楓「むみ入荷しました。」 (イオリ・マエステラ)
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1話

 

リポーター『テレビの前の君たちにビッグニュースのお知らせだっ!!世界一可愛いと言われている愛玩動物【むみ】がなんと日本に上陸だぁっ!!!お求めは近くのペットショップまでっ!!!急げ急げ~(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎』

 

 

~ペットショップ ジョカ~

 

 

店長「あっはぁ~~~ん♡ついに我がペットショップでも【むみ】を入荷したわよっ!さて、【むみ】の世話役わぁ、楓ちゃんに任せたいと思うの!もちろん、やってくれるわよね?」

 

 

楓「わ、ワタクシですか!?お気持ちはありがたいのですが店長、ワタクシ【むみ】の世話をしたことが…」

 

 

店長「そう、やってくれるのね!それは助かるわ!最近の若者はやる気があって良いわね~うんうん♪」

 

 

楓「て、店長…!!あぁ…行ってしまいましたわ…」

 

 

~仕方なくワタクシは入荷した【むみ】たちをケージに分ける作業に取り掛かった~

 

 

楓「この子はメス…この子もメス…ん?全部メスですわ!」

 

 

~【むみ】のオスは百年に一度しか生まれない、何かで読んだ気がした~

 

 

楓「それにしても【むみ】って一体なんなのかしら…白いうさ耳フードに薄い金の髪…手乗りサイズ…そして」

 

 

むみ「むみっ?」

 

 

楓「こ、この…愛らしさぁぁぁぁぁっ///」ホッペスリスリスリスリ

 

 

むみ「む、むみぃぃぃぃぃぃ!!!?」

 

 

楓「ハッ!?わ、ワタクシとしたことがつい我を忘れて…///」

 

 

むみ「むみぃ………」バタンキュ-

 

 

楓「ご、ごめんなさい!?えぇと…【むみ】ちゃん?」

 

 

むみ「むみぃ〜」

 

 

楓「(嗚呼、飼いたい…養ってあげたいっ♡)」

 

 

店長「楓ちゃ〜ん、【むみ】のケージ移し終わったぁ〜?次の仕事待ってるわよ〜♪」

 

 

楓「あ、はーい!今行きますわ!」チラッ

 

 

むみ「むみむみむみむみ」ヒマワリノタネモグモグ

 

 

楓「きゅんっ///」

 

 

~それから数日間、ワタクシは【むみ】たちの管理を任された。世間でブームになっている【むみ】は初日から飛ぶように売れた。ただ、一匹を除いて…~

 

 

むみ「むみむみむみむみ」ヒマワリノタネモグモグ

 

 

楓「はぁ…どうしてこの子だけ売れないんでしょう…」

 

 

店長「う~ん、なんでかしらね~どうしてかしらね~わからないわね~」ニギニギ

 

 

楓「店長、仕事中でも握力鍛えてるのですわね…」

 

 

店長「ペットショップの店長は握力が命なのよぉぉぉぉぉ!!」ニギニギニギニギ

 

 

楓「(理解に苦しみますわ…)」

 

 

むみ「むみ~!むみ~!」

 

 

楓「あ、はいはい今ブラッシングしますからね~♡」ナデナデ

 

 

むみ「むみぃ~♡」スリスリ

 

 

楓「あぁ^~至福のひと時ですわぁ^~」

 

 

店長「ん~?楓ちゃん、今その子自分からスリスリしてなかった?」

 

 

楓「え、あ、はい。いつも自分からしてきますわ」

 

 

店長「ふむ…えぇと…た・し・か・こ・こ・に・♪あ、あったわ。はい♡」

 

 

楓「マニュアルですか?えぇと、なになに…」

 

 

~【むみ】は小さい頃にほっぺスリスリをすると、その人のことを親だと思い込みます。販売時には飼い主にほっぺスリスリをしてもらうよう説明してください~

 

 

楓「…………………」

 

 

店長「理解できたかしら?」

 

 

楓「ハハッ!」

 

 

店長「なにわろてんねん」

 

 

楓「も、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!出来心でめちゃくちゃほっぺスリスリしてましたわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

店長「こんなんじゃ売り物にならないよ(呆れ)」

 

 

楓「む、むみぃぃぃぃぃぃっっっ///」

 

 

店長「はいはい、【むみ】化してないで、この子のケージと餌と必要なもの全部用意して、今日から自分の家で飼うのよ♪」

 

 

楓「あ、あのぉ…」

 

 

店長「何かしら?」

 

 

楓「お代の方は…(震え声)」

 

 

店長「うふっ♡給料から天引きよ♪」

 

 

楓「デスヨネー(半泣き)」

 

 

むみ「むみっ!」

 

 

~楓のお家~

 

 

楓「ぬわぁぁぁん疲れたもぉぉぉぉぉん!!!!」ボフッ

 

 

楓「あ、【むみ】ちゃん出してあげないと」

 

 

箱の中のむみ「むみぃ…むみぃ…」

 

 

楓「はい、【むみ】ちゃん。新しいお家ですわよ~♪」

 

 

むみ「むみっむ~み~…」クンクン

 

 

楓「うふふ、店長直伝の干し草を敷いてみましたわ!」

 

 

むみ「むみっ!むみっ♪」

 

 

楓「気に入ってくれて何よりですわっ♪さ、シャワーでも浴びてこようかしら」

 

 

『か…え……で…ちゃ………ん……』

 

 

楓「ん?呼ばれたような…気のせいですわね」

 

 

むみ「むみむみむみむみ」

 

 

~続く~



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2話

~楓のお家~

 

 

楓「ZZZ……ZZZ………うーん…もう食べられませんわぁ~♡」ムニャムニャ

 

 

むみ「むみゅう……むみゅう………」

 

 

チッ チッ チッ チッ チッ カチッ

 

 

ひなた目覚まし『おはよう!!!!!ねえ!!起きて!!!外見て!!朝!!!朝だよ!!!!カンカンカンカンカンカンカンカン!!!窓開けてみて!!!朝なの!!!すごい朝!!!!空気美味しい!!!!清々しい!!!ねえ!!カンカンカン!!!おはよ!!!希望の朝だよ!!!!』

 

 

楓「ん…ふわぁ~~~~~~もうそんな時間かしら…」カチッ

 

 

むみ「むみぃ…」

 

 

楓「うふっ、おはよう【むみ】ちゃん、今日も一日頑張ろうね♪」

 

 

むみ「むみぃ…♪」ネムネム

 

 

~ペットショップ ジョカ~

 

 

楓「おはようございまーす!」

 

 

店長「あっら楓ちゃん!今日は一段と元気ね、おはよっ♡」

 

 

楓「はい!愛する家族のため、今日も頑張ります!」

 

 

店長「うんうん、気合い十分でよろしいっ♪それじゃあ楓ちゃんにはこれとこれとこれと…あ、そう言えば【むみ】ちゃんはなんてお名前にしたの?」

 

 

楓「あっ」

 

 

店長「あっ(察し)今日のお仕事の一つに追加しとくわねっ♪」

 

 

楓「は、はいぃぃ…」

 

 

~昼休み~

 

 

楓「はぁ…名前が全然決まりませんわ…」

 

 

⁇「おッス楓!暗い顔して~また兄さんに怒られたか?」ニヤニヤ

 

 

楓「ブラッド先輩…」

 

 

ブラッド「おう!その感じだと兄さんの方じゃねーみたいだな!」

 

 

楓「はい…実はかれこれ【むみ】を飼い始めたのですが、名前をまだ決めてなくて…」

 

 

ブラッド「名前かぁ、俺だったら自分の好きなものの名前をつけたりするかな…ファルファラ~とかティナ~とか」

 

 

楓「好きなもの…ですか(カップラーメンは…好きですけどペットに付ける名前ではないですわね)」

 

 

ブラッド「ま、あんま拘らずフィーリングもいいかもなっ♪名前決まったら教えてくれよ!」

 

 

楓「あ、はい!ありがとうございます!」

 

 

店長「おう、ブラッドはここか?」

 

 

ブラッド「げっ!兄さん!?」

 

 

店長「いつまでもチンタラサボってんじゃねぇぞ、あぁん!?」

 

 

ブラッド「ご、誤解だ兄さん!?てか、まだ昼休みだろっ!!?」

 

 

店長「うるせぇ!つべこべ言わずに働けぇっ!!!」ムチピッシャ-

 

 

ブラッド「あひぃぃぃぃぃ///」

 

 

楓「(理解に苦しみますわ…)」

 

 

~夕方~

 

 

楓「くぅ~疲れましたわwこれにてお仕事完結ですわ!」

 

 

店長「お疲れ様~今日はもうあがっていいわよ~♡」

 

 

楓「ありがとうございます!お疲れ様でした~♪」バタンッ

 

 

店長「さてはて、いったどんな名前にしたのやら」

 

 

ブラッド「明日が楽しみだな、兄さん」

 

 

店長「まぁ、な。ペットを飼うってのは命を預かるってことだ。名前をつけてやったところから、ペットと飼い主の生活は始まる」

 

 

ブラッド「兄さん…(珍しくまともなことを)」

 

 

店長「俺ぁいつだって、まともな事しか言わないぞ?さ、ブラッドくん休憩時間はとっくに過ぎてるぞ?」ニッコリ

 

 

ブラッド「/(^o^)\」

 

 

~楓のお家~

 

 

楓「【むみ】ちゃんただいまですわ~!元気にしてまちたか~♡」

 

 

むみ「むみぃ~♪」

 

 

楓「あぁ^~心がむみむみするんじゃあ^~」ピョンピョンムミィ

 

 

むみ「むみむみむみむみむみ♡」スリスリ

 

 

楓「ふおおおおおおおお!!!!うっ!?」ドサッ

 

 

むみ「むみっ!?」

 

 

楓「ふぅ…あまりの可愛さに昇天しかけましたわ(滝汗)」

 

 

むみ「むみ…むみぃ!」

 

 

楓「うふふ、はいはいごめんなさい♪【むみ】ちゃん、ワタクシあなたのお名前を考えましてよ!」

 

 

むみ「むみっ?」

 

 

楓「今日からあなたは【ミシェル】ですわっ♪」

 

 

むみ「むみぃ~?」

 

 

楓「き、気に入らなかったかしら…」

 

 

むみ「む~み~む~みむみ~♪」

 

 

楓「!!み、ミシェル…?」

 

 

ミシェル「むみっ!」ビシッ

 

 

楓「あ、あぁ…あ〝あ〝あ〝あ〝あ〝あ〝あ〝可愛すぎますわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ビクンビクン

 

 

『か…えで……ち…ゃ……ん……』

 

 

楓「え、今何か…」

 

 

『かえで…ちゃん……』

 

 

楓「だ、誰ですの!?私を呼ぶのは!!」

 

 

『こっち…下にいるよ…』

 

 

楓「え、下って……」

 

 

ミシェル「………………」チョコン

 

 

楓「そ、そんなことって…ミシェルあなたなの?」

 

 

~続く~



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3話

~楓のお家~

 

 

楓「ミシェル、あなたなの!?」

 

 

ミシェル「むみぃ~♪楓ちゃんこんにちは!」

 

 

楓「~~~~~~っ!!?」

 

 

ミシェル「いつも大事に育ててくれてありがと~♡」

 

 

楓「わ、ワタクシは…【むみ】が話すということは聞いたことが……」

 

 

ミシェル「えへへ♪楓ちゃんがいつも愛情たっぷりだからかな、ミミ話せるようになったんだよ~♪」

 

 

楓「そ、そんな…そんなことって……」

 

 

ミシェル「むみぃ…やっぱり変かな?それとも怖がらせちゃったかな…」

 

 

楓「最高ですわぁ〝ぁ〝ぁ〝ぁ〝ぁ〝ぁ〝ぁ〝ぁ〝ぁ〝!!!

!!!!!!!」スリスリスリスリスリスリスリスリ

 

 

ミシェル「むみみみみみみみ!!!?」ジタバタ

 

 

楓「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」スリスリスリスリスリスリスリスリ

 

 

~1時間後~

 

 

楓「ふぅ…♪」ツヤツヤ

 

 

ミシェル「む…むみぃ……」ボロボロ

 

 

楓「とても良かったですわよ、ミシェル♡」

 

 

ミシェル「い、いつもの3倍キツかったよ……」ガクッ

 

 

楓「さ、晩ご飯でも作りましょ♪」

 

 

ミシェル「楓ちゃん」

 

 

楓「なにかしら?」

 

 

ミシェル「怖く…ないの?」

 

 

楓「怖い?」

 

 

ミシェル「だ、だって飼ってたペットがいきなり喋りかけてきたら…その……」

 

 

楓「怖いだなんて…そりゃビックリはしましたけど、愛する家族を怖いなんて思う人がいると思いまして?」

 

 

ミシェル「家族…?」

 

 

楓「えぇ、あなたはワタクシにとって大事な家族ですわ。だから、ほら…泣きそうな顔はしないで?」

 

 

ミシェル「う、うぅ…楓ちゃぁぁぁぁぁんっ!!!」テコテコテコ ダキ-

 

 

楓「あらあら、意外と甘えん坊さんですのね♪」ナデナデ

 

 

~それから毎日、ワタクシはミシェルとたくさんお喋りした。今の流行がアレだとか、今日は美味しいものを買ってきたとか、他愛もないけどとても大切な時間を一緒に過ごした~

 

 

ミシェル「楓ちゃん、これからもずっと一緒にいようね♪」

 

 

楓「えぇ、もちろんですわ♪」

 

 

~そんな幸せな時間が永遠に続くとワタクシは信じてました。そんなある日の夜~

 

 

ミシェル「ねぇ、楓ちゃん」

 

 

楓「なんですの?」

 

 

ミシェル「楓ちゃんはどうしても叶えたい夢ってある?」

 

 

楓「夢、ですか?」

 

 

ミシェル「うん!どーんなことでもいいんだよ♪」

 

 

楓「そうですわねぇ…強いて言うなら、もう一度お父様とお母様に…」

 

 

ミシェル「パパとママに?」

 

 

楓「いえ、なんでもないですわ」

 

 

ミシェル「むみぃ?」

 

 

楓「さ、明日も早いので今日は寝ますわよ?」

 

 

ミシェル「はーい」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

楓「うーん…むにゃむにゃ……」

 

 

ミシェル『楓ちゃん、寝ちゃったかな?さっきのパパとママの話、どういうことなんだろ………』

 

 

ミシェル「ちょっとだけごめんね…」

 

 

~寝ている楓の額に額を重ね、ミシェルは目を閉じた~

 

 

~続く~



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4話

?『何故ですか!何故ワタクシを連れて行ってくれないのですか!』

 

 

男『すまんな楓、今回は仕事の関係でどうしてもお母さんと2人で行かなければならないんだ』

 

 

女『ごめんなさいね楓ちゃん、すぐ帰ってくるからね』

 

 

男『そろそろ時間だ、ヴィンセント』

 

 

ヴィンセント『はい』

 

 

男『留守の間は娘のことを頼む…それと、戻って来たらあの店はお前が仕切れ』

 

 

ヴィンセント『承知致しました。このヴィンセント、誠心誠意尽力させていただきます』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

リポーター『見えますでしょうか!!今、○○往きの便が滑走路に胴体着陸しました!!摩擦面が燃えています!!』

 

 

ヴィンセント『…ッ!!!』

 

 

楓『ヴィンセント…これってお父様とお母様が乗ってる飛行機じゃ…』

 

 

ヴィンセント『親父さん…叔母さん…無事でいてくれ!!!!』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

喪服の女性1『飛行機の爆発で搭乗者は全員…』ヒソヒソ

 

 

喪服の女性2『えぇ、中には遺体すら残ってない方も…』ヒソヒソ

 

 

喪服の男性1『気の毒にな…しかし千導院夫妻は不幸中の…』ヒソヒソ

 

 

喪服の男性2『不謹慎だぞ、それ以上はやめとけ…』ヒソヒソ

 

 

ヴィンセント『…………………』

 

 

楓『う、うぅ…お父様……お母様…………!』グスン

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

楓『…………………』

 

 

ヴィンセント『親父さんが生前に書いていた遺書を見つけた、それによると全財産は 千導院楓 が満20歳になった時に相続される』

 

 

楓『…………………』

 

 

ヴィンセント『それまでは ヴィンセント・サヴィーノ が管理し、千導院楓の後見人として勤めを果たすこと…以上だ』

 

 

楓『…………………』

 

 

ヴィンセント『お前のことは責任持って育てる。そして、親父さんの店もな』

 

 

楓『…………………』

 

 

ヴィンセント『ふぅ…それじゃあ、俺は行ってくるぞ。』

 

 

楓『…………………』タタッ

 

 

ギュッ

 

 

ヴィンセント『ん?』

 

 

楓『ひとりに…ひとりにしないで……うぅ…』

 

 

ヴィンセント『ちっ、悪かったよ。ほら、一緒に行くぞ』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

~ペットショップ ジョカ~

 

 

ヴィンセント『可愛いだろ?この前入荷したハムスターだ』

 

 

ハムスター『モグモグモグモグモグ』

 

 

楓『……………………』

 

 

ヴィンセント『さわっても大丈夫だぞ』

 

 

楓『え、えぇ…』ソッ

 

 

ハムスター『モグモグモグモグモグ』

 

 

ヴィンセント『はは、食べるのに夢中みたいだな!どうだ?』

 

 

楓『あたたかいですわ…』

 

 

ヴィンセント『命の温もりだ、俺たちペットショップはそれを預かる。そして、人に受け渡すんだ』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ブラッド『ハッピバースデイトゥーユー♪ハッピバースデイトゥーユー♪ハッピバースデイディア楓~♪ハッピバースデイトゥーユー♪』

 

 

楓『フゥ〜!』

 

 

ブラッド『おめでとー♪』パチパチパチパチ

 

 

楓『ありがとうございますわ♪』

 

 

ヴィンセント『この前までハムスターみたいに小さかったのになぁ。もう15歳か』グビグビ

 

 

ブラッド『あ、兄さんそれ酒』

 

 

ヴィンセント『めでたい席だからな…営業時間終わってるし、バチは当たりゃしないだろ』

 

 

ブラッド『…それもそーだな!楓ほら、お前の好きなケーキあるぞ、ケーキ!』

 

 

楓『モグモグモグモグモグ!!!』

 

 

ブラッド『あ、もう食ってんのね(凄い勢いだな)』

 

 

楓『ゴックン!ぷはぁ~♡』キラキラ

 

 

ヴィンセント『…………………ふっ(いい笑顔見せるようになったな)』

 

 

楓『ところで、ヴィンセント』

 

 

ヴィンセント『あ?なんだ?』

 

 

楓『ここではアルバイトは雇ってませんの?』

 

 

ヴィンセント『なんだ、ここで働きたいのか?』

 

 

楓『えぇ!それとワタクシ決めましたの』

 

 

ヴィンセント『?』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

楓『ふっふっふっ…ここが今日からワタクシの家ですわっ!』ドンッ!

 

 

ヴィンセント『ったく…家賃安いとこ探すの大変だったんだぞ?困ったらすぐ連絡しろよ、辛くなってもだぞ?』

 

 

楓『心得ておりますわ!』

 

 

ヴィンセント『ふっ…そうかい。それともう一つ』

 

 

楓『なんですの?』

 

 

ヴィンセント『店では店長って呼べ、それがルールだ』

 

 

楓『わかりましたわ店長!』ビシッ

 

 

ヴィンセント『オフの時はいつも通りでいいぞ…』

 

 

楓『///』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

楓『お父様…!お母様…!ワタクシ頑張ります!頑張って…頑張って…いつか、お二人をアッと言わせるぐらいに!!!』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

楓『今年でワタクシも20歳…お父様の遺産を相続できる年齢になりますわ』

 

 

ヴィンセント『あぁ…長かった子守も、もうおしまいだな』

 

 

楓『…………………………』

 

 

ヴィンセント『…………………………』

 

 

楓『本当は…この姿を……お父様と…お母様に……う、うぅ………』ポロポロ

 

 

ヴィンセント『見てるさ、お前のことをずっと…』

 

 

楓『う、ぐすっ…申し訳ありません……涙が…止まらなくて……』

 

 

ヴィンセント『泣きたい時は泣いとけ、泣きたくても泣けない時だってあるんだから…』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『お父様……お母様………会いたいです……………今、この瞬間だけでも良いのです……………千導院楓は……今日この日まで頑張ってきました……………』

 

 

「それがあなたの叶えたい願いなの?」

 

 

『そうです…これがワタクシの願い……届かぬ祈りなのですわ!!!』

 

 

「わかった。その願い叶えてあげるね!」

 

 

『えっ?』

 

 

~続く~



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5話

ミシェル「むみむみむみむみむみむみぃ~~~!!!!!」パァァァァァァァァ

 

 

楓「こ、この光は…いったい!?」

 

 

?『か…えで…かえで………』

 

 

楓「えっ!?」

 

 

楓父『楓…大きくなったね…』

 

 

楓「あ、あぁ…お父様……」

 

 

楓母『楓ちゃん…本当に立派になったわね…』

 

 

楓「お母様…どうしてお二人が……」

 

 

楓父『お前のお友達が私たちを呼んでくれたんだよ』

 

 

楓「ミシェルが?」

 

 

ミシェル「えへへ♪ミミ、頑張っちゃった♪」

 

 

楓「ミシェル…ありがとうございますわ!」

 

 

楓母『うふふ、楓ちゃんにいいお友達ができてよかったわ』

 

 

楓父『あぁ、引っ込み思案な子だから心配していたが、杞憂だったようだな』

 

 

楓「もぉ~いつの話をしてますの!」

 

 

楓父『はは、すまんすまん。親にとって子供とは、いつまで経っても可愛い子供のままなのだよ』

 

 

楓母『楓ちゃん、こっちにいらっしゃい』

 

 

楓「え、あっ…」

 

 

~優しく暖かい手がそっと頭を撫でた~

 

 

楓母『本当はもっとこうしててあげたいの…けど』

 

 

楓父『あぁ、物事には必ず終わりがある…』

 

 

楓「もう…さよならしなきゃいけないのですか…?」

 

 

楓父『そうだ。短い時間であったかもしれないが、同時にかけがえのない時間だった』

 

 

楓母『楓ちゃん…生まれて来てくれてありがとう…お母さんたちはいつもあなたの事を見守っているわ』

 

 

楓「お父様…お母様……ワタクシ…ワタクシ!お二人に会えて本当に幸せでしたわっ!!!!!」

 

 

~最後の言葉を聞き届け、楓の父と母は光の粒となり消えていった~

 

 

楓「……………………」

 

 

ミシェル「……………………」

 

 

楓「ミシェル…ありがとうございますわ……あなたのおかげでワタクシ、もう一度お父様とお母様に会えました…」

 

 

ミシェル「よかった…楓ちゃんの願い、叶えることができて……」

 

 

楓「………ミシェル?」

 

 

~振り向くとミシェルは足元から少しずつ光の粒へと変わっていた~

 

 

楓「そ、そんな!!!まさかあなた…あなたまで!!?」

 

 

ミシェル「むみぃ~ミミたちはね、人の願いを叶えるのがお仕事なの♪でも、誰のお願いでも叶えられるわけじゃない…楓ちゃんが愛たっぷりで育ててくれたから、ミミの声が聞こえたんだよ?」

 

 

楓「あ、あぁ……待って!あなたが居なくなってしまったらワタクシ!!!」

 

 

ミシェル「楓ちゃん…目が覚めてもミミのお友達でいてくれるかな…?」

 

 

楓「友達だなんて…あなたはワタクシの家族でしょう!!!?」

 

 

ミシェル「!!ありがとう…本当にありがとう…ミミね、楓ちゃんに会えて…本当に…本当に!」

 

 

『幸せだったよ』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

楓「ミシェルぅぅぅぅ!!!!!!」ガバッ

 

 

楓「ハァ…ハァ………?」

 

 

~いつもと変わらない自分の部屋がそこにはあった~

 

 

楓「ゆ、夢…?ワタクシ夢の中で………」

 

 

楓「涙…ワタクシ……なんで泣いてるのかしら…」

 

 

~ふと部屋の隅に目をやると、空っぽのケージが飛び込んで来た~

 

 

楓「………?ワタクシ、ペットなんて飼ってたかしら……?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

リポーター『テレビの前の君たちにビッグニュースのお知らせだっ!!世界一可愛いと言われているハムスターがなんと日本に上陸だぁっ!!!お求めは近くのペットショップまでっ!!!急げ急げ~(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎』

 

 

~ペットショップ ジョカ~

 

 

ヴィンセント「あ~も~忙し忙しい!なんだってこんのクソ忙しいタイミングでバカ売れのハムスターなんて仕入れたの!」

 

 

ブラッド「いや、仕入れたのは兄さんじゃ」

 

 

ヴィンセント「あぁん!?なめてんじゃねーぞおるぁ!!」ムチピッシャ-

 

 

ブラッド「あばばばばば(^q^)」

 

 

楓「……………………………」

 

 

ヴィンセント「ん…どうした、何かあったか?」

 

 

楓「なんだか忘れてはいけない事を忘れてしまったような気がして…」

 

 

ヴィンセント「忘れてはいけない事?」

 

 

楓「えぇ…ワタクシの大切な友達との…いえ、家族との約束だったような…」

 

 

ヴィンセント「そうか…まぁ、なんだ。本当に大切な事なら、そのうちちゃんと思い出せる。だから、そうしょげるなって、な?」

 

 

ブラッド「に、兄さん…やっぱあんた最高だよ(号泣)」

 

 

ヴィンセント「けっ、褒めても何も出ないつーの!さ・て・と、今日はお前らに大事なお知らせだ」

 

 

ブラッド「お、なんだなんだー?」

 

 

楓「?」

 

 

ヴィンセント「最近めちゃくちゃ忙しいからな、強力な助っ人を雇ったのさ!入ってきな!」

 

 

楓「!!」ダッ

 

 

ブラッド「お、楓お前とおんなじぐらいの女の子じゃないか…」

 

 

ガバッ

 

 

~見知らぬ女の子だった…そう、初めて会うはずなのにワタクシはその子に抱きついていた~

 

 

「えへへ、ただいま楓ちゃん…♪」

 

 

「おかえりなさいっ!!!」

 

 

~おしまい~




~あとがき~

ここまで読んでいただきありがとうございます!

昔飼っていたハムスターのことを思い出しつつ、今回は書いてみました。

今は家に猫がいるので、ハムスターを飼いたくても飼えなかったりします(苦笑)

さて、《楓「むみ入荷しました。」》いかがだったでしょうか!

少し駆け足気味になってしまったかもしれませんが、少しでも面白いと思えてもらえたなら幸いデス♪

それでは、また次の作品でお会いしましょう。

By イオリ・マエステラ


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