MAJOR 蒼きスクリューボーラー (空の箱)
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一球目 出会い

「涼子、中学でもよろしくね」

 

小学校からの友人の(さき)と共に、私は地元横浜の中学に進学した。この学校を選んだ訳は、硬式の野球部があるからという理由と単純に家から近かったからだ。

吾郎くんとの試合の後、私は野球を続けるか迷った。しかし、咲の後押しもあって好きな野球を続けることにした。

そして、今日志波(しば)中学校に入学する。

 

◆◆◆

 

「やったね涼子、今年も同じクラスだ」

 

「良かった咲と一緒で。また一緒に頑張ろうね」

 

クラス訳の発表された教室には、小学校からのクラスメイトが多くいる。しかし、少なからず見知らぬ子もいて、新鮮な気分になる。

 

「はーい、座って座って」

 

ドアの開く音と共に先生が入ってきた。

 

「じゃあ、まずは私の自己紹介から。私は仲原志保(なかはらしほ)といいます。部活顧問は野球部よ。年はシークレット。好きな野球選手はショートの松井選手ね。はい、こんな感じで自己紹介していって」

 

担任の仲原先生が野球部の顧問なのか。少し入りやすくなったな。

 

「ありがとう、じゃあ次は川瀬さん」

 

「はい、川瀬涼子といいます。小学校では横浜リトルで野球をしていました。ポジションはピッチャーです」

 

あの川瀬じゃね、俺去年完封されたぜ、マジかよ。

どうやら私の知名度は中々らしい。

 

「今年1年、よろしくお願いします」

 

「ありがとね、じゃあ次」

 

ふう、少し緊張したなぁ。やっぱり知ってる人が多くても緊張するものなんだな。

当然だけど、野球部志望が多い。それが目的で私もここに来たんだけど。

 

「じゃあ次、橘くん」

 

「はい、橘隼人(はやと)です。仙台から来ました。野球をやってました。ポジションは、ショートとピッチャーです」

 

お、この子も野球部なんだ、ショートとピッチャーか、器用なんだ。

 

「はい、ありがとう。じゃあ今年1年間このクラスでやっていくから、皆よろしくね」

 

◆◆◆

 

野球部は初日から部活見学があるらしい。

咲に断って、私は野球部のグラウンドへ向かった。

 

流石に硬式の野球部があるだけあって、グラウンドの設備は整っている。ナイター用の照明もグラウンド全体を照らせるようになっている。

 

「入部希望者はこっちで試合やるから、試合できる人は道具も準備しておいてー」

 

野球部の先輩が呼びかけている。

いきなり試合か、良しここは活躍して女子でもやれるって証明しよう。

 

「あ、川瀬さん。どう試合していく?」

 

「はい、したいです」

 

「女子だからって、男子に遠慮なんかいらないからね。私は女子部員大歓迎だから」

 

本当に先生が顧問で良かったな。

◆◆◆

 

 



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