一夏(ホモ)に襲われた (サモ江戸)
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親友に襲われたんだぜ。フフ……怖いか?

 人間という生き物は、想定外の出来事に巻き込まれると思考が停止するらしい。
 今年に高校受験を控えた虎丸流(とらまるながれ)は、それを身をもって体験することになる。

 こんなことに覚えがないだろうか?
 映画、ゲーム、小説。なんでもいい。フィクションの世界を頭に広げてくれるサブカルチャーの内容で、トラックが突っ込んでくる展開だ。哀れ、被害者キャラは己に迫ってくる鉄塊に呆然しながら――ドゴンッ。
 サブカルチャーに深い理解のある人間ならば、絵や文字を追わずとも、このありきたりな展開を予想できたことだろう。当然、主要キャラならともかく、モブキャラなら十中八九で退場することもだ。

 そこで考える。
 なぜ、このキャラはすぐさま避けなかったのかと。
 ――もしも轢き殺されたキャラが自分なら、きっと回避できたはずなのに、と。
 ……そう、一度でも考えたことがありはしないだろうか?

 虎丸流(とらまるながれ)もそんな人間の一人だった。
 趣味は特撮鑑賞。特に、バイクを駆ってキックするライダー系が好みだ。
 トラックとは違うものの、特撮のなかでは常日頃から怪人が跋扈(ばっこ)し、そんな形ある恐怖から腰が抜けて逃げられないモブキャラを数多く目にしてきた。
 幼き頃、虎丸もまた上から目線、あるいは神の視点から「自分だったら……」と思ったことも一度や二度ではない。

 だがしかし、実際に突発的な出来事にぶちかましをされて、そんな甘い考えがどれだけ脆いかを思い知った。
 おそらくモブキャラを批評してきた人間のほとんどは、突発的な危機に瀕したことなどありはしないのだろう。

 現在進行形で腰が抜けかけている。
 ちょっとでも気が抜ければ膀胱が緩む。
 事実というものから目を逸らしたいあまり思考と現実がごちゃごちゃで、みっともない呼吸が口から洩れた。
 ヤバい。ヤバい。ヤバい。
 トラックに轢かれるわけでも、怪人に襲われているわけでもない。それでも頭が具体的な解決案をはじき出してくれないのも、ありえない出来事による衝撃が大きかったのかもしれない。

「と、虎丸っ」

 自分の名を、切羽詰まった声で呼ばれた。

「………………は?」

 虎丸は阿呆のように口を半開きにする。
 親友……否、大親友だと恥ずかしげもなく肩を組める織斑一夏から、なぜベッドに押し倒されているのだろう。

「俺……俺……ずっと、お前のことが……ッ!」

 悪ふざけの(たぐい)ではない。
 荒れた息と、大きく鋭くなった双眸。
 どっきり大成功するための演技力に欠ける一夏では、本気でしか出せない表情をしていた。

 なぜか一夏が女性にしか使えないはずのISを起動させたのが少し前。それから特例とは名ばかりの強制でIS学園への編入手続きをさせられ、騒動に巻き込まれて疲れたであろう一夏を慰めにきたのが一時間前。
 きっかけはなんだったか。
 一夏がもう一般人として暮らせないため、気軽に会えるのが今日が最後だと言ったときか。
 それともIS学園は女の園だから、下世話気味に彼女でも作れと言ったときか。
 気づいたら押し倒されていたからもはや思い出せない。

「もう、今しかないんだ! この気持ちをお前に打ち明けるのは!!」
「……ファッ!?」

 そこでようやく虎丸が我に返った。
 トラックが迫ってきていたら、モブキャラのごとく死体を野に晒していたことだろう。

「ふざ……ふざっ、けんなテメェ!! おい一夏ァ! マジで冗談だろ!? オレたち親友じゃねえか!」
「虎丸、俺はこの気持ちを冗談だってことにしたくないんだ……」
「だろうな! こんなの冗談にもならねえわ! 今なら忘れてやるからとっとと離れ……ベルト取ろうとすんなボケ!」

 自由になった左腕のフックが一夏のボディに突き刺さる。
 それにはたまらず一夏も(うめ)き、トレードマークの黒ニット帽を抑えながら虎丸が拘束を抜け出した。

「おい。おいおいオイオイ! ふざけんのも大概にしろよ一夏!」
「ふざけてねえよ、俺は本気なんだ! 見ろよこのテントを!」
「下半身突き出すな! ……い、いつからだ? いつからオレの尻を?」
「……小学生のときからは、もう」
「怖えわ、アホか!」

 叫びながら、虎丸はじりじりと一夏の部屋の扉まで移動する。
 このまま生存本能に従って逃げようとするが、しかし――。

「開かねえ!?」
「そこは俺の持ってる鍵でしか内側から開けられないぜ」

 チャリ、とポケットから鍵を取り出す一夏。
 鍵を奪うという手段はあまり良い手だとは思えない。いかに虎丸が喧嘩慣れした少年だろうと、一夏は土壇場に真価を発揮するタイプだ。逆に虎丸のヴァージンが散らされる未来しか見えなかった。

「なんでだよ、一夏……」
「俺だって無理やり迫るのは嫌だった。だけど、このまま離れ離れになって、お前がどこの馬の骨かも分からない女と結ばれるのを黙って見てるより……」
「し、親友のままでいいじゃんかよ」
「なに言ってんだ。恋人のほうがいいだろ」
「テメエがなに言ってんだよ」

 あくまで抵抗の姿勢を崩さない虎丸に、一夏が叫ぶ。

「なら虎丸、お前は女のどこがいいんだよ!? あんなのゴリラみたいに面倒臭くて、気に入らなければ暴力ゴリラになる連中じゃねえか! 最近じゃISが台頭して態度までゴリラみたいになって……もうゴリラじゃんかよ!」

 ゴリラ何回言うねん。
 虎丸は内心突っ込んだが、口にすることはなかった。

「そんなゴリラより……優しいお前に惚れるのが、そんなにおかしいことなのか?」
「おかしい」
「!?」
「そこで『信じられねえ!』って顔するのもおかしいわな」

 だが、虎丸は親友のそんな苦悩にここまで気が付かなかったことに後悔の念を抱いた。
 一夏が女嫌いであるのを虎丸は以前から知っていた。モテる反面、なぜか誰にも(なび)かないことに疑問を抱いた際、一夏が打ち明けてくれたのだ。
 虎丸はそれを知り、一夏の姉やチャイナ娘の態度を改善させることに奔走し……頬を染められた。

「(そこで惚れられてんじゃねえかよ!!)」
 
 悔恨、圧倒的……悔恨!!
 虎丸は今日この時までこじらせていた一夏に気づかなかったことを悔やんだ。
 それが隙だった。
 縮地のごとく間合いを詰めた一夏に、虎丸は床に組み倒される。

「虎丸、俺はもうここまで来ちまったんだ。収まりなんて着かねえよ……!」
「馬鹿おまえ、アホおまえ、考え直せよボケ。オレにメリットなんもねえじゃん」
「虎丸にやるぜ――俺のファーストキス」
「やめっ、ヤメロォォォォオオオオオオオオ!!」

 かくして叫びは天に届く。
 漫画、映画、ゲーム。そんなサブカルチャーの中でなくとも、奇跡というのは起きるものだ。
 突如としてあれほど強固だった扉が蹴破られた。

「無事か、虎丸!? いや無事じゃないのか!? 嫌な予感がして始発で来たんだ!」
「千冬さんっ! あんた戦乙女(ヴァルキリー)じゃなくて救世主(メシア)だよォ!!」
 
 平行で飛んできた扉が一夏をぶっ飛ばしたのである。ぎりぎり唇を交わさなかったことで虎丸のファーストキスは守られたのだ。

「邪魔しないでくれよ千冬姉ッ!」
「馬鹿者! せめて同意を取ってから事に運ぶようにとあれほど……!」
「なに千冬さん!? 同意取れば弟がホモセしてもよかったの!?」
「すまん虎丸。まさか弟が無理強いするとは……。いまは逃げろ、ただ逃げろ! ここは私が止めておく。――追って連絡する」
「そこをどいてくれ千冬姉! いくらアンタでも今日だけは負けねえぞ!!」

 虎丸は逃げだした。本棚がひしゃげ、壁紙に穴が空くような音が聴こえると、耳を押さえて走り出す。
 ほどよく馴染んだ織斑家が魔物の胃袋にしか見えなかった。 
 踵を潰したままの靴で外に出ると、行き先もロクに考えぬまま、ただ一夏から逃げようと織斑家から離れていく。
 ようやく止まったのは、隣町の寂れた公園だった。

「は、はは……。マジかよ。親友に襲われるなんて、世界で見てみても十人も、いない、んじゃ……」

 友愛の裏切りによる絶望。
 無理やり迫ってきた失望。
 なによりもあれだけ楽しい思い出が、いつも尻を狙われていたことによる恐怖の日々でしかなかったことに、まだ中学生でしかない少年は耐えられなかった。
 親友のホモに、襲われた。

「ぁ、あぁ……ぁあ、ああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

 虎丸はニット帽を深く被り、どこまでも悲壮な慟哭を響かせた。
 

 ◆


 見回りをしていた勤勉な男性警官が、身も裂けんばかりに嘆いている虎丸の肩に手を置いた。

「君、大丈夫かい? もしかして高校受験のストレスで……」
「ひ、ヒィッ! 来ルナァ、ホモ野郎ォォオオ!!」
「!?」

 虎丸流(とらまるながれ)
 中学生にして、男性恐怖症を患う。




ここの一夏は行動派のホモ。
涙ぐましいですね、泣いたのはオリ主でしたが(笑顔)


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ドイツ語で「あなたはホモの仲間ですか?」

題名を少し変えました。

評価、感想、お気に入り登録をしてくださった読者の皆様方、ありがとうございました。
処女作ですので、なにかと拙いところのある小説ですが、細々と続けていければと思います。


 IS。インフィニット・ストラトス。
 超機能の宇宙服というコンセプトをもとにこれを作成した開発者、篠ノ之束(しのののたばね)は明言した。
 ――ISの起動は女性のみが可能とする。
 これに最初は懐疑的であった各国も、用意した男性パイロットをISが受け付けなかったことで、そういうもの、として扱っていた。スマートフォン。自家用車。冷蔵庫。多くの人間が原理をほとんど理解できぬまま、されど日常で扱っている物品と同じものとして浸透した。
 そのため現在は適性調査をほとんどの女性が済ませており、新規調査は新生児にしか運用されていないのが現実である。

 しかし数週間前、その慣習を打ち砕いた存在がいたのだ。
 ホモ野郎こと織斑一夏であった。
 彼の登場により、調べていなかっただけで他の男性でも起動できる可能性が浮上したのだ。このことに篠ノ之束はノーコメントを貫いている。そのため各国……もとい女尊男卑社会の煽りを受けまくる男性政治家たちが、国の垣根を越えて実施した政策がおこなわれていた。

 男性適性一斉調査。

 男の夢と希望と未来のための足掛かり。
 これは簡単に言うとパッチテストである。かの篠ノ之束がISでもっとも重要なコア製造を中止しており、世界で467機という絶対数ができあがってしまった。それを各国でパイのようにわけてしまえば、一国あたり十機もない計算だろう。
 一夏のようにいちいちISに触れさせるには国内保有数が少なすぎる。
 そのためのパッチテストの対象には当然虎丸(とらまる)も含まれていた。


 ◆


「あー、役員さんがこんな一中学生になにか?」

「え? ISの適性が……はぁ。マジですか」

「…………IS学園に入学するように、と。拒否権の行使は……トラップカード『政治家の権力』で無効? いま受けようとしてる高校も取り消し? なるほどー」

「クソが……ッ! え? やだなぁ、くしゃみですよ、くしゃみ。昨日まで病院の精神科にいたから風邪でも移ったんですよ。……ファック」

「あ、緊張してきたんで、その黒塗りの車に乗る前にトイレ行っていいですか?」

「待っててください――逃げやしませんから」


 ◆


 織斑千冬にとって、虎丸はもう一人の弟といっても過言ではない存在だった。血の繋がりはなくとも付き合った年数は五年でも足りないだろう。関わりの深い相手を挙げるなら、後輩である山田真耶よりも先に思い浮かぶほどだ。
 虎丸は気立てのいい少年だった。なにかと直情的な一夏の尻拭いなんて日常茶飯事だし、コイツがいれば安心だと、一夏をそばで支える役目を任せてもいた。
 実の弟のように可愛がり、実の弟のように厳しくして、実の弟のように信頼していた。

 そんな彼が先日、実の弟である一夏に襲われた。
 その後、男性警官との接触で失禁しながら気絶してしまい、病院に緊急搬送されたのが数日前。保護者名義ですぐさま駆けつけた千冬(付いて来ようとした一夏は筋肉バスターで撃退済み)が見たのは、ベッドの上で抜け殻のようになった虎丸の姿だった。

『男がすべてオレの尻を狙ってるんですよ。勘違いじゃなくて、さっきまでいた医者がオレを組み倒そうとしてきたんです。なのにナースさんは誰も信じてくれなくて。千冬さん、本当なんですよぉ……!』

 勘違いである。男性医師と密室にいるという事実に耐えられず、発狂した虎丸を落ち着かせようとしただけだ。
 しかしモロに男性恐怖症になった虎丸にとって、男はすべてホモに見えるらしい。
 あれだけ精悍(せいかん)だった弟分の変わりようを千冬は嘆いた。

『廊下に出てもホモ、ホモ、ホモ! もうこんな病院こりごりだ!』
『だろうな。ホモが溢れかえる病院は私も勘弁願いたい。だが、道行く方々はノーマルだ。お前が心配するような事態にはならない』
『嘘だ! 人間の男なんてホモ付くじゃないですか!』
『ホモサピエンスだからな』

 これでは高校に進学しても普通には過ごせまい。
 弟分の負ってしまった傷のあまりの深さに、リンゴを剥くナイフの手を止めた。

『せめてお前が女なら良かったんだが……。女子制の高校には入れないからな』
『ハハッ、もう千冬さんのうっかりさんめ。知ってます? 性・転・換・手術』
『…………すまない。本当にすまなかった、虎丸。なにが社会人だ。弟分の心ひとつ守れずして、これじゃあ道化だよな。すまない、すまない、不甲斐ない姉貴分で……!』
『や、やめてくださいよ。もう、ははっ、冗談ですよ、マジで申し訳なさそうに謝られると……こっちが辛いんですよ!』

 病室に嫌な沈黙が満ちる。
 それを打ち払うように、切り分けたリンゴを皿に並べた千冬が言った。

『一夏は……先日の件のことを猛省している。さすがに親友という関係を壊してまで無理やり迫るべきではなかったと。もっと時間をかけてからにするべきだったともな』
『え、あいつホントに反省してんの? オレまだ尻狙われてんじゃん』
『お前のガタつき具合を見て、私は決めた。一夏をお前と一切接触させるつもりはない。これから三年間、一夏をIS学園に閉じ込める。それまで経過観察だ』
『……いいんですか? あいつ、女嫌いですよ』
『それも解消させる。なんといっても私の弟はハーレム作成のスキルレベルはEXだからな。幸い、IS学園は容姿の優れた女どもで溢れている。恋人の一人でも作って性癖がノーマルになれば万々歳だろう』

 もっとも鈍感気質からそれは高望みだろうが、とも付け加えた。
 爪楊枝を刺したリンゴを天下のブリュンヒルデに「あーん」されても、虎丸の顔は微塵も晴れない。

『…………』
『浮かない顔だな』
『オレ、まだ信じられないんですよ。親友がホモで、襲われたなんて』
『なら会って真実をたしかめてみるか?』
『一夏の封印お願いします。金輪際あいつをオレに近づけないでください、ハリーハリー!』

 病院での会話を思い出しながら、千冬はIS学園の自室で酒をグイと煽った。

「……虎丸のやつ、この数日で5キロ瘦せたんだったな。だが安心だぞ。一夏のことはIS学園から一歩も出させないからなぁ」

 うわごとを呟いている時だった。忙しなく扉が叩かれ、居留守をしようと思ったが、あまりに五月蠅いためのっそりと扉を開ける。

「なんだ……真耶君か。どうした胸を物理的に弾ませて」
「ずっと探してたんですよ織斑先生! 携帯も通じなくてどこにいるのかと……おしゃけくしゃい!?」
「なにかの緊急事態か?」

 濃密なアルコール臭を漂わせながら携帯の電源をつけると、この数時間で着信やメールが溜まりまくっているのがわかった。

「男性です! 男性搭乗者です!」
「あぁ、私の弟がどうした? そういえば君はずっと男性と結婚したいって言ってたな。弟を貰ってくれる都合でもついたのか? いまなら結婚費用は私が立て替えるぞ」
「えっ、いいんですか!? ……じゃなくて、違うんです! 一夏くん以外にも日本国内で見つかったんですよ、男性搭乗者が!」
「――なんだと!?」

 流石ブリュンヒルデと呼ばれた女性というべきか、千冬はすぐさま意識を覚醒させる。

「どんな人間だ?」
「そ、それが……逃亡中みたいなんです。ついさっき、国のIS部隊が保護のために出動しました」
「馬鹿な、なぜ逃げる必要がある。よっぽどの事情がないかぎり納得できんぞ」
「それが不明なんです。ただ、彼は先日まで病院の精神科に入院しており、メンタル面が非常に不安定だとか。――適性が見られたのは中学三年生の虎丸流(とらまるながれ)くん。たしか織斑先生のお知り合いでしたよね?」
「」

 納得してしまった千冬だった。


 ◆


 職員室までたどり着くと、教師の半分はひっきりなしの電話の対応に追われており、残り半分は備え付けのスクリーンで某テレビ局の中継を見ていた。

『現在、虎丸流くんは自然公園に逃げ込んでおり、パトカーなどの車では侵入できない細道に身を隠しているようです。……あっ、いました虎丸くんです! 木の上で枝をブンブン振りながらなにかを叫んでいます!』
『――カエレ! 人間、カエレ! 男、クルナ!』
『野生化しています! なぜか虎丸くんが野生化しながらヘリを追い払おうとしてます!』

 千冬は天を仰いだ。虎丸の精神は退院したばかりでかなり危うく、ストレスで壊れかけているのがわかったからだ。まだ人語を話せるだけ安心してしまった。

「だ、大丈夫でしょうか彼?」
「あれが大丈夫だと言える人間こそ、大丈夫じゃないと思わないか?」

 画面のなかで、黒ニット帽を被った少年がなにかに気づく。そこでカメラも視点を変えると、広場まで侵入したトラックから、二機のISが出てくる場面を捉えた。

『ISです! どうやら保護のためにISが導入されたようです!』

 打鉄(うちがね)。安定した性能をした武者鎧のISを纏うのは、どちらも千冬のよく知る熟練の女性たちだった。
 その時、テレビから響いたアナウンサーの悲鳴に、電話をしていた職員までもが顔を上げる。
 虎丸が飛び降りたのはビルの四階建てほどもある木の頂上から。あわや放送事故かと身構えるが、柔らかい土と、見事な五点着地を披露して、固まる周囲を意にも返さず住宅街に逃げようとする。

「す、すごいですね」
「ああいったものは私が仕込んだからな。それに私の予想だと……」

 そうはさせじと、虎丸の進行方向に一機、背後に一機のISが降り立った。
 正面の女性がかなり必死な顔で叫んでいる。

『お願いします、止まってください! 私たちはあなたに危害を加えません! 事故防止のために止まってください!』
『Sie sind ein warm-Mate?』
『え? 英語しか分んないのに……。――Yes?』
『やっぱホモじゃねーか!!』
『なんで!?』

 虎丸は逃げることを選択したようだ。獣のように駆ける姿を見て、女性もまた顔色を変える。その動きは超機能の宇宙服にしては鈍い。メディアの手前、傷つけることは極力回避したいらしい。
 それでもなお、ただの一般人を捕まえるには十分な威力と迫力があった。
 ――ただの一般人であれば、だが。

『捕まるかァ!!』

 パルクールのような動きで腕を支柱にしながら跳ね、背後からの手腕も見ることなく潜り抜ける。
 それを都度五回も繰り返すや、狐が化かしたかのようにスルリと包囲を抜けて、ものの見事に住宅街まで逃亡して見せた。

『ヒャッハハハハハ! 知ってるぜオレ、どうせホモにオレの尻を使わせるんだろうが!』

 幸いというべきか、この発言はヘリの駆動音に消されて、マイクを通って全国に広がることはなかった。

「……パルクールでしょうか? 警察署のパトカーのほとんどと人員も、距離を詰めてもああやって身のこなしか障害物を使って逃げおおせたんです。犯罪者じゃないから手荒な真似もできなくて」
「だが、そろそろ捕まるぞ。いくら平和ボケしていると言われるIS部隊も無能ではない。あのIS部隊は三機一チーム(・・・・・・)だ」
『――なん……だと!?』

 ちょうど画面内でも動きがあった。
 もうすぐ住宅街に入ろうとしたところで、不自然な体勢で虎丸が止まったのだ。
 三機目の迷彩をほどこしたISが虎丸のそばに姿を現す。

「最近開発されたとかいう特殊ナノマシンによる対人無力化トラップか。あらかじめ虎丸がどこに逃げるのかを想定し、すでに手を打っていたな。――山田先生(・・・・)。彼の身柄を保護する責任者に話を通しておいてくれ。彼との交渉の場には私の席をつくっておくようにとな」
「は、はいっ」

 教師としての顔になった千冬の指示で、すぐさま真耶が電話に飛んでいく。

「……とんでもない厄年だな、虎丸」

 画面ではISに担がれながら、哀愁を誘うほど取り乱している虎丸が映っていた。

『いっ、嫌だぁ!! 嫌だ嫌だ嫌だぁ! あのクリーチャーのいるIS学園なんか入りたくないぃ! 俺は宇宙飛行士になりたいんだぁ!』
『あの、IS学園もいいところだよ? 設備もいいし、先生たちもまともだし。問題っていっても出会いがないくらいだから。あ、ほら! 今年はきみと同じ男性パイロット候補も入るんでしょ?』
『頼む、頼みます、靴でも舐めるから逃がしてくださいよぉ』
『私の一存じゃ無理だよ』
『あんたの処女より先にオレの処女が散らされるんだよぉ……!』
『うわ、凄いパワーワード……』
 
 十六時過ぎ。虎丸流、確保。



苦難は続くよどこまでも。

ドイツ語の部分は無理に訳してしまったので、他にもっともらしい文章があるかもです。


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亡国機業って黒の組織っぽいよね

前話までギャグが多すぎたので今回はシリアス。

たけじんマン様、とるべりあ様
誤字のご報告、誠にありがとうございます。


 織斑千冬を知っている者にとっては珍しい光景だった。鉄の女の代名詞は困ったように柳眉を八の字にしながら、県庁の廊下にある掃除用具ロッカーに向けて語りかけた。

「虎丸。今回の出来事はさすがの私にも予想できなかったことだ。しかしだな、お前がISを起動できるという事実は衆目に知られてしまった。これからただの高校生として生きることはまず不可能だろう」

 ガタガタッとロッカーが揺れる。中身は引きこもった虎丸だった。もはや言語機能を喪失してしまった彼に、理性的な答えを返すことなどできなかった。

「とりあえず一夏のことを抜きにして、IS学園に入ること自体にそこまで拒否感はないんだろう?」
「ガタッ」
「だろうな。お前の目的は宇宙に行くことで、宇宙飛行士になることはあくまで手段だったからな」
「ガタッ」
「ふふっ、当然か。そうだな、それもそうだ。――虎丸、一夏と同じクラスになってしまうことだけは諦めろ」
「ガタガタッガタッガタガタガタッ!!」

 怒れるロッカーがやかましく音を立てる。それは千冬を責め立てているようで心が痛んだ。
 ここは虎丸が連行されてきた県庁だ。往生際悪くここでも逃走劇を繰り広げ、遅れてやってきた千冬によってロッカーまで追い詰められていた。
 再度、野生化してしまった虎丸は、モップを槍に見立てて「ホゥッ、ホァッ、ヒョロロロロッ!」ともはや何語かもわからん威嚇の声で千冬以外を追い払っていた。
 二人っきりにしてほしい。千冬の頼みに、モップでしこたま突かれた政府の役人も引き下がっている。

「虎丸」
「ケモノはいてもっ、ノケモノはいないっ。――ただしホモ、てめえはダメだ」
「お前がホモだったフレンズのせいで心を痛めたことは理解している。だが国の意向でな。私の目のあるクラスで貴重な男子生徒を見張ることになった」
「すごーい、たーのしー」

 現実を受け入れたくないばかりに、虎丸はロッカーをガタガタさせることで逃避した。きっと狂人のような顔で揺らしているのだろう。
 しかし政府の考えも理解できる。試験管ベイビーが相応の地力さえあれば作れる時代だ。千冬のドイツでの教官時代にもそうして生まれた子供と関わっており、もし男性IS搭乗者の遺伝子から命が作られようと、決して幸せな人生にはなりえない。
 きっとそこまで根深ければ、いかに千冬であろうとも一個人の手では救えない。

「私は功績ほど強い権限があるわけではない。だが先ほど、なんとか役人どもを説得して、寮の部屋を一夏と同じにされるような事態だけは回避した。……いまはこれが精一杯だ、すまない」
「ガタ……」
「ああ、そうだな。同じ部屋になってしまえばストレスで髪が抜け落ちるか。だとしたら対策も無意味になるな、ははっ」
「…………ガタ」
「なに? ニット帽で隠してたけど、いまも割とマジで白髪と抜け毛がヤバい? …………そうか」

 まず救うべきなのは目の前の虎丸からだった。

「お前には入学まで、政府の施設に行ってもらうことになる。表向きはISの教育とあるが、本当の目的はあらゆる意味での保護だ。今回のニュースで一夏だけでなく、あらゆる存在から狙われることになったからな」
「ガタ」
「尻じゃない! いや一夏は尻だろうが、女性人権団体や非合法組織、そして各国から虎丸の尻を……違う! 身柄を狙われているんだ」

 先ほど聞いた話だと、虎丸のいたアパート周辺は害虫の温床のようになっているらしい。
 虎丸の存在がはたして一夏以上に珍しいものだから、というのが理由だろう。これまで一夏がISを起動できたのはブリュンヒルデたる千冬の血筋かと思われた。しかし孤児である虎丸がその通説を(くつがえ)している。

 虎丸の安全が保証されているのはIS学園に在籍する三年間で、その期間でも完璧に守ることは難しいだろう。
 やるせない。
 あまりの自身の無力さに、千冬は投げやりに背中を壁に預ける。

「……私は姉代わりのはずなのに、お前に助けられることのほうが多くて困るな」

 千冬の学生時代はバイト漬けで一夏に寂しい思いをさせてしまった。それを紛らわせるために一緒に居てくれたのが虎丸だ。
 それに一夏の女嫌いが発覚してからは、千冬に暴力を止めるように呼びかけたのも虎丸だった。おかげで先日までの暴力を交えた姉弟喧嘩はかれこれ三年ぶりである。
 中学生ながら一人暮らしをする苦労もあったはずなのに、その上で織斑家を気に掛けるなど。

「――千冬さん」

 誰が言ったのか、千冬は咄嗟に判断できなかった。
 ロッカーの扉がゆっくりと開くと、やつれた様子の不良然とした少年が三時間ぶりに出てきた。

「虎丸、お前……言葉を」
「千冬さんは当たり前のことだってカウントしてないでしょうけど。オレだって、千冬さんに助けられたこと、たくさんあるんですよ。……IS学園に入るのが、いまの最善手なんですよね。ホモがいても」
「ああ、だが……もう野生化するだけでは済まないかもしれないんだぞ」
「たしかに幼女が母親なんだと言い出す変態になる可能性もあります。けどオレ、IS学園に行きますよ。逃げるって選択肢は最初からないんだ。腹ぁ括るしかないんですよ」

 虎丸流(とらまるながれ)、男見せます。
 そう覚悟する虎丸に、不覚にも千冬はときめいてしまった。
 足が生まれたての小鹿のようにカクカクしてなければヒロインになっていただろう。

「そうか……。そうだな。私がすべきことは現状を嘆くことではなく、これからのお前を最大限サポートすることか」
「千冬さんがいれば百人力っすよ」
「ふふっ、馬鹿者。せめて億人力と言え」
「ホントに一億人相手でも勝てそうだからやべえな……切実に」

 書類へのサインなどやることは多い。
 それに付き添おうと階下に戻ろうとして、ふと、千冬は虎丸に尋ねた。

「虎丸、ひとついいか?」
「なんですか」
「お前が退院のとき、IS適性があると連れて行こうとしたのは、やはり日本人だったか?」
「……へ? まぁ、はい。中国人とかじゃなくて、ちゃんと日本人の顔してましたよ、日本人の役人って言ってましたし。……あ、やべえ。逃げたこと謝らねえと」
「心配しなくても気にしてないそうだ。こちらで謝りたがっていると伝えておこう」

 千冬は虎丸の隣を歩きながら、慌てふためいた様子の正規役人がもたらした情報を反芻(はんすう)する。
 ――虎丸に最初にアプローチをかけたのは、日本政府の人間ではない。

『あー、役人さんがこんな一中学生になにか?』
『あ、緊張してきたんで、その黒塗りの車に乗る前にトイレ行っていいですか?』
『待っててください――逃げやしませんから』

 ならば虎丸が逃げるキッカケを作ったのは、いったい誰だ?


 ◆


 薄暗い部屋だった。隣に座っている人間の顔すら判別がつかず、どこから入り、どこから出ていくのか、闇が深いせいでそれすらもわからない。唯一、部屋の中心には円卓のようなテーブルがあるのだが、それすらもどれほどの大きさなのか皆目見当もつかないほどだった。
 さらには、何者かが集う場所であるはずなのに、本来座るべき人間が一人も足を踏み入れたことがない異質さ。
 円卓に設置された高性能のマイクとカメラでのみ、彼らは情報のやりとりをおこなう。

 ――亡国機業(ファントム・タスク)

 第二次世界大戦中に生まれて50年以上前から活動している、この世界での『裏社会』で暗躍する組織である。わかりやすい例を挙げるなら、小さくなった探偵の黒の組織に相当するような存在だった。
 存在理由、組織の規模などの詳細が一切不明で、その目的が世界征服なのか、はたまた別物なのか。各国でさえ掴みきれない煙のような曖昧な集まり。
 ゆえに亡国機業(ファントム・タスク)
 この日もまた、各部門の幹部たちによる会議が薄暗い部屋で開かれようとしていた。

「――虎丸流(とらまるながれ)の捕獲に失敗したようだな」

 口火を切ったマイクのある席をスポットライトが照らす。
 当然、そこは空席であるのだが、彼らの暗黙の了解のひとつに代理の物品をカメラのうしろに置くのが習わしだった。これまで置かれていたのは、数憶もする絵画、博物館に安置されているはずの宝石、行方不明者の写真など。
 なんでもいいという訳ではなく、それらは各部門ごとの『成果』である必要があった。
 自分たちはこれだけの功績をあげたぞ。それを知らしめ、自慢し、劣る他者を嘲るための道具だ。この会議を定期的に開くことで、各部門の競争意識を掻き立てるのである。
 ここへの参加を認められた人間は仲良しこよしで仕事はしない。
 どころか、常に蹴落として利益を奪おうと目を光らせるなど、血なまぐさいことに事欠かない空間だった。

 そして最初に発言した情報部門の人間の席。
 ――そこにはなぜか、ホモDVDが置かれていた。

「「「…………」」」

 ホモDVD。男たちがくんずほぐれつな艶姿のパッケージタイプ。
 他の部門のトップたちは考える。これは、なにかの罠だろうかと。情報部門はその名の通り情報戦のエキスパートで、ほかの部門よりも狡猾な人間が多い。彼らに嵌められた人間はもれなく奈落の底へご招待だ。
 下手につついて蛇を出す必要もないと、責められた工作部門のトップが発言した。その席にスポットライトが当たる。

「おかしいな。我々はお前たちの調査不足による煽りを受けただけだが」
「「「…………」」」

 光に照らされたのは、日曜の朝に見ることができる魔法少女のフィギュアだった。
 おかしいのはテメエだろうが。
 そう言いたいが裏があるのではと考え直し、誰かが先にツッコミを入れることを願いながら無視した。
 そんな周囲の反応にも構わず、工作部門の魔法少女が続ける。

虎丸流(とらまるながれ)の退院にあわせて接触しようとしたが、その時にはすでに逃亡中。お前たちがマスコミを封じていれば、強行手段でも取ることができたはずなんだ」
「それはそちらの練度不足によるものだろう。各国よりも先に、虎丸流のIS適性情報を入手し、それを渡してやっただけありがたいと思え。だいたいお前たちは……!」
「おい、そう叫ぶなよ。あまり寝てないんだ」

 魔法少女(おっさんボイス)はホモDVDの声に露骨に嫌そうに答えた。
 しかしそれが会計部門――鎮座していたのはエロ同人誌――には不服だったらしく、魔法少女のことをなじる。

「某銀行の例のブツを奪取する計画、君たちのおかげで頓挫したらしいじゃあないか。不安だねえ、僕は。この組織の工作部門が君たちじゃ、いずれ僕たちの足もすくわれそうでさぁ」
「あれは会計部門(おまえら)が金庫までの穴を掘るための隠れ蓑に、ケーキ屋なんか用意したからだろ? もっとマシなところを選んでほしかったな、切実に」
「僕たちはもっともやりやすい場所を選んだつもりだが?」
「おかげでこっちで用意した金が中途半端に残った」
「ハッ、それで計画を取りやめにしていては苦労せんな。で、まだケーキ屋でもやってるのか?」

 魔法少女が内臓でも吐くようなため息をついた。

「……ああ、そうだよ」
「おや、工作部門は資金のやりくりに必死と見える」
「いや……中途半端に金が残ってしまったから、適当に品質向上のために使うことになったんだ。それが間違いだった。なぜかテレビで取り上げられるほど大繁盛して、穴を掘る人員まで駆り出さなくてはいけなくなった」

 まるでリアルな悪夢でも物語るように、魔法少女が泣きそうな声で紡いでいく。

「それでも計画は続行だから、ケーキ屋の体裁は整えなければならなかったんだよ。適当な店と契約するはずが、そこでなぜか評判を聞きつけたイギリスの大手紅茶店と組むことになってな。さらに店がデカくなるとその繰り返しで、『上』のほうからブツの奪取より利益が見込めるから、と……ケーキ屋(そっち)に力を入れるように指示を受けた。なんだか最近、自分がケーキ屋のCEOなのか工作部門のトップなのか判らんぐらい忙しいんだよ」
「お、おう」

 自分まで駆り出されて四徹目だと、魔法少女はまた疲れ切ったため息をついた。
 儲かってて良かったじゃないか、などと言おうものなら、魔法少女が呪いの人形になって襲い掛かってきそうだった。
 脱線しかけた話を戻したのは、実働部隊を纏めている紅一点、カメラのうしろにBL本を置いた女性の声だ。

「問題はそこじゃないわよね。せっかくの男性搭乗者が、すでに日本政府に保護されてしまったことでしょう」

 ホモDVDとエロ同人誌、魔法少女が気をもちなおす。

「だが、どこの国だ? 情報を獲得したのは我々が先だろう。だというのにアプローチに先んじた存在がいる。それも杜撰なせいで対象に逃げられ、話が大きくなりすぎた」
「それは情報部門(こちら)で調べている途中だ。判明次第、工作部門か実働部隊に動いてもらいたい」
「会計部門からも支援するよ。けれども……情報部門(そちら)から送られた対象の資料を見ると、どうにも腑に落ちない」

 マイクの向こう側で、何人かが手元の資料をめくっていく。
 ISの適性が判明する以前はただの中学生。そのはずだ。
 しかし何者かが虎丸にアプローチを仕掛けてから、綿密な計画の歯車が狂っている。

「いくらなんでもマスコミが動くまでの時間が短すぎる。我々は日本政府に潜り込ませたメンバーから情報を得たが、政府による情報開示は虎丸流(とらまるながれ)を保護してからのはずだ。でなければ、女性人権団体などの妨害を受けるからな」
「IS部隊の出動も同じくらい早すぎだ。いくら男性搭乗者だろうと、市街地付近での活動のための申請にはもう数時間要しただろうに」
「そのおかげで陽の下になりすぎた。私たちが動く影が見つからないくらいにね」

 全員の頭にあったのは、なにかしらの後ろ盾が虎丸にあるのではという疑問。
 発言していないメンバーも含めて、情報部門のホモDVDに視線が集まる。

「……ありえない。たとえこの世界に突然現れた人間がいようと、それまでの情報がない(・・)ことで確証できる。だが、あの少年はたしかに今日まで日本の学生として生活し、いかなる組織・国家の干渉をこれまで受けていなかったのは事実だ」

 ホモDVDは頭の記憶を探るように沈黙し、ピックアップできる出来事を挙げる。

「せいぜいが三年前に事故に遭って両親を亡くしたくらいか……。暴力事件を起こして警察沙汰にもなったが、それも虎丸流本人による自発的なものでシロだ。それが我々がこの時間まで各国にあるデータベースを漁って出した結論としている。新しい情報が見つかり次第、随時送信するつもりだが」

 像の足跡のように、戦車の潰した跡のように、大きすぎる存在が動けばなにかしらの痕跡が残るものだ。
 それをまっさらな状態にして消したならば、その手腕は亡国機業(ファントム・タスク)にとって脅威である。

「――もしかして、天災かしら?」
 
 天災。それはISコアの開発者、篠ノ之束(しのののたばね)の世界からの総称である。
 BL本の言葉に、他メンバーは会議がはじまってから頭の隅にあった『もしや』の否定できない事実に、唸りながら同調を示した。

「織斑千冬と関係が深いなら、それもあるかもしれん」
「もしそうであれば情報の精査に時間がかかる。さらに言えば、我々はかの天災と戦う準備をまだ完了していない」
「……いずれにせよ、対象は日本政府の監視下だ。ひとまずこの件については保留。情報部門からの進展があるまで、織斑一夏と同レベルの価値があるものとする。異議は?」
『――なし』

 これで幹部会はお開きだ。ここからは各部門独自の回線で、連携の申し込みや任務依頼、デカくなりすぎた菓子店に頭を悩ますことになる。
 ホモDVD、魔法少女フィギュア、エロ同人誌、BL本に当たっていたスポットライトが次々と消えていき、カメラの主たちの存在が退去する。

 各々がそれぞれの思惑(おもわく)で動き、蠢き、だれにも悟られぬまま闇から闇へ移っていく。彼らしか知りえぬ組織の目的のため、隙さえあれば互いの喉笛を噛み千切るため。
 しかし虎丸についての情報は過去に例がないほど異質だった。
 言い知れぬ不安を覚えながら、これを自分の利益にするためにどうするか、狐狸でさえ及ばぬ知恵を巡らせる。
 そして会議が終わった刹那、珍しいことに、亡国機業(ファントム・タスク)結成以来、全員の考えがはじめて一致した。


「「「――なんであいつら、あんな馬鹿げたものを置いてたんだ?」」」


 ちなみにカメラは背後まで動かず、実際に自分がなにを置いていたのか気付いた者はいなかった。
 しかし指摘したときの損失(というものがあれば)が恐ろしい。知りたがりの命は短い世界だ。そのため会議中のように、誰かが先に指摘することを願いながら、結局だれも疑問をぶつける機会がないのであった。


 ◆


「む、どうやら会議が終わったらしいな」
「おーいM。片付けもそっちでやっとけよ」
「オータム貴様……ッ。自分はソファでくつろぎながら、物品の準備まで私に押し付けるとは何様だ!」
「仕方ないだろ、会議の準備って部門ごとの当番制だから面倒なんだよ。それに用意した人員を使えばよかっただろ」
「人、員……? 私ひとりで置いていったんだが」
「へえ、お前だけで設置できるって、今回の『獲物』はどこも小規模だったんだな」
「うむ。ダンボールに入ってるものを置けばよかったんだろう」
「……ダンボール? おいおい、ここが倉庫の下だからって別のダンボールのモノ設置してないよな」
「馬鹿にするな! 角度などにも気にしてちゃんと置いたぞ!」
「あっはっは、だよな。悪い悪い。ま、確認がてら見てみるか」
「ふふん、あまりにも神掛かった設置に気絶するなよ?」

 オータム、あまりにも冒涜的な品々に気絶するまで――あと三分。



今回はシリアス。いいね?


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これで1D100ならまだ幸運です

投稿時に憧れていた日刊一位になることができました。ありがとうございます。作者の胃が痛くなりました。

センセンシャル!!様、ユータボウ様、おとり先生様
誤字のご報告、誠にありがとうございます。


 宇宙に行きたかった。
 それは自発的な願望というよりは、約束による義務感に近かったかもしれない。
 けれど虎丸にとって他に優先するような夢もなく、かといって約束への忌避感もなく。破る必要もないからこそ進んで約束の結末とはべつの道に歩いていくこともなかった。

 なんてことない契りで。
 なんの重みもない同意で。
 当時、相手にあまりアテにされていなかった程度の口約束を、虎丸は律儀にも守り続けている。たとえ無意識にしか残ってなくとも、それより楽な脇道がいくつもあろうとも。

 あれは、銀砂を散らしたような夜空の下で、手持ち無沙汰にブランコをこいでいた時だった。どうして子供がそんな時間に寂れた公園にいたのか、そこまで記憶に残ってはいない。
 ただ、虎丸の隣でブランコに座っていた少女が言ったのだ。
 こんな感じで。

「――虎丸。とりあえず一発でいいからヤらないか?」
「ん?」

 虎丸は凄まじい違和感を覚えながら隣を見ると、なぜか一夏が吊りイスに座っていた。女の子の姿はどこにもない。

「俺、思ったんだ。なんであの日、虎丸に拒絶されちまったか。――初めてだから怖かっただけだろ?」
「ん、ん? いや待て。いまの時点で凄まじい恐怖を感じてるんだけど、えっ、なんでよりにもよってお前が出てくんの!?」
「なに言ってんだよ虎丸、話を逸らさないでくれ。たしかに無理やり迫った俺が悪かった。いくら喧嘩で痛みに慣れてても、さすがに尻の痛みは怖いよな。大丈夫だ、優しくする」
「この時点で世界が優しくねえんだよタコ!!」

 虎丸が慌ててブランコから離れると、一夏もつられてヌルリと立ち上がる。総毛立った。
 それでも虎丸は己を奮い立たせながら、施設にいるあいだに整えていた対一夏用の理論武装を使うために口を開く。

「調べたんだぜオレ! 男が男を襲っても強姦罪にゃならねえが、強制わいせつ罪には適用されるんだってな! ヒャッハハハハ! ほらほらどうした正義の味方の一夏クンよぉ! それを知ってもオレに無理強いできるってか!?」

 千冬の教育の賜物(たまもの)というべきか、一夏は犯罪行為すべてを嫌うようになっていた。そのため虎丸は一夏が強制わいせつ罪を働くはずがないと見切っていたのである。
 一夏が立ち止まり、肩を震わせて動揺を見せる。虎丸はそれに安堵しながら頬を緩ませかけたが、一夏が単に笑っているのだと気付くと、途端に玉ヒュンした。

「虎丸。――和姦って知ってるか?」
「こ、こ、こっ、このクソホモ野郎! ここまで人間に殺意抱けるなんて知らなかったわ、クソが!!」
「慣れればきっと気にならなくなるさ。身体が気持ちよくなれば、気持ちなんて簡単についてくるだろ?」
「テメエの思考に頭が追いつかねえよ! おい馬鹿野郎、マジで千冬さんから勘当されんぞ!?」

 一夏がある方向を指差す。
 虎丸がそちらを見ると、千冬がいた。一夏の魔槍から守ると誓ってくれた千冬がいたのだ。対一夏決戦兵器の頼もしさに虎丸の頬が緩んだが、千冬は酒に溺れてベロベロな飲兵衛になっていた。

「虎丸ぅ……。ヒック、一夏と幸せになれよぉ」
「諦めて試合終了すんなよ、アホか!!」

 虎丸がキレると、突如として公園から場面が変わる。

「「「ホーモ、ホーモホモ、淫夢の子! ベッドの上にぃ、押し倒す!!」」」

 ジ◯リの崖の上の名作を冒涜するような合唱が聞こえると、なぜか虎丸たちはラブホテルの一室のような空間にいた。混乱する虎丸をよそに、まるで歌のとおりに彼をベッドに押し倒す一夏。

「大丈夫だぜ、虎丸。身体を預けてくれ。俺が絶対に幸せにしてやる」
「不幸せの絶頂だからってか!? ――笑えねえよ!!」

 抵抗しようともがこうとも、一夏の腕の拘束はビクともしない。救世主たる千冬は青白い顔のまま酒を煽っている。以前のように助けの手が入ることはないだろう。
 ラブホテルの窓が開いた。そこから教会の鐘の音が聞こえ、世話になった中学の教師、友人、さらには孤児院の子供たちなど、見覚えのある人間がすべて笑顔のまま花弁をばら撒いていた。さっきの歌声も彼らのものだったのかもしれない。訳がわからなかった。
 そのまま彼らはゾンビ映画のように部屋に入ってくると、手を繋いでベッドを囲むようにフォークダンスを踊りはじめた。狂気の極みだと思った。

「……虎丸」
「来ルナァ! アァ!? ヤメテ!? イヤァァアアアアアア!?」

 一夏の顔が近づいてくる。虎丸は取り乱しながら暴れる。フォークダンスをする人々が祝福の歌を口ずさんでいた。千冬は吐いた。
 すべての絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたような世界のなかで、時間だけがゆっくりと溶けていく。
 そしてなにもかもが最高潮に高まった刹那、二人の唇は――。


 ◆


「――ホァァアアアアアア!? ……ひ、ひっ、ひぃいいいい!?」

 虎丸が絶叫しながら飛び起きる。そして尋常ではない様子で部屋を見回し、毛布を頭から乱雑に被ると、部屋の隅まで情けない動きで這っていく。
 しばらく荒い息遣いでギョロギョロと目を動かしてから、五分経ってようやくここが施設の部屋であることを理解した。一夏も、千冬も、歌い狂っていた知人たちもいない。あの混沌極まる光景は現実まで侵食していなかった。

「ハッ、ハッ、ハァ……ッ」

 おぼつかない手つきでズボンを触る。なんともない。尻も痛くなければ、唇も変に湿ってることもなかった。もしあれば虎丸のSAN値はクトゥルフの神々を見るよりもゴッソリ減っていただろう。
 身体をズラすと、指先になにかが触れた。振り乱したときに殴り壊した目覚まし時計の残骸が床に散らばっている。

「――――」

 色が抜けたような顔でそれを片付けてから、精魂尽き果てた様子でベッドに崩れ落ちた。
 干からびそうなほど出た寝汗がシャツやズボンに吸われて気持ち悪い。

「……ゆ、夢……か」

 それもとびっきりのカオスな悪夢。二度と見たくないと思いながら、三度、四度と続いている現実には嫌になってくる。かといって夢の国でさえ天国とはほど遠く、ネズミの王様の職務怠慢が心配になってきた。
 ズボンをおぼつかない手つきで触り、これといって乱暴の形跡がないことを確認すると、目から溢れそうな汗を堪えるために手で顔を覆った。

「よかった。よかった……! あぁ、オレまだ処女で童貞なんだ……! 一角獣(ユニコーン)にだって乗れるんだよ!」

 映像式のカレンダーに目をやると、イベントの欄に『授業開始日』と載っている。
 時間はまだ午前の三時。しかし再び寝ることは出来なさそうだ。
 温もりのない枕に頭を沈め、時が過ぎていくのを呆然と待つ。

「あー……膝枕してくれる彼女が欲しいよぉ……」

 切実な願いだった。
 虎丸流(とらまるながれ)
 ホモによるストレスで不眠症を併発した、今日から高校生となる不憫な少年。
 かれこれ二週間、まともに寝ていない。


 ◆


 IS学園。世界を見ても、この教育機関の名を知らないものはいない。
 アラスカ条約に基づいて日本に設置された、IS操縦者育成用の特殊国立高等学校である。操縦者に限らず専門のメカニックなど、ISに関連する人材はほぼこの学園で育成されており、有名なIS関係者にとっての出身校であることが当然とされている。
 また、学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家・組織であろうと、学園の関係者に対して一切の干渉が許されないという国際規約によって守られている。ここにいる限り、虎丸の安全は三年間だけ保証されてるのだ。

 ぶっちゃけ各国がスーパーの特売に殺到するオバサンであり、絶妙なパワーバランスによって生まれた隙間にIS学園が置かれているといっても過言ではない。
 なのに維持費はすべて日本もち。他国の面の皮はオバサン並みに厚かった。
 この不遇な貧乏くじに、数代前の首相は遺憾の意を示している。
 虎丸は欠伸を噛み殺しながら、その学園の校門までの道のりを歩いていた。
 
「……そういうワケでさ、最近眠れてないんだよ」
「わぁ、すごいクマ。とらとら(・・・・)、脱獄犯みたいだねー」
「現実から逃げられてねえ時点で脱獄に失敗してるけどな」

 糊の効いた制服を着ている虎丸のとなりには、長くした袖を揺らしている少女が歩いていた。
 布仏本音(のほとけほんね)。つい先ほどの自己紹介で、彼女はそう名乗った。
 施設からIS学園までの一度きりの護衛とのことだが、むしろ緩みきった本音のスタイルは気疲れした虎丸にはありがたい。すぐに「とらとら」という愛称をつくり、虎丸からは「のほほんさん」と呼ぶような関係である。

「のほほんさんが護衛役でよかったよ。癒される。ずっと笑ってくれてるから数週間ぶりに気持ちが楽だ」
「んふふ、よく言われるかなー、愚痴とか聞かされるからねぇ。笑顔で聞いてるだけでもとらとらみたく、気が晴れる人が多いみたいでさー」
「マジで? じゃあオレもひとつだけ愚痴零していい?」
「うん、いいよー」
「オレ……今日が来ることに思ってたより耐えられなくてさ。一昨日だと発狂を抑えるために鎮静剤を日に五回使いそうになったんだぜ」
「それ死んじゃうやつー」
「あっはっは、だよなー。……おい、笑えよ」

 真顔になっていた本音に向けられた言葉である。
 そして本音はあだ名通りののほほんとした微笑みを再度浮かべて、長い袖をフリフリしながら虎丸をせっついた。

「それでとらとらの愚痴ってなーにー?」
「コイツ無かったことにしやがった。……じゃあさ、のほほんさん、のほほんさん」
「なーに、とらとら」
「あんたもクラスメイトなんだよな。ならさ、オレに惚れてくれそうな女子がいるなら教えてくれね? 顔だってそう悪くない自覚はあるしさ、すぐに彼女作れると思うんだよ」
「うわぁ、びっくりー。とらとらって鏡見たことないんだねー」
「あるよ? 普通にあるよ?」

 イケメンホモ野郎の一夏に及ばずとも人並みはあると思ってただけに、虎丸には割とショックだった。

「あはは、ちがうよー。とらとらは顔は悪くないけど、悪い顔はしてるからねー。女の子は怯えて近づかないと思うんだー。……もとからカッコよくもないけどぉ」
「おい、なにが自己紹介でのほほんさんだよ! 菩薩がディスってくんなよ! ……泣くぞ!?」

 脱獄犯みたい。本音のそんな感想はそう間違いでもなかった。
 虎丸の背丈は一夏よりも高く、大柄というほどでもないが、女子生徒しかいないIS学園の特性を踏まえると学園最高身長だろう。さらに言えば目つきも優しいとは言い難い。連日の不眠によってナイフのようにギラつく三白眼が、黒ニット帽の影から周囲を無自覚に威圧している。
 いくら爆弾の解体訓練とかいう使いどころに困る技能を習得していようと、IS学園の多くの女子生徒はもとは一般人だ。こんな不良丸出しな上にホモの被害者である少年に進んで話しかけようとは思わない。

「もし彼女ができたら何したいのー?」
「膝枕してもらいたい。そろそろ本格的に眠らないとホントにヤバい気がするんだよ……。――おっ、そうだ! のほほんさんが彼女になってくれよ! そうすれば万事解決するじゃん!」
「なぁんだ、寝言が言えるならちゃんと眠れてるよねー?」
「寝言は寝て言えってか!? チクショウが!」

 菩薩のようだからといってやはり無条件に優しいわけではないらしい。
 アプローチを更にかけようとした虎丸だが、眠気がひどくてその気力も失ってしまった。

「でーもー」

 本音は和やかに微笑みながら、諦めて鬱屈としていた虎丸のとなりに寄り添うと、そのまま腕にひっしと抱きついた。

「とらとらはみんなの期待を背負ってるからねぇ。頑張ってほしいのは本当の気持ちだよ?」

 子犬のように上目遣いで虎丸を見上げる。とても柔らかかった。小さな手も、絡められた細っこい腕も。なにがとは言わないが厚い制服の下にはとても大層なものをお持ちのようで、優れた容姿もあわさるとこれにグラつかない男などいないだろう。
 虎丸はホモじゃない。女が好きだ。あんな汗臭いクリーチャーなどと比べるべくもない。
 本音の無邪気なスキンシップに内心でドギマギしないわけがなく――。

「な、なんだよいきなり優しくなりやがって! わかった、ハニートラップだろ!? 世界がこんな優しいワケがあるか!!」
「うわぁ、すごい重症だねぇ……」

 それ以上に、大親友に裏切られたことにより、虎丸は軽度の人間不信に陥っていた。
 しかし人間とは現金なものらしく、本音の小さな励ましのおかげで、翼の折れたエンジェル並みにボロボロなメンタルがちょっと回復した。安い男である。

 心に余裕ができたおかげで、段々と物事を前向きに考えられるようになってきた。
 そうだ。なにがホモ野郎だ。いかに一夏がアグレッシブなホモだろうと、まさか生徒のいる教室内で股間のデンジャラス・ビーストを解放するはずがない。つまり関わらなければ実質無害である。
 たしかに見ただけで頭痛に吐き気、蕁麻疹(じんましん)に幻覚、果ては生理痛を患ってしまうが、遠くの席ならばなんとか耐えられるはずだ。

 一夏なんてイケメンで、家事もできて、運動上手で、努力家で、コミュ力があって、家族想いで、熱血漢で、真っ直ぐで、正義に生きて、かなりモテる、たかがそれくらいのホモ野郎なのである! 欠点がなさすぎて勝てる気がまったくしないが、そこを察すると途端にSAN値直葬されるため、虎丸は本能的に考えることを止めた。

 とにかく、だ。
 虎丸の蜘蛛の糸のごとく細くなったメンタルを守る学園生活が今――はじまる。


 ◆


「よぉ、虎丸! お前と一緒のクラスになれて嬉しいぜ!」
「チクショウッ! なんでコイツの後ろの席なんだよ! え、なに。授業中ずっとコイツ視界に入れてないといけないの?」

 終わった。



やめて! いまSAN値チェックしたら、27ポイントしか残ってない虎丸の精神が燃え尽きちゃう!

お願い、狂わないで虎丸! あんたが今ここで狂ったら、この作品のツッコミ役(意味深)はどうなっちゃうの!? SAN値はまだ残ってる。ここを耐えれば正気のままでいられるんだから!

次回『虎丸、一時的な狂気で野生化』
――デュエル・スタンバイ!


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