名伏しがたいアメーバと私 (排除君)
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第一話

初めまして、排除君です。

この小説は作者の変な妄想で出来ています。
それとクトゥルフ特有の雰囲気とかはないです。シリアス系もあまり入れる気もないです。

それでもいいという人は読んでいって下さい。







 

 

 

 

突然で悪いが皆さんはショゴスという存在を知っているだろうか

 

 

 

 

 

―――――――――――曰く無機物から造られた存在

 

 

 

 

 

―――――――――――曰く乾留液のような物でできたアメーバ状のナニカ

 

 

 

 

 

―――――――――――曰く古のものに叛乱を起こしたモノ

 

 

 

 

他にも特徴や誕生の成り立ちなどetc……兎に角話し始めたならキリがなくなってしまうから今回は手短に済ませたが、機会があったらもう少し言及していきたい。

 

 

 

ではここからは何故私が皆さんに、ショゴスと言う名伏しがたい存在のことを知っているか聞いたか説明していきたい。

 

 

 

私がショゴスと言う存在の話をし始めたのは他ならない理由がある。

 

 

 

それは単純明快。馬鹿でも分かる説明書付きの道具と同じレベルだ。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――私はショゴスと言う存在が大が付くほど好きだからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、樋端 代子(といばた しろこ)は駒王学園に在籍する極普通の高校二年生だ。

顔も普通、体格も運動神経も普通のどこにでもいる女子高生であり、特段可笑しなところはない。

自分でも把握していて、一般人が聞いたら間違いなく頭の残念な子認定されるような部分を上げるとしたら、それは私が転生したという事だろう。

 

転生……それは仏教の世界に存在する概念。何でも死んだら解脱できない限り何度も犬やら猫やら、はたまた石などの無機物にもなってしまう輪廻転生の理。にわかには信じ難いが、実際に経験してしまう事には否定できない。

転生を経験?何のこっちゃという人に対して説明すると、私が経験した転生は仏教の転生とは若干違う転生の一部始終を今は亡き前世の目で確認したからだ。

俗に言う神様転生とやらで、私の生活を見ていた神様が「あまりにも可哀そうやから見てられねぇわ」って私を神の力とやらで魂だけに変換してこの新しい世界の素体に送ってくれたのだ。―――――――しかも特大のオマケつきで。

 

生活について前世宜しく一人暮らしをしていけるようにとの配慮と、私の前世で手に入れれなかった空想の産物の特典。

正直金に関しては有ってないような物だったのでどうでも良いが、私が欲していた空想のモノは転生後の私のモチベーションを火に薪をくべるレベルで燃え滾らせた。

 

それは最早言うまでもなく、ショゴスと言う生物のプレゼントである。

 

転生後の私は30代過ぎたオッサンの面影など露すら残っていない花の女子高生になっていて、失われた青春時代を楽しく過ごせと言う神様の粋な計らいだと思った。鏡に映るオール普通の女子の姿は高校生活を楽しむには丁度よかったからそう思っただけかもしれないが。

だが、私は高校生活を過ごして一年経った時には違和感を感じていた。もっと前に気付くべきだったのであろうが、満足な生活を送っていた私はそれの存在を忘れてた。

 

転生時に特典として選んだショゴスの存在だ。

 

無論私はショゴスが大好きなので忘れるという事はなかったが、特典でショゴスと生活できることは忘れていたのだ。転生から一年経った私の誕生日である日に、私の元に大きな段ボール箱が届いたのだ。誰がこれを送ったのかは不明だったが中身を確認した私は一秒と掛からずに送り主の事を理解した。

巨大な段ボール箱からは紫色のプルプルした、いや粘っこいか。兎も角とても可愛らしいモノが私に飛びついてきたのだ。私はその存在を抱きしめようとしたのは今でも覚えている。あまりにも弾力があり過ぎて抱きしめた瞬間ぴゅっと私の手の中から飛び出して壁に衝突したからだと。

 

しかし壁にぶちまけられた存在、もうここからは”ショゴス”と言っていくがショゴスはアメーバ状の身体にある数多くの目で私を見つめながらまた大きな一つの塊に集まって私に擦り寄ってきた。

この後は記憶が曖昧だが、ショゴスが私に声を似せてキャーと叫び始めるまでは(自主規制)な事をしていたみたい。ショゴスが後日説明してくれた。

 

………え?何でショゴスが喋れるのかって?そんなのはショゴスを知っている人なら把握済だろう。

ショゴスは必要に応じて自在に形態を変化させ、さまざまな器官を発生させることができる生物としてある意味完成した存在だからだ。

ここで一番初めに言った言葉に付け加えていくが、ショゴスは人為的――――違うな。古(のもの)為的と言うのがいいのか?

とりあえず古為的に合成されて誕生した生物だ。肉体労働のための奴隷種族として造られたために万能な身体を持つ。しかしその万能な体が仇となり、発生させた脳で知能を持つようになって創造主に叛乱を起こした。ここだけ聞いてると、高度に発展したAIやロボットが人類に叛乱を起こすかもしれないという考えと実に似ている。

 

話を逸れたが気を取り直していこう。詰まる所私のショゴスは神様印のショゴスなので安心安全、溶かされたり叛乱されることもない。ちゃんと接してあげればそれに応えてくれるいい子だ。

更に基本的ショゴスには外出するときにも付いて来てもらっている。勿論付いて来てもらうと言っても他の人から見たら冒涜的な存在たるショゴスを連れて回す訳ではなく、私の胸の所に小さくしてくっついてもらっているのだ。

これは私の身を守る防犯と外出中でもショゴスと触れ合えることを完全に両立させた方法だ。最初こそ若干の違和感があったが毎日している内に癖になってきた辺り、ショゴスの適応力が私にも備わったような気がした。

 

今回の自己紹介とショゴスのための他己紹介はこれくらいにしておこう。私は授業が終わり人が居なくなった教室の中で、宿題を書き写したノートを閉じてペンケースにシャーペンを仕舞い、荷物を纏めて教室を出る。

 

戸締まりを確認して、よしとした時に突然ドタドタと何かが走ってくる音が聞こえた。私が音のした方を向くと一人の男子が走ってきて、掃除用具を仕舞うためのロッカーにガタガタと五月蝿く音を立てながら隠れた。

入る瞬間に私に向かって「樋端!俺が隠れてること黙っててくれ!」と言ってきたので仕方なく何事も無かったかのように携帯を取り出して、何件も来ている邪魔なメールを削除し始める。

するとまたドタドタと音が聞こえてきて、今度は剣道部の部員が竹刀を荒ぶらせながら来た。

 

 

「あっ!樋端。ここに兵藤こなかった!?」

 

 

見知った顔だったが、名前は覚えてない。確か佐藤だっけ?

 

 

「いや、見てないよ。また何かイッセーがやらかしたの?」

 

 

取りあえずは事情を聞いて、ギルティならロッカーの中身を引きずり出す。孔子は親は子の為に、子は親のために罪を隠すと言ったが、生憎私とイッセーは家族ではないので、私の判断で裁く。正直な話、私に裁かれた方が剣道部に裁かれるより安全なのだ。

 

 

「それがね。兵藤の奴、何時もの二人と一緒に性懲りも無く私達の更衣室を覗いてきたのよ」

 

 

なるほど。それは完全にアウトだわ。確かに元男である私も覗いてみたいというのは理解できるが、体が女になってからそうゆう事は中々許容出来なくなってきたのだ。だから私は判断する間もなく携帯をしまってロッカーに手を伸ばそうとした。

すると私にしか聞こえないような声で、胸の所のショゴスたんが、

 

 

『恩を仇で返すのはご主人らしくないよね』

 

 

と言ってきた。

私はその言葉を聞いて、すぐ様ロッカーとは違う方に自然に腕を向けた。

 

 

「ならあっち。黙ってるつもりだったけど気が変わった」

 

「そう!ありがとうね、樋端!」

 

 

再び走り始めた彼女に手を振りながら、ロッカーの中のイッセーにGoサインの感じで2回ノックする。

ここで何故私がショゴスたんの言葉で考えを変えたのか答えようと思う。私は高校生活で初めは見事に【スキル:コミュ障】を発動して友人関係でギクシャクしてたのだけれども、イッセーの御蔭でそれを無事解消出来た。

だからショゴスたんの言葉で私は腑に落ちる何かを感じ彼を助けることにしたのだ。

 

 

「あ、ありがとう代子。助かったよ…」

 

「ううん別にイイよ。今までイッセーに世話になってるし」

 

 

まずは軽く話をしていると、ふと私は剣道部が戻ってくるかもしれないと何かに囁かれてイッセーにいち早い離脱を勧める。

 

 

「それよりもイッセー。早く行かないとまた来るよ?」

 

 

彼女が走っていった方を指差しながら言うと、イッセーは顔の色を白くして冷や汗を流し、辿々しい足取りで動き出し、

 

 

「じゃあな代子。またなんかあったら頼む!」

 

 

と大きな声で言いながら走り出したのを見ながら、私も帰るかと呟いて今日帰った後の夕飯の献立を妄想し始める。何時もはショゴスたんが私の代わりに献立を考えて朝昼晩とご飯を作ってくれるが、週に一度だけ私がその日のご飯を作る時があり、次いで言うとその担当の日にスーパーで一週間分の買い物をしてくるのだ。

 

こんな生活を続けて早数か月だが、別段違和感を感じることもなく逆に今日は何を作るかという料理に対する楽しさが湧いてくるので+だらけでマイナスはない。あったとしても一週間分の買い物した後の家までの帰宅がキツいだけだ。御蔭で恐ろしくひ弱な私の身体も数か月でマシになったのは気のせいではないはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、スーパーはこっちの方だったか」

 

『このようだとうっかりしてる部分を直す!!って意気込みは何の意味もなかったようだね』

 

 

何時もの如く家に帰る要領でコースを選択していた私は、特売の時間に間に合うように走って行くおばちゃんたちの姿を見て前世でも今世でもプレイしているAC4&faのネクストばりのクイックターンを決める。

次はとりあえず羞恥心を捨てて、見よう見真似で習得したアスリート選手の走りでスーパーの特売に急ぐ。ショゴスたんが私のうっかり克服練習の事を言及してきたが、この際それは後回しで走る。神様の粋な計らいで普通に生活する分金銭に問題こそないものの、やはり体に染みついた特売と言う言葉の影響力は凄まじい。問答無用で私の感覚は反応してしまう。これが調教というものか………(違う)

 

 

『ほらほらご主人。このままだと買い物終了後にご近所のおばちゃんにどや顔されるよ』

 

 

うん、それは分かってる。でも肉体には限度ってものがあってね。

 

 

『ご主人の身体はHP二桁切ってるって言っても過言でないしね』

 

 

正確にはスタミナ値が底辺逝ってるだけだけどね。

ちなみに筋力はぎりぎり二桁いってるのかな?

 

 

『後でステータス表でも作成しておく?多分休みが一日分潰れるけど』

 

 

今聞きづてならない言葉が聞こえたけど、スーパーが”歓迎しよう、盛大にな!!”って感じにおばちゃんで賑わってるから右から左へと聞き流そう。

何とか間に合ったし、おばちゃん'sの会話から特売の品が牛肉と判明。これはすき焼き確定ですね。久しぶりのすき焼きにドキッが胸胸してきてしまう。

 

 

『ご主人。ウキウキしてるのは分かるけど前をちゃんと見ないと危ない…ガッ!………遅かったかな』

 

 

忠告ありがとうショゴスたん。

でもこうゆう時は相手の事を気にしないで言ってもええんやで?

 

 

『言ったところでご主人が反応できたとは限らないよね?』

 

 

御もっともです。ぐうの音も出ない。まさかちょっとした段差で転ぶとは思わなんだ。

あっ、それとぐうと言っても腹の鳴る音じゃないから注意だぞ!

 

 

『誰もそんなことを間違えないと思うよ』

 

『それよりも注意すべきはご主人じゃないかな。既におばちゃんたちによる争奪戦が始まってるみたいだけど』

 

 

 

 

 

 

………………………………………

 

 

………………………………

 

 

……………………え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




区切れが悪い気もしますが今回はここまでです。

それと樋端とショゴスの冒涜的な絡みを想像してしまった人は1d10のSAN値チェックです。


※この小説には誤字や脱字がある可能性があるので、発見次第作者に報告してくださればと思っています。



ショゴス:可愛いスライムみたいなもの。よく見たい人はCoC:DCotEをプレイ推奨


主人公の金銭:毎月50万ほど振り込まれていく。主人公は始め通帳を見て目を疑った


スキルコミュ障:言わずもがの人との関係において壊滅的な被害を齎す最悪の存在


おばちゃん's:特売時に群れて現れる集団。非常に強く悪魔であっても3分ともたない


主人公のステータス:基本的に神話関係に対する対抗手段はショゴスのみ。もしかしたら覚醒がワンチャン………


歓迎しよう、盛大にな!!:某フロムゲーの副団長のセリフ。









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