借り物の力で人理を救うお手伝いをするお話 (レイラ レコード)
しおりを挟む

偽造特異点 天宮
第1話


「...んぅ?」

ふと、目が覚める。

彼女は身を起こし、周りを見渡す。

「・・・ここは...どこ?」

彼女は今、燃え盛る街の中にいた。

「・・・なに、これ」

彼女が驚くのも無理はない。

彼女の見ている光景はまさに異様なのだ。

「止まってる?」

彼女は起き上がり、燃え盛る炎に触れながら呟いた。

そう、炎が固まってるのだ。

というよりも、、

「・・・時間が、止まってるみたい」

そう、燃え盛っていた街が、時が止まって、そう、保存されているような状態だった。

「マシュは..いないか...ロマンさんとも連絡がつかない...」

彼女はなんとか誰かとコンタクトを取ろうとするが、、連絡がつかない。

「もしかして、また何かに巻き込まれた...とか?」

そう、彼女は何度もこのような現象を体験してるのだ。

例えばそう、悪夢の中で脱出不可能な監獄から、復讐者に導かれ、脱出を試みたり、といったものがある。

そう、様々なことに経験してきた。

「私はそう..確か...訓練が終わって...マシュと別れて...自分のベットに寝て...やっぱりここは、誰かの夢の中、、かな」

彼女は自分がベットで寝たことを思い出し、ここは自分の仲間との夢を共有するときに起きる現象である可能性が高いと判断する。

「けど...誰の夢なんだろう」

彼女は少し困惑していた、このような現象が起きた場合、その共有した仲間が近くにいるはずなのだ。

しかし、今回はいなかった。

いや、そもそも、いないのかもしれない

「とりあえず動こう、ここにいても始まらない」

そういって彼女は、この奇妙な街の中を進んでいった。

____________________________________________________

「それにしても、ここはどこなんだろ?見た感じ私たちの時代と同じ感じだけど」

彼女しばらく歩きながら、ふと呟いた。

「冬木の時に似てる、、かも?」

「・・・早く目が覚めたりしないかな、なんて」

そんなことをぼやきながら進む。

・・・そのときである。

「・・?」

目の前に何かが見えた。

それは二足歩行をしてる。

彼女には、それがなんなのかすぐにわかった。

「っ!スケルトン!」

彼女はすぐに物陰に隠れる。

「どうしてあのエネミーが、、、とりあえず逃げないと、、気づかれたらどうしようもない」

彼女はすぐさま逃げようとする、しかし、

ぐるっと、一体がこちらを向き、そして。

『カタカタカタカタ』

と、音を立てながら走ってきた。気づかれたのだ。

「しまった、逃げないと!」

彼女は来た道を引き返すように振り向く。

しかし、

「嘘、後ろからも!」

そう、彼女の来た道からもスケルトンが来ていた。

彼女は挟み撃ちにされたのだ。

「不味い、逃げ道がない!」

焦っているのもつかの間、もうスケルトンらが追いついてしまったり

『カタカタカタカタカタカタカタカタ』

「くっ」

スケルトンが武器を振り上げ、彼女に攻撃する。

彼女はなんとか身をかわすが、足を躓いて転んでしまう。

「きゃ⁉︎(ガン!)いっ⁉︎」

そして運が悪かったのか、頭を強く打ってしまう、そして迫り来るスケルトン達。

逃げ場なんてない。味方なんてものも、この場には存在しなかった。

(ダメ、意識が...)

頭の打ち所が悪かったのか、彼女は意識を失いかける。

...その時

(ブォン!)

何かが、スケルトン達を消し去った。

(な...に?)

たん、と、誰かが彼女の降り立つ。

「・・・」

(だ...れ?)

目の前に、誰かがいる。しかし、意識が朦朧としていて顔もわからない。

「・・・暫く、休んでいて」

「...?」

「大丈夫、目が覚めたら、君は元の場所にいるから」

「それまでは、眠っていてくれ」

その言葉で、彼女は意識を失った。

_____________________________________________________



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話

・・・その光景は、自分にとっては見慣れているものであり、見慣れていないものでもあった。

・・・燃えるこの街は、自分の記”録”の中にある街そのもの。そして今、自分の前に広がるこの燃え盛る街は、自分の記録にとって、とても因縁のあるものだった。

・・・記録によるとこの街の有様は、自分の妹が原因らしい。正確には、妹にそんな力を与えた存在が原因らしいが。

・・・そしてその力が自分にもあるという事も、記録から全て知っている。

・・・だがそれは自分には関係のない事だ。記録がどうあろうと自分は自分。決して自分は”彼”ではない。あくまで自分は彼の移し身。

・・・容姿、声、技量、力、そしてこの記”憶”も全て”借り物”だ。性格だけは自分自身のもののようだがそれだけであって、結局自分は、彼からありとあらゆるほぼ全てを借り受けた存在でしかない。

・・・あぁ、こんな自分は、彼女の助けになるだろうか。

・・・所謂”偽物”でしかない、こんな、俺が...

_____________________________________________________

「...い、せん...い!...先輩!」

「...ん?」

彼女は目を開く。目の前には、自分の後輩が写っていた。

「...おはよう、マシュ」

「はい、おはようございます、先輩」

彼女の名はマシュ・キリエライト。自分の大切な後輩であり、サーヴァントでもある。

「今日も元気そうだね、マシュ」

「はい、絶好調です!」

元気そうに答えるマシュ。そしてあっ!という顔をして...

「そうでした、ドクターが呼んでいます、先輩」

「なにか、あった?」

「はい、何やら不思議な特異点を発見したらしいです」

「・・・不思議な?」

「はい、すぐに来るようにと」

「うん、わかった。先に行っててマシュ、すぐに行く」

「わかりました、では先輩、後ほど」

そう言ってマシュは手を振って部屋を出る。

「・・・まず、着替えないと」

そう言って立ち上がり、着替え始める。

ふと、何故か思うことがあった。

「私、なんか変な夢を見たような...」

そう、自分の見た夢である。

(何か、ひどい目にあったような...誰か、喋ってたような...)

「・・・まぁいいか、みんな待ってる」

彼女はなるべく考えないようにして、着替えを続けた。

_____________________________________________________

「先輩、少し遅かったですか、どうかしましたか?」

「ごめん、ちょっと着替えに手間取ってた」

「やっときたね〜”立香”ちゃん」

そう、私の名前は立香、藤丸立香。

このカルデアの、最後のマスター。

「あ、ダヴィンチちゃん、おはよう」

「うんうん、おはよう、元気なのは良いことだ」

この人はレオナルド・ダ・ヴィンチ、正史では男の筈だが、今現在この人は女としてここにいる。本人曰く”天才に不可能なんてない”みたいな事を言っていた気がする。

「ごめんごめん、お待たせ」

「あ、おはようロマン」

「おはようございますドクター」

「うん、おはよう、今日も調子は良さそうだねマシュ、立香ちゃん」

この人はロマ二・アーキマン、通称ロマン。このカルデアの現在のトップである。

「えっと、ロマン、不思議な特異点があったって...」

「あぁ、そう、その事だね」

ロマンは一息置いて、話し始めた。

「まずこの特異点は、日本にあることがわかった。そして、場所は東京の町田市って事もね」

「えらく限定的ですね、日本というと、特異点Fを思い出します」

「冬木だね、うん、こう言うのは不謹慎だけど、懐かしく感じてしまうね」

「冬木...」

「ん?どうしたんだい立香ちゃん、なんか変な顔して」

「あ、ごめんダヴィンチちゃん、あそこ色々あったからさ」

そう、あそこから、全てが始まったんだ。

「そうだね〜、君たちにとってあそこは始まりの場所のようなものだからねぇ」

「それでドクター、不思議というのは」

マシュがロマンにその話を切り出すと、ロマンは困った顔をして...

「うん、その事なんだけど...年代が特定できないんだ」

「特定できない、ですか」

「そうなんだ、正確には、無い、と言わざるを得ない」

え、無いって...

「無いって、どういう事なんですかそれ?」

「わからない、僕も皆んなも初めてみる例だ」

「私もさっぱりだよ。年代が無いなんて、見た事も聞いた事もないからね。それってつまり、人類史に存在しない場所と言っても過言じゃあないからね」

ダヴィンチちゃんでもわからないなんて...

「それでも特異点に変わりはない、と言っても、放っておけばそのうち消えてしまうようなごく小さいものだ」

「けど、放ってはおけないよね」

「そういうと思ったよ。僕としては、余り君に負荷をかけたくないから推奨はしないけど、君がそうしたいならそうするといい、もうすでに準備もできてるしね」

「私も、先輩が決めたことには従います!」

「君がやりたい事をできるように、全力でサポートするから、安心したまえよ」

「ロマン、マシュ、ダヴィンチちゃん、ありがと」

「それじゃ立香ちゃん、連れて行くサーヴァントを選んでくれ。急がなくていいからね」

「わかった、ありがとロマン」

_____________________________________________________

「んで、俺たちが呼ばれた訳か」

「日本か、ふむ」

「このメンバーで行くというのも、中々珍しいですね」

今回私が選んだのは3人だ。

まず、1人目

「エミヤさんは確か、日本ご出身でしたね」

「あぁ、そうだな」

アーチャーのサーヴァント、真名、エミヤ

そして2人目

「俺もまぁ日本...冬木には因縁があるっちゃああるな」

「え、そうなのクーフーリン」

「まぁ色々とよ」

ランサーのサーヴァント、真名、クー・フーリン

そして、最後

「アルトリアにも何かある感じ?」

「えぇ、私もありますね」

「へぇ〜、なんか意外」

セイバーのサーヴァント、真名、アルトリア・ペンドラゴン

「それじゃあみんな、準備はいいかい?」

「うん、大丈夫だよロマン」

「はい、こちらも準備はOKですドクター」

「それじゃあコフィンに入ってくれ、レイシフトを開始する」

そして私は一度深呼吸をして、コフィンに入った。

「じゃあ始めるよ、いいね?」

私は、無言で頷いた。

_____________________________________________________

燃え盛る街、それを見下ろせる展望台に、彼らはいた。

「・・・そろそろ、かな」

「だろうな」

「・・・」

「?...どうかした?」

「いや、なんでも無い」

「なんだ、まぁだ気にしてんのか?」

「・・・あぁ」

「安心しろって、大丈夫だ。なんたって俺らもついてる」

そう言って、銀髪の男が、青髪の青年の肩を叩く。

「同じ”借り者”同士だ、思ってる事もわかる。だがな、俺たちは選ばれちまった、だったらやらなきゃな」

「彼の、いう通り、私たちが、ついてる」

そう言って、黒髪の少女も、青年の肩を叩く。

「・・・あぁ、そうだな、うん、そうだ」

そう言って青年は目を閉じて、上を向く。

空には、”何も無い”夜空が広がっていた。

「そして、どうやらお客様だぜ」

銀髪の男は後ろを振り返り、背中に背負っていた大剣を手に取る。

「うん、そうだね」

黒髪の少女は、背中に担いでいた、とても少女が持てるものとは思えない大型の大砲のようなものを構える。

「・・とっとと、片付けるぞ!」

青年は、どこから出てきたのか、突然出現した紫の宝玉のはめ込まれた不思議な大剣を構える。

「了解!」「あぁ!」

そして、高台からは爆音が響き渡った...。

 




最後に出たキャラは、別作品の人です。
どんなキャラか、当ててみてください。
青年はもうわかると思いますがね。
次話投稿の際にタグを付け足します。
では


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。