自称ぼっちの彼は。 (如月の夢)
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噂の彼は。

お久しぶりの方も、はじめましての方も、当然生存確認がとれなくなった、しずねは最かわっ☆です。
いやー久々に書くとあれですよ、更に駄文になると言う天プレを踏んでるわけですねぇ。
とにかく、過去の作品を読んでくれた人も、そうでない方も、本編をどうぞよろしくお願いします。


どうも、モブ子Aです…

なんだね、君は突然現れて。って思う方々、すいません。

あれですよ、私なんか物語の主役は重いと言うか…

とか言いつつ、実は学級委員長と、矛盾しっぱなしの18才です。

とにかく、冒頭からか格好をつける、なんてことが出来るわけもなく、こうなんと言うか、だらだらと語っているわけですが…

今は放課後、学生にとっては祝福の時。

だがしかし、駄菓子菓子…すいません。忘れてください。

んんっ、とにかく、放課後にも関わらず、帰っていない理由。

まぁ、お察しの通り仕事ですよ、workですよ。

3年になって初の、進路希望調査の回収をしなければならないのです。

めんどくさいな、何て考えつつも、利益のない仕事をこなす私、あらやだ、社畜。

報酬は誉め言葉だけ、なにそれつらい。

とにかく、あと一人なんだ、早く終わらせて自由にならないと。

私にだって守りたい世界(放課後の時間)があるんだぁ!

 

 

という訳で、SEEDを覚醒しつつ、最後の一人に声をかけようと意気込むが、かける相手が相手なのですよ。

いやぁ、葉山くんとかに声をかけるとかっていう、恥ずかしくなるイベントなら、すぐに行くんですけどね?

その真逆、いつも猫背の彼です。

えっとヒキタニ君だっけ?とにかく、その子に声をかけないといけないのです。

なにかと、噂のある彼。

どのようにかければいいんだろう。

そんな本人は今……

……危ない、あれ?ヒキタニ君って実はイケメンなんだろうか?

窓際の席、その特権をいかして、涼しいそうに風を受けながら本を読む姿は、絵になっていた。

でも、キモいとかって噂も…

あ、目が腐ってる、なるほど全部台無しにしてるわけか。

楽しそうに本を読んでいるところ悪いけど、声をかけよう。

 

「あ、あのヒキタニ君?」

「?」

彼は座っているので、必然的に覗き込まれるかのように見上げられる。

うん、本格的に目が邪魔してるねこのイケメン……

「進路希望の紙、今日までなんだけど、今持ってる?」

「あ、すまん」

彼は、慌てた様子で鞄を開き、きちんと整えてあったファイルからプリントを取り出した。

「ごめん。」

謝る彼に大丈夫だよ、と告げる。

安心したかのように、読書に戻る彼。

どんな進路を書いたのだろう……

編集者か…こう言ってしまうのは失礼だけど、意外だなと思う。

そこまで確認して、ようやく気づく。

正式の書類故に、名前にふりがなが振ってあった。

「ひきがや、って読むんだね。」

「ん、ああ。」

「噂のヒキタニ君、名前から間違えられてるのか。」

「そうだな……」

「なんでいつも一人なの?」

疑問に思ったことを伝える。

私が見かけるときは、大抵彼は一人だった。

「集団に属するには、集団に気を使わないといけないだろ?」

「まぁね。」

「それが嫌なんだよ、アイデンティティーが消える。」

「そのアホ毛はアイデンティティーに入らないの?」

会話しながらも、テンションを表しているのか、左右にひょこひょこ揺れる。

なんか、可愛いなこれ。

「そこで、目に触れないんだな。」

「私は、そこまで性格腐ってません。」

「すまんな、馴れてないもので。」

「人との関わりに?」

「あぁ」

実際、会話をしながらも、目を合わせないどころか、本から目をあげていない。

「あれかな?人間強度が下がるからとか?」

「アホ毛だけで、鬼の鬼ぃちゃん扱いかよ…」

項垂れる彼、そんな姿を見て、少し可愛いと思う。

……あ、

「てか、知ってるんだな、そういうネタ。」

しまったぁぁあ!

「え、えー?なんのことー?」

明らかに声が震えている、我ながら残念なやつだな…

「い、いや、なんでもない。」

空気を読まれたぁぁあ!

「そ、そういう比企谷君だって、反応したじゃん!」

「わかったから、一旦落ち着け。」

そう言われ、ようやく気づく。

必死さのあまり、かなり近くに寄っていた。

馴れないことをした恥ずかしさ故、大袈裟にバックステップした。

「ご、ごめん!」

「お、おう。」

「「……」」

気まずい…

「見なかったことに、出来ない?」

「わ、わかった」

「だ、誰にも言わないでよ?」

「安心しろ、そもそも話し相手がいない。」

なにそれ、悲しい。

「安心していい理由じゃない…」

「しょうがないだろ、ボッチなんだから。」

「ボッチねぇ」

「なんだよ…」

正直もったいないと思う。

あ、なら!

「よし、比企谷君!」

「よくわからんが、嫌な予感しかしない。」

「私が話し相手になってあげる。」

「結構です。」

「即答された!?」

うぬぬ、なんか、心がいたいです。

そんな姿を見かねた彼は。

「あぁ、その嫌とかじゃなくてな?俺と話してると色々言われるぞ?」

「……確かにね。」

「だろ?だから」

「でもさ。」

今日話しただけでもわかった、彼の優しさ。

失うのはもったいない。

だからこそ。

「それってさ。」

反論されるとは思っていなかったのか、彼は不思議そうな顔をしている。

アホ毛も?に近い形をしている。なにあれ、ほんと可愛い。

「私がしたいなら、それでいいでしょ?」

「そりゃ、そうだが。」

「んー、じゃあさ、こんなのはどう?」

この関係は続けていきたい。

 

 

だから、彼にとびきりの笑顔を向け

「えっと。」

そして、ここから。

 

 

「いつも一人の君を、気にかけている私可愛い、そんなアピールをしているってことにしよう?それなら納得するでしょ?」

「……アホだな」

 

 

 

自称ボッチとモブキャラの

 

 

 

「アホってなにさ!」

「いや、アホだろ。」

 

 

 

ドタバタラブコメを始めよう。

 

 

 

 

「その幻想を……」

「おーい、出てるぞーオタク部分。」

「あぅ。」

え、始まるの?

 




物語的には、ブロローグに当たるお話。
今後の展開は如何に。
果たしてやる気は持つのか!
感想はどしどし!
と言うかキャラの名前……


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独身と犬の尻尾とそれから連絡先。

どうも、更新速度、投稿文字数、共に安定しないことで、反省している作者、しずねは最かわっ☆です。
うん、長いね、いや、他の作者の平均からしたら、まだまだなんですがね。
それではお気楽に!


あの後、すっかり拗ねてしまった私を、慣れた様子で慰めてくれた。

気づいたら、頭を撫でられていたけど、嫌じゃなかったなぁ。

本人も無意識だったらしく

「すまん、つい妹によくやるせいで…」

って慌ていた。

うん、あのレベルの撫で撫では、少し癖になりそう。

妹ちゃん、少し羨ましいかも…

とにかく、お互いに赤面するイベントを経て、現在は職員室へ向かっている。

え?何しにだって?

そもそも私は、進路希望調査の紙を集めていたんだよ!

要は、その提出。

ちなみに、隣には比企谷君がいる。

なんでかって。

「俺のせいで遅くなったんだし、ついでに帰るから」

と、謎の理論を投げつけ、さも当然のように、プリントを持っていく彼を追いかけた。

そうして"半分持つ"と言う妥協点に漕ぎ着いた。

と言うか、さらっと仕事を肩代わりしようとする辺り、なんと言うかあざとい。

 

「ほんとにごめんね?」

「いや、迷惑かけたのは俺の方だ。」

「かかってないよ?」

「じゃあ、俺がやりたいだけだ。」

「普通に、手伝うって言おうよ⁉」

なんか、素直じゃないなぁ。

考え方といい、捻くれてる、っていうのが分かりやすいのかな。

「捻くれてるって言われない?」

「……」

言われるのか…

「それより、もう着くぞ。」

明らかに、話題を逸らされた。

「むぅ。」

「あざといから。」

 

半分持ってもらっていたプリントを受け取り、職員室へ入る。

たしか、平塚先生のはず。

「平塚先生、お仕事中失礼します。」

「ん?あぁ、屋宮か。」

「はい、進路希望調査を集めてきましたので。」

さぁ、これで帰れる。

「クラスの全員分を集めるのは、大変だったんじゃないか?」

「まぁ、そうですね。」

会話をしながらも、プリントをめくっていく先生。

ふと、ある一枚で手が止まる。

「そうか、あいつも成長したな…。」

なんか、お母さんオーラがすごいんですけど!

これで独身!?「あ?」

ヒィィ、誰かもらってあげて!!

 

しかし、その愛情の矛先は誰だr…

「ええ⁉」

「ん?どうしたんだ?」

え、なんで、

「な、なんで比企谷君なんですか?」

「彼ほど、成長を見ていて面白い生徒はいないよ。まぁ、あくまでも、私からすれば、だがな。」

比企谷くん、すごい愛されてるじゃん!

「ど、どの辺が成長してるんですか?」

「ふ、あいつはな、去年の今ごろ、専業主婦になるって言ってたんだぞ。」

懐かしいなぁ、と微笑む先生。

「それが編集者かぁ、あの経験が生きているのかなぁ。まぁ、今度また、ラーメンでも誘ってみるか。」

「また、って比企谷君とは、よく行かれるんですか?」

「まぁ、今までに数回な。」

「はぁ」

「ん?どうしたのかね。」

「いやさっき、話し相手がいない、って自虐してましたけど、早速いるじゃないですか。みたいな。」

「また、あいつは…。」

先生もため息をついてる。

「あいつは、認めないだろうがな、いろんな人に認められてるんだぞ?あいつといれば、多分そのうちわかるさ。」

「そうですかね…取り合えず、帰りたいので、失礼します。」

「おう、最近はなにかと物騒だからな、気を付けろよ。」

「はい。」

取り合えず、比企谷のところへ戻ろう。

 

 

職員室を出ると、そこには比企谷君はいなかった。

え?待っててって言ったよね…。

「ねぇねぇ!ヒッキー聞いてるの?」

な、なんか、尻尾が見える。

いやね?実際に生えてるわけではないけど。

尻尾ブンブン振ってる犬みたい……

「あぁ聞いてる、やっぱ千葉は最高だよなぁ。」

「全然聞いてないし!」

ふと、ご主z…話し相手を見る。

「もう!とにかく、明日は部活あるからね。来てよ!」

「わかったよ。」

…………………………

私は、無言のまま、背後へ忍び寄る。

そしてそのまま。

「比企谷くん?」

満面の笑みを、お届けする。

ひきつった顔をする比企谷君。

やだ、失礼。

「な、なんでしゅか。」

あ、噛んだ、可愛いなこれ。

アホ毛もビクビクしてるんですけど、飼っていいかな。

「待ってて、ってあたし言わなかった?」

「いや、これには深い事情が「ん?」ごめんなさい。」

よし、勝った。

……って、そうじゃない!

「そんなことより、比企谷くん。」

「はい。」

「君、さっき、話し相手いない、とか言ってたよね。」

「はい。」

「で?この状況は?」

「いや、こいつは同じ部k…はい、ごめんなさい。」

ニコニコしてたら、急に謝る比企谷くん。

やだなぁ、笑顔を向けていた、それだけなのになぁ。

まぁ、わざとですけども。

「ほぇ、ヒッキーが、人と喋ってる……」

「おいまて、由比ヶ浜、それは暗に、俺がヒキガエルだと言うことを、立証しようとしているのか。」

「誰も、そんなこと言ってないし!」

「ひ、捻くれてる、ってレベルで語れない…」

比企谷くんを語れない。

うん、売れなさそう。

「あ、さとっちだ!」

「今気づいたの⁉と言うより、さとっちって?」

「ご、ごめん。千郷だから、さとっちだよ!」

「相変わらずのネーミングセンスだな。」

「相変わらずなんだね……」

「飼い犬にサブレって、つけるくらいだからな。」

「食い意地が、張ってるだけでは…。」

「こいつの料理は、絶望的だぞ。」

「そんなことないし!あれから練習したんだかんね!」

「カレーに桃缶はいれないからな?」

「いや、さすがにそんなミスはしないでしょ。」

「うぅ……。」

「ゆ、結衣ちゃん?」

「諦めろ、こいつは姫路の頭欠落版だ。」

あ、あれと、同系統だと……

「死なないよね。」

「意識は、持ってかれたがな。」

遠い目をしないで!

「……。」

結衣ちゃんが、アホっぽい顔をして、フリーズしてる…

「おい、どうしたんだ、そんな由比ヶ浜らしい顔しやがって。」

「私らしい顔、ってなんだし!」

アホってことだよね……

「ヒッキーが他の人と仲良くしてるの、珍しいなって。」

「いや、仲良くはしてないぞ。」

「むぅ。」

「どうした?」

「ふん。」

仲良くしてたつもりなのに、本人に否定されるのは、なんだか悲しい。

「たはは、ヒッキーは相変わらずだね。」

思うところがあるのか、結衣ちゃんはあきれた様子。

はぁ、こいつ、どうしよう……

 

 

あれから、少し経ち、結衣ちゃんは、先に帰っていった。

何だか、今日はいろんな体験をした。

その体験ができたのは、やっぱり。

ふと、隣を覗くと、帰宅確定で嬉しいのか、若干頬を緩ませ、アホ毛が踊っている。

やっぱ、可愛いよあれ。

よし、頑張ろう。

「ひ、比企谷くん。」

「なんだ?」

不思議そうな顔をする比企谷くん。

「れ、連絡先を」

「あー、」

鞄を開き、スマホを探しだした。

現代っ子なのに鞄の中って…まぁいいんだけど。

あったあった、と言いながら、ようやく見つけ出した彼は

「ほらよ。」

「え?」

無造作に、放り投げてきた。

……いやいやいやいや。

「え、いいの?見ても大丈夫?」

「見られて困るような、そんなものは無いからな。」

「そ、そっかぁ。」

理屈は通ってるけど…

て言うか、アプリもほとんど入っていない。

これ、スマホなのだろうか…

「比企谷くん、このスマホ、どう思ってる?」

「多機能付き目覚まし時計。」

つらい!

 

極力、他の連絡先は見ないようにして、お互いのスマホに、連絡先を登録する。

名前は……

何となく、比企谷くんの、反応が見たくなった。

だから私は───────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

from八幡

題名 連絡先

------------------

なぁ、なんで名前なの……

 

 

 

 

to八幡

Re 連絡先

------------------

私も、名前で登録してあるんだから!

変えたらダメだよ!

 

 

 




という訳で、前回全く出てこなかった、主人公の名前。
屋宮 千郷《おくみや ちさと》に決定しました。
名字、名前はそれぞれ、僕の知り合いからパクってます。
という事で、感想まってます!
前回感想くれたかた、嬉しかったです!


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罵倒と、お誘いと、黄色いそれ。

いやー、ほんと安定しませんね……


どうも、モブ子Aです。

え?屋宮さん?誰ですかそれ(すっとぼけ)

とにかく、あれから数日経っているわけですが。

なんですか、あの人普通にいい人じゃないか!

たまに飛んでくる、ベビー級の自虐に、度肝を度々抜かれるけどね。

そんなこんなで、私は完全に比企谷くんを、気に入っていた。

ただしかし、みんなの目がある時間。

つまり、平時は関わるな、とのこと。

本人曰く、関わってることが知られると、迷惑をかけるから、だそう。

なにそれつまんない!我慢するけどさ。

 

という訳で、現在は昼休み。

いや、どういうわけだよ。

あれ?授業を受けていた記憶はあるのに、実感がわかない。

はっ!これがキンk…やめておこう。

「千郷、なに笑ってるの?」

と、モブ子Bが心配そうに顔を覗く。

やだ、私一人で笑ってたの?

「あ、いやいや、ごめんね?」

「いや、いいんだけどさ、最近、緩い笑顔するときあるよね。」

緩い笑顔?

「あー、何て言うのかな、私幸せーみたいな、そんな笑顔。」

自覚が全くない。

「なんかいいことでもあったの?」

そこは是非とも、元気がいいねぇって言ってから言って欲しかった。

「んー特にはないかなぁ。」

「ふーん。」

まぁ、比企谷くんに言われてる手前、あまり、彼の名を出すのは、彼の心遣いに悪いよね。

ちらりと、彼の方を見る。

本日は雨が故に、比企谷くんは教室にいる。

いつもは、ベストプレイスで食べているらしい。

今度、追いかけてみよう。

とにかく、教室にいるのだが、イヤホンを突っ込んだまま、黙々と惣菜パンを食べている姿は、何だか、可愛く見えてきた。

あ、もちろんアホ毛が揺れてるからね。

比企谷くん自信に、夢中になってきてるとかではない。

多分。

教室での比企谷くんは、いつも静かだ。

と言うより、暗に、俺に関わるなアピールとでも言うのか。

まぁ、つまり、今日も平和だな。

 

しかし、その静寂は突然終わりを告げる。

いや、物騒なことではないよ?言ってみたかったの。

しかし、日常の流れに、変異があったのは事実。

教室の後ろドアが開き、教室に顔を出した生徒にみんなの注目が集まる。

一色いろは、一年の頃から生徒会長を勤める、今や、あの雪ノ下さんに次ぐ、この学校の有名人だ。

どうしたのだろうか、と皆が皆な疑問に思う。

しかし、何をしに来たのか、は分からないが、近々イベントがあるわけではないので、部活関連だと推測される。

故にみんなは、「葉山くんに用があるのか。」と思い、早々に納得した。

それは、該当者の葉山も、変わらないようだった。

 

「やぁ、いろは、なにかようか?」

しかしそれは。

「?あ、葉山先輩こんにちは。」

一瞬にして覆される。

今の反応は、葉山に会いに来たものの反応ではない。

当の本人は、キョロキョロと周辺を見回す。

誰のもとへ行くんだろう。

すると、一色さんは目的の人物を見つけたようで、満面の笑みを浮かべて、歩き出した。

そして、目的の人物の背後に着く。

え、まって。

「せーんぱい!」

「うぉ!」

「なんで教室にいるんですか?」

「それは、ナチュラルに、お前は、教室なんかに居場所があるわけねーよ、っていう罵倒だよな。」

「そんなことは言ってません!」

「あれだよ、雨降ってるからな、いつものところが使えないんだよ。」

「あー、まぁ、あそこですしね。」

えぇ、一色さん?

なんでそんなに、仲良しなの?

「てか、なにしにきたの。お前が来ると、ろくなことがないんだが。」

「なんですか、いつも迷惑事ばっかり持ってくる、みたいな言い方は。」

「おまえは大概そんなものだろうが。」

「なんですかそれ。はっ!もしかして、お前のことは大体わかってるから、いつでも付き合えるアピールですか!すいませんアピールは、もう充分なので、二人きりの雰囲気の良いときに、ちゃんと告白してください、ごめんなさい。」

「毎度毎度、なんで振られたんだ俺。」

比企谷くん!それ振られてない!むしろ好感度カンストしてるよ!

周りも、ポカーンと口を開けている。

開いた口が、塞がらないってやつだね。

ってそうじゃない!

私は前回のように、背後に歩み寄る。

そして、やはり満面の笑みで。

「で、これはどんな状況?」

「ヒィィ!」

彼に話しかけるのだった。

 

 

 

「いや、これはだな。なんつーかその。」

浮気がばれた旦那さんみたいに、慌てる比企谷くん。

「先輩先輩、このお方は?」

一色さんが、突然質問する。

「クラスの委員長の屋宮だ。」

「はじめまして一色さん、屋宮 千郷です。」

「あ、はい、ご存じのようですが、一色いろはっていいます。ところで先輩との関係は…」

「委員長と、クラスの生徒、っていうだけだよ。」

「……」

突然、無言になる一色さん、なにかを考えているようだ。

「それは、ヒキタニ先輩ですか?」

あー。

「いや、比企谷君だよ。」

「なるほど、そうですか。

この天然たらしは、ほんと勝手にライバル増やしますねぇ……」

あ、やっぱり、恋が始まってる?

目と目があった瞬間?

古いなこれ……

て言うか、その言い方だと、かなりの数がいるんだけど。

「んーと、千郷先輩。」

「ん?」

「後でお話いいですか?」

O☆HA☆NA☆SHI

の間違えですよね、わかります。

でも、まぁ正直興味がある。

「うん、いいよ。」

「ではですね……」

そして、詳しい時間と、場所を指定された。

「ってことで先輩。」

「なんだよ。」

比企谷くんは、我関与せず、みたいな態度でいた。

いや、君が中心に、ことが起きてるんだからね?

「今度また、生徒会の仕事、手伝ってくださいね。」

「やだよ、めんどくさい。」

「あとデートも。」

「俺がデートの対象って、なんの罰ゲームだよ」

落ち込む彼。

すると、一色さんは、教室のドアへと歩いていき。

最後の最後で、爆弾を落としていった。

「自分から、勇気を出して誘うんだから、もちろん一番大好きな人を誘うに、決まってるじゃないですか。」

ではまた、と言って走って帰ってく一色さん。

やばい、一色さんイケメン……

結衣ちゃん、そんなにあわあわしてると、バレちゃうよ、なにかとは言わないけど。

そして当の本人は。

「うまい。」

黄色い缶コーヒーを飲んでいた。

…………

「え、ちょ屋宮さん、なんでそんなに怒ってるの?え、まって、その振り上げた腕は?え、えーりん?あ、ごめんまって、まt」

スパンッ




さぁ、そろそろ、作風が壊れてくる作者です。
皆さん、準備はいいですか?
おや、作者の様子が。ってなったらBボタン連打ですよ?
第2話の感想に、小町との遭遇(未知感)について意見がありましたが、もちろん遭遇します。
かけるかなぁ。


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後輩キラーのあれとそれ。

お久しぶりです皆さん!
いやね?仮免許とるために頑張ってたんですよ(勉強してない。)
まぁとれたんですけどね。


やっはろー、モブ子Aです。

え?アホっぽい?そんなわけないじゃないですか。

友達に広めようとしてる子がいるけど、別にあh……

あー。

 

こんにちは、モブ子Aです。

え?二回目?しらないです。

は!まさか平行世界の住人ですか⁉

……すいません。

 

そんなことは、どうでもいいのです。

今私は、─奉仕部─とプレートに可愛らしく書かれた、教室の前にいます。

まぁ、お話しに来たって訳ですよ。

取り合えず、入らなくては始まらないので、ノックをする。

ちなみに三回。

二回はトイレだからね!

「どうぞ。」

おや、きれいな声。

失礼します、と一言いいながら扉を開ける。

「あ、さとちゃんだ!やっはろー」

「千郷先輩、こんにちは。」

「一色さん、こんにちは。」

私は無視⁉と結衣ちゃんは驚いてる。

ごめんよ、色々あってねぇ。

 

教室は、まさに空き教室、という感じだった。

後ろの方に避けられている机を見ると、机の収納庫って言葉がしっくり来る。

長方形の机に、窓際に有名人である雪ノ下さん、角を挟んで由比ヶ浜さん、そしてなぜか、雪ノ下さんの対面の位置、つまり一番遠い位置に腰かけている一色さん。

「なんで一色さんは、そんな位置に座ってるの?」

雪ノ下さんの近くに寄れないとか?

「あー、それはねぇ……あはは。」

と、あまり笑えていない結衣ちゃん。

「いろはでいいですよ、なんか先輩なのに堅苦しいです。」

「わかったよ。」

突っ伏すいろはちゃんは、なぜか幸せそう。

すると、あきれた様子の雪ノ下さんが答える

「そこは本来、比企谷くんの席よ。」

 

 

「ところで一色さん、それに屋宮さん、今日はなにしにきたのかしら。」

「いや、私はいろh「聞いてくださいよ!」……」

被せられるって辛いよね、うん。

しかし、構わず進めるいろはちゃん。

「本当はお二人だけの予定だったんですけど、屋宮さんも知ってた方がいいかなって思って、お呼びしたんですよ。」

「そう、それで一体どんな話なのかしら。」

一色さんは長い溜めを作り、冷静に一言。

「先輩に惚れる人が増えてます……」

「「「は?」」」

「特に、今年の新入生です。ついた異名は、総武高のお兄ちゃん……」

「「「…………」」」

「先輩あれじゃないですか、年下殺しみたいなところあるじゃないですか?」

「たしかに……」

「小町さんがいるものね。」

「撫でるのうまかったりするしね。」

この時私は、余計なことを言うと面倒なことになることを、身をもって知る。

「ちょ、ちょっとまって、なんで分かるの?」

「いや、この前に色々あってね、撫でてもr……あ。」

「あ、ってなんだし!」

興奮する結衣ちゃん、額に手を当て溜め息をつく雪ノ下さん。笑顔がひきつるいろはちゃん。

三者三様の反応を見せるが、心はひとつ。

「「「またあの男は……」」」

 

 

あの後、暴走する結衣ちゃんをなだめながら、いろはちゃんに、いかにあの男がダメなのかを伝えられた。

やれ、声をかけてもスルーするだの、何をしてもあざといと言うだの、デーt…遊びに誘っても動かない、計画をたてないだの…etc,

高速道路の出口じゃないよ、知ってるか。

しかし途中から、なんだかんだ言いながらなも助けてくれるとか、意外に仕事ができるとか、しょうがねーなっていってくれることが好きとか。

あれ?文句いってたんじゃないの?途中から完全に惚けてない?

 

 

まぁ、そんな時間は永遠には続かない訳で。

下校時刻を知らせる放送が入る。

それじゃあ今日は解散ね、と鶴の一声改め、部長の一声で解散する私たち。

しかし、教室に宿題のプリントを忘れたこと思い出したので戻ることにした。

教室へ無事戻り、プリントを回収。

よし、帰れる。

相確信して廊下を曲がると。

なにやらプリントをばら蒔いてしまい慌てる女の子と、それを回収している男の子がいた。

というか、比企谷くんだった。

比企谷くんはさらっと集め終えると。

「多いなこれ。」

「あ、ありがとうございます。」

「他のやつは手伝ってくれなかったのか?」

「本当は男子の委員長もやるんですけど、帰ってしまって。」

「そうか、大変だったな。」

と、頭を軽く叩く。

つまりあれ、頭ポンポン。

何あれ、羨ましい。

「まぁ、このまま持っていってやるよ。」

と、勝手に歩き出した比企谷くん。

だから気付かない、後ろからの熱い視線に……

「人が恋に落ちる瞬間を初めてみた気がするよ……」

 

 

「比企谷くん、何してるの?」

さっきまでの事は、後から付いてきてる子のためにも見なかったことにしよう。

「ん?屋宮か。まぁプリントを届けてるだけだ。」

「それだけ?なにかなかった?」

「いや特にこれといった事はないが?」

真顔で言いますかそれ…

後ろの子、未だに浮かれてるよ?

なんなら私の存在に気づいてないレベル。

あ、今の比企谷くんぽい。

自然とにやける。

「どうした、突然ニヤニヤしだして。」

「なっ、見ないでよ!」

「すまん。」

「いや、いいんだけどさ。」

どっちだよ、っと悪態をつかれる。

いや、理由言えるわけないじゃん!

好きみたいになっちゃうし…

え?なってる?

 

 

 

途中から私の存在に気づいた女の子は、私たちのやり取りを見て、少し残念そうな顔をした。

まぁそうなるよね。仕方ないな、うん、仕方ない。

「ごめんね?比企谷くんが勝手に。」

「い、いえ。もともとばら蒔いた私が悪いんです。先輩に迷惑かけちゃって、ほんとすいません。」

「いや、その点は大丈夫だと思うよ、あぁ見えて面倒見がかなりいいしね。」

「……よく理解してるんですね。」

すこし羨ましそうな表情になる女の子。

「…勘違いしてるかもしれないけど、比企谷くん彼女いないよ?」

その瞬間、彼女の表情は明るくなる。

わ、分かりやすいなぁ。

「そ、そうですか。よかった。」

よかったって聞こえてるからね?

 

それから無事に職員室に届け終わった。

このまま喋りたいが、戸締まりをする先生が、ここから出ていけぇ!と某ニュータイプの叫びを上げそうなので、足早に帰ることにする。

にしても、まさか早々にいろはちゃんの言っていたことが、目の前で起こるとは思わなかった。

あざといのは比企谷くんの方だね……

女の子は恥ずかしそうにしながらも、ありがとうございましたと帰っていった。

頑張れ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「迷惑だったのか。」

突然項垂れた比企谷くん。

「え、なにが?」

「いや、あんなに顔真っ赤になって怒ってるってそういうことだろ?」

………………

「ほら、どうせなら葉山がよかったとか、そんな事だろ」

………………

「さっき二人で話していただろ?あの時俺の悪口言ってたんだろ。目が腐ってるとか、と言うかそれしかないまでもある。」

………………

「え、まって?その振り上げた腕はなんでしょう?物凄い既視感があるんだが、ねぇなんで、ちょっと、ちょt」

スパンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ね、ねぇいろはちゃん」

「ん?どうしたの?○○ちゃん。」

「3年生との交流ってあるよね?」

「うん。」

「その、気になる人が……」

「あーそれってさ葉山先輩だよね?」

 

 

 

「ううん"比企谷先輩"」

「はぁ……」




いやぁ、盛り上がってきましたね(自分だけ)
ここまで読んでくれてありがとうございます!
まだまだ頑張りますよ!!


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【特別編?】バレンタインデーの混乱

お久しぶりです!しずねは最かわっ☆です。
車の路上練習怖いよね!
今回は特別編だよ!


2月14日と言えば、聖人ヴァレンタインの命日である。

そう、その道の信者であれば黙祷する様なものである。

だから、チョコレートを含めクッキーなど、特別な思いを込めたものを異性へ送る日ではない。

最近では、友チョコなどと称し同姓へ送ることも珍しくなくなった。

ちなみに、現代におけるバレンタインデーのその行為はヴァレンタインにはなにも関係ないものである。

だから、お菓子業者が儲かる日である。

まぁしかし、想い人に近づくきっかけ作りには丁度いいのだろう。

未だに、この文化が衰退しない理由も納得がいく。

まぁ、もらえない俺には関係ないんだがな。

よって結論、戸塚から友チョコが欲しい。

 

……いや、本命がいい。

 

 

 

 

 

 

どうもモブ子Aです!

え?もうモブじゃないだろう?

まぁまぁ、恒例じゃないですか。

とにかく、今日は待ちに待ったヴァレンタイン!

いや、待ってるのは私じゃなくて男の子だよね。

ちなみに私は、比企谷くんの分しか作ってきてません!

え?本命?そんなわけないよ。

やだなぁ好きみたいじゃないですか。

……じゃないよね?

 

三年と言うこともあり、本来は家庭学習の期間に入ってるはずなのですが、タイミングのいいことに登校日なのです!

そして私の想い人は、現在机に突っ伏しております!

…想い人?

まぁいいや。

とりあえず起こそう。

 

「比企谷くん。」

ちょんちょんと肩をつつく。

すると、いかにも不機嫌ですと言うような顔の比企谷くんと目が合う。

「なんだよ屋宮。」

「比企谷くん今日はなんの日か知っt「聖人ヴァレンタインの命日」……いやそうだけどさ。」

「それからチョコレート業者が喜ぶ日。」

「卑屈すぎ!」

間違ったことは言っていない、と反論を続ける比企谷くん。

「もう!そんなことはどうでもいいの!

比企谷くん、勿論もらってないよね?」

「その勿論はどういう意味ですかね?俺だってしっかりm「妹はカウントしないからね?」貰ってないです。」

「ん、素直でよろしい。」

ん、と某ト○ロのキャラクターのようにラッピングされた箱を押し付ける。

「なにこれ新しいいじめ?」

「なんでそうなるの!?」

「いや、だって……」

「そ、そんなに嫌?」

「い、嫌じゃないぞ。むしろ踊るくらい嬉しい。」

「それはやめておいた方がいいと思うよ。」

「そ、そうだな。」

 

 

 

「んで?なんで突っ伏してたの?」

見た時から疑問に思ってたことを口にする。

いつも静かにしている比企谷くんだか、今日は最初から伏せていた。

「あぁ、それは…」

なんかとても言いにくそうだな。

大丈夫かな…ここは話でも。

「何かあったの?話聞くよ?」

「…それがだな。」

比企谷くんが素直に話すことに危機感を覚える。

そんな異常と思えるほどの事なのだろうか。

緊張が伝わる。

そして彼は、

「小町がチョコをくれなかったんだ、どうしよう、俺何かしたんだろうか。」

………………

「今年は私のはなくてもいいよね!何て言われて……」

………………

「もうどうしたらいいんだ……」

スッ

「ん?え?まって早くない?え、ちょちょっとやめt」

スパンッ

 

 

小町ちゃんがチョコをくれなかった理由。

私のは、と言うキーワード。

そこから導き出されるのはやはり。

「ヒ、ヒッキー」

「ん?どうした?」

「そ、そそそそのね?」

「落ち着けアホ。」

「なんでそんな冷静なんだし!」

誰かが慌てるの見るとかえって落ち着くことあるよね。

「って、ヒッキー!はいこれ!」

それはやはり、チョコレートだった。

貰った比企谷くんは嬉s……ゑ?

なんでそんな絶望した顔?

「お前……これ手作りか?」

「う、うん。」

さらに絶望する比企谷くん。

「今日が俺の命日か……バレンタインデー恐るべし。」

「どういう意味だし!」

そういえば、料理は絶望的だったね……

私は彼の肩に手を置き、

「安心して、骨は拾ってあげるよ。」

「安心できねぇ!」

「どういう意味だ!?」

 

 

 

 

そんな事がありつつも、一個目を手にいれた比企谷。

じゃあね、とグループに去っていく結衣ちゃん。

はぁ、とてつもなく嫌な予感がするわけですよ。

そんな予想は期待を裏切ることはないらしく。

現在は昼休み。

葉山くんにチョコをあげに来る生徒は、後を絶たない。

しかし、どれも受け取らない。

比企谷君曰く、みんなの葉山でいるためには受け取らないことが一番らしい。なにそれめんどくさい。

そんな中、自然災害の如く突然それはやってくる。

見えたのは2年生のグループ。

と言うか、いろはちゃんがいる。

あぁ、これは…………

失礼しますと言って教室へ入る四人。

「相変わらずだな、あいつもよく頑張る。」

と何故か嬉しそうな比企谷君。

「本当に葉山が好きなんだな。」

こ、こいつ……

まぁ、この後面白くなりそうだから叩くのはやめておこう。

「「葉山先輩!受け取ってください!」」

「ありがとう、気持ちは嬉しいよ。ただそれは受けとれないんだ、ごめんな。」

「「そうですよね。」」

最早、形式美みたいになってきている。

「ん?いろはちゃん達は渡さないの?」

と、葉山君に渡さないことに疑問を思った彼女達。

「うん、私は別の人。」

「え、誰々。」

「きっと驚くけど、騒がしくしないでね?先輩そういうの嫌いだから。」

「「え?うん。」」

あ、来るんですね理解しました。

流石に比企谷君も気づいて…

「なんでた?」

よし、放課後絶対叩いてやる。

とてとて、なんて効果音が聞こえてくるような音で近づいてくるいろはちゃん。

比企谷の前に回り込み、

「せんぱーい!」

「「あざとい、やり直し。」」

はっ!思わず言ってしまった。

「酷いです、これでもかなり緊張してるのに。」

「何に緊張してるかしらんが、嘘はつくなよ。

しっかり生徒会長として成長出来たお前が、今さら他学年の教室に入る位で緊張するわけないだろ。」

「なんですかそれ……はっ!お前のことはよく見てるから俺にはわかるって言う特別アピールですか、正直今の緊張と合わさって倒れちゃうんで、また後日日を改めて二人きりの時にしてください、ごめんなさい。」

「なんで振られたんだ今。」

スパンッ

「痛い!なんで、まて屋宮なんでだ。」

「いや、ちょっとね」

「ちょっとね、なんて理由で叩くなよ。」

「なに?もう一発欲しい?」

「なんでもないです。」

「ねぇ先輩、聞いてくださいよ!」

「あ?どうした、葉山は向こうだ。」

「「は?」」

「え?」

「「はぁ。」」

ため息が止まらない……

「下手に緊張してたことがアホらしくなりましたよ。

はい、先輩これ。」

綺麗にラッピングされたそれは、やはり手作りなんだろうな。

「は?なんで俺。」

いろはちゃんに付いてきた子も、それぞれ疑問をうかべている。

「まぁ、先輩にはお世話になってますし?そのお礼ですよ。」

「そう思うのなら自重してくれませんかね。」

よく駆り出されるもんね。

しかし、そんな言い訳は友達は騙せないようで。

「え?いろはちゃん、今年はそれしか作っtふも!」

「ちょーっと?なんて言おうとしてたのかなぁ?」

「なんでもないです。」

「とにかく!それはお礼です。受け取ってください。」

「お、おう。」

そんな中、一人だけ緊張ぎみに下を向いている知らない子。

あ、これあかんやつ。

意を決したその子は顔をあげると。

「比企谷先輩、あ、あのこれを。」

「ん?お前は……あぁ、あのプリントの時の。」

「覚えてくれていたんですか?」

「まぁ、ぼっちは記憶力が高いからな。」

「ふっ、なんですかそれ。でも凄く嬉しいです。」

「そ、そうか、俺なんかに渡していいのか?」

「先輩に渡したいんですよ。」

「そうか、ありがとう。」

なにこれ!ラブコメになりかけてる。

あ、これラブコメだった。

…………いや、だめだめだめだめ。

「ふに!」

とへんな声を出す、比企谷くん。

と言うか、後ろに回ったいろはちゃんが、頬を引っ張ったのだ。

「お、おひ、いっひき、やへろ」(おい一色やめろ。)

「他の女の子にデレデレしてた先輩の言うことなんか、聞きたくないです。」

いろはちゃん、それもう大好きアピールなんだけど……

顔が赤い比企谷君。

気づいたのかな?

……あ、当たってんのか位置的に…いや、当てられてるのか。

いろはちゃん、恐るべし。

 

 

そろそろ時間だと帰るまで、いろはちゃんは体勢を変えなかった。

比企谷君はというと、それにやられてか現在は朝と同じ気力切れで机に突っ伏している。

しかし、それにお構いなしにと新たな客が。

「比企谷、はいこれ。」

それは川崎さんだった……え?

「あ?チョコ?」

「そうだよ、けーちゃんがどうしてもってね。」

「それは頂かなくてはな。お礼はどうしたらいい?」

「さぁね、あの子なら、あんたが遊んでくれりゃあ満足するんじゃない?」

「なるほどな、じゃあまた後日伺うわ。」

「あんた、ほんとそういうことになると行動早いね。」

「けーちゃんのためだしな。」

「わかってるよ。」

……え?

「え?けーちゃんって?」

「こいつの妹のことだよ。」

人の妹まで落としてるの……

「そ、それと」

と急に緊張しだす川崎さん。

………………またか。

「これは、大志とかけーちゃんがお世話になっているお礼。」

「ん?あぁ、サンキュー。」

「じゃあね。」

直ぐ踵を返す川崎さんの顔は赤かった。

まじかよ。

 

にしても、凄い貰うね比企谷くん。

まぁ、川崎さんは例外としても、これ以上増えることは……

 

スタスタスタ

 

ありそう……

その人物は、きれいな箱を机に叩きつけるとこう一言。

「ひ、ヒキタニ、こ、これあまりだから、他意はないから!」

言い切り走って帰っていく………………相模さん。

「ど、毒とか入ってないよな?」

「だ、大丈夫だと思うよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は変わって放課後、私の推測が正しいのなら波乱が……

「失礼します。」

来ました。

今日一番にざわつく教室。

それもそうだ、だって教室に来たのは

「やぁ、どうしたの?雪ノ下さん」

そう、雪ノ下さんだった。

「あら、貴方に用はないわ葉山くん。」

あら、振られちゃった。

心なしか比企谷君笑っている。

けど、比企谷君、たぶん君がターゲットだよ。

取り敢えず比企谷君の方に歩み寄る。

「はは、そんなにはっきり言われると、辛いな。」

「安心して、そのつもりで言ったのだから。」

「あいつならあそこだよ。」

そう目線を送る葉山くんは、此方を捉えていた。

「そう、ありがとう。」

「あぁ」

やっぱりこっちですか。

「こんにちは、比企谷くん。」

「どうした?わざわざ教室まで。

にしても、視線がやばいんだが。」

「それはそうでしょう、私が来ているのだもの。」

「否定はせんがそこまではっきり言うか。」

「あら、当然じゃない。約2年貴方はしっかり私を見ていたのかしら。」

「まぁ、お前はそういうやつだったよな。」

「えぇ、そう言うことよ。」

「で、なんのようだ?今日は部活はないはずだが。」

「そんなの決まってるじゃない。」

そういって取り出した箱に周りは驚愕する。

当たり前だ、校内で葉山君に次ぐ有名人が比企谷君にチョコを送っているのだ。

「はい、比企谷君。」

「お、おう。なんつーかサンキューな。」

「えぇ、当然よ、では帰るわ。」

と教室のドアへ向かう、そして敷居を跨ぐ直前、振り返り一言。

「去年は少し違ったのだけれど、今年は"それ"しか作ってないのだから。」

その瞬間何人か倒れた。

「隼人?隼人!」

 

 

 

 

 

「にしても、たくさん貰ったね。」

「あぁ、そうだな。」

あれから放課後になり、私からの願いで一緒に帰っている。

最初は渋っていたが、無理やり通した。

「8個って、相当だよ?」

「八万だけに八万個貰ってみたいな。」

「それはダメ」

「どうしてだ?」

勢いで言ってしまった。

だが、それは本心だった。

これって、やっぱりそういうことだよね。

「い、言えない。」

「?」

言えるわけない。

とにかく、と話題を変える。

「それ食べきれる?」

「まぁ、なんとか食べるわ。」

「今からでも食べとけば?」

「まぁ、確かに小腹がすいてるしな。」

そういって取り出したのは。

「な、なんで私の?」

「ん?あぁ、まぁなんだ最近はお前といることが多かったからな、お前のなら安心して食えそうと言うか。」

「そ、そうなんだ。」

なにこれ恥ずかしい!

けど本当に嬉しい。

「ね、ねぇ、比企谷君?」

これは、伝えた方がいいのだろうか。

でも……

「あ、八幡!」

ん?

「ん?あぁ、戸塚か。」

「これ友チョコだよ!朝忙しくて渡せなかったんだ、これからもよろしくね。」

「結婚しよう。」

「も、もう!からかわないでよ。」

「本気だぞ。」

「はいはい。まぁ、お邪魔してるみたいだし、僕は帰るね。」

…………………………

「おう。」

…………………………

「いやぁ、戸塚かわいいなこれ。」

…………………………

「ん、屋宮?どうした。」

 

もう、知らない、こうなったら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!屋宮なにして。」

「えへへ、これは比企谷君が悪いんだからね!

あと、しっかり箱を見ることそれじゃあね。」

「ちょ、ちょっと待て。」

「嫌だよー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。」

「お帰り、お兄ちゃん。」

「あぁ、」

「わぁ!凄いこんなに貰ったの?」

「あぁ」

「モテ期到来だね、小町は嬉しいよ。」

「そうだな。」

「もう、反応が悪いよ!」

「すまん。」

「本当にどうしたの?あれ?これだけ開けてある…」

そして、その箱の蓋の部分をひっくり返す。

「お、お兄ちゃん……」

「言いたいことはわかってる。」

「うん。」

「ちょっと一人にしてくれ。」

「ご飯は作るから起きててよね?」

「わかってる。」

部屋を出ていく兄の背中を見て、妹はこう呟く。

「千郷さんねぇ、お兄ちゃん、もう逃げられないよ。

たぶんこれ全員そうだよね。

きっと難しい問題になるけど、小町は応援するよ。

頑張ってね。

よし、お兄ちゃんの好物でも作ってあげよう。」

 




さぁ、これにて本文は終わりです。
5000字越えたのは初めてです。
特別編?
と言うことにしたのは訳がありまして。
本文を読まずにあとがきだけ読んでいる特殊な方を覗いて、薄々お気づきの方はいると思います。
これほぼクライマックス雰囲気です。
なので、多分最終話前にこの話を入れる感じになると思います。
まぁ、頑張っていきますよ!
感想は……こえぇな。


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