マッハと暗殺教室 (ジョンウォン)
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転校の時間

--二年前--

 

 「変身!」

 

〚ドライブ!タイプスピード!〛

 

 「ひとっ走り付き合えよ!」

 

この日、一人の少年は大量の機械生命体・ロイミュードの前に立っていた。

しかし、少年に恐怖や焦りはなく、自信に満ち溢れていた。

そして、仮面ライダードライブ対機械生命体・ロイミュードとの戦いが始まった……。

この戦いの結果を知るものは誰もいない。

 

--二年後--

 

 「今日からお世話になります。」

 

 「君が坂上拓実君だね?私はこの学園の理事長、浅野だ。」

 

俺、坂上拓実はこの学園に転校することになった。理由としては二つ。

一つ目はロイミュードが最近ここの生徒を襲うため、この学園にいるほうが守りやすい。

二つ目はこれは偶然。ほんとにたまたま国家機密を知ってしまったから。

 

時は三日前に遡る

 

--三日前----

 

 「拓実!ロイミュードだ!」

 

なぜか意志のあるベルト・クリムの誘導で俺と姉ちゃんはロイミュードの元へ車を走らせていた。姉ちゃんは防衛省に属していて、ロイミュード殲滅係だそう。

 

 「ちょ、姉ちゃん運転荒い!」

 

 「しょーがないでしょー。ちょっと遠いし…」

 

といいつつかなり荒い運転で現場についた。そこで二人の女性がロイミュードから逃げていた。相手は一体。余裕だな、これ。

車から飛び降りた俺はそのまま駆け出してロイミュードに飛び蹴りを食らわせた。

 

 「おぉぉぉりゃ!!」

 

 「ぐぇ!?」

 

………思ったより威力あったな…

 

 「お前………まさかマッハか」

 

 「ご名答。じゃ、行くぜ?」

 

チラリと襲われてた二人を見ると、姉ちゃんがしっかり保護。これで安心して戦える。

そしてバックルを取り出して腰に押し当てる。バックルからベルトが伸びて巻き付く。カバーを開くと音が鳴り出す。

シグナルバイクを取り出してベルトにセットする。

 

 〚シグナルバイク!〛

 

変身ポーズを構えて、カバーを閉じる!

 

 〚ライダー!マッハ!〛

 

仮面ライダーマッハの完成。 

 

 「追跡!撲滅!いずれも〜…マッハ!仮面ライダー……マッハ!」

 

 「……お前長いんだよ!」

 

ごもっとも。

ロイミュードが殴りかかってきた拳を弾いて逆に腹パン。そのまま素早く飛び膝蹴りを食らわし着地と同時に回し蹴り。

 

 「てめぇ…」

 

転がるロイミュードが忌々しそうに言うが、こいつ弱い。

専用武器・ゼンリンシューターを構えて連射。

 

 「ぐわぁぁぁ」

 

ロイミュードは再び地へ。

ゼンリンシューターのタイヤ部分を回す。

 

 〚ゼンリン!〛

 

そして一気に距離を詰めてゼンリンシューターで叩く。

 

 「ぐぉ」

 

火花が散る。

 

 「まだまだ!」

 

ゼンリンシューターを、器用に使い、連続で切る。

 

 「ぐ……」

 

 「さて、これで終わりだ」

 

 〚必殺!フルスロットル!マッハ!〛

 

カバーを開いて、ベルトにあるボタンを一回押す。そして再びカバーを閉じる。

 

 「はぁぁぁあ……セイハーー!!!」

 

 「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」

 

必殺キックが直撃し、ロイミュードは大爆発。

 

 「いい絵だったでしょ」

 

 〚オツカーレー〛

 

変身を解除し、姉ちゃんの元へ戻る。

 

 「あ、あのっ、ありがとうございました!」

 

 「ありがとうございました〜」

 

襲われてた女性が言ってきた。見たところ、同い年のようだ。

 

 「いや、別に……」

 

あまり人と話すのは得意ではない。

姉ちゃんは呆れた顔して、

 

 「怪我とかなくてよかったよ〜。今後も気をつけてね」

 

 「はい!」

 

本来はそれで終わるはずなのだが、状況が変わった。

 

 「矢田さん!倉橋さん!大丈夫ですかーーーーー!!!!???」

 

どっから来たこの……タコ!?

 

びっくりする俺。

呆れた二人の女性。

少し焦る姉ちゃん。

こっちを見て固まるタコ。

 

その後姉ちゃんと一緒に防衛省に行った俺は、鳥間という人から説明を受けた。そして俺がE組に入るか記憶削除の手術を受けるか迫られた。

そんなの決まってる。

 

 「転校出お願いします」

 

------

 

 「一応試験も受けてもらったが…悪くないね、E組なのが勿体無いよ」

 

 「はぁ、そりゃどうも?」

 

まぁ、クリムから色々教えてもらってるからな

 

 「君は我が学園のE組制度をしっているかい?」

 

 「まぁ、大まかには」

 

E組。表向きは学力強化クラスと言われているが実際は違う。

たとえるなら働きアリの法則。

95%の働きアリと5%の怠けアリ。

この学園の生徒はE組を忌み嫌い、嫌がらせ、イジメがあってもE組は何も言えない。そういうことから

A組からD組の人間はE組のようにはなりたくない。E組にだけは行きたくないと思うようになり、この理事長の教育理念が成立する。

 

 「ならよろしい。E組はE組でなければならないからね。」

 

 「………失礼しました。」

 

理事長室から出た俺はE組の校舎へ行くため山を登っていた。俺は、まぁ、余裕だけど、これ毎日登るのか……。むしろこっちが働きアリなのでは……?

 

 「待っていましたよ、坂上君。」

 

 「どーも初めまして。ターゲット。」

 

 「殺せんせーとおよびください。」

 

 「じゃあ俺も気安く名前でいいよ」

 

殺せんせーに聞いたが、クリムがもう先にすべての説明を、終わらせたようで、俺がマッハである事、ロイミュードの事などなど。

ちなみにクリムも講師としてE組にいるようだ。

 

 「坂上拓実です。よろしく。」

 

教室で色々質問を受け、席に座る。

隣は赤髪の赤羽カルマ。

もうなんかイタズラ野郎なのが滲み出てる。

 

 「よろしくね〜、気安くカルマでいいからさ」 

 

 「お、おう」

 

殺せんせーの授業は……わかりやすい……。なんか悔しいなオイ。

昼休み、一人で外の木陰で昼飯を食っている。ここは空気がきれいで自然がある。正直いいところ。

ここは本当にE組を離すために作ったのだろうか……。

 

 「あー!ここにいたー!」

 

後ろを振り返るとあの時助けた二人が弁当持って歩いてきた。

 

 「たっくんどこにもいないから探したよ〜」

 

 「矢田に倉橋?どした?なにか御用で?」

 

 「一緒に食べようよ」 

 

 「お、おう」

 

この二人は何かあるたび絡んでくる。

物好きなやつだわ……。

 

 「たっくん班決まった〜?」

 

倉橋が聞いてきたが見に覚えがない。

 

 「班?」

 

 「修学旅行の班だよ」

 

あぁ、修学旅行ね。

 

 「んー、俺は修学旅行行かないかなー。まだ来たばっかだし、気乗りもしないし」

 

 「えぇー……行こうよ〜」

 

倉橋よ……世の中には入りにくい所があるものだよ。

 

 「そうだよ、行こうよ」

 

矢田よ……なぜそこまで迫ってくるのだ……近い近いよ、あと、目の行き場が………。

とそこに、

 

 「ではこういうのはどうでしょう?

電車や宿はともに行動し、自由時間は一人で行動する、でどうでしょう」

 

 「殺せんせー……まぁ、それなら」

 

俺が納得すると後から

 

 「あぁ、拓実、少しいいかね?」

 

 「クリム!あぁ、大丈夫」

 

 「ちょっと!殺せんせー!私達の班に引き込みたかったのに!」

 

 「なんであーゆーの言っちゃうの〜?」

 

 「ニュヤ!?そうだったんですか!?」

 

……聞こえない、オレナニモキコエナイ

 

 「んで?なんの用?クリム」

 

 「うむ、修学旅行だが、いくら京都といえいろいろ安心できない。一応シグナルバイクは全種持っていくように」

 

 「なんだそんなことか」

 

 「本当は私から一人で行動してもらおうと思っていたからね」

 

俺はクリムの話を終えて二人の元に戻ると土下座をして中学生に説教されている国家機密がいた。

俺はなにも見ていない。聞いていない。そっと教室にもどった。

 

 「やっぱ嵐山だよなー」

 

 「映画村行きたーい!」

 

 「清水寺とかさ!」 

 

この時間は修学旅行のコース決め。

この修学旅行でも暗殺教室は行われる。

話によると、腕のいいスナイパーの殺し屋のサポートをすると。

狙撃しやすい場所などをセレクトするようだ。

その様子を色仕掛けの殺し屋、イリーナ・イエラビッチことビッチ先生と見ていた。

 

 「全くたかが国内旅行ではしゃぎすぎよね。私なんかありとあらゆる国を渡ってきたから今さら国内旅行なんて…」

 

 「じゃあビッチ先生留守番ね〜」 

 

 「花壇に水やっといてよ〜」

 

ビッチ先生一瞬の静寂。のち、

 

 「私抜きで楽しそうな話してんじゃないわよ!」

 

 「あーも!行きたいのか行きたくないのかはっきりしろよ!」

 

その様子を舞妓はんのカッコで見守る殺せんせー。

 

 「で?なんで殺せんせーはそんなカッコしてるの?」

 

 「にゅ?そりゃ皆さんと行く初めての旅行ですからね、楽しみなのですよ」

 

………そもそも国家機密が旅行していいのか?

 

 「あぁ、そうそう、修学旅行のしおりを作ってきました!一人一冊です!!」

 

とマッハ20で修学旅行のしおりが配られた。

配られたのだが、

 

 「おっも!」

 

 「なにこれ!」

 

 「先生ちょっと張り切って、ありとあらゆる情報書きました!喜ばれるお土産ランキングから京都の人の特性から建物の由来や構造まで!初回付録はミニ工作金閣寺です!!」

 

 「「「多いわ!!」」」

 

どんだけ楽しみにしてんだよ……

しおり、もとい京都辞書を学校において家に帰り、修学旅行の準備を整える。

それとついでにしおりに目を通していた。

 

 「拓実、忘れ物はないかね?」

 

 「多分ね、ってかクリムは修学旅行の間どこにいるの?」

 

普段は専用の台座で自由に動けるが、旅行の間はできない。

 

 「集合場所までは拓実のカバンの中にいる。その後は鳥間と共にいる。」

 

なるほど、そのほうがいいな。

 

 「ってことは、カバンにクリムがはいるだけ開けないとな」

 

 「すまないね」

 

ま、持ってくのものないけどな。

 

 




こんかいは3500文字ですが、今後はもっと少なく、のんびりやっていくつもりです。


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修学旅行の時間・1

--修学旅行当日--

 

 「A組からD組はグリーン車で私たちは普通車ね〜」

 

中村が少し不満げに言うと

 

 「お金使用は本校者の者が優先的につかわれる。入学説明でそういったはずだが?」

 

本稿者の先生がニヤニヤしながら答えた。

さらに、渚の元クラスメイトと思われる二人組が

 

 「おやおや、あちらから貧乏の匂いがしてくるね〜」

 

煽ってきた……そろそろ物申そうとした時、一変した。

 

 「ごめんあそばせ」

 

 「ビッチ先生、なんてかっこしてんだよ」

 

露出多すぎ。ありゃ鳥間先生おこるぞ。

 

 「イリーナ。その格好はなんだ。どう見ても引率の格好じゃない。」

 

 ビッチ先生の背後にものすごい形相の鳥間先生があらわれた。

 

 「こ、これはガキ共に…」

 

 「脱げ、着替えろ」

 

その迫力にビッチ先生はなすすべなく寝間着えと着替えた。

 

 「もうどっちが引率かわかんねぇな」

 

 「あ、ははは」

 

俺の言葉に渚が苦笑いする。

 

 「あれ?殺せんせーは?」

 

列車が動き出してしばらくした時、殺せんせーがいないことに気づいた。

すると渚が、

 

 「あ、列車に張り付いてる。駅でお菓子買ってたら乗り過ごしたらしい。」

 

 「目立つんじゃねーの?」

 

前原がそういうと窓越しに殺せんせーが

 

 「心配いりません!保護色で紛れているので!!」

 

 「カバン!先生カバン!」

 

 「にゅ?ニュヤァァァァ!」

 

 「本当にこれで大丈夫なのかね?」

 

 「クリムさん……正直大丈夫ではないんです……」

 

クリムの疑問に鳥間先生が脱力して答える。

次の駅で殺せんせーが乗ってきた。

 

 「ふぅ…なんとなって良かったです。」

 

 「よくない。まったく良くない。」

 

 「そーそー。殺せんせー、とりあえずまずはそのすぐ落ちる付け鼻から変えよーぜ」

 

 「おお、すごいフィット感です。ありがとう菅谷君」

 

 「顔に合わせて削ってみたんだ。そういうのは俺得意だからさ」

 

へぇ、菅谷はそういうのが得意なのか

 

 「みんなの新しい一面が見られるね〜」

 

渚と茅野がそう話しているのを聞いて、俺も早く慣れないとなと思った。

そして、A組からD組はホテルへ、俺たちは旅館へついた。

 

 「にゅ、にゅゅゅ………酔いました……」

 

矢田、片岡、磯貝が順番に

 

 「大丈夫?……よっ」

 

 「もう部屋で休んだら?……はっ」

 

 「晩食まで時間ありますよ……ほっ」

 

ナイフを立てるがソファに持たれながら避ける。

 

 「それに先生これから一度東京に戻ります。まくらを忘れたので」

 

 「あれだけあってまだ忘れ物あんのかよ」

 

体より大きな荷物になにがはいっているんだろうか……。

 

 「どう?神崎さん。あった?」

 

 「う〜ん…ないみたい」

 

 「どした?」

 

俺が茅野と神崎に話しかけると、神崎が

 

 「うん……しおりとか予定とかまとめたメモ帳なくしちゃって…」

 

 「電車に落としたのかな?」

 

茅野が一つの可能性を出すと、神崎が

 

 「ジュース買いに行ったとき高校生とぶつかったときかな……」

 

 「神崎さん、先生の作ったこのしおりが、あればだいじょ…」

 

 「「「持ってきたくないからまとめてんだよ!!」」」

 

E組大合唱。

結局その日は明日の予定を見直してみんな寝た。

 

そして次の日。それぞれの暗殺を実行すべく、動き出した。

と言っても俺にやることはやく。

適当に京都市内をうろつく。

とりあえず俺は京都河原町に行った。このあたりは店並びとかも良く、買い物には困らない。

実は一度来たことがある京都。すごくいいところだ。

そのまま祇園の方に足を運ぶ。

すると遠目に大勢の不良が路地から出てきた。

 

 「!?」

 

それだけならよかった。だが、それだけではなかった。

その不良達は茅野と神崎までも捕まえていて、そのまま車に乗せると走っていった。

 

 「くそっ、」

 

ロイミュード相手ではない以上、ライダーの力は使えない。クリムと約束したからだ。

俺は冷静に思い出す。

たしか、しおりにはこの時の対処法が……。

俺は一つの場所に絞ってそこを目指して走っていった。

 

---廃墟---

 

神崎sid

 

 「ちょっとここでおとなしくしてろ」

 

 「神崎さん!茅野さん!」

 

私達が連れてこられてるとそこには矢田さんと倉橋さん、片岡さんに岡野さんまでが連れてこられていた。

 

 「ここならいくら騒いでも誰も来ねぇ」

 

私達は黙るしかなかった。

 

 「しかも意外だったなぁ。お前が俺が目をつけていた女だったとはな・・・」

 

そういって私に携帯を見せつける。

そこには…私が写っていた。

親の縛りから離れたくて、エリートを逃げたくて髪をそめてゲーセンに通ったその時の写真………。

 

「めぼしい女は報告するように言ってたんだが見失ったって訳」

 

「私たちをどうする気ですか?」

 

黙っていることしかできない私達の変わりに矢田さんが聞いた。

 

 「よ~く聞いてくれたねぇ。今から俺ら10人ちょいを相手してもらうぜ。」

 

その言葉に中学生といえど何をされるかは予想がついた。

 

「宿舎に戻ったら涼しい顔で『カラオケ行ってました』とでも言っとけ。

そうすれば誰も傷つかねぇ・・・楽しもうぜぇ・・・台無しをよ!!」

 

自然に体が震えたのは私だけではなかった。その中で唯一、

 

 「・・・・・・最ッ低・・・」

 

反抗したのは茅野さんだった。

それを聞いた不良は茅野さんの胸ぐらを掴むと持ち上げ、ソファに叩きつけた。

 

 「うっ……ぐっ……」

 

 「カエデちゃん!」

 

 「エリート面してんじゃねぇ。まぁいい。撮影班到着したらお前らも同じレベルまで…、」

 

ガシャァァァァァァァーーーーーーーーーーーン!!!!!

 

 

拓実sid

 

 正直見張りをいちいち倒すのは面倒くさいと思った俺は廃墟の隣のビルに駆け上がった。

屋上について廃墟を見ると、ちょうど不良達がたむろっていた。

どうやって入るか考えてると、

その中の一人が、茅野を持ち上げソファに叩きつけるのが見えた。

完全に頭にきた……

 

 「もう考えるのはやめた」

 

そのまま廃墟に向かって走って、廃墟に向かって飛んで、廃墟の窓に飛び込んだ。

 

ガシャァァァァァァァーーーーーーーーーーーン!!!!!

 

みんな唖然としてる。が、そんなこと気にしてられない。

 

 「おい、三下共……一人残らずぶっ飛ばす!!」

 

 「おいおい、でしゃばんなよガキが」

 

 「たった一人で何が出来んだよ!はは!」

 

不良どもは完全にナメてるが、クラスの女子達は安堵している。

 

 「おい、三人ほど遊んでやれ」

 

そして三人、たった三人が襲ってきた。

が、一番前にいたやつの拳を首を動かすだけで避けると無防備な腹に右ストレート、そのまま回し蹴りを食らわした。

残る二人は腕を掴んで捻り上げて片方を蹴りで壁に叩きつけ、残る一人を一度捻りを時背負投を食らわした。

人を倒すのならこれで十分。

 

 「なんだよそれ……」

 

 「もっとマシなやつはいないのか」

 

と、不良の一人が写真を見せてきた。

 

 「知ってるか?そこの女、こんなカッコして遊んでるんだぜ?普段はエリートやっといて、これだぜ?」

 

 「だから何?別に悪くないだろ?エリートだろうがなかろうが、どんなかっこしてなにしてよーがなんとも思わねーよ。強いて言うなら新たな一面知れて嬉しいけどな」

 

俯いてた神崎がこっちに驚いような顔をして見てきた。

 

 「なんだよ……てめぇもエリートだからって見下してんのか!?」

 

なんだ?くっだらねぇ……

 

 「はっ、別に見下してんじゃねぇよ。だがな、俺らはエリートじゃねぇ。俺らのクラスは学校で蔑まれクラスの名前すらも差別対処になっている。俺はまだ数日しか見てねぇが、あのクラスのやつはは様々なことに取り組み努力をしている。周りの目線や肩書きなど関係ない。ドブ川に住もうが清流に住もうが前に泳げば魚は美しく育つ!間違っても、お前らみたいに上のやつを同じように落としてやろうだなんてふざけた考え持ってるやつはいねぇ。それが違いだ。」

 

 「坂上君…!」

 

それがこの数日E組を見てきた率直な感想だった。

同時に扉に何人かの足跡が聞こえてきた。

 

 「……はっ、増援だ、終わりだな!お前は!」

 

 「そうだな、終わりだ。お前がな」

 

不良はなんのことやらわからなくなっている。

が、そろそろ間違いない。

 

 「大丈夫ですか!?皆さん!!」

 

ほら、黒子のターゲット。

いや、ホントはだめだけど。

来たのは殺せんせーと渚やカルマ、杉野に前原、磯貝。班の男子ってとこか。

 

 「ありがとうございます、坂上君。」

 

 「センコーだと……?もう……もう許さねぇー!!」

 

おそらくトップだと思っていた不良がロイミュードへ変化した。

 

 「んだよ、ロイミュードだったのかよ……知ってたらさっさと使ってたのに…!」

 

 「坂上君、ロイミュードは任せます。クラスメイトの開放と他の不良はこちらで手入れします。」

 

殺せんせーに手を上げて答え、ロイミュードと向かい合う。

 

 「変身!」

 

 〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

 「追跡!撲滅!いずれ……うわっ!」

 

ロイミュードが襲ってきた。 

 

 「ちょ、最後まで言わせろよ!」

 

 「うるせぇー!!」

 

攻撃を避けながら攻撃をいれるが避けられる。こいつ、なかなか強い。

 

 「オラァ!」

 

 「ぐはっ、」

 

不良の蹴りが脇腹を直撃、すかさず手刀が、二、三発入れられて、壁に激突した。

 

 「ちぃ……なら…」

 

ベルトのシグナルバイクと取って

 

 〚シグナルバイク!シグナル交換!拡散!〛

 

シグナル交換してすかさず拡散のシグナルバイクをゼンリンシューターに入れた。

 

 〚ゼンリン!フルスロットル!拡散!〛

 

無数のゼンリンシューターがロイミュードにヒットし、ロイミュードをぶっ飛ばした。

そして再びマッハにタイヤを戻し、

 

 〚必殺!フルスロットル!マッハ!〛

 

 「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

立ち上がろうとしてるロイミュードに必殺キックを放った。

 

 「うぅ…、ぐわぁぁぁぁ!」

 

 「いい絵だったでしょ?」

 

 〚オツカーレー〛

 

殺せんせーの方に見ると、カルマや磯貝達が、不良にしおり、もとい鈍器を叩きつける所だった……。

 

 「大丈夫だった?」

 

俺はとりあえず誘拐されてた女子に話しかけた。

 

 「うぅ……うわぁぁ!怖かったよぉ〜…!」

 

 「ちょ、矢田!?」

 

泣きだした矢田が抱きついてきたが引き離すわけにもいかず、とりあえずそのままに………おいカルマ、写真取るな、不良倒せ、それからあとでくれ。

 

 「でもほんとにありがとね」

 

 「あぁ、茅野も大丈夫だった?俺がもうちょっと早かったら…、」

 

 「ううん!大丈夫だから気にしないで!」

 

茅野は大丈夫そうだ。

殺せんせーたちの手入れが終わってみんなで宿に戻ることになった俺は今日の暗殺結果を聞いたのだが……

八つ橋で止められただのあぶらとり紙で止めただの……。

 

 「にゅ?神崎さん、あんなことがあったにしては随分と涼しげな顔してますねぇ、なにかあったんですか?」

 

 「え?いえ、そういうわけじゃないんですけど……少し…吹っ切れました!

坂上君、ありがとう。」

 

 「ふぇ?俺?」

 

旅館に戻った俺は鳥間先生とクリムと話していた。

 

 「坂上君、今回は助かった。本当にありがとう。」

 

 「ロイミュード関わってるかもわからない状況でよく動いてくれた。」

 

 「………いや、別にロイミュードじゃなくても動きますよ!そんな薄情じゃないですから!!」

 

 

 

鳥間先生とクリムとの話が終わり、部屋に戻ると、かなり盛り上がっていた。

 

 

 




あ…、4000こえた……
もっとのんびり…


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修学旅行の時間・2

 「何してんだ?」

 

 「おっ、拓実、いい時に!」

 

一枚の紙を中心に男子の……ほとんどが集まっていた。

集まってないのは寺坂、吉田、村松の少し浮いてる三人だけ。

寺坂は初めての暗殺の時、渚に火薬と対先生物質弾の入った手榴弾を持たせて自爆させたらしい。その日から関わらなくなったとか。

 

 「お前、クラスに気になる女子いるか?」

 

前原がニヤニヤしながら聞いてきた。

 

 「いや、まだ転校したてだぞ?」

 

 「んー、じゃ、一目見て一番可愛いと思ったのは?」

 

このクラスに来て……か。

思い出すのはやっぱり……

 

 「矢田……かな」

 

さっきの矢田の香りとか弾力とかなんかもう色々頭から離れん……。

 

 「矢田か、まぁ、妥当だな。」

 

 「にしてもカルマの奥田は以外だな」

 

 「えー?そう?だって彼女、怪しい薬とかクロロホルムとか作れそうで、俺のイタズラの幅がひろがるじゃーん」

 

絶対くっつかせたくない二人だな……、

 

 「……なぁ、磯貝。これって男子の秘密…でいいんだよな?」

 

俺は改めて、分かってて磯貝に問いかけた。

 

 「……?そりゃそうだな。知られたくないやつがほとんどだろーし…」

 

 「でも……なんかメモってるぞ」

 

みんなが扉を見ると、

 

 「フムフム…カキカキ…」

 

パタン。

 

 「「「………」」」

 

静寂。のち

 

 「メモって逃げたぞあのタコ!!」

 

 「追いかけろ!絶対殺せ!」

 

 「やつだけは許さん!」

 

 「ヌルフフフフ……私のマッハはこのようなときの為にあるのです!」

 

 

--女子部屋--

 

速水sid

 

「やっぱこーゆーときは恋バナでしょー!」

 

でた……なんか言い出すと思ったけど、やっぱり中村が言い出した……

 

 「恋バナ?」

 

 「そう!やっぱこーゆー女子だけのときはね!」

 

 「うーん、鳥間先生とかは?」

 

先生も含めるとほとんどがそうなるんじゃ……

 

 「今回はクラス限定で。」

 

紙を回して名前を書く。

詮索はしない。

 

これが約束され紙が回っていく。

私は最後から二番目。

名前書くときにちらっと見たけど、坂上の名前がチラホラ……。

転校そうそうなにしたんだろ。

 

 「ほうほう、なるほどね、」

 

 「中村、詮索はしない」

 

 「わかってるよー」

 

そこにビールをもったビッチ先生があらわれた。

 

 「ガキ共〜。一応就寝時間だから言いに来たわよ〜。」

 

 「一応ってビッチ先生……」

 

 「どーせ寝ないでしょ?あまり騒がないようにね」

 

なんか、ビッチ先生ってほんとに殺し屋なのかな……。なんか殺し屋のイメージじゃない……。

 

 「そーだビッチ先生の話聞かせてよ!」

 

 「え?えぇ〜しょうがないわね〜」

 

満更でもないようにビッチ先生は入ってきて、昔の話をしてくれる。

 

 「「「えぇ!?ビッチ先生まだ二十歳!?」」」

 

 「そうよ、いい?女の賞味期限は短いの。あんた達は私の違って平和な国に生まれたのだから存分に女を磨きなさい。」

 

珍しくいい話をするビッチ先生。

でも、

 

 「ビッチ先生がいい話してる〜」

 

 「なんか生意気〜」

 

 「なんだとガキ共!……それからお前!」

 

うわっ、殺せんせーいつの間に!

 

 「はい?」

 

 「さり気なく紛れ込むな!女の園に!」

 

 「って殺せんせー色恋はないの?自分のプライベートあかさないじゃん!」

 

中村…国家機密にプライベートはないよ……

 

 「そうだよ〜ズルい〜〜」

 

倉橋にそう言われ汗がにじみ出てきたと思えば

 

 「ニュ!!」

 

 「あっ!逃げた!」

 

 「捉えて履かせて殺すのよ!」

 

ビッチ先生の号令で全員が動き出す。

 

 

拓実sid

 

 「発見!発見ー!!殺せんせー女子部屋から出てきたー!」

 

 「ニュ!男子はまだ追ってましたか……って!」

 

 「こらー!!まてー!!」

 

 「しまっ……挟み撃ち…!」

 

男子と女子の猛攻をマッハで避ける殺せんせー。

渚と茅野が

 

 「あはは…結局は暗殺になるんだね……」

 

 「そだね…」

 

そんな暗殺修学旅行ももう終わり、いろんな一面が見れたと共に、俺も少しはみんなの和に入れたのかな

 

結局殺せんせーが逃げてったので解散になって寝ることに。

 

 「………寝れねぇ……」

 

こっそり抜け出して月が見える廊下に出る。

 

 「坂上君?」

 

 「神崎……」

 

どうやら神崎も寝つけられないらしい。

 

 「ねぇ、坂上君。改めて今日はありがとね」

 

 「……?えらく礼言うのな、そのまでこことはしてないぞ?」

 

すると神崎は「ううん」と一言置いて、

 

 「私ね、昔から親に厳しく言われてて成績がすべてだった。それが嫌であのカッコでゲーセンいってそれで得たのがエンドのE組。親から怒られて、失った物に気づいた。でもね、坂上君が言ったそんなの気にしない、ドブ川に住もうが前に泳げば美しく育つって言われて、心の霧とかモヤが晴れたの。エンドのE組でも、前泳いだら、きっと、また」

 

 「あぁ、親でも誰でも理解して認めてもらえる。少なくとも俺やE組のやつらはもう理解して認めてるけどな」

 

認めるとか認めないとか、言葉にする必要すらも、なかったのだろう。

 

神崎sid

 

坂上君にそう言ってもらえて嬉しかった。

……そういえば坂上君の親ってどんな人なんだろ…。

 

 「ねぇ、坂上君の親はどんな人だったの?」

 

思い切ってそう聞くと、坂上君は顔を暗くした。

その顔にはさっきまでの優しさの顔がない。憎い…?違う怒り…?どっちとも取れるような複雑な表情。

 

 「わり……それはちょっと言いたくねぇ」

 

 「え、ううん、ごめんね!変なこと聞いて聞いて」

 

坂上君はまだ少し暗い顔のまま

 

 「じゃ、部屋戻るわ」

 

 「坂上君!」

 

そんな坂上君を呼び止めて、ずっと言おうと思ってたことがある。

 

 「拓実君って呼んでいい?私の事も有希子でいいから!」

 

すると坂上君……拓実君は少し優しい顔に戻って、

 

 「まぁ、いいよ。おやすみ、有希子」

 

 「うん!おやすみ、拓実君」

 

拓実君は部屋に戻っていった。けど……なんで親のことは……

でも私はあまり触れないようにしようと決め、部屋に戻った。




このぐらいをキープしつつ頑張っていきます。

コメよろしくです。


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転校生の時間

「ただいまー」

 

「おかえりー」

 

修学旅行を終えて家に帰ると姉ちゃんが帰っていた。

 

「あんた修学旅行先でもロイミュードと戦ったんだって?」

 

「まぁ、でも、同じ東京からの修学旅行生だから問題はないと思うよ?」 

 

その後、晩御飯を食べたあと京都のお土産の八つ橋をデザート代わりに姉ちゃんと食べてると、鳥間先生から一斉メールが放たれた。

内容は、

 

 【明日E組に転校生がくる。姿を見ても騒がないよう。】

 

とのこと。……姿を見て騒がない?

外国人かなにかか?

いや、別に外国人見ても騒がないけど……。

少し疑問に思いながら俺はクリムに呼ばれ地下の調整室に入った。

 

「このサイドカーはデットヒート。マッハのパワーアップ用だ。」

 

「止まれとか拡散とは違うの?」

 

「シグナル交換とかまたちがう。マッハ自体の数値があがる。ただ、一定を超えると暴走するので使いすぎ注意だ。」

 

なるほどデメリット付きのパワーアップね、使う時はより注意が必要だな。

 

その後筋トレをして、ベッドに入った。

 

--次の日--

 

俺が教室に入ると、俺の席の横にでかい黒い箱…機械?がおいてあった。

すると、いきなり光って、

 

「おはようございます。転校生の自立思考固定砲台です。よろしくお願いします。」 

 

それだけ言うと、画面は消えた……。

これ驚いたけど騒げねぇ……むしろだんまりになるわ……。

 

そして授業が始まった。

……にしても、どやって暗殺するんだろ?自立思考固定砲台……砲台?砲台……。

なんか嫌な予感が……とか思ってると隣から

 

ウィィィィィィン、と機械音が。

 

ゆっくりと隣を見ると、自立思考固定砲台の側面がバッ!と開いて銃が多数出現。

全弾発射。

殺せんせーはマッハで避けながら、

 

「自立思考固定砲台さん、授業中の発砲は禁止ですよ」

 

「すみません。気をつけます。続いて第二攻撃を、行います。」

 

全然わかっちゃいねぇ……。

それに、これだけ派手にやられると授業どころじゃねーし。 

 

バチュ!!

 

「「「!?」」」

 

なんと自立思考固定砲台から発砲された弾が殺せんせーを捉えた。

殺せんせーは冷静に、

 

「ブラインドですか…。」

 

と言う。それに対し自立思考固定砲台が

 

「右指先破壊。増設した副砲の効果を確認しました。次の射撃で殺せる確立0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確立0.003%未満。卒業までに殺せる確立90%以上。卒業まで、よろしくお願いします、殺せんせー」

 

確かに、これなら殺せんせーを殺せるかもしれない。だがその前にみんなが黙っちゃいねぇと思うが。

 

--休み時間--

 

「で、自立思考固定砲台から出た弾は俺たちが片付けると。」

 

「ったく、弾を掃除する機能とかねーのかよ。」

 

「無駄無駄。機械に何言っても駄目だ。」

 

みんなはブーブー言いながら片付ける。

その間肝心の自立思考固定砲台は真っ暗画面にしている。

結局その日は一時間もまともな授業ができず、自立思考固定砲台の発砲に付き合わされた。

 

--次の日--

 

「はぁ〜…今日もあれに付き合わされんのか〜…」

 

登校していると、杉野がそうぼやいた。

まぁ、仕方ない。

一緒にいたクラス委員長の磯貝が、

 

「鳥間先生に言おう…。あれ以上自立思考固定砲台といたら迷惑だって。」

 

「言っても無理だよ……国の決定。国の方針。いくら鳥間先生でも逆らえないよ。」

 

俺がそう言うと二人揃って「はぁ〜」とため息をつく。

そして教室に入ると、自立思考固定砲台がガムテープでぐるぐる巻にされていた。

まぁ、だれかするとは思ったけど。

 

「システム、起動。本日の第一攻撃を……!?」

 

みんなが見るなか、自立思考固定砲台は自分の異変に気がついた。

 

「これは殺せんせーがやったのですか?これは生徒への危害と…、」

 

そこまで言いかけて、本体にガムテープがぶつけられた。

ぶつけた本人は、寺坂。

 

「ちげーよ。やったのは俺だ。迷惑なんだよ。」

 

寺坂のおかげで今日はずっと授業に集中できた。

その間自立思考固定砲台の画面はずっとくらいままだった。

そして、放課後。みんなが帰った教室に俺は残っていた。

自立思考固定砲台に向かって、

 

「おい!いるよな?」

 

と言うと画面がついて自立思考固定砲台が写った。

 

「なんでしょうか?」

 

「お前さ、なんでみんなが怒ってるか、縛られたか、わかるか?」

 

少し考え、「わかりません」と、

ならしかたない。

 

「それはな、お前がお前の事しか考えてないからだよ。みんなは授業の時間を奪われ、弾の片付け、あげくにそれが卒業まで続くときた。みんなにメリットがないんだよ。」  

 

と言うと、また少し考え、

 

「なるほど。理由には納得しました。」

 

ん?なんだ、物分りがいいな……。

 

「ですが方法がわかりません。」

 

う〜ん…。その機能は開発者が入れなかったってことか。

 

「ではそこからは先生達に任せてもらいましょうか。」

 

と言って入ってきたのは殺せんせーとクリムだった。

 

「彼女の事は任せたまえ。私達がなんとかしよう。」

 

「はい。危害を加えてはいけないとは言われましたが、性能アップしてはいけないとは聞いていませんからねぇ。」

 

とクリムに続いて殺せんせーが言ったので、任せて帰えることにした。

教室を出た瞬間。

 

「……殺せんせー……このスイーツ店ラインキングのメモリは本当に必要なのかね?」

 

大丈夫かな……?

 

--次の日--

 

「今日はどうなるのかな…」

 

杉野が不安そうにつぶやくので、

 

「今日は多分大丈夫だよ。」

 

「なんでわかるんだ?」

 

「まぁ、いろいろね」

 

適当にはぐらかして教室に入った。

 

「おはようございます!坂上さん!杉野さん!」

 

固定砲台は窓型の液晶パネルではなく、直方体全体に姿が映る。そこには全身が表面に映し出され、可愛い姿が映る。今までとは違い笑顔で、そして明るい声で話掛けてきた。

 

「「え、えええぇぇぇぇぇぇっ!?」」

 

俺と杉野は口を上げて驚く。

すると殺せんせーが後ろに立って、

 

「親近感を出すための全身表示液晶とタッチパネル、体・制服のモデリングソフト。全て自作で8万円!」

 

「今日は素晴らしい天気ですね!こんな日を皆さんと過ごせて嬉しいです!」

 

「豊かな表情と明るい会話術。それらを操る膨大なソフトと追加メモリ。同じく12万円!」

 

これは……やりすぎだろ!?!?

 

「みなさん…本当にすみませんでした……。これからはみなさんと協力する暗殺をお約束します。」

 

自立思考固定砲台はみんなにしっかりと頭を下げて謝り、これからは協力すると言った。

 

「ちなみに……先生の財布の残高………5円!」

 

うん、それはどうでもいい。

クリムが帰ってきてから疲れてたのはこのせいか?

 

「ってかタッチパネルって言ったけど……」

 

俺はそうつぶやいて自立思考固定砲台の頬の部分に触れてみる。

すると、

 

「あっ……んっ」

 

ちょ!?なんて声を……!

すると同時に殺気を感じた。

矢田……?めっちゃ睨まれて……

いや!?こっちも……有希子……!?

怖い………

 

「へっ、何騙されてんだよ。結局そのタコが改造したんだろ?どーせまた考えず連射するんだろ、このポンコツは。」

 

声の主は寺坂。

その、言葉に自立思考固定砲台は、

 

「ポンコツ……。そう言われても仕方ありません……。昨日までの私はそのような行動をしてましたから……。」

 

そういって「ううう……」と、泣き出した。

それにみんなが

 

「あーあー寺坂君が泣かしたー!」

 

「寺坂君が二次元の女の子泣かした」

 

「なんか誤解される言い方やめろ!」

 

寺坂が盛大に突っ込んだところで

 

「いいじゃないか、Dを、一つ所から女は始まる。」

 

「いいのか竹林!それ初ゼリフだぞ!!」

 

そんな感じにワチャワチャやって、

自立思考固定砲台は長いので、今後律と呼ぶことになった。

 

その時カルマが言った、

「これを、製作者が、どう思うかわからないよ」という言葉が気になって今日は夜まで張り込んでいる。

どーせ、気づいたらすぐやってくるだろ。

 

その夜、案の定製作者はやってきた。

 

「こんにちはマスター!」

 

「なんだこれは!どう考えても暗殺に不要な部分が入っている!すぐに取り除くぞ!」

 

と、また改造されそうなのでここで割って入る。

 

「待てよ、悪いがあんたらはこのまま帰れ。」

 

「誰だい?君は」

 

「ただのクラスメイトだよ。」

 

そっからはもう水掛け論。話が収まらない。すると、製作者は頭を切らし、手段に出た。

なんと三人いたその三人共がロイミュードに変わったのだ。

 

なんとか表に出した俺は変身する。

 

〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

「追跡!撲滅!いずれも〜マッハ!仮面ライダーマッハー!!」

 

今回は最後まで言えた!

 

三体同時にかかってきた。こちらも、ゼンリンシューターを構えて、接近する。

ロイミュードの攻撃をゼンリンシューターで弾きつつ蹴りや斬撃を入れる。

更に俺はボタンを、四回押してシフトアップする。

 

〚ズッート、マッハ!〛

 

これで俺はロイミュードに出せないマッハのスピードで動ける。

高速移動しながら攻撃を、着実に、

 

「はっ!ほっ!よっ!」

 

ゼンリンシューターで切るたび敵は転がる。

 

「くそっ、たかが中学生に……」

 

〚シグナルバイク!シグナル交換!キケーン!〛

 

「これ。超危険だから」

 

そういってゼンリンシューターで撃つ。そこから…マリオのキラーを連想させるモンスターがあらわれ、ロイミュードを襲う。

モンスターがロイミュードを一箇所に集めたところで、

 

〚必殺!フルスロットル!キケーン!〛

 

「だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

必殺キックを注ぎ込むとロイミュードは三体共爆発した。

 

「ぐわぁぁぁぁ!」

 

「いい絵だったでしょ?」

 

 

教室に帰ると律とクリムがいた。

 

「あぁ、拓実、どうやら律の管理者権限がなくなったらしいが、律が拓実に管理者になってほしいと」

 

「は?俺?ほんとに?」

 

「はい!ぜひ坂上さんに……拓実さんに!」

 

「まぁ、いいけども」

 

結局、律の管理者になった俺は、いつもと変わらず過ごすことになる。




ヒロインはまだ考え中です。
個人的に好きなのは矢田、神崎、律なのでこの中からとは思っています。


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ビッチの時間

 

「…わかった?このドラマのサマンサとキャリーのエロトークの中には難しい単語は少ないわ。」

 

うん、わかりやすい。確かに日常会話の英語術ならこれはいいんだけど、

題材が……中学生には……ハードルが……。

 

「どんな国でも日常会話なんてそんなもんよ。周りに一人や二人はいるでしょう?『マジすげぇ』とか『マジやべぇ』とかで会話を成立させちゃう奴。」

 

とビッチ先生が言うとすぐに前原が、

 

「あー、確かにいるわ~そういう奴。」

 

確かに小学校高学年あたりからそんなやついた気がする。

まぁ、中学生一年から二年は覚えてないが。

 

「でしょ?そしてその『マジ』にあたるのがご存知『Really』。木村、言ってみなさい。」

 

いきなり名指しで呼ばれてビクッとする木村。

 

「…リ、リアリー」 

 

「はいダメー。LとRがごちゃごちゃよ、LとRの発音の区別ぐらいはつくようになっときなさい。外人の私としては通じはするけど違和感があるわ。」

 

「え?ビッチ先生外人だったの?」

 

俺が転校してきた時はすでにいたのでしらなかった。

 

「そーよ。あぁ、そうだったわね。あんたは途中から来たのだったわね。」

 

「それにしてもビッチ先生、外人なのに日本語上手くね?」

 

するとビッチ先生が「何言ってるの?こいつ。」と言いたげな目で見ながら、

 

「当たり前でしょ。私はね、日本人にとってのLとRみたいに相性が悪いものは逃げずに克服する。そういうスタンスでやってんのよ。だからこれから先、発音には常にチェックしてるわ。…LとRを間違えたら、公開ディープキスの刑よ。」

 

「え、マジかよなにそれマジやべぇ。」

 

「あ〜こんなことにも会話を成立させたやつがいる〜。」

 

俺の発言に中村が笑う。

 

「じゃ、拓実。Reality。言ってみなさい。」

 

「………ゴホン。Bitch。」

 

「むきっー!!なによそれ!!なんか発音良いしなんなのよー!!」

 

ビッチ先生がカンカンになったところでチャイムが鳴った。

 

「……じゃ、今日の授業はここまで。

……拓実、あんたいつか公開ディープキスの刑よ。」

 

「やだよ。」

 

「「「「「「ありがとうございました」」」」」

 

授業が終わってチラホラ帰り出した頃、俺は数学のノートを出しに行った。

すると職員室から、

 

「あーーーーーーもうっ!!ほんっとにめんどくさいわ授業なんて!」

 

ビッチ先生の雄叫び……声が聞こえてきた。

 

「…その割には生徒達からは好評だぞ」

 

「……なんの自慢にもなりやしない。殺し屋よ!私は!あのタコを殺す為にここに来てんの」

 

まー、殺し屋としてここに来てるからな。

 

「その肝心のタコはと言えば、私のおっぱいを景色に見立てて優雅にお茶まで飲んでいるわ!!」

 

「…焦るな。そういうやつだコイツは」

 

「そうですよイリーナ先生、もっとお茶を飲ませてくださいよ~」

 

「お前は黙ってろ…!」

 

「…fuck!やってられないわ!!」

 

そういってビッチ先生がズカズカと出ていった。

 

「…気が立ってますねぇ。イリーナ先生」

 

「全て誰かのせいだがな」

 

「では私は上海に杏仁豆腐を食べに行ってきます。」

 

そして殺せんせーが窓から出ていった。

 

「いいんですか?国家機密を外に出して。」

 

「坂上君か……。もうやつを止めれる気がしない。」

 

「あはは……」

 

と、話してると廊下の方から

 

ダンッ!

 

ともの音が、とっさに鳥間先生が出ていった。俺もあとについてって影からこっそりと見ていた。

見たところ、ビッチ先生の首にワイヤーが巻かれていて、そのそばに男の人が、

 

「子供相手に楽しく授業、生徒達と親しげな帰りの挨拶…まるで、コメディアンのコントを見ているようだ。」

 

「……師匠《せんせい》…!?」

 

とそこでたまらず鳥間先生が止めに入った。

 

「何している。降ろせ。女に仕掛ける技では無いだろう。」

 

「心配無い。ワイヤーに対する防御くらいは教えてある。」

 

ってかあいつが、喋ってるのは何語?

 

「…何者だ?せめて英語だと助かるのだが。」

 

「これは失礼、日本語でも構わない。別に怪しい者ではない…イリーナ・イェラビッチをココに斡旋した者、と言えばわかるか?」

 

「……!殺し屋ロヴロ!!」

 

………!誰!!

 

「…ここには何の用だ」

 

「…殺せんせーは今どこに」

 

「上海まで杏仁豆腐を食べに行ってる。30分前に出たからもうじき帰ってくるだろう。」

 

「フ…聞いた通りの怪物ぶりだ…来てよかったよイリーナ、答えが出た。今日限りで撤収しろ。お前はこの仕事に向いてない。」

 

…………確かにビッチ先生は色じかけの暗殺においては引けを取らない……いや、誰にも劣らないだろう。だが色じかけの最大の弱点は、【一度見バレしたらつかえない。】

 

「…?ずいぶん簡単に決めるな。彼女を斡旋したのはお前じゃないのか。」

 

「現場を見たら状況が変わった。最早コイツはこの仕事に適任ではない。素性を隠した潜入暗殺ならコイツの才能は比類ない。だが素性が周りに知れれば、コイツは一山レベルの殺し屋だ、そのあげく見苦しく居座って先生のマネゴトか…反吐が出る。こんなことをさせる為にお前をココに寄越した訳ではない。」

 

「…そんな!必ず殺れます師匠!!私の力で…!」

 

「ほう…ならば…」

 

そう言うと、ロヴロは素早くビッチ先生の後ろに周り、一瞬のうちに腕の関節を決め、右手の親指を彼女の喉元に押し当てる。

 

「お前はこんなことができるか?」

 

「…速い!」

 

あれが……プロの殺し屋!!

 

「お前には他に適した仕事がたくさんあり、この仕事に執着するのは金と時間と労力の無駄だ。この仕事にはお前じゃない適任者がいる。」

 

「…どういうことだ。」

 

「二人の転入生暗殺者のうちのあと一人が実戦テストで驚異的な数値を叩き出し、投入準備を終えたそうだ。」

 

あと一人ってことは、一人目は律か……。あの無茶苦茶を、考えるともう一人も無茶苦茶か……?

 

「…………」

 

「…暗殺の善し悪しは誰にでもある。さっきお前は発音について教えていたが、お前にとっては教室《ここ》こそがLとRではないか?」

 

「………っ!」

 

ビッチ先生が言葉をつまらせた時、

 

「半分正解で半分不正解ですねぇ」

 

殺せんせーだ

 

「…何しに来たウルトラクイズ」

 

「ひどいですねぇ…私には殺せんせーという生徒につけて貰った名前があるのに…いい加減呼んでくださいよ。」

 

思ったより早かったな。

 

「貴様が殺せんせーか。」

 

「はい。確かに彼女は暗殺者としては恐るるに足りません。クソです。」

 

「誰がクソだ!!」

  

見バレしてるからね。

 

「ですが、彼女という暗殺者こそがこの教室には適任です。殺し合ってみればわかりますよ。彼女とあなた、どちらが優れた殺し屋か…。」

 

「ルールは簡単。イリーナ先生とロヴロさんのうち、先に烏間先生を殺した方が勝ち。イリーナ先生が勝ったらこの教室に残る事を了承して下さい。」

 

「おい待て!なんで俺が殺されなきゃいけないんだ!!」

 

「烏間先生なら公正なターゲットになれるからです。第一、私じゃだ~れも殺せないでしょう?」

 

シマシマ顔……なめてやがる。

 

「武器に使用するのは人に無害なこの対せんせーナイフ!期限は明日1日!どちらかが先にこのナイフを烏間先生に当ててください。」

 

そう言い、二人に対せんせーナイフを渡した。

 

「互いの暗殺の妨害行為は禁止、また生徒達の授業の邪魔になっても失格です。」

 

「…なるほど、要は模擬暗殺か。いいだろう。余興としては面白そうだ。」

 

笑ってる……。プロの殺し屋が笑ってるよ……。

 

「…チッ、勝手にしろ!」

 

「フフフ…殺せんせー、なかなか出来るなあの男」

 

「それはもう、何せ私の監視役に就くくらいですから」

 

やっぱ見ただけでわかるよな…。

プロってのはほんとにすごい。

 

「…アイツにナイフを当てる事などお前にはできない。イリーナ、お前に暗殺の全てを教えたのはこの俺だ。お前が可能な事不可能な事くらい全て知っている。この暗殺ごっこでお前にそれを思い知らせ、大人しくこの仕事から降りてもらう。そして、誰も殺れない殺せんせーよ、お前を殺すに適した刺客、もう一度選び直して送り直してやるわ。」

 

そう言うと、ロヴロは歩いて姿の消した。

 

「………私を庇ったつもり…?どうせ、師匠が選ぶ新しい弟子より私の方があしらいやすいからでしょう?」

 

「ええ。そうです」

 

「そうはいくもんですか!カラスマもアンタも必ず私が殺してやるわ!」

 

「ヌルフフフフ…楽しみですねぇ…」

 

そして次の日の体育……なんだけど……

 

 

(…狙ってる…!)

 

(狙ってるぞ…!)

 

(((((なんか狙ってるぞ…!!)))))

 

鳥間先生の授業中、烏間先生を狙う怪しい影が二つ……ビッチ先生とロヴロである。

 

「と、言うことだ。迷惑な話だが君達の邪魔はしない。普段通り過ごしてくれ」

 

(…烏間先生も大変だな…)

 

いや、ほんとお疲れ様です。

 

「今日の授業はこれで終了だ」

 

「気を付け、礼」

 

「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

 

すると、すぐに

 

「カラスマ先生~」

 

「あ、ビッチ先生だ」

 

「あ、ホントだ」 

 

俺の言葉に矢田が反応する。

 

「ノド乾いたでしょう?はい!冷たい飲み物!」

 

矢田が小声で、

 

「ねぇ、拓実、どう思う?」

 

と聞いてくるので、

 

「絶対何か入ってる。」

 

と、苦笑いで答える。……ん?

 

「なんで名前呼び?」

 

「ん〜?いいじゃん!私も桃花でいいから!」 

 

ま、いっか。

 

「…恐らく筋弛緩剤だろう。動けなくしてナイフを当てる」

 

そう言われギクッとなるビッチ先生。

 

「言っておくが、そもそも受け取る間合いまで近づかないぞ」

 

「そ、そう。わかったわ。じゃ…ココに置いておくから…」

 

すると、置いたビッチ先生がわざと、そう、誰でもわかるくらいわざと……転んだ。

 

「いったーーーい!カラスマ-、おぶって-!おんぶーー!!」

 

「…やってられるか」  

 

鳥間先生は呆れて校舎に戻っていった。

 

「ビッチ先生…さすがに俺らまで騙されねーよ。」

 

前原がビッチ先生を立たせながらそういった。

 

「仕方が無いでしょ!?顔見知りに色仕掛けなんて不自然の塊でしょう!?」

 

「まぁな」

 

「キャバ嬢だって客が父親だったら気まずくなるでしょう!?それと一緒よ!!」

 

「「「「「「知らねーよ!!」」」」」」

 

「そうなの?桃花?」

 

「私そんなのしてないから!?」

 

矢田が涙目で抗議してくる。

その涙目で訴えてくる姿に不覚にもドキッときました。

 

 

その後俺は昨日出し損ねたノートを持って職員室にいた。

 

「はい、確かに。」

 

「じゃ、俺は……」

 

と言いかけた瞬間、

 

ガラッ!!

 

「!!」

 

うそっ!?正面から!?

 

鳥間先生がとっさに立ち上がろうとが、詰まった。

椅子を引きにくいように細工がされていた。

ロヴロは烏間先生に向かいナイフを振るう。

 

が、

 

烏間先生は即座にロヴロの腕を掴み、机に叩きつけた。刹那、ロヴロの目の前には烏間先生の膝が止められていた

 

は、速ぇぇぇ!

 

「…熟練とは言え年老いて引退した殺し屋が、先日まで精鋭部隊にいた人間をずいぶん簡単に殺せると思ったもんだな」

 

すると鳥間先生が殺せんせーを睨んで、

 

「わかってるだろうな…もし今日中に殺れなかったら…」

 

「「ひ、ひぃぃぃ!!」」

 

「…なんでアンタがビビってんのよ…」

 

「が、頑張って!イリーナ先生!!」

 

殺せんせー何言ったんだよ……。

 

「楽しみだな」

 

どしよ……関係ない俺まで冷や汗が……。

と、ロヴロが、

 

「…フッ相手の戦力を見誤った上にこの体らく…歳はとりたくないもんだな。」

 

「!師匠…!腕を!」

 

ロヴロの手首は赤く腫れあがっている

 

「これでは…今日中にはあの男は殺れないな。」

 

「にゅやッ!?そんな!!あきらめないでロヴロさん!まだチャンスはありますよ!!」

 

「いや、ほんと何言ったんだよ。」

 

「…そうよタコ。チアリーダーの格好して…」

 

俺らの質問に汗を流して黙る殺せんせー。しかしロヴロが、

 

「…例えば殺せんせー、これだけ密着されても俺はお前を殺せない。それは経験から分かる。戦力差を見極め、引く時は素直に引くのも優れた殺し屋の条件…イリーナにしても同じ事、殺る前に分かる。あの男を殺すのは不可能だ。…どうやらこの勝負、引き分けだな。」

 

ロヴロが諦めたように言う

 

「…そうですか。あなたが諦めたのはわかりました。ですが、あれこれ予想する前にイリーナ先生を最後まで見てあげてください。」

 

「…!」

 

「経験があろうが無かろうが、結局は殺せた方が勝ち…すなわち優れた殺し屋…なんですから」

 

「フン…好きにするがいい」

 

そう言い残し、ロヴロは職員室から出ていく。

残った俺たちは、

 

「…アンタは本気で思っている訳?私がカラスマにナイフを当てる事が出来るってり」

 

「もちろんです。あなたが師匠のもとで何を教わったのかは知りませんが、教室《ここ》で何を頑張って来たかは私はよく知ってます。ねぇ、拓実君?」

 

「そー。タコ用に出したくないのはわかる。実際、一度使った手はもう使えない。でも今は!出し惜しみする時じゃないよ。残りたいんでしょ?ビッチ先生。」

 

ビッチ先生は黙ってはいたが、何かを、決心したような顔だった。

 

ここで終わっとけばいいのに……

 

「…そういえば、昨日通販で発注してたこのブラ、頑張ってますねぇ。」

 

そう言い、殺せんせーは派手なブラジャーに大きく〇をつけてあるカタログを出す。

 

「あーーーッ!!このエロダコッ!!」

 

ほんっとにこいつは!

 

-昼休み-

 

「ちょっといいかしらカラスマ」

 

「なんだ?模擬暗殺ならもう手加減はしないぞ」

 

「ナイフを持ってますね」

 

生徒達と少し離れた所で俺と殺せんせーとロヴロは見ていた。

 

「正面から行く気か…?バカ者が。そもそもアイツには高度な戦闘技術は教えてない。素人相手なら正面からでも殺せるが、あの男に通用しないのは承知のはず。だから結局は…」

 

「ねーぇ、いいでしょカラスマ?♡」

 

ロヴロが言う間にも、ビッチ先生は服を脱いで烏間先生を誘惑する。

 

「…色仕掛けに頼る他ない。フン…これではさっきと同じただの道化だ」

 

「私はどうしてもココに残りたいの。わかるでしょ?ちょ~っと当たってくれればいい話よ…見返りはイイコト。あなたが今まで受けた事ない極上のサービスよ」

 

と言われた

鳥間先生は呆れたように、

 

「いいだろう、殺れ。どこにでも当てればいい」

 

「…ふふ、嬉しいわ」

 

といった。完全に油断してる。今なら殺れるかも。

 

「…ロヴロさん、昨日のイリーナ先生の授業を聞いていましたね?」

 

不意に殺せんせーがロヴロに訊く。

 

「…あぁ。とても滑稽だったが、それが何か。」

 

「苦手な発音から克服して行くのが彼女の流儀。実際、彼女の日本語もかなり流暢です。」

 

「…………」

 

「外国語を覚えるのは挑戦と克服の繰り返し…10ヶ国語を操る彼女のたくさんの挑戦と克服をして物にしたでしょう。そして彼女はココで教師という未経験の仕事ですら臆せず挑んで克服しました。そんな挑戦と克服のエキスパートが…ココに来てから何もしてないとお思いですか?」

 

えぇ!?十カ国!?

 

「拓実君、あれを。」

 

と言われて、俺は一つのバッグを手渡した。

 

「…?……………!!これは!」

 

それを、見たロヴロは完全に驚愕の顔を、あらわにした。

 

「…じゃ、そっち行くわね…」

 

ビッチ先生はそう言い烏間先生にゆっくり近づいていく。

 

そして、ついに出した。

ワイヤートラップ。

ワイヤーを服で隠し、色じかけと思わせて一気に吊り上げる。

油断してた烏間先生も反応できず、ビッチ先生が烏間先生の上に乗った。

 

「…彼女はターゲットの私を殺す為に必要な技術を自分なりに考え、外国語と同じように挑戦と克服を繰り返しているのです。元殺し屋であるあなたならこのバックを見るだけで彼女の見えない努力が見えるでしょう?」

 

そう殺せんせーが問いかけた。

 

しかし、

 

ぶんっ!

 

ばしぃ!

 

「…く…危なかった…」

 

ビッチ先生が振り下ろしたナイフを烏間先生はギリギリで止める。

力勝負ではビッチ先生に勝ち目はない……。

それがわかっているのか、

 

「…カラスマ、殺りたいの。ダメ?♡」

 

「殺させろとすがりつく殺し屋がどこにいる!諦めが悪い!!」

 

そりゃねぇぜ……。

 

だが、

 

「…もういい。諦めが悪い奴に今日一日付き合えるか!」

 

溜息をつき、諦めた烏間先生が手を放す。

 

「苦手な物でも一途に挑んで克服して行く彼女の姿。それを見て生徒達が挑戦することを学べば一人一人の暗殺者としてのレベルアップにつながります。だから、私を殺すならば彼女のこの教室にふさわしいのです」

 

殺せんせーはそういった。それを、聞いたロヴロはビッチ先生のもとへ行く。

 

俺は力が、ロイミュードと戦う力があると少し天狗になってたかもしれない。

たとえマッハの力があったとして、鳥間先生やロヴロ、プロの殺し屋と対峙した時、そのスキルに負けるビジョンだって見える。

こんなんじゃ駄目だ。戦う力があるないなんて、関係ない。この教室にいる以上個人それぞれの刃を磨かないといけない。

 

「…………」

 

「…!師匠…」

 

「…出来の悪い弟子だ。先生でもやってた方がまだマシだ。必ず殺れよイリーナ」

 

「……!!はい!もちろんです師匠!」

 

そう言い残してロヴロは去っていった。

 

「やった…やったわ!ホホホホ!!」

 

「なんつー笑い方してんだよビッチ先生」

 

「でもさすがだねービッチ先生ー、烏間先生に勝つんだもん」

 

ビッチ先生とクラスメイトは笑いあっている。

あと気にするべきは……二人目の転校生……か……。

 




今回は戦闘はせず決意を固める回にしました。

夏休みの島と死神戦。あとオリ回をどんなのにするかはだいたい決まっています。


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転校生の時間 2

律が正式にE組に入り、クラスメイトとビッチの絆も深くなった今日この頃。

梅雨に入って雨が増え、雨が増えるのと同時に殺せんせーの顔の面積が増え……いや、湿気て。

色々あった暗殺教室だが、俺はそろそろまた何かありそうな気がしていた。

ロヴロが言っていた、律ともう一人の暗殺転校生。おそらくそろそろだろう。

俺はそんなことを思いつつ通学していた。そんな時、

 

「拓実さん!鳥間先生からメールです!」

 

「ん、あぁ、ありがと………ってえ!?」

 

「どうしました?拓実さん!」

 

俺は周りを見るが、あの黒い機械……すなわち律はいない。が、確かに聞こえた。律の声が。

 

「拓実さーん?どうしましたー?」 

 

………。まかさ……。

俺は恐る恐る自分の携帯を見た。

 

「………律。なんで俺の携帯にいるの?」

 

「クラスのみなさんともっとコミュニケーションを図るため、殺せんせーが用意してくださったアプリケーションを皆さんの携帯にインストールしました!」

 

「ほぅ、そんなこともできるのかね?殺せんせーは」

 

カバンの中にいたクリムが驚きの声を出した。

確かに、殺せんせーはどっからそんな情報を?ほんとに超生物なのか?

その割にはやたらと物知りで詳しすぎる……。

 

「……拓実さん?どうかしました?」

 

「いや、なんでもないよ。それより鳥間先生はなんて?」

 

「本日二人目の暗殺転校生が来ると!」

 

うわぁ、なんていいタイミング!まるで漫画見たーい!

とにかく警戒するか……。

 

「すまない律。その転校生について何か知ってるかい?」

 

クリムも気になったのか律に聞く。

 

「……はい。本来、二人同時に転校する予定でしたが二つの理由で中止されました。」

 

「二つの理由?」

 

「はい、一つ目はもう一人の転校生の調整に時間がかかったこと。

二つ目は………私が劣っていたからです。」

 

律が劣ってる?グレードアップ前の律だぞ?

その律が劣ってるって…。

 

「律は劣ってなんかないよ。」

 

心なしか悲しそうな顔をしていた律が少しだけ笑顔に戻ったので安堵して校舎に向かった。

 

--教室--

 

殺せんせーを交えて転校生の話になってる頃。律がさっき俺にした話をして、少しビビってる。いや、結構ビビってる。

それから少しして、扉がいきなり開いた。

 

ガラッ!

 

入ってきたのは白い修道服のような服にマスク……目すら見えない程のマスクをかぶって、俺らより体がでかい人……。

中学生?

その人は手を出して……何をする気だ……

 

バタバタバタ!!

 

鳩ぉ〜〜〜!!??

 

クラス全員がびっくりした。

教室で鳩放つなよ!びびるわ!

すると白いやつは愉快に「ははは」と笑うと、

 

「驚かせてすまないね。転校生は私じゃないよ。

私は保護者、まあ白いし無難に『シロ』と呼んでくれ」

 

なんなんだこいつは……。どうやら今日は様子を見ていくようだ……。

 

「あれ?殺せんせーは?」

 

前原の言葉にみんなが探すが……、

 

「殺せんせーなら上だよ……」

 

クリムの言葉に……

 

「ビビりすぎだよ、殺せんせー!」

 

「なんだあれ?」

 

「奥の手の1つで液状化」

 

奥の手まで使って……

 

「にゅ……さっき律さんがおっかない話をするので……」

 

その様子にシロは満足そうに、

 

「皆良い子そうだ。これなら、あの子も馴染みそうだな。ん?君は拓実君かい?」

 

その言葉にクラス全員が俺を見た。

だか、俺もこんな人知らん。

 

「あなた誰ですか?」

 

「ん?君のお父さんと少し知り合いでね……おっと、睨まない睨まない。」

 

シロはごまかしながら

 

「席はあそこですか殺せんせー?」

 

「え、ええ、そうですが」

 

「ちょっと性格とか特殊なんで私が紹介します。イトナ!入っておいで!」

 

特殊?それってどういう……

 

ドガァァァァ!

 

その特殊な転校生は壁からあらわれた。

 

「「「なんで壁から!?」」」

 

全員が突っ込んだ。それに、答えることなく、

 

「俺は勝った。この教室の壁より強いことが証明された……それだけでいい……」

 

壁……壁?

 

「堀部イトナだ、仲良くしてやってくれ」

 

満足そうに教室の前に行こうとするイトナにカルマが話しかける。

 

「なんで手ぶらなのに土砂降りの雨の中全く濡れてないの?」

 

するとイトナはカルマの頭を掴んで、

 

「前はクラスでも強い……けど俺はお前より強いから殺さない……安心しろ」

 

そして、俺の方を見て、

 

「お前は不思議な力を使うが俺のほうが強い。」

 

「………。」

 

「俺が殺したいのは俺より強いかもしれないヤツだけだ。ここでは殺せんせー、あんただけだ」

 

そういって殺せんせーの前まで出た。

 

「それはケンカの事ですかイトナ君?力比べでは先生とは次元が違いますからねぇ」

 

「違わないさ……俺達血を分けた兄弟なんだから」

 

ん?兄弟……?

 

「「「兄弟!!!???」」」

 

「兄さん、放課後この教室で勝負だ。俺の強さを証明する」

  

殺せんせーは言葉がでない。

 

「殺せんせー兄弟いたの?」

 

「そんなことありません!親に弟か妹がほしいといったら気まずくなったの覚えてます!」

 

桃花の問に答えるが、嘘だろそれ。

地球破壊超生物がそんなにいたら迷惑極まりない。

だが、イトナと殺せんせーの共通点は多かった。例えば、

 

「すごい勢いで甘いもの食ってんな…」

 

「殺せんせーと似てるかもね」

 

甘いものを、たくさん食べる。

 

「兄弟疑惑で比較されるとなんだかムズムズしますねぇ。気分直しに買ったグラビアでも見ますか」

 

流石にこれは……

 

「なんでイトナまでグラビア持ってきてんだよ……」

 

「これは俄然信憑性が増してきたな……」

 

グラビア……いや、巨乳好き。

 

「岡島君……?」

 

「巨乳好きは皆兄弟だ!」

 

その後女子たちのボコボコにされたのは別の話。

そして放課後になった。

教室には机をまるでボクシングのリングの用に並べ、中に殺せんせーとイトナがいる。

 

「まるで試合だな」

 

隣にいた前原がそう言葉をこぼした。

 

「ただの暗殺だと面白くないので1つルールを作りましょう。ルールの内容はただ1つリングの外に足がつけばその場で死刑だ」

 

「それ負けてもルール守るヤツなんているのか?」

 

シロの提案。疑問の前原に、カルマが答えた。

 

「いや……皆の前で決めたルールを破ると先生として信用が落ちるから意外と効くよ。これ……」

 

「それでは、暗殺……開始!」

 

ザシュ!!

 

クラス全員驚いた。なにがといえば、殺せんせーの触手が一本切れた。

だか、そのことに関してではない。切ったもの。

 

「なるほど…濡れないわけだ。文字通り雨粒一つ一つはじいていたのだからね」

 

「あぁ…。でも驚いた……。まさか…触手持ちだったとは。」

 

クリムの言葉に俺は付け加えた。

その次の瞬間。恐ろしい殺気で包まえた。

 

「あっ……」

 

「この感じ……」

 

桃花と有希子が涙目で反応した。

どうやら覚えがあるらしい。

 

「どこでそれを手に入れた‼その触手を‼」

 

ど怒りの殺せんせー……真っ黒だ。

その様子に全く焦らない、シロ。

 

「言う義理はないね。けど確かに君と彼は兄弟だろ」

 

「……どうやら詳しく聞かないといけないようですねぇ」

 

「君はここで死ぬから無理だね」

 

売り言葉に、買い言葉。殺せんせーが

動こうとした時、動けなかった。

 

ザシュ!

 

また一本持ってかれた。

殺せんせーの動きを止めたのは光だった。

 

「至近距離でこの光線を浴びると君は一瞬硬直する。触手同士の戦闘でこれがどれほどの隙か君には分かるだろう?」

 

その隙を逃すまいとイトナはラッシュをかける。

 

ドガガガガガガ!

 

「殺せんせー!!」

 

「いや、上だ!」

 

寺坂が指差して言った。

 

「脱皮か……それにも弱点があるのは知っているかい?」

 

「もう奥の手を使わせた……」

 

「これは……戦闘能力が違いすぎる。」

 

クリムが焦りの声を上げた。

 

「再生や脱皮には結構なエネルギーを消費するんだ。私の計算では君は今イトナとほぼ互角だね。加えて触手は精神に左右される。動揺から立て直っていない君を見て、今どちらが優勢化は一目瞭然だろうねー」

 

こいつは……知ってる。殺せんせーに対する戦い方を……。

 

それと同時、クラスには一つの意見が言葉にせずともまとまりつつあった。

このまま、イトナに殺らせたくない。

自分たちで殺せんせーを殺したい。と

 

それは俺も同じだ。 

 

俺はポケットから対殺せんせーナイフを取り出して、床に落とした。そのまま足で踏んで、リングの中に滑らした。

 

「さぁ、イトナ。トドメを指しなさい。」

 

「シロさん、あなたは一つ計算外をしている。」

 

「してないね、私の計算は完璧だ。」

 

イトナは遠慮なく触手を出して、接近した。

 

バシュ!!

 

その音は殺せんせーではなく、イトナから。

殺せんせーもその隙を逃さない。

脱皮した皮で素早くつつんで外に掘り投げた。

 

「どうやら落とし物を踏んだようですね。脱皮の皮で包んだので怪我はないでしょうが足はリングの外。よって死刑。二度と先生を殺せませんね?」

 

シマシマの顔で言うが……。よく言うよ、死にかけだったくせに。

 

「負けた………?俺が………?」

 

イトナの触手は真っ黒。ど怒りだ。

 

「まずいな……」 

 

が、そのイトナに針が刺さって倒れた。

イトナを抱えたシロは、

 

「これでは勝負にならないな。それにあの子もまだ登校できる精神状態じゃなかったみたいだ。しばらく休学させてもらいますね」

 

「待ちなさい、あの生徒は放っておけません。それにあなたにも山ほど聞きたいことがある」

 

「いやだね。止めるなら力ずくで止めてみなよ」

 

そういった瞬間、土の中からロイミュードが……いや。ロイミュードではない怪物………。

 

「じゃ、任せたよ。………そうだ拓実君。君はどこまで覚えている?」

 

「なんの話しだ。」

 

「クリム…君もなかなかひどいねぇ」

 

そういってシロは山を降りていった。

シロの言葉が気になったが、

 

「拓実!」

 

「わかってる!」

 

クリムに返事しつつバックルを巻きつけた。

 

「変身!」

 

〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

「おらぁぁ!」

 

まず、パンチを放った。怪物の体に当たったのだが、動かない。

 

「は?」

 

続けて殴って、蹴って、

だが動かない。

 

「こんなもんか」

 

奴は俺の拳を掴んで、反対の手で反撃のパンチを二発。

 

「ぐわっ!のわぁ!」

 

殴られるたび火花が散る。

蹴られた俺は地面に倒れた。

 

「くそっ、」

 

少し距離を取り、

 

〚ズッート、マッハ!〛

 

〚ゼンリン!〛

 

足に力を込め弾丸のごとく奴の背後を取ると、俺はゼンリンシューターを思いっきり肩に叩きつけた。

 

ガキッ

 

が、起きたのはゼンリンシューターを持つ俺の手に反発の力がかかって、ゼンリンシューターを思わず離してしまったことだった。 

 

すかさず奴は連続で殴ってくる。

 

「うっ。がはっ、」

 

一撃一撃が重い、痛い……。

俺にくるダメージは絶大だった。

 

「はぁ!」

 

「ぐわぁぁあ!」

 

最後の一撃。俺はぶっ飛ばされた。

強制変身解除ダメージまでは行かないが、俺は地面から立てなくなった。

 

「がはぁぁ……」

 

「拓実君!」

 

「待ちたまえ、いってはいかん!」

 

飛び出しそうな桃花や有希子を殺せんせーやクリムが止める。

 

俺がやられるわけにはいかない。

だからこそ、強さがほしい。

 

俺はクリムにもらったサイドカーを握った。

バイク部分を車に入れて、ベルトにセットした。

 

〚シグナルバイク!シフトカー!ライダー!デッートヒート!〛

 

マッハの姿は胸部や、顔の一部が赤に変わり、

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

体の節々から無駄な空気が抜けるように、例えるなら列車の出発のとき車輪から出る煙のように、

身体のうちから溢れ出す力に確かな実感を覚え、

 

「はぁぁ!」

 

今までに達したことのないスピードに乗って、渾身のパンチを叩きつけた。

 

「ぐっ、」

 

奴が初めてひるんだ。

 

「行ける!」

 

さらにスピードを上げて連続で叩きつける。

 

「はっ!おりゃ!」

 

「ぐぉ!うぅ!」

 

足に力を入れて飛んで、その勢いを利用してパンチをいれた。

 

「はぁぁぁ!」

 

「うぐぅぅぅ!」

 

桃花sid

 

今までと道がけるスピードとパワーを出すマッハに口を開けて見ることにしかできなかった。

 

「クリム先生!あれは……」

 

クリム先生に聞くと、満足そうに

 

「あれはマッハのパワーアップ用の

デットヒートだ。見ての通りスピードとパワーが上がる。うまく使いこなせてて驚いた。だが……使いすぎると、暴走する。」

 

暴走!?

 

と驚いてる時に、

 

〚必殺!フルスロットル!デッートヒート!〛

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

今までにないぐらいパワーのオーラを放ったマッハが敵に必殺キックを放った。

 

ドカァァァン!

 

大爆発が起きて、その炎と煙がなくなると少し悔しそにマッハが立っていた。

 

「ちっ、逃げられた。」

 

と、その時、マッハの肩に付いていたタイヤ、今はメーターのようなものがある。それが………振り切った。

 

「え?ちょ、え?うわ、うわぁぁぁぁ!!」

 

マッハが暴れだした。

 

「いかーん!早く変身を解きたまえ!!」

 

「んなこといわれてもー!!」  

 

え、ちょ、どうするの?

私は周りを見渡すと、ゼンリンシューターが落ちていた。ゼンリンシューターとマッハが暴れたときに落ちた止まれを持って、速水さんのところに行った。

 

「はやみん、お願い!」

 

「え、え?私?」

 

「なるほど、考えたね。」

 

「速水さん、頼めますか?」

 

「はぁ…」

 

クリム先生や殺せんせーに言われてしぶしぶ止まれをゼンリンシューターに入れた。

 

〚必殺!フルスロットル!トマーレ!〛

 

構えたはやみんは暴れるマッハを正確に撃ち抜いた。

 

〚トマーレ!〛

 

「ぐわぁぁ!……速水…ナイスショット……」

 

〚オツカーレ!〛  

 

そういって変身解除したマッハはその場で倒れた。

 

「「「拓実(坂上)ーーー!!!」」」

 

拓実sid

 

目を開けるとそこは、保健室だった。

 

「目が覚めたか?」

 

横に鳥間先生がいた。

 

「今何時ですか?」  

 

「君が倒れて一時間といったところだ。」

 

ってことはみんなは帰ったかな……

と思っていたが、外が騒がしかった。

それに気づいた鳥間先生が少し笑って

 

「フッ、実はな…」

 

------------------------------

 

「あの……もっと教えてくれませんか、暗殺技術を」

 

「……?今以上にか?」

 

磯貝君を筆頭にクラスの殆どが職員室にやってきた。

 

「今までは、結局だれかが殺すだろーなって思ってたけど、」

 

「今日、イトナを見て思ったんだ。

『誰でもない俺達E組で殺りたいって』」

 

「だから限られた時間で殺れる限りしたいんです」

 

「僕たちの担任を殺して自分達の手で答えを見つけたいんです。烏間先生」

 

そういう生徒達の目はやる気に満ちていた。

 

--------------------------------------

 

「へぇ、そんなことが。」  

 

「あぁ、生徒がそう言ってきた以上、俺がやらないわけにはいかないからな。」

 

俺はずっと気になっていたことを聞くことにした。

 

「鳥間先生、防衛省はなにをしてるんですか?」

 

「急にどうした?」

 

少し真面目な顔で聞いてきた。

 

「言葉通りです。防衛省は俺ら中学生に暗殺依頼を出した。そうすることによって殺せんせーをその場にとどめて置けると。」

 

「そのとおりだ。」

 

「ですか、本当に期待してるんですか?防衛省が選んだ殺し屋は全く歯が立たず、今だ殺せんせーを追い込めていない。イトナが初めてだ。そんな防衛省は俺ら中学生に期待してるはずがない。防衛省ななにをしているんですか?」

 

そう聞くと鳥間先生はすまなさそうに

 

「申し訳ない。俺はあくまで現場管理で、細かいことは聞かされていないんだ。」

 

「そうですか……」

 

俺はそのまま帰宅するために校舎を出た。



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球技大会の時間

「…………」

 

「…………」

 

今、俺は自宅でクリムと向き合っている。

というのも俺がクリムに問い詰めているのだ。

 

「今日シロが行っていた、記憶の事。どこまで知ってる?」

 

まだ黙るか。

 

「俺は小学五年から中学二年の5月ぐらいまでの記憶がない。クリムは事故にあったって言ってるけどあれ、違うよね?」

 

「……すまない。まだ話すことはできない。」

 

「理由は?」

 

「システム的ブロックだ。君が忘れている記憶の事を話そうとすると声が出なくなるプログラムが組み込まれている。」

 

やっぱだめか……。

だが今ので俺の失ってる記憶がただもんじゃないことだけはわかる。

おそらくシロとは長い付き合いになりそうだからな。あいつなら……。

 

「そんなことより、そろそろ行かないと遅刻だぞ。」

 

「あぁ…。」

 

少し重い足取りで校舎へと向かった。

教室に入ると、教室は球技大会の事で持ち切りだった。

 

「球技大会ですか〜。いいですねぇ……なのですが、なぜE組がトーナメントにないのでしょう?」

 

「俺らはここでもE組扱いだよ。クラス数が奇数って素敵な理由でね。」

 

「そのかわり、E組は最後にエキシビジョン戦に出ないといけない。」

 

「エキシビジョン?」

 

今年から担任になった殺せんせーや転校生の俺はよくわならないので説明を聞く。

聞くと、男子は野球部と。女子はバスケ部と。ボコボコにされるのを見て最下位の組も気持ちよくなれるってことらしい。

 

「はぁ、いつものやつですか。」

 

いつものやつだねぇ。

 

「勝てそうなの?」

 

俺が聞くと、杉野が

 

「無理だよ。うちの野球部、かなり強いんだ。あいつらは三年やってきてるけど、こっちは素人、部活も禁止されてる。」

 

なるほど、不利に不利ってわけか。

だが杉野は「でも」と置いて、

 

「勝ちたいんだ。E組のみんなで!」

 

「わかりました〜!ではみんなで特訓です!!」

 

殺せんせーが野球のユニフォームを着て叫んだ。

 

「殺せんせーは出れないよ?」

 

「わかっています。実は先生、昔から熱血コーチにあこがれているんです。」

 

「よーし!思いっきり盛り下げてやろー!」

 

というわけで殺監督との特訓が始まった。

 

「けっ!さらし者なんでゴメンだな!お前らだけでやってくれ!」

 

……寺坂組以外は。

 

--試合当日--

 

「両チーム整列!」

 

「杉野、選ばれた人間とそうでないやつの違いを見せてやるよ」

 

あれが昨日言ってた進藤か。

 

「あれ?殺せんせーは?」

 

「今日の指揮とるんじゃなかったの?」 

 

菅谷の質問に渚が答えた。

 

「あそこ、遠近法でボールにまぎれてる。」

 

すると、殺せんせーの顔が三回変わった。

 

「なんて?」

 

「殺す気で勝てってさ」

 

その言葉に全員ニヤリと笑った。

 

「確かに、俺らにはもっとでかいターゲットがいるからな。」

 

「負けてらんねぇ。」

 

「ヌルフフフ……さぁ、味合わさせて殺りましょう。殺意と触手に彩られた暗殺野球を!」

 

「プレイボール!」

 

審判の声が響き、試合開始。

E組は先行だ。

 

「一番、バッター、木村君」

 

進藤の一球目。 

 

ズドン!!

 

「ストライク!」

 

「やっぱ速ぇ〜」

 

「140キロ出てんだと」

 

本校舎の連中も驚き、歓声を上げる。

 

「いやぁ〜すげぇアウェイ感。」

 

チラリと殺せんせーを見ると、木村に指示を出した。

 

進藤の二球目……!

 

コン!

 

「なっ……」

 

木村は足を活かしてセーフティバント。

これには進藤も驚きだな。

だがこの程度で驚かれるのは心外だなぁ。まだまだ始まったばっかだってのに。

 

「二番、バッター、潮田君」

 

コン!

 

サード線へプッシュバンド。

 

「よっしゃー!ナイス渚ー!」

 

殺せんせー曰く、強豪校とも言えど中学生。バンド処理はプロ並みとは言えないらしい。

 

「三番、バッター、磯貝君」

 

とはいえ、素人がバントを思い思いに決めるのは、普通なら無理だ。そう、普通なら。

 

「へへっ、こちとらあの怪物相手に練習してたんだぜ?」

 

--------------------------------------

 

「殺監督は300キロの球を投げる!」

 

「殺守備は分身で鉄壁の壁を作る!」

 

「殺キャッキャーは囁き戦術で集中わ乱す!」

 

「この間矢田さんの胸に目が言って神崎さんに睨まれていましたねぇ…」

 

「てめぇ!なんで……!読者の皆様にもいってねぇのに……」

 

「メタ発言だ!!」  

 

渚よ……仕方ないんだ……。

みんなの体力がなくなった頃、対戦相手

こ研究を始めた。

 

「この3日間、竹林君に偵察を頼みました。」

 

「面倒でした。」

 

そういいつつ持っていたノートパソコンを開いた。

 

「進藤の球はMAX140.5キロ……球種はストレートとカーブのみ。練習試合も、9割がストレートでした。」

 

「あの速球なら、中学生相手ならストレート一本で勝てちゃうのよ。」

 

竹林の説明に杉野が付け足す。

 

「そう!逆にストレートを見極めれば、こっちのものです。今度は先生が進藤君と同じフォームと球種で、進藤君と同じようにとびきり遅く投げましょう。」

 

みんなほえ?っといった表情をしている。

 

「さっきの先生の球を見た後なら、彼の球など止まって見える。」

 

--------------------------------------

 

コン!

 

「おっと!またバント!」

 

ライン上にぴたりと止まってオールセーフ!

 

「よっしゃー!!ナイス磯貝!」

 

「四番、バッター、杉野君」

 

ここでようやく進藤が気づいた。

今これは野球ではないことに。

殺せんせーの指示をみた杉野はニッと笑って、

バントの構え。

 

「進藤君投げたー!」

 

バントと見せかけた杉野は構えをとき、ヒッティングに変えた。

 

カキィィン!

 

「う、打ったー!右中抜けたー!走者一掃……!これで…3対0〜…調子でも悪いんでしょうか……!」

 

「殺ったぜ杉野ー!」

 

こっちはお祭ムード。

だがそんなムードを壊すように一人の男が選手を集めた。

 

「理事長……!」

 

「もうボスが出てきた…!」

 

理事長がお話を、終えると。さっきまでの野球部の姿ではない…。

もう殺る気がちがう。

おまけに外野を捨てて全身守備。

 

「ありゃ、バントしかないって見抜かれたな。」

 

と、そこに

 

「男子〜どう〜?調子は」

 

「今は勝ってる。が、もうそー簡単にはいかないかな。」

 

女子全員が試合を終えて様子を見にきた。女子は惜しくも負けたようだ。

 

「げっ、理事長じゃん。」

 

ズドォォォォォォン!!

 

「す、すごい進藤君!完全復帰!」

 

5.6.7番が三者三振に抑えられた。

あ、俺5番ね?普通に速かったから。

 

「よっしゃ!この三点守りきろう!」

 

「「「おう!」」」

 

マウンドには杉野。俺はライトだ。

 

「頼むぞ杉野。飛んできたら取れねぇよ」

 

「あはは、わかってらい」

 

一番が殺る気で構えた。

 

「プレイ!」

 

「杉野君なげたー」

 

おい実況、真面目にやれい

が、そんな実況気にせず変化球を使って三者三振に抑えた。

 

「すげえな、杉野。」

 

「殺せんせーに手首の使い方教えてもらったんだ。」

 

ほんとなんでもするな、あの先生は。

二回表。カルマからだが。

 

「ね〜ずるくない?理事長先生。こんな邪魔な位置で守ってんのにさ、審判の先生もなにも注意しないの?お前らもそう思わないの?あ、そっか!お前ら馬鹿だから守備位置とか理解してないんだね。」

 

そこまで煽ると、

 

「小さいことで、がたがた言うな!」

 

「エキシビジョンで守備にクレームつけてんじゃねぇ!」

 

荒れてる荒れてる。

結局。二回表無得点でチェンジ。

 

「うぉぉぉ!」 

 

「打ったー!」

 

センターのフェンスに当たった打球、クッションボールは取れない。守備にそこまで練習を避けなかった。

野球部はこれでは終わらない。続けてタイムリーを打ち、この回同点まで追いつかれた。

三回表、渚、磯貝が三振するも杉野がヒットで一塁へ。

あいつら、杉野のときだけ定位置に戻りよる。

 

「拓実君、がんばって?」

 

「がんばれ〜!」

 

まぁ、なんですか?有希子と桃花に応援されちゃ、殺るしかないですよね?

杉野すんごい睨んでるけど。

ちらっと殺せんせーの方を見るとサインで

「本気でやりなさい。」

……はい。

 

ズドォォォォォォン!

 

「ストライク!」

 

守備は相変わらず前進守備。

 

ズドォォォォォォン!

 

「ストライク!ツー!」

 

球は全部ストレート。

杉野はリード取ってるし、進藤もランナーに興味を持っていない。

いいあたりでなくていい。

杉野が帰ってこれるだけの距離を。

 

「進藤君投げたー!!」

 

俺は思いっきり振り抜いた。

 

ググキィィィン!

 

E組が、野球部が、観客が、ボールを追った。

ぐっーと伸びてくボール。

そのまま

 

「入った……入ってしまったー!坂上君ホームラン……!」

 

「す、すごい!!すごいよ拓実君!」

 

「ほんとに……かっこいい……!」

 

理事長……。抑えることに専念しすぎましたね。俺は戦闘時マッハで動くからスピードには困っていない。問題は距離。俺が使っているのは金属バットで当たったらある程度は飛ぶ。ピッチャーの球が早ければ早いほど、反発はでかくなる。だから長打力がなくても筋力あって当たればなんとからかる……。

俺らのような素人には、スローボールのほうが抑えられたかもな。

 

「ナイスバッティン!!坂上!」

 

「うそ……だろ…?」

 

ショックの受けた進藤はさらに……凄まじい……。

二点を追加で三回裏。

これを抑えたら勝てる。

が、理事長もそう簡単にはいかない。

俺らが最初にやったバント攻撃で攻める。ノーアウト満塁。

バッターは……進藤……。

 

「やべぇな……」

 

だが、焦っていたのは俺たち生徒だけだった。

この時点で、殺せんせーは勝ちを確信していた。

 

カルマと磯貝司令をだし、全身守備をさせる。これは先にそっちがやったと挑発をかけ、さらに接近。ゼロ距離だ。

 

カルマが進藤に何か言ってるが……まぁ、おおかた殺す気で打ってみろとからそんなんだろう。

進藤は理事長の洗脳についていけず腰砕けの内野ゴロ。カルマがホームになげ、サード、進藤が走れていないファーストになげ、トリプルプレーで試合終了。

 

E組勝利ナリ!!

 

その後、杉野が進藤と会話をして握手を交わした。和解できたようで良かったよ。

 




最後駆け足になってしまいました。すみません。


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打ち上げの時間

 

「球技大会、お疲れ〜〜!!」

 

「「「乾杯!!」」」

 

俺の家がかつてないほど賑わっていた。

というのもクラスの寺坂組以外全員集まっているからだ。

 

「はいは〜い、たくさん食べてね〜」

 

「ふむ。たまにはこういうのもいいねぇ。」

 

お姉ちゃんもクリムも、ノリノリですね。

まぁ、別に楽しくないわけでもないいし、全然良いんだけど。

なぜこうなったのかというと、球技大会が終わり、男子が勝って本校舎を盛り下げたということでお祭状態になった。そのお祭状態で校舎を出るとこのまま打ち上げに行こうといった話になり、偶然そこに姉ちゃんが通りかかり、イベント好きのお姉ちゃんは家でやればいいといいだした。

殺せんせーや鳥間先生、ビッチ先生も一応呼んだのだが、あいにく鳥間先生は防衛省へ。

ビッチ先生は…………あれ?ビッチ先生への連絡誰がした?誰がビッチ先生にも連絡して!!

殺せんせーはなにか作ってるらしい。ほんと何作っいるんだろ?

 

 

「にしても広いな。坂上の家は。」

 

千葉が羨ましそうに言ってきた。

 

「そうか?広すぎてもあんまいいことないぞ?」

 

「でも大は小をかねるっていうだろ?」

 

岡島が言うとなんかだめなんだよな〜

言い方というか雰囲気とか。

するとカルマが横に来て、

 

「ねぇねぇ、拓実の部屋どこ?」

 

「カルマ……お前のやることは大体わかるが期待してるようなものはないぞ?」

 

「一応だよ、一応。」

 

駄目だ。触覚と尻尾が見える。

結局、特にやばいものもないので教えると、カルマと中村は俺の部屋に行った。

すると、カルマがいなくなったことで空いたスペースに桃花が座った。

 

「ありがとね、場所。貸してくれて。」

 

「別に?断る理由もないし。」 

 

桃花は「そっか」といって微笑んだ。

 

「にしても最後のホームランはすごかったよ!すっごい飛んだもん。」

 

「はは……実は杉野が帰って来れるぐらいって思ったんだけどね、自分でも以外だったわ……。」

 

俺は苦笑しながら答えた。

すると、俺の部屋に行っていたカルマの中村が戻ってきた。

……色々持って。

これはなんだこれはなんだと次々に聞いてくるが、やばいものではないので答える。

だが…

 

「じゃあこれは?ちょっと焦げてる免許証。拓実のじゃないよね?」

 

中村が免許証を出して聞くと、クリムも姉ちゃんも顔を曇らせた。多分…俺も。

 

「それは…俺の友達の免許証だよ。」

 

普通に答えられたと思う、多分。

 

「ふ〜ん、この人今は?」 

 

「……亡くなったよ。」

 

俺の家にいた全員が固まった。

 

「えっと……ごめん。」

 

「別に…。タイミングがなかったから今までに行ってなかっただけだし。」

 

しんみりした空気に、倉橋が、

 

「じ、じゃあたっくんの卒業アル…」

 

「拓実!ちょっといい?」

 

倉橋の発言を姉ちゃんが遮った。

倉橋の言いかけたことが少し気になったがが

 

「あぁ、」

 

返事をして姉ちゃんについて廊下に出た。

 

 

 

桃花sid

 

卒業アルバム。陽菜乃がそう言おうとしたらお姉さんが遮った。

二人がそのまま廊下に出ると、クリム先生が深刻そうに話はじめた。

 

「みんなすまない…。そういう話はやめてやってくれ。」

 

「なんか理由でもあんの?」

 

カルマがクリム先生に聞いた。

 

「うむ……拓実は、小学五年から中学二年のはじめの頃までの記憶を失っている。」

 

えっ……?

 

「そして卒業アルバムも持っていない。本人も気にしているところがある。だから……」

 

クリム先生がそう言おうとした時、

 

「大丈夫だよ、クリム。」

 

拓実が戻ってきていた。

 

「姉ちゃんもクリムも深刻に考えすぎ。確かに気になるし、なにがあったか知りたいけど、そんな深刻に考えなくていい。」

 

「この間シロが言ってたのはこういうことか……」

 

前原がそう呟く。

確かにシロがクリム先生と拓実に何か言っていた。

 

「ねぇ……なんでロイミュードと戦うの?」

 

私は思い切って聞いた。

すると拓実は苦笑しながら、

 

「えっとな、目が覚めると姉ちゃんと、クリムがいていきなり戦え〜って。そんときクリムの知らなかったしなんじゃこりゃ!?ってなったけどね。」

 

「あの時はほんとにすまない。焦っていたんだ。」

 

多分それが記憶を失った直後なんだろうな……。

そう考えてると拓実が、「でも」と付け足して、

 

「今はそうじゃない。守りたいものもあるし、これは…俺の罪滅ぼしでもある。」

 

「罪滅ぼし?」

 

渚がみんなの代わりに聞いた。

 

「ロイミュードは……俺の父さんが生み出したものなんだ。」

 

えっ?

言葉が出なかった。

これは神崎さんに聞いたんだけど、修学旅行の時、親のことを聞いたら表情が暗くなったらしい。

 

「俺は父さんが作ったものでみんなが危ないんだとしたら、止めないといけない。なぜかそいつらはE組ばかり狙う。」

 

と、そこに

 

「私達のお父さんは研究者だったの。

そこでの研究が、ロイミュードを生み出した。」

 

「姉ちゃんは最後まで信じてた。あれは父さんが産んだものじゃない。仮にそうだとしても、なんとかするはずだと。でもあいつは、『家族は研究材料としか思っていない』と言い切った挙句、母さんまでロイミュードに変え、『母さんの研究材料としての役目は終わった』と吐き捨てやがった。あいは裏切ったんだ。信じた姉ちゃんを……これは姉ちゃんに対する侮辱だ。 」

 

拓実の言葉にあのカルマでさえも気まずそうな顔をしてる。

 

「俺と……さっきの免許証に写ってるやつ、チェイスは父さんと戦った。でも、あいつは強くて、手も足もでなかった。………俺が、俺がヘマをして殺されそうになった時に、チェイスが俺をかばった。そして、父さんと爆発した。」

 

「ば、爆発?」

 

どういうこと?なんで爆発なんて……

 

「チェイスもまた、父さんが作ったロイミュードだったんだよ。元々は人間だったんだけど。父さんが母さんみたいにロイミュードに変えた。そして、俺を庇ったときに受けたダメージがでかくて、体は限界。チェイスは父さんにひっついて、爆発した。それで終わったと思ったが、ロイミュードは耐えなかった。だから俺はロイミュードを全部倒す。撲滅する。父さんの代わりに罪滅ぼしをする。

それが今戦う理由だよ。」

 

そう言い終えた拓実に私たちは何も言うことができなかった。

時間的にも遅くなり、解散の流れになった時、拓実が、

 

「友達は大事にしろよ?俺はずっとチェイスを受け入れられなかった。ロイミュードが人間と、共存できるわけないって。チェイスが俺と友達になろうとしてたのに俺は最後まで拒絶してたんだ。そして失っている初めて気づいた。そして後悔した。あんなことになるなら言っておけばよかった。もう友達だってな。お前らは……後悔するなよ。」

 

拓実の過去が知れた。それはいいはずなのに、みんな、心に言葉にできないモヤモヤを抱えて帰宅することになった。

 

 

拓実sid

 

「……よかったのかい?すべて話して。」

 

「あぁ、別に隠してたわけじゃない。」

 

クリムと俺は自室に戻っていた。

 

「まだクリムの過去は知らないけどな。」

 

「すまない……」

 

「いや、別にいいんだ。いつか……知れたらいいなとは思うけどね。」

 

俺はチェイスの免許証も元の位置に飾った。

 

あぁ……打ち上げなのに……なんか悪いことしたな……。

打ち下がったみたいになってる……。

でも、俺が伝えたかったことは言えた。

ホントは寺坂達もみんなと仲良くしてほしいんだよな。

みんな苦手だって言う人もいるかもしれない。でも、死んでほしいって思ってる人はいないはずだ。

寺坂たちにも寺坂の考えがあって、距離が出来たんだろうけどみんな拒絶だけはしないでほしいな……。




今回は短めです。

個人的には島の話が好きなので早くそれを書きたい……。

あと、イケメグの話は飛ばします!すみません!


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鷹岡の時間

野球部との試合。球技大会が終わり、今知っているすべてを告白したあの日から少したち、七月になっていた。

しばらくは少し思い雰囲気になっていたが、俺が全く気にしてない態度にみんなが少しずつもとの雰囲気に戻っていた。

今グランドでは体育の授業……もとい訓練が行われていた。

俺は順番待ち。

今は磯貝と前原が鳥間先生と殺りあっている。

訓練が始まって四か月、磯貝と前原は元々運動神経が良かった。それに加えて仲のいい二人だ。コンビネーションが光ってる。二人でなら鳥間先生に当てられる回数も増えてきた。

 

次はカルマ。もうのらりくらりとしているが、隙あればって感じだ。鳥間先生に恥をかかせるために常に何かをたくらんだ眼をしている。が、鳥間先生はそんなの関係ない。

 

女子でいえば、元体操部で意表をついた動きのできる岡野。

それに男子並みのリーチや運動量を誇る片岡。このあたりがアタッカーとしては非常に優秀だ。

 

ほかの生徒達も飛び抜けて優秀なものはいないが、全体的な技術は格段に向上しているな

 

「よしでは次!」

 

渚と杉野が二人で殺りに行く。

杉野が鳥間先生を引きつけて渚が殺るのか……っ!?

なにかを感じた。少し弱いが、殺せんせーがマジギレした殺気に似てる……?

 

鳥間先生は珍しく焦ったのか渚を割りと本気で背負い投げした。

 

「うわっ!!」

 

そして、鳥間先生はハッとして、

 

「すまん、強く防ぎ過ぎた、けがはないか?」

 

「あ、はい。大丈夫です。」

 

そして杉野が手を出しながら、

 

「ばっかでー、ちゃんと見てないからだ」

 

「うぅ…」

 

渚が大丈夫そうでよかった。

でもさっきのは……

 

と考えていると、

♪キーンコーンカーンコーン♪

チャイムがなった。

 

「よし、今日の授業はここまで」

 

全員整列して、

 

「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

 

そして、バラバラに校舎へと帰る。

そこで倉橋が、

 

「烏間先生、放課後みんなでお茶しようよ」

 

「ああ、誘いは嬉しいんだが、この後防衛省からの連絡待ちでな、また頼む」

 

「烏間先生は私生活でも隙なさそうだよな」

 

確かに、あまり鳥間先生はそっけないというかなんというか……。

でも生徒の事を大事に考えてるのはわかる。こないだのイトナ事件のあとだって、「訓練したい」とみんなが言ったということを俺に話す時、笑っていた。

とても優しそうに。

 

「うん。なんか完璧って感じだな」

 

「そういうよりは、烏間先生私たちとの間に距離を保っているというな感じがするんだけど」

 

「厳しいけど優しくて、私たちのこと大切にしてくれてるけど、それってやっぱり、任務だからなのかな?」

 

みんなはまだ鳥間先生が笑ってるところを見たことがないのかもな……。

 

と、瞬間殺せんせーが現れて、

 

「大丈夫ですよ皆さん、確かにあの人はせんせーの暗殺のために送り込まれた工作員ですが、彼にも素晴らしい教師の血が流れていますよ」

 

殺せんせーの言葉にみんなが笑って、

 

「そうだよね!」

 

と、ほんわかした空気になったとき、グランドに降りてくる見たことのない人……

 

「よっ、三年E組のみんな!俺の名前は鷹岡 明。今日から烏間の補佐としてここで体育教師をすることとなった。よろしくな」

 

その手にはダンボールがあり、その中から有名なスイーツ店のお菓子がたくさん出てきた。

 

「さあ、みんな食ってくれ、俺の財布を食うつもりでな」

 

全員が「おぉっ!」と目を輝かせ、お菓子に取り掛かる。

 

………特に茅野が。

ほんと甘いもの好きだな。

 

「俺は烏間とは空挺時代の同期なんだ。」

 

「それにしてはずいぶん違いますね」

 

「なんか近所の父ちゃんみたいですよ」

 

「そうか?いいじゃねーか、父ちゃんで、同じ教室にいるなら俺らはみんな家族みたいなもんだろ」

 

…………父ちゃんねぇ……

あー駄目だ。気分が悪くなってくる。

 

「ねぇ、坂上君はケーキ食べないの?」

 

茅野がこれでもかっ!ってぐらいのお菓子をか抱えて聞いてきた。

どんだけ食うんだよ。

 

「ん、あぁ、今日はいらないや。……でもこれだけもらってく。」 

 

茅野が抱えてた羊羹を一つもらって一人校舎に入る。

やっぱ羊羹はとら○だよな。

 

俺はそのままクリーム……違う。ケーキ見すぎた。クリムのもとへ。

 

「なぁ、さっきの訓練。見てた?」

 

「あぁ……見ていた。」

 

かなり神妙な顔だ。多分考えてることは一緒だな。

 

「さっきの渚、どう思う?」

 

「私はこういうことには詳しくはない。だが、そんな私でもわかったのは、普通の人にしては殺気が出ていた、ということだ。」

 

「だよなぁ。」

 

さらにクリムは

 

「いくら暗殺のための訓練をしていたとしても、あんな殺気を出せるようになるのは、あまり考えにくい。」

 

だとすれば、訓練はトリガーに過ぎず元から渚には……殺気を出す才能…すなわち暗殺の才能が……

いや、考え過ぎか。普通の中学生がそんな……。

と考えながら今日は帰宅した。

 

 

 

そして次の日。

 

 「よーし、みんな集まってるな、では今日から新しい体育を始めよう、ちょっと厳しくなると思うが終わったらまた、うまいもん食わしてやるからな」

 

体育は鷹岡先生に変わった。

にしてもこいつすげぇ、腹出てる。

ん?寺坂組はいつものことだがカルマがいねぇ……。

あっ、いた。校舎の屋根で寝てやがる。

 

「そんなこと言って自分が食べたいだけでしょ」

 

「まーな、おかげさまでこの横幅だ」

 

「自覚あったのかよ……。」

 

俺がそう言うとこっちを見て笑顔で、

 

「おぉ、やっと喋ってくれたか。昨日はなにも言わずいなくなったから嫌われたのかと思ったぞ!」

 

「……え?あ、あはは」

 

俺はその笑顔みて、言葉にできない胸騒ぎがした。

 

「どしたの?」 

 

桃花が心配そうにこっちを見た。

 

「…ん、なんでもない。けど一応俺の前に出ないで。」

 

桃花は頭にハテナマークを浮かべるが、鷹岡先生の言葉で前に向き直した。

 

「教師の変更に伴って、今日から新しい時間割になった。みんな目を通してくれ」

 

配られた紙を見て、驚愕した。

 

「おい、なんだよこれ」

 

「十時間目?」

 

「当然さ、理事長も地球を救うためだったら仕方ないっていってくれたし、これをお前らがこなせれば暗殺の成功率は格段に向上する、では早速…」

 

訓練に移ろうとした鷹岡先生に前原が意義を申し立てた。

 

「ちょっと、待ってくれよ」

 

「ん?」

 

「無理だぜこんなの!勉強の時間これだけじゃあ成績落ちるよ、遊ぶ時間もねーしできるわけねーよこんなの」

 

すると、鷹岡先生は……いや、鷹岡はニヤッと笑って、前原のみぞおちに膝蹴りを入れた。

 

「うげぇ!!……がはっ……」

 

「出来ないじゃない、やるんだよ」

 

「言ったろ、俺達は家族で、俺は父親だ。世の中に父親の命令を聞かない家族がどこにいる?」

 

この……クソ野郎……!

 

「抜けたい奴は抜けてもいいぞ?その時は俺の権限を使って生徒を補充する。」

 

「もうすでに何人かいないけどな。」

 

俺の言葉に鷹岡はわざとらしく悲しそうにして、

 

「あぁ、その通りだ。でもな、俺はそんなことしたくはないんだ、お前らは俺の大事な家族なんだから、一人でも減るのは悲しい、な?お前は父ちゃんについてきてくれるよな?」

 

鷹岡は有希子と三村に肩を組んで言った。

神崎は「はい……あの……」と言って立ち上がった。

頼む……今はなにも言うな有希子…!

だが、そんな願いは打ち破られ有希子は少し震えた声で、しかしはっきりと、

 

「……………私は嫌です。烏間先生の授業を希望します」

 

なんでそこで勇気だしちゃうのあの子は!!

俺はとっさに動き出した。

 

鷹岡は容赦なく有希子に殴り掛かる。

 

ガシッ!!!

 

「てめぇ……そろそろいい加減にしろよ…」

 

ギリギリのところで鷹岡の拳をつかむ。

 

「そ~言えばお前はライダーシステム使う奴だったな。」

 

俺の手を振り払って、拳を回しながら言う。

 

「文句があるなら拳で語ろうぜ、父ちゃんそっちの方が得意だぞ」

 

「あぁ……俺も得意だぞ」

 

そういってバックルを取り出そうとした瞬間、鳥間先生が間に入った。

 

「やめろ二人共!……前原君。大丈夫か。」  

 

「へーきっす。」  

 

「神崎さんは?」

 

「大丈夫です。……拓実君。ありがとう!」

 

「え?あ、あぁ。」

 

その後鳥間先生や激おこの殺せんせーが注意を入れるが無駄だったようで、

 

「さあまずは、スクワット三百回だ。それでは始め!」 

 

その声で恐怖を植え付けられた生徒は始めるしかなかった。

 

「こ、これは、つらい…」

 

「じょ……冗談じゃ…ね………ねーぞ」

 

「ス、スクワット三百回って……」

 

流石に音をを上げ始めるクラスメイト。

特に倉橋は目に涙をためる。

 

「か、烏間先生ぃ……」

 

倉橋の言葉を聞いた鷹岡はニヤリと笑い倉橋の目の前に立った。

 

「おい、」

 

「えっ…」

 

「烏間は俺達家族の一員じゃねーぞ、いけない子だなぁ。父ちゃんだけを頼ろうとしない子は」

 

そう言って鷹岡は倉橋に殴りかかる。

倉橋はとっさに目を閉じていたが、再び動き出していた俺は止めることに成功した。そして突き放して、

 

「もー我慢できねぇ……」

 

〚シグナルバイク!〛

 

変身と言おうとした時、クリムに止められた。

 

「いかーん!人間相手に使っては!」

 

その声で俺はカバーを入れることはできなかった。

再び鳥間先生は鷹岡にいうか鷹岡は、

 

「ならここはひとつ勝負しないか鳥間。教育の勝負だ。お前らも俺を認めたくはないんだろう?烏間、この中から一押しの生徒を一人選べ、そいつが一度でもナイフを俺に当てられたら、お前の教育は正しかったということにし、ここを出て行ってやろう。」

 

その言葉にみんなはおおっとなるが、

 

「ただし、使うのは本物のナイフだ。今回の暗殺のターゲットはあいつじゃない。俺なんだ。使うナイフも本物じゃなくちゃな。」

 

「やめろ、鷹岡。彼らは人を殺す訓練も覚悟もしていない」

 

「おいおい、つまらないこと言うなよ。寸止めでもあたったことにしてやるよ。」 

 

鷹岡はニヤニヤしながら、殺る気の目で言う。さらに、

 

「あぁ、お前は無しだ。そこのベルトが止めると思うがライダーシステムを使われちゃ面倒だからな!」

 

「ちっ!」 

 

実はめちゃくちゃ使おうとしていた俺でした。

烏間先生は悩みながらも決心しナイフをとる。

 

「坂上君。俺はここに来て迷ってばかりだ。」

 

鳥間先生は俺にしか聞こえないように言ってきた。初めてだ、自信が溢れてそうなあの先生が初めて口にした悩み。

多分、選ぼうとしている人はいる。

ナイフを渡すか渡さないかで迷っているのだろう。

 

「俺は……」

 

「鳥間先生は自分を信じていいと思います。自分が思う、その直感を。」

 

そして少し考えた烏間先生はそのナイフを渚に渡した。

 

「渚君。やってくれるか」

 

みんなは「えっ、」と言いたげだ。

 

「俺はキミ達とは、地球を救うために依頼した側として対等なプロであると考えている。プロとして、キミ達には必要最低限の中学校生活を保障する事だと思っている、だから、このナイフを無理に受け取らなくてもいい。その時は俺が鷹岡に頼んで最低限の報酬を維持してもらえるようにする。」

 

いろいろ考え、渚の出した結論は、

 

「やります。烏間先生。」

 

渚を見た鷹岡は烏間に言う。

 

「烏間、お前の目も曇ったな。よりにもよってそんなやつを選ぶなんて、まあいい。」

 

鷹岡は上着を脱ぎ棄てて、構えた。

すると、ポケットに入れていた携帯が震えた。

出すと、そこには律がいた。

 

「律?どしたの?」

 

横からひょこっと茅野も除く。

 

「これを見てください!」

 

映し出された写真には、拷問されたあとのような傷だらけの人数人と、笑顔でピースしてる鷹岡が写っていた。

これを見た茅野は、少し涙目で渚をみる。

そして、俺に訴える。

 

「は、早くやめさせてよ!渚が……渚が……!」

 

というが、俺は

 

「大丈夫だから、最後まで見てろって」

 

と言って茅野の落ち着かせた。

少し怒った顔で渚の方を……んっ?

気のせいか……?今首になにか見えたような……。何もない……?

まぁ、いいか、と渚を見る。

しばらく考えていた顔をしていた渚は急に顔をあげ、鷹岡のもとに歩いて行く、通学路を歩くように、警戒心など全く感じさせない顔だった。

鷹岡も特に警戒心することなく、更に言えば、ナイフを、持っても動じない渚に少し驚いて、それを見ている。

そして渚のは鷹岡に当たった。

すると次の瞬間、殺意をあらわにした渚のナイフが鷹岡の顔を斬りかかる。鷹岡避けなければ当たっていた。しかし完全に予想外。とっさに避けた鷹岡の体はバランスを失っている。

渚はすかさず後ろに回り込み鷹岡ののど元にナイフを当てた。

 

「捕まえた。」

 

「怖っ……」

 

率直な感想を言う同時に、俺とクリム、そして鳥間先生は確信した。

渚には暗殺の才能がある。

 

「あれ?ひょっとして、ミネ打ちじゃだめなんでしたっけ?」

 

普段の渚に戻った渚はそう言うが、殺せんせーが渚の持っていたナイフをバリバリだべながら、勝負ありだと告げた。

しかし鷹岡は未練がましく、

 

「このガキ、父親同然の俺に刃向かってまぐれの勝ちがそんなに嬉しいか。もう一回だ!今度は絶対に油断しねぇ!」

 

興奮する鷹岡に、渚が冷静に、

 

「………確かに次やったら僕が絶対に負けます。でも僕らの「教官」は烏間先生です。これは絶対に譲れません。本気で僕等を強くしようとしてくれたことは感謝しています。でも、ごめんなさい。出て行ってください。」

 

その言葉に、鷹岡は激怒。

襲いかかろうとしたが、烏間先生の肘が鷹岡さんの顔面に直撃した。

 

「俺の身内が迷惑をかけてすまなかった。後のことは心配するな。俺一人で君達の教官を勤められるように上に交渉する!」

 

「くっ、そんなことさせるか!俺が先に・・・「交渉の必要はありません」」

 

そこにはここのボス……失礼。理事長がいた。

理事長は、

 

「鷹岡先生、あなたの授業はつまらなかった。教育に恐怖は必要ですが、暴力でしか恐怖を与えられないのは三流以下がやることです。」

 

理事長は紙に何かを書いてそれを鷹岡の口に突っ込んだ。

 

「解雇通知です。この学校は全て私の支配下だということをお忘れなく」

 

丁寧にハンカチで手を吹き、鷹岡のカバンに捨てた。

 

「くそくそ」という鷹岡は最後、「くそっー」っと言う言葉を残して、走り去った。

……理事長のハンカチ落として。

 

理事長ー!鷹岡ー!ハンカチ忘れてますよー!

……これどうすんだ?

 

一方E組はお祭り騒ぎ。

そして、そのお祭り騒ぎのまま中村が、

 

「ところで烏間先生、生徒の努力で体育教師に返り咲けたし臨時報酬あっても良いんじゃない?」

 

「鷹岡先生ってそういうのだけは充実してたよね」

 

すると、鳥間先生はフッと笑って、

 

「俺は甘い物など知らん、食いたい物があればサイフは出すから街で言え」

 

そしてお祭り騒ぎのまま、殺せんせーを置いてお祭が始まった。

 

………最初からいなかった寺坂組はいない。これはわかるが、なんでカルマはいるんだ。体育いなかっただろう。



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プールの時間

 

あち〜〜〜………。

最初の頃は自然豊かで快適だ〜とか思ってたけど……。

エアコンないんなよなぁ……。

鷹岡が去って数日が経過。

気温は一気に上がり、いよいよ夏本番を向かえていた。

 

「夏は暑いなぁ……大阪の人はこう言うそうです。」

 

大阪……というか若干京都っぽい発音で殺せんせーがいう。

 

「いいよなぁ、クリムは暑さなんか感じてなさそう。」

 

「バカを言ってはいかん。これでも暑さは感じているんだ。」

 

どういう構造だよそれ……。

俺は実は、学校に来るまでにロイミュードど戦っている。

それが……また厄介で、飛んでいたのだ。

『まがれ』のシグナルバイクを使いながらやっと倒せたのだが、ちょっと派手に動きすぎたせいで、余計暑さを感じていた。

デットヒートを持っていても届かなければ意味がない。

空飛ぶシグナルバイクとかないかな……。ないな、うん。

 

「あちー地獄だ。クーラーのない教室なんて。」

 

「温暖湿潤気候で暮らしてるんだから諦めなさい。ちなみに先生は放課後寒帯に逃げます。」

 

「「「せっこ!!」」」

 

ってか超生物も暑さには弱いのか?

なんか人間みたいなんだよなぁ。

 

「でも、プール開き今日なんだろ?」

 

俺がそう言うと、クラスの全員……今年転校してきた茅野以外は表情を暗くした。

 

「そのプールが地獄なんだよ。本校舎にしかプールないから一キロの山道を往復しなきゃなんねー。」

 

え、なにそれまた暑くなんじゃん。

 

「本校舎まで連れてってよ殺せんせー。」

 

「仕方ないですね…と言いたいところですが無理です。マッハ二十でも出来ない事はあります。」

 

「まぁな、そりゃそうだわ。」

 

するこ、殺せんせーが教科書を閉じて、

 

「仕方ありませんねぇ。裏山に沢があります。そこに涼みに行きましょう。全員水着に着替えて下さい。」

 

「あれ、沢なんてあったんだ。」

 

俺が杉野に聞くと、

 

「ああ、と言っても足湯くらいの深さだけどな。」

 

ということらしい。

 

「まあいっか。水かけ遊びできるし。」

 

クラスの連中も、水着に着替えて殺せんせーのあとについていく。

……もうほんとそろそろ寺坂達もこっちきなよ。

 

そんなこと考えてると、

 

「マッハ二十の先生でも出来ない事はあります。その一つが君たちを一瞬でプールへ連れて行く事。それには一日かかります。」

 

何言ってんだ?マッハ二十だぞ?

 

「一日なんて大袈裟な。本校舎のプールなんて歩いて二十分でしょ。」

 

中村が冗談まじりに言うと、殺せんせーはニャっとして、

 

「おやおや、誰が本校舎のプールへ行くと言いましたか?」

 

近くで水の音がする。沢か……ってえぇ!?

そこには沢を利用して作られたプールがあった。

 

「何せ小さな沢をせき止めたので、水が溜まるまで二十時間。二十五メートルのコースも作りました。準備に一日。移動に一分、飛び込むのに一秒です!」

 

「ひゃっほう!」

 

その言葉を合図にみんなが次々に飛び込む。

もう、あの先生殺さなくていいんじゃないの!?

みんなが思い思いに遊ぶ中、浮き輪でプカプカ浮いてる茅野が、

 

「楽しいけどちょっと憂鬱〜。泳ぐのは苦手だし、水着は身体のラインがはっきり出るし。」

 

「安心しろ茅野。その身体にも需要があるさ。」

 

「うん、岡島君。二枚目面してカメラ構えるのやめようか。」

 

ほんと抜かりないなあの変態………。

俺は渚や杉野達と遊んでいる。

 

………渚……男だったんだな……。

 

すると、いきなりピィッーー!と笛がなって、

 

「木村君、プールサイドを走ってはいけません。転んだらどうするんですか!」

 

「は、はい。すみません。」

 

殺せんせー……さらにピィッーー!!と鳴らし、

 

「中村さんに原さん、潜水遊びはほどほどに、溺れたかと心配します!」

 

ピィッーー!!

 

「狭間さんも本ばかり読んでないでプールに入りましょう!」

 

ピィッーー!!

 

「菅谷君、普通のプールならボディアートは入場禁止です!」

 

ピィッーー!!

 

「小うるさい…」

 

ピッピッピッーピッ、ピッピッピッー

ご機嫌に笛でリズムを取ってる……。

 

「いるよねー、自分の作ったフィールドで王様気分になっちゃう人。」

 

「殺せんせーは特にね。」

 

あーゆーのが無ければほんとにいい先生なのに……。ね?いや、いい先生だけど。

 

「ヌルフフフ、景観から間取りまで綿密な設計。皆さんにはふさわしく遊んでもらわないと。」

 

「カタイ事言わないでよ殺せんせー、水かけちゃえ!」

 

倉橋が殺せんせーに水をかけると………!

 

「きゃん!」

 

え、今の悲鳴なんだ?

全員が固まった。カルマはすっーと殺せんせーの座ってる主審台のような物のところへ、俺と渚、杉野は持っていた水鉄砲を、

 

ガタガタガタ!!

シューーーーー!!

 

「ぎゃあぁぁぁあ!揺らさないでカルマ君!水鉄砲やめて三人とも!!落ちる落ちる!ふやけるふやける!」

 

…………………。

 

「殺せんせー泳げないんだな」

 

すると、殺せんせーは汗を流しながら、

 

「いや別に泳ぐ気分じゃないだけだしー。」

 

ごまかしとる。

ちなみに持っていた茶色のビート板はふ菓子………。

とその時、茅野が浮き輪からバランスを崩して、

 

「うわっ!」

 

やばい。殺せんせーも思ったのか焦ってビート板……違う!紛らわしい!ふ菓子を出すけど無理だから!

殺せんせーがあたふたしてるとき、素早く片岡が潜って茅野を救出。

 

「大丈夫、すぐ浅い所行くから。」

 

「ふう助かった。ありがと片岡さん」

 

「ふふ、水の中なら出番ね。」

 

「「「「イ、イケメグだ!!」」」」

 

そんな片岡を筆頭に暗殺を仕掛けたが、失敗したのは言うまでもない。

 

存分に涼んだ俺たちは、校舎に戻って普通に授業を受けた。

そして俺が帰ろうとした時、プールの方から物音がした。

 

気になって行ってみると、そこにはロイミュードがプールを荒らそうとしていた。

 

「あ、おい!何してる!」

 

俺に気づいたロイミュードは一気に攻撃を仕掛けにきた。

とりあえず俺は避けて距離を取る。

 

〚シグナルバイク!〛

 

「変身!」

 

〚ライダー!マッハ!〛

 

「久しぶりに……追跡!撲滅!いずれも……マッハ!仮面ライダー……マッハ!!」

 

と、そこまでいうとロイミュードは

 

「撲滅されるのはお前だ。」

 

と、走ってくるので俺も

 

〚ズッート、マッハ!〛

 

シフトアップ、ゼンリンシューターを、構えて迎え撃つ。

 

タイミングよくゼンリンシューターを横に当て……避けられた。

そのまま後ろを取られ一撃。

 

「のわっ」

 

そのまま振り向くざまに振るがまた当たらない。奴がすかさずパンチしてくるので、すぐに戻して奴のパンチを弾く。

やつの体が横に流れると同時、後ろ蹴りされた。

 

「痛て!」

 

こいつ、さほど強くないと思ったが身体能力が……。

こないだから思っていたがロイミュードが少しずつ強くなってる気がする。

ロイミュードを生み出した父さんはもういない。あとは生き残りを撲滅するだけだと思っていたいが……。

んなことを、考えてると。刀を持って切りかかってきた。

 

一撃目はなんとか避けられたが、回避して、立て直そうとした時に蹴られ地面を転がった。

 

「かはっ、ぐわぁ!」

 

立とうとすると刀できられ、プールに落とされた。

 

やつもプールに入ってきた。

水の抵抗で思うように動けない。

条件下は同じように思えたが、やつは関係なく動き出す。

 

「ぐっ!ああ!うわぁ!」

 

刀で連続で切られる。

しかない。あとで殺せんせーに謝ろう。

 

〚シグナルバイク、シフトカー!〛

 

〚ライダー!デッートヒート!〛

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

思いっきりデットヒートの熱で水を蒸発させる。

水が無くなり、一気にゼロ距離まで縮め、思いっきりパンチを出す。

 

「うぉぉーりゃ!!」

 

奴は両手をクロスさせガードするが、関係ない。そのまま押し切る。

 

「らぁぁあ!」

 

「ぐっ……!?」

 

地面に転がってできた、そのスキに必殺をだす。いつも通りジャンプしてたら避けられるので走りながら低空で飛び蹴りをする。

 

〚必殺!フルスロットル!デッートヒート!〛

 

「はぁぁぁぁぁぁあ……らぁ!!」

 

奴は避けようとしかが間に合わず、当たった。

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

大爆発。勝ったは勝ったがこのままではやばいと焦りを覚えつつ、

プールに水が入るように門を開け、殺せんせーの元へ向かった。

 

そのときは気づかなかった。

俺を見ている三つの目線。

俺が去ったあと、出てくる三人に。

 

 

 

 

 

「やっぱり俺はあいつより強い……、負けるわけがない……」

 

「いやぁ、これで荒らしやすくやったね?

計画通り頼んだよ?○○君?」

 

 

「……………」



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寺坂の時間

「だーかーら!本当に強くなってんだって!」

 

「それはありえない!ロイミュードの生みの親はもういない!あとは生き残りを倒すだけだ!」

 

「速さも強さも前とは大違いだ!」

 

「君が衰えたのではないのか!」 

 

俺とクリムが言い合っているのは教室。

クラスメイトもちらほらいる状況。

 

「なんだ?………どうしたんだ?」

 

「うん…。なんかね、最近のロイミュードが強くなってきて対処しにくくなってきたからさらに強くしてくれって…。」

 

「で、そんなことはないから必要ないってクリム先生がいってるとこ〜。」

 

杉野の疑問に渚とカルマが答える。

 

「だいたい君は……!」

 

「クリムだって……!」

 

終わりの見えない争いは、鳥間先生の介入でお預けになった。

俺とクリムが睨み合ってると、岡島がバタバタと教室に入ってきて、

 

「おい!プールがやっべーぞ!来てくれ!」

 

珍しく慌ててる岡島に、クラスのみんながプールに向かう。

 

プールへ行くと、荒らされたプールがあった。水は無く。ゴミが捨てられ、プールの壁や仕切りはぐちゃぐちゃになっていた。

 

「確かにプールの水の犯人は俺だが……こんなことにはなってなかったぞ…。」

 

「とか言いつつお前がやったんじゃね〜の?」

 

発言の主は寺坂。見ると、寺坂組の男子三人がニヤニヤしながらこっちを見た。

見ていたのは俺だけでなく、渚も怪しげな視線を送っていた。

 

「んだよ、俺が犯人だとでもいいてぇーのか渚。」

 

「え、別に…」

 

渚がそう言いかけると、殺せんせーが呆れた顔で、

 

「犯人探しなんてくだらないことする必要ありません。先生のマッハで………………はい、元通り。」

 

殺せんせーのマッハ二十であっという間にプールが元通りに。

その様子に寺坂が「けっ!」といって去っていった。

 

プールでしばらく遊び、俺はみんなより少し遅れて校舎へ帰っていると、寺坂が寺坂組の一人。村松を蹴っているところを見てしまった。

少し近づいて話を聞くと、

 

「てめぇあのヌルヌルみんなでばっくれよう言ったべ!?」

 

「でもあのヌルヌルするのヌルヌルいないのとじゃ……」

 

「ヌルヌルうるせぇー!」

 

激おこの寺坂は校舎へと入っていった。

 

「大丈夫か?」

 

「あぁ……坂上か……。」

 

落ちていた紙を拾うと、それは模試の結果。

 

「……ん?めっちゃいい結果じゃん!」

 

俺よりもかなり上。

 

「へへ……タコのヌルヌル講座受けたらな…。けど、あいつは納得しねーんだ。」

 

「なんでそんなに………」

 

「さぁな」

 

村松と教室に戻ろうと廊下を歩いていると、

 

「にゅやーーーッ⁉」

 

殺せんせーの叫び声。いつもの不意をつかれた暗殺とは違う。慌てて教室にはいると、殺せんせーは作ったバイクを壊され泣いている。

……どーせまたマッハで作れんじゃ……。と思っていると、クラスの連中が、

 

「謝れよ寺坂!」

 

「そーよ!漢字の漢と書いてに男の中の男……らしい殺せんせーが泣いてるよ!」

 

「そーだ!そーだ!」

 

クラスの反発にしびれを切らした寺坂が、

 

「テメーらぶんぶんうるせーな虫みたいによ! 駆除してやるぜ‼」

 

ブシューーーー!!!!

 

な、なんだこれ!!

寺坂の叩きつけたスプレー缶の中から煙が噴射された。

 

「ここまでやるか……!?」

 

殺せんせーはマッハで窓を開けた。

 

「拓実君!すぐにビッチ先生を読んできてください!」

 

「御意」

 

そういってすぐに職員室へ。

 

「失礼しまーす。」

 

クリムと目があった。

 

「「…………………」」

 

「…なによあんた達、喧嘩でもしたの?」

 

「……ビッチ先生、教室で寺坂が殺虫剤のような物をみんなの前で撒き散らしました。手当お願いします。」

 

「……わかったわ。」

 

ビッチ先生は救急箱とタオルを多めに持って教室に向かった。

 

「クリム、次ロイミュードが現れたらロイミュードのデータ取ってよ。俺が劣ってきてるなんて俺は微塵も思わないし、はっきり数値がてたほうがお互い納得するだろ。」

 

「………わかった。」

 

短い会話を終え、ビッチを手伝う為に教室に向かった。

 

結局、寺坂はこの日戻って来なかった。

 

 

 

----次の日----

 

この日、クラスは少しイライラしていた。

 

「うっぐ…、うぅ………、ずるる……、」

 

昼休み、ついにしびれを切らした中村が、

 

「あーもー!うるさい!なんで朝から意味なく涙流しているのよ!」

 

すると殺せんせーが、

 

「これは涙ではありません……。鼻水です。これは目ではなく鼻なのです。ほら。」

 

「まぎらわしい!」

 

すると鼻水を流しながら殺せんせーが

 

「なんだか昨日から調子がよくありません……なんでしょう……。」

 

すると、扉がいきなり開いて寺坂が入ってきた。殺せんせーはマッハで鼻水を撒き散らしながら、

 

「おぉ!寺坂君!もう今日は来ないかと思いましたよ!昨日のことならみんな怒ってませんから!ね!」

 

「あ、あぁ……今は鼻水だらけの寺坂の方が気になるし……」

 

寺坂は自分の顔についた殺せんせーの鼻水を殺せんせーのネクタイで拭き取ると、

 

「おいタコ……。うぜぇんだよ……そろそろ本気で殺してやんぜ!弱点なんだってなぁ、水が!

……おい、てめぇらも全員手伝え!」

 

ここまでいうと前原が

 

「お前さぁ……今までみんなの暗殺には手を貸して来なかったよなぁ。なのに今手伝えっていわれてはいそーですかって言うと思ったか?」

 

「はっ、いいぜ。そしたら百億はおれのもんだ!」

 

そういって教室からでていった。

クラスメイトは

 

「私いかなーい!」

 

「私も。」

 

「もう正直ついていけねぇよ……」

 

かつての寺坂組でさえ、ついていかなくなった。

 

「ねぇ、拓実も行かないよね?」

 

「ああ……水着忘れた。」

 

桃花の質問に俺は答えた。

 

「なんだこりゃ!!?」

 

殺せんせーが体中から粘液を出してクラス全員拘束。殺せんせーはドロドロの液体になった。

 

ほして放課後、寺坂の暗殺。

 

「いいぞお前ら!そーやって散らばっとけ!」

 

寺坂は竹林を蹴り落とし殺せんせーを待った。

水着を忘れた俺は、クリムの横で観察する。

 

「なるほど、先生を水に落としてみんなで暗殺ですか。……しかし私はピストル一丁ではおとせませんよ?」

 

「俺はお前が嫌いだ。」

 

「はい。暗殺が終わったらじっくりお話しましょう。」

 

寺坂はそんな言葉ですらイラッとしている。

そして、寺坂が引き金をひいた。

その次の瞬間………!

 

ドガァァァァ!!

 

プールをせき止めていた壁が爆発した。

そしてみんな流されていく。

 

「なっ………!!!」

 

殺せんせーと俺は焦って救出に向かう。

寺坂は驚愕の顔をして動けずにいる。

あの様子だと誰が裏で操ったか……?

 

「クリム!」

 

「止む終えない!」

 

ロイミュードと戦うほかではクリムの許可必要だったライダーシステムの許可をもらって

 

「変身!」

 

〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

〚ズッート、マッハ!〛

 

近場は殺せんせーに任せる。

殺せんせーもマッハ二十といえど、救出に二十は出せない。

岩に捕まっていた有希子と倉橋と三村、岡島を助けてプールの方を見るとほとんど救出済みで、流されてこない。

 

「拓実君!まだ矢田さんが先にいるよ!」

 

「!?」

 

有希子に言われて先を見ると力なく流れて行く桃花が。

くそっ。

 

「桃花!おい桃花!!」

 

マッハで追いついて桃花を抱きかかええて水から出る。

だが、意識がない。そこに殺せんせーがきた。

 

「拓実君ありがとうございます!あとはおまかせてください!」

 

マッハ二十でなにをしてるかよくわからんが、桃花が意識を戻した。

 

「ゲボッ!ゲボッ!……うっ…」

 

「ふぅ……良かったてす……っ!!?」

 

ホッとしたのもつかの間、殺せんせーが何かに捕まった。そのまま崖に引きづられて落ちていった。

 

「殺せんせー!?」

 

そっちに注目していると、俺は後ろから飛び蹴りを食らった。

そしてそのまま殺せんせーと同じように落ちていった。

 

「……っ!?うわぁぁ!」

 

「拓実……君!ゲボッ!」

 

俺は見えた。俺を蹴り落としそのまま共に落下していくのは、あのときのロイミュードでもない怪物……。

ってことは…裏で操ってたのは……シロ!!

 

その落下中にも怪物は攻撃してくる。避けることもできず、もろに食らう。

 

「うわっ、がはぁぁ!」

 

地面に叩きつけられ、肺の空気が出る。

そのまま、俺の上に着地しようとするのでなんとか転がって避けた。

 

その場を見ると、殺せんせーがイトナと戦闘中。上には原さん……村松……吉田……。更に上にはクラスメイトとカルマに寺坂……。

殺せんせーの方はカルマがなんとかするだろう。俺はこの怪物と……っ!?

 

「ぐわぁぁ!!」  

 

怪物に警戒していると、更に後ろからロイミュードが二体。

手刀を二人分食らってしまった。

そしてそのロイミュードを見ると…

 

「……!?ナンバーが……ない!?」

 

ロイミュードには一体一体数字が入っている。

が、そのロイミュードには数字がない。

父さんが作ったロイミュードにはナンバーなしは、いなかったはず……!

 

しかもその三体共強く、避けることが精一杯だ。

 

「くっ、」

 

〚シグナルバイク!シフトカー!ライダー!デッートヒート!〛

 

すぐにデットヒートに変え、応戦する。

 

「はっ!せい!」

 

スピードをいかし、避けてはカウンターをいれるが、いまいちダメージがはいらない。

 

「ふっ!……のわぁ!ぐわぁ!」

 

一体に集中するとほかの二体から攻撃をいれられる。

 

その時、俺は思い出した。

クリムに言われた言葉を、

 

「君が衰えたのではないのか!」

 

ふざけやがって……。

俺は………強い!

衰えてなんか……いない!!

 

デットヒートのままシフトアップする。

メーターは振り切っている。それでも押し続ける。

前は暴走した。だが今は……!

胸部のタイヤが拘束回転する。

ぐっ………タイヤに体が持ってかれそうだ……。でも……

 

「うぉぉぉぉ……………はぁぁぁぁ!!」

 

〚バースト!デッートヒート!〛

 

タイヤが破裂した。

 

その瞬間、体がものすごく熱くなった。

 

その熱い体のまま、トップスピードで突っ込む。デットヒートを超える速さ。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

強化ロイミュードは一歩も動けないまま俺の右ストレートが入った。

 

かなり吹っ飛ぶ。

そのままもう一体に蹴り、ジャブ、ストレート、周し蹴り。目で追いつけない速さで連続で叩き込む。赤色のスパークが体からでるが気にしない。赤色のオーラが残像として残るほどの速さ。

 

くっ………体が熱い……!

これではおそらく長期戦は無理だ。

とりあえず俺はロイミュードを片付ける。

 

〚必殺!フルスロットル!バースト!デッートヒート!〛

 

俺はいつも通り回転してキックを一体にぶち込む。そして着したところにいたもう一体に飛び回し蹴りを食らわした。

 

ドガァァァァ…バァァァァン!  

 

二つの爆発が重なった。

二体目のときも必殺のパワーが続いていたので助かった。

 

もう一体……怪物の方を見ると、白の横に立っていた。どうやら殺せんせーをクラスメイトがサポートして形勢逆転したので撤退する様子。

俺はシロに問い詰める。

 

「待て……。お前は俺の何を知っている?あのロイミュードはなんなんだ!その怪物は……!」

 

「残念だけど、それのどの質問にも答えることはできない。またね、坂上拓実君。」

 

くそ……うぅ……

やべぇ……意識がもう…………!

 

〚オツカーレ〛

 

ついにスーツが耐えられなくなって強制解除された俺はそのまま気を失った。

 

 

目を開けると、そこは保健室だった。

あたりを見渡すと横には涙目の桃花と、クリムがいた。

 

「桃花……クリム……」

 

「うっ……うぅ……ひっぐ…」

 

いきなり桃花が泣き出した。

 

「え、ちょ、なんで!?」

 

「だって……拓実、体すっごく熱くって…苦しそうで…心配で………」

 

どうしたらいいかわならない俺はとりあえず桃花の頭をなでる。

 

「俺は大丈夫だから……。心配してくれてありがとうな。」

 

桃花は少し笑ってくれたのでほっとする。

 

「しかし……デットヒートを超えるとは……無茶をしたもんだ。」

 

「暴走はある意味自分自身を守るためのものだったんだな。」

 

「かなり危険なものだからね。そうすることでしかブロックできなかったんだ。」

 

そして、神妙な顔になると、

 

「昨日言っていた話だが……」

 

クリムはさらに深刻そうな顔をしてる。

 

「拓実の言うとおり、ロイミュードが強くなっている…。強化ロイミュードに加えてナンバーのないロイミュード……。」

 

「誰かが蛮野の研究を利用した?」

 

「可能性はある。」

 

その会話に桃花が、

 

「蛮野?」

 

「蛮野天十郎……俺の父さんの名前だよ。」

 

そしてすこし考えて、

 

「シロが蛮野の研究を?」

 

「かもしれない。彼は知り合いだと言っていたからね。」

 

「……なんでロイミュードまで使って……。」

 

「とりあえず、データは取れた。帰ってから解析しよう。」

 

結局結論はでず、桃花を送ってから家に帰った。

 

のち聞いた話では、寺坂はシロに動かされていて、プール爆発のことは聞かされてなかったと。

教室でまいたスプレーは先生にだけ聞くスギ花粉のようなものらしい。

みんなとも和解したようで、暗殺にも協力するらしい。

ようやく、E組が一つになったことにより暗殺の可能性が上がったことは言うまでもない。

 



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茅野の時間

 

「ここにくんのもいつぶりだろうかー……。」

 

俺は今、クリムと姉ちゃん。その部下二人を連れてある場所に来ている。

 

蛮野天十郎の元研究室。

 

前回の戦いで、シロ……それか他の連中が蛮野のロイミュードに関する研究が再び使われてるという事実にたどり着いた。

そこで俺たちは一度放置してあった蛮野天十郎の研究室に探りを入れることにした。

もっとも、もうほとんど何も残ってはいないだろうが。

 

「じゃ、はいるわよ。」

 

姉ちゃんを先頭に研究室に入る。部下と姉ちゃん、俺はそれぞれ部屋を探る。

 

「拓実。最後に来たときよりかなり荒らされている……。私達が去った後に研究データを盗んだかもしれない。」

 

「かもな。……にしても、シロって誰だ?父さんの知り合いで怪物、ナンバーのないロイミュードを操っていた……。」

 

シロが研究を盗み出す必要はないはずだ。

知り合いなら、同時研究……。研究内容を見せてもらったり色々できるからだ…。

 

「クリム!これをーー」

 

「む、何か見つけたのかね。」

 

俺のところにいたクリムは姉ちゃんの呼びかけに答え、姉ちゃんの所へ。

 

やっぱ何もないか〜。…ん?なんだ?これ?

 

机の下に、何か銀色のケースがあった。

開けると、蓋の裏に

『触手細胞』

とだけ書いてあり、注射器が何本かあった。

 

触手……。殺せんせーの?イトナの?

おそらくどちらもだろう……。

 

「拓実、我々は次の部屋に行くが?」

 

「あ、あぁ…。先に言っといてくれ、もうちょっと調べたい。」

 

「……わかった。」

 

そういって部下二人、姉ちゃん、クリムは部屋を出ていった。

 

そして、俺はいろいろなファイルを漁り始めた。

そんな中見つけたのは、

『死神』

と書かれたファイル。

中には健康診断書のようなものがたくさん……。

いや、それはいい。

問題は、そのサイン。おそらく診断を行った人のサインだが、

『雪村あぐり』

この名前には聞き覚えがある。

 

確か、前原が、

「殺せんせーが来る前、担任は雪村あぐり先生でさ、これまた面白い先生でー…」

 

みたいなことを言っていた。

同一人物がどうかわからない。

そのファイルを置いて、俺は再び漁り出した。

お目当てはその雪村あぐりについての資料。

数分探し続け、ようやく見つけた。

いろんな人の情報が書いてある。

その中で、雪村あぐりのページを見つけた。写真付きで。

一度写真を見してもらったことがあるため、同一人物であることは理解できた。

雪村あぐりの写真はクリップで止められていて、その下にもう一枚ある。

家族構成のところに妹

『雪村あかり』

と書いてあるのでそいつだろう。

 

そう、軽く思っていた。

 

その写真に写っていたのは茅野カエデにそっくりの人。

いや、髪は黒いがこれは茅野カエデだ……。

 

正直いろいろ混乱してきた。

とりあえず、『死神』のファイルと

雪村あぐり、あかりに関する資料が入っているファイル。

ちらっと見えたが、蛮野天十郎や

この研究の長である柳沢誇太郎という人物の資料も含まれていた。

 

そして、クリム達のところへ向かった。

 

 

 

「どうだね?何かあったかね?」

 

「……いや、なんにもないよ。」

 

姉ちゃんは少し残念そうに、

 

「やっぱり期待してなかったけど何もないか〜。」

 

……ごめんなさい。嘘です。思いっきりありました。

 

「じゃ、帰るか〜……およ?どしたの?早く乗りなよ。」

 

車に乗り込みながら動きを止めてる俺に言う。

 

「……俺ちょっと寄りたいとこあるし、歩いて帰るよ。」

 

「そっか。」

 

車は颯爽と走り去った。

別にどこかに寄りたいわけではない。

すこし整理したいだけだ。

そう思いながら商店街でも行こうかと歩いていたら、

 

「あれ?坂上君?やっほー」

 

「かっ、茅野!?」

 

うわー、なんてタイミング!見計らったようなタイミング!

 

「そんなに驚かなくてもー。あ、そうだ、これから時間ある?」

 

「え?あ、あるけど。」

 

「じゃぁさ、カフェいこ!あそこのプリンめちゃくちゃおいしいらしいの!」

 

と言うわけで複雑な思いのまま茅野についてカフェに入った。

 

「早速」とプリンを注文した茅野はもう、ワクワクドキドキとした顔……幸せそうだなぁ、ほんと。

 

「お待たせしました。」

 

「き、きたーー!!」

 

幸せそうにプリンを食べる茅野。

 

この時俺は迷っていた。あのことを聞くか、聞かないか。

 

そんな俺を不審に思ったのか

 

「どしたの?坂上君。難しい顔してる。」

 

俺は、決めた。

軽く、聞こうと。

 

「なぁ、「茅野カエデ」って、存在するのか?」

 

「………」

 

あくまで表情を崩さない茅野は

 

「いきなりどしたの〜?茅野カエデは私…」

 

「ほんとに?それが本名なの?………雪村あかりさん……。」

 

証拠とかはなかったのでカマをかける言葉を、遮るように言うと、

 

「………いつ、気づいたの?」

 

認めた……のか。別に茅野に不審なところは全くなかった。

 

「さっき、ほんとにさっき。」

 

すると、

 

「どこで?バレる所あった?」

 

と聞いてくるので、さっきまでの経緯を話た。

触手については抜きで。

 

「…確かに私の本名は雪村あかり。

E組の元担任雪村あぐりの妹だよ。

……今はそれしか言えない。」

 

「そっか……。なんか…ごめん。」

 

「あやまんなくていいよ。……このこと、みんなには言わないでもらえる?」

 

「わかってる。誰にも言わない。」

 

雪村……茅野はそれだけ聞くと満足そうに

 

「すみません!プリン一つ追加で!」

 

プリンをおかわりし、帰宅路についた。

 

「ありがとね〜おごってもらっちゃって。」

 

「いんや、別にいいよ。」

 

「それじゃ、また明日!」

 

「あぁ」

 

茅野の別れ、家に帰った俺はファイルを見る気にもなれず、机に隠し寝ることにした。

 

今日はいろいろありすぎた。

 

「あ、明日からテスト一週間前だ。」

 

そして俺は、テストのことで手一杯になり、このファイルのことを少しの間忘れてしまうのでありました。

この時すぐにファイルを見ていればよかったのかもしれない。

すると、ある二人の資料に行き着くことができたのだから……。?



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期末の時間

「さてみなさん。いよいよ期末の時間がやってまいりました。」

 

殺せんせーが待ってましたと言わんばかりの顔で言う。

聞くところによると、中間では殺せんせーが全員五十位以内に入らないと真っ平らにして出ていくといったものの、理事長による妨害が入り、惨敗する結果。

このことを予想できなかった殺せんせーは落ち込んでいたが、カルマをはじめとするE組の煽りで期末のリベンジを宣言したらしい。

 

「殺せんせー、期末もまた全員50位以内を目標にすんの?」

 

「いいえ、先生はあの時総合点ばかり気にしていました。しかし気付きました。皆さんの個性をもっと伸ばすべきだと。そこで今回。この暗殺教室にぴったりの目標を立てました。」

 

そこまでいうと殺せんせーは「はっ!」となり、マッハである人物の元へ。

 

「だ、大丈夫!寺坂君にもチャンスがある目標ですから!」

 

寺坂は口には出さなかったものの

こめかみにイカリマークが出ている。

殺せんせーは教卓に戻り、

 

「さて、前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うとスピードが落ちます。一本減るだけでその影響は大きい。ほら、子供の分身が混ざってきた。」

 

「分身ってそういう減り方するもの?!」

 

渚のナイスツッコミ!

 

「もう一本失うと、子供分身がさらに増え親分身が家計のやりくりに苦しみます。さらにもう一本。父親分身が蒸発。母親分身は女手ひとつで子供を育てねばなりません。」

 

「「「重いよ!!」」」

 

そしてクラスの大合唱。

 

「茶番はさておきテストについて本題です。前回は総合点だけで評価していましたが、今回は皆さんの得意科目でも評価します。各教科と総合で学年トップを取った人には、答案の返却時に触手を一本破壊する権利を差し上げましょう。」

 

「つまり、満点取った分だけ殺せる確率が上がると。」

 

「その通りです。五教科と総合でトップを取れば、6本の触手が破壊できる。これが暗殺教室の期末テストです。賞金百億は皆さんの成績次第。」

 

その言葉にクラス全員の目が変わる。

これはもう……殺る気だ。

あの先生は、殺る気にさせるのが本当に上手い。

その休み時間。意外な人物が声を上げた。

 

「頑張りましょう!」

 

「珍しく気合入ってんじゃん奥田さん。」

 

奥田さんにカルマが声をかける。

 

「はい、理科だけなら、私の大の得意ですから!ようやく皆のお役に立てます!」

 

あ、なるほど。俺はいなかったけど、殺せんせーを毒で殺そうとしたとか。

 

「そうだね、一教科限定なら上位ランカーは結構いるから、皆本気でトップ目指して頑張ってるかも。」

 

茅野が同意するように言う。

 

「だな、理科は奥田で社会は磯貝。英語は中村だし……国語は有希子。数学はカルマだろ?」

 

「だな。でも俺らも頑張らねぇと!」

 

と、そこで桃花が、

 

「そういえば、拓実君は今回が初めてでしょう?成績どうなの?」

 

「ん?ん〜確か転入試験の時は理事長が、「E組なのがもったいない。」とか言ってたような……。点数知らねぇな……。」

 

「意外にいいんだ!」

 

意外ってなんだ桃花!

まぁ、姉ちゃんとクリムに記憶のない間の勉強を、叩きこまれ、そのままずっと教えてもらってるからな。

 

「あと心配なのは、その理事長による妨害だな。」

 

「今回も妨害入んのか...鬱だな」 

 

そんな話をしているまさにその時、理事長室では、

 

----------------------------------------------

 

「E組の成績を落とす為なら何でもする。そう思っていませんか?」

 

「いいえ、でも隣の堅物が貴方を疑って聞かないんですの。」

 

ボスと防衛省と暗殺者がお話。そう、お話をしていた。

 

「なるほど、我が椚ヶ丘中学校では、生徒の自主性を育んでいます。ですから成績を決めるのはあくまで生徒です。私は…何もしません。」

 

その言葉を聞いて理事長室を、後にした二人。

 

「なーんか含みのある言い方だったわね。生徒の自主性がどうとか。」

 

「ああ、だが前回のような不正ギリギリの小細工は無さそうだ。」

 

「ま、今回は成績が直に暗殺に関わってるみたいだし、私も一肌脱いでやろうかしら。保健体育なら私に任しぇてぇ〜?」

 

「外国語はどこへ行ったっ!」

 

その廊下で、電話をする一人の野球部員……。

 

--------------------------------------------

 

pppppppp!

 

「よお杉野。」

 

「進藤か?球技大会ぶりだな。」

 

「ああ、高校でけりをつけると言ったが、お前が高校に進学できるか心配になってな。」

 

電話の主はかつて球技大会で俺たちを苦しめたあの野球部、進藤。

ほんとこの二人和解してよかったよ!

 

「はは、相変わらずの上から目線で。」

 

「というのもな…。今、特進クラスA組が、会議室で勉強会を開いているんだ。音頭を取る中心メンバーが、うちが誇る秀才達、五英傑だ。」 

 

------------------------------------------------

 

「大事なのは、その出来事が社会にもたらした変化の大きさ。これ分からないと、君、社会から置いてかれるよ。」

 

中間テスト総合2位!他を圧倒する、マスコミ志望の高い知識!放送部部長!荒木…鉄平!

 

「一日に、千里の道を行くよりも、君と一里を行くが楽しき。さあ学ぼう、美しい言葉が君の動脈を満たすまで…」

 

総合3位!人文系コンクール総なめー。鋭利な詩人!生徒会書記、榊原…蓮!

 

「死ぬ気で詰め込めー!中高の理科は暗記で十分だ!」

 

総合5位!4位を奪った赤羽への雪辱に燃える暗記の鬼!生物部部長、小山…夏彦!

 

「俺が住んでたLAでは、そんな文法じゃ笑い者だぜ。」

 

総合6位!口の悪さとLA仕込みの語学力は追随者ナッシング!生徒会議長、瀬尾…智也!

 

そして、その頂点に君臨するのが…

 

「僕らは太陽、名門、椚ヶ丘中学の皆を照らす太陽だ。しかし、その輝きを覆い隠そうとする、不穏な暗雲が発生しつつある。あのE組が、中間テストでは全員50位以内を目指していたという。ならば、僕たちが上位を独占し、その暗雲を晴らそうじゃないか。地上と太陽の間に暗雲があってはいけない、彼らの不遜な考えを正し、光を守ろうじゃないか。僕たちの手で。」 

 

「おーー!!!!」

 

「総合1位、全国模試1位、全教科、パーフェクト!支配者の遺伝子を引き継ぐ、生徒会長、浅野学秀!」

 

--------------------------------------------

 

ためになる、ためになる情報なのだが……。

 

「進藤、そのナレーション、お前がやってんの?」

 

「ああ、一度やってみたかったんだ、こういうの…………。ゴホン!

人望厚く、成績はトップ。プライドの高いA組の猛者をまとめ上げるカリスマ性。彼自身の能力に加え、

全教科パーフェクトの浅野と、各教科のスペシャリスト達。奴等、お前達を本校舎へ復帰させないつもりだ。」

 

そんな言葉に杉野は笑顔で、

 

「ありがとう進藤、心配してくれて、でも大丈夫、今の俺たちはE組脱出が目標じゃない。けど目標のためには、A組に勝てる点数を取らなきゃならねえ。だから見ててくれ、俺たち頑張るからさ」

 

その言葉に進藤も心なしか嬉しそうに

 

「ふん、勝手にしろ。E組の頑張りなんて、知ったことか。」

 

と。

  

茅野と渚と帰ろうと校舎を出たとき、磯貝が走ってきた。

 

「明日の放課後、本校舎で勉強しないか?期末狙いで、随分前に予約しといたんだ。E組は基本後回しだから、俺らにとっちゃ、プラチナチケットだぜ。」

 

「行く行く!」

 

「ん〜、俺は多分姉ちゃんとクリムに叩き込まれるから。」

 

俺は丁重にお断りした。

その様子に殺せんせーは、

 

「皆懸命に頑張ってますねえ。触手を賭ける価値ありです。」

  

「命かかってんのにのんきなのな。」

 

--理事長室--

 

「貴方の御意向通り、A組の成績の底上げに着手しました。これでご満足でしょうか。」

 

一組の親子が、親子とは思えない雰囲気で話していた。

 

「浅野君、必要なのは結果だよ。結果の伴わない報告に意味はない。

そうだな、A組全員でトップ50に入り、各教科で一位を独占する。この辺りが合格ラインだ。」

 

「E組は他を上回ってはならない。貴方のその理念は分かります。が、何故そこまで拘るか分かりません。

確かに、彼らの成績は上がっています。が所詮限界がある。 僕らに及ぶとは到底思えません。」

 

「私が君に教えたいのはそこだよ、浅野君。弱者と強者の立場は、時にいとも容易く逆転する。 

強者の座を維持し続ける。これこそが最も難しい事なのだよ。」

 

浅野は少し考え、

 

「分かりました理事長。僕の力でその条件、クリアさせてあげましょう。

そしたら、生徒ではなく、息子として一つおねだりしたいのですが。」

 

その言葉に表情を一切変えず、

 

「おねだり?今更父親に甘えたいとでも?」

 

「いえいえー、僕はただ、知りたいのです。E組の事で、何か隠していませんか?

どうもそんな気がしてならない。貴方のE組への介入は、今年度に入っていささか度が過ぎている。

まさかと思いますが、教育以外に、何かヤバい事に手を出してらっしゃるとか。不審者の噂もありますしねえ。

空飛ぶ黄色い巨大タコを見たとか、コンビニスイーツを買い占める黒ずくめの巨大な男とか。

Gカップ女子の背後でヌルフフフと笑う黄色い影とか。ま、これらは根も葉もないデマでしょうが。 」

 

「知ってどうする?それをネタに私を脅迫する気かい?」

 

浅野は不気味に笑って、

 

「当然でしょう。すべて支配しろと仰ったのは、貴方ですよ。」

 

「さすが、最も長く教えてきた生徒だ。」

 

「ハハッ、首輪付けて飼ってあげますよ。一生ね。」

 

「奇遇だね、私も君を、社畜として飼い殺ろそうと思っていた所だよ。」

 

「「フハハハハッ」」

 

ピキッ……ピキピキ………パリン!

 

「痛!!なんだぁ?」

 

偶然下を歩いていた俺の頭にガラスの破片が……。

 

「割れた……?まぁいいか。……イテテ。」

 

--数日後--

 

どうやら図書館を利用していたら、例の御英傑が煽ってきたらしく、流れでA組対E組の殺し合い……どっちが五教科で学年トップを多く取れるか勝負するようだ。

負けたほうはなんでも言うこと一つ聞くらしい。 

 

「明らかに何かあるよねその、A組の賭けってやつ。」

 

「間違いない。どーせ、これに合意しろ〜とか三つに増やせ〜とか言ってくるよ。」

 

カルマの問に答える。

 

「なにかする魂胆が見え見えだっての」

 

クラスはその一つを何にするか楽しそうに話してる。

増やしたりしないのはほんとに…なんというか……うん、いい子だ。

 

「なんでも、ひとつかぁ〜学食の使用権が欲しいなぁ〜」

 

すると、殺せんせーはある一つの提案をする。

 

「賭けの戦利品ですが、これをよこせと言うのはどうでしょうか」

 

「おおーっ!」

 

その戦利品を嫌がるやつはいない。

満場一致だ。

 

「君たちは一度どん底を経験しました。だからこそ次はトップ争いを経験して欲しいのです。」

 

そして、ついにテスト当日。

 

「どう渚、調子はどう?」

 

「うん、ヤマが当たれば〜」

 

「男ならシャンとせい!あんたも英語トップ狙えるんだから」

 

中村、渚と教室に向かう。

テストだけは回収等の問題があるので本校者で受ける。

 

「アンタはどうなのよ。」

 

「俺か?俺は……うぷっ……クリムにこってり絞られたよ……思い出すのも辛い……。」

 

「「あ、あははは……」」

 

一番かな〜と教室へはいると、

………誰?鳥間先生が後ろから、

 

「律役だ、人工知能の参加は認められないからな。事情説明の際、こいつも大変だという、憐れみの目を理事長から向けられた俺の気持ちが分かるか?」

 

「「「頭が下がります!」」」

 

俺と中村と渚は全力で礼をした。

 




意外と長くなりそう。


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戦いの時間

そして……戦いのコングがなった!

 

「変身!!」

 

〚ライダー!マッハ!〛

 

「追跡!撲滅!いずれも…マッハ!」

 

--英語--

 

「俺は1年LAにいたんだ今更日本の中学レベルの問題でつまずくかよぉ!「ガキィ」………嘘だろ?倒れない!?」

 

ふわりと、中村が空中を舞って、問スターに一撃。満点回答だ。

 

「お堅いねぇ、力抜こうぜ優等生!」

 

「E組ごときが満点解答だと!?」

 

「多分読んでないっしよ?サイリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』」

 

中村に言われて読んでおいて正解だった。流石進学校だわ。

 

〚必殺!フルスロットル!シューター!〛

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

ドォォォン!

 

「うっし!満点回答っと。」

 

--理科--

「そぉ〜らっ!理科は暗記だ暗記だぁ!…………!?頭の装甲だけが剥がせないちゃんと暗記したはずなのに!」

 

そこに奥田が、

 

「本当の理科は暗記だけじゃ楽しくないです。君が君である理由をわかってるよってちゃんと言葉にして伝えてあげたら、この理科とっても喜ぶんです!」

 

「「えぇ………」」

 

この時ばかりはこいつに賛成だ……うん。

 

社会

 

ドォォォン!

 

「し、しくじったぁ…!?」

 

荒木がしくじった問題を磯貝は解く。

 

「ふー危なかった、一応覚えておいてよかったよ」

 

「磯貝貴様ァ!」

 

「たまたまだよ、俺んち結構な貧乏でさ。アフリカの貧困にちょっと共感して調べてたら現地に連れてかれて、さらに興味が広がっただけさ」

 

〚シグナル交換!まがーれ!〛

 

「はっ!よっ!」

 

遠距離から一気に問スターを倒す。

社会は問題数多いからな。

 

--国語--

 

「思った以上にやるようだなE組顔だけでなく言葉もなかなか美しい!」

 

どさくさに紛れて有希子にナンパするなよ?お前。

これで撃つよ?

 

〚シグナル交換!かくさーん!〛

 

「だが、ただ一片の会心の回答ではテストの勝敗は決まらない!」

 

ふむ、それには同意する。

 

--数学--

「僕には全教科死角はない、クラス対決も頂上対決も圧勝で制し、E組には父を支配する駒になってもらう」

 

「あーあ、みんな目の色変えちゃってまぁ…平常運転でサラッと勝っての完全勝利。正しい勝ち方……教えてあげるよ。」

 

二人の天才は、不敵に笑って問スターへ向かっていく。

 

〚必殺!フルスロットル!マッハ!〛

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

------------------------------------

 

「では発表します。まずは英語から…E組の一位………そして学年でも一位!中村莉桜!!」

 

「おぉぉぉ!!!」

 

「どやぁぁぁ」 

 

まずは一対ゼロ!

そして触手一本!

 

「完璧です、君のやる気はムラっ気があるので心配でしたが」

 

「なんせ賞金百億かかってっから。触手一本忘れないでよ、殺せんせー?」

 

「はい、渚君も健闘ですが肝心なところでスペルミスを犯す癖が治ってませんね」

 

「う〜ん……」

 

返しながら自分の触手に予約済みの旗を立てる。

 

「さてしかし、一教科でトップを取ったところで潰せる触手はたった一本。それにA組との対決もありますから喜ぶのは全部返した後ですよ…続いて国語…」

 

みんなが有希子を見る。

 

「E組一位は…神崎有希子!………がしかし…一位は浅野学秀です。A組もやりますねぇ」

 

「やっぱり浅野はとってくるよな」

 

「強すぎ、英語だって中村との一点差の2位だぜ?」

 

「流石全国1位、中間より難易度高かったのに全教科相変わらずスキがない」

 

「そうだねー五英傑なんて呼ばれてるけど、浅野くんを倒せないと学年トップは取れないよー」

 

確かに浅野はずごい。でも無敵ではない。

 

「神崎さんも大躍進です学年二位ですよ。

では続けて返しますね。

続いて社会!E組1位は磯貝悠馬!そして学年では…」

 

ゴクリと、教室が静かになる。

 

「おめでとう!浅野君を抑えて学年1位!マニアックな問題が多かった社会でよくぞこれだけ取りましたね!」

 

「よっしゃぁぁぁ!」

 

「では次は理科です。E組1位は奥田愛美。………素晴らしい!学年でも1位です!」

 

よし!これで三対一!!A組に勝ち決定!!

 

「数学の結果を待たずしてE組の勝ち越し決定!!」

 

「やったっ!」

 

「仕事したな奥田!触手1本お前のものだ」

 

これにより賭けの…

 

「ってことは賭けの報酬はいただきだな」

 

「楽しみだね〜」

 

うん。心の声だからね、被っても仕方ない。うん。

 

ふと横を見ると、カルマの姿はなかった。

数学はあいつだろ?なにやってんだ。

 

--------

 

校庭にある木のそばで、テストを握りつぶすカルマ。

そこに殺せんせーが、  

 

「流石にA組は強い、E組の最高は坂上君。各教科一位は取れませんでしたが、総合力の強さで学年三位でした。」

 

坂上拓実

 

英語 98点

数学 99点

国語 94点

社会 95点

理科 97点

 

総合 483点 三位

 

「なにがいいたいの?」

 

「『余裕で勝つ俺カッコイイ』とか思ってたでしょ恥ずかしいですねぇ〜」

 

その言葉でカルマの顔は一気に赤くなる。

 

「先生の触手を破壊する権利を得たのは中村さん、磯貝君、奥田さん、の三名。君は今回、暗殺においても、賭けにおいてもなんの戦力になれなかった。殺るべき時に殺るべき事を殺れなかった者は、この教室では存在感を失っていく。刃を研がなかった君は暗殺者じゃない。錆びた刃を自慢げに掲げたただの…ガキです。」

 

そしてカルマは怒って校舎へ戻っていった。

 

「良いのか、あそこまで言って。」

 

「鳥間先生…。ええ、大丈夫です、立ち直りが早い方に挫折させました。彼は若くして多くの才能に恵まれている。だが、力ある者は得てして未熟者です。本気でなくても勝ち続けてしまうから、本当の勝負を知らずに育つ危険がある。負ける悔しさを早めに知れば知るほど才能は伸びます。成功と失敗を胸一杯に吸い込みなさい生徒達よ。勝つとは、負けるとは何か。それは、私が最後まで気付けなかった、とても大事な事だから。」

 

その言葉に鳥間先生は何も言えなかった。

 

--教室--

 

「皆さん素晴らしい成績でした。五教科プラス総合点の中、取れたトップは三つ。触手は三本。さて、暗殺の方を始めましょうか。 トップ三人の方、御自由に。」

 

殺せんせー今多分こう思っている。

 

(ま、三本位なら楽勝ですね。七本はさすがにヤバイですが。)

 

と。甘く見てもらっては困る。

E組は、特にアイツを舐めてはいけない。

 

「待てよタコ、五教科トップは三人じゃねーよ。」

 

「三人ですよ、国、英、社、理、数合わせて…」

 

寺坂は数えてる触手を払いのける。

 

「アホぬかせ、五教科っつったら、国、英、社、理……あと、家だろ。」

 

寺坂竜馬 家庭科百点 学年一位

村松拓哉 家庭科百点 学年一位

吉田大成 家庭科百点 学年一位

狭間綺羅々 家庭科百点 学年一位

 

「か、家庭科ー!?」

 

「テストの一週間ぐらい前に坂上に言われてよ。おもしろそーだからやってみたらこれよ。だれもどれもどの五教科と言ってねーよな?」

 

さらに「本当に俺にもチャンスあったなぁ!」と言い、殺せんせーは、

 

「ちょっと待って、家庭科のテストなんてついででしょ!何こんなので本気出してるんですか。」

 

すると、さっき散々いじられたカルマがここぞと

 

「ついでとか失礼じゃね?五教科の中で最強とも言われる家庭科さんにさあ。」

 

それに乗っかるクラスメイト。

こういう時のクラスの団結力は計り知れない。

 

「そうだそうだ、約束守れよ!」

 

「ええ!」

 

「合計触手七本〜」

 

「七本〜!七本!七本!」

 

「にゅや!?な、七本、七本〜!?」

 

結局七本を認めた殺せんせー。

 

そして、俺達はもう一つ。やることがある。

一学期が終わる。

朝会のために体育館へ。

 

「おお、やっと来たぜ生徒会長様がよお。」

 

寺坂の言葉に浅野が気だるそうに、

 

「何の用かな。式の準備でE組に構う暇なんてないんだけど。」

 

「おーう待て待て、なんか忘れてんじゃねーの。」

 

そこで磯貝が、

 

「浅野、賭けてたよな、勝った方が一つ命令出来るって。

要求はさっきメールで送信した。あれで構わないよな。」

 

「くっ。」

 

「お前らが持ち出した賭けだ。今更断るのはナシだぜ。それに、何なら五教科の中に家庭科とか入れても良いんだぜ。それでも勝つけどよ。」

 

家庭科入れた瞬間大差つくけどな!

一発一発は強いんだよな、E組は。

 

 

--学校--

 

「見事にしてやられたわねえ。特にあの悪ガキども。」

 

「ええ、できれば本業の五教科に力を入れて欲しかった。でも私は嬉しい。

実技教科は受験に使われない分テスト。出題は担当の先生の好みのテストになってしまう。

そうなると私の授業しか受けていないE組の生徒は圧倒的に不利相当研究したんでしょうねぇ私を一泡吹かせるために。」

   

「私も家庭科の問題を見たが、あれを百点取るのは相当時間を使っただろう。私達でも難しいかもしれないね。」

 

そしてビッチ先生はフッと笑って、

 

「ところで、何で私たちここにいるの?」

 

「烏間先生がくるなって。」

 

「タコがいるせいだわ。」

 

「ビッチが居るせいですぅ。」

 

「私からすればどっちもだよ……。」

 

--体育館--

 

E組の最前列には珍しくカルマの姿があった。

 

「珍しいなカルマ。お前が式に来るとはな。」

 

「だって、今サボると逃げてるみたいでなんか嫌だし。」

 

ほぇ〜っと見てると、菅谷が、鳥間先生に、

 

「烏間先生!にせ律が気になって式に集中出来ないっスよ!」

 

「耐えてくれ、律が機械とバレないための工作だ。直属の上司の娘さんだ。口は堅いし詮索もしない。律の授業で成績も上がったと上司もご機嫌だ。」

 

「けど、俺テストで集中出来ずにクラス最下位になっちまった。」

 

菅谷創介 総合338点 学年95位

 

でも、クラス最下位でも学年からすれば中位の成績。E組じゃなくていいんじゃないの?もう。

まぁ、殺せんせーのおかげだけど。

 

「えー、夏休みも気を抜かず………E組のようにならないように……。」

 

誰も笑わねぇし目を合わせねぇ……。

 

あれ?そういえば理事長は

「E組はE組でなければいけない。」

とか言ってなかったか?

………。なんらかかのアクションがありそうだな……。

 

自分達の教室に戻った俺達は、殺せんせーの今学期最後の話を聞いていた。

 

「さて夏休みですが、メインイベントがありますね。」

 

「ああ、賭けで奪ったコレのことね。」

 

そういいつつ、各自がパンフレットを開く。

 

「はい、本来はA組の特権ですが、君達だって十分な成績を出した。もらう権利は十分にある。椚ヶ丘中学夏期特別講習!沖縄リゾート二泊三日!」

 

「おぉぉ!」

 

--A組--

 

「ま、あんなしけた国内旅行くれてやるよ。」

 

「あれ毎年半分も参加してないらしいぜ。」

 

「余裕ない奴は勉強だし」

 

「余裕ある奴は海外旅行行くし。」

 

「俺の家ヨーロッパ一周旅行だぜ。」

 

負けた御英傑(笑)は負け惜しみを言っていた。

しかし、クラスのやつは納得いかず、

 

「皆が皆海外行けると思うなよ!」

 

「肝心な勝負に勝てないで何がご英傑(笑)だ!」

 

「勝ててるの浅野君一人じゃない!」

  

そんな騒ぎに冷たい一言がはいる。

 

「黙ってくれないかな。次に僕がリードを引くまで、おすわりして待っていろ。」

 

その言葉で騒ぎは一気に静まる。

 

「父より先に、まずE組。お前らから潰してやる!」

 

--E組--

 

「君たちの希望だと、触手破壊の権利はこの合宿中に使うんですね。

先生の苦手な水のフィールドで、触手七本のハンデでも満足せず、貪欲に、確実に命を狙う。

……正直に言います、君たちはこの1学期で、侮れない暗殺者になった。

一学期の経験を生かし、夏休みもたくさん学び、たくさん遊び、そしてたくさん殺しましょう!

基礎の一学期、これにて終了!これは君たちへのターゲットからの通知表です。」

 

教室いっぱいに二重丸が書かれた紙が舞った。

ターゲットからの嬉しい評価だ。

 

そして俺達はそれぞれ軽い足取りで帰宅する。



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訓練・買い物の時間

夏休みです。

休む日と書いて休日と○幡先生が言ってました。

 

……だが、俺達暗殺教室に休みなんてない。

この夏が勝負。

水と七本の触手。

これだけのフィールドを持っているこの時を逃す訳にはいかない。

 

夏休みに入ってクラスでしたことは、

まず暗殺計画。

こちらはかなりの出来。

だが、プランは一つ。

渾身の一発だ……。

本来殺し屋にはあってはならないところだが、この計画の他に可能性のある計画はできなかった。

個人個人にやることがある。

島での暗殺実行までにそれぞれ必要なリハーサルやトレーニングをつむことになっている。

 

それからもう一つ。

 

今日、殺し屋ロヴロに来てもらい、暗殺訓練を積む。

 

まずは、俺達が立案した計画を見てもらった。

 

「ふむ、先に約束の七本の触手を破壊し、間髪入れずクラスでの一斉攻撃で奴を仕留める。それは分かるが、この一番最初の精神攻撃とは一体なんだ?」

 

あー、それね。殺せんせー知らなかったらよくわからないよね。

ロヴロの質問に渚が答えた。

 

「まず動揺させて動きを鈍らせるんです。」

 

続いて前原が、

 

「この前、殺せんせー、エロ本拾い読みしてたんすよ。「クラスの皆には絶対内緒ですよ!」ってアイス一本配られたけど………今どきアイス一本で口止め出来る訳ねーだろ!」

 

「クラス全員でさんざんにいびってやるぜ!」

 

寺坂組も殺る気十分で良かったぜ。

 

「他にもゆするネタはいくつか確保してますから、まずはこれを使って追い込みます。」

 

「残酷な暗殺法だ。」

 

「だろうな、本来殺し屋には絶対にないプランだろーよ……。」

 

苦笑いしていたロヴロが急に真顔になって、

 

「肝心なのはとどめを刺す最後の射撃。正確なタイミングと精密な狙いが必要不可欠だが。」

 

「不安か?このクラスの射撃能力は?」

 

しかしロヴロは、

 

「いいや。逆だ。………特にあの三人は素晴らしい。」

 

「千葉龍之介……あいつは空間能力に長けている。

遠距離射撃で並ぶもののないスナイパー……。

 

速水凜香……手先正確さと動体視力のバランスがよく、動く敵を仕留めることができるソルジャー。

 

そして坂上拓実は、常に戦闘で銃を使ってるだけあって流石だ。どちらかというと、速水と同じソルジャーだ。」

 

「坂上拓実はともかく、あとの二人はどちらも主張が強い性格ではなく、結果で語る仕事人タイプだ。

……俺の教え子に欲しい位だ。他のものも良いレベルに纏まっている。短期間でよく見出し、育てたものだ。

彼等なら十分に可能性がある。」

 

そりゃ、鳥間先生だからな。

 

でもロヴロもほんと凄腕……。

 

岡野も竹林も、ひとつのアドバイスでかなり安定した…!

 

「拓実、少しいいか。」

 

「クリム…!どした?」

 

「拓実はこの間、デットヒートをバースト状態で使用できたが……長時間行けそうか?」

 

クリムの質問に、「余裕。」と言いたいが、

 

「正直長くは使えないと思うな。

こないだもギリギリだったしな……。」

 

「やはりそうか……。

ならば、極力使わないようにしてくれ。」

 

ま、そりゃそーか。

たった一戦で限界きちゃあ連続戦闘になったとききついからな。

 

と、考えていると

 

「ね!拓実君!」

 

振り返ると、桃花と有希子。

 

「どったの?」

 

「訓練終わったら、旅行にいるもの買いに行かない?」

 

あ〜そーいや、ちょこちょこ足りてないな。

 

「いいよ、俺も買うものあるし。」

 

--デパート--

 

いや、そーね。

買うものは違う。順番に回る。

あってます。間違ってません。

 

でもさぁ、あの、ちょ、

 

「外で待ってていい?」

 

「「ダメ(だよ)」」

 

ですよね。

現在、水着売り場にいます。坂上です。

 

「ん、ん〜ちょっと小さいかな……。」

 

やめて!桃花やめて!有希子の目が笑ってないから!

 

「どっちの方がいいと思う?」

 

「俺に聞く!?ん〜……こっち…かな?」

 

「私のは?」

 

「いや、自分で決めようよ……。ん〜こっちで。」

 

「じゃあ試着しよっか。」

 

はぁ!?

 

……いや、着るだけだよな、

そう、必要必要。

俺が見るなんて勝手に考えちゃだめだ……。

 

……でもだ。二人いっぺんに入らないで!痛い!周りからの視線が痛……

なんか、違う視線が……

 

バッと振り向くとそこには

 

「カルマ…!中村…!」

 

俺が気づくと瞬時に逃げ出す二人。

あいつら……覚えてろ……!

 

「ねぇ、拓実!」

 

やっと終わったか……と振り向くと、

 

「……どうかな……?」

 

ブハァ!

 

そこには衝撃的な……なんといいますか……はい、でかいです。

 

だが、それと合わせるかのような少し赤くなった顔での上目遣い………!

これは……!

 

「お、おう……すげぇ…可愛い……」

 

「あ、ありがと……」

 

と、少し目を奪われてると、隣から

 

「あ、あの…私のは…どうかな…?」

 

隣から有希子が……うぉ!?

桃花とはちがうなんだか大人な……!

 

足とか細……きれい……!

これはほんとにやばい…!

なんか目覚めそう…!

 

「お、おう…可愛いというか、美しい……」

 

「そ、そうかな…」

 

その後少しギクシャクしながら水着を購入。

他の必要な物も買って、帰っていた。

 

途中桃花は別の道だったので別れ、

今は有希子と帰っている。

 

「………ねぇ、拓実君。」

 

「ん?どした?」

 

「ちょっと、寄っていい?」

 

?を浮かべていると、有希子は小さな公園へ。

日も沈みもう星が出ている。

 

しばらく有希子は無言でいたが、ふいに話し始めた。

 

「拓実君。私ね、好き…だったの。拓実君が。」

 

………………は?

いやいやいや、ちょっと急過ぎねぇ!?

 

「修学旅行の時……助けに来てくれただけじゃなく、私が隠してた一面を知っても「新しい一面を見れて嬉しい」って言ってくれた拓実が好きなの。」

 

「…あ……うぇ…え?…」

 

俺が混乱していると「でも、」とつけ足し、

 

「私よりもっと、桃花ちゃんは拓実君の事、好きなんだよ。」

 

えぇ!?…なんだそれは…。

 

「拓実君がロイミュードにやられてる時も、倒れた時も、涙目で、心配して、拝むようにしてる桃花ちゃんを見てきたから…」

 

倒れた時……デットヒートの暴走の時か……。

 

「だからね、私は……降りる。勝手に話進めてなんだーって思うかもしれないけど、私の気持ちだけは、知っておいてほしくて。」

 

そういう有希子だが、目には涙が溜まってきている。

 

「………泣くぐらいなら…」

 

「ダメだよ…。………拓実君にも、桃花ちゃんにも幸せになって欲しい。あそこまで大切に思ってる人がいるってこと、忘れないで。」

 

ふいに頬に柔らかい感触が当たった。

 

「もちろん私もね。」

 

頬に…キス…された?

 

「じゃ、暗殺。成功させようね。」

 

「………」

 

俺が返事できないまま有希子は帰っていった。

 

 

--------------------------------------

 

「………拓実はまだ調整室にこもっているのかね?」

 

「そーなのよ、ご飯だー!っていっても返事しないし…」

 

 

 

--調整室--

 

「はぁ……はぁ……はぁ…!」

 

その日はめちゃくちゃに体を動かした。

心のモヤモヤが取れない。

 

なにがあったかもよくわからない。

 

一度、考えよう…。

 

桃花も好き?

いや、ありえない。

 

そんなのはまやかしだ。勘違いしてるだけだけだ。

 

どこかで目を覚ますだろう。

 

 

そう、自分に言い聞かせた。



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暗殺の時間

島へ出発当日

 

こんにちは。坂上です。

寝れませんでした。

 

有希子に言われたことや島が楽しみすぎて寝れませんでした。

 

まるで小学校の遠足です。

 

「にゅ、にゅゃぁぁぁぁ………」

 

相変わらず殺せんせーは乗り物に弱いようだ。

すかさず倉橋が

 

「見て見て殺せんせー!」

 

と言いつつナイフで一回切るが、殺せんせーはシュバっと避け、まだダレる。

 

だが、そんなことはみんな気にしない。

なぜなら目の前には、テストという戦いで勝ち取った……!

 

「「島だ!!!」」

 

島があるからだ。

 

----------------------------------

 

「ようこそいらっしゃいました。サービスのトロピカルジュースです。」

 

「お、おぉ……!これは……!」

 

俺がいつか飲んでみたいと夢にも思ったトロピカルなジュース……!

 

………うまい!!

 

「初めて飲んだよ〜!」

 

「うっめーな!!」

 

みんながそれぞれ味わう。

 

だが、ゆっくりはしてられない。

俺達は当初の予定通り、修学旅行の班で別れ、殺せんせーの注意を引きながら、

暗殺のための準備に取り掛かる。

 

俺は修学旅行の班でどこにも所属していないので、クリムと共にサポートを行うことになった。

 

島ではクリムの専用台座は持ってこれないので俺の腰か、鳥間先生の腰に巻きつかれての移動となる。

 

「しかしなかなかいいところだね?」

 

「まー、沖縄だからな。青い空!白い雲に透き通る水!悪いところなんてないだろ。」 

 

「それでも、ちゃんと覚えているかね?」

 

クリムが念を押してきた。

そう、俺が今日出発する前、姉ちゃんに気になることを言われた。

 

「あの島、普通にしてたら多分大丈夫だけど、気おつけてね。嫌な話も聞くから。」

 

聞くところ、薬とか未成年の酒タバコとか、黙っているホテルがあるとか。

警察もうかつに入れないらしい。

だが、行かなければ問題はないようなのでおそらく大丈夫だろう。

 

と歩いていると、ビッチ先生が。

水着姿でボーゼンとしてる。

 

「どうしたんですか?ビッチ先生?」

 

「な、なんで誰も他の客がいないのよ!!」 

 

「そりゃそーでしょ。これから国家機密の暗殺があるってのに。」

 

そこに鳥間先生がやってきた。

 

「坂上君の言うとおりだ。この辺り一体は貸し切りにしてもらった。」

 

キッー!!とビッチ先生は叫んですぐさま鳥間先生に色気を出すが、

鳥間先生はそのままビッチ先生を担いで海に投げ入れた。

 

「なにするのよ!鳥間!!」

 

怒るビッチ先生に鳥間先生は真剣な顔で、

 

「……イリーナ、クリム、坂上君……今回の暗殺についてどう思う。」

 

「……あれだけ複雑な暗殺だと、必ず綻びが出るわ。私はね、ただ遊んでるだけじゃないの。

本気でおこぼれを狙っているわ。」

 

「そうだね。今までにない大掛かりな暗殺。いくら殺せんせーでも楽ではないだろう。」

 

仕事モードにはいったビッチ先生とクリムは言う。

 

「……今回は七本の触手に加えて水のフィールド…。皆今回の暗殺計画に自信を持っている。でも渾身の一発……。もし今回ミスがあったりして不発に終わると、そうとうダメージがあるかもしれない。」

 

俺も思ったことを言う。

鳥間先生はそれ以上なにも言わなかったが、なにか遠い目をしているようにも思えた。

 

ここにいる誰一人、成功の確率を低く見ている。

あの超生物の事だ。まだ奥の手があるに違いない。

 

だが可能性はゼロではない。

奥の手がないかもしれない。

今やれるだけのことはやってみるのみだ。

 

そして夜。暗殺開始前のした準備。

 

ディナー…!(イケボ)

 

「いやぁ、遊んだ遊んだ」

 

「黒いわ!」

 

日にずっと当たっていたせいか、黒。

黒っぽいとかではなく。黒。

真っ黒。

 

「表情まで読み取れないよ。」

 

桃花も横でつぶやく。

……ん?……!!

俺は計画にはなかったことを思いつき、片岡を小声で呼ぶ。

 

「どしたの?」

 

「ちょっと……」

 

聞こえないよう片岡に片岡の耳に、いわいるこそこそ話をして思いついた内容を伝える。

片岡はにやっと笑って「任せて」といって殺せんせーの元へ。

 

「……………っ…」

 

………ちょっと、なんで睨むの桃花……。

 

「では殺せんせー、夕飯はこの船上レストランで。さあ、夜の海をゆっくり楽しみましょう。」

 

と磯貝が言うと、

 

「なるほど。先生を船に酔わせて戦力を削ぐ作戦ですか。」

 

そう、暗殺はもう始まっている。

暗殺者の顔が割れており、暗殺されることを知っている相手だからこそできることである。

 

「当たり前です...暗殺の基本ですから。」

 

「実に正しい。でも大丈夫。暗殺前に気合の入った先生に船酔いなど恐れるに…」

 

「「「黒すぎるわ!」」」

 

おそらく縞々模様で言っているだろうが俺達には全くわからないのでみんなで叫んだ。

 

「そんなに黒いですか。」

 

自覚ないのか!?

ここで片岡がさらに押す。

 

「なんとかしてよ……。前も後ろも分かんないよ。」

 

そしてやっぱりというべきか、

 

「でも大丈夫。先生には脱皮があります。」

 

脱皮をした。

 

「本来はヤバイ時の奥の手ですが、こういう使い方…」

 

どしよ……笑いが……こらえ…ププッ

 

「ばっかでー……暗殺前に自分で戦力減らしてやんの。」

 

「どうしてこんなドジ未だに殺せないんだろう。」

 

先生は赤くなって顔を抑えている。

俺と片岡はうまく行き過ぎた結果にハイタッチ……

 

ちょっと……なんで睨むの桃花……。

 

そして完全に酔いきった殺せんせーを暗殺会場へ。

 

「さあメシの後はいよいよ暗殺だ。会場はこちらですぜ。」

 

「この船上パーティールーム。逃げ場はありませんよ。」

 

「さあ席に着けよ殺せんせー、まずは映画鑑賞から始めようぜ。」

 

このクラスの最高傑作とも言える暗殺計画……存分に味わってくれや

 

「まずは、三村が編集した動画を楽しんでもらい、その後テストで一位を取った七人が触手を破壊。そして一斉に暗殺をする…それでいいですね?」

 

「ええ、上等です。ドンと来なさい。」

 

「じゃあ映画鑑賞から。セッティングありがとな!三村!岡島!」

 

俺の礼に苦笑いしながら

 

「ああ、皆が飯食ってる間もずっと作業してたさ。」

 

殺せんせーsid

 

このチャペルの壁には対先生物質が塗られている可能性が高い……。

この中で避けきるしかないですねぇ。

 

「遠慮はいりません。皆さん、本気の暗殺期待しています」

 

「言われなくても、始めるぜ。殺せんせー。」

 

タイトルは……

 

「三年E組が送る 〜とある教師の生態〜」

 

にゅ?私の生態?

……おっと、後ろの小屋で生徒達がしきりにが出入りしていますねぇ。位置と人数を明確にしないためでしょう。

しかし甘い。千葉くんと速水さんの匂いがここにありません。二人のかすかな匂いが陸の方からする。

それさえ注意していれば大丈夫ですね。

 

しかしこの動画よく出来ている。編集とナレーションは三村君ですか。いいセンスです。

 

にゅ?

 

「まずはこの映像をご覧頂こう。我々の担任の恥ずべき姿を。」

 

カブトムシに擬態しエロ本を読む生物……。なんですかこんなことを生徒の前でするものは………って、

 

「にゅやあああ!」

 

「お判り頂けだだろうか。これが我々の担任である。教師にあるまじき姿だ。」

 

「ちょ岡島君達。皆に言うなとあれほど!」

 

「お次はこれである。女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影。誰あろう奴である。

女装以前に人間じゃないとバレなかっただけ奇跡である。」

 

な、なんでこんなものが!

なぜ知っているのですか!?

 

「給料日前にはティッシュ配りに分身を作って並ぶ。

そんなにもらってどうするんだと思いきや、唐揚げにして食べだした。奴に教師としての、いや生物としての尊厳はあるのだろうか。

後一時間、奴の恥ずかしい映像をたっぷりお見せしよう。」

 

「後一時間も!?」

 

--一時間後--

 

「死にました……。もう死にました……。先生、あんなの知られてもう生きていけません…。」

 

「さて、秘蔵映像にお付き合い頂いたが、何か気付かないだろうか殺せんせー?」

 

にゅ?暗殺で七本の触手をもってかれ………

 

「にゅや!」

 

浸し!?

誰も水の流す気配などなかったのに……!!

まさか満潮!?

 

「誰かが小屋の支柱でも短くしたんだろ。」

 

!?

 

「船に酔って、恥ずかしい思いして、海水吸って、だいぶ動きが鈍ってきたよね殺せんせー。」

 

「さあ本番だ。約束だ。避けるなよ。」

 

やりますね。しかし狙撃手のいる窓の方向、そこさえ注意すれば……!

 

九人が同時に触手を撃つ。

 

にゅゃぁぁぁぁ………

 

バキバキバキバキ!

 

チャペルが崩れた!?

なぜ!?

 

バシャァァ!

 

水中からフライボードが!?

皆さんフライボート操れるんですか!?

 

「す、水圧の檻!」

 

えっと、えっと!どうしましょ!

こーゆーときは…!!えっと!

 

バン!

 

り、律さん!?

なんで水中から!?

 

「射撃を開始します。範囲 殺せんせーの周囲一m」

 

え、え!?当てないんですか!?

……っ!!

逃げ道が……!!!

 

ブゥン!!

 

!!??

 

「殺せんせー……いくぜ!」 

 

「坂上君……!」

 

変身済み〜!!??

 

坂上君はゼンリンシューターを器用に使い、速さで攻めてくる…!!

 

にしても狭い…!

今は避けきれて…!

 

「はぁ!おりゃ!」

 

ばしゅ!ばしゅ!

 

「にゅ!」

 

ゼンリンシューターを弾こうとした触手を見切って切った……!?

 

「俺だってマッハで動けるんだ!こんな狭いところで存分にスピード出せない触手は……見える!」

 

〚必殺!ゼンリン!フルスロットル!シューター!〛

 

「はぁぁぁぁぁぁぁあ!」  

 

これは……!まずい!なんしてでも避けなけれ……はっ!!

 

後ろに気配がしてとっさに後ろを向いたが……もう目の前に二発の球が……

 

これは……もう…まずい!!

 

よくぞ………ここまで……!!

 

拓実sid

 

俺の陽動に気を取られていた殺せんせーはとどめの二人……

 

水中に隠れていた千葉速水コンビについていけていなかった。

 

もらった…!!

 

そう、思った瞬間。

 

殺せんせーの周りにものすごい光が……!

 

そして、衝撃波のようなものが起き、周りにいた生徒はふっとばされた。

 

今までとは違うやっという手応え……

 

しかし、千葉速水コンビと俺には何が起きたか見えてしまっていた。

 

水中から浮かんできた殺せんせーは玉にこもっており、

 

完全防御形態というらしい。

 

やられた。やはり持っていたか…奥の手……。

 

--ホテル--

 

「しかし疲れた、もう何もする気力ねー。」

 

「んだよてめーら。一回外したくらいで。これだけ頑張ればもう十分だ。明日はゆっくり遊ぼうぜ。」

 

「そうそう、明日こそ水着ギャルをじっくり見るんだ。」

 

……でも確かに、ちょっとだらけ過ぎな気もする……。

 

「渚君、ちょっと肩を貸してくれんかね。」

 

「中村さん!すごい熱。」

 

「どうした?」

 

渚が騒いでいたので少し様子を見に行く。

 

「部屋に戻って着替えたいんだけど、ちっとも体が動かなくて。」

 

中村……?

 

「ヤバイ、想像しただけで鼻血が…」

 

「岡島!?」

 

中村、岡島を筆頭にクラスの約半分ほどの人が倒れた。

 

その騒ぎに鳥間先生が駆けつけるが、鳥間先生の携帯が鳴った。

 

非通知か。

 

「やあ先生。可愛い生徒が苦しそうだねえ。」

 

「これは貴様の仕業か!」

 

「賞金首を狙っているのはガキ共だけじゃないってことさ。察しが良い。人工的に作り出したウイルスだ……。

一週間で死に至る。

治療薬も一種しかないオリジナルでねぇ。あいにく手持ちもこちらにしかない。

直接取りに来てくれないか?

この島の山頂にホテルがある。

手土産はそこの賞金首だ。

今から一時間以内に最上階までもってこい。

だが烏間先生、あんたは腕が立ちそうだ。動ける生徒の中で背の小さい男女二人に持って来させろ。

外部と連絡を取ったり少しでも遅れたら……治療薬は破壊する。」

 

「…………。」

 

「礼を言うよ。よくぞそいつを行動不能まで追い込んだ。」

 

「くそっ!」

 

鳥間先生が殺せんせーの玉を机に叩きつけた。

 

「烏間さんダメです。政府としていくらあのホテルに電話を繰り返しても、プライバシー保護を繰り返すだけで…。」

 

「姉ちゃんから聞いた。あのホテルは警察からもマークて、伏魔島と呼バレてるらしい。政財界やマフィアの大物、政府のおえらいさんとかも出入りしているから警察も迂闊に手を出せない。」

 

これが……姉ちゃんの言ってた……

 

「拓実、まさか向こうから来るとは予想外だった……。すまない。」

 

「クリムのせいじゃねぇ。俺だって絶対大丈夫だって、思い込んでた。」

 

慌てた吉田が叫び出す。

 

「どーすんだよ、このままじゃ皆死んじまう!」

 

「そーそ落ち着いて吉田君、そう簡単に死なないからさ。」

 

「すまねえ原。」  

 

寺坂が、

 

「んだよお前ら、今すぐ都会の大病院に連れて行けば良いだろうが。そこで治せば良いんだよ!」

 

そんな意見に竹林が、

 

「賛成しないな。それが本当のウイルスだった時、どんな病院にも治療薬はない。

その時のリスクが高すぎるよ。

取り敢えず応急処置はしとくから、取引に行った方が…。」

 

それぞれの意見をぶつけ合うが、これといった解決策が見当たらない……。

 

こうなったらいっそ、俺が…俺のせいなんだ。

罪滅ぼしは自分の手で!

 

「待ってください。坂上くん。

皆さん、私に考えがあります。動ける人は全員動きやすい服装で来て下さい。良い作戦かは分かりませんが、大人しく取引に応じるよりは良いでしょう。」

 

俺達は防衛省の車に乗って崖に来た。

 

「私の考えは、ここから侵入し、最上階まで向かいます。そこで黒幕に奇襲をかけ、治療薬を奪還します。」

 

「これは……ちょっと……。」

 

「そもそもこの崖よ、その前に転落死よ。」

 

「危険すぎる、やはり二人に……」

 

鳥間先生はみんなが立っていた方を見るが、

そこには誰もいなかった。

 

「いやま、崖登るくらいなら楽勝だけど、未知の場所で、未知の敵と戦う訓練はしてないから、烏間先生、難しいけど、指揮、お願いしますよ。」

 

「落とし前、きっちりつけてやる。」

 

「鳥間先生。貴方のもとには十六人の特殊部隊がいる。どうしますか?」

 

鳥間先生はしばらく考え、

 

「全員注目!」

 

「隠密潜入から奇襲への連続ミッション!違うのはターゲットのみ。作戦開始は○○○○!マップを三分で叩き込め!」

 

「「「了解(おう)!」」」



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ガスと素手の時間

 

 

十六人の中学生と、三人の教師は崖を登っていた。

 

もっとも、教師の内一名は鳥間先生におぶってもらい、一匹は行動不能なのだが。

 

「ほっ、ほっ、ほっ!みんな〜置いてくよ〜」

 

「流石は岡野だな。こーゆーのやらせると右に出るものはいない。」

 

「元体操部だしね。」

 

E組にはそれぞれの特徴を行かす場面が必ずある。

野球で戦える杉野。

射撃がすごい千葉と速水。

体操部でアクロバットな動きができる岡野。

アートが好きな菅谷。

…暗殺の才能がある渚…。

 

E組にいる全員に特技があり、長所がある。

 

だからこそ、俺の仲間をあんな目に合わした黒幕が許せない。

 

俺のせいだというのはわかっている。

最悪……俺が…この手で。

誰かが汚れ仕事をするのならば、それは俺だ。

 

「はぁ………はぁ……」

 

体もだるくなってきた。

 

みんなが倒れた時、気づいていた。

 

俺もウイルスにかかっている事。

 

とにかく、今は悟られないようにしないと。

 

 

建物に入ってすぐ、俺達はいきなり最初の壁にぶちあたった。

俺達が使う階段にたどり着くためには扉のない部屋の前を横切らないといけない。

だが、その部屋には大量のSPみたいなのがいる。

この人数で通ろうものなら見つかってしまうのがオチだ。

 

どうしようかと考えていると、

 

「何よ……普通に通ればいいじゃない」

 

…………。

 

「お前、バカなの?死ぬの?」

 

「やかましい!!……だから、普通によ。」

 

そう言っておいてあったワインを片手に……あぁ、そういうこと。

 

みんなはまだわかってないようだが、俺とクリム、鳥間先生と殺せんせーはわかったよう。

 

ワインをもったビッチ先生はフラフラとしながら部屋に入っていった。

 

そして、一人のSPにぶつかった。

 

「……ごめんなさい、部屋のお酒で酔ってしまって……︎」

 

SPは顔を真っ赤に……えろえろな目線を送りつつ「お、お気になさらず…」言った。

 

ビッチ先生は続けて

 

「来週そこでピアノを弾かせていただく者よ。ピアノの調律をチェックさせてもらっていいかしら……?」

 

「なら……フロントに確認を」

 

「私のことをよく審査して?ダメなところがあったら叱ってください……♥︎」

 

………なんだろう。

普段のビッチ先生を見てるからか……複雑な気分だ。

 

ビッチ先生がピアノを引き出すと、俺達は目を奪われた。

 

ずげぇ………幻想即興曲……!

こんな完璧に……!

 

「めちゃくちゃ………上手い」

 

俺達だけでなく、SPも全員目を奪われていた。

 

「……そんな遠くで見てないで、もっと近くに……来て?︎」

 

そんな発言と同時に、

 

【20分稼いであげる。行きなさい】

 

と、サイン。

 

普段あんな先生だけど、やっぱりハニートラップの殺し屋なんだなと改めて実感したE組でした。

 

「……さて、入り口のチェックを抜けた今、こっからは客のフリをすることができる」

 

「客?こんな俺らみたいな奴らが泊まるんですか?」

 

まぁ、普通の奴らではないけどな。

 

「あれだろ?金持ちの坊ちゃんとかちやほやされてるやつは、酒やドラッグをやって俺かっこいいとか思い込んでるやつが多いんだろ。」

 

「ああ、中学生の団体客も少なくないらしい。」

 

確かに、ここの客もトラブルを避けたいのか出会ってもなにもないな。

 

ほら、また前からおっさんが。

 

………!!!違う、あいつは…!!

 

「ヘッ!はいっちまえば楽勝じゃねぇか!早く進もーぜ!」

 

寺坂!!バカか!!………忘れてたバカだったー!!

 

とっさに止めようと思ったとき、

 

「寺坂君!!そいつ危ない!」

 

不破さんが叫んだ。その声に反応して

鳥間先生が人間とは思えない速さで寺坂と吉田の元に行き、後ろに投げ飛ばした。

 

そしてそいつはなにかガスをだした。

 

「殺気を見せずにすれ違い様殺る。俺のおはこだったんだが、なんでわかったんだ?オカッパちゃん」

 

「……だっておじさん、最初にサービスドリンク配った人でしょ?」

 

おぉ、俺の他にも気づいたやつがいたとは……!

やっぱりE組は面白いやつが多いな。

 

「断定するには証拠が弱いぜ…ドリンクじゃなくても、ウイルスを盛る機会はたくさんあるだろう?」

 

こいつ……バガだ。

 

「………なぁ、俺達まだドリンク配ったとしか言ってないんだけど、

ウイルス盛られた〜なんて言ってないんだけど。

な〜んで知ってるのかなぁ〜?」 

 

「………………あ。」

 

バガだ……。

 

「…………ま、まぁもう手遅れだ。」

 

「……は?」

 

その瞬間、ドサッと鳥間先生が倒れた。

 

「鳥間先生!!」

 

「毒物使い、ですか。しかも実用性に優れている。」

 

「俺の室内用麻酔ガスだ。さて、お前らに取引の意思が無いことはよ〜くわかった、交渉決裂。ボスに報告するか………」

 

だが遅い。

俺達だって、この半年遊んできたわけではない。

 

「なっ……」

 

出口は俺達でもう塞いである。

あとは……

 

俺がマッハドライバーを出そうとした瞬間、

 

「いかんよ、拓実。人にそれを使っては。」

 

「クリム……綺麗事言ってる場合じゃない。殺らなきゃ殺られる。そういう状況だろ……。」

 

俺がマッハの力を使わなかったらただの中学生だ……。

 

生身で戦闘能力があるわけじゃない。

 

俺とクリムが話してる最中、おっさんは今がチャンスと俺達に向かってくる。

 

だが、おっさんの後ろには怪物がいることを忘れるなよ!

 

「お前は……我々を見た瞬間攻撃せずに報告しに帰るべきだったな……」

 

「なっ………だが……」

 

そう言いかけたが、高速回し蹴りを食らって気を失った。

 

ガムテープでぐるぐる巻にしてテーブルの下に隠す。

 

律の案内で進んでいくと、ガラスの前に立つ一人の男性……。

 

「流石にもうわかるわ……。ありゃ殺る側の人間だ。」  

 

隠れていたがすぐにバレ、全員出ることに。

 

「素手……。それがあなたの暗殺道具ですか……!」

 

「こう見えて需要あるぬ。身体検査に引っかからない点は大きいぬ。」

 

「だが、」と、付け足し、

 

「………がっかりだぬ、お主らがそんなザマでは殺し合いもできないぬ。大方、スモッグのガスにやられたぬ?

ボスと仲間を呼んで皆殺しだぬ」

 

ヒュン……ガシャァァァァァン!

 

カルマ……カルマが……グリップの持ってた電話を鉢植えを持ってガラスに叩きつけやがった……!

 

「ねぇおじさんぬ、意外とプロって普通なんだね、ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ?

っていうか速攻仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るの怖い人?」

 

「よせ!無謀だ……!」

 

「ストップです鳥間先生、カルマ君のアゴが引けている。」

 

そう言われて気づいた。

確かに今までのカルマなら余裕をひけらかして顎を突き出し相手を見下していた……。

 

そして、カルマとグリップの戦いが始まった。

 

始まった瞬間、鉢植えを殴りつけようとしたが、グリップに受け止められ

 

グジャ!

 

「柔いぬ、もっといい武器を探すべきだぬ」

 

「必要ないねぇ。」

 

そしてグリップが突っ込んでに来た。

 

が、当らなかった。

 

グリップが連続で仕掛けているが、カルマは見切ってすべて避けるか弾いている。

これは……

 

「鳥間先生の防御テクニック……!」

 

「そのようですね、目で盗んでいましたね、彼は。」

 

それは簡単なことじゃない。

 

「どうした。攻撃しなければ永久ににここを抜けられぬぞ」

 

「どうかな〜?俺が戦ってる内にみんながちょっとづつ抜けてくって手もあるんだけど〜………安心しなよ、今度は俺から行くからさ。あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着つけるよ。」

 

そして、カルマから仕掛けた。

グリップも仕掛けるがまた躱す。仕掛ける。

 

すげぇ……。

 

そして、膝に一撃入った。

 

「ぬ……」

 

……なんか殺せんせーみたい。

殺せんせーは「にゅ」だけど。  

 

痛かったのか足を抑えて背中を見せた。

「チャンス」と、トドメに入ったが……

 

ブシュー!

 

ガス!?

 

「俺は一度も素手だけと言ってないぬ、至近距離のガス噴射、予期してなければ絶対に防げ………ぬ?」

 

残念だねぇ、グリップのおっさん。

相手が悪かったよ。

いたずらやだまし討ならそいつは天才だよ。

 

「奇遇だね、2人とも同じこと考えてた。」

 

よくわからなくなったグリップは最後の力でナイフで刺そうとする。

カルマは避けて固め技に入った。

 

「ほら寺坂、早く、ガムテープと人数使わないとこんな化物なんかに勝てないってれ」

 

「ハッ!」と笑って、

 

「テメェと素手のタイマン約束とか、もっとないわな。」

 

 

 

「俺のガス攻撃……。読んでいたから吸わなかったぬ…。何故ぬ!」

 

「とーぜんっしょ、素手以外の全てを警戒してたよ。あんたが素手の戦いをしたかったのは本当かもしれないけど、あんたのプロ意識を信じたんだ、信じたから警戒してた。」

 

「大した奴だぬ、少年戦士よ、負けはしたが、楽しい時間を過ごせたぬ」

 

「え、何言ってんの?楽しい時間はこれからじゃーん」

 

その夜、辛いぬの苦いぬ叫び声が響いたとか。

 

合掌……礼拝……。

 

 

 

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「そうだ……こい……拓実……。

感動の再開といこうじゃないか……

クリムもまだあんな姿なのか……。笑えるな。」

 

律が細工をして見えないはずのカメラから俺たちを見ているやつがいたなんて、

 

そしてそいつが紫のシグナルバイクを持っているなんて

 

この時の俺は当然知らないでいた。




次回やっとマッハ変身します。


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無茶の時間

渚以外の男子は今、廊下の隅に隠れている。

進む扉が内からしかあかなかったので

女子がバーから侵入して開けてくれることになった。

 

女子だけでは不安なので渚が女装してつい行った。

俺はこの間に休憩をと思ったが、

 

「拓実、少しいいか?」

 

「………なに?」

 

腰につけていたクリムが言ってきた。

 

「単刀直入に言う。ウイルスにかかっているか?」

 

「………!」

 

「私は拓実の体調を管理している。だが、体温が異常に高い。」

 

こいつ…まじかよ。

だが、ここでリタイヤする訳にはいかない。

 

「……黙ってろよクリム。わかってるだろ?」

 

「本来は勧めたくない。このまま引き返してほしいのが本音なのだがね。」

 

こうなったのも俺とクリムの不注意ということがあるので気持ちは理解してくれている。

 

「……わかった。だが、もしマッハの力が必要になった時、デットヒートの使用を禁止する。」

 

……正直俺も使いたくねぇ。

ただえさえ体が熱いってのに。

 

「……わかった。」

 

「男子おまたせ〜。」

 

女子達が帰ってきた。

渚はさっさと着換えにいった。

とりあえず俺は桃花に

 

「大丈夫だったか?」 

 

「うん、途中男二人に近寄られたけ……」

 

「大丈夫だったのか!?」 

 

さっきより強く聞いてしまった…。

 

……あれ?なんでこんな熱くなってんだろ?

ウイルスか…?ウイルスのせいか。

 

「う、うん。大丈夫だったよ。これのおかげでね。」

 

そういって取り出したのがヤクザのバッチ。

 

なるほど。ビッチ先生の受け売りか。

ナイスです!ビッチ先生!!

 

俺たちは先に進む。

 

ん?寺坂の様子が……まさか寺坂!!

 

「大丈夫か?寺坂…」

 

「まさか、ウイルスに?」

 

寺坂の異変に気づいたのは俺だけでなく渚も。

 

「もし無理をしているのなら…」

 

クリムが警告しようとすると、

 

「うるせぇ…黙ってろよ…。

鳥間の野郎がああなったのも俺が飛び出しちまったせいだ……。

こんなところでリタイヤできるかよ…。」

 

寺坂………。

 

俺も同じ立場なのでこれ以上言うことはできなかった。

それを黙認しているクリムも。

 

「見張りは二人か……。」

 

「いいですか?皆さん。先生は今回のミッションで殺す事は認めません。

殺さずになんとかするには、寺坂君の武器など有効でしょう。」

 

殺せんせーがそういうと、みんなが寺坂を向く。

 

寺坂…そのカバンに一体なにが…!

 

「てめぇは透視能力でもあんのかよ……」

 

そういって出したのはスタンガン。

 

それ、お高いやつじゃないの!?

 

「タコに電気試そうと思って買っておいたんだよ。」

 

「買っといたって…高かったでしょう?」

 

「ん?あ、あぁ。臨時収入があったんだよ。」

 

片岡の質問に答えたが……そうか。

シロの時か。

金で釣られたな、こりゃ。

 

「おい、木村!あいつらここまでおびき出してくれ。」

 

「どうやって…。」

 

「じゃあ、こう言ってみ?」

 

カルマがいたずら全開で木村にこそっと耳打ち。

それを聞いて、見張りの前に立つ木村。

 

「……あんれぇ?脳みそ君がいないなぁ〜?こいつらは頭の中まで筋肉だしぃ〜?

……人の形してんじゃねーよ。豚肉どもが。」

 

「「…………。」」

 

一瞬の静寂。のち

 

「「マテやゴラァ!」」  

 

そりゃ、怒るわ!

 

だが、男二人は木村に追いつかない。

木村が早すぎるのだ。

そして木村が俺たちのいる角を通り過ぎると、寺坂と吉田がタイミングよく飛び出し、首にスタンガンを浴びせた。

 

そして進もうとした時、入り口から一体のロイミュードが出てきた。

 

「ナンバーなし………。」

 

「拓実、もしかしたらここにナンバーなしを作ったなにかがいるかもしれない!」

 

ちらっと時計を見ると、あまり時間はない。

ここで全員止まるのはもったいない。

 

「殺せんせー。ここは俺がどうにかするから。先に行っといてよ。」

 

殺せんせーは少しだけ迷い、そして、

 

「……わかりました。ですか、クリム先生ともう一人、残ってください。

なにがあるかわかりませんから。」

 

もしかして殺せんせー……。

俺のウイルスに気づいて……?

 

「私残ります!」

 

桃花が手を上げた。

 

「では頼みます。拓実君、矢田さん。」

 

「任せ任せ!……変身!」

 

〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

俺とりあえず扉から離すため突っ込む。

ロイミュードと組み合い。

奥に転がる形で扉から離れた。

 

そのスキにE組御一行が、中には行っていく。

 

「追跡!撲滅!いずれも〜マッハ!

仮面ライダー………マッッッハ!」

 

「グルルル……」

 

ゼンリンシューターを構えて斬りかかる。

だが、簡単に止められた。

そのまま振り払われ蹴りを一撃。

 

「のわっ!」

 

そしてそのまま四、五発ほど殴られた。

それだけで俺はざっと十メートルほど飛ばされた。

 

「はぁ………はぁ……っく…。」

  

やばい…ウイルスのせいでうまく戦えない上にナンバーなしってことは強化された方……。

 

「拓実……大丈夫!?」

 

「やはり無理か……。」

 

その時、扉の中から一発の銃声。

間を開けてもう一発。

 

「な、なに?なんで銃声……?」

 

考えるのはやめた!

俺はデットヒートを構える。

 

「!?やめたまえ!デットヒートは使わないと約束しただろ!」

 

「こんなところで殺られるわけにもいかねぇんだよ!数分で終わらせるから!」

 

〚シグナルバイク、シフトカー!ライダー!デッートヒート!〛

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

時間はかけられない。一気に決める。

そう言い聞かせて構え直す。

ちょっと踏ん張ればいい。

 

「……はぁ!おりゃ!」

 

ゼンリンシューターで相手の攻撃を弾き、相手の右肩から一気に振り落とす。

 

「グゥォ!」

 

相手の体から火花が散る。

気にせずにさらに振り上げた。

 

「はぁ…はぁ…らぁ!!」

 

ロイミュードが怯んだので蹴りを入れた。

 

「でい!……はぁ…はぁ……」

 

ロイミュードも流石に耐えられなくなり、床に倒れた。

 

今この瞬間を逃す訳にはいかない!

 

〚必殺!フルスロットル!デッートヒート!〛

 

「はぁぁぁぁぁあ………うぉりゃぁぁぁぁぁ!!」

 

ちょっとしんどいのでいつもより回転を少なくして、低空でぶち込む。

 

ロイミュードは爆発したが、それと同時に限界を迎え、変身解除。

意識はあるものの床に手をついた。

 

「……はぁ…はぁ……はぁ……」

 

「拓実君!捕まって!」

 

殺せんせー……あんたやっぱり見抜いていたな……。

 

「無茶しすぎだよぉ……。

なんでウイルスにやられてるのに……。」

 

パァン!

 

また銃声……!

今は急ぐほうが先だ。

 

「とりあえず今は言わないでもらえると助かるかな……。」

 

桃花も察したのかなにも言わなかった。

俺達が入ると、殺し屋の一人をぐるぐる巻にしたところだった。

 

最初に聞こえた銃声は速水と殺し屋。

最後は千葉。

どれも人には当たってはいなかったよう。

 

「安心したよ……。」

 

ほっとしていると、殺せんせーをもった鳥間先生が近づいてきた。

 

「すまない、坂上君…。

ウイルスに感染していたことは知らずに……。」

 

「あ、いえ、勝手に来ただけなので。」

 

おそらく次はボスだな。

と思いつつ部屋を出ようとした時、

俺は冷や汗が出た。



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父の時間

皆で先へ進もうとした時、何かの気配と、冷や汗が出た。

 

その気配は明らかに俺を狙っている。

このまま受けてしまえば肩を貸してくれている桃花にまで被害が及ぶ。

 

そう考えた俺はすぐに桃花を突き飛ばした。

 

「桃花!」

 

「きゃ!?……なにす……!?」

 

突き飛ばされた桃花は少し怒りかけたが怒れなかった。

その時すでに俺は、何者かの飛び蹴りを食らっていたからだ。

 

「ぐゎぁぁ!!!……あがっ!」

 

十メートル近く飛ばされ壁に激突し俺は、肺から空気が抜けたような感覚になった。

 

「拓実君!?大丈夫ですか!?」

 

「だ……大丈夫……殺せんせー……。」

 

とりあえず息をして蹴り飛ばした奴を見る。

 

そして……俺の中で時が止まった(ような感覚になった)。

 

「なん……で……!お前が…!!」

 

「どういうことかね!君は…!」

 

俺とクリムが動揺を抑えきれない。

 

E組のやつは何者かわかっていない。

それはそうだ。

俺を蹴り飛ばした奴の姿は

 

仮面ライダー。

 

金色に輝く体にタイヤ跡のようなものが

肩から斜めに入っている。

その名前を、

 

「ゴルドドライブ……蛮野天十郎!!」

 

俺がそう叫ぶと金色の仮面ライダー……ゴルドドライブは

 

「おいおい…実の父親を呼び捨てとは……そんな子に育てた覚えはないぞ。」

 

「そ、そうか…拓実の言ってた拓実のお父さんは……あの人か!」

 

「蛮野……君は以前チェイスと共に……」

 

クリムがそう言うと蛮野は一つのシグナルバイクを取り出した。

 

「それは……チェイスの……シグナルバイク……!なんで!お前が!」

 

「理解したろ?拓実。チェイス……プロトゼロは無駄死にした。」

 

 

-----------------------------------

〜約一年前〜

 

俺はあの時、チェイス…仲間の…いや、あの時は維持張って認めいなかったが

ロイミュードのナンバー000のチェイスと共に、蛮野天十郎ことゴルドドライブと戦っていた。

 

その時俺の体調は悪かった。

甘く見てた。

倒せると、

 

それで油断して圧倒的な強さに倒れてしまっていた。

チェイスもまた同じく、少し離れたところに倒れていた。

 

「くっ……」

 

「お前は私の恥じだ。醜く死ね!」

 

そういって蛮野はチェイスの専用武器、シンゴウアックスを構え、振り落とそうとした。

 

正直、諦めた。

 

だが、

 

「拓実!」

 

〚Break up〛

 

チェイスは普段は仮面ライダーチェイスとして戦っているがライダースーツが限界にきていたため、本来のロイミュード、魔進チェイサーに姿を変え、

俺をかばった。

 

「がぁぁぁ!…ぐわぁぁぁ!!」

 

容赦なくチェイスを切り、再び人間の姿に戻ったチェイスを抱えると、

それはもう、死にかけのように弱々しかった。

 

「なんで……なんでなんだよ!」

 

「これでいいんだ…拓実。大切なダチ守れた。それだけだ……。」

 

そして、急に目を開くと、俺を押しのけゴルドドライブにしがみついた。

 

そして、ロイミュードとしての体に限界がきて……

 

「や、やめろ…離せ……ぐ、ぐゎぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドォォォオン……ズガァァァァン!

 

「チェイスー!!」

 

000のナンバーが……割れた。

 

ゴルドドライブと共に散っていった。

 

 

---------------------------------------------

 

 

ありえない。あの爆発で跡形もなく散ったはずだ……。

 

そんな疑問を見透かしたかのように蛮野は

 

「クリム……。君の研究は実に役に立った。人間でありながらベルトに意識をコピーさせる。

その研究を私が知っていたからこそこうしてベルトに意識を写せた。

……だがね、君はそれまでしかしてない。私はある者と共にナンバーのないロイミュードを作り出すことに成功した。

その一体を使えばこうしてベルトでありながらもの姿として動くことができる。

ありがとうクリム。感謝するよ。」

 

その言葉にクリムは心底悔しそうな表情をしている。

 

……だが…そんなことより……。

 

「あいつの……チェイスの……俺の友達のシグナルバイクを返せ!」

 

「フン…返してほしけりゃ力ずくでこい。……もっともウイルスでやられたた上にデットヒートをバースト状態で使ったお前には無理だろうがな。」

 

あのロイミュードはこいつの差し金…!!

 

「くっ……」

 

〚シグナルバイク!ライダー!マッハ!〛

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

俺はがむしゃらに走り出した。

長期戦は望めない。

 

短期決戦で叩きかける。

 

「はっ!はぁ!!」

 

パンチはキックを放つが全く通らない。

弾かれる。

 

関係ない。

 

俺はしがみつき壁に押し付けた。

 

カチャ…

 

「記憶力のないやつだ。そもそもお前の体の不調が!プロトゼロを殺したのだと、もう忘れたのか!!」

 

ブチッ

頭の何かが切れた。

 

「だ………まっれ〜!!!!!」

 

横に押しのけ再び襲いかかる。

 

「はぁ!……おりゃぁあ!」

 

回転を、入れながら連続で叩こうとするがあっさり避けられた。

そして…

 

「はぁ!」

 

ゼンリンシューター持っていた手を蹴られ、落としてしまう。

 

「フン……はぁ!せぃ!!」

 

「がぁ!……ぐわ!!」

 

腹に、背中に足に……

連続でダメージを受けてしまった。

 

「はぁ!!」

 

すこし力の入った蹴りに倒れてしまった。

 

「ぐっ………うゎ…」

 

すぐに立ち上がろうとしたがウイルスの体力の限界に立てなかった……。

 

「これで終わりだ……拓実!!」

 

ゴルドドライブの強烈な蹴り上げは俺の肩に直撃。蹴り上げられそのまま後ろにに倒れていってしまう。

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁあ!…ぁぁ……」

 

俺は大馬鹿もんだ……

大切なもん、最後まで気づかないで、

失って気づいて……。

 

ゴルドドライブはみんなの方に歩いて行くのが倒れてながらも見えた。

 

----------------------------------------

 

「ダチとは心を通わせた仲だと解釈している。お前とはそうなれないのか。」

 

「お前はロイミュードなんだ慣れるわけあるか!」

 

-----------------------------------------

 

今度こそ……大切なもん……守らねぇと………!

 

 

桃花sid

 

私はもう、見てられなかった。

蛮野さんに向かっていく拓実、明らかに無茶してる拓実。

なのになにもできない私。

 

涙も止まらない……。

これじゃあ……だめだよ……。

 

有希ちゃんとの約束も……守れない…!

 

 

------------------------------

 

ウイルスの治療薬を奪うために出発する寸前、声がかけられた。

 

「あの…、矢田さん…。」

 

「奥田さん?どうしたの?」

 

「神崎さんが…話したいって……。」

 

そう言われて小走りで有希ちゃんのもとへ。

 

「有希ちゃん?どうしたの?」

 

「うん…あのね、約束…してくれないかな?」

 

「約束?」

 

「多分今回ね、拓実君、かなり自分のせいだって思ってると思うの。というかクリム先生と話してたの。

だから、絶対無茶をする。

無茶させないようにするのは無理だと思う。それが拓実君だから。」

 

確かに、拓実の性格なら……。

 

「だから、極力無茶させないように、もし無茶をしちゃっても、桃花ちゃんが支えてあげて?……お願い。」

 

「うん……分かった!まかせて!」

 

そして安心したように眠りについていった。

 

 

----------------------------------------

 

拓実と有希ちゃんと出かけた夜、有希ちゃんから電話があって、告白した、けど降りたこと。だからちゃんと向き合って。と、言われた。

あの時の有希ちゃん声、泣いた後のようにも感じた。

だから、その想いも無駄にしちゃいけない。ちゃんと支えないと…!

 

 

 

そう、思ったのに。

 

 

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁあ!…ぁぁ……」 

 

ついに倒れて動かなくなってしまった拓実。

 

嘘……でしょ?

 

「た、拓実!!」

 

「無駄だ。もう動く気力など残っていない。」

 

蛮野さんはもう歩いてきてる。

 

「てめぇ拓実!そんなもんなのか!さっさと倒しっちまえよ!!」

 

寺坂君がそう叫ぶけどピクリともしない。

 

「にゅ……まずいです…。」

 

殺せんせーまで……!

 

殺せんせーにまでそう言われて、みんなが

 

もう……ダメだ…!

 

そう思ったとき、寒気のような感覚が

ぞわっとした。そして、

 

「待てよ。」

 

蛮野さんがゆっくりと後ろを確認すると、そこにはゆっくりと立ち上がっているマッハ……拓実の姿が。

 

「バカな…もう動く気力すら残されていないはず……。」

 

「ふざけたこと言うな…俺の全身から溢れ出す、怒りの炎が見えねぇのか!」

 

怒りの炎…すなわち殺気。それはもうものすごく伝わる。

今まで拓実がここまでの殺気を見せることはなかった。

 

「蛮野…お前はいくつも許せないことをした…。俺の心を利用し、姉ちゃんを侮辱し、クリムの研究を悪用した!

……たがな、俺が一番許せねぇのは…俺のダチの命を奪い、再び手をかけようもしていることだ!!」

 

そついって拓実は黒のシグナルバイク…先程蛮野が持っていたものを構えた……え!?

 

「拓実…いつの間に…!……はっ!」

 

お、おそらく拓実が壁に押し付けたとき…なんかカチャ…って言った気がする…。あの時?

 

そして構えたチェイスさんのシグナルバイクを見て、

 

「…行くぜチェイス……一緒に戦ってくれ!」

 

そしてそのシグナルバイクを…使った。

 

〚シグナルバイク!ライダー!チェイサー〛

 

そこには胸部から上はマッハだが胸部から下は紫……おそらく仮面ライダーチェイサーと思われる姿になっていた。

 

「追跡!撲滅!いずれも…マッハ!仮面ライダーマッハ…タイプチェイサー!」

 

「なんだ、その姿は…そんな形状のマッハはありえない!」

 

拓実はそんな蛮野さんの言葉を無視して

 

ブゥン!……ブゥン!ブゥン!ブゥン!

 

〚ずっーと、チェイサー!〛

 

シフトアップ……そして、見えなかった。

早すぎて見えなかったが、一瞬でゼロ距離に接近、膝蹴りを入れた。

 

「はぁぁぁ…はぁ!はぁ!はぁぁ!」

 

そして怯んだところでそのスピードを維持したまま強打を放つ。

 

「ぐっ……この…はぁ!」

 

蛮野さんも金色のエネルギー弾を放つ、連発で。

たが、拓実はそのスピードで周囲を大きく移動しながらよける。

そして一瞬の隙を見つけて、

 

「はぁ!せい!」

 

「ぐっ……がぁ!」

 

それでもエネルギー弾を放つがまた加速して避けていく……。

 

「はぁぁぁぁぁぁあ!!……らぁ!」

 

そして連続パンチ。

漫画でしか見ないような残像まで見えてしまう。

 

その中でも蛮野さんの反撃を冷静に避けて、再び連続パンチ…。

 

最後は力を最大に込めて一発。

さすがの蛮野さんも壁に激突した。

 

 

「速い……」

 

思わずつぶやいた。

実際私達の目に見えていない。

見えているのはただエネルギー弾を無造作に放っている蛮野さん……。

 

多分今は殺せんせーにしか見えていない。

 

 

「ありえない……マッハの性能がゴルドドライブを上回るなど!!」

 

そして高速移動する拓実に金色のオーラを出した。

拓実は全くうごけない。

さらに蛮野さんの手にはゼンリンシューターと信号のついたオノ……多分シンゴウアックスだと思う。

 

ゼンリンシューターを構えると拓実に向かって撃った。

 

「ぐゎぁぁ!…くっ…」

 

動けなくするなんて!

どうしよう……私には何も……

 

そう考えたとき、私達の後ろから三台のミニカー。

銀色に輝いている。

 

シンゴウアックスを構えて振り下ろそうとした蛮野さんに襲いかかり、離れさすとマッハドライバーに入っていった。

 

一瞬銀色の翼が見えて、拘束から解き放たれた拓実は

 

「……返せ、それは俺たちの武器だ!」

 

横に薙ぎ払われたシンゴウアックスを腕と腰で挟むと、蛮野さんごと振り回し、奪い取る。

ゼンリンシューターをシンゴウアックスで受け止められ無理矢理奪った。

 

「はぁぁぁぁぁあ!」

 

シンゴウアックスで一撃、

 

「せいゃあ!!」

 

ゼンリンシューターのゼンリンでもう一撃。

さらに蹴りを入れて地面を転がる蛮野さん……。

 

「おそらく…次の一撃で決まります…。」

 

殺せんせーがそう言うと、私達全員息を呑んだ。

 

「許せさん……許さんぞぉ!!」

 

蛮野さんが必殺モーションに入る。

 

「俺もだ!!」

 

〚必殺!フルスロットル!チェイサー!〛

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」」

 

溜めでお互いのオーラがぶつかり合う。

同時に飛ぶと、

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

飛び蹴りと飛び蹴りがぶつかり静止する。

 

「拓実……終わりだ!!」

 

蛮野さんがさらに力を入れる。

拓実が少し押された…。

 

拓実……頑張って!!

 

心の底からそう思った。

 

「チェイス……行くぞ!!」

 

この声と同時に後ろに紫の仮面ライダーの姿が見えた。

 

あれが…仮面ライダーチェイサー……。

 

仮面ライダーチェイサーとマッハの動きがシンクロ。

拓実はさらに力を入れた。

 

「はぁぁぁぁ……はぁ!!!」

 

今度は止まらなかった。

そのまま押し切った。

 

蛮野さんはゴルドドライブからロイミュード姿を変え…

 

ドォォォォォオン!!!!

 

爆発した。

 

「「「や、やったぁぁぁ!!」」」

 

みんなが笑顔になる中、拓実の方に目を向けると、

 

「はぁ……はぁ……うぅ!?」

 

ゆっくりと立ち上がってる最中にベルトがスパークし返信解除、その場に倒れかけた。

 

「拓実!!」

 

気づいたら駆け出していた。

拓実……拓実……拓実!!

しっかりと抱きとめて

 

「大丈夫!?」

 

だが、拓実は

 

「まだ………終わっていない……。」

 

「え?」

 

私から離れると、シンゴウアックスを拾った。

 

何を……する気なの…?

 

フラフラと頼りない足取りで進むと、

ある場所で止まった。

 

「ま、待て……拓実……」

 

蛮野さのベルト……。

あっ!!

 

「そのベルト意識があるから、放っておくと再生する。だがら、見逃すわけには…行かない。」

 

「ちょっと待て……私はお前の父だぞ……」

 

〚必殺!マッテローヨ!〛

 

静かにシグナルバイクを、セットした。

 

「ま、待て……偉大な私の脳を消してはならない…!」

 

〚イッテイーヨ!〛

 

「逝って良い………てさ…」

 

「まて!!!拓実ー!!」

 

そのシンゴウアックスを……振り下ろした。

 

ズガァァン!……パラ…パラ…

 

粉々に砕けた…。

 

「さよなら…父さん……俺の……未練。」

 

そして、完全に倒れた。

 

 

 

 

拓実sid

 

目を開けると、俺は仰向けになっていた。

正確には桃花の膝枕……何これなんのご褒美?

頭に幸せな感触と共に、泣いていた桃花の顔……。

 

この位置で見ると、破壊力のある……やめておこう。

 

「あれからどうなった?」

 

「みんなは先に進んだ。元々全員来いっていうのじゃなかったから…。殺せんせーが良いだろうって…。」

 

「そっか…。」

 

起き上がろうとしたが起きれなかった。

 

「無茶しすぎだよ……。ただでさえ動けなかったのに……うっ……うぅ……。」

 

また泣き出してしまった。

 

「…悪い…。俺もよくよく考えていなかったからな…。」

 

「……ぐずっ……有希ちゃんも言ってた…。無茶するのは今更止められないって……。でもさ、こういうの……もう……やめてほしいな……。」

 

そういうわけには行かない……。

無茶をしなきゃいけない時だってある。

というか、マッハで有る以上、それは仕方なのないことだ。

 

「拓実が無茶したらそれだけで心配ではちきれそうな人がいること…忘れないでね…?」

 

そういって抱きしめられた…。

それはものすごく温かい……優しい気持ちになれた。

 

「あぁ……わかったよ……。」

 

再び桃花の肩を借りて、ゆっくりと追い始めた



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