私だけの星 ずっと輝いてるよ (ヴァイロンオメガファントム)
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雪ノ下陽乃 涙を流す
想像で書いてるところがあるのでキャラ崩壊普通にありますw
「今日も夜空はきれいだな…」
私、雪ノ下陽乃は今日も夜空をみていた。そしていつも涙が頬を伝う。
どーして涙が出るのだろう?
どーして…私は…いやそんなこと考えたところで現実は変わらない。私は『雪ノ下』の長女で…仮面を被らなければいけない。何度も現実に抗おうとした…でも現実には勝てなかった。私は…おそらく誰にも『本当の自分』を見つけて貰わないまま一生を終えるのだろう。
「…こんなこと考えたら悲しくなっちゃうよ」
あー夜風が気持ちいい…いっそこのまま風になりたい。夜の春風は私の気持ちを癒やしてくれる。
「………………」
そろそろ部屋に戻ろう…そう思いふと空を見上げると、1つの星が物凄く綺麗に輝いていた。いやそう輝いているように見えたのかもしれない。
「やぁ星さん」
星に話かけるなんて、私はどーしようもなくバカだ…
でも、なぜだかまた話かけてしまう。
「…いいよ。君を私にしてあげる」
私は何を言ってるのだろう?
思いとは逆にまたあの星にしゃべりかけてしまう。
「こっちの私は全然輝いてなんかいない。でもそっちの私はずっと輝いていて…」
何を思ったのだろうかさっきよりも涙がでてくる。
明日も仮面を被らなければいけない、その次の日も、そしてその次の日も…
「…嫌だよ…」
「誰か……私を…」
もう涙がとまらない。だから私はこう言った。
「私を助けて…」
そうか私が毎晩涙を流していた訳はこれか…私を助けてくれる人なんていない、私を暗闇の底から助けてくれる人なんて…そう思うと涙が…
そう…私は1人ぼっち…
私には普通に友達もいる。普通に話す人なんて腐るほどいる。でもそれは全部嘘。知った人全員表の私を見てこう言うの。
さすが雪ノ下陽乃だ。 と…。
だから私はいつの日かその雪ノ下陽乃でいるために仮面をつけた。皆の雪ノ下陽乃でいるために…本当の自分を捨て、常に偽りの笑顔で偉い人偉い人に話しかけていった。それはもう大絶賛。当たり前でしょ?偽りの笑顔なんだから。でもその時思った。人は表しか見ていないと。
表しか見ていないなら。表しか見せなくていい。本当の私を隠して仮面の私を見せれば人は喜ぶ。
でもある時妹にこう言われた。そう、雪乃ちゃんに。
「姉さんの考えてることがわからないのだけれど、1つだけ分かるものがあるの。姉さんの心は暗闇に落ちていってる。」と
その時は聞き流したが、いざ考えてみるとこんな感じ。
私の心はどっか暗闇の奥底に落ちてもう自分でもどーすることもできない。だからあの輝いて見えるあの星を自分にして、輝いてる自分を見ようとしたのだろうか。
バカな私。
「……………明日はダンスパーティーか…」
また仮面を被ろう。さすが雪ノ下陽乃と言われる為に。
気持ちも落ち着いたので部屋に戻ることにした。そこで携帯にメールの着信があったので見てみると、母からだった。
【陽乃、明日のダンス楽しみにしてるわ。
でも明日の事で少し変更があったので連絡するわ。】
「変更?なんだろう?」
そう思い次の文を見てみると…
「え!?!?これって…」
その文にはこう書いてあった。
【明日のダンスは夜の20時から、それまでに一緒に踊るパートナーを見つけてらっしゃい。陽乃にはたくさん知り合いがいると思うから直ぐに見つかると思うわ。それではおやすみなさい。】
え?一人で踊るものだとばかり思ってた。パートナーって…
そのとき一人の男が頭の中でよぎった。それを思い私の口角は少しあがる。
比企谷八幡。
母は恐らく隼人を連れてくるだろうと思ってる。恐らく隼人にも連絡はいってると思う。そこでこの男を連れて行ってみるとどーなるのか、、、ふふっお母様、なんでもかんでも思い通りに行くとは思わないでね。
さて、明日は日曜日!比企谷八幡をどう誘うか考えなきゃ!
そこで私は彼にこうメールした。
明日、比企谷くんのお家までいくね!★
と、
明日彼がどんな反応するか楽しみだ!あの子は本当に面白い子。私の期待に答えてくれる子。私を唯一…いや、そのことを考えるのはよそう。今までも期待して裏切られた。今回もそのパターンだ。
「でも…もしかしたら…」
私は毛布を抱きしめる。そーしてるうちに私は眠りについていた。
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比企谷八幡 憂鬱な日曜日の始まり
八幡side
日曜日。誰もが週に一度はくる日曜日。休みの最後で明日から学校という憂鬱感もあるが、夕方からあるサザエさんをみるまではまだその憂鬱さも多少は和らいでるものだ。
で、俺だが、せっかく2連休最後の休みなので家でごろごろしたかったのだが、昨日の夜なんとまさかのあれやこれ。
そう!あの頭脳明晰、容姿端麗、完璧超人、なおかつ恐ろしいコミュ力を持つ、あの雪ノ下陽乃からこう来たのだ。
明日、比企谷くんのお家にいくね!★
え?この人はなに言ってんの?と思って、なんでですか?と返信しても結局その夜に返信はなく、朝の6時頃にメールで
内緒♡
7時ころにつくからね〜準備しててね!
ときた。
……………早くないですか?まだ朝の6時ですよ?やだはちまんねたい〜(ぶりっ子風)やだなにこれ気持ち悪い。
まぁそれはおいといて内緒って…しかもハート♡……
やだ!!八幡怖い!!この人が怖い!!小町助けて!!!
そんな思いも届かず刻一刻と時間が過ぎていく。
「はぁ……」
リビングに行ってテレビをつける。今日は獅子座は5位か…まぁそこそこだな
「よし…今は…?」
6時45分…そろそろ準備しておくか…歯を磨いて、顔洗って、適当に服をきて…と、、
そしてまたチラッと時計を見ると6時57分。そろそろ来るな。玄関で待っとくか。
「はぁ…」
やだ、ため息ばかり!幸せ逃げちゃう!あ、俺に幸せなことってなかったわ。唯一小町がいることかな?ふふ…と思っていると…
「なにお兄ちゃんニヤけてるの?気持ち悪いよ?」
「おぉ!?びっくりした…」
そこには俺の愛しの小町がいた。…って気持ち悪いってお兄ちゃん傷ついちゃうよ?ぷよぷよで連鎖おこってぷよたちが弾けるようにお兄ちゃんの心も弾けちゃうよ?いいの?
「お、おう小町か、どーしたこんな朝早く…」
「どーした?はこっちのセリフだよ〜!土日はナマケモノ以上にゴロゴログータラ生活のお兄ちゃんがこんな朝早くに起きて出かける準備してるって…事故だよ!!」
「なんでもう事故ってるんだよ…つーかナマケモノ以上って…ただ俺は1週間の疲れをこの土日で癒やしてるんだよ、決してゴロゴログータラ生活をしているわけではない!」
「はいはいそーですね。で?誰とデート?」
すごい低い声で流された…てかなんでデートは確定なの?
「なんでデート確定なんだよ。俺はなんも言ってないだろ」
「妹の小町にはなんでも分かっちゃうよ〜だってお兄ちゃんの唯一の理解者だからね!あ!今の小町的にポイント高い!」
「はいはいそーですね。」
確かに小町にはいろいろとお世話になってる。一色いろはの生徒会長問題で俺が悩んでるときとか小町には助けてもらったし。だが…
「だが今回はデートではない。残念だったなハズレだ」
「え〜!デートじゃないの〜てっきり小町は雪乃さんか結衣さんとデートかと思ったのに〜それで…」
「はいはい、もう時間なんだ。…多分そろそろ来る」
「え?誰が来r」
ピンポーン…
家中にインターホンの音が響き渡る。きた…奴がきた…魔王だ…
渋々玄関を開けると、そこには凄く美人なそれでもって凄く笑顔な魔王さまが立っていた。
「ひゃっはろーー!!」
「雪ノ下さん…」
そう雪ノ下陽乃。俺はこの人が苦手だ…だって笑顔の裏で何考えてるかわからないんだもん。
「比企谷くん〜♪迎えに来たよ〜♪」
「え!お兄ちゃんデートの相手って…」
「違う。断じて違う。」
「もう〜!そんな否定しないでよ〜こんな美人なお姉さんが迎えに来たんだよ〜」
「そーですね。ほぼ強制的にですけどね。出来るならこのまままた帰っていだだくと俺的にありがt」
「じゃあ小町ちゃーんお兄さん借りるね〜いこ!比企谷くん。」
「俺の意思は無視ですか」
「あはは…お手柔らかに…」
小町ーー!助けてくれー!魔王に攫われる〜!俺の思いは虚しく遠くで手を振る小町には届かなかった。
「それでなんの用すか?こんな朝早くから…」
「まぁ近くの飲食店に入って話そうよ!比企谷くんご飯食べた?」
「いや食ってないっすけど…」
「じゃあどこか食べるとこ見つけてそこで話をしようよ」
「はぁ…分かりました…」
しばらく歩いて
俺たちは千葉駅の近くにあった飲食店に入り席についたのだが…
何これ!?目線が痛い!目線がちょー痛い!この人と居るだけで他の人からの目線が痛い!
確かに…日曜の朝だ…こんな朝早くから男女がご飯って…そりゃおかしいよな…それに女の方は超絶美人ときた。外を歩いてると主に男の人達の目線が痛かった…
でもそれでも日曜の朝だ。人は少ないから今はいいけども、これが昼とかになると人は多くなる。そうなると今よりも目線が痛くなるはず…これは早めに用件きいてさっさと帰るのが正解だな。よしそうと決まれば…
「あの…雪ノs」
「比企谷くんはなに食べる?」
くそまじくそ。タイミングが悪かった…そうだタイミングが悪かっただけだ…ぼっちはこうゆうのには敏感なのだ
「あ、じゃあこれで。で、用k」
「そっか〜じゃあ私もこれで!あのすみませーん!!」
くそ〜この人わざとか!?わざとなのか!?すみませんって口で言ってるけど、そこに店員さん呼ぶボタンあるからね!?俺はこの人を睨みつける。
「あ、はいこれ2つで、はい!お願いしまーす。……ん?何そんなに私を見て?もしかして…惚れちゃった?」
「んなわけないでしょ。雪ノ下さんがわざとやってるのかと思って睨んでただけです。」
「何わざとって?うーん?」
「いや、もういいですよ。」
「…?何かおかしな比企谷くんだね?あ!分かった!こんな美人なお姉さんとデートだから緊張してる?もうやだな〜そんなことなら早く言えば緊張ほぐしたのに〜」
「緊張なんてしてませんし、仮にしてても何されるかわからないんで絶対にほぐらせません。ってか早く用件を教えてください。早く済ませて帰りたいんで」
「あー…そのことなんだけど」
さっきまでにこにこしてたのが急に真顔になる。この人が本気顔になるとなにかしら良からぬことが来そうで怖い。でもこの人はいつもの仮面になってこう言ってきた。
「今日は早く帰してあげるのは無理だな〜♪」
「はい?それはなんでですか?」
「今日は比企谷くんに頼みがあって来たの」
「はぁ…」
陽乃さんから俺に頼みなんてめずらしい。でもどうせ良からぬことなんだろうけど……その予想は的中した。雪ノ下さんは笑顔でこう言ってくる。
「私と踊ってくれない?」
「は?」
「だから〜私と踊ってくれない?」
最初は何言ってるか分からなかったが段々思考が追いついてきた。この完璧超人が俺と踊ってくれと言っているのだ。なに?この人俺の体壊したいの?
と、思ってるうちに1つのトラウマが頭をよぎった
小学生のときの運動会
見せ物で学年で踊るはめになった…がその時…
俺と組んだ女子が一言…
「別に手を繋がなくたっていいよね」
それで俺は1人寂しく、はっちゃける曲を踊ったのだが…影で
「なにあれちょーきもい」
「ほんとそれ出来ればもう見たくないよね」
などと影でいろいろ言われるはめに…それ以来俺は踊る行事がある時は学校を休むなどして避けてきた…
くっ!思い出しただけで胸が締め付けられる…
「比企谷くん〜どーしたの?」
「あ、いや…なんでも…ありません」
と、悟られないように返したつもりだったがこの人には効かなかった。
「…昔なにかあった?」
なんでこの人わかっちゃうの?なに俺の心読んじゃったり出来るの?なにそれ怖い。…ってかこの人にはバレたくない…この人にバレたらまたそれでからかわれてしまうからだ。だが、それとは逆で陽乃さんはいつもとは違う…なんていうか…いつもとは違う仮面?でこう言ってきた。
「大丈夫だよ」
なにが大丈夫なのか分からない。が、いつもと違う笑顔をみて少し安心した。のもつかの間…
「お姉さんが比企谷くんを仕込んであげるから」
返して!俺の安心返して!なにその顔怖いよ!!絶対良からぬこと考えてるよこの人…
ふと顔を見ると一瞬でいつもの笑顔に戻っていた。勘違いか…
「で?踊ってくれる?」
「俺が嫌だと言っても逃がさないんでしょ、どうせ」
「あれ?良く分かってるね〜お姉さん感心しちゃった!」
「はぁ…で、いつ本番なんですか?」
「今日だよ?」
「え?」
「今日なの、だからなるべく早くダンススタジオに行って練習しないとね!」
「」
「比企谷くん〜?大丈夫〜?」
「あの…俺みたいなやつが半日くらいで振り付けを覚えられると思います?」
「大丈夫、大丈夫〜この私が教えるんだから簡単に覚えれるって!!」
なんでそんなに自信があるの?だいたい…
「だいたい…そういうことは、葉山とかのほうが適任でしょ」
「まぁ隼人のところにも連絡言ってると思うよ〜ってかさっきメールきたし。でもそれじゃあいつも通りでつまんないから比企谷くんを連れて行こうと思ったんだよ」
「…俺じゃ足手まといにしかなりませんよ」
「うん。知ってる」
うわ!直球!ストライクですよ。陽乃さん。
そう思ってるいると雪ノ下さんは俺の耳元でこう言ってきた。
「…私が比企谷くんと踊りたかった…じゃダメ?」
「はいはい分かりました。分かりましたから離れてください…あ、料理来ましたね」
「じゃあ!早く食べてダンススタジオにいこーー!!」
「はぁ…」
そして俺たちは食べ終わり、急いでダンススタジオに向かった。現在朝の8時。天気は晴れ。通行人は少なく、日曜なんだなと改めて思わされる。そんなことを思っているとダンススタジオがあるところについたらしい。陽乃さんがこっちだよ!っと言って案内してくれた
うおーー広い。こんなに鏡があるのか〜夜とか大丈夫かな?幽霊とかでないかな?
「なにキョロキョロしてるの〜比企谷くん」
「あ、いや、ちょっと…」
「私着替えてくるから比企谷くんも準備しててね!比企谷くんのジャージと靴はそこにあるから」
雪ノ下さんが着替えに行き、俺も準備しようとロッカーに行くと、
本当にそこには俺のサイズに合ったジャージと靴が置いてあった。なんで俺のサイズ知ってるの!?あの人ひと目みただけでサイズ分かっちゃうの?
そんなこと思っていると突然ドアがガチャっと空いた。
「あれ?比企谷?」
「は、葉山!?」
「あ、なるほど…だからあんなメールを…」
「あ?」
「あ、いやこっちの話だ」
「あ、そう…」
あーなんで休みの日にもこいつと顔合わせなきゃならんのか……
「で?なんで葉山がここに?」
「陽乃さんが…ちょっとね…」
「…そうか…」
まぁ陽乃さんが考えてることは分からないしな…
「おぉー!隼人もきたね〜」
着替え終わった雪ノ下さんが呑気にそう言って近づいてきた。
「陽乃さん、比企谷が来てるとは聞いてないけど」
「私と比企谷くんがイチャイチャしてるとこ見てもらおうと思って」
「あのー雪ノ下さん?そーゆうのやめてもらえます?」
「んー?そーゆうことって…どーゆうことかな?」
「うっ…だから…その…イチャイチャ…とか…」
後半は自分でも何言ってるか分からないほど声が小さくなってしまった。
「あはは!比企谷くんは可愛いね〜飽きないな〜」
「いや、こっちからしたらいい迷惑なんっすけど」
「さて!冗談はおいといて練習はじめますか!」
そういうと陽乃さんはストレッチを始めだした。
葉山はとなりでははっと苦笑いしている。
「比企谷、ストレッチの相手しよーか?」
「バカかお前は、だてにボッチをやってねーよ。」
「ははっそうだな」
さて、やりますか…
…………あれ?なんでほんとに葉山がいるんだ?ふと葉山を見ると陽乃さんと話していた。…その顔は困ったような顔をしていた。あの葉山でさえ雪ノ下さんの相手は苦労するらしい。まっ俺には関係ないけど。
ストレッチも終わりこれから本格的に振り付けの練習だ。
なるほど、葉山が来たのは俺に振り付けを教えるためか、葉山なら毎回踊らされているからある程度振り付けが分かるらしい。それにしてもこいつに教えられるのはなんか堪にさわるが、まぁせいぜい陽乃さんの足手まといにならないようにやらねーとな…
ふと陽乃さんの方を見ると…
「」
「でここをこーする…って比企谷きいてるのか?」
「あ、あぁすまん」
なぜ俺が思考を停止したのか…そう…それは陽乃さんがエロい、エロのだ!R18並に!!なにあの動き!?あんなんみたら世の男子が陽乃さんの虜になっちゃいますよ!
「ははっ陽乃さんを見てたのか?」
「はっはぁ?そ、そんなわけn」
「無理もないさ」
「え?」
「彼女は…陽乃さんは自分の魅せ方を知っている……それはいいことでもあるけど、悪いことでもあるんだ」
「………………」
確かに…陽乃さんはなんか…冷たい仮面を被っていると思う。俺も深くは知らないが雪ノ下が言うにはお偉いさんの前に出ることが多いから常に笑顔に振る舞わなければならないとのこと。
それにしても…今日踊る場所はどうゆうところなんすかね…そういえばなにも聞かされてない。が陽乃さんがあんなに真剣な顔で踊っているのだ。けっこう大きいイベントなのだろう。
「さぁ俺たちもやろーか」
「お、おう」
それから俺達の練習もまた始まった…
はぁ今日1日は長くなりそうだ…
やっぱり書くの難しいよ…
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比企谷八幡 ダンスを覚える
八幡side
練習を初めてから数時間たった。慣れない動きばかりで戸惑ったが、葉山が教えてくれたおかげでまぁまぁ踊れるようになった。なんだこいつ教えるの上手いな。これからも学校で勉強教えてもらおうかな。はっ!?なに俺は血迷ったこと…いかんいかん…
でもまぁ葉山のおかげでここまで踊れるようになったんだし一応…感謝…して…る……うん。なんか思ってて恥ずかしくなった。てか、陽乃さん教えてくれるんじゃなかったの?
「よし!比企谷、次はウェーブだ!」
「ウェーブ?なにそれ波?」
「ははっ波じゃないよ。まぁでも間違ってはいない。体を波のように動かすんだ」
「体を波のように…こうか?」
俺が腕をくにゃくにゃと動かしてみた。すると後ろで…陽乃さんが…
「ぶっ!!あはははは!!何それ!比企谷くん海藻?w」
「海藻って…ただ葉山が言った通り、体を波のように動かしてるだけですよ」
「ふっ…比企谷がやると何か面白いな」
おめーが言ったんだろ。
「なら…どんなんだよ?」
「うーん…これは多分陽乃さんのを見た方がいいな」
「雪ノ下さん?」
「あぁ!陽乃さん一度見せて…ってあれ?」
「あははははっ!!ひぃ〜!あははははは!!!もう最高!!」
「………………………」
あのー…陽乃さん?笑い過ぎじゃありません?
「あはははっ!ひぃ〜!ごめんね〜いや、ほんと面白かったから!あははは」
「そーですか」
「そんな不貞腐れないでよ〜」
誰のせいですか。
「ほらっやるからしっかり見ててね〜隼人曲お願い」
曲が流れだした。雪ノ下さんがカウントをとっている。
「いくよ!ワン、トゥー、スリー…」
「………………」
「あはっさすが陽乃さんだ」
いや、これさすがどころじゃないだろ。なにこの動き!?どこのストリップクラブ?…そしてエロい…つい見惚れてしまう…そのワガママボディをどうか俺nおっと危うく自我を忘れるとこだった。このウェーブという動きは女子をエロティックモンスターに変えてしまうらしい。それにやっているのは陽乃さんだ。美人だから余計見入ってしまう。
「これがウェーブだよ〜」
「葉山、これ俺がやる必要ねーだろ」
「それがそーにもいかないんだよ比企谷。二人のコンビネーションの最初の見せ場としてやらなくちゃいけない」
「……その…葉山はこれしたことがあるのか?」
「俺も動きはしたことあるけど、二人のコンビネーションはやったことがないよ」
「…つまり…」
「今回が初めてさ」
なにそれ!?俺運なさすぎ!獅子座の5位はどこいった!?え〜俺がこんな事しても絶対気持ち悪いだけだ。もう自分で言ってて悲しくなって来た。
すると陽乃さんが近づいてきた。そして俺の耳元で
「私も今回が初めてなの」
「!?」
「ふふっ」
いや、ふふっじゃねーよ。動揺しすぎて後ずさっちゃったわ。
「比企谷くんは可愛いな〜隼人にこんな事してもなーんも反応してくれないからつまらないの」
俺は葉山をみる。葉山は苦笑していた。
「んじゃーやり方教えるね〜まずはゆっくりするよ」
「あ…はい…」
こうしてしばらくウェーブの練習をして30分くらいたった。
…この動き…凄い腰にくる!なんでこんなこと陽乃さんは軽くできてしまうのか。
「よし!ちょっと休憩しよーか」
「ハァ…ハァ…分かりました」
「比企谷、大丈夫か?」
「あぁなんとかな」
「でも比企谷くん勘はいいね〜そのままだといい感じにできそう!」
「ハァハァ…そーですか」
おれは腰の痛みに耐えながら、水を飲むために、水が置いてある机に向かった。
水を飲んでいると葉山が近づいてきた。
「なんだよ…」
「いや…あんな陽乃さんを見るのは久々だからちょっと困惑してるんだ」
「…あんな雪ノ下さん?」
ふと陽乃さんを見ると鏡の前でずっと振り付けの確認をしている。その顔は真剣だ。よく体力が持つな…それにしてもあんな雪ノ下さんとは?
「気づかないか?比企谷」
「なにが…」
「楽しそうで生き生きしてるんだ」
「え」
「陽乃さんがほんとに楽しそうなんだ」
「そうか?俺にはこの後のイベントで失敗したくないから真剣に頑張ってるようにしか見えないんだが」
「確かにこの後のイベントは失敗は許されない。でも…」
「……?」
「…さぁ、比企谷もウェーブの練習もしながら振り付けの確認をしよう!」
「あ、あぁ…」
この後陽乃さんとのコンビネーションの確認をしたのだが…問題発生。それは…
「あの…この振り付け二人共近くないですか?」
「当たり前でしょー?テーマは『愛』なんだから。これくらい近くないと伝わらないよ」
いや、あの…いい香りがしてですね…そう…陽乃さんが近づいて来る度に甘い香水の香りが匂い立つ…やだ八幡動揺しちゃう!その心を読んでか陽乃さんは
「もしかして比企谷くん…こんなに私と近くて…動揺してる?」
と上目遣いで俺のことを見ながら、
陽乃さんは俺と密着し、俺の体の輪郭を指でなぞってくる。とてもこそばゆい……そしてなにより雪ノ下さんも汗をかいていて、見た目が若干艶めかしい…目いっぱい身体をのけぞらせても、さらに陽乃さんは近づいてくる。
「あっ…えぇ?その…」
「比企谷くんって結構いい体つきだよね…」
「あの…雪ノ…下…さん?」
「ぷっ!なーてね!!ほら!そんな動揺してないで早く合わせるよ!」
「は、はぁ…」
「あはは……」
陽乃さんはぷくっとほほ膨らませ練習に戻っていった。
また陽乃さんにからかわれたのだろう…と、雪ノ下さんを見るとその顔は若干赤くなっていたように見えた。やっぱり陽乃さんも疲れてるのだろう。
「…陽乃さんも…あんな顔するんだな…」
後ろで葉山が小言で何かいってたみたいだが、気にしなかった。
それからまた数時間、昼休憩も挟みつつ俺たちはずっと練習をしていた。俺も大分ウェーブが出来てきて陽乃さんに褒められるようになるまできていた。
こうなればあとは振り付けのおさらいなど完成度を上げていくだけだ。
そして、時刻は午後の5時。
「よーし!!完璧!!いい感じだよ!比企谷くん!」
「ハァ…ハァ…そーですか…それは…よかったです…」
「本番もこの感じで頑張ろうね!」
陽乃さんもやっと納得のいく演技ができたのか、ここで(練習の)終了のお知らせがきた。あ、八幡の終了じゃないよ?確かに足腰はやばいけど…
「比企谷、お疲れ様。いい感じに陽乃さんと愛し合っていたな」
「雪ノ下さんに愛されたらいろいろと怖いけどな」
「ちょっと比企谷くん?それはどうゆうことかな?」
「あっ!これには…とくに深い意味とか…はは」
ヤバイっ!あの冷たい笑みの陽乃さんはヤバイ。あ、それにしても…
「あ、あのー雪ノ下さん。今日はどんなところで何時から踊るんですか?」
「あれ?言ってなかったけ?」
いや、聞いてないっすけど…
「今日は『総武高校』の体育館のど真ん中で、20時から踊るんだよ」
「」
は?今…なんて?総武高校の…体育館!?そんなのあるって聞いてないんだけど…
「比企谷く〜ん大丈夫?」
「いや、何でそれを最初に言ってくれなかったんすか…」
「だって比企谷くん最初に言ったら逃げちゃうでしょ?」
うっ…否定はできない。
「因みに…それは学校関係者とか来るんですか?」
「当たり前じゃなーい!あ、だから静ちゃんも来るし、生徒会の人たちも来るし!もしかしたらギャラリーも来るかも!」
「ギ、ギャラリーとは?」
「うーん…雪乃ちゃんとかガハマちゃんとか?」
「」
終わった…俺の学校生活終わった…さよなら小町…お兄ちゃん学校卒業出来なかったよ…
すると陽乃さんは…あの朝見せたいつもと違う笑顔でこう言ってきた。
「大丈夫だよ。今の比企谷くんは凄く格好いいから自信もって?」
「かっ!?」
格好いいなど小町以外に言われたのなんて初めてで、例えからかわれているんだとしても、どんな反応をしていいか分からず、俺は戸惑ってしまった。…陽乃さんのあの笑顔は偽りなくとても柔らかい無邪気な女の子のような笑顔だった。
……こんな顔も出来るんですね…
「ははっそうだな!今の比企谷は格好いいな」
「……………」
こいつが言うと嫌味にしか聞こえないのだが。葉山よ。
俺は葉山の言葉は無視し、雪ノ下さんにこう訪ねた。
「で、今から3時間は?」
「んーーーとりあえず汗かいたから今から帰ってシャワー浴びてきなよ。私も浴びたいし」
「はい…それからは…」
「その後は総武校に集まって衣装あわせだね!」
それから俺たちは一度解散し家に帰ることに。うっ…足腰が痛い…このまま帰って寝たい…
そして家に帰りつくと小町が待っていた。
「お兄ちゃん大丈夫?顔が窶れてるよ?陽乃さんになんか言われた?」
「小町…俺はシャワー浴びたらまた出かけて来るから…留守番頼むな…パタッ」
「お兄ちゃん!?大丈夫!?なにが合ったの!?聞かせて?!?」
そして夕ご飯を食べながらカクカクシカジカ…
「おもしろそーう!!!!!お兄ちゃんー!小町も行ってもいい??」
「いや、ダメだ。お兄ちゃんのダンs」
「行ってもいい?」
はぁ説明するんじゃなかった…後悔先に立たず…
まぁダメって言っても来るんだろーから何もいわんけど…
「はぁ…お兄ちゃんかっこ悪いぞ?」
「いいよ!帰ってネタにするから!」
「おい!」
お兄ちゃんまたアイデンティティクライシスになっちゃうよ?いいの?
とそんな他愛のない会話をしていると携帯がなった。
あ、陽乃さんからだ。
【ひゃっはろーー!雪ノ下陽乃でーす!7時頃に総武高にきてね!衣装合わせだよ!★】
…毎回思うがこの黒い星はなに?まぁそれより7時か…今6時だから後1時間くらいか…パパっとシャワーを浴びてこよう…
「じゃあお兄ちゃんシャワー浴びてくるから。来るなら準備しとけよ」
「うん!!準備して待ってるねー!」
そしてシャワーを浴び小町と総武高へ…
そして、総武高につきキョロキョロしていると、
「こっちだよーーー!!!比企谷くーーん!」
と陽乃さんに呼ばれ、
「じゃぁお兄ちゃん!楽しみにしてるね!お兄ちゃんの変な踊り!」
ちょっと小町さん?変な踊りとはなんですか変な踊りとは
と、小町とそのまま別れ、陽乃さんのところに向かった。
陽乃さんの後について行き1年生の教室につくとそこには陽乃さんと葉山と……あと…知らない顔が何人か…
「比企谷くんここだよ!」
「やぁ比企谷」
「あの…この人たちは…」
「比企谷くんを〜もっと格好よくしてくれる人達だよ!」
「え」
「さっ時間がないから早く早く♪」
そして俺は化粧室とやらにされていた1年生の教室で、めっちゃ髪やら服やら着合わせさせられた。あ〜人に頭を触られると変な感じだ。…………え、こんな服、俺なんか来ても……え、あっ、アァァーー!!♂
「では、出来上がりです。比企谷様。ぜひ鏡を」
そう言われ鏡を見ると…
「え、だれ?」
「比企谷様でこざいます。」
嘘だろ!え、こんな変わるもんなのか!?え、えぇ!?
比企谷八幡、ついに整形疑惑か。チーン……
変わり過ぎた自分に驚愕していると隣から、
「とてもお似合いでございますよ。」
「あ、ど、どうも…」
とても恥ずかしくキョロキョロしてしまった。大丈夫かな?俺キモくないかな…
そこにいた自分はワックスで髪をあげ、衣装も黒いタキシードで決めていた。俺が俺じゃないみたいだ…
慣れない見た目で廊下を歩いている。こんな見た目で歩いているので周りの目線がくそ痛かった。なんか小声で言っている様な気がする…くっ気にするな比企谷八幡!どうせ気持ち悪いよね…あの人とか言ってるのだろう。あ、俺相当気にしてる。チーン…(2回目)
最後の確認の為に陽乃さんに会おうと探していると………
「ひ、ヒッキー?」
「ひ、比企…谷…くん?」
「…せん…ぱい?」
あぁ…今会ったら面倒くさくなりそうな方々と会ってしまった。
ありがとうございました。次は陽乃sideですね
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雪ノ下陽乃 人を信じだす
八幡side
俺は、最後の確認のために雪ノ下さんを探していた…はずだったんだけど…
「お前ら…なんでここに…」
「ヒッキーこそ…なんでここに?」
「お、俺は…雪ノ下さんの頼みで……ちょっとな…」
「そう…姉さんが…」
「ていうかー?せんぱいもはるさん先輩のダンス見に来たんですかー?」
ちょっといろはす?あざとい!近い!あざとい!
「にしては、格好がいつもと全然違うのね」
「どうしたのヒッキー…まさか…陽乃さんの頼みって…」
こいつほんと勘だけはいいよな。
「あ…いや…その…」
「比企谷くん。隠さないでいいわ。姉さんの頼みだからどうせろろくでもないことでしょうし」
「あ、あぁ…実は…一緒に踊らないかって誘われたんだよ…」
そして俺は今日あったことを簡潔に説明した。
「はぁ…また姉さんが…全く姉さんったら…その…比企谷くん?ごめんなさい…」
「いや別に雪ノ下が謝ることはないだろ。っていうか時間がない、雪ノ下さんを見なかったか?」
「陽乃さんー?いや見なかったよねー?ゆきのん」
「ええ。私たちは見てないわ。」
「あ、でもー、さっき屋上にはるさん先輩らしき人がいたって言うのはきいてます。」
「そうか…助かる一色!」
「!!なんですか、今日はいつもと違う格好だからって口説こうとしていましたか!?確かに今日のせんぱいは格好良くてさっきからきゅんきゅんしてますが、冷静になると目が腐ってるいるのでごめんなさいやっぱ無理です」
「あ?なんで俺はまた振られてんの?まぁいいやとりあえず俺は屋上に行ってくるわ」
「待ちなさい………私も行くわ…姉さんに話があるし…」
「…あぁわかった」
「ゆきのんわかった!私といろはちゃんはもう体育館にいくね!」
「えぇ、後で合流するわ」
「では先輩!どんなダンスするのか楽しみにしてますね!」
「おう、あまり期待するな」
「では行きましょう」 「あぁ」
こうして陽乃さんがいると思われる屋上へ向かった。
陽乃side
「………あ」
私は…気づいたら屋上に来ていた。今日は天気も晴れでよく星が見える。あと少しで本番だというのに全く緊張しない。今日もたくさんのお偉いさんたちがくる。失敗は許されない。なのにどこか安心感がある。どーしてだろう…
「あ、あの輝いてる星…」
そう、私。昨日勝手にあの星を私にした。だってあんなに輝いているんだもの。こっちの雪ノ下陽乃とは全然逆で…
「羨ましいな…」
あれ?また涙が、でてきちゃった。堅い檻に閉じ込められた私の未来は、いつ動くのだろう…そのことを考えるとやっぱり涙が頬を伝う。
……それにしても今日は楽しかったな〜。比企谷くんと練習出来て。比企谷くんのまえではどーしても私の仮面は外れてしまってるらしい。隼人の様子を見てると何となく勘付く。気をつけてるつもり…なんだけど…比企谷くんが可愛いからいけないんだよ?
っとその時、後ろの扉がガチャっとあいた。そこには息を切らしている比企谷くんと…私の妹雪乃ちゃんがいた。
「雪ノ下さ…!?」
「あれ?比企谷くん?」
「!姉さん…」
あら、私、涙拭うの忘れてた。この2人に…私が泣いているところを見られた……か………早く仮面を被らないとね、…そして私はまた仮面を被る。
「そんな涙流しながら笑顔向けられても…」
「え?」
「俺の勝手な偏見ですが、雪ノ下さんのイメージは、怖かった、です」
「怖かった?」
「ええ、完璧な外面も、見抜かれたら隠そうともしない苛烈な内面も、そして、その瞳の奥底に何か隠していそうな冷たい感じも…」
「…………」
「だからそんな雪ノ下さんが涙を流すなんて到底思いませんでした」
「やだな〜私だって人間だよ?涙くらい流すよ」
「私も比企谷くんと同じ…姉さんが到底泣くとは思えなかったわ、だってあの強い姉さんだもの」
「私は、強くなんてないよ…」
そう…私は強くなんてない……私は私(星)を見つめた。その時…
「えぇそのようですね。なんも強くもない。ただのか弱い女性だった」
!!…初めてだった。か弱い女性と言われたことが。人生で…初めて…
「その…家のこと…とかですか?その…悩んでるとか…そーゆうのなら俺n…いや、奉仕部を頼ってください」
「姉さん…私たちはいつでも…その…例えあの姉さんでも、困っている人がいるのなら私達は助けるわ」
2人とも……ふふっでも私は以外に負けず嫌いだよ?このまま弱いお姉さんを見せるのも癪だしね。私はいつもの仮面でこういった。
「雪乃ちゃん…それに比企谷くん…………比企谷くんが言う『本物』なんてきっとどうあがいたって手に入らないよ」
「なっ!?」
「…っさすが、姉さんだわ…」
…私は手を空に、届かないと分かっていても、伸ばし続けてこう言った。
「本物なんて、あるのかな…」
春の夜空が目いっぱいに広がる。風が心地よい。私のまだ流れている涙は止まることなく、頬をずっと伝っている。
私は誰よりも本物という存在を疑っている。それとは逆に本物という存在を誰よりも1番希求しているのかもしれない。
比企谷八幡…この子は雪乃ちゃんやガハマちゃんには勿体無いくらいだ。いっそ私が…なんて考えたりしてるときもある。私も女の子だし?いっそ雪乃ちゃんから奪っちゃう?
まぁ私を変な感じにしてくれちゃった2人に最初のお願いごとしてみようかな。
「ねぇ雪乃ちゃん、比企谷くん」
「はい?」「なにかしら」
「私から奉仕部に、お願い…」
そう言いながら私は私(星)に指を指す。
「あの星みえる?あの星は…私なの…あの私は…とても綺麗に輝いてる…」
「………」「…………」
「いつかこっちの私も…あっちの私(星)みたいに…輝きたい」
そして私は比企谷くんを見る…
「例えこの人生、ずっと暗い道で1人ぼっちでも、本当の私を見れなくても、ただただ輝いて…」
「それは違いますよ、雪ノ下さん」
「え?」
「俺達がいる、俺達があなたの心を暗闇の底から助けてみせる」
「えぇ…そうね…私達の問題もあるけれど、姉さんのことも必ず助けて見せるわ」
私はもう目の前が見えなくなるまで涙が溜まっていた。どうして気づかなかったのかなぁ……こんな近くにいるじゃん。あぁ良かった。私を助けてくれる人がいて、それがこれほど嬉しいことなんて…そして…私はもう1人ぼっちじゃないと思えた。
涙を拭いながら、私はこう言った。
「…ありがとう」
「……さ、行きましょう、姉さんの普段見れないとこも見れたことだし」
「あ、雪乃ちゃんそれを弱みにしてなにかする気だな〜?」
「当たり前でしょ?こんなめったに隙を見せない姉さんをネタにしてからかえるなんて夢のようだわ」
「雪ノ下ひでーな」
「あ、比企谷くーん?今何時?」
「えっと…今…げ!?8時1分だ!」
「え!?なにそれやばい!ほんとやばーい!!急いで体育館行かないと!!」
「はぁ…最初に屋上に来たのは誰かしら…」
私はこれまでの人生、人を信じたことなんてなかった…信じようともしなかったくせに助けてだなんてほんとに我儘だなと自分でも思った。でも、比企谷くんと雪乃ちゃんは……信じてみようかな。
なーんてね…。
堅く檻に閉じ込められた私の未来は少しずつ動きだしはじめていた。
書いてて思ったのだが、キャラクターを分析しないとほんと書くの難しいや(TT)もっと研究だな( ・∀・)
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比企谷八幡 初めての…
八幡side
雪ノ下と別れ、俺と陽乃さんは急いで体育館に向かった。現在8時5分…おいおい遅刻だぞ…
そして舞台裏につくとそこには葉山と、慌ただしいスタッフさん達が待っていた。
「ごめーん!!隼人」
「!陽乃さん!比企谷もなにしてたんだ?」
「ちょっとね?ねー比企谷くん!」
「なんでそこで俺に振るんですか」
「だって一緒にいたのは事実でしょ?」
まぁ事実だから否定はできない。むしろあの雪ノ下陽乃の涙を見てしまったまである。
…あの時…陽乃さんの涙を見たとき、驚きもしたが、それ以上に美しいと思ってしまった自分がいる。いや、こんな事本人の前では絶対言えねーけど。それでも、あの雪ノ下陽乃も涙を流し、ある星のように輝きたいと願っていた。これはあくまでも本当に輝きたいってことではないのだろう。なにか…こう、心の奥の…底から…昔失った本当の自分を出したいとか、そうゆうことではないのか…多分、知らんけど。
「さぁこっちだよ、ここで待機してて」
と葉山に言われるがまま、舞台袖へ。
「隼人、今の状況は?」
「陽乃さんたちが来ないから、校長先生や、市長さんが場を繋いでいるよ」
ちょっと待て、これって市長さんが来るほど大きいイベントなの?こんなイベントがあるなんて情報、俺全然知らないんだけど!これって俺がぼっちだから?はいぼっちだから情報が回って来なかったんですね。そのようですね。そりより緊張してきた…
と…1人、このイベントの偉大さに驚愕していると、葉山が
「じゃあ、俺ももう行くから、多分…5分後くらいにはスタッフさんが呼びに来ると思うよ」
といい、葉山はそこから立ち去っていった。そして俺は、さっきのこともあり陽乃さんが気になって隣をチラッとみると…陽乃さんも俺の視線に気づいたのか、陽乃さんはとても優しい笑みでこちらを見返してきた。
「比企谷くん、身体は大丈夫?」
「まぁ…そう、ですね…足と腰がちょっと筋肉痛に、なりかけてますね…」
そう言うと、陽乃さんは一歩、また一歩近づいてきた。そして…
「比企谷くん、今日は私の頼みをきいてくれて、ありがと」
「あ、いえ…」
「それと…さっきは俺がいるって言ってくれてありがとう」
「いや、俺がいる…というより俺達がいるって言ったんですよ」
「それでもだよ……私はずっと1人ぼっちだと思ってた…私を助けてくれようとしてくれる人なんて、いないって…そう思ってた。だから…」
そして陽乃さんは…今までに見たことない凄い無邪気な、そして凄い綺麗な笑顔で…こう言ってきた。
「ありがとう!」
「うっ…」
可愛い…陽乃さんが可愛い…あれ?陽乃さんってこんなんだっけ?俺の見間違いかな?あまりの緊張で俺は幻を見ているのではないか。そう錯覚するほど、陽乃さんの笑顔は表も裏もないとても素敵な笑顔だった。
「うーん?比企谷くん顔が赤いよ〜あ!もしかしてお姉さんに惚れちゃった?」
あながち間違ってないので言い返せないのが悔しい。あんな笑顔を見せられたら男は誰だってイチコロだ。先行1ターンキルですね。はい。
ん?あれ?
「でも…そういうあなただって顔赤いんじゃ!?…」
「そこに触れるのは厳禁よ?比企谷くん」
と言いながら、指で俺の唇を押さえてきた。そして…
「比企谷くん、もう1つ頼み事があるの。これは比企谷くんだけに」
「……頼み事?…俺だけに、ですか?」
「そう、比企谷くんだけに…いい?」
「え、えぇ…」
そしてさらに陽乃さんは顔を近づけてくる。そして冷たい笑みでこちらを見つめてくる。俺は思わず身体をのけぞってしまう。
「…私は誰よりも万能で誰よりも完璧な自分をだして、皆からさすが雪ノ下陽乃と言われるようにしてきた、本当の私を隠してね」
「そしていつしか、『本当の自分』さえもどんな感じだったか思い出せない。分からないの。私がどんな風に笑っていたとか、どんな風に泣いていたのか、とかね」
「全部嘘だったの、私が笑ってるとか…そんなことは…全部偽りの自分、だから…」
「だから比企谷くん、本当の私を…見つけてください」
なるほど、最初の推理はあながち間違ってなかったのか。彼女は『雪ノ下』の長女で生まれたが故に、いろんな嘘や欺瞞に包まれた空間へと足を踏み入れた。そこでは『弱い』自分を隠さないと、それを弱みにされ、なにをされるかわからない。だからこの人はいつしか誰よりも万能で、誰よりも完璧な自分を作り出した。それ以外の在り方を許されてはいなかったのだろう。それらのことがあったから彼女は人も信じれなくなった。それが今の雪ノ下陽乃だ。
「それが、頼み事…ですか」
「うん」
彼女は今までもずっとそう…強い自分をみせて、俺や雪ノ下、葉山などいろんな人を掌の上に乗せ、弄んでいるようにしてきた。しかし、彼女はそういう役回りでしか俺達や、いろんな人と関われなかったのだろう。でも心のどこか奥底ではそんなことをしなくても周りと関わりたいと思っていたのではないだろうか。そこは俺にも分からないが。
でも…少なくともさっきの笑顔…ありがとうと言ってきたあの笑顔は嘘なんかじゃないと思う。
「分かりました。引き受けますよ、その依頼」
「……ありがとう!」
ほら、やっぱりこの笑顔は本物だと俺は思う。彼女自身気づいてないのだろうか。だったら今出てますよって教えた方が良いのだろうか。
……きっとそれは違う。俺が、いや俺達が彼女がそうなれるきっかけを作り、例え今は無理でも彼女自身に気づいてもらうしかない。たとえ長い年月がかかろうとも。
「陽乃さーん!比企谷さん!そろそろ本番でーす。」
スタッフさんから声がかかった。さて…いっちょ踊ってきますか。
「比企谷くん頑張ろうね」
「えぇ、頑張りましょう」
「あ、そうだ…はいこれ!」
「メガネ、ですか?」
「これを掛けて舞台にあがりなよ」
「は、はぁ…分かりました」
まぁ目が腐ってると一色にも言われたし、少しでもこれで誤魔化せると助かるな。
…よし、行きますか。
そうして俺達は舞台に上がった。
葉山side
比企谷はすごい奴だ。陽乃さんをまさかあんな顔にさせるなんて、俺や雪乃ちゃんには到底無理だ…寧ろその逆で、陽乃さんがあんなふうになってしまったのに俺達二人は見てみぬ振りをしてしまった。
でも彼女も比企谷と出会って変わろうとしている。
凄いな君は…雪乃ちゃんはともかくそのお姉さんまで…
いつか…いつか俺も変われるといいな、皆の葉山隼人じゃない自分に…
「あら?隼人くんじゃないのね、陽乃と踊ってくれるのは」
席に着こうとした時に、不意にそう言われ後ろを見ると…
そう…そこには陽乃さんに冷たい仮面を作らせ、雪乃ちゃんを影で、愛想のない、可愛げがないなど言っていた『雪ノ下』の母がいた。…俺も影で何を言われてるか分からないな…
「えぇ、陽乃さんは彼を選びましたよ」
「彼?」
「えぇ、お見えにした事あると思いますが、」
そして、この人はステージを見る。その顔は冷たさを超えた笑顔だった。
「………彼にどんな価値があるのでしょうね」
「……………」
もうすぐダンスが始まる。比企谷たちは舞台の上で準備をしていた。頼む比企谷、失敗しないでくれ。この母親に目をつけられるとただじゃすまない。そう願いながら、俺は比企谷達を見守りつづけた。
八幡side
あと数秒で本番が始まる。最初の姿勢で待機し、曲が始まるのを待っていた。ちらっと陽乃さんを見るとその姿はとても美しく、絵になるような姿だった。白いドレスがとても似合っている。髪型もこのイベントに相応しい髪型だ。
にしても俺なんかがこんなところに立っていいのかよ。周りを見るとクラスの連中もチラホラいるな。くそ、明日また気持ち悪かったとか言われたらとても立ち直れないぞ。
会場が静寂に包まれる。曲が流れはじめた。陽乃さんが動き、俺も動く…
くっ!思った以上に足が限界らしい。頼む!曲が終わるまでもってくれ!
二人のコンビネーション、ウェーブも決まった。
会場からはおぉ〜などの歓声が聞こえるがそれは陽乃さんを見てのことだろう。
…さぁここからは二人の愛を表す振り付けが増えるため、陽乃さんと嫌でも近くなる。すると近くまできた陽乃さんが小声で喋りかけてきた。
「比企谷くん」
「なんですか」
「おもっきり愛し合うよ」
「えぇ…頑張ります…」
陽乃さんも真剣だ。
まぁこれで手を抜いたら後で陽乃さんに何を言われるかたまったもんじゃないので、今、この場だけは本気で陽乃さんを彼女と思って愛す『表現』をしようと思う。あくまで『表現』なので本気じゃない。ここ大事だな。
さぁ俺のテクニックで陽乃さんをめちゃくちゃにしてやるか。
会場は最初の歓声はどこにいったのか、すごい静かになっていた。え?やっぱり俺キモすぎたかな?キモすぎたんですか?俺。後で小町に聞こう。
もう曲の終盤。くっ!足が…重い…俺の足!頑張れ!!!最後はステップからのキスだ。これさえ終われば全て終わり!あ、本当にキスをするわけじゃないからね?本当だよ?
さぁ最後!キスをやるフリで……!!!?
……俺は今驚いて固まってしまっている。俺の唇に柔らかい感触が広がる…。冷静になれ八幡。……本来なら俺と陽乃さんはキスをしている最中なのだ。だが本当にするわけではないのだが…あれ?練習の時と違いますよ、陽乃さん。そう、俺と陽乃さんはキスをしていた。そして会場が暗闇に包まれる。
俺は小声で、
「な、何するんですか!?」
「どう?お姉さんのお味?」
「どうって……」
そんなの恥ずかしいに決まってるじゃないですか。
会場が暗転する。俺と陽乃さんは礼をし舞台を降りた。まだ陽乃さんの唇の感触がにわかに自分の唇に残っている。俺の初めての…
その時の前を歩いている陽乃さんの後ろ姿を直視することは、俺にはとても出来なかった。
キス!きす!!ここに鱚!
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雪ノ下陽乃 初めての…
比企谷たちはなにを踊っているのか、それはご想像にお任せいたします。あと心情、情景の説明は少なくしてます。イメージを膨らませてお読みください。(願望)
時は少し戻り雪乃side
私は本番を控えてる比企谷くん達と別れ、一般会場席にいると思う由比ヶ浜さん、一色さんと合流するために歩いていた。だけど人が多すぎて少し酔ったために、近くにあったベンチに座り少し休んでいた。
「ふぅ…」
早く行かないと由比ヶ浜さん達が心配してしまう。それに比企谷くんと姉さんのダンスも始まってしまう。
でも風が気持ち良い…もう少しだけ─
「あっ…」
ふと空を見上げると、そこにはさっき姉さんが「私」と言っていた星があった。
─…初めてだった。姉さんの涙を見たのは…
いつも冷たい表情で私をからかう姉さんの面影などは一切なく、そこに写っていたのは、涙を流しながらずっと星を見ている弱々しい姉さんだった。
正直私は、どう振る舞えばいいのか分からなかった。あんな姉さんを見たのは初めてだったから。
比企谷くんが奉仕部を頼ってと言わなかったら─私は昔と同じ過ちを繰り返すところだったのだろう。
「やっぱり駄目ね…私は─」
昔から何も変わらない。少しは成長したと思っていたのに、本質的なところは何も変わってなどいなかった。だから…
……そろそろ行きましょう、由比ヶ浜さん達が待っているから。
私は再び、会場席へ歩きだした。
一般会場席にはたくさんの人が来場している。この学校の教師や生徒、卒業生。そして特別席などには、この地域の企業の社長達やその秘書などたくさんの人がいる。当然、私の母もいる。
このイベントは表は祭りみたいなものだが、裏では大人達の醜い争いみたいなものがある。
そして私たち『雪ノ下』は特別席で、私は本来なら母さんの横で見なければいけないのだけれど、我儘を言い、なんとか由比ヶ浜さん達と見ることを許された。
由比ヶ浜さん達を探していると遠くから声が聞こえてきた。
「ゆきのーん!こっちだよ〜!」
声の方向に顔を向けると、由比ヶ浜さんが座って手を振っていた。そのとなりには一色さんではなく小町さんがいた。
やはり一色さんは生徒会関係者なのだから別の席なのかしら?
「雪乃さん!こんばんわです!」
「えぇ、こんばんわ」
「いろはちゃん、生徒会関係者なので別の席から見ますって!すごい落ち込んでたけどね」
「そう…それは残念ね」
「でももうすぐだね!ヒッキーのダンス!」
「そうね」
「小町もお兄ちゃんの踊ってる姿を見るのは久しぶりなんですよ〜」
「そーなの??楽しみだな〜ヒッキーのダンス」
「あまり期待しないほうがいいと思いますよ?昔、すごかったんですから!」
「え!どんな風に?」
「ものすご〜く!気持ち悪い動きでした〜!さすがの小町も少し引いちゃいました」
「身内にまで引かせるなんて…さすが比企谷くん、と言うべきかしら…」
しかし姉さんに仕込まれてるのなら、おそらくそこそこ踊れるようになっているはず…
昔の比企谷くんの話題で盛りがっていると会場が少し暗くなり観客の拍手とともに袖から比企谷くんと姉さんが舞台に上がってきた。
「あ、お兄ちゃん眼鏡かけてますね〜!」
「あ!ほんとだ!ゆきのん見える?」
「えぇ、見えるわ。大丈夫よ」
「うわぁー!!陽乃さん、ちょー綺麗ですね!」
「ゆきのんもあーゆうドレス、絶対似合うよ!」
「そ、そうかしら?」
ステージではメガネをかけた比企谷くんと白いドレスを着た姉さんが位置の調整をしていた。
「ねぇねぇゆきのん、あれ何してるの?」
「おそらく…広さの確認だと思うわ。練習をしていたところの広さと実際のステージの広さは違うのだから最後の位置の確認ね」
「へぇー、雪乃さん詳しいんですね!」
「昔、姉さんに聞いたのよ」
そう、昔から…
「…でもやっぱりヒッキー、メガネかけると大分印象違うね」
「そうね、あの比企谷くんが比企谷くんじゃないみたいだわ」
「お兄ちゃんは昔からそうなんですよ〜眼鏡をかけると格好良くなってしまうのです〜」
「まぁヒッキー、『目』以外は普通にいいもんね」
「そうね…『目』、以外はね」
「ですけど!これがまた不思議で、眼鏡をかけるとその『目』がいい感じになるのです!」
比企谷くんずっと眼鏡かけてれば…いやなんでもないわ。
…姉さんたちが位置について動かなくなった。曲を待っているのだろう。…姉さんが曲を待つその姿勢は相変わらず美しかった。
昔から変わらないその姿に私は見惚れていた。
そして曲が流れ出した。姉さんが動きだし、比企谷くんも動き出した。
─さすが姉さんだわ、動き1つ1つに無駄がない。姉さんは自分の魅せ方を知っている。こう動けば見てる人にはこう見える、というのを誰よりも熟知している。
─私は昔から見ていた─姉さんはダンスのイベントがある1週間前から前日にかけて、誰もいないところでずっと振り付けの練習していた。それは姉さんや、体の弱かった私のためじゃない。『雪ノ下』のため。『雪ノ下』という看板に泥を塗らないために、姉さんは必死に練習していた。今は1日もあれば振り付けは簡単に覚えれるみたいだけど。
今回のダンスも、完璧な仮面で、完璧に踊りきるつもりなのだろう。『雪ノ下』のために。
「姉さん…」
私は誰にも聞こえないよう小声で呟いた。さっきのあんな姉さんを見てしまったら、やっぱり姉さんは無理をしているのではないかと、さすがに私も心配してしまう。
私が姉さんのことで心配していると、隣は
「うわぁーー!あれ!お兄ちゃん!?お兄ちゃんなの!?」
「ヒッキーが……ヒッキーが格好いいよ!!ねぇみて!ゆきのん!」
「え、えぇ、見ているわ」
比企谷くんを見て驚いていた。確かにこれには私も驚いた。
あの比企谷くんが華麗なステップでキレ良く踊っていたから。さっき、小町さんから話を聞いて勝手に比企谷くんのダンスの印象を悪い方向で捉えてしまったが、瞬く間にその印象は崩れ落ちていった。
そしてその動きは、小町さんの話で聞いた気持ち悪い動きではなく、むしろその逆でプロのダンサーみたいで別人みたいだった。
姉さんが教え込むとたった1日でここまで上達するものなのね。さすが姉さんだわ。
「え、え、小町〜あんな格好いいお兄ちゃん知らないよ…」
と顔を赤くしながら言っている小町さん。それと…
「ヒッキー…ヒッキー…」
とずっと比企谷くんを呼んでいる由比ヶ浜さん……ちょっと怖いわ、
まぁ比企谷くんもあそこまで踊れたら上等。周りの観客も歓声をあげている。これで母さんも満足はするはず。
踊りもクライマックスにきているのだろう。そして私は気づいてしまった。ある違和感に─
姉さんの表情がいつもと違うの。さっきまではいつもの仮面を被った姉さんだった…だけど突然仮面が外れたようにみえた。比企谷くんと近くなりだした辺りから──
陽乃side
もうすぐ曲が始まる。私は最初の姿勢で待機していた。比企谷くんを横目でみる。うん。やっぱり眼鏡似合ってるよ。格好いい。
…………今日はいつもと違う。隣に比企谷くんがいる。なんか凄い安心してしまう。だけど気は抜けれない。『雪ノ下』のために完璧に踊りきらないと。お母さんは当然、お偉いさんたちも沢山みてる。ここで失敗したら『雪ノ下』の恥だもんね……私はまた偽りの仮面を被る──
曲が流れ始めた。私から始まるこの振り、比企谷くん付いてきてね。
──向こうにとある株式会社さんのお偉いさんが見える。一度御会いたことがある。歳は50代ぐらいだろうか。あの人は私の事、凄くいやらしい目で見てたっけ。なら…こうやって魅せてあげればこっちのもの。
次はあっちの人。あっちの人にはこうかな。ふふっもう何でも分かっちゃうよ。
次は比企谷くんがメインの振りだっけ。比企谷くん、足とか大丈夫かな?筋肉痛になりかけてるって言ってたよね。ちょっと心配。でもさすが比企谷くん、良く踊れてるよ。この動きならお母さんも満足かな?
丁度、振り付けも半分くらい。私も比企谷くんも今のところ失敗なく踊りつづけている。
私は踊りながらこんな事を考えていた。比企谷くんのことだ。
比企谷くんなら雪乃ちゃんを変えてくれるかもって思っていた。雪乃ちゃんのことを理解し、彼女の元へ踏み込んでくれる人が比企谷くんだといい、私はそう思っていた。その反面私はそれが羨ましかった。
けどさっき、比企谷くんは私の依頼を引き受けてくれた。すごく嬉しかった。私を助けてくれようとする人がいる、そう思ったから。それと同時に思ったことが1つ──彼は雪乃ちゃんには勿体無いなぁと。
このことは前々から少し思っていた。だから、比企谷くんは雪乃ちゃんのもの、と思い込んで考えないようにしていた。
けどもう、それは無理かも。やっぱり雪乃ちゃんには勿体無い。雪乃ちゃんが一歩踏み出す勇気が無いのなら、彼を私のものにしちゃおうかな…なんて。
けど彼は言う。本物がほしい、と
私は本物なんてないと思っている。おそらく目にしたって信じられない。本物なんて幻想があるから今の比企谷くん達3人みたいにいつまでたっても動きだせないの。
嘘、欺瞞、上辺だけの取り繕った関係、私は今までの人生で嫌と言うほど目にしてきた。それを仮に『偽物』とするのなら、その偽物があるからいつしか私に偽りの仮面ができてしまった。
そして私は偽りの仮面の中の本当の自分を見つけてほしいと彼に頼んだ。
本物があるかどうかなんて分からない。彼も分からないから本物がほしいと願い続けている。
私は……本物があるかどうか確かめるなら………比企谷くんがいい。……ううん、彼じゃないとダメ。
─うん決めた。比企谷くんを私の物にする。そして2人で本物があるのかどうか試し続けたい。んじゃその為には私を意識させないとね。よし。丁度今から2人の距離が近くなり愛し合う表現が多くなる。これを最大限に活かそう。まずは…
「比企谷くん」
「なんですか」
「おもいっきり愛し合うよ」
「えぇ…頑張ります…」
これで良し。比企谷くんは意外に責任感強いから、こう言っとけばおもいっきりきてくれる。
2人の表現が交差する。そして私は驚いた。比企谷くん意外に積極的!結構がっしり私の体を触ってきてくれる。練習でもここまでがっしりじゃなく、優しい感じだったのに!そして今の比企谷くん凄く格好良いから、これは不覚にもドキッとしてしまった。
私も負けてられない!おもいっきりいっちゃう!こんな感じの比企谷くんとかめったに見ないし、今のうちに堪能しとこ。
…楽しい…今凄く楽しいよ!比企谷くん。
最後はステップからのキスのフリ。
あーあ…もう終わりか〜、楽しい時間ってあっという間だな〜
…もう少し比企谷くんと愛し合いたかった。例えそれが愛し合う『表現』だとしても、こんな楽しい時間をくれた彼には凄く感謝してる。
今日1日、急なお願いだったのに引き受けてくれた比企谷くん。必死に振り付けを覚えようと、慣れない動きに体がガタガタになりながらも練習をしていた。今もおそらく限界なのだろう。なんかお礼しなくちゃね。
全く……君は……
………………そして気づいたら、私の唇は比企谷くんの唇に当たっていた。
あれ?キスする予定までは無かったんだけど……え、嘘…え?
私、ファーストキス…あげちゃった…
そして舞台が暗くなる。暗闇の中で比企谷くんの声が聞こえた。
「な、何するんですか!?」
キスはするつもりじゃなかった。でもまぁしちゃったものはしょうがない。比企谷くんも少しは私を意識するかもしれないし。
その手始めとして、と考えれば…
「どう?お姉さんのお味?」
「どうって…」
…伝わらないかもだけど私もドキドキしてるんだよ?今比企谷くんの手を私の胸に当てて確かめさせたい。それぐらい今の私の心臓の鼓動は激しかった。
照明が暗転した。私達は礼をし舞台を降りた。まだ比企谷くんとのキスの感触がにわかに残っている。
───私の初めての……
顔が熱くなっているのを感じる。まさかキスしちゃうなんて…大胆な私。比企谷くん嫌だったかな…嫌だったらどうしよう…
もうこんな気持ちじゃ、仮面も被れないよ。私今どんな顔してるんだろう…
比企谷くんが後ろを歩いている。私は、顔が赤いのを見られないように必死に髪で顔を隠しながら歩いていた。
陽乃さんは恋はしたことあるのでしょうか…(ーー;)
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葉山隼人 気になったあの顔
葉山side
俺は特別席で舞台の上で踊っている陽乃さんと比企谷を見ている。確かそろそろ愛し合う表現の振り付けだったかな。あそこはとても難しい。1つ間違えれば台無しだ。まぁ、陽乃さんに限ってそんなミスはしないだろう。まぁ問題があるとすれば比企谷だ。
だけど、比企谷も練習の疲れなんて嘘のようにキレッキレで踊っていた。心配しすぎなのかな?
練習の最初の頃なんて、キレなんて全然なく、動きはガタガタで全く見せられる物ではなかったのにな。
だけど比企谷は意外に飲み込みが早く、次から次へと振り付けを覚えてくれるから不覚にも俺も教えるのが楽しくなってしまった。
そして最終的には陽乃さんが教えたり修正したりしてどんどん完成度が上がっていった。そしてあそこまで見せれるものを作り上げた。
正直凄いよ…君は。
このままミスなく踊りきってくれたらそれでいい。
「あれ?」
そして俺は比企谷が練習の時とは違うことに気づいた。
比企谷のやつ…練習の時とは違い結構ガンガンいくな。なんか…勢いが違う…
俺は周りを見た。さっきまで歓声があったのに今じゃ誰一人声を発しない。
あはは…この会場の皆比企谷たちの踊りに釘付けなのだ。特に女子がね…
そのぐらい比企谷の踊りは凄く華麗だった。陽乃さんに全く劣っていなかった。むしろ陽乃さんより輝いて見える。
練習の時とは全く違う比企谷に驚きつつ、俺は1つ疑問に思ったことがあった。
陽乃さんだ。いつもの顔じゃない。遠くからであまりはっきりとは見えないが、いつも仮面をつけている陽乃さんの顔じゃないという事は分かった。その顔はまるで…
いや、もしかしたらあれも陽乃さんの演技か?それとも見間違い?
そう思っているとあっという間に最後の振りだ。
比企谷たちがキスをする。そして場が真っ暗になった。
拍手が飛び交う。舞台が暗転、陽乃さん達は礼をし、舞台を降りていった。
先程のは陽乃さんの演技なのか?
その真意が気になるため、このイベントが終わったら陽乃さんに聞いてみるとしよう。
***********
そしてイベントも終わり時刻は22時。イスなどの片付けを手伝っていると比企谷の姿が見えた。比企谷も片付けの手伝いをしているらしい。いろはあたりがやらせているのだろう。まぁ挨拶くらいしとくか。
「やぁ比企谷」
「げっ…」
「げっとは酷いな。俺はただお疲れ様と言いに来ただけだよ」
「おう…まぁ…お疲れ…」
「体大丈夫か?」
「おう、もう足と腰が限界だ」
「そうか、…陽乃さんのわがままに付き合ってくれてありがとう。帰って家でゆっくり休んでくれ」
「っ……そうするわ…」
ん?今陽乃さんの名前出したら一瞬比企谷が困惑したように見えた…気のせいか?若干顔が赤い気がするが─
まぁいい、きっと疲れているのだろう。早く比企谷には休んで貰おう。
「比企谷、ここらへんの片付けは生徒会も含め俺達に任せて比企谷は家に帰って休んだらどうだ?」
「そうしたいのは山々だが……一色がな…」
「いろはか…いろはには話しておくから先に帰れよ、疲れてるだろ?」
「……いいのか?」
「あぁ、任せてくれ」
「悪い、そのお言葉に甘えるわ」
「あぁ、また明日」
「おう」
そう言いながら、比企谷は疲れた表情で帰っていった。本当に疲れてるみたいだ。まぁ今日1日中踊ってるしな、無理もないか。
……さて、片付けるか。
****************************
イスを手に取り、収納場所を行ったり来たりしながら片付けをしていると、
「あら、隼人」
「陽乃さん?」
後ろを見ると普段着に着替えている陽乃さんの姿がそこにはあった。
だけど…
「挨拶回りはもういいのかい?」
「まぁね、あとはお母さんに任せちゃった」
「珍しいな、陽乃さんが最後まで回らないなんて」
「私だってたまにはそういう時もあるんだよ」
陽乃さんが最後まで挨拶回りをしないのは本当に珍しい。そして良く顔を見ると凄く眠そうな顔をしていた。
「陽乃さん、眠いのかい?」
「うーん?眠いのかな?眠そうに見える?」
これもまた珍しい。いつもは冷たい仮面を被っていてそんな表情なんて一切見せないのに。
…………久しぶり…かな?そんな表情を見たのは。
「ははっそんな表情見たのは久しぶりだよ」
「え、私、そんなに顔に出てる?」
「あぁ、出てる出てる。」
もうウトウトじゃないか……逆に自分で気づいてないのか?それはまた凄いけどな。
「あ、そうだ隼人、比企谷くん見てない?」
「比企谷?比企谷だったら…疲れてそうだったから先に帰らせたけど…」
「あー比企谷くん帰っちゃったのかー」
「比企谷に何か用事でもあったのかい?」
「ううん、別に。ただお礼でも言っとこうかなと思って」
なるほどお礼か。
…そういえば1つ、聞こうと思っていたことがあったんだった。
「陽乃さん、1つ聞いていいか?」
「うん?何?」
「後半のダンスの時の表情…あれは演技かい?」
これは聞いとかないとな。
「………………隼人はどっちだと思う?」
眠そうでウトウトな陽乃さんだったら聞き出せると思ったのに、そう簡単にはいかなかった。
「俺は…演技じゃないって思いたいな」
「あら、そう。まぁ比企谷くん、練習の時よりもガッツリ来たからちょっとドキってしちゃったかな!」
「そうだね。傍から見ててもわかったよ。」
「でしょーまったく本番の時にあんなにくるんなら練習の時もあんだけきてほしかった。…まぁそのおかけでドキドキしたわけで…」
後半何を言ってるか分からなかったが、まぁ陽乃さんも驚いていたらしい。
「…んじゃー比企谷くん居ないし、私そろそろ帰るね〜またねー隼人」
「あぁ、また」
凄く眠そうな顔をしながら陽乃さんはその場を去っていった。
さて、残りの片付けもやってしまうか…
……あ……いろはにはなんて言おうか……
*****************************
次の日 朝
「ハヤトく〜ん、昨日踊ってたのヒキタニくんだよね!?」
「あぁ、そうだな」
「まじで凄かったよな!比企谷の奴!」
「ヒキタニく〜ん普段運動できないフリして実は結構出来るやつ!?」
「あいつ面倒くさがりだからな!くそー!あいつ隠してやがったな〜!」
そう比企谷を絶賛している、戸部と大和と大岡。確かに普段の体育の授業では比企谷はあまり目立ってはいない。まぁ本人の性格上目立ちたくないのだろう。
そんな比企谷はさっき登校して来て…うんイヤホンして伏せて寝ていた。
すると、
「あーし、ヒキオがあそこまでできるやつとは思わなかったし」
「そうだね、ヒキタニくんがあそこまでやるなんて……これはこれは脳内BLプロフィールを大きく訂正しなければ〜ガハァ!」
「ちょっと!?海老名落ち着いて!」
と優美子と姫菜も昨日の比企谷を絶賛していた。まぁ無理もない、あんな格好いい比企谷を見たら誰だって凄いと思ってしまう。
周りを見るとほとんど比企谷の話ばかりだった。まぁ当の本人は聞こえないようにして寝てるけど。
まぁ少し比企谷の評判上げとくかな。
「ヒキタニくん、あの振り付け昨日の1日でマスターしたんだぞ」
「まじかっぺ!?ヒキタニく〜んパネェわ〜超パネェわ〜」
「隼人、なんで知ってるし?」
「昨日、比企谷の練習してる時、俺もいたんだよ。最初はガタガタでとても見せれる物じゃなかったけどね」
「ふーん、ヒキオ頑張ったんだ」
昨日の練習を思い出す。あんなガタガタだったのにあそこまでの完成度にした比企谷はやっぱり凄いとしか思えない。だけどウェーブのところなんて……ふっやばい笑えてきた。
「隼人、なんかニヤけてない?どーしたの?」
「あ、いやぁ、別になんでもないよ」
危ない危ない、いつもの葉山隼人でいないとな。まったく…ヒキタニくんのせいで崩れるところだった。
「それにしてももう一人の女性のほうも凄かったよね!」
「海老名それあーしも思った!凄い綺麗だったし」
と、いつもの自分を出すために落ちつこうとしていたら陽乃さんの話しになっていった。
「あの人凄かったよな〜なぁ戸部」
「あの人は美しさを超えて神だったっぺな…」
「ははっ陽乃さんが神か…まぁある意味そうかもな」
陽乃さんが神だったらどんな神になるのだろう。……まぁ確かに陽乃さんの本性を知らない人からみたら女神なのだろう。でも陽乃さんの本性を知ってる俺や比企谷、雪乃ちゃんから見たら、あの人は絶望神陽乃かもしれない…
なんだろう…絶望神って…我ながらよく分からないことを考えてしまった。
「いや〜昨日イベント見て良かったわ〜」
「そうだな大和〜俺まだあの興奮を忘れてないぜ」
「そうだね!私の脳内はあの格好いいヒキタニくんでいっぱいだよ〜これであとは隼人くんとリンクさせれば〜えへへへぁ」
「ちょっと海老名!鼻血!鼻血でてるし!!」
「うわぁ!それ結構でてなーい?まじぱなくなーい?」
「戸部!驚いてないでティッシュ!」
「Σ(゚Д゚)はい〜っ!」
「あはは…」
まぁ何はともあれイベントは成功でいいのかな。陽乃さんと比企谷の最初のダンスのおかげで盛り上がり、それからはスムーズにイベントが進み無事に終了。これで結構比企谷のイメージもあがるんじゃないかな?
そして時刻は朝のチャイムが鳴る5分前。
お、そろそろ結衣もくるころかな?
「皆〜!やっはろ〜!!」
結衣の声が教室中に響く。
結衣と少し昨日の話をした。
朝休みの終わりを告げるチャイムがなる。さぁ今日1日も授業を頑張ろう。廊下では遅刻しそうな生徒たちが走っていく。
俺はそんな生徒達を横目で見ながら、視界に入る比企谷をみてこう思っていた。
比企谷無理はするなよ、と。
次は雪ノ下陽乃の朝を書こう(゜゜)
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雪ノ下陽乃 あなたでいっぱい
モチベがあがらず結局この時期になってしまいました(ーー;)
今回は陽乃です。次回はあの子を書こうと思います^_^
陽乃side
ダンスも踊り終わり、比企谷くんとも別れ、化粧室でメイクを落としたり、これから挨拶周りにいくのでそれらしい格好に着替えている私。
だけれど今···どうしてもあの事が忘れられなかった。いや違う。ドキドキが止まらないと言ったほうが正解かな。ん?両方かな?もう良く分からない。
「はぁ···はぁ···」
さっきまで平静を装っていた私だけどもう無理かも。あの事を思い出すだけで顔が赤くなるのを感じ、胸が高鳴り苦しい。
あの事とはそう、あの一瞬のキスのことだ。本当に一瞬だけど、私にとっては大事なファーストキス。あれを思い出すだけでこのざまだ。
「キスをするつもりはなかったんだけどな···」
大胆過ぎるよ私。
でも!言い訳を言わせてもらえば比企谷くんがいけないのだ!
比企谷くんが格好よくて、優しくて、あと…練習の時とは違うくて?···いやいやそもそも、なに人のせいにしているんだ私のバカ。
あーバカバカバカァ!!なにキスしてるんだぁー!私!
「はぁ…ふぅ…」
少し落ち着こう。うん落ち着いて。よし落ち着いた。
落ち着いたところで何故キスをしちゃったのか理由を考える。
キスした理由は2つ···あるかも。
まず1つ目は······うーん。あの時の私は本当に踊ってた時間が楽しくて楽しくて。ずっとこの時間が続いたらいいな…ってそう心で思ってた。
そして2つ目····今日1日の比企谷くん。嫌々ながらも比企谷くんは一生懸命ダンスを練習してくれた。その姿を思いだすだけで凄く感謝の気持ちが湧いてきた。
「だから···キスしたの?」
鏡に映る私にそう聞いても、そこに映ってるのは顔を赤くしていて、よく分からない表情をした私だった。やっぱりまだ落ち着いてないのね私。
でもキスしてしまった理由は本当にそれだけ?
この私がたったそれだけの理由でキスをしたというの?
ううん、本当はもう分かってる。その2つもあるのだろうが、決定打になった理由はもう1つある。
─私だって輝きたい。あの私(星)のように─
その手始めとして最初の1歩を踏み出したかった。比企谷くんにキスをすることで何かが変わるとは私だって思ってない。
それでも何か、きっかけを作りたかった。
もしかしたら何か動くかもしれない、そんな予感がした。
あそこでキスをしなかったら何か逃げてしまう、そんな気もした。
頼るばかりじゃ私のプライドが許さない、そんなことも思った。
あの瞬間に色んなことを思ってた。自分でも良く分からないくらいに。でも···
─祈るほどもない小さなことだって手を伸ばさなきゃ捕まえられない─
私は手を伸ばそうとした。だから…
「キス······しちゃった···と?···」
そして私は天井を見つめながらさっきのダンスで何を思いながら踊っていたか思い返していた。
今日のダンス、最初はもちろんいつも通り『雪ノ下』のために踊っていた。そしてどっかのいやらしい社長さんや他の社長さん、会長さんに、私を魅せていた。そうすれば『雪ノ下』のためになるから。なにより母のためになるから···
···だけれど途中から···比企谷くんのことを考えていた。本物を求めてる比企谷くんのことを。
こんなこと初めてだ、踊ってる最中に『雪ノ下』を忘れて別のことを考えるなんて。後半なんて完全に『雪ノ下』のことなんて頭になかったんじゃないかな。あはは···どうしたのかな?私は。
んーじゃあその時の···『雪ノ下』を忘れていた私は…どんな私だったのだろう?あっちの私みたいに····輝けていたのかな······。
…でも仮面は外さずに踊ったはずだから、傍から見たら対して変わらないよね。たぶん!
あーーそれにしてもキスをしちゃったけど···比企谷くん顔合わせてくれるかな?彼のことだから恥ずかしがって私の方見ないんじゃないかな。それともただの悪戯なんじゃね?とか思ってそうだ。あの子は理性の化物だからね。………少しは私を意識してくれないかなー。
はぁ···私も次比企谷くんに会うときどんな顔して会えばいいのか分からないんだけど···まぁなんとかなるか。
「よしっ」
とりあえず、比企谷くんに私を意識してもらうために頑張らないとね。私は比企谷くんと、
─本物を探したいのだから─
自分の気持ちを整理しながら、
色んなことを考えていると結構時間が経ってしまった。そろそろ母のところにいって企業の社長さんなどに挨拶周りに行こう···
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
挨拶周りが少し落ちついたころ、椅子に座って母と少し休憩していた。こんな挨拶周り、これからの人生何百回、何千回もやって行くのかな。はぁ…まぁもうとっくに慣れたけど。
「陽乃」
「うん?なに?」
「今日のダンスのパートナーは···隼人くんじゃなかったのね」
···来た。この質問。まぁどっかで来るとは思ってたけどね。
「そうだよ。いつも通りじゃつまんないからね。私の知り合いの面白い子を連れてきたよ」
「···そう面白い子をね」
「!?」
そう母が言った瞬間、背中から寒気がスッと走った。その寒気がずっと続く···そして周りの物がカチカチと凍りついていく、そんな錯覚を起こさせるようなこの感じ···
···母をみる。その顔は他の人からみたら優しい笑みなのだろう。だけど私から見るその笑みは、氷点下並の冷た過ぎる笑みなのだ。
─母は昔からそう。自分の思い通りにいかないと、こうゆう笑みを浮かべる。それが昔から怖い。とてつもなく─
ただそれは一瞬で、そこには少し残念そうにした母の顔があった。
「まぁ今回は私が悪いのよね、メールで曖昧な文を送ってしまったわ。陽乃なら分かってくれると思ったけれど」
「あ、あの···や、やっぱり隼人の方が良かった···かな?」
「まぁ···そうね。あの子…名前何だったかしら?雪乃のお友達よね?」
「そうだよ、名前は比企谷くんって言うの。」
「そう。比企谷君ね、覚えておくわ。···それにしても陽乃、私の間違いじゃなければいいのだけれど」
「ん?」
「陽乃は···その比企谷君のこと、好きなのかしら?」
「ぇ…え?ど、どうして?」
え、え、やばい。母に比企谷くんとキスしたことがばれてしまったのか。もしばれていたのなら大変なことになってしまう。
「ダンスの時の表情······あんな陽乃の顔を私は見たことがなくてね」
「そ、そうなんだ···で、でもあれは演技だよ?お母さん」
「···········そうよね、私の考え過ぎだったかしらふふっ」
よ、良かった…キスのことはばれてないみたい。にしても···私の仮面は外れてしまってたの?やっぱり比企谷くんの前だと自覚なしで外れちゃうのかな···うーんよろしくない。何もない時ならまだしもこういう大事な時に外れちゃうと困る。
それに比企谷くんに好意があると言う事がバレてしまうと、早めにお見合いをさせられて無理矢理相手を決められるかもしれないし。そんなことは絶対にお断りしたい。
「陽乃、1つ言っておくわ」
「なに?」
「陽乃が誰と関わろうがそんなことは私には関係ないけれど、あなたは『雪ノ下』の長女なのだから、これからも『雪ノ下』の名に恥じぬ行いをしていくのよ」
要するに、あなたは『雪ノ下』なんだから、今回みたいに比企谷君じゃなくもっと相応しい人を連れてこい、と?何言ってるのお母さん。比企谷くんだって十分格好良かったじゃん。
と思った瞬間。
「まぁ今回は彼も中々良くやったわ。先程の社長さんにもお褒めのお言葉を頂いたものね、ふふっ」
とさっきの冷たい笑顔じゃなくとても優しい笑みでこちらを見てくる。
あれ?お母さんデレた?お母さんってツンデレだったっけ?ま、まぁ確かにさっきの女社長さんは凄い大喜びなさっていた。
······にしても良かった。母も少しは納得してくれたみたい。
正直言うと今日は不安もあったのだ。比企谷くんで大丈夫かな?とね、でも比企谷くんならきっと期待に応えてくれると信じてた。まぁしっかり応えてくれました。さっすが!比企谷くん!
「さて、そろそろ行きましょうか」
「そうだね。よいしょ···つ!?、、」
「あら?どうしたの?陽乃」
「いやーちょっと足痛めちゃってたみたい···」
「あら、そう。なら後はお母さんに任せて陽乃は先に帰りなさい。」
「え、いいの?でも···」
「いいのよ。あと3件くらいだし。陽乃にはいつも苦労をかけてるから」
「…分かった。ありがとう」
そして母は軽く手を振りまた挨拶周りに戻っていった。
···珍しい。母があんなこと言うなんて。昔なら足を痛めててもついてこいって言ってたはず。今日は機嫌が良かったのかな?
ふぅ···それにしても、ここに来てまさかの足痛めちゃってることが発覚。私としたことが。うーん足首当たりかなー···体重をかけると痛くなる。くぅ〜これなら痛みを認識しないままが良かった。一度痛いなと認識しちゃうとそれからは意識しちゃってずっと痛くなるのよね。んーあれ〜いつ痛めたのだろうか私。全然気づかなかった···
まぁ痛いけど、歩く分には問題ない。
仕方がない。比企谷くんにお礼を言って今日は帰ろうかな。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
時刻は22時過ぎ。
イベントはもう終了していた。色んな人が片付けや挨拶をしている。私服に着替えた私は、比企谷くんを探すために色んな箇所を歩き回った。が、それがなかなか見つからない。あれ〜どこに行ったのかな?まさか影の薄さを利用して隠れているんじゃないわよね?もしかしてあの後輩ちゃんといちゃいちゃとかー!ってんなわけないか。比企谷くんだもんな〜。
んーー···あとは体育館だけか。ちょっと覗いて見よ。
体育館に入るとそこでは撤収作業が行われていた。その中に知った顔がチラホラ···お、あそこにいるのは···よしよし····話しかけてみよう!
「お疲れ様〜静ちゃん!」
「ん?なんだ陽乃か。てかその呼び方やめろ…」
「いいじゃ〜ん。そんな細かいこと」
「はぁ···で?なんか用か?」
「まぁ何か用かと言われると特にないんだけど〜。ん…あ!そうだ!聞きたいことがあったんだ」
「ん、なんだね聞きたいこととは」
「比企谷くん見なかった?」
「比企谷?いや〜みてないな」
「ふーんそっか」
何だ静ちゃんも知らないのか。残念。
「比企谷に何か用かね?」
「まぁ比企谷くんに今日のお礼を言おうとおもってね」
「ほーそうか、それにしても陽乃···なんだかもの凄く眠そうだな」
「え?そう?」
「ハハッそんな陽乃をみたいのは初めてだ!こりゃ愉快愉快!」
「ちょっと静ちゃん!!バカにしてるでしょー」
「してないしてない。ちょっと驚いただけだ。君が人前でそんな表情をするとはな。良い傾向だ。早く比企谷に礼を言って帰って寝たほうがいいんじゃないか?」
私どんな顔してるの···さっき鏡みたけど全然普通だったじゃん。普通だったよね?
「そうか···陽乃も変わりだしたか···」
「え?」
静ちゃんが何か言ったようだったが聞こえなかった。
「いや、なんでもない。しかしあれだ、陽乃自身気づいてるかもしれないが、君は比企谷の前だと素になっていることの方が多いな」
「····そう··そうだね···そうなのだよ〜···でないようにしてたつもりだったんだけど、でちゃったみたいなのよね〜比企谷くん可愛いから。んー静ちゃんにもばれてたか〜やるやる〜」
「当たり前だ。お前と何年付きあってると思ってるんだ」
「んじゃーさっきのダンスの表情はどっちだと思う?」
「うむ。そうだな···演技2割素が8割ってところか」
「そんなにでちゃってたか」
「まぁ私もあんな陽乃の顔を見たのは初めてだったんで驚いたよ。にしても···舞台から退場する時···顔が、赤かったように見えたが···何かあったのか?」
「!ん、んー?な、何もないよー?」
なんでそこも見ちゃってるのこの人。必死に隠してたのに、見えちゃってたの!?恥ずかしい。
「はぁ·····ねぇまた今度二人で飲みに行こうよ、『積もる話』いっぱいあるし」
「·······そうだな、今度飲みに行くか」
「うんじゃーね〜静ちゃん」
「あぁ···そしてその呼び方やめたまえ」
静ちゃんと別れ、再び体育館の中で比企谷くんを探すこと三千テチテチ。
うーん中々いないな〜ほんとどこに行ったんだろう···それにしても確かに私眠いのかもしれない。少し瞼が重いかも……
そしてネムネムテチテチ歩いていると···
「あら、隼人」
「陽乃さん?」
そこには椅子をせっせこ運んでいる隼人の姿があった。丁度いいや、比企谷くんがいる場所知ってるかも。
「挨拶回りはもういいのかい?」
「まぁね、あとはお母さんに任せちゃった」
「珍しいな、陽乃さんが最後まで回らないなんて」
「私だってたまにはそうゆう時もあるんだよ」
言えない、足痛めてお母さんに気を使ってもらったなんて言えない。なんか隼人に言うのは恥ずかしい。
「陽乃さん、眠いのかい?」
「うーん?眠いのかな?眠そうに見える?」
やっぱり私は眠そうに見えるらしい。さっき静ちゃんにも言われたけど···
「ははっそんな表情をみたのは久しぶりだよ」
「え、私、そんなに顔に出てる?」
「あぁ、出てる出てる。」
確かに瞼は重いけどそんなに顔にでてるのかな〜?
それにしても隼人に笑われるのはなんか悔しい。さっさと話題を変えよう。
そういえば聞きたいことがあるんだった。
「あ、そうだ隼人、比企谷くん見てない?」
「比企谷?比企谷だったら···疲れてそうだったから先に帰らせたけど···」
「あー比企谷くん帰っちゃったのかー」
そっか…帰っちゃったのか。今日のお礼言いたかったけど…しょうがないか。
「比企谷に何か用事でもあったのかい?」
「ううん、別に。ただお礼でも言っとこうかなと思って」
んーまぁ目的のことは聞いたしそろそろ帰ろうかな。比企谷くんも帰ったならここに長居する必要もないしね。そろそろ行こう。
と思った瞬間。
「陽乃さん、1つ聞いていいか?」
ふーん…隼人が私に聞きたいことね···まぁ大まか予想つくけど。
「うん?何?」
「後半のダンスの時の表情、あれは演技かい?」
やっぱりか。まぁそんなことだろうと思った。隼人はこういうことは意外と敏感なのよね〜。やれやれなんと答えるか……うーん。
「··················隼人はどっちだと思う?」
と質問を質問で返してみた。まぁ私自身どんな表情をしてたか覚えてないし、ましてや仮面被ってたつもりだったのに静ちゃん曰く、素のほうが出ていたとのことだ。でも色んな意見聞きたいし丁度いいや。
「俺は···演技じゃないって思いたいな」
まぁでも、隼人ならこう言うか。
「あら、そう。まぁ比企谷くん、練習の時よりもガッツリ来たからちょっとドキッてしちゃったかな!」
「そうだね。傍から見ててもわかったよ」
「でしょーまったく本番の時にあんなにくるんなら練習の時もあんだけきてほしかった。···まぁそのおかげでドキドキしたわけで···」
····はっ!?危ない!隼人の前で何言ってんだろうわたし。あー思い出しちゃったみたいなのか顔が赤くなっていくのを感じ、少しドキドキしてきた。う〜早く帰ろう……
「···んじゃー比企谷くん居ないし、私そろそろ帰るね〜またねー隼人」
「あぁ、また」
隼人に表情を読まれないようにその場を足早に去った私。はぁ…なんか私らしくないかも。情けない。無意識とは言え自分からキスしておいて、ちょっと思い出しただけでこんなにも取り乱すなんて。
自分でも疑問に思ってしまう。
雪ノ下陽乃って人間はこんなにも弱かったの?
でもそれが分かってちょっぴり嬉しい私もいた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
時刻はもうすぐ23時。
しばらくしたら都筑が迎えにくるはずなので待機しようと少し落ち着いた私は校門へと向かった。
そして校門につくと、そこには···私がずっと探していた彼が壁に寄りかかり空を見ながらボーっと突っ立っていた。
「およよ?比企谷くん?」
「あ、ど、どうも···お疲れ様です…」
「お疲れ様。隼人から比企谷くんは帰ったって聞いたから帰っちゃったのかと思った」
「まぁ···はい···帰ろうとしてましたね···小町と」
「まったく、一言声かけてくれても良かったのに」
「ま、まぁかけようと思ってたんすけど···その··か···顔··合わせずらかったというか···なんというか···」
と、顔を逸した。
…やっぱり比企谷くんも恥ずかしかったんだね。
「そ、そう。まぁ私も恥ずかしかったからおあいこだね」
「···そうですか」
「·····」 「·····」
お互い無言になってしまった。気まずい···
その気まずさに我慢ならず私は比企谷くんに近づきこんな事を言った。
「比企谷くん面白い話してよ」
「········ハァ···」
相変わらず超嫌そうなリアクション···ふふっあはは!やっぱ最高!!
「···口元ニヤけてますよ··」
「ふふっごめんごめん。比企谷くんが可愛いからいけないんだー」
「フッ···なんすかそれ」
と比企谷くんもクスリと笑う。やっぱり楽しいな〜ふふっ。
···そして一息ついて、
私は伝えたかった言葉を伝える。
「今日はありがとうね。比企谷くん」
「本当ですよもう足腰痛いですどうしてくれるんですか。明日学校で体育あるんですよ?痛みで動けまんよ」
「むむ。その返事はお姉さん感心しませんな〜」
「いや、本当のことなので···」
まぁ急な頼みで踊らせて、普段使わない筋肉とか使ったから痛いんだろうな〜。こりゃ明日来ますね(経験済み)
「あ、でも……」
「ん?」
と心配そうにチラチラ足元をみてくる比企谷くん···もしかして···
「雪ノ下さんも足大丈夫ですか?途中···足ひねってたでしょ」
気づいてたか。
「あはは··バレちゃってたか···足痛いの」
「まぁ···あんだけ近くで踊ってて、一瞬ですけど体勢くずされてたんで、もしかしたらと····」
ふむふむ踊ってる時に体勢を崩して足をひねってたのか···気づかなかった。それよりも比企谷くんが私のミスに気づくなんて···
「普通プロでもないかぎり素人は踊ってる最中は自分のことに精一杯で他人のことなんて意識できないもんなんだよね〜」
「安心してください。素人の俺は自分のことで精一杯だったので何もしてませんよ」
「そこは支えてくれても良かったんだよ?比企谷くん」
と言いながらでこピンしてあげた。
「いてっ······いや··あなた···そもそもそんな事望んでないでしょう」
そうだ。もし比企谷くんがそんなことをしたら雪ノ下陽乃がミスをしたと騒がれ『雪ノ下』の評判が落ちてしまう。支えてもらっていたらそれは···余計なお世話。
絶対にミスをするな、ミスしてもばれないように工夫しろ···昔、父からそう言われた。完璧を求められた。そして私にはそれが出来てしまった。例えミスをしたとしてもそれを瞬時に隠せるようにまでなった。でも、ついに私自身が気付かなくなるなんて笑える話だ。
「ふふっそうだね。やっぱり比企谷くんは何でも分かっちゃうんだね」
「····たまたま勘が当たっただけですよ··」
目を逸してそっぽを向く比企谷くん。
そういうところはとても愛らしい。私は比企谷くんに近づき耳元で···
「そうゆうことにしといてあげる」と告げた。
「ぐっ·····」
そしてその反応も可愛いからまたいじめたくなっちゃうのだ。これはまさに私にとって正の連鎖だ。
そして私はある事を思いついた。
「そうだ!!ねぇねぇ比企谷くん。近いうちに今日の打ち上げしようよ」
「···はい?打ち上げ?」
「そうそう打ち上げ!」
「···え、2人でですか?」
と聞いてくる比企谷くん。ちょー嫌そうな顔がまた面白い。
「うーんそうだね···今回は隼人も手伝ってくれたから隼人もいれて3人なんてどう?」
「えぇ····あいつも···」
「うん?···もしかして、二人きりが良かった……とか?」
「あ、3人で結構です」
「んもぅ··つれないな〜」
「いやぁもう勘弁してください···」
「んじゃー隼人には連絡しておくから日程決まったら連絡するね」
「はぁ···分かりましたよ···」
比企谷くんを誘えたところで、黒塗りの車が門の前で停車した。
都筑が迎えに来たようだ。んじゃー私は帰ろうかな。
「ん、迎えが来たようだし、私いくね。またね〜比企谷くん。」
そして車に向かって歩きだそうとした瞬間。
「は、陽乃さん」
比企谷くんに呼び止められた。それも名前呼びで。あんな意地でも呼ばなかった子が。
「うん?どうしたの?」
「あ、あの····ふぅ··」
そして何か決心をしたような顔で私を見てくる。
「俺のそばでは凄く輝いてますよ、陽乃さんは」
「えっ?」
「これだけ伝えたかっただけです。ちょっと小町の様子見てきますんで、では。」
と足早にその場を去って行った。ちらっと見えたその顔は少し赤い気がした。
「········ずるいなぁ··君は」
そんなこと言われたら·····余計……
私のこの高鳴る胸。
トクン、トクン…
1回1回響く度に
私の気持ちはあなたでいっぱいになっていくような気がするよ…
─比企谷くん─
もうほぼ設定を忘れていますのでミスはごめんなさい(TOT)
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??? 思いが強くなっていく
『』←は過去の言葉です(TдT)
時は戻り???side
···私は···今何をやっているのだろう。頭が働かない。ここはどこ?教室?いや、教室しかないでしょ···でも暗くてよく見えない。
「電気つけなきゃ…」
真っ暗闇の中、スイッチがありそうな辺りを手で探す。
カチッ
「ふぅ···」
電気がつき、明るくなった辺りを見回し、いつの間にか手に持っていた鍵を机において、やはり教室だったと認識。
私は一息ついて窓側の机に座った。少し深呼吸しよう。
スゥー…ハァー…
少し落ち着いた。
時計をチラッと見るともう20時半過ぎだ。
20時半………確か私には何かやることがあったはずなんだけど…
なんだっけ?そもそも何で私は···ここにいるの?
確か先輩と陽乃先輩のダンスを見てたはず····
····ダンス?···ダンスを見てた?···そ、そうだ私はダンスを見てたんだ。
「あぁ…凄かったな〜」
二人のダンスはもの凄く魅力的だった。感動して少し涙も零した。……その位二人のパフォーマンスに目を惹かれた。
─そしていつもと違う先輩に心を奪われていた─
「やっぱり私、どうしちゃったのかな…」
ずっと前から考えていた。‥私は·····私、一色いろはは葉山先輩が好きだった。
だけど…とある日の放課後の、先輩の『ある一言』に影響され、ディスティニーランドで、駄目だと分かっていたのに告白し、予想通り振られてしまった。
そして電車の中で先輩に、振られたことは布石で、次を有効に進めるためと、泣きながら告白して、振られて傷ついた私の心を自分で鼓舞するような感じであの電車の中で話していたつもりで、あの時は本当にリベンジするつもりだったのだ。
だったんだけど…それから今に至るまで、私は…
─私を変えた先輩も気になっていた─
最初はほんの少しだけ。でも少しずつ、少しずつ大きくなってくこの気持ち。そして今は···
···先輩のことを考えるだけで胸が締め付けられる。
···先輩とお話するだけで胸が高鳴る。
···先輩を見ているだけで心が暖かくなる。
··やっぱりこれって···
「私は···先輩が好き?」
···これはそうかな?…やっぱりそうなんだよね……私は先輩が好きなんだ·····好きなんだよね、私はあの人が…
そう、好き。大好き、大大大好き。
そう、だから…····だからだからだから!
「だからっ!!!······くっ…ぅっ…」
─だからあの光景が受け入れられなかった─
先輩と、陽乃先輩がキスをしていたことが……
見たくて見たわけじゃない、たまたま座った生徒会専用の席からたまたま·····
そして私は鳥目じゃないから、一瞬暗くなろうが暗闇は結構見える。
だから見えてしまったのだ。
ダンスの最後、おそらくキスをする振り付け的なやつだったのだろう。でもあれは絶対キスをしていた。
その証拠に舞台を降りる時の先輩の顔が赤かったし、陽乃先輩の頬も髪で隠れて分かりにくかったけど赤みを帯びていた。
確かに異性の顔が近くに来ると私だって恥ずかしいし顔も赤くなると思うけど、あの先輩の照れ方、顔の赤さは遠目ながら異常だと感じた。
だからキスをしたんだと確信した。
それを見て確信した瞬間から記憶がない。
きっとかなりのショックで現実を受け止められずに走ってここまで来たのだろう。
それをものがたるかのように窓ガラス越しに見える私の目からは涙が零れていた。そしてこの表情は…
「···私は本当に…先輩のこと大好きなんだね···」
さっき先輩のことが好きと認識したばかりだけどここに映る私をみると再認識せざるを得ない、自分でも引いちゃう何とも言えないこの表情には。
「はぁ……」
にしても···
そもそも何で二人はキスをしていた?
確かに陽乃先輩は先輩がお気に入りだったのは知ってるけど、キスするほどまで深い付き合いじゃなかったはず…それともほんとに
付き合ってるから?
いや違う。あの先輩の照れ方だとおそらく初めてのキスだ。
·················陽乃先輩のアピールか!
そうだ、絶対そうだ。陽乃先輩は先輩のことが好きになったんだ。いや元々好きだったけど雪乃先輩に譲ろうとしてたけど、何かのきっかけで先輩を好きになった。だから先輩に意識してもらおうとキスをした?とか…うーん、だんだん自信なくなってきたけど···それかやっぱり、他にも理由が……
あれから色々推理したが明確な答えはでなかった。それよりも別の考えが浮かんだからだ。
そう、
今からでも間に合うだろうかと…
だってキスまでしてるんだよ??そんなのもう先輩は陽乃先輩にメロメロかもしれない。
·······もう手遅れなのかな……うぅ〜私はどうしたらいいのだろう?
もう·····諦めるべき?
考えれば考えていくほどさっきのキスシーンがフラッシュバックして不安が積み重なっていく。いやでも…
「私だって…」
取り敢えず今は先輩とたくさんお話したい。
そして先輩にいっぱい誉めてもらいたい。先輩の笑う姿をいっぱい見たい。先輩と手と手を繋ぎたい。そしてそして····
そしていつか… 私も……
ふと窓に映る私をみると、なんと人差し指を唇に当ててる私がいた!
「ひぃーーー!」
流石にこれは引くわーなんて思いながら急いで窓を開け自分が見えないようにした。···でもやっぱりあの人と……キ、キス?をしたい自分もいるみたい、、あー何だか変な気持ち。うぅ…そしてちょっと恥ずかしいし…
そんなことを思いながら行き交う人達をぼーっと眺めてると……はっ!と、そろそろ戻らなきゃと思って慌てて窓をしめて行こうとした時、ふと空が見えた。そして…
「うわぁ…」
思わず口からうわぁと出てしまった。
それくらい今日はとても星が綺麗だった。特にあの星は凄く輝いてる。
「綺麗だなぁ……あの星…」
1つだけとても輝いてるあの星はまるで今日のダンスの陽乃先輩みたいだと思った。何故ならとても綺麗で……
「寂しそう…」
·····ん?寂しそう?なんでそんな言葉が出たんだろう?陽乃先輩が寂しそうってこと?いやいやあの陽乃先輩が?うーん良く分からないや。あ!時間がやばい!!
早く戻らねば副会長に怒られる。
取り敢えず急いで机の上にある鍵を手に取って、教室をでた。
「急いで戻らなきゃ!」
泣いてる暇なんてない。陽乃先輩に一歩先を行かれただけだ。先輩のことが大好きだと認識したなら私もどんどんアピールしなきゃ。次に進まないと。
見ててくださいね。陽乃先輩。あなたには絶対負けません。そしてあの二人にも···
「わ、私だって…キ、キスくらいできるもん!」
そんなことを呟きながらこの教室の鍵を締めた。
結構落ち着いたのでやることも思い出しました。そしてこれから先輩に対してやることもたくさん思いつきました。だから……
ふふっ♪覚悟してくださいね!せーんぱい!!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
相模side
「はぁ····ウチってバカだな〜」
うちはずっと後悔していた。
用意されていたパイプイスに座って空をみているうち。
最近良く空を見上げて星を見ることが多くなった。何故だかは分からない。ただなんとなく。
そして1つ、とても輝いてる星が、うちの中のあの出来事を思い出させる。
─それは文化祭と体育祭のこと─
そしてつい最近気づいてしまった。うちはあいつに助けられていたんだってことを。
最初は認めたくなかった。あんなやつに助けられたなんて死んでも認めたくなかった。だって認めてしまったら…
いつかのあいつの言葉が頭を過った。
『最底辺の世界の住人だ…』
うちが最底辺だって?あんなやつと一緒にするな!!!
認めてしまったら自分自身が最底辺の世界の住人ということを認めたことになってしまう····だから…だから考えないようにしていた。目を逸らしていた。
でもあの星が、「そうだ、お前は最底辺の世界の住人だ」と訴えてくるように感じた。
そう、毎回毎回、あの星が見えるたびに。
…だからある日、うちは認めた。うちは最底辺の世界の住人だと…
不思議とその時は嫌な気持ちにならなかった。ムカつかなかった。悔しくなかった。
ただうちの目からは涙が流れていたとおもう。
比企谷は文化祭のあとどんな思いだったのだろう。学校一嫌われ者になって…どんな気持ちで過ごしていたのだろうかと。
それを考えると胸が痛くて辛くて、うちだったら絶対に無理だ。絶対不登校になる。だから…
私の中に残った思いは、
ただ比企谷に謝りたいという気持ちだった。ごめんなさいと。辛い思いをさせてごめんねと。それと感謝も伝えたかった。ありがとうと。
···そして出来ればうちと友達になって欲しいと。
同じ最底辺の住人同士仲良くしたいと。そう思うようになってしまった。そんなこと許されるわけないのに。でもせめて謝りたかった。
だからそれからというもの、学校では比企谷に話かけるタイミングがないかとずっと探していたけど、、
そもそも、うちが話しかけたら凄く目立つじゃんって思ってしまい話しかけられずにいた。
そして今日に至るまでずっと話せずにいた。
そして今日は友達に、
学校で行われるちょっとしたお祭りみたいなのに誘われ、あまり乗り気じゃなかったけど行くことにした。
するとあいつがいたのだ。
─比企谷八幡?─
いつもと髪型や服装が違えどあの目は間違いなくあいつだった。
誰かを探しているようだった。真顔のあいつの顔は……その…かっこよかった。
すると、どこからか聞いたことのある声が3つほど聞こえてきた。
『ひ、ヒッキー?』
『ひ、比企…谷…くん?』
『…せん…ぱい?』
この声が聞こえ、うちは直ぐに隠れた。
バレないように壁から顔をだしその様子を伺う。傍から見たら不審者だが、幸いにも近くには誰もいない。
······あいついつもぼっちとか言うくせに、周りには美女ばっか……なにがぼっちだよ。比企谷のくせに。
美女とぼっちの会話が終わり、比企谷と雪ノ下さんだけでどこかに向かいだした。
こそっとついて行こうと思ったがここで携帯の着信バイブがなっていることに気づき、友達からだったので仕方ないがそこで諦めた。
次にあいつを見たのは舞台の上。
まさかあの目立つことをかなり避ける比企谷が舞台の上に出てくるなんて誰が想像したことか。
まず最初出てきた時····誰かと思った。
メガネをかけていて…葉山くん、ううん葉山くん以上のイケメンと化していた比企谷。
あの見るに堪えないいつもの腐った目はメガネにより緩和されていて、うちの友達も
『あれ……だれ?なんか見たことあるような···』
と分からなくなっていたのでうちが、
『あれは比企谷だね〜』
と言うと····
『比企谷!!!???!?あの嫌われ者の!?うそ····え···うそ···ひ、ひき··がや?』
などとかなり困惑していた。
そりゃそうなるよ普段のあいつからは絶対に出ないイケメンオーラが凄いんだもん。
それ以上に凄いのがそのイケメン比企谷の隣にいる女性。
あの美貌はこの世の全ての男達を虜にするかのような美しさがあった。
うちも取り込まれそうになるくらい、あの人から放たれる魅惑の美女オーラが体育館全体を包んでいた。
『あの人···』
うちは見たことがあった。文実の時に。その時はあまり気にしなかったけど…
確か雪ノ下さんのお姉さんだ。元々綺麗な人だと思ってたけど、本気だすとあそこまでなるんだ···
正直、敵わないや···
『ねぇねぇ南!!私、今度比企谷にアピールしにいこうかな!?』
などとめちゃくちゃテンションが上がっている友達を、
『無理だよ、比企谷はあんたなんか相手にしないよ。』
と、そんなことを言ってのけたが、うちのことも相手にしないんだろうな〜と思った。あれ?ちょっと胸が痛いや···
『えーーそうかなー?ってより南どうしたの?比企谷のこと嫌いでしょ?もっと嫌な顔するかと思った。』
『う、うん。嫌だよ…凄く嫌····』
─こんな馬鹿なうちが─
それから比企谷達は踊り終え、舞台を降りていった。なんか比企谷の顔が赤かったけど、そりゃたくさんの人の前で踊るのは恥ずかしかったよね。
普通に感想を言うとしたら···
「めちゃくちゃ比企谷かっこよかったな〜」
うん、やばかった。本当にかっこよかった。そしてあのキレキレのダンス。比企谷運動できるんだ。
ははっうちほとんど比企谷しか見てないや····はぁ…やっぱりうち、見る目ないよね。あんな人を目がキモイやらなんやらで貶して。
もうあいつは最底辺の世界の住人じゃないよ。最底辺はうちだけ…
あいつと友達になる資格なんてうちには···
「··おい···」
へ?誰の声?なんか聞いたことが··
「···おい、相模どいてくれ。片付けだ。」
「へえぁ!?」
「おわっ!び、びっくりした···」
「ひ、比企谷?え、な、なんでここに!?」
「なんでもかんでも片付け中だ、見ればわかるだろ··」
「あ、うん…そう···だね…ごめん。」
ま、まさか比企谷が近くにいるなんて···び、びっくりした〜…
椅子からどいてからチラッと比企谷をみる。
そこにいるあいつはもう眼鏡はかけてなく私服だったが、髪型とか顔の化粧がそのままだからまだイケメン比企谷だ。
よ、横顔もかっこいいかも···
「···おい···」
「···え、な、なに?」
「いやなにじゃねーよ」
「え、なんで?」
「なんでって···いや、椅子からどいたならむこう行けよ。···ずっと見られるとやりにくいんだが···」
「み、見てないし。自意識過剰なんじゃない?キモ···」
「へいへいそうですか···」
キ、キモくないよ!比企谷!!むしろめっちゃ格好いいから!!
あーなんでこんなこと言っちゃうのかなうち!もっと素直にならないと。うぅ····でも恥ずかしくて素直になれないよ〜
「いやだから」
「へ?」
「へ?じゃねーよ。嫌いな相手見てて楽しいか?ごめんが俺は片付けの最中だから向こうにいけない。だからお前が移動しろよ」
そう言い終えた比企谷はまた作業に戻って、結局あいつがここから離れていく。
そっか···比企谷から見ればうちは比企谷のこと大嫌いだと思われてるよね。···そして比企谷もうちのこと大嫌いだと思う。
そりゃそうだよね…そう思われても当然だよね。今までのうちがやってきたことを思えば···
····でも今しかない···今しかないんだ。比企谷と二人きりで話せるチャンスは···このチャンスを絶対逃したくない···
うちが悪いけど···うちが絶対に悪かったけど···それを許してほしいなんて思わないけど、
比企谷との関係がずっとこのまま··うん、このままなんて絶対に嫌だよ。だから····だから比企谷···
─行かないで─
「···は?」 「私は比企谷のこと嫌いじゃないよ…」
頬に当たる温かい背中と、震えるうちの声で今自分が何をしているのかと冷静に我に返る。
うちは···
向こうにいく比企谷に走って追いかけて、後ろから抱きついていた。
「え、あの··さが··み?」
「·····」
全然冷静じゃない。とても恥ずかしくてもう声が出ない。次の言葉言わなきゃなのに。何言ったらいいか全然分からない。やばい、確実にうち、混乱してる。
「あの···相模?嫌いじゃないってのは···俺の事か?」
そう聞かれたので言葉が出ないうちは頷く。
「··そ、そうか····え、えーと、何··この状況?」
「······」
駄目だ。恥ずかしくて言葉出ないし、今のうちの顔をこいつに見られたくないから動けずに抱きついたまま。うぅ〜泣きそう。
「···と、取り敢えず誰かに見られるとあとあと面倒だからよ?···頼むから離してくれ···」
「ぅ、うん····」
確かに他の人に見られるとあとあと厄介なことになりそう···特にあの3人になんて言われるか···
うちはゆっくりと比企谷から離れていく。
と離れた瞬間比企谷がこっちむこうとしてる!!
やばい!だめ!こっち見ないで!!今のうちの顔···
「だ、だめ!見ないで!」
比企谷の動きがピタッと止まる。うちの声も上ずっててさらに恥ずかしくなる。
うちは声を振り絞ってこう言った。
「ま、また··今度···話せ··る?」
「お、おう···」
「ん··じゃぁ··また今度···話させて?」
「わ、わかった···」
「んじゃーうち···行くね?」
「お、おう?···」
と、うちは小走りにその場から離れた。まるでうちがうちじゃないみたい。
ほんと1回落ち着かないと無理!うちの気が持たないよ··
本当はたくさん話すつもりだったけどまた今度···そう今度··
ひひっ♪また今度話すって約束できた♪嬉しい。
そのままうちは友達と合流して、帰ることとなった。
帰り道は先程の行いを何度も思い出してしまい、友達の話など全く頭に入って来なかった。
でも次も比企谷と話せると考えると顔がにやけてしまう。にやけ顔を友達に指摘されて焦ったけど。
そして途中で友達と別れ、1人で密かに気合いをいれた。
「よしっ!次は絶対謝るぞ〜!」
ごめんね。比企谷。もう少しだけ待っててね。比企谷の傷が少しでも癒えるようにうち頑張るから。だからその前に謝らせて?
許してもらえるなんて思ってないけど、これはうちが一歩前に進む為に必要なことなんだ。
そしてまた今日の夜空を見る。やっぱり1番輝いてるあの星に最初に目が行く。
ふぅ···明日からも求め止まないうちの勇気を見付けに行こう。
それがあいつのためだと信じて。
相模が一人称を変えたとき、それは心の本当の声なのだ。なんちって。
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