚ないし

けど……!

 

「まだ…ま…だ!」

 

私は身体操作のリミッターを解除した。

 

 

 

(いいか?これは使い方を間違えれば強くなる代わりに体を壊してしまう。下手をすると死ぬ。だから……お前はまだこれくらいがちょうどいい)

 

(はい、わかりました)

 

(いいか?間違ってもこれ以上強い操作をしようとするな。特に…怪我をしているときは。お前は、ユタと一緒に生きていくんだろ?)

 

(はい、わかってます)

 

 

「(ごめんなさい、シグナムさん。けど…そんなことを言ってられそうにありません)……ふぅ、身体操作、フルバースト!」

 

「ん?」

 

私は上限を解除すると同時にシグナムさんの行動を()()()()()()()()()()()()()

 

すぐそばの鉄パイプを取りシグナムさんのような剣撃を叩き込む。

 

「うぉっ⁉︎」

「はあぁ!」

「ちっ!」

無理やり蹴り飛ばされ距離を取られる。

 

「にがさない!」

 

追撃をしにいく。

手応えはあった。やっぱりシグナムさんのレベルなら通じる!

 

「せやぁっ!」

「ふんっ」

 

先ほどと同じように突如周りに魔力弾が出現し私に向かって撃ち込まれてくる。

それを鉄パイプで弾き飛ばしていく。

しかし、数が多いこともあり何発か受ける。

だが私はそんなことも御構い無しに男に突っ込む。

 

 

だけど、これはしてはいけなかった。

 

私は、魔力弾を受けながらも男に突撃するべきだった。

 

 

「……!」

「そんなんだから…お前は負けるんだよ」

 

男が盾にしたのは……

ユタだった。それを見て私は身体操作を思わず解除してしまう。

 

「(なんで⁉︎いつの間に⁉︎)

 

そして、冷たいものが私の胸を貫く。

 

男はいつの間にか刀を装備していた。

刀は、私の胸を綺麗に貫いていた。

 

 

 

「お姉ちゃん?」

「ユ…………タ…………」

 

「さようなら、五月雨マリナ」

 

ああ…意識が消えていく……。

 

 

 

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

「あーあー、うっせえよ、どうせお前もしぬんだよ」

 

そんなことを男はいうがユタは聞く耳を持っていなかった。

それはそうだ。目の前で一番大事な人が倒れているんだから。

 

死という概念をまだ理解していないユタにも、これがどう言った状況かわかっていた。

 

 

 

ドカァァァァン!

 

 

 

「な、なんだ⁉︎」

 

突如、男のいる廃屋の壁が壊れた。

いや、壊された。

 

その先には……。

 

「………っ!」「やっぱり……!」

 

怒りに満ちた八神はやて、シグナムがいた。

 

「シグナム……10秒で片付ける。最優先は……ユタとマリナを助けることと……その男の確保や」

「了解した…」

 

 

 

 

 

 

「なんでや…マリナ…」

 

そこからは言った通り10秒、いや、そんなに時間はいらなかった。

 

本物のシグナムの剣撃……とはいっても峰打ちだが……男は戦闘不能になった。

 

はやては、マリナのそばにひざまづき泣いている。

ユタはシグナムに抱き抱えられている。

ユタの姿を見せないよう、離れたところにいた。

 

マリナは体も冷たい。もう、命はないように思えた。

 

「……は…やて……さん?」

「マリナ⁉︎」

 

「ユ…………タは…?」

 

「無事や!後はあんたを助ければ終わりや!」

 

「ああ、よかった……。はやてさん。伝言をお願いします。あの子に……ユタに…」

 

「アホ!自分で言いや!」

 

「ユタ……あなたは普通の女の子。クローンであるとか関係ない。女の子らしく、恋もして、元気に、幸せに……って……」

 

こんなに喋れるのは、死ぬ直前に死者は一時的に回復するというよくわからない現象なのか。マリナは血を吐きながらもしゃべり続けている。

 

「なんでや!約束したんやろ!ユタと、これからはずっと一緒にいるって…」

 

「はやてさん、嘘をつく形になってしまってすいません。これからは…あの子を…よろしくお願いします。あと……ありがとうございました。私を……家族にしてくれて…」

 

「マリナ!」

 

その言葉を最後にマリナは

 

息を引き取った。

 

「……。シグナム、撤収や」

「承知した」

 

はやては、涙を拭いながらも立ち上がり、男とマリナを回収し本部に戻った。




予想以上に長くなっちゃいました。
これにて。八神家に引き取れられた頃の回想は終わりですかね。
今回の補足をするなら
情報提供者=今回の事件の犯人
です。

余談ですが、マリナが生き残れた理由は結構単純です

体を売ったりしてお金を稼いでいました。
あとは、大通りではやて達にやったみたいにお願いしたりなど。



よんでくださりありがとうございます


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24話

いやー、勉強が辛いです。
死にかけです。

ですが、投稿はできる限り続けます。
頑張ります


前書き、質素ですが許してください。書く内容が思いつかないんです(泣)


それではどうぞ


「さてと、本題からずれちゃった。えーと、アインハルトは何について聞きたいんだっけ?」

 

「え?えーと、オリヴィエについての記憶ですが」

 

「そうそう、そうだった。私の中にある記憶は、まず一つ、アインハルトと同じ虹彩異色の男と戦場の中で戦っているところ、そして、同じような場所で涙を流しているところ。あとは……ゆりかごに乗って周りを破壊しているところ。その三つを正確に覚えてる。

けど、……なんていうのかな。こう、3人で楽しくやっていたっていう記憶はあるんだ。誰かは……わからないけど」

 

「そう……ですか」

 

あ、ちょっと安堵した。

てことは一緒にいた2人がエレミアと覇王の2人なのかな?

 

「……」

「ヴィヴィオさん?」「ヴィヴィちゃんどないした?」

 

ヴィヴィオちゃんがなんか考え込んでいた。

 

「今までのお話と『エレミア』って名前で改めて思い出したんです。『エレミア』って名前が冠された武術家の手記を無限書庫で見かけたような気がして」

「それ、私も覚えがある!検索目録でタイトルを見ただけだったけど」

「確か、古代ベルカ項目だった『歴史上の人物の手記』のみだしで!」

 

え?ヴィヴィオちゃんもコロナちゃんもリオちゃんも無限書庫に入ったことあるの?私入ったことないのに。

 

「母さん、無限書庫での探索許可ってもらえるものなの?」

「そやね、ウチから許可を申請してもええんやけど…もっと手っ取り早い方法があるよ」

「?」

 

どういうことだろう。

 

「わたし、無限書庫の司書資格を持ってます!」

 

「「「「「ええええーーーーーッ!」」」」」

 

うそー、ヴィヴィオちゃんなんで持ってんの……羨ましい。

 

「あたしたちも立ち入りパスは持ってます!」「そうなんです」

 

「はーー……。君ら、どういう小学生なの」

 

まさか、リオちゃんとコロナちゃんも持ってるとは…。

 

「じゃあ、早速明日にでも」「私たちで調べて来ます!」「持ち出しできる資料なら持ち出し申請も!」

 

と、初等科トリオがいう。

元気いいねー。そういう子好きよ。

 

『またロリコンになってますよ……』

「ロリコンじゃないわい。あと、久々に言うけど心を読まない」

『それは無理な相談ですね』

「ですよねー」

 

「わたしも行きます」「ウチも…」

「それ、オレたちも行けねーか?」「わたしもですわ」

 

「いやいやいや!」「勝ち残ってるみなさんはまだ試合が!」

 

番長にヴィクターさんにジークさんにアインハルトも行くのか。

なら、わたしは行かなくてもいいかな。

 

「ここまで聞かせてもらった話の結末を子供達ばかりに任せるのもなんだか落ち着きませんわ」

「とくにウチはご先祖様のことなんやし」

「それに、試合前だからって練習以外は何もしてねーってわけでもねーんだ」

 

おおう、番長達は妙にやる気ですね。

 

「敗戦組はまあ、気兼ねなく行けるから付き合うとして」「わたしもチャンピオンのお供をしませんと」「な…ならボクも行きます!」

 

ミカヤさんにエルスさんにミウラまで行く気なのね。

 

「わたしはパス…「ほんなら、全員行くってことでええなー!」……母さん、私はパスって言ったんだけど」

 

私には断る権利すらないのか。理不尽を許すまじ!独身の神の理不尽を許すな!

 

「ユタ?いま何を思っとったか言ってみぃ」

「イエ、ナニモオモッテマセン」

「クラウソラス」

「急に魔力弾をぶつけようとしてこないで!」

「はぁ、やっぱアンタと一緒にいたら落ち着けれんわ」

「こっちのセリフだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、本局の宿舎も押さえられたし皆で一泊して朝イチで行こか?」

 

母さんの問いに私を除く全員ではーいと言う。

はぁ…やる気が起きない。

 

「ずいぶん親切にして下さるんですね」

 

母さんにヴィクターさんが言う。

 

「私自身ベルカっ子やからね。同胞同士仲良くしたいんよ。それにユタのこともあるしなー」

「私はどっちかと言うと関わりたくないんだけど」

 

「できるなら、ジークの過去にはあまり触れて欲しくないと言うのも本音なんです。あの子は『エレミア』ですけど…中身は本当に普通の女の子ですから」

 

「わかってるよー。そやけど、そのジークリンデも自分の過去とアインハルトの過去に向き合って行くつもりなんやろ?私もそれを応援してあげたい…ゆーんはダメかな?」

 

「おう、お嬢!何ごちゃごちゃやってんだ!さっさと荷物まとめろよー」

「今行きますわ!

八神司令、ジークに変わってご厚意に感謝いたします」

「うん♪これからも仲良くしてくれたら嬉しいよ」

 

そして、ヴィクターさんはヴィヴィオちゃんに手を引かれて離れていった。

 

「ユタ」

「何?」

 

「今回のはアンタも関わるべきやと思うてる。しっかりと……自分のご先祖様と向き合うチャンスや」

 

「別に…私は聖王女には恥ずかしくないようにって思ってるけど…それ以上にその人がどんなことをしてた人とか興味がない…」

 

「はぁ、ユタ。一つだけ言うとくわ」

 

「?」

 

「いい加減、そうやって逃げるのはやめぇや」

 

「……逃げてない」

 

「いいや、逃げとる。それは断言してやるわ。ユタは、興味ないって言うのは、自分と聖王女を比べられるのが嫌やからなんやろ?ただ、自分が弱いって思われるのが嫌で言っとるだけや」

 

「……違う」

 

「違わへんよ。マリナも言ってくれたやろ。聖王女の血を引いていようが関係ない。あんたはふつうの女の子や。けど、だからと言って自分のことから目を背けるのは、ちと違わんか?」

 

「……」

 

「別に、今のユタのことを悪いとは言わん。けど……後悔するのはユタなんやで?」

 

「……わかった。私もちゃんと行くよ…」

 

「うん、そうしたほうがええよ」

 

はぁ、こうも言われると何も反論できないのが悔しい。

 

 

 

 

 

 

 

〜翌日 管理局本局内部〜

 

「はい、みなさんこちらですー」

 

ヴィヴィオちゃんに案内され無限書庫へ案内される。

今は一般解放区画だ。

 

「目的地はこの先ですよー」

 

と、今度はゲートの前まで案内された。

 

「では、こちらのゲートから入ります!書庫の中は無重力なので慣れていないと気分が悪くなる方もいらっしゃいます。そう言う時はすぐにお伝えくださいね!」

 

はーーい、と一同で答える。

あれ?いつから遠足になった?

 

「それでは古代ベルカ区画に……ゲート・オープン!」

 

その言葉の直後、私たちはなんとも言い難い不思議な空間に出た。

 

「「「「おおーーーー!!!」」」」

 

周りには本棚が大量、いや、大量の域を超えている。

それが無限に続いている。

そして、何と言っても無重力だ。

 

初めて来る人……とくにミウラや番長、ジークさんは戸惑っている様子だ。

 

私、私は……

 

『マスター、器用なのか影が便利なのかよくわかりませんね』

「影が便利があってると思う」

 

私特有の魔力変換で影を作ってそれで体を支えてます。

 

「それでは目的のエリアに向かいまーす!…………あれです!ここが今回の目的の場所!」

「どこかの王家が所蔵していた書物庫らしいですよ」

「一時調査は行われているんですがとくに危険物は確認されてないそうです」

 

ヴィヴィオちゃんたちが元気に説明してくれる。

 

うん?危険物?そんなものあるの?

 

『前は守護用のゴーレムや迷宮なんかがあったらしいですよ』

「へー、そうなんだ」

 

「それじゃあ扉を開きますねー」

 

ゴゴゴゴと、いかにもな音を立てて扉は開いていった。

中には……

 

「ご覧の通り迷宮型です!」

 

文字通り、迷宮がそこにはあった。

 

「とりあえず10箇所くらいまでありそうな場所を絞り込んだので」

「手分けして探しませんか?」

 

うん、いいね。その案でいこう。というか、私は初めての土地には弱いから1人だと死ぬ。

 

ちなみに班分けは

 

ヴィヴィオ&ミウラ

ハリーさん一味&エルスさん

ヴィクターさん&コロナちゃん

ミカヤさん&リオちゃん

アインハルト&ジークさん&私

 

「さー!それでは調査に入りましょう!」

「「「「「「「おーーー!!!」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

「はぁ、ユタのそれほんまに便利やな」

「便利ですけど、魔力の消費を最小限にしないとすぐガス欠になっちゃいますよ」

「けど、いつ見ても……珍しいって思います。その魔力変換資質は」

 

うん、だろうね。私も未だになんでこうなってるのが不思議だし。

 

『………マスター、皆さん』「………?」

「?」「どうしました?」

 

『…いえ、なんでもありません。すいません』

 

なに、どうしたのさ。

 

「うーん、にしてもあたりはなさそう。アインハルトたちは?」

「ウチはまだ見つけてへん」

「目的の本はないようですが…この本棚はクラウスたちが生きていた時代とかなり近いもののようです」

「それはキツイな……。ああ……そういえば()()()()()

 

「「・・・」」

 

「あの…」「ジークさん、それってアインハルトのこと?」

 

「あああ!そや!言ってへんかった!『アインハルト』やから『ハルにゃん』って呼んでええ?って聞こうと思ってたんよー!そしたらいきなりこっちで呼んでもーたーーー!」

 

……なんだ、この面白い光景は。ジークさんが頭ブンブン振り回してるしアインハルトは赤面してるし。

とりあえず、写真は確保した。

 

 

「アインハルト・ストラトス。ジークリンデ・エレミア。ユタ・ヤガミ」

 

 

そんな、楽しい本探しは突如あらわれた乱入者によって止められた。

 

声のした方向を見ると、魔女がいた。金髪で、いかにも、な魔女が。

けど、見たことがある。

 

「……ファビア・クロゼルグ選手?なんでこんなとこに」

 

『真名認識・水晶体認証終了』

 

「「「⁉︎」」」

 

突然、魔女の周りにいた悪魔のようなものが巨大化し口を大きく開けてきた。

 

吸収(イタダキマス)

 

そして、私たちはそれに食べられた。

 

私たちは、小型の瓶に詰められた。

小さくされて。

けど、私とジークさんだけ別の瓶に入っていた。

 

「ジークリンデ・エレミア。ユタ・ヤガミ。あなたたちには後で聞きたいことがあるから…他の子達とは別の瓶。今はエレミアの手記を----」

 

ダメだ…こいつの言葉を聞いてると……頭が……いた……。

 

「ガイスト・ナーゲル!」

 

そんな中、外から私の瓶は破壊された。

いや、正確にはジークさんの『エレミアの神髄』が発動して壊した余波で私のも壊れただけだった。

 

けど、未だに頭の痛さは治らない、

むしろ酷くなっていっている。

立っているのも辛い。

 

私は地面に突っ伏すしかなかった。

そのまま、眠るように意識が消えていった……。




どうでしょうか?

次からは……少しユタが荒れます。
ご注意を…


読んでくださりありがとうございます


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25話

なかなか、オリジナルの展開を組み込もうと思うと難しいものですね。

今回は前回言った通りユタがかなり荒れてます。
インターミドルでは魔力ダメージ判定なので殺傷能力は皆無ですが、実践となるとユタの影は殺傷能力は十分にあります。
で、今回はそれがおもいっきりふるわれます。


が、一応残酷な描写は入れてないのでそういう系はない(と、思います)です

それではどうぞ!

P.S(シグナムの行動にイラっときた人がいるらしく……少し自分のスキルの無さを痛感しました。あれは、コメディ的な感覚で書いていたので笑い流していただけると幸いです)


頭が、割れるように痛い。

 

おかしい、最近、古代ベルカとか、の、末裔とか、に、あっ、てか……ら……

 

記憶も、いろ、んな物が頭の中、で、ごちゃ、ご、ちゃして

 

『マスター?』

 

ユタは、無意識のまま起き上がっていた。

そして、セットアップをし、虚ろな目をしながらもどこかに行こうとしていた。

 

愛機であるプライドの言葉も届いていなかった。

 

「………」

『マスター⁉︎どうしたんですか⁉︎』

 

プライドが声を荒げる。

それも当然だ。

 

ユタの変換した影が右腕、そして顔の左半分、正確には左目の部分を覆い、そして左腕にはいつの間にか硬化魔法を展開していた。影は覆うというよりは溢れ出している と言った表現が正しいかもしれない。

 

「覇王の末裔と……クロゼルグの末裔を……」

『マスター!いい加減目を覚ましてください!』

 

そんなプライドの声も届かずユタはあの三人を探しに行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミウラ・リナルディ、ヴィヴィオ・()()()()

 

ファビアは、ヴィヴィオ達を見つけると同時に名前を呼んだ。

そして、掌にいた悪魔っぽいものが巨大化し飲み込もうとする。

 

「ディバインバスター!」

 

それをヴィヴィオは魔力弾を撃ち回避した。

 

「ファビア・クロゼルグ選手ですよね?インターミドルで勝ち残ってる。説明してくれませんか?どういことか」

 

「私は『魔女』だから。欲しいものがあるから魔法を使って手に入れる。【失せよ光明(ブラックカーテン)】」

「「⁉︎」」

 

突然、2人の視界が真っ暗になる。

 

「魔女の呪いから逃れる術はない」

 

そして、2人ともあっけなく飲み込まれた。

が……

 

「……?オリヴィエの末裔は……?」

 

ヴィヴィオだけ瓶詰めにされていなかった。

 

「名前を間違えたかな?…いいよ、瓶詰めできなくてもどうせ逃げられないし。ダールグリュン達の方もそろそろ制圧できてる頃。念のため人質も預けてあるし、入り口の守りも万全。もう誰もここにたどり着けない。あとはゆっくりエレミアの手記を探すだけ」

 

 

 

 

 

 

別の場所では、ヴィクターとコロナが大量の悪魔相手に応戦していた。

 

「ヴィクターさん、あれ…」

「?」

 

コロナが親玉のような悪魔を指差す。

すると、そこには瓶詰めにされた

ハリー、エルス、ミカヤ、リオたちがいた。

 

「なんてことを……」

「?」

 

だが、瓶の中の人たちは危機とは思っていなかったらしい。

 

エルスは口パクで『あと1分』と伝えた。

それは、イレイザーの準備完了まで1分という意味に他ならなかった。

 

「ハリーさんのイレイザーなら自力で脱出できますね!」

「まあ、そのくらいは当然ですわね!むしろ1分以内に全滅させてあの不良娘に恩を着せてあげますわ!」

「そうしましょう!」

 

 

 

 

 

 

場所は戻りファビアのいる場所。

 

「(エレミアの手記、別に興味があるわけじゃないけど奪って私のものにする。オリヴィエ、エレミア、イングヴァルトの三人への復讐はクロゼルグの血統に課せられた使命)」

 

「『魔女の誇りを傷つけたものは未来永劫呪われよ』だっけ?」

 

そんなファビアの探索を中断したのは

 

「そんなこと言ってるから時代に取り残されるんだよ。時空管理局嘱託魔道士ルーテシア・アルピーノ!盗聴・窃視及び不正アクセスの件でお話を聞きに来ました!」

 

ルーテシアだった。

 

「なら、ルーテシア・アルピーノ、これを見て」

 

ファビアはユタたちに使った悪魔を使う。

 

『真名認識、水晶体確認』

 

そして、また巨大化し飲み込ん-----

 

「ソニック」

 

だかと思ったが飲み込まれておらず、いつの間にかヴィヴィオを抱きかかえていた。

 

「名前を呼んで相手を飲み込む……古典的な技だねえ。だけど時代はスピードなんだよね。古い技に固執してちゃあ取り残されるよ」

 

ルーテシアを睨むファビア。その懐を何かが駆け抜けた。

 

「ティオ、ナイス〜♪」『にゃー♪」

 

それは、ティオだった。綺麗にアインハルトの入っていた瓶を取り返していた。

 

「………!」

「さーて、おとなしく降参したほうがいいよ?でないとお姉さんがお仕置きしちゃうから」

「魔女をあまりなめないほうがいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

「あ!ユタさ……ん?」「ユタ?」

 

ファビアとルーテシアが向かい合っている頃、ヴィクターとコロナの元にユタが現れた。

だが、二人とも困惑していた。

 

ユタの影を見たことはあったがあんな使い方をしたのを見たことがないからだ。

それに……目が冷たい。

 

「………邪魔……だ…よ」

「「⁉︎」」

 

ユタの足元から突然影が伸びたかと思うと無数にいたと思えた悪魔に影が下から一気に伸び悪魔たちに突き刺さる。

だが、コロナたちの安全を全く配慮しておらず結果的にコロナもヴィクターも僅かだが傷を負った。

 

『キィ!』

 

それを見てまずいと思ったのかリーダーっぽい悪魔は何処かに行ってしまった。

無事だということは避けたということだろう。

それを追いかけるようにしてユタもどこかに行ってしまった。

 

「ゆ、ユタ?」」ユタさん、どうしたんですか?」

『コロナさん!ヴィクターさん!』

 

2人が追いかけると途中で通信が入った。

人ではなかった。ユタの愛機のプライドからだった。

 

「プライドさん?」「プライド?どうしましたの?」

 

『2人とも、急いでマスターを追いかけて止めてください!でないと、マスターは-------ああ、もう!マスター!いい加減に!』

 

「え?」「どういう……」

『とりあえず、できる限り抑えますから早くお願いします!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?投降する気になった?」

「…………」

 

ファビアは壁際に捕らえられていた。が、何かを詠唱している。

 

「警告だよ。詠唱を止めなさい。でないと公務執行妨害も追加に……」

 

ルーテシアが右腕をあげると、そこには人形のようなものが張り付いた。

すると、グローブが花に変わった。

その直後に真上から瓶詰めにする時に使っていた悪魔がのしかかってきた。

 

「コノ……ッ」

悪魔合体(デビルユナイト)

 

リーダー格のような小さい悪魔たちが次々とファビアに取り込まれていく。

そして、最後には飲み込まれた。

かと思うと、その中で光だし………

 

少し大人びたファビアがいた。

 

 

「魔女誇りを傷つけた者は-----」

「未来永劫呪われよって?まー向かってきてくれるなら望むところ!」

「【這え 穢れの地に(グラビティプレス)】」

「んんっ⁉︎ふおおっ⁉︎」

 

突如、ルーテシアが地面に激突した。

まるで、そこだけ重力が発生したように。

 

「(重力発生系、ミッドやベルカのとは随分違うなぁ!)」

「撃って」

 

悪魔によって槍がルーテシアに放たれる。

 

「!」

 

が、それはアインハルトによって止められていた。

 

「クラウス----!」

「スパークスプラッシュ!」

 

驚いているファビアの後ろからヴィヴィオが現れる。

殴り、吹き飛ばした。

 

「ロック!」

 

そして、バインドをかけファビアは再度捕らえられた。

 

「2人とも目覚めたんだ?ナイスタイミングだよー」

「ええ、ルーテシアさんのおかげです」

「助けてくれてありがとルールー!」

「なんのなんのー。他のみんなも急いで探さないとだね」

 

そこに、新たに1人-----ちっちゃくなったジークリンデが現れた。

 

「魔女っ子どこ行ったー!」

「チャンピオン…」

「ハルにゃん⁉︎」

「あの子の魔法にやられちゃいました?」

「ううー恥ずかしながら」

「じゃ、魔女っ子に元に戻してもらいましょうか。事情も聞かないといけないですし」

 

「私は----呪うことをやめない!私を見捨てた王たちを私は絶対に許さないから!」

 

ファビアは、バインドを無理やり解き姿がさらに変化した。とはいっても翼が生えただけだが。

 

 

「……!みつ…け…た!」

 

そこに、さらに乱入者----ユタが現れた。

 

 

ユタのその姿を見て、この場にいる人はどう思ったんだろう。

思ったことはいろいろあるだろうが一つの思いだけは全員にあった。

 

 

今のユタは止めないといけない。

 

 

「クラウス……クロゼルグ!」

 

ユタはアインハルトとファビアに向かい影を一気に伸ばす。

慌てて避けはするも、いた場所は綺麗に削られていた。

 

「ユタさん!正気に戻って!」

 

ヴィヴィオが叫ぶが届かず、敵味方かんけいなしに全員に対して敵対行動をとるユタ。

 

「黒炎!」

「ちょ、ちょっとまって!」

 

ファビアは魔力弾を撃ち対抗する。

ヴィヴィオとアインハルトたちはどうするのが正解かわからず避け続けている。

 

「イレイザー・バーストッ!」

 

そんな、縦横無尽に伸縮していたユタの影の大半を誰かの砲撃が一気に消しとばした。

 

「ユタ!お前何やってんだよ!」「ユタさん!なんで………」「やれやれ、これはまたとんでもないことになってるね」

 

それは、ハリーのイレイザーだった。

イレイザーで瓶をぶち破り捕まっていた人が脱出した。

 

「みなさん!」「無事だったんですね!」

 

そこに、コロナとヴィクターも集合した。

全員がユタを取り囲んだ。

 

「………また、まただ。頭が……グラグラして……ああああぁ!!!!」

 

ユタは影を全員に向かって影を伸ばした。

みんな避けるか撃墜をしようとしていたがその直前に影が地面に突き刺さる。

 

「プ……ライド!なんで……なんで邪魔するの!」

『当たり前でしょう!忘れたんですか?私は、マスターが人を殺しそうになるなら、全力で!邪魔をすると!言いました!』

「うるさいうるさい!」

 

「パニッシャー!」

 

動きが止まった隙を見逃さずエルスがバインドを仕掛ける。

が、影で即座に対応され防がれた。

 

「私は……」

「ユタさん!」

 

アインハルトがユタに接近する

 

「ああ、そうだ。アインハルト、キミだよ……キミと会ってから………私は……」

 

それをみるとユタは周りに散らせていた影をアインハルトに向けた。

 

「私は!普通に生きたかった!オリヴィエのクローンとしてじゃなく、普通の女の子として!姉さんとした最後の約束も守りたかった!なのに!アインハルトも、クロゼルグも!みんな!私を、オリヴィエのクローンとしか見ようとしない!私に深く関わってくれるのは、オリヴィエのことしかない!なんで……なんで……なんで私として見てくれないの……。こんなことなら私は……生まれないほうがよかった!」

 

「ガンフレイム!」「紅蓮拳!」

 

「っっ………!」

 

影を1箇所に収束させたため、背中がガラ空きになっていたユタにリオとハリーは焔の砲撃を撃つ。

それを受けたユタは威力を流したとはいえ膝をつく。

 

それでもなお影はアインハルトに向かっていった。

 

「天月・霞」

 

が、その影はミカヤの居合によって切り裂かれた。

 

「抜剣【飛燕】!」

「六十八式『兜割』!」

 

ミウラが抜剣で仕掛け、それをユタは左腕を盾にして受け止める。

動きが止まったところでヴィクターに後頭部を持たれ地面に叩きつけられる。

 

「ロックバインド!」

 

そのユタをコロナがバインドをかける。

 

「魔力鎖オン」

 

最後にはルーテシアが魔力鎖を手に掛け、魔力を使えなくした。

 

 

 

 

 

 

 

『みなさん、手を煩わせてしまい申し訳ありません。助かりました』

「いや、いいんだけどよ……結構ガチでやっちまったがいいのか?特にヘンテコお嬢様とかの」「手加減できませんでしたから」

『いいんです、このくらいの怪我は私で治癒できますし……なにより、皆さんを自我がない状態とはいえ殺しかけたんです。これくらいの罰では足りない気がします』

 

今は、みんな着替えている。

なんでかというと、瓶から脱出した後みんなセットアップしていたから全裸ではなかったが、服を着ていなかったからだ。

これから話をするのに全裸はマズイ、ということでノーヴェさんやオットーさんが回収した服をみんなで着ている。

 

「………」

 

ユタはというと、壁際で魔力鎖をつけられバインドをされた状態で寄りかかっていた。

 

『マスター、落ち着いてますか?』

「うん………だいぶ……」

『そうですか、それはよかったです』

「うん……ごめんね、プライド」

『いえ、お構いなく。私はマスターの……あなたの相棒ですので』




ま、さすがにインターミドル上位選手に囲まれてたらこうなりますよね。

おそらく、やっとユタの本音が出たんじゃないんでしょうか。

かなり最初の方で言っていた【過去のことでぐちぐち言ってくるやつは嫌い】というのもこの本音から来ていたりします。

読んでくださりありがとうございました


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26話

はいーー、気づいたら原作12あたりまで来ていました。

時が経つのは早いですね…

原作が終わりかけに近づくにつれてvivid strikeも書いていきましょうかねー。

それではどうぞ


私は……どういう態度でみんなに接すればいいんだろう。

 

いろんな記憶が混同して、自我がなくなったとはいえ、

殺しかけてしまって

 

 

とんでもないことを言ってしまって。

 

 

自分がなにを言ったかははっきりと覚えてる

けど、ひどいことと言っても半分以上……いや、全部本音だ。

けど……私に関わってくれた人は……少なくともヴィヴィオちゃんやコロナちゃん、ジークさんやヴィクターさん、ミウラなんかはオリヴィエのクローンだからって近づいてきたわけじゃない。

 

ただ単純に、同じ選手として歩み寄れてたはずなんだ。

 

なのに………

 

「ユタさん」

 

アインハルトに声をかけられビクッとなってしまう。

けど、怯えている場合じゃない。

 

私は……謝らないといけない。

 

「その…アインハルト。ごめ…」

 

「ごめんなさい」

 

「え?」

 

謝ろうとすると、アインハルトに深々と頭を下げられる。

 

「え?え?ちょ、ちょっと待って、今回悪いのは私だよ?なんでアインハルトが」

 

「いえ、元々といえばこれは私の蒔いた種なんです。ユタさん…本当にごめんなさい。そして…一つだけ言いたいことがあります」

 

「……」

 

「私は、あなたともう一度仲良くなりたいと思っています。先祖のことは関係なく、私と、あなたとで」

 

「………うん」

 

そこまでいうとアインハルトは離れて行った。

すると、こんどはクロゼルグと……母さんが来た。

 

「ほら、ごめんなさいって」

「………ごめんなさい」

 

母さんに促されクロゼルグは謝ってきた。

 

「うん、私こそ…ごめん」

「よし、ファビアともアインハルトとも仲直りしたな?そんじゃあ……」

 

母さんが何かを言おうとしていた。

だから、顔を上げ……

 

 

パシン!

 

 

「……え?」

 

突然のことに私も、他のみんなもこっちを驚いた顔で見る。

頬が痛い。

叩かれたらしい。

 

母さんを見ると……泣いているような、怒っているような顔だった。

 

「かあ……さん?」

 

「ユタ、とことんふざけたことを言うたらしいな。なんや?生まれない方がよかったやて?この世になぁ、不必要な命なんてもんはあらへん。それはアンタも同じや」

 

「……ごめんなさい」

 

「でも、ユタの気持ちもわかるつもりや。けど……お願いや。自分のことを……そんな風に言わんでくれ。ウチも、ヴィータも、シグナムも、シャマルも、リインも、アギトも、ザフィーラも……それになのはちゃんやフェイトちゃんもみんなユタのことは好きやと思うてる。アンタは……1人じゃない」

 

「うん…ごめんなさい…ごめんなさい……」

 

母さんに抱きしめられる。

なんでだろう。涙が出て止まらなくなる。

 

「えー、ほんならひとまず一段落ってことで。私たちはこの子とユタを連れて行ったん戻るなー。ほら……ユタ。ファビア」

 

「みなさん……迷惑をかけて……すいませんでした」

「…………ごめんなさい」

 

「被害者一同どうー?」

 

と、私とクロゼルグで謝るとみんなは普通に許してくれた。

あんなことをしたのにもかかわらず。

 

みんな……優しすぎる。

 

「ほんなら、行こか?」

「はいー」

 

そうして、私と母さん、リインさん、クロゼルグ、ルーさんでこの場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜帰路の途中〜

 

「そういえば、ヴィヴィオのこととかみんなに話したんですか?」

 

「うん、大人のみんなには一応なー。ヴィヴィオの生まれとか…高町家の子になった経緯とか。ま、なのはちゃんとヴィヴィオはどこに出しても恥ずかしくない親子やし、余計なお世話かと思ったんやけどなー」

 

「それで言ったら八神司令もですよ。ユタと初めて会ったのは最近ですけどもう普通の親子にしか見えません」

 

「えー、そうかなあ」

 

あ、母さん照れてる。珍しいから写真を撮ってやった。

 

「ちょっ!ユタ!写真撮るな!」「いつも色々とやられてる仕返し。ヴィヴィオちゃん達にいろんなことバラされてたのも後で聞いたし」「それどうする気や?」「いろんな人に送ってあげようかと」

 

そして、普段通りの八神家での会話をしてみた。

おどおどしていたと思う。けど、少しずつ、母さんの言葉のおかげでちゃんと、見切りをつけてこれてると思うてる。

 

あ、ファビアが呆れた顔してきた。

これが日常的なんだ。そんな顔されても困るよ。

 

「あははー、やっぱり親子ですねぇ」

「せやろー」

 

「過去は過去であって、現在(いま)じゃない。先祖の記憶を黒い呪いにするか未来へのギフトに変えるかは……今生きている自分の選択。ってことですよね」

 

「そーやねぇー」「私もそう思うですよ〜」

 

ルーさんの言葉に、母さんとリインさんが賛同した。

 

うん……本当にその通りだ。私は……危うく黒い呪いにするところだったんだ。

 

本当に……何をしてたんだろうね。

 

「あ、そうだ。ユタ。本当にすまんかったなぁ」

 

「何が?」

 

「あんたのことを煽るような言い方をしてここまでこさせたのもウチのせいや。そのせいで辛い思いをさせてしもうて」

 

「いや…どのみち通る道だったんだし。それに……母さんには感謝してもしきれないと思ってる。本当に…ありがとう。私と家族になってくれて」

 

「……」

 

すると、母さんが珍しく顔を赤くする。

私は驚き、ルーさんも珍しいですねーって言ってる。

うん、本当にレアだと思うよ。

ガチな照れだもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

「ま、まあまあ、シグナム。落ち着きーや」

「いいえ、いくら主の言葉とはいえ落ち着けれません。……ユタ」

 

「はい」

 

今は、シグナムさんのガチ説教を受けてます。

内容は、おもに昨日のこと。

 

「シグナム姉さん……今回は私が全て悪いと思ってる。だから……どんな罰も受けるつもりです。けど……理不尽な内容でしたら色々とばら撒きますので」

 

「よし、遺言は言ったようだな」

 

そして、私はいつも通りの返答をしてみた。

すると、まあいつも通りのことになりましたよ。

 

十分後には疲労困憊で立ち上がれない私が完成したよ。

やったね、十分クッキングの成功だ。

 

「はぁはぁ…なんか手加減してない?」

 

「してなどいない。ただ…ユタ。お前少し変わったか?」

 

「あ、うん。母さんに諭されてからなんか吹っ切れた」

 

「そうか…」

 

あ、なんか安堵してる。

 

「それで、今日だっけ?」

「いいや、明日らしいで」

「ふーん、なら今日は家でゆっくりし…」

「逃すと思ってるか?そら、さっさと続きをするぞ」

「いーやーだーー!!」

 

そして、すこしハードにされたシグナム姉さんの特訓が再開された……

 

 

イラついたので途中から来たミウラも巻き込んでやりました。

 

 

 

 

〜翌日 聖王協会〜

 

あれ?一日が短くない⁉︎

 

『そこらへんに関してはスキルが足りないから仕方ありません』

「心の声に突っ込まない。てか、スキルってなんのこと?」

『マスターは知らなくてもいいことです』

 

「あ、ヴィクターさんにジークさんだ」

「あら、ユタ。もう体はいいの?」

「ユタ、大丈夫なんか?」

「はい、それに吹っ切れましたし。お二人共、先日はすいませんでした」

 

改めて2人に謝った。

2人とも、笑顔で許してくれた。

やばい、泣きそう。

 

「チャンピオン!お嬢様!こっちこっち!」

 

と、走って来たのは確か……なんだっけ?

 

「シスターシャンテ、迎えに来てくれたの?」

 

ああ、そうそう。シャンテだ。ヴィクターさんとやりあったっていう。

 

「なんだ、あたしの名前覚えててくれたんだ?」

「当然でしょう。手強かった対戦相手ですもの」

「いーだ。大して苦戦もしてないくせに」

「そうでもないわよ。ユタなんか、シャンテが一番やりにくそうって言ってたわよ」

「え?」

「いや、こんなところで私に振らないでくださいよ。……まあ確かに分身を使う相手は私と相性悪いですけども。それより、今日はヴィヴィオちゃんとアインハルトの試合なんだよね?」「観客はうちらだけ?」

「んにゃ、コーチもいるしチームの子達も来てるよ。あと他にもゲストが」

 

と、教会の中を歩いていると…

 

クロゼルグにあった。

 

「陛下のご指名。試合を見て欲しいんだって」

 

へー、そうなんだ。

あ、ジークさんがなんか餌付けしようとしてる。

え?しかも成功しかけてるし!

 

と、そんなこんなで庭に出るとヴィヴィオちゃんがノーヴェさん達とアップをしていた。

 

「アインハルト・ストラトス参りました」

 

そして、そこにアインハルトも来た。

 

「んじゃ。準備が出来次第始めるぞ。フル装備で2ラウンド一本勝負。ライフ計測は無し。決着はKOかギブアップのみ」

 

………?あれ?

 

「ねえ、プライド」

『はい、そうですね。ヴィヴィオさん。()()()()()()()()ですね』

「だよね、軽い練習試合って聞いてたんだけど」

 

「2人共、ジャケット装備!」

「武装形態----」「セットアップ!」

 

そして、2人共セットアップをした。

けど、ヴィヴィオちゃんの格好だけいつもと違い全体的に黒かった。

 

ヴィヴィオちゃんによると昔使ってた色だとか。

けど……私の記憶にあるオリヴィエの記憶にある戦争の時の装備の色となんか似てる。

 

「ラウンド1 始め!」

 

その合図とともに2人がぶつかった。

そして、少しだけ違和感を感じた。

 

「……わあ、ヴィヴィオちゃん。少し見ない間にかなり強くなってる?」

『いえ、あれは……」

 

めずらしく、アインハルトが後手に回っている。

けど、被弾しながらも無理やりながらもヴィヴィオちゃんと距離を詰めようとしていた。

 

「……?あれ?あんなに打撃力あったっけ?」

『いえ、ありませんでした。おそらくは…魔力を攻撃に()()()していますね』

「え?それってかなりやばいよね?」

『はい、そうですね。なぐられたら、生身で車にはねられるようなものじゃないですか?』

 

そんなことを考えているとヴィヴィオちゃんがクリーンヒットを入れられた------ように見えた。

 

しっかりと、魔力を集中させて防いでいた。

 

そしてカウンターがアインハルトに炸裂する。

 

「アインハルトさんと私の戦績は……3戦2敗1引き分け。今でも試合を10回やったらそのうち9回は私が負けると思います。だけど、4戦目の今日は私が勝ちます。今の私たちのことを、ちゃんと見て欲しいから!」

 

と、ヴィヴィオが言う。

何かしらの覚悟もあるらしい。

 

……エレミアの手記のことでまた何かあったのかな?

 

そこからはアインハルトが押されていた。

断空拳も避けられていたし綺麗にカウンターも決められていた。

拳が当たってもセイクリッドディフェンダーっていう防御でダメージもほとんど与えれていなかった。

 

そんな中、偶然とも言っていいアインハルトの一発がヴィヴィオにクリーンヒットする。

 

先ほどまでと同じような打撃だったが、効果は先ほどまでのものとは段違いだった。

 

「……あ、そうゆうことか」

『はい、そうですね。攻撃に魔力を全振りできるということは防御にもできるんでしょうね。だから今までの打撃はそんなに効いていなかったんでしょう。しかし……それは危険すぎます』

「まあそうだよね。私でもあんな戦法やりたくないし」

 

そこからはまた撃ち合っていた。

そんな中、アインハルトはヴィヴィオちゃんの全力の拳をあえて受け止めた。そして防御ゼロのヴィヴィオちゃんを殴りダウンさせた。

 

そして、ヴィヴィオちゃんが立ち上がったところで第1ラウンドが終わった。

 

「はーー、見ててヒヤヒヤする」

『自分の試合でもないのにですか?』

「うん」

 

 

 

「わたし、オリヴィエのクローンだって話は前にしましたよね」

 

ヴィヴィオが語る。

 

「過去の記憶はないけど体質は受け継いでいた。ユタさんのように。

『鍵』としてゆりかごを蘇らせる為だけに生み出されたのがわたしで。大好きだった優しい人でさえこの手で殺しかけました。この前のユタさんのように……。

この黒いジャケットはその時の服装。

心も体も自分の思うようにならなくて。どうしていいかわからなくて。

けど、助けてくれた人がいたんです。

わたしの涙も痛みも運命も受け止めてくれた人が。

わたしがその人から教わったのはぶつかり合わなきゃ伝わらないことがあるってこと。

 

撃ち抜く力は想いを届けるためにあるんだってこと!」

 

「私は…ヴィヴィオさんにそんな風に思っていただくような人間では…」

 

「そんなの知りません!私たちにとってはアインハルトさんは大好きで大切な先輩ですから!」「「その通りっ!」」

 

コロナとリオも賛同してくれる。

 

「アインハルトさんを倒せるくらい強い子なんだって証明して、もっと私たちに頼ってもらうんです!」

 

 

ラウンド2 スタート

 

 

 

 

「………」

『ヴィヴィオさんも、少なからずマスターと同じようなことを体験していようですね』

「だねー、ほんと……私ってつくづくとんでもないことを言っちゃったよね」

『ま、マスターは心は弱いですからねぇ』

「文字通り心を刺すような言葉を言わない」

 

ラウンド2が始まったがヴィヴィオちゃんは真剣に、アインハルトは何かに迷いながら試合をしていた。

いや、葛藤でもしているのかな?

 

そんな中、確実に意識を持って行けてもおかしくないほどのカウンターがアインハルトに叩き込まれた。

 

「あれは…」

『ちょっと無理かもですね』

 

が。そんなことを思ったのもつかの間、すぐにアインハルトは起き上がってきた。

顔は、………なにか吹っ切れたような、憑き物が落ちたような顔になっていた。

 

「よかった、やっといつものアインハルトさんだ。いつも一生懸命で優しい私たちの大好きなアインハルトさんです」

 

「いい一撃を頂いて目が覚めた気がします。感謝の想いは拳に載せます。受けていただけますか?」

 

「もちろん全力で‼︎」

 

そこからは、わずかな間だがヴィヴィオとアインハルトが殴り合った(語り合った)。そして、ついにそれが終わる……。

 

勝ったのは---------

 

 

 

ヴィヴィオだ。

 

 

 

 

気絶してしまったアインハルトにヴィヴィオちゃんとコロナちゃん、リオちゃんが駆け寄る。

 

「アインハルトさん!アインハルトさん!しっかり!」

 

「………どうして……ヴィヴィオさんが泣きそうな顔をしているんです?勝者ですよ………胸を張って(随分遠回りをしたけれど、それもきっと無駄じゃなかった)」

 

「でも、あの…」

 

「あなたが悲しい顔をしていると私も悲しくなります。ヴィヴィオさんは強い子です。だから----

 

笑ってください」

 

と、アインハルトは-----今まで見たことのないような笑顔を浮かべた。

それに触発されヴィヴィオもリオもコロナも泣いてしまう。

 

そこからは……4人だけの世界になっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?わたしってチームナカジマに入らない方がいいっぽい?」

『急なネタバレになりそうなことを言わないでください』




やーっとシリアスから抜けれました!

無限書庫編は好きなんですが、やはりユタの性格からしてあのシリアスは合いませんね。

ユタはコメディだけやっておけばいいのです(暴論)


と、冗談はさておきまして。
ようやく、アインハルトもユタも先祖については区切りがつけた、という感じですかね。

どちらも、わたしのスキルが低いのでちゃんとかけてるかは微妙ですか….

あ、感想とか随時受付てます〜

読んでくださりありがとうございます


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27話

えーー。はい、やっと本来の今作の雰囲気に戻って来たのかなーと思ってます。

そして、そろそろvivid strikeへのフラグ建築もしていこうかなーと思ってます。


それではどうぞ


私は、いまジークさんとヴィクターさんとともにある場所へ案内されている。それは----

 

「イクスヴェリア陛下。お初にお目に掛かります。ヴィクトーリア・ダールグリュンと申します」

「ジークリンデ・エレミアですー」

「八神ユタです」

 

冥府の炎王イクスヴェリアのところだ。

聖王教会で保護しているとは聞いていたけど会ったことないから一度会ってみたかったんだよね。

 

「顔色もええしお肌も綺麗やねー」「本当にただ眠っているだけみたい」「そうですね…アインハルトはこんないたいけな子に喧嘩を売ろうと……ププッ!」

 

そのアインハルトを想像してしまい少し笑ってしまう。いじるネタが増えた増えた。

 

「まあ、聖王教会が全力で保護してっからね」

 

余談だけど、ここにはスバルさんも結構くるらしい。

なんでもイクスヴェリア……めんどいのでイクスさんと呼びます。

イクスさんを保護したのはスバルさんらしい。

救助された直後は元気で意識もあったらしいがヴィヴィオちゃんと友達になった後に眠りについてしまったらしい。

 

「いつ眼を覚ますのかわかるんですか?」

「わかんないってさ。10年後かもしれないしもしかしたら100年後かもしれない。だけど明日かもしれないし今日かもしれない。いつになるかわからないから……ウチの陛下やスバルさんはちょくちょくお見舞いに来るんだよ。お見舞い嬉しいよね。イクス」

 

質問するとシャンテさんは答えてくれた。詳しい状況まで。

 

「あ……もし迷惑でなかったらなんやけど」「私達もまたお見舞いさせて頂いてもいいかしら?」

「上司に聞いてみる……わかったらセインに連絡してもらうよ」

「ええ、ありがとう」

「あんたらが教会に来るなら会うこともあるだろうし案内やなんかを担当することもあるかもだけど……

私は陛下たちとは違う。馴れ合いはしねーかんな。特にお嬢様!」

 

と言われシャンテさんが私達を指差す。

 

「今年のインターミドルは終わったけど試合はアレだけじゃないんだ。次に試合で当たったら絶対ハリ倒す」

「ええ、受けて立つわ」「ウチもやー」「私は遠慮します」

 

『………そこは普通受けるべきでは?』

 

あ、シャンテさんがなんか泣きそう。ヴィクターさんにもジークさんにもジト目で見られてしまった。はて、おかしなことを言った覚えは………ああ!やばい!本気で泣きかけてる!

 

「嘘ですよ。私はいつでも受けて立ちます。けど……その前に私はジークさんに雪辱を晴らしたいですねー」

「ウチは嫌やわ。ユタの影はなんか苦手や」「わたくしもですわ。あれはどうも克服できそうにありません」

「よく言いますよ。イレイザーと放電で一気に消しとばしたお二方が」

 

「あたしのことを忘れんなーー!!」

 

あ、シャンテさんが蚊帳の外になってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたしがいつ教えた?えー!」

「うう……その……教えてもらったことをできてなかったのは深く反省してます」

 

とある部屋の横を通ると、まあノーヴェさんが激怒していたよ。コロナちゃんとリオちゃんに止めてください的な眼差しで連れ込まれたけど何をしろというのか。

 

「の、ノーヴェさん。その辺で……」「そ、そうですよコーチ。そろそろ……」

「黙れチビども!ユタも!お前らも聞いとけ!あたしが教えてんのは競技試合で使う『技術』だ。そいつをコロナはマイストアーツの土台にするしリオは春光拳に取り込んでいく。ユタは魔法戦だな。これからはアインハルトもだ。

で!お前に教えてんのはバリバリの正統派!打撃格闘家の花道!

スピード!センス!反射神経!技術で相手のパワーとタフネスを翻弄する!『打たれずに打つ』カウンターヒッター。それがお前の資質に一番合ってるしお前の夢にも一番近い。

 

けどな、体もできてないお前らが目先の勝利欲しさに無茶な戦いを続けていたら……ユタ、どうなる」

「良くても中等科くらいに故障して選手生命終わりですね」

「そういうことだ。悔しいだろ。そんなのは」

「はい……」

「それでも黙って見てたのはお前とアインハルトの特別な事情を汲んでのことだ。今後は許さねーからな!わかったか?」

「お……押忍!コーチの許可がない限り今日みたいな戦い方はもうしません!」

「本当だな?」

「押忍ッ!」

 

 

うん、私なんで連れてこられた?本当に。この子たちの信頼関係なら私いらないと思うんだ。

 

 

 

 

と、まあこうしてチームナカジマのみんなはまた気持ちを一つにして目標に向かって歩いていくんだと思う。

そのうち、将来のことにも関わってくるのだろうか。

 

私は……どうしたいのかな。

 

魔法戦技とアニメ関連のことばっかで将来とか何も考えてないんだよなぁ。

 

また近いうちに母さんあたりに相談しようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「ふーん、なるほどなぁ」

「で、私は将来何をしたいのかなーって考えて。それで……」

「考えて?」

 

「私は、母さんやシグナム姉さん、ヴィータさんやエリオ達なんかのように命をかけれる現場で働きたいな、って思った」

 

それを言うと母さんはウンウンと笑いながら頷いてくる。

これはどうなんだろうか。バカにされているのか本気で嬉しいのか。

 

……いや、多分後者だ。前者だと笑い方がもっと独特だし。

 

「それで、管理局志望っていっても簡単にはなれないものでしょ?」

「そらなぁ。けど……まあ、ユタくらいの実績があれば入れんこともないとは思うけどなぁ。それに、ユタの能力は重宝されると思うし」

「へぇ、そうなんだ?」

「よなぁ、シグナム」

「はい、犯罪者を捕らえる時にはかなり役に立つと思いますよ」

 

へー、まあ当たり前っちゃ当たり前か。

 

「まあ、入れる可能性あるってわかっただけで充分だよ。ありがと。……まあその前にインターミドルの都市本線優勝を成し遂げないと」

「あ、そのことなんやけど…シグナム、ヴィータ。話さんと」

 

と、2人がこっちにくる。

 

「ユタ、先に言っておくぞ。これはお前を見限っているわけでもない。ただ、お前の事が心配だから考えたことだ」

「?」

「ユタ、私とシグナムで話し合ったんだ。……ユタとミウラはそろそろ私らとの練習は終わりにしたほうがいいと思う」

 

「………え?」

 

え?なんて?シグナム姉さん達との練習が、もう終わり?

 

「私達も、ここ最近でまた忙しくなってきそうなんだ。そんな中、片手間で、本気で上を目指そうとしてるお前の練習の面倒を見るなんてのは、お前に対する侮辱のようなものだ。

でだ、本格的に選手としてやらせるためにも、お前はジムにでも通わせた方がいいと思ってな」

 

「けど、終わりっつっても二度とやらねえってわけじゃねえよ。もちろん、時間のある時は遠慮なく手合わせは申し込んで来い。いや、むしろこい。あたしもシグナムもストレス発散……じゃなくて、お前の成長は見たいしな」

 

「いま、ストレス発散って言ったよね⁉︎」

 

「まあ、そういうことだから。しっかり考えとけ」

「だが、今年のインターミドルはしっかりと練習はやるつもりだから、安心しろ」

「遺言を書いておけの間違いじゃ……。………うん、わかった」

 

まさかこんな話になるとは……。これは今年は本気で負けられないじゃないですか。

 

「まあ、そのことはまだ時間はたっぷりあるからいっぱい悩めばええ。それより……アンタ、色々あったとはいえ大丈夫なんやろうな?」

 

「なにが?」

 

「学期内試験。もうすぐやろ?」

「あ……」

 

……はい、忘れて『忘れてませんのでご心配なさらないでください、はやてさん。この人、かなり勉強していますので』

「おい、せっかくのドッキリ的なことを台無しにするんじゃない」

「ま、それならええんよ。今回こそは一位とりいやー」

 

と、母さんが笑顔の圧力をかけてくる。

 

あれ?この家ってこんなにスパルタ家族だっけ?

まあ、言われなくてもとるけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アインハルト家〜

 

「というわけで勉強教えてください」

「休日にいきなり寄ってくださったかと思えばそれですか…」

「いやいや、勉強はしてるんだよ?けど、アインハルトと一緒にやれば弱点克服できてかつアインハルトに何か不利になるようなことをできるんじゃないかと」

「それ、はっきりいう必要ありましたか⁉︎」

 

え、面白くなりそうだから。

 

「で、問題だけど……」

「はい、どれですか?」

「これ」

 

●次を微分しろ

y=cos(2x+3)tan(2xの2乗-9x)

 

 

「…………は?」

「えー、もしかしてアインハルト解けないのー?」

「い、いえ!解けます!」

 

少し煽るとなんかやり始めた。

うん?これ、アインハルト習ってないよね?微分って言葉すらわからないんじゃない?

 

案の定、ペンが一文字も書けないでいる。

 

『はぁ……アインハルトさん。マスターの単なる悪ふざけですので真面目に受け取らなくて結構ですよ。そもそも、このバカマスターもわからない問題ですから』

「誰がバカマスターだ」

『バカマスターはバカマスターですよ。バカマスター」

 

うっさいよ!バカマスターバカマスター連呼すんな!

 

「まあ、茶番はこれからなんだけど」

『「まだあるんですか⁉︎」』

おおう、2人からのダブルツッコミありがとう。

そうだよ。最近までシリアスばっかだったから色々と溜まってるんだよ(下ネタと受け取ったやつ、その場で土下座しやがれー)。

 

「んでね、このアニメのこのシーンなんだけど」

「もうすぐ学期内試験だということを理解しておられますか⁉︎」

「うん、だからこそアインハルトの邪魔……じゃなくて手助けをしにきてる。主にリラックスの」

「そんなものいりません!」

 

いやー、人を弄るとはなんと楽しきことやら。

このあと、堪忍袋が限界になったアインハルトに断空拳されちゃいました。

めちゃ痛いよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

〜学期内試験終終了後 八神家〜

 

テストが終わり、結果も帰ってきたので私は母さんのところに来たんだけど……

 

「なんでミウラはそんな死にかけなの?」

「だ、だって…今回はすごい辛かったんですもん」

 

ミウラはどの点数も赤点ギリギリ回避してる感じだ。

 

「ほいでー、ユタはどうやったんや?」

「ふっふっふ…」

「ん?ユタ、アンタとうとうおかしくなったか⁉︎」『ああ……日頃の行いのせいで…』

「いや、2人とも酷すぎない⁉︎……コホン。

 

えー、今回のテストは全教科満点でした!結果も学年トップを取れました!」

 

「おーー」『おめでとうございます』「ふえぇ…すごい…」

 

「これで、あとは都市本線優勝を残すところとなりました〜」

 

「ユタ。ウチからサプライズがあるんやけど」

「?」

 

え?なんか最近そういう系多くない?

 

「実はなー局員のちょい偉い人に掛け合って見たんやけど、ユタをウチの部下という形でやけど採用するってことが決まったんやー」

 

「「『…………え??』」」

 

2人と一機の言葉が重なる。

 

「「ええぇぇぇぇぇ!!!!!!」」

『よくそんな無茶を通せましたね……」

 

「ふふーん、ウチの人望を甘く見ちゃいけんでー。階級的にはなのはちゃん達よりも下……は当たり前やけど。まあ、ウチの元で働いてもらうっちゅーこっちゃ。来年からやけどなー」

「ほぇーー」

 

 

 

 

 

 

〜その頃のアインハルト〜

 

「ユタさんのせいユタさんのせい………」

 

アインハルトの点数を見ると、なぜか数学のテストに関しては悪かった。

なぜかというと……

 

「ユタさんが……数学のある日の直前に変なことをやりまくるから……頭がちゃんと働いてくれなかった……」

 

ユタがはっちゃかめっちゃかなことをしまくったからです。

 

この後、ユタは顔を合わせた瞬間に断空拳を2連発ほどやられることとなる




次からは学園祭ですねー

自分の方では体育祭です。beat itとハカを踊らないといけないんですよねー。
けど、割と楽しいんですよ。

応援団サイコー(真顔)


追記 自分は管理局などの構成などに疎いのでもしかしたら間違っているかもしれません。
そういうのがあれば感想などでご指摘ください


読んでくださりありがとうございます


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28話

はい、更新遅くてすいません。
色々と忙しかったもので。

今回は学院祭ですよー!
ユタの(別の意味で)本領発揮できる場です!

あと、他作品を読んでて思ったのですが、自分もコラボしてみたいなーと思ってたり(小声)


それではどうぞ!


インターミドルが始まり予選も準決勝が近づいてきた頃St.ヒルデ学院では……

 

「えー、というわけで!学院祭の出し物について厳正なる投票を行いました結果!我がクラスの出し物は『スポーツバー』に決まりました〜」

 

そう、学院祭が近づいてきている。

今は、クラス内での出し物を決めているのだが……

 

「スポーツバーかー。さて、暇な時間にどうやって客を集めてやろうか」

『お願いですから一昨年のようなことはやめてくださいね?』

 

何がだよ。ただたんに買ってくれるならオタ芸やるっていって客集めただけじゃん。

 

ちなみに司会進行はクラス委員の……確かユミナ・アンクレイヴさん。

 

「簡単な室内競技でお客さんと競ってもらってお客さんが勝ったらドリンクサービス!負けたらチャリティ品をお買い上げいただく、と!」

「我がクラスは運動部のエース達も揃っていますし…楽しい出し物になりそうですね」

 

先生もなかなか乗り気でいらっしゃる。

 

「プライド〜どうせ暇なんだろうから準決勝の相手の情報集めよろしくね」

『暇なわけではないのですが…………』

 

「部活のエース達はそれぞれのスポーツを生かして活躍してもらうとして……あとはアインハルトさん!それにユタさん!」

 

「はいっ」「はいっ⁉︎」

 

急にユミナさんに振られきょどってしまった。

 

「2人ともインターミドル選手なんだし格闘勝負のコーナーとかどうかな?」

「あーそっか!」「すごい強いんだよね?」「ユタさんの影はテレビで見ても怖かったよー」「私もテレビで拝見しましたよ。素晴らしい試合でした」

 

「いえ、そんな…もう負けてしまいましたし」

「私に至ってはまだあるけども」

『どうせ大してやること変わらないんですから腹をくくってください』

 

「インターミドルでエリートクラス4回戦、それに一昨年に初参加で都市本線決勝まで行けたことって相当凄いことだもんねえ。ということで先生どうでしょう?」

「そうですね。実現できたら楽しそうだけど…出し物で格闘技はちょっと危ないわね」

「「「「えーーっ」」」」

 

と、クラス一同が落胆した。えー、いいじゃん。やろうよ。

 

「えーと、それじゃあアインハルトさんとユタさんの担当スポーツは……」

『一つ宜しいでしょうか?』

「ん?どうしたの?えーと……」

『プライド、と申します。マスターの愛機です。先ほどの件なのですが……マスターの種目は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アームレスリングの選手と的当ての選手?」

「はい、なぜかそんな役目に抜擢して頂いて」

「私はプライドの口車にみんなが乗っかって断るに断れなくなった」

 

今はヴィヴィオちゃん達と一緒だ。帰り道にばったり会ってしまった。

アインハルトはアームレスリングの、私はなぜか的当ての選手だ。とは言ってもボールを使うような的当てじゃない。

 

簡単に説明するとこうだ。

リングの中で私に1発でも攻撃を当てれたらクリア、というものらしい。

制限時間は2分。

相手は最大3人まで同時にオッケー。

また、年齢によってはハンデもつけるから誰でも気軽にできる、というものだ。

もちろん、私からの攻撃はナシ

 

 

不安しかない。

的当てというよりはサンドバックにならないよう頑張りましょうって罰ゲームの類いでしょ、これ

もしインターミドル上位選手とかプロ格闘家とかきたらどうすんの。

 

 

 

閑話休題(私の話はどうでもよくて)

 

 

「どちらもすごいじゃないですかー!」「アインハルトさんとユタさんならきっと大活躍ですねー!」

「どうでしょうか?」「どうだろうねー」

 

「おーいっ!アインハルトさーん!ユタさーん!」

 

と、そこに入ってきたのは例の学級委員ことユミナさんだ。

 

「お話中ごめんねー!こんにちはみなさん」

「「「こんにちはー」」」

「私、アインハルトさんとユタさんのクラス委員!ユミナ・アンクレイヴです!で、2人とも、今日はごめんね。急に話振っちゃって。大丈夫?迷惑じゃなかった?」

「いえ、迷惑だなんて思っていませんよ」

『この人は、なんだかんだ絶対に本気になるので気にする必要ありませんよ。というか、この人にそんな気遣いをするだけ無駄です』

「なんか、今更だけどプライドって絶対にSだよね!機械のくせに!あと、それは私がいうべきセリフ!」

 

思わず突っ込むと周りに笑いが起きた。うん、最近みんなプライドや私の性格について理解してきたね。反応が面白みがなくてつまらない。

 

「ありがと。あと、えーと」

 

と、ユミナさんがアインハルトに耳打ちをする。すると突然顔を赤くした。……なんか面白かったから反射的に写真を撮ってしまった。

 

「ちょっ!消してください」

「嫌だよ〜〜。消して欲しいなら」

「欲しいなら?」

「前に家で見せたこのアニメのセリフを言っ……」

「断空……」『シグナムさん、はやてさん、この人とうとう……』

「すいません!すいません!謝るし消すから2人ともやめて!」

 

と、煽ろうとしてたら断空拳を打ち込まれそうになるわプライドに連絡されそうになるわで危うく天国が見えかけた。

 

「あははー。ユタさんって愉快な人なんだね。去年は話しかけれる雰囲気じゃなかったからなぁ。眼と右腕に包帯をずっとしてたし。……あれ?でもインターミドル復帰してたのになんで今も左目に包帯巻いてるの?」

 

おっ、やっと突っ込んでくれた。え?つけていなかったと思い込んでたって?いやいや、基本的に母さん達のいないとこではつけていますよ。

だって、かっこいいんだもん。

 

「これは……」

「「「「かっこいいからです!」」」」

「なんで4人ともセリフを取るの⁉︎」

 

酷い!誰1人私にドヤ顔をさせてくれない!

 

「実は私見る専だけど格闘技ファンなんだ」

「そうなんですか?」

「だからチームナカジマのみんなの活躍もテレビで見てたの。ヴィヴィオ選手にリオ選手にコロナ選手!」

「ありがとうございます!」

「今度みんなにサイン貰いたいな〜」

「そんなぁー」「あははは♪」「えへへー」

 

「ユミナさんって、年下の扱いうまいねー」「ですね」

「あ!ユタさんは絶対にサインちょうだいね!去年はとても話しかけれる雰囲気じゃなかったものだから…」

「ん?あ、ああ。怪我してた時のね。っていうか、私のサインとか正直価値ないと思うんだけど」

「いやいやあるよ!初出場で決勝まで行く人だよ!絶対に将来大物になるよ!だから絶対ね!」

 

と、突然スイッチが入ったように迫ってきた。うん、顔近い。あと、コロナちゃんだけなんか顔赤めているのは気のせい?なんかいきなり、ユミナさん×ユタさん?いやユタさんの方が……みたいだことをぶつくさ言ってるんだけど。なんか怖い!

 

「わかった、わかったから顔近い!」

「あ、ごめん。ま、それじゃまそういうことで!」

「あ、はい」「うん」

「みんなもまたねー!」

「はい!」「ごきげんようですー!」

 

と、ユミナさんはどこかに走っていった。

 

「ユミナさん楽しい方なんですね」「ですね」「私はあのテンションは苦手かなー」『マスターに言われたらおしまいな気がします』

 

「そういや、ヴィヴィオちゃん達は何をするの?」

「うちは【魔法喫茶】です!きてくれた人に基礎魔法の楽しさを見てもらう喫茶店です」「特にコロナのゴーレムが大活躍の予定です!」

「なるほど」「アインハルト、私たちも負けてられないよ」

「そうですね。…さ、それでは学院祭のことも頭に起きつつ」「今日からはまたフルタイムでのトレーニングも再開!」「そして時間のあるときはユタさんのお手伝い!」「やる気全開です!」

「今日も練習頑張りましょう!」

「「「おーーっ‼︎」」」

 

「4人とも、私のことは気にしなくてもいいのに」

『4人なりのマスターへの恩返しの気持ちらしいですよ』

 

いい子だねー。ほんとに。とくにヴィヴィちゃんなんか天使だよ。なのはさん。あなたの娘さんは天使です。私が男だったら絶対に好きになるタイプの子ですよ。

 

『せっかくいい雰囲気をぶち壊すマスターは悪い意味で流石です…』

「でしょ」

 

 

 

そんなわけで、いつもの学校生活とよりハードになったシグナム姉さんとの特訓。チームナカジマのみんなはチームでの練習。

それから放課後の学院祭へ向けての準備。慌ただしくも楽しい時間は早く過ぎていった。

 

 

 

 

 

〜学院祭当日 St.ヒルデ学院〜

 

「おかしい、なぜこうなった」

『いつも調子に乗ってるからバチが当たったのでは?』

 

うん、なんでだ。なんで私は()()()()()()()()()

 

「似合ってるよー」「かわいいぞー!」「オタクー!またオタ芸見せろー!」

「やかましいわっ!そもそも、なんで東○projectの妖夢なの⁉︎」

「それがユタの家にあったやつで一番胸のサイズが合……じゃなくて、可愛いと思ったから」「可愛いから心配すんなー!」「かっこかわいいー!」「男物だと俺たちがイラつくんだよー!似合い過ぎて!」「貧乳〜!」

「誰が貧乳じゃっ!」

「ぼっちオタクー」「年齢イコール彼氏いない歴を貫き通せー!」

「貫き通さんわ!私は彼氏いるっつーの!」

「「「え?」」」

 

おい、ちょっと待って。なに、その世界の終わりを見たような顔は。

そんなおかしいこと言った?

 

「はいはい、茶番はそこまでにしよー」

 

あ、はい。すんません。ユミナさん。てか、何が茶番だ

 

「それじゃあ、皆さん。今日一日、全力で頑張って楽しみましょう!」

「「「「おーーー!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、結構繁盛してるなー」「ですねー」「ユタさんにアインハルトさんはー」「ユタはあそこですわね。アインハルトはあちらに」「おおー。なかなか注目集めてるみたいですね」

 

と、体育館に一つの団体が来た。それは

はやて、ヴィクトーリア、エリオ、ミウラ、ルーテシアだった。

 

『さー、こちらは現在37連勝!止められる猛者は現れるのか!』

 

アインハルトは未だ無敗らしい。

 

『こちらは9歳以下を除けばいまだ無敗!さあ、自信のある人はどうぞ!』

 

「なんや、9歳以下を除けばって」「わざと勝ちを譲ってるんでしょうか」「みたいですねー。ほら、あれ」「ほんまやー。っつか、なんやあの格好は」

 

と、ルーテシアが指を指すとユタはちょうど5歳くらいの子とやっていた。

が、何度か攻撃を避けた後わざとらしくコケてその隙に当てられていた。

 

「おーい、ユター!」

「あ、母さん。って!エリオ!来てくれたんだ!」

「そりゃあ、彼女からの頼みだしね」

 

と、その言葉を出すと無性に恥ずかしくなったのかエリオもユタも顔を赤くしてしまった。

 

ユタは、大人や周りの男子生徒からはヒューヒューと言われて彼氏のいない女生徒からは羨ましそうな目で睨まれていた。

 

「……ニッ。おーい、ミウラ、ヴィクター。2人がかりとかでもオッケーらしいから言って来たらどうや?」

「えっ、いいんでしょうか…」「さすがにわたくしたち2人がかりでは…」

「いえいえー、構いせんよ!むしろ派手に!」「俺たちもユタがガチで負けるところ見て見たいんで!」

 

と、はやてがいうと2人は戸惑ったものの他のクラスの人にも押されて無理やりリングに上がらされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、プライド。これって何かの間違いだよね?」

『現実をみてください』

 

いやだ、みたくない。

なんてヴィクターさんもミウラもやる気満々みたいな感じでリングに上がって来てるの?

2人がかりでやるってどんないじめですか!

 

「よろしくね、ユタ。やるからには…全力でやらせてもらうわ」「ユタさん、よろしくお願いしますー」

「なんでこんなことに……」

 

「そういえば、魔力とか使うのはありなんですか?」

「ありだよー。ミウラ。抜剣とかガンガン使ってきな。あ、ヴィクターさんの電気はいろんな意味で危ないので禁止で。あくまでも身体強化のみでお願いしますね」

「「わかりました(わ)」」

「ちなみに、私も影とかガンガン使うので♪」

「「は?」」

 

 

『おおー!なんと挑戦者は格闘技選手!インターミドル都市本線常連のトップファイター。雷帝ことヴィクトーリア・ダールグリュン選手!そしてもう1人は一回戦で一昨年の3位を下した奇跡のルーキーことミウラ・リナルディ選手です!』

 

 

ああーー、ユミナさん。場のテンションを上げるのうまいなー。

これ、負けたら恥ずかしいやつじゃん。

 

『それではー、レディーファイト!』




さあ、果たしてユタは生きて帰ってこれるのか!(すっとぼけ

にしても、原作もそろそろ終わりと言われてますがどうなるのでしょうかねー。
楽しみです。

読んでくださり有難うございます


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29話

わりと、夜になると創作意欲が湧くというか。

1日で書けるものですね。

今回……ユタがいじられまくります。


それではどうぞ


コングと同時に私たち3人は構える。

 

最初に突撃してきたのは予想通りミウラだった。

抜剣の応用で一瞬で距離を詰めてきて容赦無く顔を狙ってきた。

それを間一髪とはいえ避ける。

 

「あっぶなぁ」

「まだです!」

 

ミウラはめげずに何度も拳を打ち込んでくる。

それを、ひたすら避ける。

 

そして、大ぶりの蹴りをバックステップで避ける。

 

「そこですわ!」

 

そして、その背後からヴィクターさんが手刀を繰り出してくる。

けど……

 

「ちゃんと()()()()()()。これでも一度ヴィクターさんには勝ってるんですから」

 

それを影で受け止めた。

 

「……っ!やりますわね!」

「せやあっ!」

「おっと」

 

ヴィクターさんが無理やり影をほどきサイド迫ってくる。

それに合わせるようにミウラも打ち込んできた。

ヴィクターさんのは軌道をずらし、ミウラのは影を硬くして受け止めた。

 

そして、2人から距離をとる。

が、ミウラが張り付いてくる。

 

「くっそ……邪魔だなあ!」

 

なんども、試合で見たような早く重い拳や蹴りを打ち込んでくる。

けど、いつもは反撃の隙を伺いながらやっているのに対しこれは避けることだけに集中すればいい。

試合の時よりは格段に楽だった。

 

「(今です!ヴィクターさん!)」

「(わかってますわ!)」

 

そして、多分ミウラはひきつけ役なんだろう。ヴィクターさんが後ろから迫ってきていた。

だから……

 

「よっ」

「いだっ!」「いたっ!」

 

前と後ろ、両方からの拳が当たる瞬間に下に避けた。

するとまあ綺麗にミウラの拳はヴィクターさんに、ヴィクターさんの拳はミウラに当たった。

 

「ふふーん、2人とも。その様子だと無理ですよ。残り時間も1分切りましたし」

 

「……しょうがないや。ヴィクターさん、お願いできますか?」

「ええ、もちろん。このままではいられませんものね!」

 

と、今度はミウラが下がりヴィクターさんが前に出てくる。

 

ヴィクターさんと一対一になる。

この人、本来は槍の使い手だよね?格闘術うますぎない?

 

お嬢様っぽい服装に似合わず軽やかなステップで拳を連打してくる。

けど、まだよけやすい。

 

「抜剣!」

「よっと!」

「へ?」

 

と、あろうことかヴィクターさんが急に私の前から避けた。

そして、そこにミウラが抜剣で突っ込んできた。

 

………危ないな!使っていいって言ったけど本気でやりにくるとは思ってなかった!しかも試合で使うようなガチな抜剣じゃん!

 

間一髪、首をそらし避ける。危ないので距離を取ろうとすると急に後ろから羽交い締めにされる。

 

「……っ!」

 

それはヴィクターさんだった。

 

「(まずい…抜けれない!)」

「さあ!ミウラ!今ですわ!」

「抜剣!空牙!」

 

影での防御?いや、間に合わない。負け……

 

『はーい!試合終了!3人ともお疲れ様でしたー!』

 

「「「へ?」」」

 

え?マジですか?終わり?てことは……

 

「ねえ、ユミナ。これって私の勝ち?」

「うん、そうだよー。すごいねぇ。やっぱりユタさんはすごい」

 

………なんだ、この不完全燃焼感は。

ヴィクターさんとミウラも同じらしく、納得いかない、みたいな顔してる。

 

……うん、私を睨まないで。

あと、そこの私の母親。いい加減に私のコスプレを見て笑うんじゃない。

 

「ユタさん、そろそろ休憩だよね?ご家族の皆さんを案内してきたら?」

「うん、そうするよ」

 

ユミナさんにそう促されリングを降りる。

どうやら、先ほどの試合で寄付がそこそこ集まったらしい。

 

「それじゃあ、ちょっと着替えてくるから皆さん、少し待っててください」

「「「「はーい」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?なんでエリオだけ?」

「いやー、それが……はやてさんがね、2人きりの方がええやろ♪って他の人もそれに乗っかって、なんかこうなった」

「あの狸……!!!」

 

着替え終わり戻ってくると、母さんたちの姿は綺麗に消えておりエリオだけになっていた。

 

 

フザケンナ!何が楽しくてこんな羞恥プレイばっかさせる!

ていうか、最近こんなの多くない⁉︎

 

 

あと、周りの男女!ヒューヒュー口笛吹くな!

 

「ユター!どこまで行ったんだー?」「キスはしたのかー?」「教えろー!」

「やかましいわっ!誰が教えるか!」

「「「ブーブーブー!」」」

「ブーイングすんな!」「ユタ、別に教えてもいいんじゃない?キスくらいしかしてないし」「ちょっ!ばっ……」

 

と、エリオを慌てて止めるももう遅かった。周りの目は……

 

うん、言いたくない。言いたくないけど言わなければならない。

 

「そのニヤニヤ顔とお前には合わねえって表情と嫉妬の眼差しで見てくるな!お願いだから!ていうかお願いします!もう解放してください!」

「ちょっ!ユタ⁉︎」

 

思わず土下座した私はきっと正常だと思う。

 

 

 

「「「「よし、許してやろう!」」」」

 

 

 

「はい、無駄なクラスの息の良さ&上から目線な態度ありがとう!(泣)エリオ!さっさと行こう!」

「え?う、うん」

 

エリオの手を引いてさっさと体育館から出る。

 

「それじゃあ、まずはどこから行く?」

「そうだなー。やっぱりヴィヴィオたちのところかな?結構豪華らしいよ」

「オッケー」

 

ヴィヴィオちゃんたちの教室ならわかる。

 

「わ、本当だ。しかもかなり人気っぽい?」

「だね。入れるのかな?」

「あ、大丈夫らしいよ」

 

入り口に着くと、空席あり、というふだがあった。

それを見つけると同時に入り口にいたメイド服を着た子がいらっしゃいませーと言ってくる。

 

「お邪魔しまーす」「失礼します」

『ようこそいらっしゃいませ』

「「おおー!」」

 

え!マジすごい!言葉だけだと伝えきれないけどすごい!

作者の世界にある文化祭とかいうやつよりはるかにすごい!

てかさ、もうメイド喫茶にしか見えないんだけど。

 

「すごいファンタジーだね」「だね、ゴーレム操作だからコロナちゃんあたりが頑張ってるのかな?」

 

さらに中に入るとヴィヴィオちゃんたちがいた。

 

「いらっしゃいませー。あ!ユタさん!エリオさん!」

「来てくださったんですね!にしても……2人とも熱々ですね!」

「「ハッ!」」

 

……忘れてた。今思い出したけどずっと手をつないだまんまじゃん。

 

……恥ずかしい。なに?みんならこういうのを耐え抜いて夫婦とかになってんの?すごいメンタル。尊敬するよ。

 

「熱々の恋人である2人はこちらの相席へどうぞー!」

「「どうぞー!」」

「お願いだからみんなして私をいじらないで!」

 

と、向かい合う席に案内される。

 

「ユタ、顔ものすごい赤いね」

「無理……アニメとかでしか見てなくて私には関係ないって思ってたのが全て私に降りかかって来てるから……まさかこんな羞恥プレイをやられまくるとは思ってなかった……」

「あ、あはは……」

 

エリオも苦笑いしてる。

かくいう私は顔真っ赤で机に突っ伏してる。

 

「ユタさん!ドリンクです!」

「ああヴィヴィオちゃん、ありが……」 「………え?」

 

と、飲み物を机まで持って来てくれそれを飲んで落ち着こうと思い顔を上げた。

うん、これが間違いだった。

 

「「ね、ねえ、ヴィヴィオ(ちゃん)」」

「はい?」

「「これはなに?」」

「八神司令からの差し入れです!あっ、ちなみにここはお残し厳禁なので!2()()()飲みきってくださいね!」

 

と、私とエリオの声が重なる。

 

さて、訳がわからない人も、察している人もいるだろう。だが、一応説明する。

 

目と前には、少し大きめのグラス。中には氷とジュース。そして刺さっているものは……

 

二本のストローでハート形が作られており、それが刺されていた。

 

いわゆる、漫画とかでよくあるカップルが飲んでるやつ。

 

「「……」」

「ごゆっくりー!」

 

 

 

「「あの狸!」」

 

 

 

多分、一言一句、しかも感情まで一致してたのはこれが初めてだろう。

 

「よし、エリオ」

「うん、わかってる」

 

私とエリオの目が合う。互いにやることはわかっているらしい。

 

「「(速攻で飲み干してここから出る!)」」

 

うん、周りでいろんな人に動画撮られてるけどそんなのは気にしてられない。

 

………んん?ちょっとまって。ジークさんとかエルスさんとかミカヤさんとかハリーさんとか、なのはさんとかまでいるのは気のせい?

気のせいだ。うん、きっとそうだ。

 

「はぁー熱々だねぇ」「まさか、ユタちゃんがこんなことになるとはねえ」「ユタさん……あなたは同類だと思ってたのに!」「無限書庫の時とは大違いだな」「ユタ〜、お似合いやでー」

 

はい、感想ありがとう。あと、エルスさん。勝手に同類にしないで。あなたの同類はどちらかというとコロナちゃんの方だ。

いや、なんの同類かは知らないけど。

 

「よし、飲みきった!出よう!」「そうしよう!」

 

息ぴったりな私たちは即座に喫茶店から出る。

周りの圧力のせいで手を繋がないといけなかったけど。

 

「おっ、ユタ。やっと出て来たなぁ。って、おい。逃げんな」

「ヘヴッ⁉︎」「は、はやてさん⁉︎」

 

扉から出た瞬間に襟を母さんに掴まれた。

 

「ケホッケホッ……な、なに!」

「いやー、これやってみてくれんかなーって」

「え…?」

 

母さんたちのいる方を見るとなにやら、小悪魔的なコスプレをしたヴィヴィオちゃんがいた。

 

「ユタさんも挑戦してくださいー!」

「……うん、まずこれなに」

「【ストライクデビル】っていう的当てゲームですよ!ちなみに今はエクストラハードモードです!」

「いやー、4人同時で受け止められてしもうたからな。ヴィヴィちゃんすごいでー」

 

……この人は私はシューターとかできないということを知っているのだろうか。

 

「わかっとるわ。ええからさっさとせえ」

「サラッと心を読むな!……ええと、これって魔力使っていいの?」

「はい!遠慮なしに使ってください!」

 

よし、言ったね?

 

「そんじゃあ、まあ、遠慮なく」

 

私は、ボールを構える。

それと同時に周りの観客がみんな息を飲む。

 

 

が、そんな緊張感は次の瞬間にみんな吹き飛んだらしい。

 

 

闇の箱(ブラックボックス)!」

「え⁉︎」「「「「「は?」」」」」

 

え?魔力使っていいんでしょ?

だから、影でヴィヴィちゃんを囲いました。

うん、ヤッタね。簡単に当てれたよ。

 

当てたあと、闇の箱(ブラックボックス)を解除し振り返ると全員にジト目で見られた。

 

「え、えーと」

「ユタ」

「はいっ⁉︎」

 

と、母さんに呆れたような声で言われ思わず姿勢を正してしまう。

 

「後ろを見てみ」

「え?」

 

ん?ちょっとまって、なんでみんな青ざめてるの?

後ろに魔王でもいるみたいに。

 

ん?ていうか、すんごい殺気を感じるんだけど。

 

「ユタちゃん?」

「ひゃいっ!」

 

恐る恐る振り返ると……

 

「さ、ユタちゃん。'お・は・な・し'しようか♪」

「え、え、いや、なのはさん、まっ……」

「ああ、ユタ、達者でな」「ユタ、お前のことは忘れない」「「「以下同文」」」

 

ああ、天は我に味方せずとはこういうのか(泣)

 

そのあとは………ご想像にお任せする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『というか、今までのマスターの行いのバチが当たったと思うだけなのですが。全て自業自得だと思うのですが。読者の皆様、そこのところどうでしょう?わたくしプライドの言葉に賛同できる方は感想欄で是非』




ユタは無事天に召されましたとさ。
めでたしめでたしw


はい、えーと、そろそろインターミドルの試合も挟んで行きたいですねー。

原作だと主人公たちので終わってますがこの主人公はユタなので。
予定としてはヴィクターさんやジークさんとも戦わせる予定ですので。

読んでくださりありがとうございました


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30話

祝!30話目!

だからと言って特に何か特別なことがあるわけでもないです。すいません。

1日1話投稿とかしてるわけでもないのに気づくと6ヶ月弱、そして、お気に入り登録者が250人を超えると。

嬉しいです。
これからも頑張ります。

それではどうぞ


ねえ、みんな。突然だけどさ。死んだ人が向こう岸にいる川って見たことある?

私?私はもちろんあるよ。というか、今実際に、現在進行形で見てる。

 

なんか、川の向こうでマリナ姉さんが必死に渡ってくるなってジェスチャーで伝えてくれてるよ。

 

どうすべきなんだろ。行って抱きつきたい。

撫でてもらいたい。

けど、渡ろうとすると必死になって腕でバツを作ってくる。

 

 

ははは。そうか、これは夢だ。そうだ、きっと夢……

 

 

 

「さっさと起きぃや!」

「いたっ!」

 

あれ?なんで私こんなことに……

 

「ん?なのはちゃんの'お・は・な・し'でとうとう壊れてしもうたか?」

「あっ!そうだった!正攻法でやったらなのはさんに……」

「魔力を使ってもいいの意味の違いくらいわからんかったユタが全て悪い。擁護できないっていろんな人から言われとったで」

 

なんで、納得いかない。

 

「学校ってことは、まだ学院祭は終わってない感じかな?」

「そやで。というか、もう昼ごはんの時間や。外のとこでヴィヴィちゃん達食べとるし一緒にお邪魔してきたらどうや?」

「え?エリオとじゃないの?ていうか、エリオは?」

「仕事があるとかで帰ったで。伝言は【ユタ、今日は色々とごめん。急に仕事が入っちゃって。埋め合わせは必ずするから!】……なーんか、熱々カップルなのが腹立つわぁ」

「勝手にイラつかないで⁉︎ていうか、さらっとクラウソラスを打ち込もうとしないで!」

「なんでやー!なんでユタにできて私にできんのんやー……!」

 

日頃の行いの違い?

 

『んなことあるわけないです。バカマスター』

「相変わらずサラッと心読むよね?その読心術おしえてよ」

『丁重にお断りさせていただきます』

 

無駄に丁寧な言葉で拒絶しないで。愛機にそんことされたら傷つくよ…。

「それじゃ、ヴィヴィちゃん達のところに行ってくるね」

「ほいほいー。ウチはなのはちゃん達と先生方に挨拶に行っとくわ」

「わかった」

 

 

 

 

 

 

「あっ!ユタさん!こっちですよー!」

「はいよー」

 

ヴィヴィちゃん達のところに向かうと、こっちに気づいたコロナちゃんが手を振ってくる。

そこには、初等科トリオの3人、アインハルト、ユミナ、ミウラがいた。

 

「ユタさん、大丈夫だったんですか?ママに連れてかれてから意識飛んでたって…」

「あー、大丈夫大丈夫。ただ、死んだ人が向こう岸にいる川を見ただけだから」

 

「「「それ、大丈夫じゃないです!」」」

 

「うん、初等科トリオの元気なツッコミありがとう。あー、なんか癒されてる気分…」

『マスターってやっぱりロリコンの可能性がありますよね。女なのに』「ユタさんって、同性愛者……⁉︎やっぱりユタさん×アインハルトさんとかなのかな…!」

 

「うん、プライドもコロナちゃんも誤解を生むような発言やめて?ていうか、まわりのみんなもドン引きしないで!」

 

ひどい!みんなが私を変な人を見るような目で!

 

「「「「『自業自得です』」」」」

 

「最近、いろんな人に心を読まれる件について」

 

読心術とか流行ってんの?というか、それを会得して得をするのはドSな人か管理局の人くらいだと思うんだ。決して、初等科や中等科のみんなが会得しても得はないと思うんだ。

 

「まあまあ、それよりお昼食べましょうよ」

「そうですよー!やっとみんな集まったんですからー!」

「それじゃあみなさん〜」

「「「「「「「いただきま〜す!」」」」」」

 

リオちゃんに促され、ヴィヴィちゃんの掛け声によりみんなで合掌し食べ始める。

 

「……美味しっ!」「お野菜もいっぱいで栄養もしっかり取れていいですねー!」

 

え?本当に美味しいんだけど。確か、ルーフェンの料理だっけ?リオちゃん曰く、母親に作ってもらったらしい。

 

………こんど、教わりに行こうか。

 

『ほんと、そういうことに関しては意欲がわきますよね』

「そりゃあ、数少ない私の特技だもん」

 

数少ない以前にないだろって?いやいや。

 

オタ芸でしょ。料理でしょ。音ゲーでしょ。リフレクトでしょ。

ほら、こんなにもある。

 

『間にいくつか余計なものがあったのは気のせいでしょうか』

「気のせいだよ」

『ああ、話は変わるのですがマスター』

「なに?」

 

『いい加減、二階のものをお片づけ願います』

 

「断る」

 

『なんでですか!もう、踏み場すらなくなりかけているというのに!』

 

「うっさいうっさい!あれは私のアヴァロン(理想郷)なんだ!」

 

『カッコつけた言い方ですがただのオタク部屋でしょうが!』

 

「何を!愛機の分際で!」

 

『えーえ!そうですよ!愛機ですよ!だから、こう、シグナムさん達にマスターが何もしていなくても、やらかしたって事を伝えることもできるんですよ!』

 

「脅してくるな!ていうか、それは本気でやめて!」

 

ひどい…というか、最近はこういうのばっかり……。

 

「みんなして私をいじって楽しいか!」

「「「「楽しい〜!」」」」

『……だ、そうですよ』

 

 

 

………ねえ、泣いていい?

まさか、その場のノリで速攻でみんなが返してくれるとは誰が思うか。

 

 

 

 

閑話休題(話を昼食を食べた後に戻そう)

 

「ねえねえ、ミウラ選手。ちょっといいかな?30秒くらい!」

「 あ、はい!」

 

と、何かを思ったのかミウラにユミナが話しかける。

 

「余計なお世話かもしれないんだけど…ミウラ選手オーバーワークなのかな?すごく疲労が溜まってるみたい」

「ゔっっ!」

「だから私流のおまじない!」

「え…あの、えと…?」

 

と、ミウラがベンチにうつ伏せで寝そべり、その上にユミナさんが跨いで膝立ちになる。

 

「失礼しまぁす」

 

すると、魔力を指に集中させミウラの背中を指圧し始める。

要は、マッサージだった。

 

「ほいっ!」

「はわ…わわ…っ!」

「で、それから……」

「ふえええっ⁉︎」

「大丈夫?痛くないかな?」

「ちょっと痛いですが…それ以上に…気持ちいいです〜…」

「この辺、いい感じでしょ?」

「あっ!あう…ふええっ」

 

……はっきしいおう。

エロい!

 

特にミウラの顔!声!

 

あ、一応言っておくけどミウラがやってもらってるのは背中の指圧マッサージだからね?そこんとこ勘違いしないでね?

 

まあ、何はともあれ、面白………げふん。いい写真が撮れた。

 

「はい、おわったよー。ちょっと動いてみて。蹴り足をあげるのがだいぶ楽になってると思うよー」

 

と、言われるがままミウラが蹴り足をあげる。

 

「!ほんとだ…!すごい!下半身が軽くなってますッ!」

「えへへー、おまじないが効いてよかったです♪」

 

「ユミナって、整体師やってるの?」

「えへへ…整体施術の二級をこないだ取ったばかりです!」

「そういえば、クラスでもよく友達にマッサージをしてあげていましたね」「そうなんだ?」『いや、結構頻繁にしてましたよ。マスターが見ていないだけです』

 

「ほんとはねー!アインハルトさんやユタさんにもしてあげたかったんだよね。試合の後とか、ハードな特訓の後とか、2人とも辛そうにしてた時あったから。

でも、こないだまで資格もなかったし…なんか気軽に触っちゃいけない気もしてて…。だって、

 

アスリートの体って、その人が時間と思いをかけて一生懸命作り上げた作品だから。

 

だから、資格もなしに半端な気持ちで『触らせて』ってのは失礼かも〜って!ああっ!あの、ミウラ選手にも別に軽い気持ちでお願いしたわけじゃないんだよ⁉︎」

 

「だ、だいじょうぶです!わかります!ボクは嬉しかったです!」

 

「失礼なことなんてないですよ。今度私にもしていただけたら嬉しいです」

『ユミナさん、この人にそんな気遣いは無用ですので。何かあれば遠慮なく』

「だからさ、プライド。それって私のいうセリフだよね?……まあ、プライドのいうとおり。プライド曰く、私って結構無理しがちらしいからそういうの見たらやってもらえると嬉しいかな」

 

「それはもちろんっ!」

 

ていうかさ、ノーヴェさん。この人チームナカジマに引き入れなよ。絶対に役に立つよ。

 

「そういや、リオ」

「はいっ。師匠、どうしました?」

「師匠はやめい。ミカヤちゃんに例の話しなくていいのか?」

 

「そうでしたっ!ミカヤさん!来週の連休ってお時間ありますか?うちのじーちゃんが連休にはお友達を連れて実家に遊びにおいでって言うんです!だからチームのみんなで行って田舎の山で練習したり…」「武術や剣術の秘伝書を探したり」「自然の中で心身を鍛錬できたらいいなーって!」

 

と、途中からリオちゃんの説明にヴィヴィちゃんとコロナちゃんが加わる。

ほんと、仲良しだね。

 

「名付けて『ルーフェン紀行・春光拳の秘伝書を探せ!ツアー』です!」

「おお……!」

 

わお、ミカヤさんが可愛い服とかを見つけた時の興奮した女子のようなまなざしになってらっしゃる。

こんな顔もするのね。

 

「それはすばらしいあ!是非とも参加させてもらおう!……それと、ユタちゃん。いま、何か失礼なことを思わなかったかい?」

「イエ、キノセイデス」

 

あ、どうやらちっこいイクスさんとミウラ、ユミナも行くらしい。

 

「あ、ユタさんは…」

「多分、いけるんじゃないかな?だよね。プライド」

『はい、準決勝に勝てば休養日なので』

「だそうです」

 

「よかったですー!」

「じゃ、決定〜!」「「おー!」」

「連休に思いを馳せつつ!まずは今日の学院祭フィナーレまでがんばろ〜!」

「「「「「おーー!」」」」」

 

 

「『みんな(みなさん).、元気だね(ですね)』」

 

 

 

 

〜3日後 インターミドル地区予選 準決勝会場〜

 

『予選6組ヴィクトーリア選手は圧巻の1ラウンドKO勝利!トップシードの実力を見せつけました!』

 

ヴィクトーリア・ダールグリュン(予選6組)

準決勝 1R0分49秒 KO勝利

 

 

『予選3組 ハリー・トライベッカ選手もライバルに負けじと強烈なKO試合を展開!』

 

ハリー・トライベッカ(予選3組)

準決勝1R3分12秒 KO勝利

 

 

『予選10組 ルーテシア・アルピーノ選手は対戦相手ファビア・クロゼルグ選手の出場辞退によりリザーバーマッチとなりましたが初参加とは思えない多彩な技を駆使してのKO勝利!』

 

ルーテシア・アルピーノ(予選10組)

準決勝 3R1分25秒 KO勝利

 

 

『予選1組ジークリンデ・エレミア選手は王者にふさわしい堂々の展開!見事に決勝に駒を進めました!』

 

ジークリンデ・エレミア(予選1組)

準決勝 2R2分15秒 KO勝利

 

 

『奇跡のルーキー、ミウラ・リナルディ選手!追い詰められていたところを突撃からの1ラッシュでの決着!』

 

ミウラ・リナルディ(予選4組)

3ラウンド 0分57秒 KO勝利

 

 

 

 

 

『さぁ!残るは予選8組!2年前に初出場で都市本線2位を勝ち取った、八神ユタ選手!対するはこちらも初出場!しかし、シューターも格闘術も使いこなす、ロゼ・レイリー選手!』

 

「はぁ、みんな勝ち進んじゃってるし…なんか無駄に緊張する」

「がんばりーや。ユタ」「そうだよ!ファイト!」

 

うん、ありがたいんだけど、なんで、なんで

 

「なんでエリオが私のセコンドに⁉︎」

「え、ルールーにもこっちに行ってあげろって」

「ルーさん⁉︎いや、いろんな意味で嬉しいけども!」

「うっさいからさっさと行ってこい」

「うん……それじゃあ、行ってくる」

「「行ってらっしゃい」」

 




どうでしょうか?
次はユタの予選準決勝です。

上手く描けるかは不安ですが…頑張ります



読んでくださりありがとうございます


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31話

はい、少し空きました。すいません。言い訳のしようがありません。

今回は準決勝です。
さて、吹っ切れたユタの初の試合です。

どんな感じでしょうかねぇ


それではどうぞ


『マスター、今日はどういう試合運びで?』

 

「うーん、そうだね。初っ端から影は全開で展開する」

 

『ふむ』

 

「後は……KO狙い」

 

『承知しまし……って、今なんと?』

 

「だから、KO狙い」

 

『正気ですか?……はぁ、承知しました。その代わり、無理はしないでくださいね?』

「わかってる」

 

ロゼ選手は、映像を見た感じ、ジークさんほどじゃないけど本当にオールラウンダーって感じだ。

射撃と格闘戦をうまく使い分けてる。

 

私は……吸収砲撃とカウンター中心かな。

 

「「「ユタさーん!ガンバレーー!!」」」『『『『ファイト〜!』』』』

 

急に叫ばれ、その方向を見るとアインハルトやヴィヴィちゃん、コロナちゃんにリオちゃん、ユミナやクラスのみんなが来ていた。しかも、ミウラもいる。

 

……緊張するなぁ。

 

「よろしく、八神選手。今日は精一杯頑張らせてもらいます」

「いえ、こちらこそ。ロゼ選手。私こそ精一杯やらせてもらいます」

 

リングの上でロゼ選手と握手をする。

そして、ある程度離れる。

 

「ふぅーー………よし。準備オーケー」

『ご武運をお祈りします』

 

 

 

 

『レディ、ゴー!』

 

 

 

 

 

「はあっ!」

「おっと」

 

開始直後、ロゼ選手は魔力弾を撃ち込んでくる。

それを避けると、さらに次が飛んで来る。

 

「よっと!」

「!」

 

一本の影を伸ばしロゼ選手に向かわせる。

すると、ロゼ選手はジャンプで避ける。

 

よし、時間が少しだけ稼げた。

 

「さぁてと、……影は生成できた」

 

そのわずかな時間を使い影を背中より少し後ろ。そこで横と縦にめいいっぱい広げ質量を持たせる。

 

「はっ!」

 

そこから、無数の手を生み出しロゼ選手に突撃させる。

その手は形状を様々なものに変化させながらロゼ選手に迫る。

 

が……

 

「これくらい……!」

「わあ、すごいなぁ」

 

本当にすごいな。影を撃ち落としてる。

何十本とあるのに的確に撃ち落としてる。

 

 

………まあ、魔力弾を撃たせるのが目的なんだけど。

 

「やっ!」

「っ⁉︎」

 

いつの間にか、ロゼ選手が近づいて来ていた。

どうやら、近接戦に切り替えるらしい。

 

 

ロゼ選手がローキックを繰り出す。

それを軌道をそらして避ける。

すると、体制が不安定なのに右手で殴って来る。

 

こんどは避けた。すると、ロゼ選手に確実な隙が生まれた。

 

影の拘束(シャドウバインド)

 

それを見逃さず、影でバインドを仕掛けた。

が、それも綺麗に撃ち落とされた。

 

「ちっ…」

 

うん、やっぱりシューターとしても格闘選手としてもうまいけどシューターとしての強さが飛び抜けてる。

 

「はっ!」

 

でも、それなら数で押しつぶせばいい。

影を生成した直後に放った時よりも、数を多くし目の前のロゼ選手に向かわせる。

 

最初こそ撃ち落とされ続けるが、近距離な上に数も最初より多い。

次第に、押されていた。

 

「バインド完了」

「くっ……」

 

「吸収放射」

 

「きゃあっ⁉︎」

 

そして、さっきまでばかすか撃たれていた魔力弾の一部をそっくりそのままロゼ選手にお返ししてあげた。

 

「うん、やっぱりこの案いいね。なんでもっと早く採用しなかったのか」

『まあ、魔力効率が前のままでは悪かったですし』

「それもそーか」

 

ライフ

 

ユタ 15000

ロゼ 13800

 

『バインディングダウン』

 

 

うん、だいぶ考えてた通りに動けてる。影も見た目だけで割と動かしやすい。

 

あとは……いつ罠にかけるか。

 

 

 

『『『おおおーーっ!』』』

 

 

 

歓声が起き、見てみるとロゼ選手が立ち上がっていた。

まあ、想定内。というか、あれだけで倒れるわけがない。

 

「よし……ゴー!」

「やっ!」

 

再度、影を伸ばしていく。

ロゼ選手は、バインドを解き魔力弾を撃ち対応する。

 

ここからは、耐久戦だ。

 

「プライド、魔力運用の補助よろしく」

『了解です』

 

そこからは、1ラウンド目が終わるまで、ひたすら影と魔力弾のぶつかり合いになった。

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ……」

「大丈夫かー?」

 

「うん……とりあえず、仕掛けはできたけど…まさか残り時間全部撃ち合いになるとは思ってなかった。どこかしらで近接戦に無理やりにでも持ち込んでくれると思ってたんだけど…」

 

「ユタ、それならユタから持ち込んだら?」

 

「エリオの言う通りにできたらいいんだけど……あいにく、私は自分から格闘戦に持ち込むってのがあんまり得意じゃないんだよね」

 

「なるほど…」

 

「ま、そこら辺はなんとかするよ。それじゃあ……行って来る」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 

インターバル回復

ロゼ 15000

 

 

 

 

「さーてと、頑張りますかー」

 

 

 

試合のコングが鳴ると同時に、私は距離を取る、がロゼ選手は近づいてきた。

まあ、それはいい。問題は……

 

「(どうやってポイントに誘い込もうか…)」

「(ユタ選手に、影を生成する隙を与えちゃダメだ!)」

 

どうやら、自分から近接戦に持ち込んでくれた。

 

「はあっ!」

「よっ」

 

それを、カウンターをするわけでもなく、ただひたすらに避け、受け流していった。

 

「バレット展開!」

「え?」

 

急にロゼ選手が叫んだと思うと、突如周りに無数の魔力弾が現れる。

 

「やっば…」

「バースト!」

 

それらが、至近距離で撃ち込まれた。

 

とっさに影を出したものの全てをガードできるわけもなくダメージを負う。

 

「(ユタ選手は…⁉︎)」

 

けど、そのおかげで煙に紛れることができた。

 

私は、ロゼ選手の左側から突進する。

 

「!やっ!」

「よっ」

 

すると、顔めがけて拳を入れてきたのでその手を掴み勢いを利用し地面に叩きつけた。

 

「吸収放射!」

「⁉︎」

 

そして、先ほどの弾幕からいくらか影の中に吸収していた魔力弾を放出しロゼ選手に命中させる。

 

その直後、すぐに起き上がってきたロゼ選手はまた接近してきた。

早いラッシュを叩き込んで来るが……

 

「(ヴィヴィちゃんの方が早い、これなら……)」

 

思うんだよね。隙をあえて作るって本当に諸刃の剣だよね。一歩間違えれば自分がやられる。

けど、そんなことを言ってられないのも事実。

 

「(いまだっ!)せやぁっ!」

「!」

 

そして、胸を無防備になったと思ったロゼ選手が強打を打ち込んで来る。

体を横に倒し右手で受ける。地面に対して平行になる感覚(ていうか、実際になった)にさらされながらもその場で回転し拳をあごに命中させる。

 

「く……」

秘密の箱(パンドラボックス)

「え?」

 

それでもまだ意識を飛ばすには至ってなかったらしく、私は、()()()影の箱で覆った。

闇の箱(ブラックボックス)と何が違うかと言われたら、

 

前者は私がその影の箱の中にいるっていうのと影をどうするかは目で見て考えることができる。また、大きい。

 

後者は、私も中はわからないためほぼカンでやらないといけない。

それに、命中率を上げるためにも小さくないといけない。

 

影の壁や天井に、無数の目が現れる。

これにより、はっきりとは見えないが大体の位置はわかる。視覚的にじゃなくて魔力を感知してるだけなんだけど。

 

「くっ……」

 

もちろんこの目もロゼ選手には見えていないだろう。

早く脱出した方がいいと思ったのか魔力を集中させ始めた。

恐らくは、火力を上げて一気に突破するつもりだろう。ま……

 

「させないよ」

「かはっ!」

 

あえてロゼ選手に近づく。

普段ならこんなことは基本的にしないがこういう状況だと話は変わってくる。

 

「くっそ…」

 

そして、チャージ途中のものを放つ。

 

「リフレクト」

「きゃ…」

 

そんなものは、リフレクトの餌食だ。吸収砲撃とリフレクトの使い分け、練習しといて良かったー。

 

そして、影を伸ばし、未だ私の場所もよくわからないロゼ選手を掴む。そして…

 

「そーれっ!」

「⁉︎」

 

私に向かって投げつけた。

そして、腕に影を纏わせる。

 

「とりゃ!」

「がはっ…」

 

当たる瞬間に纏わせた影を硬くした。そして、殴り飛ばされたロゼ選手は影の壁を突き破り、明るいリングの上へ出る。

 

『お見事』「どーも」

 

ライフ

 

ユタ 12400

ロゼ 7360 クラッシュエミュレート 腹部強度打撲

 

『ダウン』

 

 

ダウンを取れたのを確認し、影を引っ込める。

 

「ふぅ……結構いい感じかな」

『慢心はいけませんよ』

「わかってるって」

 

 

「やれます!」

 

「ま、そうだよね」

 

カウントが6行ったくらいでロゼ選手は起き上がってきた。

けど、足もフラフラしてきている。

 

 

カンカンカン!

『第2ラウンド終了!』

 

 

 

「うん、ええ感じやな」

「うん、ここからは接近戦を仕掛けに行く。けど、格闘でやり合うつもりはないよ」

『マスター』

「ん?」

『魔力使いすぎです、もう、1ラウンド目のように盛大に使うことはお控えください』

「はいよー」

「ユタ、頑張って!」

「う、うん……」

「ウチの目の前でイチャイチャするなんてええ度胸やなぁ?ユタ」

「だから、さらっとクラウソラス撃とうとしないで!………うん、よし、行ってきます」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 

 

インターバル回復

ロゼ ライフ11000

ユタ ライフ 14800

 

 

 

 

「よし、腕の魔法の準備」

『承知しました』

 

3ラウンド開始と同時に腕に影を纏わせる。そして、その上で硬化魔法の準備をする。

 

ロゼ選手に突撃していき、中距離あたりになったところでパンチの動作をし、腕から影が伸ばす。

それに驚き回避がワンテンポ遅れバランスを崩した。

 

「そりゃ!」

 

腕を横になぎ払うようにすると影も同じように伸び体制の悪いロゼ選手を吹っ飛ばした。

 

「ゲホッ…。シュート!」

「リフレクト」

 

ロゼ選手が魔力を撃ち込んでくる。それを避けれるものは避け、無理そうなものにはリフレクトを使いながら接近していく。

 

「こ……のぉ!」

 

至近距離まで来た時にロゼ選手が近接に切り替えた。

避けつつ、カウンターを狙う。

 

 

まだだ…もう少し、もう少し…

 

 

やっぱり近接もうまい。なかなかカウンターを決めれない。

 

『(完了です)』

「(おっけー!)……ふっ!」

「え?」

 

ロゼ選手の左側側に転がって離れ、ロゼ選手を中心に円を描くように配置した魔力を一気に操り影の刃としてロゼ選手に上空から突き刺しにかかる。

 

「く……このぉ!」

 

ロゼ選手は魔力を撃とうとしたが間に合わないと踏んだのか、そこから逃れようとした。私がが残した、唯一の逃げ道から。

 

だから、私はその逃げ道の方に回り道してやればいい。

 

「………!」

 

けど、ロゼ選手は私に一瞬驚いたものの、即座に対応してきた。私に拳を振りかぶってくる。

それを……

 

左手で受け止めた。

 

「っっ…!!」

「うん、よし」

 

すると、ロゼ選手が後ずさりをする。

 

「やっぱり、ジークさんとかアインハルトがクラッシュエミュレート起きないのがおかしいんだよね。本当だったら……こうなるのに」

 

腕は、もう影では覆われていない。

いつもの、黒い、金属のようなもので覆われていた。

 

 

ライフ

ロゼ 10800 クラッシュエミュレート 右手骨折

 

 

影の壁(シャドウウォール)三連(トリプル)

「っ⁉︎」

 

よろけた隙に、ロゼ選手の背後と横を影の壁で覆う。前は、もちろん私だ。

 

これにより、ロゼ選手はやることは限られてくる。

 

「正面突破か壁の破壊くらいだよねー」

 

ロゼ選手は、壁の破壊は無理だと思ったらしく私の方に突進してきた。

 

得意なはずのシューターも、影を警戒してかやってこない。

 

ま、これを破壊したいならヴィクターさんやハリーさんくらいの火力持ってきてもらわないとね。

 

顔を狙って掌底打ちをしてくる。

 

これを、顔をそらして避ける。

そして肘の部分に上に向かって拳を突き上げた。

 

「いっ…!」

 

 

ライフ

ロゼ8790 クラッシュエミュレート左肘骨折。

 

 

そして、トドメに硬化魔法のかけてある腕で顎にアッパーを喰らわせた。

 

 

 

『ダウン 10………9………』

 

 

 

ニュートラルコーナへ影を解除しながら下がる。

ロゼ選手は、必死に立ち上がろうとしているがなかなか立ち上がれていない。

 

『3……2……1……0!勝者は!八神ユタ選手!』

 

 

 

 

 

 

〜控え室〜

 

「お疲れ、ユタ。えらい好調子やったなぁ」

「うん!こんなにも考えてたことがうまくできたの初めて!」

『お見事です、マスター。今回は百点です』

「ありがと!」

「ユタ、おめでとう!」

「エリオもありがとう!」

 

ほんとに、気持ちがいい。こんなにも、作戦がうまくいったのは初めてだ!

 

「あ、ヴィヴィちゃん達きてくれてるらしいって。行ってきたらどうや?」

「そうする!」

 

ハイテンションのまま、体を休めることなく控え室から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「シグナム」

 

「はい、主。なんでしょう?」

 

「ユタ、だいぶ変わったなぁ」

 

「………ええ、そうですね。2年前の時とは、色々と変わっています。何より……技に迷いがなくなっています。あと、かなり強くなってるかと」

 

「よねぇ。ああ、本当に都市本線優勝しそうやわー。そうしたら、本格的にやるためにも、ジムに通うようになるんやろうなー」

 

「………」

 

「あ、シグナム、ちょい寂しいなーって思ってるやろ?」

 

「お、思ってません!決して、ユタと手合わせできなくなるから寂しいなんて思ってません!」

 

「へぇー」

 

「に、ニヤニヤしながら見つめないでください!」




どうでしたか?

次からはルーフェン編ですね。
しっかりと書いていきたいと思います。

読んでくださりありがとうございます


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32話

はい、遅くなりすいません……
何も言えません。

今回からルーフェン編です。

そうそう、本格的に、超ノロマ更新になっていきます。
ご了承を。

ではどうぞ


〜ミッドチルダ中央次元港〜

 

「はい、みんな揃ったね〜」

「「「「「はーーいっ!」」」」」

 

今は、いつものメンバー+αでリオちゃんの実家----ルーフェンに行くために港に集まっている。

 

ちゃんとメンバーの内容をいうと

チームナカジマの皆、私、ミウラ、ミカヤさん、ユミナ。

 

ちなみに、ルーフェンっていうのは、長い歴史と独特の文化を持った土地で、魔導も武術もミッドやベルかのものとは違うものなんだとか。

 

ぶっちゃけ、めちゃたのしみです。

 

「それじゃあ、リオちゃんの実家ルーフェンへ向けて!」

「「「「しゅっぱーーつ!」」」」

 

「相変わらず皆さん元気な事で」

『…マスター』

「はい、マスターです」

『マスターもなかなかの気持ち悪……じゃなくて、いい笑顔になってますよ?』

「おいコラ、いま気持ち悪いって言おうとしただろ。てか、ほぼ言っただろ」

『さて、何のことやら』

「よし、後で覚えてろ」

『マスターが家の2階のものを片付けてくれると約束してくれるなら覚えておいてあげましょう』

「さー、早く行こう!」

『逃げないでください』

 

ちょっと、プライドが言葉でない何かを言っていた気がするがそれを無視して私は列車に乗る。

乗ったあとは……

 

「んじゃ、プライド。いつも通り着く五分前にタイマーよろしく」

『はいはい……』

 

あれ?心なしかプライドが人っぽくなってる?

 

私?もちろん、溜まってるものを消化するんだよ。

ん?いかがわしいものかって?んなわけ。

 

ただのアニメです(キリッ)

 

『マスターがドヤってますが全くドヤれていない件について』

「相変わらずの辛辣な言葉ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着〜!ここがうちの実家の最寄り駅!迎えがきますから待っててくださいねー」

 

「「「はーいっ!」」」

「おお…自然多いな」

 

初等科トリオのみんなとかこういうの好きそうだね。

 

「綺麗な花がいっぱいあるねー。写真を撮っておこうかな」

『All right camera set up』

 

と、ミウラが少し離れたところに行く。

………ん?ちょい待ち。

 

「ミウラー、その、後ろの動物って…」

「へっ…?」

 

ミウラが振り返ると、そこには……

 

 

虎がいた。

 

 

「はひゃあぁぁぁぁぁっ⁉︎」

「ミウラっ⁉︎」

 

やばい!ミウラが虎に襲いかかられた!

 

「ミウ……ラ?」

「ふえ…えっ?」

 

あれ?襲いかかられたと思ったらただじゃれてた。

 

あ、やばい。虎めっちゃかわいい。

 

「こーら、シャオ!ダメだろ。お客さんにジャれついちゃ!」

「ニャア♪」「え、ええと…?」

 

「ミウラさん!すいません〜!それ、ウチの猫なんです。シャオ、めーだよ!あ、メイメイも久しぶり〜!」

 

と、あっというまに、二匹の虎がリオちゃんにジャレつく。

 

………猫?いや、間違っちゃいないのか。

虎ってネコ科の動物だし。

 

 

てか、サラッと新しい人出てきてるけど誰だ。

雰囲気リオちゃんに似てるけど背高いし肌も少し濃い。

 

「あ、みなさん!紹介しますね!あたしのイトコで春光拳の師範代!」

「リンナ・タンドラです♪みんな、荷物多くて大変でしょ?この子たちが運んでくれるから」

 

と、リンナさんが軽く自己紹介をしてくれた。

そして、猫さんが荷物を運んでくれるのだそう。

 

…って、軽く流したけどさ。リンナさん、師範代ってのとはめちゃ強い人なんじゃ…。

 

にしても、猫かわいい。シュンとする仕草とか笑ってる顔とか。

家に持ち帰りたい。やばい、いろんな衝動が収まらない。

 

『いい加減現実に戻ってきてくれませんか?バカマスター。皆さん、先へと行っておられるのですが』

「ハッ⁉︎」

 

あ、まずい。これガチで置いていかれてるやつです。

 

 

閑話休題

 

 

しばらくすると、リオちゃんの実家、春光拳道場が見えてきた。

なにやら、リオちゃんの祖父が待ってくれているらしい。

 

「ねえ、プライド。興奮が収まらない」

『ああ…マスターも、とうとう痴女というものになられたのですか……』

「ちがいわい!いや、だってさ、あのレイ・タンドラ老師に会えるんだよ?興奮しない方がおかしいって」

『わかっています、わかっていますから、へし折ろうとしないでください!』

「あ、ゴメン。つい」

 

ちなみに、レイ・タンドラ老師って人は、ルーフェン武術界で5人もいない『拳仙』の1人、要はバカ強い人。

若い頃から、拳法試合はもちろん、異種武術戦でも無双無敗なんだとか。

 

「あ、じーちゃん。いたいた」「じーちゃーん!」

 

と、少し先に、老人がいた。

 

 

「おお、リオ」

 

 

その人が、こちらを向いた瞬間

 

不思議な景色が見えた。

 

「…?」

 

目をゴシゴシしてもう一度見ると、さっきまであった景色は消えて、道場の景色に戻っていた。

 

「ただいま、じーちゃん!」

「おう、少し重くなったの〜」

「成長期だもーん!」

「ほっほっほ」

 

リオちゃんが、レイ老師に抱きつき、くるくると回されている。

 

「お友達もみんなようきたのー」

「「「「「「「はじめましてっ!」」」」」」

「ほっほっ。ま、そうかしこまらんでもええよ。長旅でお疲れじゃろ。部屋で一休みするとよかろうな」

「うんっ!案内してくる!ヴィヴィオとアインハルトさん、ユタさんたちこっち集合〜」

「「「「はーいっ」」」」

「あ、少しだけ待ってて、老師に一個御願いをしてくる」

「わかりましたー」

 

引率係のリオちゃんに、お願いし、少しだけ待ってもらった。そして、レイ老師に近づく。

 

「レイ老師!」

「ん?どうしたんじゃ?」

「いや……あの……。サインください!」

「ほっ?」

「レイ老師のことは、ずっと聞いてて尊敬してましたし、実際に会えるとは夢にも思ってませんでした!もう、これは忘れないうちにもらっとくべきかと!」

「そう焦らんでもいくらでもやるよ。ほれ、これでいいか?」

「ありがとうございますっ!!」

 

やったね!もう、ルーフェンの旅は終わりでいい!

 

『あいかわらず、バカなことを考えるのはよしてください』

「心読んでこない。では、私はこれで!」

 

そして、リオちゃんの方に向かう。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、リオちゃん」

 

「ユタさん?どうしましたー?」

 

「さっきレイ老師の後ろに、不思議な気が見えたんだけど」「あ、それ私もです!」「私も!」

 

どうやら、ヴィヴィちゃんも、アインハルトも、他の人たちも見えたらしい。

 

「ほんと?どんな景色?」

 

「えーと、すごい綺麗な空と風とか…」「あと、海ですー」「地平線とか」「草原?サバナっていうのかな?」

 

「そーか、そういう景色が見えたのは、みんなが優しいいい子だからだね」

 

と、リンナさんが言うが、未だによくわからない

 

「え、ええと…」

 

「ま、多分 滞在中にわかると思うよ!なーリオ!」

「うん、きっとすぐにわかるよー」

 

『マスターがいい子とか…そんなことありえるんですか……』

「いや、ちょっと待とうか。私がいい子でないみたいな言い方だね?プライド、私をなんだと思ってるの?」

『聞きたいですか?』

「あ、いや。やっぱりやめておこう。心をへし折られる気がする」

『チッ』

「露骨な舌打ちすんな!愛機のくせに!」

 

にしても、早く身体動かしたい。ここの特訓とか軽く見れたけどそのせいで体が疼く。

 

 

パァン!

あーーーーーーッ!!

 

 

と、そんなことを考えていると、悲鳴が鳴った。

 

「むっ⁉︎この声は!」「まさかイェン⁉︎」

 

リオちゃんとリンナさんがそれに気づき、焦って声のした方向に急ぐ。

それに私達もみんなついていった。

 

 

 

 

「イェン〜〜ッ!シュエ〜〜ッ!」

「「リンナ師範代!」」

 

悲鳴のした部屋に入ると、そこにはミカヤさんと見知らぬ少女(?)が3人いた。

白く長い髪が特徴の子と茶髪の、西洋と中華を足して2で割ったような雰囲気の子がいた。

最後の1人は、中華系のメイド……?の様な格好だった。

名前は、紹介した順にイェン、シュエ、タオ、だそうな。

 

「お前ら、また何か悪さしたなっ!」

「ミカヤさん、大丈夫ですかっ⁉︎それにタオも!」

「今のところ私もタオちゃんも大丈夫だよ〜」

「ミカヤちゃん、すげー音がしたけど」

「はは、まあちょっとね」

 

………?何かしたのか?

 

 

 

 

 

「ほんっっ……とーに、申し訳ない!!」

「「すみませんっしたー!」」

 

と、リンナさんが頭を下げ、タオさんを除いた2人が土下座をした。

 

どうやら、イェンとシュエが油ギトギトソース付着してる手でミカヤさんの愛刀を汚すわ、入れ物も汚すわ、怒られて逆ギレして喧嘩ふっかけたらしい。

 

…正直、バカでしょ。

 

『マスターにバカと言われるとは…かわいそうに…』

「いや、ちょっと待って、思っただけでいってないから。あと、それどういう意味だよっ!」

 

リンナさんによると、この2人、トップクラスの問題児でいたずらはするわ、しょっちゅう喧嘩するわ、らしい。そして、極め付けに大して強くない。

 

にしても、2人とも、もしミカヤさんが短気だったらどうなっていたことやら。

私の予想だけど、五体満足で済んでない。

 

 

閑話休題(そんなしょうもない話は置いておいて)

 

 

 

「と、いうわけで改めて!イェン・ランカイ!春光拳門下生見習い!」

「シュエ・ローゼン、同じく見習い!」

「みんなの案内とお世話をするよー」

「気安く気軽にタメ語でどうぞー」

 

と、なんやかんやあって、ルーフェン武術を体験させてもらえることになりました。

 

「みんな武道家なんでしょ?さっそく腕の見せ合いっこしようか!」

「いいですね〜」「お願いします!」

 

と、イェン達に引きつられていく。

にしても、ミウラたち楽しそうだね。

私?もちろん楽しみですよ!

 

「みんなはアレでしょ?近代ストライクアーツなんだよね?」

 

イェンに、移動中にそんなことを聞かれた。

 

「そうだねー。純粋にストライクアーツなのは私とミウラさんだけですね」「その中でも技の好みは結構違いますけど」

 

「コロナお嬢と、ユタお嬢がオリジナル魔法戦技で…」

「マイストアーツって言うんだ♪」「私のは……なんて言うか、影使い?的な?てか、イェンさん、お嬢はやめてください…なんか、恥ずかしいです…」

『マスターが恥じらっている⁉︎』

「いや、そこ驚くところ⁉︎」

「あははー。面白いな」

 

どこが⁉︎

 

「アインハルトさんがベルカ古流」

「ええ」

 

「ユミナさんは?」

「わたしは見る専〜♪みんなのサポーターかな!」

 

「で、リオお嬢はなんだっけ?」

「春光拳だよ!2人の先輩だよ!」

 

 

 

 

「さー到着!」「ここが『春光拳の体験入門コース』用の場所だよ〜。まずは動きやすい服に着替えてね」

 

と、イェンさんたちに促され、着替え場所に行く。

 

さてと、存分に吸収するとしますか。

 

 

 

「「「初等科トリオいっちばーん!」」」

「ヴィヴィお嬢もコロナお嬢もかわいいなー」

「リオお嬢はもね!」

「「「わーい♪」」」

 

「中等科チームも終わりましたー」

「うん…動きやすいですね」

「アインハルトさん、ミウラさん素敵ですー♪」「あれ?ユミナさんとユタさんは?」

 

「ああ、ユタさんは……」

 

 

 

 

「無理」

『さっさと、出てください』

「無理…」

『今更何を』

 

いや、絶対無理。なんで動きやすい服でチャイナドレスの露出増やしたバージョンなの⁉︎

超恥ずかしいんですが。

え?なんでコスプレ衣装持ってるくせにたかがチャイナドレスで恥ずかしがってるかって?

 

それは、わたしは見る専だから。基本的に、他人を着せ替え人形……じゃくて着せてから楽しむ派だから。

こんな、恥ずかしいことはわたしはできない。

 

『変なところでシャイと言うか…腑抜けというか。言っておきますが、マスターより露出多いユミナさんはもう出られましたからね?』

 

「なっ……なんだと…⁉︎」

 

『早く出ないと、写真をばら撒きますが?』

「いや、軽くスルーしないで……って、それはダメ!」

『3秒前…3……2……』

「だーもう!わかりましたよ!でます!出ますからその恐ろしいカウントダウンやめて!」

 

ちくしょう、後で覚えてろ!

 

 

外に出ると、笑われると思っていたが、みんなに可愛いと言われ、余計に顔赤くし、その挙句プライドに写真をはやてさんに送りつけられるという最高……じゃなくて最悪な結末を迎えたのだった。




どうでしょう?

いやー、ユタはやっぱりいじられるべき存在だと思いましたね。
写真を送りつけられた後に、家に帰るユタはどうなるのか…w



そういえば、シグナムのキャラ崩壊に関しては、何度か言ったと思うのですが、コメディ感覚なので笑い流してくださってもらえたら幸いです
てか、自分でキャラ崩壊は嫌いとか言いながら気づいたらこうなってたんですよね…。
一応、タグなどにシグナムについての注意点は加えました。


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33話

はい、33話目です。ようやくです。

色々と忙しすぎます。最近。ほんとやばいです。


と、自分のことはこれくらいにして、ルーフェン編2話目です。
ルーフェンはここからが本番ですね。

それではどうぞ。


「よーし!じゃあまずは基本の打撃!この袋をどーんと殴ってみようか」

「イェン先生がお手本ね!」

 

と、木に吊るされたやけにデカイ袋の前にみんな集まる。

そして、イェンが構え…

 

「はいやあ‼︎」

 

思いっきり殴り、ドシンという大きな音を立てた。

そしてみんなが拍手を送る。

 

「(ふっふっふ…驚いてる驚いてる!)」

「みんなもまずは思い切り叩いてみようかー?」

 

「はーい、じゃあ私から!」

 

どうやら、最初はコロナちゃんが行くみたい。

にしても、イェンさん。考えてることがわかりやすいよ。

絶対先輩ヅラしたいんでしょ。

 

と、まあそんなイェンさんの邪な考えはコロナちゃんの打撃により吹っ飛ぶこととなる。

 

ズドォン!

 

「二番、ヴィヴィオー!」

 

ドドドドドッ!

 

「三番、リオー!」

 

ドゴォ!

 

「覇王流、アインハルト・ストラトス、参ります!」

 

ドゴォォ!

 

「んじゃあ、五番ユタ、いきまーす。あ、リオちゃんよろしく」「オッケーです!」

 

ズガァン!

 

「ラスト、ミウラ行きます!」

 

ドウッ!

 

コロナちゃんの打撃からのヴィヴィちゃんの連打、リオちゃんの掌底突きにアインハルトの強打、そして私のリオちゃんの打撃の威力を利用したカウンター打撃、最後にミウラの蹴りにより、激しく動いていた袋は止められた。

 

「あの袋…300kg以上あるよな?」「ある」

 

「すみません、ちょっと大きく動かしすぎましたね」

「いやいや、むしろよくあそこまで動かせたよ…」

「止められて良かったです〜」

「やっぱり3人ともすごいねぇ〜♪」

 

やっぱり、アインハルトとミウラの打撃は威力おかしいよ。中等科1年のやる打撃じゃない。

 

『マスターもマスターで中々な打撃をやりましたけどね』

「あれはリオちゃんの力のおかげ。私の力だけだとめちゃ弱いの知ってるでしょ?」

 

何を言っているのか、プライドは。

 

 

 

 

 

少し休憩をとって、本格的な春光拳の講義に入った。

 

「春光拳は魔法も使うけどやっぱりベースは伝統武術!

ルーフェンの武術流派はいろいろあるけど共通しているのは『パワーの運用法』なんだ。

 

筋力とか魔法による身体強化は『(リー)』近代格闘技で重視されるのはこっちだね」

 

「プライド、ちゃんと録音しといてね」『言われずとも』

 

うん、プライドは私のいうことは大体察してくれているから助かる。

 

春光拳とかの伝統武術で重視されるのは術理で力を生む技術『(チェン)』らしい。

 

「けど、あたしは人並みはずれて非力で魔力もしょぼい。あたしがどんなに鍛えても『力』だけじゃ君達みたいにすごい拳打は打てない。そこでどうするか…」

 

と、さっき私たちで殴った袋の前にシュエが立つ。

 

タン!ズドォン!

 

「……すご」

 

「地面を蹴って加速している……のではないですね」「なんか、こう、地面に力を叩きつけてるというか」「爆発させてる感じ?」

 

「おお、みんな鋭い!正確には、『踏み込んだ力を拳で爆発させる』ってイメージかな?」

 

……やっばい、これはルーフェン武術はとことん吸収したくなってきた。

入門しようかな。

 

『アホな冗談は頭の中だけにしておいてください』

「おかしい、わたしは口に出してないはずだ」

『顔でバレバレなんですよ』

「あっ、なるほど」

 

 

 

閑話休題(時間は少したち昼前)

 

 

 

「お外で探し物?」

「そうなんです。私が書庫で見つけた地図がなにか大事なものだったみたいで…。リンナ師範代はみんなにもお手伝いいただけたら嬉しいと」

 

と、タオ…だっけ?召使の子がそんなことを言っていた。

その後は、みんなでいつもの服に着替えて一箇所に集まることになった。

 

 

 

 

 

 

「慌ただしく集まってもらってすまんのー」

 

と、大広間ではみんなの前でレイ老師が説明を始めた。

どうやら、この近くにある【三岩窟】っていうところに春光武林の『武』『道』『(じん)』を譲り渡すってタオちゃんが見つけた地図の裏に書いてあるらしい。

 

そのためには試練を突破し再奥にたどり着かないといけないらしい……。

 

うん?このシチュエーション、どっかで聞いたことある気がするんだけど。

 

「(ねえ、プライド。これってさ……)」

『(私は何も知りません)』

「(え?いや、昔にレイ老師関連について調べたことあったじゃん。その時にさ…)」

『(何も知りません)』

「(いや、だから……)」

『(何も知りません)』

「(……はいはい、わかりました)」

 

と、どうやらみんなでその【三岩窟】に行くことになったらしい。

 

私?もちろん行きます!

 

にしても、端っこでユミナやノーヴェさんたちがコソコソ話し合ってるのは気のせいだろうか。

 

 

 

 

 

 

〜三岩窟 入り口〜

 

「そんじゃあ、こんだけ人数もいるし三手に分かれて調べようか!」

「そうですね〜!」

 

「私とオットーくんとユミナちゃんは保護者役としてそれぞれ別れようか」

「はい〜!」「承知しました」

 

にしても、チームナカジマのみんなさ、テンション高いねぇ。その様子見てるだけで元気になるよ。

 

『マスター。そろそろ、ロリコンという種族を辞めて欲しいのですが』

「うん、プライド。二つほどツッコんでもいい?」

『どうぞ」

「まず、ロリコンじゃない!私は至って正常です!あと心を読むな!」

 

「おーい、ユタちゃん?聞いてるのかい?」

「聞いてないです!」

「天月……」

「はい、すいません!聞きます!聞きますから居合の構えしないでくださいぃぃぃ⁉︎」

 

斬撃が……髪を……少し切った……。

み、ミカヤさん怖……。

 

 

 

 

えーと、中央が頑健な体を鍛える道。

左側が知性と心を試す道

右側が『技』を問う道らしい。

 

さーてと、私はどこにしようかな……。欲を言うと全部行きたいんだけど。

 

まず、真ん中はリオちゃんとアインハルトなのは確定だろうし。

右はヴィヴィちゃんとミウラかな?

左はコロナちゃんかな?

 

あ、タオさんとシュエもコロナちゃんについて行くらしい。

 

「コロナちゃん、私も『心』の道でいいかな?」

「もちろんです!ユタさんがいるなら心強いです!」

 

と、コロナちゃんに聞くと快く受け入れてくれた。

 

あー、いい子だわ…。妹に欲し……いや、やっぱやめとこう。

 

と、くだらない話は置いておきまして、改めてチーム分けはこうなりました

 

『力』(中央)ルート

アインハルト リオ ユミナ

 

『技』(右)ルート

ヴィヴィオ ミウラ イェン ミカヤ

 

『心』(左)ルート

コロナ ユタ タオ シュエ

 

双子の執事さん……オットーさんとディードさんは入り口で猫の世話をしてくれるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜三岩窟に入ってしばらく経った頃〜

 

「今…」「うん、ズシンって揺れたね」「他のルートで何かあったのかな?」

 

「コロナちゃんたち、心配するのはいいけど、先にこっちを処理しよう」

 

「へ?…うわぁ⁉︎」

 

「コロナちゃん…これは」「はい、液体状ですがゴーレムです!」

 

だよね。なんか、ド○クエにでてくるスライムのような感じだけどれっきとしたゴーレムだよね。

 

「ご、ゴーレムって!それやばいやつなんじゃ!」

 

と、シュエさんが慌てふためいている。けど……

 

「ま、大丈夫だよね?コロナちゃん」

「はいっ!私達、ゴーレムについては詳しいですから!」

 

そして、この道の『試練』が始まった。

 

「そんじゃ、最初は任せていい?」

「もちろんですっ!ストーンランス!」

 

と、コロナちゃんが岩の槍を作り液体状ゴーレムに打ち込む。

ダメージはないように見えるがそもそもダメージを与えることが目的じゃないから大丈夫だ。

 

「いくよ、ブランゼル。ユタさん達と一緒に創り上げた新型創生」

『All Right master!』

「マイストアーム【ヴァンガードシフト】!」

 

と、コロナちゃんの背後に、ゴライアスの()()()()()()が創生された。

 

その腕は、コロナちゃんの指示で殴ったり、石のつぶてを撃ち込んだりと、一気にゴーレムを一掃していった。

 

「うん、いーよコロナちゃん。そろそろ交代しよっか」

「はいっ!」

 

と、かるくハイタッチをかわし、今度は私が前に出る。

 

「創主ユタの名の下に、敵を切り裂け!【影の執行者(ハーデス)】!」

 

と、私は()()()()()()ゴーレム創生をした。

姿形は、名前の通り神話にもでてくる冥界の王、ハーデスをモチーフにしたものだ。シルエットのようにしか見えないその体はフードを被っているような感じで、おとぎ話で死神が持っていそうな鎌を持っていた。

 

コロナちゃん以外のみんなは驚いてくれた。

 

と、同時にほぼ全身にできた眼と口によって全員に怖がられて内心ショックを受けたのは内緒。

 

「さあ、切り裂け!」

 

その合図と同時に、ゴーレムを何回も切っていった。

 

そして、気づくとほとんどの液体状ゴーレムは消えていた。

 

「ユタさん!やりました!」「うん、すごいねぇコロナちゃんは。やり始めたの一週間くらい前からなのによくそこまで物にしたね。えらいえらい」「エヘヘ〜〜♪」

 

と、コロナちゃんの頭を撫でるとなんか昇天しそうな勢いで顔真っ赤にして倒れ……

 

……ふぁっ⁉︎いやいや!帰ってこい!

 

ほおを2.3度、ペチペチとするとハッ⁉︎って言いながら帰ってきた。

 

にしても、ちゃんとしたゴーレム創生って合宿以来なのに、よくここまで高精度のものできたな、私。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん〜。みんないい感じで序盤クリアだね〜!」

「すごいですねリンナさん…。これだけのゴーレムをまとめて操作できるなんて」

 

「いやいや、操作自体は簡単なんだよ。簡単な命令で動くように作ってあるし。ノーヴェちゃんから事前に聞いてたみんなの得意なことと苦手なこと、それに合わせた練習メニュー。それを体感してもらうのがこの三岩窟の試練」

 

「ゴールに着いた時には自分の課題が見えてるはず…だよね!」

 

三岩窟の入り口付近では、ノーヴェさんやリンナさんたちがモニター越しにみんなを見ていた。

 

「かて!得意技でテンションを上げたあとは……」

「苦手項目にチャレンジしてもらおうか?」

 

この時のノーヴェとリンナの顔はどこか悪い人のように見えた。

 

 

 

 

 

「ふーん、これが『暗星行路』か」

「ひ、光の魔法を使っても真っ暗のままですね」

「ま、魔法の力で暗くしてあるらしいです。これを抜けた先に宝物があるらしいんですが…」

「にしてもさ、暗すぎない⁉︎」

 

私、コロナちゃん、タオ、シュエの順に目の前の文字通り光という概念がなさそうな道に対する感想だ。

 

「みんなで手をつないで行けばきっと怖くないですよ!」

「おおっ、それ賛成!」

「んじゃあ……私先頭しようかな。『影』使えば大まかな形もわかるしみんなの居場所もだいたいわかるし」

 

コロナちゃんが提案し、タオもシュエもそれに速攻賛成した。

そんな怖いものかな?

 

「あ、みんな右手出して」

「「「?」」」

 

と、私がいうとみんなが疑問符を浮かべながらも出してくれた。

 

そして、私は影に変換した魔力をみんなの右手首に軽く巻きつけた。

 

「え、これどうなってるの…?」「……」「ユタさん、これは?」

 

「うん、とりあえず簡単な目印。私の『影』は視覚で相手を察知するわけじゃないんだ。魔力を探知してるから、そのための目印。もし、はぐれたりしたらその影を引き千切って貰えばそれで離れてても居場所はだいたいわかる」

 

「なるほど…」「便利っすね!」「すごいです…」

 

「まあ、その『眼』か『口』に関しては我慢してね♪」

 

「「「え?」」」

 

と再度3人が右手首を見た。

その瞬間、3人中2人に悲鳴をあげられた。

 

……なんか悲しいというか、何というか。虚しい。

 

『自業自得だと思いますがね。あと、そんなものを見て悲鳴をあげない方がおかしいんですよ?』

「うるさいなー!うすうす気づいてるよ!」

 

「あのー、ユタさん、そろそろ…」

「あっはい。今行く」

 

そして、4人で中に入って行く。

 

「(………うん、まっすぐ行けば大丈夫かな?)」

「ゆ、ユタさん」

 

「ん?どしたのコロナちゃん」

 

「その…なんで洞窟の形がわかるんですか?」

 

「あー、さっき影は魔力を探知するって言ってたのにってこと?」

 

「は、はい」

 

「えーと、どう言えばいいんだろ。私の『影』っていうのは二つの使い方があって、索敵と攻撃の2種類がある。で、も索敵っていっても基本的に魔力を探知しちゃえばそれで終わりなんだよね。でも、考えたことがあるんだよ」

 

「何をですか?」

 

「またまた、わかってるんでしょ?」

 

「う…は、はい。多分ですけど、もし相手に魔力が無かったら、もしくは魔力を隠すことができたらどうするか。ですよね?」

 

「正解。それで私が考えたのが影の表面?っていうのかな。それと私の感覚をリンクする。そうすれば、影が触ったものがどこにいるか、どんな形をしてるかわかる。まあ、魔力探知とは用途が全く違うから魔力運用も違うんだよね」

 

「なるほど……。ありがとうございます!」

「いえいえー」

 

『……』

 

およ、珍しくプライドが黙りこくってる。何かあったのかな?

 

まあ、それはそうとさっさと暗星行路を抜けましょうか。




はい、どうでしょう。
最後のプライドの黙りこくったのは何でしょうね。

一応、この話での主役はユタなので、技ルートと力ルートは省かせてもらいます。

次回で、心ルートの最終試練までかけるかなーって感じですね。

読んでくださりありがとうございます


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34話

最近、学校忙しい……

受験シーズン真っ最中なのにこちらに時間を割いてる余裕があるのか…と自分で思ってきてる自分がいます。

けど、書くのは楽しいし息抜きになるんですよねぇ。

そうそう。お気に入り登録者300人超えました!みなさん、読んでくださり、本当にありがとうございます!!

それではどうぞ。



「いきなり逸れた……と言うよりは引き剥がされたね」

『ですね。ですが、割とみなさん近くにいるとは思いますし、探しますか」

「そうだねー。魔力感知用の影も消されてるし、頑張って探しますか」

 

誰かが入ってきたと思ったら、いきなり引き剥がされ、影まで潰された。なかなかの手練れじゃないですか。にしても

 

暗い……と言うか何にも見えないけど、影を周りに散らばらせてるから、どう進めばいいかもわかる。

 

そして……

 

 

()()()3()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「プライド、いつでも行けるよう補助お願いね」

『承知しました』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤバイ、いきなりみんなとはぐれた…。タオー!コロナちゃーん!ユタさーん!みんなどこー⁉︎まっくらだよー何にも聞こえないよー。みんなどこーーー⁉︎ユタさんの影もなんかないっぽいし…」

 

「(入ってすぐに誰かに手を掴まれて繋いでた手を引き離された。しかもユタさんの影まで…)これがこの場所の試練…なのかな?」

 

「おおお、落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃ……!」

 

コロナを除いた2人はかなり慌てていた。

なにも見えない場所ではぐれると誰でもそうなるから当たり前だが。

 

「シュエさんもコロナさんもユタさんもきっと困ってるはず……。あんまり使いたくないけど、少しだけなら……。如意乾坤……みんなを探して!」

 

と、タオは何かを操作し始めた。それは()()()だった。使い方としては、ユタの影に似ていた。

 

「ひえっ⁉︎…なにこれ、糸?ユタさんの影とは感触が違うし…」

 

「……?なんだろ、引っ張られてる?糸みたいだけどユタさんのとは違うみたいだし……。シュエさんかタオさんの魔法かな?」『Let's go first of all(とりあえず行ってみましょうか)』

 

「こっちがコロナさん、こっちがシュエさん……。ゆっくり歩いてきてくださいね」

 

その髪は、しっかりとコロナとシュエを見つけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どういうわけか説明してくれますよね?」

 

「いやー、まだ詳しいことはなにも言えないんだけど。まぁ、楽しんでくれてかつ自分の課題を見つけてもらえたらなってだけだよ」

 

あーーもう。背後から近づいてきた人に口塞がれて驚いてたらさ。

リンナさんっていうね。本気で撃退しかけて恥ずかしかった……。

で、今の言葉を聞く限り、企画ネタっぽい。

 

「で、タオさんはいまなにをしてるんです?」

 

いま、映像で見てると、タオさんが自分の髪を操作してコロナちゃんたちを引き寄せていた。

 

「あの子の『能力』なんだけどね。いろいろあって、あの子自分の能力を嫌ってんの。なんとかしてあげられたらなってあたしもアイリン、あ、別の道場の跡取り娘なんだけどね。その子も思ってたんだ」

 

「へぇ」

 

なんで、いい能力なのに。髪の毛操作なんて応用力高いだろうし。

 

「だから、今回の試練はタオのためでもある。コロナちゃんやユタちゃんにはちょっと付き合ってもらっちゃうかもなんだけど」

 

「まあ、私は大丈夫ですよ。こういうタイプの能力なら、私が一番適任だと思いますし。それに、コロナちゃんも人助けや悩み相談だったら全力で付き合ってくれますし」

 

「いい信頼関係だねぇ。さーてと、そろそろあたし達も行くよー」

「了解です」

「さーてと、身内にもバレない華麗な変装、見せてあげましょう♪ユタちゃんもやってみる?変身メイク楽しいよ〜?」

「全力で遠慮します」

 

この人、他人を着せ替え人形にするのが大変お好きらしい。ノーヴェさんも犠牲者になったとか。

 

 

 

 

 

〜暗星行路 出口〜

 

「「「ゴーールッ!」」」

 

「うおお!暗いのに眩しいーッ!」

「よかった…なんとか無事に出られました」

「タオさんのおかげですね〜」

 

3人は、無事に暗星行路を抜けていた。

けど、そこにユタの姿がない。

 

「あれ?ユタさんは?」

 

「それが、探せる範囲は全部探したんですけど見つけられなくて…」

 

「じゃあ、ユタさんなにかトラブルにあってるのかも…。ユタさんが抜けれないって考えにくいし…。私、探しに戻ります」

 

「あ、いえ。中にはいらっしゃらないかと思います。くまなく探しましたから」

 

「そうなんですか?」

「ていうか、タオはどうやってあたし達を探したの?」

 

「ええと、あの、その…なんといいますか……。とりあえずもう一度探してきますーーーッ!」

 

と、探した方法を聞かれたタオが焦り、慌てふためき再度暗星行路の中に入って行った。

 

 

「きゃああっ!」

 

 

「タオさんっ⁉︎」

 

と、突然、タオの悲鳴が聞こえたかと思うと、タオが吹き飛ばされてきた。

 

「暗星行路を抜けたようね。あなた達に、私とこちらの子が次の試練を与えましょう」

「………」

 

「「「ユタさんっ⁉︎」」」

 

と、暗星行路の出口から出てきたのは変装したリンナさんんと……

 

冷たい目をしたユタだった。

 

「(うん、割とプライド様のこと考えればいける。というか、コスプレ感覚でいけばいいのかな?)」

『(ああ、またマスターが何かダメな方向へ…)」

 

まあ、ただのなりきりなのだが。それでもシュエとタオに悪い印象を与えるには十分だった。

 

と、そろそろ私視点でいきますね。え?誰かって?もちろん私ことユタですよ。

もう、いま恥ずかしいのとプライド様のこと考えまくってるからなんか色々とハイになっております。

 

やっべえ、なんか目覚めそう。

 

と、そんなことを考えてると、リンナさんがシュエをバインドで確保した。

 

「はい、この通りあなた達のお友達は預からせてもらったわ」

「もしかして、そちらのユタさんも…」

「さて、なんのことかしら」

 

と、リンナさんがこっちに向かって手を振ってきたので、予定通り

 

「人間ごときが、私を見下すというのですか。穢らわしい」

 

と、言うとリンナさん表面には出してないけどめちゃくちゃ焦る。

なんでかって?

 

 

だって、アドリブだもん。

 

 

いや、まぁプライド様の言動とか考えを全部トレースできるとは考えてないけど。自分の考えれる限りの言葉です。

 

「と、とりあえず。お友達を返して欲しければ、あなた達で戦いなさい。私が満足のいく試合をできたならそれでよし。もしもできなかったら……」

「そのときは、私が2人をまとめて喰い漁ってあげますよ」

 

「「「「(こ、怖っ………)」」」」

 

あら、いつも通り影をめいいっぱい広げて口と眼をつけて先ほどのように言ったら皆さんめちゃ怖がっちゃった。

 

てへぺろ♪

 

『(よーし、マスター。あとでその映像ばらまいてあげます)』

「(いや!まって!ごめんなさい!調子乗りすぎました!)」

『(残念ですね。もう遅いです!)』

 

あ!このやろ、本当に母さんに送りやがった!

 

「コホン!と、特にタオ・ライカク。あなたはくれぐれも手を抜かないように。持てる技と力の全てを出して全力で戦いなさい!」

 

「でも…」

「えと、質問いいですか?」

 

「どうぞ」

 

と、始まる前にコロナちゃんは質問があるらしい。

 

「これって私たちを困らせたり意地悪したりが目的じゃなくて…」

 

「ええ、あくまでも『試練』よ」

 

「で、タオさんとわたしは『いい試合』をできるくらいには実力が近いってことですよね?」

 

「その通り……いえ、あなたよりタオの方が強いかもね」

 

と、その言葉でコロナちゃんの目が輝いた。

あと、なんかこの企画ネタに気づいたっぽい。

 

「そ、そんなことないです!全然ないです!こ、こ、コロナさん、違いますからねっ⁉︎」

 

「強いでしょう?あなたが本当の『全力』をだせば」

 

と、逃げようとしてるタオちゃんをリンナさんが逃げ道を潰した。

 

ちなみに、コロナちゃんはと言うと、めちゃくちゃやる気になってらっしゃる。

 

タオちゃんは、自分に戦う資格なんてない、と思ってるらしい。

その原因が、さっきコロナちゃん達を引き寄せていた『髪』の能力。

 

あっ、コロナちゃんとタオちゃんの試合は原作通りなのですっ飛ばしますね。

その間に色々と説明入れてくよ。

 

 

タオちゃんの髪を操る能力、正確には、髪を武器化する能力。『憑髪』ってタオちゃんは呼んでるらしい。

 

本人曰く、生まれつき持っていた『呪い』だって言ってるらしいが、リンナさんも……もちろん私もそんなことは思わない。

 

むしろ、ギフトだ。

けど、そのギフトは、タオちゃんを武術(好きなこと)から遠ざけてしまったらしい。

 

石段から落下したとき、かすり傷さえ負うことなく全くの無傷。

 

そして、キノコ採りの帰りに崖に落ちそうになった時も髪が守ってくれて怪我をしなかった。

 

最初こそ勝手に動く髪が少し怖くもあったけど助けてくれていたことには感謝していたらしい。

 

けど、やっぱり少し怖くて、武術を始めてからは『動く髪』は忘れようとしていたらしい。

 

けど、事件が起きた。

 

ルーフェン武術の中の一つ、華鳳拳の跡取り娘、アイリン・ハーディンって子と仲良くなれ、何回も練習をしてもらってた。

 

けど、3度目の手合わせで、すこしアイリンが本気でやるということになって、アイリンのあまりの拳の冴えに『怖い』と感じてしまったらしい。

そして、いつも通り、今までもなんどもそうしていたように

 

『髪』は目の前の脅威(アイリン)を排除しようとし、斬りつけてしまった。

 

事情を察した大人達の『卑怯な手を使った』という視線とついさっきまで仲良くしていた友達の怒りのこもった視線。

 

そして、周りの制止を振り払って向かってきたアイリンに『髪』が呼応してしまった。

 

その日のうちに、道場への立ち入り禁止にされた。

 

そのこともショックだったらしいが、何より、友達を傷つけてしまい、更には素性の知れない『技』を使って武を汚したこともショックだったらしく、そこから『髪』は呪いだと考えるようになったらしい。

 

 

 

え?説明長すぎる?あ、はい。ごめんなさい。

 

 

「コロナさんは…私のこれを、卑怯だとは思いませんか?武術家なのにこんな武器を使ってること……自分で動かしてるわけでもないこと」

 

「全然思いませんよ。応用範囲の広いいい技だなって思いま。タオさんは嫌いなんですか?自分の髪のこと」

 

「この憑髪があるから、私は武術ができません。人を傷つけてしまうから」

 

「えと…私の先輩にタオさんに近い悩みを持ってる方がいらっしゃるんですね。とてもほんわかした優しい方ですから、お話を伺ってみませんか?それにですね、そのタオさんの髪の能力にとても似ている方がいるんです。きっと、その人にもアドバイスもらえたりしますよ」

 

あ、巻き込まれてるし。

いや、まあもちろん手助けできるなら喜んでやらせてもらいますよ。

 

えーと、あと私の考え言ってもいい?え?ダメだって?嫌だね。言う。

 

タオちゃんの髪の能力、ぶっちゃけるとそんな『卑怯』でもない。優秀な技だけど弱点もわかりやすい。

 

私の影と何度も手合わせしてるからコロナちゃんもそのあたりはわかってるはず。

 

 

さてと、後に控えてる1on2のためにしっかりとタオちゃんの観察しますか。

 

 

 

 

 

 

「はい、試合終了!勝者コロナちゃん!」

「押忍ッ!」

 

うん、コロナちゃんの勝利。さすがはチーム1の知性派だね。

 

ちなみに吹っ切れたタオちゃん、バカ強くなってしまった。やっばい、これ勝てるのかな?

 

「え?あ……私」

 

「おっ、タオも起きたね。んじゃ、コロナちゃん、タオ。さっきはジャケット装備をするタイミングがなかったんだろうけど。こんどはちゃんとしときな。でないと……怪我するから」

 

「「え?」」

 

「なぜかと言うと、最終試練でユタちゃんと戦ってもらうから。さ、頑張ってねー!」

 

「やれやれ、ようやくですか。待ちくたびれましたよ」

「あ、ユタちゃん。そのキャラはもういいよ」

「何のことでしょうか、人間ごときが私に指図をしないでいただきたい」

 

「「「………」」」

 

おいコラ、みんな笑いを堪えないで。なんか虚しくなるから。

 

「では、始めましょうか」

「「押忍!!」」




はい、次からはユタvsタオ&コロナです。

どうやって書きましょうかねぇ……
頑張って書きます。
あと、更新が1ヶ月に1話レベルの頻度になります。
ご了承を。

読んでくださりありがとうございます。


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35話

はい、今回でようやくルーフェン編終わります。

更新は、この頻度かもう少し遅い頻度でやっていきます。
ご了承を。

それではどうぞ


「それじゃあ、試合開始!」

「「押忍!」」「さあ、どこからでもどうぞ」

 

その言葉と同時に、髪とゴーレム腕と影が飛び交った。

 

「(さて、色々と試してみますか)」

 

コロナちゃんやタオちゃんから、色々とヒントを得れた。

 

まず、厄介なタオちゃんの『憑髪』に対し避けつつ回避不能なものは影で対抗する。

 

「(やっぱり、『憑髪』もだけど……)こっちが厄介だなー」

『マスター、素に戻ってます』

 

やっぱり、コロナちゃんのゴーレムとの連携が厄介。

とりあえず…

 

「とにかく移動しまくるっ!」

 

集中狙いされないよう、ひたすら動き動き動き動く。

 

「せやぁ!」

「っ!」

 

そんな中、タオちゃんが間合いを詰めてくる。

ローキックからの回し蹴りを繰り出してきた。

 

ローキックは避け、回し蹴りは受けたものの威力を受け流し後方に着地した。

それと同時に今度は真上からゴーレム腕が撃ち込まれた。

 

けど、私はそっちに意識は()()向けなかった。

ゴライアスならともかく、ただの腕だけなら……

 

「⁉︎」

 

「うん、成功したね。あーよかった」

『初めての割には上出来です』

 

影による自動撃墜で破壊した。

 

私は、影を扱う時は遠距離、または中距離。格闘戦の時は近距離、で使い分けてたけど考えたんだよね。

 

片方をコロナちゃんがアインハルトと戦う時にしてあような自動操縦をプログラムしてやれば、格闘戦と影での戦いを同時にできるんじゃないかって。

 

もし、それができた場合、戦術の幅が格段に広がる。

そしてその結果はさっきの通り。

 

……まあ、精度とかはまだまだなんだけど。

 

「さて、次は……」

 

影メインに切り替える。

格闘戦もできなきゃいけないからね。

 

コロナちゃんが向かってきて、タオちゃんは後ろで『憑髪』で援護する形になった。

 

「う……おっ!」

「せやぁ!」

「あっぶ…」

 

あーもう!無理!タオちゃんの『憑髪』対処しながら自動操縦でコロナちゃんの格闘戦相手は無理!

無理なものは無理!

 

アッパー入れられそうになったし!

 

「しょーがない…か」

 

影も、格闘戦自動操縦も解いて一旦後ろに下がる。

 

「まず潰すべきは……」

「逃がしません!」

「⁉︎」

 

コロナちゃんは無視で先にタオちゃんだ。

幸い、さっきのコロナちゃんとの戦闘で弱点は見つけた。

 

それは……

 

「うん、やっぱり『影』で根元捉えたらそんなに強くないね」

「くっ⁉︎」

 

ドゴォン!

 

そして、タオちゃんが焦って大振りをかましてくれるのを予測すると同時に、それがきたのでカウンターを入れさせてもらいました。

 

「ふうっ、結局は、こうするしかないよね」

 

片方をできる限り最速でつぶし、できる限り1vs1を保つ。

2on1の時はこれが一番いい。

あ、ちなみにタオちゃんは顎にクリーンヒットさせてもらったので多分気絶したかな?

 

「さぁ、次はコロナちゃんだよ?」

「…っ!ストーンランス!」

「シャドウランス」

 

コロナちゃんが、岩の槍を創生したのをみて、私は『影』で槍を作る。

同時に発射されたそれらは当たると同時に崩れていく。

 

影の拘束(シャドウ・バインド)

「そうだ…った。ユタさんの影は…」

 

うん、そうだよ。形が崩れたからといって影が消えるわけじゃない。

形の崩れた影を使いバインドをかける。

 

「グラッブルクロー!」

 

影の壁(シャドウウォール)

 

また気づくと腕を創っていてそれを飛ばしてきた。

それを壁を作り出し防いだ。

 

「ロックバインド!」

 

「⁉︎」

 

腕が壁にぶつかり砕けると共に今度はその岩でバインドを仕掛けてきた。

 

「…っ、真似…されたか…」

 

「創主コロナと魔導器ブランゼルの名の下に、出でよ巨神!叩いて砕け!『ゴライアス』!!」

 

「まっず……」

 

「ギガントナックル!」

 

「…っ!!」

 

そして、勢いよくゴーレムの腕は振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、申し訳ございません。調子に乗りすぎました」

「もう!予定にないこと言われるわ、しかも最後に反撃できたとこをあえて反撃しないとか!何をしてんの!」

「何も言い返せません…」

 

「あ、あははー」「リ、リンナさん、もうその辺で…」

 

ああ、自分のやったことを振り返ると顔から火が出そう…。

 

…おいコラ、笑わないで⁉︎

 

 

「…しょうがない、これはじーちゃんにしごいてもらうしかないね」

 

「え?いいんですか⁉︎」

 

何そのご褒美。火の中だろうが遠慮なく飛び込める。

 

…あれ?もしかして、そうとうヤバイやつ?なんか、周りの人の血の気が引いてるんだけど

 

ねぇ、誰か教えて⁉︎

 

「さ、みんな。この試練のメインイベント。お宝を見に行こうか〜」

「「おー!」」「ねえ、私ってこの後何が待ち受けてるの⁉︎」

 

 

 

 

 

 

「わー!これ、チームジャージでしょうか?」

「みんなの分あるっぽいね〜!」

「タオにはこれ、新しい拳法着。とりあえずは春光拳仕様だけどいいよね?」

「はい……!嬉しいです!」

 

と、みんな新たなチームジャージや拳法着に喜んでる。

けどね……

 

「ねえ、リンナさん」

 

「ん?」

 

「なんで、私の分まであるんでしょうか?私、チームナカジマの一員じゃないのに」

 

「あー、そのことね。詳しいことはわからないんだけど。ユタちゃんのお師匠さんはノーヴェちゃんのところに今後は預けるらしいんだよね。ノーヴェちゃんとユタちゃんのお師匠さんで話し合ってそう決めたらしい」

 

「なるほど…」

 

「さ、オットー君達も合流するそうだし、3人は着替えて集合場所に移動〜!」

 

「「「「はーいっ」」」」

 

 

 

 

〜三岩窟 天声の間〜

 

さて、みんな集合。

リンナさん達によると、まだメインイベントがあるらしい。

 

ちなみに、なぜかチャンピオンのジークさんと……えーと、たしか聖王教会のシスターで……えーと

 

「シャンテだよっ!いい加減覚えろ!」

 

「ああ、そうでしたそうでした。それはそうとシャンテさん?なぜ心の中を読めたのか教えて欲しいのですが」

 

「『ユタ(マスター)にはまだ早い(です)』」

 

「2人同時に返してくんな!あと、何なの、私にはまだ早いって⁉︎」

 

理不尽…理不尽ですね。世の中は。

 

あ、そうそう、新たにきたメンバーはさっき言った2人の他にちっこいイクスさんとヴィクターさんの執事のエドガーさん。

ヴィヴィオちゃん達と一緒にいた新しい子達はアイリンって子と執事のクレアさん。

クレアさんはエドガーさんの妹さんで、アイリンって子は武道場の跡取り娘。同年代では敵なしらしい。

 

 

そして、さらには総師範であるレイ老師。

 

 

「さて、みんなまだ最終試練は残っとるんじゃろ?せっかくだから皆でやるか」

「じーちゃん?みんなって?」

「うむ、せっかく師範クラスが3人おるんじゃ。ワシらで皆の相手をしてやれば良い」

「乱取り戦、ということですね?」

 

どうやら、最後は師範達と戦えるらしい。

……やったね!超いい試練じゃないですか!

 

毎年通いたいな。

 

「とゆーわけで!」

「わたくしたち3人と一本交代の乱取り戦!」

「ルーフェン武術の技、堪能していってくれ」

 

「「「「「「よろしくおねがいします!」」」」」」

 

よし、吸収できるだけしてやる!

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

師範連合による最後の試練は無事終了。みんなルーフェン武術をこれでもかって程体験できました。

 

洞窟を抜けた山の絶景ポイントで弁当ももらって、みんなすごい幸せな気分です。

 

そして、いまはみんなで風呂場。

 

いや風呂じゃない。これ温泉です。

信じられない。道場の中に温泉ですよ⁉︎

 

ルーさんのところじゃあるまいし。

まあ、堪能させてもらいましょう!

 

 

……なんか、このあとに、本気の地獄が待ってるらしいので。

 

 

〜お茶会場〜

 

「さて、じーちゃんからみてみんなはどう?」

 

「ふむ、聞いていた通りみんないい子じゃの。全員、自分の流派をよくおさめとる。とくにミカヤ嬢はよくできとるの」

 

「天瞳流の師範代だもんねー」

 

とある場所では、レイ老師、リンナ、アイリン、ノーヴェ、オットー、ディードがいて、今回のみんなのことを話していた。

 

「リオたちの面倒もよくみてくれていて嬉しい限りじゃ」

 

「私にとってもいい友達です」

 

「コロナちゃんとユタちゃんは独特だね〜。武術でも格闘技でもない感じ」

 

「わたくし達とは逆に魔法戦技者として純粋なんですのね」

 

「コロナの方は最近マネージャー業にも興味があるみたいですが」

 

「あら勿体無い!」「タオを倒せるなら選手としても全然いけますわ!」

 

「コロナ喜びます。でも、ユタは魔法戦技というよりは命を張る方に…具体的には管理局を目指していて。まあ、もう就けるようにはなってるらしいんですけど」

 

「まぁ、それは個人の進む道だから、何とも言えないね」

 

「でも、ユタの母親は、願いを叶えてあげたくてやったけど、本当にこんな若いうちから命を張らせていいのか?って思ってるらしいです」

 

「そこは本人の意思の強さによるの。本気でやりたいと思うとるならワシは全然大丈夫じゃと思うぞ。実際、あやつはルールのある対人戦ならともかく、ルール無用でやらせるなら相当強いしの」

 

と、次はミウラ、その次はヴィヴィオ、アインハルト、ジークリンデと順々に評価をしていった。

 

とりわけ、アインハルト、ミウラ、ジークの評価はとても高かった。

 

この3人は、『神撃』の領域にたどり着く素質を持っているらしい。

頭やお腹という急所を狙う必要すらない、触れた場所がそのまま急所になるほどの強打。

 

そして、ユタとヴィヴィオは『神眼』の才能がある、と。

極限の見切りにして必中の一撃を生むという。

 

「ま、皆が個々を極めていくのを、わしは楽しく見守らせてもらうとするよ」

「もしまたご指導いただけるときがあれば、よろしくお願いします」

「私たちはいつでも大歓迎だよ〜!ノーヴェちゃんっ!また着せ替えてあげるね!」

「いや、それは…もう…」

 

 

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

「それじゃあ、お世話になりましたー!」

「「「「「なりましたーー!!」」」」」

 

「うん、気をつけて帰るんだよ」

 

様々なる出会いや発見があったルーフェンとも一旦別れ、

ミッドに戻ってまた新しい日々が始まる。

 

「にしても……筋肉痛が………やばい………」

『……みなさん、昨晩レイ老師に何をされたのかは聞かないでおいてあげてください。マスターの心に関わりますので』

 

 

 

 

 

 

 

 

よし、家に到着。荷物適当に放り込んで土産だけ持って母さんの家の方に出発!

 

「筋肉痛も少しは回復したし、まあ大丈夫かな?」

『……あの、ずーーっと治癒魔法かけててコレですからね?』

「その事実は知りたくなかったな…」

 

まあ、さっさと向かおう。母さんは仕事だとしてもザフィくらいはいるでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんでいきなり管理局に呼び出されなきゃなんないの?ねぇ、独身の神様」

 

「あんたのためや。貧乳」

 

ねぇ、私、メールで筋肉痛であんまり動けないっていったはずなんだけどな。なんでこのわたくしの母親様はこんなにも理不尽な命令を言ってくるのでしょう。

 

ちなみに、アインハルトとユミナもいますよ。

いまは食堂にいます。

あとからルーさんもくるとか。

 

「でな、ユタ。『戦技披露会』って知ってるやろ?」

 

「うん、母さんたちが毎年やってるやつだよね」

 

「そうやでー。でな、ユタが来年から管理局に勤めるようにはできたんやけど、お上がな、一応実力を見たいってことでユタにも参加してもらいたいってな」

 

「まあ、私はいいんだけど……インターミドルと日程が被らなければ」

 

「それに関しては大丈夫や」

 

「そう…。あ、どう言った形式?」

 

「大人数の中での戦闘を想定したやつでな、10vs10のチーム戦なんや。で、ユタにはチームの一員で戦ってもらう」

 

「なるほどね…」

 

え?アインハルトやユミナが空気?知ってるよ。

けど、どうしようもない。

 

「はやてさん、それは私も参加できるのでしょうか?」

 

「すまんなー、一応ユタの入隊試験も兼ねてるらしいからアインハルトは参加できひんのや。それに、今回のメインはユタやなくてヴィヴィちゃんとミウラの試合やからなー」

 

そう、なんか私のやつがメインみたいな話し方してたけどメインはヴィヴィちゃん達の方です。

残念、私の方は前座みたいなもんだ。

 

「……あ、母さん。ひとついい?」

 

「ん?どうしたんや?」

 

「もし私のチームが勝ってさ、私がMVP?っていうのかな?それを取れたら私からもひとつ要望を出したいんだけど」

 

「それは聞いてみんとわからんけど、例えばどんな?」

 

「例えばね…管理局のに勤めてる人の中で戦いたい人を指名できるとか」

 

「へぇ、ちなみに聞くけど、誰や?」

 

 

()()()()()()()と」

 

 

「……」

 

「母さんや、ザフィ、ヴィータさんやなのはさん、フェイトさんも捨てがたいんだけど、やっぱり私の『強さ』の象徴であって私の『師匠』であって私の『目標』であって私の『憧れ』でもあるシグナム姉さんと……って、母さん?どしました?なにニヤニヤしてるの⁉︎私、そんな変なこと言った⁉︎」

 

「いーやー、別にぃ〜?ま、聞いてみるわ〜」

 




はい、どうでしょう?

さて、シグナムとの戦いはどうやって表現しましょうかねー
これを機に勉強の合間を縫ってYouTubeとかでしっかりみときます。

読んでくださりありがとうございます


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36話

前に投稿したのいつだっけなぁ…と、見てみるとすでに1ヶ月ガたっていました。

時間経つの早すぎて怖い…
いや、ノロマ更新と言っていたから大丈夫なはず…(震え声)

描いてて思ったのは、1ヶ月以上も経ってると描き方忘れてますねw

すこし作品の雰囲気が違うかもしれませんがご了承を


それではどうぞ


「ほいっと、聞いてきた限りは大丈夫やでー。MVPと言わず、ユタのチームが勝ったらいいって」

「ほんとっ⁉︎よっし!」

「なんか、ヴィヴィオの方もおんなじよーな事を言うてたらしいしな。予想はしてたって」

「へ…?」

「ヴィヴィオはミウラに勝てたらなのはちゃんと戦いたいゆーてたらしいし。考えることはおんなじやなー」

「へー…」

「広報部的には、めちゃくちゃ美味しいからむしろお願いする、とのことや。ユタ、負けられんくなったなぁ」

「ゔっ……」

 

自分から言いだしたこととはいえプレッシャーかかるなぁ……。

 

「あ……」「クロ?」

 

そこに現れたのは、いつかの事件(?)の首謀者のファビア・クロゼルクだった。

 

「クロもな、るー子と同じく局の民間協力者として登録してくれたんや」

「資格取得とかしながら魔女の森の知恵と技を未来にちゃんと残せるように、ってね」

「……」

 

あれ?睨まれた。

 

「アスティオンとプライドを預かるよ。私がメンテルームに届けてくる」

「ありがとうございます」「あ、どうも」

 

と、ファビアが言ってくるので、まぁ大丈夫だろうとプライドを渡した。ついでに言うと、睨まれたんじゃなく見つめられてた。

 

「元気そうで安心しました」「どーも、あの日はお世話になったね」

 

「……あなたたちとヴィヴィオにはもう一度会いに行こうと思ってた。もう一度謝って……それから、ちゃんとお話ししなきゃって」

 

「一度と言わず何度でも……歓迎しますよ。私もヴィヴィオさんもチームのみんなも」「チームは違うけどアインハルトとほとんど以下同文。歓迎できるかはわかんないけど」

 

「そ、そんないきなり仲良くする気とかはないから…!」

 

「いいじゃないですか。私は仲良くしたいですよ」

 

「私はねぇ…君とは戦って見たいなぁ。一度やったとはいえ互いに万全じゃなかった。次、インターミドルでもどこでもいい。君と全力で戦ってみたい」

 

「……その時は、負けない」

「私もユタさんにはリベンジを申し出たいです!」

 

 

 

 

「それにしてもアインハルトはよー笑うようになったなー」

「ですねー」

 

ウチは、3人で楽しそうにしてる子孫(こども)たちを見ながらそう呟いた。

 

「こんな可愛いお友達までできてウチもなんや嬉しいよー」

「あー、いえいえ、そんな」

 

と、連れてきてくれた友達のユミナちゃんを見る。

 

「支えてくれた皆さんとかチームのみんな…、それからやっぱりコーチたちのおかげって言ってます。特にコーチには感謝しても仕切れないって」

 

「街でフラついていた危険な不良少女を拾って育てたわけだもんねー」

「あ!その辺わたしはふんわりとしか聞いてないんで!今度内緒で詳しく聞きたいです〜」

「いいよー♪ナイショで教えてあげる!」

 

「あ……でも」

 

るー子と話してたユミナちゃんがこっちに振り返って言った。

 

「本当に恩返しはしたいって言ってましたよ。コーチにもチームメイトにも、もちろんユタさんにも。それとお世話になってる八神司令にも」

 

「ウチは好きでやってるだけやし…周りのみんなも同じとちゃうかな?それに……感謝してるのはウチも同じや。アインハルトの…みんなのおかげで、今、ユタは…あんなにも笑ってくれる。ユタはな……多分ウチにもプライドにも言うてへんけど、ずっと、心に枷をはめ込んでた」

 

「それはどういう……」

 

何か深刻そうな言い方をしたウチにユミナちゃんが恐る恐る訪ねてくる。るー子もこのことに関しては初耳なはずでこちらを神妙な面持ちで見ていた。

 

「ユタはな、多分今までずっと自分を責めてたんよ。ユタには最愛のお姉ちゃんがいてな。その人を亡くしてしまったのは自分のせい、自分がいなければ死ななかった。きっとずっとそう思ってたと思うんよ。一番辛いのはユタなはずなのにな。

けど、ユタはめっちゃ優しいからな。ウチらに迷惑をかけたくない、巻き込みたくない、心配をさせたくない、その一心でずっと自分を偽ってた。明るく振舞ってた。決して、そんなことを表面には出さなかったんよ。

けど、無限書庫でのあの出来事でな、いい意味でその枷が外れた。ウチはそう思ってる。実際に、インターミドルでの戦いも、無限書庫に行く前と後でだいぶ違ったやろ?」

 

「あ、そういえば……」

 

「ユタだけやったら、きっとこうならなかった。だから、感謝するのらウチなんや。アインハルトがいて、ヴィヴィオがいて、るー子がいて、ユミナちゃんがいて、ノーヴェがいて……みんなのおかげで、今のユタがいる。ほんまにありがとなー。ほんで、これからもユタをよろしゅーな」

 

そう笑いながら言うと、るー子もユミナちゃんも恥ずかしがりながらも、はい、と言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

今、私ことユタはミウラと手合わせをしてる。

互いに、インターミドルの予選決勝に向けて調整をしている。

 

シグナム姉さんはと言うと、戦技披露会までは私とは練習をしないらしい。だから、ザフィとヴィータさん、時々シャマルさんに見てもらっている。

ザフィやフェイトさんに聞いたところ、どうやら本気で私を倒すためにも、フェアにするためにも私たちとは別で練習をするらしい。

 

「せやっ!」

「とっ!」

 

ミウラが上段蹴りをし、私は少し軌道をずらし最小限の動きで避ける。

ガラ空きになった胴体に向かってパンチを入れ、すぐさま距離を取る。

 

それをミウラが追いかけてくるが、ひたすら避けて避けて避けて避けまくる。

当たらなくて焦ってきたらこっちのもので単調な大振りの拳がきたところで顎にカウンターを決める。

そこでザフィに止められた。

 

「はぁっはぁっ……つ、疲れた……」

『お疲れ様です、マスター。ミウラさんも』

「は、はいぃ……。つ、疲れました…」

 

その場に二人で倒れこむ。

予想以上にミウラとの組手はしんどい…。

 

「ユタ、お前はもう少し近接になった時のペース配分を見直すべきだ。ミウラは、相手がヴィヴィオ以上のカウンター型と言うのを考慮して戦ってみろ。でないと、ユタにはまだ勝てんぞ」

「は、はぃぃ…」「了解しました〜」

 

「次は、魔法戦だ。ユタは『影』、ミウラは『抜剣』を使っていいぞ」

「「はい!」」

 

 

 

 

 

〜その日の深夜〜

 

「よーしっ、みんな寝たね?プライド、起きろー」

 

みんなが寝静まったのを確認して、私はプライドに声をかける。

 

『起きてますよ。なんですか?こんな深夜に』

 

「ちょっとねー、()()()()()()()をいまから色々と見せるからプライドなりの判断をして欲しくて」

 

『……?ザフィーラさんやヴィータさんではダメなのですか?』

 

「いや、いいんだけどやっぱり魔力のリソースの調整とかも考えるとなると愛機であるプライドが最初かな、と」

 

『はぁ、まあみなさんを起こさない程度によろしくお願いします』

 

「ありがと、んじゃあ、始めるね」

 

 

 

 

 

 

『………』

 

「どんな感じかな?」

 

技の一通りを見せてプライドに話しかける。

 

『そうですねぇ、以前マスターの言っていた言葉を借りると言うのなら、()()()()()()()()()()でしょうね』

 

「あ、もしかしてこれで終わりだと思ってる?」

 

『違うのですか?』

 

「うん、今はプライドにも秘密だけど。まあ、そこはお楽しみに。心配しなくても、無理はしない。あくまでもこの技の延長」

 

『私としては心配もしていませんよ』

 

「え、なんか妙に傷つくんだけど…」

 

()()()()()()んですよ、マスター』

 

「……うん、ありがと」

 

なぜか、無性に恥ずかしくなってしまった。

 

『……ああ、でも一つ…いえ、2つだけ伺ってもよろしいですか?』

 

「?」

 

『最初は、今された技について。マスターの『影』は応用力がコロナさんのゴーレム操作、ヴィクターさんの電撃などと同等、いえ、それらより高いことは存じています。ですが、なぜこのような形を?』

 

「うーん、そうだね…。まずは、やっぱりジークさんの『エレミアの神髄』。ジークさんに勝とうと思ったらアレから目を背けるわけにはいかないでしょ?でも、私の影操作だけだと無理がある。で、考えたんだ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、って。

コロナちゃんとかのを見てて思ったんだ。

一人の力で無理なら、他で補ってやればいい。幸いにも、私の『影』は、決まった形を持たない。硬くするのも、柔らかくするのも、伸ばすのも、縮めるのも……()()()()()()()できる」

 

『それで、止められる自信はあるのですか?』

 

「いやぁ、正直わかんないんだよね」

 

と、言うとプライドが機械のくせにため息をつく。

 

「いや、エレミアの神髄に関しては情報が少なすぎるんだよ。だからわかんないの。で、この技にしたもう1つの理由なんだけど……私、無限書庫での出来事とヴィヴィちゃんとアインハルトの試合を見て思ったんだ。

 

『私が魔法戦技を始めようと思ったきっかけはなんだったか』って、それで思い出して行ったら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってことを思い出したんだ。で、私の得意技に関しても考えてみた。

 

影操作、カウンター、リフレクトなどなど……。

今よく思うと、全部()()()()()()()()()()なんだよね。

カウンターは、確か名前忘れちゃったけど結構昔にインターミドルで勝ち上がってたカウンターヒッターの人のだし、リフレクトに関しては母さんから。影に至っては二次元からだし。

それで、1つの結論に至ってね。

私の得意技は、()()()()()()()()()。これに行き着いたわけ。そこまでの考えに至ってからは結構早かった。

私は、他人を真似る天才。だって、あのシグナム姉さんに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだから。だから、こんな形をとった。はい、納得した?」

 

『はい。大丈夫です。では、2つ目。今まで触れずにいましたが戦技披露会での勝利した時に貰える報酬。なぜシグナムさんとにしたのですか?』

 

「言ったじゃん。シグナム姉さんは私にとって『強さ』の象徴であって私の『師匠』であって私の『目標』であって私の『憧れ』でもある。いつもは特訓だからシグナム姉さんは手を抜いてる。そのシグナムさんとルール付きとはいえ全力を引き出させれる機会なんだよ?」

 

『…すいません、少し言葉が足りませんでした。私が言いたいのは、勝てる見込みがあるのか、と言いたかったのです』

 

「まあ、……正直に言うと十中八九()()()()()だろうね」

 

『なら、なぜ…』

 

「そうだねぇ……1つは、恩返し、かな」

 

『恩返し、ですか?』

 

「うん、シグナム姉さんには、今まで沢山助けてもらった。もちろん理不尽なことは多々あったけど…母さん、シグナム姉さん、ザフィ、ヴィータさん、シャマルさん、アギト、リインさん。……もちろん、プライドもね。八神家のみんながいてくれたから、今の私がいる。

だから、『私は、シグナム姉さんとも対等に戦える』ってことを示して、私は成長したってことを、八神家の……私の家族に見てもらいたい。私は、みんなのおかげで成長できたってことを、全力で伝えたい。……やっばい、自分で言ってて恥ずかしくなってきた……」

 

『心配せずとも録音してありますので』

 

「いやなんで⁉︎ちょっ、消してよ⁉︎」

 

『後ろ向きに検討しておきます』

 

「なに後ろ向きって⁉︎前向きの反対の言葉のつもり⁉︎」

 

『はいはい、くだらない話は置いておきまして、それで、他に理由はあるのですか?』

 

「ひどっ⁉︎……えーとね、さっきは十中八九負けるって言ったよね?けど……別に()()()()()()()()()()()

 

『ほう?』

 

「今はまだ言わないけどね、とりあえず勝算はわずかとはいえある。それだけは言っておくね。あとは……マリナ姉さんに、あのシグナム姉さんとも戦えるんだゾッ!って見せてあげたい、かな。マリナ姉さん、記憶はおぼろげだけどシグナム姉さんにはすっごい可愛いがられてたから。…マリナ姉さんを……お姉ちゃんを、安心させてあげたいから、かな?天国から見えるのかわかんないけどね

 

まあ、結構色んな理由があるんだけど、私なりの恩返し、って思ってくれてたらいいよ」

 

『わかりました。……それでですね、マスター』

 

「ん?」

 

『後ろをご覧ください』

 

プライドにそう言われ、後ろを振り返…る。

 

「やってー、シグナム。よかったなぁ」

「生意気ですね」

「またまた、本当は嬉しいんだろ〜」

「ユタちゃん!私は感動なのですよ!」

「あのユタがここまで成長しているとは……」

 

「なんでみんないるの⁉︎」

 

しかも母さんに至ってはニヤニヤしながらこっち見てるし⁉︎

ちょっと待って、さっきまでの告白全部聞かれてた⁉︎

 

『いえ呼び出したのはついさっきです』

 

「ほんt『ですが、マスターに質問をし始めたあたりからはリアルタイムでみなさんに伝わっていたので』……こんのクソ愛機がぁぁ!」




すこーしだけシリアスな雰囲気をひっさびさに入れてみました。

たまには……いいよね?

さて、次の投稿はいつになるのか……
ノロマ更新ですがおゆるしを

読んでくださりありがとうございます


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37話

1ヶ月ぶりの投稿。

多分、次は早いです。クリスマス番外は書こうと思ってるので。

さてと、どうでもいい情報を。
ハガレン実写化を見てきたのですが(受験生だろ!っていうツッコミはお控えください)

原作0巻や物販がかなりいいとのことでいかざるを得なかったのですが、実写化は、うん、なんとも言えない。
あれは俳優は悪くない。監督が悪い
(あくまでも私の意見です)


と、どうでもいい愚痴が長くなりそうなのでここら辺で
それではどうぞ。


〜Stヒルデ魔法学院 中等部〜

 

「インターミドルの進展も楽しみなんだよね〜」

 

と、アインハルトと私ことユタの周りにはユミナさんを筆頭に4人くらい集まっていた。主に女子生徒が。

 

「ハリーさんやヴィクターさんたちは順調に都市本線まで上がるだろうし」

「ジークさんとミウラさんも問題なく勝ち進むでしょうね」

「ユタさんはどんな感じなの?」

 

「うーん、ぶっちゃけわかんない。対策はできる限りしてるつもりなんだけど。私がやる人、去年初出場でジークさんと予選の初戦で当たってるし、今回の大会で当たった人との試合も瞬殺KOしてるから情報が少なすぎるんだよね。アインハルトと同じタイプなのはわかってるんだけど」

 

「あ、もしかして……イース選手のこと?」

 

ユミナが思い当たる節があるのか、ピンポイントで私の当たる選手の名前を当てた。

 

「うん、正解。流石は見る専オタク」

「えっへん!」

 

と、少ない(私よりはあるが)胸を張るユミナ。

 

「まあ、ハードヒッターならやることは決まってるようなもんなんだけどね。アインハルト並ではないと思うし」

 

それをいうと、嬉しかったのかお礼を言って来た。

 

「ねえ、私たちも行っていいかな?」

「もちろんです。案内も解説もお任せください」

 

と、アインハルトは快くクラスのみんなのお願いを受け入れた。

 

で、気づくとクラスのほとんどが周りに集まっており、先生までもいて、クラスのみんな、そして先生まで含めた全員で私の応援に行くとかいう大規模なことになった。

 

「あ、ユタさん。今日は大丈夫ですか?」

 

「ん?アインハルトから何かを誘おうとするなんて珍しい。明日雹でも降りそうだね」

 

「何故ですかっ⁉︎」

 

『バカマスター。からかうのもその辺で』

 

あ、はい。ごめんなさい

 

「いえ、今日お暇なら練習できたらと思いまして」

 

あーなんだ。練習か。てっきりアインハルトが同性愛に目覚めたかと思った。

いや、まあ同性愛は否定しないけど受け付けないというか。

 

閑話休題(どうでもいいか)

 

「私でしたら、ハードヒッター型ですし、いい練習になるかと思いまして」

 

「あー、うん。有難いんだけどね。実は今日『マスターは今日は特別な用事があるため練習できないのです。申し訳ありません。アインハルトさん』ねえ、なんで私のセリフを取るの?ねえ⁉︎……まあ、そういうこと」

 

「わかった、デートでしょ!あの学院祭の時に来てた彼氏との!」

 

「違いわい!」

 

と、クラスの中の誰かの一言により、ヒートアップして行ったのか、なぜか皆さんの中で私がデートをしに行くことが確定してしまったらしく、ひたすらしつこく詳細を聞かれた。

 

多分、終わる頃にはHPは10を切ってた。さいだいHP?100に決まってますよ。

 

「ほんっとに、デートじゃないから。本当に違うから!」

 

でも、アインハルトとユミナだけはまだその話題に興味津々で帰り際に本当のことを聞きたがっている。

 

「また今度話すから……今日は一旦終わって…。時間に間に合わないから」

 

「す、すいません…」「ご、ごめんね」

 

『まあ、気になるようでしたらマスターの盗聴器、発信機諸々の役割を果たす私がどちらかのデバイスに逐一情報をお送りしましょうか?』

「ちょっと待って!普通に犯罪だからね⁉︎」

『マスターに人権なんてものは存在しないんじゃありませんでしたっけ?』

「あるわっ!」

 

相変わらずこの愛機は……。

 

 

 

 

〜八神家〜

 

「母さーん。準備できたよ」

「ん、ほな行こか」

「シグナム姉さんたちは?」

「もうとっくのとうに終わらせてるで。今日のためだけに休みを取ったようなもんやしな」

 

そう、今日は珍しく家族全員、休みを取っている。

年に3回あるかないかくらいだ。

 

なぜ今日みんな休みを取ったか。それは……

 

 

今日は、八神・サミダレ・マリナの……だから。

 

 

「よし、行こか。歩いて行くか?」

「うん。考えたいこともあるから」

 

 

 

 

〜とある物陰〜

 

「ほら、早く行きますよ!」

「な、なんで私たちまで……」

「アインハルトさんって、時々強引なところがあるよね」

「強引なアインハルトさんも……いい」

 

と、ユタ達の後をこっそりとついていっているのはチームナカジマの4人。

どうやら、アインハルトが心がもやもやしたままだと練習に影響が出る。けど1人で確かめる勇気もない、って事で初等科トリオを強引に連れて行く形になったらしい。

なにやら1人は変な勘違いを起こしているが。

 

少し距離を取っているため会話の内容は聞き取れてはいないが。

 

「ていうか、今日の練習は……」

「私がコーチに言って休みにしておいてもらいました!」

「手を回すのが早いですね……」

 

ヴィヴィオに関しては若干呆れている。

 

「にしても、今日って何かあったかな……?なのはママもフェイトママも珍しく早くお仕事終わってたし」

 

どうやら、元機動六課組はみんな、までとは言わないが早めに切り上げてたりと、何かしら用事がある雰囲気だった。

 

「あっ、行くみたいですよ!ほら、早く!」

「り、リオ、コロナ。早くどうにかしないと……」

「「私たちにはどうにもできない」」

「だよね…」

 

 

 

 

 

 

「ねえ、母さん」

 

「ん?」

 

「……いや。ごめん。なんでもない」

 

「そーか」

 

しばらく経ってチームナカジマのみんなが見たのは、

 

お墓の前で手を合わせているユタとはやての姿。

 

それを見た4人は、今している行為に罪悪感を感じていた。

 

「ほな、ウチはこの辺にしとくから、終わったら戻ってくるんやで?」

 

「うん、わかってる」

 

そして、はやてがこちらに近づいてくるのを見て慌てて隠れようとするも、はやてのよくわからない早業により4人ともあっさり捕まった。

 

「ご、ごめんなさ……」

 

「別に謝らんでもええんやで。てか、隠すような事でもないのに隠すユタもユタやしな」

 

はぁ、とはやては溜息をつく。

4人はと言うと、知ってもいいのか、知らない方がいいのか困惑していた。

すると、またはやては話し出した。

 

「ユタには、お姉ちゃんがいたっていうのは知ってるやろ?実はな、そのお姉ちゃんの命日なんや

この前アインハルトには話したんやけど、ユタはかなりのお姉ちゃんっこでなぁ。でも、知っての通り、事件が起こってお姉ちゃんが亡くなってしもうてな。

ずっと自分を責めてた。

ここまでは前にアインハルトに話した通りや」

 

はやてが目配せをすると、アインハルトは頷いた。

 

「実を言うと、こうして、ちゃんと自分の意思でお墓の前まで来てお祈りをするって言うのも初めてのことなんや。

きっと私を恨んでる。私にはそんなことをする資格なんてない、ってずっと逃げて来てたんやけど……。

だから、昨日ユタが自分から行くって言ってくれた時は本当に嬉しくてな」

 

それ以上は言わなかった。

ユタに聞け、と言うことなのかと4人が思っていると再度はやてが口を開く。

 

「4人も、もしよかったらお祈りしてあげてな。きっとマリナも喜ぶから」

 

 

 

 

 

「……」

 

いまだに、あのことを思い出そうとすると辛い。

 

私のせいで

 

私が弱かったせいで

 

私が、オリヴィエのクローン(作られた存在)だったせいで

 

お姉ちゃんを失い、母さんを、家族を悲しませた。

 

きっと、お姉ちゃんは私を恨んでた。そう思うことで、そんな弱かった自分を正当化していた。

 

きっと、強くなりたい、なんて思い始めたのも、お姉ちゃんのためを思ってじゃない。

 

自分を強くすることで、あの頃の私は弱かったんだから仕方ない、と思いたい気持ちからだったんだと思う。

 

けど、無限書庫でのあの一件で、母さんに気付かされた。

というか、母さんからも、お姉ちゃんからの最後と言葉は伝えられていたはずなんだ。

 

なのに、当時の私と来たら泣きじゃくって、終いにはみんなを嘘つき呼ばわり、なんてこともしたっけ。

家にいた頃、シャマル先生はすごいお医者さんだって聞かされてて、絶対に助かる、って思ってたのもあるのかな?

 

まあ、そんなこんなで、実はというと、無限書庫でのあの一件まで、お姉ちゃんの最後の言葉を、ちゃんと覚えていなかった。

 

暴走したあたりまで記憶が曖昧になってたけど、母さんに、抱きしめられたあたりで、全部、鮮明に思い出した。

 

それにより、多分、だけど。ちゃんとお姉ちゃんと向き合えたんだと思う。

 

けど、向き合えた、ってこととお姉ちゃんがいないことによる悲しさ、っていうのは違うものでして。

 

「ゆ、ユタさん。大丈夫ですか?」

 

「……」

 

涙は抑えることが出来ない。

アインハルトを筆頭に、年下のヴィヴィオちゃんたちにまで心配される始末。

 

「うん、大丈夫。……でも、やっぱり思っちゃうんだよね。私が弱いせいで、お姉ちゃんを失ってしまった、ってね……。……あー、だめだ。明日試合なのに。やっぱり、私は弱いね」

 

だから、アインハルトたちには言いたくなかったんだよなぁ……。

 

 

「そんなことないです!」

 

 

突然、そんな明るい声が私の思考を遮った。

 

「そんなことないです!ユタさんは強いです!それは私が保証します!」

 

ヴィヴィちゃんだった。

 

「ユタさんは…とっても強くて、優しくて……時々面白いですけど、それでも私たちの誇りの先輩です!」

 

「そ、そうです!私はユタさんに憧れたんです!ユタさんのその強さに憧れて、魔法戦技を始めたんです!」

 

ヴィヴィちゃんの言葉に触発されコロナちゃんまで言葉を発した。

 

「私は、合宿でのユタさんの魔法戦技を体感できてから、こんな人を倒したい!っていつも思ってるんです!最近じゃハリーさんと一緒に練習することがあるくらいに!」

 

そして、リオちゃんも。

 

「皆さんの言うとおりですよ。ユタさん。貴女は決して弱くなんかありません。それに、先程リオさんがユタさんを倒したい、とおっしゃいましたが、実はチームナカジマみんなの目標でもあるんですよ。ユタさんに勝つ、というのが。それほどまでに、私たちの間ではユタさんは強さの象徴でもあるんです」

 

トドメにアインハルトが言ってくる。

 

 

 

みんな、色々とずるい。ずるいですよ。

 

 

 

「うん……ありがと。4人とも」

『私が空気なことが納得いかないのですが?マスター』

 

と、ここでずっと黙ってたのが嫌になったのかプライドが出て来た。

 

「なにさ、せっかくいいところなのにさ」

 

『皆さん、マスターを甘やかしすぎですよ。マスター、ぶっちゃけますと、貴女にこのような雰囲気は似合いません!』

 

「ぶっちゃけるにも程がない⁉︎」

 

『マスターが私と会う前までどのような心境に陥ったか、これまでどれほどの苦悩があったかは私にはわかりません。ですが貴女は過去の事をずるずる引きずるような人ではなかったと思いますが?

別に、強がれともいいません。悲しむなとは言いませんし、寧ろ泣きたい時は泣けばいいです。強がらなくていいんです。しかし、いつまでも後悔だけしてもらっては困ります。

2年前も、貴女は乗り越えることが出来たんですから。きっと今でも乗り越えることができるはずです。……ああ、もう乗り越えてるんでしたっけ。

まあ、要約しますと、さっさと泣きたいだけ泣いて、普段通りのマスターに戻れ、って言ってるですよ』

 

「めちゃくちゃ端折って要約したね⁉︎」

 

『まあ、こうでもしないと、マリナさんが嘆くでしょうし?』

 

「それも……そうだよね。うん、みんな、ありがとう」

 

『マスターがまともにお礼を…?まさか泣きすぎて頭の養分流れでてしまいましたか⁉︎』

 

「ひどっ⁉︎」

 

それをきっかけに、周りに笑いが起こった。

それにつられて私も笑った。

 

 

わずか10秒にも満たない時間が永遠のように感じた。

 

 

「(マリナお姉ちゃん、お姉ちゃんのお願いのためにも、私のためにも、未来(これから)を精一杯、生きてくよ。だから……見守っててください)」

 

 

 

 

 

 

 

〜インターミドル 予選決勝日 決勝会場〜

 

「ま、そりゃみんな勝ち上がりますよね」

 

今は控え室で最後の確認をしてるとこ。時間的には、ミウラの試合が終わったくらいかな?

 

結果は、ルーさん、ハリーさん、ヴィクターさん、ミウラ、もちろんジークさんも勝ち上がってた。

 

アインハルトからメールが来たが、どうやら本当にクラス全員で応援に来たらしい。

 

「八神ユタ選手。入場をお願いします」

 

そして、次は私の番だ。

 

「ユタ、大丈夫か?」「緊張してる?」

 

「うん、大丈夫。緊張もしてない。寧ろ……俄然やる気出てる」

 

セコンドの母さんとエリオと一緒に入場する。

ザフィとヴィータさん、シャマルさんはミウラの方に行ったらしい。

シグナム姉さんはと言うと、苦渋の決断をして、フェアにするためにも、どれだけ成長してるか楽しみにするためにも来てないらしい。

 

「(と…そろそろ余計なことは考えるのはやめよう)」

 

リングに上がり、イース選手と向き合う。

雪のように白く腰と肩の間ほどまでストレートに伸ばした髪と、碧眼が特徴の、純格闘家(ピュアストライカー)でアインハルトと同じ型。要は超攻撃的なハードヒッター。

 

アインハルト並かどうかはわからないけど……

 

「勝つしか、ないよね」

 

イース選手と互いに握手をし、一度リング際にもどる。

 

「準備も良さそうやな」「ユタ、自分の試合をしっかりね!」

 

「うん……それじゃあ、行ってきます」

 

「「行ってらっしゃい」」




はい、どうでしょうか。

ちょっとシリアス多め。最近はシリアスに飢えているのです。
ごめんなさい、冗談です

さて、最近思ってるのは、原作も終わりますし、vivid strikeに手を付けだしたらリメイク版を作ろうかな、と。あとはイフ物語もかけたらなーと思ってます。
まあ、まだまだ先のことになりそうなのでわかりませんが。


読んでくださりありがとうございます


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38話

えー、ぶっちゃけ書きかた忘れてました。
センター試験があり、それに向けて勉強しつつ他の作品をゆったりと息抜きに書いてました。
遅くなりすいません。

今回は予選決勝編です。

それではどうぞ


「ふー……」

『いつになく、緊張してますね』

「まー…ね」

 

でも、緊張とは裏腹に、集中はできている。

 

『ヴィヴィオさんたちに見られたのが相当恥ずかしかったご様子で』

「うっさいなぁ!いつまでその話題で弄るの⁉︎」

『私が飽きるまで、でしょうか?』

「ドSっ⁉︎プライドは私に慈悲ってものを持ち合わせてないの⁉︎」

『ありませんね』

「でしょうねえ!」

 

うん、予選決勝の前にこんなやり取りするの私くらいだろう。なんか対戦相手には睨まれてるけど。

でもいつも通りなんだからしょうがない。

 

「さぁてと、プライド。茶番はこの辺にしよう」

『……はい。マスター。いつでもどうぞ』

「ん…セットアップ」

 

その言葉を合図に、セットアップをする。

少しだけ衣装も変えてある。

 

『…マスター』

 

「ん?」

 

『一応確認しておきますが、それは…』

 

「うん、心配しないでいいよ。ただの()だから。審査員の人にも事前に見せればオッケーって言われたし」

 

『…だいたい何を狙っているかは概ね理解しました。ですが、無理のなさらないよう」

 

「わかってるって」

 

いつもの、金髪が少し伸びたのを、後ろで1つに束ね、黒一点ものの方から先が露出しているシャツ、そして黒いズボン。

 

いつもなら、肩から先は腕が露出してるだけ、だったけど今回は

()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()

 

もちろん、見せてるだけなので硬くないです。

簡単に折り曲げ可能ですよ。

あ、いや出来ないです。関節以外出来ません。それ以外で折り曲げようものなら腕折れます

 

 

「スゥーーーッ……ハァーー……。うん、改めて気合い入れた」

『ご健闘を』

 

 

プライドの言葉と同時に試合開始のゴングが鳴り響いた。

 

 

「せやぁっ!」

影の壁(シャドウウォール)

 

予想通り、イース選手は速攻で攻撃を仕掛けてきた。

今までのように、鳩尾を狙ってきたので影の壁で私とイース選手を遮る。

 

「このっ!」

 

「うわぁ…すんごい馬鹿力」

 

その後にすぐ距離を取ると、イース選手は無理やり影の壁をぶち破ってきた。

 

けど、私の影相手にそんなことをすると…

 

影の拘束(シャドウ・バインド)三重(トリプル)

 

バインドの餌食だ。

 

「なんのっ!」

「…なんという脳筋…」

 

イース選手はバインドがかかるより前に地面を殴って壊し、出来た隙間によってバインドを逃れてた。

 

「(この対策もしなきゃね……。まあ、それよりは)…プライド、仕込みに行く。サポートお願い」

 

『どのようなタイプで?』

 

「アインハルト用のもの、かな?」

 

『承知しました』

 

イース選手が接近してくるのを確認して、私は魔力を仕込みに回った。

 

「っ!あっぶ…」

「ああああっ!」

「っ…こ…のぉ!」

 

だけど、読まれていたのか、攻撃され続けた。

避けて攻撃をいなしてカウンターを決めて突き放そうとしてもすぐに迫ってくる。

 

「(とにかく、ガムシャラに!でないと動きを読まれる)」

 

「(そっちがその気なら…)プライド、予定変更、仕込み方を変える」

『了解です』

「せやっ!」

 

そこで、イース選手が再度接近してきたので

 

 

あえてその土俵に乗ることにした。

 

 

でも、影の攻撃をやめるわけじゃない。

影は自動操作(オートモード)にして、私は格闘戦に集中する、といった形だ。

 

左ストレートを紙一重で避け、腹に一発入れる。

 

「っ…このっ!」

「いっ…」

 

けど、下がってくれるどころかそのままお返しと言わんばかりに腹を蹴ってきた。後ろに飛んで威力を逃そうとしたけど、しきれずに吹っ飛ばされる。

 

「っ…創主ユタの名の下に、冥界へ誘え、【ハーデス】!」

 

さすがに、肉弾戦だと後手に回るばっかりだったから、今度は影のゴーレムを創生した。

 

それをみたイース選手は一旦距離をとった。

ハーデスはイース選手に向かって影で作られた大鎌を振り回しながら接近した。

 

 

ライフ

ユタ 15000→10540

イース 15000→12600

 

 

「ゲホッ…。さぁてと、まだまだ行こうか。影の雨(シャドウレイン)

 

実体化した影をめいいっぱい使いそれらの先を鋭利な刃物や硬くして打撲用など、様々な形状に変化させ、大量にイース選手に降り注がせる。

 

「っ…」

 

ハーデスを巻き込み、影による破壊の雨はイース選手を飲み込んだ。

多少は避けられているけど明らかにダメージを負っている。

 

ライフ

イース 12600→8900 クラッシュエミュレート 全身軽度裂傷

 

「まだまだ、影槍(シャドウランス)・4連」

 

影の雨が止んだ直後に今度は4本の槍を作って撃ち込む。

 

「なん…のっ!」

 

影網(シャドウネット)

 

「⁉︎」

 

一本目を砕き、2本目も同じようにされそうになったところで、私は槍状態になっていた影を分散させた。

 

「捕縛」

 

「ぐっ…」

 

まるで蜘蛛の巣のようになった影は、逃すことなくイース選手を捕らえる。そして、そこにダメ出しに…

 

()()・飛燕!」

 

ミウラの技真似をして、収束打撃を打ち込んだ。

 

 

【バインディングダウン】

 

 

ライフ

ユタ 10540→9800

イース 8900→4200 クラッシュエミュレート 全身裂傷多数 肋骨骨折 軽度打撲

 

 

「ふうっ…なんとか持ち込めたかな?」

『バカマスター。ミウラさんの【抜剣】はやるな、と忠告申し上げたはずなのですが?』

「いやぁ、だって決定打を撃ちこめそうなのってアインハルトの断空拳かミウラの抜剣くらいじゃん?だから仕方ない」

『…まぁ、魔力の消費もアレだけ派手にしておきながら仕掛けまでやり終えて、()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()。今回の分はそれで帳消しにしましょう』

「それはありがたいねぇ」

 

と、そんなことを話しているとイース選手はカウント8くらいで立ち上がってきた。無論、バインドは掛かってるけどね。

 

そして、再開すると同時に、イース選手はバインドを引きちぎろうとした。

だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「きゃっ…」

 

引きちぎった瞬間に、イース選手にまとわりついていた影のバインドが大爆発を起こした。

 

「うん、こっちも前に比べて格段に性能上がってるかな?」

 

すると煙幕の中からイース選手が迫ってきている。

影で迎撃しようにもかなり速かったので、懐に入るのを許してしまった。

 

でも、仕込みは終わってる。だから、いつも通り。

 

純格闘家(ピュアストライカー)には超カウンター型で受けるだけ。

 

しっかりと、どこに何が来るか、見極めて、必要最低限で避けて、軌道をずらして、相手が必殺の一撃を打ち込んで来るのを、じっくりと待ち続けた。

 

 

【第1ラウンド、終了!】

 

 

と、そんなことをしてるといつの間にか第1ラウンドが終わっていた。

 

 

「ユタ、やたらと魔力を影生成に回しとるけど、ペース配分考えとるんか?」

 

「うん、大丈夫。ちゃんと考えてる」

 

『まあ、ノーヴェさんの特訓のおかげで魔力量は飛躍的に上昇していますから。そこに関しては大丈夫ですよ。それより、マスター』

 

「うん、そうだね。だいたい()()()()のことをしてくれた」

 

「どういうこと?」

 

「イース選手ね、私の両腕を()()()()()()()()()()。ほら、エリオも経験あるでしょ?私の硬化魔法をかけた腕を思いっきり殴ったら逆に怪我したやつ。アレが起こるのを警戒してるんだと思う」

 

「まぁ、確かにアレは…もう味わいたくないね」

 

実を言うと、怪我どころではなくてマジで指の骨が折れたとか。

その後に泣きながら謝ったのはよく覚えてます。

 

けほっ…うん、もう大丈夫。仕込みも上々。うまくいけばこのラウンドで決めれる。……いや、決めてくる」

 

「うん、頑張ってや」

「ユタ、頑張って!」

 

「それじゃあ、行ってきます」

「「行ってらっしゃい」」

 

ライフ

ユタ 9800→12500

イース 4200→9000

クラッシュエミュレート 全身軽度打撲

 

 

 

 

「ふぅー…。…ゲホッ

 

『マスター』

 

「ん?どうしたの?」

 

『一応念のために聞いておきますが、本当に大丈夫でしょうね?』

 

「大丈夫大丈夫」

 

『そうは思えないから聞いてるんですよ』

 

「……そんなに私って隠し事下手かなぁ…」

 

『ド下手、ですね』

「ひどっ⁉︎

 

…一回、蹴り上げられたときあったでしょ?その時から、妙に痛みが続いてんの。クラッシュエミュレートかな、とも思ったけど、それに関してはプライドのおかげでほとんどないはずだし。アレくらいの重い一撃によるクラッシュエミュレートならプライドが治さないはずがない」

 

『だとすると、2年前の時みたいに、ダメージがマスターの本体にまで影響してしまっているのでしょうかね』

 

「うん、そうだとは思う。けど、本当に、そんな気にするほどじゃないから、安心してよ」

 

『…承知しました。あと、今だからぶっちゃけますが、はやてさんもエリオさんも気づいてますからね?』

「嘘⁉︎」

 

 

 

こんなやり取りをやって改めて気合いを入れるために自分のほおを軽くパチン!と叩いた。

 

その数十秒後に、第2ラウンドを始まるコングが鳴り響く。

 

 

 

第2ラウンドが始まると、イース選手はまた猛スピードで突っ込んでくる。

 

それに対して、影を自動操縦にしながら避けて避けまくる。

避けながら、今度は腕の硬化魔法の準備をする。

 

「っ…いったい…。でも捕まえた。影の拘束(シャドウバインド)三重(トリプル)

 

()()()開けた腹にめちゃくちゃ重いボディーブローをかまされるが、そのおかげでちょこまかと動くイース選手を捕まえる。

撃ち込まれた腕をもって、その直後に影でのバインドをがんじがらめにかける。

 

「まだまだ、こんなものじゃない。秘密の箱(パンドラボックス)

 

ロゼ選手の時に使った影の箱で私ごとイース選手を閉じ込めた。

 

それを見てイース選手は無理やりにでもバインドを解こうとしてるが、練習の時にあのアインハルトとか、強いて言うならザフィですら抜け出すのにかなり時間をかけさせたんだ。それが簡単に解けるわけもなかった。

 

そして、上下前後左右、ありとあらゆる場所から影が切りつける。同時にバインドを巻き込んで攻撃し、いくつかの重度な裂傷と引き換えにバインドから解放する。

この中だとバインドを仕掛けられて居るも同然だから。でも…

 

これはまだ()()()()()()()。正確にはかませ犬みたいな感じで本命じゃない。

 

「せーーやっ!」

 

予想通り、壁をぶち抜いてくれた。

それを確認すると秘密の箱(パンドラボックス)を解いて自分の足元へ影を収束させる。

 

 

ライフ

ユタ12500→5600 クラッシュエミュレート 腹部重度打撲

イース9000→3900 クラッシュエミュレート 全身中度裂傷

 

 

こういう時のライフの異常なまでの減りようを見ると、改めて私の体は格闘向きじゃないってのを実感するよ。

でも、だからといって格闘ができないわけじゃない。

カウンター専用だけど。

 

イース選手は下がってくれるかと思ったけど、そうでもないらしくハードヒッターらしく、前に出てきた。

 

「けどまぁ、秘密の箱(パンドラボックス)に掛かった時点でもう決着のようなものなんだよね。それじゃあ行こうか。ほんとうは対ジークさん用だったけどそんなことも言ってられない。影の壁(シャドウウォール)二重(ダブル)。創主ユタの名の下に、敵を冥界へ誘え、【ハーデス】!」

 

と、私は影の壁を生成し、かつ影のゴーレムを作り出す。

イース選手はゴーレムを無視しようとしてたが、影の壁もあり流石にできずに対処していた。その隙に、仕込みの本命を行う。

 

「ゲホッゲホッ…。影の五角形(鮮血の星)、起動」

 

私がいうと、イース選手の周りに影で作られた正円と正五角形を組み合わせた紋章が現れる。

 

ん?なんで影の五角形なのに鮮血の星、なのかって?

まあ、ハガレンファンならわかる。

ああ、もちのろんですがこれが起動したからといって命奪うような代物じゃないので。

 

ハーデスと影の壁を解除すると同時にソレは影の手のような触手のようなバインドを何本も出し、イース選手にバインドをかけに行く。

 

何回か避けられていたが、すぐに捕まえられた。

 

「スゥーー爆!」

「⁉︎」

 

捕まえた瞬間に、バインドを爆発させる。

威力自体は小さいが、それが何度もなんども襲いかかってくるのだ。

たまったものじゃないだろう。

 

「う……がぁ!」

 

6回目が終わったくらいで、むりやり抜け出してきたイース選手は、焦っていたのか余裕がないのか、渾身の一撃を打ち込みに来た。

それを少し体をずらして右手で受ける。

 

そのままの威力を利用しその場で回転する。

発動直前で置いておいた硬化魔法も発動させ、その拳で右脇腹にそのままの勢いで直撃させる。

 

そしてそのままイース選手は倒れ込んだ。

倒れ込んだ。

 

ライフ

ユタ5600→5200

イース3900→0

 

 

【試合終了!都市本線出場者は、ユタ選手!】

 

 

「あー……よかったぁ……」

 

それと同時に、私は倒れこみかけたが、それを母さんとエリオが支えてくれた。

 

「あ…ありがと」

 

「ユタ、ザフィとヴィータ、シャマルなどシグナム以外のコーチ陣からお話あるいうてるで」

 

「げ…それはいい話?悪い話?」

 

「さあ、どっちやろーなー♪」

 

「(あ、これ後者だ)」

 

判断した理由?なんかイタズラが成功したかのような笑みを浮かべてるからですよ。

 

「ユタ、本当にお疲れ様」

「うん…次は、都市本線だねしっかりと、頑張るよ。だから、ずっと見ててよ。エリオ、母さん」

 

「「もちろん」」




その後のユタ

ユタ「まじでお腹痛い……」

シャマル「ええと…ああ!ユタちゃん妊娠してる⁉︎」

一同「えっ?」

シャマル「なーんて、冗談よ。特に問題ないわ。安静にしてればすぐに……」

はやて「ユタ!お前いつの間にしたんや!」
ユタ「いや、ちょっと待って。私にも何が何だか…」
シャマル「あーのー?」
シグナム「斬り殺される覚悟はあるのだろうな」
ユタ「だから知らないって!」
シャマル「ねえー?」
リイン「大人しく白状するですよ!私はユタちゃんをそんな風に育てた覚えはありません!」
ユタ「少しはこっちの話を聞いてぇ⁉︎」
シャマル「私の話も聞いてぇ⁉︎」
ヴィータ「あーあ、言わんこっちゃねぇ。管理局勤めも無理だな」
ユタ「いやぁぁぁ!死ぬから!死ぬからやめてぇ⁉︎シグナム姉さん、母さん、ヴィータさん。それ死ぬから!本気で死ぬから!」

シャマル「(ど、どうしよう……)」冷や汗ダラダラ

その後4時間くらいかけてみんなを説得して回ってなんとかことの収拾を得たシャマルだった。




余談
イース選手のボディーブローは設定上はvivid strikeでダメージフィードバックを貫通してフーカの歯をへし折ったリンネくらいか少し下くらい。
一応リンネの方が強いですが、打撃力でいうとそれくらいです。

また、1ラウンドで実体化していた影、特に影の雨や槍で使われた魔力は三分の一くらいしかかき消されてないため、それ以外の魔力を地面に突き刺し、そこから地面の下に配置した、という感じです。
そして魔力力に関してはルーフェン旅行の際にゲットした上級者用の魔力バンドをつけて過ごしていたため飛躍的に上昇しています


よんでくださりありがとうございました


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39話

先に謝っておきます。
ほかのやつは書いてたくせにこっちを一ヶ月以上も空けてしまい申し訳無いです。
ネタが思いつかなかったんです(泣)

受験の方も、ようやく終わったので書くペースは、少しずつ上げていけたらな、と思ってます。
予定としては1〜2週間に1話、多くて2話くらいかな、と思ってます。

今回は感を戻す為でもあるので、少し短めです(単純にオリジナルストーリーぶっこもうとした結果ネタがなかっただけでもある)

それではどうぞ


「「「ユタさん!おめでとうございます〜!!」」」

 

「あ、ありが…とう。アインハルトも、みんなもありがとう」

 

控室に戻るなり、ヴィヴィちゃんをはじめとした初等科組に飛びつかれた。そしてそれに続くようにアインハルトとクラスメイトのみんなが入ってきた。

 

「あ、ミウラも。都市本戦出場おめでとう」

「はいっ!ヴィヴィオさんやミカヤさんの分まで頑張りますからね!」

 

「さあて、そう上手く行くもんかね」

 

と、今度はそこに番長ことハリーさんとデコメガネことエルスさん、元世界最強の十代女子という表の顔を持つホームレスさんがいた。

 

「誰がホームレスやっ!」

「事実でしょ!ジークさんから魔法戦技を取ったらホームレスしか残りませんよ!」

「なっ……、そ、そないなこと…な、な、ない…」

 

図星なのか、だんだん声が小さくなっていった。

なんか面白い。だんだんと威勢と声が小さくなって行くの見るのは。

 

「ところで抜剣娘。お前も無事に都市本戦組なわけだが、こっから上は大変だぜ?」

「頑張ります!」

「ま、オレとしてはまず先にユタに雪辱を晴らさねえとな」

「まあ、その時は返り討ちにしますよ。可愛い番長」

「誰がだっ!」

 

「けど…私としては決勝行くまでは上位メンバーとはやりたくないんですよ。

…今回は、本気でジークさんを、世界最強を狩りに行くつもりなので。そのための秘策も、かなり用意してます。だから…ジークさんに勝つまでは、誰にも、負けるつもりはないです。後は……番長は単純にめんどくさい

 

「ユーーターー?最後の聞こえてるからな?」

「さ、さてナンノコトヤラ」

『おや、数秒前に自分で言ったことすら忘れましたか。ならばリピートしてあげましょう』

「いや嘘です!冗談ですから!…めんどくさいっていうのは、秘策を使わないといけなくなりそうだから、って意味ですよ。まぁ…当たった時は、そんなことは言わずに、全力でするだけですけど」

 

「まあ、ウチとしても誰にも負けるつもりはあらへんよー。ウチはこのまま二度目の世界を獲ってくる。

てっぺんで、ハルにゃんを待ってるから追いついてきてな」

 

と、ジークさんは、たった今宣戦布告までした私や、その他の都市本戦上位の人、ミウラとかもいるのに、堂々と世界を獲ると宣言してきた。

 

「おうコラジーク」「ジークさん…」

「ふえっ⁉︎」

 

それを聞いて、まず番長が頭を掴み、私は影の触手を数本作る。

 

「てめぇ、なーにすでに世界獲った気になってんだ?おお?」

「まあ、つまりは…ジークさんからは、堂々と勝てる、と言われたわけですね、私は」

「い、いたいいたい。番長痛い。ひゃっ⁉︎ちょ、ちょっと待ってユタ!そ、それはあかん!ウチ、それ弱いんやから!あひゃ!あひゃひゃ!や、やめてぇ!ああ、いたいいたい!痛いしくすぐったいし!あたまおかしくなるぅ!」

 

うん、なんかイケナイコトをしてる感じになったから、この辺にしとこう。

イケナイ想像をした人はいないと信じておこう。うん。

ちなみに私はしてしまいました。

 

「はーっ、はーっ、ば、番長にも、ユタにも、誰にも渡さへんよー。ハルにゃんともう一回試合で戦うまではなー」

「ええ」

 

「なんだてめーら。結託しやがって」

「…よし、こんどアインハルトの黒歴史を…」『その場合は、まあ遠慮なくやれ、ということでいいんですよね?マスター』

 

1つ注意しておくと、今行ったプライドの『遠慮なくやる』というのはアインハルトに対してじゃなく私に対してなんだよね。悲しきかな。愛機に見放される。

慈悲なんてないのだろうか。

 

『自業自得ですので、一切ありませんね』

「知ってた(泣)」

 

「そうだ!試合は決まってないですけど、ヴィヴィオはお母さんと戦うんですよ!」

「お母様?」「なんだ?親子喧嘩なのか?」

 

「母は管理局員なんで戦技披露会でエキシビションマッチをやるんです!」

「その前に僕ともやるんですよー」

「ちなみに、私はミウラとヴィヴィちゃんがやり合う前に団体戦を、管理局に勤めるための試験的な感じでやります」

 

ヴィヴィちゃん、ミウラ、私の順で説明をする。

私の時は、管理局に勤める、ということを大多数が今知ったので結構驚かれた。

 

「せっかくだから見学に行くかな?オレも局員志望だし」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

なんか、ハリーさんの口からすごい言葉が聞こえた気が。

 

「なんだその『えっ』はっ!オレが局員志望じゃいけねーのか⁉︎」

「「い、いえいえ!」」「いけなくはないけど驚いたんですよ」

 

どうやら聞き間違いじゃなかったみたい。

 

「というか、私も局員志望なわけですが…」

「そうなんです?」「マジか⁉︎」

 

エルスさんも……だとっ⁉︎エルスさんはてっきりメイドの道へ進むのかと思ってたのに。

 

「…ユタさん、何か失礼なことを考えてませんか?」

「気のせいです」

「そうですか。それはそうとハリー選手。希望部署はどこです?」

 

「……せーの」

 

「「警邏(けいら)隊」」

 

と、2人同時に同じところを答えた。

私?私は母さんの部下、って扱いになと思うから、海上系になるんじゃないかな?

これで警邏隊に配属されたら面白いんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

〜管理局〜

 

『というわけでフェイトちゃん!今練習場にいるから付き合って〜!』

「うん、まあ大丈夫なんだけど……。流石にちょっと気が早くない?」

『えー?そんなことないよ?ねーシグナムさん』

『ああ。そうだな。むしろ遅いくらいだろう』

『ヴィヴィオが私に、ユタちゃんがシグナムさんに本気で勝ちに来てくれるんだもんね〜。私も、シグナムさんも全力全開(ベストコンディション)でいないとね〜!』

「ていうか、シグナムさんいるならそっちに付き合って貰えば……」

『大丈夫!シグナムさんともやってるから!シグナムさんも、本気でユタちゃんの相手をしてやる、って意気込んでるしね〜』

『なのは、それ以上言うんじゃない』

「いや、もうさっき全力全開って言ってた気が……」

 

後にフェイトは、共に親バカなのか、と思って、それを口走ってしまい、まあ色々とされることとなる。

 

 

 

 

 

 

〜数日後〜

 

「………マジかー」

『マジですね』

「……まあ、いつかはやらないといけない、とは思ってたけど…。て言うか、配置に悪意ありすぎるでしょ」

『ここぞと言う時にくじ運が悪いですねぇ。ああ、でも決勝まで勝ち進めばジークさんとですよ』

「いや、そこまで行くのも辛すぎない?」

 

今は、母さんの家の方で送られてきた対戦シートを見てるが……結構ひどいとこに放り込まれてる。

 

「ユタ、どんな感じだ?」

「結構最悪ですよ。ほら」

 

そこにヴィータさんが入ってきて、組み合わせを聞かれたので、死んだ魚の目で見せると、みるみるうちに苦い顔になって言った。耳を塞いでても『うわぁ』って声が聞こえてくる。

 

「初戦にミウラ、2回戦で番長、三回戦でヴィクターさんとか……なに、私を潰しにきてるの…」

「ま、まぁドンマイ。てことは…コーチ陣は別れるか。多分ミウラの方にはあたしとザフィーラ、ユタには、はやてとシャマルが付くことになりそうだけどな」

「了解です…。あぁ、気が重い……」

「ほんっと。くじ運がいいのか悪いのか。いや、これは圧倒的に悪いな」

「知ってますよ…。……まぁ、決まったことをグダグダ言ってても何も始まりませんし、今から走り込みしつつ砂浜での練習に行ってくる」

「おう、夕飯までには帰ってこいよ。今夜は八神家特製シチューらしいから」

「ほんとっ⁉︎」

 

 

 

 

「と、こんな感じで家を出て砂浜で走り込みを始めたけども……はぁ、気が重い」

 

『ジークさんに勝つまでは誰にも負けないって言い切りましたもんねぇ』

 

「ゔっ…」

 

うう、我ながらとんでもないことを言ったよねぇ……。

 

「…まあ、決まってることにぐちぐち言って、当日に後悔するとか、そんなことしたくないから、ミウラにも、番長にも、ヴィクターさんにも、…他のどの選手にも、全力を尽くす。幸いなことに、私の技は、知ったところで対処の仕方が難しいってのがウリだからね。まあなんとかするよ」

 

『はい、その意気です。そして、お願いですからとっととエリオさんとくっついてください。このバカマスター』

「突然話題変換したかと思ったらそれ⁉︎しょーがないじゃん!インターミドルとか色々と忙しいんだから!向こうも仕事で忙しいし!」

『そんなことだからいっっっつもいい所でやらかすんですよ!本当にそのうちほかの(ヒト)にエリオさん取られますよ⁉︎』

「うぅ……」

『……あの、なんかすいません。まさかそこまで泣きそうになるとは』

「泣いでないよ…」

『(目に涙を浮かべてる時点で説得力がないんですが…まぁ、突っ込まないでおきましょうか)』

 

その後は、何故か砂浜にやたらと鋭い傷跡が無数にあったとか。

 

 

 

 

 

〜都市本戦 一回戦〜

 

「うん…大丈夫、大丈夫。……よし気合い入れた」

『ご武運を』

「頑張ってーな」

「頑張って!」

 

「うん。……あ、あの、その…エリオ」

 

「ん?どうしたの?」

 

試合始まる前のセコンドアウトされる前に、エリオの腕を引っ張って、少しだけその場に留める。

 

うぅ…顔が熱い…。

 

「そ、その……あの、この試合が終わったら、話が…あるんだけど…いい?」

「?うん、いいよ」

「(よしっ!)うん、ありがとう。それじゃあ行ってくるね」

 

「「行ってらっしゃい」」




おや。なにやらユタが敗北フラグを…。

さてと、ミウラとの戦闘を頑張ります。
原作では、本来は戦技披露会の方に行きますが、予定としてはヴィクターとの試合までした後に戦技披露会をするつもりです。

ヴィヴィちゃんたちの戦技披露会でのイベントは、特に書く予定はないです。というか、あれは絶対に原作見たほうがいいですわ。最終巻泣きかけましたもん。

さてと、そろそろvivid strikeの方も書き進めないとな…。


読んで下さりありがとうございます


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40話

都市本戦一回戦目
ユタvsミウラ

結構前に、チームナカジマの全員と試合をしてほしい、というのもあり、合宿所での試合をカウントに入れるとしたら残りはミウラとヴィヴィオのみ。

今回はミウラ戦。
(考えてて中々いい感じにならないから今回は少し短め)

どんなバトルにするかは考えれてもその文字表記は改めて難しいのを思い知りました。
バトル系を書いてる人ってすごいなぁ……

それではどうぞ。


アナウンスと同時に、都市本戦第一回戦目の相手、ミウラとともにリングに上がる。

 

「ミウラ、今日はよろしくね」

「はい、僕の方こそよろしくお願いします。今日も、本気でやらせてもらいます!」

「こっちもだよ。手なんか抜かずに、出し惜しみは無しで全力で……叩き潰しに行くよ」

「ええ、僕も遠慮なく斬り伏せにいきます」

 

物騒なことを言って、互いに笑いあって2人同時にリング際まで移動する。

 

「「セットアップ」」

 

そしてまた2人同時にセットアップをする。

今回も、腕は黒くしてある。

 

 

【試合開始!】

 

コングが鳴ると同時に私たちは動き出した。

 

 

「ロケット……点火(イグニッション)!」

「っ⁉︎」

 

ユタが影を実体化させるより早く、ミウラが超速スピードでユタに突っ込んだ。

 

ユタがカウンターの構えをした瞬間にミウラは真上に飛んだ。

 

ユタは、そのまま飛び蹴りをして来ると予想して受け流そうとしたら、今度はミウラが空を()()()

 

「旋空牙!」

「あっぶ…」

「鉄槌!」

「がはっ…」

 

ミウラは足払い…どころじゃない蹴りを足に撃ち込み、ギリギリ威力をそらされるが、体制が不安定になったところを、腹に拳を撃ち込んだ。

 

ユタは踏ん張らずに、これは素直に吹っ飛ばされた。

いや、踏ん張らなかったんじゃなく、できなかった。

 

そのまま壁に激突した。

 

『ダウン』

 

ライフ

ユタ 15000→9600

ミウラ 15000→13800 クラッシュエミュレート 軽度脳震盪

 

 

「っ…」

「ほー、ユタのやつ、あれでカウンター決めるか」

「ミウラなりに意表をついたと思ったんだが、さすがと言うべきか」

 

 

『10……9……8……7……』

 

 

「痛っ…。ゲホッゴホッ……。…うん、まだやれます」

 

審判の人に確認されていたが、まだ大丈夫なようだった。

 

『どうです?』

「うん、()()()()。いつでもいける。…まあ、お腹じゃなくて顎に当たった時点で失敗とか言うなら()()()()()()()()()。いやー、予想してたとはいえミウラはめちゃくちゃ速いね」

 

「(あの不安定な体制から的確に顎にカウンターをぶつけてきた…。あのスピードでもまだユタさんのカウンターを殺しきれないのか…)」

 

「んー、本当は『抜剣』で撃ち合ってもいいんだけど…」

『んなことを私が許すとでも?』

「知ってた」

 

 

そして互いに向き合うと、試合再開のゴングが鳴った。

 

 

ミウラは、再度超速スピードでユタに接近した。

 

「ユタさんには、影を創る暇はあげません!」

「そう?じゃあ、やってみなよ!」

 

ハードヒッターと超カウンター型による、格闘戦が繰り広げられる。

 

 

「(これは…予想以上に……)」

「やっ!」

 

今度はミウラの上段蹴りが繰り出され、ユタはしゃがんで避けた後に足を持って投げつけた後、急いで距離をとった。

 

「創主ユタの名の下に、冥界へ誘え、【ハーデス】!」

 

ユタは影のゴーレムを創生しミウラにけしかける。

 

「『抜剣』!槌牙(ついが)!」

 

「プライド、残り時間、少し無理するけどよろしく」

『止めたいところですが、どうせ聞かないでしょう?』

「どーも。いやぁ、ヴィヴィちゃんとかに怒られそうだな」

 

ハーデスは自動操縦だった割には、十分なほど時間稼ぎをしてれた。

でも流石にミウラの抜剣は耐えられなかったようで、()()()()()()()()()は潰された。

 

「うん、魔力散布も十分。仕込みも上々。あとは……」

 

「空牙!」

 

「っと…」

 

 

このラウンドを時間切れまで耐える。

2ラウンド目で決着をつけに行く。

 

 

ミウラは短期決戦に持ち込もうとしてるらしく、抜剣を容赦なく撃ち込んでくる。

 

突きをバックステップで避け、蹴りをジャンプで避け、左拳のストレートを少し軌道をズラして避ける。

 

「鉄槌!」

「ぐっ……いったい。でも…捕まえた。影の拘束(シャドウバインド)三重(トリプル)

「っ…、この…」

「まだまだ。影の雨(シャドウレイン)

 

バインドを仕掛け、取れる限界まで距離を取った後、影による破壊の雨をミウラに向かって降らせる。

 

全てを完全に避け切ることは無理と判断したのか、ミウラはバインドを引きちぎったあと、抜剣を連続して被害を最小限に抑えた。

 

ライフ

ユタ 9600→4500 クラッシュエミュレート 腹部重度打撲

ミウラ 13800→9600 クラッシュエミュレート 全身軽度裂傷

 

「よっ!」

「やあっ!」

 

相当鋭くしてある影を何本もミウラに向けて穿つが、抜剣により相殺される。

 

 

【第1ラウンド終了!】

 

 

気づくと、第1ラウンドが終わった。

 

 

「ふぅ…なんとかなったぁ……」

「なんや、やっぱりミウラはやりづらいか?」

「んーやりにくいかって言われたらやりにくい…かな。みんな避ける影を真っ向から潰してくるし。後は魔力のやりくりを少しやらかしたっていうのと……抜剣が予想以上に破壊力あって全力できてないからいいものの、全力でやって来たらさっきみたいにあえて受け止めて動きを止めるっていうのができないから」

「でも、すごい魔力をばらまいてなかった?魔力量が前と比べてかなり上がってるのは知ってるけど、よくガス欠にならないね」

「ふっふっふ。それはね、……エリオにも秘密っ。……また今度、管理局の後輩としてエリオにも挑戦したいから。もちろん母さんにも」

「生意気やなー。あんたの黒歴史ばら撒くで」

「僕としてはいつでも受けて立つよ!」

 

母さんからはサラッと脅されたがまあスルーしよう。

 

 

ライフ

ユタ 4500→10000 クラッシュエミュレート 全回復

 

 

 

「どうだ?本気のユタとの試合は」

「思った以上に楽しいですが……やっぱり苦しいですね。抜剣をあんなに乱発をしたのも初めてですし……。予想以上に魔力を削られてます。でも…なんでですかね。不思議と、力だけは溢れてくるんです。ヴィヴィオさん達と戦っている時のように…」

「うん、その調子なら問題はなさそうだな」

「そうだな、ミウラ、俺たちから師匠命令だ。ユタを遠慮なくぶっ飛ばしてこい!」

 

「はい!!」

 

ライフ

ミウラ 9600→14000 クラッシュエミュレート 全回復

 

 

 

 

「(1ラウンド目で勝つための布石は全部打った。このラウンドで……)」

「(苦しいとはいえ、調子はかなりいい。このラウンドで……)」

 

「「(決着をつける)」」

 

 

 

 

 

【第二ラウンド 開始!】

 

「『抜剣』・四天星凄(してんせいおう)、天破の型!」

 

「フゥーーー……。大丈夫だ、練習では上手くいってるんだから。大丈夫…」

 

私は、右手を高く上げるとともに影を私を中心に円状かつ背後の縦に影を実体化させる。

ミウラは抜剣の、ヴィヴィちゃんとの試合で見た四天星凄・天破の型を取った。

 

互いに、完璧な状態になるまで、示し合わせたわけでもなく待つ。

 

「……行くよ、ミウラ」

「はい、行きますよ。ユタさん」

 

ミウラが地を蹴り突進してくる。

影の触手を何本かさし向けるも、魔力を込めた拳で破壊された。

 

「(やっぱり…これくらいじゃ無理か)」

 

「飛燕!」

 

「っと」

 

ミウラの抜剣に対し影を瞬間的に硬くし防ぐ。

懐にはいられないように、そして()()()()()()()()()()()()()、腕は上げたままで距離を取る。

 

巻き込まない最低限の距離を確保して私は……

 

 

パチン!

 

 

手を振り下ろし、指を鳴らした。

 

「⁉︎」

「ふぃー、成功ー。プライド、今のうちに腕の硬化魔法をするからサポートよろしく」

『承知しました』

 

指がなったと同時に、ミウラの足元が爆発したかのように粉塵が舞い、ミウラの体から()()()()()()()()()()ミウラを切り裂いたと同時に等身大サイズの影の箱(ブラックボックス)を形成しミウラを閉じ込めた。

 

 

ライフ

ミウラ14000→11500 クラッシュエミュレート 全身軽度裂傷 右肩重度裂傷

 

 

「っ!」

 

「よし、硬化魔法も完了」

 

ミウラが影をぶち抜いて出て来たと同時に硬化魔法を腕にかけ終わり、腕全体が真っ黒になった。

 

「でも、仕込みの半分がうまくいっただけ。魔力量も辛くなって来た」

『はい、ここからが正念場ですよ。しっかりと、悔いのないよう。マスター』

 

「右肩やられた…。でも、まだ動ける。まだやれる…!スターセイバー。師匠達には怒られるかもしれないけど、相当無茶するけど、ごめんね。頑張るから、スターセイバーも頑張って」

『All right!』

 






実はこれ書いてる最中に感想とかで言えばいいものを……メールでど直球に見る価値ない的なことを別作品で言われて軽くショックを受けたのもあり短くなってたりする。

面白くないならそのままブラウザバックをして今後見ないようにすればいいのに、とか思うのは私だけですか…。


さて、関係ない話は置いておきまして。

ユタの戦闘のコンセプトは
対策しづらい戦闘スタイル

を中心に考えています。
でも、それが自分の首をしめてしまっている…。
戦闘難しぃよ…

稚拙な文章ですが、今後とも皆さんの暇つぶしになれば幸いです

読んでくださりありがとうございます


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41話

戦闘むずかしぃよ!

しかも一回書き終わりかけてたものが消えて…バックアップも間違えて消してしまい……一度途方にくれた。

しかし、自分の文才がないのも事実でここまで時間がかかってしまったわけで……
すいません。

さて、ユタvsミウラ 後編です。

それではどうぞ。


「(…残り魔力は40%弱くらい。やっぱりミウラ本体に引っ付けたものがおおきいな…。空中は半分。地面に仕込んだものもまだ残ってるけど…痛みで動きも鈍ってきた。でも…)」

「(右腕が痛みで感覚マヒしてきた。けど、動けないわけじゃない。足も、左腕もまだある)」

 

「「((まだ、やれる))」」

 

 

 

「やっ!」

 

試合再開のコングが鳴ると同時に、ミウラは無事な左腕を使って床を殴り、瓦礫と粉塵を巻き上げた。

 

「彗星!」

 

「⁉︎」

 

目隠しかと思って懐に入られるのを警戒をしてると、ミウラは瓦礫を()()()()()。散弾銃のように散らばってきたのもあれば、拳大より大きめのものがそのまま飛んできたりした。

 

粉塵の中から、急に瓦礫が飛んでくるものだから、防げれずに、1発もらってしまった。

 

ライフ

ユタ 10000→7900 クラッシュエミュレート 腹部軽度打撲

 

「旋空牙!」

「っ、影の壁(シャドウ・ウォール)!」

 

ミウラが背後から強襲してきたのを、魔力で感知して影の壁で防ぐ。

 

「こっ…のぉ!」

 

影網(シャドウネット)!」

 

強行突破されそうになったところで影の壁を即座に網に作り変え、ミウラを捕縛しにかかる。

 

「ブレイジングコメットッ!」

 

が、ミウラは今度は岩を蹴飛ばすのではなく、魔力弾を抜剣で蹴り飛ばして影網を相殺してきた。

 

影槍(シャドウランス)・乱舞!」

 

それをみて、空中に散布していた魔力から小さめの影の槍を大量に作り出しあらゆる角度からミウラに向かって降り注がせる。

 

「⁉︎」

 

ミウラが怯んだから、追い打ちをかけようと影を新たに生成すると、真上から魔力弾が降ってきた。それは、見事に私の頭に命中した。

 

 

ライフ

ユタ 7900→7000

ミウラ 11500→9800

 

 

「っ…!やっ!」

「こ…のっ!」

 

そんな中、確実に右腕は潰したと思っていたのに、なんともないかのようにミウラは近接でラッシュを繰り出してくる。

 

右ストレート、左ジャブ、膝蹴り、アッパー、それらを視界が悪い中なんとか避けていく。

その反面、少しずつ()()()()()()()

攻防の中で、隙を作られたかのように、さりげなく。

 

「抜剣、飛龍!」

「っ、影の壁(シャドウ・ウォール)二重(ダブル)!」

 

少しだけ距離を空けると、ミウラはおもいっきり蹴り上げ、衝撃波を飛ばしてきた。それを影の壁で相殺する。

 

「飛燕!」

()()()()()()()()()!」

 

その時に隙ができ、ミウラがそれを見逃すわけがなく、予想通り斬り込みにきたので、硬化魔法がかかっている上からヴィヴィオちゃんのように、手に魔力を集中させカウンターをする。

 

顎を狙いに行ったが、痛みのせいか顔をかすっただけだった。

 

「一閃…」

「っ⁉︎」

「必墜…」

 

カウンターの失敗という大きな隙をリカバリーする暇もなく、ミウラにボディーブローをかまされる。

しかも、ヴィヴィちゃんの時のフィニッシュ技を繰り出そうとしているのが、緊迫しているというのにはっきりとわかった。

多分、ミウラが一番決めやすい位置で、一番いいタイミングだったんだろう。

 

けど、それは()()()()。でも、あと一つだけ決定的な要素が足りていなかった。

 

 

「(一か八か…!)」

 

天衝星煌刃(テンショウセイオウハ)!」

 

 

残り魔力の7割ほどをすべて防御に回して硬化魔法をかけていた腕とともにミウラの最大威力が打ち込まれた場所()で守るも、あまりの強い威力に盛大に吹っ飛ばされた。

 

 

影喰い(シャドウイート)!」

 

「えっ⁉︎」

 

「爆!」

 

 

地面の()に仕込んだ魔力を使い、ミウラの足元の地面ごと影を操作しミウラを包み込み、魔力を爆発させた。

決め手となる大技の後で、私がモロに受けていたというのもあり、完全に油断していたからなのか、ミウラは避けれておらず、爆発によりリング外の壁に叩きつけられた。

 

「いっ…」

 

それとほぼ同時に私もかなりの威力で壁に叩きつけられる。

 

肺から空気が全て抜け、息ができないかのような感覚に陥る。

 

 

ライフ

ユタ 7000→380 クラッシュエミュレート 中度脳震盪

ミウラ 9800→200 クラッシュエミュレート 右肩重度裂傷 全身軽度裂傷 中度脳震盪 腹部重度打撲

 

 

「いえ…でき……ます」

「だ、大丈夫…です。まだできます」

 

審判の人に続行できるか確かめられたが、まだ体も動く。それにミウラもまだ倒れなかった。

 

本当なら、倒れてもおかしくない傷なはずなんだけどな。

 

それはそうと…

 

「プライド、とっさの判断ナイス」

『本当に一か八か、でしたね。もう二度とゴメンです』

「あはは、本当に助かったよ。でも…硬化魔法は蹴り砕かれたし、仕込んだ魔力も全部使い切った。残り魔力もわずか。ライフも首の皮一枚繋がってるだけ。けど…」

『やることは変わらない、と』

「セリフ取らないでよ」

 

たぶん、私もミウラも、一撃貰えばそれで終わり。

クラッシュエミュレートはミウラが酷いとはいえ、私もダメージ蓄積を治すのに魔力を回せてなかったおかげで75%になっていた。

プライドにためておいた魔力のほとんどもセイオウハを防ぐのに使ったらしい。

 

もう、立つことすらつらい。

 

 

と、私とミウラがリングに上がり、試合再開のコングがなった。

 

「……」

 

「え?」

 

 

『ダウン』

 

 

いつ、来るのか警戒していると、突然ミウラが()()()

 

突如気を失ったかと思ったが、そういう訳ではないらしく、なんとか立ち上がろうとしていた。

 

『純粋に、体の限界をすでに迎えていたようですね』

「…そういうこと」

『そういうマスターも、気を抜いたらミウラさんのようになりますから』

「う、うん…」

 

無慈悲にも、カウントはどんどん進んで行く。

 

けど、なんでだろうね。起き上がって欲しいという私と、起き上がって欲しくない、という私がいた。

 

 

 

 

「(たたないと…!でも、体が言うことを聞かない…!お願い、お願いだから、最後に言うことを聞いて…!)」

 

セイオウハを打った直後の完全な無防備な時にユタさんによって濃密な魔力の爆発を起こされた。

なんとかライフはあるものの、体は限界だった。

 

けど、ユタさんは立ち上がってきて。

 

それをみて、無理をしてリングに上がってしまったせいか、再開した直後に、倒れ込んでしまった。

 

「(こんな…終わり方は……嫌だ!まだ…まだ動けるはずなんだ…!)」

 

けど

 

腕に、脚に、力を込めるも、立ち上がれない。

 

 

『6……7……』

 

 

 

「「「ミウラさーーん!ファイトーーー!!!」」」

 

 

 

「っ!」

 

 

「…立てちゃったか」

『嬉しいのか、悔しいのかどちらでしょうか』

 

 

不思議なことに

聞こえてきた、声で、今まで動くことすらできなかった体が、いとも簡単に、動いてくれた。

 

 

「…よかったよ、あのまま立てないのかと思った」

「ええ、ヴィヴィオさんたちに助けられちゃいました」

「ヴィヴィちゃんたち、どっちの味方なんだろうね」

「両方だと思いますよ」

 

 

審判の人に、改めて確認されたけど、もう、大丈夫だ。

 

 

むしろ、さっきよりも、力が湧いて来る。

 

 

「改めて、行きますね、ユタさん」

「うん、いくよ。ミウラ」

 

 

 

 

再開と共にユタが残り魔力のすべてで影を創生し腕に纏わせ、ミウラはその際に一気にユタとの距離を縮めた。

 

影を繊細に操る気力も、抜剣を維持する気力も、互いに残っておらず、ただ単純なハードヒッターと超カウンター型の戦いになっていた。

 

ミウラが強打を繰り返し、ユタは執拗にカウンターを狙っていた。

 

が、決着は早く到来し…

 

「ハンマーシュラーク!」

「やっ!」

 

ミウラが腹に強打を撃ち込み、それを利用しユタがカウンターを決めた。

 

 

ライフ

ユタ 380→100

ミウラ 200→0

 

 

『決着!勝者はぁ、八神ユタ選手!都市本線一回戦目から魅せてくれました!そして、互いに健闘した両選手に、盛大な拍手をお願いします!』

 

 

「……ふぅ、もう二度とこんな戦法しない」

『それが懸命ですね。まあ、ひとまずはおめでとう、と言っておきましょう』

「う…ん。けど…ヴィクターさんと…ジークさん以来の……極度…に……」

 

ドサッ、とても言うように、もう立つことすらままならなく、その場に倒れこんだ。が、誰か---とは言っても、このリングの近場にいる人で胸が豊富な人は一人しかいないからすぐにわかったけど----に支えられた。

 

「あ…ありが、と」

「…なーんか、色々と弄ってやろうって思っとったのに、あんな試合を見せつけられたらなんも言えんくなったわ」

「いや、弄らなくていいからね⁉︎ていうか、動けないほど疲れてるのわかっててイタズラをしようとしないで⁉︎」

 

ゆっくり撫でられると妙にくすぐったいんですけど⁉︎

 

「…ミウラは、どうやった?」

 

「へ?え、えーと、めちゃくちゃ強い。…あんな風に私の『影』に対して真っ向からぶち破ってくるなんて、ジークさんですらしなかったし。あとは…やっぱりシグナム姐さんやヴィータさんたち直伝の『抜剣』がねぇ…。乱発させて、魔力消耗させるのが狙いだったけど、まあ見事に自分の首を絞めた。あとは土壇場の強さとか、ね」

 

「そうか…」

「ユタ、そういえば話って?」

「ゔっ…エリオ、そ、それはあと……で……」

 

この時に、無性にイラっとしたはやてはこのまま地面に叩き落とそうとしたとかなんとか。

 

 

 

 

〜医務室〜

 

「大丈夫か?ミウラ」

 

「はい、大丈夫です。ヴィータさん、師匠」

 

「だが、2ラウンド目はお世辞にもいいとは言えない。あのまま右腕を酷使していたら、最悪な事態になっていたのかもしれないんだぞ」

 

「ゔっ…は、反省してます…」

 

ベットの上でヴィータさんに心配され、師匠からは咎められた。

 

「だけど、いつも以上に、それこそ寝不足になるくらいまで相手の研究をしまくった、本気ユタ相手によくあそこまでやったよ」

 

「え?そうなんですか?」

 

「そうだぞ。マジできんもち悪いくらい研究しまくるからな。そんで苦手なところを探し出してとことんそこを突くのがユタの本来の戦法だ」

「だが、ミウラの弱点は対応できなかったんだろうな。近接戦、しかもハードヒッターができないユタでは、ミウラに対して影でしか対策できなかったが、それも真っ向から潰されていたしな」

 

と、ここで師匠達の会話から、改めてユタさんがどれほど頑張って、あそこまで強くなったのか、ほんの少しかもしれないけど、理解した。

 

「ま、何はともあれ、お疲れ様、だ。次は…」

「ヴィヴィオとの戦技披露会に向けて特訓だ」

 

「はい!」

 

負けはしたけど、最後まで、しっかりと戦い抜けれて、悔しいけど、なんというんだろう。それ以上に楽しかった。




何が一番迷うかって、ユタの技名。
どんな技かは思いついてもその技名が思い浮かばない。

シャドウ、が大体つくんですけどね…。

さてと、次は久々にほのぼのを挟むぞい。


読んでくださりありがとうございました。


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