ベル・クラネル(英雄)の帰還 (yaukl)
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帰還の少し前





黄昏の館

 

ポストに1通の手紙が入っていた。それを手に取ったのは、この館を拠点とするロキ・ファミリアの第2級冒険者、エルフのレフィーア・ウィリディスだった。

 

「・・・・・?誰だろう、この人。でも、ロキ様の名前が書かれているし、見せない訳にはいかないかな」

 

レフィーアは自分の知らない人からの物だったが、主神に届けに館へと戻っていった。

 

ロキの部屋

 

コンコンコン 

 

「ん、誰や~」

 

「レフィーアです。少しよろしいでしょうか。ロキ様」

 

「入って来てえぇ~で」

 

「失礼します」

 

室内に入るとロキは机の上に山のように積み重なった書類を片付けていた。

 

「どうしたんや~、レフィーア」

 

作業は進めたまま話しかけてきた。

 

「ロキ様にお手紙です」

 

そう作業中のロキに簡潔に話しかけた。

 

「おぉ~、ありがとな~、その辺に置いといてくれたらえぇ~、後で見るから~」

 

「分かりました。」

 

近くのテーブルの上に手紙を置き足早に退室した。「では、私はこれで失礼します」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

少しして作業もひと段落したロキは

 

「ふ~、終わった、終わった。そういえばさっき、レフィーアが手紙持って来てたな~」

 

「その手紙でも確認するか~」と、朝食に行きながら読もうと手に取った。手に取りロキは差出人の名前を見ると、すぐに封筒から取り出し内容を確認した。文面の初めには、こう書かれていた。<ロキ、フィン、リヴェリア、ガレス、久しぶり。元気にしてた。こちらの用がひと段落したから、そっちに帰るよ。明後日ぐらいに着くかな>

 

ロキはそこまで読むと、すぐに食堂に駆け出した。

 

食堂

 

ロキ・ファミリアでは、基本はみんなで食事をとるようにしていた。

 

「今日も皆、にぎやかだね」

 

「あぁ、そうだな」

 

「がはは、若いうちは騒ぐのが一番じゃ」

 

いつもの日常の朝をロキ・ファミリアの古参である三人はわが子を見るように眺めていた。そこへ

 

「フィーーン、リヴェリアーー、ガレスーー」

 

ファミリアの中でも一、二を争えるほどうるさい我等が主神が、食堂に大声を上げ駆けてきた。

 

バァン 「皆、朗報や」

 

「どうしたんだい、ロキ」 「朝からうるさいぞ」 「がはは」

 

リヴェリアのお叱りをそっちのけでロキは

 

「ベルたんが、ベルたんが帰って来るで~」

 

それを聞き、皆が様々な反応を見せた。それなりに古参の者たちは驚きと歓喜の顔を、ベルを知らない者たちは頭の上に ? がたくさん浮かんでいた。

 

「それは本当かい、ロキ」

 

「嘘やないで~、これが証拠や」

 

そう言うや、手に持っていた手紙をフィンたちに差し出した。それを確認した3人は笑顔を浮かべた。いや、一人は怖い笑いだが。

 

「ホントのようだね、・・・・・・全く、今まで手紙の一つも寄越さないんだから」

 

「ベル、・・・・・(遅い、わ、私はずっと待っていたんだからな。・・・・・ふふふ、帰ってきたら早速、縄で括ってベットに縛り付けて<ブツブツ>・・・・・」

 

リヴェリアの方から<ドスグロイ>オーラが漂ってくるのを他の三人は感じ取った瞬間、一斉に合掌した。(ベル、お前が悪い)とブツブツ言いながら。

 

「ん、手紙の裏に何か」そうフィンが言いながら、フィンが裏にしたのを他の三人も覗き込んだ。そこには、弱弱しく書かれた一文があった。最後の方は殆ど消えかかっていた。

 

<P,S, 僕なんかが、今のロキ・ファミリアに戻れるのかな>

 

それを見た4人は

 

「あ、当たり前やベル。ウチのファミリアはベルの物でもあるんやから」

 

「どうやら、団長は変わっていないようだ」 「はぁ~、全くベルときたら」 「がはは、何年たっても変わらんのだな、あの人は」

 

最高幹部が欣喜しているのを殆どの者たちは好奇の目を4人に向けていた。その中でも幹部である、ヒリュテ姉妹は

 

「あんな団長たち、初めて見た。ティオナは見たことある?」

 

「私も無い。ロキはさっき、ベルたんって叫んでいたみたいだけど、誰なんだろう」

 

レフィーアはというと

 

(ベル?先ほどの手紙の人だけど、一体。それに、リヴェリア様があんな御顔をされるなんて、誰なんだろう)

 

多くの者が不思議に思っている中、欣喜の最中にある4人にティオナが話し掛けた。

 

「ロキ、ベル?って何者」

 

そう話しかけて来たティオナに対して4人がそちらを向いた。

 

「あぁ、そう言えばティオナたちはベルたんのことを知らなかったな~。ベルたんわな、ウチの初めての眷属なんや~」

 

それを聞き殆どの者がまたまた驚いた。

 

「ど、どういうこと。フィンたちが最初じゃないの?」

 

「フィンたちはウチやベルたんが最初にファミリアに勧誘したんや~」

 

それを聞き、ティオネはというと

 

「ん、?じゃあ、フィンが今、団長をやっているのはどういうことよ」

 

それに対してフィンは

 

「それは、ベルが長期に渡ってオラリオを離れる用事ができたときに、当時は僕が副団長をしていてね。僕はそのまま副団長か団長代理で良いって言ったんだけど、長らく団長が居ないファミリアじゃ示しがつかないって珍しく引かなくてね、なし崩し的に僕が2代目団長になったんだ」

 

それを聞き、またもや驚愕した。当然だ、このオラリオではロキ・ファミリアを形作ってきたのはフィンたちと多くの者たちに認知されてきたのだ。そこへ、初代団長が現れたのだ。驚くなと言う方が無理である。ファミリアではあまり知られていないが、ベルの案がいろいろと規律だったりなどに取り入れられている。皆で食事をするのもベルが考案したものだったりする。

 

「まあ、今はえぇ、それよりベルたんの帰還を祝して宴会を開くで~みんな。今回は盛大にやるでー、今回は全部ウチが持つ。全員、持てる限りの趣向を凝らして持て成すんやで~」

 

それを聞き、殆どの者が歓喜した。このファミリアは基本的に主神が主神だけに騒ぐのがとても好きなのだ。

 

「大丈夫かい、ロキ。なんなら、僕も出そう。」「私も出すぞ」「わしも出すぞぃ」

 

「おぉ~、じゃあ、この4人で出すから食事が済んだら、早速準備に取り掛かってや~」

 

今朝の朝食は今まで以上に賑わった。

そして、オラリオ内でも英雄の帰還が噂されると様々な反応を示した。

 

 

 




ベル君を成長させてみました。(ロキ・ファミリアに戻ったら『初代』と皆から呼ばれる)ロキ様の口調が難しい。もう少し、原作などが進んだら続きを書くかもしれない。戦闘などはもう少し勉強してから書きたい。


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