ドラゴンボール紅 (赤白隆磨)
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プロローグ

ふと、書きたくなったので投稿します!至らぬ部分は多々みられるかと思われますが許してくださいm(__)m

プロローグです。どうぞ。


小鳥のさえずりが聴こえてくる。新しい朝だ。

 

寝起きの体をベッドから起こし、眠気を逸らす為、顔を洗いにいく。面倒臭いがいつまでもぐーたらしてるわけにはいかない。

 

紅魔館の廊下は相変わらず広い。地下での生活をつい最近までしていた私にとっては逆にもう少し狭い方がきっと落ち着くだろう。

 

「あら?フランおはよう。早いのね」

 

前方からやって来たのは私の姉、レミリア・スカーレットだ。彼女は紅魔館の主でもあると同時に私の自慢のお姉様だ。

 

「お姉様。おはよう...そういうお姉様も早いね」

 

吸血鬼が朝に起きるのは大分可笑しいと思うだろう。しかしこの館には人間も住んでいる為皆そちらを優先して起床就寝の時間を逆転させたのだ。みんながいると家族ってこういうものなんだなって改めて実感させられるよ。

 

お姉様と軽い挨拶を交わした後、洗面所で丁寧に顔を洗い、歯を磨き規則正しい朝のマナーをクリアしていく。やっぱりしっかりした女の子になりたいしね。

 

「ふぅ...!だいぶ眠気もとれてきたかな」

 

 

眠気やだるさがなくなった頃、突然何もない空間から現れたメイド。咲夜に呼ばれ、ご飯の時間なので来てくださいと言われたので食卓へと向かう。いつみても彼女の能力は羨ましいなと思う。"時間を操る程度の能力"は反則級すぎるよ。一応人間なのに戦闘で使われたら吸血鬼の視角でも一瞬見失うもん。...まぁ私が言えたことでもないけど。それに加え咲夜が作る料理は本当に美味しい。どんな食材を使わせても全て美味しく作れるんだから天才だと思う。私も一回彼女の指導の下、料理をしてみたけど..月とすっぽんとはこのことか。

 

閑話休題。

 

朝食を食べた後、日課の読書をするため図書館に来ていた。読める本は少ないが大抵はパチュリーが教えてくれるから難しくてもある程度理解できる。それに分かるとこういうのは面白くて結構楽しいのだ。パチュリーはこの図書館で四六時中本しか読んでいない。たまに寝ているときもみたことあるけど体を休ませないのが心配だ。喘息持ちだし..。

 

そして、今日読もうとおもっていたのはこれ!

 

『龍と継人』

 

うん、完全に子供向けな本だね。題名から察するにその龍と人がなにかするのだろうけど、どういう展開になるのだろう。まぁあまり期待はしないでおこうかな。

 

「ぁれ??..この本開けない」

 

力一杯本を開けようとしても全く開かないのだ。それに良くみるとカバーのところに鍵穴がついていた。きっとこれのせいで開かないのだろう。

 

「パチュリーみて。この本鍵がかかってるの!」

 

「ん...?本当だわ...というかこれ私が所有している本ではないわ。どこから持ってきたの?」

 

「え....?あの一番右の本棚からとってきたよ。パチュリーのじゃないの?」

 

すると、何故か難しそうな顔をする彼女。

 

「....気持ちが悪い。」

 

一瞬言っている意味がわからなかったけど、危険な本を見付けてしまったのか。

 

「なんか恐いから捨てよ!」

 

私が提案すると

 

「....そうね。こんなものに興味はないわ」

 

賛成してくれた。私は少し興味はあるけど、危険なものである以上持ってるわけにはいかない。すぐ捨てることにした。

 

しかし

 

グバァァッ!

 

「え?」

 

「ッ!!フラン!!」

 

捨てようと投げ捨てた本がいきなり空中に浮き出し、開かないはずの本のページが開いたと思うと次の瞬間、倍にでかくなったその本に食べられていた。

 

「日符!ロイヤルフレア!!」

 

パチュリーが魔法を全力で放つもその本には効かず、私はそのまま本の中へと吸収されていった。

 

 



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そこは惑星べジータ

目が覚めると私は知らない所にいた。正確に言うと薄いガラス状の何かに入っており、とてつもなく私の体は縮んでいた。何を言っているかわからないと思うが私も何を言っているかわからない。意味不明だ。

 

そして、何故か裸。さらに言葉が話せない。声は出せるが本来の滑舌や呂律がお亡くなりになっていた。夢なら早く覚めてほしい。本に食われて、目覚めたら見知らぬガラス張りの中だなんて笑えない。しかも裸ときた。なんだ?私は何か悪いことをしたのか。公開処刑もいいところだ。

 

しばらく、この状況に困り果てていたとき、誰かがこのガラスを取り外し私を抱き上げてきた。

 

「おぉ。戦闘力495か。中々に高い!」

 

私を抱き上げるなり意味不明なことを言い続ける若い男性。戦闘力ってなんなの。495って私の年齢じゃん。あぁ、そうかもうじきエイプリルフールだからみんな嘘で脅かそうと必死なんだな。大丈夫。もうすでに驚いているし、困っている。これ以上は必要ないよ!さぁ、残念!ウソでしたぁ☆と高笑いするが言い!場合によっては泣く!

 

「この子の名前どうしようか..」

 

あれ、まだ続くんだ。4月1日はもう私のなかではすでに終わっているんだけどなー。お前の中ではまだ終わってないって?やかましいわ。お姉様でもいいから早くこいつをひっぱたいて目を覚まさせてやって!!私の名前勝手に決めようとしてるからこいつ!

 

「よし!決めたぞ。お前は今日からフラン・ドルだ。」

 

は?なにその区切りかた!センスの欠片もないよ!!フラン"ドール"ねっ!ドール!ドルじゃないから!そしてスカーレットを地味に外すのやめよ。『今日から改変してやるよお前の名前ww』的なことをする人は私キライかな?さらに言うとずっとエイプリルフール気取ってる奴もキライかな?

 

「お前は良きエリート戦士として育つだろう。あぁ、我が娘ながら実に才能に満ち溢れている...!」

 

もうアウトだよこの人。芝居うますぎて逆に引くんだけど。涙もみせっちゃって.......

ねぇ、これ本当なの?...不安になってきた。洒落にならないこと今起きてるの?もしかして

 

「良かったな...そこいらの下級戦士にならなくて。俺のガキは即他の惑星に送るとよ。チッ...情けねェ」

 

 

この部屋にまた誰か入ってきたようだ。姿を見てみると変わった髪型をしており、四方八方に散らばっている形をしている。頭にスカーフを巻き、軽そうなプロテクトアーマーを身に付けていた。いかにも強そうだ。筋肉がすごい。

 

「まぁバーダックそうカッカすんなって。お前のところの子供もそこで成果を上に見せればチャンスはいくらでもある。上手くいけばエリート戦士より活躍できるかもしれないんだぞ。」

 

さっきから子供の話をしているが、我が娘ということは私がそうなのか。もしかしなくても。...泣きたい。本当にこれは現実みたいだ。

 

「どうだかな..フン、もし仮にエリート戦士以上になれたとしてもその頃なったらこの惑星べジータは崩壊しているかもな」

 

「またお前はそうやってろくでもないことを言う...。少しは応援してやれよ。お前の子供なんだぞ」

 

「へっ....子供を大切にするお前みたいなサイヤ人が珍しいだけさ」

 

 

中々に酷い会話だ。惑星べジータとかいってたけど、なに!?ここってそんな弱肉強食みたいなとこなの?生きて行ける自信ないよ私..。"能力"はできるだけ使いたくないし....お姉様みたいな平和主義者になりたいとこの前目指したばっかなのに。

 

「そういえば、もうじきこいつら訓練か。」

 

「実戦なんだってな。正直、まだやらせたくないんだが」

 

 

最悪のワードを耳にした。実践?つまり戦えってこと!?はっ!?むりでしょ!私の体こんなに縮んでまだパンチもできないのに!

 

「過保護な奴だ。たかがハイハイの練習だぞ」

 

 

え、なんだ。そういうことね。私はてっきり戦うのかと...

 

 

「大猿相手に逃げられるかな。内の子...」

 

 

大猿!?貴方たちはなにをおっしゃってるの?多分だけど私の感じ2才くらいじゃない?そんなちっちゃいうちから危ないことさせるとか鬼畜ね!

 

「..はぁ、貴様の甘さにはヘドがでそうだ。これ以上いるとそいつが移りそうだ。...またな」

 

「ははっ。任務頑張れよ」

 

 

バーダックさんという人はそれを捨て台詞に出ていった。

沢山の不安を私に置いていきました。もう嫌です。泣いてる。私泣いてるよ。

 

この世界で生きて行ける気がしない。一刻も早く幻想郷に帰りたい。

 

 

 

 



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フランの脅威

※誤字修正致しました。気付くのが遅かったです!申し訳ございません!


ここは惑星べジータ。私がいた幻想郷とは別次元の世界だ。何故そう言い切れるか、いくつか理由はあるが1つは奴等の体の仕組みにある。

 

今、二人の人間が組手をしている。それぞれ良きエリート戦士になるために。彼らは"サイヤ人"という人種で戦う度にその力を上げていく、戦闘に適した体を持っている。

しかし、そんな人間は見たことも聞いたこともなかった。

 

まるでこれから戦争でもするかのような武装集団に見守られながら大きいドームの中で二人のサイヤ人は殴り蹴りを繰り返す。

 

「フラン、今日も来ていたのか」

 

私に話しかけるこの人は私の父にあたる。エンダイブだ。黒髪の短髪でとげとげしいヘアスタイルだ。周りには優しく、勇ましい勇敢なサイヤ人として知られている。内心、この体になる前の私にも親はいたので何とも言えない気持ちなのだが、こうなってしまった以上本当の娘として育ててくれている彼に余計な感情は酷だろう。

 

「うん。他人の戦い方を観てると如何に自分が力不足かもわかるしね。」

 

「何を言っているんだお前は。そこら辺の奴より戦闘力は何倍も上だろ。」

 

「そんなことないよ。私はまだ実戦経験なんてモノはないし。勉強になるよ。」

 

戦闘力。力を示す数値だが、私は600ある。五歳になった私だが、その年でこの数値はあのべジータ王子同等、凄い事なのだという。

 

「実戦か....お前ももうすぐフリーザ様の為、尽くさなくてはな。」

 

「フリーザ様ってそんなに強いの?」

 

「当たり前だ。この宇宙を支配するお方だぞ。」

 

正直、そんな強いとは思えないんだよね。そりゃ宇宙を支配する程の力を持っているくらいだから大きい力を持っていることは確かだけど、その内サイヤ人の成長スピードに追い付かれるんじゃないかと思う。

 

「フリーザ様にもし会ったら絶対に粗相の無いようにな。」

 

「はい。お父様」

 

父の言葉を留めておくようにし、途中にしていた観戦を再び続けた。

 

 

 

 

 

午後、任務が終わったサイヤ人が複数人帰ってくる頃と同時に大きな宇宙船が空から降りてきた。部屋にいた私は窓からそのあまりに大きい船に驚愕しつつ思わず外へと駆け出していた。

 

程無くして宇宙船から、マントを羽織った背が高いパンツ一丁の男や、とげとげしい体をした怪物。そして宙に浮く足がない丸いイスのような物に座り、長い尻尾や角を持った男が順に出てくる。その中、一人ただ者ならぬ人物がいるのを私でも理解できた。

 

「フリーザ様がいらっしゃったぞ!!!」

 

後者の男、基フリーザは彼ら(サイヤ人)を見るなりこう言った。

 

 

「べジータ王に話が有って来ました...通しなさい」

 

 

その命令に誰一人として逆らうことはできず、ただ押し寄せる気迫と恐怖に怯えるものばかりである。私も正直恐くなっていた。最近エネルギーのコントロールを意識していたせいか、相手の力量も少しなら感じ取れるようになっていた。が、今の場合フリーザの底知れぬ力を敏感に感じ取りすぎて自身に逆効果を与えていた。ここまで相手の力が正確にわかったのは初めてだった。

 

すると甘いマスクの男が私を見るなり口を開いた。

 

「おい、そこのガキ...お前でもいい。案内しろ」

 

え!?もしかして私!?

 

「...聞こえなかったのか?」

 

「は、はい!畏まりました!」

 

突然のことに硬直してしまい反応が遅れたが、なんとか言葉を発することができた。私を見る皆の視線は「しくじるなよ」と、言いたげだがそんなに睨みつけられると逆に怯んでしまうのでやめてほしい。

 

しかしこうしてフリーザの近くにいると本当にいつ殺されるかわかったものではない。一緒にいるだけで寿命が縮まりそうだ。

 

「フリーザ様こちらです....」

 

べジータ王自室までたどり着き中まで案内すると玉座に座っていたべジータ王が一瞬驚いたような顔つきになり即座に地面へと伏せる。

 

「フリーザ様!ようこそ、この遠い惑星まで御越しくださいました。」

 

「べジータ王、貴方の子供と話があります...出しなさい」

 

━子供ってことはべジータ王子のことね。私は今すぐ出ていった方がいいかも━

 

入り口まで戻りながら、フリーザとべジータ王子の会話の様子を見ていたがお互いの表情はまるで敵同士であるかのような顔である。

 

気にくわないやつにはとことんこういう態度しかできないのがサイヤ人だ。フリーザもそれには腹が立っているだろう。いつキレるかわからない。もしかすると話し合いが終わった後何かしでかすつもりかもしれない。

フリーザのことを多少甘く見ていた私だったが実際に見るとでは全く違う。

 

この人には絶対に誰も勝てない。私の能力があれば別だが、生憎その能力は惑星べジータへと来たとき同時に失われていたらしい。全く運がついていない。

そんな今の私がフリーザの横顔を見て思うのだ。

 

コイツは"脅威"だと



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惑星べジータ滅亡!?バーダックが見た未来!

今回はバーダック視点です。





※沢山のお気に入り登録ありがとうございます!やる気が出ます!


今日は厄日だ。ギネの買い物に付き合わされたり、カナッサ星帰りに惑星べジータで療養を取っていたが眠っているときに悪い夢を見ちまったりと最悪だ。

 

「日頃の行いっちゅーもんが悪かったのが今日に廻ってきやがったか...」

 

『バーダック何か言った?』

 

不機嫌そうな顔を見せてくるコイツの顔を一発ぶん殴ってやりたいがそんなことしたら後々面倒になるので止めておこう。

 

「......後で後悔しないように好きな奴選べよ」

 

『ぉぅ!なんだい今日は優しいんだなー!折角我が子の誕生日祝いなんだから参加すれば良いのに』

 

「息子の誕生祝いだとぉ?フン、くだらねぇ冗談だ...」

 

『それでもアンタは父親かい!』

 

「フン、何の見所もねぇ最下級兵士のクソガキにわざわざ会いに行くバカがいるか!お前がどうにでもしろ!」

 

なんとか早く済ませてほしい一心だった。帰ったら昼寝でもするか。

 

 

 

━.....ック...お....死ぬ...だ.━

 

 

「ッ!?なんだ..?」

 

突然頭の中に声が響いた。何処かで聴いたことがある声。この親しみ易い感覚、前にも味わった気がする。明らかに店内からのアナウンス等ではなかった....何だったんだ。

もしかしなくても疲れているのかもしれない。やはりここは昼寝でもして休養を取るべきか。

 

『バーダック?顔色が悪いけど悪いものでも食べたかい?』

 

「..お前に心配される筋合いはない。それよりも早く選らんじまえ。」

 

『そうかい。んー何れにしようかなぁ~♪』

 

チッ..まだ終わりそうにねぇな。かれこれ二時間も続いてやがる。全く....

 

 

━命を家族を友を守りたいか?ヒッヒッヒッ━

 

 

「..またかッ」

 

聴くだけで物凄い腹が立つ上に、挑発的で喧しい!何なんださっきからこの声は!

 

━消して差し上げましょう..何もかも━

 

 

こ、今度はわかる!わかるぞ!コイツァ、フリーザ様だ!フリーザ様の声が顔が見える....なんだ、この現象は。俺に何かを伝えていようとしているのか?

 

━この惑星べジータの運命..━

 

「オレの声...?」

 

━このオレの運命!━

 

 

━カカロットの運命...!!そして━

 

━貴様の運命もッッ!!!!━

 

 

━これで最後だァァーーッッ!!━

 

そこで映像と声は頭の中から消え去った。

 

「オレの頭ン中、どうしちまったんだ..!?トロオん時に未来を予知とかなんとかって言ってたが...まさかな」

 

カナッサ星に行った時にトロオという奴に出会い、戦ったこともあり話した内容は覚えていた。フリーザ様が珍しくチンケな星を欲しがってらっしゃっていたので地上げ込みで殺った次第だったが...。

 

「アイツの呪いだとしたらたまったもんじゃねぇな。」

 

『アイツって誰だい?』

 

息子へのプレゼントが決まったのか、ギネは袋を片手に話しかけてきた。

 

「独り言だ。それよりも終わったなら寝かせてくれ。」

 

『ラディッツもカカロットもこんなのが父親で可哀想に』

 

「喧しいわ」

 

 

買い物がやっと終わり、昼寝でもしようかと思っていたが時間が2時過ぎと微妙だったので暇潰しにトーマ達の元へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

「なにぃっ!?惑星ミートだとぉ!」

 

トーマ達を探している途中で同期に出会ったので尋ねてみるとどうやら惑星ミートに行ったらしい。

 

「ちきしょうっ!オレを仲間外れにしやがって..!」

 

悔しさを胸に惑星ミートまでの距離をモニター下の機械で測定する。

 

ピロピロピコピコ ピピッ

 

「惑星ミートか..すぐ近くだな..よぉし」

 

即座にポッドへと急いだ。その途中、養護室に通りかかったのでカカロットの戦闘力を確認していくことにした。まぁ、上の奴が他惑星に送り込むといっていたが戦闘力100前後なら許そう。

 

 

「カ...カ..ロット...?」

 

しかし、期待は裏切られた。

 

「チッ...戦闘力たったの2か!クズがっ!」

 

寄り道するのではなかったと後悔した。揃いも揃ってラディッツといい、カカロットといい、我が息子とは思えん。情けない。

 

 

 

 

 

 

惑星ミートに着くとそこは荒れ地と化していた。

 

「随分派手にやりやがったなぁ..アイツら」

 

暫く探索しているとスカウターに戦闘力の反応が出た。

 

ピロピロ ピピッ‼

「ん?いやがった...奴ら夢中になって暴れてやがるな」

 

 

しかし、この直後我が目を疑った。仲間が皆ボロボロに倒れていたのだ。

 

「い..いったい、何がどうなってやがる!」

 

その中でただ一人、呻き声をあげながらオレに気付いた奴がいた。

 

「トーマ!!どうしたんだ一体!ここで何があった!?」

 

苦しい顔をしながら語りかけてくるトーマ。もう背中で息をしており死の直前だった。

 

「まさかミート星人なんかに...?」

 

喋るのは辛いのか、トーマは首を横に振るだけである。

 

「それじゃ、誰がおめぇたちを!?」

 

『フ..フリーザ様達だ...て..敵はアイツらだァ...ッ!』

 

「そんな..バカな!!!」

 

フリーザ様が、裏切ったとでも言うのか。信じられない事実だ。ついにサイヤ人をも滅亡させる気なのか。アイツは!!

 

『ヤツに...サイヤ人の、強さを...思い知らせ....て..やれ......』

 

「トォーマァーーーッッ!!」

 

 

"トーマ死亡。惑星べジータ滅亡まで後4時間"

 

 

 

 




次回もバーダック視点かもしれません。


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バーダック達の意思よ次世代に!放たれるサイヤの咆哮!!

ごめんなさい。だいぶハショリマシタ(汗


このオレの拳は赤に染まっている。仲間達を殺され、剰へフリーザの裏切りが起こった。元々気に入らねぇ奴だったさ。あんな奴の下で働かなきゃならねぇのか…ってな。

オレは動かなければならない。アイツを生かしておくわけにはいかねぇ!

 

「ん?...アイツらはッ!」

 

目の前には仲間を殺したであろうドドリアの部下が四人程いた。

 

「...許せねぇ!」

 

『なんだなんだ?お前は』

 

部下の一人が此方に気付いたようだがもう遅い!

 

「だりゃァッ!!」

 

グシャァッ

 

『こ、コイツ!』

 

部下の一人に蹴りを浴びせると周りの奴らも一斉に掛かってきた。

 

『猿がぁ!小癪な!!』

 

銃を乱用する馬鹿もいれば無駄な動きが多い奴もいる。こんな奴らにトーマ達はやられたというのか?

 

「遅い!おりゃぁっ!」

 

『くぅぅっ!なんて強さだ!』

 

意外にも呆気なかった。束になろうとオレ一人で片付けられる程度の力しかなかった。

 

「けっ..何を手こずってたんだか...アイツらは..ッ!?」

 

突然背後からエネルギー弾が襲ってきた。この戦闘力の高さ並大抵の奴ではない。ドドリアか!?

 

『ヒッヒッヒッ良く避けたな!』

 

「ド..ドドリア!」

 

このピンクのギザギザデブはフリーザの側にいやがった憎ましい野郎だ。

 

「..フリーザ..様..は本当に裏切ったのか!?」

 

『ヒッヒィッ...事実を知ったところでバーダック、お前はここで死ぬ。冥土の土産にコイツをくれてやるゥ!!!』

 

「ま、まずい!!」

 

ゴガァァァッ!!!

 

特大のエネルギー弾を避けれずまともに受けてしまった。

 

「ぁ...がっ...」

 

『ふん!つまらん!其処で精々息絶えるがいい!』

 

 

ドドリアの野郎は去ったか.....くそぉっ!オレはまだ死なねぇ!アイツらの為にも皆の為にも早くこの事実を知らせなくては!

 

━だァァァァァァッ!!!━

 

「カ....カカロット...!?」

 

またあの夢のような奴だ。映像にはカカロットが映っている。オレは痛めた体を引きずり、ポッドに乗り込みながら頭に流れてきた映像を見続ける。

 

━ハァァァァァァッ!!━

 

コイツはべジータ王子か?どっちも成長している....。

 

界王拳(カイオウケン)!!!━

 

━どうしたカカロットォッ!そんな程度じゃないはずだーっ!━

 

そこでまた映像は途絶えた。

 

「これも未来予知という奴なのか..?だとしたらあの時見たフリーザの野郎ンときもっ..!くっ、く...くそぉっ...フリーザは本当に、オレたちを...!」

 

未来を予知する能力を手にしたがそれはオレに絶望を与えるモノでしかない。トロオの野郎...とんだ置き土産してくれたぜ。勿論、悪い意味でな。

 

ピッピッピッ

 

どうやら惑星べジータに着いたようだ。療養を取った後一刻も早くこの事態を知らせなくては!

 

「な、なんだと!?」

 

降り立った直後、すぐそこまでフリーザの野郎が乗っている船を確認できた。畜生!早い!早すぎる!

 

オレは急いでメディカルマシーンに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今、ラディッツお兄さんと戦っている。バーダックさんの子らしく、髪色や性格がそれを思わせる。ラディッツお兄さんの戦闘力は私より下だけど実戦経験がない私にとっては良い練習になっている。

私も現在はサイヤ人なので当たり前の如く尻尾も生えているわけだけどこれが弱点だなんて思わなかったから、最初悪戯で子供に握られたときは全身から力が抜けちゃって大変だったよ。まぁ今はラディッツお兄さんに鍛えられて少しは耐性ついたと思う!

...でもやっぱり握られるのは勘弁かな。

 

『フラン!お前段々攻撃の仕方が上達してきたな!』

 

「そ、そうかな?ラディッツお兄さんがそう言ってくれると嬉しい!」

 

『お、おぅ!』

 

凄く嬉しい!やっと褒められるまでに上達したんだと思うとかれこれ二時間やってただけあるよ!幻想郷に帰ったらお姉様にも教えたい!あと美鈴や咲夜にも!パチュリーは過剰な運動無理だからだめね...残念。

 

ピピッ

 

「ぁれ?なんだろう。スカウターが」

 

突然上空の方角から戦闘力の数値を示してきた。

 

ピピッ

『オレもだ。....はぁぁ!?!?』

 

突然ラディッツお兄さんが叫びだした。

 

「ど、どうしたの!ラディッツお兄さん!」

 

『ふ、フリーザ様が何故かエネルギーを高めてらっしゃる!』

 

「そ、そんな!?どうして!」

 

『わからない...だが此処にいては危険だ。すぐポッドに乗り込め!』

 

「でもラディッツお兄さんのお父さんとお母さんは!?」

 

『オレのクソ両親なら大丈夫だろう!フランも早く避難しろ!』

 

「わ、わかった!」

 

ラディッツお兄さんに言われるままポッドへと乗り込む私だったが、私はやっぱりお父様を探すべくスカウターで数値化してお父さんの戦闘力を探した。

 

「お父様どこー!?」

 

ポッドの飛行機能を使い、探し続けるが見つからない。もう先に避難してしまったのだろうか。

 

ピッピッピッ ピピッ

 

「い、いた!!...って空!?」

 

なんとか見つけることが出来たが何故かフリーザがエネルギーを圧縮している近くにいる。助けなくちゃ!!

 

フルスピードでお父様の元へと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

「けっ...結局はオレ一人かよ!」

 

この事態を知らせるべくオレはサイヤ人どもにフリーザが裏切ったことを教えたが誰も真に受けなかった。どいつもこいつもくそったれだ!全員地獄に堕ちろっ!

 

 

「オレが...この、オレがっ!未来を変えてみせるッッ!!」

 

『おい!バーダック!』

 

後ろから声がした。よく聞き慣れている声だった。

 

「エンダイブ...?おめぇ何しにきやがった!」

 

『協力しに来たに決まってンだろ!こんな光景みても動かねぇ奴がどうかしてるぜ!』

 

『おとぅさまぁーーー!』

 

そしてその後ろからもう一人、ポッドに乗ったままの奴が来やがった。

 

「...おいお前のガキまでいるぞ」

 

『フラン!?何しにきたんだ!』

 

『私もサイヤ人だから手伝う!!』

 

その純粋な答えに思わず小さい頃の自分をみているようで笑ってしまいそうになる。サイヤ人はこうでなくちゃな。

 

「おい、フランとか言ったか」

 

『は、はい!バーダックさん!』

 

そしてオレはこう続けた。

 

「お前は邪魔だ。さっさとここから消えやがれっ!」

 

すると彼女は打たれ弱いのか涙ぐんだが、エンダイブもその通りだと弁解していた。

 

『わかり...ました..!お父様!バーダックさん!私は意思を継ぎます!貴方達のような立派なサイヤ人に成るために!』

 

 

そう言い残し彼女はエンダイブと抱き合ったあと奴の指示の元、ポッドで避難した。

 

 

「へへっ...エンダイブ。最後まで良い父親だったな」

 

『あの子が産まれたから俺は変われたんだ。リザは死んでしまったがあの子と過ごした日々...思い出...全てが宝物さ。昔の俺なんて今となっちゃどうでも良い。』

 

「そうか。思い残すことがないならいくぞ!!」

 

『おうッッ!!』

 

 

そしてオレ達は渾身の思いで叫ぶ。

 

『「フリィィィィザァーーーッ!!」』

 

『出てきやがれーーッッ!!』

 

「オレは貴様が許せねーーッッ!!」

 

すると宇宙船の上部のハッチからあの憎たらしい顔が出てくる。

 

『ホッホッホッ』

 

その不気味な笑い声と共に出された指からの特大のエネルギーの塊はまるで宇宙全体が揺れているかのような圧を出す。

 

 

「へへ...これで全てが変わる」

 

『この惑星べジータの運命...!』

 

「この..オレ達の運命...!!」

 

『フランの運命...っ!!』

 

「カカロットの運命っ!!!」

 

『「そして」』

 

それぞれ片手にエネルギーを詰め込み、二人分の力を組み合わす!!

 

『「貴様の運命もッッ!!」』

 

最大まで高めたエネルギーを今放つ!

 

『「これで最後だーーーァァァッッ!!!!」』

 

ギュィィィィィンンン

 

だが

 

『ホッホッホッ..ホーッホッホ!!』

 

フリーザの特大エネルギーボールによって吸収されてしまった。

 

「な、何っ!?」

 

『ば、バカな!!』

 

情けねえ事にフリーザの圧倒的な力に成す統べなく、敗れてしまった。だが、オレには切り札がまだある!!

 

「ぁぁぁあーーっ!!」

 

ゴォォォォッ

 

「ああ、ぁ....カ...カ..ロッ、ト...」

 

ジュゴォォォォ

 

「カカロットよーーーッッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

カカロットよ...このオレの意志を継げ!

サイヤ人の...惑星ベジータの仇を、お前が討つんだっ!!

 

 

 

 

 



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地球編
いざ地球へ!!素敵なおじ様との出会い


UAが増えてきました!読んでくださりありがとうございます!やる気がでます!


フリーザの目論見により惑星べジータは滅んだ。今まで一緒に暮らしてきたサイヤ人達が今はどうなっているかはわからない。私のように運良く逃げれた者もいれば、フリーザを最期まで信用していた者はあの爆発に巻き込まれ、恐らく死んでしまったであろう。

 

「これ..まずぃ...」

 

ポッドの中には予め用意されていた非常食が山ほどあった。しかし、味はお世辞にも美味とは言えない物ばかり。私は今まで裕福な暮らしで育ってきた身だったから余計、この粗末な味が舌を敏感に伝わらせる。しかし、ここは質より量を優先しなければ生き残れないのも事実。いつ安全な惑星に着くかもわからないので仕方ないなと妥協した。

 

「...お父様...バーダックさん...みんな..っ」

 

この広大な宇宙を見ていると皆の顔が自然に浮かびあがってしまう。初めはどう接しても良いかわからなかった私を皆は温かく向かいいれてくれた。お父様は特に、私を大切にしてくれた。どんなときでも味方でいてくれた。忙しくても夜はちゃんと帰ってきてくれた。苦い味と辛い記憶が重なり涙がでる。

 

「お父様の意思...ちゃんと受け継がなきゃ!」

 

バーダックさんも言っていた言葉。きっと同じ様に自分の子供にも言いたかったのではないかと気付く。あれほどサイヤ人の誇りを持ち、"強い"サイヤ人はお父様を除いて他には見たこともない。

彼ら達は今の私の目標だ。

 

ピピピッ‼

 

「...なんだろう」

 

操作パネルから音が聴こえてくる。この音は確か、目標地点に近付いたときの音だ。しかし、私はこのような設定はしていない。きっと前に乗った人が切替しなかったのだろう。

 

「....!綺麗~!!!」

 

目の前に見えたのは青く輝く星だった。それはまるでブルーサファイアの石のようだった。とても素敵!

 

「..決めた!!ここで暮らそぅ!!」

 

お姉様なら絶対『これは運命の導きね』と言いそうだ。

しかし、私もこのときばかりはそう思っていた。

 

新しい生活の幕開けだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人旅はすぐに終わった。あのポッドの中にいるといつかの自分に戻っているようで凄く嫌だったので清々した。

 

「空気が幻想郷と似てるー!なんだか帰って来たみたいな気分だわ♪」

 

 

新しく暮らす環境に期待を持ってしまうが、取り敢えず!

 

「...お金ほしい!!」

 

今の私一文無しですから!お金ないと始まらないよね!

...だけどどうやってお金って貰えるのだろう。

 

「働くって言ってもお仕事なんてしたことないし...あ」

 

そして、私は重大なことに気が付く。

それは服装と外見だ。

流石に尻尾が生えた人間なんかが街中に行ったらサイヤ人が来た!って皆に恐がられちゃうし、あとこの堅苦しいプロテクターみたいなのも外してお洒落したい!見た目9割中身1割ってお姉様も言ってたし!

 

「...ぁ、でもお洒落にもお金がかかっちゃうじゃん...こまった!!」

 

 

途方に暮れ、困り果てていると何やら森の奥から声が聞こえてきた。叫び声のようだが気になったので行ってみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

暫く森林を探索していると、道を進む度その声は明確に聴こえてくるようになってきた。『てや!』とか『りゃぁ!』とか。気が狂っている人だったらどうしようかと不安になりながらも足を止めることなく、声の主を探し続ける。

 

随分と開けた場所についた。大草原の中、男性が空気を殴ったり蹴ったりしている。それは正に"修行"であった。それも随分と歳を取ったおじ様だった。

 

「あの人人間なのにとても強そう。」

 

その精練された動き。瞬発力。空気を切り裂くような突きの数々。何れをとってもその方は"達人"だった。

 

 

「ぁ、あの!」

 

私は無意識に声をかけてしまっていた。少々緊張しながらもその人に話してみたくなったのだ。

 

『おやおや....お若い女性の方がこんな山奥まで来るとは珍しいこともあるものじゃ。』

 

優しく微笑む彼はさっきまでとはまた違った魅力のある人だった。

 

「ぇと..森の奥から声がしたもので...気になってこっちに来てみたんですが、お邪魔してごめんなさい。」

 

すると彼はにかにかと笑い続けこう言った。

 

『貴女。見たところ凄腕の武道家とみた。どうですかこの老人を1つ、楽しませてはくれませんか。』

 

「え!?」

 

意外なことにその人は闘おうと言うのだ。しかも私の力量を知っているかのような目を見せてくる。

 

「....私でよければお相手しますっ!」

 

当然、闘いとなったらサイヤ人は断れない。私もワクワクしてきたところだ!

 

『では...よろしくお願い致します。』

 

彼はその言葉を言い終わると同時、構えを瞬時にとる。その隙の無さには驚愕する。

 

「私も全力で行かせてもらいます!」

 

地を蹴る。飛び上がり、純粋な脚力で挑む。

 

『こっちですじゃ』

 

「っ..見えてます!」

 

一瞬、彼は残像だけを残し私を翻弄させてから一気に突っ込んできた。しかし、力は私の方が上。競り合いには負けたことはあまりない。

 

『中々やりますな!』

 

「ぁ、ありがとうございます...」

 

『私も負けていられませんな..!』

 

「!?」

 

地を蹴ったと思ったら私の背後に即移動し攻撃してきた。

 

「くっ..甘いです!」

 

が、危機一髪のところで攻撃を受け止める。

辺りはさっきまでとは変わり果て、主に私の力具合のせいで荒れ地になっていた。

 

『ほっほっほ!これは参った!私の敗けじゃ』

 

「あ、あの大丈夫ですか。」

 

手を差し出すと彼はありがとうと言いながら手をとってくれた。

 

『貴女はお優しいお人のようだ。..尻尾が生えてる者は皆そうなのかのぉ』

 

 

し、しまったぁっ!つい尻尾のことを忘れちゃってた!

ぁ、あれ?でもこの人全然驚いてない。

 

 

「ぁの、驚かないんですか?尻尾生えてること..」

 

『実はですね...つい最近貴女のように尻尾が生えた赤ん坊が森に捨てられていたんじゃよ。その子は今私が引き取っているんですがね。もしかして貴女に関係した人かも知れないと思うのですが』

 

「...会ってみたいですその子に」

 

『良いでしょう。ついて来てください。』

 

その言葉に感謝し、彼の背中を追う。

 

『そういえば忘れておったわい。貴女のお名前を聴かせてもらっていなかった。』

 

「私はフランといいます。」

 

『ほうほう、私は孫悟飯。闘い合った仲じゃ。肝に銘じておくよ。』

 

旅は道連れ世は情けだなと沁々思った。

 

 

 

『さぁ、着きましたぞ。少々狭いですが御上がりください。』

 

「とんでもないです。失礼します。」

 

部屋の内装は普通かな。けれどこの感じ人里の家々を思い出させる。

 

『この子が、森で拾った子供です』

 

「..こ、この子は!」

 

そこには絶対に忘れないであろう特徴的な髪型。蟹のハサミのようになっているこの髪型はバーダックさんの子供に違いなかった。この子はカカロット!

 

「知り合いの人の子供です..!間違いありません。」

 

『そうか...そうじゃったか。名前は何と言うんだ?』

 

「親御さんからはカカロット....と聴いています。けれど、この子の両親はもぅ....っ」

 

『....』

 

私の表情から察したのか孫さんは頭を撫でてくれた。

 

『辛かったじゃろう...よう一人でここまでたどり着いた。』

 

その言葉、思いが私の辛い記憶(こころ)を打ち消してくれた。

 

「...わたじは..っ..ぁのときだれひとり!まもれながったっ!!!ぁぁぁぁーー...!」

 

『貴女が今、皆の事を考えているのならば、同じ様に貴女を考え行動してくれた人達がいたはずだ。大丈夫、皆の意思は貴女に。貴女の意思は皆に。届いていることだろう。』

 

孫さんの温かい言葉。温かい手。今はそれだけを感じていたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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月が産んだ化物!弟を救え!

あれからどれほどの月日が経ったのだろうか。カレンダーという物や時計が無いこの部屋では明確に確認できない。外から見える輝く太陽と真っ暗な空が教えてくれるから不便ではないけど。

 

地球に降り立った日、あの頃から孫お祖父ちゃんの家に住まわせてもらっている。カカロット改め"孫 悟空"との縁もあるだろうし、その年ではまだ世へ出るには早いだろうと言ってくれた。優しい彼の言葉に救われたと感じる毎日だ。

 

それと名前のことだけど私と孫お祖父ちゃんで決めた。カカロットという名前でも良かったのだけれど、折角お祖父ちゃんがお世話までしてくれるから、その恩返しとは言ってはナンだけど"此処での名前"をつけて少しでも喜ばせたかったのだ。

 

「おじいちゃん厳しいなー...大丈夫かな悟空」

 

 

『おりゃーーっ!』

 

『まだまだ速さが足りないぞい!』

 

 

今、悟空は修行の真っ最中だ。内容は畑仕事。一見武術とはなんにも接点がないように思われるが実はそんなことはないのだそう。お祖父ちゃんの師匠が昔彼に教えたことをそのまま悟空に伝授している。

 

「二人のためにももっと作らなきゃね!♪」

 

私はというと、♪れっつくっきんぐタイム♪を行っている。多分、テーブルにずらーっと並んでる皿に乗っかっている料理の数々を見たら大半の人は『貴女のクッキング量多すぎ!?』と驚くだろう。目だって飛び出るかもしれない。

しかし悟空にとってこれで腹八分目くらい。サイヤ人は皆大食いなのだ。私もこの身体を手にしてから胃の消化が早く感じる。

常人の倍以上の食欲を持つ為、作る方としては一苦労だ。

 

「咲夜の料理には敵わないけど...量は一流ね!」

 

質より量とは正にこの事。作る度に思う。もう少し"味"を勉強した方が良いと。肝心の料理を食べている二人はいつも"美味しい"と言ってくれるので本当に嬉しい。まぁそんなに不味くはないからね!寧ろ美味しいと思う!

 

 

『ねーちゃんオラ腹へったぞぉ』

 

おっといつの間にか修行は終わっていたみたいだ。

 

「はいはい。そこに座っててねー」

 

『いつも悪いの。こんなに沢山大変じゃったろう。』

 

「いえいえ♪お祖父ちゃんのおかげで私達は暮らせていけるのでこれくらいは当然ですー」

 

『ほっほっほっありがとうなぁ。なんだかこっちが助かってばっかりだわい。』

 

『ねーちゃんの料理はうまいかんなぁ!』

 

「そんなに褒めても食べ物の量が増えるだけだよ~♪」

 

 

幸せそうに食べている彼らの顔が私の心も幸せにしてくれる。

本当にここに来て良か『ねーちゃんおかわりっ!!』

....食べるの早い。

 

「悟空ちゃんと噛んで食べてよね」

 

『むーー?ほらちゃんほはぁんへるぉー?』

 

「さいですか(諦」

 

この日々がずっと続きますように。

 

 

 

 

 

 

その夜。悟空は寝る前に軽く運動をすると言って家を出ていった。夜一人で大丈夫かなと心配したが悟空の強さはこの辺りでは十分に通用するものであったため、あまり過保護にしないようにした。

 

 

「さてと、私は寝ようかな」

 

1日の疲れを癒すため即座に自室へと向かった。

 

ゥガァァァァッ!!!!

 

突然何かの叫び声が聞こえた。それもかなり大きい。

まるで地震がきたかのようにグラグラと揺れる。

 

『なんじゃ!?何があった!』

 

近くの部屋にいたおじいちゃんが慌てて此方へ来てくれた。

 

「わからない...っぁ!!悟空が外にいるんです!!」

 

『なんじゃと!?』

 

現状を理解できずともすぐに悟空が外へ出ていったのを思いだし、瞬時に家から飛び出す。

 

「ごくぅーー!!何処なのー!返事してー!」

 

『悟空やーーっ!』

 

家の付近を見渡すが何処にもいない。きっと森へ入っていったのだろうと思い足を急ぐ。

 

「悟空!?いるの~?」

 

呼び掛けながら辺りを走り回る。しかし、一向にあの小さい背中は見えてこない。

 

「何処に行ったの...悟...空...!?」

 

私は見てしまった。いや、見なければ分からないことであった。

 

「う、うそ...!」

 

真ん丸な月を大きな猿が見上げていた。数十メートルに達するその怪物には見覚えがあった。

サイヤ人は1700万ゼノという数値のブルーツ波を浴びると大猿に変身するとお父様から聞いている。

つまりあの怪物は悟空ということ...。私以外サイヤ人は地球にはいない。満月になると大猿に変身するなんて..

 

「ぁ、あれ!?これって私もやばいんじゃ...?」

 

私もサイヤ人だ。1700万ゼノに達っしている月を見たら私も悟空と同じ大猿になってしまう。なんとか見ないように悟空の尻尾を切らなければ。

 

「くっ...無意識にみちゃいそうになるっ~~」

 

グガァァァァッ‼

 

大猿が急に暴れだし、周りの木々がドミノ倒しのように折れていく。地は地割れし、辺り一帯荒れ地と化す。動物達は逃げ場所を探し大移動している。

 

「っしょうがない!ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね!」

 

掌にエネルギーを溜め圧縮する。

 

「レーヴァテインッッ!」

 

シュッッ!!

 

大猿の尻尾をスパンっと切ることに成功した。するとみるみる身長は縮んでいき低身長な私でもその姿は見えなくなった。

 

「悟空ー!大丈夫ーー!?」

 

返事はないが息はちゃんとしていた。気絶している。

 

「よかった...」

 

無事に元の姿に戻すことが出来た(尻尾は半分切れているが)ので一緒に探してくれたおじいちゃんの元へと急いだ。

 

 

 

 

 

『おぉ!無事じゃったか!!!良かった!!!』

 

強気なお祖父ちゃんでさえも今回の件は心配でならなかったらしく涙ぐんでいた。尻尾が切断されていたことに気づいていたが化物に襲われたときにやられてしまったと嘘をついた。私達が大猿に変身してしまうと知ったらお祖父ちゃんは恐がるだろうと思い決して言わないことにした。

これは私だけが知っておくべき事だと思いながら、満月の夜は外出禁止とした。

 

 

 

 

 

 



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孫おじいちゃんありがとう!!ボールを片手に未来へ!

西の都。どの都市よりも発展しており、技術面や生活面には常に"機械"を通す。正に大都会。カプセルコーポレーションという会社が沢山の機器を開発している為、そこは街のシンボルと言っても過言では無いだろう。

 

「酔いそう...やっぱり慣れないわコレ」

 

幻想郷から視た外の世界では"車"という物があったが今現在、私はそれに乗っている。勿論乗るための資格等が必要なので運転してるのは私ではなく運転手さんだ。

バスというらしいけどこんなに多くの人を詰め込んで、ある程度速い速度で走られたら私の場合体調を悪くするだろう。ていうか現在進行形で今なってる。

 

「はやくっ..着かないかなぁ...ぅー」

 

私の体調を見てしまった人はきっと『ここまでして何処に用事があるの』と思うことだろう。

ズバリお答えしましょう!アルバ『着きましたよ850Z(ゼニー)ね』

 

「........はい。ありがとうございました。」

 

『どうもー』

 

 

失敬。大丈夫。話を遮られた程度では落ち込まないから。社会に出たらこれ以上の辛いことは沢山あるし!私はメンタル強いから平気です!

 

話を戻すと、私はこれからアルバイトをしに行くのだ。

これからの生活を見据えて少しでも貯金しておけば後々楽だろうという考えに至ったわけでございます。因みに尻尾の事だけど切り落としました。痛かったです。しょうがないよ。やっぱり人に会うし...

私って有能

 

『おっフランちゃん!今日も早いね!他に新しく入った人はこんなに早く来てくれないよ。本当に助かる』

 

「今日も精一杯がんばります!」

 

この店の店長さんだ。気前が良く、優しい一面がある素敵な人だ。働く理由としては此処が飲食店という点で最近料理をしていた私にとっては丁度良いなと思いアルバイト先は此処にした。まぁ、一番の理由はここの店長さんの人柄が良かったからかな。

 

『じゃあお客さん来たらよろしく頼むよ。』

 

「はい!任せてください」

 

私の役目はお客さんを席に誘導し、注文された品をシェフに伝えるという簡単なお仕事である。後はお水出したり、掃除したりかな。私みたいな人をウェイトレスって言うらしい。

 

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか」

 

『あ、ウサ.....えと、お子様ランチで...』

 

「畏まりました」

 

大人で随分立派な体型を有していたのに食べる量が少なめのお子様ランチを選ばれた。大人でも童心に帰らねばと思ったのだろうか。謎だ。

 

「お子様ランチ1つお願いします」

 

『了解しました』

 

シェフに伝えると、彼は手先良く洗礼された手付きで具材を包丁で切っていく。あまりの技量に食い入るように見てしまったが今は応対。自分のやるべきことがあるので後にした。後でシェフさんに料理を教えてもらおうかな。

 

おっと、次のお客さんが来たみたいだ。

 

「いらっしゃいませ。3名様で宜しいでしょうか」

 

『あ、ロリ......はい!三人でやんす』

 

『兄貴..いい加減卒業しろ』

 

『俺達までなんか誤解されるだろ』

 

モヒカンの男性が何故かすごく落ち込んでいる。後の二人が訳がわからない事を言っていたがそのせいなのだろうか。

いけないいけない!集中しなきゃ!

 

「どうぞ席にお着きください」

 

『すいませんもう頼むもの決まってるんでいいっすか』

 

「はい。畏まりました。」

 

『グロテスクハンバーグにバイオレンスジュース...』

 

「あ、あのーちょっと待って下さい」

 

私は思わず静止させた。

 

「当店にはそのような品は御座いません。どうかメニューを見てお決めください」

 

『ヱ!?そうなんすか!すいやせん!』

 

「ではお決まり次第御呼び下さい。」

 

何かと手が掛かるお客さんだ...。

忙しいがトラブルもなく手際よく仕事を淡々とこなしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと不味いことが起きちまった。ベッドに寝たきりになってるじぃちゃんだけど、何かものすげぇ具合悪そうにしてるんだ。修行の途中でぶっ倒れててぇへんだ。

 

「じぃちゃん!でぇじょーぶかっ..っ!」

 

『悟空...私の事はいいから修行を続けなさい。』

 

苦しそうにじぃちゃんは修行をしろと語り続ける。けど今は修行よりじぃちゃんの方が大事だ。

 

「オラはじぃちゃんが大事だ!ビョウインってとこに行くぞ!」

 

『此処から歩いてどのくらい時間が掛かると思っている?.....悟空よ。私はもうじき死ぬのかもしれん。だから早くフランちゃんの為にも強くなれ...ぅぐッ』

 

「じぃちゃん!!!」

 

『お前以外に...フランちゃんを守れる奴がおるか。いないじゃろう。』

 

「じぃちゃんがいるじゃねぇか!!オラも強くなりてぇけどじぃちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だ!!」

 

するとオラのほっぺに温かい手が触れる。

 

『我が儘を言うでない。何れモノには終わりがくる。人間だってそうじゃ....私がお前達を守れる時間は少ない。』

 

「いやだぁぁぁぁ....っ!!」

 

『だから...悟空よ。お前が私の大切なモノを守ってくれ。それはきっと悟空も大切にしておるものじゃ』

 

「ねーちゃんはぜってぇまもる!!じぃちゃんも!!」

 

『そうか...其を聞いて安心したわい。』

 

「じぃちゃん...?」

 

 

じぃちゃんはそれから息をしなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイトが無事終わりました!八時間があっという間に過ぎたという感覚と達成感が残っている。今日も沢山のお客さんが来たけど皆、個性的な人達が多かった。そのおかげかお仕事しててとても楽しかった。

 

「さっ帰ったらいっぱい作らなきゃね!」

 

買い物袋片手に家まで帰る私は自分を過ぎ去っていく主婦のようだ。

 

『ねぇーーちゃぁーん!!!』

 

突然前から猛スピードで駆けてくる弟の姿が見えた。家から西の都まで走ってきたの!?

しかし何やら様子が可笑しい。弱々しい走り方だ。

 

「悟空...!」

 

私は直ぐ様駆け寄る。距離が近付く度、弟の顔が鮮明に見えてくる。

 

『ねーちゃんっっ!...じぃちゃんがぁぁ!』

 

彼の顔を見て悪い予感がした。泣きじゃくる悟空を抱き締めながら彼に語りかける。

 

「どうしたの」

 

すると、片手にボールの様な物を見せながら悟空は泣き叫んだ。

 

『じぃちゃんがぁっしんじまったぁぁっ』

 

「...う、うそ...嘘よね?」

 

『じぃちゃんが大切なもんを守れって...

でもオラまもれなかった!!!』

 

彼の顔には悔しさ悲しさ虚しさ、沢山の感情が浮かんでいた。私も以前体験したあの苦痛。それを今、彼は感じているのだろうか。

...私はまた意思を授かることしかできないのか。

 

「悟空っ!悟空はちゃんと守ってた!!

おじいちゃんのことぜんぶっ!!!」

 

『だったら今じぃちゃんは生きてるはずだぁ!

オラの力が足りなかったんだっ!』

 

「生きてるよッ!ずっと..これからもっ...

貴方の体に!!」

 

『オラのカラダに?...』

 

私は自分の胸を叩いて見せた。

 

「おじいちゃんが教えてくれた力。伝えてくれた意思。幸せにしてくれた思い出!ぜんぶ..ぜーーんぶ!私達の中で生き続けるの!」

 

『...ねーちゃん』

 

「悟空....。一緒に歩いていこう..。そして見付けていくの..!私達の幸せを...」

 

『ぐずっ....オラもっ...オラもそうするッ...!!』

 

街灯もない真っ暗な田舎道の真ん中で、震えてる少年のちいさな体を抱きしめた。いまの悟空に私の酷い泣き顔を見せるのは嫌だと思った...それにこうしたかった..。

 

「ありがとう...おじいちゃん..」

 

蛙が鳴き河音が響く真っ暗な夜、月光で照らされた4つの星が写りこんでる球は明るく輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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オラは強くなる!!悟空、亀仙人に申し出る!

一夜明けて朝。相変わらず孫おじいちゃんの家の窓からは小鳥の囀りが聞こえてくる。一晩眠れなかった私達にとってはそれがあまりにも虚しいモノだった。

 

おじいちゃんは遠くへ行ってしまった。大きな旅に出ていった彼を止めるモノはこの世にいない。ベッドから体を起こして辺りを見渡すと何かが足りない部屋が目に飛び込んでくるのだ。

 

「.....」

 

部屋の内装は変わっていない。小さいリビングに数個のタンス、私が都で買ってきた可愛い置物が白い台の上に3つ並んでいる。

 

"けれど違うんだ"。あの人がいないと全てが別物に見えてしまう。

 

「おじいちゃん.......っ」

 

まだ信じたくない。彼にはろくな恩返しもしていない。彼とはまだ話足りない話題がいっぱいなんだ。

 

「駄目よフラン!弱気になったら...おじいちゃんが安心できない!」

 

自分を言い聞かせるが、涙は止まらない。何時間も泣いてた目は腫れていた。

 

「悟空...悟空にご飯作らなきゃ」

 

今日もあの日から私の義弟になった悟空の為にご飯を作る。彼はきっと日課の修行をしているだろうから終わる頃にはお腹を空かせて帰ってくるに違いない。

 

『ねーちゃん、ただいま!』

 

「ご、悟空!もう帰ってきたの!?ごめんね!まだご飯が...」

 

私が言い切る前に、悟空は袋を手渡してきた。

 

『悟空...!?これ..っ!』

 

「へへっねーちゃんに買ってきたんだ!」

 

彼の手に握られていたのは食べ物が入った袋だった。

 

「お金はどうしたの..?」

 

『この前ねーちゃんがくれた金で買った!』

 

勿論その気遣いに嬉しい気持ちで一杯だったが、計算も出来ない悟空がちゃんと買い物をしてきた所に驚きだった。

 

『へへ!オラちゃんと指おって数えたもんねー!親切なおっちゃんが金の数え方教えてくれたんだぁ』

 

「悟空....ありがとう...ほんとにっ」

 

私は愛されている。このとき改めて実感させられた。大変だっただろうに、その苦労を顔には出さず、笑顔で此方を向いてくれる悟空の姿に涙を浮かべずにはいられなかった。

 

朝ご飯を一緒に食べ、ゆっくりした一時を過ごした後、悟空は珍しく何やら難しい顔をしていた。

 

『オラよ..ちょっと悩んでることあるんだ』

 

「?言ってみてよ。」

 

その顔からは真剣そのものが伝わってきた。

 

『オラ家出てもっと強くなりに旅に出てぇんだ!世界っちゅーもんを見てみてぇ!』

 

いきなりの事であったが薄々そういう話になるのではと心積もりしていた。

 

「..悟空ならそういうかなって思ってたよ。勿論良いに決まってるわ!」

 

『ほんとかっ!?ありがてぇ!!ねーちゃんサンキュー!』

 

「た だ し っ!!」

 

『ん??』

 

「その旅に私も連れていくこと!悟空一人じゃ不安だもの」

 

『なんだぁそんなことかーっいいぞ!』

 

 

「決まりね」

 

私達の気持ちは一心となった。少しホームシックになりつつもあるが、黙っているよりもお互いの為になるだろう。

早速、此処から一番近い東の都へと行き先を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういうのを中華街と呼べば良いのだろうか。チャイナドレスに身を包んだ人や武道着を着た人等が沢山いる。

 

『ここが東の都かぁ~広れぇなぁ!』

 

隣で私と背丈があまり変わらない彼は目を輝かせ興奮していた。悟空にとって初めての都会だ。珍しいものばかりだろう。

 

背中に星が4つ入ったボール(おじいちゃんの形見)を入れた袋を背負い、武道着を着た悟空はこの街の住人と言っても違和感がない。私は紅魔館で着用していた赤いドレス(常に咲夜が準備してくれていた)に近い服を着ている。勿論今は羽が生えていない為、背中には穴が空いていない。

コツコツ貯金して西の都でやっと気に入る服がみつかった。

 

 

「じゃあ早速...」

 

『ちょいとそこのお嬢さん』

 

と、不意に後ろから声をかけられた。

 

「は、はい?」

 

ハワイアンなTシャツを着、サングラスをかけた年老いた男性が立っていた。

 

『ちょいとパイパe「「グシャァァッ」」ンノォォォッゥ』

 

なんだろう。反射的に顔を殴らなきゃいけない気がした。今このおじさんなんて言おうとしたの。胸のこと言ってたならどかーんしてやる。

 

「すいません手がスベっちゃったー(棒)」

 

『ね、ねねッねーちゃんっ!なにしてんだぁ!?』

 

「安心して?正当防衛だよ」

 

すると地面に叩きつけられた変態が復帰してくる。

 

『なーにがっ正当防衛じゃ!危うく逝っちまうとこだったワイ!!』

 

「えへへ!ごめんなさーい...ちょっとカチンときたものでー」

 

殺意剥き出しで笑って見せると、一瞬変態は怯んだが逞しいことにまだヤリアウ気があるようだ。

 

『いやいや、変な意味じゃないぞーちょーっと..そのちっぱ「「いっぺんしね!!!」」んほおおおおぉっ~』

 

ドカァーン

 

 

勢い良く車に向かって飛んでいった未確認変態生物は車と共にお亡くなりになった。

 

『ひぇーーね、ねーちゃんつえーな!』

 

あ、そういえば悟空に力を見せるのこれが初めてだ。

 

「あ、あはは...それなりに鍛えてたからね」

 

ある意味、こんな場面で自分の力量を知られた事が屈辱的な気もする。

 

『いてて....お嬢さん、年寄りを労らんかい』

 

「少し黙って下さい。場合によってはコロ...

殺っちゃいます。」

 

『意味が変わってないのは気のせいじゃろうか』

 

ほんっとーに腹が立つおじさんだ。ていうかほんと迷惑だ。

 

「用がないならもうこれで失礼します。..いきましょ悟空」

 

『お、おぅ!またなー!じっちゃ「挨拶はしないでいいよ」..コエエ』

 

 

 

『待たれい!』

 

 

私はもうあんな目は二度と御免なので無視した。

 

『ね、ねーちゃんいいんか?じっちゃん呼んでるぞぉ?』

 

「....あぁ~~~~っもぅ!なんですか!!」

 

これっきりだからねと思いながら話を聞くことにした。

 

『ふむ、急な話で悪いんじゃがお主達、儂の家に来る気は無いか?』

 

「結構です」

 

『あれまぁ~~~っ...儂、亀仙人言うんだけど知らない?』

 

「え...仙人様?でもそんな変態な仙人様嫌いだわ」

 

『はっきり言うのぉ....儂はそこのガキんちょが気になったもんで』

 

『オラかぁ?』

 

「...人拐いじゃありませんよね?」

 

『ちゃうわい!!見たところ武道家じゃろ。なに、少し興味が湧いたんじゃよ』

 

そういいながら構えをとる変態。え?街中で戦う気!?

 

『お!!じっちゃんオラと勝負してくれるんか!?』

 

『その通りじゃ...掛かってくるがよい』

 

━大丈夫なの...?これ━

 

 

 

ジリジリと間合いを取る両者。悟空が変態如きに負けるとは思えないけど、さっきあの人は自分を仙人だと言っていた。油断しない方がいいのかな。

 

「悟空ー!そんなのやっつけちゃえー!」

 

まぁ、勿論私は悟空を応援する側だけどね。

 

『そんなのって...儂..嫌われとるのぉ』

 

『へへっ、じゃあ遠慮なくいくぞ!』

 

先に仕掛けたのは悟空。右からの強烈な正拳突きだったが変態はそれを意図も簡単にかわす。...まぐれだろうか。

 

『とりゃぁっ!!!』

 

『遅い!そんな突きじゃ儂を捉えることはできんぞ!』

 

兎に角変態の動きが速い。信じられない!あの悟空が遊ばれている。

 

『くっそぉ~じっちゃんつえーなぁ...』

 

『儂はまだまだ本気出しておらんぞ』

 

シュッシュッ!!

 

『いぃっ!?』

 

「悟空!左よ!!」

 

私が教えたことにより変態の攻撃を腕で防ぐことに成功した。

 

『お嬢さん..貴女、儂の動きが見えておるのか』

 

「....偶々です」

 

『ねーちゃんはすげぇな!オラ少ししか見えなかったぞー』

 

そう言いながらも二人は決して目を敵に外すことなく隙を窺っている。

 

『そこだぁ!!』

 

バシュッッ

 

『甘い!!!』

 

蹴りと突きの繰り返し。その迫力にギャラリーも先程から出来てきている。

 

『りやぁぁっ!!』

 

『せいっ!』

 

ガッガッ‼

 

互角の戦いかと思われたが、亀仙人様(変態)が驚きの技を見せる!

 

『悟空とやら...お主に力を見せてやろう!』

 

『な、なんだ!?』

 

「!!」

 

彼がとった構えは、体勢を低くしながら左手を腰まで落とし、右手を左手に合わせるような形をとる。

 

そして

 

『かぁぁーめぇぇっーー』

 

『亀ぇ!?』

 

『はぁぁぁーめぇぇぇっーー!』

 

掌から作り出されたエネルギーは徐々に高まっていく。

 

「ッッ!悟空ーーー!!それは受けちゃダメーーっ!!」

 

瞬時にその力を悟った私は悟空に告げるが

 

『波ぁぁぁぁっーーー!!』

 

『こーなったら一か八かだ!!』

 

悟空はそれを全身を使って防御した。

 

ギュルルルル!!!

 

激しいエネルギーが空気を震わせ悟空を襲う!

 

「ば、バカ!!」

『ーーくぅぅぅッッ!!』

 

『なんて根性なんじゃっ..!』

 

ドガーーンッッ

 

エネルギーが膨張しその場で弾けてしまった。

 

「ご、悟空ーー!」

 

『へ...へへ....どうだじっちゃん...耐えきってみせたぞ...』

 

『な、なんと!』

 

驚いたことに悟空はあれだけの攻撃を耐えたのだ。周りにいたギャラリーもざわめく。

しかし、あのエネルギー波。並大抵な努力じゃ完成しない技だ。サイヤ人が充実したエネルギーを技として放つそれととても似ていた。もっと言えば幻想郷にいた魔法使いの魔理沙が得意としていた技、マスタースパークと同等かもしれない。

 

「す、すごすぎる」

 

業を成した者。闘に耐えた者。どちらも強者だ。正に最強の矛と盾のぶつかり合いだった。

 

しかし、悟空の方は既に限界だったらしくその場で倒れてしまった。

 

「悟空!?いけない!!」

 

『大丈夫だねーちゃん...少し疲れちまっただけだ』

 

『悟空、お主は強かった。この亀仙人、これ程の相手は久し振りに手合わせしたわい。見事じゃ。』

 

『亀仙人のじっちゃん...オラ、頼みがあるんだ』

 

『なんじゃ?』

 

『オラ...もっと強くなりてぇ..だからよ..

オラに修行つけてくれねぇか?』

 

「悟空...!」

 

頼みとはこの人の弟子にしてほしいということだった。肝心の仙人様は少々黙りこんでいたが、直ぐに答えた。

 

『..悟空よ、儂の修行は地獄の様なモノだぞ。それを受ける覚悟はあるか!?』

 

『おうッ!!!オラは強くなる!!』

 

 

その叫びは天高くまで響いた。

 

彼の"目"は燃えている。

 

 

 

 



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ライバル現る!? 亀仙流の術を取得せよ!

お休みしていましたごめんなさい。
これからまたちょくちょく書いていきます(*´ー`*)


人は争うことが好きだ。しかし、それは人だけではなく私のような吸血鬼達にも同じことが言える。戦いを交えて、血をたぎらせ、互いを追い詰め合う。代々吸血鬼の王を決める際、そのような血生臭い戦いがあったという。

 

では、サイヤ人はどうなんだろうか。

 

彼らも戦いが好きだ。戦闘種族というくらいだから戦いだけが生き甲斐の様なものだ。

 

私は悟空の背中を見て思う。

 

彼は事例の様に醜い争いはするのだろうか と。

 

 

『悟空よ。お主にはまずこの重さに耐えてもらう。』

 

『おう!何でもこい!』

 

 

私は悟空の眩しい笑顔を見ていると、それは流石に無いかと思い直した。

 

『何時いかなるときでも、これは外してはならん。』

 

亀仙人はとても大きい亀の甲羅を出してきた。

 

『うひゃぁ!?なんだよこれー!すっごくおもてぇぞ!』

 

 

『ちょいと背中に背負ってみろ』

 

ズンッ

 

『!!ぅ“っ…おもでぇぇ~ッッ…!』

 

 

「亀仙人さん、それ大丈夫なんですか!?」

 

亀仙人『問題ない。ちゃんと良い作りになっておるわい。』

 

「…はぁ…」

 

『フランちゃんも背負ってみるかの?』

 

 

「…私は結構です」

 

背負えなくもないが、見るからに重そうな物を背負いたいとは思わない。あとダサい。

 

『亀仙人のじっちゃん!んぐぐっ…これつけて何するんだ…っ?』

 

『それはじゃな…ほれ』

 

亀仙人さんが指を指す方向を見ると

 

 

「あれ?海から何か……来てる?」

 

『あれ人じゃねぇかぁ!?うひゃぁー!すげぇや!海の上走ってっぞ!!』

 

そう。その何かとは人間だった。それも、ツルッツルのハゲが全力疾走で此方に向かってきている。

 

『むてんろうしさまぁーーー!!』

 

『おぉ!よくぞ戻った!クリリンよ』

 

「…くりりん?可愛い名前…」

 

すると、クリリンは地面に足が着くようになると、そこからジャンプし到着した。

 

『武天老師様、只今戻りました。……そこの者達は?』

 

『うむ。これから共に暮らすことになった、フランちゃんと悟空じゃ』

 

『オッス!オラ悟空だ!よろしくなクリリン!!』

 

「フランよ。よろしくね。」

 

すると何故か苦い虫を噛んだような表情を見せるクリリン。

 

『…チッ…よろしくな…』

 

『コラ!クリリン!仲良くせんか!』ポコッ

 

『イデッ…申し訳ございません!!』

 

彼の表情はなんとも言えないものであった。

 

『今からお主らにその格好で牛乳配達をしてもらう。』

 

『牛乳はいたつぅー!?オラそんなの初めてだぞ!』

 

『…こいつにも同じ修行をさせるおつもりですか?』

 

『勿論じゃ。さぁつべこべ言わず始めるぞい!

これから始める修行はそれはとてもとても厳しい修行になる。ついてこれるか!!』

 

すると、二人は笑顔で元気な返事をした。

 

『『はい!!!』』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

それからというもの、悟空とクリリンはまるでライバル同士であるかのように、互いを追い詰め、どちらが強いかを競い合う仲に変化していった。

 

「亀仙人さん…二人とも大丈夫かな」

 

私の心中を察したのであろうか、すぐに応えてくれた。

 

亀仙人『気にすることはない。彼らが競っているのはあくまでも武道としての極みじゃ。確かに最初はいがみ合いなども起きていたが、最近の悟空とクリリンは互いを認め合いながら鍛練に励んでおる。』

 

「わかってはいるの!…だけど、悟空が心配で…。あの子はまだ幼いのに辛い経験をさせてしまった…」

 

『…うむ…』

 

「私は過保護なのかな…」

 

私は遠くから悟空とクリリンの様子を見守りながら呟いた。

 

『過保護とは、それだけ人に寄り添って考える事が出来ている人間が、考えすぎるが故に甘やかしたり、変な気遣いをして失敗を招いてしまうものじゃ。フランちゃんは過保護というより、弟想いな姉じゃろ。悟空は貴女の気心を感じ、孫悟飯の死を乗り越えようとしていっておる。少しずつではあるがの。』

 

「亀仙人さん…。ありがとうございます。」

 

『ほっほっほ。儂はなーんにもしてないがの。』

 

 

夕日が消え始め、二人のシルエットが段々と暗くなっていく。あぁ、今日だって夜は来るのだと。当たり前だけど身に染みて思った。

 

私がこの世界へやって来た意味は、きっと、きっと…

 

悟空の成長を義姉として私なりに見守ることなんだろう。

 

私のお姉様のように…立派に…

 

『姉ちゃん聞こえてっか~?』

 

「えっ!?あ、ぁぁ!大丈夫!ぼんやりしてた!」

 

私は棒立ちしながら深く考え込んでしまっていたらしい。

 

『あのクリリンってやつめっちゃ速くてビックリしたぞ~』

 

「でも悟空も良い勝負してるんでしょ?」

 

『へへ!まぁな!!明日には追い越してやるさ!!』

 

「うん!頑張って!悟空ならもっと強くなるよ。…それよりもそれってずっとつけてるの?」

 

『わかんねーけどオラには楽勝だ!』

 

おぉ…流石サイヤ人…しかし、そんなにも強くなりたいなら手助けをしてやりたい。あ、そうだ!!!

 

「…悟空!ちょっとだけ、私と闘ってみない?」

 

『ねーちゃんとか!?いいぞ!ねーちゃんとは初めてだからワクワクすっぞ…!』

 

「私を甘くみないことね。」

 

互いに拳を握り構えをとる。目を合わせ、ジリジリと間合いを図る。

 

悟空『いくぞぉッ!!』

 

地面を蹴りあげた瞬間、悟空は自分の身体に違和感を覚えた。

 

『…ッ…これ邪魔だなぁ…』

 

しかし、悟空はそれに構わず私にラッシュを叩き込んでくる。

 

「っ!よくその甲羅背負いながら速いラッシュが出せるねっ…!」

 

かわしてはいるものの、とてもその重い身体から打てるパンチだとは思えなかった。

 

『くぅぅっ!!』

 

いつそのラッシュが私に届き得るか、時間の問題だろう。

 

「はぁッ!!」

 

気合いだけで悟空を吹き飛ばす。

 

『うわぁぁッッ!!?』

 

「今度は私からよ!!!」

 

悟空の体勢が崩れたところで透かさずお腹に蹴りを入れる。

 

悟空『うぎゃっ!!!』

 

本気で力は入れてないが、その小さな体を吹っ飛ばすには充分な力であった。

 

しかし!

 

「ッゥ!?」

 

それと同時にバランスを崩した。

 

『へへっ…どうだ!オラだって蹴りは得意だもんね!!』

 

「!!!(ま、まさか…あの体勢から!?)」

 

悟空はお腹に蹴りを受けたが、背中の甲羅を上手いこと利用し、地面に当たると同時に力の反動で回転しながら脚を前に出し蹴りあげたのだ。

 

「あの一瞬で…!」

 

私はバランスを崩したが、ダメージは軽傷ですんだ。

 

『うぅっ…目が回る…腹減った…』

 

「…あはははっ!!なにやってんのよ!もぅ!」

 

目を回して悟空はのびてしまった。今日の修行の疲れもあるのだろう。そのまま眠ってしまった。

 

「今日のところはこの辺にしましょーか。よいしょっと!重っ…!」

 

悟空を背負い、カメハウスまで運ぶ。すると此方に気づいたのか亀仙人さんが玄関まで出ていた。

 

『だいぶ盛り上がっておったの。』

 

「ははっ…ちょっと無理させちゃったかな」

 

『フランちゃんも疲れたじゃろ。今日はゆっくり休みなさい。』

 

「ありがとうございます。…今日は月が綺麗ですね。」

 

『うん?…そうじゃな。』

 

「…」

 

私もサイヤ人だけど尻尾がなくなってからは安心して月が見れるようになった。あの頃の自分のように

 

『どうかしたかの?』

 

「いえ!なんでもないです!お休みなさい!」

 

『うむ、お休みなさい。あぁ〜そうじゃフランちゃんのベッドに忍び込むとするかの!』

 

「来たら殺します」

 

『う、ぅむ…』

 

 

なんとも残念そうな顔をする亀仙人はそのまま

1階のソファで寝たそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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彼女は何者? 新しい幕開けの予感!

二人が亀仙人の修行を受けて3ヶ月ちょっと。

相変わらずあのドデカイ亀の甲羅を身に付け、いつもの如く修行を受けている途中の出来事であった。

 

『ちょっとー!?誰かいないのー!?』

 

カメハウスのドアを激しくノックし、大きな声で叫ぶ迷惑極まりない人が訪ねてきた。

 

「は、は~い?どちら様でしょうか?」

 

私が素早く玄関のドアを開けると、そこにはピンクの服を身に纏った一見都会人の様な女性が立っていた。それも不機嫌そうに。

 

『ちょっと聞きたいことがあるんだけれど…』

 

「は、はい。なんでしょうか。」

 

すると女性は手で何やらジェスチャーしてきた。

 

『こーんな感じの~オレンジ色の球見たことない?中に星が入ってるんだけど』

 

「…」

 

なぜこの人があの球の事を知っているか不思議でならなかった。確かにここにある。あるのだが…あれは孫おじいちゃんの形見だ。絶対に渡すわけにはいかない。

申し訳ないがここは知らないふりをしよう。

 

「ぅーん、そんな球は見覚えない…」

 

『嘘おっしゃい!!!』

 

ぅわ!?びっくりした!!なにこの人?めっちゃ恐いんだけど…。

 

「へ、へ!?」

 

『ちゃんとね!あるのはわかってるのよ!これで!!』

 

女性のポケットから何やら小さな機械が出てきた。

 

「…方位磁針…?」

 

『違うわよ。これはね、ドラゴンボールっていう球を見付けてくれる機械なのよ!ほら、私のバックにも球入ってるでしょ?』

 

茶色のバックの中には光輝くオレンジの球が入っていた。

 

「ドラゴンボール……」

 

『そう!アンタには内緒だけど、私にとってとーーっても大事な物なの!』

 

「は、はぁ」

 

『寄越しなさい!!』

 

こうも無理矢理感があると渡したくないものである。しかもおじいちゃんの形見…おいそれと渡すわけにはいかない。この女性は危ない人かもしれないし。

 

「断ります。嫌です。」

 

『ぐぬぬ…融通の効かない子ね!』

 

「なっ!!貴女だっていきなりそんな険相で人に頼むのはどうかと思いますよ!」

 

 

暫くの沈黙

 

 

『…………はぁ…そうね悪かったわ。んで、何でそんなに渡したくないの?』

 

まさか向こうから謝ってきてくれるとは思ってもなかった。ここは素直に話すべきなのか…。

 

「……形見なんです」

 

『…え』

 

「私の…おじいちゃんの」

 

それを話した途端、予想外とも言える顔付きでその女性は後悔を露にした。

 

『まさか…そんな大切な物だったなんて思わなかったわ…。』

 

「…これは勘ですが、この球には用途があるんですね?」

 

『!!…そうよ、だから集めてるわ。ここには二個あるから…』

 

「二個?…え、そんな筈ないです!私が持ってるのは一個です。」

 

『何の騒ぎかの?』

 

すると修行をしていた彼らが帰ってきていた。

 

『ねーちゃんただいまー!』

 

『フランさん、ただいま戻りました。』

 

「お、おかえりなさい3人とも…(苦笑) ちょっと訪ねて来てくださった方がいまして…何やらオレンジ色のボールを探しているようなんです。」

 

『オレンジ色の球とはこれのことかの?』

 

亀仙人さんは自分が首にかけていた首飾りをとり、見せてくれた。

 

『ああぁ!!これよ!!これだわ~!』

 

『そ、そんなに珍しかったかの?』

 

「亀仙人さん、これって何処で見付けたんですか?」

 

『えっとのぉ…どこだったけなぁ~』

 

『確か山奥で見つけだしたのでは?』

 

『か、亀がシャベッターーー!?!?』

 

「(然り気無く初登場…)」

 

『そうだったかの…』

 

『ねぇ~お祖父様~?』

 

すると、分かりやすい程の色気を醸し出しながら亀仙人を堕ちさせようとする女性。

 

『な、なんじゃ?』

 

『ちょーっとだけ、そのボール私にくださらな~い?何でもしてあげるんだけどな~♪』

 

―おい、エロジジィ!!わかってるよね?―

 

『な、なんでも?』

 

「…………」

 

『なーんだ!亀仙人のじっちゃんもオラのじっちゃんの形見とそっくりなのもってんのか!』

 

『武天老師様、どうするので?』

 

暫く亀仙人は考えた…ことも無くすぐに決断を口にしてしまう。

 

『よかろう!そのかわり!な ん で も言うこと聞いてもらうぞい グフフ』

 

『わぁ~ありがとぉ♪これで三個目ね!』

 

すると徐にポケットからさっきのレーダーを取り出し、スイッチを押す。何かが表示されているようだ。

 

『東に一個…北に三個っと…』

 

「あの、私はまだ渡すとは言っていませんよ」

 

『わかっているわ!だから、私とついてきてもらうわ。そこのチビッ子二人と貴女。』

 

『えぇえ"!?オレも!?お、俺は武天老師様から修行をつけてもらっているので嫌です!』

 

『はぁぁ、わかったわ。じゃ、そこの頭ボサボサ君と金髪ちゃんでいいわ。』

 

『なんだかよくわかんねぇけど、要するにそのナントカボールっちゅうのを探せば良いんだろ?なら少し待ってくれ!オラも修行中なんだ!』

 

すると、女性はイライラしてきたのか地団駄を踏んだ。

 

『あぁ~!もういいわよ!金髪ちゃん!少しの間だけ貴女だけでも手伝って!お願い~』

 

「フランです。…勝手に形見を持っていかれるのも悟空達の修行の妨げにもなるのは嫌なので、しょうがないですがついていきますよ。」

 

『金髪…じゃなかった!フランちゃんはやっぱり良い人!そうと決まれば行きましょ!』

 

「…その前に、貴女のお名前を聞かせてもらえますか。」

 

すると彼女は胸に手を当てどや顔で応えた。

 

『私の名前はブルマ!よろしくね!』

 

 

その顔を見る限りとても早くには集められそうにはない、長い旅になりそうな予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

『あのぉ、儂の願いは?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




暫く英気を養っていました。


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探せ二星珠(アルシンチュウ)!!ハチャメチャな旅の幕開け!

ブルマについて来てくれと頼まれ、一緒にドラゴンボールを探すことになったフラン。ブルマの頼みは断るつもりではいたが、孫悟飯の形見であるドラゴンボールを手放すわけにも、悟空達の修行を邪魔するわけにもいかなかったので仕方ない同意であった。

 

修行中の彼らをカメハウスに置いて、彼女ら二人は砂漠まで飛行船で来ていた。

 

ジリジリと焼けるような暑さに薄着になる二人。

死にそうな顔つきだ。

 

 

 

 

 

「ぶ、ブルマさん~…ほんとにこっちで合ってるんですかぁ~…」

 

『一応合ってるわよ…もう少し東の方角に反応があるのよ~…』

 

ドラゴンレーダー。ドラゴンボールの場所を探知してくれる便利な機械。このような物、如何にして作ったのか…

そしてブルマの正体がいまいち良く分かっていない。

彼女が作ったのだろうか?

だとしたら凄い頭脳の持ち主だ。

 

『ま、もしものときの為に~便利なアイテム持ってきてるから心配しないくてもいいわよ』

 

「便利なアイテムですか?」

 

『ホイポイカプセルっていうウチの会社が作った製品よ。勿論私が作ったわ』

 

「へ、へー…ブルマさんって物作りの会社に勤められてる社員なんですか」

 

『社員なんかじゃないわ。そこのお嬢様よ』

 

「えぇぇ!?お、お嬢様!?」

 

思わず吃驚仰天。

 

『西の都にカプセルコーポレーションってあるでしょ?そこのママとパパの娘よ~』

 

なんともとんでもない人に会ったものだ。

まさかカプセルコーポレーションのお嬢様だとは。

どうりで肝が座っていると思った。

私も人の事は言える立場ではないのだが…。

 

「ブルマさんって凄い方だったんですね…。」

 

『西の都じゃ有名よ♪』

 

 

 

彼女の素性も知り、話し合いながら熱い砂の上を飛び続けた。出発時刻があまり早くなかったせいか、日が暮れ、辺りは既に空の色と合わせるかの様に薄黒くなっていた。

そして、さっきまでの暑さが次第に緩やかになりつつあった。

 

 

『うーん、暗くなってきたし今日はここまでにしましょうか。』

 

飛行船が地面に着陸したかと思うとブルマは外へ駆け出し、飛行船から出た。

 

「…ブルマさん外へ行くんですか!」

 

『アンタも来なさいよー!良いものみせてあげるわよー♪』

 

「い、今行きます!」

 

彼女のもとへ行ってみると、手には何やら小さいポッドの様な物が1つあった。

 

「なんかちっちゃくて可愛いですね」

 

『見た目はね。これがさっき話していたホイポイカプセルよ!』

 

ポイッ

 

BONN!!

 

するとあらびっくり!あの小さなカプセルから建物が出てきたではないか!

 

「え、ええぇぇ!?」

 

思わず目が点になった。硬直の瞬間とともに興奮が駆け巡った。

 

「凄~い!!素敵なお家ですね!ブルマさんがこれを発明したなんて…貴女は天才ですよ!」

 

余程その言葉が嬉しかったのかブルマは頬を赤らめ、自慢するような顔つきになった。

 

『ま、まぁね!こんなの朝飯前よ!!♪』

 

「中に入っても良いですかぁ!?キラキラ」

 

『勿論♪フランちゃんの好きな様に使っていいわよ。』

 

「わぁ~♪ありがとうございます。ブルマさん!」

 

レトロチックなその家の内装は外見とは打って変わって、とてもキュートな飾りつけを施した部屋だった。

壁紙はベージュ色の落ち着く色合いで、それに合わせた家具も沢山設置されていた。

 

『それは貴女のお家として使って良いからね。私はこっち』

 

ブルマはそう言うと、もう1つのカプセルを宙に投げ家を増やした。

 

「なんだかブルマさんって魔法使いみたいですね」

 

『魔法使いか~ちっちゃい頃は憧れてたなぁ~』

 

 

私は知っている。魔法の現実を。

私の家族、パチュリー・ノーレッジが良い例だ。

彼女はその驚異的な魔力と知力を引き換えに多大なモノを犠牲にしてきた。

そんな幾つもの過ちを以前聞いたことがある。

 

「でも、ブルマさんみたいな発明家の方が魔法使いより、ずっと魔法使いらしいです」

 

『フランちゃんってなんだか大人ね。聞いてて楽しくなるわ』

 

「そ、そうですか?ありがとうです…///」

 

 

和気藹々と話した後、二人は夜が更けるとともに寝静まった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

ブルマとフランがドラゴンボールを探しに旅に出た翌日、悟空とクリリンはそれぞれ亀仙人の修行のファーストステージをクリアする目前まで成長していた。

 

二人が大きな亀の甲羅を背負い続けて早3ヶ月と半ば。

 

彼らは今、毎日の日課の牛乳配達をしている。それも…

 

『ガアアアアアアアアッ!!!』

 

『『ひぃぃぃぃっ!!』』

 

恐竜に追いかけられながら!!

 

二人の身のこなしは大分成長している。しかしそれは亀仙人でないとわからない。当の本人達は気づいてさえもいないのだ。

何故なら、彼らは24時間、ひたすら強くなりたい一心で修行をしているから!

寝るときでさえ1日を振り返り、明日へ備える。

そんな亀仙流の生活習慣が毎日悟空とクリリンに生き続ける。

 

たまに食べられそうになったり

 

『グガァ!!』

 

ガブッ

 

クリリン『やめろぉ!!?』

 

悟空『いぃぃっ!!』

 

もう半分涙目である。

 

しかし、亀仙人はこんなとき教え子達をマネージしようとしない。修行をしているときの彼らを敢えて遠くから見守るということをするが、逆に修行をしていないときはしっかりとマネージをする。

物事を取り入れる仕方が他の師とは違う。

 

これは、修行しているときの彼らのモチベーションは高いので勝手に自分達で判断し行動するが、修行をしていないときの時間は意外と他人に管理されてないとマネージ出来ないという着眼点からでた考えである。

 

亀仙人は師と向かい合っている状態を常に保っている。

 

そんな悟空とクリリンが感じる感覚は 24時間修行をしている に等しいであろう。

 

だから必死になれる。強さを追い求められる。

 

 

『いくぞぉクリリンっ!川に飛び込むんだ!』

 

『お、おう!!!』

 

 

『……』

 

 

二人は勢い良く着水した。辺りには水しぶきが飛んだ。一刻も早く恐竜から逃げ、目的地まで牛乳配達することに命懸けだ。

 

しかし!今度は川の主が二人を襲う!!

 

『げぇ!おめぇまだいんのかよぉ~!!』

 

『いっ、いそぐぞー!向こう岸まで全力で泳げ~!!』

 

川の主は泳ぐスピードはそんなに速くはない。しかし、今の重たい甲羅を背負った二人にとっては十分すぎるくらいに速く感じた。

 

泳ぐ度に牛乳が揺れる。

 

『このぉ…おめぇちょっとしつけぇぞ!』

 

『もう少しだ!』

 

あと3メートル。二人は間に合うか!

 

主は獲物を睨めつけ、全力で此方へむかってくる!

 

 

『よぉし!!いけたぞぉ!!』

 

悟空が先に陸へと上がることに成功する!

 

 

『クリリーン!頑張れ!!もう少しだぁ!』

 

『はぁはぁはぁ…』

 

バシャァン!

 

 

間一髪だった。クリリンが陸に着地したとともに、主の大きい口が空気を噛んだ。

 

『あ、危なかったぁ…』

 

『でぇじょうぶかクリリン。あんまのんびりしてっとまたあの恐竜がくるぞ』

 

『あぁ、わかってる!先を急ごう』

 

今度は険しい山が立ちはだかる。だがこの山の頂上の家が目的地だ!二人の目はさっきよりも数段光輝く。

 

『『わっせ!わっせ!!』』

 

亀仙人は内心驚いていた。二人の成長ぶりに。

 

勿論最初の頃はろくに牛乳など配達もできていなかった。

 

しかしどうだろう。今の悟空とクリリンは。

 

牛乳1つも落としてはいないではないか!

 

それにこの訓練だけではない、素手で畑を開梱するのだって早くても3時間はかかっていたのに、今は僅か1時間しかかからないではないか。

土木工事もその他も、やること全て甲羅の重さなんか気にならないくらい速さが増してきている。

 

二人には見えないなにかがある そんな風に亀仙人は感じ取れていた。

 

 

 

 

 

暫くして、二人は牛乳配達も無事に終わり次の訓練に入ろうとしていた。

 

その同時刻、ブルマとフランは何やらトラブルが発生していた。

 

 

 

 

 

 

『御嬢さん達!これは頂いていくぜ!』

 

 

その男性の手には彼女らが探していた

二星珠が握られていた!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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荒野の盗賊に盗まれちゃった!フランに迫り来るナニカ

『御嬢さん達!!これは頂いていくぜ!!』

 

「しまったッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

10分ほど前のこと

 

3つ目のドラゴンボール、二星珠をやっと見つけ出したと思ったら!

 

既に謎の男の手にそれが握られていた!

 

「そこのお兄さん!」

 

私は勇気を振り絞って話しかけた。

 

???『な、なんでしょうか!!!』

 

男は挙動不審で、私になんか目も合わせてくれない。

 

「あの…そのオレンジ色の珠って貴方の物ですか?」

 

すると男は

 

???『い、いやぁ…そうではなくぅ…!!』

 

『駄目ですよ!ヤムチャ様!!!』

 

と、後ろから何やら仲間だと思われる声が聞こえた。

なのだが……見た目が人間ではなかった。

それも青い猫?のような容姿で空中に浮いているではないか。

 

ヤムチャと呼ばれた男はその得体の知れない動物に話しかける。

 

ヤムチャ『お、おっといけないいけない…プーアル、すまなかったな!』

 

「(ぷーある?…可愛い名前)」

 

ブルマ『ちょっと、アンタ達何者なの?そのボールに用がないならさっさと渡してくれないかしら。私にとってすごーく重要なモノなんだから!(なにこのイケメン!!)』

 

ヤムチャ『へ、へ!?い、いやあのですね!こ

っこ、これは…』

 

プーアル『これはヤムチャ様がずっと探し求めていた財宝なんです!横取りなんて甚だしい!』

 

「プーアルちゃん?でいいかな…あのね!ちょっと貸してくれるだけでいいの!後で必ず返すから。」

 

すると何故かプーアルは頬を赤らめ

 

プーアル『ぷ、プーアルちゃん!?!?ぐぬぬ…そ、そんな色仕掛けには騙されないからな!!』

 

などと可笑しな反抗をしてきた。意味不明だ。

 

「い、色仕掛け…?」

 

ブルマ『はぁ、だったらアンタたちも私に』

 

ブルマがそこまで言い掛けた瞬間。

 

突然の事だった!!

 

大きな雄叫びをあげながら飛来するワイバーンの姿が此方へと迫ってきていた!

 

 

ギャァァァァァオッ

 

 

ヤムチャ『あ、あれは!!デザートワイバーン!?な、なんであんな狂暴なヤツがここに…!』

 

その巨大な翼で砂という砂を扇ぎ、強烈な砂嵐を引き起こした。

 

ブルマ『うわ~ん!!なんなのよぉ!!目に砂が入るじゃな~ぃっ!』

 

するとそのデカイワイバーンはブルマの方へと一直線!

 

「ぶ、ブルマさん!!危ないっ!」

 

ドガッ!!

 

間一髪のところで怪獣の脳天に蹴りを入れることに成功した。

 

ブルマ『ひ、ひぃぃ~…た、たすかったわ!フランちゃんありがとう…』

 

ヤムチャ『(占めた!あの子達には悪いが今がチャンス!!)乗れ!プーアル!!』

 

プーアル『はい!ヤムチャ様!!』

 

私がそれに気づいたときにはもう遅かった。

 

 

ヤムチャ『御嬢さん達!!これは頂いていくぜ!!』

 

ブルマ『あ、あぁ!!まちなさなーーい!コラァ~!』

 

とてつもない速さのバイクで逃げられてしまった。

私の反応速度よりも速く彼は既に逃げを行っていた。

とてもじゃないがこの足元の悪さでは追い付けそうになかった。

 

「くっ…ブルマさんごめんなさい。もっと早く気づいていたら…」

 

ブルマ『いいのよ!私のことを優先して助けてくれた貴女を責めれるもんですか。しかも、彼奴ドラゴンボール持ってるんだから追跡は可能よ♪』

 

「そ、そっか!!良かった…!なら急いであの人達を追いましょう!」

 

私とブルマさんはヤムチャを追うため飛行船に乗り込み、追跡を開始した。

 

 

ブルマ『それにしても~あのヤムチャって人、色男よね~』

 

「…(え?)」

 

 

ブルマさんは軽く恋をしていた。あんなモシャモシャのサバンナ男の何処が良いのか今の私には理解できなかった。

それに私だけではないのかもしれないけれど、目も合わせてくれないような無愛想な人だったし、私には悪い印象しか無い。こっちは襲われてたっていうのに最後にはあんな風に自分達だけ逃げちゃうし。

 

ブルマ『あぁ~彼は今頃どうしてるのかしらぁ~♪』

 

「あ、あはは……(なんとも言えないわよ!!)」

 

 

 

 

一方ヤムチャ一行は足取りを消すべく洞窟へと逃げ隠れしていた。もうこちらは既に砂漠地帯を抜けているようで、草木が生い茂っていた。

 

 

ヤムチャ『ふぅ…ここまで逃げれば彼奴らも追ってこれまい。』

 

――いや、本当はあの子にもう一回で良いから会いたいんだけど―

などと内心思っているこの色男(?)はため息をつきながら持ち逃げしたドラゴンボールを見つめていた。

 

プーアル『これが噂に聞く、7つ集めればどんな願いでも1つだけ叶うと言われている幻の玉ですか。なんだか凄みを感じますねヤムチャ様。』

 

ヤムチャ『………どんな願いでも か。オレには叶えたい夢がありすぎて1つじゃ足りないな』

 

プーアル『そういえば伺おうとしてたのですが、叶うとしたらどんな願いをするつもりで?』

 

ヤムチャは悩んだ。ここは素直に言うべきかそれともプーアルにだけは憧れの格好いいヤムチャ様であれば良いのか。必死に悩んだ。

その間30秒。

 

ヤムチャ『オレは…オレは!!』

 

プーアル『ゴクリ…』

 

そして勢い良く言い放った!!!

 

 

ヤムチャ『オレはぁ!!さっき出会った金髪の美女と付き合いたーーーいっ!!!!!』

 

 

静寂は訪れなかった。何故ならここは洞窟。良く響いた。その願いは洞窟の奥へ奥へと反響し次第に小さくなっていく。それとともにただ1人、完全に心が静まり返っていくプーアルだけが取り残されていった。

 

プーアル『…さ、さっき会った金髪の美女…?』

 

ヤムチャ『あぁ!!そうだ!!!一目惚れした!なんとしても付き合いたい。』

 

プーアル『正気ですか!?あんな女嫌いだったヤムチャ様が………っ!!どこか頭でも打ったのでしょう!すぐお医者様に見てもらった方が…!』

 

ヤムチャ『あ、頭などどこも打っておらんわ!オレは本気なんだ…。オレの野望を叶えるためには…ま、まずは女嫌いを克服しなければなんともならん!!』

 

この言葉で騙せることができる人間がいるのだろうか。

 

プーアル『な、なるほど!!そういうことでしたか。流石ヤムチャ様!』

 

しかし、プーアルは純粋で単純だった。

 

ヤムチャ『そ、そうと決まれば残りの6個も集めにいくぞ!明日決行する!』

 

プーアル『了解です!ヤムチャ様!』

 

二人は洞窟で野宿するために、食べ物や薪を集めに出掛けたのであった。

 

 

 

 

 

 

フラン達はヤムチャ一行を急いで追った。ドラゴンレーダーでボールの居場所はわかるものの、いざ見つけたとき果たして彼らがそう易々と渡してくれるものかと疑問を感じ、作戦を練っていた。

 

 

 

 

 

 

「ぅーん…私みたいにあの人がブルマさんについてきてくれるとは思えないしなぁ…」

 

ブルマ『まぁ、きっとなんとかなるわよ。男なんてね、女の子にちょーっと優しくされればイチコロなんだから♪』

 

内心、そんな雑な作戦で大丈夫なのか心配だ。

これは私1人でもまともな考えが無いと簡単にはいきそうにないかもしれない。

先が思いやられる…。

 

ピピピッ!!

 

ブルマ『フランちゃん!この辺にいるわ!』

 

飛行船の窓から覗き込むと下には小規模な洞窟が目に映った。

飛行船はその洞窟から少し離れた場所へと着陸させた。

 

「ブルマさん、気をつけてください。もしかすると仲間を呼んでる可能性もあると思うので、私の背後にいてください。」

 

ブルマさんは何を思ったのか、私の背中を見て凄く笑いたげだ。

 

ブルマ『フランちゃんって私よりちっちゃいのに勇ましいわよね』

 

「なっ!?∥ ち、ちっちゃくなんかありません!成長期がまだなだけです!!!」

 

私は完全否定した。

 

 

「と、とにかくぅ!! 私から離れないで下さいね!」

 

ブルマ『はいはい、ありがと(笑)』

 

―何故だろう!この笑顔、壊したい!!―

 

 

飛行船から降り、洞窟の穴前まで歩みを進め、辺りに人がいないか注意深く探す。

しかし、どうやら洞窟の中にも付近にも誰もいなかったようだ。

 

「……どういうことでしょう…罠ですかね?」

 

ブルマ『でもそれにしてはすっからかんよね。不自然ではないのよね。この静かさは』

 

「ですよね…では入りましょう。」

 

小規模な洞窟がゆえに探し物には困りそうはなかった。

 

懐中電灯をつけ、辺りを照らす。

 

「あ、ありましたよ!!しかも…こんな分かりやすい場所に…」

 

ブルマ『やったわ♪これで二星珠もゲットね!』

 

意外に呆気なかった―

 

そう思ったと同時に震え上がった声が背後から聞こえてきた!

 

プーアル『お前らぁ!!何をしている!!』

 

 

ヤムチャ一行だった!!!!

 

ブルマ『ぁ、やばっ!』

 

プーアル『よくもヤムチャ様の宝を盗もうとしたな!こんな奴らコテンパンにしてやりましょう!………ヤムチャ様?』

 

するとヤムチャは、怒っているのだろうか。身体を震わせ、無言で立ち尽くしている。

 

「(く、くるか!?)」

 

思わず身構える。

 

ヤムチャ『………み…』

 

―なんだ?小声で全然聞き取れない―

 

 

ヤムチャ『そ、そこのき、きみ!!』

 

「へ?……わたし、ですか?」

 

ヤムチャは何やら非常に気難しい顔をしている。

 

 

ヤムチャ『か、勘違いするんじゃないぞ!そ、その願い玉は君にやる!!そのかわり……オレと…オレと!!』

 

 

とてつもない気迫が私に迫る!!

 

 

 

 

ヤムチャ『付き合ってくれぇーッッ!!!!』

 

 

ブルマ『そ、そんな!?』

 

 

この一瞬だけ私の全神経と思考回路が機能を果たさなくなった。

 

この男は今なんと言ったのか、理解できなった。

 

 

「……ぁ…あぁ////」

 

 

次第に活発になっていく全神経と思考速度。

 

 

「な、なにいってるの貴方はぁ~!?∥」

 

 

そして羞恥という感情!

 

 

 

 

 

これが人生初の恋愛に対する感情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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人拐いウーロンの正体を暴け!

ブルマさんのドラゴンボール集めを手伝い、旅をすること早2週間が経とうとしていた。

あまり期間は長いとは言えないが、旅を始めてから私を取り巻く環境は少しずつ変化していった。

 

まず新たな仲間(?)が増えたこと。

 

ヤムチャというボサボサ頭のハレンチ男。

そしてそのヤムチャを慕うプーアルちゃん。

 

驚くことにヤムチャさん(一応さん付けはする)は私を何故か好いている。しかしそれが気に食わないのか、ブルマさんはなにかと私からヤムチャさんを突き放そうとする…。

 

―どうしてこうなった―

 

わたし全くといっていい程、恋愛とか知らないし!ましてやなんて返事すればいいかもわからないよ!

やっぱり傷つけないような断り方をすればいいんだろうけれど……

 

「(お姉様助けて…へるぷみぃぃ~ッッ!! 私に助言を………)」

 

 

…そういえば咲夜がずっと前に私に恋愛話をしてくれたことがあったっけ…

 

 

~回想~

 

 

咲夜『妹様。妹様は大変魅力的な方でございます。そんな貴女様の将来はきっと男に悩まされる事も多くなると思われます。』

 

「はぁ」

 

咲夜『ですから、全くもって興味もない男から愛の告白をされる可能性だってありえます。したくもない恋を長引かせるのは絶対に駄目です!』

 

「…(私そんなにモテるとは思わないんだけど…)」

 

咲夜『では、そんなときの対処法をお教えします!』

 

「一応聞くよ…」

 

 

咲夜『見下しながら は?何言っちゃってるわけ?あんたみたいなダサ男に興味なんてないわ…私の視界から消えてくれない?目障りだわ…

このような事を発言できればすぐ解決します。』

 

「なんか違う意味で解決しちゃってない?それ私すごい人が悪いよね?人格疑われちゃうよね?」

 

咲夜『妹様から言われるならご褒美ですd(^-^)』

 

「いやグーじゃねーよ」

 

 

 

~回想終了~

 

 

「…………」

 

 

―駄目だ!!あのメイド役に立たねえ!―

 

もうどうすればいいのよ~…!

 

くっ…こうなったら…一か八か…やってみるしかない。

 

 

ヤムチャ『ふ、フランちゃん!紅茶淹れてきたぜ!』

 

―態々淹れてきてくれたんだ…っいや駄目よフラン!ここでバシッと言わないと!―

 

私は思いっきり上に目をやり、下から威圧するように発した。

 

「お、お礼なんか言わないわ…貴方が淹れた紅茶を飲むくらいならお水を飲んだ方がましよっ…」

 

ヤムチャ『へ…!?』

 

「さっさと視界から消えてくれないかな!め、目障りだわ…っ」

 

 

い、言えた!!

 

 

ヤムチャ『お…………おふ』

 

バタンッ

 

するとヤムチャが鼻血を出しながら倒れた!!

 

プーアル『ヤムチャ様っ!?ヤムチャさまぁぁぁぁぁ!お気をたしかにぃぃ!!』

 

「(な、なんか申し訳ないけどこれであの人からの告白は帳消しになったよね…!やっぱり咲夜は天才すぎる…流石お姉様が見込んだメイド)」

 

 

 

 

ブルマ『(この子なんだか凄い勘違いをしている

気がするわ…)』

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

フランがアホをやっている頃、悟空達は勉強をし、しっかりと昼食を摂った後であった。

悟空は姉であるフランの旅路を心配し、思い悩んでいた。

 

―オラも姉ちゃんについて行った方がやっぱ良かったかなぁ―

 

しかし、悟空は同時にフランの強さを知っていたのであまり気にしないようにした。姉は弟である自分のやりたいことを優先してくれたし、早く強くなって姉に追い付きたい一心であった。

 

悟空『あ、そういえば!亀仙人のじっちゃん、あのなんとかボールっちゅうのはなんで持ってたんだ?』

 

亀仙人『あぁ、あれかの。偶々見つけたもので、当時はあれが何なのか分からなかったわい。これは飽くまでも噂なのじゃがあれは元々1つの大きな玉だったと大昔から伝わっておる物での。』

 

クリリン『え!?どうして7つなんかに別れちゃったんですか?』

 

 

亀仙人『神が怒りを下したのじゃ…昔々、まだ人間誰もが正直者だった頃、神は人々を祝福し彼らにあのドラゴンボールを与えたのだ。』

 

亀仙人は一息置き、話を続けた。

 

亀仙人『人々は宮殿を築き、その中にドラゴンボールを奉ったそうだ。そして日々の平和を願い続けたのじゃ。』

 

悟空『へー』

 

亀仙人『だが人間の中に悪しき心が芽生え、人々は私利私欲の為にドラゴンボールを用い、あちこちで争いが起こるようになる。』

 

クリリン『それで神様はお怒りになられたのですね…』

 

亀仙人『そう。そして神はドラゴンボールを7つに分け世界中に散らした。…無闇にドラゴンボールを使えんようにしたのじゃ。』

 

悟空『なんだかすげー話だなー』

 

亀仙人『…しかし、人々はドラゴンボールを追い続けた…実際にドラゴンボールを7つ手に入れ強大な権力を持った者もおった。』

 

そして亀仙人は難しい顔をする。

 

亀仙人『…この前会ったブルマという女子の行為はあまり気乗りせん。』

 

悟空『けんどよーあんときじっちゃんすんなり渡してたぞ?』

 

―さてどうだったかの―とか言いながら咳払いをする亀仙人。

 

クリリン『そんな恐ろしい話が隠れていたなんて…フランさん達は大丈夫なんでしょうか…』

 

亀仙人『まぁ、フランちゃんが入れば大丈夫じゃよ。あの子はしっかりと善悪を見極めれる子だ。きっと正しいことに使ってくれる。……さて、長話も過ぎたな。修行を再開するぞ。』

『『はい!!』』

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

フラン達はあれから二時間の飛行をし、ドラゴンボールの反応をキャッチした場所へと来ていた。

 

ブルマ『なんだか凄い場所に来ちゃったわねー』

 

そこは険しい山々が立ち並び、峡谷という峡谷が広がる、如何にもドラゴンが出そうな雰囲気の場所。

 

「まるで龍の峡谷ですね。着陸出来そうですか?」

 

ブルマ『なんとかいけそうね。そういえばあの方は回復したの?』

 

「あの方って…ヤムチャさんの事ですか。まだ寝てるので叩き起こしてきますね。」

 

ブルマ『ちょっとー!優しくしてあげなさいよ!あの方はフランちゃんのこと好きなのにーうぅ嫉妬するわ~』

 

「ぶ、ブルマさん!私はヤムチャさんのことなんて好きじゃないですよ!

それに…ブルマさんの方がお似合いなのに…

 

ブルマ『え?』

 

「な、何でもないです!起こしてきますね!」

 

 

 

 

 

ヤムチャ『う~ん…天使のおむかぇだぁ……ムニャムニャ』

 

プーアル『ヤムチャ様が壊れてしまわれた…くっあの女め!どんな術を使ってこんな…』

 

 

コンコン

 

 

「プーアルちゃん、入っても大丈夫?」

 

プーアル『お、お前は入ってくるな!また術をかけるつもりだろう!』

 

―なにこの子意味わかんないこと言ってるの?―

 

「え、えと、目的地に着いたからヤムチャさんのこと起こしてくれないかな」

 

プーアル『くっ…仕方ありませんね…ヤムチャ様、起きてください~』

 

ヤムチャ『…天使が…ぅん…?おぉ、プーアル…ここは何処だ』

 

プーアル『何処って、ブルマさんの飛行船の中ですよーしっかりしてください』

 

ヤムチャ『おぉそうか…』

 

「ヤムチャさーん、起きたなら早く行きますよー」

 

ヤムチャ『ふ、フランちゃん!?いっ今行きまーす!!』

 

プーアルは心底ヤムチャの容態を心配した。

このままで果たして彼は大丈夫なのかと…

 

ブルマは操縦席から降り、飛行船をホイポイカプセルに戻した。

 

ブルマ『皆準備は出来てるわね!此処からは少し歩きになるから滑って谷に落ちないように気をつけて進みましょう。』

 

プーアル『ヤムチャ様は大丈夫です!こんなの慣れっこですから!』

 

ブルマ『しかもあんたは飛べるしね…』

 

「ははっ」

 

ヤムチャ『しかし、ドラゴンボールとはこんなにもバラついているもんなんだな。不思議な玉だ。地球上にまさかこんなぶっとんだ物が存在するなんてな』

 

「何でも願いが叶うんですよね…」

 

フランは不意に幻想郷の事を思い出す。家族のこと、友達のことを。

 

私は………

 

 

幻想郷に帰らなきゃいけない。待っている人がいる。

 

しかし

 

「…悟空」

 

私には悟空がいる。絶対に独りにしてはいけない。

 

お姉様…咲夜…パチュリー…小悪魔…美鈴。

 

私はまだ帰れない。皆、ごめんね。

 

 

悟空が立派になるまで、私は自分の為の義務を果たす

 

 

 

 

ブルマ『フランちゃんどうかした?』

 

 

「あ」

 

私は深く考えすぎていたようだった。皆が心配する顔で此方を見ていた。

 

 

「すみませ~ん!ちょっとぼんやりしてましたぁ!」

 

プーアル『ボヤボヤしてると谷底に落ちるぞ。』

 

ブルマ『ふふ、もう少しで着くから頑張りましょ』

 

ヤムチャ『お、おい皆…』

 

 

するとヤムチャが形相を変えて遠くを見ていた。

 

「どうしたんですか? 」

 

プーアル『あれは村…?でしょうか』

 

ブルマ『ちょっ、ちょっとまって!彼処になんかバカデカイ奴いない!?』

 

遠目からだと少し分かりづらかったが、確かに家よりも遥かに上回る大きな怪物らしき姿が捉えることが出来た。

 

ヤムチャ『間違いなく襲われてる!!急ぐぞ!』

 

 

駆け足でその村へと進んだ。

 

村の付近へと来ると悲鳴や建物が壊される爆音が響き渡っていた。

 

ヤムチャ『くっ!アイツがやってるのか!この野郎!!』

 

先陣を切ってヤムチャが怪物へと突っ走る!

 

プーアル『ヤ、ヤムチャ様!!』

 

「二人は安全な場所に隠れていてください。私も行ってきます。」

 

ブルマ『気を付けなさいよ!危なくなったら帰ってくるのよ…!』

 

「余裕ですっ」

 

 

 

 

 

怪物『ハッハッハッ!!人間共!さっさと女をさしだせぇ』

 

ヤムチャ『おい、そこのデカブツ!』

 

怪物『なんだ…?お前は!このウーロン様に逆らおうってのか!』

 

どうやらこの怪物は人拐いをするろくでもない奴の様だ。

それに腕には女数人を抱え込んでいた。

 

ヤムチャ『…女は大っ嫌いだがな…女に乱暴を働く奴は許さないぜ!』

 

怪物『なんだとぉ?小生意気な…』

 

「ヤムチャさん!加勢しますっ」

 

怪物『なっ!ま、まだ仲間がいたのかっ……クゥッ…今日のところは見逃してやる…!!』

 

怪物は女を地へと放り投げた!

 

『きゃぁっ!!』

 

ガシッ

 

「お怪我はありませんか」

 

村人『は、はい!ありがとうございます』

 

怪物『変化!!』BOM!

 

 

ヤムチャ『なっ!?アイツ!コウモリに化けやがった!!』

 

怪物『ハッハッハッ!!次会ったら覚えておくんだな!』

 

 

コウモリは夕暮れに紛れ、姿を消した。

 

 

村人達は怪物が去ったと同時に家々から顔をだし、私たちに駆け寄ってきた。

 

村人『娘を助けて下すってありがとうございます!なんとお礼をしていいものか!』

 

ヤムチャ『い、いえ!当然の事をしたまでです!』

 

「あの怪物は一体何者なんですか?」

 

村人『…あいつはウーロン。突如としてこの村に現れたんだ。幾度となく姿を変え、人拐いをしては金や食料を集り、極悪非道な最低な奴なんです。それにウーロンの本当の姿を見た者は誰一人としていなく…この前なんか恐竜に姿を変え、逆らった我々を食べようとしてきたんです…!』

 

ヤムチャ『なんて奴だ…』

 

ブルマ『ところで!!』

 

村人『は、はい?』

 

ブルマ『こーんなオレンジ色の玉持ってない?』

 

ブルマは村人達に袋から取り出したドラゴンボールを見せた。

 

村人『あ、あぁ!それなら此処にいる婆さんが持っていたはずだ!』

 

お婆さん『これのことかい?』

 

そう言われたお婆さんの手にはオレンジ色に輝いた星が5つのドラゴンボールが握られていた!

 

ブルマ『それよそれよ!どう?その玉を私達にくれる代わりに、その怪物を私達が倒すってのは!』

 

お婆さん『え、えぇ!?それは構いませんが…ウーロンを倒してくださるんですか』

 

ブルマ『えぇ!この人達がね!』

 

そう指を指された私とヤムチャさん。

 

「あはは……」

 

村人『男の旅人さんなら分かるが…もう一人のちっこい娘さんは大丈夫なのかい?』

 

―私ってそんなに小さい!?―

 

ブルマ『大丈夫大丈夫!二人ともとーっても強いんだから!腕っぷしだけは保証するわ。』

 

村人『なら旅人さん達に任せようかねぇ。おらたちじゃとても相手できるもんでねぇからなぁ』

 

 

ドラゴンボールを交換条件に村をウーロンという怪物から救うことになったフラン達。

皆、恐ろしい敵というが果たして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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弱気なウーロン?目指せフライパン山!

しばらく活動を休止しておりました。
申し訳ございません。




ウーロン退治を明日決行することになった私達は旅先で通りかかったこの村で休息を取っていた。

 

今まで妖怪ウーロンが悪事を働いてきたことに関して村人の1人が最初は穏やかに話してくれていたが、やはり相当酷い事をされてきたのだろうか、強く村人達は憤怒していた。

 

村人はただただ、娘達の帰りを待ち望んでいたのだった。

 

ヤムチャ『安心してください!必ずお助けします!!』

 

 

とても現盗賊とは思えない発言だけれど、ヤムチャさんは元々根が優しい人なのだろう。とても頼り概がある。

 

ブルマ『流石ですわ♪キャーイケメン』

 

ブルマさんはそんなヤムチャさんに相変わらずデレデレである。

 

村人『本当にありがとう…こんな勇敢な旅人さんが来なければ私達は途方にくれていました…。少々話が長くなってしまいましたね。今日はここでゆっくりとお休みください。』

 

その言葉だけ残し、村人は部屋から退室した。

 

その後、誰1人として緊張感などなく皆でトランプゲーム等の遊戯をしたりして寛いでいた。

 

―お泊まり会ってこういう事を言うのかな?―

 

私は内心、初めてのお泊まり会チックな事をして楽しんでしまっていた。

 

―いけないいけない!ちゃんと緊張感とか責任感を持って、村を助けなくちゃ!―

 

「私先に寝ますね!」

 

ブルマ『えー?フランちゃん真面目ねー』

 

「そ、そうですか?」

 

ヤムチャ『そ、そうだぜ!ずっと旅して疲れたし今日は楽しもうじゃないか!(一緒に居たいだけだけど)』

 

プーアル『ヤムチャ様本音もれてます』

 

本当に良いのだろうか…私は深く考えたが、たまにはこんな日もあって良いのではないかと考え直した。

 

「わかりました!♪今日は楽しみたいです!!」

 

ブルマ『それでこそフランちゃん!!』

 

 

 

今日は自分に甘える日。そう決め、残りの数時間を仲間達と共に楽しんだ。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『くそ………なんなんだ彼奴らはっ』

 

 

夜更け。ウーロンは1人ぶつぶつと影口を叩いていた。

 

―きっとあの旅人は村を守るために再び俺に歯向かうであろう―

それを思ったウーロンは作戦を立てようとする。

 

が、

 

『やべぇよぉ~彼奴らめっちゃ強そうな感じだったしなぁ…脅しでいけるのかなぁ』

 

 

これ程弱々しい敵キャラがいるのだろうか。

 

 

しかし作戦がまともに立つこともなく5時間が経過。

いよいよ、非情にも朝日が昇って来る。

 

『もうどうにでもなれ…』

 

 

題して作戦は ヤケクソ らしかった。

 

 

ウーロンの酷く重たい足は歩き出した。村の方角に近づく度に彼の足は小石を砕くようにズシズシと鈍い音を立て続けている。

 

―あぁやべぇ…なんでこんなことになるんだよ…―

 

しかし、こうなった以上やるしかないと決めたウーロンはらしくもなく走った。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

私は察知していた。ウーロンが動き出したことに。

彼のエネルギーが小さすぎて感じにくいが、この村へと着々に向かってきている。

 

 

迎え撃つか、否。“今の私“は残酷な事をしたくないという感情がある。昔とは違う。

 

―話し合いで解決しよう―

 

これが頭に思い浮かんだ。

 

これならば私一人でも解決できる。旅路で疲れてる皆を無理矢理起こすこともない。

 

「行ってみようかな」

 

私はウーロンのエネルギーを感じる場所へと移動した。

 

 

 

 

 

 

―いたいた!―

 

 

村から少し離れたところにウーロンは隠れるように立っていた。

 

 

―どうしようか。気軽に「どーもーウーロンさーん」とか声をかけてみる?

いやいやいや…それじゃあなんか馴れ馴れしいし…

ここは堂々と真っ直ぐ行ってみよう!―

 

 

私は若干早歩きでウーロンへと迫る。

 

 

―さぁーウーロンでておいで―

 

 

 

フランのその怪しげな雰囲気に気付いたウーロン。

 

酷く怯えた。

 

まるでこれから自分を食べる為、狩りをする獣のような眼をする人間の娘に彼は恐怖を抱いていた。

 

 

ウーロン『(な、なんだ!?!?なぜあんな早歩きで此方へ来るんだ!?いや頼む、少しでいいから恐い顔するのやめてくれぇぇぇぇ!)』

 

 

そんな彼の心中を知らずに、フランは迫る。

 

 

 

 

 

 

 

それから暫くしてウーロンは見事にフランによって確保された。話し合いをする以前に彼はフランの威圧感に負け失神してしまっていた。

 

取っ捕まえて、村にウーロンを退治したことを告げ、フランは無事に村を救えたのであった。

ブルマにはそのあと1人で敵地に向かったことをこっぴどく叱られたが、ドラゴンボールを無事に獲得出来たブルマはすぐに許してくれた。

 

しかし、肝心のウーロンはと言うと。

 

村人『貴様…よくも儂の娘を!!処刑だ!!!』

 

ウーロン『ひぃぃっ…!娘さんはお返しします!!ていうかもう懲り懲りです!早く連れ戻してやってください!』

 

などとウーロンは理由が分からない事を言う。

 

「ウーロン、一体どういうことなの?」

 

 

どうやらウーロンの話によると、村人の娘は自分の城をまるで彼女達の所有物かのように使用していたそうなのだ。

誘拐犯であるウーロンに対してはまるで飯使い。

下に見られ、早くこの生活を一刻も早く脱したいそうだったが、今のこの状況も悪くないと思ってしまっていたらしい。

 

村人『悪人の言うことなど信じられん。直接この目で確かめようじゃないか。』

 

 

して、現地へ行くと

 

 

娘A『はぁ~い♪ウーロンおかえりー。約束してた服買ってきてくれた~?』

 

娘B『あらーお父さんじゃない。私ねーここから離れたくないのー。だってこんなに住みやすくて満喫できるんですもの。』

 

 

 

ウーロンの証言は本当だったようだ。

 

村人達は自分の娘の変わりように驚愕、唖然していた。

 

ウーロン『…本当にすみませんでした。もうこんなこと2度としません。』

 

ブルマ『そうそう!ドラゴンボールも頂いたことだし、こいつが悪さしないようにフランちゃんがこいつを見張るってのはどう?』

 

ウーロン『げっ!?こ、この娘がッ!?』

 

「(なんでそんな怯えるの…!?)」

 

村人『おぉ!それは助かります!なんと気心がきく旅人さんなんだ!ありがとう…ありがとう!』

 

ブルマは村人に両手を握られ感謝の言葉を満面の笑みで受けとる。満更でもない様だ。

 

ウーロン『チッ…なんだかめんどくせぇなぁ…』

 

 

ヤムチャ『さぁ、そろそろ次のドラゴンボール集めに行くぞ』

 

ブルマ『そうね!じゃあねみんな!』

 

村人達『本当にありがとう!!この御恩は忘れません!』

 

 

―村が助かって良かった…。ウーロンが着いてくることになったけど、一件落着ね―

 

 

少女『赤色のお姉ちゃん!!これ!』

 

 

と、白い服の少女が私になにかを手渡してきた。

 

「あ、ありがとう!これは?」

 

少女『お守り!なんかピンチにあったらそれ握りしめてね。うちの村救ってくれてありがと!』

 

そのお守りは白色で真ん中に赤文字で"博麗"と書いてあった。

 

ハクレイ…?どこかで聞いたことが―

 

「あの、これどこで…」

 

少女に呼び掛けたが、既にそこにはいなかった。

 

 

「……大切にするね。ありがとう」

 

 

一礼をした。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

ドラゴンボールが5つ集まり、残るは2つ。

もうすぐで自らの願望や夢が叶う事に皆浸たっていた頃

目的地に到達した。場所は燃え盛る山。

一歩でも踏み出してみれば、身体ごと焼けるような危険な山々が広がっている。

 

 

―なんて暑い!!―

 

 

次なる目的地はフライパン山と呼ばれる摩訶不思議な場所だった。

 

 

 

 

 

 

 



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