仮面十二/五/二十一 三つの世界と九つの枢要大罪 聖と罪の戦い (OOSPH)
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序章 異世界での邂逅~The world responds to nine crimes
1,The origin is


初めに


暗いくらい空間

 

その場所に今

何人かの人影がいた

 

意識がもうろうとする中

 

彼らはゆっくりと体を起こす

 

すると

 

彼らのもとに

ゆっくりと歩いていく

 

一つの影が

 

「はあい、みんな・・・

 

 ようやく起きたみたいだね寝坊助さんたち」

 

そこに現れたのは

袖のついたマントを着込んだ

 

一人の女性であった

 

「それにしてもまさか

 こんな世界があったなんて驚きだよね

 

 私がちょこっと手を加えるだけで簡単に

 入り込むことができたんだから

 

 さあて・・・

 

 お寝坊さんへのお仕置きの前に・・・

 

 私のこと覚えてるかな?」

 

その女性は聞いてきた

 

「え?

 

 覚えてないの・・・

 

 もう!

 

 先生のこと忘れるなんて

 なんて悪い子なのかな!!」

 

なぜか子供っぽく怒り始める

 

だがわざとらしいため

迫力は感じられない

 

「まあいいよいいよ

 

 先生は優しいからね・・・

 

 ええっと・・・

 

 どこから話した方がいい?」

 

女性は聞いてくる

 

「はい?

 

 最初っから?

 

 もう、しょうがないなぁ・・・」

 

呆れながらも

話をする

 

「君たちとの出会いは

 君たちそれぞれだからね・・・

 

 順を追って話していこうか・・・

 

 まずは君と君・・・

 

 あれは確か・・・

 

 すっごく風の強いときだったよね・・・

 

 そのときにある時異変を感じた君たちは

 こぞって不思議の塔に集まった・・・

 

 そこで君たちは異変を感じて・・・

 

 気が付いたらこの罪人の世界に来たんだよね・・・」

 

と縛られている少年と少女に向かっていく

 

「君の方は・・・

 

 なんか楽しいことを

 やってた時に・・・

 

 ふいにあるものに

 目がいったんだよね・・・

 

 それからだったよね・・・

 

 君たちもあの世界に行ったのは」

 

と一人の少年に話しかける

 

「それから君の方も

 

 大変だったよね・・・

 

 人助けのつもりか

 逆に自分が悪者にされて

 

 ついには不思議な場所に行ける

 アプリをもって

 

 世直しのために行って

 

 でもそこで・・・

 

 フフフ・・・」

 

と一人の少年には意味深に告げる

 

「しかし君たちは本当に

 面が白い運命を運んできてくれるよね

 

 何しろその不思議な力を使って

 この私たちに挑んでいこうなんて

 

 まあ別にいいけどね・・・

 

 そのために私が連れてきたんだし・・・」

 

そう言って

四人の人物を一斉に見つめるように

 

少しずつ下がっていく

 

「フフフ・・・

 

 どうやら思い出したようだね・・・

 

 私のこと・・・

 

 今あなたたちがいる世界のこと・・・

 

 そして・・・

 

 貴方達がそこで出会った少年のこと・・・

 

 全部・・・」

 

女性はすると見上げる

 

「それじゃあちょっと

 

 振り返ってみようか・・・

 

 ほんの少し前のことだから

 すぐにすむでしょう・・・」

 

女性は語る

 

四人の少年たちはなぜ

ここにいるのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

罪と戦う運命を背負うことになったときのことを・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




三人の少年と一人の少女、一人の少年と一人の少女


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2、最初の出来事

徳と罪、聖と罪の戦場

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・・


月光館学園

 

この付近では

最近奇妙な事件が起こり始めている

 

無気力病と言う謎の異変とは別の

ある異変

 

その異変をひそかに調べている

者たちがいたのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

とある日

 

ある場所のエントランスで

ある一団が集まっていた

 

「あーテストも終わったし

 今日から少し余裕ができるよな」

 

伊織 順平

 

月光館学園 高等部二年

 

「まったく調子いいんだから・・・」

 

岳羽 ゆかり

 

月光館学園 高等部二年

 

「そうだぞ伊織

 

 テストが終わって気伸びするのはいいが

 

 補修を受けるようなことはないようにな」

 

桐条 美鶴

 

月光館学園 高等部三年

 

「それにしても・・・・

 

 あいつらは急にどうしたんだ?

 

 何やら妙な感がしたと言って」

 

真田 明彦

 

月光館学園 高等部三年

 

「それで?

 

 その肝心のあいつらは

 何してんだよ?」

 

荒垣 真次郎

 

月光館学園 高等部三年(休学中)

 

「そういえば

 

 リーダーはよくあそこで

 立っていることが多いですよね」

 

山岸 風花

 

月光館学園 高等部二年

 

一同の傍らでは一匹の犬が声を静かに上げる

 

コロマル

 

SEESで飼われている犬

 

「コロマルさんはよくあそこで何か不思議な力を感じているとのことです・・・・」

 

アイギス

 

月光館学園 高等部二年

 

その正体はある者たちとの闘いのために

生み出された対戦闘用兵器

 

「不思議な力・・

 

 でも確かにリーダーは

 僕たちの中でもある意味特別ですからね」

 

天田 乾 月光館学園初等部五年

 

「だよな

 

 複数のペルソナ使えるって

 色々とずるいよな」

 

「でもどうして二人は

 あんな力を持ってるんだろう・・・

 

 なんか、契約がどうとかって言ってたけど・・・」

 

「まあいずれにせよ二人は

 私たちにとって大事な戦力だ

 

 そのことに変わりはないさ」

 

「それに

 

 だからと言って

 俺達と基本的なところは

 大したことなんてない

 

 特別な人間ってわけでもないだろ」

 

待機しているこの面々は

特別課外活動部

 

Special Extracurricular Execute Sector、略してSEES

 

それが彼らの所属する部活だ

 

彼らは人々を襲う脅威から

この世界を守るために午前12時に発生する影時間において

 

この謎の迷宮、タルタロスを探索している

 

タルタロスはこの世界の脅威であるシャドウと言う存在の巣のようなもの

 

その謎を突き止めるために彼らは

シャドウと戦う力、ペルソナを身に着けた者たちだ

 

そんな彼らだが

実はある問題に直面していた

 

それは最近増えている、行方不明事件

 

シャドウに襲われた人々は無気力病と言う状態になってしまい

 

ただ声を上げるだけの廃人に成り下がってしまう

 

だがその行方不明事件では

無気力病になるのではなく

 

本当にどこからもいなくなってしまうのだ

 

もしかしたらシャドウによる

新たな事件なのか

 

そう思い探索を開始することになる

 

もっとも彼らは学生なので

先ほどまでテスト期間と勉強に追われていた

 

まあそれももう終わったので

 

本格的に探索を始めようとしていたのだ

 

ゆえに現在彼らは

準備を始めている彼らの探索のリーダーを

 

待って鋭気を養っている

 

「それにしても・・・

 

 最近起こっている行方不明事件・・・

 

 いったい何なんでしょうか・・・」

 

「それを調べるために

 今回本格的に探索を始めるんだ

 

 すぐにはわからずとも何かつかめればいいが・・・」

 

「だがもしもそんなのが出たら

 

 ぜひとも一戦交えたいものだな」

 

「ったく

 

 この勝負バカが・・・・・」

 

そんなやり取りをしていると

 

「え・・・?」

 

風花は奥の扉を見る

 

「どうしたの風花?」

 

「・・・・霧が出てる・・・」

 

「霧・・・?」

 

風花が見つめる先を見るが

そこには霧のようなものは見えない

 

「何にも見えねえぞ?

 

 ぼやけてるだけじゃねえのか?」

 

「そうなのかな・・・?」

 

「もしかしたら何かが起ころうと・・・!?

 

 山岸!

 

 何かわかるか!?」

 

「待ってください・・・

 

 すぐにペルソナを・・・っ!?」

 

するとその後

 

一同の周りを

深い霧が多い始めていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

ある青い部屋

 

そこに二人の少年と少女は集まっていた

 

だがそこには

いつもの面々はおらず

 

代わりにフードをかぶった

一人の人物が後ろを向いていた

 

「・・・誰だ?」

 

「あなたはいったい・・・」

 

声をかけると

 

「ウフフフ・・・

 

 まさかこんな世界があるだなんて・・・

 

 私、びっくりしちゃったね・・・

 

 この場所に誰が来るのかなって思ったら

 まさか人間が入ってくるなんてね」

 

その人物はゆっくりと二人のほうを向く

 

「挨拶は必要かな

 

 私は理美・・・

 

 差等 理美・・・

 

 私のことは気軽に

 先生って呼んでもいいからね・・・」

 

と椅子のほうに座る

 

「さてと・・・

 

 立っているのは大変だろうし

 まずは座ろっか・・・

 

 話はそこからだね」

 

「ど、どうする・・・?」

 

「どうでもいい・・・」

 

とりあえず座る二人

 

「さてと・・・

 

 君たちはどうしてここに来たのか・・・

 

 大体わかるよ?

 

 この世界の人間がいなくなっていく原因を調べているんでしょ?」

 

二人は警戒しながらも

素直にうなずいた

 

「そっかそっか

 

 正直で結構

 

 先生は正直な子は好きだぞ☆

 

 ウフフフ」

 

すると先生と言う存在は

タブレットのようなものを取り出して

 

操作をしつつ話をしていく

 

「それじゃあ単刀直入に言うね・・・

 

 その行方不明事件の真相・・・

 

 私知ってるんだ・・・」

 

理美は何の戸惑いもなく告白する

 

「驚いたでしょう?

 

 今から調べに行く事件の犯人が

 まさか目の前にいるだなんてね

 

 まあ別にそれは問題じゃないでしょう

 

 べつにそんなのね」

 

理美はそこまで言うとタブレットの操作を止めて

 

顔を上げて二人を見つめる

 

「私たちはね

 

 この世界とは別の次元

 別のところからいろんな次元を

 渡り合っていって

 

 そうやってその次元を荒らして

 また別の場所を渡り合ってを繰り返していたんだ

 

 でもどうにも退屈なところが多くてね・・・

 

 それを晴らせるかなって思ってここに下見に来たら

 偶然貴方達を見つけてね・・・

 

 そんなあなたたちを見て

 これは運命だって直感したんだ

 

 だから招待してあげようと思ってね・・・」

 

理美はそう言って指を鳴らす

 

「私たちはいずれ

 貴方達の世界も進攻する

 

 貴方達の世界の人々をさらったのは

 その足掛かりでしかない

 

 今私たちが攻めている世界を責め終わったら

 すぐにでも君たちの世界に行く

 

 でもどうやらそうは問屋が卸さないみたいでね・・・

 

 要は君たちは選ばれてしまったんだよ・・・

 

 私たちを倒し、君たちの世界を守って見せろっていう

 くそったれな存在の意思がね・・・

 

 でもあいにく私たちはそんなもの関係ない・・・

 

 つまりこれは宣戦布告・・・

 

 貴方達を倒し

 必ずやこの世界を手に入れる・・・

 

 だから君たちを私たちの世界に案内することに決めたんだ・・・

 

 君たちを確実に倒すためにね・・・」

 

二人は立ち上がり構えるが

 

「さあ・・・

 

 始めよう」

 

その言葉とともにフードの人物はマントを翻して

どこかに消えてしまったのだった

 

・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・

 

八十神高校

 

八十稲葉と言う

田舎にある普通の高校

 

この高校では変死体がいくつも出ていた

 

いずれもその遺体は電柱に逆さづりにされていたりと

奇妙なものだった

 

自殺にしても他殺にしても不審であるその事件に

警察も手を焼いていた

 

だがそんな事件に

かげながら立ち向かう者たちがいた

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

八十神高校

 

この学校では

あるイベントが行われている

 

それは文化祭

 

今日はその最終日だ

 

さすがに最後と言うだけのことはあり

大盛況のようである

 

ある場所を覗いては

 

「あー・・・・

 

 今日も誰も来ない・・・・」

 

花村 洋介 八十神高校二年

 

「今日はもう大盛況だね

 

 うちのクラス以外・・」

 

里中 千枝 八十神高校二年

 

「合コン・・・

 

 私興味あったのにな・・・」

 

天城 雪子 八十神高校二年

 

「まあ休憩するにはいいんじゃねえすか?

 

 俺ぁ騒がしいのとか嫌いなんで」

 

巽 完二 八十神高校一年

 

「確かにここならだれも騒がないしいいかも

 

 花村先輩ナイス」

 

久慈川 りせ 八十神高校一年

 

「いや・・・・

 

 休憩所じゃないんだけどな・・・・」

 

「ヨースケー!

 

 クマねクマね

 行ってみたいところがあるクマよ!!」

 

クマ

 

「だーもうわかったからわかったらあんまり動き回るなって

 

 しかしこの分だと、もう今日も誰も来ないかもな・・・・

 

 それぞれ自由行動にするか?」

 

「じゃあ僕はここにいます

 

 僕は騒がしいのは苦手ですし・・・」

 

白鐘 直斗 八十神高校一年

 

「じ、じゃあ俺も・・・」

 

と直斗と完二はここに残ることになった

 

「それじゃあ俺はクマの相手してるから」

 

陽介はクマとともに外に出ていく

 

「せんぱいはどうする?」

 

りせは聞く

 

すると

 

「俺も少し出よう

 

 ほかの出し物の方も

 気になるしな」

 

「そっか・・」

 

りせは名残惜しそうにつぶやく

 

そして少年、並河 大介は外に出ていった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

大介はほかの出し物を回っていると

 

ふいに気になる店舗を見つけた

 

占いの館と書かれている

 

大介はふいに気になり

中を覗くと

 

そこには一人のフードをかぶった人物がいた

 

その人物は顔を上げると

大介をまじまじと見つめる

 

「いらっしゃい

 

 この館で何を占ってほしいのかな?」

 

と聞いてきた

 

声からして女性のようだ

 

「あ、いえ・・・・

 

 少し気になったもので」

 

「いいよいいよ

 興味をもってくれるのなら

 

 先生もうれしいぞ

 

 でもね、せっかくだし

 何か占ってみる?

 

 外にも書いてあるように

 無料でいいから」

 

と言ってきた

 

すると

 

「じゃあじゃあ!

 

 せんぱいと私の相性占って!!」

 

りせが入って隣に入ってきた

 

「クマはねー

 

 お嬢さんとの相性を占ってほしいなー」

 

クマもなぜか入り込んできた

 

「あ、すいません

 

 急に押しかけちゃって・・・・」

 

陽介も入ってきた

 

「いいのいいの

 来るものは拒まず

 

 先生はこうやって

 おしゃべりするの嫌いじゃないしね」

 

さらに千枝と雪子も入ってきた

 

「それにしても広いですねこの占いの館って・・」

 

「凝ってるんですね」

 

千枝と雪子も話しかける

 

「ふっふーん

 

 なんてったって占いっていうのは

 多くの人たちのお話を聞かないとならないしね

 

 まあさすがにほかの出し物のことも考慮しても

 このぐらいだったけどね・・・」

 

「そうなんすか」

 

完二と直斗も

気になったのか入ってきた

 

「それにしても

 

 ずいぶんと広く凝って作ってるんですね」

 

「いやー大変だったんだよ

 

 何しろ君たち全員をここに入れるために

 ちょっと無理して出したものだからね」

 

そういうとフードの人物は立ち上がる

 

「運命なんて信じてるわけじゃないけど

 

 こうして会えたのは本当にうれしいよ・・・

 

 だって先生は君たちに会うために

 ここに占いの館なんて作ったんだからね・・・」

 

「そ、そうなんすか・・・・

 

 俺らのこと知って・・・・」

 

「もちろん知ってるよ・・・

 

 だって君たちもそうなんでしょ?」

 

「な、なにが?」

 

「さあ何でしょう?

 

 それは君たちが一番知ってると思うけど?」

 

「え・・・?」

 

するとフードの人物は

フードを外し、素顔を表す

 

赤い髪の毛をシングルにまとめている美少女だ

 

するとその少女は指を鳴らすと

 

周りに雨が降ってくる

 

「ぬお!?

 

 なんで雨が降るんだ!?

 

 ここは学校の中だろ!?」

 

「その答えは至極単純

 

 ここはもう君たちのいた学校の中じゃない」

 

「え・・!?」

 

雨はさらに強くなり

前が見えづらくなっていく

 

「もう君たちは逃げられない

 

 この館は君たちを招待するために

 わざわざ用意したんだよ?」

 

「ぬおお!?」

 

「用意した・・・!?

 

 それはどういう・・・」

 

直斗は問う

 

だがだんだんと視界が悪くなり

 

「雨が止んだら外に出て・・・

 

 君たちを私たちの世界に招待してあげる・・・

 

 ウフフフ・・・」

 

「ぐう・・・・」

 

やがて雨に

視界が包まれていくのであった

 

・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・・

 

東京

 

この都会においても

謎の事件が多発していた

 

毎日のように引き起こされる

精神暴走事件

 

突然人々が

人が変わったかのように変貌し

 

事故や事件を引き起こしていくというもの

 

だがそんな陰で活動をしている

とある一団が最近噂になっていた

 

心の怪盗団と称された彼らは

ネットでその活動が賛否両論となっている

 

そんな彼らとともに噂になっているのが

行方不明事件のことだ

 

この二つのこともそうだが

この行方不明事件のことも

 

ネットのことで噂になっている

 

警察も検察も

頭を悩ませているものである

 

だが

 

巷で噂の怪盗団に

とある依頼が舞い込んでくること

 

この時と言うの本人たちは気が付いていないのだった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

暗い東京の街

 

そこで一人のフードを

かぶった一人の人物が

 

ある場所についた

 

「いい匂いですね・・・

 

 これは珈琲でしょうか」

 

そう言ってあるお店に入っていった

 

「いらっしゃい」

 

そこの主人が声をかけると

フードの人物はフードを外して

 

笑顔で言う

 

「すいません

 

 珈琲、いただけますか?」

 

その素顔は耳のように出ているカチューシャを付けた

ショートボブの少女だった

 

「お嬢ちゃん

 

 このあたりでは

 見ない顔だね」

 

「はい

 

 この町に来るのは

 初めてですから」

 

とカウンター席に座る少女

 

「そうなのか

 

 あんたみたいなお嬢ちゃんが

 一人でこの町に?」

 

「ええ

 

 ちょっと探している人がいるんです

 

 その人を訪ねて三千里ですよ」

 

そう言って笑みを浮かべる少女に店主はコーヒーを出す

 

少女はコーヒーを口元にもっていくと

すっと香りを楽しむ

 

「うん

 

 やっぱりいいですね

 

 珈琲の香り・・・」

 

「お嬢ちゃんも珈琲好きなのかい?」

 

「はい」

 

少女は店主と話をしていく

 

するとふいにニュースが流れていく

 

行方不明者の続報である

 

「・・・ったく

 

 近頃、多く出てるよな

 

 行方不明事件・・・・・

 

 しかもまた新しい行方不明者が出てんのかよ」

 

「・・・・・」

 

少女はコーヒーをゆっくりと流しながらニュースの内容を

黙って聞き流している

 

すると

 

扉が開いて

そこに一人の少年が入ってきた

 

「おう、帰ったか」

 

店主はそっけないながらも

少年に声をかける

 

「あ・・・」

 

「うん?」

 

少年は少女に気づく

 

「こんにちは」

 

「こんにちわ・・」

 

少女が挨拶をしてきたので

少年も戸惑いながら返す

 

「なんだ?

 

 お前ら知り合いか?」

 

「あ、いや

 

 その・・」

 

少年は少し戸惑いを見せる

 

すると少女は

珈琲を飲み干して立ち上がる

 

「それじゃあ

 

 もうそろそろ行きますね

 

 珈琲ご馳走様・・・」

 

と扉の方に向かっていく

 

「・・-----・・・」

 

「っ!?」

 

去り際に少女がある言葉をつぶやいて

少年は振り返る

 

だがそこに少女の姿はいなかった

 

「暁?

 

 どうした?」

 

「・・・・・・」

 

純はしばらく去っていった少女のことを考えていたのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

少女はしばらく夜の街を歩いていると

 

「よーうそこの彼女」

 

そこにガラの悪い人物たちに絡まれてしまう

 

「こんなとこで一人でいると危ないよ?」

 

「俺達と遊ぼうぜ?」

 

「・・はあ・・・」

 

少女はあきれるようにため息をつくと

辺りをきょろきょろと見回していく

 

「・・どうやら周りに

 ほかに人はいないみたいですね・・・」

 

そういうと少女は

うっすらと口を開ける

 

すると

 

「「「「うわあああ!!!」」」」

 

辺りに男たちの悲鳴が響いた

 

その場所には

何やら血だまりができており

 

そこで先ほどの少女が何かを

無我夢中でむさぼっている

 

そこに

 

「相変わらずの食欲だね」

 

理美があらわれる

 

「・・だって・・・

 

 それがアタシの罪ですからね

 

 珈琲にはあいにく合いませんが・・・

 

 まあお腹の足しにはなるでしょう」

 

振り向くとそこには

口元から血を滴らせて

 

笑顔を浮かべた先ほどの少女がいた

 

その口からはなんと

人間の指が出ている

 

「それで?

 

 探し物は見つかった?」

 

「ええ・・・

 

 偶然に・・・

 

 アタシは味覚以上に

 鼻が敏感ですから・・・

 

 後はうまく食いついてくれれば・・・」

 

「それじゃあ・・・

 

 後はうまくやってくれるね?」

 

と理美は手に持っているタブレットを見つめる

 

「これですべての準備は整った・・・

 

 きっと面が白いことになるね・・・」

 

「さあ・・・

 

 待っていますからね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先輩・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

その後彼は

自室に戻って作業をしている

 

すると

 

「おい

 

 さっきの女・・・・

 

 何か知ってるのか?」

 

声が聞こえる

 

そこにいたのは

一匹の猫であった

 

「ん?

 

 ああ・・

 

 昔の知り合いに

 似てる気がしただけだよ」

 

「昔の知り合い?

 

 ひょっとしてお前が

 この町に来る前のか?」

 

その声にうなずく

 

「その知り合いはどうしてるんだ?」

 

「突然いなくなったんだよ・・

 

 家を訪ねてみたけど

 そこにはあいつはもちろん

 あいつの両親すらもいなかった・・

 

 警察は親子で夜逃げでもしたんだと片付けたけど

 

 俺はそれがどうにも引っかかってた・・」

 

「引っかかってたって?」

 

声はさらに尋ねる

 

「その親と一緒に行ったっていうことさ

 

 あいつの親は

 体の弱かったあいつのことを

 疎ましく思ってた

 

 そんな最低な人間が一緒にいなくなるなんて・・

 

 妙だなって思ってな」

 

「・・・・確かにな」

 

すると声が訪ねてきた

 

「・・・・なあ、暁・・・・

 

 お前はもし、その子に会えるなら

 会ってみたいか・・・・」

 

「・・・・・・」

 

少年はその問いに答えた

 

「・・・・会いたくないって言えばうそになるけど

 

 でもそれはすぐじゃなくてもいい

 

 俺はただ、俺がやるべきことをやっていく

 それに俺は信じてるから・・

 

 今はどこにいるのかわからなくても

 きっとあいつはどこかにいるって

 

 だから俺は今は俺にできることをする

 

 それが今の答えだ・・」

 

「・・・・そうかい

 

 まあお前らしいな」

 

すると猫が机に乗ってきた

 

「それで?

 

 次のターゲットは

 決めたのかジョーカー?」

 

「うん?

 

 そうだな・・」

 

とスマホを捜査していく純

 

彼はこの町に来る前に

ある事情でこの町にやってきた

 

そして彼は東京にある秀尽高校に転校してきた

 

秀尽高校二年 来栖 暁

 

そんな訳ありの彼には裏の顔がある

 

それは

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

純はカバンに

先ほど部屋にいた猫を連れて

 

ある場所に向かった

 

ある場所についた彼は

携帯を確認する

 

「お、いたいた

 

 やっぱ早いな」

 

秀尽高校二年 坂本 竜司

 

「まあ遅れても

 指定した時間に間に合えばいいんだしね」

 

秀尽高校二年 高巻 杏

 

「竜司に杏殿

 

 ほかは?」

 

猫が話しかける

 

名前はモルガナと言う

 

「すまん、待たせてしまったか」

 

喜多川 祐介

 

洸星高校二年

 

「いよいよ今日決行するのね」

 

秀尽高校三年 新島 真

 

「これで全員集まったかな?」

 

秀尽高校三年 奥村 春

 

「いや、あとは・・」

 

「こらあああ!!!」

 

すると遅れて一人の少女が訪れる

 

「はあ・・・

 

 はあ・・・

 

 アタシを忘れるなよ・・・」

 

佐倉 双葉

 

年齢は高校一年だが

ある理由で学校に行っていない

 

「ようし、全員ようやくそろったな

 

 それじゃあ今日早速仕掛ける

 

 今回のターゲットはある食品会社を営む会社だ

 

 表向きは大手の大企業だが

 その実態は下請けに選んだ企業を次々に追い込んで

 

 倒産に追い込んでいるらしい

 

 今回依頼してきたのは

 その会社に追い詰められて自殺をした製品工場の

 社長の一人娘さんからだ」

 

「きいただけでもひでえな

 

 つまりそれって

 あえて追い込むために

 下請けにしてるってことだろ?」

 

「あえて不当たりが出るように仕向けて

 追いつめて行ってるってことよね

 

 ひどい・・

 

 そのせいでこの子のお父さんは

 自殺に追い込まれてるっていうのに・・」

 

「しかもこの子は

 お父さんの自殺のせいで

 いじめにあっている

 

 残された社員の退職金のために

 あちこちから借金をして

 

 それで・・・」

 

真の言葉を機に面々は決意する

 

「やろうぜ

 

 こんなくそ野郎・・・

 

 ほおってなんておけねえぜ!」

 

「それじゃあさっそく

 予告状を送ろう」

 

「ええ・・・

 

 今夜早速決行するわ」

 

と一同はうなずくのだった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

その夜

 

否、ある場所に集まる面々

 

この面々こそが巷で噂の怪盗団である

 

彼らにはそれぞれコードネームがある

 

「全員そろったな・・・・」

 

来栖 暁;ジョーカー

 

「おう、いつでもいけんぜ!」

 

坂本 竜司;スカル

 

「それでどうするの?」

 

高巻 杏;パンサー

 

「オタカラはこの奥にあるが

 やはり厳重なまでに多くの警備システムに

 守られている・・・・

 

 それをどう切り抜けていくのかがカギだな・・・・」

 

モルガナ;モナ

 

この時の彼は猫の姿ではなく

 

姿かたちは二本足で

覆面かぶった猫のような姿だ

 

「我が輩は猫じゃない!」

 

「誰に向かって叫んでるんだ?」

 

喜多川 祐介;フォックス

 

「ここは二手に分かれましょう

 

 敵を引き付けるおとり役と

 警備システムを止める役

 

 数時間後に落ち合って!」

 

新島 真;クイーン

 

「そんじゃ

 

 アタシは両方のバックアップだな」

 

佐倉 双葉;ナビ

 

「あとは役回りを決めることだけれど・・・・」

 

奥村 春;ノワール

 

それぞれが彼らのコードネームだ

 

「役割を決めてくれジョーカー」

 

モナがそう言うと

 

「ようし・・・・」

 

ジョーカーは役割を決める

 

「やっぱり俺がおとり役か・・・

 

 まあいいぜ、走ることだったら俺に任せな」

 

「ルートの方はアタシが支持するぜ

 

 それじゃそろそろ」

 

「ああ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 行動開始だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

心の怪盗団

 

巷でにぎわせている

その者たち

 

彼らは世の中にいる大人たちの

ゆがんだ欲望をオタカラとして盗み出し

 

悪人を改心させること

 

世間での評価はそれぞれだが

 

多くの人々がその一手に注目しているのも事実

 

彼らはそのゆがんだ欲望を持つものの

ゆがんだ認知が具現化した世界

 

パレスと呼ばれる場所に忍び込み

 

その奥深くに眠っているその欲望の象徴

 

オタカラを盗み出すことで

悪人を改心させるというもの

 

そんな彼らは今宵も

世のゆがんだ大人たちが抱く世界において

 

それぞれが行動を開始する

 

「外ではスカルがうまく行動してる

 

 今のうちにここのシステムを確保しないと」

 

と忍び込んだ方の面々が

パレスの中を散策していく

 

「うん?

 

 待て!」

 

ジョーカーが一同を止める

 

そこには見たことのない敵がうろついている

 

何かを探しているようにあたりをうろついている

 

「・・・・どうやらまだ中には

 

 シャドウが残ってるみたいだな」

 

「でも見たところ人数はそんなにいない

 

 できれば無用な戦闘は避けたいわね

 

 ナビ、敵の動きを探って」

 

『わかった!』

 

潜入組はじっと敵の動きを見る

 

敵はそのまま奥の方へと行ってしまう

 

「・・おい、ジョーカー」

 

するとモナが告げてくる

 

「・・さっきの奴だが・・

 

 どうにも妙だ・・

 

 何というか、ワガハイたちの知っているシャドウとはどうにも・・」

 

すると

 

「・・いや今は置いておこう

 

 警備システムはすぐそこだ

 

 そしたらスカルと合流だ」

 

と再び行動を開始する

 

・・・・・

 

「これだな・・・・」

 

「ジョーカー、捜査の手順は頭に入ってるわよね」

 

クイーンが確認する

 

「ああ・・・・」

 

と慣れた手つきでシステムを操作する

 

するとシステムが

解除されたのが確認できた

 

「よし!」

 

「さすがね

 

 あとはスカルと合流して・・・・」

 

すると

 

突然壁ができて

ジョーカーとほかの面々が

分断されてしまう

 

「どういうこと!?

 

 ひょっとして罠?」

 

「ジョーカー!

 

 大丈夫か!?」

 

クイーンとフォックスが声をかける

 

「大丈夫だ」

 

彼はそれにこたえる

 

「ナビ!

 

 みんながここに来れるルートを

 探ってくれ!!

 

 俺は先に行く」

 

『おいおい

 

 一人で行くのかよ!?』

 

「今すぐに行けるのは俺だけだ・・・・

 

 大丈夫、無茶はしない」

 

『・・分かった』

 

ジョーカーは一人

行動を開始していく

 

途中にいる敵の行動に気を配りながらも

どうにかして目的地に到着していく

 

「ここだな・・・・」

 

ジョーカーは一人、奥に入っていく

 

一人であるのか少し慎重に進んでいく

 

すると

 

「・・・・?」

 

ふいに違和感を覚える

その場所から妙な音が聞こえてくるのだ

 

何かを食い散らかしているような音だ

 

彼は物陰から様子を見てみると

その奥にいたのは一人の人物だった

 

だがこのパレスの主であるシャドウとは

まったく別である

 

どういうことなのであろうか

 

かんがえているとその人物は何かに気づいたように

振り向いていく

 

そのフードの口から

何かが飛び出ているのが見えた

 

それはなんと

 

人の手であった

 

フードから出ていたその手は

何かを吐き捨てる音と同時にフードから

 

勢いよく飛び出す

 

確認するとそれは

まぎれもなく人の手であった

 

フードの人物はフードに手をかけて素顔をさらす

 

彼はそれを見て驚いた

 

なぜならその素顔は前に自分が世話になっている

人物の経営している純喫茶に現れていた少女だったのだから

 

見た目かわいらしいが

口元から滴り落ちている血

 

それを舐めとるように舌なめずりするその光景は

 

恐ろしいものだと感じた

 

するとその人物は急に姿を消す

 

「あ・・・・」

 

それに気づき、慌てて辺りを見回すジョーカー

 

すると

 

自分の周りに蠅が飛び交っていき

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりですね、先輩・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

後ろから話しかけられ

 

恐る恐る振り向いた

 

そこにいたのは・・・・・

 

先ほどの少女だった

 

「俺のこと・・・・

 

 知ってるのか!?」

 

ジョーカーは驚いたように言う

 

「忘れたんですか先輩?

 

 アタシですよ・・・

 

 それともわかってて言ってるんですか?」

 

ゆっくりと血の付いた口元で

笑みを浮かべながら近づいていく

 

「それにしても

 

 本当に久しぶりですね

 

 こうしてまたここに会えるなんて」

 

ジョーカーは彼女の方を見る

 

「真利谷・・

 

 真利谷なのか!?」

 

「ええ、そうですよ?

 

 お久しぶりですね暁先輩」

 

フードの少女、真利谷は自分の背中に手をまわして

暁のことを上目遣いで見てきた

 

だが口元にある滴り落ちた血の跡のせいで

不気味に映っている

 

「フフ・・・

 

 先輩ったら

 久しぶりに会ったら

 ずいぶんと雰囲気が変わりましたね

 

 本当にうれしい限りですよ」

 

だが真利谷の方は

そんなことはお構いなしに迫っていく

 

「あれからもう

 

 十年くらいたつんですね先輩・・・」

 

・・・・・

 

「よっしゃ!

 

 何とか撒いてきたぜ」

 

「さっすが元陸上部のエース」

 

「それよりも急ごう

 

 ジョーカーと分断された

 

 急いで合流しないと・・・・・」

 

「ナビ?

 

 彼と合流できるルートは!?」

 

『ここから先に行って・・

 

 たぶんそこから行けるはずだ!

 

 急げ!!

 

 ジョーカーはすでについてる』

 

「だったら急ぎましょう!

 

 すでに戦闘に入っているのなら

 なおのこと急いで合流するわよ!!」

 

一同は急いで向かっていく

 

『〔・・しかし・・

 

  なんなんだこの胸騒ぎ・・

 

  頼むから無事でいてくれよ・・

 

  ジョーカー〕』

 

・・・・・

 

「・・ねえ先輩・・・

 

 先輩はあの時から

 本当に変わったんですね・・・」

 

真利谷はふいにつぶやいてきた

 

「でもね先輩・・・

 

 アタシも先輩に負けず劣らず・・・

 

 大きく変わったんですよ」

 

「え・・?」

 

すると

 

「あの時のアタシは

 病弱だったせいで

 

 先輩とこうして一緒にいられる時間が

 本当に少なかったんです

 

 アタシ、いつも胸が張り裂けそうな気持だったんですよ?

 

 でももう病弱なせいで先輩のそばにいられなかった

 あの時のアタシじゃない

 

 これからずっと先輩と一緒にいられる体になったんです

 

 あの時以上に・・・

 

 いっぱい食べて・・・

 

 長生きできるように・・・」

 

真利谷の瞳の色がだんだんとオレンジかかっていく

 

「でもアタシはその代わりに・・・

 

 人であることを捨ててしまいました・・・

 

 先輩は人間、アタシは化け物・・・

 

 これでは結局あの時と変わらない・・・

 

 それで思いついたんです・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先輩もアタシとおんなじようにすればいいんだって・・・」

 

「何を・・・んっ!?」

 

真利谷がそう告げるとジョーカーの口と自分の口を合わせた

 

いうなれば接吻、キスである

 

そこに・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジョーカー!」

 

ほかのメンバーが駆け付けてきた

 

「なっ!?」

 

「おい!?」

 

「え!?」

 

「ぬお!?」

 

「あ!?」

 

「んな!?」

 

「まあ・・」

 

これに面々は驚く

 

そりゃ目の前で

自分たちのリーダーが

 

見知らぬ女性と口づけをしているのだから

 

驚いても無理はないだろう

 

もっとも

 

「んんっ!?

 

 ぶはっ!」

 

当のジョーカーは

誰もが想像する甘い雰囲気など

 

みじんも感じさせない反応を見せた

 

せき込み、その場に膝をついたのだ

 

「ジョーカー!?」

 

一同もその反応に何かを覚え

急いで駆け寄る

 

「フフ・・・」

 

キスをした当人の真利谷は

満足そうに笑みを浮かべている

 

「はあ・・・・はあ・・・・

 

 真利谷・・・・お前何を・・・・」

 

「アタシから先輩へのプレゼントですよ

 

 とっても素敵なね・・・

 

 エへへ・・・」

 

せき込むジョーカー

 

真利谷はそんなジョーカーを

満足そうな笑みを浮かべて見つめている

 

「てめえ・・・

 

 何しやがった!」

 

スカルが怒鳴るように問う

 

「フフ・・・

 

 さっきも言ったじゃないですか

 

 アタシから先輩へのプレゼントだって」

 

「先輩・・・・?

 

 あんた彼の知り合いなの?

 

 そもそもあなたはどうしてここに!?

 

 ひょっとしてあんたがここのシャドウ!?」

 

パンサーは動揺するように問う

 

だが

 

「いや・・

 

 たぶん違う・・

 

 でもお前たちとも違う・・

 

 もっと何かこう

 大きな歪みを感じる・・」

 

モナは目の前の人物に対して

そのような分析をする

 

「そうですよ・・・

 

 アタシは人間ではありません・・・

 

 それよりもさらなる力を持つもの・・・

 

 アタシと言う存在を理解しきるためには

 この世界の常識でははかり知れません

 

 まあどっちにしても人間である貴方達と

 人間ではなくなったアタシは相容れぬ存在

 

 ゆえに敵対する運命なのです・・・」

 

「なるほどな

 

 だがそれなら答えは一つ

 

 貴様を倒してジョーカーを元に戻す!」

 

フォックスが言う

 

「無理ですね

 

 先輩の体に埋め込んだそれは

 アタシを倒したとしてもなくなりません

 

 そして今は体に違和感を覚える程度ですが・・・

 

 いずれは先輩はその力に飲まれるでしょう」

 

すると真利谷の言葉に

面々は彼を見て

 

彼も大きく動揺する

 

「先輩の体に入ったそれは

 やがて先輩の心を満たしていき

 

 やがて人としての自分を失うこととなる

 

 アタシの先輩へのプレゼントは

 そういうものなんです」

 

『ふざけるな!

 

 なんでそんなのを

 ジョーカーに!?』

 

ナビは言う

 

「嫌いなんですよ

 

 こんな世の中・・・

 

 この世界もその文明も

 そこに住んでる人もみんなね・・・

 

 いっそのこと滅んでしまってもいいとも思ってる・・・

 

 でもそんな世界に、光を与えてくれたのが・・・

 

 先輩だったんです

 

 先輩だけはどうしてもこの世界の滅びから

 救って差し上げたい・・・

 

 そのために先輩には・・・

 

 アタシと同じ運命に送ってもらわなければなりません」

 

「何ですって!?」

 

「だからこそ今日先輩が

 この世界に来ることを想定し

 

 あなた方と先輩をうまく分断し

 

 先輩にプレゼントを差し上げる・・・

 

 アタシの目論見はうまくいきました

 

 あとは先輩が覚醒し

 アタシに近い存在になれば・・・

 

 この世界が滅んでも

 先輩とアタシは一緒に居続けることができる・・・

 

 と言うことですよ」

 

「そんなこと・・・・

 

 私たちが黙っていると思いますか!」

 

ノワールの言葉に一同は身構える

 

「あなた方だって同じですよ?

 

 あなた方もこの世界の悪意に振り回されて

 各々の人生を大きく変わらせられた・・・

 

 それならばあなた方にもわかるはずですよ?

 

 こんな世界、変えたところで

 結局は変わらないということがね」

 

真利谷はそう言って杖状の武器を構える

 

「それでもって抵抗するというのならば

 それでもいいでしょう

 

 アタシは暴食の皇帝の名において・・・

 

 あなた方を食らわせていただきましょう!」

 

と背中に生えている

蠅の羽のようなものを広げる

 

「わりいけど・・・

 

 こっちも簡単に引くわけには

 行かねえんだよ!

 

 おまえを倒しても

 ジョーカーを元に戻せないんなら

 

 お前を追い詰めてその方法を吐かせてやるよ!」

 

とスカルがショットガンを放つ

 

だが真利谷はそれを杖状の武器ではじき

広げた羽根を高速で動かしていく

 

「人間と言うのは

 食うか食われるか

 

 アタシが見てきた人間と言うものは

 所詮はその程度の物

 

 食物連鎖なのですよ!」

 

と向かっていく」

 

「がっ!」

 

スカルに激しい一撃が入っていく

 

「スカル!?」

 

すると真利谷はさらに素早く動き

ほかのメンバーにも攻撃を与えていく

 

ほかのメンバーもその猛攻に

対応しつつも押されていく一方

 

「はああああ!!!!」

 

クイーンがナックルをふるって

真利谷の腹に一撃を食らわせる

 

「っ!

 

 やれやれ・・・

 

 どうしてそこまで

 あがくんですか?

 

 こんなことをしたところで

 何の意味もないのはよくわかっているじゃないですか」

 

「そうかもね・・・・」

 

だが真利谷は杖をもって

クイーンを壁に押し付ける

 

「でも!

 

 それで少しでも

 変われるなら・・・・

 

 大切な第一歩よ!!」

 

と銃を真利谷の腹に突き付け

引き金を引いた

 

だが

 

「なるほど・・・

 

 機転がよく聞いていらっしゃる」

 

真利谷は平然と話しかける

 

「っ!」

 

すると真利谷は

舌なめずりをする

 

すると腰のあたりから

長い尾のようなものが二本生えていく

 

「なんだこりゃ・・・」

 

するとその尾の先には

目のようなものが付いており

 

まるで生き物の様に口を開き

咆哮を上げる

 

「何と醜い化け物だ・・・・・」

 

フォックスが思わずつぶやく

 

「せっかくの機会です・・・

 

 あなたの方から味見をしてみましょうか」

 

と真利谷はクイーンの首元を

ぺろりと舐める

 

その感触はざらざらして

まるで鑢でそぎ取られているようだ

 

「まずい!

 

 このままだとクイーンが」

 

「こうなったら・・・

 

 ペルソナ!」

 

一同も自分たちの力を引き出そうとする

 

だが

 

「・・・・あれ!?

 

 でないよ!?」

 

「どうなってるんだ?」

 

よく見てみると

この空間には霧のようなものが覆っているのが見える

 

『この霧のせいか!?

 

 さっきからアタシの能力も

 通らなくなってる』

 

「つまり

 

 この霧の中では

 私達は力を使えないってこと!?」

 

すると一同に二本の尾が

大きくふるわれていく

 

一同はそれぞれ

壁や地面にたたきつけられていく

 

「みんな・・・」

 

ただ一人

真利谷に直接押し付けられているクイーンは

 

身動きが取れなくなっている

 

「先輩が心を通わせたあなた方は

 どれほどのものなのか・・・

 

 興味がありますね・・・」

 

顔を近づけていく真利谷

 

「まずはあなたから・・・」

 

と大きく口を開けて

クイーンに迫っていく

 

「っ!」

 

クイーンはもうダメだと覚悟を決めて目を瞑る

 

すると

 

「あー・・・っ!?」

 

「はああああ!!!!」

 

横から迫ってきた

攻撃に気づいた真利谷は

 

そこから勢いよく離れる

 

「大丈夫か!?」

 

そこにいたのは

 

「ジョーカー・・・・」

 

ジョーカーであった

 

「もう!

 

 助けるのが遅すぎるわよ」

 

「すまない・・・・

 

 これでもどうにか

 持ち直した方だ・・・・」

 

見ると息切れが激しいのが分かる

 

「先輩?

 

 それは一体どういうことですか?」

 

「見ての通りだよ真利谷・・・・

 

 これが俺の答えだ!」

 

ナイフとハンドガンを構える

 

「確かにお前の言う通りだよ真利谷

 

 この世の中はどうしようもない・・・・

 

 俺もその身をもって

 はっきりわかったよ

 

 でもな・・・・

 

 だからってこの世界ごと消してしまっても

 いい理由にはならない!」

 

「あくまでアタシと

 相容れない・・・

 

 そういうことですね?」

 

「俺には俺のやり方がある・・・・

 

 それだけだ!」

 

ジョーカーは言った

 

それを聞いて一同も立ち上がっていく

 

「俺たちにしかできないことで

 俺たちの信じる答えを貫く

 

 そしてそれを阻む権利は

 どんな理由があっても

 邪魔をしていいことにはならない

 

 そうだろ、みんな」

 

うなずく一同

 

それを聞いた真利谷は

楽しそうな笑みを浮かべる

 

「フフ・・・

 

 ハハ・・・

 

 あーっはっはっ!!!

 

 やっぱり先輩はすごいですね!

 

 いいでしょう!!

 

 ならばそれがどこまで

 アタシに通用するのか見せてもらいます!!!

 

 そして見事に示してみてください!!!!」

 

そう言って杖状の武器をを地面につくと

 

地面に赤いひび割れが入っていき

 

一同の足元が崩れ始めていく

 

「なんだよこれ!?」

 

「うわあああああ!!!!!」

 

一同は下に落ちていくのであった

 

「待っていますよ先輩・・・

 

 あなたがアタシのもとに

 たどりついてくれること

 

 その時が来ればアタシは

 全力をもって先輩の相手をいたしますから・・・

 

 エへ・・・」

 

「うあああああ!!!!!」

 

ジョーカーたちは崩れる地面の方へと落ちていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

青の世界・・・

 

黄色なる世界・・・・

 

赤き世界・・・・・

 

終結

 

聖をはぐくむための集結・・・・

 

罪を打ち滅ぼすための集結・・・・・・・・・

 

今ここに三つの物語が

一つになるための物語が始まらんとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まりはもうすぐ始まる・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         




世界に集まりしもの達

・・・ ・・・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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3、運命の者達

三つの世界より迷いしもの達

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「うう・・・」

 

「うん・・・」

 

とある部屋

 

そこで二人の少年少女は

目を覚ました

 

「こ、ここは・・・

 

 確か私たち

 ベルベットルームに・・・」

 

「それにここ

 

 僕たちの知らない部屋だ・・・」

 

と部屋を見渡していく二人

 

するとそこに

誰かが入ってきた

 

「よかった・・・

 

 目が覚めたみたいね」

 

その人物は少女のようで

二人の様子を見ると

 

安心したようにつぶやく

 

「こ、ここは・・・?」

 

少年が声をかける

 

「ここはエリアH

 

 その中にある人間の居住区の一つよ

 

 まあ詳しい話は

 ロビーでしましょう

 

 そこにお友達もいるはずだから」

 

と二人をロビーまで案内するのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

少女に連れられて

広い部屋に連れてこられた二人

 

そこにはすでに

SEESのメンバーが集まっていた

 

「あ、起きたんだ・・・」

 

「まったく

 

 心配かけさせんなよ」

 

ゆかりと順平が声をかける

 

「みんな・・・

 

 みんなもここにいたんだ」

 

「でもどうして?」

 

少年と少女は介する一同に話を聞く

 

「それがわからないんだ・・・

 

 私たちはタルタロスにおいて

 待機をしていたんだが・・・

 

 そこに突然霧が出てきたんだ・・・」

 

「霧があたりに立ち込めていくと

 

 俺たちの意識は急に遠のいていって・・・・

 

 気が付いたらここで保護されていたらしい」

 

「私たちはどうやら

 この里の中で倒れていたらしく

 

 そこを彼女に助けてもらったんです・・・」

 

「この世界のことを

 聞きたいと申し上げたところ

 

 ここはお二人の意識が戻ってからのほうが良いといわれました

 

 確かにその通りだと思い、お二人の意識が戻るのを待っていたんです」

 

「そうだったんだ・・・」

 

少年は辺りを見回すと

何かに気づいた

 

「コロちゃんは?」

 

「ああ、コロマルは別のところで

 預かっててもらってるんです

 

 実はコロマルのことで

 ちょっといろいろありまして・・」

 

「まあ

 

 それは今は

 おさまってってから

 後でいい・・・・・」

 

と一同は二人を案内してきた少女の方を向く

 

「それではまずは

 自己紹介から始めよう

 

 私は桐条 美鶴

 

 私たちはシャドウを討伐している

 特別課外活動部、通称SEESとして

 

 戦っている・・・

 

 私たちはその活動中に

 突然何かが起こり・・・

 

 気が付いたらここに連れてこられてしまったのだ」

 

「なるほど・・・

 

 いうなれば

 貴方達はこの世界とは

 

 別の世界からきた・・・

 

 そういうことでしょうか?」

 

「そういうことだ・・・・

 

 俺自身何が起こったのか

 まったくわからん・・・・

 

 突然のことだったからな・・・・」

 

と明彦が続ける

 

「そうだったのですね・・・

 

 ええっと・・・」

 

「真田 明彦だ

 

 すまない、自己紹介が遅れて・・・・」

 

「それじゃあ一気に始めましょっか

 

 私は岳羽 ゆかり・・・」

 

「俺は伊織 順平」

 

「私は山岸 風花と言います

 

 皆さんのサポートを担当しています」

 

「アイギスと申します

 

 よろしくお願いいたします」

 

「天田 乾と言います

 

 乾くと書いて乾です」

 

「・・・・・・・・・」

 

一同が自己紹介をする中

一人だけだんまりする少年

 

「シンジ

 

 お前も自己紹介しろ」

 

「はあ・・・・・

 

 荒垣 真次郎だ

 

 まあよろしく・・・・・」

 

「そして

 

 彼と彼女の二人は

 私たちSEESにおいて

 

 リーダーを務めさせてもらっている・・・」

 

「有里 湊だ

 

 よろしく・・・」

 

「結城 真琴です!

 

 よろしく」

 

こうして

 

自己紹介を終えるのであった

 

「よろしくね

 

 私は大野 有紀・・・

 

 有紀でいいわ

 よろしく・・・」

 

と少女も

自己紹介をするのであった

 

「それでは

 自己紹介も終えたことだし

 

 さっそく聞きたいことがある・・・

 

 ここはいったいなんだ?」

 

美鶴がこの世界のことを聞く

 

「この世界は

 通称、暗黒の楽園って呼ばれてるわ

 

 まあ正確にはこの世界の時代かしら・・・」

 

「暗黒の楽園?」

 

有紀の発言にゆかりは意味深に聞く

 

「今から180年前

 

 この世界に突然

 迷宮とよばれる物体が現れて

 

 そこから生み出されてきた罪徒って言う存在が

 マモノや罪兵たちを率いてこの世界の生きとし生けるもの達に

 

 襲い掛かってきたの・・・」

 

「罪徒?

 

 マモノ、罪兵?

 

 なんだよそれ・・・・

 

 何だかファンタジーみたいなことになってねえか?」

 

有紀の発言に順平はそう言い表した

 

「奴らの襲撃によって

 この世界では人間以外の

 ほとんどの生き物が絶滅に追い込まれ・・・

 

 この世界のほとんどを支配下に置いてしまったわ・・・

 

 残っている人間の領域は

 このエリアHの部分だけ・・・」

 

「ひょっとして

 この町、もとい里の周りに

 

 巨大な壁が張られているのは?」

 

美鶴は言う

 

「罪徒やマモノたちの襲撃から

 人間たちの住まうこの里をできる限り

 

 防衛するために

 

 この里の周りには結界と言う壁が張られ

 

 その結界を維持、管理するために

 教会がそれぞれ入口の両側に置かれています

 

 教会には聖徒協会から派遣された巫女がそれを行っているのです」

 

「聖徒協会・・・・?」

 

明彦が聞く

 

「罪徒にこの世界が襲撃され

 

 人々が次々と虐殺されていく中・・・

 

 神は私たち人間に

 戦える力を与えたんです

 

 それが聖痕・・・

 

 聖痕を持つものはこの世界を構成する力

 

 エーテルの力を使って

 罪徒に抗える力を一部の人々に与えました

 

 それが聖徒です」

 

「なるほど

 

 平たく言うと聖徒ってのは

 この世界を罪徒の脅威から守る

 

 正義のヒーローってことだな」

 

順平は言うが

有紀は暗い顔をする

 

「みんなはじめは・・・

 

 そう思っていたわ」

 

「思っていた・・・?」

 

風花は恐る恐る聞いた

 

「聖痕を与えられた人々は

 罪徒に抗える力を手に入れた

 

 選ばれた聖徒の一部は

 選ばれた自分たちは特別な存在であると誤解した・・・」

 

「誤解、でありますか・・・・?」

 

「選ばれた自分は特別な存在であると

 考えていきやがてその力を

 

 人々を守るためではなく

 自分たちの私腹を肥やすために使うようになってしまったんです・・・」

 

「そんな・・」

 

有紀の告白に天田は静かにつぶやき

 

一同もそれを聞いて暗い雰囲気になる

 

「しかもその愚かな行動が

 罪の力をつかさどる罪徒の力を

 

 加速させていく結果になっていってしまい

 

 これに危惧した一部の聖徒とその支持者は

 聖徒を取り締まる組織を作りました

 

 それが聖徒協会・・・

 

 協会が創設され、愚行を行う聖徒は

 増えることはなくなりましたが

 

 同時に減ることもなく・・・

 

 この世界では聖徒もまた、人々の恐怖の対象です・・・」

 

「力を持っちまったせいで

 その力に溺れ・・・・・

 

 さらに強大すぎる力ゆえに

 それを止めるものもおらず・・・・・

 

 結局、今のままで落ち着いたってことか・・・・・」

 

有紀の発言に真次郎は意味深に言う

 

「シンジ・・・・」

 

明彦はそんな彼を

同じように見つめる

 

すると有紀は右手を見せる

 

そこには何やら光る輝く

紋章のようなものが浮かび上がっている

 

「これが聖痕よ

 

 聖痕が右腕に浮かび上がったものは

 聖徒としてエーテルの力を駆使し

 

 死ぬか加護を受けなくなるまで

 罪徒やマモノと戦っていく定めを背負っていくことになるの・・・」

 

「聖痕・・・

 

 つまり君も聖徒と言うことか?」

 

美鶴はそう言って

聖痕をまじまじと見つめる

 

「まあそれはいいわ

 

 貴方達がどうして

 この世界に来てしまったのか・・・

 

 残念だけど私にはわからない・・・

 

 ただ一つ可能性があるなら・・・

 

 おそらく罪徒たちに関係があるのかもしれないわ」

 

有紀はそう言う

 

「私たちが元の世界に

 戻るためにも

 

 その罪徒と言うやつらと

 戦っていかないといけない・・・

 

 そういうことだな・・・」

 

「だったら話は早い

 

 そいつらを倒して

 元の世界に戻れる方法を

 暴き出してやればいいんだな」

 

明彦がこぶしを突き出して言う

 

「あのね

 

 簡単に言うけれど

 罪徒は普通の人間が

 対処できる相手じゃないわよ

 

 いくら貴方達に戦える力があっても

 

 そんな簡単に

 対処できる相手じゃないわよ」

 

有紀は忠告する

 

「でもだからって

 ずっとこの世界に居続けるわけにも

 行かないわけだし・・・」

 

「そうだよ

 

 俺っち急いで戻らないと

 

 チドリンとかチドリンとかが

 俺のこと待ちわびて寂しい思いさせちまう

 

 だから早く戻らねえと・・・・」

 

「気持ちはわかるけど

 

 だからっていきなり強い敵に

 挑んでいくのは自殺行為よ

 

 ましてや貴方達は

 ここでの戦いに関しては

 素人同然

 

 それでいきなり挑むなんて

 大馬鹿よ」

 

「確かに・・・

 

 私たちは戦える力があっても

 ここでの戦い方を熟知しているわけじゃない・・・

 

 むやみに飛び込んでいけば元の世界に戻るどころでは

 なくなってしまうだろう・・・」

 

「確かにに敵はこの世界をあっという間に

 ほとんど制圧してしまうほどに強大な力を持ってるしね・・・」

 

美鶴と湊に言われて

口ごもる明彦であった

 

「でも確かにだからって

 この里にとどまっていても

 

 何にも見つからないと思うしね・・・

 

 とにかくむやみに行動するよりは

 どこか決めた場所に行った方がいいって

 

 私は思うんだけれど・・・」

 

「確かに・・・

 

 だが私たちは

 この場所のことはよくわからない・・・

 

 せめてこの世界の地理が分かれば・・・」

 

美鶴は言うと

 

「あ、それだったら

 ちょっと来て

 

 確か言ってくれれば見せてくれると思うから・・・」

 

と有紀は一同を連れて出ていく

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

教会

 

そこで有紀は

奥にいる少女に話をすると

 

机に紙を広げる

 

「これが地図か・・・」

 

「ええっと・・・・

 

 俺らがいるところは・・・・」

 

地図を見つめる一同

 

「私たちのいる里はここよ

 

 ここから近いエリアは

 エリアG2とエリアL2で・・・

 

 そのうち近いのは

 エリアL2ね・・・」

 

そう言って

端っこにわずかに映っているうちの一部を

指さして確認する

 

「エリアL2?」

 

「罪徒たちの勢力圏は

 それぞれが様々なエリアに分けられていて

 

 エリアL2もそのうちの一つなの

 

 エリアL2は常に日照りに照らされていて

 このエリアが敵の手に落ちて以来

 

 一度も雨が降ったことがないんだ・・・

 

 それゆえにこの場所では

 水が極端に少なくって

 

 おまけに食料も満足に育たない

 

 渇きの世界・・・

 

 色欲の皇帝率いる

 色欲の軍勢の勢力圏よ」

 

「色欲の皇帝・・・・?」

 

明彦が聞く

 

「罪徒にはそれぞれ

 爵位っていうものがあって

 強さにおいて階級があるの

 

 一番下から

 

 騎士

 

 総裁

 

 伯爵

 

 公爵

 

 侯爵

 

 君主

 

 王

 

 この七つに分かれていて

 

 このうち総裁から君主までの

 階級は二つに分かれて

 

 王の階級は三つに分かれているの

 

 そして王の爵位の中で

 最高位の階級が皇帝

 

 現在皇帝の階級にある罪徒は

 この世界では六体

 

 通称、六大皇帝と呼ばれていて

 

 そのうちの一体が

 このエリアL2を実質支配している

 

 色欲の皇帝ってこと」

 

「たったの六人だけか・・・・」

 

「逆を言えば

 たった六人だけで

 

 実質この世界を支配しているんだ・・・」

 

順平の言葉に美鶴はつぶやく

 

「もしもあなたたちが

 元の世界に戻るための鍵が

 

 この六人の皇帝にあるのなら・・・

 

 行ってみる価値はあると思う」

 

「でも

 

 相手はたったの六人で

 この世界を実質支配しているほどの

 強大な相手ですよ・・・

 

 本当に大丈夫なんでしょうか・・・」

 

風花が不安を口にする

 

すると

 

「今は迷ってる暇はない」

 

湊が言う

 

「確かに相手は

 この世界を支配する

 

 強大な力の持ち主だ・・・

 

 でもだからってなんだよ!

 

 そんなの今更どうってことないよ」

 

「そうだね

 

 私たちだって

 世界の命運のために戦ってるんだもん

 

 尻込みなんて今更だよ

 

 それにここで立ち止まってたら

 いつまでも元の世界には戻れない

 

 元の世界に戻るためにも

 私たちはここで立ち止まってるわけには

 

 行かない、でしょ?」

 

湊と真琴はそう告げると一同は笑みを浮かべる

 

「そうだね

 

 恐ろしい敵なんて

 確かに今更だしね」

 

「だな

 

 俺らには

 向こうに戻って

 

 やらなきゃならねえことが

 たっくさんあんだしな」

 

「そうだね

 

 いつまでもうじうじなんか

 していられるものか」

 

「そう

 

 私たちの戦いは

 まだ終わったわけじゃない・・・」

 

「元の世界に戻るために

 私たちは止まるわけには

 行かないもんね」

 

「僕たちには

 

 まだやるべきことがあるんだ」

 

「そのためにも

 

 私たちは可能性に

 飛び込んでいきます」

 

「まあ・・・・・

 

 どのみちここで待ってても

 始まらねえからな」

 

一同は決意を新たにしていく

 

「ようし・・・

 

 そうと決まったら

 さっそく行こう!」

 

「待った!

 

 そのためには

 それぞれの準備が必要だ

 

 戦闘に必要な武器や

 補助するための道具

 

 どこかで手にできればいいのだが・・・」

 

美鶴が準備を勧める

 

「だったら来て

 

 武器や道具を

 扱っているところなら

 

 この里にもあるから」

 

有紀が声をかける

 

「よっし

 

 それじゃあさっそく・・・・」

 

「待って!

 

 その前に一つ

 聞いておきたいんだけれど・・・

 

 貴方達、お金持ってるの?」

 

それを言われてはっとする一同

 

「やっぱりね・・・」

 

「考えてみたら

 この世界のお金と

 

 私たちのお金って

 違うんでしょうか・・・」

 

風花の一言に

口ごもるほかの面々

 

「はあ・・・

 

 しょうがないな・・・

 

 私が立て替えておいてあげるから

 貴方達にあった武器を選んできなさいよ」

 

有紀は言う

 

「い、いやそんな・・・」

 

「あのね

 

 最低でも

 武器がないと

 

 敵の攻撃に備えられないでしょ・・・

 

 ましてや貴方達

 実質一文無しでしょ

 

 それだったら武器どころか

 食事だってできないでしょ

 

 それにちょうど私も

 武器を新調しようと思ってたし・・・

 

 とにかく行くわよ」

 

とお店に向かう一同であった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

お店から出てきた一同

 

「うーん

 

 まさか全員で

 扱う武器が違うとは

 

 まあ何とか間に合ってよかったけど

 武器の新調がぁ・・・」

 

有紀はふうっとため息をつく

 

「悪い

 

 しかし俺達には

 それぞれ自分たちにあった武器があんだ

 

 ないって言うなら贅沢は言えねえが

 

 使え慣れていない武器でねえと

 戦力は格段に落ちちまう」

 

「戦力を少しでも

 大きくするためには

 

 やはり武器は個々で

 使い慣れている方がいい・・・」

 

「確かにそれは

 私も同感だね

 

 でもやっぱり

 もう少し効率よくお金を

 

 稼いでいかないと

 次に武器を手に入れるときに

 

 やっぱり金欠になる・・・」

 

有紀は嘆く

 

「ねえ

 

 この世界では

 どんなふうにお金を

 稼いでるの?」

 

ゆかりが何となく聞く

 

「私たち聖徒は

 罪徒やマモノを討伐することで

 

 報奨金としてお金がもらえるの

 

 このお金は前に

 この里にマモノの群れが

 襲撃してきてね

 

 そのときにもらった賞金なの・・・」

 

「なんだかタルタル探索してるときに

 シャドウ倒したときに金がもらえんのと

 おんなじだな・・・・」

 

「ま、まあ・・・・

 

 そう・・・だ・・・・な・・・・・・・?」

 

順平の発言に

ややどもりながらも同意する明彦

 

「賞金を受け取るには

 教会に行って聖痕を見せるの

 

 その時聖痕に刻まれた記憶を読み取って

 自分たちが倒してきた敵を鑑定して

 

 それに乗じた賞金を受け取れるのよ」

 

「つまり・・・

 

 この世界では

 お金を受け取るには

 

 聖痕がなければだめってこと?」

 

「まあ、そういうことになるわね

 

 もっとも戦いにおいてだけど」

 

それを聞いて悩む一同

 

「まあそれは問題ないわよ

 

 だって貴方達には一応

 私も同行させてもらうから」

 

それを聞いて驚く一同

 

「本当にいいの!?」

 

「いいのよ

 

 どのみち私も

 エリアL2に行くつもりだったからね・・・

 

 それに・・・

 

 たぶんそこに行けばあいつもいるかもだしね」

 

最後の方だけ小さく聞こえないようにつぶやく

 

「ま、まあとにかく

 早速行こうぜ

 

 目指すのはエリアL2

 

 色欲の皇帝だ!」

 

順平は意気込んでいくが

 

「待って

 

 悪いけど

 出動するのは

 

 明日からよ・・・」

 

有紀にあっさりと拒否されてしまった

 

「のわっと!?

 

 なんでなのよ!」

 

「もうすぐ日が暮れる

 

 夜が来るわ・・・」

 

空は確かに赤みがかって

すぐに日は暮れて夜になりそうになっている

 

「夜は闇の世界

 

 罪徒たちの領域で

 もっとも危険な時間帯よ・・・

 

 今のこの一団には

 聖徒が一人

 

 ましてや貴方達はまだ

 この世界にきて間がない・・・

 

 残念だけれど今出て行くのは

 得策とは言えないわ」

 

「そんなの・・・・

 

 そんなの行ってみなくちゃ

 分かんねえだろう!?

 

 だったら俺だけでも・・・・」

 

有紀は順平の胸倉をつかむ

 

「言うことを聞きなさい!

 

 この世界のことは

 少なくとも私の方が詳しい!!

 

 その忠告を無視して

 勝手な行動をとるなんて

 

 自殺行為!!!

 

 死にたいんだったらどうぞ行きなさい?

 

 私は助けないし

 手助けだってしない・・・

 

 身勝手なやつのために

 自分の命を捨てる奴のために

 命を捨てるつもりなんてない!」

 

と言い放った

 

「いい

 

 よく聞いて・・・

 

 命を懸けることと

 死にに行くことは意味が違うわ

 

 それに今ここであんたが死んだりなんかしたら

 

 それこそあなたの世界で待ってる人が悲しむでしょ」

 

「・・・・・・・」

 

そう言われて静かになる順平

 

「確かに・・・

 

 彼女の方が

 この世界でのことは詳しい・・・

 

 忠告は聞いた方がいいだろう・・・

 

 今日は明日のことについて

 話し合っていくことと

 

 体を休めていつでも戦いに備えるようにしておこう・・・」

 

美鶴の提案に一同はうなづく

 

こうして一同は宿の方へと

戻っていくのであった

 

・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・

 

「っ!」

 

別の里では

一人の少年が目を覚ます

 

体を起こして

辺りを見回す少年

 

すると

 

部屋に一人の人間が入ってきた

 

「あ、起きたみたいですね・・・」

 

そこに入ってきた人物は

フードを脱いで上着を手にやった

 

見た目からして少女のようだった

 

「あ、あの・・・」

 

「ん?

 

 ああ・・・

 

 自己紹介が必要でしたね

 私は由奈と申します

 

 よろしく・・・」

 

と彼にそっと手を伸ばしていく

 

「あ、ああ・・

 

 鳴上 悠と言います」

 

と少年、悠も自己紹介で返す

 

「起きたてのところ

 申し訳ありませんが

 

 広間までご同行いただけますか?

 

 あなたのご友人が

 そこでお待ちになっているので」

 

「あ・・」

 

悠は由奈からそれを聞いて

彼女に案内される形で

 

広間に向かうのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

広間

 

そこではほかの面々が集まっていた

 

「お、やっと起きたか!

 

 心配したぜ」

 

「そうだよ

 

 君が起きるの待ってたんだから」

 

「もう少ししたら様子を見ようって話をしてたんだよ」

 

「まあこれで全員そろったっすね」

 

「そうだね

 

 先輩がいないと

 やっぱり始まらないもんね」

 

一同が出迎えていく

 

「さて・・・

 

 先輩もそろったことですし

 自己紹介に入りましょう

 

 僕は白鐘 直斗と言います・・・」

 

「俺は花村 陽介、よろしく」

 

「あたしは里中 千枝です」

 

「天城 雪子です」

 

「巽 完二っす」

 

「久慈川 りせ

 

 先輩たちのアシストをしてまーす」

 

「さっき自己紹介したけど改めて

 

 鳴上 悠だ」

 

「樋長 由奈

 

 由奈で構いませんよ・・」

 

自己紹介を済ませる一同

 

「それでは

 本題に入りましょう

 

 ここはどこで

 どのような世界なのか・・・

 

 まずはそこからです」

 

直斗は全員がそろったところで

本題に入っていくように話を由奈に切り出していく

 

「この世界は通称

 暗黒の楽園

 

 この世界では人々を苦しめる罪徒と

 その罪徒に抵抗する力を持った聖徒が

 

 戦いを繰り広げている世界なんです

 

 おおむねで言うとそういう世界

 

 そしてここは

 人間の生活区で、里と呼ばれています

 

 ここでは周りを結界で区切られているおかげで

 敵が入ってこず、平穏に暮らしているんです」

 

「結界・・・・?

 

 それって外に

 出てったさいにこの場所

 ぐるって囲ってたあのでっかい壁のことか?」

 

陽介が聞く

 

「里は世界中にあって、そこにはそれぞれ

 聖徒協会の管理のもと人々が暮らしてるのです」

 

「せーときょーかい?」

 

千枝が出てきた単語を間延びしたようにつぶやく

 

「罪徒の脅威に唯一立ち向かうことができる

 聖徒を取り締まる組織で

 

 人里の治安維持等を務めています

 

 エリアHの中心に本部を構えていて

 各エリアにある支部からの報告を受けて

 

 情報を伝達していってるんです」

 

「エリア・・・?」

 

雪子が単語を聞いてきた

 

「この暗黒の楽園には

 いくつかエリアがあって

 

 その中でも

 罪徒の進行を受けていないエリアの総称が

 エリアHなのです

 

 いうなれば最も人間が住んでいるところと言うべきでしょう

 

 この世界のほとんどの人間が

 ここに移り住んでいます」

 

「・・・つーことはつまり

 

 ここがそのエリアHってことなんすか?」

 

完二が聞く

 

「その通りです

 

 あなた方はこの里の近くで

 倒れているところを

 

 近隣の人々が発見しました

 

 それを私が保護したんです」

 

「そうだったんだ・・」

 

りせは納得したように言う

 

「罪徒・・・

 

 この世界を襲っている

 敵がいることはわかりました・・・

 

 ですから次は

 その罪徒のことについて

 教えてもらえませんか?」

 

直斗は頼み込む

 

「だったら教会に行った方がいいですよ

 

 話をするよりはそっちの方がいいと思いますから・・

 

 案内します

 ついてきてください」

 

と一同を教会に案内する由奈であった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

教会

 

「ここが教会です

 

 里の治安と結界の管理、維持に努めていて

 罪徒やマモノの情報が最も集まる場所でもあるんです」

 

「へえ・・・・」

 

辺りを見回す一同

 

「うちがそんなに珍しいわけ?」

 

すると

 

奥から一人の少女があらわれる

 

「ああ、ごめんごめん

 

 この子たちここに来るの初めてで

 ちょっと慣れてないんだよ」

 

「そう

 

 それで今日はいったい

 何の用事?」

 

「ああ、鑑定とあと

 この教会で預かってる

 

 例の変なクマのことで

 

 ちょっとね・・・」

 

二人の会話に気になる単語を見つけた悠

 

「変なクマ・・?」

 

「それってまさか・・・・?」

 

悠と陽介は確証はないが

なぜか確信を持つ

 

すると

 

「ああ、預かってるわよ

 

 まったくちょっと相手にすると

 私に言い寄ってきてしつこいんだから・・・

 

 ちょっと待ってなさい」

 

そう言って奥へと引っ込んでいく少女

 

一同は気になって

その様子を見る

 

「むほほー

 

 お嬢さんから

 直々に御呼ばれするなんて

 ついにクマのアプローチが

 ズッキューンってきたクマね」

 

「おあいにく

 

 お呼びしたのはアタシじゃない」

 

その口ぶりから

奥から少女に連れられて現れたのは

 

「あ、せんせーにみんな!

 

 ひょっとしてクマを呼んだのって・・」

 

「私ですよ

 

 せっかくですし

 皆さんにお会いをしておいた方がいいと思いましてね」

 

由奈が声をかける

 

「おほー!

 

 そちらのお姉さん

 誰かと思ったら

 

 あの時クマを助けてくれた

 優しいおねえさんではあーりませんか!!」

 

「あの時はどうも・・・」

 

そう言ってクマを一同のもとに案内する由奈

 

「おおー

 

 チエちゃんにユキちゃん

 

 クマはみんなと離れ離れになって

 寂しかったクマよー」

 

「そういえば

 クマいなかったっけ」

 

「ここでお世話になってたの?」

 

千枝と雪子がクマに聞いた

 

「それがさー

 

 クマね

 

 ヨースケ達が倒れてるのを見て

 近くにこの町があったから助けてほしいって

 

 お願いしに行ったの

 

 そしたらこの町の人たち

 みーんなクマの姿見て逃げ出したり

 

 武器もって襲い掛かったりして

 もう散々だったクマ

 

 でもこのお姉さんがその人たちを説得してくれたおかげで

 どうにか危機を脱したの

 

 だからヨースケたちのことを話して

 クマはここでお世話になってたクマよ」

 

「おいおい

 

 お前何やったんだよ・・・」

 

クマの話を聞いて

クマを疑うように見る完二

 

「しつれークマね!

 

 クマはふつーに頼んだだけクマ

 

 それ以外のことはしてないクマよ」

 

「本当に・・?」

 

「仕方ないですよ」

 

由奈が説明を始めていく

 

「熊は怠惰の象徴・・・

 

 罪の証・・・

 

 そして熊は暗黒の楽園が

 始まったときに罪徒のほうに組みした・・・

 

 その時から熊をはじめとした一部の生き物は

 今や恐怖の対象なんです」

 

「そうなんだ・・」

 

「クマさん・・・

 

 あんまり人を

 怖がらせたらダメだよ?」

 

「ちょ!?

 

 ユキちゃん!?

 

 クマは悪くないクマよ!!」

 

雪子の言葉にクマは大いに突っ込む

 

「なあクマ・・」

 

「何クマ先生・・」

 

悠が話しかける

 

「どうせ説得するなら

 熊田の姿でやった方が

 

 ややこしくなくなるんじゃなかったか?」

 

「・・」

 

クマは黙り込む

 

「・・忘れてたクマ・・

 

  てへ!」

 

その言葉にあきれる一同であった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「なるほど・・・

 

 罪徒のことは

 大体わかりました・・・

 

 罪徒はこの世界の

 およそ90%を瞬く間に制圧し

 

 人間たちが安心して住めるのは

 このエリアHだけと言う・・・」

 

「このエリアも100%安心って

 わけでもないわよ

 

 罪徒たちからしてみれば

 人間を苦しめるにはここは

 絶好の場所だもの・・・

 

 聖徒も集まってくるから

 うかつにやってこないだけよ」

 

直斗にあらかたの説明をした少女

 

「もしも僕たちが

 この世界に来たのが

 

 この罪徒たちに関係があるというのなら・・・

 

 きっと何か意味があるはず・・・

 

 その意味を調べるためにはやはり・・・」

 

するとふいに

張り紙に目を付けた直斗

 

「由奈さん

 

 これは・・・?」

 

「ああ・・

 

 罪徒の手配書ですよ

 

 このあたりを騒がしてるやつが

 主に張り出されています

 

 とはいえ・・

 

 また増えましたね・・」

 

由奈はじっくりと手配書を見る

 

「このあたりだけでもこんなに・・・」

 

試しに一枚はがして見つめる直斗

 

そこに名前と階級と

情報が提示されていて

 

名前の下には数字が書かれている

 

「この数字は?」

 

「賞金よ

 

 この罪徒を倒すと

 これだけもらえるってことよ

 

 でも受け取れるのは聖徒だけだし

 そもそも罪徒は普通の人間に太刀打ちできる

 相手じゃないしね・・・」

 

しばらく吟味し

手配書を元に戻す直斗

 

「まあそういうのはいいだろ

 

 とにかく対策考えようぜ

 

 まずはどこから向かうのかをさ・・・・」

 

「えーいいじゃん

 

 ここにずっといれば・・」

 

千枝はぶーたれる

 

「俺はこの里を移動する方がいいと思う・・」

 

悠は言う

 

「悠?

 

 どうしてだよ」

 

「確かにここは暮らしやすい

 

 だがだからと言ってここに居続けても

 元の世界に戻るための方法は見つからない・・

 

 だったらすぐにでも

 行動するべきだ・・」

 

「確かに・・・

 

 僕もそれに賛成です

 

 ここからは僕の推理ですが

 僕たちが元の世界に戻るための鍵は

 

 きっと罪徒たちにあると考えます

 

 このエリアHは人間の生活区で

 罪徒たちは攻めてくる確率は

 ほかのエリアに比べて低いとみるべきでしょう・・・

 

 だったらここはあえて

 敵の勢力圏に向かっていくべきだと思います

 

 無謀ではありますが・・・

 

 今取れる行動は

 それしかないかと」

 

「確かにな

 

 はっきり言って

 今の俺達じゃお手上げだ

 

 少しでも可能性があるんなら

 敵の懐に飛び込んでった方がいいと俺も思うぜ」

 

「そっすね

 

 確かにこのままうじうじ

 こんなとこで手間取ってるくれえなら

 

 そのほうがいいって俺も思うっすよ」

 

「クマも賛成!

 

 この世界はクマには

 合いません!!」

 

一斉に賛同する

 

「う、うう・・

 

 みんながそう言うなら・・」

 

千枝も提案を受け入れる

 

「でも問題はまず

 どこから行くかだけど・・・」

 

雪子の言葉に一同は考え込む

 

すると

 

「ちょっと待ってなさい」

 

少女は奥に向かっていき

紙のようなものを持参してくると

 

それを机の上に広げた

 

それは地図のようだ

 

「これは・・?」

 

「この里とその周辺を

 大まかに記している地図よ

 

 今私たちがいるのがここだから

 

 罪徒を追っていくのなら

 エリアL2かエリアG2に

 向かっていくといいわ・・・」

 

「別のエリア・・・

 

 このエリアは

 どういったところなのですか?」

 

「エリアL2は

 このエリア一帯が

 

 決して曇ることのない

 日照りに包まれ

 

 地面は乾き、水は枯れ果て

 ゆえに草木も育たず

 

 ほとんどの生き物が飢えに苦しむエリア・・・

 

 色欲の皇帝率いる

 色欲の軍勢の勢力圏よ」

 

「色欲の・・・・皇帝・・・・?」

 

陽介は聞く

 

「宿においても話しましたが

 罪徒には爵位と言う階級があり

 

 一番下の騎士の爵位から

 一番上の王の爵位まであって

 

 頂点である王の爵位は三つに分かれており

 その最高位が皇帝

 

 現在確認されている中で

 皇帝の爵位を持つ罪徒は六人

 

 その六人こそが実質状の最高位で

 通称、六大皇帝・・・

 

 その一人が色欲の皇帝なのです」

 

「色欲の皇帝・・

 

 何だか聞いただけで

 えらいって感じがするよね・・」

 

「だけど・・・

 

 もしかしたら

 私たちが元の世界に

 戻るための鍵っていうのは

 

 その六大皇帝っていう罪徒なのかもしれない・・・」

 

雪子がそう推測する

 

「かもしれません

 

 罪徒の最高位と言うのなら

 あながち間違いではない、かもしれない・・・」

 

「ようし

 

 だったら早速

 行ってみようよ

 

 そのエリアL2に!」

 

りせは提案するが

 

「却下です!」

 

由奈はバッサリと切り裂いた

 

「どうして?」

 

「行くんだったら今日はおよしなさい

 

 最低でも明日にした方が安全策です

 

 もうすぐ日が暮れます・・

 

 夜は暗闇の世界で

 罪徒の領域ゆえに・・

 

 夜に出るのは危険です

 

 あなた方は戦える力があるのかも

 しれませんが

 

 だからと言って無謀に

 敵の領域に突っ込んでいくのは自殺行為です

 

 そして何より

 何の準備もなく闘いに出るつもりですか?」

 

由奈に指摘されてあっ、と声が漏れる一同

 

「やっぱり・・

 

 今日は準備をして

 明日一緒に行きましょう

 

 私もちょうどエリアL2に

 向かおうと思っていたんです

 

 そこまで同行しましょう」

 

「え、いいの!?」

 

「この世界のことを知らない

 貴方達のことを見ていると

 

 どうにも危なっかしいですからね」

 

由奈は言う

 

「ようし!

 

 それじゃあまずは

 何を用意すればいいんだ?」

 

「まずは武器だね

 

 それから食料とか

 先頭の補助に役立つものとか・・・」

 

「そうだな

 

 早速行って・・」

 

と出ていこうとする一同

 

「待ってください!

 

 皆さんお金はあるんですか?」

 

それを聞いて

ずるりとこけてしまう一同

 

「そういやこの世界のお金って

 俺らの世界のとおんなじだっけ・・・・?」

 

「そういや・・・

 

 そんなの気にしてなかったっすね」

 

うっかり今頃気づく

 

「はあ・・

 

 しようがありませんね

 

 今回は私が立て替えて

 置きましょう

 

 ちょうど換金も済んだことですし・・

 

 早速武器屋に行ってみるとしましょう」

 

「え、で、でも・・」

 

千枝はやや遠慮気味になるが

 

「こういうのは遠慮しない方がいいですよ

 

 それに武器がなくては

 どのみちこの先は苦しくなりますから・・」

 

「そうだね

 

 今は甘えさせてもらおうよ千枝

 

 どのみち敵の懐に行くんだから

 しっかりそなえないといけないし

 

 お金もないし・・・」

 

「うう・・」

 

こうしてお言葉に甘えさせてもらうことになるのだった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「ようし

 

 必要なものは買えましたし

 皆さんの武器の方も何とか買えましたね」

 

「しっかしなんでも

 そろってんな」

 

「あたしや雪子にあった武器も

 あったのが驚いたよね」

 

「うん

 

 意外だったよね」

 

「まあよかったじゃないっすか

 

 先輩らにもあった武器もあって

 

 これで少しは戦いやすくなるっすね」

 

「クマにもあった武器もあったし

 

 これ届けに行ったら

 明日の準備はほぼ完了だね」

 

「そうですね

 

 敵もいつ現れるのかも

 まだわかりませんし・・・」

 

「それじゃあ

 

 そろそろ宿の方に戻りましょう

 

 宿泊代の方は気にしないで

 ゆっくり休んでてください」

 

そう言って一同は宿の方に戻っていくのであった

 

・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・・

 

エリアHの外側

 

そこにある洞窟の

パチッと火花の散る音に

 

目覚める一人の少年

 

「う、うう・・・」

 

身体を起こすと

そこはどこかの洞窟の中のようで

 

その中央には火がともっていた

 

辺りを見回していると

 

ふいに洞窟の入口の方から

足音が聞こえてきた

 

足音のみならず

声も聞こえてくる

 

誰かと誰かが会話をしているようだった

 

その声は大きくなっていって

近づいているのが伝わってきた

 

すると

 

「おー起きてたか

 

 心配してたぞ」

 

そこに顔を出してきたのは

何とモルガナだった

 

「モナ・・・

 

 ってちょっと待て!?

 

 その姿・・・」

 

「ん?

 

 ああ・・

 

 ワガハイも目を

 覚ました時は驚いたが

 

 まあそれは問題じゃない・・

 

 ほかの奴らは?」

 

「え?」

 

周りを見ると

布に身を包んだ

 

ほかの面々が眠っているのが分かる

 

「みんなはどうしてここに・・・」

 

「俺がここまで運んだんだよ」

 

すると入り口から

誰ともわからない声が聞こえてきた

 

「この先にある里に向かってたら

 道端で倒れてるあんたたちを見つけてさ

 

 とりあえず近くにあった

 この洞窟に運んだんだ

 

 全員運び出すの大変だったけど

 まあすぐ近くあったしどうにかなったけどな」

 

すると洞窟に

フードで顔と体を覆っている人物が入ってくる

 

「っ!?」

 

それを見て思わず身構えるが

 

「まて

 

 こいつは敵じゃない

 

 ワガハイ達を助けてくれた恩人だ」

 

モルガナがそう言う

 

「まあ普通は

 知らない奴がいたら

 

 警戒するよな・・・

 

 ま、俺はどう思われても

 構わないけどよ

 

 あんたたちが無事だったら

 それでよかったよ」

 

フードの人物はへへっと笑いながら言う

 

「あ、そうか・・・

 

 フードしっぱなしだと

 どうにもなれちまって気が

 回らなくなっちまうな・・・」

 

と人物はフードを外す

 

「俺は当夜

 

 桐巣 当夜

 

 まあ、通りすがりの

 おせっかいな正義の味方だ」

 

自己紹介をするのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「う、うう・・・」

 

「んあ・・」

 

ほかの面々も

目を覚ましていく

 

「ここは・・・・?」

 

すると

 

「お、どうやら

 起きたみたいだな」

 

当夜は体を起こすほかの面々を見て

そうつぶやく

 

「ジョーカーにモナ・・・

 

 って!?

 

 あなたはいったい!」

 

クイーンこと真が当夜に気づき

思わず身構えてしまう

 

「落ち着けみんな!

 

 こいつは行き倒れになっていた

 ワガハイ達を解放してくれた恩人

 

 いわば味方だ」

 

「味方・・・?

 

 でも確かアタシたちは

 パレスにいたはず・・・」

 

「どうやらここは

 俺たちのいた異世界とは

 

 違う世界みたいだ・・・

 

 いうなればまた別の世界ってことらしい」

 

「そうだったのですか・・

 

 しかし・・」

 

一同は自分たちの服装を見る

 

それは怪盗服のままであった

 

「なんで俺ら・・・

 

 怪盗服のまんまなんだ?」

 

「そういえば・・

 

 つまりどういう」

 

「ワガハイにもわからない

 

 ただ一つ言えるのは

 ここではパレスにいたときと

 同じ現象がそのまま起こっているという

 事実だけだ・・

 

 現にワガハイもモナの姿だしな」

 

一同はとにかくその疑問を置いておくことに

することになったのであった

 

「どうやら俺達は

 ここに来る前に戦った

 

 あの謎の少女によって

 この世界に落とされたということかもしれん

 

 元の世界に戻るための方法も必ず見つけ出さなくては・・・・・」

 

「そうね

 

 そのためにも

 まずはこの世界のことを調べてみないと・・・」

 

すると真は

当夜の方を見る

 

「えーっと・・・

 

 当夜、でいいのかしら?

 

 この世界のこと教えてくれない?」

 

「この世界は

 暗黒の楽園って呼ばれてる

 

 今から180年前に

 迷宮っていうのがこの世界に発生して

 

 そこから罪徒っていうやつらが現れて

 マモノや罪兵たちを引き連れてこの世界にいる

 人々を苦しめてる

 

 その罪徒やマモノたちから

 人々を守ってんのが俺達聖徒ってことだ」

 

「聖徒・・・?」

 

竜司が聞いてきた

 

「まあ言ってみれば

 聖徒の脅威から人々を守っている

 

 正義の味方って感じかな

 

 この世界では世界中で

 その聖徒が人々を守るために

 罪徒やマモノと戦い続けてる

 

 そんで・・・」

 

当夜は右腕を見せる

 

その右手からは光り輝く

紋章のようなものが浮かんでいる

 

「きれい・・」

 

「聖痕っていうんだ

 

 これが右腕に浮かんだ人間が

 罪徒やマモノと戦う

 

 いうなれば聖徒になるんだ

 

 つまり、俺もその聖徒の一人ってことさ」

 

「ほほう

 

 つまりお前にも

 戦える力があるってことなんだな」

 

モルガナはそう返す

 

「そういえば

 

 当夜はどうして

 一人でこんなところに?」

 

祐介が聞く

 

「俺は今からこの先にある里に帰る途中なんだよ

 

 昔住んでいたことがあってさ久しぶりに」

 

「そうだったの・・・

 

 里って?」

 

「この世界では

 マモノが世界中に

 発生してしまってて

 

 戦える力のない人たちは

 里っていうところで平穏に暮らしてるんだ

 

 言うんならその里が

 人間の生活区みたいなところ」

 

「ふーん

 

 つまり言ってみれば

 町ってことだな

 

 でもそれって襲われたりしないのか?」

 

双葉はきいた

 

「里は結界が囲ってるし

 その結界の管理と維持を務めてる

 教会っていうところだってある

 

 ただ最もそれでも突破されることもあるから

 100%安全ってことにはならねえ

 

 どっちにしろ俺達の存在は

 必要不可欠ってことだ」

 

「そうだったんだね・・」

 

当夜はそう言って

外を見つめる

 

「俺は自分の住んでいた里を

 罪徒に襲われてしまった

 

 そのときに俺の両親は亡くなった

 

 その時の俺はまだ幼かったから

 自分の親の顔もよくわからないんだ

 

 住む場所を失ってさまよってた

 俺をあの里の人たちは拾って

 

 育ててくれた

 

 だから聖徒に選ばれたとき

 少しでもあの里を守れるようにって思った・・・

 

 選ばれて舞い上がっていた

 俺はある罪徒の攻撃を受けて

 死にかけたんだ・・・

 

 そんな俺のことを

 助けてくれた人たちがいた・・・

 

 俺は気を失って・・・

 

 気が付いたらそこに

 その罪徒もその人たちも

 そこにはいなかった・・・

 

 だから俺思ったんだ・・・

 

 今のままじゃきっとだめだ・・・

 

 そう思って俺は旅に出たんだよ」

 

「なるほど・・・

 

 それで今その修行を終えて

 その里に戻ってきてるわけか」

 

暁は問う

 

「・・・まあ・・・

 

 それもあるんだけどな・・・」

 

当夜は意味深にそうつぶやく

 

「そういえばさ

 

 お前らはどっか行く当てでもあるか?」

 

「そんなのねえよ

 

 俺達はこの世界のこと

 全然知らねえってのに

 

 行く当てなんて・・・」

 

「ちょっと待って・・

 

 確かあんたって

 里っていうところに行くんだったよね・・

 

 聞く限りだと里って

 人間たちが暮らしているところってことでしょ?」

 

杏が聞いてくる

 

「そうか

 

 その里に行けば

 必要な情報が得られるかもしれない」

 

「そうね・・・

 

 元の世界に戻る手段が

 見つからない以上は

 

 何か手掛かりを探し出さないといけないわ

 

 はっきり言って当夜から得られた情報では

 この世界のあらかたのことしかわからないし・・・」

 

「うぐ・・・」

 

はっきり言われてたじろく当夜

 

「里でどこか

 情報の得られそうなところ

 

 当夜、知らないか?」

 

「それだったら教会に行ってみたらいいんじゃねえか?」

 

「教会?

 

 それは先ほどおっしゃっていた

 里の結界を管理と維持を務めている?」

 

春が聞く

 

「教会はそれだけじゃなくって

 

 情報が集まってきて

 俺達聖徒のサポートも兼ねてくれてる

 

 お前らのほしい情報があるのかは

 分からねえけれど

 

 俺に聞くよりかは

 そこに行った方がいろいろ手っ取り早い

 

 それに里には武器屋もあるし

 今後の準備をしておくためにも

 

 言った方がいいと思うぜ」

 

「よっしゃ!

 

 そんじゃあさっそく・・・」

 

と立ち上がる竜司だったが

 

「待った」

 

当夜が呼び止める

 

「行くのは夜が明けてからだ

 

 この世界の夜は危険だ・・・」

 

「どうしてだよ?」

 

竜司は聞く

 

「夜は闇の世界・・・

 

 罪徒の領域だ・・・

 

 敵の力が

 大きく上がっていく

 

 ましてや今は月が欠けてる・・・

 

 夜が明けてから出たほうがいい

 

 なるべく体力を使わないで

 里に行きたいならさ」

 

「そうね・・

 

 はっきり言って

 今の装備じゃ

 

 心もとないし・・

 

 ペルソナだって

 そう何度も使えるわけでも

 ないんだから・・」

 

「そうだな・・・・

 

 体力は温存をした方が

 今後の戦いも楽になる

 

 それに・・・・

 

 こういう空間で一夜を過ごすのも

 粋だと俺は思うぞ?」

 

「・・・・そうね

 

 今日はもう

 いろんなことがあって

 疲れたし・・・

 

 今日はここで休みましょう・・・」

 

「そうだな・・・

 

 アタシも何だか

 疲れてきたな・・・」

 

「そうだね・・

 

 今後のことは

 明日になってから決めようよ・・」

 

そう言って布に身を包んで

横になり始めていく一同であった

 

「まあそうだな・・・

 

 慌てても元の世界に

 戻れるわけでもないし・・・

 

 俺もねよ」

 

「はっきり言って野宿なんてなれないけど・・

 

 贅沢も言えないしね・・」

 

その様子を当夜はじっと見守っている

 

一同は寝静まる中

一人の少年が残った

 

暁だ

 

「君は寝ないの?」

 

暁は当夜に聞いた

 

「・・・寝ないんじゃないんだ・・・

 

 俺は眠れないんだよ・・・

 

 自分からはね・・・」

 

当夜はそう答えた

 

「あんたこそ

 寝ないの?

 

 ほかの人たちは

 眠ってるみたいだけど・・・」

 

「俺は・・・

 

 昼よりも夜の方が好きだから

 なんとなくさ・・・」

 

「急にこの世界に来たっていうのに

 落ち着いてるんだなあんた・・・」

 

「そりゃあ

 

 理不尽なことなんて

 しょっちゅうだからな・・・

 

 最初にパレスに行ったときも

 この力に目覚めたときも

 

 最初は驚いた・・・

 

 でもそのおかげで俺は

 ここにいるみんなと出会った

 

 最初のころは思いもしなかったよ・・・

 

 こんなにも多くの仲間に出会えたことがさ・・・」

 

「そっか・・・」

 

当夜は笑みを浮かべて答えた

 

「当夜は俺達の話を聞いて

 どう思ったんだ?」

 

「別に・・・

 

 俺は難しいことは

 よくわからねえし

 

 だからって別に気にするほどでもないし・・・

 

 でもあんたたちが

 元の世界に戻りたいってんなら

 

 俺も協力するさ

 

 俺がそうするべきだって思ったからさ」

 

「・・・そうか・・・」

 

すると

 

当夜は立ち上がって洞窟の外に向かっていく

 

「ゆっくり休んでてくれ

 

 明日の昼頃には多分

 里につくと思うからさ・・・」

 

当夜はそう言って外に出ていくのであった

 

「・・・・・・」

 

暁はそれを見届けつつ

眠りにつく準備を勧めるのであった

 

・・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・・・・・・

 

その夜

 

ある一団が動き始める

 

「フフフ・・・

 

 ついに見つけましたよ・・・

 

 さあ、行きなさい」

 

その声とともに

闇に紛れて複数の影が

 

向かっていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界で恐れられる悪意が動き出す・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          




青の世界 黄色なる世界 赤き世界

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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4,Absolute malice as a lost person

忍び寄る悪意と言う魔の手

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


翌日

 

「んんー

 

 よく寝た」

 

「おはよう・・・」

 

一同は宿屋のロビーに集まる

 

「おお、やっと起きたか」

 

「おはよう」

 

「さすがに早いな」

 

「大丈夫そうだな」

 

「おはようございます」

 

「おはようございます

 

 お二人の体調は万全であります」

 

「おはようございます」

 

「おう」

 

ほかの面々は集まっていた

 

「全員そろってるね・・・」

 

「あれ?

 

 有紀さんは?」

 

「ああ、なんでも朝から

 里の人たちが騒がしいようで

 

 様子を見に行ってる

 

 どうやら何か事件が起こっているようだ・・・」

 

湊と琴音の問いに

美鶴が答える

 

「だったら聞いてみようよ!

 

 何だか心配になってきたし!!」

 

「話だけでも聞いて行こうよ」

 

「そうだな

 

 どのみち彼女がいなくては

 目的地であるエリアL2には行けないからな・・・」

 

と一同は宿屋を出て

様子を見に行くのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

SEESの面々が

騒いでいる住人たちに

 

声をかける

 

「どうかしましたか!?」

 

湊が話しかけると

 

「実は昨日

 

 マモノが現れて

 住人が何人かさらわれてしまったんだ」

 

「何ですって・・・!?」

 

琴音は辺りを見ると

 

「あなた・・・」

 

「パパァ・・・」

 

女性や子供がそう言って泣いているのが見える

 

「マモノって確か

 罪徒が使ってくるって怪物の?」

 

「人間さらうなんてあるのかよ?」

 

すると

 

「罪徒よ・・・」

 

有紀があらわれる

 

「罪徒に命令されたのよ

 

 出ないと人間を襲うなんてこと

 マモノが独自に行うはずがないもの・・・

 

 マモノの思考は本能的だから

 人間を襲うことがあっても

 

 人間をさらうなんてことするはずがない・・・」

 

有紀はそう言って

住人たちに聞いてきた

 

「マモノはどっちに?」

 

「あっちの・・・

 

 北西のほうに!」

 

住人に言われてそっちの方角の方を見る

 

「北西・・・

 

 ちょうどエリアHと

 ほかのエリアの境目・・・

 

 確かにそこなら

 罪徒がいる可能性があるわ!」

 

そう言って有紀は

剣をもって外に出ていく

 

「待て!

 

 どこに行く気だ!!」

 

明彦が呼びかける

 

「決まってるでしょ!

 

 罪徒にさらわれた人たちを

 助けに行く!!」

 

「無茶だ!

 

 一人で敵のもとに

 飛び込んでいくつもりか!?」

 

「無茶でも行かないと!

 

 出ないと・・・

 

 さらわれた人たちが・・・」

 

と見つめる先には泣いている女性と子供たちが

 

「ひどい・・・」

 

風花もそれを見て悲しい気持ちになっていく

 

それはほかの面々も一緒だ

 

「大切な人を失って

 

 泣いているのですね・・・・」

 

「・・・・・」

 

アイギスはそう言葉に表し

天田はそれを見てどこかつらそうな表情を見せる

 

「気持ちは俺らだって同じだ

 

 でもだからこそ

 お前を一人で行かせるわけにはいかねえ

 

 今のお前はさらわれた人を助けたいがために

 少し感情的になってる

 

 こういう時こそ頭を冷やした方がいい」

 

「・・・・・」

 

有紀はふうっと一息ついた

 

「・・そうだね・・・

 

 慌てていったところで

 状況が変わるわけでもないんだし・・・

 

 だけど・・・

 

 今のところこの里にいる

 聖徒は私だけだし・・・

 

 今のままじゃあ・・・」

 

すると

 

「だったら僕たちと行こう・・・」

 

湊が言う

 

「え、でも・・・」

 

「あなただけに危ないことなんて

 させられないし・・・

 

 それにきっと私たちなら

 あなたの力にきっとなれる!

 

 貴方だって感じたんでしょ?

 

 だから私たちに武器を出してくれた違う!?」

 

「・・・・・」

 

言われて迷う有紀

 

「そうね・・・

 

 今ここで

 戦える聖徒があんただけだって聞かれて・・・

 

 みすみす送り出すなんてあとくされ悪いしね」

 

「それにさ

 

 昨日俺っちに

 一人で行動するなっていっといて

 

 自分がそうするなんて

 なんかかっこつかねーじゃん?」

 

「そうだな

 

 それにどっちみち

 同じ敵と戦うことになるんだ

 

 この世界での戦いに慣れておくにも

 ちょうどいいだろう」

 

「明彦

 

 これから起こる闘いを

 まるでトレーニングのように言うな・・・」

 

「あはははは・・・」

 

「私も・・・・

 

 私たちも悲しんでいる人のために

 できることをやりたいであります」

 

「僕も・・

 

 大切なものを失って

 絶望していく人を見るのは・・

 

 いやです!」

 

「・・・・・・・・・」

 

一同の意見は設置する

 

「みんなの意見も

 一致したね・・・」

 

「でもここは・・・

 

 有紀ちゃんに決めてもらおっかな?」

 

と真琴は有紀の方を見る

 

「まったく・・・

 

 お人よしと言うか

 無謀と言うか・・・

 

 どうせここで私がだめって言っても

 聞かないだろうし・・・

 

 好きにしなさい・・・

 

 その代わり

 自分の身は自分で守ってね・・・

 

 これから戦う相手は

 それほどの余裕がなければ

 

 きっと勝てないわ」

 

「わかった・・・

 

 足を引っ張らないように頑張るよ」

 

「みんなもそのくらいできるよね」

 

一同はうなずく

 

「それじゃあさっそく行きたいところだけど

 

 その前に行くところがあるよ」

 

と有紀は一同を連れて

ある場所に向かっていく

 

そこは

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

教会

 

そこで一同のもとに

走り寄ってきたのは

 

アルビノの柴犬であった

 

SEESのメンバーはそれが何なのか当然わかっていた

 

なぜなら

 

「あーそうだったそうだった

 

 コロちゃんのことすっかり忘れてた」

 

「コロちゃんも私たちの大事な

 仲間だもんね

 

 フフフフ・・・」

 

SEESの一員である

 

コロマルであったからである

 

「これから里に行くときは

 彼は教会に預かっておかないといけないわよ

 

 何しろ犬は嫉妬の象徴で

 この世界では恐怖の象徴だからね」

 

有紀が忠告する

 

「それじゃあ

 

 早速行くわよ!」

 

そう言って結界の外に出ていく一同であった

 

「それじゃあ

 

 ここはいったん

 役割を決めよう

 

 まずは私たち年長組と湊が

 

 ゆかりと順平と真琴が

 二手に分かれて前に出よう

 

 残りは辺りの様子を見張っててくれ

 

 山岸はいつものようにサポートを頼む」

 

美鶴の指示に

一同は強くうなづく

 

「よし・・・

 

 それじゃあ行こう」

 

「私たちも・・・」

 

と二つのグループはそれぞれ前に出ていくと

 

「っ!?」

 

有紀が何かを警戒するように

身を大きく引いた

 

「どうした?」

 

「マモノだ・・・

 

 どうやら囲まれてる」

 

その言葉に一同は

大きく身構えると

 

唸り声が響いていく

 

するとそこに現れたのは

複数の異様な怪物たちであった

 

頭部のみを地面から出しているような

異様な姿の怪物たち

 

「下級のマモノか・・・

 

 大したことはないけれど

 この数だと苦しいかも・・・」

 

すると

 

有紀は右腕を構えると

右腕に浮かぶ聖痕が輝き

 

彼女の姿が大きく変わっていく

 

そしてその後彼女は

銃を構えてそれを構える

 

「うお!?

 

 なんだよそれ・・・・」

 

「服装が変わったぁ!?」

 

「聖痕の力を解放させて

 その力を受けるのにふさわしい姿になったのよ

 

 今はとにかくこの状況をどうにかすることを考えるわよ!」

 

と銃を構えて

マモノの群れに

 

銃弾を次々と打ち込んでいく

 

「私たちも応戦するぞ!」

 

「おっしゃ!

 

 俺っちたちも

 やってやるぜい」

 

と一同の方も襲い来るマモノたちに

向かっていく

 

マモノたちはとても多いが

一体一体は大したことはないため

 

一体ずつ引き離していき

 

確実に一体ずつ追い込んで倒していっている

 

「ふん

 

 どうやら大したことは

 なさそうだな・・・・

 

 つまらん」

 

「真田先輩

 

 そこはがっかりするとこじゃ

 ないと思いますよ?」

 

明彦のつぶやきにゆかりが突っ込んだ

 

マモノたちの人数も

減っていき始めると

 

マモノたちが引きあげ始めていく

 

「ふん

 

 他愛もない・・・・」

 

「待ってください!

 

 怪物たちが引き揚げていくあたりから

 何か巨大な何かが現れています」

 

風花が一同にそう伝えると

 

奥の方から

巨大な蜥蜴のような怪物があらわれる

 

「大顎蜥蜴!」

 

その怪物は

勢いよく一同に向かっていく

 

有紀は急いで銃を構えるが

 

蜥蜴は体を勢いよく回転させて

尻尾を使って有紀に攻撃を仕掛けていく

 

「ああ!」

 

その一撃を受けて

有紀は大きく飛ばされて行ってしまう

 

「有紀!」

 

「まじかよ・・・・」

 

有紀が攻撃を受けてしまったことで

一同に動揺が走り始める

 

すると大顎トカゲは

今度はSEESの面々に目をつける

 

「この怪物は・・・

 

 さっきまでのやつとは違う・・・」

 

「この・・・・」

 

激しい呼吸音が一同の耳にまで聞こえ

ゆっくりと獲物を狙うようにその巨大な顎を

 

大きく開いていく

 

その中では唾液が分泌されて

その様子に一同は動揺を覚えていく

 

だがそんな中

立ちふさがっていく

 

二人の影が立ちふさがっていく

 

「え・・・」

 

「おい!?」

 

その二人を見て

それぞれ驚きの反応を見せる

 

せまりくる蜥蜴は

二人から食らいつかんと

 

大きく口を開いていく

 

「・・・・真琴・・・

 

 行こう!」

 

「・・・わかってるよ・・・

 

 湊!」

 

二人は召喚器を

こめかみに当てる

 

蜥蜴は大口を開けて迫っていき

 

二人を食らいつくしてしまった・・・

 

「真琴!」

 

「湊!」

 

その様子を見て

一同は絶句する

 

「そんな・・・

 

 二人がやられたら・・・」

 

風花もその様子に

大きなショックを受ける

 

がその時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ペ・・・・ル・・・ソ・・・

 

  ナ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのんなつぶやきが

聞こえたのと同時に

 

蜥蜴の口が光りはじめ

 

その口をこじ開けるように

現れたのは

 

「オルフェウス・・・・」

 

アイギスはそうつぶやいた

 

そう、それは

二人のペルソナである

 

オルフェウスであった

 

するとオルフェウスは

雄たけびのように声を上げて

 

蜥蜴の口をさらに大きくこじ開けて

 

口を大きく裂いていく

 

「「はああ・・」」

 

その声はまるで

二人の声のようにも聞こえる

 

そして

 

「「はあああああああ!!!!!!」」

 

ついには口を

まるで広げるように裂くのであった

 

すると

 

蜥蜴はふらふらと

辺りにさまよっていき

 

身体から黒いオーラ状の物を噴出して

消滅していくのであった

 

オルフェウスは下にゆっくりと降りていくと

ゆっくりと点滅するようにして消えていき

 

その中からそれぞれ

二人の姿が現れた

 

二人もゆっくりと降り立っていく

 

「はあ・・・

 

 はあ・・・」

 

「ふう・・・」

 

その後二人は

体力を消耗したのか

 

その場に座り込んでしまった

 

「今のはいったい・・・」

 

「一瞬・・・・

 

 ペルソナの中から

 あいつらが出てきたような・・・」

 

ともかく一同は二人のもとに駆け寄る

 

「有里君!

 

 大丈夫!?」

 

「琴音!

 

 けがはないか」

 

一同は駆け寄っていく

 

二人は落ち着いてきた様子で

一同を見つめる

 

「はい・・・

 

 なんとか」

 

と二人はゆっくりと立ち上がっていく

 

すると

 

有紀が一同の前に来る

 

「今のって何?

 

 ひょっとして今のが

 貴方達の・・・」

 

「・・・・ああ・・・

 

 詳しい話は道中で話していこう

 

 さらわれた人々の救出も急がなくてはいけないからな」

 

美鶴は提案するのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「そうか・・・

 

 あれが前に少しだけ

 貴方達が口にしてた

 

 貴方達の戦うための力なのね・・・」

 

「そ、ペルソナっていうんだぜ」

 

「私たちはこのペルソナの力を使って

 人々を襲うシャドウって怪物と

 戦っているの」

 

「シャドウと戦えるのは

 俺達ペルソナ使いだけだ

 

 そしてそのペルソナ使いを集めて

 シャドウをせん滅するために設立されたのが

 

 特別課外活動部と言うわけだ」

 

「表向きは部活動と言う形をとってる

 

 あ、それと

 部活動っというのは・・・」

 

美鶴が説明をするのを有紀は止める

 

「まあ要するに

 

 貴方達は人知れず

 世界を救うために戦ってるってことでしょ?

 

 平たく言うと」

 

「そうですね

 

 あ、それと私のペルソナは

 特別で戦いではなく

 

 皆さんのサポートに回ってるんです」

 

「それでえっとバックアップに回ってるんだ

 

 縁の下の力持ちってことなんだね」

 

有紀に言われて思わずフフッと笑みをこぼす風花

 

「でも一番特別なのは

 やっぱりリーダー・・

 

 湊さんと真琴さんですよね

 

 一人でいろんなペルソナに

 付け替えることができるんですから」

 

天田が言う

 

「へえ、そうなんだ・・・

 

 と言うよりそれが

 そんなにすごいことなの?」

 

「ペルソナとは心の力

 

 人一人につき心とは

 一つなんだ・・・

 

 ゆえに一人のぺルシナ使いが持てる

 ペルソナは一つのみのはずなんだが・・・

 

 あの二人は特別だ・・・」

 

すると

 

「そうなんだ・・・

 

 でも見た感じ

 さっきのしか

 

 見てなかったけど・・・

 

 ほかにも持ってるの?」

 

「そのはず・・・

 

 なんだがな」

 

と美鶴と有紀は

目の前を歩いている

湊と真琴の方を見ている

 

あの時に比べると

やや落ち着いてきたようで

 

足取りは好調である

 

「しっかしあいつらのおかげで

 

 この世界でもペルソナが使えるってのが分かったな

 

 これでこの先の戦いが少しは楽になるぜ」

 

「まったく調子に乗って

 

 さっきみたいな怪物が現れて

 有紀みたいに吹っ飛ばされても

 知らないからね」

 

「・・・・」

 

調子に乗り出す順平と

それを見てあきれるゆかり

 

そのやや後ろで何やら

意味深にリーダーの二人を見つめているアイギス

 

「アイギス?

 

 どうかしたの?」

 

「・・・・いえ・・・・

 

 何でもないです」

 

風花に聞かれて

ふいにそんなことをつぶやくアイギスであった

 

「(・・・・気のせいであるといいのですが・・・・)」

 

心情はどこか落ち着かない様子のようだが

 

「さて・・・

 

 私の方も気を引き締めないと・・・

 

 さっきみたいに

 不意を突かれてしまったら

 

 示しもつかなくなるしね・・・」

 

「それにしても・・・

 

 あの怪物はなんだ?

 

 最初に現れていたやつとは

 別のように見えたが・・・」

 

美鶴が説明を求める

 

「最初に現れたのは

 覚醒する前の段階のマモノ

 

 言ってみれば幼虫のようなもので

 

 一定の強さを得たり

 罪徒の力を受けることによって

 

 別の姿に成長することがあるの

 

 さっきのはその一つで

 大顎蜥蜴っていうのよ」

 

「そのまんまだな・・・・」

 

明彦が突っ込んだ

 

「でもマモノたちの襲い方で

 はっきりした・・・

 

 この場所のどこかに

 罪徒が潜んでる・・・

 

 そいつがあのマモノたちに命令して

 私たちを襲わせたのね・・・」

 

「そうか・・・」

 

それを聞いた一同は

 

「それだったら・・・」

 

「なおのこと

 引き下がれないよねみんな・・・」

 

リーダーの二人の言葉に一同は

 

「そうね・・・

 

 喧嘩売られたんだもの

 こんなところで引いてあげるもんですか」

 

「俺もがぜんやる気出てきたしな!」

 

「俺もだ

 

 この先にいる奴が

 どんなに強いやつなのか

 

 考えるだけでぞくぞくしてきた」

 

「明彦・・・

 

 お前はとりあえず

 突っ走りすぎるなよ・・・」

 

「私は皆さんが少しでも

 戦いやすいように

 

 全力でサポートいたしますね・・・」

 

「私も皆さんとともに

 戦い抜くであります」

 

コロマルは一声力強く鳴いた

 

「僕も・・

 

 元の世界に変えるためにも

 負けられない・・」

 

「いきなりこんな世界に送られてきたとはいえ

 

 寄りかかった船だ

 

 最後までやり遂げねえと

 後味悪ぃしな・・・・・」

 

一同はそう返す

 

「まったく・・・

 

 今時珍しいほどに

 お人よしなのね

 

 貴方達って・・・」

 

有紀はそう告げるも

その言葉にはどこか

 

笑みを浮かべているような部分が見えた

 

「みんなはそう言う人だからね・・・」

 

「湊

 

 あなたもその一人でしょ」

 

リーダー二人の漫才を

有紀は受け流していう

 

「行きましょうみんな

 

 敵はきっと

 次の手を考えているはずよ

 

 ましてやさっき

 大顎蜥蜴はおそらく

 旅団長クラス・・・

 

 まだまだ尖兵と言うべきよ」

 

「旅団長・・・?」

 

「それって罪徒にもある

 階級みたいなもんか?」

 

順平は聞く

 

「そうよ

 

 下から順番に

 旅団長

 

 少将

 

 中将

 

 大将

 

 宰相

 

 この五つに分かれてる

 

 さっきの奴は

 成長したマモノの中では

 一番下位の奴よ

 

 おそらく偵察用に送り込んでいたのね

 

 さっき私たちがあの

 蜥蜴を倒したことで

 

 きっと私たちの接近に気が付いてる・・・

 

 最も敵が

 どんな手を使うのかはまだ何とも言えないけど・・・」

 

「どういうことだ?」

 

「敵が取る行動は

 

 さらに強大な敵を放って

 討伐に行かせるのか

 

 それとも誘い出すか・・・

 

 そのどっちかだな」

 

美鶴は分析する

 

「ええ・・・

 

 まあどっちの方にも

 備えておけばいいんだけどね」

 

「そうですね・・・

 

 今のところ感じ取れる

 敵は数匹程度で

 

 バラバラに分かれています・・・

 

 おそらく近づかない限りは

 戦闘にはならないでしょう・・・」

 

風花が分析する

 

「全部のマモノが

 罪徒の命令を受けているわけじゃないのね・・・」

 

有紀は風花の話を聞いて

そう分析する

 

「だったら極力戦闘は避けて

 敵のもとに向かおう

 

 こっちに襲い掛かる意思がないのなら

 無理に相手をする必要もないと思うし・・・」

 

「そうだね・・・

 

 本命の敵に当たるときには

 万全の態勢で挑まないとね・・・」

 

と向かう一同

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命の出会いまではまだ遠い・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           




立ち向かえる力を持つものら

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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5,There is a person who is very interested in that power

自称特別捜査隊と風の魔法使い

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


SEESが目覚めた時間よりも

やや数日の誤差のやや同じ時間

 

宿屋からある一団が顔を見せる

 

「んあー

 

 よく寝たー」

 

「昨日はなんだか

 色々混乱して

 

 疲れちゃったからねー・・・」

 

「目が覚めてたら

 全部元に戻ってるってなったら

 

 悪い夢で片付けられるのにね」

 

「まあ、現実逃避しても・・・

 

 何にも変わんないんすけどね・・・」

 

「まあテレビの世界に入ってるときと

 おんなじ気持ちで行けば別に問題ないって」

 

「どちらにせよ

 

 今僕たちはやるべきことを

 なさなくてはならないのですがね」

 

面々がそれぞれの言葉を述べていくと

 

別の方角から

一人の少女が姿を現す

 

「おはようございます」

 

その少女が

朝の挨拶をかわすと

 

「おはよう」

 

面々のうち

灰色の髪の少年

 

鳴上 悠が一言

簡単なあいさつでかわした

 

「さあてそれでは

 

 準備ができ次第に

 すぐに出発しましょう

 

 まずは教会に行って

 クマさんを迎えに行って

 

 それから今後のことも決めていきましょう」

 

由奈の言葉に一同は了承するのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

教会

 

「クマ、参上!

 

 クマの登場に

 みんなが泣いた!!」

 

「何言ってんの・・」

 

クマと合流した一同

 

その中で由奈は気になることを聞いていた

 

「何ですって?

 

 ここから北東において

 マモノの動きが激しくなってる?」

 

「ええ

 

 その里において

 住人が何人かがマモノに

 連れ去られてしまったらしいわ・・・

 

 こんなこと普通ならあり得ない・・・

 

 これはたぶん・・・」

 

「罪徒がマモノに

 命令し、さらわせた・・

 

 そういうことですね・・」

 

由奈の言葉に巫女の少女はうなづいた

 

「そっちの方もほおってはおけませんね・・

 

 事件のあった里は

 この里とそれほど距離は開いていません・・

 

 下手をすればこの里も狙われる可能性も・・」

 

「そうだけど・・・

 

 あいつらは大丈夫なの?

 

 武器は持たせてはいても

 奴らと戦い抜けるとは思えないんだけれど・・・」

 

巫女の少女は

そう言って悠たちの方を見る

 

「いざと言うときは

 私がどうにかしますよ

 

 そのために私も同行するのですから」

 

「くれぐれも気を付けてね

 

 罪徒の力は

 マモノなんかとは比べ物にならないんだからね」

 

「わかっています・・・」

 

巫女の少女に言われ

由奈はちらりと一同の方を見る

 

一同はぐずるクマに

構ってやっているようだ

 

「(このまま何事もなく

 

  無事に目的地に着けばいいのですが・・)」

 

由奈はそんなことをつぶやくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

里の入り口にまで出ると

里を覆う結界の扉が

 

大きくあけられていく

 

「よっし

 

 いよいよ

 旅立ちの時ってわけだな・・・・」

 

「なんか緊張するね・・」

 

「そうだね・・・」

 

扉をくぐって

外に移っている景色を見て

 

どこかうろたえている部分が見え隠れする一同

 

無理もないだろう

何しろここから先は彼らにとっては

 

未知なる世界なのだから

 

「何言ってんすか先輩方

 

 こんなのいつもテレビの世界に

 入っていってんのとなんも変わんないっしょ」

 

完二はそう言うと

 

「っ!」

 

りせは何かの気配を

感じて身をよじる

 

「久慈川さん・・・?」

 

「みんな・・

 

 ここに向かって

 何か来てる・・」

 

「え!?」

 

りせの言葉に一同は

りせの指さす方を見つめると

 

「うおお!!

 

 なんか嫌な感じのが

 迫ってきてるクマ!?」

 

すると

 

地面からなにか巨大なものが

せりあがってきた

 

それは

 

何やら頭部のみが

地面から顔を出してきた

 

異様な姿の怪物だった

 

「マモノ!?

 

 まさかここにまで!?」

 

「あれがマモノ・・」

 

悠が構えるのを見て

一同も構えていく

 

すると

 

その怪物は空を見上げるように

首を上に向けると口を大きくあけていく

 

するとその中から

巨大な人型の怪物が

 

姿を現していく

 

「な、なんだ!?」

 

「く、口の中から

 おっきなのが出てきた」

 

「き、きも・・」

 

するとその人型は

不気味なうなり声のようなものを

 

あげながら

一同にゆっくりと近づいていく

 

「や、やろうってのか・・・」

 

完二はうろたえながらも

臨戦態勢に入っていく

 

すると怪物は

手を大きくふるい

 

攻撃を仕掛けていく

 

「「「「うわあああ!!!」」」」

 

その一撃に

ちりぢりに飛ばされ

 

その手はそのうち一人をつかむ

 

「ええ!?

 

 ちょ、いや待って!」

 

それは千枝と

 

「く、苦しい・・・

 

 やめてって・・・」

 

雪子だった

 

「あーチエちゃんとユキちゃんが!」

 

「んなろ!

 

 ざっけんな!!」

 

「てやあああ!!!」

 

陽介と完二が向かっていく

 

完二は楯をふるって

怪物に攻撃を加える

 

怪物は大きくのけぞっていき

 

「てやああああ!!!!」

 

そこに陽介が

とびかかって攻撃を加えていくと

 

巨大な人型の怪物はは

大きく倒れこむ

 

「よっしゃ!」

 

「今なら全部ボコれる!

 

 やっちまおうぜ!!」

 

そこに悠がとびかかっていき

陽介と完二もそれに続くものの

 

人型は起き上がり

目の前に何と

 

「わわっ!?」

 

「きゃっ!」

 

千枝と雪子を

三人の前に突き出してきた

 

「くっ!」

 

「んな!?

 

 二人を盾に!?」

 

「くそっ!

 

 ふざけやがって!!」

 

するとその手を

三人に思いっきり振るっていく

 

三人は瞬く間に吹っ飛ばされていく

 

「悠先輩!

 

 みんな!!」

 

「あわわ・・

 

 大ピーンチ!!

 

 どうするクマ!?」

 

「まずは二人を助け出さないと

 攻撃ができない・・・

 

 どうにかして

 助け出すことができれば・・・」

 

すると

 

「このままだとまずい・・」

 

由奈はそう言って右腕を上げる

 

すると手の甲に浮かんでいた

聖痕が輝き

 

そこから放たれた光が

彼女を包み込み

 

服装が変わり

手には槍のような武器を持っている

 

「ええええ!?

 

 ゆ、由奈さん

 それって!?」

 

「聖徒は聖痕を解放させることで

 エーテルを受けるのにふさわしい姿に

 なれるんです・・

 

 今はそれよりも

 お二人を助け出さないとなりません

 

 ここは私にまかせてください!」

 

と杖を構える由奈

 

怪物は手に持っている

千枝と雪子を前に突き出していく

 

「あいにくですけど・・

 

 そういう手は

 どうにでもなるんですよ!」

 

槍をゆっくりと

揺らすように動かしていくと

 

すると

 

空気がゆっくりと

動き始めていく

 

「風・・?」

 

「あ・・・」

 

千枝と雪子は空気が動いていることに気が付く

 

由奈は槍を

ふいに勢いよく突き出すと

 

風が勢い良く起こった

 

すると千枝と雪子の

つかんでいた腕が

 

切り裂かれ

 

二人は風がやさしく包み込むように

辺りに吹き荒れて

 

ゆっくりと地面に降ろされていく

 

人型の方も

動揺を見せ

 

その場から逃げ出そうと試みる

 

「逃がすか!」

 

すると彼女は槍を

順手にもって

 

敵を追いかけていく

 

「てやああああ!!」

 

そして槍を勢いよく振るい

攻撃を仕掛けた

 

すると人型は真っ二つに割れて

 

その亡骸が黒い霧のようになり

 

そのまま霧散してしまった

 

「ふう・・」

 

由奈は一息つくと

服装が元に戻る

 

「ふええええ・・

 

 助かった・・」

 

「それにしてもすごいね

 

 今のが聖徒の?」

 

千枝と雪子は一同のもとに

合流していくのであった

 

「このくらいは

 簡単ですよ・・

 

 それにしても

 里に向かってマモノが現れるとは・・

 

 マモノは自分から里を襲うことは

 ほとんどありません

 

 もしかすると

 罪徒はここにもマモノを

 放ったのかもしれませんね・・」

 

由奈はそう推測した

 

それを聞いた一同は

ごくりと息をのむのであった

 

・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・・・・・・

 

離れた場所

 

そこでは

一人の袖のついた

マントを羽織った

 

一人の人物が

双眼鏡でその様子を見ていた

 

特別課外活動部

 

自称特別捜査隊

 

双方を見回し

 

不敵に笑みを浮かべつつ

そっと双眼鏡を胸のあたりにまで降ろしていくのであった

 

この人物

 

果たして何者なのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ物語は端っこの方である・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          




覗きみるものの正体は

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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6、仮面推測中

強敵に備えて

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「有紀・・・

 

 一つ確かめて

 おきたいことがある・・・」

 

美鶴が有紀に聞いていく

 

「確かめておきたいことと言うと

 

 それは何なのかしら?」

 

「罪徒のことだ・・・

 

 罪徒はいったい何の目的で

 人々を苦しめていくのか

 

 今回の罪徒はいったいどう奴なのか・・・

 

 君は確証があるんだろう?

 

 だからこそこうして

 敵のもとに向かっている

 

 君ほど戦闘経験豊富な人間が

 ただやみくもに向かっていくとはとても

 思えなくてな・・・」

 

美鶴の問いに有紀は重々しく答えた

 

「ちょっとだけ闇雲だよ・・・

 

 教会において罪徒の手配書見て

 大体どんな奴らがいるのかが

 分かっていたから・・・

 

 でもそれでもはっきり言って

 このまま勝てるのかわからない・・・

 

 情報はある程度頭に入れておいたから

 どうにでもなれって感じかな」

 

「何よそれ・・・」

 

「有紀ちゃんも案外向こう見ずなのな・・・・」

 

ゆかりと順平はそれぞれ呆れとやや驚きの反応を見せる

 

「だが今回は人間がさらわれているんだ・・・・

 

 突っ走っていく気持ちはわからなくもないが・・・・」

 

『そういえば確かに

 あの協会の壁には

 

 いくつか文字とかが書いてあった

 紙がたくさん貼られてたけど・・・

 

 あれがそうなの?』

 

「そうだよ

 

 でもここのところ

 手配書が増えてきてる・・・

 

 敵の力が上がってきてるということかもしれない・・・」

 

有紀は言う

 

「なるほど

 

 敵の情報が

 増えてきたということは

 

 それほどに敵の動きが活発に

 なっている

 

 そういうことでありますね」

 

「と言うことは

 

 この先どんな敵が現れても

 一筋縄ではいかないということですね・・」

 

「だがどっちみち

 さらわれた人たちもその

 敵の懐にいるんだ

 

 飛び込まねえと話にならねえ

 

 それに俺らもこの世界で

 戦う力が使えるっていうのも分かったし

 

 少なくとも俺らも戦力には入れられる

 

 違うか?」

 

荒垣の言葉に

有紀はうなずく

 

「そうだね・・・

 

 少なくとも

 皆さんと一緒なら

 それは心強いと思うよ

 

 でも油断しないでね・・・

 

 この先に控えている罪徒は

 マモノなんかよりもはるかに強い・・・

 

 さっきの大顎蜥蜴だって

 強さで言うなら下から数えた方が早いし・・・

 

 気を付けてね・・・」

 

「わかった・・・」

 

「ありがと、気を使ってくれて・・・

 

 とにかく目的地に着くまで

 極力戦闘は避けていこう」

 

リーダー二人は

そのように返した

 

有紀はそれに対し

うん、と声を上げる

 

「それと有紀・・・

 

 君は教会にあった情報から

 敵の予測はある程度ついていると聞いた・・・

 

 よかったら聞かせてもらえないか」

 

美鶴は言う

 

「この先にいる

 光と闇が交じり合うことから

 

 陰陽路っていうところがあって

 

 そこに居城を構えて

 マモノを放って勢力を拡大させている

 罪徒がいるの

 

 そいつの異名は、命令の大総裁」

 

「大総裁・・・

 

 と言うことは」

 

「下から二番目か・・・・」

 

年長組は話を聞いて

冷静に分析していく

 

「正確には三番目になるけどね・・・」

 

 確かに低い地位ではあるけど

 それでも強いよ」

 

有紀は一同に言う

 

「とにかく

 

 油断しないように・・・

 

 そういうことだね」

 

「それに最優先事項はあくまで

 さらわれた人たちの救出だからね

 

 戦闘もあくまで最小限に済ませておかないと・・・」

 

湊と琴音はそう結論する

 

「それにしても・・・・

 

 まだその敵の居城につかねえのかよ」

 

「確かにずいぶん歩いてるような気がする・・・」

 

「陰陽路の奥深くに

 敵の居城があるよ

 

 多分もうそろそろ

 陰陽路に入ると思うけど・・・」

 

すると

 

『皆さん

 

 この先ですが・・・

 

 反応が至る所に出ています

 

 何やらあわただしく動いて

 いるみたいですけれど・・・』

 

バックにいる風花が

一同にそう伝えると

 

「いよいよ陰陽路ね・・・」

 

と有紀はつぶやいたので

一同は意を決して向かっていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

陰陽路

 

この場所は

日が暮れ始めと日の出初めに

 

日の光と夜の闇が混ざり合うような

光景が見られることからそう呼ばれている

 

どのような光景に見えるのかと言うと

 

この路を中心に

日の出の時は西が光に包まれ

日の入りは東が光に包まれるという

 

実に幻想的な風景であるとされる

 

だが

 

こんな場所に

そのような風景を見たさに

ここに来るものなど誰もいないだろう

 

なぜならこの場所はそれほどに

マモノの行きかいが激しい場所なのだから

 

「ここが陰陽路ってとこか・・・・」

 

「見た感じ普通だけど・・・」

 

「日の入りと日の出の時に

 この路の名前の意味がよくわかるわ

 

 でもあいにく今はそんなのに

 見とれている場合じゃない

 

 この路の先に敵の居城がある・・・

 

 おそらくそこにさらわれた人たちがいる・・・」

 

と路の先の方を指さしていく

 

「このあたりが敵の領域と言うことか・・・」

 

「どんな相手が出てくるのか・・・・

 

 今からでも楽しみになってきたな」

 

明彦の発言に美鶴はあきれたように

ため息をついた

 

『でも確かに

 有紀さんの言う通りかも

 しれませんね・・・

 

 この奥から

 確かに大きな力を感じます・・・

 

 シャドウや

 さっきのマモノとも

 

 取れない・・・

 

 大きくて悪意に満ちた力が・・・』

 

風花がこの先において

その力を大きく感じていく

 

「この先にいるのは

 私たちにとって

 

 未知の相手・・・・

 

 情報もある程度しかありません・・・・」

 

アイギスも警戒を強めていく

 

「それにしても罪徒っていうのは

 どんな怪物なんでしょうか・・

 

 あの時出てきた

 大きな蜥蜴なんかと

 

 比べ物にならない怪物であることは

 よくわかりますけど・・」

 

「どんなのかはこの際関係ねえよ

 

 問題は敵がどんな力を

 使ってくるのか・・・・・

 

 そのことだろう」

 

荒垣は進言する

 

「命令の大総統は

 マモノに命令して

 

 的確な作戦をもって

 勢力を拡大していってる・・・

 

 情報ではそう書いてあったけれども・・・」

 

「なんか聞いてる感じだと

 強そうに聞こえねえよな・・・・」

 

「確かに・・・」

 

「でもそれでここまで

 勢力を拡大しているんだから

 

 少なくともただものじゃないよね・・・」

 

「その命令の大総統自身の戦闘力云々はともかく

 

 彼のその的確なまでの策謀は

 厄介だと思うね・・・

 

 もしかしたら・・・

 

 敵はもう策を練っている可能性も

 あるわけなんだし・・・」

 

湊の言葉に順平とゆかりはたじろく

 

「だがそうだな・・・

 

 敵は的確に

 あの里の人々を

 

 マモノにさらわせた・・・

 

 さらにはこの道中に

 我々が来ることを想定して

 あの大顎蜥蜴をここに仕掛けてきた・・・

 

 少なくともただものではない・・・」

 

美鶴もそれに合わせていう

 

「そうかもね

 

 あの大顎蜥蜴も

 見たところ何の強化も

 施されていなかったし・・・

 

 あれはもしかしたら陽動なのかも

 しれないわ・・・

 

 とにかく今は

 敵の城のぎりぎりまで行きましょう」

 

有紀は言う

 

「ぎりぎり?

 

 突入はしないのか?」

 

明彦が尋ねる

 

「正面から向かっていくっていうのは

 はっきり言って自殺行為よ

 

 こういうのは裏に回るか

 一番相手が油断をしたときを

 狙うのがベストなのよ

 

 ましてや強敵のもとに挑んでいくのなら

 猶更ね・・・」

 

「え-っとそれってつまり

 

 すぐには突入しないってことなのか?」

 

「今はそれがいいと思う

 

 僕たちの最優先は今は

 さらわれた人たちの救出だからね・・・

 

 それにきっと敵はもう

 僕たちがここにきていることに

 

 気が付いているはず・・・」

 

「そうだね・・・

 

 でも敵に襲撃を

 気づかれないようにするには

 

 いつ頃くらいに行った方がいいの?」

 

真琴は聞く

 

「そうね・・・

 

 もう少しお日様が

 傾いた方がいいかもね・・・

 

 敵の力が上がり始めて

 しまうけれども

 

 それゆえに最も慢心し始めていくくらいだから・・・」

 

有紀はそう答えた

 

「さあて・・・

 

 それじゃあそこまで行って

 時間が余ったら少し休もう」

 

「そうだね・・・

 

 ここに来るまで

 結構マモノとか歩いてとかで

 体力使ったし・・・

 

 休めるなら休んだ方がいいかもしれないもんね・・・」

 

リーダー二人がそう言うと

一同もうなづくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先に待ち受ける強大な敵との闘いに備えて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            




強敵に備えて

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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7、仮面伝説

仮面を纏う者らの伝説の始まり

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「それにしても・・・

 

 今のが聖徒の力・・・

 

 と言うことなのでしょうか・・・」

 

マモノに襲われて

別の場所にて集まっている

 

自称特別捜査隊の面々

 

直斗は先ほどの力を目の当たりにしたことに

驚きを隠せていないようだ・・・

 

「種も仕掛けもないですよ・・」

 

由奈はやや茶目っ気を見せるように

そうつぶやくのだった

 

「でもぶっちゃけ

 そんなに驚かねえけどな・・・・

 

 似たようなことなら俺らもできるし」

 

「確かにそうだよね・・」

 

「でも・・・

 

 問題はこの世界で

 ペルソナ能力が使えるのか、だよね・・・」

 

雪子の発言に一同はやや難色を表す

 

「そんな・・・

 

 ここでこの世界で

 俺らが戦えないっていうんなら

 

 俺らお手上げじゃないっすか・・・

 

 確かめようにも・・・」

 

『たぶん大丈夫だと思う・・』

 

すると

 

りせの背後に浮かんでいるものを見て

 

一同は驚きを見せる

 

「うおお!?

 

 そ、それって・・」

 

「ヒミコ・・・

 

 つまりこの世界でも

 テレビの世界と同様に

 

 ペルソナ能力が使える・・・

 

 そういうことですね」

 

「でもよかった・・・・

 

 つまりは俺達でも

 戦えるっていうことだろ?」

 

「そうだね・・」

 

「よかった・・・」

 

とりあえずホッとする一同

 

「ええっと・・

 

 話がよく見えないけど・・

 

 つまり皆さんもここで

 戦うことができるっていうこと

 

 でいいんですよね?」

 

由奈は聞いてくる

 

「ま、まあ・・・

 

 そういうことか」

 

「・・・・っ!?

 

 みんな気を付けて!

 

 この近くから

 何か大きな力を感じるよ!!」

 

りせの言葉に

一同は激しく警戒を強める

 

「っ!」

 

そこに現れたのは

 

巨大な牙を持つ

蛇のような怪物だった

 

「な、なんだあれ!?」

 

「ヘビニア・・

 

 通称吸血蛇と呼ばれてる蛇のマモノです!」

 

怪物、ヘビニアは

一同を見つけると

 

向かって激しい咆哮を上げる

 

「気を付けてください!

 

 こいつの体はとても柔らかく

 武器による攻撃があまり効きません!!

 

 こいつに効く攻撃で一番効果的なのは

 

 炎による攻撃ですけど・・」

 

すると

 

「炎だったら・・・」

 

雪子は前に出ると

 

「コノハナサクヤ!」

 

雪子は扇を振るって

自身のペルソナ

 

コノハナサクヤを出して

 

炎による攻撃を出して

ヘビニアを攻撃する

 

ヘビニアは炎を受けて

大いに苦しみ始めていく

 

「やった・・・」

 

雪子はやったと思い

技を解除してしまう

 

「ダメ!」

 

「え・・・?」

 

するとヘビニアは

自分の体にかかった炎を振るい消して

 

再び向かっていく

 

「危ない雪子!

 

 トモエ!!」

 

千枝が

自身のペルソナ

 

トモエを出して

その一撃でヘビニアをぶっとばした

 

「大丈夫!?」

 

「ヘビニアの体の抗生物質は

 およそ90%が水分の蛞蝓と一緒なんです

 

 だから炎を使えば

 ヘビニアの体の水分を乾燥で

 不足させればあの弾力のある体を

 

 無効化させることができ

 

 よければそのまま倒すこともできるんです」

 

「そっか・・・

 

 私はてっきり

 倒せたと思って

 

 中途半端に技を解除しちゃったから・・・」

 

するとヘビニアはさらに

一同に向かっていく

 

「二人は下がって!

 

 とにかくここは切り抜けないと・・」

 

由奈はそう言って

聖痕開放形態となって

 

手に持っている聖槍を向けていく

 

「はああああ!!」

 

そしてそれをもって

ヘビニアに向かっていく

 

ヘビニアはとんだ由奈に

首を伸ばしていき

 

口を大きく開いていく

 

「そこだ!」

 

由奈は槍の穂先を

ヘビニアの口に向けて

 

槍と自身に風をまとわせていく

 

由奈は風で自分の体を

浮かせて風をまとった聖槍で

 

ヘビニアに切りかかっていくが

 

「ぐう・・」

 

ヘビニアの体の弾力によって

はじかれてしまい

 

攻撃を無力化されてしまう

 

「(鎌風をまとった斬撃でも

  通らないなんて・・

 

  普通のヘビニアじゃない)」

 

すると

 

「きゃああああ!!」

 

ヘビニアは首を大きくふるい

由奈を地面にまで吹っ飛ばす

 

さらにヘビニアは打ち付けられた由奈に

その体を大きく向かわせていく

 

「くそ・・・・

 

 だったら俺らも・・・・」

 

陽介が向かおうとするが

 

それを止める手が陽介の前に出される

 

その手の主は

 

「相棒・・・・?」

 

悠であった

 

悠は由奈に迫っていく

ヘビニアをじっと見つめ

 

そして

 

静かにつぶやく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ペルソナ・・

 

 イザナギ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると悠の後ろから

現れるのは

 

彼のペルソナ

 

イザナギ

 

イザナギは召喚されると

まっすぐヘビニアのほうに向かっていく

 

イザナギは持っている武器を

勢いよく振るい

 

それでヘビニアを攻撃する

 

「え・・」

 

由奈はその光景に

ただただ見とれていた

 

イザナギはその後も

何度も攻撃を仕掛けていき

 

ヘビニアの体を切り付けていく

 

ヘビニアの柔らかい体に

攻撃は無効化されそうだが

 

イザナギの武器は

ヘビニアの柔らかい体を

 

瞬く間に切り裂いていき

 

ヘビニアは

大きく吠えるような断末魔を上げて

 

大きく宙を舞い

地面に叩き落されると

 

その体は黒い霧のようなものに包まるように

 

消滅していくのであった

 

「あ・・」

 

その光景に

由奈は声を弱く漏らすと

 

悠が一息つく

するとイザナギはゆっくりと

 

悠のもとに戻っていくのであった

 

「今のは・・

 

 あなたが?」

 

由奈は驚きを隠さないまま

悠に問う

 

「おいおい相棒!

 

 おいしいとこもっていきやがって・・・・」

 

「でもさっすがリーダー

 

 あの怪物やっつけちゃった」

 

「やったね」

 

一同はとりあえず

悠のもとに集まっていく

 

「とりあえず片付いたっすね」

 

「きゃーさっすがせんぱい

 

 かっこよかったー」

 

「いやーさっすがせんせークマよ」

 

一同は悠の活躍に大きく感服していた

 

「しかし・・・

 

 まさかここまで

 強力なマモノがいるとは・・・」

 

「おそらくあれは

 罪徒によって改造されたものだと思います

 

 本来のヘビニアだったら

 あそこまでの弾力なんてありえません・・」

 

由奈は言う

 

「ってことはつまり・・・」

 

「罪徒がこの近くにいる・・

 

 そういうことだな・・」

 

悠の言葉に一同は緊迫の空気が走る

 

「そういえばこの先には

 陰陽路がありませすね・・」

 

「おんみょーじ?」

 

由奈の言葉に陽介が疑問を浮かべる

 

「この先にある路のことです・・・

 

 そこでは日暮れと日の入りの時に

 光と闇、つまり陰と陽が合わさったような

 

 幻想的な光景を見ることができることから

 そう呼ばれています」

 

「へえー

 

 そうなんだ・・

 

 ちょっと見てみたいかも」

 

りせが少し興味津々につぶやいた

 

「そんなにいいところでもありません

 

 なぜならその陰陽路は

 ある罪徒の居城があるんです」

 

由奈は言う

 

「居城・・・?

 

 つまりこの先に

 罪徒がいるということですか?」

 

「命令の大総裁

 

 私たちはそいつのことを

 そう呼んでいます

 

 奴はこの陰陽路において

 自分のマモノを育てて

 

 様々な場所に送り出して

 勢力を拡大させていく策謀タイプです」

 

由奈の説明を受けて

やや引き気味になっていく一同

 

「ってことは

 この先にいよいよ

 

 そいつがいるってことか?」

 

「ええ・・

 

 爵位から見れば

 下から数えた方が早いですけど

 

 それでも侮れない相手ですよ」

 

「うええええ・・

 

 いよいよこれから

 激しい戦いになっていくってことね・・」

 

千枝はやや身を震わせる

 

「だが避けては通れない道だ

 

 俺たちはこれから

 もっと手ごわい相手に向かって

 行くんだ・・

 

 この戦いにてこずるようなら

 俺達が元の世界に戻るための戦い・・

 

 絶対に通れない」

 

「そうだね・・・

 

 私たちが元の世界に

 戻るためには

 

 乗り越えないといけないんだよね・・・」

 

悠の言葉に雪子はそう返す

 

「そうっすね

 

 俺らはこれから

 やらなきゃいけねえことが

 山ほどあるんすからね」

 

「立ち止まってなんていらんないよ」

 

「クマは絶対に

 元の世界に戻って

 

 それでアイス食べるんだクマ」

 

それぞれの意見を聞く

 

「フフフフ・・

 

 本当に意志の強い

 人たちですね・・」

 

「ああ・・

 

 俺達にはまだ

 やるべきことがあるからな・・」

 

由奈はそう述べると悠もそう返すのだった

 

「さて・・・・

 

 そんじゃあ敵の本拠地まで

 突撃だぜ!」

 

陽介の声に一同は

おーっと返すのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語はまだ序章に過ぎないのである・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           




伝説はまだ

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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8,The large governor's residence of orders

思わぬ苦戦

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


碑が少し傾いた時間帯

 

その道を中心に

光と影、陰と陽

 

その二つの境界線とも言うように

その道は大きく変わっていく

 

「きれい・・・」

 

その様子を見てそっとつぶやくゆかり

 

「確かに見事なものだ」

 

「うーん

 

 なんか目が

 ちかちかすんなー」

 

この景色を見ての感想は

まあ面々それぞれである

 

すると

 

「見えてきたわ・・・

 

 あれがこのあたりで

 勢力を広げている罪徒

 

 命令の大総裁の居城よ・・・」

 

有紀がそう言って指をさすと

そこに建物のようなものが見えてきた

 

「これが敵の居城か・・・」

 

「もともと人間が作ったものを

 拠点として使っているらしいわ

 

 今は使っていないところを

 利用しているみたいね・・・」

 

「へえ・・・

 

 立派な建物だね・・・」

 

湊と真琴が建物を見て

そう静かにつぶやく

 

「まずは侵入できる場所を探すぞ・・・・」

 

「山岸はここに残ってサポートを頼む」

 

『わかりました』

 

「それじゃあ私も残る

 

 風花を一人にはしておけないし・・・」

 

「そういうことなら

 

 俺っちも」

 

と言うことで探索に行くのは

 

「僕と桐条先輩、真田先輩、荒垣先輩

 真琴と天田、アイギス、コロマル

 

 この面々に有紀を加えた面々で行く」

 

「中に入ったら

 二手に入って突撃していこう

 

 それでいいよね」

 

「そうだな・・・

 

 まず最初に

 さらわれた人々を救出する・・・」

 

「そうしたら次はいよいよ親玉をたたく!」

 

「馬鹿!

 

 お前は何でそういう考えしか出来ねえんだよ」

 

「まあ、真田さんらしいですけどね・・」

 

「とにかく

 

 まずは敵に気づかれないように

 敵の裏から通っていくであります」

 

突撃メンバーは張り切っている

 

『正門に敵を確認・・・

 

 門番のようです・・・

 

 その中でも強いのが二体

 ほかにも十数体・・・

 

 かなりの数です』

 

「だとすると正門から

 通っていくのは得策じゃないわね・・・

 

 ここは裏から回りましょう

 

 確か裏からも城に入れる

 入口があったはずよ」

 

「そうだな・・・

 

 万が一的に見つかったときのために

 できるだけ体力を消耗するのはさけたい

 

 ここは有紀の言う通り

 裏から回っていこう」

 

そう言って裏に回っていく

 

『気を付けてください・・・』

 

「大丈夫かな・・・」

 

「大丈夫だって

 先輩らだっているし

 無茶とかはしないって」

 

「それはわかってるわよ

 

 心配なのは敵がどう仕掛けてくるのかってこと」

 

ゆかりはそう胸の内に抱えていた心配事を

つぶやくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

居城内

 

「中は水浸しですね・・」

 

「おそらく波紋で敵の侵入を探るためだろう

 

 忍者除けの一つだ・・・」

 

「でもうまく潜入できたね」

 

一同は順調に進んでいく

 

すると

 

「いよいよここからが

 本番だね・・・

 

 ここから二手に分かれよう」

 

「そうだね

 

 山岸さん、ナビのほうお願い」

 

『了解です、リーダー』

 

内部に潜入し早速二手に分かれていく

 

有紀は湊のほうについていく

 

湊のほうには三年組が付いている

 

「どこに町の人が

 とらわれているのか・・・」

 

「普通だったら牢屋とか

 そんなところだけれど・・・

 

 そこは真琴達の方に任せましょう

 

 確か地図によると

 彼女たちの行った方に牢屋があるはず

 

 私たちはほかにだれかとらわれていないのか

 見ていきましょう・・・」

 

「ようし・・・

 

 小野さんの言うとおりにしよう

 

 山岸さん、真琴の方にそこに向かうように

 誘導してあげて」

 

『わかりました』

 

と湊達は先のほうに向かっていく

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

ある牢屋のある地下についた達

 

「やけに静かだね・・」

 

琴音は長刀を抜いて

いざというときの状況に備えていく

 

牢屋の方を順番に見ていく

 

一番奥の方から

人の声が聞こえた

 

「奥の方から

 声が聞こえるであります・・・・」

 

「もしかしたら・・」

 

一同は急いで

声のした牢屋の方に行く

 

するとそこには

 

「あ、あんたたちは・・・・」

 

さらわれた人々が

そこにいた

 

すると人々はコロマルを見ると

 

「ひ、ひぃ!

 

 い、犬だぁ!!」

 

「落ち着いてください!

 

 私たちは皆さんを助けに来たんです!!」

 

琴音は優しく語り掛ける

 

「あ、あんたたちは?

 

 見たところ聖徒じゃないみたいだが・・・」

 

「とにかく急いで出てください

 

 敵に見つかる前に・・」

 

すると

 

後ろから足音が聞こえる

 

コロマルはそれに気づき

その足音の聞こえる方に向かって

 

低くうなり始める

 

「コロマル・・?」

 

『琴音ちゃん気を付けて!

 

 そこに敵が・・・

 

 それも今まで感じたことがないほどの

 大きな力を持った敵です』

 

風花が伝える

 

それを聞いてその場にいた一同は身構えていく

 

足音はだんだんと近付いていく

 

そこに現れたのは

 

「なんだ、先生が

 面が白い人間がいると聞いてきたから

 

 やってきてみたが・・・

 

 思ったよりもガキのようだな・・・」

 

見た目高校生の自分たちと

何も変わらない普通の少年に見えた

 

だがここにいる面々は

そんな疑問などつゆほどにも感じないほどに

思っていた

 

なぜなら目の前にいるこの人物から

伝わる威圧感が一同を襲う

 

「・・・・確かほかにも仲間がいるはずだが

 

 ほかのやつは恐れをなして逃げ出したのか

 それとも別行動でこの城の中にいるのか・・・

 

 まあそれは後でいいや・・・」

 

だがそれでも一同は

再び身構えていく

 

「あなたが・・・

 

 命令の大総裁・・・?」

 

真琴が聞いていく

 

「確かにそうだけど?

 

 それがいま関係ある疑問か?」

 

そう言ってゆっくりと近付いていく

 

「まさかいきなり見つかってしまうとは・・・・」

 

「最悪だ・・

 

 どうして・・」

 

「フフフフ・・・

 

 安心しなよ

 偶然じゃねえ・・・

 

 俺がお前らを

 ここに来るように仕向けたんだよ・・・

 

 お前らのことは先生から聞いてるぜ?

 

 何でも見たことのねえ力を

 使って戦うことができる見てぇじゃねえか

 

 それでちょっと興味がわいてな・・・

 

 お前らがいるっていうあの里を

 マモノに襲わせて

 

 お前らがここに来るように導いてやったのさ・・・

 

 つ・ま・り・・・

 

 最初っからお前らは俺に誘い込まれてたってわけさ」

 

「まさか・・・

 

 そのためにこの人たちを!?」

 

真琴は驚愕する

 

「そういうことさ・・・

 

 まんまと俺のところに

 来てくれてご苦労さんだぜ・・・

 

 さあ、どこまで楽しませて

 もらえるのかな・・・?」

 

そう言ってゆっくりと迫る

 

「許さない・・・

 

 あなたのようなやつは・・・

 

 ここで絶対に倒す!」

 

と薙刀を構えて

振るっていくが

 

片手で止められる

 

「ぐう・・・」

 

「ほおら!」

 

そのまま薙刀を持った手をひねって

真琴のバランスを崩す

 

「この・・・」

 

召喚器に手を伸ばす真琴だが

その手を踏みつけられてしまう

 

「ああ!」

 

すると

 

「真琴さん!」

 

「お助けするであります!」

 

と向かっていく天田とアイギス

 

だが

 

「フフフフ・・・」

 

その時、天田とアイギスの身に起こった出来事に

 

真琴は驚愕するように目を見開くのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「っ!」

 

城内を探索している湊組

 

「どうした湊・・・・?」

 

「いえ・・・

 

 いやな感じがして・・・」

 

「ひょっとして

 

 真琴のほうに何かが!?」

 

すると

 

『実は先ほど

 真琴ちゃんたちのもとに

 何か大きな力を持った何かが

 

 迫ってきていたんです・・・

 

 とてつもない強力な何かが・・・』

 

「なんだと・・・・!?」

 

「くっ・・・

 

 まさか気づかれるとは・・・」

 

「いいえ違うわ・・・

 

 おそらくわざとここに誘い込まれたのよ・・・

 

 私たちをこの城に誘い込んで

 一網打尽にすることが敵の狙いだったのよ!」

 

「じゃあ

 

 里から人間をさらったのは・・・・・」

 

荒垣は聞く

 

「おそらく私を誘い込むために

 わざとあの里に人々を誘ったのね・・・

 

 多くの人々を傷つけてまでも!」

 

「許せない・・・

 

 先輩方!

 

 すぐに真琴の方に行きましょう!!

 

 どっちみちこのまま

 放ってはおけません」

 

湊は言う

 

「山岸!

 

 真琴たちの様子は?」

 

『反応はありません・・・

 

 大きな力にさえぎられているようです

 

 罪徒らしき反応の方は

 そのまま奥の方へと行きました・・・』

 

「まさか・・・・

 

 琴音はもう」

 

「くそが・・・・・」

 

そこで湊は言う

 

「山岸さん・・・

 

 その大きな力は

 どのあたりにあるのか

 

 ナビゲートしてくれ」

 

「ちょっと待って・・・」

 

湊の言葉にもしやと思い

有紀が話しかける

 

「まさかと思うけど・・・

 

 罪徒と戦うつもりじゃ

 ないでしょうね・・・」

 

「ああ・・・」

 

湊は答える

 

「先に言っておくけど

 

 罪徒の力は強大よ

 

 今の私たちではとてもかなわない・・・

 

 今行けば全滅は必須よ・・・

 

 それでも行くつもりなの?」

 

「もちろん・・・

 

 琴音たちの身に

 何かが起こったなら・・・

 

 放ってはおけない!」

 

「ああ・・・・

 

 かなわないからって

 このまま放っておけるか!」

 

湊に続き明彦も言う

 

「無謀ね・・・

 

 そこまでして

 仲間に命を懸けるなんてね・・・

 

 分かったわ

 

 私もできるだけ力になるわ

 

 どのみち命令の大総裁を

 倒さないとこのあたりの人たちは

 

 平穏に過ごせないもの」

 

「リーダーの君が言うのなら

 それに従おう・・・

 

 ただし、無茶はするなよ

 あくまで救出が一番の目的だからな・・・」

 

「しゃあねー

 

 俺も付き合ってやる」

 

有紀と美鶴、荒垣も湊の判断に従う

 

「行こう!

 

 山岸の話によると

 敵はここからそう遠いところじゃない

 

 もしかしたらそこに琴音たちはいるのかもしれない」

 

と一同は向かっていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

湊達は急いで

向かっていく

 

するとある通路の曲がり角の

ところからうめき声が聞こえてきた

 

「誰かいる・・・」

 

チームは武器を手に

恐る恐る近づいていく

 

そして

 

「はあ!」

 

と剣を向ける湊

 

そこにいたのは

 

「きゃっ!?」

 

「え・・・・真琴・・・!?」

 

真琴であった

 

「無事だったか真琴・・・・」

 

「湊、真田先輩にみんな・・・

 

 よかった・・・」

 

湊達のもとに走り寄る真琴

 

「無事だったようだな・・・

 

 ほかのみんなは!?」

 

「ごめんなさい・・・

 

 敵に見つかってしまって・・・

 

 私も何とか脱出したんだけれど

 無事に逃げ出せたのは私だけだったみたいで・・・」

 

「そうか・・・・・

 

 それでそっちの方は?」

 

荒垣は聞く

 

「牢屋の中には確かに

 さらわれた人たちがいた・・・

 

 でも多分もう・・・」

 

「そんな・・・・」

 

「山岸さん!

 

 大きな力の動きの方は!?」

 

湊は言う

 

『奥の部屋に入ったまま

 そこに動く気配がありません・・・

 

 まるで待ち構えているようで・・・』

 

「たぶんさらった人たちも

 天田君たちも殺されてはいないわ

 

 あえて殺さずに私たちを奥の方に

 誘い出そうとしているのよ・・・」

 

有紀はそう分析する

 

「つまり・・・

 

 向こうは俺達を

 自分たちのもとに誘い出そうと

 

 天田やさらった人達を餌にしているというわけか・・・」

 

「卑怯な・・・・

 

 そこまで力があるのなら

 そんな卑怯なことをせずに

 

 直接かかってくればいいものを・・・・」

 

「逆に力があるものの余裕ってこったろうな

 

 だが、おかげでさらった人々の居場所も

 天田達の居場所もわかってる・・・・・

 

 どっちみち行かなきゃ

 助けることも出来ねえ・・・・・

 

 どうするリーダー・・・・・」

 

湊は言う

 

「行きましょう・・・

 

 天田達をほおってほおっておけません

 

 それにさらわれた人たちの居場所が分かっている今なら・・・

 

 今がきっと救出の好機です」

 

と判断する

 

「まったく・・・

 

 でもそうね

 もともと救出が目的だからね・・・

 

 あなたの判断に従うわ」

 

「ようし!

 

 いよいよ親玉のもとに

 突撃だな・・・・

 

 腕が鳴る」

 

「明彦・・・

 

 くどいようだが

 あくまで目的は救出だぞ?」

 

「まあ最悪戦闘は避けられないだろうけどな・・・・・」

 

と一同も了承する

 

「行きましょう・・・」

 

と急いで向かっていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「頑張ってください・・・」

 

外の方でバックアップに入っている風花

 

「ね、ねえ・・・

 

 さっきの話からすると

 真琴たち、まずいんじゃ・・・」

 

「大丈夫なのかよ・・・・?」

 

風花の護衛に努めているゆかりと順平は

不安げに答えていく

 

「有里君が向かっています・・・

 

 ですが・・・」

 

「「・・・・・・・・・・・・・」」

 

風花はやや不安そうに

言葉を詰まらせていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「ここが一番奥か・・・・」

 

扉の前まで来た一同

 

「きっと待ち構えてると思う・・・

 

 気を引き締めていこう!」

 

真琴の言葉に

一同は一気に突入する

 

するとそこには

 

古くも凝っている内装に包まれた

大広間があった

 

一同は個々のどこかに敵が潜んでいると

考えてあたりを見回す

 

すると

 

そこには二体のマモノにとらえられている

人々の姿があった

 

「あれは!?」

 

「さらわれた人たちだよ!」

 

急いで向かおうとする一同だが

そこに水の弾丸が放たれて

 

一同を阻んでいく

 

そのさきには

 

「よう・・

 

 どうやら来たようだな」

 

一人の少年が

笑みを浮かべて玉座に座り込んでいた

 

「あれは・・・?」

 

「命令の大総統・・・

 

 やっぱり罠だったのね」

 

その人物は立ち上がって

ゆっくりと湊達の方に向かっていく

 

「これでネズミは勢ぞろい・・

 

 いや、外にあと三匹いるんだったか?

 

 お前らもさっきの奴らとおんなじように

 妙な力を使えるんだろ?

 

 お前らのことは

 ここに来るまでにはなった俺のしもべどもが

 

 ようく調べてくれたからな」

 

「どういうことだ・・・・」

 

「なるほど・・・

 

 最初から私たちをおびき出すために

 ここに誘ったっというわけか・・・」

 

「クソが・・・・・」

 

一同は身構えていく

 

「まったく・・

 

 罠とわかって

 ここまでくる度胸は

 褒めてやるが・・

 

 残念ながらそれだけで

 てめえらは終わりだ・・」

 

そう言って羽織っている布を

ごそごそと左手でまさぐっていく

 

「そうはさせん!」

 

「一気に蹴りをつける!」

 

と一同は向かっていこうとするが

 

突然何か巨大な手につかまれる

 

「ぐう・・・」

 

「なんだ・・・・」

 

二人はその伸びている方に目をやる

残りの三人もその方を見ると

 

そこに立っていたのは

 

「・・・・・・」

 

真琴だった

 

「真琴!?」

 

「お前一体何を!」

 

驚愕する二人

 

「・・・・いや違う!

 

 お前はなんだ!?」

 

「・・・エケッ・・・

 

 エケケケ!!!」

 

すると真琴は口元を

三日月のようにして口角を上げる

 

すると真琴は腕から段々と

変化していき

 

やがて巨大な仮面をかぶった

カメレオンのような怪物になった

 

「仮面レオン!?

 

 しまった・・・」

 

「マモノか・・・・・」

 

身構える一同

 

「気を付けて

 

 こいつは前に戦った

 大顎蜥蜴なんかよりも格上のマモノよ・・・」

 

「わかった・・・」

 

「にしても

 どうしてこいつが真琴に・・・・・」

 

すると後ろの方から

笑い声が響き渡る

 

「気が付かなかったのか?

 

 お前らが捜している

 本物の仲間は・・

 

 ちゃんとここにいるぜ!」

 

そう言ってマント翻して

ある場所を指さす

 

そこには

 

「う、ううう・・・」

 

真琴がいた

 

真琴だけではない

アイギスと天田の姿もあった

 

「天田!?

 

 真琴!」

 

「いつの間に・・・!?」

 

すると

 

「湊、みんな・・・

 

 ごめん・・・」

 

真琴は弱弱しく答える

 

「ずうっとここにいたぜ

 

 ただこいつに

 お前らに姿を見せるなと

 俺が命令したのさ・・・」

 

敵はそう答える

 

「命令・・・

 

 まさかそれが

 あなたの能力!?」

 

有紀は驚愕する

 

「そうさ

 

 俺の能力は

 対象に命じることで

 

 どんなことでも言うことを

 聞かせることができるのさ

 

 それがたとえ同じ罪徒でもな」

 

「なんだと・・・・・!?」

 

「なんて能力だ・・・」

 

残された三人は

それぞれの武器を手に

 

命令の大総裁と仮面レオンらマモノたち

 

両方に構えていく

 

だが圧倒的に数が多い

 

「ぐう・・・」

 

「ああ・・・・」

 

美鶴と明彦も

仮面レオンの巨大な腕につかまれてしまい

 

身動きが取れない

 

おまけに強く握られているので

足元の召喚器を取り出すこともできない

 

真琴たちも

負傷しているようで

 

動ける様子がない

 

「今はまずは

 確実に倒せるほうから行くわ

 

 仮面レオンをまずは

 倒して二人を救出する!」

 

「わかった!」

 

「ああ・・・・・」

 

三人は武器と召喚器を

ともに構えていく

 

「こいつは一体・・・

 

 勝てないことはない!

 

 全力で行かせてもらうわ!!」

 

すると

 

「ダメ・・・!

 

 一体じゃない・・・!!

 

 そいつは・・・!!!」

 

琴音は弱弱しくも

大きな声で呼びかける

 

すると

 

三人にまた

巨大な腕や赤い触手のようなものが

伸びてくる

 

「きゃ!」

 

「うお!?」

 

「おお!」

 

そこにいたのは

なんとさらわれた人々だった

 

すると

 

「へへへへ・・・・」

 

その人々の姿もまた

仮面レオンの姿になっていく

 

「一体じゃねえのか・・・・・」

 

「それじゃあ・・・

 

 さらわれた人たちは・・・」

 

湊は問いかける

 

仮面レオンのうち一体が

口から何かを吐き出す

 

それは

 

頭蓋骨だった

 

「・・あなたがやったの・・・

 

 そういうことなの!?」

 

「てめえらががここに来るまでに

 人質の命奪うのに、時間なんざ必要ねえ・・

 

 虫一匹の命を踏みつぶすのなんざ

 わけもねえからな・・

 

 お前ら人間だって

 その辺飛び回ってる虫を

 

 理由もなく殺すだろ?

 

 俺からすれば

 お前らなんかその程度の価値ってことなんだよ・・」

 

怒りを見せて問いかける有紀に

罪徒は嘲笑いながら答える

 

「ふざけるな!

 

 聖痕・・・

 

 解放!」

 

有紀は聖痕を解放させて

仮面レオンの拘束を破り

 

地面に着地すると

 

「罪徒・・・

 

 思い知れええ!!!」

 

そう言って有紀は

銃を取り出しそこから

 

弾丸をいくつも繰り出して

攻撃していくが

 

罪徒はそれを見て

右腕にはめてある手甲から

 

突状の刃を伸ばして

弾丸をはじいていく

 

「はああああ!!」

 

そのまま突っ込んでいき

 

罪徒の額に銃口を突きつけ

引き金を引く

 

すると罪徒は

土埃に包まれる

 

有紀はその衝撃で後ろに吹っ飛ばされてしまうものの

空中で一回転して、見事に着地する

 

だが

 

「俺に一撃を与えるとはな・・

 

 だがこの俺を倒すには

 百発くらいは撃たないとならねえ見てぇだな」

 

土煙が晴れたそこには

罪徒が笑みを浮かべながら

 

平然と立っていた

 

「そんな・・・」

 

有紀はそれを見て

着地した体制のまま

 

呆然と見つめる

 

「今度はこっちから

 行かせてもらおうかい?」

 

そう言って突き出した突型の刃を

 

有紀に向ける

 

「くそ・・・・

 

 ペルソナがあれば」

 

「ぐう・・・」

 

拘束された面々は

必死にもがくが身動きが取れない

 

「まあそこで待ってなよ

 

 この聖徒を始末したら

 お前らも一緒に送ってやるよ

 

 外で待ってるお前らの仲間もろともな」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

それを聞いて驚愕する面々

 

「くくくく・・

 

 もう外の方にも

 俺のしもべを送ってる・・

 

 きっと今頃は、フフフフ・・」

 

「ぐう・・・」

 

「ううう・・・」

 

罪徒の言葉に怒りを覚える一同

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・‣・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

そのころ

 

外ではマモノの群れに

襲われているゆかり達

 

ゆかりは矢を打って

順平は両手剣をもって応戦していく

 

向かってくる敵自体は

たいしたことはないが

 

いかんせん数が多く

体力を消耗していく

 

「くそ・・・・

 

 きりがねえ・・・・」

 

「回復も・・・

 

 追いつかない」

 

すると迫ってくる

二体の甲冑のような鎧をまとった

 

節足動物のような二体のマモノが

 

ゆっくりと迫っていく

 

『ゆかりちゃん、順平君

 

 気を付けて!

 

 その二体は

 今戦ったこのマモノよりも

 

 強力です』

 

「まじかよ・・・・」

 

「く・・・」

 

ただでさえ圧倒されているのに

そこに強敵が登場

 

もうだめかもしれない

 

二人がそう思ったその時

 

「ジライヤ!」

 

「風よ切り裂け!」

 

そこに声があらわれ

二体の甲冑の節足生物に

 

攻撃が入っていく

 

一体は楯で風を振りぬくが

もう一体は風で切り裂かれて

 

バラバラにされる

 

「な、なんだあ!?」

 

突然の攻撃に三人はその方を向くと

 

「うあっち!

 

 うまく決まらなかった・・・・」

 

「当てるだけでもいいですよ

 

 風を操るのは簡単にはいかないものですから・・」

 

そこにいたのはなんと

 

謎の一団だった

 

「え・・・」

 

「な、なんなんだよ・・・・」

 

「あなた方は・・・?」

 

三人はそれぞれを声をかけていく

 

すると一人の人物が前に出てつぶやく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫・・

 

 俺達は敵じゃない・・

 

 助けに来た・・」

 

ただそうつぶやくのであった・・・ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           




交わる運命

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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9、二つの運命共同体

三つのうちの二つの仮面

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


特別課外活動部の面々が

 

命令の大総裁の居城に突入する

ほんの少し前くらいの時

 

陰陽路を歩いていく

一団がいた

 

その者たちは

今回の事件の首謀者たる

 

命令の大総裁のもとに

むかっていくのであった

 

「見てください

 

 見えてきましたよ・・・

 

 あれが今回の目標・・・

 

 命令の大総裁の居城です」

 

そこには一つの

大きな建物が見えてきた

 

「あれが敵の城か・・・・」

 

「なんか

 

 人間が住んでるみたいな

 感じがするよね・・」

 

千枝は何気につぶやく

 

「そうです

 

 あの城はもともとは

 人間が作り出したものです

 

 誰も使わなくなったあの城を

 命令の大総裁がこの場所を

 進行するにあたって前線基地にしたと言うことです

 

 現在この周辺はもう

 奴の手にわかっていると考えていいでしょう・・」

 

「そうなんだ・・」

 

由奈が説明する

 

「まあどっちにしても

 あそこにいる親玉をたたけば

 

 万事オッケーっしょ」

 

「そうだね

 

 どっちにしても

 このままにはしておけないし・・」

 

「よっしゃ!

 

 クマたちが乗り込めば

 一気に決着!!」

 

すると

 

「待ってください・・・

 

 何かが向こうから」

 

直斗は前から何かが走ってくるのを感知した

 

それは

 

「あれは・・

 

 犬?」

 

コロマルであった

 

ワンワンと何かを

訴えるように吠える

 

「この子・・

 

 野生じゃないよね・・

 

 だって服着てるし」

 

「何だろう・・・

 

 何かを訴えてるような・・・」

 

コロマルの様子になにやら

ただ事ではないように感じる面々

 

「わは~・・・」

 

「ひょっとして

 この先に飼い主がいて

 

 襲われているのか!?」

 

悠はそう推測する

 

「だったら大変!

 

 助けに行かないと!!」

 

「でもどこにいきゃいいんだ・・・・?」

 

すると

 

コロマルは一同にワンワンと吠えて

ついてきてといわんばかりに走り出す

 

「ついてきてって言ってるのかな?」

 

「だったら行こう!」

 

と一同は急いで向かっていくのであった

 

・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・‣・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・

 

一方

 

外から中の様子を

うかがう一同

 

「みんな大丈夫かな・・・」

 

「ああ、ことねっちたちのとこに

 なんかやばいのがやってきて

 

 それを湊達が様子見に行ってるみたいだし・・・・

 

 さすがに不安になってきたな・・・・」

 

『大変!

 

 有里君たちの反応が

 見えなくなりました!!』

 

それを聞いて二人は

驚きを見せる

 

「おいおいおい

 まずいんじゃねーの!?」

 

「早く私たちも向かわないと・・・」

 

すると

 

居城の近くに流れている川から

何かがあらわれる

 

それは

 

見た目は爬虫類のようだが

犬のような雰囲気を持つ怪物が

 

低いうなり声をあげながら

ゆかり達に向かっていく

 

「な、なんだよこれ・・・・」

 

するとその怪物たちは

一斉にゆかりたちにとびかかっていく

 

「この・・・・」

 

順平はとびかかってきた

怪物に両手剣を振るって応戦する

 

怪物は真っ二つになり

黒い霧状になって消滅していく

 

「よっし」

 

だがそこに

また別の怪物がとびかかるが

 

その怪物に矢が突き刺さる

 

「馬鹿!

 

 周りを見なさいよ」

 

「周りって・・・・

 

 えええ!?」

 

そこには大量の怪物たちが

順平たち三人を取り囲んでいた

 

『ごめんなさい!

 

 リーダーたちの方に

 気を取られて・・・』

 

「いいよそんなこと

 

 とにかく片付けるわよ順平!」

 

「こうなったら

 

 やるしかねえな」

 

と二人はそれぞれの武器を手に

次々ととびかかっていく怪物たちを

 

打ちのめしていく

 

だが無尽蔵ともいえる

その数に二人はだんだんと

 

押されていく

 

「くそ・・・・

 

 きりがねえ・・・・」

 

「回復も・・・

 

 追いつかない」

 

すると怪物たちの群れの奥から

更に二体別の怪物があらわれる

 

見た目甲冑を着た人間のようだが

その関節から見えているそれは

 

エビやカニのような

節足動物の類のものであった

 

更なる怪物の登場に

身構える二人だが

 

激しい息切れが

二人の疲労が高まっているのを

感じさせていく

 

『ゆかりちゃん、順平君

 

 気を付けて!

 

 その二体は

 今戦ったこのマモノよりも

 

 強力です』

 

それを聞いて驚愕する二人

 

「まじかよ・・・・」

 

「く・・・」

 

顔をしかめる二人

 

・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・‣・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・

 

「あれは甲冑蟹・・」

 

「それよりも・・

 

 あの二人は大丈夫なのか?」

 

悠は聞く

 

「まずいでしょうね・・

 

 周りにいるハンターハウンドの群れのせいで

 あの二人は疲労しています

 

 このままだと追いつめられるのは目に見えています」

 

「だったら助けよう・・

 

 何があるのかが聞けるかもしれない」

 

悠が言うと

 

「そうですね

 

 陽介さん!

 

 一緒に攻撃を仕掛けますよ」

 

「俺が?」

 

陽介は指名されて驚く

 

「甲冑蟹の弱点は

 甲冑型の甲羅の隙間にある

 

 わずかな節足のつなぎ目なんです

 

 そこをうまく狙えるのは

 風による攻撃だけなんです

 

 だから・・」

 

「なるほど

 

 そこで風の技が使える

 俺達の出番ってわけだな」

 

「はい

 

 悠さんは皆さんと一緒に周りの

 ハンターハウンドをお願いします」

 

「わかった・・

 

 みんな、行こう!」

 

「「「「「「「「うん」」」」」」」」

 

と行動を開始するのであった

 

・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・‣・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・

 

迫りくる

甲冑蟹

 

順平とゆかりは

激しく息切れを起こしながら

 

武器を構えていくものの

 

やはり疲れは隠しきれていない

 

もうダメだ・・・

 

そう思ったその時

 

「ジライヤ!」

 

「風よ切り裂け!」

 

その声が聞こえて

甲冑蟹のうち一体が

 

バラバラになって

黒い霧状になって消滅する

 

「な、なんだぁ!?」

 

順平が攻撃が放たれた方を見る

 

「だ、誰なの・・・

 

 っていうか何なの!?」

 

そこに現れたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫

 

 俺達は敵じゃない

 

 助けに来た!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・‣・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・ ・・・・

 

順平とゆかりは突然現れた面々に

驚きを隠せない順平とゆかり

 

「よーし!

 

 それじゃあいっくぞー!!」

 

千枝が言うと一団は一斉に

ハンターハウンドの群れと甲冑蟹に向かっていく

 

周りにいるハンターハウンドの群れに

一斉に攻撃を仕掛けていく

 

「やああああ!!」

 

「はあ!」

 

それぞれがもつ武器による攻撃を

敵の群れに振るっていく

 

「陽介さん

 

 もう一度・・

 

 行けますね!」

 

「ようし・・・・」

 

陽介はもう一度攻撃を試みる

 

「風を感じて・・

 

 相手に当てようと慌てないで・・

 

 とにかく目標を見つめること・・

 

 それだけを覚えてください」

 

「わ、わかった・・・・」

 

陽介は一息ついて

敵を見つめる

 

迫りくる甲冑蟹

 

すると敵は持っている武器を

大きく振り上げる

 

「いまだ・・・・

 

 ジライヤ!」

 

と攻撃を放つと

甲冑蟹の振り上げた腕が

 

切り落とされる

 

「よっしゃ!

 

 当たった!!」

 

「たあ!」

 

その後由奈が槍を振るって

風を起こしてとどめを刺した

 

「どうやらうまくいきましたね」

 

由奈は笑みを浮かべて言う

 

「やああああ!!」

 

悠たちの方も

最後の一匹を切り裂いて

 

ハンターハウンドの群れを全滅させた

 

「ようし・・」

 

「何とか片付いたね・・・」

 

この様子を見ていたゆかり達三人は

驚きと感服をしめしていた

 

「よ、よくわかんねえけど・・・・

 

 あいつらつえーなー・・・・」

 

「っていうかペルソナ使い!?」

 

すると一団は三人のもとに行く

 

「大丈夫か!?」

 

「う、うん・・・」

 

「あ、あのさ・・・・

 

 あんたら一体どうして・・・・」

 

「この子がここまで案内してくれたんだ・・」

 

とコロマルの姿を見せる

 

「コロちゃん!」

 

「そうだったんだ・・・・

 

 でも待てよ?

 

 確かコロマル

 琴音と一緒に城の中に行ったんじゃあ・・・・」

 

『まさか!?

 

 リーダーたちの身に

 何かが!?』

 

風花の言葉に

二人は大きく驚愕する

 

「それってまずいんじゃねえか!?」

 

「早く助けに行かないと・・・」

 

と向かおうとする二人だが

 

「待ってくれ!」

 

それを悠が呼び止める

 

「な、なに・・・?」

 

「俺達も連れて行ってほしい・・

 

 俺達もこの城にいる奴に用があるんだ」

 

「それにあんたら

 

 さっきの奴らの戦いで

 疲れてんだろ」

 

「ましてや三人だけで行くなんて

 無茶だよ」

 

「私たちも行く・・・」

 

「人数は多い方がいいっしょ」

 

「バックアップだったら

 アタシもいるしね」

 

「クマたちにどーんとまかせんしゃい!」

 

「僕たちと貴方達の敵は同じです

 

 力を合わせましょう」

 

悠たちも一緒に戦うと協力する姿勢を見せる

 

「そ、そりゃ・・・・

 

 こんなに強い人たちが

 大勢いるなら頼もしいけどさ・・・・」

 

「戦いは迷ったら負けです!

 

 こうやっている間にも

 あなたの仲間は敵の手にかかっているかもしれない・・

 

 ここはどうか、協力をさせてください」

 

由奈も頼みこむ

 

『そうだね

 

 助けてもらったんだし

 少なくとも敵じゃないよ

 

 おんなじペルソナ使いだし・・・』

 

「そうだね・・・

 

 敵はおんなじなら

 今は味方ってことだもんね」

 

「ま、そういうことなら

 

 こちらこそよろしく」

 

三人は協力を申請する

 

「ありがとう・・」

 

これが三つの仮面のうちの

二つの仮面の運命が交じり合う

 

前兆であった

 

『先輩!

 

 この城の内部の

 一番奥から何だか強い力を感じる

 

 たぶん敵はそこにいると思う』

 

「よし・・

 

 早速行こう」

 

と自称特別捜査隊は

ゆかりと順平たちとともに

 

城の中へと突入していくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命はもうじき交わる・・・ ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    




運命は今・・・ ・・・・

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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10、邂逅

二つの運命が混じるとき

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「ぐう・・・・

 

 離せ・・・・」

 

「く・・・」

 

明彦と美鶴の二人は

仮面レオンの腕につかまれて

 

身動きが取れなくなっている

 

「く・・

 

 このまま僕たち・・

 

 何にもできないなんて・・」

 

「このままだと・・・・

 

 全滅は確実であります・・・・」

 

とらわれて動けないアイギスと天田

 

「くそったれ・・・・・

 

 こんなとこで終われるかよ!」

 

荒垣はそう強気な発言をするが

仮面レオンにつかまって身動きが取れなく

 

なっている

 

「く・・・」

 

「うう・・・」

 

リーダー二人もそれぞれ

険しい顔を浮かべている

 

「フフフフ・・

 

 これで俺は

 さらなる高みに

 

 上り詰めていくんだ・・

 

 お前ら全員をこの手にかけることでなぁ!」

 

「はあ・・・

 

 はあ・・・」

 

有紀は一人で罪徒、命令の大総裁に挑んでいる

 

だがさすがに一人では

力不足を感じているのか

 

息切れが目立っていく

 

「まずはお前からだぜ

 雌犬の聖徒ぉ」

 

「待ってて・・・

 

 絶対にみんな

 助け出してあげるから・・・」

 

「無茶です・・・

 

 有紀さん

 もう疲れが見えてるのに・・・」

 

「く・・・

 

 せめて召喚器が

 使えれば・・・」

 

美鶴が不意に

右足のホルスターに入っている

 

召喚器に目をやる

 

とそこに

 

ワン

 

犬の吠える声が聞こえ

 

一同が入ってきたところから

一匹の犬が口に短剣を咥えて飛び込んでいった

 

それは

 

「コロマル!」

 

唯一命令の大総裁の拘束から

逃れていたコロマルであった

 

コロマルは勇敢に

命令の大総裁に向かっていくものの

 

「フン!」

 

武器ではたかれて

地面に叩きつけられる

 

「コロちゃん!」

 

コロマルはそれでも

立ち上がって向かっていく

 

「いぬっころ風情が

 俺に挑むとは・・

 

 なめるなああああ!!」

 

と武器を勢いよく突き出していく命令の大総裁

 

「危ない!」

 

だがすんでのところで

 

「っ!?」

 

命令の大総裁は何かの攻撃が

放たれたことに気づき

 

それを右腕の刃で切り付ける

 

それは弓矢だった

 

飛んできた場所を見る一同

 

そこから現れたのは

 

「みんな大丈夫!?」

 

「わりぃ!

 

 外でいろいろあって

 遅れちまった!!」

 

『皆さん!』

 

ゆかり達が駆け付ける

 

「岳羽さん、順平!」

 

「風花ちゃんも・・・」

 

「ってナニコレ!?

 

 まじでやばいじゃん!」

 

すると

 

「ちっ!

 

 ハンターハウンドどもめ

 

 せっかく向かわせてやったのに

 役立たずな犬っころめ・・」

 

命令の大総裁は苦々しげにつぶやく

 

「とりあえずみんなを救出しないと・・・」

 

「でも俺らはあの群れとの闘いのせいで

 結構体力使ってるし・・・・」

 

すると

 

「下がってろ

 

 俺たちがやる!」

 

後ろから声が聞こえ

そこから二体のペルソナがあらわれ

 

仮面レオン達に

一撃を加えていくのであった

 

エケエエエエエエ!!!!!!

 

一撃を受けて吹っ飛ばされる仮面レオン

 

そのおかげで

拘束されていた明彦、美鶴、荒垣、湊らが解放される

 

「うん・・!?」

 

その現れたそれに驚いた

命令の大総裁が見たその先にいたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・ ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命令の大総統と

それと対峙している有紀

 

解放された湊達

拘束された真琴達と

その救出に行ったゆかりと順平

 

この面々が見たその先にいたのは・・・ ・・・・

 

謎の一団であった

 

「だ、誰だ・・・!?」

 

美鶴は問う

 

「大丈夫!

 

 俺達は敵じゃない

 

 加勢に来た!!」

 

と前に現れた一人の少年がそれに答えた

 

「ってナニコレ?

 

 でっかい蜥蜴!?」

 

「馬鹿!

 

 こいつはカメレオンだよ」

 

「仮面レオンですね・・

 

 強敵です気を付けて!」

 

その声に反応したのは有紀だった

 

「その声・・・

 

 由奈!?」

 

「有紀・・!?」

 

由奈が現れたことに驚く有紀

一方の由奈も勇気がいたことに驚いた様子を見せる

 

「二人って知り合いなの?」

 

「昔一緒に修行をした仲なんです

 

 でもどうしてここに!?」

 

千枝の言葉に由奈は答えると

由奈は有紀にこたえる

 

「うちの里の人たちが

 命令の大総統にさらわれて

 

 それで救助に来たの・・・

 

 彼ら、SEESと一緒に・・・」

 

「そうだったんですか・・」

 

由奈の方も大体同じ理由であると

大まかに答える

 

「お前らは確か・・

 

 ヘビニアを倒した

 奴らだな・・」

 

「ヘビニア・・!?」

 

「確かそれって

 ここに来る途中で俺らを襲ってきた

 あのでっかい蛇だよな・・・・」

 

「っていうかなんで知ってんの!?」

 

「なるほど・・

 

 私たちがここに来るのも

 想定済み、と言うことですね・・」

 

由奈の言葉に

捜査隊のメンバーの方も

 

驚きを見せる

 

「ヘビニアがお前らを見つけたのは

 偶然だったが・・

 

 おかげでお前らのことも知れた・・・

 

 まさかここに来ることまでは

 予想でなかったが・・・

 

 それはそれでいい・・・」

 

そう言って命令の大総統は

右手に伸ばした突型の刃をヒュッっと

 

振り下ろし

 

「仮面レオン共!

 

 こいつらももろとも倒してしまえ!!」

 

命令する

 

すると五体の仮面レオンは

SEESと捜査隊

 

両方に向き合っていく

 

「皆さん!

 

 仮面レオンは強敵ですが

 土の属性を持つので火に弱いはず・・

 

 ここは火炎で攻めていきましょう!」

 

「それじゃあここは私が・・・」

 

それを聞いて雪子が前に出る

 

「今度こそ・・・

 

 一撃で仕留める!」

 

と雪子は扇を構える

 

「コノハナサクヤ!」

 

雪子はペルソナを召喚し

炎を仮面レオンに放つ

 

「えぎゃああああああ!!!!!!」

 

炎を浴びて

雄たけびを上げる仮面レオン

 

「はあああ!!!」

 

「えけ!

 

 えけけけ!!!」

 

だが仮面レオンは

炎を浴びながらも迫っていく

 

「ジライヤ!」

 

「トモエ!」

 

陽介と千枝も

雪子の攻撃に追撃するように

 

仮面レオンに攻撃を仕掛ける

 

仮面レオンは倒れて

黒い霧を上げて消滅していく

 

「よっしゃ!」

 

「よっし」

 

だが仮面レオンはまだ

四体いて

 

残る者たちも攻めてくる

 

「えきゃあああ!!!」

 

「キントキドウジ!」

 

すると仮面レオン達の足元が

凍り付いて身動きを取れなくしていく

 

「動きを封じたクマよ!」

 

「今度は俺の番だぜ!

 

 タケミカヅチ!!」

 

そこに強力な一撃を

叩き込んでいき

 

仮面レオンは打ちのめされ

 

「スクナヒコナ!」

 

とどめを刺されて

見事仮面レオン達は全滅するのであった

 

「すっげえ・・・・」

 

「まさか・・・

 

 私たちのほかにもペルソナ使いが・・・」

 

SEESはそれぞれの戦いぶりに驚いている

 

「由奈・・・

 

 あの人たちはいったい・・・?」

 

「彼らはこの世界とは別の世界から

 この世界に飛ばされてきたようです・・

 

 あなたと一緒にいるそちらの方々のようにね・・」

 

有紀の問いに由奈は答える

 

「俺達も負けてられねえぜ」

 

「でも・・・

 

 今の私たちの体力じゃ・・・」

 

『任せてください

 

 皆さんの体力を回復します』

 

風花はそう言ってルキアを出し

 

癒しの力で一同を回復させる

 

「これって癒しの波動・・・」

 

「すごい・・・

 

 体力が戻ってくる・・・」

 

『私も驚きました・・・

 

 この世界に来た影響でしょうか』

 

SEESの面々も立ち上がる

 

「おお、あの人たち

 もう立ち上がってる」

 

「行けるか?」

 

悠は湊と琴音に聞く

 

「もちろん・・・」

 

「私も行ける!」

 

それを聞いて

 

「よし・・

 

 それだったら

 一緒に行こう!

 

 俺達と目的が同じなら

 俺達は仲間だ!!」

 

悠は言う

 

湊と琴音もうなずき

SEESと捜査隊の面々は

 

艫に敵の方に向き合っていく

 

「フフフフ・・

 

 ハハハハ・・

 

 あーっはっはっはっはっ!!

 

 たかだか仮面レオンを倒した程度で

 調子に乗んなよ・・

 

 こうなったら数で

 勝負してやるぜ!

 

 来いよおめえら!!」

 

命令の大総統がそう告げると

部屋のいたるところからハンターハウンドや

甲冑蟹が大量に現れる

 

「みんな!

 

 行くよ!!」

 

「冷静に敵の動きを見れば

 苦戦する相手ではありません

 

 力を合わせれば勝てるはずです!」

 

有紀と由奈がそれぞれいう

 

「あの人たちはいったい・・・」

 

「強いね」

 

「っていうかまさか・・・ペルソナ使い!?」

 

「俺っちたちも負けてられねえな」

 

「見知らぬペルソナ使いの加勢・・・・

 

 盛り上がってきた!」

 

「とにかくこれで反撃に移れる」

 

「一気に行くであります!」

 

「ここから一気に挽回しましょう」

 

「俺達もあいつらも

 戦う敵は同じだからな・・・・・」

 

コロマルがワンとひと声鳴く

 

「俺達の方もまだいけるな」

 

「もっち、行くぜ相棒!」

 

「うちらもまだまだこれからだよ」

 

「一気に決める!」

 

「俺もまだまだいけるっすよ!」

 

「クマもまだぴんぴんしてるクマよ!」

 

「行きます!」

 

構える一同

 

「よろしくね・・」

 

「あ、はい・・・

 

 こちらこそ・・・」

 

そして

 

一同は迫りくる敵の群れに一気に向かっていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、運命の交じりはこれで終わりではない・・・ ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           




もう一つの運命は

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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11,Legend of the Kaiten Group

前哨戦と暗躍する者達の影

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


SEESの面々と捜査隊の面々が邂逅し

 

ともに命令の大総統に挑んでいかんとする

その時から少しだけ時間はさかのぼっていく

 

陰陽路付近にいるマモノたちは

 

何やら妙に辺りを警戒しているように見える

 

すると

 

「たあああ!!!」

 

そこに現れた一団が

マモノたちの不意をついて

 

一気に攻めていく

 

「ようし・・・

 

 これでこのあたりのマモノは

 大体片付いたな・・・」

 

「そのようだな・・・」

 

一人の少年が

刀を鞘に納めつつ

 

ナイフを手に持った

黒いロングコートを着た

白いドミノマスクをつけた少年

 

ジョーカーが言う

 

「それにしても

 

 この服装になれたときから

 思ってたけど・・・

 

 やっぱこの世界でも

 ペルソナ使えるんだな・・・

 

 ここに来るまでにすでに

 知ってたけれどもさ・・・」

 

「それにしても

 

 本当にこの先に

 お城なんてあるの?

 

 見た限りそんな雰囲気ないけど・・」

 

海賊風の黒服を着て赤いマフラーを身に着け

ドクロの形をした鉄仮面を付けた一人の少年

 

スカルが自分の服装を見てつぶやき

 

赤のボディスーツを着込み

猫の形をした赤い仮面を付けた少女

 

パンサーが聞く

 

「この陰陽路の先に

 居城があって

 

 そこに総裁の爵位を持つ

 命令の大総統がいるはずだ」

 

「陰陽路・・・・?

 

 ここはそんな風に

 呼ばれてんのか?」

 

と二頭身体系で黒いマスクの人物?

 

モナが聞く

 

「日の暮れと日の出になると

 光と闇が隣り合った幻想的な風景が

 見られることからそう呼ばれてるって

 

 聞いたことがある」

 

「ほほう

 

 幻想的な風景か・・・・

 

 ぜひとも見てみたいな」

 

狐の尻尾のような飾りのついた

襟が白い黒服を身にまとう

狐面の長身の少年、フォックスが興味を持つが

 

「フォックス

 

 悪いけれど

 今の私たちはそれを見に

 ここに来たわけじゃないわよ・・・・」

 

黒いライダースーツを身にまとう

無骨な鉄仮面の少女、クイーンにバッサリと拒否される

 

「周りの様子はどう?・・・・」

 

フランスの騎士のような服装で

黒いアイマスクを付けた少女、ノワールが聞く

 

『・・な、なあ当夜・・

 

 一つ聞きたいんだけれどさ・・

 

 この世界ってさ、ペルソナ使い・・

 

 いないんだよな・・?』

 

サイバーチックな服を着て

暗視ゴーグルを身に着けた少女

 

ナビが当夜に聞く

 

「いない

 

 っていうか

 ペルソナなんて力自体

 

 俺知らないし・・・」

 

「どういうことよナビ?

 

 なんでそんなことを?」

 

パンサーが聞く

 

『え、あいや・・

 

 ちょっとこの先に

 気になる反応があってさ・・』

 

ナビは恐る恐る口に出す

 

「深く考えてもしかたない

 

 とっとと行こうぜ

 

 本来だったら下見をしなくちゃ

 ならないが

 

 どうやらそんな余裕はねえ

 

 ここは一気に行くしかない」

 

モナは言う

 

「この城からどこか入れる場所って

 あるのかよ?」

 

「どうやら裏からは

 入れないみたいね・・・・

 

 見てきたけど封鎖されてた・・・・」

 

「表の方には見張りがいるし・・・・」

 

女性陣が言う

 

だが

 

「だったら門から行くしかねえだろう

 

 ほかに入り口がないんなら

 門番倒していくしかねえだろ」

 

当夜が言う

 

『だってさ・・』

 

「まあ、ほかに入り口ねぇんなら

 

 しゃーねーかー」

 

「たまには大胆に行くのも

 悪くはないかもな」

 

と面々は当夜とともに向かっていく

 

すると

 

門番として立っていた

甲冑蟹は辺りを見回していく

 

すると

 

「たあああ!!!」

 

当夜が一気に向かっていく

 

当夜は甲冑蟹に一気に斬りかかっていくのであった

 

・・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・ ・・・・

 

命令の大総統の居城

 

その奥の部屋にて

現れた大量のマモノたちと対峙していく

 

複数人の少年少女たち

 

それぞれが各々の武器で

向かってくる敵の群れに対応していく

 

向かってくる敵のうち

ハンターハウンドのほうは

 

その素早い動きの前に

翻弄されつつもそれぞれが倒していく

 

だが問題は甲冑蟹のほう

 

この敵の頑丈な甲冑のせいで

各々の攻撃が通らない

 

有紀の方も実力的に

甲冑蟹にはかなわないようで

 

どうしても苦戦する様子を

見せてしまう

 

だが

 

「はああああ!!」

 

由奈の風を纏った斬撃が

甲冑蟹の甲羅と甲羅の隙間をうまく狙い

 

見事に撃破していく

 

「よっし!

 

 敵の数がだいぶ減ってきてる・・・」

 

「このまま一気にいければ・・」

 

ゆかりと千枝が状況を見てそう告げる

 

「ようし・・・・

 

 だったら!」

 

「一気に親玉をたたく!」

 

今が好機と言わんばかりに

順平と陽介が攻撃を仕掛けていく

 

「「おりゃああ!!」」

 

だが

 

順平の剣を左手で

陽介の刀を右手の突型の武器で受け止めると

 

命令の大総統は笑みを浮かべて

二人を後ろに突き飛ばす

 

「うわっち!」

 

「ぐう・・・・」

 

地面に勢いよく倒れる二人

そこに命令の大総統が武器を向けて

 

突き付けていくがそこに弓と銃弾が

命令の大総統の右腕に当たる

 

「ったくもう何やってんのよ・・・」

 

「花村先輩!

 

 今のうちの体制を立て直してください!!」

 

ゆかりは呆れ

直斗が呼びかけていく

 

それを聞いて陽介と順平は

急いで敵から距離を取っていく

 

「はあ!」

 

「掃射!」

 

雪子が扇を投げて

アイギスもその反対側から

 

銃弾を掃射していく

 

命令の大総統は右手の武器で

扇を斬り落とし

 

銃弾をマントを翻して防ぐ

 

だがうち漏らした弾丸が起こした

砂煙のおかげで視界を遮られる

 

「ちぃ・・」

 

武器をぶんぶんと

闇雲ながらもゆっくりと振るいつつ

 

辺りを見回していく

 

そこに

 

「でやあああ!!!!」

 

「あちょおおおお!!」

 

明彦と千枝が砂煙の中からあらわれ

命令の大総統に攻撃を仕掛けていく

 

完全に不意を突かれた命令の大総統は

腹部にそれぞれの一撃をもらって

 

後ろに下がってしまう

 

さらにそこに

 

「ぺンテレシア!」

 

敵の体に氷が張っていき

そこに荒垣が鈍器をもって

 

「おりゃああああ!!!!!」

 

攻撃を振るい敵を壁にぶつける

 

「がああああ!!」

 

勢いよく壁にたたきつけられるものの

それでも倒れ切らない命令の大総統

 

「はあああ!!」

 

天田が槍を勢いよく振るって

ふいを狙うがそれをつかまれて

 

わきに挟まれてしまい

 

そこに武器を勢いよく

突き出していく

 

だがそこに

一つの影が飛び出していく

 

「ちっ!」

 

それをうっとおしそうに武器で振りおとす

 

それはコロマルだった

 

だがこの一瞬のすきに

 

「おりゃあああ!!!」

 

完二が勢いよく殴りつける

 

だがそれを片腕のみで受けきる命令の大総統

 

「ぐう・・・」

 

「がああああ!!」

 

攻撃をくわえようと

武器を振るうが

 

その腕が突然氷漬けになる

 

「な・・!?」

 

「よっしゃー」

 

そこには自分のペルソナを呼び出したクマがいた

 

「人間風情に

 ここまでしてやられるなど・・

 

 こんなところで」

 

右手の武器で

何度も何度も空を切っていく命令の大総裁

 

「僕達は絶対に元の世界に戻る!

 

 そのためにもここで負けるわけには

 行かないんだ」

 

「あなたを倒して・・・

 

 私たちは先に行く!」

 

「ここで立ち止まっているわけには・・

 

 行かない!」

 

とリーダーたちが言う

 

「みんなもそれぞれ

 

 決意があるのね・・・」

 

「私たちもここで引くわけには

 行きませんね・・・」

 

聖徒の二人もそれを聞いてつぶやく

 

だが

 

「人間風情が調子に乗るなよ

 

 俺がまさかむざむざ

 お前たちにやられていくような

 

 弱い存在だと思うな

 

 俺は人間風情に敗れるほど

 

 貧弱ではないわああああ!!」

 

と右手の武器を手に

攻撃を仕掛けていく

 

「「オルフェウス!!」」

 

「イザナギ!」

 

リーダーたち三人は

それぞれのペルソナを呼び出して

 

それを一気に向かわせていく

 

「こんなもので・・

 

 俺をやれるかああああ!!」

 

と武器を勢いよく突いていく

 

しかしそこに

 

オルフェウスの一撃を多く食らっていき

 

そこにイザナギが武器を大きく振り上げていく

 

「「「はあああ!!!」」」

 

イザナギが勢いよく

武器を振り下ろすと同時に

 

オルフェウスが両側から

更に一撃を食らわせていく

 

「こ、この俺が・・

 

 この俺がああああ!!」

 

そう言って倒れる命令の大総統

 

「よっしゃ!」

 

「さっすが相棒だぜ」

 

喜ぶ一同

 

だが

 

『ちょっと待って・・

 

 なんか変だよ?』

 

りせが通信越しに

一同に異変を伝える

 

『はい・・・

 

 大きな力は

 失っている様子を見せてません

 

 これはいったい・・・』

 

「どういうことだ・・・・!?」

 

すると

 

「水よ砕け!」

 

その声とともに

一同に激しい激流が

 

迫ってきた

 

「うわっと!

 

 危ね!!」

 

一同は襲撃を受けて

後退していくが

 

晴れたそこにいたのは

 

「フフフフ・・」

 

何と先ほど攻撃を

咥えていったはずの命令の大総統であった

 

「む、無傷だと!?」

 

「そんな・・・」

 

驚く一同

 

「まさかこの俺が

 そう簡単に人間の攻撃を受けて

 

 圧倒されていくわけがねえだろう

 

 お前らが倒したのはこいつさ・・」

 

そう言って武器をある場所に向ける

 

そこにあったのはなんと

 

傷つき倒れた仮面レオンが

黒い霧を上げて消滅していっている状況であった

 

「これはいったい・・」

 

「おそらく、マモノたちが一斉に

 向かっていったときのどさくさに紛れて

 

 入れ替わっていたのでしょう

 

 僕たちの力をはかる為に!」

 

直斗の推理に命令の大総統は

笑みを浮かべながら迫ってくる

 

「実に面が白い茶番だったぜ?

 

 どいつもこいつも

 必死こいて頑張って

 

 挙句にそれが無駄だって知って

 脱力していってんだからな

 

 これでもうお前らに勝ち目はねえなあ・・」

 

「なめんなよ!

 

 こっちはまだまだ

 余裕だっつーの」

 

「そうだ

 

 俺達はまだまだいける!」

 

一同は立ち向かう意思を

しっかりと見せていく

 

「仮面レオンごときと戦って程度で

 この俺の力をはかれると思うなよ

 

 なぜならお前らはまだ

 俺達罪徒の力を理解してるわけじゃねえ・・

 

 お前らにはまだまだ絶望しきってもらわねえと

 張り合いがないんでな・・」

 

そう言って武器をゆっくりと振り下ろす

 

「まあまだまだ余裕があるってんなら・・

 

 もうちょっと遊んで行ってもらおうか!」

 

と武器を地面に突き刺し

それを払うように振るう

 

すると斬撃のように

水が地面を走っていき

 

一同に放たれていく

 

「風よ!」

 

由奈は風で壁を作り

水の斬撃から一同を守る

 

だがその衝撃までは

防ぎきれずに由奈は一瞬

 

顔をゆがませる

 

「ぐう・・」

 

一瞬体制を崩しながらも

どうにかこらえて見せる由奈

 

「フフフフ・・」

 

命令の大総統はうっすらと笑みを浮かべて

武器である突型の刃を再び突きつける

 

「異世界から流れてきた者達よ・・

 

 俺達罪徒の力を

 その身に受けて知って

 

 絶望してくたばるがいい!」

 

そう言って羽織っているマントを

翻して向かっていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命令の大総統と改めて激突していく・・・ ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・・

 

そのころ

 

「思ったより簡単に入れたな・・・」

 

当夜とある面々は

居城に潜入するのであった

 

「ああ・・・・」

 

「しっかし意外に

 注意力とかないよな

 

 この城にいる奴ってのは」

 

スカルが言う

 

「たぶんそうじゃないわ

 

 お城の警備に回している

 マモノたちが全員どこかに

 集まっているのよ・・・・

 

 静かにして・・・・」

 

そう言って耳を澄ますと

奥から轟音のようなものが響いていく

 

「なるほどな・・

 

 どこかでドンパチやってんだな」

 

「でも何と戦ってんだろう・・・・」

 

「たとえどうだろうと

 俺達は俺達の目的を果たすのみ

 

 違うか?」

 

フォックスの問いに一同もうなづく

 

「そうね・・・・

 

 ここまで来たんだったら

 もう私たちも引けないし・・・・」

 

『だな・・

 

 とにかく奥に行こう・・

 

 奥から大きな力を感じる』

 

ナビがそう告げる

 

「ここに敵がいないのなら

 身を隠す必要はあまりないだろう

 

 ならば今やれるべきことは一つ・・・・」

 

「おっしゃ!

 

 一気に突っ切るぜ!!」

 

と向かっていく一同であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命が混じるときは近い・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           




本戦の時迫る

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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12、いざ、決戦が始まるその時が

決戦の時

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


異世界に落とされた少年少女たち

 

ある場所において

二つの少年少女が

 

ある存在と対峙していた

 

「さあ・・

 

 始めようじゃねえか!

 

 来いよくそったれども!!」

 

命令の大総統

 

彼がそう言うと

周りからまたしても

 

マモノの大群が押し寄せていく

 

「そんな・・・

 

 あんなに倒したのに

 まだこんなにいるの!?」

 

「これじゃあきりがねえぞ・・・・」

 

無尽蔵に現れる敵の大群に

その場にいる段々と疲れを見せ始めていく

 

だがマモノたちは

そんなこと気にも留めずに

 

一同に再び向かっていく

 

「うおっと!

 

 どっちにしても・・・・」

 

「やるしかないよね・・

 

 おらああああ!!」

 

一同はそれでも

一気に向かっていく

 

「道は私たちで切り開く!」

 

雪子がそう言うと

マモノの大群を炎で一掃していく

 

「確かに敵は多い・・・

 

 だが大元をたたけば

 こっちの勝ちだ!」

 

すると

 

雪子の攻撃によって

開いた道の先に

 

命令の大総統が見えてきた

 

「フン・・」

 

命令の大総統は

右手にはめている

 

突型の刀を

ヒュンと音を立てて振り下ろすと

 

そのまま向かっていく

 

「そっちから向かってくるのなら

 

 望むところだ!」

 

明彦は向かってきた命令の大総統の攻撃を

ボクシングで鍛えた胴体視力でかわす

 

そのうえで攻撃を繰り出していくが

 

敵もその一撃を

予想よりも素早い動きで

 

かわしていく

 

「こいつ・・・・

 

 できる!」

 

「フン!」

 

そこに武器を一気に突き出していく

 

そこに盾がその突きから

明彦を守った

 

「な!?」

 

「おりゃあああ!!!」

 

完二が楯をそこから

勢いよく振るい

 

敵に攻撃を仕掛ける

 

不意を突かれたのか

いい響きの音があたりに響く

 

命令の大総統は効いたのか

顔の部分をマントで覆った左手で覆う

 

「すまない

 

 助かった」

 

「お礼は後っす」

 

だがそこに命令の大総統は

再び武器を突き出していく

 

「おっと!」

 

もう一度楯で攻撃を受ける完二

 

するとそこに

氷が命令の大総統の足元を

 

凍らせていく

 

「油断したな!」

 

「っ!

 

 こんなもの!!」

 

すると命令の大総統を

足元を凍らせている氷が

 

ミシミシとひび割れていく

 

「ぺルクマァ!」

 

するとそこに

更に攻撃が加わっていき

 

足元のみならず敵の右側も

凍り付いていく

 

「なるほど・・

 

 俺に反撃に転じさせないように

 俺の動きを封じる作戦と言うわけか・・

 

 でも残念だな・・」

 

すると

 

命令の大総統の体を凍らせていた氷が

彼の右腕に集まっていく

 

「何!?」

 

「クマ!?」

 

すると巨大な氷の刃が

完成する

 

「俺はあいにく

 水の扱いには慣れてるんでね

 

 この程度抑圧にもならないもんでな」

 

するとそれを

勢いよく振るっていく

 

「はあ!」

 

その刃に向かって

アイギスが銃弾を放つと

 

氷にひびが割れていき

 

一同はその大振りを

かわすとと同時に氷は砕け散る

 

だがその勢いで

周りに激しい霧状の物が注がれ

 

辺りの視界を遮っていってしまう

 

「周りが見えない・・・

 

 これはまずいことに・・・」

 

とそこに

 

「フン!」

 

その中から

刃を突き出してきた

命令の大総統

 

それを使って

攻撃を仕掛けていく

 

「があ!」

 

かすったものの当たってしまう天田

 

「この!」

 

荒垣はすかさず

攻撃を仕掛けていくが

 

すぐに姿を

くらませてしまう

 

コロマルも

それを見て低くうなっていく

 

「こうなったら・・・

 

 イオ!」

 

「ジライヤ!」

 

二つの風がもたらしたことで

霧は晴れて視界が見えるようになっていく

 

「そこか!」

 

そこに攻撃を

仕掛けていくが

 

命令の大総統は

それを右手を一振りすることで

 

何と払ってしまうのだった

 

そこに銃による

攻撃が何度も打ち付けられていく

 

「やああ!!!」

 

有紀がそこに

攻撃を繰り出しているのだ

 

だが有紀の攻撃は

意に返している様子はなく

 

攻撃を受けても平然としている

 

「目障りな・・」

 

と武器を振るいつつ向かっていく

 

そこに空中から

切りかかっていく由奈

 

だがそれをいともたやすくいなされてしまった

 

「ちぃ!」

 

命令の大総統はそれを受けて

後ろの方へと高く飛んでいく

 

「まったく・・

 

 こんなことで

 余計な力を使われたくねえが・・

 

 まあいい・・

 

 お前たちに更なる絶望を味合わせてやるよ」

 

そう言って両腕を

大きくふるう

 

すると

 

背中から三対六枚の翼が広がり

更に腰のあたりから三尾の尾が伸びていく

 

「あれは・・!?」

 

「まずい!

 

 急いで攻撃を!!」

 

「もう遅い・・

 

 はああああ!!」

 

すると周りに

黒いオーラのようなものが広がっていき

 

辺りを包み込んでいく

 

「フフフフ・・

 

 ハハハハ・・

 

 はーっはっはっはっはっ!!」

 

そこには翼を広げて

宙に浮きあがっている命令の大総統の姿が見える

 

その姿はどこか

天使のようにも見える

 

だが醸し出す雰囲気が

天使と言うイメージを感じさせていない

 

まるでそれは悪魔のような雰囲気だ

 

「この・・・・」

 

順平が召喚器をこめかみに突き付けて

引き金を引く

 

だが

 

「・・・あれ!?」

 

「ちょっと順平!?

 

 こんなときにふざけないでよ!」

 

「いや・・・・

 

 そういうわけじゃ・・・・」

 

ほかの面々も

それぞれペルソナ召喚を試みるが

 

なぜだか召喚ができない

 

しかもそれだけではない

 

「あれ!?」

 

有紀の持っている銃から

弾丸が出なくなってしまっている

 

「これはいったい・・・」

 

「無駄だ!

 

 この空間の中じゃ

 お前らはまともに戦うことも出来ねえ・・

 

 一か八かだったがどうにかなったようだな」

 

翼をゆっくりとはためかせ

尾を不気味なほどにゆっくりと動かしつつ

 

一同に向かっていく

 

「ラルヴァフィールドを

 広げられましたね・・」

 

由奈は手に持っている槍を見つめながら

やや焦りを見せてつぶやく

 

「ラルヴァフィールド?」

 

「ラルヴァエネルギーで構築されている

 疑似的なフィールドです

 

 このフィールドにおいては

 すべての能力の源、エーテルの濃度が

 

 極端に薄くなってしまいます

 

 エーテルの濃度が低いと

 能力を発動させることができなくなってしまいます」

 

由奈は説明していく

 

「つまり今このラルヴァフィールドが

 広がっている限り

 

 お前たちは能力は使えなくなるということだ」

 

命令の大総統はそう言いながら

一同に歩み寄っていく

 

「でもどうなってるの?

 

 私たちの力に

 エーテルとかそんなの

 

 関係ないはずなのに・・・」

 

「ぐう・・」

 

「まさか・・・

 

 この世界で

 ペルソナ能力が使えるように

 なったのは・・・

 

 使うことができるのは

 そのエーテルの力によるものだったのでは!?」

 

「そうか・・・

 

 それで影時間でもないのに

 ペルソナ能力がつかえたということか・・・」

 

「そうだったんだ・・・」

 

「でもそれってつまり・・・」

 

「この空間内では

 俺達はペルソナが

 使えないということか!?」

 

直斗の推測を聞いて

驚愕する一同

 

悠の言葉に一同は確信する

 

自分たちの能力は

封じられてしまったということに

 

「さあ・・

 

 始めようじゃねえか・・

 

 ここからが本当の絶望の始まりだぜ」

 

と武器を一同に向ける命令の大総統

 

すると大総裁は

翼を上げて一同から一気に距離を取り

 

武器を振るう

 

すると水の斬撃が放たれて行き

一同を通り抜けていく

 

『そんな・・・』

 

『っ!

 

 アナライズが

 できなくなってる・・』

 

バックアップの二人の方にも

影響が出ているようだ

 

「どうすんの・・・

 

 武器の方は幸い

 使えるみたいだけど・・・」

 

「今までの戦いを見ると

 それは難しいみたいだし・・・」

 

「な、なあ・・・・

 

 何かいい方法はねえのかよ!」

 

順平は由奈に聞く

 

「残念ながら・・

 

 罪徒を倒すのは基本

 この空間を広げられる前に

 

 決着をつけるのが基本ですし・・」

 

「最悪ここは退いた方がいいかもね・・・」

 

満身創痍な様子を見せる二人

 

それを見て一同は不安に駆られていく

 

「じゃあ・・

 

 打つ手がないってことじゃないですか・・!?」

 

「くそったれ・・・

 

 敵を目の前にして逃げるなんて

 割に合わねえけど・・・」

 

すると

 

「フフフフ・・

 

 まさかと思うが

 俺がそんなことさせると思うか?」

 

命令の大総統はそう言って

不気味にうごめく尾をゆっくりと

 

動かしていく

 

するとその尾は

一同のうち三人を拘束していく

 

「うお!?」

 

「きゃ!」

 

「しまっ・・」

 

湊、真琴、悠の三人だ

 

「有里君!?」

 

「くそ!

 

 人質なんて卑怯な真似しやがって!!」

 

「人質・・?

 

 おめでたい奴だな」

 

「なんだと・・・・」

 

「くっ

 

 ペルソナが

 使えたら・・」

 

苦虫をつぶすようにつぶやく一同

 

「アリの大群を全滅させるには

 群れを率いる女王を潰せばいい

 

 つまりお前たち三人だ・・」

 

「っ!」

 

ぎちぎちと尾で体を締めていく命令の大総統

 

「リーダーを救出するであります!」

 

「ダメ!

 

 下手をしたら三人にも

 当たっちゃう!!」

 

銃を撃とうとするアイギスを

雪子が止める

 

「このまま何もできないなんて・・」

 

「ここまできて・・・・

 

 今更引けるかあああ!!!!」

 

明彦は向かっていく

 

「待て明彦!

 

 考えもなしに突っ込むな!!」

 

美鶴は制止するが

明彦は聞かずに突っ込んでいく

 

だがその目の前に

真琴が突き出される

 

「っ!」

 

「人間っていうのは

 こうすると弱いんだよな・・

 

 本当にバカとしか

 いいようがないぜ!」

 

とそのままそれを

明彦にぶつけて吹っ飛ばした

 

「ぐう・・・・」

 

「くそ

 

 せめてペルソナが使えれば」

 

なすすべがない一同

 

すると

 

「っ!?」

 

命令の大総統に向かって

何かが投げつけられてきた

 

それを武器で切り裂く大総統

 

「な、なんだ!?」

 

「誰・・!?」

 

一同も命令の大総統とともに

その何かが飛んできたほうを向く

 

そこにいたのは

 

「そこまでだ・・・」

 

刀を手に持った

一人の少年だった

 

「だ、誰なの・・・!?」

 

その疑問を言い終わる前に

二人の少女が言う

 

「当夜・・・!?」

 

「当夜!?」

 

有紀と由奈は少年の名前を言う

 

「聖徒だと!?

 

 馬鹿な・・

 

 俺のしもべが

 聞いたところだと

 

 向かってきていると

 聞いたのはここにいるガキどものみ・・

 

 ほかにも仲間がいるなど報告を

 受けていないぞ!」

 

「そりゃ当り前さ・・・

 

 だって俺がここに来たのって

 ついさっきだし・・・

 

 城の中にいたマモノの残りも

 みんな俺が倒させてもらったしな」

 

それを聞いて驚愕する命令の大総統

 

「みんな!?

 

 まさか・・

 

 門番・・

 

 門番はいったいどうした!?」

 

「倒させてもらったよ

 

 甲冑蟹二体に

 ハンターハウンド12体

 

 甲冑蟹に苦戦したおかげで

 ちょっと時間食ったけどな」

 

当夜の返答にさらに驚きの表情を見せる

 

「さあて・・・

 

 やっとここまで来たんだから

 一気に決めさせてもらうぜ」

 

と刀の柄を手にする当夜

 

「馬鹿め!

 

 こっちには

 人質がいるんだよ

 

 もしもその刀を抜くようだったら

 こいつらを・・」

 

「はあああ!!!」

 

当夜は言い終わる前に

素早く懐に入り

 

激しい鍔鳴りの音が響く

 

「・・・・何!?」

 

その音とともに

三人を拘束していた尾が

 

バラバラに切り裂かれる

 

「馬鹿な!?

 

 この俺が人間ごときの

 動きについていけなかったというのか!」

 

「逆にあんた調子乗りすぎ」

 

三人は地面に降りて

急いで体勢を立て直す

 

「これで思いっきり

 戦えるぜ」

 

と再び刀を構える当夜

 

「フン!

 

 貴様の実力は

 認めてやる・・

 

 だがたかだか貴様一人

 

 どうやってこの俺と戦うつもりだ?」

 

と翼を大きく広げていく命令の大総統

 

だが気のせいかその翼の動きが

どこかぎこちないものになっているようだ

 

「うん?」

 

由奈は気になり

少し風を起こす

 

すると確かに風は吹いた

 

「これは!?

 

 能力が多少ですが

 使える!」

 

「なんだって!?」」

 

「それってつまり・・・」

 

「ぺルシナも使えるってこと!?」

 

「よっしゃ!

 

 だったら反撃できるぜ」

 

「でも・・・

 

 どうしてそんなことが」

 

「深く考えている暇はないぞ」

 

「これを好機ととり

 一気に攻めるであります」

 

コロマルもワンと一声鳴く

 

「幸いにも

 体力もそれなりにあります」

 

「そうだな」

 

立ち上がるSEESの面々

 

「こっちも行けるな」

 

「もちろんだ」

 

「まだ戦えるしね」

 

「私も頑張る」

 

「おっしゃ!

 

 一気に片付けるっすよ」

 

「クマもまだいけるクマよ」

 

「ですが油断しないでください

 

 敵の力が弱くなったわけでは

 ありませんから・・・」

 

捜査隊メンバーも立ち上がる

 

すると少年は

一同を止める

 

「な、なんだよ・・・・!?」

 

「おい?」

 

「・・・・・・」

 

当夜は黙って手を横に突き出し

命令の大総統をにらみつけている

 

「フフフフ・・

 

 足手まといはいらないとでも

 いうつもりか?

 

 俺を舐めるんじゃねえ!」

 

と刃を勢いよく

突き出していく大総統

 

当夜はそれを刀で受け止める

 

ぴしぴしと音を立てて

当夜の刀にひびが入っていく

 

「・・・いまだ!

 

 翼を狙え!!」

 

「何?」

 

当夜はそう言うと

 

「待ってましたぁ!」

 

「一気に決める!」

 

そういうと

後ろの方から複数の影が

飛び出していきそれぞれの攻撃が

命令の大総統の翼に炸裂していく

 

「ぐああああ!!」

 

それを受けて

翼の機能が機能しにくくなり

 

辺りに広がっていた

ラルヴァフィールドが一気に晴れていく

 

そして命令の大総統の翼に

攻撃を加えたその一団は

 

SEESと捜査隊の前に降り立つ

 

「今度は何だよ・・・・!?」

 

陽介がつぶやくとその一団のうち

黒いコートを着ている少年がつぶやく

 

「安心しろ・・・・

 

 俺達は敵じゃない」

 

「作戦大成功!」

 

「これでもうあの空間は張れない

 

 後は一気に本体をたたく!」

 

と一同は身構えていく

 

「っちぃ・・

 

 まったく次から次へと

 邪魔が入りやがって・・

 

 俺の翼を少し壊した程度で

 粋がってんじゃねえ!」

 

と羽織っていたマントを

大きく翻していく

 

「どいつもこいつも

 まとめてぶっ潰してやるぜ!」

 

「望むところ!」

 

とヒビの入った刀を捨てると

当夜は右腕を構える

 

「聖痕・・・

 

 解放!」

 

と右腕の聖痕から

放たれた光が当夜を包みこみ

 

両手に剣を構えた姿で対峙する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の罪・・・

 

 この俺が断罪する!」

 

この言葉とともに更なる戦闘が開始されるのであった・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




三つの運命が混じりあう

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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13、罪を断罪せし時

異なる場所、異なる時期の者達

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


怪盗団が突入する

ほんの少し前のこと

 

一体のマモノを

狩ることによって

 

場内を徘徊していた

マモノを見事に一掃する面々

 

「次は・・・・?」

 

黒いコートを着た少年、ジョーカーが

刀を持っている少年に聞く

 

「・・・たぶんさっきので

 終わりだな・・・

 

 気配が一気に消えた」

 

「よっしゃ!

 

 だったら奥にいる

 敵の大将をたたこうぜ」

 

ドクロの仮面をつけた少年、スカルが言う

 

「ダメだ

 

 うかつに行ったって

 お前らじゃそいつには勝てっこない」

 

「何よそれ

 

 そんなに私たちが

 頼りない?」

 

赤いボディースーツの少女、パンサーが

不満そうに言う

 

「総裁以上の罪徒はラルヴァフィールドって

 疑似的な戦闘空間を張って

 

 自分に有利なように戦闘を進めていくことができるんだ」

 

「ラルヴァフィールド?

 

 それはいったいどんな能力だ?」

 

狐面をかぶった少年、フォックスが

説明を求めていく

 

「罪徒の力の源

 

 俺達聖徒の使うエーテルエネルギーと対をなす

 人間の欲望の源であるラルヴァエネルギー

 

 そのエネルギーを展開することで

 自分を中心にした一定の空間をラルヴァで

 包み込むことができるんだ

 

 その空間内では

 エーテル濃度が薄まっちまって

 

 聖徒は能力どころか

 まともに戦うことも難しくなっちまう」

 

「どういうこと?」

 

黒いライダースーツを着た少女、クイーンが聞く

 

「ようするに

 その空間では

 

 能力は使えないってことだ

 

 能力の源であるエーテルの濃度が

 薄まってるんだから」

 

「なるほどな

 

 要するにその

 エーテルって奴の力が

 薄まっちまうと・・

 

 お前らは戦えなくなっちまうってことか・・」

 

黒いマスクの人物?、モナの言葉に

一同は理解する

 

『でもあたし達だったら大丈夫だろ

 

 だってあたしらはそもそも

 そのエーテルって力で戦ってるわけじゃ・・』

 

「ちょっと待って・・・・」

 

暗視ゴーグルをかけた少女、ナビの言葉に

中世の騎士のような服装の少女、ノワールが声を上げる

 

「ねえ・・・・

 

 前から疑問に

 思っていたことがあるんだけど

 

 どうして私たちって

 ペルソナが使えるのかな?

 

 ここはあくまで

 私たちとは別の世界であって

 

 パレスでもないのに」

 

「そういや・・・

 

 どうしてだ」

 

「要はこの世界が特別ってことなんじゃないの?」

 

パンサーはそう結論付ける

 

「確かにそうなのかもしれない・・・・

 

 でもそれって・・・・」

 

「ひょっとして!?

 

 私たちがパレスでもメメントスでもない

 この世界でペルソナが使えるのは

 

 エーテルの力のおかげなんじゃないの」

 

クイーンが推測する

 

「ありえない話じゃない

 

 あんたたちの話を

 聞いたところだとあんたたちの

 そのペルソナっていう力は

 

 本来はある一定の空間でないと

 使えないというか力を発揮できないってことだ・・・

 

 でも現にあんたたちはここで普通に戦えてる・・・

 

 つまりそれから察するに・・・

 

 エーテルがあんた達に

 力を貸してくれてるってことなのかもしれねえな」

 

当夜は仮設を立てるように言う

 

「ってことはどうなんだよ

 

 それで一体どういう・・・」

 

「要するに

 

 エーテルの力によって

 ワガハイ達はペルソナを

 使えてることだから・・」

 

「ラルヴァフィールドの影響を受け

 

 奴がその空間を広げたら

 あんたらはペルソナが使えなくなっちまう

 

 そういうことだよな・・・」

 

「まじ!?

 

 ただでさえこっちは

 手こずってるのにそのうえ

 ペルソナ封じられるって

 

 シャレにならないんですけど」

 

パンサーは危機感を覚えるように言う

 

「何とかならないのか?」

 

フォックスは聞く

 

「・・・確証はないけど

 

 可能性ならある」

 

当夜が話し始める

 

「前に俺が別の罪徒と戦ったときに

 ふいにその罪徒の翼に攻撃したら

 

 フィールドの範囲が

 狭まったことがあったんだ・・・

 

 つまり、罪徒の翼を破壊

 あるいは損傷させることができれば・・・」

 

「なるほど

 

 その何とかフィールドを

 どうにかできるってわけか」

 

スカルが納得する

 

「とはいえ簡単じゃない

 

 敵は総裁クラス最高位の

 大総裁の爵位持ち・・・

 

 勝てない相手じゃないとはいえ

 そう簡単に隙を作ってくれるかと言えば

 

 難しいだろう・・・

 

 せめて奴の気をそらして

 一気に決められれば・・・」

 

「大丈夫だ

 

 不意を衝いて

 先手を取るのは

 

 俺達は慣れてる」

 

ジョーカーは言う

 

「翼の方は

 俺達で何とかする

 

 当夜は敵の気を俺達から

 そらしてほしい・・・・

 

 頼めるか?」

 

「うーんよくわからないけど

 俺は命令の大総統のところに

 そのまま行けばいいんだな

 

 だったら任せてくれ・・・

 

 あんた達はあんたたちのやれるようにやってくれ・・・」

 

こうして

 

作戦が始まっていくのであった

 

・・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・

 

強敵

 

命令の大総統と対峙していた

SEESと捜査隊のメンバー

 

二人の少女たち

 

だが敵が展開してきた

ラルヴァフィールドのせいで

 

能力を封じられてしまい

絶体絶命のピンチに陥ってしまう

 

挙句にはそれぞれのリーダーが

敵に拘束されてうかつに手出しが

できない状況にされてしまうのだった

 

だがそこに

一人の少年が現れ

 

彼の手によって

拘束されていた三人は解放

 

するとさらにラルヴァフィールドが急に

安定を失ったことにより一同の能力は戻り始め

 

そこに現れた謎の一団により

命令の大総統の翼を破損させることに成功

 

フィールドの出力を

大幅に落とすことに成功する

 

「すっげえ・・・・」

 

「何なんだよあの人たち・・・・」

 

順平と陽介が

あまりの手並みにやや呆然とする

 

「これでラルヴァフィールドは

 抑えられた

 

 一気に行くぞ!」

 

当夜は両手に持った剣を

構えつつつぶやく

 

「あんたたちは少し休んでるといい

 

 今は俺達に任せてくれ」

 

「で、でも・・・」

 

「体力を消耗しきってる

 今のお前たちでは足手まといだ

 

 ここはおとなしくしていろ」

 

モナは言う

 

そして怪盗団の面々は

再び敵の方に向き合っていく

 

「こんな程度で

 俺を倒せると思うなよ!

 

 来るがいい!!」

 

命令の大総統は叫ぶと

またしてもマモノの大群が現れる

 

「ざっけんな!

 

 全部倒したはずだろうが!!」

 

「マモノは生き物じゃない

 

 ラルヴァエネルギーの塊だ

 

 ラルヴァエネルギーがある限り

 マモノはほぼ無限に生み出されるからな」

 

「解説どうも・・・・

 

 どっちにしても何にも変わらないけど」

 

だがそれでも気を取り直して向かっていく

 

「行けええええ!!」

 

ハンターハウンドと甲冑蟹が迫っていく

 

「ようし!

 

 一気に蹴散らしていくぜ」

 

「ようし・・・・

 

 アルセーヌ!」

 

ジョーカーは自分のペルソナを

呼び出してハンターハウンドの群れを一気にたたいていく

 

「みんなはハンターハウンドを頼む!

 

 甲冑蟹は俺がやる!!」

 

「確かにあの蟹・・

 

 ちょっと手ごわいからな・・

 

 頼んだぞ当夜!

 

 ゾロ!!」

 

モナもゾロを召喚し

風を起こしてハンターハウンドを蹴散らしていく

 

「すっげえ・・・・」

 

「っていうかあの人たちも

 ペルソナ使い!?」

 

「なんか俺らの出番

 なさそうじゃね?」

 

「そんな寂しいこと言わないで」

 

その様子を見て

やや焦り気味になる命令の大総統

 

「(このガキども・・

 

  この俺の翼に傷を

  つけたのみならず・・

 

  ここまで俺を侮辱するとは・・

 

  だが・・)」

 

大総統は右手につけている武器を

ゆっくりと構えていく

 

「(・・・・やはり甘いな・・

 

  この俺の存在を認識しきっていない

 

  こっちもこっちの領域で

  全力をもって仕留めてやる・・)」

 

そう言って目を付けたのは

 

ジョーカーだ

 

「はああああ!!」

 

「っ!?」

 

命令の大総統は武器を

勢いよく突き出す

 

辺りに激しい土煙が巻き起こる

 

「ジョーカー!!!!」

 

「クソが!

 

 不意打ちなんざ

 きたねえぞ!!」

 

パンサーとスカルが

それぞれ叫ぶ

 

「勝てばいい

 

 それがすべてなんだよ!」

 

だが

 

そこにジョーカーの姿はなかった

 

「何!?

 

 どこに行った!」

 

とそこに

命令の大総統の肩に乗り

大総統の頭部にナイフを突き立てる人物が

 

「ぐああああ!!」

 

頭部からおびただしい色の血が噴き出していく

 

「はああああ!!!!」

 

更に押し付けていくジョーカー

 

だが

 

その彼の首に

何かが巻き付いていく

 

「ぐう・・・・」

 

「この俺をコケにしやがって・・

 

 ふざけやがってええええ!!」

 

とジョーカーの体を持ち上げると

ほかの二本の尾がジョーカーの体に向かって

 

次々と尾による一撃が体に打ち込まれていく

 

「がは・・・・!」

 

しばらくすると

 

「まさか不意を突かれるとはな

 

 だがその程度でこの俺を倒せるとでも?」

 

「こいつ・・・・・

 

 意外に手ごわい」

 

フォックスが苦々しげにつぶやく

 

「人間風情に

 この俺を倒せるとでも

 

 思ってるのか?」

 

そう言って武器を

大きく振り上げる

 

「悪いけど俺にはまだ

 これからやらなきゃいけないことが

 

 山ほどあるんだ」

 

と当夜が前にである

 

「当夜・・・・!?」

 

「小僧・・

 

 そんなに死にたいなら

 貴様から頬も売ってくれらああああ!!」

 

と武器を勢いよく

突き出していく

 

「お前なんかに躓いている暇は・・・」

 

と再び向き合って

聖剣を両手で合わせて

 

一本の形にすると

 

剣からオーラが現れ

 

「ないんだあああ!!!」

 

当夜が叫ぶと

それを勢いよく振るう

 

それを横に振るわれると

 

一閃が走り

 

命令の大総統の体から

血が勢いよく噴き出していく

 

「何ぃいいいい!?」

 

大総統は噴き出す血を

抑えながら驚愕する

 

「浅い・・・」

 

当夜は手ごたえのなさを

感じて苦々しげにつぶやく

 

「ようし

 

 でも敵を追い詰めた

 ここで一気に決めるぜ!」

 

モナは言うが

命令の大総統はゆっくりと立ち上がる

 

「俺に手傷を負わせた程度で

 いい気になるなよ・・

 

 てめえらごときに

 この俺がどうにかなるとでも思うなよ」

 

そう言って右手から伸びている武器を

天井に向かって突き出す

 

「何やってんだあいつ・・・・」

 

「あれは・・・

 

 まさか!?」

 

すると

 

武器の周りから

不気味なほどにどす黒いオーラが

三対六枚の翼のように広がっていき

 

そのオーラは

命令の大総統の体を包み込んでいき

 

そこから一気に辺りに

とてつもない衝撃が放たれていく

 

「「「「「「「「「「「「うわああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」

 

その衝撃に一同は吹っ飛ばされてしまう

 

「きゃああ!!!」

 

「ぐうううう・・」

 

有紀と由奈も同じように吹っ飛ばされ

 

「っ!」

 

当夜は剣をアンカーのように

地面に突き刺して衝撃を殺して

 

体勢を立て直す

 

衝撃がおさまると

その中央にいたのは

 

六枚の翼を広げて

三つの尾を激しく打ち付ける

 

姿も変わっており

頭部がやや鋭利な形状の

爬虫類のような形状で

 

身体も背中の方が

鎌のような刃のように生えていて

 

両腕は右手にあった武器が

両手に常備されているようになっており

 

足は靴を履いていた形状から

鋭利に伸びた形状になっている

 

「まったく・・

 

 てめえらみたいな

 虫けらごときに

 

 この姿を見せなければなれねえとは・・

 

 恥だ!!」

 

そう告げる

 

「な、なんなのアレ・・・」

 

「すごい・・

 

 ここにいるだけで

 体の震えが止まらない・・」

 

「見ているだけでおかしくなりそう・・・・」

 

一同はその姿に激しく動揺していく

 

「あれが・・・

 

 罪徒の武器開放形態・・・」

 

有紀がつぶやく

 

「武器・・・・なんだよそれ?」

 

「説明しろよ」

 

「罪徒の持ってる武器は

 彼らの力の源であるラルヴァエネルギーを

 制御するための器官・・

 

 つまり体の一部なんです・・

 

 奴らはその武器に

 それぞれの力が宿していて

 

 それを解放することで

 真の力を解放することができる

 最終形態・・

 

 それが、武器開放形態・・」

 

「そんな・・・・

 

 翼が再生してる!?」

 

ゆっくりと降り立つ命令の大総統

 

「だがもうこれでてめえらは終わりだ・・

 

 俺がこの力を見せた以上

 お前らの行きつく先は死しか残ってねえ・・

 

 と言うことで覚悟やがれよ虫けらども・・

 

 こうなったらもうてめえらに勝ち目はねえ・・」

 

命令の大総統は武器を構える

 

一同はその様子に

驚愕を覚えていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あきらめんな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

「え・・・?」

 

「!」

 

「!!」

 

そのあたりに響いたその

力強い声があたりに響く

 

「あんた達にはやらなきゃ

 いけないことがあるんだろ・・・

 

 だったらあきらめるなよ!

 

 大総統が何だ

 武器開放がなんだ

 

 相手が強いからってなんだ!!

 

 ここまで来たんなら

 最後まで一気に突っ走れよ!!!」

 

その声の主、当夜はそう叫んだ

 

「そうね・・・」

 

「ああ・・・・」

 

「そうだ、俺達には・・・・」

 

「帰らないといけない理由がある!」

 

「そのためにも絶対に・・・」

 

「元の世界に帰るであります!」

 

「僕たちはそのためにも」

 

「あいつをぶっ倒して

 その先に行く!」

 

コロマルもワンと一声鳴く

 

SEESの面々は士気をあげていく

 

「それだったら・・・・」

 

「私たちだっておんなじだよ!」

 

「元の世界に戻るためにも」

 

「こんなとこで

 躓いてる場合じゃねえんだよ!」

 

「そうだよ

 

 こんなところで立ち止まってる暇なんてない・・」

 

「クマはかえってみんなと一緒にいるんだクマ!」

 

「僕たちのやるべきことのために」

 

捜査隊のメンバーも決意を新たにする

 

「らしくねえな俺達・・・」

 

「そうね・・・・

 

 今更あんなのでおじげつくなんてね」

 

「まったく・・

 

 われながら呆れるぜ」

 

「俺達はここで立ち止まっているわけには・・・・・」

 

「行かないのよ」

 

『あたしたちのやるべきことのために・・』

 

「だから絶対に・・・・」

 

「あいつを倒す!」

 

怪盗団はそう言って立ち上がっていく

 

「当夜・・・」

 

「そうでしたね・・

 

 あなたはそう言う人でした」

 

「まったく・・・

 

 君はすごいね・・・」

 

「私たちも見習わないと・・・」

 

「俺達はまだ負けたわけじゃない!」

 

「そうだ

 

 俺達が今やるべきことは

 ただ一つだけ・・・・」

 

有紀と由奈

リーダーたちが言う

 

「あいつを・・・

 

 倒すぞ!」

 

こうして

同じ世界の三つの異なる場所

異なる時期の者たちが手を取り

 

この世界の人間たちとともに

目の前の脅威に立ち向かっていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決戦の時来る・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




決戦の時来る

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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14、決戦開始

最後の戦い

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「フフフフ・・

 

 ハハハハ・・

 

 あーっはっはっはっはっ!!」

 

命令の大総統は笑い声をあげる

 

「面が白ぇ・・

 

 この俺を相手に

 どこまでやれるってんだ?

 

 道端のはいつくばってる

 虫けら以下の無力で下等な生物が

 

 今のこの俺に勝てるっていうのか?

 

 ああああ!?」

 

そう言って変形した右腕を槍のように伸ばし

背中に伸びた翼をゆっくりとはばたかせていき

 

伸びた三本の尾をゆっくりと動かしていき

 

「みんな・・・

 

 気を付けて!」

 

「私たちも行こう!」

 

湊と真琴の声に

SEESも構えていく

 

「俺達も行くぞ!」

 

悠の言葉に

捜査隊も構える

 

「戦闘開始だ」

 

怪盗団の面々も

構えを取る

 

「この俺にたてついた愚かしさ・・

 

 思い知るがいい!」

 

そう言って右腕の刃を

地面に突き刺して

 

それで地面に攻撃を走らせていく

 

一同はその攻撃を中心に二手に飛んでかわす

 

ゆかりはその際に矢を放つ

 

それは彼の武器にはじかれていくが

そこに順平と陽介が飛び込んで攻撃を仕掛けていくが

 

それを尾を振るって

押しのけていく命令の大総統

 

だが二人はその衝撃に耐えて

見事に抑え込む

 

そこにスカルが懐に

飛び込んでいって鈍器を振るう

 

「おりゃあああ!!!」

 

見事に大総統の体に炸裂し

その体はやや後ろに下がるものの

 

その腕をつかんで

ぶんぶんと振るっていく

 

「この・・・

 

 離しやがれ!」

 

必死にもがくスカル

 

すると大総統の体が

徐々に凍り始めていく

 

「おおっと!」

 

そのすきにスカルは

大総統の拘束から逃れ

 

尾と力比べをしていた

順平と陽介は距離を取っていく

 

「うおおおお!!!!」

 

「でやあああ!!!」

 

そこに明彦と完二が

とびかかっていく

 

だがそれを翼を使って防ぐだけでなく

二人を一気に吹っ飛ばしていく

 

「ぐう・・・・

 

 あの翼・・・・

 

 武器にも防具にもなるのか」

 

「あれ何とかした方がいいかもしれねっす」

 

「だったら!」

 

「ええ

 

 あの翼を逆に利用すれば・・・・」

 

雪子とパンサーが

それぞれペルソナを出して

 

炎を繰り出していく

 

その炎を翼を使って防ぐ大総裁

 

「こんなもので俺がやれるか・・

 

 よお!?」

 

その炎の中を

突っ込んできたそれは

 

「アチョー!」

 

千枝の繰り出したトモエは

その一撃を見事に大総裁に決めた

 

「がはぁ・・

 

 このおおおお!!」

 

だが尾を伸ばして

更に反撃に転じていく

 

しかしその尾を

氷が張っていく

 

「何!?」

 

「悪いがもう

 お前の攻撃手段は

 

 予測できている!」

 

フォックスはそう言って

凍った尾に攻撃を与えて

 

それを砕く

 

「(くそ・・

 

  こんな子虫共に

  どうしてこの俺が・・

 

  だがどうなっている・・

 

  ラルヴァフィールドは

  展開しているはずなのに

 

  どうしてこいつらは攻撃が・・?)」

 

命令の大総統はそんな疑問を浮かべる

 

「スクナヒコナ!」

 

直斗は自身のペルソナを呼び出して

攻撃を仕掛けていくが

 

武器で受け止められて

それをはじかれて行ってしまう

 

「うわああああ!!!」

 

大きく吹っ飛ばされてしまう直斗

 

「直斗!」

 

完二がそれに気が付いて

向かっていくがその前に

 

「大丈夫!?」

 

クイーンが救出する

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

「お礼は後

 

 まだまだ来るわよ!」

 

すると尾が再び襲い掛かってきた

 

「掃射!」

 

アイギスが銃撃をして

尾を撃ち落とそうと試みる

 

だが尾は銃弾を受けても

何事もないかのように向かっていく

 

「銃撃は効果が薄いそうですね・・・・

 

 でしたら!」

 

「ペルソナ!」

 

するとそこに

激しい銃撃が起こって

 

尾は一気に撃ち落とされていったのであった

 

「決まったね!」

 

「は、はあ・・・・」

 

あまりのことに

そんな返答しか出来ぬほどに

 

困り果てるアイギスに

ノワールは笑顔で見つめる

 

「ぐう・・」

 

大総統は尾がすべて

撃ち落とされてしまったことに

 

矢や動揺して下がってしまう

 

そこに

 

ワンっとコロマルが

口に短刀を咥えて向かっていくが

 

それを難なくはじく

 

だがコロマルは

そこから見事に着地し

 

ケルベロスを召喚

炎の技を放つが

 

「フン!」

 

大総統は水を操って壁を作り

その攻撃を防ぐが

 

その衝撃で

水蒸気があたりに充満する

 

「はあああ!!」

 

「おりゃああああ!!!!!」

 

そこに天田と荒垣の一撃が決まっていく

 

「余計なことしないでください!」

 

「別にお前のためにやったんじゃねえよ」

 

一同の攻撃が次々に決まっていく

 

「ぐう・・

 

 おのれぇ・・」

 

命令の大総裁は

口惜しそうにつぶやく

 

「ようし!

 

 クマが一気に決めるクマよ

 

 キントキドウジ!!」

 

クマはキントキドウジを呼び出し

攻撃を仕掛けていくが

 

「フン!」

 

右手の一振りで

防がれて行ってしまう

 

「およよ!?」

 

攻撃が防がれたことに

動揺するクマだが

 

そこに放たれた

風の攻撃が大総裁に攻撃を与える

 

「素人だな

 

 相手の不意を突かないと

 攻撃しても防がれるだけだぞ?」

 

モナが言う

 

「むむぅ・・

 

 猫にアドバイスされるのも

 何だか妙な感じぃ・・」

 

「猫じゃない!

 

 モナだ!!」

 

とそこに

巨大な翼が迫っていく

 

「二人とも危ない!」

 

有紀が翼に攻撃を

仕掛けていくが

 

びくともしていない

 

「そんな・・・」

 

「ゾロ!」

 

モナは再びペルソナを呼び出して

攻撃を仕掛けていく

 

「はああああ!!」

 

由奈が槍を振るっていく

 

由奈はその翼の衝撃を

受け止めるものの

 

やがて押されていく

 

「俺は命令の大総裁・・

 

 お前らみたいな虫けらに

 負けるような存在ではない!」

 

「残念でしたね・・

 

 私はただの引付役ですよ!」

 

由奈は笑みを浮かべていく

 

「何!?」

 

するとその翼に向かって攻撃をする四つの影

 

その攻撃を受けて翼は大きくはじかれる

 

「ぬお!?」

 

「「オルフェウス!!」」

 

「イザナギ!」

 

「アルセーヌ!」

 

四人のリーダーの一斉攻撃が

命令の大総裁に一撃を食らわせ

 

玉座にたたきつけた

 

「これで終わりだ!

 

 お前の罪・・・

 

 この俺がさばいてやる!!」

 

と剣を構えて素早く向かっていく

 

「うおおおお!?」

 

「でやあああ!!!」

 

命令の大総裁は

身体を✖字に切られる

 

「ぐああああ・・

 

 馬鹿な・・

 

 この俺がこんな子虫に・・

 

 だが俺に勝った程度で

 いい気になるなよ・・

 

 俺よりも強い罪徒は

 まだまだいくらでもいるからな・・

 

 お前たちが絶望にゆがんでいく様・・

 

 地獄で拝むとしよう・・

 

 フフフフ・・

 

 ハハハハ・・

 

 あーっはっはっはっはっ!!」

 

命令の大総裁は

不気味な高笑いをあげて

 

たたきつけられた玉座から

ゆっくりと立ち合がり

 

そのままうつぶせで倒れると

爆発するように消滅するのであった

 

地面に自信の勲章を刻んで

 

「・・・・・・」

 

一同はその様子を

見つめているのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「驚いた・・・

 

 強いんだね」

 

「すっごい・・・

 

 びっくりしちゃった・・・」

 

「出る幕・・

 

 ほとんどなかったな・・」

 

「そうだな・・・」

 

リーダーそれぞれがつぶやく

 

「それにしても・・・

 

 君たちはいったい・・・」

 

「流浪のペルソナ使いクマクマと

 そのゆかいな仲間たちクマー!」

 

クマが勝手な自己紹介を言う

 

「これが・・・・クマ?

 

 クマと言う名のサルではありませんか?」

 

「サルじゃなくってクマクマよ!

 

 さっき三回もクマって言ったでしょ!!」

 

「あーもうそういうのいいから!」

 

「そういう貴方達は・・・」

 

雪子も聞き返す

 

「見ての通りペルソナ使いだ

 

 ・・・・君たちと同じ、な」

 

美鶴が答える

 

「オイオイまじかよ・・・

 

 俺らのほかにも

 ペルソナ使いがいたのかよ・・・」

 

「でもなんか

 私たちの方となんか違うね・・・・」

 

スカルとパンサーも

ほかのペルソナ使い達に興味津々である

 

「とにかくここを出ようよ

 

 命令の大総裁が倒されて

 マモノたちも逃げ去っってたし・・・」

 

「そうですね・・

 

 さらわれた人たちを

 助けられなかったのが

 心残りですが・・」

 

有紀と由奈は提案していく

 

「そうだな・・・・・

 

 見たところ敵じゃねえ見てぇだし」

 

「詳しい話はとりあえず

 ここから出てからにしましょうや」

 

「そうね

 

 救出はかなわなかったけど

 敵を倒すという目的は果たされたんだしね」

 

「とにかく一度里に戻ろう」

 

「そうだね」

 

「詳しい話はそこでしていこう」

 

「そうだな・・・・」

 

一同は結論をつけて

いったん居城を離れていくことにするのであった

 

だがそんな一同の様子を

見つめている一人の人物がいたことに

 

気が付くことはなかったという

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

里に向かっていく一同の様子を

双眼鏡で見つめる一人の少女

 

少女は手に持っている

タブレット端末を操作する

 

「・・・同じ世界の

 異なる者たちが出会った、か・・・

 

 やっぱりこうでないと

 つまらないものね・・・」

 

少女はそう言うと

その場から飛び降りて

 

どこかへと跳び去っていくのであった

 

そして

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

ある場所

 

そこにスキマのような

空間の裂け目が開き

 

そこから先ほどの

少女が姿を現す

 

「試練の王さん

 

 ごぶさたしてまーす」

 

とあいさつをかわす少女

 

「これはこれは先生・・・・・・・

 

 こんなところまで何の用なのでしょう?」

 

複数の人物がいる中で

奥の方で玉座に座り込んでいる

 

一人の少女が声を上げる

 

「今回エリアHを

 襲撃するつもりの貴方に

 

 耳寄りな情報をね・・・」

 

「ふうん・・・・・・・

 

 それは楽しみだね・・・・・・・」

 

互いに笑みを浮かべながら話す双方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女らとの謁見はまだまだ先である・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




決着

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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15、ビギニング

戦いの後のひと時

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


とある人里にやってきた一同

 

「お疲れさまでした

 

 何とか全員無事に帰ってこれましたね・・・」

 

「お疲れ様でーす

 

 悠先輩、みんなも無事に帰ってこれて

 よかったね・・」

 

「やれやれ・・・

 

 一時はどうなるのかと・・・」

 

三人の少女が最初に声を上げる

 

「やっべ美少女が三人も並んで・・・・」

 

「むほほーこれまた華ですのう」

 

「まったくだな・・・・」

 

反応する三人

 

「どうやら無事についた見てぇだな

 

 そんであんたたちは

 この世界とは別の世界から来た・・・

 

 そういうことでいいのか?」

 

「道中で話を聞いていたが

 

 まさか俺達と同じ境遇だとはな・・・・」

 

「もう話についていけないよ・・」

 

「まあようするに

 ここにいる全員が

 

 この世界に迷い込んだ

 

 そういうことでしょ?」

 

明彦と千枝の会話を

杏がざっくりと切り込んだ

 

「しっかし驚いたよね・・

 

 まさか私たちとおんなじ

 ペルソナ使いがほかにもいるなんて・・」

 

「ここで出会ったのも何かの縁だ・・・

 

 まずはお互いのことを

 紹介していこうじゃないか・・・

 

 私は桐条 美鶴

 

 我々はシャドウ殲滅を

 目的としている・・・

 

 特別課外活動部、通称’SEES‘として

 活動している・・・

 

 そして彼と彼女は

 有里 湊と結城 真琴

 

 私たちの前線に立つ

 リーダーを務めている」

 

「まじで!?

 

 相棒と一緒じゃん!」

 

「よろしく・・・」

 

「よろしくお願いします!」

 

静かに答える港と

明るく答える真琴

 

「こちらこそ・・」

 

「ど、どうも・・・」

 

悠と暁も軽く言葉を交わす

 

「まあ別々に紹介していくよりは

 ここはそれぞれのメンバーから紹介していこう

 

 まずは私たちの方からだ

 

 私の方はもう済ませたから

 次はほかの三年生から紹介していこう

 

 三年は私のほかに二人いる」

 

「真田 明彦だ

 

 ボクシング部の主将を

 勤めている

 

 好きなものはプロテインだ!」

 

「俺は荒垣 真次郎

 

 一応三年、になるのか・・・・・」

 

美鶴に続いて

二人の男子が紹介する

 

「次は二年組かな

 

 私は岳羽 ゆかり

 

 えーっと、弓道部です」

 

「俺は伊織 順平

 

 平和をこよなく愛する

 ヒーローでーす!」

 

「ええっと、次は私、かな?

 

 あの、や、山岸 風花です

 

 SEESではバックアップを担当しています」

 

「私も月光館学園では

 二年に当たり

 

 アイギスと申します

 

 湊さんと真琴さんのそばにいることが

 私の大切であります」

 

二年組も手短に済ませていく

 

「次は僕ですね

 

 天田 乾です

 

 乾くと書いて

 けんって言います

 

 僕はほかの皆さんと違って

 月光館学園の初等部の五年生です」

 

天田が言い終えると

彼らのそばにいた白色の柴犬が

 

ワンと一声鳴く

 

「コロマルさんです

 

 満を治しての

 最後の自己紹介に大変な意気込み用です」

 

「犬、ですか・・

 

 私は平気ですが

 この世界の人間には

 合わせられないかもしれませんね・・」

 

由奈の一言にコロマルは元気のないように小さく鳴くのであった

 

「こいつも一緒に戦うのか・・・」

 

「我々は以上だ

 

 君たちの事も

 教えてくれないか・・・」

 

美鶴は言う

 

「じゃあ次は俺達が

 

 俺は鳴上 悠

 八十神高校の二年です」

 

「俺は花村 陽介

 

 同じく高二で

 こいつの相棒ってとこだ」

 

「ええと、里中 千枝です

 

 同じ高二で・・」

 

やや口ごもる千枝

 

「うう、キンチョーする・・」

 

「好きな物はプディングでーす」

 

「本当は肉だ」

 

「花村、戻ったら

 靴跡の刑だからね

 

 鳴上君も悪乗りしないの・・」

 

そんな漫才が繰り広げられていた

 

「ええっと、次は私かな?

 

 天城 雪子、高校二年です

 

 千枝、鳴上君とは同じクラスなの」

 

「ちなみに俺もクラスメートね・・・・」

 

陽介が付け足す

 

「こっからは一年だね

 

 私は久慈川 りせ

 

 先輩たちのバックアップを

 担当してます

 

 よろしくね」

 

「あー俺は、巽 完二っす」

 

「僕は白鐘 直斗

 

 よろしくお願いいたします」

 

一年組も紹介をしていき

 

「最後はクマの番ね!

 

 八十稲葉の誇る地元デパート

 ’ジュネス‘の愛されゆるふわ

 マスコット、クマクマー!!

 

 そしてこのクマ

 このキュートなクマ皮を

 大胆不敵に脱ぎ捨てると・・」

 

と自分の着ている着ぐるみを脱ぎ捨てる

 

「中からドレッシーで可憐な

 美青年が生まれるクマ~」

 

「着ぐるみいつも着てて熱くないのかな・・・」

 

「とりあえず里に入るときは

 それ脱いでくださいね・・

 

 そのままで入って

 前にいた里、実質追い出されたものですから・・」

 

由奈に言われてガビーンと

言わんばかりの反応を見せるクマであった

 

「それじゃあ最後は

 ワガハイたちだな

 

 ワガハイはモルガナ

 まあこいつらの指南役のようなものだ

 

 そしてこいつが

 われらがリーダーの来栖 暁だ」

 

「よろしく」

 

「それじゃあこっちも

 三年から紹介していくね

 

 私は新島 真

 

 秀尽高校の三年で生徒会長を務めてるわ」

 

「俺達の参謀役も兼任してる」

 

「さんぼー?」

 

「作戦を立てたりする人のことだね」

 

クマの疑問に雪子が答える

 

「次は私だね

 

 奥村 春です

 

 不束者ですが

 よろしくお願いいたします」

 

「おお

 

 桐条先輩とは違う意味で

 お嬢様っぽい!」

 

「本当にお嬢様だけどね・・・」

 

順平の一言に真が言う

 

「じゃあ次はアタシらね

 

 私は高巻 杏

 

 来栖君とはクラスメートで

 前の席なんだ」

 

「俺は坂本 竜司

 同じく二年だ

 

 クラスは違うけどな」

 

「俺は喜多川 祐介

 高校二年だ」

 

「あれ?

 

 どうして制服が違うの?」

 

千枝が聞く

 

「俺は洸星高校で

 暁たちとは高校が違うんだ

 

 あるきっかけで出会った

 そう、これぞまささに・・・・」

 

「はいはい

 

 おイナリはもう

 引っ込んでろって

 

 あ、えっと・・

 

 佐倉 双葉・・・です・・・

 

 ええっと・・・」

 

「すまない・・・

 

 双葉は人づきあいが苦手でね

 

 俺達のバックアップを担当している」

 

「私と風花ちゃんと一緒だ」

 

「あれ?

 

 でもどうして

 制服とか着てないの?」

 

風花はふいに聞いた

 

「・・・アタシ、その・・・

 

 中学卒業してから

 学校とか通ってないから・・・」

 

「そうなの!?」

 

「登校拒否って奴!?」

 

順平は言う

 

「と言うより

 高校に入学してもいないしな

 

 年齢的には高一なんだけどな・・・」

 

「高一・・・タメか」

 

「何か事情がありそうだな・・・

 

 とにかくこれで

 全員の自己紹介が終わったな」

 

すると

 

「あ、あの~

 

 あの後色々

 ごたごたしてたから

 仕方ないけど

 

 私たちも自己紹介した方が・・・

 

 初めましての人たちもいるんだし」

 

「む、そうだった・・・

 

 すまない」

 

美鶴は懸念していたと

いわんばかりに頭を構える

 

「改めましてと初めまして

 

 小野 有紀です

 

 この世界で聖徒として

 活躍しています」

 

「私は樋長 由奈と申します

 

 有紀さんとは昔一緒に

 戦ったことがあって面識があります

 

 よろしくお願いします」

 

二人は自己紹介を務めていく

 

「お、次は俺か

 

 俺は当夜

 

 桐巣 当夜!

 

 俺の夢は

 この暗黒の楽園を

 終わらせることだ!!」

 

と言い放つ

 

「おお!

 

 すっげえ」

 

「なんかかっこいいなお前」

 

「暗黒の楽園って・・・

 

 この世界のことだよね?」

 

ゆかりが聞く

 

「ああ・・・

 

 俺の夢は

 この世界の人々を

 苦しめる罪徒を倒して

 

 この世界を笑顔であふれる世界に

 するのが夢なんだ・・・」

 

当夜は力強く言う

 

「あんたは相変わらずね・・・

 

 そんなこと本当にできると

 思ってんの?」

 

「私は素敵だと思いますよ

 

 もしもそんな世界が来るのなら

 とても素敵なことだと思いますし・・」

 

有紀と由奈はそれぞれの意見を言う

 

「ともかく自己紹介は

 これで終わったな・・・

 

 とにかく今考えることは

 これからどうすればいいのか・・・

 

 私たちも君たちも

 元いた世界からここに落ちてきた・・・

 

 要は当面の目的は同じと言うことだ

 

 どうだ?

 

 ここは力を合わせて元の世界に

 戻る方法を探し出そうじゃないか・・・」

 

「確かに目的は同じだ

 

 それに戦力は多いに

 越したこともねえしな」

 

「私もそうね・・・

 

 少なくとも

 この世界にはさっき戦った

 命令の大総裁のような強敵もいるしね・・・

 

 ここは協力をした方がいいと思うけれど」

 

美鶴、陽介、真は

それぞれのリーダーに言う

 

「確かにそうだね・・・

 

 あの時の戦いで

 お互いに助け合った仲だし・・・」

 

「そうだね

 

 袖振り合うのも多生の縁っていうしね」

 

「目的が一致してるなら

 断る理由にもならないしな」

 

「どのみちこの世界で生き残るには

 あんな強敵と戦わないとならないかも

 しれないからな・・・」

 

リーダーたちはそう決定するのであった

 

「よっしゃ!

 

 それじゃあ意見が

 まとまったところで

 

 さっそく里に入るクマ

 

 もうクマは疲れたクマよ・・」

 

「確かに息抜きは必要かもね・・・

 

 それに私もあの時の戦いで

 武器を壊されちゃったし・・・」

 

雪子は右手を開いたり閉じたりして

自分は手持無沙汰だとアピールする

 

「そうですね・・

 

 そろそろ中に入った方がいいですね」

 

「さあて・・・

 

 それじゃあ入りますか」

 

と人里に入っていく一同

 

「あ、それと・・・

 

 コロちゃんとモナちゃんは

 博麗神社でおとなしくしててね」

 

「・・・・なっ!?

 

 なんでだ!」

 

「あなたのその姿は

 人々に恐怖を与えてしまうのですよ

 

 猫は嫉妬を象徴する動物ですから・・」

 

「猫じゃねえよ!

 

 モルガナだっての!!」

 

「それ俺ら以外

 たぶん理解できねえと思う・・・」

 

モルガナの言葉は

竜司の言葉とともに

 

却下されるのであった

 

「と言うことで

 コロちゃんとモナちゃんは

 神社で休んでてね・・」

 

「あとでちゃんと迎えに行ってあげるからね・・」

 

クゥーンと寂しそうに声を上げるコロマル

 

「ちょっと待て!

 

 それだったらそっちのクマは

 どうなんだよ!?」

 

「クマの場合は

 熊田の姿で行くから

 

 問題ないクマよ

 

 ムフフ~・・

 

 うらやましいぞよ?」

 

「くう~・・・・

 

 ワガハイもせめて

 人間の姿になれたら・・・・」

 

悔しがるモルガナであった

 

「とにかく入っていこう・・・」

 

と一同は里に入っていき

コロマルとモルガナを神社に預けて

 

宿に向かっていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

宿に戻った一同

 

その大半は

先の戦いでの疲れが出たのか

 

それぞれの部屋で伏せっている

 

起きているのは

怪盗団以外の

それぞれのリーダーと

バックアップ組

 

SEESの三年生組と

捜査隊の直斗

 

怪盗団の真

 

以上、十一人

 

由奈もその場にいる

 

「これまでわれわれが得た確証をまとめていこう

 

 私と鳴上、来栖達は謎の少女の手引きによって

 この世界に落とされた

 

 どういう意図があるのかまではわからないが

 先ほど戦った相手は人間ではなく

 

 罪徒と呼ばれている存在で

 この世界の人間たちを苦しめているということだな」

 

「罪徒は姿かたちが人間と何も変わらなかった・・・・

 

 とすると俺達を

 ここに連れてきたのは奴らである可能性が高いということだ」

 

「まあそうだろうな・・・・・

 

 タダの人間にこんなことができるとは

 おもえねえし、俺達のようなペルソナ使いが

 関係している可能性も低い

 

 当夜達はペルソナを知らなかったからな・・・・・」

 

SEESはそう結論していく

 

「かもしれません

 

 手掛かりとなるのは

 先生と言う存在・・・」

 

「先生・・?」

 

直斗が言う

 

「先ほどの命令の大総裁が言っていました

 

 先生と呼ばれるものから僕たちのことを

 聞いたと・・・

 

 もしかしたらその先生と言う謎の存在が

 僕たちをここに呼んだのかもしれません」

 

「ひょっとしてそれが・・・

 

 僕たちの前に現れたあの

 フードの人物・・・」

 

「そういえば自分のこと先生って言ってた・・・」

 

湊と真琴もうなづくが

 

「・・・・・・・」

 

真のみはやや疑問符を浮かべるように首をかしげる

 

「新島さん?

 

 どうかしたのですか?」

 

「ううん・・・

 

 私たちの方だけ

 何だか違うような気がして・・・

 

 私たちの目の前に現れたフードの女の子・・・

 

 もしかしたら私たちが出会ったのと

 貴方達が出会った先生とは別の存在なのかもしれない・・・」

 

「なんだと・・・!?

 

 一体どういうことだ?」

 

真の言葉に美鶴は

やや驚愕する

 

「その女の子とは

 どのような・・・?」

 

「赤いフードを羽織ってて

 緑色の短い髪・・・

 

 後は歯のある翼と

 口のある尾があって・・・

 

 それと・・・

 

 ・・・・・・・

 

 それと・・・」

 

真はそこまで言うと

口ごもった

 

「それとなんだ?

 

 何か言えないことがあるのか?」

 

明彦がやや詰め寄るように問いただす

 

「・・・・うちのリーダーのことを・・・

 

 先輩って読んでて・・・

 

 彼もその子のことを知ってるみたいだった」

 

それを聞いて一同は驚愕する

 

「それってつまり・・・

 

 来栖君とその赤いフードの

 女の子は顔見知りってことですか!?」

 

「いやいやいやいや

 

 牙のある翼とか

 口のある尾があるとかって

 

 人間じゃないでしょ・・

 

 どう考えても」

 

「それに

 

 もしも罪徒だとするなら

 なんで暁のこと先輩っていうんだ?

 

 だって罪徒はこの世界の敵だろ?」

 

ナビゲート組はそれぞれつぶやく

 

「君たちの方は

 その少女のことについて

 

 彼から何も聞いていないのか?」

 

美鶴は真と双葉に尋ねる

 

「ごめんなさい・・・

 

 彼って自分の昔のことは

 あまり話したがらないし

 

 口も堅いから・・・」

 

「まあ早い話

 アタシらも知らないってこった」

 

「そうですか・・・

 

 では今はとりあえず

 その疑問はおいておきましょう・・・

 

 問題はこれからどうすればいいのか・・・」

 

直斗が議題を口にする

 

「先生と呼ばれる存在も

 来栖さん達のであった赤いフードの女性の方は

 どこにいるのか今は見当が付きませんが・・・

 

 この世界から元の世界に戻る鍵であることには

 間違いはありません・・・

 

 そして皆さんもご存知の通り

 罪徒には爵位と呼ばれる階級があり

 

 その頂点である皇帝の爵位に君臨する

 六人の罪徒がこの世界にいます・・・」

 

「確か、六大皇帝と

 呼ばれているんだったな・・・」

 

「そいつらがどうかしたの?」

 

直斗の言葉の意味を聞く真

 

「僕たちがもしも

 元の世界に戻る鍵が

 あるとするのなら

 

 シンプルに考えると

 その六人の皇帝以外に

 いないと考えるのが自然です・・・

 

 先生と呼ばれている人物は

 どのような意図で僕たちをここに

 呼んだのかは現時点で分からない以上

 

 僕たちはまず目指すべき場所を

 見据えないといけない

 

 先ほど神社の巫女さんから聞きました・・・

 

 皇帝をはじめとする王の爵位を持つ

 罪徒はそれぞれ自らの巣である迷宮を中心に

 それぞれの領域、エリアを確定して

 

 この世界の大半を制圧しています

 

 逆を言えばその場所に行けば

 皇帝におのずとたどりつけます」

 

「なるほどな・・・・

 

 要はその迷宮に突入して

 そこの皇帝をたたいていけばいい

 

 と言うことか」

 

明彦が言う

 

「しかし一筋縄ではいかないでしょう・・・

 

 何せ罪徒の爵位の中では

 下から数えた方の早い

 

 大総裁クラスでも

 僕たち全員でかかっても

 

 勝てたのはやっとでした

 

 はっきり言ってその頂点である

 皇帝の力ははかり知れません・・・」

 

「だがほかに手がかりもない以上

 向かっていくほかねえと思うが・・・・・」

 

「私たちの今の力で

 どこまでやれるのか・・・

 

 やはり今後の課題は

 罪徒とどこまでやりあえるのかに

 かかっている・・・

 

 そういうことだな」

 

「当面の問題だった

 ラルヴァフィールドも

 

 当夜が攻略の鍵をつかんでくれました・・」

 

由奈は言う

 

「そういえばその当夜君は

 どこにいるんだろ」

 

「部屋で寝てるんじゃないかな・・・?」

 

湊はふいに当夜の安否を聞く

 

「彼ならば今外に出ていますよ

 

 少し夜風に当たっていきたいとのことです・・」

 

由奈が答える

 

「そうか・・」

 

「そういえばうちのリーダーも

 姿が見えないんだけど・・・

 

 どうしたのかね?」

 

「え?

 

 部屋に戻ってるんじゃないの?」

 

双葉の言葉に真はそう返す

 

「とにかく朝起きたら

 今後どうするのかを

 

 話し合っていこう

 

 こういうのは全員で話した方が

 いいと思うしな・・・」

 

美鶴の提案に一同はうなずくのであった

 

「しかし・・・

 

 先生はいったい・・・

 

 何のために僕たちを

 この世界に集めて・・・

 

 そこに一体何の意味が・・・」

 

直斗はそんな疑問を浮かべながら

部屋に戻っていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

宿屋 テラス

 

そこで一人の少年が

空を見上げていた

 

「・・・・・・」

 

怪盗団のリーダーの

来栖 暁であった

 

彼はテラスから

ぼっと景色を見ていると

 

ふいにそこに

顔見知りが下の方を

 

歩いているのが見えた

 

「あれは・・・

 

 当夜?」

 

ふいに当夜の姿を見て

気になった彼はそれを見て

 

ふいに下を降りてみることにした

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

当夜は一人

誰もいない場所にて

 

静かに剣に手を添えていた

 

そっと目を閉じて

次に備える戦いのために

 

すべてを見据えるように

 

するとふいに

何かを感じた当夜は

 

剣を鞘から抜いて振るう

 

そこにいたのは

 

「うわっと!?」

 

暁であった

 

「おおっ!?

 

 暁・・・!?

 

 びっくりしたな」

 

「びっくりしたのはこっちだよ・・・

 

 いきなり剣振るってくるんだからさ・・・」

 

ふうっとあきれるように

一息つく暁

 

「悪い悪い・・・

 

 ちょっと集中してたからさ」

 

「こんな夜遅くまで

 鍛錬していたっていうのか?」

 

暁はふいに聞く

 

「まあな・・・

 

 俺はちょっと

 特別だから・・・

 

 それよりも暁こそ

 寝なくていいのか?」

 

「ああ、ちょっと

 寝付けなくってな・・・」

 

暁はやや口ごもりながら答えていく

 

「それにしても

 当夜はどうして

 

 聖徒になろうと思ったんだ?」

 

「実は聖徒には自分から

 なれるわけじゃないんだ・・・

 

 聖徒はこの世界で信仰されている

 元徳神っていうのが特定の人間に

 聖痕を与えていくんだ

 

 そして聖痕を与えられたときに

 そいつは聖徒になれるんだ・・・」

 

当夜は説明していく

 

「そういえば当夜は

 自己紹介の時に

 

 暗黒の楽園を終わらせるのが夢だって

 言ってたよな・・・

 

 すごい夢だけど

 どうしてそこまで?」

 

「実は俺は・・・

 

 ガキの頃に

 罪徒に家族や友達を

 殺されちまったんだ・・・

 

 そこを聖徒協会に

 保護されたんだよ・・・

 

 ガキの頃だったから

 家族の顔もそこにいた

 人々のことも覚えてなくて・・・

 

 俺自身のこともよく知らねえんだ・・・

 

 桐巣 当夜って名前も教会で俺の

 世話をしてくれた人がつけていくれた名前さ・・・」

 

「そんなことが・・・

 

 何だかすまない・・・

 

 興味半分で聞いてしまって」

 

暁は申し訳なさそうに言う

 

「いいって

 

 だからこそ俺は

 俺みたいなやつを

 出したくないって

 

 聖徒として戦うことを

 決めたんだからな・・・

 

 過去は気にしないことにしたんだ

 

 前に進むには今を受け入れるしかない・・・

 

 だから俺は前に進むって決めたんだ」

 

「前に進むには

 今を受け入れる、か・・・

 

 確かにそうかもしれないな・・・」

 

暁は少し笑みを浮かべて

ふいに横の方を向いて

 

空に映し出される月を見つめるのだった

 

「さてと・・・

 

 それじゃあそろそろ

 戻っていこうか・・・

 

 俺達にはまだやるべきことが

 山ほどあるんだからな・・・」

 

「そうだな・・・」

 

当夜に言われて

暁は宿屋に戻っていこうとした

 

その時

 

「っ!?」

 

当夜は何かを

察知したように

 

里の外の方を見ていく

 

「どうかしたのか・・・?」

 

暁もそれに気づいて

ふいに当夜に聞く

 

「何かが来る・・・

 

 とてつもない力を

 持った何かが・・・」

 

「っ!?」

 

当夜の言葉に

ただならない雰囲気を

感じる暁であった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

エリアH

 

暗黒の楽園にて

唯一罪徒の進攻を受けておらず

 

それゆえにこの世界の

大半の者たちはこの場所にて

 

平穏に過ごしている

 

その中心には

聖徒協会の中心

 

聖徒協会本部があり

 

支部やエリアのところどころにある

人々の居住区、里の平穏と管理に

 

務めているのであった

 

聖徒が多く訪れる

この場所に罪徒たちが

 

攻めてくることはなかった

 

この時までは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある場所

 

そこに一人の場所が

歩いていくのであった

 

体の中のような

その場所をゆっくりと

歩いていくその人物は

 

ある場所にたどり着く

 

そこにいたのは

複数人の人物であった

 

「陛下・・・・・・

 

 試練の迷宮

 見事にエリアHに

 進攻完了いたしました・・・・・・」

 

その人物は

目の前で座っている

 

一人の人物に

報告をするのであった

 

すると

 

「ご苦労・・・・・・・

 

 われら試練の軍勢

 長き時をかけて

 

 ついにこの暗黒の楽園に

 さらなる歴史を残す時が

 

 ついに来たのだ・・・・・・・」

 

そう言って立ち上がる人物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その背中から蝶の羽のような翼を広げて宣言するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




更なる出来事が

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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第一章 試練の物語 迫りくる試練の軍勢~trials Threesie Worlds Persona
1、暗黒の楽園~A trial against crime………


新たなる戦い

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


暗黒の楽園

 

今よりおよそ

180年前に現れた

 

原罪の迷宮

 

その迷宮より出でた存在

 

罪徒

 

その罪徒に使役され

現れた怪物

 

マモノ

 

人々はやがて

罪徒たちにそれぞれの

居場所を奪われて行き

 

自分たちの世界の大半を

罪徒たちに制圧されてしまっている

 

やがて罪徒に対抗できる力

 

聖徒が現れたことにより

現在の形を保ちつつ

 

それぞれが進行を止めていき

 

やがて人間たちにとって

安息の場所が完成するのだった

 

それがエリアH

 

エリアHには

聖徒協会の本部があって

 

協会がエリアを守護していることによって

 

人々は安息の場所を作りあげた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった・・・・・ ・・・・ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

エリアH

 

ある里

 

そこで激しい揺れが

訪れたことによって

 

人々は慌てて飛び起きていく

 

当然面々も

外に出ていく

 

「なになになに!?

 

 何なの一体!」

 

「何なんだよ一体!」

 

外に出てゆかりと順平が

声を上げるのであった

 

「地震か!?」

 

「まじ!?

 

 だったら早く非難しないと・・」

 

陽介と千枝が慌てて言うが

当夜ら聖徒が手を横に広げて

 

声を落ち着かせる

 

「何だよ・・・」

 

「この地震の原因は何なの?」

 

竜司と杏が聞く

 

「信じられない・・・

 

 まさかこんなところに・・・」

 

有紀がつぶやきを言う

 

「この世界に迷宮・・

 

 罪徒の巣が

 現れたんです・・

 

 それもこの、エリアHに!」

 

「それでこんな大地震が・・・」

 

「でもみんなどうしてこんなに驚いてるの!?」

 

湊が地震の原因を知って

納得するが

 

真琴はそれを聞いて

人々の様子を聞く

 

「驚くだろうよ・・・

 

 何しろこのエリアHが

 制定されてから

 

 迷宮が発生したことなんて

 なかったんだからさ・・・」

 

「そうなのか・・!?」

 

悠が当夜の言葉に

思わず問いかける

 

「とにかく!

 

 この揺れの大きさからして

 ここからそんなに離れていない

 

 何としても迷宮が覚醒するまでに

 何とかしねえと!!」

 

「覚醒・・・?

 

 それはつまりまだ

 間に合うっていうことか?」

 

暁が問う

 

「迷宮が姿を現すと

 その迷宮の中心部に存在する

 

 主というマモノが成長を始めていく

 

 今は蛹の状態・・・

 

 その蛹が成長するまでに

 それを破壊すれば・・・」

 

当夜が説明していく

 

「覚醒を妨害できる・・・・

 

 そういうことだな

 

 だったら早速行こうじゃないか!」

 

明彦が向かおうとするが

 

「無茶だよ!

 

 迷宮内はラルヴァエネルギーで

 満ちていてエーテルの濃度が低いんだよ!?

 

 私たちは能力が使えなくなるし

 貴方達もペルソナが使えなっちゃうよ!!」

 

「そういや俺達がこの世界で

 ペルソナが使えるのもエーテルのおかげ何だっけ・・・・」

 

「やっぱりそういうのなれないよね・・」

 

陽介と千枝が頭を悩ます

 

「待て・・・・

 

 どうやら敵さんは

 お出ましのようだぜ・・・・」

 

モルガナが言うと

里のほうに向かって

 

何やら巨大な何かが

地面を張って里に向かっていく

 

「なんだあれは・・・」

 

「ここからだとよく見えない・・・

 

 でもあの大きさからして

 たぶんマモノだと思う」

 

その巨大な何かは

段々とこちらに向かってきている

 

「ど、どうしよう

 

 こっちに向かってきてるよ!?」

 

雪子はそれを見てやや慌てる様子を見せる

 

「だったら立ち向かうしかねえ

 

 相手はマモノだ

 少なくとも前に戦った

 

 罪徒ほど苦戦はしねえ・・・

 

 戦い方さえ分かっていれば

 それほど苦労はしねえはずだ!」

 

当夜はそう言って

剣を構えていく

 

「どのみち敵の攻撃は

 待っていても来る・・・・

 

 だったらやるしかない」

 

祐介も答える

 

「里に到達する前に

 何としてもあのマモノを

 

 食い止めないといけねえ

 

 絶対に止めるぞ!」

 

「そうだな!」

 

「おっしゃ!

 

 ここらで気張らねえと

 漢じゃねえぜ」

 

「そうね・・・

 

 どのみち敵のもとに

 向かわないといけないし

 

 行きましょう暁」

 

真の言葉に暁はうなづくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「迫ってきている敵は二体・・・

 

 それも別々の方向からきてる

 

 どちらか一方に集中していれば

 もう一方は里の方に向かってく

 

 そうならないために

 ここは二手に分かれましょう!」

 

有紀は提案する

 

「でもどういう風に分けていけば・・・」

 

「この二体の敵には

 それぞれ共通があります

 

 いずれも地面を掘り進んで

 いるということ・・

 

 推測の範囲ですが

 敵は土の属性を持っているはずです

 

 土の属性を持つ敵には

 炎の属性のが聞くはずです」

 

「炎だったら僕たちの方では

 僕と真琴、順平、コロマルが使えるよね・・・」

 

「俺達の方では雪子がつかえたな・・」

 

「俺達のほうは杏がつかえて・・・

 

 でも熱も加えるんなら真も使えたよな?」

 

それぞれが名前を挙げていく

 

「それじゃあメンバーを決めたら早速行くぜ!

 

 敵がここにつくまでもうそこまで時間はねえ!!」

 

当夜はそう言う

 

「それでは炎属性の攻撃を

 使えるものは前に出て

 

 後の者は想定外の事態に備えて

 サポートに徹してくれ」

 

美鶴がそう言うと

満場一致する

 

「それじゃあ僕たち二人と

 コロマルと順平で一チームを・・・」

 

「私と新島さんと

 高巻さんでもう一方を・・・」

 

湊と雪子が互いに所属を決めていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして闘いの火ぶたは切って落とされるのだった・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




二手に分かれて

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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2,Phalaenopsis dream

突然の襲撃

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


湊と真琴、順平、コロマルのほうは

 

里の西側からやってくる砂煙の方と

対峙していく

 

「な、なあ・・・・

 

 本当にやるのかよ・・・・」

 

「今更尻込みしないの

 

 もうすぐやってくるよ」

 

「いざってときは桐条先輩たちも

 サポートしてくれる

 

 僕たちは今は後のことは

 気にしないで行こう・・・」

 

やや尻込みしている順平をよそに

湊と真琴は落ち着くように迫りくる敵を

 

迎え撃たんとする

 

敵は土煙を上げて

ゆっくりと近付いていく

 

「それじゃあ二人とも行くよ!」

 

「ほら!

 

 やるよ順平!!」

 

「お、おう!」

 

と三人は

召喚器を突きつける

 

「「オルフェウス!!」」

 

「ヘルメス!」

 

それぞれのペルソナは

向かってくる敵に向かって

 

炎による攻撃を放っていく

 

すると砂煙の中から

異様な叫び声が響いていき

 

中から巨大な蛇が現れる

 

「これって、蛇!?」

 

「花蛇蜥蜴ね・・・」

 

現れた花蛇蜥蜴は

科弁のような頭部を開いて

 

中から人の顔のようなものをのぞかせる

 

「なんじゃこりゃ!?」

 

あまりの変わりように

順平も驚きを隠せない

 

「あの顔が砂蛇蜥蜴の本体よ・・・

 

 奴は人間を襲うときや

 周りを確認するときにあの頭部を開くの

 

 まずはあいつをかく乱させて

 こっちの位置を探らせていく

 

 後は頭部を開いたときに攻撃を!」

 

有紀は周りに

そうアドバイスを告げる

 

すると

 

花蛇蜥蜴は

花弁状の頭部を再び閉じて

 

蛇のように舌を

出したり引っ込めたりして

 

再び地面に潜っていく

 

「うおっと!?

 

 地面にもぐっちまったぞ」

 

「慌てないで

 

 花蛇蜥蜴は

 深くは潜れないはず

 

 だから地面が不自然に動くところを狙って!」

 

と三人と有紀は

周りを見る

 

「・・・不自然にって・・・・

 

 別にそんなとこ・・・・」

 

順平はつぶやく

 

すると

 

「っ!?

 

 順平後ろ!」

 

「えっ!?」

 

と順平後ろから巨大な影が迫り

今にも襲い掛からんとしていた

 

だがそこを

 

「オルフェウス!」

 

真琴の出したオルフェウスは

手に持っている竪琴を振るって

 

花蛇蜥蜴に一撃を与える

 

「大丈夫!?」

 

「お、おう・・・・」

 

真琴によられて

ややあやふやになる順平

 

『二人とも!

 

 敵はまだ健在だ!!』

 

風花のナビ越しに

美鶴が呼びかける

 

すると敵は再び

地面の方から二人の方に向かっていき

 

勢いよく地面から現れて

二人に襲い掛からんとしていく

 

「うおおお!?」

 

「く・・・っ!」

 

花蛇蜥蜴は

科弁のような頭部を開いて

 

二人に襲い掛からんとしていた

 

だがそこに

オルフェウスが

 

竪琴を勢いよくたたきつける

 

「オルフェウス!」

 

湊がそう叫ぶと

オルフェウスは竪琴を引き

 

花蛇蜥蜴に

炎を浴びせていく

 

花蛇蜥蜴は

身体から炎を上げながら

 

大きくのたうち回っていき

 

「てやああああ!!!」

 

湊は剣を手に

花蛇蜥蜴に勢いよく切りかかる

 

科弁の中にある頭部を

真っ二つに切り裂かれたことによって

 

不気味な断末魔の声を上げて

その場に倒れこむ花蛇蜥蜴

 

「はあ・・・

 

 はあ・・・」

 

激しく息を切らす湊

 

すると花蛇蜥蜴の体から

黒い霧のようなものが噴き出したと思うと

 

それが花蛇蜥蜴の体を包み込むように

花蛇蜥蜴は黒い霧のようになって霧散していく

 

「す、すげえ・・・・」

 

「さっすが湊!」

 

二人は彼の方に行く、すると

 

「出る幕はなかったようだな・・・・」

 

「さすがリーダー」

 

助力のために待機していた明彦と天田が

駆け寄ってきた

 

「それにしても・・

 

 何だか不気味な敵でしたね」

 

「まったく

 

 俺が出るまでもない相手などつまらん

 

 もっと張り合いのある敵はいないのか・・・・」

 

「それよりも

 もう一方の方は・・・

 

 風花、美鶴先輩!」

 

湊は二人に聞く

 

『こっちとは

 別の敵だったようですが・・・

 

 すでに倒しているという報告が

 上がっています・・・』

 

『ともかくこれで

 里に迫ってくる敵は一掃した

 と言うのようだな・・・』

 

「ようし!

 

 ならば次はいよいよ

 敵の本拠地だな」

 

明彦は指を鳴らしながら言う

 

「真田さん・・・

 

 それもいいですけど

 まずは敵の出方を見ないと・・・

 

 いくらなんでも敵が

 里を襲うのに花蛇蜥蜴一体だけなんて・・・

 

 いくらなんでも浅はかすぎ」

 

「そうね・・・

 

 私たちがここにいるのかどうかを

 敵側が知っても知らなくても

 

 マモノを一体だけ繰り出すなんて・・・

 

 少なくとも里を攻め落とすなら

 もう複数向かわせると思うけれど・・・」

 

有紀の言葉に真琴も同意する

 

「まさか・・・

 

 敵はもう里の方に」

 

湊はそう予想する

 

すると

 

『リーダー!

 

 皆さん!!

 

 戻ってきてください!!!』

 

風花が慌てて通信を入れてきた

 

『里が今襲撃されている・・・

 

 私たちで応戦しているが

 まずいことになってる・・・』

 

「どういうことっすか!?」

 

通信の様子から

タダならない様子であると

 

『とにかく戻ってきてくれ・・・

 

 我々だけでは・・・

 

 うわああああ!!!』

 

「っ!?

 

 急いで戻ろう!」

 

湊と真琴、順平

サポートに来ていた明彦、有紀も

急いで戻っていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たして何が待っているのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




真なる襲撃

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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3,Shark's desert

土を泳ぐ魚

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


里の南側においては

 

悠と雪子、由奈

 

暁と杏と真、当夜

 

以上の七人は

向かっていく敵と対峙している

 

「意外に迫ってきてるな・・」

 

「なんだかまるで

 鮫さんみたいだね・・・

 

 砂の中を泳いで進んでるみたいに・・・」

 

悠と雪子がそんなことをつぶやくと

 

「なるほど・・

 

 もしかしたらそれは

 いい線を言ってるかもしれませんね・・」

 

由奈が言う

 

「ひょっとしてこのマモノは

 砂の中を掘り進んでるんじゃなくって・・・

 

 泳いでるってことか」

 

「とにかく

 

 引きずり出すよ!」

 

杏がそう言うと

暁と真も構える

 

するっと服装が変わり

顔にはそれぞれ形状の違う仮面がつけられる

 

「わっ

 

 服装が変わった・・・」

 

「ひょっとしてそれって・・

 

 君たちのペルソナの力なのか?」

 

「ああ、そういえば

 詳しく教えてなかったな・・・・」

 

「これは簡潔に言えば

 私たちの反逆の意思の表れってとこかしらね・・」

 

「まあ詳しい話は後にして

 とにかく敵を迎え撃つわよ!」

 

と七人は迎えていく

 

「(雪子さんの言う通り

  敵がもし地面を泳いでいるとするなら・・

 

  念のために私も控えておきましょうか・・)」

 

由奈はこっそりと

聖槍をゆっくりとおろしていく

 

そして砂煙はもう間近に迫ってきている

 

『先輩!

 

 そろそろ始めよう』

 

『ジョーカー

 

 頼りにしてるぜ』

 

ナビの二人が

それぞれのリーダーに声をかけると

 

一同はペルソナを出していく

 

「コノハナサクヤ!」

 

「カルメン!」

 

まずは雪子と杏のペルソナが前に出て

炎による攻撃を砂煙の方に放っていく

 

「ヨハンナ!」

 

真もペルソナにまたがって

熱を出して二人の攻撃に威力を引き出していく

 

すると砂の中から

巨大な突き出た頭部をもつ

 

鮫のような怪物が現れた

 

「土鮫か・・・

 

 まずい!」

 

「え?」

 

当夜の言葉にジョーカーは反応すると

土鮫と呼ばれたマモノはなんと

 

口から水のような攻撃を吐き出してきた

 

「あぶねえ!」

 

当夜は前に出て

羽織っている布のようなものを翻し

 

攻撃をはじいていく

 

「悪い!

 

 俺らの判断ミスだ・・・

 

 まさか土鮫を出してくるなんてな・・・」

 

「どういうこと・・・?」

 

真は当夜に聞くと代わりに

由奈が答えていく

 

「土鮫は土と水の二つの属性を持っているんです

 

 土には炎は効きますが

 炎が効きにくい水の属性が

 ダメージを軽減させてしまうんです」

 

「それじゃあ・・・

 

 私たちの攻撃は効いていないってこと!?」

 

「来るぞ!」

 

土鮫はうろたえる一同に

鋭い牙の並んだ巨大な口を開いて

 

一同に襲い掛かっていく

 

「おりゃあああ!!!」

 

当夜は剣をもって

土鮫の口の中に飛び込んでいく

 

その口の中から

剣を横一閃で切り裂く

 

土鮫は体を大きくのけぞらせて

砂の中へと引っ込んでいく

 

「やった!」

 

「いや、混乱してるだけだ

 

 すぐに出てくるぞ!」

 

当夜は急いで一同の方へと戻っていく

 

「(土鮫は音を察知して

  こっちの位置を探ってる・・

 

  逆にそれを利用すれば・・)」

 

由奈はそう言って

手のひらから風を起こし

 

それを何もない地面に放つ

 

「何を?」

 

「しっ・・」

 

するとその場所から

砂埃が上がると

 

そこから大口を開けて

土鮫が飛び出してきた

 

「当夜!」

 

「よっしゃ!

 

 てやあああ!!!」

 

当夜が勢いよく飛び出していき

土鮫に勢いよく切り込んでいく

 

土鮫は首を裂かれて

身体と頭部が切り離されて

地面に落ちていく

 

土鮫はその後も

しばらくのたうち回っていたが

 

徐々に動きが鈍くなっていき

 

動かなくなっていった

 

やがて土鮫の体から

黒い霧状の者が噴き出して

 

それが土鮫を包み込んでいき

 

黒い霧となって

その霧は霧散した

 

「やった・・・・のか・・!?」

 

「ふう・・・」

 

それぞれ体を落とす一同であった

 

「それにしても・・・・

 

 なんであのマモノは

 あんな何でもないところに?」

 

パンサーは聞いてきた

 

「音だよ」

 

「音・・・・?」

 

「そっか!」

 

「なるほど・・・」

 

当夜は返答するが

 

理解の追いつかないパンサーを差し置いて

雪子とクイーンは納得するようにうなづく

 

「なるほどな

 

 土鮫は地面の中から

 音を感知してこっちの様子を

 探っていたんだな・・・」

 

「だからあえて何もないところを攻撃して

 敵がそこに襲い掛かるように仕組んだわけだな」

 

「そういうこと

 

 土鮫は鮫だから

 

 聴覚に優れてるからな・・・」

 

それを聞いて納得する一同

 

「ですがどうにも腑に落ちませんね・・」

 

「確かにそうだよな・・・」

 

「何がだ?」

 

由奈と当夜のつぶやきに一同は

聞く耳を持つ面々

 

「どうしてここには

 土鮫が一匹しかいないのか・・・

 

 普通マモノを使って

 攻め滅ぼすんならもっとたくさん

 向かわせた方が効率がいいはずだろ

 

 なんだかまるでこっちの戦力を

 削っていくように・・・」

 

当夜がそこまで言うと

 

そこに通信が入ってきた

 

『先輩!

 

 大変!!

 

 里が襲われてる!!!』

 

その通信に一同は驚愕する

 

「なるほど・・

 

 これは戦力を分断させるための

 陽動作戦だったということか・・」

 

「急いで戻らないと・・

 

 状況を伝えられますか!?」

 

『それがなんか雰囲気が・・

 

 前に戦った命令の大総裁と

 似てるような感じで・・

 

 ひょっとしてあれって・・』

 

ナビの報告に

当夜は驚愕の表情を浮かべていく

 

「まさか・・・

 

 罪徒か!?」

 

「え!?」

 

当夜の言葉に

その場にいた一同が唖然とする

 

「急いで戻るぞ!

 

 今残ってるやつだと

 まずいかもしれねえ・・・」

 

「くっ・・・」

 

と七人は急いで里に戻っていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らを待ち受けるものとは・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




真なる襲撃

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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4、防衛線~Line of defense

強敵の降臨

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


炎を扱える者たちが

里に向かっていくマモノたちを

迎え撃つために出撃し

 

バックアップ組は

戦闘に入ったことを一同に伝える

 

残りの面々は

待機をしていた

 

「有里君、結城さん達

 

 先頭に入りました・・・」

 

「先輩たちの方も戦闘に入ったみたい」

 

「でも見た感じ

 アタシらの出番は

 なさそうだけどね・・」

 

ナビゲート組は状況を

待機組に伝えていく

 

「あれ?

 

 りせちゃんと双葉ちゃんって

 銃は使わないの?」

 

ゆかりはふいに聞く

 

「銃・・?」

 

「銃だったら

 ほかの奴はもってるぞ

 

 私は前線に出ないから

 持ってないけど・・」

 

りせと双葉、もといナビは答えた

 

「違う

 

 銃型の召喚器のことだ・・・」

 

「俺達は召喚器を突きつけて

 自分の意思で引き金を引くことによって

 

 ペルソナを引き出すことができる」

 

美鶴と明彦が説明していく

 

「なんだかこえーな・・・・」

 

「自分の死を

 強く意識するためだ

 

 そしてその死への恐怖に打ち克ち

 自分の意思で引き金を引くことで

 俺達は自分たちの内にいるペルソナを引きずり出すことが

 できるというわけだ」

 

「へ、へえ・・」

 

やや理解の追いつかない千枝は

やや間の抜けた返事で返す

 

「なんだかそれぞれのペルソナ能力って

 色々と変わってるのな・・」

 

「そういう双葉ちゃんこそ変わってるじゃん

 

 ほかの人たちもそうだけれど

 いつの間にか服装変わってるもん」

 

りせがナビの姿になった双葉を見て言う

 

「ワガハイたちのペルソナは

 いうなれば反逆の意思の表れだ

 

 ワガハイもこいつらもその意思を示して

 自分の意思で仮面をはがすことでペルソナの力を

 扱うことができる

 

 服装もその意思の表れってことさ」

 

モナがざっくりろ説明していく

 

「やっぱり私たちのペルソナ能力と

 それぞれ違うんだね・・・」

 

「でも今私たちはこうして

 力を合わせて戦おうとしている

 

 目的はともに同じなんだ

 

 いまするべきことは

 元の世界に戻ること

 

 そのことを踏まえて行動に移していこう」

 

美鶴の一言に

一同はうなづいた

 

「敵はそれぞれマモノが一体・・・

 

 いずれも巨大で

 里を襲えばひとたまりもないほどです

 

 ですがこの様子ならすぐにすみそうですね」

 

「こっちもね

 

 はっきり言って

 私たちの出番がない気がするな」

 

りせはそう言ってややぐだっと姿勢を崩す

 

「ね、ねえ・・」

 

だがナビのみは

何やら妙なことを口ずさむ

 

「どうしたナビ?」

 

「なんか里の下の方から

 感じるんだ・・

 

 大きくて・・

 

 そのうえとても強力な・・」

 

すると里から地響きが起こっていく

 

「な、なんだ!?」

 

「うおおお!?」

 

するとその地面から

何やら巨大な何かが伸びてきて

 

それが里の建物に複雑に絡み合っていき

瞬く間に包み込んでいく

 

「これは!?」

 

「っ!?

 

 皆さん気を付けてください!

 

 大きな力が姿を見せようとしています」

 

すると地面が大きく盛り上がり

そこから一人の少女が現れる

 

「フフフフ・・・」

 

だがその笑みは決して

優しいものではないことは

 

誰もが察した

 

「あれはもしや・・・」

 

「罪徒、か・・・・」

 

一同はその目の前の人物の身なりから

それが何なのかも予想していた

 

「まったく・・・

 

 いくら新人だからって

 こんな辺鄙な里に飛ばされるなんて

 

 私もついてないな・・・」

 

そう言って辺りを見回すと

待機組の方に気が付いた

 

「私は増殖の大伯爵・・・

 

 このエリアHは私たち

 試練の軍勢が制圧する・・・」

 

するとその少女は

何やら植物の蔓のようなものを

 

背中から広げるように伸ばしていく

 

するとその翼から

花が咲いていき

 

その花びらが散って

そこから実がなっていき

 

するとなんと

そこからたくさんの人型の怪物が

 

発生していく

 

「これはほんのご挨拶・・・

 

 行くがいい私の兵隊たち!」

 

その人型は目につく人々に

襲い掛かっていく

 

「どうなってんだこれ!?」

 

「なるほど!

 

 そういうことか・・・」

 

直斗が敵の思惑に気づく

 

「マモノを里に向かわせたのは

 この里にいる戦力を少しでも減らすための

 

 いわば陽動だったんです!

 

 本命はそのすきに里を襲って

 制圧することが狙い・・・」

 

「まずい・・・

 

 当夜達は討伐のために

 全員が向かっている!

 

 この場にいるのは私たちだけだ・・・」

 

「だったらやるしかない

 

 山岸たちはリーダーたちに

 このことを伝えてくれ・・・・」

 

明彦は出ていこうとすると

 

「待って!

 

 どうするつもり!?」

 

「決まっているだろう!

 

 あいつを倒す!!

 

 倒すことはできなくとも

 せめて当夜達が戻ってくるまでには

 食い止めるさ」

 

明彦は答える

 

「そうだな・・・

 

 どのみちこのまま

 黙ってみてんのは性に合わねえし・・・」

 

「せめてワガハイたちも

 できる限りのことをやろう」

 

「そうだな

 

 せめて被害を抑えよう!」

 

と怪盗団の面々は

敵のもとに向かっていく

 

「そうだな・・・・

 

 この里の人たちには

 世話になってるし」

 

「感じるままに行こう!」

 

「ここで黙ってみてるなんざ

 漢が廃るぜ!」

 

調査隊の面々も出撃する

 

「あいつらはもういったぞ・・・・

 

 お前はどうする?」

 

「・・・・そうだな

 

 確かに私たちにはやるべきことはある

 

 だがそれとこの里の襲撃を黙ってみているのは別問題だ!」

 

「だったら早速行くか・・・・・

 

 せめてあいつらが戻ってくるまでにはな」

 

SEESも出撃

 

こうしてペルソナ使いによる

防衛戦が展開されていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「行くよ、イオ!」

 

里に赴いた一同は

里に散らばっていく敵を一掃していく

 

「ポリデュークス!」

 

明彦はペルソナとともに

敵の大群の中に突っ込んでいき

 

得意のボクシングで

蹴散らしていく

 

「パラディオン!」

 

アイギスはパラディオンを

敵のん赤に突っ込ませていき

 

敵を次々と貫き倒していく

 

「ネメシス!」

 

天田はネメシスを出し

その光の力で敵を霧散していく

 

「カストール!」

 

荒垣もカストールを出し

攻撃で敵の大群を打ちのめしていく

 

「来い!

 

 ジライヤ!!」

 

陽介もジライヤ出して

敵を吹き飛ばしていく

 

「トモエ!」

 

トモエは敵の大群に

手に持った薙刀を勢いよく振るって

 

一掃していく

 

「タケミカヅチ!」

 

タケミカヅチ果ての大群に取り囲まれつつも

その力を振るって敵をけちらしていく

 

「キントキドウジ!」

 

クマの出したキントキドウジは

手に持っているトマホークミサイルを投げて

 

敵の軍団を一掃していく

 

「スクナヒコナ!」

 

スクナヒコナも手に持った剣で

敵を次々に一掃していく

 

「キャプテンキッド!」

 

スカルも自分のペルソナ

キッドを出して攻撃を繰り出す

 

「意を示せ、ゾロ!」

 

ゾロの繰り出す風が

敵の大群を吹き飛ばしていく

 

「ゴエモン!」

 

フォックスもゴエモンを呼び出して

物理攻撃で敵を蹴散らしていく

 

「ミラディ!」

 

ミラディの銃撃が

敵を一掃していく

 

そして一同は

敵の大群の中心にいる

 

いうなれば本体に当たる

増殖の大伯爵のもとに訪れる

 

増殖の大伯爵は

駆け付けた一同の姿を

確認すると不気味な笑みを浮かべる

 

「ふうん・・・

 

 あなたたちだね

 

 この世界とは

 別の次元の世界から

 現れたと先生の言っていた人間は・・・」

 

手に持っているバトンを

くるくると回しながら話しかける増殖の大伯爵

 

「私たちのこと知ってるの!?」

 

「ええ、あなた方が

 望まずしてこの世界にきたことも

 

 つい先日に命令の大総裁を倒したこともね・・・

 

 私驚いちゃった、伯爵クラスに

 昇格予定だった彼を倒してしまうなんてね・・・

 

 ましてやその得体のしれない力を扱うだけの

 タダの人間に負けるなんてね・・・

 

 ほかの罪徒の反応は

 それぞれだったけど

 

 私は興味を持ったわ・・・

 

 総裁クラスの罪徒を倒した

 その力をぜひとも見せてもらいたいわ」

 

そう言って大伯爵は

背中に広げている木の枝のようなものを広げて

 

そこに花のようなものを咲かせる

 

するとその花びらは散っていき

残った部分は大きく膨れ上がり

 

果実のようになっていく

 

するとそれは大伯爵と同じくらいに

大きくなってそこから突き破るように

 

先ほど自分たちの倒してきた敵が現れていく

 

「おいおいおいおい!?

 

 どういうことだよこれ・・・・」

 

「増殖・・・

 

 そういうことか!?」

 

美鶴は敵の、増殖の大伯爵と言う呼び方の意味に気づく

 

「なるほど・・・

 

 あなたの能力は

 あなた自身と言う存在を

 

 無限に増殖させることのできる能力・・・」

 

「そう・・・

 

 私の能力は無尽蔵・・・

 

 私はこの能力を使って・・・

 

 国を一つ落とした!」

 

と彼女は手に持った警棒を

指揮棒のように一同の方に向けると

 

増殖し現れた兵力は

さらに一同に向かっていく

 

「まずい・・・

 

 このままだと

 消耗戦になる」

 

「このまま長引かせれば

 里の人たちにも被害が出てしまいます・・・」

 

危機を覚える一同

 

「く・・・・

 

 このままだと不利だぜ」

 

「せめて先輩らが

 戻って聞いてくれれば・・・

 

 少しは楽になるかもしれねえけど・・・」

 

変わらず兵隊たちに

戦いを挑んでいくのだが

 

無限に増え続ける兵隊に

一同の気力はもう限界に近くなっていく

 

「悪ぃ・・・

 

 俺もう・・・」

 

「へばるな!

 

 ジョーカーたちも

 こっちに向かっている!!

 

 それまであきらめるな」

 

「だがこのままだと・・・・・

 

 いずれ限界が」

 

フォックスのつぶやき通り

もう一同の気力は限界に近くなっている

 

「くそ・・・・

 

 こんなとこであきらめて

 たまるか!」

 

「あきらめません・・・・

 

 最後まで!」

 

アイギスはそう言って

フルパワーで抵抗していく

 

すると

 

「人間と言うのは本当に

 諦めが悪いのね・・・

 

 さっさとあきらめてまえば

 楽に死ぬことができるのにね!」

 

地面の中から

気が早回しで生えてくるように

現れる増殖の大伯爵

 

「うおっ!?」

 

突然の出現に

驚愕する明彦

 

アイギスは

敵に向かって銃撃を掃射する

 

弾丸は被弾するが

まるで鉄にはじかれるように

弾丸は地面に落ちていく

 

それを見てアイギスは呆然とする

 

大伯爵はそんなアイギスの顔を

ひっぱたき、横に吹っ飛ばす

 

「アイギス!」

 

明彦はそのあとすぐに

首をつかまれて持ち上げられる

 

「お前たち人間など

 私たち人間にとっては

 

 お前たちが何気に殺している

 虫けらと何も変わらない下等生物・・・

 

 そんな下等生物が格下とはいえ

 罪徒を倒すとはね・・・」

 

大伯爵はそうつぶやいて首を絞める力を強める

 

「ぐう・・・・」

 

「だがどんなに

 特別な力を使おうと

 

 所詮は下等な人間・・・

 

 我ら罪徒にかなうはずもない」

 

更に首を締めあげる大伯爵

 

だが順平はそんな大伯爵の腕を

ふり絞った力でつかむ

 

「・・・悪いが・・・・

 

 俺達は元の世界で

 やらなきゃいけないことがあるんだ・・・・

 

 こんなとこで死ぬわけには・・・・」

 

と召喚器をこめかみに当て

 

「行かないんだぁ!」

 

引き金を引くと

ポリデュークスが現れて

 

増殖の大伯爵に向かっていく

 

だがポリデュークスは

大伯爵の背中から伸びた

枝のようなものに絡まれて

 

動きを封じられてしまう

 

「ポリデュ・・・ぐう・・・・!」

 

「真田先輩!」

 

ゆかりも召喚器を構えるが

 

地面から伸びた根のようなものが

ゆかりの足に絡みついて地面に引きずっていく

 

「きゃあああ!!!」

 

「岳羽!」

 

美鶴も召喚器を構え

引き金を引く

 

ペンテシレアが剣を振るって

冷気を発生させていく

 

すると

 

辺りに発生していた

枝や根のような物体が氷漬けにされていく

 

紫の足に絡みついていた根も

ヘルメスをとらえていた枝も氷におおわれていく

 

「ぐう・・・」

 

だが美鶴も

気力がぎりぎりだったので

 

つらそうに体をふらつかせた

 

「桐条先輩!」

 

「イオ!」

 

ゆかりはこの間に

召喚器を突きつけて引き金を引く

 

イオが現れ

 

イオの起こした風が

枝からポリデュークスを解放する

 

だがぽりでゅーくすはその場から消えてしまった

 

「真田先輩!」

 

明彦の方は

必死に抵抗するが

 

段々と意識が遠のいているのか

抵抗ができなくなってきているのが

 

見てわかる

 

「まずはこの小僧から

 見せしめにしてあげる・・・」

 

だがそこに

 

ジライヤとトモエが

増殖の大伯爵に突撃をする

 

「おおおお!?」

 

吹っ飛ばされる大伯爵

 

「悪いな

 

 俺達のことも

 忘れんなよ!」

 

「そういうこと!」

 

陽介と千枝も

息切れを起こしながら

 

反撃していくのだった

 

増殖の大伯爵は地面に接触すると

とてつもない砂煙を上げて姿をくらます

 

「気を付けろ!

 

 地面から来るぞ!!」

 

美鶴の言葉に

陽介と千枝は辺りを見回していく

 

「巽君!」

 

「え・・・?

 

 ぬおおお!?」

 

完二の足元が

勢いよく抜けて

 

彼は地面に引きずり込まれる

 

「人間というのは

 先入観をついていいけば

 

 たやすくふいをつくことができる

 

 まったくなんとももろい生き物だ!」

 

「くそ・・・

 

 姑息な真似

 しやがって・・・

 

 おりゃあああ!!!」

 

完二は手に持っていた楯を

下に勢いよく振るうが

 

どうやらそこに増殖の大伯爵の姿は

ないようであり手ごたえを感じない

 

するとあたりから

ごごごごと地響きが聞こえていく

 

「あわわ・・」

 

クマはどこから攻めてくるかわからない

その恐怖から辺りを見回しつつ体を震わせていく

 

すると少し離れていったところから

地面から生えてくる植物のようにその体を

地上に露出させていく増殖の大伯爵

 

「まったく

 

 どうしてそんなにまでして

 こんな無駄なことをしていくのかな?

 

 勝てないっていうのがわからないなんて

 本当に人間って愚かで弱い生き物だよね・・・」

 

めんどくさそうにつぶやく増殖の大伯爵

 

「おとなしく殺されれば

 無駄に苦しまずに済むというのに・・・」

 

「そんなの嫌クマ!

 

 クマたちは生きて

 元の世界に戻るんだクマ!!

 

 勝手に決めないでほしいクマ」

 

クマは驚きながらも

強気に出ていく

 

「だったら生きてみなさい!

 

 この私の力に少しでも

 抗えるというのならね!!」

 

と再び二体の兵隊を呼び出して

クマに向かわせていく

 

「キントキドウジ!」

 

クマは自身のペルソナを呼び出すが

 

気力が限界だったことも手伝って

キントキドウジにノイズが入るように

 

存在が不安定になっている

 

そこに突っ込む二体の兵隊

 

だがその二体の兵隊に

突っ込んでいく影が

 

二体一気に切り込んでいくのであった

 

その切り込んだ相手と言うのは

 

「クマ君!」

 

直斗のペルソナ

 

スクナヒコナであった

 

「まずい・・・

 

 せめて敵の能力を

 防ぐことができれば・・・」

 

直斗は増殖の大伯爵をじっと見る

 

「(普通に考えると

  あの翼をどうにかできれば

 

  おそらく奴はもう兵を呼び出せない・・・

 

  しかしそのためには

  もっと奴に接近しないと・・・)」

 

直斗は敵の広げている枝状のそれに注目する

 

敵の兵隊はその部分から

目が出て花が咲き果実となって

 

兵を生み出しているというもの

 

単純に考えれば

その部分を落とせばいい

 

「(やるしかない!)」

 

直斗は銃を手にもって

攻撃を仕掛けていく

 

だが直斗の持っている銃では

敵の枝に当てることはできても

 

落とすまでには至らない

 

「蚊がさした程度だね・・・

 

 そんなので私を討てると

 本気で思ってるのかな!?」

 

と手に持っているバトンを

警棒のように伸ばして振るう

 

「く・・・」

 

直斗はそれに気づくも

敵の動きの方が圧倒的に早い

 

「ミラディ!」

 

するとそこに

激しい銃撃が大伯爵の体に炸裂していく

 

「大丈夫!?」

 

ノワールがそう言って

直斗のもとに駆け寄ってきた

 

「この・・・・」

 

ノワールは手に持っている斧を

勢いよく増殖の大伯爵に向かって振り上げた

 

だが大伯爵はその斧を

バトンで何と斧の側面をあてて

 

何と軌道をそらしてしまう

 

「きゃ!」

 

その反動で体勢を崩してしまうノワール

そんな彼女に向かっていく増殖の大伯爵

 

「キッド!」

 

するとそこにキャプテンキッドが

大伯爵に突っ込んでいくが

 

大伯爵の広げた

枝状の物体に衝撃を止められてしまい

 

更にとらえられてしまう

 

「クソが・・・」

 

スカルは自身のペルソナの受けた

ダメージの反動で苦い顔をして膝をついた

 

「スカル!」

 

そこにゾロが現れて

剣の一振りで起こした風が

 

キッドをとらえていた枝状の物体を

切り裂いていき、キッドの解放に成功する

 

「助かったぜモナ」

 

「油断するな!

 

 敵はまだ健在だぞ」

 

モナはスカルに注意すると

大伯爵は再び兵隊を繰り出していく

 

だがその兵隊は氷に包まれて

動きを止めていく

 

「ジョーカーたちが

 戻ってくるまで・・・・・

 

 何としても持ちこたえるぞ!」

 

フォックスは言うが

やがて氷は破られて再び敵が繰り出されていく

 

「ダメ・・・・

 

 このままだと・・・・」

 

ノワールは後ろ向きな言葉をつぶやく

 

一同の様子から

疲れが見え隠れしていく

 

「皆さんの気力も体力も

 もう限界が近いです・・・」

 

「お願い先輩・・

 

 早く来て!」

 

「くっ・・」

 

ナビ組もその様子を見て

焦りが見えていく

 

「人間とはなんとも

 悲しいものだね・・・

 

 すぐ疲れるし

 すぐに倒れるし

 

 すぐに死ぬ・・・」

 

引き切れを起こして満身創痍の一同に

歩み寄ってくる増殖の大伯爵

 

まずはゆかりたちの方に向かっていく

 

「く・・・」

 

「まずは見せしめとして

 貴方をここで殺してあげるね・・・

 

 あなた一人でどうなるのか

 わからないけど死体でもさらしておけば

 ここで無様に倒れている子虫ちゃんたちも

 私たちに立ち向かっていく気力なんてなくして

 しまうでしょうね・・・」

 

とゆかりの服から

彼女をつかみあげては

 

壁にたたきつける

 

「ぐう・・・」

 

「私たち試練の軍勢・・・

 

 いいえ、我ら罪徒に歯向かった

 罪をその命をもって思い知りなさい・・・

 

 それじゃあ・・・」

 

と増殖の大伯爵は手に持ったバトンを

警棒のように伸ばしてそれを高く振り上げる

 

「(そんな・・・

 

  アタシは、こんなところで・・・)」

 

ゆかりは必死に抵抗するが

身体が思うように動かず

 

意識が遠のいていく

 

「(有里君・・・!)」

 

最後に思い浮かべたのは

自分たちのリーダーの顔であった

 

「はああああ!!!」

 

バトンを勢いよく振るう

 

ゆかりは思わず目をつぶる

 

すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「オルフェウス!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

その声が聞こえ

現れたオルフェウスが

 

増殖の大伯爵に激突する

 

「え・・・」

 

そこに駆けつけてきたのは

 

「ゆかり!」

 

「みんな大丈夫!?」

 

湊と真琴、さらに

 

「ヘルメス!」

 

順平はヘルメスを繰り出して

大伯爵に体当たりを仕掛けていく

 

「ヒーロー見参!」

 

「風花に言われて

 急いで駆け付けてきたんだ

 

 でも遠くて思った以上に

 時間がかかっちゃって・・・

 

 ごめん・・・」

 

座り込むように倒れるゆかりに

申し訳なさそうにつぶやく湊

 

「いいよ・・・

 

 君はちゃんと来てくれたから・・・」

 

ゆかりは力はないが

笑みを浮かべてかえした

 

「あとは私たちに任せて

 みんなは休んでて!」

 

真琴も続けて言う

 

「へっへー

 

 まあ無理しないで

 休んでなって

 

 行こうぜ二人とも!」

 

「うん!」

 

「おー!」

 

と三人は前に出ていく

 

「増援か・・・

 

 しかし子虫が

 三人増えたところで

 

 状況がひっくり返るものか・・・!」

 

すると

 

「三人だけじゃない!」

 

そこにさらに特攻で

突っ込んできたのは

 

イザナギであった

 

「俺達も来たぜ!」

 

「お待たせ!」

 

「待たせたな」

 

「ふう・・・・

 

 何とか間に合ったみたいね」

 

「あとは任せて!」

 

これで討伐に向かっていた一同が全員集まった

 

「フフフフ・・・

 

 ハハハハ・・・

 

 あーっはっはっはっはっ!!!

 

 子虫がいくら増えようと

 結果は同じ、それがわからずに

 

 喜んでる愚か者どもめ!」

 

そう言って増殖の大伯爵は

手に持ってるバトンを警棒のように伸ばして

 

それを上に突き上げると

 

「あれは・・・!?」

 

湊の言葉とともに

一同は構えていく

 

この動作には見覚えがあるからである

 

そうそれは

 

「フフフフ・・・

 

 ハハハハ・・・

 

 あーっはっはっはっはっ!!!」

 

バトンから黒いオーラが

翼を広げるように噴出していく

 

そのオーラに包み込まれていく増殖の大伯爵

 

そのオーラは放出されると

増殖の大伯爵は容姿を変えて現れる

 

頭部には植物の雌蕊のような角がが生え

背中からは枝のようなもののほかに植物の葉のような翼が

 

四対八枚広がっており

 

その手からは枝の先のような爪を携えていた

 

「おいおいおい

 

 なんかやばくねえか!?」

 

「姿が変わった・・・

 

 これって確か・・・」

 

「うん

 

 命令の大総裁が

 使ったのとおんなじ・・・・」

 

「く・・・

 

 まさかまだこの能力を

 残してるなんて・・・」

 

身構える一同

 

「フフフフ・・・

 

 似合うかしら?

 

 貴方達を絶望へといざなうに

 ふさわしい姿だと思わない?」

 

すると

 

増殖の大伯爵の背中から

何かがうごめいていく

 

「あれは・・」

 

それはまるで

植物の根のように

 

枝分かれしている形状の尾である

 

その内の一本を地面に突き刺すと

その一本から黒いオーラ状のエネルギーが

 

大伯爵のもとに吸い上げられていく

 

すると大伯爵の背中から

伸びている枝のようなそれから

 

またしても兵隊が生み出されていく

 

しかも今度は解放前の姿だが

増殖の大伯爵である

 

「うそでしょ・・・」

 

「まだこんな能力を持ってたなんて・・」

 

ゆかりと乾があまりの光景に思わずつぶやく

 

「まだだ

 

 あいつらを見ろ・・・・」

 

明彦はふいに

対峙している者たちの方を見る

 

「彼らはまだあきらめていない・・・

 

 私たちはまだここで

 あきらめるわけにはいかない

 

 今の彼らのようにな」

 

美鶴も続けて言う

 

彼らは増殖の大伯爵の更なる姿を前にしても

決して臆するようには見えない

 

「ほう

 

 人間のくせに

 この私の姿を前にして

 

 どうして変わらずに立ち続けるのか・・・・

 

 まったく力の差もわからぬほどの

 大バカ者だな」

 

「確かに君は強い

 

 でもそんなのは大したことじゃない」

 

「私たちはこんなところで

 立ち止まっているわけにはいかないの!」

 

湊と真琴が言う

 

「力の差がわからない大バカ者か・・

 

 確かにそうなのかもしれない・・

 

 でもだからってあきらめるわけにはいかない!」

 

悠も言う

 

「最後まであきらめずに向かっていく

 これもまた人間の力だ!」

 

暁の言葉を皮切りに

 

「「「「ペルソナ!!!!」」」」

 

四人のペルソナが

一斉に向かっていった

 

「ぬう!」

 

両腕の爪を

武器のバトンの時のように

警棒を伸ばすかのように伸縮させ

 

それで空を切ると

呼び出していた二体の分身が

 

四体のペルソナに向かっていく

 

その二体の分身を

イザナギとアルセーヌが引き受け

 

二体のオルフェウスが

一斉に増殖の大伯爵へと向かっていく

 

「この程度の力で

 この私を倒せるか!」

 

と爪を振るって応戦する増殖の大伯爵

 

二体のオルフェウスは

持っている竪琴で敵の一撃を受ける

 

「うおおおお!!!」

 

「はあああ!!!」

 

そこに湊と真琴が

突っ込んでいき

 

それぞれが手に持っている武器で

大伯爵の体に切り込んでいく

 

「この・・・

 

 子虫風情が生意気な真似を・・・」

 

攻撃をうけて

身体を抑えていた大伯爵

 

すると両手を広げ

蔓のようになった指を

 

伸ばしていき

巨大な爪を持った腕になる

 

「気を付けて!」

 

「湊の方もね!」

 

その巨大な腕を

大きくふるって向かっていく

増殖の大伯爵の猛攻を冷静に見切って

 

その猛攻をかわしていく

 

「はああああ!!!」

 

湊は大振りの一瞬の隙を狙って

そこに剣による一撃を振るっていく

 

だが敵の方も

その動きを予測し

 

湊の体をつかみかかる

 

「子虫は速さだけはあるようだが

 見切れぬほどではない」

 

「そうみたいだね・・・

 

 でも!」

 

すると後ろから

とてつもない衝撃が

 

増殖の大伯爵に加わり

大きくふっとばされていく

 

「へっへー

 

 俺っちらもいること

 忘れるなよ!」

 

攻撃を加えたのは

順平のペルソナのヘルメスであった

 

「ぬう・・・」

 

一方、分身と対峙していた悠とイザナギ

 

防戦一方の悠

 

だがその時

分身のもとから炎が突然

 

吹きあがっていく

 

「無茶をしないで!

 

 私たちもいるんだから」

 

「すまない雪子」

 

炎を繰り出したのは雪子のコノハナサクヤだった

 

雪子は炎を繰り出して

悠のサポートをしていく

 

一方のジョーカーとアルセーヌのほうも

同じように決定打を与えられるような

 

攻撃が与えられていない

 

そこに炎と熱による攻撃が放たれていく

 

「大丈夫!?」

 

「ここからは

 私たちも行くよ!」

 

クイーンとパンサーも

戦闘に加わり、ジョーカーのサポートを

 

行っていく

 

「子虫風情が・・・」

 

分身たちの方は

サポートが入ってきたことにより

 

形勢を逆転されて行っている

 

「イザナギ!」

 

イザナギは

手に持った武器をもって

 

分身を真っ二つに切り裂く

 

切り裂かれた分身は

熟した果物のようにつぶれてしまうのだった

 

「アルセーヌ!」

 

ジョーカーの方も

アルセーヌに攻撃を仕掛けさせて

 

自分は後ろに回っていく

 

分身はそれに気が付き

攻撃を繰り出そうとしたが

 

そこにパンサーの追撃が入って

行動を邪魔されてしまう

 

「はあ!」

 

ジョーカーは分身の上に

駆け上がって頭部にナイフを突き立てる

 

「ぐああああー!!!」

 

「はああーー!!!!!」

 

頭部を裂かれる分身

 

同じように熟した果物のように

つぶれ去ってしまうのであった

 

「どうやら

 分身の方はうまく倒したみたいだね」

 

「よし!

 

 湊!!

 

 私たちも本気で行かないと!!!」

 

と二人ももう一度構えていく

 

「調子に乗るなああああ!!!」

 

増殖の大伯爵は

背中に広げた翼とは別に

 

枝上の物を伸ばしていく

 

「この私に

 

 我らが罪徒に歯向かうものに

 私の恐ろしさをじっくりと味合わせてやる!」

 

増殖の大伯爵は怒りを表すように

枝をさらに伸ばしていく

 

その枝はまるで槍のように先がとがっていき

一同に向かって突き出されていく

 

「まずい・・・!」

 

「ぐう・・・」

 

その攻撃に

湊と真琴は武器を使って

 

いなしていきつつ猛攻をかわしていく

 

「忘れるなよ

 

 私の力がどのようなものなのかを!」

 

するとその枝からいくつもの

果実のようなものが付いて

 

そこからまた増殖の大伯爵そっくりの

分身が現れ襲い掛かっていく

 

「ぐう・・・」

 

現れた兵隊たちの猛攻に

押され始めていく二人

 

「我らに歯向かうことの愚かしさを

 思い知るがいい!

 

 消えろ・・・」

 

と分身は武器を高くにあげて

二人に振りかざそうとする

 

とそこに

 

分身が十字に

切り裂かれて熟した果実のように

 

つぶれてしまった

 

「うん!?」

 

驚愕する増殖の大伯爵

 

そこに立っていたのは

 

「やれやれ

 

 聖徒のいる場所に

 攻めてくるとは

 

 大胆なことしやがるな」

 

当夜であった

 

「聖徒!

 

 まさかこんなところに・・・」

 

「罪徒、増殖の大伯爵!

 

 悪いがこれ以上この里を

 襲わせたりなんてさせない!!」

 

当夜はそう言って宣言する

 

「子虫風情が大きな口をたたいて・・・

 

 そういう言葉はこの私を倒してから

 言いなさい!」

 

と植物の葉のような翼を広げて

ラルヴァフィールドを展開した

 

「おいおいおい、これって・・・・」

 

「ラルヴァフィールド・・・」

 

「ってことは・・・・

 

 って、やっぱペルソナが出せない」

 

「でもこの場合

 どうするのかは

 

 命令の大総裁の時に

 実践済みよね」

 

真の言葉に

一同はうなずく

 

「ああ・・・

 

 あの翼を落とす!」

 

と増殖の大伯爵の植物の葉のような翼に狙いをつける

 

「聖徒などこの空間に引き込めば

 子虫と同格・・・

 

 おそるるに足らん!」

 

と両手の枝で構成された

巨大な腕を振るっていく

 

「よっと!」

 

当夜はその一撃をかわし

その巨大な腕を切り裂いて攻撃を

無効化していく

 

「何!?

 

 どうなっている

 

 なぜこの空間で

 聖痕の力を!」

 

「さあな

 

 俺にもよくわかんねえけど・・・

 

 今はどうでもいい!」

 

とそのまま向かっていく当夜

 

「はあああ!!!」

 

当夜は敵が伸ばしていく

槍状にとがらせた枝を巧みにかわしていく

 

「ぬうううう・・・

 

 土よおおおお!!!」

 

地面の土が大きくせりあがっていき

それがとがってドリルのように回転して

 

当夜に向かっていく

 

当夜はその攻撃に圧倒されていく

 

「ぐう・・・」

 

当夜は攻撃をかわしていくものの

どうしても増殖の大伯爵のもとに

 

たどりつくことができない

 

「やはり所詮は子虫・・・

 

 近づけさせなければ

 どうと言うことはない」

 

増殖の大伯爵は

背中に広げた葉のような翼を羽ばたかせて

 

素早く飛び上がって

一気に距離を縮めていく

 

そして再び巨大な腕の

爪を振るって攻撃を仕掛けていく

 

「く・・・」

 

当夜も巨大な腕につかまれないように

素早く移動しつつ巨大な腕を切り裂いて

 

無効化していく

 

「当夜!」

 

「く・・・」

 

そこに由奈と有紀も合流する

 

「ぐう」

 

当夜は意を決して

増殖の大伯爵の懐に

 

入っていき

 

「てやあああ!!!」

 

彼女の胸部に二本合わせた聖剣を突き立てる

 

「この程度の攻撃ぃ!」

 

だが増殖の大伯爵は

その攻撃をはじいていく

 

「ぐう・・・」

 

はじかれて大きく後ろに下がって

体制を保ちつつ着地する

 

「ふはははは!!!

 

 このラルヴァフィールドの中で

 聖徒の力を使えることには驚いたけど

 

 所詮あんたなんて相手にならないということね・・・」

 

と笑みを浮かべて迫っていく

 

「私たちに歯向かったことが

 どれほど愚かしい真似か思い知らせてやる

 

 激しい絶望と後悔の中でな・・・」

 

と翼を通じて

 

枝のようなものを背中から

大きく網目状に広げていき

 

見せつけるようにする

 

だがそんな中でも当夜は

決して強いまなざしを落とすことはなく

変わらずに増殖の大伯爵をにらみつけていく

 

「貴様・・・

 

 私の力が恐ろしくないのか?」

 

「おあいにく

 

 こっちはあんたの力なんて

 目じゃないほどに罪徒の力には

 

 慣れているんだからな・・・」

 

当夜のその言葉に

更に機嫌の悪そうな表情を見せる

 

「お前たちがどれだけあがこうと

 私たち、罪徒にかなうとでも思ってるの?

 

 ちっぽけな子虫の力だけで!」

 

「かなう敵わないじゃねえ・・・

 

 絶対に勝つんだ!

 

 俺はそのためにここに来たんだからな!」

 

当夜はそう言って剣を二つに戻して

両手に構えて大きくふるう

 

すると当夜の体が

光を放ってそれがあたりに広がっていく

 

「こ、これは!?」

 

「エーテルエネルギー・・!?」

 

その様子に敵のみならず

有紀と由奈も驚愕していく

 

「ど、どうなってるの・・・?」

 

ゆかりが驚愕する二人に聞いた

 

「この世界を創造する力

 

 エーテルは本来は

 私たちは扱うことは

 できないけど・・・

 

 彼は自分で自分の

 エーテルを生み出してる・・・」

 

「つまりそれは・・・

 

 彼はこの世界の最後の希望・・・」

 

二人が話す中

 

「ま、まさか貴様は

 元徳神に選ばれしもの・・・」

 

増殖の大伯爵もともに叫ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「稀人!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「稀・・・人・・・・?」

 

「どういうことだよ・・・・」

 

順平も陽介も理解が追い付かなかったが

 

そこに一同に

一枚のカードが降ってくる

 

「こ、これは・・・?」

 

「ひょっとして

 

 ペルソナ・・!?」

 

するとそのカードは

自分たちの胸の中に

 

吸い込まれるように消えてしまった

 

「な、なんだ・・・

 

 何なのだ貴様は!?」

 

増殖の大伯爵はあまりの出来事に

大きくたじろいていく

 

「俺は何者でもない・・・

 

 おれは桐巣 当夜・・・

 

 この暗黒にまみれた世界を

 終わらせるのが俺の夢だ!」

 

当夜は宣言する

 

すると彼の体が光り始めていき

辺りの空間を光に包み込んでいく

 

「彼ってすごいね・・・

 

 こんな状況でもあきらめずに

 立ち向かっている・・・」

 

「私たちも負けてられないね!」

 

「ああ・・

 

 その通りだ!」

 

「俺達だって・・・

 

 まだまだやれる!」

 

とリーダーの四人が

立ち上がるとその体に光が

 

照らし出されていく

 

「く・・・」

 

「こ、これは・・・・」

 

その様子に思わず目を背けてしまう面々

 

「「「「ペルソナ!!!!」」」」

 

四人は叫んで

自分たちのペルソナを

 

それぞれ呼び出していき

 

その攻撃が増殖の大伯爵の枝を

吹っ飛ばして行く

 

「ぐう・・・・」

 

「一緒に行くぜみんな!」

 

当夜の言葉に四人もうなずき

 

自分のペルソナを再び戻す

 

四人のペルソナは大伯爵の四肢を抑える

 

「な、なんと・・・」

 

「お前の罪・・・

 

 俺達が断罪する!

 

 てやあああ!!!」

 

当夜は剣を構えてとびかかっていく

 

そしてその体が勢いよく切り付けられていく

 

「増殖の大伯爵が・・・

 

 この私が・・・

 

 こんな子虫共に・・・

 

 ぐああああ!!!」

 

空中において

大きな音とともに

 

大爆発を起こす

増殖の大伯爵

 

「やった・・・」

 

「おおー!

 

 やったー!!」

 

増殖の大伯爵が破れたことにより

里を包んでいた枝状の物質が

 

段々と枯れるようにして

消えていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

戦いの後

 

一同は宿屋のテラスにおいて介していた

 

「稀人・・・

 

 そんな名前の付いた

 特別な人がいるとは・・・」

 

直斗が当夜を見てまじまじと見つめる

 

「私たちも驚いています

 

 稀人がここに現れるのは

 暗黒の楽園が始まって180年間

 

 一度も確認されていませんから」

 

由奈は言う

 

「考えてみたら妙だったのよね・・・

 

 命令の大総裁の時、当夜

 聖痕開放の時の服装のままだったのに・・・」

 

「俺も気が付かなかったな・・」

 

「僕らはもともとこの世界の住人じゃないし・・・」

 

悠の言葉に、湊は突っ込みを入れる

 

「ですが・・

 

 もしかしたら

 突破口になるかもしれませんね・・」

 

「突破口って?

 

 一体どういうことだよ?」

 

由奈の言葉に陽介が疑問を述べる

 

「前に言ったでしょ?

 

 罪徒の住処である迷宮は

 中はラルヴァエネルギーに満ちてて

 

 中に入ってもエーテル濃度が低いせいで

 私たちは戦えないって・・・

 

 でもエーテルを体から生み出せる存在・・・

 

 稀人と一緒なら

 エーテルフィールドを広げて

 

 その中でなら

 私たちも貴方達も戦える

 

 迷宮を攻略する突破口に

 なるかもしれないってことなのよ・・・」

 

「つまり、当夜と一緒なら

 私たちも戦えるってこと!?」

 

ゆかりが言う

 

「ってことはどういうことなんだ?」

 

「要するにいまこのエリアHを攻略している迷宮はもちろん

 

 今後俺達が向かうべき大罪の迷宮でも

 俺達はペルソナの力を使える・・・・

 

 そういうことだろう」

 

順平の疑問に明彦が答えていく

 

「俺達が元の世界に戻るための鍵かもしれねえ

 罪徒の頂点に君臨する、王クラスの罪徒・・・・

 

 その頂点に立つのが

 六人の皇帝の爵位を持つ

 

 通称、六大皇帝か・・・・」

 

「ってことは

 

 当夜君が一緒だったら

 このエリアもほかの迷宮も

 

 攻略できるってことでしょ!?」

 

と千枝が興奮気味に言うが

 

「それは難しいだろう・・・」

 

それを美鶴がバッサリと切る

 

「確かに彼の近くにいれば

 私たちもペルソナの力を扱える

 

 だがそれはつまり

 彼が一緒でなくてはなりたてない

 

 さっき言っていたように

 迷宮の核である主・・・

 

 迷宮を支配に置いている王・・・

 

 この二つにそれぞれ向かうメンバーが必要だ・・・」

 

美鶴の言葉にはっとする一同

 

「そっか・・・

 

 当夜君は一人しか

 いないから・・・

 

 どっちかは戦えても

 どっちかは戦えなくなる・・・」

 

雪子がその問いに答えるのだった

 

「だったら先に主を攻略して

 次に王を討てば・・・」

 

真は提案するが

 

「難しいですね

 

 王や主にとって

 迷宮はいわば体の一部のようなもの

 

 どちらか一方に偏れば

 その分もう一方には余裕ができてしまう

 

 つまり一方がもう一方のサポートが

 できてしまうということなんです・・

 

 少なくともこの人数でも

 攻略は難しいでしょうね・・」

 

由奈がそう答えた

 

「それじゃあ結局

 振出しに戻っちまうぜ・・・」

 

「それじゃあどうしたらいいの・・・」

 

考える一同

 

すると

 

「・・・方法ならある

 

 俺は二つには分けられないけど

 代わりに二つに分けられるものがある・・・」

 

当夜が言う

 

「二つに分けられるもの?」

 

「それって一体・・」

 

陽介と千枝は恐る恐る聞いていく

 

そして当夜は口を開いていく

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「なるほど・・

 

 確かにそれなら

 当夜がいなくとも

 

 同じ影響を受けられるかもしれませんね・・」

 

「そうね・・・

 

 そんな発想を考え付くなんて

 さすがは当夜よね・・・」

 

由奈と有紀は当夜の案に

感心している

 

「ようし・・・

 

 それではさっそく

 チーム分けをしていこう・・・」

 

「王のもとを目指すものと

 主のもとを目指すもの・・・

 

 二手に分かれないとなりませんからね・・・」

 

「それじゃあさっそく

 作戦会議を始めましょう」

 

と一同は一介に集まるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たして当夜の奇策とは・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




少年の奇策

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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5,Damn the labyrinth

迷宮への突撃

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


里の広場

 

そこに複数人の人物が

集まっている

 

「よっしゃ!

 

 全員装備は

 整えたな・・・

 

 それじゃあさっそく

 昨日選定したグループに

 分かれていくぜ」

 

「王を討つ側と

 主を目指す側

 

 二手に分かれるぞ・・・」

 

美鶴の言葉に

そこに集まっている面々は

 

大きくうなづくのであった

 

「主の方は

 ワガハイたちと由奈で行く

 

 王の方は頼む」

 

怪盗団とSEES、捜査隊のグループに分かれて

 

それぞれに由奈、当夜と有紀が加わっている

 

「試練の軍勢は

 私たちが潜入すると同時に

 

 一気に向かっていく可能性があります・・

 

 先頭になるのは覚悟していてください」

 

「絶対に全員で生きて帰る

 

 これが絶対だ・・・」

 

当夜がそう言うと

一同もうなずく

 

「それじゃあ・・・

 

 行くよ!」

 

と面々は行動を開始していくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「陛下・・・・・・・・

 

 増殖の大伯爵の紋章の

 消滅を確認いたしました

 

 どうやら倒されたのかと」

 

「ふうむ・・・・・・・・・」

 

「どうするつもり?

 

 もしかしたら奴らは

 ここに来るのかもしれませんよ・・・・・・」

 

「ありえんよ

 

 聖徒はエーテルがなければ

 力を発揮することはできない

 

 ここに攻めてくることなどない・・・・・・・・」

 

「だが増殖の大伯爵を

 倒せるほどの相手・・・・・・・・・

 

 どうにも気になるな・・・・・・・・・」

 

「問題ないですよ

 

 あいつは私たちの中で

 一番の新入りで一番弱いし

 

 奴が一人やられた程度で・・・・・・・」

 

「どのみちほおってはおけん

 

 すぐさま戦力の一部を

 増殖の大伯爵に向かわせた

 

 里の方に向かわせるのだ!」

 

「「「「はっ!!!!」」」」

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

迷宮に向かっていく一同

 

すると何かに気づくバックアップ組

 

「どうかした!?」

 

真琴が聞いていく

 

『・・・・何かが来ます

 

 それもかなりの数です!』

 

一同は前方に警戒していくと

そこから何やらうごめいている何がが迫ってきている

 

それは何やら

白色の人型のようなものである

 

「な、何あれ・・・」

 

「ひ、ひょっとしてマモノ!?」

 

「あんなにたくさん!?」

 

一同はその数に思わずたじろいてしまう

 

「いいえ

 

 あれは罪兵・・・

 

 簡潔的に言えば

 兵隊のようなものです

 

 一体一体はマモノより弱いですが

 依り代になるものがあるかぎりほぼ

 無尽蔵に生み出されていく厄介な雑兵です」

 

由奈が説明していく

 

「みんな、迎え撃つぞ!

 

 あれだけの数が攻めてくれば

 襲撃を受けたばかりの里はひとたまりもない・・・」

 

「全部倒していくよ!」

 

SEES組は召喚器と武器を手に

構えていく

 

「俺達ももちろん行くぞ」

 

捜査隊メンバーも眼鏡をかけてスタンバイする

 

「はじめよう」

 

怪盗団の面々も準備に入っていく

 

そして一同は

向かってくる罪兵の大群に

 

一気に向かっていく

 

「「オルフェウス!!」」

 

湊と真琴はともに

オルフェウスを繰り出して

 

兵隊たちを攻撃していく

 

「イオ!」

 

ゆかりはイオを召喚し

その風による攻撃で

敵を次々と吹き飛ばしていく

 

「ヘルメス!」

 

順平もヘルメスを繰り出し

罪兵の大群に突っ込ませていく

 

「ポリデュークス!」

 

明彦もポリデュークスを出して

ともに敵に殴りかかっていく

 

「ペンテシレア!」

 

美鶴も自身のペルソナで

敵を次々と凍らせていく

 

「パラディオン!」

 

アイギスな自身に搭載された

パラディオンを敵に突っ込ませていく

 

コロマルは遠吠えし

ケルベロスを召喚

 

炎による攻撃と

三つの首による噛みつきで

 

敵に攻撃を仕掛ける

 

「ネメシス!」

 

天田もネメシスを繰り出し

電撃と光による攻撃で敵を滅していく

 

「カストール!」

 

荒垣もカストールを出して

敵の大群に攻撃を繰り出していく

 

「やるな・・

 

 だったらこっちも・・

 

 イザナギ!」

 

悠もイザナギを出して

敵に切りかかっていく

 

「俺らも負けてらんねえな

 

 行け、ジライヤ!」

 

ジライヤを出して

敵を次々に吹き飛ばしていく

 

「ようし、アタシもやるよ

 

 トモエ!」

 

千枝もトモエを召喚して

敵を次々と撃破していく

 

「コノハナサクヤ!」

 

雪子もペルソナを召喚して

敵の大群を燃やし尽くしていく

 

「タケミカヅチ!」

 

完二もタケミカヅチを出して

攻撃を繰り出していく

 

「カモーン、キントキドウジ!」

 

クマもペルソナを召喚して

敵を次々に氷漬けにしていく

 

「スクナヒコナ!」

 

直斗もスクナヒコナで応戦していく

 

「あっちもやるな

 

 たまには大胆に行くのも

 悪くはない!

 

 アルセーヌ!!」

 

ジョーカーもアルセーヌを繰り出して

敵の大群に攻撃を加えていく

 

「俺達もやるぞ!

 

 キャプテンキッド!!」

 

スカルもキッドを出して

攻撃を放っていく

 

「踊れ、カルメン!」

 

パンサーもカルメンを召喚して

敵に炎による攻撃を放っていく

 

「ゴエモン!」

 

フォックスも負けじと

攻撃を繰り出していく

 

「ヨハンナ!」

 

クイーンはヨハンナにまたがって

敵の大群の中に突っ込んでいきつつ

 

熱による攻撃を繰り出していく

 

「ミラディ!」

 

ノワールもミラディの放つ

銃撃を使って敵の軍団を

 

次々と撃退していく

 

「行くよ!」

 

有紀も武器である銃から

釘型の弾丸を打ち出していき

 

アクロバティックに飛び回っていきながら

敵の大群を撃破していく

 

「たああああ!!」

 

由奈は槍を振るって

風による斬撃を振るって

 

攻撃を仕掛けていき

 

「はあああ!!!」

 

当夜は剣を振るって

敵の軍団の中に突っ込んでいく

 

大群に囲まれ

攻められていくのだが

 

当夜はその中で

剣を力いっぱい振るっていきながら

 

敵の軍団を切り裂いていく

 

一同の奮闘により敵の数は

大きく激減していき

 

残っている敵の方も

徐々に繊維をそがれて退き始めていく

 

だがそこに一つの影が現れると

 

逃げ始めていく兵隊たちを

背中に生えている翼の一振りで

 

一瞬で一掃してしまうのだった

 

「っ!」

 

その影を感じて上を見上げると

その人物はゆっくりと一同の前に

 

降り立っていく

 

「おやおや・・・・

 

 騒がしいと思ってきてみたら

 見慣れない人間たちがいたものですね・・・・

 

 ずいぶんと人数が集まってるみたいですが

 もした貴方方が先生の言っていた別世界の人間とお見受けいたしますが?」

 

その少女は指が異様に伸びて

その間に幕が張ってあり、親指のような突起がついた翼を

 

ゆっくりとはためかせてつつ口をつぶやく

 

「だ、誰!?」

 

「この感じ・・・

 

 罪徒か・・・」

 

美鶴がそうつぶやくと

 

「その通り

 

 私は試練の王より

 迷宮を警備、管理を務めております

 

 偏福の大公爵と申されるものです・・・・

 

 以後よろしくお見知りおきを」

 

と笑みを浮かべつつ名乗る偏福の公爵

 

「おいおい

 

 さっき現れたばっかりだっていうのに

 いきなりまた現れたってのかよ・・・・」

 

「まさか・・・

 

 私たちがここに向かってくるのを知ってて・・・」

 

「半分正解と言っておきましょう

 

 私は我らが王の命において

 この近辺の警備と管理を務めていると

 先ほど申し立てました・・・・

 

 いうなれば私はこの場所に訪れた

 あなた方を偶然ここで迎え撃たんとしているだけにすぎません・・・・

 

 ですがまあそんなことは私にもあなた方にもどちらにも

 大した問題ではありません・・・・

 

 目下の問題は私にとってあなた方は倒すべき不法侵入者

 あなた方にとって私は倒すべき怨敵・・・・

 

 要はそれだけでございますよ・・・・

 

 ですからここに侵入してきたあなた方を

 ここで始末いたしましたら、あなた方の後ろにある

 人間の里を容赦なく攻め滅ぼさせてもらいます・・・・」

 

と一同の後ろを持っているサーベルで指す偏福の公爵

 

「まあ要するにやるってことだろ

 

 だったらやってやるしかねえだろ!」

 

「そうよ

 

 そのためにここまで来たんだから!」

 

と一同は武器を手にもって迎え撃たんとする

 

「その通り

 

 それが正解ですよ・・・・

 

 普通の相手ならばね・・・・

 

 ですが私は人間などと言う

 無力で下等な生き物とはわけが違う

 

 罪徒・・・・

 

 普通の相手とは別格と言ってもいい

 

 その相手に挑むのは無謀と言うものですよ?」

 

「そんなの関係ない!

 

 俺達は俺達の信じる決断をするだけだ!!」

 

当夜の言葉に一同は強く頷く

 

「いいでしょう・・・・

 

 ならばその決断・・・・

 

 後悔させて差し上げましょう!」

 

そう言って手に持っているサーベルで空を切り

 

背中の翼を大きく広げる

 

その翼は公爵の身長を

大きく超えているほどに巨大だった

 

「来るぞ!

 

 各自迎撃に備えろ!!」

 

「気を付けて」

 

身構える一同に対して

偏福の大公爵はうっすらと

 

邪悪な笑みを浮かべて

一同を見つめるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更なる罪徒との更なる対決の火ぶたが切って落とされんとする・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




現れる強敵

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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6、哀愁曲~Conductor songs

蝙蝠の偏福

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「さあ・・・

 

 それではまいりましょう

 別の世界より来たれし哀れなる旅人よ

 

 これより奏でられし演奏は

 貴方方に送る私からのレクイエムです!!」

 

偏福の大公爵は

そう言って手に持った指揮刀を

 

指揮棒のように構えると

それを巧みに動かしていく

 

すると彼女の後ろから

水が噴き出してそこに浮かぶ波が

 

まるで楽譜の五線のようになっていき

 

彼女はそれを一同に向かって

放っていく

 

「ひぃ!」

 

だがそれは

一同にではなく

 

一同の頭上に

まるで天使の輪のように円となって

 

一同の頭上を回っていく

 

「まずい!

 

 みんな離れろ!!」

 

当夜の様子のおかしい

発言に一同はただならぬ様子を感じて

 

一斉にその輪の下から離れる

 

するとその輪から

一気に光が放出されて

 

一同がいたその場に降り注いだ

 

「な、何よこれ・・・」

 

「しゃれになんねーってこれ・・・・」

 

これには一同も

驚愕の色を隠せない

 

「どうしました?

 

 まだまだ前奏は

 終わっていませんよ!」

 

と大公爵はつぶやく

 

「いったい何なんだよアレ・・・・」

 

「あれはおそらく

 水をプラズマに変化させて

 

 地面にはなったんだ」

 

「そっか・・・

 

 水を電離させて

 陽イオンと電子に分けた・・・

 

 つまりプラズマに変化させたんだ・・・」

 

「と言うことはあいつは

 水と闇の力の使い手・・」

 

悠と雪子の分析に由奈は敵の属性を把握する

 

「あなた方をここから先に

 お通しするわけにはまいりません

 

 なぜならそれが私が

 この場所にて我らが王に与えられた

 

 使命なのですから!」

 

そう言って再び刀を指揮棒のように振るい

 

攻撃を仕掛けていく

 

「この・・・

 

 イオ!」

 

ゆかりがイオを召喚し

 

攻撃を仕掛けていく

 

すると偏福の大公爵は

そのイオの風による攻撃を翼で防ぐ

 

「あの翼硬い・・・

 

 風じゃ防がれちゃう・・・」

 

「だったら!」

 

千枝が飛び出して

トモエを召喚

 

その一撃を叩き込んでいく

 

「フハハハハ!

 

 無駄ですよ・・・・

 

 そんな程度では私の防御を

 打ち砕くことは無に等しい・・・・

 

 ですがこの私を前にそこまでけん制する姿・・・・

 

 実に見事ですね・・・・

 

 そんなあなた方に

 最高の音楽を提供して差し上げましょう」

 

そう言って刀を高く上げると

 

その刀から二対四枚の

翼のようなオーラが広がっていき

 

彼女はその刀を

ゆっくりと後ろにやっていく

 

「な、なにをする気だ・・・・?」

 

すると彼女は

 

その刀を勢いよく突き出すと

その翼がまるで大きくふるわれていく

 

「これはまずい!」

 

一同は慌てて

その場から離れていく

 

直撃こそ避けられたものの

その技による爆発が一同がいた場所を

 

大きくひび割れを起こすほどにうち砕いて見せた

 

「フフフフ・・・・

 

 貴方方はどうやら

 私たちのことについてはまだ

 

 無知に等しい・・・・

 

 と言うことですね」

 

大公爵はそう言って

自分の広げている自分の身長を

超えるほどに大きい翼を羽ばたかせていく

 

「くそ・・・

 

 思ったよりも

 敵はやる見てぇだな・・・

 

 水の属性には

 風による攻撃が効くけど・・・

 

 あいつには闇の属性もある・・・

 

 闇の属性を持ってるやつには

 四大属性の攻撃が効かねえ・・・

 

 直接以降にもあいつ以外にやる・・・

 

 どのみちまずはあの翼をどうにかしねえと」

 

当夜はじりじりと大公爵から距離を保ちつつ

対抗策を考えている

 

「はああああ!!!!」

 

大伯爵は再び

武器である刀から翼のようなオーラを

広げてまたそれを今度は横なぎに振るう

 

その攻撃があたりの景色を瞬く間に変えていく

 

「どうやら敵は

 私たちごとこのあたりを

 吹き飛ばすつもりらしいな・・・」

 

「どうするの・・

 

 攻撃してもあの翼に防がれちゃうし

 あの攻撃は食らうとまずいし

 

 反撃ができないよ・・」

 

「せめて何か

 決め手になるものがあれば

 

 いいのですが・・・」

 

敵の攻撃に警戒しつつ

反撃の好機をうかがう一同

 

「わかっていることは

 敵は水からプラズマを生み出して

 

 それを攻撃に使うこと・・・

 

 あの翼による防御・・・

 

 そして刀に翼のようなオーラを

 広げ振るってによる強力な一撃・・・

 

 武器解放を行っていないとなると

 まだ力を隠している可能性もありますね・・・」

 

直斗はおさらいする

 

「あの翼固いし・・・・

 

 どうしたら・・・・」

 

パンサーも試行錯誤するものの

いい案が思い浮かばない

 

「ヘルメス!」

 

ヘルメスが敵に突っ込んでいくが

再び敵の翼に防がれてしまう

 

すると

 

「そうだ!

 

 逆にあの防御の仕方を

 利用してやれば・・」

 

悠はふいに思いつき

由奈に話をする

 

「なるほど・・

 

 悪くはないと思いますが

 有効かどうかはわかりませんよ」

 

「今はとにかく

 奴からどうにかして

 

 反撃を与えないと・・」

 

由奈はやや渋ったがうなずく

 

「やってみましょう」

 

すると

 

「やられる順番の相談でも

 なさっていらっしゃるのですか?」

 

悠たちのもとに

偏福の大公爵がゆっくりと

迫っていく

 

「行きますよ・・」

 

「ああ・・

 

 イザナギ!」

 

悠はイザナギを繰り出して

敵に攻撃を仕掛けていく

 

だが当然その一撃は

敵の翼に阻まれてしまう

 

「往生際の悪いお人ですね・・・」

 

と再び刀からオーラを

翼のように広げて構える大公爵

 

すると

 

「クマ!」

 

悠が合図を送ると

 

「ガッテンクマセンセー!

 

 ぺルクマアア!!」

 

クマがキントキドウジを出すと

そこから冷気を勢いよく放出していく

 

「そんなもの・・・・っ!?」

 

大公爵はクマの攻撃を

翼で防ごうとするものの

 

そこでふいに違和感を覚える

 

翼から徐々に

身体が凍り付いていく

 

「・・・・っ」

 

自分の体が凍り付いていくのを見て

やられたといわんばかりの驚愕の表情を見せる

 

「ど、どうなってんだ!?」

 

「そうか

 

 彼は相手の防御を利用して

 あいつの動きを封じることを思いついたんだ

 

 あいつは防御するときに必ず

 翼を背中から体を覆いつくしてる

 

 それで奴の防御ごと奴を凍らせることを

 おもいついたのね」

 

スカルが驚く中

クイーンが冷静に分析する

 

「さっすがセンセー!

 

 見事な判断クマ」

 

「だがこれは一時しのぎだ

 

 奴の動きを封じている間に

 今度こそ本当に対抗策を練らないと

 

 まずい・・」

 

悠は体が凍り付いていくのを

何事もなくただ見つめるだけの大公爵を

 

じっと見つめていく

 

「あれ・・・?」

 

すると湊は

ふいに何かに気づく

 

「どうかした湊?」

 

「うん、ちょっと」

 

湊が説明をしようとすると

ふいに敵が笑みを浮かべたのが見える

 

すると

 

まだ氷が至っていなかった背中から

翼が二対四枚も生えてきたのだ

 

その翼が大公爵の体を凍りつかせていた氷を

 

自分に向かって放たれている冷気と

その冷気を放っているキントキドウジを吹っ飛ばす

 

「うおお!!」

 

ついでにクマも吹っ飛ばされる

 

「やってくれましたね・・・・

 

 どうやらまだまだ抗うおつもりのようで」

 

と自分にまとっている二つの翼も広げ

三対六枚の羽根を大きく広げていく

 

「ですが光栄に思いなさい

 

 私は強者と認めた相手にしか

 すべての翼を広げませんゆえに・・・・」

 

そう言って右手に持っている刀でヒュンと空を切るように降ろす

 

同時に背中に広げられている翼を動かす

 

「さあて・・・

 

 次はどのように攻めていきますかね?」

 

何やら面白い玩具を見つけた子供のように

一同の出方を今か今かと見据えている

 

「どうしたらいいの・・・」

 

ゆかりは大公爵を見てやや弱気になるが

隣にいた湊の様子を見て思わず見つめている

 

「有里君・・・?

 

 どうしたの?」

 

「うん・・・

 

 さっきクマ君が

 奴の体を凍りつかせていくのを見て

 

 気づいたことがあるんだ・・・」

 

湊は答える

 

「何を?」

 

「これからそれを確かめるんだ・・・

 

 もしかしたらそれが

 この戦いを決することになるかも!」

 

「ようし

 

 私も協力するよ!」

 

湊と真琴が前に立つ

 

偏福の大公爵もそれに気が付いた

 

「おや?

 

 どうやらまだ動ける

 方々がいるようですね・・・・

 

 いいでしょう・・・・

 

 この私の力を見せつけて

 己があがきは無駄であると

 思い知らせて差し上げましょう・・・・」

 

そう言って刀から再び

オーラが翼のように広がっていき

 

偏福の大公爵はそれを

勢いよく振るって

 

二人に攻撃を仕掛けていく

 

二人は二手に分かれて敵の注意を引き付けていく

 

「たあああ!!!」

 

真琴は武器である薙刀を

代行者に向かって勢いよく振るっていく

 

だが大公爵はその刃を

腕のみで受け止めてそこから

 

反対側の手で刀を突き出して

攻撃を仕掛けていく

 

「っ!?」

 

迫ってくる敵の刀に

しまったといわんばかりの

表情を見せていくが

 

「掃射!」

 

そこにアイギスが

大公爵に向かって銃撃を放っていき

 

そのおかげで敵の攻撃は中断される

 

「ぬう・・・・

 

 この鉄くずの人形が!」

 

そう言って背中から

広げている翼の内一対二枚を

 

突き出していく

 

「やっぱり・・・」

 

湊はふいに

大公爵の様子を見て

 

感じるのであった

 

「桐条先輩!

 

 あいつに冷気を!!」

 

湊は美鶴に指示する

 

「し、しかし・・・

 

 それではまた

 防がれて・・・」

 

「それでいいんです!

 

 とにかく早く!!」

 

美鶴はまだ理解しきっていないが

湊の言葉を信じてペルソナを召喚する

 

「ペンテシレア!」

 

再び冷気を放たれる

 

「ちょっと!

 

 そんなことしても・・」

 

千枝は慌てて叫ぶ

 

だが

 

「っ!?」

 

大公爵は自分の体の異変に気が付く

冷気をふさいでいる翼から段々と

 

感覚が薄れている

 

「こ、これは・・・・!?」

 

「やっぱりそうだ・・・」

 

湊のつぶやきに

美鶴はふいに聞いてきた

 

「どういうことだ?」

 

「さっきクマ君が

 あいつの体に冷気をあてた後

 

 翼を広げた際に

 その冷気を防いでいた翼の動きが

 

 どこが動きがおかしくなってると思ったんだ・・・

 

 最初の時より

 動きが遅くなっているようにね・・・」

 

「それで分かったの

 

 あいつはひょっとして

 低温に弱いんじゃないかって」

 

湊と真琴は言う

 

「でもどうして?

 

 あいつは水の属性を

 持ってるんだから低温には

 強いはずなのに・・・」

 

有紀は疑問を浮かべる

 

すると翼からだんだんと

緑やら赤やら青やらの液体が流れて

 

それが冷気に当てられて凍っていく

 

「つ、翼が動きにくくなっていく・・・・

 

 これはいったい・・・・」

 

「奴の動きが鈍くなったり理由は

 翼がダメージを受けたことが原因で

 出血してそれが凍って体内にわたっていき

 

 血液が凍り付いてそれが筋肉の活動を

 鈍らせていたからだったのか・・・」

 

当夜はそう分析する

 

「確かに属性には優劣はあります・・

 

 でもそれは属性同士の場合・・

 

 肉体に属性は関係ない!」

 

由奈はそう言って槍を構えると

そこに風を纏わせて向かっていく

 

美鶴、千枝、クマ、フォックスのペルソナが

一斉に向かっていき攻撃を仕掛けていき

 

そのあとに追撃するように

由奈の風を纏った槍の一撃が放たれる

 

「この程度の障害・・・・!」

 

だが偏福の大公爵は翼を振るって

冷気を霧散させて槍の一撃を翼で防いで見せた

 

「そんな!?」

 

「はああああ!!!!」

 

更にその一撃に

衝撃を与えて由奈を吹っ飛ばしてしまった

 

「ぐう・・」

 

「この程度の傷で

 この私を倒せると思っているなら

 

 それは実に愚かしい行為・・・・

 

 その愚行を

 後悔させてさしあげますよ・・・・」

 

と刀から再びオーラが翼のように広がっていく

 

すると

 

「たあああ!!!」

 

「っ!?」

 

そこに当夜がとびかかっていき

剣で翼に切りかかっていく

 

すると翼はずたずたに引き裂かれて行き

 

そこに湊と真琴の武器による突きが

大公爵の体に勢いよく突き刺さっていく

 

「があ・・・・」

 

刀から出ていたオーラは消滅すると

刀を持っている右手が力なく降ろされ

 

その手から武器が落とされる

 

「馬鹿な・・・・

 

 この私が人間なぞに・・・・」

 

「人間の力を・・・

 

 甘く見るな!」

 

湊は武器を突き刺したまま大公爵に言う

 

「フフフフ・・・・

 

 ハハハハ・・・・

 

 はーっはっはっはっはっ!!!!

 

 よくぞこの偏福の大公爵たる

 この私を倒しましたね・・・・

 

 いいでしょうお先に進みなさい・・・・

 

 本当の地獄はこの先のその先にて

 待ち受けているのですからね・・・・

 

 ぐう・・・・

 

 ぐああああ!!!!」

 

偏福の大伯爵はそこまで言って

膝をがくりと落として倒れこみ

 

爆発するように消滅するのであった

 

その地面に勲章を刻み込んで・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

偏福の大公爵を倒した一同は

 

そこから目的地である

試練の迷宮を目指していた

 

「はあ・・・

 

 はあ・・・

 

 いきなりの襲撃で

 まさかここまで体力と気力を

 使うなんてね・・・」

 

「何とか倒したけど・・・・

 

 あんなのがまだいるのかって思うと

 何だか心が折れそ・・・・」

 

「まったくだらしないな

 

 この程度の事

 乗り越えられないでどうする」

 

「しかし

 

 確かに苦戦をしたのは事実だ・・・

 

 もしあの時彼が

 奴の異変に気が付かなければ・・・

 

 私たちは負けていたかもしれない・・・」

 

「敵の言葉から察するに

 この先にもまだ敵はいるように

 見受けられます・・・・」

 

アイギスは推測する

 

「きっとこの先にも

 さっきのと同じかそれ以上に

 強い奴がいるということですね・・」

 

「そうだな

 

 相手の能力もわからねえ以上は

 対策も練りようがねえ・・・・・

 

 俺達はとにかく目的地に行くしかねえ」

 

すると

 

『皆さん!

 

 いよいよ目的地が

 近づいてきました・・・

 

 きっとこれが

 敵の本拠地です』

 

風花の通信が入ってきた

 

一同の目の前に現れたのは

見るも異様な形のものであった

 

複数の木の根のようなものが

いくつにも絡み合って上の方で

一つになっていくようになっているのが分かる

 

「あれがマモノたちの巣にして

 罪徒の本拠地・・・

 

 迷宮だ・・・」

 

「なにこれ・・・

 

 よくわからないけど

 まるで異様な光景を見ているみたいね・・・」

 

ゆかりがつぶやく

 

「迷宮はそれそのものが

 複数の世界のようになってて

 

 その世界を統治してるのが

 王に仕えてる罪徒なんだ・・・

 

 その世界はラルヴァ空間になってて

 その中では本来私たちは力が使えない・・・」

 

有紀が説明していく

 

「それで迷宮と言う

 本拠地が見えているのに

 

 攻めていく人たちがいなかったわけですね・・・」

 

「ええ・・

 

 ですが彼がもしも

 この世界の希望だというのなら・・

 

 もしかしたら・・」

 

由奈は告げる

 

「・・・うーん・・・

 

 そういうのはよくわからねえけど・・・

 

 でももしもこの力で

 誰かの笑顔を守れるんなら・・・

 

 俺は絶対にやってみる

 

 きっとそれが俺にしかできないことだから」

 

「俺にしかできないこと、か・・・

 

 いいねそういうの」

 

そして一同は

目の前に移っている迷宮の方に

 

目を向けていく

 

「俺達の戦いはここから始まっていく・・・

 

 絶対に勝つ!」

 

当夜の言葉に

その場にいる一同はうなずき

 

湊と真琴、悠、暁の四人も

彼の横に立って目指すべき目的地である

 

試練の迷宮を見つめる

 

「僕たちは絶対に

 元の世界に戻る・・・」

 

「そのためにもこの戦いに勝たないといけない・・・」

 

「ああ・・」

 

「行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先で再びどのような戦いが待ち受けているのだろうか・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




ここから始まる

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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7,A bad person

迷宮の入り口

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮

 

「お知らせいたします・・・・・

 

 先ほど偏福の大公爵が

 管理を務めているエリアから

 

 感じたことのない力の反応を感知いたしました・・・・・」

 

「そうなの

 

 それで偏福の大公爵は

 どうなったのよ?

 

 あいつに関する連絡が

 入っていないように思えるんだけれど?」

 

玉座に座っている女性が問う

 

「それがどうやら

 

 敗れたようにございます・・・・・

 

 先ほどその場所から

 大公爵の反応が途絶えました・・・・・

 

 どうやら破れてしまったようにございます・・・・・」

 

それを聞いて驚愕する面々

 

「先生が言っていた

 面が白い人間か・・・・・・・

 

 どうやら思っていたよりもやるようだな

 

 大侯爵・・・・・・・

 

 朧の大侯爵」

 

するとその前に一人の少女が前に出る

 

「御前に・・・・・」

 

その少女は

右手に大きな鎌を

持っている

 

だがその鎌は

逆向きに刃が付いている

 

異様な形状である

 

「私が貴方にする命令・・・・・・・

 

 分かっているわね」

 

「わかっております

 

 この試練の迷宮に

 向かっているという不届きな

 下等動物を私のこの鎌で切り裂く

 

 そういうことにございますね・・・・・」

 

朧の大侯爵は宣言する

 

「そうだ・・・・・・・・・

 

 迷宮の管理を務めていた

 偏福の大公爵が破れた以上

 

 つぎはこの迷宮の門番を

 勤めている貴様が行かねばならん

 

 必ずや奴らがこの迷宮に

 入っていくのを阻止するのだ・・・・・・・・・」

 

「了解にございます

 

 我らが王よ・・・・・」

 

と向かっていくのであった

 

「ほかの者達も

 配置につけ!

 

 何としても

 このエリアを我らの手にするのだ」

 

と残る面々もその場から去っていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

偏福の大公爵を

撃退した一同は迷宮の前に立つ

 

一同はそこから

迷宮を見上げていた

 

「これが迷宮か・・・」

 

「なんか想像してたより

 でっけーなー・・・・」

 

遠くからでも

かなりの大きさがあったことは

 

容易に想像できたものの

 

いざ近くにきて

思わずそんなことをつぶやく順平

 

「そんなこの中に

 俺達がここで倒すべき

 

 王と主がいるんだよな・・・・」

 

「そうです

 

 迷宮と軍勢を統率する

 罪徒の爵位の最高位

 

 王・・

 

 迷宮の力の中枢に当たる主・・

 

 私たちが目指すのはこの二つ・・」

 

「おっしゃー

 

 それじゃあさっそく」

 

と千枝は向かっていこうとすると

 

「待て!

 

 奥から何か来る!!」

 

すると奥から何やら

虫の羽音のような音が響いてくる

 

「「「「ひぃ!」」」」

 

女性陣の一部は

それを聞いて体をびくつかせる

 

すると奥から何かが現れる

 

「あれは!?」

 

「ミラーバット!

 

 マモノだ!!」

 

そこに現れたのは

胴体が鏡で尾が手鏡の持ち手のような形をした

蝙蝠のようなマモノであった

 

ミラーバットは

一同の方を向くとそのまま向かっていく

 

「きゃ!」

 

一同の懐を

まるで見せつけるように

 

飛び去っていくミラーバット

 

「ミラーバットは

 空を飛ぶ上に属性の攻撃を反射する

 

 攻撃をあてるには・・・」

 

すると

 

ミラーバットが

何やら耳から何かを飛ばす

 

すると

 

「ぐう!

 

 何だこの音・・・・」

 

「鼓膜が破れる・・・!」

 

ミラーバットの胴体の鏡から

何やら強力な音波が放たれていく

 

「これって一体なんだよ・・・」

 

「おそらくこれは

 蝙蝠が放つ超音波を

 

 攻撃用に強力にしたものよ!」

 

「ぐう・・・」

 

あまりの音の大きさに

戦いに集中ができない

 

「このままだと・・

 

 あいつに攻撃の隙を与えてしまう・・」

 

「どうしたら・・・」

 

膝をつく面々だが

その中で一人だけは

 

こらえている様子を見せている

 

「たぶんあの音の震源は

 ミラーバットの腹部の鏡から

 

 発せられてる・・・

 

 だったらそこを狙えば!」

 

有紀はそう言って

銃をミラーバットに構え

 

引き金を引く

 

打ち出されたその一撃は

見事にミラーバットの腹部を打ち抜いた

 

「ようし・・・」

 

だが

 

更に先ほどよりも

大きな振動が辺りに響いていく

 

「うう!?

 

 なんで!?」

 

優生は不意を突かれて

耳を抑えつつ膝をついてしまう

 

「ぐう・・」

 

ミラーバットは

狙いを定めたように

 

一気に向かっていく

 

「ちょっ

 

 ちょっと待って・・・・」

 

狙いをつけたのはパンサーのようで

彼女に向かって一気に向かっていく

 

「パンサー!」

 

モナはそれに気づき

ペルソナを出そうとするが

 

超音波を浴びた反動で

平衡感覚が狂ってしまっており

 

上手く扱いきれない

 

「きゃあああー!!!!」

 

迫りくるミラーバット

 

パンサーは足がすくんで

動けず顔を覆う

 

だが突然何かに飛ばされる感覚が襲う

 

パンサーは恐る恐る目を開けると

 

「・・・・え?」

 

そこにいたのは

パンサーを抱えているジョーカーと

 

ミラーバットを受け止めるアルセーヌの姿があった

 

「ジョーカー!」

 

「うう・・・・」

 

ジョーカーは苦しそうな声を漏らす

 

「ジョーカー・・・・

 

 まさか攻撃を受けて」

 

「かすっただけだけど

 思ったより効いた・・・・」

 

とパンサーを下した後

その場にがくりと膝を落とす

 

するとアルセーヌの方も

不完全だったのかすぐに消滅し

 

ミラーバットは

自由になって再び襲いかかっていく

 

「ジョーカー!

 

 パンサー!!」

 

クイーンが二人に呼びかけるが

二人はそこから動ける状態ではない

 

すると

 

ミラーバットの体が突然二つに分かれて

 

ジョーカーとパンサーの両側を通り過ぎていき

 

地面に墜落し爆発した飛行機のように

黒いオーラとなって消滅するのであった

 

「大丈夫か二人とも!」

 

二つに分かれたミラーバットの間から

姿を見せたのは当夜であった

 

当夜はジョーカーとパンサーに駆け寄っていく

 

「すまない・・・・」

 

「何とかね」

 

二人はふらふらとゆっくりとたちあがる

 

当夜の方も

ややふらついているようにも見える

 

「しっかし間一髪だったな・・・

 

 俺の方もぎりぎりの賭けだったからな・・・」

 

「それにしても

 先ほどの巨大な蝙蝠は

 

 この迷宮の入り口を

 見張ってた万人のようにも思えたが・・・」

 

美鶴は言う

 

「と言うことは

 これでこの迷宮の中に

 入れるということだな・・・・

 

 ふっ、腕が鳴る」

 

「ったく

 

 浮かれてんじゃねえぞ・・・・・」

 

興奮気味の真田に

あきれつつも注意を促す荒垣

 

「でもこれでやっと

 試練の迷宮に突入できるね・・・」

 

有紀はほっとするように言うが

それもつかの間、入口の奥から

 

声が聞こえてきた

 

「どこに突入できるですって・・・・・?」

 

その謎の声に

一同は構えていく

 

するとそこに現れたのは

 

「ここまでこれたのは褒めてあげるけど

 

 残念ながらここまでね」

 

刃が逆の方についている大きな鎌を持つ

一人の少女が入り口の奥から姿を現すのだった

 

「あれは・・

 

 罪徒!?」

 

「うそ!?

 

 また出てきたの」

 

突然の敵の襲来に身構える一同

 

「増殖の大伯爵

 

 偏福の大公爵・・・・・

 

 ここに来るまでにうちの軍勢を

 二つも滅ぼしてしまうなんてね・・・・・

 

 でももうそれもここまでよ?

 

 なぜならこの私・・・・・

 

 朧の大侯爵が来たんだからね」

 

そう言って手に持っている鎌を

ゆっくりと一同に向けていく

 

「だったら決めてやる!

 

 行くぞ、ポリデュークス!!」

 

「待て、明彦!」

 

真田は自分のペルソナを出して

攻撃を仕掛けていくと同時に敵の姿が

 

まるで虚像のように消え去ってしまった

 

すると

 

「単純ね・・・・・

 

 いきなり仕掛けてくるなど

 自分は低能な猿であると認めている

 ようなものよまったく・・・・・」

 

と真田の後ろに現れる

 

「この!」

 

真田は後ろに現れた

朧の大侯爵に向かって拳を

繰り出していくが先ほどと同じように

 

消え去ってしまった

 

「フフフ・・・・・

 

 貴方達の足りない頭で

 この私を倒せるかしら?」

 

声があたりに響いていく

 

「これは・・・

 

 今までの敵の中で

 一番苦戦しそうだね・・・」

 

「みんな気を付けて!」

 

と構えていく一同

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新たなる敵の出現にどう立ち向かっていくのだろうか・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




朧の存在

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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8、突破~A dangerous crisis

朧の幻

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「人間がこの私の前に

 どこまであがけるのか

 

 見せてもらおうじゃない」

 

と右手に持った逆刃の鎌を

ぶんぶんと振り回していく

 

「敵の武器は大鎌・・・

 

 今持ってる僕たちの装備では防御もままならない・・・

 

 この場合はかわしていければいいんだけれど」

 

模索する湊に

後ろから何かが

 

切り込んできた

 

「湊!」

 

真琴は薙刀を

湊の後ろから襲い掛かっていく

 

敵に向かって突き出していくが

 

そのきっさいが的に降れたと同時に

まるで辺りに立ち込める煙のように

 

消えてしまうのだった

 

「攻撃が当たらない・・・」

 

「どういうこと能力だ・・・」

 

敵の追撃を警戒して

辺りを見回していく一同

 

「本当に呆れて

 笑う気も起らないほどに

 

 低能な生き物ね・・・・・・

 

 そんな調子でこの私を

 本気で倒せると思っているのかしら?」

 

辺りに声が響く

 

「く・・・」

 

ゆかりは辺りを走り回っていきつつ辺りを見回していく

 

するとゆかりの背後に

突然現れる朧の大侯爵

 

「しゃあああ!!!!!」

 

彼女は大鎌を

紫に向かって勢いよく振るう

 

だがその鎌に向かって

銃弾が被弾することではじかれる

 

「ゆかりさん!」

 

アイギスはそう言って

もう一度銃撃を放つが

 

またも煙が霧散していくかのように消えてしまう

 

「(かならず何かネタがあるはずだ・・・

 

  奴がさっきのように体を

  期待のようにするネタが・・・)」

 

すると今度は

美鶴たち三年生組の前に突然現れ

 

鎌を大きくふるっていく

 

「はあ!」

 

美鶴は片手剣を突き出して

攻撃を繰り出していくのだが

 

大侯爵はそれを鎌の柄に

正確に当てることで防御する

 

そこに真田が拳を繰り出していくが

それすらもかわして大侯爵は鎌を振り回し

 

ぶんぶんと勢いをつけて振るっていく

 

明彦はそれを見て

下がっていきつつボクシングで培った

動体視力でかわしていくのだが攻撃が繰り出せない

 

「思ったよりも反応がいいじゃない

 

 でもそれだけじゃ私には勝てない!」

 

と更に鎌を振るっていく

 

「おりゃああああ!!!!!」

 

そこに荒垣が

勢いよく鈍器を振るう

 

だが荒垣の攻撃は

まるで蜃気楼を斬るかのように

 

すり抜けてしまう

 

「シンジ!」

 

「ちっ

 

 てっきり攻撃するときは

 あの妙な能力は使わねえと思ってたが・・・・・」

 

すると

 

二人の後ろから

朧の大侯爵が再び姿を見せる

 

「明彦、荒垣!

 

 後ろだ!!」

 

とそこに鎌が勢いよく振るわれる

 

「危ない!」

 

そこにノワールが

斧を振るって敵に攻撃を繰り出す

 

するとその体は再び霧散してしまうが

おかげで明彦と荒垣への攻撃は無効となった

 

「お二人とも!」

 

「すまない・・・・」

 

だがそこに大きく鎌が下から大きくふるわれる

 

「ああ!」

 

ノワールは斧で攻撃を防ぐが

衝撃までは防ぎきれず吹っ飛ばされてしまう

 

「人間と言うのは本当に

 どこまでも悪あがきを続けていくのよね・・・・・

 

 少しはおとなしく殺されなさいっての!」

 

とまた鎌で空を切りつつ

ノワールたちに向かっていく

 

その様子は思い通りにいかずに

周りに当たり散らす子供のように

 

「本当に人間は

 地べたをはい回ってる虫けらと

 

 何にも変わらないのよね!」

 

とぶんぶんと空に振るっていた鎌を

持ち直した後に一気に向かっていく

 

「ミラディ!」

 

「ペンテシレア!」

 

向かってきた敵に向かって

二人はそれぞれのペルソナを召喚

 

銃撃と氷による攻撃を繰り出していく

 

見事に敵は吹っ飛んだかのように見えるが

 

「・・・・・」

 

そこにはまるで霧のように

ゆらゆらと体を風でなびかせている

 

朧の大公爵がいた

 

「やはり・・・

 

 奴は普通の方法で

 倒すことはできないようだな」

 

「でも多分あの能力にも

 秘密があるはずだと思うけど」

 

ノワールはじっと大侯爵を見つめるが

 

少なくとも見ただけでは何もわからない

 

「私は幻・・・・・

 

 幻はいかなる攻撃も

 消して当たりなどしない!

 

 もしもそれでこの私を倒せると

 本気で思ってるなら勘違いも甚だしい!!」

 

すると朧の大侯爵の体が霧散していくように消えていく

 

「消えた!?」

 

その場にいた一同は

辺りを見回しつつ警戒していく

 

すると

 

「フフフ・・・・・」

 

笑い声をふいに聞いた真琴は

声のした方を向くのだがそこには

 

なにもいなかった

 

『(反応が追えない・・・

 

  探知が全く追えない・・・

 

  なんだかまるでどこにもいないみたいに・・・)』

 

人里に残っているナビゲーター組も

朧の大侯爵の神出鬼没の能力のそこが

見えないために悪戦苦闘している

 

まさに五里霧中

 

『でも確かに反応がつかめないよね・・・』

 

『これじゃあサポートの指示も送れないじゃん・・』

 

『ちょっとまって・・・』

 

すると風花は何か気づいたかのように

目を見開くとそのまま意識を集中していく

 

『・・・・・・・』

 

『ふ、風花ちゃん?』

 

りせは恐る恐る聞いていく

 

そのころこちらでは

 

「・・・・・・」

 

悠があたりを見回していると

そこから突然攻撃が入っていく

 

「ぐう・・」

 

悠はふいを突かれて

大鎌で壁にたたきつけられて

 

首根っこを大きくつかまれてしまう

 

「危ない!」

 

そこにゆかりが矢を放つも

鎌で攻撃をはじかれてしまう

 

「どっせえええい!!!!」

 

そこに順平が剣を振るう

 

だがまた攻撃はすり抜けてしまう

 

「ぐう・・・・

 

 何なんだよこれ

 全然攻撃当たらないじゃん・・・・」

 

すると

 

『皆さん!

 

 足元を狙ってください!!』

 

風花が呼びかけてきた

 

「い、いきなりどういうこと?」

 

『今は憶測にしかなりませんが

 

 とにかくそれが突破口になるかもしれません!』

 

すると

 

「やってみるであります

 

 掃射!」

 

アイギスが銃を

風花に言われた通り

 

足元に向かって放っていく

 

すると敵は鎌を使って攻撃を防いだ

 

「足元の攻撃を防御した・・・?

 

 ふつうは防御するよりは

 攻撃をかわす方がいいと思うけど・・・

 

 そうか!」

 

すると当夜は

剣を構えて斬撃を放つ

 

その一撃は鎌の防御の反対側から

足元に向かって走っていって見事に命中する

 

「ぐあああ!!!!!」

 

すると朧の大侯爵は

初めてダメージを受けた様子を見せる

 

「ぐう・・・・・」

 

膝をつく朧の大公爵

 

「どういうことだよ?」

 

陽介が聞く

 

『おかしいと思ったんです

 

 体を気体のように変えられるとは

 言っても反応がないのはいくらなんでも

 違和感があるなって思ったんです・・・

 

 まるで最初っからそこにはいないかのように・・・』

 

「まさか・・・!?」

 

風花の言葉に美鶴は気づく

 

ほかの面々の中にも気づいたものがちらほらいる

 

『ひょっとして

 

 今私たちの前に移っている

 こいつは実は幻で本体は別にいる

 

 そういうお決まりのパターンかよ』

 

『でもそれだったら

 本体がどこかにいるはずだよね・・

 

 どこにいるんだろう・・』

 

りせは探っていくがどこにいるのか見当もつかない

 

『ひょっとして!

 

 あの時足元に

 攻撃をするように言ったのは・・』

 

ナビは先ほどの風花の言葉の意味を理解する

 

『目の前にいるあの敵が幻だというのなら・・・

 

 あるべきではないものがあるんです、それは・・・』

 

すると

 

膝をついた敵の足元から

何かが這い上がっていく

 

それは

 

「く・・・・・

 

 まさかお前たちごときに

 この私の力の秘密を見抜かれるとはな・・・・・」

 

朧の大侯爵であった

 

彼女は幻の持っている鎌をつかむと

ゆっくりと立ち上がるようにその場に立つ

 

「おいおいおい

 

 なんてイリュージョン!?」

 

「なるほど

 

 それで俺達の攻撃が

 効かなかったんだな・・・・」

 

そしてその全身を見せる大侯爵

 

「ようし!

 

 トリックのネタが

 割れたんならここから反撃開始だよ」

 

千枝は意気込むが

 

「フフフ・・・・・

 

 ハハハ・・・・・

 

 はーっはっはっはっ!!!!!」

 

大侯爵は笑い声をあげる

 

「この程度でこの私を

 どうにかできると思っているなら

 

 それはとんだ驕りだ・・・・・

 

 見せてあげよう・・・・・」

 

と手に持った鎌を上にあげていく

 

するとその鎌から

黒いオーラが翼の

ように広がっていき

 

それが朧の大侯爵の体を包み込んでいく

 

「やばい・・・

 

 武器解放だ!」

 

するとそのオーラの中より現れたのは

六対の不気味な黒い翼を広げ、六本の黒い霧状の尾を振るう

 

頭部にとがった骨のような角を持った姿になる

 

その両手は逆の方に

刃のついた鎌のような形状になっている

 

「人間風情にこの私の力を

 見破られてしまうとはな・・・・・

 

 だが今のお前たちの力が

 この私のこの力の前に思い知らせてくれよ

 

 お前たちが歯向かう相手が

 どれほど兄弟で恐ろしいのかをな!」

 

そういうと彼は六対の翼を激しく広げると

 

周りの空間が大きく変わっていく

 

まるで周りに移っているのは

蜃気楼のように揺れているのに

 

一同はやや戸惑い気味の反応を見せる

 

「ラルヴァ空間・・・・

 

 増殖の大伯爵の時も思ったけど

 空間はどうやら罪徒によって違うみてーだな・・・・」

 

陽介は辺りを見回しつつつぶやく

 

「ええっと・・・・

 

 どうしたらいいんだ?」

 

「馬鹿

 

 この空間をどうにかするには

 あの翼を攻撃すればいいって聞いたでしょ」

 

ゆかりはそう言うと

朧の大侯爵は笑い声をあげはじめていく

 

「フフフ・・・・・

 

 ハハハ・・・・・

 

 あーっはっはっはっ!!!!!」

 

笑い声が空間内に響いていく

 

「な、なに・・」

 

千枝はその様子に

ややおびえ始めていく

 

「まさに浅知恵ですね

 

 確かにこの空間は

 この翼を広げることで

 構成されていますからね

 

 確かにその解析は正しいもの・・・・・

 

 ですが」

 

すると朧の大侯爵は翼をゆっくりと

伸ばしていくようにその大きさを変えていく

 

「この翼は私のようなものにとっては

 

 強固な盾でもあり

 強力な武器でもあるのですよ!」

 

とその翼を一同に向かって

勢いよく振るっていく

 

「きゃ!」

 

その攻撃を受けて

ちりぢりになっていく面々

 

「く・・・

 

 奴らの翼は

 協力であればあるほど

 破壊するのは困難と言うことか・・・」

 

「おまけに俺達は

 この空間内ではペルソナは使えない・・・・

 

 どうしたらいい」

 

対抗策を考え続けていく面々の心情など

お構いなしに攻撃を繰り出していく大公爵

 

「この!」

 

「掃射!」

 

ゆかりとアイギスが

大侯爵に向かって攻撃を放つが

 

攻撃はまたもすり抜けてしまう

 

「っ!

 

 また消えて・・・」

 

「何が消えたって?」

 

とゆかりとアイギスの背後に

朧の大侯爵が姿を現して話しかけていく

 

「先ほどの能力!?」

 

アイギスはそこにいる

大侯爵に向かって掃射するが

 

股も同じように消えてしまう

 

「違います!

 

 今度はそれほど

 早く動いてるんです!!」

 

直斗がそう言うと

一同より離れている場所に

 

大侯爵が降り立った

 

「もう小細工など必要ないわ

 

 こうなったら私自身の力で

 貴方達を一気に仕留めてあげる」

 

そう言ってまたも姿をくらましていく大侯爵

 

「どこにいる・・・・」

 

明彦は辺りを見回していたその時

 

「あああ!!!!!」

 

「があ!」

 

とてつもない叫びとともに

明彦の背中が勢いよく切り付けられた

 

「明彦!」

 

「アキ!」

 

「ぐう・・・・

 

 この俺が全く反応できなかったとは・・・・」

 

膝をつく明彦

 

するとまたも辺りを

動き回っていく大侯爵は

 

次々と一同に攻撃をあてていく

 

「く・・

 

 このままだと僕たち・・

 

 全滅してしまいますよ」

 

「あのスピードを

 どうにかできれば

 

 せめてペルソナさえ使えれば・・・」

 

すると

 

「使えるぜ」

 

当夜が口を開く

 

「忘れたのか?

 

 俺がだれでどういうやつなのか!」

 

それを聞いてはっとする一同

 

「フフフ・・・・・

 

 あなたが誰だろうと

 この空間では取るに足らない

 

 人間と言う下等生物なのだ!」

 

と翼を広げて攻撃を繰り出していく朧の大侯爵

 

当夜はその攻撃を

優れた身体能力で巧みにかわして見せた

 

「フフ・・・・・

 

 虫けらは逃げ足だけは早いものね」

 

すると当夜は一気にとびかかっていき

 

「でやあああ!!!」

 

上から一気に切りかかっていく

 

「ただの件でこの私を斬れるとでも・・・・・」

 

と腕を使って剣の防御を試みるが

腕は瞬く間に切り落とされてしまった

 

「っ!?

 

 なんだと!」

 

「てやあああ!!!」

 

当夜はその後も

朧の大侯爵に切りかかっていく

 

「ちっ!」

 

大侯爵は再び

蜃気楼のように消えてしまう

 

「みんな!」

 

当夜はそう言うと

一同はそれぞれ攻撃の準備に入っていく

 

「どうなっている・・・・・

 

 貴様なぜここで

 聖徒の力を使えるのだ!?

 

 ラルヴァフィールドでは

 エーテルの力は使えないはずなのに・・・・・」

 

「それはな・・・

 

 俺はこの暗黒の世界を

 終わらせて平和な世界を導く男だからだ!」

 

そういうと彼の体から

白くまばゆい光が広がっていく

 

「ぐううう・・・・・」

 

その光に思わず顔を覆う朧の大侯爵

 

「「オルフェウス!!」」

 

「イザナギ!」

 

「アルセーヌ!」

 

敵に向かって四体のペルソナが向かっていく

 

大侯爵は両腕が持っていた

武器の逆刃の鎌のようになった両腕を

 

勢いよく振るっていく

 

オルフェウス二体が

それを抑えていくが

 

両腕が突然元の人間の手と

同じように変形するのであった

 

その手でオルフェウス達に掴みかかって

その二体を何度も何度も地面にたたきつける

 

そこにダメージが湊と真琴にもフラッシュバックし

 

二人は顔をゆがめていく

 

そこにイザナギが

持っていた武器をもって

朧の大侯爵に向かっていく

 

だが大侯爵は六本の尾を何本か振るっていく

 

イザナギはそれでもかまわずに向かっていくが

 

尾は突然蜃気楼のようにその身を揺らめかせながら

形を変えて尾の先が扇のように変わりイザナギに突き出される

 

イザナギはその向かってきた尾を見て直撃をかわすものの

その際に出てきた衝撃風に吹っ飛ばされて地面にたたきつけられる

 

そこに別の尾が勢いよく振るわれ

イザナギに勢いよく突き立てられる

 

「があ・・!」

 

それを受けて悠は尾がイザナギに

突き刺さっているところと同じところを抑える

 

「敵もまだ手を隠していると

 考えていいかもしれない・・・」

 

暁はそう言って大侯爵にアルセーヌを向かわせて

オルフェウスとイザナギを敵の手から解放するのだった

 

「よっし!

 

 私も行くよ!!」

 

「俺っちも行くぜ!」

 

「イオ!」

「ヘルメス!」

 

ゆかりと順平は

それぞれのペルソナを放っていく

 

「俺達も行くぜ!」

 

「おっしゃ!」

 

「ジライヤ!」

「トモエ!」

 

陽介と千枝も負けじと繰り出していく

 

「はりきってんな

 ほかのやつも・・・」

 

「私たちも負けてられないな」

 

「キャプテンキッド!」

「カルメン!」

 

スカルとパンサーも繰り出し

 

六体のペルソナが

一斉に大侯爵に向かっていく

 

「無駄よ!

 

 この私の能力の前には

 いかなる攻撃も通じないのよ!!」

 

ヘルメス、トモエ、ジライヤが特攻するも

その攻撃は蜃気楼のようにすり抜けてしまう

 

「私は朧・・・・・

 

 私がそこにいても

 私に触れることなんて

 できるはずがないのよ!」

 

そう言って両腕の逆刃の鎌を口元に当てて

含み笑いのように笑みを浮かべて言い放つ

 

「行っけええ!!!」

 

イオが風を放って

大侯爵の体に衝撃が走っていく

 

「っ!

 

 ぐう・・・・・」

 

「悪いけれど・・・

 

 私たちはこんなところで

 足止め食ってる場合じゃないのよ!」

 

次はパンサーがその風に

炎による攻撃に乗せるように放った

 

「ぐううう・・・・・」

 

翼を広げてその攻撃をうける大侯爵

 

「そこだあああ!!!」

 

その隙にキャプテンキッドが飛び出していき

 

そこに乗って当夜が大侯爵に切りかかっていく

 

「何!?」

 

「聖剣!

 

 お前の罪はこの俺が断罪する!!」

 

当夜が唐竹割を炸裂させていくのであった

 

「ぐあああ!!!!!」

 

その攻撃を受けて

倒れこむように地面に落ちていく大侯爵

 

それと同時に大爆発を

起こしたように砂煙を上げて敗れ去ったのだった

 

「ふう・・・」

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

朧の大侯爵を倒した一同は

当夜から何かを受け取ると各々が

突撃の準備を済ませていくのであった

 

「それじゃあ・・・

 

 俺達は主のいる場所に向かう・・・」

 

「気をつけて・・・」

 

湊と真琴、悠に見送られて

怪盗団と当夜の面々が先に突入していく

 

「よし

 

 それでは我々も行こう・・・」

 

美鶴の言葉に一同はうなずき

試練の王のいる王のもとに向かおうとする

 

SEESと捜査隊メンバーだが・・・ ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ・・・・・

 

 ハハハ・・・・・

 

 あーっはっはっはっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

不気味な笑い声が聞こえて

その聞こえた方に目を向けると

 

そこにいたのは

 

「フフフ・・・・・

 

 行かせないよ・・・・・

 

 あんた達のような虫けらを

 あのお方のもとに行かせてなるものですか・・・・・」

 

「う、嘘だろ!?

 

 さっき倒したはずじゃ・・・・」

 

「まさか・・・

 

 あの時攻撃の威力を・・・」

 

有紀は確信する

 

「言ったはずよ

 

 私は朧、見えていても決して

 触れることの出来ぬものだとね!」

 

半場狂乱に答える朧の大侯爵

 

その体はボロボロで

武器である鎌は中腹より

やや前の部分が折れてしまっており

 

翼もボロボロで幕は破れたり

穴が開いていたりしていて片目もつぶれている

 

「お前たちを殺すううう!!!!!」

 

通れた刀を

一同にむかって振るっていく

 

「ここは僕たちに任せて

 早く先に行って!」

 

「こいつは私たちで何とかするから!」

 

「だが大丈夫なのか?」

 

「こいつはもう錯乱気味・・・

 

 まともに戦えるようには見えない・・・

 

 足止めくらいなら大丈夫よ!」

 

「わかった・・

 

 気を付けてね」

 

SEESの面々が大侯爵のもとに残り

捜査隊メンバーが王の場所に向かっていくのであった

 

「誰も逃がすかあああ!!!!!」

 

大侯爵は手に持っている

折れた鎌を闇雲に振り回しつつ

 

襲い掛かっていく

 

捜査隊の面々は

その様子に思わず

後ろを振り向いてしまう

 

「後ろを向くな!」

 

捜査隊のメンバーに

荒垣が声を上げる

 

「やらなきゃ

 いけねえ

 ことがあるんなら

 

 前だけ見てろ!」

 

そう言われて捜査隊のメンバーは

急いで向かっていく

 

「虫けら風情が・・・・・

 

 この朧の大侯爵に

 歯向かうなあああ!!!!!」

 

とやけくそ気味に

一同に襲い掛かっていく大侯爵

 

その猛攻を避けつつ敵を見ていく

 

「こいつはもう自分を見失ってる・・・

 

 力に固執するあまりに力に溺れた結果だ・・・

 

 ここで決着をつけるぞ!」

 

美鶴の声とともに一同は

迫ってくる大侯爵と対峙していく

 

「虫けらがアアア!!!!!」

 

と折れた鎌を振るって

一同に闇雲に向かっていく大侯爵

 

「うおっと!」

 

SEESの面々は

負けじと向かっていくが

 

曲がりなりにも罪徒の力は強大で

押され気味になっていく

 

「があああ!!!!!」

 

「たあ!」

 

絵で殴りつけてきた大侯爵の攻撃を

持ち前の動体視力で見切って一撃を加える

 

だがその一撃は

大侯爵の固い体に阻まれて

 

びくともしている様子はない

 

「はああああ!!!」

 

美鶴がその隙をついて

後ろからレイピアを突きたてる

 

だが敵はそれを

気にも留めずにそのまま

 

攻撃を続けていく

 

「動きに乱れが見られますが

 その代わり一撃一撃が強力になっているであります・・・・」

 

「冷静に分析をしている場合ではないですよ

 

 どうにかして応戦しないと・・」

 

冷静に分析するアイギスに突っ込む天田

 

だがそんな彼に

大侯爵が襲い掛かっていく

 

「おりゃああああ!!!!!」

 

そこに荒垣が飛び込んでいき

二人を大侯爵の鎌による一撃から守った

 

「みんな!

 

 ラルヴァ空間は

 解除されているはず

 

 ペルソナで行くんだ!!」

 

湊の声に一同は

召喚器を構える

 

「行くぞ!」

 

一同はペルソナを召喚し

攻撃を繰り出していく

 

「ぐあああ!!!!!」

 

一斉攻撃を受けて

大きなダメージを受けたはずだが

 

それでもまだ立ち上がってきた大侯爵

 

「こんな程度でこのアタシを・・・・・」

 

「うげえ

 

 なんでこんなにも

 しぶてえんだよ」

 

あまりの執念深さに一同はややうろたえ気味

 

「お前たち・・・・・

 

 その程度で

 我らが王を打ち破れるとでも

 思っているのか!?」

 

大侯爵は錯乱気味に

うろたえる一同に詰め寄っていく

 

「さあね・・・

 

 勝てるのかどうかなんて

 今の僕たちにはわからないけど・・・

 

 でもだからって逃げたりなんてしないよ!」

 

「そうよ!

 

 私たちは絶対に

 元の世界に戻って

 

 やりたいことをやり遂げるんだから!!」

 

と湊と真琴は言うと

 

「二人とも下がってて!」

 

有紀はそう言って銃を構えて強力な一撃を放つ

 

「人間っていうのは

 無駄なことが好きだね・・・・・」

 

大侯爵は一撃を受けたのちそう

つぶやいて倒れ爆発するように消滅するのであった

 

「ふう・・・」

 

「それじゃあ急いでいきましょう

 

 私たちは王のもとに」

 

「そうだね」

 

SEESのメンバーは

急ぎ試練の迷宮に突入する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先に待ち受ける試練とは・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




試練の迷宮へ

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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9、アリエスコンダクター

試練の迷宮内

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮

 

そこに潜入した

怪盗団の面々は

 

辺りを見回していた

 

「ここが試練の迷宮か・・・

 

 なんていうか・・・」

 

「なんか赤黒くて

 体の中にいるみたいね・・・・」

 

スカルとパンサーは

その様子を見て何やら気味悪そうに絶句している

 

二人の言う通りそこはまるで

何かの生き物の体の中のような雰囲気がある

 

よく見てみるとところどころに

水がたまっているところも見える

 

「それじゃあ・・・

 

 俺達はまず

 主の方を討っていこう・・・

 

 迷宮の核である主を討てば

 王の力が弱まるはずだからな・・・

 

 試練の王さえ倒せば

 この不完全な迷宮は瞬く間に崩れて

 

 このエリアHへの今日はなくなるだろう」

 

当夜が説明していく

 

「しかしどうしてこのようにも

 不気味な形をしているのだ?

 

 この試練の迷宮の中は・・・・・」

 

「まったくだ

 

 まだパレスやメメントスのほうが

 雰囲気がましだぜ・・」

 

「この迷宮はまだ不完全だ・・・

 

 まだ形が整ってないんだろう・・・

 

 とにかく急ごう!

 

 敵はおそらく俺達がここに

 入ってることには気づいてるはず・・・」

 

当夜が警告する

 

「そういえばその主っていうのは

 迷宮の最深部にいるって聞いてはいるけど・・・

 

 その最深部ってどこから行くことができるの?」

 

クイーンが聞いてくる

 

「迷宮によってルートは様々だ

 ましてやこの試練の迷宮は不完全で

 

 常に形を変え続けてくるから迷いやすい・・・

 

 行き当たりばったりになるかもしれねえな・・・」

 

すると

 

『それだったら問題ないぞ

 

 私がバックアップする』

 

ナビの声が聞こえる

 

『確かに形を変え続けてるな・・

 

 まるでパズルゲームだな・・・』

 

「お、おい・・・

 

 どういうこと?」

 

「ええっと・・・・

 

 とりあえず

 行き詰まることは

 ないってことかな・・・・」

 

ノワールが簡潔ににまとめていく

 

「まあとにかく

 

 ルートの心配がないなら

 俺はそれでいいや・・・

 

 それじゃあナビはそこから

 通信が入りづらくなっていく

 場所を探っていってほしいんだ」

 

当夜は言う

 

『よっしゃ!

 

 それじゃあさっそく

 探っていきますか・・!!』

 

とナビの意気込みの声が聞こえる

 

「急ぐぞ!

 

 もう一方のチームが

 王にたどり着くほぼ同時か

 早めのタイミングでつくぞ!!」

 

当夜の言葉に怪盗団の面々はうなずく

 

「行くぞ」

 

・・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・

 

「これが迷宮なのですね・・」

 

由奈はつぶやいて

迷宮の周りを見て回っていく

 

「なんだかまるで

 よく写真とかに写ってる

 

 人間とか生き物の体の中みたいだね・・」

 

「なんだか食べられてるみたいで新鮮だよね」

 

ややびくびくしている千枝と

対照的に何やら面白そうにうきうきとした反応をする雪子

 

「な、なあ由奈・・・・

 

 お前らの言ってた王は

 どこにいるんだよ?」

 

「さあ・・」

 

由奈はきっぱりと答える

 

「ちょっと待てこら!

 

 んなあっさり答えるもんなのかよ!?」

 

「先ほども話したと思いますが

 

 迷宮内はラルヴァエネルギーに満ちていて

 聖徒は迷宮内では戦えないんです

 

 ですから私たちは迷宮から現れるマモノや

 迷宮を生み出そうとする罪徒達と戦うのが相場だったんです」

 

「なるほど・・・

 

 マモノや罪徒を発生させる

 迷宮を何とかしないとならないと分かっているのに

 

 迷宮がどうしても発生し続けるのにはそういうことが・・・」

 

直斗が分析する

 

「今までは手をこまねいているだけでしたが・・

 

 彼が、当夜がこの世界の最後の希望たる稀人で

 貴方達がこの世界に迷い込んだのが運命だというのなら・・

 

 きっと今が我々人類の罪徒への反撃の好機なのかもしれません!」

 

由奈はそう言って笑みを浮かべて一同を見つめる

 

「当夜がくれたこの聖器のおかげで

 私たちもある程度はこの世界で戦えるようになっています

 

 問題は王の居場所ですが・・」

 

とそこに

 

『先輩!

 

 みんな聞こえる?

 

 そこから先から

 強い力を感じるの・・

 

 もしかしたらその先に敵の親玉・・

 

 王がいるのかもしれない!』

 

りせの通信が入ってきた

 

「りせちゃん!?」

 

「そっか

 

 聖器のおかげで

 通信も入るようになったんだ」

 

「これでバックアップの心配ありませんね

 

 僕たちはこの先にいる王をひたすらに目指していきましょう!」

 

と一同は意を決して向かうと

そこから大量の罪兵の大群が現れる

 

「ここは敵の力のど真ん中です

 

 罪兵やマモノらはほぼ無尽蔵と言ってもいいでしょう」

 

「だったら極力戦わずに

 さきに行くための道を開いていくぞ!」

 

悠の言葉に一同は頷いて

敵の大群に向かっていく

 

「はああああ!!」

 

由奈は聖槍を振るって

敵を次々と薙ぎ払っていく

 

「だけど後で

 湊達が追いかけてくるんじゃね?

 

 このまま突っ切って大丈夫か?」

 

「向こうには有紀もいますし

 それにあの人たちも戦えますから

 

 問題はないと思いますよ

 

 それに敵はどのみち果てしなく

 現れますからある程度倒してもあまり変わりませんよ」

 

由奈はそう言って罪兵を蹴散らしていく

 

「それならば攻めて

 私たちが奥にたどり着いて

 湊さん達を安心させておきましょう」

 

「そうだな・・」

 

悠はそう言われて

急いで奥に控える王のもとに向かっていくのであった

 

・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・・

 

怪盗団の面々は

迷宮を構成する核である

 

主を目指して走っている

 

するとそこに攻撃が放たれてくる

 

一同より一歩前の方に攻撃が放たれたので

多少たじろいたもののダメージはなかった

 

するとそこに

 

翼をはやした人型の怪物が現れる

 

「こいつは!」

 

「フライヒューマンか・・・」

 

当夜はそれを見て聖剣を構えると

 

「偉大なる試練の王の命により侵入者を排除する

 

 我らが王の悲願成就のために!」

 

「まじ!?

 

 しゃべった!」

 

驚くパンサー

 

「気を付けろよ!

 

 しゃべられるマモノは

 普通のマモノよりも強力だ」

 

と向かっていく当夜

フライヒューマンはその攻撃を受ける

 

「侵入者を排除する!」

 

「お前なんかにかまってる暇はない!」

 

当夜はそう言って

銃を構えてフライヒューマンを下がらせる

 

「ぐう」

 

「はあああ!!!」

 

当夜は勢いよく切り付けて

フライヒューマンを撃破した

 

「すげえ・・・」

 

「さすがだな・・」

 

一瞬で片付けた当夜を見てつぶやく二人

 

「ぼおっとしてるなよ!

 

 この先から強い力を感じる・・・」

 

「何!?」

 

一同は警戒しつつその先に進んでいく

 

「何が待ち受けてるの・・・・?」

 

クイーンは恐る恐る聞く

 

「向こうからきてくれたみたいだな・・・」

 

と一同の目の前に現れたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の人物であった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

・・・・

 

「我らが王の・・・・・

 

 悲願のため・・・・・」

 

フライヒューマンは

そうつぶやいてその場に倒れ

 

黒いオーラのようになって消滅するのだった

 

「フライヒューマン・・・

 

 おまけに言葉をしゃべれるなんてね・・・」

 

「言葉が喋れるのが

 そんなに驚くことなのか?」

 

陽介は有紀に聞く

 

「言葉をしゃべれるマモノは

 同じマモノでも高位の存在で

 

 普通よりも強力なの

 

 ってことはいよいよ向こうも本気になってきてるのね・・・」

 

有紀はそう言って

目の前の方を見て顔をこわばらせる

 

「ど、どうしたの?」

 

「気を付けて・・・

 

 この先に強力な何かを感じる・・・」

 

有紀のそのつぶやきに警戒する面々

 

そこに現れたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の人物であった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  




待ち受けるのは

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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10、仮面狂想曲~capriccioso mascherare

主への道

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


迷宮の核である主のもとを目指す

当夜と怪盗団の面々

 

そこに現れたのは

一人の少女だった

 

「あ、よかった

 やっと人がいた・・・

 

 もう石炭袋通ったら

 こんな暗くて不気味な世界に

 ついちゃうんだからびっくりしちゃった・・・」

 

橙色の布で顔と体を隠し

杖を突いている高校生くらいの少女

 

「だ、誰?

 

 見たところ人間みたいだけれど・・・・」

 

「いや・・・

 

 ただの人間が

 迷宮の中にいられるわけがない・・・

 

 と言うことは・・・」

 

当夜はそう言って聖剣を召喚して構える

 

「うわっと!?

 

 どうしてそんなの取り出すの!?

 

 ま、待ってってば!?

 

 確かに私たちはこの世界の人間じゃないけれど

 別にこの世界をどうこうしようとかは考えてないから!?」

 

当夜が構えると少女は驚愕する

 

「この世界の人間じゃない・・?

 

 それってつまり

 ワガハイたちと同じ

 

 この世界とは別の世界に落ちてきたのか?」

 

モナが分析する

 

「と、とにかく落ち着こうよ

 ここは今は収めて、ね・・・」

 

どーどーと気を落ち着かせようとする少女

 

「どのみち時間を食ってる暇はない・・・

 

 悪いが通らせてもらうぞ!」

 

当夜は聖剣を振るって少女に向かっていくと

少女は杖から刀を抜いてそれで聖剣を止める

 

「もう!

 

 わからずやなんだから・・・」

 

「仕込み杖か!」

 

と少女は布を脱ぎ捨てると

少女の全貌が明かされる

 

見た目はかわいらしい容姿の

年に似た少女だが左半身が異様だった

 

顔の左半分と左手が

人間の者とは思えないようなものである

 

まるで爬虫類

 

いや、龍のようにも見える

 

「な、なんだあれ・・・」

 

少女のその半身を見て驚愕する一同

 

「これは呪い・・・

 

 ドラゴンの翼の呪い・・・

 

 この呪いは私を今でも蝕んでる・・・」

 

すると少女の背中から

巨大なドラゴンの翼が現れ始める

 

すると変異していた左手と顔が

徐々に元の容姿に戻っているのが分かる

 

「何とまがまがしい・・・・・」

 

フォックスは思わずそれを見てつぶやく

 

「だったらどうする?

 

 私はどっちの感想も

 もう聞き飽きてるから・・・」

 

「・・・・」

 

クイーンは静かに口を開く

 

「あなたが何者だとか

 その姿がどうなのかとか

 

 今はそんなのは問題じゃないわ・・・・

 

 問題はあなたは何のために

 私たちの前に現れたのかと言うこと・・・・

 

 教えて

 

 あなたはどうしてここに現れたの?」

 

「わからないわ・・・

 

 私はある世界から

 石炭袋を通って気が付いたら

 ここに来たの・・・

 

 そしてこの場所で人を探してたら

 貴方達に会った、それだけ・・・」

 

「そ、そう?

 

 じゃあそこを通してもらってもいいかな?

 

 私たち今急いでるから・・・」

 

ノワールがそっとそう言葉を

かけると少女は静かに言うのだった

 

「悪いけど・・・

 

 そうはいかないんだよね」

 

そう言って手に持っている仕込み杖から

刀を抜いて、左手には鞘、もとい杖の部分を

 

逆手に構えていく

 

「私はまだ貴方達を信じてない

 

 信じていないのは敵であると認識しているのとおんなじ・・・

 

 だからこのまま逃がすわけにもいかないんだよね・・・

 

 それにこの世界の人間がどのくらいのレベルなのかも知りたいしね」

 

と姿勢を低くし

杖の方を前に刀を順手で後ろに向けて

 

臨戦態勢を取る

 

「向こうはやる気みたいだな・・・

 

 少しくらいなら付き合ってやってもいいだろ」

 

「しょうがない・・・・

 

 みんな行こう!」

 

ジョーカーの言葉に

ほかの面々も構えを取る

 

「まいります!」

 

と優生は足に力を入れると

背中のドラゴンの翼を大きく羽ばたかせ

 

一同に一気に向かっていくのであった

 

「うおっと!」

 

少女はまずはスカルに向かってきた

スカルは武器である鈍器を使って応戦していく

 

だが少女は杖を使って武器を抑え込み

刀を大きく振り上げていく

 

だがその手を何かが巻き付ける

 

「っ!」

 

「はあ!」

 

パンサーが武器の鞭で少女の刀を

持っている手を巻き付けて攻撃を中断させる

 

「スカル!」

 

「おりゃ!」

 

そこにスカルが

鈍器を振るって反撃を試みるが

 

少女は背中に生えたドラゴンの翼を羽ばたかせて

後ろに飛んでスカルの攻撃をかわしてしまう

 

「ゾロ!」

 

そこにモナがゾロで攻撃を仕掛けるが

少女はそれを翼を使って防いでしまう

 

更に体を回転させて

突風を越してそれをモナに放つ

 

「ニャ!」

 

モナはダメージはないが

遠くにまでふっとばされてしまう

 

「はあああああ!!!!!」

 

フォックスが日本刀を手に

少女に切りかかっていく

 

「女であっても容赦はしない」

 

「っ」

 

少女はフォックスとつばぜり合いをしていくが

少女は突然足払いを繰り出してフォックスのバランスを崩させ

 

仰向けに倒した彼の体を

踏みつけるように抑え込む

 

「ぐう・・・・・

 

 何と見事な体さばき・・・・・」

 

「それはどうも」

 

少女は仕込み杖の刀の方でヒュンと空を切る

 

そこにクイーンが飛び込んでいき

次々と攻撃を仕掛けいく

 

少女はそれを

腕で防御をしてしのいでいきつつ

 

距離を取っていく

 

「あなたのそれって合気道?

 

 でもちょっと荒いかな?」

 

「っ!」

 

すると少女はクイーンの後ろに回り込んで

マフラーをつかんで引っ張って壁の方に追いやっていく

 

「ううっ!」

 

少女はそこに杖の方をたたきつけんとすると

そこにノワールが斧を振るっていく

 

少女はノワールの武器である斧を見て

防ぐのは無理と判断したのかアクロバットな動きで距離を取っていく

 

そこにとびかかっていくジョーカーと当夜

 

少女はそれぞれの攻撃を仕込み杖の刀と杖を

交互に打ち付けて応戦していく

 

互いに引けを取らない攻防

 

「「「はあああ!!!」」」

 

そして三人の攻撃がさらに繰り出されようとした

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の少年が三人の間に割って入り

刀をもって攻撃を受け止めてしまうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

「ななちゃん!」

 

するとその少年は

当夜とジョーカーを蹴り飛ばして

 

下がらせてしまうのだった

 

「うおっと!」

 

「く・・・・」

 

すると少年は少女の方に向く

 

「優ちゃん

 

 どこに行ってたの?

 

 すっごく心配してたんだよ?」

 

「ご、ごめん・・・

 

 石炭袋から飛び出したら

 この場所に来ちゃって・・・」

 

少年はあきれたようにため息をつく

 

「あ、ごめんねびっくりさせちゃって

 

 優ちゃんは悪い子じゃないんだけれど

 ちょっと疑り深いところがあるからね

 

 ご迷惑をおかけしちゃって申し訳ありません」

 

と少年は頭を下げる

 

「あ、ああいや・・・・

 

 その・・・・」

 

「ま、まあ・・・

 

 疑った俺達の方も悪かったしさ・・・」

 

謝罪する二人

 

「さてと優ちゃん

 

 そろそろ行くよ」

 

「え、でもななちゃん・・・

 

 石炭袋は・・・」

 

少女は何やら不安そうに言葉を言う

 

「しょうがないよ

 

 僕の作った石炭袋は

 まだ不完全なんだし・・・

 

 こうなったらまた復活してくれることを

 祈るしかないね・・・」

 

当夜は言う

 

「それじゃあ僕たちは行くよ

 

 よくわからないけどこの先で

 やるべきことがあるんでしょ?

 

 だったら僕たちそれを邪魔する理由はない・・・・

 

 僕たちも僕たちのやるべきことをやるから」

 

「ま、待ってくれ!

 

 お前らはいったい誰だ?」

 

当夜は聞いた

 

「僕は七誠

 

 僕は元の世界では

 北斗の剣士って呼ばれてる・・・・

 

 この子は優ちゃんこと優生ちゃん

 

 僕の相棒の橙色の魔法使い、パートナーだよ」

 

「う、うん・・・」

 

と二人は去っていくのであった

 

「君たちとはもしかしたらこの先

 

 また会えるのかもしれないね・・・・」

 

意味深な発言を残して

 

「誰だったんだ今のは・・」

 

「さあな・・・

 

 今はとにかく

 主の方に行くぞ!」

 

当夜に言われて怪盗団の面々は急いで

奥にある主の蛹のある部屋に向かっていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かの少年は何者か・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




謎の少年少女

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

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11、罪の器~Sin of a sin

王の間へと続く道

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮

 

こちらは迷宮を統べる罪徒

 

王のもとへと向かっていく組

 

自称特別捜査隊の面々である

 

だが面々の前には

何体もの罪兵たちが阻んでいき

 

思うように闘いが進まない

 

「ほぼ無尽蔵って言っても

 限度があるだろうが・・・・」

 

「む、無理・・

 

 そろそろ限界・・」

 

「私も同感・・・

 

 でも・・・」

 

ぞろぞろと周りから

罪兵が次々と現れ始めていく

 

「なんだよこいつら・・・

 

 ゴキブリかよ・・・」

 

「ご、ゴキはもう

 思い出したくないクマ・・」

 

完二の単語にクマはやや青ざめて言う

 

「久慈川さん!

 

 敵の方はどうですか」

 

『もう少しだけど

 この先にもまだたくさんいるみたい・・』

 

りせは探知する

 

「これじゃ王の前に

 たどりつく前に体力を消耗します・・

 

 せめてどこか発生源を抑えられれば」

 

由奈はつぶやくが

そんなことはお構いなしに

 

次々と現れていく罪兵

 

すると

 

一体の罪兵の頭部を

何かが突き抜けていく

 

その突き抜けたそれは

何やら釘のような形をしたエネルギー弾のようだ

 

するとそこにさらに

同じような弾丸が次々と放たれていき

 

罪兵の大群は全滅するのだった

 

「な、なんだ!?」

 

陽介は辺りを見回す

 

すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな一同を

上から見つめる一人の少年

 

「へえ・・・

 

 あれがこの世界の・・・

 

 少し確かめてみよう」

 

するとその少年は

そこから飛び降りていき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同の後ろ側に着地する

 

その少年の姿を見つめる面々

 

「な、なんだあ!?」

 

突然現れた少年に完二は聞いてきた

 

「やあ、坊やたち

 

 初めまして、そして

 

 さようなら・・・」

 

と少年は一同に銃をもって

攻撃を仕掛けていく

 

「うおっと!

 

 いきなり攻撃て」

 

「敵ってんなら

 容赦はしねえぞ

 

 タケミカヅチ!」

 

完二はそう言って

ペルソナを呼び出す

 

少年はタケミカヅチの猛攻を

その身軽で素早い動きでひらりひらりとかわしていく

 

「ほう・・・

 

 見たことのない力を使う・・・」

 

すると少年は

羽織っている布をマントのように翻し

 

タケミカヅチに振るっていくと

 

「な、なんだ!?

 

 うおっと!」

 

するとタケミカヅチは勢いよく吹っ飛ばされていき

 

それにつられて完二も吹っ飛ばされてしまう

 

「お前たちは何者だ・・・

 

 どうしてこの迷宮で自由に動ける」

 

「それはこっちの台詞だっての!」

 

少年に問われて陽介は返す

 

「俺は聖徒・・・

 

 そしてこの世界の最後の希望だ!」

 

と右手の甲を向けて見せるとそこにあったのは

当夜が右手に宿していた聖痕と同じものだった

 

「あれって聖痕!?」

 

「当夜君たちとおんなじ・・・」

 

「ってことは・・・

 

 貴方は聖徒!?」

 

「そういうお前も聖徒か・・・

 

 だがなぜこのラルヴァに満ちた

 迷宮の中でお前たちはどうして力を使えるのだ?

 

 エーテル濃度の薄いこの世界では

 いかなる力も無効化されるというのに・・・」

 

少年は聞く

 

「ふっふーん

 

 クマには隠された力があるクマ

 

 その力の前にはらるヴぁなんて意味ないクマ」

 

「・・・・・・・」

 

クマの発言に

疑り深い反応を見せる少年

 

「クマ、ちょっと黙っててもらえる?」

 

「うう・・」

 

下がらされるクマ

 

「僕たちがこの世界でも

 力が使えるのはある聖徒さんの力のおかげなんです

 

 その彼は今この場にはいませんが

 彼の協力のおかげで僕たちはこの力を使えるということなのです」

 

直斗が説明していく

 

「ほう・・・

 

 この世界の聖徒にも

 俺とおんなじ稀人がいるのか・・・」

 

少年はつぶやく

 

「あんたは何者なんだよ

 

 いきなり俺たちの前に現れるなんて・・・・」

 

陽介は恐る恐る聞く

 

「さあな

 

 俺は他の奴と一緒に

 迷宮に入っていったら

 

 そこでお前らに出会った・・・

 

 経緯はそれだけだ」

 

少年は言う

 

「異世界の稀人というのには

 興味が実に沸いてくるな

 

 だがその様子だとそいつは

 ここにはいないようだな・・・」

 

すると少年は聖剣を取り出す

 

「ちょ、ちょっと!?

 

 なんで剣なんて持ってんの!」

 

「ただの個人的興味だ・・・

 

 この世界の奴が

 どれほどのものなのか

 確かめさせてもらうとしよう!」

 

そういって腕をクロスさせて

そのまま一同に向かっていく

 

「うわっと!」

 

不意を突かれて対応が遅れてしまう陽介

 

だがそれでも攻撃は当たらなかった

 

「ああもう!

 

 そっちがそのつもりなら

 やってやろうじゃん!

 

 アチョー!」

 

千枝はそう言って

蹴りを繰り出していく

 

すると少年はそれを

腕に巻いた布によって止められ

 

そのまま後ろに押される

 

「うわっと!」

 

少年はそこに剣を持って向かっていくが

 

彼の前に炎による壁ができて

少年はひるみ、後ろにアクロバットで下がっていく

 

「千枝!

 

 大丈夫!?」

 

「ごめん雪子・・」

 

雪子が千枝のもとに駆け寄っていく

 

「おおりゃあああ!!!」

 

完二がそこに盾で殴り掛かっていくが

少年は剣でその攻撃を受けて防御する

 

「おおお・・・」

 

「ん!」

 

左手に持っていた布を

マントのように羽織り

 

左手に銃のようなものを持つと

それを完二のほうに向けていく

 

だがそこに

何かが振るわれて

 

銃は高くあげられていく

 

「危なかったな」

 

「すまねっす先輩」

 

「クマが決めちゃる!」

 

とクマがペルソナを召喚し

冷気を少年にはなっていく

 

少年はマントのように巻いた布を翻して

防御を試みるが冷気は布ごと彼を凍らせていく

 

「ぬう・・・」

 

それに気が付いて布を

顔にまで大きく広げて

 

布をその場に脱ぎ捨てる少年

 

「スクナヒコナ!」

 

直人の繰り出したペルソナは

少年に手に持っている武器による一撃を

 

食らわせていくのであった

 

そこに

 

「イザナギ!」

 

悠がイザナギを繰り出して

見事少年に攻撃を当てて

 

「おりゃああああ!!」

 

由奈が聖槍をふるって

風を起こし一撃を食らわせるのであった

 

攻撃で吹っ飛んで倒れ

そこで膝をついた少年

 

「なるほど・・・

 

 確かに強い力だな・・・

 

 おまけにまだ伸びる予感もする・・・」

 

少年は顔を上げてそう言った

 

「ちょっと楽しみになってきたな・・・」

 

そういって立ち上がる少年

 

「お、おい待てこら!

 

 逃げんのかよお前!!」

 

完二が呼びかけると

 

「逃げるも何も

 見たいものは見れた

 

 だったらもうお前らと戦う理由はない・・・

 

 俺の敵は罪徒であってお前らじゃない

 だから倒す必要もまたない・・・

 

 だが最後に言っておく

 

 俺の名前は渚・・・

 

 東雲 渚・・・

 

 円があったらまた会えるだろう・・・

 

 その時まで今より強くなるんだな」

 

と少年、渚は

一同に背を向けて

 

そのまま走り去っていってしまったのだった

 

「なんだったんだ今のは・・」

 

「さあな・・

 

 少なくとも敵には感じませんでしたが・・」

 

悠の言葉に由奈はそう返した

 

「なんにしても先を急ごうぜ!

 

 早くしないと主のほうに行ってる方に

 敵が向かっていっちまうかもしれねえ」

 

「そうだよ

 

 あたしらが行かないと

 作戦がうまくいかないっしょ?」

 

陽介と千枝が

悠と由奈に呼びかけるのであった

 

「そうですね・・

 

 私たちにはここで

 絶対にやり遂げなくては

 ならないことがあるんです・・

 

 そのためにも先に進まないと・・」

 

「そうだな・・

 

 この戦いは俺たちが

 元の世界に戻るための

 大切な一歩になると思う・・」

 

由奈と悠は

ともに先に行くほかの面々とともに

 

王の待つ場所に向かっていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

『みんな・・

 

 気を付けて・・

 

 この先からとてつもなく

 強い何かを感じる・・

 

 この中を探るのが嫌になるほどの

 どす黒い何かを・・』

 

りせが通信越しに

一同に呼びかけていく

 

「・・・・・・」

 

悠は一同を見回すと

もう準備はできてるという表情をもいて

 

目の前の通路を見つめる

 

「ようし!

 

 行っくぞぉおおおお!!」

 

悠や一同の言葉を千枝が代用し

一同は奥へと向かっていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王への謁見の時が来る・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




王への謁見に

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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12,Despair of nightmare

主を奪いに行く怪盗団

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「・・・・・・・・・」

 

玉座に座る

一人の人物が

 

そっと目を開ける

 

「王様・・・・・・・・

 

 敵のご様子のほうは」

 

「ああ

 

 増殖の大伯爵

 偏福の大公爵に続き

 

 朧の大侯爵まで敗れたようだ・・・・・・・・・」

 

「あいつら何やってるのよ」

 

その場にいる三人の人物は

玉座に座っているその人物に控えている

 

「敵はどうやら

 二手に分かれて

 

 一方はこっちに向かっているようだな

 

 もう一方はどうやら

 主のほうを目指しているようだ」

 

「なんと!?

 

 もしもそうならば

 手を打たなくてはなりません

 

 主は言うなればこの迷宮を構成する

 ラルヴァエネルギーを制御するいうなれば核

 

 一刻も早く手を打たなくては

 破壊されてしまえば今回の侵攻は

 無駄になってしまいます」

 

真ん中にいた一人の人物が

警戒するようにつぶやく

 

「案ずるな大君主よ

 

 この迷宮においては

 私には筒抜けなのだ

 

 何をしようと初戦は私の掌の上」

 

そういって右手を

何かで受けるような動作をする王

 

「だがこのまま奴らに

 希望を与えてしまうのは

 

 本意ではない

 

 大君主!

 

 お前は主のほうに迎え

 

 残る二人はこの王の間で

 私とともに迎え撃つのだ」

 

「「「はっ!!!」」」

 

三人の人物は

それを聞いて一人の人物は

 

その場から去っていき

 

残る二人は王の両側に立つ

 

するとそこに足音が徐々に

大きくなるように響いてきた

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

『先輩、みんな気を付けて!

 

 この先から強い力を感じる・・

 

 今まで感じたことのないほど

 大きくっていやな感じの・・』

 

りせの言葉を聞いて

各々の武器を手に臨戦態勢に入っていく

 

「この先に罪徒たちの王が・・・」

 

「ああ、見るからに

 やばそうな感じするな・・・・」

 

警戒度を上げていく一同

 

「だがここまで来たんだ

 

 絶対に引くわけには行かない・・

 

 行こう!」

 

「ええ」

 

悠の声とともに

入っていく一同であった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

一方

 

主のほうに向かっていく怪盗団の面々

 

一同は目の前にそびえる

不気味に気味悪く動く物体を発見する

 

「あれは・・・・」

 

一同はそれを見つめるが

見ていて気分のいいものではない

 

『みんな!

 

 目の前に見えてる

 その不気味な奴がたぶん

 

 当夜たちの言ってた主の蛹だと思う

 

 まだ弱いけど今までに

 ないほど嫌な雰囲気を感じる・・』

 

「ってことはあれを破壊すれば

 この迷宮は破壊できるってことだな!

 

 ようし、そうと決まれば・・・」

 

スカルはそう言って

ペルソナをだしてその物体に

 

攻撃を仕掛けていく

 

「待て!」

 

当夜が慌てて呼び止める

 

するとそこに

黄色い粉上の何かが

 

吹きかけられて

それがスカルに一気にかけられる

 

「うわあああ!!!」

 

吹っ飛ばされて一同のもとで

地面にたたきつけられるスカル

 

黄色い粉上のそれは

あたりに立ち込めている

 

「ゾロ!」

 

モナがペルソナで

風を起こしてあたりに立ち込める

黄色い粉上のものを吹き飛ばして視界を広げる

 

するとうっすらと一つの人影が見えていく

 

「フフフフ・・・・・・・・」

 

そこにいたのは

傘のようなものを杖のように

地面に突き刺して待ち構えている

 

一人の女性であった

 

「この感じ・・・・

 

 罪徒ね!」

 

「やっぱり待ち構えてた」

 

パンサーとクイーンがそれぞれいう

 

「私は偉大なる王

 

 試練の王陛下のもとに

 使えるもの・・・・・・・・

 

 夢幻の大君主なり」

 

それを聞いて驚愕する当夜

 

「大君主!?

 

 寄りにもよって

 面倒な相手が・・・」

 

すると大君主は

左手をかざすと

 

そこから伸びてくる

物体が一同に絡みつかんとする

 

「く・・・」

 

当夜はそこから高く飛んで

その物体の拘束から逃れていく

 

だが一部のものは拘束を受けてしまう

 

「しまっ・・・・・」

 

「うう・・・・」

 

だがそこに当夜が聖剣で

その物体を切りさいてその拘束から

 

開放するのであった

 

「さすがに今、君主の爵位と

 相手にするのはちょっと難しいな・・・」

 

当夜はそういって夢幻の大君主を睨むように見つめる

 

「だがそれでも・・・・

 

 この作戦を任された今

 

 相手がどんなに強大でも

 今更逃げたりなんかしない!」

 

当夜が構える横で

ジョーカーもナイフを手に身構える

 

「笑わせないでくれる?

 

 あなたたちのような下等動物の人間が

 この程度の人数でこの私に挑んで勝てるでも思っているの!?」

 

そういって武器である傘のような武器の先を向ける

 

「勝てる勝てないじゃない・・・

 

 俺たちは勝つんだ!」

 

「俺たちは最後まで抗う

 

 この力を得たときから

 すでに決めているんだ!」

 

当夜とジョーカーが言うと

ほかの一同もうなずく

 

「身の程知らず共め

 

 ならばわれら試練の軍勢の力

 

 見せてあげるわ!」

 

そういって手を広げていくと

彼女の周囲の地面から次々とマモノが召喚されていく

 

「行くぞみんな!

 

 絶対に主にたどり着くぞ!!」

 

当夜がそういって

一斉に敵の大群に向かっていく

 

当夜は聖剣をてに

次々と攻撃を決めていく

 

「アルセーヌ!」

 

ジョーカーは

アルセーヌとともに向かっていく

 

「キッド!」

 

スカルもキッドを繰り出して

鈍器をふるってマモノを攻撃していく

 

「カルメン!」

 

パンサーも攻撃を切り出していき

敵の大群を蹴散らしていくのだった

 

「ゾロ!」

 

モナも持てるすべてを使って

敵の大群を突っ込んでいく

 

「ゴエモン!」

 

フォックスは刀で

敵を払いつつ銃で撃って仕留めていく

 

「ヨハンナ!」

 

真はヨハンナにまたがって

敵の大群に突っ込んでいき

 

核熱攻撃で根絶やしにしていく

 

「ミラディ!」

 

ノワールも

斧による強力な一撃で

 

敵を少しずつ倒していく

 

一同は時に助け合いつつ

前へ前へと突き進んでいく

 

その様子を見つめる夢幻の大君主

 

「おのれ

 

 ならば!」

 

武器をフェンシングのように引いて

そこから一気に強力な攻撃を突き出していく

 

その攻撃の先には

 

「んん!」

 

一人だけ敵を倒す勢いが弱いノワールが

 

「ノワール!」

 

「え?」

 

クイーンに言われて振り向くと

自分に攻撃が放たれていることが分かった

 

「ん!」

 

よけきれないと感じたノワール

 

もう駄目だといわんばかりに強く目をつぶるノワール

 

すると自分の体が

何かに押されていくのが分かった

 

「え・・・・?」

 

見るとジョーカーが

自分の体を抱えているのがわかる

 

だが

 

「ぐう・・・・」

 

顔をしかめていくジョーカー

 

見るとその足から

血が流れているのがわかる

 

「ジョーカー・・・・」

 

「ふう・・・・

 

 俺としたことが

 うまくしのげなかったみたいだな」

 

ジョーカーは立ち上がるが

足に走る激痛のせいでうまく立ち上がれない

 

「待ってジョーカー!

 

 無茶だよその足じゃ

 戦えるわけない」

 

「でも

 

 早く主の蛹を

 破壊しないと・・・・」

 

引きずってでも行こうとするジョーカー

 

そんな彼をノワールが止める

 

「だめだって言ってるじゃない!」

 

「え!?」

 

引き止められてしまうジョーカー

 

「ジョーカー

 

 あなたが何かに一生懸命なのは

 私もみんなもわかってる

 

 でもこういう時くらい

 私たちに甘えてもいいじゃない

 

 だって私たちは仲間なんだから・・・・」

 

「・・・・」

 

ジョーカーを

下がらせたノワールは彼の前にである

 

「人間とは常に

 愚かな生き物だ

 

 そんな塵など

 ほおっておけばいいものを」

 

夢幻の大君主は冷淡に言う

 

「あなたにはわからないの

 

 人と人がつながっていくことの素晴らしさが!」

 

ノワールは言う

 

「わかる必要もない

 

 強く賢いものが

 弱く愚かなものたちを従えればいいのだ!」

 

大君主は何の躊躇もなくつぶやいた

 

「誰かとのつながりって

 いうのはもっと尊いもの!

 

 そんなのもわからないあなたに・・・・

 

 私たちは負けるわけにはいかない!!」

 

斧を手に持つノワール

 

「あなたを倒して・・・・

 

 私たちは次に行く!」

 

「笑わせないでよ小虫共!

 

 お前たちごときが主を破壊?

 

 お前たちのような

 下等生物が我らが王を倒すだと?

 

 どうしてそんな根拠のない可能性を

 起こせると信じ切れるというのだ!?」

 

大君主は言うと

 

「だったら教えてやる

 

 それは俺たちには仲間がいるからだよ!」

 

スカルが代弁する

 

「ジョーカー・・・

 

 今は休んでろ・・・

 

 あいつと主は俺たちで

 引き受けるからよ!」

 

「行くよみんな!」

 

と一同は一勢に向かっていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主を破壊するための戦いが始まる・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




主を目の前に立ち向う強敵

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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13、夢幻の恐怖~Dreamy fear

主のもとに

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 


試練の迷宮

 

そこの中心部に

やってきた怪盗団

 

だがその怪盗団の前に強敵

 

夢幻の大君主が現れ襲い掛かる

 

「人間とは愚かで弱いと常々思っているが

 お前たちのような身の程知らずになると

 

 どこまでも奥が知れん!」

 

と武器の傘のような剣を

右手にふるってさらに引いていき

 

「ここですべて片付けてくれる!」

 

と剣を勢いよく突き出していく

 

怪盗団の面々はその攻撃をかわしていく

 

「人間なめてっと

 ケガすんぜ

 

 このくそ野郎!」

 

スカルはそう言って

ペルソナを繰り出し

 

そこから一気に敵に向かっていく

 

「ふん!」

 

夢幻の大君主は蔦のようなものを

伸ばしてそれをスカルにふるっていくのだった

 

「ぐう・・・」

 

巻きつかれるスカル

 

「てやあああ!!!!!!!!」

 

そこから剣から

強い光線を突き出していくように

 

放っていく

 

「くっそ!」

 

縛られたまま走り

光線から逃げていくスカル

 

「鼠はどこまでも逃げるのがうまいらしい」

 

「俺がただ単に逃げてるだけだと思うな!」

 

すると

 

大君主の右手に

鞭が巻き付くと

 

そこに射出された弾丸が当たる

 

「はあ!」

 

パンサーは繰り返し

銃撃を続けていく

 

だが夢幻の大君主はそれを

まるでうっとおしそうに払っていく

 

「こざかしい!」

 

と武器をふるって

鞭を切り裂いてしまう

 

「きゃ!」

 

その反動でバランスを崩してしまうパンサー

 

「てやあああ!!!!!!!!」

 

大君主はそんなパンサーに向かって

武器を勢いよく突き出していく

 

すると強力な一撃がはなられていく

 

「やっば!」

 

パンサーはそれに

いち早く反応して攻撃を避けていく

 

「たああ!!」

 

そこにモナが剣をふるって

攻撃を仕掛けていくが敵はそれに気づき

 

その傘のような剣を

モナのほうに向けてふるっていく

 

激しく火花を散らす双方

 

「ワガハイたちには

 まだやらなきゃいけないことがあるんだ

 

 こんなところで躓いたりなんてしていられるか!」

 

「お前たちの都合など

 

 取るに足らんものだ!」

 

すると蹴りを放って

モナの不意を突いた

 

「があ・・」

 

意外にも強いけりに

モナはやや意識を失いかけてしまう

 

「モナ!」

 

フォックスが駆け寄り

敵のほうに向かっていく

 

モナのほうは敵の追撃を

受けずに済んだので意識を失った意外に

 

目立った異常はない

 

「この程度の力で

 主を破壊すると?

 

 ふうん!」

 

「ぐあ!」

 

大君主に押され

吹っ飛ばされてしまうフォックス

 

そのあとに続くように

クイーンがこぶしを繰り出していく

 

「お前たちごときが

 我らが王を倒すだと!?」

 

「きゃ!」

 

だが両手とも止められてしまい

そのうえで投げ飛ばされてしまう

 

「そんな奇跡が起こると本気で思っているのか?

 

 愚か者め!!」

 

大君主は言い放つ

 

「奇跡はね・・・・

 

 待ってるだけじゃ起こらないの」

 

ノワールが静かに答える

 

「奇跡は自分で起こすもの

 

 起こせるって信じるもの・・・・

 

 だからこそ奇跡は起きる!」

 

「奇跡は起こすもの?

 

 貴様らだけで何ができる!?」

 

大君主はそう言って

剣を一同のほうに向けていく

 

「私たちだけじゃない!

 

 SEESの人たちも

 八十神高校の人たち・・・・

 

 由奈さんや当夜さん、有紀さん・・・・

 

 多くの人たちが頑張ってる!!

 

 私たちはだからこそ

 ここであなたと戦う・・・・

 

 私たちを信じてくれてる

 あの人たちのためにもね!!!」

 

そういってノワールは

ミラディを召喚して

 

大君主に向かっていく

 

「黙れ!

 

 貴様ら小虫共が

 いくら集まろうと

 

 われら罪徒の力の前には無力!!

 

 そんなこともわからずに

 挑んでいく貴様らがなぜ

 

 そうやってこの世界で

 無駄に生き延びているのだ!

 

 力のない下等生物の分際で!!」

 

大君主はそうつぶやいて

ノワールの斧による一撃を

 

片手で防いで見せる

 

「生き物に下等も上等もないの!

 

 自分よりも弱いから

 苦しめてもいいなんて

 

 自分よりも弱い人をいじめて

 自分は強いって錯覚してるのと一緒よ!!」

 

「黙れ!

 

 人間の分際で

 大君主たるこの私に

 は向かうつもりか!?」

 

ノワールの襟元を

荒々しくつかみかかっていく大君主

 

「人間を・・・・

 

 なめないでよね!」

 

「っ!」

 

ミラディの放った念動攻撃を受けてる大君主

 

ダメージこそないが一瞬のスキができた

 

「はあああーー!!!」

 

そこにノワールが

渾身の一発を当てる

 

夢幻の大君主の懐に

見事斧による一撃が入る

 

「っ!?」

 

すると大君主の体から

緑とさび鉄、青緑の色が入り混じったような

 

液体が流れていく

 

「すごい

 

 罪徒の体に

 傷をつけるなんて・・」

 

由奈は素直に賞賛する

 

「人間風情が・・・・・・・・

 

 この私の体に傷をつけるとは・・・・・・・・

 

 許さん・・・・・・・・

 

 許さんぞおおお!!!!!!!!」

 

すると夢幻の大君主は背中から

何対もの翼と何本もの尾を繰り出していく

 

「翼と尾を展開した!」

 

由奈はそれを見て

槍を構えていく

 

「ならば教えてやろう!

 

 お前たちという存在が

 いかにこの大君主たる私に

 及ぶものではないというのかを!」

 

するとあたりが

幻のように揺らいでいく

 

すると

 

「これは、ラルヴァ空間か・・

 

 今度はどんな形だ・・?」

 

みるみると周りの景色が変わっていき

最終的にそこに移ったのは

 

「お、おいここって・・・

 

 俺たちの学校・・・」

 

「秀尽高校・・・・?

 

 でもなんか違うような」

 

「洸星高校・・・・・

 

 そういうことか!

 

 ここは俺たちそれぞれの高校の景色が

 混ざり合ってできた場所ということか!」

 

「おいおい・・

 

 秀尽高校も洸星高校も

 この世界にはないはずだぜ

 

 なんでそれが・・」

 

モナが言っていると

声があたりの響いていく

 

「夢幻

 

 それは人が抱く夢

 

 それが生み出した幻・・・・・・・・

 

 この世界はお前たちの記憶をもとに生み出したもの

 

 だがお前たち全員をこのラルヴァ空間に連れてきたことで

 景色が混ざり合っていってしまったせいでこのようになったのだ」

 

するとそこに

翼と尾を出している夢幻の大君主が姿を現す

 

「この世界ではお前たちは

 思うようにたたかえない・・・・・・・・

 

 われら罪徒に歯向かう

 愚かしさをたっぷりと思い知らせてくれる」

 

夢幻の大君主の翼と尾がゆっくりとうごめいている

 

「いつみてもなれないわね

 あの尾と翼の感じ・・・・」

 

「大丈夫だって

 

 このラルヴァ空間でなら

 こいつがある限り俺達でも戦えるんだからさ」

 

とスカルは

ペンダントのようなものを取り出す

 

だが

 

「フフフ・・・・・・・・

 

 やはり低能な生き物だな

 

 人間という生き物は」

 

大君主はつぶやく

 

「お前たちがこの空間内でも

 戦うことができるのは私たちも了承済みよ

 

 あなたまだ私の力の神髄を知らないということだ

 

 見せてやろう、私が夢幻の大君主と呼ばれる所以をな

 

 フフフ・・・・・・・・

 

 ハハハ・・・・・・・・

 

 あーっはっはっはっ!!!!!!!!」

 

笑いながらゆっくりと

空間の中へと消えていく大君主

 

「消えた!?

 

 どこにいるんだ!」

 

「ナビ!

 

 居場所は探れないか?」

 

『やってみる!』

 

ナビはそう言って

あたりを調べてみる

 

『・・なんだよこれ・・!?』

 

「どうした?」

 

『・・反応が・・

 

 お前らの中心なんだ!』

 

それを聞いて

その中心を見る一同

 

「何言ってんだよ!?

 

 あいつの姿なんて

 どこにもねえぞ?」

 

『たぶんこのラルヴァ空間のせいで

 お前らの認識能力が乗っ取られてるんだ

 

 つまりお前らは催眠術にかかってるんだよ!』

 

ナビは解説する

 

「そんな・・

 

 それじゃあ」

 

すると

 

そこに素早い動きで

一同に攻撃を仕掛けていく

 

人影が現れる

 

「ほほう

 

 どうやらこの場にはいない

 指令塔のようなものがいるようね」

 

それは夢幻の大君主そのものであった

 

「そう

 

 この空間は私のテリトリー

 

 お前たちがこの空間を

 自分たちの学校と認識した時点で

 

 お前たちの認識はすでに私の手の中・・・・・・・・

 

 この空間ではお前たちの力は引き出せん

 じっくりといたぶりわれらに歯向かった愚かしさを

 

 たっぷりと思い知らせてやる」

 

と武器を一同に向ける夢幻の大君主

 

『く・・

 

 だとするとどうしたら』

 

するとあたりの空間が

さらに変化を続けていく

 

「フフフ・・・・・・・・」

 

大君主の不気味な笑い声があたりに響いていく

 

「どうすりゃいいんだよ

 

 攻撃が当たらないんじゃ

 反撃のしようもないぜ・・・」

 

「たぶん何か対抗策があるはず・・・・」

 

あたりを警戒していく一同

 

「てや!」

 

そこに大君主が

攻撃を仕掛けていく

 

「く・・・・」

 

大君主はその後また姿を消してしまうのだった

 

「このままだとまずい・・・・・

 

 どうすれば」

 

「必ず対抗策があるはずだ・・」

 

周りを警戒しつつ

敵の攻撃に備えていこうとする

 

「みんな」

 

ノワールはそんな一同を見て

不安そうに声を漏らすと

 

「てやあああ!!!!!!!!」

 

「きゃあああーー!!!」

 

ノワールは敵の不意打ちを食らって

大きく吹っ飛ばされてしまう

 

「いたたたた・・・・っ!?」

 

ノワールは目の前の光景に

激しく驚愕するのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・  ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「フフフ・・・・・・・・」

 

夢幻の大君主

 

彼はある場所で

戦いの様子を見ていた

 

「これは・・・・」

 

ノワールはそこで

とてつもないものを見据えた

 

なぜならそこに移っていたのは

 

怪盗団の面々が

味方同士で戦っているものだった

 

「どうなってるの・・・・

 

 私は確かに奴と戦っていたと思ったのに」

 

ノワールは一同のもとに向かおうとするが

誰かに勢いよくに引き止められる

 

その相手は

 

「よせ!

 

 奴の見せる幻に

 引き寄せられるぞ!!」

 

当夜だった

隣にはジョーカーもいる

 

「幻・・・・?

 

 ということは」

 

「ああ、あいつらは全員手

 あの夢幻の大君主の力で

 

 幻を見せられて

 それに翻弄されているんだ

 

 だから無意識に現実と夢の区別が

 つけられていないんだ・・・」

 

「だったらあの大君主を攻撃すれば・・・・」

 

ジョーカーは立ち上がろうとするが

 

「何やってんだよ

 そんな足で何ができるんだよ

 

 それに奴は奴の展開している幻の中心にいる

 

 近づいて倒すのは困難だ」

 

「でも銃だと

 下手したらみんなに当たっちゃう」

 

「く・・・・」

 

ジョーカーもノワールも

打つ手がなく歯がゆさを感じている

 

「奴を倒せなくても

 奴の翼を傷つけられれば

 

 それだけでもどうにかなるんだけどな・・・」

 

当夜も同様だが

それでも同士討ちしていく一同を

 

じっと見つめている

 

「どうしたらいいの・・・・」

 

「待てよ・・・・

 

 そういえばノワールはどうして

 現実に戻れたんだ?」

 

ジョーカーは不意に聞く

 

「あ、そういえば・・・・

 

 確かあの時敵の攻撃を受けて

 ここに吹っ飛ばされて・・・・」

 

「っ!

 

 そうか!!

 

 そういうことか!!!」

 

当夜は不意に何かに気が付いて

剣を片手に一気に向かっていく

 

「当夜さん!?」

 

すると

 

「さあ、下等生物同士

 愚かに朽ち果てていくがいい」

 

大君主は目の前で

互いに同士討ちをしていく怪盗団の面々を見て

 

まるで楽しそうな狂った笑みを浮かべているが

 

そこに

 

「そこだあああ!!!」

 

「っ!?」

 

当夜が後ろから

大君主の翼を切り裂いた

 

大君主の翼は

切り落とされて地面に落ちる

 

「何!?」

 

すると

 

「あれ?」

 

「私たち何やって・・・・」

 

「おお!?

 

 これは一体どうなって・・・・・」

 

「まさか・・・・

 

 私たち同士討ちを

 されていたってこと!?」

 

「く・・

 

 吾輩としたことが・・」

 

面々も戻っていく

 

「馬鹿な

 

 私の能力が

 なぜ効かなかったのだ」

 

大君主は聞いてきた

 

「盲点だったんだよ

 

 ラルヴァ空間は

 展開した罪徒を中心に

 広範囲に広げていくものだと

 

 でもそれはあくまでラルヴァ空間のことで

 罪徒たちの能力はその定義に含まれない・・・」

 

「だーもう!

 

 どういうことだよ!!」

 

スカルは理解が追い付かずに荒げた声を上げる

 

「なるほど

 

 私たちに幻を

 見せた能力はラルヴァ空間のそれと違って

 

 範囲があるっていうことね・・・・」

 

クイーンのほうも理解する

 

「ノワールが奴の幻から解放されたのは

 

 吹っ飛ばされた際にその範囲から

 出ていってしまったからだ」

 

当夜は説明を続ける

 

「そういうことなら

 ノワールが飛ばされた時の条件を

 逆転させればいい・・・

 

 そこからなら奇襲できるってな!」

 

「それで後ろから

 切り込んだのか」

 

ジョーカーは納得する

 

「さあ、翼はもう使い物にならない

 

 ここからが本番だぜ!」

 

と剣を構える当夜

 

「確かに翼は落とされたが

 所詮一つだけ

 

 大勢に影響はない」

 

そういって剣で空を切る夢幻の大君主

 

すると残った翼を広げていく

 

「私の力は失われたわけではないし

 ラルヴァフィールドも不安定ながらも生成できるmの

 

 残念だったわね・・・・・・・・」

 

そういって武器を構える大君主

 

「残念なのはそっちだ!」

 

「何?」

 

だが当夜は言う

 

「いくらお前が夢幻を見せられても・・・

 

 ラルヴァフィールドをまだ広げられても・・・

 

 それで俺たちに勝てる理由にはならない!」

 

当夜は言う

 

「ほざくだけならだれにでもほざけるわ!

 

 この私の力を見誤るんじゃないよ!!」

 

夢幻の大君主はそういって武器の剣を高く掲げる

 

するとその剣からどす黒いオーラが

翼を広げるように武器から広がっていく

 

そのオーラはやがて

大君主を包み込むようにして一つになると

 

そこから現れたのは姿の変わった

夢幻の大君主の姿であった

 

頭部は旗魚の口吻のような角が口から伸びて

その両側には昆虫のあごのような角が一対

 

頭部に背中に反り返った角が見える

 

両腕と下半身を

白い布が覆っているすがただ

 

「武器開放形態か・・」

 

「ついに本気を出してきたってことね・・・・」

 

面々は構えていく

 

「この私の力を

 しかと目に焼き付けて

 

 心に恐怖を刻んでこの迷宮の肥やしになるがいい」

 

夢幻の大君主はそう言って

背中の翼を広げてゆっくりと宙を浮いていく

 

「気をつけろよ・・

 

 ああなってくると何を仕掛けてくるのかわからねえからな」

 

モナの言葉に一同はそれぞれ構えていく

 

「この空間は私のテリトリー

 

 ここではお前たちは

 思うようには戦えぬまい

 

 じっくりと痛めつけてくれる!」

 

そういってその姿を消す大君主

 

すると

 

「てや!」

 

大君主の角が輝き始め

あたりに電のように光線が落ちていく

 

一同は急いでその攻撃を避けていく

 

「へへへ!

 

 こっちは伊達に電気を

 扱ってねえんだ」

 

と余裕を見せて攻撃をいなしていくが

 

「待て!

 

 その電撃は

 ただの電撃じゃない!!」

 

当夜が叫ぶように答える

 

「え!?」

 

するとその電撃は

スカルに当たる

 

「ぐあああ!!!」

 

スカルは攻撃を受けて

壁にたたきつけられてしまう

 

「スカル!」

 

フォックスがスカルに駆け寄ると

スカルの体は黒く染まっていて

 

スカル自体の容態にも変化が起こっているようだった

 

「これは・・・・・」

 

「なるほど・・・

 

 闇の力で今度は

 その意識を閉じ込めたっていうことか・・・」

 

当夜は分析する

 

「ようするに・・・・

 

 どういうこと?」

 

「スカルは眠らされてるだけよ

 

 あいつの力で意識を封じられてね・・・・」

 

パンサーに説明していくクイーン

 

「今度はお前たちに

 本当の夢というものを見せてあげる

 

 思い知るがいい!」

 

とまたしても角を光らせて

そこから再び雷のようにあたりに光線が

 

降り注いでいく

 

「みんな!

 

 その光線絶対に浴びるな!!」

 

当夜は一同に声をかけていく

一同はそれを聞いて急いで光線をかわしていく

 

「くそ・・・・

 

 不規則に動くからかわしにくい・・・・

 

 せめて発生源さえ破壊できれば」

 

と大君主の口吻状の角に狙いを定めていく

 

「ようし・・・・」

 

クイーンは手持ちのリボルバーを

夢幻の大君主の口吻に向け、引き金を引く

 

その弾丸は大君主に

当たっていくが見事にはじかれていく

 

「く・・・・

 

 やっぱりそう簡単には

 破壊できないみたいね・・・・」

 

「当然

 

 この角とて

 使いようでは武器にもなるからな」

 

そういって再び攻撃を仕掛けていく大君主

 

「どうするのよ

 

 このままだと全滅しちゃうわよ・・・・」

 

「くそ・・

 

 最低でも奥に見える

 主の蛹を破壊しないと・・」

 

「だがそれには

 こいつの猛攻をかわさないといけないぞ・・・・・」

 

「あいつの角が破壊できれば

 

 そうしたら奴の攻撃を封じられるのに・・・・」

 

クイーンは苦悩する

 

敵の攻撃を封じるには

敵の攻撃の発生源である角を破壊できればいい

 

だが角は意外に硬く

銃による攻撃では効かない

 

「どうしたらいいの」

 

「どうすることもできん

 

 お前たちができることはただ一つ

 私たちに歯向かったその愚かしさを

 

 詩を持って悔い改めることのみ

 

 私たちにたてつく

 その愚かしさを思い知りなさい!」

 

と光線を放っていく

 

一堂に的確に放たれていくその攻撃に

もう駄目だとあきらめかける一同だが

 

その光線の前に何かが

遮り光線は相殺されていく

 

「あきらめるな!」

 

それはアルセーヌ

 

つまり

 

「ここであきらめてしまったら

 

 俺たちに託してくれた

 奴らを裏切ることになってしまう!

 

 絶対に最後までやり遂げるぞ!!」

 

ジョーカーであった

 

「こざかしい小僧が!」

 

光線をさらに威力を高めに放っていく夢幻の大君主

 

するとアルセーヌはだんだんと黒く染まっていく

 

「ぐう・・・・」

 

するとジョーカーの体も

黒く染まり始めていく

 

だがその中でも彼は

必死に抵抗を続けていく

 

「うおおお・・・」

 

そして

 

拳銃を向けていき

 

「そこだ!」

 

その引き金を引いた

 

「っ!?」

 

その弾丸は彼の角の先に被弾

 

すると角が音を立てて砕けていく

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「人間を・・・・

 

 なめるなよ!」

 

角が破壊されたと同時に

ジョーカーの体が元に戻っていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここからが反撃だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




攻略の時

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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14,A nightmare land

王の間にて

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 


試練の迷宮

 

王の間

 

そこでは玉座に座った

一人の女性と二人の人物が

待ち構えていた

 

そこに駆け付けてきたある一団

 

「来たな

 

 われらに歯向かう

 異世界の人間たちよ」

 

そういって玉座に

座っている女性が話しかけてきた

 

「やっと会えたな

 

 試練の迷宮の王様」

 

「おうこらてめえ!

 

 お高く留まってんじゃねえぞ」

 

完二はややメンチを切っていく

 

「無礼者!

 

 王の御前であるぞ!!」

 

「まあまて侯爵

 

 こんなことで心とを乱すな

 

 私が恥をかくことになる」

 

女性に言われて左側の女性は

シュンっとおとなしくしていく

 

「さてと

 

 私のことはもう知っているようだが

 

 ここは礼儀としてあいさつをしておきましょう

 

 私こそがこの試練の迷宮を束ねし王

 

 貴方達を歓迎しよう」

 

そういってぱんっと手をたたく

 

「歓迎って言われてもね・・・」

 

「そんなこと言われても

 何とも思わないかんね

 

 こっちはあんたたちがどういう

 奴なのかをようく知ってるんだから」

 

千枝が激しく反論する

 

「あなたたちがどう思うと

 私たちの価値観なんてそれぞれ

 

 私の価値観は君たちが思っている

 ことで正解であるとだけ言っておきましょう」

 

王は静かにつぶやく

 

「あなたたちはどうして

 この世界の人間を苦しめているのですか?」

 

「どうして?

 

 理由なんてない

 

 貴方達人間が日常何気なく殺している

 蚊や蝿、ゴキブリなんかと同じよ

 

 そこにいるだけで不快

 

 だから殺す、それだけよ」

 

『なによそれ・・

 

 そんな理由で人の命を奪ってるっていうの!?』

 

りせがナビ越しに言い放つ

 

「逆に聞こう

 

 理由があれば

 人間を殺してもいいのか?」

 

試練の王はそうつぶやく

 

「よぉく分かったぜ

 

 おめえらがぜってぇに

 許せねえ奴らだってことがな」

 

完二が声を荒げて言う

 

「下等な人間の許しなどいるまい

 

 せっかくここまできたのなら

 せいぜい歓迎してあげよう

 

 侯爵共」

 

すると両側に控えていた

二人の人物が前に出ていく

 

「われらが王のご指名ね

 

 私たちが相手をしてあげる」

 

右側の女性が言葉を交わす

 

「私は無価値の大侯爵

 

 こっちは妹の無益の大侯爵・・・・・・・

 

 まあよろしくね」

 

左側の女性が

もう一人とともに自己紹介をしていく

 

「なんだかずいぶんと極端な名前だな・・・・」

 

『みんな気を付けて!

 

 この二人からとてつもないほど

 邪悪な力を感じるよ・・!!』

 

りせは忠告する

 

「何か言ってみるみたいね姉さん・・・・・・」

 

「そうね、まあ関係ないわ

 せっかく私たちの王様が

 

 ご指名をしてくれたんだから

 

 ゆっくり楽しませてもらうわね」

 

そういって姉妹はそれぞれ

武器を手に持って一同に仕掛けていこうとする

 

妹の無益の大侯爵は三又の剣を

姉の無価値の大侯爵は三又の槍

 

言うならば三叉戟を手に取る

 

「ようし

 

 当夜君や暁君達が

 主のほうにかまってる間に

 

 うちらは王のほうを倒すぞ!」

 

「うまく彼らが主を倒してくれたなら

 王の攻略は楽になるでしょう」

 

千枝と直斗の会話を聞いた

姉妹たちは高笑いを上げていく

 

「フフフ・・・・・・

 

 ハハハ・・・・・・

 

 あーっはっはっはっ!!!!!!

 

 やはりお前たちと別れたほうは

 主を目指していったようだな

 

 王が目指していた通りだ」

 

「はーっはっはっは!!!!!!

 

 貴方達に一つ忠告を言わせてもらうわ

 

 その主に向かっていったっていう

 その者たちが主の蛹を破壊することなんて不可能よ

 

 なぜなら貴方達と丁度入れ違いに

 主のもとに夢幻の大君主様が向かいましたのでね」

 

無価値の大侯爵が言う

 

「大君主・・

 

 王の次の高位に位置する爵位クラス・・」

 

「おいおいおい・・・・

 

 いくらなんでもまずいんじゃねえの

 

 王の次に強いってことは

 そりゃけっこう・・・・」

 

陽介はやや不安そうにつぶやく

 

「確かに心配ですが・・

 

 だからと言って

 こちらの人数を減らせば

 

 王はおろかこの二人の大侯爵への

 勝率は低くなってしまうでしょう

 

 ここで引いてしまえばそれこそ

 作戦が水の泡になってしまいますしね・・」

 

「仕方ない・・

 

 向こうは暁たちに任せて

 俺たちはこっちに集中するぞ!」

 

悠の言葉に一同は意を決する

 

「フフフ・・・・・・

 

 冷たい人間だな

 

 仲間を見捨てるとはな」

 

「見捨てたんじゃない・・

 

 託したんだ!」

 

無益の大侯爵の言葉に悠は答える

 

「託しただと?」

 

「俺たちは当夜と暁たちに

 主のことを託した

 

 それは俺たちもだ

 

 俺たちは全員で

 戻ってくると誓い合った

 

 だから俺たちはここに来た!

 

 お前たちを倒すために!!」

 

そういって両手剣を構える悠

 

「私は当夜と暁さんたちに

 主のほうを託しました

 

 ですから私たちも

 託されたその思いにこたえる

 

 だからここに来た!」

 

由奈も聖痕の力を解放し聖槍を構える

 

「面が白い

 

 その思いとやらが

 どれほどのものなのか

 

 我々に見せてもらおう」

 

試練の王はそうつぶやいて

二人の大侯爵に向かわせる

 

「フフフ・・・・・・

 

 せいぜい無駄な

 あがきをしていくのだな」

 

「その思いとやらで

 私たち罪徒に抗おうなどとは

 

 人間とは実に愚かしい生き物よな!」

 

大侯爵らはそれぞれの武器の切っ先を向けていく

 

「愚かで何が悪い!

 

 ここで逃げ出したら

 それこそ漢が廃るぜ」

 

「俺たちは絶対に元の世界に戻るんだ

 

 こんなところで躓いてたまるかよ」

 

完二と陽介がともに言う

 

「だったら見せてみるがいい

 

 お前たちのその託された何かというものをな!」

 

そういって無益の大侯爵は

武器である三又の剣をふるって

 

向かっていく

 

陽介は手に持った

二刀の刀を振るっていく

 

激しくぶつかっていく

 

「ぐうううう・・・・」

 

だが敵の力の差は歴然で

陽介はだんだんと押されていく

 

「これはまずいかもしれねえ・・・・」

 

すると

 

「アチョオオオオ!!」

 

そこに強いけりを繰り出して

無益の大侯爵を下がらせるのは

 

「へっへー

 

 うちらのことも

 忘れちゃ困るね」

 

「た、助かった・・・・」

 

さらに

 

「コノハナサクヤ!」

 

炎が現れて

無益の大侯爵へと放たれる

 

無益の大侯爵はそのまま

その攻撃を見た目に似合わない身体能力で

 

かわしていく

 

「私たちはまだ

 やらないといけないことがある

 

 だからここであきらめるわけにはいかないの!」

 

雪子は扇を構えて言う

 

「なるほど

 

 それが先生の言っていた

 未知の能力、ペルソナね

 

 確かにすごいわね・・・・・・

 

 でも」

 

雪子の後ろに一つの影が回り込んでいく

 

「自分のことがおろそかになるのは

 いただけないわね!」

 

無価値の大侯爵はそう言って

武器の三叉戟を雪子にふるっていく

 

「そらあああ!!!」

 

完二がそこに激しい一撃を決めていこうとすると

 

無価値の大侯爵は背中から

天使のような翼を広げて

 

その一撃を止めてしまう

 

「わたー!?」

 

「そおらあ!」

 

渾身の一撃を受けられて

変な叫び声をあげる完二に

 

容赦なく槍の一撃が振るわれていくが

 

そこに由奈が入って

その一撃を止めて見せる

 

由奈は突きを連続してはなっていくが

無価値の大侯爵はその攻撃を次々といなしていく

 

「イザナギ!」

 

悠はそのすきに後ろから

イザナギを向かわせるものの

 

翼に払われてしまい

さらには後ろからそのまま

 

翼による一撃が迫っていく

 

「ぐう・・」

 

それを受けて押されていく一同

 

「さすがにつよいな・・」

 

悠のつぶやきに

無価値の大侯爵は由奈を槍をふるって吹っ飛ばし

 

悠に向かって言う

 

「お前たち人間という下等生物と

 私たち罪徒とは強さの次元が違うのよ

 

 思い知らせてあげるわ

 

 貴方達の思いなど力の前では無価値であると」

 

そういって迫っていく大侯爵姉妹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この決着は彼らにかかっている・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




託された思い

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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15、劣夢 ~Lower creatures nightmares

主に向かうのを阻むもの

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮

 

主の間

 

そこで一人の少年が目を覚ます

 

「う、うん・・・」

 

心の怪盗団のスカルは

敵の手にかかって意識を封じられてしまったものの

 

その呪縛から解放されて

ようやく目を覚ます

 

「スカル

 

 どうやらおまえも

 元に戻ったようだな・・」

 

その彼に声をかけるのは

猫のような姿の異様な存在

 

モナであった

 

「モ、モナ・・・

 

 俺は一体何が・・・

 

 俺はあの時

 敵の攻撃を受けて・・・」

 

「そんなことより立て!

 

 みんなもうとっくに立ち上がってるぞ!!」

 

とモナは視線をある方向に向けると

スカルもそれにつられてそのほうを向く

 

そこで見たのは

 

ほかのメンバーが

敵と戦っている光景だった

 

「てやあああーー!!!」

 

パンサーは武器である鞭をふるい

攻撃を仕掛けていくが

 

敵はまるで幽霊のように攻撃を

すり抜けるように無効化させた

 

「ぐう・・・・」

 

パンサーは

ぎりっと歯を軋らせる

 

「ゴエモン!」

 

そこにフォックスが

ペルソナを召喚して

 

敵に冷気を放っていく

 

「この程度でこの私を止められるものか!」

 

そうつぶやくのは

武器開放をした

 

夢幻の大君主

 

彼であった

 

彼はゴエモンの放った冷気を

両腕を追っている布を払って相殺させていく

 

「はあああーー!!!」

 

そこにクイーンがヨハンナに

乗って大君主に突っ込んでいく

 

見事その突撃は大君主に辺り

そこに熱が与えられるが

 

「その程度か?

 

 下等な生物が!」

 

「きゃあああーー!!!」

 

大君主はそれを片手で受け止め

さらにはまるで海豚のようなキックを浴びせる

 

その攻撃を受けてクイーンは

吹っ飛ばされて地面を転がっていく

 

「ミラディ!」

 

ノワールもペルソナを呼び出していく

 

ミラディのスカートから銃が伸びて

そこから放たれる銃撃が大君主に降り注ぐ

 

だが大君主はそれを

その銃が放たれてきたところに

翼を立てのようにして覆うことで防いだ

 

「まったく

 

 どこまでも理解の

 追いつかん劣等種め!」

 

と翼を勢いよく羽ばたかせる

 

それを受けて先ほど

対峙した面々は勢いよく吹き飛ばされる

 

「いい加減に理解しろ

 

 お前たちは私にはかなわないと

 

 私に挑んだことが間違いであるとな」

 

大君主はそう言ってくる

 

だが

 

「そんなこと考えもしねえな!」

 

「何?」

 

スカルが口を開く

 

「誰が誰にかなわないって?

 

 勝手に決めつけないでよ!」

 

「俺たちはどうしても

 元の世界に戻ってやらなければ

 ならないことがある」

 

「だからこんなところで

 つまずいてるわけにはいかない

 

 何より私たちは同じ思いを託して

 同じ思いを託された」

 

「だからこんなところで立ち止まっているわけにはいかないんです」

 

一同は立ち上がって言い放つ

 

「俺たちが仮にここで死んでも

 託された思いは決して死なねえ

 

 俺たちは死んでも

 この思いを胸に最後まで戦う!」

 

「俺たちはそのために・・・・

 

 ここに来たんだ!」

 

当夜も言い、ジョーカーもそれに続く

 

「ほざけ!

 

 そのような思いとやらが何の役に立つ!

 

 その思いとやらが

 この私の力の前になすすべもないことを思い知るがいい!!

 

 この世には決してあがけぬ力の差があることを教えてくれるわ!!!」

 

「あがいてやるさ

 

 それがワガハイたちの意志・・

 

 反逆の意志だ!」

 

モナはそう答える

 

「人間風情が

 

 この大君主たる

 この私に歯向かうかあああ!!!!!!!!」

 

と翼を広げて

そこから闇色のオーラを

鞭のようにして伸ばしてふるう

 

一同はそれを見て

急いでその攻撃をかわすために

それぞれ離散していく

 

「キッド!」

 

「カルメン!」

 

まずはスカルとパンサーが

それぞれのペルソナを呼び出して

 

攻撃を仕掛けていく

 

大君主はそれを見て

地面を勢いよくけりだして

 

空へと飛んでいき

両腕を覆っている布をふるい

 

まるで刃のようにふるって

二人のペルソナに攻撃を仕掛けていく

 

「ぐう・・・」

 

ペルソナの受けたダメージが

自分たちにフィードバックする

 

だがそれでも

 

「はあああーー!!!」

 

二人は意志を曲げずに

抵抗を見せていく

 

「ぐお!?」

 

ペルソナたちが

さらに立ち上がっていき

 

思わぬ反撃を受ける夢幻の大君主

 

だが大君主はそれを受けても

着地して体制を維持する

 

「ゾロ!」

 

モナはゾロを呼び出して

さらに攻撃を仕掛けていく

 

大君主はゾロの放つ風による攻撃を

難なく打ち破っていき、さらには伸ばしている尾を

 

大きくふるっていく

 

「うにゃ!?」

 

攻撃を受けてゾロとともに吹っ飛ばされてしまうモナ

 

だがそれに合わせるように

 

「てやあああああ!!!!!」

 

フォックスが切り込んでいく

 

「人間風情が

 

 この私に普通の武器で

 かなうとでも思っているのか?」

 

と布で覆われた腕で

フォックスの攻撃を防いでいってしまう

 

「倒せるとは思っていないさ

 

 だが、それでもやりようはある!」

 

「何・・・・・・・・?」

 

すると後ろから

冷気が浴びせられて

 

翼や背中からだんだんと凍り付かされていく

 

「なんと!?

 

 だがこの程度・・・・・・・・」

 

するとフォックスがその場より離れていく

 

そこに

 

「おりゃあああーー!!!」

 

クイーンがヨハンナにまたがって

大君主に飛び込んでいく

 

その特攻を受けた大君主

すると翼はたちまち砕けてしまう

 

「ぬう」

 

するとあたりの空間が

大きく揺らいでいき

 

元の景色に戻った

 

主の蛹が見えた

 

『まずい・・

 

 ジョーカー急げ!

 

 このままだと主が復活するぞ!!』

 

ナビの声が聞こえる

 

みると確かに蛹の内側から

何かが出てこようとしているようすで

 

不気味にうごめいている

 

「く・・・・」

 

ジョーカーはそれに気づくが

足を負傷しているため駈け出せない

 

すると

 

「ジョーカー」

 

スカルが彼の肩をたたく

 

「ここは俺に任せな

 

 こういう時こそ

 走り出さないとだろ!」

 

「ああ、頼んだ・・・・」

 

スカルの要請を

ジョーカーは承諾する

 

するとスカルは

主のほうへと駈け出していく

 

「行かせるか!」

 

だが夢幻の大君主は

それを見つけて地面をけりだし

 

その速さで

スカルを追っていく

 

「まじかよ!?」

 

あまりの速さに

スカルは思わず足を緩めてしまう

 

だがそこに

ミラディの銃撃が大君主に放たれ

 

夢幻の大君主はそれを受けて

地面に落とされてしまう

 

「スカル!

 

 こっちは私に任せて

 早く主を!!」

 

「ノワール!

 

 私も手伝うわ!!」

 

「すまねえ、頼んだ」

 

ほかの面々が

大君主の足止めを担い

 

スカルは主のほうへと向かっていく

 

「うおおお!!!」

 

スカルはひたすら

主のほうに向かって駆け出していく

 

「小虫共が

 

 貴様にかまっている暇などないわ!」

 

大君主はそう言って

布のようなものに覆われた両腕を

 

まるで蝙蝠の翼のように広げると

面々に向かっていく

 

面々は立ちふさがるが

 

大君主はなんとすり抜けるように

足止め組を通り抜けていってしまう

 

そして

 

「うおおお!!!」

 

スカルはそれでもかけていく

 

「その程度の速さと対応で

 この私を振り切れるとでも思うか!」

 

と大君主は尾を伸ばして

それをスカルに向かってはなっていく

 

「キッドオオオ!!!」

 

だがスカルはそれでも

あきらめずにキッドを召喚する

 

「行けえええ!!!」

 

とキッドは渾身の一撃を

主のほうに向かって放っていく

 

「何!?」

 

そして

 

キッドの一撃は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主の入った蛹を貫いた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な・・・・・・・・!?」

 

祖の一撃を受けた主の蛹は

不気味ながらも激しく動かしていき

 

爆発を起こすようにショートを起こしていき

 

やがて消滅していくように崩れていく

 

「やった・・・・」

 

一同は崩れていく主を見て

静かにつぶやいた

 

「ふう・・・」

 

スカルはそれを見て

力が抜けるように座り込む

 

「うまくいったな」

 

当夜がスカルに話しかけていく

 

「ああ・・・

 

 しっかしすげえな

 聖剣っていうのは・・・」

 

すると崩れ去る蛹の向こう側から

何かが飛んでくるとそれは当夜の手元に収まった

 

「まさか!?

 

 あらかじめ聖剣を渡して

 それを乗せて攻撃をしたというのか!」

 

大君主は驚愕する

 

「人間のことを理解していないお前に言っておくぜ

 

 俺はな、あきらめが悪いんだよ・・・

 

 人間の中では特にな!」

 

当夜は言う

 

「貴様らぁ

 

 生きて帰れると思うなよおおお!!!!!!!!」

 

と尾を伸ばして

それを当夜に向けて放っていく

 

だが当夜は

聖剣を構えて

 

その尾をかいくぐっていき

夢幻の大君主に向かって足を止めずに向かっていく

 

「はあああ!!!」

 

当夜はやがて夢幻の大君主のもとに

たどり着いて、剣をふるっていく

 

大君主は足を繰り出して

剣をいなして向かっていく

 

「てや!」

 

当夜は剣を突き出すが

それをけり上げて剣をはじく大君主

 

「おっと・・・」

 

「ふん!

 

 剣をはじかれれば

 もうなすすべもあるまい

 

 これで終わりだ!!」

 

と大君主は

布のような膜に覆われた両腕を

当夜にふるっていく

 

すると当夜は体に

マント状にかけている布を

 

ふるって防御をする

 

「それは誠骸布!?

 

 なぜだ!

 

 聖徒が持てる

 聖器は一人につき一つのはず・・・・・・・・」

 

「さっきジョーカーたちが言っただろ!

 

 託された思いは生き続けてるって・・・

 

 これがその証だ!!」

 

と布をふるって向かっていく

 

「だがそれは所詮は

 防御に利点を置いたもの

 

 それだけでは私には勝てんぞ!」

 

夢幻の大君主はなおも攻撃を続けていく

 

「ぐう・・・」

 

「貴様さえ倒せば

 残る人間どもを始末するなど

 

 たやすい・・・・・・・・

 

 ここで一気につぶしてくれる」

 

夢幻の大君主はそういって

当夜に容赦のない攻撃を浴びせていく

 

「あ・・・・」

 

それを見ていたジョーカーの目の前に

 

先ほど飛ばされた聖剣が

ジョーカーの目の前で突き刺さった

 

「これは・・・・」

 

するとジョーカーは

それを手に取ると

 

「うおおーーーー!!」

 

それを手に

後ろから夢幻の大君主に切り込んでいく

 

「っ!?」

 

「たああーーーー!!」

 

大君主の東部の右寄りから

一気に切り裂かれていき

 

その体からおびただしい

色の混ざった液体が勢いよく噴き出していく

 

「・・・・・・・・」

 

足元に布に包まれた右腕が転がり

夢幻の大君主は声にならない驚きの表情を浮かべていた

 

「ぐう、このおおお!!!!!!!!」

 

大君主はこれに激高し

残った右腕でジョーカーに攻撃を与えていかんとする

 

だが

 

「てやあああ!!!」

 

今度は当夜が槍を手に

それを大君主に突き出していく

 

「ぐうお!?」

 

「はあああ!!!」

 

その槍の一撃を受けて

大きく吹っ飛ばされていく大君主は

 

崩れていく主の蛹にたたきつけられる

 

「ぐう・・・・・・・・

 

 試練の軍勢、万歳・・・・・・・・

 

 我らが偉大なる

 試練の王に栄光あれえええ!!!!!!!!」

 

そう叫びをあげながら崩れ去る蛹と運命を共にしていく夢幻の大君主であった

 

一同はその様子をただじっと見つめていた

 

「よっしゃあああ!!!」

 

「やったー!」

 

歓喜の声を上げるスカルとパンサー

 

「これで試練の王や

 その力の影響を受けていた罪徒の力は

 

 大幅に弱まるはずだ

 

 このまま王のほうに

 いる組のほうに合流しよう

 

 俺たちの戦いはまだまだこれからだ!」

 

「そうだな」

 

「ねえジョーカー?

 

 足のほうは大丈夫なの?」

 

ノワールは恐る恐る聞くと

一同もはっと気が付いてジョーカーを見る

 

「そういえば・・・・」

 

ジョーカーも不意に

負傷したほうの足を見る

 

試しに足を少し動かしてみると

 

何の痛みも感じないのがわかる

 

「これは一体どうなってるんだ・・・・・」

 

「ま、まあなんにしても

 とにかく王のほうに行こうぜ!

 

 ナビ、ナビゲートを頼むぜ」

 

『よっしゃ任せろ!』

 

と一同は王のほうに向かっていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主を見事に破壊した面々は反撃に転じることはできるのだろうか・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




王のもとへと向かうため

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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16、禁じられた者たちとのお遊戯

王の間にて

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮

 

王の間にて

自称特別捜査隊の面々、由奈たちが

 

無益の大侯爵、無価値の大侯爵の姉妹と

交戦をしていると

 

「っ!?」

 

王は不意に何かを感じた

 

「どうかなさいましたか?」

 

「・・・この迷宮の主が

 先ほど破壊された・・・・・・・・」

 

王のその言葉に

大きく驚愕する

 

「主が破壊された・・・」

 

「ってことは暁君達やったんだ!」

 

それを聞いて躍起になる面々

 

「本当なのですか!?

 

 ということは大君主様ももう・・・・・・・」

 

「ぐう・・・・・・・」

 

すると無価値の大侯爵は

捜査隊のほうへと向く

 

「人間の分際で

 

 我ら試練の軍勢に

 たてつくのかあああ!!!!!!!」

 

と手に持った三又の剣をふるって攻撃を仕掛けていく

 

そこに由奈が間に入っていくと

聖槍を使って攻撃を受ける

 

「ぐううう・・・・・・・」

 

「迷宮の核である主が破壊されれば

 王の力は弱まっていく

 

 これでやっと私たちも

 貴方達と渡り合えていくということですね」

 

と槍を使って攻撃をはじき

そこに風をまとわせた一撃を

 

無益の大侯爵に浴びせる

 

「ああ!」

 

攻撃を受けて思わず

後ろに下がっていく大侯爵

 

「この・・・・・・・

 

 人間風情にこの私たちを

 攻略できると思っているのなら

 

 それは大きな間違い!

 

 そのことを思い知らせてげるわ」

 

と言って手に持った剣を

ふるって空を切っていく

 

「よっしゃ!

 

 だったらここは

 一気に決めていこうぜ」

 

「過信しないで

 

 主が破壊されて

 迷宮の恩恵を受けられなくなったとはいえ

 

 罪徒の力は強大です

 

 何より相手は

 五爵最高位の侯爵の最高位の

 大侯爵の爵位を持っています・・

 

 一筋縄ではいかないのは確かですよ」

 

由奈はやや調子に乗ってきた陽介に言う

 

『由奈さんの言う通り

 

 油断しないで・・

 

 こいつも姉のほうも

 すっごい邪悪な何かを感じる・・』

 

りせが通信越しに忠告をしていく

 

「みんな!

 

 ここからが正念場だ

 

 絶対に生きて帰るぞ・・

 

 誰一人欠けずに!!」

 

その言葉にそれぞれの返事で答える面々

 

「一人もかけずだと?

 

 この私の前で

 お前たち全員が生きて戻れるとでも

 思っているのかこの下等生物め!」

 

そういって武器の剣を構える無益の大侯爵

 

「人間をなめてると痛い目見るぜ

 

 俺たちは一人一人の力は

 お前らなんかよりも弱いのかもしれねえ

 

 でもだからこそ人間はどんな形であれ

 力を合わせることができる!

 

 そうすればお前らのような奴だって相手にだってできる!」

 

と二刀を構える陽介

 

「ほざけ人間が!

 

 弱い奴ほどよく群れるもの

 

 虫がどんなに集まったところで蚊ほども効かんわ!!」

 

そういって剣を構えていく

 

「本当にそうなのかどうかは

 実際に戦ってみてみたらどうだっての!」

 

千枝は言うと

足を大きく振りあげ

 

「はあー・・

 

 アチョー!」

 

と鋭いけりを打ち込んでいく

 

だがそれでも敵の剣に

防がれてしまいそのまま

つかまれてしまうのであった

 

「うおおおお・・」

 

「はあああ!!!!!!!」

 

そのまま大きく吹っ飛ばされる千枝

 

だがその千枝の体を風が優しく包み

そっと地面に卸していくのであった

 

「ふう・・

 

 危なかったですね」

 

千枝に槍の穂先を向けている由奈は

そのまま彼女をゆっくりとおろしていく

 

「あ、ありがとう・・」

 

「千枝さん!

 

 お礼を言うのは

 敵を倒してからですよ!!」

 

そういって目の前にいる

二人の大侯爵の姉妹と

玉座にて構えている一人の王

 

その様子を見て一同は

もう一度構えていく

 

「おりゃあああ!!!」

 

完二が盾を振り回して

敵に向かっていく

 

無益の大君主は

それを武器である三又の剣で受け止めただけでなく

 

なんとそのまま押し返すように完二を吹っ飛ばしてしまう

 

「うわっと!」

 

完二はその攻撃を受けて

大きく後ろに下がって行ってしまう

 

だが幸いダメージはなく

大勢もすぐにたて直せた

 

「人間の力で

 この私を圧倒できるとでも・・・・・・・」

 

すると無益の大侯爵の体に

次々と銃弾が打たれていく

 

「・・・・・・・」

 

無益の大侯爵は

討たれたほうの向こうを見る

 

そこでは直斗が拳銃を構えていた

 

「小娘が・・・・・・・」

 

すると無益の大侯爵は

武器である剣を手に直斗に向かっていく

 

直斗もそれに気がついて

急いでその場から離れていく

 

「(どうにか気をこっちに向かせることはできましたね)」

 

と直斗は拳銃でカードを撃ち抜き

 

スクナヒコナを呼び出す

 

「そんな矮小な力でこの私に挑むなど

 

 甘いわ!」

 

とかまわず向かっていく無益の大侯爵

 

だがスクナヒコナは

手に持っている剣をふるって

 

攻撃を仕掛けていく

 

「ぐお!?」

 

それを受けて後ろにバランスを崩して倒れるのであった

 

「勝負はまだこれからですよ!

 

 行きますよ試練の軍勢!!」

 

由奈はそう言い放つのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに決戦の時が来たのであった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




決戦の時来たれり

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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17、奴隷反逆 ~Darknesscold Illusion

王の間にて

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮、王の間

 

この場所にて繰り広げられる

王との決戦のちに集まっているのは

 

聖徒の少女、樋長 由奈と

自称特別捜査隊の面々だ

 

彼らは今目の前にて

三人の罪徒と対峙している

 

侯爵の爵位を持つ中で最高位の

大男爵の罪徒、それも二人

 

その奥にある玉座に控えているのは

この迷宮を支配する王の爵位を持つ

 

試練の王である

 

この三人と対峙する一同

 

数のみなら勝っている捜査隊だが

敵は罪徒で大きな爵位を持っている

 

唯一の救いは先ほど王が

主を破壊されたとつぶやいたことだ

 

すなわちいうなれば別動隊の面々が

迷宮の力の核といえる主の破壊に成功した

 

そういうことだと一同は確信する

 

だが敵はひるむどころか

より一層の力を高めているように見える

 

「貴様ら・・・・・・・

 

 我らに歯向かって生きて帰れると思うなよ!」

 

と無益の大侯爵は手に持った三又の剣をふるって

爪をふるったかのような斬撃を飛ばしていく

 

一同はそれを見て二手に分かれて飛ぶことでそれをかわす

 

「イザナギ!」

 

「ジライヤ!」

 

二体のペルソナが向かっていくが

それを無益の大侯爵はなんと向かっていき

 

剣を横なぎにふるって

二体のペルソナを退けていく

 

「まじ!?」

 

敵のすさまじい邪気が

目視できると思ってしまうほどに感じていく

 

敵は恐ろしく激高しているのがわかる

 

「ふん!」

 

すると敵はその二体を突っ切って

一同のほうに向かっていった

 

「トモエ!」

 

千枝は驚いて

思わずトモエを繰り出して

 

攻撃を仕掛けていく

 

だが無益の大侯爵はそのトモエが

持っている武器をつかむと

 

トモエごとふるって

一同に投げつけていく

 

「やっべ!

 

 タケミカヅチ!!」

 

完二はすかさずペルソナを出して

トモエを受け止め攻撃を防ぐ

 

だが敵はそこに詰め寄っていき

強いけりを食らわせていく

 

「ぐう!」

 

完二はそのけりで

顔を思いっきり蹴られる

 

「はああああ!!」

 

千枝もそれに気づき

大侯爵に蹴りを仕掛けていくが

 

敵の防御力は固く

蹴りをいくら食らわせても

 

ダメージもひるませることもできない

 

無益の大侯爵は

千枝をもう片方の足で払い

 

バランスを崩す

 

「ひぃ!」

 

そこに剣を突き立てていき

千枝はそれを置くに転がっていきつつかわしていく

 

するとそこに何かが

無益の大侯爵の頭部を切り裂く

 

「千枝、今のうちに!」

 

雪子は鉄扇を飛ばして

敵の気を自分にそらそうと考える

 

「小虫風情が

 

 消えろ!」

 

となんと剣から

爪のような斬撃を飛ばし

 

「きゃあああ!!!」

 

雪子はそれを受けて吹っ飛ばされて

地面に勢いよくたたきつけられる

 

「雪子!」

 

「ふん!」

 

千枝は立ち上がろうとしたが

無益の大侯爵に押さえつけられてしまう

 

「私たちに歯向かう愚かしさを

 その身にたっぷり刻み付けてあげる!」

 

「ぐう・・」

 

背中を踏みつけられて

苦しそうに声を漏らす千枝

 

「キントキドウジ!」

 

そこにクマが

ペルソナを呼び出して

 

無益の大侯爵に攻撃を仕掛けていく

 

「はあ!」

 

すると無益の大侯爵の掌から放たれた風が

キントキドウジに勢いよく放たれる

 

「クマァ!?」

 

クマは強い衝撃を受けて

大きく後ろに飛んだ

 

『ちょっとクマ大丈夫!?』

 

「ク、クマ・・

 

 なんだかいつも以上に効いたクマよ・・」

 

よろよろと立ち上がっていくクマ

 

「スクナヒコナ!」

 

直斗がそこにスクナヒコナを

呼び出して無益の大侯爵に攻撃をしかけていき

 

千枝を無益の大君主から救い出すのであった

 

「里中先輩!」

 

「た、助かった直斗君・・

 

 雪子は!?」

 

千枝は先ほど斬撃を受けて倒れた

雪子のほうに行く

 

雪子はやや体が汚れてしまっているが

それほど大きなダメージは受けていないようだ

 

「千枝・・・

 

 ごめんね・・・」

 

「雪子・・

 

 ありがとう

 私を助けようとしてくれて」

 

お互いの無事を確認する

 

「三文芝居はそこまでだ・・・・・・・」

 

と迫っていく無益の大侯爵

 

「みんな!

 

 ここはできるだけ

 敵の注意を引き付けるぞ!」

 

悠は一同に指示する

 

「そおらあああ!!!!!!!」

 

無益の大侯爵は

手に持っている三又の剣を

もう一度ふるって爪のような斬撃を放っていく

 

「おおりゃあああ!!!」

 

タケミカヅチがその一撃を

一手に受けるとその両側から

 

トモエとジライヤが飛び出し

無益の大侯爵に攻撃を仕掛けていく

 

だが無益の大侯爵はそれを

剣でいなして左手で受ける

 

「うおおお!!!!!!!」

 

瞬く間に攻撃を無効化してしまう

 

「コノハナサクヤ!」

 

「キントキドウジ!」

 

氷と炎が無益の大侯爵の両側に放たれていく

炎のほうは剣で払うが氷の方には突風を引き起こして

 

無力化してしまった

 

「どわああ!!」

 

ペルソナとともに

またも吹っ飛ばされるクマ

 

雪子のほうも攻撃が効かないと

判断したのだろうか中断する

 

「お前たち虫けらが

 我ら偉大なる試練の軍勢に

 歯向かおうなどという気が二度と起こらぬように

 

 徹底的に痛めつけてくれる!」

 

そこに由奈が風をまとった

聖槍をふるって無益の大侯爵に挑んでいく

 

「イザナギ!」

 

そこに悠もイザナギを召喚して

無益の大侯爵に攻撃を仕掛けていく

 

イザナギは手に持った武器を無益の大侯爵にふるう

 

「ふん!」

 

由奈に剣を繰り出しつつ

イザナギの攻撃を左手で受けてはいなし

受けてはいなしを繰り返していく

 

「やはりそういうことですね・・」

 

由奈は何かを理解したように口を開く

 

「無益の大侯爵・・

 

 貴方は風属性ですね」

 

「ん?」

 

由奈は言う

 

「クマさんがあなたの風を受けて

 異様にダメージが大きかったところに着目したんですよ

 

 クマさんは氷の力を使いますからね

 

 氷はここでは水属性に入ります

 

 水は風に弱いですからね」

 

「ふん・・・・・・・

 

 気づいたからと言って

 この私に勝てると思っているのか!?」

 

と風を引き起こし攻撃を仕掛ける

 

「だったらここは

 私の出るところです!

 

 なぜなら私も風の属性もちですからね!!」

 

由奈はそう言って槍を使って

無益の大侯爵の放った風を霧散する

 

「ふははは

 

 なめるなあああ!!!!!!!」

 

と剣をふるう無益の大侯爵

 

だが由奈はその一撃を

槍ではじいてそこから無益の大侯爵に一撃を突いた

 

大きく後ろに飛ばされる無益の大侯爵

 

「(とはいえ

 

  私の力ももう枯渇気味・・

 

  それはここにいる全員がそう・・)」

 

由奈はそう言って

また立ち上がっている捜査隊メンバーを見直す

 

確かにそこにいる全員が疲れを見せている

 

「(せめて私で

  ここにいる全員に休める時を

 

  与えられれば・・)」

 

槍を構えなおす由奈

 

「フフフ・・・・・・・」

 

由奈が不意に笑い声を聞く

 

「てこずるようなら

 手を貸してあげよっか?

 

 主が破壊された以上

 もう猶予はないし早めに決着をつけるべきだと思うけど?」

 

無価値の大侯爵が声をかけていく

 

「姉さん!

 

 姉さんはそこで見てなさい

 

 この程度の虫けら

 この私一人で十分よ

 

 その代わりこいつらの命と

 ラルヴァは姉さんと王に捧げてあげる」

 

だが無益の大侯爵はそれを拒否する

 

「(そうでした・・

 

  王ともう一人の大侯爵も

  控えていたんでした・・)」

 

「それならいいわ

 

 でもあまり時間はかけないでもらえる?

 

 こういうのはそのほうが効率もいいし・・・・・・」

 

「わかってるわ

 

 すぐにでも終わらせてあげる」

 

そういって無益の大侯爵は手に持った

三又の剣先から黒いオーラを伸ばしていく

 

「(この攻撃・・

 

  まずい!)」

 

「でやあああ!!!!!!!」

 

無益の大侯爵のふるった一撃は

由奈に向かって放たれるのだった

 

由奈は風で防御壁を作るものの

 

ダメージは大きい

 

「くそ・・・・

 

 このままだとまずい・・・・」

 

「このままでは気力が持たない・・・

 

 仮にこの戦いであの罪徒を倒しても

 向こうにはまだ王ともう一人の大侯爵が

 控えています・・・」

 

「これってまずいじゃん・・

 

 せめて少しでも休めれば・・」

 

一同が疲れを口にし始めていく

 

「(私もそろそろ・・

 

  しかし敵のほうも

  そう簡単には休ませてくれません・・

 

  いったいどうすれば・・)」

 

すると

 

「あの一撃を受けて

 まだ生きているとは・・・・・・・

 

 だったらこれはどう!」

 

と今度は刀身からオーラが

翼のように広がっていく

 

「あれって確か・・・

 

 偏福の大伯爵が使ってた・・・」

 

「あれって確かまずい攻撃じゃん!」

 

「くたばれ虫けら共があああ!!!!!!!」

 

剣をふるう無益の大侯爵

 

やがて刀身から伸びた翼が

一同に勢いよくふるわれていく

 

避けられないと息をのむ一同

 

とそこに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「オルフェウス!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

そこに二体のペルソナが

無益の大侯爵に向かって突撃し

 

彼女の攻撃を中断させる

 

「ぐう・・・・・・・」

 

攻撃を受けて後ろに下がっていく無益の大侯爵

 

「何!?」

 

「・・・・・・・・・」

 

突然現れた二体のペルソナに

無価値の大侯爵と試練の王は

 

驚いた様子を見た

 

「い、今のって・・・・」

 

一同は恐る恐る

オルフェウスが現れたほうを向く

 

そこにいたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまん

 

 ここに来るのに

 ずいぶんと手間を食ってしまった・・・・

 

 だがもう大丈夫だ・・・・」

 

「君たちは少し休んでてくれ

 

 私たちも加勢する!」

 

SEESのメンバーはそう言って

償還期を構えて、自分たちに突きつける

 

「みんな・・・

 

 行くぞ!」

 

SEESの面々はそう言って

無益の大侯爵のほうに向かっていく

 

「虫けらがいくら増えようとも

 この私の敵ではない!」

 

そういって剣をまたも

ふるっていく無益の大侯爵

 

「はあああ!!!!」

 

そこに真田が華麗なフットワークで

無益の大侯爵に突っ込んでいく

 

真田は見事に無益の大侯爵の懐に潜り

攻撃を仕掛けていくが敵の反応も並ではなく

 

真田のこぶしを次々と剣で止めていく

 

「ほう

 

 やるじゃないか・・・・」

 

「下等生物は動きだけは早いからね!」

 

すると無益の大侯爵は

右手を突き出し突風を放つ

 

「ぬお!?」

 

それを受けて

後ろに飛ばされてしまう明彦

 

「たあああ!!!!!!!」

 

無益の大侯爵は

三又の剣から爪のような斬撃を放っていく

 

「カストール!」

 

するとそこに

一体のペルソナが現れて

 

斬撃から明彦をかばう

 

「ったく

 

 世話やかすな」

 

「す、すまん・・・・」

 

荒垣は明彦にあきれたように言いながらも

その安否を確認していく

 

「ペンテシレア!」

 

美鶴がさらにペンテシレアを呼び出し

無益の大侯爵に浴びせていく

 

「やった?」

 

「いいえ、ダメです!」

 

ゆかりの発言に

由奈は声を上げて言う

 

すると無益の大侯爵は

何事もなかったかのように

氷を破って出てきた

 

「氷などこの私には効かない!」

 

と体についた氷を

剣で払いながら言う無益の大侯爵

 

「どういうことだ・・・」

 

「相手は風の力を持っています・・

 

 美鶴さんやクマさんのように

 氷、水の力とは相性が悪いんです」

 

「だったらどうするの・・・」

 

ゆかりは由奈に尋ねる

 

「風をいなすことができるのは土の力のみですが・・

 

 貴方達にはもちろん、私たちの中にも

 土の力を持っている者はいません」

 

「つ、つまりそれって・・・・」

 

順平は恐る恐る訪ねていく

 

「属性による攻撃では

 決定打にはならない・・

 

 ということです」

 

「だったら

 

 物理攻撃でどうにかするしかないね!」

 

真琴はそう言って薙刀を後ろにやって

召喚器を自分のこめかみに当て、引き金を引く

 

オルフェウスは竪琴を

無益の大侯爵に向かってふるう

 

だが

 

「なるほど・・・・・・・

 

 物理攻撃ならば

 属性に縛られることはないが」

 

それをなんと

剣を逆手に持って

 

柄頭で祖の一撃を止めてしまった

 

「・・・それゆえに

 力の差が大きく左右される」

 

さらに

 

「せやあああ!!!!!!!」

 

そのまま剣をふるって

爪のような斬撃を真琴に向かってふるう

 

「きゃ!」

 

薙刀を前に出して

攻撃を受けようとするが

 

そこにポリデュークスが前に立ち斬撃から真琴をかばう

 

「結城!

 

 大丈夫か!?」

 

「は、はい・・・」

 

明彦は真琴の無事を確認すると

ポリデュークスを無益の大侯爵に向かわせる

 

無益の大侯爵はそれを見て

またも斬撃を放っていき

 

ポリデュークスに攻撃を仕掛けていく

 

「ぐう・・・・」

 

さらにそこに

 

ヘルメスが突撃していき

無益の大侯爵をさらに遠くに飛ばしていく

 

「真田さん!」

 

「すまん」

 

敵のほうは体を回転させ

着地を決めて見せた

 

「下等生物が

 

 どこまでもこの私・・・・・・・

 

 私たち試練の軍勢に

 逆らうつもりのようだな!」

 

とまたも剣を構える

 

そこに弾丸が無益の大侯爵の左半身に放たれていく

 

「うん?」

 

そこにはアイギスが

両腕の銃口を向けている

 

その銃口から

煙が出ていることから弾丸が放たれているのがわかる

 

「着弾を確認

 

 しかしダメージの様子が・・・・」

 

「この程度の弾丸

 

 私には紙を当てているようなものだ」

 

と剣で空を切りつつ言い放つ

 

「ネメシス!」

 

天田が自分のペルソナを呼び出し

コロマルもそれに合わせてケルベロスを呼ぶ

 

それぞれが攻撃を仕掛けていくのだが

 

突然彼女の背中から

巨大な天使の翼が一枚広がって

 

二つの攻撃を打ち払ってしまう

 

その背中には一対の天使のような翼が広げられており

 

さらに一本と負うべきか一枚というべきか

鳥の尾羽のような尾を背中に広げている

 

「どうやらもう遊びは

 終わりにしたほうがいいようね」

 

「まずい・・・

 

 翼と尾を展開してきたか・・・」

 

「それになんだか僕たちのほうも

 疲れてきたように感じてきたけど・・」

 

天田がつぶやく

 

「無理もないわ

 

 このラルヴァエネルギーに

 満たされているこの空間は奴らの領域・・・

 

 主が破壊されても

 迷宮そのものがなくなったわけじゃないしね」

 

「どうすれば・・・」

 

すると湊の隣に一人の人物が立つ

 

それは

 

「その答えはシンプルだ

 俺たちの力を一つにするんだ」

 

悠であった

 

「君たちには俺たちがいて

 俺たちには君たちがいる

 

 これだけの人数が一つになれば

 

 俺たちに怖いものなんてない!」

 

「そうだ・・・

 

 個の力が強力な

 罪徒とはまた別の力・・・

 

 それが力を合わせること・・・

 

 それが僕たちの・・・」

 

「私たち人間の力だ!」

 

その言葉にSEESのメンバーと捜査隊の面々は立ち上がる

 

「往生際の悪い下等生物が・・・・・・・

 

 だったら一気に叩き潰してくれる!」

 

と剣から黒いオーラを

翼を広げるように展開していく無益の大侯爵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SEESと自称特別捜査隊

 

二つの力が一つになりて

決戦の時が来るのであった・・・ ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




二人の大侯爵姉妹の妹との決戦、始動

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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18、無益と無価値の姉妹 ~Futile worthless

勢ぞろいと合流

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


「どうやらこれは

 思ったよりもてこずりそうだ

 

 お前も行ってやるがいい・・・・・・・・」

 

「王のご命令とあらば・・・・・・・」

 

玉座に座る試練の王に言われて

彼女の左側にいた三又の槍を持った女性が頭を下げる

 

するとその槍を持った女性は

翼を広げて無益の大侯爵のもとに行く

 

「はあああ・・・・・・・」

 

無益の大侯爵は三又の剣を掲げ

その刀からどす黒いオーラが

翼を広げるように広がっていく

 

するとその彼女の左隣に

先ほどの女性が降り立った

 

「フフフ・・・・・・・」

 

「姉さん・・・・・・・

 

 手を出さないでくれる?

 

 これは私の戦いなのよ・・・・・・・」

 

無益の大侯爵はそう言って

隣に立った女性を見つめていく

 

「私もかわいい妹のやり方に

 手を出すつもりはないけれど

 

 私たちの王直々の

 お言葉なら仕方がないでしょ?」

 

「・・・なるほど

 

 私たちの王が

 そういうのなら仕方がないわね

 

 せっかくだし私たち姉妹の力を

 この子虫たちに見せつけてあげましょう」

 

妹、無益の大侯爵がそういうと

姉、無価値の大侯爵は笑みを浮かべる

 

「そうね

 

 子虫ごときに

 なめられるなんて

 

 読んで字のごとく

 腹の虫がおさまらないものね」

 

「見せてあげるわ

 

 私たち姉妹の力・・・・・・・」

 

すると姉妹はそれぞれの武器を合わせていく

 

その合わさった武器から

どす黒いオーラが翼のように広がっていく

 

そのオーラの数は

合わさっているのか四対が八対になっている

 

「な、なんだ・・・」

 

「なんだかまずい感じ・・・」

 

「っ・・」

 

リーダーたち三人が

その威圧にやや押されていく

 

やがてオーラは二人を包んでいくと

 

二人の姿は変わっていく

 

無益の大侯爵は右部分に黒い装甲のようなものがついて

その頭部の右側から黒い一本の角が伸びている

 

無価値の大侯爵は逆の左の部分に白い装甲をまとい

頭部も逆の左側から白い二本の角を伸ばしている

 

翼も同じ色の翼をそれぞれ装甲のあるほうから大きく伸ばしている

 

逆のほうからの伸びているが大きさは一回りも二回りも小さい

 

「どういうこと!?

 

 なんだかまるであの二人の罪徒が

 一つの力を解放したように・・・」

 

「そんなことありえるの!?」

 

「ありえますよ

 

 おそらくあの二人は姉妹・・

 

 それも双子なのでしょう」

 

由奈が分析する

 

「ありえないよ!

 

 罪徒の奴らに

 家族とか肉親とか

 

 あるわけないよ!!」

 

有紀がややむきになって言う

 

「確かに奴らは闇から生まれた存在・・

 

 ゆえに奴らには肉親、父親や母親なんて

 概念すらも存在しません・・

 

 しかし奴らはその闇の中から同じように

 生まれていくことがあります

 

 たとえるならば母親の子宮の中で

 胎児が二つにわかれるのと同じ・・」

 

「それで双子・・」

 

すると

 

「そう

 

 いうならば私たちは

 二人で一つの存在・・・・・・・」

 

「そしてこの武器解放は

 私たちのような双子にのみ許された特別なものだ

 

 その力は分かれてしまう代わりに

 その力は二つの力が掛けあわされているということよ!」

 

すると無益の大侯爵は

装甲に覆われた右腕から黒いオーラをまとった爪を

 

ふるっていく

 

「ぐう・・・」

 

「はあああ!!!」

 

薙刀をふるう真琴だが

それを爪でいなしていく

 

さらにそこに爪を

大きくふるい襲い掛かっていく

 

「真琴!」

 

ゆかりはそんな無益の大侯爵に向かって

矢を討っていくのだが、翼に阻まれてしまう

 

「く・・・」

 

「はあああ!!!!!!!」

 

無益の大侯爵の黒い爪が真琴に迫っていく

 

「この!」

 

湊が間に入って

無益の大侯爵の黒い爪を受ける

 

「港・・・!?」

 

「どおりゃあああ!!!!」

 

そこに順平が剣をふるっていくが

それを左手で難なく受け止めてしまう

 

剣を受けた左腕は

まるで金属を掠るような感覚で

 

無益の大侯爵の体をそっていく

 

「なんだよこれ

 

 全然斬れねえ・・・・」

 

「私たち罪徒の体構造は

 動物と植物、双方の構造を合わせた構造をしている

 

 植物の細胞の外側には細胞壁って言われてるものがあってね

 

 私たち罪徒の細胞壁は私たちの体で

 鎧のごとく強度を持つように進化していてね

 

 言うならば天然の鎧を私たちは常時まとっているということだ!」

 

と左手を手刀のような形状にして

順平に向かって突き出していき

 

それを彼の体に突きつける

 

その一撃は順平の体に突き刺さり

順平はその痛みに顔をゆがめる

 

「があ・・・・」

 

順平は痛みのあまり倒れこむ

 

「剣を持っているくせに

 剣術の心得もないとはな・・・・・・・

 

 それでこの私たちに挑もうとは笑止千万」

 

「だったら俺が相手になろう!」

 

すると明彦が鋭いフックを食らわせていく

 

「ボクシング使い・・・・・・・」

 

「ふっ!」

 

さらにこぶしを繰り出す明彦

 

だが無益の大侯爵は

その一撃一撃を左手で

次々といなしている

 

「真田先輩!」

 

真琴が叫ぶ

 

見るとどす黒い色の爪を

生やした右腕を大きく構えている

 

「く・・・・」

 

明彦はそれに気づき

慌てて距離を取ろうとするが

 

それよりも早く巨大な右腕をふるい

 

真田に大きく迫っていく

 

するとそこにペンテシレアが

手に持っている剣でその一撃を防ぐ

 

「明彦!」

 

「すまない・・・・」

 

そのすきに真田は

無益の大侯爵から距離をとっていく

 

「なるほど

 

 実にいい反応だ・・・・・・・」

 

「パラディオン!」

 

アイギスはそこに

自身のペルソナを繰り出していく

 

するとそれを

無益の大侯爵は右手で受け止めて見せる

 

「作り物の攻撃が

 この私を倒せると思っているのか!」

 

「く・・・・」

 

アイギスはそれでも

さらに追撃を繰り出していくが

 

敵の力のほうが圧倒的である

 

無益の大侯爵はそのまま

衝撃を繰り出していき

 

パラディオンにダメージを与える

 

「ああ!」

 

アイギスもその影響を受けて

体から激しく火花が散っていく

 

「うう・・・・」

 

「作り物が・・・・・・・

 

 なめた真似をしてくれる」

 

と翼を大きく広げていく

 

「ネメシス!」

 

すると無益の大侯爵の両側から

ネメシスとケルベロスが迫ってきた

 

だがその二体を巨大な翼で受け止める

 

「おいたが過ぎると

 

 命を落とすぞ小僧!」

 

と黒い爪を大きく振りかぶって

それを一気に振り下ろしていくと

 

そこから斬撃が繰り出されていく

 

「ひっ!」

 

ネメシスを召喚した天田は

自分に向かって放たれていく斬撃に

 

思わずひるんでしまうが

 

そこに一体のペルソナが

現れた攻撃を受けつつ無益の大侯爵に向かっていく

 

「おりゃ!」

 

そこに荒垣が鈍器をもって

攻撃を与えに行く

 

だがその一撃は無益の大侯爵の体を

傷つけるには至らず止められてしまう

 

「っ!

 

 余計なことしないでください」

 

「別にお前のためじゃねえ!」

 

荒垣はそれでも攻撃を続けていく

 

「妹のほうも頑張ってるわね・・・・・・・

 

 だったら私も活躍しないとね」

 

無価値の大侯爵は白い装甲に覆われた左腕から

気持ち悪いほどの真っ白な爪で空を切っていく

 

「イザナギ!」

 

悠はイザナギを

無価値の大侯爵に向かわせていく

 

すると白い爪を大きくふるっていき

イザナギの武器をそれで受ける

 

「ジライヤ!」

 

「トモエ!」

 

攻撃を仕掛ける陽介と千枝

 

だがそれを翼をふるって

ペルソナたちにダメージを与えていく

 

「ぐう!」

 

「なにこれ・・

 

 なんて威力・・」

 

「ひるむ暇も与えるものか!

 

 たあああ!!!!!!!」

 

そこに突風の一撃を放っていく

 

「「ああ!!」」

 

突風を受けて吹っ飛ばされる二人

 

「千枝!

 

 花村君!!」

 

雪子は自分のペルソナ

 

コノハナサクヤを出して

炎を繰り出していく

 

「っ!」

 

無価値の大侯爵は

雪子の攻撃を見て後ろに飛んで

 

炎を避けていく

 

「(さけた・・・!?)」

 

雪子もそれを見てそれに気が付く

 

「おおりゃあああ!!!」

 

完二がそこにさらに

攻撃を加えていくが

 

さすがに早さに至っては

無価値の大侯爵のほうが軍配が上がる

 

攻撃を止められてしまった

 

「ぐおおお・・・」

 

「いい加減になさい

 

 この状況では

 私に一撃を与えるのだって

 無理であることはあなた方がよく

 わかっていることではないですか

 

 どうして何をやっても

 無駄であることがわからないのですか」

 

「わからねえよ・・・

 

 無駄かどうかなんざ

 いちいち考えてもねえよ!」

 

完二はそういって持っていた盾をふるうが

無価値の大侯爵はそれを爪で攻撃を受けつつ

 

追撃を仕掛けていく

 

「があ!」

 

完二は吹っ飛ばされて

大きく体をよろめかせてしまう

 

「人間よ

 

 それは無謀な勇気・・・・・・・

 

 蛮勇というものだ」

 

そういって左腕を

大きく振り上げていく無価値の大侯爵

 

その爪には白く不気味なオーラがまとわれている

 

そこに冷気が無価値の大侯爵に放たれていく

 

「カンジ!」

 

「クマ・・・!」

 

そのすきに離脱を試みる完二

 

成功こそしたが無価値の大侯爵は

自分に放たれたその冷気を吹き飛ばしてしまう

 

「うわっぷ!」

 

「スクナヒコナ!」

 

次に直斗が

スクナヒコナを出し

 

攻撃を仕掛けていくが

 

やはりいなされてしまう

 

やがてSEESも捜査隊も

姉妹の勢いの前に押されていく

 

「くそ・・・・

 

 合流したっていうのに

 ここまで押されるなんて・・・・」

 

「おそらく

 

 あの姉妹が

 力を同時に解放したことによるものかと

 

 彼女たちは自分たちのことを

 二人で一人前と評しました

 

 すなわちそれは二人同時に解放することで

 二人の真の開放に行きついたということなのかもしれません・・・・」

 

「それってあの姉妹一人一人の力は

 弱いっていうことじゃないの!?」

 

「逆に今まで私たちが戦ってたのが

 弱かった状態だったっていうことかもね・・・」

 

「これは非常にまずいですね

 

 僕たちそれぞれが一人ずつ相手に

 していったとしても効率が悪すぎます」

 

「せめて・・・

 

 もう少し何か決定打があれば・・・」

 

二つの力は二人の姉妹の力に押され気味になっていく

 

「ずいぶんと粘ったみたいだ

 けれどどうやらここまでのようね・・・・・・・」

 

「このまま貴様らを殺すのはたやすいもの

 

 我らの同胞をよもや

 四人も倒してしまうとは

 

 人間風情にしてはずいぶんとやる

 

 だが所詮はここまで・・・・・・・」

 

姉妹がゆっくりと一同に迫っていく

 

だがその姉妹の前に立ちふさがる有紀と由奈

 

「悪いけれど・・・

 

 おとなしく殺されるつもりは毛頭ないの!」

 

「皆さんは下がっててください・・

 

 ここは私が!」

 

「有紀さん・・」

 

「無茶言うなよ!

 

 お前らだってふらふらじゃねえか!!」

 

有紀は銃を、由奈は槍を構えるが

疲れが見えているのはだれがどう見ても明らかだった

 

「人間というのは

 本当にどこまでも奥の知れない生き物だな・・・・・・・

 

 下等生物とはまったくどこまでも奥が知れない」

 

「だがまあいい

 

 ここで一気に叩き潰してやるのも悪くはないだろう」

 

と姉妹はそれぞれの手に

それぞれを基調とする色のオーラをまとい

 

迫っていく

 

「・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

二人は構えつつもやや引き気味になっていく

 

だが二人はそれでも構えを解かずに

それぞれの武器を持ったまま控えている

 

「「はああ!!」」

 

だがそんな二人の様子に

容赦などしないといわんばかりに

 

爪を大きくふるっていく

 

二人も武器をそれぞれふるっていった

 

すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その双方の間に入ってそれぞれの攻撃を受け止めた一つの影が入る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

姉妹の攻撃を剣で

有紀と由奈の攻撃をマントのように羽織った布で

 

それぞれ止めて見せたのは

 

「どうやら待たせたみたいだな・・・」

 

当夜であった

 

当夜は剣につけた力を

大きくふるって姉妹を退けていく

 

姉妹は数歩下がって控える

二人に背中を向けたまま言う

 

「当夜・・・」

 

「いったい何を・・」

 

「いいから休んでな

 

 ここは俺たちがやる!」

 

当夜がそういうとそこに駆け付ける一団が現れる

 

それは

 

「よう、待たせたな!

 

 主は破壊してきたぜ!!」

 

「しばらくは休んでて

 

 ここは私たちがやる!」

 

怪盗団のメンバーであった

 

「ようし、行くよ!」

 

怪盗団の面々は大侯爵姉妹に向かっていく

 

「行くぜキッド!」

 

「踊れカルメン!」

 

スカルとパンサーが

それぞれのペルソナを出して

 

攻撃を仕掛けていくが

巨大な翼を使って攻撃を防いでいくと

 

鳥の尾羽のような尾をふるっていく

 

「「うわっと!?」」

 

その攻撃をかわす二人

 

「虫けらが数匹増えた程度で

 この私たち姉妹の力の前には

 

 何の意味もなさないわ!」

 

と無益の大侯爵が

左腕のどす黒いオーラを

まとった爪をふるっていくが

 

そこにフォックスが刀を抜いて対峙する

 

「まったくお前たち罪徒を見ていると

 

 どうにも醜いイメージが

 浮かんで気分が悪くなる

 

 どうしてこうにも不快に感じるのか!」

 

「その言葉にあえて応えるのなら・・・・・・・

 

 それはお互い様よ!」

 

と反対の手を突き出していく無益の大侯爵

 

無価値の大侯爵のほうは

向かってきたほうの相手を務めていくのであった

 

その相手は

 

「主を破壊すれば

 貴方達の力は弱くなるって聞いてたけど・・・・」

 

「主はこの迷宮の力の核・・・・・・・

 

 ゆえに破壊されればその力は沈静化を始める

 

 でも残念だけれど私たちの恩恵は王のほうにある

 

 主を破壊されれてもそれた大したものではない!」

 

とヨハンナで突っ込んできたクイーンに説明していく

 

「まあどっちでもいいわ!

 

 私はどっちにしても

 突っ走っていくだけ!!」

 

「面が白い・・・・・・・

 

 どこまでいけるのかを見せてやる!」

 

とそのままクイーンを乗せたままヨハンナを持ち上げる

 

だがクイーンは立ち上がって

無価値の大侯爵にとびかかっていく

 

クイーンはメリケンサックによる一撃を

無価値の大侯爵に炸裂させていくのだが

 

「っ!?」

 

まったく傷がついていない

 

「ああ、そういえば説明していなかったわね・・・・・・・

 

 私たち罪徒の体を構成する

 細胞の周りにある細胞壁はまさに天然の鎧そのもの

 

 普通の攻撃が私の体に通ることはないのよ!」

 

と左手を手刀にして繰り出していく

 

「ぐう・・・・」

 

「クイーン!

 

 後ろに飛べ!!」

 

その声に従って

クイーンは後ろに飛んで手刀をかわす

 

「ジョーカー!」

 

「ふう・・・・」

 

奥にいるジョーカーは

モナに付き添われていた

 

見るとその足を引きずっている

 

「お、おい!?

 

 その足・・・・」

 

陽介がジョーカーの足を見て言う

 

「俺のことよりも

 敵のほうを気にしろ

 

 敵のほうも迫ってきてるぞ・・・・」

 

すると敵の斬撃が

あたりに放たれていく

 

「ミラディ!」

 

そこにノワールが

ミラディを出して攻撃を繰り出し

 

その斬撃を打ち落として見せた

 

「ようし・・・・

 

 これでやっとみんな揃ったね・・・・」

 

そういって集合していく

SEES、自称特別捜査隊、心の怪盗団の面々

 

二十数名が一丸となるのであった

 

「小虫が寄ってたかって

 ぞろぞろと集まってきたな・・・・・・・」

 

「まあ逆に言えば

 これで小虫たちを一気に

 叩き潰せるということでもあるがな・・・・・・・」

 

二人の姉妹がそれを見て不敵な笑みを浮かべていく

 

「それにしても・・・

 

 まさか王のほかにもまだ

 二人も罪徒がいたなんてな・・・」

 

「でも何なのあの二人

 

 なんだか二つに分かれてるみたい・・・・」

 

「気を付けて

 

 あれで結構強敵だから・・・」

 

つぶやくスカルとパンサーに

雪子が教えていく

 

「まあどっちにしても

 あいつらをぶっ潰せば

 

 あとは奥に居やがるあいつの方だけだ

 

 もうすぐだぜ」

 

「フフフ・・・・・・・

 

 まったくまだわかっていないようね

 

 貴方血のような子虫に我らが王はおろか

 私たち姉妹を倒すことなどできはしない

 

 それに仮に私たちを下し

 王のもとにたどり着いたところで

 

 その時にはもう遅いのだ・・・・・・・」

 

無益の大侯爵がそのようなことをつぶやく

 

「どういうことだ?

 

 主は破壊してきたんだろ?」

 

「ええ

 

 そこにやってきた

 一人の罪徒と一緒にね・・・・」

 

美鶴は怪盗団の面々に聞くと

クイーンがそれにこたえる

 

奥で玉座に座っている王が

笑みを浮かべて左隣に手を添えると

 

そこに一台の巨大な時計が現れる

 

「な、なんか出たぞあれ・・・・」

 

「時計みたいだけれど・・・」

 

一同は見つめていく

 

「あれはこの迷宮における試練の時を刻む時計

 

 この時計が一周回るその時

 エリアHは人間どもの最後の楽園では

 

 なくなるとき・・・・・・・

 

 このエリアは完全に我らが王の傘下となり

 ついにこの世界も我らが罪徒のものとなるのだ!」

 

「どういうこと!?

 

 迷宮は主をなくしてるから

 もうその機能はしないんじゃないの!?」

 

有紀が聞いてきた

 

「この迷宮は所詮は

 増幅装置のようなもの

 

 主が破壊された程度

 どうにでもなろう・・・・・・・

 

 それにお前たちはこの迷宮に

 攻め入ったことはないから知らんようだが

 

 主が破壊されても王がその代わりに

 迷宮の力を支えれば迷宮の力は維持される

 

 すなわちこの迷宮の力を完全に遮断するためには

 主と王、この両方を破壊せねばならんということだ」

 

「そんな・・・・

 

 それじゃあ私たちの

 やってきたことは無駄だったっていうの・・・・」

 

ノワールがショックで倒れそうになるが

 

「果たしてそれはどうかな?

 

 それでこの二人の大侯爵の力が

 弱まっていない理由は分かった

 

 だけどそれはとどのつまり

 王はそこから動けなくなるってことだろ?

 

 だったら慌てることはない!

 

 確実にお前たち二人の相手に

 集中ができるというものだ!」

 

当夜が言う

 

「そうだな・・

 

 それにまだ時間はある」

 

「あの時計の針が回るまでの間に

 あの二人の大侯爵と奥でふんぞり返ってる

 王を倒せばいいんでしょ!」

 

「それはシンプルでわかりやすい」

 

するとリーダーたち三人が言う

 

「もう遅いわ

 

 すでに時は刻まれ始めた

 もうすぐこの世界に住まう

 

 下等生物はすべて滅び

 

 この世界はわれら罪徒の楽園となるのだ!」

 

「勝手に決めつけんな!

 

 どっちにしても

 てめえらをぶっ飛ばせばいいんだろうが!!」

 

「俺たちの運命を勝手に決めつけるような言い方してんじゃねえ!」

 

無益の大侯爵の言葉に

完二と陽介が答える

 

「往生際が悪いのも

 度が過ぎれば見苦しいものね

 

 素直にその運命を

 受け入れればまだ美しいものを・・・・・・・」

 

そういって無価値の大侯爵は

白いオーラの爪をゆっくりと振り上げる

 

「姉さん・・・・・・・

 

 だったらこの子虫たちに

 自分たちとの力の差を見せてやるとしましょう」

 

「そうね妹

 

 まあ、見たところまだ

 楽に終わらせることができそうだけどね」

 

そういって姉妹はそれぞれの爪を構えていく

 

「みんな・・

 

 行くぞ!」

 

「これがきっと

 

 この迷宮での最後の戦いになる!」

 

「気張っていこう!」

 

リーダーたちの言葉に

一同はそれぞれ構える

 

「そうこれが最後の戦い・・・・・・・」

 

「貴様たちの最期となるな!」

 

と爪をふるって向かっていく二人

 

「「オルフェウス!!」」

 

湊と真琴がまずは先陣を切っていく

 

二体のオルフェウスは

それぞれ姉妹一人ずつに攻撃を仕掛けていく

 

「あなたたちのような虫けらが

 どうして私たち罪徒にそこまで抗える・・・・・・・」

 

「僕たちにはやらないといけないことがあるからだ!」

 

無益の大侯爵の問いに湊がそう答える

 

「どうしてそんなことのために戦うだけで

 私たちを倒せると考えられるというのだ!

 

 勝ち目ないのは目に見えているというのに!!」

 

「だからって逃げるわけにはいかないから!」

 

無価値の大侯爵に対しては真琴が答えた

 

「イザナギ!」

 

そこにイザナギが召喚され

二体の間に入っていくと

 

「そこだ!」

 

そこから手に持っている武器を

大きくふるって二体に攻撃を仕掛けていく

 

二体は攻撃を受けてしまうものの

それぞれ吹っ飛ばされただけで大したダメージはない

 

「このぉ!」

 

無益の大侯爵はすぐに体制を立て直し

湊と真琴に向かって爪をふるいつつ向かっていく

 

「イオ!」

 

「ヘルメス!」

 

するとその目の前に

ヘルメスが勢いよく突っ込んでいき

 

ひるんだところにイオの起こした風が無益の大侯爵に放たれる

 

無益の大侯爵は風を使うので

ダメージこそ受けなかったものの

 

それでもかなり飛ばされていく

 

「があああ!!!!!!!」

 

無益の大侯爵は右腕の黒く巨大な爪を

勢いよくふるい、斬撃を飛ばしていく

 

「行くぞシンジ!」

 

「言われなくてもそのつもりだ!」

 

真田と荒垣がポリデュークスとカストール

 

二体を勢いよく向かわせていき

無益の大侯爵の爪に攻撃を仕掛けていく

 

「「はああ!!」」

 

「ぬああ!?」

 

すると

 

音を立てて無益の大侯爵の爪が砕ける

 

「ば、馬鹿な・・・・・・・

 

 人間風情にこの私の爪を・・・・・・・」

 

「ペンテシレア!」

 

そこに美鶴がペンテシレアを呼び出すと

手に持っている剣を無益の大侯爵にはなっていく

 

だがその一撃は

無益の大侯爵の体をそっていくだけで

 

傷を与えている様子も見られない

 

「ちっ・・・」

 

「ふははは・・・・・・・

 

 愚かな人間どもよ

 私たち罪徒の体には

 

 天然の鎧がある!

 

 貴様らに私は傷などつけられん!!」

 

無益の大侯爵はややひきつり気味で答える

 

「確かに傷はつけられないかもしれません・・・・

 

 ですが鎧というのは幾度か当てていけばもろくなるもの」

 

すると懐に向かって

一つの影が迫っていく

 

「パラディオン!」

 

アイギスが自身のペルソナである

パラディオンを無益の大侯爵に向かわせていく

 

「(奴が最も攻撃を受けていた部分・・・・

 

  そこにさらに強力な一撃を加えれば!)」

 

アイギスはそう言って

パラディオンを狙った場所に行くように調整していく

 

「作り物風情が

 

 この私の体に傷をつけるなどぉ!」

 

と折れた爪を前に突き出していく

 

「あきらめない・・・・

 

 私にも譲れないものはある!」

 

アイギスのその声にこたえるように

パラディオンはさらに加速していきついに

 

無益の大侯爵に止められてしまったが

その穂先は見事に彼女の体に当たった

 

それだけではない

 

「っ!?」

 

その場所から

赤、青、緑などの色の混ざった液体が

 

無益の大侯爵の体からあふれ出していく

 

「やった!」

 

天田がそれを見て歓喜の声を上げる

 

「ば、馬鹿な・・・・・・・

 

 私の鎧をこんな人形が・・・・・・・」

 

出血した個所を抑えて驚愕の様子を見せる無益の大侯爵

 

「天田さん!

 

 コロマルさん!!」

 

「はい!

 

 行くぞコロマル!!」

 

天田はコロマルとともに

ペルソナで攻撃を仕掛けていく

 

「があああ!!!!!!!」

 

攻撃を受けて勢いよく吹っ飛ばされる無益の大侯爵

 

一方

 

「イザナギ!」

 

悠は向かってきた

無価値の大侯爵の攻撃を

 

武器によって止める

 

「愚か者どもが

 

 身の程を知るがいい!」

 

「ジライヤ!」

 

「トモエ!」

 

すると無価値の大侯爵の両側に

陽介と千枝の二人がペルソナとともに放っていく

 

だが無価値の大侯爵はそれを見ると

巨大な白い天使のような翼を広げると

 

体を回転させていき

ジライヤともども攻撃を与えていく

 

「があ!

 

 うう・・・・

 

 忘れてたぜ」

 

「あの翼でも攻撃ができるんだっけ・・」

 

ペルソナの受けたダメージが

自分にフィードバックし思わず声を漏らす二人

 

「コノハナサクヤ!」

 

だがそこに炎が放たれ

無価値の大侯爵はそれに気が付いて

 

急いでその場から離れていく

 

「(やっぱり

 

  私の攻撃・・・

 

  というより炎の攻撃に

  気がついて離れていってる・・・

 

  だとしたら・・・)」

 

雪子は何かを思いついたのか

攻撃をさらにはなっていく

 

無価値の大侯爵はそれを見ると

巨大な翼のほうを広げて体を回転させる

 

するとその際に出た風が

コノハナサクヤの炎にさらに勢いよくを増していく

 

「そうか!

 

 炎、火は空気、つまり酸素を

 燃焼することで発生させる

 

 彼女はそれをわかっててよけたんだ

 

 彼女は風の属性で

 風は空気、空気は酸素だから!」

 

由奈は分析する

 

「うぬぬぬ・・・・・・・

 

 炎そのものは大勢に影響はないが

 勢いがましいと煩わしいことこの上ない」

 

無価値の大侯爵はそれに飛びあがりながらつぶやく

 

「だがどのみち攻撃が

 見えているのならどうということはない」

 

「よし!」

 

雪子は不意に笑みを浮かべる

それに気づいた無価値の大侯爵

 

すると

 

「おおおりゃあああ!!!」

 

そこに完二が盾で殴り掛かっていく

 

「ぐお!?」

 

「だらあああ!!!」

 

完二の一撃は見事に炸裂

 

吹っ飛ばされるほどではなかったものの

それでもやや体制を崩してしまったほどだった

 

「あの小娘・・・・・・・

 

 仲間に攻撃をさせるために

 自分の炎を使って攻撃をしかけて・・・・・・・」

 

白い爪を再び携える無価値の大侯爵

 

「クマもやっちゃるクマ!」

 

クマもそれに続いていくが

 

案の定突然突き出されてきた

敵の蹴りを受けて飛ばされてしまうのであった

 

「ぎゃーす!」

 

「少し見くびってたけど

 なかなかやってくれるじゃない

 

 でもそんな幸運が

 いつまでも続くと思わないことね!」

 

そういって今度は

巨大な尾羽をふるっていく

 

「あわわ!?」

 

それを見て一同は

あまりの勢いに下がっていく

 

「スクナヒコナ!」

 

そこに直斗がスクナヒコナを呼び出す

 

スクナヒコナはその小さな体で

敵の尾羽による大振りを巧みにかわしていき

 

持っていた剣で無価値の大侯爵に切りかかっていく

 

「ぐあああ!!!!!!!」

 

吹っ飛ばされる無価値の大侯爵

 

吹っ飛ばされた先には同じように

攻撃を受けて吹っ飛ばされた無益の大侯爵が見える

 

ぶつかりはしないものの二人はその場にたたきつけられる

 

「おっしゃ!

 

 次は俺たちの番だぜ!!」

 

「ようし・・・・」

 

と怪盗団の面々が二人の大侯爵に向かっていく

 

「なぜだ・・・・・・・

 

 人間風情に私たちがなぜここまで押されて・・・・・・・」

 

無益の大侯爵のつぶやく

 

そこにスカルがとびかかっていく

 

「でやあああ!!!」

 

スカルの一撃を爪のある

右腕で受けようと試みるが

 

その手を何かが止めた

 

「させないわよ!

 

 スカル!!」

 

「おっしゃ!」

 

とスカルは鈍器を手に攻撃を仕掛けていく

 

傷がついているせいか

それを受けて顔をしかめていく無益の大侯爵

 

「こんなものでこの私をやれ・・・・・・・」

 

そこにスカルとパンサーは

それぞれの銃による攻撃を

 

無益の大侯爵に向かって放つ

 

「があ!」

 

不意打ちを食らって膝をつく無益の大侯爵

 

「妹は爪が砕けてる上に負傷してる・・・・・・・

 

 これはもうまずいかもね」

 

そういって無価値の大侯爵は翼と尾羽を

大きく広げていき体を回転させていき

 

その攻撃をスカルとパンサーのほうに向けてふるう

 

「うおっと!?」

 

「よっと!」

 

スカルとパンサーは

その攻撃をかわし代わりに無益の大侯爵がその一撃を受ける

 

だがそれを見ても動揺している様子を見せない無価値の大侯爵

 

「ね、姉さん・・・・・・・」

 

「あなたはその傷を癒してなさい

 

 あとは私が引き継ぐから」

 

そういって翼と尾羽を大きく広げて

 

その体に白いオーラをまとっていく

 

「これで実質敵は一人になったか・・・・・

 

 だがそれでも奴の力は強い

 

 だが、それでも俺にはまだ!

 

 やれることはある!!」

 

フォックスはゴエモンを

召喚して敵のほうに向かわせていく

 

「馬鹿め!

 

 氷、すなわち水の属性を使う貴様に

 風の属性の私に攻撃は効かないわよ!!」

 

「だったら属性攻撃ではない攻撃に切り替えるだけだ!」

 

フォックスはそう言うと

ゴエモンは手に持ったキセルで攻撃を仕掛けていく

 

「なるほど

 

 無の属性・・・・・・・

 

 物理攻撃に切り替えてきたわね・・・・・・・

 

 でも!」

 

それを受け止める無価値の大侯爵

 

「く・・・・・」

 

「もともとの力が

 劣っているのでは意味をなさないわよ・・・・・・・」

 

そういってゴエモンに追撃の突風を食らわせていく無価値の大侯爵

 

「く・・・・・」

 

ダメージがフィードバックし

後ろにやや下がっていくフォックス

 

「フフフ・・・・・・・」

 

すると翼を広げて

勢いをつけて体を回転させていき

 

それをふるっていく

 

「はあああーー!!!」

 

そこにヨハンナが

勢いよく突っ込んでいき

 

無価値の大侯爵の翼による攻撃に

攻撃するように一撃を決めたのだった

 

「く・・・・」

 

攻撃の反動で

ヨハンナから振り切られてしまうクイーン

 

「っ!

 

 まさかここまで・・・・・・・」

 

だが無価値の大侯爵も

その攻撃を受けて体制を崩す

 

「人間というのは

 どうしてここまで・・・・・・・」

 

無価値の大侯爵はそういうと

ノワールがそれに答えると言わんばかりに

 

向かっていった

 

「私たちにはまだ

 

 貴方達を倒して

 やらなければならないことがたくさんある

 

 だから私たちは最後まで戦っていく

 

 貴方達を倒して私たちはその先に行く!

 

 それが私たちがここで戦う理由なの!!

 

 だから私も・・・・」

 

ノワールは武器である斧をもって

 

大きくふるっていく

 

「あきらめるわけには・・・・

 

 行かないのおおおーー!!!」

 

無価値の大侯爵は巨大な翼を

ふるってノワールを飛ばそうと試みる

 

だがその一撃とノワールの一撃が

見事にぶつかり合って激しい轟音を上げると

 

「はあああーー!!!」

 

「きゃ!」

 

無価値の大侯爵はそれを受けて

大きく飛ばされていくのだった

 

「そんな・・・・・・・

 

 人間にまさかここまで・・・・・・・」

 

「姉さん!」

 

無価値の大侯爵に行く無益の大侯爵

 

「あなたたち姉妹の間に

 あるのは信頼なんかじゃない・・・

 

 それは共通の敵を倒そうという

 ただの利害の一致・・・

 

 本当の絆じゃない!」

 

「本当のつながりを知らない貴方達に

 人間の中にある可能性をはかり知ることなど

 

 不可能です!」

 

有紀は銃弾を討ち

由奈が風を起こす

 

銃を撃たれてひるんだそこに

風を放たれて体を飛ばされる姉妹

 

そこに

 

「お前らの罪・・・」

 

当夜が間に飛び込んでいく

 

「・・・俺たちが断罪する!」

 

と体を反転させて聖剣を大きくふるっていき

見事に姉妹の体を切り裂いていくのであった

 

「そんな・・・・・・・

 

 私たちが敗北・・・・・・・」

 

「それでも勝つのは・・・・・・・

 

 われらが王なのよ・・・・・・・」

 

と姉妹は試練の王が座っている

玉座の両側に落ち、爆発するように砂煙を上げて

 

消滅するのであった

 

「・・・・・・・・・」

 

それを見ていた試練の王は

ゆっくりと顔を一同に向けて

 

目を細めていく

 

「つぎはいよいよお前だな・・・」

 

当夜はそう言って聖剣の切っ先を試練の王に向ける

 

「私はいろいろな人間を見てきたけれど

 ここまで抗ったのは貴方達が初めてよ・・・・・・・・・」

 

そういって玉座から立ち上がる試練の王

 

「来るか・・」

 

「っ」

 

王はゆっくりと面々のほうに歩いていく

 

「まったく・・・・・・・・・

 

 よもやこの私

 自ら行くことになるとは

 

 役立たず共め」

 

そういって右手に杖をもってつぶやく

 

「だがまあいい

 

 もうすでにその時は来ている・・・・・・・・・」

 

そういって玉座の隣にある時計は一番上で針が

重なり合うと迷宮は音を立てて揺れ動き始めていく

 

「時計が・・・」

 

「何が起こるの・・・!?」

 

湊と真琴がともに言葉を発する

 

「すべての準備は整った

 

 まもなくこの迷宮は

 さらなる役目を果たすために

 

 それを行うにふさわしい場所へと向かうことになる

 

 すべてを見落とせる場所にな・・・・・・・・・」

 

「場所・・?」

 

すると

 

『皆さん!

 

 大変です!!

 

 迷宮が大きく上にせりあがっていきます・・・』

 

『まるで宇宙に行くみたい・・

 

 それになんだか迷宮から

 すごい力を感じるの!』

 

『何が起ころうとしてるんだ・・?』

 

バックアップ組が迷宮の異変を

察して連絡を入れていくのであった

 

「今この世界を追っている大いなる風

 

 大気は私の力を受けている

 

 その大気を通じてこの迷宮を増幅装置とし

 私の力を注ぎこめばこのエリアHにいる人間どもの大半は死滅する

 

 そうなればもはやこの世界は罪徒のものになる

 

 この世界にいる人間はわれらの力の前に屈するのだ!」

 

と高らかに言う

 

「なるほどな・・

 

 ワガハイたちに

 部下と戦わせたのは

 

 そのための力を蓄えるための

 時間稼ぎだったってわけか・・」

 

モナは分析する

 

「そんなこと・・・・

 

 させてたまるか!」

 

ジョーカーは言う

 

「でもその前に・・・・・・・・・

 

 この私を阻む可能性のある愚か者どもに

 身の程をわきまえさせなくてはならないわ」

 

試練の王はそう言って杖を地面につきつつ一同を見る

 

「そう

 

 貴方達という不穏分子を

 この私自らが排除する

 

 この世界を滅ぼすまでの間にね!」

 

「上等だ!

 

 だったらお前を絶対に倒して

 そんなふざけたことは絶対に止める

 

 俺たちでな!!」

 

当夜の言葉に一同は構えていく

試練の王はそれを笑みを浮かべつつ見つめるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ試練の王と激突する・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




王の試練

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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19、試練の迷宮 ~trials of Circle

王の御前

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮

 

王の間において

集まった一同は

 

ついにこの迷宮の王

 

試練の王と対峙するのであった

 

「人間よ

 

 我ら罪徒にここまで抗った報い

 

 じっくりとその命を持って償わせてやる」

 

そういって手に持った杖を

地面について向かっていく

 

「みんな・・・

 

 これが僕たちが

 この世界で最初に乗り越えるべき

 

 最後の試練だ!」

 

「そうだね・・・

 

 私たちがこの先の戦いのためにも

 乗り越えなくっちゃいけない・・・

 

 これがその戦いだよ!」

 

二人のリーダー、湊と真琴の言葉に

SEESの面々も息をのみつつ構えていく

 

「絶対に勝つぞ!」

 

悠のつぶやきに

捜査隊メンバーも力強くうなずく

 

「そのために俺たちが来たんだ!」

 

暁がそういうと

怪盗団の者達も身構える

 

「暗黒の楽園を・・・

 

 俺が、いや俺たちが終わらせて見せる!」

 

当夜はそう言って聖剣を両手に持ち

ほかの聖徒の二人もそれぞれの武器を持つ

 

「どうやらこの世界と運命を共にするよりも

 その前に滅びるのが望みであるということか

 

 ならばその望みをかなえてやろう・・・・・・・・・」

 

そういって王は杖を持ち直す

 

「来るぞ!

 

 みんな構えろ!!」

 

美鶴の声とともに

一同は戦闘態勢に入るが

 

「そんなに滅びたいのか?」

 

「っ!?」

 

そんな彼女の後ろに

一瞬で回り込んだ試練の王

 

すると試練の王は

手に持っている杖の先を

 

美鶴に勢いよく突きつける

 

「があっ!」

 

そのあまりの攻撃に

美鶴は激しく吐血し

 

さらに勢いよく飛ばされる

 

「美鶴!」

 

「くっ!」

 

それを見ていた明彦と荒垣は

二人で試練の王に向かっていくが

 

「愚か者め・・・・・・・」

 

杖をふるって

衝撃風を起こして

 

二人を吹っ飛ばしてしまった

 

「何よあの力・・・

 

 すっごくやばいんですけど!?」

 

「くそ、曲がりなりにも

 王様名乗ってるだけのことはあるってか!?」

 

「応戦します!」

 

アイギスはそう言って銃弾を放つが

それを何事もなく体に受けてもなおも

 

びくともしない試練の王

 

「作り物程度の力で

 この私の力に抗おうなんて

 

 本気で思っているのかしら?」

 

そういって手を大きく広げる

 

「罪徒には天然の鎧があると

 言っていましたがやはり強固であります・・・・」

 

「とにかく反撃しないと!」

 

そういってゆかりは

弓を弾いて矢を放つ

 

だがそれをゆかりのほうを見ずに

片手でその矢をつかみ取って見せた

 

試練の王はそうしたのち

紫のほうを見ると杖の先をゆかりに向ける

 

「その手の攻撃など

 

 蚊を箸でつかむようなものよ・・・・・・・・・

 

 この私にはもはや目視できる

 という程度では表せぬほどにたやすい」

 

「く・・・」

 

「不意打ちがだめってんなら

 強力なので決めてやるぜ!

 

 ヘルメス!!」

 

順平はヘルメスを召喚

 

ヘルメスは試練の王に向かっていく

 

だが

 

「んな!?」

 

試練の王はなんとその一撃を

なんと片手の指だけで止めて見せた

 

「協力?

 

 この程度がお前たち人間にとって?

 

 これで私たちに抗うつもりだというのなら

 まったくもって笑わせてくれるわ!」

 

ヘルメスを止めつつ

もう片方の手に持っている杖で

 

大きく叩き落としてしまう試練の王

 

「があ!」

 

「順平!」

 

ヘルメスの受けたダメージが

フィードバックし順平その場に倒れてしまう

 

ゆかりが駆け寄ると順平は気を失ってしまう

 

「ちょっ・・・

 

 何よこれ・・・」

 

その様子を見て底知れない恐怖を感じるゆかり

 

「やっぱり今までの敵とは違う・・」

 

天田もその様子を見て

改めて目の前に現れた敵が別格だと感じるようになる

 

「はあああ!!!!!!!!!」

 

すると試練の王は

背中から翅のようにオーラを広げ

 

それであたりを破壊していく

 

「「「「「「「うわあああああああ!!!!!!!」」」」」」」

 

その攻撃の衝撃によって受けた風を受ける一同

 

「く・・・

 

 っ!?」

 

見るとそこでは

一同の目の前と後ろ側の地面以外の場所が

 

見事なまでに破壊されつくしていた

 

「見たか

 

 これこそが私の力の

 ほんの一部だ

 

 その気になれば

 貴様らごときこの手で

 倒すことなどたやすいこと・・・・・・・・・」

 

「まさか・・・!?

 

 わざと僕たちに攻撃を

 当てなかったって言うの!?」

 

「その気になればいつでも私たちなんて倒せる

 

 余裕のつもりのようだね・・・」

 

リーダーの二人が試練の王の圧倒的な力を見て言う

 

「今更悔やんでも遅い

 

 このままお前たちに

 一足先に滅んでもらうことにしよう・・・・・・・・・」

 

と左手を伸ばしていく試練の王

 

そこに銃弾が放たれていく

 

「っ!?」

 

そこにいたのは

 

「あいにくですが

 今更悔やみなんてしません!」

 

「お前みたいなやつとなんて

 俺らはいつでも戦ってきた!

 

 今更引くつもりはねえよ!!」

 

捜査隊のメンバーも向かっていく

 

試練の王はそれを見て

左手を大きく振りかざす

 

「愚かな

 

 どうやらあくまで

 見苦しくも抗うつもりか」

 

「このままお前に見たいな奴に

 屈しちまうほうがよっぽど見苦しいぜ!」

 

「そうよ

 

 あんたみたいに

 身内のことを役立たず

 呼ばわりする奴なんかに・・」

 

「私たちは絶対に負けたりしない!」

 

二年生組が言う

 

「弱きものは死ぬ

 それが世の摂理

 

 奴らは私のために

 役に立ってくれれば

 

 あとはどうなろうと

 知ったことじゃないわ!

 

 どのみち死ぬ運命だった

 それだけのことよ!!」

 

と杖を大きくふるっていく試練の王

 

「俺たちはお互いの弱さを知った・・・・

 

 そのうえで得る強さだってあるんだ!」

 

「私たちはそのうえで

 その弱さを受け入れて

 

 強くなったの!」

 

「弱いからこそ生まれる強さだってあるの

 

 それが人間の強さの一つなのよ!」

 

と二年生組はそれぞれのペルソナを召喚する

 

ジライヤとトモエが向かっていき

コノハナサクヤがその後ろから炎を放っていく

 

試練の王はジライヤとトモエの攻撃を杖で受け止め

コノハナサクヤの炎を左手から広げたオーラで防いで見せた

 

「んな!?」

 

「アタシらの同時攻撃を・・」

 

「まさかここまで・・・」

 

「無駄だというのがまだわからんようだな!」

 

左手で炎をかき消して

その左手で杖の先にある金具を

 

ピンとはじいて見せた

 

するとジライヤとトモエの

体が勢いよくふるえる

 

「うお!?」

 

「やっば!」

 

嫌な予感を感じて

自分たちのペルソナを引き揚げさせる二人

 

「ふっふっふっ・・・・・・・・・」

 

すると

 

「な、なんか・・・・」

 

「体が重い・・」

 

二人は体の違和感に気付き

思わず地面に手をついた

 

「二人とも?」

 

雪子は二人の異変に気付く

 

「せ、先輩!?」

 

「完二・・・・

 

 気をつけろ・・・・

 

 何かわからねえけど

 体がどうにも重くなって」

 

陽介が言う

 

「人間風情がどうしてそこまで抗う・・・・・・・・・」

 

「っ!?」

 

試練の王はそこに

瞬く間に表れて見せるのであった

 

「なぜだ・・・・・・・・・

 

 なぜだ!」

 

「ぐおっぷ!?」

 

試練の王は柄尻で完二に殴り掛かった

 

「あってはならない!

 

 私たち罪徒はこの世界、いや

 すべてにおいて最強最高の存在でなくてはならない

 

 それをよもや貴様ら人間という下等動物に侮られるなど

 この上にない屈辱そのものだ!!

 

 絶対に認めなどしない!!!」

 

試練の王はいら立ちを含めた言葉遣いで言う

 

「確かに貴方達罪徒は強いし

 人間にはない能力も持っている

 

 でも僕たち人間には

 お前達にはない力がある・・・

 

 僕たちとお前たちの差はたったそれだけの差だ!」

 

直斗は言い放つ

 

「くだらん!

 

 その程度の差など

 我らの力の前には

 

 何の意味もないということを

 その死をもって味わえ!!」

 

と杖を勢いよくふるっていく

 

「ぐう・・・」

 

直斗はそれを受けて飛ばされてしまうが

 

「直斗!」

 

それを悠が受け止めたものの

その衝撃で壁にぶつかってしまう

 

「先輩!」

 

「俺のことはいい

 

 それよりも試練の王の方だ・・」

 

すると

 

「ゴー!

 

 キントキドウジ!!」

 

クマがペルソナを出して

攻撃を仕掛けていく

 

試練の王はそれを杖で受け止めて見せた

 

「クマたちは絶対に元の世界に戻るし

 この世界をお前たちから救う

 

 そう決めたんだクマ!

 

 クマとセンセー、みんなと一緒に!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

すると試練の王は杖の先の金具を指ではじく

 

「っ!?」

 

するとクマは急に

力なく地面に手をついてしまう

 

「クマ!?」

 

悠がクマに駆け寄っていく

 

「せ、センセー・・

 

 体が・・重い・・クマ・・」

 

「なんだって!?」

 

悠はそれを聞いて

同じく体が重く感じる

 

陽介たちのほうを見る

 

「それ・・・・って・・

 

 私たちと・・・・おんな・・じ・・・・・・」

 

「だ・・・・よな・・・・

 

 あの杖・・・・で受け止められて・・・・そん時に・・・・・・・・」

 

こちらもまだ体の重さは治っていないようだ

 

「そうだ、それでいいのよ

 

 人間どもにはやはり

 この光景がふさわしいもの

 

 ゆっくりと貴様らに

 最期の時を与えてあげる」

 

とゆっくりと歩み寄っていく試練の王

 

とそこにキッドとカルメンが飛び込んでいく

 

「最期になんてされてたまるかよ!」

 

「黙って死んでいくなんて

 そんなのまっぴらごめんよ!」

 

スカルとパンサーが言い放つ

 

「では抗うというの?

 

 この王であるこの私に?

 

 そのせいで貴様らが

 この場にて滅びるというのにか?」

 

「滅びなんてしない!

 

 ワガハイ達はこの力を

 目覚めさせた時から最後まで

 抗って見せると決めたんだ

 

 そのためにここまで来たんだ!!」

 

モナがそういって

パチンコを放つ

 

だが試練の王は

それを難なく防いでしまう

 

「抗って何になるというのだ!

 

 人間がどの程度抗ったところで

 この世界がどうなるわけでもあるまい!!」

 

「確かに俺たち程度が

 抗ったところで世界に影響は

 与えることはないだろう

 

 だがそれでも俺たちは変わっていく!

 

 この世界に生きる俺たち自身は

 

 そんな小さな出来事でも

 この世界にもたらされた変化

 

 俺はそう考えている!」

 

フォックスはそう言って

ゴエモンを向かわせる

 

「どのような変化を

 もたらしたところで

 

 王であるこの私に勝てるわけもない!」

 

と杖を下から上に

ふるいあげていく

 

すると地面に沿って

とてつもない衝撃が走っていく

 

「そうかもしれないわね

 

 でもだからって

 それであきらめるわけないじゃない!」

 

クイーンはヨハンナに乗って

飛び上がって攻撃を仕掛けていく

 

見事その一撃は試練の王の体に炸裂

 

わずかだが試練の王を下がらせた

 

「私は決めたのよ!

 

 最後まで突っ走っていくって!!」

 

するとそのクイーンの腕を

左手でつかみかかる試練の王

 

「人間がどこまで・・・・・・・・・」

 

試練の王はそして

杖の先をクイーンの体に突き立てた

 

「があ!」

 

大きく吹っ飛ばされるクイーン

 

「まあどうでもいいわ

 

 貴方たち人間がいかに変わろうとも

 王である私の力の前には何の意味もない

 

 貴方たちにゆっくりとこの世界から人間が

 滅びゆくさまを見届けさせてやろうと思ったが気が変わったわ

 

 この世界の人間たちより先に

 貴方達を滅ぼしてあげる」

 

そういって両腕を横に伸ばして

円を描くように上げていく

 

すると背中からまた

翅のようにオーラが広がっていく

 

「気をつけろ!

 

 またさっきの攻撃だ!!」

 

モナが注意を呼び掛ける

 

「見苦しく生きていくくらい

 ならば美しく散っていくがいい!」

 

試練の王はそう言って

蝶の翅のように広げたそのオーラを

 

勢いよく一同にふるっていく

 

「みんな!」

 

そのオーラによる一撃を

受けて吹っ飛ばされていく地面

 

「ミラディ!」

 

だがそこにノワールの召喚した

ミラディが銃撃を放ってオーラに攻撃を仕掛けていく

 

「その程度の攻撃で

 この私の攻撃をしのげるか!」

 

確かにオーラによる攻撃は

まったく衰えている様子はない

 

だが

 

「相殺できるとは思っていませんけど・・・・

 

 それでも無駄ではありません!」

 

ノワールがそういうと同時に

攻撃が一同のほうに行く

 

「フフフ・・・・・・・・・」

 

試練の王はそれを

見て勝ちを確信する

 

「・・・っ!?」

 

すると爆発がやんで

そこから現れたのはややボロボロに

なりながらも無事にいる一同の姿であった

 

「まさか・・・・・・・・・

 

 さっきの攻撃で

 威力を削減させられたの!?」

 

「そうみたいね」

 

「人間を・・・

 

 なめるな!」

 

と有紀は銃を手に

試練の王に向かって放っていく

 

試練の王はそれを杖ではじいていく

 

するとそれに紛れて

由奈が槍を手に突っ込んでいき

 

「はああああ!!」

 

見事その体に

槍を突き立てていく

 

「があああ!!!!!!!!!」

 

それを受けて大きく吹っ飛ばされていく試練の王

 

さらにそこに

 

「てやあああ!!!」

 

当夜がそこに唐竹割りを食らわせていく

 

「おりゃあああ!!!」

 

「ふん!」

 

だが試練の王は

それを難なく受け止める

 

「何!?」

 

「王であるこの私を

 甘く見るなよ聖徒

 

 この私を簡単に倒せると

 本気で思うなあああ!!!!!!!!!」

 

とその杖をさらにふるって

当夜を後ろに吹っ飛ばしてみせる

 

「ぐう・・・」

 

どうにか着地する当夜

 

「見せてやろう・・・・・・・・・

 

 王であるこの私の真の力を」

 

そういって羽織っていたフードを

勢いよく脱ぎ捨てると杖を上に突き上げる

 

「はあああ・・・・・・・・・」

 

するとその杖から

蝶の翅のようにオーラが広がっていく

 

そのオーラは試練の王の体を包み込んでいき

 

どす黒いオーラが球体状に覆われていく

 

するとその球体から

先ほど広がった蝶の翅のように

 

オーラが広がっていく

 

そしてそのオーラの中から

解き放たれるように現れたのは

 

目元以外はマスクのように覆われ

 

その頭部には蝶の触角のような角が生え

口元には蝶の口吻のようなものが付いている

 

その背中には蝶の翅のような翼が大きく広がり

あたりに黒い粉上のものがあたりにふりそそいで行く

 

「見るがいい

 愚か者ども

 

 これこそがお前たちが挑む

 王の力を持つ者の力なのだ!」

 

と言い放つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに最後の対決が始まる・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




王との決戦

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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20、試練の王 ~ordeal of Tortur

王との戦い

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮

 

そこに一介する一同

 

その目の前には

蝶の翼を広げて

 

そこに大きな威圧感を

放つ一つの影があった

 

「私は試練の王

 

 この試練の迷宮を支配せし王にして

 この世界の人間たちに絶望を味合わせるもの

 

 その私をここまで怒らせた

 お前たちの行いは万死に値する

 

 ゆえにこの私がお前たちに

 直々に裁きの時を与えてくれる」

 

そういって両手の

蝶の翅のような装飾の布をなびかせて

 

手を大きく広げていく

 

すると背中の蝶の翅のような翼を大きく広げていく

 

「これが・・・

 

 王の爵位の罪徒の武器解放・・・

 

 俺もこれを見るのは初めてだぜ」

 

当夜も初めて味わうその違和感に押され気味であった

 

「でも僕たちはもう後には退けない・・・」

 

「そうだね・・・

 

 もうここまで来たんだから!」

 

湊と真琴はそう言って

それぞれの武器を構える

 

「それに俺たちはこうして全員集まったんだ・・」

 

悠も力強く剣を握りしめる

 

「絶対に勝つ!」

 

ジョーカーはナイフを構える

 

それを見た試練の王は

呆れと苛立ちの入り混じった表情を見せる

 

「まったく

 

 聖徒である者には愚か

 たかだか未知の力を扱うというだけの

 ただの人間にまでそういわれるとは・・・・・・・・・

 

 王たる私にそのようなことがあってはならぬこと!

 

 お前たちに絶対に越えられない存在の格の違いをその命を

 もって思い知らせてくれよう!」

 

そういって翼をはためかせる試練の王

 

「来るぞ!」

 

「先手必勝!」

 

すると順平が

ヘルメスを向かわせる

 

「体の重さもましになってきた・・・・

 

 俺も行くぜ!」

 

陽介もジライヤを向かわせると

試練の王は翼を使って受け止め

 

さらにそこに衝撃のようなものを浴びせて

 

二体を瞬く間に消滅させてしまう

 

「んな!?」

 

「おわっ!?」

 

それには二人も驚愕する

するとそのダメージは二人に

 

フィードバックして

二人は思わず後ろに倒れこんだ

 

「順平!」

 

「このぉ!」

 

真田と千枝が

今度は生身で向かっていくが

 

それすらも後ろを向けたままで

二人を吹っ飛ばしてしまうのだった

 

「ペンテシレア!」

 

「ゴエモン!」

 

美鶴とフォックスが

冷気による攻撃を放っていく

 

すると試練の王は左手を横に突き出す

 

すると二人の攻撃が

その左手に吸い寄せられていくかの如く

 

集められていき

 

「フフフ・・・・・・・・・

 

 はあああ!!!!!!!!!」

 

それをそのまま

二人のもとに投げつけるように放っていく

 

「く・・・」

 

「っ!」

 

美鶴とフォックスは

ともに冷気を浴びてしまうが

 

二人はもともとその攻撃に

耐性を持っていたので押されていくだけで済んだものの

 

やはり対抗先はないのには変わらないこと

 

「人間がまさかここまで

 どうしてもこの私に歯向かうということか

 

 どうしてもそこまで歯向かうつもりなら」

 

と両腕を蝶の翅のように広げ

背中の翼もそれに合わせて広がっていく

 

すると後ろからさらに広がっていくのが見える

 

「さすがに王と名乗ってるだけ

 あってすごい力を感じるね・・・」

 

「確かにあの姉妹や

 いろんな罪徒を率いていただけあって

 

 伊達じゃないね・・・」

 

湊と真琴は

ともに試練の王の威圧感に対し

 

そのように表していく

 

だがそれでも二人は

武器を下ろさずに構えを崩さない

 

すると試練の王の翼から

粉のようなものが降り注いでいく

 

「なんだこれ・・・・」

 

「これって・・・

 

 鱗粉?」

 

ゆかりは思わずそれを

手で受けるようにして見つめると

 

それは自分の体を黒く染めていく

 

「っ!?

 

 何よこれ!」

 

紫は思わず手を引っ込める

 

「これって・・・

 

 みんなこの粉、絶対に浴びないで!」

 

「んなこと言われても

 

 こんなに降り注いでっと

 全部はかわし切れねえよ」

 

完二は楯をかさ代わりに

粉をやり過ごしていこうと試みる

 

「これはおそらくラルヴァエネルギーを

 凝縮させたものを粉上にしてふるまってるのよ

 

 本来ラルヴァエネルギーは人間には有毒だから

 

 これは実質毒鱗粉であるようなものね」

 

有紀はそう言って

銃弾を空のほうに撃ち込んでいく

 

すると銃弾は爆発し

あたりの粉を焼失させていく

 

「一時しのぎだけど

 これで一気に攻撃を当てられる・・・」

 

有紀はそう言って銃弾を試練の王に向けて放った

 

「いっけええ!!!」

 

すると試練の王は

それに気が付いて

 

それをたやすくかわしてしまう

 

「そんな・・・!?」

 

驚きを隠せない有紀

 

「私の試練・・・・・・・・・

 

 ゆっくりと受けていくがいい」

 

試練の王はそう言って

またあたりに鱗粉を降り注がせていく

 

「これだと奴に近づくこともできない・・・」

 

「じゃあどうしたらいいんだよ」

 

「こうなったら

 自分の身を犠牲にしても

 

 奴に向かっていくしかない!」

 

「馬鹿!

 

 無駄に体に

 負担がかかるだけだぞ

 

 しかしこのままだと

 反撃ができないのも事実だ・・・」

 

悩む一同

 

『そういえばこの鱗粉を

 有紀さんは銃を使って

 

 焼失させることで

 攻撃を通していきましたよね・・・

 

 それを使えばもしかしたら

 攻撃の道筋は見えるのではないでしょうか』

 

「そういやあいつ

 やってたよな・・・・・」

 

「そういうことなら私に任せてください!」

 

アイギスはそう言って

銃弾を装填して構えると

 

それを一気に放っていく

 

「浅知恵ね・・・・・・・・・」

 

そういうと試練の王は

両腕の翅を大きくふるう

 

すると降っていた粉が

突然まるで生き物のように

 

一つになって向かっていくのであった

 

「そんな!?」

 

そしてそれは一同に一気にふるわれていく

 

「「「「「「「「「「うわああああああああああ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

それを受けて吹っ飛ばされてしまう一同

 

「貴方達人間にできる

 工夫や対策を私ができないと

 本気で思っているのかしら」

 

そういって空を飛んで

ゆっくりと一同のほうに滑空していく

 

「っ!」

 

ゆかりはそこに矢を放つが

それを試練の王の体にはじかれてしまう

 

「・・・・・・」

 

「この程度の武器が

 私に通じるとでも・・・・・・・・・」

 

とそこに

 

「ヘルメス!」

 

順平のヘルメスが

試練の王に向かっていった

 

「所詮は弱い動物が生き残るための知恵でしかないのね・・・・・・・・・」

 

そういって

ヘルメスをなんとつかんで

 

それを振りまわしていくと

 

ヘルメスは炎を噴き出していく

 

「へっへー!

 

 俺っちのヘルメスは

 突っ込んでくだけが取り柄じゃないんだよ!!」

 

順平はそれ見たことかと言わんばかりに言う

 

「それで一矢報いたと

 考えているのなら浅はか千万ね・・・・・・・・・」

 

「ええ!?」

 

すると試練の王は

自分にまとわりついていた炎を

 

翼を広げたまま

体を回転させることで

 

炎を霧散していく

 

「やはり一筋縄では

 行かないようだな・・・・」

 

「同時に仕掛けるぞ!」

 

「今はそれしかねえしな・・・・・」

 

SEESの三年生組は

それぞれのペルソナを出して

 

攻撃を仕掛けていく

 

ポリデュークスとカストールで

試練の王の両側をとっていく

 

「この程度・・・・・・・・・」

 

だが試練の王はそれでも余裕を見せて

二体の間を通ってかわしていく

 

そこに

 

「ペンテシレア!」

 

美鶴のペンテシレアが

手に持っている武器をふるう

 

だが試練の王はまるで

予想していたのかあるいは拍子抜けしたのか

 

特に気にすることなく

そのまま突っ込んでいく

 

「まったく

 

 猿のほうが

 まだ賢いわよ!」

 

と背中から蝶の腹のようなものを伸ばし

そこから翅のようなひれを広げてそこから

 

攻撃を仕掛けていく試練の王

 

「がぁ!」

 

ペンテシレアが連続して受けたダメージが

美鶴の体に次々とフィードバックされていく

 

『あれが・・・

 

 試練の王の尾・・・!?』

 

その後ろに伸びたそれを見る一同

 

「まったく

 

 どうして人間というのは

 ここまで愚かにあがき続けていくのやら・・・・・・・・・」

 

そういって翼をさらに広げていく

 

「この感じ・・・・

 

 敵のエネルギーが異様に

 上がってきているであります!」

 

「これってまさか

 

 ラルヴァフィールドを!?」

 

アイギスの言葉に天田はそう告げた

 

コロマルはそれを見て

低くうなり始めていく

 

「見るがいい!

 

 お前たちが挑む相手が

 どれほどの相手なのかを

 

 そして思い知るがいい!!

 

 お前たちがどれほど無力で下等な存在なのかを!!!」

 

するとあたりの空間が変わっていく

 

その空間はどこかの花畑のようで

あたりに花びらのようなものが舞っている

 

「これって本当に

 ラルヴァ空間か・・・・?」

 

思わずつぶやく陽介

 

「そうだよね・・

 

 お花畑みたいだよね」

 

「そうだね・・・」

 

思わず手を伸ばすが

その手が鼻に触れたと同時に

 

その部分が黒く変色していく

 

「っ!?」

 

それを見て思わず

手を引いてしまう雪子

 

「これってまさか

 

 さっき撒いてたあの

 粉とおんなじじゃ・・・」

 

「なるほど

 

 この世界の空間は

 この一面の花畑が

 

 あの粉のようなものであるということですね」

 

すると一同の後ろに

試練の王がゆっくりと降り立っていく

 

「私は試練の王

 

 お前たちに試練を与えて

 その果てに死を与えるものなり」

 

するとまたあたりに

例の粉が舞っていく

 

「この粉をどうにかするっきゃねえ

 

 ジライヤ!」

 

陽介は自分のペルソナを呼び出し

それで舞っている粉を吹き飛ばしていく

 

「さすがに全部は難しいか・・・・」

 

「でもおかげで攻撃は

 仕掛けられるね

 

 行け、トモエ!」

 

陽介がジライヤで風を吹き飛ばしたおかげで

どうにか攻撃の道筋ができてそこにトモエが通っていく

 

トモエは持っている武器を手に

体を回転させていき粉を振り切っていき

 

そのまま試練の王に攻撃を仕掛けていく

 

だが試練の王は

それを何の疑いもなく

 

腕のみで受け止めてしまう

 

「同じ攻撃が効くとでも?」

 

「まだまだぁ!」

 

するとトモエは

さらにそこに追撃を繰り返していく

 

「っ!?」

 

試練の王は

思わぬ追撃を受けて

 

後ろに下がっていく

 

だがそれでも試練の王は

退くことはなく布で包まれたその腕で

 

攻撃をはじいていくのであった

 

「フン

 

 猿程度の浅知恵と

 見くびっていたけど

 

 所詮はそれに毛が生えた程度」

 

「うう・・」

 

攻撃をことごとくはじかれて

千枝の気力は消費されて行き

 

息切れを起こし始めていく

 

「千枝!」

 

するとそこに

雪子がコノハナサクヤを繰り出し

 

攻撃を仕掛けていく

 

試練の王より

トモエを解放し

 

千枝を離脱させることに成功する

 

「千枝!

 

 大丈夫!?」

 

「ありがと雪子」

 

だがそこに

 

「逃がすか!」

 

試練の王が両腕の翅をふるって

千枝と雪子に襲い掛かっていく

 

そこに

 

「タケミカヅチ!」

 

タケミカヅチが前に出て

その攻撃から二人をかばった

 

「があ・・・」

 

タケミカヅチを出した完二は

あまりの衝撃に思わず体を抑え込んでしまう

 

「完二君!」

 

「先輩ら・・・

 

 俺のことよりも

 あいつに気を付け・・・」

 

すると試練の王は

タケミカヅチにさらに攻撃を仕掛けていく

 

するとタケミカヅチは

あまりの攻撃にその場に倒れこんでいく

 

「うおおお!!!」

 

倒れてきたタケミカヅチの衝撃に

さらにダメージのフィードバックを受けて

 

大きく吹っ飛ばされる完二

 

「巽君!」

 

「カンジ!」

 

地面にたたきつけられる完二

 

「他人のことを心配して

 いられる立場だとでも思っているのかしら?

 

 人間風情がどこまで思い上がっているつもりなの!」

 

そういって両腕を

勢いよく翅のようにふるっていく

 

するとあたりに強風が起こり始め

思わず吹き飛ばされそうになっていく

 

「ぬおお!?」

 

クマはそれを受けて

大きく吹っ飛ばされていく

 

すると試練の王は

さらにそこに翅のような翼をふるって

 

鱗粉を振りまいていく

 

すると今度は

鱗粉自体が鋭い刃のような形状になり

 

まるで弾丸のように放たれていく

 

それは一同に向かって放たれていく

 

「この鱗粉は

 自由に形状を変えていくことが

 できるみたいですね・・・」

 

直斗は分析する

 

試練の王はさらに大きく飛び上がっていき

 

さらに翼を広げて

粉をまとった突風を放っていく

 

「うわっと!」

 

それを受けて一同は

かわしていくのであった

 

直撃は避けたものの

粉の影響で一同に黒い痕が付いていく

 

「はああああ!!」

 

由奈は手に持ってる槍を

構えて突風をはなっていく

 

それを受けて

大きく下がっていく試練の王

 

だがそれでも

攻撃の手を緩めていくことはなく

 

それどころか逆に押し返していく

 

「くっ・・」

 

由奈はそれを見て

だめだと思ったのか

 

一度攻撃を解除し

攻撃をかわしていくことに

専念していくのであった

 

「人間風情がよくぞここまで

 抗ってきたものだな

 

 だが私にも王としての意地もあるのでね

 

 そのためにもここで貴様らに侮られるなど

 

 あってはならぬこと

 

 もうここで遊びは終わらせてもらう!」

 

そういって両手を合わせて

そこから黒い粉状のものを

 

一同に向けて放出する

 

「くっ!」

 

当夜はそれを見て

異様なものを感じたのか

 

そばにいた暁をかばいつつ

攻撃をかわしていくのであった

 

だがほかの面々は

それをまともに受けてしまう

 

「な、なんだよ今の・・・」

 

「ってちょっと待って!?

 

 なんか様子おかしくない!?」

 

見ると怪盗団の面々の服装が

元に戻ってしまっている

 

「ワガハイだけいつも通りだけど・・」

 

さらにそれだけではない

 

「なんだこれは・・・・

 

 ペルソナが召喚

 できなくなっている!」

 

フォックスから元の姿になった祐介

 

その言葉に一同は慌てて召喚を試みるが

 

「確かに出なくなってる・・・・」

 

「そんな・・・・

 

 どうして!?」

 

試練の王は混乱する一同に

説明するように語り掛けていく

 

「やはりな

 

 お前たちの力の源は

 聖徒どもと同様エーテルのようだ

 

 エーテルというのは

 濃度が高ければ高いほどに

 その力を増していくことができる

 

 いうならば濃度が低ければその力は受け付けなくなる・・・・・・・・・

 

 だからこそお前たちに

 ラルヴァエネルギーを直接ぶつけた

 

 お前たちの力は未知数だったがゆえに

 使うのに少々迷いがあったが

 

 これでもうお前たちは

 その能力を扱うことはできない」

 

「まじかよ・・・・」

 

順平は召喚器を当てて

ヘルメスを出そうとするが

 

反応はない

 

「ってことはこれって・・・・」

 

「まずい・・・・よね・・」

 

陽介と千枝がつぶやく

 

「われら罪徒に歯向かうことが

 どれほど愚かしいのかを思い知るがいい

 

 罪兵たちよ!」

 

するとその地面から

何やら異様な液体が形作るように

 

複数の人型の怪物たちが現れる

 

「まずい・・・

 

 今ここで敵の襲撃に

 あったらひとたまりもねえぞ!」

 

すると一同のもとに

罪兵の大群が一斉に向かっていく

 

一同はそれぞれの獲物で立ち向かっていく

 

罪兵の力はマモノ達よりも劣るために

一体一体に苦戦することはないが

 

数においては圧倒的に不利に陥っている

 

「さすがにこれだと・・・」

 

「一体一体は大したことなくっても・・・」

 

その不安はだんだんと的中していく

 

「く・・・」

 

ゆかりは

なるべく複数に当たるように

修正しつつ矢を放っていく

 

だが敵の数はあまりにも多く

 

「やばい・・・

 

 もう矢がないよ」

 

「どっせえええ!!!!」

 

順平のほうも両手剣を

勢いよく振り回すが

 

それでも倒せるのはほんの数匹だ

 

「これはいいトレーニングになるな」

 

「そんなことを言っている場合か!」

 

「おりゃああああ!!!!!」

 

三年生組は一丸になって

敵の大群に背中合わせに向かっていく

 

「掃射!」

 

アイギスも指先から

弾丸を次々と放って敵を一掃していく

 

「やあ!」

 

天田も槍を手に

敵に向かっていくが

 

そこに不意を突いた敵が

天田に襲い掛かっていく

 

だがその敵に

一つの影が飛び込んでいく

 

それはコロマルであった

 

「ありがとうコロマル」

 

天田の言葉に

コロマルは一声鳴いた

 

「く・・

 

 これでは体力が・・」

 

悠のほうも両手剣をふるって

どうにか敵の攻撃に立ち向かっていく

 

「くっそ

 

 どうしたらいいんだよ・・・・」

 

「もう!

 

 何よこいつら・・

 

 まるで鼠!!」

 

「そうだね

 

 この数は確かに反則かも・・・」

 

雪子はそう言って

扇を敵に投げ飛ばしていく

 

だがそれは叩き落とされ

雪子は無防備になってしまう

 

「あ・・・」

 

雪子は得物を失って

徐々に敵の大群に詰め寄られていく

 

「雪子!」

 

そこに千枝が駆けつけて

雪子にやってくる敵の一団を

 

蹴り飛ばしていく

 

「雪子には指一本触れさせない!」

 

「ありがと千枝」

 

雪子は落とされた得物を拾い

 

もう一度攻撃を仕掛けていく

 

「おりゃあああ!!!」

 

完二は持ち前の豪快さで

盾をふるって敵の一団をぶっ潰していく

 

「しっかし数が多いクマよ・・

 

 このままだとまずいクマ・・」

 

「確かに・・・

 

 ペルソナ能力が

 使えれば・・・」

 

直斗は銃を使って

敵の軍団に攻撃を仕掛けていく

 

「くそ!

 

 これじゃきりがないぜ・・・」

 

スカルこと竜司は

鈍器で敵を討ち伏せていく

 

「一応武器があってよかったけど・・

 

 このままだと私たちの体力が持たないよ」

 

「く・・

 

 せめて回復ができれば・・」

 

もう一同の表情からは

疲れの色が見え始めていく

 

「それに・・・・

 

 力を封じられたからか

 体がだんだんと重く感じていく・・・・」

 

祐介は言う

 

「そういえば本来ラルヴァ空間は

 人間にとっていい環境じゃないって

 

 言ってたものね・・・

 

 今の私たちは武器を持ってるだけで

 ただの人間とおんなじだからね」

 

真が分析していく

 

「うう・・・・

 

 このままだと・・・・」

 

ノワールに至っては

重い武器を持っているためか

 

やはりほかの一同よりも

疲れのほうが濃くなっている

 

「奴にこんな隠し玉があったなんて・・・」

 

「やはり・・

 

 王に立ち向かっていくのは

 無茶だったのでしょうか・・」

 

追い詰められていきだんだんと弱気の虫に

蝕まれていきネガティブな言葉が飛び交っていく

 

「このままだとまずい・・・・

 

 どうしたら・・・・」

 

ジョーカーもその様子に焦りを見せていく

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あきらめんなっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに一つの声が響き渡っていく

 

その主は

 

「せっかくここまで来たんだ

 

 最後までやっていこうぜ

 

 だって俺たちにはまだやらなきゃ

 行けないことが山ほどあるんだ!

 

 こんなところでくじけてたら

 それでこそ何もかも終わりだ!!

 

 だからせめて最後まであがいてやろうぜ!!!」

 

当夜であった

 

すると当夜の見た目は

なんと変わっていない

 

「ええ!?

 

 なんであいつだけ

 元の姿に戻って・・・・」

 

「そうか!

 

 一人だけあの攻撃を

 直撃しなかったから・・・・

 

 でもそれだったら・・・・」

 

ジョーカーは自分の顔につけられている仮面に手をかける

 

するとアルセーヌの姿が現れる

 

「俺はあの時

 当夜に助け出されてたからな

 

 賭けだったけど使えるみたいでよかったぜ」

 

そういってナイフを手に

アルセーヌとともに身構える

 

「フン

 

 貴方達二人だけで

 いったい何ができるっていうの?」

 

試練の王はそう言って

あざ笑う様子を見せていく

 

「二人だけじゃない・・・

 

 まだ二人いるんだ!」

 

「俺たちだけでも

 戦えるんなら・・・・

 

 まだ打つ手はある!」

 

当夜は聖剣を両手に

ジョーカーはナイフを片手に

 

一気に向かっていく

 

試練の王は布に包まれた両腕を

ふるって二人に対抗していく

 

「人間はおとなしく

 私たち罪徒の力にひれ伏していればいいの!

 

 それなのになぜお前達は無様な姿をさらすのかしら!!」

 

「人間としての心を失ったまま死んだように

 生きるくらいなら精一杯抗って立ち向かって死ぬ方がましだ

 

 もっとも死ぬつもりもないがな!」

 

「その通り!

 

 俺たちはお前たちの支配は

 受けるつもりはない・・・

 

 だからあがいていくそれだけだ!」

 

そういって二人は猛攻を示していく

 

試練の王はやや動揺するそぶりを

見せるがそれでも引けを取らない

 

「ならばここで

 滅んでしまいなさい!」

 

そういって布に包まれた両手を

勢いよくふるっていく試練の王

 

巻き起こされた突風に二人は大きく後ろに下がっていく

 

「なんて風だ・・・」

 

さらに試練の王は

背中の蝶の翅のような翼を広げる

 

その翅から放たれてくるのは

粉状のものを固めた弾丸のようなもの

 

それを風と共に放って攻撃を仕掛けていく

 

「っ!」

 

当夜は一瞬こっちとは

別に飛んでいく弾丸を見つけた

 

「あれは・・・」

 

当夜は何かに気が付いたのか

取り出し聖骸布をマントのように羽織って

 

「どうしたんだ?」

 

「一か八か・・・

 

 試してみたいことがある」

 

当夜はそう言って

体を捻じるように少しひねって

 

それをほどくようにして

体を回転させていきつつ突っ込んでいく

 

「馬鹿め!

 

 吹き飛ばしてやる!!」

 

と翼を大きくふるい

それを当夜に放っていく

 

すると

 

当夜は吹き飛ばないどころか

逆に勢いよく試練の王に向かっていく

 

「はあああ!!!」

 

そして聖剣でドリルのように

試練の王の体に突き立てていく

 

「ぐあああ!!!!!!!!!」

 

それを受けて

大きく後ろに吹っ飛ばされる試練の王

 

だがそれでも体制は崩さなかったが

 

「私の風を

 逆に利用するなんてね・・・・・・・・・」

 

「最初は賭けだったけど

 どうにかなったみたいだな

 

 うまく風の動きを読んで

 風が引き込まれてる部分に突っ込んだ・・・

 

 どうにかして一撃与えられたな」

 

当夜は語るが

攻撃を受けた試練の王の体に

 

傷などは一切ついていない

 

「今のには驚かされたけど

 

 私の体を傷つけるまでには

 行かなかったみたいね」

 

「そうみたいだな・・・」

 

試練の王の言葉にも

当夜は特に慌てる様子は見せない

 

「でも・・・

 

 それでも一手にはつながった!」

 

「うん?」

 

すると試練の王の肩に

ジョーカーが足をかけて

 

その頭にナイフを突き立てていく

 

「はああーーーー!!」

 

だがナイフの刃は

試練の王の頭部に突き刺さることなく

 

はじかれる

 

するとジョーカーは

そのナイフに向かって勢いよく

 

踏みつけるように蹴りつける

 

「っ!」

 

切っ先部分だけだが

それでも試練の王に突き刺さった

 

「人間風情がぁ!」

 

試練の王は体を大きくふるって

ジョーカーを振り落としていく

 

ジョーカーは振り落とされるものの

体を回転させて体制を立て直す

 

試練の王は

頭部についた傷の部分に手を当てる

 

「どうやらよっぽど

 この私を怒らせたいようだな

 

 この私の試練は

 まだまだ破られたわけではない!」

 

そういってまた翼をふるっていく

 

今度は鱗粉は

刃のような形になっていき

 

それが一気にふるわれていく

 

「く・・・

 

 このまま僕達は

 見ているだけなのか・・・」

 

「そんなの嫌だ

 

 でも・・・」

 

真琴は召喚器を突き付けて

引き金を引くのだが何も起こらない

 

「くそ!

 

 俺たちはどうしたら・・・・」

 

「こんなの・・・

 

 絶対に嫌!」

 

ゆかりは叫ぶが

やはり何もできないのはもどかしいよう

 

「くそ・・・・

 

 あの時敵の攻撃を受けなかったら」

 

「仕方がない・・・

 

 あの場の大半の者は

 対応できなかったし

 

 当夜だって全員を

 かばうのは無理があったのだ」

 

「俺たち自身の能力は

 封じられていないが・・・・・

 

 ペルソナが使えてもあの

 試練の王にはてこずっちまう

 

 くそ!」

 

「ここにいるほぼ全員の能力が

 敵の能力によって封じ込められているようですね

 

 当夜さんの言葉から察するに

 もともと私たちはエーテルの力で

 この世界からペルソナを発揮していました

 

 しかしそこにラルヴァエネルギーをじかに

 受けてしまってせいでエーテルが抑えられてしまい

 

 そのせいで能力が使えなくなってしまったのでしょう」

 

「冷静に分析しなくていいです」

 

天田が冷静に推測を述べるアイギスに突っ込みを入れる

 

「くっ・・

 

 俺たちは見ているだけしかできないのか・・

 

 何にもできないのか・・」

 

「くそ・・・・

 

 ペルソナ使えないってだけで

 こんなにも俺たちが無力だって

 思い知らされるなんて・・・・」

 

「こんなの・・

 

 こんなの嫌だ!」

 

「私だって・・・」

 

当夜とジョーカーの様子を見ている面々

 

その表情は打ちひしがれているようだった

 

「こんなところで・・・

 

 見ているだけなのを

 我慢できるほど俺は図太くなんてねえ!」

 

「そうだ!

 

 僕たちだってまだ・・・」

 

と一同はそれぞれの武器を構えていくが

 

またそこに

 

「ええい!

 

 小癪な人間が

 いつまでも粋がるなあああ!!!!!!!!!」

 

と両腕を合わせて

そこからラルヴァエネルギーを放っていく

 

するとそれは

ジョーカーと当夜にも炸裂してしまう

 

「しまった!」

 

「ぐうっ!」

 

すると召喚されていたアルセーヌが

そのまま光とともに仮面のようになり消滅

 

ジョーカーも暁の姿に戻ってしまう

 

「そんな・・」

 

「くそっ!」

 

杏と竜司もその様子に力が抜けてしまう

 

「これでもうお前たち全員が

 ただの人間と同格になった

 

 もうお前たちに私に抗うすべなどない

 

 おとなしく滅びを受け入れるがいい・・・・・・・・・」

 

笑みを浮かべて言う試練の王

 

「これはまずいぞ・・・・」

 

モルガナは迫りくる

試練の王に大きく警戒を覚えていく

 

「あきらめるがいい

 

 聖徒も人間もいずれは私たち

 罪徒の手によって滅ぼされる

 

 それがお前たちの運命なんだからね」

 

「どうしてお前たちは

 この世界の人間を滅ぼそうとするのだ・・・・」

 

祐介が試練の王に問いかける

 

「言ったはずだ

 

 害虫を踏み潰すのと

 大差ない他愛のないことだとね

 

 そこにいるだけで不快、だから滅ぼす

 

 それ以外にも以上にも意味はない」

 

そういって布のようなものに包まれた

両腕を前にやや突き出しつつ答える試練の王

 

「そんな理由で・・・

 

 そんな理由で人々を苦しめて

 罪のない人々の命を奪ってるっていうの!?」

 

真は言う

 

「私たち罪徒はあくまでスタンドプレイだからね・・・・・・・・・

 

 ほかの奴らがどんな理由で人間たちを

 苦しめているのかなど私にとってはどうでもいいことだ

 

 少なくとも私はそうだって言うだけのことよ・・・・・・・・・

 

 どんな動機であれ人間たちを苦しめさえすればいいのよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちの創造神のためにもね・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「創造神・・?」

 

春は不意につぶやく

 

「なるほどな・・・

 

 罪徒の上にそんなのがいるのか・・・

 

 でもおかげでこの暗黒の楽園を

 終わらせるための光が見えてきたぜ!」

 

当夜は言う

 

「光・・・・・・・・・?」

 

「つまりお前ら罪徒の創造神を倒せばいいんだからな!」

 

そう言い放つ当夜

 

「フフフ・・・・・・・・・

 

 この状況でなぜそんなことが言えるの!

 

 お前たちはもうこの私の手によって倒される運命なのに!!」

 

「勝手に決めるんじゃねえよ!

 

 俺はまだあきらめてなんてない!!

 

 なぜなら俺は暗黒の楽園を

 終わらせる男なんだからな!!!」

 

すると

 

「暗黒の楽園は終わらん!

 

 この私がこのエリアHを征服した暁に

 人間たちにとっての楽園はもうなくなる

 

 それがいまだ!!」

 

「うあああ!!!」

 

試練の王が両腕を翼のように仰ぐと

当夜は大きく吹っ飛ばされていく

 

「当夜!」

 

「まあいい

 

 お前たちはそこで見ているがいい!

 

 この人間たちの楽園としての

 エリアHが滅びゆくその瞬間をな!!」

 

試練の王はそう言って

一同に背を向けて玉座のほうに行く

 

だが

 

「っ!?」

 

試練の王の背中に

何かが刺さる感触が文字通り突き刺さる

 

「ん・・・・・・・・・」

 

試練の王の背中に

刃物を突き立てたのは

 

当夜であった

 

「黙って滅ぼされていくのを

 見ていられるかってんだよ・・・」

 

すると当夜の体に

どす黒いエネルギーが電気のように

 

当夜の体に流れ込んでいく

 

「「当夜君!!」」

 

湊と真琴がそれを見て叫ぶ

 

「うあああ!!!」

 

当夜の叫び声があたりに響いていく

 

当夜の体にどす黒いエネルギーが

電気のように当夜の体を巡っていく

 

「おとなしくその時を待っていればいいのに

 

 どうしてこうもお前は自分を苦しめる選択ばかりをするのかしら?」

 

「ぐううう・・・

 

 ん・・・なの・・・

 

 決まって・・・るだろ・・・

 

 ・・・俺は・・・

 

 俺には・・・やらないと・・・

 ・・・いけないことが・・・

 

 山ほど・・・あるんだよ・・・

 

 ・・・お前なんかに・・・

 躓いてる・・・場合じゃ・・・

 

 ねえっだよおおお!!!」

 

当夜はそう言って

試練の王に突き立てている剣を

 

さらに深く突き刺していく

 

するとその体から

まばゆい光が照らし出していく

 

「な、なんだこれは!?

 

 私のラルヴァを押しやるほどの

 エーテルが貴方にあるというの・・・・・・・・・

 

 まさかそれが・・・稀人の・・・・・・・・・」

 

「うあああ!!!」

 

するとその剣の一突きは

試練の王の体を突き抜けるのだった

 

「ぐあああ!!!!!!!!!」

 

「どうだあああ!!!」

 

試練の王の体から

おびただしいほどに黒いエネルギーが

放電されていくようにあたりに放出されていく

 

「ぐう・・・」

 

「おっと!」

 

二人は互い器距離を取り

試練の王は体を抑えつつ向き直り

 

当夜はそのまま着地する

 

「おのれぇ・・・・・・・・・」

 

「言ったはずだぜ・・・

 

 俺は暗黒の楽園を終わらせるってな」

 

当夜はそう言って剣で空を切る

 

「お前らもいつまでそうやって

 地面に伏せてるつもりだよ!」

 

と当夜は一同に背中を

向けたまま一同に言い放っていく

 

「お前らにはやらなきゃいけないことがあんだろ!?

 

 元の世界に帰るんだろ?

 

 だったら戦えよ!

 

 その時が来るまで!!

 

 俺が一緒に戦ってやるから

 お前らはお前らのやりたいように戦えよ!!!」

 

当夜は激高する

 

「当夜君・・・」

 

「そうだね・・・

 

 私たちにはまだ

 やらないといけないことがあるんだものね!」

 

「まったく・・・

 

 なにをやってたのかしらね・・・」

 

「俺っちのことを待ってくれてる

 チドリンのためにもこんなところで

 たおれるわけにはいかねえよな」

 

「そうだ

 

 勝負はまだ終わっていない」

 

「私たちは必ず戻る・・・

 

 そう決めたのだ!」

 

「私たちの使命は・・・・

 

 まだ終わってなどいません!」

 

「僕だって・・

 

 やるときにはやるんですから!」

 

「ったく

 

 こんなところで立ち止まるなんざ

 柄にもねえことしちまうなんてな」

 

SEESの面々は立ち上がっていく

 

「当夜の言うとおりだ・・」

 

「だな

 

 俺らはこんなところで

 立ち止まってなんていられねえんだ」

 

「アタシらだって

 こんなとこで倒れてるわけにいかない」

 

「その通りだね・・・」

 

「こんなところで

 倒れてるなんざ漢が廃るぜ」

 

「クマだってあきらめるのは嫌クマ」

 

「たとえ能力を封じられたとしても

 

 僕たちにがまだできることがある!」

 

捜査隊メンバーも士気を挙げていく

 

「そうだ・・・

 

 俺たちはこの力を得たときに決めたんだ・・・」

 

「おう・・・

 

 俺たちは絶対に縛られないし

 屈するつもりだってねえ・・・

 

 最後まであがいてやるってな!」

 

「そうよ

 

 私達はもうどうするつもりもない」

 

「ワガハイ達だって

 もう腹は決めてるんだ」

 

「俺ももう

 

 権力なんてものに

 流されていくつもりはない!」

 

「私も最後まで

 

 突っ走るって決めたんだから・・・・

 

 こんなところまで立ち止まってなんていられないわ」

 

「あなたがどんなに強大な力を持っていたとしても

 私たちは貴方達なんかにはもう絶対に折れたりなんてしない!」

 

怪盗団も立ち上がっていく

 

『皆さん・・・』

 

『私達だって・・

 

 戦えないけれど

 気持ちは先輩やみんなにも

 負けてないんだから!』

 

『私たちにできることで

 

 お前たちにほえ面かかせてやるよ!』

 

ナビゲート組も

その士気に触れて

 

決意を新たにしていく

 

「すごい・・・

 

 これほどまでに

 多くの人が立ち上がった・・・」

 

「これが人の力・・

 

 いいえ、人だからこそ持てる力です!」

 

有紀と由奈もその様子を見届ける

 

すると

 

「こ、これは・・・」

 

「な、なんだか体が光って・・・」

 

「でも確か能力は使えないはずじゃ・・」

 

「もしかして!」

 

リーダーたち四人の体から

光が解き放たれていくのだった

 

「な、なんだ

 

 何なのだそれは!?

 

 この私のラルヴァの力を

 押しのけるこの輝きは

 

 いったいこれは何だというのよ!」

 

その現象には試練の王も驚きを隠せない

 

すると四人はゆっくりと口を開く

 

「「ぺ・・」」

 

「ル・・」

 

「ソ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ナ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう告げる

 

すると四人の体から現れたのは

 

それぞれのペルソナだった

 

だがそのペルソナは

それぞれの主の中へと

 

もぐりこんでいくように

体の中に入っていく

 

「これもペルソナ能力なの・・・?

 

 いいえこれはまるで

 私達聖徒の聖痕解放のような・・・」

 

すると四人の姿は

変わっていった

 

まるでそれぞれが

ペルソナの姿かたちを

 

持ったかのように

 

「何あれ・・・」

 

「桐条先輩!

 

 あいつらに一体何が・・・・」

 

「わからない・・・

 

 どうなっているんだ!?」

 

美鶴は混乱していた

 

彼女のみならずその場にいた

全員が四人の身に起こった出来事を見て

 

同じような反応を見せていた

 

だがそれは一同のみではない

 

「な、なんなのそれ

 

 お前たちの力はエーテルに

 よってなされていたもの

 

 ゆえにお前たちに強いラルヴァエネルギーを

 浴びせてやることでその能力は封じられるはず

 

 それなのに・・・・・・・・・

 

 そのはずなのに・・・・・・・・・

 

 何なのよその力はぁあああ!!!!!!!!!」

 

試練の王のほうも

その出来事に一番動揺を見せていた

 

「僕たちにもよくわからないけど・・・

 

 これでうまく戦えるはずだ!」

 

「でもどうやって戦えばいいんだろ・・・」

 

その力をまとっている本人の湊と真琴も

一番勝手が理解できていないようすを見せている

 

「深く考える必要はないんじゃないか?」

 

すると悠は言う

 

「ペルソナは俺たちの中にある

 いわばもう一人の自分自身

 

 今まで通りで戦っていけばいい」

 

「・・・・それもそうだね」

 

「そうだね

 

 なんだかんだ言っても

 根本的な部分は変わってないもんね・・・

 

 ようし」

 

三人は持っている武器を手に向かっていく

 

「ならばもう一度

 食らうがいい!

 

 はあああ!!!!!!!!!」

 

と再びエネルギーを放っていく

 

三人はその攻撃を

三方に分かれて動いて

 

かわすのだった

 

「おおっと!?

 

 体が軽くなった

 みたいに動ける・・・」

 

「よっと!

 

 いくらなんでも

 強化されすぎじゃ・・・」

 

すると悠はそのまま

両手剣を手に向かっていく

 

「みなぎってきたぜ!」

 

それを腕をクロスさせるようにして

剣を受け止めて押さえつける試練の王

 

「人間風情の力で

 

 王である私に

 勝てるとでも思っているのか!」

 

試練の王は蝶の翅のような翼を広げる

 

悠はそこに両手剣を

勢いよく突きつけていき

 

それは試練の王の体に突き刺さると

 

「ぐおおお!!!!!!!!!」

 

試練の王は大きく吹っ飛ばされ

地面を大きく吹っ飛ばされた

 

「おお!

 

 本当にみなぎってるぜ・・」

 

「なんだこの力

 

 ただの人間の力に

 この私がここまで・・・・・・・・・」

 

試練の王は自分の身に起こったことが

信じられないのか動揺している様子を見せ

 

よろよろと立ち上がっていく

 

「ようし

 

 それじゃあ僕たちも行こう!」

 

「うん!」

 

と二人も武器を手に

試練の王に向かっていく

 

すると試練の王は

向かってきた二人に

 

腕を覆っている

翅のような布をふるって

 

応戦していく

 

「「はああ!!」」

 

二人の突きが

試練の王の体に炸裂する

 

「よし!

 

 これだったら行ける!!」

 

「これだったら試練の王を倒せるかも」

 

だが

 

「どうやら侮っていたようだな

 

 まさか皇帝の爵位を持つこの私が

 お前たち相手にこの力を使うことになろうとは

 

 罪徒の中でも王となったものにしか扱えぬ力を見るがいい

 

 はあああ・・・・・・・・・」

 

試練の王はそう言って

空にゆっくりと浮かび上がり

 

背中の蝶や蛾のような翼を開き

蝶や蛾の腹のような尾を大きく伸ばしていく

 

すると試練の王の後ろから何やら黒い何かが

迫ってきたかのように大きく広がっていった

 

「なんだこれ・・・」

 

「これってラルヴァ空間?

 

 でもさっき見たのは

 お花畑のようだって思ったけど・・・」

 

「どういうことだ?」

 

構える三人だが

すると突然三人に

これまでにない重量が押し付けられるような

 

感覚に陥った

 

「「「うあああ!!!」」」

 

一同もそれに押しつぶされて

地面にそれぞれ臥せっていく

 

「っ!

 

 何をしやがったんだ・・・」

 

「大したことではない

 

 世界の均衡を崩し

 そこに私の力を流しただけのこと

 

 世界に存在するお前たちにこの力は

 想像だにもしないほどの苦痛だろう

 

 これが私のような王にしか使えぬ力だ」

 

一人だけ平然と立っている試練の王は

ゆっくりと倒れている三人に歩み寄っていく

 

「こんな隠し玉を持っていたなんて・・・」

 

「この力をもってしても立ってるのがやっとなんて・・・」

 

三人はかろうじて立っているが

今はもはや体を動かすことも難しい

 

「これが・・

 

 王の爵位を持つ罪徒の力・・」

 

刀を杖代わりにして

必死に立ち上がっている悠

 

「人間ごときに

 私の力を図ることなどできはしないわ

 

 世界の理すらも凌駕する

 この私の力を存分に味合わせてやろう」

 

そういって蝶や蛾の翅のような翼を

ゆっくりと広げていく試練の王

 

「確かにすごいね・・・

 

 まさかここまでの力を持つなんてね・・・」

 

「でもね・・・

 

 だからってあなたたちに

 黙ってやられてあげるほど

 

 私も湊も根性なしじゃないのよ・・・」

 

立つのがやっとながら

それでも闘志を失わない湊と真琴

 

「力におぼれているお前たちに・・

 

 力を合わせることの素晴らしさを理解なんてできない!」

 

悠も負けじと言い放つ

 

「する必要もない

 

 これがお前たちの運命だ!」

 

と翼を大きく羽ばたかせる試練の王

 

三人はそこから放たれた衝撃風を受けて吹っ飛ばされていく

 

「があ・・・」

 

「ぐう・・・」

 

周りに重圧のせいで立ち上がることもできない

 

「これで終わらせてやろう」

 

試練の王はそう言って攻撃の態勢に入っていく

 

「おいおいおい・・・

 

 何勝手に勝ち誇ったつもりでいるんだ?」

 

そこに声が聞こえた

 

「「「っ!?」」」

 

それにはその場にいた一同は大きく驚いた

 

「んな!?」

 

試練の王もそれには驚きを隠せない

 

なぜならそこに立っていたのは

 

「この場には俺がまだいる

 

 目の前の出来事に集中しすぎだ!」

 

剣を持った当夜だったからだ

 

「どういうこと!?

 

 どうしてこの空間で歩いているのよ!」

 

「一か八かのかけさ・・・

 

 この件を出してるときは

 俺はいつも以上の速さを繰り出せた

 

 だからこいつを出せば多少は動けるんじゃないかと

 おもって聖剣を出したらどうにか動けたんだ

 

 いつも通りの動きしか

 出せねえけどこれでも充分は動けるぜ!」

 

と剣の切っ先を

試練の王に向ける当夜

 

「貴様・・・・・・・・・

 

 いったい何者だ!

 

 この空間で動くことができるなど

 人間はおろか同じ罪徒ですらもままならないのに・・・・・・・・・」

 

「言ったろ!

 

 俺は暗黒の楽園を

 終わらせる男だってな!!」

 

そういって剣を両手に携えて

試練の王に向かっていく

 

試練の王は

布に包まれた両手を使って

 

攻撃に応戦していく

 

当夜の予想外の異変に

動揺しきってしまった試練の王は

 

そのせいで対応力が失われ

次第に劣勢になっていく

 

「たあああ!!!」

 

「ぐあああ!!!!!!!!!」

 

切っ先を突き付けられ

玉座に押し付けられる試練の王

 

「一気に決める!」

 

「人間のくせに

 この私と見事ここまで

 やるなんて不服だけどほめてあげる

 

 でもいいのかしら?

 

 ここで私を倒しちゃったら

 この迷宮とともに崩壊するわよ」

 

「だったら巻き込まれる前に

 逃げればいいだけの話だろ?

 

 そういうの愚問っていうんだぜ・・・?」

 

当夜はあっさりと答えて見せるのであった

 

「何それ・・・

 

 そっちこそ愚問じゃないか?」

 

「でも確かにそれがいいかもね・・・」

 

湊と真琴もあきれながら答える

 

「勝負だ試練の王・・・

 

 俺とあいつら・・・

 

 どっちが生き残るのか!」

 

当夜はそう言って剣を握る

 

「だったらこの勝負は

 私の勝ちね人間

 

 なぜならほかの奴はともかく

 貴方はここで確実に死ぬ

 

 ここにいるうち一人が欠ければ

 貴方の言うあいつらという概念は

 

 不完全なものとなる

 

 完全でなければ完璧な勝利は得られない

 

 とどのつまりこの戦いで私が

 滅んでも貴方は私に敗北する!」

 

宣言する試練の王

 

だが

 

「いいや!」

 

当夜は言う

 

「勝負も賭けもどっちも

 お前の負けだぜ

 

 俺は死なねえ・・・

 

 なぜなら俺は

 暗黒の楽園を終わらせるんだからな!」

 

「っ!」

 

そして

 

「みんな!

 

 俺が攻撃したら

 すぐに逃げろ!!

 

 絶対に振り返えるなよ!!!」

 

「わかった・・・・」

 

それをリーダーたちが答える

 

「いくぜ試練の王・・・

 

 これで最期だ!」

 

「よもやこの私が人間ごときに倒されるとは・・・・・・・・・

 

 だが私の最期をもって

 お前を巻き込むのも悪くはない

 

 そしてもしも生き残れるというの

 ならば生き残って見せるがいい

 

 そのような方法があるのならばな!」

 

そして

 

「お前の罪・・・

 

 俺が断罪する!」

 

と剣を勢いよくふるい

試練の王を勢いよく切り裂く

 

「があああ!!!!!!!!!」

 

試練の王は絶叫を上げつつ

体からどす黒いエネルギーを放出し始める

 

すると一同の体にかかっていた重圧がほぐれていく

 

「・・・・みんな

 

 走るよ!」

 

「で、でも・・・」

 

「当夜君が言ってたでしょ!

 

 攻撃をしたらにげてって

 

 試練の王が倒されたら

 この迷宮は崩壊する

 

 そうしたらここにいる全員が

 無事じゃ済まない」

 

「そうはいってても体が・・・・」

 

だが見ると迷宮は大きく音を立てている

 

「当夜は言ってた

 

 当夜は絶対に死なないって・・・

 

 それを信じよう・・・」

 

「っ・・・・

 

 悪い」

 

と一同は立ち上がって

その場から離れていく

 

「人間は・・・・・・・・・

 

 まったくもってわからないわね・・・・・・・・・」

 

「それがお前の敗因さ・・・」

 

そして二人を閃光が包み込んでいき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷宮は音を立てて崩れ去っていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・  ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「あ・・・」

 

見事に脱出した一同

 

だがその後ろでは

迷宮が音を立てて崩れていくのであった

 

「当夜・・・」

 

「当夜さん・・」

 

二人のつぶやきは

静かにかき消されていく

 

だがそんな二人の声を

かき消していくほどに

 

迷宮は崩れていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして試練の軍勢との戦いは幕を閉じたのであった・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




戦いは終わった

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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21,times

最悪の結果

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


試練の迷宮での戦いの後

 

三つの世界の者達一同は

有紀、由奈とともに一度

 

人里にまで戻ってきた

 

エリアHに出現した

迷宮は一同が引き上げてすぐに

 

崩れ落ちてしまった

 

一同はその様子を

遠くから見つめていた

 

だが

 

一同はその様子を見ても

あまりいい顔を見せている様子はなかった

 

なぜならこの場に

一緒に戻ってくるはずだった

 

もう一人の人物が

 

まだ戻ってきていないのだから

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

一同はやや浮かない顔をして

人里にて出発の準備をしていた

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・」

 

「・・・・・・・」

 

だがやはり表情は浮かない

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

彼がまだ戻ってきていないことを

気にしているのだろうと推測できる

 

「・・何が暗黒の楽園を終わらせるよ馬鹿・・・

 

 残された人たちのことも考えなさいよね・・・」

 

「・・・・・・」

 

有紀は静かにつぶやくのだった

 

「彼のおかげで

 試練の王は倒せ

 

 試練の軍勢とも戦えた・・・

 

 でもこの戦いで

 よくわかったことがある・・・

 

 今の我々では罪徒には勝てない」

 

美鶴がつぶやくと

一同は体をふるわせていく

 

「美鶴・・・・」

 

「確かに私たちは

 この世界のエーテルという力のおかげで

 ペルソナ能力を扱えるようになった

 

 だが扱えるだけでは

 奴らに対抗できるというわけじゃない・・・

 

 現に我々も当夜や有紀、由奈の三人がいなければ

 私たちはおそらくまけていただろう・・・」

 

「悔しいけど・・・

 

 確かにそうね・・・」

 

美鶴の言葉に

ゆかりも思わず認めてしまう

 

「私たちが強くなるためには

 エーテルのこと、この世界のこと

 

 それらをもっと理解していくべきだ

 

 罪徒の力は計り知れない以上

 我々が知りやすいほうから当たっていくのがいいだろう」

 

「そうだな

 

 俺たちのペルソナを

 この世界に呼び出してるだけが

 

 エーテルの力を理解しているってことでもねえ・・・・・」

 

すると

 

「由奈さん、有紀さん・・」

 

悠が二人の聖徒に話しかける

 

「俺たちに・・

 

 エーテルのことを教えてくれないか

 

 当夜のことで頭がいっぱいなのはわかってる

 

 でもここで止まったらそれこそ

 当夜の思いを踏みにじることになってしまう・・

 

 だから俺たちで・・

 

 彼の夢をかなえてやろうって思う・・」

 

悠は言葉を述べる

 

「そうだよね・・・

 

 当夜いっつも言ってたもん・・・

 

 この暗黒の楽園を終わらせるんだって」

 

「私たちは罪徒の力を知ってますし

 その勢力は今や世界中に及んでいます・・

 

 だから無理だってどこかで馬鹿にしていたのかもしれません・・

 

 でも・・」

 

由奈は拳をぎゅっと握りしめていく

 

「彼はそれでも

 自分の考えを曲げなかった・・

 

 最後の最後まで・・」

 

由奈は笑みを浮かべて言う

 

すると

 

「わかりました・・

 

 どこまで役に立てるのか

 わかりませんけど・・

 

 できる限りのことをいたしましょう」

 

由奈は了承する

 

「私も・・・

 

 由奈みたいに頭よくないし

 当夜みたいに強いわけでもないけど・・・

 

 私もできる限りのことはするから・・・」

 

有紀もそれに合わせて

つぶやいていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最悪だがその先から見えた決意を秘めたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




最悪の先の決意

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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22,Mediocrity

一同の前に現れたのは

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 


「ああ・・・

 

 よろしく頼む・・・」

 

そんなことを言っていると

そこに何やら大きな音が鳴り響くのを

 

聞いたのだった

 

「今のって何?」

 

「まさか・・・

 

 敵襲!?」

 

一同は急いでその場所に向かっていく

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・  ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

その場所に駆け付けると

そこにいたのはなんと

 

「いたたた・・・

 

 何とか戻ってくれたか?」

 

当夜であった

 

「「当夜!?」」

 

これにはその場にいた一同は

大きく驚きを見せる

 

「さてと・・・」

 

当夜はお顔を起こすと

一同の存在に気が付いた

 

「うお!?

 

 みんなそこにいたのか!」

 

「いたのかって・・・・

 

 お前こそどうして・・・・」

 

「あの崩壊に巻き込まれて

 死んだんじゃないの!?」

 

「勝手に俺を殺すな!」

 

順平と紫の言葉に

突っ込みを入れる当夜

 

「まあさすがにあの時は

 もうだめだって思ったけど

 

 それでもこうして戻ってきたんだよ・・・」

 

「ったく

 

 心配させてくれやがって」

 

「今度またおんなじことしたら靴跡つけるからね・・」

 

「でも、戻ってきてよかった・・・」

 

一同はとにかく当夜のもとに行く

 

「さあてと

 

 試練の迷宮を

 クリアしたんだから

 

 今度はいよいよ本格的に

 動き出そうぜ、なんてったって

 

 暗黒の楽園を終わらせるんだからな」

 

「そして俺たちは

 元の世界に戻っていく・・・」

 

「ああ、そうだ・・・・」

 

「だから俺たちもついてくぜ」

 

「だからさっきに見たいに

 死にに行くようなことは絶対にしないでよね・・」

 

杏がつぶやく

 

「俺は絶対に死なねえよ

 

 なんてったって俺は

 暗黒の楽園を終わらせるんだからな!」

 

と力強く答える当夜

 

「・・・でもその前に

 何か食べないか?

 

 俺ここに来るまでに

 何にも食べてないからさ・・・」

 

「そうだな・・・

 

 我々もこれから

 食事と大事な用事も

 兼ねていたところだったんだ・・・」

 

「ようし

 

 俺は肉を制覇するぞ!」

 

「お前は相変わらずだな・・・・・」

 

明彦の言葉にあきれる荒垣

 

「そういえば

 罪徒を倒せば

 

 賞金がもらえるんだよな・・・・」

 

「神社に行けば

 聖痕を鑑定してもらえれば

 

 経験値に乗じた賞金がもらえるの・・・」

 

有紀が説明する

 

「まあ今後どうするのかは

 飯を食いながらにしようぜ

 

 一杯食って次の戦いに備えないとな」

 

「そうだね・・・」

 

「それじゃあさっそく・・・」

 

「行くか・・」

 

「そうだな・・・」

 

こうして一同の中から

暗い雰囲気が一気に晴れて

 

明るくなっていくのが

周りから見てもわかる

 

こうして

 

すべてに決着をつけられた一同であった

 

だがこれは終わりではない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

むしろこれからが始まりなのだから・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




旅立ちの時

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・


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23,Accidental event

説明

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


当夜が戻って一同と

合流を果たしたのち

 

一同はある場所に集まっていた

 

「それではまず

 

 聖徒の基本的な戦いと

 罪徒に対する戦いについて

 

 説明していきます

 

 聖徒というのは前にも

 話したことがあるように

 

 世界を構築する力、エーテルの力を

 使う力を持った人間のことです

 

 聖徒の右腕には聖痕と呼ばれている

 この痕があってこの痕からエーテルを

 制御するすべを得られるんです

 

 その具体的な例が聖痕解放

 

 聖痕の力を解放することで

 その人間をエーテルの力を受ける

 

 或いは放つのにふさわしい姿へと変貌させることを言います」

 

由奈は説明していく

 

「ええっと・・・・

 

 つまり、戦闘モードに

 変身ってこと?」

 

順平は大雑把にそう解釈する

 

「私たちからしたら逆に

 そのほうがわからないけど・・・

 

 変身っていうのは私達でもわかります

 

 まあその表現でいいでしょう」

 

由奈は説明を続ける

 

「聖徒の戦い方は

 そのエーテルエネルギーを

 

 攻撃力に変えて放つのが基本です

 

 これが属性攻撃です

 

 属性攻撃は罪徒も使ってきますが

 罪徒の場合はラルヴァエネルギーを変換させています」

 

「私達ペルソナが使うのと同じってことね・・・」

 

ゆかりがつぶやく

 

「属性は私たちと罪徒が共通して扱う

 四代元素にそれぞれしか扱えない属性

 それを加えた合計五つ

 

 私たちは四大元素に光・・

 

 罪徒は四大元素に闇を加えます」

 

由奈は続けていく

 

「四大元素に光と闇

 

 この六つの元素が

 この世界を構成されているとされています」

 

「我々の世界においてもそうだ・・・

 

 かつて古代の錬金術師たちは

 世界は風、火、土、水に何らかの要素が

 加わって構成されていると伝わっていた

 

 これをうまく調合すれば黄金や不老不死の薬なども

 連れるなどという突拍子のない考え方を抱いたものも

 いたらしいが・・・」

 

美鶴が告げていく

 

「ちなみに我々の世界では

 光をエーテルに、闇をラルヴァに

 たとえています・・・

 

 前にも言ったと思いますが

 夜と暗闇は罪徒の領域といわれるのは

 

 ラルヴァは闇そのものであるとされているからです

 

 現に罪徒たちは夜などの時の方が活動が活発になっていきますからね・・」

 

「それはつまり

 

 逆を言えば昼間のように

 光に覆われている世界は

 

 君たち聖徒の領域ということか?」

 

明彦が聞いていく

 

「残念ながらそうではありません・・

 

 我々聖徒は生まれながらにして

 聖痕を持っているわけではありません

 

 聖痕は15~18歳の間のごく少数の者達に

 与えられるとされています

 

 罪徒の場合は生まれながらにして

 ラルヴァの力を制御する器官

 

 武器を持っているのですから・・」

 

「武器・・・?

 

 武器ってひょっとして

 さっきの試練の王が持っていた

 

 杖のようなものですか?

 

 つまりあれは・・・」

 

風花のみならずその場にいた一同も推測する

 

「そうです

 

 罪徒の持っている武器は

 単なる道具ではないということですよ」

 

由奈は告げる

 

「罪徒が手に持っていたり

 体に装備している武器は

 

 ラルヴァエネルギーを制御するための

 体の一部であって彼らの力の核でもあるんです

 

 武器の中にあるその力を解放することで

 その罪徒の本来の力を解放すること

 

 これが武器解放なんです」

 

「武器の中から出てくる

 あの翼のようなものは

 

 いうなれば解放された力ということですね

 

 なるほどなー」

 

感心するアイギス

 

「つまり武器は体の一部っていう

 ことなんですよね・・」

 

「武器だけじゃありません

 

 彼らが来ている服

 

 罪服と呼ばれている服装は

 魚や爬虫類などの体を覆っている

 鱗のようなものです

 

 つまり服も武器と同じように

 体の一部ということなんです」

 

「鱗・・

 

 それって確か

 さっき戦った罪徒

 

 攻撃が簡単に通らなかった・・」

 

天田はあの時

体に当たった攻撃が

 

金属に当たるようにはじかれた

ときのことを思い出した

 

「鱗というのは二種類あって

 

 表皮が角質化したものと

 真皮が高質化したもの

 

 この二つがあります」

 

由奈は言う

 

「罪徒でたとえるなら

 前者が奴らの来ている罪服

 

 後者は奴らの体そのもの

 

 大雑把に例えるなら

 こういうことになります」

 

「どういう生き物だよ・・・・・」

 

荒垣は頭を抱えていく

 

「でもさ

 

 罪徒って武器解放形態ってのになると

 手にあった武器がなくなるじゃん

 

 あれってどうなってんの?」

 

「詳しいメカニズムは

 わかりませんが・・

 

 おそらく角状に変化しているのかと・・」

 

「角・・・・

 

 そういや武器解放形態になると

 罪徒って角とかが付くよな・・・・」

 

陽介が思い返す

 

「罪徒の生態については

 残念ながら解明されていないというのが

 

 現時点での現状なのです

 

 罪徒は倒されてしまうと

 たいがいは消滅してしまうので

 

 遺体などを調べて生態を調べるということができないので・・・」

 

「そういえば罪徒って

 倒されると地面に何な残すじゃない

 

 あれって何なの?」

 

千枝が何気に聞いてくる

 

「あれは勲章

 

 私たちで言う

 聖痕のようなものです

 

 皆さんも知っての通り

 罪徒には爵位と呼ばれる階級で

 位が決まっています

 

 騎士クラスに始まって

 

 総裁

 

 伯爵

 

 公爵

 

 侯爵

 

 君主

 

 そしてこれらの頂点に

 君臨しているのが先ほど戦った

 

 試練の王をはじめとする王クラスで

 

 そのさらに頂点にいるのが皇帝の爵位の罪徒なのです・・

 

 これは最初の時に言いましたね」

 

由奈の言葉に一同は頷いた

 

「現在皇帝の爵位を持つ罪徒は六人

 

 各々が強大な力で

 罪徒たちを束ねています

 

 その皇帝たちが

 統制しているのは

 同じ数の六つのエリアで

 

 さらにその六つからそれぞれの傘下や

 独立して昇格された王の位の罪徒たちが

 

 それぞれのエリアにて罪徒たちの

 一部を従えて軍勢として統率しているのです・・

 

 試練の軍勢もまた独立して発生した一段の一つなんです」

 

「そういえば・・・

 

 罪徒の爵位って

 どういう風に決まっていくの?

 

 生まれたときから決まってるとか

 あるいは結果によって決まるとか・・・」

 

雪子はつぶやき気味に聞いた

 

「そうですね・・」

 

すると由奈は自分の右腕を見せる

 

「私達聖徒の聖痕は

 罪徒の罪を断罪するごとに

 

 その輝きを増していきます

 

 神社の巫女達はその輝きを見て

 そこに焼き付いた罪を見つめて換金する

 

 それが報奨金です

 

 同時に一定の条件を満たすことで

 私たちはさらに上にまで昇格していきます

 

 これが私たちのレベルです」

 

「なんかRPGみたいっすね・・・」

 

完二がたとえを出す

 

「でもそれが罪徒の爵位のそれと

 どう関係があるの?」

 

りせは知識が追い付かず思わず聞いた

 

「なるほど・・

 

 ようは罪徒たちは

 人間たちを苦しめて

 恐怖を与えていくことによって

 

 始めは騎士から始まって

 そこから総裁、伯爵と

 

 上の方へと上がっていくということですね・・・」

 

「そう・・

 

 いうなればシステムは

 似たようなものであると

 言えるでしょう・・」

 

直斗の推測に由奈はそう返すのだった

 

「しっかしそれにしても

 そんなのに意味があるとは思えねえけどな・・・

 

 ようは互いに競い合って上に上がってこうってことだろ?

 

 そんなのに何の意味があんだよ?」

 

竜司は聞いた

 

「そうよね

 

 そんなに上を目指して

 一体何か意味でもあるのかしら

 

 あいつのように人間を奴隷みたいに

 扱いたいのかしら?」

 

「それに関してはわかりません・・

 

 私たちに方でも

 情報が全部行き届いているわけでも

 ないですからね・・」

 

由奈はあやふやに言う

 

「まあそうだな

 

 奴らでもない限り

 奴らの目指しているものなんて

 わかるわけでもないか・・・・」

 

モルガナは言う

 

「とにかく

 

 俺たちが元の世界に戻るためのカギは

 きっとこの罪徒の事情最高位である

 

 六人の皇帝の爵位を持つ罪徒たちだな・・・・」

 

祐介が言う

 

「現在最高位である六人の皇帝の爵位を持つ罪徒

 

 通称六大皇帝

 

 王の爵位を持つ罪徒の中でも

 その強さは別格です

 

 あの時戦った試練の王など

 王の爵位を持つ罪徒の中では

 弱いほうでしょうしね・・」

 

由奈の言葉に

ほとんどの者が驚愕する

 

「試練の王でもあんなに苦労したのに・・・

 

 でもそうよね、罪徒の最高位にいるのが

 そう簡単にやられるとも思えないしね」

 

「ええ・・

 

 ですからはっきり言って

 皇帝に挑むのは無謀を超えて

 

 自殺行為と表してもまだましでしょう」

 

真のつぶやきに由奈はそう告げた

 

「でもそれでも行かないといけない・・・

 

 出ないと私たちは元の世界には戻れないからな」

 

「罪徒の皇帝を倒すことは

 この暗黒の楽園を終わらせる一番の近道だからな」

 

当夜は言う

 

「ええ・・

 

 そして私たちが

 これから向かうのは・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色欲の皇帝のいる、エリアL2です・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   






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24、罪界の住人

罪徒の会議

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・  ・・・・・・・・・


・・・・・・・・・

 

「みんな・・・

 

 集まってるみたいだね」

 

ある一室に

一人の少女が入り込む

 

その少女の前には

四人の少女が集まっていた

 

「ありゃま・・・

 

 また全員集まってなかったね・・・」

 

「しょうがないよ・・

 

 むしろ全員揃うこと自体

 稀なところが大きいんだから・・」

 

「まあかといって

 突然書状を出す

 

 先生の方にも

 責められるところがありますし・・・」

 

「アタシたちがこうして

 集まること自体本当に

 稀なことなんですけどね・・・

 

 それにしてもどうしたんですか先生?

 

 いきなりこんなところに

 呼び出してくるなんて・・・」

 

「・・・・・・」

 

四人の少女たちは口々に言う

 

「実はこの世界に

 面が白い人間たちが来ててね・・・」

 

と少女は言う

 

すると映像のように

面々の顔が映し出されていく

 

「・・・・・・」

 

「この人間たちが

 どうかしたの?」

 

「さっき生で見てたんだけど・・・

 

 試練の王が彼らと

 数名の聖徒の手に

 よって倒されちゃってね」

 

少女が言うと

四人はやや声を上げるだけで

 

目立った反応は見せてこない

 

「試練の王が・・・

 

 まさかそこまで・・・」

 

「別に大したことないでしょ?

 

 あいつ王の中じゃ

 特別強いってわけでもないし

 

 ましてや王になりたてなんだしね・・」

 

二人の少女がそのように会話をしていると

一人の少女は映像に映っている一人の少女を

 

見つめている

 

「先輩・・・」

 

四人の中で一番小柄な人物が

一人の少年を見つめてつぶやく

 

「どうかした?」

 

「・・いいえ

 

 別になんでも・・」

 

その少女はうやむやに返す

 

「ウフフフ・・・

 

 それにもっと面が白いものが

 映っててね・・・

 

 ちょっと見てほしいんだけど・・・」

 

とある少年の映像を見せる

 

その少年は

 

「あれ?

 

 この映像おかしくないですか?」

 

「おかしいって?」

 

「だってここ・・・

 

 迷宮の中ですよね・・・」

 

一人の少女のつぶやきに

その場にいた一同は何のことかわからなかったが

 

「ああ!?」

 

小柄な少女が何かに気付いたように叫ぶ

 

「何よ?」

 

「ここって確か迷宮の中ですよね・・・

 

 だったらどうしてこの聖徒の人間は

 普通に戦っているのですか!?」

 

その言葉に

その場にいた一同は

 

大きく動揺の声を上げていく

 

「・・・・・・」

 

「そうだよね!?

 

 聖徒はラルヴァの濃い

 この迷宮内では思うように

 戦えないはずなのに・・」

 

「つまり彼は・・・

 

 この世界の人類の最後の希望・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 稀人ってことだね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女の問いに

四人の人物たちは

 

同様の声を上げていく

 

「まさかここで

 そんな言葉を聞くことに

 なるとは思いませんでしたね・・・」

 

「どうなさいましょう・・・」

 

二人の少女はやや戸惑いを見せていく

 

「フフ・・

 

 面が白いじゃない・・

 

 会うのが楽しみに

 なってきたわね・・

 

 それよりもその稀人は

 試練の王を撃退しているのよね・・

 

 とすると次に向かうのは・・」

 

ツインテールの少女が言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリアL2・・・

 

 色欲の皇帝のところだね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




狙い

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